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1977-04-26 第80回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十六日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 小渕 恵三君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       大石 千八君    鴨田 宗一君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       砂田 重民君    林  大幹君       原田  憲君    村上 茂利君       村山 達雄君    山崎武三郎君       山下 徳夫君    伊藤  茂君       池端 清一君    大島  弘君       川口 大助君    川崎 寛治君       沢田  広君    只松 祐治君       村山 喜一君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    大原 一三君       刀祢館正也君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  高鳥  修君         大蔵省国際金融         局長      藤岡眞佐夫君  委員外出席者         経済企画庁調整         局経済協力第一         課長      愛甲 次郎君         外務省経済協力         局外務参事官  大鷹  正君         通商産業省通商         政策局経済協力         部経済協力課長 河野権一郎君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   中野 四郎君     村上 茂利君 同月二十六日  辞任         補欠選任   小林 正巳君     大原 一三君   永原  稔君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   大原 一三君     小林 正巳君   刀祢館正也君     永原  稔君     ————————————— 四月二十五日  付加価値税新設反対に関する請願坂口力君紹  介)(第三八一五号)  米軍基地跡地利用並びに大企業に対する税制  の優遇措置撤廃に関する請願坂口力紹介)  (第三八一六号)  税・財政金融制度改善等に関する請願(宮  地正介君紹介)(第三八九二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第七〇号)  航空運送貨物税関手続特例等に関する法律  案(内閣提出第五一号)      ————◇—————
  2. 小渕恵三

    小渕委員長 これより会議を開きます。  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。坊大蔵大臣。     —————————————  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 坊秀男

    坊国務大臣 ただいま議題となりました国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  国際開発協会は、昭和三十五年に設立され、主として貧しい開発途上国に対しきわめて緩和された条件融資を行い、これら開発途上国経済的、社会的開発の促進に大きな役割りを果たしてきております。わが国は、その原加盟国として当初出資を行ったほか、それ以後四次にわたる増資の際にも応分の出資を行ってまいりました。  前回の第四次増資は、同協会昭和四十九年七月以降三カ年間の融資約束に充てる資金を賄うものであり、予定どおり本年六月にはその全額が融資約束済みとなる見通しであります。このような背景のもとに、第五次増資について関係国間で累次にわたり検討が行われてまいりました。この検討結果に基づき、本年三月の同協会理事会において、本年七月以降三カ年間の融資約束に充てる資金を賄うため、総額約七十六億ドルの出資及びその分担等に関する総務会決議案が採択され、この決議案に対し、わが国は、本年四月賛成投票を行いました。  わが国といたしましては、同協会に対する旺盛な開発資金需要や第五次増資を早急に行うべきであるという強い国際的な要請等を勘案し、同決議案の定めるところに従い、同協会に対し新たに二千二百三十四億六千二百八十万円の出資を行いたいと考えております。そのための所要の国内措置として、この法律案により、新たな出資についての規定を設けることとし、この法律案の成立後、出資分担を引き受ける旨の通告を行いたいと考えております。  さらに、今回の増資につきましては、少なくとも先進十二カ国が出資を行う旨の通告を行い、かつ、通告を行った国の出資額の合計が六十億ドル相当額以上となった日に発効することとされております。仮にその発効が本年七月以降におくれることとなった場合には、開発途上国需要にこたえて国際開発協会が継続して活動し得るよう、増資が発効する前においても、関係国が同協会からの要請に基づいて出資を行い、これを後日増資が発効した場合にはその出資とみなす措置がとられることも予想されます。  このような情勢となった場合には、わが国といたしましても、この法律案規定に基づき、必要な措置をとることも考慮しております。  以上、この法律案につきまして提案理由内容の大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 小渕恵三

    小渕委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 小渕恵三

    小渕委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。     〔委員長退席山下(元)委員長代理着席
  6. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣、何か御用事があるそうですから、二つだけお聞かせいただきたいと思いますが、アジア開銀総会マニラまで行かれまして大変御苦労さまでございました。  新聞報道その他で見ますと、大変積極的、意欲的な御発言をされているようですし、あるいはまた、新聞でもずいぶん特集などをされました。これはやはりアジア経済開発などについて非常に関心が高まっているということでもあると思いますし、また、日本とのかかわり合いが非常に大きなウエートを占めているということのあらわれではないかと思います。  いらっしゃるうちに二つだけお伺いさせていただきたいのですが、一つは、いろいろ新しい提唱がなされているようです。プログラム融資という新しい方式を大いに活用するとか、あるいはソフトローンの比率を高めるべきであろうとか、それからOPECとの協調融資の問題あるいはまた秋に、ADFですか、新たな拠出国会議を開こうとか、大変意欲的なといいますか、新たな提言などもずいぶん出されているというふうに伺いますが、個々のことは別といたしまして、全体として、そういう状況の中で今後のアジア開銀活動あるいはアジア経済開発発展、どういうところを特にポイントにして日本が対応されるのか、ひとつお伺いします。
  7. 坊秀男

    坊国務大臣 先般マニラへ出張いたしまして、親しく域内大蔵大臣あるいは中央銀行の総裁それからまた欧米各国の要人、お目にかかって、いろいろと話し合いをするには余りに私の言葉が貧弱でございますが、必要なことについては話し合いをいたしました。日本に対する域内人たちの期待と、それから欧米各国人たちの、とにかく日本アジアにおける役割りといったようなものについては非常に評価をされております。  これから、いま御指摘になりましたようないろいろな大事な問題につきましては、やはり日本がこれらの国の中でリーダーシップをおのずからとっていくというような姿になろうと思いますけれども、大事なことは、開発基金といったようなものの充実をしていくこと、技術協力というようなこと、それから第一次産品とか農業の開発とか、そういったようなことに開発と申しますか、そのレベルを上げていく余地がまだ十分あると思いますので、そういった方面にできるだけ資金、しかも低利なものを活用していくことが大事であるということを感じてまいりました。
  8. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 済みません、もう一つだけ。ちょっと新聞報道で私心配になって読んだのは、ベトナムASEANとの関係、それからインドシナ三国との関係アジアにおけるこれからの経済援助の部面でも外交活動でも、いろんな配慮が必要なときであろうと思います。ただ、何か新聞報道によりますと、今度のマニラ総会ベトナムも参加をして、いろんな要望もあった、発言もあった。ところが、ベトナム要望インドシナ三国の要望にどうこたえるのかという意味では、新聞報道によりますと、昨年と大体同じような段階にとどまっているということではないか。ことしの一月に調査団が派遣されたようですが、さらに調査を進めてというふうな段階にとどまっているとの報道がなされております。またほかの資料などを読みますと、かつてベトナム援助についていろんな約束もあったけれども、それが実行されないということで、この融資の対象となっている商品、機材などがシンガポールとか香港などにほこりまみれになって積んであるというふうな報道もなされているわけであります。私は、アジア開銀議論のときに川崎委員からも強調されておりましたが、インドシナ三国、ベトナム日本とのかかわり合いというものを考えますと、非常に深い道義的責任を、国民もそうだと思いますが、私も非常に感ずるわけでありまして、いろんな複雑な要素はありますけれどもベトナムを初めインドシナ三国の復興、開発に対する支援、それらの点は強力な措置をとるべきではないかというふうに思いますが、何か報道によりますと、昨年と同じような段階にとどまって、非常に慎重であるというふうなことになっております。また大臣マニラでの記者会見発言などを見ますと、その点余り触れられていないということなので、私はぜひインドシナ三国、ベトナムについては強力な支援協力措置をとるべきであるというふうに考えておりますが、どうなっておりますか。
  9. 坊秀男

    坊国務大臣 御心配の点、よくわかります。わかりますが、実情は、これからアジア開銀を通じて、これは私は非常に前向きにベトナム等についての措置と申しますか、対策というものが整備されていく、そういうふうな展望をいたしております。     〔山下(元)委員長代理退席小泉委員長     代理着席
  10. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 きょうは外務省の方からもお越しいただいておりますので、関連してお伺いしたいのですが、これからの対アジア外交ベースがどうなるのかということをきちっと踏まえないと、アジア開銀の問題にしろ、またただいま提案のございましたJDAの運営などにしろ、いろいろと問題が発生するのではないかと思います。この国会でも当初からいろんな委員会で取り上げられてまいってきておりますが、米軍ベトナムあるいはインドシナから撤退した後の日本アジア外交の中心はどうなるのか、それに基づいた経済協力援助あり方はどうなるのかということをきちんと考えておく必要があるのではないだろうかと思います。現実には総理出席をされるとか伝えられておりますASEANの動きも非常に活発になっている、それから、それらの側からインドシナ三国に対するいろんな構え方もあるということも現実のとおりですし、さらには、いま大統領夫妻が参っているフィリピンの問題とか、この国会でも大きな話題となっている韓国との関連とか、いろんな問題があると思います。  私はそれらについて、この数年間に大激動があったわけですから、インドシナ三国への米軍侵略戦争があった当時にも、私ども国内でみんなでカンパ運動をやっていろんな資材、資金を送るとか、いろんな役割りを果たしてまいりましたが、今日のような新しい状態のもとで、従来までの反省も含めて、やはり日本が積極的な役割りを果たしていくというふうなことが求められているのではないかと思います。新聞を読みましたら、政府というわけではありませんけれども福田総理が、社会主義国となったインドシナ三国、ベトナム、ラオス、カンボジアヘの姿勢をどうするのか、あるいは米軍撤退後の東南アジアにどう対応するのかというふうな問題について、「放っておくとソ連がやって来るので、日米両国が三国に接近して、いわば“緩衝地帯”とする方がよいということで日米首脳会談では大体意見が一致した」。何か、先月末の自民党の議員総会か何かでそういう報告をされたという報道がなされているわけですが、私は、インドシナからの米軍撤退後のアジア外交というものについては、国際的にも諸国民からもはっきりと支持が得られるような明確な原則を立てる、それをやはり国際的にも国内でも明らかにするということが必要ではないかと思います。また、それによって経済援助の仕方、国際金融開発機関運営も違ってくるということではないかと思いますが、その辺の方針を伺いたい。
  11. 大鷹正

    大鷹説明員 アジアについては、日本とは歴史的にも経済的にも非常に関係の深い地域でございますし、従来経済協力技術協力ともアジアを非常に重点にしてまいりまして、今後ともアジア重点地域とするということについては変わりがないと思います。  それから、いま先生がおっしゃいましたインドシナ三国でございますけれどもわが国といたしましては、このインドシナ国地域が平和で安定した地域として発展していくことが東南アジア全体の将来にとって望ましいとの基本的な認識に立って今後の経済技術協力を考えてまいりたいと思っております。しかし、これら諸国との効果的な協力を確保するためには、協力案件に関する情報のアクセスとか相手国政府援助受け入れ体制整備等改善か図られなければならない問題も多く、また、ベトナム及びカンボジアについてはわが国政府借款の債権回収問題もありますし、現在ベトナムについては鋭意交渉を進めておりますけれども、今後の資金協力を考えるに当たっては、この問題の円満な解決が前提となるというふうに考えております。
  12. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 質問の中に要望も含めてやりましたから、次の質問に入りたいと思います。  日本対外援助国際協力について全般的な問題点を二、三お伺いしたいと思うのです。最初に、このIDAにも関連をいたしますけれども日本対外経済協力あるいは対外援助、それをめぐる条件というものはこの二、三年来非常に大きく変わってきた、また構造的にも変化してきたというふうなことではないかと思います。やはり高度成長時代とは違った諸条件があらわれている。後ほどもお伺いしたいと思いますが、特に発展途上国累積債務大変拡大をしている。深刻な南北問題、特に非産油途上国の問題という事態も深刻化をいたしておりますし、また、産油国と非産油国とのギャップ、先進国中進国内部におけるいろいろな問題というのも非常に複雑になっていると思います。     〔小泉委員長代理退席山下(元)委員長代理着席〕 さらには日本経済も低成長時代に入ってくる。気前よくばらまく、あるいはばらまけるという時代と違って、外貨はたくさんだまっていても、財政構造は非常に厳しいというふうな状況にもなっておりますし、しかもそういう中で先進国責任——ロンドン首脳会議に向けてもずいぶん話題になることでしょうけれどもスリーエンジン責任とか、特に日本はということを問われているというふうなことで、数年前とは違った構造になっている。しかもこういう構造が二、三年の努力で簡単に解消されるということではなくて、やや中期的にこういう構造をどうしていくのかということに取り組んでいく必要があるだろうと思います。そう考えますと、やはり日本対外援助国際協力姿勢についても相当じっくり腰を据えた基本方針というものを持って対応する、それがまた国民にも理解が得られる。もし国際金融恐慌が起きてしまうとか何かあれば、やがては国民の負担に来るわけですから、国民理解も得られるようなプログラムをつくっていくということが必要なときではないか。そういうことについて、いろいろ御議論、御検討も当然されていると思いますが、その辺の全体の考え方をまずお伺いしたい。
  13. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 御指摘のとおり、いま世界経済は幾多の大きな問題、困難を抱えているわけでございます。国際収支だけに限って申し上げましても、一つにはOPEC諸国の膨大な黒字、それに見合う赤字がOPEC以外の諸国に負担されているということがございますし、いま先生指摘のように、OPEC以外の国の中におきましても、非産油開発途上国累積債務の問題それからさらに先進国の中にも強い国、弱い国というふうに分裂してきておるわけでございます。国際収支以外につきましても、まさに御指摘ございましたように、先進国が、日本を含めまして従来のような高度成長ではなくなってきている。したがって、援助をしようにも財政面でも困難ということがあるわけでございます。  こういうようなむずかしい環境にあるわけでございますけれども日本といたしましては世界経済に大いに依存しておるわけでございますから、一方において日本の景気を上げることによって開発途上国からの輸入をふやすというようなじみち努力も必要でございますが、それに加えまして、経済協力を質の面でも量の面でも今後拡充していく必要があろうかと思います。  累積債務の問題に関連いたしまして、いまにも金融恐慌が来るような話がときどき報道されておるのでございますが、それは若干誇張され過ぎている。やはりこれだけの大きな国際収支のアンバランスがありますと、お金のあるところからないところへ金が流れていくということは大事でございまして、その際、民間金融機関の果たす役割りも非常に大きいわけでございます。それが危ない危ないと言って手を引きますと、それこそ本当に危ないことになってしまうわけでございまして、その意味で、最近IMFが資金拡充強化、その役割り強化というものを考えておりますが、一つにはそういった信用不安をなくすことによって民間金融機関も安心して開発途上国に金を出せるというふうな国際環境をつくっていくことが非常に大事ではなかろうかと思っております。
  14. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 藤岡さんの言われましたように、一面では厳しいが、より責任も増大をしているという時代ですから、やはり量、質両面で新しい努力が必要であろうと思います。  同時に私は、経済協力における量、質という意味だけではなくて、前提となる姿勢の問題といいますか、さらにはそれに伴ってくる国際的な交流、理解を高める、それらのことについて財政面でも外交面でも、その他の民間活動も含めて、総合的にもっと諸外国との協力関係が発揮されるというようなことでないと、いろいろなジャンルから矛盾も拡大してくるというふうなことになってくるのではないかと思います。  そういう角度から一、二お伺いしておきたいと思いますが、一つは長年にわたって日本経済協力あり方について途上国側からも先進国内部でもいろいろな批判が続いてまいりました。御承知のとおりだと思います。また、その批判を解消する方向に向けての一定の努力もなされてきたというふうなことであろうと思います。一つ政府としての責任政府開発援助の問題、いわゆるODAの問題、三年、四年前にはそれらについて条件の面でもあるいは額の面でも、DACグループの中で言いますと日本はビリっこの方から何番目というふうに数えられていろいろな批判もあったわけでございますが、DAC平均国際水準などに向けて、ことしの予算でいきますと〇・二八とか言われておりますが、これらを平均レベルにまでどう高めていくのか、この三、四年ぐらいのうちにもそうしたいというようなことも言われているようでございますけれども、それらをどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたい。
  15. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 日本経済協力は、御指摘のように量の面でも質の面でも他の先進国に比べまして見劣りがしているというのは事実でございます。もっとも日本の場合には歴史的に、日本援助をするという立場になりましたのはわりあいに最近でございまして、したがいまして、いわばゼロからスタートしたわけでございますので、伸び率としては非常に高いわけでございます。たとえばDAC全体に占める政府援助の割合も、一九六〇年には二・三%でございましたが、最近七五年では八・四%というふうにも拡大をしているわけでございます。ただ、GNPに比較いたしますと、日本自身GNP相当大きい、しかもGNP伸びがほかの国に比べまして相当高かったということがございまして、GNPとの対比ではその率が、上げたいのでございますが、なかなか上がらないということでございます。  今度は予算ベースにおきまして、いま御指摘ございましたようにGNP対比〇・二八%、昨年度の〇・二七%よりも向上さしておるわけでございますが、DAC議論のありますのはディスバースされました実績のGNP対比ということでございます。これは遺憾ながら七五年でまだ〇・二四%ということでして、DAC平均の〇・三六%より劣っております。しかし、私どもといたしましては、なるべく早く少なくともDAC平均並みには日本GNP対比援助を上げていきたい、量の面ではそう思っておるわけでございます。  また、質の面におきましても確かに見劣りがしておるわけでございますが、それも過去十年間におきましては質の面でもかなり向上してきておるわけでございます。今年度におきましても食糧増産のための援助を無償で行うということで六十億円、予算の御承認をいただいたわけでございますが、こういう努力を通じまして質の面でも経済協力向上を図っていきたいと思っておるわけでございます。
  16. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ちょっと具体的に、たとえば利率の問題とか返済期間とか据え置き期間とか、先進国内部でも大分おくれているということも指摘をされてまいってきておるわけでありますが、昨年度の状況とか今年度の執行とかいう中でそういうものはどう改善されてきつつあるのか、ちょっとお伺いしたい。
  17. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 まず金利について申し上げますと、一九六七年には借款条件平均をとりまして四・八%でございました。それが七五年には三・一%ということで、一・七%金利が低下しておるということでございます。それから償還期間につきましては、一九六七年には平均いたしまして十六・六年でございましたが、一九七五年には二十六・七年でございますのでその間十・一年延びてきている。それからさらに据え置き期間でございますが、一九六七年は四・七年でございましたのが七五年には八・五年ということで、これもかなり延びてきておるということでございます。
  18. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 そういうような条件も、国内でも大胆に金利引き下げ政策をとられておるわけですから、国際的にも好影響を持つようにやった方がいいのではないかと思います。  それと、この援助関連をして、従来日本はもうけ第一ではないかというふうな、経済侵略ではないかという批判も前にはあったわけでありますし、そういうふうな反発を生むようなことも聞かないではない、いろいろな配慮がやはり今後必要である、努力が必要であるというふうなことではないかと思います。さっき大臣にもお伺いしただけでもちょっと心配だったのですが、この援助方式多様化、これはニーズの方からもそれから出す方からもいろいろな新しい方式も生み出されてくるわけでしょうけれどもアジア開銀会議その他でもプログラム援助、また開発資機材その他も含めて総合的な援助方式をとろうというふうなことが言われております。これは援助を受けた国が国際入札か何かの形で事業費を借りて執行するという形式にはなっているわけですが、実際には日本の企業はよその国以上に大変熱心ですから、まずそういう方が、日本の商品と企業と何とかの方が先へ行ってしまうというような傾向があるのですね、また反発を買うとかいう心配もこういう方式だから出る危険性もあるのではないかというふうに思いますが、その辺のコントロールなどはどうお考えになりますか。
  19. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀とか、いま御審議いただいております第二世銀の場合には、貸し付けに伴って物資を調達いたしますとき国際競争入札でやっておりますので、やはり受け入れ国の方から見ましても質がよくて値段の安いというものを好むわけでございますし、貸し付けをする側におきましてもそういうふうなシステムは好ましいということでございますので、もちろん日本の企業といたしましてはできるだけ落札をしてとりたいという気持ちがあることは否定できませんけれども、国際機関におきましては、いま申し上げましたが、公平な方法で、手続でやっておりますので、特に日本が不当に売り込みをするというふうなことはないのではないかと思っております。
  20. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いずれにしても、いろいろな面でこの数年来、数字で出てくる面では改善努力が進んでいるというふうにもお話しがあったわけですが、量、質、両面含めて日本が国際的にその能力にふさわしい協力援助を高めていく、しかもそれが日本にとってもやはり国際社会の中に必要な努力であろう。油がなくなった途端に石油諸国に一生懸命友好の努力をあたふたと払うとか、話は違いますけれども、いまの二百海里日ソ漁業交渉に至ってみて、前のミグのときにアメリカの兵隊と一緒に分解しなければよかったかなという世論が出るとかということのないようなプログラムを組んでやっていただくようにぜひお願いしたいと思います。  それから次に、いま話題となっている発展途上国の累積赤字の解消の問題、それに関連をしてIMF専務理事のウィッチフェーン構想、日本にも先日いらっしゃって大蔵省ともいろいろな御相談があったようですが、明後日からですか始まる、関係者も出発なさるところでしょうけれども、IMFの暫定委員会で大綱が決められるとか報道もなされておりますし、最終的にはロンドンの先進国首脳会談で詰まるであろうとかいう報道もなされております。また、報道を見ますと非常に具体的に、それの資本規模は百六十億ドル程度になるであろうとか、拠出国は十カ国前後であろうとか、日本の場合にはちょうどその一〇%であろうとか、数字まで含めた報道もなされているわけです。前向きに取り組もうということは当然のことだと思いますけれども、日銀でもまた大蔵省の方でも米銀のリスクの肩がわりをするのではかなわぬとか、いろいろな話もあったようでございますが、もう間もなくこれも詰めなければならぬという話のようでございますから、どういうふうになっているのか、どう対応されているのか、それから日本からした場合にどの程度のどういう内容が望ましいと考えているのかお伺いしたい。
  21. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 最近国際収支の大きな赤字及び累積債務に悩んでいる幾つかの国が出てきているわけでございまして、従来のIMFの融資でございますと、IMFに各国のクォータというのがございまして、そのクォータを基準に融資をしておったわけでございますが、とてもそれでは賄い切れないという大口の赤字国が幾つか出てきておるわけでございます。そこで、ウィッチフェーン専務理事は、ニーズにこたえるために、IMFの資金を拡充するとともに、そういう国に対して弾力的な融資をしたいという考え方を持ちまして、先般来産油国及び主要先進国の意向を打診しておったわけでございます。日本にも四月初めお見えになって私どもと意見を交換したのでございます。それと並行いたしまして、新聞等では、アメリカの商業銀行の開発途上国向けの債務が非常にかさんできて、これ以上続けることはできないというふうなニュースもございまして、その二つがあたかも組み合わされまして、ウィッチフェーン構想が米銀の不良貸し付けの肩がわりになるのではないかというふうな懸念もあったわけでございますが、ウィッチフェーン専務理事と会って話をしましたところ、そういう心配はないということが判明したわけでございます。  それでこの問題は四月二十八、二十九日ワシントンで開かれますIMFの暫定委員会議題として取り上げられることになろうかと思います。現在までのところどういうふうな貸出方式をとるかということについてまだ詰まった具体策は出ておりません。単に従来のクォータの何%という制限を取り外すだけにするのかどうか、その辺のところもはっきりしておりませんし、それから資金の調達につきましても主要産油国等一部の国が強い関心を示したということは聞いておりますが、今日のところまだどの国も幾ら出すとコミットした国はないようでございます。したがいまして、今週でございますか、暫定委員会ではあるいはその大筋について合意ができるかと思いますが、具体的なところまで詰まるというわけにはまいらないのではないかと予測しておるわけでございます。日本といたしましてもこういうふうな構想の持つメリットというのは十分わかるわけでございまして、その運営方法について健全にやってもらいたいという希望はございますが、りっぱな案ができますならば応分の協力をしたいと考えておる次第でございます。
  22. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いろいろな報道もなされておりますし、具体的なことでお伺いしたいような気もしますけれども、近日中に詰めるという過程のことですから遠慮しておきたいと思います。  ただ、これに関連してひとつ伺っておきたいと思いますのは、今日の特に非産油発展途上国の累積赤字の問題とかいろいろな構造の変化を考えますと、やはり国際的な経済構造の変化によって生まれた問題ですから、こういう新しい融資制度がつくられるというようなことで、そういう構造的な矛盾が効果的に解消されるようなことにはなかなかならぬだろうと思いますし、場合によっては支払い能力を失ったものを乗りかえをしていくみたいなことになりかねない危険性も含んでいるというふうなことだと思います。ですから、そういう構造的に起こっている矛盾をどう解決をしていくのかという中での当面の応急策というようなことだろうと思いますけれども、何か実現した場合に、そういうレベルにとどまるだろうと思いますが、相当大きな効果を及ぼすあるいは一定の効果を及ぼす、その効果についてはどの程度考えられるものでしょうか。
  23. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 いま御指摘の点は大変大事なところじゃないかと思います。国際収支で困っている国に金を貸すだけでは、借金がだんだんふえまして問題の本当の解決にはならないということでございます。ただ先ほども先生指摘になりましたように、今般の石油危機の及ぼしました国際収支への影響は、当初予想されたよりもその解決に時間がかかるんじゃないかということでございまして、その間をつないでいくためにウィッチフェーン構想のような融資体制の拡充が必要ではなかろうかと思うのでございますが、融資さえすれば問題が解決するというわけではなくて、この非常事態を乗り切るためにその融資役割りを果たす、その間に開発途上国を含め国際収支に困っております国々が経済の再建に本当に努力していくということは一方において必要でございますし、力の強い先進国におきましても健全なる経済拡大を図って、貿易を通じてあるいは資本協力を通じてこれらの国に助けを与えていくという努力が必要ではなかろうかと思っております。
  24. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 これは深刻な問題ですから、先ほど申し上げましたように援助協力の量、質というだけではなくて、当面は非常に損をするか負担を負うような感じがするときがあっても、やはり中期、長期に見ていい効果をもたらすような姿勢、それに基づいた各般の総合的な努力というものが必要ではないだろうかと、要望したいと思います。  それから対外援助の問題に関連をいたしまして、いままで予算委員会その他で議論をされましたものを読んでみまして、ちょっとはっきりしないのですが、総理を含めた御答弁の中に、こういう矛盾をどう解決をするのかということについて、日本援助協力をもっと高めなければならないという政府側の答弁も当然ございます。それと同時に、アメリカ、西ドイツ、日本機関車のスリーエンジン、これがもっと景気をよくすることが必要だ。たとえば日本の場合には日本の景気をよくして債務国の輸出をふやしていく。日本の景気をよくすること自体がこれらの矛盾を解決する上で非常に重要なんだということを非常に強調される面もあるわけです。ある意味では二面性でもあると思いますし、裏表でもあると思いますが、その辺をどうお考えですか。
  25. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 開発途上国にとりまして、開発資金の一割ぐらいは海外からの援助に頼っておるわけでございますが、量的に見ますと九割程度は貿易によってかせいだ外貨ということになっておるわけでございます。したがいまして、先進国開発途上国開発援助する場合に、もちろんそのODA、政府援助というものは非常に重要でございます。したがってそれの量と質を向上させるということは大事でございますが、それとともに先進国経済を健全に、インフレを招かないようにしつつ拡大する、それによりまして開発途上国からの輸入をふやすということがやはり開発途上国にとりまして大事ではなかろうか。ことに政府援助といいましても結局は返すものもあるわけでございます。それに比べますと先進国に輸出して得た外貨というものは返す必要はないわけでございますので、その両方がやはり必要ではないかと思っておるわけでございます。
  26. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 両方必要ということは当然だろうと思いますが、何か答弁をいろいろ読んでみますとえらくはっきり片一方だけ言う場合などあるものですから、ちょっとお伺いをしました。  それからもう一つ、銀行の国際化に関連をして伺いたいのですが、アメリカの市中銀行の状況発展途上国の債務の拡大ということが大きな話題になっているわけですけれども日本の場合でもやはり逐次拡大せざるを得ない銀行の国際化路線、それから対外援助協力拡大などにも関連をしながら、他の国からシンジケートグループをつくって特定プロジェクトに取り組もうとかいろんな申し込みなどもふえてくるのではないかというふうに考えております。そういう中で日本の場合には、何かいろいろな資料を読みますと、日本の都市銀行でも海外融資の占める額は一四、五%であるとか、収益の面でも一二、三%ぐらいであろうとか、金額がどの程度推定をされるかとか、いろいろなことも言われているわけですが、大蔵省側でとらえておられる現状、その規模とか、それから途上国あるいは中進国、先進国、大まかに言いまして大体どんなところに現状では中心が置かれているのかとか、あるいは利率、レートの面で、これはプロジェクトごとにずいぶん違うのでしょうけれども、大まかにアベレージでいって他国の場合と比べてどんな運用になっているのか、現状をちょっと簡単に教えてください。
  27. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 この種の数字はなかなか正確な統計がないのでございますが、最近米国のバーンズ連銀議長の議会証言とかその他いろいろな資料をもとに推定いたしますと、昨年末で非産油開発途上国の債務残高は千八百億ドル程度と推測されております。そのうち民間銀行の貸し付けが約七百五十億、さらに七百五十億ドルのうち米銀の貸し付けが四百五十億ドルというふうに言われております。さらにこの四百五十億ドルのうち、米当局の発表によりますと約四分の一がブラジル、メキシコに行っているという状況のようでございます。これに対しまして日本の銀行の対外貸し付けは、石油危機の後、私ども非常に自粛いたしまして、日本自身が非常に大きな赤字に悩まされたわけでございますので、銀行の対外貸し付けも自粛いたしまして、むしろ残高は過去三年間少し減ってきたという状況でございまして、いまおおよそ八億ドルぐらいあるのではなかろうかと思いますが、その中に先進国等も相当ございますので、非産油開発途上国向けの日本の銀行の融資は、その半分かあるいは半分をやや上回る程度ではなかろうかと推測しておるわけでございます。
  28. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、いままでの問題もそうですが、今日の資本主義世界の中で、いい悪いは別にして、国際化の方向が非常に急テンポで進むことになるわけだろうと思います。ただ、これらのいろいろな動きや政策が諸外国の国民からどう受け取られているのか、あるいは受け取られるのかということは、いろいろ困難でまた複雑な問題があるということになるわけですが、いまの銀行の国際化という中でも、経過を見ますと、国際的な平和五原則に基づく協力とか言いふらして、あるいはそういう意味での政策的指導などよりも商社がどんどん出ていく、それから大きな企業がどんどん外国に行って投資をする、そういうものが先行して、その後にそれらの商社、企業から銀行の融資の話が持ち込まれて乗っかっていくという形からスタートをしているのが日本の特徴ではないだろうかと思います。  そういうことですから、諸外国の国民にとってどういうメリットを及ぼしていくのかとかいうことについても十分な見通しその他を、融資をしている銀行でもそうは持っていないし、政策的な指導も余りなされていないという状態でいままで来ているのではないかという感じがするわけです。そういう中で日本の場合には大きなリスクはまだしょっていないというようなことが報道などでも言われているわけですが、先般問題となったカナダのNRC、住友銀行、安宅産業とかいうような問題も起きる。こういう問題については、局長の御答弁で、残高はいまのところ伸びていない、むしろ減っているというようなお話がございましたが、中期、長期の問題としてはやはり拡大せざるを得ない、またそういうことが要求されるということになってくるのだろうと思うのです。その場合に、相手国にとって、あるいはまた日本の立場から見て効果的な対策を組むためには、前の問題と同じように政府全体あるいは民間も含めて総合的な対策が求められてくるというようなことではないかと思います。特に銀行の活動の国際化ということに関連をしていま考えていることがあれば伺いたい。
  29. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 日本の銀行の対外貸し付けは、先生いまおっしゃいましたように、当初は国内の営業関係を海外に伸ばすということで出ていったのが相当あると思います。しかし、最近になりますと、国際的なシンジケートローンに参加するというふうな一つの金融面の国際協力に参加するというタイプもふえてきておりますし、ことにごく最近におきましてはブラジルとかペルーとか、向こうのいわば公的な要望に基づいて日本の銀行団がローンを組成するというふうな例もかなりふえてきております。  さっき残高が石油危機後三年間に少し減ってきたと申し上げたのでございますが、石油危機の前に日本国際収支の黒字が非常に大きいときにかなり積極策を各銀行とりまして、ユーロダラー資金という非常に期間の短い三月、六カ月という資金を取り入れては、これを五年、七年という中、長期で貸すというのがふえたわけでございまして、その結果、ユーロダラーを含めまして日本の銀行の対外短期外貨債務は三百億ドルくらいになってしまいましたので、私どもはこれをどんどんこのままふやすのは健全ではないというふうに思いまして、昨年秋以来、銀行の対外貸し付けを自由化いたしましたが、その際に、円で対外貸し付けをする場合には、これは自由である。それから外貨でいたします場合には、日本全体としての外貨ポジションを悪化させない範囲で自由にやっていただいてもいいという意味の自由化をしたわけでございまして、これから日本経済が国際化されますときに、日本の銀行の対外貸し付けもどんどん伸びてしかるべきだと思いますが、いま申し上げましたような対外ポジションの健全性ということには十分配慮してもらいたいと思っております。  それからもう一つ、よく一部の開発途上国が危ないからどうのという話がございますが、さっきも申し上げましたように、危ないと一人が言い出しましてみんなが手を引くと、それこそ本当に危ないことになりますので、そういう場合にこそIMFの役割りが大きく出てまいります。  たとえば先般の対英借款につきましては、IMFはかなり中身のあります条件をつけておるわけでございますが、それを見ますと、安心してイギリスに貸せるという国際的な雰囲気が出てまいりまして、現にポンドも持ち直してきたわけでございますが、やはりそういう意味でIMF等を中心とした国際協力に乗りつつ日本の銀行の対外活動を今後も発展さしていくべきじゃないかと思っております。
  30. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いまも言われましたように、こういう経済の国際化が非常に進んでくるという中で、どうしても公的機関というのか、国際機関を通ずる活動のウエートが増してくる。また民間の場合と違って、そういうものを経れば政策的なアドバイスとかいろいろなこともできるわけですから、そういうもののウエートが増してくる方が望ましいというふうにも言われるのではないかと思いますが、中心をなすのは、いまもちょっと最後にお話のあった世銀あるいはIMFの問題があると思います。  いま第七次増資議論も始まっているか進行中というお話も伺うわけでありますけれども、それに関連をいたしまして、たとえば主要五カ国のIMFにおけるところの負担のクォータですね、全体のパーセンテージも私、見ましたが、たとえば日本を含めた主要五カ国の間で現状、第六次増資までの分でどのようなクォータになっているのか、その五カ国の中でのシェアの問題ですね。というのは、先ほど、それらの問題を決めるベースになるのはGNPの比率でというふうなお話もございましたが、必ずしもGNPの比率とIMFの負担クォータとも、序列も数字もずいぶん違っているように思いますが……。
  31. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 IMFの第六次増資が発効いたしますと、主要国のシェアは、アメリカが二一・五三%、イギリスが七・四九%、西ドイツが五・五二%、フランスが四・九二%、日本が四・二五%となります。  それでIMFは、元来は、各国のシェアを決めますときに、いわゆるブレトンウッズ・フォーミュラというのがございまして、各国のGNPそれから輸出入、外貨準備等を参考にして決めておるわけでございますが、やはりそこはかなり政治的な配慮が入りまして、客観的な数字で出しっ放しというところではなくて、日本の場合には、IMF、世銀に戦後遅く入ったということもございまして、客観的な数字から出てまいりますよりもかなり下に抑えられておるわけでございます。  私どもは、国際協力は、日本の国際的な地位が向上するに従って大いにやっていきたいと思っておりますが、進んでそういうふうな責任分担するとともに、やはり発言権もふやしていきたいと思っておるわけでございまして、第七次増資のときにはぜひシェアを少しでもあるべき姿に近づけていきたいとは思っておりますが、日本が上がりますとその分がほかの国にしわ寄せになりますので、ほかの国はやはり発言権の低下をいやがるというきらいがございますので、かなりむずかしい交渉になるのではないかという感じを持っておるわけでございます。
  32. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 第七次増資に向けた一般的な姿勢としても、前向きに取り組んでいくということだろうと思いますが、いまおっしゃった発言権の問題ですね、これは一般的な投票権の問題もあると思います。それだけではないですね、総合化された発言権というようなこともいろいろあるんだろうと思うのですけれども、何か最近、藤岡さんがお書きになった論文を読みましたら、やはり同じようなことが書いてありましたが、そういう場合に、日本が世界的な問題について発言権を増大していくことが望ましい、一般論としてはそう言えるわけでしょうけれども発言権の増大は望ましいが、その中身と方向づけの問題ですね。日本はもうけ第一であるとかあるいは経済侵略であるとか、いろいろな汚名もいままでこうむってまいりましたし、偉い人が外国に行ったときに、騒ぎが起きるというようなこともあったわけですが、そういう中で、最初に申し上げましたこれからの中期、長期の見通し、プログラムが必要なときではないかなど考えますと、この際、日本経済侵略などをする国でもないし、あるいはもうけ第一でもないし、とにかく民主的な国家として大いに共存共栄、発展のために努力を払っていくのだというようなイメージを、こういう時期に国際的にも鮮烈にイメージを焼きつけるようなものを打ち出していく。そういう意味での日本としての原則ですね。中国とかその他の国が国連の場で、対外援助わが国の原則はこうであると、ずいぶん声高らかに言っておりますけれども、そういうふうなものを打ち出すということが必要じゃないか。そういう中身があって、藤岡さんが言われていたような日本発言権の増大が望ましいということではないかと思いますが、いかがでしょう。
  33. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  34. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 済みません、あと短い時間しか残っておりませんから、一、二IDA自体に関することをお伺いしたいと思いますが、今回の第五次増資について、三月にウィーンで増資会議が開かれて、何かそこで相談があって決まったとかいうことを伺っておるわけですが、私はよくわかりませんが、今回の第五次増資関連をして、各国との御相談の中でどういう意見が特徴的に交わされたのか、それからあわせて各国の批准の見通し等伺いたいと思います。
  35. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 今度のIDAの第五次増資は、かなり時間をかけまして、一年半にわたりまして拠出国で交渉したわけでございますが、その際特徴的なことは、一つは米国が議会の関係でなかなかコミットできないということで時間がずれたということ。それからもう一つは、日本でございますが、日本は今般、七十六億ドルに比べますと、一〇・三%でございますが、産油国を除きました昔の資金供与国のグループ、オールドドナーズと言っておりますけれども、それが七十二億ございまして、その中で一一%負担をしたわけでございます。この一一%を負担をするということは大変高い負担でございまして、先ほどのIMFが、これは国の範囲が違いますので単純比較はできませんが、四・二五%、発言権が問題になるときにはかなり少ないところに抑えられますが、お金をただ出してくれというときには一一%出してくれというような要望がございまして、私どもはそれを負担するのはいやだというわけではありませんが、それならば将来IMFの方も上げたいという希望を表明しました。その二つが特徴的なことではなかったかと存じます。  今後の批准の見通しにつきましては、やはり大口の拠出国であります米国の見通しいかんによるわけでございますが、最近米国の代表と会ったところによりますと、今度は最大限の努力をしてなるべく早く、秋ぐらいには手続が完了できるというふうに言っておりました。
  36. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 IDA融資とか事業内容とかいうものの六〇年に設立をされまして以来の傾向とかを前に大まかにお話を伺ったわけですが、インド、パキスタン、バングラデシュ、インドネシアなど南アジアが大きなウエートを占めているということになっております。また、奇態なことにそれぞれの国全体が大変政治的にも不安定な国になっているわけでございますけれども、これらの運用の中に、日本発言権をもっと増大させるということも必要ですが、これらの重点融資国となっている国に非常に特徴的なことは、単に政治が不安定だというだけではなくて、それぞれの国の中で社会的な格差といいますか、階級的格差といいますか、そういうものがなかなか解消されないという傾向が続いていることだと私は思います。非常に困難な事情を抱えている国々、そういう性格がやはり変わっていないということではないだろうか。私は先ほど申し上げたような立場から、日本国際協力に当たって民主国家としてのイメージを鮮烈にする、それが第一に必要ではないかと思うし、そういうこととも関連をいたしますけれども日本があるいはまた日本を含めたいろいろな国際機関、公的機関援助協力をする場合、相手国において社会的な平等が実現される方向に向けて協力をしていくということが非常に大事なのではないかと思います。  現実にはそう言っても、援助をしている方とされている方との国レベルの格差もなかなか消えないし、国内におけるそういう社会的な不平等というのもなかなか消えない、一方では教育程度にしてもあるいは経済的にも非常におくれている層が多数ある構造になっていると思います。ですから、特にこういう途上国に対する援助協力の場合には、これらの融資の面でもどう配慮をしていくのかということが非常に必要ではないか。日本の場合でも、たとえばインドの農業問題などでいろいろな努力もし、お金も使ってきたわけですけれども、やはりそういう視点が非常に強く求められるということではないだろうかと思います。これらの公的機関の場合には、何か簡単に業務報告を聞いているというだけではなくて、日本自身が積極的な努力を払えば、もっとインフォメーションもよくとれるし、それから内政干渉はするわけにはまいりませんけれども、もちろんそういう姿勢ではなくてですが、他国に対して、友好国として必要なアドバイスをしていく可能性を持っているというところであろうと思います。いままでこれらの運営についても、詳しいことは国内でもほとんど報告、報道もなされていないということだと思いますが、そういう基本的な視点から、どういう角度から運営をしていくのか、あるいはそれがそれぞれどういう効果を生み出してきたのか、援助をした国も援助をされた方も、必要な時点、時点でそれを総括をして、検討を加えて次の新しい事業と取り組んでいく、そういう角度が必要なのではないかと思いますが、いかがですか。
  37. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 第二世銀にせよ、世銀にせよ、私どもの大切な財政資金を出して融資活動をしている国際機関でございますので、その融資が健全に運用されるということを見届ける必要があろうかと思います。第二世銀の融資を行った結果、受け入れ国の一部の階級だけが利益をするということではいけないので、やはりその国の健全な発展、社会的公正を実現しつつ経済向上するということが望ましいわけでございます。しかし、現実的にはこれらの国にはきわめて貧困な層がたくさんございまして、昨年十月のマクナマラ総裁の演説でも特にそれを重点事項として取り上げておるわけでございます。しかし、世銀の融資方針といたしまして、受け入れ国の貧困層救済のみを考えるというのは少し問題があるのでございまして、やはり国内の社会的な格差をどうするかということはその国の政府が真剣に考えるべき問題でございますので、それを放置して世銀等が受け入れ国の貧困層にだけ融資をするというのは問題があろうかと思います。  したがいまして、世銀の融資を通じてその国の社会格差をなくしつつ、その国の民生の安定、それから経済の発展とかいうふうな効果が出るように融資をすべきであって、出資をする私どもとしても理事を送っておるわけでございますから、理事会の場等を通じましてそういう気持ちを反映させていくべきではないかと思っております。
  38. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間ですからこれで質問を終わりたいと思いますが、何か大いに国際的な分野でも責任拡大していきましょうとか発言力を増さなければならないということと比べると、それが相手国の中で、特に相手国の非常に貧困な状態に置かれている多数の国民にとってどういう効果を及ぼすのか、相手の国の中のことと言えばそれだけですけれども、やはりそういう部面については大変——大変と言うとなにですが、やや慎重な姿勢ではないかというふうに受け取るわけであります。これからのことを考えますと、南北問題の矛盾も格差もなかなか消えない、しかもいろいろな援助、投資をするけれども、途上国の内部での社会的諸問題も消えないということでは展望のない活動というふうなことになってしまう危険性が大きいと思います。ですから、要望といたしまして、日本経済力にふさわしい援助協力拡大をしていく、それと同時に、また一定の発言権の拡大ということも必要でございましょうけれども、その中身の問題について、私は鮮烈なイメージを与えるぐらいの、日本もずいぶん変わった、りっぱなものを出した、三原則だか五原則だか打ち出してやるというぐらいの姿勢をもって今後の活動に取り組まれることを強く要望しておきたいと思います。そうでありませんと、いま大きな問題となっている韓国の場合なんというのは、私は最も悪い例じゃないかというふうに思いますが、そういうことはない方向づけをとられるように要望いたして、終わりたいと思います。
  39. 山下元利

    山下(元)委員長代理 坂口力君。
  40. 坂口力

    坂口委員 国際開発協会は、一九六〇年創設以来、主として貧しい開発途上国に対して融資を行ってきたわけでありますが、最初に、もう少し枠を広げた議論の中で、基本的なことを一つお伺いしておきたいと思うのです。     〔山下(元)委員長代理退席、保岡委員長代理着席〕 それは、援助融資をします側の国も西側の自由主義国に現在の場合限られておりますし、それから、融資する対象国も現在のところ自由主義国がほとんどである、ざっと国を見せていただいたときにそう感じるわけです。経済援助というものは、慈善事業ではないんだという立場で、政治的なにおいというものを非常に今後強めた中で行うのか。それとも、この経済援助というのは、社会保障の国際版であるというような立場から、政治形態のいかんを問わず援助していくという立場をこれからとっていくのかというのは、大きな分かれ道であると私は思うのです。現在の機構そのものはそういう形になっておりませんが、将来の問題として、日本の取り組み方として、そういう議論がされているのかあるいはまたしていくつもりがあるのかというようなことも含めて、これは非常に政治的な問題でございますので、政務次官から何か御意見がありましたら、お伺いをしておきたいと思います。
  41. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいま非常に大きな問題でありまして、私がお答えすることが適当かどうかということを考えるわけでありますが、日本といたしましては、その国の政治形態がどのようなものでありましょうとも、主義主張あるいは政治形態によってこれを差別するというようなことは考えておらないわけであります。このIDAの場合にも、少なくともこの国に対して一部国あるいは二部国として加盟をしていただいて、そして、その加盟の中から申し入れがあったことについて、それぞれ慎重に御審査になってお決めになっていることでありまして、そういうIDA方針というものは、私は、日本が主義主張によって区別をするということがないということと同様に行われているもの、このように考えておる次第であります。一部の国が申し入れをされない、だから、貸し出しが行われない、こういうようなことがあるのではなかろうかと思われますのは、たとえば、この大部分がいわゆる南アジア各国でありますが、そのほかにまだ東南アジア各国におきまして、当然この対象に考えられてもいいような国であって、実はこの貸し出しが行われていない国が幾つも現にあるわけであります。でありますから、その辺につきましては、今後また私どもといたしまして、十分ひとつIDA運営方針等につきましても見守ってまいりたいし、いろいろ意見も申し述べてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  42. 坂口力

    坂口委員 いま言われました東南アジアの中でも、本来ならばこれに加わってもいいはずのところで現在のところその申し出がない国があるということをおっしゃいましたが、これは非常に政治的なにおいでそうなっているのか、それとも何かそのほかの理由があってそうなっているのですか。
  43. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 加盟国でありますと、どこでも融資の希望があれば申請できるわけでございますが、ただIDAの場合には、世銀に対しまして第二世銀と言われておりまして、条件が非常に有利でございますので、そこにつきましては、経済発展の進んでいる国は第二世銀の方は御遠慮いただきまして、第一世銀の方でというふうな、そういう取り扱いの差別はございます。別にその国の政治体制がどうのということで融資を拒否しているというわけではございません。
  44. 坂口力

    坂口委員 先ほども議論の対象になっておりましたが、わが国対外経済協力の実績を見てみますと、対GNP比で見ますと、一九七〇年に〇・九二%でありまして、七一年に〇・九五、七二年が〇・九三、七三年が一・四四になり、七四年が〇・六五、七五年が〇・五九と、七〇年代前半では対GNPで見ますと上向いてまいりましたが、最近は横ばい、若干低下という状態が出てきております。これは一つは、石油ショック等による国内経済状態等も影響はしていると思いますが、しかし、GNPで見ていくわけでありますから、余りへこんでいくということは対外的に見ましても好ましい現象ではないと思うわけであります。  これらの点を踏まえて今後特に七〇年代後半におきましてはもう少し援助の率をふやしていかなければならないのではないか、この前アジア会議のときにもそういう主張をしたわけでありますけれども政府の取り組みとして今後どうですか、その辺のところはかなり固まってきているでしょうか。
  45. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 いまお示しになりましたGNPに対する比率は、政府開発援助その他政府資金民間資金を合わせました全部の数字だと思います。七三年が一・四四%でその後〇・六五%に落ちるというふうに非常に変動が大きいのでございますが、この大きな変動は主として政府開発授助以外の面で、なかんずく民間資金で起きておるわけでございまして、たとえて申し上げますと、四十八年に一・四四%になりましたときには、民間資金、中でも民間の銀行がユーロダラー等を引いてきて、それを対外中長期貸し付けをするというのがふえまして、比率がうんと上がったわけでございます。石油危機の影響とか、国内景気の上下によりまして民間資金の方は変動することはある程度避けられないわけでございます。  しかし、政府のコントロールし得る政府開発援助につきましては、先ほども申し上げましたように、着実に量の面でも質の面でも今後向上さしていきたい。ことに量の面でございますと、七五年にGNP対比〇・二四%でございまして、DAC平均の〇・三六%に遠く及んでおりませんので、できるだけ早く他の先進国平均並みには上げていきたいと考えておるわけでございます。
  46. 坂口力

    坂口委員 先ほどわが国全体の数字を申し上げましたけれども政府開発援助だけをとってみまして対GNPで見ましても、一九七〇年に〇・二三でありましてから、〇・二一、〇・二五、〇・二五、〇・二四、〇・二四と一九七五年まで横ばいということで、余り上がっているとは言いにくい数字であります。ですから、順調にという言葉はいささか当たらない数字ではないかと思います。  それから、融資をしている国はGNP一人当たり二百ドル以下の最も貧しい国が主体ということのようでありますが、その援助されました内容を「目的別融資実績」というのをいただきまして見せていただきますと、農業に対する融資が一番多いわけで、これはよくわかるわけです。なるほど食糧というものに対して非常に充実しているということ、わかるわけなんですが、この中で特に東南アジアでもこれを受けております国は、たとえばインドでありますとか、パキスタンでありますとか、バングラデシュでありますとか、インドネシアでありますとか、非常に爆発的に人口がふえておりまして、その辺のところと貧困ともかかわりがあるのだろうと思うのですが、人口問題というようなことに対しては、あるいは栄養の問題に対しては、全体の構成比で見ますと、〇・七%ぐらいしか援助が出ていない。これは額だけではなかなか言えませんけれども、この辺のところにはもう少し援助がされてしかるべきではないかとこの表を見て感じたわけであります。  それから、あるいはどこかに入っているのかもしれませんけれども、こういうふうな国は医療の面でも非常におくれているわけでありまして、医療の援助というものをもう少しこれらに行ってもいいように思うのですが、医療の文字が出てこない。どこかに入り込んでいるのかもしれません。これらのところがどうなっているのかということをひとつお教えいただきたいと思います。
  47. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 御指摘のように、開発途上国のニーズから言いますと、食糧増産を含んだ農業開発が重要でございますのと、それから人口の爆発という事態がありまして、なかなか生活水準が向上しないという面もあるわけでございます。したがいまして、第二世銀では、全体の約三割が農業部門に融資をされておるということでございますが、人口問題が脚光を浴びましたのはわりあいに最近でございまして、世銀におきまして人口問題を担当する局をつくる、当時私どもとしても画期的なことだと思って見ていたわけでございますが、この問題の重要性を世銀としても痛感いたしまして、その後、人口問題あるいは医療問題等に力を注いでまいったわけでございます。しかし、歴史が浅いので、現在のところは融資承諾は人口と栄養と合わせまして全体の〇・七%ということになっておりますが、最近の傾向としてはそれは年代的にはかなり上昇しておるわけでございます。  それから、病院関係もこの表には出ておりませんけれども、やはり最近世銀としても医療関係というものを重視しておりまして、そういう面への融資も少しずつふえてきておるわけでございます。     〔保岡委員長代理退席山下(元)委員長代理着席
  48. 坂口力

    坂口委員 若干はどこかに、「人口と栄養」の中に含まれているのか、あるいはまた「技術援助」の中に含まれているのかわかりませんが、しかし、含まれているといたしましても、全体で「人口と栄養」は〇・七であり、「技術援助」は〇・四%という、全体で見ましても非常に低いわけでありまして、この中にさらに含まれているとすれば、さらにこれより少なくなることだけは事実であります。  こういう経済的におくれた国々を援助するという中で、まずどの部分に優先順位をつけ援助をしていくかということの選択というものはこれから非常に重要になると思いますし、いわゆる融資を受ける側の要望とそれから融資をする側の選択順位とは若干違うかもしれません。しかし、融資を受ける側が言いますままの形で融資をすることは、むしろ好ましくないことも起こり得るということは考えなければならないわけでありまして、非産油国累積債務というものが非常に大きな問題になってきておりますが、できる限り累積が起こらないようにするためにはどうしていったらいいかというような立場で運営がなされなければならないと思うわけであります。大体向こうの、融資を受ける側の主張に沿って融資が行われているのか、それとも第二世銀なら第二世銀の主体をもって貸し出しが行われているのか、その辺のところはかなりセレクトしてみえると思いますが、どうなっておりますか。
  49. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 まず、先ほどはっきり申し上げませんでしたが、医療関係は「人口と栄養」という中に含まれておるわけでございます。したがいまして、ますますシェアは低いわけでございますが、先ほど申し上げましたように人口問題が脚光を浴びましたのはごく最近のことでございまして、一九七〇年まではゼロでございましたが、七一年以降次第にふえてきて、そしていま〇・七%になったという状況でございます。  この融資をするに当たりましては、基本的には借入国のニーズを考えて融資をすべきでございますが、ただ、借入国の希望も往々にして、融資をする側から見ればもう少しこちらの方に重点を移した方がいいのではないかというふうな意見が出る場合もございますので、そこは融資の折衝を通じて意見を調整していくということになろうかと思います。     〔山下(元)委員長代理退席委員長着席〕 そこで、世銀の方針といたしまして、最近マクナマラ総裁が演説しておりますように、食糧増産を含めました農業開発、人口問題、それから輸出の振興、それと財政の健全化、その四つの点が必要だ、望ましいということを総裁は言っておるわけでございます。受け入れ国の方からいたしますと、最近、御指摘のように債務累積という問題が出てまいっておりますので、やはりそれの助けにしたいという希望があろうかと思います。また、国際機関運営方針といたしましてもそういう面に配慮することは重要でございまして、私ども先週アジア開銀で、アジア開銀が従来やっていなかったプログラム援助を拡充していいのではないかという主張をしたのも、そういう点からでございます。それで、第二世銀の場合におきましては、従来からプログラム援助というのをやっておるわけでございます。たとえば、昨年度におきましてバングラデシュに対して一億ドルの融資をしておりますが、それはジュートと織物の生産を継続、拡大させるための必要な工業部品、化学薬品、原料、予備部品、包装材料等を輸入するための外貨を提供するということで、このプログラム援助というのはプロジェクト援助対比されておりますが、何かりっぱな工場みたいなものをつくりましても、それを運転するためにまた外貨が要るということですと、累積債務の上にさらにその債務を重ねるということになりますので、やはりいま置かれております国際収支の困難を考えて部品とか原材料まで融資をしてやるというふうな温かい融資が受け入れ国としても好まれておるわけでございますので、第二世銀あるいはアジア開銀等におきましても今後この面を少し拡充してもいいんではないかと思っておるわけでございます。
  50. 坂口力

    坂口委員 この第二世銀だけじゃありませんけれども経済援助が起こりましてからかなりの日時を経るわけであります。国際開発協会だけでも創立以来もう十数年になるわけでありますけれども、この間に援助を繰り返してまいりました効果というもの、これも国内的なもの、国外的なものあるいは国際情勢、いろいろありますから一概に言えませんけれども、そろそろこの効果というものを一遍まとめる時期に来ているのではないかと思いますが、大体いままでの援助で効果としてこういうふうに見ているのだというような、何かその辺の作業というものも行われているのでしょうか。もしも行われておりましたら、ひとつ教えていただきたい。
  51. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 大変大きなまた重要な問題でございますが、援助の効果を数量的にあらわすのはなかなかむずかしいわけでございまして、たとえば第二世銀だけとりましても今日までに約百億ドルの融資約束をしておりまして、そのうち五十七億ドル程度は実際に使用されておるわけでございます。世界の方々の開発途上国に第二世銀が融資いたしました五十七億で農業とか輸送機関、燃料開発、そういうところで目に見える効果も上げておるわけでございますが、それを通じまして開発途上国経済成長が上がってきた、民生の安定に貢献しているということは言えると思います。ただ何%ぐらいその援助によってどうなったということはなかなかむずかしいわけで、数量的には申し上げられませんけれども、第二世銀のほかに世銀とかアジア開銀等の地域的な国際開発機関等の活動によって今日の世界経済がここまで来たということは言えるんじゃなかろうかと思います。
  52. 坂口力

    坂口委員 それから先ほども触れましたが、この累積債務の問題、これは特に非産油国の場合ですけれども、最近マスコミ等の中にも、特にアメリカの民間の銀行が受け持っていたものが非常に行き詰まってきた、それに対する肩がわりとしてアメリカが日本あたりにも国際援助というものを非常にやかましく言ってきているのではないか、こういう意見もあるわけであります。真偽のほどは私もよく存じませんけれども、しかし見方によりましては確かに、そういう意図があるなしは別にいたしまして、累積赤字というものがこれだけ高まってまいりました以上、何とかしなければならないという焦りがアメリカ自身にもあることは私は事実だと思うわけです。とにかく、中にはこの新しい援助でいままでの借金を返すというような自転車操業をしているところもあるわけでありますが、この問題を解決していくのにどのような方針というものを立てておみえになるのか。特にこの第二世銀の場合には利子もなきに等しい非常に条件のいい金でありますから、こういう援助というものは相手方としては望むことは当然であります。しかしこの使い方というものによりまして、ただ単にそれが累積債務の肩がわりだけに終わってしまうという場合もあり得ますし、これを返還せしめてなおかつ生活力をつける方向に使われるということもあるわけでありまして、その辺との関連はどうですか。
  53. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 まず、アメリカの銀行の話が出ましたが、全般的な非産油開発途上国国際収支の赤字とそれがどう埋まったかということを申し上げますと、昨年、これは統計がいろいろございますが、大体非産油開発途上国の経常収支の赤字は二百八十億ドル前後あったのではなかろうかと思います。そのうち外国からの贈与、直接投資、それから公的機関の長期の借款で二百五、六十億埋まっているのじゃないかと思います。残りの二十億ドル程度IMFのクレジットで賄われておるわけであります。そこで経常収支の赤字は一応数字の上で埋まっておるわけでございまして、それに加えまして開発途上国民間銀行から数十億ドルの借り入れ増、その他民間資金合わせまして百億ぐらい借りておりまして、同時に百億ドル以上の外貨準備を増加さしておるわけであります。でございますからマクロ的に見ますとかなりまだゆとりのある状態ではないかと思います。  もちろん国によりましては黒字の国もあれば赤字の国もあるわけでして、その赤字の国だけを足しますともっと大きな赤字になりますが、全体的に見ればそれほどいま危機が迫っているということではないわけでございます。むしろ、危ないと言って騒ぎ出しまして民間銀行が手を引くということになりますと、それは本当に危ない事態を招くということになるわけでございます。したがいまして、アメリカの銀行の途上国に対します債権が昨年末で四百五十億ドルぐらいあるわけでございまして、その大部分が石油危機後三年間ぐらいにふえた分でございます。その間アメリカの銀行としてはかなり貸し出しによる収益も上げてきたわけでございまして、それをここの段階で手を引くということはぜひしてもらいたくない。むしろIMFのウィッチフェーン構想等が出まして国際協力のもとに資金が潤滑に途上国に回るということが大事ではなかろうかと思います。それは一つ開発途上国に対する赤字補てんの道でございますが、やはり借金で赤字をファイナンスするというのには限度がございますので、第二世銀のようなほとんど贈与に近いような有利な条件融資をするという機関が一層その活動を拡充して、真に困っている国に対しましては第二世銀のような融資を与えていくということは同時に必要ではないかと思っておるわけでございます。
  54. 坂口力

    坂口委員 最後にもう一つだけお聞きしたいのですが、これは民間銀行を含めてで結構なんですが、累積債務というものが日本の場合受けておりますのはどのぐらいございますか。
  55. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 日本自身の対外債務でございますが、これは一番新しい数字で発表されておりますのは昭和五十年末でございますが、長期負債が百三十六億ドル、短期負債が三百七十七億ドル、負債を合計いたしますと五百十三億ドルになります。ただし資産の方も長、短期合わせまして五百八十三億ドルございますので、資産超過が七十億ドルというのが五十年末の状況でございます。
  56. 坂口力

    坂口委員 いずれにいたしましても初めにも申しましたとおり対GNPで見ました場合に日本援助というものがまだ十分でないことは事実でありますし、先ほど政府開発援助はまず順調にいっているというお話でございましたけれども、数字的に見ます限り横ばいもしくは若干減りぎみという数字が出ているわけでありますから、ぜひこれはこの点の数字を上げるべく努力をしなければならないと思います。これだけ日本は対外的な貿易等に依存をしなければならない国でありますから、国内だけにとらわっていてはいけないわけでありますし、先ほど申しましたように、むしろこういう国際援助というものは社会保障の国際版という立場で今後進めていかなければならないのではないかと思うわけであります。そういう意味におきましてひとつ積極的な努力をこれからしてもらいたいと思いますし、この次の首脳会議等が間もなく始まるわけでありますが、先ほどお聞きしますと、大蔵大臣も御出席のようでありますけれども、ぜひそういうふうな場所におきましてもこういった世界的な経済状態にかかわります先進国の態度というものにつきましても、ひとつ積極的な御発言をいただきたいと思います。  以上であります。
  57. 小渕恵三

    小渕委員長 永末英一君。
  58. 永末英一

    ○永末委員 IDAに対して共産主義国が参加しておられるのでございますが、どういう政策を共産主義国はこのIDAに持っておるとわが日本政府は判断しておりますか。
  59. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 IDAにはユーゴスラビア、それからベトナムが参加しております。この協定上も政治体制のいかんにかかわらず参加できることになっておりますので、他の共産圏でも申請があれば加盟する道は開かれておるわけでございます。
  60. 永末英一

    ○永末委員 ユーゴは共産国には違いございませんが、他の共産国とは違った性格の共産国でございまして、ベトナムの方は援助を与える側ではなくて、むしろ援助をもらう方である。問題は、援助を与える側の大きな共産主義国はなぜ加盟しないのでしょうね。どう思いますか。
  61. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 この第二世銀は世銀の後にできたわけでございますが、加盟国は同じ世銀の加盟国である必要がございます。さらに世銀の加盟国であるためにはIMFの加盟国である必要があるわけでございます。そこでIMFと世銀と合わせましてブレトンウッズ体制と言っておりますが、その協定ができますときに、ソ連は協定の作成に参加して調印までしたわけでございますが、その後加盟に至らなかったわけでございます。なぜ調印までして加盟しなかったのか、その辺のいきさつは詳しくは存じませんが、IMFの規定に、一つは情報提供の義務がございます。金外貨準備がどれくらいあるか、それから金融財政政策をどうしているかという情報を提供する義務がございますので、その義務が履行しにくいという場合にはあるいは参加しないということも考えられるのじゃないかと、これは想像でございますが、思う次第でございます。
  62. 永末英一

    ○永末委員 それなら留保条項をつくればまたやれるわけでございますから、何もそれだけが重要な非参加の理由であるとは私思いませんが、IDAという国際的な組織は発展途上国に対して国際的な立場から援助が行われるきわめていい制度だとするならば、やはり援助する側も包括的に、し得る能力のあるものが全部入って、そうして同じテーブルに着いて開発途上国援助を相談し合うということが望ましいと私は思いますけれども日本政府はどう思いますか。
  63. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 いま申し上げましたように、IDAに入るためには、その前段階といたしましてIMFに入る必要もございますので、もし主要なるそういう大きな国が希望すれば、私どもとしてはそれは結構ではないかと思っておるわけでございます。
  64. 永末英一

    ○永末委員 日本政府はそういうことを働きかける用意はございますか。
  65. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまのIDAは、これはもうIMFと世銀と一体の形をなしておりますこと、御説明申し上げたとおりでございます。したがいまして私どもといたしましては、ソ連その他の共産圏の大国が加盟を申し出られることにつきましては歓迎はいたしますが、少なくとも、前に一回加盟をしようという御意思があって、そうして協定に加わりながらお断りになったからには、それなりの御事情があったのだろうと思います。したがいまして、いま直ちに積極的に加盟を勧誘するというようなことはいかがなものであろうか、このように考えております。
  66. 永末英一

    ○永末委員 世界の平和を乱します要素の一つがやはり南北の関係にある。もう一つは東西の関係でございますが、しかし開発途上国援助というのは、少なくとも余力のある国がいまのような観点から国際平和を保つ上についてはやはり共通の責任のある問題だと思う。その辺に、武器ばかり輸出しておったのでは平和は乱れるのである。日本政府も見ておらないで、機をとらえてそういうことをやるのが大国の責任なんだ、われわれもやっておるのだ、こういうことでやってほしいですな。いかがでしょうか。
  67. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの永末委員の御意見につきましては、全く同感でございます。
  68. 永末英一

    ○永末委員 IDAは、融資開発途上国から求めてきた場合、それに承認をする手続があろうかと思いますが、わが国の言い分というのはどのように反映するのですか。
  69. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 融資案件につきましてはすべて世銀の理事会で審議決定をされることになっておりますので、日本は、代表理事を出しておりますので、その理事を通じて日本の意見を反映させるということになります。
  70. 永末英一

    ○永末委員 アジア・太平洋地域においては何カ国ぐらいが融資をされておりますか。
  71. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 東アジア・大洋州では七カ国、南アジアで六カ国が融資貸与国になっております。
  72. 永末英一

    ○永末委員 国名を挙げてください。
  73. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 東アジア・大洋州では、台湾、インドネシア、大韓民国、パプア・ニューギニア、フィリピン、タイ、西サモア。南アジアでは、バングラデシュ、ビルマ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカでございます。
  74. 永末英一

    ○永末委員 いろいろな開発途上国がございますけれども、特にやはり東アジア・太平洋地域ですね、これにはほかの国はよくわからぬのであるから、われわれの方はむしろ情報が他の国々に比べればよくわかっているはずである。この辺に、わが国も多額の出資をしているわけでございますので、やはり十分意を用いて、これらの国々の要望にこたえて融資の促進を図るということは私は必要だと思いますが、政府はどう思いますか。
  75. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 仰せのとおりでございます。  そこで、第二世銀は、先ほども申し上げましたように各国の一人当たりGNPの金額、すなわち七五年で五百二十ドル以下のところにしか融資をしないということをやっておるわけでございますが、その融資適格のグループに入りながら、いま御指摘のような東アジア諸国は必ずしも十分に借り入れができないという事情がございますので、私どもとしては、理事を通じ、あるいは直接機会をとらえまして、東アジアの国に第二世銀の融資がもっと回るように最近主張しておるところでございます。
  76. 永末英一

    ○永末委員 たとえばパプア・ニューギニアのごときは、新しく生まれた国でありまして、これらの国々の実情を十分に知りつつ、新生国の経済開発のために、日本もこれらの国際機関を通じて十分に協力すべきであると思いますが、あなたはどう思いますか。
  77. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 仰せのとおりに存じます。
  78. 永末英一

    ○永末委員 思ったらやってください。  さて、このIDAが、わが国全体の海外経済協力活動をやっておりますその中で占める部分というのは、どれくらいのものだとお考えでございますか。
  79. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 一番新しい年で、七五年で申し上げますと、国際開発金融機関融資総計八十四億ドルのうち、第二世銀が十六億五千万ドル、一九・七%のシェアを占めております。
  80. 永末英一

    ○永末委員 わが国は種々の海外経済協力をやっておるのでございますが、それは政府のどこかで統一的に見ておりますか。
  81. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 各省にまたがっておりますが、二国間ベース援助につきましては外務省で統一的に見ております。国際開発金融機関は、大蔵省設置法上大蔵省の所管になっておりますので、大蔵省で世銀、IMF、第二世銀、IFC、アジア開銀、アフリカ開銀、米州開銀等を統一的に見ております。もちろんこの国際開発金融機関と二国間の援助関係はございますので、それにつきましては、外務省とよく連絡をしてやっておるわけであります。
  82. 永末英一

    ○永末委員 外務省の方、見えておられますが、外務省は海外経済協力、何をしておるのですか。
  83. 大鷹正

    大鷹説明員 いま藤岡局長が触れられましたように、二国間援助につきましては、外務省が中心になって関係各省庁とも緊密な連絡をとってやっておるということでございます。
  84. 永末英一

    ○永末委員 二国間援助といったっていろいろあるわけですね。借款の場合もあるでございましょうし、技術協力もあるでございましょうし、あるいはここへ引っ張ってきてやることもあるでございましょうし、わが国の青年を援助で送ることもございましょうし、いろいろやっておる。外務省の外郭団体で国際協力事業団ですか、これが最近いろいろなものを一本化して、移住まで一本化してやっておるわけでございます。  そこでお伺いしたいのは、各省と緊密に連絡してやっておると言うが、たとえば二国間の援助をやる場合に、あるAという国にいろいろな系統でいっておる。いまのようにIDAの対象であった場合、IDAを通じていっておるのもあるだろうし、あるいは二国間でやっておるのもあるだろうし、後で通産省の人に聞きたいのだけれども、通産省がその国と経済関係のあるわが国の企業に対して援助している部面もある。そういうものは、果たして外務省は全部知っていますか。
  85. 大鷹正

    大鷹説明員 外務省が直接自分で担当しない、ほかの省庁が担当しておる分野につきましても、経済協力技術協力につきましては、各省庁と緊密に連絡いたしまして、できるだけ把握するように努めております。
  86. 永末英一

    ○永末委員 その緊密に連絡して把握をするのはあたりまえのことだけれども、それは日本政府がやっておるわけでございますから、それこそ日本政府はどっかでそれをきちっと全体の把握をして——これはすべて国民の税金がかかっていることですね。その税金がある意味では海外に対する資源配分をやっておるわけだから、その費用に対する効果がしゃんとあらわれるように全体を見ているところがないと困るのじゃないか。  通産省は、海外経済協力、何をしておりますか。
  87. 河野権一郎

    ○河野説明員 先ほど藤岡局長及び大鷹参事官からお答えいたしましたように、現在の経済協力、二国間の経済協力につきましては、外務省、大蔵省、経済企画庁及び通産省の四省庁が中心となりまして緊密に連絡しつつやっておりますけれども、特に通産省といたしましては、通商政策及び資源、エネルギー問題を含む産業政策の観点から経済協力が円滑に進むように努力をいたしております。
  88. 永末英一

    ○永末委員 通産省が特にやっておる援助の形は何ですか。
  89. 河野権一郎

    ○河野説明員 先生御承知のように、経済協力につきましては、政府が主体となって行う政府ベース経済協力、それから民間企業が中心となって行う民間ベース経済協力というものがございますけれども、通産省といたしましては、政府べースの経済協力につきましては、外務省、大蔵省その他と共同して行っておりますほかに、特に産業を所管する官庁といたしまして、民間ベース経済協力につきましても、これが円滑に進むように努力をいたしております。たとえば、最近発展途上国から非常に要請がありますところの大規模プロジェクトに対する助成措置でありますとか、あるいは中小企業の海外合弁事業が円滑に進むための融資制度でありますとか、あるいはコンサルティング企業の育成でありますとか、そういった多面的な施策を進めております。
  90. 永末英一

    ○永末委員 それは金額にいたしますと大体どれくらいの年間規模になりますか。
  91. 河野権一郎

    ○河野説明員 経済協力予算につきましては、先ほど申し上げましたような各省庁にまたがってつけられておりますけれども、通産省の経済協力予算だけを申し上げますと、年間九十一億円前後でございます。
  92. 永末英一

    ○永末委員 経済企画庁は海外経済協力基金が所管でございますが、経済企画庁としてはどんな海外経済協力をやっておるのですか。
  93. 愛甲次郎

    ○愛甲説明員 経済企画庁は、先ほどから各省から御説明がございますように、四省庁の一つとしまして経済協力の一翼を担っておるわけでございますが、二つの面から関与をしておるわけでございます。一つは、先生指摘政府借款の実施機関でございます海外経済協力基金の監督官庁という立場、第二の面は、経済企画庁は御承知のとおり経済につきましては企画総合調整官庁ということでございますが、経済協力につきましても、その面でも関与して、各省がいろいろやっておられる経済協力については適宜協議を受ける、この二つの面があるわけでございます。
  94. 永末英一

    ○永末委員 いま経済企画庁から、役割り一つとして各省庁で行っている海外経済協力の総合調整という言葉がございましたが、あなたの方は大蔵省、通産省、外務省のやっていることをぴしゃっとまとめて方針を出してやっておられるのですか。
  95. 愛甲次郎

    ○愛甲説明員 ちょっと説明が不十分だったかもしれませんが、われわれはそういう立場から各省がやっておられることについていろいろ御相談を受けるということでございまして、何かわれわれがその上に立って取りまとめをするという立場ではございません。
  96. 永末英一

    ○永末委員 緊密な連絡というのはやっておるのですが、その緊密な連絡をしてきちっと決めなくちゃならぬことがあるわけですね。過剰投資、過剰援助ということはないと思いますけれども、たとえば青年海外経済協力隊を送る場合にでも、そこにもし借款がついておってそれに見合う何らかの援助があればいいと思うけれども、借款は借款の方で勝手に行っておる。それからまたいまのIDAのごときものは別の角度でまた援助が行っておる。われわれはそれに参加しておるけれども、実は、そういうものが行ったらいいと思っているにもかかわらず、それはその年度のベースに乗ってないというようなこともあるわけです。われわれはODAのGNP比率が悪いといって海外から悪評をこうむるわけですね。だからそれを何とかふやそうとして努力をしてきたことは私も知っておりますけれども、そもそも根本に、いま各省庁お話がございましたように密接な連絡はとっておられるらしいが、一体その海外経済協力というものに対して政府が本腰を入れて、統括的にこれをきちっと見て、そして有効な資金配分を行ってやっておるような気配が見えぬわけであります。これは政治の問題でございまして、そのお金のもとを握っておられるのは大蔵省だが、政務次官は一体いまの状態でよろしいとお考えか、それともこれはやはりちゃんとやらにゃいかぬなというぐあいにお考えか、そのお覚悟のところを伺いたい。
  97. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいま永末委員から非常に適切な御指導、御指摘があったわけでございますが、各省それぞれに自分の分野においてベストを尽くしてやっておることでございますので、大蔵省がそれを全部統括するというようなわけにもまいりません。それぞれの立場を十分遺憾のないように連絡協調を図らなければならないと思いますので、御指摘の面については今後さらにそれこそ緊密な連携をとるようにいたさせたい、このように考えております。
  98. 永末英一

    ○永末委員 これは本当は総理大臣に聞かなければならないことでしょうね。大蔵省はお金のことをきっちり見ておられるわけだが、しかし外務省というところはやはり経済協力局があるわけでしょう。先ほどお話を聞きますと、二国間はやっておるけれども、多国間は知らぬというがごときお話だけれども、大体外務省が海外経済協力に対しておまとめになっているものと、通産省が民間べースを中心におまとめになっているものと、紙の量だけでいきますと五対一ぐらい違うわけなんだ。しかしやはり外務省がいまのような海外経済協力について、ある意味では政策的に言えば包括的に考えられる立場にあるはずである。であるならば、本来なら通産省の行っていることも十分承知の上でやっておられねばならぬのではないか。政府はまだ一元的なそういう機関をお持ちではないのでありますが、外務省は一体いまのような、極言するとばらばらのやり方が続いていっていいとお思いですか、それとも、何らかの意味でもっとわが国は、福田さんの言葉をかりますと、よその国から信頼と尊敬の念を得たい、こういう国にしたいというお話でございますが、あなたの方がそういう馬力をかけてやっていけるとお思いですか、それとも別の機関でもつくって総合調整をやらねばならぬ、経済企画庁のような総合調整では不十分だとお考えですか、どうでしょう。
  99. 大鷹正

    大鷹説明員 二国間の経済協力技術協力については外務省が中心になっていると申し上げました。同時に、多数国間の経済協力の問題につきましても全然ばらばらというわけではなくて、外務省としても担当の省庁から十分協議を受けてやっておりますので、そういうほかの省庁の担当のことについても十分把握しておるつもりでございます。  それから今後のことでございますけれども、二国間援助をいたしましても当然大蔵省、通産省、経企庁等関係の省庁とは十分協議して進むべきものでございますので、今後とも一層連絡関係を密にしまして援助効果を高めていきたいと考えております。
  100. 永末英一

    ○永末委員 私どもがいろいろな国際関係会議等に出席をいたしましたときに、わが国の後発国に対する海外経済協力というものにポリシーが欠けておるわけだ。すなわち、われわれがグローバルな立場に立った場合、どの方面が日本の受け持ちであるのか、そこでは何ができるのか、わが国わが国の、ほかの国にはない工業的水準がございます。われわれは資本主義国でございますからやりようもいろいろございますけれども、そういうことはきわめて高度な政治的判断を要する。なるほどいろいろな後発国からの要請やあるいは先発国からのサゼスチョンということでいろいろな援助が組まれ、機関が設けられておりますけれども、私はやはりこの際きちっとした方針を立て、それを行っていく政府機関というものが必要ではなかろうか、これは政務次官、政治家としてあなたに申し上げておきますから、ひとつ金を出す大蔵省の立場から、あちこちから要求があるから金を出しておこうというのではいけません。それが一つ方針に基づいて、わが国がそれぞれの、われわれが援助をいたす相手方から尊敬を受け、信頼をされる、そういう行為がまたほかの先発国からも尊敬をされ、信頼を受ける、こういうことになりますと、われわれの貿易に対しまして要らざる反撃がこなくなる、こう思いますので、十分にひとつ御配慮を願いたい。
  101. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの永末委員の御意見につきましては全く同感でございますので、今後ともその方向で努力をしてまいりたいと存じますが、御承知のとおり日本は国連中心主義あるいは相手国の立場を非常に尊重しながらやっておるという姿勢でございますので、なお一層ただいまの御意見を踏まえまして努力をいたしてまいらなければならないと思います。大蔵省といたしましてもそういう方向で十分体制を整えてまいりたいと考えております。
  102. 永末英一

    ○永末委員 質問を終わります。
  103. 小渕恵三

    小渕委員長 荒木宏君。
  104. 荒木宏

    ○荒木委員 二、三お尋ねいたしますが、IADの貸し出し基準につきましてたしか前にピアソン報告がありまして、一九六九年の十月だったかと思いますが、六十数項目の指摘があり、いまそのうち三十三項目あたりついて検討が進められている、しかし貸し出し基準についてはその後も検討がないままで推移をしておったというふうに聞いておりますが、前回出資増資の法案が本委員会で論議されましたときも、わが党同僚議員がこの点を指摘したところですけれども、その点のその後の検討の経過をお伺いをしたい。  言われておりますところは、一つは信用度の問題、経済的パフォーマンスの問題、それからプロジェクトの問題それに貧困、こういったことについて、IDAとしてその後どういう検討がなされたか、わが国政府としてそれをどのように進めたかという点についての説明を伺いたいと思います。
  105. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 ちょっと聞き取れなかったのでございますが、第二世銀の融資基準の見直しの御質問だと存じますが、御指摘のように、借入国の信用度あるいはそのパフォーマンスあるいはそのプロジェクトの中身、それから貧困度、そういったものを考慮して融資を審査するわけでございますが、その中で特に問題になりますのは、一人当たりのGNP基準をどこで線を引くかということでございます。一九六四年には一人当たりGNP二百五十ドル以下というふうに決めてありましたが、その後、物価上昇等を考慮して変更をしてまいりまして、六八年には三百ドル以下、七三年には三百七十五ドル以下、一九七六年には五百二十ドル以下というふうに改定されております。その他の点につきましては、その後も弾力的に扱っていこうということで見直しが進んでいるわけでございます。
  106. 荒木宏

    ○荒木委員 当時の指摘では、特にプロジェクトに偏り過ぎているんじゃないかと、こういう指摘が強くなされておったように思うのですね。全体についての見直しということが指摘をされておるのですけれども、その件について、一九七三年だったと思いますが、総会で、先進国と途上国の格差、一人当たりの国民所得のベースが縮小していないと、こうした基準の見直しの必要性とも絡んで底上げということが言われるけれども、しかし、少しもその格差が縮まらぬ、むしろどちらかと言えば開いているぐらいだ、こういう総裁の演説がありまして、時あたかも第二次五カ年計画が一九七四年から始まろうとしておったときでありましたけれども、そうした総裁の指摘ども踏まえて、先進国、途上国の一人当たり国民所得格差の縮小のためにIDAとしてどのような努力がなされてきたか、また、わが国政府としてそれにどう取り組んだか、現在結果がどうであるか、こういう点についてお聞かせ願いたいと思います。
  107. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 第二世銀の一九六〇年創設以来の努力にもかかわらず、借入国と先進国との経済上の格差はなかなか縮小しておらないわけでございます。昨年、世銀総会でマクナマラ総裁もこの点を指摘されまして、今後は世銀融資一つ重点として、貧困層に対する融資拡大したいということを言っておられたわけでございます。しかし、先進国と途上国の格差は、放置すると非常に開いてまいりますのを、その開き方を少くとめたというところに第二世銀の努力の跡はうかがえるわけでございますが、確かに従来、御指摘のようにプロジェクト中心というのはいわば開発援助のオーソドックスな考え方になっておったわけでございますが、最近はもう少し幅広く、プログラム援助あるいは商品援助にも力を入れていいんじゃないか、日本といたしましてもそういう考えを持ちまして、第二世銀のみならず、先週はアジア開銀におきましてもそういう主張をしたわけでございます。数値的にこの第二世銀の融資の効果を申し上げるのはなかなかむずかしいとは存じますけれども、プロジェクト以外の融資が最近かなりふえてきているということから、国際収支に困っております受け入れ国に対する効果はかなり出てきているのではないかというふうに思うわけでございます。
  108. 荒木宏

    ○荒木委員 より悪くならないようにしたところにその努力の跡があるというような趣旨の御答弁ですけれども、これはちょっといただけぬ感じがするのですよ。とかくの批判があります総裁演説でも、これじゃいかぬ、このままいくとますますひどくなる、だから思い切った政策変更が必要だ、それに対応する先進国努力、これが求められておるんだと、こういうことを言っておるわけですね。変更なき限りこれは改善なんてないんだと、こう言っているわけです。だから、単に格差が拡大するのを食いとめた、より悪くならなかっただけましですというようなことではなくて、思い切った、ここでも指摘されておる政策変更、それに匹敵する先進国政府としての努力、これは皆さんの方としてはどのような政策変更を打ち出そうとしていらっしゃるのか。これは、先進国、途上国間の格差だけじゃなくて、途上国の国内における富裕層と貧困層の格差の格大もまた指摘されておりますね。同じ面の点があると思うのですけれども、後者の点については、結局援助国内の富裕層を利するだけという結果になって失敗が大きいと、こういう指摘もあるわけですから、それを踏まえて、先進国、途上国の間の格差縮小、途上国国内における格差縮小のためにどのような思い切った政策転換を打ち出そうとされているのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  109. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 まず、格差の点でちょっと補足させていただきますと、ごく最近でございますと開発途上国の一人当たりGNPも低下したのでございますが、もう少し前の時期からとりますと、たとえば六一年から六五年まででは一人当たりGNPが、工業国では四%ふえておりまして、開発途上国は三・三%、これはOPECを含んだ数字でございますが、ふえておったわけでございます。     〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕 それが、六六年から七一年の五年間をとりますと、工業国は三・六%で、開発途上国も三・六%、したがいまして、この年代におきましては格差が若干縮小したということもあるわけでございます。  それから、こういう状況にこたえるために第二世銀がどういう融資方針をとるか、あるいはとることが好ましいかということでございますが、ごく最近マクナマラ総裁は、食糧増産を中心とした農業開発、途上国の外貨収入をふやすための輸出の拡大、人口政策、それから財政の健全化ということを重点項目として挙げておられます。私どもといたしましても、ことにそのうちの農業問題、人口問題等は、いまの途上国の置かれております状況からきわめて重要視すべきことではなかろうかと思いまして、日本から出ております理事を通じて、理事会で融資方針あるいはその融資案件が審議されますときにはそういう発言をしてもらっておるわけでございます。  それから、借入国の国内の格差にも確かに問題があるわけでございます。これにつきましては、いま御指摘のように、第二世銀の融資が借入国の一部の人々を利するということになっては好ましくないわけでございまして、借入国の国全体としての民生の向上経済の発展に資するということが必要でございます。したがいまして、この融資をいたしますときに、国内の貧困層に十分融資効果がいくように配慮をすべき必要があろうかと思いますが、国内の貧困層を救うのはやはりその国の政府責任が中心でございますので、政府が何もしないで外部の機関がその国の貧困層を助けるということばかりになってもまずいわけでございまして、それは、世銀融資を通じまして国内の政策が格差の縮小に向かうように配慮すべきものと考えております。
  110. 荒木宏

    ○荒木委員 ちょっと数字の見方が違うように思うのですけれどもね。先進国と途上国の過去五年刻みでとられた数字が余り変わらぬというお話だったですが、しかし、総会で総裁の指摘しているのはそうじゃなくて、十年とれば、貧困国は一人当たりGNPでは一・五%しか伸びない、中所得の途上国は四%だ、先進国は史上空前だ、こう言っているのでしょう。だから、いま局長言われたのと総会の席上における論議の認識とはずいぶん違うのですよ。大体同じようにいっておりますわ、こう言うのと、三段階でうんと開いておりますよと総裁が言うて論議をされているのと、かなり認識が違うのじゃないでしょうか。今後の見通しについてもまたしかりで、貧困国の場合は今後十年間一人頭に直して大体二%ぐらいしかいかないだろう、こう言っているわけですね。だからこそこのままいけばよりまずくなりますよという指摘があるわけですから、総会論議もありますように、方針転換、それに対応する各国政府努力、こういうことが言われているのですから、いまのお話では、現状はまあまあのところだ、方針は出ているけれどもそれに沿ってついていきます、こういうことですから、姿勢の面でも内容の面でも少しいただけぬ点があると思うのです。転換と言うなら皆さんとしてどういう点をはっきり転換なさるか、もう一度われわれにもよくわかるようにおっしゃっていただきたいと思います。
  111. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 比較をいたします時期の取り方によって、またGNP全体で見るかあるいは一人当たりで見るかによって、あるいはさっき開発途上国OPECを含めて申し上げましたが、それを外すことによって、いろいろ違う数字が出てくると思います。もし世銀の演説の背景となります世銀の資料で申し上げますと、全体を三つに分けて言っておるわけでございますが、一番目が一番貧困なグループでございまして、一人当たりのGNPが百ドル以下の国、それが一九六四年には三十五カ国ございまして、平均で八十五ドルでございました。それが世銀資料によりますと、七四年にはその三十五カ国のうち二十六カ国は二百ドル以下ということで、平均が百五十ドルになっている。それに対しまして第二のグループ、これは一人当たりGNPが三百から五百ドルの国でございまして、これは十七カ国ございますが、平均四百ドルでございました。それが七四年では一人当たりGNPが千百四十ドル。そのグループは非常に伸びておるわけでございます、それから一番大きな変化を見せましたのはOPECのグループでございまして、それが一人当たりGNPが六四年には三百十ドルでございましたのが、七四年には一人当たり千五百七十ドルというふうに変わっておるわけでございます。
  112. 荒木宏

    ○荒木委員 今後のとるべき政策の転換についての姿勢内容がもうひとつはっきりしなかったように思うのですが、個別の問題で敷衍して伺いますが、論議にもなったかと思いますけれどもベトナムは以前から加盟しているわけですね。その地位を継承しておると聞いておりますが、ベトナムだけではありませんが、インドシナ三国に対する融資の比率、額が非常に少ない。ベトナムはたしかゼロじゃなかったですかね、私もちょっと正確じゃないんですが。これについてわが国政府としては、総務国でもありますし、第二世銀の中でどういうふうな方針でいこうとしておるのか、ひとつそれを聞かせていただきたいと思います。
  113. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 世銀は、ベトナムに対しまして一月に調査団を出しまして、現状の把握とこれからの融資方針についての検討をしておるわけでございます。私どもといたしましても、アジア開銀の場ではすでに申したのですが、世銀におきましてもベトナムに対しましてもその国の置かれております特殊事情、すなわち戦災で非常な痛手をこうむっておるわけでございますから、そういうことを考慮に入れて今後融資活動を再開してもらいたいという希望は持っておるわけでございます。
  114. 荒木宏

    ○荒木委員 それで、具体的にどうなるのですか。いまIDAで伺っているのですけれども、この前アジ世銀の件で質問をして答弁がありましたね。それから一両日前の新聞ですか、OPECの方の協力もあって話も進んでおるというような報道も見たように思うのですけれども、世銀グループとして、全体としてベトナムに対する援助をどういうふうにしていくのかということを少し包括的に、できるだけ具体的な見通しも含めてもう一度説明していただきたい。
  115. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 ベトナムの一人当たりのGNPはまだ低いのでございますので、世銀グループとしては、恐らく第二世銀がベトナムに対する融資を行うということになろうかと思います。世銀が融資を行うにはもう少し経済が発展してからだと思います。それから世銀グループの中でもIFCは民間活動への支援ということでございますので、これももう少し後の段階だと思います。したがいまして、当面は第二世銀が非常にソフトな条件ベトナム融資をするということが好ましいと思います。先般、調査団が向こうへ参りまして、ベトナムとして希望する分野、たとえば畜産業、林業、農業等、それに新規の案件についても幾つかの希望が出たようでございますが、そういうものを踏まえまして、これから具体的な融資の段取りに入るんじゃないかと思います。
  116. 荒木宏

    ○荒木委員 それは一応状況の御説明ですが、皆さんとしてその件についてはどういうふうに取り組んでいかれるつもりか。もちろん、日本政府だけで決まるわけじゃございませんけれども政府としての姿勢方針はどうかということです。
  117. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 世銀の融資に当たりましては、その国の政治体制に関係なく、経済的な面を審査して、プロジェクトのフィージビリティーそれから返済能力、そういったものを審査した後融資を決めるわけでございまして、その意味におきましては加盟国の中に差別はないわけでございます。ただ、私どもがそれにちょっと加えて考えておりますのは、ベトナムが戦争で大きな災害を受けたという特殊事情がございますので、そういうところには温かい配慮をしてもしかるべきではないか、日本としてはそういう態度で臨んでおるわけでございます。     〔小泉委員長代理退席委員長着席〕 何分、これはプロジェクトを選ぶのにも時間がかかりますので、そういうようなプロジェクトが出てまいりまして審査が進んだ段階理事会にかかってまいりますので、その段階日本としての意見を表明するということになると思います。
  118. 荒木宏

    ○荒木委員 大臣お見えになるまでというふうに伺っていまして、大体一時十分ごろと伺ったものですから、これでおきたいのですが、もう一問だけお認め願いたいと思いますが、最後に、出資の方でございます。  換算の相場が二百八十二円十五銭ですか、これでなされておると聞いておるのですが、ただ、外国為替管理法の七条によりますと、基準外国為替相場は単一のものとし、大蔵大臣が閣議の了解を得てこれを定める。これはたしかいま三百八円ですね。私はフロートがどうこうということをいま論議するつもりは毛頭ないのですが、その七条四項に、「これによらないで取引してはならない。」こういうふうに規定がいまされておるわけですね。しかもそれは三年以下の懲役だとなっておるわけです。三百八円ということが決まっていて、それ以外の取引をしてはならぬと罰則つきで決まっておる場合のあり方としてはどうだろうか。つまり、いま国内法律でそういうふうにきちっと罰則つきで決めてあることとの整合性はどういうふうに考えていらっしゃるのかということを一言伺っておきたいと思います。
  119. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 まず、出資に用います換算率二百八十二円十五銭、これはウィーンの拠出会議で決まったときのレートでございます。それから、外為法七条一項に基準外国為替相場の規定がございますが、その趣旨は、そのときどきにおきます日本の対外取引に最も密接な関係にある国際通貨に対する円の価値基準を政府が示す、広い意味での取引の指針という意味でございまして、現在ではIMF平価と外為法上の密接な関連はなくなりまして、フロートしておるわけでございます。七条四項で言っております趣旨も、個々の取引について直接規制をするというものではございませんので、私どもといたしましては、長期にわたりましていま決めております三百八円と違うようなレートが持続する場合にはこの三百八円のあらわし方をどうするかという問題、それからIMFの規定が改正されましたときにはどういう為替相場政策を日本がとるかということとの関連で考えてみたいと思いますが、現在外為法の七条との関係で特別の問題があるとは思っていないわけでございます。
  120. 荒木宏

    ○荒木委員 時間ですからこれで終わりますけれども、ただ、基準を決めたときには、「何人も、これによらないで取引してはならない。」と、こうはっきり言っているのでしょう。ちょっといまの局長の話は、常識的に考えて解せぬと思うのですが、まあ時間も来ましたから、なお検討もしていただくということにして質問を終わりたいと思います。
  121. 小渕恵三

    小渕委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  122. 小渕恵三

    小渕委員長 この際、航空運送貨物税関手続特例等に関する法律案議題といたします。  本案につきましては、去る二十二日質疑を終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  航空運送貨物税関手続特例等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  123. 小渕恵三

    小渕委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  124. 小渕恵三

    小渕委員長 次に、先刻質疑を終了いたしました国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する決律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 小渕恵三

    小渕委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  126. 小渕恵三

    小渕委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して山下元利君外四名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君。
  127. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。  その一つとして、発展途上国累積債務に対する配慮であります。  その二つは、国際通貨基金の増資などにあってのわが国努力についてであります。  その詳細については案文で尽きておりますので、朗読をもって説明といたします。    国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)に対する附帯決議(案)  一 発展途上国累積債務が増大しつつある現状にかんがみ、わが国も国際的に応分の負担をすることによつて、発展途上国経済開発ならびに生活水準の向上に資するよう努力すべきである。  二 国際通貨基金の任務の重大性にかんがみ、その増資などに当つては政府は、最近における各国の経済の実体が反映されるよう努めるべきである。 以上であります。  何とぞ御賛同賜りますようお願いいたします。(拍手)
  128. 小渕恵三

    小渕委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。坊大蔵大臣
  130. 坊秀男

    坊国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては御趣旨に沿って十分努力いたしたいと存じます。     —————————————
  131. 小渕恵三

    小渕委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  133. 小渕恵三

    小渕委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。  ただいま法務委員会において審査中の内閣提出、参議院送付、社債発行限度暫定措置法案について、法務委員会に連合審査会の開会の申し入れを行いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、開会日時につきましては、法務委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  135. 小渕恵三

    小渕委員長 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、金融に関する件(金融機関の週休二日制に関する問題)について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、日時及び人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明二十七日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時七分散会      ————◇—————