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1977-04-01 第80回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月一日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 小渕 恵三君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君    理事 佐藤 観樹君 理事 坂口  力君       愛知 和男君    池田 行彦君       大石 千八君    鴨田 宗一君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       砂田 重民君    林  大幹君       原田  憲君    村上 茂利君       村山 達雄君    毛利 松平君       山崎武三郎君    山下 徳夫君       伊藤  茂君    池端 清一君       大島  弘君    川崎 寛治君       沢田  広君    只松 祐治君       村山 喜一君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    小林 正巳君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  高鳥  修君         大蔵省国際金融         局長      藤岡眞佐夫君         国税庁調査査察         部長      系  光家君  委員外出席者         外務省アジア局         外務参事官   枝村 純郎君         外務省経済協力         局外務参事官  三宅 和助君         外務省国際連合         局専門機関課長 中村 昭一君         農林省農林経済         局国際部国際企         画課長     瀧   厳君         通商産業省通商         政策局企画官  佐藤 剛男君         通商産業省通商         政策局国際経済         部通商関税課長 日下部光昭君         通商産業省産業         政策局国際企業         課長      高橋 達直君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       箕輪  哲君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   石原 周夫君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   大島 隆夫君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   永原  稔君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     永原  稔君 同月三十一日  辞任         補欠選任   永原  稔君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     永原  稔君 四月一日  辞任         補欠選任   永原  稔君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     永原  稔君     ――――――――――――― 三月三十日  大和基地跡地利用に関する請願(工藤晃君  (共)紹介)(第二三七九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月一日  景気回復財政施策確立等に関する陳情書外二  件  (第一〇四号)  所得税減税に関する陳情書外五件  (第一〇五号)  所得税寒冷地特別控除制度創設に関する陳情  書(  第一〇六号)  揮発油税等道路目的税源是正に関する陳情書  (第一〇七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五〇  号)      ――――◇―――――
  2. 小渕恵三

    小渕委員長 これより会議を開きます。  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本案の審査のため、本日、参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  5. 小渕恵三

    小渕委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  6. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ベトナム統一をいたしましてベトナム社会主義共和国という新しい形で発足しているわけでありますが、と同時に統一の前にすでにアジ銀なりIMFなりに加盟をいたしているわけでありますが、この加盟に伴いまして世銀アジ銀からそれぞれ調査団がことしの初めに相次いで出ておるようであります。その報告がなされておるようでありますが、この報告をそれぞれについて概略、ポイントを御説明願いたいと思います。
  7. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 ベトナム統一されまして、アジア開銀におきましても昨年統一されたベトナムとして加盟国地位を承継して、その後順調なる加盟国地位が進んでおるわけでございますが、ただいま御指摘になりましたように、一月にはアジア開銀シニアスタッフを団長といたします合計七名の調査団ベトナムを訪問いたしまして、その主な任務は、既承認プロジェクト実施状況調査、新政府政策及び経済情勢の把握、それから既承認プロジェクト実施機関現状調査ということをやってまいりまして、帰って、マニラの本店でその報告書を出しているという状況でございます。それから世界銀行につきましても、ほとんど時を同じゅういたしまして調査団ベトナムの方へ参っておるわけでございます。
  8. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そんなこと聞いてないですよ。それはもう新聞に出ているのですから、それをいまここで言ったって何にもならぬじゃないですか。アシ銀をこれからどうしようかという議論をするときに、そんな人を食ったような答弁をしたらだめですよ。当然アジ銀加盟した、そのことはアジ銀が発足して以来の一つ変化なんですよ。そうすると、アジア開発銀行というものの今後のあり方をどう考えるかということが本委員会の本議案の審査なんでしょう。そのときにそんな新聞に出ているような、だれだれが行って、だれだれがして、だれだれが報告しました、そんなことを答弁したってだめですよ。当然に、だからその報告書はもうすでにとっていると思うのです。だからその報告書内容をもう少し詳しく説明してください。なめた答弁してはいかぬですよ。
  9. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 調査団のことをお尋ねでございましたのでいまのように申し上げたのでございますが、その報告書内容は、私どもまだ連絡を受けておりません。
  10. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それは怠慢じゃないですか。ぼくに第一課長の加舎さんですか、説明に見えたのはずいぶん前なんですよ。そのときにも、このことはぼくは指摘してあるのですよ。マニラからもうとっくに帰ってきて、三月の初めには報告したというのは出ているのですからね。当然にその報告は取り寄せて、その報告はこうだということで御説明あっていいのではないですか。そんな形式的な論議ならせぬ方がいいですよ。会館の部屋で説明聞いたらそれで済みますよ。  だから、いまの日本経済協力あり方そのもの、つまり賠償から新しい方向に移ってきておる、そういう中でどうあるべきか、それを論議しようというわけでしょう。だからそれはきちんと、アジ銀がどうして動いているか、日本におったのではなかなかっかみにくいのですから、そういうのは当然あなた方が取り寄せて、それを論議できるように資料としても出してもらう、そういう丁寧なことをしなければだめですよ。もう少しきちんと説明してください。
  11. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 いまの調査団報告は正式には出ていないのでございますが、アジア開銀ベトナムに対する政策といたしましては、これはベトナム統一後正常なる関係に復しておりますので、アジア開銀としてはこの加盟国に対して正常なる融資活動をこれからしょうということございまして、特に戦禍に長い間困っておった地域でございますので、そういう点も配慮してアジア開銀としては融資をするという方針は承っております。  ただ、先ほどの報告は正式にまだ当方に連絡ないものでございますので、それは申し上げかねるわけでございます。ただし私どもは情報として理事を通して聞いておりますところによりますと、その調査団が行きまして、水産とか林業、畜産を含む農業部門を最優先にする。それから既存の既承認プロジェクトがございますので、それが一時ディスバースがストップしておりましたのを再開することを検討するとか、そういう程度のことは情報として伺っておるわけでございます。
  12. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それ以上は水かけ論になりますからしませんけれども、ただ新聞報道では、三月の四日に一カ月間にわたる調査団報告発表になった、こういうふうになっておりますので、それはあなた方受けていない、こういうことでありますが、報告発表になったということでございますので、そういう報告があるならひとつ取り寄せてもらって、本委員会に、後でいいですから参考資料として御提出を願いたい、こう思います。  そこで、いま国際金融局長から御答弁のように、そういうアジ銀としての姿勢というものは説明があったわけでありますが、そうしますと、それに対して日本政府としてもそれについては積極的に推進をしていく。そして今度はそのアジ銀と対応する日本政府としての対ベトナム経済協力、これは外務省になりますか、いかがですか。
  13. 三宅和助

    三宅説明員 統一ベトナムに対します日本政府援助方式といたしましては、すでに五十年度には八十五億円の無償援助をやっております。五十一年度につきましては五十億円の無償援助をすでに提供しております。  今後の援助につきましては、まず無償援助につきましては外交ルートを通じまして先方から正式に要請があるならば、対日債務関係の諸問題の解決見通し等も勘案いたしまして、ケースバイケースに考えていきたいと考えております。それから技術協力につきましては、外交ルートを通じまして具体的な要請先方からありました場合には、これまたケースバイケースに検討していきたいと考えております。  一番大きな問題でございますのは政府借款だと思いますが、これにつきましては実は対日債務は現在百六十三億円ございます。この問題の解決のために現地で交渉が行われております。私たちといたしましては、双方が満足するような形で一日も早く解決し、その前提のもとに今後もこの借款関係を検討してまいりたい。こう考えております。
  14. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 その南ベトナム政権への問題という債務の問題、これは余りここで細かな議論を詰めることが効果的であるとも私も思いません。だからいまの答弁で、私は含みたいと思うのです。それで十分政治的な解決という方向に持っていかざるを得ないだろうと思うのです。  つまりベトナム社会主義共和国ハノイ政府にしてみますと、一九四五年以来、自分が連綿とした正統政府だということで来ておると思いますし、私たちもそう思います。そこは現在の日本政府とはあるいは見解の分かれる面があるだろうと思います。しかし特にこの百六十三億の債務問題等については、サイゴン政権が崩壊いたします直前に商品援助等を非常にやりました。これは当時やったときの外務大臣大平外務大臣で、私はこの問題については外務大臣とも相当やったのです。いまやることは崩壊しようとしておるベトナム政権へのてこ入れにほかならない、だからそれはやるべきでない、こういう議論もしました。橋の問題であるとかそういう援助もやったわけでありますから。しかしそれはハノイ政府にしましては歴史的に正統政府だ、だからすべてを引き継ぐ、こう公式にはやっておりますが、しかし中身の一つ一つになりますと、たとえばダムの問題とかそういう今後の建設に役立つ問題と、そうではない商品援助とは私は当然分けねばいかぬ問題があるだろう、こう思います。だからそこはいまの御答弁に従って政治的にというか早急に解決をして、この問題にこだわって経済協力に応ずるのがおくれるということのないようにお願いしたい、こう思うのです。いかがですか。
  15. 三宅和助

    三宅説明員 御案内のとおり、私たちといたしましてもベトナムとの関係は一刻も早く復興、再建の方向に持っていきたい。そのための前提といたしまして、一日も早く債権債務の問題を解決したいということでいま鋭意やっておりまして、次第に望ましい方向に動いているのじゃないかと思います。したがいまして、それとの関連も考慮しながら将来考えていきたい、こう思います。
  16. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 と同時に、ベトナムとあるいはインドシナ三国とASEANとの問題につきましては、これはジグザグありますけれども、やはり協力という方向に大きくは向かうと思いますし、日本もその役割りを果たすべきだ、こう思います。そのASEANとの協力関係についてこの間総理にも質問いたしたのでありますが、明治三十八歳で、貴見のとおりなんという大変聞きなれぬことを言うものですから最初は戸惑いましたけれども、まあ賛成だ、こういう話なんですが、アジア開銀もあるいはESCAPインドシナ三国とASEANとの協力関係といいますか、そういう方向を進めていくことについては積極的であるというふうに報道があるわけですね。しかし、一方ではまたASEANからの慎重論も出ておるという、非常に政治的ないろいろな問題が絡み合う段階であろう、こう思うのです。しかし、日本としては、その際に両ブロック対立をする方向でなくて、いかに対立を解消していくかという方向に進むべきだろう、こう思うのです。  その意味で、私は一つの具体的な問題を取り上げたいと思うのです。それは、メコン川の流域開発の問題ですね。これはすでに古い歴史があるわけでありますけれども、メコン流域開発というのが、従来ベトナム戦争をやっております段階においては、明らかに南ベトナムとそれから今日に至る前のカンボジアなりラオスなりタイなりというものを対象にして考えられたわけです。しかし、それじゃいかぬと思うのですね。そうしますと、メコン川というインドシナ半島全域を考えますならば、ベトナム社会主義共和国カンボジア、それからラオスタイというメコン流域全体をどう開発していくかという方向に進まなければいけないのじゃないかと思います。だから開銀なりESCAPなりを通してやる方向と、それから日本がこの問題にどう対応していくかという方向について外務省としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 三宅和助

    三宅説明員 先生指摘のとおり、メコン流域開発に関しましては、従来からも日本といたしましては非常に積極的にやっております。実際問題としまして、インドシナ半島タイとのお互いプロジェクトを通じてお互い平和共存結びつきというものが強まるということが一番望ましかろうと思います。ただ残念なことに、現在は、特にベトナムとそれからカンボジアでございますが、必ずしもメコン委員会との間の調整ができておりません。ラオスの場合は特に第二次ナム・グム・ダム建設を通じまして具体的に話が進んでおります。われわれといたしましても、メコン委員会が一日も早く積極的な活動をすることを望んでおりまして、現実に来年度も政府予算案につきましてはメコン委員会運営資金の補助といたしまして三万ドルの予算計上をお願いしてございます。これはメコン委員会に対する日本政府の誠意のあらわれというぐあいにたちは解釈しております。
  18. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ナム・グム・ダムアジ銀で出して、つまり二国間だけれども、管理としてはアジ銀管理にしたわけですか。
  19. 三宅和助

    三宅説明員 ナム・グム・ダム世銀管理下でございますが、計画自体メコン委員会活動の分野に入っております。
  20. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私は、このナム・グム・ダムは、ちょうど左右政府がまだ対立をしておるときでありますが、その真ん中の境界線になる国道をナム・グム・ダムまで行って見てきました。タイ売電をしてラオス経済には相当協力をしておるという状態でありますし、メコン川の流域というのは一億の人口ですね、全部合わせますと現在の人口で九千六百万。一億の人口のここに共存の体制ができるという方向をどうしても——それは中ソの対立もあります。ベトナムラオスあるいはカンボジア、それぞれの間にあります。しかし、これに対して、それをどう協力をしながら開発をしていくかということは大変大事な関係ですね。乙の方向についてはぜひ、先ほど申しましたベトナムに対する問題と同様、メコン流域全体というものについては、つまりその対立なりあるいは姿勢がわからない、特にカンボジアの場合姿勢がわからないと思いますけれども、そういうものを十分に配慮しながら積極的に日本ASEAN協力をして、あそこに対立ブロックをつくることを絶対にやらないということが大事だと思いますし、そのことが日本政府としてもとるべき態度だと思うし、またアジ銀においても日本の代表が積極的にそういう方向で動いていくという努力をすべきだ、こう思うのです。次官、どうですか。
  21. 高鳥修

    高鳥政府委員 ただいま先生の御指摘のように、私ども、その地域における民族全体が協力をしながら平和の中で繁栄していくような情勢をつくり出すために、日本として寄与できる面があれば寄与していかなければならない、このように考えております。
  22. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私は最初ベトナムに入りましたが、そこで経済協力あり方というもの、これはいま抜本的に検討しなくちゃならぬと思います。混乱が相当あるんじゃないかと思うのです。  そこで、私は大臣の、これは次官に対して決してあれじゃなくて、つまり対外経済閣僚会議の重要なメンバーである大蔵大臣にこの基本的な姿勢を問いたい、こう思って、理事の方には大臣にどうしても出てもらわなければいかぬということを強く要求したわけなんです。つまり、経済協力あり方というものを考えます場合に、わが党はアジア開発銀行に反対してきました。それはこのアジ銀の設立の時期、それから経過、そういうものがあったわけでありますが、六四年のトンキン湾事件を受けまして、六五年のジョンソンのボルチモア演説を受けて、そうしてこれはそうではないという議論をあのころの協定議論の際にはずいぶんやっているわけです。私は、その議論をここで蒸し返そうなどとは思いません。そうじゃなくて、私が協力あり方を問い直そうという点は何かといいますと、ASPACは御承知のように韓国のイニシアチブでソウルで開かれた。そしてやってきました。それから東南アジア開発閣僚会議ボルチモア演説に呼応しまして日本イニシアチブをとって六六年に、ASPACも六六年ですね、六六年に東南アジア開発閣僚会議を東京で開いて発足してきたわけです。そしてそれにおくれてこの暮れにアジ銀が設立されてきたわけです。その前に工カフェ提案その他、いろいろあります。しかし、それはいまここで問う必要はないのでありますけれども、このASPACなりSEATOなり崩壊をした。なくなった。東南アジア開発閣僚会議というのは七四年にマニラで開かれまして、木村外務大臣出席をしていろいろ演説をしたわけでありますが、これはもうシンガポール会議が開かれないまま今日に至っておるわけです。しかし日本政府としては、東南アジア開発閣僚会議というのはそのまま存続という考え方に立っておるのではないか、こう思います。この東南アジア開発閣僚会議には必ずアジ銀側出席しておったわけです。だから、そうしますと、この東南アジア開発閣僚会議というものを今日どう考えておるのか。つまり、これはもうASPACやそういうものと同じように消滅をしたものというふうに考えるべきだと私は思うのですが、いかがですか。
  23. 三宅和助

    三宅説明員 実は東南アジア開発閣僚会議自体につきましては、まだ消滅したとは考えておりませんが、現在のところ、ASEAN諸国は仲間の結果に忙殺されております。したがいまして、現在、特にベトナムとの関係も微妙になっておりますので、そういうASEANの国の希望に従いまして、しばらく様子を見よう、その後、やがてASEANの国もやはり一緒になって東南アジア開発閣僚会議をやろうということになったときに具体的に総会を開くということでございまして、機構自体はまだ消滅したとは考えておりませんし、そういうぐあいにASEAN諸国も認識しているかと思います。
  24. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 日本がイニシアをとってきたのですから、そういう考えを述べられるのは当然だろうと思います。しかし、私はこれを再発足させるというようなことをやってはいかぬ、こう考えます。  大きなアジア変化というか、これは世界の変化でもありますが、経済協力あり方が根本的に問われたのは、七三年のパリ和平協定と、それから石油危機と第四次中東戦争だと思います。このことが根本的に経済協力あり方というものを問い直すことになったわけであります。だから、七四年一月の田中訪問というのは、恵んでやるぞという姿勢東南アジアを回ったら総反撃を受けたわけですね。その後、七五年にはサイゴンが陥落、こういうことでありますが、こういう事態というものを今日日本政府はどのように再検討しておるか。  具体的にお尋ねしますが、対外経済協力審議会が、七四年の政府の諮問に基づきまして、五十年八月に「今後の開発協力推進について」という方向答申をいたしました。そして、さらにその審議会提案というか要請に基づいて、内閣対外経済協力閣僚懇談会を発展いたしまして、対外経済協力閣僚協議会というふうに強化をしたはずであります。そこで経済協力基本的政策方向づけというものをやってきたと思うのですが、この対外経済協力閣僚懇談会というもののあり方自体審議会は問う、つまり強化をしなさいという方向閣僚協議会ができたんだが、五十一年八月にはこの対外経済協力審議会は「政府開発援助抜本的改善について」という意見書を出してきておる。そのことは七五年から七六年にかけて海外経済協力についての日本政府のきちんとした姿勢が出ていないということで、意見書も出てきたと思うのです。  私がお尋ねしたいのは、先ほど申しましたようなベトナム情勢変化、それから石油危機、そういう中で、政府としてこの経済協力あり方について、どこの機関でどういう総括をして、どういう方針を出してこられたか、基本方針を伺いたいと思います。
  25. 三宅和助

    三宅説明員 経済協力の基本的な政策につきましては、関係各省、特に大蔵省外務省、経企庁、通産省というところで調整しております。  実際の経済協力基本理念といたしましては、これは言うまでもないことでございますが、開発途上国の民生の安定、それから財政的困難、特に生活水準の向上ということで、自助努力を支援するというかっこうでございます。この基本理念につきましては各省とも全く意見の相違がございません。  具体的な政策につきましては、たとえば開発援助の増大とか質的改善の問題、そういう問題につきましては、各問題ごと各省間で十分意見調整をしながら、また先生指摘中間答申、それから閣僚協議会意見も入れまして、随時意見調整しながら政策を進めてまいっております。
  26. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 閣僚協議会というのは、今度の行財政検討委員会の中で、これは廃止になったのですか改組になったのですか。
  27. 三宅和助

    三宅説明員 この問題につきましては、御指摘のとおり行政簡素化の一環といたしまして廃止になっておりますが、ただ、アドホックに、問題のあるごとにその会議を随時開くということになっております。
  28. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、それは審議会に了承をとって廃止になりましたか。
  29. 三宅和助

    三宅説明員 審議会の方は総理に対する諮問機関でございまして、片や閣僚協議会政府機関として設立されたものでございます。  したがいまして、行政簡素化の一環としまして、趣旨は存続されている。すなわち、その都度の問題に応じた適当の閣僚が随時相談しようということでございます。趣旨は生きておりますが、具体的に審議会の方と相談したとは聞いておりません。
  30. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ただ、審議会が、懇談会をこうしなさい、こうしてほしいという要望があって設置したんですね。それから、さらに五十一年の八月には強化方向要請しているんですね。ところが行政府の方は、行財政の簡素化だ、行政機関の簡素化だということで廃止をしたわけですね。  この審議会というのは、これは基本的に問えば時間のかかる問題で、戦後の民主主義の問題として審議会が出てきたわけですから、そうしますと、私は、特に国際関係が複雑になってくる今日の事態の中て、審議会側が要請をした——私は審議会自体もメンバーを一遍全部洗ってみたいと思いますけれども、要請をしてきた、強化をした、ところがその基本方針というのがきちんとせぬうちになくなった、そういうことは、今日の日本政府、自民党政府海外経済協力あり方について非常に問われる点だ、こう思うのです。それらの点は後ほど大臣に問いたい、こう思っております。  そこで、これは大蔵省に伺いたいのでありますが、いま経済協力をいたしますについて、国内の機関としては輸銀と基金がございますね。ところが、日韓の経済協力でも、基金が大変ずさんな融資をしておるというのがこの委員会でも予算委員会でも衆参で暴露されているわけです。私は経済企画庁を憎く思って言うわけではありませんけれども、やはり行政のなわ張りの中から生まれたこういうあり方というのが、今日のこういうずさんな問題を生み出している一つの原因だろうと思うのです。つまり、現地の実態というものを十分に調査をする機関もないわけですが、それが莫大な基金、つまりこれはいま従来の輸銀からもうほとんど基金に移っているわけですから、そうしますと、そういう機関あり方というのは根本的に問い直さなければならぬ時期にいま来ておると思います。だから対外経済協力閣僚会議自体が、あいまいにできたりつぶれたり、どうなったかわからぬというような状態にある。一方、この機関は大変ずさんな運営をしておる。そして明確な責任というか、それがない。だからそういうもの全部を問い直さなければならない時期にあるのだと私は思うのです。大蔵政務次官は、こういう経済協力の各金融機関あり方について抜本的に検討されるかどうか伺いたいと思います。
  31. 高鳥修

    高鳥政府委員 先般来予算委員会などにおきましていろいろと御質疑が重ねられておるところにつきましては私どもも承知をいたしておりまして、ただ、従来のこの基金などのあり方につきましては、きわめて機械的に書類審査をして措置をするというような面が非常に多かったのではないだろうか。したがって今日いろいろと御質疑があるような事態が起こっておるのではないかと思いますので、それらの点につきましては今国会における予算委員会の審議の状況等を踏まえまして私ども十分また検討してまいりたい、このように考えておる次第であります。
  32. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私は、きょうはアジ銀それ自体の細かな議論は余り触れませんでした。というのは、先ほど言いましたように一つの転換期ですから、転換期の中でどうあるかということ、基本がきちんとしなければならぬと思うのです。  そこで、今度はアジ銀の問題について少し細かくお尋ねをしたいと思いますが、このアジ銀日本から何人行っておりますか。
  33. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀の職員は、専門職員と補助職員に分かれておりますが、この補助職員の方はほとんどが現地のフィリピン人でございまして、専門職員が各国から採用されておるわけでございますが、それについて申し上げますと、日本からは総裁を含めて二十九名が行っております。全体の専門職員の数が二百九十名でございますので、約一割ということになっております。
  34. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 この二十九名の人たちは全部出向ですか。それから、もう完全にアジア開発銀行の職員として、つまり日本側の出向でないプロパーの職員というのは二百九十名の中にいないのですか。
  35. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 日本側の事情からは出向あるいは出向でないという区別がございますが、アジ銀の方といたしましては、採用に当たりまして期限を定めない採用にするかあるいはたとえば期限を三年と定めた採用にするかという違いがあるわけでございます。  実態を申し上げますと、日本の官庁あるいは銀行から事実上の出向という形で行っておる者は相当ございます。しかし数名程度は、そういう関係なく、いわゆるパーマネントな職員として行っております。(川崎(寛)委員「それは二十九人に入っている」と呼ぶ)はい。
  36. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大体勤務は何年ぐらいですか。これは新聞報道等もあるのですけれども、日銀とか興銀とか開銀あたりからも行き、部長クラス七、八年という人もおるのだが、大蔵省がもう少し上におるのだけれども、大蔵省が一番早い交代だ、二、三年だと言っておるのですね。これはアジ銀の今後のあり方を考える場合に一つの問題点だろう、私はこう思うのです。大蔵省が一番早い勤務で帰ってくるということをお認めになりますか。
  37. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 大蔵省から出向した者でも、たとえば四年という者もおりましたし、それより短い者もおりまして、日本の銀行出身に比べまして必ずしも短いということはなかろうと思います。先ほど申し上げました事実上のパーマネント職員は、銀行設立後一年以内に採用されまして、それからずうっと今日に至っているという者もおりますので、そういう人々は八、九年という長さの勤務をしておるわけでございます。
  38. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大蔵省から八、九年ですか。私は大蔵省が一番短いというふうにこれは聞いているのですよ。だから、それがアジ銀の中で、腰を据えたアジア地域開発の金融機関としてのあり方を進めるについて、そういうアジ銀の立場でやる、つまり国連の一環を担いながら国連の機関協力をし合いながらやっていくという姿勢が大変薄いのではないか。だから、本国の指令というものを非常に忠実に、行って短期間やって帰ってくるという形のものが特に大蔵省に多いのではないか。  これは、私たちアジ銀議論してまいりましたときに、特に六五年、日本の賠償が終わり、次に円借款等に入りますときに、韓国、台湾に非常にふえた。そして、それが、その当時ちょうどベトナム戦争のその最中にまた韓国、ベトナムにこのアジ銀からの融資も多かったわけですね。だから、そういうあり方というのが、いまここで根本的に問い直されなければならないし、問い直されるのじゃなくて改まらなければならぬ。こういう時期ですから、私は、日本から出向していく諸君の姿勢も、そういう意味では、これまでのようなあれではいけない、こう思うのです。そこで私は、いま、ただ単に年数の短いとか長いとかいうのを問うだけではなくて、その姿勢を問うておるわけです。次官、いかがですか。
  39. 高鳥修

    高鳥政府委員 ただいま御指摘のように、大蔵省から出向いたしております職員につきましては、比較的在職年限が短いように確かに事実示されておるところであります。これから必要なことは、国際社会に通用する職員、そしてその一機関において本当に精通をしてお役に立つ職員というものを、やはりエキスパートを養成して、ある程度行った立場で十分活動できるような体制というものが必要ではないだろうか、確かに御指摘のように思うのでございます。大蔵省の人事ということになりますと、一年ないし二年で人事の回転が行われていくわけでございますので、その一環として考えることはもちろん必要ではございますが、アジア開銀なりその他国際関係機関すべてそうでございますが、ただいま川崎委員の御指摘になるような立場を踏まえながらやってまいりませんと、国際協力関係というのは円滑にいかないのではなかろうか、このようにも思いますので、御指摘の御意見につきましては、十分今後ともひとつ気をつけてまいりたい、このように思っております。
  40. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わります。
  41. 小渕恵三

  42. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 同じ選挙区の先輩の川崎先生の後を受けて御質問いたします。  わが日本の国というのは、貿易立国を国是として、資源を初め多くの重要資源というのを海外に依存している、こういう国であります。また、国際環境というのも日々変化してまいります。こういう時代に対処するために、わが国というのは、まず第一に、適切な景気対策を通して、世界景気の回復というのをまずリードしていかなければ、開発途上国のこの不況脱出というのは、きわめて困難ではないかと思うわけでございますが、この点について御意見をお伺いいたします。
  43. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 開発途上国が、最近、経済的な不況と同時に国際収支の困難に陥っておりますが、それを救う方法といたしまして、一つには、石油危機以来産油国に年間四百億ドル程度の資金がたまっておりまして、それ以外の地域でそれに見合う赤字を負担しなくてはいけないという事情がございます。したがいまして、この間の資金の循環をどうつけていくか、赤字の穴埋めを融資をどうするかという問題が第一でございます。  しかし、第二に、借金の積み上げだけでは経済の再建ができませんので、やはり御指摘のように開発途上国経済自身を立て直す、そのためには開発途上国関係の深い先進国の景気が上がっていくということが望ましいわけでございます。日本の方といたしましても、アメリカ、ドイツなどとともにそういう努力をしておりまして、ことに日本の場合にはアジアとの間に大きな貿易の関係がございますので、日本の景気が上がりますとアジア諸国からの輸入もふえるということで好ましい影響が出てくるということだと思います。
  44. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 二番目に、現在の財政事情というのがきわめて厳しい、三分の一の国債を抱えているこの財政事情の中で、かつまた国内多方面からもいろいろな要求が多々ある。しかし一方、開発途上国に対しては着実な経済協力というのを伸ばすことがわが日本の国にとっては必要である、だからどうしても誠意を見せなければいけない、こういう環境にわが日本は置かれております。だとすれば、昭和五十二年度の予算において政府はどのような措置をとったのか、御説明いただきたいと思います。
  45. 三宅和助

    三宅説明員 五十二年度の政府予算案につきましては、まずその援助関係全般のいわゆる政府開発援助関係予算を総計いたしますと約五千五百億円程度でございまして、これは前年度に対する伸び率といたしましては二二%の増と一応なっております。それで具体的には、まず援助の量をふやすとともに援助の条件と申しますか、質をよくするという方の考慮をいたしておりまして、特に無償資金協力につきましては、水産関係無償を含めまして一二・五%の増でございます。それからまた同時に、食糧増産のための特別援助費というものを新設いたしております。これは六十億円でございます。このほかに技術協力につきましても、国際協力事業団に対する技術協力関係予算といたしましては三百五億円ということで、前年度比一八・三%増ということになっております。その他直接借款につきましても相当の伸びで、三千三百億円が一応計上されております。したがいまして、総計いたしますと全体としては対GNP比〇・二八%ということで、量的にもよくなっておりますし、質的にも相当改善されております。
  46. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 アジ銀を通ずる援助など、こういう多国間援助の比率が次第にふえて、現在三割近くなっている。この多国間援助と二国間援助の方式を比較した場合のメリットとデメリット、この辺のことについて一体どうなのか、お伺いいたします。
  47. 三宅和助

    三宅説明員 御承知のとおり、多数国間援助一つのメリットといたしましては、まずOPECの諸国の資金を有効に集め得る、動員し得るという面がございます。第二の点といたしましては、種々の多岐にわたる技術を組み合わせたかっこうでより多くの資金を導入できる。それから第三点は、やはり国際機関の持っております専門家のノーハウを利用できるという種々のメリットがあるかと思います。デメリットといたしましては、いわば日本援助という感じを相手国政府に与えない。多数国間の機関を通ずるものですから、日本からもらったという感じがしないということでございます。それからまた二国間のやっております技術協力、たとえば日本からの技術協力との組み合わせがきめ細かに行う場合に必ずしも調整がうまくいかない。  そういうようなことで、メリット、デメリットはそれぞれございますので、今後はメリットはできるだけ生かしながら、デメリットはできるだけ少なくするというかっこうで、いわば二国間援助と多数国間援助の合理的なバランスをとりながら、それぞれの長所を生かしながらやっていくことが一番適切かと思います。
  48. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 いま申しました多国間援助であれ二国間援助であれ、その原資はわれわれ日本国民の税金がもとになっているわけであります。しかし経済協力を行う以上は、受け入れ開発途上国の国民に心から喜ばれるような効果的、効率的な協力を行っていかなければ何にもならぬわけであります。従来わが国の援助というのはどのような成果を上げてきたのか、ひとつ詳しく説明してみてください。
  49. 三宅和助

    三宅説明員 まず援助のやり方自身につきましてはかなり慎重に、まず相手国の経済情勢というものを十分調査し、それから当該プロジェクトのための調査団を送り、それからさらに個々の案件について十分その効果というものを調査した上でやっております。したがいまして、効果的な援助をできるだけするような準備態勢をまず整えてやっております。  具体的には、これはいろいろあるのですが、たとえばインドネシアにあるカランカテスのダム、これは賠償と借款でつくったダムでございますが、その結果洪水調節、灌漑、発電等の多目的なダムで東部ジャワの総合開発計画の重要な一環をなしておりますが、これあたりは非常に現地でも効果を上げておりますし、インドネシア政府のみならずインドネシア国民から非常に高く評価されております。また、たとえばフィリピンの日比友好道路につきましては、これは賠償とその後の借款との組み合わせでつくったものでございますが、いわばフィリピンの基幹道路をなしておりまして、非常に多くの利用者によって、またフィリピンの政府、国民全体から非常に評価されている。ここらあたりが一番効果的な例として挙げられると思いますが、また無償関係につきましては、たとえばフィリピンのパンパンが川の洪水予報システムに対して援助をやったことがございます。その結果、たとえば洪水が事前に予知できるということで、退避命令とか対策が立て得るというようなことか、たとえばタイのキングモンクート工科大学に対します無償の援助をいたしまして、非常に学校自体の質がよくなった、実験機材その他建物がよくなったために優秀な学生が集まる、また優秀な内容になってきた、そのために生徒の質が非常によくなってきたというようなことで、それぞれそれ相応の効果を十分上げておると私たちは確信しております。
  50. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 アジアには開発途上国の半分以上の人々が住んでおり、アジア開発というのは特に重要であります。これとの関連でアジ銀というのはどういう役割りを果たしてきたのか、お伺いいたします。
  51. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀ができましてから十年余りを経たわけでございますが、当初三十の加盟国がいま四十二カ国となりまして、アジア・太平洋地域の小さな国も大分参加してまいってきておるわけでございます。  設立以来現在までに、融資におきまして通常貸し付けが約二十五億ドル、そのほかに非常にソフトな条件、すなわち金利なし、手数料一%、年限は四十年というふうな条件で貸し付けをいたしております特別基金が九億ドルくらいの融資実績を持つようになりました。合わせて三十四億ドルに達しますが、これはアジア開銀の借入国から見ます場合に、多国間援助の三割近くを占めるということになっております。ことにアジア開銀の特色といたしまして、融資においては、その地方の実情に照らしまして、食糧増産を中心とする農業開発とかあるいは水力発電等による電力開発というものに重点を置いてまいったわけでございますが、ことに世銀等に比べまして、特色がございますのは、技術援助を非常に重視いたしまして、職業訓練、教育その他の技術、あるいは融資を行います際に、その事前段階としての援助、そういったものを活発にやっておりまして、いわば日常健康の相談に応ずるファミリードクターというような役割りを果たしておるというのが一つの特色かと思います。
  52. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 インドはアジ銀から融資を受けていないように見えますけれども、どうしてインドは受けていないのか、お伺いいたします。
  53. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 インドの資金需要は非常に膨大なものがございまして、第二世銀の方がその半分程度のものをインドに供与しております。そういうことでございますので、アジア開銀ができましたときにも、インドは主として第二世銀の方に依存するということで、アジア開銀からは事実上借り入れを行っていないということになっております。
  54. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 開発途上国とわが国の貿易の割合は、わが国貿易の五割を占めております。そのうちの四割が東南アジアとの貿易となっており、また、東南アジアというのは、日本に対しては大変な依存度を示しております。わが国はアジアの中では唯一の先進工業国でもありますし、アジア開発には積極的な役割りを果たさなければいけないと思っておりますけれども、この点についての御所見をお伺いいたします。
  55. 三宅和助

    三宅説明員 先生指摘のとおり、アジア日本にとって非常に大事な地域でございますし、資源その他の面でも非常に重要でございます。したがいまして、まず従来からもアジアに対する日本援助、たとえば全体の援助につきまして七五%がこの地域に出ております。東南アジアには五〇%ということでございます。その伝統的な友好関係等から、相互依存関係の実情にかんがみまして、この地域に今後とも重点的にやっていきたい。最近は特にASEANプロジェクトということで、ASEANからも仮に将来、そういうような要請が出てくる場合には、十分われわれとしてもフィージビリティーその他確認しながら検討してまいりたいということでございます。したがいまして、今後とも大いに二カ国間の援助のみならず全般的に日本援助を継続してまいりたい、こう考えております。
  56. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 最近、開発途上国債務累積問題が非常に深刻化してきており、昨年末途上国全体で二千万ドルに達してきていると言われております。こういう国こそ援助資金を必要としているわけですが、融資するお金というのは、われわれ日本国民の税から出るわけであります。したがいまして、この融資するお金の管理、これはきわめて厳正でなければいけないと思うわけでございますが、アジ銀というのは、この管理についてどのような取り扱いをなしているのか、お伺いをいたします。
  57. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 まず、アジア開銀が貸し付けを決定いたします場合には、十分慎重にプロジェクトのフィージビリティー、借入人の返済能力等を審査するわけでございまして、貸し付けを決めますに当たりましても、その国の経済情勢等を考慮の上、理事会で慎重なる審議がさらに行われるわけでございます。一たん貸されました債権の管理につきましては、この債権自身が、相手国の政府に貸す場合あるいは政府以外の場合がございますが、政府以外の場合には政府の保証をとるということが通常の例となっておりますが、債権の管理を見ていくという部局もつくりまして、債権の管理に注意しておるということでございます。
  58. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 アジ銀の通常資金の確保というのは一応五年ごとに見直しするようになっており、今回第二次増資で五年目に当たるわけですが、後発の開発途上国の多いアジア地域では、ほとんど贈与に近いような形の特別基金の需要が非常に多いと承っております。この基金というのはどういうような方法で調達しておるのか、お伺いいたします。
  59. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀には通常の貸し付けに充てます資本金のほかに特別基金というのがございまして、借入人にとって非常に有利な条件で貸しておるわけでございます。年限が十年据え置きで四十年、金利はゼロで、手数料が一%ということになっております。したがいまして、債務の増大に困っております借入国といたしましては、こういった長期の低利の特別基金の貸し付けを要望いたしておるわけでございまして、その資金の拡充がアジア開銀をこの地域において成功させるための一つの要素になろうかと思います。この資金は各国から拠出をして集めるということになっておりまして、ただいま特別基金の拡充が進行中でございますが、それが終わりますと、近く次回の特別基金の拠出につきまして、また関係国と相談ずる段階になろうかと思います。
  60. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 いま申し上げた件について、第九回総会で米国の代表は、通常資金の金利を市中調達コストに管理費用を十分見込んだものとして、銀行の財務的基盤を強化して、払い込み資本金の比率を下げる、そして、アジア開発基金への繰り入れを可能ならしめるよう十分な準備金を積み立てる、こういうような希望意見を申しておりますが、この件についての御所見をお伺いいたします。
  61. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 御指摘のように、昨年米国の方から、米国の代表理事を通じまして、アジア開銀の経営の健全化という観点だと思いますが、貸付金利についても十分市場のコストを賄えるようにしたい、また今般の増資につきましても払い込み部分はなくてもいいじゃないかというような意見があったわけでございます。払い込み部分がないといいますのは、結局、払い込み部分はそれを原資にいたしまして貸し付けの財源にも充て得るわけでございます。しかもその資金コストがゼロということになるわけでございますが、払い込みを要しない部分につきましては、それはアジア開銀が円建て債あるいはニューヨーク等におきまして債券を発行いたすときの担保になるわけでございます。したがいまして、払い込み部分が少ないということは、市場からの資金の調達に多く依存しななければいけないということになるわけでございまして、全体を通じてのアジア開銀の資金調達コストが上がるということになるわけでございます。  したがいまして、日本考え方といたしましては、なるほど金融機関といたしまして健全なる経営をすることが好ましいという点には全く異議がないのでございますが、アジア開銀アジア地域におきます援助機関でもあるわけでございます。したがいまして、民間の金融機関のように資金コストを十分カバーするような高い金利で金を貸そうという経営の健全化という見地を余り強く出しますと、被援助国もその資金負担に困るという事情がございまして、私どもといたしましては今般の払い込み資本の部分をゼロというのはいかがなものか。当時アジア開銀のマネージメントからの案が二割ということでございましたが、その後いろいろ検討を重ねまして今回御提案をしておりますように一割ということになったわけでございます。  なお、貸出金利につきましては、アジア開銀としてコスト割れになりますということは経営の基盤を損なうことになりますので、これは市中の調達金利を勘案して決める、ただしその上にどの程度の管理費を乗せるかということにつきましては、なるべく管理費を乗せます部分を低くして借り入れ国の負担を軽くしたいという見地で検討に参画してきた次第でございます。
  62. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 わが国の経済協力の実績は、GNPの一%という国際目標に対して一九七四年、七五年には〇・六%前後と非常に落ち込んでおります。DAC加盟国経済協力が一%を超しておる中で、わが日本国に対しては非常に非難もあるようであります。しかし一方、歳入予算の三分の一の国債を抱えているこの政府の状態の中で、経済協力というのは非常にむずかしい問題だろうと思いますけれども、この辺の諸外国の空気を含めての御所見をお願いいたします。
  63. 三宅和助

    三宅説明員 経済協力と申します中に、実は資金の流れの総量、これは民間の直接投資なんかも含めました全体の資金の流れといたしまして一応一%目標というのがございます。政府開発援助の方は決して減っているわけではございませんが、民間投資の方が不況の影響を受けまして非常に減ってきております。したがいまして、対GNP比におきましても〇・五九ということで先進国平均一・〇五を大幅に下回っておる。これは政府としてはどうしようもないいわば経済の不況ということの影響でございます。  一番問題でありますのはやはり政府開発援助でございまして、これにつきましては先進国のDAC平均が対GNP比〇・三六となっております。これは一九七五年でございます。日本の場合は〇・二四ということでかなり低位にある。このあたりが御指摘のとおり先進国のみならず開発途上国でも問題になっております。したがいまして、政府といたしましても鋭意検討いたしまして、何とかしてこれを対GNP比経済協力政府開発援助を高めたいということで鋭意検討中でございます。
  64. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 御指摘の目標が一%という方でございまして、これは民間の資金も入っておりますので、私からちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。  先生指摘のように、七四年には経済協力総額のGNPの比が〇・六五%、七五年には〇・五九%でございまして、一%の目標からははるかに下回っておるわけでございますが、実はこちらの方は一九七〇年にすでに〇・九二%、七一年に〇・九五%、七二年には〇・九三%、そして七三年には一・四四%になりまして目標をはるかに上回ってしまったわけでございます。この原因は、民間の海外に対する貸し付けが当時黒字の時代でございまして大変活発であったという事情があるわけでございます。最近〇・六五あるいは〇・五九と落ち込んでまいりましたというのは、石油危機の後を受けまして、経済的に海外活動も沈滞したという要素がございまして、これは民間資金が中心になりますので政府としてなかなかコントロールのきかない面でございます。しかし国際的に要望を受けておりますのは、政府部門の資金、つまりODAの対GNPの比ということでございまして、それは外務省の方からお話があったようなことでございます。
  65. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 今日わが国の財政事情は増税ということを頭の中に入れなければやっていけないという状態の中で、少しずつでも毎年援助額はふやしていかなければいけないという必要があるとすれば、国民に対するその必要性のPR、広報活動、これはもっと必要なのではないかと思いますけれども、御所見をお伺いいたします。
  66. 三宅和助

    三宅説明員 先生指摘のとおり、経済協力が本当に日本経済のためになるんだということで、特に無資源の日本といたしましては、また資源を海外、開発途上国に特に多く依存している日本といたしましては、経済協力日本経済を伸ばす非常に重要な要素であるということにつきましていろいろな形、たとえばテレビ、雑誌、それから講演その他ありとあらゆる機会に啓発活動を現在行っていますが、確かにこの点ではまだ不十分のきらいがありまして、今後とも啓発活動強化に努めてまいりたいと考えております。
  67. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 ベトナム社会主義共和国アジ銀に入っていますが、それが地位を承継された経緯はいかがなものであったか、お伺いいたします。
  68. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 昨年の七月二日に南北統一されたベトナム社会主義共和国が正式にアジア開銀総裁あての電報を出しまして、その中で、同国は南ベトナムアジア開銀における地位を承継するということを通知してまいったわけでございます。これに対しまして、アジア開銀の総裁から七月二十二日、同国のメンバーシップの問題に関する技術的な面について検討中であり、早急に連絡するというふうな返電をしたわけでございます。その後九月一日までの間に、同国がアジア開銀に対して連絡経路、寄託所、総務、総務代理名の通知、それから南ベトナム債権債務を承継する旨の通知を行ってまいりまして、これを受けてアジア開銀といたしましては、九月二十三日の理事会でこの問題を審議いたしまして、米国理事を除きます全理事の賛同によって、ベトナム社会主義共和国が五十一年七月二日からアジア開銀加盟国として正式に南ベトナム加盟国地位を承継するということが承認されたわけでございます。
  69. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 一方アジアで一番大きい国は何といっても中国でありますが、アジ銀には中国は加盟していない。他方台湾は入っている。この辺のことについてどのようなお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。
  70. 三宅和助

    三宅説明員 確かに台湾は原加盟国としてアジア開銀に入っております。中国につきましては現在までのところ、中華人民共和国政府からは直接アジア開銀に対し加盟の意図がまだされておりません。確かに従来アジア開発銀行総会におきまして一部の代表が、中華人民共和国のアジア開銀への加盟が重要であるというような演説を行ったことはございますが、その本人の中国から特に何らの意思表示も行われておりませんし、本件については特に具体的に進展があるとは聞いておりません。
  71. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員 質問を終わります。
  72. 小渕恵三

  73. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 御苦労さまです。  午前中、政府委員を通して、アジ銀並びに日本政府経済協力あり方について先ほど来質問を進めてまいっておるわけでありますが、経済協力という問題は要するに政府の外交方針、つまり政府のとっております政治方針というのを全額であらわしたのが予算ということですね。そうしますと、政府の外交方針なり国際政策というものを全額で具体的にあらわしていくのが私は経済協力の具体的なあらわれ方だ、こう思うのです。その意味で、日本がいま非常に大きな転換点にありますことは言うまでもありません。そこで、細かい議論政府委員を通してやりましたけれども、私は対外経済協力閣僚会議のきわめて重要な立場にあります大蔵大臣に基本的な姿勢を問いたい、こういうことで特に大臣出席をお願いしたわけです。参議院における予算委員会の合い間を縫っての大変非人間的なことでありますことについてはまことに済まないと思いますけれども、しかし、先ほど申しましたような大事な点でございますので、あしからずひとつお願いしたいと思うのです。  先ほども山崎委員からも質問あったわけでありますが、日本政府開発援助というのが四十九年は〇・二五、それが五十年は〇・二三、五十一年の実績見込みは〇・二一だと思いますね。そういうふうにずっと年々下がっておるわけです。そうしますと、日本政府はこの海外援助について中期計画をどう考えておるのか。その中期計画の目標は〇・三六、こう聞いておるわけですが、それにどのように持っていこうとしておるのか。その場合に、国際機関を通してのあり方とあるいは二国間の直接のあり方の比率といいますか、割合、そういうものについてまず大臣の方から基本姿勢を述べていただいて、あと政府委員の方から具体的な御説明を願いたい、こう思います。
  74. 坊秀男

    ○坊国務大臣 お説のとおり、日本経済がこれから世界経済の一環として成長していくためには、ただ日本の国の国内経済というものだけを考えておってはいけない。これはどういたしましても諸外国、特に発展途上国に日本は相当の力を入れていって、そして先進国と手をつなぐことはもちろんのことでございますけれども、いわば処女地といいますか、そういったような国と手をつないで協調していくということが今日一番大事なことだと思います。そういったような環境にありながら、いまおっしゃられたように、対外援助の金額と申しますか、その規模が年々歳々減っていっておるということはまことに憂うべきことだと私は考えます。さような意味におきまして、私も、何といたしましてもそういったような趨勢はこれを改めまして、全力を挙げて日本のかのり限りの力をそこに注いでいかなければならないと思いますけれども、これらの手段、方法につきましては、係の局長からお答えさせます。
  75. 三宅和助

    三宅説明員 いま大臣の方から御答弁がありましたが、確かに援助自体は今後ともふやしてまいらなければいかぬ。その手段としてそれではどういうような方法がいいか。諸外国の中でも中期的なプランを内々持っている国、その持ち方、いろいろと格差がございます。日本の場合もやはり何らかの形の計画を内々持ったらいいのではないかというような認識が次第に高まりつつあることも事実でございますが、ただ、具体的にどういうような基準でどういうような形のものがいいのかということにつきましては、いろいろと慎重に検討しなくちゃならぬということで、全体を含めましてこの問題については政府部内で検討をしつつございます。
  76. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、いま大臣からも基本姿勢の御答弁がありましたけれども、ヨーロッパの先進国というかそういう国々は、ドイツもフランスもオランダなども世界不況の中で〇・三三%というのを〇・三六%に上げているのですね。そういう中でスリーエンジンだと言って思い上がっておる日本姿勢というのは、私は大変間違いだと思うのです。そしてやはり日本は二国間で行こうとする。二国間で行こうとすることは、直接影響力を及ぼしたいという考え方があると思いますね。現に賠償というのは五五年にビルマ賠償から始まりまして、この賠償を通して日本の重機械の輸出というのは非常にふえたのです。しかし、その非常にふえたことを、ではハノイとか北京はどう見ておるかといいますと、ちょうど私、行っていろいろ議論もしましたが、それはベトナム戦争のさなかでありましたから、それだけに神経質でもありましたが、日本は賠償を通してそれぞれの国への経済進出をやった、こういう非難というか分析をしておるわけですね。     〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕 そのことが日本との戦後の処理にいろいろと困難な、原則論のやりとりというのがあるその背景には、やはりそうした賠償を通して日本経済進出していった。それが一巡をして六五年からは、今度は円借款、こういうことで伸ばそうとしてきておるわけですね。でありますから、そういう姿勢というのはやはりいまここで根本的に検討し直さなくちゃいけない、こう思います。  だから、経済協力の基本を考えます場合に人権問題であるとか、たとえば韓国に対する援助というのが非民主的な政権のサポートになっておる。そのことはアメリカのカーター政権はそれを反省してきているわけですね。ところが、日本政府の場合には依然としてその反省がない。反共という立場で依然としてそれをやろうとしておる。私はそういうあり方ではもういけないんじゃないかと思うのです。たとえばベトナムの復興の問題にしましても、スウェーデン等は決して目的を明示したものじゃない包括的な援助を、これはもうベトナム戦争のさなかからやっておるわけです。だからそうした姿勢というものを日本も、本当にアジア日本として、アジアの唯一の先進国として進めてまいりますためには、そういう姿勢の根本的な再検討が必要ではないか、こういうふうに私は思います。  そのためには、先ほど山崎委員の質問に対してもある程度の答弁もありましたけれども、二国間で影響力を及ぼそうという、余りそれは前面に出ない方がいいじゃないか。プロジェクトによってはまたいろいろありますけれども、そうした点を私は基本的に検討すべきではないか、こう思います。でありますから、その点についての大臣の基本的な考え方というもの、平和共存というものを大前提にして、反共のブロックをつくるんじゃない、ブロックへの援助はやらない、そうではなくて平和共存方向に持っていくんだという基本的な姿勢が伺えるかどうか、伺いたいと思います。
  77. 坊秀男

    ○坊国務大臣 お説のとおり、日本が戦後、賠償を通じて発展途上国に対しましていろいろな仕事をしていくことによって協力をしたということは、私も、言うような経過をたどったということはよく承知しております。ところが、いまや賠償はほとんど完了いたしまして、その援助が、賠償が完了したというようなことも一つの契機として少なくなってきておるのではないかと思いますが、こういうような事態が一変してまいりましたならば、それはもうやり方というものを転換していかなければならない、経済協力をするに当たりまして転換していかなければならないということは、これもそういう必要が大いにあろうと思います。そういったようなことをやるに際しまして、もちろん経済の提携ということは必要でございますが、ただ、お互いの人権とか、そういったような、これはもう別でございます。やはりお互い人間でございますから、感情とかしきたりとか、あるいはそういったようなものも考えていかなければ、それだけでもってやるわけではございませんけれども、もう人間でございますから、こちらの気持ち、向こうさんの感情といいますか、そこに融和を図っていくということも、これも一つの大事なファクターじゃないか、かように考えます。
  78. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これは事務当局にお尋ねしますが、台湾地域というのがアジ銀に入っていますね。それで、アジ銀の台湾地域というのは、民間代表が来ているのですか、それともいわゆる台北政府と称するものの代表が出てるのですか。そして、台湾地域というのは、やはり国連機関からは大体整理されてきているわけですね。そうすると、国連機関の中でこういう台湾地域という形で入ってきているところはどこにあるのか。私は、これはやはり整理していかなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
  79. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 後で外務省の方から直接いただけると思いますが、台湾は十年前でございますが、当初からのアジア開銀加盟国でございまして、いまもそのまま残っておりまして、台湾を代表するのは中央銀行総裁が総務ということになっております。
  80. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、アジ銀というのは要するに政府代表じゃないわけですね。入っているのは民間ですね。そういうことで台湾地域というあれになっているのですか。加盟国と出資金と拠出金と、こういうのがあるわけでしょう。これは各国になっておるわけですね。そうすると、台湾地域という、ほかにこんなのがありますか。
  81. 三宅和助

    三宅説明員 それ以外の機関につきましてそういうところがあるか、ちょっともう一度検討いたしましてお答えいたしますが、われわれ聞いておりますのは、台湾というのはIMF、世銀ということが一番典型的な例かと思っております。  それから第一の質問でございますが、日本からどう見るかという問題と、台湾がどういう資格の人を台湾として出しているかという話は別でございますが、台湾政府としては、別に民間の人ではない、台湾から見た政府の職員が出ておると私たちは聞いております。
  82. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 朝鮮民主主義人民共和国は、これはいまみずから入ろうとしていない、まだ意思表示がないわけですが、いずれ入る時期をどういうふうに——入るだろうと思うのですが、日本政府としてどういうふうに判断していますか。
  83. 三宅和助

    三宅説明員 これは、確かにWHOという専門機関加盟しましたのでアジ銀に入る資格は持っております。しかしながら、現在までのところ、そういう希望があるかどうかということにつきましてはわれわれは承知しておりません。したがって、希望があるという話は聞いておりません。
  84. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 最後に、大臣、これはわからぬかもわからぬですが、実は国際学友会という外国の留学生を入れている会館がありますね。これは私費の学生が多いのです。現在は百五十人ほどと聞いておりますが、もう一方、文部省の方の所管のものには日本国際教育協会というのがあるのです。こっちは大蔵省は大変予算を出しているのです。これには約五億一千万、ことしは出そうとしているのですね。ところが、この国際学友会の方には大蔵省は二億しか出していない。人数は国際学友会の方が多いと思うのです。しかし、これは私費が主なんです。ところが、文部省の方のものは国費が多いのです。国費で呼んでいるもの。  私は、先ほど人権問題とか民主主義という問題を言いましたが、いまアジアは強権政治が多いのです。これは韓国にしてもタイにしましてもあるいはシンガポールにしましても、いま大変問題があると私は思っているのです。あるいはインドネシアだって五月の総選挙でどうなるかわからぬ。軍事政権が多いのです。だから、向こうの政府が送ってきた学生が必ずしもいい——つまり日本が本当にアジアの国々と友好関係を結んでいくためには、そういう私費で来ている学生諸君というのにもつと温かいめんどうを日本としてはすべきだ。これまで、昭和十年以来ですか、各国から約一万一千人の留学生が日本に来て、そこで勉強してそれぞれ散っているわけです。東南アジアの国々で、大臣もおれば学校の総長もおるわけです。国費で来ておる者だけを大事にするような姿勢というのは間違いだ、私はこう思います。この国際学友会は三月三十一日で閉鎖、こういうことのようでありましたが、労使間の交渉でいま六月まで延びておるようです。ですから、外務省とよく話し合って、この問題については、この国際学友会が存続できるように、そして、むしろ大蔵省としてはこういう方面に——数千億の海外経済協力をやっておるわけでしょう、その中で二億だ、三億だということを考えておる。しかし、人間は非常に長い大きな歴史をつくっていくわけです。そういう意味においては、この国際学友会に対して大蔵大臣としては検討するということをひとつ考えていただき、閉鎖だなんということじゃなくて、前向きに進める、こういうふうにお考えにならないかどうか伺いたいと思います。
  85. 坊秀男

    ○坊国務大臣 御推測のとおり、私はそのことについては存じ上げていない。きょう、夜は御質問があろう、こういうことでございましたが、いま予算委員会におりまして、御推測のとおり、私は存じ上げておりませんけれども、そういう問題につきましては、事実、私もこれから勉強しまして、大いに検討して、そしてしかるべき処置に出たい、かように考えております。
  86. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わります。
  87. 小泉純一郎

    ○小泉委員長代理 宮地正介君。
  88. 宮地正介

    ○宮地委員 大蔵大臣、昼食の時間、大変御苦労さまでございます。時間がありませんので簡単に質問したいと思います。  まず第一に、日米首脳会談によりまして、アジアに対する日本の政治的、経済役割り、責務というものが大変増大した、私たちはそういうような結果に受けとめられるわけでございますが、特にDACの目標でございますGNP一%に対して、石油ショック以来日本経済援助、こういうものが大変にダウンしてきているわけでございます。西ドイツやアメリカなどにおいては景気の変動に関係なく経済援助に対しては中期的な財政の計画を立てて、安定的な経済協力の拡充に寄与しているわけであります。わが国としてもそういうような新しい段階に入ってきたのではないか、こう思うわけでございますが、大臣として積極的に取り組んでいくという考えがあるかどうか伺いたいと思います。
  89. 坊秀男

    ○坊国務大臣 お答え申し上げるに先立ちまして、大変私の一身上のことを御配慮していただいてありがとうございます。これだけ御熱心に審議をしていただいておる際に、大蔵大臣といたしまして昼飯なんということにはこだわっておりません。私はありがたく出させていただいておることをひとつお察し願いたいと思います。  いまお説のとおり、私先ほども申し上げましたけれども、日本の国の対外協力というものが、石油ショックということもございましたけれども、いろいろな面におきましてだんだん落ちてきておるというようなこの趨勢は、これは改めなければならない。そのためにはいろいろな方法を考えまして、そうして前向きに鋭意努力をしていきたい、かように考えております。
  90. 宮地正介

    ○宮地委員 要するに中期的な財政の計画を、イギリスなどは国内の経済環境が非常に悪いにかかわらずそういう計画を立てて、着実に先進国としての責務を果たそうという熱意があるわけです。わが国もそろそろこういうような計画を立ててやはり着実に世界経済の中における私たち日本役割り、責務というものを示していかなければならない。そういう意味で中期的な財政計画をつくる意思、考えがあるかないかもう一度伺いたいと思います。
  91. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 御指摘のように日本のODAはGNPに比べまして、他の先進諸国に見劣りしておるわけでございます。私どもといたしましては、これをなるべく早い機会に先進国の平均のところまで持っていきたいと思っているわけでございます。ただ何年計画でどうやって持っていくかということにつきましては、いろいろ財政事情もございまして、国内におきましても、一例を挙げますればたとえば福祉についてそういう年次計画ができていないとかそういうこともございまして、ぴったりと金額でいつになれば何億あるいは何%だと言うことはむずかしいと思います。しかしその目標に向かってできるだけの努力をしていくということは、この際私どものとるべき道じゃないかと思っております。
  92. 宮地正介

    ○宮地委員 そこでいま一番問題になっておりますのは、世界経済の景気の停滞の中にありまして、発展途上国における国際収支の悪化に伴ういわゆる累積債務の問題であろうと思います。この問題については近く閣僚会議の開催が予定されております国際経済協力会議では、特に発展途上国から累積債務の一括処理というものを先進国に強く迫るのではないか、こういう様相になってきているわけでございますが、わが国としてこの発展途上国の累積債務の問題について今後どのように取り組んでいく考えであるか伺いたいと思います。
  93. 坊秀男

    ○坊国務大臣 債務の累積によって危機に陥っておるというような国からわが国に対して何らかの御要請があるならば、他の先進国とも相談をいたしまして、適宜それに対応していく措置を考えていきたい、かように考えております。
  94. 宮地正介

    ○宮地委員 特にこの発展途上国におきます累積債務の対応策として、最近IMFなどにおきましては新しい融資制度というものを検討されていると言われております。また各国中央銀行の集まりであります国際決済銀行におきましても、この累積債務には積極的に取り組んでいく、こういうことが言われているわけでございまして、特に世界銀行の調査によりますと、七四年末には債務残高が一千五百十四億ドルになっておる。試算によっても今日現在では約二千億ドルにもなっていると言われているわけであります。こういうような非常な重大問題に発展してきているわけでございまして、特にその半分以上は先進国の市中銀行で借り入れとして取り扱われている。特に最近こういうような状況で、大変に残念ながら危険な国というようなところについては世銀やあるいはアジア開発銀行などの国際金融機関による肩がわりというものが国際世論として上ってきているわけでございますが、アジ銀の問題として今後どのようにこれに対処していこうとされるか伺いたいと思います。
  95. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 開発途上国債務が次第に累積してまいりまして、これを何とか救わなければいけない。ことに、その際、借金のうちかなりの部分民間の金融機関から貸し出されてくるものがあるわけでございます。これに対しましては民間金融機関だけでは処理し切れないので、IMF、世銀アジア開銀等の公的機関あるいは国際機関がもっと大きな役割りを果たすべきじゃないかという議論があるのは御指摘のとおりでございます。現にIMFにおきましても、産油国等から資金を集めまして債務累積に困っております国に貸し出しをふやしたいという案がいま出ておりますし、ただいま御審議になっておりますアジア開銀その他につきましても、資金を拡充してこれにこたえようという動きはあるわけでございます。  ただ、私どもこれを全体的に考えてみますと、なるほど民間金融機関だけには任せておけませんけれども、何十億、何百億ドルという膨大な資金を全部公的機関あるいは国際機関で賄うということはできません。むしろ民間の金融機関が安心して融資を続行できるようにすることが非常に大事じゃないかと思います。量的に言いましても、民間金融機関の、民間市場を通じます資金の還流というものは非常に大きなウエートを占めておりますので、民間金融機関が手を引くということになりますと、それこそ大変なことになるわけでございます。したがいまして、国際機関等に望まれておりますのは、一つには量の問題もございますが、貸し出しをいたしますときに、相手国の債務がさらに累増をし国際収支の赤字がさらに拡大することがないように、よくその再建計画を見ながら融資を行う。それを見まして他の公的チャンネルあるいは民間の金融機関が安心してその融資を継続するということが大事であろうかと思います。  もう一つは、こういった債務累積にこたえる道といたしましては、短いあるいは金利の高い資金では不十分でございますので、世銀とかアジア開銀とかそういったもの、なかんずく第二世銀あるいはアジア開銀の特別基金といった非常に長期で低利な資金を拡充してやるということが非常に大事じゃないかと思っております。
  96. 宮地正介

    ○宮地委員 特に日米首脳会談以後ASEANの外交というものが非常に重要になってきております。特にASEAN精神のシンボルと言われている工業化のプロジェクトに対するわが国からの資金援助には、大きな期待が込められているとも言われています。すでに尿素肥料などのプラントについてはインドネシアとか、あるいは過燐酸肥料ブラントについてはフィリピンなど、あるいはディーゼルエンジンについてはシンガポールといったように、ASEANあたりではすでに各国が割り振りをやっておる。これらに対する資金援助について非常な期待をしておる。一方では最近のマニラにおけるASEAN外相会議においては、福田総理の招請問題については、マレーシアあるいはタイが強い難色を示した。あるいはこのマニラ会議を機会にあのマラッカ海峡の問題について大型タンカーの通航を規制するという三国協定が調印された。こういう点で非常に大きな絡み合いを持っているわけでありまして、そういう意味合いにおきまして、特にいま申し上げましたASEANにおける工業化プロジェクトに対する資金援助に対して、そろそろ思い切った対応策を検討する時期に来ているのではないか、こう思いますが、大臣としてその決意、こういうものについて伺いたい、こういうように思います。
  97. 坊秀男

    ○坊国務大臣 お説のように持っていかなければならないと思っております。
  98. 宮地正介

    ○宮地委員 事務的にもうちょっと詳しく答弁を願います。
  99. 三宅和助

    三宅説明員 先生指摘のとおり、ASEANプロジェクトにつきましては、すでに先方から五つのプロジェクトについて資金援助をしてほしいという要請が少しく参っておりますが、何分まだフィージビリティーがASEANの中でも確認されてない、現在検討中でございます。われわれといたしましても、従来からASEAN諸国に対しましては、積極的に経済協力をやってまいっておりますし、また一次産品問題につきましても、これまた積極的に輸入の増大その他を図ってまいったわけです。結局ASEANの中で十分意見調整して、本当に日本に頼みたい、しかもどういう形の、どういう頼み方をしたいのかという具体的な結論にまだ達してない。したがいまして、具体的な要請ASEAN全体として日本要請した場合には、日本としてできるだけ真剣に検討しようという段階にございます。
  100. 宮地正介

    ○宮地委員 終わります。
  101. 小泉純一郎

    ○小泉委員長代理 荒木宏君。
  102. 荒木宏

    ○荒木委員 大臣御苦労さまでございます。  一言だけお尋ねしたいと思うのですが、近くアジア開発銀行マニラ総会が開かれまして、大臣もしくは代理の方が日本代表として御出席かと思いますが、そのときに表明されます態度あるいは演説基調、いろいろあるかと思うのですが、その中で、特に統一ベトナムを含むインドチャイナ三国に対する復興融資推進について基本的なお考えを伺いたいと思います。  と言いますのは、昨年の年次総会では、御承知のようにこの問題が論議をされまして、西ドイツ、フランス、オランダ、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、アジアではオーストラリア、こういった国々がその推進を強調したと報ぜられておりますが、残念ながら、日本代表はそのことに触れないままで終わった。特にアジア開発銀行の中におけるわが国の占める立場、地位から見まして非常に重要な点だと思いますし、本日の委員会でも同僚委員からその推進方についての熱心な御質疑がありました。こうした委員会質疑を踏まえて、昨年の態度をこの点につき再検討されて、積極的に推進する方向で、ひとつ日本としての態度表明をされるということを希望したいと思いますが、大臣の方から御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  103. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 実は今月の二十一日からマニラアジア開銀総会がございますが、そこで大臣がされます演説について、まだ大臣とお諮りしておりませんので、申し上げることはできないわけでございます。しかし、この地域に対しますアジア開銀融資政策につきましては、アジア開銀の憲章、協定の中におきまして、政治的な考慮を払わずに経済的に考えなければいけないということになっておりますので、私どもとしては、アジア開銀の対象国でございますと、平等に扱わなければいけないと思っておりますが、ただ、ベトナムの場合には、いきさつとして、先ほども申し上げましたように、南北ベトナム統一されまして、アジア開銀のメンバーに復するときに反対する理事がございましたけれども、日本理事は賛成いたしております。ことに融資におきましては、戦災の復興というふうな特殊事情がございますので、私どもとしては、そういう特殊事情を考慮して融資が行わるべきではないかというふうな考えを持っております。ただし、演説につきましては、まだ案ができておりませんので、申し上げることはできないわけであります。
  104. 坊秀男

    ○坊国務大臣 来たる二十一、二十二日にアジア開発銀行の総会があるということは私も承っております。ただ、しかし私は、日本といたしましては、アジア開発銀行の中においてはきわめて重要なる立場にあるということはよく承知しておりますが、何にいたしましても、国会で重要問題を御審議願っておる折からでございます。この前に福田総理が渡米をしたということで、国会に大変な御迷惑をかけたり何かしたということもございますし、私は、それを決定いたしているというようなことは、まだ申し上げられないと思います。そういうようなことで、国会の審議がもし許されるならば、そういうような状況にあるならば、もちろん私あるいは代理人が出席しなければならない、当然すべきだ、かように考えておりますが、そこのところは、いま決定をしておるということではございません。  それで、なおいま事務当局から申し上げましたとおり、そこに臨んでどういったような演説をするか、意思を表明するかということについては、まだ何にも打ち合わせをしていないし、草案もまだ私は見ておりませんので、ここでこれについて申し上げることはとうてい相かなわぬ、できないというような事態にあるということを、ひとつ御了承願いたいと思います。
  105. 荒木宏

    ○荒木委員 終わりますが、一言だけ言っておきます。  私、委員会の審議を踏まえて御検討いただけぬか、こう言ったのでありまして、いまの御答弁は、ちょっとお疲れかと思いますけれども、御出席かどうかということを伺ったのではないのです。大臣もしくは代理の方が、こう伺っておりますので、ひとつ念のために申し上げておきたいと思います。
  106. 小泉純一郎

    ○小泉委員長代理 永原稔君。
  107. 永原稔

    永原委員 簡単にお伺いいたします。  今回の経済協力一つの方策として、私、具体的に目に映るのは、アジア開銀への増資の問題、もう一つは、一昨日衆議院で可決されました国際農業開発基金への拠出、この二つでございますけれども、アジア開銀への増資は、提案理由の説明などを拝見しますと、四十一年以来すでに三十四億ドルに上る融資が行われている。     〔小泉委員長代理退席、山下(元)委員長代理着席〕 この内訳をいろいろ調べてみますと、普通貸し付け、特別基金貸し付け、合わせて農業部門に対して七億九千万ドルの融資が行われております。すでに十年にわたるこういう投資が果たして大きな成果を上げているのかなと、疑問を持つわけですけれども、今回さらに制定されます国際農業開発基金十億ドル、日本の拠出が五千五百万ドルになっていたと思いますが、こういうような農業関係について非常に多くの金が流れるのは、世界の食糧情勢ということからして適切な施策であるとは思います。しかし、アジア開銀と今度新しくできます農業開発基金との関連で、どちらに一体重点が置かれていくのか、そういう点についてまず一点伺ってみたいと思います。
  108. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀の増資に加えて、国際農業基金に対しまして五千五百万ドル日本は出資するわけでございます。この両者の関係でございますが、両方の機関の取り決めができませんと具体的なことは申し上げられ講せんが、国際農業開発基金におきまして案件を拾いまして、その実施をアジア開銀あるいは世界銀行、いろいろあろうかと思いますが、そういう国際金融機関融資面は委託するということになろうかと思います。
  109. 永原稔

    永原委員 それは実施の方法だと思いますが、国の方針としていずれの方向に重点が向けられていくだろうかということについて大臣に伺いたかっただけです。
  110. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 農業に対します日本援助は、国際農業開発基金、それからアジア開銀、それから世界銀行、第二世銀と非常に広くわたっております。それからまた、五十二年度の予算に新たに六十億円、日本が主体となりまして贈与ベースで東南アジアを中心といたしました食糧援助のための予算も用意しておるわけでございますので、日本の立場からそういったものを総合的に調整しながら援助をすることになろうと思います。また、その各国際機関の間におきましては現にやっておることでございますが、アジア開銀とそれから世界銀行との連携とか、そういった関係もあるわけでございます。
  111. 三宅和助

    三宅説明員 ちょっと補足いたしますが、国際農業基金につきましては、これは農業分野で農業の生産増強、特に開発途上国の農業開発を推し進めようという、いわば機能的な分野から農業の重要性を——絶対的にこの資金は不足している、農業増産、農業開発の必要性というのはかねてからうたわれていた、そのために追加資金として今回出したものでございます。それから片やアジア開発銀行の方は、アジア地域開発ということで、いわば地域的にこれを考えていく。したがいまして、双方相まちまして経済開発の達成を図るということでございまして、現に農業基金の方におきましても、地域機関協力してこれを達成するようにという規定がございます。
  112. 永原稔

    永原委員 世界食糧会議開発途上国が先進国の日本の食糧輸入について非常に批判をしているように聞いております。そういうような中で、日本がこれにどう対処していくか、こういうことは政策的に非常に大きく考えなければならない面である、こう思いますけれども、いずれ後刻また質問をいたしますので、大臣に対する質問はこの程度で打ち切っておきます。
  113. 山下元利

    山下(元)委員長代理 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  114. 小渕恵三

    小渕委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。沢田広君。
  115. 沢田広

    ○沢田委員 最初に、直接アジア開発銀行には関係ありませんけれども、大蔵の委員としても見逃し得ない問題が提起をされておりますので、これは国税局の方にお聞きをしておきたいと思うのです。  「脱税王のラク印晴れ」、こういうことで、史上最大の脱税王と言われたこの殖産住宅の二十九億二千二百万円、われわれの庶民の生活にいたしまするとまさに雲の上の話のような数字の脱税が無罪になった。本人にしてみれば、それはまた価値高いものがあったとは思います。しかしいずれにしても、この二十九億二千二百万円、これは重加算税その他も入っておると思いますが、そういうものが、無罪になったということで、これは結果的には、年間の売買回数が検察当局では百四十五回だったが、三十四回だったということがまず第一点であります。それから二点は、これは中曽根氏に頼まれて二十五億円を、総裁選挙に必要であるからその金を都合するために行ったものであって、本人の所得としなかった、こういうことで無罪となったというわけであります。この内容は大体そのように大まかに理解していいのかどうか。当面する国税の担当としてはどう理解しておられるのか、その一点についてお伺いをいたしたいと思います。
  116. 系光家

    ○系政府委員 本件は、東郷民安が昭和四十七年に殖産住宅相互株式会社ほかの約二千二百万株の株式を百四十五回にわたりまして売買したことによる所得が申告されていない点につきまして、所得税通脱犯としまして刑事訴追をされたものであるわけでございますが、きのうの一審判決では、これらの取引のうち本人に帰属する取引の回数は三十四回にすぎない、したがいまして、営利を目的とする継続的売買には当たらないからこれによる利益は非課税所得であるというようなことで無罪の判決が下されたというふうに聞いているわけでございますが、その詳細の判決の内容につきましては私どもまだ十分に聞いていないわけでございます。したがいまして、いま御指摘内容に尽きるのか、あるいはそのほかにもあるのかどうかという点につきましてはまだ十分中身を見ていないわけでございます。
  117. 沢田広

    ○沢田委員 国税としては、判決文はいざ知らず、もし判決文で、控訴するかどうか、これはまた別として、もしこれが正しいと仮定をした場合にこの残りの二十九億、これかけておりますが、この所得はどこへ行ったということに判断されているわけですか。結局だれかのところへ所得されたということになるわけですね。会社のためにやったということですから、社の所得ということで今度は法人の方の税で課税をすることになるのですか。それとも、これは中曽根さんの方にやったかやらなかったか知りませんけれども、政治献金の取り扱いで行うということになるのですか。それとも、あるいはこれは本人の所得でないとなればだれの所得にするということになるのですか。これは一応仮定の問題になりますけれども、控訴をするということであればこれはこのままの係属ということになりますが、その四つのうちのどれをお考えになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  118. 系光家

    ○系政府委員 私ども、一般に査察調査に着手した場合におきましては、国税犯則取締法の定める手続に従いまして鋭意実態を解明いたしまして、刑事立証に必要な証拠収集を行った上で、しかも個々の事案ごとに検察当局と十分協議をして告発の要否を決定しているわけでございます。本件の調査につきましても万全を尽くしたという確信を持っているわけでありまして、まだ判決内容を詳しくは検討しておりませんけれども、国税当局にとりましても今回の判決は全く意外な感じを持っているわけであります。ただ、それでは本件につきまして控訴するかどうかという点につきましては、これは検察当局の専属の権限に属する事項でございまして、私どもがいまの段階でいろいろ意見を述べるということは差し控えたいと思うわけでありますし、さらにきのう判決がおりたばかりでありまして、まだ裁判所に係属している刑事事件でございますので、それがどのようになった場合にはどのようになるといったようなことを立ち入って御説明を申し上げる、見解を述べるということは、差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  119. 沢田広

    ○沢田委員 この問題ばかりにかかっているわけにいかないのですけれども、とにかく差し控える、差し控えると言って、大蔵委員会で差し控えてどこで言える場合があるのですか。大体国民に釈明をしたり国民に問題を解明していくという場所はこういう場所以外にないんじゃないですか。どう思われているんですか。
  120. 系光家

    ○系政府委員 御指摘でございますけれども、きのう判決がおりたばかりでございまして、まだ裁判所に係属している事件である、その性格上、いろいろ先生の方からこういう場合にはどうなんだといったようなお話でございましたけれども、裁判の最終的な決着がまだ見通しがついてないという段階でございますので、この段階において、もしもこれが個人に帰属しなかったということになった場合はどうなるかといったような、あるいはまた判決の理由に挙げられている個々のケースにこれが該当した場合は税務上どう処理するのか、そういったことにつきまして、もう一つはっきりした事態で答弁をさせていただきたいということでございます。
  121. 沢田広

    ○沢田委員 私の質問の仕方が悪かったのかもしれませんが、ではこれは控訴する自信はない、こういうことですか。イエスかノーかで答えてください。
  122. 系光家

    ○系政府委員 私の説明が少しまずいのかもしれませんが、控訴するかどうかは、さっき申し上げましたように検察庁が決めるわけでございまして、私どもがこういった公の席上で国税局の意見を申し述べるのは筋が違うんじゃないか、こういうことでございます。
  123. 沢田広

    ○沢田委員 国税庁としての不平等あるいは脱税ということに対する認識としてはどうとらえているかという立場でいま聞いているわけですから、控訴するかどうかは検察庁で行うのでしょう、しかし国税庁としては、これはあくまでも脱税である、こういう信念に基づいているのかどうかを。結論だけをいま聞いているわけです。イエスかノーかで答えてください。
  124. 系光家

    ○系政府委員 これは最初に申し上げましたように、この事案の調査に当たりましては確信を持って調査をしたわけでありまして、その確信に基づいて告発をしたわけであります。したがいまして、きのうの判決には私どももまことに意外に感じているということでございまして、この辺のことでひとつ御了解を賜りたいと思います。
  125. 沢田広

    ○沢田委員 次に入りますが、アジア開発銀行の前総裁が、いま現在山一証券の顧問をやられているようでありますが、「貯蓄時報」という日本銀行から出ている本にいろいろ長いこと書いております。アジア開発銀行の思い出についていろいろな問題があるんだということで書いてあります。その中で、「「日本人とユダヤ人」という本があったが、ああいう印象が非常に強いね。」これが日本についてのアジア開発銀行を扱っていたときの非常に大きな印象として受けとめていた、こういうことなんであります。私たちもいろいろな、各方面から聞いている範囲内においての排日感情——日本は一生懸命にこれからもGNP対比〇・三六までふやしていこうということを考えていくわけでありますが、なぜこういう一生懸命に考えていく反面一方ではどんどん起こってくる排日感情、これはどこに原因があると思われておるのか、その点に対する見解を承りたいと思います。
  126. 枝村純郎

    ○枝村説明員 一言に排日感情と申しましてもいろんな原因があろうかと思うわけでございます。確かに、日本人にとりましては、長年こういう島国で住んでまいりまして、国際的な経験が少ないとか、そういうこともございますし、また言語上の障害もあるということであろうかと思うわけでございますが、たとえば観光客のビヘービアであるとか、あるいは一時期非常に海外投資というものが進みまして、それに伴う企業がいろいろ目立つということがございまして、実際にその内容をいろいろ分析してみますと、現地側の誤解とかその他いろいろあるようでございますけれども、そういったところが原因ではなかろうかと思うわけでございまして、もちろんその後、最近の事態では、官民一致いたしまして、そういった原因に対して適当な措置をとるように努力をしておる、  こういうことだろうと思います。
  127. 沢田広

    ○沢田委員 私がいま聞いているのは、原因がどうかということで聞いたのですが、原因の掘り下げ方がきわめて甘いと言わざるを得ないのだと思うのであります。要するに、エコノミックアニマルと言われております、イエロージャップといわゆるべつ視的な言葉で言われているいまの現状、あるいは商社の山賊商法と言われている、あるいは汚職と腐敗、そういうものと収奪、ナショナル的なものに対する反発、そういうようなものが総合的に起きているのだと思うのであります。その点については、抽象的な言葉でありますが、その原因の除去についてはどういう対策を講ぜられようとしておられるのか。私の見解と違うのかもわかりませんけれども、要するに排日感情をどうやって除いていこうとなさっておられるのか、その点についてお伺いをいたします。
  128. 枝村純郎

    ○枝村説明員 先生指摘のように、こういった感情というものはいろんな原因から生じてくるわけでございまして、中には長期的な対策を要するものもございますので、短期的にどうということが申せないところもあろうかと思うのでありますけれども、先ほど御指摘のような企業の摩擦の問題というようなことにつきましては、たとえば在外企業協会というふうなものをつくって、そういった摩擦の除去のためにいろいろ努力をする、あるいは発展途上国に対する投資行動の指針というふうなものを政府協力しながら財界がつくって、これにのっとって事を進めていく、あるいは在外企業の各社が現地社会との融合あるいは現地社会の福祉その他に対する貢献というようなことを、寄付その他の行為を通じてやっていくとか、当面そういうきめの細かい対策を進めていくということであろうかと思うわけでございます。あるいは、さらに大きく申しますれば、御指摘のようなニコノミックアニマルというふうな、もっぱら経済のみに関心があるというイメージを除去していきますために、文化交流でありますとかそういった面での努力も必要であろうかと思うわけでございます。
  129. 沢田広

    ○沢田委員 そういうふうに思うだけではこれは何にもならないのでありまして、この点どういうふうに実行なさっていくつもりなのか。ただ考えているだけではこれは話にならない。これから予算を組んでふやしていくのですから。ふやしていって、それから効果があらわれるのかどうかということをいま聞いているわけですし、ふやせばふやすほど排日感情が起きていくわけですから、それに対する対策は考えているだけでは話にならない。では具体的にどうそれを鎮火させあるいは親日感情というものがどう生まれていくか、そういう具体的な対策については、何かお持ちになってないのですか。
  130. 枝村純郎

    ○枝村説明員 これは、一方では政府開発援助に対する一層の増加という期待もあるわけでございまして、そういった期待にこたえていくこと自身も、そういった排日感情が起こり得るということに対する一つの対策といいますか、回答になろうかと思うわけでございます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、そういったことだけでなくてやはり在外企業の指導でありますとか、観光客に対する注意の喚起でありますとか、あるいは文化面でも、特に日本の投資活動あるいは観光客の赴く先として重要であります東南アジアというようなところに、何か重点的な施策を考えていくことを現在検討中ということでございます。
  131. 三宅和助

    三宅説明員 補足説明いたしますが、経済協力分野におきましては、一つは文化無償という形で文化面での無償、それから経済協力無償援助という形で、決してエコノミックアニマルではなしに無償で相手の学校を建て、病院を建てるというようなこと。それから政府開発援助でも非常に有利な条件のものを与え、または技術協力で海外青年協力隊を送るなど、要するに経済的な投資活動とか利益を求める活動以外の分野におきまして、政府として本当に援助を受け取る側の国民のためになる、そういう援助をやることによりまして対日イメージなり排日感情というものをやわらげるということで、毎年援助の増加も図ってまいったわけでございます。
  132. 沢田広

    ○沢田委員 次に、海外援助あり方、手続、認可という点についてちょっとお伺いいたしますが、いわゆる海外援助のいまの問題と関連をいたしますけれども、海外援助のいろいろな二国間協定あるいはアジア開発銀行あるいは輸銀関係、あるいは政府直接の援助というものもあるでしょう。そういう場合の援助あり方、手続、認可については、それぞれケースバイケースいろいろあると思います。たくさんな国がありますから、ここではインドネシア関係だけに限定をしてやっていきたいと思っておりますが、とりあえず石油開発公団に七百四十八億円、この中には探鉱も含まれておりますが、大体その程度予算が組まれている。それから、あるいは石炭石油対策特別会計の出資金として五百四十五億、こういうものは具体的には大体どこに出しているのか。時間が長くかかりそうでしたならば、これは後で書類を出していただきたいし、概略の説明をいただきたい。なお、成功払いの取り扱いについてはどういうものに成功払いを扱っているのか、その点についても関係からお伺いをいたしたいと思います。
  133. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 石油開発公団が主として海外におきまして、石油の探鉱活動開発活動いたします場合に投融資をいたします。これは、全体的に申しますとプロジェクトの数がかなり多うございますが、インドネシアに限って申しますと、これまでインドネシアで石油開発を行っております企業に石油開発公団が投融資いたしました企業は一社でございます。  成功払いということを仰せられましたが、原則といたしまして石油開発公団が投融資いたしました場合に、失敗に終わった場合にはその企業が返済しなくてよろしいという規定はございます。  さらに詳細に必要でございますならば、後日資料としてお届けしたいと存じます。
  134. 沢田広

    ○沢田委員 結局、そこで失敗に終わった場合は返済に及ばずというので、この失敗になる場合と資金を融資をする手続を認可する場合との問題になるわけでありますが、その間に今日のいろいろな問題が発生する原因もなくはない、こういうこともあるわけでありまして、カナダに起こった安宅産業の失敗、NRCというような会社の場合は、これはではどういうように該当するのですか。その該当の場合についてだけひとつお答えをいただきたいと思います。——もしなんだったら後にして次にいきます。後で答えてください。  インドネシア関係だけという限定をしましたから、急にカナダに行ったので戸惑ったのではないかと思うのでありますが、三月三十日のある新聞に「プルタミナ前総裁の疑惑」ということで記事が出ておりました。この中に、ストウ前総裁が結局逮捕されて、それでウトモ次長というのが側近であった。このウトモさんという人はプルタミナの前外国契約部次長であった。しかもニザルという人が財務部特別顧問でいた。この人は日本では合弁会社としてファーイースト・オイル・トレーディング会社に所属していた。こういうことについては御存じだと思いますが、この報道のとおりなんですか。
  135. 枝村純郎

    ○枝村説明員 ただいま御指摘の中で、ウトモという人が昭和四十四年からことしの三月十八日までファーイースト・オイル・トレーディングの非常勤取締役という資格を持っていたということは事実のようでございます。このファーイースト・オイル・トレーディングはプルタミナが五〇%の出資をしておりますし、原油をプルタミナから日本に輸入するという性格の会社でございますので、プルタミナ側の代表として加わっていたというふうに承知いたしております。
  136. 沢田広

    ○沢田委員 ますます明らかになってきたようですが、会計検査院の方にお伺いをいたしますが、このプルタミナ石油問題に関して、輸銀の方で金を出す場合にはジルコという会社に金を通してプルタミナ石油の開発を行った。それにはたくさんの会社があるけれども、その中にはファーイースト・オイル・トレーディング会社が資本の出資会社になっていた。しかも、そのジルコという会社を会計検査院が検査をしようと思ったら断わられた、こういうふうに聞いておりますが、いま言われていることについて事実かどうかをお伺いしたいと思います。また、経緯があったならば付言していただきたいと思います。
  137. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 LNGの融資というのは約十一億ドルという多額の融資でございますので、われわれも非常に関心を持ちまして検査しておりまして、輸銀からの融資はすべてこのジルコを通してプルタミナにいっているわけでございますので、われわれもその資金の流れということで非常に関心を持っておりましたが、私ども会計検査院法の権限から申しまして、政府出資でもないジルコに対しては検査の権限は及ばなくて、何とか帳簿を見せていただきたいということで協力を求めましたが、輸銀の検査の際にジルコの担当者の方が来てその辺の事情を説明されたという程度で、われわれとしての本格的な検査はできなかったという事情でございます。
  138. 沢田広

    ○沢田委員 そこで、若干言葉が残っているのですが、いま明らかになったファーイースト.オイル・トレーディングは、その出資された会社の一部に入っているという事実についてはどうですか。
  139. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 先生おっしゃるとおり、ファーイースト・オイル・トレーディングという会社は、ジルコへ約二〇%の出資比率で参加しております。
  140. 沢田広

    ○沢田委員 それで、このファーイースト・オイル・トレーディングは、取締役は四名と五名との合弁会社で、インドネシアとつくっているわけです。その代表取締役は東澄夫さん、日本人は松根宗一、高橋健二、木村富雄、中村長春、もう一人います、多田弥太郎という人です。通産省の方、名前に記憶のある方おりませんか。
  141. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 いま御指摘のファーイーストの役員のうち、私はこの人たちは存じ上げない方が多いのですが、取締役の中で社長は通産省の先輩であると承知しております。
  142. 沢田広

    ○沢田委員 東澄夫さんは、物価庁、金属、動力各課長、それから愛知県の経済部長、通産大臣官房厚生課長、公益事業局の公益事業課長、それから四国通産局長、公益事業局次長、札幌通産局長、それから多田弥太郎さんは、通産大臣の官房審議官をやってたんですよ。こうやって見ますると、あなたの先輩なんだ。そしてこの会社を見ると、結果的にジルコには日本政府が金を出して、それにはファーイースト・オイル・トレーディングが参加をしておって、そして今度はプルタミナ石油は放漫経営でいろいろ問題が起きて、ウトモ、ニザルも逮捕されるという現状になって、ストウも十億円程度の不当所得を得て逃げ歩いている。逮捕された、こういう状況の中で、今度はそれの石油を一手に受け入れるのがファーイースト・オイル・トレーディングである、こういう関係になっておるということは否定できますか。
  143. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 ただいまインドネシアから日本に対します油の引き取りについてお尋ねがあったと思いますが、御参考までに申し上げておきます。  現在、インドネシアから、つまりインドネシアの国営会社であるプルタミナあるいはそのほかのソースからわが国に原油を輸入しております日本側の引き取り手と申しますのは数社ございます。量的に申しましても、このオイルはカルテックスから入れてきておるのが一番多いわけでございますが、いま御指摘のファーイースト・オイルのほかに三社、日本の石油会社がございます。したがいまして、プルタミナから油を引いてきております会社はファーイーストのみではないということは申し上げられると思います。  それから、御参考までに申し上げておきますが、ファーイースト・オイル・トレーディングと申します会社は、プルタミナの日本におきますソールエージェント的な会社であるというふうに承知しております。先ほど御指摘の、ジルコという会社に対しまして、ファーイーストが出資をいたしましたのは、プルタミナのソールエージェントという資格におきまして出資しておるというふうに理解しております。
  144. 沢田広

    ○沢田委員 余り時間がないのですけれども、とにかく通産省のあなたの先輩だ。先輩がこういうふうな社長をやっていたり、それぞれ相当な幹部をやっている会社が、あなたの方の認可業務であるところのものに参画をして、そして同時に、それに輸銀から金が出て、一口に言って癒着だ。そういうものが今度はインドネシアのような国へ行って荒かせぎをやって、結果的には対日感情を悪くしている。そういうことをあなた方が片棒を担いでいるのだという事実を否定することはできないでしょう、現実の問題として。先輩の言うことだから、なかなかいやだとも言えない。日本の構造汚職と言われているゆえんのものはそこにあるのです。  ここいらから政務次官に聞きたいのですが、援助の分担といいますか、民間を通してどうこうというやり方をやるとこういうことになるわけですから、民間援助政府援助とはっきりと区分して、はっきり線引きをして、政府援助政府レベルだけでやっていく、民間は民間だけでやっていく、こういうふうな区分けをしていく必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  145. 高鳥修

    高鳥政府委員 政府援助につきましては、もちろんその適否を十分判断しながら進めてまいらなければならないところでございます。民間援助というお言葉をお使いになったのですが、民間援助というお言葉をどういう意味でお使いになっておるか、私よく理解できないのですけれども、民間が直接投資をしたり経済活動をしたりする、そのこと自体につきましては、政府といたしましては原則として自由に認可をして進めていくたてまえ、民間経済活動につきましては自由な立場を尊重するということを基本にいたしておりますが、国策といたしましての対外経済活動につきましては、おのずから節度がなければならない、そういうことを十分考えながら対処してまいらなければならない、こう思っている次第であります。
  146. 沢田広

    ○沢田委員 言葉の揚げ足取りではなく、また私の方も言いませんけれども、次の問題と二つありますし、あと佐藤同志がまた続けてやりますので、時間の関係がありますから簡単に質問をしていきたいと思います。  インドネシアだけの問題を先にいきますが、インドネシアだけで伊藤忠商事の関係で十三社、日綿実業で大体八社、日商岩井が九社、トーメンで大体九社、兼松が三社、丸紅が九社、安宅産業が六社、三井物産が二十二社、三菱商事が十四社、住友商事が十社、インドネシアに入っておるものだけで合計十企業百三社です。この中にどのくらい政府関係資金が流れ込んでいるか、私にも若干不明なんですが、わかっていたらば、この点どういうところにどういうものが流れているのか、教えていただきたいと思うのです。これはインドネシアの関係会社だけであります。
  147. 高橋達直

    高橋説明員 お答え申し上げます。  私ども海外事業活動についての問題を取り扱っておるわけでありますが、ただいま先生指摘がございました、どこの企業がどこの国にどれだけ出ておるかということにつきましては、権限上把握できない体制になっております。ただ、総合商社年鑑とかそういう市販のものによりまして、先生いま数字をおっしゃられたことについては私ども承知をしておる、同じようなあれであります。
  148. 沢田広

    ○沢田委員 その程度の把握で、今日の対日感情あるいは構造汚職と言われておる官僚との癒着、政界との癒着、こういう問題を解明しながら、国民に納得を得ながらこれから海外援助資金をふやしていこう、こういう姿勢をとっていくためには、まずみずからの姿勢を正していかなければならない、あるいは海外における商社の活動というものも相手の国民感情に整合性を持たせていかなければならない、そういう要望といいますかそういうものの要求を満たしていかなければならぬ。それが、どういう商社がどういう活動をしているかということが不明で、あるいは全然チェックもできない、あるいはそれがどういう資金で仕事をしているのかもわからない、こういうことでは今日の対日感情をやわらげる方便はないのじゃないですか。これは政治的な問題ですから政務次官関係者からひとつお答えいただきたいのです。
  149. 高鳥修

    高鳥政府委員 先ほど外務省の方からもお答えがございましたが、反日感情が醸成される原因は非常に広範なものがあると思います。そういう面につきましては、政府といたしましてできるだけの対処をしていかなければならないことは当然でございますし、また民間企業につきましても先ほど申し上げましたように節度ある姿勢で臨んでいただかなければならない。そういうことにつきましては、政府といたしましても強く要請をしてまいりたいと思うわけであります。  ただ、申し上げたいことは、日本が幾ら一生懸命やっておりましても、現地の事情からいたしまして自然に反日感情が醸成されてくるというケースもございますし、またたとえばその国の事情でその国内におけるいろいろな問題の目を対外にそらすと申しますか、そういうふうな観点から、故意にやるわけではないでありましょうけれども、日本がたまたま目のかたきにされるというケースも間々あるのではないかと思うわけであります。いずれにいたしましても誠心誠意それらの事態に対処していかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  150. 沢田広

    ○沢田委員 先般、私はフィリピンのアジア開発銀行へ電話をかけまして、アジア開発銀行の実績についてお伺いしたわけであります。フィリピンには二十九名の日本人がいる。初めは英語でしゃべっていたので、専門語ですから通じない点はありました。しかし、日本人が出てきた後でもとにかく発表するものもしない。アジア開発銀行が行っている行為について、いわゆる定款上総会が開かれて事業報告がなされるわけです。われわれ国民は株主の一人である。当然株主総会においてはどういう事業活動が行われているかという事業活動報告が行われるはずだし、当然そのことについてわれわれ国民として聞いた場合には答弁してもらえる方法があるべきだと思うのですが、それに対してノーコメント、発表できない。こういうことは、アジア開発銀行がどういう秘密のベールに包まれているかわかりませんけれども、あり方として問題があるのじゃないかと思うのですが、これはどういう立場にあるのか、その点お答えいただきたいと思います。
  151. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀の事業に関しましては、定款と申しますか協定上、年次総会に事業報告を出しますとともに財務諸表も一緒に出しておるわけでございます。そのほかに、PRの重要性にかんがみまして広報担当官を置きますし、刊行物も出しましてアジア開銀活動状況について広く世界に知ってもらおうという努力はしておるわけでございます。ただ、アジア開銀の中におります職員に関しましては身分上、これもまた協定の規定に従うわけでございますが、アジア開銀という中立的な国際機関の長に忠誠を尽くすということの誓約書を入れておるわけでありまして、広報担当官を通じて一般的な広報活動をするか、あるいは各国につきましては各国代表の理事を通じまして情報を流すというふうな仕組みになっておるわけでございます。
  152. 沢田広

    ○沢田委員 その仕組みのことを聞いているのじゃなくて、こういう議案を提案する場合に、われわれフィリピンまで飛んでいって調べてくればいいでありましょうけれども、議案が提案されて幾らかでも実態をつかんでよりよいものにしていこう、こういう努力をしようとしていることを妨げていくというそのシステム、そのことに問題があるのじゃないか。もう少しオープンに、あるいは協力的であっていいのじゃないか、こういう感じがするのです。その点については、いま言ったような仕組みの説明を私は聞くのじゃなくて、アジア開発銀行そのものがもう少し、閉鎖的でなくオープンであっていいのじゃないか、またそういうオープンな状態におくべき性格のものではないのか、こういう点を指摘しておきたいと思うのです。  先ほどのプルタミナの石油問題については、先ほど申し上げたように非常に疑惑のあるファーイースト・オイル・トレーディングの会社の中には通産省の役人、相当の高官が二人も入っている。しかも今後、プルタミナの石油問題は、倒産寸前であったが、どうやら始業開始になりそうだ。そうするとそれの石油はこのファーイースト・オイル・トレーディングに一応また戻ってくる、そういう一つの候補会社である。このままでいくと、どういう組織であるかわからぬけれども、通産省としてはこれを適合した会社として認めて、その該当会社として輸入をしていく会社の一候補としていくことは間違いないんでしょう。われわれとしてはそれは不適当だと思うのですけれども、その点はどう考えているんですか、確認をしておきたいと思うのです。
  153. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 先ほど申し上げましたように、ファーイースト・オイル・トレーディングと申します会社は、プルタミナの日本におきますソールエージェント的な会社でございまして、プルタミナが五〇%の株式を取得している会社でございます。プルタミナと申しますのは御存じのとおりインドネシアの国営企業でございまして、インドネシアの国営企業が日本に持っておりますいわば子会社、ソールエージェントというものにつきましてはインドネシア側の意向が物を言うのではないかと私どもは考えております。
  154. 沢田広

    ○沢田委員 たとえば、いま言ったあなたの先輩なりそういうものを通じて日本の政界なり官界をどろまみれにするような事態が起きても相手側の言い分に従わなければならないのが、このアジア開発銀行の投資をしなければならない金ですか。それほどまでにどろまみれにならなければならないほどの性格を持っている金になっているのですか。
  155. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 ファーイースト・オイル・トレーディング会社とアジア開発銀行というのは、何の関係もない企業であるというふうに承知しております
  156. 沢田広

    ○沢田委員 アジア開発銀行が直接関係あるかないか、回り回ってくれば結果的にそうなってきている。いろいろ仕組みはあるでしょう、今度の児玉の問題にしてみたって、ロッキードの問題にしてみたって、あれだけ香港を回ったりスイスを回ったりしてきているのだから、とにかく一つの直通の問題じゃないのですから、いわゆるセクションはたくさんあるのですから。いままでわかっただけでも、とにかく十億ドルとも十五億ドルとも言われているストウ前総裁の私財を没収するねらいがある、それで逮捕したんだ、こういうことになって、このストウの側近であるウトモという次長はこの日本の会社に関係した。そのインドネシアの会社であるプルタミナのいわゆる石油会社はファーイースト・オイル・トレーディングである。その会社にはあなたの先輩の人たちがいるんだ。そういうつながりの中で結局ぐるぐる回ってきている。こういう仕組みそのことは否定できないだろう。これはアジア開発銀行とあるいは直接金のつながりはないかもしれぬ。しかし日本が出していく海外援助の金のつながりがそういう仕組みの中に入っていっているという一つのこれは例示であるから、そういう仕組みの中に入っているようなものをわれわれが助長していくわけにはいかないじゃないか、そういう説には賛成できないのですか。
  157. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 御指摘の点が実は私よく理解できないのですけれども、ファーイースト・オイル・トレーディグと申しますのはプルタミナが五〇%出資している企業でございまして、御指摘アジア開銀とプルタミナの関係というのはいかにあるのか私は存じませんが、プルタミナと申しますのはインドネシアの国営企業でございます。プルタミナのあり方につきましては、インドネシア政府が全面的に責任を持っている企業でございます。したがいまして、私どもといたしましては、インドネシアの国営企業であります。プルタミナと日本の各種企業が正常な関係を持つことは、将来とも妥当ではないかというふうに考えております。
  158. 沢田広

    ○沢田委員 時間の関係で、もう少し、この問題では理解しがたいものがあるのですが、それのまた輸入機関一つをあなたの先輩のこの会社が引き受けていく、こういう仕組みになっていることは何とも了解しがたいものがありますけれども、これはまた別の機会に譲るといたします。  最後に一つだけで佐藤さんに譲りますが、前年度ですか、昭和五十年度の決算の上で、韓国の経済援助は六十一億四千六百二十八万円であった。それからビルマに対しては四十四億三千二百四十八万円。非常に大きい金額であります。五十一年度は、五千五百七十三万三千四百五十五円の繰り越しを含んでおるようであります。この五千五百七十三万三千四百五十五円という繰し越しは何に該当するかということと、ビルマの四十四億余、韓国の六十一億の中身についてひとつ若干御説明いただきたい。  それから関連をして、あと時間が一分くらいですが、海外の深海底鉱物資源開発に今年度予算で十億、それから財政投融資で六十六億、それから海外探鉱投融資で十五億、こういうものが大体自己資金で三百二十三億、これらはすべて成功払いとして扱っていくものであるのかどうか、その点だけ御回答をいただきたいと思います。
  159. 三宅和助

    三宅説明員 まず第一点の、韓国とビルマに対します政府開発援助の額でございますが、これはドル換算になってございますが、韓国の場合は一九七四年が一億六千七百万ドルでございます。それから七五年が八千七百四十万。ビルマの場合は、一九七四年が四千六百四十万ドル、七五年が二千百七十万ドルということでございます。
  160. 沢田広

    ○沢田委員 では、時間の関係がありますから、中身は後で書面ででも回答してください。  あとの関連した関係で、これは成功払いかどうか、その点だけイエスなのかノーなのか。海外探鉱投融資、それから深海底鉱物資源開発についてはどうなっているのか。担当おりませんか、わかりませんか。だれもわからなければ、これは後に譲りましょう。後で回答してください。  佐藤さんに譲ります。
  161. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 関連。いま沢田委員がお伺いした点、要するにこういうことなんですよ。  たとえば国別の貸付承認実績を見ますと、韓国は通常貸し付けで五億四千八百万ドル、これは恐らく累積だと思いますが、そうなっている。出資金の方は、韓国はたしか二億くらいだったと思います。応募済みの資本額が約二億ですね。それでは、韓国がそれだけ資本を出して、貸し付けがそれだけ行われている。韓国に対する貸し付けというものは、中身は道路なのか橋なのか、一体何なのかさっぱりわからぬわけですね。大蔵省から出てくる資料でも、部門別貸付承認実績というのでも、農業、工業及び開発金融機関、運輸・通信、電力等々は分けられているのですが、もう少し具体的な地名なりプロジェクトなり入ったものが出てこないと、沢田委員から指摘があったように日本国の予算が出ている話でありますから、一体具体的にどういうふうに使われているのかわからなければ、アジア開銀そのものが一体何をやっているのかわからないわけですね。たとえば、大きいですから、韓国なら韓国の実績というのは具体的に何にアジア開銀から貸し付けられたのか、具体的に教えてもらいたいということです。
  162. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 韓国に対しまする融資は、プロジェクトごとに、年度ごとに資料はございます。たとえば七五年中の貸し付けでございますと、揚水ダムに通常資本から百万ドル、機械工業千七百五十万ドル、道路改修四千三百万ドル、韓国開発銀行に対して四千万ドルというふうにございます。さらに、この内容につきましても毎年度の年次報告に記載されてあるわけでございます。全部過去のを集めてということでしたら、それでまた編さんすることも可能だと存じます。
  163. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうすると、それは地名も入って大蔵省の方には——大蔵省というか、政府の方にはちゃんと報告が来ている。そしてそれは国民の前に明らかにできる、こういうふうに理解しておいてよろしいですね。
  164. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 そのとおりでございます。さらに、年次報告書は一般にも出ておりますので、その資料にも内容が詳しく出ております。
  165. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それからもう一つ、いまアジア開銀の場合には貸付条件はどのくらいになっていますか。
  166. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 通常資本から貸し付けます場合には、貸付期間が十年から三十年で、うち据え置き期間が二年ないし七年となっております。金利はそのときの情勢によりまして動いておりますが、最近は八・七%ということになっております。  また、特別基金から出ます貸し付けは、期間が据え置き十年を含みまして四十年、金利はなし、手数料は一%ということになっております。
  167. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私が問題にしたいのは、通常貸付の場合なんですけれども、その金利八・七%、期間十年から三十年ぐらい、うち据え置き期間七年間あるという条件は、たとえば政府が円借款等をするというようなものと比べてどういう関係になりますか。
  168. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 日本政府が円借款をいたします場合には、非常な低利でございます。三%を切るものから四、五%というものがございます。これに対しまして、アジア開銀の通常資本からの貸し付けの金利が八・七%というのはかなり高い金利でございまして、どちらかといいますと市場金利に近い金利だと言えると思います。
  169. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その八・七%というのは、プロジェクトによっては特別基金と一緒になって若干下げられるとは思いますけれども、恐らく資金量からいったらそんなにけた違いに安くなるものはないと思いますね。そういうことから考えていきますと、たとえばここにある五十年中の円借款、交換公文によって結ばれたものを見ましても、期間は据え置きを含めてほぼ二十五年から三十年、うち据え置き期間が七年、このことは、貸付期間はアジア開銀の貸付期間とほぼ一緒ですね。金利の方を見てみますと、いま局長からもお話があったように、一番高いものでガボンにやった四・七五%が一番高いくらいで、あとは四%なり三%なりあるいは二%のものもあるということになっているわけですね。基本的に、発展途上国でありますから金利はゼロにすれば一番いいんだけれども、それはなかなかそうもいかぬだろう。向こうはそうしてもらいたいと言うけれども、それはこちらに事情も若干あるし、そうはいかないと思います。しかし、いずれにせよ、いま局長自身が言われたように市中金利とほぼ一緒というのでは、これだけ大きなプロジェクトで、なおかつ発展途上国が借りるについては余りメリットがないのではないか。もちろん、アジア開銀という確たる金融機関が貸してくれるということについては不安はないかもしれません。しかし、貸し付けの条件、特に金利が何%でなければいけないということはなかなか言える問題ではないですけれども、いずれにしろ、八・七%というのは二国間の経済援助等の条件から言ってきつ過ぎるのではないかと思うのでありますが、その点については、たとえばアジア開銀理事会なりあるいはわが国としてどのような主張をしておるわけですか。
  170. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 この金利の問題は、御指摘のような点がございますので、アジア開銀理事会においてもよく熱心な議論が起きておるわけでございます。けさも御紹介いたしましたように、アメリカの方からは、銀行の健全性という観点から、できるだけ市場の借り入れコストを上回る金利を貸出金利に適用すべきではないかという意見もあったわけでございますが、私どもといたしましては、やはりアジア開銀援助機関的性格にもかんがみまして、できるだけ借入者に負担のかからないようにしたいということで、議論の結果、最近まで八・九%でございましたのが八・七%に下がったわけでございます。ただ、アジア開銀といたしましては、大部分の資金を海外といいますか、国際金融市場から調達しておりますので、そのコストを下回る金利で貸し出しを続けておりますと、そのうちに経営が破綻するという事情もございますので、その辺は調和をとりまして、できるだけ安いところでコストをカバーするという線が必要じゃなかろうかと思っております。
  171. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いまお話があったように、この問題の原因はやはり国際市場からの借入率が非常に高いということにあると思うのです。今度の法案を見ましても、八億一千四百万ドルのうち、払い込み資本はその十分の一、そのうち現金はその四割、これを四年年賦にするわけですね。ですから、額としては非常に少ない額になってくる。このことに問題があるのであって、最終的にどのくらいの金利が一番いいかということは非常にむずかしい問題だけれども、もう少し二国間の経済援助に近い金利体系に持っていく必要があるだろう。私は、アメリカの言っているのは発展途上国の経済援助という観点からいって間違いだと思うのです。さりとて、いまのシステムでやっていたら、市場金利を無視してできるわけはないのでありますから、やはりこのあたりで、請求払い資本ではない払い込み資本の方を一割としておりますけれども、何割になると金利がどういうふうになるかということは計算してみないとわかりませんが、たとえば二割にするとか三割にするとか、もう少しそういうことをやっていかないと、発展途上国にとっては余り意味のない−意味のないと言うと語弊がありますが、非常に負担の重い銀行になっていって、最終的には経済援助という用途をなさなくなってくるのではないか、こう私は思うのでありますけれども、この点についてどのように考えていらっしゃいますか。
  172. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 御指摘の点実は私どももそういうふうに思っておりまして、今般の増資を理事会で決めます際にも、総裁の方からは払い込み資本の分を二〇%にしたいという意見があったわけでございますが、一部の国からゼロでもいいのじゃないかという意見がありまして、結局一〇%というところに落ちついたわけでございます。この率を高くするということが一つには金利の軽減に役に立つと思います。もう一つの方法は、先ほども出ました特別基金を拡充するということ、そして国によりましては特別基金の方を優先的に使わす、あるいは場合によってはその両方をまぜて金利を実効的に下げるというふうな方法があろうかと存じます。
  173. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで時間もありませんので最後にお伺いしておきたいのは、いま局長が言われたようなこと、一つは特別基金の方ですね、これはいま局長最後に言われましたけれども、こちらを上げる方式を今後わが国として考えていくのか、あるいはいま申しましたように払い込み資本の方の額をふやしていくのか、金が出るという意味においては一緒でしょうけれども、ただロットが違いますし、その辺はどちらの方をこれから重点にしていこうかというのと、わが国の理事アジア開銀理事会なりあるいは総会の中で堂々とひとつそういったことを主張してもらいたい、これがやはりアジアにおけるわが国のこのことに関して果たすべき役割りではないかと思いますけれども、この二点、お伺いしておきたいと思います。
  174. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 特別基金は四年ほど前に設立されたものでございまして、ただいま第二次の増資の実施中でございます。これが七八年になりますと資金を使い果たすということになりますので、その後は特別基金をさらに拡大したいということで、私どもも近々検討に入りたいと思っております。日本理事理事会を通じましてこういう線でアジア開銀の資金調達について努力をしたいということで呼びかけをしておるわけでございまして、私ども、やはり通常資本につきましては払い込み部分を引き上げるのも一方法でございますが、もっと端的に特別基金を拡充するということが大事じゃなかろうかと存じております。
  175. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 終わります。
  176. 小渕恵三

  177. 高橋高望

    高橋委員 最初外務省の方にお伺いをしたいのですけれども、発展途上国に対してわれわれが援助をしている、この援助あり方、特に金額の面で、GNPに比較してどうという話がよく出ます。ODAであれば〇・幾らにしろというような言い方をGNPを基準にいたしますが、私はどうもGNPを基準にするということに何か私たちの国として考えた場合には不利益なことがあるじゃないかという気がするのです。ということは、GNPというもの自体は当面の経済活動の動きに対しての数値であろうと私は思う。ところが、発展途上国に対する援助というようなことを考えた場合には、総合的な国力で判断した上でのあり方というものがとられるべきではないかと私は思う。とかくGNPということを基準にとらわれ過ぎるがために、このところ年々下がってきているとかというような非難をよその国からもされるし、私たち自身もそういうふうに思いがちなのですが、優秀な外務省大蔵省の方々は、そろそろ援助に対する基本姿勢にGNPにかわる何か指標をお考えになるというような前向きな取り組み方はおできにならないものですか。また、そんなことを御検討なさいませんか。
  178. 三宅和助

    三宅説明員 確かに、先生指摘になりますように、果たしてGNPがいいのかどうかということは学者その他の議論としてはいろいろございます。特に日本のような経済活動の激しい国にとってはGNPが必要以上にインフレクトされる、これも事実でございます。しかし、実際問題としまして、国連の場及びUNCTADの場におきまして、これ以外になかなか客観的な基準というものは見つからないという意味におきまして、やはりGNPというものが基準になりまして現在国際的に議論されているということでございます。これはGNPの基準を変える変えないの問題よりもGNPをもとにしてさらにそれを強化していこうという議論はございますが、いまのところGNP以外になかなか客観的な基準が見つからないという意味におきまして、依然としてGNPが基準になっている状況でございます。
  179. 高橋高望

    高橋委員 ですから私はお願いとして、外務省大蔵省の方がそういう点をお考えになっていただけないか。国際的にそうだからそうだという角度では、私たちの国というのは、現在の経済活動は確かに活発でしょうけれども、蓄積あるいはポテンシャルなものを含めてもそれほどの資源も持っているわけでもない。それが国力という名前でGNPが代行されているような気がしてしようがない。これによって国民全体が、下世話な言葉で言えば借金しても義理を立てているというような感じが出てきているのではないかと私は思う。この辺について、残念ながらわれわれの国は国自体としては利子や配当で暮らせるほどの余裕のある国じゃないのですから、いわば名門や旧家じゃないわけでありまして、その辺をお考えいただいて、国全体の方向として新しい数値、新しい根拠というものをお決めいただく時期が来ているのじゃないか、重ねて外務省の方にこの辺の方向をお伺いしたい。
  180. 三宅和助

    三宅説明員 確かに私たちを含めまして日本人は日本を金持ちだと思っていないのですが、諸外国は日本を金持ちだと思っている。そこに確かに日本人が見る日本人と、外国が見る日本人との間に意識のギャップがございますので、その点はわれわれも国際会議の場で、決して豊かでないのだということを繰り返し強調しているわけでございますが、いずれにしてもGNPの議論につきましては、国際的な場でほかの国とも十分協議しながらさらに一層検討してまいりたいと思います。
  181. 高橋高望

    高橋委員 特に私は外務省の方にお願いしたいのは、とかく外務省の方というのは外面を整わせようとなさり過ぎる。かっこうのいいことをされて、後は後で金を都合しろというような感じがおありになるので、どうかひとつこういった意味で、本当の意味で国益という立場に立った場合の指標の検討、またそういうものを舞台にして、国際舞台でわれわれの国の立場というものを発言していただきたい。最後はお願いになりますが、まずそのことからお願い申し上げておきたいと思います。  続いてADBの問題に入らしていただきますが、アジア開発資金需要というのはほとんど無限に近いほど大きいものだろうと思う。いろいろなものがある。世界全体の中で立ちおくれているということで、開発資金需要というのは非常に大きいものがある。ADB自体がこれに対応できているうちはよろしいのでしょうけれども、当然のことながら資本金が枯渇してくる。すでに一度増資している。今度二度目をなさる。今度は特に三十七億ドルから八十七億ドルという五十億ドルも増資をしようとしている。こういうテンポで考えていく、あるいはこういう情勢を考えていった場合に、一体このADBというのはどの程度まで資本金というものを拡大されるようなめどを持っておられるのでしょうか。この辺をお伺いしたいと思います。
  182. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 このたび増資をお願いしておりますのも、アジアにおきます資金需要が非常に大きいということで、アジア開銀がまずゼロからスタートしたわけでございますが、今日すでに三十四億ドルの貸し付けをしております。これをさらに毎年七千五百万ドルくらいずつふやしていこうという計画のもとにこのたびの増資をお願いしておるわけでございますが、それでは将来どの程度までなればいいのかということにつきましては、これはなかなかむずかしい見通しでございます。世銀につきましても、将来の世界の開発資金需要の見込みを考えながら、三年後あるいは五年後を考え、その都度決めておるわけでございますが、さしあたりはアジア開銀におきまして、通常資本として毎年七千五百万ドル程度規模を拡大する。年率にいたしますと一二、三%くらいになろうかと思います。その時期が終わりましたときに、そのときの情勢によってまたその後の資本の拡充を考えていくということになろうかと思います。
  183. 高橋高望

    高橋委員 私は、アメリカが最近特にこういう国際機関にお金を出すということに対して柔軟性を持ち出している、決められた枠の中だけではなしに、何かというと渋っているという現実はもう知っていらっしゃると思います。ですからわれわれの国自体としても、先々わからないというようなことで、税金をどんどんこういうふうな——確かに援助であり、世間づき合いかもしれませんけれども、国内の充実度からいって、定められているからということだけでいたずらに資金をふやしていくという道は歩まないでいただきたいし、日本人の律儀さと申しましょうか、そういう点でのまじめなところはございましょうけれども、あくまでも金の世界ですから、どうかひとつこの辺についてはそれこそ商人の感覚で考えていただきたい、お願い申し上、けたいと思います。  続いていま前に御質問がありましたので、私もそう思うのですが、仮にも八億ドルもの税金を今回考えるにしては、普通の会社でいえば、増資あるいは社債の目論見書のようなものは当然のことながら必要になるだろうと思います。われわれがこの法律を考えてほしいといって与えられた書類がどんなものかといったら、本当に薄っぺらなものです。条文を上下に書きかえたくらいがせいぜいなんです。そんなもので八億ドルものお金を出すことを考えろとか、出してほしいとかいうことは、一般常識からいって私はおかしいと思う。二部上場の会社だって、増資目論見書を出せといったらもっとちゃんとしたものを出しますよ。これはある意味においては、お金を集めることは上手であっても、使われるというか、集められている人の立場に立った行為とは思えない、この辺についてひとつ御意見を伺わせていただきたい。
  184. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 このたびの増資計画につきましては、アジア開銀の内部におきましてずいぶん検討いたしたわけでございまして、出資者が各国の加盟国でございますので、各国の加盟国政府に対しましては、内部の計画書といいますか、目論見書みたいなものは送ってあるわけでございます。またその辺のところは事業年度が終わりましたところで、事業活動の実績とともに年次報告としてこれは広く世間に出るということになっておるわけでございます。私どもはもちろん先生指摘のように、ただ金が欲しいからといって、いわば各国から集めてくるというのは非常に納得しにくいわけでございまして、アジア開銀の計画を承りますときにこれでいいのだろうかということを非常に注意深く検討している。そして国際的にまとまりました段階で法案の形で国会に御審議をお願いするということにしておるわけでございます。
  185. 高橋高望

    高橋委員 そうは言いながら、私実はバランスシートをいただいて検討する時間がないくらいのタイミングでちょうだいしたのです。ですからネットインカムだけの比較を単純にさせていただきますと、七四年と七五年のネットインカムが大体二千四、五百万ドル、これは間違いございませんか。
  186. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 七四年の純益は二千六百四十二万七千三十ドルでございます。七五年の純益は二千四百五十四万三千六十ドルでございます。
  187. 高橋高望

    高橋委員 そうすると、わずかな金額でも利益としては百八十八万ドル、約百九十万ドルぐらい少なくなっている、これらについてはお認め願えますか。
  188. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 そのとおりでございます。
  189. 高橋高望

    高橋委員 わずかだとおっしゃられればそれまでですからあえてこれ以上伺いません。とにかく七四年、七五年の間に約百九十万ドルの利益の減少があるということ、それから私が実は伺いたいのは、ネットインカムをどういうふうに使われるのか、これを御説明いただきたいと思います。
  190. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 ネットインカムは、総務会の決議によりまして、協定の規定に従いまして、通常準備金に繰り入れるということにしております。
  191. 高橋高望

    高橋委員 通常準備金というと例の悪評さくさくたる貸倒準備金みたいなものが当然あるのですかな。
  192. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 貸し倒れは起きないことを期待しておりますが、資本を充実するという意味で純益は積み立てておるということでございます。
  193. 高橋高望

    高橋委員 よくわかりました。  こういったお金は全体の枠からすれば大した金額じゃないというふうにお考えかもしれませんが、仮にも税を使われた中での収入でございますから、どうぞひとつ取り扱いには御慎重にお願いをしたい、そう思います。  さらに細かなことになりますが、ADB内部における投票権について若干お尋ねしたい。  発足時は基本票と比例票に分かれていた、基本票というのは総投票権数の二〇%を各国に均等に配分した、それから比例票は出資額一万ドルについて一票の割で、これが八〇%である、この辺についての私の理解はよろしゅうございますか。
  194. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 そのとおりでございます。
  195. 高橋高望

    高橋委員 当初、最大出資国である日本とアメリカは、それぞれ二億ドルを出資した、投票権数はおのおの二万七百四十票であった、この二万七百四十票というのは総投票権数の一六・九七%になっている、この辺の私の数字に間違いございませんでしょうか。
  196. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 大体そのとおりだと存じます。  当初、全体が約十億の資本金で、日本のシェアが二億でございまして、出資割合が二〇%でございますが、二割分が平等に加盟国三十カ国に配分されますので、投票権としては一六、七%になっていたはずでございます。
  197. 高橋高望

    高橋委員 ところが、昨年十二月末の投票権シェアは、ちょうだいしました資料で見ますと一三・六になっています。この辺の経緯をひとつ御説明いただきたいと思います。
  198. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀ができましたときは三十カ国の加盟国でございましたのが、最近は四十二カ国にふえた。そういうことで、二割を配分いたします基礎票も一国当たりだんだん減ってまいりますし、新規に加盟いたしました国の応募済み資本金額も相当ございますので、その分が薄まってまいったわけでございます。なおその間に、幾つかの国につきましては、資本金を調整するということで特別増資もいたしておりますので、その関係でも日本のシェアは少し下がってきたということだと思います。
  199. 高橋高望

    高橋委員 余りもめてないという状況なので、こういった投票権数というものはいままでとかく問題にならなかったかと思いますけれども、いろいろそれぞれの国で国内の事情が出てきますと、やはり投票権数がそのまま発言の重さということにもなりますので、いたずらに人がよく、自分のところのシェアを下げていくという愚は犯さないでいただきたい。これはお願いになりますけれども、お金を出す立場に立てば、私は当然国民の声として出てくると思いますので、どうぞこの辺については、要するに人のよいところを発揮しないでいただきたい、お願い申し上げておきます。  さらに続いてお願いいたしますが、融資先決定に当たっては、当然のことながらADB内部で稟議が行われている。現在までにその融資先決定に当たって長時間論議が行われたという最近の事例はどんなようなものがございますか。というのは、かつて日米両国の間で——日米両国というと大口出資国になりますけれども、東南アジアの農業開発考え方で差異があったということを農業問題の調査会の一つ報告書の中に出ております。あえて申し上げますならば、アメリカは肥料や灌漑や品種改良など、技術面に重点を置くべきだ、日本は、土地改革や農業金融の拡充というような制度での取り上げ方をすべきだといったような差異でかなり議論があったと伺っておりますが、いまの農業問題は一つの例で、融資決定に当たって稟議が行われて最近問題となった例がございましたら、ひとつお聞かせをいただきたい。
  200. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 日本からは日本代表の理事が常駐しておりまして、密接に当方へ情報を流してまいるわけでございますが、私どもが受けました情報の中では、最近、融資案件に関して議論が長引いた、あるいは紛糾したということは聞いていないわけでございます。あるいは理事会に上る前の段階でそういう議論があったのかどうかは存じませんが、私どもが正式に受けました情報の範囲内ではそういう事例はございませんでした。
  201. 高橋高望

    高橋委員 私は、融資決定というような、特に順位の問題、額の問題等の中で、金融機関の常識として論議がなされないはずがないし、また、その優先順位の問題等々含めて、当然のことながら問題点があったとは思うのですが、いまお話で、ないと言われれば、私はそれ以上のことはお尋ねしませんけれども、何か私は最近の事例で、逆に言えば、こういう問題がアジア全体の中で大きく取り上げられ、それぞれの国の立場の代弁がなされているということを伺いたかったので私の問いただし方をしたわけなのです。そういう意味においてはいかがでございましょう。
  202. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 個々の融資につきましては、そういう論議は伺っておりませんけれども、金利につきまして相当もめた事例が最近ございます。それは、先ほど申し上げましたように、通常貸し付けの金利は一応一律八・七%ということになっておりますが、ごく最近までそれが八・九%であった。それを下げる問題、ことに、一時、域内の中進国と申しますか、所得の高い国、すなわち香港、シンガポールにつきましては一般より高い金利を適用していいのじゃないかという議論がございまして、現に実施されておったわけですが、それは不適当である、平等に扱うべきであるという議論も非常に強うございまして、これはかなり調整に時間をとったということがございます。
  203. 高橋高望

    高橋委員 それでは次に移らしていただきます。  これはADBの持っている本来の性格ではないのかもしれませんけれども、やはりお金を出した立場に立った場合には、ここへ現在までもう十四、五億ドル出している、今度で出すのですか、そのぐらい出してますか。(「十六億ドル」と呼ぶ者あり)十六億ドル。このお金を出している立場に立つと、ADBの融資によって日本企業に——非常にむずかしいお尋ねかと思いますが、大ざっぱに言ってどれくらいの仕事として返ってきているのですか。
  204. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 実は国際金融機関の国別の調達につきましては、アジア開銀だけではなくて、世界銀行等も資料は外部に出しておらないわけでございますが、日本の分につきましては私は申し上げてよろしいと思います。  アジア開銀が一九七五年末に日本から調達した比率は全体の四〇%ということに相なっております。
  205. 高橋高望

    高橋委員 重ねて伺いますが、出資した額の約四〇%ぐらいの仕事量があった、そういうことに解釈してようございますか。
  206. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀が調達した全体のうち四〇%が日本から調達されたということでございます。これに見合います資金供与額といたしますと、恐らくそのとき日本は全体で三二%ぐらい出しておるということになりますので、それよりもやや高い割合で日本に調達が来たということかと思います。
  207. 高橋高望

    高橋委員 その辺において、また日本へ仕事が返ってきちゃった、金出したけれども仕事の面でまた日本が取っていっちゃった、こういうことが、せっかく出したお金に対してのありがたみを薄めちゃう。ある場合には、もう極端に言えば、何かまた商売の場にここを使ったなと思われるような点がありますので、そういうことになると、税金を納めている一国民の立場に立つと、大変何か本来の目的が外れてくるように思いますので、どうぞ、出資額と、仕事として返ってくる問題のこの辺の見合いについては、十分な行き届かせ方をしていただきたい。お願いを申し上げます。  私、前回の増資のときに、どのような議論をなされたかということで議事録を読ませていただきました。四十七年の五月二十四日に、前回増資が決まっていらっしゃる。そのときに附帯決議が行われておるわけです。その決議を受けて、その後当局の方でどのような対応をされ、また実績を残されたか。附帯決議では大意として、まず第一に、平たく言って、加盟国をもう少しふやせ、こういうお話が一つ出ている。それから二番目には、各国にできるだけ均てんといいますか、これは均等といいましょうか、均てんした融資をすべきだ、こういうこと言っておられる。三番目には、技術援助の拡充を図れということをおっしゃっている。これが附帯決議になっている。この三点が附帯決議で行われておりますけれども、それぞれその後の対応、実績について御報告を願いたいと思います。
  208. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 附帯決議の第一点は、加盟の促進でございますが、前回、増資法案を御審議いただきました七二年当時は、アジア開銀加盟国は三十七カ国でございましたが、その後バングラデシュ、ソロモン諸島、ビルマ、ギルバート諸島、クック諸島の五カ国が新規に加盟いたしまして、現在四十二カ国になっております。なお、数としては同じでございますが、昨年七月にベトナム統一を実現いたしまして、広い範囲でアジア開銀加盟国になったということもございます。  第二の点は、融資先の均てんでございますが、七二年当時は、まだ業務の開始後日が浅くて、十分に消化能力のあるプロジェクターあるいはその国が多数ございませんでしたが、その後融資がふえまして、国の数にいたしましても、当時十六カ国でございましたのが最近では二十三カ国が融資を受けておるというふうに増大をしておるわけでございます。     〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 この中におきましては、非常に小さな国が融資を受けるとか、従来多額の融資を受けていた国の比率が下がるというふうな変化も起きておるわけでございます。  それから三番目の、技術援助の拡大につきましては、最近年間四百万ドル程度の技術援助を行っておりまして、いままでの累計が百七十八件、二千八百万ドルということになっておりまして、教育等の人材投資の面あるいは職業訓練、そういった面で技術援助を拡大しておるわけでございます。
  209. 高橋高望

    高橋委員 最後に政務次官にお尋ねしたいのですが、このADBなどは、特に援助と金融という両輪だとよく言われる。私、これは本来は、本質的にはなかなか両立しがたいものだろうと思うのです。援助をし、片っ方で金融……。ですから、構想としては許されますけれども、今後これが拡大していく中では、援助と金融、金を貸すということと、この辺が非常に微妙な空気を醸し出すおそれがありますので、どうかひとつこの辺について、基本的な政府姿勢をお伺いしたいし、それからまた、苦しいやりくりの中でこの増資を引き受ける国民のサイドに立って、こういった増資に対しての、協力はいたしますけれども、いろいろの御配慮をお願いしたい。特に前段の、援助と金融の両輪が本当に回るのかどうか、あるいは回さなければいけないのですけれども、お心構えをひとつ伺わせていただきたいと思います。
  210. 高鳥修

    高鳥政府委員 アジア開銀は、もう御承知のように、一九六六年にアジア・太平洋を域内とする地域開発金融機関として設立をされたわけでありますが、非常に資金需要が活発であるということからいたしまして、今日、増資をお願いするということになったわけでございます。  本来、アジア開発銀行が担当いたします分野は、それぞれのプロジェクトを十分検討して、所定の金利ベースで、しかも所定の期間内に返還可能なプロジェクトであるということを十分精査した上で融資をされるべきものでありまして、またそういうことでやっておるわけでありますが、その国が自主的な努力によってやられることにつきましては、やはりこういう国際協力のもとにおける金融機関の中で処理されていくべきものであろう、このように私ども思いますので、アジア開発銀行が今後とも健全な運営を通じてその機能を果たすことを期待をいたしておる次第であります。  それと、日本が独自に二国間で行う協力ということにつきましては、もちろんこれをきちっと区分けをいたしまして、いやしくも誤解を招くことのないような節度ある運営を進めてまいらなければならない、このように考えておる次第であります。
  211. 高橋高望

    高橋委員 少々時間が余りましたので、お願いというよりも、私の考え方を申し上げて終わらせていただきたいと思います。  それは、いみじくも今回の場合に、請求払い資本と払い込み資本の一対九の割合という問題が出ています。今年度はさしあたって、二百四十五億のうちで六十億を現金、国債、四〇、六〇の割りで受け持とう、こういうことで予算を組まれておるとおっしゃっておる。これはもう聞けば全くそのとおりに思えるのですけれども、経営的な立場に立ちますと、私に言わせるならば、八億ドルちょっと、二百四、五十億のお金というものは、これは初年度でちゃんと用意しておかなければいけないお金だと私は思います。これは利子の問題とかなんとか超越して、いわばもう当然払い込まなければならない、用意しなければならない、義務的なお金なんですから、これは初年度において少々がまんしてでもこのお金を用意するというのが、経営的な立場に立った場合の考え方だと私は思う。そして、それを後の残りの年数で均等になりあるいは形を変えてなり払っていく。ことしは四分の一だから四分の一だけ予算を組めばいいというやり方では、これは本来のあり方じゃないと思うのです。つらいことは初年度でがまんしてやっておいて、そうして後へはそのつらさをできるだけ軽減していくというのが、私は本来の意味での経営的な感覚だと思う。額が少ないから、四分の一でことし済ますのだからいいだろうというようなお考えじゃなしに、本来ならば二百四、五十億のお金を初年度で用意させてほしい、こういうことの訴えを素直になさる方が責任のある姿勢だろうと私は思います。私が皆様方の立場だったら、恐らくそうして、反対があっても、とにかく二百四、五十億のお金は本年度で要るのだ、使い方としてはこういうふうに使う、こういう言い方をするだろうと思います。どうかひとつ、そういう意味において、同じ御苦労をなさるのですから、初年度にいっぱい御苦労をなさっておいていただきたい。お願い申し上げて私の質疑を終わらせていただきます。
  212. 山下元利

    山下(元)委員長代理 宮地正介君。
  213. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほども大臣に少し伺ったわけでございますけれども、このたびの日米首脳会談の結果、わが国のアジアに対する政治的、経済的な役割りというものが大変に増大したような感があるわけであります。ある意味では、ASEANを初めとするアジア諸国へのアメリカの肩がわりを求められた日米首脳会談であった、このようにも受けとめることができると思うのでございます。そういう中で、こういう新しい情勢の中で、今回のこのアジア開発銀行の位置づけというものはまさに重要な立場になると思いますが、今後この新情勢にいかに対応さしていく考えであるのか、まず大蔵当局のお考えを伺いたいと思います。
  214. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア地域におきましては、先般の石油危機以降国際収支の面で大変困っておるわけでございまして、従来からの開発資金の不足に加えましてそういうふうな困難が重なっておるわけでございます。したがいまして、今回お諮りしておりますようなアジア開銀増資、その他いろいろなチャンネルを通じての資金の供給が必要となってくるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、この大きな赤字に対しましては融資だけでめんどうを見るということですと、これは借金がどんどんふえてまいりますので、やはり融資の確保を図りつつもその国の経済の再建を通じて国際収支の立て直しを図るということが必要じゃなかろうかと思います。その意味でも日本とかその他のいわゆる強い先進国は国内の景気を拡大いたしまして、そういった地域からの輸入をふやすということも必要になってこようと存じます。アジア地域はほかの地域に比べますと、そういいましても日本との貿易の関係も非常に多うございますし、目下のところは国際収支の困難は、ほかの地域の比較ではございますけれども、たとえば昨年外貨準備がふえているというぐあいにまだよい状態にあるわけでございますので、こういうときにさらに資金の循環がうまくつき、かつ日本その他からの輸入がふえるということで、融資と国際収支の調整と両方の面でこの地域経済の立て直しを図るということが重要ではなかろうかと思っております。
  215. 宮地正介

    ○宮地委員 通産省としては、たとえばいま国際金融局長から輸入の増大というお話があったわけで、輸入の増大をすれば特にASEAN諸国においては日本が貿易依存率二五%というふうに最も高いわけであります。そうなりますと、国内の業者との間の一いわゆる発展途上国の追い上げ、こういう問題が出てくるわけでありまして、国内中小企業業者との調整、こういう問題が浮かび上がってくるわけでありますが、こういう新情勢の中にあってこの問題をどのように通産省としてはとらえているのか。
  216. 日下部光昭

    ○日下部説明員 私ども一般的に申しまして、発展途上国との関係においてできるだけ輸入をふやしていくということは必要であろうというふうに考えておりますが、他面、御承知のように、そういう品目をながめてみますと、国内の産業と非常に競合するものがある、その辺をどうするかということが私ども一番日夜頭を悩ましておるところでございます。具体的に政策手段との関係で申し上げますれば、たとえば特恵関税というのがございますけれども、これは一定の限度まで税率を安くしたり、あるいは無税にするというような特別待遇を与えているわけでございます。ただ、そういう制度を導入するに際しましては、国内産業等に悪影響を与えないようにという配慮を個別品日ごとに十分検討してやった上で供与しておるということでございます。その辺は、特恵供与をしてからもう五年くらいたつかと思いますけれども、その辺の配慮を十分しながらやっておりますので、そう大きな問題は起こっておらないかと思います。その辺はわれわれ、非常にむずかしい、かつ慎重に対処しなければいかぬテーマであるという考え方のもとにしかるべく検討しながらやっております。
  217. 宮地正介

    ○宮地委員 まことに抽象的で答弁にならないようなお話で残念でございます。特に通産省は、過日増田審議官がASEAN五カ国を訪問して種々調査、視察をしてきているわけでございます。近々福田総理にその状況説明をするということも報じられておるわけでございますが、省内としてこの問題をどのように対応を考えておられるのか。特に三月十二日の記者会見の中において増田審議官からも、これからASEAN五カ国については着実に域内協力を具体化してきており、今後工業化あるいは投資面で日本にかける期待は大きい、わが国としても相互依存関係の強いこの地域の国々に対し、積極的な協力をするのにはタイミングのよい時期に来ているのではないか、こういう発表もあったやさきでございます。当然、通産省また外務省大蔵省一体になってこの問題についても対応していかなくてはならない、こう思いますが、まず通産そして外務の考えを伺いたいと思います。
  218. 日下部光昭

    ○日下部説明員 御指摘のように、ASEANというのは私ども日本にとりまして非常に重要な地域であろうかと思っております。この前、本委員会でも御審議いただきました関税暫定措置法の中にもあるわけですけれども、たとえば熱帯産品、要するに熱帯諸国全体の輸入を促進するために何か先進国としてやれることはないかというふうな交渉、いろいろあったわけでございますが、その中で私どもとしては、やはり日本としてはASEANが非常に大事であるという考え方のもとに品目を選び、関税を下げるというようなこともお願いし、御了解をいただいたわけでございますが、その辺はそういう問題意識で取り組んでおります。当然、国内産業との調整の問題はございますが、その辺をわれわれの問題意識も十分お話しした上で、国内産業にそう大きな影響を与えない、そういう範囲においてできるだけのことをやっておるというのが実情でございます。
  219. 枝村純郎

    ○枝村説明員 ASEAN地域の重要性あるいは日本と機構としてのASEANとの関係強化していくということの必要性につきましては、私ども外務省としても非常に強い認識を持っておるわけでございます。現在、ASEANとは三月の二十三日に第一回の日本ASEANフォーラムという会議も持ちまして、これは言うなれば最初の会合でございまして、今後どういう分野で協力を進めていこうかということを確定することが最初の議題であったわけでございます。  そういうものを通じましても、先ほど御指摘のございました増田通産審議官の御出張というようなことを通じましても非常に感じられますことは、彼らの日本に対する期待が強い。それが一つには、ASEAN諸国が現在協力して進めようとしております五つの産業プロジェクトという面で日本協力できないだろうかということが一つでございます。もう一つは、先ほど来お話に上がっておりますような日本の市場に対するASEAN産品の輸出をふやしてほしい、こういうことでございます。後者の方につきましては、やはりいろいろ問題はあろうかと思いますけれども、たとえば、特恵を適用するに当たりまして、ASEAN地域の産品について各国での加工度を累積して計算してやるいわゆるグループオリジンを適用する、そういうことでありますとか、それからいろいろな不満の中に日本の市場のシステムに対する十分な認識がないというようなこともあるようでございます。そういったことも含めてきめの細かい施策をとってやらなければならないのじゃないかというふうに思っております。
  220. 宮地正介

    ○宮地委員 通産省関税課長さんでちょっと範囲が厳しいんじゃないかということで、私は経済協力部長さんを要請したわけでありますけれども、残念な答弁ばかりで……。大変失礼でございますが、増田審議官と帰ってきてお話し合いされた事実はありますか。
  221. 日下部光昭

    ○日下部説明員 いろいろ話は聞いております。その中で私どもは、貿易、要するに輸入の拡大という問題意識で、どうしたらいいかということを話しておるわけでございますが、増田審議官の出張の前からそういう問題意識をわれわれ十分持っておりまして、今度お願いした、実際にきょうから実施されておりますが、特恵等の面におきましては、ASEANのことを非常に考えたかっこうで私どもとして進めております。
  222. 宮地正介

    ○宮地委員 せっかく五カ国訪問してきた、皆さんの先輩が行ってきたわけでありますから、もっと省内でしっかりと根回しといいますか対応策を研究していただきたいと思います。限られた時間でございますので、次に移りたいと思います。  今回のアジア開銀の、特に先ほどから出ておりますところの通常貸し付けの条件が世銀などに比べまして少し高いのではないか。現行アジ銀が八・七%、世銀が八・五%、こういうことで、今後アジアにおける経済協力、こういう中で総裁国であるわが国がやっておるわけでありますから、当然発展途上国また加盟国の皆さんからもいろいろと御要請はあると思います。当然一つの経営リスクというものを考えていけばそれなりのバランスは必要でありますが、やはりもう世銀と同じぐらいの条件の緩和を検討してもいい時期に来ているのではないか、こう思うわけでございますが、大蔵省としてどのようにいま考えておるか。
  223. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 まさに御指摘のとおりでございます。なぜアジア開銀の方が世銀より若干ですが金利が高くならなければならないかと申しますと、結局、国際金融市場で資金を調達いたしますときに、世界銀行は長い歴史がございまして知名度も確立しておりますし、また大きなロットで資金を調達するということから、比較的安く資金が手当てできるという事情はあろうかと思います。アジア開銀につきましても、今後だんだん世界の市場で知られてきまして、その業容も拡大してまいれば、大きなロットで債券の発行等ができることになるかと思いますので、そうなれば、金利におきましても世銀とそう違わないものになるのじゃなかろうかと思っております。
  224. 宮地正介

    ○宮地委員 特に今回の福田・カーター会談で、アジアにおける経済協力役割り、責務というものが、わが国の比重が非常に高まってきた。そういう中で、いままでも、田中元総理が訪問した際にも対日感情があれだけ悪化したという具体例があるわけであります。また今回のマニラ会議においても、福田招聘については若干の国からは余りよりよい返事がもらえない、むしろ、マラッカ海峡の先ほどお話ししましたような三国協定ができる、こういう中で、日本がリーダーシップをとって、対日感情をやわらげ、本当にアジアの中において名実ともに先進国としての責任を果たしている、こういうものを示していく意味合いにおいても、アジア開銀における総裁を日本がとっておる、これは非常に大きなポイントゲッターになるのじゃないかという意味で、より機能的拡充あるいはそういう融資の条件緩和、こういうものには日本がもっと積極的に取り組んで、そのリーダーシップを示しているんだということが、あらゆる面で、外交面あるいは経済協力の面、あるいは対日感情の緩和、こういう面に大きな、よい影響を与えるのではないかと私は思うわけであります。そういう意味合いにおきまして、この金利の条件緩和、あるいは逆に、いまマニラに本店があるわけでありますけれども、今後積極的に支店を設置するとか、もっともっと中身の充実といいますか、質的充実を図って、本当に経済協力のリーダーシップをとっておる、こういう感じにしていくべきではないか、こう思うわけでありますが、その点についての考えを伺いたいと思います。
  225. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 おっしゃるとおりに存じます。アジア開銀は、できましてからようやく十年たったわけでございまして、ゼロから出発いたしまして、ようやくいまや融資の残高も三十四億ドル、そしてアジア開銀の借入国にとりましては多国間援助の三割を占めるというところまで来たわけでございます。当初の二年間ぐらいは組織の基礎づくりということで融資はほとんどなかったわけでございますので、その後の活動を見ますと、かなめのテンポで進んできた。しかも、その際に、歴代総裁あるいはその幹部、日本人が出向あるいは向こうへ参りまして、その一翼を担ってきたということでございますので、今後とも金利その他の問題につきましても、日本代表の理事を通じて日本考え方を訴えて、アジア開銀の経営が正しい方向に向かうように努めてまいりたいと思います。
  226. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほどもお話がありましたが、このアジア開銀に勤めている職員の中で日本人が二十九名、約七百五十名の中で全く微々たる数であります。大蔵省の出向といってもわずかな数である。とのように聞いているわけであります。そういう点で大蔵省あるいは外務、通産、こういう優秀な方々がもっともっと積極的にその機能の中の役割りも果たしていくべきではないか、そういう点について、口では、非常に理論的にはかっこうのいいように見えますけれども、実際、行動になると弱い、こういう感じがしてならないわけであります。  そういう点で、今後そういう中身の質的な拡充、そして本当にアジアの中の日本というものが、発展途上国に対して人間的な面あるいは機能的な面で積極的に役割りを果たしているんだ、こういう姿勢を示していっていただきたい、こう思うわけでありますが、これは政務次官、その方向、決意などについて伺いたいと思います。
  227. 高鳥修

    高鳥政府委員 ただいま御指摘のようなことにつきましては、先刻来もいろいろと御意見がございまして、その都度私どもの立場を申し上げてまいったところでありますが、強力なリーダーシップを発揮しろと言われますと、あべこべに今度はそれが、日本が優越感を持って臨んでいるんじゃないかというようなことで、逆に反感を醸成するというようなケースもあるわけであります。少なくともこのアジア開発銀行に関しましては、域内国、域外国等が協力し合って、金を出し合って、そして本当に力を合わせてアジア周辺地域のために活用していこう、こういうたてまえになっておるわけでありますから、日本は余りに分を過ぎたことをやりましても、これまた反発を招くのではないか、このようにも考えられるわけであります。私どもといたしましては、日本が置かれた立場を十分踏まえまして、言うべきことは言い、理解を求めるべきことは理解を求め、かつまたわれわれがなすべきことについては積極的にこれを行うということで、国際協調、親善の上に立って努力をしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  228. 宮地正介

    ○宮地委員 ちょっと政務次官は開き直ったような、大変誤解を招くような発言がある。確かに、強力なリーダーシップ、そういう意味ではない。私が言っているのは、もっと人間的な、人間外交といいますか、たとえば現実にASEANの皆さんの国々に対して、最近、外務大臣にしても大蔵大臣にしても、これは国会が忙しいからなかなか行けないと思います、しかし次官級、事務次官の皆さんとか、そういう方々が果たして何回行っているのか。むしろ加盟国の間では年じゅう集まっては話し合い、集まっては話し合いというまことに人間的な、フランクな形の話し合いがある。何か日本は、特別機を仕立てていかないといけないような、いつもかみしもを着たような外交といいますか、そういうあり方というものがあるわけです。そういうところに何か断絶があって、そして何か問題が起きると、どうするか、こういうようにどろなわ的なところが見受けられるわけであります。そういうことで、私はいろいろ現地の人たちの報じている新聞資料などを見ましても、もっともっと自由に、庶民的に日本から来て話し合う、そういういわゆる人間外交というものをしてほしいという要請もあるわけであります。決してそれがリーダーシップをとって昔のような変な感じのことをする、そういう意味じゃない。そういう点で私は言ったわけでありますので、どうかそういう人間的な深いつながりの中からお互い信頼でき得る経済協力に持っていってほしいと思います。その点についてもう一度政務次官並びに外務省の見解を伺いたいと思います。
  229. 高鳥修

    高鳥政府委員 私の申し上げましたことがいささか言葉足らずであったとすれば大変失礼をいたしたわけでありますが、ただいまおっしゃられました御意見につきましては全く同感でございます。ただ国際関係につきましては、私はそれを申し上げる場にはないわけでありますけれども、いわゆる国益というものが最優先してそれぞれかみ合っている非常に微妙なものでございますので、日本だけが誠心誠意これに当たっても相手が必ずしもそのとおりに受け取らない、あるいは相手が他の意図をもって行動をするというケースは間々あることでございます。非常にシビアなものであるということを踏まえながらやってまいらなければならない、このように思うわけであります。先刻来田中元首相のインドネシア訪問、東南アジア各国訪問につきましてもいろいろ御意見がございましたが、あの訪問につきましても私自身記憶をいたしておりますが、竹入委員長が先に東南アジア各国をお回りになりまして、非常に強いお勧めがございました。日本の総理もぜひ行け、また現地の各国も歓迎する、こういうことであったわけでありますが、実態はあのような遺憾なことになったわけであります。そういうことを十分踏まえながら私どもは対処していかなければならない、このように考えておる次第であります。
  230. 枝村純郎

    ○枝村説明員 先生指摘のとおりだと思うわけでございまして、たとえば今度の首脳会議の後も総理の御意向で急遽有田外務審議官をASEAN諸国並びにビルマに派遣したというのも、そういった国々との関係を密接にしたいという気持ちのあらわれでございます。私ども事務当局としては、おっしゃいますように、外務大臣にせよその他の政府の要人の方々がそうむずかしく考えずに気楽に意見交換に回っていただくというようなことができればいいなと、これはいつも思っていることでございます。
  231. 宮地正介

    ○宮地委員 そういう本当に気楽に同じアジアの友としておつき合いできるような不断の努力をしていただきたいと私は思います。何かが起きたからどうこうするといったような、何か偉ぶったような、かみしもを着たような点だけは、ぜひ過去の事例から見ても反省をしていただきたいと思います。  次に進みたいと思います。  今回のアジア開銀の中において特に非加盟国である中国、北朝鮮、イランなど、こういう国々に対しても今後積極的に加盟の働きかけをやっていく考えがあるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  232. 三宅和助

    三宅説明員 まず中国でございますが、もうすでに御承知だと思いますが、中華人民共和国は現在までのところ直接アジア開銀に対して参加したいという意図を漏らしておりません。したがいま.して、われわれとしてはしばらく様子を見たい。それ以外の地域につきましては、すでは国金局長の方から、加盟国をできるだけふやしたいということで附帯決議の線に沿って努力をしたいということは申し上げたとおりであります。
  233. 宮地正介

    ○宮地委員 本年一月二十日に、アジア開銀と東京銀行の子会社でありますアメリカ・カリフォルニア州の東京銀行による協調融資でフィリピンの国営電力会社向けに六千万ドルが決まり、新しい経済協力方式として大変注目をされたわけであります。これまでもアジア開銀との協調融資に参加した市中銀行としてはバンク・オブ・アメリカがあったわけでありますが、今後このような新方式による市中銀行との協調融資を積極的に進めていく考えはあるのかどうか、まず伺いたいと思うのであります。
  234. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 いまお話のございました、アジア開銀に対して東京銀行、米国にあります加州東銀がフィリピン向け協調融資に参加したということは話として聞いております。ただし、これは日本の為替管理法令の外でございますので、ただ情報として聞いただけでございます。しかしこのやり方といたしましては、日本の商業銀行がアジア諸国あるいはアジアに限らず海外に健全なる融資をする、ことにその際アジア開銀のようなものと一緒にするということは健全な今後の融資あり方だと思いますので、これは民間が自主的におやりになることではございますが、私どもとしてはそういうものが進捗するということは歓迎したいと思います。
  235. 宮地正介

    ○宮地委員 いまもお話の最後に少しありましたけれども、そうなりますと、特にアジア地域向けの開発融資で、日本の市中銀行との協調融資役割りは高まってくると思います。そうなりますと、やはりリネックは為銀のドル融資の規制の問題である、こういうことになります。いわゆるドル融資規制の緩和という問題がクローズアップされてくるわけであります。そういうことで、緩和の問題のむずかしさもあると思います。これはちょっと担当がおりませんので、政務次官から御答弁いただくことになると思いますが、そういうような、いま局長さんは前向きに検討していくような状況にある、半面、ドル規制の問題、この緩和を検討されるのかどうか。
  236. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 為銀のドルによる対外貸し付けにつきましては石油危機の後三年間ほど自粛をお願いしてまいったわけでございます。といいますのは、石油危機の後、膨大な石油輸入の資金を中心に為銀の短期のドル債務がふえまして、その額がおおよそ三百億ドルくらいになっておるわけでございます。これに加えてどんどん対外貸し付けをいたしますと、またその短期の債務をとってくるということで為銀のあり方としても健全ではありませんし、また日本の対外ポジションを健全にするという見地からも好ましくございませんので、三年間ほど自粛をしてまいったわけでございます。昨年の秋以来、石油危機によります国際収支あるいは為銀の対外ポジションに対しますインパクトが一応一段落をいたしましたので、為銀の短期債務を悪化させない限度で対外貸し付けを認めていこうということで緩和措置を打ち出して、その後幾つかの貸し付けが現実に行われているという状況でございます。
  237. 宮地正介

    ○宮地委員 最近特にアジア開発銀行について、午前中も少しお話が出ましたけれども、ベトナム経済復興には積極的な援助の手を差し伸べるべきである、こういう声が国際的にも高まりつつあるわけでございます。その取り扱いについてどのように検討されておるか。
  238. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀につきましてお答え申し上げますが、アジア開銀に関しましては、ベトナム統一をされまして、昨年七月に統一されたベトナムとして正規の加盟国になったわけでございます。それ以前にアジア開銀がすでに南ベトナムに貸し付けの約束をして、一部現に貸し付けが実行されていたものがあったわけでございますが、それはしばらく中断していたという事情がございます。  昨年の七月に南北統一されまして正式のメンバーになりまして以来、それの再開について検討がなされてまいりまして、ことしの一月にはアジア開銀から調査団ベトナムを訪れるという段階まで参ったわけでございます。アジア開銀政策といたしましては、政治的な配慮によって融資に手心を加えるということはしてはいけないというふうな協定上の規定がございますので、ベトナムはほかの加盟国と同様に今後扱われることになるのでございますが、それに加えまして、ベトナムが戦災によって大きな痛手をこうむったという事情がございますので、融資に当たっては、そういう点を考慮して融資を進めていくということになろうかと思っております。
  239. 三宅和助

    三宅説明員 日本の対ベトナム政策の前の方の関係を御説明いたします。  すでに前に御説明いたしましたが、無償援助資金供与につきましては、今度、ベトナム政府から正式要請がありましたならばケースバイケースで考えていきたいと思っております。ただ債権債務の大きな問題が現在交渉中でございますので、それとの関連性も考慮しながら考えていきたい。それから、技術協力でございますが、これは、これまた正式な外交ルートを通じて要請が参りました場合には、ケースバイケースに、すなわち日本が出し得るか、それはどの程度の効果を持ち得るか、総合的に考えながら対処していきたいと思います。政府借款につきましては、これはまさしく従来の債権債務の問題をどう解決するか、それと新規援助をどうするかということは非常に関連して、問題でございますので、これの関連を見ながら今後考えていきたい。私たちとしては一日も早くこの債権債務問題が双方の満足する形で解決したいと思いまして、現在鋭意交渉中でございます。
  240. 宮地正介

    ○宮地委員 次に、先ほども少し大臣に伺いましたのですが、累積債務の問題について少し伺いたいと思います。  日銀の調査によりますと、ASEAN五カ国の一昨年末の対外公的債務残高が約百五十億ドルに達しておる。オイルショック前の七十二年末に比べまして一・九倍。民間信用についてはその間約四倍になっているとも言われております。特に先ほどからお話ししておりますように、今回の日米首脳会談の結果、日本ASEANに対するところの経済協力援助、こういうものの促進が当然なされてくるわけでございますが、このASEANの悩みである累積債務、この問題について具体的にそろそろ対応を考えていかなくてはならない、こう思いますが、先ほど大臣からは南北問題という立場から御答弁いただいたわけでございます。事務当局として具体的にどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  241. 三宅和助

    三宅説明員 ASEANの対外債務、確かに百五十億ドルでございますが、これは開発途上国全体の公的債務、これは一九七四年末現在で千五百億ドルということでございまして、いわば十分の一。したがいまして、このASEAN債務累積問題は全体の債務累積問題の一環として考えていったらよろしかろうと思います。具体的にはちょうどパリにおける国際経済協力会議の閣僚会議、それから場合によってはその首脳会談など、それからさらにはUNCTADの閣僚会議ということが控えておりまして、現在各国政府と十分協議しながら、どうやって全般的な問題としてこれに対処していくかということで意見調整中でございます。
  242. 宮地正介

    ○宮地委員 特に発展途上国の対外債務の累増に伴いまして、最近外為銀行の発展途上国に向ける融資に非常に慎重な姿勢が目立ち始めているわけであります。新方式として、欧米の銀行を誘っての国際協調融資団を編成する、そういうやり方に切りかえていく意向とも言われております。このような外為銀行の姿勢変化は、今後のASEANなど南北問題の展開に大きな影響が出る気配であります。そういう意味合いにおきまして、大蔵省としてこの点、外為銀行に対してどのような行政指導をされておるか、まず伺いたいと思います。
  243. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 為銀の海外貸し付けにつきましては、先ほど申し上げましたように、石油危機の後、自粛をしてまいったわけでございますが、これは為銀自身が、その債務を考えまして、銀行の経営を健全にするという見地から、いろいろと慎重に考えておるわけでございまして、全般的には、昨年の秋緩和されて以来かなりの対外貸し付けが行われておるわけでございまして、特に消極的になったという感じはいたしておりません。  ただ、先ほども触れましたように、IMFがその国に対しまして融資をすると経済再建の条件がつくとか、あるいはアジア開銀が貸し付けをいたしますときに一緒にやっていくとか、あるいは欧米の銀行が貸し付けをするときに一緒にやっていくということでございますと非常に安心感を持ってやれるという面がございますので、為銀としてはそういう協調融資的なものに乗って貸し付けをするという傾向はございますけれども、全般的には特にASEANあるいは開発途上国に対する融資を消極的に手控えしているということではないと思います。
  244. 宮地正介

    ○宮地委員 特に心配されることは、発展途上国から、このような慎重な姿勢が逆にわが国の融資が抑制に転じた、このような反発を受ける、こういうことについては注意をしなくてはならないと思います。特にそういうような状況下において、外務省と通産省にちょっと伺いたいわけでありますが、当然この発展途上国向けの融資の中には、プラント、鉄鋼などのいわゆる輸出代金として供与するケースも多いわけであります。そういう意味で、為銀のこうした慎重な姿勢が逆に日本の貿易、商談、こういうものに大きな影響が出てくるのではないか、すなわち外交上、通産行政上に影響を与えていくのではないか、こういう心配があるわけでございます。その点どのように受けとめておられるか、伺いたいと思います。
  245. 三宅和助

    三宅説明員 確かに民間の、これはプラント輸出の関係でございますが、これにつきましては、現地のまず外貨事情とか、そういう相手国政府がそれを買うというような経済情勢でなければなかなかできない。その場合に、日本としてできるだけ有利な条件の融資をつけていくというかっこうでございます。われわれとしましては、経済協力は単なる政府開発援助のみならず、そういう民間の交流を通じまして経済発展が行われるという意味におきまして、できるだけ輸銀枠の拡大とか、あるいはこれにまつわりますいろいろな観点から促進してまいりたい。その場合に、同時にそれに見合います、あるいはそれを補完する意味におきましても、政府開発援助の拡大はぜひとも必要であるというぐあいに考えております。
  246. 佐藤剛男

    佐藤説明員 ただいま外務省の方から答弁がございましたが、経済協力推進、それで公的資金を増大しつつ、いわば民間の活力ある活動を期待する、これが私どもの立場でございます。そういういろいろな、民、公あわせまして協力推進してまいりたい、こう考えております。
  247. 宮地正介

    ○宮地委員 時間がありませんので、次に移りたいと思います。  日本ASEANの心と頭脳を結ぶASEAN総合大学構想が最近ASEAN五カ国の元日本留学生の一人であるインドネシアから早稲田に留学していたウマル・トシンという現在ムハマディア大学の工学部長でありますが、この人の発案で進められておるわけであります。特に二月には福田総理にもお会いし、その協力を得られる感触を得た、このようなことが報じられているわけでありますが、具体的に政府として資金援助など、積極的に取り組む考えがあるのか、まず伺いたいと思います。
  248. 枝村純郎

    ○枝村説明員 ただいまお話しのウマル・トシンさんは、日本から帰りました後、在ジャカルタのわが方の大使館にも参りまして、こういう計画があることについて話しておりまして、その関係報告も来ておるわけでございます。現在のところ、まだウマル・トシンさんの個人的な考えということのようでございますが、六月にマニラにおいてASEAN諸国の人たち日本に留学した経験のある人たちの協議会というようなものの創立総会をやりたいということのようでございまして、その場でインドネシア側からこれを提案してみんなの賛同を得たいというのがトシンさんから大使館の方にあった説明でございます。  ASEANとの関係でございますけれども、私どもとしてはある程度積極的な姿勢をもってこれに協力し、いろいろなアイデアを出すということもございますが、公的にはASEAN諸国の方から自主的なASEAN側の構想として出てくるのを待って、それに対処していくというのが一つの基本姿勢でございます。  ただ、私どもといたしましても、現在のところASEANとの関係というのはややもすると経済面、経済協力面が強うございますので、何か文化面でのつながりを深めていくような考えはないだろうかといろいろ考えておるところでございます。こういったことも、いま申し上げましたようにまだなかなか公的な政府レベルで資金援助がどうということになるには時期を要するかと思いますけれども、一つの構想として承知しておきたいと思っております。
  249. 宮地正介

    ○宮地委員 今回のASEAN総合大学構想については、いわゆる人間開発をねらいとしており、日本東南アジアを結ぶ心のかけ橋として大変期待をされているわけであります。すでにインドネシアにその用地も検討されておるとも言われておりますし、この中には日本学部、こういうものも設置しようという計画もありますし、その目的とするところもわが国が敗戦の廃墟からこれだけのエネルギーをもって復興したその日本民族の勤勉さ、規律、責任感、こういう特性を導入したい、そしてASEAN諸国の人間開発のセンターにしていきたい、私はまことにすばらしい青図面である、こう思うわけであります。でありますから、こういうことが具体的に進んできた段階において、大蔵省としても、現在のわが国の東南アジア諸国における経済協力、また何と言っても同じ地域の民族としての温かい人間関係お互いの繁栄というものを考えていったとき、こういうまことに潤いのある計画については積極的に資金援助もしていくべきではないか、こういうふうに思うわけでありますが、それに対する政務次官答弁をいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
  250. 高鳥修

    高鳥政府委員 まだ具体的に大蔵省としてただいまの御計画について承っておる段階にないように思いますけれども、ただいまの御発言のような御趣旨のものであるとするならば非常に意義あることではなかろうか、このように思いますので、いずれ具体的な計画が出てまいりました段階におきまして、私どもがどの程度の、どのような御協力を申し上げるべきかということについて十分検討させていただきたいと思います。
  251. 山下元利

    山下(元)委員長代理 ただいま海外経済協力基金総裁石原周夫君及び海外経済協力基金理事大島隆夫君の両参考人が御出席になっおります。  両参考人には御出席をいただき、まことにありがとうございます。  御意見は、議事の都合上、委員質疑によりお答えいただくようお願いいたします。  荒木宏君。
  252. 荒木宏

    ○荒木委員 参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。特にまた新総裁は、御就任間もない大変御多忙なところを御協力いただきましてありがとうございました。  御案内のように、海外経済協力あり方の問題につきまして本院でも論議が重ねられてまいりました。たまたま多国間協力に関する法案が現在当委員会で審議中でございますが、この機会に先般来本院予算委員会で論議になりました韓国に対する借款、とりわけソウル地下鉄あるいは国鉄電化に関する借款につきまして価格に水増しがあったのではないかという疑惑が提起をされました。これは参考人総裁御就任以前のことでございますが、ずいぶんと報道機関でも報道されましたので、お聞き及びのことであろうかと思うのでございます。私どもも、各地でいろいろこの種案件の話が出ますと、あれは一体どうなっておるのか、水増しがあったのではないかという——事実関係がいろいろ具体的に提起をされており、また、本日お見えをいただきました大島参考人にも内容について予算委員会で御答弁もいただいたわけでありますが、その各項目それぞれについていろいろ実地に当たりましたところが、御指摘内容と数字がいささか違うという、言うなれば、御説明をいただいてますます疑惑が深まってきているというのが、大方の受けとめ方であろうかと思うのです。それで、今後における海外経済協力あり方、あるいは基金の運営を円滑に進める上からも、御就任間もない時期でありますが、この案件について疑惑を晴らすために、真摯な御努力をいただいてしかるべし、かように思うのでございますが、総裁のその点の御意見をまず伺いたいと思います。
  253. 石原周夫

    ○石原参考人 ただいま御指摘がございましたように、四十八年の機会とことしになりましてからと二回にわたりましてソウルの地下鉄の車両の価格につきましての御質問をいただいたわけであります。最近におきましても数回の御答弁を申し上げておりますように、私どもの基金の審査と申しますか、その契約の内容につきまして審査をいたします立場というのをまず基本的に申し上げておく必要があるかというふうに考えるわけであります。  それは、開発途上国から申請のありました事業計画につきまして、その内容が適切であるかどうか、またその達成見込みがあり、借款の目的が達成されるかどうか、そういうことをチェックすることが本来の趣旨になるわけでありまして、具体的に申しますと、当該プロジェクトがどういう背景を持ち、実施の計画がどうか、財務状況がどうか、実施体制がどうかというようなことにつきまして検討を行うわけでありますので、基金の立場から見ましてそのプロジェクトが円滑に実施されるかどうかということにポイントがある。したがいまして、ただいままでの御議論のありました調達価格というものをどう見るかという点につきましてみますと、先方から契約の承認申請書が提示されました場合、支払い条件であるとか納期でありますとか、あるいは数量、金額、それらの内容をチェックしました上で契約の承認をいたしておるわけであります。調達価格につきましては、事業の実施者でもあり、また調達の責任者でもあります相手側が、所定の手続に従いまして供給者と合意した価格であるということでありまして、コストの内訳につきまして個々に立ち入っておるということをいたしましておりません。類似の取引価格というものを参考にいたしまして、仕様がどう違う、取引の形態がどうである、取引時期の差異というような事情を見まして総合的に勘案をしてチェックするという立場でございまするので、コストの内容に非常に立ち入りましたことになりますと、基金としてはそこに立ち入って審査をいたしているというわけではございません。  その点から見まして、ただいま問題になっておりますソウルの車両一台当たりにいたしまして五千八百七十万円ほどになるかと思うのでありますが、その金額が、先ほど申し上げましたような類似の取引価格あるいは取引の時期、内容、仕様というようなものから見まして大体問題がないのではないかというふうに考え、その後累次の御質問をいただきまして、たとえば都営地下鉄との比較であるとかいろいろなことにつきまして申し上げたわけでありまするが、その際に御説明申しましたように、これはこういうふうに仕様が違う、あるいは時期が違う、したがいまして大体この程度の価格ということは問題のないところではなかろうかというような判断をいたして今日に至っておるような状況でございます。
  254. 荒木宏

    ○荒木委員 通常の取引の審査でありますとあるいはおっしゃるような点もあろうかと思います。ただ、総裁も御案内のようにアメリカ国務省の前朝鮮部長でありましたレイナード氏の発言などの報道もありまして、政治的な腐敗、汚職が絡んでおるというとらえられ方を世間ではいましております。私はそうしたときに、政府関係機関あるいは政府出資に係る公的な性格を持った機関あり方としまして、本来取引ぺースのものは取引ぺースで審査をすればいいということだけで世間が納得するであろうか、つまりすべての案件、ことほどさように全部政治的な問題を考慮に入れてということを申し上げているわけではございません。たまたま本件の問題となりました経緯あるいはいま世間に与えております影響、そうした点から、これは一般と同じような扱いでいいのだということは、少し政治に対する国民の信頼というものにこたえるゆえんではないのではないかという感じがするわけでございます。  これは総裁から伺いました御意見についての私の意見でありますから、御留意いただくといたしまして、いま取引条件について適当であるかどうかを見るというお話がありました。たしか内部の処理の仕組みでも、審査の受け付けをなすって、それを吟味なさるという過程があったと思いますが、大韓民国円借款輸出入契約申告書というのが四十八年八月に提出をされました。ここに従来の論議における御答弁ですと、取り扱い商社、本件の場合は三菱商事でありますが、予想利益率という欄が申告書の中にある、こういうお話がございました。そこでお伺いしたいのですが、何のために予想利益率を申告させるのか、書面の中にこの項目が規定されておる目的、ゆえんを御説明いただきたいと思います。
  255. 石原周夫

    ○石原参考人 円借款をやります場合の輸出入契約の申告書の性格でございますが、借款契約をいたしております、その規定せられておるものは実は輸出入契約の申告書ではないわけであります。輸出入契約の承認をいたしますのは、納入先であります、この場合には韓国政府に相なるわけでありますが、韓国政府の方から出してまいります契約の申告がございまして、それを承認をいたしておるわけであります。ただ、それに付随と申しますか、関連をいたしまして、国内の納入者から輸出入の契約の申告書をとるわけでありますが、これはただいまお尋ねになります手数料と申しますか、あるいは予想利益と申しますか、それはその輸出入契約の申告書のいわば付記事項でございまして、本体ではございません。本体につきましては先ほど申し上げました車両の価格が幾らであるというようなことでございまして、そのうち手数料が幾らであるあるいは予想利益率が幾らであるということは書いてございません。それに付随して国内の契約の申告書が出てくるわけでありますが、その分にいま申し上げました予想利益というものが出てございます。これはもし全体を国内の契約の申告とあわせて見ます場合に、一つの参考事項であろうかというふうに考えるわけでありますが、申し上げておきますのは、いま申し上げましたように輸出入契約の申告の本体というものは予想利益率は入っていない、それは一つの参考に書いてある部分に載せられておるということを申し上げるわけであります。
  256. 荒木宏

    ○荒木委員 参考に書かせるというお話があったのですけれども、輸出者予想利益率、これはすでに論議の中で当該の三菱商事の社長さんが二%だということをお述べになりました。その委員会の席には大島理事もお出でございましたから十分御承知と思います。五千八百七十万円の二%といたしますと、ざっと概算で一両当たり百万円であります。ところが、これもまた同委員会の論議で明らかになっておりますが、メーカーであります日立製作所の方から三菱商事に納入しましたのは五千百五十万円、そういたしますとこの五千八百七十万円から二%の約百万円を除きますと、その残高が本来は日立から納入されたCIF価格と、これが通常の考え方であろうかと思うのです。もちろん、運賃あるいは取りかえ部品、輸出諸掛かり、いろいろありますが、これは五千八百七十万円の上に上積みをされました。大綱は六千三百万円になっておるのですから、これはもう別建てだということはすでに論議の中で明らかになっております。そういたしますと、五千八百七十万円と五千百五十万円の差額、ざっと概算いたしますと六、七百万円になりますが、ここから二%相当分の百万円を除きました残余の五百万余りですね、百八十三両ですから概算で約十億円足らずと言われるのですが、これは一体どこへ行ったのか、いま論議になっております疑惑の焦点の一つはここにあるわけですけれども、すでに事は一応履行されている。しかし、改めて問題が提起されて、参考としてではあるけれども、おとりになった書類の中にはっきり数字が二%として出ていて、それを基礎に計算をすると十億円余りがどこに行っちゃったか、これは私当然の疑惑ではないかと思うのです。これは総裁どうごらんになっていますか。
  257. 石原周夫

    ○石原参考人 前回の機会に、ただいまおっしゃいましたような関係者の方からの答えがあって二%という利益率が出ておるというふうに承知をいたしております。これは純利益率でございまして、一二%という数字は、これはグロスの利益率でございます。したがいまして、それをそのままストレートに比較をしていただくわけにはまいらないと思うのでございますが、御指摘になりまするような、そこに大きな差額があるではないかという点につきましては、数字はある程度違うが差額はあるんだというふうに考えるわけであります。  ただ、輸出入契約の申告書に出てまいりまする数字は、実はその契約を出しますときにはまだ供給者との間に最終的な決着を見た価格ではございませんで、その輸出入契約の申告書を提出いたします時期におきまする一つの見通しと申しまするか、数字でございます。したがいまして、その出ました数字が最終的に供給者との間に決着をいたしましたときの数字とは変わることはあり得るわけでありまして、実は四十八年の時期にいろいろ決算委員会でありまするか、問答があったわけでありまして、そのときに基金の方で関係者にいろいろ問い合わせてみましたときの感触では、これは正確な数字ではありませんが、グロスの利益率で一〇%見当ではないかという推定をいたしておったようであります。それは先ほど申し上げまするように、最終の供給者との間の決着が済んでおります前の数字と、決着が済んだ後の数字の差に相なるわけであります。それが過日の委員会では一二%という数字になったわけでありまして、そこでまた若干の食い違いが出ているわけでございますが、利益率が高いか安いかということにつきましていろいろ判断の余地があると考えるわけでありまするが、私どもが最初に二%という純利益率の計算を一応参考数字として見ておるわけであります。それに対しまして四十八年に持ちましたある推定からいたしますると、最終の数字はそう著しくかけ離れていないということを申し上げておるわけであります。
  258. 荒木宏

    ○荒木委員 いま参考人は、若干数字の違いがあるということをお認めになって、そしてグロスとしての利益率はそう大きな違いがないのではないか、こういうふうにお述べをいただいたわけでございます。  そこで私は、グロスの利益率、マージン率というものが大体どのようなものであろうかということを検討する必要があるんじゃないかと思うのですが、通産省、見えていただいておると思いますけれども、四十八年、四十九年、五十年、この三菱商事のマージン率、これがどのぐらいのものであったか、そしてまた、よく比較されます十大商社の中でその数字が飛び離れたものであるか、あるいは大体並みのものであるか、この点数字の方だけ簡単に御説明いただきたいと思います。
  259. 佐藤剛男

    佐藤説明員 お答えさせていただきます。  マージン率、いわゆる商社活動におきます国内あるいは海外組織があるわけでございますが、それに沿う経営分析上の指標といたしましては、分母に売上高を書きまして、分子に総利益といいますか、いわゆる売上高から売上原価を引いた数字を分子に書く、そういうことが一つの指標に、インディケーションでございますがなるんではないかと思われます。  私ども通産省といたしまして、そういう商社活動につきまして一応の統計というのは貿易業態統計調査というものをやっております。これは約六千の商社を対象にいたしましてその状況を把握いたしているわけでございますが、先ほど申し上げました売上高総利益率というものは、もちろん前提といたしまして商品だとかあるいはスポット買いだとか継続、反復と、いろいろマージン率が違うわけでございますが、グロスで見ましたあれといたしましては、いわゆる輸出入活動を行っている商社でございますが、これの売上高総利益率は大体五%台、六%弱、四十八年の統計によりますと五・八ぐらい、それから四十九年に石油ショックでちょっと下がりまして五・三ぐらい、五十年で五・六ぐらい、大体六%弱という感じで御理解いただきたいと思います。それから、十大商社につきましては二%弱という形が有価証券報告書から出ている数字でございます。
  260. 荒木宏

    ○荒木委員 全商社ということになりますと中小がずいぶんと入ってきまして、これはいまも総裁お聞きのように、マージン率はかなり高いわけです。有価証券報告書によりますと、大体十大商社は二%ぐらいが普通の状態であります。また法人企業統計年報によりましても、売上高経常利益率は卸売業で四十八年が一・八、四十九年が一・三、五十年が〇・七。さらに資本金百億円から一千億円までをとりますと、売上高経常利益率は、四十八年が一・八、四十九年が一・一、五十年が〇・五、大体二%弱というのが統計年報によりましても有価証券報告書によりましても、三菱商事と同規模の企業のマージン率だということになります。これは先ほどの参考人のお言葉をかりますと、グロスとしての利益率でありますから、本件の場合は一〇%を超えている、グロスで計算しますと。確かに仕入れの方の値段がまだ決まっていない、そういう点で後で多少の違いはあるかと思うのですけれども、五倍もの違いというのはいかがなものでありましょうか。特に借款として行われた取引にどの点から見ましても二%弱ということになっておるにかかわらず、五倍ということになりますと、これは大変なもうけと言ってもいいのじゃないかと思うのですが、そういう異常なもうけの種になるということがそのまままかり通るものであるかどうか。私は十億ほどの金がどこのふところに入ったかはまだわかりません。だがしかし、仮に総裁が言われますように一〇%を超える利益率というものが出されたとするなら、ここに異常なもうけ、少なくともこの件について十億円近い金の行方ということが問題になると思うのです。通常の取引以外にはみ出す金ですね。そうした点で私は、御就任間もないことでありますが、先ほど通常の御処理のあり方を伺いまして、その点についてまで私は一般的にいま問題提起しているわけではないのですけれども、こういう経過をたどりまして、いまこのような事態になっておって国民の多くがそのことを知り、疑惑を持ち、しかもいま申しましたように利益率が通常の五倍以上という、しかもそれは借款であるという、これはどうもこのままにされておくということは適当ではないのじゃないか。いろいろな御調査の手だて、方法もあると思うのですけれども、なお鋭意御努力をいただいて、これに対する基金としての対応策ですね、これはぜひ疑惑を晴らすという方向でお考えいただく必要があると思うのですが、どうお考えになりましょうか。
  261. 石原周夫

    ○石原参考人 先ほどお答えを申し上げましたように、基金として審査をいたしますポイントになりますのは、それ以外の、いろいろ先ほど申し上げました状況とともに価格が一つのポイントになることは先ほど申し上げたとおりであります。しかしながら、基金の審査をいたしますのは、先ほど申し上げましたように、類似の取引というものの価格をベースにいたしまして、先ほど申し上げましたのは仕様でありますとか、あるいは取引の時期の関係あるいは取引の態様の関係、そういうようなものを見まして、一両当たり五千八百七十万円という数字を見まして、それがいかがであろうかという判断をいたしておるわけであります。先ほど来御指摘のありますように、当初に当事者の方から出してまいりました数字におきましては純利益率二%ということでありまして、それと相当に乖離をいたしておるということでございますけれども、商社としての平均の利益、それは確かに一つの目安でございますが、これはまた一つの平均でもございますので、全体の数字の落ちつきがどうであるかということにポイントを置いております関係上、それが一〇%程度になったかということを四十八年当時に推定したということを申し上げましたけれども、それで著しく不当な利益であって、これは基金当局として是正をしなければならないという判断には当時におきましても到達をいたさなかったことでありますし、今日その数字が若干変わってきたわけでありますが、その数字につきまして、それが是正を要するというふうにはいまのところ考えておりません。
  262. 荒木宏

    ○荒木委員 取引価格の問題はいろいろありましょう。しかし、並みの数倍のもうけということは明らかになっているのでしょう。私は、基金の目的に、商社の異常なもうけのネタを供給するということは恐らくなかろうと思うのです、経済安定、経済発展、経済協力ということでありますから。そこに介在する商社の通常のマージン、これは見られると思いますけれども、政府の方から出資をされておって、もとは国民の税金です、財投もお取り扱いになっておる。そのときに借款にかかわる仕事で並みの五倍以上のもうけがあって、それであたりまえだ、こういうことで通るでしょうか。私はせっかく参考人お見えいただきまして、御無礼なことを申し上げるつもりはないのですけれども、しかし、事は決して、申すまでもなく総裁の個人のポケットマネーではないはずなんです。国民の税金をこの財政危機のときに出資をして、お預かりいただいて、そして財投の原資もやはり国民の零細な預貯金や簡保資金から出ておるわけです。そのときに、お取り扱いいただく業務担当の責任者のお立場としては、おのずから節度というものがあろうじゃないでしょうか。けじめといいますか、世間の納得する取り扱いの矜持というものがあろうかと思うのです。この問題についてここまでたくさんの人が知っている。総裁はお立場上、いや、これはあたりまえなんだ、別に取り上げることはないんだとおっしゃるのは一つのお考えかもしれませんけれども、それでは世の中通らないのじゃないでしょうか。そういうことがあればこそ政治に対する批判がますます強くなって、私は、ひいてはそれの監督責任である内閣に対する信用失墜ということもますます高じていくのじゃなかろうかと思うのです。総裁にこういったことを申し上げて、あるいは御無礼かと思うのですけれども、この関係についての問題点、それから調査、そういったことを引き続きお進めいただいて明らにする努力というものがなお継続されてしかるべしと思います。  お聞きでございますから、御所管はちょっと違いますが、政務次官の御意見も、参考人の御意見の後あわせてお伺いしたいと思います。
  263. 石原周夫

    ○石原参考人 御指摘のございますように、基金の業務方法書におきまして、資金の効率的利用を図るということが書いてございまして、類似取引の場合と比較をしてみて、これはこの程度で問題ないのであろうかどうかという点につきましては、審査段階におきまして十分検討いたします。それに基づきまして実施せられました場合、輸出入契約の申告書に書かれます時期が納入者、供給者との間に最終的な決着がつきます以前のものでありますから、したがって、そのときに出てまいりました参考事項に載っております利益率が必ずしもそのとおりにまいらぬということになりますのは、先ほど申し上げたとおりであります。出ました結果につきまして、これが著しく不当であるかどうかということに相なるのかと思いますが、私どもの持っております今日の意見は、それはかつて四十八年の当時一〇%程度になったということを考えましたときと同様に、その利益率がグロスの利益率で一二%になったから、これはまた追いかけて是正を要するということにはならないのではないかというのが現在の判断だということを繰り返して申し上げておきます。
  264. 高鳥修

    高鳥政府委員 先ほど川崎委員からも御質問がございまして、その際にも申し上げましたけれども、いま総裁からもお答えがございましたが、個々の申請の具体的な細かな単価、内容等については、従来恐らく書面上の審査が行われておっただけであって、立ち入った細かいところまでの審査は恐らくなかったのではないだろうかと思われるわけでありますが、しばしば今国会におきまして御質問が出ておりますような事態でもございますので、そうした点についての基金の審査機能等につきましては今後十分御検討いただくようにいたしたい、このように先ほど申し上げた次第でございます。具体的ないまの取引の内容につきましては、私自身手元に資料を持っておりませんので、お答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  265. 荒木宏

    ○荒木委員 時間が参りましたのですが、まとめでもう一言お許しいただきたいのです。当時は二%で出ていてわからなかった。また論議になりました当座も、その後修正申告が出ていないわけですから、二%のままで御説明を続けられてきた。ところが、関係者が国会にお出になりまして、いろんな論議の中でわかってきた。私はそのとき、当然事後の審査−基金の業務の中に監査ということもあるのですから、監事という方もいらっしゃるのですから、つまり事後審査ということは世間一般の考え方から言ってもあり得ることだと思うのです。結論だけで、普通二%のマージン率が一二%でもかまわないのだとおっしゃっておりますが、われわれの常識からはかなり違うのではないか、金の性質それから事の経過。だとしますと、事後にその件をよく検討して納得のいくようにみずから説明を求められるというのが私は一つあり方だと思いますので、総裁の御意見は先ほど来お伺いをいたしましたけれども、この機会に私のこの件についての意見も申し上げておいて、引き続きまたいろいろな機会に問題提起もあろうかと思いますが、どうぞ十分念頭に置かれることを希望したいと思います。  参考人はもうお引き取りいただきまして結構でございます。ありがとうございました。  アジ銀の法案改正の審議でございますので、一問だけお尋ねしておきたいのでございます。  大臣にもお聞きいたしました、統一ベトナムに対する経済援助アジ銀の態度でございますが、前の崩壊しました南ベトナム政権に対する態度とそれから統一ベトナム政権に対する態度と、政治的に差別をしないで同じに扱っている、こう伺ってよろしゅうございますか。
  266. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀融資を行うに際しましては、当然協定の規定に縛られるわけでございまして、協定の規定によりますと、政治的な態度によってその融資に手心を加えてはいけないということになっておるわけでございます。したがいまして、統一ベトナムに対しましてもアジア開銀融資適格性のある対象国として平等に取り扱っていく。それに加えまして、先ほども申し上げましたけれども、ベトナムは戦災をこうむっているということ、それからきわめて貧しい経済状態にあるということは当然考慮されてしかるべきであると思うわけでございます。
  267. 荒木宏

    ○荒木委員 最後の一問、申し上げますが、私は、この前後のアジ銀の態度がずいぶん変わっているんじゃなかろうかと思うのです。と申しますのは、アジア開発銀行のニューズレターを読みますと、第六回年次総会、ここで当時の井上総裁が演説をされておりますけれども、今後インドシナ全域の復興開発に関してアジア開銀が主要な役割りを果たす、この問題については世銀のマクナマラ総裁とすでに協議をし、両機関が全面的に協力することで合意している。四十九年の七回年次総会では、御承知のようにサイゴンは戦火のさなかにありました。戦争をやっておったわけです。そういう状態で、しかも、七回年次総会の演説を読みますと、南ベトナム経済発展のスタートが阻止されている、つまりまだスタートラインにさえついていない、経済発展のために援助という本来目的からしますと、まだバッターボックスにも出ておらぬときに、いま申しましたここを援助することが主要な役割り、任務である、それからこのことはマクナマラさんとも十分話がついておる。大変積極的といいますか、アジ銀が先頭を切っていくのだ、こういう話です。ですから電力プロジェクト、それから通信プロジェクト、灌漑のプロジェクト、あるいは国立職業訓練センターのプロジェクト、特別基金、ソフトローンも含めてずいぶんなプロジェクト援助しよう、こう来ておるわけです。ところが、昨年の四月総会ではがらり態度が変わりまして、財務政策が大いに問題だ、返済能力を十分吟味しなければ軽々に貸せないのだ、こういうふうに変わってきておるのです。つまり、統一ベトナム政権になったら、いままでのようにアジ銀が先頭を切って世銀も一緒になって二人三脚でさあ行きましょうというのが、手のひらを返したようになっている。それではいかぬじゃないかというので、午前中申し上げた西ドイツ、フランス、いろいろな国が、やらなければいかぬじゃないか、こう言っておるのですが、日本代表はその点についてはノーコメント。私は、これから今度の総会の態度を御検討ということを午前中伺ったのですが、こういった、だれが考えても前政権の当時と統一ベトナムのときとアジ銀の態度が変わっている、しかも日本代表はうんと後退しておる方向に追随していっておる、大きな発言権がありながら、総裁まで出しておる国でありながらこういう態度はぜひ再検討していただきたい、そのことが委員会でも論議になったわけですから、その論議を踏まえてひとつ御検討いただきたい、こういうことを申し上げたので、その御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。政務次官の方から願います。
  268. 高鳥修

    高鳥政府委員 ただいまの御質問の趣旨につきましては、十分検討させていただきます。
  269. 荒木宏

    ○荒木委員 終わります。
  270. 山下元利

    山下(元)委員長代理 永原稔君。
  271. 永原稔

    永原委員 少し形式論的な質問になりますので、恐縮ですけれども、わからない点をお伺いしたいと思います。  条約に基づく国内法が二つ提案されております。一つは国際農業開発基金、国際法上の法人格を有するということが明確にされておりますけれども、それといまここで審議されていますアジア開発銀行に対する増資の法律でございます。片や外務省、片や大蔵省所管ということになっておりますけれども、その内容を見ていけば、それぞれ低開発国に対する融資経済協力、また部門別に見ましても、アジ銀の中の農業部門に対する融資が非常に高い、緩和されたいろいろな条件によって貸し付けようとしているあるいは贈与しようとしているこの国際農業開発基金、これも両者本当に性格が似ておるような気がしてしようがないのです。それを片や外務省、片や大蔵省、こういうようにお分けになっておるのはどういうお考えに立っておるのか、伺ってみたいと思います。
  272. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 国際農業開発基金は農業を扱っておりますし、またアジア開発銀行もその融資活動の一部といたしまして農業部門に対する融資を行っておりますので、その点で似たところもあろうかと存じます。しかし、この国際農業開発基金がアジア開銀等のいわゆる国際開発金融機関と違います点は、たとえば具体的には国際農業開発基金の場合は、贈与が業務内容一つと予定されているとか、あるいは脱退時には返還請求権がないとか、あるいは拠出をしておりません開発途上国に対しても発言権が付与されているというようなところで、金融機関としての性格とは違っておることが挙げられようかと思います。諸外国におきましても、世界銀行やアジア開銀等は、国際開発金融機関ということで、大蔵省あるいはそれに相当します財務省で所管しておりますが、国際農業開発基金の場合には、外務省とか経済協力省というところで所管しておるというのが実情でございます。
  273. 永原稔

    永原委員 両方の法律を見てみまして、このアジ銀の方には出資額というのが明示されております。農業開発基金の方には、ただ拠出するということだけで、予算の範囲内という言葉が入っておるだけです。このアジ銀の方で出資額を法律の中に入れるということは、これは法律事項でしょうか。
  274. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 出資額は、国が財政負担をするということでございますので、法律か予算か、いずれにしても国会の議決が要るということになるわけでございます。アジア開発銀行のような国際機関の場合には、出資は、一年限り使われる資金ということではございませんで、それが資本金として残る、それに対しまするいわゆる株主としての地位加盟国に残るという意味におきまして、法律で規定するという慣例になっておるわけでございます。
  275. 永原稔

    永原委員 いまのお話で、株主としてそういう性格を持っているのはわかるのですが、基金もやはり貸し付けであり、一部、八分の一程度は贈与ということはありますけれども、やはり資本として残るのではないでしょうか。
  276. 中村昭一

    ○中村説明員 先生のただいま御指摘の点につきましては、アジア開銀と国際農業開発基金のそれぞれの協定において資金の提供の仕方が具体的に決められておりまして、国際農業開発基金の場合には、提供する資金はあくまで拠出という形で提供することになっており、出資とその形態が異なっております。
  277. 永原稔

    永原委員 拠出と出資の相違について説明してください。
  278. 中村昭一

    ○中村説明員 従来の各種のこれら国際機関の例を見てみますと、出資というのは、その機関が一定の金額の資金の枠を定めまして、それに対して各国がおのおのの国のそれぞれの持ち分権を提供する、そういう形の資金提供の仕方を指しております。  他方、拠出というのは、それらに比べまして非常に幅の広い概念でございまして、いろいろな種類の提供の仕方がございます。国際農業開発基金の場合にも、そういう形態の一つとして拠出という資金の提供の仕方を定めております。
  279. 永原稔

    永原委員 いまの出資と拠出、ちょっとわかりかねたのですけれども、出資の一形態になるわけですか、この拠出というのは。
  280. 中村昭一

    ○中村説明員 出資の一形態ではないと考えております。
  281. 永原稔

    永原委員 余りこのことにこだわっても意味がありませんけれども、それでは先に進めまして、私は何か立法技術的に、出資金が、第二条が改正されて、毎年というわけじゃありませんが、増資のたびにふえていく、こういう法律形態がおかしいと思うのです。実際条約で決められた事項を守りつつ予算措置をしていかなければならない。アジア開銀については、それが第二条を改正しながらずっと条文を直していくという整理の仕方、片や開発基金の方は、これは協定の方で十億ドルという言葉が入り、また予算措置で五千五百万ドルという予算が計上されておりますが、そういうものは法律上何も出てきていない。何か法形態として開発基金のような法形態がとれてしかるべきではないかと思って伺ったわけです。そういう点はどうでしょうか。
  282. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開発銀行につきましては、御指摘のように、初めに第一回の設立をいたしますときの出資を決めまして、その後は一々毎回の増資のときに、法律で明記しないで、たとえば予算の定める範囲内においてというふうなことも、立法技術としてはあろうかと思います。ただ、今回は従来の例にならって法律で規定するということで御審議を願った次第でございます。
  283. 永原稔

    永原委員 午前中のお話で、経済協力資金がGNPに対して七五年〇・五九%というような数字が出たと思います。この協力資金の場合に、アジ銀で出している出資金、これは枠ですけれども、その枠が入った数字でしょうか、それとも現実に拠出した金額を中心にした率でしょうか。
  284. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀の第一年目の出資は、二十五億円の現金と、それから通貨代用国債でございます。現金と通貨代用国債と両方出しますので、出した金額はODAとして入るわけでございます。
  285. 永原稔

    永原委員 払い込み資本じゃなくて請求資本ですから、請求資本総額がこの協力資金の中に入っておるかどうかということです。
  286. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 出資金のうちの九割は請求払いでございまして、その分は算入されておりません。
  287. 永原稔

    永原委員 話を変えまして、国際農業開発基金、これは特に世界的な規模において食糧問題を解決しよう、食糧増産を図ろう、こういうようなことで、緩和された条件による貸し付けまたは贈与が行われるということは、一つの進展だと私は考えております。特に産油国を引き込んだというところに新しい事態が見受けられますけれども、片やアジ銀の方を見てまいりますと、昭和四十一年に設立され、四十七年に増資、また今回第二回の増資が行われるようになっております。五十一年十二月末の部門別貸付承認の実績を見てまいりますと、農業部門に対して三億七千五百万ドル、総体の一五・二%という数字が出ております。また、特別基金の貸し付けの方は四億一千五百万ドル、全体の四六・四%、したがって、両者合わせまして七億九千万ドルの農業部門に対する貸し付けというものが行われたわけでございますけれども、これに対して一体どれだけの実績が上がっているだろうか、そこに疑問を持つわけです。特にESCAP報告、これは一九七五年、第三十一回の総会の報告でございますけれども、その中で、七〇年からスタートした十年計画、国連開発の十年計画のちょうど半分の年次が過ぎた一九七四年末をとらえた報告でございますが、一部開発途上国の中で数億の人が貧困にあえいでいる、あるいは人口増加がやまないで食糧供給難に陥っている、そういうような状態からさらに事態が悪化して数百万の人が死を待っているような状況になっている、そういうような報告がなされております。アジ銀が開設されて十年、最初の数年間は設立準備などにいろいろ忙殺されていたようですので、実質十年はないでしょうけれども、こういうような特にアジア・太平洋地域の後進国の食糧問題、これにすでに七億九千万ドルに及ぶいろいろな投資がなされておりますが、これがどれだけの成果としてはね上がっておるのか、そういう点について伺ってみたいと思います。
  288. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀農業部門への融資によりましてどの程度成果が上がったかということでございますが、食糧増産、ことにその地域は米作なんかが多いわけでございます。生産性は上がっておるわけでございますが、いまここにそれがどの程度上がったかという資料は持ち合わせておりません。しかし、このアジア開銀におきましてやっております農業関係につきましては、農業関係融資をする前に、第一回の膨大なるアジア農業調査団というものを域内の各地に回しまして、ずいぶん入念な調査をしてまいったわけでございます。ことにアジア地域におきましては農業の立ちおくれというものは、米作等をいたしておりますが、その灌漑の設備が十分にいってないというところにあるわけでございまして、日本からも農業技術の専門家を招きまして、水の管理から始めまして、末端にまで農業生産性が広がるような指導をしておるわけでございます。具体的に反当たり幾らになったかという数字はいま持ち合わせておりませんが、近くまた第二回の農業調査団を出そうということも聞いております。
  289. 永原稔

    永原委員 専門はこれは農林省だろうと思うのですけれども、たまたま法律が大蔵になりあるいは外務省になっておるものですから外務省の方に伺ったりあるいは大蔵に伺うということで恐縮ですが、いまのような状況の中で国際農業開発基金というのが果たしてどれだけの実効が上がるだろうか。特にアジア地域に対して何か一つ方針を持ってこれに臨もうとしていらっしゃるのかどうか、そういう点を外務省の方に伺ってみたいと思います。
  290. 中村昭一

    ○中村説明員 お答えいたします。  ただいまの点につきましては、国際農業開発基金は、従来の開発援助の資金に追加する資金を提供することを目的として間もなく設立されるものでございまして、その意味では、必ずしもアジアだけを目的とするものではないグローバルな機関でありますから、その中でのアジアのシェアというのは必ずしも大きいと言えないかもしれません。また資金規模も現在想定されておりますのが十億一千万ドルでございますので、その意味でも、ちょうどアジア開発銀行が設立された当初と同じ資金規模でもってグローバルな農業開発を手がけることになります。かくして、いま先生のお尋ねの食糧増産にどれだけ寄与し得るかという点につきましては、いまのところまだ具体的に数字をもって申し上げることはできませんけれども、ちょうどアジア開発銀行がこれだけの期間を経てこれだけ大きな機関になったと同様、国際農業開発基金につきましても長い視野を持ってごらんいただきたいと存じます。
  291. 永原稔

    永原委員 食糧問題というのは非常にむずかしいと思うのですが、ESCAPではそういう報告を出しながら、OECDの長期食糧需給計画あるいは見通しというようなものを見ますと、一九八五年までに世界の農産物の需給見込みが、穀物で最低一千百万トン、最大四千四百万トン過剰になるだろう、牛肉などが二十万トンから百八十万トン過剰になるだろう、こういうような楽観的な見方をした食糧需給の見通しもございます。これは昨年の七月に発表になったものだと思いますが、しかし、こういうような、後進国に対して資金需要にこたえようとする、大蔵省あるいは農林省の方は一体この世界の食糧需給についてどういう判断をなさっているんだろうか、こういうようなことを伺ってみたいと思います。
  292. 瀧厳

    ○瀧説明員 先生のおっしゃられました問題は非常にむずかしい問題でございます。ただいままでにOECDなりFAOなり幾つかの機関が世界の需給見通しをつけておりますが、それぞれその時期なりその機関の性格なりによりまして、あるいはまた方法論の違いによりまして違った見通しをしておりますけれども、私どもといたしましては、結論的に申しますと、国際需給は今後非常に不安定な状況が続くのではないか、こういうふうに考えております。  その理由といたしましては、需要面におきましては、先進国におきます飼料穀物需要の増加が非常に見込まれるわけでございますし、開発途上国では、人口だけでなく所得の増加によります食用の穀物需要の増加が見込まれるわけでございますが、供給面の方で、かなり土地の外延的な拡大と申しますか耕地の開拓ということを行われますと、条件の悪いところが生産に参加してくるわけでございまして、そのために非常にコストもかかりますし、気象条件の影響を受けやすいという状況が続いてくるのではないだろうか、こういうふうな見通しを立てているところでございます。  さっき申し上げましたけれども、農林省といたしましては今後とも、当面緩和している状況がありますけれども、ストックの点でまだ回復は十分でございませんし、なお需給とも非常に不安定な状況が続く、これに対しては予断を許さないという感じを持っているわけでございます。
  293. 永原稔

    永原委員 いま開発途上国の方で特に産油国を参加させたのは一つの進歩であると思うのですけれども、そういう国々が世界食糧会議の中で、先進国において食糧を大量に輸入しているのは日本だけだ、そういう日本が世界の食糧市場を乱しているんではないか、そういう批判的な意見を述べた国があるように伺っております。本当に現況から見ていきますと、日本の輸入依存度が非常に高過ぎる。これを何とかしなければなりませんが、やはり国内で——さっき外務省の方からお話がありましたように、東南アジアは特に米の生産が少ないと言われる。そういう地域にある日本が、米が生産過剰であるということによって生産調整をやっている。また貿易が非常に黒字である、あるいはGNPに対する経済協力の資金が少な過ぎるというような批判、そういうものに耐えてなお自国の発展を図っていかなければなりませんけれども、こういう世界の食糧事情の中で、日本の食糧自給率の向上、これに特に力を入れなければいけないと思うのです。こういう点について、まあやりますと言えばそれまでですけれども、何か特別なお考えを持っていらっしゃったら伺いたいと思います。
  294. 瀧厳

    ○瀧説明員 先生指摘のとおり、先行き世界の食糧需給という問題はかなり不安定性が高まってくるという感じを持っておるわけでございますが、そのためにはまず第一に、国内における自給力を高めるというのが基本であろうと存じます。しかし、小麦とかトウモロコシあるいは大豆、こういった穀類につきましては現在すでに自給率が非常に低くなっておりまして、しかもその自給率を向上しようといたしましても土地制約等がございまして、なかなか困難な面がございます。そういったものは、これはアメリカ、カナダ、オーストラリアといった農産物輸出国に依存せざるを得ないわけでございまして、そういった国との間に安定的な輸入関係を確立するということが非常に大事になってまいるわけでございます。そのためにわが国といたしましては、たとえば米国との間には、一九七五年に日米間の穀物等の安定取引に関する農相間の合意というようなものを結びまして、それをお互いに円滑に実施していくということで努力しておりまして、これは非常に双方にとって意義のある成果を得ていると存じます。そういった関係がその他の供給国、欧州、カナダ等との間にも安定的な関係が現在できておりまして、こういったものをさらに相互の交流、情報の交換を通じて強化していくことが大事ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  295. 永原稔

    永原委員 本来ならば、国内の生産増強の方針を伺いたかったのですが、時間もありませんので次に進みます。  農業開発基金の協定を読ませてもらうと、この中にいろいろな機関協力をするという言葉がたくさん出てまいります。そして、特に「これらの機関協定を締結し又は業務に関する取決めを行うことができる。」というのが協定第八条第二項に出ていますけれども、先ほど外務省からお話があったように、従来の資金に上乗せするというような感じだとすると、これはアジア開発銀行と当然業務協定のようなものが結ばれるようになると思いますが、その点はどうでしょうか。
  296. 中村昭一

    ○中村説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、アジア開発銀行を含めまして既存の国際開発金融機関との協定が結ばれる可能性が非常に多いかと存じます。  なお、国際農業開発基金は非常に規模の小さい事務局で発足し、そのような事業につきましてそれら既存の機関と密接に協力していくということを一つ方針として考えている由でございます。
  297. 永原稔

    永原委員 そうしますと、アジ銀と違うところで特色あるのは贈与を含んでいるということだろうと思うのですが、この贈与についてもアジ銀の方にやっていただくようになるのでしょうか。
  298. 中村昭一

    ○中村説明員 ただいま先生の御指摘の点は、これは、国際農業開発基金が発足して以降その政策を決める過程で決まっていくものと存じますけれども、アジア開発銀行は貸し付けを行う機関でございますので、ただいまの贈与の点につきましては、むしろその機関自身で行うとかあるいはFAOのような機関を通じてやるとか、いろいろな形態が考えられると思います。
  299. 永原稔

    永原委員 ちょうどこの加盟国などを調べてみますと、重複している国がバングラデシュ、韓国、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ、こういうような国が重複しているように思います。こういうようなのに今後はアジ銀で力を入れていくのか、あるいは農業開発基金で指導するのを強化していくのか、どういうようにお考えでしょうか。
  300. 中村昭一

    ○中村説明員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、これはおのおのの加盟国政策としてそのいずれから融資を受けるかという政策決定の問題かと思います。したがって、それらの国において本来決定すべき問題かと存じますけれども、多くの国においては、先ほど御説明いたしましたとおり、国際農業開発基金が追加的な資金の供与という点に大きな眼目を置いておりますことから、双方の機関から融資を受けるということを希望するのではないかと考えております。
  301. 永原稔

    永原委員 何か追加的な資金を受けるというのが非常にひっかかるのですけれども、そういう金を扱うのがやはり二つの省にまたがっているというのは非常に不便じゃないかという気がするのですが、そういう点はどうでしょうか。
  302. 中村昭一

    ○中村説明員 ただいま先生指摘の点は、そのようなことが起こらないように政府関係者の間で密接に協議して行っていきたいと考えております。
  303. 永原稔

    永原委員 最後に、アジ銀が今度五十億ドル増資するということになりますが、これについてやはり農業部門に力を入れるというような、そういうお考えがあるかどうか。これも各部門別にいろいろ分けていった場合に、総額で見ますと二三%くらいになると思いますが、農業部門に投資されていると思います。そういうような比率で、この食糧対策ということを考えますとかなりこの面に力を入れなければならないと思いますけれども、そういう計画をお持ちなのかどうか、どういうようにこの五十億ドルを配分しようとなさるのか、何か計画がおありだったら聞かしていただきたい。
  304. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開発の現状を見ますと、やはり農業部門の生産性が非常におくれておるということが指摘されるわけでございまして、アジア開銀としては現在すでに二三%の貸付金が農業部門に回っておるわけですけれども、今後この比率は向上することはあっても低下することはなかろうと思うわけでございます。  アジアの受け入れ国の方から見ましても、アジア開銀の初期の段階におきましては農業に対する関心はわりに低うございました。私どもが日本政策といたしまして農業を重要視すべきではないかという提案をいたしましたときに、アジア諸国からはそれはまた日本アジアを食糧の基地として考えるのじゃないか、隷属的に考えるのじゃないかという批判もあったわけでございます。その後、世界的な食糧不足の時期を経まして、さらに第一次の緑の革命という成果を見ましてから、アジアの受け入れ諸国の方からもこの食糧増産に対する見方が変わってまいりまして、アジア開銀としてもこの部門を重視しておるわけでございますので、どの程度ふえるかということはわかりませんけれども、引き続き重要視してまいるのじゃないかと思っております。
  305. 永原稔

    永原委員 どうも最後と言ってからまた立ち上がるのは恐縮ですけれども、いま債務の返済がどうなるか非常に懸念されるような御質問が前に出たのですが、今度は逆の立場で債権が果たして確保できるだろうか、こういう気がするのです。さっきの開発基金ですと、これは返還ということはありませんですね。この出資したものについて将来返還ということがあり得るのでしょうか。
  306. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 アジア開銀に対します出資を返還するというのは、協定アジア開銀が清算段階に入る場合とかあるいは日本の脱退するという場合でございますので、私どもとしてはそのいずれもいまは考えておらないわけでございます。
  307. 永原稔

    永原委員 非常に財政的に困っているときなので質問しながらジレンマを感ずるのですけれども、経済協力もやらなければならない、国内の資金需要は非常に多い。こういう中で非常に大変だと思いますが、協調と連帯を非常に主張される内閣ですから、そういう点について特に国際的に協調の中にしか生きられない日本、そういうことを考えながらこういうような施策の充実を図っていただきたい。お願いして質問を終わります。
  308. 山下元利

    山下(元)委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る五日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会