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1977-04-26 第80回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十六日(火曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 島本 虎三君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 向山 一人君 理事 土井たか子君    理事 水田  稔君 理事 古寺  宏君       相沢 英之君    池田 行彦君       永田 亮一君    福島 譲二君       藤本 孝雄君    山崎武三郎君       井上 一成君    近江巳記夫君       岡本 富夫君    中野 寛成君       東中 光雄君    加地  和君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石原慎太郎君  出席政府委員         環境政務次官  今泉 正二君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         運輸政務次官  石井  一君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         参  考  人         (大阪国際空港         周辺整備機構理         事長)     小田 文三君         参  考  人         (大阪国際空港         周辺整備機構理         事)      石原  明君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     井上 一成君   近江巳記夫君     坂口  力君   中井  洽君     中野 寛成君   中馬 弘毅君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   井上 一成君     阿部喜男君   中野 寛成君     中井  洽君     ――――――――――――― 四月二十三日  環境影響事前評価による開発事業の規制に関す  る法律案土井たか子君外四名提出、衆法第三  四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件(大阪国際  空港公害問題)      ――――◇―――――
  2. 島本虎三

    島本委員長 これより会議を開きます。  まず、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。  ただいま外務委員会において審査中の日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件について、外務委員会連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島本虎三

    島本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長間において協議いたしますので、御了承願います。      ――――◇―――――
  4. 島本虎三

    島本委員長 公害対策並びに環境保全に関する件、特に大阪国際空港公害問題について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件について、本日、参考人として大阪国際空港周辺整備機構理事長小田文三君及び同理事石原明君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 島本虎三

    島本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  6. 島本虎三

    島本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永田亮一君。
  7. 永田亮一

    永田委員 われわれ公害対策委員会が、先日大阪空港エアバス乗り入れについて視察を行いました。そのときに感じたこと、またそのときにいろいろ陳情も受けましたし、周辺住民からの意見も聞いて歩きましたので、そのことを中心にして主として運輸省お尋ねをしたいと思うのであります。  結局要点は、運輸省航空局長豊中市長以下知事、副知事、五者との間に、あれは四月三日でしたか覚書を交わされたのでありますが、その覚書が忠実に実行されるかどうかということに周辺住民が非常に関心を持っておるということでございます。  覚書中心にしてお尋ねをしたいと思うのでありますが、きょうは石原長官せっかくお見えになってますので、一言だけ長官お尋ねしたいと思うのです。  この覚書項目がずっとありますが、一番最後に「念書」というのがある。「念書」というのをちょっと読んでみますと、「テストフライトによる事前評価の結果、環境庁に回答した十三項目内容と比較して無視できない違いがあれば、エアバス導入は見合わせる。」というのであります。このテストフライトをやった結果、無視できないような違いがあったのかどうか。無視できないような違いがあってエアバス導入はやめるというならもう私、質問すること何もないわけですから、テストフライトによる事前評価の結果、十三項目との間に無視できないような違いがあったかどうかということについて環境庁はどうお考えになったかということをお尋ねしたいと思います。
  8. 石原慎太郎

    石原国務大臣 かなり膨大な資料でございますので、いま、それを慎重に分析判断している最中でございますが、大きな食い違いがもし仮にありましたならばこれはやはりそういうことになると思いますけれども、とにかく運輸省判断、それから渡されました資料についての環境庁側調査判断というものを慎重に行った上で結論を出したいと思っております。
  9. 永田亮一

    永田委員 それでは、主として覚書の問題について具体的にお尋ねをしたいと思うのですが、その前に航空局長にお願いします。  いま、当面の施策目標とされている航空機騒音に関する環境基準、これの五十三年中間目標の達成のためどういうことをやっておられるか、まずそれを伺いたいと思います。
  10. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり私どもは、環境庁告示の五十三年のいわゆる中間目標、これを当面の私ども施策目安といたしまして仕事をしているわけでございます。大きく分けまして二つございます。一つ発生源対策、もう一つ周辺対策でございます。  発生源対策につきましては、すでに数年前から、航空機自身機材改良等を行いまして、音の低い飛行機をつくるということを要請してまいりました。その結果、在来機に改造を加えること一等によって、かなり音の少ない飛行機が出てきております。また、エアバスと言われますところの低騒音大型機も普及してまいりました。そのほか、これらの機材を使いまして空港周辺地域社会に被害の及ぶことの少ないような運航方式等考えるということなどを総合いたしまして、いわゆる発生源対策をやっているわけでございます。  それから二番目の周辺対策につきましては、当面の、たとえば民家防音工事のような対症療法、それから空港周辺町づくりという前向きの方法と二つございますが、この両者をうまくかみ合わせながら、周辺地域社会空港環境公害によって破壊されることがないように、そして周辺地域住民の生活が脅かされることがないようにという点を重点にいたしまして施策を進めておるところでございます。
  11. 永田亮一

    永田委員 次に周辺対策ですが、運輸省がいままでにやってきた実績ですな、学校防音とか民家防音とか移転補償とかいろいろあると思いますが、いままでの概略あるいは金額、そういうものをひとつ簡単にお答え願いたい。これからのことが大切なんですから、過去のことはもう簡単でいいです。
  12. 梶原清

    梶原説明員 運輸省周辺対策として実施をしてまいりましたのは学校病院等防音工事共同利用施設の助成、民家防音工事移転補償等でございまして、周辺整備機構を四十九年の四月に発足させまして、それらのうちの民家防音工事移転補償等を委託をいたしましてやっておるわけでございます。  周辺整備機構におきましては、固有事業といたしまして再開発事業とか共同住宅建設促進事業等をやっておるわけでございます。具体的に申しますと、民家防音工事につきましては、四十九年から五十一年までの間に、一万数百件の民家防音工事をいたしたわけでございます。
  13. 永田亮一

    永田委員 次に、覚書の問題について運輸省お尋ねをしたいと思います。  この四月三日に航空局長市長以下五者との間に交わされた覚書というのは、大変な約束だと思うのです。いままでテストフライトをやることについて非常に反対しておった人たちも、渋々ながら承知をしたというのは、やはりこの覚書を交わしたということが大きな原因なんです。この覚書を実行してくれるだろうという期待を持ってテストフライトを認めたわけです。  この覚書を実行するためには、運輸省は大変な努力が必要になってくるし、また大変な金がかかることだと思うのです。お金は、あるいはことしの予算だけではもう間に合わぬのじゃないかと思います。去年から繰り越した予算も幾らかあるかもしれませんが、そういうものを入れたって微々たるものでしょうから、とても五十二年度の予算では間に合わぬような覚書を交わしているわけなんですから、あるいは年度途中に金がなくなってしまって補正予算案に入れてくれというようなことになるかもしれぬし、少なくとも来年度の予算では、運輸省はもう一生懸命大蔵省に折衝して、座り込んででも予算をとってこないとこの覚書を実行することが不可能になるんじゃないかという懸念があるわけです。  石井政務次官が来ていらっしゃるので、運輸省決意を聞きたいのですが、この覚書というものは、覚えという字は覚悟の覚という字なんです。運輸省はそれだけの努力と金を、予算をとってくるという覚悟はできているかどうかということを政務次官に伺いたいと思います。
  14. 石井一

    石井(一)政府委員 ただいまの御質問の前に、覚書に関連いたしまして最初環境庁長官に御質問なりました点についても、運輸省としての基本的な見解を申し述べさせていただくことをお許しいただきたいと存じます。  十九日にテストフライトを終えまして、二十日に約五百数十ページの膨大な資料地元に提示し、また環境庁にもお示しをいたしまして評価を急いでいただいておるわけでございます。昨日に至りまして、またこれを要約いたしまして、素人の方にもおわかりいただけるようなもので五十七ページぐらいのものにいたしまして、さらにこれを地元にも配布し、それから環境庁でもさらに鋭意御検討いただいておる。やはり覚書の終わりに書いてありますように、顕著に大きな差があるというふうなことは、データのミスもあったり見違いもあったりしますから、今後出てくる可能性もなきにしもあらずではございますけれども、一応テストは毎日やりまして、それを評価して集大成してまとめておるわけでございますから、その過程におきましては、そんなに大きなむちゃくちゃな覚書に違反するようなものはなかったように私たちは信じておりますし、環境庁は非常に慎重なお立場でございますから、ああいう答弁であろうかと思いますけれども、一応テスト自体としてはわれわれの予測どおりに終えたというふうに私たちは了解をいたしております。  なお慎重に検討していきたいと思いますが、それよりも先生御指摘の、今後この約束をどうするか、あるいは周辺対策に対してどのような手を打つか、これが地元皆様方の強い要望であり、御視察になりましてもはだでお感じになったところであることは、私たちも常にやっておりますので、よくわかっているところでございます。  それで率直に申しまして、大蔵というところは、金を取るのは非常に積極的であるが、今度は配分のときには非常に渋いということは、私たちもしばらく国会議員をやっておりまして常に感じておるところでございます。ところが、今回の問題に関しまして、現在の予算措置の中ででき得るもの、あるいは多少行政的な手を加えなければできないもの、あるいはまた予算だけをつけ加えることによって可能なもの、いろいろな種類に分類されると思います。覚書たちどころに本年じゅうに全部解決するとは私たちも思っておりません。ただ、これまで行政をやってまいりまして、やはり地元の声と枠で決められたその措置の中にはどうしても矛盾がある、これは改良しなければいかぬというふうに感じておるものもたくさんございますし、もう少しここに予算をつけることによって確実に地元も満足できるんだ、こういうふうな性格もございます。何もテストをしたいために覚書を結んだというふうなことではなく、これまでの、周辺機構ができまして三年、四年たっておりますし、それ以前にも騒音問題はずっとあったわけですから、そういう経験をすべて踏まえて、この範囲内においては運輸省としてはやり抜くことができる、この覚書というものは守り得る、こういう信念のもとに今回の覚書を結ばしていただいたわけでございます。  なお、今後予算獲得等につきましては、もちろん厳しい一面も見られると思うのでございますが、これは与党だけでなく、野党のこの問題に関心を持っておられる皆様方もひとつ総力を挙げて運輸省に御協力を賜りまして、この覚書が確実に、忠実に遵守できるように御協力を賜りたいと思います。私たちも不退転の決意でこれに取り組んでいきたい、このように考えております。
  15. 永田亮一

    永田委員 大変頼もしいお答えをいただいて安心しましたが、もちろんわれわれも手伝って覚書を完遂したいと思っております。  それで一つ一つについて、少し具体的にこの覚書内容について、これは航空局長さんでも結構でございますが、お尋ねしたいと思います。  この覚書は1から1〇までございますが、まず1から始めますと、「緩衝緑地帯事業を行う。」ということが書いてある。緩衝緑地帯事業というのは、具体的にこの飛行場の周りにぐるっと緩衝緑地帯をつくるということでしょうか。それは何メートルぐらいの幅でどのくらいの緑地帯をつくるつもりなのか。予算はどのくらい予定しておるのか。それからそこに住んでおる移転者に対する合意が得られるようにどういう努力をされておるか、緩衝緑地帯についてお答えを願いたいと思います。
  16. 梶原清

    梶原説明員 お答えをさしていただきます。  現在計画検討いたしておりますのは、豊中市側につきましては勝部という地区空港寄りのところに五十メーター幅で五百メーターにわたっての緩衝緑地帯を造成する。伊丹市側につきましては、森本地区に大体同様の緩衝緑地帯を造成する計画でございます。  五十一年度には約一億円の予算が計上されておりまして、それぞれの各地区に等分いたしまして計画をいたしておるところでございます。五十二年度以降につきましては、それを遂行すべく所要の予算が計上されておるわけでございます。
  17. 永田亮一

    永田委員 1のところに「大気汚染測定ステーションを設置し、」ということが書いてありますが、これはどこにつくるのですか。
  18. 梶原清

    梶原説明員 現在は、豊中市の勝部地区に設置の計画を予定をいたしております。
  19. 永田亮一

    永田委員 時間の関係があるので少し早足になるかもしれませんが、次は、二番目の「騒音問題については、常時測定点をふやし、それらの分析結果にもとづき、今後総便数についても再検討を行い、」ということが書いてありますが、常時測定点をふやすというのはどのくらいを考えているのか。それから「総便数についても再検討」と書いてありますが、いま総便数ジェット機で二百便ということを聞いておるのですが、初めにエアバス乗り入れるときには、一日何機エアバスを入れるつもりなんですか、それとあわせてお答え願いたいと思います。
  20. 梶原清

    梶原説明員 常時測定点につきましては現在九カ所ございますが、それに若干個所増設をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それからエアバス便数の点でございますが、現在ジェット機が一日約二百三十回程度飛んでおるわけでございますが、当初はそのうちエアバスを、もし乗り入れします場合には若干回数乗り入れをいたしまして、環境アセスメント実施をしながら、それを踏まえましてエアバス化を進めてまいる。総便数につきましては、そういう全体の検討の上で検討をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  21. 永田亮一

    永田委員 エアバス乗り入れれば、観測の結果も出ておると思いますが、NOxがふえるということになるわけですね。騒音の方は確かに多少低くなるけれども窒素酸化物はふえる、その兼ね合いが非常にむずかしいと思うのです。あちら立てればこちら立たずで、エアバスをたくさん乗り入れをすれば騒音の方はいいかもしれぬがNOxがふえてくる、この窒素酸化物がどの程度までふえるまでエアバスをふやしていくつもりであるか。その限界といいますか、そういうことについてのお考えがあったら知らせてください。
  22. 梶原清

    梶原説明員 エアバス乗り入れに伴いまして、先ほど質問がございました大気汚染測定点を設けたりいたしまして、大気汚染の状況を常時把握しながら、またその実態を踏まえながら、そしてまた特に問題になります局地汚染等につきましての施策を進めながら、このエアバス化あるいは総便数検討をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  23. 永田亮一

    永田委員 エアバス一機入ってきた場合、エアバスでないジェット機と比べてNOxが何%ぐらいふえるのですか。それが百機乗り入れたらどのくらいになるか。
  24. 松本操

    松本(操)政府委員 お答えいたします。  エアバスといいましても機種によって違いますので、一機入れたら幾らふえるというふうに簡単に申し上げるのはちょっとむずかしいのでございますが、私ども環境庁お答えしました十三項目回答におきましては、四十九年四月の現状を一といたしました場合に、ジェット機が二百、うち百機がエアバス、そのエアバス内容も、たとえばDC10とか747とかL一〇とかいうものを適宜可能性のありそうな回数に組み合わせて百機という数字を出して入れてございますが、NOxが一・七五倍になる。ただしこれは、NOxというものがどこにも拡散も何もいたしませんで一カ所にたまっておるという、すべて計算の前提はそういう前提でございます。そういう前提考えました場合には、一・七五倍になる。実際問題としては、風も吹き、広い飛行場の中でございますし、かつ排出される量というものをどの区間ではかっているかと申しますと、高度千メートルからおりてまいりまして、着陸し、タクシーをし、スポットインをし、それからまた出発をいたしまして、離陸をし、上昇し、高度千メートルに至るまでの間に排出されるNOxの量、こういうことでございますので、相当広い区間、しかもこれは高度に対して、非常に荒っぽい言い方でございますが、高度の大体百倍の広さに拡散をされるというふうにも言われておりますし、一カ所にかたまってどかっと一・七五倍のものが落ちてくる、こういう趣旨ではございません。
  25. 永田亮一

    永田委員 次に、この覚書の3のところに進みますが、「激甚地区街づくりについては、重要かつ緊急な課題として関係住民意向も反映した地区計画を早急に確定する。また、その実施のために必要な制度改善法改正検討も行い、」こういうことが書いてあるのですが、地区計画を確立する、早急にやるということが書いてあるのですけれども、そのスケジュールといいますか、運輸省でこの地区計画をいつごろどういうふうにやるという目安はございませんか。
  26. 梶原清

    梶原説明員 御指摘地区は主として豊中市側のいわゆる第三種地域でございまして、移転補償が相当進んでおるわけでございます。前回御視察をいただきましたときに十分御承知いただいたように、集落が破壊されつつあるような現状でございます。で、それに伴う種々の問題も生じてまいっておるわけでございまして、その地区につきまして新しい町づくりという観点から、その地区整備をいたしたい。そのためには、まず関係者豊中市、大阪府、運輸省周辺整備機構、四者が寄りまして早く地区計画を策定しなければいけない、かような段階に参っておるわけでございます。私ども、この覚書を調印いたしましたからには、早急にそうした関係者が寄りまして地区計画を策定するように、早急に確定するように、関係者と一緒になって努力をいたしたい、かように考えるわけでございます。ただ、この地区計画といたしましても、住民意向を十分反映させなければまいりませんので、いま何年という確たるめどはございませんけれども、少なくとも一日も早くこの新しい町づくりにつきましての絵をかきましてこれを促進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 永田亮一

    永田委員 続いて梶原さん、この中に「制度改善法改正検討も行い、」ということが書いてありますが、これはたとえばどういうことですか。
  28. 梶原清

    梶原説明員 端的に申しまして、現在までのところは、いわゆる航空機騒音防止法による手法でいままで措置をしてまいったわけでございます。しかしながら、過去三年間の実績等を踏まえて見まして、やはり地区計画を立てて、そして、これをその線に沿って整備していかなければいけない、どちらかと言えば都市計画的な手法でもちまして整備を進めていかなければならない、こういう認識を強く持っておるわけでございます。したがいまして、この地区計画を立てましたものを実現していくためには、これの補助金制度の問題とかにつきまして、この制度面での見直しということも若干必要になってくるのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。  どういう点に制度改善の必要があるか、あるいは法律改正の必要があるかということにつきましては、先ほどお答えを申しました関係地方公共団体あるいは運輸省等がみんな寄って検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 永田亮一

    永田委員 次に、四番目に移りますが、「激甚地区営業者対策については、緊急措置として貸付金制度実施する」、これはどういうことですか。貸付金というものは何に使うのですか。
  30. 梶原清

    梶原説明員 激甚地区につきましては、先ほどお答えを申し上げましたように移転補償が進んでおるわけでございますが、その過程で、たとえば百戸あった集落が九十戸になり、八十戸になり、七十戸になっていく、こういうことになりまして、そこに店舗を構えておられる方々の営業の売り上げがだんだんと減ってくるという状態になっておるわけでございます。  そこで、その営業損失補償せよという御要請が強いわけでございますが、私どもとしまして、制度としてこれに取り組むことができないという現状にあるわけでございます。したがいまして、緊急措置といたしまして、融資制度を積極的に活用するということを一つ考えております。これは地方公共団体の御協力を得てやりたいと思っておるわけでございますが、同時に、先ほど来申しあげております新しい町づくりの中で、商売をされる方が適切な場所において新しい商売ができるといういわゆる再建対策もあわせて考えていく。当面の措置としましては融資制度を積極的に活用していく、長期的には町づくり過程再建対策を行っていく、こういう考え方を打ち出しておるわけでございます。
  31. 永田亮一

    永田委員 そうすると、その営業者というのはそのうちにどこかへ移転するということを前提にしているわけですか。もしその営業者がずっといつまでもいるというのであれば永久にその融資制度を続けていくということですか。
  32. 梶原清

    梶原説明員 もともと第三種地域につきましては音の障害というのが非常に激しいところでございますので、そこから他の地区移転をしていただかなければいけないわけでございます。したがいまして、新しい地区町づくりをいたしましてそこへ移っていただく、またその新しいところでの商売をしていただくようにするわけでございますが、この融資をいたします場合でも、いつまでとか、どの程度ということにつきましては個々具体的に検討してまいらなければいけないのではないか、ケース・バイ・ケースで適切な措置を講じていかなければいけないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  33. 永田亮一

    永田委員 いま新しい町づくりというお言葉がたびたび出ました。この覚書の前文にも「新しい都市づくりの方向で積極的に整備する」とありますが、この「新しい都市づくり」ということについてちょっと説明していただきたいと思います。
  34. 梶原清

    梶原説明員 第三種地域、現在におきましてはWECPNL九十五以上の地区でございますが、ここをたとえば緑地ばかりにしてしまうというわけにもまいらないわけでございます。この第三種地域には緩衝緑地をつくるという法律上の制度がございますけれども、緑地ばかりにしてしまうということになりますと、都市の立場から考えますと過疎化してしまうということに相なるわけでございます。そういう地区整備をいたします場合にも、レクリエーションセンターをつくるとか公共のテニス場、屋外運動場を整備するとか、人の集まるような施設をつくってはどうかという声が出ておりまして、そうした構想も入れて、過疎化の方向をたどるのではなくて、人の集まるような、しかも音に耐えられるような施設を重点としたような町づくりにしたい、かように考えておるわけでございます。
  35. 永田亮一

    永田委員 なかなかむずかしいと思いますが、しっかりやってください。  それから、五番に関連して出てくるのですが、「移転者については、出来るかぎり近いところで共同住宅や代替地が取得され易くするため諸補助金制度」を改善するというふうに覚書に書いてあるのですが、向こうへ行って勝部地区なんかで陳情に来られた地域の人の話をいろいろ聞いておりますと、移転したい、だけれども運輸省から出る補助金が坪三十万くらいだ、豊中でどこを探したって一坪四十万円以下の土地はないんだ、移転したくたってできないじゃないかという意見を強く言っておられる方が大分おりました。もっと移転の補助をふやすという考えはないですか。五十二年度の予算移転を予定している金額とか世帯とかを、運輸省の方ではどのくらいと考えておるのか、お尋ねいたします。
  36. 梶原清

    梶原説明員 具体的な数字は後ほどお答えをさせていただきますが、現在代替地を確保いたしておりますのは残念ながら空港から遠く離れた地域が多うございまして、移りたいという御希望がありましてもその代替地へは移っていただけない。私どもが用意いたしております区画のうちでたしか十分の一程度以下しか移っていただいておらないわけでございまして、できるだけ空港に近いところで代替地を確保してもらいたい、こういう要請があるわけでございます。私どもとしましては、そういう強い御要請にこたえて措置をいたしたいと考えておるわけでございます。  共同住宅につきましても現在までのところ小中島というところに一カ所用意をいたしまして、四十世帯ほどでございましたか、お住まいになっておるわけでございます。また近く豊中市内で一、二カ所確保する努力をしつつあるわけでございます。  移転補償費につきましては、公共用地の取得に関する要綱というのがございまして、その範囲内で最高限度に私どもも配慮をいたしまして、移転を容易にしていただきますように極力努力をしておるという実態にございます。
  37. 永田亮一

    永田委員 時間がだんだんたつので次に進みますが、六番目の「希望しても移転が困難な借地借家人に対しては、現行法の範囲で可能な限り弾力的な運用を検討する。」これは役所の得意な言葉で、「可能な限り」とか「弾力的な運用」なんて何だかよくわからぬのですが、これは非常にむずかしいだろうと思うのです。土地を持っている地主とそれから家主が違うし、またアパートなんかだと入っている人がみんな違うわけですから、一人が希望しても一人が希望しない。地主、家主、借家人が何人かいる。これは金の問題もあるだろうけれども、こういう人が移転を決めるまでには、運輸省はこれをまとめるために金よりも努力が要ると思う。その覚悟はできているかどうか。
  38. 梶原清

    梶原説明員 先生御指摘のとおり借地、借家人対策というのが一番困っておる事項の一つでございます。いま御指摘ございましたように、たとえばアパートの場合、家主は移転を希望しない、たな子は移転を希望するという場合に、私どもの立場といたしましては、家屋を持っておられる家主さんとたな子さんとが同時に移転をするという意思を表明し、移転補償のお申し入れをいただかなければできないわけでございますので、非常に困っておるという実態でございます。豊中市内約七〇%がこの借地、借家人の方でございまして、非常に頭の痛い問題でございますが、私どもとしまして、この借地、借家人対策は従来から強く要請されてまいっておる問題でございますので、周辺整備機構の全精力を投入いたしまして極力御期待に沿うように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  39. 永田亮一

    永田委員 まあ一生懸命やってください。  それから、この民家防音工事、これを読んでみますと、「二室目の防音工事に関する年齢制限の緩和について努力するとともに、簡易工法による全室についても近い将来に検討を行い」という、ここのところをどの程度の予算をつけて、ことしどのくらい考えておりますか。
  40. 梶原清

    梶原説明員 五十二年度におきましては、大阪国際空港周辺につきまして八十五億円の民家防音工事予算を計上さしていただいております。  なお、これに関連いたしまして、二室目の防音工事につきまして覚書に触れておるわけでございますが、現在は一室が原則でございますけれども、家族数が五人以上の世帯で、そのうちに六十五歳以上の方がいらっしゃるか、三歳未満の幼児がいらっしゃるか、あるいは長期療養の方がいらっしゃるか、こういう条件に合致するところにつきまして二室の防音工事をいたしておるわけでございます。この覚書に盛られております趣旨は、こうした年齢制限をなくすることにつきまして努力をせよと、こういうことでございまして、私どもその方向で検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  41. 永田亮一

    永田委員 これは本当は激甚地ばかりじゃないんですよ。その隣接の市町村から非常に要望が強いんです。これは、一種、二種、三種に分けて、そこだけは補助を出すと言っておるんですが、そのくっついたところが問題になるんですね。それで、これをもっと拡張してくれという意見が非常に強いわけなんです。  これは私のことを言って恐縮なんですが、私の子供は尼崎の一番北に住んでいるんです。伊丹にくっついたところです。たまに行ってそこに泊まるんですが、朝七時になると爆音で目が覚めちゃう。七時より早く起きるときはいいんだけれども、ゆっくりきょうは寝ていようかなと思ったら、ちょうど目覚まし時計を七時にかけたと同じことですが、必ず七時にはわあっというものだから、目が覚めてしまって、それから寝ようったって寝られないわけですね。こういう一種、二種、三種にひっついたところ、その地域を拡大してくれと、これは尼崎だけじゃないんですが、宝塚とか、いろいろ隣接したところの範囲を広げるということについて、運輸省はどう考えておられますか。
  42. 梶原清

    梶原説明員 大阪国際空港におきます第一種区域、第二種区域、第三種区域の線引きは四十九年の三月二十八日に指定をいたしたわけでございます。その後地元からの御要請がございまして、周辺各市と一緒になりまして騒音の実態調査をいたしました。二、三回それを繰り返しました。その結果を踏まえまして、関係府県に協議をし、関係市との意見も調整いたしまして、去る四月二日に線引きの修正をいたしたところでございます。  これは五十三年目標値でございますWECPNL値八五以上の地区を第一種区域とするという考え方に基づくものでございまして、将来におきましては、環境基準の五十八年目標値というのがございます。それに対応いたしましては、五十三年度に騒音測定をいたしまして、五十四年に入りましてから新しい線引きをいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  ちょっとくどくなりますが、ことしの四月二日に線引きの修正をいたしましたのは、五十三年目標値のものの部分修正をいたしたわけでございます。五十四年に五十八年目標値のものに直した線引きにやりかえるという作業を予定いたしておるわけでございます。
  43. 永田亮一

    永田委員 きのう尼崎市の市会議員なんかが大分来たのですが、あのコンターは間違っておるとこう言うのですよ。コンターを実態に即してよく考えてもらわなければ困るということを言っておりました。これはテレビの受信障害なんかも同じことですな。それから共同利用施設とか学校防音工事とか、こういうものについての助成の地域を拡大していくという考えはありませんか。
  44. 梶原清

    梶原説明員 テレビにつきましては、いま申しました第一種区域の線引きとは違いまして、テレビの区域を決定しておるわけでございます。御案内のとおり二分の一助成区域と四分の一助成区域にいたしておりますが、これにつきましても関係市とよく御相談をしながら、騒音の実態を踏まえた線引きをいたしておるわけでございます。  先ほど指摘の尼崎のことに関連しましてお話がございました民家防音工事の線引きにつきましては、先ほど申しました第一種区域の線引きの話でございまして、これにつきましては、これから予定いたしておりますのは五十八年目標値のものを五十四年に線引きをやりかえたい、かように考えておるわけでございます。  尼崎につきましては、逆発進の場合の線引きを修正してもらいたいという御要請が強くございまして、私ども、それには十分におこたえができないという実情にございます。
  45. 永田亮一

    永田委員 航空機燃料譲与税の増額ということですね、各市が非常に要求しておるのですが、これは運輸省に聞いてもどうかと思うのだけれども、いままでは航空機燃料譲与税というものは大阪府とか兵庫県には何もなかったわけですか。
  46. 梶原清

    梶原説明員 航空機燃料譲与税は四十九年にたしか創設されておると思います。これは十三分の二につきまして周辺の市町村に譲与するということで進んでおりまして、府県につきましては譲与する制度がないわけでございます。ただ府、県の立場からはこの財源を確保したいということで、燃料譲与税の配分を考えてもらいたいという要請がありますことは事実でございます。
  47. 永田亮一

    永田委員 これは石井政務次官にちょっとお願いしておきたいと思いますが、いまの問題ですね。これは兵庫県、それから大阪府で、やはり民家防音装置なんかには府県も補助をしたりしておるのです。相当金をかけているわけですよ。それで大阪府とか兵庫県の方も多少分け前にあずかりたいという希望があるので、これは税制改正しなければいけないのかもしれませんが、ひとつ来年度の予算に間に合うように、県や府の方にも分け前を与えたらどうかと考えますので、御努力を願いたいと思います。
  48. 石井一

    石井(一)政府委員 ただいま御議論になっておりました新しい町づくりということも、県、市の協力がなければもちろんできないことでございますし、そういうことで覚書におきましても、県、府も当事者として御調印をいただいておる、こういうことでございます。  また、税制の改革の問題は、先日この委員会におきましても、大蔵当局が御答弁になっておりました言葉をかりますと、来年度あたりは前向きに検討しなければいかぬ、こういうふうな御答弁のようでございましたから、私たちとしましても、周辺整備を推進するために積極的に大蔵当局と本年は交渉をしたい、折衝をしたい、こういうふうに考えております。ただ、先生の御指摘の点でございますが、府なり県よりは市町村の方が財政的に厳しいのではないか、また、責任もこの場合大きいのではないか、こう思いますので、そういう新しい税制の増額等々をやるという方法もあるけれども、要は問題が解決すればいいのだろう、こういうふうに思いますので、私としましては、関係官庁とも相談の上、とにかく一歩前進する、そういうことに取り組ましていただきたい、そう思います。
  49. 永田亮一

    永田委員 大阪国際空港周辺整備機構の方、来ていらっしゃいますね。せっかく来ていらっしゃるから、ちょっと御質問したいと思います。  五十二年度の計画というのを何かで見たのですけれども、五十一年度に比べて予算が非常に少ないように思われたのですが、それはどういうわけなんでしょうか。代替地造成事業とか、それから再開発整備事業なんかについてのおたくの周辺整備機構の予定、予算ですな。去年に比べてことしが少ないように思うのですが、どういうことなんですか。
  50. 石原明

    石原参考人 五十二年度の予算は総額二百七十二億九千四百万円でございまして、五十一年度に比べますと、五十一年度は約二百七十億八千六百万円でございますから、大体二億程度ふえております。しかしながら、そのうちで実際にふえておりますのは移転補償等の委託事業とその他民防事業でございまして、固有事業の全体では、ただいま御指摘のございますように五十一年度の九十三億六千七百万円に対して五十二年度は七十五億八千四百万円ということで、十八億程度減になっております。その理由といたしましては、まず代替地でございますが、前年度におきましては、三億余の予算でございましたけれども、五十二年度は二億でございます。これは代替地につきましては、非常にたくさんのストックを現在抱えております。そのうち半数程度が現在未造成地でございますので、その未造成地につきまして、地元関係住民の方々との話がついた上で関係市と開発協議を詰めまして、その上で造成にかかるということでございます。そのためになかなか進まないということでございますが、そういうことで、当初取得いたしましたものにつきましても、現在まだ造成が終わってないのが幾つかございます。そういうものを逐次やっていくということでございまして、したがいまして、五十一年度に比べまして五十二年度の方が造成する分が少なくなっている、未造成地に対する造成の対象が少なくなったということで、三億に対して二億というふうに、一億程度減になった、こういうことでございます。  それから、再開発でございますが、五十一年度の予算は七十六億五千万円程度でございますが、これに対しまして五十二年度予算は四十八億七千万円程度で、これも二十七億円余の減でございます。この点につきましては、実は五十一年度の予算を立てましたときに、私どもとしては一種区域の中で再開発のできそうなところというのをある程度図上で拾い上げまして、それをもとに積み上げて要求いたしたのでございますけれども、実際に取りかかりますと、なかなかそういうふうにはまいりませんので、したがって、五十二年度に当たりましては、実際にできそうなところというのを厳選いたしまして、そこで積み上げて計算したわけでございます。したがいまして、表面的には二十数億減少しているといったような実態でございますけれども、五十一年度よりは五十二年度の方が実現可能性のあるものでもって積み上げたということでございますので、金額の減少にかかわらず、実施できる可能性の強いものをお願いしておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。  それから、共同住宅につきましては一億二千九百万円に対しまして、五十二年度は六億九千九百万円でございまして、この点につきましては大変ふえておるわけでございますけれども、五十一年度の当初におきましては、共同住宅についてどういうふうな検討をしていくか。最初は公社とか公団とかいうようなところに融資をいたしまして優先入居権を獲得するというようなことでスタートしたのが事実でございますけれども、実際問題として、いろいろな制度、特に私どもの提供できます金利が逆ざやになりますので、なかなかできません。そこで、実際問題といたしまして五十一年度から機構でみずから住宅を取得するというふうなことに切りかえたわけであります。したがって、五十一年度は予算の成立したときの考え方と実行とは食い違ってございますが、五十二年度はその線に立ちまして六十戸の建設費予算ということでお願いをいたしたわけでございまして、五十一年度はまだそういうことで、方策の検討をしつつやってきたということでございます。五十二年度はその方策に立ってはっきりと六十戸の予算を要求したということで、これだけふえたわけでございます。  その他は金融費用で六億程度ふえておるというのが実情でございます。
  51. 永田亮一

    永田委員 ちょっとうかつなことを伺うようですが、周辺整備機構の資本金というのか、出資金は幾らなんですか。その内訳なんかを……。
  52. 石原明

    石原参考人 出資金は十億でございます。そのうちの七億五千万が国の出資でございまして、残りの二億五千万は大阪府と兵庫県が均等で一億二千五百万ずつ出資していただいてございます。
  53. 永田亮一

    永田委員 これは兵庫県の方からちょっと頼まれておるのですが、石井さん、よく聞いておってください。いまお話しになった十億のうち七億五千万が国、それで二億五千万が大阪府と兵庫県ですね。その府と県から出しておる金は、無利子でおたくの方へ貸し付けているのでしょう。
  54. 石原明

    石原参考人 出資金は主として管理費に充てるというようなことでございまして、したがって普通で言うと株みたいな、資本金でございますから、したがってそれを有利に運用いたしまして、その利子をもって管理費等に充てる、こういうたてまえでございます。  ただいま先生の無利子というようなお話は、これはまた別のことでございまして、固有事業につきましては全体の一割程度、これは収入等を引いたわけでありますけれども、そういうことで実際事業費のうちで収入あるいは補助金等ございますから、そういったものを除きました残りの一割に対しまして府県が無利子で貸し付ける、こういう制度になってございます。
  55. 永田亮一

    永田委員 貸し付けておる方は県も府も無利子で貸している。ところが県も府も金がないから、起債か何かでそれを賄わなければいかぬわけです。この前もちょっとそれを質問したのですが、起債なら利息を払わなければいかぬ。兵庫県の場合聞いてみると、九〇%が起債で、あと一〇%が一般財源を使っているそうですか、どっちにしても、起債にしても利息を払わなければいかぬ、貸す方は無利子で、その財源は利息を払わなければいかぬというので、いままではその程度のことは県も府も大目に見てやっておったんだろうと思うのだけれども、このごろみたいに財政が逼迫してくると、これはかなわぬということになってきたわけだ。これはおたくの周辺整備機構に言うことではないのですが、この利子補給ぐらいは、大阪府に対しても兵庫県に対しても、運輸省、国の方で見なければいけないのではないかという気がするのです。そういうことを今度、来年度の予算のときに、この利子補給分ぐらいは県や府に国で見てやるべきじゃないかと思うのですが、政務次官、ひとつその点を御研究になってやっていただきたいと思います。
  56. 石井一

    石井(一)政府委員 私も先生と同じ立場で、そういう陳情を県から受けたことがございます。要望としてはよくわかりますが、実際それが実現可能かどうか、すでに法制化され、動いておる段階でございますから、ややむずかしい面もあるのではないかと思いますが、せっかくの御提案でございますし、そういう県の財政状況もよく理解いたしておりますので、ひとつ検討材料として受けとめさしていただきたいと存じます。
  57. 永田亮一

    永田委員 もうこれで終わりますが、最後に石井政務次官に、運輸省としてはこの覚書を全力を尽くしてやるんだという覚悟を聞かしてください。そうしたら私は質問をやめますから。
  58. 石井一

    石井(一)政府委員 先ほどお答えしたとおりでございます。航空局長が個人で結んだものではございません。運輸省が結ばしていただいたものであり、ひいては政府全体が結ばしていただいたものでございます。もしこれが履行できない場合には、直ちに空港を閉鎖するなりあるいはエアバスを廃止するなり、それぐらいの決意でやらなければ、そういうごまかしのようなことはできないのはもう当然でございます。われわれとしましては、全力を尽くしてひとつ覚書に沿った努力をしていきたいと思います。そうして委員各位の皆様の御協力も切にお願い申し上げる次第でございます。
  59. 永田亮一

    永田委員 終わります。
  60. 島本虎三

    島本委員長 林義郎君。
  61. 林義郎

    ○林(義)委員 永田委員からの御質問がありましたから、私はそんなに長い御質問はいたしません。  この八日から十七日までの間、隔日ごとに五日間にわたってエアバステストフライト実施したのです。このエアバスという大型機の導入に伴う環境に及ぼす影響の評価実施されたが、恐らく私は環境影響評価という形でこんなに大がかりなことが行われたのは世界で初めてのことだろう、こう思うのです。環境庁、もしもほかでエアバス導入についての環境影響評価をやったという世界的な事例があったかどうか、お知りでしたら御答弁ください。
  62. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 エアバス導入するためにやったというのは私は寡聞にして存じませんが、航空機の大気汚染に対する寄与ということで、アメリカでかなりやられておるという事実はございます。
  63. 林義郎

    ○林(義)委員 今回の問題は大気汚染の問題ではなくて、むしろ騒音問題と大気汚染の問題との関係をどうするかというのが私は問題だと思います。当委員会でも委員派遣をいたしましたし、先ほど質問されました永田委員、私、一緒に参りまして現地で見てまいりました。  正直申しまして、住民なりの御理解を得、また地方自治体の協力を得て平穏無事に行われていたことは、率直に言って評価していいことだろう、こう考えております。特にそれは訴訟がある、調停申請が行われている中での話でありますから、私は非常に冷静に受けとめていいんじゃないかと思いますし、いろいろな方々のお話を聞きましたのですが、環境アセスメントというふうなことを大がかりでやる場合のいろいろな教訓が今回あっただろうと思うのです。住民の方々、いろいろな方々とお話をいたしましても、何か対話というか意思疎通が欠けているという点があったことは事実であります。たとえて申しますと、飛行機騒音を測定するところの下におられる住民の方々からは、飛行機が測定器のすぐ上を飛ばないという話がある。飛行機の方からすれば、恐らくその小さなものの真上を飛ぶなんということはできないでしょうけれども、そういった点もあらかじめ了解を得てやったらいいのではないかということも、私はあるのだろうと思うのです。今回初めての話ですから、私はいろいろと試行錯誤を重ねていかなければならない問題があるだろうと思います。  そういった問題で、これからアセスメントをやっていただく上でのいい教訓もいろいろとあっただろうと思いますから、その辺は政府当局でそういったものは素直に取り上げて、これからのアセスメントの中に入れていただきたい、こう思うのです。  と同時に、環境影響評価の十三項目の結果につきましては、先ほど環境庁長官及び政務次官から御答弁がありましたから改めてお聞きすることはいたしません。ただ、若干お二人の間に立場の相違もありますから、当然にニュアンスの相違があったと思います。  私はお尋ねしておきますが、エアバス導入を環境影響評価に基づいてやるのはどうかというのは、基本的には私は運輸省の責任事項だろうと思いますけれども、最終決定というのはどこでやるのか、改めてお尋ねをしておきたいと思います。
  64. 石井一

    石井(一)政府委員 御承知のように、環境庁から十三項目に関する御指示がございまして、長い間運輸省環境庁とが協議を重ねた末、三月五日に、低騒音としてのエアバス評価するのでテストに踏み切ってもいいという御指示があったわけでございます。そういうふうな面では、運輸省としては十分にまず環境問題ということを考えまして、その結果、今回ゴーのシグナルを出してこれを最終的に評価しよう、こういう段階になっておるわけでございます。それからまた、地元に関しましても十一市協というものが存在いたしておりますから、これらとも正式の会談をたびたび持ち、私が調べたところでは、地元住民の皆さんとの話し合いを過去約千回ぐらい、大小いろいろありますけれども持っておりますけれども住民の理解と協力というふうなものに関しましても努力をし、さらに最終的には厳しい訴訟団に対しましても十項目というものを提示することによって、覚書によって一応の了解を得た、こういう段階まで来ておるわけでございます。この上は、航空法百八条ですか、そのほかの取り上げ方によって運輸省が独自に決め得るかと思うのでございますけれども、なお、先ほど環境庁長官が御答弁になっておりますように、最終評価をもう少し慎重にやりたい、こういう声もございますし、地元にも二回にわたりまして資料を提示いたしておりますけれども、はなはだ専門的な面もございますので、地元としても独自にも調査をやっておりますから、そういうものと照合した上で、両者、いわゆる環境庁地元とも十分に連絡をとりつつ、運輸省の方で決定をさせていただきたい、このように考えております。
  65. 林義郎

    ○林(義)委員 結論は運輸省が最終的に決定をする、こういうことでございますね。
  66. 石井一

    石井(一)政府委員 それだけをイエスと申し上げますと誤解を生むわけでございますから、私が先ほど答弁したとおりでございます。環境庁の環境評価を十分尊重し、地元の御意見を十分尊重しつつ、運輸省で決定をさせていただきたい、こういうことでございます。
  67. 林義郎

    ○林(義)委員 今回の問題、測定結果、いろいろとあると思いますし、環境基準の達成ということはいろいろと考えていかなければならないと思うのです。環境基準の問題というのは、NOxの問題もありますし、騒音の問題もありますし、まさにトレードオフの関係だろうと思います。そういった意味で、判定をするのはそういったトレードオフの関係というものを最重点に置いて考えていかなければならない。もちろん健康に対して重大な影響があるということになりますと、これはまた問題でしょうけれども、そうでなければ、やはりそういったものを比較考量しながら私はやるべきだろう、こう思います。  特に、トレードオフの関係と申しますのは、騒音が一方ではなくなるという話である、一方ではNOxの方が少し上がる、こういう話ですから、それのバランスをどう判断するかというのが今回のエアバス問題の出した問題だろうと思いますから、そうした点で、私はできるだけ早くいろいろな結論を出されることが必要だろうと思います。慎重にやっていただくのだけれども、いたずらに遅疑逡巡を重ねることなく、早くやらなければ、トレードオフの関係というのは、いいのだからやるのだ、こういうことですから、そういった点は十分考えて御判断をいただきたいと思いますけれども、御所見はどうでしょう。
  68. 石井一

    石井(一)政府委員 林委員の御指摘のとおりでございまして、私も全く同意でございます。  トレードオフという関係がございますから、NOxの問題はわが方も専門家をたくさん導入いたしまして評価をいたしております。これは非常にむずかしい評価のようでございます。非常に科学的な問題でございますが、しかし、橋本大気保全局長等はその道のオーソリティーだというふうに聞いておりますので、この点は環境庁評価とも調整をしたいと思います。  ただ、NOx自体、アメリカでもいろいろ研究が進んでおるようですけれども、いまだに確実なデータなり実態というもの、原因というものは非常にわかりにくいものもあるようでございます。私は、必ずしもトレードオフという関係で、騒音はプラスだがNOxはマイナスだとも言い切れない一面もあるのではないか、これは科学者にゆだねたいと思うのであります。  私たちが特に配慮いたしておりますことは、やはり国家経済的な配慮ということでございまして、このことによっていわゆるコンターの範囲も変わりますし、五十三年に達成しなければいかぬ基準、五十八年に達成するべき基準ということを考えましたときに、一年に何百億という国費をこめ周辺整備のために費やしておる、しかも関西国際新空港のできた暁にはこれを廃止するということも考えるというふうな状態のときに、やはり国家経済全体から考えても、安全性だとか大気の汚染だとか騒音だとかという以外に、もっと基本的な問題をやはり考えていくということも航空行政上必要ではなかろうか、こういうふうに考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  69. 林義郎

    ○林(義)委員 終わります。
  70. 島本虎三

    島本委員長 永田亮一君、林義郎君の質問は終わりました。  次に、井上一成君。
  71. 井上一成

    井上(一)委員 まず最初に、石原環境庁長官に私はお尋ねをしたいのですが、せんだってより水俣の問題で大変御苦労いただいております。そのことについては謝とするところなんですけれども、人間が住むにふさわしい環境とは、一体どのような状態を指して言うのかということについてお考えを聞きとうございます。
  72. 石原慎太郎

    石原国務大臣 これはまさに個々人の人生に対する哲学とまでいかなくとも、好みの問題でございましょうし、一律に具体的に申すわけにはいかないと思いますが、私たちとしましては、つまり人間の健康の保全というものをトッププライオリティーに置いて考えているわけでございまして、これが阻害されるような環境条件というものは好ましくないということでございます。  しかし、この間も申しましたけれども、「ウグイスを日がな一日聞く里は酒屋へ三里たばこ屋へ二里」をもって理想とする方もおられるでしょうし、多少ごみごみし大気は汚染をしても、東京のような便宜というものをもって多とする人もいると思いますので、そこら辺になりますと、これは個々人の選択の問題と思いますが、基本的には私は人間の健康の保全というものを第一義と考えるべきだと思っております。
  73. 井上一成

    井上(一)委員 まさに生きることへの保障、健康を保障していくということは、それは当然だと思います。私は、物理的な利便さのみをとらえて、環境整備だとかあるいはふさわしい環境だということにはならないと思う。むしろ精神的に安定感を与えていこう、あるいはその環境が精神的に安定感を与えることが、それぞれの個人の、好みにもよりますけれども、共通した一つの条件だと思うのです。  そこでさらにお尋ねをしたいのですけれども大阪空港周辺については、長官としては、健康を保持できる、そして大方の方の共通した住居としてのふさわしい環境だとお考えでございましょうか。
  74. 石原慎太郎

    石原国務大臣 とてもそうは考えられません。これは欠陥空港としてすでに指摘もされているわけでございますが、今回のエアバスの問題も、いろいろ環境条件の中で、訴訟にまでなりました基本的な争点は、騒音、振動ということでございますので、そういう意味で、先ほど林先生からもお話がありましたように、行政側としても一種のトレードオフとして、とにかく基本的な争点である騒音、振動というものを少しでも是正しようということでの措置でございますが、これによってあの空港周辺の生活環境というものが、理想とまでいかなくても、それに非常に近づいたとはとても考えられないと思います。
  75. 井上一成

    井上(一)委員 現在の大阪空港周辺は理想なんという問題じゃないわけです。でも、少しでもその地域住民人たちが満足のできるというか、満足までいかなくても、安心のできる体制をつくっていかなければいけないと思うのです。  私はこれは皮肉じゃないですけれども、テニスをすることもそれは健康のためにいいと思うのですよ。しかし、大阪空港周辺はテニスのできるような雰囲気ではないですよ。  率直にお聞きをしたいと思うのです。石原長官に私は期待をしてこの質問をしたいのです。  私は、被害者住民の苦しみというものは、本当に厳しい、強い怒りがあると思うのです。そういう気持ちを理解するためにも、ひとつ被害者の苦しみをはだで感じ取ろう、そういうことが大切な対応の仕方じゃないかと思うのです。そこで、私と一緒に大阪空港のあの飛行直下の地域の住居で、たとえわずかな日にちでも一緒に住んでみる気はありませんか。いかがですか。
  76. 石原慎太郎

    石原国務大臣 時間が許せば、私、喜んでいたします。四十三号線も、あの周辺に一晩泊まってみるつもりでおりますが、そういう意味でも、私、この間水俣もできるだけ時間をとって行ってきた次第で、実は寝泊まりはしたことはありませんけれども、あの飛行場の直下の勝部よりももうちょっと飛行場のランウエーのセンター寄りの地域に知人がおりまして、六、七年前でしたか、とにかくあそこに三時間ほどいたことがあるのですが、これは聞きしにまさるものだという感じがいたしました。  それは、騒音と振動、それと鼻血の相関性というのは医学的に証明されないということを言われておりますけれども、四十三号線でもそれに似た状況がございまして、いまの医学がすべて完璧と私は思いませんので、実感的には、よけいなことを言うみたいですけれども、鼻血があそこにも多い、子供の鼻血の出血が多い、同時に四十三号線にも多いということの相関性というのを、四十三号線へ行っても改めて想起した次第でございまして、時間が許せば、喜んで実体験を行政の責任者としてしてみるつもりでございます。
  77. 井上一成

    井上(一)委員 時間が許せば――もちろん、きょうここでいつの日にというお答えをいただくことは不可能かもわかりませんが、行くことについて、いま、知人がいらっしゃる、三時間少々そこで滞在したことがあると、それで三時間のわずかな時間でも非常に、もう言葉には言い尽くせないのだということなんです。  いかがでしょう、さらに私は重ねてお聞きをしたいのですが、若いわれわれが国民の中に飛び込まなければ日本の政治は変わりませんよ。私とあなたは同じ年ですよ。どうですか、飛び込むということを約束できるのですか。日にちについては限定しません。国会開会中等もありますし、それはいろいろと多忙な毎日でしょう。だけれども現地に乗り込む、一週間が無理なら三日でもいい、二時間、三時間じゃだめです。いかがですか。そして一緒に被害者住民と本当の苦しみを味わおうじゃありませんか。それから初めて問題の解決に取り組むことが可能だと私は考えるのです。日本の政治を変えるためにも、いかがですか。行動を起こす、日にちは約束いただけなくても、それだけのことをあえてやるのだという御発言、お答えがいただきたいのです。
  78. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから時間かできれば――できればということは決して言いわけではなしに、水俣の方々にも時間ができればということを――予算があったりして大変お待たせしたわけでございますけれども、これは喜んで飛び込んでまいりますが、しかし環境庁としても飛び込まなくちゃいけないところはあちこちにございまして、その優先順位をどうやってつけるかということで非常に難儀しているのが現況でございますので……。
  79. 井上一成

    井上(一)委員 私は非常に厳しくお答えを求めるようですけれども、いろいろな問題があるでしょうが、この問題も優先すべき一つの問題である、むしろ最優先すべき問題ではなかろうか。だからそういう意味でもう一度、行くことについては約束をしていただけますか。
  80. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それはきょうだけじゃなしに、すでに四十三号線を視察しましたときにも現地の方々から要求がございまして、あの時点では時間がありませんでしたから、時間ができ次第現地にも参りますということを明言いたしましたので、行くことはすでにお約束してありますから。  ただ、この問題は決して解決したわけじゃございませんが、それこそ石井次官も大衆の中に飛び込んでいっていろいろ御努力されて、テストフライトで基本的な争点になった問題がやや軽減されるというめどがついたわけでございますので、まあ問題が解決したとは言いませんけれども環境庁には環境庁が抱えている問題がたくさんございますから、すべてを差しおいてということはここでちょっと明言できませんが、しかし参ることは必ず参ります。
  81. 井上一成

    井上(一)委員 必ず行くということについてお約束をいただき、かつまた私は、そういうことが長官としての新しい取り組み方、いわゆる日本の政治を変えるきっかけになると思います。ありがとうございました。  それでは、続いて私は政務次官お尋ねをしたいのですけれども、いま環境庁長官は、健康を守っていく、そのような周囲の状況をつくり出すのだと。ところが、五十二年の三月に運輸省の航空局から、いわゆる総合対策として航空機騒音調査あるいは航空公害が人体に与える影響調査、いわゆる健康被害者の救済制度の確立もあわせてそういう調査をするべきであるということを言われているのですけれども、その答えの中に、当面はそういうことを実施する考えはないのだというお答えがあるわけなんですが、このような考え方にいまも立っていらっしゃるのですか。
  82. 石井一

    石井(一)政府委員 私もたびたび現地へ参りまして、さらに私の選挙区が伊丹の近くであるというふうなこともございまして、私も決して人間の生活として快適な場所でないということを強く痛感をいたしております。  したがって、いまの御指摘の問題に関しましては、私は前向きに取り組みたいと思っておるのでございますが、人の健康の問題、衛生の問題等々、運輸省が直接どのように担当できるかという面で各省との連絡調整というものも必要ではなかろうかと思います。正確を期すために、そういう回答を運輸省がしたのかどうか、ひとつ政府委員にまず答弁をすることをお許しいただきたいと思うのでございますが……。
  83. 井上一成

    井上(一)委員 さっきの質問者の中では航空局長が――後で私も質問する予定なんてすけれども覚書等については運輸省が、いや政府が責任を持つんだという答弁をされておるのですよ。これは昭和五十二年三月、この間ですよ、運輸省が出されている。政務次官がわからない。これは勝手に出しているのですか。これははっきりしてもらいましょう。私は、答弁は運輸大臣もしくはそれにかわる人ということです。
  84. 石井一

    石井(一)政府委員 まず事実関係政府委員から答弁させまして、それから私から責任ある回答をさせていただきたいと存じます。
  85. 井上一成

    井上(一)委員 見せてあげましょう、見せて。「考えていない。」と――私は政府委員に問うているのじゃないのですよ。政務次官がいま、健康を害するようなことをしてはいけないんだと、自分も選挙区なんだと強い意を表しているのですから、じゃ、こういう答えについてはどう考えているんだ。これはこういう考え方に立つのか立たないのか、それだけで結構です。
  86. 石井一

    石井(一)政府委員 いや、私はそういう考えに立つべきだという個人的な見解を持っております。ただ、私が先ほど答弁いたしましたように、運輸省がそれを実際にやれるかと申しますと、これはやはり厚生省なり環境庁なりが御実施をいただくと、こういうことにもなろうと思います。運輸省当局としてはやらない、しかしこれは好ましいことであるというのもわれわれの考え方ではないかと思いますので、そういう形で、できればその実際の交渉に当たりました政府委員の説明あるいはまた環境庁の見解というものをお聞きいただきたいと思います。  私は、先ほども申し上げましたように、問題があるということを十分認識いたしておりますので、こういう問題については前向きに取り組みたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  87. 島本虎三

    島本委員長 この問題について、なお高橋航空局長
  88. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 先生御指摘のとおり、健康被害者救済制度の確立等に関しまして私どもお答え申し上げました点は、「騒音調査については、環境基準の達成状況の点検等のため随時実施する予定であるが、人体への影響及び健康被害については、当面、調査等を実施することは考えていない。」こう申しましたのは、いま政務次官お答え申しましたとおり、この調査の仕事は、運輸省の責任でやる仕事よりもむしろ厚生省または環境庁のおやりになる仕事であるということで書いたわけでございまして、趣旨としてこういったことの行われることを否定しているわけではございません。役所間の分業体制という立場に立って答えただけでございます。
  89. 井上一成

    井上(一)委員 私はおかしいと思うのだね。分業的な問題、運輸省の出す――じゃ、ここへもう少し念入りに、各関係省庁と協力の上とかそういう表現を加えるべきだと思うのだね。日本語としてこの文章を見れば、そういう考え運輸省としては持っていないんだというふうに理解するのです。ここで改めてはっきりと、運輸省はそういう健康被害者の制度確立を図らないというような考えはないということを明言すべきではないでしょうか。
  90. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 確かに言葉足らずであったと思いますので、御指摘のとおりだと思います。
  91. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、重ねて政務次官お尋ねをしたいと思うのですが、いま大阪空港はいろいろな問題を持っているわけなんですけれども、このそれぞれの問題を解決するための最優先すべき手段というものは何であるというお考えなんでしょうか。
  92. 石井一

    石井(一)政府委員 私も就任いたしましてからまだそんなに時間がたっておりません。ただ、その間にこの場所にはたびたびお伺いしたことは確かでございます。私は住民の皆さんと話をいたしまして、なぜこれだけ運輸当局に対して住民の皆さんが反発を持ち、不信感を持たれるのかということを感じました。役所に帰って話を聞きましたら、やはり役所の立場ではベストを尽くし、そのときどきに最大の努力はしておるのでございますけれども、それはそれなりにわかるのでございますけれども、やはり立場が違うと申しますか、お互いがお互いの立場にならぬと申しますか、不信感が今日までかなりつのっておるということも確かでございます。     〔委員長退席、向山委員長代理着席〕 私はそういうふうな意味では、やはり環境庁長官は立場上非常に厳しいスケジュールを持っておられますけれども、要は、私たちを含めまして特に最前線にある運輸省の当局の者がもっと住民の中へ飛び込んでいく、こういうふうなことから基本的な問題を解決していくということが一番重要のように感じます。それ以外に、大阪空港の建設を急ぐとかあるいは緩衝緑地帯に始まる周辺対策とか、いろいろな問題はこれは総合的にやっていかなければいかぬ問題だと思います。
  93. 井上一成

    井上(一)委員 若干お答えの中で触れられたわけですけれども、私は、やはり関係住民との信頼関係を一日も早くつくり出していくということが大切だと思うのです。信頼関係をつくり出すことにおいていろいろな問題点についての具体的な事例、具体的な対策というものが話し合いの中で進められていく。ところが運輸省の出す書類あるいは回答文、いま指摘をしたように、これからも指摘をしますけれども、どれをとっても信頼性に足りる、あるいは信用していいというような対応じゃないのですね。だから、石原環境庁長官が飛び込むのだという強い姿勢を打ち出したのです、私から聞かれなくても運輸大臣あるいは運輸政務次官は、私も一緒に飛び込みますというぐらいの決意が欲しいわけなんです。  さらにお尋ねをします。同じ三月に運輸省が出された質問に対する答えでございますけれども、地方自治体がいま環境保全のために最大の努力を払っているということは言をまたないわけなんです。地元関係市町村はそれについて大変な努力をしているわけなんです。     〔向山委員長代理退席、林(義)委員長代理着席〕 そこで、それぞれの地方自治体が環境保全上の対策を講じていく場合に、いわゆる航空会社に対する、地方自治体に対する協力を指導するか、指導しなさいという強い要望があるわけですけれども、これについて政務次官お答えをお聞きいたしたいと思います。
  94. 石井一

    石井(一)政府委員 政府委員からまず答弁をさせたいと思います。
  95. 井上一成

    井上(一)委員 私は政府委員からじゃなく、運輸大臣もしくは政務次官と名指しをしているのです。政府委員が書いていることは、読み上げましょう。「騒音値の規制等音源対策関係では、運航上、管制上様々な問題が関連しており、航空所管大臣である運輸大臣が空港設置者としての運輸大臣と密接に調整して行くべき問題である。」こういうふうに逃げているのですよ。航空所管大臣である運輸大臣と空港設置者としての運輸大臣、運輸大臣はお一人しかいらっしゃらないのですよ、運輸大臣が航空会社に指導して地方自治体に対して協力体制をとるべくしかるべき手段を講ずべきだ、こういうふうに考えるのですが、政務次官のお考えはいかがでございますか。
  96. 石井一

    石井(一)政府委員 確かにこれには何か相矛盾したような一面があると思いますが、運輸大臣としては全般的に航空行政をつかさどるという立場と、もう一つ飛行場を監督すると申しますか、そういう意味の立場と、何かそこに矛盾しておるように思いますけれども騒音対策の責任を持つのは運輸大臣自体でございますから、しかも二つの個人が存在しておるわけでもございませんので、この点はひとつ責任を持って規制の実施をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、私、井上委員の前向きな姿勢に非常に感銘をいたしておりますから、大いに議論をさせていただきたいと思うのでございますが、御承知のように昨年十二月から数カ月しかたっておりません。この航空問題等はやはり非常に細かい管制上の問題、技術的な問題がございまして、私が不勉強ということではございませんが、かなり一生懸命やっておるつもりでございますが、やはり過去の経過等々に関しましてはある程度技術的な問題から解明を与えなければいかぬというふうな問題もございますので、その間ひとつ政府委員の答弁も十分お認めをいただいて、なお政策として、政治家として変えるべきものはどんどん変えさせていきたい、こういう姿勢で臨みたいと思いますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  97. 井上一成

    井上(一)委員 石井政務次官に私は時間をとってもっともっとお互いに議論を尽くして、より前向きな航空行政をお互いに協力した中で進めるべきだというふうには考えているのです。しかし先ほども申し上げたように、いままでの運輸行政が非常に住民から不信を買っておったということも事実だ。またいま政務次官が言われたように、回答一つをとらえても、もうむちゃくちゃなんだ、全くもっていままでの回答は。こんなことを重ねるから、いわゆる地域住民からの信頼性がなくなっていくわけなんです。これは運輸省がみずからなくしていっているわけなんです。だから信頼関係をつくり出すために、信頼性を取り戻すためにも、私は、より真剣な対応をしなさいということなんです。  それで、限られた時間で大変はしょった質問になってしまうわけですけれども、さらに、発生源対策としてのエアバス導入が言われているわけです。そうですね。ところが私どもは、そうじゃない、需要対策としてエアバス導入が持ち上がってきたのだという解釈をしているのです。だから、その点についてあくまでも発生源対策なんだというお考えなのか。私は、低騒音の大型機の導入計画というものは需要対策であると考えるのです。私の考えが間違っているのか、あるいは発生源対策であるという政府の考え方が間違っておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  98. 石井一

    石井(一)政府委員 確かに御指摘の点も配慮してのエアバス導入だろうと思います。ただ発生源対策云々という問題に関しましては、委員も御承知のとおり、今回のテストにおきましても大体十ホン近く音が下がっておるということも事実でございます。それからさらに音が下がるだけでなく、いわゆる三段階減便計画というふうなことで、二百四十回の発着を二百回に下げるというふうなことも事実でございます。こういう一面を見ますと、これは音源対策と申しますか、発生源対策という面も十分含まれておる。しかし、一挙に何百人という乗客を消化できるという一面があるわけでございますから、全体的に余り変わらぬと言いますけれども、私は、やはり需要者対策の一面もこれは認めざるを得ない。これは両面から考えられたのが今回のエアバス導入ではなかろうか、私はそういうふうに理解をいたしております。
  99. 井上一成

    井上(一)委員 需要対策からの一面も含まれておるというお答えです。さらに、発生源対策としては、二百回に便数を減らしていくんだというお答えです。ここで、現在ジェット機がどれほど入っているのか。あるいは二百便に減らす、山陽新幹線が建設されたら当然そういう形で減便をするんだということを、四十九年の三月二十三日に運輸省約束をしているわけなんですね。そこで、YS11はいずれ廃棄になるわけです。現在YS11機が何便あって、そして、ジェット化されて二百便になった場合、いまの予定ではYS11にかわるべき便数はどれほどなのか、少し具体的な数字を挙げてお答えをいただきたいと思います。
  100. 石井一

    石井(一)政府委員 御指摘でございますが、エアバスとYS11との関連は特にないと、それにかわるものでないというふうに私は聞いておるわけでございますが、具体的な数字等はひとつ政府委員の方からお答えさせていただきたいと思います。
  101. 松本操

    松本(操)政府委員 五十二年二月の実績お答え申し上げます。ジェット機の合計が二百二十五回でございます。YS11が百三十八。合計三百六十三。ただし、ただいま申し上げましたのは、日及び月によって変動いたしておりますので、たまたま二月の数字が手元にありましたので、平均値で申し上げた次第でございます。  それから、YS11につきましては、御案内のようにターボプロップでございます。これを三段階の減便方式を出しましたときに、このYS11をエアバスに切りかえるとか、そういうふうな考え方は全然ございません。これはそのまま残しておいて、ジェット機が当時二百三、四十ございました、それを、いま先生がおっしゃいましたように、山陽新幹線ができたときに幾らに減らす、エアバスが入ったときに最終目標としてジェット機の数を二百まで減らす、YSはそのまま残しておくのである、こういう考え方でございます。
  102. 井上一成

    井上(一)委員 私の質問を理解できないのですか。ジェット機回数を二百回に減らすということでしょう。お答えください。二百回に減らすということでしょう。
  103. 松本操

    松本(操)政府委員 ジェット機回数を二百回に減らすという趣旨でございます。
  104. 井上一成

    井上(一)委員 YS11はいずれ廃棄になるわけですね。それはおわかりですね。それにかわるべきジェット化、もちろんジェット化されるわけです。エアバスだとは言ってないわけです。ジェット化だ。そしたら、YS11が現在飛んでいる、その百三十八便にかわるべきものは小型ジェット機になるわけです。エアバスではもちろんない。そういう意味で、二百回のうち、YS11百三十八便にかわるべきものは何便なのか。
  105. 松本操

    松本(操)政府委員 ちょっと私のお答えがもたつきまして、失礼でございました。  YS11がいずれ退役していくであろうということは、先生御指摘のとおりでございます。ただ、現在私どもジェット機二百と、こういうふうに申しております時点におきましては、現在の大阪周辺の環境整備の状況その他を踏まえまして、少しでも現状を改善しようという目的を優先さして出してきた数字でございます。したがって、YS11がリタイアをしていきましたときに、これをどのようなジェット機にどのように置きかえていくかというふうなことは、現時点でとかく申すべき問題ではないのではないかと、私どもはその点については詰めておりません。
  106. 井上一成

    井上(一)委員 政務次官、これは非常に肝心な話なので、政務次官からお答えをいただきたいと思います。  YS11については、ここ数年のうちに廃棄になるわけですね。ところが、政府委員の中では、そんなことに対する対応の仕方というのはまだ考えてないというのですよ。二百便の中で、たとえば五十便はYS11にかわるべきこういうジェットの機種であるとか、百五十便はエアバスを入れたいんだとか、入れる予定をしておるんだとか、私の聞いておるのは、そういうことを具体的に……。あるいは百便はエアバスであるけれども、現行飛んでいるYS11の百三十八便については、これを何らかの機種に変更して百便に縮めますとか、とまれ総体的に絶対数は二百便である、そのうちのYS11にかわるべきものは何便であるか。二年先、三年先のことをまだ考えていらっしゃらないというような現時点での政府の取り組み、政務次官いかがですか。
  107. 石井一

    石井(一)政府委員 確かに、もう少し詰めるべき重要な問題だと、こういうふうに認識をいたします。ただ、私も、たとえば今回導入をした場合に一日何便入れてどういうふうになるのかということを、もちろん考えるわけでございますが、たとえば地域住民の皆さんと話をしますと、四季によって非常に違うんだと、この時期だけやってもらっても、夏に政務次官一遍来てごらん、全然違う空気と音になるんだからと、こういうふうに言われますと、余り二年も三年も先まで計画をこうだというふうに言い出すのも、これまた環境対策上問題ではなかろうかと、現時点、エアバスにかえた時点においても多くするか少なくするかということに関しても、やはり周囲の客観情勢等も配慮しつつ決定しなければいかぬというふうなことでございますので、そういう技術的なむずかしさ、環境との調整という問題もあるということも御理解いただきたいと思います。なお、先生御指摘の、YS11のリタイアした時点における、というふうなことに関しましては、仮に想定でございましても、一応現時点においてはこういう考え方であるということを早急に詰めさせたい、こういうふうに考えます。
  108. 井上一成

    井上(一)委員 政務次官、私はおかしいと思うんだね、片側では基準値を五十三年にはこれだけ、五十八年にはこれだけという長期展望を明確にしているんですよ。質問が非常に偏ってしまったんですけれども発生源対策周辺対策は、これはあわせて並行してやらなければいけない問題ですけれども、いわゆる発生源対策については、二年先はわかりませんとか、三年先はわかりませんというような形の中でこの対策を講じているんですか。石井(一)政府委員 いや、当然そうではございません。要は、住民のサイドに立った考え方で行政を進めようということでございまして、現在仮にエアバス導入するということを決定いたしましても、その後大きな被害なり問題というものが出てきたらこれは当然減便することになりますと、いまここでそういうすべての計画を打ち出すということに多少難点がある、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  109. 井上一成

    井上(一)委員 そういうお答えは、むしろ不信感をさらに増すのみです。政務次官は、もう連休明け一日も早くエアバス導入をしたいんだというふうな御発言があったかのように報道されているんですね。私は、そんなむちゃなことはやらないと信じております。それで、いま言ったように地域住民は、あらゆる季節あるいは天候等も加味した中で十分なテストフライトをすべきだという意見があるわけなんですけれども、そういうことは要望だけにとどめておきますが、覚書念書があるわけです。それで、覚書の九項に「今後とも関係住民関係機関の協議が充分行えるよう窓口を確立強化していく。」これは具体的にどのようにお考えなのか、その点をお聞かせいただきたい。なおまた、これは航空局長の署名になっておりますけれども、改めて運輸大臣に差しかえるお考えはおありでしょうか。
  110. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  この九項の窓口問題につきましては、地元住民に従来非常に不満が多くございまして、周辺対策の問題あるいは生活設計の問題等につきまして相談に行こうと思ってもなかなか強力な窓口が見当たらない。そこで私どもは、地元関係市、それから大阪航空局、それから周辺整備機構、これら三者共通の窓口をつくりまして、いわば相談所というふうなものをつくりまして、よろず住民の方々の苦情なりあるいは相談、そういったものを引き受ける窓口をつくっていこう、こういうことをここに書いたわけでございます。
  111. 井上一成

    井上(一)委員 これはおかしいですよ。住民の苦情を受け付ける窓口だというお答えなんです。おかしいじゃありませんか。この覚書の中にもあるように、いわゆる公害対策についてそれぞれの問題解決をしていくんだ、そのためには関係各位ともその協力をして十分協議をしていこう、そういう窓口をつくるんだというふうに理解しているのですけれども、そうじゃないんですか。
  112. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 いまの先生の御指摘の、関係機関がこの周辺対策あるいは地元対策につきまして連携を強化して相談を常にするということは、ここで判こを押した人の当然の前提であるというふうに考えまして、この九項目は、その前提を踏まえまして、そういった連携を強化されたここに書いてある判こを押した人たち地元住民との窓口をつくろうということであえて書いたわけでございます。
  113. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、住民の悩みだとかそういう悩み相談受付所のような窓口ではないんでしょう。さっきの答弁と違うじゃありませんか。
  114. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 いえ、私は違った答弁を申し上げてないわけでございまして、九項目に書いてありますことは地元住民との窓口のことを書いたわけでございます。このことは私だけではなくて、ここに判こを押していらっしゃる各市長さんたちも同じ認識でございます。それで先生の御指摘の国、各地方機関の間の連携の強化という点は書いてありませんけれども、これはもう当然の前提であるということで表現してないわけでございます。
  115. 井上一成

    井上(一)委員 これは関係住民にとっては大変かかわり合いのある問題なので、最初の答弁ではよろず相談所的な、受付窓口的な答弁をされているわけですが、そうじゃないんだ。いわゆるこの覚書に、お互いに確認し合った事項を実施するに当たって、あるいはこれを推し進めるに当たっていろいろと関係住民関係機関の協議が行えるようにするんだ、こういうふうに私は解釈しているのです。そうじゃないんですか。
  116. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私の言葉が足らなかったために大変おしかりいただいたわけでございますけれども、私が申し上げましたのは、第一次的には関係住民の人から声を聞くという窓口がなければ意味がありませんのでそれはとにかくつくる。それで、そういったことを通じまして、地元対策をどうしようかということについて関係住民関係機関の協議を行うということにすることはもちろんでございます。私は入り口のところだけ申し上げましたけれども、先生御指摘のように、その入り口から入ってきた意見を取り上げまして、それを実現すべく関係住民関係機関が協議をするという場をつくることはもう当然でございます。     〔林一義一委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 井上一成

    井上(一)委員 政務次官お尋ねします。  いまの答弁をあなたがそばで聞いておっても、自分の選挙区で空港騒音公害に悩んでいる住民がたくさんいらっしゃるんだ、さっきも答弁されているのですよ。いまのああいう政府の答弁を聞いておったら納得できますか。私が指摘するまで何らそれに対する答えがなかったわけじゃありませんか。私は政務次官から、この窓口というものは私が指摘したような窓口であるということを確認することが一つと、それからもう一つは、この関係住民関係機関の協議が十分行えるような、窓口の中にいわゆる被害者住民も参加させるのかどうか。当然私はその中に入れる、参加できると考えておりますが、政務次官からお答えをいただきたい。
  118. 石井一

    石井(一)政府委員 第一点も第二点も、基本的には委員の御指摘のとおりに持っていきたいと思います。  ただ、私も現地へ入りまして感じたのでございますが、こう言いますと手前みそになりますが、たとえば大阪航空局の職員なども夜を徹して現地の皆さんと話し合いをしております。委員も御承知のとおりだろうと思いますし、またいろいろの政党いろいろの関係者がおられるのでございますが、訴訟団であるとか弁護団であるとかそういう人々とも十分対話のできるような、十分といいますと語弊がありますけれども、そういう形の中から努力はしておると思うのでございます。ここにも、覚書にはっきり明記しておるのでございますから、これまでのような非公式な形でやるのに何が足らないのかということを、委員の御提案も十分拝聴して、今後これを組織化するといいますか機能化すると申しますか、こういうふうな形について検討をさせていただこうと思いますが、それじゃこれまで被害住民意見は全然聞かなかったかと申しますと、私たちは決してそうではなかったというふうに理解いたしております。
  119. 井上一成

    井上(一)委員 政務次官のいまのお答えで、とまれ私が指摘したようにあるいは提案したように、被害住民も参加できるようにしたいということでございますね。――そのように理解をします。ぜひそうあるべきだ、こういうふうに考えます。地元関係地方自治体の意見を十分尊重するんだ、そしてまた住民意見も尊重するんだ、そして最悪の場合には空港を閉鎖してでも関係地方自治体の要望をかなえるために努力するんだというふうに政務次官先ほどお答えになったと思うのですけれども、いかがでございますか、そのとおりでございますか。
  120. 石井一

    石井(一)政府委員 いやいや、それはちょっと論理の飛躍があるように思うのでございます。私が先ほどお答えいたしましたのは、覚書を政府としては忠実に遵守しなければならぬ、これがただ単に書き物に終わったのでは非常に困る、こういうことを申し上げたわけでございまして、今後そういう線に沿って運輸省としては努力をする、こういうことでございます。
  121. 井上一成

    井上(一)委員 では重ねて伺います。  この覚書が完全実施されない場合には空港を閉鎖する、そこまでの御決意があるように承ったのですが、いかがでございますか。
  122. 石井一

    石井(一)政府委員 そういう決意があってあの覚書を結んでおるわけでございます。ただ、これ、一々どの項目を見ましてもむずかしい問題がございまして、各人によりましていろいろ評価が違うと思いますが、少なくとも大方の評価がなるほどこういうふうになっておるというふうにしていきたいと思います。
  123. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、念書の中で「無視できない違いがあれば、」これは空港閉鎖よりもむしろエアバス導入を見合わせるということなんですけれども、この点について、無視できない違いがあったのかどうか。
  124. 石井一

    石井(一)政府委員 この点は運輸省の独走でなしに、各関係省庁の御意見も一番尊重したいというところでございます。ただ、私たち評価いたしております段階では、隔日等にやりましたので、毎日の欠陥も出ておりますけれども、たとえば一地点において思ったより騒音が高いなというふうなところはございましたけれども、全く予想値と違って無視できないというふうな事実はなかったように理解いたしております。
  125. 井上一成

    井上(一)委員 時間がありませんので短くお聞きします。  エアバス導入は、いましばらくいろんな状態の中で、気候状態も踏まえて、あるいはその他将来の展望ももう少し明確にした上で、さらに地元住民の同意を得ることに努力をした後にこの問題は話し合いに入るということを私は提案したいわけなんです。それで、エアバス導入は暫時中断の構えに処すべきではないか。いかがですか。
  126. 石井一

    石井(一)政府委員 十一市協なり環境庁に対しましても適切な処置を行った上、私たちが適切と考えた場合には導入に踏み切りたい、このように考えております。
  127. 井上一成

    井上(一)委員 政務次官、おかしいじゃありませんか。発生源対策であなた方はエアバス導入考えたんだ、そして私が需要対策じゃないか、そうしたらその面もありますと。それは間違いなんですね。需要対策でエアアバス導入は間違いなんですよ。発生源対策エアバス導入をするんだという当初の運輸省のお考え、そうでなければいけないんだけれども、いまいろいろな問題が起こって、すでにあらゆる角度から指摘を受けているのですよ。それにいま十一市協が、地元住民、被害者住民も参加をして、そういう窓口で覚書を忠実に履行しようと言っているのですよ。それを導入に踏み切りたいのです。これは住民無視じゃないですか。それこそこの覚書というものはただ書かれた印刷物である、魂が入っておらぬわけ、真心が入っておらぬ。政務次官、本当に住民の立場に立ってお考えなのですか。
  128. 石井一

    石井(一)政府委員 先ほどからお答えいたしておりますように、発生源対策としての効用もある、それにはかなりの効果がおさまっておる、そういうふうに私たちは自信を持って言える。さらに特別に大きな違いがない限りは――そういう違いがあれば導入にはストップをかけてくれというのが訴訟団の言い分でございますが、これは各方面の評価もいただくわけでございますけれども、そういうことがないというふうなことが起こりました場合にはやはり導入に踏み切るべきである、こういうふうに私は思います。
  129. 井上一成

    井上(一)委員 あえて政務次官に申し上げておきます。関係機関、関係住民の意思を無視してまであなたが導入に踏み切られるということは、大きな問題を後に残すだけですよ。そういうお考えであれば、むしろ一日も早くそのお考えを改めてもらうと同時に、関係機関なりあるいは関係住民との理解を深めることに努力をされる方が適切な措置だと私は思うのです。導入に踏み切るんだ、十一市協がそれに調印をしている、あるいは代表者が調印をしているということだけで、覚書等についても何ら具体化されてないわけなんです。  もう一つ大阪国際空港周辺整備事業促進に関する要望書というものが五十一年度にそれぞれの関係地方自治体から出ているのですけれども、これに対しても、制度上の問題も含めて運輸省の取り組みは十分でないわけなんです。いままでしてきていることが何ら信頼のできる対応をしてないわけなんです。遅いけれどもいまからでも取り組むのだという、あるいはいまからでもそういう問題に当たるのだというお考えをお持ちですか。当たりますか、いかがですか。
  130. 石井一

    石井(一)政府委員 井上委員も地方自治体に非常に詳しい、これまでのベテランでございますから御理解いただけると思うのでございますが、われわれとしても十一市協というものを尊重しつつ、訴訟団の皆様方に対しましても話し合いを続け、いろいろの細かい問題を詰めて、それから御了解をいただいて、不穏な形もなくああいう形でテストも終え、いま現在評価をさしていただいておるということでございますから、われわれの誠意なり努力なり――地元協力、理解を無視してまでというのは、少し言葉が過ぎるのではないかなということを思います。私たちはそういう気持ちはございません。できるだけの理解を求めてきたつもりでございますが、運輸省に対する積年の一つの不信感というものはやはり今後も時間をかけて解決をしなければいかぬ問題だと思いますので、今後御指摘の問題、地元の御要望の問題などについては、こういうことを機会にさらに積極的に前向きに取り組みたいと思うわけでございます。
  131. 井上一成

    井上(一)委員 最後に、いま十分取り組んできた――私は十分取り組んでないからあえて言ったんですよ。ぼくは言葉は過ぎないのです。だから十分取り組んできたとおっしゃるなら、時間がないのですけれども、個々の問題について私に理解できるようにおっしゃってください。政務次官、いかがですか。関係地方自治体の意向を十分運輸省は取り入れたということがあるならば、具体的におっしゃってください。いま豊中の小学校の子供たちはどういうような作文を書いているか。運動場でたこ揚げもできないというんですよ。昼、学校から帰ったら何をするか。寝るんですよ。九時以降に勉強しなければならない。その環境が損なわれている。九時以降には飛行機は飛ばないのだという約束をしているじゃないか。九時以降に飛行機が飛ぶ。みんなうそなのかと、子供までが政治に対していわゆる不信感を持っているじゃないですか。こんなことをどう考えておるのですか、どういうふうに受けとめているのですか。もっともっと真剣に考えるべきだ。いかがですか。
  132. 石井一

    石井(一)政府委員 私はすべて運輸省がやってきたと申しておりません。率直に最初に認めましたように、なぜこれだけ不信感がつのったのかなというふうにも私自身考えました。若い政治家の一人として問題の本質を見きわめたつもりでございますが、それかといって、いま井上委員指摘になっておる基本的な問題は、エアバス導入をやめることによって解決できません。やはりもっと大きな問題があるわけでございまして、どうしたらいいか、これは本当にあなたもお困りになるし、私も困っておる問題ではなかろうかと思います。私が主張いたしておりますのは、少なくともわれわれのサイドで地元協力なり理解を得るために最大の努力をしたということを御報告申し上げておるとともに、これまで運輸省の至らなかった点は、こういうことをしおにひとつ積極的に取り組みたい、こう申し上げておるわけでございます。
  133. 井上一成

    井上(一)委員 本当はぼくはもっともっと論議をしたいわけなんです。時間がありませんのでもう終えますが、要は、エアバス導入がすべての問題解決でないということはよくわかるのです。欠陥空港としての大阪空港整備をしなければいけないということ、いろいろな問題があるわけですが、そんな中でエアバス導入をすることがさらに不信感をつのらせることにつながるということなんです。私はエアバス導入だけの問題をとらえて質問をしているのじゃないのです。だから物議を醸すから、あるいは不信感がつのるから、むしろ当初に御質問したように、またお答えをいただいたように、信頼を取り戻すことを最優先すべきだ。そういう意味から、信頼を取り戻すためにもエアバス導入はしばらく見合わすべきである。それが信頼を取り戻す一つの手段であると私は考え指摘をしているのです。これだけどうです。その信頼を取り戻すための努力をなさいますか、それとも信頼関係なんて関知しないのだというくらいのお考えエアバスの問題に取り組まれるのですか。イエスかノーで私の考えに対してごく簡単にお答えください。
  134. 石井一

    石井(一)政府委員 周辺対策等の住民の苦労に対しては十分真剣に反省するとともに、対処していきたいと思います。そしてエアバスが入ることによって少しはよくなった、こう言われる日を迎えたい、こう考えております。
  135. 井上一成

    井上(一)委員 私はもうこれで最後の質問だから、はぐらかさずに。  エアバス導入はいわゆる関係地元の自治体は言うに及ばず、関係住民に対して信頼感をなくすことに、より深くつながっていきますということを指摘しているわけです。それだから信頼関係を保つためにもあるいは信頼関係を取り戻すためにも、あらゆる角度から考えエアバス導入はしばらく見合わせる。技術的な問題もあるでしょうけれども、私はとりあえず住民との信頼関係を取り戻すためにそういうことを提案しているわけですよ。それに対してどうお考えですかということを聞いているんですよ。
  136. 石井一

    石井(一)政府委員 これは国会のこういう場でイエス、ノーで答えるのは非常に問題だと思います。私は、このことによって徐々に信頼関係を回復していきたい、そういう自信で臨みたいと思っております。
  137. 井上一成

    井上(一)委員 最後に私は、信頼関係を取り戻すためにもエアバス導入は見合わすべきであるということを強く提案して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  138. 島本虎三

    島本委員長 水田稔君。
  139. 水田稔

    ○水田委員 時間もありませんので、ごく簡単に質問したいと思うのですが、私ども大阪へ参りまして一番痛切に感じたのは、エアバス導入するしない以前の問題として、一体あれが人間の住むところか、それに対して国がどういうことをやってきたか、いわゆる周辺整備について十分なことがされてないということが一番住民の不満だ、こういうぐあいに受けとめて帰っておるわけです。  いま周辺整備機構をつくって整備をやっておるわけでありますが、十項目約束をされた、いわゆる覚書ですね、これに基づいてあの整備を全部するとしたら、事業費は総額で大体どのくらいかかるとお考えか、まず聞かしていただきたいと思うのです。
  140. 梶原清

    梶原説明員 お答えをいたします。  十項目にわたります覚書実施をいたします場合にどれだけの予算が必要だろうか、こういう御質問でございますが、私ども今後関係機関とよく協議をいたしまして、制度の面についての検討もするし、また、都市計画的な手法によりまして新しい町づくりをするというような面もございますので、現段階におきまして、どれだけの事業費がかかるかということを見積もることが非常に困難な事情にございます。ただ、緩衝緑地とかいうような事業につきましては大体どのくらいの見通しになるかというようなことはわかるわけでございますが、この覚書のたしか第三項目、第四項目等につきまして金額がはっきりいたしませんので、ここで明確にお答えできませんのは非常に恐縮でございます。
  141. 水田稔

    ○水田委員 総額もわからぬような事業を約束しても実際実行してもらえるという保証は地元にはないわけです。  もう一つは、それでは周辺全体の整備計画、これはできておるのですか。
  142. 梶原清

    梶原説明員 先ほど永田委員からの御質疑にお答えをいたしましたわけですが、従来の騒音防止法に基づく諸施策、これではなかなか周辺対策、特に激甚地における地域整備が進まないという実績といいましょうか、そういうものがはっきり出てきておるわけでございます。したがいまして、地方公共団体と一致協力をいたしまして新しい町づくり、そしてそれを円滑に推進していくためにはどのような制度面での検討をしたらいいのか等々をこれからやっていくわけでございまして、いま一番の重点といいますのはそういうところにあるわけでございまして、どちらかといえば開発手法的な面の検討、推進にかかっておる、こういうふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  143. 島本虎三

    島本委員長 水田君の前に。  飛行場部長、水田君の質問は、総額がわからない事業を約束しても実行できるのかという端的な質問なんですが、これはわかるのですか、わからないのですか、約束しても実行できるのですか、その点を答えてください。
  144. 梶原清

    梶原説明員 予算につきましては、もちろん単年度予算の勝負ということに相なろうと思うわけでございますが、とりあえずこの覚書の第三項、第四項、第五項といったところが一番問題になるわけでございまして、これにつきましては制度との関係もございまして、総事業費が現在のところはじけないわけでございます。今後制度面検討を踏まえて必要な事業量を毎年度要求して、全体として覚書が誠実に履行できるように努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  145. 水田稔

    ○水田委員 時間がありませんからこちらから意見を申し上げますが、整備計画を立てるのは、いわゆる大阪国際空港は国の管理だと思いますから、国と地方自治体でやらなければならぬ。しかし、それはそこでは現在全く計画を立ててないわけですね。計画が立ってない。事業費も、計算すれば恐らく天文学的数字になるのじゃないか、そういうことだろうと思うのです。年間二百億、三百億かけても、周辺住民が環境整備は誠意を持ってやってもらった、いわゆるこれなら人間が住めるという環境にはならぬというのが明らかなんでしょう、いまの時点で。私はそう理解するのですが、そのとおり理解してよろしいですか。
  146. 梶原清

    梶原説明員 周辺整備機構を設立いたします場合に、大阪国際空港周辺対策として必要な事業量として三千億とか四千億という、これは長期的な事業資金量でございますが、私どもこの覚書を調印することによりまして一番の重点になっておりますのは、激甚地区における町づくり地区計画の策定とそれの推進でございます。  先生御案内のとおり周辺整備計画につきましては、府県レベルでこれを策定をしていただきまして、運輸大臣の認可を受けるという仕組みになっております。周辺整備機構発足に当たりましては、抽象的な文言での策定ができておりますけれども、問題は、この激甚地区について具体的な町づくりをする。これは関係府県、市、運輸省等がよく相談をいたしまして町づくりをする。その都市計画的な計画に対しましてその制度面をどのようにするかということとの関係で所要事業量がかかってくるわけでございます。ちょっとここで所要事業量を申し上げるということが非常に至難でございます。民家防音工事その他の点につきましては一応の計算をしたものもございますので、またお答えをさしていただきたいと存じます。
  147. 水田稔

    ○水田委員 これはもう私の意見だけ申し上げておきますが、いま都道府県知事計画をつくる、こう言われたのですが、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の第九条の三の二項には「都道府県知事は、当該周辺整備空港の設置者と協議して、」――国際空港の設置者というのはこれは国でしょう。だから、そこが本気で約束をして、しかもその計画を積極的につくろうとしないで、あの地域住民の理解を得ようなんてできっこないわけですから、どういうぐあいにされるのか、もう端的に答えてください。整備がおくれておるのは国の責任ですから。
  148. 梶原清

    梶原説明員 航空機騒音対策を推進をしなければいけないのは運輸省でございます。具体的な地区計画を策定しますのは、関係地方公共団体が主体となっていただきまして地区計画を策定する。それで、それが先ほど申しました都道府県知事が策定されます周辺整備計画内容ともなるわけでございますが、関係者が寄って計画を円滑に推進する方策につきまして、制度面についても検討しようじゃないか、もし必要とあれば法律改正検討しようじゃないかということを第三項目覚書を調印させていただいておるわけでございます。
  149. 水田稔

    ○水田委員 環境庁の方へ伺います。  出された資料というのは膨大な資料ですが、私は現地でも申し上げましたが、たとえば年間の気象条件、空気密度とか風向、風速等、騒音大気汚染には大変影響があるわけです。先ほどいみじくも石井政務次官が、夏の方が地元住民は音が大きいのだと。空気密度が違うわけですから。私は、あのときに私どもが行って、14のランウエーを使ったテストをしていないじゃないか、こう言ったら、たまたま風がそう吹いて反対をやったのでありますけれども、あれだけのテストで年間の気象全体をとらまえた評価ができるのかできないのか。  あるいは、現地で測定点へ行ってみますと、現地の人は、普通はこの上を飛んで音をはかるのにこっちの方を飛んでいる、意識的に飛んでいるのじゃないか、そういう意見もあったわけです。しかし、飛行機というのは、あれだけの大きなものが離陸して、ちょっとした風で、あるいはちょっとした目測の誤りで五十メートル、百メートル振れるわけですね。そういう点から言ってあの測定点だけでいいのかどうか。  とにかく、全体を駆け足で、いいという結論が出るような十分なテストにはなっていないと私は思うのです。もしこの評価をやる中で、検討の結果環境庁として不十分ということなら、さらにテストフライトをやらせるというお考えがあるかどうかを聞きたいと思います。
  150. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問がございましたが、非常に膨大な資料でございまして、私ども、これを評価するというのはきわめて慎重を要するということでございますので、現在のところ何とも断定的な物の言い方をいたすわけにはまいりません。  非常に関心を持っておりますのは、航空局長さんが念書で、無視できない違いがあれば導入を見合わせるということがありますが、それに当たるものがじっと見てみてあるのかどうかということが一番大事なのではないかというぐあいに思っております。  そのほかの点につきましては、十分慎重に調べた上で判断をいたしたい、こういうように思っております。
  151. 水田稔

    ○水田委員 それじゃ、時間がありませんから、最後に環境問題について、飛行場の条件が十分できていないことを飛行方式でいろいろ制限をしていこう、こういうことをやっておられるわけです。世界の航空路を飛んでおる、パイロットの協会がありますが、これがことしもまた大阪国際空港というのはブラックスターというマークをつけている。そして大変厳しい条件をつけておるということもその中の理由になっておる。私も羽田の離着陸するところの近くに住んでおりますが、普通で言えばモノレールの西側を飛んではならぬ。飛ぶわけです。パイロットに聞いてみますと、定期操縦の資格を持った者でもあの中へ入らないで着陸するという大変危険な、いわゆるファイナルアプローチへ乗るまで旋回したまま着陸をするというようなこともやっておる。さらに二段着陸方式というのは、普通三度の降下バスへ乗ってくるのを六度から三度に下げる。これは羽田で東京湾に全日空か落ちたあの状態というのも――ジェット機というのは非常に沈みが大きい、しかも、いろいろな操作をしなければならぬ着陸寸前にそれを要求するということは大変危険だと思うのです。伊丹でも、離陸して旋回する角度というのは、普通、国際的にはバンクは十五度以内というのが安全とされておるけれども、厳しい条件の中でそれを守ろうとすると、どうしても三十度ぐらいのバンクで旋回しなければならぬというようなことなどもあるようです。環境問題ももちろん一番大事でありますけれども、同時にそのことのためにパイロットに過重なロードをかけて、事故が起こるということはこれまた大変なことだと思うのです。そういう懸念が大阪空港についてはあるのではないかという疑問を持つわけですが、航空局の方ではどのようにお考えでしょうか。
  152. 松本操

    松本(操)政府委員 先生御指摘のように、騒音防止のために航行の安全を阻害するようなことがもしあるといたしますれば、飛行場としてむしろ本末転倒のことであろうかと思います。  いま御指摘のございました大阪あるいは東京空港におきます騒音防止飛行方式というのがございます。これは、私どもほかの国のいろいろな空港についても十分に勉強をしておるつもりでございまして、それらに比べますれば私ども特にむずかしいことを要求しているというふうには思っておりません。例にお出しになりました大阪の離陸後左旋回の問題につきましても、私どもいろいろなテストフライト、あるいは実際に飛んでおるパイロットの意見、あるいはシミュレータ、こういうふうなものを使ってチェックをいたしたわけでございますが、V2プラス1〇というスピードで二十度のバンク角をとればきわめてスムーズに乗れる。ただ、上空の横風が非常に強い場合に三十度近くバンク角をとらなければならない場合があるという話は承知しておりますが、その場合でも失速速度の二割増し程度のところで抑えられる、というふうに承知をしております。したがって、騒音防止飛行方式というのは、いろいろな空港がいろいろな方式を決めておりますけれども、それを決めるときには、まさに先生おっしゃいましたように、航行の安全を阻害しないということを大前提に踏まえて、かつ、騒音に対する影響を抑えるという組み合わせの一番いいところを選ぶという考え方でやってまいったっもりでございますが、今後ともその御趣旨を体して、そのような方向で検討していきたいと思っております。
  153. 水田稔

    ○水田委員 時間がありませんのでやめます。
  154. 島本虎三

    島本委員長 水田君の質問はこれで終わりましたが、速記を暫時とめてください。     〔速記中止〕
  155. 島本虎三

    島本委員長 速記を起こしてください。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後零時五十九分開議
  156. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  なお、この際、環境庁長官石原慎太郎君が少し体の容体が急に悪くなったので出席できませんので、その点を考慮の上、質疑を続行願いたいと思います。  近江巳記夫君。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 石原長官を要求いたしておりましたが、体の問題でございますので、人道上の問題でございますからやむを得ないと思います。  質疑に入りたいと思います。  昨日運輸省エアバステストにつきましての影響について報告書を出しております。予測値とほぼ合致するのではないか、こういう見解をお出しのようでございます。環境庁の方で十分な検討をなさるのではないか、このように期待をいたしておるわけでございますが、午前中の質疑を通じましても、長官騒音と振動、こういう問題が非常に大きな問題であるという御答弁をされておりました。住民の皆さん方のいろいろな御意見聞いておりますとやはり威圧感さらに振動、こういう点を非常に問題にしておられたようでございます。振動の問題につきましても、ある人はかさを持ってそのいわゆる振動で測定をするというような方法もお考えになったようでございます。  そこで、環境庁としてはいろいろ検討されるわけでございますが、振動の問題につきましていろいろ家屋等の計測もなさっておられるようでございますが、この振動という問題については周波数の低いもので影響を受けるわけでございますが、これは機種ごとにどんな周波数が出ておるのですか。これは運輸省つかんでおりますか。
  158. 松本操

    松本(操)政府委員 お答えいたします。  振動測定を行いました場所におきまして、ナグラの高性能の録音機を使いまして全バンドについて録音してございます。これを目下バンドバスフィルターをかけまして、先生おっしゃるように低周波の方が効いてまいりますので、それの解析をいたしておりまして、本日われわれの手元にその結果が届くはずでございます。ただ、テストフライトはそういうことでございますが、それ以外の例は十三項目の方に書いてあるとおりでございます。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 この低周波の場合、いわゆる各機種ごとのきちっとしたデータありますか。これはまだ研究段階でしょう。
  160. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、今回のテストについてはいま分析中でございます。しかし、一般的にそれぞれどうなるかという点については、すでに十三項目の中にも実測値を示してございますように、機種別に低周波、高周波、大体千ヘルツあたりあるいは五百ヘルツあたりのところで切ってどうなるかというデータは持っておる次第でございます。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 環境庁はどういう見解をお持ちですか。
  162. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま運輸省の方が、きのう求められました資料に基づいていまの御意見をおっしゃっておられるところでございますが、私どもとしまして、は、やはりこの測定のデータの表だけを見て判断できるというものではございませんで、やはり測定したところは小林理研といって騒音、振動では日本で最も評価の高い専門家の機関でございますから、そこがいろいろ測定したときの条件、そういうものもちやんと整理した報告ができるのだろうと思うのです。そういうものも全部ながめてみて、最終的に判断をいたしたいということで、いまの断階では判断を保留いたしたいと思います。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、久代小学校と豊南小学校のWECPNL値の計算を出しておられるわけですが、途中経過が出ていないのですね。多分に専門的な問題に入ろうかと思うのですけれども、こういう点は環境庁としては十分補足をしてチェックする必要があるのではないですか。運輸省はきちっとした計算方式に基づいてこれは出しておるのですか。両省、答弁聞かしてください。
  164. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 運輸省として一応計算をされておるようでございますが、細かい前提条件が入っておりますので、これは環境庁としては、運輸省からいろいろはじいた前提条件等を聞いた上で判断をしなければならぬ、こういうように思っております。
  165. 松本操

    松本(操)政府委員 報告の中に載せております計算は、十三項目のときに行いましたものと全く同じ手法を使って計算したものでございます。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 前提条件等よく踏まえて、環境庁は十分なひとつ検討をされるよう望んでおきます。  それから、騒音等の問題につきましても非常にばらつきが出ておるわけですね。このテストフライトしたときの条件を同一にそろえるとか、もう少し配慮があってしかるべきじゃなかったか、このように思うのですが、この騒音運輸省の報告の点につきまして、環境庁はどういうようにごらんになっておりますか、そういうやり方等について。
  167. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 調査計画として測定点を設け、どのような測定器械を使って測定をされたかということについては、それは正しいというように思っておりますが、そのときの全体のフライトの条件とかいろいろそういう議論がまた地元で出ることだろうと思います。そういうところは後でまたデータの数字を見せられるというだけではなしに、そういうものもよく頭に置きたいと思いますし、また、数字の分布が一体どうなっておるのかということもよくながめて、それから本来の予測の方で考えられる誤差との比較ということもしてみなければなりませんので、そういうデータをあわせた上で判断をしたい、こういうふうに思っております。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは非常に綿密なチェックをしなければいかぬと思うのですよ。いま橋本さんおっしゃったように、ただ数字の上だけで見ていきますとこれはもう非常に簡単なことになってしまいますし、これはひとつ十分な検討をなさるということでございますから、専門的にひとつ十分なチェックをしていただきたいと思うのです。またさらに、気象条件によって相当変わってきますね。風速、風向等の問題等もありますし、そうしたいろいろな条件等よくあわせてやっていただきたいと思うのです。  それから、排ガス等の問題につきましては、これは一時間値等でやっておられるわけでございますが、環境庁の方としては年平均値を出しておりますね。そうすると、そういう点からこれは一時間値等から推計が実際できるのですか、どうなんですか。
  169. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 十三項目の最初の予測では一年間の平均を使っております。これはどういうことかと申しますと、一時間値のNQxの非常に局地的な条件のある予測というのは、まだ余り経験を積んでおりませんで、確かにモデルでやられるということはございますが、一部やったものも環境庁資料として出しておりますが、まだ余り経験も積んでいない、しかも問題もある可能性もあるということで、データだけを出しましてやっております。そういうことで、一時間値の問題についてはむしろ実測によって確かめるということがきわめて必要な条件だというぐあいに考えておりまして、エアバス導入に絡んで非常に重視するのは、やはり一時間値として局地でどのようなストレートの影響があるのかというのが一番基本であろうというぐあいに考えておるわけであります。年平均の方はこれはシミュレーションの方でございまして、この点は御理解をお願いいたしたいのですが、実際に分析器械で測定できる程度というものとシミュレーションをして〇・〇〇何がしと出てくる数字と二つございますが、シミュレーションの方で〇・〇〇何がしという数字は実は測定をした段階ではそれは分離できません。しかし、どの程度の貢献があるかということにつきましては、飛行機はこれだけ、固定発生源はこれだけ、自動車はどれだけという予測で三部重合させて全体の判断をするためにきわめて必要でございますので、一年間の予測値がいままでの経験から見ても一番実情に耐えるものが出てくるという確信があったもので、そちらの方でやっておりますがアセスメントの実際の実測として一年を確かめるということはまず不可能である。そういうことで一時間値に重点を置いて評価を行いたい。そこで今回の実測で一時間値の条件あるいは瞬間値の濃度が、かなりいろいろな条件のものが測られておるということを私ども関心を持って調べておるわけであります。
  170. 近江巳記夫

    ○近江委員 その場合も気象状況というものも非常に大きく影響しますね。そういう点からやはり一つ一つのポイント、また数字を、そうした状況と合わしてチェックしていかないと、ただ数字の上っ面だけ見ておりますと分析なんてできませんね。これは慎重にやりますか。
  171. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のございましたように、特に大気の方は気象条件ということも非常に関係してまいります。幸か不幸かテストフライトの行われたときというのは非常に大気汚染を発生させやすいような気象条件で、相当悪い条件がとれたというように私どもは見ております。また夏のシーズンでなければ出てこないような風があのときにわりあい入っているということもございますので、悪い条件のときにどうなるかということはかなり評価をできるのではないか。そういう気象条件の方から見ますことと、それから測定方法で、ケミルミネッセンスの方法とザルツマンの方法と両方使っております。瞬間値の方はケミルミネッセンスの方が出てまいりますが、一時間値あるいは一日平均値の方はザルツマンの方が出てきまして、これは現在、実際常時観測に使っている方式でございます。その中でNOとNO2との比がどうなっているかとか、そのときの風向条件あるいはそのときのガスの来方の条件がどうなっておるかということを非常に細かく合わせて解析をしてみた上で初めて判断がつくということでございますので、グラフにカーブを書いただけでやられるというものではないというように思っております。
  172. 近江巳記夫

    ○近江委員 この排ガス一つ見ましても、実際の分析というのは大変な時間がかかるし、慎重にやらなければならぬということがいまの局長の答弁でもうかがわれるわけであります。  それから悪臭の問題につきましては、アセトアルデヒドが一番のポイントになろうかと思うのです。これは川崎の環境衛生センターですか、ここで主としてやっておるようでございますが、これは技術的にそれだけの高いものなんですか。環境庁はどのように判断しておるのですか。
  173. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 悪臭の評価につきましては、御承知のように悪臭防止法というのがございまして四十七年以来やっておりますが、悪臭の問題につきまして日本で一番古い実績と実際の技術的な高度の経験を持っておるものは川崎の環境衛生センターでございます。そこで分析のサイドの方と官能的なテストの方と両方あわせていろいろ評価が実測によってやられておるということは、非常に価値のあるものではないかと思っておりますが、データそのものとしましては、後でまたよく判定してからにいたしたいと思います。  なおこの方式は、悪臭防止法のいろいろな基準を決める際に専門委員会でいろいろ検討された方式を使われておりますので、方式としては正しいものであると思っております。
  174. 近江巳記夫

    ○近江委員 ブラストにつきましては、技術的にどうですか。
  175. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 ブラストの問題は、私はまだちょっとしか見たことがございません。レポートをさっと見ただけでございますからまだ何とも申せませんが、あの問題は、勝部とかすぐそばの住民にとっては最も関心の高いセンシティブなものであると思います。そういうことでむしろ現在の段階では、私は評価的なことは一切申せませんので、よく条件を調べてみてから判断をいたしたい、そういうように思います。
  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 各項目について環境庁が今後取っ組んでいかれる中身について、私は大体どういう考えでおられるかということをお聞きしたわけです。こうした精密な分析、チェックという点になってまいりますと、これはもう相当な時間がかかりますね。先ほどのそういう状態からいきますと、早くなんかできるわけがありませんね。大体期間としては環境庁のそうしたチェックというのは、完全にやるためにはどのぐらいの長期間かかる予想ですか。
  177. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 私どもは、常日ごろよくこのような調査をあちこちの場所でやって取りまとめて、そしてそれを公表するということをやっておりますが、これは相当な時間を食うのが事実でございます。データだけをさっと出すということはできないことではございませんが、私は技術者でございますから、技術の観点からはきわめて注意深くやるということが必要だと思っております。どれぐらいの時間でできるかということにつきましては、これはやはり長い時間をかければかけるほどいいというものでもないと思いますし、運輸省さんもいろいろ早くしたいと思っておられることでしょうが、環境庁としては正確を期して慎重な判断をして、そして余り時間をむだ使いしないでやっていきたいと思っておりますが、まだいつまでにできるというところまではいま申しかねるということでございます。  それからもう一点は、自治体の方もいろいろ調査をやっておりますし、データもあわせて整理をしている節もありますが、伺いますと、今月の末に地方自治体の方にもこのデータを渡して説明をされるということでございます。一つの同じデータをいろいろな別々の人に見せますと、実は相当いろいろな違う見解が出てくることがございます。私どもは私どもなりに検討いたします。運輸省さんは運輸省さんで、もういま一応の検討を終えられたところと思いますが、自治体の方々もまたそれを見るといろいろな議論をされるのだろうと思います。     〔委員長退席、水田委員長代理着席〕 それらを全部ながめた上で判断を下すというのが一番適切ではないか、こういうように思っております。
  178. 近江巳記夫

    ○近江委員 どのぐらいの検討の期間が必要かということはなかなか答えにくい問題であろうかと思いますが、橋本さんも技術者として、しかしここ十日や半月で分析ができる、そんなことはとうていあり得ないことでしょう。その点はいかがですか。
  179. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 これはいままでの経験からですと、これを二週間でまとめて間違いなく評価をしろと言われますと、私は非常なためらいを感じて、危ない、こういうように申します。
  180. 近江巳記夫

    ○近江委員 技術的には二週間ぐらいであればとうていできないという答弁があったわけでございます。航空局としてはできれば連休に乗り入れたいというようなお話もあったようでございますが、環境庁のそうしたチェックを経なければ、そうした御答弁がございましたし、これは不可能であるということが技術的な面から明らかになったわけです。いずれにしましても、地元住民としましては慎重にこれはやってもらいたいということが皆の意見でございます。環境庁住民は非常に頼りにしておるわけでございますので、ひとつどうか住民の立場に立った徹底した調査分析というものをやっていただきたい。これは特に要望いたしておきたいと思います。  それから、あのときにテストフライトに入る前に覚書が交わされたわけでございますが、いまテストフライトが一応予定どおり済んだわけでございます。あの覚書を交わされた時点から運輸省整備機構、関係自治体等でこの覚書実行のためのすり合わせといいますか、そういう場を設けていままで検討されてこられましたか。
  181. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在までの段階では、私どもの内部でいろいろ対応策を検討いたしておりまして、関係者が寄ってすり合わせをするというところまでに至っておりません。
  182. 近江巳記夫

    ○近江委員 この地元としましては、運輸行政というものにつきましては非常に大きな不信感をもっておったわけです。そういう点では、この覚書というものが出まして、ぜひ進めてほしい。それで、確かに内部で検討されるのは私は必要であり当然だと思いますが、やはり素早くこの覚書について、自治体の御意見はどうか、また整備機構はどういう要望を持っておるのかというようなことをやっていく、そういうことでやはり住民の信頼というものに対して、実行についてこういうように前向きに早くやっているなということがわかってもらえるわけですね。その点はただ内部だけでこちょこちょやっておった、こういう姿勢については少し後退じゃないか、もっとやはり力を合わせて、そういう姿勢があってもよかったのじゃないか、このように思います。ですから速やかに、そういう基本的な実施のための計画を立てるにつきましても、やはり関係自治体なりあらゆるところの意見を聞いて土台をつくっていくことが大事だと思うのです。だから、それを早急にそういう方向に持っていってもらいたいと思うのです。いかがですか。
  183. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 早速そういう行動を起こしたいと思います。
  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから整備機構の問題につきまして、いままでの実績等を私はちょっとまとめてみたわけでございますが、その表を見ますと非常に驚くべきことは、余りにも進捗がなされておらぬわけですね。いまお手元に表をお配りしておるわけですが、こういうことがありますからああいう覚書というものが出たと思うのです。たとえば周辺市街の再開発事業につきましては、ここにも一覧表で出しておりますが、取得用地面積については一六%、移転戸数については七・七%というように、もう時間ありませんから私は説明はしませんけれども、この表を見ていただいたらおわかりのとおりです。こういうようなことですから、これは幾ら整備機構をつくってどうだこうだと言っても住民は不信感で充満しておるわけですよ。こういう一目瞭然の表を私はつくったわけですけれども、なぜこんなにおくれたのですか。ちょっとその問題点を、時間ありませんから、整備機構の理事長、あなた一遍お答えください。
  185. 小田文三

    小田参考人 整備機構といたしましては、機構設立以来住民の要望に沿うべく極力、役職員一体となってやってきたわけでございますけれども移転補償あるいは民防といったことにつきましては、ほぼ予算も消化し、環境基準達成の目標に向かって確実に進みっつあるわけでございますけれども、いま先生御指摘固有事業につきましては、はなはだ遺憾でございますけれども、これは機構発足以来御承知のように経済情勢の変化に出会いまして、以降、地価が鎮静化して本来の固有事業の目的でございます先行取得によるメリットというものがなくなりまして、固有事業の推進上非常に困難な状態になっております。  再開発の事業につきましては、周辺整備計画というものを御案内のとおり関係府県知事の作成するところの周辺整備計画に従って行う、こういうたてまえになっておりますが、現在両府県において、整備計画につきましてはできましたけれども、なお抽象的でございますので、この具体案について鋭意作成していただいている過程でございまして、そういったことから、具体的な土地利用計画あるいは町づくりといったような構想も周辺整備計画の具体化の前提がございませんと容易にそこら辺がやりがたいという状況でございまして、現在これにつきましても府県、市及び住民の方々の御意見を十分聞いて努力いたしておる最中でございます。  共同住宅につきましては、何分、低家賃ということの原則がなければ事業はなかなかはかどりませんので、これにつきましては本年度四五%の無利子率をいただきましたが、この上に立ちまして取得用地の廉価の入手に努め、それから土地の高度利用化といったことを進めてこれが促進を図りたいと思っております。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かに整備事業もいろいろなところから出向されて、非常に呼吸の問題からいろいろなそういう基本的な問題を抱えていることは私もよく承知しておりますが、確かに経済情勢の変化であるとかいろいろなことはそれはわかりますけれども、余りにもこうした事業を計画しておりながら遅々として進んでおらない。これはやはり政府自身がもっと本腰を入れて推進しない、こういう基本的なところに問題があると思うのです。この点につきまして政務次官は、いま私が出しました表をごらんになったと思いますが、どういう反省をされ、今後どういうようになさっていこうとなさっているか。ひとつ決意をお伺いしたいと思うのです。
  187. 石井一

    石井(一)政府委員 私も現地へ行ってみまして、皆さんと話をいたしまして、御指摘はごもっともだと思います。もちろん整備機構側にしましても運輸当局にいたしましても言い分はあるだろうと思うのでございますが、これは強制執行ができるような性格のものでもございませんし、また予算の枠もあり、またいろいろと出向しておるというふうなこと等もございますが、私はいたく現地の皆さんの、この遅々とした周辺整備に対する不満というものを理解いたしました。  当面、要するに防音工事の促進、それから緩衝緑地帯を設置するというふうな問題、それから移転補償のかさ上げと申しますか、こういうふうな問題が特に切実であろうと思いますので、先生御承知のように今回両府県の知事、副知事も参画いたしまして、この問題に関しまして覚書をいたしましたので、それだけやはり私は新しい第二段階に入ったと思うのでございます。  もうすでに三年もできておる周辺機構でございますから、実際に名実ともにその地元住民の皆さんの役に立つように真剣に取り組んでいきたいと思いますし、いまこれをさっと見させていただいたのでございますが、私が周囲で聞きました声もほとんどこれに網羅されておる。非常に率直に問題点を提起されておるということに非常に感銘を覚えた次第でございます。
  188. 近江巳記夫

    ○近江委員 昭和四十九年度から昭和五十一年度までの機構の固有事業は、私の調査では四〇%しか実施されていないんです。予算ベースで見ますと百七十一億五百万円もの執行残額があるわけです。これは、この原因と責任というのはどこにあるのですか。たとえば固有事業に対する国庫補助の単価が低いのではないかとか、根本的には空港周辺整備計画の策定が具体的に明確にできてないからじゃないかとか、あるいは地方自治体の協力体制等について政府としてはどういう協力をいままで与えたとか、いろいろな基本的な問題が出てくるのじゃないか、このように思うわけですが、なぜこんな膨大なこういう残額を残すのですか。これはひとつ航空局長でもいいし、飛行場部長でもいいし、だれかわかっている人が答えてください。
  189. 梶原清

    梶原説明員 周辺整備機構におきます事業の中で、国からの委託を受けております事業は、順調に進展をいたしておりますけれども固有事業の部分が先生御指摘のような遺憾な状態にあるわけでございます。これにつきましては、先ほど先生御指摘のありましたように、関係地方公共団体と私どもが一致協力しての地区計画の策定なり、それの推進という点に不十分な点もあったわけでございます。今回、先ほど来出ております覚書を調印いたしまして、関係府県、関係市、運輸省周辺整備機構が一致協力いたしまして、周辺整備、特に地域整備の問題について抜本的に推進をしていかなければいけない、こういう段階にきておるわけでございます。従来の周辺整備機構固有事業の取り組み方では不十分であるということが、過去三年間の実績で明るみに出てまいっておりますので、覚書を調印しました趣旨を十二分に体して、まず第一番に関係地方公共団体等と相談をいたしまして、地区計画の策定、それの推進に努力することによって事業の進展を見たい、かように考えておる次第でございます。
  190. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは確かにむずかしい問題があったこともわかるわけでありますが、何といっても政府の取り組みというものが真剣でなかったということは言えると思います。     〔水田委員長代理退席、委員長着席〕 今後はひとつ心を入れかえてやっていただきたい、このように思います。どこが悪いとかあそこが悪いという問題じゃないのですよ。一番悪いのはやはり政府ですから、それは特に要望しておきます。  それから、先ほどもちょっと出ましたけれども、パイロット連盟からはいわゆるブラックスターがつけられておるわけです。この問題につきましては、たとえば猪名川にかかっておりますB滑走路には誘導灯はないわけですね、A滑走路にはありますけれども。あれは風向きによって向こうから着陸もするわけですね。これなどは建設省と話し合って、河川に設置するわけですから――事安全に関する問題ですよ。大型機乗り入れ云々のそんな問題以前の問題であって、空港自体が安全性という点においてこれだけの重大な欠陥を持っておるわけでしょう。そういうアプローチランプというものにつきまして、これはB滑走路の延長上に当然早急に設置すべきだと私は思うのです。また、雨の日等は非常にスリップをする。これなんか、ゴムの付着等については飛行機が飛ばない夜中にやれば何でもないことですよ。いま定期的には年二回でしょう。なぜそういう指摘がされるまでにもつとゴムの付着等についての除去をやらないのですか。あるいはまた、かさ上げをするときにグルービング、いわゆる刻みをつけるとか、当然できることをやらない。重大事故が発生するのじゃないかと、そういう安全性に対しても住民は非常に心配しているわけですよ。また、滑走路と誘導路とが余りにも短過ぎる。接触事故があるのじゃないか。これは空港のエリアの問題からむずかしい問題もあろうかと思いますが、しかし、この点については、その不安を取り除くどういう対策をとっておるのか。先ほど松本次長の話では、ほかの国に比べて何もそう心配することはないというような御答弁があったのですが、私はいま具体的に何点か挙げたのですが、こういうことはできることでしょう。そういうことをなぜ先にやらないのですか。航空局長、いかがですか。
  191. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大阪空港につきまして、いま御指摘のございましたような事実のあることは、そのとおりでございます。私どもはその事実の上に立ちながら、現段階では航空機の安全確保という点から大丈夫ということで運営をいたしておるわけでございますけれども、しかし、航空機の安全問題というものは念には念を入れてやるにこしたことはございません。周辺住民の不安を除くためにも、いま御指摘の点につきまして私ども一々点検いたしまして、改善すべきものがありますれば速やかに改善する努力をいたしたいと思います。
  192. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長の答弁は全体にかかっておる答弁なんですね。やるべきことは速やかにやる。ですから、私は素直に受け取りたいと思いますが、そうしますと、B滑走路のあそこの誘導灯、あるいはゴムの付着のスリップするという問題、これを刻みをつけるとか、あるいは年二回のゴムの付着除去ではなくして何回もやるというような問題とか、それはやられるのですね。
  193. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 滑走路のゴムの付着をきれいにする話ですとか、あるいはかさ上げ、グルービング等のことは私どもの手のうちでできることでございます。速やかにやる努力をいたしたいと思います。  誘導灯の問題は、御指摘のように河川管理者との関係もございますので、その辺と話し合いがつきますかどうか、これから折衝しなければなりませんが、安全第一という方向で、必要であるならばそういうふうにいたしたいと思っております。
  194. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは早急にやっていただくように要望をいたしておきます。  それから、あと岡本委員質問しますので、もうすぐ終わりたいと思いますが、先ほど同僚の井上委員の方からも、環境庁長官もぜひ現地体験をせよという話があったわけですけれども、私もこれを申し上げようと思っておったのです。そこで、行きたいという意思の表明はあったわけですが、いま大型機乗り入れの問題がここまで白熱化してきておるのです。したがいまして、いま橋本局長が、運輸省から出してきたそれを慎重に検討したい、相当な日数がかかるということをおっしゃっておるわけですから、それを検討なさっておられる間に、ぜひ石原長官の現地体験をしていただきたい。それは事務局の方でいろいろ日程等も編成されるわけですし、もちろん長官意向もあろうかと思いますが、きょうは長官は残念ながら病気で欠席ということになったものですから、局長がかわって、事務局としてはそういう進め方をひとつしていただきたいということを要望したいと思いますので、あなたのお考えをお聞きしたいと思うのです。いかがですか。
  195. 島本虎三

    島本委員長 近江委員に申し上げますが、長官があのような状態でありますので、政務次官を急遽呼んでいるのであります。いま途中のようでありまして、まだ到着しておらないのは私も残念なんでございますが、その意味で橋本大気保全局長から答弁を求めます。
  196. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま近江先生から御要望のございました件、正確に長官に伝えまして、先生の御要望にできるだけ沿えるようにいたしたいと思います。
  197. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま局長がそういうように答弁されたものですから、事務局の方として検討なさっておられる間に、早い機会にひとつ現地体験をしていただきたい。これを強く要望いたしておきます。  では、岡本委員に譲りたいと思います。
  198. 島本虎三

    島本委員長 岡本富夫君。
  199. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、ちょっと具体的な問題をお聞きしたいのです。まず、環境庁大気保全局長、これは長官に聞こうと思ったのですが、今回のテストフライトの結果、自信を持ってエアバス導入を許可できるのかどうか。これをひとつ簡単にそのものずばり答えてください。
  200. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 これにつきましては、先ほど何度もお答えいたしましたように、非常に慎重にデータを判断した上で環境庁としての最終的な判断を示したいということであります。ただ、環境庁自身は許可するとかしないとか言う立場にございませんが、局長念書で入れておられますように、無視できない違いがあれば導入を見合わせるという重大な決意を示しておられますので、それに対しましては環境庁として明らかな判断を示す責任があるというように思っております。
  201. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、運輸省航空局長にお聞きしますけれども、行政実務について、たとえばテレビの受信障害の対策、あるいは共同利用施設の対策、あるいは学校防音施設の対策、あるいは航空機燃料の譲与税の分配の問題、これらについては行政実務上の問題ですね。それから、これについてWECPNLは何ぼだったのか、ちょっと詳しく言ってください。これはだれが言いますか。――こっちから言います、時間がないから。それで間違ってないかどうか。テレビの受信料、四分の一の助成については七十五以上、それから二分の一は八十以上、共同利用施設が七十以上、学校防音施設か七十以上。航空機燃料譲与税の分配については七十五以上、こういうように私の方では考えているのですが、どうですか、間違いありませんか。
  202. 梶原清

    梶原説明員 先生のいまおっしゃったとおりでございます。
  203. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは行政実務上でやるわけですね。いかがですか。
  204. 梶原清

    梶原説明員 民家防音実施いたしております第一種区域がおおむねWECPNL八十五以上というのは、航空機騒音防止法の体系の中でございます。あとは行政措置でございます。
  205. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、私が前に指摘しましたエアバス導入についてのテストフライトを早くやりたいという考えの中から、五十二年の三月五日、大気保全局長から航空局長に対して、エアバス導入について空港周辺対策の事業について、「地元との共同調査から得た実測値との照合等により実態に即したコンターを作成」――騒音コンターですね、これを要求されておるわけです。それに対して、五十二年の四月七日、航空局長から大気保全局長に対して、「関係地方公共団体とも充分調整した上、所要の修正を実施し、行政実務上の問題を生じないよう措置した。」こういう回答か出ておりますね。航空局長、いかがですか。
  206. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 環境庁とのやりとりはそのとおりでございます。
  207. 岡本富夫

    ○岡本委員 確かにあなたの方では、行政実務上問題を生じないよう騒音コンターをきちんと措置なさった結果、こういうように大気保全局長に対して御返事をなさったのですか。いかがですか。
  208. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この大気保全局長あての回答に書いておりますとおり、十分調整をいたしまして所要の修正を実施いたしまして措置をしたわけでございます。
  209. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたの方のこの調整は全部されてないでしょう。たとえば十一市協の中に入っておりますところの尼崎市の地域ですね、市のコンターとそれから運輸省のコンターとの相違がまだあるじゃありませんか。いかがですか。
  210. 松本操

    松本(操)政府委員 局長お答えを補足するような形でお答え申し上げたいと思いますが、コンター自身につきましては、先生おっしゃいますように多少議論があったことは事実でございます。これは予測技術というものが現在必ずしも完全には確立されておりません。したがって、コンターそのもので議論いたしました場合に多少議論の余地があったことは事実でございますが、先ほど局長お答え申し上げましたのは、環境庁とのやりとりにおきまして一種、二種、三種の線引きの告示を出しております。これにつきましては、環境庁の御指摘のとおり、そういったコンターでありますとかあるいはその後行いました実測値でありますとかいう点を踏まえ、関係市及び関係府県と十分相談をいたしまして微調整という形で周辺部分の手直しをいたしました、こういう趣旨でございます。
  211. 岡本富夫

    ○岡本委員 ぼくは、たしか四十七年予算委員会におきまして、当時新谷さんが運輸大臣でしたが、そのときに、この騒音コンターについて運輸省と十一市協、要するに各市との相違が非常に大きい、だからこの修正をやるように、こういうように要望いたしまして、これはきちんといたしますという回答をとっておる。ところが、いまその同じ要望が環境庁の大気保全局長から航空局長に対して出ているわけです。それに対してあなたの方では、「充分調整した上、所要の修正を実施し行政実務上の問題を生じないよう措置した。」こういう答えはしたがって間違いなんです。なぜかならば、先ほど申しました、まことに毎日毎日騒音で苦しんでおる人たちに対してのわずかな対策として、テレビの受信料の減免だとか、あるいは共同利用施設、あるいは学校防音、こういう問題に対して、市で絶えずやっている実測値と違うじゃありませんか。したがって、今度あなたの方でやったのは本当のわずかな微調整をちょっとやっただけであって、実際の実測に合わせたところの、「地方公共団体とも充分調整した上、所要の修正を実施し、行政実務上の問題を生じないよう措置した。」というのは、これはうそじゃありませんか。環境庁はいかがですか。これを見て、そのとおりだと思いますか。
  212. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 運輸省航空局長名で責任のある回答をいただいたものとして環境庁としては信頼をしておるということでございます。
  213. 岡本富夫

    ○岡本委員 責任あるこういう公文書で出されておりますけれども、十一市協あるいは各市の実態の調査をいままでやったのをよく見ましたら、合ってないわけですよ。したがって、この点は、政務次官、あなたどう考えられますか。せっかく航空局長から出しておるわけです。これに基づいて今度は運輸大臣から国際空港騒音対策協議会、要するに十一市協の会長代理に対していろいろまた対策を答えているわけです。要するに騒音コンターが合っていない。この点いかがですか。
  214. 松本操

    松本(操)政府委員 どうも私の御説明が不行き届きで先生の方に大変混乱を与えたとしたら大変申しわけないのでございますけれども環境庁の方から御指摘をいただきましたのは、コンターをつくるつくり方について、もっとちゃんとまじめに勉強してやりなさいということ、その点につきましては、私どもの方の局長からいたしました答えの中にも、コンターについては、今後予測精度の向上について十分研究をいたします、こう答えてございます。その次に、騒音防止法に基づく線引きの部分につきましては、去る四月二日、かくかくしかじかのやり方で支障のないようにいたしました、こういう御返事をしておるわけで、コンターそのものについてではございませんで、騒音防止法による一種、二種、三種の線引きについて調整をした、したがって、たとえばテレビの受信についてどうするのかというふうな点については、これは基準も違っておりますので、したがって、先生御指摘のように、尼崎市との間にいろいろと議論が現在でもあることは十分私どもは承知をしておるわけでございます。  したがって、先生御指摘の、環境庁に対する答えは真実から離れているではないか、こういうことでございますが、環境庁に対する答えは中身が二つに分かれておりまして、コンターの精度向上についてはこれは十分措置をいたします、ただ、騒防法に基づく一種、二種、三種の線引きの部分につきましては、去る四月二日、地元関係自治体の意見も聞いて微調整をいたし、その点について、これは民家防音工事の方でございますが、民防の部分につきましては、意見を十分伺って同意を得て告示を出したわけでございますので、そのような返事のしぶりになっている、こういうことでございますので、御了承いただきたいと思います。
  215. 石井一

    石井(一)政府委員 この問題は、岡本委員のみならず、各方面からも強い不満なり希望が出ております。私もたびたび拝見をいたしてまいりました。運輸当局としては、いろいろと説明もあろうかと思いますが、この時点で新しい問題になっておるわけでございますから、もう一度尼崎のその具体的な地点等について十分再検討させまして善処したいと思います。
  216. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、この問題ば大変大事だと思うのです。次長の方はいろんなことを言っておりますけれども、「行政実務上の問題を生じないよう措置した。」こうでしょう。ところが、テレビの受信料の問題あるいは共同利用施設の問題、学校防音工事の問題あるいはまた燃料譲与税の分配の問題、こういうものは、先ほど答弁あったように行政実務上の問題なんです。それが生じないように措置したというこの答えが出ているわけですね。これでは間違いであるということを私は言っているわけです。いま政務次官の方から、早急にこれはもう一度地方自治体と詰めて、そして行政実務上の問題を生じないように措置するというのだから、これは了としましよう。  時間がありませんから、次に逆コースの場合。これは五、六、七あるいは九月、こういう夏季の場合には逆コースになるわけですね。これは14と言うらしいのですが、この調査が一回しか行われていない。これもやかましゅう言われまして一回しか行われていない。この調査もきちっとしなければならない。これについてのお答え。それから、次は共同利用施設の土地の負担ですね。これが地方自治体では非常に困る、したがってこれをどういうようにするか。それから次は、テレビの減免措置をしておるところの助成についても、この線引きももう一度考え直さなければならない。たとえば尼崎の武庫川流域のところを国鉄の東海道線で切っておる。これは四十三号線まで同じような被害を受けておるのにそのままになっている、こういう問題。この三点、これは運輸省の方からお答えいただく。  それから環境庁からは、NOxの総量規制、こわに対して航空機の排気ガスも入れるのかどうか。それについては常時監視をするところの測定器、これは運輸省でひとつ――いま勝部のところで一つしかありませんから、少なくとも三ヵ所から五ヵ所くらいはっくらなければならない。  最後に、その総量規制の中に入らない場合、それよりオーバーする場合、このときは運輸省としては減便をするのかどうか。  これだけをひとつ問題を整理してお答えを願いたいと思います。
  217. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 窒素酸化物の総量規制の問題でございますが、これは私ども、現在の計画では五十三年度に地域の総量規制に着手をしたいということで鋭意準備を進めておる最中でございます。  現在の法体系のもとにおきましては、総量規制が入るのは工場だけでございますが、NOxの汚染を起こしておりますのは工場と自動車と航空機、この三つがあるわけでございます。そういうことで、法的には工場だけしかできないということでございますが、自動車の方は飛行機よりもはるかに厳しい排出規制というのがかかっておりまして、それで今度は飛行機の方はそれではどうするかということになりますが、飛行機をどういうぐあいに扱うかということにつきまして、今回のこの十三項目の中での窒素酸化物につきましての予測値というのは非常に参考になったというふうに思っております。  そういうことで、大気保全局長から運輸省航空局長あての文書の中で、必要に応じて総便数の削減ということをはっきり出しておりまして、これはもう長官の強い御意思で、こういうことを言わなければだめだということでございまして入った事項でございますが、法律に入っていないからできないというような考え方ではなしに、当然、工場は総量規制をやると非常に厳しい規制がかかる、自動車は総量規制はなかなかむずかしいが個別にはきわめて厳しい規制がかかっておる、そうすると、飛行機の方はやはりそれに応じてカットをすることが必然的に必要になるだろうというように考えておりますが、その時点でどういうぐあいにするかは相談したいと思います。必要であれば勧告も考えなければならないというように思っております。
  218. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 総便数の削減問題につきまして私、お答えいたしまして、後の問題は次長または部長からお答えいたします。  総便数の問題につきましては、いま橋本局長が言われましたように、環境庁から運輸省にいただいた文書にはっきり書かれておるわけでございますが、私どもも、今後エアバスを段階的導入をしてまいるわけでございますし、その段階段階に応じましてアセスメントをいたしまして導入機数をふやしていくということでございます。最終的にエアバス百八十便というふうなことも将来考えておりますけれども、いずれにいたしましても、トータルのNOxがどうなるかというふうな問題、それに対して航空機の排出NOxがどういう寄与率を持っておるかという問題につきましては、環境庁とも十分連絡いたしまして今後評価を続けまして、もしも航空機の便数を減らすよりほかに方法がないという場合にはもちろんそういった方法も考えざるを得ないと思いますけれども、何分にもまだ将来のことでございますし、かなり仮定の問題を含んでおりますので、ここでいつどうするということは申し上げられませんけれども、やはり排出ガスの問題も航空機の公害問題の一つでございますので、その点については十分今後の推移を見ながら合理的な解決をしていくべきであると考えております。
  219. 松本操

    松本(操)政府委員 まず逆コースの点につきましては、これは風が特殊な状態でないとできませんので、現在各市だんだんと持ち回りをしながら実態調査を去年からずっとやっておりまして、ほぼ一回りの調査を全部終わる予定でございます。それをベースにいたしまして、現在でも逆コースの音の程度をいまのコンターの中に一応は盛り込んで考えてはございますが、さらにそれを十分に踏まえた上で、先ほど先生の御指摘のあったコンター作成技術上の問題にも反映させて、逆コースをどういうふうに扱うかという点ははっきりさせるということにしたい、こういうふうに考えております。  次に、共同利用施設につきましては、これは逐年対象範囲を広げてまいりました。その補助の対象の範囲を、ことしは図書館を入れるとか、こういうふうにいろいろと広げてまいってきておりますが、今後ともその方向で検討努力をしていきたい。  土地の問題につきましては、これはやはり制度上の問題がございまして、ここまでわが方が補助金を出せるかどうかというのは非常に問題がございます。私どもとして十分に勉強はしてまいりたいと思っておりますが、この点についてはなかなかむずかしい問題があるというふうに御理解いただければ幸いでございます。  それからテレビの問題につきましては、これはコンター云々ということもございますが、そういうこととはまたおのずから別に、いまおっしゃったように、いろいろとくっついて、ここまではいいのに、ここではどうしてだめなんだ、こういうような御議論もございますので、そういう点を踏まえながらいろいろとふやしてきてまいっております。二分の一でどうも無理かなというところは四分の一の範囲に繰り込む、こういうふうな形でふやしてきておりますので、現在正確に何町がどう入っているかというデータは、いまちょっと私手元に持っておりませんが、ともかく毎年毎年見直しをしながら適用範囲を広げてきているというのが実情でございます。
  220. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ、最後に。  まだ九時以降の発着があるのですね、この問題をどうするのか。それからもう一つは、成田の開港あるいはまた羽田の拡張、こういうものができたときには、非常に騒音あるいは排気ガスの多い東南アジア行きの便、こういうものをそっちへ回すような考えがあるのか。この二点を承ってこれは航空局ですね。  それから、大蔵省の主計官に来てもらっておりますが、航空機の燃料譲与税、こういった問題で、コンターも大きくなってくる、それから学校防音あるいは共同利用施設、あるいはそういったところの維持費、これが非常に各市で困っておるわけです。これに対するところの譲与税の増額といいますか、私はたびたび申し上げておるわけですが、これに対するお答えを願って、終わりたいと思います。
  221. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  九時以後の問題につきまして、私たちも常に外国エアラインを指導いたしておりますけれども、残念ながら、路線が非常に長いとかそういったことの関係からときどきディレーがあることは事実でございまして、今後ディレーにつきましては絶滅を期するように努力いたします。それから、ときたま離陸する飛行機が九時以後にあるという御指摘もいただいております。これらにつきましては、従来以上に厳しい態度で外国エアラインを指導していく所存でございます。  それから、成田または羽田沖合い展開後の問題でございますが、これはかなり先のことでございますし、大阪地区の航空機利用者としてそういったことを受け入れる余地があるかどうかということも考えなければならないと思いますが、その時点になりまして、そういったことについては検討をいたしたいと思いますけれども、やはり地元で御利用になる皆さん方のことを考えますと、一概にそれを簡単にやることがいいかどうかということも考えるべき要素だと思いますので、その点については総合的な立場から慎重に検討していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  222. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  現在航空機燃料税につきましては、十三分の十一が国へ、十三分の二が空港周辺市町村の騒音対策等の財源ということで配分されているわけでございまして、先生の御趣旨は、この十三分の二を上げたらどうだ、こういうことかと思いますが、私どもといたしましては、航空機燃料税の税率そのものの改定というようなときにあわせて検討したいという考えでございます。
  223. 岡本富夫

    ○岡本委員 いつごろ……。
  224. 西垣昭

    ○西垣説明員 恐らく、現在の税率は四十七年度以来のものでございますので、早急にその機会が来るのではないか、こういうふうに思っております。ただその際は、騒音対策等につきましての国、府県、市町村の事務分担のあり方とか、それぞれの財源状況等、そういったものを総合的に踏まえて検討したい、こういうふうに考えております。
  225. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間が参りましたからこれで終わります。ただ、環境庁長官が御病気で、その質問ができなかったことが残念です。
  226. 島本虎三

    島本委員長 岡本君の質問はこれで終わりました。  この際、午後二時三十五分まで休憩いたします。     午後二時五分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十七分開議
  227. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中野寛成君。
  228. 中野寛成

    中野(寛)委員 住民が大変心配をし、そして大変重大な関心を各方面から集めておりましたテストフライトが一応終わりました。テストフライト、その意味は、やはり住民に対してこれ以上の公害を与えない、被害を与えない、そのことを証明するのが目的であります。あくまでも住民の皆さんにそのことを納得していただくということが目的でなければならぬと思います。すなわち、テストフライトのやり方、結果ともに、それは住民の皆さんの納得が私は前提になると思います。そういう意味で、この行われましたテストフライトのやり方、そしてやっている間の住民の皆さんへの十分な連絡、説明というふうなものがなされたのであろうかということを先日来、実地に視察をさせていただきながら感じました。住民の皆さんの声は、コースを外して飛ばしているのではないかという率直な疑問がありましたし、また、国際線のテストフライトが行われているのかという疑問もありました。これに対して運輸省としては、エアバスそのものがいままで飛んできた飛行機よりも離陸がより短距離で急上昇できるという利点もあるんだという説明がなされるかもしれませんし、そしてまた、国際線についても十分配慮をしてテストをしたと言われるかもしれません。しかし、私ども視察に行った段階で率直に地元の自治体の皆さんや地元住民の皆さんからそういう疑問の声が聞かれたということ、そのことは、テストフライトのやり方が本当に住民の納得が得られるやり方でやられたのかどうかということに私は疑問を持たざるを得ませんでした。そのテストフライトのあり方について、いま一応五日間のテストフライトを終わった今日の段階で、運輸省としてどのように考えておられますでしょうか、まずお尋ねをしたいと思います。
  229. 松本操

    松本(操)政府委員 四月二日から三日にかけてのいろいろな長い、徹夜に近い議論の結果、テストフライトというものについての訴訟団を含めた方々の一応の御理解をいただき、四月四日に十一市協において御説明を申し上げ、さらに五日から七日までの三日間かかりましていろいろな準備をいたしまして、八日からフライトを始めたわけでございます。確かに私どもの方の不行き届きの点から住民の一人一人の方に詳細なテストフライト内容が御説明し切れなかった点があるいはあったかと思いますけれども、しかし少なくともあれだけの個所において測定を行い、これに従事しました実人員だけでも恐らく百人を超えていると思います。それからまた、毎日のようにテストしております測定点には近傍住民の方がお越しいただきましたし、それから、最後の十五、十七日の両日には、特に町内会等の方からの御希望があった場合には飛行機にも一部乗っていただいたような次第でございます。したがいまして、やり方そのものについて万全であったとは決して申しませんけれども、私どもとしてはできるだけの努力はした、特に、まさにいま御指摘のございましたようなコースの問題、重量の問題等について御意見のあったことは事実でございます。これは報告書の中にも委細触れてございますけれども、人間を乗せて飛ぶ前の段階では燃料で調節をしております。この燃料で調節をするということがなかなか皆さんに御理解していただけない面があったわけですが、御案内のようにあんな大きな飛行機になってまいりますと、積んでおります燃料の量というのが実は物を言ってまいりまして、人間の方の目方というものよりも燃料の目方の方がはるかに効いてまいりますので、そういう点で十分の配慮はしましたし、データの上でもほとんど国際線と申しますか、香港便までのところは全部カバーをした形でフライトを実施をしたわけでございます。  したがいまして、いまの時点においてゆっくり考え直してみますと、ああもしておけばよかったなという点がないわけではございませんけれども、少なくとも私どもとしては、もう本当に真剣に取り組んだつもりでございます。
  230. 中野寛成

    中野(寛)委員 すでにこのテストフライト終わっているわけでありますから、いまその経過について私から一つ一ついわゆる愚痴をこぼす、または批判的なことを申し上げても始まらないと思います。いま、真剣にお取り組みになったということの御説明はお聞きいたしましたけれども、しかし少なくともその目的が何であるかということをきちんと銘記されて、そして、それは住民に被害をより大きく与えることがないようにすること、住民の理解を得ること、その目的をしっかりと踏まえて行われておれば、そのようなそごが生じなかったのではないかというふうに思うわけでございまして、やはりなお真剣に住民の皆さんの理解を深める、そのことのための御努力をお願いしたいと思うわけであります。  また、いま若干触れましたテストフライトの結果でございますけれども、たとえば、きのうですか、「エアバステストフライト結果の概要」という御報告書をいただきました。この中で見ましても、最初の「緒言」のところに「フライト自体は、日本航空及び全日本空輸両社の所有するB―747SR及び」となっておりますけれども、SRのみならずLRもお使いになったのではないのでしょうか。これはSRだけの測定でありますと、私どもはやはり若干不安を持たざるを得ません。LRの方がたしかSRよりも百トンくらいは重かったのではないのか、国際線の場合にはこのような飛行機を使うのではないのか、そしてそのテストが実際に行われたのではないのか、しかし、ここにはそういうこと触れられていません。細部については、こういう飛行機を使ったけれどもこうだったとあるかもしれません。まだそこまで読めるほど私どもに時間を与えられていません。端的に、ここを見ただけではそういう印象を持ちました。前の十三項目に対する回答、その中でもいろいろな文章上や数字上の誤りが指摘をされました。私どもはこういうものについても、こういうものしか実際は素人目に私ども判断するときには判断の材料がないわけですから、慎重に扱っていただきたいと思うのです。  その真相についてお聞かせいただきたいと同時に、騒音値というものは航空機の重量や天候によって変化があるわけでありますから、いまのLRの問題、またほかに聞きますとSPという機種もあるようでございますし、また先般来の当委員会における質問の際に、DC10についての導入については、もし導入する場合があれば改めてテストフライト等を行うような御答弁がありましたけれども、私は、今回テストに使われた機種以外の導入をもし将来考えられることがあるのならば、その際にも今回以上に気をつけたテストフライト方式というものがとられるべきだろうと思いますし、その辺の取り組み方についてお尋ねをしておきたいと思います。
  231. 松本操

    松本(操)政府委員 まず最初のボーイング747についてLRも使っていたのではないかという御指摘でございますが、これは使っておりません。SRだけでございます。SRの離陸重量の一番重いもの大阪 香港五十七万ポンド、こういう状態にして使いました。それからし一〇につきましては、これも大阪-香港便を仮定いたしました三十九万五千ポンド、こういう一番重い目方でやっております。実際はこんなに大きな目方で飛んでいるということはないようでございます。  それから、このテストに使用しなかった機材のうちDC10につきましては、ブラストの問題がございます。これはL一〇と比べて第三エンジンというか、尾部エンジンの高さが非常に高うございます。ブラストの点についてやはり相応の配慮をしなければならない。エンジンの数は少なくなりますから、音の点ではL一〇一一にほぼ同じと思いますが、そういう点に注意をしてやはりこれはテストをする必要があるのではなかろうかと考えております。やるべきだと思っております。  それから、A300Bというヨーロッパ製のいわゆる本家エアバスとでも申しましょうか、最初にエアバスとニックネームをつけた飛行機がございます。これは大韓航空が使っておる飛行機で、大体三百人足らず、エンジンが二基しかついておりません。これが国際線として大阪に来るのか来ないのかはまだ定かでございませんが、こういうふうな外国航空会社の使っている航空機というふうなものについてやる必要があるのかないのか、この飛行機自身もう少し私ども勉強いたしまして、そういう時点が来たならば、また皆様方と十分御相談をしながら決めてまいりたい、こういうふうに思っております。  LRにつきましては、もう重量の違いだけでございます。距離をどこへとるかというふうなことだけの違いで、機体そのものは全く同じでございます。  それから、SPと申しますのは、胴体を短くしてお客を減らして燃料をやたらと積めるようにした、こういう飛行機でございますので、ここら辺のところは重量の違いだけで、積んでいるエンジンその他は全く同じ、こういうふうに私どもは理解しております。
  232. 中野寛成

    中野(寛)委員 地元住民は、そのようなちょっとした機種の違いだけでも非常に神経質に心配をいたします。でありますから、私ども今後むしろ、それこそLRにいたしましてもSPにいたしましても、私どもが知っているよりも、住民もしくは地元自治体の方からこれについてはどうなんでしょうかという心配の声を聞かされるということの状態でございますから、そういうことについては非常に注意をして、納得のできる方向をおとりをいただきたいと思うわけであります。  さて最後に、テストフライトについては、今度のテストフライトの結果また目的は、騒音対策を重視をして、そして大気汚染については問題があるけれども、これについては騒音と比較をして目をつぶるということになろうかと思うのでありますけれども、私、言いかえますと、騒音というのはまた耳で聞く、もしくは飛行機そのものを目で見る、だれでもがいわゆる耳目で感じると言いますが、目と耳で感じることのできた公害から大気汚染の公害に質が変わるのではないのか。大気汚染の質、せいぜいそれはにおいで感じ取る以外に私どもは方法がないわけであります。しかし、においの被害というものよりも、むしろそれが直接健康を阻害する理由の方が多い。目に見える被害から、目に見えない公害へ質が変わるということが言えると思うのであります。それだけにより一層慎重な態度が望ましいし、そして住民の皆さんに説明をする場合には、より一層真剣な、そしてより具体的な、本当に住民の皆さんが納得し得る説明がない限り、住民の皆さんがあと訴える方法は、より一層自分たちの健康が阻害されたと感じたときに、自分の健康と引きかえにしか訴えることができないようになってしまう。そのことを私どもは十分御注意をいただきたいと思いますのと、この調査の結果から、実際にエアバス導入に至るまでの時間につきましても、単に技術的に要する時間のみならず、住民の皆さんを納得させ得る時間、そういうものを十分御考慮いただきたいと思うわけでございまして、石井政務次官、その辺の政治的な御判断をお聞かせいただきたいと思います。
  233. 石井一

    石井(一)政府委員 私も、このテストフライトをすることに踏み切りました責任者の一人といたしまして、今回の一連の動きというものを慎重に、真剣に見ておったものでございます。仰せのとおり、環境庁の十三項目に対する御指示でも、騒音なり発生源対策として重要視いたしておりますが、健康なりNO2の問題についても、運輸省としても十分慎重に検討をしていきたい。これはかけがえのない問題であるということも十分理解をいたしております。  なお、今後のスケジュールに関連いたしまして、住民の理解なり説得というふうなことでございますが、御承知のように中野委員も非常にその地理に明るいお方でございますが、この問題は、過去長い懸案事項でございました。そうして周辺の地方自治体も、どちらかというと革新自治体と申しますか、必ずしも政府なり運輸省のサイドに立っておるものばかりではない、いろいろの各種各様の皆様方がおられる、そういう十一市協でございました。そこへ問題を提起をいたしまして、さらに訴訟団等に関しましても、今後の問題でございますが、いろいろ積み重ねの努力をいたしました結果、今日、本当に平穏の中に、住民が心配をし注目しながら見守ってテストが終わった、こういうふうなことでございますから、私たちといたしましては、今後十分評価をする必要はあるとは思いますけれども、これまでにも相当誠意をもってこの問題に対処してきたし、地元に対する理解も求めてきた、こういうふうな理解をいたしておるわけでございます。  そこで、今後の問題でございますが、覚書のただし書きにございますように、著しい違いがない限りということが一つの大きな条件でございますが、環境庁も鋭意そういう違いがないかということをいま見ておられるわけでございます。本来ならば、著しい違いというのはすでにわかってもいいんじゃないかと思いますが、NOx等は非常に微妙な問題であるから時間がかかるということでございますから、この辺のことを勘案しながら、私たちとしても、やり過ぎだというふうな批判を受けないように、しかしそれかといって、その結果が最終的に出るまでいつまでかかるかわからないものを待つということも、これまたやや別の問題があろうかと思いますので、その辺の調和点を探したい。余り遅きに失してもいけないけれども、余り拙速にやり過ぎてもいかぬ。いま御指摘の点を十分わきまえて、慎重にかつ早急に決断をしたい、こう思っておるわけでございます。
  234. 中野寛成

    中野(寛)委員 慎重にかつ早急にという、その早急にというのは、どうしても私ども一番心配の種でございます。そのことをぜひ御注意いただいて、これまで、私ども率直に申し上げますと、地元に帰りますと、石井政務次官大阪に来ると何か物議を醸すといういままでの経過から申しまして、いわゆる乗り入れる、乗り入れるという方向のお話ばかり聞かされているという感情を実際に持っている。石井次官自身、その判断として、住民の皆さんと本当に対話をしながら、納得の中で行政を進めていくというお気持ちを、それをまた行動にもあらわしていただく、お気持ちを持っておられると思いますけれども、現実の行動にあらわしていただくことを私、心から切望したいのであります。心からお願いを申し上げます。  さて、この問題についてこれまで非常に熱心にやってきたということでございますけれども、もしそうだとすれば、あの十項目覚書なんというものは、私は住民の皆さんから要求されなかったと思うんです。そうしてあの十項目覚書一つ一つ項目を見ますと、あの整備機構によって本来はなされたであろう、もしくはなされるであろうという想定に立って事業を進めたけれども、現実にはその熱意の問題か、または制度の問題か、法律上の問題か、そういうネックによってこれが進んできていない。その進んでいない部分について列記したのがあの覚書ではないんだろうか。私はあの文書を読みながらそう感じられてならないんです。その点について、いかがでございましょうか。
  235. 石井一

    石井(一)政府委員 確かに一面は、私も率直にいまの御指摘を認めたいとは思います。進捗率が一〇%、二〇%のものもあれば、決して五〇%以上超えておらぬというふうなことは、住民皆様方に御不満を醸し出すことは当然でございます。ただ御承知のように、数年前に周辺機構に関する法制化がなされ、わが国では新しい試みでございます。何年も繰り返してきた行政でないために、実情に合わないものもあったようにも思いますし、住民の心を十分に推しはかれないというふうな不備な点もあったわけでございますが、私は、今回両知事が参画をされ、十一市協の皆さん方が立ち会われ、そういう中に激甚地の皆様方と話し合いをし、そこにこういう覚書ができたということは、一歩も二歩も過去の経緯から考えますと前進だと評価いたしておりますので、どうかひとつ「災いを転じて福となす」という言葉もございますが、われわれは導入のために単にこういうことをやったんじゃなしに、周辺整備というものを本当に真剣にやろうという立場であるということも、御理解いただきたいと思います。  それから私は、この間、周辺を回りまして、実は豊中の訴訟団の団長、川西の訴訟団の団長とも直接お会いをいたしました。先ほど中野委員も御指摘になりましたように、話してみれば意が通ずるというふうな面もたくさんございまして、特にあの周辺整備の問題に関してこういうことを率直に申しておられました。これは団長でございますから、個人の見解かもわかりませんが、一つの代表しておられる言葉と思います。確かに音は少なくなったように思う、それは飛行のコース等もあるけれども、それは十分に認めたいと思う、ただ、これからあなたたちがどうしてくれるかということが問題なんだ、問題点はこれこれだというふうなことをおっしゃっておりました。エアバスの問題よりも周辺をどうするかということに、この人々はいま思いをはせておられるわけでございますし、私たちもそれに報いることによって、初めて、今回やったということに意義があるというふうに考えるわけでございますから、その点は、過去の問題点についての御指摘に対しましては率直に反省もいたしますが、今後の姿勢というものに対してもひとつ御期待を賜りたい、そう思うわけでございます。
  236. 中野寛成

    中野(寛)委員 私は、その次官のお言葉をもう一度信用してみようという気持ちから、住民の皆さんもあの十項目覚書に捺印をされたと思うんです。そういうことで、今度もしこれが実現をされませんと、文字どおり立ち会った、一緒に捺印をした地元知事、そして両市長、自治体も、住民から見放されます。そして、運輸省地元自治体の協力を得ながら、または理解を得ながら進めていかなければならない事業がたくさんあると、先ほど来何回も繰り返して言われましたけれども、その自治体の協力も得られなくなるだろうと思うのです。私は、そこによほどの覚悟を持ってぜひお進めをいただくことをお願いしたいと思います。  同時に、先ほど近江委員からも資料が出されました。進んでいない部分についての、そして、ある意味では覚書の具体的な内容指摘になるかもしれないそのような資料が出されました。これもすでに御承知のとおりでございます。そして、これを実現するためには制度の改正もまた法律の改正も必要だと思いますが、その具体的な問題、私はもうほとんど時間がありませんからすべてを申し上げることはできませんけれども、たくさんの問題を抱えています。たとえば移転補償にいたしましても、何回も指摘されましたし、私も前回指摘をいたしましたが、土地を持っている方の問題。補償価格が二十五万から二十九万だ、しかし、運輸省で用意された代替地の分譲価格でさえもそれをはるかにオーバーしているのであります。隣接の豊中市内の土地は四十万以下の土地はないと言いました。それはそのとおりです。しかし、運輸省で用意された代替地でさえもその補償価格をはるかにオーバーしている現実があるわけであります。ここには明らかに補助金等を導入してその面を合わせる以外には方法はないのではないかと思います。また、家を借りている人たちのためにはどういう措置が必要か。建物の移転と同時でないと補償が受けられないシステムになっています。ということは、家主の合意が必要になってまいります。家主が了解しない、しかし、もううるさいから補償もらってどこかに探して出ていこうか、こう思ったとしても、その場合補償が得られないとすれば、それはきわめて意味のないものになります。この辺に執行率の低さがあらわれているのではないでしょうか。そしてまた農業者等にいたしましても、農地のはるか遠いところに住みながら通ってくるわけにいかぬわけです。やはり現実に即して農地に近いところに住みながら、そして比較的公害の被害の少ないということを考えれば、いまの制度では無理だとされている二種区域からみなし二種区域への移転も弾力的に考え判断をしていかなければいけないのではないか。このように幾つかの問題があると思います。  これらについて、まず移転補償の問題点について、周辺整備機構はどうお考えになり、問題点はどこにあり、それを運輸省としてどう解決されようとするか、まず簡単にお尋ねをいたします。
  237. 石原明

    石原参考人 まず移転補償の価格の問題でございますけれども、元来空港があるからこそ土地の価格が非常に低いのだというようなところから始まりまして、移転の申請はございますけれどもそういう点でなかなか話が進まない面も多々ございます。こういう補償の基準につきましてはルールがございまして、そのルールから逸脱するというわけにいけないわけでございます。もともと移転補償というのは私ども妙委託を受けてやっているわけでございまして、その委託はこういうものに基づいてやれということになっておるわけでございますから、原則的には……(中野(寛)委員「ルールが問題なんですよ」と呼ぶ)でございますけれども、そのルール自体は、大変そういうことで運輸省の方で御検討願う余地があるかもしれませんけれども、私どもは、そういうルールの範囲内でできるだけ実情に合うように検討して、ルールというものは曲げるわけにいきませんけれども、その範囲内でできるだけ弾力的にといいますか、そういう点で検討いたしまして、御了解を得た上で契約さしていただいておるわけでございます。なおまだ三月末現在におきまして数百件の未処理件数があるというのは、最近出たものもございますけれども、そういう値段の方の問題が整ってないものも若干あろうかと思います。そういう点につきましては、ルール自体の方の御検討もさらにお願いしつつ、できるだけ定まった範囲内で検討して御要望に沿っていきたいと思います。
  238. 中野寛成

    中野(寛)委員 御答弁の途中ですけれども、いまも端的にあらわれました。ルールがありますから、そしてそのルールを破るわけにはいかないから、整備機構でいかに皆さんが熱意を持ってがんばられようとも限度があるということが端的な言葉としてあらわれました。そのルールが何であるか。それはむしろ運輸省でも御存じだと思います。それをどしどし出していただきたいのです。短い時間ですべてを私の方から指摘はできませんけれども、それを直すためにどうするかという、まずその実情調査をして、そしてそれに予算がどれだけ要るか、どれだけの制度改正が要るか、それをどうして解決するかというめどが住民の皆さん、地方自治体の皆さんに示されて、そして初めて最終的な納得が得られるのではないでしょうか。  そのほかたくさんあります。代替地の造成事業の問題でも、せっかく造成をしておきながら未処分のところがあります。私は、時間がありませんからお尋ねするよりも申し上げますが、五百区画ぐらい造成をされたはずです。しかし、現段階で五百のうち話し合いがついて処分ができたのが三十ぐらいしかないのじゃないでしょうか。そこにはどういう理由があるかも御存じのはずです。すでに造成をしたところ、山の奥にある、ここに整備機構が区画を出されております。こういうパンフレットも出されています。これを見ましたら現在住んでいるところから全然関係のないはるか遠いところ、あるいはまだ道路が十分整備されていないところ、それがこういうりっぱなパンフレットになって出されています。これは整備機構から出されて、この前私どもが現地視察に行ったときにいただいた資料ですから、改めてお配りする必要もないと思います。そういう問題があります。また、かわろうといっても現在住んでいるところと条件が全然違う。  だから、制度ができ、また予算が取れたとしてもそういう現実に合わない施策が行われる、それをやらなければいけない状態がルールとかに縛られてあるとするならば、私はまさに住民無視、法律や制度に縛られただけのやり方だとしか思えないのです。そういうやり方をするのには制度を変えなければいけない。そして、前回も申し上げましたが、実際上は本当は運輸省的な感覚だけでは無理なんではないでしょうか。建設省や自治省や、それは当然大蔵省判断が必要ですけれども、そういうところと手を携えてやるシステムそのものが必要なんではないのでしょうか。たとえば都市計画法の考え方を取り入れる。そこまで行かなければこの周辺整備の問題を抜本的に解決することはできないのではないだろうかというふうに思うのでございます。  そのことについてのひとつ石井次官の御決意のほどと、最後にちょっと具体的な問題ですが、当面まず乗り入れるまでに、あの緩衝緑地帯、五百メートル幅ですか、あの排ガスを直接受けるにおいの問題、あれは最低限エアバス導入までにつくらなければいけないのじゃないでしょうか。私がこれを言っているのは最低限度の条件なんです。少なくともその地域に当たるところがいま直接排ガスの悪臭の影響をまず受けているところではないのか。そしてそのためには三十戸ほどの立ち退きが必要です。そのためにまたいろいろ制度の問題がありますけれども、当面、勇断を持ってそのようなことに真剣に取り組むということでなければ、少なくとも、エアバス乗り入れることによって被害が少なくなるのではなくて、被害がふえるという実感だけ残して、またこれが強行されたという意識の中で出発していくということになるのではないのかというふうに思えてなりません。そのことについて、最後にお尋ねしておきたいと思います。
  239. 石井一

    石井(一)政府委員 いま中野議員が御指摘になりましたのが本当の住民の声だと思います。私もその点強く痛感をいたしました。ただ、周辺機構周辺機構で、運輸当局は大蔵の枠に縛られておるというふうな面もございまして、お互いの権限を忠実にやっておるということではこの問題は解決しないと私は痛感をいたします。ただ、たとえば周辺の地価がこれだけで、そこから離れた静かなところはこれだけだ、当然高いはずでございますが、これをこれにかわれといっても無理でありますから、こういうことは地価に従ったルールを守るということだけではこの問題はやはり解決しない。それかといってまた別の問題で、値段を無視してどうしても自分はここにおるんだというような方もおありになる。これはいろいろケースがあると思うものでございますから、この問題は、まあひどい言葉で言いますと、ときにはルール無視をしながらもケース・バイ・ケースで解決していくということをしませんと、本当に住民の納得の得られる解決方法はないのではなかろうか。これまでわが国の行政の中でそういうことをやったかと言いましたら、例も少ないのじゃないかと思いますが、私はその必要性を強く痛感をいたします。移転の問題、それから民家防音工事の問題、これにもいろいろルールがございますけれども、ある程度ケース・バイ・ケースで考えてやらなければいかぬ問題がたくさんあると思います。  それから、特に緊急を要するのは緩衝緑地帯でございますから、これも同じ種の中の移転というものはルールでできない、こういうのですが、そうすればできっこない、こういうことになるわけでございますから、そこにもケース・バイ・ケースで解決をするべき問題があると思います。私は、これを機会に事務当局とも十分連絡をとりまして、そういう形で方向を変えない限り住民の納得は得られない、そういう方針で行政をするべきだということを強く指示いたしておりますし、今後もそれを見守っていきたいと思います。ただ、何もかにもできるということになりますと、また別の立場でお考えをいただきたいのですが、これもまた無理がある、こういうふうに感ずるわけでございます。  それから緩衝緑地帯の問題は、いま飛行場部長が私にも言っておりますのには、早急にやるように話をつけておるし非常に進んでおるけれども、ただどうしても、導入までにこれを全部間に合わせるということは時間的にやや無理がある、これは樹木の関係移転関係等々で多少そこは前後するということも御了承いただかざるを得ないのじゃないかな、こう思うわけでございます。
  240. 中野寛成

    中野(寛)委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますが、最後に、石井次官おっしゃられましたその勇猛果敢な御決断を御期待を申し上げておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  241. 島本虎三

    島本委員長 中野寛成君の質疑はこれで終わりました。  東中光雄君。
  242. 東中光雄

    ○東中委員 昨日、夕刻になって「エアバステストフライト結果の概要」というのをいただきました。     〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕 これによりますと「結果は、以下に要約報告するように、「十三項目」回答において運輸省が行った予測の範囲内に概ね収斂されているものと考えられる。」という一応の結論が出されておって、予測値と合致しておるというふうに言われておるわけでありますが、同時に、この膨大なデータは速報値として暫定的に整理集計した結果で、後に精査の上、改定を予定しているという趣旨のことも言われておるわけであります。どうも予測値と合致したというキャンペーンをやられているような気がして、データが暫定的整理集計だと一方では言われているという感を非常に強くするわけであります。  このデータを全部詳細に当たる時間がないわけでありますが、NO2の部分を見てみますと、一日のNO2のピーク値がその日の一時間値の最高値よりも低いというデータ上の矛盾が出てきております。     〔林(義)委員長代理退席、水田委員長代理着席〕 たとえば空港内、G1での九日のところを見てみますと、観測値の一時間値の一日平均値が〇・〇二八、一時間最大値が〇・〇四七になっている。そしてピーク値を見ますと〇・〇四七になっておる。そうすると、こういうことは算数上ちょっとあり得ぬことになるんじゃないか。あるいは極端な例で言いますと、八日のG6、走井の場合を見ますと、一時間値の一日平均値が〇・〇二七、一時間最高値が〇・〇四八、ピーク値が〇・〇三〇。一番高いところが〇・〇三で、どうして一時間平均値が〇・〇四八になるのか。  なるほど、算定の方式が違うように書いてあります。一方はザルツマン法、そしてピーク値はケミルミ法というふうに分けて書いてありますけれども、計算法が違ったからといって、一般国民はこのデータの矛盾を納得するわけにはまいりません。  いま、二つの例を挙げましたけれども、十四日の場合にも、かつてG2点における観測値が同じように大きな矛盾が出ております。十四日の勝部の場合を見ますと、一時間値の一日平均値が〇・〇三七、一時間最高値が〇・〇五二、ところがピーク値の最高か〇・〇五一。これは一々数字を挙げませんけれどもこういう矛盾が出ている。これについてどういうふうにお考えなのか。こういうデータ上の矛盾が前のアセスメントの予測値のときも、ずいぶん計算上の問題があったわけであります。語句も含めてですが二百点にわたって訂正をされたということがあるわけですが、その点については運輸省いかがですか。
  243. 松本操

    松本(操)政府委員 ちょっと私、いま先生のお読みになったのを、手元の資料で一生懸命見ておったのですが、大変申しわけないのですがどれを先生が御指摘になっておったのか、原データの方なのか、整理した方なのか……(東中委員「厚い方です」と呼ぶ)厚い方でございますか。――恐れ入ります、ちょっとお待ちください。
  244. 東中光雄

    ○東中委員 十ページと十一ページで、「大気汚染データー」というのがあります。
  245. 松本操

    松本(操)政府委員 これは恐らく、ピーク値と瞬間値を出しましたときには、各機種航空機が通過したときに記録されました瞬間濃度を拾っておりまして、ピータ値というのは時間ごとに記録された一番高い値を読んできておるわけでございます。片方はザルッマン法で出しまして、片方はケミルミ法で出しておりますので、その数字の拾いよう、もともとの数字は先生御承知のように細かにデータを打ち込んだものでございますから、それを拾って一応こういうふうに整理した、これが一応原データになっているわけでございます。  その中のいま申し上げましたピータ値と瞬間値と平均値とを違うやり方でいろいろとったものを直接的に比較されますと、いまおっしゃったような数字上の矛盾というのがあるいは出てくるのかもしれませんけれども、ちょっといま、突然の御指摘でございますので、どの数字がどこでどういうことなのか、これのもう一つ前になっておりますもとのデータをよく見てみませんと明確にお答えいたしかねますので、ひとつ御容赦いただきたいと思います。
  246. 東中光雄

    ○東中委員 何を言っているのですか。ここに書いてあること自体が矛盾しているという指摘を私はしているのですよ。だって、いまの同じ「大気汚染データー」ですか、「大気汚染測定結果」の百五十三ページと百五十四ページを見ると非常に明らかですが、窒素酸化物のNO2の大気汚染データ一時間値、これの一番下の方を見ますと、一日平均値が〇・〇三七、そして最大値は〇・〇八一、こう書いてある。その次の百五十四ページを見ますと、今度は大気汚染データ(ピーク値)のNO2の一番下を見ますと〇・〇七三になっておる。ピーク値が〇・〇七三でそして平均値の一時間の最高値が〇・〇八一ということはあり得ぬじゃないか。計算の方法が違うということは確かに書いてありますけれども、これでは一般の国民が見て、あるいは直接この被害を受けている人たちから見て納得できるかということを言っているのですよ。ちゃんと整理をして……。
  247. 松本操

    松本(操)政府委員 ザルツマン法と申しますのは、試薬の中に一時間空気を吹き込むというのか、引き込むと申しますか、その色の変わったのを比色計を使って読み出すわけでございます。  それからケミカルルミネッセンスと申しますのは、その瞬間瞬間の山をとってまいります。  したがいまして、はかり方が全然違っておりますので、いまおっしゃるような数字上の違いが出てきても私はやむを得ないことではないか、このように考えます。はかり方が全然違うわけで、片方は一時間続けてはかっておるわけでございます。片方はある瞬間のぴょっと出た山だけを拾っている、こういうことでございますので、はかり方が全然違うものを比較しておいでのわけでございますから、数字が合わないということはあり得るのではございませんでしょうか。
  248. 東中光雄

    ○東中委員 ピーク値が〇・〇七三、これは最高のピーク値ということでしょう。そして一時間平均最大値が〇・〇八一、そんなことなりっこないじゃないかと言っているのですよ。計算の方法が違おうが同じであろうが、そういうデータが出たのでは、すべての最高値が〇・〇七三であって、ピータ値というのは――そして、こういう計算したにしろ平均値が〇・〇八一というふうな数字を出せば、あなたはその専門的なことで、あるいは説明をしたつもりであっても、これを見ている国民の側は明らかにおかしいじゃないかと思うのです。ピーク値は一番上でしょう。一番上の平均がその一番上よりもまだ大きいんだ、そんなばかなことはあり得ぬではないですか。だから、よくわからぬのだったら調査をして、言われているようにまさに暫定的ですか、速報値として暫定的に整理集計した、ちゃんと逃げ口上がここで言われているわけだから、そういうものだったらそういうものとしてはっきりしなさいと言っているのであって、それを何かもう最終的な結論であるかのようなキャンペーンをやることはやめなさいということを言っているのだということであります。次長、そのデータを見なければわからぬのだったら、もとのデータを見てよく整理をして答弁してください。時間をとって、非常に短い時間でありますので、航空局の方でそれをいまここで一生懸命に勉強されておって、それで時間がどんどんたっていくのは困りますから、後で検討して、そしてこの矛盾を、説明をはっきりとしてもらうということでよろしいですか。
  249. 水田稔

    ○水田委員長代理 航空局、それでよろしいですか。
  250. 松本操

    松本(操)政府委員 さようにいたします。
  251. 東中光雄

    ○東中委員 次の問題に移ります。  今度の結果で、大気汚染による影響がいろいろ問題があると私思うのであります。一日十回の今度の調査でありますから、運輸省の行ったアセスメントとたった十回のものとを比較して、そして結論を出すというのは、これはよほど慎重にやらなければいかぬじゃないかと思うのでありますが、NO2の数字を見ますと、勝部と走井で、WHOが窒素酸化物に関する環境保健クライテリアで言っておる基準を上回っているという結果が出てきておると思うのです。このクライテリアによりますと、「公衆の健康を守るための最小の暴露レベルは、二酸化窒素については最大一時間暴露として〇・一〇ないし〇・一七ppm以下であるという合意に達した。この一時間暴露は一月に一度を超えて出現してはならない。」こうなっているわけですが、今度の実験結果ではそれを超しておるのがずっと出てきておるわけですね。四月十一日のG2点、これは勝部での分でありますが、一時間値の最高値が〇・一三というのが出ていますね。それから十一日のG3点、やはり勝部ですが、〇・一二五という数字が出ています。走井のG6点、〇・一〇六という数字が出ております。一月に一回以上あってはならないと言っている分が、わずかこの十日の間に、十一日に三つの地点で出ておる。それから十二日にG4のところで〇・一四〇というのが出ております。WHO基準から見てもあってはならないことでありますので、こういう点については慎重にやらなければいかぬと思うのですが、いかがでございますか。
  252. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘になったような問題の解析をやはり詳細にしてみなければならないというところが環境庁の立場でございまして、どの時間でどの方向に風が吹いておってどのような形で出たか、その測定法がどれによったか、その測定法のやり方や構成をどうしておったか、全部調べた結果、環境庁としてはさような判断を下したということで、きわめて慎重な対応をしておるわけであります。
  253. 東中光雄

    ○東中委員 これが出ておる時間というのは、大体十八時から十九時の間、ラッシュのときですね。そして、エアバスとの関係ということもこれは十分検討しなければいかぬことですね。そういう点で慎重にやらなければいかぬという問題を私は提起をしておるわけですが、ただ、もうアセスメントに合致しているんだというふうなキャンペーンをやるというのはよくないということを申し上げておるわけですが、環境庁、その点ちゃんとやられますね。
  254. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま御指摘になったようた問題点が、騒音の場合はその場合よりも比較的簡単なんですが、大気の測定というのはきわめてむずかしいということで、私は運輸省がこれだけ早くまとめられたのには非常に敬意を表しますが、私どもだったらちょっとこわくてなかなか出せないという感じなぐらい、実際データを出してくるときにきっちりその前の条件を洗ってみなければならないという感じがしております。そういうことで、データは全部出ておりますから、未定稿というふうな議論も中にしておられますが、環境庁としてはやはり全部評価をして、その上ではっきり意見を出すということです。  また、もう一点申し上げたいのは、今回のテストフライトのときに、大気汚染の上からはもう非常に不利な条件をつかまえてテストフライトができた。というのは、実は私ども大気の角度から見ますと、あのとき、風がびゅうびゅう吹く天気のいい日にやられたら、これはほとんど何も出てこない。そういう点で、不利な条件をはかるにはテストフライトの条件としては恵まれたものがあったのではないか、そういう判断をしております。
  255. 東中光雄

    ○東中委員 さらにNOxの瞬間濃度ですが、空港内でボーイング747で〇・三一ppm、L一〇一一で〇・二六ppmを記録をしています。その日の在来ジェット機の場合は、瞬間濃度の最高がDC8で〇・一一五ppmです。だからエアバスの方がずっと高いわけですね。こういう点についてやはり慎重に、特にエアバス回数がふえていくということになれば問題が出てくるわけですから……。  それから、空港隣接の勝部地区では、在来機ではほとんど記録しなかったNOxの瞬間高濃度汚染を記録している。四月十三日では、747、それからし一〇一一、ともに十回の離発着で四回の瞬間高濃度汚染を記録している。それに比べてDC8あるいは707は、計百回の離発着で高濃度汚染を記録したのはわずかに二回、それから727、737は、それぞれ九十回と三十回の離着陸がありながら、瞬間高濃度汚染は一度も記録していない。こういう点を見ますと、NOx関係でもこれは本当に回数がふえていけばますますでありますから、騒音だけじゃなくて健康に直接影響をしてくる切実な勝部、走井、その他の人たちの問題でありますので、慎重な点検が要ると思うのですが、その点いかがでしょうか。どうやられますか。
  256. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘ございましたように、エアバスNOx評価は、年平均値という方はシミュレーションでは出ますけれども、測定値としては分離できないという数字になるというぐあいにわれわれちょっと感じております。総量規制なんかのときには確かに役に立ちますが、むしろテストフライトなどのときに非常に問題になり、また将来もわれわれが最も注目しておりますのは、隣接しているところに対して局地的に短期に出てくる汚染をどういうぐあいに評価をするかということがきわめて大事であるというように思っておりますので、勝部や走井等の問題、御指摘ございましたが、私どもはその点の解析を慎重にした上で判断を下したいということで、御指摘のあったことと同じような考え方で対応しているわけであります。
  257. 東中光雄

    ○東中委員 時間が来ておりますので、最後に一点だけ。  この大気汚染の測定ステーションの設置計画ですが、この前私がアセスメントのときにお聞きして、窒素酸化物による局地汚染は、運輸省の言う値の最大の場合を考えれば六百倍も出てくるということを言ったわけですが、そのときに、ステーションがその地域にはないからという話だったわけです。テストフライトではこの勝部でも測定をしたわけですけれども、早急にステーションをつくる――ステーションがないままで導入していくというふうなことのないようにすべきだと思うのであります。と同時に、周辺整備について、これはあの覚書の線で、町づくりなんかは相当各省にまたがる問題だと思うのです。ステーションは担当のところでできますけれども町づくりということになれば建設省とか、関係するところが多いと思いますので、そういう点で、局長が座り込んででもというだけじゃなくて、閣議にもかけるとか、とにかく各省にまたがるものであるから、当然そういう要求をやっていかなければいかぬことだと思うのです。  そういう点、どのようにやられておるか。それからどういうふうにやられる決意であるかという点を伺って質問を終わりたいと思います。
  258. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 測定ステーションの問題につきましては、設置場所等につきまして地元とも相談をいたしまして、できるだけ早く設置をいたして、常時観測ができるような体制を整備したいと思います。  それから、御指摘覚書に書かれております各項目でございますが、御指摘のとおり、これはもう運輸省だけの力ではとてもかなわないほどの制度の壁がございますので、私たちもちろん座り込んででもという決意でやりますけれども、御指摘のように関係各省、それから地元の総力を挙げて取り組んでいく、そういう体制をつくるべきであるということで、私ども直ちにそういった行動を起こしたいと思っております。
  259. 石井一

    石井(一)政府委員 きょうも東中委員が非常に重要な問題を御指摘いただいたと私、拝聴いたしたわけでございます。  私が素人的に考えまして、御指摘はごもっともなんですが、単純計算をして、それがいまのようにでこぼこになるということは考えられませんので、やはり測定に関する手法が違ったとしか考えられません。そういうおかしいことは一般にはわかりにくいけれども、そこにはやはり十分な説明がつくだろうと私は思うのでございます。ところが、いまの場合、つかぬというのは、やはりあなたが御指摘になっておる資料と、こっちは全然あべこべのものを見ておるというふうなことでは、この限られた時間の中に十分説明もつかぬという面もあろうかと思いますので、後ほど御指摘の点を十分調べまして、個人的に納得のいく回答を与えるようにさせたい、このように考えるわけでございます。  それで、先ほど大気保全局長からも御答弁がございましたが、運輸省は本当に正直に、そのままのものをまるごと出しておる。これは調整も何もなく、「包み隠しも何もなく」しておるという一つの証左でもあろうかと思いますので……(東中委員「計算が違うんだ」と呼ぶ)いや、計算は相互の関連性がないのではなかろうかという想定を私はしておるわけでございまして、その点はやはり科学的に、技術的にお答えをする時間をしばらくお与えいただきたい。必ずこういう点については解明をするべきだろうと考えております。  それから、測定地点の問題に関しましては、覚書の中にも含まれておりますが、何も他省と余り交渉をせずとも、たくさんの土地もその辺買収をしておるわけでございますから、私はできるような問題だと思いますので、早急に、その地点の中にそういうものがないということのないように、まあ、すぐにすべてというわけにはまいらないかもわかりませんが、この問題はすでに取り組んでおるということを申し添えたいと思います。
  260. 東中光雄

    ○東中委員 町づくりの問題は……。
  261. 石井一

    石井(一)政府委員 町づくりに関しましても、これは御案内のとおり市町村のレベルから進めて、府県がエンドースをして、国が予算をつけるというふうな性格のものでございます。ただ、空港の場合は特別にいろいろな問題があるということでございますが、歩調が整ってきたという感じもいたしますので、今度これをやらないと市町村の、それぞれの自治体の長が困るというふうなことでございますから、市の方も非常にスピードが早まると思いますし、われわれもそれを受けとめたい、こういう形ができてきておりますので、この点についてもどうか御期待をいただきたい、われわれも取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。
  262. 東中光雄

    ○東中委員 では、終わります。
  263. 水田稔

    ○水田委員長代理 次は、中馬弘毅君。
  264. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 先日、エアバステスト視察に私も参ったわけでございますが、そこで感じました印象といいますのは、住民の行政当局に対する非常に強い不信感、これは、たとえばテストフライトのやり方にしましても、本当にちゃんとした荷物を積んでいるだろうかとか、あるいはきょうは測定器の真上を飛んでいないんじゃないか、こういった不信感でございますね、これを非常に強く感じたわけでございます。  それと、現在の対策のやり方が非常に場当たり的な、あるいは買収の仕方にしましても全くくしの歯を抜いたような形になっておったり、いろいろ問題があろうかと思います。  その前にちょっとお聞きしておきたいのでございますが、伊丹空港の問題、これは関西新空港との関係があろうかと思いますが、今後伊丹をどの程度、何年ごろまでお使いになるか。この点、次官、お願いします。
  265. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在、先生御承知のように、泉南沖の関西空港の建設に向かって、その前段階となる環境アセスメントを始めているところでございますが、私ども計画では、五十一年度から三年間かかってこれを終わりたい。あわせて、周辺地域整備計画調査も国土庁を中心にやりまして、五十四、五年ごろには着工したい。そういたしますと、六十年いっぱいかかれば何とかできるか、こう思っておりますけれども、何せ大変な工事でございますし、また、地元地域社会に与える影響も甚大でございますので、私ども考えているようなスケジュールで進むかどうか、ここで確とした自信はございませんけれども、目標としては六十年いっぱいに何とかつくり上げたいというつもりで、いま諸般の準備を進めております。
  266. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 御存じのように、大阪というところは、大阪といいますか、これはむしろ関西と申した方がいいかもしれませんが、東京と並ぶ日本の二大経済圏でございます。そして、日本の国の運営の仕方として、ただ東京だけに集中するのは必ずしもよくない、むしろあるいは二眼レフといったような形でその機能を分けていくといったようなことが問題になっておることも御存じのとおりでございます。  しかし、現実の問題として、関西の経済地盤の沈下というのは非常に激しくなってきております。いろいろな経済指標を見ましても、卸売額、証券取引額、工業出荷額、数字は申しませんが、これにしましても、相対的な意味でずっと低下してきております。また、航空旅客にしましても、特に国際線の旅客にしますと、四十六年は大阪が二四・五%だったのが四十九年には二〇・二%と、経済的な中心地であるのに、その国際的な窓口である、あるいは玄関である空港というものが、国際空港とは名ばかりで非常にローカル化してしまっております。  ここに大きな問題があるわけでございまして、そういう点からしますと、伊丹を今後何年か使わなければならないということになりますと、公害対策周辺整備に最大限の努力を払っていかなければならないのじゃないかと思うのです。これは、続く新空港のあるいは事前の勉強台となるかもしれません。そういうことで、特に先ほど申しました住民の行政に対する不信感といったことに大きな問題があろうかと思います。特に住民との窓口であります周辺整備機構、そのあり方に問題があるのではないか。こういった不信感のよって来る原因をどうお考えになるか。
  267. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私、この委員会でもかつて一度御答弁したことがあるかと存じておりますけれども、やはり運輸省のやってまいりました過去の航空行政の態度にその原因があったというふうに私は解釈いたしております。これは運輸省だけではなくて、恐らく政府全体そういうことだと思いますけれども、昭和四十年代以降の高度成長経済という経済政策といいますか、これにすべての原因があると思います。当時、航空機の輸送需要も、昭和六十年で国内だけで一億二千万人、そういうふうな需要測定をしたこともございました。そうなりますと各地の空港を、入れ物を大きくするということが至上命令になったという時代があったわけでございます。しかしながら、世移り時変わりまして、現在はそういった莫大な需要を見込むことは不見識であるというところから、その半分ぐらいのところにいま需要測定を落としたわけであります。そして、同時に世の中は生産第一から生活第一と、何よりも国民の健康と生活の幸福を守るという点に重点が移ってまいりまして、私どもの航空行政、特に空港の維持管理行政も数年前からそういった点に力点を移してやっております。やっておりますが、何せ残念なことには、高度成長時代にもっぱら大型化、高速化ということで押しまくってまいりましたこの過去の私たちのやった行為というものが、地元の方々に強く締めつけられておりまして、その後かなり努力をしておりますけれども、なおイメージをチェンジしていただけないという状況でございます。  これに対しまして、私どもは、口だけではなくて態度で示すしか方法がございませんので、覚書にも書いてございますように、周辺の生活を守るための対策を強力に打っていくという態度によって地元の不信を払拭する以外に方法がない、こう覚悟いたしております。
  268. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 周辺整備機構がやっております仕事の中で、固有の事業と政府からの受託事業、こう二つに分かれますが、固有事業では主としてどういう仕事をされておりますか。
  269. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 国の受託事業は、民家防音工事とか移転補償の国の代行というふうな、いわば当面の仕事であります。当面の仕事といいますのは追いかけられますから、どうしても進捗を見るということがございますが、機構の固有事業というのは、空港周辺地域のマスタープランをつくって再開発をする、あるいは移転補償をして出ていく方のために代替地を造成するというふうな、やや息の長い、そしてより基本的な仕事をしているわけでございます。したがって、それをするためには、本当はかなり広い範囲での合意とかなり強力な財政力が必要だったわけでありますけれども、残念ながら士族の商法と申しますか、私ども机の上で考えたプランをもって実現できると思ったところに、大きな間違いがございました。    〔水田委員長代理退席、林一義一委員長代理着席〕 やってみまして、大変な壁にぶつかったわけでございます。この過去の二、三年の間の経験を生かしまして、これからまず地域全体のコンセンサス、それから地元の知恵の結集、何よりも国と地方財政の力を集めるというふうなことをやりまして、固有事業であります前向きの仕事につきましても五十二年度、五十三年度と年を重ねるに従いまして実績を上げていきたいということで、いま周辺整備機構及びこれの出資者であります両府県あるいは関係の市とも話し合いを進めているところでございます。
  270. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 五十一年度の予算額を見ましても、固有事業費九十三億ですか、これが実績では二十三億しか達成できていない。何も予算を全部消化することが別にいいことじゃございませんけれども、これが達成できない理由というのは、何か予定した土地が取得できなかったとかというような原因なのか、あるいは住民の要望に沿ったものはつくっているのだけれども入ってもらえない、そういったようなことなのか。これはどういうことでございましょうか。
  271. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは基本的には固有事業を行ってまいりますためのマスタープラン、これは関係各府県あるいは市の方とも一緒になってつくるマスタープランというものがまだ確立してない、したがいまして、どういった方向に走っていいかその目標が必ずしも周辺整備機構として明らかでなかったという点もあると思います。それから、最大の問題でございます。たとえば代替地をつくったけれども売れないとか、それをたくさん抱えているというふうなことは、これはちょうど機構をつくったときは土地が値上がりしているときでございまして、安い土地を買って造成費をかけてもなおおつりがくるという時代に考えたことが、ちょうどこの機構の発足後、土地の値下がりになりまして、完全に逆ざやになったということもございます。また、なかなか適当な場所に土地を求めることができなくて、環境は非常にいいのだけれども遠くに求めた。ところが空港周辺の方々は、そんなに山の上まで行って生活をしようと思わない、むしろもっと便利なところで暮らしたいというふうな方々がある。そういった地元の移りたいと思う方々の御要望と機構が用意した場所との間に――これは抽象的に考えれば非常に環境のいいところへつくったのですからとこう言うのですけれども、やはりもう一歩突っ込んで考えれば、実際に移る方の気持ちに立って考えるというふうなことを考えてまいりますと、必ずしも移転の容易ではないような場所に土地ができたというようなこともあると思うのであります。  これらすべて総合いたしますと、一つは、やはりマスタープランがなかったということ。もう一つは、地域住民の心になって考えるということが欠けていたという点があると思います。この点については、これから反省いたしまして、何とか是正をいたしていきたいと思っております。
  272. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 この予算が達成できないのにつれて実際の予算額も、たとえば去年が九十三億に対しまして今度は七十五億というように、このところ減ってきているわけですね。むしろ先ほど申しましたようなことで、非常に大きな公害対策というものも含めた周辺整備をやらなければ、伊丹が国際空港としての役割りを果たせなくなっていくじゃないか。こういうことから、むしろここで大幅なもちろんマスタープランあたりの整備を急がれてやる必要があるのじゃないかと思うのですが、今後の推移ということになりますと、どういうことになりましょう。
  273. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 先ほど来お話ししておりますような事態が出てきましたことは、私どもの責任でございます。大阪空港周辺整備機構はいろいろ制度上の制約もありまして、なかなか思うようにいかない点があります。これらバックアップいたしまして、周辺整備機構がもっと生き生きとした仕事ができるようにするための激励もし、地盤をつくるのがぼくらの仕事でございまして、その点について、私ども深く反省いたしております。これからその点を一従来と打って変わった姿にしていくべきであるというふうに考えます。したがいまして、五十二年度は残念ながら従来の経験にかんがみて若干スローダウンいたしまして、あるいは手持ちの土地等もございますのでこれの売りさばきがまず第一というふうなことで、予算の面ではスローダウンいたしましたけれども、実際に地元対策というふうな面では、予算の面と違って五十二年度でもかなり進むと思います。  なお、五十三年度以降につきましては、覚書項目を実現するためにも抜本的な増強が必要でございますので、地元の方々のお力もおかりいたしまして、五十三年度は何とか抜本的な対策を考えていくべきであるというふうに考えております。
  274. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 口だけの抜本策じゃなくて、特にこういった住民等の対策になりますと、これは人の問題になってくるかと思うのです。周辺整備機構の人員構成、これは運輸省と各自治体からの出向になっているかと思いますが、どういう内訳になっておりましょうか。
  275. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 役員の構成でいきますと、運輸省大蔵省大阪府、兵庫県、会計検査院、こういうふうなことでございまして、あと職員は運輸省から出向した人、大阪府、兵庫県から来た方、その他人事院、検査院等から若干見えておりますけれども、国及び府県の職員の方々の連合体というような形でございます。そういった出身が違う方たちの集まりというふうなことも、初期の段階におきましては、仕事を進めていく場合に若干マイナスといいますか、仕事を十分進めるのに体制として十分でなかった要因の一つを形成したかもしれませんが、できましてもう二、三年たちまして、職員の間の融和も図られておりますし、今後ますますそういった意味で努力してまいりたい。また、特に機構の職員は、地元周辺地域社会の方々と常にひざを突き合わせてその方々のお気持ちになって進めていくということが第一でございますので、機構の役員以下そういった気持ちで励んでおられると思います。
  276. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 いまお答えいただいたように、運輸省並びにお役人さんばかりだという点も一つは問題かと思います。これに民間の方も場合によっては加わってもらうことがいいのじゃないか、かような気もいたすわけでございますが、その点について、いかがでしょう。
  277. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども、もちろん民間の方で来てくださる方がございますれば喜んでお受けいたしたいと思います。
  278. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 民間の方でなくても、たとえば万博をやったときに、これはかなりタイムリミットも決められまして、そしてそれをやるために本当にいろいろな、お店の相談からあるいは子供さんの学校の世話までもしてやった経験をお持ちの人が、大阪なり兵庫なりにはおられると思います。また、先ほど民間と申しましたのは、いろいろな大きなプロジェクトをやられるときに、これこそ住民の立場になって一緒に、場合によっては寝泊まりしてでもその人の気持ちをつかんで、じゃ、おやじさんの言うようにひとつこの値段で折り合って売ってやろうじゃないかというようなことになってくるのでございまして、そういう点がいまの周辺整備機構自体に欠けていると思いますし、同時に、それが今後のいろいろな公害対策あるいは新空港についての一つのいい手本にもなるかと思うのでございますけれども、その点について……。
  279. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 ぜひそういった方向にこれから持っていきたいと思って努力いたしたいと思います。
  280. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 具体的にはどういうことですか。
  281. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 恐らく万博等やったときの経験者は大阪府、兵庫県等にたくさんいらっしゃると思いますが、そういう方々をこちらから名指しいたしまして来ていただくようにお願いをいたしたいと思います。それから、民間で各種のプロジェクトを手がけられた方々などで、月給の点で折り合うかどうかわかりませんけれども、来てくださればもちろん喜んでお受けをしたい、こういうふうに考えております。
  282. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 そういうことを進められることを今後希望するわけでございますが、環境庁の方といたしまして、今度の関西新空港の方にこの伊丹での経験をどう生かしていかれるか、どういう方策をお持ちか、その点を御答弁をお願いいたします。
  283. 今泉正二

    ○今泉(正)政府委員 お答えいたします。  大阪の国際空港におきまして航空機の騒音環境基準達成に努力いたしますことは、私たちの所管ばかりでなく、日本人の一人として、国民の福祉と健康のために当然でありますけれども、この空港の公害問題を完全に解決いたしますためには、関西の国際空港の設置、建設が重要であると私たち考えております。  先ほどから各委員からお話のございました、エアバステストフライトの測定データにつきましては、十分に評価検討はいたしております。そして、その検討の行われました上に導入に当たって所要の条件について運輸省の方は地元と協議を行いまして、最大限の納得を得た上で導入にかかわる最終の判断を下すのが私たちは適切である、こう信じております。
  284. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 時間が参りましたので、それじゃ、今後そういったようなことをいろいろ御配慮いただきまして、そして、これは場合によっては、万博をやりあるいはオリンピックをやり海洋博をやったといったような非常に国家的なプロジェクトとしてでもやらなければならない問題じゃないかと思うのです、関西空港の問題というのは。そういうことで、その点に関しまして最大限の努力をお払いになることを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  285. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 中馬弘毅君の質問は終わりました。  水田稔君。
  286. 水田稔

    ○水田委員 午前中、時間の関係で私の意見ばかり申し上げたようなんですが、結局地域周辺整備の全体の計画も今日まだ明らかでない、全体額も予想もつかない、そういう中で部分的ないわゆる周辺整備がどれだけできるかというようなことになってしまう、こういうぐあいに思うわけです。  そこで、整備機構の理事長さんにお伺いしたいのですが、この間大阪へ参りましたときに、まだ全体的な計画については全く指示はない、こういうお話を聞かしていただいたのですが、今日、あの周辺で実際事業をやっておられて、一体何が一番問題なのか、どういうぐあいに受けとめておられるか、まず、お伺いしたいと思うのです。
  287. 小田文三

    小田参考人 お答え申し上げます。  移転補償を初めいろいろの事業を機構はいたしておりますけれども、何と申しましても五十三年度環境基準中間目標達成のために、民家防音工事並びに移転を希望される方の移転を促進するということにあろうかと思いますが、特に環境基準を達成のためには激甚地区中心移転の促進ということであろうかと思います。その場合には、その跡地の問題、町づくりの問題、そういったいろいろ制度上の改正を必要とする事項が多うございますので、今回の覚書を契機といたしまして運輸省と十分協議いたしまして、その具体策を急遽つくって五十三年予算に反映してまいらなければならないかと、かように存じております。
  288. 水田稔

    ○水田委員 予算の問題もあるし、同時に制度上の問題があるということなんですが、制度上の問題ということになりますと、いまの都市計画法とかいろいろ関連があると思うのです。それらを含めて全体的なことをきちっと整理をして、五十三年に中間目標達成までのことを整備機構としてやれるだけのいま機能と機構を持っておられますか。
  289. 石原明

    石原参考人 ただいま私どもにとりまして最も大きな問題は、移転補償と民防は進んでおりますけれども移転補償の進行に伴いまして現実に地元集落に対していろんな影響を及ぼしておるわけでございまして、それに対応する対策として、土地利用計画といいますか、再開発を進める必要が焦眉の急であることは午前中から議論があるとおりでございます。  しからば、それに対しましてどのようなことが五十三年度の予算に向けてできるかということでございますけれども、あと余り時間がございません。したがいまして、正直に申し上げまして、全体計画ができるというようなことについては、私どもが直接やるわけではございませんけれども、この全体計画につきましては、府県が中心となり、各市が入ってやるべきものでございます。したがって、そういう点をさらに住民の御意向もお聞きしなければいかぬわけでございますから、そういったところまで全部できるというようなことは、やや時間的に無理があろうかと思います。  そこで、これはまだそういう、先ほどからございますように、府県、各市あるいは国や私どもが入っていろいろ検討しよう、こういうことでございますが、そこで私どもとして提案したいと思っておりますのは、激甚地区の中でもかなり移転が進みました地区が何カ所かございます。こういうところにつきましては、今日まで何もしないというわけではございません。すでに昨年等におきましても、府県や各市からもいろいろと国の御指導もいただきまして、それはそれなりに検討してまいったものが若干の個所がございます。豊中側におきまして二、三カ所、兵庫側におきましても二、三カ所、いわばケーススタディーとして検討したものがございます。これをもとにいたしまして十分に検討いたす。ただ、そういったものにつきまして地元の方々の御了解も要るかと思いますけれども、ある程度予算の要求とそれから地元の方々の御了解というものを並行しながら進めていくのが重要ではないかと思っております。そういう点で、なかなか全体というのは大変時間的にむずかしいことでございますけれども、少なくとも激甚地区の兵庫側、大阪側それぞれ二カ所程度につきましては、これまでの勉強した成果をもとにいたしまして、地元住民の御意見を伺いながら予算の要求をしようということを、私どもとしてはそういう検討会議といいますか、委員会に提案をしたいというつもりで、現在検討しておるところでございます。
  290. 水田稔

    ○水田委員 午前中にも全体計画の問題、それからいまもお聞きしたのですが、実際問題として周辺整備というのはそう簡単には進まない、こういう印象を受けるわけです。先ほど局長の答弁を聞いておりますと、高度経済成長時代の強引なやり方が今日住民の不信を買っておる、そういうことで、それに対するせめて大きな反省の上に取り組んでいきたい――私は、反省を本当に地域住民に理解してもらうのは、これもわが党の井上議員から質問しましたように、答弁の中に、環境問題としてトライスターなり747を入れる、こういうことですが、いわばこれは旅客増に対応するその問題が主であって、それに音を少しでもと、こういうことになっておる。ですから、住民の側としてみれば、環境問題でやるのであれば、エアバスを入れる入れない以前の問題として、たとえば707であるとかDC8といった騒音の非常に高いものが、特に外国の飛行機があそこに入っておるわけですから、そういうものをきちっとしてもらいたい、なぜしてくれなかったか。あるいは勝部にしても利倉にしても、私はこの間、公環特の皆さんと一緒に行きましたが、あの行った中で飛行機の音が一番気にならない男です、私は飛行機の音は子守り歌ぐらいに聞いておりますから。それでさえあの利倉とかそれから勝部というのは、人間の暮らす場所でない条件に置かれておる。これは何ホンとかそんな数値の問題じゃないのです。これは環境庁長官もぜひ見に行くと言われたのですが、あそこで生活をしろということが問題なわけですから、そういうものを解決しないでエアバスを入れるという考え方、私は何で出てくるのだろうかという気がするのです。  少なくとも今回の調査に基づいて、先ほど局長の厳しい反省の上にこれから対処するというのであれば、この評価を徹底的にやる必要がある。その中でトライスターを入れるべきかどうか、あるいは747を入れるべきかどうかということを、もう一遍白紙の立場でこの今回の調査評価すべきである、航空局がすべきではないか、こう思うのです。ただ、あの調査の時点以降今日までの運輸省なり航空局の発言を聞いていますと、十五日の日にすでに予測値を下回っておるということを私どもに言うわけです。けしからぬと、こういう話をしたのですが、きょうの次官の答弁を聞いておりましても、これはまだ今日運輸省でも十分な解析は終わっていない。もちろん環境庁もできてないけれども、これはほぼその予測値を満たすものに近い、そういうような判断エアバスを入れることを前提にした発言がきょうもずっと続いておる。そういう点では、決して先ほど局長が言ったような、住民にいままでの反省を航空局が示したということにはならないと思うのです。    〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、この環境調査についての判断というものは、厳正に白紙の立場でやられるお考えがあるのかどうか。局長にお伺いしておきたいと思います。
  291. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この点につきましては、四月の三日でございましたか、覚書を結びましたときに、地元の方々から非常に強い懸念がございまして、私どもそういった懸念にお答えするために、覚書の後ろに念書を入れまして、テストフライトを行いました結果、無視し得ない違いが出てきたときには導入は見合わせるという念書を入れたわけでございますが、私どもエアバス導入というものを、何よりもまず第一に環境公害、特に騒音を少なくする対策であるという点を考えているというところからそういった念書を出したわけでございますので、今後テストフライトの結果につきましては、なるべく速やかにこれを解析し、評価いたしまして、地元の方々にも御説明をし、納得を得る努力をいたしまして、そして、私たちとしては、いまの飛行機よりも音の低い飛行機を入れるということによって地域騒音公害をなくする、そういう手段の一つとしてエアバス考えておりますので、そういった方向でこれから進めてまいりたい、こう思っております。
  292. 水田稔

    ○水田委員 局長騒音だけ強調されたのですが、住民の側から言えば、これはNOxの問題、COの問題、あるいは炭化水素の問題、振動等を含めてですから、騒音だけでエアバス導入ということを言われることはきわめて慎重を欠く発言だと思う。全体的な環境改善を図るということが、エアバスを入れる入れないは別として、いまあそこでは住民の要求なんですから、その点はひとつ訂正願いたいと思うのです。  そこで、念書が入っておるのですが、けさからの論議を聞いておりますと、「無視できない違いがあれば、」ということは、航空局、運輸省の方が一方的に判断するような発言が多いわけですが、念書というのは十一市協に代表される地域住民に対しての運輸省約束だと思うのです。ですから、これは一方的な判断をすべきじゃなくて、評価したもので住民の側から無視できないというあれがあれば、当然その意向を十分聞き入れなければならない条項だと思うのですが、どのように航空局の方は御理解なさっているか聞きたいと思います。
  293. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 実は、その念書の初めの原案は「著しい違いがあるときは」というふうに私どもは書いたわけでございますが、そうしましたら、地元意見を代弁される方から、「著しい」という表現では運輸省が著しくないと言って踏み切られたらそれっきりだ、こういうお話がありまして、それではということで「無視できない」というふうに変えたわけでございます。言葉のことでございますから、「無視できない」と書いたらどういうふうな意味が新しく出てくるか、その場はもう夜中になっていましたので、私の解釈としては「無視できない」も「著しい」も同じですけれども、いずれの場合でも、これは運輸省が一方的に解釈することではなくて、やはり客観的判断というふうに私どもは解釈いたしております。したがいまして、ごく一部の方がこれは無視できないと、一人でも騒いだらできなくなるか、そのことじゃなくて、常識的、客観的判断によりまして無視し得るかし得ないかということによって私ども判断していくべきである。決して強引に決めたものを推し進めるとかそういったことは考えておりませんけれども、常識と客観ということで判断すべきであると考えております。
  294. 水田稔

    ○水田委員 午前中に、時間がないものですからまとめて私の意見も申し上げたのですが、たとえば飛行コースをきちっと決まったものと仮定して測定点をとる。実際の飛行機というのはある程度の振れがあるわけですね。そういうのが測定点の数値の中でいろいろ予測より低いところ高いところが出ておると思うのです。しかし、実際には人間は飛行機が飛ぶところの下に住んでおるわけですから、予定した線だけで測定したもので、実際の住民への影響がそのとおりだということにはならぬと思うわけです。それから気象条件にいたしましても、たまたまあの日は移動性高気圧に覆われて、風速が大体一メーターぐらいですから、条件としては、環境調査をするしではいいというぐあいに判断したのですが、ただあれだけの調査で年間の一番悪い――これからだんだん悪くなってまいりますが、夏場まで全体を含めての予測が一体できるのかどうか。そういう点では、資料があれだけでは不十分じゃないか。そういう気がして仕方がないのですが、そういう点はむしろ、航空局の方はあれが最高とお考えかもしれませんけれども環境庁の方として、たとえば百回の離着陸のテスト、それからほとんどが32で、わずかに一部14のランウエーを使った離着陸をやっておる、そういうことで全体を予測できるのかどうか。環境庁にこれは聞いておきたいと思います。
  295. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生も御指摘なさいましたように、大気汚染の観点からはいろいろ風速とか風向とか全部見てみますと、これは相当悪い、つまり汚染を起こしやすい条件のものが入っておる、また、問題の局地汚染を見るのにはぐあいのいい条件が入っているのではないかという印象がまず第一印象でございます。それで全部判断できるかどうかという御指摘でございますが、これは朝から申し上げていますように、いままで出ている数値を一回細かくずっと洗ってみて、そしてその上で予測値との照合やら、あるいは予測で不利な条件がどれくらいとらえられているかというものを見て判断するというのが一番適切ではないかという考えでございますので、現在のところ先人的にできるとかできないというような判断は持ち合わせておりません。
  296. 水田稔

    ○水田委員 それでは次の質問をしたいと思うのですが、日本に入っておる747は、機種は一種類ですか。
  297. 松本操

    松本(操)政府委員 お答えします。  入っているとおっしゃいましたのが飛んできているという意味でございましたら、三種類でございます。それから、日本国内に存在するという意味でございましたら、二種類でございます。
  298. 水田稔

    ○水田委員 積んでおるエンジン、それから水噴射をする飛行機、しない飛行機、そういうのがあるわけですね。
  299. 松本操

    松本(操)政府委員 私はそういう意味で申し上げたのではなかったので失礼しましたが、747の中にはシリーズとして、LRが一番古うございますが、LR、SR、SPと三種類ございまして、いずれも同じようなエンジンを積んでおります。かつて初期の段階には、いま先生のおっしゃった水噴射エンジンというのがございましたが、現在は全部ドライだと思います。ただ、騒音改修のためのナセルをつけているのといないのとの差はあるようでございますが、国内で使っておりますSRとLRにつきましては、エンジンは全部改修済みになっております。エンジンの出力、つまり推力については、これも型番によって多少の違いはあろうかと思います。7Aとか9とかいうので多少の差はあろうかと思いますけれども、ほとんど二十トン前後であろうと思いますから、大きな違いはないと思います。
  300. 水田稔

    ○水田委員 それでは、大阪で二日間のテスト飛行をやったのとやらなかったのは違いがない、そういうぐあいに考えておられるわけですか。
  301. 松本操

    松本(操)政府委員 大阪テストをいたしましたのは、SRを使いました。LRとSRの違いは重量の差と、それからSRの方が離着陸回数が多いものですから足回りが強化されているという違いがございますので、重量的には、午前中にもお答えいたしましたように大阪-香港間の飛行に十分な燃料とロードということでやってございますので、この点におきましてはLRとSRの差は出てまいらないと思います。SPについては、実は私ども十分データを承知していないわけでございますが、これも先ほどお答えいたしましたように、胴体を短くいたしまして、旅客の数は減らしておりますが、足を長くして東京-ニューヨーク直行できるようにしたというだけの改造でございますので、積んでおりますエンジンは全く同種のJT9Dシリーズのものであったかと記憶しております。
  302. 水田稔

    ○水田委員 大阪での最大の離陸重量というのは大阪 香港間ということで、それに代替空港、それから予備の燃料ということであったのですが、747で五十六万五千ポンドですか。これは、航空局からもらった環境影響評価資料によると最大が五十七万三千。それからし一〇一一で四十三万。大阪でやったのが三十九万二千。大阪-香港間ということで、あのとき私ども最大のときはどうかということを現地で申し上げたのですが、そういう点では、大きくなれば余分のあれを、離陸の距離も長くなるしということなんですが、そこらあたりはそれで一体十分とお考えになっておるのかどうか聞かせていただきたいと思うのです。
  303. 松本操

    松本(操)政府委員 ボーイングの747のSRを使用したわけでございますが、大阪-香港を想定いたしまして飛ばしましたときの最大の離陸重量が五十七万ポンドになるわけでございます。五十七万ポンドと申しますのは、標準運航重量と有効塔載量とそれから燃料十三万九千ポンドを積んでおる、こういう前提で勘定をしたわけでございまして、最大着陸重量が五十六万四千ポンドで、五十七万ポンドが離陸の香港までを見ました場合の一番重い目方、こういうことでございますから、香港よりも遠くへ飛んでいくということにつきましては、実はこれは十一市協といろいろお話し合いをしましたときにも、香港よりも遠くへ飛んでいくというふうなことを想定していまの時点でテストをするということについては皆さんの御賛同が得られなかったこともあって、香港まででとめてあるわけでございます。
  304. 水田稔

    ○水田委員 トライスターの方はどうですか。
  305. 松本操

    松本(操)政府委員 トライスターにつきましては、同じく大阪-香港間三十九万五千ポンド。内訳は運航空虚重量が二十三万九千ポンド、ヘイロードが五万一千ポンド、燃料が十万五千ポンドでございまして、大阪-香港の三十九万五千ポンドと申しますのは最大離陸重量よりは低うございます。これは最大離陸重量が四十三万ございますから。しかし、四十三万ポンドでは香港よりも遠くへ行くことになってしまいますので、これは検討の外に置きました。この最大着陸重量が三十五万八千ポンドでございますので、大阪-香港間のフライトをいたしましたときにはそのままではおりてこられませんので、鹿児島あたりまで一たんずっと飛んで、時間をかせいで、燃料を減らしてからおりるというふうな操作をL一〇一一の場合には行いました。
  306. 水田稔

    ○水田委員 航空局の方でどうでしょうか。これで全部の解析は終わってはおらぬと思うわけです。航空局がこの解析を終わるのは大体どのくらいの期間でやられる御予定でしょうか。
  307. 松本操

    松本(操)政府委員 本日と申しますか、きのう、委員のお手元にお渡ししました物につきましては、とりあえずの集計、整理をしたものというつもりでございます。なお、今週末か来週早々か存じませんが、十一市協の方からも、この厚いどかっとしたのは渡してあるのでございますが、これでは困るのでもう少し見やすく整理した物を渡してほしい、こういう強い御希望がございますので、いまお手元にお配りしました物をベースに、また、本日の御質問等によっていろいろと御指摘の点もございましたから、そういうものを加えた物をお渡しして説明をしたい、このように思っております。  それと同時に、環境庁の方からも、先ほど来大気保全局長からもいろいろお答えがございまして、この解析のやり方、見方、数字のながめ方というふうな点をも含めましていろいろと御注文もいただいております。そういうふうなことを一々踏まえながら、私どもは鋭意最終的な解析を急いでおりますが、完全にきれいな形に仕上がるというのは、多少の時間がかかろうかと思いますけれども、データの中で、比較考量すべきデータ、必ずそのデータを外してしまっては意味のないデータ、こういうものを確実に押さえまして、それの整理、分析をするというのにはそんなに長い時間はかからないで済むのではないだろうか、このように考えております。しかしともかく、目下のところは、私どもは鋭意、総出で取りかかっておるという状態でございます。
  308. 水田稔

    ○水田委員 そうすると環境庁の方は、午前中に伺ったのですが、このテストフライトで、全体的に見た場合なお不十分な調査がある、こういうことになれば、さらにテストフライトをやるというお考えはありますか。
  309. 石井一

    石井(一)政府委員 これから慎重に検討しなければいかぬと思いますが、現在までのところ、そのようなデータは見当たらないというふうに私たち考えております。
  310. 水田稔

    ○水田委員 いまのデータ、数字を環境庁が見て、たとえばNOxの問題についてもう少し慎重に見なければいけぬかもわからぬ、こういうことでこういう資料が欲しいという要求があるかもしれない。あるいはあれだけの離着陸の形で年間の気象条件を完全に把握することが困難というようなことがあるかもしれない。そういう場合に、環境庁から航空局へ要求かあった場合――それは先ほど来の答弁から言えば、大変な反省の上に地域住民の健康を守ろう、そういう立場で理解を求める努力をするというのが局長の発言ですから、たとえば全体的に住民からも出るかもしれません。あるいは環境庁から、こういう点が不十分ではないかと出た場合に、当然それはやるということで  いまの次官の発言は、とにかくテストフライトをやることがエアバス乗り入れの条件だからやったのだから、それはその数字を見て、後は皆さんを説得すればいいんだと言うのでは、それは先ほど来の答弁から言って大変な違いですから、私の申し上げたのはそういうことですから、もう一遍御答弁願いたいと思います。
  311. 石井一

    石井(一)政府委員 運輸省といたしましては、これまでも環境庁といろいろ詰めをしてきたわけでございます。そして二十日の日でございますか、膨大な資料も提出をいたしました。そして、わが方の手によって、また昨日でございますか、さらにわかりやすい資料を提出した。私は、やはり専門家としては大ざっぱには検討を終えた、こういう立場が正しい表現だろうと思います。もちろん、専門的に環境庁が見ませんとわからぬような面もございますので、その点はひとつお願いするということを率直に申し上げておるわけでございますが、運輸省といたしましては、きょうの時点におきましては、相当無視できない大きな違いはないんじゃなかろうか、その表書きにも書いてございますように。現在そういうふうな判断でおるわけでございます。そしてまた、きょうの橋本局長以下の環境庁の御答弁でも、一番重要なところは、無視できない違いがあるかどうかをもう少ししさいに見たい。その言外には、これは私の想像でございますけれども、一応これまで受け取った範囲内においてはそんなに大きな問題もないように思うが、それをもっと慎重に見たい、こういう御答弁がけさからずっと繰り返されておるわけでございますので、私はちょっとあわて者でございますから、断言めいたことを申し上げた点はおわびをしたいと思いますが、現在までのところ運輸省としては、自信を持ってそういうことはなかろう、こういうふうに考えておるわけでございます。水田委員の御指摘のように新しい事態が発生いたしましたときは、しかもそれが非常に大きな相違があり重大な影響があるというふうな事態が発生いたしました限りにおいては、当然再検討をする必要がある、しかしそういうことはまずなかろう、こういう自信を今日まで深めておる、こういうことでございます。
  312. 水田稔

    ○水田委員 何回も同じことを言うようなことになりますけれども、たとえば騒音測定点の上を必ずしも飛行機は飛ばないわけです。新幹線を鉄道の上を走らせれば、これはもう新幹線は全く動かぬ。外れたら脱線ですから、大変なことですから外れませんが、飛行機は、航空事故防止の点からも大変無理なことをやらせておるのではないかということも午前中に申し上げたのですが、そのために、私どもが行ったときにも、実は、測定点のここを飛行機が飛ぶのです、ここで旋回するのです、ところが、こっちの方を飛んで行っているのです。これは外して行っているのではないかということが、現実にあのテストをやっておる最中に幾らでも起こっているわけですね。実際には悪意はないにしても、飛行機というのは線路を引いてないわけですから、大体ILSのマーカーに向かってそれが外れたところで旋回するということを言っておりましたから、そこへ来たときに旋回するのでしょうが、それは風の影響で五十メートルや百メートルずれることはしょっちゅうあるわけですから、そのときに測定点が、いまのここの点だけで、こっちははかってないわけですから、そういう点が住民の側から不十分じゃないかというようなことが出た場合、そんなことはないとは言い切れないわけですね。  それから、何回も申し上げますように、風向、風速と空気密度というものは、騒音にしても大気汚染にしても大変な影響があるわけです。ですから、あのときの状態を年間にそのまま簡単に引き伸ばすことができるかどらかということは私は疑問に思うわけです。環境庁がいろいろな計数を使ってそういう点を推測をしてみても、なおこの点で不十分ということが出てくるかもしれない。そういう場合には、いままでの答弁からいって、住民の疑惑を晴らすことができないのですから、率直にそれはやらなきやならぬ、補強しなきゃならぬ調査があればやりますというのが運輸省の態度でなければならぬと思います。そのことをお伺いしておるわけですから、御答弁願いたいと思います。
  313. 石井一

    石井(一)政府委員 私、たびたびお答えいたしておりますように、大変な無視できない違いが出てまいりましたら当然にそれはやらせていただきます。こういうふうにお答えをしたいと思います。  ただ、もう百回飛ばしておるわけでございますから、百回もと、百回だけだ、こういう議論の違いでございますけれども、百回の中には、何ぼそのときの風速がありましても、全部コースを間違って飛んでおるとは思いません。やはりその上のコースも確実に飛んだというふうに私たちは推察いたします。また、そのうちの何回かは当然飛んだと思いますし、そのデータも全部生のまま出しておるわけでございます。さらに大気汚染の問題に関しましても、条件的には非常に悪いときに、テストとしては最適の日にやったということも委員もお認めでございますし、環境庁の方もお認めでございます。そういう中でやらしていただいておるわけでございますから、運輸省としては、特別必要以上の差異が今後発見されない限り、一応あれで世界的に見てもかなり慎重なテストをやった、こういう自信を持っておるわけでございます。
  314. 水田稔

    ○水田委員 次の質問ですが、これは午前中時間がなくて私の意見ばかり先に申し上げたのですが、私、現地で見まして、あの高度であれだけのスピード、まだ全速になっていないときにああいう大きなバンクで旋回することは、航空機の安全という点から大変危険だ。飛行場の条件が悪いために、いわゆる環境を守るために航空機の安全を損なってもいいという理屈は成り立たぬわけでありまして、飛行機の利用ができることと同時に、それは地域の環境も十分守られ、そして飛行機の安全も守られなければならぬ。ともすれば飛行場整備のおくれによって操縦士に過酷な条件が強いられておるのではないか。乗っておるお客さんは余り気がつきませんけれども、けさほどの答弁では、風の向きによって、イーストの風のときにはバンク二十度ぐらいになる、こういうことも答弁がありましたけれども、実際に飛んでいるパイロットから聞けば三十度ということもあるようです。大変危険なことで、低空でしかも非常に大きなバンクをとるということは、失速になる危険というものは一番大きいわけです。これは航空局の皆さんよく御存じだと思うのです。そういう条件をあそこで与えておるのではないかと、どうしても気になるわけです。  それからもう一つ、二段進入方式というのは、六度の降下バスでおりてきて三度の正規のバスに乗せるというのは、これもちょっと午前中触れましたけれども時間がないので簡単に申し上げたのですが、あの全日空の727が東京湾に落ちた最終的な事故報告がどういうぐあいになっておるか私知りませんけれども、木更津を通って順次降下してくる、高度を下げるのをVFRでおりてきて、羽田空港が見えるからということで近回りをして急激に高度を下げる。ジェット機というのは大変沈みが大きいものですから、それを正規のバスに乗せようとしてエンジンを吹かしたけれども、そのときには時すでに遅くて沈みがそのまま海面まで行っちゃったというように私は理解しておるわけです。そういうふうに、周辺整備がおくれておることを操縦士に飛行の条件としてだんだん過酷なことを要求することが、いわゆる航空事故という点から言えばますます危険を増大する、こういうことに私はつながると思うのです。  これは大阪ではないのですけれども、羽田でこの間調査されたのでは、大体モノレールの西側へは入ってはならぬ、こういう通達が出ておるようですが、私はモノレールの西側へ寝泊まりしておるのですが、大分夜遅く上を飛んでいきます。しかし、実際に操縦しておる連中に聞いてみると、定期操縦士の免状を持ってコーパイをやっておる連中が、あの中でやれというのはとにかくもうできません、キャプテンにそう言う。中には、そうは言っても航空局が言っておるのだからおれは意地でもとにかくそうやって着陸してやる、と言ってやって、最終の旋回が終わると同時に引き起こしをやって接地する、そういうような危険なことが現に羽田で起こっているわけです。羽田でさえもそういう航空の保安上の問題を無視した環境条件は守れぬということで――むしろ航空機の安全を犠牲にしておる。それは飛行場整備のおくれが一番大きな問題ですけれども、そういう点があるわけです。  ですから大阪空港についても、大きな飛行機を入れるということよりも、むしろあの飛行場整備のおくれのために起こったことで飛行の危険を起こすようなことはすべきでない、私はこう思うのですが、これは午前に続いてもう少し詳しく、そのことについての答弁をいただきたいと思うのです。
  315. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  まず大阪の件でございますが、先生操縦の方は御専門なので、私大変お答えしにくいのでございますけれども、32、南側からテークオフをいたしました場合に正面に六甲山がございますので、どうしても左へ曲がらなければならない。どこで曲がるのかという問題がございまして、もう大分古くから通称泉コースと言われておるコースが設定されております。久代NDBア・ビームで左旋回をする、そして二百度に乗るのだ、淀ポイントまで出る、そこからライトターンする、これが西行きでございます。それからア・ビームで同じようにレフトターンをいたしまして二百度に乗りましてから、一たん乗りかけたところでそのまま旋回を続けます。そして九十九度の線に乗ってコアへ出る、これが東行きでございます。このコースにつきましては、実は私どものフライトチェッカー、これはYSでございますから、YSでできてもジェットはだめじゃないかという御議論もあろうかと思いますので、さらに一般のパイロットにもいろいろ飛んでもらいましたし、それからフライトシミュレーターも使ってチェックもいたしました。各社の方はまたフライトマニュアルと申すのでございましょうか、各社それぞれに細かに決めたものを持っておりまして、ある一定の幅の中で飛ぶようにしております。これが、私が午前中お答え申し上げましたV2ブラス1〇で行きました場合に、バンク角二十度で中国縦貫道の北へ出ず、武庫川の西へ出ないという形でうまく二百度の線に乗れるはずなんでございます。ところがYSでありますとか737の場合に、特にこれは東行きの便に多いようでございますけれども、少し早目に旋回をいたしまして小回りをする。これはいまも先生から点の真上を飛ばぬじゃないかというお話でございます。私自身テストフライトのときに久代小学校の上で小一時間、すべての飛行機のフライトを観察しておりましたが、いま申し上げたコースで飛ぶとすれば、久代小学校の屋根の上で真っすぐ上を向くような形で機影が通過しましてから左に旋回をしていくということになるはずなんでございますが、明らかに久代小学校の上に立っている人間に飛行機の腹を見せて左旋回をしている、これは大体737あるいはYSといったのに多うございます。Aランの方から出てきた連中に多いようでございますけれども、これはわりあいに早く回ってしまう。したがって二百度のビームに乗ります場合に西側から乗らないで東側から乗ってしまう、こういう乗り方をしている飛行機があるようでございます。これは推奨の乗り方ではございませんので、この点、たまたま今度のテストフライトによって私自身が気がついたわけですが、実は、これは各市ともお話し合いをしながら、どこを通っているかという飛行コースの観察を年に何回かやっておりますし、特に今度の場合にはレーダーの連続写真をとりまして飛行コースを押えてございますので、そういう点については問題があれば十分注意をしなければいけない、こう思っております。  ただ、このコースそのものにつきましては、日航と全日空と、今度のテストフライトでたしか十二、三名の相当のベテランのキャプテンが一日置きに飛んだわけでございますが、非公式コメントをいただきました限りにおいては、特に在来機と比べて泉コースと申しますか、デパーチャーのプロシージャーに特にむずかしいというふうな点は全く感じられない。ただ上昇が非常に早うございますので、コックピットからは空しか見えなくなってしまう時期が一時出てくる。そこで構内にVOR/DMEがございますので、DME二マイルをリファレンスにとってレフトターンをする、こういう形をとればもっと正確に飛べるのではないだろうか、こういうふうな意見を、非公式意見ではございますけれども、私どもは聴取いたしました。したがってこういうふうな問題は今後の飛行コースの指導に当たっては大いに生かしてまいりたい、このように考えております。  それから東京の方についてでございますが、これはいま改良を試みております。というのは、同じバンク角でそのまま回り込んで33Lに入る、こういうふうな形をとっておりましたが、これはやはり先生御指摘のとおりに、ファイナルコンフィギュレーションに入る直前にバンクをとっているというのは非常にやりにくい。ドッグレッグ方式に直しました。それと同時にあそこのガイダンスライトが乱ぐい歯になっておりますので、これは五十二年度からの予算でこの乱ぐい歯を直し、シークェンスライトをつける、こういう方向でいま鋭意土地の選定その他をしております。  それから最後に、午前中にもお話がございました二段進入につきましては、これは非常にむずかしいのでございまして、地上に置いておきますILSの性能もさることながら、エアボーンのいろいろな仕掛けも積まなければなりません。そこで私どもは開発の研究をいま継続はいたしておりますけれども、いまのところいつからこれを実施に移すというはっきりしためどは持っておりません。米国においては一部行われたようでございますけれども、わが国においては二段進入は現在は研究の段階でございまして、まだ実施には移しておりません。
  316. 水田稔

    ○水田委員 私は現地に参りまして、恐らく長官も行かれればそういうお気持ちになると思うのです。これはエアバス導入するしないにかかわらず現状勝部なり利倉というのは、いわゆる32の場合ですけれども、着陸の方が大きな影響を受けるのですが、あの上を飛行機をいまのままで飛ばしていること自体、エアバスを入れる入れない以前の問題として解決しなければならない問題です。これは周辺整備の機構でもなかなかできぬようですがね。ですから私はそういう論議の前に、少なくともいわゆる三種と指定された地域の解決をすることが最優先に考えられなければならぬ。これは大阪空港周辺公害対策として、エアバス導入するしないとは全然別問題として、まずそれをした上でこういう環境評価をやり、そして導入するかしないかを決める、こういうことにするのがあの地域住民にこたえる一番の道であると思うのです。なかなかうんとは言われぬと思うのですが、少なくともあの状態で人間に生活をしろということは、人の健康の問題だとかあるいは全体の利益のためとか、どれほどいいことを言っても通用しない、そういう状態だと理解して帰っておるわけです。その点について、最後に次官からお答えいただきたい。
  317. 石井一

    石井(一)政府委員 御指摘はごもっともでございますから、これからできるだけ周辺住民の皆様に御迷惑の少ないようにしたいとは思いますが、これはエアバス以前の問題でございます。この時点においては、これと関連して考えるということはひとつ御容赦をいただきたい。  ただ、御主張の点につきましては、周辺整備のいろいろの事業を推し進めていく中におきまして一日も早く解決していきたいと思います。
  318. 水田稔

    ○水田委員 終わります。
  319. 島本虎三

    島本委員長 水田稔君の質問は終わりました。  次に、土井たか子君。
  320. 土井たか子

    ○土井委員 本日は、大阪国際空港エアバステストフライトについての当委員会の集中審議を行うということを理事会で決定し、開催をされた日でございます。しかし、本日開いてみますと、もうすでに午前中から午後にかけての各党の委員を通じての質問の中身でも明らかなように、運輸省側も実はテストフライトの結果に対しての分析をすべて終了されているというわけではない、環境庁の方におきましてはただいま鋭意検討中という段階でございまして、両者のこの問題に対しての分析結果というものを踏まえての審議にはならなかったわけであります。したがいまして、このテストフライトの結果についての分析に対する審議というのは、当委員会理事会において改めて集中審議を開くということ、この検討方を私は委員長に対して要請をしたいと思います。  また、もしそれが事実上不可能であるというふうな場合については、改めて私はこのテストフライトにおけるいろいろなデータに基づいての質問をさせていただくということをあらかじめ申し上げさせていただいて、本日はただテストフライトについて、この中身が十三項目内容を充足しているかしていないか、それから、今回のテストフライトのあり方が十分であったか十分でなかったか、また、再度やる必要があるかないか。こういうこととは別に、実は御承知のとおりに、四月三日の例の覚書の中身でも明らかなように、また、兵庫県や大阪府や激甚地域も含めまして自治体段階から年を追って強い要望として出てまいっております中身からも明らかなように、周辺対策というのはどうしても急を要する問題であります。大阪空港周辺に対する対策をなおざりにしたままでエアバス導入をするということは、もはや許されないということは、これはいろいろな状況からして明らかだというふうに申し上げることができると思うのです。  そこでこの問題について、一つは、はっきり確かめをさせていただきたいということで、わずか限られた時間でありますけれども質問を申し上げたいと思うのです。  大阪空港周辺整備機構空港周辺整備計画を作成されて実施されているはずでありますけれども、いまの整備計画はいつ作成された整備計画でありますか。
  321. 石原明

    石原参考人 周辺整備計画は、四十九年三月二十八日に大阪府と兵庫県の両知事が共同で策定いたしまして、空港設置者でございます運輸大臣の協議の上で策定したものが現在の周辺整備計画でございます。
  322. 土井たか子

    ○土井委員 そういたしますと、例の四月三日のあの覚書以後、この周辺整備計画について内容をさらに吟味をして、改革すべきものは改革するというふうな意味での御検討整備機構としてはされたかどうか。いかがでございますか。
  323. 石原明

    石原参考人 ただいま申し上げました周辺整備計画は大変抽象的な文言でございまして、これを実際に土地利用計画、再開発等に結びつけるためには具体的な計画が必要でございまして、この点につきましては、当初、スタートしてからいろいろと両府県、各市にもお願いしてまいってございまして、そういう線に乗ってこれからも進めなければいかぬわけでございますけれども、当面ああいうふうな覚書が出まして、できるだけ早くあそこの地区計画でございます。この地区計画に基づく地区に関しまして、全体というのはなかなか時間がかかりますから、地区に関しまして、いま問題になっておりますような点についての回答を出すということが当面やらなければいけないことだと思います。私どもといたしまして、それを単独に勝手にやるわけにはいきませんので、国、府県、各市が入られましたそういう委員会を早急につくっていただきまして、そこで御検討願い、さらには住民の方の御意見も聞いた上で設定して実施すべきものだと思っております。  私どもといたしましては、そういうことを目途にいたしまして、周辺地区の中で最も移転補償の進んでおります大阪側におきましての二、三の地点、兵庫側におきます二、三の地点につきましてかねてから検討いたしておりますが、そういうものについてさらに吟味をいたしまして、そういうふうな委員会に提案をしたいと考えておる次第でございます。
  324. 土井たか子

    ○土井委員 従来から、整備機構とされては、いままでの事業内容はスムーズにうまく運んでいるというふうに認識をされていますか。いかがですか。
  325. 石原明

    石原参考人 大変抽象的な御質問でございますからお答えがむずかしいかと思いますが、少なくとも国の方から委託あるいはその他事業としていただいております移転補償なり民防というものは、これは予算に照らし合わせましても大体消化しておりますから、この点につきましては大体目標に沿ってさせていただいておる、こう申し上げても過言ではないかと思います。  ただ、固有事業につきましてはいろいろな問題がございまして、当初いろいろ考えましたことがなかなか現実に当たりますとむずかしい点、あるいはまた制度的な問題というのは一遍に解決できないわけでございますから、そういう点からいたしますと、固有事業につきましては必ずしも十分ではないというふうに申し上げられるかと思います。
  326. 土井たか子

    ○土井委員 余り自信のあるようなお答えではない。総合して言えばそういうことだと思うのです。これは率直にお認めいただかないとならないと思うのです。  代替宅地の問題を取り上げましても、対象地区別の申し込み状況というのは一体どういうぐあいになっておるかということをひとつお答えいただきましょうか。
  327. 石原明

    石原参考人 代替地につきましては、現在までに合計いたしまして五百区画余りを取得いたしました。そのうち現在までに二百六十三区画、分譲といいますか、売り出しに出しておるわけでございます。そのうちで現在までにお買い上げいただきましたものが三十区画でございまして、そのほかに、現在のといいますか、三月末でございますけれども、お申し込みをいただいておりますのが六件ほどございます。
  328. 土井たか子

    ○土井委員 それぞれ区画をお決めになって、そして売り出しに出された件数は非常に多いのだけれども、契約区画数ということになるとまことに少ないというのがこれは現状でございますね。  それからさらに、代替地造成事業というのはスムーズに進んでいますかどうですか。いかがですか。
  329. 石原明

    石原参考人 現在のところ、造成すべき予定区画数として二百三十七区画ございます。この造成につきましては、第一に、地元住民の方々でいろいろな御要望がございます。そういう点の詰めが必要でございます。さらにはまた、開発協議が必要でございまして、そういう点で、最近の状況でございますからむずかしい問題がいろいろございまして、私どもとしてはもっと早急にやりたいと思っておりますけれども、そういうふうな協議なりあるいは地元の方々のお話し合いに時間をとりまして、予定どおりにはなかなか進んでない。現在のところでも、取得いたしましてからすでに二年程度になりましても、まだ、造成に取りかかっており、あるいはまたそういうふうな協議中というものが若干ございます。
  330. 土井たか子

    ○土井委員 まだ造成中で、協議中というのが若干あるというお話でありますが、実は、代替地の造成事業というものの中身を、私いただいた資料によって見てまいりますと、現地に行っても私は確かめてみたわけですが、山の中の、どだい交通の便利の悪い場所、現に住んでいらっしゃるところからすると、交通費だけでも考えたらいまの何倍かを覚悟しなければならない、そして生活の便、不便から言うと、まことに不便な場所についての造成を過去において進められている。  たとえば池田市において言うと伏尾台であるとか、川西で言うと多田の奥の方のグリーンハイツです。ここに私はきょうは地図を持ってまいりましたけれども、これは川西の特に猪名川流域周辺の地図でございまして、ここのところに大阪国際空港の端がございますが、いま問題になっているのはずっとさかのぼって山の奥の方であります。こういうところに幾ら代替地を造成されても、恐らくは好んで行かれるという方々は限られるのじゃないか。幾らこれに対して造成を促進されても、第一やはりその場所が問題です。それからさらに、いままだ造成がされていない、造成の工事中であるというこの地域が、ややいま住んでいらっしゃる場所に近い、都市部にあるわけでありますけれども、たとえば箕面でどうなっているか、豊中でこの造成工事中というふうな場所がどうなっているか、あらましのことで結構でありますから、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  331. 石原明

    石原参考人 土井先生よく御調査になりましたので、未造成地の方だけ申し上げればいいかと思いますが、当初私どもがスタートいたしましたときに、できるだけ早く移転者の方の御要望に沿わなければいけないということで、未造成地を買うと同時に、既造成地といいますか、そういうものをできるだけ安く取得してやりたいということで始めたわけでございまして、ただいま山の奥の方だというふうに御指摘がございましたのは、そういうことで早く提供しようということで、すでに民間等におきまして造成済みのものをわりかし安く、こういうことで取得したものでございまして、ただいま御指摘のございますように、これから造成をし、あるいはまた現在造成中のものは比較的、それらに比べますとこの空港にわりに近いところにある、こういうことが一般的に言えることは御指摘のとおりでございます。  しからば、そういうところにつきまして現在どうなっているかということでございますが、現在一番早く進んでおりますのは豊中におきます千里園でございまして、これはたしかすでに造成が概略終わりまして、そこでこれから原価計算等をいたしまして分譲価格を幾らにするかというふうな詰めに入っておる、これが一番早うございます。     〔委員長退席、水田委員長代理着席〕  それから、目下造成の契約をして検討いたしておりますのが豊中市内におきます上野坂、熊野町、宮山町でございまして、これはすでに三月末に契約をいたしまして造成に取りかかっておるわけでございまして、現在の予定では、先ほど申し上げました千里園につきましては四月末といいますか、大体連休明けぐらい、それから上野坂、熊野町につきましては十月か十一月ごろ、宮山町につきましては、これは池を埋め立てた関係でございますので予定の半分ぐらいでございますが、この半分につきましては八月末か九月ごろには分譲に出せる、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから、現在協議中であって大変おくれておるわけでございますが、開発協議で難航いたしておりますのが第一に宝塚の平井でございまして、これは地元との話が大変むずかしゅうございます。それから豊中市内に上新田というのがございます。これは私どもが契約をいたしました範囲について、最近の土地の税制等の関係もございますか、地主さんがここ一年ぐらいには大変お売りにならないようになってきておりますので、全体としての契約について再検討する必要があるわけでございまして、上新田につきましては、現在の状況でどうこれから検討したらいいかということを改めて練り直しておるというような状況でございます。それからもう一つ、箕面に稲という小さいところがございます。これにつきましては交通路についての整備が十分でございませんので、早く造成いたしましても実際に利用はどういうことになるかということは問題でございますので、地元との話というよりも、協議を進めておりますけれども、そういう意味で、区画も小さいわけでございますからややおくれて検討を進めておるという状況でございます。  そのほかに、これは主として二戸建てというよりも共同住宅を建てるというふうな考え方で進めておるところが利倉西というところがございます。この点につきましては、私どもその一部を取得いたしましたけれども、換地が進んでございませんので、早く換地をしていただきまして地元の御了解を得た上でその換地の上に共同住宅を建てたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  332. 土井たか子

    ○土井委員 希望的観測というのがかなりあるような御答弁なんですが、現状からいいますと、特に豊中では豊中市内での造成区域というのがもうすでに造成を完成したところ、それからさらにいま工事進行中のところというふうな御答弁でありますけれども、それができ上がってスムーズにそちらの方に移るということがいま豊中地域の、特に激甚地域にお住まいの方々に対してお願いすることができるかどうか、これはかなり問題があるだろうと私は思います。御存じのとおり、特に豊中勝部あたりを例に挙げましても、代々あの場所でずっとお住まいになってこられた土着の方が多い。したがって、敷地面積からいいましても、百五十坪や二百坪というのはもうあそこら辺の家のあたりまえの敷地面積だというふうに申し上げてもいいくらい、大きな家や大きな土地の所有者の方々がいらっしゃるわけですね。そういう方々に四十五坪や五十坪の代替地でどうぞと言って、果たしてそれで結構ですとおっしゃるかというのは常識的に判断してもわかりますし、また、あの激甚地域における地価というのは非常に安く見積もられます。このことが移転をする節どういうかっこうで出てくるかというと、やはりこれに対して赤字埋めは当然自己負担という形になっていく。こういう負い目を負って、追い出されるような形で大阪空港のいろいろな被害地から逃れるということは、これは加害者でない――加害者は国なんですよ。加害者でなくて、従来からそこに住んでいらっしゃる被害者の方々の立場からすれば、泣くに泣けないお気持ちだろうと思います。踏んだりけったりという表現があるけれども、まさにこういう表現が当てはまるのではないかというふうにも私は考えるわけでありますが、これは今回の四月三日の覚書内容からすると、周辺整備機構とされましても、希望的観測だけじゃなくて、従来ずっとやってこられた中身は必ずしもスムーズにいっていない。そうしていろいろ目標を立ててやっていかれるのに対していろいろな御苦労を払ってこられたけれども、御苦労を払っていらっしゃる中でいろいろな矛盾点というものはそれなりにおわかりになっていらっしゃるはずでありますから、そういうことをいろいろ考え合わせながら、早期に四月三日以降は、周辺整備機構の名において、この問題に対しての再検討なり周辺対策に対して一体どう取り組むかということを改めてお考えになるべきであるというふうに私は考えるのです。だから最初にそういう質問をさせていただいたわけですが、いままでのところそういうふうな機会がこの整備機構の方では具体的にはない、委員会を設けてというふうな御答弁をすでにいただいているわけですが、特に例の勝部地域においては、私、現地に行っていろいろお尋ねをしてみますと、昨年十月ごろから相談室を、特にあそこで勝部対策班として機構の中に置かれて、具体的に十月からことしの三月にかけていろいろと問題に対してじかに一軒一軒に当たるというふうなことをされたようでありますけれども、いまこの勝部対策班というものが半ば解散のようなかっこうになっておりますが、これは一体どういう事情でそのようになったのか。新たな組織をつくってやるというふうなことならば、その組織形態というものはどういうふうに考えていらっしゃるのか。これはむしろ理事長さんに私はお尋ねをしたい気持ちであります。理事長さん、いかがでございますか。
  333. 石原明

    石原参考人 理事長が後で説明すると思いますので、まず私は、事実の経過だけを申し上げたいと思います。  御指摘のように、周辺のいろいろな問題点がございますが、その中で最も問題になりますのは勝部でございまして、そういう観点から、ただいま御指摘のように昨年の十月から各部を総合いたしまして相談室に臨時に勝部班というものを置きまして、理事長直轄でやってまいりました。その結果、昔から住んでおられた方々でございますから問題はいろいろございますけれども、年度末までに八件程度の移転補償契約をさせていただいたわけでございまして、その他大体緑地を想定しておりますところにまだ二十九世帯程度の方がございまして、その方々の大体の状況、たとえば代替地等の御希望等をおおむね把握しておる状況でございます。  こういうことでやってまいりましたけれども、そもそも理事長直轄で業務部の相談室にそういうものがあるということは、事業第一部との関係上大変むずかしい問題がございました。そこで、大体そういう要員を事業一部の方に重点的に移しまして、四月十八日からは事業一部の方でそういう問題をやる。ただ、いままでの経過がございますので、相談室のそういうものに当たった者が一、二名ございますが、これは協力してやる。こういうふうな体制で現在やっておるわけでございます。
  334. 小田文三

    小田参考人 先ほどの御質問の中の数項目についてお答えいたします。  代替地につきましては目下造成を急いでおりまして、豊中の激甚地に近い地区の造成地について年度内に、それぞれ時期は違いますけれども、早急に完成いたしたいと努力いたしております。  それから二つ目に、勝部地区で箱庭のような四十坪ぐらいのところではとてもだめだ、もっと大きな土地が欲しい、先生が御指摘の点、非常によくわかります。私どももそういう声は承っております。しかし、遺憾ながら現在のところ北摂地区には適地が非常に少のうございまして、ことに近辺ということになりますと、仮にありましても、先生御承知のような同じみなし二種の移転という問題も抱えまして、法改正または運用についての特別解釈といったようなことが必要になってくるのじゃなかろうかと思いまして、運輸省に相談いたしております。  なお、自己負担という点で、この軽減のためには、これも御案内のごとく本年、長期割賦制度というのが認められまして、これに大いに期待いたしておる次第でございます。  それから、覚書についての……
  335. 土井たか子

    ○土井委員 そういうのは結構です。理事長さん、そういうのは私お尋ねしている範疇から外れますので、それは結構でございます。  理事長さんにるる御説明を賜るのも必要かも知れませんけれども、いまは時間の方が、どうも制限時間がございまして、それを許してくれそうにございません。  そこで理事長さんに簡単にお尋ねしたいのは、失礼になるかもしれませんが、理事長さん御自身――この移転補償なんかの問題については、周辺整備機構の職員の皆さん、夜遅くまでがんばっていらっしゃるようであります。そしてお互いにこの大阪班や兵庫町というのは、それぞれ業者も違いますしやり方も違いますしカラーが違いますから、その間大変苦労しながら調整をいろいろとなさるというふうな事務的な事柄も進めていらっしゃるようであります。理事長さんは検討のそういう場所に御出席になったことがございますかどうか。それから、推進会議などをやっていらっしゃる場所に御出席になったことがおありになりますですかどうですか。それを承らせていただきたいと思います。
  336. 小田文三

    小田参考人 直接検討の場所ということに当たりますかどうか存じませんけれども、当機構の役員会あるいは第一部にときどき出向きまして、あるいは二部に出かけて行きましてそれぞれの問題を聞き、役員会にはそういう問題で討議をいたしておる状況でございます。
  337. 土井たか子

    ○土井委員 推進会議の場所にはいかがですか。そして特に四月三日のあの覚書以後、そういう会議に対してはいかがですか。
  338. 小田文三

    小田参考人 ただいまのところ行っておりません。
  339. 土井たか子

    ○土井委員 どうも推進会議に対して理事長さん自身が率先して陣頭指揮に当たっていらっしゃらないのじゃないかというふうな感を私たちは持っております。私たちもいろいろ現場を見たり聞いたりいたしますから、したがいましてそういう点で、失礼に当たるかもしれませんけれども、そういうことを一言、これは理事長さんせっかくきょうはお出ましなんだから、はっきり理事長さんの口から聞かしていただかなければならない、こういうつもりで私はいま質問いたしておりますが、いかがでございますか。
  340. 小田文三

    小田参考人 今後、これらの点には十分留意いたしまして仕事に当たりたいと存じております。
  341. 土井たか子

    ○土井委員 まあ深追いはやめましょう。次回、また大阪国際空港の問題を取り上げて私が質問させていただく機会には、ぜひ周辺整備機構の立場でひとつ御出席を私は要望いたしまして、質問を続行したいと思います。  最後に一問だけ私はさせていただいて終わりにしますが、空港周辺整備機構について定めております公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の第二十一条の二項を見ますと、「機構は、必要があるときは、運輸大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」とございます。     〔水田委員長代理退席、委員長着席〕 当面、こういうことに対して機構御自身、資本金に対する増加をお考えの中に入れていらっしゃるかどうか、ひとつお答えをお聞かせいただきたいと思います。
  342. 小田文三

    小田参考人 ただいまのところ検討いたしておりません。
  343. 土井たか子

    ○土井委員 私、これできようはもう質問を終えますけれども、どうも周辺整備機構の姿勢たるや、とてもこの連日の被害に耐えながら激甚地域で生活をしていられる方々の生活を本当に考えてやっていらっしゃるかどうかというのを疑問に感じます。どうも立場が消極的ですよ。そうしてこのテストフライトというのも、ずいぶん激甚地域の方々からすると清水の舞台から飛びおりるような気持ちで実はこの覚書に対してサインをされたといういきさつは、ここに御出席航空局長さんなり飛行場部長さんが現場でその目や耳で、はだで感じとられている問題であります。したがって航空局長さんも、私は来年度の予算折衝に当たっては大蔵省に座り込んででもこの周辺対策に対しては何が何でもやるんだということを言われた。それを聞いて、激甚地域周辺の方々は一縷の望みを託されるというふうなかっこうになってテストフライトになっているのです。  このエアバス乗り入れについては、したがって周辺対策というのが前提条件なんです。これを抜きにして、やれ十三項目の中身に対して環境庁の申し入れを充足したから、予測値から考えたら実測値というのはこうなんで、数字の上から言ったら大きな隔たりはないじゃないか、だから文句の言われようはないということで飛ばしてもらっちゃ困るのです。周辺対策というのが前提条件なんです。  このことに対しては、先日来、航空局長にしろ飛行場部長さんにしろ、確認をされているはずでありますから、もう一たびここで航空局長さんから御答弁をいただきたいと思うのです。いかがですか。
  344. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 おっしゃいましたとおりでございまして、私も飛行場部長もともどもに現地ではだで感じてきておりますし、私は座り込んででも予算を取らなければならないということを申し上げましたし、いまでもその覚悟でございます。そして、予算の時期は私どもの事務的にはもうそろそろ六月ごろからまとめにかかりますので、いま直ちにでも行動を起こしたい、そういうことでやりたいと思います。
  345. 土井たか子

    ○土井委員 さすれば、先ほど周辺整備機構の方は資本金の増額というのは考えておりませんという御答弁なんですが、私は、従来どおりのやり方じゃとても周辺の、特に激甚地域の方々の御要望にこたえる中身になってないということでずいぶんスムーズに事が動かなかったし、最初に私が質問申し上げた中身に対しても半ば頼りない、余り自信のないような、大丈夫だよ、私たちは十分にやってきましたという響きでない御答弁しか機構からは聞こえてこなかったです。だからそういう点から言うと、先ほど申し上げた資本金の増額ぐらいは必要最小限度の問題としてもうすでに考えられているであろうと私は思ってこの場に臨んだわけでありますが、考えておりませんというあたりまえのような御答弁でこれは済ますわけにはいかぬですよ。  私は、やはりテストフライトがどういうかっこうで行われようと、それ自身にも問題が実はいろいろ出てこようと思っておりますけれども、問題は、やはりエアバス導入に先立って周辺対策に対してはこうやるという青写真をはっきりしていただくことです。これは運輸省としても、この周辺対策に対してはこう取り組みますということを、実は具体的な青写真で示していただかなければ納得できる中身にならないと私は思います。こういうことは、エアバス導入に先んじて一つは具体的に示していただけますね、いかがですか。そのことを確約をいただいて、私はきょうは終わりたいと思います。
  346. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大変現行制度の壁を破らなければならない問題たくさんございますので、私たちの理想とするところを書くのは簡単でございますが、やはり現実性との関連がございますので、現実性のある構想を立てるということにつきましてはこれから直ちに努力を始めるわけでありますけれども、やはり十日とか十五日でできますかどうですか、そう自信がありませんが、しかし少なくとも基本的な考え方につきましてはなるべく早くつくりまして、また機会を与えていただきましたら私ども考え方を申し上げたいと思います。
  347. 石井一

    石井(一)政府委員 ただいま御指摘の諸点は私も同感でございます。いまのままではまた地域皆様方におしかりを受けるということも当然想像できる情勢ではなかろうか。そういう意味では、組織、人事あるいは予算、それから現行制度に関する見直し、特に移転補償の問題だとか、緩衝緑地帯の問題だとか、あるいは民防に関する問題については根本的に洗い直す必要がある、私はそう思います。この十項目に関しまして調印をしましたのは航空局長でございますが、これは運輸省全体の責任でございますし、政府全体の責任だとも申せる筋合いのものでございます。これに地域皆様方の御要望が吸い上げられないような状態であれば、自治体の首長と激甚地の住民との皆様方の間にも亀裂が起こりますし、知事なり市長との間にも問題が起こりますし、もちろんわれわれとの間にも問題が起こり、空港全体としては非常に大きな問題が起こるわけでございますから、そういう意味で、今回、これらの人々がすべて集まって調印をしておるというふうなことでございますから、その実現を期すために、やはり機構の再整備ということをこの機会に考えていく必要があるのではなかろうか、こう思います。そして、今回の十項目はこういうものをやるんだということを示し、訴訟団の皆さんも、地方自治体の皆さんがお入りになって、それをやってくれ、そして、テストフライトに踏み切ってもいたし方がない、そのかわりこれは守ってほしい、そしてその結果、非常に大きな差異か出なければ――出た場合には導入をやめてもらいたい、こういうふうなことで進んでおるわけでございますから、周辺整備に関しましては鋭意努力し、体制を変えて進みますけれどもエアバス導入に関しましては環境庁関係市長との協議、理解のもとに、これはこれでひとつ決定をさしていただくということに関しましてもお許しをいただきたいと思うわけでございます。
  348. 土井たか子

    ○土井委員 これで私は終えたいと思いますが、環境庁の方からひとつ御所見を聞かせていただきたいのは、これは十三項目に従ってのテストフライトであります。したがいまして、予測値と実測値というものを並べまして、数字の上だけで大丈夫これは合格だ、合格でないという判こをつくだけの問題に終わらせてはならないと私は思っているんです。先ほど来、もうお話の中にも重々質問答弁というかっこうで出てきたと思いますけれども公害対策というのは、発生源対策周辺対策と、この二様のものが一つになって進まないと周辺住民の方々の要望にこたえ得る中身には当然ならない。これは運輸省の方々も十分よく御承知のところでありますけれども周辺対策という点が実は住民の方々、特に激甚地域の方々の思惑とは別に、十分にその御要望にこたえていないという中身で今日まで来ている、この実態がまがうことのない事実なんであります。したがいまして、そういう点からすると、まずエアバス導入に先んじてこの点についてはっきり示しをきかしていただかないと、私たちとしては、またまた大型化していくエアバスのいろいろな振動であるとか、騒音であるとか、排ガスなどは、少しは従前に比べると数字の上ではよくなると言われながら、実生活の上ではだで感じ取るのはそうそう現用機と違いはない。しかも座席数はふえるわけでありますから、需要というものはそういう点で大阪国際空港については従来に比べると減ることは絶対にないという、この現実の前に立たされる、こういう声が必ず出てまいりますし、また、現にそれはございます。  したがいまして、環境庁とされては、やっぱりエアバス導入以前に周辺対策に対しての青写真というものが具体的になければならないと私自身は思うわけでありますが、どのようにお考えになりますか。いかがですか。
  349. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 十三項目の問題につきましては、これは先生御指摘のごとく非常に技術的な問題が多いということでございますが、大気保全局長から航空局長あてに出しました書類の中になぜ第一項目のところにこの周辺整備があるかと申しますと、私ども取り組みまして、キーは周辺整備だ、そこのところの一歩の前進と誠意が通ずれば両者の関係というのはずいぶん変わるのではないかということで、環境庁自身が権限的になかなか言えるところではございませんが、そのところを強く運輸省にお願いし、私どもも期待し、またできるだけのバックはやれることならばいたしたい、そういうふうに思っているわけでございます。
  350. 今泉正二

    ○今泉(正)政府委員 ただいまの土井先生のお説ごもっともでございます。  発生源対策周辺対策は根幹をなすものでございますから、表裏一体となって私たち運輸省協力いたしまして、いまの御指摘の点をよく留意しながら、役所としても踏み違えないように進んでいきたいと思います。
  351. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  352. 島本虎三

    島本委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後五時二十四分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕