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1977-03-23 第80回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十三日(水曜日)     午後一時三十分開議   出席委員    委員長 湯山  勇君    理事 天野 光晴君 理事 今井  勇君    理事 志賀  節君 理事 兒玉 末男君    理事 柴田 健治君 理事 広沢 直樹君    理事 渡辺  朗君       小島 静馬君    後藤田正晴君       谷川 寛三君    津島 雄二君       中島  衛君    西田  司君       村上 茂利君    森   清君       渡部 恒三君    渡辺 秀央君       伊賀 定盛君    米田 東吾君       渡辺 芳男君    瀬野栄次郎君      平石磨作太郎君    古川 雅司君       山原健二郎君    永原  稔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         農林大臣官房審         議官      犬伏 孝治君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         科学技術庁長官         官房参事官   佐伯 宗治君         林野庁林政部木         材需給対策室長 松延 洋平君         林野庁指導部治         山課長     江藤 素彦君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   逢坂 国一君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省河川局治         水課長     小坂  忠君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省道路局高         速国道課長   住友 栄吉君         建設省道路局国         道第二課長   渡辺 修自君         建設省住宅局住         宅建設課長   国吉  忠君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         国土地理院地殼         調査部長    原田 健久君         消防庁消防課長 諏訪部 信君         消防庁危険物規         制課長     矢筈野義郎君         消防庁防災課長 永井 浤輔君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  佐々木峻一君         日本国有鉄道施         設局長     鈴木 秀昭君     ————————————— 三月七日  青森県の冷・風害による被害農家救済等に関す  る請願津川武一紹介)(第一〇三三号) 同月八日  雪害に対する特別措置に関する請願津島雄二  君紹介)(第一三四二号)  同(古寺宏紹介)(第一三四三号) 同月十六日  雪害に対する特別措置に関する請願竹内黎一  君紹介)(第一四二五号) 同月十九日  雪害に対する特別措置に関する請願熊谷義雄  君紹介)(第一五六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(地震対策等)      ————◇—————
  2. 湯山勇

    湯山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、地震対策に関し、政府当局から説明を聴取いたします。科学技術庁佐伯長官官房参事官
  3. 佐伯宗治

    佐伯説明員 お手元に配付してございます資料について説明いたします。  お手元に四枚の資料がございますが、一枚目は微小地震及び地殻変動観測所、これは文部省大学関係観測所の位置を示してございまして、右半分にはその観測所のできた年代を含めて場所を明示してございます。  それから二枚目になりますと、これは政府関係機関地震観測施設関係の一覧でございまして、気象庁から始まりまして科学技術庁防災科学技術センター通産省工業技術院地質調査所運輸省の海上保安庁の水路部建設省国土地理院、これは非常にたくさんございますので地図の上では記してございませんで、場所とか性能とかあるいは数量といったものを示してございます。  それから三枚目に参りますと、関東東海地域関係でございますが、地殻変動とかそういった関係連続観測場所を図示してございます。関東東海地区特定観測強化地域に指定されておりますので、特にここに表示してございます。  それから四枚目でございますが、昭和五十二年度の地震予知関係各省予算の概要でございまして、これをごらんになりますと、科学技術庁文部省通産省運輸省建設省、全部ございまして、合計の欄でごらんになりますと、昭和五十一年度の予算額が二十三億一千三百万円でございますが、五十二年度予算案では合計二十九億二千八百万円、そのほかに注がございまして、東海地域中心とする地震予知研究費として、特別研究促進調整費科学技術庁計上移しかえ経費でございますが、これの暫定措置額として七億五千万計上してございまして、これを含めまして総額三十六億七千八百万円ということで、前年度当初予算ベースで五九%という大幅な増額計上になっております。  以上、簡単でございますが、資料説明を終わります。
  4. 湯山勇

    湯山委員長 以上で、政府当局からの説明聴取は終了いたしました。     —————————————
  5. 湯山勇

    湯山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  6. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の制約もございますので、できるだけ簡潔に御質問申し上げます。  まず、国土庁にお伺いしますが、災害が発生した場合のいわゆる災害の救助、復旧あるいは総体的な指揮系統というのは現在どうなっているのか。災害基本法によりますと関係国務大臣が当たることになっておりますが、今日の災害関係というのは大変多岐多様にわたっておりますし、特に地震関係災害というのは大変重要な問題でありまして、いまの機構では十分に予知する体制もできていない。もし、たとえば関東大震災並み地震首都圏を襲ったような場合、現在では東海地方が大変憂慮されておるわけでございますが、このような災害基本に対する点について、まず国土庁見解を承りたい。
  7. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 お答えいたします。  関東大震災のような大災害が起きた場合には、五十万人の死亡者が出るだろうとかあるいは百万人出るのじゃないかという学者の説もございますが、そういうことを予想しながら私たちは万全の体制を整えなければならないと考えているような次第でございます。  そこで、政府対策機構でございますが、御承知のように、災害基本法に基づきまして、恐らく災害緊急事態の布告がなされることが予想されます。そうしますと、政府内閣総理大臣本部長とする緊急災害対策本部設置いたしまして、そこでいろいろな体制を整えるということに相なるわけでございますが、ただいま先生指摘のように、地震に対しては非常に各省庁にまたがる多岐体制にございますだけに、関係省庁といわゆる地震対策に対してそれぞれ調整をいたしまして、一元的に本部長指揮下に入るという体制を整えてまいります。  具体的な内容につきましては、中央防災会議事務局大都市震災対策連絡会議というのがございますけれども、ここでいろいろ緊急な体制を整えていく、あるいは防災体制だとかあるいは避難体制だとかあるいは情報通信体制だとかというものを整えてまいることになっております。  そこで、その中で国土庁役割りというのは非常に大きいわけでございます。機構として申し上げますならば、緊急災害対策本部は、本部長内閣総理大臣、副本部長国土庁長官その他関係大臣、それから総括本部員国土政務次官、さらに本部員として関係省庁担当局長が当たります。それから事務局は、局長国土政務次官が当たります。それから次長国土庁官房長消防庁次長、それから総務部企画調整部情報部国土庁の職員が一切当たるというような本部体制になっておるのでございます。  以上です。
  8. 兒玉末男

    兒玉委員 きょうは地震関係中心でございますけれども、現在の技術をもってしては地震予知はなかなか困難だ、こういうことが言われているわけです。それできょう気象庁並び科学技術庁がお見えのようですが、またあさっては東大の方に行きますけれども、現在の技術の分野において予知ができないとするならば、予知できる体制をつくるべきじゃないか。やはり何といっても予知の原点は地殻変動等観測体制強化、先ほど技術庁が御説明になりましたが、われわれがいろいろな学者意見等を総合しても、地殻変動観測施設がいま全国十九ヵ所と言われておりますが、少なくともわれわれは百平方キロメートルに一ヵ所くらいの観測体制全国で七十ヵ所程度を設けることによって、この把握がより迅速にまた科学的にできるのではないか。それから、特に地震の前兆として微小地震観測ということも欠くことのできない一つの観測機能を果たしているんじゃないか。  この二点について、科学技術庁並び気象庁としては、現状からさらにいま申し上げたような広範な地域観測体制強化する必要があるんじゃないか、このように感じますが、いかがでしょうか。
  9. 佐伯宗治

    佐伯説明員 先ほどの資料にもございましたように、微小地震及び地殻変動観測所分布、これでは確かにおっしゃるとおり数は少ないようでございますけれども、私どもといたしましては測地学審議会あるいは地震予知連絡会意見を踏まえまして、特に観測強化地域に指定されております東海地域あるいは関東南部地域につきましては、現存以上の観測機器を設備いたしまして観測強化をしようという体制で現在進んでいるところでございます。
  10. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  気象庁といたしましては、昭和四十九年東海地方観測強化地域に指定されました段階におきまして、特にこの地方観測気象庁としても強化すべく、五十年度に同地方に五本の新しい埋め込み式ひずみ計を設置いたしました。これは昨年の四月より全部東京へテレメーターいたしまして常時監視を始めております。これは観測点観測点の距離が約四十キロ前後でございまして、東海地域に限られますけれども観測網としては非常に密でございます。  さらに、その観測結果を踏まえまして、御前崎付近にさらに重点的に観測点を追加すべきであるということで、科学技術庁特別研究調整費をお世話いただきまして、これも二本その周囲にわずか五キロ、十キロ離れたところに設置いたしまして、これは四月一日よりさらに追加の形で東京で常時監視を開始する予定でございます。  さらに、関東地方にも同様の五ヵ所のひずみ観測点を五十一年度に設置いたしまして、これも四月一日から観測を始めますが、こういった観測成果を踏まえまして、将来は重点的に問題となる観測点観測地域にこのような観測を逐次拡大していこうと計画しております。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 現在の地震関係のいろいろな結果を見ておりますと、大変各省に分かれてまちまちの感を深くするわけですが、やはり地震関係というものはその機能を集中するいわゆる地震予知センター的な機関設置ということがきわめて大事じゃなかろうか。現在、科学技術庁なりあるいは気象庁なりあるいは大学地震観測所なり各面に多岐にわたっておるわけですね。聞くところによると、二十四時間体制で各地の観測所データを集約しているのは気象庁地震課だけだ。科学技術庁なりあるいは各大学等地震観測所なり、そういうふうな総合的なデータを常に集中的に管理をして、そしてこれに対応するたとえば救済対策あるいは避難対策、そういう総合的な機能のためのセンター的な機関をつくる必要があると私は思うのですが、これに対して国土庁あるいは科学技術庁なり気象庁見解をひとつお伺いいたしたいと思います。
  12. 佐伯宗治

    佐伯説明員 政府といたしましては、昨年の十月、地震予知の総合的かつ計画的な施策を推進するという目的から、科学技術庁長官本部長といたしまして、関係省庁事務次官等構成メンバーとします地震予知推進本部設置いたしまして、研究観測体制強化充実に努めてきているところでございます。現在、地震予知技術は確立されているわけではございませんので、各研究観測機関経験あるいは実績、またそういった各機関の特色を生かしまして研究観測を実施するのが現時点では適当であろうという考えでございます。  それから、御指摘センター構想につきましては、今後地震予知推進本部におきましても、予知推進体制一環という点から検討してまいりたいと考えております。現在、予知推進本部におきましては、とりあえず大地震発生指摘されております東海地域観測体制強化ということから、関係機関における連続監視データ気象庁に集中するという考え方で作業を進めております。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 再度私は地震課長にお伺いしたいわけですが、ちょっと話が前後しましたけれども、私たち観測体制強化ということが、やはり予知業務をより的確により事前に把握できる基礎的な作業じゃないかというふうに感じます。もちろん先ほどの説明のように、東海地区には重要観測地としての個所設置したということが言われましたが、やはり少なくとも私は最初指摘したように、百平方キロ当たりに一ヵ所の観測地点ということは、いろいろな資料を見てもきわめて重要なことではないかと理解するわけですが、先ほど課長の御説明では、現在の設置個所、今年度の予算に伴うところの新たな設置を含めても、まだまだ観測網というのはきわめて希薄ではないかと思うのですが、予知体制強化する上において、この観測所強化することあるいはよけいつくることは、データを把握する上においてきわめて重要じゃないか。恐らく気象庁見解は、予算関係、あるいは観測所をいろいろと指導し、あるいはそのような集約をする、機能的になかなか困難であるのか、あるいは技術的に不可能なのか、その辺の見解について、特に専門家でいらっしゃる課長見解を再度承りたいと思います。
  14. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、観測網を密にすればするほど、それだけ地震に前駆する情報を捕捉する率は高まるわけでございまして、これはまさに多々ますます弁ずでございます。現在、測地学審議会におきましては、そういった点を踏まえまして、まず重点的に南関東東海地域にこの手法を適用しつつあるわけでございまして、若干将来のことになるかも存じませんが、この南関東東海地方観測強化がある程度進みました段階で、さらに後年度の計画として、これの経験をもとにしてさらに密な観測全国的に展開していくというところに当然進んでいくと理解しております。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 時間を節約する意味で、今度は各省まとめてお聞きしたいのです。  まず、建設省関係でございますが、御承知のとおり、いままでのいろんな見解でも、地震予知ということは非常に困難だ。とするならば、いろいろな場合を想定しまして、マグニチュード七とか八とか六とかあると思うのですが、それに対応するこの首都圏等建設物建物等のいわゆる耐震構造、こういうものをやはり根本的に私は検討しておく必要があるんじゃないか。あるいは都営の地下鉄あるいは一般的な市街地の地下街ですね、こういう点等の検査、調査、さらにはまた、特に震災等の場合は高速道の利用ということが十分予想されます。とするならば、主要高速道路等の耐震的な構造橋梁関係、そういうような総合的な調査をしておくべきではないか、それが第一点ですね。  それから第二点としては、特にこの前の大分の直下型地震の場合でも、当時としては耐震構造は十分だと。ところが、この地震によって、これは六・五でございましたか、異常な破壊をもたらしているという点等から、このような建築基準等の改正もきわめて大事じゃないか。この二点が建設省への質問です。  それから、林野庁にお伺いしますが、この前の上越線事故によって、われわれとしては不可抗力に近い状況だと——ところが国鉄沿線は、このような約千七百ヵ所の危険個所がある。現在のいわゆる防災対策予算では、国鉄に後で答弁してもらうわけですが、二十年間かからなければできないという、まことに百年河清を待つような情勢です。しかも、大半が国有林関係、それに民有地、そのためになかなか防災関係というものが思うようにいかない。そういう点から、各地域地方自治体における防災体制防災会議といいますか、このような連絡機構というものを緊密にし、同時に、国有林なり民有地にしても、このような国道を含めて、防災体制についてどのような見解をお持ちなのか。  さらにまた、国鉄当局としては、千七百ヵ所のこの危険地域でもやはり優先順位があろうかと思いますが、同時にまた、地震関係の場合、これまたきわめて重大な形態を伴うので、それに対する対応策。同時に、国鉄新幹線関係は大変な高速輸送機関であり、しかもスピードが二百キロ前後という点等からも、地震対応する新幹線運行対策というものは、きわめて科学的で緻密な対応策が必要じゃないか。これらについての国鉄当局見解。  なお、林野庁関係は、災害時における建築用資材というのは大変重要な関係を持つわけであります。先般兵庫関係災害地に行きましたが、畳が三倍か四倍にはね上がるというふうな異常な状況で、被災住民にも大変な心配をかけているという点等からも、特に建築用資材のいわゆる備蓄材ということは当然考えてしかるべきものだと思うが、どうなのか。  最後に、消防庁関係でございますが、御承知のコンビナート、石油タンクあるいはこのようなガス関係、そういう多岐にわたる火災が発生した場合、誘発的ないろいろな危険個所が多いと思うのですが、このような消防関係対応策。同時にまた、発生した場合の避難地避難道路あるいは誘導体制、こういうことについて、突発的な地震発生対応については非常に住民が迷うわけです。そういうふうな対応策について、消防庁としてはどのような対策をお持ちなのか。  以上の点について、それぞれ各省庁見解を承りたいと思います。
  16. 大田敏彦

    大田説明員 私の方から建築についてお答え申し上げます。  震災に対しましては、私ども建築基準法令によりまして、建築物耐震性につきましては、関東大震災程度地震を想定しまして、建物を、その目方の二割を横からかけるというような基本方針に基づきまして構造計算を義務づけております。  また、現行の微細な規定によりますと、たとえば昭和四十三年に起こりました十勝沖地震でかなり被害が起こりましたので、もっと建物に粘りを増そうということで、鉄筋コンクリート造の柱の帯筋、こういうものを強化しております。  これらの点から見まして、必要な耐震性現行法規で確保されておるというふうに考えております。しかしながら、最近いろいろ変わった建物がふえてまいりまして、たとえば一階に柱だけのピロティー形式建築物、こういうふうなものがふえてまいりました。これに対して若干の不安が提起されております。こういった危惧に対応するため、個々建築物の最終的な強度、保有耐力、こういうものについてもチェックする必要があるのじゃなかろうかということを考えております。その点につきまして、建設省におきまして四十七年度から、総合技術開発プロジェクト一環としまして新耐震設計法開発が進められております。これがこの三月でまとまりました。それと並行しながら、私どもの方で既存の鉄筋コンクリート造建築物の総合的な耐震性を定量的に判定するための基準を目下つくっております。間もなく完成する予定でございます。これをもちまして、国の機関はもちろん地方公共団体等に慫慂いたす一方、日本建築学会等関係各界協力を得まして、その成果の普及を図る予定でございます。その基準によりまして、個々建物が最終的にどういった地震に耐える、また耐えない場合はどういう補強をしたらいいかということを今後ますます各界に敷衍していくつもりでございます。  以上、建築関係……。
  17. 江藤素彦

    江藤説明員 今回の国鉄上越線沿線落石事故のような国鉄沿線斜面にかかわります災害未然防止につきましては、すでに昭和五十年六月二十三日付をもちまして「国鉄沿線斜面災害防止について」という林野庁長官通達を出しておるわけでございまして、国鉄当局から災害防止対策につきまして協力依頼がございました場合には、積極的に協力を行うように営林局あるいは都道府県を指導しておるところでございます。また、治山事業対応すべき個所につきましては、緊要な個所から事業を実施しているところでございまして、御指摘にございましたような地方防災会議等を通じまして関係機関と緊密な連携を図りながら、国鉄当局に対しまして十分な御協力を行いますよう今後もさらに指導してまいりたい、このように考えております。  なお、建築用資材につきましては、木材需給対策室長よりお答え申し上げます。
  18. 松延洋平

    松延説明員 ただいまの災害時における応急手当て用建築用材備蓄はどうなっているかという御質問でございます。  災害によりまして被災した住宅等復旧用材としまして、林野庁におきまして各営林局署段階備蓄材を保管しておるところでございます。また、そのための減額譲渡の問題とか代金延納についての規定もすでに設けられてございます。また、木材需給の安定を図りまして、あわせて災害対策にも資するために、財団法人日本木材備蓄機構に助成しまして、首都圏、中京、近畿の三大都市圏製材合板備蓄しておるところでございます。これらの製材合板備蓄材につきましては、災害時に都道府県知事等から御要請がありました場合に、その必要に応じまして、被災地最寄り地に保管している備蓄材を速やかに供給いたしまして災害復旧協力する体制をとっているところでございます。
  19. 鈴木秀昭

    鈴木説明員 今回は上越線で大きな事故を起こし、不可抗力に近いとは申せ、おわびを申し上げます。  ただいま総点検をやっておりまして、先生指摘のように、現在では千七百ヵ所ぐらいと思われておりますけれども、今回のようなこともございますので、目下鋭意調査中でございます。  国鉄防災関係に投じております金が年間約二百五十億でございますが、この落石関係に使っております投資が約二十億見当でございます。御指摘のように、山から川までの間に道路鉄道がお互いに並行してどちらかが上になったり下になったりして走っている、その場合に民地がありましたり国有林がありましたりいろいろございますので、国鉄としましては今後とも関係省庁の御協力を得ながら防災体制を進めていきたいと思いますが、四国に関しましては、予讃線、土讃線につきまして、政府出先機関から県その他とホールプランを立てまして、それでホールプランの中から年次を追いましてどこはどこで施行するというようなホールプランができて、非常に進みました。このような方式をどんどんと全国的に及ぼしていくべく、危険個所の除去に努めたいと思います。  それから、地震でございますけれども国鉄は、地震につきましては現在線と新幹線とをはっきり区別しております。  新幹線につきましては東海道が二十五ヵ所、山陽新幹線が二十三ヵ所地震計をつけておりまして、これが四十ガル感じますとすぐ送電が自動的に停止することになっております。新幹線につきましては最近の構造物でございますので、土木学会依頼をしてつくりましたいろいろな震度法を用いまして十分設計しております。  それから、現在線につきましては二つの方法をとっております。全国に百六十ヵ所地震計を置いてございまして、これで広域的な地震を感じて運転規制をする方法と、もう一つは約七十ヵ所の要注構造物に取り付けてございまして、それはある震度を感じますとクルクルパーと申しますか、赤ランプが回りまして、そこで列車をとめる、このような方法地震に対処しておるわけでございます。
  20. 永井浤輔

    ○永井説明員 震災時には火災が発生いたしますとその被害が甚大になるということは過去の事例から明らかでございますので、消防庁といたしましては人命の安全確保ということを第一義と考えまして、地震時におきましては出火防止、まず火を出さないということ、火が出たらすぐ消すという初期消火、それから、それらに失敗した場合は延焼拡大防止、あるいは住民の避難の安全の確保、こういったことを中心といたしまして震災対策を講じている次第でございます。特に震災時におきますところの火災対策といたしましては、同時に多発をする火災でございますので、消防隊がそれに全部が全部かけつけられないという場合も当然予想されますので、コンビナート地帯の企業につきましてはコンビナート法によりまして自衛防災組織というものが義務づけられておりますが、大都市の木造の家屋の密集地帯、こういうところには住民による自主防災組織というものの育成をいたしまして、これに百トンの貯水槽、それから可搬式小型動力ポンプ、こういうものを設置して自分たちの手で初期消火ができるように、こういった指導をいたしておるわけでございます。  こういった初期消火に失敗して市街地大火となった場合にはこれは避難せざるを得ませんので、そういった場合には十分冷静に周囲の状況を見て、あらかじめ指定された避難場所に退避する。そのためには平常から避難場所は各都市において指定するようにいたしておりますが、その避難場所、それから道順というものを十分知っておくように指導いたしておる次第でございます。  以上でございます。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の関係で、最後に長官にお伺いしますが、いままで各省庁見解をお聞きしました。特に国鉄関係につきまして、現在四国の土讃本線等では建設省なり農林省なり関係省庁と緊密な体制をとりながら成果を上げているという説明がございましたが、やはり全国千七百ヵ所という個所国有林あるいは民有林、あるいは国道と並行している部面が相当あるわけでございます。とするならば、各省庁間が共同的な立場からこの防災対策に取り組んで、そして予算の面においても国鉄単独、建設省単独ではなくて総合的な防災対策としてこの際中央としても抜本的な対応策をとるべきではないか。国鉄説明では、いま年間、落石防止関係予算でもわずかに二十億円ということでございます。これはもし一ヵ所において予期せざる事故が発生した場合は、このような金額ではとてもじゃないが防げない甚大な被害が予想されるわけでありますから、災害は防災対策に力点を置くべきだという点からこういうような総合的な体系というものをこの際検討すべきだと思うのですが、最後に長官の見解をお承りして、私の質問を終わりたいと思います。
  22. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 お話のように防災体制は各関係省庁にまたがっておりましてばらばらのような感じを受けますので、そういう体制を整えるのが国土庁役割りでございますから、そういう点に今後も十分注意をしてまいりたいと考えております。特に今回は災害部を設けることはできませんでしたけれども二課をつくりまして、一つは災害に対して、一つは地震対策というようなことで機構も一段上げてまいりました。そういう関係もございますし、一層予算の面でもただいま御指摘のような点のないように努力をしてまいりたいと考えております。
  23. 湯山勇

    湯山委員長 兒玉末男君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺芳男君。
  24. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 昨年十月に、駿河湾付近で最大規模の地震が近い将来に起こるであろうという説が発表されまして、静岡県民は大変大きな衝撃を受けました。その後国会でも再三にわたってこれに対する対策ども取り上げられてまいりましたが、この際、その後進んでいる状況などについて、予知なり防災対策について若干質問をさせていただきます。  静岡県は、御案内のとおり過去歴史上にも幾たびか大きな地震に見舞われておりますが、ここ半世紀の間でも昭和五年から七四年五月伊豆半島沖地震まで六回ほどあります。それだけに震災経験した人々が大変多いわけでありまして、大きな関心が持たれているわけであります。  ところで、日本列島は地震の多い国だと言われておりますが、一九六九年に関東南部、七四年に東海地域観測強化地域に指定されてまいりましたが、現在日本列島の中で格別に観測を重視していかなければならないという地震の起こる可能性がある危険地域といいますか、こういう点についての地域はどのくらいありますか。
  25. 佐伯宗治

    佐伯説明員 お答えいたします。  御指摘関東南部、東海地域観測強化地域でございますが、そのほかに全国七ヵ所に特定観測地域というのがございまして、北海道東部、秋田・山形西部、長野県北部及び新潟県南西部、琵琶湖周辺、阪神、島根県東部、伊予灘及び安芸灘の七ヵ所が指定されております。
  26. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これらの七ヵ所の地域については、東海地方と同じような考え方で予知観測、防災対策ども進められておるのでありますか、この点についてお伺いいたします。
  27. 佐伯宗治

    佐伯説明員 科学技術庁の担当かどうかわかりませんけれども、国土地理院の測量の周期を短くするというようなことで測量の強化を図っております。
  28. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 お答えが少し不満足でありますが、私がお尋ねをしているのは、最近東海地域が非常に重要だということで観測強化地域に指定をされたということもございますが、いずれにしても地震の多発地域といいますか、過去の経験からして同じようなウエートをもって取り組んでいただきたいということであります。この点はよろしゅうございますね。  それでは、昨年十二月十七日付で、測地学審議会の永田会長名で、第三次地震予知計画の再度一部見直しについての建議が、内閣総理大臣を初めとして関係大臣あるいは長官に提出をされていますが、これによりますと、大変大規模な予知対策を進めようということが内容に盛られています。全国的に国土地理院の測地測量を初めとして、東海地域東京、阪神などの大都市地域その他地震予知連絡会が指定をした各特定地域の測地測量あるいは微小地震観測、深井戸の観測、地殻構造調査地殻変動観測あるいは地震波速度の観測、地磁気、地電流の観測、海底地震計設置などいろいろございます。  第三次予知計画が五十三年度で一応終わるわけでありますが、本年度の予算を見てみますと、関係省庁予算合わせて二十九億二千八百万円というふうになっていますが、この程度予算規模で先ほど申し上げました建議に盛られた予知対策などについて十分尊重して実現、実施できるか、こういうことになりますと、私の見たところ、なかなか困難ではないだろうか、こういう点で実施計画をどういうふうにつくられて、この建議をされた方針に基づいてやられていくのだろうか、こういうことについて、長官にひとつお伺いをいたしたいと思うのです。
  29. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 お答えいたします。  具体的な方法等については政府委員から答弁させますが、今年度はただいま御指摘のように、地震予知については二十九億という予算でございますが、私はこの地震予知は単に予算の額で計算、はかるものじゃなくして、各機関が現段階でどの程度の研究ができるのかということにあろうと思うのでございます。ですから、私は今年度はこの予算で十分とは申しませんけれども、ある程度地震予知体制をつくることができるものであろう、こう考えておるのでございまして、具体的にはいま政府委員から答弁させることにいたします。
  30. 佐伯宗治

    佐伯説明員 先生指摘の五十二年度予算は二十九億円余りということでございますけれども、先ほどの資料にございます注にございますように、科学技術庁として、測地学審議会の建議が出た時点で特に大蔵省と交渉しまして、七億五千万特調費という枠でつけていただいております。
  31. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そうしますと、三十数億になるわけですね。七億五千万をプラスしたのが現実には予算的に措置をされて実施される、こういうことですか。——では続けていきます。  昨年七月、伊豆半島の河津で活断層による局地地震がありました。これは事前の予知ができなかったわけでありますが、その後十月に伊東市の鎌田というところに高感度地震計設置をされました。微小地震計は細かく設置されることの方が、それに越したことはないということはもうよく言われていることでありますが、特に二十四時間の常時観測体制をとっている気象庁に集中するテレメーター化ですね、テレメーター化がなお一層促進されなければならないと思います。たとえば大学地震計あるいは気象庁関係地震計、いろいろ各研究機関のひずみ計などもありますが、こういう予知機器を気象庁に統一をしてテレメーター化を進めることが、二十四時間観測体制をとるに当たってきわめて重要だと思うのですが、この点についてはどういうふうに計画をされているか、お伺いをいたしたいと思うのです。
  32. 佐伯宗治

    佐伯説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、地震予知するためには、できるだけ多くの種類の観測を連続して行って二十四時間監視するということが必要でございまして、東海地域につきましてはこの方向で現在整備中でございますけれども気象庁の二十四時間常時監視体制に現在連結されておりますのは気象庁自身のひずみ計と地震計だけでございますが、地震予知推進本部といたしましては、このほかに国立防災科学技術センター、地質調査所、国土地理院、国立大学等の連続観測で、短期予知に有効と考えられるものにつきましては、逐次気象庁の常時観測体制に連結するということで現在準備を進めております。
  33. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 駿河湾地震説の根拠は、私が聞くところによりますと、駿河湾の西岸の沈下あるいは内陸部の隆起、伊豆半島の隆起あるいは一九四四年十二月南海大地震の際に、遠州灘以東がぷつりと切れなくて地震エネルギーが残されている、こういうことからも推測をして、いろいろな観測データで駿河湾地震説が発表されているようでありますが、今日までの観測状況で、その当時から見て何ら異常がないかあるいは進行しているか、こういうことについての観測データについてお伺いをいたします。
  34. 原田健久

    ○原田説明員 四十九年二月に東海地域地震予知連絡会によって観測強化地域に指定されました。それ以後各省庁この方面に密な観測を行いました。また、古文書の研究等もその間になされました。それらの観測や研究を総合いたしますと、当該地点には観測装置が多々施設されておりますので、その装置にあらわれた現象を見ますと、地震が非常に差し迫っているという徴候はまだ把握されていないということが、三十四回の昨年八月二十三日の地震予知連絡会で統一見解として発表されました。
  35. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 わかりました。  次に、地震予知に関する科学技術が急速に最近発達をいたしてまいりましたが、それでもまだ、先ほど兒玉先生が言われましたように、地震予知はむずかしいというふうな現状にあると言われています。最近聞くところによりますと、地震予知連絡会のもとに判定会が近くつくられるということですが、判定会の構成それから任務といいますか、どういうことをする、このことについてお伺いをします。
  36. 佐伯宗治

    佐伯説明員 東海地域に関します判定組織につきましては、昨年十二月十七日の測地学審議会の建議がございまして、判定会を設置しなさいということでございまして、五十二年度できるだけ早期に判定組織をつくるということで現在準備を進めております。  いま考えておりますのは、判定組織といたしましては地震予知連絡会機構に、仮称でございますが東海地域判定会、これは地震学の専門学者数名で構成して、その事務運営は気象庁で行うということを考えております。この判定組織の任務といたしましては、東海地域におきます連続観測データに急激な異常とかが生じた場合に、大地震発生の可能性について緊急に判定するという任務を持つということで現在作業を進めております。
  37. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いつ判定会が発足しますか。
  38. 佐伯宗治

    佐伯説明員 昭和五十二年度早期ということで、いまのところ四月中に発足させたいという方向で考えております。
  39. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私がちょっと心配をしていますのは、地震が本当に来るのか来ないのか、こういうことについて非常にむずかしいと思います。判定会の先生方やあるいは地震予知連絡会の専門の先生方が慎重になったり、あるいはそれに輪をかけて行政機関である地震予知推進本部中央防災会議が慎重になる、社会的な影響を考えて慎重になり過ぎる。それで地震の予報や警報がおくれたりするようなことがあってはこれは大変なことですね。そこで、幸いにして地震が来なければいいわけでありますが、ともかくこれは怪しいというふうになったら予報なり警報なりというものを勇気をもって出していく。そして、地域住民の準備といいますか、地震に対する対応策というものが生活上とられていくということはあってもいいんじゃないだろうか、こんなふうに私は考えますが、この点についての運用の方法ですね。そしてまた、地震警報はどういうふうにして出されるものか、そういうことについて決められておりましたら、ひとつお伺いをいたしたいと思うのです。
  40. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来、地震予知の実用化、判定組織のあり方でいろいろ各省間で意見を詰めておるということは、科学技術庁から御説明いただいたとおりであります。いま御指摘いただきましたように、どういう時点でこれを出すかというのはやはり相当慎重に考えるべき問題があるのではないかと思っております。そういうふうなことも含めまして、いろいろ積極的、消極的各行政面のことがありますので、私の方の大都市震災対策連絡会議防災体制分科会というところをそういうことを研究する場といたしておりますので、各省の意見を十分取り入れまして、かつ地方団体の意見ども十分取り入れまして、今後万全の連絡体制ができるように検討してまいりたい、かように考えております。
  41. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 この点は聞くところによりますと、中国などの地震予知体制といいますか、予知の水準といいますか、そういう状況から見ても簡単に言えば外れた、こういうこともたびたびある。あるいは唐山の地震のように当たってしまったというふうなこともあるようでありますから、まだまだ国際的にも地震予知の問題が完全に天気予報のように把握できるということではございませんが、ともかくこの際要望しておきますのは、余り慎重にならない方がいいのではないだろうか。駿河湾地震のショックもありますが、NHKの調査ども私も拝見をいたしましたが、とにかく教えてもらってよかったというのが三分の二、世論調査に出ているわけですね。この点はひとつ十分配慮をしていただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  42. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 十分御意見を含みまして検討したいと思います。
  43. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 地震の大きさからいいますとマグニチュード七以上が大地震だと言われていますが、たとえば駿河湾地震はマグニチュード八以上だと発表されたんですが、このくらいの巨大地震になりますと、大体地下何十キロとか何百キロとかいろいろ言われていますが、どのくらいの深さが震源地になると推定していますか。
  44. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  御指摘のマグニチュード八というのは大変に大きなエネルギーの地震でございまして、こういう大きなエネルギーをためます入れ物と申しますか、地殻の大きさも決して一点ではございませんで、広がりが、たとえば百キロ掛ける五十キロ、深さにいたしましても二十キロといった大変大きな部分にエネルギーがたまるわけでございます。過去の東海沖並びに太平洋沖に起こりました巨大地震の例を見ますとやはりそのような様相を示しておりまして、その広がりの場所といいますのは大変浅いところ、海底から約二十キロ下ぐらい、広がりはいま申し上げたような大きな升の中にエネルギーがたまるわけでございまして、一般的な概念としては浅い地震と御理解いただきたいと思います。
  45. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 従来の経験によりますと、たとえば一九三〇年十一月に起きた北伊豆地震がありますが、このときにはマグニチュード七と言われておりますが、数日前から小地震といいますか、前震が頻発しておった。そして、二十六日に大地震がどかんと来た、こういうことが言われていますが、この例で考えられるように、たとえばマグニチュード七とか八とかという大変な巨大地震が起きるというふうなことを想定いたしまして、そういう場合には、たとえば河津地震のように局地で活断層による直下地震がちょこっと起きた。あれでもマグニチュード六だと言われていますが、現実の問題として、言われているような大地震の場合には、前震があると考えていいのですか。
  46. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  日本にいままで大変数多くの被害地震、そのうちにはマグニチュード七・五あるいは八といったものもあったわけでございますが、その全部が必ずしも前震を伴ってはおりません。御指摘の北伊豆の地震は、むしろ前震を伴ったという数少ない例の一つでございます。ただ、その当時は、気象庁を含めまして観測の精度がそうよくございませんでしたので、果たして本当に前震がなかったのか、あるいはわれわれが見逃していたのかということが確かでない点があるわけでございます。現在は私どもも、より小さい地震まで、これは数が大変多いわけでございますが、捕捉すべく努力しておりますし、各大学においては大変高能率の微小地震観測ネットを各地にお敷きになっていらっしゃいますので、以前にはわからなかったような前震あるいは直前ではなくても前駆地震というようなものも捕捉できまして、これが前兆の一つとして予知に役立つ可能性は十分にあると存じます。
  47. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 先ほど児玉先生も触れられましたが、近く地震があるのじゃないだろうかというふうな場合に、当然地震警報などが発せられると思いますが、その際、通常国鉄新幹線は二百キロのスピードで運転をしている、あるいは東海道線の場合でも特急の場合九十キロ運転をしている。急行で六十キロ運転をしている。これは大変スピードを出しておるわけでありますが、地震が来るのではないかというふうな警報が発せられた場合に、国鉄の場合どういう対応策を持つか。たとえば減速運転をするのか、あるいはとめていくのか、こういうふうなことが対策として練られていると思いますが、この点はいかがですか。
  48. 鈴木秀昭

    鈴木説明員 私ども、一応新幹線などにつきましては、いままで新幹線ができましてから約十年、四十二回この地震計が作動しておりまして、その都度いわゆる点検をして構造物等の調査をいたしておりますが、いまのところ、そうした現在までの程度地震につきまして異常がございません。それで、新幹線につきましては大体関東大震災程度のものには十分耐えるというふうに思っております。いま先生指摘の、正式な警報が出されましたときは、当然国鉄としては安全第一をとりますので、すぐ減速等の処置をとりますが、警報がずっと出たまま、少しそれが長期になりましたときにそれをどうするかということ等の問題につきましては、その時点で判断をしてまいるべきことではないかと思います。  それから、在来線につきましては、盛り土区間等が多くてなかなかむずかしいわけでございますが、はっきり、在来線につきましても、同様な正式の政府のいわゆる地震警報が出ましたら、それに応じました対策をとりたいと思っております。
  49. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 多少抽象的な御説明だと思いますが、国鉄のパンフレットによりますと、新幹線は二百キロで走っている場合に普通ブレーキで二千七百メートル行かなければとまらない。非常ブレーキでも二千メートル走ってしまう。これではもう大変なことですね。転覆したらほとんどの人が死傷するのではないだろうか。九十キロの特急列車の場合でも非常ブレーキで二百六十メートル突っ走ってとまるというふうになっておりますから、これは社会的な影響があって、判定会あるいは連絡推進会議なりを経て防災会議などが発表する場合に、慎重になり過ぎてはいかぬということを私が申し上げたのですが、国鉄の場合、特に人命をたくさん預かっているところでありますから、この点は具体的に検討されておるのですか。
  50. 鈴木秀昭

    鈴木説明員 具体的にと申しますか、私どもとしましては、正式にそういうものが出ましたら当然まず減速をいたします。
  51. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 もう一つ国鉄関係でお伺いしますが、新幹線も在来線もそうでありますが、大きな地震が来て橋梁が落ちるというか、ずれ込むというふうになると大変ですが、こういう橋梁の歯どめといいますか、そういう工事を行っていると聞いていますが、この点と、それから駅なども非常に人が集まるところでありますからパニック状態が起きないような対応策も必要だと思うのです。こういう点についての検討がなされているかどうか、お伺いをいたしたいと思うのです。
  52. 鈴木秀昭

    鈴木説明員 いわゆるけたが落ちないかという先生のお話でございますが、これはアンカーボルトで橋脚に固定して、落ち込みにくい構造になっておりますけれども先生指摘のように、さらに落ちにくいようにした方がよいわけでございまして、逐次そうした地震対策をとっておりまして、新幹線につきましては四百四十七ヵ所の鉄げたのうちで約三五%がその処置済みになっております。  なお、旅客のパニック等につきましては旅客局の方から御説明させていただきます。
  53. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 地震が起こりました際の旅客の誘導体制、それについてお答え申し上げます。  まず、私ども鉄道管理局と関係地方の公共団体との間で地域防災計画といいますか、そういうふうな形での打ち合わせを行っておりまして、その地域防災計画の中の一環としていろいろなマニュアルをつくっております。それから各駅につきまして、やはりそれぞれ駅の特殊の事情がございますので、それぞれの駅におきまして、そういう異常事態発生の際のマニュアルをそれぞれつくっております。  その際に、一番ポイントといたしておりますことは、まず第一に、お客様方に対しての、地震があったときにどうしてくださいというふうな広報の体制、これを係員が上がらずに一番落ちついてゆっくりそういうことを申し上げるという点に心がけております。  それから第二番目は、誘導案内でございまして、避難場所がどこであるか、その避難場所まではどういうふうな形で行くのか、その避難場所にはどれくらいの人数を収容することができるのか、その辺についても各駅ごとに細かく詰めております。  その他乗務員、これは駅と駅の間にとまりましたような場合につきまして、乗務員の処置方についても細かいマニュアルをつくっておりまして、それぞれに対処方を勉強いたしておるところでございます。
  54. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 わかりました。  同じような質問になると思いますが、建設省関係で、東名高速道路についてですが、たとえばドライバーに対する周知方法ですね。いよいよ危なくなったというふうなとき、警報の出たとき、あるいは本当に地震が起きたとき、どういうふうな周知をするか。これは国鉄と同じように減速運転をさせるとかあるいは停止をさせるとか運転ストップをさせるとか、いろいろ方法があると思いますが、これはまあマスコミのことを取り上げて恐縮でありますけれども、実は自衛隊が、駿河湾地震が起きた場合には恐らく東名高速道路は使用不能であろう、そのために大型ヘリコプターなりあるいは海上輸送して食糧の補給なり、あるいは火災が起きた場合、あるいはろ水器などいろいろな救助対策を練っているというふうなことが発表されました。  そういうことになりますと、それは想定の問題でありますけれども、東名高速道路が使用できなくなるというふうなことになっては大変ですね。いずれにいたしましても、地震対策としてどういうふうにこれらの問題についての対応策を考えられておりますか、この点を御説明いただきたいと思うのです。
  55. 住友栄吉

    ○住友説明員 地震が起こりました場合にどうなるかということでございますが、東名高速道路の各管理事務所には地震の感知器を全部用意してございます。それで、その感知器がございますので、地震が発生いたしますと直ちに管理局の方に入りまして、いま川崎にございますが、そこに交通管理室がございます。そこから一斉に各事務所あるいはサービスエリア、それから巡回中の道路パトロールに全部一斉指令が参りまして、それでとまっている車のあります料金所あるいはサービスエリアの駐車場でドライバーに伝達することにしております。また、本線を走っている車はどうなるかということでございますが、これにつきましては、いわゆる可変情報板がかなり整備されております。それで、その可変情報板におきまして警報あるいは注意情報というものを点滅することによりまして確認させるということが一つ。もう一つは、カーラジオを聞いているドライバーがありますとすれば、トンネルの中に入っておるものもございますが、そういうものにつきましても、再放送設備が整っておりますので、放送局から連絡させるというふうな処置をしまして、緊急情報を提供してございます。  それから、高速道路が万が一とまるのじゃないかというような御指摘もございますが、構造物につきましては一応関東大震災程度のものについては十分耐えられるというふうな設計を私ども考えておりますし、それから地域の特性あるいは地盤のぐあい等を考えまして係数等も掛けまして、一応の計算で大丈夫だというふうになっております。しかしながら、切り土、盛り土の区間、そういったところが崩れることがあろうかとも存じますが、それらにつきましても直ちに点検する、いわゆる土の処理の問題でしたら簡単に直るというふうな見解をとっておるわけでございます。なお、大きい構造物が壊れましたら大変でございますけれども、いま申しましたように土程度のものでしたら直ちに処置ができるというような考え方をしております。  そういったことをやっておりますし、それからまた、国鉄さんと同じように落橋の防止といったものが非常に大事でございますから、落橋防止震災対策としまして、各橋げたをつなぐというやり方と、もう一つは、けたが乗っておりますピアでございますが、その台座を大きくするというふうな処置を現在とっておりますし、毎年の点検も行っているという状態でございます。  以上でございます。
  56. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 現在、たとえば静岡県内には九十万台の自動車がありますが、通過車両は別としても、常時——真夜中は別として、大体三分の一ぐらい動いていると言われております。これらの対策として、県では、県の方針を読みますと、地震発生時には全面ストップをさせる、カンパンなどの食糧も用意したい、そして対応策を講じていくというふうに言われておりますが、いずれにしても、東京なり名古屋、阪神なりという大都市の方がまた襲われた場合には大変なことになりまして、パニック状態になるじゃないかというふうなことを懸念をいたしております。もちろん、常時こういうふうに地震が起きる可能性があるじゃないかと言われているときには、事前にこういう対策について周知徹底をする必要があると思うのですね。対応策として、もう全部ストップさせてそこから動くなという形になりますから、これらに対する対策というものが本当に計画どおりうまくいくかどうかということを私は懸念をしているのです。どういうふうに考えられて計画をしておるか、ひとつお伺いをいたしたいと思うのです。
  57. 福島静雄

    ○福島説明員 お答えいたします。  大地震が発生いたしました場合には、自動車交通に対する対策が非常に重要な問題であるということにつきましては先生指摘のとおりと考えておりまして、警察におきましても、震災警備の中で交通対策を大きな柱にしているところでございます。  そこで、静岡県警察におきましては、従来から警察の災害対策基本となります大震災警備実施要領というものを定めているわけでございますが、その中におきまして、第一に、被災地域の範囲に応じまして交通規制地点をあらかじめ定めまして、被災時には、その地点で災害地へ向かう車両は全部通行禁止にするということ、第二には、規制区域内を走行しているすべての車両を道路の左側に寄せまして停止させ、運転者が車両を離れる際には、必要なときいつでも車両を移動させることができるというふうな状態にしておくということ等を緊急措置として定めているわけでございます。  そこで、こういった交通措置につきましては住民の御理解を得るということがもちろん大事でございまして、従来から広報紙やパンフレット等による県内の広報活動に努めているわけでございますが、なお現在、駿河湾地震を想定いたしまして、具体的な対策につきまして昨年来警察も含めまして県全体で検討を進めているところでございますので、警察におきましても、その考え方に基づき、今後報道機関等の御協力も得るというふうなことも含めまして、運転者に十分浸透するような具体的かつ広範な広報活動を強化していくという考え方でございます。
  58. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 わかりました。  静岡県の名前を出して恐縮ですが、資料がほかにございませんので申し上げますけれども、たとえば静岡県で三ヵ年計画で特に五大市を中心にして耐震性の貯水槽百トンの大きさのものを百基、それから四十トンの貯水槽を三百六十基、それから可搬動力ポンプの大きなものを二百台、小さなものを百台設備する、こういうふうに計画をして推進をしています。また、同報無線なども大分普及をしておりますけれども、ないところの市町村については全部つけさせる、こういうふうな対策を進めております。これらについて補助対象になっているものもあればないものもあります。私は東京、名古屋、大阪というふうな防災都市づくりの指定になっているところも含めて、これらについてもう少し財政援助について考えたらどうだろうか、こんなふうに考えておりますが、これはいかがですか。
  59. 諏訪部信

    ○諏訪部説明員 お答えいたします。  ただいまの耐震性の防火水槽なり動力ポンプの問題でございますが、御指摘ございましたうち、百トンの水槽あるいは四十トンの水槽、それから可搬式の動力ポンプでございますと大きい方は補助対象になっております。小さい方につきましては、百トンの耐震性の防火水槽とセットで自主防災組織をつくる場合には対象になっておるわけでございますが、先ほど御指摘のございました三ヵ年の計画につきましては私どもも静岡県から伺っているわけでございますが、これらにつきまして一般の消防用施設の整備の補助金、それから百トンの防火水槽を中心といたしました大震火災対策の施設整備の補助金、これらを十分活用いたしましてできるだけ地元の要望に沿うように努力をいたしているところでございます。  なお、この計画につきましてかなり予算の煮詰まった段階で伺いましたので、多少補助対象にならない部分もございますけれども、これらにつきましては今後検討してまいりたいと思っております。
  60. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 去る三月四日にルーマニアで大地震が起きましたが、首都のブカレスト北方に石油化学コンビナートがあるが、大した被害を受けなかったというふうなことをマスコミで知りました。しかし、わが国の場合、各種の石油コンビナートのほかいろいろコンビナートがありますが、大体太平洋ベルト地帯に集中をしている。しかも、これらのコンビナートがみんな埋立地につくられている。つまり地盤が軟弱である。こういうことから非常に心配をいたしています。また、コンビナートでなくしても、工業地帯には石油タンクなりあるいは高圧ガスタンクが随所にありますが、この際、地震危険地域に対するこれらの危険物の耐震性強化あるいは危険物周辺の防災地域の徹底した設定といいますか、そういうふうなことをこの際見直して、防災対策を進めたらどうかと思うのですが、この点はどういうふうに考えられておられますか、お伺いをいたしたいと思うのです。
  61. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 御指摘のように、地震が発生いたしますと、このコンビナート地帯あるいは工場群の集積しております地帯においては、石油類あるいは高圧ガス、毒物等の危険な物品が相当多量に集積しております。したがいまして、それぞれ単独の規制法によって安全対策について努力いたしておるわけでございますが、特に石油類につきましては、消防法で今回の改正によりまして、軟弱地盤に設置されておりますような場合における点を考慮いたしまして、構造設計基準及びタンクの技術基準についても強化いたしました。遡及できるものはできるだけ遡及させるという方向で法律上規制しております。     〔委員長退席、兒玉委員長代理着席〕 遡及できない点については、防災診断委員会の耐震項目を織り込んだ耐震チェックをもとにいたしまして、そういう地震多発地帯における工場群において想定される被害対応するチェックをして、安全化を図るよう指導いたしておるわけでございます。  なお、さらには地域防災計画の中で、周辺の市街地との関連をも総合的に見ながら、耐震あるいは防災対策の万全を期していくよう指導していく所存でございます。
  62. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 もう一つお伺いしますが、今日では小さな地方都市でも都市ガスが普及しておりますし、あるいはまたガソリンスタンドは随所にある、こういう状況でありますから、特に都市ガスの防災対策について、たとえば製造設備や導管の耐震性強化、あるいは緊急放散装置あるいは緊急遮断装置といいますか、とめる、こういうふうな設備をもう一度見直して十分やらせるべきではないだろうか。特にガソリンスタンドの中で、市街地にある、あるいは人家の密集地域にある、隣りが民家だ、こういうふうなことがたくさんありますが、もちろんこれはつくるときに耐震性などについても十分考慮に入れて、設備の段階でつくらしたと思うのですが、古いものはまだ法律ができていなかったというふうなこともあると思うのです。これらについて、特にこの際見直しをして、防災対策といいますか、地震対策といいますか、こういう点を徹底的に進めたらどうだろうか、こんなふうに思うのですが、この点はいかがですか。
  63. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 都市ガスの地震対策につきましては、通産省といたしましては、ガス事業大都市対策調査会というのがございまして、昭和四十七年十二月に答申をしてございます。その答申の線に沿いまして、いろいろガス事業者を指導しているところでございます。  その具体的内容は、一つは、関東大震災級の大地震が発生した場合に、製造所及び供給所の出口及び高圧、中圧導管の主要の個所を遮断いたしまして、そうして必要により放散をするということが一つでございます。  それからもう一つは、導管につきまして現在高圧、中圧につきましては鋼管にする。それから、継ぎ手につきましては溶接とメカニカルジョイントにするということで進めてございます。  それから、設備につきましては、ガスホルダー及びLNGのタンクにつきましては耐震設計をするということで、特に十六メートル以上の高いものは水平震度〇・三以上ということで進めてございます。  また、製造設備につきましては、各種の安全装置をつけまして、遮断装置、それから安全弁、そのほか地震の感知のもとになります地震計設置その他を指導しているところでございます。
  64. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 最後に、長官にひとつお伺いをいたしますが、現在災害対策基本法で一般の災害に対する対応あるいは計画などについて明確に定められているのですが、地震災害については、率直に申し上げまして、大地震になればはかり知れない二次災害が誘発をされる、こういうこともありまして、この際、政府において地震に対する予防措置あるいは応急対策について国なり地方自治体の責務なり権限、こういうものを明確にするとか、あるいは企業の責任を明らかにするとか、国がこれを徹底的にやれば、財政上相当な巨額な金が要ると思いますが、ともかく財政上の措置をするとか、こういうふうなものを中心にして、よく言われているように、耐震性建物をつくる、あるいは不燃化の建物をつくる、いろいろなことがたくさんあると思いますが、たとえば震災対策緊急措置法などというふうなものがつくられれば、先ほど来いろいろ各省庁の皆さんに対策をお伺いいたしましたが、こういうことができるのじゃないだろうか、こんなふうに考えておりますが、立法化について御検討いただきたいのですが、この点いかがですか。
  65. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま先生指摘のように、災害対策基本法によりますというと、いわゆる地震による災害も含めて各種の災害についてのやはり防災体制だとか、災害の予防対策だとか、あるいは応急対策復旧対策等の基本を決めておるわけでございまして、さらに防災上の責任分担も、御案内のとおり国あるいは都道府県、市町村及び住民の責務がはっきり規定されているわけでございまして、私はそれなりに災害基本法というものは大きな価値を持っておるものだと思うのでございます。ですから、先生のただいまの御意見は十分尊重して今後地震対策に万全を期してまいらなければなりませんけれども、私はただいまの災害対策基本法でそれをカバーできるのじゃないか、こう思うのでございます。  なお、財政上のいろいろな措置あるいはまた企業に対するいろいろな要望等については、いろいろ検討してまいらなければならないと思いますが、できるだけいまの災害対策基本法を中心にして今後地震対策の万全を期していきたい、こういう考えなのでございますが、先生のただいまの御意見を十分尊重して今後地震対策を進めてまいりたいと考えております。
  66. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いきなり立法化の大きな問題iを私は提案したのですけれども、これは相当検討しなければなりませんが、ともかく抜けているようなところもあるのではないかと考えられる、不勉強でありますが私にも考えられますので、この点は将来の検討課題として、十分私どもの方もさしていただきますけれども、長官の方でもひとつ重視をしてやっていただきたいと思うのです。  終わります。
  67. 兒玉末男

    兒玉委員長代理 古川雅司君。
  68. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 私は地震予知災害対策をお伺いする前に、災害対策の一般的な諸問題につきまして、二、三お伺いを進めてまいりたいと思います。  最初に、本日午前八時三十五分ごろ、岐阜県揖斐郡久瀬村東津汲地区の国道三百三号線でバスの転落事故がございまして、死者、行方不明四名、重軽傷者四名という事故が起こっております。事故の詳細につきましては、私のところへテレファックスが入っておりますので、運輸省建設省に急遽おいでをいただいているわけでございますから、所感をお伺いしたいと思います。  まず、運輸省につきましては、かつて昭和四十三年の八月十八日に飛騨川のバス転落事故がございました。死者百四名を出しております。このときに運輸省の自動車局から通達を出しました。その内容は、一、バスの運行経路の状況を事前によく掌握すること、二、運行経路の状況を十分に掌握した乗務員を配置すること、三、乗務員の過労など無理な運行にならないよう留意することという内容でございます。またしてもこうした事故を繰り返したわけでございますが、運輸省当局としてはこうした通達の内容について最近若干弛緩があったのではないか。その点御所見をお伺いしたいと思います。  建設省につきましては、この事故現場は、県土木の報告によりますと、非常に落石、土砂崩れの危険個所になっておりまして、モルタルを吹きつけたりロックフェンスを張っておったけれども、落石が絶えないので、ことし調査をすることになっていたということですけれども、すでに四十八年、山崩れ、落石、雪解けなどによる道路危険個所調査したところ、全国で約六万五千カ所のこうした危険地域指摘されております。非常に改修整備が追いつかないわけでございまして、こうした事故をまたしても起こしたということは、こういう改修事業のおくれにあるのではないか。そしてまた、こういうおくれが追いつかないということになれば、道路管理者として、いわゆる道路の環境の事情をもっと詳細に調査をきわめて、一定の雨量を超えるとかあるいはこうした危険が予知される場合には道路をストップするというような地域の実情に応じた道路の使い方を個々に決めていく必要があるのではないか、こういう点についてひとつけさほど起こりましたこの事故を顧みまして、両省の御見解を伺いたいと思います。
  69. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 おくれてただいま参りまして、前半の部分十分聞き取れなかった点もあるかもしれませんけれども、お答えいたします。  バスの事故防止についてでございますが、今回このような事故が再び発生いたしましたことをきわめて遺憾に存ずるものでございます。ただいま先生指摘の飛騨川事故直後においてバスの事故防止について通達が出されたという点についての御指摘でございますが、その辺の防止体制が弛緩しておるのではないかという点につきましては、本日の事故は、これは前回の飛騨川事故におきましては貸し切りバスの事故でございまして、その意味におきましては、気象条件等について必ずしも十分な調査もしくは予測ができなかったかという点も考えられるのでございます。しかしながら、本日の事故につきましては、これは定期バスでございます。そういった点で、気象条件の把握というものはできているというふうに考えております。しかしながら、本日の状況につきましては、事故調査中でございまして、現地の気象条件、果たして非常に激しい雨であったかどうかというようなあたりにつきましては、ただいま私ども把握いたしておりません。しかしながら、事故直後におきましても雨が降っておったようでございますけれども、それほど激しい雨であったというふうには報告はされていないわけでございます。  運輸省といたしましては、岐阜県陸運事務所から整備課長事故担当の専門官を現地に直ちに派遣いたしまして、現地調査に当たっております。したがいまして、逐次その状況が入ってくるものと考えられるわけでございます。今後とも事故の防止につきまして最大の努力をしてまいりたいと思うわけでございます。事故の原因が土石等によるものであるかどうかというあたりにつきましても、私どもまだ完全には把握していない状況でございます。
  70. 渡辺修自

    渡辺説明員 建設省でございます。  私どもの方に入りました報告によりますと、約百メートルほど上の雑木林より落石があった。中には重さ約一トン程度の石も入っているようだ、こういう報告が入っております。  ただいま雨のお話が出たわけでございますが、昨日の十五時からけさの八時までの間連続雨量四十ミリということでございまして、最大時間雨量は五ミリ程度であったという報告であります。  先ほど先生の御指摘ございました危険個所の点検関係でございますが、四十六年に点検をいたしまして、全国で約三万五千ヵ所の危険個所を発見いたしました。そのうち最も急を要するものが九千ヵ所でございました。これにつきまして四十八年度までに約五〇%対策済みでございます。したがって、最も危険なものはすでに済んでおる。  その後四十八年度に再点検をいたしました。一番危ないものは済みましたので、再度ないかということで点検をいたしました。これによりますと、全国で約六万五千カ所、事業費約五千百億円という点検結果が出てまいりました。これを四十九年度から実施をいたしておるわけでございますが、五十二年度、新年度を含めまして、約五三%、二千七百億円の事業を実施する見込みでございます。したがって、この当時の点検で一番危ないものについても五十二年度で終わるというふうに見ていただいてよろしいかと思います。  なおさらに、これは自然の状況でございますから、いろいろ地質、地形等も変わってまいりますので、五十一年度に再度再々点検をいたしております。これも現在取りまとめ作業中でございますので、四月後半あたりになりますと取りまとめが終わるかと思っております。また、その結果によりましては逐次対策を進めてまいる所存でございます。  今回事故のありました場所でございますが、実は四十八年の点検の際に危険個所であるということに判定をされております。そこで、その後対策事業を実施いたしまして、先ほどお話のありましたようなモルタルの吹きつけ及びロックネットの設置を行っております。このロックネットは上方を地表から少し離しまして、上から落ちてきた石を吸い込むような形でやってあるものでございます。ただ、百メートルほど上といういまの報告でございますが、そういうものでございますと勢いも強うございますし、突き破ったのか飛び越えたのかよくわかりませんので、急遽私ども専門官及び交通管理課の補佐を現地に派遣をいたしましていま調査しておる段階でございます。  この国道につきましては、機関委任によりまして県知事に管理していただいておる国道でございます。先ほどの規制等のお話でございますが、落石等の危険があるということで規制区間にいたしておりますが、規制の基準は、この地点は連続雨量八十ミリメートル、それから時間雨量が三十ミリという規制条件でございます。したがいまして、まだこの雨ではこの基準には該当しておりませんでしたので、交通どめその他の規制はいたしておりませんでした。
  71. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 わかりました。雨量の量的な関係で規制はしていなかったということでございますが、実際にはこうして事故が起こっているわけでございまして、ただ単に県の管理に任せないで、建設省の方からもその点は今後厳重にひとつ御指導いただきたいと思います。  次に移ります。農林省に来ていただいておりますが、去る二月十六、十七、十八日を中心にいたしまして日本全土を襲いました寒波による冷害について若干お伺いしたいと思います。特に高知県、愛媛県、広島県、山口県に多大な損害をもたらしました柑橘類の被害についてでございますが、私の手元に三月九日現在広島県で取りまとめた被害状況がございます。野菜、果樹を含めまして約十七億四千二百八十七万円、その中でミカンにつきましては、樹体の方が六億四千四百九万円、ミカン果実の方が二億八千百五十八万円、合計ミカンの被害は九億二千五百六十七万円、非常に大きな被害が出ているわけでございますが、これは広島県だけの資料でございますけれども、全体的に今回の冷害による柑橘類の被害状況はどのようであったか、そしてまた、どういう対策を考えていらっしゃるか、まずお答えいただきたいと思います。
  72. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 今次の寒波によります西日本を中心とするミカン類、ビワ、茶、野菜等の被害でございますが、各県からの報告によりますと、その被害額が時を追って増大してきておるような状況でございます。農林省といたしましては農林省の統計情報組織がございますので、これを動員いたしまして目下鋭意その実情の把握に努めておるところでございます。同一の気象原因であると見られます北日本の豪雪等によります被害とあわせまして、その被害状況をできるだけ早急に取りまとめをいたしたいというふうに目下作業を進めておるところでございますが、まだその被害の全体の姿につきましては取りまとめが終わっておりません。  対策につきましては、被害状況が明らかになりました段階におきまして、その状況に応じて天災融資法の発動、自作農維持資金の貸し付け等の措置を早急かつ積極的に行うよう検討してまいりたいというふうに存じております。
  73. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 御答弁の中にも、日を追って被害の量が非常にふえている、その実態が明らかになってきていることをお示しになったわけでございますが、その対策としての天災融資法につきまして、この柑橘類の被害については、いかがでございましょう、いわゆる天災融資法の発動の見通しと申しますか、全く状況の全貌がつかめないというわけではないと思いますので、現在の段階でその見通しをお示しいただければよろしいと思います。
  74. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 ただいまも御答弁申し上げましたように、天災融資法の発動につきましては統計情報組織を通じます被害状況によりまして判断することになっております。ただいまのところまだ数字が明らかでございませんが、非常に大きな被害であるというふうな認識を持っております。
  75. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 私は、非常に部分的でありますけれども広島県の方から取り寄せた三月九日現在の被害額をさっき冒頭に申し上げたわけでございますが、全く漠然としたものではないわけでございまして、この天災融資法の発動については可能性があるとかないとか、その辺の明確な見通しはお示しいただけると思うのでございますが、その点はいかがでございましょうか。  なおかつ、この天災融資法の発動につきましては、いわゆる特別被害地域の指定ということも考えられるわけでございますけれども、これは大体いつごろになるか。雪害とあわせて取りまとめるという御答弁でございましたけれども、その見通しをひとつお示しをいただきたいと思います。  柑橘類の中でも、特に私現地を見てまいりまして、いわゆるネーブル、ハッサク、レモンあたりに非常に被害が集中いたしておりまして、いまの季節でまだ真っ青であるべき葉っぱがこのとおりもう真っ黄色になっておるわけであります。全部枯れております。最初予想した果実そのものの被害よりも、むしろ樹体の被害の方が非常に深刻な事態として広がっているわけでございますが、対策としては天災融資法一つお示しになったわけでございますけれども、御承知のとおり、これは通常でまいりますと六・二%という利率でございまして、特別被害地域については五%あるいは三%という事例があるわけでございますけれども、特に私いま申し上げました被害の大きいハッサク、レモン、ネーブルにつきましては、昭和三十八年のいわゆるグレープフルーツの自由化によりまして、政府の指導奨励によって構造改善を行い、従来のナツカン、レモン等をカットしてネーブル、ハッサク等に作付転換をしているわけでございます。そういう作付転換した品種について、何十年に一遍という冷害ではありますけれども、こうした被害が集中しているわけでございまして、これが政府の指導によって行われてきたということも考え合わせれば、この天災融資法の適用についても当然これは考慮の一つの材料になるのではないかという声が非常に強いわけでございますが、この点の所見も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  76. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 天災融資法の発動の可能性でございますが、ただいまの段階で必ず発動するということはまだ申し上げる段階でございませんけれども、可能性としては非常に高いものがあるのではないかというふうに存じております。  それから、特別被害地域の指定でございますけれども、これは天災融資法の発動の方針が定まりました段階におきまして、県及び市町村からの申請を待ちまして被害の実情に即して検討をしてまいるということとなっております。  また、今回のミカン類につきましての被害は、御指摘でございましたように、樹体の損傷がかなりあるのではないかというふうに見ております。天災によりまして果樹等の樹体に損傷が生じた場合には枯死する場合もございます。そういう場合も含めてでございますが、その損失額につきましては天災融資法による資金の融資の対象にするということ、これは法律上決まっております。  それから、最後に御指摘のありました果樹への転換をした農家につきまして、大災融資法の適用上特別の措置、配慮ができないかという点でございますが、それだけの理由で天災融資法の適用上特別の措置をするということは困難でございます。やはり被害程度に応じて行ってまいるということでございます。ただ、御指摘のありましたような転換をした農家におきましては、転換に伴いまして制度資金の融資をかなり多くの場合受けておるというふうに見られます。その場合に、被害を受けてその制度資金を返済することが困難であるということで経営がますます不安定になるということは避けなければならないということから、制度資金の償還につきましては、その被害農家の実情に応じまして償還猶予等償還条件の緩和の措置をとるよう指導してまいりたいというふうに存じております。
  77. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 同じく寒波、冷害の問題で建設省においでをいただいておりますが、いわゆる温暖地帯の住宅につきまして、今回、広島県あるいは高知県でもあったそうでございますが、山口県で高層住宅で水道管の破裂が頻発をいたしました。特に下関市の公団住宅におきましては二十日間断水をいたしまして、百戸以上が被害をこうむっております。あわせて、水道管破裂による補修のための資材が不足をしたり非常に高騰いたしまして、この修復が非常におくれたという事態もございます。     〔兒玉委員長代理退席、委員長着席〕これまた何十年に一度の非常に予期しない事態ではございましたけれども、このときの住民の皆さんの大変な御不自由、御苦労を考えますと、今回限りということでは済まされないと思うのでございます。  建設省においでをいただきましたのは、特に公団住宅あるいは市営や県営の公営住宅におきまして非常に高層化の傾向もございますが、こうした温暖地帯では寒冷に弱いこうした施設の補強について、今後、設計の段階から、あるいはすでに建築をされているこうした住宅についてどう検討していかれるのか、また指導していかれるのか、その見通しについて御説明をいただきたいと思います。
  78. 国吉忠

    ○国吉説明員 お答えいたします。  ことしの二月中旬の寒波によりまして公営住宅、公団住宅について相当の被害があったということで、公営住宅につきましては数県から報告が寄せられております。また、公団住宅につきましては、関西支社あるいは九州支社の方から被害について報告をうけております。被害の内容は、先ほど先生からいろいろ御指摘がありましたが、凍結によるポンプあるいは各戸の水道メーターの破損ということでございます。  この原因は、やはり数十年来の異常な寒波ということで、地上部分に出ております水道管であるとか各戸の水道メーター、そういったものが凍結いたしましてそういった断水に至ったわけでございます。いままで温暖地方ということで、そういった対策については不十分な点があったわけでございます。公営とか公団住宅につきましては、多雪寒冷地におきましては従前そういった対策が十分講じられておるわけでございますが、今後、ことしのいろいろな被害がございましたので、十分結果を分析いたしまして、設計あるいは施工の段階から十分これに対処できるようにいろいろ検討を加えまして処理いたしていきたい、そう考えております。
  79. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 では、いよいよ地震対策について伺ってまいります。  先ほど来数々の指摘がございましたけれども、昨年の夏東海地震が予告されて以来、地震予知に対する関心が非常に高まっているところでございます。政府地震予知推進本部が設けられまして、観測データ地震に関する研究資料気象庁に集中をさせて東海地震については特別の体制がとられるということをお示しいただいたわけでございますが、行政の対策は進められているけれども、いつ、どこで、どの程度という地震の予報が出せるのか、そういう点には技術的にも体制の上からもまだ非常に疑問が多いわけでございます。  そうした意味におきまして、先ほど来出ております地震予知推進本部設置をすでに決めているわけでございますけれども、こうした地震の判定組織の計画について、まず具体的にお伺いをしたいと思います。
  80. 佐伯宗治

    佐伯説明員 お答えを申し上げます。  昨年の十二月でございますが、測地学審議会から、東海地方観測強化気象庁の二十四時間体制データの集中、判定組織の設置の三点を中心とした建議がございました。それに基づきまして五十二年度予算案対応していきたいということで考えております。  御指摘の判定組織につきましては、地震予知連絡会機構の中に連絡会の委員数名で構成していただいて、事務局の運営を気象庁でやるというような考え方で現在準備を進めておりまして、四月中にも発足をさせたいということで作業を進めております。
  81. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 地震予知の防災対策の担当官庁は気象庁建設省科学技術庁、自治省、消防庁など十八省庁にまたがっているわけでございますが、最近ちまたでささやかれるところによりますと、この問題については各省とも非常に取り組みがあいまいである、むしろ及び腰であるという批判が強いわけでございまして、マスコミ等の報道によりますと、予知推進本部事務局になる科学技術庁では、予知技術はまだ確実でないし、当方は防災対策の所管でもないと言っておられるわけですね。それから一方、国の防災の最高機関である中央防災会議事務局になる国土庁は、大都市の地震対策を練るのはことしからである、科学情報なのだから学者の判断で発表してもらった方が混乱も少ないと非常に消極的でございます。これに対して学者の方の側は、予報には行政判断が伴うものであり、判定組織は学者の任意組織である、予知連絡会とは性格が違うし、学者に責任を押しつけるのは筋違いだ、また国として予知を防災に生かす視点がないから判定組織など無意味だ、このように各省庁が責任の押しつけ合いをしている実態を明らかにしているわけでございます。  まず、こうしたマスコミの報道について、それぞれの科学技術庁国土庁におかれてはこうした姿勢を示していらっしゃることに相違がないのか。これでは非常に大変な問題になると思いますし、この問題の取り組みに対する将来が非常に危ぶまれるわけでございます。しかも、これは今日まで予算をつけてきた、その予算のむだ遣いにもなるのではないかと思うのですが、両省の御見解を伺いたいと思います。
  82. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答え申し上げます。  いずれも、いまそこでお聞かせいただきました意見は、一にもって地震予知の実用化がいまだしというふうなところを踏まえての御意見でございます。地震予知の実用化ができました暁には、先ほども申しておりましたように、私の方も検討会を持ち、分科会を持っておりますので、そこで万全な警報伝達の体制を整えていくという検討をやってまいりたいと思っております。一に予知の実用化がいまだしという感じを踏まえた国土庁意見を言うたものと思います、もし言ったとすればですね。
  83. 佐伯宗治

    佐伯説明員 マスコミの表現には異論もございますけれども、一部の人にそういう意見があったのかもしれませんですが、その後、地震予知推進本部におきましても地震学者先生方と数回会合を持ちまして、実は本日でございますが、地震予知推進本部の幹事会におきまして判定組織を設けるということが決められまして、四月に入りまして判定会発足というところにこぎつけたわけでございます。その辺でマスコミの途中段階の批判はいろいろあったのではなかろうかというふうに思います。
  84. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これは非常に重要な点でございますので、長官のはっきりした御見解を伺っておきたいと思います。  行政官庁の方は学者に対して非常に期待を持つのは結構でございますけれども学者にその判定を押しつけているというような印象を受けますし、学者の方もまた、先ほど報道を読み上げましたとおり、行政の方が非常に腰抜けだという、そういう指摘をしているわけでございまして、ここで長官のはっきりした所見を伺っておきたいと思います。
  85. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 御案内のように、地震予知については先ほど来政府側から説明させたような状況でございます。  そこで、先ほど先生からも御指摘がございましたように、東京大学理学部の石橋助手が昨年のあの学会で遠州灘、駿河湾の大規模な地震が起こるだろうということを発表したことは、社会的な大きな話題になったわけでございまして、その後地震予知連絡会でいろいろな面での観測あるいは調査をした結果、地震の発生にかかわる一つの前兆現象がないということで、一応まあ観あの地帯には警戒態勢は整えておりますけれども、石橋助手の判定にある程度結論を出したと言っていいわけでございますが、しかし、あの駿河湾の状況地震発生の周期性の見られる地域でございますから、一層この警戒態勢を整えているというのが現状なんです。  そこで、地震予知というものと警戒態勢の関係なんですね。私はやはり石橋助手がああいう発表をしたことによって、駿河湾全体、東海全体の地震対策というものがさらに見直されたという効果があろうと思いますので、今後私は地震予知というものを、学者の考え方を聞いてもっと大胆に行政の中に取り入れていく体制をつくっていく、そういう慣習をつくり上げるということにしてまいらなければならないと思いますので、私たちはもう少しあの地震予知に対しては積極的な態勢、積極的な姿勢を整えて行政も進まなければならないと思うのでございます。その体制については、ただいま科学技術庁の参事官からお話がありましたように、判定のこの段階に入ろうとしておるのでございますから、そういうことも踏まえて、私たち地震予知に対してはもっと積極的に、しかも行政が責任を持つ体制で進めてまいりたい、こう考えております。
  86. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 学者の側からも、それからこうしてマスコミからも、関係十八省庁はばらばらであり、特に国土庁科学技術庁に対しては名指しで及び腰であるということを指摘しているわけでございます。そういう批判を受けておるわけでございますから、決して及び腰ではないんだということをもっとはっきりと表明をしていただきたいと思うのです。いかがでございますか。
  87. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 決して国土庁としても及び腰ではございません。積極的に行政の責任において地震予知体制というものをつくり上げていかなければならない現状に置かれている、こう思いますので、そういう点では積極的にこれに対処したいと考えております。
  88. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 次に、地震災害対策の方でございますが、一昨年から緊急災害対策本部の組織運営方法などについて、国土庁建設省、それから厚生省、警察庁など、いま申し上げました関係十八省庁が協議をいたしまして、実際の運営要綱づくりを進めているということでございます。これは国土庁に本部を置いているわけでございますが、その災害発生の初期活動のかぎとなる本部と各省庁、それから自治体との情報連絡方法、そのための設備、それから自治体が決めている避難場所、それから物資の供給方法、必要物資の調達方法、医師の協力体制、緊急優先道路の規制、実際の活動を進めるための具体的な問題、こういつたことについて、これはやはりただ検討をしている、今後の検討を進めるということだけでは間に合わないと思うわけでございますけれども、これはどのように進め、いつごろをめどにしてそういう体制をつくり上げていくのか、それをひとつお示しいただきたいと思います。  あわせて、具体的な事例になりまして、消火用水と飲料水の問題でございますが、これは関東大震災の例を挙げるまでもなく、記録によりますと、三分三十秒間、非常に瞬間的な短い時間の災害であって、三日三晩、非常に長い時間火災が続いていったわけでございます。このときもいわゆる水の用意があったらという非常に大きな教訓が残って、すでに五十数年になっているわけでございますが、現在に至りましても、災害時における水の用意ということについては、これは一向に見通しが立っていないような状況でございます。特に東京につきましては、現在配水管の三分の二の八千キロメートルは、ほとんどこれは老朽をした経年管でございまして、これは緊急に取りかえる必要がありますし、災害の発生時には役に立たないという状況指摘をされているわけでございます。こういう水についての対策については具体的な対策を私たち見出せないわけでございますけれども、これをどうするのかお伺いをしたいと思います。  さらに、東京都では、昨年から非常の場合の防災用の水を蓄えるいわゆる満州井戸を改造した形の縦型の集水井というものをいま開発いたしております。これは直径六メートル、深さ二十二メートルの円筒の中腹から約六十本の集水管をタコの足のように出しまして、これはきわめて簡単な構造のものでありますけれども、大体経費は総額で二億円くらいかかるということであります。こういう開発研究を始めながら、いわゆる災害時の水対策を行っているわけでありますけれども、こうした東京都の調査を踏まえて、政府においてはこういう水対策についてどう取り組むのか、この東京都の研究開発についてはどう対処していくか、その点も含めて御答弁をいただきたいと思います。  予定の時間が参りましたので、以上お伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
  89. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 地震災害対策についてでございますが、御承知のように、昭和四十六年に中央防災会議が開かれまして、そこで大都市震災対策促進要綱というものができまして、昭和五十年にその会議で大体いまの時点での基本方針としては、大都市のいわゆる防災化の強化、あるいは防災対策強化、あるいは防災意識の高揚、あるいは地震予知という点に重点を置いて進めるということの基本方針はできてあるわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、地震対策というものは各関係省庁にまたがることでございまして、そういう関係から中央防災会議事務局中心になりまして、大都市震災対策連絡会議というものが各関係省庁の次官でもって編成されておりますが、ここでいま六項目にわたる課題を分科会を持ちまして検討を進めておるというような現状なんでございます。たとえば避難対策だとか、あるいは援護対策だとか、あるいは情報通信対策だとか、ただいま先生指摘のありましたいろいろな問題をここで分科会方式で検討しているというのが現状なのでございます。  そこで、地震がいま起きた場合どうするのかということを私も非常に心配をしまして、就任早々ヘリコプターを防衛庁にお願いしまして、東京都内を空から見てみました。大変な過密状況でございます。また、関係十八省庁のきょう出席いたしております課長さん、この方々が一番やはりその事務に堪能な方々でございますから、この方々に国土庁においでをいただいて二日間にわたって各関係省庁の構想を聞きました。なかなか各関係省庁ともりっぱな対策を持っておるのでございます。ですから、私はこれをまとめて地震対策を進めるならば、かなり災害を最小限度にとどめることができるものであろうと考えておるのでございます。  先生御案内のように、地震が起きた場合は地方公共団体が災害対策本部をつくります。政府はまた一方緊急災害対策本部を総理大臣が本部長としてつくられるわけでございまして、そこで関係省庁会議を開きまして、東京都なら東京都の対策本部と常に連携をとってその対策を考える。また、地震発生時の防災については、発生時におけるいろいろな措置については直接東京都と防衛庁、東京都と消防庁が事前に契約を結びまして、緊急の体制、措置を講ずるように進めておるわけでございまして、私のただいま見ておる段階ではかなり体制は整っておるものと思いますが、いざ地震の起きてくる状況というものはケース・バイ・ケースでございますから、それに対して一体どうするのかということが今後私たちの大きな課題であろうと考えるのでございます。  なお、東京都における水の問題でございますが、たしか五百以上の貯水槽が現につくられておるわけでございまして、消火用の水の対策というものに対してはいま鋭意対策に努力をしているという現状でございます。地震は確かに何秒間、何分間のものでございまして、その間に火災の発生が一番被害を大きくするものでございますので、火災を発生しないような体制を今後とも一層強固にしてその対策を考えてまいりたいと考えております。
  90. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 時間ですから、井戸のことだけちょっと……。
  91. 永井浤輔

    ○永井説明員 震災時におきますところの火災対策といたしましては、私ども消火用水ということは非常に重要でございますし、また不可欠でございますので、用水の確保ということに鋭意力を入れているわけでございます。中でもいわゆる貯水槽それから自然水利、これが一番大切であろうかと思いまして、貯水槽の増設、自然水利の見直しをして、それを確保する、こういう指導をしているところでございます。  御指摘ございました満州井戸につきましては、現在東京消防庁において五十二年度で調査研究するということを聞いておりますので、その結果を見ながらいろいろな問題点、検討すべき問題、耐震性の問題だとか、建設費の問題であるとか、地質上の問題、用地の確保の問題、いろいろあるようでございますが、東京都の調査研究を待っていろいろと検討してまいりたい、かように考えております。
  92. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 終わります。
  93. 湯山勇

    湯山委員長 古川君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 災害時における技術職員の問題について最初に伺いたいのですが、去年の十七号台風によりましてかなり広範囲に被害が発生をいたしました。そして、地方自治体におきましても、かなり小さな自治体まで被害を受け、そこには技術職員がいないわけです。これが災害復旧の一つの隘路になっております。特に高知県などの場合を見てみますと、一昨年の被害、昨年の被害と引き続いてきています。ことし雨期を迎えた場合にどうなるかというのが全く深刻な問題で、これは高知県出身の議員にとりましては寝ても覚めても頭から離れない問題なんですね。それから、地元へ行きましても、ことしの雨期がどうなるのかということでみんなが心配しておるという状態がございます。ところが、せっかく予算はつきましても、技術職員がいないために、その予算が繰り越しになってしまうわけです。一昨年は十三億の繰り越しでしたが、今年度は七十億円の繰り越しが行われる。その最大の原因の中にこの技術職員の問題があるわけです。建設省が指導しまして、ピーク時には、高知県の場合二十四名の技術職員が配置されておりましたが、しかし被害全国的に広がっていますので、それぞれの県にも事情がありまして、これをずっと三月にかけて引き揚げていくわけですね。そうしますと、工事がとまってしまう。ことしの雨期、六月三十日を目の前にして、あと三月と少々という時期です。果たしてこれで、応急措置を含めて、この雨期に耐え得るのかどうかということが最大の不安になっておりますが、この技術職員の確保について、全国的にどういう状態にあるのか、最初建設省へお伺いをしたいのです。
  95. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  五十年の災害におきましては、非常に大きな災害でございまして、特にそれが高知県であるとかあるいは青森県といったような、かなり小さな県と申しますか、わりあい職員数あるいは予算等も少ないような県に非常に集中いたしたわけでございます。そのときに、私どもは査定をやるときから、この両県につきましては、各地から応援隊を出しまして、そして査定を済ませたわけでございます。ところが、昨年もまたそれよりも大きな災害が参ったわけでございます。昨年の場合は最高が兵庫県でございまして、ああいう兵庫県であるとか、あるいは岐阜、愛知、それから岡山、広島、そういうふうなかなり大型の県をもやはり直撃いたしたわけでございます。それから、高知県もやはり非常にひどかったわけでございますが、そのほか四国の三県もやはりそれに劣らざるような被害を受けた。五十年のときは高知県だけがずば抜けておりまして、周辺の県が多少でもということで応援を出したようでございますが、やはり五十一年になりますと、自分のところの方も大変な状態になってまいったわけでございます。しかしながら、関東地方であるとか、あるいは九州の方であるとか、あるいはわりに少ない県等もございますので、そういう県から実は応援というか、そういう方々が参ったわけでございまして、先生指摘の約二十名ぐらいの人間というのは、そういうところから参った人たちでございます。  そういう人たちが、査定のときはとにかく済ませたわけでございますが、特に高知県におきましては、やはり土木部の全体の事業費の約半分が災害復旧費であるというふうな異常な状態に実はなっておりますので、やはり県自体としても大変であるというふうなことで、実施に当たりましても、先ほどのような数字の職員を各県から要請しておったわけでございます。大体年度末というふうなことで、約束がそういうことだということで今回引き揚げということでございますが、さらに新年度につきましても、現在のところ十数名につきまして目下当該頼む県と折衝中というふうな話でございます。  そういうふうなことで、なかなか大変なことでございますが、私どもとしましても、やはりこういうふうなところにつきましては、現在の発注の方式であるとか、あるいは仕事の仕方であるとか、いろんなそういう点も勘案するとともに、いろんな技術的な問題につきましてもいろいろと相談に乗っておるというのが現状でございます。  高知県はとにかく五十一年度がやはり最高でございまして、五十二年度になると、災害復旧費といたしましては大体百億ぐらいは減ろうかというふうな現状にあるわけでございますが、そんなようなことで、やはり県の職員としましても、まあもう一踏ん張りをお願いしなければいかぬというふうなことでございますが、来年度、その洪水期までには、とにかく昨年の分につきましては応急的な対策も何とかとれそうだというのが現状であるというふうに聞いております。
  96. 山原健二郎

    ○山原委員 技術職員の確保の問題は、これは単に高知県のみならず、災害時にはずいぶん問題になってくるわけでして、この確保あるいはまたそういう意味での建設省の指導というものを強化していただきたいと思うのです。  それからもう一つ、高知県における災害の非常に大きな要因となりました鏡川の問題でございますが、現在鏡川水系技術会議というのが持たれておりまして、三月の二十八日と聞いておりますが、それが、たとえば計画洪水量についての結論を出す、こういうわけですが、この技術会議の内容、構成、これを最初にお聞かせいただきたいのです。
  97. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  五十年の台風五号や五十一年の台風十七号の出水によりまして鏡川が非常に大きな災害になったわけでございますので、高知県としましては、特に鏡川の場合につきまして、総合的な治水計画について調査をしたりあるいは審議をしたりするために、鏡川水系治水対策技術会議というものを設置したわけでございます。  この技術会議の委員は、学識経験者及び関係する国及び高知県の職員によって構成されておりまして、昨年の十月二十二日の第一回の会議以来三回にわたりまして会議を開催いたしております。  そのメンバーにつきましては、委員長としましては佐藤博士でございますが、この方は土研におられた水理の大家でございます。副委員長としましては東京大学の高橋裕教授、あるいは委員としましても京都大学の石原教授、それから気象台であるとかあるいは土研、高知大学、そういう方々の学識経験者等とともに私どもの河川局長ども入っておりますが、そのようなメンバーでいろいろ検討をいたしたわけでございます。  その内容につきましては、まず第一番に、台風五号あるいは十七号による降雨及び出水の状況被害の実態でございます。この台風等によります出水につきましては、鏡川水系の宗安寺の辺で大体百五十万キロぐらいございます。そうしまして、あの地点で大体二千立米ぐらい出たのではないかというふうに言われております。そういたしますと、比流量で申し上げますと大体十三から十四というふうな数字になります。そういう数字というのは、あれくらいの川でございますと余り例のないような非常に大きな出方でございまして、特に関東、東北の方でございますと十以下、五から六あるいは大きいところで八ぐらいというのが一般でございまして、私どもも十四というふうな数字になったので非常に驚いたわけでございますが、このような大きな水でございます。そういう被害の実態であるとか、あるいは今後河川改修の基本となる基本高水、これをどんなふうに決めたらいいかという問題、それから第三は、あそこに鏡川のダムがございますが、これは多目的ダムでございますが、多目的ダムによる洪水調節計画を再検討する必要があるんじゃないか、ではどんなふうにすればいいだろうかというふうなこと、それからさらに鏡川の下流の河道の改修の計画でございますが、これをどんなふうに計画をして、どんなふうにやればいいんだ、それから費用としてはどれぐらいかかるのかというふうなこともいろいろ技術的な面について検討を願っておるわけでございまして、河道の改修につきましてはおおむね三百億弱ぐらいはかかるのじゃないかというふうにわれわれも予想いたしておるわけでございますが、大体私どもとしましては数年、四、五年ぐらいで何とか概成をいたしたいというふうに考えております。  こんなふうなことを踏まえながら、現在、来年度の雨期を目指しまして何とか被害を極力少なくするような工事を急いでおるわけでございます。  さらに、こういうふうな審議を前後三回にわたりまして行ったわけでございますが、近く、三月の末というふうに聞いておりますけれども、再度この技術会議を開催いたしまして結論を得たいというふうな意向であるというふうに聞いております。
  98. 山原健二郎

    ○山原委員 その技術会議、いろいろ審議をされ、いままで三回やられておりますから、今度で四回目にこの結論が出されるというのですが、これはたとえば中間的な報告とかいうものをなされて   この鏡川という川が、私の見るところ大変複雑な川で、上には鏡ダムがあるわけですね。その鏡ダムというものの性格もまたこれから多少変更になるかもしれない、揚水発電などという問題も出てきています。それから一方、下の方には浦戸湾という湾があるわけですが、この湾が逐次埋め立てられてきているわけですね。いままで日本の土木学界、特に学者の方々の中には、この湾は埋め立ててはだめだ、一坪たりとも埋め立てたら危ないという、そういう性格を持った湾なんです。それがいままでずっと狭められてきて、湾というよりもいまや運河のような形になっていますね。それに高潮が来てこの前の十号台風の被害が起こっておるわけです。それがさらにまた埋め立てられる。そうしますと、高潮が来たときに何ともしょうがないという、こういう性格を持った、その間の短い河川が鏡川であるわけです。  そうしますと、学識経験者の方たちやあるいは技術職員の方たちのお集まりになって検討されておることに対して、私は疑問を持ったりなんかしているわけではありません。ありませんが、三月二十八日に結論を出すまでに、たとえば鏡川流域の住民やあるいはいろいろな、この問題で研究しておる人もおります。住民もまた古老の中にはこの鏡川の変遷というものについて物すごく敏感な考えを持っておる人もおるわけですね。そういう人々の意見を聴取をしたりするような、そういうことがなされるべきではないかというのが私の考えです。したがって、結論を三月の末にぱっと出される、出してから混乱が起こるよりも、むしろ三月二十八日のものを中間報告的なものにして、こういう検討がなされているのですよ、そして皆さん方にこれに対していろいろの意見があれば私たちもそれも参酌しますよ、こういう形のものにしていただかないと、私は大変心配しているのです。その点いかがでしょうか。
  99. 井沢健二

    ○井沢説明員 先生御心配の点も多々あるかと思いますが、四十五年に運輸省の方で高潮対策技術会議というふうなものを設置いたしましてこういう問題を検討いたしたというふうに聞いております。  それから、いまの結論のいろいろな問題でございますが、鏡ダムにつきましては現在もうできておるわけでございますので、そういうものの洪水調節の仕方、方法であろうと思っております。ほかにいろんな付帯施設をつけるとか、そういう新しい揚水発電にするとかいうようなことではなく、洪水調節というか、そういう洪水対策に限っての会議であろうと思います。  それから、いま先生の御意向もございますが、この結論の出し方もあわせて、会議の方にこういう先生の御希望があったということを伝えます。
  100. 山原健二郎

    ○山原委員 いまあなたの方でおっしゃった中に、たとえば台風降雨量とか、そういう実態の問題もありましたし、また鏡川のダム操作の問題についても再検討すべきだという意見がその中に出ておるというようなお話がありましたものですから、単に降雨量とかそれだけでなくして、かなり広範囲な検討をされておるような感じがしたわけですね。そうであれば、いまこの技術会議は、主宰しておるのはどこなんですか、高知県ですか——しかし県といたしましても、県の意向も伝えられると思いますし、県の土木部の関係の人とか大学先生も来ておられると思うのですが、同時に建設省の方も関係しておられるということですから、これはぜひ私の意向も伝えていただきたいと思うのですね。いま伝えていただくというお話がありましたが、これは一遍発表しますといろんな意見が出てくるわけですよ。そうして技術会議ですから、技術的にはこうなんだとおっしゃっても、また意見も出てくるわけですから、そういう点で、一つは鏡ダムの操作については再検討をその会議でされておるのでしょうか。大体国会議員である私ども全然知らない状態ですから、県民が全く知らないままにそれが動いているわけで、それに対する不安もあるわけでして、そういう点でたとえばいままで三回行われた会議録というようなものはあるのですか、あるとすればどういう審議がなされておるか私たちも見たいのですが、それはこの委員会に提出をしていただけますか。あるいは、あっさり言えば、十月からたった四回で最終結論が出るということに対してはちょっと早計ではないかという感じがするのでございますが、参加をされてあなたの方でどういうふうにお感じになっておるか、伺いたいのです。
  101. 井沢健二

    ○井沢説明員 この会議におきまして、そういう洪水の出方であるとかあるいは計画段階のいろんな問題を議論されておるわけでございますが、私も実は幹事の一員になっております。全部は出られなかったのでございますが、出席をいたしたこともございます。非常にいろいろな意見を出して議論がなされたわけでございますが、いま先生のいろんな御要望につきましても、主宰というか、設置いたしましたのは県でございますので、県の方に先生のお話につきましては伝えたいというふうに思っております。
  102. 山原健二郎

    ○山原委員 事は第三回目の被害を起こさないという問題とも関連をして、そういう技術会議がつくられておることに対しては一面期待もありますし、そこで十分検討してもらって、計画的に水をどういうふうに抑えるか、それに対する本格的な工事はこういうものをやるんだ、この技術会議で出てくる結論というのが相当大きな基礎になるというふうな感じも受けるわけですね。そうしますと相当これは慎重にやっていただかないと、一度出したらもう引っ込みがつかないというものにされると困ると思っています。だから、ある程度報道関係にも報道されて、中間発表という形にしていただきまして、そしてさらに検討を加えていく、こういうことにぜひ、大変しつこく聞いて恐縮でありますけれども、していただきたいと思うのですが、その点できますか。それから、議事録なんか出せますでしょうか。
  103. 井沢健二

    ○井沢説明員 議事録等につきましては私も見ておりませんのでわかりませんが、非常なフリートーキングがなされておりますので、あるいはないかとも思います。  それから、この会議につきましては、多数の委員が集まって会議をしたのが三回ということでございまして、それぞれ担当の部門がございますので、そういう部門の間では何回となく討議が行われたようでございます。
  104. 山原健二郎

    ○山原委員 幹事をしておられるわけですが、ちょっと足りない御返事ですね。これは私なぜ強調しているかというと、私どもはかいもくわからぬわけです。技術者が集まってやっておるんだからということで密室の中でやられて、フリートーキングだからというのでその記録もない。一体何が整備され、たとえばダムの操作についてはどうするんだ、埋め立てについてはどうするんだ、この鏡川のたたえる水はこれだけの量だ、それに対してはこういうふうな工事が必要だというような、そこそこのイメージがわかぬような技術会議をやられたんじゃかなわぬわけですよ。三回やって、そしてその間にそれぞれの委員の方がみずから検討されたりしておるということはわかりますけれども、しかし集中されるのはこの三回の会議ですからね。そして、四回目には発表する、こういうわけでしょう。しかも、目の前に二十八日と迫っています。それを見て、さて、これは技術者の方がやったんだけれども、それに対しては異論があるとかなんとかいうことになってくると、これまた本格的な防災工事を行う上での支障が出てくるわけです。だから、私は本当に心配して言っているわけですから、議事録もないような会議をやられても、一体何が討議されているのか県民にもかいもくわからないとか、あるいはそこへ出ておる人だけしかわからぬというようなことになりましたら、これは何のためにこんな技術会議を開いたかということにまでなってくる。私はいまおとなしく聞いておるんだけれども、これはこれ以上言うと大問題になりますよ。こんなことで二十八日にぽんと発表されたら、それに対する意見は大変なことになるということも考えられます。だから、公開をして、中間報告をして、そうしてここまで検討してきていますというようなことが逐次出されていかないと、これはぐあいが悪いのです。  その点どうですか。建設省その辺をしっかりしていただいて、これは問題だというならば、二十八日にどうしても発表されるのならば、それを中間報告にしていただいて、それは意義があると思います。これが結論だというふうに出されると大変問題が大きくなりますので、再度お聞きしておきたいのですが、いかがでしょうか。
  105. 井沢健二

    ○井沢説明員 何分にも主宰が県でございますので、県の方並びにその委員会の方にその旨伝えたいと思います。
  106. 山原健二郎

    ○山原委員 しっかりと伝えていただきまして、ぜひ混乱が起こらないようなことにしていただきたいと思います。  それから、本格工事の問題もさることながら、たとえば用地の買収にしましても、この鏡川改修をやるためには約四百二十四戸の家が立ち退かなければならぬという大変大きな仕事になるわけです。しかし、雨期は目の前に迫っていますから、そんな、あと残された期間でも不可能なことをいま論議しておってもこの雨期を突破することはできないという問題があります。  そこで、応急工事について、たとえば神田川という川がありまして、これが非常に災いをなした川でありますが、この神田川の応急対策については計画があるのでしょうか。これは聞きますと、雨期までにはやりますというふうに当局の方は答弁をするのですけれども、計画はどうかというとどうも判明しない、こういう問題があります。これが一つです。  もう一つは、その応急工事のための用地の取得の問題でありますが、大した用地ではありません。なぜその用地の問題でひっかかるのか。用地の取得がむずかしいのですということで、これがもう去年の九月からずっと引き延ばされてきているわけですが、では用地取得のどこがむずかしいのかと言うて聞いてみますと、やはり用地の取得のための努力がなされていないのです。ある地主のところへは一回しか来ていない。私も水害に遭っているから用地の買収には応じますという考え方の人もおるのですけれども、金額が少々合わぬとか大変合わぬとかいうことではなくて、まず誠意がない、一回しか来ないというのですね。二回も三回も行ってやらないと、もう間に合わないという問題があります。ところが、調べてみると、用地の取得に関係をしておる職員の方が二人しかいない。これではもう手が回らぬわけですね。そういう事態で、予算がついても結局雨期に間に合わない。また災害が起こる。その原因を調べてみると、決してそれほどむずかしい問題ではないわけですね。もっと熱心に用地の問題について地主側と話し合いをしていけば解決できる問題でも、遠慮しておるのかあるいはいろんなものがあるのか知りませんけれども、なかなかそこへ到達しないのですね。でも、この雨期までにやらなければならぬということになりますと、建設省としても県としても相当の迫力を持ってやらなかったら解決できないわけです。その点はこの一つの隘路になっておるんじゃないかと思いますが、この点についての認識はどうでしょうか。
  107. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  ただいまお話しの神田川でございますが、昨年の災害を契機といたしまして応急の措置をしようということで、下流部の方につきましては応急の盛り土をする、それから河床の掘削をする。それからもう一つ、災いをなしました三の瀬堰というのがございまして、その三つの応急対策をしようということで県が計画を立ててございます。  それで、まずそのうちの河床掘削でございますが、これは上流部の方につきましてはほぼ済んでおるようでございますが、中流部、下流部につきまして現在、なおもう少し掘れるのじゃないか、可能な限りは掘ろうということで仕事を進めておるという段階のようでございます。ただ、この河床掘削は非常に効果的とわれわれ考えておるわけでございますが、何分既設の護岸の根を浮き上がらせない範囲でしかできませんので、その辺の兼ね合いを見ながらやる必要があるということで、細心の注意をもってやっておるという状況でございます。  それから、三の瀬堰の改築でございますが、これは六月末までというのはちょっと工期的に、いわゆる構造物でございますので間に合わないようでございますが、一応七月末あるいはそのころをめどにしてやるべく現在仕事を進めておるという段階のように聞いております。  それから、最後になりましたが、いま先生指摘の応急盛り土の件でございますが、これにつきましては御承知のように用地買収を伴います。それで、昨年の水害後現地へ入りまして鋭意努力をしておったというふうなことでございますが、ただいま先生指摘のように、用地職員が二人しかいないとか、あるいは関係者のある方のところには一回しか行っていないという事実を実は私は承知しておりませんが、県としてはできる限りの努力をしておるということでございます。ただ、何分いまお話しのように、まだ用地の最終的な折り合いがつかないためにこの応急盛り土については作業がおくれておるという状況のようでございますが、しかしながら一応六月の末までには何らかの形で、とにかく再度災害と申しますよりは下手をしますと三度目の災害になりますので、そのようなことを極力防ごうということで、県当局も非常に努力しておるというふうに報告が入ってございます。  なお、いま先生指摘のような、なお改善を要するような点があるかどうか、それにつきましても私ども県とよく打ち合わせし、調べまして、もしそのようなことがございましたら、そういう障害をなくすようになお県を指導したいというふうに考えます。
  108. 山原健二郎

    ○山原委員 用地の買収ですね、私は県を責める気もしないのです、実は苦労しておると思いますので。でも、県の方のいままでの答弁は、応急工事についての用地買収は十二月までにやりますというのが去年の災害当時からの約束だったのですね。いま調べてみますと、はや十二月を越して一月、二月、三月になったのですが、わずか十筆のうち二筆しか解決していないという状態です。これは少し精力的にやればできるんじゃないか、そうすれば六月末までには大体いけるんじゃないかという感じも私はしているわけですが、これを延ばしていくと——その一つても解決すれば住民の感情というのはずいぶん違ってくるわけですね。できることは、少々の困難はあっても一つ一つ解決していくということにしていただかないと、なかなか住民の方たちが納得しないという面がありますので、この点は指導をよろしくお願いしたいと思うのです。  それから、いま掘削の問題が出ましたが、一番目につきますのはこの掘削が進んでおるということです。その意味では大変工事が進んでおるということで、ほかのことはまだ進まないけれども、とにかく掘削だけはやってくれるというような、目の前に見えるものですから、これは大変ありがたいという声もあります。同時に、掘削だけでこの問題が解決するかというと、掘削に対する疑問もあるのです。井戸水がかれるという問題がすでに出始めてまいりましたし、それが掘削に原因があるかどうかということは科学的に私どもわかりませんが、ただ掘っただけで、たとえば高潮が来た場合には、これは海と一緒になるゼロメートル地帯でもありますし、そういう点でこれ以上どんどん掘っていくことが果たしていいのかどうかという疑問も住民の間にあります。しかし、きょうはそのことは言いません。  もう一つの問題は、これは建設省もよく御承知だと思います。また、災害調査団が来られたときにも私がバスの中でお話をしたことですが、あの高知市というのは、鏡川を隔てて北岸と南岸があります。南岸というのは、藩政時代から北岸の武家屋敷を守るために堤防を低くした、こういうかっこうになっているわけですね。ところが、いまその南岸には五万人の人が生活しています、二十年前の写真を見ますとほとんどたんぼでありましたけれども。五万人といいますと、高知県におきましては第二番目の都市である南国市の人口に匹敵する者が現在すでにこの南岸地帯に生活をしているわけですね。それが、見ただけで堤防の高さが歴然と違うのですね。それが常に遊水地となり、濁流の流れ込む場所となって、今度二回、一メートル八十センチまで来るという惨たんたる事態を迎えたわけでございます。  このことを考えますと、北岸と南岸との堤防というものはほぼ一致したものにしなければ、これは市民感情としても耐えがたい問題になってきたわけですね。この点が一つ基本的な問題となっておりますが、これについては建設省としては認識をされているでしょうか、お聞きしたいのです。
  109. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答え申し上げます。  ただいまの、従来のいきさつから左右岸に堤防の高さに差があったという事実、それはいままでの事実であったかと思いますが、現在われわれがこれからやろうと思っております改修工事におきましては、計画上そういったことは許されませんし、当然左右岸同じ高さで計画を立てるということになります。ただ、たとえば湾曲部でありますとかそういったところで、アウトカーブといいますか、外側の方を若干高くするというような、いわゆる地形地物に応じたような、そういう変化はもちろん与える場合もございますが、原則としては左右岸同じようでございます。
  110. 山原健二郎

    ○山原委員 もう時間が参りましたのでこれでおきますが、一つはポンプの問題です。これほどポンプの多い都市もないと思いますけれども、ポンプ場の問題について、完成まで予算をコンスタントに流してもらいたい。途中でとぎれることがないようにしてもらいたい。いままでの経験から、途中でしばしばストップして、そうしてまた予算がついたときに引き継がれる、こういう状態がありまして、この内水排除の問題と堤防の問題とはもううらはらの問題であるわけですが、この問題についての予算の流れというものをとぎれないようにしてほしいというのが一つの要求となっております。  それからもう一つ、これは田澤長官にお伺いしたいのですが、しばしばこのような大災害を受ける都市につきまして、たとえばモデル都市の指定とか、あるいは水に強い都市をつくるとかということをもはや抜本的に考えなければならぬのではないかということを近ごろ私は考え始めているのです。水に強い水防都市、これをつくってみせるというようなお考えですね、これをぜひ検討していただきたいと思うのです。市長や知事の頭の中にもそういう考えがあるようでございまして、私はこの際、この問題まで考えておかないといつまでたっても禍根は断てないというふうに思っておるわけです。  その意味で、最初のポンプの問題は建設省へお伺いしまして、最後に長官の御意見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  ただいまのポンプの予算のとぎれがないようにというお話でございますが、私どもも大変高額な投資をいたしますので、途中で、投下したその資金が死なないように、効率的に働くように予算配分いたしたいというふうに考えます。
  112. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 国土庁は、御承知のように、国土の均衡ある発展を図ることによって、住みよい、安全な、しかも豊かないわゆる地域社会をつくるということが基本でございますので、そういう点では、ただいまお話しのいわゆる都市づくりということは最も重要なことであろうと思うのでございます。  私たちは三全総の構想をいまいたしておりますけれども、やはり過疎過密の問題を打開していくためには、首都圏からどうしても地方に人口を移動してまいらなければなりません。地方生活圏にいわゆる人口の定住化というものを考えてまいらなければならないわけでございますので、そういう点からまいりますというと、地方が住みよい環境でなければならない。そういう意味で、水に弱い地帯に対しては思い切った対策を考えて、いわゆる地方都市の確立、地方都市の振興というものを考えてまいらなければならないのでございますから、しかも国土保全というような大きな役割りも私たちは果たさなければならないのでございますので、ただいまお話しの問題については十分検討させていただきたいと思います。
  113. 山原健二郎

    ○山原委員 ありがとうございました。
  114. 湯山勇

    湯山委員長 以上で、本日の質疑を終わります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会