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坊国務大臣 ただいま議題となりました
所得税法の一部を
改正する
法律案並びに
租税特別措置法及び
国税収納金整理資金に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、提案の理由及びその
内容を御
説明申し上げます。
初めに、
所得税法の一部を
改正する
法律案につきまして申し上げます。
政府は、最近における
社会経済情勢に顧み、今次の税制
改正の一環として、中小所得者を中心に所得税
負担の軽減を図るため、現下の厳しい財政事情にもかかわらず、初年度三千五百三十億円、平年度三千百六十億円の減税を実施することとし、ここにこの
法律案を
提出した次第であります。
以下、この
法律案につきまして、その大要を申し上げます。
第一は、人的控除の
引き上げであります。
すなわち、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除について、それぞれ、現行の二十六万円から二十九万円へと三万円
引き上げることといたしております。これにより、
昭和五十二年分の課税最低限は、夫婦と子供二人の給与所得者の場合で二百一万五千円となり、現行の百八十三万円に比べ、一〇・一%
引き上げられることになります。この
引き上げ率は、
政府の
昭和五十二年度の
経済見通しによる
消費者物価の年度平均上昇率八・四%を上回るものであります。
第二は、福祉
政策等の見地から、障害者控除等特別の人的控除について、基礎控除等一般の人的控除と同様に、その控除額をそれぞれ三万円
引き上げることといたしております。
すなわち、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ二十万円から二十三万円に
引き上げるとともに、特別障害者控除を二十八万円から三十一万円に、老人扶養控除を三十二万円から三十五万円に
引き上げることといたしております。
また、年齢七十歳以上の控除
対象配偶者につきまして、老人扶養控除と同様、新たに三十五万円の特別の配偶者控除を認めることとしております。
以上のほか、勤労学生控除の適用要件である所得限度額を四十六万円から五十二万円に
引き上げる等、所要の
改正を行うことといたしております。
次に、
租税特別措置法及び
国税収納金整理資金に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして申し上げます。
政府は、最近における
社会経済情勢に顧み、今次の税制
改正の一環として、利子配当課税等の適正化及び交際費課税の強化を行うとともに、その他の租税特別措置の整理合理化を行う等、所要の措置を講ずるほか、
国税収納金整理資金の経理を合理化することとし、ここにこの
法律案を
提出した次第であります。
以下、この
法律案につきまして、その大要を申し上げます。
まず、
租税特別措置法の一部
改正について申し上げます。
第一は、利子配当課税等の適正化であります。
すなわち、利子配当所得に対する源泉徴収税率を一五%に軽減する特例を廃止して二〇%の本則税率を適用することとするほか、源泉分離課税を選択した場合の税率を現行の三〇%から三五%に
引き上げ、また、割引債の償還
差益に対する源泉分離課税の税率につきましても、現行の一二%から一六%に
引き上げることといたしております。
第二は、交際費課税の強化であります。
すなわち、交際費の損金算入限度額の
計算の基礎となる資本等の金額の一定割合を千分の〇.五から千分の〇・二五に引き下げるとともに、損金不算入割合を八〇%から八五%に
引き上げることといたしております。
第三は、その他の租税特別措置の整理合理化等であります。
すなわち、
企業関係の租税特別措置につきまして、製品安全検査用設備の特別償却制度及び高精度工作機械等の特別償却制度を廃止し、公害防止用設備の特別償却制度の償却割合を二分の一から三分の一に引き下げ、また、
価格変動準備金の積立率を、通常のたな卸し資産にあっては二・七%から二、四%に、非上場株式等にあっては〇.九%から〇・八%にそれぞれ引き下げ、海外市場開拓準備金についてその名称を中小
企業等海外市場開拓準備金と改めるとともに、資本金一億円超十億円以下の法人に適用される積立率を引き下げる等の整理合理化を行うことといたしております。
また、登録免許税の減免措置につきましても、外航船舶の所有権の保存登記に対する軽減税率を
引き上げる等の整理合理化を行うことといたしております。
さらに、
昭和五十三年度の自動車排出ガスに係る保安
基準に適合する乗用自動車の早期普及のため、物品税の暫定軽減措置を講ずるほか、少額国債の利子非課税制度を少額公債の利子非課税制度に改め、その適用
対象に公募地方債を加えるとともに、中小
企業構造改善計画を実施する商工組
合等の構成員の機械等の割り増し償却、開墾地等の農業所得の免税、老年者年金特別控除、住宅取得控除制度の適用期限を延長する等、中小
企業関係、農林漁業
関係、福祉
関係、住宅
関係等の租税特別措置について、それぞれ実情に応じ所要の
改正を行うことといたしております。
次に、
国税収納金整理資金に関する
法律の一部
改正について申し上げます。
現行の
国税収納金整理資金に関する
法律におきましては、毎年度の歳入に組み入れるべき国税収納金等の受け入れ期間の末日は、翌年度の四月三十日と定められているのでありますが、四月三十日が日曜日その他の休日に当たるときは、当該受け入れ期間の末日を、その翌日の五月一日とする
改正を行うことといたしております。
以上、
所得税法の一部を
改正する
法律案並びに
租税特別措置法及び
国税収納金整理資金に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案の理由と
内容の大要を申し上げました。
何とぞ御
審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。