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1977-04-19 第80回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月十九日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 小渕 恵三君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       大石 千八君    鴨田 宗一君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       砂田 重民君    谷  洋一君       玉沢徳一郎君    丹羽 久章君       西銘 順治君    林  大幹君       原田  憲君    堀之内久男君       村上 茂利君    村山 達雄君       毛利 松平君    山崎武三郎君       山下 徳夫君    伊藤  茂君       池端 清一君    川口 大助君       川崎 寛治君    沢田  広君       只松 祐治君    村山 喜一君       貝沼 次郎君    二見 伸明君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    大原 一三君       永原  稔君  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         大 蔵 大 臣 坊  秀男君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         大蔵政務次官  高鳥  修君         大蔵大臣官房長 長岡  實君         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 岩瀬 義郎君         大蔵省理財局次         長       戸塚 岩夫君         大蔵省証券局長 安井  誠君         大蔵省銀行局長 後藤 達太君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      元木  伸君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      前川 春雄君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   丹羽 久章君     玉沢徳一郎君   毛利 松平君     西銘 順治君   山中 貞則君     堀之内久男君   伏木 和雄君     二見 伸明君   小林 正巳君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   玉沢徳一郎君     丹羽 久章君   西銘 順治君     毛利 松平君   堀之内久男君     谷  洋一君   二見 伸明君     伏木 和雄君   大原 一三君     小林 正巳君 同日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     山中 貞則君     ————————————— 四月十九日  昭和五十一年分所得税特別減税の実施のため  の財政処理特別措置に関する法律案内閣提  出第七三号) 同月十五日  大和基地跡地利用に関する請願長谷雄幸久  君紹介)(第三一七九号) 同月十八日  税・財政金融制度改善等に関する請願(沢  田広紹介)(第三四一九号)  大企業に対する租税特別措置廃止等に関する  請願工藤晃君(共)紹介)(第三四九三号)  所得税減税等に関する請願小林政子君紹  介)(第三四九四号)  米軍基地跡地利用並びに大企業に対する税制  の優遇措置撤廃に関する請願荒木宏紹介)  (第三四九五号)  税制改正及び税務行政民主化に関する請願(  小林政子紹介)(第三四九六号)  狭山市ジョンソン飛行場住宅地区跡地利用に  関する請願荒木宏紹介)(第三四九七号)  同(柴田睦夫紹介)(第三四九八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十二年度の公債発行特例に関する法  律案内閣提出第三号)      ————◇—————
  2. 小渕恵三

    小渕委員長 これより会議を開きます。  昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案を議題といたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本案について、本日、日本銀行総裁前川春雄君に参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 小渕恵三

    小渕委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
  5. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 きょうは、前川日銀総裁、本日から公定歩合が一%下がるということで大変何かとお忙しいところ、ありがとうございます。三十分ばかり少し公定歩合の問題と円高の問題、これについて御意見をお伺いをしたいと思うのであります。  まず公定歩合の問題でありますけれども、私たちも、景気見通しが大変暗いわけでありますから、公定歩合を下げるということについて原則的にこれは反対すべき内容ではないと思います。ただし、二点ばかり私は問題があるんだと思うのです。  まず一つは、三月十二日に〇・五%下げられた、そして昨日発表になり、きょうから一%下げるということでございますので、わずか一カ月ちょっとの間に二回も下げるということに結果的になったわけでありますけれども、これはどういうことで二回に分けたのか。こういうことならば、あの三月の時点で一%なり一・五%合わしたものを一挙に下げた方が景気刺激という観点から言うならばやはり効果があったのではないか。純経済学的に見ると、そういう感じがするわけであります。このことは日銀自体経済見通しというものをあるいは景気動向というものを若干甘く見られたというか、見通しを誤られたというか、そういう感がするわけでありますけれども、その点はいかがなるものか。  そして今度一%下げられて、公定歩合が五%になったということの経済効果、今後の見通しについては、もちろん借り入れの大きいところについては金利負担は大変軽くなるわけでありますけれども、全体の景気動向の中で今度の効果というものは一体どういうふうに見ていらっしゃるのか、その点からまずお伺いしたいと思います。
  6. 前川春雄

    前川参考人 三月十二日から〇・五%の公定歩合引き下げをいたしまして、それから約四十日後にまた一%をしたということでございます。私ども考えから申しますると、年明け景気回復がはかばかしくない、そういう環境のもとで、財政が主導して景気回復に資するということが主たる役割りを果たすべきであろうというふうに考えておりましたけれども、一方、金融面におきましても、金利をさらに下げることによって、財政面効果と合わせて景気回復を着実にするという必要があったというふうに思いまして、三月に公定歩合引き下げをしたわけでございます。  その後の状況でございまするが、その後私どもの方も支店長会議ども開きまして、全国の状況につきましても報告を受けたわけでございまするが、企業景況観はいま一つ盛り上がりを欠いておる。さらにそれより一歩進んでやや弱気に傾いているという事態があったと思います。もっとも、今度公定歩合の再引き下げをいたしましたにつきまして、景気がここでさらに失速するとかあるいは大きな落ち込みを示すおそれがあるということからこういう措置をとったわけではございません。ただ、いま申し上げましたように、企業先行き景況観いま一つ盛り上がりを欠き、さらにやや心理的には弱気に傾いているというふうに判断されましたので、この際公定歩合の再引き下げを行いまして、景気のより確実な回復に資することが必要であるというふうに判断したわけでございます。  こういう公定歩合引き下げることによりまして、市中金融機関貸出金利が下がるわけでございますが、その金利全般水準を下げるということが、この際の景気のより着実な回復を図る上においては必要であろうというふうに判断したわけでございます。また、その効果につきましては、もちろん最近の経済状況から判断いたしますると、最終需要項目が一段と弱いわけでございます。輸出はまずまずでございます。大体伸びておりまするけれども、それ以外の需要項目設備投資等につきましてはまだ非常に弱いわけでございます。そういう事態に対しまして、政府におかれましても、予算成立を機会として、支出の前倒しと申しまするか、そういう対策をおとりになっておるわけでございまするが、一方金融面におきましても、金利水準全般引き下げることによりまして、これが企業金利負担金融費用の軽減ということになります。そういうことがひいては投資意欲を刺激するという効果も期待できまするので、財政面措置と相まちまして、今度の金融政策効果がより着実な景気回復に資するものであるというふうに考えております。
  7. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もちろん、景気動向というのは日銀だけが統括しているわけではありませんし、その責任がすべて日銀にいくわけではないと私は思います。その意味では、それなりに日銀金融面から物を考えていらっしゃるわけでありますけれども、私が若干疑問に思うのは、後からも大蔵大臣伺いしますけれども、三月の十二日からわずか四十日でさらに一%下げるということは、やはり三月の十二日の時点で少し景気に対する見通しと申しますか、状態の把握と申しますか、この辺のところが——どこも正確というのは、なかなか日本景気動向というのは当たったためしがないわけでありますから、日銀だけのせいとは私は申しませんが、どうもわずか四十日の間に〇・五%、さらには一%ということを見ますと、一体三月の時点判断はどうだったんだろうかということを非常に疑問に思うわけであります。その点もう一度、なぜ二回に分けてやったのか。これは巷間言われているように、三月の時点においては、郵政省郵便貯金金利引き下げなりその他のことが、条件が整わなかったので、とりあえず他のものは連動させずに——したものもありますけれども、させずに、とりあえず公定歩合だけ下げるということで、〇・五%になったんだということも言われているわけでありますけれども、そういった政治的な背景が後ろにあってしたものなのか、純粋に経済的判断によったのか。どうも私は、三月の十二日に〇・五%下げ、また本日から一%というのは解せないわけでありますので、その点についてもう少し御意見をお伺いしたいと思います。
  8. 前川春雄

    前川参考人 三月と四月の公定歩合引き下げを、あの当時から二回に分けてやるというつもりは毛頭ございませんでした。三月にいたしましたときは、あれはあれで、あのときの判断として適当であるというふうな判断でしたわけでございます。それに対しまして、いろいろ御批判があることは重々承知しておりまするし、私どもも、そういう御批判に対しましては謙虚に耳を傾けるべきであろうというふうに思っております。  ただ、金利水準引き下げ金融面政策から申しますると、量的にはいまのところ金融はかなり潤沢になっておるというふうに判断しております。もう一つ金融政策の重要な柱でございまする金利政策につきましても、漸次これは下げていく必要があろうというふうに判断したわけでございます。ただ、金利水準引き下げにつきましては、やはり預金金利との関連がございまして、ただ公定歩合を下げ、貸出金利を下げるというわけにはまいらないわけでございます。  一方、預金金利の問題につきましては、金利資金配分機能ということから見まして、預金金利はできるだけ下げないでおくという必要もあろうか。ただ、金利体系全体のバランスから考えますると、公定歩合を下げ、貸出金利を下げまするときには、一方コスト面預金金利につきましても、それに対応した引き下げを行う必要があろうというふうに判断しておりました。あの当時、三月でございまするが、公定歩合を〇・五下げ、貸出金利につきましても大体同幅の追随が行われたわけでございまするけれども、これは金融機関経理から申しますると、預金コストにつきましては、要求払い預金コストだけが下げられたわけでございますので、そういう面から申しましても、貸出金利引き下げは〇・五にとどまったということは、金融機関経理面からはまあやむを得なかったし、当然だったというふうに思います。  私ども判断といたしましては、当時の判断といたしまして、まずそういう施策を講ずることによって、景況観盛り上がりを期待したわけでございます。しかし、それがいま申し上げましたように、その後の推移を見ますると、なかなかそういう効果が出ず、かえって全体のムードは悪くなっておる。そういう状態をいつまでも放置しておきますると、かえってそれが実体経済にも悪い影響があるというふうに判断いたしましたので、今度の公定歩合の再引き下げをいたしたわけでございます。
  9. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで大臣、ちょっとお伺いしておきますけれども公定歩合引き下げ、したがってこれはいま前川総裁からお話があったように、当然預金金利の問題にはね返ってくるわけですね。それで三月の時点では、いまお話があったように通知性預金だけは下げましたけれども、あとはさわってないということであります。今度は大蔵大臣も、他の預金についても引き下げをするようにという談話を発表されているわけですね。  そこで、問題になってくるのは、ということは裏返して見れば、問題になっている郵便貯金金利引き下げ一%も、ある程度郵政省で話がついたから日銀も踏み切ることができたんだという政治情勢になったと読み取れるんではないかと思うのであります。また巷間もそう言われているわけでありますけれども郵政省との話はそういったことで、郵便貯金もほぼ一%の金利引き下げだというふうにここで考えるべきなんでしょうか。その点はいかがでございますか。
  10. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  公定歩合引き下げにつきましては、その効果を上げていくためには、どうしたって預金金利引き下げということが必要になってくるわけです。そこで、郵便貯金に対しましては、これは私ども郵政省に対しまして、ひとつ同調してもらいたいということを要請はいたしておるような次第でございまして、それの実現を期待いたしております。
  11. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まあ、直接の所管官庁ではありませんから、なかなか言えないと思います。この質問もお答えはできないかと思いますけれども、こういうふうに日銀が一%の引き下げができたということは、郵政省貯金金利についてオーケーをしたんだというふうに、私自身が判断をしてよろしいですか。
  12. 坊秀男

    坊国務大臣 賢明なる佐藤さんの御判断は、これはもう御自由でございますけれども、私がこう判断していいか大臣どうだというふうに聞かれましても、何ともお答えのいたしようがございません。
  13. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それと、ぜひこれに関連して大臣伺いしていきたいのは、今度の公定歩合引き下げに伴って、銀行の一年ものが五・七五%になるわけですね。いま消費者物価が大体九%ぐらい上がっている。これはかつて私も大平大蔵大臣当時に、預金金利消費者物価指数関係について論議をしたことがあるんですが、大平さんは当時預金金利消費者物価指数とは必ずしも関係ないのだという御答弁でした。しかし、常識的には生活面から言えばわかるという話で、私はその生活面の方からのお伺いをしたいわけでありますけれども、一年定期預金しておいても五分七厘五毛にしかならない、物価の方は九%の上昇率ということになりますと、当然預金目減りということが非常に大きな問題になってくるわけですね。これは郵便貯金も当然であります。  そうなってきますと、確かに景気回復するのも大事だけれども、いま春闘のさなかで、せめて零細な預貯金だけは何らかの形で守らなければいかぬ。大蔵省の方は、福祉預金というのですか、これだけはもう一回復活をするということも大臣談話の中に出ておりますけれども福祉預金ももちろん非常に大事でありますが、もう少し一般的にこれは広げていく必要があるだろう。いま二百七十兆円の預金のうち、マル優を使っているのが約四十兆円、せめてこのマル優範囲だけは公定歩合に連動をせず、それでもなおかつ消費者物価指数から見れば低いわけでありますけれども、せめてマル優の四十兆の範囲の中だけでも据え置くというようなことをしなければ、ますます目減りがひどくなってしまって、経済景気回復のために庶民のわずかな金融資産が犠牲になっていくということは、これはゆゆしき問題だとも思うわけであります。その点について大臣いかがお考えでございますか。
  14. 坊秀男

    坊国務大臣 佐藤さんの御意見、非常に傾聴すべき御意見だと思います。ただ、今度の金利引き下げということは何を目的としておるかと申しますと、これは財政予算等と相並んで景気を浮揚していこう、これが目的でございますが、つまり、景気を浮揚していくということは、それぞれの家計におきましては、その家計を少なくともある程度豊かにならせたいということを目的としてやっておることでございます。そういうようなことから考えてみますと、この目的家計を幾らかでも楽にしよう、こういうことでございまして、この景気が上向いてまいりますと、家庭に対する収入というものも、ある程度ふえることであり、ふやさなければならないことでございますので、そういう面から申しますと、これは暮らしが楽になって安定してくる。しかし、さればといって物価を上げるということは、私は、日本の国の今日の経済政策公約数と申しますか、物価を上げてはならないということがあろうと思いますけれども、そういった点を両々相考えてみますと、積極的に家計を豊かにさしていこう、こういうようなことで今度の措置もとられたということを考えまして、必ずしも物価——物価は私はさればといって決してゆるがせにするつもりはございませんけれども家計の点から申しますと、またそういうふうにこれで楽になってもらわなければ困るし、これが政策の大事な目標であるということを考えましてこれをやっておる。  それで、福祉預金ぐらいじゃとうていそれは足りないじゃないかという御意見でございますが、金利体系から考えてみまして、何と申しましても一番の弱い階層にはこういったような特別の措置考えておりますけれども、ここらあたりがぎりぎりのとった政策だというふうに御理解を願いたいと思います。
  15. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私はお答えのポイントが、最後の方はよかったのですが、前の方がよくわからないのでありますけれども、要するに大臣の言いたいのは、景気回復していけば、それは結局最終的に家計が豊かになってくることだから、少しがまんをしなさいということのように聞こえるのであります。いま大臣の御答弁ですと、物価上昇率は九%、そして今度の公定歩合引き下げによって預金金利が一年もの定期で五・七五%、この差が何と三・二五%も出てくるわけですね。そうすると、預金すればするほどいわゆる目減りをしていくということについては、国民に対してはがまんをしてもらいたいということに私は聞こえるのです。私が提案しているように、せめてマル優を使っている範囲ぐらいは、なかなか技術的にむずかしい点は私も知っておりますけれどもマル優を使っている点ぐらいについては預金金利を据え置くというぐらいのことをしなければ、皆さん方の方も参議院選挙前でありますから、せめてそのくらいのことはしなければいかぬのじゃないですか。
  16. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 先生御提案の、マル優適用対象預金金利については特別扱いをすべきではないかということは、お考えとして私どももわからないわけではないのでございますけれども、先ほど御指摘のように、マル優対象預金ウエートというのは、総預金の中でかなり高いウエートでございます。しかもそれが、金融機関別に見ますと、中小金融機関において非常にウエートが高くなっておりまして、御指摘のような枝術的に区分けをするむずかしさというのも非常にあると同時に、そういう状況でございますから、中小貸し出し関係金利引き下げますためには、こういうものを全部引き下げ対象から除外いたしてしまいますと、非常にそこは中小貸し出し金利は下がりにくい、こういうことでございます。  したがいまして、今度の公定歩合引き下げに伴います市中金利引き下げにつきましては、これはプライムレートも並み手も全部同幅の引き下げを期待いたしておりまして、それの実効を確保しますためには、やはり定期預金引き下げをやらなければ実効が期待しにくいということで、大臣お答えのように、前向きにそういうことによって景気回復をして、全体の所得を増大いたしたいということと、物価対策物価対策としてまた別途最大の努力をいたす、こういう積極的な考え方からいま申し上げたような措置をとることに考えたわけでございます。
  17. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この問題ももう少し詰めたいのでありますけれども、必ずしもきょうの本題ではありませんので、また改めてこの問題については提起をさせていただいて、前川総裁にもおいでいただいておりますので、最近の円高問題について若干お伺いをしておきたいと思います。  今度の円高について、日銀当局としては、今度の事態と申しますか、今度のこの円高というのは一体何が一番原因であったのか、日本貿易収支が非常に黒字を、十一月が十三億ドルですか、二月が十四億ドル、三月も輸出認証状からいきますと過去最高という、こういった日本貿易収支大幅黒字、これに加えてアメリカの方は大幅赤字ということが一番原因なのか、あるいは北欧三国の対マルクに対する切り下げが直接のきっかけになったわけでありますけれども、こういった他の通貨との関係なのか、あるいは輸出円建てで行われているのに比べて輸入の方が円建てが非常に少ないから、東南アジア、特にシンガポールあたりで円が必要だというようなことなのか、あるいはいまの日本金利というのは外国との関係はそう大きな重点を置いていませんので、この外国との金利差というものが今度の円高原因になってくるのか、この辺が一応考えられるわけでありますけれども日銀としてはどういうことが一番大きな原因だったというふうに考えられておるのですか。
  18. 前川春雄

    前川参考人 為替相場はやはり為替市場需給によりまして動きまするので、基本的には貿易収支大幅黒字ということが一番大きな原因であったというふうに思います。ただいま先生指摘のように、一月、年明け後の貿易収支は、輸出が依然として落ちません。季節的にはやや輸出が落ち、輸入がふえる時期でございまするけれども輸出が余り落ちない。一方輸入の方は、国内の景況も反映しておると思いまするけれども原材料物資輸入は余りふえない。ことに石油につきまして価格の引き上げもございましたので、昨年中の輸入が多かったわけでございまするが、ことし年が明けましてからの石油輸入もその反動で減ってきておるということから、貿易収支黒字がずっと続いております。これが一番大きな原因だったと思いますが、ただいま私が申し上げましたように、為替相場為替市場需給によって決まってまいります。いまのフロート下ではそういうことでございまするが、為替市場関係する市場関係者、つまり為替銀行であるとかあるいはメーカーあるいは商社、それに外国日本と取引をしている人たちも間接的には入りますが、そういう市場関係者が、いま申し上げましたような日本国際収支状況に対応しまして円高観というもの、そういう相場観を次第に強めてきたということも円高が非常に急速に進みましたことに影響しておると思います。  もう一つ金利関係から短資の流入があって、円の需要がふえたのではないかということも考えられるわけでございまするけれども、実際に数字を見ておりますると必ずしもそういう状況ではないというふうに私ども判断しております。  したがいまして、基本的には貿易関係黒字を背景にいたしました市場関係者の相場観、そういうものが全体の需給に反映いたしまして、こういうふうな急速な円高になったというふうに判断しております。
  19. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、今度の日銀のとった措置を見てみますと、それでずっと相場を追っていきますと、当初は円高を一種放置したような感がある。それが、二百八十円を割りそうになると、どうも日銀が介入したのではないかという足跡が残っていて、そして、これがある程度当面の円相場の実勢ならばやむを得ないんじゃないかというようなところまできた。しかし、日銀の森永総裁の発言でも円高を無理に抑えるようなことはしないというような発言もあるわけですね。そうなってきますと、私が突き詰めていろいろ考えてみますと、円の力、円の実勢というのですか、相場における円の実勢というのは一体何なのだろうか、そこで、日銀というのは為替相場に対する為替政策というのは果たしてあるんだろうか。産業界でも二百七十円ぐらいが輸出できるぎりぎりの線、本当にぎりぎりの線だと見ているというふうに大体私たちも見ているわけでありますけれども、そこに至らぬようにするということがせめてであって、それまでは、二百八十円ぐらいまではある程度相場の成り行きに任していくというふうに私は今回の動きを見ているのですけれども、果たしてこれが日銀の為替政策、ポリシーというような名に値するものだろうか、日銀の為替政策というのは一体何なのだろうかということを非常に疑問を持つようになったのですけれども、この辺について、実勢とは一体どういうものを実勢というのだろうか。確かに、それは為替でありますから、為替相場の中での需給関係ということになれば、それもそうでしょうが、じゃあくまでそれを全く放置しておいていいというものでもないだろう。しかし、いまのような変動制、いまのこの体制からいきますと、そうそう介入できるものでもないし、この辺のところを考えていきますと、一体実勢というものはある程度どういう観点で判断をされておるのか、一体日銀の為替のポリシーというのは何なのだろうか、この点についてちょっとお伺いしたいのです。
  20. 前川春雄

    前川参考人 いま、先生御承知のように、為替相場の体制が変動相場制になっております。したがいまして、為替相場につきましては市場の需給によって決まるのであって、それに対して政府あるいは日銀がある一定の水準と申しまするか、適正水準と思われるような水準を想定しまして、そういう水準に誘導していくということはしておりません。したがいまして、円高を歓迎するとかあるいは円高は不適当であるというふうに判断するとか、そういうふうな判断ではなくて、そのときどきの市場の需給が相場に反映する。そのときに余り過度の乱高下をするということは一般取引にも悪影響がございますし、また同時にそういう乱高下が投機を誘発するというおそれもございまするので、そういう乱高下に対しましてこれをなだらかにするというのが、いま私どもがやっておりまする為替政策というふうにお考えいただいて結構だと思います。  それでは介入というのはどういう考え方でやるのだ、乱高下というのは一体どの程度を乱高下と考えるのか、これはそのときどきの市場の状況に応じまして判断いたすよりしようがないことでございまするので、一体幾ら動いたら介入するという決まりあるいはそういう考え方を内部において確立しておるわけではございません。ただ、ヨーロッパのマーケットなど見ておりますると、やはり相場が一%ぐらい動きますると介入が行われるというのが西欧諸国の例のように思われます。日本でそのまま一%というふうに考えておるわけではございません。一%と申しますると、大体三円弱でございまするので、一日三円ぐらい動くまではほっておくんだというふうに機械的には考えておりません。そのときどきの状況に応じまして、これはちょっと行き過ぎがある、日本のマーケットにおけるそういう状況が海外のマーケットにさらにその動きを助長するような危険があるというふうに判断いたしましたときは、そういう大幅な上がり下がり、それに対しまして介入でこれをならしていくということを考えておるわけでございます。     〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕  したがいまして、移行以後の為替政策というのは一体何をねらっているんだ、円の相場というものに対して何も考え方がないのかという先生の御指摘でございまするが、現在、私ども円相場の適正水準というものを頭に置いて操作はしておりません。あくまで市場の需給が正当に、また正常に反映する、しかもその間に余り大きな乱高下がないようにするということを考えておるわけでございます。
  21. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 変動相場制ですから、ある程度変動ができる状態になければこれは変動相場制の意味がないわけで、その意味での自動調節的な機能があるわけですね。  次の質問は、当大蔵委員会日銀総裁が発言をしたというとまた円の相場に響くかもしれないので、その辺はそのことも配慮して御答弁していただいて結構なんでありますが、いま一応二百七十円は割らなかった、そして二百七十三、四円に戻りつつある、若干円安感が来つつあるという状態であるわけでありますけれども、長期的にこれである程度円高というものは落ち着くのだろうか。なかなかむずかしいんですね、質問が。  これは多年の専門である東京銀行の調査部長等は、円安に戻る材料はほとんど見当たらないと言っている。先ほど今度の事態原因をお伺いしたときにも、一月、二月、三月の日本貿易収支、アメリカの貿易収支の赤字、このままが全部この一年通ずると私は思いませんけれども、こういったようなことを考えてみますと、円安に戻る材料は余りないのじゃないか。細かい一%、二%程度のものはあるにしても、基調としてまた円が二百八十円、二百九十円まで戻っていくということは、これは戻ると言うのが正しいかどうかわかりませんが、ないのじゃないかという感じがするのでありますけれども、その辺はどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  22. 前川春雄

    前川参考人 日本銀行はいまの相場をどう考えているかという御質問は、私ども一番お答えしにくい問題でございます。ただ、円高になってまいりましても、おのずからそこには——無限に円高になるということはございません。為替相場国際収支あるいは貿易収支に対する調節作用がございますので、輸出も幾らでもふえるということではございません。海外のマーケットの状況もございますし、あるいは国内の景気状況ということにもよりますので、為替相場だけで動くわけでもございませんし、そういうことを反映いたしまして、為替相場につきましても、輸出が幾らでもふえる、それが幾らでも円高になるということではないというふうに思います。  また輸入につきましても、今度の公定歩合引き下げあるいは財政支出の前倒しということの目的は、国内の景況観というものを、ここでもう一段着実な景気回復を図るということでございますので、国内の経済活動が活発になりますれば、やはり原材料あるいは燃料の輸入はふえるというふうに判断いたされます。また、円高がそういう輸入の促進に資するという面もございますので、おのずからそこに需給の均衡する点が見出されてくるのだというふうに思います。  そういうことで、二百七十円でとまるかどうかということにつきましては、私ちょっと判断を差し控えさせていただきますが、最近の為替の状況は、きのうは終わり値で二百七十四円でございましたか、四円八十銭でございましたか、けさは公定歩合引き下げを反映しまして二百七十五円、先ほど二百七十六円まで行っております。そういうふうに、為替相場は、その市場にいろいろの関係者の相場観というものが入りまじりまして、その結果形成されるものでございますので、いろいろの要素がそこに入ってまいります。そういうことから、そういうふうにいろいろ入ってまいります要素によって相場が余り動かないように、余り乱高下しないようにというのが私どもの基本的な考え方でございまして、適正な水準についてどうだ、二百七十円を割るかどうかということにつきましては、私お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  23. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この問題について大臣にお伺いをしておきたいのですが、これから、四月末にIMFの暫定委員会がありますね、五月に先進国首脳会議がある。こういう世界的な政治日程を考えてみますと、三月末の日本の外貨準備が百七十億ドルになっている。これに今度の円高についての日銀買い支えを加えますと、どのくらいふえているのだかまだ私も細かにはわかりませんが、買い支え分が必ず入ってくると思いますので百七十億ドルよりさらにふえていくだろう、こう見ざるを得ない。こうなってきますと、いま申しましたような先進国首脳会議なりIMFの暫定委員会等ではかなりわが国の経済運営に注文をつけられるのじゃないだろうか、とりわけ日本が外貨を持ち過ぎるということで円高を誘導するような具体的な改善措置が求められてくるのじゃないだろうかということが当然予想されるわけであります。この点について大臣いかがお考えでございますか。
  24. 前川春雄

    前川参考人 IMFの暫定委員会が月末にございます。いろいろの議題がございますが、その中に一つ、世界経済見通し、ことに先進諸国の経済状況に対する討議ということがございます。いま世界の先進国が二極化と申しますか、強い通貨国とそうでない国とに分かれております。だんだんその差は縮まってまいりましたけれども、そういう状況にございまして、日本はアメリカあるいは西独とともに国内景気をもう少し振興することによって世界経済の均衡ある発展に資するようにしてほしいということがございます。そういう大きな線からまいりますと、いまの日本の国内景気につきましても、もう少し刺激してほしいという要望があるいは出てくるかというふうに思います。  一方、それが国際収支の面に、先ほどからお話が出ておりますように、貿易収支の黒がこのところちょっと大きく出ておるわけです。これは海外の状況にもよりますけれども、一面、国内の景況の反映という面もございます。そういう意味でこれからとられます財政あるいは金融政策効果が出ますことによりましてこういう余り大きな黒字が続かないような状況になるというふうに私ども考えております。  外貨準備の状況につきましては、これは数字的にはだんだんふえていくわけでございますけれども、一方、日本の民間の海外からの借金というのは、短期の債務でございますが、これもかなりの額に上っております。したがいまして、日本の外貨あるいは対外的なバランスシートということを考えてまいりますと、外貨準備がふえているからといって、必ずしもそれが実体的に外貨をため込んでおるというふうに判断することは誤りであろうというふうに思います。そういう事情につきましては、平素から先進国の間の会議等におきまして、日本の外貨ポジションというのがどういうふうになっているかということは十分説明もしております。今後もそういう点につきましては、先進国会議におきましても各国の理解を得ていく必要があると思います。  もちろん、そういうふうに一方で外貨準備がたまり、一方で民間の債務がふえるという状態は余り望ましいことではございません。そういう状態につきましては逐次改善を図っていく必要があろうというふうに考えております。しかし、ただ外貨準備がたまったからといってそれでは、直ちにそれが外貨のため込みではないかというふうな議論だけで責められるというふうにも考えておりません。
  25. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いまたしか為銀等の短期の借り入れが三百億ドルぐらいになっておるのじゃないかと思うのですが、そのバランスシートから考えますと、もし日本が破産をしたときのことを考えれば百七十億ドルというのは必ずしも多いというわけではないわけですね。その辺のところが果たして世界の先進国の首脳会議の中でどれだけ理解されるだろうかというようなことは非常に重要なことなんでありますけれども、まだまだいろいろお伺いしたいのでありますが、時間が来ましたので、副総裁には大変お忙しいところありがとうございました。また別の機会にこれらの問題についても御質問さしていただくことにいたしまして、きょうはどうもありがとうございました。  次に、財特法に入りますけれども、一番簡単な問題から、時間がそうありませんので詰めていきたいと思います。  まず一つは、先週の金曜日でしたか、皆さんと一緒に東京証券取引所それから野村証券の債券等の保管をしてある金庫を見に行ったわけでありますけれども、前々から、これだけ社債、転換社債あるいは事業債、公共債、国債と大量に発行されてきますと、その券面の保管とか管理とか非常に大変な問題になってきているわけですね。これは皆さんと一緒に野村証券の倉庫も見たところである程度おわかりになったと思うのでありますが、長期的に考えるといろいろなやり方があるかと思いますが、とりあえず私は社債なり転換社債なり、つまり利札のついている利付の債券について、せめて大きさと利札の切り方ぐらい統一できないものかということをひとつ提案をしたいのであります。  きわめて事務的なことでありますが、いまや保管というのは大変な問題になっておりますから、ちょっと私もここへ関係者に持ってきてもらったのでありますけれども、ここに日本石油の債券がありますけれども、これは右下から上の方に切っていくわけですね。利札を右下から上の方に切っていく。大日本塗料は右の上から下の方に利札を切っていくということ。それからここにある、これは新日鉄だと思いましたけれども、新日鉄は右の下から左へ利札を切っていく。ワリコーは左の下から横に切っていく。国債がたしか右の下から左へ切っていくんじゃなかったかと思いますけれども、いずれにしろ大変膨大な債券が種類によって、利札の大きさから、利札に限らず、券面の大きさから利札の大きさ、切り方のぐあいまで全部違うというのは、きわめて膨大な数を扱っている証券会社にとってみれば大変な問題になっているわけですね。野村証券も一回で百枚切れる機械を発明して使っておりましたけれども考えてみれば、きわめて全く初歩的なことでありまして、この辺のことはひとつ統一できないのかということで、これは商法に関係することだから法務省だと思ったのですが、法務省の方はこういった行政指導をできる権限というのはないんですか。
  26. 元木伸

    ○元木説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘のございました社債につきましては商法に規定がございまして、確かにその中に利付社債が発行できるであろうということを前提にいたしました規定もございます。ただ、御承知のように、商法と申しますものは会社の組織に関して規定をしたものでございまして、社債に関しましても、会社資金の調達という面から規定されているだけでございまして、細かい技術的な問題につきましては、これはやはり商法の所管ではないのではなかろうか、このように存じております。したがいまして、そういう技術的な問題につきましては、実際の業界の指導なりあるいは特別法なりというものにゆだねるべきじゃなかろうか、このように考えております。
  27. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ということになりますと、当面これは証券市場に出てくることでありますから、やはり証券局の責任になるんじゃないか、権限になるんじゃないか。権限まであるかどうか、ちょっとわかりませんけれども、なるんじゃないかと思いますけれども、この点について、もう質問はダブリませんが、証券行政に詳しい安井局長、何かもう少しいい手だてはないものですか。
  28. 安井誠

    ○安井政府委員 ただいま先生の御指摘の、社債あるいは転換社債等を含めまして、あるいは国債も含めてでありますけれども、利札の取り扱いといいますか、利札の規格であるとか様式であるとかが統一されていないということは、実はかねてからこの証券業界でも、あるいは受託銀行でありますところの銀行界の方でも問題にしていたわけであります。昭和四十四年にも公社債引受協会と全国銀行協会連合会の方でこの利札の統一をやろうではないかということの考えが出てまいりまして、その後さらにそれを昭和五十年にも再びもう一つ進めたような形でこの統一のことを言っているわけであります。したがって、私どもそういう問題があるということは十分知っていたのでありますけれども、先日先生のお供をして参りまして、あの膨大な資料には私自身全くびっくりしたわけでありまして、事実認識がおくれていたということを非常に恥ずかしく思うのでありますが、現在の問題点といたしましては、現在様式は大体一つにまとめるように努力がされております。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 例外的にもあと三つだけは認めるという形になっているわけであります。  しかもこれが受託銀行のサイドから言いますと、利札が参りましたときに、例の抽せん償還の関係で番号がついておりまして、その読み取りをしなければいかぬ。その読み取りをする機械を最初につくってしまったものでありますから、そのときの様式に合わせて読み取り機をつくったために、もし様式を変えてしまいますと、その十年前から持っているものでございますので、すぐには動かない。これをどういう形で今後統一した形、つまり受託銀行のサイドでございますと、四種類、それぞれの銀行一つで済むわけでありますけれども、ごらんいただきましたように、証券会社の方が投資家から債券を預かって利払い事務等の代行をしておりますときには、その受託銀行とは関係がないわけでありますから、それぞれの種類の読み取り機もつくらなければいかぬ、あるいは切るのも考えなければいかぬということになるわけでありまして、この辺もう少し積極的に進めてみたいと思います。  現在、形式的には、発行されております公社債でございますと、八五%までが、これは登録債も含めた上でございますから現物債では必ずしもそうなっておりませんけれども、八五%ぐらいまでが一定の様式の利札に統一はされているわけでありますが、まだ御指摘のように十分ではないという感じを持っているわけであります。したがいまして、さらにこの利札そのものが本当に要るのかどうか。たとえば国債の場合に累積投資というのをやっておりますが、この場合でございますと、本券は多額の金額の額面のものを証券会社が預かり、お得意といいますか、顧客との間は、単に利子が入りましたというような、利子をお支払いいたしますというような関係での売買報告書という形で行っておりますし、直接金融が重視されているときにこういった非常な事務的な繁雑さをいかにして除いていくかということを、御指摘もございますし、十分勉強してまいりたい、このように考えております。
  29. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 これからも国債の発行が膨大になってくるわけでありますし、社債その他についても非常に多くなってくると思いますので、ぜひその辺の事務の合理化の図れるようひとつ行政指導を今後ともしていただきたいと思うのであります。  次に、国債整理基金の運用についてお伺いしたいのでありますが、時間が来てしまったので一つ結論だけお伺いしたいのでありますけれども、国債整理基金が、発行する国債が大変多くなってきましたから、定率繰り入れあるいは財政法第六条によるところの繰り入れ、こういったものが非常にふえてきておりまして、五十一年度の見込みでは、整理基金の残高が七千五百九十九億、それから五十二年度の予算から見ますと九千六百十六億と、膨大になっていくわけであります。片面では八兆幾らの国債を出し、片面では将来の返済のために約一兆円近いものを五十二年度も国債整理基金というところに置いていく。もちろん遊ばせているわけじゃありませんけれども、そういう形になっているわけです。かつては余り額が多くなかったからそのままでもそう大した問題はなかったのでしょうけれども、五十三年は必ず一兆円を超えるというような国債整理基金というものを、いまほとんどが国債を持ったりあるいは資金運用部資金で運用したりしているわけでありますけれども、何らかもう少し考えていく必要があるんではないか。理財局の方として今後とも現状のように国債を保有するということにしていくのか、あるいは償還を早めて買い入れ消却をするとか、あるいは価格安定のために国債整理基金が国債の買いオペとか売りオペとかを証券市場にする、これは日銀との関係がありますのでなかなかむずかしい点もあるわけでありますが、こういった操作を国債整理基金を使ってやる意思があるかないか、あるいは基金自体をやめてしまって、予想される額だけはきちっと返していくというような形にするか、私は、考えられるところは四つくらいの運用の仕方があると思うのでありますけれども、まさに一兆円になんなんとするこの国債整理基金の今後の運用についてはどういうふうに考えていらっしゃるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  30. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 確かに御指摘のように残高が非常に多くなってまいりましたが、一方におきましてはこれは償還のための財源ということでございますから、国債がこれだけ大量に発行されてまいりますと、その国債整理基金の残高がふえたということだけでは、新しくこれに対して何か早く買い入れ消却をやれとかというふうなことにはすぐにはつながってこないかと思いますけれども、御指摘の点は確かにあるわけでございます。  大量発行下におきますところの国債の今後の動きは、微妙な経済環境と申しますか、金融環境、これから変わってくると思いますし、先般の委員会でも先生指摘になりましたような、いわゆる景気の、非常に資金がタイトになってきたようなときの状況、それからいま御指摘のように日銀との関係、そういうものもいろいろございますので、私ども整理基金の活用につきましては目下非常に勉強しておるところでございますけれども、いま直ちに何か新しいことをやろうということを考えているわけではございません。確かに残高はふえてきておりますけれども、いま勉強すべき問題は御指摘のように多々あるように思います。
  31. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、それに関連して一問だけもう一回聞いておきます。  国債の価格安定というか、これからどこかから大量に売りに出たということで値崩れ等が起こらないために、この国債整理基金を使って買いに出る、あるいは逆の場合には、品薄で異常に高くなった場合には売りに出るというように、国債整理基金を使ってそのような運用をすることについては、日銀も買いオペ、売りオペをやるわけだから、そこで二つダブってしまうから避けるべきだという意見もあるわけですが、その点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  32. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 確かに御指摘のように一応日本銀行金融調節との関係では微妙な関係がございます。ただ、国債整理基金自身が将来国債の信用、価格の維持という面につきまして、さらに役割りを果たし得るかどうか、また得べきではないかというような御議論がございますので、私どもも、実はそれは法律でも禁じられているわけではございませんから、日本銀行ともよく話し合った上で、適当なそういう働きが行われる必要があるときには当然にそういう措置をとり得るものと考えております。ただ、いま買い出動をするとか売り出動をするとか——どちらかといえば下落傾向にあるときに、乱高下、というより下がる方の乱下でございましょうか、そういう場合に国債整理基金が市場から買うというようなケースというのは、私はあり得ると考えております。
  33. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 次に銀行局長に少しお伺いしておきたいのであります。  昨年大量に国債が銀行に割り当てられたということで、銀行側としてはその資金の調達のために自分の持っている他の事業債その他の債券類を売却して、そうして国債を買う資金に充てざるを得なかったということが報道されているわけでありますけれども、この辺のところは一体どういうふうになっているのか。  聞くところによりますと、都銀十三行によるところの昨年度の事業債の売却が一兆八千九百億円、そして国債は一兆八千億円それによって買った、これによるところの売却損が出ている。これは当然期間が来ぬ前に売るわけでありますから、売却損が出て、都銀十三行の売却損が五百四十七億という数字が挙げられているわけでありますし、五十一年の上期では有価証券の売却損が二百二十八億という数字が出ているわけでありますけれども、この点についてはどういうふうに銀行局としては考えられているのか。とりわけ預金の約三分の一は国債の買い入れのために充てなければいかぬという点からいいますと、銀行経営上からもあるいは銀行の正常な貸出業務からいっても、かなり圧迫になってくるんじゃないか。加えてこれから景気を上げていこうということになれば、景気がよくなれば当然民間の資金需要が必要になってくる。そこで当然この公共債とが競合して、クラウディングアウトということが、ことしの後半には資金不足ということになるのではないかということの懸念があるわけでありますけれども、この点については銀行局としてはどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  34. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 先生指摘の有価証券の売却損の問題は、確かに銀行の収益面から申しますと一つの圧迫要因であると思います。ただオペレーションの関係等は、これは正常通貨の供給という角度から、比較的時期を限りまして、六月とか十二月とか、比較的資金的にはタイトな時期にいたしますので、どうしても売却損がある程度出てくるということは避けられないところだろうと思います。ただ非常に長期的に見ますと、損の出ますときと、発行条件等と比べましてそうでもないときと、これはいろいろその情勢によって推移がございますが、そこは確かに一つの収益上の問題ではあろうと思います。ただ、いまのところそれが全体の収益に対しましてはウエートがそう高くない状況だと存じております。  それからもう一つ、それに関連をして御指摘の、クラウディングアウトの懸念の方でございますが、現在のところは御承知のように市中の資金需要が大変落ちついた推移をいたしておりまして、全体といたしましてマネーサプライの増加なども一二%台というような非常に落ちついた推移でございまして、当然クラウディングアウトによって民間資金需要が圧迫されるという懸念は持っておりません。ただ将来の問題といたしまして、民間の景気が非常に急速によくなってくる、資金需要が急速に高まってくるというときに全く懸念がないかと言われますと、これは全く懸念がないと言い切れるものではないと存じます。しかしながらそういう時期的な調節につきましては、これはオペレーションその他の金融調節手段によって時期的な調節を図ってまいる、こういう注意は当然していかなければならないと思いますが、景気がよくなってくればよくなってきますで、たとえば国債の発行の仕方というようなものも資金需要に応じて調節をしていただく、あるいはそういうことによって自然増収が上がってくるというふうに景気が上がってくれば、あるいは財政の方の国債の発行などということもまた調節をされるということも期待されますので、短期的にはオペレーションその他で調節をしていく、長期的には全体の資金需要を見ながら財政金融両面を通じて調節がし得るもの、こういうふうに考えております。
  35. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、後半のことはそういう御答弁になると思いますが、前半の問題です。  確かに十三行の額が五百四十七億ですから、それはそう多くないといえば多くない。しかし問題は、国債を買い入れざるを得ないために事業債を無理無理手放さざるを得ないというのが、正常な銀行経営としていいかどうかという問題だと思うのです。確かに局長が言われるように、長期的に見ればそれは損するときもあればもうかるときもあるわけでありますから、それを言ってしまえばそれまでなんでありますが、問題は国債をいまの国家の財政事情の中で無理無理銀行が引き受けんがために、事業債を売り、売却損を初めから予知して売らなければいかぬというのが正常な銀行経営としていいのだろうかということについては非常に問題があるのだと思うのですね。その点についてどういうふうに考えられているかという問題なんです。
  36. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 常に売却損が出てくるというようなことでございますれば、それは発行条件等の問題がやはりあるのだろうと思います。しかしながら、その発行条件につきましては、最近市場実勢に合わせた配慮がかなり払われてまいってきておると思います。  それから、銀行の収益サイドに対する問題につきましては、銀行が有価証券を保有しますのは一つは資産運用であり、一つはやはり資金の流動性をそれによって確保して、必要な場合にはそれを売却してほかに運用するということでございますから、収益サイドから申しましても、有価証券を売却いたしまして損が出る、しかしその資金は同時にまた貸し出しその他に別な運用をしておるわけでございまして、全体として見ますれば、それは必ずしもマイナスになっておるわけではございません。つまり、そういう売却損が出るようなときには貸出金利水準は高くなっておる、こういうことでございますから、そういう意味では全体といたしましてそれが収益の大きな圧迫要因になっておるとは考えておりませんが、しかし有価証券を売れば必ず損が出てというのは、私は御指摘のように不自然なことだろうと思います。そういう角度から最近条件改定等に当たりまして、市場条件を重視をされまして、発行条件等が市場実勢に合ったような配慮が払われておる、こういう努力がされておるというふうに存じております。
  37. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、これはだれが一番責任持ってお答えいただけるのかわからぬのですが、四月十二日に国債の流通利回りが応募者利回りを初めて下回ったわけですね。〇・〇〇〇一ですか、たしかゼロが三つ間に入っていたと思いますけれども、下回ったということで、ある意味では初めて新発債を既発債が上回る、既発債の方が高くなったわけですね。そういうことがある意味では正常な形に初めて——四年半ぶりぐらいですか、戻ったということになるのだと思うのであります。これはきょう公定歩合引き下げられる前に、国債だけが八分利回りというかなり固定をした価格なものだから、全体のプライムレート以下、長期金利が下げられていくという中で、ある程度安定した利回りということで国債が非常に人気を呼んでいるということではないかと思うのでありますが、いまのこの証券市場あるいは公社債市場における国債の異常なる人気、きょうはちょっと公定歩合が、下がることが決定しましたし、下がったので、これが今度どういうふうに国債の公社債市場で影響してくるか、非常に微妙なところであると思うのでありますけれども、いまの公社債市場における国債のこの価格、これは今後次の質問になります発行条件の問題とも関連してくるわけでありますが、一体大蔵省側はどういうふうに見られているのでありますか。
  38. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 国債の発行条件と流通条件というのは常に本委員会でもたびたび議題になりまして、大変けしからぬ、市場実勢を反映するような発行条件にしろというような御指摘がたびたびあったのですが、いまおっしゃったように久しぶりで、きのうでございますか、四年半ぶりぐらいの状況が出てきた。国債にもそういう状況が出てきたということ、これ自身は私はいまの市場の実勢ということとは必ずしも言えないかもしれませんけれども発行条件と流通条件というのは非常に近まったというような現象が出てきたわけでございます。ただ、これはその背景に全般的に金利引き下げというかそういう機運がございまして、特に長期金利につきましては事業債を先駆といたしまして、かなり金利の低下傾向が見られておったわけですが、預貯金金利という、どちらの長短金利からいきましても一つの大きな壁でございます、そういうものにぶつかってなかなか大きく動き切れないというような状況があったと思います。これは今後公定歩合の大幅な引き下げというようなことから金融環境が変わってまいりますならば、恐らく長期金利に至ります動意が見られてまいりますので、国債の金利につきましても恐らくその変動が出てくる、こういうふうに考えられます。しかし時期的には国債はどちらかと言えばおくれて出ていくという形でございますが、この場合にも先ほど冒頭に触れましたように発行条件と流通条件の乖離というものが従来非常に非難されておりました。そういう点につきまして五十年の十一月に調整いたしましたいわゆる国債と他債券との間の金利差というものにつきましての配慮も当然に必要でございます。また、財政当局でございますから当然に発行者としての立場からの金利考え方、そういうものをあわせながら、この全体のバランスを考えて調整していきたいというふうに考えております。いまはかなり流動的な状況でございます。これから公定歩合が下がりましたのを契機といたしまして金利が大きく動くと思います。その段階で国債の信用ある、しかも流通条件と発行条件との有機的な関連、そういうものを考慮に入れながらわれわれとしては国債の位置づけを考えていきたいというふうに考えております。
  39. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこでいま局長の答弁にもあったように、恐らく一番早くやっても五月の発行の国債から——できるの、できないの、技術的な問題がありますからむずかしいかと思いますけれども、五月の発行の国債から発行条件の引き下げ、とこれはやはり言うのでしょうね、引き下げの当然具体的な問題になるのではないかと思うのですね。これはきょうから公定歩合引き下げられたということに関連をして事業債あるいはプライムレート等々を見ながらやはり国債の発行条件というのは変えられていくのだと思うのであります。かつて私も、昨年当委員会で論議したことがありますけれども、大体事業債との差が〇・六%ぐらいか、このくらいが一応目安だというふうな話をしたことがあるのですが、一体具体的に——これも局長の答弁いかんによってはすぐきょうの公社債市場がいろいろな形で動く可能性のある問題でありますけれども、その発行条件の引き下げについてはどの辺まで具体的に考えていらっしゃるのか、何を目安に考えていらっしゃるのか、その辺をお伺いしたいのです。
  40. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 御指摘のように金利の問題というのは大変微妙でございまして、また非常に思惑的なものが働く可能性もございます。したがいまして、ちょうどいま御指摘のような問題もわれわれも慎重に物を申し上げるとなると先生に大変失礼に当たりますので恐縮なんでありますが、先ほど御指摘になりました国債と事業債との金利の差というのはかつては一・一%を超した時代がございました。最近では〇・六%ないし〇・四%ぐらいに下がり、さらにまたそれが縮まってほとんど差がなくなってきたというような状況になっておりますが、こういう諸金利のバランスというものは当然あるわけでございます。そういうバランスの中でいま胎動いたしております金利、これはたとえば事業債につきましても、いま発行者から見れば、もうちょっと待てばもっと下がるであろうということで発行を手控えております。そういうことからいきますと、通常よりも玉不足であるというようなことがさらに金利を低下させる、こういうような傾向もございますので、そういった動意をつぶさによく見きわめながら、諸金利のバランスの上において国債を決めていきたいというふうに考えております。ただ、国債は非常にいい金融商品であるという国民への信頼を失わないような、そういう基本的な態度は私どもとしてはさらに堅持していきたいと思っております。
  41. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 答弁としてはそういうお答えになると思いますが、時間も大分来ましたので、もう一つだけお伺いをしたいと思うのであります。  それは先ほどちょっと触れましたように、銀行が持っている国債というのが約八兆円ぐらいになりますか、銀行の買いオペが昨年は少なかったですから、たしか八兆円ぐらいになっていると思いますが、この金融機関が保有している国債を金融機関の窓口で売りたいという話が出ているやに聞いているわけであります。このことについて報ずるところによれば、国債懇話会ですか、この事務局のあたりで具体的なやり方について検討を始めたということも報じられているわけでありますけれども、この問題一体どういうふうになっているのか。もちろん、確かに証取法の六十五条の中では国債と地方債と政保債、これについては証券業務ということから外されておりますから、銀行ではやってはいかぬということにはなってないわけでありますけれども、たしか昭和四十年の福田さんが大蔵大臣をやっているときに国債を発行したあのときの取り決めだったと思いますけれども金融機関側と証券側とがこのシンジケート団の中で、国債の引き受けについては、個人に売る場合には証券会社が扱うのだという取り決めがされているわけですね。この問題いろいろ考え方があって、こういった歴史的な経過もやはり非常に重要なことでありますから当然していかなければいけませんし、もし銀行の窓口で国債を売らした場合には、じゃ今度また買った個人が売り戻したいというときには一体銀行の窓口しかできないのかとか、そういったアフターケアの問題が非常に重要な問題になってきますし、さりとて個人消化を進めるという観点からいくならば、はるかに数の多い銀行の窓口というのは銀行の内部にも賛否があることは私も存じておりますけれども、角々に銀行があるといういまの日本状態からいくならば、これも考えざるを得ないことでしょうし、さりとて六十五条のかきねということも、当然長い長い証券行政と銀行行政との関係から言ってこれも非常に重要なことでありますし、等々いろいろ問題があると思うのであります。この点についてはいまの状態の中でどういうふうに銀行局長、証券局長は考えられているのか、お伺いしたいと思います。
  42. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 窓口販売に伴います諸問題につきましては、いま先生がいろいろな角度から御指摘になりました。そのとおり非常にむずかしい問題があるように承知をいたしております。最近は、昨年中期割引国債の発行を契機といたしまして再びいろいろな議論がされておりまして、いま御指摘のように、そこにメリットあるいは問題等々いろいろあるわけでございますが、この議論を契機といたしまして関係者間でいま検討をしようという機運が盛り上がってまいりました。いろいろな場面で議論をいたしております。金融界の中にも、御指摘のように積極論あるいは消極論いろいろまだございます。したがいまして、その関係者間の検討、あるいは証取審でも前に答申が出ている経緯もございますので、そこにも御相談しなければいけないということで、非常に広い範囲でなお検討を詰めてまいりたい。いま勉強をしておるところでございます。
  43. 安井誠

    ○安井政府委員 いま銀行局長がお答えしたとおりでありますが、私どもといたしましては、この証券取引審議会でかつて昭和四十八年に、この問題につきまして現段階で結論を求めるのは時期尚早であるから、したがって、今後引き続いて検討しようということにしているわけであります。  具体的な問題を一、二申し上げてみますと、仮に銀行の窓口販売を国債について認めるといたしますれば、たとえば市場集中義務であるとかあるいは値幅制限という売買に関する規則があるわけであります。これは証券業協会なり取引業の理事会で決めた規則でありまして、もし仮に銀行で窓口販売をするといたしますれば、銀行は証券業務を営めないわけでございますが、銀行局長の通達でやった場合には罰則等の適用はないわけであります。その辺の法律的手当ても理屈の上から言うと要るのかなという感じもいたしますし、御承知のように証券界の方は大半の方がまだ直接金融ウエートが少ないというようなことから、反対の意見が強いようでございますので、慎重に検討させていただきたい、かように考えているわけでございます。
  44. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 国債発行について今日までずいぶん論議をしてきたわけでありますけれども、証券界も非常に苦労のある中でやっと国債をここまで持ってきたというか、ある程度国民に浸透させたというか、そういった証券界の今日までの御苦労についても考えいかなければならぬだろうと私も思います。そういった面からいって、ひとつこの問題は十分証券取引審議会の中で検討してもらいたい。  そこで、一つ雑音として聞こえてくるのは、大蔵省が中期割引国債を発行するときになかなか抵抗のあった銀行界、金融界に、まあ将来はおたくでもこれを売らせるからという話をしたということが新聞の予測記事として出ているわけでありますけれども、こういったことはなかったわけですね。
  45. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 私ども直接の所管ではございませんけれども、しかし金融界に対しまして当時いろいろ議論をいたしましたので、私からお答えをさせていただこうと思います。  先ほど先生の御指摘の中で、たとえば国債の個人消化と申しますか一般消化を促進する見地から、窓口販売というものも非常に検討に値するという議論も確かにあるわけでございます。そういうことを契機といたしましてこの問題は議論すべきである、いろいろな議論を重ねていって妥当なる結論を出すのがいいのじゃないかという議論が出たことは事実でございます。ただ、しかし、それは銀行に対して将来そういうことをさせるからとかどうとか、そういうことを申したことはもちろん新聞の推測にすぎませんで、言ったことはございません。
  46. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間が来ましたので、きょうはこれまでに越せていただきたいと思います。
  47. 小渕恵三

    小渕委員長 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後三時三十四分開議
  48. 小渕恵三

    小渕委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。宮地正介君。
  49. 宮地正介

    ○宮地委員 初めに、昨日の公定歩合引き下げの問題につきまして触れておきたいと思います。  昨日夕刻、日銀公定歩合の一%の再引き下げに踏み切ったわけでございます。それによりまして、特に定期ものの預貯金金利の連動というものが行われようとしているわけでございます。現在、国民の生活は、インフレと不況というまさに二重の苦しみにあるわけでございます。今回の預貯金の連動引き下げというもの、特に一年定期ものの銀行預金が五・七五%。現在、物価の実勢はすでに九・三%になっているわけでございます。さらに、五十二年度の政府消費者物価見通しは七・七。そのいわゆる目減りのギャップというものは、実勢から見れば約三・五%近く、政府五十二年度見通しから見ましても二%近くの目減りになるわけでございます。こういうような大変な、特に低所得者層においては打撃といいますか、国民生活に大きく影響を与えるわけでございますが、この対応策に対しまして大蔵大臣としてどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  50. 坊秀男

    坊国務大臣 物価が高くなろうとしておるようなときに、預貯金者の立場というものは十分考えなければならない問題でございます。しかしながら、午前中にもお答え申し上げましたとおり、今度の金利引き下げということは何しろ景気を浮揚させる、そして景気浮揚ということは、それぞれの家庭というものにも浸潤してまいりまして、家庭の生活というものを豊かにしていく作用をしていくものである、そこまでいかなければ、これは景気浮揚と言えない。そういったような観点に立ちまして、景気浮揚の一つの手段として財政金融両方から一つの有効なる策をやりたいというのがいまの大事な政策でございます。それのために公定歩合引き下げていくということでございますので、この両様の方法によって所期の目的のように景気回復していけば、家庭の生活、生計というものにも決して悪影響じゃないよい影響を及ぼすものというふうに考えまして、そこでこのような政策に出たわけでございます。しかしながら、物価というものは何にいたしましても政策の中の一番共通の大事なところでございまするから、その点につきましては十分戒心をしていかなければならない、かように考えております。
  51. 宮地正介

    ○宮地委員 私は特に目減りのいわゆるギャップに対しての穴埋めにどのように対応するか、こういうふうに伺っているのであります。特に、大蔵大臣も検討をしているようでございますが、この預貯金目減りの影響を最も強く受ける老齢者などに対して、福祉定期を一時的に導入するということでございますが、さらにそれを進めて、たとえば退職金の貯蓄に対してはマル優制度の別枠を新設するといったような思い切った手が考えられないかどうか、その点について伺いたいと思います。
  52. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 基本的な考え方につきましては大臣お答えのとおりでございますが、それに尽きますが、やはり預金金利を下げないとなかなか貸出金利を下げる実効が上げにくいというのが現実でございます。特に中小金融機関の場合には定期預金ウエートが非常に高うございまして、やはりそこを下げないと中小金融機関貸出金利は下げにくいということでございますので、そこは景気浮揚という要請にこたえて前向きに対応するということで応じたわけでございます。したがいまして、具体的にどういう内容をお考えかはちょっとわかりませんけれども目減りというようなことで金利を下げないでおくということになりますと、景気浮揚のための貸出金利低下ということは期待できないところでございますので、物価対策に別途非常に努力を政府としてはいたしておるわけでございますけれども、そこは景気浮揚策が当面大事であるということで踏み切ったわけでございます。
  53. 宮地正介

    ○宮地委員 特にいまお話貸出金利の面につきましても、中小企業の皆さんに対する連動でございますね。確かに、公定歩合引き下げが行われた、しかし中小企業に対しての銀行貸出金利の連動、こういう点については非常に時期的に遅くなったり事務的に遅くなったりしてその影響が非常に遅い、こういうことが中小零細企業の皆さんから大きな要請として来ているわけでございます。そういう点について、先ほど本当に景気対策の一環として大臣が行ったというのであれば、そういう中小零細企業貸出金利、特に銀行からの貸出金利がスピーディーに連動されるようにどのような姿勢で行政指導していくのか伺いたいと思います。
  54. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 中小企業に対します貸出金利と大企業に対します貸出金利、これは引き締め期と緩和期で若干姿が違うように思います。     〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 ただ、まとまった統計がございませんので数字をはっきりお示しできないので恐縮でございますけれども、やはり引き締め期にはどちらかといえば平均の金利が大企業と中堅中小企業と比べますと開いてくる傾向がございます。緩和期は大体同じ程度になるというのが従来の傾向でございます。ところが最近のところは、私どもも指導をいたしておりますが、ことに中小企業向けの貸出金利が下がってきておる傾向が比較的出ております。ただ、従来そういう傾向でございましたから先生の御指摘もあり、また今回公定歩合引き下げによりましてプライムレートばかりでなく並み手金利も同幅下げるということに相なるわけでございますが、その実効につきまして実を上げますようにより一層注意して金融機関を指導してまいりたいと思っております。
  55. 宮地正介

    ○宮地委員 それから先ほども会議で福田総理からお話がありましたが、政府として坊大蔵大臣を本部長といたします公共事業実施推進本部がけさほど閣議で設けられた、そういうことでございますが、特に、この景気浮揚策に対して私たちが憂うることは、いままで政府のとってきた景気浮揚策はどちらかと言いますと大型プロジェクトを中心としたいわゆる産業基盤の確立を優先した、言うなれば大企業優先の景気浮揚策、こういうような形に見られるわけでございます。いま国民の生活を本当に考えるならば、生活基盤を優先とした、またその事業に対する仕事もできるだけ現地の地元の中小企業の皆さんに入札する、そういうようなやり方によって景気浮揚をすることが一石二鳥であろうと思います。特にこの上期に集中して公共事業契約総額七兆円強に達するとしている、その責任者としてチェックをする大蔵大臣として、そのような生活基盤を中心として国民本位の、国民生活関連を中心とした公共事業に勇気を持って取り組んでいく考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
  56. 坊秀男

    坊国務大臣 五十二年度予算を上期最も効率的に実行していくために七〇%を下らざる公共投資を、その仕事をやっていくということに相なったのでございますが、いずれにいたしましても、これは景気をできるだけ早く上昇させていくというその仕事の中においても中小企業というものに対しまして重大視していかなければならない、その点につきましては各省庁とこれからよく相談をいたしまして御趣旨に沿うように持っていきたい、かように考えておるわけです。
  57. 宮地正介

    ○宮地委員 次に国債の管理政策について一言触れておきたいと思います。  国債の大量発行時代を迎えて大蔵省は国債管理政策の検討を続けておりましたが、特に都銀など金融機関に対して事実上いままで禁止していたと言われております保有国債を今後自由に売却できるように流通市場の整備を図る方針を固めた、このように言われておりますが、金融機関保有の国債の自由売却、この問題について認める考えを持っておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  58. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 当委員会でもたびたびその問題について御説明を申し上げましたように、私どもといたしましては都銀その他金融機関が持っておりますところの国債を現在売却を禁止しているという事実は全くございません。実績から申しましてもかなりの売却があるわけでございます。ただその背景が、御承知のように金融機関が売らなくても済むような背景がありまして、日本銀行のオペ対象になれば一年後には大体オペの対象として取り上げられておるというようなことでございましたが、大量発行下においてそれではそれをどうするかという問題は、たびたび御指摘のようにオペ対象から外れた国債というものが従来からそれを売れるのか売れないのかというような形での御疑問になっておったと思います。そこで、私どもといたしましては売ってはならないという指示を申し上げたわけではないが、現在この時点において持っておられるところの国債を金融機関が処分されるに当たっては、それはそれぞれの金融機関のポジションあるいはいろいろな債券、資産の保有の状況それぞれ違いますから、それは現状において各金融機関がお考えいただいた上で処理されるということが適当であろう。いま売ってはならないと申し上げておりませんのに売ってよろしいと申し上げることもすでにまたおかしなことでございますが、あくまでもそれは各金融機関の自主的な判断ということになっておるわけでございます。
  59. 宮地正介

    ○宮地委員 いまの答弁によりましても、これまでは大蔵省は国債が譲渡や担保にすることが自由な無記名債であるということもあって、表向きでは売却を禁止するような行政指導はとっていない。いまもおっしゃったのでございますが、流通市場が混乱なく拡大することは好ましいと考えているようでございます。そうなりますと、言いかえれば売却の動きがあれば行政指導を黙認する、このように理解してよろしいのでしょうか。
  60. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 売ってはならないということを御指導しておりません。売ってはならないということを黙認するという、売ってはならないということに対して売ることを黙認する、こういうふうに聞こえますので大変誤解を招きやすいものでございますから、私どもは先ほど来売ってはならないということは申しておりませんし、各金融機関の自主的な判断でいままででもお売りになっておられるところもあるわけでございます。今後も市場の情勢判断によって各金融機関の持っております資産の内容から見て、その各金融機関が自主的に御判断をなさるということについて私どもは黙認も何にもなく、要するにそれは自主的に考えていただければいい話だ。市場の状況というものは時々刻々変わってきておりまして、現時点においてはかなり国債が売れやすい環境にあることは間違いないことでございます。そういうことでありますので、いままで売らなくても済んでおった金融機関が売りたいというような希望を持ってこられたというような背景は、私ども理解できます。まあその理解をするにとどめるというふうな感じでございます。
  61. 宮地正介

    ○宮地委員 逆にたとえば、国債の発行規模がこのように年々増大をしております。これ以上大蔵省が自由な売却を抑えるといたしますと、日銀の買いオペだけでは結局吸収し切れない。そうなりますと、金融機関に国債が底だまりになってしまう。新しく発行する国債の完全消化が大変にむずかしくなってくる。こういうような状況になるわけです。また、逆に無理に押しつけますと、民間資金需要が出てきても金融機関はこれ以上応じ切れなくなりまして、いわゆるクラウディングアウトが起きてくる、そういう心配もある。また仮に資金需要の増大を日銀の買いオペの拡大で賄えば、今度は通貨供給の拡大を招いてインフレを引き起こす。こういうようにいろいろと懸念があるわけです。自主性に任すということでございますけれども、これはある意味では大変に無責任とも見えるわけです。実際には禁止はしておらぬ、しかし、これに対して黙認する、行政指導というのはやらぬ、実際は自主性に任す、こういう、国民としてはまことに不可解な態度にも見え得るわけでございます。そういう点についてどのように考えますか。
  62. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 私ども大変正直に申し上げておるつもりなんでございますけれども、国債は今日のような価格といいますか、いわゆる金利に到達いたしましたのは、むしろ本当にこの数週間くらいのところでございます。要するに、債券をめぐる市場というものがかなり変わってきておるという、こういうことがあるわけでございます。それまでの御議論は、国債を持っておることは金融機関にとってみれば大変重荷である、持っているだけで重荷であるということであったと思うのであります。現在は重荷ではないのでございます。いまはむしろ国債が、私ども国債の価格をいじっておりませんために、どちらかと言えばそれを持っておる方が有利である。これからさらに金利が低下傾向に入りますと、いまの金利の条件というもののいわゆる金融商品というのは、それは持っておった方が得だというような判断が現時点においては働くと思います。したがいまして、経済の環境環境によりまして、また持っておるものの中身によりまして、それぞれ金融機関自身においても判断が違ってくるはずでございますので、私どもはその辺では、従来から売るなと御指導申し上げておらぬと同時に、売ってよろしいということを急に申し上げるというような環境にはない。  ただ、理想的なことを申し上げるならば、釈迦に説法で恐縮でございますけれども、長いことかかって、国債の市場を育成してこい、それから、そこにおいては国債のマーケットができるように、また金利の弾力化が行われるような素地をつくるようにというような、当委員会においてもしばしばそういう御議論がございました。私どももできるだけそういう環境づくりをしてまいりますというふうにお答えしておったわけであります。したがいまして、いまの状況というものは、基本的に申しますと金利が下がる傾向にありますので、実は債券を持っておる者は売り控える、それから新しく発行しようとする者はさらに金利が安くなるときを待つために発行を控えるということと、資金が余っておる方から見れば、できるだけ利回りのいいものを買いたいという買いの方が強くなる、そういうような形から金利の低下傾向というものが醸成されておりますから、いま出ております金利というものはどちらかといえばきわめて流動的でございます。その中で何か大蔵省一つの方向をにらんで、いまが買いどきであるとか潮どきであるとか、そういうようなことに対して行政的な態度を介在させるということは、市場を育成する上において最も危険なことでございます。私どもは、むしろいまこそ各金融機関の自主的な判断あるいは自覚というか、そういうものを持ってもらわないと、国債の市場というものは将来にわたって何か役所だけがそれを指導し、つくっていかなければいかぬという責任がある、こういうふうにとられがちでございますが、市場をつくっていくものは民間のそういう人たちでございますので、自主的な判断に待ちたいというのが私ども考えでございます。
  63. 宮地正介

    ○宮地委員 いまの局長のお話で、実際は自主的判断に待つということは、まあ黙認するといいますか売却を認めるといいますか、そういうことのニュアンスというふうに受け取りたいと思います。  次に進みたいと思います。今回の公定歩合引き下げで当然クローズアップしてまいります長期金利引き下げのいままで頂点となっておりました国債発行条件の引き下げについて、大蔵省はいままでも六月ごろから表面利率を〇・五%めどに引き下げたい、こういうようなことを言われているわけでございますが、この国債発行条件の改正についてどのように検討されておるのか伺いたいと思います。
  64. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 国債の金利も、他の債券の金利との間でよきバランスをとり、それぞれのあるべき位置づけといいますか、そういうものが求められますならば、これがきわめて理想的でございますし、国債は私どもとしては非常に信用ある銘柄として育成していきたいというか、そういう決意で進んできたわけでございますから、国債の金利そのものがいまからどういうふうに動いていくであろうかということにつきましては、これは諸金利とのバランスあるいは市場の自主性というものをよく見きわめる必要がございます。  先ほどから申し上げておりますように、いま債券をめぐりますところの金利の情勢というのは客観的にいろいろなことが流動的でございますから、かなりある意味によっては思惑的なものも入り込んでおります関係上、いま直ちにいまの時点金利というものがどういうふうにあしたは判断できるのかという点は、まさに流動的なものでございます。その中で私どもの志向しておりますのは、やはり国債をあるべきちゃんとした金融商品として、最も信用ある銘柄として育てるにはどうしたらいいかという点については、何遍も申し上げておりますように諸金利とのバランスの上において考えていきたい。  それから、いままでとかく御非難がございました御用金的な考え方というものがよく御指摘されるわけでございますが、そういう点を考える前に、私どもとしては発行条件といわゆる流通条件との間の有機的な関連が図られるような公社債市場が育成されていくということを一つはまた背景にしていき、その中で国債が位置づけられるわけでございますから、いまの流動的な金利の背景が今度の公定歩合の大幅な引き下げ、それから預貯金金利といういわば金利体系の中で一つの大きな壁になっておりましたその点が動いていくというような背景がございますと、金利全体の動きというものはかなり大きく動いていくと考えられますので、そういうものをよく判断した上で諸金利とのバランスで国債を考える、その際に国債はやはり信用ある銘柄として位置づけられるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
  65. 宮地正介

    ○宮地委員 また最近、特に国債の引き受け手数料の問題をめぐりまして、国債引受団から、特にシ団と言うそうでございますが、このシ団として手数料を五十五銭から七十銭に上げてほしい、また証券会社の手数料を固定してほしいなどといった内容の要望書が大蔵省に提出されているわけでございます。大蔵省銀行、証券会社といった思惑の中でこの問題をどう処理するか、業界としては大変注目をしているわけでございます。現在、どのように検討されているか、伺いたいと思います。
  66. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 手数料は、国債を販売することをお願いいたしております以上、国がお払いをするというのは当然に常識的なことでございますが、これは、いろいろな諸掛かり等を基礎にいたしまして算出された五十五銭というのが現在支払われておるわけでございますが、それに対しては七十銭というような希望が出ております。これは新聞にも報道されておりますけれども、私どもといたしましては、金融機関と証券会社の引き受けの仕方あるいは販売の仕方も違っておりますので、必ずしも両者が同じ立場で同じようにコストがかかってくるというふうには考えておりませんけれども、目下新しくそういう問題が提起されておりますので、実情に合わせて勉強をしたいと考えております。  ただ、いま御指摘のようなシンジケート団のメンバーとしては金融機関が非常に大きなウエートがございますけれども、それぞれの立場立場におきましていろいろの主張がございます。そういうものをよく話を聞きまして、また、本当はシ団まとめて全体で自主的に話し合いが行われますことが一番理想でございます。むしろ、役所がそういうものにかかった費用を判断いたします資料としましては、シ団の中で本当に調整が行われるのがやり方としては一番いいことだと思っておりますので、そういうことの自主的な調整も待ち、また私ども独自でも検討をするというようなことで、いま勉強しておるところでございます。
  67. 宮地正介

    ○宮地委員 よく研究をしてその辺はぜひ国民本位に調整をしていただきたい、こういうふうに思います。  次に、ポートフォリオ選択の問題でちょっと伺いたいと思います。  五十一年度中期割引国債の発行額がいまどの程度になっておられるのか、ちょっと伺いたいと思います。また、五十二年度分については中期債をどのように発行していく予定なのか、これもあわせて伺いたいと思います。  そういう中で、先ほどからお話がありますように、最近、大変に公債が売れ行きがよい、こういうことでございます。先般、租税特別措置法で割引債の償還差益に対する源泉分離課税の税率が一六%に引き上げられたわけでございますが、これが実際に適用を受けるのは五十三年度分からでございます。本年度分については一二%になっているわけでございます。このため、割引国債の売れ行きというものはきわめて好調であるということでございます。これは、国債の個人消化という美名のもとで実は高額資産家の財産運用に恩典を与えているというのが実態ではないかと思います。すなわちマル優、郵貯などの利子非課税制度というものを利用して、その枠を出る部分についてはこの割引債を購入するという、いわゆる金融資産選択の順位というものを税制が決定しているとも言えます。しかも、勤労世帯の五十一年分の平均貯蓄額というものは三百七万円にすぎません。こういうことを考えてまいりますと、割引債に対する源泉分離税率一二%の制度というものは、各種利子非課税枠を使い果たした高資産家が、その資産運用を、中期国債を購入して、これによって税負担の軽減を享受するのが実態であるとも言われております。  そこで、このような金持ちが税の恩典をいわば独占しているような実情、これを今後どのように改善していこうと検討されておるのか、また、税制面からポートフォリオと言われる選択について決定することについてどういうふうに考えておられるのか伺いたいと思います。
  68. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 割引債の償還差益についてどういう税率を適用したらよろしいかということにつきましては非常にむずかしい問題でございます。従来の制度が五十二年中続きますので、五十二年中の発行分についてはおっしゃるように一二%でございますが、五十三年になりましてからの発行分は、この間成立を見ました特別措置法の規定によりまして一六%になるわけでございますが、この一二%なり二%というものと一般の源泉徴収税率なりあるいは源泉分離を選択した場合の税率なりとどこでバランスがとれるのかという点につきましては、結局そのときどきの金融資産の選択、まさしくおっしゃようにポートフォリオとして何を持つかという考え方に無用の混乱を起こさないということが一番大事ではなかろうか。その意味では、従来の一二というのはそれなりに定着をしておるし、今回、改正でお願いいたしました一六というのも、他の税率の上がり方とのバランスから見れば、関係者一同の意見としてこれでいいのではないかというどころに落ちついていると私ども考えております。それは、償還差益というものは経済的に利子そのものであるというふうにお考えになりますと、源泉分離の税率と同じでなくてはおかしいという御意見ももちろん一部にあるわけでございますが、これは発行のときお買いになって、満期までお持ちになっていれば、なるほど利子とほとんど同じになるかもしれませんけれども、途中で転々売買すればその分はキャピタルゲインになるわけでございますし、そういう性格からくる相違もございますので、あながち利子と全く同じ税率でなくてはならないということではなかろう。  繰り返しになりまして恐縮でございますが、いままでのほかの税率とのバランスも、改正後のほかの新しい税率のバランスも、それなりに、金融関係にそれぞれの立場から参画しておられる方々の御意見を十分伺った上で、私どもとしてはこれで一応のバランスがとれているというふうに判断しているわけでございます。
  69. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 発行額でございますが、当分の間、額面で三千億というふうにただいまのところは考えております。五十一年度の、正確に言えば五十二年の一月に初めて登場いたしましたわけでございますが、九百八十九億の額面での発行をいたしております。  ただ、先生がいまおっしゃいました金持ち優遇というようなことに対しましては、似たようなものが割引金融債としてあるわけですが、私どもといたしましては、できるだけ大衆に持ってもらうということを主眼といたしまして、一番低いのが額面五万円でございますが、五万円券というのを非常に重視して販売させてまいりましたし、それからこれは、もともと国債の市中消化ということは大量発行下においてさらに必要とされてくるということを前提にいたしまして、市中消化のうちの個人消化というのが特にまた大事であろう、育てるべきであろう。その中では、いまの十年もの一本ではそういう需要にこたえられないということも考えまして、いわば個人消化の多様化という形で登場したものでございます。したがって、さらに私どもは研究を重ねた上でこういう多様化は将来に向かってやっていかなければならぬと思いますが、国債を持っていただく以上は、これが一部の金持ちに対してだけ焦点を当てておるというような形で指導していくことについては私ども非常に気を使ってやってきておるわけでございまして、どうかその辺の御疑念はひとつ晴らしていただきたいと思います。
  70. 宮地正介

    ○宮地委員 時間がありませんので、次にいきます。  当委員会でも何回か論議をしましたし、私も前回質問いたしましたが、財政収支試算の問題について少し触れたいと思います。  まず、この財政収支試算に対しまして実現が可能であると考えているのかどうか、大変に疑問に思うわけであります。大蔵省が提出したこの財政収支試算を見てまいりますと、五十二年度末の国債残高が三十一兆一千億円、そして五十五年度末には約五兆円にも達するわけであります。そして累増を続ける国債の償還と利子支払い額は急テンポで増加をしてまいりまして、五十年度に一兆一千億円であったものが五十二年度には二倍強の二兆三千五百億円、そして五十五年度にはさらにその二倍強の四兆七千五百億円ないし四兆七千九百億円となることが明らかにされております。また、五十年代後半はさらに国債償還費が増加いたしまして、財政の硬直化を一段と強化する要因となることが予想されておりますが、まず初めに、いまお話ししましたように、財政当局が財政収支試算に示したこの計数そのものが実現可能であると考えているのかどうか、またこの収支試算というものは努力目標なのか、それとも財政計画なのかどうなのか、伺いたいと思います。
  71. 坊秀男

    坊国務大臣 財政収支試算は、五十年代の前期経済計画を手がかりといたしまして、ぜひとも、日本財政というものを五十五年度に正常なる姿を描きましてそこへ到達するためにあらゆる努力をしておる。ただ単なる努力目標ではございません。そこへそういう姿を実現するということでございます。しかしながら、そのためにどういったような個々の計画を積み上げて持っていこうというその計画はまだできておりませんが、あくまでも五十五年度にその姿をあらわしたい、こういうものでございます。  細かい計数につきましてはそれぞれの政府委員からお答えさせます。
  72. 宮地正介

    ○宮地委員 特に私は五十三年度の税収増の実現可能性とその具体的構想について触れてみたいと思います。  五十五年度に赤字公債をゼロとするために財政収支試算は歳入面で税収の伸び率をケースAでまいりますと二七・四%という驚くべき数値を計上しております。五十三年度の税収見込み額は二十三兆九千四百億円で、五十二年度のそれに比較しますと、五十二年度のものは十八兆七千九百億円、名目経済成長率を一五%としておりますから税収弾性値は一・八二と異常に高いわけです。通常いままでの税収弾性値というものを四十年から四十九年度の平均をとりましても一・三九、こうなっているわけでありまして、そうしますと〇・五二に相当する一兆四千八百億円は増税によって賄わなければならないことを示しておることになるわけであります。政府はいままでも法人税率を引き上げるとか、あるいは一般消費税の導入を行うなど、いろいろな増税案を検討しているようであります。現実にケースAの場合、特に五十三年度名目GNP伸び率一五%、また五十三年度に二七・四%の税収の伸びが期待できると考えているのかどうか、この点。また五十四年度以降についても同様の計算をしてまいりますと、増税することによりまして五十四年度には三兆二千億円、五十五年度には五兆六千億円の税収増を実現しなければ五十五年度に赤字公債をゼロにすることはできないわけでございます。それでも実現が可能と考えておるのかどうか。また、この実現をするとするならば、当然、何回も言われておりますが、現行の税制を思い切って変える、特に不公平税制をやめるか、あるいは新しい税制を創設するか、こういうことを考えられているわけでございます。いろいろ最近報道されておるものを見ておりますと出ております。現段階においてどのように具体的に考えておられるのか、この点についてもあわせて伺いたいと思います。
  73. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 再々申し上げており、ますように、財政収支試算の年次割りの数字は、五十五年度に予想される姿と五十二年度予算との間を機械的に一定の前提を置いてつないであるものでございますので、その意味で各年度の計数がいわゆる財政計画というものには当たらないのだということを大臣からも何度もお答えしているわけでございます。したがって、五十三年度が歳出歳入両面でどういう姿になるかということは必ずしもこの数字のとおりにならなくてはならないという性格のものではございませんで、やはり五十三年度の経済がどうなるのか、それに対応していかなる姿の財政を組むべきかということとあわせて五十三年度予算編成の過程で逐次姿が描かれていくものであるというふうに私ども考えております。  第二点でございますが、弾性値一・八三ということは、過去の実績から言えば期待し得べくもない、その点はおっしゃるとおりだと思います。したがって仮に弾性値が一・三なり一・四であればおっしゃったような数字の制度改正による増収がなければこの五十五年度の姿がここで期待しているような姿にはならないという点もおっしゃるとおりだと思います。しかしそれにつきましては、総理大臣大蔵大臣もたびたび申し上げておりますように、非常に困難であるということを否定しないけれども、しかし何とかして五十五年度には特例債依存から脱却したいのだ、そのために必要な姿はこういうことだということをお示ししているのがこの試算でございまして、極端なことを申しますれば、どうしても増税はやめだ、けしからぬということになりますならば、それは福祉の振りかえ支出をもっと縮めるのか、社会資本を縮めるのか、あるいは特例債を出し続けるのかということの選択としてお受け取りいただくよりしようがないのではないかというふうに私どもとしては考えております。
  74. 宮地正介

    ○宮地委員 最近特に大蔵省が大規模売上高税の導入を五十三年度の税制改正で検討している、こういうことが報ぜられておるわけでございますが、事実でございましょうか。
  75. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 いわゆる中期税制につきましては昨年の六月以来、税制調査会に御審議をお願いしておりまして、御審議の経過は資料として当委員会にもお出ししてございます。それ以上のものはないわけでございまして、ただいまおっしゃいました具体的な税目は、十一月二日に部会長の御要求に応じて私どもが整理して出しました八項目の中の一つでございますが、その八項目全体につきましてまだ一回御審議をいただいただけでございまして、なお今後中期税制の検討を再開されましたところから、さらに資料などもあわせてもっと掘り下げた御議論を願いたいということでございますので、現段階で特定のどれかの税目が候補に挙がっておるというような状況ではございません。
  76. 宮地正介

    ○宮地委員 続いて財政収支試算における振りかえ支出のあり方について触れておきたいと思います。歳出面では社会保障関係費を中心に振りかえ支出の伸びが年平均で一六・六%となっております。歳出全体の平均伸び率一五・九%より高くなっておるわけであります。しかし平均一六・六%の伸びは五十一年度の二二・五%を含めた数値でございまして、五十四、五十五年度にはケースAでいきますと一三%台へ急速に伸び率が鈍化するわけです。この伸び率は名目GNPの伸び率と同率でありますが、このことは五十四年度以降において福祉重視の政策上の転換を行う、このように判断せざるを得ないのであります。政府としてどのような見解を持っておられますか。
  77. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 財政収支試算はすべて、公共投資もそうでございますが、企画庁の前期計画のフレームを前提にしておるわけでございます。あの場合、振りかえ支出について基準年次が八・五くらいであったものを五十五年一〇%弱に持っていく、総額が大体二十三兆というような数字があるわけでございます。それを一般会計にいたしますとお手元の数字のようになるわけでございますが、それを五十二年と機械的につないで見ておる。  問題は、その伸び率が過去の数字に比べて低いではないかということでございますが、この点は保険料負担の方で賄うべき分野が大きくなっていくという問題があるわけでございます。ただ、五十一年度のときにお示しをいたしました収支試算におきまして、私ども考えていたほど国費率の方が落ちなかったので、今回お出しいたしました数字は、五十二年度の数字をベースにいたしましてもう一回見直しまして上方に修正いたしております。そういう前提を設けた機械的な計数でございます。
  78. 宮地正介

    ○宮地委員 時間もありませんので、最後になりますが、国債費の増高による財政硬直化の深化の問題に触れておきたいと思います。  国債費の急増によりましてその他の経費、これは名目でGNPの伸び率と同率に圧縮されております。その他の項目は、いわゆる地方財政関係費あるいは文教、科学振興費、中小企業対策費、農業関係費、こういうものから構成されていると言われております。これらの項目のうち地方財政関係費は地方交付税を中心とするものであるために、その伸び率は税収の伸び率とほぼ同じ程度と見なければなりません。そうしますと、地方財政関係費を除くその他の項目である文教、科学振興費、中小企業対策費あるいは農業関係費などは、さらに大幅な圧縮が行われることになるのではないか、こうなってまいりますと、政府としては、この財政収支試算というものに対してどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
  79. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 ただいま御指摘のとおりでございまして、地方財政関係費をどういうふうに推計するかという問題はございますが、御指摘のような計算を私どもも仮にやってみたものもございます。そういたしますと、その他の経費というのは非常に厳しい姿になります。しかもその中には人件費も入っておるわけでございます。したがって御指摘のような問題が出てくるわけでございます。これは大蔵大臣からも再三御答弁になっておりますように、基本的には既定経費の見直し、経費の優先順位の選択それから受益者負担の適正化と、なかなか奇手、妙手というのはないわけでございまして、きわめて抽象的でございますけれども、そういう王道を使いながら着実に工夫をこらしてやっていく以外に手はないと思いますが、かなり厳しい姿が描かれておるわけでございます。
  80. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に、大蔵大臣にもう一度伺いたいと思います。  今回のこの財政収支試算、先ほどから、単なる努力目標ではない、これに対しては政府として最大の力を入れて実現をしていきたい、こういうお話を伺っているわけでございますが、ただいまも主計局次長からお話がありましたように、現実にこの中身を洗ってまいりますと非常に厳しい、言うなれば不可能に近い、またこれを実際に実行するとなりますといろいろとひずみの出てくる、こういう内容であります。私は時間があればもっと、さらに各項目別に御質問したかったわけでございますが、そういう大変な収支試算でございます。  私たち国民から見ますと、何か単に今回の予算審議の中あるいは当委員会の審議の中で、決して無責任ではないと思いますが、国民に示すものさえ示せばいいといったようなものではないと思います。しかし、中身を洗ってまいりますと実際、非常に不可能である。そうなりますと、結果から見ますと、大蔵当局の熱心に試算して出したその数字が、国民から大変遊離をしたものに見えるわけであります。そういう点について大蔵大臣のこれに対する決意、また今後に対する——五十五年に公債発行ゼロという状態のときに、大蔵大臣が総理になっているかまた大臣をやっておりますかわかりませんが、やはり将来のために責任ある御答弁をいただきたいと思います。
  81. 坊秀男

    坊国務大臣 大変御心配をいただきまして、本当にありがとうございます。私どもがこういったようなことを考えておりますのも一に、日本の国の財政というものを立て直しまして、国民の生活をできるだけいまよりは豊かに、しかも安定したものに持っていきたい、かように考えておるわけでございます。     〔山下(元)委員長代理退席、小泉委員長代理着席〕 そのためには、五十五年度において健全なる財政の姿を実現していくには——これは本当にむずかしい仕事だと思います。だけれどもそれをやらなければ日本の国の国民の生活の安定はあり得ないということを考えますと、どんなことがあってもこれを実現したい、実現する決意でおりますけれども、もし万一それがどうしてもできないということになりますれば、先ほど主税局長が言われましたようにいろいろな点において、振りかえ支出だとか公共投資、そういったようなものに何らかの形におきまして影響がくる、そういうことには絶対にさせたくないというつもりでもって五十五年にこの姿を実現したい、かように考えておるのでございますが、ひとつ何分よろしくお願い申し上げます。
  82. 小泉純一郎

    ○小泉委員長代理 村山喜一君。
  83. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵大臣、私が一番最後でございます。私はできるだけ大蔵大臣お答えをいただきたい、数字にわたるような問題は事務当局の方から答弁を求めますので、そのつもりで、最後の質問者だということでお答えをいただきたいと思うのです。  まず第一点ですが、けさの新聞にも出ております公定歩合引き下げ、これは日銀政策委員会でやるわけですが、大蔵大臣金利引き下げについて発議をされました。それは新聞に伝えられておるとおりの内容でございますか。
  84. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  実は、私はけさ、ゆうべ遅かったもので新聞を読んでいないのでございますけれども、恐らく新聞の記事はそんなあれを発表されたものだと思いますから、新聞に余り間違いはないと思います。
  85. 村山喜一

    村山(喜)委員 大変お忙しいようでございますが、違っておったらお答えいただきたいのですが、違っておりますか。
  86. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 大臣から発議をされましたことはそのとおりでございます。ただ、預金金利がどうなるかということは、新聞にいろいろ書いておりますが、これはもう申し上げるまでもなく金利調整審議会において具体的に確定的に決定されることでございますので、いまのところ決まっているわけではございません。
  87. 村山喜一

    村山(喜)委員 発議の内容はどうなっているのですか。引き下げたいというだけで内容は明示してないのですか。その調整審議会に内容的なものはかけてない。
  88. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 発議をいたしましたのは、預貯金金利について引き下げを行う必要があるから再検討すべし、そういう点が一つと、それから福祉年金等の受給者に対しましては金額、期間を限りましてこれは金利を下げないのが適当であると思うから、これについては臨金法告示の適用除外とすることをとるべきではないか、こういう二件を申し上げたわけです。
  89. 村山喜一

    村山(喜)委員 わかりました。となれば、長期金利引き下げ等について、定期性の預金金利は一%程度、一年ないし二年ものについては下げるとか、あるいは当座性の普通預金については据え置きにするとか、これは一つの推察、そうなるであろうという方向性がきょうの新聞に出ているというふうに見て間違いございませんか。
  90. 後藤達太

    後藤(達)政府委員 形の上はまさにおっしゃるとおりでございます。ただ、発議をするに当たりましてどういうことが私どもの頭の中にあるかということを申し上げますれば、一年、二年定期はやはり同幅程度引き下げる必要があるであろう、それから要求払い預金につきましてはこの前引き下げを行いまして、いま戦後大体最低の水準できわめて低い水準になっておりますから、これは手を触れない方がいいであろう、これはそう考えております。
  91. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、これに関連をいたしまして、長期金利引き下げというものを一%程度考えておるということになれば、国債発行発行条件についてはやはりお考えになっておるわけですか。
  92. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 長期金利並びに長期の債券金利というものがいまきわめて流動的な状況にございますが、国債は私どもは一番信用ある銘柄として考えて、これからもまたそういうふうな位置づけをやっていきたいと考えておりますので、いまの金利下降傾向と申しますか、そういう環境の中で他債券あるいは他の長期金利がどういうふうに動いていくかというものとのバランスをよく見きわめた上で、国債が形としては最後に決まっていくような姿に相なろうかと思います。ただ、その際におきましても、従来から考えておりますように、国債が国民の金融資産として十分信用ある銘柄として育っていく配慮を加えながら、その金利動向は私どもとしても見守っていきたいと考えておるわけでございます。
  93. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうすると、長期金利が下がり、プライムレートが下がる、あるいは金融債等が下がっていく。もちろん、いまの市場の実勢から見まして事業債等は相当大幅に下がるような条件下にある。あるいは地方債等もそうでございますが、そういうような条件が整ってくるという状況の中で国債発行条件の改定というものは行わなければならないというふうにお考えになっていらっしゃるのだろうと思うのですが、その時期はいつを目安に頭の中に置いているのですか。
  94. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 具体的にいまある時点をというふうに考えておるわけではございません。諸金利の下がり方もかなり流動的であり、かつ、いつごろから、たとえば事業債なら事業債の金利が次の——この間〇・二%下げましたが、その次の時期がいつごろであろうかということもまだはっきりいたしておるわけではございませんので、そういう点を見きわめた上で考えていきたいということでございます。
  95. 村山喜一

    村山(喜)委員 発行者の側から言えば、そういうような発行条件が金利の実勢に応じて低下するということは、それだけ負担が少なくなることですから、そういうような意味では、新聞等には〇・五%程度下げるんだというのがもうすでに予測として出ておるわけですね、これを事業債の発行にならって五月の段階で〇・二程度下げて、六月の段階で〇・三程度下げていくというような二段階式の考え方もあるとか、あるいは一遍に六月の発行段階から下げるとか、いろいろ条件が、そういうような情勢をにらみながらそれぞれの見方というものを持っていらっしゃるのでしょうが、大蔵大臣はどういうふうにお考えになっているのですか。
  96. 坊秀男

    坊国務大臣 国債等の発行条件でございますが、これはやはりそのときそのときの経済の実情、それからいろいろの証券、債券とのバランスといったような種々のファクターがございましょうが、そういったようなものとよくバランスをとる。そういったものと、各角度からこれを決めてかかるものでございまして、いまからいつどうということは申し上げられませんでして、公定歩合を幾ら下げたから、そこでそれと直接関連してこれをどういうな条件でどういうようなものにしていこうということは、これはそのときそのときの経済情勢によって判断をしてまいるべきものだ、かように考えております。
  97. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうような一般論をあなたから聞いているのじゃないんですよ。あなたもやはり大蔵大臣ですから、大体経済見通しがこうなるということで、今度は公定歩合引き下げが行われるように日銀総裁にいろいろな形で働きかけ、日銀政策委員会では公定歩合引き下げをやった。やったとたんにあなたは預貯金金利引き下げるべきであると、預貯金金利引き下げを発議したじゃありませんか。発議したということは、いま金利が市場の実勢から低下に入っている、この条件の中で公定歩合引き下げる、その効果というものを預貯金の上にも出していきたい。そうなると、それは当然長期金利引き下げという問題にも関連をしてくるから、国債発行の条件の改定という問題も、時点としてはいつごろになるであろうというぐらいの見通し大蔵大臣としては持たなければ、財政の執行者としてあなたの責任は全うすることができないじゃございませんか。その見通しもないのですか。
  98. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 いま大臣がおっしゃいましたことは、そういう見通しを頭の中に持っておられて、非常に慎重にお答えいただいたわけでございますが、私どもといたしましては、いま公定歩合がかなり大きく下げた、次は預貯金金利も動く可能性があるという状況と、公定歩合が下がったけれども、諸金利については、たとえば預貯金金利までなかなか手が及ばないというような状況と、二つを比較してみました場合には、明らかに預貯金金利が下がります改定の方が、かなり大幅な金利改定ということが、長期から中期、短期に至る一つの流れとしてあり得るというふうに考えられます。したがいまして、それらはいま大臣が発議されたばかりでございますから、そこでそれらの検討が出てくる。  それから、事業債等長期債のものも、これは発行世話人会で一応の見通しを立てて翌月の発行というものを決めていくわけでございますが、これすらもいま現在発行の時期を模索しております。したがって、その時点において金利等がかなりはっきりしてくると思いますが、諸債券の金利ですらそういうようなことでいま非常に流動的な段階でございますから、そのものを見きわめたところで国債というものをよく考えていきませんと、国債の金利というものをただ簡単にいじるわけにはいかない。いじる以上は、先ほどから申し上げておるようなバランスの上に立ったものである必要があるであろう。大臣の御説明、お考えはそういうふうに私どもも承って、現在御指示に従っておるわけでございます。
  99. 村山喜一

    村山(喜)委員 あなたは官僚だから思い切った物の言い方はできないでしょうが、大蔵大臣は伴食大臣じゃないのだから、あなたは福田内閣の財政の一番大もとになっている大蔵大臣ですからね。そういうような意味で、こういうような公定歩合政策あるいは金利政策、さらに国債の発行政策、この発行条件の問題等については、あなたが発議をされたその中において頭の中に何かなければ、それはうそだと思うのですよ。金利調整審議会の方にかけるにしても、ここは国会の場ですからね、その場で、新聞にあらわれるよりも前にこういうような考え方を持っているがどうかというような、そこまではきわめて微妙な問題ですからわれわれも要求はいたしませんけれども、最後の財政特例法の審議に当たって、そういうような将来の見通し、それは非常に大きな問題をはらんでいるがゆえに、大蔵大臣が付議するその内容というものについては、ある程度国会の場で国民の前に明らかにして、政府の向かうべき方向を国民に説明をし、国民の納得を求めていくという方向が正しい財政当局のあり方じゃないのですか。どうですか。
  100. 坊秀男

    坊国務大臣 お答えを申し上げます。  実は、きのう公定歩合日銀の方で下げたということでございますが、公定歩合を下げるということは、貸出金利というものを下げていくというようなことでこれが下げられたのだと思いますが、私も、それは時宜を得たことだ、かように考えますので、公定歩合を下げたことについてそれの効果と申しますか、それをできるだけ上げていかなければならない、こういうふうに考えましたので、それで、公定歩合引き下げたということに相応じまして預金金利引き下げについて発議をした。  そこで、この公定歩合引き下げ預金金利引き下げということですが、きのうやって、それに追随し得る私のぎりぎりのところは——将来はわかりませんよ、引き続いてやれるぎりぎりのところは、預金金利引き下げを発議するということでありまして、そこで公定歩合引き下げ預金金利引き下げということ、それはやがて実現すると思います。そういったようなことが実現せられることによって、いまでもほの見えておるようなものもありますけれども、だんだんと金融動向というものがまあまあそれによって流れが起こってくる、これを私はいま見守っておるところでございますが、その段階においてしかるべき機会に慎重にそれは考えてまいりまして、いろんな二の手、三の手というものがあるいは出てくるかもしれませんし、要するにいまのところはひとつしばらくの間は見守らせていただきたい、かように考えます。
  101. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵大臣、それは外務省の情報文化局が出したのですが、西ドイツのアーペル蔵相の財政演説、それはあなたも読まれていると思うのです。その中で財政健全化の問題に触れまして、「いたずらな借入れ」——これは国の国債等を通ずる借り入れです。これは「金利を引上げ民間投資意欲を減殺する。また金利が上昇すれば、外貨が流入し不自然なマルク上昇となって景気政策上好ましくない。通貨の強い国は世界景気のために切上げを行うべきだとの意見があるが、切上げは景気政策の手段ではなく、引下げ通貨国のインフレの危険を強めるのみである」というような内容の演説をしているわけですね。     〔小泉委員長代理退席、委員長着席〕 それに引き続いて、西ドイツの「景気刺激のための財政の利用は、既に他の国よりも多く行われており、また限度にきている。」こういうようなことで、信用調達度は七六年連邦の一六%と同じレベルの調達をやっているのだということの中から西ドイツのアーペル蔵相は演説をしている。  いま国債の発行者利回りというのが八・二二七%だ。こういうような状態の中で、それに対する財政支出がまた非常に高い。そういうような高い長期金利の形で発行をするということになれば、それだけ他の金利を押し上げていく、引っ張る可能性があるということは、それはもう相対的な問題でございますから、そういう中で一体福田内閣は、また坊大蔵大臣は、どういう財政経済政策というものを持っているのか。その持っておるがゆえにこそあなたが発議をして、そしてねらいを定めて、これからの運用というものはこういうふうにやっていくのだという方向性を国会の前で明らかにしないで、成り行きを見守っていきたいとか、そういう逃げ答弁に終始するということは、あなたの主体性がないことではありませんか。また、福田内閣の政治姿勢が、いかにも片一方においては預金者におもねるがごとく、片一方においては、事実上東京の証券市場の一部に上場されているそういうような大会社が四千億円近くの金利負担の軽減があらわれてくるということが報道されている、そういうようなものに顔を向けているような、そういう姿勢しか受け取れないではありませんか。  そこで、あなたがどういう財政政策というものをおやりになるのか、私たちはそこを確認をした上で今度の特例債の問題についても論議をしていかなければならぬと考えておるから、あなたの見通し——あなたがその発議をされない前であるならば私は言いません。しかし、発議をされた以上は、あなたとしては将来の見通しというものを持たないで発議をされるはずはないのですから、その点を明らかにしておいていただきたい。
  102. 坊秀男

    坊国務大臣 私が発議をいたしました。実は私の発議によりまして、預金金利が大きく下がってくるというようなこと、それから貸出金利も下がってくるというような大きな動きがありますれば、それが今度の国債発行条件を変更をするような大きなファクターの一つにはなろうと思いますけれども、いまそれによって村山さんのおっしゃるとおりいつこれをどうするというようなことは今日のところ私は考えておりません。
  103. 村山喜一

    村山(喜)委員 煮え切らないところがあなたのいいところであり、あなたの欠陥でもあるのでしょうが、その問題は時間がありませんから追及しません。  第二点です。国債と地方債の関係です。国債は利付債十年ものと割引債五年もの、そして四条国債と特例債。分類の仕方によって違いますが、そういうような形の中で十年ものの四条国債の場合にはこれは借りかえでいくわけですね。そうして六十年で耐用年数というものを頭の中において、これは建設投資に使われるのだからということで金融機関に持たされた、そういうふうに四条国債は使われていく、こういう形になっている。ところが地方債は意味が違うのでしょうか。地方債というのも耐用年数というものを基礎にしてその発行の期限とか条件とかいうものが決まっているものだと私は思うのです。となった場合には、地方債にはいろいろな種類がありますね、国債の場合には二通りしかない、そういうような形の中で一体国債と地方債との関連はどういうふうに財政当局は考えながら処理をしているのかということについて、その関連の上において何らかの方向づけがあるとするならば説明を願いたい。
  104. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 御指摘のように国債の償還年限の基礎になります耐用年数、国は六十年、それから地方債の方は同じ公共施設に対しまして三十年という差がございます。これは明らかに確かに同じものをつかまえてどうだという形になるのでございますが、かなり沿革的なもので当時恐らく地方財政の非常に潤沢であった時代にそれぞれの公共事業に対しまして地方自治団体が考えました個別ないろいろな非常に細かい決め方をしておりますが、そういうものの積み上げの結果そういうふうに三年から三十年というふうな細かい決め方をいたしております。国の場合にはかなりそれが大きく六十年ということで決められておりまして、違いがあるといえばまさにそのとおりでございますが、私どももこの点につきましてはいろいろな角度から研究をいたしてみたいというように考えております。
  105. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は政府資金の中で地方債の償還期限というものの種類別のものを調べてみたのです。そうしたら償還期限が二十五年以内、その中に庁舎とかあるいは学校建築、コンクリートの営造物ですね。こういうようなものは二十五年以内となっているのですよ。そうすると国債の場合には建設公債対象のそういう公共事業というのは六十年です。もちろん年限が違うことは財政の健全化という点から言えば耐用年数の範囲内ぎりぎりいっぱい公債発行して金利を払うような財政運営というのはきわめて不健全であります。そういうような意味においては、地方財政は少なくともその程度は考えてあげなければならぬという配慮であるならば、国の方も十年借りかえで六十年も発行していかなければならないような国債の計画というものはやはり再検討されるべきだ。十年もの、五年もの、そういうような形の中でいま非常に品が、種類が薄いわけであります。そういうような問題についてはいま理財局長は研究してみたいとおっしゃるからそれでいいのですが、大蔵大臣いかがでございますか。
  106. 坊秀男

    坊国務大臣 地方債と国債でございましょうが、地方債の場合は地方債を財源としてつくる施設、その施設のおおむね耐用年数ということを考えておるのではないか、国債の場合には非常に広いいろいろなものがございますが、それを一々個別に耐用年数を考えていく、これは私の素人考えですがそういうことはなかなか数が多くて、そこで画一的な耐用年数というようなことに考えておるのではないか、地方債の場合には非常に対象というものについて考えておるのではないか、こう考えますが、これは私の素人考えでございますから専門家にまたお答えをいたさせます。
  107. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣もう少し勉強しておいていただきたいのですよ。それは「耐用年数関係法規集」というものを国税庁で出しているが、国も地方もその耐用年数の範囲内において公債発行するということになっておるわけです。だからその耐用年数という問題だけをとらえて論議をするとするならば国債だって地方債だって同じではありませんか。だけれども財政の節度という問題を考えていけば、健全性という問題を考えていけば、それは耐用年数の範囲内で短いにこしたことはないのですから。そういうような問題から、片一方においては六十年だ、片一方においては二十五年以内だ、同じ営造物が違う、そういうようなとらえ方という問題は研究を要する問題がありますということで指摘をしておきます。  そこで第三点です。一般会計と財政投融資の関係です。大臣御承知だと思いますが、外国の例を私も調べてみました。ところが外国の場合には、日本のような、国家が財政投融資資金としてかき集めてそして一つ政策目的のためにそれを使っていく、こういうような制度というものは余りございません。御存じですか。諸外国には日本のような例があるのか。一般会計を私が調べたところでは一般会計を通じて行うのが原則だ、こういうことになっているのです。そうなると私たちはこの国債発行特例債の発行目的というものは一体何かという問題を考える場合には、単に一般会計だけを論ずるのではなくて財政投融資計画の問題からあるいはその他の特別会計やあるいは特殊法人、そういうようなものの使途の問題にまで関連をしながらやはり洗い直して論議をする必要がある、見直しをやる必要があるというふうに私は考えるのですが、大臣はそれらについてはどういうふうにお考えになりますか。
  108. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 諸外国の場合日本財政投融資と全く同じものはないわけでございますけれどもいろいろなやり方をやっておるわけでございます。日本の場合で申せば、一般会計の場合には税金の金で借金を償却する、財政投融資の方のたとえば政保債の場合には自償性のある事業をやって料金収入とかそういう収入で償却する、そういうことでございますから、特例法というのはあくまでも税金で償却するわけでございますから、政保債の場合と同じように考えることはいかがであろうかというふうに思います。
  109. 村山喜一

    村山(喜)委員 外国の例は、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア、これだけの資料を私はここに持っております。それで、日本のようにとにかくほとんど国家が統一的に運用をしているというようなのは例がございません。したがいまして、それは一部分的にはいま主計局次長が言われましたような内容が確かにありますよ。しかしながら、財政運営に当たりましては、一般会計だけではなく、特別会計からあるいは財政投融資から、すべての問題をにらんだそういうような考え方、いわゆる連結財務決算的な手法というものを新たに考えていくという方向が私は正しいのではないだろうかと思うんですが、その方向性というものをどういうふうにお考えになりますか。
  110. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 幾つかの問題点があると思うんです。一番各国共通でやっておりますのは、御承知のような国民経済計算ベースの公共部門活動をとらえた考え方があるわけでございます。それから、わが国の場合には、一般会計と特別会計につきまして財政法の二十八条書類として国会にお出ししておりますが、純計という感覚があります。  いま御指摘の点は、一般会計、特別会計以外に、財政投融資までコンバインした連結貸借対照表あるいは損益計算書、損益の場合には一般会計でございませんのであれでございますが、そういうようなものはどうであるかという御指摘かと思いますが、一般会計の場合、財政法の二条に書いてございますが、歳入というのは国の各般の需要を賄うための財源としての現金の収入をいう、歳出の場合にはその現金の支払いをいうという規定がございます。そういうふうに、一般会計と特別会計の数字につきまして質的に共通性を持っておるわけでございます。会計の仕組みが歳入、歳出という構成をとっておるわけでございます。それから、財政投融資の場合には一般会計の歳入、歳出というような観点と計数の質が違う。要するに、金融取引のようなものが非常に多くなっておるわけでございます。それから、会計の仕組みも事業計画とか資金計画とかいう方にウエートがあるわけでございます。こういうようなものを一体どうやってコンソリデートあるいはコンバインできるか、またはそういうことによる目的は何であるかというようなことを考えますと、経済政策的な角度からは、国民経済計算のような観点の統合の方が機能的に有効性が高いのではないだろうか。  それから、国の活動を、借金の度合いがどうであるかとか、そういうような観点からごらんになろうという問題意識かと思うのでございますが、そういう問題意識は確かに非常に重要だと思うんです。しかしながら、いま申しましたような数字の質の違い、会計の仕組みの質的な差、そういうようなものを乗り越えて、どうやって統一的な基準でそれがコンバインできるのであろうかというような問題があるのではなかろうか。ただ、われわれといたしましてもそういうような問題意識を持ちまして検討はしなければならないというふうに考えております。
  111. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がありませんので、私はこの際大臣に申し上げておきたいんですよ。というのは財政運営の問題なんですが、一般会計が悪化していく。そうなると、それが他の会計、関係機関のそういうような収支じりの上に影響があらわれてくる。それで今度は特別会計の借り入れが増大をする。そういうような形の中で悪化していくわけですね。というのは、地方公共団体の場合に、たとえば東京都の場合には一般会計ではこれはたしか五百億円の赤字だ、ところが特別会計、企業会計の方に千五百億赤字が出ているわけですね。大阪だってそうです。大阪は一般会計では六十億の赤字だけれども企業会計の方には一千億の赤字が出ている。そういうように連動性があるわけです。そういうような連動性のある問題を、やはり連結財務決算的な手法というもので問題をもう一回とらえ直してみる。私はこのことは、最近は決算の企業会計の中で、そういうような連結財務諸表的なもので証券市場等の企業の実態というものが把握できるようにしなさいということを指導しているわけですから、財政という問題も、確かに、いま加藤次長が言われたように、現金会計とかあるいは企業会計というような形の中で表現の方式が違っておりますから、そういうような面では、会計方式の基本的な差異がありますので、それをにわかに統一はなかなかできないだろうとは思いますけれども、しかしそういうような面も含めて、こういうような財政運営という問題はもう一回洗い直してみる必要があるのではないかということを申し上げているわけですが、大臣いかがですか。
  112. 坊秀男

    坊国務大臣 御意見は大変傾聴いたしております。傾聴いたしておりますが、それを実施していくということにつきましては、なかなかいろいろな困難が伴うと思います。だから、非常に貴重なる御意見として承らしていただきます。
  113. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間の関係一つはもうはしょらざるを得ませんが、公社債の売買の問題で、先般われわれも証券市場を見に参りまして、登録国債が取引市場では売買できないような形が現実に出ておりますから、店頭取引が大多数を占めているという実情もわかりました。そこで、公社債市場をどのように育成をするのかという問題がこれから最大の課題だと私は思っておりますので、そういうふうに言いますと、大蔵大臣は、いやそれは発行条件の弾力化だ、こういうように答えられるかもしれませんが、果たしてそれだけで公社債市場の育成という問題ができるだろうか、そういう問題を私はこの際検討をし直す必要があると思うのですが、大臣はどの程度お考えになっているのか。  たとえば発行条件の問題があります。流通市場の問題があります。管理体制の問題があります。償還財源の問題があります。そういうような中において、換金市場の問題あるいは金融担保市場の問題、そのような中から銀行等の金融機関の現在抱えている国債をどういうふうに処理していくのか、個人投資家分をどういうふうに対応していくのか、機関投資家はどういうようなところで取引をやっていくようにすればいいのか、そういうような問題をやはりきちっとして、公社債市場をこういう方向に育成をしてまいりますという答えがはね返ってこなければ、ただ発行条件の弾力化をやるとか、あるいはいま流通市場は非常に好調でございますとかいうような答弁だけでは、私たちは理解ができない。今後の方向性というものだけでもせめてこの際示しておいていただきたい。どうですか。
  114. 坊秀男

    坊国務大臣 いろいろお答え申そうと思ったことを先に言われてしまっておりますけれども、要するに、私は、これだけ多量の公債発行しなければならない、するということになりました以上は、やはり公社債市場というものが発行者からもそれから応募者からも、売り手からも買い手からも信用をしてもらえるような市場というもの、これを整備していくということが一番大事なことだと思います。そういったようなことを具体的にどうしていくかというようなことにつきましては政府委員からお答えさせます。
  115. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 公社債市場というものはもう十年も二十年も前から育成しなければいかぬということを言われながら今日まで来ておるわけでございまして、いま先生の御指摘のような具体的にはいろいろな問題が……(「毎年毎年証券局長がかわっていたらできるわけないよ」と呼ぶ者あり)結局そういう環境はございますが、実は私どもとしましては、公社債市場の育成ということはあらゆる角度からいろいろな条件が徐々に育っていくことが必要であろう。いま先生の御指摘のようないわゆる魅力ある債券というものが登場してくることも必要でございましょう。それから従来の直接金融、間接金融の問題が、むしろ直接金融の方向がもっと発達してくるような環境が本当はいままでにも必要であったかと思いますが、そういうものが大体醸成されつつありまして、幸か不幸か大量な国債を発行あるいは公共債の大量な発行を契機といたしまして、いわゆる債券市場というものが急速に膨張し、かつ育っております。したがいまして、そういう環境の中では条件をかなり弾力的に持っていくというような必要性がさらに認識されておりますし、そういう市場が出てまいりますと、資金もまた集まってくるということで、結局だんだんといろいろな問題が育ってくるわけでございますから、私どもは、これから公社債市場は育成するということじゃなくて自然に育っていくような方向にあると考えております。ただ、今回のような長期金利の改定というような問題を背景といたしまして、さらに私どもは、市場の育成のためのいろいろな条件というものを分析しながら育てていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  116. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わりますが、どうも対応の仕方が国債の発行量が小さなころの状態の中からまだ抜け切れない、そういうように私は印象的に受けるのです。現先市場の中で個人の売買、個人の投資家が参加できないというような状態の指導もなされているわけですから、公定歩合引き下げ、預貯金金利引き下げによって個人の預貯金者がそれだけ利益を失う。その場合にどこで利益を回復するかという門戸は閉じておいて、そしてそれらの利益を保障する機関は考えないというようなのがいまの状態としてわれわれには受けとめられるわけです。そういうような状態の中では公社債市場を育成をする、それは弾力化だ。弾力化だけで問題の処理ができない時代に入ってきているのですから、やはり将来の展望を含めてもう少しこういうように公社債市場は整備していきますという方向性のものを、この際、大型の国債を発行して三年間も発行し続けていくのですから考えなければならない。そういうような問題をさらに深く研究をされまして、本委員会にまた他日提出されることを要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  117. 小渕恵三

    小渕委員長 山田耻目君。
  118. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 総理御苦労でございます。財政特例法の審議を本委員会で始めまして、これで五回目になります。いつも、だんだん総括に近づいてまいりますと、総理においでをいただいて最終的な決意、決断なり方向性を伺って終局をする、こういうのが本委員会のならわしでございます。  大分終局に近づいてきまして、きょう総理をお呼びしたわけですが、相も変わらず膨大な特例公債発行でございまして、論議する内容というものも余り大きな変化もございません。どうしたら一日も早く特例公債発行をしなくて済む日本財政状態に置くことができるのか、こういうことが本委員会の非常に重要な課題になってきておるわけです。そういう意味から、きわめて短時間ではございますが、総理に二、三お伺いをしたいと思います。  昨日公定歩合一%引き下げということが決まりました。三月十二日に〇・五%の引き下げをいたしまして、一カ月ちょっと出た程度で追っかけ大幅一%の引き下げということになったわけです。まさに四十日以内で一・五%というかつてない大幅な引き下げに入ったわけでございますが、この公定歩合のこうした大幅な引き下げ日本経済景気浮揚に対して一体どういう効果を及ぼしてくるのか、この点について総理の見解を述べていただきたいと思います。
  119. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、ことしは経済の年だ、こういうことを言っておるわけです。これはなぜかと申しますと、一つは国内の景気が総体としては世界の中でも優秀な動きだ、こういうふうに評価されておるのです。ところが、昨年の夏以降景気が停滞状態に入りまして、これをほっておきますと、これはちょっとどうも非常に無活力な社会状態を出現させやしないか、こういうことを心配いたしまして、何とかこのてこ入れをしたい、こういうふうに考え、そのてこ入れの手段としますと財政金融ということになります。  財政では、御承知のとおり公共事業を中心とする財政需要の喚起、これを考えたわけです。それから金融面、これもまたこれと並行して協力させなければいかぬ、こういうふうに考えてきたわけですが、一昨日から五十二年度予算が施行になった。いよいよこの予算の実施という段階に入る。そうしますと、この予算をどういうふうに使っていくか。予算につきましては、かねてから十兆円の額に及ぶ公共事業の七割を上半年に施行する、こういうことを申し上げておりましたが、なおしさいに検討いたしまして、その七割、つまり七兆円の公共事業費、そのまた七割方を四—六、つまはり第一・四半期に使うことにしたいというふうに考えて、その準備をしておったのです。  そこで、けさの閣議におきましてそのことを決め、またそれを確保するために公共事業実施推進本部を設置し、毎月毎月各省の状態を点検してこれを閣議に報告する、こういうふうにした。同時に金融の面におきましては、これはやはり量的な面におきまして、そう問題はないのです。ところが、その金利の面におきまして企業負担、とにかく三年続きの不況でございますから、企業経営が悪化しておる。この負担を軽減するという必要を認めまして、それをねらいといたしまして先に〇・五%、それから今回は一%、合わせると一・五%の公定歩合引き下げを行い、また今回の一%の引き下げに対しましては、連動して預金金利引き下げる、こういうふうにいたしましてそのねらうところを実現したい、こういうふうに考えたわけでありまして、大体この両翼の手段をとりますれば、まあ私は、日本経済も停滞を脱して活況を呈してくる、こういう見解です。
  120. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 十六日に本年度予算が決まりまして、その予算説明の中であなたは、公共事業投資を上期で七割程度行うことによって景気の刺激は生まれてきて浮揚ができる、そしてそれで経済の六・七%の実質成長が遂げられていく、と確信を持たれた予算委員会での御説明でございます。しかしいまの経済見通しから見ますと、現在の公共事業の投資だけではどうにもならなくなってきた、それほどかなり冷え込んできておる。そこで金利と連動をさせる公定歩合、あなたが金利引き下げるということを決意なさいましたことを受けて、日銀は思い切った公定歩合引き下げに入った、こういうことを新聞は報道しているわけです。金利と連動させてやるということは、企業金利負担を軽減をしてやりたい、いろいろな倒産が多く起こっておりますけれども、だんだん大企業の倒産に波及する可能性もある、何とかしてこれを防ぎとめたいということの目的も兼ね備えておやりになったものだと私は思います。だから新聞で伝えておるのを見ますと、東京証券の一部上場で八百十二社、四千八十九億の金利減税を受ける、こういうふうに報道いたしております。  こういうふうに考えてまいりますと、今回の公定歩合引き下げ金利に連動しておるこのやり方というものは、いまの不況克服の片面を担っておるとおっしゃいましたけれども、言われておるようなこの公定歩合引き下げ金利連動というものが設備投資にどう影響を与えてくるのか、そこらについてはどうお考えでございますか。
  121. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 貸出金利が下がる、そうすると企業金利負担がそれだけ軽減する、こういうことになりますから、これは若干設備意欲をそそる要素になってくる、こういうふうに思います。ただ私は、主力はやはり公共事業、そこで物の需要が喚起される。そうしますと設備投資というような意欲が起こってくる、こういうことで、金融金利の問題は補完的な役割りということになってくるんじゃないか。しかし補完的役割りにいたしましても、金利負担が軽くなる、こういうことでありますから、これは設備投資意欲を刺激するという上にかなりの効果は持つ、こういうふうな見解です。
  122. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 こういう説も、このことを契機に出ておるのですが、企業金利の負担を引き下げ企業メリットを強めてみても、それは設備投資の充足にははね返ってこない。金利が高かろうと安かろうと物が売れれば設備投資をする、物が売れないときには金利を下げてみたって設備投資をしない、こういう説がここ一両日急に出始めておりますね。だから景気浮揚対策として今回の公定歩合引き下げ金利連動というものは、そのことの見通しはむずかしい。実際の企業の操業度、いま六〇%から七五%に入っておりますが、この企業の操業度を強める方法は一体何なのか、そのこととどう関連があるのだろうか、こういうことがしきりに問われているのですけれども、国民もそのことを心配しておりますが、その点については総理、一体どうお考えでございますか。
  123. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 いま日本企業は、まだ望ましい操業度に達しないのです。私はそう見ておる。製造業の稼働率指数から言いましても八六%だ、こういうことですね。それはどのくらいかというと、実際の操業率からすると七七、八%だ、こういう状態です。しかし今度の公共事業を執行するということになると、これが年間には大体望ましい水準と言われるところの、製造業企業稼働率指数でいいますと九三、四%にはなるだろう、こういうふうに言われておるのですよ。そうすると望ましい水準。今日この時点とすると、これは設備がまだ過剰である、つまりデフレギャップというものがあるわけですが、しかしそれにもかかわらず企業経済活動は五十一年で言うと五・六、七%の速度で上がっている。上がっておりますけれども、水面下の上昇なんです。その水面下の上昇状態というのは三年続いているわけですから、全体とすると企業活動は活発になるけれども一つ一つ企業の収益状態というものは、余分の設備を抱えておるその金利負担という問題があるわけです。それから余分の労働力を抱えておるという人件費負担、こういう問題がある。なかなか苦しいのです、これは。私はやはり稼働率を上げなければならぬ、こういうふうに考えておるのですよ。その上には、一番有効な手段は公共事業だ、こういうふうに考えて、公共事業を中心とする予算を編成するということにしたわけでありますが、しかしその企業の経営内容、水面下で経営内容が悪化してきた、しかも長い三年余りのそういう状態ですから、その累積というもので企業金利負担も相当になっておる。それを軽減し、企業に明るい気持ちを与えるという上には、私は金利問題というものはかなりの軽減効果を持つであろう、こういうふうに思いますが、やはり主体は公共事業、この予算の執行だ、補助的な意味において金融政策だというふうに現在ではとらえるべきものである、こういう認識でございます。
  124. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 景気浮揚策として今度の公定歩合引き下げ、それそのものには余り効果は期待できない、ただ金利を連動させたので企業金利負担を軽減するというメリットはある、こういう程度のながめ方ですけれども、今度は大変なんです。裏側から見ると、国民はなかなか同意をしないと思うのです。いわゆる預金金利目減り、大衆の零細預金というものに対する目減りが、昭和五十一年で九・二%という物価上昇にもはるかに及ばない金利であるのになお連動させて長期金利は一%も引き下げられる、こういう不満は非常に強いのです。これに対するコンセンサスを得るような積極的な努力、これは実勢金利等を含め、金利自由化等を含めて、少なくとも目標を定めて国民に安心感を与えるような政策の解明というものを、ひとつ最も近い時期に与えていただきたいものだなと私は思っています。ただ現実の一般国民大衆のメリットとして、新聞をにぎわしております、長期プライムレートに合わせまして住宅ローンの問題を非常に関心を持って見ているのです。長期プライムレートを〇・五%程度引き下げなさるのは確実であろう、そういたしますと住宅ローンにはね返ってくるのは、十一年から二十年の長期もので〇・三六から〇・四八%くらい金利引き下げられる。これは住宅を建てようとする一般零細の国民にとっては一つの福音です。  ところが、ここで問題が出てきますのは既契約の部分です。すでに家を建てて今日住宅ローンの支払いをしている人々、この古い人たち金利はどうするのか。なぜ下げてくれないのか。  たとえば企業金利引き下げるのに、長、中、短期を含めて引き下げていく。それが東京証券の第一部上場にあっては、申し上げたように八百十二社、四千八十九億の金利が軽減される。これはそうした企業にとっては大変利益になる。片一面の表を見ますと、たとえば大変借り入れの多い三菱油化は二千十四億借り入れがあって、年間売り上げの七二・六%に相当しておる。あるいは昭和電工は千三百一億の借り入れで、それは年間売り上げの六〇・七%に相当する。こういうところは今回の金利連動で引き下げられて、金利の削減による大変な利益を受けます。  ところが、住宅ローンで契約をしてすでに家を建てた者は、依然として高い金利を払っていかなければならない。長期プライムレートが九・二%ですから、少なくともこれを引き下げればこれに連動させてめんどうを見てあげるということは、これからの新契約だけでなくて、既契約分までさかのぼっていただきたい。国民の声は今日、労働省より強く働きかけています。金利引き下げをなさるのなら、そういう差別のない扱いをしていただきたいという声が強いのですけれども、総理、いかがお考えでございますか。
  125. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私はまだその問題を精細に検討しておりませんけれども、その問題は特約のあるものにつきましては片づくのじゃないか、こういうふうに思いますが、民間の金融機関のやっているローン、これは恐らくそういう特約みたいなものがないのじゃないかと思うのです。特約がない、そういうものにつきましては、これは二十年なんというような長期の融資契約ですから、その二十年の間に金利水準が上がったり下がったり、上がったり下がったりする。その上がり下がりに対しまして、その都度下げる場合もある、あるいは上げる場合もあるということにするのがいいのか、あるいはずっと同じ利率でいくのがいいのか、こういうような関係になってくるのじゃないか、こう思いますが、とにかくいま公定歩合五%という非常に低い水準になってきた、そういうことでありますので、これから先々も多少展望してみなければなりませんけれども、これは前向きでよく検討してみたい、こういうふうに考えます。
  126. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 福田さんは経済は私に任してくれと言われる。国民はある意味では、経済の面では恐らく、いまの閣僚中総理のあなたを一番信頼していると思うのですよ。そのあなたがいまみたいに、公定歩合に連動させて金利引き下げる、ただ、残っておるこの長期住宅ローンだけは市中銀行の扱い分で特約がないからということだけで放置をなさるということでは、少し国民の期待を裏切る。片一方でその人の預金金利はどんどん目減りが起こってくるのですから、やはりそうしたことの連動をさせてその人たちの不利益が増大しないようにあなたは真剣に検討なさって、いま前向きだとおっしゃいましたが、私は少なくとも既契約者が期待を持てるようにここで一言物をおっしゃっていただくことが——こういう余りない大幅な公定歩合引き下げ金利を連動させた時期ですから、私は期待の持てるようなあなたの見解をお述べいただきたいということをお願いして、もう一度お伺いいたします。
  127. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 ごもっともなお話なんで、しかし今度の公定歩合引き下げというのはいろいろ相当検討しておったので、余り細かいところまで詰めておらないのです。そういうようなこともありまして、住宅ローンのことはまだ結論を得ておりませんけれども、先ほど申し上げましたようにこれは前向きで検討してみます。
  128. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、前向きの検討ということについては、あなた大蔵大臣を長くなさっていまして、私もずっと一緒にこの委員会にいたので、その間、あなたが前向きで検討するとおっしゃったことはほぼ実現をなさいました、私はその意味では非常に信頼をしておるのです。今回もこういう時期に、国民が大変注視をしておるこの問題については、あなたのいまの前向きは、必ず実現できる前向きとして私は受け取ります。どうかひとつ国民生活のことも考えてやって、十二分な配慮をお示しをいただきたい。くどいようですがもう一遍あなたの決意をひとつ国民にお知らせをいただきたいと思います。
  129. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 ほぼそのような方向でいろいろ検討してみたい、かように考えます。
  130. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 では終わりますが、そういう方向で御検討いただくようですから、よろしくお願いいたします。
  131. 小渕恵三

    小渕委員長 林大幹君。
  132. 林大幹

    ○林(大)委員 総理、非常に時間がお忙しいところありがとうございます。私は二つほど、私の与えられた時間の中でお伺いしたいと思うのです。  その一つは、実は公債発行そのものについてなんです。昭和四十一年に、当時大蔵大臣でありました総理が、戦後初めて公債発行に踏み切りました。これは私は、その時点で非常に偉大な力を発揮したといまでも敬意を表しておるのであります。  ただ、いかなるよい政策でも、時代を超えて一〇〇%必ずよいということが続くことはないと思うのです。たとえば、例はおかしいのですが、DDTのごときは、一時期、全世界を風擁したわけであります。しかもあのDDTを発明したポール・ミューラーは、そのためにノーベル平和賞までもらっているというものであったのが、いまは使用禁止になっているというような現実でございます。  私は公債政策も、DDTと同じように使用禁止になるというように解釈しておりませんけれども、しかし、今度政府が出しております財政収支の試算を見ましても、いま非常に大切な時期に到達しているということがうかがわれるわけでありまして、こういう中で根本的にこの問題を検討していかなければならぬわけであります。この公債政策そのものについての総理の基本的なお考えをまずお伺いしたいと思うのでございます。
  133. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 公債につきましては、私は公債性悪説はとらないのです。財政運営上、公債は非常に有効な手段として考えることができる。たとえば景気が非常に停滞している際には、さあ税金は取れない、しかし浮揚させなければならぬというと、財政需要ということをてこに使わなければならぬ。その際にはやはり公債ですよ。しかし、公債政策というのは非常なメリットを持っておりますけれども、これはまた使いようによっては両刃の剣でありまして、大変な害毒を流すということもあるわけでございますが、公債政策につきましては、ですからこれを節度ある公債政策ということにしなければならぬというのが私の基本的な考え方であります。  今日この時点公債発行高は非常に多くなりまして、しかも財政法のらちを越えた建設公債以外の特例公債発行しなければならぬ、こういうふうになってきて、しかもこれがそう簡単な解決は望めない、こういうような状態で、このような状態が長続きしますとこれは日本社会自体の根底にかかわってくる、こういうふうに思いますので、この両三年の間にぜひともこの特例公債による財政運営、この状態だけは、これをなくするということに努力しなければならぬ。それにはやはり一方において歳出ですね、これにメスを入れなければならぬ。また他方において、これが主力になるわけでありますが、新しい租税負担、こういうこともまた考えなければならぬ、こういうふうに考えております。
  134. 林大幹

    ○林(大)委員 特例公債発行する場合には、必ずこの返還についての政府の確実な見通しとその決意が必要であるわけでございますけれども、私は、実はそのためにはここで政府は勇断をもって、日本企業を育てる、企業に活力を与えるということに大きく踏み出していただいてもいいのじゃないかと思うのであります。と申しますのは、多額の公債発行はインフレを誘発するおそれがあるというようなことをいろいろ懸念されますけれども、もちろんそういう懸念も大事でありますが、私はむしろ、これが年を追って累積される場合にい借金の累積が非常に大きな圧力になってきておるということの方がもっと心配になるのじゃないかということを考えておるのでありまして、いまの日本の現状は一億総借金時代ではないかとすら見てもいいのじゃないかというぐらいに私は現状を認識しておるのであります。  たとえば、国にいたしましても、どうしても財政需要を起こすためには、これは国庫から支出する、しかもその国庫の支出に見合う分の中でどうしても足りない分を借金によって補っていくということで、その度合いが、ちょっとこれは私大蔵省の方で調べてもらったのでありますけれども昭和四十五年度に約三千五百億円であった建設国債が、その後、次には一兆二千億を超えるし、さらに四十七年には約二兆円近くなっておる。さらに、四十八年、四十七年は大体同じくらいの額でありますけれども、五十年になりますと五兆三千億を超える、急激にふえておりますね。五十一年はまだもちろん五月三十一日まで特例公債の期限がありますから、はっきりした数字はまだわからないかもしれませんけれども、それでも約七兆数千億だろうと思いますが、ことしはまた八兆四千八百億というように、この二、三年急激にこれが増加しておる現状でございます。しかし、それによって財政需要をつくっているのでありますので、これはもちろんいま総理おっしゃいましたように決して性悪ではないということでございます。これは私も十分理解できるのでありますが、国がそのような形でいま借金に追われておるということであるが、しかし国自体は、率直に言って国民の力によらなければこれを返せないというのが現実だろうと思うのです。  そこで、どうしても私は企業に力を与えなければいけないのじゃないかと思うのでありますが、その企業が、実は日本企業は御承知のように借金経営でございまして、自己資本の比率は一三・九%、借入金の比率が八六・一%という非常に大きな借り入れの比率にあえいでいるわけでございます。しかも、内国普通法人と言われるものを見てみますと、中小企業から大企業まで約百二十一万一千社の中で、欠損法人になっておるものが昭和五十年度で約五十二万社を超えております。そうすると、この比率は四二・九%に及んでおる。このことを、四十八年度の欠損法人三二・一%、四十九年度の欠損法人三二・五%から比べますと、もう非常に大きな伸びを、悪いことでありますけれども、示しておるという状態でございます。そこでこれは、昭和二十六年以降、五十年度のこの欠損法人の大きさというのは最高であるということであります。これは、日本経済全体から見れば景気は徐々に回復基調をたどっておりましても、個々の企業は大変な負債にあえいでおるというのが現実じゃないかと私は思うのです。  それからまた個人を考えてますと、私は総理府統計局の五十一年の貯蓄動向調査というものを目を通しまして、これは日本の調査かなと実は疑ったのですが、日本の調査で間違いないようですけれども、世帯の単純平均が三百十五万という貯蓄だそうでありますが、私など自分の財布から比べますと、これはずいぶん、私の財布なんかの何倍も貯蓄しているんだなと思っておったのであります。しかし、単純の貯蓄はそうであっても、むしろローンによるところの長期の負債、目に見えない負債を相当抱えておるのじゃないか。特に家電にしてもテレビにしても自動車にしても、住居や宅地にしましても、いまほとんどローンが利用できる。しかもこの住居、宅地のローンは、昭和四十年から五十年までの十年間で百三倍の利用率になっている。こういうことは、やはり個人に対しても相当な圧迫になっておる。したがって、一億総借金時代ではないか、私はそういうように認識したのでありますが、これから脱出しない限り、私は、日本経済は借金の重みで沈没しやしないかというような見方が正しいかどうかわかりませんが、そんなふうに見ておったのであります。  そこで、国債を償還し、計画を達成するためには、どうしてもこの沈没を回避して、そうして企業に活力を与えるということをやるべきじゃないか。しかも、そうするためにはもちろん個人の消費支出を増大さしたり、民間の設備投資を増大さしたり、貿易を伸ばしたりしなければならぬでしょうけれども、御承知のように石油ショック以来節約型になっていますし、設備投資も御案内のようにそうできない状態になっています。そうすると、総理がおっしゃるように公共事業によって需要をふやすということでありますので、そういう意味で、五十二年度予算の組み方について私は大変敬意を表しておるわけでありますが、しかしそれだけでは、この企業に活力を与えるということには十分じゃないと思うのです。  そこで、今度日銀公定歩合を一%下げまして、それに政府もほかの預金金利あるいは貸出金利も連動させるという考えでございますけれども、これは私は大賛成なんでありまして、一日も早くこうあるべきであったと念願しておったのでありますが、それについて、今後これを踏まえて資源有限時代の企業を育てるためには低金利時代に入ると解釈していいのかどうか、その点を総理にお教え願いたいのでございます。
  135. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 これから国債が多量に出ていくという状態考えますと、やはり金利水準というものは低目にしておく必要があると思うのです。国債を魅力あるものにしておく、そして金融機関にいたしましても個人にいたしましても、そういう魅力のある国債を消化するという気持ちになるような状態に置かぬと、これは国債でインフレが起こってくるというような状態、国債の不消化、こういうような状態にもなる。そのようなことを考えましても、この五%公定歩合というのがずっと続くというふうには考えませんけれども、どうしても政策誘導の方向としては金利の低い状態というものを考えながらやっていくべきであるし、やっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  136. 林大幹

    ○林(大)委員 終わります。
  137. 小渕恵三

    小渕委員長 宮地正介君。
  138. 宮地正介

    ○宮地委員 大変お疲れのところ、続いて質問させていただきます。  先ほど来からるるお話がありました公定歩合の昨日からの一%再引き下げ、私たち国民から見まして一番心配するのは——景気を浮揚するための大義名分、これは非常に大事な問題でございます。しかし、今回は預貯金金利引き下げという連動が行われる、こういうことで大蔵、郵政当局もすでに事務的にその手続が進んでいると聞いております。  総理も御存じのように、庶民のはかない望みでございます郵便貯金は約三十兆円あると言われております。その金利引き下げられる、また銀行預金金利、特に一年ものの定期が一%引き下げられる。現在、サラリーマン家庭の平均貯蓄、約三百十五万円と言われております。そういう方々が今回の措置によりまして、たとえば一年ものの定期でいままでは約二十一万二千六百二十五円、それが十八万一千百二十五円になるわけで、実質的には三万一千五百円減るわけでございます。そうしてさらに、今回保革伯仲という衆議院の情勢の中におきまして、国民の期待によりまして三千億円という戻し税の減税が追加されまして、夫婦子供二人の四人家族は何とかこの夏ごろまでに一万五千円程度返ってくる。いまだかつてない政治に対するある意味の国民の希望といいますか、信頼といいますか、何とか与野党が土俵の上で話し合えるといいますか、本当に国民の声を聞けるようなそういう情勢が国会にでき上がってきておる。そういうようなことででき上がった戻し税、ところが今回のこういう措置で何か吹っ飛んでしまったというような感じを率直に国民の方々は——今回の措置は、そういう国民の心を本当に総理は知ってくれているのだろうか。明らかに参議院選挙を意識したり、あるいは一部の財界といいますか、やはり産業優先の立場に総理がいるのではないか、国民は、ある意味では預貯金金利の連動ということに対して大変な失望を抱いているのではないかと思います。  先ほどは大蔵大臣から、景気をよくすればそんなものは何とかなるじゃないかというようなニュアンスのお話しでございました。総理として、国民の皆さんに対する実質的な目減りの対応策をどういうふうに感じておられるか伺いたいと思います。
  139. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、いま日本の政治の最大の課題は、景気回復することである、景気を安定軌道に乗せることである、こういうふうに思っておるのです。そのことはほとんど圧倒的な国民が待望しておる、私はこういうふうに思うのです。そういうためにはみんなひとつ協力してやろうじゃないかという気持ちもまたその裏にはある、こういうふうに思うわけであります。ですから、そのことを考えますと、私は国民は理解してくれると思いますよ。  同時に宮地さんからいまお話がありますが、これはちょっと誤解がある。今度の預金金利引き下げ、これは新しいものから適用されるのであって、いままで貯金契約をしておるその契約を変更する、こういうことじゃないのでありますし、いま減税一万五千円とを絡めて大変落胆するというか、意気阻喪させるというお話がありますが、そういうことはない、私はこういうふうに思うのです。  しかし、それにいたしましても、私はこういう際には非常の配慮をしなければならぬ、こういうふうに考えまして、いわゆる社会保障対象者、こういう者に対する預金につきましては金利を据え置きする、こういうことをいたしておるわけですが、私はこれは、景気が浮揚されるということを国民の圧倒的な人が望んでおる、そのための施策であるというので共感を呼ぶ、こういうふうに思っております。
  140. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほども大蔵大臣に少し伺ったのですが、答弁がありませんでしたので、この際、総理に再び聞いておきたいと思います。  いま総理がおっしゃったように、福祉定期というものを据え置くということで年寄りなど福祉対象者には温かい手を差し伸べておる、これについては私たちも非常に好意的に見ておるわけでございます。でき得ればサラリーマンの皆さんにも——日本の国民所得というものは先進国の中では決してまだまだ高い方ではないと思います。そういう中で、私は先ほど大蔵大臣お話をしたのでございますが、たとえば退職金の貯蓄に対してはマル優制度の別枠といいますかそういうものを新設するような、もっともっと同じような福祉型定期というものを拡大して、景気の浮揚もこうやっておるぞ、しかし預貯金利子の連動引き下げによって困る皆さんには、できるだけの対応策も考えているのだぞという、総理はもっとそういう点に改善を拡大していく考えはないか。  御存じのように、中小零細企業の皆さんは十九カ月間も一千件を超える倒産、三月はもう一千七百件を超えておる。また政府の五十一年度の物価見通しさえ、公約を破って現実には九・三%という実勢にあるわけです。そういう中で国民生活は決して総理のお考えのような楽な状態ではないわけです。もちろん大局的には景気浮揚策についてという大義名分は理解します。しかし、そういう底辺の皆さんに対して連動のしわ寄せがいかないように最大の努力をしていただきたい。そういう点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  141. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 連動に対しまして特例を設けるといたしますれば、その幅が多くなればなるほど、この政策のねらいというものが減殺されるわけです。貸出金利の方の引き下げ幅がそれだけ制約をされるということになるわけでありまして、この際は何といっても景気浮揚だ、それから同時に物価ですね、これを本当に真剣に進めることが貯金者に対する最大のサービスではあるまいか、そういうふうに考えているのです。五十二年度は七・七%目標ということをいっておりますが、私は、ことしの物価見通しはかなり明るい、こういうふうに見ておるのです。つまり、いま九・三%というふうなお話でしたが、あれは実際は八・九です。八・三、四%ぐらいをねらったのですが、八・九になってしまった。それはなぜなったかというと、大体異常寒波ということが原因なんです。そこでそういう高いものになってしまった。それだけにまたそれと比較する来年の物価というものはそれだけ楽になるわけです。しかも為替レート、この数カ月の間に一割も円高になってくる、これはじわじわと物価水準に響いてくる、こういうふうに思うわけでありまして、そういう基盤を踏まえまして物価の面に大きな努力をしてみたい、こういうふうに思うのです。これが一番預貯金目減り対策というものに対する手法である、こういうふうな見解で一生懸命その方法をやります。
  142. 宮地正介

    ○宮地委員 期せずして総理から物価お話が出ましたので、私も一言お話ししたいのですが、当然今回の景気対策を積極的に本日から打ち出されるわけでございます。片方ではインフレという問題は注意しなければいけないと思います。ただ国民の立場から冷静に感じますことは、相次ぐ公共料金の値上げがこれから行われようとしている。政府としては健全財政を維持するためにはやむを得ない、こうおっしゃるわけです。しかしその赤字のつけは国民が受ける。まして今回こういう預貯金の連動引き下げ、そして今回手を打たれようとする景気浮揚策、果たして本当に国民が実感として景気がよくなった、不況を脱出した、こう言えるようになるのは一体いつなのだろうか、こういう感じを国民は率直に持っていると私は思う。  そういう意味合いから、総理として景気の面は手を打つ、努力します、できればいつごろくらいに国民の皆様に不況を脱出したという実感を与えられるとお考えなのか、また公共料金などの相次ぐ値上げの中で、またいまの預貯金金利の連動引き下げという中で、国民が本当に踏んだりけったりの状態にある。この政治不信になりかねないような感情に対してどういうふうに総理としてこたえようとするのかお答えいただきたいと思います。
  143. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 五十二年度末には、先ほど山田さんにもお答えしたのですが、企業操業度を大体好ましいという水準までどうしても持っていきたい、こういうふうに考えておるのです。企業操業度がそういう状態になったときは本当によくなった、こういうふうに感ぜられるわけでございましょうが、しかしそれに向かって見通しが立つな、来年の三月ころになったらそういう状態になるなということをわれわれは感ずる、そういうのはそう時間はかからないと私は思うのです。予算が全面的に施行される。しかもその七割を超える額が上半期中に、しかもその七割を超える額の七割が四—六月の間に発動するということになりますれば、これはもう実感として国民がああそうなった、そういう状態に向かって動き出したな、こういうふうに感じてくれると思います。
  144. 宮地正介

    ○宮地委員 時間がありませんので、この際もう一つお聞きしたいと思います。  政府は、特に昨年末から国際的に盛り上がってきておりますアメリカ、日本、西ドイツによる世界景気の浮揚、そういう中でいわゆる三台の機関車論というのが最近言われておるわけであります。そういう中で、いよいよ五月にはロンドンにおいて先進国首脳会議が開かれるわけであります。そういう中で、ちまたには手みやげとして日本も積極的に内需を喚起してがんばっておるのだ、こういうものを持っていきたい、そういう邪推はないと思いますが、そういうような国際的な世界経済の中のわが国のあり方というものを示していきたいという配慮が、今回の公定歩合の再引き下げに働いておったのかどうか伺いたいと思います。
  145. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は日本が国際社会にこたえるポーズをとる、そのようなことは考えておりません。しかし国際社会に対する責任は日本は果たさなければならぬ、こういうふうな考えです。ポーズではないです。実行としてそういうことをやらなければならぬ。つまり世界は、いま日本経済が浮揚しまして、日本に対する輸出が各国ともできるような日本経済になることを期待いたしておるわけです。同時に、そういう状態になりますれば、日本がいまとにかく貿易では百億ドルを相当上回るような黒字状態でしょう。経常収支、それから見ても四十七、八億ドルの黒字になる。他方におきまして赤字、赤字でほとんどの国が苦悩しておる、こういう状態ですから、そういう状態を改善するということは、わが国にはわが国の立場がある。物価状態を乱してはならぬ、これは大原則でありますが、その立場を乱さない範囲においての国際社会に対する期待にこたえるということは、世界の中でこれだけの立場にある日本としての責任である、こういうふうに考えているので、何かみやげを持っていくなどというそんなけちな考えは持っておりません。これはみやげじゃありません。責任としてそういうことをやってのけなければならぬ、そういう考えであると同時に、これは非常にいいことには、それが日本国民の利害と相反する、こういう状態であると選択はむずかしいですが、わが国の場合におきましては、日本国民全体がまたそういう状態になることを希望しているのですから、大変幸せな環境であるというふうに私は考える。内外ともに対する責任としてことしを経済の年にしてみたい、またする、そういう考えです。
  146. 宮地正介

    ○宮地委員 この首脳会議において、当面いろいろ累積債務の問題、あるいは日米貿易問題など多くの重要課題があるわけでありますが、今回総理としてどういう決意で乗り込んで行こうという腹であるか伺いたいと思います。
  147. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 議題はたくさんあると思いまするけれども、一番大きな問題は、いまもう世界が大変な混乱なんです。特に石油を出さない発展途上国の貧困、これは本当に言葉で言い尽くせないような状態である。さてそれに対して、そういう国々に協力しなければならぬ立場にある先進工業国は一体どういう立場かというと、これは大方まだ石油ショックの打撃から抜け切れない、こういう状態です。そういう中で、日本、アメリカ、ドイツなどは大方傷をいやし切るというな状態になりつつあるわけなんです。そういう国の責任というものは非常に重いと思う。そういう責任の重さを感じて、世界経済をとにかく安定させるための協力は日本はすべきであるし、同時にこういう世界経済の中ではどうしても保護貿易主義という体制が盛り上がる危険性を持つわけです。そういうことになったら、世界が総沈みになる。総沈みになったらどういうことになるかというと、これはもう経済の問題ではありません。社会の混乱という問題だけでもとどまらぬ。政治的な非常な大混乱になってくるだろうと思うのですが、その政治的混乱、過去のいろいろの経験がありまするけれども、その過去の悲劇を繰り返してはならぬ、こういうために各国とも十分腹を割って話し合わなければならぬ、こういうふうに思います。同時に具体的には南北の問題、それから資源、エネルギー有限時代ですから、それに処して先進工業国はどういう態勢で立ち直るか、こういう問題につきましても、腹を割った話し合いをしてみたい、こういうふうに考えています。
  148. 宮地正介

    ○宮地委員 時間が来たようでありますので、最後に一問御質問をしたいと思います。  いま、当委員会においては、財政特例法をやっておるわけであります。公債と言えばやはり福田総理を国民は思い出すと思います。公債発行の火種論者と言えば福田総理であります。この福田総理の財政運営、特に政府・自民党の中において、この十年来、その中核として総理は大蔵大臣などの歴任をしてやってきたわけであります。火種が現実に最近はどうも大きな火災になりそうであります。今回、当委員会においても、大蔵省として、昭和五十五年までに何とか特例公債をゼロにしようという試算を提出いたしました。これは、ある意味においては、増税によってやらなければいけない。となりますと、国債発行の火種論者である福田総理のこの考え方が、紆余曲折をして今日にまいりまして、結果的に何か国民にそのツケが回っていくのではないか。協調と連帯の基本姿勢にある福田総理としては、この辺のいわゆる矛盾的要素といいますか、おれは日本経済の福田であるから、健全に財政運営には努力してきたんだという自負心はそれはあると思います。しかし、現実にこのような形になってきた今日の、特にこの赤字公債発行してその推進をしてきた福田総理としてどのような感情を持っておられるか、伺いたいと思います。
  149. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、公債は節度を持ってやっていけば、これは大変いい財政運営の手段である、こういう考え方に変わりはございません。事実、四十年から始まった公債は、だんだんと減りまして、四十五年のときはもう四千億円ぐらいの発行にとどまりましたが、あれは公債発行なくしてもよかったのです。しかし、私はなくさない方がよかろう、火種として残しておいた方がよかろう、こういうふうに思いましたが、私はそれでよかったと思うのですよ。もし、公債をあのときやめちゃって、公債発行せずという方針でずっと来て、石油ショックだということになって、この膨大な公債発行するということになったら、一体どうなるか、大混乱になったと思う。やはり火種があって、公債というものにある程度なれてきた、そういうときに公債発行額を拡大するということになったので、いろいろ見方もありましょうけれども、火種があった、そこで国民に与える衝撃的な影響を避け得たんじゃないか、私はそういうような感じもしますが、しかし、事今日に至ると、とにかく膨大な公債です。これを長続きさせるわけにいかぬ。もう火種が火災になったんじゃ困りますから、火災になる前にこの問題の処置をつけなければならぬ。それはこの両三年の間に、少なくとも赤字公債、つまり特例公債発行をこれはやめる、こういうことまでいかなければならぬ。その先は建設公債、これは、最近は建設公債というとあたりまえのような感じを持っている人がありますが、そんな簡単なものじゃありません。これも漸減していかなければならぬ、こういうふうに考えます。
  150. 小渕恵三

    小渕委員長 永末英一君。
  151. 永末英一

    ○永末委員 福田総理は五十二年度の予算案が成立をいたしましたその直後に、公定歩合引き下げをやりまして、今回の公定歩合引き下げについては、長期金利もまた連動させる、こういう政治方針を貫かれようとしておる。福田総理の言葉をかりますと、不況乗り切りということが福田内閣の一番大きないまの仕事ですから、これらをもってこれに対処されようとしておると思うのです。また、よく自分は日本丸の——私は船長ではなくて艦長と言いたいですね、海軍の経験者でございますから。日本丸をこれから操縦していかれようとすると、やはり目的地とそれからどれだけ時間をかけていくかというようなことが一番問題になりやしないか。行き方も問題でございます。  ところで、それについて、目的地については、あなたは望ましい操業度を日本の各企業が持ったときに、大体景気回復したとみなすという御発言が先ほどございました。ところが、この昭和四十八年、四十九年当時日本企業は操業度まことによかったわけですね。そうして完全雇用がうたわれておったにかかわらず、狂乱物価でひっくり返っちまったという経験をわれわれは持っているのでございます。したがって、目的地とされておられるところ、すなわち景気回復したという判断、それは操業度だけではないのではなかろうか。むしろ、その場合に望ましいという言葉をつけておられますから、ただ単に操業度が現在の六〇ないし七〇から、あるいは九一とか二とかというところになったところ、それだけではなくて、その他の諸条件もあろうかと思います。この際、あなたの考えられるこれで大体景気回復したのだという目的のところをお聞かせ願いたい。
  152. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 経済の運営につきましては、一番大事な問題は国際収支です。これが大変窮状に立つというようなことになれば、本当に日本経済もうどうにもなりませんから、これは国際収支であります。しかし、国際収支につきましては、今日すでに均衡どころの話ではない、黒字というようなことになっている。これはそう問題はなくなってきた、私はこういうふうに思います。  第二の着目すべき問題は、これは物価でございます。物価が異常な状態だ、こういうようなことでありますれば、これは経済は健康体とは言えません。  それから第三には、経済活動です。いま永末さんのおっしゃる操業度だとか、雇用の情勢だとか、成長率だとか、そういう問題、包括して申し上げますと、経済の活動状態、この三つだと思いますがね。  その三つが実現されて初めて正常な状態だ、こう言いますが、先ほど申し上げております来年三月の問題、これは操業度について申し上げておるわけです。
  153. 永末英一

    ○永末委員 いまおっしゃったように、国際収支物価経済活動、その一つのメルクマールとして操業度と挙げられました。そうして来年三月、年度末、五十二年度末は操業度だというお話でございますが、われわれがこの年度末になった場合、三月ころ一体景気回復したかどうかを判断する場合に、国際収支がこのまま順調でいくならば、問題はございません。物価は一体どうなるのだろう。すなわち、いま審議しておりますこの特例公債、これらは本年度中に消化をされるでございましょう。そうしますと、一体物価はどうなるのか、こういうことが心配なんですね。それはどういうお見込みでございますか。
  154. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 物価は私はなるべく早く預金金利水準ですね、そこまでくらいに持っていきたい、こういうふうに考えているのですが、預金金利水準というのは上がったり下がったりするものですから、これはあれですが、私が目標にしているのは、この両三年の間に六%以下のところまで持っていきたい、こういうふうに考えているのです。  それじゃいま物価の基調はどうかというと、五十一年度の卸売物価指数、鉱工業製品の指数はとにかく四・六%、非常に鎮静してきておるわけですよ。これがまた消費者物価の基礎になってくるわけであります。それに人件費要素でありますとか、気候の関係だとかいろいろ重なりまして、消費者物価ということになっておりますが、私は基調としては一番根っこにある卸売物価がそういうふうな状態でありますので、基調はきわめて安定してきた、こういうふうに見ておるのであります。これは景気回復してくる、そういう状態になりましても、そう大きな変化はあるまい、こういうふうに見ております。  卸売物価がそういう状態であるにかかわらず、なぜ消費者物価が高いんだ、こういうことになりますと、一つは、いま公共料金の改定期なんです。五十一年の消費者物価水準の年間上昇率が八・九%、そういう高いものになったゆえんのものは、基調としては安定基調でございまするものの、先ほど申し上げました季節的要因、そういうものを除いてみますと、やはり公共料金が相当響いているんです。特に電電料金の引き上げ、これが家庭に相当響いてきておる。次いで国鉄料金。そういうものを全部合わせますと、八・九%という中でまあ二・五%ぐらいの影響力を持っておるわけですが、五十二年度を展望してみますと、電電公社の問題はもうありません。それから国鉄、いまお願いをいたしておりますが、去年のような五〇%というようなことじゃありませんし、そういうようなことで公共料金要素というものが大分丸くなってくるんです。そこへもっていって円高の問題、これもかなりじわじわと浸透してくる、こういうふうに見ておりますので、その他押し上げ要因はありまするものの、環境は改善せられる。ですから、七・七%の消費者物価目標というのを掲げておりまするけれども、私はその達成につきましては明るい展望を持っております。
  155. 永末英一

    ○永末委員 かつて池田内閣時代にいわゆる経済成長政策をとりましたときに、当時の池田首相はあなたと似たようなことを言うたわけですね。われわれ国民側から言いますと、消費者物価は上がりつつある、成長政策は結局物価値上がりにつながるのではないか、こういう質疑がいろいろ出た場合に、いや、消費者物価じゃなくて卸売物価なんだと。卸売物価は当時ほとんど上がらなかった。したがって、そこに着目するならばそんな心配することはない、こんなお話がございまして、卒然として十数年前を思い起こしたんでございますが、私が伺いたいのは、公共料金だけが消費者物価関係あるようなお話でございましたが、国債に関して申しますと、四十九年度まではそれまでに出した国債が大体において九七、八%次の年度に消化されておったわけですね。ところが五十年度に入るや否や、その消化をせずに、銀行に割り当てたまま、銀行保有のまま来ておるわけであります。これを通貨の発行高という面から見ますと、あなたの政府は、あなたの前の政府もやったんでありますが、日本銀行をしていわゆる買いオペをやらさないで、そしてそれがつまり現金通貨、成長通貨にならぬように国債のまま抑えておった。だからこそ、通貨量がふえませんから、もちろん片一方では企業投資意欲が冷えて投資需要もなかったかもしれませんよ、しかし結果的に見れば、インフレ要因というものは公債発行を理由とするものは生じなかったということは事実ですね。  さて問題は、これから企業の操業度を上げよう、いまは在庫投資ぐらいかもしれませんが、あなたのお見込みでは恐らく設備投資をやらせようと、こういうことであれば企業の資金需要が出てくる。その資金需要が出た場合には、いままで銀行に保有させておった国債や、あるいはまたことしの建設国債、さらにまたこの法案による特例公債、こういうようなものが市場に出ていくようなことも認められるかどうか、ことしはすぐにはならぬのでありますが、ことしはならぬとすれば、昨年、一昨年の分についてそれが資金として動かせるような状態に指導されますと、金がふえますね。こういうことが一体消費者物価の上昇につながらぬのかどうか。そういうことをやっても消費者物価は上がらぬのだ、こういう御自信があるのかどうか。すなわち成長通貨政策とでも申しますか、マネーサプライ政策、こういうものについてあなたは消費者物価の値上がりをやらさない自信がある、こういう御意向かどうかをこの際承っておきたい。
  156. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 景気がよくなりますと、これはどうしても設備投資需要というようなことで、またあるいは企業の回転資金というようなことで、通貨需要がふえるわけです。その際に、公債の消化と競合関係が出てくるわけですね。その競合関係が出た場合に、この金融政策を誤りますと、公債インフレという傾向になってくるわけでありますが、いま今日この時点におきましてはそういう心配はありません。これは水面下の景気上昇、こういう状態で、設備投資はそう極端というか、多額の金を必要とするというようなそういう状態になりませんから、私は、ことしの年度における完全消化ということは間違いなくできると思いますけれども、さて設備投資が今度は盛んに起こる、こういうような状態になるとよほどむずかしい状態が出てくる、こういうふうに思うわけです。その際には、今度は財政の方もまた少し注意しなければならぬとか、公債発行額を減らさなければならぬとか、そういう問題も起きてくると思います。そういうことはよく心得ておりますから、その辺は物価ということ、これは経済の安定のかなめですから、その辺を踏まえながら十分遺憾なきを期してまいります。
  157. 永末英一

    ○永末委員 いまの言葉をしかと承っておきます。それは非常に重要な問題であって、われわれはインフレが再発することを望ましくないと見ておりますので、しかと承っておきます。  首脳会談の話が出ましたが、ランブイエでもサンファンでも、首脳会談というのは純経済的な話だけではなくて、もっとほかの政治的な話も出た。ある説によると、安全保障の話が出ると、日本の総理大臣は口をつぐんで語らなかったというような話も流れておる。すなわち、現在の自由世界における秩序維持は経済一つの柱でありますけれども、もう一つは安全保障だと私ども考えておりますが、あなたはどういう心構えで臨まれますか。
  158. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 今度の首脳会談は、世界の経済が非常な混乱状態である、これはとにかく政治問題とも言えるような状態経済混乱でございますから、したがって各国の意向は、経済の問題に限定しよう、こういう意向で、恐らくそういうことになるだろう、こういうふうに思っております。
  159. 永末英一

    ○永末委員 議題としては経済の問題かもしれないが、会議中議題ばかりやっているわけではありませんね。やはり各国の首脳としていろいろの話が出るのはあたりまえでございまして、そういう場合に、私も最近EC諸国の人々の意見を聞く機会がございましたけれども日本経済の力に見合う世界の安全保障に対する責任を果たす度合いというものが問われておりますので、この辺はお心がけをいただいておきたいと思います。  時間がございませんので、最後に伺いたいのは、福田さんは国債が国民の個人保有にどんどんされていく方向が望ましいとお考えですか。
  160. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 そういう状態は望ましいと考えております。しかし、これは非常にむずかしい問題である。私は、これに多くの期待をすることはむずかしい問題だ、こういうふうに考えております。
  161. 永末英一

    ○永末委員 そのためには特にこういう方針でやりたいと、国民に訴えられることがありましたらいまお述べを願いたい。
  162. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 国債を魅力のあるものにするということが一番の決め手じゃないか、そういうふうにいま考えております。魅力のある国債を発行する、そうして国債を買いましょう、国債を買いましょう、これは家庭のためであり、またお国のためであります、こういうことになれば、これは非常にいいことだと思いますが、やはり魅力のある国債ということをいろいろと工夫していかなければならない、こういうふうに考えます。
  163. 永末英一

    ○永末委員 魅力のある国債の中身を聞きたいのでありますが、残念ながら時間でございますので、また次回に譲ります。
  164. 小渕恵三

  165. 荒木宏

    荒木委員 二、三お尋ねをいたしますが、公定歩合引き下げ、そして預貯金金利引き下げに連動するという決定をなされたというふうに報ぜられておりますが、私は、これは総理の約束違反ではなかろうかというふうに思うのです。といいますのは、総理は本院で、経済企画庁長官であられたころに、預貯金金利水準物価水準一つの目安としてお約束をされたことがあります。日本経済石油ショックの後遺症は全治三年、こういうお話がありまして、その全治三年の間に物価上昇率預金金利以下に持っていきたい、昭和五十一年度にはそういうふうにしたい、こういうことを約束をされました。せんだって本委員会経済企画庁の担当者から総理が答弁をされた趣旨を再度述べていただいて、確認をしたところでございます。そういたしますと、預金上昇率それから預金金利、これがいまは消費者物価上昇率の方が高いし、総理が約束された当時ももちろん高かったわけです。ですから、それをちょうどクロスといいますか、この乖離を縮めていって逆転させる、こういうお約束をされたのでございますけれども、しかし今日預金金利引き下げる。ところが他方では消費者物価上昇率は、先ほど八・九%というお話がありましたが、いずれにしても経済見通しよりも水準が高いということになる。これを縮めて逆転させるという約束があったにかかわらず、むしろその乖離が広がる。これは約束違反じゃなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、御所見を承りたいと思います。
  166. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は物価水準預金金利水準以下になることは大変好ましいと思っておるわけであります。ところが預金金利水準というと常に浮動をするわけですよ。ですからそういうことでなくて、何%水準、こういうことが妥当であるというふうに考えまして、私が企画庁長官になりまして以降は、昭和五十五年を目標にいたしまして、六%以内にする、こういうことを申し上げておるのですが、これは私はぜひ実現したいし、またできる、こういうふうに思っております。
  167. 荒木宏

    荒木委員 これは少し総理答弁をそらされたと思うのですが、本院で預金金利水準以下にするように努める、はっきりそうおっしゃっているのです。会議録にも残っております。しかも、これは一度だけでなく両三度繰り返して、しかも時期を置いておっしゃっているわけです。もちろん預金金利がそのときどきの経済情勢によって変動するものであり、決して固定的なものでない、これはおっしゃるとおりでありますが、それは総理がそのお約束をされて後に、決してそういうふうになったのじゃないわけです。これは総理が企画庁長官としてお約束された当時も、金融政策として金利水準というものは変動するものである、当然の前提ですね。当然の前提として、そしてそういうようなお約束をされたという裏には、石油ショックによって国民が大変な被害を受ける。その中では物価上昇ということのうらはらとして目減り補償ということがある。あるいは過去の補償ということだけじゃなくて、将来の金融資産の価格安定と、そして物価の推移ということが密接不可分なものであるという論議が大いになされたればこそ、単に物価上昇率というものを数率でおっしゃるだけではなくて、この預金金利水準と連動し、絡めて、クロスさせて逆転さして、それ以下に持っていく、こういうお約束をされておるわけです。  ですから、お約束があったことは、前回の本委員会大蔵大臣も御同席の上で企画庁の担当官が総理が答弁されました日時も挙げてそのとおり確認をしたところであります。先ほどおっしゃったことが、私は、国民に対する当時の約束違反じゃないか、こう思うのですが、御本人でありますから、再度はっきりお答えをいただきたいと思います。
  168. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私がずっとわが国の国政の責任者であり続けたわけでもありませんし、その辺はなかなかむずかしい議論だと思いますが、私はそういうことを申し上げたという記憶はもちろんありますよ。ありまするけれども、それが実現しなかったということはまことに遺憾なことである、かように考えます。
  169. 荒木宏

    荒木委員 御記憶を喚起していただいて幸いと思うのですが、ただ、私が申し上げたいのは、約束をされまして、それがいろいろな情勢の推移によって事志と違って実現を見ないということも、これはあり得ることかもしれません。だがしかし、それに向かってその方向で努力をする。つまり約束を守るために、みずから述べられたそのことに忠実であるということは非常に大事なことだと思います。ところが逆の方向になりましょう。つまり乖離を縮めてクロスさせる、単にさせるだけでなくて逆転させるというお約束なんですけれども、乖離が広がる方向になる。預金金利が下がりますね。ところが物価の方は、この時期に同時に同じだけ下がったとしても、乖離は同じままで続くわけです。逆にそれが広がるということ、これは逆じゃないか。その意味でおっしゃったことと違うではないか、反対の方向に向いておるではないか、約束違反ではないでしょうか、こうお尋ねをしているわけであります。
  170. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 荒木さんのおっしゃるとおりの動きになっておるわけでございまするが、やはり経済はそのときどきでいろいろ動きますから、動く状態に応じましていろいろの手段を講ずる。いま景気回復するということは国民みんなが望んでおるところです。そのために予算もああいう予算を組むが、同時にまた金利負担の軽減ということを考えますときに、預金利子の引き下げということを、これも踏ん切りをつけなければならぬ、こういうこともまた出てくるわけでありまして、経済ははなはだ流動的なものである。しかし、その間におきまして、私が数年前に言った預金金利以下の水準ということができなかったということにつきましては、まことに遺憾に存じます。
  171. 荒木宏

    荒木委員 お約束をされました当時にも、長年の経済運営の十分な蓄積と御経験のもとでの発言というふうに理解をしておりますが、それにもかかわらずその後の事情、その後の情勢によってそれができないということになりますと——私は、経済と政治とは密接なものであるが、しかし必ずしも同じじゃないと思うのです。政治の政治たるゆえんは、変動、流々転変する経済情勢の中で、やはり約束をしたことは筋を通され、そしてみずから公言をし国民に述べられたことは、その方向に向かって経済情勢を導いていくような、そういう筋道といいますか、節操と努力というものが政治というものじゃなかろうかと思うのです。これは政治経歴、キャリアも長く積み重ねておられる総理に私の方からこういうことを申し上げるのはいかがかと思うのですけれども、全く別な意味で、私は非常に遺憾なことだというふうに思うのです。  そのことを申し上げておいて同じようなことになりますが、時間が参りましたので、もう一言伺いますけれども、そうだとするならば、預金金利引き下げによって乖離が開くわけですから、それによって当初の期待、予期に反して不利益を受ける大衆の預金の補償といいますか、あるいは預金者の利益といいますか、こういうものに対する見返り的な方法あるいは措置というものは、当然同時に考えられるべきではないか。これを一つ伺いたいということと、それからもう一つは、このたびの上乗せ減税の財源につきまして、昭和五十一年分所得税特別減税の実施のための財政処理特別措置に関する法律案というのが出されてまいりました。これは五十一年分の赤字国債の未発行枠を発行して、そして剰余金で繰り越そうということなんですが、予算委員会の論議で総理はたしか上乗せ減税の財源は赤字国債にはよらないというお約束をされたように私は記憶しておるのです。これもそうすると約束違反ではないか。特に何年度の赤字国債というお話はありませんから、要するに赤字国債によらないという総理みずからがおっしゃったことの約束違反じゃないか。この二点について御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  172. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 物価それから目減りの問題でありますが、これは預金の利率引き下げに対しまして特例を設けるというようなことにすると、先ほども申し上げましたが、預金の利子、公定歩合引き下げ、それに連動して貸出金利引き下げを行うという趣旨がそれだけ狭まってくる、こういうことで社会保障対象者、これに対して特例を設けるということにとどめざるを得なかったわけであります。しかし一番大事なことは、五十二年度における物価、これをさらにさらに安定させていくという努力をすることにある、こういうふうに思い、これにつきましては私は明るい展望を持っておる、こういうことを先ほど来申し上げておるわけです。  それから三千億減税、これに対する財源につきましては、私はこの席で、予算委員会で、その財源は赤字公債によらないようにしたい、こういうことを申し上げたわけでありますが、その当時のことは、率直に申し上げますと、まだその五十一年度の年度の途中の問答になるわけでありますが、その五十一年度におきましては、五十一年度で相当の剰余金が出るだろうという見通しだったのです。それはなぜかと申しますと、五十一年度で認められた公債発行すればそれだけ剰余金が出る、ですから三千億円減税というけれども剰余金をもってこの財源とする、率直に言いましてそういう考え方をしておったのです。ところが、だんだんいろいろ論議してみますと、大蔵省の方では歳出の需要もないのに特例公債を出すというわけにはいきません、こういうようなことになりまして今日のような処置になったのだ、そういういきさつでございます。
  173. 小渕恵三

    小渕委員長 永原稔君。
  174. 永原稔

    ○永原委員 少し範囲を広めて、まとめて御質問いたします。  景気対策で非常に御苦労なさっていますけれども、最近は経済の二重構造論というのは比較的耳にしなくなりました。しかし、マクロ的に見るとやはり大企業中小企業概念の中には大きな差がある、これは否定できないと思います。特に労働生産性の問題などについて見ましても、両者の間には極端な差があるわけです。きょう本会議の席上で総理大臣は、両者が相まって経済を支えているのだ、補完し合っているのだというようなお話をしておいでになりましたけれども、まさに経済規模をそういうふうに支えていると思います。  そういう中で、なるほどGNPは自由主義経済体制下でアメリカに次ぐ第二位の規模を占めておりますが、これを支えているのは一億一千万の国民なんです。同一言語、同一民族で形成されている国家、世界に例を見ないような誇りと特色を持った国だと思いますけれども、こういう一億一千万という人たちが支えている総量的な経済規模、これが世界で第二位だということでございますけれども、それで必ずしも喜べないというのが実態ではないかと思います。国民総生産が高くなってまいりますと総量的に生産所得は上がってまいります。したがって、それを受けて今度は分配所得も総量的にはふえてまいります。GNPが大きい、こう言いますけれども、やはり人口が要因になっていますので、一人当たりに換算した場合に、これはGNPも第二位という地位からはるかに下がって世界では十六、七番目になるのではないだろうか、そういう実勢にあるのではないだろうかという気がするわけです。この総量的に大きな経済規模に大企業が果たしている役割り、これは率直に私は認めたいと思います。しかし、余りにも中小企業と農林漁業、こういうものとの格差が開き過ぎているような気がしてなりません。経済規模の大きないわゆる経済大国の総理として国際的責任を果たすべく胸を張るのも結構です。また、アメリカや西ドイツと相並んで世界的な同時不況を克服するのだということでがんばるのも私は結構だと思います。しかし、内政的に見て、中小企業や農林漁業の沈痛な声をどういうように受けとめていくか、これに対する景気対策をどういうように考えるか、この点について伺いたいのです。  海外経済協力が非常に少ないと言われております。しかし、五十二年度の予算を見れば二千百億を超える。それと並んで中小企業対策は、これは予算千七百数十億で済むのではありませんけれども、ほかからの影響ということは当然ありますが、一応並んだ数字を見ますと、国民は海外経済協力にこんなに出ているのかというような気持ちを持つのではないかと思う。最近OPPが非常に緩和され、解除されるような方向にございますけれども、オレンジとかグレープフルーツの輸入というのが先行き農民の経営不安を強くするでしょう。また、外圧によるとはいえ漁業が締め出されている状況、こういう先行き不安に対してどういうように手を打っていくか、この点をまず第一点として伺いたいと思います。  第二点として、今国会で問題になっているのですけれども、日ソの漁業交渉と領海問題、あるいは大陸棚協定と協同開発の問題、貿易黒字円高関係、さらに核燃料再処理の問題などいろいろ小資源国の悩みを一層深めるような問題が累積しております。どれも重要な問題ですけれども、時間がありませんので、核燃料再処理について見通しを伺ってみたいと思います。  オイルショックというのは非常に経済的に大きな痛手を与えました。世界の中では比較的順調に回復しているとはいえ、この前、中村俊男参考人もおっしゃっていましたけれども、まだ確かな回復の軌道には乗っていない、こういうのが実態だろうと思います。いままでの経済発展の状況を見ますと、電力需要経済発展の相関関係は非常に密接でございます。発電、特に原子力発電に好むと好まざるとにかかわらず今後は大きく依存していかなければならないと思います。ウランからプルトニウムへというような再処理、これはやはり核燃料事業団なども力を入れて勉強しておりますけれども、「もんじゅ」とか「ふげん」とか新しい原子炉を開発しながら成果を上げつつある。燐鉱石からウランを抽出するというのも成功した、こういうように報道されておりますが、そういうようなものに対してカーター・ショックがどういうように影響するか、これを打開するのに総理からどのように自信に満ちたお答えをいただけるか、その辺を伺ってみたいと思うのです。  それと、時間がありませんけれども経済の発展にはいろいろな阻害要因もあります。内在する矛盾もあります。しかし、総量的にはやはり安定成長路線で六ないし七%の成長を遂げつつ発展していくでしょう。財政収支もこれとのバランスにおいて拡大していくのは当然のことだと思います。ところが、六、七%の経済成長では、四十一年から始まった建設公債の制度が恐らく定着してしまって解消することが不可能になるのではないだろうか。資源有限論の中で高度経済成長論をぶつのは適当でないかもしれませんけれども、しかし、やはり安定成長路線だけで果たしてこの財政窮迫が克服できるだろうか、ここに疑問を持ちます。特例債についても異例の措置であったはずですけれども長引きつつある。五十五年にはゼロにするという決意は結構です。しかし、そのために大増税をするというならば、これは大きな国民の不満を買うでしょう。やはり歳出の抑制というようなことで、財政の平準化が必要だと思いますけれども、この点についてのお考え。  次に、公共事業の上半期の状況を見まして、七十数%をおやりになるということになれば、年度後半に至って、また補正が必要になってくるのではないだろうかという懸念がありますが、こういう点についてのお考え。  同時に、これは異質のものですけれども、予算修正権をめぐって三権分立論がいろいろ論議されました。いま各大臣とも、立法府の一員として選ばれた方々ばかりでございますけれども、その方方が、行政府の長に御就任になっております。憲法に示す議院内閣制のよって来るところでございますけれども、三権分立を混乱させる原因がここにあるのではないだろうか。よく言われた政権政党と官僚の癒着というようなものも、こういうところから起こるのではないだろうか、こういう気がしてしようがないんです。憲法改正までは言いません。しかし、六十八条の趣旨を総理大臣いかにお考えになるか、その辺を伺いたいと思います。
  175. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 どうも永原さん、盛りだくさんで、御答弁申し上げておると、これは二時間ぐらいかかりそうなあれですが、委員長どのくらいでやればいいんですか。  まず、中小企業、農村対策を重視せよ、こういうお話でございましたが、そのとおりに心得ております。今回の予算におきましても、公共事業中心と言いまするけれども、地域社会にできる限り行き渡るように、そういう配慮をいたしておる。それから、その中で中小企業ですね。建設業者の小さい人、そういうような人にもなるべく行き渡るような配慮をする。ただ、中小企業の方は予算が少ない、こういう話でございますが、これは財政支出、つまり予算には余りなじまないんです。これはやはり、中小企業といえども企業ですから、そういうことでございます。まあ、金融上の格段の配慮はしておる。  それから、海外経済協力にはうんと金を使う、国内の方にもっと回すべきじゃないかというようなニュアンスのお話ですが、これは、そう簡単に割り切ることのできない問題です。世界が本当によくならなければ、わが国はよくなりませんよ。これだけ世界に根を張った日本とすると、世界をよくして初めてわが日本もよくなる、私はそういう認識でなければ、日本の国の経営というものはやっていけないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  それから世界の先行き不安だ、こういうお話です。これはまことに先行き不安です。資源エネルギー有限時代、ややもすればまたナショナリズムの台頭とか保護貿易主義の台頭とか、そういうようなことになりかねない。まあ、軍事的には、そう紛争もないような状態です。けれども経済をもとにして、いろいろな波乱が起こってくるんじゃないかというように思うんです。  そういう中で、わが国の安全運転をどうするか。これは非常にむずかしい問題ですが、やはり世界とともにあるという姿勢ですね、これが私は非常に大事だと思うんです。国内のことを整えること、これも大事です。しかし、それと調和をとりながら、国際社会の安定、国際経済の発展のために日本が寄与する、その中で日本が繁栄と安定を享受するという姿勢で対処するほかはないんじゃないか、そういうふうに思います。  日ソ交渉は、もう長くなるからいいでしょう。  それから貿易黒字の問題、核燃料について特に御発言でございましたが、これは私この間日米会談、これでもカーター大統領にわが国の立場を十分申し上げてあるのです。核を廃絶する、核の兵器化はしない、これにつきましてはあなた以上に熱心なわが日本政府である。しかしわが日本は、資源が少ないんだ。エネルギー源は、石油に世界第一というくらいの依存をしておるんだ。その日本が代替エネルギーの開発をする、そうすれば核しかないんだ、この立場の理解。それから核拡散防止条約ですね、あれの精神から言って、一体核の平和的利用、核なんか兵器化する危険性の毛頭ないわが日本に対して、そういうカーター提案というものは理解できない、こういうことを申し上げ、とにかく政府間交渉でやりましょうというので、政府間交渉は進んでおります。これはいまのところアメリカは、かなりわが国の態度は理解はしておりまするけれども、まだアメリカの主張そのものを取り下げておるという状態でもない、まだかなり交渉は時間を要するという展望でございます。  それから年度末補正、これはどうだというお話でございますが、これは景気がよくなりまして、個人消費もあるいは設備投資も今日の状態とまるっきり違った状態になる、こういう状態になることを私は期待しているんです。そのために、いま財政上、金融上のてこ入れをしているのですが、補正予算ということはいま考えておりません。おりませんが、今後そういう私ども見通しが違いまして、どうもこの六、七%成長というものが怪しくなるという際には、手段はここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、臨機応変の措置をとるという考えでございます。
  176. 永原稔

    ○永原委員 それでは、やめます。
  177. 小渕恵三

    小渕委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  178. 小渕恵三

    小渕委員長 本案に対し、自由民主党を代表して山下元利君外三名より修正案が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山下元利君。     —————————————  昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  179. 山下元利

    山下(元)委員 ただいま議題となりました昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、この法律の施行期日は、原案では「昭和五十二年四月一日」と定められておりますが、申し上げるまでもなく、すでにその期日を経過いたしておりますので、本修正案は、施行期日を「公布の日」に改めることとしようとするものであります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
  180. 小渕恵三

    小渕委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  181. 小渕恵三

    小渕委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。小泉純一郎君。
  182. 小泉純一郎

    ○小泉委員 私は、自由民主党を代表し、昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案並びに修正案に賛成の意見を述べるものであります。  わが国経済は、基調としては回復過程にあると考えられますが、昨年夏以降、回復の足取りがやや緩慢化しており、失速が懸念される状況にはないものの、景気回復をさらに着実かつ持続的なものとする必要があると考えます。このような点から、昭和五十二年度の経済運営に当たっては、物価の安定に配慮しつつ、景気の着実な回復と雇用の安定を実現していくことが第一の課題であると考えます。  まず財政面では、先般、需要創出効果の大きい公共事業に重点を置いて編成された昭和五十二年度予算が成立を見たところでありますが、これを機として、本日、政府におかれては、公共事業の上期契約率の目標を七三%と定め、その円滑な実施を図るため、公共事業等施行推進本部の設置を決定されたところであります。また金融面でも、三月十一日の公定歩合引き下げに続いて昨日、さらに一%の公定歩合引き下げが決定されるとともに、長期金利についても速やかに全面的な引き下げが図られると伺っております。私は、これらの財政金融両面にわたる諸措置が、景気の先行きに対する国民の不安感を一掃し、わが国経済を安定成長軌道に乗せていくこととなるよう、強く期待するものであります。  昭和五十二年度におきましては、歳入面では、中小所得者の負担軽減を中心とする所得税減税を行う一方、所要の増収措置を講ずることとされておりますが、なお十分な租税収入を期待し得ない状況にあり、他方歳出面では、財政体質の改善を図るとともに、社会経済情勢に相応した適切な予算規模を確保する必要があるという事情から、政府におかれては、昭和五十二年度においても引き続き特例公債発行に依存せざるを得ないとしておりますが、私はこれに基本的に賛成の意を表明いたします。  もとより多額の特例公債発行が恒常化するようなことがあってはなりません。これはあくまで特例的な措置であり、できるだけ速やかに特例公債に依存しない財政に復帰することが肝要であります。そのため、立法府も行政府も一体となって努力をしなければならないことを、この際、私は改めて強調したいと思います。政府におかれては、今後従来以上に財政収支の改善に全力を尽くされるように強く要請するものであります。  本法律案におきましては、まず、特例公債発行が、五十二年度の租税収入の動向等にかんがみ、適正な行財政水準を維持し、もって国民生活と経済の安定に資するために行われるものである旨が明らかにされております。また、特例公債発行額は予算で定める旨の規定その他所要の規定が設けられております。さらに、今回の特例公債は、期限までにこれを全額現金償還し、その借りかえは行わない旨が法律上明らかにされております。これらの規定は、五十一年度の特例公債法と同様の内容となっておりますが、いずれも事柄の性格に即した適切な立法であると考えます。  以上、私は、昭和五十二年度における特例公債発行が真に必要にしてやむを得ないものであると考えますとともに、わが国財政ができる限り早くこのような特例措置を必要としない状態に復帰できるよう関係者の協力を要請して、本法律案の賛成討論を終わります。(拍手)
  183. 小渕恵三

  184. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案の原案及び修正案に反対の討論を行うものであります。  日本経済の現状は、依然として勤労国民にとって厳しいものになっております。企業の倒産件数は記録を塗り変え続け、失業者数が百万人を割る見通しは全く立たない状況であり、勤労者世帯の五十一年の実質家計所得はマイナス〇・九%を示したのであります。政府景気対策最優先の経済運営を行っていますが、その欠陥を一言で言えば、制度的改革を伴った構造的政策を採用していないことであり、このため、結果として景気対策も十分な効果を上げられないのであります。しかも、三年連続して歳入の三〇%近くを公債収入に依存するという深刻な財政危機に直面しているにもかかわらず、高度成長政策のもとに形成された税財政制度の抜本的改革に着手されていないことが、本法案による四兆四千三百億円の赤字公債発行の根本的原因なのであります。  かつてのような経済成長が不可能な上に、制度的改革を放置しておけば財政危機の打開が困難なことは明らかであり、このことが本法案に対するまず第一の反対理由であります。  次に、国債費の負担の問題であります。  五十一年度、五十二年度の国債費はそれぞれ一兆七千億円、二兆三千億円と増加し、その伸び率も六〇%、四一%と、経費の伸び率としては最高になっており、国債費の予算に占める比率が一〇%を超えるのも間近で、このことが財政硬直化の最大の要因になりかねないのであります。  さきに発表された財政収支試算によっても、五十五年度までの国債費の増加率は平均三四%といった高率が見込まれ、公債残高も五十五年度末には五十五兆円の巨額に達すると言われているのであり、償還財源の確保、償還計画がますます欠かせないのでありますが、政府には具体的な方策が見られません。  このような巨額の借金返済の手段は、一つは増税政策をとるか、一つはインフレ政策によって政府みずから債務者利得を得るかのいずれかしかないのであります。インフレ政策経済的にも政治的にも安易な道であり、政府の選択する道と考えられるのでありますが、インフレこそ最悪の、最も不公平な間接税の増徴策であり、勤労国民の収奪を強化するもので、インフレに苦しむ生活実態、負担能力の実態から言っても断じて認められないものであります。  第三には金融政策との関連であります。  インフレ対策の柱の一つとして、マネーサプライの管理が重要なことは言うまでもありません。通貨供給量の増加要因として国債の占める比重は高く、現在の不況局面ではその最大の要因となっており、それだけ金融政策における国債発行の仕方が重要になってきていることをあらわしております。最近では個人消化比率が若干上昇してまいりましたけれども、本来的には金融機関割り当て中心に変化はなく、保有状況においても政府日銀が半分以上を占める特異な事情に変化はないのであり、今後の国債消化対策として、個人の金融資産対策として拡大していくための積極策は見られません。  五十二年度の公共債は十六兆円近くが発行される予定であり、この結果、金融市場に与える影響はきわめて大きく、預金増加総額の四分の一程度が公的資金に充てられることになります。したがって、公共債のうち八兆四千八百億円を占める国債発行金融政策上のウエートは重大で、実質的な日銀引き受け発行の防止はもとより、金融政策財政政策一体となって経済運営に果たす機能は高まっているわけですが、政府にはその対応が十分ではありません。魅力ある国債による個人消化の拡大、金融資産の価値保全の点からいっても、インフレ再燃を引き起こさないための発行、消化策が必要となってきております。しかしその展望は見られず、インフレ抑制の金融政策の点からも立ちおくれが見られるのであります。第四には財源対策の問題であります。  今後の低成長経済のもとでは、かつてのような放漫な財政運営を保証するような巨額な税の自然増収を期待できません。したがって赤字財政からの脱却は、税源対策すなわち高度成長型税制の改革による財源確保以外にはありません。ところが政府は、不況期に増税することは適切な政策ではないと強弁していますが、百歩譲って、増収とならずとも制度的改革は実現できるのであり、かえって制度改革即増税とならない不況期こそふさわしいと言えるのであります。増税すなわち大衆課税という政府の方針では財政危機を切り抜けることはできないのであり、まず各種の租税特別措置の廃止など、不公平な税制を是正して財源を確保することが大前提ですが、その姿勢は見られません。中期財政収支試算による特例国債からの脱却も税制改革の計画的実施に裏づけられないのでは実現できないことは明らかで、その意味で政府見通しは希望を述べたにすぎないと言っても過言ではありません。  最後に、経済改革にとって税財政の果たす役割りについてであります。  日本経済に果たす財政の地位は、公共投資面では高く、社会保障など振りかえ支出の面ではヨーロッパ諸国の二分の一程度といった特徴を持っています。単純に欧米諸国にならえとは言えませんが、いずれにしても財政機能の比重の増大が必要なことは明らかです。財政危機の中で公債収入に依存せざるを得ないならば、その状態のもとでもなおかつ漸進的、計画的な改革を進めていくのが財政当局に課せられた責務でありますが、そのような思想すらうかがえないのであります。このような安易な財源調達と財政運営を踏襲し続けるならば、早晩完全な財政破綻を迎えるのは避けられず、国民に及ぼす被害ははかり知れないものがあり、容認できないのであります。  税制の全面的検討の必要なことを強調して、本原案及び修正案に反対をいたし、私の討論を終わります。(拍手)
  185. 小渕恵三

    小渕委員長 坂口力君。
  186. 坂口力

    ○坂口委員 公明党・国民会議を代表しまして、議題となりました昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案の原案及び修正案について、反対の討論を行うものであります。  本法案に反対する理由は、まず第一に、政府が五十二年度を財政再建元年とすることを公約しながらその努力を怠っていることであります。  わが国の財政事情がきわめて憂うべき状態にあることは、いまさら私が申し上げるまでもなく、昭和五十年度より赤字国債の発行額が年々増加し、しかもきわめて具体性を欠く政府見通しですら、今後三年間、すなわち昭和五十五年度までこうした状態から脱却できないことは明らかであります。  このような財政難を招いた最大の原因が、政府の高度成長至上主義という経済運営の失敗にあったにもかかわらず、本年度もまた、総理の発言に明らかなように、財政再建より景気回復が先であるとの一点集中的な経済運営で財政再建を犠牲にしようとしております。  もちろん、われわれも景気回復を早期に行うことについて異論を唱えるものでは決してありませんが、財政経済関係が相互補完にあることを考えるならば、一方を健全化し、もう一方を犠牲にするというやり方は現実的ではなく、問題の本質的解決とならないばかりか、逆に国民に犠牲と負担の強化を押しつけることになりかねないのであります。  この意味において、政府は、高度成長期の財政経済の体質と仕組みを安定成長期に対応したものに改革することが重要な政治責任であったのであります。にもかかわらず、その施策を放置し、国民の不安をいたずらに拡大していることは背信的行為と言わざるを得ないのであります。  反対理由の第二は、かねてよりわれわれが要求してきた不公平税制の徹底した是正、国債管理政策に何ら前進的な措置を講じていないことであります。  少なくとも赤字国債を発行する前提条件として、税制改革や歳出の洗い直しは至上課題であります。特に高度経済成長のためにつくられた不公平税制の是正については国民的合意を得ているものであり、直ちに実施すべきでありました。これに取り組む政府の姿勢は、こうした国民の要望を軽視し、特権的減税である不公平税制を表面的な手直しで終わらせ、いかにしてその温存を図るかに執着しているものとしか言えないのであります。  また、やむを得ず赤字国債を発行する場合でも、その歯どめとして個人消化による市中消化の推進、公社債市場の育成、償還財源の明確化などは不可欠のものであります。これらについても政府はその対策をなおざりにしているのが現状であり、全くの日本的システムとしか言いようのない安易な国債発行政策を堅持しております。こうした政府の態度がわが国の財政危機を長期化し深刻化させることは論をまたないものであります。  反対する理由の第三は、巨額の赤字国債の発行が国民に負担の強化と不公平をもたらすことであります。  政府の安易な赤字国債発行が増税、インフレ、後世代への借金を残すなど、国民に高負担を強要するとともに、持てる者と持たざる者との間に大きな不公平を生ぜしめることは必至であります。  われわれは、こうした国民生活を圧迫し、財政再建に明確な対策を欠く赤字国債の発行を断じて容認するわけにはいかないのであります。また私は、政府が赤字国債発行を避けるために最大の努力をし、国民の前に提示されることを強く要求して、原案及び修正案に対する反対討論を終わります。(拍手)
  187. 小渕恵三

    小渕委員長 高橋高望君。
  188. 高橋高望

    ○高橋委員 私は、民社党を代表して、ただいま提案されております昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案並びにその修正案に対し賛成し、討論を行うものであります。  国債発行が麻薬の使用に類似している、すなわち一時の痛めどめ用に用いて抜本的な処置をせぬうちにやがて常用化し、体質を壊して手当てのしようがなくなるという意味でございますが、この国債発行が心ある国民の危惧を増大していることは本委員会質疑においても、私は、大蔵大臣を初め関係各位の配慮を要望いたしました。  特に今回の特例公債は、その発行の額から勘案いたしましても、まことに危険な要素を内蔵していることを改めて認識せざるを得ません。入るをはかって出るを制すといった程度の認識で、この多額の特例公債発行は不十分であります。特例公債を取り扱うに際しては、常に発行時の原点に立ち戻って、より合理的な財政支出の水準考えるべきであります。いわんや金がないのだから仕方がない、適正な歳出の検討などはまずおいて等の繰り返しから財政の規律がどこかへ追いやられて、税収の落ち込みが発生すれば赤字公債発行だ、これでは無責任と言わざるを得ないと思います。私たちが望むのは、財政規律の確立、この一事でございます。特例公債がその名のとおり特例であり、回を重ねることによって原則化することを私たちはおそれます。また絶対に避けねばなりません。言葉をかえるならば、最もたちの悪い借金であることを改めて認識し、返済には十分の責任を持ち、少なくとも病根を大きくしないよう特別の配慮を望みます。  それにしても景気の不振は、私が再三御警告申し上げたとおり、ひどいものがございます。この三月期の企業倒産一つをお考えいただきましてもおわかりいただけると思います。この現状を熟慮し、予算委員会の審議を踏まえて、私たち民社党は、特別の配慮から本案並びに修正案に対し賛成いたし、討論を終わります。(拍手)
  189. 小渕恵三

  190. 荒木宏

    荒木委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和五十二年度の公債特例法案及び同法案に対する修正案に反対の態度を表明し、討論を行います。  第一に、本法案が財政危機をさらに激しくする点であります。  巨額の国債発行財政の弾力性を奪い、硬直化させることは言うまでもありません。だからこそ政府もそれを認めて国債発行の縮減を約束し、五十年代前半に赤字国債をゼロにするものとして、財政当局も昨年二月、その計画に見合う各年度の年次計画を示す財政収支試算を発表したところであります。  しかるに本法案は、史上空前の八兆四千八百億円の国債発行を許し、年度末の残高実に三十一兆円、五年後には六十兆円にも達することが予定されているのであります。また、五十二年度二兆三千億円を超える国債費は前年度比四〇%を超えており、これが硬直化要因として財政の危機を一層深刻にすることは明らかであります。  つまり政府は、みずからの課した歯どめをみずから踏みにじり、国会での公約に反し、財政再建の努力を果たしておりません。わが党は、このような大量国債の発行を常態化し、財政状態を一層困難にする本法案には承服することができないのであります。  第二は、本法案が低成長下でのインフレをますます高進させることであります。  政府は、低成長下で設備投資、海外輸出、個人消費が停滞し、高貯蓄が続いている今日、財政がこれを吸収して景気回復のてこにするという口実で国債発行を合理化しております。しかし、設備投資や輸出、個人消費が政府指摘する状態にあるからこそ大企業収益の価格指向性が強く、鉱工業生産での価格上昇寄与率は著しく高くなっております。すなわち、大企業の独占価格つり上げが横行し、その市場支配が強まっております。しかも、大量の国債発行とそれによる財政支出が上半期に集中して行われようとしているのであります。  一般的には需給ギャップの存在を指摘する意見もありますが、本法案による政府のこのような政策実施は、大企業の独占価格をてこに価格上昇をますます攪拌するものと言わねばなりません。  さらに金融の面から見ますならば、日銀の国債保有高は昨年十二月で六兆二千億円、既発行高の約三〇%を占めており、買いオペ等を通じてこの保有はますます増加し、加えて流通市場の整備と相まってインフレ、物価高を一層激しく推し進めるものとなるのであります。  国債発行のこの十年間の経緯を見るならば、いわゆる市中消化がインフレ抑制の歯どめにならず、かえって成長通貨の供給という名目のもとに独占物価のつり上げ、公共料金の引き上げ等物価高によって水ぶくれした括弧づき成長への通貨面の支柱にほかならなかったことは明らかであります。  第三に、本法案は国民に対する一大増税の根源になるものであります。  政府は、五年後でも約六十兆円にも達する国債の償還をすべて国民に負担させ、その税源の有力候補として一般的消費税や付加価値税の導入の検討を公言しております。一般的消費税や付加価値税が最悪の大衆課税であり、それが高物価を招き、重税と高物価の悪循環を招来することは諸外国の例を見ても明らかであり、本法案はそれに道を開くものであり、容認できないところであります。  第四に、国債の引き受けをめぐる問題であります。  国債引き受けシンジケート団から発行条件の弾力化が要求されており、さらに市場実勢との対応という名目で金利引き下げが連動され、大企業救済の低金利策と相まって、預貯金金利引き下げがされようとしています。これが低成長インフレ下での国民の貯蓄に対する目減りを一層促進することになるのであります。  第五に、国債の大量発行によるクラウディングアウトの危険性の問題であります。  政府はこの問題について、一時的、局部的なものに過ぎないとしていますが、大金融機関の系列融資、選別融資は必然的に強化され、これは大銀行間の熾烈な競争でますます加速されるのであります。  また、財政かわり金の支出は、全地域、全階層の金融機関、各企業に普遍に散布されるのでなく、局部的に集中、偏在、滞留するものであります。  加えて、今日の日本金融構造から見るなら、一時的、局部的なクラウディングアウトの発生は、全面的、恒常的なクラウディングアウトに変形されるおそれが濃厚であります。  第六に、本法案による財政支出が国民犠牲を強い、大企業優遇の福田内閣の予算の支柱をなしている点であります。  公共事業費は依然として大企業のための産業基盤重視に振り向けられているのを初め、五年間で一兆五千億円を上回る石油九十日備蓄費用や、対外進出援助のボンド保険等、大企業優遇の支出や巨額の軍事費を含んでいますが、国民の負担と犠牲においてなされるこのような措置は、とうてい賛成できないところであります。  最後に、今日の国債発行の持つ性格について。  二、三年前まで国債発行は歳入欠陥の補てんとしての性格のものでありましたが、今日では歳入の支柱、景気回復のてことしてその性格を変形し、かくて大量の国債発行が常態化しようとしています。  もとより国債発行は、財源調達の一つの技術的形態の側面を持っておりますが、しかし、赤字国債発行の創始者であり、かつ国債性善説をとる福田総理によって本法案が提案され、低成長下で大量の国債発行が常態化することは、とうてい認めることができないのであります。  以上、反対の理由を申し述べて、討論を終わります。(拍手)
  191. 小渕恵三

    小渕委員長 永原稔君。
  192. 永原稔

    ○永原委員 私は、新自由クラブを代表して、昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案及び修正案について、賛成の意見を開陳いたします。(拍手)  過日、昭和五十二年度の予算は成立いたしました。しかし、歳出予算については法律案との関連で今後とも論議を呼ぶ面が多々残されておりますが、執行を支える一般財源として検討するに、四兆五百億円の特例発行はやむを得ないと思います。もちろん、発行差額、割引差額を上乗せするにしても、この枠は一応の上限を示します。税収確保によって、少しでも発行を抑える努力は必要でありますが、国民生活に与える財政支出の意義を考えるとき、この窮迫した経済状態を脱却するためには、ぜひとも確保しなければならない財源であると考えます。しかし、建設公債発行が、すでに昭和四十一年度より定看している状況を見るとき、特例債の発行が慢性化する懸念をぬぐい去ることができません。  大増税を行えば、国民の不安は高まり、政治への不信感を増大させましょう。制度の激変は避けるべきだと思います。こういう中で、財政硬直化を防ぐために、歳出の徹底的な洗い直し、行政機構の縮減、遊休財産の活用はもちろん、さらに減債制度の見直しを提言いたします。  一億の国民が必死にがんばって不況に耐えているとき、立法府も行政府もこの情勢を厳しく受け止めて、民心を収攬するように努めなければなりません。特別職や一般職を問わず、公務に携わるわれわれは、国民の信託にこたえて、国民とともに苦しみ悩みながらもこれを打開し、この不況から立ち直るように力を合わせていこうではありませんか、と申し述べて、私の意見といたします。(拍手)
  193. 小渕恵三

    小渕委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  194. 小渕恵三

    小渕委員長 これより採決に入ります。  まず、山下元利君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  195. 小渕恵三

    小渕委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  196. 小渕恵三

    小渕委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  197. 小渕恵三

    小渕委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して山下元利君外四名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君。
  198. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。  わが国財政は、昭和五十年度以降、多額の公債金収入に依存することを余儀なくされており、昭和五十二年度においても四兆五百億円に上る特例公債を含む大量の公債発行が予定されております。  本附帯決議案は、このような状況に顧み、健全な財政に一日も早く復帰するために必要な財政運営のあり方、あるいはクラウディングアウトへの配慮、公社債市場の整備等、財政金融両面にわたる諸措置について、引き続き努力を重ねられるよう政府に要請するものでありまして、案文の朗読によって内容の説明にかえさせていただきます。     昭和五十二年度の公債発行特例に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当り、次の事項について十分配慮すべきである。  一 健全財政を確立するため、財政収支の改善に全力をつくすとともに、極力国債発行額を圧縮し、昭和五十年代前半には特例公債依存の財政から脱却するよう努めること。  二 国債は将来の国民の負担となるので、償還財源の確保に努め、償還に支障のないようにすること。また、財政支出に当つては不要不急経費を削減するとともに、補助金行政を洗い直すなど、引き続き行財政改革を進めること。  三 財源対策としては、負担の公平化に一層努力し、大胆な税制改革を行い、中長期にわたる基本的見直しを行うこと。  四 国債発行が地方債の発行並びに民間資金需要を圧迫することのないよう十分留意すること。  五 国債の個人消化を一層促進するとともに、公社債市場の整備に努めること。 以上であります。  何とぞ御賛同賜りますようお願いいたします。
  199. 小渕恵三

    小渕委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。坊大蔵大臣
  201. 坊秀男

    坊国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮をいたしたいと存じます。     —————————————
  202. 小渕恵三

    小渕委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  204. 小渕恵三

    小渕委員長 次回は、明二十日水曜日午後零時三十分理事会、午後零時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十分散会