○村本
参考人 全国銀行協会会長の村本でございます。
ただいま
先生のお言葉にもございましたように、実は昨日選任されたばかりのほやほやでございますので、未熟の点もあろうかと恐れております。この一年間、
先生方の御指導をいただきまして身に余る重任を果たさせていただきたいと存じておりますので、どうかよろしく
お願いいたします。
まず第一の御
質問でございますが、現在
銀行が置かれておるいろいろな課題をどういうふうに
考えておるかという御
質問かと存じます。私は、
銀行というものはやはり
銀行本来の職務、日本の
金融の中で
銀行に与えられた本来的な職務を完全に遂行していくのが
銀行の任務であり、現在の言葉で言えば、それが
銀行の
社会的
責任の最も本源的なものであろう、かように存じておる次第であります。
われわれは、おのおのの
銀行におきましてかような
社会的
責任を果たすために日夜努力をいたしておるのでありますが、同時にまた、
銀行協会という組織をつくりまして、われわれがそうした
社会的
責任を果たし得るような場をつくったり、あるいは
社会的
責任を果たすための機能を持ったり、あるいはまたわれわれの方から
社会的
責任が果たせるようにいろいろなことをしていただきたいという希望を申し上げておるのが実情でございます。
私は、そういったいわば
銀行の
社会的
責任、協会の設立の原点に立ち返りまして
考えるとき、現在三つの点からわれわれの仕事を
考えていくべきであろう、かように
考えて昨日申した次第でございます。
その第一は、やはり国民との心の触れ合い、心の通い方という問題であります。それは
一つには、国民のニーズが現在どこにあるかということをよくくみ取って、その上で国民のニーズに合うような商品、サービスを提供していくということでございます。それから第二には、国民の側から
銀行の現在のサービスに対するいろいろな御苦情なり御批判なりがあって、これに謙虚に耳を傾けて、なすべきことをちゃんとなしていくということ、それからもう
一つは、
銀行の側からも積極的に国民の理解を求めていく、こういうことであろうかと
思います。
銀行協会は、昨年来そうした目的のためによろず相談所を設けて、国民の皆様、お
取引先の皆様方からの苦情の処理をいたしておりますし、それからまた、われわれの意見を申し上げるために理解広告ということもいたしておるわけでございます。
第二には、現在、日本経済がいわば低成長路線に着陸しようとしており、その着陸に対して
銀行がうまくサービスしなければならぬということであります。
第三は、国債を抱いた経済というものの中にわれわれが現在位置しておりますが、そういう全体の日本の経済というもの、あるいは日本の
金融というものがどういうふうに動いていったらいいか、こういう三つの角度から見るべきであろう、かように
考えておるわけであります。
第二番目に、
先生御
指摘の郵便貯金との
関係でございますが、昨日
質問に対して
答えましたために、あるいは
先生方に与えた印象がただいま
先生がおっしゃったようなことであろうかと
思いますが、私の
考えを申し上げますと次のとおりでございます。
われわれは明治の初年から
銀行業務を民業をもって行っておるわけでございます。これに対して民業の行い得るところは、やはり採算ということがございますから、そういった点も踏まえて、国民のために簡便で有利な貯蓄手段を民業を補いながら提供していくという目的で郵便貯金が設けられ、そしてこの日本の百年の間に次第に発達してきたわけであります。私
どもは、そういった日本の全体の
金融の中で、
銀行と郵便貯金とはそれぞれの役割りを担いながら、そうしてそれぞれの調和を求めながらやってきたつもりでございます。
ただ、昨日申しましたことの趣旨は、最近郵便貯金も非常に大きくなってまいりましたし、また、日本の経済も国債を抱いた経済という
意味で非常に大きくなりましたので、そういった中ではそういう調和をどういうふうに求めていくか、新しい調和をどういうふうに求めていったらいいか、そういうことの点検が常に行われてほしい。これは現在
金融制度
調査会でもこれからまた行われるところでございましょうが、そういうふうないろいろな
機会を通じて、世の中の変遷に応じて新しい調和というものを求めていきたい、そういうことを申し上げたのであります。そういう中でいわばイコールフッティングといいますか、いろいろな件について同じような
立場、対等という言葉で申し上げたのではないのであります、イコールフッティングということでいろいろなことをやっていきたい場も多々ある、かようなふうに申し上げた次第でございます。