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後藤(達)
政府委員 銀行の資産内容の一番根幹に触れる御
質疑でございますので、具体的な
数字等余り細かいことは差し控えさしていただきたいと存じますが、大勢について申し上げますれば、まず私
ども銀行に検査に参っておりまして、そこで資産内容の査定をするのが検査の主要なる仕事に相なっております。そういうところを通じまして、具体的にただいま御
指摘のような点等を検査いたしておるわけでございます。その結果につきまして、ちょっと
数字は遠慮さしていただきたと思うのですが、大勢を申し上げますれば、やはり四十六、七年、過剰流動性と言われた時代あるいはその後の狂乱物価時代等々を通じまして、
銀行の融資のあり方等には、いま考えてみますれば反省を要する点があったということが、現実の検査結果にもあらわれておるように思います。したがいまして、私
ども貸し出しその他の資産を検査いたしまして、それにつきまして、今後債権管理等に注意を要するものから償却をしなければならないものまでを、分類資産と申しまして、分類のマークをいたしております。その総資産に対する割合を分類率と申しまして注目をいたしておるのでございますが、その分類率自体がやや上昇しておるということは御
指摘のとおりでございます。
その中身がどういうものであるかということでございますが、まずいま御
指摘の土地の
関係の融資についての問題は、やはりその中の
一つの
要素でございます。ただ分類の中に、非常に技術的なことで恐縮でございますが、二分類、三分類、四分類という分類を私
どもいたしております。四分類と申しますのが、もう回収不可能という償却を要するもの。三分類と申しますのが、一部回収不可能である。二分類と申しますのが、どうもなかなか回収には時間がかかる、時間はかかるけれ
ども元本のロスはいまのところ見込まれない、こういうものでございます。
〔
大石小
委員長代理退席、小
委員長着席〕
土地
関係の融資につきましては、その中で問題のあるもので四分類になるというものはまずほとんどございません。ただ二分類になるものはかなりふえている。したがいまして、そういうものが
銀行の資産の固定化の一部になっておる、これは事実でございます。ただ、土地の融資の問題につきましては、なかなか融資
関係その他だけで対処できるという性質のものではないと存じます。ただ、そうかと申しまして、そこで非常に強力なる回収を図るということも、こういう
経済情勢の中でいかがかということで、それに対しましてはじみちに、しかしよく債権管理を注目をしてまいるように、こういう指示をいたしておるわけでございます。
それから海外
関係でございますが、海外
関係では、一昨年ごろから
既往の
投資等につきまして、外国におきます
企業がやはり石油ショックの
影響を受けた
関係等もございまして、御
指摘の安宅のケースな
どもその代表的な一例かと存じますけれ
ども、海外での投融資の
関係で償却を要するものが出てまいっております。ただ、非常に大きいとかなんとかいうことは現在までのところはございませんけれ
ども、しかし石油ショックの
影響というのは海外でもかなり大きかったということが形にあらわれております。
この点につきましては、
銀行、特に為替公認
銀行である
都市銀行、
長期信用
銀行等々の海外業務の
ウエートというのが、ことにこの二、三年かなり高くなってまいっております。数年前は、合わせましてまだ国内業務の一%にもならないぐらいでございましたが、最近では一割ぐらいの規模に拡大をしてまいっておりまして、
経済の国際化の進展でこういう方面での業務の拡大はこれからも予想されるところでございますが、それだけに、海外での与信活動に伴いますリスクの回避につきましては、従来以上に相当慎重な注意をしてやっていただかなければいけないのではないかという感じがいたしておりまして、そういう審査の充実あるいは情報の収集等につきましては、より一層配慮をするようにという角度から、検査行政を通じまして一般的にも個別的にも指導をしてまいる、こういうことにいたしております。