○松本(操)
政府委員 まず最初に、事故の起こったことに対しまして、わが方が事前にどういう措置をとっておったか、事後にどういう措置をとっておりたかを御説明申し上げます。
事故が起こりましたのは、おっしゃいますように、三月三十一日、中央工営株式会社、これがエプロンの目地の清掃
作業に従事をしておりました。この清掃
作業というものはエプロンの中で行いますので、この
作業につきましては、私
どもの方の航空保安業務処理規程の第十条の中に制限区域内工事実施規程、こういうのがございまして、その制限区域内工事実施規程の中に、いま
先生おっしゃいましたように、見張りをつけろとかいろいろ書いてございます。これに、さらに空港長の方から付加的な指示をいたしまして、現にこのときには、閃光灯を回転させておりました見張りの車が一台とそれから監視員が一人、こういうふうな状態で
作業が継続されておったわけでございます。そこにAGSのベルトローダー、これは飛行機に
貨物を入れるための車で、寸法等は
先生のおっしゃったものとほぼ同じだと思いますが、これがほぼ直角に近い状況で入ってまいりました。八十度くらいであったかと思います。
したがいまして、この車は右側の視野が悪いという点は
先生御
指摘のとおりかと思いますが、空港内におきましては、道路
交通法が適用になっておりませんので、これらの車は道路運送車両法に基づく登録あるいは車両検査等は受けておりません。そのナンバーは持っておりません。ただし、私
どもといたしましては、その当該車両を運転するに足る公安
委員会の免状を持っていて、なおかつ空港長の行います講習会に出て、試験に合格をした者にランプパスというものを出しておりますが、この両方を持っている者でなければ、空港内の車両の運転というのをさせておりません。
この
運転者は、その公安
委員会の普通車の免許証と、それから空港長の発行しました免状と両方を持っておったわけでございますが、この事故の起こりました状況は、大体
先生がおっしゃいましたのに近うございますが、三人の
作業員と一人の見張り員と一台の監視車、こういう状態で目地の清掃をしておりましたところに、ほぼ直角に近い状態でベルトローダーが入ってまいりました。従来、通常の場合でございますと、ここには飛行機がとまっておる場所でございますので、必ず右へ直角に曲がってから別の曲がり角を通って左へまた曲がる、こういう経路を通るのがたてまえであったわけでございますが、たまたまそこに駐機していなかった、こういうことから、ややショートカットの形で斜め横断をしたわけでございます。
この車は、前方は確かに視野がございますが、斜めに見にくいという点は御
指摘のとおりでございますので、そのため、非常に接近をしました場合に、
作業員が十分に視認できなかったのではないか。また
作業監督員の方も、車に乗っておりました者が一名と地上におりました者が一名、二名が見ておったわけでございますが、遺憾ながらこの車が突入してまいりますのを制止することができなくて非常に不幸な事故を招いた次第でございます。
そこで、私
どもといたしましては、すぐ翌四月一日、東京国際空港エプロン
安全対策委員会というものがございますが、これを早速招集いたしまして、細かな指示をいたしますとともに、AGSに対しましては、四月十一日付で、今後の対処方針、改善方針等を直ちに
検討して空港長あて出せ、こういう指示をすると同時に、関係の業者に対しても同様の指示をいたしました。これは空港長からでございます。
さらに東京航空局長、これは同じように四月十二日にやはり書面をもちまして管内の全空港に対しまして、こういったランプ事故の防止についての措置を速やかにとるように指示をいたしました。
また、本省といたしましても、五十二年の四月八日に建設課長名の指示を両航空局長に出しまして、こういったようなランプ事故というものを起こさないようにということを指示いたしました。
ちなみに、大体毎年、ない年もございますが、一人、場合によっては二人、この九年間に七人
程度の方がランプ車両の事故によって命を亡くされておりますので、私
どもとしては、こういう点についても、今後さらに十分な
努力を払っていきたい。こういう
意味で、
先ほど御説明しました航空保安業務処理規程もこの三月二十三日に全面改正をして、四月一日からそれを実施しようとしておったやさきであっただけに、なおのこと、私
どもとしては非常に残念なことに思っておる次第でございますが、これを
一つの前例といたしまして、今後のランプ車両の安全、ランプ内における
作業の安全については、一層の
努力をしてまいりたい、このように
考えております。