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1977-03-24 第80回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十四日(木曜日)     午後一時六分開議  出席委員    委員長 岡田 春夫君    理事 愛野興一郎君 理事 田中 六助君    理事 楢橋  進君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 西中  清君       大坪健一郎君    篠田 弘作君       野田  毅君    三池  信君       中西 績介君    細谷 治嘉君       権藤 恒夫君    野村 光雄君       安田 純治君    中川 秀直君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石炭部長   島田 春樹君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         労働省職業安定         局失業対策部長 細見  元君  委員外出席者         大蔵省関税局企         画課長     垂水 公正君         厚生省年金局年         金課長     高峯 一世君         資源エネルギー         庁石炭部炭業課         長       高瀬 郁弥君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する  法律案内閣提出第三一号)  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三三号)  石炭資源活用法案岡田利春君外二名提出、衆  法第三号)      ————◇—————
  2. 岡田春夫

    岡田委員長 これより会議を開きます。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭資源活用法案の各案を議題といたします。  この際、ただいまの各案についての参考人出頭要求に関する件につきお諮りをいたします。  来る三月三十日水曜日、参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡田春夫

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 岡田春夫

    岡田委員長 次に、各案についての質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭政策の第一次から第五次政策、そして今度の新政策と、合理化法制定以来二十年以上にわたって政策を展開してまいったわけです。私はこの総括として、日本炭鉱というのは、非常に激動する中で、しかもエネルギー流体化の激しい状況の中でも、現在残っている炭鉱は、一言で言えばよくやっている、こう私は思っておるわけです。  といいますのは、ともすれば石炭産業を平面的に比較をする癖があるわけですが、政策的に見ますと、ヨーロッパのイギリス、フランスあるいは西ドイツ、それと日本比較というものがよくなされるわけであります。しかし、わが国石炭賦存地質条件というのは新生代三紀層の一番新しい地層でありますし、ヨーロッパ炭鉱はすべて中生代石炭紀賦存する石炭でありますから、その地質年代というのは大変な相違があるわけです。わが国でも、中生代石炭としては、かつて山口県の一部に無煙炭鉱がございましたけれども、これだけが中生代であって、あとは全部新生代に所属しておる。こういう点、上下盤が非常に軟弱であり条件が悪い。だがしかし、一方炭化作用が進んでおりますから、そういう意味では褶曲作用によって緩傾斜、急傾斜、炭層の賦存状態が非常になだらかでない、それに伴ういろいろな条件が実は出ておるわけであります。その中でも能率を見ましても、特に一時間当たり能率等を見ましても、いろいろな面から検討しても、私は日本炭鉱というのはよくやっているのではないか、あるいは平米当たり賦存炭量が極端に少ないわけですから。ヨーロッパの場合には累層になっておりますから、非常に密度が高いわけです。したがって、一平米当たり炭量は非常に少ない、それだけに坑道の総延長は、ヨーロッパに比べて非常に長い総延長を持たざるを得ない。こういうギャップがあるのにかかわらず比較でき得る態勢にあるということは、私は一概に言えば労働条件その他の関係がありますけれどもよくやっている、こう思うわけです。だから日本石炭産業の歴史的な使命をどう全うさせるかということはわれわれ政策担当する者にとってはきわめて重大な責任ではないか、このように私は理解をしておるわけです。  そういう中で、今度の新政策においても二千万トン以上という生産規模の想定がなされているわけでありますけれども、二千万トンをコンスタント維持していくという場合には、生産規模は余裕がなければなりませんから、大体常識的に言えば二千万トンの一割、すなわち二千二百万トン程度産炭規模生産規模を持つ、そういう視点がなければ二千万トン以上の出炭確保することはできないのだというのが私の理解であるわけです。そして先般も申し上げましたけれどもわが国の唯一のエネルギーである石炭資源を考える場合には歴史的に産炭規模が同じであるフランス産炭規模フランスは大体二千二百万トンから二千三百万トンである、こういう点も歴史的な面としてわれわれが生産規模を考える場合に一つ見方になるのではないか、私はこういう気がするわけであります。そういう立場に立って二千万トンの維持ということは、私どもはきわめて深刻に受けとめておるわけでありますが、いま私が申し上げましたそういう認識について当局が一体どういう認識を持たれておるか、御答弁を願いたいと思うわけです。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 岡田委員にお答えいたします。  ただいまお話がございましたごとくに二千万トンの維持ということにつきまして、今後の国内炭生産は、法改正によります鉱区調整制度拡大でありますとか、あるいはまた現在操業中の炭鉱周辺で行います石炭資源開発調査制度活用、あるいはまた現在開発が進められております炭鉱生産が軌道に乗る等のことから、現有炭鉱群からの出炭で二千万トンの生産水準維持できるものと考えておる次第でございます。また新鉱開発につきましては五十、五十一年度に引き続きまして五十二年度におきましても国内炭開発可能性調査を実施するとともに、この可能性につきましてより具体的な検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭わが国生産量、これをどう把握をするかという問題でありますけれども、いま制度的には安定補給金が出されておるわけですから、安定補給金対象になっておるのがいわゆるわれわれが言う生産規模なのか、それとも指定統計把握をしている生産量生産規模なのか、あるいはまた、今日指定統計外雑炭もございますからそれを含めての生産規模なのか、いろいろ見方があると思うのです。その点については一体どうなっておるのか。特に一千八百六十万トン昨年の実績でありますけれども、このうちこれらの安定補給金対象生産量対象外、また雑炭把握についてはどうなっておるのか、承っておきたいと思います。
  8. 島田春樹

    島田政府委員 まず石炭供給現状でございますが、五十年度の供給実績について申し上げますと、国内炭生産、いわゆる指定統計と申しますか、われわれが普通何万トンと呼んでおるのですが、千八百六十万トンということでございます。そのほかに雑炭九十万トンということになっております。需給の数字としましては期首貯炭が百十一万トンございますので五十年度の供給数字としては二千六十一万トンということに相なるわけでございます。それから、安定補給金の非対象数字でございますけれども、ちょっといま手元にありませんのですぐ調べますが、大ざっぱに申しまして大体七十万トン前後かと思います。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 安定補給金の非対象のほぼ七十万トン程度はどうして安定補給金対象になっていないのか、その理由について……。
  10. 島田春樹

    島田政府委員 御案内のとおり安定補給金いわゆる石炭鉱業安定補給交付金でございますが、これは石炭企業経理経営の安定を図るために政府合理化事業団を通じまして石炭企業交付するというものでございます。したがいまして、すでに経理経営の安定している企業、すなわち一定水準以上の収益を上げている企業交付するというのはいかがかということでございまして、そういう意味通産省令交付対象となるものの基準を定めておりまして、具体的に申しますと一〇%を超える利益配当を行っている会社等々につきましては交付をしないということになっております。  また御案内かと思いますが、露天掘りのみで石炭生産を行っているものにつきましては四十八年三月三十一日以前施業案の認可を受けていることを交付要件といたしておるわけでございますが、これは露天掘り事業者業績動向等から見まして、交付金交付するのは必要性に乏しいという判断に立っているものかと存じます。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 一千八百六十万トンのこれから五年間の推移でありますけれども、このうち露頭炭が百二十万トン実は含まれておるわけです。この数字はこれから五ヵ年間の延長になるわけでありますけれども、五ヵ年間の見通しとしては百二十万トンを上回るのか下回るのか、どの程度規模推移すると判断をされておるのか承っておきたいと思います。
  12. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  鉱区調整等を行うことが必要でございますが、そういった措置をとることによってほぼ横ばい推移するというふうに考えております。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 いずれにしてもいま述べられている数字から判断いたしますと、もちろん生産増強既存炭鉱もございます。しかし、露頭炭採掘現状横ばいという推移判断をしてまいりますと、二千万トン以上の生産規模維持するということになりますと、新規坑内掘りの新鉱開発には当然着手されなければならないのではないか。でなければ生産規模維持できないと私は判断をしているわけですが、この五ヵ年間を見通し坑内掘りのいわゆる新鉱開発についての一応の見通しについて承っておきたいと思います。
  14. 島田春樹

    島田政府委員 二千万トンの五年間というお話でございましたが、五年間の二千万トンの供給力構造というのは、私どもといたしましては、一応今後現有炭鉱による増産というようなものを考え、一方また既存炭鉱群の中で生産の減少していくものもあるという両方ございますが、その両方を考えますと大体とんとんということでございます。したがいましてこの五年間に関しましては、二千万トンの生産体制というのは、現有炭鉱群出炭でほぼ維持できるのではないかというふうに考えております。  ただ新鉱開発につきましては、すでに御案内のとおり五十年、五十一年に調査をいたしておりますが、引き続きまして五十二年につきましてもこの調査をさらに続行いたしまして、具体的にどうやっていくか、可能性につきましてより具体的な検討を進めるということでございます。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は基本的には既存炭鉱の若返りを図る、そういう中で単位炭鉱最終採掘フィールドを決める、これが原則であり、最も経済的であり、最も合理的である、この認識がやはり基本であることは当然であろうと思います。だがしかし、今日の石炭産業単位炭鉱を分析しますと、いわばある程度適正規模といいますか、経済出炭といいますか、また坑道整備、その他のいろいろな条件を総合的に判断をして、いわゆる合理的、経済的出炭規模でずっと計算をしてまいりますと、やはり無理が伴っている、こういう判断が成り立つと私は思うのです。もちろん生産が落ち込んでいるところはありますよ。しかし一般的には現在の出炭というのは大体好調の方向をたどっているわけでありますから、そういう点では無理があると思うわけであります。したがって、いま石炭部長はこの生産規模はほぼ維持できると言いますけれども、私はそうはまいらないのではないかと思うのです。大体二千二、三百万トン程度以上の生産能力というものがあって初めてほぼ二千万トンの生産ベース確保できる、こういう認識の方が正しいのではないかと思うのです。要するに、計算するとぎりぎりぎっちょん二千万トンラインにほぼいくから二千万トンは維持できるという認識は、いわゆる地殻構造変化等も考えられる石炭産業においては、そういう見方は無理がある。やはりある程度、ほぼ一〇%程度電力め供給予備率みたいなものであって、そういう余力生産構造になければ二千万トンを維持していくということは不可能である。これは過去の実績が示しておるわけであります。そういう立場に立てば、生産構造というものをもう一歩ふくらますという姿勢がないと真に二千万トン体制維持するということにならないと思うわけです。いかがですか。
  16. 島田春樹

    島田政府委員 もちろん御指摘のように生産には常に余力を持つということが望ましいわけでございます。特に炭鉱のような場合、保安問題鉱害の問題、この保安確保鉱害の防止というのが大前提でございます。そういう点から考えましてもそういう見方が妥当であろうと思います。  ただ、われわれといたしましては、いま申し上げましたようにいまの二千万トンというものを考える場合に、現有炭鉱の各坑内骨格構造、切り羽というものを考えた場合に、各企業ともそういった点ある程度のバッファーというのは設備投資計画をつくる際に持っておるというふうに考えております。また、二千万トン体制維持するために、先ほどちょっと大臣からお話がありましたが、今後、鉱区調整制度拡大、あるいは特に周辺炭鉱で行う調査というものによりまして、現有炭鉱群能力増強というのをできるだけ施策として充実してまいりたいと考えておりますので、そういった施策をとることによって二千万トン体制というものは、先ほど申しましたような考え方維持し得るのではないかと思っておる次第でございます。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 常識的に言うと、一定生産規模がノーマルに長期的に維持されていくというのが最も望ましいわけです。しかし、私が前段で申し上げましたように、日本産炭構造を地質的に分析してみますとなかなかそうはまいらないわけです。ある一定段階へいったら傾斜が変わるということもありますし、断層が出る、そういう条件も非常に多いわけであります。そうしますと石炭採掘というものは、採掘がしやすいときにはどんどん生産を上げる、マイナス状況が生まれた場合にはいかに短い時間でマイナス状況を縮めるか、生産をもとに復すか、こういうある程度の繰り返しがあってトータルで生産は大体年間数量コンスタントにいける、こういうことは日本炭鉱の場合には避け得ざる運命だと思うのですよ。ですから、毎月コンスタントにいくことが当然であってそうでなければおかしいなんという議論があるのですけれども、私は、それは日本産炭構造を知らざる者の言うことだと思うのです。そういう認識についてどう思われるのか。したがってそういう立場から私は、産炭構造についても規模についてもある程度アローアンスを持った体制というものがなければ二千万トン体制維持できないということを申し上げておりますので、十分この点についても把握を願いたいと思います。  特に新規炭鉱開発については、答申では「公鉱害、露天掘跡地利用」に問題が多いので「関係地方公共団体の了解と協力」あるいは開発にあたっては「関係地方公共団体石炭企業等により構成される共同開発体開発事業者とするのが適当である」こう述べられておるわけであります。そして開発対象地域における休眠鉱区封鎖鉱区、これらを総合的に開発をするという措置をとらなければならない、また電力二次エネルギー転換のための電源開発という点についても、地域振興等十分にらみ合わしてこれら対応策も考えなければならない、これが新答申の「新規炭鉱開発」の柱になっておるわけであります。  この共同開発体、特に関係地方団体等、これは生産側もそれから消費側関係地方団体もという意味だと思うのですけれども、「共同開発体開発事業者とするのが適当である」という答申についてはもう少し、実体的にどうなのかお聞きいたしたいと思うわけです。
  18. 島田春樹

    島田政府委員 新鉱特に大きな新鉱開発を考える場合にいろいろな要件があろうかと思いますが、石炭採掘に関して非常に豊富な経験を持つということが主体を考える場合に当然必要であろうかと思います。またいまの答申にもありますが、今後新鉱開発可能性を考えられる地域につきましては、農林漁業等がその主たる産業であるという地域が考えられます。したがいまして新鉱開発の場合、これらの産業との関係あるいは地域住民と民生に与える影響というものも当然考えなければならないと思います。またさらに、新鉱開発を行うことが雇用の促進あるいは道路、住宅等社会資本の充実に資するという効果もあると考えられますので、開発に当たって要するに地元との調整を図っていくということが不可欠の問題であろうかと思います。  開発主体について現在どう考えるかという御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、二ヵ年間の調査の後、本年度さらに引き続き開発可能性調査を進めようとしているわけでございますけれども、その調査の中でこの辺の問題も検討をする必要があろうと思います。したがいまして、調査結果を待ちましてそれぞれの関係者が有する機能、たとえばどういう主体はどういう機能を持っているかというその機能をどういうふうに考えるかという問題、また開発のもたらす利益影響というようなものをどう考えるか、いろいろ勘案いたしまして、どういう開発がその地域に適しているか、その場合にどういう開発あり方が一番望ましいかということを具体的に掘り下げていくことにいたしたいというのが現在の考え方でございます。もちろんその際、石炭鉱業審議会意見等も十分お聞きしたいと考えております。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 これからの新炭鉱開発というのは、私も前にも述べましたけれども、もちろん資本力も必要でありますが、技術力、あるいは重装備の態勢でありますから訓練された技能労働力確保が不可欠の要件であることは当然であります。またいま部長が述べられたいろいろな地方関係団体協力も不可欠ではありますが、しかし、そう考えてみてこれから開発可能な地帯をわれわれなりに検討してまいりますと、いわば従来のように新夕張とか、いまの有明とかあるいはまた前の南大夕張開発のように、一社が新規炭鉱開発主体になることは非常にむずかしいのではないか、こう私は判断せざるを得ないわけです。  そういう意味開発主体ということが非常に問題でありまして、私どもの対案では改組されたいわゆる合理化事業団すなわち石炭公団が中核になってやるべきだというわれわれの提案を実は行っておるわけです。たとえば、これを一歩退いても、そういう実態が認識できれば、すでに助成や政策上は政府主導型でありますから、新規開発炭鉱についても政府主導的な、少なくとも主導的な役割りを果たす体制でなければ、新規炭鉱開発主体にはなり得ないと私は思うわけです。そういう点の認識についてはいかがですか。
  20. 島田春樹

    島田政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、調査の結果を待って検討をするわけでございますが、いずれにいたしましても、そういうかっこう開発を行う場合には、現在の私ども一つの考えとしまして、そういった大規模開発を行う場合には、現在の合理化法の末開発炭田開発制度というのを活用していくのが適当であろうというふうに思います。この方式でいけば、政府地域指定をし、開発計画を定めるというかっこうで秩序ある開発を行うという方式を考えておりますので、そういったかっこうでやれば十分やり得るんではないか。また、その開発に当たっての資金につきましては、現在の開発資金制度というのがございますので、この未開発炭田開発制度と、それから開発資金制度というものを組み合わせてやっていくことによって対処し得るというふうに考えております。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 現行合理化法上はそういうことになると思うのですよ。しかし、開発指定を行うときには開発主体が決まっているのですよ。いままでの三炭鉱の例を見ても、全部ができ上がっておる、そこで初めて開発指定が行われて、予算がつくのですよ。ですから、実体論から言えば、開発主体というものが、もう法律運用以前に、実体がはっきりしていなければ開発指定が行われないのが実情なんです。法律上の運用だけで言えばいま答弁されたとおりでありますけれども実体は違うのでありますから。  そうすると、開発主体をどうするのか。地方団体との共同体ということも答申では出ておるし、また、現状認識については、私が提起をしたいろんな条件があるわけですから、したがって、これからの新鉱開発主体というものについて、いずれにしても、政府が主導的な役割りを果たさないでそういうもろもろの条件をまとめることはできない。もちろんこれには業界なり地方公共団体なり、すべてが協力しなければなりませんよ。しかし、政府が先導的な役割りを果たさないと、実際問題としてはなかなか進まない、またうまくいかない、私はそう判断するわけです。私はそういう認識を持っておるものですから、法律運用運用として、実体論からやはり考えていかなければならぬから、開発主体の問題については、相当従来と違った発想の転換が必要だというのが私の認識です。いかがですか。
  22. 島田春樹

    島田政府委員 基本的な考え方は、先ほどお答えいたしましたように、これからの調査結果の過程検討していくということでございますが、先ほど申しましたように、私ども、これからの調査に当たって、その地域で具体的に関係者による協議会と申しますか、そういった関係者による組織というものをつくりまして、開発あり方について検討していこうというふうに思っているわけでございます。そういった検討過程におきまして、先ほども申しましたように、どういった開発あり方というのが一番いいかというようなことを検討していく。その中で具体的にプランというのがだんだん詰まってきますれば、その段階で具体的に、たとえばどういうような開発主体を考えていくかということが実体的に詰められて、関係者の合意が得られるようなかっこうに持っていけば、先ほど申しました開発主体の問題というのも具体化し得るというふうに私は考えております。もちろんこの辺は今後の検討の結果を待たなければなりませんが、そういったことで、いま申し上げましたようなかっこうでやっていくことによって対処するというのも一つ考え方だと思います。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 これからの新鉱開発を考えますと、もちろん原料炭が皆無だとは私は言いませんけれどもウエートは、やはり一般炭の方がウエートが高くなるというのは当然の話であります。だがしかし、いままでの政策原料炭にぐっと傾斜した政策でやってきた。そういう中で、炭価の形成についても原料炭原料炭の歴史的な形成過程がありますし、一般炭は言うなればオイルショック以降ずいぶん改善をされた、そういう政策的な流れは違いがあるわけです。しかし、いままでの新鉱政策というのはすべて原料炭中心でありますから、原料炭の中でも、わが国でも最も優秀な原料炭開発、いずれもそういう地点が選ばれているわけです。そうしますと、一般炭開発の場合には、従来の政策そのものだけではなかなかむずかしいのではないか。はっきり言えば、上乗せ政策といいますか、またはもう少し創意工夫された政策、そういうものが伴わないと、実際にこれは新規開発政策として生きていかないだろうというのが私の認識でありますけれども、この点はいかがですか。
  24. 島田春樹

    島田政府委員 確かに御指摘のように、いままで三炭鉱開発、新鉱開発、いずれも原料炭の山でございます。しかし、私どもとしましては、今後新鉱開発を考える場合に、別に原料炭ということでなくして、一般炭も含めて、新鉱開発というものは当然検討をしなければいけないというふうに考えておるわけでございますが、そのために、現在行われているだけでは不十分かどうかという問題かと思います。  先ほど申しましたように、私どもとしましては、今後の開発当たりましては現行の、特に資金的な問題としましては現行の開発資金制度というのを活用していきたいというふうに考えているわけでございます。一般炭の場合と原料炭の場合でも、値段が違うという点から、それだけ一般炭開発の場合には手厚い支援措置をとらないと開発がなかなかできにくいのではないかという御趣旨かと思いますが、いまとられております開発資金制度というのは、恐らく現在のいろいろな助成措置の中で最も手厚い助成措置であろうかと思いますし、こういった措置をとることによって私どもとしては対処し得るのではないかというふうに思っております。  ただ、原料炭の場合、一般炭開発に比べまして、先ほど申しましたような点からどうかという御議論もあろうかと思います。したがいまして、この辺につきましては、実際に今後開発を行っていく場合に、その開発計画が具体化するという段階になりまして、開発資金の量あるいは資金調達の方法等どういうふうにしていくかという段階になりました場合に、関係者との検討協力というようなことでこの問題点の解決を図っていくというふうに考えておるわけでございます。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、開発意欲というものは、その前提となるこれからの新しい開発主体、そういうものに対する一つ考え方、あるいはまた、いま述べました開発政策に対する従来の原料炭開発政策から一般炭を含めた政策への一つの指針といいますか方向性といいますか、そういうものがないと新規開発の意欲というものは生まれてこないと思うのです。いま調査調査と言いますけれども、これは政府だけのいまの調査ですべてが解決するわけではないわけですから、全部やってそれで決める問題ではないわけですから、やはりそういう一つの方向性を示さなければ意欲も出てこないわけですよ。そういう意味から考えると、いまの二つの問題点は、これはやはり今度の新政策を受けた法律改正の時期に一定の、鮮明にならなくても、もう少しきちんとした、整理された方針が打ち出されなければならぬではないか、こう思いますので、この点は私の見解を申し上げておいて、後に譲っておきたいと思います。  次に、昭和五十二年度の炭価の見通しでありますけれども、それぞれ電力会社の電気料金の改定に当たって、五十一年、五十二年についての炭価の値上げについては、すべて電力料金値上げに織り込み済みである、こうわれわれは承知をいたしておるわけです。したがって、五十二年度の炭価の見通しについては、どういう見通しを持たれておるか、お伺いしておきたいと思います。
  26. 島田春樹

    島田政府委員 五十二年度の炭価の見通しでございますが、現在のところ、まだこれからということに、御承知のとおりでございます。石炭企業側から、五十一年度の企業の損益の赤字幅の問題あるいは五十二年度における労務費、諸資材費のアップ等によるコスト増というのをどう見るかというような点を勘案いたしまして、相当の額の値上げというのが要請されるのではないかというふうに考えられるわけでございますけれども、一方その実現につきましては、現在の経済情勢等を考え合わせますと、やはり鉄鋼業界あるいは電力業界等、各需要業界の相当の御協力をお願いしなければなかなか実現できないというのが現在の情勢である。具体的にどの程度かという点につきましては、いまのところまだはっきり申し上げられないという段階であると思います。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 北海道電力の電気料金値上げに当たって、五十二年度トン当たり千五百円の炭価の値上げを織り込み済みとして説明があり、公聴会もそういう説明をして電力料金の値上げが決まっているということについては御承知ですか。
  28. 服部典徳

    ○服部政府委員 北海道電力の料金査定に当たりましては、基準炭価につきまして、五十一年度千五百円アップ、五十二年度も千五百円アップということで織り込んでございます。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 特に、政策需要である電力用炭の炭価の傾向でありますけれども、歴史的に言えば、西高東低型の炭価形成というのは、これはかっての筑豊炭田主体わが国産炭構造からすれば、この出発は当然であったと思うのです。その傾向はずいぶん是正はされておりますけれども続いておると私は把握をいたしておるわけです。私は、やはり今後の石炭政策あり方として、もちろん同じカロリーであっても炭の持つ味が違いますから、いろんな構成要素が違いますから画一的にはいきませんけれども、大体同じ価格形成の方向に漸次、多少時間はかかりますけれども、そういう方向に直していくべきではないかというのが私の一つ意見であります。  特に、今回北海道では、政策発電所でもあります苫小牧の石炭火力発電所の設置が電調審で過般決定をした、こういう状況であります。そうしますと、この苫小牧の火力発電所が二年半以後運開するんでありましょうけれども、これに対する炭の供給は、内陸あるいは釧路炭田の太平洋炭礦からの石炭供給、そういう点で電発との炭の供給体制調整をする、こういうことは当然避け得られないだろうと思うわけです。ところが、ともすれば、いままで内陸発電所の場合には、五千カロリーで実際は四千七百カロリー前後の炭がたかれている。今後の苫小牧の設計というのは、六千カロリーである。そして、五千七百カロリーまでの炭はたける。こういう基準の発電所でありますから、炭種が従来の北海道の火力発電所とは異なって揚げ地火力発電所の構造になるわけです。ところが、そういう調整をするのでありますけれども、たとえば、電発に納めるあるいはまたこの勿来の共同火力に納めるとかあるいはまた東北の発電所に納めて、今度は苫小牧にも納める、これが、価格の違いが、手取りの違いが出てくるということになりますと、なかなかこれは調整がむずかしいんだと思うのです。したがって、苫小牧火力発電所の完成する時期、すなわち大体二年半後ですか、その時期までにはこれらの関係については調整をし、解決をしておく必要がある。またそういう点について当然火力発電所を設置する場合に、炭価についても計算されておると思うのですけれども、こういう面について、私のいま申し上げました一連の点についてどういう認識であり、どう対応されようとしておるか、お聞きしておきたいと思います。
  30. 島田春樹

    島田政府委員 いまお話ありましたように、石炭のカロリー差によりまして炭価の違いというのがいろいろございますので、一義的に比較するのはなかなかむずかしい点があるのは、いまお話の中にもありましたとおりでございまして、たとえば本州向けの北海道炭の山元手取りが九州の山元手取りに比べて低いという点につきましては、流通費の差によりますし、それからいろいろな点を考えなければいけませんので、一概にはなかなか論じられないと思いますが、いまお話のありました石炭価格の問題につきましては、これは将来の問題でございます。したがいまして直ちにここでお答えするというのはいかがかというふうに思うわけでございますが、基本的には、いまお話のありました、たとえば北電の苫東向けのいわゆる山手価格というものが電発のたとえば本州向けの価格、それに比しまして下がらない、それとの関係というのを考えるべきではないかというような御意見につきましては、そういった御意見も踏まえまして今後検討していきたい。ただし、将来の問題でございますから、今後の検討にいたしたいというふうに思います。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま部長の言われたのは、検討することは当然のことなんですけれども、そういう問題点が解消するように是正するために検討されなければならぬと思うんですよ。そこを突かないと、ただ検討する検討するというのはだれでも言うわけなんですが、いかがですか。
  32. 島田春樹

    島田政府委員 いま私が申し上げましたのは、そういった御意見を十分踏まえまして検討するという意味でございます。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 先般公明党の質問にいわゆる重油と石炭の火力発電所におけるカロリー当たり比較、そういう問題が質問があったのですけれども、どうも私、聞いていて非常に不明確だと思うわけです。  そこで、改めてお聞きいたしますけれども、C重油と石炭の火力発電所におけるカロリー当たり比較を積み地と揚げ地に大別して結構ですから、積み地と言えば、これは北海道、九州になるわけですから、その点についての比較をひとつ説明願いたいと思います。
  34. 服部典徳

    ○服部政府委員 石油火力と石炭火力の経済性の比較につきましては、非常にむずかしい問題でございまして、運転開始の時期とか、それから脱硫脱硝設備の有無とかいうことで発電コストがまちまちになっております。したがいまして、一概に比較することは非常に困難なわけでございますが、仮に同一年度に運転を開始し、同様の公害防止施設を設置するという前提で比較をいたしますと、石炭火力の場合にはやはり貯炭場とか、運炭設備とか、そういった関係で特別の設備を要するということで、建設費が石油火力に比べてやや割高になるというのが現状でございますが、ただ御指摘のカロリー当たりどうかという御質問でございますが、いまちょっと手元にその資料を持っておりませんので、後ほど資料をもって提出をいたしたいと思います。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 電事連の比較表、これは四十九年度なんですけれども、揚げ地で石炭と油のカロリー当たり比較しますと、北海道で石炭が一円二十九銭ちょっと、それから油の場合には二円三十五銭、九州は一円四十一銭の石炭に対して二円四十六銭が油、揚げ地の場合には一円五十八銭が石炭、それから二円五十一銭、これが油ですね。四十九年に限って見ますと、カロリー当たり一円ぐらいの違いがあるわけなんですが、こういう数字についてはどう把握されていますか。
  36. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  私どもの方で、これはこの前もお答えいたしましたが、カロリー当たり比較、いま公益部長がお答えしましたように、地域によりまたその比較する油あるいは石炭の質によりましていろいろ違いますので、なかなか試算がむずかしいのですが、高妙の例で私どもの試算いたしました数字では、五十一年度で試算をいたしてみますと、石炭につきましては六千カロリーの基準炭価で計算をいたしました。また重油につきましては五十年の十二月の告示による標準価格というもので計算をいたしてみますと、カロリー当たり単価で石炭が二円二十七銭、それから油の方が二円二十一銭ということになっております。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 高妙の比較でそういう数字を述べられておるわけですけれども、私は石炭というのは、もともと産炭地でこれを電力エネルギー転換するのが望ましいというのが流通形式からいって当然ではなかろうかと思うのです。ですから、少なくとも石炭部で答弁するときにもう少し親切にしないと、高妙あたりの真ん中辺のやつをとって、それでそうなんだと言っている感覚がぼくはどうもおかしいと思うのですよ。やはり石炭というものをこれからエネルギー源として使っていくという場合には、それぞれの少なくとも揚げ地、積み地のそういう面にわたって比較をする、そういう中で一体これからの政策はどうあるべきかということを考えていくことが当然であろうと思うのです。私は、そういう点で、これらの問題について最近の動向、先般新自由クラブからも、今後原油の価格は恐らく八五年になれば二十ドルを超すであろう、そういう予測も出ておるわけですから、ひとつ十年ぐらい先を見通してこれからの政策を立案していく、そういう姿勢でなければならないのではないかと思うのです。  そういうことに関連してお聞きしたいのでありますけれども、いま九電力というのがありまして、九州は九州電力、北海道は北海道電力。九州と本州の場合には電発が送電線を結ぶためにいま工事をいたしておりますから、近く二、三年後にはこれが完成をするわけでしょう。そうしますと、苫小牧に今度電調審で火力発電所ができた。その次の火力は、これは油がへ北電としては一応計画上はそう検討されておるようでありますし、原子力が予定をされている、こういう傾向になっておるわけです。九州の方は、電発で松島火力の第一号機がかかっておりますから、近く第二号機がかかる。これは一つの理想的なパターンであることは間違いないわけです。  しかし、さらに若干の長期的な面からいうと、またわが国エネルギー供給のバランス、多元化という面から考えても、ある程度偏ることはやむを得ないのでありますけれども、やはり石炭火力の設置というものはもう一歩進める必要があるのではないだろうか。私の出身のところなんか革新市政でありますけれども石炭火力誘致を叫んでおるわけですよ。いま保守であろうと革新であろうと、電源開発に来てくださいなんと言っているのは全国的に珍しいわけですね。ところがそこにはなかなかいかないで、いわば従来の同じパターンで、今度の十年計画は見直しをされるようでありますけれども、しかも臨海部なわけですね。そうしますと、やはり公益事業でありますし、これからのわが国エネルギー政策というのは非常に重要だ、いろいろの角度から検討しなければならぬということになりますと、ある程度電力を超えた総体的な全国的な視野に立って、そういう指導、そして電源の配置をしていくということを、もう避けて通ることができないのではないかと思うのですが、この点はエネルギー庁長官からひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  38. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石炭対策といたしましても、あるいはわが国の総合エネルギー政策の一環といたしましても、石炭火力の開発を推進するということは当然の課題であろうかと思います。現在昭和六十年度の目標といたしまして九百六十万キロワットの石炭火力発電所の開発計画を持っておるわけでございますが、現在段階では稼働中のものが五百十万キロワット、建設あるいは準備中のものを含めまして、ようやく六百五十五万キロワットということでございます。今後廃止または転換する百五十万キロワットを除外いたしますとさらに四百五十万キロワットの火力発電プラントをつくっていく、こういうことになろうかと思います。その場合、ただいままで御指摘のように、北電のように積み地と申しますか地元で消費する問題と、いま一つは電発の機能を働かせまして、いわゆる送電系続についても広域融通できるような措置を講ずると同時に、電発に対しまして石炭火力の建設促進の努力をさせる、そういった線からいたしまして、この六十年度の石炭火力発電目標を達成する必要があろうかと、かように考えておるわけでございます。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣、私いま長官から答弁を願ったのですけれども、なかなかやはりそれぞれの電力は、もちろん技術論的に言うと、石炭火力をやれば重油専焼をやりたい、その次は原発もやりたい、それは単位電力会社みなそうだと思うのですよ。ただ、しかし立地というものがありまして、それぞれの特殊性があるわけですから、そういう意味では、やはり北海道、九州あるいは山口県というのは歴史的に石炭になじみが深いわけですよ。そしてまた産炭地でもある、産炭地でもあった。こういう面から言えば、政策的に支えても、いまのわが国エネルギー政策のこれからの展開から考えれば、調整をして、そして石炭火力発電所の設置を促進するということが最もベターであると私は思うのですが、この点、大臣認識はいかがですか。
  40. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御指摘のとおり、われわれ産炭地の者といたしましては、さらに推進してまいらなくてはなりません。しかしエネルギー全体の問題といたしまして、同時にまた石炭の位置づけということを新たに非常に重要な問題として取り上げていかなければならぬ、思いを新たにいたしておる次第でございます。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、松島火力もかつて産炭地であり、周辺に炭鉱もある、そういう地域的な合意というものが、あの火力発電所の立地がきわめて容易にいった、そして次の二号機も、ある程度漁業関係の対策を考えればいくのだろうと、こう思うわけです。苫小牧であっても、時間はかかったけれどもやはり産炭地であるがゆえに、たまたまそれより優先して伊達あたりに重油専焼の発電所をつくるから、発電所ができてもまだ運開ができないという逆の現象が生まれているわけでしょう。そうしますと、やはりこれは国としても調整をしていかなければならないきわめて重要な政策だ、また今日の電源立地の状態を見れば、そうやらざるを得ないのじゃないですか。五十一年度の電調審の結論は一応出ましたけれども、五十一年度は達成率七七%よりないわけでしょう。そういう実態を踏まえれば、もう少し大所に立って、これらの問題については九電力、まあ電発を含めて総合協力し合っていく、このことをやらないでいろいろなことを言ったって、国民の側から言えば納得しないですよ。今度の新しい政策を立案するわけですから、その方向の中でやはりこの点のきちっとした指導方針を打ち立ててほしいということを、私は特に強く要望いたしておきたいと思います。  同時にまた、電発の火力発電所と、今度苫小牧に火力発電所ができるわけですが、片や電発、片やいわゆる九電力の民間の電力会社の発電所である、そして、政策的に比較をしていかなければならないし、これからの一つ石炭政策という面から考えた場合に、電発は国の関係政策的な電源開発株式会社ですから、民間の場合には、われわれはかつて交付引き取り金の問題でも、この電炭会社を廃止するという法案が出ていますけれども、直接助成は困る、だから電炭会社をつくって、炭価の差をそこで押さえて、直接経理関係は断絶をさせようという、そういうねらいで電炭会社ができたわけですから、今度これを廃止するわけですから、そういう面から考えると、私は、やはり石炭火力というものは、かつて若松から出発したように、もし建設コストとかいろいろな面から考えて問題があるならば電発を優先させざるを得ない。しかし、単位電力会社がこれを受けますというならこれは別ですよ。そうでない限りはやはりそういう従来の流れの政策を発展させる以外にないのではないか、こう思うのですけれども、これは長官からでも公益事業部長さんからでも、答弁願いたいと思うのです。
  42. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のような方向に即しまして石炭火力が促進されるように、前向きに検討してまいりたいと思います。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま流通経費というのは、竹原とか高砂とかあるいは磯子、それぞれマル近船ができてやっておるわけですけれども、陸上でいま最も流通経費がかかっておるというのは、恐らく釧路炭田から北電の内陸発電所に供給している石炭だと思うのです。現行でもトン当たり三千三百円かかるわけですね。だから、磯子に持ってくる倍かかるわけですよ、陸上ですから。これはさらに上がっていくわけです。先ほど統計数字でも言いましたけれども、これは単に安定補給金を持っておる石炭だけではなくして、いわゆる規格外の雑炭と称される二細、三細、四細という微粉関係ですね、これなんか、投げたら公害になるわけですね。これなんかも、カロリーとしては当然三千八百前後のカロリーがある。これなんかも持っていけば三千三百円かかるわけですよ。そういう点から考え、しかも、私は、これからの新鉱開発というのは、九北ずうっと見ますと、九州の場合には、鉱害対策の面から十分配慮されて、地域の合意性があれば、供給先はいま電発が松島につくっているわけですから、消化はむずかしくないと思うのですよ。  問題は、主力である北海道の場合が一番問題だと思うのです。そして、その地点を考えると、結局は三つの地点について集中的に調査をすべきだという意見を私は持っているわけです。一つは、何といっても五十二年度は北電は三百八十万トンの実トン数で石炭をたくわけです。これを若干長期的に見ますと、やはり五十万トン程度不足をしますよ。そういう観点から考えても、私は、やはり苫小牧の火力設置、そういう現実を踏んまえて、空知炭田で開発可能な地点を集中的に調査をするというのが第一じゃないかと思うのです。  第二は、いま二百五十万トンの出炭規模を持っている釧路、この地点はすでに四地点調査をされておるわけであります。しかも、これは空知と違って地山の地帯が多いわけであります。いわば処女地があるわけであります。しかもそれは、情勢の変化によっては広範囲に採掘可能の埋蔵量を持っている地点であります。しかもまた、わが国一般炭としては最良の電力向けの一般炭賦存状態で、質も均一である、こういう条件であります。そう考えますと、既存炭鉱とそういう新規採掘の背景を持っている地点に、電源調整地域の合意性が成り立てば、当然総合的な開発、そして電力エネルギーの電源の立地というためには、やはりこれは集中的に政策として進めなければならないのではないかというのが第二であります。  第三の問題は、天北の、多く賦存している埋蔵量、これは地上との調整、いろいろな問題があります。しかし、従来の甘い感覚のように露頭採掘だけでこれは消化はできないのでありますから、露頭と坑内掘りの併用を計画的に進めて、地域の合意性が成り立てばここにもやはり相当規模の電源設置をするという、そういう一つのパターンの中で初めて天北の開発が可能になっていく。  もちろんあとは留萌とかありますけれども、大きく分けてこの三つの地点、そしていま言った視点で集中的に調査をする、もうまんべんなく調査してもどうかと思いますよ、そういう開発可能な地点について集中的に調査をする、こういう姿勢に転換されるべきだと思いますし、九州の場合にも一応の概括的な調査が行われておるわけでありますから、九州の場合に、たとえば地上との関係で、むしろ採掘をし、それを整地することによって、跡地の利用が地域開発に資するような点があれば、こういった点も含めて集中的に検討して開発をしていく、やはりそういう視点というものがびちっと集中化されなければならないのではないか。余りまんべんなくやっておったらしょうがないと思うのです、金もそんなに予算がついておるわけじゃないですから。そして、それを中心にしてまた並行的に地域経済との関係でも調整していく、こういう方向にまとめるべきだ、こう考えるのですが、いかがですか。
  44. 島田春樹

    島田政府委員 いまの御指摘の三地域でございますが、天北及び釧路につきましては、先ほど御説明いたしました開発可能性調査の本年度の調査につきましては、主として私ども考えられますのは、特にあそこは露天の炭鉱の問題というのがあろうかと思いますが、これにつきましては鉱区調整の規定を設けております。ただ、露天の新開発につきましては、坑内掘りのこれと違いまして、御承知のように環境への影響あるいは供給との整合性という点でいろいろ問題がある点がございます。特に林野行政等々地域開発の計画との競合というような問題を考えますので、計画的に露天炭の開発というものも進めなければいけないというふうに考えております。したがいまして、いろいろな問題点につきまして十分、たとえば自鉱区に係る長期開発計画把握とか、あるいは露天炭鉱に係る鉱区調整期待の量把握、あるいは低品位炭の長期需給計画をつくる、あるいは先ほど申しました地域開発計画その他、他の計画との調整の問題等々につきまして十分検討しながら対処していきたいというふうに考えております。
  45. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は特にこの空知炭田の問題を提起したわけですけれども、私は、露頭炭に頼っていくという、そして内陸発電の炭の供給を安定的に確保する、これは当面はやむを得ないことだと思うのです。しかしこれとても、やはり長期的に計画的に、かつ資本的に充実された主体開発を進めなければ、環境保全について地域の信頼を得るわけにいかぬ、こういう問題があります。また、資源的にみると、これはまた重装備を必要とする。重装備を必要とするということは、これは重装備であれば可能な限り採掘可能でありますから。露頭の場合には、一回掘って、また掘っくり返してまた掘るんなんということはできないわけですから。これは炭価の動向によって採掘の可能深度が決まってまいるわけであります。したがって、そういう一体的な感覚で露頭採掘というものをもう一段安定的なベースに乗せるという見直しが必要である。そのためにはやはり全体の露頭調査把握を一元的に行政の側でも受けとめておく必要があるのではないか、こういう気がするわけであります。だがしかし、露頭炭の中にも従来顧みられなかったローカロリーの露頭炭があるわけです。これは相当あるわけです。ですから、もうちょっとカロリーアップの石炭があれば、この露頭採掘の炭はいまの北電内陸発電所の四千七百カロリー以上に安定的に供給できる可能性がある。  そういう点から考えても、空知炭田の坑内掘り、これはもう公害などはないわけでありますから、むしろ露頭よりも公害がないという点も考えられますので、この点について集中的な調査をしておく必要がある。空知炭田であれば、恐らく鉱区的には相当な資料があるはずですよ、大手の会社があるわけですから。そういう点で、いろいろ議論があるけれども、やはり個別的に議論しないとなかなかぴんとこないんじゃないか。特に北海道の人口は集中的にあの周辺におるわけですから。まだあれだけのところがあるのに、何やっているのですか、こういう北海道は北海道の道民の気持ちがあると思うのですよ。それに専門的に説明をするという立場に立っても、そういう点の集中的な調査が必要である、こう思うわけです。したがって、天北、釧路に限らず、そういう立場から空知炭田の調査、これは基礎的にやれる方法もたくさんあるわけですから、ひとつぜひこの点については本年度検討してもらいたい、早急に検討してもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。  次に、時間もございませんから、輸入一般炭の問題でありますが、前回のエネルギー庁のいわゆる六十年度までの計画では、六十年度一千四百六十万トンの一般炭を輸入する、こうなっておるわけであります。そして、先ほど議論に私が出しましたけれども、電炭会社を解体して、いままでのマル近船の運用、これらは新昭和石炭株式会社で、業界サイドでやる、それから、石炭の買い入れ、販売の関係合理化事業団でやる、こうなっておるわけであります。  そこで、今回の法律の改正を見ますと、合理化事業団の業務として法律上出ておりますは、「電力用炭の購入及び販売」、こう書いてあるわけであります。この法律の改正上から言えば、輸入炭の場合であっても電力用炭の購入及び販売は当然合理化事業団で扱える、こう読まれるわけでありますけれども、この点、いかがですか。
  46. 島田春樹

    島田政府委員 電力用炭の定義につきましては、別に国内炭、海外輸入炭の区別をいたしておりません。したがいまして、輸入炭につきましても、一応この電力用炭を通ずるというふうなことになろうかというふうに原則として、法律上のたてまえとしてなろうかと思いますが、ただ、法律で除外規定を設けておりまして、電力用炭の購入または販売の契約の制限の除外に関する規定がございます。従来までの電力用炭販売株式会社法におきましても同じ規定がございましたのですが、除外規定がございまして、それに基づきまして、従来輸入炭につきましては実質的には除外をいたしておるということでございます。
  47. 岡田利春

    岡田(利)委員 除外する必要はないんではないかという意味であります。法律で読めるわけだし、業務を扱うわけだから、除外する必要はないんではないかという立場でお聞きしたわけです。私は政令でこれを扱わないようにするなんということを決める必要はないと思いますし、言うなれば、これは石炭政策約二十年間の最後に残された聖域であります。一般炭の輸入は十八年ぶりで再開をされたわけであります。そしてこの最後のこれも開放されてしまうと、もう全く私企業体制で、国は金を出して、間接管理、実質管理といいますか、表に出ないリモートコントロール管理の体制でこれからの政策を推し進めていくということになってしまうわけです。そういう点で本件は非常に重大なものとして受けとめておるわけであります。といいますのは、エネルギー情勢が変わって、将来石炭開発される地点がたとえばできてきても、これは一般炭が中心になることは賦存状況からいって明らかであります。そういう意味で、少なくとも一般炭の輸入を特に六十年度までに一千四百万トン以上に伸ばす、また、今回のエネルギー需給の見通しの中でもこれらもさらに検討される、業界は電事連の人々と一緒にここ二、三日中にオーストラリアに調査に行く、こういう状況の中で国内一般炭と輸入される一般炭、これがしつかり把握されて調整される機能というものが、私、必要だと思うのです。  だがしかし、一般炭の中にはハウスコールの輸入も従来の実績として認められています。一般炭では電力用炭とハウスコールはどう区別されるのだ、これはむずかしいと思うのです。ハウスコールが足りなければ電力用炭からハウスコールに行きますし、電力用炭が足りなくてハウスコールが余ればこれは電力用炭に来るわけですから、非常にむずかしい。しかし、輸入するという原則は少なくとも電力用炭だという概念でつかまえていいのではないかと思うのです、国内一般炭があるわけですから。ただしかし、市場の流通性から言えば部分的にはハウスコールそれから電力用炭というものが出てくるかもしらぬ。これは流通上ある程度やむを得ぬと思うのです。しかし、認識としては輸入される一般炭電力一般炭だ、こういう概念で私は統一できるのだと思うのです。  そうであるならば、国内一般炭、特に国内の電力向けの一般炭と輸入一般炭は共通的にこれを把握すべきだ。西ドイツの石炭政策だって一番先にやったのは販売の統一なんですね。初めは二社であった、そのうちに一社にしたわけですね。それを基礎にしてルール炭田の一社化という方向に進んでいるわけです。ですから、石炭政策の歴史というものは、初めはどこの国でも流通の一元化で始まっておるわけです。それから生産的な、鉱区の調整といいますか統合から始まっているわけです。ですから、鉱区の統合についてはもう次元が変わってまいりましたから、少なくとも販売の面、最後に残された聖域である一般炭関係については統一的に把握をすることが絶対に必要である、こう思うわけであります。しかし、それは通産省が大臣認可でとにかく外貨の割り当てをするのだから心配はないということでいままで来ておりますけれども、私はそれだけではやはり不十分だと思うのです。やはり運用自体が一元化体制がなければならない、これが私の主張であります。  ですから、そういう立場で考える場合に、電炭会社それからいまの新昭和石炭、この関係についても、電炭会社がなくなるのだから、便法的に分ければいいというものではない。むしろ、いまこそ電炭会社が必要ではないか。その必要なものを、行管から言われたといってぱっと二つに分けた。これは通産省の石炭部の便宜主義だと思うのです。むしろ、これは統一的に把握すべき問題です。近代化船というのは何のためにつくったのですか。そして、いま言ったように輸入される一般炭電力用炭、ハウスコールという区別がつかないものですから、それを統一的に把握するためにもむしろこの法律の改正は逆の方向に行っている、こう言わざるを得ないわけです。矛盾をさらに拡大している、こう言わざるを得ないわけです。したがって、この点については、そういう統一的に把握でき得る方向に修正されなければならないし、そういう保障がぴしっと構築されない限りわれわれは今度のこの政策についてはとうてい理解ができません。これは、いま残っている多くの炭鉱労働者あるいはまた企業であっても、この点については問題が多いと思うのですよ。この点についてわれわれが納得できる説明が一体できるのか。また、私がいま申し上げましたように、この点についてもう一歩くふうをこらすという気持ちを現在持っていないかお聞きしておきたいと思います。
  48. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  いまお話のありました今後一般炭の輸入が増加していくということによって国内炭との関係がどうなるのだろうか、したがって要するに国内炭というものが今後それによってだんだん圧迫されることになっていくのじゃないか、また、そういう点を考えればむしろ一般炭に関しては輸入炭と国内炭を一元的に把握するという体制が必要ではないかという御指摘であろうかと思います。私どもといたしましては、これはるる申し上げておりますように、政策の基本といたしまして、わが国石炭需要につきましては、国内炭が安定供給源としてまず第一に充当されるという考え方である点は繰り返し申し上げているところでございます。したがいまして、輸入炭につきましては、国内炭でカバーし切れない分野についてその供給役割りを果たすということを期待しておりますし、また国内炭との混炭等による国内炭活用にも資するというふうなことが期待されるというふうに考えております。  いま御指摘の輸入が増加して国内炭が圧迫を受けることはあるかないかという点につきましては、私どもといたしましては、まず問題は、やはり需給見通しというものをしっかり立て、その需給見通しに沿って計画的に開発輸入を進めるという考え方で対処したいというふうに考えております。  また、それを担保する方法といたしまして、先ほどそれでは十分でないという御指摘がございましたが、われわれといたしましては、現在輸入割り当て制度というのが現存しておるわけでございますから、これを効果的に活用していくということで対処し得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  49. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま原材料、資源有限時代で、大変福田総理も強調しておるわけですが、たとえば森林資源であっても、チップの場合であっても、原料炭であっても、とにかくベースメタルの場合であっても、あらゆる資源の場合にはこれはやはり一定の長期の協定を結ぶわけですよ。協定を破棄したらペナルティーを取られるわけですよね。だから、どうしても輸入はコンスタントに来るわけですよ。いまの林業の状態だってそうでしょう。チップの契約は、破棄をすると大変なことになるから政策上、優先的に引き取りをしなければいけない。だから国内生産の方は生産をダウンさせる、こういう状況なんですね。ぼくはやはりそういう傾向というものは避けられないと思う。石炭の場合だって、毎年石炭の購入契約をするんじゃなくして、やはり火力発電所に向けるとなりますと、最低五年か十年ぐらいの長期協定になるわけでしょう。それには条件がつきますよ、いまこういう資源環境の中では。むしろ逆に、優先引き取り、コンスタントな引き取りが条件につきますよ。でなければ契約は結べないと思うのです。これが私は常識だと思うのですよ。だから、いろいろ説明はうまく言えるのですけれども、これからの情勢を考えると、実態はそう推移しないのだという点を認識するかどうかによって政策の決断が私は変わってくるのだと思うのですよ。この点はどうですか、大臣か長官からひとつ。
  50. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほど石炭部長からもお答えいたしましたように、海外炭を開発輸入しようとするのは、もちろんエネルギー政策の一環でございますが、国内炭供給に対して補完的な役目をするとか、あるいは混炭することによって国内炭の使用を円滑にする、あくまで総合エネルギー政策あるいは石炭対策という立場に立っての海外炭の開発輸入ということを考えておるわけでございますので、ただいま御指摘になりましたように、資源国と提携する場合いろいろな条件がつけられるとか、あるいは長期契約ということも間々見られる現象でもございます。  御指摘の点、全くごもっともと思うわけでございますが、われわれとしましては、そういったプロジェクトの選択につきましても、あるいはそのプロジェクトの開発なりそれに基づく輸入なり、そういったものを全般的にただいま申し上げましたように国内炭活用に資するという方向で考えるという気持ちを持っておりますので、計画的な輸入あるいは現在の輸入割り当て制度というものを活用すれば、先生の御指摘のような方向で、必ずしもそぐわない方向にならないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 長官の答弁を聞いておると、当面はという感じがしますよ。しかし、六十年代は逆転するわけですからね。逆転した場合と初期の場合は違いがあると思うのですね。いまやはり不安なのは、逆転するという内外の石炭資源活用の方針に政府が踏み切った。だから、みんな心配するわけなんですね。片や一千四百六十万トン、片や一千万トン切れるかもしれないですよ。そういうことがすでに計画に組まれておるから心配があるわけなんです。逆転しなくて五百万トン、半分ぐらいだというならば、いまの長官の答弁で、ある程度従来の制度で納得できるのですけれども、そうでないから理解ができないわけです。そして私が申し上げましたように、これは最後の一つの聖域である。この政策を一体どう構築するかというのは、私企業体制下における石炭政策の最後の政策ですよ、あとは体制を変える以外にないわけですから。  そういう意味で、私は時間がありませんから、この問題は若干の議論のやりとりでは決着がつかないと思いますので、私は私なりの構想をまとめて具体的に提起をしますので、その上でひとつ議論を願いたいということで、この問題は一応打ち切っておきたいと思います。  それともう一つ、きょうは時間がありませんから、海外開発石炭の格差問題資金関係、まだ四つの項目が残っているわけですが、そのうちの一つだけ時間がありますので申し上げておきたいと思うのですが、最近の炭鉱資金運用の動向の問題であります。一次肩がわり、二次肩がわり、三次肩がわりが行われて、一次肩がわりは民間の部分については五十一年度で終わり、あと二年たてば政府関係資金が終わって、残るのは二次、三次肩がわり。一次肩がわりを受けない大手炭鉱でも松島、太平洋のように現存して残っておるわけですね。それと、かつての日鉄が第一次肩がわりを受けていない炭鉱だったわけです。炭鉱としては、純石炭山としては松島と太平洋が残りておるわけです。そして、返済がそれぞれずっと行われてきておるわけですが、その内容をずっと検討してみますと、肩がわりの資金のすべての内容の中で民間資金の受け持っておる分野は非常に少ないわけですね。私はそういう意味で、肩がわり資金という点について、政府の予算で政府資金を回収しているという感じですね、民間の場合には五十億程度しかないわけですから。だから、あと開銀だとか合理化事業団資金だとか、それからその他の財政資金が若干ありますから、政府の予算で政府資金を肩がわりして回収しているというシステムに実はなっておるわけであります。そういう意味から考えて、従来の石炭の担保、これが第一次の肩がわりが終わったことによって見合って抜けておるのかどうかという点が第一点であります。  そして第二点としては、開銀の残高関係を見ましても、肩がわりが四百十九億に対して開銀の場合には昨年度末では四十八億程度ありますから、これだけの資金の回収がすでに予約をされておるのに、開銀のこれからの石炭見直し体制における資金的な協力というものは一体どういう変化をもたらしておるのか、どう積極的になってきているのか、こういう点について説明を受けておきたいと思います。
  52. 島田春樹

    島田政府委員 まず、担保力が最近どうなってきているかという点でございますが、いまお話ありましたように一次、二次、三次ということで肩がわりが行われてまいりました。その数字は時間の関係もありますから省略いたしますが、借り入れに際しましての肩がわり債務につきましては、これはいまお話がありましたように、民間の金融機関及び政府系金融機関からの借り入れでございますが、借り入れに際しましてはほとんど担保が付されております。肩がわりの進捗に伴って一部担保解除というような動きが見られますけれども、ただ担保の形態によりまして、たとえば鉱業財団のような場合には肩がわりを完了しないと全面的に担保を解除し得えないという場合もございます。したがいまして、肩がわりの進捗状況に比例してと申しますか、スライドしてと申しますか、担保力がふえるというふうには必ずしもなってない例も見られます。ただ、論理的に申しますれば、五十三年には一次の肩がわりが完了いたしますし、順次二次、三次の肩がわりも進捗していくということでございますので、論理的には企業の担保余力は増加していくというふうに考えております。  開銀の数字、ちょっといま手元に持ってきておりませんので、後で御報告いたします。
  53. 岡田利春

    岡田(利)委員 資金の第二の問題として近代化資金制度ができて久しい時間がたっておるわけであります。もちろんこれはたな上げ期間があって毎年返済、そういうシステムになっておるわけですが、これからの近代化資金は、今年度の場合百億程度の予算が組まれておるわけですが、そうしますとこの五年間の見通しの中で、私の判断では近代化資金の返済額と当年度借入額とが逆転するだろう。もちろん各企業によっても違いがありますよ。しかし大体そういう傾向が五年内のまん中ごろに起きるのだ、こう私は見ておるわけであります。そういう点についてどう判断をされておるのか、そしてまたそういう状況見通してこの資金政策について特に何か検討されておる面があるのか、伺っておきたいと思います。
  54. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  近代化資金の今後の見通しでございますけれども、もちろん御案内のように今後の設備投資の動向等によりまして相当左右されますので、なかなか明確には計算ができないと思います。ただ、おおむね出炭規模二千万トン程度ということで長期的に維持していくというふうに考えますと、設備投資額は実質ベースで考えますと五十一年度と比べて余り大きくふえないというかっこう推移していくんじゃないか。ただ名目ではふえてまいると思います。それから返済につきましては、これも今後貸し付けがどうなるかによって変わってまいりますけれども、過去の債務残高というのが相当ございます。したがいまして、償還は御指摘のように今後ふえていくということで、もちろん先ほどのようにいろいろな前提条件によって変わってまいりますが、一応の感じとしましては五十五、六年ごろまでは漸次増加していくということではないかと考えておるわけでございます。
  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうすると、いまの答弁では返済額と当年度借入額が逆転することは五十五年度まではないと言うのですか。
  56. 島田春樹

    島田政府委員 試算によりまして、ちょっと正確に数字は言いかねるかと思います。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから質問を残しておかなければならぬと思うのです。実は私、いま北炭振興、北炭再建の問題をめぐって二鉱の問題の合理化の関連、それから二、三日前に打ち出された住友赤平鉱の合理化問題についても掘り下げて見解を聞かなければならぬと思っておるわけですが、これは別な時間に譲らざるを得ないと思うのです。  そこで労働省にお伺いしておきたいと思うのは、従来の閉山そして離職者手帳の発行、そういうことが行われてきたわけですが、最近の石炭合理化の極致に来たといいますか、かつて坑外四割、坑内六割がいまでは坑外は二割以内なんですよ。あと全部坑内に行くという比率に変わってきているわけですね。それだけにいわゆる下請に落とせるものは坑外関係は下請に落としているという極度な合理化が行われているわけです。従来は炭鉱が閉山になった場合には坑内に働く組夫、普通組夫と言いますけれども、これについては離職者手帳の発行が行われるわけです。ところが坑外については離職者手帳の発行にならないわけですね。ところが閉山になるとその労働者もぐるみで山から追い出されていくというのが実情であります。したがって、いままでの過程も、いままで議論してきたのですけれども、解決できなかったわけですが、ここまで来た合理化の実態の中では坑外の組夫も手帳発給の受給者対象にすべきではないかというのが第一点でございます。  第二点は、ここまで炭鉱が、かつては十も二十もあった三井も三山になった、三菱は九・北に一山ずつである、北炭もずんずん数が少なくなってきている。したがって、これからの単位炭鉱の閉山というのは本社機能まで含めた極度な合理化、人減らし、首切りということが行われるわけですね。たとえば今度の北炭の提案を見ましても、札幌、東京あたりの管理職関係は五百名近くに上るわけです。その中で、かっては炭鉱にいて会社の転勤辞令で東京に行ったり札幌事務所に行ったりしている、そういう人々は対象にならないわけであります。しかし、今日のここまで来ている状況の中で、さらに合理化という問題が提起されておるという実態から考えれば、この面については離職者援護法の適用については拡大措置をすべきではないか、こう思うのですけれども大臣でなくとも事務当局で結構ですから御答弁願いたい。
  58. 細見元

    ○細見政府委員 先生御承知のように、炭鉱離職者臨時措置法の第八条で、いまお話しの炭鉱離職者求職手帳の対象になりますのは、石炭鉱業の合理化に伴いまして離職を余儀なくされた炭鉱離職者ということで、この場合の炭鉱労働者でございますけれども、これにつきましても同法の二条に規定がございまして、「石炭を目的とする鉱業権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区における石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の業務に従事する労働者」ということになっておりまして、従来の取り扱いといたしましては、まず第一に掘進、採炭、充てん、仕繰り等の坑内の業務。第二に選炭、ボタ処理等の坑外の業務で炭鉱における一連の基本的な工程に属しておるもの。それから第三に、機械、機具または資材の保管、受け渡し、製作、修理等、石炭の掘採を助けるために行われる補助的業務。第四といたしまして、事務所、診療所、浴場、配給所等、炭鉱に付属する施設の業務。それから第五番目といたしまして、掘採いたしました石炭を処理加工する、たとえば昔ございました豆炭工場等であろうかと思いますが、そういう施設で炭鉱に付属するものの業務。そういう業務に離職前一年以上引き続いて従事された方につきまして炭鉱離職者求職手帳を交付して、三年間就職促進手当を支給しながら積極的に就職の促進を図ってまいるということをいたしておるわけでございまして、順序としては逆になりますけれども、第二点でお尋ねのございました本店、支店の主として事務系の従業員の方につきましては除外をいたしておるわけでございますけれども、そのことにつきまして考えますと、やはりこういう特別な手厚い離職者対策を講じました趣旨は、従来から炭鉱の労働が地下労働に重点を置いた労働でございまして、しかも全山一家的に炭鉱の住宅で生活しておられるというようなところから、通常の都会地における労働に対する親しみが非常に薄いというようなことからこういう措置を講じたのではなかろうかと思うわけでございますけれども、したがいまして、石炭企業の本店または支店で勤務しておられる方につきましては、通常の都会地における事務所、工場の勤務者の方とさして労働の態様その他について差異がないということで従来から炭鉱離職者求職手帳の対象にしないという取り扱いをいたしておると思います。  次に、前段にお尋ねのございました組夫の問題につきましても、いま五点申し上げました第一と第二、掘進、採炭、充てん、仕繰り等の坑内の業務に従事されておった方、それから選炭、ボタ処理等の坑外業務で炭鉱における一連の基本的な作業形態に属する者、その二つにつきましては、組夫の方でございましても従来から炭鉱離職者求職手帳の発給の対象といたしてまいりましたが、その他の方につきましては、業務の性格等から見まして炭鉱地における石炭関連企業の問題として取り扱うべきものだろうということで、これを求職手帳の発給の対象といたしておらないわけでございまして、私どもといたしましても、他産業との関連、従来からの取り扱い等を勘案いたしまして、いま先生のお話しのございました点につきまして、その取り扱いを改善するということは非常に困難ではないかと考えております。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま労働省から答弁がありましたけれども、通産省の認識はどうですか。いまずっと読まれたのですが、坑外の実態はどうなっておるかということは御承知でしょう。ボタ山は組夫でやっておる。選炭機ぐらいですよ。あとはずいぶん組夫がやっていますね。あるいは下請会社というようなかっこうでやっていますね。これはやはり今日の石炭の追い詰められた、合理化の集積の結果なんですよ。そこに今日もう凝縮されているわけなんです。だがしかし、挙げた業種だって、特に坑外の場合にはだめなわけですね。対象にならないわけですよ。それから技術関係は、御承知のように、炭鉱に長く、十年も十五年もいて、たまたま命令で転勤してきて——指定統計も最近は多いですからね。通産省だってどんどん、あれ出せこれ出せと言うから、本社にも相当人数を置かなければできないから、現場を知っている者を上げてくるわけですよ。これは対象にならないわけですよ。ここまで来た状態というのはコンクリートみたく凝縮されている姿ですから、実態としていままで坑外四割なんというときは非常に大きかった。戦後はなべかまの修繕をやっておった時代がある。ここまで凝縮してくると、この離職者援護の場合にはいま一度やはり温かく、範囲を広げて抱えるべきじゃないか。これはいますぐ見解を聞きませんけれども、実態はわかるわけですから、そしてまず生産の側を担当している通産省としてどういう見解を持つか。その程度は労働省でひとつ受けてくださいよ。そのことをきょうはこれ以上質問しません。とどめておきますから、ぜひ検討してください。  最後に、せっかく呼んで申しわけないので、厚生省に、炭鉱の年金の問題についてどういう状態になって、今後改善の検討がされておるかどうか、これだけ承って終わりたいと思います。
  60. 高峯一世

    ○高峯説明員 石炭鉱業年金基金につきましては昨年の十月に給付の改善を行っております。その改善の結果、基金が設立以来五年以上十年未満の勤務期間を要する方々の年金額四万八千円を六万円に引き上げております。さらに十年以上十五年未満の方、これにつきましては五万四千円を六万六千円に引き上げております。以上は坑内員の方の老齢年金でございまして、坑外員の方はこれのそれぞれ半額ということになっております。今後の改善につきましては、いま申しましたように昨年の十月に改善を行ったばかりでございますので、さらに改善を行うためには、掛金の引き上げというようなことを考えない限り当面改善を実施することはむずかしい状況でございます。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 では、終わります。
  62. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、多賀谷真稔君。
  63. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 通産大臣が所用のためちょっと席を外されましたので、労働大臣に質問いたしたいと思います。  炭鉱離職者法案が成立をいたしまして、期間の延長をずっとしてきたわけですが、いままでの実績炭鉱離職者のうち大体どのくらい離職者法に盛られております給付がなされたのか、こういう点は、事務当局でいいですから、ひとつ昭和三十四年度からどういうような情勢をたどったかお聞かせ願いたい。     〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕
  64. 細見元

    ○細見政府委員 お尋ねのございました炭鉱離職者の援護措置実績について申し上げます。  第一は移住資金でございますけれども、三十四年度から五十年度までを累計いたしますと、この対象になりました方が十一万七千六百五十八人。次に同じく職業訓練手当でございますけれども、三万六千六百二十一人。第三に、労働者住宅確保奨励金の対象でございますが、これは昭和三十五年度からで三万七千三百三十五件。次に、雇用奨励金でございますが、三十七年度から七万四千七百六十二人。次に再就職支度金でございますが、三十九年度から七万四千六百七十三人。最後に、自営支度金につきましては四十二年度からの制度でございまして、六百二十二人ということに相なっております。
  65. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まずこの数字を見まして、いかに炭鉱離職者が移動していったかということがわかります。十一万七千名の、移住資金を払った分がそれだけでありますから、これは付近に就職したり、そして距離制限等かございましたので、——今日若干施行の規制は変わりましたけれども、もとはかなり広域地域に行かないともらえなかった。その付近で就職しておった者はもらえない。それから、たとえば九州から北海道の炭鉱に行きましても、それは対象にならなかった。今日はなるわけですが、そういう時期がかなりあるわけですから、相当の大きな移動があった。それだけに、また残された地域は非常な疲弊をしたということが、これだけでも明らかにわかるわけです。  そこで、現在いわば産炭地域と言われる、あるいはもう旧産炭地域という部類に入るかもしれませんが、そういう地域における雇用情勢はどういうように労働大臣としては把握されておるか、ひとつお聞かせ願いたい。
  66. 細見元

    ○細見政府委員 産炭地域の雇用失業情勢につきましては、いずれの地域におきましても多数の求職者の方が滞留されておられます反面、これに対応いたします求人が乏しいというようなことから、一般的に申し上げまして、その他の労働市場に比べまして非常に厳しい情勢にあると存じます。  一例を福岡県筑豊地域にとらしていただきますと、まず雇用保険の被保険者数でございますが、これは県全体で九十三万四千人ということになっております。まあ簡単に申し上げますと、九十三万四千人の雇用保険の対象になっている労働者の方がおられる。筑豊地域はこの約九%の八万一千人の方がおられるわけでございますが、これを求職と求人の動向から見てみますと、県全体の十一月の月間有効求職者というのは七万人でございましたが、筑豊地域の場合は一万六千人ということで、県全体の求職者の二一二%が筑豊地域におられる。それに対しまして求人でございますけれども、同じく十一月の県全体の求人が二万一千人でございましたが、筑豊地域は約三千人でございまして一四%。求職者の方は県下の二一二%、求人は県下の一四%ということになっております。  この結果、私どもが雇用失業情勢の判断に使います有効求人倍率で申し上げますと、県全体の平均といたしましては、求職者一人に対して〇・三一倍の求人がございますが、筑豊地域の場合は〇・一九倍ということになっております。ちなみに、御承知のように最近の全国平均は〇・六二、六三というような求人倍率になっておりますので、この点から御判断いただきましても確かに厳しいという感じでございます。
  67. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いまの求人求職の中には、開就とか特開とかあるいは緊就というものは入りますか。
  68. 細見元

    ○細見政府委員 ただいま申し上げました求職求人の数には、先生御質問のございました開就、特開、いずれも両方入っております。
  69. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣、いま緊就とか開就とかという石炭特別会計から出ますいわば政府施策の就労事業というのが入ってこういう状態であります。でありますから、もしこれを除きますと実に哀れな数字になるわけですね。〇・一台にならない。ですから、パーセントで言いますと一けたのパーセンテージになる、こういう状態であります。  そこで、ちなみに私ども調査した飯塚とか直方とか田川という安定所を通じました調査にいたしましても、先般細谷委員も質問をされておりますが、男女の就労者の数が、雇用保険被保険者数で見ると大体同じくらいなんです。同じということになりますと、家庭婦人もおるわけですからね。すなわち、この飯塚の所管管内で言いますと、これはもちろん雇用保険でありますから民間であります。三万一千六百三十八人のうち女子が一万五千九百八十一名です。まさに半分ですね。直方というのは、比較的機械工業がありますから男子が少し多いのですが、それでも二万七百八名の雇用被保険者に対して女子が九千二百三十九。田川地区というのは、これは石灰、セメントがある。この地域でも、二万七千七百五十一の被保険者に対して女子が一万三千七百三十四名、これの中の多くの部分が実は建設業となっておる。建設業ということは、この中のまた多くの部分は緊就、開就ということになるのですよ。ですから、いかに緊就、開就のウエートが大きいかということを示すものだと思うのです。  大体普通の都市の安定所で、たとえば福岡市あたりでありますと三二、三%ぐらいが女子労働者ですね。北九州は比較的重工業地帯ですから、男子が多い。大牟田も男子が多い。それで、やはり三〇%ぐらいです。久留米は御存じのように繊維工業、ゴム製品なんかありますから、ここはわりに女子が多いですけれども、それでも四〇にはならないですね。ですから、女子労働者が多いということは男子の就職場がないということです。  そこで、高等学校の新卒の状態を見ますると、ずっと数字を持っておりますけれども、一応五十一年を見ますると、飯塚職安管内で八百六十名の就職希望の高等学校の卒業生がおります。これは進学者は別であります。そうして、そのうち管内に就職した者は、男子の場合六十三名しかいない。ですが、女子の場合は二百二十八名就職ができておる。ですから、女子の場合はまあまあ就職できるのですけれども、男子の場合は実に就職が困難。これは直方でも田川でも同じ数字が出ております。ですから、このことを考えますと、この前質問がありましたように、いかに男子雇用型の企業が少ないかということです。この前通産省の方では大体半々ですとこうおっしゃった、半々というのが本来間違いなんですよ。男女が半々の就職状態というのは大体非常に異例なことでして、アブノーマルな姿ですから、こういう場合に私はまず第一には男子の雇用というものについて、これは石炭部長でもいいのですけれども、通産省は一体どういうような指導をしておるか。これはなかなか私企業の自由経済状態の中で非常にむずかしいのですけれども、何か工夫ないだろうかということを感ずるわけであります。これは御存じのように昭和三十年、石炭が崩壊いたしましてからもう地域を挙げてそのことを要望しておるのですが、いまだに見るべきものがほとんどないということは非常に残念でありますが、これについてどういうようにお考えであるかお聞かせ願いたい。
  70. 島田春樹

    島田政府委員 御指摘の男子型の雇用ということを考えますれば、結局進出する企業の業種によって非常に左右される。     〔岡田(利)委員長代理退席、委員長着席〕 典型的なことで申せば、機械、金属といったような関係の職種の企業が大幅に産炭地域に進出すれば男子型の職場がふえてくるということに相なろうかと思うわけですが、確かにいまのところどちらかといいますと、地域によっても違いますけれども、繊維とか縫製あるいは食品加工といったようなかっこうのものが出てくるということになりますと、男子の職場というのがなかなか得られないという点がございます。率直に申しましてなかなか特効薬というものは、一般的には企業誘致策としまして御案内のように団地をつくるとか、あるいはそれについての譲渡条件を有利にするとか、あるいは税制上の措置をいろいろ講ずるとか、融資をするとかというようなことで各種の措置を講じているわけですが、特定の職種、業種に限ってということはいたしておりませんし、結局はそういった産炭地域への企業進出についてのPRというのにやはり一つの重点を置かざるを得ないかというふうに思っております。特に最近は、産炭地域への企業進出のPRに私どもとしても、これは公団の方も非常に積極的になっておりますもので、商工会議所などとタイアップして産炭地域のPRというものに特に重点を置きたいというふうに考えておる次第でございます。
  71. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 各国とも石炭の不況にはかなり苦しんだのですが、たとえばわれわれが参りましたルールのハンボーンの炭鉱ではまだ閉山をしないうちからオペルの自動車工場が建設に乗り出してくる、こういうことも私は岡田君と行って目の当たりに見てきたわけであります。そういう配慮が全然ないというところにやはり国の姿勢として問題があるんじゃないかというように考えるわけです。  そこで、石炭部長に答弁をさせないで、ひとつ何をおいても、いまの福田内閣あるいは三木内閣時代から、あるいはかねてからわれわれの崇拝している大物大臣であります石田労働大臣に、これはずいぶん石炭関係には因縁があるわけです。こういうだれでもわかるようなことが一体なぜ日本の政治では行われないのか私は非常に不思議に思うのですよ。このことぐらいなぜできないのかということですね。あれもこれもということを言っているんじゃない、この程度のことがどうしてできないだろうか。そして、立地条件は必ずしも悪くないのですよ。鋼材は新日鉄八幡工場という工場があるわけでしょう。労働力もあるわけでしょう。それから、それは臨海工業地帯ではないというけれども、それは水も少ないでしょうけれども、機械産業なんというのは水は余り要らない、付加価値は比較的高い。ですから、実際できないことはないのにいままで放置をされておる。だれでも何とかしたいとは言う。言うけれども、現実来ないわけです。ですから私はひとつ、いま景気がこういう状態でありますけれども、少し浮揚に向かえば何らか政治の力ですべきではないか、こういうように思うのですね。これは石田労働大臣、どういうようにお考えですか。
  72. 石田博英

    ○石田国務大臣 御指摘のように私は石炭産業の衰退にかかわっただけに、労働行政をお預かりをいたしまして、三池炭鉱を頂点とする労使関係調整に当たったわけであります。したがって、それなりの責任は痛感をいたしておりますが、言いわけみたいになりますけれども、私は国産エネルギーである石炭という、特に炭鉱というようなものを、やむを得ないものはスクラップにする、これは仕方がないけれども、ビルド・アンドスクラップと言うと、日本人はスクラップの方へ重点を置きがちになる。だから、したがって、これは残すべきである、なるべく残すようにすべきであるということを主張してきたのでありますが、これは多勢に無勢で御承知のような状態になり、いまになって石炭の見直しということになっているわけであります。  旧産炭地において男子雇用型産業が来ない、これはどうしたらいいか。これは私が差し出がましい、私の職務範囲外のことでございますが、私の個人的にかねがね考えていることを申し上げると、そういう地域におけるたとえば近代化資金の貸与とかあるいは政府がいたします各種の産業誘致の助成策、そういうものに差をつけたらどうだろうか、つまり男子雇用型の産業の方には手厚くするぞというような差をつけたらどうだろうかと、人様の仕事にくちばしを入れることになるかもしれませんが、私は頭の中でいつでも考えていることを、これは労働大臣としてではなく、個人石田、石炭産業と因縁のある人間として私の常々考えておることをいまも発表さしていただいたわけであります。
  73. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国務大臣ですから、閣議でしっかりそういう話をしてもらいたいと思うのですね。どうもみんな期待をし、そうしてそのことには反対の人は一人もいないにもかかわらず前進しない。いまから私は石炭プロパーの問題でずっと指摘していきますから、石田労働大臣は、いやかねがね自分は国産エネルギーは残せ、こういう主張だったと言うけれども、それが現実にはできていないわけですから、非常に残念に思うのですが、これはひとつもう少し工夫をしてもらいたいと思うのです。それは、国の政策として、本当にむだな話ですよ。民族大移動のようなことをして、そして都会地はまたUターンだなんという政策をとって、そしてよく考えてみると、いまから労働力の供給源は結局どこかというと、これは都市ですよ、もう田舎はどこも子供が生まれないのですから。都市に子供が生まれるわけですよ。もう実際は大変な日本経済の状態にしてしまったわけなんです。ですから、そういう状態になって、これはその後どうするかということになりますが、産炭地ではかなりの大きな自動車産業なんかが来てもまだまだ労働力はある、こういうふうに思いますから、ひとつ御努力を願いたい。  そこで、さっきから私が前提にいろいろ聞いていった問題のポイントは緊就、開就というものの筑豊における地位、役割りです。これは非常なものでして、率直に言いますと、これがもしなかったと考えますと、今日のように公共事業が四十九年、五十年、五十一年と非常に少なかった時代はほとんど中小土建というのはつぶれておると私は思うのですよ。かろうじて鉱害の復旧があり、あるいは産炭地の土地造成があり、そうして緊就、開就があってようやくあそこで大きな騒動が起こらなかった。ですから、そういう点においてはこの役割りというのは非常に大きいわけです、地方自治体には非常な負担がかかっておるけれども。そこで、緊就、開就の存続ということについてはこれは地域住民としては非常に重大な関心を持っておる。ところが、先般から質問がありましたが、これが閣議決定をされなかったというので一つまた不安が出てきたわけです。そこで私は、これはやはり閣議決定をしてもらって安心をさす必要があるのではないか、かように思いますが、重ねて御質問いたします。
  74. 石田博英

    ○石田国務大臣 従来、この特別措置法が三年ずつ延長になったときには閣議決定をしておったのでありますが、今回は五年の延長であります。本来この種の事業は緊急な状態における臨時的な性格の事業であります。したがって、五年という長期にわたって閣議決定をしてかかるという性格のものではないので、予算的措置をもって対応をしておるわけでありますが、しかし、現状を踏まえて考えますと、まず第一、予算的措置はこれからも実情に見合ったように対応していくつもりでありますし、それから現在の状態あるいは将来を考えた場合でも、この事業をやめるあるいはうんと縮小するというようなことは考えておりません。
  75. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、将来にわたってこの事業を大きく縮小をするあるいはやめるということは考えていないと明快な答弁があった、こう理解してよろしいですか。
  76. 石田博英

    ○石田国務大臣 余り当てにはなりませんけれども——当てにならぬという意味は、一遍に景気が回復して雇用が一遍に増大するというような場合は、それは余り当てにならぬけれどもという意味なんです。そういう場合は必要がなくなればやめますけれども現状の状態においては、いま申しましたとおり大幅に縮小したりあるいはまたこれをやめたりすることは考えておりません。
  77. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣御存じのように緊就の場合はやはり年齢が高くなっていますよ。ですから景気回復しても若年労働者ではないということですね。この点をひとつよくお考えになっていただきたい。ですから筑豊の労働者の場合は、若い労働力は、まだ高等学校の卒業生も中学校の卒業生も相当おるわけです。大きな企業が来ればそこへ行きますけれども企業が来なければどこかへ転出していかなければならない。ですから残っておる労働力というものは、次に出てくる労働力を別にした現在の労働力としてはやはりかなり老齢化している。ですから景気がよくなってもすぐ他に就職のできる労働者層では残念ながらないということを十分ひとつお考えになっていただきたい、かように思います。  そこで、通産大臣見えましたからお尋ねいたしますが、先ほどから岡田委員からいろいろ質問がありました。そこで、時間もありませんが、私ども石炭資源活用法案を出しまして、その提案理由を岡田委員から説明をしていただいたのですが、この提案理由をわれわれが起草するについて、やはり昭和三十年からの石炭政策の歴史というものをわれわれがずっと振り返ってみると、実に身につまされるような思いがするわけですよ。一体政府は、ことに産炭地にお生まれになり、また山口県の知事としてあるいはかつて商工省の事務官として、また今日通産大臣として田中通産大臣は、この石炭政策の失敗はどこにあったか。いまあえて失敗と申しますのは、どこの国も石油攻勢には同じような影響を受けたことは事実ですね。ところが日本の場合が一番ひどい崩壊状態をたどっておるということです。それは一億九千万トンぐらいかつて出ておりましたイギリスが、いまの出炭量一億三千万トンぐらいですね。近く一億五千万トンにしようという体制だ、余り減っていないですね。それから西ドイツも一億四千万トンぐらいでしたが、これが一億トン、九千七百万トンぐらい。フランス日本よりも低かったわけですけれども、そのフランスでもまだ二千六百万トンを維持しておる。そして将来に向かっては四千六百万トンを出炭をしようと計画をしておる。ところが日本は、かつて七千二百万トンと言われた時期があるわけです。それはソフレミンが調査に来た時期ですね。その前の調査が御存じのように、埋蔵量が二百四億トンという調査を出した。それが六十二億六千六百万トン買い上げておるわけですよ。要するに、金を出して封鎖をしたのが六十二億トン、封鎖をしておるのですよ。これは、政府というか事業団が評価をして金を出した、これだけありますよと言ってつぷしたのが六十二億トンですよ。ですから、今日採算ベースに合うのが、昭和四十八年で十億トンと言われておりますけれども、何にいたしましても、ほとんど多くの炭鉱を水浸しにしてしまった。そして、最近それを見直しをするという。そこで今度の法律が出ておりますが、要するに消滅をした鉱区をさらに復活するという問題、あるいは買い上げた鉱区の復活問題、復活問題はなぜ起きたかということですね。そういうことを考えまして、あえて失敗と言ったわけですけれども、一体どこに失敗の原因があったのか。各国よりもより崩壊過程が早く、かつ悲惨であったのは、どういうところに原因があったか。これを通産大臣はいまどういうようにお考えになっておるか、御所見を承りたい。
  78. 田中龍夫

    田中国務大臣 多賀谷先生、大変にむずかしい御質問をいただいたのでありますが、戦争中あれだけ非常出炭をお願いいたしました私どもが、敗戦と同時にまた、日本産業の復活のために各山には非常なお願いをいたしたわけです。ところが、一朝石油ということが御存じのようなブームになりますと、いままでの——もちろん炭質というものが、日本列島の中におきます本当にいい炭は北海道でありますとか、あるいはまた九州でありますとかでありまして、あと常磐にしましても山口炭にしましても、非常に炭質のよくない、石炭資源には余り恵まれておらないような関係が、これはいろいろな経済の関係で、とうとうとして油に切りかわってしまいまして、さようなことで、石炭自体もまた割り高になるというようなこと。日本の国民性と申しますか、非常に右に振れたり左に振れたりし過ぎるのでありまして、私ども石炭化学工業、いわゆるコールケミカルを手がけた者は、何とかこれは残しておきたいものだといろいろと主張したこともありますが、世はとうとうとして石炭を弊履のごとく捨て去った。こういうことがまことに残念でございますが、しかし今日になりまして、本当にもう一度石炭というものをエネルギーの基礎資源として、国内のベースを二千万トン堅持をしようというようなことに相なったわけでありますが、そういう点は、その間の過去の経過は多賀谷先生一番よく御承知のとおりであります。先生と全く思いは同じでございますので、どうぞ今後なお一層よろしく御協力のほどをお願いいたします。
  79. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 結局、国民性で逃げてしまわれたのですが、要するに左に揺れたり右に揺れたり、この揺れが大きいのですよ。そこで揺れないように装置をしなければならぬ。これが政策なんですよ。では、一体装置ができておるか、こういうことですよ。今度の法案で装置ができていますか。私はあえてそれを聞きたい。非常に揺れが激しい、要するに国内エネルギーを守ろうというバックボーンがない、そしてきわめて近視眼的に見る、それを何とか是正するには、そういう制御装置をつけなければならぬですよ、政策的に。それが一体できておるかということに対して、私は残念ながら疑問を持つわけですよ。日本は装置ができていない。よその国はみな装置ができておった、私がいま名前を言った国は。それはアメリカのように非常に豊富な資源のある国は別です。オーストラリアのように新しい鉱区を持っておる国は別ですよ。それから社会主義の国は国の政策でおやりになっているから、それは別として、自由主義経済においてはその揺れを最小限度にとどめるという装置が必要でしょう。その装置の一つは何かといいますと——この一次から五次まての答申は、残念ながらみな企業個別政策に入って、それだけやった。要するに石炭産業をどう守るかということじゃないですよ。その企業をどうして生かすかということだけに追われた。そこでどういうことが起こったかといいますと、わりあいに優秀な炭層を持っておる炭鉱も、企業が悪いためにつぶれたわけですよ。国全体のレベルから言えば、これは当然残しておくべき炭層であった、ところが、たまたまそこの企業は悪かったために、あるいは融資ができなかったために、水没をせざるを得なかった、その買い上げ資金でなければ退職金も払えなかったという状態になっておるわけです。日本の場合はこの装置が全然できてないのですわ。企業が悪かった、しょうがないじゃないか、それはその山を買い上げてやれ、こういうことになっておるわけです。しかし、日本の全体のレベルから見ると、それはかなりいいレベルの炭層、鉱区を持っておったのですね。そのことが、すなわち今日、見直しになってあらわれておるのですよ。あの炭層は惜しかったんだ、だから今度掘らそうじやないかというのは、結局炭層そのものがよかったけれども企業が悪かった、つぶれた、こういう形になったのですよ。それを、しかも水浸しになったのを、またその水を揚げて掘ろう、こういうお話なんですね、今度のその法案の一つのポイントは。ですから、今後ともそういうことが起こらないという保証があるだろうかというのですよ。  そこで私は第一に問題なのは、企業格差の問題。企業格差の問題というのは限界企業といいますか、これは限界炭鉱といってもいいのですけれども、正確にいえば限界企業なんですよ。限界企業炭鉱ですね。この炭鉱をどうして二千万トンの枠内に入れるかということですよ。要するに二千万トン必要なわけですよ。二千万トンが必要であるならば、その悪い炭鉱、悪いというか経営の悪い炭鉱をどんどんつぶしていって、二千万トンは維持できないですよ。ですから一番経営状態の悪い炭鉱をどうして残していくかということが一つ問題です。製造業やなんかと違いまして、あるいは装置産業と違いまして、幾ら経営者が努力をしても、この炭層の良質あるいは質の悪いということには勝てないのですね。ですから、そこは能率が悪いじゃないかというけれども、労働者が一生懸命しておるところが案外能率が悪いこともあるのですよ。たとえば御存じのように立てひになっているところ、こういうところはなかなか開発がむずかしい。能率も悪い。そこで結局、第六次答申の中に「格差の是正」という項目があるわけですね。それに対して今度の法律はどこにも政策的にそれが出てきておらぬ。これは一体どういうわけなのか、これをまずお聞かせ願いたい。
  80. 島田春樹

    島田政府委員 いま御指摘のありました格差是正の問題ですが、まず基本的にいまお話のありました二千万トンを維持していくために限界炭鉱維持する必要があるのではないか、それをどうやっていくかというのが基本的にあろうかと思います。  私どもといたしましては、これは先生よく御案内のように、現在なお石炭企業の経常収支は、ここ数年来回復の方向に向かっておりますけれども、まだかなり赤字だという状況でございます。したがいまして、まず基本的にはこういつた現状を踏まえまして、二千万トン体制維持していくためには今度の法律改正にありますように、現行の助成措置を五十六年まで延長するということで、その他の措置もとりながら所要の改正をするということで、ともかく現在の二千万トン体制の基礎固めをしっかりする、石炭企業の基礎をつくるという点にまず重点を置きたいというふうに考えているわけです。  それからさらに格差の問題。その中でも、しかし炭鉱間の格差があるではないか、特に自然条件、立地条件格差、ここち辺は企業努力をもってしても何ともならぬ、その辺についてどういう手当てをするかという御指摘の点、この点は答申にも触れてあるわけでございます。私どもといたしましては、この点につきましては、御案内かもしれませんが、五十一年度まず安定補給金交付に際しまして、これは主として立地条件を考慮いたしまして助成について格差を設けた次第でございます。  なお、今後この格差是正問題についてどうしていくかという点につきましては、私どもといたしましては、これは格差の範囲をどういうふうに考えるか、あるいはその負担の分配方法というようなものをどういうふうに考えていくかというような問題につきましていろいろ検討いたしておりますが、なおいろいろむずかしい問題がございます。当面はやはり現行の助成策の中でこの格差是正についての改善の可能性というものについて慎重に検討していくというのが、現在の私ども立場でございます。
  81. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣答申の中で、さっきおっしゃいました立地条件だとかあるいは炭層条件、これは経営努力によって若干縮小するといってもなかなかむずかしい、そこでいわば差別価格の導入とか、それから安定補給金傾斜配分ということが書いてあるわけなんです。  そこで、私どもが販売の一元化ということを言っておりますのは、要するに限界炭鉱まで救おうという考え方なんですよ、そこらは。ある程度限界炭鉱を救うためには販売の一元化によって若干調整資金をそこで持たなければ、とても二千万トンでも維持ができないぞ、こういう物の発想から販売一元化というものが出ておる。それが先ほど岡田君が言いましたように、各国とも、まあイギリスなんかは公社、国有ですから、あるいはドイツだって、もうルール炭田一社ですよ。これは一つは鉱区の問題、結局そこで調整ができるわけですよ。ちょうど私がイギリスの石炭庁の顧問のシューマッハさんに会ったときに、国有にして何が一番よかったかと言ったら、一番悪い炭鉱から整理をすることができるからいい、これは非常に能率的だ、こういうことを言いましたよ。ところが全部自由企業だったらそういうわけにはいかないだろうという話を向こうはしておりましたがね。やはり限界炭鉱をどうするかということは二千万トン維持に非常に重要です。ですから私は、たまたまあそこが悪くなったから何とかしてやろう、こういう行政措置ではなくて、制度的にそういう制度をつくっておく必要があるんではないか、こういうように考えている。現実に起こってますよ、その問題は。もう北炭がそういう状態になり、今度住友がいま労働条件の改悪を打ち出してきておるのです。これも明らかに限界炭鉱なんですよ。それをどうするかという問題、制度的に救済の方法はないでしょう。ですから私は、制度的に救済の方法を講ずべきではないか。では、あの山をスクラップにしてもいいじゃないかとはだれだって言わないでしょう。しかしそれはたまたま何々株式会社を救済するというのではなくて、制度的にちゃんとそういう制度をつくっておく必要があるのではないか、こういうように考えるわけですが、どうでしょうか。
  82. 田中龍夫

    田中国務大臣 どうも多賀谷さんは私の前歴を御承知でおっしゃっているんじゃないかと思うのでありますが、私は石炭の担任官のときに、問屋を全部整理しまして配炭公団をやって一元切符制にした張本人でございますから、配炭公団と申しますか販売の一元化を戦争中私がやったことを御承知で御質問になっているのかとも実は思ったのでございますが、いまやその戦時体制という忌まわしい姿から脱却しまして、自由経済の新しい姿においてまたもとに復元したわけでございます。しかし、いまのような二千万トンという非常に落ち込んだ状態において、しかもエネルギーの問題が大変むずかしい段階におきまして、御意見のあるところはよく存ずる次第でございます。しかしその点につきましては、今回の新しい考え方に対しましては、政府委員の方からいまの御質問に対してお答えを申し上げたいと思います。
  83. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 もう時間がありませんから、続いてひとつ御答弁願います。  それから国内炭と海外炭の問題について岡田委員から質問がありましたが、これもやはり同じ問題なんですよ。ですから私は、いよいよそういう、たとえば国内炭が圧迫されるような時期に制度を変えようと言ったってとてもできません。とても日本の現在の政治の力では、財界が輸入炭をどんどん入れて国内炭はもう要らないような顔をしたときには手も足も出ません。これはいままでにそういう経路をたどってきたわけですよ。ですから経済政策というものはもうずっと事前に手を打っておかないと、そのとき打ったのでは、少なくともその時点において被害を受けた者は救われないのです。次の山が来てその次の谷が来たときには救われるのです。ですから私は、政策というのはあらゆることを予想して、ある程度、やはりかつてそういう憂き目を見たわけですから、予防措置を講じておく必要がある。いま石炭部長が答弁しておるところを聞くと、輸入炭についてはこれはまさに補完的であるから国内炭優先であるからと、こういう話をしておりますけれども、もし輸入炭の方がずっと安いということになりますと、国内炭はもうばたばたつぶされますよ、それが確保できるということになれば。そうしてその次にまた、石炭が足らないのだ、と来るのです。もうそのときにはとても追いつかない。いまメタルがそうでしょう、非鉄金属が。ですから非鉄金属の場合だってそうですよ。あんなに景気変動が激しい。やっと今度備蓄というのが認められた。それも私はよく言うのですよ、それは不景気が長過ぎたから備蓄が認められたのだ。もう備蓄を言い出してから何年になりますか。もう十年以上かかって、十年ではない十五年ぐらいかかってやっと認められた。それは景気変動に左右されたからですよ。ですから私は、そういう意味においては、いまのうちに何らかの形でこれを調整するシステムをつくっておく必要がある。そうしなければ、いや、そのとき大臣がこう言ったからというようなことではとても制御できない。ですから私はこの法案を見て肝心なところが残念ながらこれは抜けていると思うのですよ、そういう点は。ですから海外から入れようとするならば、いまの時期にそういうコントロールできる調整機関というものをつくる必要があるのじゃないか。私は、外国炭が安く入るのは歓迎しますよ。しかし安く入ったならば、それだけ何らか国内炭にプールができるようなシステムを講じておく必要がいまのうちにあるのじゃないか、こういうように思うのですが、その点もあわせて御答弁を願いたいと思います。
  84. 島田春樹

    島田政府委員 いま御指摘の二点、考え方として共通した問題であろうかと思います。  結局、何か調整的な機能というものをどこかにシステムとしてつくれという御指摘だと思います。確かに、たとえば海外炭の場合、国内炭と海外炭との調整というものをシステムとしてどう考えるか、これは考え方としては確かに非常に大事な問題だと思います。ただ問題は、それをどういうシステムでやるかということであろうかと思います。先ほど御説明申し上げましたので繰り返しませんが、現在の状況では、第一には需給との関係、特に私どもとしては開発輸入の場合につきましては、ユーザー、要するに最終需要との関係というものをよくチェックしたいというふうに考えております。そして、その関係というのをはっきり見定めて計画的な輸入をするというような考え方開発輸入をしたいという点が第一点。それから、それを担保するものとして現行の輸入割り当て制度というものを効果的に運用していくというような方式でいくならば、私どもが当初申し上げました国内炭をまず第一に安定供給源として確保していく、その補完的なものとして輸入炭というのを考えていくという考え方政策としてやり得るのではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  85. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 開発輸入ならなおさらですよ。かなり長期的にかかる開発輸入をするときに、開発輸入をした分は絶対に引き取らなければ国の信用にかかわるのですよ。国内の石炭は縮小しても開発輸入は絶対引き取らなければ国際的に大変なことが起こるのですよ。そういうシステムをとるなら、今度は逆に輸入炭の方が主になっていくと、国内炭調整用に使われるのですよ。それはだんだんウエートが違ってくるのです。ですから、いまのうちに制度というものをぴしっとしておかないと、国内炭がかつての石油の攻勢に遭ったと同じことになるんじゃないか、私はこう言っているのです。もうすでに経験をしておるのに、今度の法案のときになぜそれを制度として出さないかということです。同じことが繰り返されることが予想できるのですよ。ことに開発輸入でしょう。スポット物を買うわけじゃないでしょう。そういう石炭のような長期的な開発が必要なものを、計画が立ちますか、日本経済との関係で立たないでしょう。ただ長期的にエネルギーが足らないということだけはわかるけれども、それは立ちませんよ。石油だってみな開発輸入したりしてストックができないような状態、がんじがらめに日本はやらなきゃ資源が確保できないのですから。いやそのときは石油でできるんだ——石油だってちゃんと長期契約をしなければ入りませんよ。ですから、将来はエネルギーは全然足らないのだからというけれども、部分的に起こった景気の変動に対応できないのですよ、日本石炭なんというわずかに二千万トンぐらいでは。ですから私は、そういう意味においては制度をちゃんとやって安定装置をつくっておく必要がある、かように思うのですが、これは大事なところですから大臣から御答弁願いたい。
  86. 田中龍夫

    田中国務大臣 私はいささか先生と所見を異にするのであります。  この二千万トンというものは、いま多賀谷先生の言われた長期買い付けの対外信用の上から言って、むしろその屈伸を国内炭にというような結果になると仰せられまするが、私どもは二千万トンというものはあくまでもベースに確保しておきたい。そうしてむしろ輸入炭の関係は、御案内のとおりに調整用にあるいは混炭用にというような気持ちで、そしていまの輸入量の増加によりまするエネルギーのプラスアルファを液体燃料だけではなく石炭という固型燃料でもやれるように、また、エネルギーだけではなく化学原料といたしましてもこれを使いたい。つまりいわば二千万トンはベースに確保して、そしてむしろ外枠の輸入炭でその辺の調整をつくっていきたい、こういうような気持ちでおる次第でございます。
  87. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 もう同じことを繰り返しませんが、その轍はもうすでに踏んだんですよ。五千五百万トンは絶対必要だといって、だんだん崩壊していった歴史をわれわれは、遠くじゃないですよ、ほんの最近までそういうことを受けてきたのでしょう。ですから、一大臣がどう言ったとか総理大臣がどんな言明をしたって、経済というのはそういうようにならないのですよ。あなたがおっしゃるように左から右から揺れの多い日本経済は、そういうことにならないのですよ。電力会社が私は買いませんと言ったらどうしますか。そういうことを言いますよ。ことに国内炭は北海道電力でしょう。北海道電力一社に重荷を負わして、しかもいまからずっと見ますると、それは日本国内炭は高くなりますよ。いまの比じゃないでしょう、労働力の状態から見て。能率はもうマキシマムに来ておる。非常に高い石炭になることを覚悟しなければならない。一体、高い石炭のときに一電力会社がそれだけ背負い切れますか。背負い切れないのですよ。そういういろいろなことが将来予想されるわけですよ。いまのままじゃないのです。ですから、二千万トン確保するという装置はどこにも保証がないじゃないですか、ただ大臣が答弁するだけで。ですから私はそう言っているのです。  時間がありませんから、私は六日に時間があれば質問をいたしたいと思います。  きょうは大蔵省の方にははなはだ申しわけなかったわけですけれども、実は石油関係の関税並びに消費税の国際的比較をお願いしておったわけですが、時間がありませんので、ひとつ当委員会にプリントでも配付していただきたい、このことをお願いを申し上げて質問を一応終わりたいと思います。
  88. 岡田春夫

    岡田委員長 大蔵省の関係、よろしいですか。資料を配付してくれますか。
  89. 垂水公正

    ○垂水説明員 はい。
  90. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、野村光雄君。
  91. 野村光雄

    ○野村委員 私は、ただいまから田中通産大臣に、初めての質問でございますけれども、先ほど来各先輩の委員の質疑応答を通しまして承知いたしましたところによりますと、通産大臣は幸いにして戦前戦後石炭産業に対しましては非常に精通していらっしゃる、こういうふうに認識をさしていただいたわけでございます。  そこで端的に私は幾つかの問題を質問してまいりますけれども、ひとつ大臣、抽象的な答弁でなくて、国民が具体的にわかるように明確に一つ一つ答弁をお願いしたい、こういうことを最初に要求しておきます。  そこでまず最初の質問といたしまして、先般大臣の所信表明の中で、一昨年七月に出されました石炭鉱業審議会答申の趣旨、これを尊重し、基本としてこれからの大臣としての職務に当たっていきたい、こういう基本的な姿勢が述べられたわけでありますけれども、その答申の中に、先ほど来何回も大きな問題になっております。新しいエネルギー時代というものを迎えて、向こう十ヵ年間わが国エネルギーの安定供給は可能な限り石炭活用するのだ、こういうふうにうたっております。可能な限りというものはいろいろな面に推定されるわけでありますけれども、この数価は明確にいって二千万トンというものを最小限度として確保するということを主張しているのか、また別な意味があるのか、この点を最初に、大臣の所信表明の中の可能な限りの数価に対して明確な所信をひとつお聞きしたいと思います。
  92. 田中龍夫

    田中国務大臣 これからのエネルギー問題の重要性を考えまする場合に、まずもって国産のエネルギーというものを基礎に考えていきたいものだ、さらにその上に、御案内のとおりに石油、LPガス等々を輸入いたしておるのでございますが、まずそのエネルギーの基本は、石炭の二千万トンベースというものを確保していくということが私は最も重要な問題である、かように認識いたしております。
  93. 野村光雄

    ○野村委員 もう一つ大事な、これから論議を進めていくための基本的な問題をちょっとお聞きいたしておきたいのであります。  石炭産業に対する将来の位置づけになってまいりまする長期展望を進めていくために基本的な大きな課題として、わが国国内の石炭の推定埋蔵量、われわれの立場では二百億トン、こういうふうに一応予想しているわけでございます。これはあくまでも推定でございます。その中で可採埋蔵量はわれわれとしては約十億トン、こう推定をし、これが石炭産業のこれからの採炭計画としての基本になっていく数価であろう、こういうふうに思っておりますけれども大臣はこの推定埋蔵量と可採埋蔵量というものに対してはどのように踏んでいらっしゃるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕
  94. 田中龍夫

    田中国務大臣 現在までの調査結果によりますると、先生が仰せられたごとく、深部化技術の進歩を前提といたしまして、一定の深度、一定のコストで採掘できる炭量は約十億トンと見込まれております。あとは政府委員からお答えいたします。
  95. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  いま大臣申し上げましたように、炭量見方いろいろございますが、いま私どもといたしましては、採掘できる炭量ということで考えた場合に約十億トンというふうに考えるわけでございます。一応こう考えておりますが、ただこれにつきましては、いろいろな調査の結果によりまして、いまの見通しでは若干これより下回るかもしれない。しかし、大体これぐらいだろうというふうに考えているわけです。
  96. 野村光雄

    ○野村委員 それではだんだん本題に入ってまいりますけれども大臣は一応埋蔵量推定十億トン、そして二千万トンを最小限度としてこれから堅持していきたい、こういう基本的な考え方がわかったわけでありますけれども、御存じのとおり、すでに二千万トンが年々大幅に減産いたしております。これは私から説明するまでもなく、大臣が一番よくわかっていらっしゃる問題だろうと思います。  そこで、先ほど来各委員からもこの問題は大きな問題にされましたけれども政府の二千万トン絶対確保ということに対しましての具体的なプログラムについて確認したいと私は思います。先ほども若干触れられておりまして重複するかもしれませんけれども、二千万トン確保する、これは口先だけでございまして、現実はすでに大幅に激減をしてきている。しかし一方、対応策として、政府自身も昭和五十年、五十一年とそれぞれ二億数千万円の予算を組まれまして、国内炭開発可能な対象地域調査、こういうことも行われておるようでありますけれども、この二千万トン絶対確保というものに対してはどのようなプランがあるのかということと、現有炭鉱におきまして、三十一炭鉱ございますけれども、これにおいて堅持される出炭数量というものはどの程度まで踏んでいるのか、あわせてこの二点をまずお伺いしたいと思います。
  97. 田中龍夫

    田中国務大臣 具体的な詳細にわたりまする点は政府委員からお答えをいたさせますが、御案内のとおりに、今後の国内炭生産は、法の改正によりまする鉱区調整制度拡大でありますとか、あるいは現在操業中の炭鉱周辺で行っておりまする石炭資源開発調査制度活用でありますとか、あるいは現在開発が進められておりまする炭鉱生産が軌道に乗ること等から、現有炭鉱群から出炭する二千万トン、この生産水準維持できるものと予測をいたしておる次第でございますが、さらに詳細は政府委員からお答えいたします。
  98. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  基本的な考え方はいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、具体的には幾つかの手段を講じていきたいというふうに思っております。  一つは、何と申しましても新しく深部化の移行防止というような点、それから現有炭鉱の将来というものを考えた場合に、一つは、鉱区調整制度というものを活用したい。それからもう一つは、炭鉱周辺のいわゆる現在の稼行炭鉱周辺で、さらにそれを拡大していくための可能性があるかどうかという点を検討するための新しい調査を始めたいというような措置、そういったようなことをいま手段としては考えております。そういったことによりましていわゆる現有炭鉱群、その中で露天炭と言われる部分と分けて考えてみた場合に、露天炭百二、三十万トンというものは、恐らく将来五年後というのを考えた場合に、大体横滑りくらいになるのじゃないだろうかというふうに考えております。一方、現有炭鉱の部分につきましても、次第に生産能力が落ちてくるものもございます・が、一方、現在能力拡大の途中にある炭鉱も幾つかございます。そういったものをそれぞれ検討してみますと、大体これも現有炭鉱群として横ばいくらいになるのではないかというふうに考えておりますので、トータルといたしまして現在の能力はほぼその程度維持ができるのじゃないかというのがわれわれの現在の検討の結果でございます。
  99. 野村光雄

    ○野村委員 大臣並びにいまの部長の御答弁を聞きますと、現有炭鉱維持できる、こういう御答弁でございますけれども、いつまで可能なのか。永久にということはないでしょう。いつまで可能なのかということ。もう一つは、現炭鉱の中で能力拡大をしていける炭鉱が相当ある。私どもの承知いたしておりますのは、北海道段階では、いずれにしても新夕張炭鉱あたりは相当の規模と近代化でやっておりますけれども、まだまだ目標までは到達していない、労働人口も確保されていない、こういう状況でございます。能力拡大の見込みのある炭鉱を明示していただきたい。
  100. 島田春樹

    島田政府委員 いま考えておりますのは、たとえばいまお話のありました夕張新鉱、それから九州では有明炭鉱というものは、今後さらに現在の生産数量よりはふえていくだろうというふうに考えております。  それからもう一つ、いつごろまでというお話がございましたが、これにつきましては、いま申し上げましたのは要するに五年間というのを想定していま申し上げたようなわけでございます。その後を考えますと、先ほども御答弁申し上げましたが、いま新鉱開発について調査をやっておりますが、こういった調査の結果、その可能性について具体的に検討を進めた結果、もしそういう新しいものができてくるということになりますと、その分が加わってくるということになろうかと思います。
  101. 野村光雄

    ○野村委員 再確認しますが、五十五年間ですか、五十五年までですか。もう一つは、私の承知しているのと新夕張あたりの実態とは相当違うようです。ずいぶん高い期待をしているようですが、期待どおりにいくのですか。
  102. 島田春樹

    島田政府委員 いま申し上げましたのは今後五年間という意味ですから、五十六年度というのを想定したものでございます。  それからいま申し上げました炭鉱につきましては、現在の生産能力と将来の想定というのを個別に出しまして、いま申し上げたような数字を考えておるわけでございます。
  103. 野村光雄

    ○野村委員 そうしますと、現有炭鉱では一応あと五十五年まで、こういうお話でございます。すでに先は見えている状態であります。  そこで先ほども言いましたように、政府といたしましては、国内の新炭田の開発のためにいろいろな調査をなさっていらしゃいますけれども、すでに夕張新二鉱あたりが炭量枯渇、こういうようにわずか三十一炭鉱の中で先がもうすでに見えてきた炭鉱さえ出てきている。二千万トンを確保するということになると、新鉱開発というものは当然具体的にプランとしてのってこなければならないはずであります。長期的なプランは別としても、さしあたりイの一番先に新鉱開発をめどとしている地域、場所、年度、また採炭計画等、このめどが具体的になければならないと思いますけれども、具体的にお示しいただきたい。
  104. 島田春樹

    島田政府委員 新しい国内炭開発可能性調査は、御承知のように五十年度から始めました。五十年、五十一年と調査をやっております。五十二年につきましては、その中で二地域を選びましてさらに具体的な調査を進めたいというふうに考えております。現段階で末開発炭田の、これは具体的には先ほどもお答えしましたが、もし行うとすれば、一番いいのは末開発炭田地域指定というかっこう……(野村委員「どこですか」と呼ぶ)地域といたしましては、天北、それから釧路西部というところが一番可能性が高いのではないかというふうに考えております。  それからスケジュールでございますが、五十二年度においてもさらに調査をしようというのはなぜかということでございますが、こういった地域につきまして新鉱開発をやる場合には、いろいろなお残されておる問題がございます。一番問題は、特にこれらの地域につきましては農林漁業との関係調整というのは非常に大きな問題で、これはいずれの地域でもございます。それからまた地域開発計画との調整、それからさらに具体的な問題になりますと、鉱業用地をどこに確保するか、あるいは具体的に採炭する場合に採炭技術上の問題あるいは労働力の確保といったような具体的な問題につきまして詰めませんと、具体的に新鉱の開発についてのプランというのができ上がらないわけでございます。これらの問題を今後、そういった五十二年度の調査でさらに具体的に詰めまして、可能性というものを検討するというのが現在の状況でございます。
  105. 野村光雄

    ○野村委員 そこで、大臣にちょっと基本的なことを聞きますけれども、いま具体的な計画は概略わかりました。それで新鉱開発のプランが一応五十二年度をめどとして、それから具体的な計画がまたさらに二年なり三年なりかかると私は思うのです。  先ほど申しましたように、すでに夕張の第二鉱が埋蔵炭量枯渇ということで閉山だなんということが起きておりながら、現時点でさえも二千万トンを割っているわけでしょう。ようやく新鉱開発のめどが、地域的には天北、釧路、こういうアウトライン、青写真みたいなものができ上がってきておるようですけれども、具体的にはまだ何も実質的に計画されていない。大臣、これで間に合っていくと思うのですが、お尋ねしたい。
  106. 田中龍夫

    田中国務大臣 石炭の埋蔵量も日本の場合におきましては他国に比べまして非常に少ないことは、ただいまの報告のとおりでありますが、しかしながら同時に国内のエネルギーのベースとして、やはり国産の一番確実な石炭にある程度依存しなければならぬことも、現実の最も重大な問題でございます。  そこで、探鉱あるいは技術的な可採鉱量その他を今後も十分に研究いたしまして、そしてできる限りさらに新しいところも発見し、さらに技術におきましても高度化することによって何とか石炭のベースだけは確保していかなければならぬ、かように国家的な一つの要請として考えておる次第でございます。  なお、今後の開発、探鉱、技術の進歩の問題につきましては、これからの問題でありまして、それに期待をせざるを得ないというのが現状だろうと存じます。
  107. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、いろいろな石炭審議会の答申大臣自身の石炭産業の基本的な構想、こういうものはわれわれとそう大差はないわけです。二千万トン確保する。しかし一番問題なのは、方針とか考え方はあるけれども、裏づけになる具体策が遅々として進んでいない。はっきり言うと、対応策は全くこれからだ。また何かの災害があって——ないとは言えない。いつあるかわからない。不幸な災害によって目標の出炭量が激減せざるを得ないという状態が起きないとは言えない。いまでさえ割っている。少なくとももうすでに新炭田開発が手がけられていなければならない。ところが単なる青写真だ。先ほど来各党各委員からの論議の集中になっております二千万トン確保というものは単なる青写真であって、国民から見て、なるほどこれならば真剣に二千万トン確保というものに対して裏づけができておる、年次計画もできた、プランも立てているという納得できるような裏づけがないところに大きな論議を呼んでいるんだろうと私は思っております。私もそういう立場で見てまいりました。せっかく石炭に精通していらっしゃる大臣でありますから、もう少し国民から見て納得のできるような長期的な展望と計画を立てて——三十一鉱の炭鉱か昭和何年度に炭量が枯渇するかなんということは、夕張の新二鉱じゃございませんけれども、そのときにぶつかるまでわからないはずはないんですよ。そうでしょう、現代科学をもってすれば。前々からすでにわかっていなければならない。三十一の炭鉱が、この炭鉱は採炭量何ぼで何年度までしかもたないということはわかっている。かわりの炭鉱開発していかなければならないということは理の当然じゃないですか。いまだ一つもプランが具体的に立っていない。ここに国民が納得しない最大の欠陥があると思うのです。こういう点に対して基本的にもっと具体的な対応策を進める、こういう気持ちがあるかないか、抽象論でなく、国民の前にはっきりしていただきたい。
  108. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに総合エネルギーの計画というものが五十年の十二月に立てられて、そしてその間におきまする国内炭の二千万トンというものが明確に一つの国の方針として打ち出されてまいったわけであります。     〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕  なお同時に、石油の問題あるいはウランの問題、その他いろいろな、国の最もベースになりますエネルギーの問題を検討いたすために、先般政府におきましても全体計画をもう一度見直していこうというような努力を、さらに緻密な計画のもとに遂行しようということを決定いたしたわけであります。ひいては、いまの石炭の問題におきましても、その他のエネルギーとの相関関係におきまして、やはり最も必要な石炭の分野におきまして、技術的にも検討をし、そうしてまた二千万トンの遂行をさらに具体的に進めてまいらなければならないという思いを新たにいたしました姿におきましてこれを推進してまいろう。いまの可採鉱量でありますとか、あるいは技術的な埋蔵量の推定でありますとか、先生がおっしゃるとおりであるかもしれませんし、またさらに新しい何物かを見つけることもできる可能性もなきにしもあらずであろうと存じます。しかしながら、二千万トンというものの目標は、今日は既定方針どおり遂行いたしてまいる、これが国の方針でございます。
  109. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、何回言ってもどうものみ込みが、私の質問の仕方が悪いのかもしれませんけれども、二千万トンに対する考え方は何回か聞いておりますから、われわれも二千万トン確保すべきだ、大臣もすると、こう言っておるわけです。だけれども、具体的に二千万トン確保されてないでしょう。そのさなかに閉山の問題がいま起きているじゃないですか。実体が伴わないから具体的計画を出せ、こう言っているわけです。おくれていると、こう言っている。何回聞いても何かさっぱり前進がございませんで、これでは国民ががっかりしますよ。その点よくひとつ計画の策定をし直していただきたい。よろしいでしょうか。時間がないのだから簡単に。
  110. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のような方向に対処して、個別、具体的にいろいろ積み上げ計画をやっておるわけでございます。  二千万トン体制維持するために、大きく分けて三つのポイントがあると思います。一つは鉱量確保の問題でございます。一つ採掘確保の問題であり、三つ目は需要確保の問題であろうと思います。  後の二つをいまとりあえず省略いたしまして、初めの鉱量確保の問題につきましては、先ほど来お話が出ておりますように、鉱区調整を拡充するとか、あるいは現在稼行中の周辺鉱区を活用するとか、まず現有炭鉱群の中においての鉱量を確保するということが一つでございます。それからいま一つは、国内炭開発可能性調査ということで、新しい炭層群を開発対象として考えていく、こういう二つの面から二千万トンを確保したい。  御指摘のように、二千万トンの確保というのは決してなまやさしいものではございません。労働力の確保あるいは資金確保あるいは新しい技術の開発、あるいは深部移行に伴いまして保安対策の強化、いろいろな手を総合して打ってまいる必要がございますが、少なくとも、われわれといたしましては現在稼行炭鉱の周辺における鉱量の確認と新たなる開発予定地域を実査いたしまして、二千万トンを確保するように努力したいというのがわれわれの立場でございます。
  111. 野村光雄

    ○野村委員 二千万トン確保することはなまやさしい問題ではないという、いま御答弁でございます。だからやかましく言っているんじゃないですか。なまやさしく簡単にできるのなら、具体的な計画を示せと私は言わないのだ。なまやさしい問題でないからこそ、長期展望に立ってあらゆる角度から検討を進めていかなければならない。そのプランがあるのか示せと、こう言っている。  委員長、いろいろな新しい新鉱開発計画に対して、正式なきちっとした計画資料を提出していただくように委員長よりよろしくお願いいたします。要求しておきます。
  112. 岡田春夫

    岡田委員長 よろしいですか。
  113. 島田春樹

    島田政府委員 いままでやっております調査状況というようなかっこうでの資料はできるかと思います。
  114. 野村光雄

    ○野村委員 次に、時間がございませんから端的に。夕張新二鉱が御存じのとおり大きな問題になっておりまして、すでに炭量の枯渇ということが大きな閉山の動きの問題になっているようです。そのために労使双方が話し合いをしている、こういう状態であります。これは話し合いは私は当然必要だと思います。ただ、炭量そのものが枯渇しているのであれば、話し合ったからといって解決するという問題ではないのです。  この点に対して、実際に現在の可採炭量が、現時点でどれぐらいなのか、当初はどういう計画で始まったのか、この点を具体的に御答弁いただきたいと思います。
  115. 島田春樹

    島田政府委員 夕張新二鉱の炭量につきましては、先般調査団で調査が行われております。  その調査団の報告によりますと、私ども伺っておるところでは、現在採掘を予定している約六十万トンのほかに、右二片で二十ないし二十五万トン、右三片で三十ないし四十万トンという数量があるということになっております。ただ、この炭量採掘するためにいろいろな技術的な問題があるというところから、果たしてこれが掘り得るかどうかというような点をめぐっていろいろ議論が現在労使間で行われておるというふうに私ども承知いたしております。
  116. 野村光雄

    ○野村委員 そうすると、技術的な対応策とそれに対する裏づけの予算措置が講ぜられるならば、いま直ちに閉山という心配はない、こう受けとめてよろしいのですか。
  117. 島田春樹

    島田政府委員 お金の問題というよりは、むしろ技術的にいろいろ問題があるようでございまして、その辺について技術的な解決ができるかどうかという点の議論が中心だというふうに了解しております。
  118. 野村光雄

    ○野村委員 技術的に可能であるかないかは会社が結論を出すのか、国としてこの問題と真剣に取り組んで実態調査をし、科学的な調査をした結果で国として出すのか、どっちですか。
  119. 島田春樹

    島田政府委員 現在この問題につきましては、いまのような点をめぐりまして労使間でいろいろ議論が行われておる状況でございます。  私どもとしましては、現在のところ、この労使間の議論に、いまちょうど議論されておる最中でございますから、私どもとしてそこに意見を差しはさむことは差し控えたいというふうに思っております。
  120. 野村光雄

    ○野村委員 そうすると、労使に任しただけで、これが閉山になろうとどうしようと、国としては、技術的に対応できるならば、これだけの埋蔵量がまだあるということがわかっていながら傍観する、こういう立場ですか。無責任じゃないですか。
  121. 島田春樹

    島田政府委員 いま申し上げましたように、ただいま検討中でございますので、私どもとしてはいま申し上げたようなお答えをいたしたわけでございます。
  122. 野村光雄

    ○野村委員 この問題は後ほどまた、これから大きな問題になっていくだろうと思っております。  次に、御存じのとおり、先般北炭の再建ということで、幌内炭鉱の大きな災害に対しまして、全面復旧再建という計画のもとに政府としても大幅な予算措置を講ぜられまして、地元住民は非常に喜んでおる状態でございまして、関係住民にかわりまして私からも深く敬意を表しておく次第でございます。  ただ、私は、せっかくこの北炭の再建ということで国が大幅な国民の税金であるお金を投資した、であるならば、これがむだにならないように、また地域住民のためにも石炭産業の将来のためにも間違いなく再建、そして復興をあらしめていただきたい。そのためには、これだけの多額の国民の税金を投入し、てこ入れをしたわけでありますから、金を投入した以上、単に会社に任せっ放し、ただ金はつぎ込む用意はしたけれども実質的には再建ならなかった、こういうことにならないためにも、やはり国民的なコンセンサスというものが必要だと私は思うのです。むだにならないために、目的を達成するためにです。いたずらに企業に介在して取り締まれ、こう言うのでは決してございません。やはり目的が満度に、また地域住民の希望が満度に達成されるためにある程度のコンセンサスが必要だ、こう思いますけれども大臣に対・して、どのようなお考えですか、お聞きをしたいと思います。
  123. 田中龍夫

    田中国務大臣 幌内の事故に対しましては、まずもって、犠牲者の方々の御遺体がいまもって上がらないことを本当に残念に思い、同時にまた心からお悔やみを申し上げます。  さて、いまの復興の問題でございますが、国家の最も重要な炭鉱一つであります当該炭鉱は、われわれは国策としてこの復旧と一日も速やかな生産の再開を期待をいたし、また御協力をいたす次第でございます。  半面、また、企業といたされましては労使一体になり一また地元の皆さん方も本当に打って一丸となられて、そうして企業としての自助努力というものを全力を挙げて御発揮いただきたい。その企業としての御努力また地域的な将来の繁栄、発展のために、国といたしましては国策の面におきましてできる限りの御協力を申し上げたい、これがとるべき態度であり方針でございます。
  124. 野村光雄

    ○野村委員 次に、論題を変えまして産炭地域振興計画に対しまして、これから二、三点大事なことを御質問いたしておきます。  産炭地振興計画が一応五十七年で打ち切り、こんなうわさかちょっと——本意は私はわかりませんけれども、多大な関係者に対して、一応五十七年打ち切りということで反響と混乱を一時招きました。しかし、再三にわたる本特別委員会での先輩委員の質疑等を通して聞いておりますと、これは打ち切りでは全くないのだ、むしろ見直しを図っていくのだ、こういう御答弁のようでございますが、見直しを図るということに対しては間違いございませんですか、最初に確認をいたしておきます。
  125. 島田春樹

    島田政府委員 打ち切りという報道がなされて地元に非常に不安を与えたということでございますが、あくまで私どもいまやっておりますのは、現在できております産炭地振興計画の見直し、あるいは改定と申しますか、その作業をやっておるということでございます。
  126. 野村光雄

    ○野村委員 打ち切りでなくて見直しの作業を進めている、こういう御答弁でございます。それでは、見直しをしなければならないようになった理由の根拠はいかなるところにあるのか。  もう一つは、すでに作業を開始していらっしゃるようですけれども、この見直しに対する目標、数価というものは、現在できております五十七年をめどにした数価、目標よりも高い地位と立場で見直しをしようとしているのか、また低く抑えようとしているのか、まず基本的な姿勢を伺いたい。
  127. 島田春樹

    島田政府委員 なぜ見直しをするかという点でございますが、御承知のように二つくらい理由がございます。  一つは、最近、御承知のように経済が高度成長から安定成長へということで、日本経済全体の状況が変わってきた。したがいまして、たとえば全国総合開発計画を初め、各種の計画というものの改定が行われておる状況でございます。産炭地振興計画も、当然これらの計画との整合性のあるものにする必要があるという点から、見直しをする必要があろうかと思います。  それからさらに、もう一点は、この産炭地用の法律ができましてからすでに十五年、計画が策定されてから五年たっているわけで、ちょうど計画の真ん中に来ているわけでございます。その間、私どもとしてはいろいろな努力をいたしてきたわけでございますが、その間の地域ごとの状況というものを見てみますと、地域によっていろいろ事情を異にいたしますので、この段階でもう一度見直しをして、今後についてそれぞれの地域の実情に合った計画というものに見直す必要があるだろうということで改定をしようという、この二つが主な理由かと思います。  現在、計画につきましての作業の状況は、これは昨年から作業に入っておりますが、原案の作成作業の段階にあるわけでございます。まだまとまっておりません。五月ごろをめどにして作業を進めたいと考えております。  それから、どういうポイントかという点でございますが、これにつきましては幾つかの——前とどうというのはちょっと比較しにくいのですが、今回の計画の改定のポイントといたしましては、基本的にはまず目標年度までに産炭地域が新たな経済社会活動の場として再生し、また他の地域と同様な自主的に発展し得る水準に到達し得るようなことを目標にしたい。また、地域ごとにいろいろ実情が違いますので、そういった実情を踏まえまして地域の特性に応じた計画にしたい。それからまた、広域的な視点にも立脚しながら地域内のいろいろな状況にも十分配慮した計画にしたい、この辺のところを計画の改定のポイントとして考えております。
  128. 野村光雄

    ○野村委員 改定の基本的な理由、経済の全体的な変動、その点は見直しをすることは決して悪いことではない、むしろ現実に即応した見直しをすべきだ、私もこういう前向きな姿勢でおります。  ただ、私は、見直しをすることに対しては、基本的に現実に即応した見直しをしなければならない、こういう立場に立って、すでに五月をめどとして大綱はできるようでありますけれども、この見直しに対して地元の意向というものがどういうふうにくまれてきているのか、またくんでいこうとするのか、こういう計画見直しに対する地元参加の体系はどういうふうに進められてきたのか。今日きているかということですよ。それと、これから進めていくのか。二方面。  それから、先ほど答弁を聞いておりますと、現時点の基準というものがどういうところがどうなのか前回と比較しにくい、こういう抽象的な、また無責任なお話がございまして、若干具体的なことを、それじゃ私の方から、二、三の例をとって申し上げます。  たとえて言いますと、地域振興対策ということで工業誘致とかそういうようなたてまえで、長年にわたりまして振興公団によりまして、具体的に言いますと、北海道栗山でありますとか三笠でありますとか美唄等、工業団地が造成されております。造成はされたけれども、実際に工業誘致がなされたのか。団地だけは膨大な金でできたけれども企業はさっぱり来てない。いまだに半分以上、土地があいている。これが実態です。  それから北海道の一石狩方面に対する振興計画を見ましても、たとえて言いますと、昭和五十七年度の工業出荷は約三千八百六十億円、すなわち昭和四十四年度の計画の時点からすると、約四・三倍に拡大をする。さらに工業出荷額は、食料品工業額は約五百四十億円、すなわち昭和四十四年の約三・一倍にする。または木材家具工業は四十四年の四・三倍にする。また機械工業は実に十・八倍にする。こういうような目標がすでにちゃんと四十四年に、五十七年をめどとした振興計画として発表されているのです。よもや今度の見直しはこれよりも下がらないだろう。見直しによっていままでの計画よりか下げるのか、またはさらにこれに上積みする前向きな姿勢で見直し計画をなさろうとするのか、この点を私は聞きたいということを言っているわけです。
  129. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  まず企業誘致の実績が非常に悪いではないかという点でございます。  御案内のように、北海道につきましての私ども把握しておりますのは、これは地域振興整備公団が設備資金を融資した企業で私ども把握しておりますが、これでまいりますと、三十七年から五十一年十二月末までの北海道への進出企業数というのは三百三十四社、融資件数にして四百三十七件ということに相なっております。(野村委員「目標に対して何ぼなんですか」と呼ぶ)目標との関係は、これはちょっと別でございます。いま申し上げます。ただ、年度別に見ますと、確かに最近数字が下がってきております。これはまあ景気の停滞による全体的な影響ということによるものであろうかというふうに考えております。  それからもう一つのお尋ねの、前の計画と今度の計画で目標値が上がるのか下がるのかということでございますが、この点につきましては、現在のところまだ作業の段階でございますので、上がる下がるというふうに一概にお答えするのは、いまの段階ではちょっと差し控えたいというふうに思っております。
  130. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、いまの御答弁を聞いていまして、見直し作業、五月に大体めどをつける、こう言う。一番基本になる、すでに現在ある振興対策計画よりか高度の見直しをするのか、現状維持でいくのか、下げるのか、いずれにしてもこの三つなんです。大臣として、基本的な示唆を与えないで作業をやらしているのですか。はっきりしてください。
  131. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに、先般、エネルギー全体の計画の見直しをする……(野村委員「振興計画ですよ」と呼ぶ)その中の一環というものは、石炭の対策であり、同時にまた、それはかっての既往の振興計画がどこまで実現できておるかという問題にさかのぼってまいる問題でございます。しかしながら、御案内のとおりに計画編成時のプランと、客観情勢と申しますか、日本経済のその後のいろいろな変化、ことに土地造成に対しまする振興計画、なかんずく企業の誘致というような問題でありますとか、こういうふうな問題はやはり相手方のある問題でございまして、机上に計画さえつくればいいという問題ではなく、先生の御質問自体もどこまでそれが実践され、どこまで具体的な成果が上がっておるのか、それを踏んまえての見直しとか、あるいは再計画という問題を主張せられておると存じます。  かような意味におきまして、われわれは、その目標は目標でございまするが、通産省といたしましては鋭意これらに向かって、改定のない限りは努力をするのが当然なことでございます。
  132. 野村光雄

    ○野村委員 答弁は簡単でいいんですよ。  現在見直しの作業を進めているわけでしょう。しかも、めどは五月なんだ。現在よりか上にするのか、現在を維持しようとするのか、下げるのか、この三つのうちのどっちだ。たった一秒でいいです。はっきりしてください。
  133. 島田春樹

    島田政府委員 いま私が申し上げたのは、この作業はいま審議会で作業をやっておるものですから、いまのところ審議会の検討の結果を待たないといけませんので、いま御答弁がしにくいと申し上げたわけでございます。
  134. 野村光雄

    ○野村委員 もう一つ具体的なことを、これはどうしても通産大臣に御答弁願わなければならないわけです、これは重要な問題でございますから。北海道、御存じのとおり、空知に現在中核工業団地というものが造成計画中でございます。すでに総裁も関係の振興団地の現地を何回か見まして、北海道庁とともに地域振興対策の一環として昭和四十八年と四十九年で農地百万坪をすでに先行取得してございます。金額三十八億円、これだけの膨大な国費か投入されまして——三十八億、国費でなくて公団として、道がいま先行取得したわけです。ところが、これだけの膨大な資本を投入して先行取得しておきながら、いまだに大臣の具体的な示唆がないから、公団としては、土地は先行取得したというだけで造成その他が一切できないでただ放任されていると言っても過言でない。農民の立場からするならば、産炭地振興対策の重大事業だ、この鳴り物入りでこれだけの農地を先行取得で道に譲ったわけですね。何年たっても草ぼうぼうで荒れっ放し。やれ食糧危機だとか増産だとか言っていながら、これだけの土地をただむざむざと遊ばせておる。御存じと思います。それで一体大臣はこの問題に対して具体的にいつまでをめどとして、これを国で振興対策の一環として経済的の立場からも行政の立場からも示唆をいつ与えるのか、明確にしていただきたい。
  135. 田中龍夫

    田中国務大臣 空知の問題につきましては私はまだよく存じておりませんので、担当の政府委員からお答えをいたさせます。
  136. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  この問題につきまして、端的に言えば大臣申請はいつかということになろうかと思いますが、私ども現在道といろいろ協議中でございますが、要するに公団が、北海道が作成しましたマスタープランをベースにいたしましていろいろ検討をし協議中でございますが、ごく近々大臣承認申請の手続が行えるようなことを目途にして、いま鋭意作業を急いでおります。
  137. 野村光雄

    ○野村委員 もう一回ちょっと済みません、いま話しておったものですから、めどのところを。
  138. 島田春樹

    島田政府委員 めどはごく近々というふうに申し上げたいと思います。
  139. 野村光雄

    ○野村委員 ごく近々どういう具体的な方針を出すのですか、もう一回。
  140. 島田春樹

    島田政府委員 方針というよりは、これは具体的に言いますと、団地造成について整備公団から大臣に承認申請を出すわけでございます。この承認申請手続をごく近々行えるようにということでいま作業を急がせておるということでございます。
  141. 野村光雄

    ○野村委員 近々と言ってもどうも政府のやることは、国民の立場から見て残念ですけれども大臣、非常に信用がないのです。近々近々と言いながら国の行政のやることは、二年も三年も延びても近々と言いますから。何月と、このめどは明確にしていただきたい。
  142. 島田春樹

    島田政府委員 お答えいたします。  もちろんいまいろいろ、相手方のあることでございますし、それから公団から出てこなければいけませんですが、公団といたしましてはここ一、二ヵ月というのを目途に作業を急いでおる、こういうことでございます。
  143. 野村光雄

    ○野村委員 長年放置されておりました空知の中核工業団地のめどがあと一、二ヵ月、こういう基本的な問題が具体的に明確になりました。ひとつぜひこの一、二ヵ月以内に必ず、ここで発言したこと、約束を守っていただきたい。大臣の方から聞きたい。やはり責任ある人から答弁してもらわないと、大事な問題だから。
  144. 田中龍夫

    田中国務大臣 先生のお気持ちは非常によくわかります。しかしながら、公団から出てまいりますものを検討いたしまして、さらに具体的な結論を出させていただきたい。いまここで、いつということを申し上げる段階ではございません。
  145. 野村光雄

    ○野村委員 委員長、お聞きのように大臣の答弁になりますとちょっと後退したあれがあるのですが、一、二ヵ月というのは間違いなんですか、大臣、はっきりしていただきたい。
  146. 田中龍夫

    田中国務大臣 相手から出てこなければなりませんので、それを待っております。
  147. 岡田春夫

    岡田委員長 ちょっと、そこら辺は統一しておいてくださいよ。
  148. 島田春樹

    島田政府委員 大臣が申し上げましたのは、相手方のあることだからという点を申し上げたということでございまして、私も相手方のあることだからということを前提にして、一、二ヵ月の間にということで努力をさせたいということを申し上げた、大臣の趣旨もそういうことだと思います。
  149. 野村光雄

    ○野村委員 そうすると、公団から出てさえくるならば、一、二ヵ月内には前向きにはっきりこれは出す、こういうことですね。出てきたけれども通産省としてはこんなものはおれ知らないんだ、こういうのではないのでしょう。その点、ただ出てきたといったって、返答の仕方があるから、私ははっきりしてくれと言っている。
  150. 島田春樹

    島田政府委員 私がいま申し上げたのは、できるだけ早く出させるという意味で申し上げたわけです。もちろんこの問題は先生御指摘のように、ずいぶん長い間の懸案でございます。それで地元の事情も私ども十分承知いたしております。出てまいりましたらできるだけ検討を急ぐということにいたしたいと思います。
  151. 野村光雄

    ○野村委員 これは大臣大臣になられまして初めて聞いたんだからおれ知らないと言うわけにはいかないわけです。よくさかのぼって、いま言った前後の状態を確かめて対応しませんと、公団として責任ある総裁が現地を確認して、北海道庁が膨大な金を投入して先行取得して、農民を説得して買ったけれども、農地は荒れっ放しで何年たっても活用されない。これが許されるとしたら、私はこれは大変な問題になると思いますよ。いままでほかっておいただけでも責任があるのですから。ですから、早急にただいま申しましたような前向きな姿勢でひとつ対応していただきたい。  質問したいことはたくさんありましたが、半分ぐらいでございまして、せっかく労働大臣おいでを賜りましたので、時間もございませんので御質問いたしますけれども一つは、御存じのとおりかつて昭和三十七年当時四百十八を数えた炭鉱が三十一になり、またかつて十八万を擁した労働者がわずか二万二千六百、こういうような激減をいたしました。その大きな石炭産業の崩壊の中で、まじめな炭鉱労働者が石炭産業の中で働く希望を失っていると言っても過言でないわけであります。その最大の根本は、エネルギーというものがだんだんと石油、ガソリンにかわってきた、こういうやむを得ない社会、経済の変動、こういうものがあろうと思います。ただ私は今後の対応策として、これらの多くの労働者がいまだに恵まれない労働条件、生活環境、こういう中で働いているわけでございます。なお加えて、この多くの炭鉱労働者の中でさらに五千七百名という組夫がございます。御存じと思いますけれども、会社の社員として常務労働者でさえも恵まれていない中に、恵まれない組夫という立場は、労働条件といい生活環境といい、差別がいま出てきております。さらに一番私は胸を痛めておりますことは、一たび災害に遭いますと、同じ坑内で同じ運命に遭いながら、命にも差別される、こういう状況に落ちている。そういうことで、今後の一般常務労働者に対するこれからの魅力ある職場としていくための労働条件の改善、こういうものに対して大臣としてどういうお考えのもとに、通産大臣とこれは当然話し合いをしていく重要な課題でありますけれども、姿勢で臨んでいらっしゃるのか。また恵まれないこれらの組夫、これらに対する労働条件、私は、一般企業の労働者だから国が口をはさめないとは言わせない。石炭産業企業ぐらい国がめんどうを見ている、金を出しているところはないのであります。金を出してめんどうを見ている以上は、ある程度はやはり労働者のために労働改善を示唆して、当然監督ぐらいしなければいけないと思う。そういう点で、一般企業だから知りません、私の関知するところではありませんと逃げたいと思いますけれども、そうはさせません。もう時間がないから、私は最初から言っておきます。そういう点に対して労働大臣の基本的な姿勢、これについてお伺いをいたしたいと思います。
  152. 石田博英

    ○石田国務大臣 先ほどからもお話がございましたが、石炭産業というのは、初めから私はたびたび関係をしてまいりました。昭和三十二年には炭労三十三万と言ったのであります。安全、保安は通産省の所管でございますが、労働環境の整備、それから労働条件の改善、これは基準法を預かっておる私どもの所管でございます。坑内労働という特殊な条件のもとに置かれておりますから、そういう点において基準法の規定の遵守を図ってまいりますのはむろんでございますが、しかし、そういう特殊な条件のもとにおける労働というものの立場を配慮して、監督、指導をしていくべきだと思います。  ただ、あらかじめ予防線を張られましたが、具体的な賃金、その他の問題は労使関係で処理さるべき問題、これは大原則であります。しかし、われわれとしましては、やはり魅力ある職場にしていかなければならない。そのためには、まず雇用促進融資等の利用による住宅の建設、それから私どもの方でお預かりしておる福祉関係の施設を重点的に産炭地に設置をする。たとえばスポーツセンター、文化センター、それから総合福祉センターというようなものはすでに十四ヵ所設けております。これからもこれをさらに重点的にやってまいりたいと思います。  それから組夫の問題でございますが、坑内作業だけでなく、一般的にこういう状態は好ましい状態とは思わない。やはり親企業が直接雇用してやるのが筋だ。これは石炭産業だけに限らず、ほかのもの全体もそう思います。したがって、石炭鉱業合理化臨時措置法の上でも規制が行われております。  ただ、私はそうは思うのでありますが、下請という制度現状としてあるので、これを全面的に一遍に否定はできない。しかし、そういう労働の状態というものは好ましいものとは思わないので、その改善、それから少なくとも親企業に劣らない条件維持というふうなことをやって指導していき、監督していくというのが私どもの責任であろう、こう考えております。
  153. 野村光雄

    ○野村委員 すでに時間が参りまして残念でございますけれども、これ以上質問する時間がございません。  最後にお願いだけしておきますけれども大臣恐らく現地をいろいろ知らないわけはないだろうと思う。長い間の大臣になられる前の政治家の時代を通じて、産炭地の実態というものはつぶさに御存じと思います。私ども産炭地の実態を、現地の議員としてつぶさに目の当たりにいたしておりますけれども、たとえて言えば、住宅環境一つでも、すでに三十年から三十五、六年、戦前、戦後当時に建った木造住宅に生活を余儀なくされている、こういう状態でございますし、ぜひひとつこの点は大臣が心にとどめられて、通産省関係者と、この炭鉱労働者に対しては一段の温かい御配慮を賜りたいことを強く要望いたしまして、私の質問にかえさせていただきます。  ありがとうございました。
  154. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、安田純治君。
  155. 安田純治

    ○安田委員 大変時間がございませんので、問題をしぼって御質問したいと思います。  保安の問題についても伺いたいと思って来ていただいておるわけでございますが、とてもきょうの時間ではそこまでいきそうにもありませんので、あらかじめ、大変御苦労でございますけれども保安の問題には触れないと思います。  私はまず石炭鉱業合理化臨時措置法の問題について若干伺いたいわけでありますが、今回の法改正のうち、三十五条の十と現在の三十六条の二十四ですか、これはどういう目的で改正するのか、念のため確かめておきたいと思います。
  156. 島田春樹

    島田政府委員 御質問の規定は、鉱区調整の規定かと思います。もともと、御案内のように、現行法でも鉱区調整の規定はございます。ただし、現行法では、隣接する場合に限って認めるということになっております。ところが、その後大分炭鉱の消滅鉱区というのがふえてまいりましたという関係もございまして、現在のところ、一体的に鉱区を開発するということを考える場合に、現行規定では十分でない。かたがた、五十年の石炭答申でも、今後の石炭の有効利用を図る、石炭活用を図っていくという観点から、鉱区調整の規定をさらに検討すべきであるという答申が出されたのもそういう趣旨かと思います。その辺を受けまして、私どもの方は今回の改正をしたというのが趣旨でございます。
  157. 安田純治

    ○安田委員 端的に言ってしまうと、いままでは隣接鉱区ということであったのを周辺鉱区まで広げるということだと思うのですが、その周辺鉱区まで広げることは、二千万トン体制維持、先ほどから大分口を酸っぱくしていろいろ言われておりますけれども、それから国内資源の活用エネルギーの自給といいますか、いろいろな問題を前提にして、必要があって周辺開発ということで法改正を意図されたのだと思うのでございます。しからば、隣接鉱区を周辺鉱区と改めることによって、実際どれだけ炭量確保される見通しがあるのか。その点調査されておりましょうか。おわかりにくければ要するに周辺鉱区を再開発してみても全然メリットがないというのであっては法律改正しても意味がないわけでございますね。極端に言ってしまえば、この湖で鯨つるべからずという法律をつくったって意味がないわけでして、これは必ず鯨がいるからそこで規制なりあるいは促進が行われるわけですね。ですから、それと同じように、周辺鉱区というふうに拡大した場合には、これだけのメリットがあるのだというおおよその見通しがおありで改正の提案をされていると思うので、伺っているわけです。
  158. 島田春樹

    島田政府委員 もちろん、これは具体的には今後実際に適用していく段階の問題になろうかと思いますが、現在私どもが一応ざっと検討した感じで申し上げますと、これによって調整されて出てくるのは、主として露天掘りが多いかと思います。考えられる案件は二、三十件あろうかというふうに思います。そのうちで今回の改正によりまして隣接でないものがその半分以上ということになろうかと思います。
  159. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、周辺ということで該当する地域があるとすれば、一体どことどこでございますか、半分くらいは該当するという……。
  160. 島田春樹

    島田政府委員 一概にどことどこというふうにはなかなか申し上げかねますが、主として北空知炭田の辺が多いのではないかというふうに思っております。
  161. 安田純治

    ○安田委員 合理化事業団が買収した採掘権の鉱区、あるいは鉱区調整といいますか、整理促進交付金などを支払ったこうした鉱区ですね、単純に買い上げなどというふうに言っておきますけれども、買い上げなどの時点で、買い上げの対象になる各鉱区、鉱床について、埋蔵量、可採量はその時点では調査されていると思うのですが、どうですか。
  162. 島田春樹

    島田政府委員 事業団が買収する等によりまして一応消滅あるいは保有というかっこうにした区域の炭量でございますが、大体六十億トン程度であるというふうに聞いております。ただ、この中にはかなりの深度、非常に深いところのもの、あるいは炭層の厚さが非常に薄いものというものも相当量含まれていると思います。
  163. 安田純治

    ○安田委員 前の委員の方もたびたび質問されましたけれども、たとえばこの問題に関して、夕張新二鉱の問題でございますが、ことし終掘、閉山、こう言われておるわけであります。一たん北炭の会社側はそういうことを言って、労働組合から反撃をされて撤回はしたようなかっこうですが、しかしあれは本音だということをまた別な機会に言うという、きわめてあいまいな姿勢ですが、しかし、現場ではこのままでいくと終わりだというように言われておるわけであります。  そこで、まず伺いたいと思うのでございますが、たとえば夕張新二鉱の場合に、この法律を改正することによって隣接鉱区あるいは周辺鉱区などに買い上げなどにかかるものがあると思うのですけれども、まずこの法律改正する以前の現行法でいっても隣接鉱区はどれとどれがあるか、伺いたいと思います。
  164. 島田春樹

    島田政府委員 私ども承知しておりますのは、この新二鉱に近接しておるのは旧千才炭鉱の一部ではないかというふうに思っております。
  165. 安田純治

    ○安田委員 旧千才は近接とおっしゃいましたけれども、隣接ですか、それとも周辺ですか。
  166. 島田春樹

    島田政府委員 ちょっと正確に記憶しておりませんが、周辺では読めるという地域ではあります。ただ、くっついていたかどうか、ちょっと私も正確には覚えておりません。
  167. 安田純治

    ○安田委員 私は、この辺の問題についてお伺いするというふうに、多分質問通告をしておったような気がするのですけれども……。
  168. 高瀬郁弥

    ○高瀬説明員 私の承知している限りでは、炭層が同一と記憶しておりますので、近接よりも隣接に近いんではないかと考えています。
  169. 安田純治

    ○安田委員 どうもはっきりしないようですが、しからば、この法改正が仮に行われた場合、夕張新二鉱の場合に隣接という鉱区は該当するものがありますか。
  170. 高瀬郁弥

    ○高瀬説明員 お答えいたします。  この近郷には千才炭鉱、それから夕張第二炭鉱夕張一鉱というのが、近接というよりは周辺という感じで、三つあるようにデータでは出ております。しかし、これはいずれも北炭の所有の鉱区でございますので、いまの制度、それから改正を予定する制度でも、廃止事業者はこの鉱区を取得できないという規定になっておりますので、鉱区調整については問題が出てまいるかと思います。
  171. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、夕張新二鉱の近接もしくは周辺鉱区は、すべてまだ買い上げの対象や何かになったものではない、そういうふうに伺っていいんですか。
  172. 高瀬郁弥

    ○高瀬説明員 お答えいたします。  千才炭鉱というのは、いわゆる評価方式といいまして、四十五年まで存続した制度でやっておりますので、この炭鉱については炭量が一応評価されているということでございます。夕張第二炭鉱夕張一鉱については、退職金の債務リンク方式という新しい方式でやっておりますので、炭量は計算しておりません。
  173. 安田純治

    ○安田委員 そうすると、夕張第二、それから一鉱、ここは結局はまだ北炭の採掘権があるということなんですか。
  174. 高瀬郁弥

    ○高瀬説明員 お答えいたします。  閉山交付金交付を受ける条件といたしまして、自分の持っている鉱区を放棄するという手続がありますので、この区域は無鉱区ということになっております。
  175. 安田純治

    ○安田委員 そこで、いままさに夕張新二鉱では終掘、閉山ということが言われておって、これはもちろんそこに働いている労働者の方々にとってきわめて重要な問題であると同時に、夕張市という地方自治体全体の命運にもかかわるし、もちろん地域住民——この間私も御質問申し上げました中に申し上げましたけれども、医療設備の統廃合とかあるいは化成工業の廃止というようないろいろな問題が出てくる、大変重大な問題だと思うわけであります。そこで、この近接あるいは周辺というところを再開発するといいますか、こういうことによって鉱命延長できるのかどうか、この点調査されたことがあるでしょうか。データをお持ちですか。
  176. 高瀬郁弥

    ○高瀬説明員 この区域についての具体的な現場での調査はいたしておりませんが、図面その他で検討しております。  ここの区域の開発につきましては技術的にかなり問題な点が一点あるということ。それから第二点は、鉱区の上に河川と道路がございまして、その公共施設の管理との間をどう話をつけるかというのが技術的な問題というふうに思っております。したがって、この区域の開発当たりましては、その辺の調査を全部含めた上でなければ開発につながらないといまのところ考えております。
  177. 安田純治

    ○安田委員 いま技術的問題二つ言われたようですけれども一つですか。それとも、技術的な問題というのは、いま言ったような公共施設や何かがある、それとの調査が技術的なのか、採掘自体が非常に技術的に、たとえば夕張新二鉱の方からやっていくのが採掘技術として非常にむずかしいのか、そういう公共施設や何かとの関係調整でむずかしいのか。
  178. 高瀬郁弥

    ○高瀬説明員 技術的というのは二つございまして、一つは、この区域はかなり断層が迸入しておりますので、それを掘削し採掘するにはかなり技術的な問題を解決しなければいかぬというのが第一点です。  やはり公共施設との調整という問題もございますが、これは鉱害を防止するという観点で掘り方を特殊な掘り方をすることで、公共施設の管理者と了解がつくわけでございまして、そういう意味でもまた技術的に問題があるということでございます。
  179. 安田純治

    ○安田委員 とにかく終掘、閉山ということを目前にしているわけなので、実際現行法で隣接鉱区の再開発のためにどうするかとか、あるいは法改正がもしあった場合に、周辺鉱区ということまで広がるかもしれませんけれども、これを再び北炭にやらせるかどうかという問題を私は言っているのではございません。少なくともそういう隣接もしくは周辺鉱区を十分調査をされて、そして労働者側あるいは現在操業しておる会社側とこの開発について十分話し合いをやっていくという姿勢がおありかどうか、あるいは現地で図面などでとおっしゃいますけれども、現地に調査団を派遣されたりというようなことをやっているかどうか、その点、伺いたいと思います。
  180. 島田春樹

    島田政府委員 いまのところ調査団を出したということはございません。私ども既存のデータで調査した結果でございます。
  181. 安田純治

    ○安田委員 私もこの間お伺いしたし、先ほどもほかの委員の方から質問がありましたけれども、何かいま労使で話し合っているということで、前に私が伺ったときには、政府調査団派遣の要請はあったけれども、これはしないで、北大なんかを中心とした調査団になったんだというお話だったと思うのですね。私どもは、労使関係に介入しろと言っているわけじゃございませんで、使用者側あるいは労働者側に軍配を上げるために調査団を派遣するという意味じゃなくて、二千万トン体制維持するということ、それから、この夕張地域をどうするかという問題、こうした問題から、政府がもっと本腰を入れてこの地域について調査をするのは当然ではなかろうか。その結果が使用者側にとって有利になるか、労働者にとって有利になるか、またわかりませんが、そういう労使間に介入するという意味ではなくて、周辺鉱区、隣接鉱区あるいは新二鉱の鉱区自体の鉱量調査、可採量調査、いろいろな問題を、二千万トン体制維持という国家的な目的から見れば、当然調査できないはずはないというふうに思うのですが、いかがですか。
  182. 島田春樹

    島田政府委員 御指摘のようなお考え方もあろうかと思いますが、現実にいま、本件につきましては、労使中立で調査団を編成して調査をし、その結果をめぐって議論が行われているという段階でございますので、そういう状況において、また別途政府調査団を出すというのはいかがかというふうに考えております。
  183. 安田純治

    ○安田委員 しかし、労使中立の調査団というのは、現在の新二鉱の鉱区の調査でしょう。周辺や隣接の鉱区を調査したわけじゃないと思うのですが、これが一つ。  それからもう一つは、そういうふうにして民間でやった調査で議論をしている最中に、黙って見ておるというなら、民間で出した議論の結論は政府は尊重するという前提なんでしょうか。
  184. 島田春樹

    島田政府委員 いま周辺の話でございますけれども、それにつきましては、先ほど申し上げましたデータというのは、これは買い上げの、あるいは交付金交付して鉱区を放棄させる際に、データというのはもちろんとっております。そのデータは事業団の方で調べておりますので、そういったデータでお答えをしておるという状況でございます。その結果につきましては、先ほど炭業課長がお答えしたような状況であるということが一つ。  それから、調査団の結果につきましては、もちろんいま議論されておるわけでありますから、この前も申し上げましたが、その結果を私どもは見守りたいというふうに考えておるわけでございます。
  185. 安田純治

    ○安田委員 時間がございませんので、押し問答しておってもしようがないのですが、そういうふうに見ておるというなら、しからば、民間のそうした議論の結論が出たらば尊重するという姿勢なのか。その結果、あまた政府で、いやおれたちの考えは違うかもしらぬということになれば、時間もむだだし、それこそ大変なエネルギーのむだである。だから、民間の議論が政府の側から見てもなかなか合理的に行われておるので、われわれがやるまでもないということから傍観されているとすれば、出た結論は当然尊重されるべきだろうし、政府政府でまた別に考えがあるかもしらぬというのであれば、当然政府調査も並行してなされるべきではないかというふうに思うわけであります。時間がございませんので、この点については答弁を求めません。  最後に、大臣にお尋ねしたいわけでございますが、現在周辺鉱区の再開発といいますか、こうした法改正が出ておる。いま夕張新二鉱がそれ自体としては終掘、閉山になるかもしらぬという目の前にきておるわけでございまして、周辺鉱区があることは事実なんですから、少なくともこれは一つの試金石だろうと思うのです。この法改正を提案されている政府としては、いま終掘、閉山という騒ぎが起きているその近辺には事業団が買い上げた旧鉱区がある、したがって、少なくとも夕張市全体の非常に重大な問題であり、労働者の問題でもあるこの地域に対して、これは夕張新二鉱だけじゃなくて東部開発なんかにも求めているはずでございますが、一体政府調査団を派遣するお気持ちがないかどうか。少なくともそういう姿勢を政府が示すことによって、たとえば法改正になった場合でも本当にやる気があるということになるかどうか。これは労使間で話し合っているから見ていようとか、あるいはかって買い上げになったときのデータだけで、技術的な困難があるというだけで投げておくかどうかということは、やはり法改正に当たっての政府のいわば決意といいますか、姿勢の試金石だろうと思うし、また炭鉱労働者がなかなか集まらないとかいろいろな話がありますけれども政府が本当にこういう問題について本腰を入れて、要求があったら取り組むという姿勢を示さなければ、見捨てられた産業というような感じがしないわけではないわけです。だから、こういう問題が起きた場合は政府が現地に調査団を派遣する、こうした姿勢こそが、まさに二千万トン体制維持のために国民的なコンセンサスを得る一つの大きな根拠になるのじゃないかというふうに思いますけれども大臣のお考えをお聞きしたい。政府調査団を派遣する気がないかどうか。
  186. 田中龍夫

    田中国務大臣 お話を承っておりますだに大変問題になっておるようでございます。同時にまた、法の改正は、周辺の問題をことに取り上げたことも、御案内のとおり二千万トン確保という国策の線に基づいてのことでございまするが、それが今日まで現地においていろいろと紆余曲折紛糾いたしておるところにつきましては、一日も速やかに問題を解決いたしたい、かように考えております。しかしながら、いま先生が言われるように、直ちに政府調査団をその紛糾いたしておるところに派遣して、快刀乱麻を断つようなきちんとした結果が得られるものかどうか。これは私はいまお話を承りましても容易ならない問題だと存じますので、今日のところはこれでおきまして、なお役所に戻りまして、その間の解決の方法なりあるいはいかにすべきかを真剣に検討いたしまして、またお答えいたします。
  187. 安田純治

    ○安田委員 じゃ最後に、答弁は求めませんけれども、ひとつぜひ役所に帰って、前向きの姿勢でこの調査団の派遣の問題を取り上げていただきたい。政府が行ったら快刀乱麻を断つごとき結論が出るかどうかわかりませんけれども、少なくとも一緒にどろにまみれて、みんなで考えていくという姿勢の中に政府がいなければ、労使間でいま議論しているからおれは手をつけないというようなことで見ておるというのは、まさに傍観と言われても仕方がないのじゃないかというふうに思いますので、ぜひ役所に帰って検討されて、よい結論をお聞かせ願えるようにお願いして、質問を終わります。
  188. 岡田春夫

    岡田委員長 次回は、来たる三十日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会