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倉成国務大臣 ただいまの御
質問は大体二つに分けることができると思います。五十一年度は五・七%の成長が達成できるか、さらに五十二年度の六・七%の成長というのは甘いのではないか、と、そういう御
質問だと思います。
そこで、
お答えしたいと思いますが、五十一年度の
経済成長は、御承知のように前半期の一−三月に非常に伸びまして、夏ごろから
輸出の鈍化、個人
消費の停滞ということから少し伸びが鈍化してきたということは御
指摘のとおりでございます。ただ、御理解いただきたいのは、五十一年度の
経済成長というのは一体何かということになりますと、五十年度の平均の水準と五十一年度の平均の水準との差が五・七%あるかどうかというふうに理解してよろしゅうございますか。——そういうことでありますと、確かに、最初のスピードが伸びて後少し緩やかになってきましても、高い水準でずっと来ているわけですから、したがって五十一年度の
経済成長というのは五・七%成長は達成できるというふうにわれわれは考えておるわけであります。四半期別の
国民所得統計、いわゆるQE指数というものをきょう発表いたしますけれ
ども、これによりますと十−十二月は瞬間風速〇・六、前期比に対して〇・六、したがって、これを四倍しますと二・四、五%の成長ということになるわけですが、一−三月ば伸びると私は思うのです。
どうして十−十二月が落ち込んだかというか、速度が鈍いかといいますと、
一つは、七−九月に住宅投資がちょっと足踏みをしたということが響いております。それから公共支出、
地方公共団体の支出等がなかなか十分伸びてこなかったということも
一つの
理由でございます。しかし、一月から最近までに至る
状況を見ますと、
補正予算あるいは七
項目ということで国鉄、電電の取り戻し、あるいは地方財政支出が伸びておるという指標が出ておりますし、また、一月の個人
消費を示す指標にいたしましても、百貨店は十二月は六・七でございましたが、一月は前年同月比で一〇・二という伸びで、これは少しバーゲンをしたとかいろいろなものがあろうかと思いますが、チェーンストアの方で見ますと、新しい店舗を除きまして一五・七、新店舗を入れますと二三・六と、
消費がチェーンストア等で伸びておるわけです。また実質賃金もずっと着実に伸びつつあるわけでございまして、個人
消費も堅調を示しておるということを考えてまいりますと、私は、一−三月は十−十二月の指標よりもかなりよい指標が出てくるというふうに考えておるわけでございます。
そこで、そういうことを踏まえまして、
先生の御
質問の、各種の統計等で出てくる見通しが少し暗いじゃないかということは、確かに、
企業家心理としては、先行きに対して少しまだ気迷いをしておるということは事実でございます。いま、
日本経済新聞やあるいは
日本銀行の観測の
お話がございましたけれ
ども、
企業家心理というものは確かに非常に揺れ動いておるわけでございます。特に、
不況業種を抱えている
ところの
企業家心理というものは、全体が少し伸びておりましても自分の
ところのことだけしか考えておりませんから、やはり不
景気であるという感じと、それに不
景気だ不
景気だという声が非常に加速化しているということですが、私は、
日本の
経済全体は、いまの
状況は決して悲観すべき
状況ではないと思っておるわけでございます。
設備投資にいたしましても、製造業については、御
指摘のような点は製造業の一番横綱である鉄鋼が稼働率が低いわけですから、したがって、全体として非常に冷え込んだ感じを持っておることは確かに事実でありますし、五十二年度も鉄鋼を
中心とするそういう製造業については余り大きく期待できないと思っておりますが、しかし、非製造業の面について申しますと、電力を
中心に卸、小売あるいは運輸
関係、また
中小企業というのは、それぞれプラスしてまいりますとかなり
設備投資はできると私は思っておるわけでございます。
私が申し上げました一二・二という名目の伸びは製造業だけを申したのではなくて、製造業と非製造業を合わせた全体の民間の
設備投資を御
説明いたしたわけでございますので、その点は御運解いただきたいと思うのでございます。
したがって、
設備投資また個人
消費という、需要
項目の一番
最大の
項目がこのような形でじりじり上ってまいりますと、あとは問題は
輸出がどうかということですが、
輸出の方は、来年の世界
景気が若干停滞する——まあ、停滞とまで言うと言い過ぎでしょうが、ことしよりも伸びが鈍化するということから考えまして、
輸出は五十一年度は大体二〇%弱と見ておったのを、来年度は一二%前後の
輸出ということで
輸出の
項目を抑えております。それでも少しはずみが足らないというので、五十二年度の
予算において、需要創出
項目の非常に高い
公共事業をてことした
予算編成をいたしておるわけでございまして、この
予算は、
政府の財貨サービスの中で
公共事業その他資本支出——これは国の一般会計だけではなくして、特別会計、公社、公団あるいは地方財政、地方の公営
企業というようなものを全部おしなべてみなければならないわけでありますが、そういうものを全部合わせまして、補助金等の重複計算を差し引いて、それから土地代を差し引いたものが十八兆二千五百億で、昨年の資本支出に比しますと二兆五千億ふえておるということになっておるわけであります。
これをてこにして
景気浮揚のきっかけをつくりたい、しかし、それにしても
企業家心理が冷え込んでおるので、何か
一つもう少しはずみをつけようということで、先ほど
通産大臣から御
説明を申しましたような四
項目、つまり、公共支出をひとつ
早期に前倒しでやろう、また、住宅についても九万戸を四月に
募集しよう、
金利政策も進めよう、また、電力その他の
設備投資もこれから
推進していこうということをうたっておるわけでありまして、必ずこの見通しは達成できる、また、そうしなければならないと信じておる次第でございます。