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只松小委員 それから、たとえば、私もいままで余り予測していない、皆さん方もあるいは
考えておられないかと思いますが、脱税の大きなものに財団というものがあるわけです。たとえば、これもまたあした私は突っ込んでやろうと思うのですが、
会長さんから
意見だけちょっと聞いておきたいのですが、石橋さんの遺族が今度九十七億ぐらい遺産相続されたわけです。ところが三千六百万株の株をブリヂストンないし石橋財団に寄贈されました。これを時価に評価いたしますと、百九十七億ぐらい。七五%の課税をいたしますと、これが百四十七億ぐらいになる。いわゆる百四十七億の合法的な脱税が行われております。石橋さんとしては脱税したわけじゃありませんが、
国民の側から見れば税収不足になったわけです。それだけではないのです。二重の脱税というのが行われる。以後ここから出てくる果実、配当その他の収益というものは、現金であれば利子、こういうものは全部財団に行ってしまうのですね。そこからも利益が取れないわけです。
これがどれくらいあるかと言いますと、公益信託制度研究会の
調査によりましても、財団法人が約八千あるわけです。学校法人や社会福祉などを含めますと総計二十万件。したがって、その金額たるやまさにはかり知れずというわけです。その上に財団法人というのは一定度以上の設備なり金額がないとだめです。わずかな人は、今度は公益信託というものをつくろうということで、いまこれが進められて、すでに
審議の過程を終わっております。この公益信託の場合、現在は課税されておるわけです。課税された後のものを信託しているのです。これはいいと思うのです。したがって、今度いまの財団法人と同じように、百万や一千万や一億のわずかなものを寄付するものも全部免税措置をしてもらいたい。これは遺産相続もそうですか、生前贈与の場合もそうです。こういう運動がすでに起きているわけですね。当然にそのときも
税金がかかりませんけれ
ども、それから出る株の配当その他に対しても
税金が取れない、こういうことになる。これは徴税面からするならば大きな遺漏が今後生じてくる。いわゆる資産
関係で
税金というものは極端に言うならば一銭も取れない、こう言ってもいい。税理士さんと相談しても、いままでは大法人や大金持ちでないとなかなか財団を許可しなかった。これも文部省だけで千五百、厚生省で三百二十六だったですか、都道府県や何かを合わせると、全部で財団約八千、さらに全体のものとして二十万件になる。この金額をひとつ、
国税庁が把握しておるか、
大蔵省が把握しておるか。私は資料としてこの総財産、それといま
一つこれに生前贈与あるいは遺産相続を行った場合に得べかりし税額、私から言えば脱税額というものが幾らであるか、なかなか容易でないと思いますが、
調査できる範囲の資料を提出いただきたい。もしこれができないとするならば、皆さん方
行政当局はきわめて怠慢である、幾ら脱税されたかそれがわからない、そういうばかな話はない。われわれが年じゅう言うように、勤労者からは一〇〇%取り、あるいは中小零細企業からは苛斂誅求をする。例を挙げてもいいけれ
ども、きょうは時間がないから挙げません。
しかし、大法人のものはこうやって、単に生前贈与、遺産のとき、これの脱税を認めるだけでなくて、その後出てくるであろう配当や利子、こういうものも全部非課税措置をとっておる。そして安定株主というものがそこに生まれてきて、歴代
日本の社会が何で封建制が根強いかと言うならば、出光は出光、あるいは西武は堤なら堤、東急は五島なら五島、全部そうやって歴代の人が
——皆さん方の息子がいかに優秀であっても社長にはなれない、副社長どまり。全部社長は子々孫々に残していく。ここに
日本の大きな資本主義の封建制というものを温存されておるわけだ。
そのことはきょうはさておきまして、とにかく税収面から大きな脱漏というものがここに生まれてきておるし、今後も生まれる、こういうことが私もいろいろ勉強したら明らかになった。
税調会長さん、ひとつこういう点に関しても、これはいままで取り上げられなかった、論議されなかった面ですけれ
ども、私はこれは租税特別措置に匹敵する莫大な金というものがここから見出し得ると思うのですが、いかがお
考えでございましょうか。