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1977-04-06 第80回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月六日(水曜日)委員長の指名で、 次のとおり小委員及び小委員長選任した。  エネルギー・鉱物資源問題小委員       青木 正久君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    佐々木義武君       島村 宜伸君    楢橋  進君       萩原 幸雄君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    山崎  拓君       板川 正吾君    岡田 哲児君       後藤  茂君    上坂  昇君       渡辺 三郎君    長田 武士君       西中  清君    玉置 一徳君       工藤  晃君    大成 正雄君  エネルギー・鉱物資源問題小委員長                 橋口  隆君  流通問題小委員       安倍晋太郎君    藏内 修治君       辻  英雄君    中島源太郎君       中西 啓介君    西銘 順治君       林  義郎君    前田治一郎君       武藤 嘉文君    渡辺 秀央君       加藤 清二君    佐野  進君       清水  勇君    武部  文君       中村 重光君    玉城 栄一君       松本 忠助君    宮田 早苗君       安田 純治君    大成 正雄君  流通問題小委員長       佐野  進君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十二年四月六日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 上坂  昇君    理事 佐野  進君 理事 松本 忠助君       青木 正久君    井上  裕君      小此木彦三郎君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    北川 石松君       藏内 修治君    島村 宜伸君       玉生 孝久君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    萩原 幸雄君       渡部 恒三君    板川 正吾君       後藤  茂君    清水  勇君       中村 重光君    渡辺 三郎君       長田 武士君    玉城 栄一君       西中  清君    宮田 早苗君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   岡島 和男君         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    栗原 昭平君         通商産業大臣官         房審議官    平林  勉君         通商産業省貿易         局長      森山 信吾君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君  委員外出席者         外務省経済協力         局外務参事官  三宅 和助君         通商産業省通商         政策局経済協力         部長      杉山 和男君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   渡海元三郎君     中西 啓介君   西中  清君     浅井 美幸君 同日 辞任          補欠選任   浅井 美幸君     西中  清君 四月六日 辞任          補欠選任   安倍晋太郎君     井上  裕君   佐々木義武君    小此木彦三郎君   林  義郎君     玉生 孝久君   前田治一郎君     北川 石松君   渡辺 秀央君     渡部 恒三君 同日  辞任         補欠選任   井上  裕君     安倍晋太郎君  小此木彦三郎君     佐々木義武君   北川 石松君     前田治一郎君   玉生 孝久君     林  義郎君   渡部 恒三君     渡辺 秀央君 四月五日  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律の一部を改正する法律案加藤  進君外四名提出参法第一〇号)(予)  官公需についての中小企業者受注確保に関  する法律の一部を改正する法律案加藤進君外  四名提出参法第一一号)(予)  伝統的工芸品産業その他の中小企業性産業を保  護するための輸入制限等に関する特別措置法案  (加藤進君外五名提出参法第一二号)(予) 同月四日  中小業者の経営安定に関する請願山原健二郎  君紹介)(第二六四四号)  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律改正に関する請願工藤晃君  (共)紹介)(第二六四五号)  中小企業事業分野確保する法律制定に関  する請願工藤晃君(共)紹介)(第二六四六  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月一日  私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法  律の改正に関する陳情書  (第一四四号)  中小企業事業分野確保法制定促進に関する陳  情書外二件  (第一四五  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第二三号)      ――――◇―――――
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  鉱物及びエネルギー資源に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなるエネルギー・鉱物資源問題小委員会及び  流通問題に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなる流通問題小委員会を、それぞれ設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、両小委員及び両小委員長選任、また、両小委員及び両小委員長辞任補欠選任等に関しましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、委員長において追って指名し、公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  5. 野呂恭一

    野呂委員長 内閣提出輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  6. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、輸出保険法の一部を改正する法律案について大臣並びに関係局長に御質問をしてみたいと思います。  この前も総括的な見地から若干の質問をいたししたわけでありますが、この法律案が提案される背景には、今日のわが国日本経済現状において、海外との競争に打ちかってプラントを初め海外工事促進を図るという、わが国経済にとっては至上命令的な意味を持って提案されておることは私も理解するにやぶさかでないわけであります。しかし、同時に、また、そういう背景下において法案が提案されておるとは言いながら、今日言われておりますとおり、海外におけるわが国経済進出現状わが国国内産業に対してプラスの面のみでなく、マイナスの面においても大きな影響があらわれているということは否定でき得ない問題であろうと思うのであります。したがって、この法案を通す通さないという問題の中で、その両面におけるところの価値判断をどうしたらいいのかという点が非常に大きな課題になっていることは大臣も御承知のとおりであります。  同時に、また、もう一つ海外経済協力という面から、あるいはまた海外におけるところの日本企業進出という面からとかくの風聞がいまわが国を取り巻いておることも否定できない事実であろうと思います。なかんずく、日韓癒着の問題を中心にいたしましてのわが国政財界と韓国の政財界におけるところの一連のうわさは、今日の予算委員会において指摘されておるように非常に大きな疑惑の根源となっていることも事実であろうと思います。  したがって、この法案審議する際にわれわれが慎重に配慮しなければならない問題は、一つには、この法案成立した際に海外との経済協力ないし経済関係が損なわれる意味において影響をあらわしてくるという懸念があるわけで、この法案成立の過程の中において、あるいは成立後においてそれがないという保証をどうやってとるべきかということが一つあろうと思います。もう一つは、この法律日韓癒着と言われるように、単に日韓両国関係だけでなく、世界的にそれぞれの国との関係の中でとかく後になって国民疑惑を与えて、そしてその結果この法律改正しなければよかったのではないかと言われることのないような歯どめをしておかなければならないと思うわけでありますが、その二点について大臣のお考えをここでお聞きしておきたいと思います。
  7. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  海外に対しまする。プラント輸出あるいは大型プロジェクトの問題は日本にとりまして非常に重大な問題でございます。ことに、世界経済の面から申しましても、産油国に偏在をいたしておりますオイルマネーというものをわが国にリサイクルするということは、国際経済に対する寄与という面、協調という面からいたしましても大きいのでございますが、なかんずく、それが単なるドル自体の投資やその他の流入ではなくて、一つプロジェクトなりプラントという面において話が進んでおりますことは、直ちにこのことがタイイングでありますから、当然わが国の方に発注になり、これが経済の回復に非常に波及効果が大きいということは申すまでもございません。  反面、また、発展途上国、LDCに対しましてのプラント輸出やその他が、同国の経済水準の上昇という点から言いましても、わが国対外貿易市場拡大という面で大きな貢献をいたしておりまして、同時に、摩擦のないエクスポートということでは両方の国の国益を非常に満足させるものだと私は思います。  ただし、かような場合におきまして、御指摘のありましたいろいろな経済協力に伴います黒い影というふうなものに対しましては、私ども断固としてこれを排除しなければならない。貴重な国家のお金を使い、あるいはまた貴重な企業資金を投ずる場合におきましても、かりそめにもそのような反社会的な行動があっては相済まぬのでありまして、かような点におきましては、今後もプラント輸出プロジェクト進出ということを考えながら、同時にさようなことがないように十分の指導をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 佐野進

    佐野(進)委員 いまの質問は原則的な質問です。しかし、われわれがこの法案審議するという条件の中で、国対、政審その他の人たち意見を徴する中で、この法律に対して軽々に賛成すべきではない、特に、日韓問題がいま国会の中における最大の課額になっているときに、この法律に対処して賛成をするという形の中で問題が発生した場合、社会党もその責任を負うのではないか、したがってこの際反対すべきではないかという、こういう強い意見があったことは事実であります。したがって、そういう背景の中で私はいま質問を申し上げておるわけでございますので、いま大臣がお話しになりましたような形の中で私は理解しておるわけでございますけれども、この際、それらの二つの面について、くどいようで大変恐縮ですが、大臣決意をこの際もう一度明らかにしておいていただいて具体的な内容審議に入りたいと思います。  いわゆる経済協力なる名のもとに行われるそれぞれの海外との取引の中で、特定の政治勢力あるいは経済勢力に利用されるおそれのある場合においては断固たる措置をとるし、この法律そのものはそのような内容にはいささかの危惧もないというように明快に理解することができる、大臣の発言を私はそのように解釈するわけですが、それでよろしいかどうか。  それから、もう一つは、いま申し上げましたとおり、プラント輸出その他日韓輸出企業の問題がいま大きな問題になっているわけですが、輸銀の使用その他政府関係において大幅な援助を行うわけでありますけれども、それらの援助を行う際、この法律改正せられた場合、それらの面においてのとかくの風聞のごとき状況の問題に対しては厳重に対応していくというように大臣決意を持っておられるかどうか、この点をまずもう一度見解を聞いておきたいと思います。
  9. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  原則といたしまして、プラント輸出あるいは大型プロジェクト輸出の問題は、国家経済国民経済の上から申しまして、大局的な観点に立ったならばぜひ行わなければならない重大な問題であろうと存じます。  なお、それを食い物にいたしましてあるいは私腹を肥やし、あるいはまた反国家的な行為があります場合におきましては、われわれは断固としてそれを糾明し、糾弾しなければならないというかたい決意であるとあえて申し上げたいと存じます。  さらに、本ボンド保険と申しますものは、その中におきまして一つ契約をする場合の、いわゆる受注者発注者に対しまする契約履行保証行為でありまして、このボンド保険問題自体はそういうふうな悪い、影に利用されるような性格のものではございません。ただ、これをすることによりまして、プラント輸出あるいはプロジェクト輸出というものが積極化し、やりやすくなるということはございますが、それはむしろ国益だろうと存じております。
  10. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、具体的な質問に入ってまいりたいと思うのでありますが、まず、プラント輸出関係について質問をしてみたいと思います。  政府は五十一年度プラント輸出見込みは百億ドルとしておりますが、その達成はきわめてむずかしいのではないかというようにいまや言われておるわけでございます。各国との競争の中でのわが国の持つ特殊事情、いわゆる欧米先進国に比較いたしますと内容的にも整備されておらないし、あるいは企業問における内包する諸問題等々があって、実際上の問題としては、百億ドルの輸出契約はブラントについては不可能ではないか、八十億程度ではないかというように言われておるわけであります。本年度はさらにそれに対して百五十億ドルと、五十一年度の百億ドル目標も達成し得ない状況の中でそのような過大な見積もりをいたしておるようでございますが、実際上の問題として、百億ドルが達成でき得ない状況の中でこの法案が提案されて、この法案によってそれらの不足分をカバーするんだというような意図もあろうかと思うのでございますが、その意図意図といたしまして、本年度のそれに対する見通しをどう判断されておられるのか、この際ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  11. 田中龍夫

    田中国務大臣 本件につきますこれからの見通し等につきましては、いろいろと引き合い等の来ております問題もございましょうから、政府委員から詳細お答えをいたします。
  12. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま佐野先生から御指摘のございました五十一年度プラント輸出見通しでございますが、当初私どもは百億ドルないし百二十億ドルのプラント輸出を達成いたしたいという希望を持ちまして鋭意努力してきたところでございますが、五十一年十二月末までの実績は大体五十一億ドルくらいでございます。その後一月に入りまして若干上向きに転じておりますので、五十二年三月末、つまり五十一年度中の総プラント輸出承認額は大体八十億ドルぐらいになるのではないかというふうに考えております。  なお、輸出承認には至りませんが、いわゆる内諾ベースのものがこのほかに二十億ドル程度あるのではないかというふうに見ておるところでございます。
  13. 佐野進

    佐野(進)委員 それで、合計百億ドルになるのではないかということでございますが、そうすると、本年度目標、たとえば日本輸出入銀行プフント輸出関係貸付規模は、五十一年度は五千四百億円、五十二年度は七千三十億円というぐあいに見込まれておるわけでございますが、この五十一年度見込みがこの輸銀貸付規模と相対応するとすると、五十二年度の七千三十億とは、実際上どの程度輸出額を見込んでおられるのか。  百億ドルの輸出ということが本年度の五千四百億円に対応するとするならば、七千三十億というのは一体どの程度になるのか、そして、全体的な資金需要額は一体どういうような形の中で算定されておるのか、この際明らかにしていただきたい。
  14. 森山信吾

    森山(信)政府委員 五十一年度プラント輸出に対します輸出入銀行資金枠は五千四百億円でございまして、五十二年度財政投融資計画におきますプラント輸出期待額は、先生指摘のとおり七千三十億ということになっております。  五十一年度の五千四百億に対しまして、実績といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、大体輸出承認ベースで八十億ドルぐらいというふうに考えておるわけでございますが、五十二年度におきましては倍増計画を私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、資金的に申し上げますと、五千四百億が五十一年度でございまして、五十二年度期待額が七千三十億にいたしますと、その伸び率は三〇%でございまして、プラント輸出伸び期待額が倍で資金伸びが三〇%しかないという点の御指摘ではなかろうかというふうに判断するわけでございますが、最近輸出入銀行に対する融資の申し込みの状態がだんだんと長期化する傾向にございまして、つまり、具体的に申し上げますと、一つプラント輸出する場合に輸出入銀行融資をいたしますのは船積みごと融資をするわけでございまして、御承知のとおり最近のプラントはかなり大型化いたしておりまして、船積みをするタイミングがだんだんと長期化するという傾向にございます。現に五十年度あたりからそういう傾向が出てきておりますので、五十一年度資金増加量プラント輸出そのもの増加量とは必ずしもパラレルに動いていかないという判断をもちまして七千三十億という数字を一応はじいたわけでございまして、実際にこれはどういう使い方をされるかということを後から判断してみないと総合的に申し上げられませんが、一応倍増いたしましても七千三十億で賄えるという判断を私どもはしたわけでございます。  なお、若干の危惧もございますので、弾力条項といたしまして調整枠五百億というものが輸出入銀行にございますが、それを使わせてもらうというような話も財政当局とはいたしておるところでございますので、七千三十億ございますれば大体倍増は可能であると、こういう判断をしておるところでございます。
  15. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、次の質問をいたします。  プラント輸出に対して、わが国の諸外国との競争においていろいろの条件があるにしても、ここのところ大型プラント輸出に対して相当程度劣勢にあるということはいまや常識化しておると言われておるわけであります。さらに、また、その劣勢化している諸条件の中においても、特に日本企業の持つ信用度、信用力というものがきわめて弱い。それから、もう一つには、競争力を劣化させている諸条件の中で、その競争に打ちかとうという形の中で、諸外国に対して、わが国自身においても指摘されている公害その他の問題を内包するものについてプラント輸出しようとしている。こういうような点等について、ますます競争力を弱化させる一つの要因になっておるというようなことも伝えられておるわけであります。  そこで、私は、これは朝日新聞に過日報道されて国会の中においても問題になった事件でありますけれども、この際審議の経過の中で明らかにしておかなければならぬと思いますので、この点を一つただしておきたいと思うのでございますが、イランに対しての水銀法電解による苛性ソーダプラント輸出を——これはわが国においても相当問題になっておるものですが、その工法によるところのプラント通産省承認したというように報ぜられ、問題になっておるわけでございますが、このことは事実なのか、事実であるとするならば、その背景はどういう条件の中でこのような承認を与えたのか、この点をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  16. 天谷直弘

    天谷政府委員 イランに対します水銀法電解ソーダプラント輸出につきましては、三月三十一日に輸出承認をいたしておりますが、その経緯について御説明を申し上げます。  このイラン向け水銀法電解ソーダプラントは、バンダルシャプルにおける石油化学計画の一環として位置づけられるものでございます。このプラント輸出につきましては、昭和四十九年の一月に東洋曹達とそれからイラン日本石油化学会社との問で契約が締結をされておるわけでございますが、この締結される前、話は一年以上の期間にわたって続いておりました。したがいまして、昭和四十八年中に商談が進行いたしておったわけでございます。  御承知のとおり、昭和四十八年にいわゆる第三水俣病という事件が起こりました。後にこの第三水俣病は幻の水俣病であるということが判明いたしましたけれども、ともかく、昭和四十八年にはこの水銀法電解ソーダ日本国内におきまして大きな公害発生源ではないかとして非常に問題視されたことは記憶に新しいところでございます。したがいまして、この商談の途中におきましてこの事件が発生いたしましたので、日本側といたしましては、イラン側に対しまして、日本国内で現在水銀法電解ソーダプラントについてこういう問題が発生しておるが、ということをよく通知いたしまして、それでもイランとしてはこの電解水銀法プラントを買いたいのかということをよく確かめたわけでございます。これに対しまして、イラン側といたしましては、水銀法隔膜法とを比べれば水銀法の方が明らかにコストが安い、水銀法を使いたいという決意は変わらない、そして、もし日本水銀法プラントを売らなければ、アメリカなりドイツなり、要するに第三国から買うつもりであると言っておりました。しかし、当時の世界水銀法電解ソーダ技術に関しましては日本が最も優秀であったわけでありますので、ぜひとも日本から買いたいと言いまして、その上、イラン国内におきましては、大体日本のように魚を食うような食習慣もございませんので、水銀公害が起こるということはイランでは心配していない、したがって、イラン国民の健康問題についてはイラン政府責任を持っておるわけだから、ぜひとも日本から優秀な水銀法プラントを買いたいということを言いましたので、四十九年一月に日本側イラン側との間で契約成立したわけでございます。  次に、昭和四十九年の六月になりまして、通産省では、当時の国内世論も考えまして、水銀法ソーダプラントにつきましては技術及びプラント輸出は抑制するという行政指導方針を立てたわけでございます。したがいまして、四十九年六月以降は水銀法技術プラント輸出は行われておりません。しかしながら、本件は、いま御説明いたしましたように、四十九年一月に、すなわち四十九年六月以前に契約がされておるわけでございます。最近に至りましてこの契約を実行する必要が出てきましたので、東洋曹達の取り扱い商社である三井物産から通産省に対しまして輸出承認の発給の依頼が来たわけでございます。さらに、わが方としましては、もう一度三井物産を通じてイラン側の意向を確認いたしたわけでございますが、イラン側としては決意は変わらない、もし日本輸出を差しとめるというようなことを起こすならば、これは契約不履行である、国際的な商慣習に対する違反であるということで、したがって日本に対して損害賠償の請求をするというようなことになってくるわけでございます。そこで、わが方としましても、国際商慣習を無視するとか契約不履行をするというようなことはなすべきことではないというふうに考えましたし、イラン側の意向もよく確かめた上で三月三十一日に輸出承認を発給した、こういうような経緯でございます。
  17. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣大臣、ときどき質問するから、やはり目を覚ましていてもらわないと困っちゃうのだな。  いま基礎産業局長が答弁された問題は、いわゆる公害輸出というように批判をされる問題に類するわけです。三月三十一日にこれを承認したが、相手側の政府の強い要求があったから、その政府の要求と日本側商社との関連の中でこれを認めたのだと言っておりますけれども、私どもが先ほど原則的な質問大臣に申し上げておるとおり、このプラント輸出というものについては、諸外国との関係が大変むずかしい条件を発生する要件を持っておるわけでございますので、細心の注意を払い、最大の努力をする形の中で対応していかなければならぬと思うのでありますが、この点について大臣の見解をお伺いしておきたいと思います。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 どうも失礼いたしました。  隔膜法の問題が国内的に公害の上から起こっておりますときに、いまの問題になっておりまする隔膜法の問題についての先方への輸出に対しまして、われわれといたしましても先方の方との交渉を篤と遂げた上でなければならぬ。ことに、こういうふうなプラントだけではなく、御案内のとおりに、国内的にはいろいろと農薬その他の場合でも公害等の問題で規制をされておるものも、相手方の方がぜひにというような交渉も貿易の面でもあることもございます。  このプラントの問題につきましては、ただいま局長から申し上げたごとくの次第でございまして、その点はどうぞ御了承いただきたいと思います。
  19. 佐野進

    佐野(進)委員 了承する、了承しないの問題でなく、この種問題については、ことしは八十億であるけれども来年は百五十億を目標にしておる、したがって、その目標を達成するに必要なる措置としてこのようなボンド制度もこれから採用しなければならぬという今日的条件の中で、いま基礎産業局長から答弁があったような、相手側の政府が了承し、商慣習に基づくところの信頼関係の上に立ってこの問題を処理し、外国政府がそれに対して責任を持つという形の中で承認を与えたという説明があるとしても、その結果を生じさせた原因は日本プラント輸出にあったんだということで諸外国との関係がより一層悪くなるようなことがこれからも繰り返えされたということになると大変なことになる。  いわゆるプラント輸出をすることについてわれわれは反対ではないし、そのために必要な制度をつくることも反対ではないが、だが、しかし、その結果わが国の信用を低下させ、わが国進出する企業ないし商社その他がこのプラントを建設することによって生じた責任わが国国民が負うようなことのないような厳重なる歯どめをやはりしておかなければならぬという、そういう意味でいま質問しておるわけですから、その点については、いま基礎産業局長が言われたようなことについては、事前の段階において厳重なる歯どめをするよう強く要望をしておきたいと思います。次の問題は、このプラント輸出を拡大するということはわが国経済にとって大変大事なことであるということは私どもも否定いたしません。だが、しかし、このプラント輸出する形の中で、それぞれの国の中においてそのプラントによって生産された製品が、それぞれの国の国内はもちろん、結果的に国外にまで進出していくということはわれわれが長い経験の上で理解しておる点でありまするし、特に、日韓両国あるいは日本と台湾との関係その他の形の中において、それぞれの国の製品が逆輸入されてわが国経済に重大なる影響を与えておるということは、これは当然のこととしてわれわれはいまそれに対する対応に追われておるわけでございます。  そういうような状況の中で、プラント輸出でありますから、そして諸外国との競争でありますから、その競争に打ちかっためにはそんなことを言っていたのでは何もできないということでどんどんどんどん進出していくということにならざるを得ないということでございますが、しかし、この点についての歯どめというか、一定の認識というか、そういうものをはっきりさせながら業界に対する指導をし、国際競争に対応していくということが絶対必要になってくると思うのでありますが、その点について大臣はどう御判断なさるか。
  20. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘の問題は私どもも実は大変に心配もいたし、同時に、また、銘柄あるいは地域的な面におきまして、それが直ちに日本のライバルとなってもいけませんし、あるいはまたさらにはね返りまして日本に対しての逆輸入というようなことになってもいけませんので、この点は実は前々からも、プラント輸出の問題あるいはその他の問題につきまして非常に頭を痛めておったところでございます。  結局、本来ならばプラント輸出自体ももっと国際的な大きな視野に立っての商圏と申しますか、わが国の貿易その他のシェアも考え、また、いろいろと計画性を持ってアジアその他の各国の配分も産業立地上しなければならぬということも考えるのでございますが、一方、相手国の方としては、日本がもしやってくれなかったらフランスの方からも言ってくる、あるいはドイツの方からも言ってくるということになりますと、やはり何といいましても、それならば日本の規格で、また日本の後々の取引の前提になりますような販路の獲得の前提になるというようなこともございまして、先生の御指摘のような問題は、心で思いながらなかなかむずかしい問題だと存じております。こういう点も確かにお説のとおりでございますので、十分戒めながら、そういうふうな逆効果が起こらないような努力を払ってまいりたい、かように存じております。
  21. 佐野進

    佐野(進)委員 局長の答弁を求めたいと思うのでありますが、このボンドの制度が直接的な起爆剤になり、起爆力になって、そうなるかどうかはわかりませんけれども、しかし、いずれにせよ、見込みとしては、八十億を百五十億ドルにそれぞれしようとするほどプラント輸出に対しては積極的にこの制度を活用しながらその促進を図っていこうということであることだけは間違いないわけでございますが、その際、先ほどから申し上げているとおり、国内産業あるいは諸外国のそれぞれの産業に対して大きな影響を与えるプラント輸出に際して、この辺に来たら地域的あるいは産業別あるいはその他の諸条件を検討して、その検討に基づいてプラント輸出に対する一つの基準を明らかにするようなことが必要な時期にもう来ているのではないか。  そして、それらの輸出基準をつくる際、いわゆる公害輸出あるいはその当該地域の住民に対して好ましくない形の輸出については一定の歯どめをかけるということをやはりしていかなければ、プラント輸出に対して、諸外国との競争には打ちかったけれども、結果的にわが国、がそのことによって首を締められるとか、あるいは諸外国に対して悪い影響をもたらすとか、結果的にわが国外国における評価を下げるような形になったとすると、プラント輸出をすることによって財政的な潤いはあったとしても、わが国にとっては結果的にマイナスになるのではないかというように判断されるわけですが、そういう基準というか、それぞれに発生を予見される悪条件に対応する具体策の基本をこの際打ち立てるべきではないかと思うのですが、どうですか。その点検討しておりますかどうか、この際見解を明らかにしていただきたい。
  22. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま佐野先生から御指摘のございました点につきましては、まず、第一点の、ボンド保険成立させていただきました暁にはかなりなプラント輸出促進効果が出るということは私どもも期待しているところでございます。  と申しますのは、プラント輸出について幾つかの先進国はいずれもボンド保険という制度を持っておりまして、わが国のみがボンド保険制度を持っていない。そういう環境の中におきまして、日本といたしましても鋭意プラント輸出の積極化に努力してまいったところでございますけれども、これでもしこの法案成立させていただきますならばほかの先進国と十分太刀打ちできる条件が整うわけでございますから、なお一層の伸展が期待されるというふうに私どもは考えておるところ、でございます。  そこで、そういうふうにいたしましてどんどんプラント輸出をいたしました際に、先生の御指摘になりました問題点が出てくるということは私どもも十分考えておるところでございます。先ほどから御議論のございました公害輸出の問題、あるいは通称ブーメラン現象と言っております逆輸入の問題というような問題が起こってまいりましょうし、それによって諸外国との間に摩擦を起こす、私どもは、プラント輸出はいわゆる摩擦なき経済協力であるという理念に燃えてやっているわけでございますけれども、仮にも摩擦が出てくることになりますと私どものビヘービアに反することになりますので、その辺については十分な対応を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、先生の御質問になりましたところの、この程度プラント輸出をすべきではないかという、そのいわゆるプラント輸出計画枠といいましょうか、目標といいましょうか、そういうものについて通産省として検討しておるかという御質問だと思いますが、私ども、長い目で見ました日本の産業構造のあり方、また、その中におきましての日本の貿易構造のあり方というものは毎年産業構造審議会におきまして審議をいただいておるところでございまして、一口で申し上げますと、一九八五年におきまして日本の機械輸出のシェアを七割程度に高めていこうというコンセンサスが一応あるわけでございます。  このプラント輸出と申しますのは、いわゆる機械輸出の枠内において操作すべきものだという判断をいたしておりますので、そういった大きなマクロとしての目標は持っておりますが、具体的にどの地域にどういうプラントを出していくかということにつきましては、これはプラント輸出の性格上、つまり個々の契約によって成立をするという性格上なかなかむずかしい、どういう地域にどういうものを幾らまで出せればよろしいという、その限界を決めることは大変むずかしいということでございまして、先生の御指摘になりました点は一応念頭には入れておりますけれども、計数的にこれを整理するという段階には至っていない次第でございます。
  23. 佐野進

    佐野(進)委員 いまの問題に関連するのですが、外国から、あるいは外国において一つの問題が提起される、いわゆるプラントをつくりたいというような情報がキャッチされる、その情報がキャッチされた際、各国のそこに向かっての受注の争いが起きるということで、その受注競争に打ちかって受注をし、プラント輸出する作業に入るわけですが、そういうような状況の中で、ともすると、わが国政府が一貫して行うのじゃなくて、各商社なりそれぞれの企業なりがそれぞれの受注競争に参加するわけですから、必然的にその競争に打ちかつために相当の無理を行う場合がある。その無理がその国の実情に合った形の中だけで行われるわけではなくして、合わない条件の中においてもその無理を通そうとする形が出てくる場合もあるわけです。  したがって、そういうような条件をどうやって取り除いて、その国民にも喜ばれ、わが国もそれの悪い影響を受けないで済むという形にするかということですが、プラント輸出については諸外国との競争の中においてまだきわめて弱い立場にあると言われておるわが国が、これから飛躍的にその力を増大していこうとする場合においては、その諸条件を的確に把握して、把握した上でそれらに対して的確な指導をしていくということがなければ、何でも売りまくればいいといういままでの輸出現状とそう変わらない状況の中でプラント輸出が行われていくのではないかという点が危惧されるわけであります。  そこで、私が先ほど申し上げておるとおり、適切なる市場調査も必要であろうし、あるいはプラント輸出がただ拡大すればいいというだけでなくして、それぞれの国情ないしわが国状況に合致したところの条件をつくるために指導を強化していかなければならない。それが政府としての当然果たさなければならぬ責任ではないかと思う。したがって、その指導を強化する上において、もうこの段階においては一定の基準というものをつくって、その基準に基づくところの指導をすることが、ただ保険制度をつくって海外進出するそれぞれの企業に対してそれを保証し、発注する外国に対して安心をさせるということだけでなく、飛躍的にわが国に対してその輸出を求めている諸外国に対して対応するためにも必要ではないかと思う。  こういうような点を先ほどから質問しておるわけでありますが、そういう面からするならば、結果的にわが国の持つプラント輸出に対するところの考え方を整理して、その整理をした形の中においてそれぞれの適した指導方針に基づくところの基準をつくり上げていくということが必要ではないかということを先ほど来強調しておるわけですが、大臣、いかがでございましょうか。
  24. 田中龍夫

    田中国務大臣 その点はまことにむずかしい問題でございまして、われわれ引き合いを受ける方の側の整理もさることながら、発注する側の整理も非常に必要ではないかと思います。われわれが常識的に考えまして、産油国を見た場合に、どの国もどの国もみんな同じようなペトロケミカルだ、いやリファイニングだというふうに各国ともに競ってつくるとか、あるいはアジアのASEAN各国を見ましても、これまた隣同士でもって同じような銘柄のしかもスケールの大きなものをみんなセットしたがるとか、こういうことなんかはアジア経済国際経済全体における非常に不経済な、また無秩序なものになるのでございます。そういう点で、先般も私は世銀の理事さんあたりにお目にかかったときに、そういう問題は世銀なりアジア開銀なりあたりでいろいろなプロジェクトを発掘し、あるいは指導していかれる場合に、隣同士でもって同じようなものをつくれば、それができ上がった後にはまたそこで過当競争が相手の国に起こってしまう、今度は発注を受けるわれわれの方の側からそれを整理するということはなかなかむずかしいけれども、第二世銀でありますとかアジア開銀でありますとか、融資をする側において少し各国の調整をして、おのおの有無相通ずるような整合性を持った発注をしてもらえないだろうかというようなことを申したこともございます。  そういう点で、先生のおっしゃることもわれわれどもが始終考えておることで心配をいたしておりますが、同時に、ただいま申し上げたように、やはりその前に日本自体も非常なウイークポイント、がございますのは、そういう各国に対して、コンサルティングの発想それ自体から向こうの政府あるいは向こうの側の者と始終おつき合いもし、始終談合もして、そして日本発注する場合の向こうのコンサルティングとして整理をしてくるというような場合、特にヨーロッパの各国はそういう点ではアラブの各国に対しては常時緊密な連携をとりながら、同時に現地におりますコンサルティング会社と本国のフランスとかドイツとか、そういうふうな政府との間にこれまた常時連絡をとりながら発注もし、受注もしておるというような状態でございます。そういう点は日本自体では非常に劣っておる。この点は語学やその他いろいろな問題で大変に不利な立場に立っておりますが、受ける方のこちらからセレクトしてどうこうということはけだしむずかしいことであろうと存じます。
  25. 佐野進

    佐野(進)委員 コンサルティング部門の強化が今日の課題としてきわめて重要であることはいま大臣の答弁のあったとおりであります。したがって、現在欧米先進国の西ドイツやフランス、イギリス等が行っているように、在外公館やジェトロ等によるそれらを指導する形の中でプラント受注やコンサルティング企業あるいは団体の紹介というようなものを積極的に行う協力体制をつくり上げるということ、これが今日の段階の中においては先ほど申し上げたことの発展の姿として当然必要になってくると思うわけでありますが、同時に、また、大規模のプロジェクトの事前調査だけでなく、市場開拓力のない中小企業向けのプラント輸出それぞれについての事前調査や市場調査というものが非常に重要になってくると思うわけであります。  いままで議論したことは主として大企業というか大資本を背景とし、それぞれみずからの企業の力をもって海外の市場開拓等を行うことのできるプラント輸出業者に対しての話でございましたが、このコンサルティング部門を強化するというような形の中で一定の基準ないし方針を定め、その方針に合致し得る力の弱い中小企業者も含めた対策というものもきわめて重要になってこようと思うのでございますが、これらの中小企業が実際にプラント輸出をするとか、あるいはプロジェクトによるところの建設を行うとか、そういうようなことがこの法律改正によって果たして可能になるのかどうか、実際上相手方の政府がそういうような小さな企業に対して輸出保険の保証を求めてくるというようなことはそうないのではないか、と、こういうように考えられるわけでございますが、政府がこの法案提出するに際してはそのような部面に対する配慮等も当然行われておったと思うわけでございますので、この二つの点、いわゆるコンサルティング部門の強化の問題と、中小企業対策としてどう対応していこうとされておるのかという問題について、これは原則的な面でございますから大臣の答弁を聞いておきたいと思います。
  26. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  常識的に見ますと、大型プロジェクトの問題は別でございますが、こういうふうなプラント輸出の問題につきまして、これは大企業だけが利益をするというふうにお考えになりますと、私はいささかその点では違った気持ちを持っております。  と言いますのは、日本中小企業といいますものは本当に世界にも誇るべき実に商魂たくましい勇敢なものでございまして、われわれが海外に旅行いたしましても、実に名もないようなと申してはいけませんが、中小企業の方々がこの際インドネシアあるいはタイ等東南アジアに進出するというようなことで、相当国内が不況でありますだけにずいぶん積極的な活動を海外に向かってしておられます。特に、南米方面なんかも新天地の開拓ということで相当積極的なものがございます。そういう方々こそ金融機関のボンドというものが信用上なかなか受けにくいような場合におきましても、本法の成立によりまして非常に貢献するところが大きいのではないかと私は考えておりますので、その点もまたあわせて担当の政府委員からもなおお答えいたさせますが、原則的に私はかように存じております。
  27. 森山信吾

    森山(信)政府委員 佐野先生から御指摘がございましたように、コンサルティング企業の育成あるいは中小企業に対する配慮という問題は、この法案の中におきまして私どもが大変真剣に取り組んでおるところでございます。  先ほどから御議論のございました日本プラント輸出が欧米先進諸国に比べましてまだ低位にあるということの理由の一つにコンサルティングの力が弱いという問題もございますので、在外公館、ジェトロ等を通じまして私どもは強化に努めているところでございますが、このほかに日本プラント協会というものがございまして、そこに対しまして年間約七千万円の補助金を交付いたしましてコンサルタント事業の強化に努めておるところでございます。なお、このほか、同じ日本プラント協会におきましては、特に中小企業の方々が海外で御活躍になる際のコンサルタント事業に対する育成強化を図る目的から約五千万円の補助金を計上しているところでございます。  このほか、ジェトロにおきましては、先生承知のとおり現在七十一カ所にネットワークを持っておりまして、このネットワークから送られてきます情報を絶えず中小企業の方々に提供するという作業を行っていますと同時に、特に、プラント関係につきましては、五十一年度七千四百万円の予算を講じまして海外諸国のプラント需要をきめ細かく調査し、日本中小企業の方々に情報として提供するという仕事を続けさせていただいておるわけでございます。
  28. 佐野進

    佐野(進)委員 プラント輸出に対しましては、いわゆる技術者の問題あるいはその他いろいろとまだあるわけでありますが、時間の関係もございますので省略いたしますが、いずれにせよ、この法律改正の目的の一つプラント輸出あるいは海外の建設工事がより多く促進されるようにということがあり、それが背景になっておるわけでございますから、結果的にこの法律改正され、運用されるに際して、原則的な部面として、プラント輸出に対してさらに一層のわが国経済発展と諸外国との調和を考え、そしてその上に低開発国の開発に対する協力等々十分なる配慮をしてもらいたいということを要望して、このプラント輸出に対する質問は終わりたいと思います。  次に、海外経済協力関係する問題について若干質問をしてみたいと思うわけであります。  今日の世界経済は、御承知のとおり不況と言っていいと思うわけであります。したがって、先進国全体がこのような情勢の中で経済的にきわめて厳しい立場に立たされておるときに、低開発国といいましょうか、経済協力を求める国々の立場はより以上厳しい情勢にあることは私がいまさら申し上げなくともよく御承知のことと思うわけであります。そういうような状況の中でいわゆるDACとして、OECDの開発援助委員会におけるところの加盟国全体として、一九七五年には対GNP比率で三一%を国際目標では達成したが、わが国は逆に一九七四年、一九七五年と二年連続して経済協力実績は縮小し、対GNP比率では一九七五年が〇・五九%にとどまっている。これはDAC加盟国の十七国中第十四位である。  こういうように経済協力に対してきわめて低い条件下にあるということに対して、世界の諸外国から日本におけるところの経済協力をもう少し強化してもらいたいという要望が強くなっていることは過日の審議の際においても明らかにされておるわけでございますが、こういう情勢下にあるところのその条件は一体どういうことによって発生したのか、わが国が不況下にあるからそうせざるを得なかったということなのか、わが国の政策としてそのような形の中で対応するということに決定したのか、これは外務省、経済企画庁の両方からその現状についての報告を求めたいと思います。
  29. 三宅和助

    ○三宅説明員 お答えいたします。  まず、現状でございますが、先生の御指摘のとおり、確かに絶対額におきましては政府開発援助は第四位でございまして、十一億五千万ドルになっておりますが、対GNP比におきましては七五年は御指摘のとおり〇・二四%ということで、先進国平均、DAC平均の〇・三六%よりはるかに下回っております。  したがいまして、その原因はどこにあるかということでございますが、一つは財政状況が非常に厳しいという予算の制約もございましたけれども、本質的には、日本援助プロジェクト援助であり、プロジェクト援助であります関係上、たとえばダムをつくるとか港をつくる一ということになりますと、一つは、石油ショック後の経済変動の結果開発途上国の中で開発計画の見直しがある、場合によってはプロジェクトの優先順位を変える、それからまた場合によっては従来コミットした金額では足りなくなって、さらに追加、コストオーバーランが出てきたという、こういうような状況がございます。したがいまして、こういう急速な経済変動に対しまして本来日本がやっている。プロジェクト援助がなかなか即応しにくいプロジェクト援助それ自体は非常に結構なことでございまして、民生安定のためにインフラストラクチュアを強化するということは結構なんでございますが、しかしながら、そのやっておるプロジェクト援助経済変動に対してどうしても時差が生じて急激に対応しにくいという性格を持っているということがございまして、残念ながら支出面におきましてかなりおくれが出てきたわけであります。  そのあたりをわれわれといたしましても十分反省しておりまして、一つは予算面での政府開発援助の比率を高めるということで、いまの政府予算原案におきましてもすでに相当の増額を、二二%アップの予算要求をしており、それから、同時に、できるだけ経済変動に即応し得るような執行面での迅速化、手続の簡素化を通じまして一層の促進を図りたいということで鋭意検討中でございます。
  30. 岡島和男

    ○岡島政府委員 いま概括的に外務省の三宅参事官から申し上げたとおりでございますが、特に経済協力基金の状況について若干御説明申し上げます。  経済協力基金は、五十一年度は予算額が二千二百七十億円でございましたが、先ほど三宅参事官が申されましたように、いろいろなプロジェクトの進捗がおくれているとか、あるいは相手国政府の事務処理手続がなかなかうまく進まないというようなこともございまして、五十一年度実績はそれよりもかなり大幅に下回りました。そういう状況でございますものですから、われわれといたしましても単にそれを手をこまねいて見ておるということではなくして、外務省、通産省、大蔵省、企画庁の四省庁が昨年の暮れあたりから会議を開きまして、五十二年度にはできるだけ支出の促進を図るということで現在鋭意検討を続けている段階でございます。  五十二年度当初予算は、いま外務省の方から御説明がございましたように、かなりにまたODAの比率を上げるというような予算が組まれておりますから、われわれとしては、そういうことの努力を通じてその消化を確実にするということでできるだけ努力を重ねたい、このように考えている次第でございます。
  31. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、いま経済協力の問題について外務省と経済企画庁との見解を聞いたわけですが、そこで、これは大臣が答弁されるのか局長の答弁になるのかわかりませんが、いわゆるプロジェクト援助を中心とする海外経済協力とこの法案との関連、いわゆる海外経済協力によるところのプロジェクト援助に対するところのこの法案の持つ意味、これがどういうような関連の中で位置づけられておるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  32. 田中龍夫

    田中国務大臣 まず、対外経済協力の問題が特に大型プロジェクトになりました場合に、約束はいたしましてもその実行が伴わないということで今日まで日本が国際的にけんけんごうごうたる批判を受けておりました。先般も、サウジアラビアのナゼール企画大臣が参りまして、このプロジェクトはもう十二年前にお約束したじゃありませんか、十二年たっても日本がやってくれないから、仕方がないから、フランスとかドイツとか、そういうところに私の方はお約束してしまったんです、ところが、よそと約束すると、いまになってから日本にそれは自分の方にぜひと言われてもどうも困りますと、こういうようなことをずけずけと私のところに参りまして申したのです。だから、私は、いやそれは違います、実は、いままではお約束はいたしましても、よその国がいろいろと産油国に対して武器輸出や何かをいたしております。そういうふうなものが向こうの方に蓄積されておって、それを一つのギャランティーとしてやれますが、日本は平和国家として絶対に武器は輸出しない、それにかわる機構が完成していないと、お約束してもなかなか——ことに、大型プロジェクトでいま先生がおっしゃったような建設関係の多い、向こうのローカルコストのシェアの非常にウエートの高い事業になりますと、輸銀法の十八条の保証もできませんし、また、その他シンジケートができておりましても、ボンドに対しまするギャランティーができていない。こういうことで、実際には向こうの方からオファーを受けながらやろうにもやれない状態が今日まで続いたわけでありますが、このボンド保険というものができますことによりまして今度はそういう点はやれるようになるのですから、あなたの方もそんなことを言わないでもう一遍こっちの方のオファーをひとつやってくださいと言ったわけです。そのナゼールさんに話すときに、向こうから痛いところを言われたのに対しまして、私の方はこのボンド保険が今度はできますからということを申したような次第でございます。  御案内のとおりに、メカニズムの点では構造的に大型プロジェクトを受ける段階までまだまだ行っておりません。というのは、このボンド保険だけではなく、今度海外建設協力会に対しましての一億のファンドもつくりまして、建設業のような役務関係輸出に対しましてもこれが裏づけができるように努力をいたしつつありますけれども、特に、建設業関係のような役務の関係でありますと金融関係保証というものが非常にできにくい。ことに、プラント輸出のごときものは現地の方で人間を採用して現地の物件を買い付けるというような関係でございますから、実は、日本の現行の制度ではなかなかやりにくいのでございますが、このボンド保険とあわせましてなお一層機構的な整備をいたしてまいる所存でございます。
  33. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおりでございますが、事務的に先ほどの先生の御質問に対してお答えいたしますと、通常のコマーシャルベースの商談の際にこのボンド保険が適用されることは当然でございますが、経済協力案件になりました場合に、たとえばパフォーマンス・ボンドあるいはリファンド・ボンド等は当該国から要求をされるわけでございますので、そういう案件につきましてはこの法律に基づきますボンド保険の適用をさせていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  34. 佐野進

    佐野(進)委員 経済協力についてはわが国も基金をつくり、あるいはその他の方法によってある程度国力に応じて増加をしてきておることは事実でありますけれども、しかし、この考え方が一体その中心に何があるのかということについてはいろいろ議論があったわけでありますが、今日の経済情勢の中では、特にオイルショック後この経済協力の中心が中近東に——かつてはブラジルとかあるいは東南アジアとかいうところにも相当程度協力の実績があったわけでありまするけれども、近時は中近東に対するものの増加が非常に大きく、日本における海外経済協力ということの目標は石油を確保するということに置かれているのではないか、いわゆる世界的に経済協力が必要であるというその目標に対して、低開発国を援助し、その国々に経済的にもその他の面においてもより多く発展向上させるという形よりも、日本の国の利益だけを考えてやっておるのではないかというように言われておるわけでありまして、そういうことは実績の中で示されておると私ども判断しますが、政府はそう思っているのかいないのか。  これは外務省ですか、あるいはどこですか、お答えをいただきたいと思います。
  35. 杉山和男

    ○杉山説明員 お答え申し上げます。  日本の二国間政府開発援助の地理的な配分を見ますと、七四年以降、御指摘のとおり中近東の割合は増加いたしております。しかしながら、依然はなはだ小規模な開発援助でございましたために、世界全体に対する比率でははなはだ少ないという結果になっております。現実の供与額で見ますと、七四年は日本が全世界に対して供与しておりまするうち中東には〇・三%にすぎませんでしたが、七五年になりますとこれが全体の三・九%に上がってきたという状況でございますが、もっとも、約束額にいたしますと、七五年には全世界向けへの約一割程度ということになっておると考えます。それで、供与額の方を現実の実績で考えた場合に、これをDACの加盟国の平均を計算いたしてみますと六・六%でございますので、日本の三・九%というのはまだ低い水準にあるというふうに申し上げざるを得ないんじゃないかと思います。それから民間を含みます経済協力の総額で見ましても、七五年が三・九%と、同じような数字になっております。  一方、貧困国に対する援助に関しまして、わが国の二国間の政府開発援助の供与先を所得別に見ますと、一人当たりの年間所得が二百ドル以下のいわゆる最貧国に対しまして、政府援助の全体の五六・九%を振り向けております。これは国際的にDAC加盟国平均で見ますと四九・一%ということになっておりますので、国際平均よりは高水準に行っておるということが言えると思います。しかし、なお最近、主要先進国あるいは国際開発金融機関等が貧困国援助を特に重要視しており、そちらの方向に重点を移すべきだということを言っておりますが、そういう動きを考慮しながら、わが国といたしましても今後とも積極的にそういう方向に振り向けていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  36. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま経済協力部長から主として政府開発援助関係の御説明を申し上げたわけでございますが、私から、プラント輸出につきましての中近東のシェアの推移を中心にいたしまして、先ほどの先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。  昭和四十九年度を見ますと、中近東のシェアが七・八%でございました。東南アジアが三六%、中南米が一三%に対して中近東のシェアは比較的に少なかったわけでございますが、これが昭和五十年度に至りますと中近東のシェアが二一・八%までに急激に伸びてまいっております。ちなみに東南アジアは二八・五%、中南米が一九・四%というふうになっておりまして、五十一年度に至りますと、これは四月から十二月までの数字でございますが、中近東のシェアが一九・七%ということでございまして、大体二〇%という数字でございます。  先ほど先生から御指摘のございましたのは、かつては中近東に対するシェアが少なかったにもかかわらず五十年度以降急激に中近東に対するシェアがふくれ上がったのは油に対する配慮があるのではないかという御質問であったと了解するわけでございますが、私どもは、単に石油の問題ということだけではございませんで、やはり、産油国を中心にいたしますところの中近東諸国におきまして、オイルダラーを利用いたしましたその国の経済建設という計画がございまして、そういう経済建設に対する協力を行っていく、それが先ほど大臣がお答えになりましたようにオイルダラーのリサイクルにもつながってくるのではないかと、こういう多角的な目的のもとに中近東に対するプラント輸出をやっておるということでございまして、単に石油がらみでやっておるというわけではないということを御了解賜れば大変幸せだと思っておる次第でございます。
  37. 三宅和助

    ○三宅説明員 中近東に対する経済協力の数字につきましてはすでに通産省の方でお答えいたしましたが、第一の御質問経済協力の目的、これを資源外交ということに関連いたしまして概括的に御説明させていただきます。  経済援助の目的という中にはいろいろございます。一つは、端的に、地震が起きたからかわいそうだから援助してやろうという人道主義的な見地もございますし、また、ほかの国も拠出するから日本も先進国の一員としてこれにつき合うという場合もございます。それからさらには輸出振興なり資源確保という目的もございますが、やはり、究極的には、日本経済というものが世界的な広がりを見せておりますし、また、開発途上国に対する日本経済の依存度というものが非常に大きい、投資の面でも、輸出の面でも、輸入の面でも、また資源の面でも多い、したがって開発途上国の経済安定、民生安定というものが日本経済全般にとって望ましいという見地から、いわば国際協調の一環ということ、この見地が一番重要でございます。したがいまして、そういう見地から経済援助をやっております。
  38. 佐野進

    佐野(進)委員 経済協力の問題については、論議すれば何時間あっても足りないほどでございますが、いわゆるきょうの法律審議と関連いたしまして、わが国海外経済協力という、その過去の実績と将来の展望に立ってプロジェクト援助をするについても積極的に対応し、その国力の持つ世界的な責任の範囲の中において対応していただかなければならぬのじゃないかと考えるわけでございます。そういう点についていろいろ申し上げてみたい点もたくさんあるわけでございますが、時間も余りございませんし、法律内容について審議をしていきたいと思いますので、この法律の関連の中で関係省庁において積極的に対応していただくことを要望いたしまして、この項における質問を終わりたいと思います。  さて、輸出保険法の一部を改正する法律案内容について質問をしてみたいと思いますが、その前にまず輸出保険の運営関係全般について質問をいたします。  この法律昭和二十五年の制定発足以来たびたびの制度改正が行われてきたのでございますが、その間、この保険を利用する形の中でわが国の貿易あるいはわが国海外進出が相当程度促進されてきたことは事実であろうと思うのでございますが、その総括的な効果というものについて、概略で結構ですからこの際報告しておいていただきたいと思います。
  39. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま佐野先生から御指摘がございましたように、わが国輸出保険法成立いたしましたのが昭和二十五年でございまして、それ以来国際環境の変化等に対応いたしまして逐次改善を図ってまいりまして、現在では、普通輸出保険を初めといたしまして八種類の輸出保険を擁するに至っておる次第でございます。  これに伴いまして輸出保険の利用も逐年増加いたしておりまして、輸出保険責任残高は制度の発足いたしました昭和二十五年度末に三十七億円でございましたものが、十年後の昭和三十六年度末には六千二百八十億円にふくれ上がっておりますし、それから十四年たちました昭和五十年度末には十三兆三千六百二十九億円という急激な増加を示したわけでございます。  ちなみに、最近の運営実績は、昭和五十年度で引き受け件数五十七万件、引き受け金額八兆二千億円、支払い保険金九十二億円でございまして、昭和五十一年度は、四月から十二月までの数字で申し上げますと、引き受け件数四十七万件、引き受け金額七兆六千億円に達している次第でございます。  なお、昭和二十五年創設以来の総引き受け件数は八百四十五万件、契約金額は四十六兆一千七百六十八億円となっている次第でございます。
  40. 佐野進

    佐野(進)委員 このように巨額な保険が掛けられておるわけでございまして、そしてそのことによって先ほど申し上げたとおり一定の効果を上げておるわけでございまして、できるだけ広く危険分散を図るために利用率の向上が課題となっておるわけでございますが、現在のわが国の総輸出のうち輸出保険に付保されている比率はどのくらいのものになっているか、そして、将来これがどういうような条件の中で推移していく見通しであるか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  41. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、昭和五十年度の引き受け金額が八兆二千億円でございまして、輸出全体のカバー率は四五%程度というふうに考えております。  それから、先生の御指摘になりましたところの、今後この輸出全体に対するカバー率がどうなるかという御質問でございますが、私ども判断といたしましては今後ますます輸出環境が複雑化していくということを考えておりますので、輸出保険の輸出に果たす割合はさらに増加していくのではないかという一般的な考え方を持っております。特に、先ほど来御質疑のございましたプラント輸出等の、特に大型プロジェクトというものが今後ふえてまいりますと、当然に輸出保険に対する期待はふえていくのではないかと、かように考えておるところでございます。
  42. 佐野進

    佐野(進)委員 当然ふえていくんだろうということが考えられるわけですが、現在四五%程度である、そしてこの大型プロジェクトプラント輸出等々が促進していけばふえていくであろうと見通されるということでございます。したがって、その見通しの幅はいま四五%であるとするならばどの程度になるかという見通しをいま聞いておるわけです。ふえていくであろうということは私どもは大体わかるわけですが、過去の推移の中で将来の見通しはどう把握されておるか、これは今後の問題と関連いたしますのでこの際聞いておきたいと思います。わからないならわからないでいいけれども、わからないということはないだろう。
  43. 森山信吾

    森山(信)政府委員 輸出全体に対します輸出保険のカバレージがどうなるかということは、正直に申し上げまして数字としてつかんでおりません。一般論としてふえていくだろうという見通しを持っておるだけでございますが、ただ、プラント輸出あるいは海外建設工事に関連いたしまして、このボンド保険が制度化されますと急速な勢いで伸びてくるという期待はございまして、もちろん、いままでボンドを発行いたしておりますものに対しまして保険がつくということになりますと、その増加率はかなり急激になるのではないかということを申し上げたわけでございまして、大変申しわけないわけでございますが、実数をもちましてこの程度ふえるだろうという数字は現在のところ把握いたしておりません。
  44. 佐野進

    佐野(進)委員 いわゆる効率が高くなっていくであろうということは間違いないわけでございまして、もちろん将来の見通しだからここでその数字が明らかだということはなかなか言えないと思うわけでございますが、しかし、そういうような情勢の中で輸出保険全体に対する運営を図っていかなければならぬわけでありますから、そういたしますと、輸出保険をめぐる今日の国際環境は、発展途上国における経済情勢、いわゆる対外債務の累積と外貨事情の悪化、さらにまた先進国においては保護貿易主義の台頭、わが国も一面そのような考え方もとらざるを得ない業種もあるわけでございますが、さらにまた大型案件の増加と、それらに対するところの国際競争力の激化、あるいは延べ払い条件の変化、こういうように考えてまいりますと、海外取引形態の多様化も含めまして、保険事由が複雑多様化してきていることは間違いないわけであります。数はふえる、そしていま申し上げましたような諸条件が発生するというような形になりますと、必然的に保険の引き受け体制を充実していかなければならぬということになってまいろうかと思うのでございますが、この保険の引き受け体制の充実等に対してどう対応されているか。これは大臣がいいのか局長がいいのか、その見解をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  45. 森山信吾

    森山(信)政府委員 佐野先生の御指摘のとおり、引き受け審査体制の充実が急務となってきておるわけでございます。通産省といたしましても、これまで、輸入国の経済力評価システムの改善、テレックス網による海外輸出保険機関との情報交換の緊密化、累次の通達改定等を行ってきておるところでございます。  今回輸出保証保険の創設をお願いしておるわけでございますが、これに当たりましては、特に専任の職員の配置を、これは四人の定員増をお願いしておるわけでございまして、そのうちボンド保険関係に二人を充当したいと思っておりますが、そのほか海外との情報交換の項目にボンドにかかわります事故の通報を追加すること等の措置をとることによりまして審査体制の整備を図りたい、かように存じておるところでございます。
  46. 佐野進

    佐野(進)委員 最後に、この輸出保険運営関係について聞いておきたいのですが、いまのように引き受け体制を整備する等の措置を今度の法律成立に際してとるという説明があったわけでありますが、そういたしますと、包括保険制度等においては保険契約の引き受けを制限することもあり得るわけですね。いわゆる特定国という対象を設置してそういうようなこともあり得るわけでございますが、そういういわゆる特定国というものはどういう基準で設定をし——特定国に対する保険引き受けの制限が相手側の信用を傷つける等国際問題等になっていくおそれがあるのではないかと思うが、そういうような問題等に対して、引き受け体制の充実の状態の中においてどう対応していこうとしておるのか、この際法案内容に入る前に一言聞いておきたいと思います。
  47. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま佐野先生から御指摘がございましたように、特定国という制度がございまして、これは普通輸出保険のうちの包括関係あるいは輸出代金保険のうちの包括関係等につきまして特定国を定めておるわけでございますが、外貨事情の悪化によりまして代金回収等に不安のある国というのは一般的な考え方でございまして、現在そういう考え方のもとに二十五ヵ国が特定国になっておるわけでございます。このほか輸出手形保険につきましても特定国の制度をとっておりまして、同様の取り扱いをいたしておるところでございます。  これは日本だけの制度ではございませんで、輸出保険制度を持っております諸外国におきましても、ただいま御説明申し上げましたような趣旨のもとに同様な措置をとっておるわけでございまして、それらの国々とお互いに情報交換をしながら引き受け方針を決定しているところでございます。  先ほど私がお答えいたしました中に、海外とのテレックス網の整備ということを申し上げましたが、これはいま申し上げましたように、諸外国におきます輸出保険機関との間の情報の連絡を緊密にしようという趣旨でございまして、そういうことによりまして、日本だけでキャッチし得る情報ということだけではなくて、諸外国からも情報をとりながら引き受け体制を整備していこうとこういう考え方をとっておるわけでございます。  なお、いま申し上げました特定国は外貨の関係から主としてそういう認定をしておるわけでございますので、その後その国が経済が好転いたしましてその心配がなくなれば当然特定国を解除するという措置をとっておるところでございます。
  48. 佐野進

    佐野(進)委員 いまの包括保険制度等における問題でありますが、そうするともう一つ、これは個別保険契約に対する逆選択が可能なわけでありますが、こういうような個別保険選択に対する駆け込み防止対策等はどのように配慮されておるか、この際これも明らかにしておいていただきたいと思います。
  49. 森山信吾

    森山(信)政府委員 個別保険につきましては、先生指摘のとおり選択の自由を有するものでございますから、場合によりましてはその逆選択ということになりかねませんので、私どもにおきましては、申し込み時期に期限を付しましたり、あるいは仮申し込みの制度をつくりましたり、予約制度を設けましたり、免責期間を設けたり、こういう措置によりまして、一定の基準を超えたものは引き受けをいたしませんということによりまして駆け込みの防止に努めておるところでございます。
  50. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、最後に、輸出保険改正案の内容について若干の質問をしてみたいと思います。  すでに本改正案につきましては多くの委員から質問がなされておるわけでございますから、その内容については大部分明らかにされておろうと思います。私は社会党の立場で最後の質問者でございますので、以下質問をいたした結果、本法案に対する態度を明らかにしてまいりたいと考えます。  その第一は、本改正案はボンド発行及びこれに関連して輸出保証の定義を設け、大別して三つの類型で、その展開を加えれば四つの類型に分かれているわけであります。第一の類型は入札の際の保証、すなわちビッド・ボンドの発行であり、第二の類型は契約の際の保証、すなわちパフォーマンス・ボンドであり、あるいはリファンド・ボンドの発行であり、第三の類型は裏保証であると理解することができるわけであります。  このうち、第三の類型である裏保証はどのような場合を想定して規定したものであるか、その仕組みは通常どういう形になっているのか、この際、説明をしていただきたいと思うのであります。
  51. 森山信吾

    森山(信)政府委員 裏保証と申しますのは表保証人に対して保証することを言っているわけでございますが、通常三つの形態があるというふうに私どもは予想をいたしておるわけでございます。  その第一の形態は、発注者が現地の銀行を保証人に指名した場合、この保証人に対する裏保証を本邦の銀行に求めてくる場合でございます。第二のケースは、本邦の銀行等がボンドを発行する場合におきまして、輸出者の担保だけでは不十分であるということから、他の銀行に対しまして裏保証を求めてくるケースでございます。第三のケースは、複数の本邦銀行が共同で保証をする場合に、手続の繁雑さを避けるためにそのうちの一行を表保証人といたしまして、他の銀行がその裏保証人になる。この三つの場合を想定しておるわけでございまして、この三つはいずれも先ほど先生のおっしゃいました類型の中に合致するものとして取り扱いをいたしたい、かように存じておるところでございます。
  52. 佐野進

    佐野(進)委員 そうするといま私がお聞きしたことになるわけでございますが、この第四の類型で裏保証の裏保証というのはどのような場合を想定したものであるか。裏保証があってもう一つ保証があるというような形になっているわけでございまして、非常に理解がしにくくなっているわけでございますが、この仕組みは通常どういう形になっているのか、いまの説明に関連してひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  53. 森山信吾

    森山(信)政府委員 裏保証の裏保証と申しますのは、先ほど私がお答えいたしました三つのケースにさらにもう一つ保証がつく場合を考えておるわけでござます。
  54. 佐野進

    佐野(進)委員 私がいま質問をいたしておりますことは、本法が制定せられるに当たって、その理解、その解釈が明確になされておらなければならないという意味において質問をいたしておるわけでございますので、できる限り詳細な答弁をしておいていただきたいと思います。  次に、輸出保証の定義に関する規定におきましては、各類型の輸出保証であって、「保証金額その他政令で定める事項についての定めがあるもの」となっているわけでございます。これは輸出保証を特定する趣旨と考えるが、この政令においてはどのような事項をどのように定める予定になっておるか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  55. 森山信吾

    森山(信)政府委員 この法律におきまして、「「輸出保証」と建次に掲げる保証であって、保証金額その他政令で定める事項についての定めがあるものをいう。」というのが第一条の二第九項の規定でございますが、ただいま先生の御質問になりました「政令で定める事項」につきまして現在私どもが考えておりますのは三点ございます。  第一点は主契約を特定するに足る記述があること、つまり、どういうプラント内容であるか、あるいはどういう海外建設工事の内容であるか、この主なる契約を特定するに足る記述があること、第二番目は保証債務の履行条件、ボンドを出しましたときの履行条件はどうなっておるかということ、第三番目は保証の有効期間、何年間保証するかということ、この三点を政令で決めたい、かように存じておるところでございます。
  56. 佐野進

    佐野(進)委員 その次に、この改正案において対象となる輸出保証の範囲をこのように定めることによりボンド発行及びこれに関連する輸出保証すべてをカバーし得る、と、こういうぐあいにいまの説明その他においては考えられるわけでありますが、そう理解してよろしいか、この際、だめ押しのようですが聞いておきたいと思います。
  57. 森山信吾

    森山(信)政府委員 法律上の規定から解釈いたしますと、たとえば私どもが御審議願っております入札保証あるいは履行保証、前渡金返還保証、これだけしか読めないことはないという感じがいたしますけれども、このほかの、たとえば輸出契約に基づきます債務で当該契約の相手方に対してする保証につきましては、このほかにもあり得る可能性はございます。  しかしながら、現在世界各国で共通的に発行を求められておりますボンドの種類が入札保証、履行保証、前払金返還保証ということでございますので、法律上は一〇〇%これだけでおしまいというわけではございませんけれども、大部分がこれでカバーできる、こういうふうに考えておるところでございます。
  58. 佐野進

    佐野(進)委員 次に、輸出保証保険は入札者、輸出者等が外国為替公認銀行等のために保険契約を締結するもの、換言すれば保険契約者は入札者、輸出者等であり、被保険者は外国為替公認銀行となると考えられますが、そういうぐあいに解釈してよろしいかどうか。  これはわれわれも他に説明を求められた場合に、明確に相手側に理解をさせることが大変むずかしい場合もたびたびありますので、この際この点を明確にしておいていただきたいと思います。
  59. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたとおりでございまして、被保険者は十条の二第二項に基づきまして「外国為替公認銀行その他政令で定める者」というふうになっておりまして、「政令で定める者」とは、当面私どもは損害保険会社を考えておるところでございます。したがいまして、政令でそういう指定をさせていただきますと、外国為替公認銀行と損害保険会社が被保険人になる、こういうことでございます。そのほか、先生指摘のとおりでございます。
  60. 佐野進

    佐野(進)委員 この項については、実は時間があればもっと突っ込んだ解釈上の質疑をしてみたいと思っておったわけですが、時間がなくなりましたので、いまの説明で一応了承しておきたいと思います。  次に、輸出保証保険については、政府が保険を引き受ける限度額は、特別会計予算総則第十三条によって四千億円となっておりますが、これは、この法律の施行を一応十月一日と予定しておられ、それ以降半年間の限度額と考えられますが、そういう意味でこのように金額を決めておられるのかどうか、そしてこの四千億円という算定基礎はどういう条件の中でそのように算定をされておるのか、そしてこの場合この半年間においては不足が生ずるおそれがないのかどうか、こういう点についてこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  61. 森山信吾

    森山(信)政府委員 契約限度額の四千億と申しますのは、先生指摘のとおり半年分のことを考えておるわけでございまして、御承認賜りますならば、この制度は十月一日以降に発足させたい、こういうふうに考えておるところでございます。  なお、四千億に算定いたしました根拠でございますが、昭和五十年度のボンドの発行額がございまして、これは二千六百四十億だったと思いますが、これに対しまして、今後の伸び率、さらに今後発行されるボンドに対しまして予想されます付保率、つまりどれどれの保険に掛けてくるかという率、さらには平均てん補率、そういうものを掛けまして、それの半年分予算ということでございまして四千億を算定したわけでございますが、初年度ということもございますので若干の余裕率を見ております。したがいまして、四千億で十分賄っていけるというふうに判断をしておるところでございます。
  62. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、この法律案内容についての一応最後の質問をしてみたいと思うわけでありまするが、輸出保証保険において一定金額以上のボンドが対象になると考えられますが、その決定いかんによっては、中小企業者がこの制度を利用することが困難になるわけであります。いわゆるすそ切り問題があるわけでありまするが、政府はこれに対してどう対処する方針であるのか、これは保険契約に定められることになるのかどうか、この点をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  63. 森山信吾

    森山(信)政府委員 輸出保証保険のうち、包括保険方式におきましては、ただいま先生指摘のとおりすそ切りというものを設けたいというふうに考えておるわけでございます。  たびたびこの委員会でお答え申し上げておりますように、この保険制度は中小企業の方々にも十分利用していただきたいという願望を持っておりますので、このすそ切りの限度を余りにも高くいたしますと中小企業の方々の利用が困難になるという判断がございますので、私どもは、すそ切りを段階的に設けるということが一つと、その一番最後のすそ切りをできるだけ低いものにするということを考えておるわけでございまして、具体的なそのすそ切りの決め方につきましては特約書において定めたいということでございます。  なお、どの程度の金額にするかにつきましては目下検討中でございますが、特に中小企業関係の団体の方々あるいは中小企業専門の銀行の方々と十分相談をしながら、先ほど申し上げましたように、どの程度であれば中小企業の方々に利用していただけるかということを見定めて、ただいま御説明いたしました特約書で決めさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
  64. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、私は約一時間五十分近く質問を続けてきたわけであります。そして、この質問をする中で、本法律案提出に至るまでの背景に対して、あるいはその背景をどう理解するかということについて原則的に大臣質問をいたしました。そしてこの原則に基づいて、このボンド保険成立した際にその最も対象になるプラント輸出、あるいはプラント輸出と同時にプロジェクト援助を中心とする海外経済協力に対しての基本的な考え方を明らかにし、さらにまた法案の運営状況、保険法のいままでの運営の内容法律内容について質疑を続けてきたわけであります。その質疑の経過を通じて、わが党は一貫して輸出保険法に対してこの制度を認める形の中でその意味を認め、賛成の態度をとり続けてまいりました。したがって、賛成する態度をとり続けてきた経過の中で本法案に対する賛否を決めたわけでございますが、その立場に立って、以下これから申し上げる点について大臣の見解をお聞きしておきたいと思うわけであります。  政府は、プラント輸出等が行われるためにこの法律を必要と思われておるわけでございますが、先ほど冒頭から質問を申し上げておるように、この輸出が公正に行われるということが何としても必要だと思うのであります。したがって、公正に行われるためにはどうしても取り扱い責任者がその体制を整備することと、同時に、また、その対象業者に対して的確なる指導方針を持ち、その指導方針に基づいてこの法律を運用していくこと、こういうような形で対処していただかなければならないと私は思うのでございます。  原則的に先ほど来質問していることの繰り返しになりますけれども、締めくくりの意味において、まず、その点についての基本的な考え方をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  65. 田中龍夫

    田中国務大臣 当該プラント輸出に対しましての非常に深い御理解と、また、国民経済に与えます諸般の重要なプラント輸出あるいはプロジェクトの問題につきましての深い御検討あるいは御推進を賜りまして、厚くお礼を申し上げます。  これを執行いたします責任があります政府といたしましては、本件は、国民経済という大きな視野に立って、同時にそれが貴重な国家予算の問題と関連いたします意味におきまして、その執行に当たりましては、厳正にしかもかりそめにも不当なことがありませんように責任を持ってこれに当たるということをお誓いをいたしまして、お答えといたしたいと存じます。
  66. 佐野進

    佐野(進)委員 以上で終わります。
  67. 野呂恭一

    野呂委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時十三分開議
  68. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。長田武士君。
  69. 長田武士

    長田委員 ただいま議題となっております輸出保険法の一部を改正する法律案について、並びに関連しまして若干の質問をいたします。  今回の輸出保険法の一部改正案は、外国為替公認銀行等のボンド発行を容易にしていく点からわが国プラント輸出促進及び海外建設工事の促進に役立つことは理解できるわけでありますが、この輸出保険によっててん補される損失は、プラント輸出輸出者及び海外建設工事の請負者等が、契約の本旨に従った履行をし、または不履行について責任がないにもかかわらず、発注者から不当に保証債務の履行を請求されて生じたものに限定されるということになっております。したがって、この保険給付については、当該損失の前提となるプラント輸出契約の履行、不履行の責任の有無の認定が問題となってくるわけでございます。言いかえれば、発注者保証債務履行請求の不当性の有無の判断が重要な問題となってくるわけでございます。  もとより、この認定は公平かつ客観的に行わなければならないわけでありますが、ケースによってはきわめて困難なものもあると考えられるわけであります。しかし、余り厳格過ぎては保険給付の対象が狭小となり、プラント輸出者等に求償権が行使される場合が多くなるなど、制度創設の趣旨を損なうおそれさえも出てくるわけでございます。したがって、この制度の運用にあたっては、可能な限り広く保険給付によって損失がてん補されるよう一般的な認定基準を策定し、具体的な個別案件について慎重に判断する体制を整備することが必要と思われますが、政府みずからがどのような機関を設置し、これに対処しようとされるのか、この点についてまずお伺いをいたします。
  70. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、現在御審議をお願いしております法律改正案は、私どもの案といたしましては、日本受注者責任がない場合に不当にボンドを没収されたことに対する保険ということでございますので、その有責、無責の判定と申しますものがきわめて重要なことになってまいることは先生指摘のとおりでございます。  そこで、私どもといたしましては、第一義的には政府が当該案件を慎重に分析、検討いたしました上で有責、無責の判定を行うという仕組みを考えておりますが、政府のみの判断ではなかなか判定がしにくいというケースも起こり得ることが予想されますので、特別の専門的な知識を持ちます方々にお集まりいただきまして、審査会を設けまして、その審査会におきまして有責、無責の判定をお願いする、その審査会の結論に従いまして政府判断を下す、こういう仕組みを考えておるわけでございます。  なお、審査会におきましては、一応プラント輸出あるいは海外建設工事等でございますから、その方面の専門的な知識を持った方あるいは技術的な知識を持った方、あるいは法律の専門家、また、当該紛争が発生いたしました地域の海外事情に精通した方、そういう方々をもって構成いたしたい、かように存じておる次第でございます。
  71. 長田武士

    長田委員 この保険は、保険金を受け取った銀行に相手方から回収するよう義務づけておりますが、プラント輸出海外建設工事の場合は、相手方が公社、公団等の政府機関が多いわけでありますので、民間ベ−スでは交渉してもなかなからちが明かないという問題が当然出てくると思われます。したがって、政府が積極的にこれに乗り出して相手国政府と強力に折衝すべきであると私は考えますが、この点はいかがでしょうか。
  72. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、プラント輸出あるいは海外建設工事と申しますものは、最近相手国が公社、公団等から発注されるケースがふえてまいっております。ただし、この保険の法律におきまして被保険者となっております者が、先生指摘のとおり銀行等が——これは正確に申し上げますと外国為替公認銀行と損害保険会社を考えておりますが、この二つが被保険者になっておりますので、保険の論理から言いまして、被保険者が回収義務を持つのは当然であろうかと思っております。  したがいまして、第一義的には被保険者たる銀行あるいは損害保険会社が回収の努力をすべきであると思いますけれども、御指摘のとおり、相手が政府ベースである場合にはその回収努力がむなしく終わってしまうというケースも予想されますので、そういう場合には政府としても側面的な協力をすると申しましょうか、政府間の交渉に持ち込むということも十分考えなくてはいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  73. 長田武士

    長田委員 最近、大規模。プロジェクト等、プラント輸出海外建設工事などの大型化に伴いまして、担保力の不十分な中小企業輸出案件については外国為替銀行等がボンド発行を渋ったり拒否したりするという事例が出始めておるわけであります。こうしたことから、危険分散の見地から複数の銀行の共同保証によるケースも増加の傾向を示しておるわけであります。  そこで従来から保証してきた銀行が危険を感じてボンド保険の創設に乗り出してきたと思われるわけでありますが、銀行は現在でも莫大な貸し倒れ引当金を持っておりますし、しかも、その上に税法上の優遇処置もありまして、こうした制度の創設はプラント輸出促進に名をかりた銀行保護政策の一環ではないかと受け取られる向きもございますが、この点について通産省としてはどうお考えでしょうか。
  74. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御審議を賜っております法律改正案におきましては、被保険者を「銀行等」といたしております関係上、保険金の受け取りは銀行及び損害保険会社になるわけでございます。  したがいまして、銀行等がボンドを発行いたしまして、仮にこれが不当に没収されるということになりますと保険を払うわけでございますので、あたかも銀行等に対しまして手厚い保護をするというふうに見えないこともないわけでございますが、現実の問題といたしまして、ボンドを発行してもらわないと輸出ができないという問題がございまして、最終的にその保険金の受益者は輸出者あるいは海外建設工事の工事をした者、建設業者というふうに考えておるわけでございますので、特に銀行に対して手厚い保護をするためにこのボンド保険制度をお願いしているという趣旨ではないというふうに私どもは解釈している次第でございます。
  75. 長田武士

    長田委員 ボンドを発行する場合、従来はどの程度保証料率がかかったのか、保証料率と構成比はどうなっておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  76. 森山信吾

    森山(信)政府委員 銀行がボンドを発行する際に依頼人たる輸出者から徴収する保証料は輸出者の信用力等によって異なってくると思います。  私どもがこれまで行われましたボンドにつきまして実態調査を行いました結果によりますと、保証料率が〇・四%未満が全体の一六%でございます。それから〇・四%から一%未満が六九%ということでございますので、大部分が〇・四%から一%の問ではなかろうかというふうに把握しているところでございます。
  77. 長田武士

    長田委員 では、ボンド保険が制度化された場合、この保証料率がどのようになるか、どれだけ安くなるかということでありますが、その点はいかがでしょうか。
  78. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、銀行等は一定の割合に応じまして保証料を取っておるわけでございまして、その保証いたしましたボンドにいわゆる保険がつくということになりますと危険性がかなり削減されますので、その限りにおいて保証料が下回ってしかるべきではないかというふうに私ども判断いたしておりまして、銀行等に対しましてできるだけ保証料を下げてもらいたいという期待を強く持ちましていろいろと必要な施策、措置を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  79. 長田武士

    長田委員 料率を下げるという希望を持っておるということでありますが、行政指導をする考え方がございますか。
  80. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私ども行政官庁の立場からいたしますと、こういう保険制度が整備されますと、先ほどお答えいたしましたように危険性がかなり減ってまいりますので、保証料を下げるべきであるという期待を持っております。  ただし、先生御案内のとおり、現在行われております保証は銀行と輸出者等との間の私契約によって決まるものでございますから、具体的にどの保証料をどの程度下げろということはなかなか指導しにくいという面もございますので、マクロの立場から私どもとしましてはそういう期待を持っておるということを十分銀行等に対しまして周知徹底いたしまして、それによって引き下げが行われるように強く期待をしたい、こういう趣旨でございます。
  81. 長田武士

    長田委員 現在、輸出保険は八種類の保険から成り立っておるわけでありますが、保険種別による中小企業者の利用比率はどのようになっておりましようか。
  82. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、普通輸出保険について見ますと、製造業十億円以下、商業で三億円以下のいわゆる中小規模の企業の方の利用率は件数で一九%、金額で六%でございます。  次に、輸出代金保険につきましては、件数で二%、金額で五%ということでございますけれども、その次の輸出手形保険につきましては、件数で五二%、金額で二八%と、かなり多く利用されておりますし、また、輸出金融保険につきましては、件数、金額ともほぼ一〇〇%中小企業の方々が利用していただいておる、こういう状況でございます。
  83. 長田武士

    長田委員 今回の輸出保証保険においては、ある企業が発行依頼した一定額以上のボンドはすべてに付保される企業包括保険制を採用することが予定されているわけでありますが、この制度では一定額に満たないボンドはすそ切りされ、付保対象から落とされるため、一定額の設定の仕方いかんによっては比較的少額のボンド調達に支障が生じてくるおそれがあると考えられます。  近年、中小企業プラント輸出は重要性を増してきているわけでありますが、一般に中小企業者は担保力が弱いために銀行等がボンド発行を渋るケースが見られておるわけであります。しかし、ボンド調達の円滑化を最大のねらいといたしました今回の改正案の趣旨からすれば、企業包括保険制度における対象範囲のすそ切り基準の設定に当たっては、大企業中小企業との区別を明確にした上で、中小企業者輸出保証保険の利用が妨げられないように配慮する必要があると思いますが、通産省としては、企業包括保険制度における対象範囲のすそ切り基準をどのように設定しようとしておられるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  84. 森山信吾

    森山(信)政府委員 包括保険制度におきましては、ただいま先生から御指摘のとおり、一定の金額、一定の期間を定めまして、その範囲で受け付けをするというシステムになっておりまして、その一定の金額をすそ切りと言っておりますが、このすそ切りの限度がある程度高い状況になりますと、御指摘のとおり中小企業の方々に利用しにくくなってくるということは私どもも一番懸念するところでございますので、できるだけこの下限額を低くしたいということでございます。それと、もう一つは、中小企業の方々と申しましてもいろいろ階層別に違っておりますし、業態別にも違っておりますので、そのすそ切りの限度を段階的に決めていったら利用していただきやすいのではないかということでありまして、こういう二つの考え方ですそ切りの線を決めたいと思っておるわけでございます。  なお、具体的に幾らにするかという問題につきましては、これは特約で定めるわけでございますので、ただいま中小企業専門の金融機関の方々あるいは中小企業関係の団体の方々とも相談いたしまして、どの程度であれば一番理想的に運営されるのかという線を十分相談をさせていただいて具体的に決定をさせていただきたい、かように存じておる次第でございます。
  85. 長田武士

    長田委員 プラント輸出日本の貿易、産業構造の高度化を図る上で重要であり、しかも発展途上国経済発展に大いに寄与するものであることは十分理解できるわけでありますが、しかし、他方では日本から輸出した。プラントの製品が日本に逆流して国内市場を荒らすという問題も現在出ておりますし、さらにそれが激化してくるということが予測されるわけでありますが、通産省はこの点どのような配慮をされておるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  86. 森山信吾

    森山(信)政府委員 プラント輸出に伴う逆輸入問題でございますが、これはただいま先生から御指摘がございましたように、プラント輸出に伴います。つの問題点ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。  プラント輸出の中身を分析してみますと、全く問題の生じないようなプラントもございます。たとえば発電プラント等はその範疇に入ろうかと思いますけれども、ただ、先生の御指摘の点は、たとえば繊維関係あるいは雑貨関係等によく見られるような現象ではないかと思いますが、これはプラント輸出そのものが、相手国の経済力の強化という観点から相手国の経済計画等に従いまして需要の出てくるという観点もございますし、それからわが国の産業構造、貿易構造の高度化にも役立つという面もございますし、さらにはわが国が供給をしない場合に第三国が進出して供給をしてしまうというケースもございますし、いろいろな問題もございますので、私どもは総合的に判断をしているわけでございます。  特に、最近問題となっております繊維、雑貨等、近隣諸国から輸入されて日本国内で非常な問題を起こしておるというケースもございますので、その点につきまして十分頭に入れながら具体的なケースにつきまして慎重に判断を下していこう、こういう態度をとっておるわけでございます。
  87. 長田武士

    長田委員 五十一年度わが国プラント輸出額は、日本機械輸出組合の調査によりますと約六十五億ドルで、前年に比べて五九%の増加となっておりますが、これは政府の当初目標であります年度間百億ドルにはほど遠い現状でございます。  政府で取りまとめたところでは、五十一年度における各種プラント輸出成約額はどのようになっておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
  88. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま先生のお示しになりました数字は、恐らく日本機械輸出組合の成約統計ではなかろうかと思いますが、私ども輸出承認ぺ−スで統計をとっておるわけでございまして、五十一年の四月から十二月までの数字でございますが、五十一億八千万ドルという数字になっております。対前年同期に比較いたしますと三一・五%アップでございます。  なお、いま申し上げました数字は十二月までの数字でございますので、ことしの一月−三月、つまり五十一年度年度を通しましての見通しといたしましてはおおむね八十億ドルが五十一年度中に輸出承認されるものというふうに私どもは把握しておるところでございます。
  89. 長田武士

    長田委員 政府の当初目標であります年度間百億ドルに対して、ただいまの御答弁は八十億ドルということでありますが、このような大幅な見込み違いが出てしまったわけでございますが、その原因はどこにあるのか、その点いかがでしょうか。
  90. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答えいたしました点は若干舌足らずでございましたので補足させていただきますと、輸出承認ベースで八十億ドルの見込みでございますが、このほかにいわゆる内諾ベースで二十億ドルほど私どもは実現するというふうに考えておりますので、おおむね百億ドルになるのではないかと考えております。  ただし、私どもが百億ドルと申してまいりましたのはいわゆる輸出承認ベースの話でございますので、先生の御指摘のとおり当初の予想よりはある程度ダウンをしたわけでございますけれども、その原因といたしましては、一つは、中近東地域を初めといたしまして、東欧諸国、非産油発展途上国等におきます計画の見直しが行われましたこと、それから、その計画の延期等による伸び悩みがあったこと、そういうことが一つの原因ではないか、さらに、最近の大型案件をめぐりましての各国企業間の競争の激化によってこういう状態になったのではないか、こういうふうに判断をしているところでございます。
  91. 長田武士

    長田委員 では、政府といたしましては、本年度プラント輸出目標額をどの程度に考えていらっしゃいますか。
  92. 森山信吾

    森山(信)政府委員 五十二年度におきましては、五十一年度の大体倍増を見越しておるわけでございます。大体倍、ことしは八十億ドルでございますからその倍、百五十億から百六十億程度は期待できる。理想といたしましては二百億ドルという理想はございますけれども、一応倍の計画を考えてみたいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 長田武士

    長田委員 今回のボンド保険の創設によりまして、本年度政府目標百五十億ドル、理想としては二百億ドルということでありますけれども、達成する見通しはどうでしょうか。
  94. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもボンド保険をただいま御審議いただいております一つの理由といたしましては、諸外国におきますプラント輸出振興策を見ますと、金融の問題あるいは一般の輸出保険の問題につきましてはおおむね先進国で共通の制度があるわけでございますが、ボンド保険に関しましては、先進国に比べましてわが国だけが制度がないということでございますのでただいま御審議をいただいておるわけでございまして、ボンド保険がないことによってほかの国に比べまして制度が欠落しているという観点をこれによってカバーできるということによりまして、相当大幅なプラント輸出あるいは海外建設工事の伸長が見られるのではないかと考えておるところでございます。  ただし、プラント輸出あるいは海外建設工事と申しますものは、そもそもの契約ができませんと実現しないわけでございますし、その契約にはボンド保険の制度がないということがきわめて大きな阻害要因になっておったわけでございますけれども、それ以外のブラント輸出振興策も並行的にやっていかなければ、ボンド保険だけできまして、それで五十一年度実績に比べましてことし倍になるという期待はできないわけでございますので、ボンド保険の創設をお願いすると同時に、その他のブランド輸出あるいは海外建設工事の振興策も講ずることによって先ほど御答弁申し上げましたような線に到達をいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  95. 長田武士

    長田委員 最近、サウジアラビアから日本は他国と比べて途方もなく高い応札であると批判され、これに制裁措置をとるなどと警告がなされているわけでありますが、その点はどうなっておりましょうか。事態把握のために調査を行っておるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  96. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  本件プロジェクトは、サウジアラビアの四地区におきまして送配電施設を設置しよう、そしてその際に一般住宅あるいはレクリエーション施設を建設するという、いわば都市づくり的な要素もかなり入ったむずかしいプロジェクトでございます。先生の御指摘のように不当に高い価格での応札ということで指摘がございましたので、私どもも早速関係企業を呼びまして調査をいたしましたが、私ども判断といたしましては、他の欧米企業も応札をしておるわけでございますが、それとの比較をいたしましても日本企業が特に高い価格で応札をしたというふうには見ていないわけでございます。ただ、サウジアラビア側におきましてそういったように不当に価格が高いという指摘がございました原因は、恐らく、入札の際の先方の示された仕様の解釈の仕方が先方政府側との間に少しそごがあったんではないか、あるいはまたサウジ側では応札に当たっていわゆるエスカレーションクローズというものを認めませんので、今後の数年にわたるインフレの率を一体どの程度織り込むかといった点について、先方政府との問の意思の疎通が十分図られていなかったために結果として非常に不当に高いという印象を与えたのではなかろうか、と、こういうふうに判断をいたしております。  私どもとしましては、こういった両国間の理解のそごによって問題が起きるということははなはだ残念なことでございますので、今後こういったそごの起きないように意思の疎通を十分図っていくということが必要でございますし、また、企業側に対しましては今後とも適正な応札の姿勢で対応するよう指導してまいりたいと思っております。
  97. 長田武士

    長田委員 これらの事態によりまして相手国に不信感を与えることは経済協力の面から言っても非常にまずいと考えられますので、どうか解決策を考えて対処されることを要望いたします。  次に、去る三月十五日の衆議院公害対策環境保全特別委員会において、わが党の岡本富夫委員が、政府わが国で禁止されている苛性ソーダの水銀法電解技術イラン輸出することを承認した問題を取り上げましたが、その際、米国のNEPA、国家環境政策法では国内で禁止されているものは輸出ができなくなっているが、日本でも公害輸出防止法を立法する考えがあるかどうかとただしましたところ、石原環境庁長官は、立法措置は必要と思うので積極的に考えたいという答弁をされております。  そこで、通産省にお尋ねしたい点は、この環境庁長官の発言についてどのような見解を持っておられるのかということをお尋ねしたいと思います。
  98. 森山信吾

    森山(信)政府委員 公害を引き起こすようなプラント輸出をすることは相手国に対しまして大変不信な行為になるということは私どもも重々よくわかっておるところでございます。したがいまして、極力こういったものの輸出が行われないように配慮しておるところでございます。プラント輸出をそもそも私どもが振興いたしますゆえんは、一つは、相手国に喜ばれる摩擦なき輸出であるということでございますから、相手国からきらわれるような輸出であれば当然にそれは自粛すべきではなかろうかという判断でございます。  そこで、先生から御指摘のございました法制化するという問題でございますが、この公害の規制等につきましては、対応が相手国によりましてなかなかまちまちでございまして、したがいまして、一律な法制化をするということが法律技術的に果たして可能かどうか、その辺はなかなか慎重に配慮すべきことではなかろうかというふうな判断をしておるところでございます。
  99. 長田武士

    長田委員 公害輸出は規制する方向で考えることがこれからの将来にわたる経済協力を推進していくためにも有益と考えるわけでありますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  100. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、日本国内において公害の問題について規制いたしておるような案件で、これを輸出しますことにつきましては、私どもといたしましては一応抑制したいものだと考えておるのでありますが、現地の方の事情で、日本側の方のそういう要請にもかかわらずぜひ欲しいというようなものもこれから出てくるかもわかりません。  こういうふうなプラントの問題とは別でありますが、一例を申すならば、たとえばDDTのごとく、向こうの方ではマラリアの発生が非常に多く、日本では身体上の関係から出したくないが向こうの方ではぜひ出してくれと言うというような案件もございます。  いまの水銀の関係だとかなんとかというふうな公害の問題も、私の方ではいつも先方の了解をとるといいますか、こちらの方の主張も篤と申して、そして向こうの方ではあえてそれが欲しいという場合におきましてはまた考え直すということも出てくるだろうと存じます。
  101. 長田武士

    長田委員 次に、わが国発展途上国援助は、昭和四十九年以降、不況と財政難から政府、民間ともに伸び悩んでいるという現状でございます。特に、五十年度政府開発援助は前年比一・九%増の十一億四千万ドルにとどまり、対GNP比率が〇・二四%と、前年の〇・二五%を下回っておるわけであります。これに対してアメリカは政府開発援助比率〇・二七%、フランスは〇・六三%、西ドイツは〇・四%などと軒並みに前年を上回ったため、先進国の中ではわが国が、イタリアが〇・一一%でありますから、それに次ぐ低い水準となっておるわけであります。これはOECDのDACのメンバー十七ヵ国のうちでは日本は第十三位で、質の面でも先進国の中でも最低という現状でございます。  こうした日本海外援助の低さに対しては、これまで、OECD開発援助委員会の内部ばかりか、援助を受ける発展途上国の問からも、輸出ばかり熱心でやるべきことをやっていないとか、黒字国のくせに援助条件が悪いなどという批判が強まっておりますが、政府は、こうした批判の中で、ただいま参議院で審議しております五十二年度予算案の中で、政府開発援助関係予算の編成に当たりましてどう取り組んだのか、また、対GNP比に対しては目標をどのように設定したのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  102. 田中龍夫

    田中国務大臣 本件につきましては、私は久しい間その問題について特に主張してまいったのでありますが、本年は、予算の編成方針のときに、GNPの積算が政府の方から出てまいりました際に、国際関係のいろいろな問題をも勘案いたしましてぜひとも〇・二八をやらなければいかぬということを総理があらかじめ指示されて、これは政府援助の中のODAでございますが、枠を初めから決めたわけでございます。  今日までこの政府援助の額が非常に少ないということは、これは一つには日本の予算編成、予算査定の制度上に欠陥があったわけでありまして、ある場合におきましては外貨が十二分にたまり過ぎておるのにかかわらずなお対外援助関係は非常に低いというようなことはむしろおかしいのでございますが、しかし、これはODAというものが政府関係の各省庁の中の事務的な、同時にまた予算編成上の技術上の問題でどうしても頭打ちがして伸びなかったのですが、今度は、ことしから逆に、国際環境の厳しい中におきましても、日本といたしましては最初に予算が決定するときにあらかじめODAの枠を決めたということは、いままでとは全く異なった、非常にエポックメイキングなことだと私は思っております。
  103. 長田武士

    長田委員 しかし、仮に来年度のODAの実績見込み通り〇・二八%になったといたしましても、先進国の平均が〇・三六%でありますから、それにはまだまだ及ばない状況だと考えます。  政府は、昨年八月三十一日の対外経済協力審議会よりの答申にもありますが、何年を目途に引き上げようとされておるのか、この点もお伺いをしたいと思います。
  104. 田中龍夫

    田中国務大臣 御承知のように、先般海外経済協力基金の新しい総裁に決まりました石原君の最初の記者会見の際に、たまたたま昨年の分が〇・二四であったものが〇・二に下がったということを発表されました。先生の方は〇・二四の計数をお持ちだと思うのですが、それがむしろ〇・二に逆に下がっておるわけであります。こういうことがありますので、われわれはどうしても最初から〇・二八を決めなければいかぬのだということで、外務省の方におきましては〇・二四を何とか〇・二六にしたい、あるいはまたさらに傾斜的に漸増方式でODAをふやしたいというような見解を対外経済協力閣僚協にお出しになったことがございますが、幾らそういうふうなことを希望いたしましても、現実にはただいま申し上げたような予算査定から来る事務的な欠陥があったわけであります。  今度はそれを払拭して新しく〇・二八を決めたことは非常に大きな躍進だったと私は思うのであります。しかしながら、幾らにするかということは、これは御案内のとおりに閣議でもたびたび閣議了解でODAを上げなければならぬということは決めておるわけでありますが、少なくともODAの一般の平均レベルぐらいまでにはここのところ数年間で持っていかなければならぬと、このように考えております。それを三年にするか、あるいは来年それを持っていけるか、あるいは五年かかるか、その点はまた来年度の予算の決定の際に考えてまいればよろしいのだろうと存じます。ただ計数的に一つの傾斜的な漸増方式を決めてもいけないんじゃないか、少なくとも両三年の間に国際平均まで持っていこう、こういう気持ちでおります。
  105. 長田武士

    長田委員 わが国援助実施体制には大きな問題があると考えられるわけであります。その一つとして指摘されているのが、援助の実施に当たって一件ごとに外務省、大蔵省、通産省、経企庁などの協議が必要とされておることであります。この協議の過程において各省庁の意見が食い違いまして、合意がむずかしいと言われておるわけであります。また、わが国海外援助が進まないのは計画性がないからで、今後援助を着実にふやしていくためには援助の中期計画が必要であると指摘をされておるわけでありますが、政府はこれに対してどのような対策を講じられておるのか、この点について御説明をお願いします。
  106. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは事務当局の御説明よりも私からいたした方がいいと思いますが、率直に申しまして、ODAがいつまでたってもふえない一つの現実、さらにまたコミットしたケースが大変長くかかってしまうということ、それがまた同時に対外的には非常な不信感を招いておるということ、こういうふうな欠陥を何とか是正しようと思いまして実は数年間努力もしてまいったのでありますが、しかしながら、福田総理が就任されまして、少なくとも政府部内におけるODAの援助のコミットからディスバースまでの期間は総理の非常な努力によって大分スピードアップはいたしております。しかしながら、いまのところ関係各省庁の合意がなければそれが決定できないというような事務レベルの決め方にも問題があるわけでございまして、こういう問題は外務当局も、あるいはまたわれわれも、さらに大蔵当局、関係各省庁を挙げてこの問題につきましては、決定に対しては速やかに処理ができるように努力をいたしております。  ただ、一つだけ申し上げておきたいのは、いま私の申し上げたのは日本国内のことでありますが、これはやはり相手方のあることでありますから、たとえて言うならばメキシコのエチェベリア大統領が来て佐藤総理と決定いたしたことが六年も八年もたってもまだ実行できなかったり、あるいはパラグアイのインテルサットのケースも数年かかったりなんかいたしております。こういうのは何かと言うならば相手方の方でぐるぐるといろいろ条件を変更いたしたりなんかしまして、こちらの方は一生懸命にスピードアップしてやろうと思いながら向こうの方が非常に変化するというようなことで——ODAと申しましても一方的に日本側の方だけでできる場合ではありませんで、双方の合意のもとに決定することでありますから、先方いかんによってはこちら側でない原因によって非常に長くかかることがございます。  しかし、いま申し上げたように三年、五年、八年といったように、たとえば大統領と総理が調印して共同声明まで出したことも大変延引したようなケースが多々あったわけで、そういうことがないようにこれからは十分に注意をいたしたい、かように存じております。
  107. 長田武士

    長田委員 時間がございませんので具体的な質問につきましてはまたの機会といたしまして、次に移ります。  石油問題でございますが、この問題について若干お尋ねをしたいと思います。  石油業界はOPECの原油値上げなどを理由に各社が一斉に値上げの発表をしておりますが、これに対して大口需要家は円高ドル安相場の中で反発を強めております。消費者団体などは石油業界が巨額の為替差益を受けていると反発して、値上げを抑えることでこれを国民に還元させるよう政府に強く迫っておるわけでございます。さらに、福田首相も二月十八日の閣議で、円高に伴う為替差益を最終消費者まで還元させるよう行政指導してほしいと指示していることに見られるように、石油業界は円高による為替差益で大きな利益を上げているというのが国民感情となっております。  そこで、こうした状況下での石油業界の今回の値上げに対して通産当局はどのような考えでおられるのか、この点をお伺いいたします。
  108. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のように石油製品価格の値上げ交渉が現実に行われておるわけでございますが、それが非常に難航しておるというのも事実でございます。  今回の価格値上げ幅の妥当性ということはしばらくおくといたしまして、今回のOPECの原油価格値上げによりまして、平均いたしまして大体七ないし八%ぐらい原油代が上昇してくるのではなかろうかと見ておるわけでございまして、この金額はドルにいたしまして十七、八億ドルで、為替レートをどう見るかという問題もございますが、邦貨にしてかれこれ五千億円程度の上昇になるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。  それに対しまして為替レートが円高に推移しておるということも事実でございます。これによりましてかなりの為替差益も出ておるであろうということも推察できるわけでございますが、ただ、この五千億程度に上る原油価格の上昇を全く為替差益でカバーするということも、これもまた事実上あり得ないことではなかろうかと考えるわけでございます。一方、石油製品におきまして原油代がコストの大体八〇%を占めておるといったような実情でもございますので、これまた石油企業が為替差益でカバーし切れない部分を全部合理化努力によって吸収するということもむずかしい、かような認識を持っておるわけでございます。  一方、各社ごとに五%アップの油と一〇%アップの油との引き取り量が区々でございます。したがいまして、各社ごとにまた生産コストが違ってきておるというようなこともございます。また、一方、私たちとして圧縮指導するためには、やはり原価計算と申しますか、コスト主義に基づいて指導しなければいけないということになりますと、いま申し上げたように各社ごとに区々であるということの技術的な困難さのほかに、折からユーザー業界もきわめて不況下にあるといったようなことでございまして、結果として下支え価格的なことになるということも回避しなければならないといったようなことを配慮いたしまして、現に価格交渉が難航いたしておるのも、先生の御指摘のように、為替差益の存在ということと、一方における不況といったようなことが要因になって難航いたしておるというふうにわれわれも解釈いたしておるわけでございますが、るる申し上げましたような事情を前提といたしまして両当事者間における値決め交渉を見守っていくというのが現在時点においてとり得る道ではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
  109. 長田武士

    長田委員 昨年十二月、OPECはことしの一月から、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が五%、イラン、イラクなど十一カ国が一〇%と、いわゆる二本立ての値上げを決定したわけでございますが、わが国の五%値上げ原油と一〇%値上げ原油の輸入比率はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。  これは五十年度実績と五十一年度実績見込み、もし五十一年度の集計ができていなければ五十一年度の上期分だけでも結構でございますが、この比率を外資系、民族系別にお願いをいたしたいと思います。
  110. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 五十一暦年の数字で申し上げますと、五%アップの油の引き取り比率は四二%でございます。  それから、わが国の石油業界における引き取りの問題でございますが、一般的に申し上げまして、エッソ、モービルといったようなアメリカ系の企業がその比率が高く、多くの民族系並びにシェルと申しますか、イギリス系が比較的低いというふうに申し上げられるかと思います。
  111. 長田武士

    長田委員 わが国は大部分の原油を輸入に依存しているわけでございますが、石油価格が二本立てになっている現在、今後安い方の原油を確保していくのか、あるいは原油の安定供給確保を第一義的に考えていくのか、この点について通産省の見解をお伺いしたいと思います。
  112. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 できれば安い価格の物を量的に安定的に確保したいということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても相手方のあることでございますし、現に五%アップの国といたしましてはサウジアラビアとアブダビの二ヵ国でございます。こういった二ヵ国もそれぞれの従来の取引関係もございましょうし、五%アップの油に重点を置いて引き取ろうということでは必要とする量を必ずしも確保できないということもあろうかと思います。  したがいまして、われわれといたしましてはできるだけ安い価格の物を引き取りたいと思うわけでございますが、それよりも、やはり日本経済が必要とする油の量を安定的に確保するということにならざるを得ないのではなかろうかと、かように考えております。
  113. 長田武士

    長田委員 当局の方針は安定供給を図るお考えのようでありますが、それでは外資系に安い原油が入り民族系に高い原油が入るという両者の輸入構造をどうするのか、その点具体的にお示しをいただきたいと思います。
  114. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいまも申し上げましたように、エッソ、モービルといったアメリカ系はどちらかといえばサウジアラビアの油を多く持ってくるわけでございますから、その意味合いにおきましては有利な条件に立つわけでございます。ただ、その他のシェル等のイギリス系の企業との関係におきましては必ずしもそういう事態にはならないわけでございます。ただ、民族系と外資系ということになりますと、今回の二重価格制の問題のいかんにかかわらず以前から問題があったわけでございまして、たとえば民族系におきましては外資系と比較いたしまして設備投資の時期がおくれておって、したがってそれだけ資本償却費が高くなる。あるいは外資系に比較いたしまして販売能力が弱いといったようなところから稼働率がどうしても低くなる。あるいはガソリンを例にとって申し上げますと、外資系は平均いたしましてガソリンの得率は一五%、中には二〇%を超える得率を上げておるのもあるわけでございますが、民族系は平均いたしまして一二%です。  御承知のように、現在石油製品の中ではガソリンが最も採算性の高い油とされておるわけでございまして、ただいま申し上げたようなところから、今回の二重価格制の問題のいかんにかかわらず外資系と民族系とには差があるわけでございます。そういった意味合いから、かつて石油部会におきましても、民族系の集約化、二、三のグループに集約すべきであるといったような答申も出ておりまして、民間企業サイドにおきましてもそういった方向でまだ努力をしておるという段階かと思います。
  115. 長田武士

    長田委員 原油価格が二本立てであっても、国内製品価格では安い方にさや寄せせざるを得ないわけですから、現在外資系と民族系の両者にある体質や販売力の格差がさらに広がっていくという心配も出てくるわけでありますが、通産当局としてはこの辺の調整をどうされるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
  116. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 やはり、二重価格制が続いていく限り御指摘のような事態が続かざるを得ないかと思います。したがいまして、私たちといたしましてはできるだけ早くこの二重価格制が一本化されることを期待しておるわけでございますが、何せこれはOPEC内部の問題でございますので、ただ期待的にしか物を見れないという遺憾な点がございます。ただ、それに対しましてわれわれの立場でどうこうするということは事実上困難でございまして、できる限り安い油を引き取るように努力をするということ以上に申し上げかねると思います。  特に、サウジアラビアにいたしましてもアブダビにいたしましても、やはりおのずから増産の限界もあるわけでございますから、彼らの供給可能性とこちらの引き取り努力との兼ね合いの問題でもあろうかと思うわけでございます。
  117. 長田武士

    長田委員 次に、外資系、民族系代表各社の値上げの内訳はどのような積算根拠をもって行われているのか、具体的に御説明を願いたいと思います。
  118. 古田徳昌

    ○古田政府委員 三月一日に出光ほか六社が値上げを二千四百円という幅で打ち出したわけでございますが、その中に外資系としましてはシェル、昭和石油も入っております。  この先発六社のグループの二千四百円の中では、各社ともに大体千八百円前後の原油代を織り込んでおり、その原油代を織り込むに当たりましてのレートの採用は、それ以前三ヵ月の平均の二百九十五円を採用しているようでございます。  それから、その他二千四百円との差額につきましては、たとえば備蓄の費用の増大あるいは消防法の強化に基づきます対策費の増大といったふうなものが織り込まれております。  それから、四月一日に値上げするということで、後発の日石ほか七社が二千円前後の値上げを打ち出しておりますが、二千円前後の中で原油代としましては千三百円程度の金額が織り込まれておりまして、この場合は為替レートは二百九十一円前後という形になっております。この中に外資系としましてはエッソ、モービル等が入っております。
  119. 長田武士

    長田委員 石油業界の経常収益と為替差益について、最近五ヵ年の推移を示していただきたいと思います。  なお、五十一年度の下期の見込みはどの程度になるか、その点もお伺いしたいと思います。これもできましたら外資系、民族系に分けていただきたいと思います。
  120. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油企業の経常損益について申し上げますと、四十九年度民族系企業は九百七十三億の赤字を計上しております。外資系企業は十六億円の赤字でございます。  五十年度に至りまして、民族系企業は千百四十五億円の赤字を計上しておりますが、これに対しまして外資系企業は三十一億円の黒字計上という形になっております。  五十一年度上期になりまして、民族系企業は百七十一億円の黒字、外資系企業は七百三十四億円の黒字計上という形になっております。五十一年度の下期につきましては、現在のところまだ各社教字が出そろっていない状態でございます。
  121. 長田武士

    長田委員 ただいま御説明がございましたとおり、経常収益が四十九年、五十年度と赤字のようでございますが、これは四十七年、四十八年度の黒字分と五十一年度の上期の黒字の一部でカバーされるわけでございます。  五十一年度下期も上期と同じ程度の差益が見込まれるのではないかとも言われておるわけでありますが、こうした黒字基調の中で石油業界が考えるような値上げが果たして必要なのかどうか、通産省の見解をお伺いしたいと思います。
  122. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 為替レートの問題はやはり長期的に考えざるを得ないのじゃなかろうかと思います。現に、ただいまお話がございましたように、四十九年、五十年度を合わせて一千億円の為替差損を出しておるわけでございます。五十一年になりまして、上期時点で約四百億の黒字を出したということでございますが、そういった為替レートなるものは非常に不安定、流動的なものということでございますし、かたがた先ほどもお答えいたしましたように、原油価格が二重価格制のもとにおいて実勢価格としてどういうふうに影響してくるかといったようなことも見定める必要があろうかと思います。  そういったところからわれわれといたしましては、灯油等につきましては据え置き指導を直ちに実施したわけでございますが、その他の製品につきましては、特に電力、鉄鋼といったような大手筋需要業界と石油業界とがいわゆる市場メカニズムを通じまして値決め交渉をやっていくというのが当面のところ妥当なやり方ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  123. 長田武士

    長田委員 四月五日には一ドル二百七十二円台というように最近の円高基調が続く中で、出光は先ほどもございましたとおり一ドル二百九十五円、過去三ヵ月の平均だそうであります。日石は一ドル二百九十円五十銭という為替レートを使っております。それぞれキロリットル当たり二千四百円、二千円の値上げが必要としているわけでございます。  この点通産省としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、円が非常に強い中でこういう傾向をどう考えておるか、その点よろしくお願いいたします。
  124. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 為替レートが円高基調にあるということは、それだけ原油代金の支払い時点におきましての円ベースによる代金の支払い額が減少してくる、ということは原油コストがそれだけ減少するということになるわけでございますから、現在ただいまのような円高基調をたどっていくならば、やはりそれなりの原油コスト引き下げの効果というものを反映していかざるを得ないだろうと思うわけでございます。  そういった意味も含めまして二千円ないし二千四百円が妥当であるかどうかということは、私たちの立場として現在申し上げることは差し控えたいと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、供給と需要の両当事者におきまして適正な価格形成が行われることを期待しておる、こういうことでございます。
  125. 長田武士

    長田委員 一般的に、円が対ドル一円高となれば、原油コストは一キロリットル当たり八十五円程度安くなると言われております。四月五日の対ドル二百七十二円台は高いといたしましても、ことし三月の平均対ドル二百八十一円台を基調とするならば、一キロリットル当たり九百円から千余百円はさらに安くすることが可能となるわけであります。  したがって、通産省といたしましては石油業界に対して為替レートの見直しについては行政指導をすべきではないかと考えますが、大臣、この点はいかがでございましょうか。
  126. 田中龍夫

    田中国務大臣 為替の差益の問題につきまして、予算委員会等においてもいろいろと御議論をいただいたのでございますが、一方において、石油業界の累積赤字といいますか、いわばOPECの場合の差損も累積いたしておるという関係から、これらの問題の相殺の問題がございます。それから、ただいま長官から申し上げたように、いまの差益分につきましても、元売りのところで新しい価格の改定の要望がございましても、ユーザーとの関係もまたいろいろございます。さような関係で、私どもといたしましては、その問題をいま注目いたしてながめておるのが現状でございます。
  127. 長田武士

    長田委員 福田総理は、二月二十五日のNHKテレビの「総理にきく」の対談で、為替相場の円高について、安定した中で静かにじりじりと円相場が高くなっていくことが望ましい、そうなるように日本経済の運営をしていくと発言をされているように、いまや円高は日本経済の基調となっておるわけであります。     〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕  それでも通産省は、石油業界が現在主張している為替レートが妥当であるというふうにお考えでしょうか。
  128. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほども申し上げましたように、二千円ないし二千四百円が妥当であるかどうかということの判断はわれわれとしてはいまのところ差し控えたいということでございます。  ただ、御指摘のように、為替レートが円高でどの程度推移するか、それが定着するのかしないのかといったような問題も大いにこれは注視しなくちゃいけませんし、それから、エネルギーコストができるだけ安く、価格もできるだけ低位に安定することが望ましいことも言うまでもないわけでございますが、エネルギーの供給企業の存立が危なくなるようなことになりますとまた安定供給にも支障を来すというふうなこともございますので、われわれといたしましてはやはり両当事者の話し合いを見守るというのが現状ではやむを得ない措置かと思うわけでございます。  先ほど先生から御指摘のありましたように、値決め交渉がなかなか難航しておるといったようなことも、ただいま御指摘の現在の円高基調にある為替というものが背景にあり、かつは需要業界も非常に長く不況に呻吟しておるといったようなことが影響して、必ずしも容易に二千円あるいは二千四百円という石油企業側の要求が通らない、そういったところに実情が反映されておるのではなかろうかと思うわけでございまして、そういった情勢がどういうように両当事者に満足のいくような形で解決されていくかということをわれわれとしては注視しておりたい、こういうことでございます。
  129. 長田武士

    長田委員 石油業界は先発組が三月一日から、後発組が四月一日から値上げを実施したいという意向でございますが、現在の段階ではどうなっておりましようか。
  130. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先発組六社の三月一日の値上げは完全に見送られたようでございます。四月一日以降の値上げにつきましても、現在個別に交渉中というふうに伺っております。
  131. 長田武士

    長田委員 経常収益の黒字基調の中でさらに為替差益が上乗せされている実情から、大口需要家もまた現在の値上げ幅に反対をしておるわけでありますが、石油製品の値上げは、一般消費者の生活が著しく圧迫されております。  石油業界の値上げについては、通産当局は厳しくこれを監視されるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  132. 山崎拓

    山崎(拓)委員長代理 工藤晃君。
  133. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 私は前回の質問に続いて質問を行いますが、前回の質問で余りはっきりしなかった点の一、二点ばかりを最初に質問してから進みたいと思います。  その一つは、予算委員会におきましてソウルの地下鉄問題が取り上げられました。わが党の正森委員が、三菱商事の田部社長が参考人として来られまして質問を行ったときに、海外経済協力基金に輸出契約申告書を出したときに、予想利益は二%と書かれ、それはその後何の修正もなかったということや、しかしその後実際上三菱商事にとっては約一一%の利益が出た、二%でなしに二%の利益が出たということについて田部参考人がいろいろ説明をしましたが、FOB以後のリスクを商社として負わなければならないということが一つの理由として挙げられ、その具体的な内容として、契約総額の五%をパフォーマンス・ボンドで積む、その費用がかかるということを答えております。  そのことについて前回私がここで質問いたしましたが、実際にパフォーマンス・ボンドというのは銀行が保証状を発行するだけであって、輸出者はせいぜい保証料を積むぐらいであるので、これを積むことが二%のマージンを一一%まで引き上げる何の理由にもなりそうもないということで、積んだとかいうのは一体どういう意味かという質問をしましたときに、政府側は二通りのお答えをされたわけですね。これは議事録を持ってまいりましたからそれでやればよろしいと思うのですが、最初の森山政府委員のお答えは、「本邦の銀行のボンドの発行を要求されて、それの保証料を要求された」と言って、「こういう意味ではないか」ということを言われております。その後、これは森山さんではなしに新井説明員が、「担保を取ったという意味ではないか」と言って、政府側として二通りのお答えがあったわけであります。そしてその質問のときに私が申し上げましたのは、実はこのときの議事録をここへ持ってこようと思ったところが、ちょうど速記録が印刷所に入っていてどうしても取り寄せられなかったということを言ったわけですが、きょうはこれを持ってこれたわけでありますが、いずれにせよ、この問題について前回はもう少し調査するというお答えだったわけでありますが、一体どのように調査されたか、この点が第一点であります。  まず、この点についてお答えください。
  134. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもで調査をいたしましたところでは、三菱商事は契約額の五%相当のパフォーマンス・ボンドを日本の銀行に依頼いたしまして発行してもらったということが判明いたしました。  なお、このボンドの有効期限が切れた時点におきまして——すなわち契約が有効に成立したわけでございますから、ボンドの有効期限が切れた時点におきまして、先方からボンド、つまり保証状を返還してもらった、こういうことが判明いたしました。
  135. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) いまのような調査の結果だということでありますが、このときの質問に対する田部参考人の答弁を見ますと、要するに、この一一%になったという理由について、「それは契約総額の五%をパフォーマンスボンドで積みます。それの費用もかかる。」と言って、その後で、「本件の場合は全額回収いたしました」と言っています。これだけ読むと、何か巨額の金を一度三菱商事がどこかに積んだかのような答え方をしている。  それで、パフォーマンス・ボンドの問題でもし何らかの費用が要るとするならば、それは保証料を積みましたということで済むだけなんですが、わざわざ五%を積んだとか回収したとかという言い方をして、この答弁のいきさつからすると、この五%という金が何らかの形で積まれたような印象をどうしても受けてしまう。それだからこそ私は前回あのような質問をやったわけであります。そして調査の結果というのは、ともかく別にそれを積んだのではないということで、それは常識的に言えば当然のことなんですが、その辺もう一度確認していただきたいわけであります。つまり、保証料以外に何か積んだのではないということですね。
  136. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ボンドを積みましたのは本邦の銀行でございまして、三菱商事がその金額を積んだのではないというふうに私どもは了解をいたしておりますし、そういうふうに同社から話を聞いております。
  137. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) この問題はもう少し調査をしなければいけない点があると思いますが、少なくともこの前の予算委員会の答弁では、そういう二%が一一%になった、この間に五%が加わったからだという印象を与えたことは否定できないわけであります。したがってこれはまだ調査を要する問題だと思いますが、仮にいまの御答弁のように、それは別に常識どおり、これまでの商法どおり何か積んだというわけでなしに、ただ保証料を出した、その程度のことだということになればなったで、なぜまた一一%にまで水増しをされたかという別の疑惑がある。積んだと言えば疑惑があるし、積まなかったとしても大きな疑惑が残る、そういう性質の問題だろうと思います。  そこで、いずれにせよ、この前私が問題として取り上げましたソウルの地下鉄問題や新韓碍子の問題など、プラント輸出契約のときにこのような何らかの人為的な余り公正でない水増しが行われる、そうするとそれに伴いまして自動的にパフォーマンス・ボンドなりそれらが水増しになる、したがって、もしそれに国の方として保険を出すということになると、水増しした分の、それ相応大きくなった額を国が出すことになる、ということになるわけです。もちろんこれは一〇〇%は出ないでしょうが、包括で九〇%、そういうふうにして保険を出すときまで水増しした金をよこしまにその私企業が手に入れることができるということにもなる。こういう問題はどうしても防がなければいけないけれども、この防ぐということに対してどういう体制があるかというと、この前質問したときでも、それは標準外決済でプラント輸出承認をとるというときはいろいろ書面を出してもらう、ヒヤリングをするということを言われたが、しかし、それだけではこういう入り組んだからくりというのは出てこないではないかということになったわけであります。  そういうことで、このプラント輸出問題にからむこういういろいろな疑惑が起こされているこれらの諸事件を見るときに、プラント輸出承認する段階あるいはこの保険として取り扱う段階で十分にその中身が検査されていないということが実情だろうと思いますが、この点については前回も質問をしましたが、改めてどのようにしてこういうことを防ぐ決意があるのか、どういうことをするのか、この点について、これは大臣にお答えをお願いしたいと思います。
  138. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  プラント輸出の問題等は国家として非常に大事な問題であり、同時に、また、この問題は、ただいま御審議を願っておりまするように、正しい意味プラント輸出、正しい意味プロジェクトの問題に付随いたしましてかような不明朗な事件がありましたことは実に残念なことでありまして、このような問題が悪い意味で受け取られることは非常に私は遺憾でございます。  ただ、ただいま御指摘のように、プラント輸出その他いろいろな問題に隠れまして暴利を博するとか巨利を博するといったようなことがあり、さらにまたその利益がいやしくも社会の批判をこうむるような姿に万々一でも使われますれば、これまた非常に残念なことであります。私どもはかようなことがありませんように、どのようにしたらよろしいのか、これはまだいろいろと御意見も承らなければならぬと思うのでありますが、しかしながら、かようなことはないように、また、そういうことができないように何とか方法があればお教えをいただきたいとさえ思っておる次第でございます。
  139. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 私がソウルの地下鉄や新韓碍子を挙げて、そういうことを含めて不明朗な事件が起きた、きわめて残念であるというようなことを言われたと思いますし、まことにそのとおりでありますが、しかし、こういうことを政府当局がどうしたら防げるか、逆に教えていただきたいという姿勢そのものでは大変困るわけであります。これは本当に防ごうという気があるならば防げる問題です。そういう性質の問題であります。  さて、また前回の質問の中のことですが、私は韓国の朴政権、朴大統領のことを挙げましたが、朴大統領がことしから進められるところの第四次五ヵ年計画一つの重要な柱として機械産業の育成をやるということがあり、そしてこの機械産業の育成の重要な目的の一つは軍需産業、軍事的な産業の育成であるということをはっきり打ち出しております。そして、そのいわば戦略的なプロジェクトとして昌原の工業団地が——これは工業団地というよりも、正確には工業公団と言ったらいいでありましょうが、それが重要な役割りを果たすということを再度示したわけであります。     〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕  これに対しての日本の財界側の反応はどうであるか。それはきわめてはっきりと協力の姿勢が打ち出されたということは前回も私が指摘したとおりでありますし、昨年暮れの政府派遣の韓国経済調査団の団長の中安宇部興産社長も、朴大統領の側が、韓国側が兵器の国産に非常に熱心になっていることはよく知っているけれども、結論から言えば大いにそれに協力しよう、何となれば、非常に高度な兵器生産には韓国の場合はなかなかいかないだろうということを言っている。しかし、問題は高度も低度もないと思うのです。向こうがはっきりと軍需産業をやる、育成しよう、日本側にも協力してくれと言っていることに対して政府派遣の韓国経済調査団もこのような態度を示したわけであります。  こういうことに対してそもそも政府側はどういう態度をとっているのか、また、とろうとしているのかという、この質問に対しまして大臣の御答弁が最後にもありましたが、要するに、「私が就任いたしましてから以後、政府といたしましての特段の格別の意思決定をするというようなこともなく、いままでのとおりの姿において実施をいたしております。」とお答えになったのですが、このようにいよいよ韓国側の軍需産業の育成というものがいまやたけなわになり、また、日本側の協力がたけなわになろうとしているときに、いままでどおりのことをやるということでは、きわめて重大な韓国に対する日韓軍事協力とでも言うべき姿がここに出てくるのではないかとどうしても思わざるを得ないわけでありますが、この点につきまして、そういうことでいいのかどうかもう一度大臣にお聞きしたいと思います。
  140. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  その速記録の大臣というのは私ではございませんで、外務大臣であったと存じますが……(工藤(晃)委員「商工委員会です」と呼ぶ)  それじゃ私でございますね。というのは、予算委員会でそのような御質問がありましたときは、あれは外務省の方で御発言になったと思いますのでそう思いましたが……。  私は、いまの日韓両国の隣邦といたしましての親善ということ、それからまた韓国が国として経済レベルが上昇するということ、そういう一般的な問題につきまして協力をいたすことは結構なことだと存じます。  ただいま先生が御指摘のように、兵器の輸出等等、その軍備等々に関しましては、日本はさようなことをしないという特段の政府の意思決定をいたしておるのでございまして、武器、兵器、弾薬等のことは、これは軍事面の協力はすべきではございません。経済関係の、経済レベルアップ、工業水準の上昇という問題は、これは当然行うべきことだろうと存じますが、その辺に一線が引かれるであろうと存じます。
  141. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 韓国に対しての兵器の輸出や——経済的なことはやるけれどもという意味は、すなわち軍事的なことはやらないという意味ととれますが、実際はどうなっているのか。  これも私は前回の質問でいろいろ問題点を明らかにしました。その一つは、武器三原則があるではないかということであります。それに対しての私の質問は、政府側の出したその武器なるものの定義というのはきわめて狭いものであるということが一つと、それからもう一つは、しかもプラント関係について言うならば、この武器という定義が狭く、その上にそのような武器を製造する専用機械に限るということになっていて、汎用機械は外される。こういうことにして、さらにプラントになるとこれが緩められるということになるわけであります。  その上、その武器三原則の問題に照らして言うならば、韓国側はその三原則対象地域に入っているかと言えば、そうではなしに入っていない。入っていないけれども準じた扱いと、いささかあいまいな扱いをしているということで、これもまた緩められた形をとっているわけであります。  さらに、これは私がここでくどくど申す必要はありませんが、いまの兵器産業、軍需産業を支えているのは、直接火器類をつくるような産業だけではなしに、広く戦略物資といったさまざまなものがあるわけであります。そして、それだからこそ、あの戦後の反共体制でとられたところのココムなどでは戦略物資の輸出禁止ということをやってきたわけでありますが、この貿易管理令関係の戦略物資の輸出をする場合に承認を得なければならない甲地域というものがありますが、この甲地域に韓国が入っているかというと、これは入っていない。朝鮮民主主義人民共和国は入っているけれども韓国は入っていない。エジプトは入っているけれどもイスラエルは入っていない。中東の場合は現にあったわけでありますが、こういう現実に最も戦争の危険度が高いとみなされているところにおいて、一方の側で大いに戦争政策を進めてところに対してこういう緩い態度がとられているということです。さらに加えて言うならば、実際にプラントを標準外決済でなしに標準決済の形でどんどん個体として送り出したりするときには一層これが緩められるということになってくるわけであります。  このように、こういう軍需生産を大いに強化しよう、育成しようという韓国に対して、あらゆる面から特別緩い体制がとられている。これがどういう歴史的な状況のもとで、どういう意思決定のもとでとられたかということですが、これはきょうのこの質問で問うわけではありません。  そこで、私は一つの具体的な問題について質問をしたいと思いますが、皆さんも御存じと思いますが、東京大学の隅谷三喜男教授が——隅谷三喜男教授は最近東大を退官されたと言われておりますが、しかし、政府関係で言いますと、中小企業政策審議会の委員もやられておりますし、公労委の公益委員もやられている教授でありますが、「世界」の四月号に「韓国経済の危険な選択」というものを書かれています。そして、先ほど私が問題にしました昌原の機械工業団地についていろいろ書いておられますが、ちょっと引用しますと、「七六年一〇月現在で、竣工工場一三、着工したもの三四で、竣工した工場のうち八工場は日本との合弁、二工場はアメリカとの合弁であって、昌原に対しても日本資本はかなり積極的な姿勢を示している。その進出企業一つ昌原工業(株)の場合は、鍛造会社である太田鉄工所が三七パーセント、伊藤忠が八パーセントの出資で、残りは韓国側資本となっているが、現在国内の自動車工場に主として軍用トラック用の鍛造部品を供給している。」「将来は兵器の鍛造も注文があれば可能である、と会社は語っている。」と書いておられ、もう一つは、「鎮海電池(株)の場合には、湯浅電池が四九、韓国側が五一となっているが、技術的には全く湯浅の指導下にあり、軍用自動車用バッテリーを主軸として生産を展開し、現在韓国でのバッテリーのシェアーは六〇パーセントに達している。」と書いておられる。電池生産であるから機械工業団地にもともと入るわけはないのに、軍用車両の必需品だということから入ったということが言われているということであります。  そのほか、「K製作所はトラクター生産ということで合弁企業を作って進出しているが」、——これは日本のK製作所ですね。「それはタンク製造と密接に関連しているといわれているし、表面フライス盤製造となっている工場は、工作機械もさることながら、機関銃等の製造に当っているといわれている。」と、これが隅谷教授が「世界」に書かれたことであり、そして隅谷教授によれば、ここでまさに日韓経済協力ではなしに日韓経済軍事協力の段階に達したということになっているわけでありますが、このように、これからということではなしに、すでに日本が昌原工業団地に進出し、そこで合弁で行われている企業がすでに軍用の生産を行っており、中には戦車の生産にも当たれるものあるいは当たろうとしているものがあるということがこのように伝えられているわけであります。  この問題に対しまして政府は一体どういう対策をとろうとしているのか、これがさらに進行するのをそのまま認めているのか、あるいはこれに対して対策をとるのか、この点について質問したいと思います。これも大臣からお答えをお願いします。
  142. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおり、日韓関係は特に隣組でございまして、元来が仲よく善隣友好を遂げていくべきところであろうと存じます。ただいま御指摘のように軍事面における増強とかなんとかということは行うべきではないのでありまして、われわれはあくまでも平和なしかも正常な姿における協力をしてまいらなくてはなりません。  そういうことから申しまして、鉄鋼あるいは機械生産というような面においての協力がございましても、あるいはたとえば自動車の生産がなされても、これが軍用の車両として兵器になる場合もあれば、あるいはまたそうではない物資輸送のトラックの場合もあるわけでございます。そういう点で、たとえばそこに銃座を据えたものを輸出するというようなことは全くいたしておらないのでありまして、われわれはあくまでも平和な姿において両国の経済協力を進めてまいる、これが政府の方針でございます。
  143. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) いまの御答弁は大変矛盾していると思うのです。平和な姿で輸出を進めたいと言うけれども輸出したプラントを受け入れる側では、ここで大いに軍需生産をやるのだ。軍需工業を興すのだ。そのために輸出される。輸出をくぐり抜けるときの名目はたくさんある。これは汎用機械であるということを言われるかもしれないが、その結果としてここで軍需産業が現実に行われている。こういう事実がもう出てきている。そして、そのことはいま大臣も一部はお認めになった。軍用トラックになるかもしれないし、そうではないかもしれないと言われるが、しかし、それは平和な姿で貿易を進めようということに著しく反することになるのではないかと思う。  もし本当に平和な姿での輸出とか平和な姿でのプラント輸出と言うならば、その行く先で明らかに軍需生産がそれによって興されているとか、このような軍需生産が合弁企業の姿で明らかにすでに進みつつあるとかいうときには、これに対して積極的に何らかの対策をとるべきではないでしょうか。その点についてもう少し伺います。
  144. 田中龍夫

    田中国務大臣 お話しの点でございますが、それはたとえばコンシューマー、需要者が何に使うかということまで売る方は介入すべきものでもないのではないかと思います。  それから、また、いまのようなことは、発展途上国に対しまして、その民度を高め、あるいは民族としてのレベルアップのためには先進国として当然なすべき協力であり援助であろうと、かように一般的に考えております。
  145. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) この問題というのは、日本国憲法が一つの原理としているところの恒久平和に著しく反しますし、朝鮮民族全体としての平和的な統一という願いにも反しますし、いま世界で一番緊張が問題とされている朝鮮半島における緊張を現実に促進するという性格の問題であり、したがって、この輸出が、そのコンシューマーの方で、需要者の方で何をしようとそれは勝手だ、もうけさえすればいいのだという形でプラント輸出をどんどん進めるというようないまの答弁ならば、これからのプラント輸出というのは、何か、摩擦を起こさないとか平和に貢献するとかいうこととは全く似ても似つかない姿になっていくこと、は明らかだろうと思います。  そういうことですが、この問題についてここでなおやる時間もありませんので、私は、通産省に対しまして、昌原工業団地で、実際に日本企業がどれだけ行っていて、それが実際にあれこれの軍事的な工業にどのようにかかわっているのかということを調査し、その資料を提出することを要求しますが、どうですか。
  146. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 先ほど大臣がお述べになりましたとおりでございますが、若干事務的な点からちょっと補足的に申し上げます。  私ども輸出承認の段階で、いわゆる武器並びに武器製造関連設備につきましては武器三原則に従いまして厳格にチェックをいたしまして、対象地域につきまして、あるいはそれと同等の取り扱いをやっております韓国等につきましても同様の措置をとっておるわけでございますが、実際に、先ほど武器製造関連設備の範囲が狭過ぎるではないかといった御指摘もございましたが、それとの関連があるかと思いますので、御説明したいと思いますが、私どもへ申請に参りました段階で、このものが一体だれによって最終的に使用されるのかという点のチェックはなかなかむずかしい。エンド・ユーザー・チェックと申しますが、これは仮に先方からある種の誓約書を出させましても、なかなかこれはフォローがしがたい問題でございます。相手国におきます行動でございます。一般の人が購入する、バイヤーが普通のいわゆる平和的な用途に使うということで使う場合、それから軍用の目的に使う場合と、仮に二つの目的があった場合に、この間のチェックは、相手国におきます行動でございますので、輸出の段階ではチェックがし切れないということでございます。  ただ、私どもの方で、このものが兵器の製造に使われるかどうか、そういう設備であるかどうかという点は、その専用の設備であるかどうかという点で確実につかまえることができますので、輸出承認の管理体制といたしましても、専用設備というような、もっぱら兵器の製造に使われるもの、というような設備に限って現在運用をいたしておるわけでございます。  それから、いま、たとえば軍用トラック用の鍛造品がつくられているという御指摘がございまして、また、軍用自動車用のバッテリーがっくられているというお話とか、あるいはまたトラクター等々もあるという御指摘でございますが、これらにつきましては、私どもは、その設備がいわゆる軍用トラックの中で装甲車であるとかいったもので、特殊な規格を持ったもののための特殊な設備であるならば、これは武器の製造関連設備ということになろうかと思いますが、これは具体的な中身に即して判断をせざるを得ないと思います。通常のトラックでたまたま軍隊が使用しておるとか、また一般にも使用されておるというようなものにつきましては、私どもは、それがいわゆる武器の製造関連設備であるとは判断をしていないし、また、それは適当ではないというふうに考えておるわけでございます。  なお、昌原団地の実態等につきましては、関係の局とも相談をいたしまして実態の把握に努めたいと思います。
  147. 森山信吾

    森山(信)政府委員 工藤先生から先ほど御要求のございました昌原の実態につきましては、外交ルートを通じて調査をするのが適当かと判断されますので、外務省当局とも相談をしてみたいと思います。
  148. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) それでは、その外交ルートを通じまして昌原団地の調査を積極的に進めて、その資料を提供することをお願いします。  さて、プラント輸出の問題につきまして、これはもちろんいろいろな関連を通じまして中小企業にメリットをもたらすということに対しましては私は決して否定するものではありませんが、このプラント輸出で実際に直接大きな受益者となるのは大企業であるということもまた否定しがたいことであり、これはこの委員会におきましてもこれまでいろいろ資料が示されたと思いますが、たとえばこの点についてもう一度私の方で念を押しておきたいと思います。  それは、このプラント輸出者に占める中小企業の割合ですね。中小プラント一件一千万ドル以下の輸出に占める中小企業の割合は、件数は五〇%、金額は約二〇%で、そして、金額では約二〇%しか占めないこの中小プラントがさらにプラント輸出に占める中小プラントの割合というのが、件数で一六・七から二〇%、金額で約二・〇%というのは、これはそのとおりですか。これは保険企画課から伺った数字であります。
  149. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもが把握いたしております数字といたしましては、一件一千万ドル未満のプラントにつきまして中小企業の占める比率は、件数にいたしまして五五%、金額にいたしまして二一%でございます。  それから、プラント輸出全体に占めます中小企業の割合は、件数にいたしまして約一〇%、金額にいたしまして〇・五%というふうに実態を把握しておるところでございます。
  150. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 大体そのとおりだと思いますが、そこで、問題は、これまでもこういう輸出振興のためにいろいろと金融、保険の仕組みが設けられてきましたが、たとえば輸出入銀行、その利用、大企業中小企業の構成比、これについてお答え願います。
  151. 森山信吾

    森山(信)政府委員 たとえば工藤先生から御指摘のございました日本輸出入銀行融資の中に占めます中小企業の比率は、手元に数字がございませんので後刻調べたいと思いますが、最近の傾向といたしまして、グローバル・バンクローンあるいはグローバル・クレジットシステムというものが輸出入銀行でとられようとしております。たとえて申し上げますと、ブラジルあるいはアルゼンチンの国立銀行等に対しまして日本輸出入銀行がクレジットを供与いたしまして、その枠で日本中小企業関係の機器、プラントを購入してもらったらどうかという制度を活用することによりまして日本中小企業の方々に機器及びプラント輸出をしていただく、こういう仕組みを考えておるところでございます。
  152. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 実は、今国会予算委員会への大蔵省の提出資料の中でこの数字をある程度与えられていたので、それをお答えくださると思ったのですが、私の方で引用しますと、これは一億円以上、件数は二百二十で四%、残高が二百十九億でわずか〇・八%という数が出ているわけであります。実際、商社について言いますと、一億円あるいは三千万円と言ってもかなり大きなものがあるわけでありますから、もうほとんど中小企業は利用されていないと言っていいと思いますが、もう一つ伺いたいのは、海外経済協力基金における大企業中小企業のその比率についてちょっと伺います。
  153. 杉山和男

    ○杉山説明員 経済協力基金での大企業中小企業の間の貸出比率というものはただいま手元に資料がございませんので、基金に照会いたしたいと思います。
  154. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) では、その資料は必ず提出していただくことを要求します。  その次に、輸出保険における中小企業、大企業につきましては先ほど長田委員質問の中で答弁がありましたが、そこで、大企業中小企業というのをどういうランクで、具体的に資本金は幾らから幾らでそういう分類をしたのかということと、それを含めて、普通輸出保険、輸出代金保険、それから輸出手形保険についてそれぞれ御答弁をお願いします。
  155. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、中小企業の範疇に入れました定義でございますが、製造業で十億円以下、商業で三億円以下の資本金を持ついわゆる中小規模の企業という意味で分類をしたわけでございます。それ以上がいわゆる大企業という分類でございまして、ただいまの分類に従いまして調査いたしましたところでは、普通輸出保険におきましては、中小規模の企業の方々の利用は、件数で一九%、金額で六%、次に輸出代金保険では、件数で二%、金額で五%でございます。さらに、輸出手形保険につきましては、件数で五二%、金額で二八%、輸出金融保険につきましては、件数、金額ともほぼ一〇〇%中小規模の企業の方が利用しておられる、こういう数字でございます。
  156. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) いまの説明で一層明らかになったと思いますが、中小企業と言ってもメーカーで十億円以下で、かなり大きいところも含むし、また、商社関係でも三億円、そのクラスも中に加えられているということから言って、実際に日本経済の一番広範な中小零細企業ということからすると、トップか事実上の大企業クラスがここの中心になっている。だとすると、本当の意味での中小零細企業というのは事実上この恩典を受けていないということが明らかになったと思います。  そういうことで、私はこれは予算委員会でも申しましたが、いろいろ国の制度がある。税金にしろ、こういうもののいろいろな制度がある。そして、その制度は、たてまえからすれば大企業もやってよろしい、中小企業もやってよろしいと言うけれども、結果的には大きな企業しかそれぞれの制度を利用できない。そういうことから、法人関係の三税の実際の負担率が百億円以上の場合ですと三〇%、五千万から一億の場合四六%という大きな開きができるのも、たてまえとして言えばそれぞれの制度は中小企業も利用できるはずであるのに、実際はできない。そういうことになっている。いろいろな引当金にしろ、準備金にしろ、それは大企業しか実際は利用できない。そうすると、大企業は多面的に多くのそういう制度を利用できる。こういうことに対しまして、恩典集中の利益、特別措置集中の利益を大企業が受けて、競争力の上でも、こういう税負担の上でも、金融の上でも、あらゆる恩典をそこから集中するようになり、そこからまた資本力の強さが一層倍増すると、このことを私は明らかにしてきたわけでありますが、このようにこれまですでに与えられてきているいろいろな輸出保険にしろあるいは輸出金融にしろ、そういうものはやはり大企業に集中し、そして今度このようなボンド保険が与えられるとすると、さらに結局また大企業に集中する、そして恩典集中の利益は一層大きくなるということは明らかだと思います。
  157. 野呂恭一

    野呂委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  158. 野呂恭一

    野呂委員長 速記を起こして。  工藤君。
  159. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) さて、次に、大企業プラント輸出が実際わが国中小企業にどういう影響を与えるのかという問題で、はね返り問題がいろいろ出されてきておりますが、具体的に韓国の繊維産業について日本企業との合弁が非常にふえている。それからまた韓国向けに繊維のプラント輸出が非常にふえている。この問題につきましてどういう資料があるのか、この資料を説明していただきたいと思います。
  160. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 韓国向けの繊維関係の機械の輸出と、それから投資といいますか、企業進出についてのどういう資料があるかという御質問かと思いますが、繊維機械の輸出につきましては市場別の輸出承認統計というのがございますので、これでわかるわけでございます。  それから、進出企業につきましては、これは進出企業の数につきましては統計がございます。  それから、先生質問の趣旨かと思いますが、進出企業の生産いたします繊維製品がどのくらい日本へ逆輸入されるといいますか、返ってまいるかということにつきましては正確な統計はございません。
  161. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) こういう問題で正確な統計がないと言いますが、実際にジェトロその他で調査しているはずなんです。そしてたとえば、私の手元にある資料によりますと、韓国の紡織設備の約七〇%が日本製機械であるという資料もございます。これは昭和四十九年にジェトロが調査したものでありますが、綿紡織設備で、七二年十二月末に精紡機が六四・一%、織機七一・〇%という資料があります。合繊に至ってはそのほとんどが日本製という資料もあるわけであります。  そういうことで、いまの韓国の対日繊維品輸出の実態は一体どうなっているのか、それから、特に日本進出した合弁企業からのものはそのうち何%を占めているのか、その問題について伺います。
  162. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  韓国からの対日繊維の輸出のうち、進出企業の分がどのくらいの率を占めておるかという御質問かと思いますが、いま御指摘がございましたジェトロの調査というものは、部内の調査としては確かにあるわけでございますが、きわめて限られた範囲の調査でございまして、それでもって全体を推すことは非常に困難であろうかと私どもは存ずる次第でございます。  私どもといたしましては、海外進出企業についての調査というものを一応行っておりますが、これにつきましても網羅的に全数をカバーするという調査は非常にむずかしゅうございまして、ある程度の抽出調査でございまして、それからもって全体を大体測推いたしますと、現在私ども承知いたしております範囲では、韓国から輸入されます繊維類のうち一〇%ぐらいが進出企業からのものであろう、こういうふうな推定をいたしておる次第でございます。
  163. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) もちろんこれは品物によっていろいろ違うということは考えられるわけでありますが、しかし、このジェトロのある調査によりますと、日本への輸出のうちに占める進出企業の割合は七六年に一九・一%になるであろうということで、いまの答弁よりかはるかに高いと思いますが、これは七五年一月のジェトロの調査にあります。これは私たちが要求してもなかなか出さない調査でありますが、私たちはこの資料があることを存じておりますので、その資料を改めて提出することを要求するものであります。  いまの資料をぜひ提出していただきたいのですが、その点について答弁を願います。
  164. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ジェトロで調査をいたしました資料は部内の参考用につくった資料でございますし、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように必ずしも実態を完全に把握しているというものでもございませんので、委員会に対する提出は遠慮させていただきたい、かように存ずる次第でございます。
  165. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) ジェトロの調査は内々の調査であれ何であれ、委員会提出しないというのは非常に奇妙なことだと思いますので、委員長、これはぜひ理事会でも諮って要求していただくようお願いしたいと思います。
  166. 野呂恭一

    野呂委員長 工藤君の要求の資料の問題につきましては、いずれ理事会で諮りまして検討いたしたいと思います。
  167. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 以上、私はいろいろ質問いたしましたが、結局、このボンド保険法につきましては多くの問題点があるということがその結果明らかになったと私は考えるわけであります。一つの問題として、運用が通産省に任されるということで、この実際の保険額というものはこれからかなり大きな額になるということが見越されるわけでありますが、それを実際に国が出すか出さないかという判定は非常にむずかしいケースがあるということが予想されておりながらも、これに対する運用の態度というものは、この前の私の質問に対しての答弁にも明らかになりましたように、それは厳格にやるというよりも、余り厳格ということは強調しないでやるということが強調されたわけであります。余り厳格ということを言うとそもそもこういう保険を設ける意味がなくなるということになれば当然ルーズになるということで、それを幾ら公正ということにしても余り意味がない、これが政府答弁から出された点であります。  それから、また、これまでのプラント輸出の問題につきましても、特に韓国向けのプラント輸出をめぐりましては、多くの水増しの問題や、さらにまた軍需産業につながるところのプラント輸出がどんどんやられているということに対して全く抑えるすべもないような状態が続いてきており、これのもとでさらにプラント輸出促進されるというようなこともありますし、さらに、また、プラント輸出が事実上のこれまでの大企業本位の経済制度をさらに大きくするという意味さえ持っているというふうに考えるわけであります。  そういうことから、共産党・革新共同としましては、この法改正に対しましては反対の態度をとらざるを得ないということをここに明らかにしまして、私の質問を終わります。
  168. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。
  169. 野呂恭一

    野呂委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  輸出保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 野呂恭一

    野呂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  171. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、本法律案に対し、中島源太郎君他四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブ五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。上坂昇君。
  172. 上坂昇

    上坂委員 ただいま提案をいたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、私からその趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。     輸出保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、プラント輸出等が公正に行われるよう輸出業者等に対し的確に指導するとともに、本法施行にあたり、特に次の点について適切な措置を講ずべきである。  一、保険給付の前提となる保証対象債務の履行をめぐる責任の有無については、公正な認定が行われるよう体制を整備すること。  二、輸出保証保険制度の運用にあたつては、中小企業者の利用が妨げられることのないよう十分配慮すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によりまして御理解いただけると存じますので、詳細の説明は省略いたします。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  173. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  174. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。田中通商産業大臣
  175. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま議決をいただきました法律案に対しまする附帯決議につきましては、その趣旨を尊重をいたしまして、万全を期する所存でございます。  ありがとうございました。     —————————————
  176. 野呂恭一

    野呂委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  178. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、来る八日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会