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1977-05-19 第80回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十九日(木曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 鈴切 康雄君    理事 加藤 六月君 理事 左藤  恵君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 新井 彬之君       井上  裕君    北川 石松君       堀内 光雄君    前田治一郎君       井上 一成君    久保 三郎君       野坂 浩賢君    吉原 米治君       草野  威君    中野 寛成君       寺前  巖君    伊藤 公介君       川合  武君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         警察庁交通局長 杉原  正君         運輸政務次官  石井  一君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         海上保安庁次長 間   孝君         建設省道路局長 浅井新一郎君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  前山  勇君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       萱場 英造君         運輸省航空局監         理部長     永井  浩君         運輸省航空局技         術部長     官川  晋君         労働省労働基準         局監督課長   倉橋 義定君         建設大臣官房地         方厚生課長   浜  典夫君         建設省計画局建         設業課長    広瀬  優君         消防庁予防救急         課長      持永 堯民君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   青山  丘君     中野 寛成君   伊藤 公介君     川合  武君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     青山  丘君   川合  武君     伊藤 公介君     ————————————— 五月十四日  ハイヤータクシー安全輸送確保に関する請  願(枝村要作紹介)(第五〇七三号) 同月十八日  ハイヤータクシー安全輸送確保に関する請  願(岡田哲児紹介)(第五三六一号)  同(板川正吾紹介)(第五三六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件  海上交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 鈴切康雄

    鈴切委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  航空交通安全対策に関する問題について、日本航空株式会社全日本空輸株式会社及び東亜国内航空株式会社から関係者参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴切康雄

    鈴切委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴切康雄

    鈴切委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————
  5. 鈴切康雄

    鈴切委員長 交通安全対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田治一郎君。
  6. 前田治一郎

    前田委員 私、前回に航空関係についてお尋ねをしたのでありますが、御答弁で多少要領を得なかった点もあります。また、昨日委員長御引率のもとに羽田空港を視察しましたが、感ずるところもありましたので、それらに関連いたしまして二、三のお尋ねをしたいと存じます。  きのうは、ハイジャック防止関係を入念に拝見したのでありますけれども、あそこにガードマンが配置されて、乗客手荷物あるいは身体等ボデーチェックをしておるわけでありますが、配置人員の多い少ない、あるいは検査場所の多い少ないが乗客をして行列をつくらせるというようなことにもなっております。あの状態東京もああであり、大阪もあの調子、全国空港にもそれが行われておるのでありますけれども、私が事前調査したところでは、日本航空全日空東亜国内航空の三社が、それぞれの乗客の数によってあれの費用を分担しておる。さらに、国においてその半額を補助しておるということでございますけれども、その負担額補助額、五十一年度について数字がわかっておりましたら、御説明を願いたいと思います。
  7. 石井一

    石井(一)政府委員 お答え申し上げます。  ハイジャック対策費総額として、五十一年度は三億二千八百九万四千円、それから五十二年度になりましては、かなり増額をされておりまして、総額五億八百三十二万六千円、こういうふうになっております。  なお、この内訳でございますが、二つございまして、検査警備業務委託費、これはガードマンを雇う費用ということでございますが、これがもうかなりの部分を占めておりまして、あとほんの一部、検査機器整備費補助金、要するに新しい機器を買います購入費というものに一部補助いたしておりますが、ほとんどは警備会社に対する人件費補助ということになっております。  なお、前田委員指摘のとおり、運輸当局としましては、かかります費用の約四〇%を負担しておるということでございまして、あとは各航空会社がこれを持っておる。  なお、現在のところ全国で十八空港に対しましてこの補助をいたしておりますが、これらの空港は第一種、第二種の空港で、そしてジェット機が発着をしておる、こういうものに限って補助を行っておる、こういう現状でございます。
  8. 前田治一郎

    前田委員 事前に、私が航空局へ照会したのと金額が少し違うのですが、私の承知しているのは日本航空五十一年度四千七十五万円余、全日空五千二百八万円余、東亜国内航空千三百六十六万円余、合計一億六百五十万円余でありまして、これは非常に少ないなという感じがいたしました。これに対して、国が五千四百七十八万円余を負担しておるのでございますけれども、この数字は私は航空局へ照会したのですが、私の聞き方が悪かったのかどうか、ちょっと局の方でお答え願えませんか。
  9. 官川晋

    ○官川説明員 お答え申し上げます。  ただいまの政務次官がお答えになりました件は国の予算額でございまして、それから五十一年度につきましては、これは実行額を言ったわけでございます。  先生指摘のとおり、五十一年度実績でございますけれども、支出しました十七空港については、国内線と国際線合わせまして、日本航空が一億六千六十二万九千円、それから全日空が一億九千五百六十五万五千円、それから東亜国内航空が五千七百三十四万円、それから外国航空会社が七千四百二十一万三千円、これは航空会社が持った額の実行額でございます。
  10. 前田治一郎

    前田委員 私、額をお尋ねしておりますのは、実は先ほども言いましたとおりに、ガードマン配置人員が多いか少ないかによって乗客行列をつくってしまって、不要なトラブルを起こす原因になるということを案じまして、だから私は各空港検査所の数及び配置人員の適否というものを常に気にしておるのでございますけれども、実は内々にそろばんをはじいて割ってみたら、一カ月に八、九十人しか配置できないような数字が出てくる。しかもその人員全国に配分した場合には、それも早朝から深夜に及ぶのでありますから、交代制をとらなければいけない。そうすると、これでは全然人員が足りないじゃないかというようなことも感じましたので、この質問をしたわけであります。  これは経費が要ることでありますけれども、一面ではハイジャック防止、一面では乗客の権利をある場合には棄損するおそれもあることでありますので、十分に人員を配置して、金をかけてでも乗客に不愉快な感じを与えないような措置航空当局から指導してほしい。また運輸省当局もそれを御採用願いたいし、予算の面におきましても、御配慮願いたいと思うのでございます。  もう一点は、手荷物検査あるいはボデーチェックです。憲法の定める人権という点から考えましたら、警察官といえども軽々にこれをなしあたわざるようなことを運送約款によって、本人の承諾を得たとは言い条、まことに日常茶飯事のごとく空港において行っておるのでありますが、きのう視察の際に、トラブルはないかという質問がありました。それに対して、余りないという答えがありましたけれども、私は、やっぱりトラブルはあると思う。あった場合に、現場にはガードマンしかいない。だれが一体その場合の責任をとるのか、あるいは責任者として乗客に応対するのかという点に疑念が起こってまいります。  あのままで放置すると、ガードマン警察官以上にその点については権限を持ったというような錯覚を起こしかねないということでありまして、私もきのうは現場責任者有無を厳重に拝見して回ったのですけれども、ガードマン以外には航空会社の職員が現場に立っておるという姿が見えませんでした。案内した人は別でありますけれども、平常はやはりそうであります。だから、私自身も少しガードマンと紛争を起こしたことがあるけれども、責任者を呼んでくれと言っても、やはり出てこなかった。ガードマンしか相手をしなかった。ガードマン航空会社から委託を受けた会社従業員でしょう。こんな者を相手にしても話にならぬというようなことが日常起こってくると思うのです。だから、今度は航空会社参考人招致が決まりましたから、その席でも私は聞きたいと思っておるんだけれども、航空局として、それに対して一体どういうふうに指導なさっておるのか。責任有無責任者の存否というものについてどう指導なさっておるのか、きょうもう一遍お答え願いたいと思います。
  11. 官川晋

    ○官川説明員 お答え申し上げます。  保安検査の中には接触検査通称ボデーチェックと言われる検査、それから開披検査という手荷物検査があるわけでありますが、この場合、旅客トラブルが発生した場合に、だれがやるのかという点の御質問に対しては、これははっきり航空会社でございまして、具体的に責任者といいますと、日本航空の場合は東京空港支店支店長直属の、これは和文の職名がないのでお許し願いたいと思うのですけれども、セキュリティーオフィサーという制度がございまして、これがお客とのトラブルに当たります。それから全日空につきましては、東京空港支店長のもとに営業部業務課というのがございますので、この業務課長以下がトラブルに当たる。それから東亜国内航空はやはり東京空港支店業務課長以下がこれに当たる。もちろん本社におきましては、日本航空におきましては、こういう保安関係を総括しております新井専務が担当しておりますし、全日本空輸につきましては、運送本部長松田常務最高責任者でございます。東亜国内航空につきしては、営業及びこういう保安関係を統括しております窪田専務最高責任者本社におる。  実際にそういうところの責任者空港支店セキュリティーオフィサーとかあるいは業務課員というものが常駐しておらないのは、先生おっしゃったとおりでございますけれども、これはガードマン警備保障員に対してかねがねすぐ連絡する電話番号、それから連絡してすぐ来るようにということは、過日先生からの御指摘があった直後、五月六日と七日に私が直接、ただいま申し上げました本社の各専務及び常務を呼びまして、さらに強く旅客とのトラブル防止についての注意を喚起いたしまして、五月九日に東京空港事務所長東京国際空港長)が各航空会社支店長を呼びまして、具体的に旅客とのトラブル防止、それで多客時におきましては常駐をさせる、それから多客時でないときにおいては、すぐ電話一本で飛んでくるというふうに、はっきりと指示して、今後十分改善されるものと期待しております。
  12. 前田治一郎

    前田委員 非常に御配慮願っておって、言いがいがあったと思いますけれども、私の体験したところでは、もうしょっちゅう不満たらたらの人がおるわけで、あのボデーチェックは何とかならぬのかというような不平を私の知人から再三再四聞いております。私も実は普通の人と同じように、あれをくぐって乗りおりするということをやってまいりましたけれども、羽田空港の二階の検査所突き当たりの、きのう見てみたら、警察官詰め所と札が張ってあったけれども、あの部屋へ引っ張り込まれて、しこたましごかれた人間なんです。人間のくぐる門がありますが、私はいつもそこで立ちどまるかのようにして通っておるが、そうすると、そばにおったガードマンが、結構です、どうぞ、こう言うのです。だからすっと歩いていくと、二、三メートル奥におった人間が、こちらへどうぞ、ボデーチェックをと、こう言うから、何だい、どうぞと言うたじゃないか。それでもやらしてもらうと言う。君、感情に走ってはだめだよと言うと、ボデーチェックさしてくれませんか。いまの段階ではいやだね。じゃ、こちらへどうぞと、あの部屋へほうり込んだがね。それで、私が、こんなことをするんだったら責任者呼びなさいと言うたんだが、どうしても呼ばない。警察官が入ってきたが、あなたはなぜ検査をさせないかと言うから、言い分があるからさせないのだよ、君もぼくに話があるんだったら、君じゃ困るので、もう少し責任のある署長かだれか来てもらってくれと言うたけれども、それもできなかった。私は、責任者呼べと要求したけれども、結局だれも出てこずに、そのために十分、十五分、とうとう飛行機の方から早く乗ってくれという迎えが来たもので、やむを得ず、飛行機が急いでいるから、じゃ検査をさしてやろう、かばんも見たまえ。かばんも全部ひっくり返して見せて乗りましたがね。  ああいうときに責任者が出てくると、すぐ話がつく。ガードマンなんかでは話がつかない。警察官は直接タッチしてないのだから、これに対して物を言うのもおかしいでしょう。そういう点で、大変欠陥があると私は考えておりました。きのうまた高松空港で、わりあいにずさんなことがなされておるということをちょっと小耳にはさみましたけれども、(「小耳じゃないですよ」と呼ぶ者あり)大変明確に発言がありましたけれども、あれは高松空港を抜けると大阪へ来てしまうでしょう。大阪はロビーで乗りかえがきくでしょう。決して検査所通りませんよ。そうすると、あの高松空港をうまく利用すれば、ピストルでも何でも持ち込むことができると私は思う。そういうふうな盲点がある。これはやはり運輸省としては、克明に各空港をチェックして平等、厳格な検査方法を立てておかなければいけないと思うのでございます。  そこで、こんなふうなボデーチェックを幾らなさっても、この間も全日空で一日に二回も続けざまにハイジャックが起こりましたね。ああいうことがあるじゃありませんか。だから、一生懸命に検査をしておるけれども、ああいうハイジャックがいともやすやすと行われるということは、やはり現在の検査機構というか、この中に欠陥があるのだと私は思う。一つの欠陥は、私ら素人だから直感したもので申し上げますけれども、ネコもしゃくしも、みそもくそもといいますか、千編一律、だれでもかれでも同じ状態検査を執行しておる。全然検査の要らない人にもそれだけの手間暇かけておる。だから、入念に検査をしなければならぬ者に時間の割り当てが少ないということで見逃してしまうのじゃないかと私は思う。航空券というものは、船の切符と同じように住所氏名をちゃんと書かせるのでしょう。それを書いた段階購入者がわかるでしょう。それは全部の人がわかるわけじゃないけれども、しょっちゅう飛行機に乗っておる人とか、あるいはあなたが航空会社の方にお聞きになったらわかるけれども、VIP扱いというのがあるらしい。羽田空港でも会社のえらいさんなんかだったら、VIP部屋を通ってすっと行くと、ボデーチェックも何もなしに乗れるようになっているそうじゃありませんか。私は、そんなVIPとかなんとかというふうな特別扱いじゃなしに、この人は信頼できると発売のときに見た場合は、信頼できる印を入れて、そんな人は、そういう手間暇のかかる検査なしにすっすっと通すような措置を講ずる方が、より賢明であると思う。  いずれにしても、平等な扱いをしようとするところに、ガードマンは何も知らないからそれをやって手間暇かけて、それで大変渋滞をさせる。全日空の二件連続のハイジャックのあった直後は行列行列で、飛行機全体が十分なり二十分なり出発がおくれておったじゃありませんか。そういうふうなおっ取り刀主義のことをおやりになるということで、私は、その辺三つ航空会社が思い思いにやるからなのか、あるいは運輸省からの指示によってそれをやっておるのか知らないけれども、もう少し実態に即した行政指導というものがあってしかるべきだ、こう思うのです。  だから、幸いに、切符を発売するときに住所氏名も聞くのだから、その段階予備観察と申しますか、できるでしょうが。私はできると思う。会社なんかの非常に著名な人とかしょっちゅう往復しておるような人は、航空会社の方でチェックできるはずだと思う。そんなのは特別にすたこらすたこらと通すような措置を講じてもいいのじゃないかと思うのだが、これは警察的見地から言えば、あるいはそれをやると危険であるとおっしゃるかもしれぬけれども、私は、むしろそれをやって、その他の一般の人々、特に、俗に言ううさん臭い人々には時間をかけて検査をするというような方法を講ずることの方がより適切ではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  13. 石井一

    石井(一)政府委員 実は私も週に二回ほど往復をしておる立場で、委員が御指摘されておるお気持ちは何か十分わかるような気持ちがいたします。私は、いま運輸省におりますから、空港設置者管理者の一人になるわけでございますが、私も当然委員がお受けになっておるようなボデーチェックを受けて乗りおりをいたしておるようなところでございます。  そこで、いろいろ問題を御指摘されましたが、空港の構造上の問題で、これを改良することによって、もう少し人のさばきができ得る可能性があるのではないか。狭いところでやっておりますから、なかなか簡単ではないかもしれませんけれども、この点まず検討をさせたいと思います。  それから第二に人をふやすということ、これはなかなか簡単なことではございませんが、航空会社とも相談をいたしまして、また運輸当局としましても、この費用に関しましては、今後増額を予想しつつやっておりますから、その辺の増強もやらしてみたい、そういうふうに思います。  それから予備審査というような問題でございますが、これは実は先週御指摘があったということを報告を受けましたので、私も同じような気持ちで、何とかそういう制度の導入ができないかということを省内で協議をいたしたわけでございますが、これは別の言葉で言いますと、差別待遇をするというふうなことに相なるわけでございます。これも人生経験の豊かなガードマンが的確な判断でやりますと、そこのところは多少手心を加えるというふうなことで、問題を起こす人間というのは大体判断がつくわけでございますから、できると思うのでございますけれども、いま警備に直接当たっておる人々の年齢も若いし、そこにそういう思慮分別をゆだねるということによって非常に大きな問題を起こし得るということにもなりましたら、なかなかそこのところは、考え方としては取り入れられるのですけれども、実際にそれをやらしてみるということになりますと問題点が出てくる。それかというて、切符なり身元によって人間を差別するということも、これまた別の問題が起こり得る可能性があるということで、現実にこれを施行するのには非常にむずかしさがあるということを当局は強く訴えておるようなところでございますが、この点、外国の例なども今後研究をいたしまして、その辺に何らかの合理的な方法が生み出せるかどうか、なかなかむずかしい問題でございますが、この点につきましても検討してみたいと思います。  なお、私、この手続を聞いておりまして感じましたことは、運輸当局責任航空会社の方へ、お金は一部出しておるけれども任しておる。航空会社の方はその責任警備当局の方へ任しておる。そして直接の乗客の方は、全く先端にある若い警備員だけとの交渉であるというふうな形は、これはやはりトラブルが起こる原因だろうと思います。  さっき高松空港から大阪空港へというその危険の御指摘もございましたから、この体制をもう一遍洗い直しまして、御指摘がありましたのを機会に少しでもサービスの改善をして、その点遺憾なきを期したいと私は思っておりますので、この点、ここではっきりと申し上げておきたいと思います。
  14. 前田治一郎

    前田委員 石井次官から私が本件についての結論として申し上げようと思ったことを言うてもらいまして、それで満足でございますが、全く運輸省航空会社任せ、航空会社警備保障会社任せということで、責任の転嫁のみが行われておるということでありますので、これは次官がおっしゃるとおりに、ぜひひとつ御配慮願いたいと思います。  ことに私なんかはいつも満席満席でけられてしまって、空席待ちで辛うじて乗っておるような状態で、なぜこんなに満席なのか。そしてまた、その便に何十名もの者が空席待ち切符の配分にあずかるのですけれども、その辺もおかしいじゃないか。その空席待ちは、時間間際に発表して発売するものだから、その人たち検査がおろそかになったりする場合もあろうというふうに考えまして、航空行政という見地から言うなれば、もっともっと引き締めてもらわなければいけないということを感じます。  ところが対象になるのは、旅客輸送をやっている主なるものは三社である。主たるものは日航と全日空である。そのたった二つ航空会社が、どうしてもう少し法にかなったような処理をするように監督ができないのかというふうなことを感ずるのでございます。きのう空港羽田空港のキャパシティーと申しますか、そういうものを伺いました。まだ若干のゆとりがある模様である。伊丹空港の場合はどうなっておるのか、数字はきのうは聞きませんでしたが、きのうの羽田空港長はなかなかわかりやすい説明をしてくれました。  そこで、この間も新聞で読みましたら、日米航空協定に基づいて輸送力条項に関する合意議事録の再確認を求めることによって、アメリカ側はホノルルなりグアムに増便をするんだということを息巻いておると承りましたが、現在、私どもは、羽田にも伊丹にももう余力はないというふうに承知しておったけれども、まだそんなぐあいに外国からの割り込みが強力に行われようとしておる。その反面、国内幹線等は、さっき話を出しておりますけれども、大阪東京なんかは満席満席で、強引に空席を待たなければなかなか乗れないという状態である。それほど満席が続くのだったら、需要に応ずるように供給体制をつくったらどうか。いま大阪東京間などは、日本航空全日空だけが飛んでおるけれども、東亜国内だって大阪東京間を飛ばす力はあるのではないですか。エアバスのようなジャンボを飛ばせとは言いません。むしろ現在の727くらいのもので結構ですから、東京大阪間を飛ばしたらどうか。何も東亜国内をまま子扱いにして、おまえのところは幹線はだめなんだと言う必要はないじゃないか。その考え方でいきましたら、ローカル線だって全日空一社に独占させずに、二社競合というような体制をつくるべきである。外国航路だって、日本航空がナショナルキャリアとして存在するから、そこに理屈があるのかもしれませんけれども、私はサブというふうな立場、セカンドという立場で、全日空にもせめてアジア圏くらいを飛ばしてやる方がいいのじゃないか。そういうふうな路線の認可という点から洗い直して、それでハイジャック防止という点を厳密にやっていくことを考えなければ、片手落ちの航空行政ではどうにもならぬと思うのですけれども、石井政務次官、これについてのお考えはいかがですか。
  15. 石井一

    石井(一)政府委員 ただいまの御指摘でございますが、確かに、最近は特に混雑が目立つわけでございまして、この点は非常に遺憾と思いますが、たとえば東京大阪間の三月期の輸送実績、予約状況等を見ておりましても、九五%くらいになっております。九五%と申しますと、完全に席はないという飛行機が幾らも出ておるということでございますから、何らかの形で、需要に対して対応しなければいかぬということは確かでございますが、御案内のとおり、羽田も伊丹も発着規制の措置というものが行われておるので、これ以上増便をするわけにはいかない。したがって、外国航路からも何十社からも申し入れが出ておりますけれども、これは受けられないという形で返事をしておるというのが現在の姿でございます。したがって、第三の航空会社をここへ導入いたしまして解決するかという問題ではなく、基本的に、そこに需要と供給のアンバランスが存在しておる、こういうことでございます。  そこで、伊丹にエアバスの導入ということも実はきょうから行われようというふうになっておるわけでございますが、運輸省としましても、これに対しましては、三年三カ月をかけまして地元の理解を得て、今日に至ったわけでございますが、もちろんこれは一時的には発生源対策として周辺の皆様方に御迷惑をかけないということが基礎でございますけれども、当然、第二次的には需要者に対する対応というものも含まれております。たとえばボーイング747とかは五百人乗りでございますから、これまでのキャパシティーに比較いたしまして四倍、五倍の能力がある。ロッキード一〇一一の全日空にいたしましても、三百名でございますから二倍、三倍のキャパシティーがある。いまのところは一便でございますけれども、最終的に減便を全体にはいたしますが、伊丹空港で百回くらいの発着陸をやるという段階になりますと、現在の規制というものをそのまま守りつつ、乗客の緩和というふうな問題についても、かなり寄与できるのではなかろうか。残念ながら、日本の過密した中での航空行政というものは、無尽蔵に飛行場をふやしたり、発着をふやしたりするわけにまいりませんので、いまのところ、最大のいろいろの配慮をして、こういう状態であるという一点も御理解がいただけたら、こういうふうに思うわけでございます。
  16. 前田治一郎

    前田委員 きょうから大阪へエアバスが入るのですけれども、私も今夕にでも一遍乗ってみようと考えています。それはどういう意味かと申しましたら、いままでの二倍あるいは三倍近い乗客が一機で運ばれるのですが、さっき言いましたハイジャック防止のための検査個所を通るのに、たくさんの人間が一斉に通るわけですから、大変な混雑になるのではないかということを実は案じておりまして、そういう意味合いで一度乗ってみようと、切符の手配もしてあるのです。  それはそれといたしまして、大阪へエアバスを乗り入れることによって、運輸省空港周辺の十一市との協定で便を減少するという約束があったはずでございます。便を減少すれば、結局エアバスを入れたけれども、輸送力においては何ら増強したことにならないという結果を招くかもしれない。一機で多数運ぶということで、航空会社人員節約等で大変もうかるかもしれないが、乗客については、余り便利を与えたことにならないという懸念がされます。  だからというて、余り大阪空港で増便することは、着陸の際に、いま運輸省大阪府、兵庫県等と話し合いをして、騒音公害の補償をなさっておりますけれども、その補償を受けてない地域で、補償を受けておる人々より以上の被害を受けておる人が大変あるということ、これは余り私どもも口にしておりませんが、これをもしまともに取り上げたら大変なことになる。この被害を補償しなければならぬ人がたくさんになってしまって、処理ができなくなると思うから、私どもも口にしませんでしたけれども、伊丹空港へ着陸するのに、大阪市内の城東区の天王田というところにあるラジオビーコンを使うのでしょう。そこから伊丹空港に真っすぐにおりていくんだが、天王田での飛行機の高度を聞きましたら、八百メートルから千メートルです。それから城東区、都島区、大淀区、東淀川区の上空を通って空港へ行くのです。だんだん高度がおりますから、頭の上から何の遮蔽物もなしに、八百、六百、四百というふうな近距離から轟音を常時二分ごとに聞いている。そのたびにテレビの画面が乱れてしまって、あるいは声が聞こえなくて、電話しておっても相手の声が聞こえなくて、通り過ぎるまで待たなければならぬということを大阪の旧市内の人々が——私は、空港周辺で補償を受けている人の中には、そこに空港があることを知っておりながら後から住んだ人がたくさんあると思う。大阪市内には、それより以前に住んでおる人が毎日、毎日二分ごとの被害を受けておる、こういうものをどうするんだという問題があるのです。  ここは公特とは違いますので、ちょっとそういうことがあるということだけを耳に入れておきますけれども、こういうことを考えた場合に、エアバス導入でもって空港周辺が納得したから、これで運輸省もいいんだというふうにお考えになったら困るので、言いかえましたら、この伊丹空港の滑走路の方向をどこかへねじ曲げない限りは、大阪市内のさっき言ったような区域の騒音被害というものは避けられない。だから、十二年も前から伊丹空港の移転を大阪府議会の立場でやいやい言うてまいりました。泉南沖空港というようなものは十二年前に私らが言い出したことなんです。最近、ようやく運輸省においてもこれをお取り上げになって、推進をしておられるわけですけれども、地元の反対があるからということで、なかなか前へ進んでいない模様でありますが、伊丹空港の状況から言いましたら、もはや限界点に来ておる。しかも京阪神を控えた大空港としては、そういう限界点に達しておるのをほうっておくわけにいかないということで、私は、海からの進入空港でなければいかぬと思うのですけれども、そのためには、いま考えられておる大阪空港を促進する必要があると思うのです。交特で空港の促進を言うのはおかしいのですけれども、幸いに石井政務次官が見えておりますので、特に、かねてからこの問題に御熱心でありましたので、この新関西空港の建設促進をお計らい願いたい。政務次官としての御所見を承りたいと思います。
  17. 石井一

    石井(一)政府委員 新空港に対する考え方の前に、ただいま大阪市内にも伊丹空港の被害を受けておる地域がある、こういうことでございますが、この点、私たちも承知いたしております。五十三年を目途に、新しい騒音の基準というものを達成しようという努力をいたしておりまして、周辺に対しまして、このエアバスも入りました機会にもう一度再点検をしよう、こういうふうに思っております。  また、十一市協との覚書の中には、テレビの受信の難聴に関する特別な補助金というふうなものもさらに増額するというふうな約束もいたしておりますので、この機会に、先ほど申されました地点につきましても、科学的に少し調査をさせていただきまして、これがわれわれが考えております基準以下のものでございましたら、申しわけないのですが、お許しをいただきたいと思うのでございますが、特別に大きな被害があるとかいうふうなことが顕著になりましたら、この機会に、別途何らかの措置をとらしていただきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。  それから、ただいまの空港の問題に関しましては、前田委員も御案内のとおり、運輸省といたしましては、要するに伊丹空港の抜本的解決というのは、新しい空港をつくる以外にもう全く道がないということでございますので、鋭意努力を続けております。昨年度は十三億の調査費、また本年度は十七億の調査費というふうなものをつけていただいておりますので、地元の反対もございますが、今後三年ぐらいかけまして調査を終えて、それから五年ぐらいかけまして建設を終えたい。そうなりますと、大体昭和六十年をめどに空港を完成し、また伊丹の問題についても抜本的に解決する機会があるのではないか、こういうふうに思っております。  ただ、成田でも、成田と大阪とは事情が大分違うわけでございますけれども、反対のために、すでにでき上がっております施設が三年、五年遅延し、ああいうふうな状態になっておりますので、われわれとしては、やはり住民の理解と納得というものが得られるということが最大の問題だ。技術的にもいろいろ問題があるし、予算的にも問題があるが、それ以上に大きな問題は、あの過密地帯の住民の皆様方にどのように理解を得つつ、これを予定どおりに完成するかということに一番腐心しておるわけでございまして、実は先月中に完成しなければいかぬ第一番目の観測塔の建設につきましても、たびたび公聴会などを持ってまいりましたけれども、いまだにもう一歩というところで、まだ完成しておらぬというような現状でございますので、われわれとしては、不退転の決意で六十年に間に合わすという考え方でございますが、これは地元選出の各党の議員さんにも積極的に、これはナショナルプロジェクトと申しますか、大阪の問題ではございません、国家的な問題だけに、皆さん方の方におかれましても、ひとつ積極的にこの問題に取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  18. 前田治一郎

    前田委員 大変積極的な御意見を拝聴いたしまして、うれしい限りでありますけれども、新関西空港の推進について地元の反対を非常に気にしていらっしゃる模様でありますが、私が承知している範囲では、一部少数の反対意見はありますけれども、大多数の人は決して徹底的に反対ではないというふうに承知しております。  また、考えてみましたら、構想は沖合い五キロぐらいのところに陸地沿いに滑走路をつくるというのでありますから、これは長崎県の大村空港の海中滑走路を拝見しましたけれども、大村市から一キロ、二キロも離れてなかったと思いますが、それでも大した轟音は聞こえない。まあ小型ジェット機ですから、そうなるのかもしれぬが、私は、五キロも離れておったら、大型ジェット機を飛ばしても、何も音が聞こえないということになるだろうと思うのです。昔から「声はすれども姿は見えぬ、ほんにあなたはへのような」という川柳ですか言葉があるが、その逆であって、影は見えるけれども音は聞こえない、ほんにあなたはかげろうのようなというふうな空港ができ上がると私は思うのです。だから、これを地元の方々によく説得すれば、あながち成田のような、あれは内陸部ですから非常に影響する範囲が多いから、あれだけの反対があるのでしょうが、海から進入する設計の空港になれば、その心配はないと思います。  また、しかし一部の意見、これは財界の意見だったと記憶しますが、造船業が非常に不況だから、これを救済する意味合いで、新関西空港の滑走路は浮きドック式というのですか、鉄板でドックのようなものをこしらえて、それを海に浮かべて滑走路にするという意見が出ておったと思いますが、運輸省はそんなものをお取り上げにはなってないでしょうけれども、やはりこれは、浮きドックというものは安定を欠きますから、事故を起こす原因になりやすい。そんなものをこしらえて、大変な航空事故が起こったと後から騒ぐんじゃつまりませんから、滑走路というものは固定した陸地でなければならない、埋め立て式が必要であると私は思いますので、この機会にそれも申し上げておきたいと思うのでございます。いずれにしましても、大阪空港の安全というものは、羽田空港と違いまして、大分と率が悪いというふうに考えます。  さらにまた、これはこの間の新聞で、ことしの二月に発生した事故だということでありますが、大阪空港の二、三十キロの至近距離において、自衛隊の飛行機大阪空港を離陸した民間旅客機とがニアミスをやった、しかも民間機が進んでいく前方五百メートルぐらいのところを自衛隊機が横切ったという記事を読みましたが、その辺の事情をちょっとお聞かせください。
  19. 官川晋

    ○官川説明員 担当者がきょう参っておりませんので、後日先生の方へ御報告申し上げたいと思うのですけれども、まことにどうも申しわけございません。
  20. 前田治一郎

    前田委員 私は、この点にも触れるということを予告しておいたのですけれども、関係者がお越し願ってないのは非常に残念でありますが、しかしこれは、きのうも管制塔を拝見しました、ずいぶんと神経をすり減らして管制官は仕事をしておる模様でありますが、直観的に感じたのは、皆さん若いなということ。若い人ばかりで、熟慮断行と申しますか、非常に分別をした判断を要するときに、それができるだろうかというふうなことを感じましたが、ああいう空港の管制塔ではなしに、何ですか国内全体の航空路を管制しておるような管制部が別に所沢かどこかにあるそうで、そこの管制ミスということを聞いたのですけれども、上空で二、三十キロメートルの距離といえば、もうほんに近い。そんなところで自衛隊機と旅客機とがもろに横っ腹にぶつかるような衝突をやられたんじゃ、これはわれわれ地元住民としてたまったものじゃない。その事故の影響するところ大きいと思うのです。しかも、それが高度が同じであった、離れておる距離は五百メートルぐらいで、全くもう手に汗握るというよりも何よりも、ぞっとするような状態のニアミスらしいのですけれども、これはこの委員会でその責任を追及してもしようがありませんが、管制のミスであるという以上は、やはり管制官の養成あるいは訓練、それから日常の管制ぶりの指導監督をなさっておる官庁は運輸省ですから、その辺の責任を痛感してもらわなければいけないと思うのですが、きょうはその担当者がいらっしゃらぬとすれば、これに対する質問をしてもしようがありません。私は、三航空会社の代表がお越しになるときにも質問をちょっとさしてくれという要求をしておりますので、きょうは余り厚かましく時間をちょうだいしてはいけません。次の質問者がお見えになっておりましたら、質問をやめます。——それでは、きょうの私の質問は、これでひとまず終わります。  ありがとうございました。
  21. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、久保三郎君。
  22. 久保三郎

    ○久保(三)委員 室城さんにさしあたりお尋ねしましょう。  去年の五月十三日ですが、あなたに御答弁いただいているわけですが、ダンプの安全運転、いわゆるダンプ規制法に基づく対策についてお尋ねをしたわけであります。中身について、いまさらたくさん繰り返す必要もありませんが、言うならば、この法律は四十二年にできまして、当時ダンプによる死傷事故というのが大変続いて起き、世論の反撃というか、そういうものもありまして、たしかこれは議員立法でできた法律だと思うのです。その後、ダンプの問題は、死傷事故の問題もさりながら、流通の問題、それからもう一つは、当初からの問題である過積みによる安全運転の問題、あるいは過労運転というようなことが重点になって、いまだに問題は片がつかないのですね。  それで、つらつら考えてみるのに、ダンプ規制法という法律そのものに、一つは完全でないところがある。完全でないところがあると同時に、法律の条文のとおりに実行できるような行政の体制になっていない。言うならば、言葉が悪いのでありますが、議員立法であるからかどうかわかりませんけれども、立法は向こうでしたのだから、これを実行する行政府としては余り熱意がないというような、この法律そのものに対する権威というか、そういうものが薄いのではないかというふうにも思われる節が幾つかあるのです。  それからもう一つは、各省庁にまたがる事項であるので、ともすれば、一片の通達を出して、それで責任終われりとするものがある。  それからもう一つは、法律の条文の中に網羅できない盲点というか、そういうものが幾つか存在している。その盲点そのものをとらえなければ問題の本質を解決することができないのに、あえてこれを回避している。その原因は何かと言うと、各省庁間におけるところの責任逃れに尽きるというふうに、私どもは要約して思っておりました。  そういうことでありますから、去年の五月十三日の当委員会において、私からこの法律の見直しを含めて実効を上げる方途について、各省庁寄って検討を加えるべきではないかという質問をしたわけであります。それに対して、総理府を代表してあなたは、そういうふうにいたしましょう、こう言った。きょうこれからおいでになる人もおりますが、その中では——議事録を当時はそれほどに感じなかったのだが、議事録を改めて文字にしたものを読むと、相変わらず体裁のいい言い逃れをしているわけです。ここに立ったときには、私の気持ちをくんだような顔で答弁している。しかし、議事録になった場合、よく見ると、巧妙に責任逃れをして、やるつもりがない者が幾人かいるということなんです。きょうはそれは許さぬと言うのです。そういう意味で質問をするのでありますが、限られた時間でありますから、細かい点は別として、きのうそれぞれの政府委員関係者が来たから、きょう出席する答弁者は、一遍この法律をよく読んでこいということを伝えておきましたから、法律の条文に従って質問をします。  そこで、総理府にお尋ねするのは、総理府は、この法律についてはどういう地位にあるのか、どういう責任を負う場所にあるのか。これが一つ。  それからもう一つは、通達を出しておられるが、あなたの方で出された通達は、完全に実行されておると思っておるのか。たとえば昭和四十五年十月、交通対策本部決定として出した「ダンプカーによる事故の防止対策および踏切道の緊急保安対策について」を完全に実行されているのかどうか。それを点検しておられるかどうか。その二つだけさしあたりお聞きしましょう。
  23. 室城庸之

    室城政府委員 私ども関係者の一人として、いわゆるダンプ規制法については、日常いろいろな機会に目を通しておりますので、十分内容については熟知しております。また、特に昨年、この席で久保先生から御質問がありましたことに対して、私自身もお答え申し上げておるわけですけれども、その議事録の写しも常時私の机上に置いて、対策を考えつつあるところであります。  そういったことで、先ほどからお話がございましたように、議員立法であるから、政府が特に熱意を示さないのじゃないかというような気持ちは毛頭ございませんで、当然法律で定められました内容につきましては、行政上これを遂行するような努力をわれわれいたしておるところであります。昨年のお話にもございましたが、基本的な問題がいろいろございますので、先生からもこの際、特に抜本的な対策に役立つような基本的な調査をやるべきではないがという御指摘がございまして、私どももそれにおこたえすべく、五十一年度の予算並びに五十二年度においても、総理府その他所要の調査費等も予算でお願いいたしまして、今年度さらに基本的な点について調査を進めるつもりであります。  ただいまお話がございましたこの法律に対して、総理府はどういう立場にあるのかということでございますけれども、法律の直接の所管にはなっておりませんけれども、いわゆる交通対策という面で総合的な調整をやっていくという立場から、私どもも深くこの法律の実施、運用については、責任を持っておるわけであります。またそこで、交通対策本部等でいろいろダンプカーについての対策を打ち出しておるわけでございますが、これにつきましても、その実施の状況については、各都道府県の担当者等を常にこの問題のために招集いたしましたり、あるいは恒例の会議の中で特に注意を喚起したりということで、努めて推進を図っているところでありますけれども、いろいろ問題が複雑に込み入っておりますことでもございまして、必ずしも所期の目的が達せられておらないということは御指摘のとおりでございまして、この点につきましては、今年度行います基本的な調査と相まって、今後の抜本的な対策をさらに各省庁と連絡をとりながら、交通対策本部として方向づけあるいはまとめをしてまいりたいというふうに考えております。
  24. 久保三郎

    ○久保(三)委員 具体的な質問をした方がわかりいいと思うのでありますが、総理府は後からまたお尋ねしましょう。  一つは、交通対策本部決定というのは、室長、これはあなたの方だけで決めたのじゃなくて、交通対策本部というのがあるわけだ。これは交通安全基本法に基づくものであるのかどうか、それでどういう省庁が入っておられるのですか、それをお答え願います。
  25. 室城庸之

    室城政府委員 交通対策本部につきましては、交通安全対策基本法ができます前から実は政府の関係機関の対策を総合的に調整するということで閣議決定で設けられたものでございまして、総理府総務長官が対策本部長ということで、そのときどきの交通安全対策ということを中心に、各省庁の担当者を集めながら方法を決めてきておるというものでございます。  これにつきまして、私どもいわゆる交通対策本部の事務局的な立場にございまして、通常は関係省庁の局長あるいは課長、こういった担当者に、問題ごとに私のところにお集まりいただきまして、本来の各省庁の行政の責任と考えられますものについてお互いに検討し、一つの方向でこれをそれぞれ所管に応じて進めていこうというような申し合わせをやっているわけでございまして、ダンプカーの問題につきましても、従来対策本部決定というような形をとりましたことはもちろん、その実施等につきましても、常時推進を図るために連絡会議等を行っているところでございます。
  26. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それで室長、対策本部で決定した事項というものは、先ほど申し上げたように、それぞれの関係省庁が責任を持って実行するということだと思うのですね。ところが実行しているのかいないのかの検討は、おたくの方ではしないのですか。ただ決めて、こういうふうに決めましたから各省庁は責任を持ってやってもらいたい、こう言うだけにこれは終わっているように見受けるのでありますが、これはどうなんですか。
  27. 室城庸之

    室城政府委員 ただいまもお答え申し上げましたとおり、新しい方向を打ち出すための打ち合わせ、それに基づく対策本部決定というようなこともやっておりますが、同時に、それぞれの所管行政庁がその内容を、責任を持って実行していくということでございますので、担当者が集まりまして、その後の実施、運用についての問題点あるいは経緯等につきまして常時打ち合わせを行いながらやっておるということでございます。
  28. 久保三郎

    ○久保(三)委員 余り抽象的なことの文句の書いてあるものは、たとえば後でお尋ねしますが、協業化を促進するということになると、一つでもやっていれば促進になるかもしれませんね。だから、そういう問答ではどうも決め手がないので、具体的に書いてあるのを一つ拾ってお尋ねしたいのですが、これは室長の方ではおわかりにならぬと思うのです。  この対策本部決定の、いまの「踏切道の緊急保安対策について」というのがあるのですが、この中で「踏切道の緊急保安対策」ということで、こういうふうに書いてあるのです。お手元にあるでしょう、お読みになってください。「踏切道の安全確保のため、大都市圏(首都圏および近畿圏の五十キロメートル圏内並びに中部圏の三十キロメートル圏内)の踏切道について緊急に次の措置を講ずるものとする。一 幅員六・五メートル以上の踏切道については、昭和四十七年度末までに遮断機を完備すること。」こうなっておるのです。  それで全国の問題をとりますれば、六・五メートル以上の踏切道は五千九百六十九カ所、未整備は四百五十四カ所ということであります。それから六・五メートル以上の三大都市圏、これに書いてある、これは千六百十七カ所で、未整備は七カ所、四十七年というのはまだ来ないのでありましょうか。私の暦では五十二年になっているわけなんですね。だから、これはいろいろな事情はあると思うのでありますが、四十七年と決めたからには、その後どうなったかの点検が必要だと思うのですが、このあとの未整備七カ所はどういうふうになっておるか、おわかりになりますか。本当は運輸省が答えるのが筋かとは思うのですよ。だけれども、統括するところの対策本部が点検していないとするならわからない、点検しているならおわかりになるばずだと思うのですね。大変皮肉な質問で恐縮でありますが、これは一番具体的なもので、たまたま私も実はこの通達はいま読んだばかりなんです。はっきり申し上げますと、あわてていま電話で聞いた。だけれども、お仕事をやっている皆さんはすでにこんなことはわかっているはずだと思うので、念のために聞いたわけですが、いかがでしょう。
  29. 室城庸之

    室城政府委員 いま御指摘のこの問題について、実施経過について追跡把握しておるかということにつきましては、まことに恐縮ですけれども、はっきりと、これについていま把握しておるということを申し上げかねる状況にございますけれども、対策本部で決定いたしまして、どのように推進されたかということ全般につきましては、それぞれの実施機関でどのように実施をしたという報告を徴して、これを常時まとめながらやっていっておるということでございますので、私の方でそれぞれの省庁からの連絡を受けました結果をまとめたものは、事務的には整備されているはずでございます。
  30. 久保三郎

    ○久保(三)委員 その整備されたものをいただきましょう。通達はどういうふうに実行されているか、現況は後からいただきたいと思うのです。ただし、この通達どおり実行されてない場合はどういう措置をとられているかも、あわせて次の機会に御答弁いただきたいと思うのであります。  それから、ついででありますから、この通達を基本にして、関係の皆さんにお尋ねしたいと思うのであります。  この通達の一番目は、「ダンプカー事業者の協業化等の促進」であります。この協業化の促進はどこが中心で、どこが責任を持ってやることになっておるのですか。これは室長から先にお聞きした方がいいですね。
  31. 室城庸之

    室城政府委員 お答え申し上げます。  車両に関する行政の面からとらえますと、主として運輸省の所管事項に属しようと思います。ただ、運輸省がこれを実際に行政の面で取り上げます場合に、ダンプカーの実態から見まして、通産の関係あるいは建設の関係、こういうところにそれぞれ活動実態についての関連がございますので、こういったものを私の方が一応調整役という立場で、それぞれの実情なり対策なりを持ち寄りまして、これを総合的に検討しながら進めていこうということでございます。  その結論として、仮に車両行政の面でこういうふうにすべきであるということが出ました場合には、これは総理府が自分でやるということではなくて、車両行政の面は運輸省が当然措置していくということになるわけでございます。
  32. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それでは、運輸省自動車局長にお尋ねしますが、このダンプ規制法によるところのダンプカーというか、ダンプの事業というか、そういうものの協業化について、どういうふうに促進されて、どういうふうな実態でございますか。
  33. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 先ほど先生お示しになりました交通対策本部決定の中に「ダンプカー事業者の協業化等の促進」ということがございます。御承知のように、ダンプカー事業者、もちろん営業用ナンバーの自動車運送事業者、それから砕石業者、砂利採取業者、砂利販売業者、建設業者等のダンプカーを使用して事業を行っている者、こういう者が含まれるわけであります。  私どもといたしましては、その中で、特に営業用の自動車運送事業者として把握される者の協業化につきまして従来から努力をしてきたわけであります。これは一般の営業用トラックについても言えることでありますが、非常に数が多くて規模が零細であるということから、荷主との関係におきまして、いろいろの運賃面あるいは労務管理、安全運行というような面で問題がございますので、中小企業近代化促進法を中心としての構造改善事業ということによりまして、経営基盤の強化を図るということをやってきたわけであります。  ダンプカー規制法制定以来、事業者として約四百事業者、車両数で三千四百二十台のダンプ事業者の限定免許ということを行ったわけであります。この中に、企業組合あるいは協業組合の形で事業免許を取っておるものもございますし、それから既存の事業者でダンプカーを使用している者がごくわずかでございますが、事業協同組合という形をとっておるものもございます。それから、建設業者その他砂利に関係する採取、販売、こういった事業者にかかわるいわゆる自家用ダンプの協業化につきましては、私としては、運搬という面からのアプローチのほかに、やはり何といっても重層的な構造と申しますか、そういった関係に立っておるわけでございますので、こういった業種所管の方からのアプローチということがありませんと、協業化あるいは系列化と申しますか、そういったことが非常にむずかしいわけでございまして、そういった他省庁と協力しながらこの問題を進めていきたい、かように思っております。
  34. 久保三郎

    ○久保(三)委員 この法律は四十二年にできて十年になります。計算に間違いがなければ十年だと思うのです。十年になって、協業化のいまの話では四百事業者、こういうようなお話でありますが、一番問題になっているのは、いわゆる青ナンバーを持っている運送事業者の協業化のことをおっしゃったと思うのであります。それだけが協業化なのかどうか。ダンプ規制法で言っているものは、それ以外の者の協業化も言っているわけですね。これはあなたのところでは関係がないのでありますか。いかがです。
  35. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 ただいまも申し上げましたように、私どもとして無関係であるというようなことはございませんで、やはり自家用ダンプカーとして運搬行為というものを行っているという面におきましては、関与しておるわけでありますが、しかしこれをそちらの面からのアプローチで協業化ということは、私は非常にむずかしい問題ではないかと思うわけであります。やはりその効果を上げるためには、もとであるところの建設業者なり砂利採取、販売、砕石、そういった事業所管官庁からのアプローチというものがなければ協業化なり系列化というものはむずかしいと思うわけであります。したがって、そういう面からこれを攻めていくと申しますか、とらえていく必要があるということを申し上げたわけであります。(加藤(六)委員委員長、定足数が足らぬ」と呼ぶ)
  36. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いずれにしても、いわゆる一人親方式のダンプ運転を業とする者、これに対して皆さんがどういうふうに考えるか。たとえば、その辺からアプローチすると言うが、それではどういう手順でおやりになりますか。具体的でなければ、これは問題が消化しないと思うのです。ただ単にアプローチしようと思っている。思っていることだけならだれでもできるのです。  御答弁もなかなかむずかしいようだし、定足数もないようですから、これは休憩させてもらって、両方ともやった方がいいかもしれません。いま加藤理事がそう言っているようだから、委員長、いかがでしょう。私はそうだと思う。休憩でもいいですよ、こういう答弁を繰り返されていたのでは時間のむだでありますから。  だれが責任を持ってやるのか、そういう責任、自動車局長の責任でないと言うなら。しかし自動車局長は、自動車に対してナンバープレートをくっつけてやった責任があるのですよ。そうでしょう。そうだとすれば、これは何の行為をするか、どうやってもいいんだということはないのでありますから、運輸省そのものがまず第一に考えをしなければならぬことだと思うのですよ。私の方で考えているのは、みんな青ナンバーのものだけをやればいいのですということでは——ダンプ規制法というのは、もともとそんなものじゃないのです。早く言えば一人親方、白ナンバーでやっている事業主、そういう者に対してひとつ規制をかけよう、そして輸送秩序や安全も確保しようというのが法律の目的であるはずなんですね。だから、そういうところに問題が全部集中していかなければだめなんで、現行制度の中でできるだけはいたしましょうというのでは困ると思うのですね。これは室長、どうです。あなたの方はどう考えて、御指導なさっておるのですか。
  37. 室城庸之

    室城政府委員 私ども関係各省庁のそれぞれのお立場での検討をお願いしながら、実際に、そうは申しましても、ダンプカーのいろいろな動きについて実態の把握が十分になされておらない、そのためにそれぞれの立場でのこの問題に対するとらえ方といいますか、考え方といいますか、こういったものがなかなか共通の姿をとってあらわれてまいらないという問題がございますので、先生の昨年の御指摘にもございましたように、基本的にこういったダンプカーの実態というものをもう一度この機会に調査し直してみようということで、実は昨年、五十一年度の予算で、通産省では、いわゆる骨材の動きそのものについての調査をやっております。そのほか、私どもの方で今年度八百万ばかりの予算をつけていただきまして、これで、従来運輸省でも部分的に実態調査をやったことがございますし、また労働省でも、いわゆる労働行政の面からの実態調査をやったこともあり、また新たに計画もいたしておりますので、そういったものを基礎にしながら、さらに従来行政機関が十分把握できておらない部分について十分な実態調査をしまして、その結果を要するに共通の踏み台にして、新たな抜本的な対策を考えていこうということで、従来いろいろ考えておりました各省庁の施策がいずれも、はっきり申し上げて、それぞれ難関にぶつかって前進しにくいというような情勢もございますので、改めてこの実態調査を踏まえた上でひとつ総合的な解決の方途を考えていこうということで、ただいま実態調査の準備を進めておるということでございます。
  38. 久保三郎

    ○久保(三)委員 自動車局長にお尋ねしますが、この規制法によりますれば、規制法の第三条では、それぞれダンプカーを使用する者は届け出をすることになっているわけです。これは届け出の対象は、言うまでもありませんが、知事に届け出る。「運輸大臣」とは書いてあるが、これは各都道府県の陸運事務所長だと思うのですね。その中にずっと書いてありまして、どういうものかと言うと、一つは第一項の六号ですね。「運転者を雇用する場合にあっては、運転者の勤務時間、乗務時間及び乗務距離」、その次の七号には「自らその運転者である場合にあっては、その乗務時間及び乗務距離」というようなことで、これは後で労働省にも聞きますが、これは届け出をすることになっているわけであります。  そうなりますと、この法律で対象になる人物——人物と言ってはおかしいが、者は、七の者も入るということです。七の者というのは、これは青ナンバーではない。青ナンバーの者もあるが、青ナンバーの者ではない。みずからやる。業として営む者ばかりではない。みずから運転する者も入るわけですから、これは白が入っている。そうでしょう。だから、その白が一つは問題になっている。白が多数ある。それを後の場合には全然度外視をして考えていかれたのでは、問題の解決にはならないのではないかというふうにわれわれは思っているわけです。  だから、たとえばダンプ協会をつくるということになりますね。協会をつくって何のメリットがあるのか。何のメリットもないんですよ。ところが、交通対策本部の決定によりますれば、協会に入れば、ある程度のメリットは与えることにしてあるわけなんです。  どんなメリットかと言うと、一つは、建設省に関係ありますな。「土砂、工事用資材等の運搬に際しての」云々と書いてありまして、メリットというよりは、これは規制でありますが、言うならば、届け出をして安全の対策を立てなさい、こう書いてある。  それからもう一つは、その中で(三)にありますが、「工事の請負業者および資材納入業者に対し、ダンプ規制法第十二条団体の設立又は加入の状況に応じ、当該団体に加入している者のダンプカーを優先的に使用するよう指導すること。」こうなっている。これは道路局長にお聞きしますが、そういうことをどんなふうに指導されておるのか。  それから(四)には「国又は地方公共団体が設立し又は出資した団体が発注する公共工事についても前各号と同様の措置を講じさせること。」  それから(五)には「民間における大規模な工事等についても(一)号から(三)号までの措置と同様の措置を取るよう指導すること。」それから砂利採取業者、そういう者に対しても、この措置に準じて同様の措置をとる。  いずれにしても、協会に入っている者に対しては、優先的に使用するようにしなさいというようなことがここに例示してあるわけですね。  以上、いまのことをお聞きしましょう、道路局長に、どういう御指導をなさっているか。
  39. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 ちょっと、私どもの所管と離れるのですが、かわってお答えいたします。  ダンプカーを使用する工事等の発注の時点で、優先的にこういった協会等に入ったダンプカーを使用するように都道府県知事に対して指導はいたしておるわけでございます。
  40. 久保三郎

    ○久保(三)委員 どういう指導をされておられるのですか。そして効果はどういうふうに上がっておるのですか。
  41. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 実は、これは計画局の所管でございまして、細かい資料を整えておりませんので、後ほどまた、ひとつ……。
  42. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いいです。どうせおわかりにならぬから、いいでしょう。道路局長がおわかりにならぬのじゃなくて、建設省がおわかりにならぬと思うのです。これはお聞きするのはやぼかと思うので、これは委員長、後から資料として提出を要求しておきます。
  43. 鈴切康雄

    鈴切委員長 承知しました。
  44. 久保三郎

    ○久保(三)委員 まだあるのです。あるけれども、時間がなんですから、先へ行きます。  飛び飛びになりますが、先ほど言ったように、協業化のために法第十一条では、国は税制上及び金融上の優遇措置を講ずること、こういうふうになっているわけですね。それから、地方公共団体もそのとおりですが、地方公共団体の関係者は、きょうは来ておりませんから聞きません。国はこの協業化に対して、どういう税制上及び金融上の措置をとっておられるのですか、ひとつ御説明をいただきたいと思うのです。——答弁者は、総理大臣じゃないと、これはできないのかな。これが、委員長初め委員の皆さん、この法律の性格なんですよ。おれのところの責任じゃないということなんですね、どこでも。本来ならこれは、協業化を進める責任は、まず第一に運輸省でしょう。——そうじゃないのですか。建設省ですか。通産省ですか。総理府なんですか。それがわからぬでも、これは室長、あなたが責任上答弁するほかないな。税制上、金融上どんな措置をとっておられますか。
  45. 室城庸之

    室城政府委員 交通対策本部といたしましては、従来も対策を打ち出してまいったわけでございまして、その際、この法律に掲げられました諸事項についてその推進を図っていこうということで、各省庁にいろいろ具体策を出してもらうように推進を図ってまいったように私も承っております。  ただ、現時点で税制で何か図られているかと申しますと、税制上の措置は現実に図られておりません。ただ、過去において、税制措置をどのように考えるかということについて検討されたことは、もちろんあったように聞いておるわけでございますけれども、少なくとも協業化という現実の動きをとらえまして、それに沿った対策を具体的に考えていこうという方向で、いまとりあえず、いわゆる一匹オオカミと言われておりますような、なかなかとらえどころのないものを少なくともとらえる努力をしようということで、実は各県にダンプカー協会というものを、できる範囲の努力でまずつくっていこうということで推進を図ってまいりました結果、現在十九県にそういったものができておるわけでございますが、さらに今年度五県を加えまして約過半数の県にこういった協会ができ、その協会の方のいろいろな意見等も聞きながら、いまのような諸般の対策を、こういった実態を踏まえて検討していこうというふうな方向で進んできておるというふうに私承知いたしております。
  46. 久保三郎

    ○久保(三)委員 委員長、これは総理に出てきてもらって、だれが責任を持って、税制上あるいは金融上優遇措置を考えたり推進するのか聞かねばならぬと思うのです。御列席の皆さん、きょうは大体政府委員をお呼びしているわけですが、政府委員でだめなら国務大臣に来てもらう、しかも総理大臣に来てもらうほかないというふうに思うのです。会期中にぜひそういうふうにしていただきたい。——あなたも総理大臣の代理になるかもしれませんが、まあいいです。  それから自動車局長、あなたのところで四十三年の一月十九日に、「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法の施行について」という通達を出しているわけですね。これはお読みになっているかもしれませんが、運輸省自動車局長から陸運局長、それから都道府県知事あてに通達をしているわけです。そこで「小職」と言っているのですね。「小職は、貴職及び部下職員各位が、本法の重要性について更に認識を新たにし、本法施行の体制づくり等に万全を期されるよう、命により通達する。」こういうのです。小職だからできないのかもしれませんけれども、どう書いてあるかと言うと、中身をずっと省略しまして、重立ったところだけ申し上げますと、こういうことであります。「本法によってわれわれに課せられた任務及び権限は、従来から極めて解決困難とされてきたダンプカー等による交通事故防止の問題の解決の決め手と期待される重要なものである。また、自家用自動車の使用に対する強力な規制は、従来の運輸省の所掌事務になかった全く新しい事務であって、法の附則第五項において、運輸省設置法の一部を改正して、われわれに課されたものである。」お読みになっていないから——部下の方は読んでいるようだけれども……。  だから、こういう観点からすれば、先ほどからるる申し上げたように、この法律をつくる動機になっているいわゆる一人親方と称される白ナンバーのダンプカーをどうやって組織し、どうやって軌道に乗せていくかということが法律の中身なんですよ。それを、むずかしいことはむずかしい、むずかしいからなかなかできないのはわかる。しかし、こういう通達もお忘れになって、どうも白の方はおれの方に余り関係ないぞというようなかっこうでおられたんではうまくない。協業化の問題も、言うならば、こういういまの通達からいけば、あなたの方が中心なんですよ。そうだと思うのですよ。いずれにしてもそういうことがあるんですね。  これは各省庁に全部関係あります。これはあなたの方の通達ですが、警察庁にも関係ありますよ。警察庁は取り締まりをどうやっていくかわかりませんが、警察庁もそれぞれ関係がある。さっき言った交通対策本部決定の一番末尾に警察庁に関係するものがある。「重点的に取締ること。」というんです。労働省もあるわけです。どういうふうにやったか。−加藤理事に教わったってだめだぞ。  それからもう一つ聞きましょう。法十五条に「土砂等の輸送体系の確立」ということがある。「国及び地方公共団体は、安全かつ合理的な土砂等の輸送体系を確立するため、鉄道又は船舶による大量輸送を促進するとともに、輸送施設の整備その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と書いてある。きょうは国鉄は来てないけれども、鉄監も来てないけれども、「鉄道又は船舶による大量輸送を促進する」と言うが、どういうふうに促進させたのか。それから体系を新しく立てるようにどんな工夫とどんな知恵をしぼって、どういう仕組みにしたのか、これはいかがですか。——これはやはり室城室長に聞くほかないのですか。これはあなたの所掌事項ですか。そうだとすれば答弁してください。そうでなければ探しますから、いかがですか。
  47. 室城庸之

    室城政府委員 申しわけございませんが、ただいま御指摘の事項についてお答え申し上げるような資料を確認いたしておりませんので、いずれ検討いたしました上でお答えを申し上げます。
  48. 久保三郎

    ○久保(三)委員 輸送体系の確立については、これはやはり自動車局長、あなたが主役の一人ですね。だから、これについては、あなたはどういうふうな措置をおとりになりますか。
  49. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 輸送体系の確立につきまして、当該条文にもありますように、鉄道、船舶による土砂の運搬がその特性発揮に効果があるというケースにつきましては、鉄道の輸送施設あるいは港湾等のそういった輸送施設の整備を従来から運輸省として行ってきたわけでありまして、全体として土砂そのものの輸送について、鉄道なり、船舶なりあるいはダンプカーなり、これの適切なそれぞれの特色を発揮した分担関係において、適合した輸送体系が形成されるということをあの規定は言っておるわけでありまして、われわれとしても、そういう方向に向かって進んでおりますし、進んでいかなければならないというふうに思うわけでございます。
  50. 久保三郎

    ○久保(三)委員 これは室長、あなたにばかりしわ寄せが来ているようで気の毒だけれども、体系を確立するということは自動車局長にも関係しますが、鉄道監督局長とか海運局長とか、いろいろな方に関係します。通産省にも関係する。それから建設省はもちろんですね。労働省にも関係する。そういう意味からいって、輸送体系の確立についても、これは早急に検討を加える必要があると思うのですね。この次には国鉄からも出てきてもらいますけれども、次回までに、どういう方法で体系を確立するように持っていくのか。体系をそれまでにつくれとは言いませんが、この会期中にもう一遍か二遍ぐらいこの委員会が開かれると思うので、そのときまでにひとつ相談をしてきてもらいたい、委員長にもこれはお願いしておきます。
  51. 室城庸之

    室城政府委員 早急に調査をいたします。
  52. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それから警察庁にお聞きしますが、本法第六条の「積載重量の自重計の取付け」であります。この取りつけについて、あなたの方は四十三年の一月十六日に「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法の運用について」ということで出しておりまして、「自重計の取付け義務違反」という条項で、基準に達する自重計をつけなさい、つけなければならないことにする、こういうふうにしてあるわけですね。  それからもう一つ、これは自動車局長に関係しますし、また通産省にも関係しますけれども、通産省は省略しましょう。これは言うならば、一つの基準を決めておるわけですよ。基準を決めたものが、いまつけられているのかどうか。いわゆるアローアンスというのは上限二五%、下限一五%、そういうものであればいいということでありますが、そういうものはいまできて、つけているのかどうか。それは何のためにつけるのか。自重計というのは、何の目的のためにつけるのか。ただ、警察は、法律につけることと書いてあるから、これはっけないものは取り締まる、こういうことのあれだと思うのですね。しかし、これは違反しているのもあるかもしれませんね。われわれは取り締まれないでいると思っております。法律に書いてあって、実行できないものをそのままおくということ、しかも権利義務を越えて、言うなら処罰の対象にもなることなんですね。それをそのままおくことについては、これはいささか不見識だと思うのです。もしも運輸省並びに通産省の工夫というか努力が悪くて、適格な装置ができないとするならば、警察庁としてはこの法律の条項を削除する、あるいはそれを改善して別の方法で取り締まりの対象とする。過積載については、これは道交法でいけないことになっていますから、それを認定するのがいまのような制度だけではむずかしいということだとするならば、新たな方向をつくる。それは自重計によれないとするならば、新たなものをつくるという積極性がなければ、法律はちっとも生きてこないのですね。守れない法律、守らせない法律などを便々と置くこと自体、われわれは、行政府の立法府に対する侮辱だと思っているのです。自動車局長と交通局長からそれぞれ御答弁いただきましょうか。
  53. 杉原正

    ○杉原政府委員 自重計の備えつけそのものが罰則で担保されているという状況から考えますと、この自重計というのは当然基準に合ったものがあるということが前提でなければならないということでございます。したがいまして、私どもはいま、この自重計が、適正な基準に合致するものが開発をされて、それが車に備えつけられるということを強く期待をいたしておるわけでございます。
  54. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 ダンプカーの自重計は何の目的でつけているのかというお尋ねでございますが、ダンプ規制法におきましてこういう規定を設けておる趣旨としましては、私としては、過積載防止の目的で設備を義務づけておるというふうに解釈いたしております。  先生も申されましたように、その精度につきましては通産、運輸の共同省令でプラス二五%以内、マイナス一五%以内と定められているわけでありまして、これらの精度につきまして、それを使用過程においても保持していかなければならぬということで、車検の際に計量法上の修理事業者等の発行する適合証の確認ということをいたしております。しかし、これをさらに精度向上を図るべきでないかということは、われわれとしても当然考えていかなければなりませんが、現実の使用実態から見まして、その使用実態に応じて精度が向上できるような機器の開発というのは、非常にむずかしい状況にございます。しかし、それらについて、いろいろの技術開発等を通じて精度向上を図るという考えで、われわれも取り組まなければならぬというふうに思っております。
  55. 久保三郎

    ○久保(三)委員 十年たった今日実現ができないものを、だめだとは私は言いませんけれども、十年もぶら下げておくことは不見識きわまりないと思うんですよ。私は、できなければどうするのかということもひとつ考えなければいかぬと思うのです。できなければどうするのか。それを研究します。なるほど、何かわれわれも要望いたしまして、休眠状態にあったこれの改善対策委員会というものにそれぞれの者を入れて、それで検討もさせていただいていると思って、承知はしていますよ。しかし、承知はしていますが、これはだれも全然相手にしていない。ダンプカーを運転する人も、取り締まりをする警察も、それからそれをつけさせるように法律に書いたそのものも、それから運輸省も通産省も全部信用していないんですよ。私は、こういうものもあえて削除しろと先ほど申し上げましたが、削除するのには、それにかわるものをやはり考えていかなければならぬと思うのです。真剣味が足りないのではないですか。まあどうもやってもできもしないから、むずかしいし、これはとてもだめだよ、だめならだめと言えばいいのであって、その次のことを考えなければいかぬ。ところが、いまのように何か研究するような話をしていますが、私としてはどうも聞こえない言葉であります。  いずれにしても、ふまじめだと言われると、確かにいやな気持ちでしょうね。しかし、われわれにすればずいぶんふまじめなことじゃないだろうかというふうに思う。特にこの法律に関係しては、ふまじめである。もともと議員立法に対して行政府が冷淡であることは、これまでの官僚主義というか、そういうことからいっても当然かもしれませんが、今度は大分国会の勢力も変わってまいりまして、われわれの方の立法府の本来の使命として、お互いが法律案をつくってそれを成立させて、それをあなたらに忠実に実行していただくというたてまえの本来の姿に戻りつつあるのでありますが、そういう際に十年前につくったものがいまだに生きていない部分が重要な部分であるということは、私は大変問題だと思うのですよ。だから、そういう意味で去年の五月十三日に、私は、この再検討と見直しをお願いしたのでありますが、なるほど予算も要るでしょう。予算も要るかもしれませんが、少なくとも一つや二つは対策というのが出てくるのが私は本当だと思うのですよ。予算がなければ何事もできないのでしょう。毎日おいでになっている職員の方にはただで働いてもらっているわけではありませんから、だからそれでできる範囲のものがあるはずなんです。新しく予算をつけなければ全然実態もわからぬなんということはないと思うのですよ。  それからもう一つ、行政管理庁にお聞きしますが、あなたは行政がどういうふうに運営されていくかを調べる方のお役所だと思うのです。いま突然あなたを呼び出しましたから、大変戸惑いしているのじゃないかと思うのですが、私が質問しているのは、昭和四十二年に議員立法として成立した土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法、こういうものであります。御存じでありますか。御存じであるとするならば、この法律は完全にというか十分に機能しているかどうか、お伺いします。
  56. 前山勇

    ○前山説明員 お答えします。  先生指摘の法律に関係します事項につきましては、昭和四十六年の三月に「砕石、砂利に関する行政監察」ということで調査を実施いたしました。四十六年の八月にダンプカーによる砕石あるいは砂利の運搬に伴う事故防止対策という事項を含めまして総理府、警察庁、通商産業省、運輸省に勧告をいたしたわけでございます。その中で、砕石・砂利等の運搬に対する規制の強化、それから関係行政機関によるダンプカーの事故防止対策の積極化、それから街頭取り締まりあるいは法令に基づく立入検査の強化というふうなことにつきまして勧告をいたしておるところでございます。  その後、その改善状況等につきましても回答をいただいておりまして、いまその実態を見守っていっておるという状況でございます。
  57. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それでは、調査した報告並びに関係省庁からの当時の回答、それを後から資料としていただきたい。
  58. 前山勇

    ○前山説明員 わかりました。
  59. 久保三郎

    ○久保(三)委員 もう一言申し上げておきます。  たくさんやる仕事がおありだと思うのですが、私は、特にあなたのところの長官にお伝えいただきたいのは、こういう法律がありながら半ば死んでいる、これはどうするのか、この次に来てもらってお尋ねしますから、考えておいてください、そうお伝えください。
  60. 前山勇

    ○前山説明員 御指摘の点につきましては、後日資料をもちまして先生に御説明をいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  61. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それからもう一つ。いままで私は、一年前にいまやっている質問と同じようなことをこの場所で前山さんにしているのですよ。一年たったときに同じことをまだ言っているわけです。あなたのところの役所の長官にお願いしたいのは、なぜできないのか、そういうものを含めて一遍調査してもらいたいということ。もう一つは、土砂というかダンプカーの実態をあなたのところでも調べる義務がありますよと言ってください。わかりますか。法律が守れないのは実態がつかめないからだめだという議論もあるわけですから、ぜひひとつ頭に入れてお帰りいただきたいと思います。答弁は結構です。  次に、もう時間もありませんが、この規制法の中で一番問題なのは、過積載と過労運転ということです。そこでこの法律にも書いてあるように、流通機構というか、そういう体系を確立するということは、単なる車の運転そのものだけ見ても、あるいはそのものを取り締まろうとしても、前後の流通の問題を中心に考えなければならぬというところに、これは問題のむずかしさがあるわけなんですよ。ところが、いままで流通に対してちっとも手を触れようとしないところにこれは問題があるわけなんです。だから、その流通に対して手を触れてもらう。それからもう一つは一人親方と称する者は、いわゆる労働法に言うところの労働者でもない、道路運送法に言うところの事業者でもない。では何だと言うと、単なるドライバー、運転手ということなんだね。だから網にかかると言うとおかしいが、ひっかかるというか、関係する省庁はたった一つあるのが警察庁だけ、国家公安委員会だけがひっかかる。だから、交通事故を起こさなければ、この者の実態というのはよくわからない。  そこで労働省に聞くのだが、一人親方というのは、どういうふうな位置づけをいままでしているのか。労働省来ていますか。——来ていますね。去年来た人とはちょっと違う人だな。——同じならなお聞きいいけれども、倉橋さん去年も来ているが、もう間もなくあなたはいなくなるのか知らぬが、この一人親方について、どういうふうに労働省としては——これは労働者であることには違いないのですが、営業の許可をもらってないから営業者ではない。もらうものは賃金と同じものをいわゆる料金としてもらっているだけです。あるいは料金に類するものを賃金のような形でもらっている。それからもう一つは技術整備。親方からトラック、ダンプを買ってもらって、それを毎月支払いをしていくというような形態なんですね。だから雇用形態の変わった形態で毎日仕事をしているのです。これはどういう位置づけをしますか。  それからもう一つは、あなたもお読みになって、一年前に来ているならもうわかるわけだ、私がいま取った資料によると、労働基準法違反によるところの摘発というのは、これはほとんどないんだな。この運輸省の中村局長のところの調べの中では、通報されたものの中で、十一ページにあるが、道交法関係のものは、これはかなりあります。かなりというより五十一年で十八件あるのに、労働基準法違反というのはたった一件なんです。本当は基準法違反というのはうんとあるのですよ。うんとあると言うのはおかしいが、過積載は別として、労働時間というか、そういうものについてはほとんど、届け出があるのかどうかわかりませんが、届け出があるにしてもそのとおりは実行していない。本来ならば、これはそこで点検をすべきなんですね。さっき申し上げたように、本法の第何条でしたか、三条の第一項の第六号、第七号では「運転者の勤務時間、乗務時間及び乗務距離」、それから「自らその運転者である場合にあっては、その乗務時間及び乗務距離」を報告することになっている。届け出ることになっている。届け出先は労働基準局じゃないんです、陸運事務所なんです。そういうところにも問題があるのです、はっきり言うと。陸運事務所でもらっても、これは基準監督署じゃないから、ああそうですかと言って、ただもらっておくだけの話だと思う。しかしこれを点検していくのは、現場は、労働基準監督署というか、これはそういうところの任務だと思うのだが、いままでそういう点検をしたことがあるかどうか。一年間にたった一件しかないのですよ。ない年もあるのです。そういうはずはないとわれわれは思うが、いかがです。
  62. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 お答えいたします。  第一点の、いわゆるダンプ運転手の方々の労働者性でございますが、運転手の方には、通常就労形態として事業所等に雇われた場合につきましては、使用従属関係が認められますし、一般的には雇用契約という形で雇われている関係で、労働保護法上の労働者として保護されているわけでございます。ただ、労働契約というのは必ずしも雇用契約だけではなく、あらゆる契約関係に基づきまして、実態を見まして賃金相当の給付がなされ、使用者の立場にある地位から就労者で支配従属の関係にあるような場合につきまして、その支配従属の関係にある者につきましては、基準法上の保護の対象として労働者の中に含めて扱っているわけでございます。  ただ、残りました全く請負契約に基づきまして自己の計算におきましてダンプの運転をされる、いわゆる先生がおっしゃる一匹オオカミ、われわれ一人親方と呼んでおりますが、そういう方々につきましては、やはり使用従属性ということが認められない関係上、現在の労働保護法上の労働者には含まれないわけでございます。  ただ、私ども昨年もお答えいたしましたように、非常にそういうような方々につきましては、ダンプの運転者のみならず、たとえば売薬の販売従事者というような方々、そういうのを含めまして、やはり労働者の周辺におられる方でございまして、そういう方も今後の労働行政の分野の中に取り入れて保護の対象にしていくべきではないかという内部的な議論もあり、検討を進めているわけでございまして、こういう検討の中で一人親方の運転手の方々の保護も今後とも検討してまいりたいと思っております。それに関連いたしまして、本年度の予算におきまして、白ダンプの方々の実態を調査するという予算が認められておりまして、現在それに基づきまして、どのように調査をするか設計を準備しているところでございます。  それから、労働基準法違反につきましては、先生指摘のように、われわれ事業所に立ち入りまして、いわゆる労働者につきましての基準法違反のないように監督をいたしておりまして、まだ相当の違反率を占めておるところでございます。今後とも労働条件の維持向上のために一段と努力をしていきたいと思っておりますし、毎年運転手の労働時間等を中心とした監督につきましては、基準行政の重要な柱として進めてきております。  それに関連いたしまして、通報制度でございますが、先生指摘のように、ダンプ関係につきましては一件でございまして、または四十九年から五十年にかけましても二件ということでございます。  これにつきましては、なかなか先ほど申しましたように、実態的な法違反の確定ということが困難な問題がございまして、件数としましては余り多くないわけでございますが、今後とも陸運行政との通報制度の活用によりまして、法律の目的を達成するように努力してまいりたいと思っております。
  63. 久保三郎

    ○久保(三)委員 お話はこれからの話でありまして、一年間、監督課長忙しいからね。今度予算がついたから、これからやるということなんですが、これは室長に聞いた方がいいと思うが、予算がつかなければ何事もできないのかね、これは。予算をつけた中身は、積算基礎はどんなふうになっているのですか、その予算を聞きましょう。人間でもふやすのかどうなのか。
  64. 室城庸之

    室城政府委員 ただいま、先ほど来申し上げておりますように、各省庁でダンプカーの実態について基礎調査をしようということで計画をいたしておりますが、そのうち通産省につきましては、五十一年度予算、約七百万円で、生コン、骨材の流通について調査をいたしまして、まだ結果はまとまっておりませんが、予定どおり実施したというふうに承っております。  それから運輸省は、運送回数、積載量、稼働状況等の運送の実態、運賃の実態、運転時間等の労働条件、協業化に対する意識を調査するという計画をお持ちだというふうに承っております。  さらに建設省は、通産省の実施するただいまの五十一年度の調査に所要の協力をする。  それから労働省は、ダンプカー事業者及び運転者、集金員等の周辺労働者について、雇用関係の実態及び意識調査を行う、このために五十二年度予算で百七十二万円を計上しておる。  さらに警察庁は、ダンプカーによる交通事故、過積載、いわゆる差し枠の実態等について、現在なお取り締まりを通じて所要の資料を関係の各機関に通報、連絡する。  さらに建設省といたしましては、ただいまのような各省庁での実態調査を踏まえまして、さらに不足する部分、あるいはいずれのところも計画しにくいような問題について調査しようということで、八百五十七万四千円を五十二年度予算に計上いたしておりまして、現在その調査の設計について準備を進めておりますが、おおむね三つの項目についてやることになろうと思います。  その一つは、「ダンプカー使用者の実態」ということで、この中に、いわゆる事業形態、事業の種類、資本金、従業員数というようなことから下請の実態、骨材が実際にどのような経路を通って運搬されておるか、また、それでどのような販売価格が現実に用いられておるかというようなこと等につきまして、第一項で調査をしたい。  第二項では、「ダンプカー運転者の実態」ということで、その運転者の運転経歴、家族構成、使用ダンプの所有関係、骨材運搬の具体的な形態、給与はどうなっておるか、休日、勤労時間、運転時間というようなものはどうなっておるか、骨材運搬期間、運搬距離、運搬の回数、走行キロ、こういったものはどうなっておるかというようなことをダンプカーの運転者を中心に調べたい。  第三番目に、「ダンプカーの交通事故と事業形態等との関係」ということで、死亡事故を起こした運転者及びその使用者につきまして、事故原票等により、事故と事業形態等との関連について解明を行うというようなことを現在テーマに挙げて、具体的な調査の段取りを進めておるということでございます。
  65. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間もありませんから、大体終わりにしますが、去年申し上げたときには、途中で予算でもとっておやりになるのかと思ったのですが、途中で予算もとれないで、今度は新規にとったということですから、そのことについてとやかく申し上げる必要はありませんけれども、私は去年もこの委員会で言ったと思うのですが、警察庁に初めて交通局長というポストができたときだと思うのですが、初代の局長は富永さんという方で、いまでも交通評論家で有名な人なんですが、この人はやはりダンプというか、そういうものに対して検討を加えようというので、警察庁独自の立場で、実はいま局長がお述べになったような系統別の一貫した調査を部分的ですが、やりました。やろうとすれば、私はできるはずだと思うのですよ。だから、私は、予算がついたからできるんじゃなくて、やる考えがなければできないと思うのです。そういうことを一つ申し上げておくと同時に、来年度予算にまた関係するものも出てくるかもしれませんから、結論を少なくとも七月末なり八月初旬までには取りまとめてもらいたいと思うのです。  それから、くどいようでありますが、いま議論しているこの法律について、行政府としてどういう点はどういうふうに改善すべきかの提言があわせて行われなければならぬと思うのであります。その点は、御列席の皆さんにしっかりお願いしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、その中の一項目でありますが、協業化とかなんとかというのは、協業化の形はどうなのか、そんなものまではっきりしなければどうにもならぬと思うのですよ、これは自動車局長の所管事項かもしれませんが。  いずれにしても、いままで申し上げたのは、幾つか大きな問題だけでありますが、ぜひ改善がされまして、法律が生きていけるように、というよりは、安全輸送ができて安定した労働ができるようにやってもらいたいと思うのです。質問は、今度は一年間は置きません。私はわざわざ一年間様子を見たのですが、今度はそうはいきませんから、予算もついたということですので、秋口にはまたもう一遍おさらいをしたいと思うのです。よろしくお願いします。  以上で終わります。
  66. 鈴切康雄

    鈴切委員長 一言申し上げます。  久保委員からの御発言の内容は重大な問題の提起でございますので、各省においては、それぞれの分野において、指摘されたことについて十分配慮をし、努力をすることを要望いたします。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後二時十一分開議
  67. 鈴切康雄

    鈴切委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草野威君。
  68. 草野威

    ○草野委員 私は、道路交通法第七十二条につきまして若干質問をさせていただきます。  最近は、一時マスコミ等で取り上げられました「交通戦争」というような言葉も言われなくなってまいりましたけれども、これは各方面の格段の御努力によりまして、年間の死亡者が一万人を割るという交通事故対策の効果が上がってきております。これはもうわれわれも大変に評価しているところでございますが、しかしこういったことで、もし全体の空気が緩んでまいりますと、またもとの状態になりかねないわけでございます。したがって、これからも新たに効果のある対策をいろいろと打ち出していくことも必要でございますし、それと同時に、いままでやってきた、いろいろな基本的な事項につきましても、じみちに今後も続けていくことが必要であろうかと思います。  そこで、本日は基本的な事項につきまして、特に三点にしぼりまして、お尋ねをするわけでございますが、道交法の第七十二条では、「車両等の交通による人の死傷又は物の損壊があったときは、」「当該車両等の運転者は、警察官現場にいるときは当該警察官に、警察官現場にいないときは直ちにもよりの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。」このように定められているわけでございます。  また同法の百十九条によりますと、その報告をしなかった場合には、三カ月以下の懲役または三万円以下の罰金に処する、こういうような規定もあるわけでございます。  そこで質問の第一点、これは警察庁にお伺いいたしますが、このような道交法の規定にもかかわらず、人身事故は論外としましても、物損事故につきましては、報告をしない者の数が多数に上っているということも聞いておりますが、この人身事故、物損事故等の報告件数はどのくらいございますか、まずお伺いいたします。
  69. 杉原正

    ○杉原政府委員 御答弁いたします。  物損事故につきましては、人身事故と同じように、警察に対する届け出が義務づけられておりまして、しかもそれについては罰則で担保されております。ただ、これは統計上の問題でございまして、私ども届け出を受けたものについては、全部受理をいたしております。これは物損、人身に限りません。ただ統計上、人身は全国集計をやっておりますけれども、物損は全国集計をやってない。ちなみに届け出がなかった物損事故、いわゆる俗に当て逃げというものでございますが、これにつきましても年間数千件の事件捜査をやっております。
  70. 草野威

    ○草野委員 人身事故については、はっきりとした統計があるけれども、物損事故については、きちっとした数は掌握をされてないということのようでございます。物損事故の報告をしない者がたくさんあっても、それは小さな事故だからといって放任しておいていい問題では決してないと私は思うのです。これはそういった悪質なドライバーが、これからいつまた事故を引き起こすかわからないわけでございますし、放置しておくと大変な問題につながってくると思います。  そこで、私はこういうことを聞いているわけです。第一線の警察官の中には、物損事故について、特に損害が余り大きくないものについては報告をきちっと聞こうともしない。また警察庁としても十万円以下の物損事故については見なくてもいいのだ。このようにも聞いておりますが、この点はいかがでしょうか。
  71. 杉原正

    ○杉原政府委員 これはいわゆる物損の大きいのが人身事故になりますので、道交法がこれを罰則で担保するようなきつい報告義務を課しておりますのは、そこに理由があると思いますので、軽微なものであれ、すべて報告をしてもらうということでなければならないと思います。  なお、指導といたしまして、かつてかなり前に十万円以上どうのこうのという運用をした時代があったようでありますが、これは現在すべての物損事故について報告を受理するというたてまえになっております。
  72. 草野威

    ○草野委員 その点は、ひとつ厳格に指導していただきたいと思います。法律で定められていることをきちっとやっていかないと、どうしても一般のドライバーの中には、軽微な物損事故についてはどうでもいいのだ、こういうような風潮が最近みなぎっているようでございますし、そうなると無謀運転、乱暴な運転というものはなかなかなくなりませんし、いろいろな弊害が出てくると思います。  そこで、警察庁としては、いま申し上げましたこういう物損事故につきまして、先ほどもちょっとお触れになっておりましたけれども、たしか昭和四十四年十一月、交通局長の通達で被害額が十万円以上と認められるものについてのみ証明の対象としていたが、昭和五十年十二月一日付でこの通達を廃止した、このようなことも伺っております。しかし、第一線の警察官の中には、このことについてこれからもきちっと守っていっていただかなければなりませんので、そういう厳しい姿勢で今後も取り組んでいただきたい、このように要望するわけでございます。  それから次に、大蔵省の方に伺いますが、従来道交法の七十二条で定められている報告義務が警察の取り扱い等により、物損事故についてはきわめて緩んだものになっていることがいろいろな悪い影響を生んでおる。その一つに、物損事故については警察も余りうるさくないということで、悪質ドライバーの中には、事故の状況を適当に改ざんをしたり、ありもしない事故をでっち上げて不当な保険金を請求したりすることがどうもかなりの数があるということも仄聞しております。中には、一年間に十回近くも事故を起こしたことになっている者もいたり、自分が起こした事故を他人が起こしたことにする者、追突事故で前の車がバックしてぶつかったことに仮装するいわゆるバック事故、こういうようなケースがあるということも聞いております。そうしてこういった悪質なドライバーに対して、保険会社がもし余り慎重な査定もしないでどんどん払っているとすれば、保険料はどんどんと上がる一方でございますし、乱暴な運転もなくならない、このように言われておりますけれども、このような点について、どのように考えていらっしゃるか。また近く保険会社が保険料を二〇%ないし三〇%も上げるというような話も聞いておりますけれども、このような事態を放置したままで保険料の値上げを認めるという方針なのかどうか、こういう点につきまして、大蔵省の考えをお伺いしたいと思います。
  73. 萱場英造

    ○萱場説明員 お答え申し上げます。  先生指摘ありましたように、自動車保険は、いろいろ各種の保険の中でも、やはり一般の日常生活に非常に密接な関係を有した部面の保険でございますし、いわゆる交通被害者保護という社会的要請に非常に重要な役割りを果たす保険でございますので、われわれといたしましても、常々その保険金の支払いについては、他の保険にも増して適正を図るように留意し、かつ指導しておるところでございます。  ただ、いま御指摘がございましたように、いろいろ架空事故であるとか、それから報告の改ざんであるとか、そういったような不正事案が多発するというようなことになりますと、これは非常に善良な契約者の方々からお預かりしておる貴重な保険料収入が、そういったことで流出するということになるわけでございまして、これはとりもなおさず保険収支の悪化につながりますし、ひいては善良な契約者の方々の保険料負担の増加ということにつながってしまうわけでございますので、この辺につきましては、われわれといたしまして、今後とも厳重に注意をこらしていきたいと思います。  それでは、具体的にどういう対策を講じるかという点につきまして若干御説明いたしますが、まず、そういったいろいろな不正に類する請求につきましては、公共的な機能を行っております保険会社として、やはりそれに対して十分な査定能力を備えた職員を多く持つことがまず第一でございますので、協会の方に専門に自動車関係の事故の調査を行う能力を持ったいわゆるアジャスター、査定要員を登録させまして、これらにつきましては、一定の場所で一定の課程を踏んで研修をさせて、その能力向上に努めるというようなことを実施しておるところでございます。  それから、御指摘がございました、要するに保険収支が悪くなったら、これを今度は値上げではね返したらいいじゃないか。確かに御指摘がございましたように、一部に二割とか三割保険料を値上げしたいというような要望も、われわれ耳にしてはおるわけでございます。  これにつきましては、先ほど申し上げましたように、いたずらに成績が悪いからといって、それを値上げで追いかけるというような、いわゆる悪循環に陥ることが最も好ましくないことでございますので、われわれといたしましては、ほかの種類の保険についても同じでございますが、現在の保険料の水準が、果たして現在の対象としている危険の状況とか、それから会社の経費の状況とか、そういったことに見合って、本当に適当な水準なのかどうかについては、常々検証を怠らないようにしておるところでございますけれども、その自動車保険、特に対物それから車両保険の保険料水準がどうであろうかということにつきましては、ただそのリザルトといいますか、収支状況が悪いからということだけで、安易にその値上げに踏み切るということについては、われわれは十分慎重な態度をとりたいと思っております。  具体的には、先生指摘ございましたような、警察の事故証明を物損事故のときに添付させるというようなことによりまして、かなりの程度その架空事故とか不正類似の請求をチェックすることもできるかと思いますので、現在、業界におきまして、そういった点も含めまして、商品内容の改善を指示しておるところでございます。われわれといたしましては、そういった抜本的な改善策が、むしろ料率の大幅値上げその他には先行しなければならないという態度を基本的には持っておるところでございます。
  74. 草野威

    ○草野委員 そうしますと、交通事故が起きた場合に、事故証明がなくても保険会社の方は保険金を支払う、こういうことでございますか。
  75. 萱場英造

    ○萱場説明員 お答え申し上げます。  いままでの状況では、必ずしも事故証明の添付を前提にいたした扱いはしておりませんので、なくても支払いはいたしておる状況でございます。
  76. 草野威

    ○草野委員 交通事故証明はあってもなくてもどちらでもいいと、そういうことになりますか。
  77. 萱場英造

    ○萱場説明員 お答え申し上げます。  できるだけ客観的にその事故の発生を証明する手段がそろうにこしたことはないのでございますが、非常に多発する多くの事案をなるべく迅速に処理するという必要から、でき得る限りの資料を得た上で、間違いないという心証を得た段階で支払っておる、処理しておるという状況でございます。
  78. 草野威

    ○草野委員 では、次に移ります。  警察庁に伺うわけでございますけれども、明治十三年の十二月五日、歩行者を考えずに公道を無謀に走らせる馬車が多くなったために、警視庁が初めて馬車取締規則を制定した、これが道路交通法の第一号である、こんなようなことを伺っております。あれから九十七年たったわけでございますけれども、現在では車両数も三千万台、免許人口も三千五百万人、昨年の負傷者が六十一万人をオーバーしておりますし、死亡者も九千七百三十四人と、一万人前後、こういうような数字になっているわけでございます。また、昭和元年から昭和五十一年の十二月三十一日までのこういう統計を見てみましても、負傷者の数が一千二百二十六万三千八百六十二名、死亡者が三十六万七千七百八十一名、こういうような統計も出ております。この五十年間で見てみますと、死亡者の数は、何と年間平均しまして七千人を超えるというような事故が起きているわけでございますね。  このように、地球よりも重い人間の生命が交通戦争によりまして虫けらのごとく踏みつぶされている。私は、このことにつきまして、いろいろと自分なりに考えたわけでございますけれども、やはりこういう死傷者の数を少なくするためにはどうすればいいだろうか。そのうちの一つに、車社会の連帯感というものがないんじゃないだろうか。一般の人間社会におきますと、まあ人と人が近づけば近づくほど親密感が出てくるわけでございますけれども、車の場合は、近づいてくればくるほど、逆にクラクションを鳴らしたり、ひどいドライバーは、窓をあけて相手の運転手にどなりつけてみたり、近づけば近づくほど、車社会においては一般人間社会と相反する現象が起きてくる。そういうところに一つの大きな原因があるんじゃないかなというようなことも考えました。  そこで、そういうようなことをなくするには一体どうしたらいいだろうか。それはやはりドライバー同士のそういう車社会における連帯感を持たせる必要があるんじゃないか。たとえば路上で交通事故を起こす。そのときに加害者の方の運転手が被害者のところに飛んでいって、その場で自分でできるだけの応急手当てをやってあげる。不幸にして万が一今度は自分がそういう被害者の立場になったときには、これはまた相手のドライバーが自分の命を救ってくれるだろうという、こういう期待感を持たせることにもなる。そういうようなところから、車社会におきましても、ドライバー同士のそういう親密感というものが出てくるんではないか、こんなようなこともふと考えたことがございます。  そこで、きょうは、冒頭にも申し上げましたように、道交法の第七十二条について交通局長さんにお伺いしたいわけでございますが、この第七十二条の前段におきまして、初めの方は省略しますけれども、「直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」云々とございます。ここで「負傷者を救護し」ということがあるわけでございます。いわゆる救護の義務ということがここではっきりと出ておる。後段におきましては、警察官へのいわゆる報告の義務、この二つが出ておるわけですね。  前段の方の救護の義務ということでございますけれども、この救護の義務ということは、どういう目的で、ここにはっきりとこのようにうたわれたのか、その目的からまず、ひとつお伺いしたいと思います。
  79. 杉原正

    ○杉原政府委員 先生先ほどおっしゃいました車社会の新しい将来に向けての連帯感といいますか、こういうことが非常に重要になってくるということを現場を預かっているわれわれとして、非常に痛感をいたすわけでございます。  御質問の七十二条の救護義務でございますが、この目的といいますか、ねらいというのは、やはり不幸にして事故に遭った場合に車をとめて、まず負傷者を救護するんだ、これは本来罰則で担保する性質のものかどうか。道徳の一番最低限のところだと思いますけれども、そういうことで、車社会の人命尊重というものをまず基本に据えた考え方でできているものだというふうに考えております。
  80. 草野威

    ○草野委員 その場合、救護の仕方ですね。どのようにするのか、具体的にひとつ伺いたいと思います。
  81. 杉原正

    ○杉原政府委員 これは救護が現実に罰則で担保されているという半面を考えました場合に、必要最小限度だれでもそこまではしなければならない、人間としてしなければならないというところをねらっているのだと思います。したがいまして、これは事故の態様でさまざまでございますが、少なくともこの義務に違反すれば三年の懲役になるということでございますから、少なくともここまではやらなければいかぬという義務の内容そのものは、態様によって違いますが、たとえばぶつかって被害者が道路に投げ出された、そこへ次から次へと車が来るということでありますと、その人をまず抱きかかえて歩道に上げてもらう、それですぐに医者に電話をする。この辺のところが義務の最低限のところになるんじゃなかろうかという感じでございます。  それで救護義務の中身としてこういうことを考えてほしいというのを、実は「道路交通に関する教則」というのが国家公安委員会から出ておりまして、これの七十ページに「負傷者を救護する」ということで括弧書きに書いてありますが、これをやらなければ、たとえば止血をやった方がいいと、ここに書いてありますが、止血をやらなければ罰則が適用されるという、そういう中身でなくて、こういうことを念頭に置いてやってもらうと非常にベターであるということで、たまたま教則に書いておりますが、この教則に書いておるものが義務の内容そのものであるかということになると、ちょっと問題があると思いますが、救護のやり方としては、こういうふうなこともありますよということをこれで示しておるものだというふうに理解をしております。
  82. 草野威

    ○草野委員 非常に漠然としたお答えで、ぼくらも判断に苦しむときがあるわけです。というのは、私も車を運転して、すでに二十五年になります。この救護という問題につきまして、道交法でこういうことを書いてあるということは知っておりましたけれども、具体的にはどうすればいいんだということば私自身もよくわからなかったのであります。  この問題につきまして、私もいろいろなドライバーに聞いてみました。あなたがもし万が一交通事故を起こしたらどうしますか。まあほとんど全部の人が救急車を呼ぶか、警察官に連絡をする、こういうように答えました。では、法律は救護の義務ということがうたわれているのだけれども、あなたは何かやりませんか、やらないと罰則が厳しいのですよ。そうしますと、うっかりさわると、かえって相手の人が亡くなったり、逆効果が出てくるんじゃないか、こういうことが心配だから、われわれ素人はうかつに手をつけられません、だから救急車を呼ぶか、警察官に連絡するだけだ。これがほとんどの人の考えだと思うのですね。  そこで、いま御答弁がございましたように、非常に漠然とした内容になっている。しかし、法律では少なくとも救護というものが義務づけられている。ましてこれに違反した場合は、百十七条によって三年以下の懲役または十万円以下の罰金という、こういう厳しい罰則がついている。むしろこの後段の方の通報義務を怠ったとしても、この場合は三カ月以下の懲役または三万円以下の罰金。かえって通報義務の方が軽いわけですね。ということは、救護義務の方がそれだけ厳しく法律では見られていると思うのです。それにもかかわらず、いまのお話の中にもありましたように、具体的には余りはっきりしてない。私は、これは重大な問題がたくさん含まれているのじゃないかと思うのです。いまの交通局長さんの答弁によりますと、最低限人間としてこれだけのことくらいはという、そういう内容であったわけでございますけれども、そのくらいにしておいた方がかえっていいのか。いろいろなむずかしいことをつけると、やったってドライバーがそれを守ることができないから、またかえって素人が変なことをやったために逆の効果が出てくるから、そういうことを具体的にドライバーに教えてないのか、そういうふうに解釈するわけですか。
  83. 杉原正

    ○杉原政府委員 道路交通法の領域でございますので、一般の通常のドライバーのやり得る範囲、義務として課して、社会的にそこまでは当然やるべきだということで考えるべきものであろうと思います。したがって、いまありますその救護そのものはどうかという、われわれが一番恐れますのは、事故があって負傷者があるのに、そのまま行ってしまう、医者に連絡することもない、何もしないで行ってしまう、道に投げ出したままで行ってしまうということに非常に問題がある。まず、これが一番基本であるが、医者を呼んでもらう。  それで、もしこの救護の中身を通常人として期待される面ということで規定をしようといたしますと、一つは救護のマニュアル、確定したマニュアルというものがまず基本になければならない。それからもう一つは、いわゆるドライバーというのは、そういう意味で、現状から言いますと、救急については素人でございますので、これを動かしていいものかどうなのかという、その判断というものが具体的にできない。動かしちゃいかぬときに、へたに動かしたために非常に病状が悪化するというふうなこと等を考え合わせますと、そこのところの救護の中身を常人だれでもできるものとして、しかも客観的に医学的にも非常に正確なことができるということを期待するについては、かなり検討しなければならない問題が多々あるのではないだろうかという感じがいたします。
  84. 草野威

    ○草野委員 そこで伺いますが、指定自動車教習所における自動車の教本を借りてまいりました。これによりますと、さっきの「交通の方法に関する教則」にのっとってつくられたものだと思いますが、交通事故のときの「運転者などの義務」という欄を読みますと、三つ書いてあります。一つは、「車を止めて、ふたたび事故が発生したり、他の交通の妨げとなったりしないように必要な措置をとる。」これは当然だと思います。二番目は、「負傷者を救護する。この場合、むやみに負傷者を動かさないように気をつけ、とくに頭部に傷を受けているときは動かさないことです。もし出血が多いときは清潔なハンカチなどで止血することが大切です。」こう書いてあるんですね。特にゴシックで「負傷者を救護する。」ということと、「頭部に傷を受けているときは動かさないことです。」こういうふうに書いてあるのです。これから改めて免許を取ろうというドライバーがこの項目を読んだときに、まずどういうふうに感じるか、恐らく交通事故が起きたときばむやみにさわらないことだ、こういうふうに感じるのではないかと思うのですね。実際、私は、最近免許証を取った人に聞いてみました。どんなふうにここのところは教えてくれましたか。そうしたら、ここはただ教官がすっと読んだだけですというわけです。恐らくこれは全国のドライバーがみんなそういう状態じゃないかなと、私は推察できるわけです。これまで免許を取った人も、恐らく救護義務の具体的な内容については何も御存じないのじゃないかと思うのです。これは私も含めて、そうです。  そこで、消防庁の方いらっしゃいますので伺いますが、「応急手当の手引き」という本がありますね、これは東京消防庁の救急部で監修されている本でございます。この中にいろいろと応急手当ての問題が出ております。これは交通事故その他の災害事故を含めてのことだと思いますけれども、特に交通事故を念頭に置いてつくられた本じゃないかと思うのですね。  これを見ますと、交通事故が起きた場合にまず知らなければならないことは、九点に上っているわけですね。たとえば「倒れた場所が安全かどうか。」安全でなければどこかに移さなければならない。また「出血が多量なら、すぐ、止めて下さい。」とか、それから「呼吸が苦しくならないよう頭を後方にそらせて、のどをひろげて下さい。」とか、こういうふうな項目が九つ、まず書いてあります。私は、これを見て、どれ一つとっても本当になるほどなという問題だと思いました。だけれども、現実にはこれだけのことは、少なくともまずやらなければならないにもかかわらず、実際の運転者は、こういうことは知ってない人がほとんどだと思うのです。しかも警察庁のいまのお話を聞いておりましても、具体的にそういうことを教える必要は、いままでのところはなさそうでございます。消防庁としては、交通事故の場合もこういうことはぜひやってもらいたいということで、こういう本の発行というものを認めていらっしゃるのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  85. 持永堯民

    ○持永説明員 お答え申し上げます。  先生お持ちの資料でございますけれども、これは東京消防庁の方で発行した資料でございまして、必ずしも自動車のドライバーを対象にしたというものではございませんで、東京消防庁の方に、たとえば地域の婦人会でございますとか、あるいはグループでございますとか、そういったところから応急手当てについていろいろ教えてほしいというような要請が間々参りまして、そういうときのためにつくった資料でございます。しかしながら、御指摘ございましたように、ドライバーに限らず一般の住民の方々が少しでも応急手当ての知識を持っていただくことが好ましいことでございまして、私ども救急業務、救急搬送の立場からいたしましても、一般の方々がそういう知識を持っていただいておるということが搬送する際にも、より人命救出に効果があり得るものだ、こう思っております。
  86. 草野威

    ○草野委員 いまのお話のように、これは交通事故以外のときにも、もちろん必要なことでございますけれども、特に最近でも、年間六十万人の負傷者がいるという中で、ドライバーの方がこういうことを知っているということは非常にいいことですね。何しろ免許人口が三千五百万人にも上っておるわけですから、三人に一人は免許証を持っておるわけです。地震であれ火災であれ、一たん災害が起きた場合に、三千五百万人のドライバーがこういうことをもし身につけていたならば、これはどれだけ役に立つかわからない。そういう意味では交通事故以外のときでも非常に役に立つわけですね。  私は、そういう観点からもう一回交通局長さんに伺いたいのですけれども、先ほど言ったように、自動車の教習所では、この程度の内容しか教えてない。これでいいでしょうか。もしこうすべきであるというような考えがあったら、伺いたいと思います。
  87. 杉原正

    ○杉原政府委員 人命を一人でも助けるという見地からは、国民のそれぞれの者が救急についての応急措置の知識を身につけるということは、非常に望ましいことだと思います。  これはいろいろ考え方があろうと思いますが、一つには、非常に強い形で罰則で担保しているというところがございますが、医学的に、交通事故の場合は、溺死だとかなんとかいう定型的なものと違いまして、どこを打ってこういう状態になっているのか、衝突した部位がどこか、血だらけになっておるが、頭をやっているのかどこをやっているのか全然わからないような状態でまず相まみえて、そこで動かしていいのかどうかという医学的な判断というのが、頭を打っているときにはこうすればいい、こうやったときにはこうすればいいというマニュアルがあった場合に、その入り口の医学的な判断が普通の人にできるのだろうかというふうなことが、まずございます。この辺は、私どもは専門家でございませんで、救急行政機関の方で、こういうマニュアルがある、だから交通事故の際にこういうことの所見があればこういう措置を講じていいのだ、医学的にもそれで正しいのだというものがあるなら、私は十分取り入れる余地があるものだと思います。  ただ、その辺が私ども素人なものですから、交通事故で多種多様の形態が出てきた場合に、最初の動かしていいかどうかの判断、どこをどうすればいいかということの判断現場の中からすぐぴしゃっと出てくるかどうか。救急法の知識は知っておっても、それが適応する症状であるかどうかということになると、大分医学的な判断が必要になってくるのじゃないだろうかということを危惧するだけで、それがこういうことでやれば大丈夫だというオーソライズされたものがあるとすれば、私は、それは当然普及していくべきものだというふうに考えております。
  88. 草野威

    ○草野委員 そういうお考えでいくと、現在のままでやっていった方がいいか、それともこれから新しく免許を取る人、また、いままでにすでに免許を取った人を含めて、改めてこういう応急手当て、救急法の講習を受けさせて、こういう知識を身につけさせた方がいいか、どっちがベターであるかということですね。これはひとつ警察庁としても、重大な問題として御検討いただきたい問題だと思うのです。  なぜかということは、事故を起こしたその瞬間が非常に大切だということが言われております。たとえば事故を起こして四分か五分か、そこら辺で適切な処置をすれば生命が助かる場合が往々にしてある。それを過ぎ去ったために死亡事故につながるという例がかなり多数に上っている、こういうことが言われておりますね。これはいまの消防庁の本の中にも、四ページのところにグラフ入りで出ておりますので、私もこれを見て、なるほどなと思ったわけです。そういう現場の適時適切な処置、応急手当てというものがいかに大切かということです。  さらに、こういうような報告もあるようでございます。一九六六年WHOからの報告でございますけれども、この世界保健機構の報告によりますと、特にその中で救急問題に触れております。世界じゅうの交通事故による死者を分析すると、その一八%は迅速適切な応急手当てを現場から施されていたら救命し得たであろう、こういう趣旨の報告がされているわけでございます。御存じだと思います。  この数字を昭和五十一年度の交通事故死者数九千七百三十四人に当てはめてみますと、年間で約千七百人の人の生命が救われるという、まあこれは統計の上からのことでございますけれども、こういうことも出てくるわけです。現在、一万人を割ったという死者数でございますけれども、しかしこれをさらに少なくしていこうという努力、これはいろいろな方法がとられると思いますけれども、その中で一番大きな問題は、現場における応急手当てをどうするかという問題が一番重大な問題じゃないか、このように私は考えておるわけです。  そこで、このWHOの報告にもありましたけれども、やはりこの際、新しく免許を受けるときにそういう講習を何時間受けさせるとか、また更新のときにそういう講習をさせるとか、こういうようなことを早急に検討してもいい時期に来ているのではないか、このように思うのですけれども、いかがですか。
  89. 杉原正

    ○杉原政府委員 おっしゃいましたように、交通事故の場合に、最初の救急の初動措置というのが非常に大事である。東京などが非常に致死率が低いというのは、やはり近くにいろいろな救急医療機関というものがあって、そこに短時間に運び込むことができる。ちょっと田舎に参りますと、山の中などの交通事故だと、なかなか本来の救急ができない。病院に連れていくまでにうんと時間がかかる。これが致死率にうんと影響しているというので、片方では救急医療の体制というものを整備していただきながら、片方で、やはり先ほど申しましたオーソライズされた、ある救急法というもののやり方があって、それが医学的にも非常にいいし、普及をさすべきだということであれば、先ほど申しましたように、救急医療体制の整備と相まって、こういう措置を推進していくべきもあだというふうに私どもも考えております。
  90. 草野威

    ○草野委員 消防庁に伺いますけれども、こういう救急法をわれわれ素人がこれからもし身につけるといったことになった場合に、医師法との間に何か問題が出てまいりますか。
  91. 持永堯民

    ○持永説明員 お答え申し上げます。  医師法の所管は、御承知のように厚生省でございますので、解釈を私ども的確に存じ上げておりませんけれども、救急隊員が応急措置を行う場合の考え方といたしましては、厚生省の見解としても、これはあくまで緊急避難であるという解釈でございまして、医師法には触れないという解釈が出ております。  そういったことから推測いたしますと、やはり緊急の場合に、やむを得ないような事態の場合には、緊急避難ということで、医師法違反になるということにはならないのではなかろうか、かように考えております。
  92. 草野威

    ○草野委員 消防庁に、続いてお伺いいたしますけれども、全国の都道府県の消防隊員のうち、全員がそういう救急法ということは身につけていらっしゃるのですか。それとも、もし全部じゃないとしたら、その割合はどんなふうになっているのか、お伺いします。
  93. 持永堯民

    ○持永説明員 救急法を身につけているかどうかということでございますが、程度の問題はございますけれども、一応消防隊員はすべて最初に研修を受けまして、その中で、救急についても一応の訓練はいたしております。しかし、さらに救急隊員になる——消防職員の中にも救急専門の職員、あるいは消防の方の専門の職員、いろいろございますから、全隊員について一応の初任教育はやっておりますが、救急専門の職員につきましては、また別途、さらに相当な知識が必要でございますので、私どもの方で百三十五時間の教育が必要であるという一つの基準をつくっております。  この百三十五時間の教育を受けた人間がどうかということになりますと、救急隊員の中の、現在のところは約三分の一ということになっております。はなはだ数字的には低いわけでございますが、ただ救急隊は、一般的に一隊三人で編成しておりますので、平均でまいりますと、救急隊一隊の中には、一人はそういう相当知識を持った人がおる、こういう数字になりますが、しかし当然偏在がございまして、東京とか大阪のような大きい都市では、そういった相当長期間の講習を受けた隊員がかなり多くおりますけれども、田舎の方に参りますと、特に、最近になってようやく初めて救急業務を始めたというような地方の市町村に参りますと、十分な知識を得た職員が少ない場合もあるということでございまして、私どもの方の今後の非常に重大な問題として、隊員の教育というものをさらに進めてまいりたい、このように考えております。
  94. 草野威

    ○草野委員 交通局長に伺いますけれども、先ほど、この問題につきましてはこれからも十分に検討する問題である、そういうような御答弁でございました。そこで、私は指定自動車教習所で、もしこういう問題を、応急手当てを受講生に教える場合、素人が素人にただ本を読んで教えるようでは、これは何にもならないと思うのですね。やはりしかるべき人が、この応急手当ての問題については、その教習をしなければならないと思います。したがって、これはやはり消防庁の元職員だとか警察庁の元職員だとか、そういう中から何か資格のある人がこういう教習に当たらなかったら、意味がないと思うのです。この点は、ぜひひとつこれからも御検討いただきたいと思います。  それからいまの消防庁の御答弁もありましたように、救急業務の実施基準の講習を受けられた人は三分の一、こういう状態なんですね。したがって、必ずしも救急隊員に頼ることもできない。したがって、現場の応急処置というものはこれから非常に大切になってくる、私はそのように考えます。  最後に、こういうことを提案し、また要望したいと思うわけでございますが、その第一点は、運転免許と応急手当ての講習習得終了証明のない者は運転をしてはならない。二番目は、運行する自動車は、これは一切の車両を含むわけでございますが、関係機関の認めた応急手当てに必要な医薬用品を強制的に積載させるべきである。三番目は、車検のとき、または取り締まり中、応急手当て用品を積載しているかどうか、厳重にチェックをする。  それからこれは注意事項でございますけれども、応急手当て用品が強制的になると、雑多な医薬品が市販されるおそれが当然出てくるわけでございます。そこで治療前の負傷者に使用されると、医師が本格的な治療をする場合、かえって妨げになるおそれもありますので、あくまでも関係機関の認めた応急手当て用品以外は積載させてはならない。それから応急手当て用品の販売の窓口は、いわゆる不要品、やみ価格、また並びに汚職等を防止するために、関係機関または関係機関にかわる協会が一本で行う。こんなようなことをひとつ提案申し上げるわけでございます。  この道路交通法の第七十二条の問題につきまして、きょうはいろいろな角度からお伺いしたわけでございますが、この第七十二条は、運転者だけではなくて、先ほども申し上げましたように、地震だとか火災だとかそういう大災害に備えて、これはもうちゅうちょすることなく、一刻も早くこの救護義務という問題、そしてまたドライバーに応急手当ての方法の講習を義務づけさせる、こういう問題についてひとつ実施をしていただきたい。要望かたがた提案でございますが、最後に局長さんの御答弁をいただきたいと思います。
  95. 杉原正

    ○杉原政府委員 三千五百万のドライバーの全体に係る非常に重要な、貴重な御提案でございますので、関係機関とも十分協議をいたしまして検討をさせていただきます。
  96. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。      ————◇—————
  97. 鈴切康雄

    鈴切委員長 ただいま野中英二君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・日本共産党革新共同及び新自由クラブの六党共同提出に係る海上交通安全対策に関する件について、委員会において決議されたいとの動議が提出されております。  本動議について議事を進めます。  この際、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野中英二君。
  98. 野中英二

    ○野中委員 ただいま議題となりました海上交通安全対策に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     海上交通安全対策に関する件   今日、海上交通がますますふくそう化している実情にかんがみ、海難防止及び人命尊重の見地から、海上における安全を確保するため、海上交通安全対策を一段と強化する必要がある。殊に、現在領海の拡張及び漁業水域の設定に伴い、これら海域における海上警備に万全を期することが焦びの急となっているが、そのような事態の下においても、海上交通安全対策をゆるがせにすることは許されない。   よって政府は、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、海難救助、海上交通の安全の確保等に万全を期するため、巡視船艇及び航空機の整備増強を速やかに行うこと。  二、海上保安通信は、海上保安業務の遂行上重要な役割を果たしている現況にかんがみ、その体制の整備拡充に努めること。  三、海上交通をめぐる情勢の変化に伴い、航路標識の新設及び既設の航路標識の近代化については、なお一層努力すること。  四、海上交通のふくそうする海域における船舶の航行の安全を図るため、レーダー等の使用による情報提供・航行管制システムの整備充実を図ること。  五、海上災害の発生による被害の広範かつ重大性にかんがみ、海上防災体制の整備増強を図ること。   右決議する。 以上であります。  海上交通安全対策上、国民の生命及び財産に多大の損害を及ぼす海難の未然防止はきわめて重要な課題であり、特に近年における海上交通のふくそう化等に伴い、その重要性は一層強まりつつあります。  このための具体的方策として、海上において適切な航法指導を行うほか迅速、的確に海難救助を行うため、巡視船艇及び航空機の整備増強を行うとともに、海難情報の早期入手の重要性にかんがみ、海上保安通信体制の整備拡充を速やかに行う必要があります。  次に、わが国周辺海域における船舶交通状況の量的、質的変化に対処し、航路標識の機能及び信頼度の向上と多様なサービスの提供を図るため、航路標識の新設及び既設の航路標識の近代化に努める必要があります。  さらに、海上交通の特にふくそうする海域については、事故発生の危険性が高く、レーダー、テレビカメラ、コンピューター等を使用して船舶交通の状況を常時把握し、十分な情報提供を行うとともに、必要な航行管制を行うシステムの整備充実を図る必要があります。  また、タンカー等危険物運搬船の大型化等に伴い、海上災害による被害が大規模化する傾向にある状況に対処し、流出油の防除、海上消防のための海上防災体制の強化を図る必要があります。  現在、領海の拡張及び漁業水域の設定が社会の注目を集め、これら海域における海上警備に万全を期するための体制整備が急務となっておりますが、そのような事態のもとにおいても、何物にも優先する人命を尊重し、あわせて貴重な財産の損失を防止するため、海上交通安全対策の一層の充実に努めるべきであり、本決議案の措置について強力に推進するよう特段の努力をすべきであるというのが、その趣旨であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  99. 鈴切康雄

    鈴切委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  野中英二君外五名提出の動議のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 鈴切康雄

    鈴切委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議のごとく決議することに決しました。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。石井運輸政務次官
  101. 石井一

    石井(一)政府委員 ただいま御決議のありました趣旨を尊重し、政府としては、万全の措置をとる決意でございます。
  102. 鈴切康雄

    鈴切委員長 なお、議長に対する報告及び関係方面に対する参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 鈴切康雄

    鈴切委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五分散会