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1977-03-11 第80回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十一日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 松本 忠助君       青木 正久君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    藏内 修治君       佐々木義武君    島村 宜伸君       辻  英雄君    渡海元三郎君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    萩原 幸雄君       前田治一郎君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    加藤 清二君       後藤  茂君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       渡辺 三郎君    長田 武士君       玉城 栄一君    西中  清君       宮田 早苗君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       水口  昭君         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省立地         公害局長    斎藤  顕君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         中小企業庁長官 岸田 文武君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局調査国際協         力課長     川崎 雅弘君         外務省国際連合         局外務参事官  小林 智彦君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   安倍晋太郎君     中西 啓介君   中村 重光君     佐野 憲治君   長田 武士君     岡本 富夫君   玉城 栄一君     近江巳記夫君   安田 純治君     不破 哲三君   大成 正雄君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   中西 啓介君     安倍晋太郎君   佐野 憲治君     中村 重光君   近江巳記夫君     玉城 栄一君   岡本 富夫君     長田 武士君   不破 哲三君     安田 純治君   大原 一三君     大成 正雄君     ————————————— 三月五日  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第二三号) 同月八日  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(板  川正吾君外九名提出衆法第五号)  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五四号) 同月七日  小売商業調整特別措置法厳正実施等に関する  請願安藤巌君紹介)(第一〇八三号) 同月八日  農機具の安全対策に関する請願津川武一君紹  介)(第一三三九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第二三号)  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提案理由説明を聴取いたします。田中通商産業大臣。     —————————————  輸出保険法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 田中龍夫

    田中国務大臣 輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨につきまして御説明を申し上げます。  わが国経済が今後とも世界経済と調和のとれた発展を遂げてまいりまするためには、海外資源等安定供給の確保を図るとともに、貿易構造高度化経済協力推進等を進めていかなければ相ならぬのでございます。なかんずく、今後の貿易構造高度化の中核をなしますプラント類輸出海外建設工事等につきましては、発展途上国経済発展に寄与いたし、国際的にも摩擦を惹起しない輸出または技術提供等としてわが国としても大いに推進をすべき分野でございます。さらに、これらの推進国内の数多くの関連中小企業事業活動にも大きな効果を及ぼすものと考えます。  ところで、プラント類輸出海外建設工事等受注を行います場合には、輸出者または技術提供者は、海外発注者要請に従いまして、当該輸出等の履行を保証するための金融機関発行する保証状、いわゆるボンド提出することが国際取引におきまする慣行と相なっておりますが、近年、わが国におきましては、これらプロジェクトの規模の大型化等に伴いまして金融機関ボンド発行に伴います危険が増大し、輸出者等金融機関から輸出保証を得ることが困難な様相を示しつつあります。このような事態を放置いたしておきますると、わが国といたしまして推進すべきプラント類輸出海外建設工事等受注に支障が生ずることと相なりますので、ボンド発行に伴う危険を担保するために必要な措置を整備いたすことが緊急の課題と相なってまいりました。  輸出保険制度につきましては、従来から経済環境の変化に機動的に対処して制度改正を行ってまいりましたが、このたびも、以上に述べてまいりましたような実情にかんがみまして現行の輸出保険制度所要改正を加えることといたし、本改正案提案いたした次第でございます。  次に、改正案内容を御説明いたします。  今回の改正点は、西ドイツ、フランス等先進諸国におきましてすでに実施を見ております輸出保証保険わが国におきましても創設することであります。  これは、外国為替公認銀行等金融機関輸出者等の依頼に応じまして当該輸出等について輸出保証を行った場合におきまして、その金融機関輸出保証の相手方でありまする海外発注者からの請求に基づきまして、金銭を支払う等の保証債務を履行したことにより受ける損失を一定の範囲内においててん補することを主たる内容とする保険でございます。  本保険の新設によりまして、輸出者等金融機関から円滑に輸出保証を得ることが可能となり、プラント類輸出海外建設工事等が一層促進せられるものと期待いたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいまするようにひとえにお願いを申し上げます。
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  6. 佐野進

    佐野(進)委員 通産大臣経済企画庁長官公正取引委員長がそれぞれ過日所信を表明されたわけでございますので、私はそれに対する質問をいたしたいと思っておるわけでございますけれども、何しろ時間が余りありませんので具体的に突っ込んだ質問にまで至らないかもしれないことを大変残念に思うわけでございますが、これはまた別の機会をかりまして質問をするといたしまして、きょうは重点的に何点か、それぞれ大臣及び委員長質問をしてみたいと思います。  まず、第一に質問を申し上げたいことは、いわゆる経済運営基本でありますところの、そしてまた当面最大課題でありますところ景気対策、特にその浮揚対策について質問をしてみたいと思います。  通産大臣も、経済企画庁長官も、その所信表明の中で、景気回復の問題については最重要の課題としてそれぞれ取り上げておるわけでございます。また、福田内閣そのものもこの問題を最大課題として取り上げておることは私どももよく承知しております。それに関連いたしまして、大臣はもちろん、それぞれの次官、局長等におきましても、これらの具体的な対策につきまして、報道機関を通じて対外的に明らかにされておることもたくさんあるわけであります。それらの点を一々分析しながらこの問題の焦点をしぼって具体的に議論をいたしますれば何時間あっても足りないわけでございますので、私は、原則的にそれらの面についてこの際ぜひ明らかにしていただきたいという点について大臣並びに関係局長質問をしてみたいと思うわけであります。  まず、通産大臣に御質問いたしますが、福田内閣経済政策基本といたしましては、景気浮揚対策の第一の柱として、いわゆる公共事業減税かという問題については、公共事業優先だという形の中で対応してこられておるわけであります。しかし、国会予算委員会における論議を通じて、過日予算委員会結論が出されて、減税方式も取り入れて予算修正をするという形になってきております。こういうような形の中で、政府がいままでその予算の編成の方針ないしとってこられた方向の中で、議会の意向を受け入れた形の中で予算修正を行うというぐあいに若干の軌道修正を余儀なくされている。その余儀なくされているということの持つ意味は、いままでの福田内閣ないし自由民主党の政策だけではもはや経済運営は不可能である、野党その他各方面の意向を入れる形の中で経済運営をしていかなければならないのであるということを一つ明確に示唆した結論であろうと思うわけであります。  したがって、このことの持つ意味は、単に予算修正され減税が上積みされたということだけでなく、非常に重要なものがあろうと思うわけでありますが、このことに対して、経済運営の原則に関連する問題でございますから、両大臣からこの結果についての考え方ないしこれから対応していく方針について御説明を願いたいと思います。
  7. 田中龍夫

    田中国務大臣 御質問要旨のこの経済景気浮揚政策に当たりまして、従来政府公共投資中心景気浮揚ということを唱えてまいり、また、同時に、これに対しまして減税という問題も非常に重要な経済浮揚政策であるといういろいろの御注意やその他に当たりまして、数日来真剣な各党を挙げての御審議がなされまして、そしてここに新たに本当に挙党的な挙国的な意味において皆様方の御意見も取り入れた新しい浮揚政策というものがとられるように相なった、かように私は心得てよいかと存ずるのでございます。  なお、これらの景気浮揚政策の具体的な問題につきましてはまた追って御質問に応じてお答えいたしたらどうかと、かように存じております。
  8. 倉成正

    倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。  与野党合意のもとで国会における減税追加、また予算における今回の恩給年金等の繰り上げということが行われまして、これは厳粛に受けとめておる次第でございます。年金恩給の二カ月追加ということは可処分所得に影響してくる、その面からは好影響を及ぼしてくると思います。  なお、減税の問題については、財源を何に求めるかということがまだはっきりいたしておりませんので、景気の面から考えますと、これから財源がはっきりした点でひとつ私の意見は申し述べたいと思っております。
  9. 佐野進

    佐野(進)委員 ここで時間を余りとるわけにはまいりませんから原則的なことだけ聞いておきたいと思うわけでありますが、要するに、公共事業優先のいわゆる景気対策というものに対して、一般国民消費能力回復させる、国民生活を向上させる中で消費を増大させる、そういう中での一つ景気対策を採用すべきではないか、こういうような点における主張等が入れられて、結果的に今回の予算修正になった。技術的な面にはいろいろ議論があるとしても、大綱としてはそういうことになってきたと思うのであります。  そこで、そういうような形の中における方向転換ということが結果的に政府野党を含めた合意の上において、自民党ももちろん入ってその政策転換が行われてきたという形の中で今後経済運営を行うことについて、通産大臣ないし経済企画庁長官がその厳粛なる事実を事実として受けとめた上でこれからの新しい経済政策転換に対応していかないで、ただ三千億上積みしたのだ、あるいは減税方式の中で低所得者に対する対策を立てた形の中で処理したのだということだけでは、本来の意味における景気回復対策ということについての、国民的合意の中に行われた今回の意味がきわめて薄められていくのではないか。したがって、これらの面について、公共事業優先ということを私どもはここで全面的に否定するわけではないけれども通産大臣ないし経済企画庁長官は、消費購買力増大等を通じて、設備投資増大等、あらゆる面におけるところ景気対策にもっと積極的に対応していくべきではないか。こういう点を私は強くこの際意見として申し述べておきたいと思うわけであります。  そこで、この際これらの問題に関連して、それぞれ各局の方から意見が出されておるわけであります。産政局長は、この前私はある新聞を読んでおりましたら、景気浮揚対策についていろいろな意見を申し述べられておるわけでありますが、通商産業省としての立場における当面する景気浮揚対策に対して、何を最も中心的課題に置いて対応していかれようとするのか。もちろん新聞で読んでおりますが、その私が読んだという形の中だけではまだ不十分だと感ずる点もありますので、産政局長のこの点についての見解をこの機会に明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。
  10. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの佐野先生の御質問は、数日前朝日新聞に私の談として出ておりました記事をお指しになっていると思いますが、あそこで私が申し述べましたのは、その前に、一月の末現在で最近の主要業種動向調査をいたしまして、その結果といたしまして、通産大臣が今後の景気対策方向としてお述べになりましたことを私があそこで述べましたわけで、四点になっております。  まず、当面の問題といたしましては、この前国会で御承認をいただきましたいわゆる補正予算をなるべく早期執行するということで、第一は、ただいま御審議をお願いしております五十二年度の本予算のできるだけ早い成立を期待いたしまして、そして公共事業中心にその執行早期に図ることによりまして景気浮揚効果を高めるということが第一ではないかということであります。  それから、これは順番は一番最後に私は述べたと思いますが、第二には、何しろ現在いろいろな業種におきましていわゆる需給アンバランスというものが表に出てきておりますので、そういう需給アンバランスに悩みます業種につきましては、きめ細やかな、しかも構造問題をも含めました不況対策実施していくということが必要ではないかということが第二番目でございます。  それから、第三番目の問題といたしましては、特に景気対策という観点から考えましたときに、今度の不況一つの特色といたしまして、民間設備投資の盛り上がりが非常に少ない、遅いという点が特徴でございまして、この点には民間設備投資をどういうふうに考えていくかという基本問題がございますけれども、今後の中長期を踏まえましても、ぜひ設備投資促進を図るべき電力等につきましては五十二年度の設備投資計画をなるべく大きくしてもらうという方向に考えてもらう、あるいは輸出の面でプラント輸出の一層の振興を図るというような対策が必要ではないかということが三番目でございます。  四番目といたしましては、これは若干中長期を踏まえた問題でございますが、やはり、これから先を考えましたときには、企業収益が五十年の一−三を底といたしまして順次回復に向かっておりましたのが、最近頭打ちあるいは一部の業種では企業収益回復状況が鈍ってきた、こういうことではこれから設備投資もなかなか起こってこない、中長期を踏まえましても企業金利負担の軽減を図るという方向政策としてとられるべきではないかということであります。  この四点を私は申し述べたと記憶いたしております。
  11. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣産政局長新聞に発表された点について、私も読みましたし、さらにいま局長の言われたことは、やはり一つの問題の中心をついておることであろうと思うわけであります。しかし、それらのことが結果的に景気浮揚対策の柱として、通産行政の中においてそれを中心的に推進するというぐあいに大臣はいまの局長の御答弁を聞きながら判断しておられるかどうか。もちろん、あなたの所信表明を読んだ上で、いまの答弁を聞きながらどう御判断なされるかということを私は聞いておるということを踏まえてお答えをいただきたいと思うわけであります。
  12. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  景気浮揚対策につきまして、基本的には昨年の十一月十二日の政府として決定をいたしました七項目がございまするが、その間において、それを踏まえまして、通産省といたしましてもいろいろの施策を講じてまいったのでございます。  御案内のとおり、たまたま本日八時から景気浮揚に対する政府の第二次とも申すべき対策閣僚会議がございまして、この機会に一言申し上げたいと存じますが、まず、昭和五十二年度の予算早期成立を期する。と同時に、そのもとにおきまして、成立後におきましては、当該年度公共事業等につきましては、特に上半期におきます契約済み額の割合が全体としておおむね七〇%程度となることを目途といたしまして、早期執行が可能となるような所要準備をいたしておこう。また、これは公社、公団等財政投融資の対象の機関の行う事業についてもこれに準じましょう。なお、地方公共団体に対する同様の要請もいたす。第二の点は、金利政策につきまして、市中の貸し出し金利の低下がさらに促進されるように配意をいたしましょう。また、第三は、住宅建設促進、住宅金融公庫の融資円滑化。すでに三万戸分につきまして繰り上げ募集を行ったところであるが、さらに九万戸分について四月中募集目途として準備を進めます。住宅向け融資促進。さらに、通産省の方として特に関係のございますのは民間設備投資促進という項目でありまして、電力業設備投資円滑化電源立地のための諸手続の推進に努めること等によりまして電力業設備投資円滑化を図る。同時に、また、その繰り上げ発注等についても特段の措置を講ずる。また、政府金融機関融資推進民間設備投資促進に資するために引き続いて政府系金融機関による融資円滑化を期する。  先般取り決められました七項目に加えまして、さらに、本日、この四点の方針に基づいて景気浮揚対策を今後行おうというような次第でございまして、ただいま濃野局長から申し上げましたこともこの中に含まれる、かように存ずる次第でございます。
  13. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、それらの大臣お話あるいは局長お話等について議論をしてみたいという気もするわけですが、きょうは総括的な質問でございますから後に譲ることといたしますが、いずれにせよ、政府景気対策というものが、ここ数年の経過を見てまいりますと、結果的にいずれも中途半端に終わるというか、全然成果が上がらなかったと言うと私の言い過ぎにもなろうかと思いますが、必死の努力をしていることは私は認めますけれども、その努力にもかかわらず不況からそう脱却でき得ないという状況の中で、何か一つ足りないのではないかということを繰り返し繰り返し主張してまいりましたし、その主張の一環が今回の予算修正という形の中で具体的に示されてきておると思うわけであります。したがって、いまの景気対策について大臣の御説明をお聞きし、あるいは局長お話をお聞きいたしておりましても、国民的な感情からいたしますればぴんとこない。ああこれならいけるぞという感じがなかなか来ないというところもそこにあるのではないかという気がするわけであります。  したがって、私は、それぞれの点について具体的な質問は後に譲ることにいたしますが、一番大きな問題は消費回復すること、あるいは設備投資を増大すること、同時に輸出をふやすこと、これらは何回も何回も繰り返されてきたわけでございますが、この中で、最も日本経済の今日の不況下にありながら、やや安定した形の中でその役割りを果たしてきたのは通商貿易であったと思うのであります。ところが、この通商貿易の問題につきましてもいまやや大きなかげりが見えつつあるということは、新聞紙上におけるところの対ヨーロッパあるいは対アメリカ、その他の地域におけるところ問題発生においても明らかであろうと思うのであります。  そこで、私は、通商局長にこの際見解をただしておきたいと思うのでありますが、アメリカの対日貿易に対して、家電、いわゆるカラーテレビを初めその他の通商に対するところの妨害的な条件が発生しており、あるいはEC諸国におけるところ自動車等々の問題がそれぞれ発生しておるわけでございまするが、これらは輸出あるいは国内産業の中における家電自動車という二大成長産業一定頭打ち状況からダウン傾向に入っていく兆しではないか、したがってこのことが日本経済に対して非常に大きなマイナス的影響を与えるのではないかということが心配され、この二つがだめになってしまうならば、そして、いまの政府の行いつつある無気回復対策だけに頼ろうとするならば不況はますます深刻化していくのではないかというおそれを抱いておりますので、この点に対する現在の状況について、簡潔で結構でございますが、通政局長説明を受けておきたいと思うわけであります。
  14. 矢野俊比古

    矢野(俊)政府委員 お答えいたします。  いま先生から御指摘のように、現在に至るまで、いわば輸出型、輸出市場型の景気回復が行われていたことも事実でございますし、その中で、御指摘のような自動車あるいはカラーテレビあるいは鉄鋼といったような問題が、市場摩擦貿易摩擦ということでいろいろと現象が出ていることも事実でございます。私どもとしては、やはり、日本は無資源国であるというような前提からいきますと、輸出というものは非常に重要視しなければいけないということは変わっておりません。しかし、そういった個々の特定品目が集中豪雨的に輸出されまして、いわば市場摩擦を起こすという点については、相手国産業への影響その他も十分配慮して対応しなければならないと考えておるわけでございます。  現在、アメリカにおきましては、御承知のように、カラーテレビにつきまして、恐らく本日いわゆるITCの勧告が出るかと予想されておりましたが、いろいろと中の議論がありまして十四日に延びたという報告が入っておりますが、こういった問題につきましてはいずれ大統領決定という問題が出てまいるわけでございますが、その間にできるだけ日本の産業の事情もよく理解し、それから同時に相手国の立場も踏まえまして、できるだけこれが穏やかに解決できるように努力をいたしたいと思います。  なお、鉄鋼につきまして、STRに対する通商法三百一条の提訴は行われておりますが、これは現在のところは公聴会のままでとまっております。  ECにおきましては、最近、ベアリングにつきまして、いわばダンピング関税の暫定関税の賦課がございました。私どもとしては、このベアリングについて、いわゆるダンピングという考え方は考えられないという立場をとっておりますが、そういった判定に基づいて現在各企業調査が行われておりますけれども、この三カ月の延長という問題ができないように、できるだけ私どもとしても業界の動きに合わせまして協力して、話し合いの上で解決をし、そういった事態を招かないようにいたしたいと思います。  その他、自動車あるいは特殊鋼、またカラーテレビというような問題もそれぞれいままでございましたが、これは業界の話し合いあるいは私ども政府間の話し合いによりまして、いわゆるお互いの情報交換というようなことから両方相互理解をいたしまして、いまのところはこういう問題はないと思いますけれども、いわゆる輸出というものについてこういった摩擦は十分避けますけれども、私たちの立場といたしましては、できるだけ重視しておくという立場を変えておりません。
  15. 佐野進

    佐野(進)委員 通産大臣、いま局長から答弁をいただいたわけでありますが、わが国経済回復について非常に大きな役割りを五十一年度に果たしたと言われている自動車あるいはカラーテレビ、いわゆる家電等の輸出産業、これに対して重大な障害が発生しつつある。こういう状況の中でこの二大産業は一もちろん、鉄鋼は輸出が増大しているにもかかわらず不況を脱し切れない。こういう形の中でいろいろ内部的な問題があるようでございまするが、そのほかいろいろと、一つ一つを挙げればその数を数えることに困るほどであろうと思うのでありまするけれども、いずれにせよ、貿易をもってわが国経済の運営の重大な柱にしておる状況の中で、この二つの産業についての現在置かれておる状態というものはきわめて憂慮すべきものである。  しかしながら、また、それぞれの国にとっては、それぞれの経済にとって重大な影響を持つものでありまするから、わが国がそれぞれの国と同じ立場に立ったときにやはり同じような議論が出てくることは当然であるわけでございますので、ここらの点について非常に大きな政治的な一つの対応をしていかなければならぬではないかというぐあいにわれわれは判断するわけですが、それについては民間施設が、たとえばヨーロッパにおいては話し合ってきたとか話し合おうとか、あるいはアメリカにおいては、いま言われたような程度のお話が相手方の出方を見るという形の中においてのみ対応されておるというような気がするわけでありまするが、これらについて、政府としてはどういうような形の中で対応していかれることが望ましいとお考えになっておるか。  私は、積極的に対応していかなければならぬではないかと思うのでありまするけれども、それに対してはきわめて不足しておるような判断をいたしておりますので、その立場から通産大臣見解をこの際お聞きしておきたいと思うわけでございます。
  16. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  特に、貿易の面におきまして、わが国が貿易立国をいたしておりまする関係から申しましても、ECの市場あるいは対米市場というものは非常に重大な問題でございまして、これに対しまする取り組みというものもこれから真剣な努力を注いでいかなくては相ならぬと存じておりますけれども、特に、ヨーロッパ市場等におきましては、先生も御案内のとおりに、業界におきまして、あるいは自動車の問題につきましても、あるいはその他造船の問題等々についても、いわゆる民間外交と申しますか、業界同士の真摯な話し合いが続けられ、その誤解も解けたり、あるいはまたベアリングのように非常にまた問題を起こしてまいる等新たな問題も生じております。  同時に、このECに対しまするきめの細かい業界同士の総合的な対策が講じられておりますとは別に、さらに、また、対米関係におきまする鉄鋼その他自動車等の問題に相なりますと、アメリカの方の独禁法というふうなものもございまして、単なる業界同士の話し合いでは進んでまいりません。また、先方の方も、御承知のとおりにすでに政府におきましてのいろいろな交渉、対策を講じておるような次第でありまして、今後もこれらの問題につきましては政府間のきめの細かい話し合いに移っていかなくちゃならぬと、かように考えてもおります。  やはり、国々によりましてもおのおの法制も違いまするし、かような中を縫いまして私どもは全力を挙げてこの問題を処理し、解決いたさなければならぬ、かように存じておる次第でございます。
  17. 佐野進

    佐野(進)委員 私の質問しておる趣旨が余り深く理解されておらないような気がいたしますので、これは改めてまた機会を得て強く深く論議をしていきたいと思うわけでありますが、いずれにせよ、それぞれ対外的な摩擦をなくするために、民間的な外交というか、折衝というか、それを超えた一つの強力な政治的な政府の力が必要になってきているのではないか、それに対する政府の取り組みというか、大臣の行動というか、そういうものについては消極的ではないかということだけをこの際指摘をしておきたいと思うわけであります。  それに関連いたしまして、もう一つあるわけです。それは、この次の輸出保険法の論議の際に私は徹底的に深めてみたいと思う問題でございますけれども、いわゆるプラント輸出であります。この際においては、今度の場合は海外建設工事ということとも関連をするわけでございますが、プラント輸出をして海外におけるところのそれぞれの建設を促進して、そのでき上がったものから生産物が逆輸入されてくる。結果的にその輸入されてきたものによってわが国経済の基幹的な産業が大打撃を受ける。これはいま繊維の中で具体的にあらわれておるわけでありますが、いま行われつつある経済回復の浮揚策の一つとしてのプラント輸出問題がそういうような形の中で逆にわが国経済の足を引っ張る。何年か先には足を引っ張ることになるという可能性を持つものもたくさんあろうと思うのです。いまは苦しいからそれによって輸出をする。そのことによってわが国経済に対して一定のメリットを与える。だが、しかし、それが結果的にわが国の不特定産業に対して壊滅的な打撃を与える。これは十分考慮しながら対応していかなければならぬ課題であろうと思うわけであります。  政策の重大な柱としてこの点を強調しておられるわけでございますが、こういう点についてはよほど注意をする必要があると思うにもかかわらず、それをしなければならないという、そういう問題との関連の中で大臣はどう判断をするか。ここではただ一方的に、やっていけばいいんだ、やっていけばいいんだ、いわゆる何千億、何百億のプラントが輸出せられ、そのことによってわが国景気回復のためになるのだということだけが強調されておるようでございますけれども、それらの点についての見解をこの際明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 今日御提案申し上げましたいわゆるボンド保険という問題とも関連をいたします。ただいま先生が御指摘になりましたプラント輸出の問題につきましては、全く、私も従来からそのことを懸念いたしながら、同時に、また、海外経済協力という面で推進してもまいったわけでございますが、一番問題は、近隣諸国に対しますところの、後発途上国にプラントを輸出いたしますことが、わが国自体としましてはその輸出市場を喪失し、今度は逆にほぞをかむといったようなことがないようにという配慮はもちろん考えなくては相なりませんが、また、反面、伸びてまいります後発途上国のわが国に対します要請にこたえなかったならば、その国はそれでもってそのプラントをつくらないかと申しますと、そうではなくて、あるいはヨーロッパ方面あるいはその他各国からのその国に対しますプラントの売り込みと申しますか、競争というものが相当あるわけで、もし日本がそれに応じない場合には直ちに逆によその国からその発注に対して受注するというようなことにも相なってしまうという、こういうふうな痛しかゆしの面も出てまいるのでございます。  また、反面、今日輸出が大変問題になっておりますけれども、単体の輸出やなんかではなく、後発途上国の方からの要請、なかんずく産油国方面からの要請に対しまして、それにこたえてプラントを出してまいるということは、国際経済の上から申すならば、偏在いたします産油国のオイルマネーのリサイクルというような意味から申しましても、これはむしろ国際的に大きな意義を持つものでございますのみならず、これらの要請がまたわが国経済に対します——これがほとんどがタイイングでございますから、その契約の成立と同時に直ちに日本に対します発注というかっこうになってまいります。このことはむしろ設備投資その他が非常に推進されるという景気回復効果も非常に大きいのでございまして、今回お願いをいたしました大型プロジェクト、あるいはまた大型プラントに対します保証状というふうなものが今日までネックになっておりまして、いろいろなコミットはいたしましても、それが実際には履行できないという、日本にとりましては大変に不信を買っておった問題を一つ解決いたすことに相なるのでございます。  かような意味から、プラント輸出という問題も、先生の御懸念は私も感を同じくいたしますが、同時に、また、国策として推進をしてまいらなければならない、かように考える次第でございます。
  19. 佐野進

    佐野(進)委員 これだけやっておりますと時間が経過いたしますので、次の問題に進みたいと思いますが、いずれにせよ、景気対策は現内閣の最大課題であるにもかかわらず遅々として、進む状況ではあり得ないし、このままの態勢の中では、五十二年度も相変わらず不況の中で国民が苦しむという状況が予想されておりますので、対外的、対内的な状況を判断いたしますと、ひとつ一層の努力を通産当局も経済企画庁もしていただきたいと思うわけであります。  さて、次の問題は、資源エネルギーの問題に関連してでありますが、この問題はたくさん内容があるわけでございますが、まず、第一に御質問したいことは石油元売りの価格の問題であります。  御承知のとおり、出光が発表し、あるいは日本石油が発表し、その他これに追随して価格の引き上げが発表されつつあるわけでありまするけれども、これについて通産当局としてはどのように対応しておられるか、この際長官にその見解をただしたいと思います。
  20. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のとおり、元売り十三社のうち、現在まで十社が値上げ案を提示いたしまして、ユーザーと交渉に入っておるわけでございます。  御承知のとおり、昨年のドーハの総会では、価格につきまして五%アップの国と一〇%アップの国ということで、いわゆる二重価格制になってきておるわけでございます。これにつきましては、われわれの計算によりますと、かれこれ七、八%の原油価格の値上がりとなって影響が出てくるのじゃなかろうかと思っております。といたしますと、日本全体としては十七ないし十八億ドル、五千億円前後になろうかと思いますが、ただ、個々の企業につきましては、それぞれ五%アップあるいは一〇%アップの油をどの程度に引いてくるかということは必ずしもはっきりいたしておらないわけでございますが、ただ、いずれにいたしましても、五千億円程度の原油価格の上昇ということは、現在の石油企業が置かれております経営体質からいたしまして、これをみずから吸収するということには限界があるといったところから、それぞれ三月一日からあるいは四月一日からといったようなことで、十社の元売り企業が値上げ交渉に入っておるわけでございます。  これに対しまして、われわれといたしましては、ただいま日本経済全体も非常に長い不況に呻吟しておるわけでございまして、石油業界とユーザー業界との相互の交渉を当面見守っていくという姿勢をとっておるわけでございますが、ただ、灯油につきましては、たまたま需要期に特に例年以上の異常寒波等の関係があって消費が伸びております。そういった時期でございますので、一方で増産を指導するとともに、価格につきましては、直接家計への影響を避けるためにこの需要期は据え置くようにというふうに指導いたしておるわけでございます。
  21. 佐野進

    佐野(進)委員 この問題はまた長くやっていると時間がありませんから、きわめて簡潔に質問しますが、いわゆる国民的な感覚から言いますと、円が強くなっていく、二百八十何円になった、いわゆる三百何円から二百八十何円の間を高下している、しかし、いまは強くなって高いところで安定している、そうなると必然的にその中で為替差益が出てくる、いわゆるOPECの値上げによって損害が出ると同時に、円が強くなることによって利益が出てくる、そして各石油元売り会社の決算を見ても、非常に決算内容のいい会社もある、と、こういうときなぜ値上げしなければならないか。その値上げした価格はどこへはね返ってくるかということになれば、結果的に消費者の上にはね返ってくる。こういうことは当然のこととして予想されるけれども、そのとおりになるわけです。そういう場合に通産当局がこれに対して傍観しているということは——灯油の場合にはきわめて政治的な発言をされて、大臣の発言が一つのきっかけとなって効果をあらわしてきたわけでございますけれども、この石油元売り価格の値上げに関して各社が統一的な値段を出さないで、それぞればらばらで発表しているけれども、全社が恐らくこれに追随していくことは当然間違いない。そうなりますと、いわゆるOPEC、産油国の値上げ、それもそれぞれ条件的に違いがあるわけでございますが、これに便乗したというか、現実の内容にかかわらず結果的にそれに便乗した形の中で特定の利益を追求していくのではないかという疑問は払い切れないわけであります。  通産大臣、これらの点について内容をよく調査した上で、それぞれの企業に対しての一定の歯どめというか、指導というか、そういうことがやり得るのではないかと私は判断するわけでございますが、それは無理なのかどうか。あるいは通産としてはこれに対してどう御判断をされておるか。  それから、それぞれ企業はばらばらでありますけれども、同時値上げという形の中で恐らくこれが処理されようとしておるわけでございますけれども、むしろ、公正取引委員会としては、その背後における一つの動きを厳重に監視する必要があると思うのでありますが、公正取引委員会委員長としてはどうでありましょうか。  さらに、経済企画庁長官としては、これら諸物価高騰の重要な原因になっていくこの石油価格の値上げに対してどのように御判断になっておられるか。  それぞれお答えをいただきたいと思います。
  22. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  OPECの値上げの問題のいろいろなこれからの分析、見通しという問題もなかなかむずかしい次第でございますが、しかしながら、いまの石油各社の値上げの発表等に当たりましても、なお需要家、ユーザーの方との交渉の今後の経過も見守ってまいらなくてはならぬと存じております。  一方におきます為替差益という問題と、さらにまた各社の累積債務という問題がこれに対してどのように吸収されるかという問題やら、いろいろと問題があります。さらに、その中に、民族系の会社あるいは外国系の会社との問題等、今後これらの問題を注視してまいりたいと考えておりますが、要は、国民経済全般に与えます影響等々につきまして十分にこれを監視してまいらなくてはならぬと存じておる次第でございます。  なお、詳細なことにつきましては担当の者から御報告いたしますが、私といたしましては、国民経済に与えますOPECの価格の問題あるいは為替差益の問題等につきましては、重大関心を持って見守っておる次第でございます。
  23. 澤田悌

    ○澤田政府委員 御指摘の石油元売り業者が、石油製品の販売価格の引き上げにつきまして三月ないし四月から実施すると発表したことは私どもも承知いたしておりますが、今回の石油製品の販売価格の引き上げがいわゆるカルテル行為によるものであるかどうかというような点につきましては明らかではございませんけれども、もしそのようなことがありますれば、御指摘のように独占禁止法の規定に基づきまして厳正に対処すべきものと考えておるのでありまして、そのようなことのないように、今後とも情報の入手、監視に努めてまいりたいと考えております。
  24. 倉成正

    倉成国務大臣 OPECの原油値上げの問題は一〇%、五%とありますので、総じて七%ないし八%と計算いたしますと、産業連関表を使っての計算によりますと、最終的には卸売物価に〇・七%ないし〇・八%の影響を及ぼすということになっております。消費者物価が〇・三%ということでありますが、五十一年度中に大体一月の下旬ぐらいから卸売物価に影響が出てまいりまして、五十一年度中に大体〇・三%、五十二年度以降に残りの〇・四、五%が出てくるのじゃなかろうか、消費者物価の方は大体五十二年度に持ち越されるのじゃなかろうかと思っておるわけでございます。したがいまして、通産大臣が申されましたように、灯油については需要期について据え置きというようなことでございますので、この石油関係の価格についてはこれから十分目を光らしていきたいと思っておるわけでございます。  なお、為替差益の問題は、きょうの寄りつき値が二百八十二円でございまして、昨日の最終値も二百八十二円でございまして、大体まあこの辺にここ十日間ぐらいは推移しておるわけでございます。一月の平均が二百八十九円、それから昨年の末が三百円というようなところでございまして、大体、為替相場は、御承知のとおり、短期的には需給関係、長期的には卸売物価ということで決まってくると思うわけですけれども、この情勢がどこまで続くかということによってこれを判断していかなければいけないということでございますので、為替相場の円高が物価に反映することができるように、いまその品目についてずっと追跡調査をしているというのが現況でございます。
  25. 佐野進

    佐野(進)委員 長官には後でいまの問題に関連して一緒に質問いたします。  エネルギー庁長官には、先ほどの私の行政指導をもう少し強力にしたらどうかということについての大臣答弁がございませんので、それをまずやっていただきたいということと、さらに、これに関連して幾つかの点をこの際聞いておきたいと思うわけでありますが、まず、第一に、昨年の臨時国会で通過いたしました揮発油販売業法の政省令の作業がどのように進んでいるか、この際ひとつ御説明をいただきたいと思うのであります。法律による時間切れは五月二十四日だということでございますが、それまでの間にどのような形の中でその処置がとり行われるようになるのかということと、さらに指定地域の数はどのくらいになると判断されておるのか。それぞれ地方通産局を通じて実態調査に入っておられるようでございますので、その点についてまず第一にお聞きをしておきたいと思うわけであります。  先ほどの問題が第一、それからこれが二つ目です。
  26. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、為替の円高問題と石油製品価格の行政指導の点でございますが、これにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、とりあえず灯油について行政指導をいたしておりますが、その他の製品につきましては行政指導をするのに非常にむずかしい段階にあるということでございまして、御承知のように、石油で為替差益が出る場合は一応二つ考えられます。  一つは、値決めをする際にどの程度の為替レートを設定して交渉に入るかということでございまして、過去の例から申しますと、期近の三カ月の平均値をベースにしてやっておるようでございます。その値決めが決まった結果、現実の取引が行われる段階での為替レートとの差という形で一つ出てくるかと思います。  それから、いま一つは、輸出国から船積みになった時点でのレートと、たとえば中近東の場合二十日ほどの航海日数を要して通関して、その後ユーザンスの期間が過ぎまして現実に代金を支払う場合におけるレートと、それの差がどうなるかというような問題になりまして、極端に申し上げますと一船ごとにその為替差損あるいは差益の幅というものが違ってくるわけでございます。そういった問題点が一つございます。  それから、もう一つ、この問題を複雑にいたしておりますのはやはりOPECの二重価格制でございまして、会社によりまして区々でございます。今回の各社の値上げなどを見ましても、原油価格についての最高と最低でやはり数百円の差があるといったような現実でございます。そういったところから、行政指導いたしますに当たりましても、それぞれの企業の実情に応じてということになると非常にむずかしい状態になってまいるということで、先ほどお答えいたしましたように情勢を注視せざるを得ないということであるわけでございます。  それから、二つ目の揮発油販売業法の政省令の問題でございますが、これは昨年の十一月二十五日に公布され、六カ月を超えない範囲内で施行されるということになっておりまして、遅くとも今年の五月二十四日までに諸般の準備を完了せざるを得ないということで、現在必要な実態調査を鋭意進めておる、それを分析しながら政省令を固めつつある、こういう段階でございます。  それから、御指摘の地域の指定につきましても、同じように全国のガソリンスタンドにつきまして、その販売状況あるいは経理状況調査いたしておりまして、現在それの分析を急いでおるわけでございます。御承知のように法律に幾つかの要件規定がございまして、当該地域の販売量が、全国平均あるいは大都市、中小都市、農村部といったような地域の特性を勘案いたしまして、その平均値よりも下回っておる、しかもその地域で過当競争が行われ、かつはガソリンスタンドの経営自体が非常に困難になっておる、こういう要件に合致する地域はどの程度であろうかということで検討をまた続けておる段階でございまして、現在どの程度の数を指定するかということは申し上げかねますが、地域の単位といたしましては、市町村あるいは特別区といった単位で考えております。また、その状況によりましてはそれよりも細分化した地域で指定するということもあわせて検討しておる段階でございます。
  27. 佐野進

    佐野(進)委員 この法律は制定に際して大変議論のあった法律でありまするし、関係方面においても大変いろいろ神経をとがらしておる問題でもあろうと思うわけでございますけれども、もう少し聞いてみたいと思います。  それでは、非指定地域というものは指定地域に対してどういうような条件になっていくのか。いわゆる指定地域というものはいまの説明ではきわめて限られた段階ですから、多くの非指定地域ができてくる。これに対する対策を考えないで指定地域ということだけでは、この法律をつくった趣旨にも合致しないのではないかという気がするわけでございますが、いわゆる非指定地域というものについては、指定地域が決まったあとについてはすべて自由に行われるというぐあいに考えていいのかどうか、あるいはそうでなくて、これに対して適当な歯どめという措置が考えられておるのかどうか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。  さらに、関連いたしまして、法施行前にこの際建設を促進しようではないかという動きがそれぞれの地区においてきわめて顕著であるというようなことも私ども聞いておるわけでございますが、これに対してはどのような対応をしておられるのか、この際明らかにしていただきたいと思うわけであります。  そして、また、これらの問題を含めて三月末に流通小委員会が設置されるやに聞いておるわけでございまするが、この構想はどのようになっておるか、この際ひとつ御説明をしていただきたいと思います。
  28. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいまの先生の御質問の非指定地区についての問題は、従来行われておりました行政指導の取り扱いの問題ではないかというふうに考えますが、これにつきましては、現在なお関係方面の意見を徴しつつ検討を進めている段階でございます。ただ、石油危機以降省エネルギーの観点から実施しております給油所の凍結指導につきましては、この際全面的に再検討をし、見直していきたいというふうに考えております。ただ、新たな行政指導をどういう形でするかということにつきましては、ただいま申し上げましたように現在なお検討中であるということでございます。  それから、駆け込み的な動きにつきましてどう対処するかという問題でございますが、過日私どもの方で資源エネルギー庁に元売り各社の責任者を呼びまして、駆け込み建設の自粛等につきまして強く要請したところでございます。また、各通産局におきましても、当事者につきましてそれぞれ必要に応じまして行政指導に従うよう説得してきたところでありますが、今後ともこういう形で駆け込み的な動きが強くならないように積極的な努力を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、三番目に御質問がございました流通小委員会につきましては、発足の時期につきましてまだ必ずしも最終的な構想が固まっておりませんけれども、現在委員の方々の選定を急いでいるところでございます。
  29. 佐野進

    佐野(進)委員 時間がだんだん迫っておるわけですから、この際それらの問題について早く方針を明らかにするということが絶対必要だと思いますので、この際さらに二、三追加して質問をしてみたいと思います。  この法律の中で分析設備の問題があるわけでございまするが、この分析設備の問題についてはどういうような形の中で考えておられるが。いわゆる共同使用の問題等を含めてひとつお答えをいただきたいと思います。共同使用並びに購入方法、これは相当の費用等もかかるわけでございますので、その点はどうなっておるかということであります。  さらに、また、無印問題がこの法案成立に際して非常に大きな問題になっておったわけでございまするが、この無印問題に対する措置はどのようにいましておられるかということであります。  さらに、また、この政省令は時間的に言いますればもうタイムリミットがあるわけでございまするから、相当進捗しておると思うのでございまするが、その進捗の程度についてこの際明らかにしていただきたいと思うのです。  時間がございませんから一括して質問をしてみたいと思うのでございまするが、石油備蓄の問題であります。石油備蓄の問題に関しましては、前前国会でしたか、大変大きな問題として取り上げられ、これの法律ができたわけでございます。承るところによれば、昭和石油が中心になって新潟でできるようになったというように聞いておるわけでございまするが、第一号として新潟の石油備蓄会社ができるといたしましても、第二、第三の状況はどのようになっておるのか、この際一括御答弁をお願いしたいと思います。
  30. 古田徳昌

    ○古田政府委員 第一の御質問の分析設備の設置に関してでございますが、これにつきましては、揮発油の品質の確保が、消費対策の観点から、揮発油販売業者の健全な発達と並びましてこの業法の主要目的の一つということで強く掲げられているところでございますが、これを担保するために、揮発油の販売業者に分析設備を用いて揮発油の分析を行うことが義務づけられているところでございます。これは先生御承知のとおりでございますが、ただ、御指摘がございましたように、販売業者にこれが過大な負担とならないようにしたいということで、必ずしもすべての給油所に分析設備の設置を義務づけるということではなくて共同使用の形といったことを進めていきたいというふうに思っておりますが、ただ、これが何軒で一つ使うというふうな形がいいかということは、できるだけ負担を引き下げたいということと同時に、できるだけ実態にも合わせたいということで現在研究中でございます。早急に結論を出したいと思っております。  それから、無印の問題につきましても、この解決はむずかしい問題がいろいろあるわけでございますが、私どもの方としましても、無印の関係の代表の方々ともそれぞれにわたりましてお会いしまして、実情をよく伺って、法律の施行上無理のいかないような形で、政省令の決め方で解決していきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、政省令全体の進みぐあいでございますが、そういうことで実態の調査関係者の意見を十分反映する必要がございますので、必ずしもまだ最終的な姿に煮詰まっておりませんが、基本構想を固めまして、ただいま申し上げましたように、関係者の意見も十分聞きながらその具体化を急いでいるということで、四月になりますと関係方面との折衝を始めたいというふうに考えております。
  31. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石油の共同備蓄について私からお答えいたします。  本年、五十二年末までにトータルで共同備蓄能力を四百六十万キロリッターまで持っていきたいということで予算措置も講じておるわけでございますが、先ほど御指摘の新潟の第一号が百二十万キロリッターの能力を持つことになりますので、その差額をぜひともことしじゅうには実現いたさせたいということで努力いたしております。  二、三各地において話が進みつつございますが、まだ、この段階でどのような形態をとるかということを申し上げるまでには至っておりませんが、いまのところ大体目標を達成できるのではなかろうかというふうに考えております。
  32. 佐野進

    佐野(進)委員 この際、中小企業問題について質問をしてみたいと思ったのでございますが、時間がございませんので、この問題にしぼって次の機会質問するといたしまして、きょうは中小企業庁長官が来ておりますが、省略をいたしたいと思います。  その次に、大臣所信表明の中における国民生活の安定、向上に関係する問題について若干質問をしてみたいと思います。  この問題と、その次の産業立地、公害対策の問題とも関連するのでございまするが、私は、商工委員会委員として、近ごろ通産行政の中にいわゆる社会的批判を受ける問題が報ぜられることに対してはきわめて不満を持たざるを得ないと思うわけであります。したがって、私は、この際若干の問題について、具体的な問題としてそれを指摘しながら質問をしてみたいと思うわけであります。  けさの新聞、さらにはまたテレビあるいはその他の雑誌等で報道されておる問題でありまするが、アルミサッシに関係するJIS規格に外れた品物に対して、通産当局がこれに対する調査をしていながら、大企業というか、その業界の立場に立ったというか、この内容発表についてきわめて不明朗な動きがあるということが各方面から指摘され、報道がされておるわけであります。通産行政国民生活の安定と向上のためにあるんだと、大きな柱の一つとして大臣所信を表明しておられるにもかかわらず、国民の利益に反するような行為、行動がその中で行われておるとするならば、これはきわめて遺憾なことであると断ぜざるを得ないわけであります。  この問題については大臣はすでにお気づきのことであり、報告を受けておられると思いますので、これらの問題に対する通産当局としての取り扱いはどうなのか、この際原則的に大臣見解をお聞かせいただきたいと思います。
  33. 田中龍夫

    田中国務大臣 先生の御指摘のとおり、通産行政というものは国家、国民のための行政指導でなくては相ならぬのでありまして、その点につきまして、ただいま御指摘の件は私はまだ詳細な報告を受けておりませんので、担当の政府委員からお答えいたさせます。
  34. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 アルミサッシの件につきましてお答え申し上げたいと思います。  いま御指摘がございましたアルミサッシの欠陥の問題でございますが、実は、アルミサッシの業界は非常な過当競争をいたしておりまして、品質について危ない問題があるのではないかということがございまして、昨年春過ぎから実は試買テストをやったわけでございます。試買テストをやりまして、一番品質上の問題点の一つでありますところの酸化皮膜の被覆の厚さにつきましてテストをしたわけでございます。そのうち相当数のものが、JIS規格で定められました九ミクロンというものが指定された厚さでございますが、それに達しませんで、不合格のものがあったわけでございます。ただ、試買テストをやりました件数がわりあいに数が少なかったことと、それからアルミサッシの機能の問題から申しますと、必ずしも被覆だけで機能を云々するのは当たらないということがございまして、気密性とか水密性とかいろいろな問題がございまして、その辺につきましてはまず問題はなかろうということでございますが、その被覆の問題につきまして、JIS規格に合格しないものがあるということでございます。  それから、JIS工場に指定されておりません会社の工場の製品につきましてもテストをいたしまして、そのものもJIS規格には到達しないものがあったわけでございますが、そのものは直接JIS違反にはならないわけでございますが、いずれにいたしましても、JISで定められました皮膜の厚さに達しないものが数社あったということは事実でございます。これにつきましては、その後、その不良な製品を出しました工場に対しまして直ちに行政指導で直させておりまして、現在では皮膜の問題についてはほとんど直っておるわけでございます。  その公表の問題でございますが、そのような非常な混乱といいますか、過当競争にあります業界でもございますので、これを品質問題全般として公表することはいかがかということで、皮膜の問題だけについてでございますので、その点について行政指導をして、その改善方を指導しておったという次第でございます。  実は、先般、そういうことから報道の方にキャッチされるところがございまして、これに発表するかどうかという問題を提示されたわけでございますが、私どもとしては、実際にその調査内容いかんによりまして影響等も考える必要がございますので、試買テストしたものを全部必ず公表するという立場をとっていないわけでございますが、今回につきましては、そういうことで混乱を生じたということもございますので、そろえましたデータは全部公表するということにいたしたという次第でございます。
  35. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、あなたがいまよく知りませんのでと言われたことはきわめて遺憾だと私は思うのです。これはもうテレビでも報道して、私は二回もテレビで見ております。私は余りテレビを見る機会はないのですが、二回もテレビを見ておまするし、新聞にもたびたび出ておりまするし、さらに雑誌にも出ておるわけです。ここに持ってきておりますが、時間がありませんから省略いたしますが、この種の問題は、問題がきわめて小さいと御判断なされることではなくして、国民消費生活生活安定に対してきわめて重大な問題であると思えばこそ、それらのいわゆる報道機関が取り上げておるのではないかと感ずるわけでございます。したがって、報告がなされていなかったということだけでなく、やはり、報告を求めて積極的に対処していただかなければならぬ。  私は、実は、この業界の問題について去年この席上から質問をしておるわけです。いわゆる過当競争がダンピングを招き、結果的に中小企業、中小規模経営者がこのことについて倒産に追い込まれている事例を幾つか取り上げながら質問をしていることもあるわけです。その一環としてこれらの問題が出てきているわけです。悪い品物を安い値段で売って中小企業を倒産させて、自分たちだけが残ればいいという形の中における一つの具体的な証拠がこれであろうと思うのです。しかも、それを取り上げて調査していながら、それを公表しないでやみからやみへ葬ろうというがごとき態度は断じてあってはならない。時間がございませんから、このことについての追及はやめますけれども大臣のそれに対する心構えを承りたい。  さらに、もう一つ通産省の評判がきわめてどうかと思われる問題として、環境アセスメント法の取り扱いがあります。ここのところしばらくその報道は変わってきておりますけれども、最初は通産省は断固反対だというような意味の報道が強く一般的に流布されておるわけでございますが、これについて、いま通産当局としてはやはり断固反対という態度なのか、環境庁に対して協力的な姿勢の中で対応しておるのか、この際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。  さらに、時間がございませんから、最後に公正取引委員長見解を聞いておきたいと思うのでありますが、いわゆる独禁法の改正問題であります。いま、それぞれ、与党は与党間で、野党野党間でこの法案の改正成立のために全力を尽くして努力をいたしておりますが、その努力をしているわりに、今回公正取引委員会は、この所信表明の中で触れてはおりますけれども、対応する熱意というものは前公正取引委員長に比べるときわめて消極的であるという印象をぬぐい得ないわけでございますけれども、あなたの決意をこの際聞いておきたいと思います。
  36. 田中龍夫

    田中国務大臣 前段のアルミサッシの問題につきまして、寡聞にして私が情報を得ておらなかった点は、責任者といたしましてまことに国民におわびをしなければならぬことと存じます。今後なお一層かような問題につきましても十分に配意いたしまして措置をしたいと存じます。  なお、また、通産行政の根本という問題で先生がおっしゃいましたが、わが通産行政は国家、国民経済のために全力を挙げて御協力を申し上げておる次第でありまして、環境アセスメントの問題につきまして断固反対とかなんとかというふうな表現が新聞等に出ておりますれば、それは全く誤りでございます。一例を申すならば、原子力発電の問題にいたしましても、まず考えなければならぬのは、国民の皆さま方の深い御理解と御認識と御協力がなくてはならぬのでありまして、環境アセスメントの問題につきましても、その国民的な評価というものについて、特に国民経済上重要な幾多の生産活動を所管いたしております者といたしまして、必要な関係各省庁、特に環境庁との連絡を緊密にいたし、また、わが方におきましても意見の交換をただいま遂げておるところでございます。
  37. 澤田悌

    ○澤田政府委員 独占禁止改正問題についてのお尋ねでございますが、私が昨年四月に委員長に就任して以来一貫して申し上げておりますことは、寡占化が進むような経済社会状況にかんがみて独占禁止法の強化のための改正が必要であるということ、その際におきまして、第七十五国会におきまして衆議院で全会一致で修正可決されましたいわゆる五党修正案を基本としてお考え願いたいということ、これは全然変わっていないのでございます。  現在、そういったいろいろないきさつを踏まえて法案作成の調整が続けられておる段階でございますけれども、その際におきましても、私の一貫した希望の線に沿って実現されますことをこいねがっておる点は申し上げるまでもないところでございます。
  38. 佐野進

    佐野(進)委員 時間が参りましたので終わりますが、質問し得なかった問題については、いずれ改めて機会を得て質問をしてみたいと思います。
  39. 野呂恭一

    野呂委員長 清水男君。
  40. 清水勇

    ○清水委員 時間の関係もありますので、最前佐野委員から触れられた点については簡略にお尋ねをしてみたいと思います。  まず、両大臣所信表明を私なりに熟読玩味をさせてもらいましたが、たとえば通産大臣は、通産行政の当面する第一の課題景気の浮揚である、その立場で、公共事業費を前年度比二一・四%引き伸ばすことによって特に景気浮揚効果を期待する、と、こういうことを強調されておられるわけであります。これについてわれわれ野党は、すでに御承知のように、同時に一兆円減税を通して景気の浮揚を図ることの意義を訴えていたわけでありますが、御承知のように福田首相は、一兆円の減税などということはわが国経済にとって自殺行為であるということを主張し続けられていたわけでありますが、結果は御承知のとおりに相なったわけであります。  ところが、与野党の幹事長、書記長会談等の場で最終的な合意に達する過程で、たとえば大蔵省は、ここで大幅減税を認めるなどということは屈辱的なことであるというようなことを非公式に新聞等を通じて言われておるようでありますけれども、私は、少なくとも、今度の予算修正を伴う減税措置というものが副次的に景気刺激に少なからぬ影響を与える、とりわけ国民に心理的な影響を与えると考えておりまして、よりベターな方向ではないかというように考えておるわけでありますが、この点について大臣はどのように所信をお持ちであるか、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  41. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  私も、内閣の一員といたしまして、非常に落ち込んでおり、また、財源の枯渇いたしておりまするこのときにおいて、苦しい中で景気を浮揚しなければならぬという非常にむずかしい命題に取り組んでおるわけでございます。私は、国家経済国民経済が一日も速やかに安定し、そして景気が浮揚いたしますように、そのためには減税という方法もございましょうし、あるいはまた公共投資という方法もございましょうし、結局どちらが一体投資効果があるのだろうかという純粋な率直な意見からいろいろと討論がなされておった、と、かように考えておるのでございます。財源がございますれば両者を併用いたしたならばなおさら結構なことではないかという点で、政府といたしましては、何らこだわるところなく率直に国を挙げての御要望にこたえ、また、与野党一体となって国家のために経済の復興に取り組んでおる、この挙国的な姿というものは実にりっぱなものである、私はかように存じております。
  42. 清水勇

    ○清水委員 次に、私は経企庁長官並びに通産大臣に承りたいわけでありますが、政府は五十二年度の実質成長の見通しを六・七%というふうに置いておられるわけでありますが、私はもともとこの六・七%という数字は少し甘いのではないかという見方をしている一人でありますが、昨今の情勢を踏まえてなお六・七%という見通しを変えるつもりがないかどうか、お尋ねをしたいのであります。  現に、本委員会でも、倉成長官は、五十一年度における実質五・七%の達成についてはおよそ三%のげたが大きく寄与しているというような趣旨のことを述べておられるわけでありますが、都合、五十一年度における実質的な経済成長は二・七%くらいというふうに見られるべきなんでありましょうが、そういう状況を踏まえつつ、同時にまた五十二年度における六・七%の実質成長について言えば、本年一月から三月に至る一−三月期の景気回復が加速をするということを一つの前提にされておられるのではないかと思うのであります。しかし、現実的にはどうかというと、さまざまな経済指標が最近発表されているわけでありますが、たとえばそういう一連の指標を通して言える趨勢というものは、残念ながら政府の期待を裏切る状況になっているのではないかと思う。時間がないので具体的なことは申し上げませんが、生産活動の下降停滞あるいは設備投資にも動意が見られない。  こうした中で、通産大臣からもけさ改めて四項目にわたる景気対策方向が示されているわけでありますが、たとえばあしたから公定歩合の引き下げを行い、企業金利負担を下げることを通しながら景気のてこ入れをやりたいということも一つ課題として示されてはおりますけれども、現実には、たとえば最近の日本経済新聞調査の結果を見ても、東証一部上場企業の三百十九社の投資計画を見ると、工事ベースで五十一年比二・五%増にすぎない。しばしば経企庁長官が述べておられるように、製造業における一二・二%の設備投資を期待するという方針があるわけでありますが、この数字とは大きくかけ離れている。あるいは電力における設備投資促進にいたしましても、現実には、地域住民の抵抗という問題から、そう円滑にこれが推移するというような見通しもないし、また、とりわけ政府が期待する中小企業における設備投資の増大ということについても、最近の中小公庫の報告を待つまでもなく、前期に比して一四%余りの低下というような一連の見通しが出されてきているわけでございます。  そういう意味で、一体、そういう状況を加味しつつもなお当初の六・七%でいけるというたてまえに立っておられるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  43. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの御質問は大体二つに分けることができると思います。五十一年度は五・七%の成長が達成できるか、さらに五十二年度の六・七%の成長というのは甘いのではないか、と、そういう御質問だと思います。  そこで、お答えしたいと思いますが、五十一年度の経済成長は、御承知のように前半期の一−三月に非常に伸びまして、夏ごろから輸出の鈍化、個人消費の停滞ということから少し伸びが鈍化してきたということは御指摘のとおりでございます。ただ、御理解いただきたいのは、五十一年度の経済成長というのは一体何かということになりますと、五十年度の平均の水準と五十一年度の平均の水準との差が五・七%あるかどうかというふうに理解してよろしゅうございますか。——そういうことでありますと、確かに、最初のスピードが伸びて後少し緩やかになってきましても、高い水準でずっと来ているわけですから、したがって五十一年度の経済成長というのは五・七%成長は達成できるというふうにわれわれは考えておるわけであります。四半期別の国民所得統計、いわゆるQE指数というものをきょう発表いたしますけれども、これによりますと十−十二月は瞬間風速〇・六、前期比に対して〇・六、したがって、これを四倍しますと二・四、五%の成長ということになるわけですが、一−三月ば伸びると私は思うのです。  どうして十−十二月が落ち込んだかというか、速度が鈍いかといいますと、一つは、七−九月に住宅投資がちょっと足踏みをしたということが響いております。それから公共支出、地方公共団体の支出等がなかなか十分伸びてこなかったということも一つ理由でございます。しかし、一月から最近までに至る状況を見ますと、補正予算あるいは七項目ということで国鉄、電電の取り戻し、あるいは地方財政支出が伸びておるという指標が出ておりますし、また、一月の個人消費を示す指標にいたしましても、百貨店は十二月は六・七でございましたが、一月は前年同月比で一〇・二という伸びで、これは少しバーゲンをしたとかいろいろなものがあろうかと思いますが、チェーンストアの方で見ますと、新しい店舗を除きまして一五・七、新店舗を入れますと二三・六と、消費がチェーンストア等で伸びておるわけです。また実質賃金もずっと着実に伸びつつあるわけでございまして、個人消費も堅調を示しておるということを考えてまいりますと、私は、一−三月は十−十二月の指標よりもかなりよい指標が出てくるというふうに考えておるわけでございます。  そこで、そういうことを踏まえまして、先生の御質問の、各種の統計等で出てくる見通しが少し暗いじゃないかということは、確かに、企業家心理としては、先行きに対して少しまだ気迷いをしておるということは事実でございます。いま、日本経済新聞やあるいは日本銀行の観測のお話がございましたけれども企業家心理というものは確かに非常に揺れ動いておるわけでございます。特に、不況業種を抱えているところ企業家心理というものは、全体が少し伸びておりましても自分のところのことだけしか考えておりませんから、やはり不景気であるという感じと、それに不景気だ不景気だという声が非常に加速化しているということですが、私は、日本経済全体は、いまの状況は決して悲観すべき状況ではないと思っておるわけでございます。  設備投資にいたしましても、製造業については、御指摘のような点は製造業の一番横綱である鉄鋼が稼働率が低いわけですから、したがって、全体として非常に冷え込んだ感じを持っておることは確かに事実でありますし、五十二年度も鉄鋼を中心とするそういう製造業については余り大きく期待できないと思っておりますが、しかし、非製造業の面について申しますと、電力を中心に卸、小売あるいは運輸関係、また中小企業というのは、それぞれプラスしてまいりますとかなり設備投資はできると私は思っておるわけでございます。  私が申し上げました一二・二という名目の伸びは製造業だけを申したのではなくて、製造業と非製造業を合わせた全体の民間の設備投資を御説明いたしたわけでございますので、その点は御運解いただきたいと思うのでございます。  したがって、設備投資また個人消費という、需要項目の一番最大項目がこのような形でじりじり上ってまいりますと、あとは問題は輸出がどうかということですが、輸出の方は、来年の世界景気が若干停滞する——まあ、停滞とまで言うと言い過ぎでしょうが、ことしよりも伸びが鈍化するということから考えまして、輸出は五十一年度は大体二〇%弱と見ておったのを、来年度は一二%前後の輸出ということで輸出項目を抑えております。それでも少しはずみが足らないというので、五十二年度の予算において、需要創出項目の非常に高い公共事業をてことした予算編成をいたしておるわけでございまして、この予算は、政府の財貨サービスの中で公共事業その他資本支出——これは国の一般会計だけではなくして、特別会計、公社、公団あるいは地方財政、地方の公営企業というようなものを全部おしなべてみなければならないわけでありますが、そういうものを全部合わせまして、補助金等の重複計算を差し引いて、それから土地代を差し引いたものが十八兆二千五百億で、昨年の資本支出に比しますと二兆五千億ふえておるということになっておるわけであります。  これをてこにして景気浮揚のきっかけをつくりたい、しかし、それにしても企業家心理が冷え込んでおるので、何か一つもう少しはずみをつけようということで、先ほど通産大臣から御説明を申しましたような四項目、つまり、公共支出をひとつ早期に前倒しでやろう、また、住宅についても九万戸を四月に募集しよう、金利政策も進めよう、また、電力その他の設備投資もこれから推進していこうということをうたっておるわけでありまして、必ずこの見通しは達成できる、また、そうしなければならないと信じておる次第でございます。
  44. 清水勇

    ○清水委員 通産大臣は、所信表明の中で、昨年の夏以来設備投資であるとかあるいは個人消費支出が非常に不振である、この種の内需不振が今日の景気の低迷をもたらしておる、と、こういうことを指摘をされておられるわけでありますが、そこで、いま経企庁長官の話にもありましたけれども国民総支出のうちに占める個人消費支出の割合というものは、御承知のように石油パニック以降次第にその割合を大きくして、今日では五八%ぐらいという数字を示している。ところが、過ぐる三日に総理府の統計局が家計調査の結果を発表しておるわけでありますが、これによると、過去一年間の勤労者所帯における可処分所得が実質でマイナス〇・九、調査を始めて以来二十五年ぶりというような最低を記録したということを指摘しているわけであります。むろん、そういう状況に陥った主要な原因はいろいろあるでありましょうけれども、たとえば去年の春闘時におけるベースアップが低かったとか、あるいは夏等のボーナスも低く抑え込まれているとか、同時に、物価の上昇が依然として高騰をたどっておるとか、こういうところ一つの原因があることは明らかだというふうに思うのであります。  いずれにしても、一面ではその財政政策等を通して景気ドライブをつけるということもむろん政策的に重要な課題でありましょうけれども、同時に、内需の不振からの脱出という点から全体としての購買力をつけ、個人消費支出を増大し、このことを通しながら内需を活発にし、拡大をしていくということが景気対策上当然配慮されてしかるべきことではないのか。かつて、政府も、日経連等と共同する形で、ベースアップを低く抑えるといいましょうか、ガイドラインにとどめるというような指導をされた経過があるわけでありますが、今春闘についてはそういうことのないような方策を期待しておきたいと思います。  これは意見でありますが一それでは、簡単に答えてください。
  45. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま家計支出の中の勤労者世帯のお話がございましたが、これは御承知のように、独身世帯と農家がこの統計の中からは除かれておるわけでございます。仮にそういたしましても、全体を通ずる一般世帯を入れたのは、決して低くなっていないわけで、上昇して、実質一・二%程度伸びておるわけでございます。  それから、勤労者世帯をもう少し細かく分析いたしますと、五十一年歴年で全体で〇・九落ちているのですが、第一分位、すなわち所得の低い層の実質収入は一・四伸びております。いま申し上げたのは可処分所得です。保険料その他を引いた可処分所得は、全体としては〇・九マイナスになっておりますが、第一分位は一・四ふえております。このマイナス〇・九になった一番大きな原因は、第五分位、一番大きな所得の層の可処分所得がマイナス二・六と落ち込んだわけです。これが一番大きく原因しているということをひとつ御理解賜りたいわけです。  これは、一つは、耐久消費財、つまり、家具とか自動車とか、そういうものをあの狂乱物価の直後にこのクラスの人たちはいろいろ買い込んで、そして現在は一巡しているということもあるでしょう。それから、所得の第一分位の人たちはこれからまただんだんそういう耐久消費財を買っていくというようなこともあろうかと思うわけでありまして、消費支出の方を見ましても大体同じような傾向があらわれております。すなわち、所得の高い層の消費が減って所得の低い層の消費がふえておるというのが現実でございますので、御参考までに御報告いたしておきたいと思います。
  46. 清水勇

    ○清水委員 いまの点については意見がありますけれども、しかし、与えられている時間が非常に短いものですから、次に移りたいと思います。  そこで、通産大臣にエネルギー政策に関連して一言お聞きをしたいのでありますが、大臣は、所信表明の中で、資源エネルギー政策についてかなり字数を用いて強調されておられるわけでありますが、いずれにしても、その中で、石油への依存度を減らしてエネルギー源の多様化を図るということを強調されておられるわけでありますけれども、そこで承りたいことは、そのことは原子力エネルギーへの傾斜を意味するということであるかどうかという点なのであります。  わが国国民は、とりわけ核アレルギーが非常に強い。核に対する拒否反応が非常に強烈である。ですから、たとえば原発の建設等に対しては、随所でその計画に反対をするというような機運がある。これは単なる観念論から出てきているものではなしに、わが党の石野議員が先般予算委員会でも指摘をしているような事故等を通し、原子力の持つ危険性というものを痛感をし、同時に、言い方を変えて言えば、安全性の保障がないということから必然的に原発反対の運動が広がっているというふうに受けとめていかなければならないと思うのであります。このことについては、単にわが国だけの問題ではなしに、たとえば西ドイツにおいても、あるいはアメリカにおいても、それぞれわが国と同じような厳しい体験をしている。そして、新しいエネルギー政策のあり方を模索する中でエネルギー政策転換を余儀なくされるというような状況を示しているわけでございます。  ところが、通産省が仮に原子力に対する依存度を高めていくのだということであるとすれば、いよいよ住民との間におけるトラブルを誘発するというような結果にしかならないと思いますし、同時に、そのことは、五十年の十二月十九日でしたかに、「総合エネルギー政策基本方向」というものをすでに発表しておられるわけでありますけれども、その計画を大幅に遅滞させるだけではなしに、エネルギーの安定的な供給という命題についてもゆゆしい結果を招くということが想定をされるわけであります。現に、政府自身も、「総合エネルギー政策基本方向」について、これを修正しなければならないという事態に今日追い込まれているというふうに私は見ているわけでありますが、そうした現実を甘く見過ぎてはならないというふうに私は考えるわけであります。したがって、この際、エネルギー政策転換ということについても一定の検討が行われてしかるべきなのではないかと考えるわけであります。  時間がないものですから続けて申し上げてしまいますけれども、私は、基本的にエネルギー源の多様化という方向については賛成であります。しかし、その意味するところは、たとえばクリーンエネルギーといったような分野、具体的にはよく福田首相が言われる資源有限時代という今日であればなおのこと、太陽熱のような、文字どおり無限の資源を開発し利用するという立場に立ったサンシャイン計画といったものにもつと思い切った力を注ぐべきではないのか。この辺の政府の腰の入れ方がどうも弱いということを私は感じてならないわけであります。今後この点については別の機会に時間をかけて掘り下げていきたいというふうに思っておりますが、所信表明でも明らかにされているように、サンシャイン計画について言えば、四十八億千七百万円という、まさにりょうりょうたる予算しか計上されていない。あるいは新エネルギー開発の特殊法人の設立も見送らざるを得ないというような状況に陥っている。非常に対策としては粗末ではないかというふうに感じざるを得ないのであります。ソーラーハウスの普及などという新しいプロジェクトチームの編成という試みを私は評価をいたしますけれども、今後この点についてどのように前向きに対応されようとしているのか、通産大臣所信を承りたいと思います。
  47. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  所信表明におきます私の申し上げた内容は、まず国産のエネルギー源、準国産並びに輸入エネルギー、こういうふうに一応分けて考えました場合に、この国産のエネルギーの中におきまして、あるいは水力、あるいは地熱発電、あるいは国内におきまする石油、天然ガスとか石炭を見直していこうというふうな問題、さらにまた準国産とでも申しましょうか、つまり原子力の発電の問題、かような意味におきまして、海外に依存いたしておりまする日本のエネルギー源をできるだけ国内で自給度を高めてまいりたいという気持ちは先生の御指摘と全く同じでございます。  その中におきましてのサンシャイン計画と申しますか、新しいエネルギー源といたしましての地熱発電でありますとか、太陽熱の問題等、各種の計画がございまして、これに対しましては、私どもは、新しいエネルギー源として一生懸命に努力をいたしておるのでございますが、先生も御承知のとおりに、遺憾ながらこれが大量のエネルギー源として国民生活に寄与する段階にはまだ参っておりません。  その間におきまして、今年度つけました約四十九億ほどの予算が余りにも過小であるというような御指摘もございまするが、これは、今日までの研究をいたしましたものがパイロットプラントになりますだけの経費でございまして、この点だけがサンシャイン計画ではございません。  さて、本論に入りまして、私どもが原子力の発電に依存いたさなければならぬということは、前のように自由に石油その他が入ればよろしいのでございまするが、御案内のとおりに、OPECのいわゆる産油国におきまする厳しいナショナリズムの関係から申しましても昔のような状態ではないわけでありまして、油に依存するということの危険性から申しまして、できるだけ原子力発電を進めておるわけでございます。  しかしながら、先般もエネルギーに関しまする総合的な審議の発足に当たりましても示されましたように、まず、第一に、国民皆様方の原子力についてのアレルギーと申しますか、本当に納得をしていただいて、これならば安全だからという、安全度というものに対しまする国民の御了解といいますか、それがなければならぬので、この安全性の問題につきましては最も意を払っておるような次第でございます。  さらに、それにつきましても、あるいは国際的には、カナダとの交渉あるいはアメリカとの問題等々、御案内のどおりに原子力の問題もなかなか易々たるものではございません。今後ともにいろいろの外交的な努力やら、あるいはまた国内的な認識の徹底やら、あるいは資金調達等の多くの努力を払ってまいらなくてはならぬのでございます。  総じまして、結局われわれがこの高度の国民生活を維持していきますためには、どうしてもエネルギーというものがなければならない。その場合に、水力の開発にいたしましてもなかなか簡単ではございませんし、火力の発電におきましても多くの計画の支障を来しておるような状態でございます。そこで、今度は海外から石油の資源を求めるという中におきましても、給源を中近東だけに依存するという姿から、できるだけこれを分散して供給を受けるというような姿にいたしたい。これがこの給源の分散の計画でございまするが、また、同時に、中近東その他の面におきましても、やはり、こちらが資金を投じて自主開発をいたすことによりまして少なくとも安定した供給を確保したい、こういうふうな考え方でございます。  総合いたしまして、エネルギーの問題を分類いたしまして御説明申し上げれば以上でございまするが、なお、これにつきましては、今後の国家の最大の問題であるとさえ私は思っておりますので、どうぞ今後ともに御協力のほどをひとえにお願いを申し上げます。
  48. 清水勇

    ○清水委員 この点については、先ほども触れたように、また別の機会に所感を申し上げながら見解をただしていきたいと思います。  さて、次に、中小企業庁長官に、東洋バルヴの倒産に関連をしてお尋ねをしたいと思います。  長官はこれまでにもこの委員会でたびたびこのことに触れておられるわけなんでありますが、一つは、昨年十一月二十四日に更生手続開始の申し立てを行っているわけでありまして、すでに三カ月半になろうとしておるわけであります。これは通産当局もそうだと思いますが、関係者は早急な開始決定を期待している。そこで、今日まで得ている感触として、一体決定の時期がいつごろになるという見通しを持っておられるのか、もし御説明ができたらお願いをしたいと思います。  また、同時に、いままで、つまり東バルの倒産以前までの時点で、通産当局は、少なくともバルブ業界とか東洋バルヴについて、非常に優良なる業界であるとか、あるいは優良な企業であると見ていたのではないかというふうに思うのであります。東洋バルヴが倒産をするなんというようなことは恐らく予想もされていなかったのではないかと思うのでありますが、そうだとすると、どうしても、そういう点から業界に対する情報の収集なり行政指導なりといったようなものもほとんどなかったのでありましょうし、東洋バルヴの倒産ということを通して非常なショックを受けているのではないかというふうに感ずるわけでありますが、その辺について一体どのような見方をされておられるか。また、同時に、東洋バルヴの倒産の要因というものをどのように見ておられるのか。私は、経営陣の放漫あるいはずさんな経営姿勢を認めることにやぶさかではありませんけれども、同時に、三井物産などのいわゆる商社金融の介在というものも倒産の一因になっているのではないかというふうに見ているわけでありますが、見解をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 所管の企業でございますので、私から御答弁させていただきたいと思います。  いま先生の御指摘のとおり、東洋バルヴの倒産は私どもも、実は意外でございまして、この問題は、私どものみならず、この企業に多く貸し付けておりました各市中金融機関を含めまして、関係者一同非常に驚いたわけでございますが、この東洋バルヴの倒産の原因は、大きく分けますと五つほどあろうかと思います。第一は、石油ショック後の市況の一般的な悪化という問題がございます。それから第二は、五十一年の二月に完工を見ました新規設備投資がございます。これは約四十五億でございますが、いわば過度の設備投資が行われたという点でございます。それから第三番目は、この設備の合理化に伴います人員の配置転換がおくれたという問題があろうかと思います。それから四番目には、いま御指摘の特異な経営体質がやはり問題であろうと思います。最後に、商社金融への安易な依存という実態も確かにこの原因の一つに数えられるだろうというふうに考えております。  今後の再建の問題でございますが、いま、保全管理人によりますいろいろな会社の状況につきましての内容の監査、あるいは関係の債権者に対する協力要請等をし、それから生産等に対しましても、将来を踏まえたある程度の需要に見合った生産に圧縮されておりますが、こういった状況で今日までまいっておりますが、幸い、私どもが現在まで入手しております情報によりますと、会社の再建は着々と軌道に乗って進みつつあるやに承知をいたしております。  なお、債権者との間におきますところの、たとえば在庫品の扱い等々につきましての合意はまだ見ておりませんが、近い機会に裁判所からの当省に対します意見照会ということが逐次ございまして、それに対する回答も出す段階が恐らく近いのではないかというふうに私は考えております。  私どもとしては、できるだけ早くこの企業が再建に乗りますよう期待をいたしておるわけでございます。
  50. 清水勇

    ○清水委員 私は、この機会に商社金融のあり方についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、従来から必要悪などと言われながら、現実に商社金融というものが存在をしておったわけでありますし、法律的にはともかく、道義的に、あるいは商行為のモラルといったような点でしばしば問題が投げかけられてまいっていると思います。  そこで、私は、この機会に東洋バルヴにおける商社金融の実態に触れながら少しただしてみたいと思うのでありますが、ここに、東洋バルヴ株式会社が出した、いわゆる商社金融にまつわる金利のトータル表があるわけでありますが、東洋バルヴと取引のあった商社は、三井物産を初めとして、丸紅、伊藤忠、日綿実業、兼松江商、トーメン、日商岩井、住友商事など十三社でございます。そして、金融のやり方は、東京バルヴから商社が製品または材料を買い付けるという形をとり、これに対して手形を振り出す。こういう決済のパターンがとられているわけでありますが、しかし、実際は製品も材料も動いておるわけじゃない。商社に対して東洋バルヴが買い戻し契約を入れていることでもわかるように、運転資金確保のために製品や材料を担保に入れて融資を受けるという形態がとられているわけであります。  そういう形で発行される手形は、一カ月据え置きで四カ月返済というのが通常のようでありますが、私がここで問題にしたいのは、その金利が不当に高いということなんです。三井物産が先鞭をつけて他の商社が追随をしているわけでありますが、口銭として一飯五%、プラス金利として九%から最高一〇・五%を取っておる。つまり、トータルをすると一四%から一五・五%という金利になるわけであります。ここでいう口銭というのは、商社側が利息制限法の抵触から逃れるためのものであろうと私は思うのでありますが、したがって、東洋バルヴだけに取られている形態ではなしに、一般的な傾向だと言ってもいいと思うのでありますが、仮に口銭と言おうが、手数料と言おうが、実態的に利息であることには変わりがない。  ところで、この利息制限法では、百万円以上については年利一割五分という制限があることは御存じのとおりでありますけれども、東洋バルヴの場合には、たかだか半年そこそこの短期であるにもかかわらず、申し上げたような数字はきわめて不当な高金利であると言わなければなりませんし、まして一五・五%などということは明らかに利息制限法に違反をするものであるというふうに言わなければならぬと思います。そういう高金利を通して、商社が四十七年から五十一年の過去五カ年間に、たとえば製品名義で東バルから金利として取り立てたものが七十六億六千六百八十四万円余り、材料名義のものが九十一億二千五百十六万円余り、合わせて百六十七億九千二百万円という巨額な金利ということになっているわけでありますし、当然のこととして、東洋バルヴは、そのほかに手形の割引料を、これはまあ九%か一〇%と見られているわけでありますが、そういう金利負担もせざるを得ないわけでありますから、都合約二割五分からの金利負担をせざるを得ない。これではどんな優良な企業であってもやがて倒産に追い込まれるのは当然ではないかと私は見ているわけであります。  商社金融の実態を私はいま申し上げましたが、通産当局としては、このような商社金融のあり方についてどう考えているか、まず、お聞かせをいただきたいと思います。
  51. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の商社の信用供与の方式でございますが、確かに、商社が持っております大きな機能のいわゆる金融機能というのは、ある意味で現実の経済では認めていかなければならぬ重要な機能だと思います。商社の信用供与の形態はいろいろございまして、まず、短期、長期を含めまして直接的な、要するに貸付金というかっこうのものがありますが、これはいわゆる信用供与の全体の額から申しますとむしろ一部でございまして、いろいろな形をとっております。たとえば売り掛け債権というようなかっこうや、あるいは商品を買う場合の前渡し金というかっこうをとりましたり、あるいはいま先生から御指摘のありましたように、商社が一応商品を引き取って、売り主の方が買い戻しの特約をつけて、それで現実の金融をするという方式等、たくさんございます。  私ども、六大商社等を調べてみましても、ただいま申し上げましたように、直接的な貸付金というかっこうをとっているものの数倍に値するこういうかっこうの金融あるいは信用供与をやっておりますが、私ども基本的には、これは相手とのいろいろな関係もございまして、どの方式がいかぬとかいいということは行政当局としてはなかなか言いにくい問題だと思いますが、関係法規——ただいま先生から御指摘もございましたような、利息制限法に違反するというような問題は問題外でございますが、適法なものであれば信用供与の方式についてとやかく言う立場にはないのではないかと考えております。  御指摘の東洋バルヴの件につきまして、三井物産に私どもで事情を聴取いたしましたし、その他若干の商社に当たってみましたが、三井物産側の私どもへの説明によりますと、金利で大体九・二五、それから口銭——これはリスク負担が買い戻しとは申しましてもつきますので、口銭という名目で約三%、それから倉敷料、これで約一%、合計いたしますと、大体一三ないし一四%の実質的な金利を取っておる。それから、その他の商社につきましても、大体二二%前後の実質金利に当たる金利、口銭を取っておるようでございまして、それが実態だろうと思います。  ただ、基本的には、この商社の活動というのは、重要な金融のめんどうを見るという機能は認めなければいかぬと思いますけれども、相手方との関係その他につきまして、いわゆる大商社としての一つの規範と申しますか、考え方はやはりはっきりしておかなければいかぬと私ども思っておるのでございまして、機会をとらえまして、そういう商社の行動という面から、適正なこういう面におきましても行動をとってもらうように指導等をしていきたい。こういうふうに考えておるのが基本的な考え方でございます。
  52. 清水勇

    ○清水委員 時間もありませんのでこれ以上触れられないのが残念なんでありますが、いずれにしても、商社側は、金融機関から見放され、あるいは金融機関から思うように融資が受けられないという窮状にある中小企業等に対して、いわばめんどうを見てやるという形での商社金融という形を、必要悪という言い方もありましょうけれども、とっているケースがある。だから、百歩譲ってそのことを認めたとしても、私が今後の通産行政の面で期待をしたいのは、そういう中小企業の弱味につけ込むとか、あるいは足元を見て不当に高い金利を取り立てるというようなことは、現実の問題として対象企業の存立を危うくするという意味合いのものが少なくないわけですから、この点は厳に戒めていただくべきではないかと思うのです。また、同時に、大蔵省の銀行局にこのことについて問いただしたわけでありますけれども、これは金融機関の行為じゃないから通産行政の面でやってもらわなければしようがないというような意味合いのことを言っておられるわけでありますが、いずれにせよ、商社金融のあり方というものを含めて大蔵省当局などとも調整をして、いわゆる利息制限法に抵触するとか、抵触しないまでも、非常に不当な高金利というようなものについては少なくとも中小企業を擁護するというような観点からもひとつ対処をしてもらうべきではないか、こういうことを申し上げておきたいと思います。  会社更生法との関連で、私は法務省に二、三の質問を用意しておりましたが、大変残念ですが、時間の制限がございますので、この点はまた改めて質問をさせていただくことにして、きょうは一応終わることにいたします。
  53. 野呂恭一

    野呂委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  54. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西中清君。
  55. 西中清

    ○西中委員 私は、主にエネルギー問題についてお伺いをしたいと思います。  政府は、このほど、昭和六十五年を目標としてエネルギー政策需給見直しを策定するということを正式決定したようでございますけれども、その基本的な姿勢についてまず伺いたいと思います。
  56. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  今日までエネルギーの計画として持っておりましたのは、五十年の八月の総合エネルギー調査会の答申に基づきます十二月の閣議決定で、こういうふうな一例を申すならば、原子力の関係を四千九百万キロワットでありますとか、あるいは石炭の二千万トンというふうな計画でございますが、しかしながら、最近におきまして、エネルギー状況については、まず石油代替エネルギーの開発ことに原子力発電の開発でありますとか、あるいはLNG導入等が目標どおりの達成が懸念されておりましたり、あるいはまた電力につきましても電源立地のおくれが見られまして、中期的には一部地域が一これは北海道でありますとか中部、中国等でありますが、電力不足の到来するおそれもあります等、電力需給の逼迫が危惧されております。こういった点につきまして、今後総合エネルギー調査会等において検討することといたしておりまして、五十二年の夏ごろを目途といたしまして中間的な結論を得たいと、実は、かようにお願いをいたしておるような状態でございます。
  57. 西中清

    ○西中委員 この計画の設定に当たりましては、一つ前提となるべき問題を十分考えておかなければならないと私は思います。それは、現在エネルギーが非常に危機的状況にある、将来を展望した場合に問題が多い、不足するんじゃないかといった認識が高まっておるわけであります。このこと自体は私も異議をはさむものではないわけでございますけれども、この言葉の裏に、いわゆる産業界の要請というものに対して全面的にこたえていこうという強い意思が働いておるのではないかという問題でございます。  すなわち、このエネルギーの需要という問題については、そこにあらわれてきている数字は、結局は産業政策そのもの、すなわち人為的な数字にすぎないということでございます。現に、いままでのいろいろなエネルギーの需要に関する計画や数字については、それぞれの計画によってかなりの差があることは事実でございます。たとえて言いますと、ある一つ議論としましては、一九八五年の日本の電力設備の必要量を二億三千六百万キロワットとうたったものもございました。また、中には、八千五百万キロワットと三分の一ぐらいを挙げておるところもあるわけであります。この数字の可否をこの場で論ずるつもりはございませんけれども、問題は、結局は産業政策いかんにかかっているという問題であろうと思います。  御承知のとおり、日本消費電力の半分以上は大口電力が占めております。また、他の先進諸国より飛び抜けて比率が高いということも言えると思います。また、人口一人当たりの民生用のエネルギーの消費の割合は、日本の場合はアメリカの四分の一、西ドイツの二分の一という形になっておるのではないかと思います。つまり、エネルギー確保といっても、現状の産業界の延長線上に見通しを立てるということで事は済むんだということをこの際一遍考え直す必要があるのではないかと私は思います。一般的にも、いわゆる消費助長型から省力定着型へ、また、大量生産大量消費の膨張主義から省資源型へということが言われておるわけでございます。ですから、このエネルギーの問題の策定をやり直すということであれば、基本的にこの産業構造の問題等をしっかりと見直す必要があるのではないかと思うのです。  いろいろの計画がございますけれども、そういったものを見直した上でエネルギーの計画の策定というものが行われなければ、五十年暮れにつくられました総合エネルギー政策基本方向がペーパープランに終わりましたように、また再び同じような轍を踏むのではないかと、私はこのような危惧をいたしておるわけでございますが、このあたりにつきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。
  58. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  ただいまのお話でありますと、産業に奉仕するエネルギーのプランニングではおかしいじゃないかという御意見でもございましたが、産業とわれわれの国家経済の算定というものとの間に、お言葉の意味のような対立関係は一と申してはおかしいのですが、そういうものはない。つまり、国民経済計算におきまして、文化生活を今後一億の国民が営んでまいりますについて、レベルの高い日本国民経済ということから、一体年間どのくらいの伸びがあるのだろうかということを考えると、人口の自然増、あるいはまたそれに伴いまする消費の増、また正常な個人生活の算定ということから、むしろ逆にこのくらいの国民生活はどうしても維持していかなければならない——一例を申すならば、少なくとも六%以上の伸びは必然的に確保していかなければならぬ、と、こういうことから逆算をいたしました総エネルギーの計算でなければならぬ。かように存ずる次第でございますが、それでお答えになりますかどうか存じませんが、いまの御質問に対しましてそれだけお答えいたしておきます。
  59. 西中清

    ○西中委員 私の申しておることは、端的に申しますと、非常にエネルギーを消費する産業構造で、そしていろいろな物をつくって海外へぼんぼん輸出をするということで日本が生きていく。それはそれなりの一つの筋でありますけれども、いつまでも十分なエネルギーが確保できるわけじゃないのですから、その点で、産業構造の見直しをした上でエネルギーの政策を立てるのがいいのじゃないかという意味でございます。  この論議をしておりますとまた長くなりますので先へ進みますが、まず最初にお伺いしたいことは、日本とカナダのいわゆる原子力協定の改定の問題でございます。この点について新聞報道では、一部でございますけれども日本側の最終案を原則的に受け入れる旨の連絡があったというようなことが報道されておりますが、その辺のところはどうなっておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  60. 田中龍夫

    田中国務大臣 日本とカナダの間のウランの供給の問題につきまして交渉を続けておりましたが、八項目の中においてまだ決定を見なかった二項目等も話がだんだんと詰まりまして、近日中にはわれわれの交渉いたしておりました線に沿いましてほぼ妥結を得るに至る、と、かように見通しております。  なお、詳細な交渉の経過等につきましては、政府委員がおりますから詳しくお答えをいたしたいと存じます。
  61. 小林智彦

    ○小林説明員 補足させていただきます。  ただいま大臣から申し上げました二つの点と申しますのは、カナダが供給いたします天然ウランの濃縮に関することと、カナダが提供いたします資材に関連しまして、濃縮、再処理、それから重水の生産、それプラスカナダの供給することあるべき原子炉についての情報につきまして、日本から外に出ていくものをどうするかという点がございましたけれども、現在それらにつきましてはカナダ側で日本側の考え方を検討しておりまして、まだ正式な妥結というところまではいっておりませんけれども日本側の考え方につきましてカナダ側がかなり理解を示してきておりまして、近く妥結し得るのではないかとわれわれは考えております。  カナダが交渉を申し入れてきましたのは、今回は昨年の十二月でございました。しかし、カナダが今回このような交渉を申し入れるに至りました経緯は、実は、インドが一九七四年の五月に、インドに言わせますと平和核爆発でございますけれども、核爆発を行いまして、それがカナダから提供された原子炉によってつくられたのではないかということでカナダの国内で非常に問題になったようでございます。それを契機としまして、カナダが供給することあるべきウラン、原子炉等についてかなり厳しい規制をしていくべきじゃないかということになりまして、カナダは、日本のみならず、現在EEC諸国とも交渉いたしております。
  62. 西中清

    ○西中委員 妥結の時期は、見通しとしては一体どうなっておるのですか。  結局、この問題は、天然ウランの濃縮という、いわゆるアメリカに対する契約の問題もあるわけですから、それなりの日にちというものが三カ月たってきたわけですから、影響が出てくるんではないかと思っておりますが、その辺はどうでしょうか。
  63. 小林智彦

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  日本側はもちろんのこと、カナダ側も、そういう影響が出ないようにということで、できるだけ早く妥結するように、ただいま先生が申されました点を念頭に置きつつ、いま鋭意急いでやっている次第でございます。
  64. 西中清

    ○西中委員 次に、アメリカの核再処理問題について御質問をいたしたいと思います。  現在アメリカ側は核の拡散防止ということを念頭に置いた厳しい政策を打ち出してくるような背景が非常に頻々と伝えられておるわけであります。いわゆる使用済み核燃料の再処理技術開発という問題については認めないとか、また、三年間繰り延べするとか、いろいろと厳しいことが言われておるわけであります。  そこで、当然、わが国としても、今日まで核燃料のサイクル確立のかなめとして自主開発をしてまいりました動燃の再処理施設については、一応の予定では、ことしの夏試運転、そして来年は本格稼働というようなスケジュールになっておるようでございますけれども、いまのアメリカの厳しい姿勢からいくとこういう計画が一応とんざするような懸念があるわけでございますが、アメリカ政府の感触、また、日本側のそれに対する対処の仕方についてどういうようにお考えであるか、御答弁をお願いしたいと思います。
  65. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの再処理工場の建設と、また、将来の日本の最も重要な再処理工場の問題と、ただいまのカーター政権になりましてからのいろいろな問題につきまして、外務省の方の交渉の経過を外務省の方からお答えをしていただきます。
  66. 小林智彦

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  現在、御承知だと思いますが、アメリカ政府は、新しい原子力政策につきましてまだ政策を確定しておらない段階でございます。昨年のアメリカにおける大統領選挙戦の中でこの問題が取り上げられまして以来、それから、昨年の十月末に当時のフォード大統領の声明が出されまして以来、アメリカの新しい政策の輪郭についておぼろげながらわかってきたわけでございますが、その段階で日本政府日本の考え方を十分アメリカ説明する必要があるのではないかということで、昨年来何回かにわたりまして、いろいろな形でアメリカ側に対しまして日本側の基本的な態度を説明してまいっております。一番最近では、先月の中旬から下旬にかけまして、井上原子力委員会委員長代理を長とするミッションをアメリカに派遣いたしまして、十分に日本側の立場を説明してまいっております。それから、現在東京で行われております原産会議に来ておるアメリカ側の担当者の一部の方々とも、非公式ながらいろいろな話をする機会がございまして、日本側の考え方を十分伝えております。  ただ、現在までのところアメリカ政府としては政策を固めておらない段階で、恐らく各国とも非行式にぶつけ合っているのだと思いますが、したがいまして、まだ交渉に入るという段階には立ち至っていないのが現状でございます。
  67. 西中清

    ○西中委員 正式な交渉という段階ではないのでしょうけれども、いまもお話にあったように、現在こういった核の担当をしておられるアメリカのシャインマンですか、こういう方がおいでになっております。ですから、外務省なり関係各省としては一応いろいろの接触をしておられると思いますが、これは来るべき首脳会談の予備折衝という印象で受けとめていいのかどうか、その辺のところはどうでしょうか。  つけ加えますと、要するに、日米会談でこの問題が、細かい技術的なことは別問題として、政治的なこの会談の内容になるのかどうか、この辺のところはどうでしょうか。
  68. 小林智彦

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  現在、福田総理の訪米に伴います日米首脳会談の議題につきましてはアメリカ側と話し合っておると承知しておりまして、まだ固まっておりません。しかしながら、問題の重要性にかんがみまして、私どもといたしましては、これが首脳会談の話題、議題になるであろうと思っております。
  69. 西中清

    ○西中委員 それから、これはどこになるのかちょっとわかりませんが、こういった交渉の中で、新聞報道によりますと、日本の東海村の再処理工場を国際原子力機関といったところで再処理査察の技術を確立する場所に利用させる、提供する、こういうような考え方が出ておるようでございますけれども、この点については考え方が固まっておるのかどうなのか、その辺のところの事情を説明していただきたいと思います。
  70. 川崎雅弘

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  昨今、新聞報道等あるいは有識者の方々から、本件につきまして御指摘のようないろいろな案が報道されておりますが、私ども一々詳細には存じておりません。しかし、本件の重要性にかんがみまして、関係いたします通産省、外務省ともども、科学技術庁といたしましても、どのようにしてアメリカとの間での調和を図り、わが国の原子力平和利用に支障のないようにすることができるかどうかということにつき、目下鋭意検討を進めているところでございます。
  71. 西中清

    ○西中委員 その場合には一応アメリカの核政策と矛盾がないということはわかるわけですが、いわゆる民間ベースで第二再処理工場をつくろうというような構想が前からございますけれども、この構想は、こうした核政策の変化の中で可能性というものは非常に薄れていったのではないかと私は思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  72. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 わが国におきます使用済み燃料の再処理につきましては、御指摘の動燃事業団で、年間二百十トン能力のものがホットランに入ろうという段階にございます。その他、イギリス、フランス等にも再処理を委託いたしておりまして、ともあれ五十八年度までの手当ては済んでおるわけであります。  その後どうするかということになるわけでございますが、これまたただいま御指摘のように、第二再処理工場を民間でつくりたいということで検討を続けておることは事実でございます。そのためには、御承知のように、現在の原子炉等規制法を改正いたす必要もございます。この点につきましては、現在科学技術庁で今国会提案すべく検討中というふうに承知いたしておりますが、一方、アメリカの新政権によるところの新しい核政策がどうなるかということによりまして当然多大の影響を受ける可能性もあるわけでございます。  先ほど来質疑が行われておりますように、日本といたしましては、日本の置かれておるエネルギー事情あるいは核燃料の平和利用といった日本側の事情というものを機会あるごとにアメリカ側の方によく説明していくわけですが、先ほどもお話がございましたように、近く総理が行かれる場合にも、議題としてということは別といたしまして、いずれにいたしましても、この問題は話し合いにのるだろうと思います。問題は、わが国といたしましても、核の拡散防止に対しましては当然それだけの責務を果たす必要がございますが、その問題とこの平和利用とをどういうふうに調整をしていくかということが問題のポイントになろうかと思います。  いずれにいたしましても、日本のエネルギー事情というものを、あるいは核に対する日本の考え方というものを篤とアメリカ側にも納得させる、あるいは理解させるという努力が必要であろうかと思います。
  73. 西中清

    ○西中委員 時間もございませんので、次に、石油の値上げ問題についてお伺いをしたいと思います。  これがいよいよ本格化してまいったわけでございますけれども、現在、この値上げが非常に大きいということで産業界でもさまざまの反響を呼んでおるわけであります。当然またこれはいずれ消費者物価にもはね返ってくるという問題だけに、私たちとしても大きな関心を持たざるを得ないわけであります。  そこで、まず基本的な問題をお伺いしますけれども、OPECの原油の値上げがわが国の輸入価格をどれほど上昇させるのか、それから業界全体として年間どれくらいの負担増になるのか、また、その負担増という考え方の中に為替レートをどれくらいに考えておるのか、この辺のところをお伺いしたいと思います。
  74. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、今回のOPECの原油価格の値上げがどのようにわが国に影響を及ぼすかということでございますが、御承知のように、サウジアラビアとアブダビが五%アップを主張しておるわけでございます。この両国からわが国に入ります油の量は、五十一暦年、昨年の一—十二月で申し上げますと、全体の四二%程度になっております。その後、この一月になりましてから、メジャーからの通告あるいは産油国の発表等からいたしまして、まずまず年間通じまして七ないし八%程度の原油価格の上昇になるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。金額にいたしますと十七億から十八億ドルくらい、邦貨換算いたしましてかれこれ五千億円程度になるのではなかろうか、かように見ておるわけでございます。
  75. 西中清

    ○西中委員 一〇%と五%の値上げという、いわゆる二本立てでございますから、われわれとしてはどの程度各社がこの原油の負担を負うのか、この辺のところは非常にわからぬわけですね。しかも、物価問題から考えても、当然値上げはでき得る限り抑えていただきたいというのがわれわれの願いであります。  通産省としても、またその他の関係省庁としても、妥当な値上げの線というものは当然十分お考えであろうと私は思いますが、その点で、一〇%の石油のシェアの多い会社、少ない会社いろいろあると思いますけれども、いわゆる元売り会社における値上げ率というものはそれぞればらばらであろうと思いますが、その辺のところはどうなっておるのか。各社の値上げ率についてお教えをいただければ幸せだと思います。
  76. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現在まで値上げを発表し、現在交渉に入っておるものが元売り十三社のうち十社ございます。十社の元売り企業が二千円から二千四百円くらいの間におきまして値上げをしたいということでございます。  これは先ほど御指摘がありましたように、今回のOPECの二重価格制によりまして日本の精製各社が受ける影響というものはさまざまでございまして、先ほど申し上げました四二%を中心にして申し上げますと、アメリカ糸の外資系企業が平均値より多うございます。それから、民族系はどちらかと申しますと平均値もしくはややそれを下回る程度、イギリス系の外資系企業が最も平均値より低いと申しますか、五%アップの石油を入手するシェアが少ない、こういうふうに申し上げられるかと思います。  そういった実情を受けまして、先ほど申し上げましたように、元売り十社の値上げ額が二千円から二千四百円までの開きがある、原油につきましてもキロリットル当たり値上がり分が数百円ぐらいの差があるという状況でございます。
  77. 西中清

    ○西中委員 全体としてのとらえ方で御答弁をいただいているわけでございますから、私が先ほど御質問した会社別の負担増はどういうぐあいになっているかということの御答弁にはなっていないと思いますが、いますぐお答えが願えるかどうか。できれば私は各社別の数字を挙げていただきたいと思っておりますが、無理ですかね。
  78. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 各社ごとにおける原油価格、特に今回のOPEC値上げによりましてどの程度影響を持ってくるかということを個別に申し上げることはお許しいただきたいと思います。  ただいま申し上げましたように各社によって違うわけでございますが、キロリットル当たり高い企業と安い企業で五、六百円の差があるということでございます。
  79. 西中清

    ○西中委員 これは大臣にお伺いをしたいのですけれども、いま御説明のように二千円から二千四百円という数字が出ておりますね。四百円の差というのはかなり大きな差になるわけですが、こういう点についてどのような御見解をお持ちか、お答えをいただきたいと思います。
  80. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま各社で二千四百円とか二千円とかいろいろと申しておりますが、これはなおまた元売りの方と、さらに今度は需要家の関係との相互の交渉もこれから始まるわけでありまして、結局いま軽々に申し上げられませんが、やはり、需要家の方の意向も当然調整されなければなりません。  かような関係で、この点は通産省といたしましては、もちろん重要な液体燃料価格の高騰が国民生活に与えまする諸般の影響を重視しながらも、模様を関心を持って見守っておるような状態でございます。
  81. 西中清

    ○西中委員 ここで値上げの算定基準となる為替相場における円高という、こういう傾向についてお伺いをしておきたいわけですが、先発をいたしました出光、それから日石といったところで、この円の相場というものが、基準になった数字が非常に違うというように私たちは聞いておるわけですね。そういう点はどうなっておるのか。出光はどのぐらいを考えておるのか、また、日石はどういう相場を想定しておるのか、その辺のところを御説明いただきたいと思います。  さらに、また、現在、二百八十五円がなお一層上がって二百八十二円ぐらいのところまで相場が出ておるわけでございますけれども、この円高の相場というものは当分続くのかどうか、どのような観測をしておられるか、御説明をいただきたいと思います。
  82. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘の出光の場合は、為替の相定レートを二百九十五円と置いております。それから、日石の場合は二百九十一円五十銭と置いておるわけでございます。これは両社とも過去三カ月の平均値をとってやったわけでございますが、値上げ発表の時期がかれこれ一月ほどずれておる間にその後の一月の円高分が入ってきたための四、五円の差だろうというように私は思うわけでございます。  それから、今後とも円高基調が続くかどうかということにつきましては、非常にむずかしい問題でございますが、少なくとも申し上げられることは、フロートに入っておる限り円高も円安もあり得る。現に、四十九年、五十年におきまして、石油業界では合計一千億円の為替差損を出しております。ただ、五十一年度におきましては、上期におきましては四百億円程度の為替差益を出しておる。こういう状況でございますが、ざっと申し上げますと、五十一年はどちらかというと円高で来ております。五十二年も仮に円高で推移するといたしましても、その差はずんと縮まってくるのではなかろうか、まして、円高傾向が軟調化すると申しますか、円安傾向に入ってくると、状況によっては為替差損が出る可能性もないとは申し上げられない、こういうことでございます。
  83. 西中清

    ○西中委員 出光と日石でもかなりの差があるわけですが、通産省としても石油の値段には介入しないなどというようなことも言っているようでございますけれども、これは単に石油の価格だけではなくてあらゆる産業にも影響するし、ひいては消費物価にも影響してくるわけでございますから、まずは二百九十五円あたり、また日石の二百九十円五十銭あたり、かなりの幅を持っておるわけですけれども、どのあたりが妥当な線だとお考えなのか、一遍その辺のところ答弁をいただきたいと思うのです。
  84. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 両社が想定いたしました為替レートがどちらが妥当かということは、これはお答えのできない問題でございまして、先ほど申し上げたように、両社それぞれ一月のタイムラグで過去三カ月の平均値からレートを想定したという、やり方としては同じでございますが、ただ、一月がギャップにあるがための結果として出てきておるわけでございます。事実としてはそういうことで、どちらが妥当かということを申し上げるべき筋のものではなかろうと思います。
  85. 西中清

    ○西中委員 計算の基準は確かにおっしゃるとおりでしょう。しかし、通産行政なり、また日本経済というものについて責任ある担当をしておられるはずの皆さん方でございますから、少なくともこの程度が妥当ではないかということは、やはり、その責任を果たす上においておよその線はお考えではなかろうかと思うのです。それでなければ、民間会社が勝手にやっているのだから、どれも妥当でないとも、そんなことは言えないのだという無責任な答弁では非常に困ると思うのです。私は、不当な介入の必要はさらさらないと思いますけれども、少なくとも、この円高傾向、為替相場の変動によってかなりの差益というものも見込まれておるわけでございますから、いま、物価安定という観点から言ってもできる限り安く抑えるという姿勢が基本的には必要ではないかと思うのですが、どうでしょうか、できれば大臣から御答弁いただきたいと思いますが……。
  86. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 大臣お答えする前に一百申し上げておきます。  御指摘のように、エネルギー価格が産業活動なり国民生活に及ぼす影響が非常に大きいということはわれわれも重々承知いたしておることでございます。そういった意味合いから、すでに御高承のとおり、灯油価格等につきましては、事の是非を問わず、ともかく据え置きを指導いたしておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、石油各製品についての価格を指導するという場合に一応考えられることは、標準額を設定するといったこともあろうかと思いますが、これも先ほど来申し上げておりますように、OPECの今回の原油引き上げが二本立てになっておるということで、各社のそれによるところのコストの上昇というものが非常にまちまちでございます。  ただ、われわれとして指導する場合に、A社には幾ら、B社には幾らといったような指導はできません。やはり、一つの製品について一つの価格を想定いたしまして指導せざるを得ないわけでございますが、ただいま申し上げているような事情から、一つの価格を想定するということは非常にむずかしい。ただ、灯油につきましては直接的影響を家計に及ぼすであろうということでやっておるわけでございますが、すべての製品にさようなことをいたしますと実態に乖離した指導になるということを恐れておるわけでございますし、かたがた石油を需要する業界におきましても非常に長い不況に入っております。そういった場合に、一方の供給サイドの価格をある程度想定して指導するということになりますと、その間に必ずしも実需を反映した実勢価格が反映されないのではなかろうかといったような配慮もございまして、当分の間その動向あるいは需給両当事者間の交渉を注視してまいりたいという、こういうポジションにあるわけでございます。
  87. 西中清

    ○西中委員 この点については午前中も論議が若干あったようでございますけれども、いずれにしても、一キロリットル八十ドルなり八十五ドルという値段で輸入されているようでございますから、当然、円が一円高くなっても八十円、八十五円という差益が安くなるという、こういう形で出てくるわけでございます。  したがいまして、出光の場合でまいりますと、原油の値上げ分は千七百円だという言い方をしておるわけですね。そうすると、現在この出光の値上げの算定基準の円の値打ちは一ドル二百九十五円ということで、現在は二百八十五円前後、ここではやはり十円の円高というものがすでに生まれておる。したがって、この千七百円のうち八百五十円というものはおのずから吸収されるという計算になるわけです。ですから、原油のコストアップは先ほどの御説明では七ないし八%ということでございますけれども、少なくともその半分近いものはこの円高で吸収されてしまうということは言えるのではないかと思います。  昨年一年間の原油の輸入を通関実績で見ましても、ざっと二百十二億ドルというような巨額な実績が上がっております。まあ、計算の上からいけば理論的ではないかもしれませんけれども、大ざっぱに言ってこれだけの輸入が再び今年行われて、円高がこのまま続くとするならば、単純計算でざっと二千百二十億円という差益が出るということになります。したがって、これだけの巨大な差益が予想される。少なくともある程度の変動というものは見るにしても、この辺のところは大きな金額になるわけですから、やはり厳密にこれを検討して、通産省通産省としての考え方というものが出てくるのは当然ではなかろうかと思います。くどいようでございますけれども、私は重ねて御質問をする次第でございます。
  88. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 当面的、一時的にはいま御指摘のありましたような計算も可能かと思います。ただ、石油企業の場合、いかなる形で替為差益あるいは差損が発生するかということでございますが、おおよそ二つの場合があるかと思います。  一つは、今回各元売り企業がやっておりますように、値決め交渉に入る前提といたしまして一定の為替レートを設定する、それが現実の取引の段階におけるレートとどのような差があるかということ、これが一つでございます。いま一つは、産油国から船積みする際のレートと、それから日本で通関いたしまして一定のユーザンス期間を経た後、現実の代金支払いになる段階でのレートとの差ということになるわけでございまして、この場合には一船ごとに為替差益あるいは差損というものは出てくるわけでございまして、そういった目でこの為替差損あるいは為替差益を計算しないと現実的ではないのではなかろうかと思うわけであります。  かといってレートの動きあるいは原油価格の動向あるいは石油製品価格の動向といったものを決して軽視いたしておるわけじゃございませんで、国民経済あるいは国民生活に与える影響の重大さのゆえにわれわれとしては常に注視の姿勢をとっておる、こういうことでございます。
  89. 西中清

    ○西中委員 二月二十一日の参議院の予算委員会で、資源エネルギー庁の長官は、「五十一年度上期の決算で見ますと、石油業界で約四百億円の差益が出ております。ただ、下期につきましてまだ決算が出そろっておりませんので、幾ばくになるかということを断定的に申し上げるわけにまいりませんが、仮に上期並みのものが出れば八百億程度ということになろうかと思います。」という御答弁をなさっておるわけですね。そして、その後、「為替差益が仮に五十二年度も五十一年度程度に出るといたしましても、それは値上げの幅をどうするかという問題でございまして、為替差益があるがゆえに一切値上げする必要はないというところまでのことは、非常に現実論としてむずかしい問題ではなかろうかと思うわけでございます。」と言っています。要するに、この問題について長官がお考えのことは、かなり消極的なと言いますか、値上げもしょうがないじゃないかという意味合いにとれるような御答弁をなさっでおるようでございます。  それはそれなりの一つの筋があるのでしょうけれども、私は大臣にお伺いしたいのですが、総理は閣議で、たしか二月二十八日ごろだったと思いますが、円高を物価安定、物価高に生かすようにという指示をなされております。先ほどからいろいろとお尋ねをしておりますけれども、そういう点について生かしていこうというような姿勢というものがほとんど感じられない。私としては非常に遺憾な思いをしておるわけですが、こういった点の配慮が欠落をしておるという状態であれば、この総理の円高傾向を生かせという指示と考え合わせますと、取り組みが非常に甘いのではないかというような気持ちがするわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  90. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  何しろ、国民生活の非常に基礎的な石油の価格の問題でございまして、これが国民生活に及ぼす影響というものは相当大きなものがございます。これはいままでの御議論とは別個な関係でございますが、二千円のアップというものと現在の、細かいことば別といたしまして、物価等々にどうはね返るだろうかということが非常に大きな問題でございますが、消費者物価指数で申しまして〇・〇三程度、卸売物価で〇・二程度の上昇となるのではないかということを考えますと、やはり、この問題はわれわれといたしましては真剣に重大な問題として見守ってまいらなくてはならない。  同時に、総理の言われましたこの差益という問題を今後生かしていこうということは、これはもちろんあらゆる問題について差益があるわけでございますから、この石油の問題だけでこれがこうだからということも決してございませんが、総理の仰せられることは当然でございまして、この円高の差益というものを今後のわれわれの政策の上にも十分に効果的に生かしてまいりたい、かように存じております。
  91. 西中清

    ○西中委員 このままの円高で半年なり一年なりしばらく推移すると仮定した場合にはどれくらいの差益が出るのか。先ほど五十一年度の上期、下期の数字を出しておられますけれども、五十二年としてはどういう金額になるのか、わかれば教えていただきたいと思います。  同時に、時間もありませんから、現在の石油元売り会社のいわゆる民族系と外資系が非常な格差ができておるということがよく言われております。特に、外資系は非常に好調な決算を出しております。まあ、民族糸といっても全部が全部悪いというわけじゃないと思いますけれども、中には、特定引当金を初めとして各種の引当金を非常に膨大に積み上げをして決算をしておるというところが見受けられるわけでございます。これはまたいずれゆっくり質問をいたしたいと思っておりますけれども、それはそれとして、民族系の石油会社が外資系の非常な好調さとにらみ合わせて問題があるわけですが、一部では業界の再編成というようなことが伝えられております。  大臣としては、この民族系の石油会社をどういうようにこれから指導されようとしておるのか、また、再編成のお考えはあるのかないのか、その辺のところお答えいただきたいと思います。
  92. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの、同じ石油会社と申しましても、民族系と外資系との間に今度の影響の差も出ておりますし、また、累積債務という問題の重大な案件が掲げられておるわけでございます。高度成長のときと違いまして、低成長時代に入りましたこれらの業界に対しましても、当然構造的ないろいろの問題を考えなければならぬことは当然でございます。  ただいま御指摘の上期、下期の決算でございますとか、あるいはまたその後の詳細な点は政府委員からお答えをいたします。
  93. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、為替差益の問題でございますが、昨年の十月から十二月までの通関平均価格は七十八ドル八十八セント、かれこれ八十ドルでございます。したがいまして、先ほど御指摘のように一円によって八十円の差がつく。あるいは今後七、八%の原油価格が上昇いたしますと、やはり八十五、六円になろうかと思います。大体一月に二千五百万キロリッターぐらい入ってきておりますから、一円につき一月まずまず二十億から二十五億ぐらいというふうに御理解いただければ計算上はいいのではなかろうかと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、為替差益と申しますのは、一つの問題は、船積み時におけるレートと通関後現実の支払い時点におけるレートの差というのはその都度でないと、円高基調の中でも若干の起伏があれば、その範囲内において差損も生ずるわけでございますので、そういったものをどういうふうに計算していくかということはきわめてむずかしい問題でございます。一応単純に申し上げると、一円につき月二十億から二十五億くらいということになろうかと思います。  それから、民族系と外資系の問題につきましては、この企業格差が出ておる理由はいろいろあろうかと思いますが、一つは、稼働率が外資系が六九%程度に対しまして民族系は六七%程度である。あるいは採算油種と言われておりますガソリンの得率が外資系は平均して一五%、高いところは二二%もあるわけでございますが、民族系は一二%程度といったようなところから、格差は縮小するよりはますます拡大する方向にあるんじゃなかろうかということを懸念いたしております。  そのためには、やはり、民族系企業が自分の置かれておる環境並びに石油の供給という、他の関連産業に多大の影響を与えるきわめて公益的な事業をやっておるということを一いずれにいたしましても、安定供給を確保しなければならないといった事業関係等も十分認識いたしまして、みずからどのように再編成に取り組んでいくかということを考えるべきだと思いますし、政府といたしましては、そういった方向に即して側面的に支援していくという体制で臨んでおるわけでございます。
  94. 西中清

    ○西中委員 若干話が変わりますが、原重油の関税を五十二年、五十三年の両年にわたって、現行一キロ当たり六百四十円を百十円引き上げて七百五十円にして、これを石炭石油特別会計に繰り入れ、石油の備蓄などの資金とするというように聞いております。いずれにしましても、現在景気がこのように非常に低迷しておるところでございますし、この低迷から脱出するいろいろの要件がございますけれども、物価安定ということも一つの大きな要件であろうかと思います。そこで、産業の基礎物資である石油の関税を引き上げるということは果たして妥当なのかどうなのかといった問題があろうかと私は思っておるわけであります。そして、いずれはこれがまた物価にもはね返ってくるわけですが、この問題については関税審議会でもいろいろと異論があったようにお聞きをしておるわけでございます。  今日までこの廃止などというような勧告も出ているとかというように聞いておりますけれども、こういう措置をとられたことについて大臣はどのようにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  95. 田中龍夫

    田中国務大臣 先般キロリットル当たり百十円の値上げをいたしましたことにつきまして、このエネルギーの問題のような根本的な重大案件、しかも国策として九十日を目標といたしましたあの備蓄の国際的な責任、こういうことを考えますと、これを関税の引き上げによって処理するということは本質的には間違っておる、と、実はかように私は考えておるのであります。  しかしながら、当面いたしました本年の状況下におきましていかに根本論を論じましても当面の処理がどうしてもつかないということから、やむを得ない窮余の策といたしましてあのような結果になりました。しかし、今回の総合エネルギー対策閣僚会議並びにこれに必要な対策本部、さらに先般行われました新しく発足いたしました審議会、かようなものの一番大きなテーマといたしましてはまず第一に安全性の問題で、いわゆるパブリックアクセプタンスというものの本当に深い御理解と御認識のもとにエネルギーの問題と取り組んでいこう——同時に、資金の問題というものが最大の問題であると私は存じます。  ただいまお答え申し上げたようなびほう的な暫定的なことではなく、エネルギー対策国民的な総意によって本当に四つに組んでいかなければならない問題であろうと存じますので、改めてまた御相談も申し上げたい、かように存じます。
  96. 西中清

    ○西中委員 時間もなくなりましたので、あと二点だけ御質問をしたいと思います。  まず、カラーテレビの問題でございますが、ITCが、日本カラーテレビの輸入急増による国内業者への影響については、被害を与えている、クロだ、という裁定を下した。ここでアメリカ政府としては何らかの被害救済措置を打ち出すことはほぼ確実だというふうに伝えられておるわけですが、この問題について、通産省はこの事態をどう認識し、これからどういう対処をされようとしておるのか。また、このカラーテレビを初めいろいろな貿易商品が同じような心配をはらんでおるということも伝えられてきているわけで、この問題がまたECにも波及するということも十分考えなければならないが、いずれにしても、こういう点について、何が原因であり、これからどうしていかれるのか、そのところを大胆にお答えいただきたいと思います。  それから、もう一つの問題は、現在繊維が非常に厳しい状況でございます。特に絹業界、絹織りの関係でございますけれども、非常に厳しい状況でございまして、もはや死活の段階に至っておるわけでございます。これはまた改めてお聞きをするつもりでございますけれども、近くに迫ってまいりました韓国との二国間協定、さらには中国との協定といった問題を含めまして、いま消費地である丹後の機業等は全面的な輸入禁止などというような激しい要求をぶつけてきておるわけですね。これはむずかしい問題でございますからそうはなかなかまいらないと思いますけれども、いずれにしても、生糸、撚糸、そして絹織物、こういう点で協定が行われる。これはできるだけ抑えてもらわなければならない。すでに四十七年のペースまで減産をしながら、なおかつ不景気の中にあえいでおる現状でございます。ですから、そういった厳しい要求も出てくるわけでございますけれども、この交渉を控えて、何とかこの絹織物の輸入を低く抑えて生糸をふやしてもらいたいといった要求も強いわけであります。そういう点で通産省としてはかなり強い姿勢で交渉に当たっていただかなければならないのじゃないかというように私たちは認識をしておるわけでございますが、この二国間協定についてどのような決意をお持ちなのか、この点をお伺いしたいと思います。  さらに、また、このところ二次製品の輸入が急激に増大しております。これについての協定はないわけですから、結局生糸から撚糸、撚糸から絹織物、そして二次製品と、輸入の協定をした部分からどんどんと枠が広がって輸入量がふえてくるという傾向が強いわけでございます。その点の対策も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  97. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  まず、カラーテレビの問題につきまして、御案内のITCの勧告、結論が出ました。そして、それに対していかに対応するかという問題につきましては、ただいまからまた政府間の交渉が展開するわけでございますが、われわれといたしましては、これに対しましてあくまでも先方の理解と認識と反省を求めていく。あるいは割当あるいはまた規制のいろいろな措置が考えられますが、これから交渉に入る次第でございます。  なお、ちょっと私はこの際もう一言申しますが、先ほどお答えいたしました関税の問題は、これはあくまでもびほう的な当面の措置としてやむを得なかったということだけはひとつ御了承をいただきとうございます。  それから、また、今回につきましては、これからまた御審議をいただいておる最中でございますので、よろしく御協力をいただきとうございます。  なお、蚕糸の問題、糸の問題等につきましては、本当に落ち込んだ繊維業界に対しまする諸対策につきまして、ただいま政府委員の方から詳細お答えをいたします。
  98. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 絹の輸入の問題でございますが、お話がございましたように、いま国内需要が非常に低迷しておる関係で困難な事態に立ち至っておることはおっしゃいましたとおりでございまして、去年から中国及び韓国と二国間協定を結んでやっておることも御承知のとおりでございます。  実は、目下、現在、韓国におきまして五十二年度の絹の糸並びに織物まで含めました二国間協定の交渉を始めておるところでございまして、中国とも追って交渉を行うことになるわけでございますが、当方といたしましては、そういう国内状況もございますのでなるべく低く抑えたい、先方としてはやはりふやしたい、こういうことでございますので非常にハードな交渉になるかと思いますが、国内事情がこういうことでございますので、極力低く安定的な輸入に抑えたい、そういうふうな協定に持っていきたいと目下交渉中でございます。
  99. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  100. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 加藤清二君。
  101. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 お許しを得まして、通産大臣並びに経企庁長官、公取委員長に総括的な二、三の質問をいたしたいと存じます。総括質問は私で終わりのようです。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕  あっ、委員長見えたの。いいかね、顔色がまだお悪いようですが、御無理をなさらぬように。留守番は武藤委員長代理がしっかりとやっておるようですから、どうぞ御心配なく。あなたの生理的現象を邪魔しちゃいけませんから、どうぞ御安心なすって休養専一にしてくださいね。ただし、大臣はそうはいかぬです。少々病気であろうと何であろうと、この際は……。  田中通産大臣に申し上げますが、大臣通産大臣という役はいい役ですよ。これは総理の登竜門です。過去の通産大臣で、この職をうまくやった者はみんな総理大臣になっている。あなたの親分もそうなんです。それを筆頭にみんなそうなんです。ところが、一つ失敗すると奈落の底へ落ちていくのですよ。それがいままでの先例です。したがって、きょうはその小手調べでございますから、総理になる覚悟でもって、ひとつ本会議質問予算総括に答えるような気持ちになってしっかりとお答え願いたいと存じます。  最初にお尋ねしたいことは、いまもちょっとお話がございましたが、ただいま日韓民間合同経済委員会が行われているのですね。十日から十二日まで行われる。この会長は経団連の会長の植村さんですね。いまソウルへ行っていらっしゃる方々のメンバーの中に繊維の代表は入っておりますか、おりませんか。
  102. 矢野俊比古

    矢野(俊)政府委員 お答えをいたします。  私ども調査いたしましたところでは商社関係中心でございまして、先生の御指摘のような繊維業界の代表は入っておりません。
  103. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 メーカーは入っていない。これは商社だけを代表に出せば、輸入すればもうかるに決まっておる。したがって、毎年こういうメンバーが行くものですから、次から次へとふえてくるのです。ただいまも秩序ある輸入云々なんという答弁があったけれども、毎年毎年ふえる一方でしょう。  去年一年の総輸入額はどのくらいですか。
  104. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  韓国からの昨年一−十二月の輸入総額でございますが、糸、織物、二次製品合わせまして一億四千四百万ドルばかりでございます。
  105. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 一億四千四百万ドルというのは、糸と生地と縫製加工品に区別してまいりますと、何が一番多いのですか。
  106. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 どうも失礼いたしました。ちょっと数字を読み違えましたが、六億六千四百万ドルでございます。(加藤(清)委員「そうでしょう、一億四千なんというのは、それは一部だ」と呼ぶ)  その中で最も多いのは、二次製品が一番多うございます。比率にいたしますと二次製品、それから糸、織物という順序でございます。
  107. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 承りますが、その中でいま盛んに言われているちりめん、りんず、パレスという絹の生地はどれだけか、しぼりの加工品はどれだけか、大島は、友禅は、西陣は、銘柄別にお答え願いたい。  いますぐと言えばできかねるならば、後で資料として御提出願えればよろしい。私は知っておるのです。暗唱しておるのですから。
  108. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 どうも大変恐縮でございますが、では、数字の正確を期しますために後ほど御提出申し上げたいと思います。
  109. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 では、その中から抽出して、大島つむぎは何反、何スクエア入っていますか。
  110. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 大島つむぎにつきましては、協定上一応四万反ということに相なっておりまして、大体その線におさまるかと思います。
  111. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 スクエアは何ぼですか。——局長、これはいいわ。答弁者を困らすために私は言っているんじゃないのだから、後でよく調べてお答え願えれば、それで結構。ここは予算委員会じゃありませんから、もう予算委員は卒業しましたからね。静かにやりますから、どうぞ……。それでは、それは調べておいて後でお答えいただければ結構です。  次に、日韓民間合同経済委員会ですが、漏れ承るところによりますると、外資百億ドル、第四次の五カ年計画をソウルの方が計画をしている。その内容は、資本と技術日本要請していると伝えられておりまするが、それは本当でございますか。
  112. 矢野俊比古

    矢野(俊)政府委員 いろいろと報道されておりますが、政府に対する正式な要請ということは、まだ現段階では参っておりません。
  113. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 しからば、この経済ミッションが韓国に行くに当たって、政府とは没交渉で行ったのですか。それとも、政府関係者とそれぞれ打ち合わせ済みで行ったんですか。
  114. 矢野俊比古

    矢野(俊)政府委員 政府とは何も打ち合わせをしておりません。
  115. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでわかりました。これほど繊維が問題になっているやさきに、直接の被害者であるメーカーを加えずに——輸入をふやしたらもうかる。すなわちメーカー側が困る。なぜ相手だけを選んで送り出したのか、これをはっきり大臣に承りたい。大臣もこの経済、ミッションはつんぼさじきでありましたか。
  116. 田中龍夫

    田中国務大臣 本日は加藤先生にこういう席からお会いいたしまして本当におなつかしゅうございます。先ほどお話がございましたように、落第するかどうかという瀬戸際のようでございますが、どうぞかわいがっていただきとうございます。  なお、ただいまの、ミッションのことでございますが、申しわけない話でございまするが、私はつんぼさじきで一向に存じませんでした。
  117. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これはしたり。やがて総理になられるほどのりっぱな大物大臣がつんぼさじきにさせられて、しかも、この会談の内容が資本と技術の協力であるという。これは明らかに通産大臣及び経企庁の長官の所管事項である。その行政当局の最高長官である皆さんに何ら相談もなく外交交渉をするという権限を、いつの日に日本の代表  はだれから得たんですか。総理大臣ですか。
  118. 田中龍夫

    田中国務大臣 経済団体の旧主的なことで参ったのではないかとそんたくいたします。
  119. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 自主的に決められることと決められないことがある。内容の中に、政府借款五億ドル、商業借款十三億五千万ドル、合わせて十八億五千万ドルを日本へ要求するとある。これは民間の仕事ですか。  経済企画庁の長官にもお尋ねする。こういうことを大臣をつんぼさじきに置いておいて、それで事が成り立つものですか。特に、政府借款といえば大蔵大臣通産大臣、経企庁の長官と、ともに相談にあずかってしかるべき案件である。そんなことを勝手に民間人が権限を与えられておるんですか。いつ与えられたんですか。
  120. 倉成正

    倉成国務大臣 お答えしたいと思います。  そのような権限を与えられていないものと思います。
  121. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 しからば、きょうの朝日新聞はうそを報道しておるのですか。
  122. 倉成正

    倉成国務大臣 民間にそういう権限を与えるはずがないと思います。
  123. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これはひとつ両大臣ともに朝日新聞を調べると同時に、この民間団体へ直ちに打電して、越権行為すること相ならぬと監督官庁の長官は指示を与えるべきだと思います。これは当然のことなんです。  なぜ私がこんなところで力を入れるかといえば、いま問題になっております繊維産業で、日本の力が低下の一途をたどって、いまに日本の繊維産業は崩壊するやも知れないと稲葉秀三描くところの提言が政府の皆さんに提案されておるはずである。その原因を皆さんは何と心得てみえるか。どうして日本の繊維産業が発展途上国の産業に負けて、国際競争力を喪失しつつあるか。その原因に大きな影響を与えるから、私はあえてこれを申し上げる。抽象論的に日本の繊維産業を守りますのとか、日本の繊維産業を育成しますのなんということをパーティーだとか一杯飲んだ席でしゃべるくらいのことならだれでもやれる。そんなものは全部お世辞なんだ。また、聞く側もちゃんとお世辞だと知っていて聞いておる。  しかし、この際、政府側も国会の立法府も経済界も一致結束して波打ち際から向こう、そして、そこから押し寄せてくる台風は一致結束して防ぐということがわれわれの任務であると私は思っておる。当然その具体策があってしかるべきである。それを累加し、それを倍加し、それに輪をかけるような原因は思考し得る範囲内において事前に除去してかかるべきであると私は思う。  その一つが資本なんです。日本の繊維産業は自己資本なんです。発展途上国の繊維産業の資本は有償、無償なんです。無償でもらったものが多いんだ。有償の金利は、これは大蔵省が来ておらぬから聞いたってわからぬでしょうが、大体三分からせいぜい四分の金利なんです。日本は歩積み両建てを加えたら一割四分から五分の融資になる。けんかになりっこないじゃないか。  もう一つの問題は技術提携で、これがまた問題なんです。技術提携とか技術交換という美名のもとに隠れて、日本技術をノーズロースでどんどん向こうへ渡しちゃっている。それをだれが奨励しているかというたら通産省なんです。日本の業者に、あるいは日本の専門家にそれをやらせている。したがって、きょうこのごろではどうなっているか。日本関係業者は、やがて自分に打たれる鉄砲玉をつくって相手に渡すようなものだから、もうそんな技術指導なんということは御免にしてくれと言っている。当然なんです。現に、すでにそれがコールテン、別珍——静岡全体のコールテンはほとんど全滅しましたよ。しぼり、これはいま輸入が七割から八割に達しているのですよ。みんな日本技術をまねている。イミテーションなんです。だれがそれを指導したのですか。通産省が火をつけて、商社が持っていって、向こうの低賃金と日本から持っていった有償、無償の低金利の設備でそれを加工させて、そのさやかせぎをするというところに輸入業者はうまみがあるけれども、それと対抗して市場で争わなければならない日本の地場産業の連中は勝てっこないじゃないか。そういうことをなぜあえて行わなければならぬのか。  これは死者にむちうつ気はないが、佐藤さんという人が総理大臣のときに、私が予算委員会で懇懇と言ったことなんです。いまは亡き横路節雄君、彼と初めて韓国賠償が行われる無償八億ドル、有償四億ドルのときに最初にくぎを刺しておいたはずなんだ。案の定指摘したとおりになってきた。もって責任をいかんとすると言いたいところだが、でき上がったことについてはどうにもならない。死んだ子の年を数えようとは思わぬ。  いまにして技術提携とか隣国と仲よくするなどという美名に隠れて、なぜ日本の同業者を倒産に追い込まなければならないのか、はっきり聞きたい。
  124. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの加藤先生の御指摘のごとく、今日の日本の繊維業界の非常な苦況の中の、しかも、非常に大きな分野は韓国の後発繊維業界の逓増であろうと存じます。  なお、経済協力という問題は、御承知のとおりに、日韓関係の親善という意味におきまして、隣邦としての後発途上国に対する指導というふうな面で行われたわけでございまするが、なかんずく繊維業界におきましては、いまやそれが非常に重大な原因になっておりますこともよく了承いたす次第でございます。
  125. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大臣はどうなさるんですか。
  126. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま、御案内のとおりに、繊維の関係におきましても、御指摘の大島あるいはしぼり、あるいは別珍その他の問題につきまして、日韓両国の間で非常にむずかしい交渉の段階に参っておる。これも技術の指導あるいは協力の派生的な結果であることについては御指摘のとおりでございます。
  127. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私もうそやみえや酔狂を申し上げているのじゃない。あくまで具体的事実に基づいてものを申し上げておるのですから、したがって過去のことは、もう死んだ子の年は数えない。  今日この時点において、いま経済ミッションが行っている。そして、きょうの朝日新聞の伝えるところによると、十三版九ページの中段から下へ五段抜きで出ている。これを確かめて、もし事実であるとするならば、これは越権行為である。そうでしょう。越権行為ではないのですか。首を振ってみえるが……。借款を民間団体に許すのですか。だから、最初から許可を与えたかどうかと聞いておる。許可も与えないで、つんぼさじきだと言われたでしょう。つんぼさじきで民間団体がそんなことをやれますか。それじゃ社会党が行ってそれをやったらどうしますか。そんなことができますか。十八億ドル余の問題をどうしますか。
  128. 矢野俊比古

    矢野(俊)政府委員 そういうような記事が確かにけさ出ておりました。  ただ、私どもとしましては、先ほど大臣からもお話がありましたように、そういったものを交渉する権利を与えておるわけではございませんし、仮にそういう話がありまして、そういうことを持ってまいりましても、私ども政府としてはこれを当面認めるというような態度をとるつもりはございません。  内容は、韓国政府からまたいろいろと改めて要請があればケース・バイ・ケースで判断することでございまして、たまたまそういうことが話し合いができたからと持ってまいりましても、私どもとしてはこれを認めるという態度をとるつもりはございません。
  129. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 担当局長は、もしそれが実行に移され、二国間の協定となって返ってきても日本政府としては認めないと言っているのですが、私は、これは大臣の仕事だと思うのだ。局長の仕事じゃないのですよ。答弁局長はしてもいいですけれども、これは両大胆の腹いかんですよ。局長答弁する問題ではない。答弁されちゃったんですから、それはそれでいいでしょう。しかし、大臣としてはどう処置をあそばされますかと聞いておる。
  130. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは民間団体が自主的に行ったことでありまして、政府といたしましては、実は関知いたしておらなかった次第であります。しかしながら、こういうふうに政府間交渉の内容にわたって取り決めるとかなんとかという権限は全くないわけでありまして、この点は明らかにいたさなくては相なりません。
  131. 倉成正

    倉成国務大臣 通産大臣が申されたとおり、民間が政府間の借款を決めるとか、そういうことはあり得ないことでございますから、それは最初から申し上げているとおりでございます。
  132. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 天下の朝日が書いているのですからね、国民は信用しますよ。朝日といえば天下の朝日です。世界の朝日です。だれだって信用しますよ。それで、私は、けさそれを手にとって、これはえらいことになった、いつの間に両大臣はこれを許したのだろうかと思ってお尋したわけです。  ところで、なぜ私がこんなことを懸念をし、注意しなければならないかという理由を申し上げますが、あくまで裏づけがあるのです。たとえば先ほど大島がすりは何反入って、何スクエアメーターかと聞きましたが、これは先年ここで懇々論議をして、ことしよりもふやすようなことは絶対にいたしません、相なりませんと本委員会で約束をして行かれた。しかし、私は、その時点において、失礼なことを言うが、素人の大臣や素人の政務次官が行かれますとわからなくなることがあるでしょう、ですから、専門官の局長とか、その道に詳しい担当官とか、あるいはアメリカのそれのごとく業者のエキスパートを補助役につけていくべきであると言ったのです。そしたら、それはごもっともなことであると言う。  ところが、行って帰ってきて、韓国の新聞が私のところへしょっちゅう送られてきますから、見ると、大島がすりは四万反と書いてある。括弧して八十六万メーター何がしと出ているんだ。私は、これは違うと言うのだ。どっちが本当かといって聞いたら、両方とも本当です、と、こういう話です。それじゃお尋ねするが、一匹というのは何メーターですか、一反て何メーターですか、これは匹と反の間違いでしょうと言ったら、さようなことはありませんと言う。じゃ調べなさい、ぼくの言うことが間違いかどうか——そうでしょう。大体絹は一反とは十二メーターなんです。木綿物だったら九メーターかせいぜい十メーターだ。四万反の十二倍だったら、ロングメーターでなければ四十八万メーターでなければならぬはずなんです。それがどうして八十五、六になりますか。だから、これは匹だ、匹だったら倍ですよ、反が本当か、括弧の中のメーターが本当か、どっちだ、もし一括弧の中のメーターが本当だとするならば、韓国の生産能力を上回って去年度輸入の三倍にもなるじゃないかと申しましたところ、調べて後で答えますと言ったが、案の定ぼくが言ったとおりだ。  そういうことが平気で行われるから、それで、私は、こういう方々が行かれるときに、エキスパートを連れていかなければいかぬということを申し上げている。責任ある答弁と責任ある契約ができるような人を政府から送らないと、後で困るのは現役の政府当局並びに業界である。もっとごまかされるのは消費者なのです。なぜかなれば、メイド・イン・コーリアという文字を入れずに、デパートへ行けばこれが本場大島つむぎに成りかわるからなのです。そういうことが平気で行われておるのです。  目下のところ向こうで交渉が進んでしまって、帰ってきた。どんな契約を結んできてもわしは知らぬと本当に言い切れますか。いま向こうでやっている最中だから言うんですよ。もう一度念を押しておくが、どうしますか。
  133. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまお話が出ましたような、われわれが一切関知いたさない自主的なお話し合いでありましょうが、これはお話しのように、政府としてはそれに対して何ら関知いたしません。
  134. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、次に伺いますが、いまは大変な不況である。したがって、稲葉秀三さんのところ審議会から答申が出されましたが、その冒頭の文言が余りにも当を得ておりますので読み上げてみますが、「我が国の繊維産業は、昭和四十九年の春から三年越しの不況に陥り、一部の業種を除いて、まだ十分に不況を脱出したとはいえない。これは、繊維産業をめぐる内外の環境が急速に変りつつあるのに加えて、繊維産業の内部に積み重なってきたいろいろな要因が、産業や経営の存立条件を大きく変化させていることによる。今後手をこまねいたままで推移すれば、数年のうちに」ここからが大事ですね。「数年のうちに状況は一層悪くなって、国際競争力を決定的に失うこととなり、その結果は輸出の減少から輸出産業としての地位を失うばかりでなく、輸入の増大のため国民生活産業としての役割さえ果たせなくなるおそれがある。」と書いてある。そのとおりでございます。これは日本国民、識者、繊維に関心を持つ者のひとしく指摘している共通の心配事でございます。  さしあたってこの不況をどう把握していらっしゃるかということを聞きたいが、それをやっておりますと時間がかかりますので、これはひとつ経企庁の方におきましても十二分に御調査を願いたい。  幸い去年、繊維機械と工作機械の不況対策につきましてはさきの大臣と担当の熊谷局長が非常によく調べてくれまして、それに経企庁の方も応援をしてくれまして、百点満点ではないけれども、とにかく対応策ができた。おかげで、いま工作機械はやや日の目を見て上向きの状況になってきたというのが現状で、これは感謝にたえないところでございます。労働者もやれやれということで将来に希望を抱いて現場でいそしんでおるということで、これは政府の手の打ち方についてみんなが感謝しておるところです。そういうように繊維の方も通産省、経企庁が協力していただいて、この不況の打開を図っていただきたい。これが私の総合的な願いで、私の政府に対する要望であります。  そこで、公取の方にお尋ねいたしますが、すでに、縫製加工とかアパレルとかいう末端産業でなくて、繊維の基幹を担うところのシルク、ウール、コットンが、ともに紡績が緊急避難の除外例を要求し、いまや世界じゅうでも最も大きいと言われている合繊までがどうしても緊急避難のためにやむを得ざるの措置として要望しなければならぬというので、寄り寄り下相談があったのではないかと思いますが、これについて公取としてはどのように対処なさる御予定でございますか。
  135. 澤田悌

    ○澤田政府委員 御指摘のような不況状態でございますので、主要な繊維業界は軒並み困難に直面しておる次第でございます。綿、毛等につきましては、不況カルテル結成につきまして下相談的な話がございます。その他の業種についてもあろうかと考えておりますが、従来から不況カルテル等の認可に関しましては、法律に定められております要件を検討いたしますことはもちろんでございますけれども、業界の実態というものを十分把握して判断をしたいという姿勢で臨んでおりますけれども、こういう御指摘のような特に深刻な状態におきましては、その実情把握ということが一層大事であろうかと考えます。  手を尽くして審査の上、具体的に申請があれば速やかに結論を出したい、こういう姿勢で臨みたいと思っております。
  136. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わが社会党といたしましては、いたずらに独禁法の除外例をつくり、独禁法の土手っ腹に風穴をあけるということについては基本的には賛成いたしかねる問題なのです。次から次へと独禁法の横っ腹に穴をあけるなんということは独禁法の存立を疑うことにもなりかねない。しかしながら、出血、出血の生産が続いておりますと、社内あるいは自己の体内に蓄積のある間は生き延びていかれるのですが、しかし、蓄積をだんだん食いつぶしてしまって、もはやどうにもならないという場合にはもうカンフル注射を打つ以外に手はないと私どもは思っている。  そこで、お尋ねしますが、きのうの糸相場はペイしますか、しませんか。
  137. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  昨日の綿糸の相場は四十番で三百十三円四十銭、終わり値でございます。それから毛糸につきましては四十八番双糸でございますが、千七百五十七円ということでございまして、いずれもコスト上ペイしかねる状態にあると思います。
  138. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そのとおりですね。いま当月限の三月値をおっしゃられましたが、仮に先物の八月限になりましても、順ざやではあるけれども、これでもなお出血生産ということになりかねない。なぜかならば、羊毛は豪州の羊が大火事で牧場でバーベキューになってしまったし、コットンの方はコットンで世界的な原料高、つまり言うと原料高の製品安ということで、これではどう考えてもちょっと採算割れですね。このことを続けていけということであるならば、通産省としては続けていかれるような手助けをしなければならない。もしそれができないというならば、それでは在庫が過剰になっている、売れ行きが悪い、値段も出血であるということにかんがみて、長期とは言いませんけれども、二ケ月とか三ケ月とか、大体これは会社によっては四半期ごとにバイカイをするところが多うございますから、せめて一・四半期くらいの期限を切って、ある程度の縮小生産もまた一つのカンフル注射になるではないかということが言えるのです。  この点につきましては時間が大変欲しゅうございますから、いずれ担当官と詰めを行って、わが党の繊維対策委員会意見のみならず、与党野党を通じて、与党の武藤君ともよく相談して——彼なら理解が深いですし、それから公明、民社、共産の皆さんとも話し合って、これは目下緊急避難措置を講ずべきであると私は思うのです。  きょうの相場だけではわかりません。しかし、六ヶ月先の相場を見てもそう狂いはないし、これで在庫の方を見まするというとずいぶん高うなっております。ただ、例外に考えなければならないのは絹糸ですね。これはもう倉成長官は農林のベテラン中のベテランでいらっしゃいますから、繭糸価格安定法がどのような作用をしているかはよく御存じのことでございまするので、これはまた対策は別途講じなければならぬと思う。なぜ別途かと言えば、これは日本の機屋にどれだけ操短を命じたって原料が違う。  あなたは農林のベテランですからよく聞いてくださいよ。日本の蚕糸価格一万三千円、きのうきょうの相場は一万二千八百円を超えております。それは日本の製糸業者と養蚕業者を守るために、バルクライン方式とかなんとかかんとか、米価設定に似通った方式で決められておる。そのことをとやかく言うわけではございません。しかし、その値段はちょうど日本の米価が世界プライスと比較して非常に高く設定されていると同じ状況をこの糸にもたらしているわけでございます。  中国や韓国からいま日本へ蚕糸は幾らで入っておりますか。
  139. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 生糸の値段でございますが、中国及び韓国の方から入っておりますものは、大体一万五百円から一万一千円の間ぐらいであろうかと思いますが、国際比価としてはもっとずっと安うございます。
  140. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 安値八千円、高値一万何がしといったところが相場のようでございます。と申しまするのは、二十一中、二十四中、つまりデニールで違ってまいりますからなんですが、しかし、経企庁の長官、ここから先をよく聞いてください。世界プライスが幾らになっているということが問題なんです。フランスはパレス生地を織りますね。イタリアもイギリスも絹織物を織ります。これはカーテンに始まって、夜のパーティーのドレス生地に至るまで使われております。幾らで買っているか。安値二十元、高値三十元でございます。二十元とは約四千円で、三十元は約六千円で、日本の糸値の半分なんです。韓国や中国が日本には八千円から一万円で売っておきながら、その同じ糸をなぜ外国へ四千円か五千円か六千円で売るか。中値をとって五千円で売るかと言えば、それはバーダー方式がとられ、日本から売り込む日本の材料の値と見合わせてくるからなんです。カウントの関係が違うからなんですが、世界プライスというものはそういうものなんです。  中値をとって五千円で機を織ります。日本式の着尺三丈五、六尺にしてみて、これに織り工賃を入れます。それが千二、三百円で、それでもなお六千円から七千円で平生地はでき上がる。だから、これが輸入されてくる場合にはどういう結果になるか。日本の糸値より安いのです。織った生地の方は日本の材料よりも安いのです。こうなっては日本の機屋がどんなに低賃金で織っても——どんな低賃金かというと、三十六インチ幅五十メートルのタフタ、これは三十六インチを五十メートル織るのですよ。それが工賃幾らだとお思いになるか、千円以下ですよ。十三時間かかりますよ。だから、若い女の子はもうやらない。東京へ行ってパチンコ屋へ行ったり……。そこから先は名前が言いにくいから言いませんが、そういうところへ行ってやると一時間に千円も千五百円ももらえる。十三時間かかるのが東京へ行くと一時間でかせげる。あほげてそんなことができるか。これでは日本の繊維産業はすたるのは当然なんです。  通産大臣、何も農業政策が悪いだけではない。農業政策のコスト高という問題と、日本関係国へ輸出する基幹産業から発生してくる産物の向こうへの渡し価格、すなわちこれは通産省傘下だ。この二つの原因によって、そのしわが、高い物を買わされたしわが日本の機屋以下、先の染め屋から何かに影響してくる。これはだれの責任でしょうか。ここをえぐらずして繊維産業を改革しますの、繊維産業を助けますのなんと言ったって、それは空念仏なんです。  さて、これについて農業のベテラン中のベテランの倉成長官に、蚕糸価格がこのままだったら、蚕糸価格という組織は安定するでしょうけれども、機屋の方はきわめて不安定法であるということが御理解いただけたと思いますが、どうされますか。
  141. 倉成正

    倉成国務大臣 蚕糸価格と、それから機屋さんの問題、日本の農業との関連の問題は確かに非常にむずかしい問題でございまして、日本の蚕糸業も二十年ぐらい前には大分停滞を続けたわけですけれども、また最近息を吹き返してまいりまして、農家にとってお蚕さんを飼うのが非常に有利であるということから、山村その他の農家のかなりの収入源になっており、その辺のところと機屋さんとの利害というものが必ずしも一致しないというところに問題があろうかと思うわけでありまして、両方にらみながら、その調和点をどこに見出していくかということをやはり考えていかなければならないと思います。  加藤委員は、その辺、機屋の立場から言うと、そんな高いものを買わされてどうもけしからぬというようなお立場かと思いますけれども、その辺のお気持ちはよく理解できると思います。
  142. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 先ほど公取の委員長がおっしゃられましたように、現状把握、現状の的確なる認識、その上に立って、こう薬方式じゃなくて、こう薬を張るんじゃなくて、体質改善のための抜本策をいまにして講じなければどうにもならなくなるのではないか。ここらあたりが先ほどの巻頭言に出ました稲葉さんたちの意見で、私は稲葉さんとはこの案を練るに当たっても何度も会っておるのです。これを詳細やっていると長くなりますから、この案を実行に移すにはこういうことを注意願いたい、それのバックはこういうことがあるというて社会党政策審議会が書き出したから、これを一部、大臣に差し上げておきます。各関係大臣にみな後で差し上げますが、これを読みながらひとつ……。  さて、次に進みますが、さようでございまするがゆえにカンフル注射は必要である。そのカンフル注射のうちの一つの案件としての不況カルテル、これも必要である。その他融資とか税制とか、だれでもすぐ気のつくような案件はたくさんありますが、私は、特に経企庁長官にも外務大臣にもぜひ御検討を煩わしたい問題がありますから、あえて提言いたします。その中にも書いてございますけれども、それはすなわち「秩序ある輸入」でございます。これは提言の中の最後に、結論の前の項にうたわれている案件でございます。「秩序ある輸入」とうたつております。この審議会の提言に対しまして、政府のお二方は「秩序ある輸入」とは何ぞやと受け取ってみえますか。「秩序ある輸入」のカテゴリーをお教え願いたい。
  143. 倉成正

    倉成国務大臣 通産大臣お答えするのが適当かと思いますけれども、「秩序ある輸入」というのは、先生お話をそんたくいたしますと、国内の産業に非常に悪影響を与えないような形での輸入というふうに理解しているわけでございますけれども、いかがなものでしょうか。
  144. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 この問題は、私が予算を十何年やっておる間、毎年のように繊維を引き合いに出して言うたことなんです。ですから、あれは繊維気違いだとか、ほめる人は繊維の神様だと言うけれども、私はそうは思っていない。好きだから毎年口にし、毎日口にし、日本の基幹産業であり、日本の女性のふるさとであるこの繊維産業がりっぱに繁栄していくようにと心に念じている。  佐藤総理はこう言うたんです。秩序ある輸入とは何か——あなたと同じようなカテゴリーと言うよりは、総括的意見と言った方が当たるでしょうね。でしたが、それをだんだんに進めていった場合に、当然そうなりますると、純然たる放任の自由ではなくして、制限という問題が発生してくるわけですね。その制限の線をどこで引くかということで論争しましたら、佐藤総理いわく、もう隣組みと仲ようするんだから、韓国と特に例を挙げてそんなにもうげじげじ言わぬでもらいたいと言うのです。そして、しまいには、隣と仲ようするのに何が悪いという言葉が出ました。それで私は言ったんだ。隣と仲よくすることに私だって反対じゃないし、やぶさかではない、一衣帯水の隣組と仲よくすることは大変必要なことだ、しかし、自分のうちの女房、子供を泣かしたり殺したりして隣の奥さんと仲ようする主人がいたら、これは何と言うのですか、道楽おやじでしょう、と言うたんだ。もし、うちにまじめに働いている主人がいるというのに隣の主人と仲よくする奥さんがあったら、これは何と言うのですか、よろめきと言うのでしょうと言って、道楽やよろめきをあなた奨励するのですか、じゃ具体的に言いますよと言ったら、以後、この問題について、隣と仲よくすることが何が悪いということは言われなくなった。  私は具体的実例を示してあれこれしましたが、具体的実例を示す前に現状認識に欠けているというと話がちんぷんかんになりますから、だから冒頭の質問に返りますが、先ほど質問しましたマクロの立場でやるとなんですから、ミクロへ行きましょう。しぼりはどれだけ入っておるか、大島はどれだけか、友弾はどれだけか、西陣はどれだけか、白生地もこったものは抜いて、絹の白生地のうちの先ほども話が出たちりめん、綸子、パレスはどれだけ入っているか、これだけ発表してください。  時間がないから、これは予算委員会だったら大変だけれども、先に行きましょう。それは後でいい。それは無理だね。私が予告しておかなかったから、これはこっちが悪いんだ。いいですよ。  秩序ある輸入は、パーセンテージにしたならば、オール日本の生産に対して何%ならいいか、オール日本消費に対して何%程度の輸入ならいいか、これを両大臣お答え願いたい。公取委員の方でも、秩序ある産業と秩序ある貿易ということになったならば——基本は、私は、内にあるものは買う必要はないという素朴な考え方です。内にあるものはよそで買う必要はない。しかし、あえてそれも買わなければならぬというのならば、何%程度であれば内の企業は存立するでしょうか。
  145. 倉成正

    倉成国務大臣 通産大臣から後でお答えがあると思いますが、私の感じを申しますと、非常に難問中の難問を聞いておられると思うわけでありまして、何%であればよろしいということを一概に申すことはできないんじゃなかろうかと思うのでございます。  恐らく繊維産業についてのことで、いまのお話は恐らく絹織物を中心お話で……(加藤(清)委員「内にあるもの」と呼ぶ)内にあるものとおっしゃいますけれども基本的に日本の国は資源、エネルギーその他のものをどうしても外国に依存して入れてこなければならない。したがって、また同時にこれを加工して外に出さなければいけないということで、非常に相互依存関係にあるわけでございます。したがって、外国からもまたある程度のものを入れてこなければならないという相互依存関係をにらみながらその問題は考えていかないと、一概にただ内にあるからだけというわけにはいかないんじゃないかと思います。
  146. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 具体的にいきましょう。時間を急ぎますし、皆さんを余り拘束しちゃ申しわけありませんからね。  私は、具体的に、内にあるもの、内でできるもの、買わずに済むものと言っているのです。もちろん有無相通ずるという自由貿易の立場は尊重いたします。その自由貿易を尊重してガットをつくり、IMFをつくったアメリカはしからばどうしたでしょうかと言うのです。先例集を調べてみましょう。アメリカ日本との繊維の貿易は、アメリカの制限、日本のおじぎの歴史です。オキュパイドジャパンがオキュパイドジャパンでなくなった後もずっと継続されておりました。そこで、最初は日本の絹が燃えるからいけないというので、これは数量ではないのです、燃えるからいけないといって制限を受けました。それはデュポンのナイロンがアメリカの政治家に運動を仕掛けたからでございます。私は使いに行きました。こちらの本会議でその不当性を論じておいて行きました。  次がウールのラッシュでございます。ラッシュ、ラッシュだからいけないと言うのです。そんなはずはない、じゃオール消費の何%かと尋ねますと、ガバメントオフィスの答えは二四%だと言うのです。そんなばかな話があるか、だれにそんなことを聞いた——私はワシントンヘもニューヨークへも使いに行きました。ニューヨーク・タイムズにもワシントン・ポストの編集長にも会いました。そして、二四%というガバメントオフィスの報告のようですが、それは本当ですかと言った。もし本当だとするならば、アメリカのオール消費は二億の人間に対して四ポンドずつ使っているんだから八億ポンドになるじゃないか、その二割だったら一億六千万ポンドも日本から輸入しているんですかと言った。行くははるか豪州メルボルンへ行って、材料はあなたの方の許可で入れているのですよ、脂づき純毛を全部トータルをとったってそんなにならないじゃないか、そういういいかげんな数字を出すものじゃないと言った。そうしたら、あ、これは間違っておりました、わが国は——ここからが大事ですよ。長官もよく覚えていてくださいよ。わが国はオール消費の五%で線を引いております、九五%は自国産で間に合わせます、したがって、日本の二四%というのは五%の中に占める率が二四%である、と、こう言っておる。  つまり、二掛ける五は十で、一%とちょっとなんです。一%ということは、三百六十五日にすると一週間に足りないのです。そのときに制限ですよ。コットンはどうですか。シルクに始まってウール、今度はコットンはどうなったか。コットンはオール消費の四%、五%台に日本輸出が達したときに制限です。それまで段階を幾つも幾つも重ねて、二国間協定を何回も何回もやり、ニーマーだとかジュリックだとか、向こうの忍者部隊と私は何度会ったかわからない。そして五%時代に至ったらどうしたか。縦六十四品目横四季節割り、碁盤の円みたいなものだ。それにシッピングが間に合わなければバツ。ウールの場合は制限ラインがあって、それを超えたら従量税と従価税を一遍に併課する。関税は途端に三割六分の余になる。これがアメリカの先例です。  カナダはもっと厳しいが、それを詳細に申し上げる時間がありませんが、カナダも大同小異です。それに対応してEC諸国はどうしたか。アメリカ、カナダにシャットアウトされた日本の繊維をほうっておいたらこれは大変だ。そこで、ガット三十五条第二項の援用をいたしまして、日本の繊維産業を差別待遇をいたしました。大臣、よく聞いてくださいよ。一年や二年じゃないですよ。いまから二十年も前に発足した差別待遇がことしもまだ続いているのですよ。称して自由貿易と言う。自由貿易という名の制限貿易だ。そこらあたりで、先例集これあり、日本のリストを一遍つくってみてください。
  147. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 繊維の輸入制限の問題でございますが、いまるる御説明がございましたように、長い間日米繊維問題は非常に困難な経路をたどりましたし、また、ECともそういう問題があったことも事実でございます。日米間におきましては、状況がすっかり変わりましたので、先般ほとんど自由状態に近づいてしまったわけでございますが、アメリカの場合におきましても、何%に達したからという、そのはっきりしたトリガー方式といいますか、そういうことではなかったように思いますが、ただ、問題は、非常に一時的なラッシュと申しますか、特定の品物のラッシュというものが非常に大きな問題になったかと思います。  日本の場合につきましては、先ほども秩序ある輸入というお話がございまして、経企庁長官からも御答弁があったわけでございますが、何%かということについては大変むずかしい問題かと思いますが、私ども、やはりフラッドするのは大変困るのだという感じでおるわけでございます。
  148. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わかりました。これはあなたの答弁がわかったのじゃないのですよ。局長答弁はそれでいいのです。それでいいが、私がラッシュだからと言ったからといって、あなたまでがラッシュという具体的事実がアメリカにあったなどという前提でものをおっしゃると、それは間違いであると言えます。アメリカの制限の枠は何であるか。数字ではありません。アメリカの同業者が国会へ陳情すると、これが数字になる。それだけのことなんだ。ラッシュがあったからとおっしゃれば、なくてもあるのだから、将来を予見してやるのです。  たとえば、いま韓国、台湾に対してなぜ日本が制限できないかということを私は聞きたいのだけれども、それをやっておっても答弁はないでしょうから、アメリカはやっていますよということを報告します。それはどういうことか。合成繊維です。ここに公取の委員長ところ不況カルテルを結ばなければならぬと持っていく原因があるのです。どういうことか、日本の合繊のオール生産設備は百二十八万トン、いま韓国と台湾に八十五万トンの生産設備がございます。これはオール日本の六割五分の余になりますね。そうでしょう。これはどこへ輸出するのですか。——答えられますか。
  149. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 韓国の合成繊維の輸出先は、詳しいデータは手元にはございませんが、私が承知しております限りではもちろん日本へも参りますし、それからアメリカその他東南アジアにも参ります。
  150. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これは途端に使えるものじゃないのですよ。そのものずばりで使える材料じゃないのです。カットしたコットンやウールの身がわりで使えばまだしも、ロング繊維だったらよらなければならぬ。長官は練るということを御存じでしょう。絹の場合は練るというのです。練る、よる、というのです。この過程を経なければ使い物にならないのですよ。つまり、お米で言いますと、玄米では使い物にならぬということと一緒なんです。もみ米では食べ物にならぬということと一緒なんです。それができた当初、これはだれがつくったと思いなさる。韓国はできませんよ。台湾はできませんよ。日本政府日本企業が進出していって、向こうと妥協して共同経営でつくった工場ですよ。それをアメリカはいち早くよく知っておる。そこで、そんなものを買い込んだらアメリカの合成繊維会社がいかれちゃうということで、だから、一昨年、できる前にシャットアウトです。したがって、ここヘニーマーやジュリックが何度も何度も来て、キッシンジャーも来てシャットアウトした。ついでに日本の合成繊維も十把一からげでシャットアウトされたけれども、それは不当行為である。EO諸国と比べたら、日本に対する不当な圧力ではないかと言ってやり合ったのだが、いまなら時効にかかっておるから言えるでしょう。それで日本は一年で免除ということになった。ですから、いま日本は免除ですよ。  しかし、韓国の糸はそれじゃ発展途上国へ持っていって何に使うのですか。使えますか。EC諸国はシャットアウトですよ。日本の繊維さえシャットアウトしているのですからね。日本は買わざるを得ない。一緒に工場をつくったものだからね。これが入ってきたらどれだけ日本の合成繊維のカルテル行為をやったって不況は免れません。アメリカはなぜそれをラッシュもしない先にシャットアウトしたのですか。いち早くアメリカ調査網がこの工場の生産能力をキャッチして、アメリカの当該業界と政界が話し合って、最初に多国間協定に持ち込む前に個々の二国間協定をし、そして今度はガットの多国間協定に持ち込んで、日本と韓国と台湾だけをシャットアウトした。例外措置として、一年だけで日本は免除された。それも交渉によることなんです。アメリカEC諸国も、したがって繊維の貿易制限をする。貿易は自由をたてまえとしておるけれども、個々の案件については例外措置をいつでも当てはめている。その当てはめる数量は何かといったら、パーセンテージでもなければ、ラッシュでもなければ、品物が悪いわけでも何でもない。自国産業を擁護する立場から、自国産業の当該産業から要望のあったときにこれを行っているのです。それが過去の歴史なんです。  田中通産大臣という人があった。彼氏が通産大臣になられたころにアメリカ日本にそういうことを申し入れてきたので、私ども社会党の政審部会は田中通産大臣に会って一これはいまの田中さんではないですよ。いまの人とは違うのですよ。時の田中通産大臣に会って、かくかくのことだから、あなたがこれをアメリカに対して許すなら、返す刀で韓国や台湾へやりなさい、アメリカの方はやっているのだから、あなたもやりなさいと言ったことがございます。しかし、これは検討の価値ありということで、それがある程度歯どめになったことは事実です。  もって新しい通産大臣、いかんとなさるか。
  151. 田中龍夫

    田中国務大臣 本日は、加藤先生の本当にうんちくをきわめられました繊維の関係お話をしばらくぶりで承ることができました。本当にありがとうございました。  なお、貴重な御体験とまた非常な御造詣に対しまして心から敬意を表しますと同時に、お話しの内容につきましても十分に検討をさせていただきまして、善処いたしたいと存じます。
  152. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 本日は緒論でございますが、幸いあれこれについてせっかくの新大臣の御答弁をいただきまして感謝にたえないところでございますが、繊維のみならず、不況は大変です。三月を越せるか越せないかというので四苦八苦している。いまここで私どもがこうやっている間にも倒産が次から次へと行われているということを私どもは知らなければならぬと思います。三大臣はすでにそんなことは御案内のことでございますが、一兆円減税も大切でございますけれども、なお大切なことは、いままさに倒れんとし、いままさに死なんとし、手を伸べさえすれば助かるものを手を伸べずにおいて殺したとなれば、政治家としても、あるいは行政の長官としても、もはやそのかなえの軽重を問われることになると思います。そういうやさきに差しかかった今日、これはイデオロギーの問題でもなければ与党野党の問題でもなく、日本経済をどう発展させるか、どう苦況を乗り越えさせるか、そしてなお日本の産業の国際競争力をどのように培養していくかという問題でございますので、ぜひひとつ格段の御努力をされんことを要請し、第二ラウンド以下は次の機会に譲りまして、本日は約束の時間が参りましたので、これで終わります。
  153. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、来る十六日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会      ————◇—————