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1977-04-06 第80回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月六日(水曜日)     午後一時十三分開議  出席委員    委員長 鈴切 康雄君    理事 加藤 六月君 理事 左藤  恵君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 太田 一夫君 理事 新井 彬之君    理事 青山  丘君       井上  裕君    石橋 一弥君       瓦   力君    北川 石松君       中村 弘海君    野田  毅君       板川 正吾君    久保 三郎君       野坂 浩賢君    吉原 米治君       草野  威君    寺前  巖君       伊藤 公介君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   小川 平二君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         警察庁交通局長 杉原  正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         建設政務次官  小沢 一郎君         建設省道路局長 浅井新一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         林野庁指導部治         山課長     江藤 素彦君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木電気課長   横山 義一君         建設省道路局次         長       小林 幸雄君         土木研究所地質         官       今西 誠也君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道施         設局長     鈴木 秀昭君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   中村喜四郎君     阿部 文男君   古屋  亨君     野田  毅君 四月六日  辞任         補欠選任   井上 一成君     板川 正吾君 同日  辞任         補欠選任   板川 正吾君     井上 一成君     ――――――――――――― 三月三十日  海上衝突予防法案内閣提出第六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月一日  交通指導員待遇改善に関する陳情書  (第一五六  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件  落石等による事故を防止するための防護施設の  整備強化に関する件      ――――◇―――――
  2. 鈴切康雄

    鈴切委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初めに、井上裕君。
  3. 井上裕

    井上(裕)委員 委員長のお許しをいただきまして、御質問いたしたいと思います。  きょうから春の交通安全運動実施されるわけでございますが、近時モータリゼーションの進展は、国民経済の発展と、さらに日常生活に大きな利便をもたらしている反面、交通事故初め騒音あるいはまた振動、さらにまた大気汚染、そういう、以前には予想もしなかった悪影響が多く出ております。現在、交通事故は、関係当局並びに交通安全協会民間団体の御努力によりまして、減少の経過をたどっております。しかしながら、まだまだ悲惨な事故は後を絶たず、国民生活を営む者にとりまして非常に大きな脅威となっております。このため、これらの交通事故及び各種交通障害を防止し、平穏で住みよい生活環境確保するために、何としても自動車交通実態、とりわけ交通事故発生状況等の把握、この分析に基づいた総合的な交通安全対策の推進こそが現在望まれると思います。  そこで、当局におきまして、最近の交通事故発生状況の推移とこれらの特徴問題点、これを十分に把握されておりますかどうか、この点について御質問いたしたいと思います。
  4. 杉原正

    杉原政府委員 事故がこの数年減ってきておりますそのこと自身は、非常に結構だと思いますが、まだ年間一万人近い死者、六十数万の負傷者ということを考え合わせますと、まだまだ大きな社会問題であると思います。減りましたが、昨年一年間の死亡事故分析してみますと、特徴としまして四つ大きく挙げられると思います。  一つは、減った減ったとは言いながら、都道府県間並びに都市間におきまして非常に交通事故発生格差がある。大きい県、小さい県、いろいろございますので、これを都道府県間で見ますと、人口十万人当たり平均八・七人の人がなくなっておられますが、東京などではこれが十万人当たり三・一人というのに対しまして、多い県は十六人近くがなくなっておられる。  それから都市間の格差でございますが、全国平均で十万人当たり都市、いわゆる市のつくものが百六十八ばかりございますが、これを分析してみますと、十万人当たり全国平均が六・一人というのに対しまして、少ないところは武蔵野市でございますが、これは〇・七人、それに対しまして多いところでは二十三人近い都市があるというふうなことで、都道府県間、都市間で非常に格差がある。  もう一つは、歩行者自転車乗り事故でございますが、これは絶対数も全体の構成比も大分減りましたが、それでもなおかつ、自転車乗り歩行者死者が全体の四六%を占めているということで、先進欧米諸国等に比べまして、特にこの歩行者自転車乗り事故の比率が非常に高いということが問題であるように思います。  第三は、夜間事故でございますが、これは近年とみに社会活動そのものが非常に夜間にわたって行われるという実態を背景にしたものだと思いますが、年々夜間死亡事故が多くなりまして、昨年はついに五一・五%が夜間の時間帯であるというふうなこと。  それから死亡事故の全体が減りましたのですから、あらゆる原因のものが減るのが当然でございますが、スピード違反に起因する死亡事故と、酔っぱらいに起因する死亡事故は、絶対数も、したがって構成比も非常に高くなっているということ。  この四つの点が昨年の死亡事故分析結果から見た特徴になるのではないかというふうに思います。
  5. 井上裕

    井上(裕)委員 いまの御答弁をお聞きいたしますと、いま現在、交通事故減少のカーブをたどっている。それを、さらにこの減少を続けるためには、現在解決すべき諸問題が多々あろうと思いますが、これを長期的な傾向で、方策といわゆる事故防止対策、こういうものをどうお考えになっているか、これまた簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  6. 小川平二

    小川国務大臣 お答えいたします。  警察といたしましては、総合交通体系の中で自動車交通人間社会の調和を求める、かような目的のもとに民間団体の協力も得まして、今日までの事故分析に基づき、また今日までの交通安全対策の成果を踏まえまして、二つ目標を設定いたしておるわけでございます。  第一は、歩行者自転車利用者の保護を重点に、今日出てきております事故減少傾向を長きにわたって定着をさせたい。ことに死者につきましては、ピークでございます昭和四十五年の半分にこれを抑えたい、これは第一の目標でございます。  第二は、申すまでもないことでございますが、安全な住みよい環境確保しなければならない。  かような二つ目標のもとに、御高承の第二次五カ年計画を軸といたしまして、総合交通規制を進めていく、あるいは交通指導取り締まりを強化していく、あるいは運転者初め国民一般に対する交通安全教育の一層の徹底に努めまして、国民の念願であります交通の安全を確保してまいりたい、かように考えております。
  7. 井上裕

    井上(裕)委員 国家公安委員長さんのいまの五カ年計画お話はわかりますが、長期展望に立って、もっと各省庁あわせて交通安全対策、こういう問題に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、先日四月三日に福田総理自民党千葉県連の主催によりましたパーティーにおいでになった節、成田国際空港、いわゆる新東京国際空港年度内開港、それよりもことし開港ということを言われております。その際、湾岸道路につきましては、まず望み薄だというような発言をされております。  そこで、いま開港現実になった場合におきまして、この空港関連道路、すなわち東関東高速道路あるいは京葉有料道路、さらにまた、現在の五十一号線、二百九十五号線、二百九十六号線、この交通渋滞というものは、大変な問題であろうと思います。  そこで、本日時間がございませんので、後で建設省道路関係につきましては、ぜひひとつ運輸委員会で御質問いたしたいと思いますが、交通渋滞になった場合、警察当局として、将来を見通した場合、開港後の交通事情をどのように踏まえておられますか、また、これに対します交通処理をどのような形で行っていただけるか、これは忌憚のない御意見をお伺いいたしたい、このように思います。
  8. 杉原正

    杉原政府委員 お説のとおり、空港開港に伴いまして、関連道路自動車交通量の急激な増加が見込まれるわけでございます。これに伴う処理上の問題として、基本的には、先ほどお話もありましたように、道路行政建設行政に関連する問題があるわけでございますが、私ども当面の対策として考えております点は、交通渋滞発生を防止する、発生したらこれを速やかに解消していく、それから事故その他によります高速道路渋滞または閉鎖によります一般道路への交通の適正な分散をやる、空港関係交通一般通過交通地域交通を分離配分する、あるいは交通量増加に伴いましてふえる信号機広域制御というふうな事柄がいろいろ出てまいるわけでございます。  そういう問題に対処をいたすために、警察としまして、開港に伴います空港関連道路成田市及びその周辺道路における交通流処理というものを交通管制システム実施をするということで、この五十二年度に成田交通管制センター、約四億円を予定しておりますが、これを新設いたす予定でございます。これをいま千葉県の警察本部が持っております中央のセンター、それから市川にあります葛南交通管制センター、それに新設をします成田交通管制センター、これを一体的に運用いたしまして、総括的な空港関連交通管制をやっていこうというふうに考えております。
  9. 井上裕

    井上(裕)委員 いま交通センター、このお話を聞きまして、大変ありがたいわけでございます。現在でも、京葉有料道路あるいは五十一号線、そういうものは、非常に混雑いたしております。そこで、そういうために今度は国道でない県道、そこが非常に渋滞しているために、国民生活どころか商店街まで圧迫されている状態がつくられている、こういうことで、ぜひこの問題は早目にひとつ施策を打ち出していただきたい、このように考えます。  そこで、最近満艦飾飾りつけましたダンプカーあるいはコンテナ車と言うのですかいわゆる冷蔵庫車、ああいうものに光をつける、絵をかくという風潮が非常に見られます。特にこれを現実に取り締まる方法が、現在危害を与えないとかそういうものがあるかないかわかりませんが、この前も違法な飾りつけをしたトラックに対しまして取り締まり指導して、自動車局長から陸運局長に対して通達が出されたと聞いております。その後、現在一向にその効果が上がっていないように思うわけでございます。これは交通安全対策上まことに遺憾でございます。  そこで、いまこの問題は、ただ満艦飾という形が悪いということは事実だと私思いますが、これを週刊誌のグラビアに取り上げるとか、また最近テレビで見たんですが、民間テレビで、満艦飾に飾ったものを得意げに「私の秘密」みたいな状態で堂々とこれを国民に見せて、こういうことをやってもいいというような感じを国民に与えているわけです。私は、医学的に言って、光というものは、非常に人間の刺激になって交通事故の問題にもなるであろうし、あるいはまた光を輝かしてきた場合に、こちらの対向車に相当な妨害となることもあろうと思うのです。どうか、そういう点で警察当局におかれましても、これに対してひとつ厳しい取り締まりをしていただきたい、このように思います。
  10. 杉原正

    杉原政府委員 例の満艦飾の問題でございますが、基本的には、道路運送車両法に基づく保安基準の領域で一義的に考えていただく筋合いのものでございます。ただ、それが道路を走行いたします場合に非常に危険を及ぼすというふうな具体的な事例につきましては、十分われわれも考えながら仕事をやっていくようにしたいというふうに考えております。
  11. 井上裕

    井上(裕)委員 ぜひひとつそういうことでしていただきたいと思います。  ところで、時間がございませんが、この北関東を中心としたダンプカー積載オーバーですか、これについて相当強力に取り締まっておるそうでございます。この間も私聞いたんですが、いわゆる高速道路積載オーバーの車がわれわれの乗っている乗用車の何十倍とか何倍とかのあれで道路を傷つける。そういうものは、学問的に運輸省の管轄で後でお答え願いたいわけですが、きょうはその問題はいたしませんが、いずれにいたしましても、普通の場合と違って、積載オーバーダンプカー交通事故というものは非常に大きな事故を誘発するわけです、あるいはまた砂とか砂利を落としたということで交通渋滞の問題になる、こういう点をぜひ取り締まっていただきたい。  何せ時間かございませんので、きょうは春の交通安全運動の初日に当たりまして、私のこの問題の御答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  12. 杉原正

    杉原政府委員 ダンプの過積につきましては、これが非常に大きな事故に結びつくということはお説のとおりでございます。私ども重量制限違反につきましては、今後も積極的な指導取り締まり実施していこうというふうに考えております。
  13. 井上裕

    井上(裕)委員 ぜひひとつ、そういうことを要望いたしまして、時間でございますので、質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  14. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、井上泉君。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣は、四十五年の死者数の半分以下に抑えるということで長期目標を設定した、こういうことを所信表明で述べられておるのであります。ところが、やはり役所の仕事はいろんな計画を立てても、その裏づけになるのは予算ですが、その予算伸びというものが前年度に比して一〇・三%、こういうふうな予算伸び状態から見て、果たして大臣が設定したと言われる死者数を半分以下に抑えることができるかどうか、非常にその点に疑問を持つものですが、これについての大臣の見解を承っておきたい。
  16. 小川平二

    小川国務大臣 予算数字について御指摘をいただいたわけでございますが、この五ヵ年計画の中で特定事業、要するに補助事業予算は総額で千五百億円でございますが、そのうち五十二年度事業の二百四十二億円を実施いたしますると、初年度分の二百二十億円を含めまして、進捗率が三〇・九%となるわけでございます。三〇・九%と申しますことは、これは五カ年に割りますと三一・五でなければいけないわけでございますから、やや少ない予算でありますことは御指摘のとおりだと存じます。  かような数字になっておりまするのは、五十二年度の伸び率が、主として交通管制センター新設都市の数か——これは御高承のとおり、相当のスペースを要する施設になるわけでございまするので、用地を確保する、あるいは建物を手に入れるという必要がございます。これが若干おくれておるという事情もあるわけでございまして、かような数字になっておるわけでございます。交通管制センターを除きますると、信号機新設、改良の仕事はほぼ順調に推移しておりまして、計画目標が達成できる見通しとなっておるわけでございます。死者の半減という目標に向かいまして、交通事故を今後一層減少させていくために努力をするつもりでございます。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうような予算裏づけというものが非常に不十分であるわけなので、その点からも私はさらに精神的な面における交通安全指導というものを十分やられないと、その効果はなかなか達成できないと思うわけです。  そこで、この法律の所管がぼくは不勉強で承知をしないのですが、自動車保管場所確保等に関する法律で、すべての自動車保有者車庫確保を義務づけておる。ところが、現在の自動車保有台数はもう三千万台になっておる。そうすると、膨大な保管面積というものが必要であるが、現実にこの場所確保されておると思うのかどうか。さらにまた、こういう車庫証明交付に際しましても、それを単なる書面審査ではなしに、車庫というものの確認までやって、やる必要があると思うわけですけれども、その点はやっておるのかどうか。ないとするならば、やはりこの自動車保管場所確保等に関する法律等について改正をすべきではないか、こういうふうに思うわけですが、この点についてはどうですか。
  18. 杉原正

    杉原政府委員 おっしゃるとおりでございまして、いま約三千万台の自動車が保有されておるわけでございますが、そのうちで約二千四百万台、これはいわゆる保管場所で車を登録いたしますときに車庫証明警察署長が発行することになっておりますが、車庫証明書類がないと登録できないというたてまえで、このいわゆる登録対象になっております車につきましては、登録時にすべて警察の方で車庫の有無を確かめます。現実に確かめた上で交付をするということでございます。  ただ、軽自動車につきましては、このいわゆる登録制度がございません。そういうことで、軽自動車につきましては、やはり車庫確認をして車を持つという形になってないという問題がございます。これらにつきましては、運輸行政等とのかかわり合いもございますので、関係省庁目下検討をしておるという段階でございます。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 車庫確認をやっておると言っても、これは局長書面審査だけで、ぼくが自動車を買う、どこそこへ車庫を置くという場合に、警察官が一々行って、車庫証明を発行する場合に、現場確認しておるのですか。おらないでしょう。
  20. 杉原正

    杉原政府委員 これは現場確認いたしております。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 現実現場確認しておると言い張れば、これはそれまでですけれども、とてもそんな状態ではない。それほど警察官たくさんいないはずですよ。これは大体、車庫現場確認をする場合にどれだけの時間が要るのか、そういうようなことを考えた場合に、とっても私はそういうことを、私も自動車にいささか関係を持つ者ですが、そういうふうな、警察官車庫場所確認に来たとかというような話を聞いたこともなければ見たこともないので、あえて局長に、しておるかどうか、そういうように言われるのですが、なおひとつその辺は調査をしてみてください。現実に方針がそうでも、現場ではとても忙しくてそんな行けないということで、警察申し出の個所に書類審査でやっておるというのが実態だと私は思っております。  そこでもう一つ、きょうの新聞か何かだったと思いますが、歩道自転車を乗り入れるということを、全国的にこれを指示してやるということが載っておったわけでありますが、そのことを私は、歩道自転車の安全の確保自転車歩道で生かすということは、これは自転車乗りにとっては大変いいんだろうと思うのです。ところが歩行者にとってはやはり迷惑千万な話で、それでそこら辺のいわば交通整理をどういうふうにされるのか。それからこの場合に、自転車は乗っていくのですから、たとえば横断歩道の場合には、横断歩道の標識のあるところを自転車は乗っていっても差し支えないものかどうか、その点ひとつ説明を承りたい。
  22. 杉原正

    杉原政府委員 いま自転車利用というものは、社会的にも、非常に公害がない、健康の問題等含めまして、自転車の普及が非常に行われておるわけでございますが、他方、道路環境を見ますと、自転車が安心して走れる状態には必ずしもございません。道路の幅員その他が許せば、いま道路行政等の中でもできるだけ自転車道等を町の中に新設するというふうなことをやっておりますが、当面の措置としまして、歩道に上げる。それからいま東京などでいろいろ試験的に実施を大規模にしようとしておりますのは、交差点での自転車通行の仕方について、自転車に空間を与えようというふうな形で、交差点処理方式をいま検討いたしております。そういうふうなことをあわせまして、自転車の安全な通行帯というものを当面できるだけつくっていくという方向で処理をしていきたいというふうに考えております。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで自転車でありますが、駅前道路上にはずいぶん自転車放置をされておるわけです。これについて、こういうふうな放置をされたものについては、道交法上どういう取り締まりをやっておるのか。さらに、歩道自転車通行を認めるということになれば、歩道上においてもかなり自転車が置かれると思うわけですが、その点についてどういう取り締まり方法を考えておるのか。
  24. 杉原正

    杉原政府委員 駅等自転車放置の問題でございます。現実にかなりの状態にあることは承知をいたしております。ただ、この自転車につきましては、自転車利用者の立場を考えますと、他の大衆輸送機関等がまだ不整備であるというふうな状況前提にして考えますと、この放置自転車というものが駐車違反になるという実態にはございますが、自転車置き場整備その他の施策をむしろ前提とさすべきで、いまあるものを直ちに駐車違反ということで取り締まり対象にするということで指導はいたしていないわけでございます。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 自転車乗りを保護するということは、結構なことだと私は思うわけで、何もそのことを言っているわけではないのですが、そういうことで、駅前でも相当自転車放置をされておる。それが今度、歩道自転車通行を認められるというようなことになると、歩道上に自転車を置くことによって歩道が狭められ、そして自転車も通る、人も通るということになると、歩道としての機能というものが著しく喪失をされやしないかということから、こうした違法駐車というか、違法駐車でないにしても、やむを得ず駐車をしておるものに対して何らかの処置をしなければならぬのじゃないか、こういうふうに思っているのです。
  26. 杉原正

    杉原政府委員 これは、駅の自転車置き場という事柄につきましての駅あるいは地方自治体との協議、そういうものを先行さすべきだと思いますし、それから歩道自転車通行可の問題につきましては、自転車の置き方の指導について地域各種団体等とも十分協議をしながら、良好な交通環境確保に努めていくようにしたいと思います。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 これは、時間がないので多くを申し上げませんが、最近都内を回っても、非常に広い道路でも四十キロのスピード制限というようなところが非常に多い。そうすると、そこで逆に非常に交通渋滞を来しておるし、そしてまた一方、取り締まり警察官は、何か隠れておって犯罪者のような扱いでドライバーを取り締まる。つまり、こそどろを捕らえるような、いわゆる(「ネズミ取りだ」と呼ぶ者あり)ネズミ取りならまだいいんですが、それはまだ手の込んだやり方というか、取り締まりをやっておるのですが、そういうようなことは問題がありゃしないか。もっと正々堂々と取り締まりをやり、そして都内交通状態から見ても、現実に即したスピード制限をするとかいうように見直すべきではないか。それから問屋街なんかでは、昼間とか午前中はずいぶん車が多いけれども夜間なんかはほとんど車が通らない、そういうところでも四十キロのスピード制限でそのまま制限をしておるというような、事態にそぐわない点がたくさんあるように思うので、その点についても見直しをして、現実交通の量に即したスピード制限をやるべきではないかと思うのですが、どうですか。
  28. 杉原正

    杉原政府委員 車のスピードの制限につきましては、交通状況の変化というものがございますので、これを前提にしながら常に見直しをすべきであるということはおっしゃるとおりでございます。ただ、自動車の安全速度というものを検討します場合に、これは道路の種類とか幅員、それだけで定まるものではなくて、当該道路のいわゆる構造とかあるいは沿道の環境、それから横断交通の量と質との問題、大型自動車の混入率の問題、当該道路の機能の問題等の諸条件を勘案して検討、決定すべきものだと思います。特に都市等で、幹線道路が市街地の中心を貫通しておるような場合に、通過交通と域内交通というものが混在しておるようなところにつきましては、思い切った速度規制、追い越しのための右側はみ出し部分の通行禁止等、スピードダウンに対応する措置を考えるべきであると思います。車の騒音の問題などをあわせ考えますと、公害対策の面からも、基本的には四十キロメートル毎時というものが望ましいのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  なお、スピードの取り締まりの問題でございますが、私どもいろいろ危ないと思われる地点については、定置式のスピード取り締まりをやっておりますが、これは一つの手段であるにすぎませんで、よくごらんになりますような、街頭で、交差点で白バイを置いてそこで監視をさせる、パトカーで速度を巡視してもらう、死亡事故に非常に結びつきやすいスピード超過というものについての監視を、いろいろな方法を講じて今後もやっていきたい、このように考えております。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、私は、自転車の路上の違法駐車というものについては、もっと論議を深めていきたいと思うわけですけれども、そのことは次の機会にいたしまして、去年の五月に高知県の大川村というところで、ハスの転落事故があった。転落事故があって、それで交通安全特別委員会としても現地を調査されて、そして事故原因の究明等に当たられて、現地では警察事故対策本部なんというようなものを設けて大々的な調査を始めたわけですが、まだこれの結論が出ないというわけですが、これはいつが来たらこういう交通事故の結論が出るのですか。
  30. 杉原正

    杉原政府委員 御承知のように、昨年の五月の事案でございますが、この種の事故につきましては、この内容が道路管理者に対する架橋設計施工上の過失があったかどうか、工事請負業者の施工上の過失があったかどうか、バスの運転手の過失がどうだったかというふうな事柄を中心に検討しておりますが、何さま、専門家の各種の鑑定を得なければ、事故の原因が本当に究明できないというふうなことで、相当の期間を要しておるわけでございます。これにつきましても、かなりの期間が経過をいたしておりますので、できるだけ早期に捜査を終了するようにということで、ただいま指導をしておる状況でございます。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 何回もそういうことを、あなたの前の局長もそういうことを言われたのですよ。それで、去年の五月ですから、大抵事故原因の究明はなされてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うわけですが、これは、警察の人手が足らないのですか、それともこういう事故原因を究明する調査に手間取るのですか、どこに問題があるのですか。
  32. 杉原正

    杉原政府委員 先ほど申しましたように、過失の問題を検討いたします場合の技術的な判断というふうなものがかなりございますので、これらを各種の専門家に頼んでいま鑑定をしていただいておるという状況でございますが、その結論を待ちたいということでございます。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 それじゃ見通しとしてはいつまでにできるのですか。これは、被害者なんかもこれの究明ができないことで、非常に困惑しておるわけですが、いつまでにできるのですか。
  34. 杉原正

    杉原政府委員 できるだけ早期にいたします。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 「できるだけ」ということは、大体どれくらいかということを……。
  36. 杉原正

    杉原政府委員 余り長い期間をかけないでやれると思います。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 優等生の答弁をされるから、ちっともつかみようがないわけですが、百年の中の一年と言うと早いわけですけれども、一年の中の一月と言えば早い時期、こういうことになるわけですが、一体どうなるかという二とを、私は、できるだけ早い時期、こう言いましても、何か警察も、わずか一カ所であるし、ずいぶん学者の調査もされておるんですから、大概にひとつ結論を出して、その上でまた争うところは争ったらいいんですから、どこそこに事故の原因があったんだということぐらいは、今日の交通問題のやかましい時期に、私は、一年もたたんとしておるのに解明がされないということは、これは警察の不信になるのじゃないかと思うのですが、ひとつその点について大臣の見解を承りたい。  それからさらにもう一つは、車庫証明のことで、自動車保管場所に関する法律の中で、現実に三千万台もの車があって、それで車庫証明が出されて、保管場所があると、こう言いながらも、路上の違法駐車が絶えないというのは、自動車保管場所に関する法律自体に問題があるんではないか。こういう点を見直すことによって、私は、大臣所信表明の、死亡事故数を激減することができると思うわけですが、その点について、大臣としても検討してやらなくてはいかぬ。まじめな大臣でありますので、ひとつあなたの施政方針がぜひ実現をする——これは初年度ですから、あなたが五カ年間大臣をやるわけじゃないですから、その最初の年度にこれを達成をさすためにも、やはりそのもとになるものを整備する必要があると私は思うのです。  ですから、いま申し上げましたように、一つ交通事故の問題でも、その事故原因を究明するのに一年もかかるような、そういう警察実態、そして車庫を現認して車庫証明を発行しているとは言いながらも、今日私は、車庫証明を発行しておるところと現実の車と対比して調査したら、大変な違いがあると思うのです。そういうような状態からも、この自動車保管場所に関する法律等は見直すべきではないか、こういうふうに思うので、その点について大臣の見解を承って、私の質問を終わります。
  38. 小川平二

    小川国務大臣 事故原因の究明がおくれております点につきましては、私も改めて詳細に事情を聴取いたしまして、督励をするつもりでございます。  車庫証明の点につきましては、いまきわめて適切な御指摘をいただいた、確かに一つ問題でございますので、この問題につきましては、現に、総理府を中心にいたしまして、適切な対策が講じられまするように研究をいたしておりますので、一日も早く結論を得て実施いたしたい、こう考えております。
  39. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、新井彬之君。
  40. 新井彬之

    ○新井委員 国家公安委員長の所信に対する質問を若干いたします。  わが国の自動車保有台数は三千万台を突破いたしまして、四人に一人の保有率となっておるわけでございますが、交通事故による死傷者は減少傾向にあると言うものの、いまなお六十万人を超えておるような現状でございます。また交通渋帯、騒音、振動などによる生活環境の悪化など、問題の深刻さは非常にあるわけでございます。  公安委員長所信表明の中で、死者については、過去の最高だった昭和四十五年の死者数一万六千七百六十五の半分以下に抑える、もう一つは、安全で住みよい生活環境確保を図る、こういう二つ長期目標を設定して述べておられるわけでございます。この目標達成のために、現在行われております都市総合交通規制については、交通総量の一〇%の削減を強く打ち出しておるわけでございますが、この実効がどのように上がっているのか、まず、お伺いをいたしたいと思います。
  41. 小川平二

    小川国務大臣 御指摘をいただきました都市交通総量削減対策でございますが、四十九年から総合交通規制によって推進をいたしております。十大都市におきまして、五十年、五十一年度、この二カ年間に四十九年の一日当たり自動車走行台キロのおよそ一〇%を削減する、これが御高承のとおり、目標でございます。  かような目標を立てて、推進をしてきておるわけですが、本年の三月までにこの規制計画の実行を終えたわけでございます。ほぼ所期の成果を上げ得ると考えておるわけでございますが、御参考までに申し上げますると、昨年の九月で目標の七五%を達成いたしておるわけで、ことしの三月までには所期の成果を上げることができる。御承知のように、専用レーンを設定いたしまするとか、あるいは荷受け、荷出しの合理化、いろいろなことを実行いたしておるわけでございます。
  42. 新井彬之

    ○新井委員 そこで国鉄の経営採算に伴って、貨物輸送の制限についていろいろ言われているわけでございます。貨物輸送とトラック輸送、海上輸送の増加というものを考慮中であるということが言われておるわけでございますが、これによって、どれほどのトラック輸送の台数の増加というものが見込まれるのか、考えておったら、お答え願いたいと思います。
  43. 杉原正

    杉原政府委員 私どもは、そこの計算はいたしておりません。
  44. 新井彬之

    ○新井委員 この総量規制の問題で、ずっといままで実効を上げてきたということでございますが、これは基本的にはなかなか限度がございまして、いまもお話がございましたが、専用レーンをつくるとかあるいは荷受け、荷出し、そういうような問題で合理化をすると言いましても、こういう貨物輸送の制限があって、トラック輸送に切りかえられた場合というのは、またもとに戻ってしまうんじゃないか。そういう意味で、結局いままでやってきたことが何にもならなくなるんではないかということが、一つ大きな問題としてあるわけでございます。こういう問題については、国家公安委員長として、運輸当局と、交通輸送体制のこの交通安全対策面から話し合いをどのように進められておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  45. 室城庸之

    室城政府委員 お答え申し上げます。  総合交通体系につきましては、主として経済企画庁の方で担当いたしまして、研究をいたしております。  なお、私どもの方で公害審議会の御提案になります都市総合交通規制というものについて研究をしろということを受けまして、総理府の方で予算をいただきまして、三カ年計画でただいま都市総合交通量の抑制について、果たしてどういうことが可能なのであるか、どういう手法があり得るのかというようなことについて、専門の研究者にお集まりいただきまして、実は今年度からその検討を進めております。したがって、これはいま直ちに結論が出て、施策に移せるというものではございませんけれども、諸外国の例等も十分検討いたしまして、いずれわが国においてとるべき方策はこうあるべきではないかというものを、三年間の計画で一応まとめてみたいという方向で検討いたしております。
  46. 新井彬之

    ○新井委員 先ほどの答弁で、この総量規制という一〇%が非常に交通安全対策の上で効果があるんだということで、これは四十九年から真剣にやられてまいったわけですね。だけれども、実際問題、交通規制だけやりましても、やる内容というものは別に法的な規制というか、強力なものは何もないわけでございますから、入りたければ自由に入ってきますし、ただ交通渋帯が起こるというような状態にもなろうかと思うんですが、その面では当然やはり各省とのそういう打ち合わせの中で、こういう状態だから規制ができるというものが明確でなければ今後の実効は上がらないだろう、こういうことでございますので、今後ともひとつ各省との連絡をよく密にしてやっていただきたい、このようにお願いをする次第でございます。  それから二番目に、きょうから春の交通安全運動が始まったわけでございますが、春秋の短期間の運動がマンネリ化しておるのではないか、総花的でお祭りに終わってしまうのではないかということを各所で聞くわけであります。やはりテーマを決めまして、年中行事にしてこそ効果があると思うのでございますけれども、これに対する所見をお伺いしたいと思います。
  47. 小川平二

    小川国務大臣 きわめてごもっともな御指摘だと存じます。この運動は、春は新入学児童を重点に、秋は行楽シーズンでございますので、老人、子供、自転車利用者歩行者等の安全確保を重点に実行しているわけでございますが、毎年新たに入学する児童が新しく出てくるわけでございますから、やはり同じことを反復して粘り強く実行していく必要があると存じます。  ただし、マンネリ化してはならないという御指摘、きわめてごもっともと存じます。そこで、本年度におきましては、たとえば夜間交通安全確保ということを一つの重点にする、あるいはシートベルトの着用という点に重点を置くというようなことにいたしておるわけでございまして、毎年毎年、今日までの事故分析に基づきまして有効な施策を実行してまいりたい、こう考えております。
  48. 新井彬之

    ○新井委員 「昭和五十二年春の全国交通安全運動実施要綱」というのをいただいているわけでございます。その中でいろいろうたわれておるわけでございますが、結局、安全のためにいろいろのことを徹底するということが言われておるわけでございます。大体、安全のための徹底というのは、交通規制といいますか、さっきも話がありましたけれども、隠れていて、それでおかしいじゃないか、だからこの間はある意味じゃ注意しなければいけない。極端に言えば、本当に交通安全を守って、そしてきちっとした運転をやろうとか歩行をしようというんではなくて、隠れていてつかまると大変だからというようなことが主になっているところが大分ある感じでございますね。したがいまして、やはり交通安全の問題というのは、年じゅういろいろな関係者の方が御努力をいただいておることは重々おわかりでございまして、大変なことでございますが、やはりそういう面についても、ただ規制とか罰則でやるというのではなくてやっていただきたいと思うわけでございます。  特に夜間交通事故という問題が出ましたけれども、「夜間交通事故防止対策の推進」という中の第二項に、「夜間に多い飲酒運転、過労運転、最高速度違反等の防止について指導等を強化すること。」こう書いてありますが、「指導等を強化する」ということは、具体的にどういう内容なのかということでございます。
  49. 杉原正

    杉原政府委員 夜間の問題につきまして指導面を特に強調しておりますのは、たとえば酒を飲んでいる人が運転をしているのを街頭で見つけて検挙する、そういう方向ではなくて、まず基本的にドライバーに飲ませないという、これはいろいろ料理店その他がありますけれども、そういうところに働きかけて、ドライバーに飲ませない、飲んだらもう運転をしない。仮に駐車場その他に車を持ってきて、夜飲んでいる人がおれば、そこで取り締まりをするんじゃなくて、置いて帰ってほしい、そういうふうな面の指導、そういうものに力を入れていきたい。社会的な習慣というものを啓発するような形でこの運動期間を考えていきたいということでございます。
  50. 新井彬之

    ○新井委員 昭和五十一年度を初年度とする第二次交通安全施設整備事業五カ年計画を軸としての実行はもとより、今後の事故防止対策としては、運転者交通安全教育交通弱者の教育面の充実が必要とされておるわけでございますが、これらの教育についての具体的な内容を教えていただきたいと思います。
  51. 杉原正

    杉原政府委員 まず、ドライバーの対策でございますが、いままで事故防止ということの観点から安全施設整備、それから街頭監視といいますか指導取り締まりといいますか、そういうハードな面にかなり力を入れてきたわけでございますし、これからもこの点はさらに進めなければいかぬと思っておりますが、いまのこの事故というものをこれからどんどん減してゼロに向かっていくということになりますと、やはり事故を起こす人はドライバーでございます。この三千五百万のドライバーにどういう手を打つかということがこれから基本になるのじゃないだろうかという感じがいたします。  警察でやっておりますドライバーに対する教育というのは、御案内のように、指定自動車教習所におきます安全教育の問題、それから免許証が御承知のように、三年に一遍更新になります。そのときには、忙しい中をドライバーの方が皆警察の門をたたいていただけるので、この機会をもっと活用する方策はないかというふうなこと、それからいわゆる行政処分を受ける人の違反者講習、そういうふうな観点からドライバーのいろいろな対策を進めておりますが、先ほど申しましたような観点から、もっとこれの内容の充実に力を入れていくというのがこれからのとるべき道ではなかろうかというふうに考えております。  なお、子供さんあるいは老人の方々の事故の比率がかなり高うございますので、これらにつきましては、ヤングミセスの会とか老人ホームとか、いろいろな場を利用し、社会教育のいろいろな機関とも連携をしながら、いまもやっておりますが、これからさらに進めていくようにしたいというふうに考えております。
  52. 新井彬之

    ○新井委員 先ほどもちょっと出ましたが、都内及びその周辺、特に駅前等、違法駐車の横行というのがどこでもあるわけです。これは東京都だけではなしに各所にあるわけでございますが、これは歩行者とか自動車利用者の安全対策上非常に危険である、こういうことが言われておるわけでございます。確かに取り締まりはやっておりますが、後から後から違法駐車があるというような問題について、どのようにお考えになっておりますか。
  53. 杉原正

    杉原政府委員 これは基本的に、自動車保管場所といいますか駐車場といいますか、こういうものの整備がかなり本腰を入れて先行しませんと、単に現象面だけ追いかけているという形でございますので、私ども関係行政機関と十分その辺を今後もさらに緊密な連携をとりながら、交通環境の改善に努めていくようにしたいというふうに思います。
  54. 新井彬之

    ○新井委員 私は一つ大きく抜けておりますと思いますことは、確かにいまはモータリゼーションでマイカーの時代でございますから、みんな車に乗っていいことになっているわけです。ところが、スピード違反だとか酒気帯び運転だとか、そういうことは自発的にやめられるわけでございますが、何か用事があって行った場合に、その近辺に駐車場が何もないわけですね。ないけれども、とにかく用事があっておりなければならない。だから、本来ならばそういう駐車場というものは料金を取って結構です。公営のものであるとかそういうもので、駅前駐車場なんかよく料金を取ってやっておりますね。それがあるにもかかわらず違法駐車をしているではないかというなら、幾らでも取り締まって結構ですけれども、何もないところで、じゃ一体どこへ持っていくという指導もできないのに取り締まりだけやるということは、ある意味では犯罪者だけふやすということになるわけでございまして、これもやはり関係各省と打ち合わせをしまして、特に警察庁あたりは、道路駐車していいというメーターを立てているようなところもありますし、あるいはまた駐車場の完備ということも考えておるわけでございますから、そういうものをひっくるめてやっていかなければいけない。それでないと、この三千万台の車がよしんば規制された、一〇%ではなしによしんば三〇%規制されたとしても、違法駐車の問題というのは最後まで残る問題だと思うわけでございます。そういうことでございますから、そういうこともよく考慮して、ただ罰則規定だけやるということではないような形で、これは時間がかかると思いますけれども、よろしくお願いしたい。  最後に、時間がないので、一つだけお伺いしておきたいのでございますが、新幹線を爆破する、これは愉快犯と言うのですか、何かそういう電話がかかるたびに新幹線をとめて、そして喜ぶといいますか、自分が、人に迷惑がかかることにおいて非常に喜んでおるのがおるらしいのでございますが、大変けしからぬことでございまして、これは飛行機にしましても列車にいたしましても、爆破すると言えば、当然とめて調べなければいけないということにもなるわけでございまして、個人が個人にいたずらをしているようなものでもないわけでございますね。これらについての罰則規定というのはどういうぐあいになっているのですか。きょうそういう電話がありまして、たくさんいろいろの人が本当に怒っておるわけです。いまの罰則規定が非常に弱いはずなんですよ。これはけしからぬことでございますし、現実にはもう列車を、事故を起こしてとめたのと同じ効果を持っておるわけでございまして、こういう問題については、国家公安委員長といたしましても、やはりもっと明確に罰則規定を強化いたしまして、こういうことがあってはならぬというようにひとつ考えていただきたいということを御要望し、また、そのことに対する所見を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
  55. 小川平二

    小川国務大臣 最近、お言葉にあります愉快犯というのが大変ふえてきておる、罰則がどうなっておるかという御質問に対して、この場で御答弁申し上げられないのは、まことに不行き届きで申しわけなく思っておりますが、確かに一つの問題でございますので、その点は直ちに十分研究をいたします。
  56. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、青山丘君。
  57. 青山丘

    ○青山委員 きょうから春の交通安全運動が十日間、十五日まで実施されるわけです。全国一斉に実施されるわけですが、ことしの目標も従来とほとんど変わっておらない。ただ、夜間における事故防止を盛り込んでおられる程度だというふうに考えるわけです。これが特徴と言えば特徴です。この夜間における事故防止というものが一体どういう内容のもので、その対策がどのように進められようとしておられるのか、まず、お伺いいたします。
  58. 杉原正

    杉原政府委員 ことしの春の安全運動に、初めて夜間交通事故の防止の問題を取り上げましたのは、社会活動、だんだん夜動き回るという社会実態がある関係だと思いますが、いままで昼間の事故が圧倒的であったものがだんだんいわゆる日没から日の出までの時間帯のものが多くなってまいりまして、昨年はとうとうこれが逆転をしまして、五一・五%が夜間死亡事故ということになりました。そういうこととあわせまして、先ほどもお話ししましたように、夜間のスピードと酔っぱらいによる死亡事故がまた非常に絶対数が多くなっているというふうなことを反省いたしまして、これをひとつ重点に取り上げようというのが、今度の春の安全運動に夜間の問題を取り上げた理由でございます。  それで、やり方でございますが、一つは、昨年の事故分析結果に基づきまして、夜間事故の多発地点、区間、これが各府県でわかりますので、これに交通安全施設整備点検をやっていこう、必要なものはそこへ加えていこうということ。第二点は、夜間に多い飲酒運転、それから過労運転、スピード違反、これの取り締まりの問題がありますが、この安全運動期間中は取り締まりもさることながら、関係者を含めました啓発の問題、これに取り組んでいこう。それから三つ目は、やはり道路環境がそうでございますけれども夜間の照明の問題、それからもう一つは、ドライバーから見た歩行者自転車の視認性の問題、これが非常に低いように思うわけでございます。やはりそういう相手から、よくいま反射板みたいなものをランドセルにつけたりするようなことをしておりますが、そういう事柄をやはり推進していく、そういうきっかけにしていきたいというふうに考えております。
  59. 青山丘

    ○青山委員 夜間事故多発地点、それの交通安全施設等の道路交通環境の点検を実施する。点検を実施して、そして具体的な手を打っていかれるということですね。予算措置はしてあるわけですね。
  60. 杉原正

    杉原政府委員 予算措置は講じられております。
  61. 青山丘

    ○青山委員 それから啓発運動を進められるというのですが、具体的にはどんな運動の進め方をされるのか。  それからもう一つは、ドライバーから歩行者に対する夜間交通安全上の問題で、たとえば反射材等が徐々に利用されてきた。これは具体的に、本当に進めていくのはなかなか困難だと思うのですね。その問題、幾つかあると思うのです。それをどのように受けとめておられるのか。
  62. 杉原正

    杉原政府委員 この視認性の問題につきましては、いま安全運動期間中に、こういう小さな反射板みたいなものを学校を通じて子供に安全協会等から配布をする、それから自転車の後ろにこれを張りつけるというふうな具体的な、これはそう高いものでございませんので、これをいろいろな団体あるいは学校を通じて子供、家庭の方に配布をするというふうな措置がかなり大きく推進をされておるということでございます。
  63. 青山丘

    ○青山委員 ところが、実際の夜間交通事故対象者として、子供たちは確かに近ごろ塾へ通っていて、かばんに反射板を張るのは効果があるかもしれませんが、実際に服等で衣服にそんなものはなかなか張りにくいわけですね。したがって、明るい色の服を着るような運動というようなことになってくるでしょう。そういう具体的な行動を起こすのに、どういう手を打っていかれるのか。
  64. 室城庸之

    室城政府委員 総理府の方で交通安全運動を総括いたしておりますので、私の方からお答え申し上げます。  ただいまお話に出ております反射材というのは、ここに持っておりますようなものでございまして、こういったものをくつの裏につけるとか、あるいは手提げかばんに張るとかいうようなことで、できるだけ夜間の視認性を高めたいということで、実はこの業界の方にもいろいろ指導いたしまして、できるだけ安い値段で、しかもどこにでも行って手軽に買えるような販売方法を考えろということと、さらに図柄、デザイン等につきましては、いろいろ好みもあることでございますので、こういった点について、みんなが購買心を持って手に入れたがるような、そういう魅力あるものをつくれ、さらにおっしゃいますように、かたいものには張りやすいわけでございますけれども、衣服等にはなかなか張れるような材質になっておらないということで、材質の研究等につきましても、いろいろ業界の方にも指導いたしまして、できるだけこういった国民運動になじみやすい素材にする努力も一方でいたしております。  なお先ほどからも話がございましたように、こういったものを普及いたしますために、この安全運動を契機といたしまして、各都道府県それぞれ、たとえばぴかぴか運動でありますとか、ホタル運動でありますとかいうようなテーマを掲げまして、交通安全協会等もこの販売等については一はだ脱いでおりまして、できるだけ広範に、この機会に普及徹底を図るというような方向で進めておりまして、事実、昨年の秋あたりも安全運動の実施方法一つとしてこれをやりましたところ、地域的にはまだアンバランスがございますけれども実施いたしまして、非常に成果を上げておる県では、夜間事故がかなり減ってきておるということも報告を受けておりまして、今後できるだけ国民運動として、自分の意思で、自分の努力でこれを身につけることを進めてまいりたいと考えております。
  65. 青山丘

    ○青山委員 衣服の方は……。
  66. 室城庸之

    室城政府委員 被服につきましても、いま申し上げましたように、洋服に合う各種の色で、しかもそれが布地と同じように縫い込めるというようなものを考えております。たとえばズボンの後ろのポケットなどに若い者はいろいろなデザインをつけておりますが、そういったものになるように、あるいは女の子ですとスカートのすそにというような形で、反射剤を塗ったレースを縫い取っていけるというようなことを考えております。
  67. 青山丘

    ○青山委員 それで、重点目標を三つ掲げられております。しかし、実際問題、この重点目標がきっと前から言われてきたのでしょうが、わずか一週間や十日間の運動期間中にその成果を上げることができるかどうか、その辺の御見解を伺います。
  68. 室城庸之

    室城政府委員 春、秋繰り返しております安全運動は、必ずしも運動期間中に何か成果が上がるようにしろということばかりではございませんで、交通というものは、日常の生活習慣でございますので、いつの時点からよい習慣を身につけていただくかということが、いわば踏ん切りがなかなかつかない。そういったものを春の安全運動で地域ぐるみで習慣づけていこう、そういう引き金にしていただくというような性格のものであるというふうに考えております。  したがって、安全運動期間中にやれるものは当然やるわけでございますけれども、必ずしも安全運動期間中に限らず、この機会に何か一つ新しい生活習慣を身につけるという意味で、この運動を盛り上げてまいっておるということでございます。
  69. 青山丘

    ○青山委員 いや、私が言っているのは、実際、効果が上がるのかというのは、一つでも前進した形になればいい、そういうふうに受け取っておるのですが、そういう一つでも大きな成果を上げることができるのかどうかということです。
  70. 室城庸之

    室城政府委員 従来の例から申しましても、たとえばシートベルトの励行というようなことを表題に掲げまして、これを地方でそれぞれ具体的にどういうふうに運動を展開していくかということを検討しておりまして、たとえばある会社では、自分の会社では全員シートベルトを励行だということを、実は昨年の春の安全運動を契機に始めまして、自来一年近くずっと続いているわけでございますけれども、最近では九十何%かの着装率だということで、これは守衛が門の出入りに全部チェックするというようなことをやっておりまして、その会社はもちろん事故ゼロというような成果を上げております。そういったことで、春、秋の安全運動を機会に、それぞれの職域なり地域なりで一つの誓いを立てて、こういうことをやっていこうということで実績を上げておる例は多々ございます。
  71. 青山丘

    ○青山委員 確かにある会社ではそういう成果が上がってきた、私は、それは非常にいいことだと思います。これが一部の会社であり、一部の地域でないように、ひとつ導火線、引き金になるように努力していただきたいと思います。  昨年一年間の交通事故死者数昭和三十三年以来十八年ぶりに一万人の大台を割った、負傷者もたしか対前年度比一・四%減、昭和四十五年以来ずっと減少傾向が続いてきたわけです。しかしながら、交通弱者と言われている幼児、老人の事故率はまだ高い。また夜間死亡事故や中小都市周辺の事故増加しておる。酒酔い運転あるいはスピードの出し過ぎ、無免許運転、この交通三悪による犠牲者は、まだ全体の三分の一を上回っております。この実態を公安委員長はどう見ておられるのか、お伺いをいたします。
  72. 小川平二

    小川国務大臣 御指摘のように、いわゆる三悪による事故は三二%という数字になっておるわけで、まことに遺憾なことだと存じております。今後、規制の強化あるいは安全教育の徹底ということを、五カ年計画を軸として励行してまいらなければならない、こう考えております。
  73. 青山丘

    ○青山委員 特に歩行者に第一原因がある事故、この内容を調べてみますと、何といっても幼児、それから幼稚園児、小学生、中学生の子供の飛び出し事故が五四%、それから駐停車している車両の直前直後の横断が一六%、それから走行車両の直前直後の横断が一〇%、第三位。これだけで事故のほとんど大半を占めているわけです。さらに信号無視が第四番目で七%、こういうような実態から、歩行者に第一原因がある事故のほとんどが子供の飛び出し事故で、大変な事態に立ち至っておる。こういう事態をどのように受けとめて、どうしてこの事故を防いでいくか、その方向をお伺いいたします。
  74. 杉原正

    杉原政府委員 子供の交通事故の問題につきまして、一つには、子供の毎日の生活実態を見ますと、学校への通園通学の問題が一つ。それから子供の事故につきましては、大体自宅から二、三百メートル以内の事故が圧倒的でございます。それで、登下校という問題につきましては、いまスクールゾーンという形のものを逐次整備をやっておりまして、小学校、幼稚園を含めて約五万四千ありますが、この安全運動期間中にやりますスクールゾーンの設置を含めまして、スクールゾーンの交通規制をやってスクールゾーンにしたところの中にある学校がこれで全体の約八四%になるということでございます。そのスクールゾーンをつくったところにつきましては、かなりいろいろな車の規制その他をやっておりますので、そういう面が一つございます。  それから、家から二百メートルないし三百メートル範囲内の事故ということを考えますと、私ども、住宅地等について生活道路というゾーンを考えておりますが、これもやはり車を徹底して規制をする。それから仮に入れる場合でも、スピードを極端な場合には二、三十キロに落とす、大型車は入れないとか、そういうような手だてを講じまして、その辺を重点的にやっていきたい。  なお、教育の問題につきましては、学校教育の面でいろいろ取り上げていただいておりますが、家庭生活の面では、ヤングミセスの会とか、あるいは幼児と母親の集いとか、いろいろそういうチャンスをとらえて、子供の事故を本当に少なくしていこうということで努力をしているのが現状でございます。
  75. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつ成果を上げてください。  それから、いまおっしゃったのですが、いわゆる幹線道路を追われて裏通り、いわゆる生活道路に入ってきた車両、これが非常にスピードを出して、わが物顔に生活道路歩行者を脅かしているわけですね。この交通取り締まりがまだ不十分なような気がするのです。いまおっしゃったのをひとつ進めていただきたいが、具体的にはこの生活道路事故防止に対する対策、それから交通取り締まりの現状をお伺いいたします。
  76. 杉原正

    杉原政府委員 まず、幹線道路から裏道を通って短距離でどこかへ抜けていこうという通過車両というのが、委員から御指摘のように、ございます。これを車種別にどうやって外へ出すかということでございますが、これは規制技術でございまして、中へ入りましても、TU規制と言っておりますけれども、入っても必ず左へ行く、また行くとまた左、また幹線道路へ帰らないと向こうへ通り抜けられないという規制を意識的にやっております。一遍それでこりますと、もう入らなくなるというふうなTU規制というものが、いま生活道路の規制の中心になっております。  もう一つは、いまかなりのところで生活道路は一方通行にしておりますが、これも一方通行にしてはまだ車に与えている空間が多過ぎる、車幅が多過ぎるというところにつきましては、いま、むしろ路側帯という歩行者が通れるような白い線を引いておりますが、あれをもっとずっと車に向けて広く張り出して、車の通る道を狭くして歩行者の方を広くするというふうな、そういう手法をあわせて講ずる。これに入ってきました車に対する指導取り締まりは当然のことでございますが一そういう規制の手法とあわせながらやっていきたいというぐあいに考えております。
  77. 青山丘

    ○青山委員 もう時間がないので、最後にちょっとお尋ねしますが、幼児の死亡事故の六〇%がいまの生活道路であるということですね。狭い道路事故が起きている。この事実から見てみましても、そのドライバーを見ている二人に一人がやはりスピードの出し過ぎだと証言しているんです。  過日の新聞にも「ドライバーのあなたを見る人のうち、二人に一人は裏通りでスピードを出しすぎると証言しています。」「幼児の母親からみて五三・一%」「ドライバーから他のドライバーをみて五九・七%」、非常に高い率でスピードの出し過ぎだと言っているわけです。  したがって、こういうスピードの出し過ぎによる事故を防ぐ意味で、どのような具体的な対策を持っておられるのか。
  78. 杉原正

    杉原政府委員 一つには細街路に入りました車のスピードの問題、警察官が立っておりましても、測定が非常にむずかしいというふうな問題がありまして、いま簡易なレーダースピードメーターというものをかなり細街路に持ち込んだ取り締まりをやっております。  それからもう一つは、スピードの規制を担保するために、構造上いろんな方法がないかということで、先ほどお話ししましたように、車の通行の車幅、いわゆる通行帯の幅というものをうんと狭めてしまう、スピードを出して走れないようにするというふうなことも一つ有効な手段だと思います。いま東京、大阪初め、そういう方向で、かなり苦心をいたして措置を講じているところでございます。
  79. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつ具体的な成果を上げてください。  質問を終わります。
  80. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、寺前巖君。
  81. 寺前巖

    ○寺前委員 最近、交通安全のためにいろいろな措置をしたら、逆に他の問題になるというのが、いろいろな分野であらわれております。たとえば、人が安心して通れるようにするために歩道をつける、歩道橋をつける、非常に便利になる、車がだあっと集中していって、そうして公害をばらまく。新しい問題に発展する。こういう種類の問題は、いろいろな分野で考えられるわけですが、最近私のところに、京都の南部の自治体の消防長さんから近鉄に対して申し入れたという文書が来ました。それを見たときに、また他の分野でそれを強く感じたものです。というのは、昨年運輸省が監査をやられました、特別監査ですか、近鉄京都線といいますか、電車の周辺に近郊都市として二十五万前後の住宅がずっとできてくる。そこにあるところの踏切道というのは、確かに人命を大切にするところから踏切という措置がとられているわけですが、その踏切のために、逆に今度は、火事が発生した、急病人が発生した、それっという場合に消防自動車が行けない、救急車が行けない、そのためにとんでもない事件が起こってくるという、この交通安全が逆に新しい事件を発生する問題として、こういう問題が発生してくる。これは各所に見られる問題ではないかと思うのです。私は、きょうは、せっかく大臣のお見えの時間なので、二十分間をその消防長さんがお出しになった要望書を中心にしてお聞きをしたいと思うのです。  この要望書を見ますと、こう書いてあります。これは近鉄の本社の社長さんあてに宇治市の消防長、城陽市の消防長、田辺町の消防長、相楽中部消防長、精華町消防長の五名さんでお出しになっているわけですが、「貴社京都線は沿線市町の市街地を東西に二分して縦貫し、踏切の位置や構造により大きな交通停滞をまねき、また踏切の遮断時間も大久保踏切においては、一時間に延べ三十八分四十八秒の長時間にわたり遮断され、朝夕のラッシュ時には一回の遮断時間が最長九分十一秒にもおよび、一分一秒を争う人命救助、消防活動に大きな支障をきたすことになり、沿線住民の不安の高まる中で、私達沿線消防機関と致しましても、その実情を調査し、対策を検討致しました結果、下記のとおり消防活動上の問題点を提起し、貴社のご理解とご協力をお願いしてすみやかに措置、改善が図られますよう強く要望します。」といって幾つかの点を指摘しております。  その第一番目は、「1 踏切の遮断時間の短縮について 午前七時から午後七時までの十二時間における踏切の遮断時間は、新田辺踏切では四時間四分四十秒、大久保踏切では延べ五時間十一分四十五秒となっており、また朝夕のラッシュ時における久津川一号踏切では、一回の遮断時間は最長六分三十一秒にもおよんでいることから、災害発生時には他の踏切も同様、人命救助、消防活動上大きな支障をきたしており、踏切の遮断時間の短縮について次のことを要望する。」「(1) 主要幹線踏切における列車の離合をなくし、遮断時間を短縮する。」「(2) 列車通過後の遮断機の昇降時間の短縮」、「2 消防出張所建設に関し費用の応分負担について」、三番目に「消防隊出動路線となる主幹踏切の警手配置について」、四番目に「水管橋の設置について」、そして最後に「災害発生時における対策組織の早期確立について 貴社線路内における列車事故、線路敷火災等災害発生時に対応できる組織を早期に確立するとともに、現場責任者を明確にし、事故処理の円滑化を図ること。」こういう点の要望を会社にお出しになっているわけです。  これをお出しになるようになった経過は一体どういうことなんですかと消防長さんにお聞きしますと、昨年の七月四日宇治市の小倉町の南堀池というところで五軒長屋がほぼ半焼した。そのとき宇治の消防署から五台の消防車と救急車が飛んで行った。一台が近鉄の小倉駅から桃山寄りの初めての踏切にひっかかって前にも後ろにも行けない事態となった。幸い四台は現場に行ったので、全焼という最悪の事態は避けることができたけれども、これが契機となって、いまここで言われたような遮断時間の改善をする必要があるんじゃないか、あるいはホースを踏切を越してやるところの対策どもちゃんとする必要があるんじゃないか、こういうような問題に直面をした、こういう話です。  余り話が長くなってもあれですから、これでやめておきますが、こういう状況というのは、都市が大きくなっていくとか、昔だったらそれで済んだものが交通が、電車の数がふえていくということになって、こういう事態が生まれているという、社会変化自体が対応させないようにしていると思うのです。こういう問題について、国家公安委員長としてどういうふうに今日まで対応してこられたのか、あるいはどういうふうにしようとしておられるのか、そこをお聞きしたいと思います。
  82. 小川平二

    小川国務大臣 いまお話を承ったわけでございますが、要するに、これは近鉄の京都線によって市町村が分断をされておる結果、仰せのような事態が出てきておるものと存じます。  そこで、方向といたしましては、立体交差等で踏切と関係のない道路を早くつくるということ、このことは、ひとり消防だけの問題でなくて、いろいろな行政分野から見ましても、必要なことだと考えるわけでございます。しかし、そういう道路をつける間の施策といたしましては、これは交通安全という観点からは多少の問題があろうかと存じまするけれども、踏切の遮断時間をなるべく短くするとか、あるいは消防署のない西側の場所について出張所をつくる、あるいは消防団を強化する、あるいはほかの市町村に委託をするとか応援の体制を整えるということに、まあ筋としてはなろうかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、実態をよく調べまして、地元の京都府とも相談をいたし、さらに市町村の意向をも聞いて、遺憾のないような指導をしてまいりたいと思っております。  一般的に、御指摘のように、これは人口急増地帯にこのような事例が多いと考えられるわけでございまして、市町村の消防活動の円滑化というようなことにつきましては、それぞれの市町村が事情に応じて努力をいたしておるわけでございますが、ほかの市町村におけるこのような問題については、ただいまのところ特に聞いておりませんけれども、類似の状況というものがあるかもしれませんので、さような状況もよく取り調べました上に改善指導をしてまいりたい、こう考えております。
  83. 寺前巖

    ○寺前委員 運輸省は、昨年特別監査をこの近鉄線についておやりになったわけですが、運輸省おられますか。——監査前にも私はあそこの線の不安全性の問題について、まくら木その他の問題を直接運輸省に行ってお話もしました、会社にもいたしましたけれども、そのときにもすでにこの問題が出ているわけですね。あそこの線として遮断時間の問題の改善なんかも、私はできるんじゃないかという感じを持ちました。というのは、同じ京都のところを走っている京阪線と比べて、遮断機の上がる時間のあり方の問題なんかも改善できるというふうに、幾つか、専門分野の人と一緒に歩きまして感じたのですが、運輸省として特別監査をやられた結果、ここで消防長の皆さんがお出しになっている問題について、これは確かにそうだ、改善させることができるというふうに思われるのか、運輸省としての見解を聞きたいと思います。
  84. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  私ども消防活動の円滑化の重要なことは十分に認識しているところでございます。ただいま先生の方からお話がございました京都沿線の五市町の消防長から近鉄の方に出されました陳情書を拝見したわけでございますが、その中の「主要幹線踏切における列車の離合をなくし、遮断時間を短縮する。」というようなこと、これにつきましては、鉄道のダイヤを作成する、あるいは列車運転という観点から非常に困難なことだと考えられます。  それから、ただいま先生の方から御指摘がございました「列車通過後の遮断機の昇降時間の短縮」の件につきましては、今回の監査の結果、指摘いたしました。これにつきましては、早急に改善するように指導しているところでございます。  それから、消防の出張所の建設について私鉄の費用負担という件に関しましてでございますが現在、私鉄の経理状況というものは、非常に悪い段階でございまして、これは非常に困難なことだと考えられます。  そのほか水管橋の設置とか、そういうような事柄につきましては、十分に地元の御要望に従いまして、御協力申し上げるように、鉄道事業者を指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  85. 寺前巖

    ○寺前委員 要望書の遮断機の昇降は、早急に監査の結果からも改善させるという「早急」というのは、事態はもう進んでいますから、それこそ本当にこういうのは早急にやらなければいかぬのだけれども、いつまでにやれる見通しですか。これはちょっとはっきりしておいてほしいと思うのですよ。こういう問題こそ、やれるところは早急という一般論ではなくして、きちんと、いつまでにこれはやらすというふうにさせる必要があると思うんですね。  それから「消防隊出動路線となる主幹踏切の警手配置」というような問題ですね。これは、ぼくは現場を見ておったら、こういうのを置いて緊急措置をやらなかったら、この前も私はちょうど新田辺という駅の前に立っておりましたら、そのもう一つ前の駅のところでホームで人をはねて、新田辺という駅のところは、もうすぐに国道が詰まってしまう、遮断機がおりちゃって動きがとれぬところですよ。ここで言う長時間の滞留をするところなんですよ。そうしたら、踏切で次々来る列車がとまっているために、遮断機がおりたままで上がらない。それで、列車がとまっておってチンチンと鳴る範囲内にあるものだから、後で手で操作すればいいものを、あの辺では一番大きな駅なんです、それでも駅長さんが出てきてみんなわっとやるのだけれども、遮断機、どうしたものか手であかぬもんだから、折ってしまってばっと上げて、そして交通整理。私、直接ああせいこうせい言うてやって、操作したのですけれどもね。考えてみたら、私が指揮するのはおかしな話なんですよ、危険なところで。現実的には回らないのですよ、そうしないと。そういう事態まで起こるぐらい、人がいるところで。だから、主なところではやはりそういう指揮をやることのできる人、警手が配置されないと、このようなままの事態のときには改善されないという問題が私は出てくると思う。だから、先ほど大臣は早く立体交差をしてというお話です。そうでしょう。それは交通網のあり方を基本的に改善しなかったら解決しない問題だけれども、さしあたっての措置の問題として、そういう人の配置をやる必要があるではないかということで、私は強くこのことを感ずるわけですけれども、そこはどういう指導現実にされるのか、その点改めてもう一度聞きたいと思います。
  86. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  第一の御指摘の件でございますが、踏切の保安設備の動作の終了時期とそれを早めるという点につきましては、今回の監査の結果、通達いたしまして、近鉄側の回答では、主要な踏切五カ所につきまして五十二年度中に実施したいというふうな回答を得てございます。  それから第二点でございますが、私ども踏切につきましては、警手による操作と——昔の踏切は全部警手による操作でございました。ところが、やはり警手による誤認という問題があるわけでございまして、したがいまして、ただいまのところ踏切の遮断機、警報機というものはすべて軌道回路、要するにレールに列車があるという事実を電気的にキャッチいたしまして、それで電気的に遮断機をおろすというふうな仕組みになっているわけでございます。私どもは、これによりまして警手による誤認の事故の防止という点にも大いに改善していると考えておるわけでございます。
  87. 寺前巖

    ○寺前委員 私の言っておるのは、火事だとか救急とか、こういう事態が発生する新しい対応をしなければならない時期に来ている。対応までができない段階において、それじゃいまの話、人的な対応策によって処理をしていくという体制も考えなかったら現実的には処理にならないのではないか、そのことを消防長さんが提起をしているんじゃないか、だから私は、これはひとつ検討してもらわなければならない問題だというふうに思うのです。  それから、近鉄に応分の負担をやってくれというのは、道路にしたって消防署にしたって、自治体が今日赤字財政の中で大変な事態にある、だから回らぬから、こういう事態の原因をつくっている要因もあるのだから、ひとつ金を出してくれ、こういうことだろうと思うのですよ。だから私は、従来の提起しておられるこういう近郊都市の対応策では、こういう事態に対応できないことになってきているということを財政的にも言っておられるのだと思うので、その点大臣どういうふうにされるつもりなのか、重ねてお聞きをして、質問を終わりたいと思います。
  88. 小川平二

    小川国務大臣 この問題を解決しまする上において関係市町村に新たな財政需要が出てくるということになりますれば、その点で十分研究をいたしまして、それによって財政運営が妨げられないような措置を講ずるつもりでございます。
  89. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  先生御指摘の、非常に通行の多い踏切につきまして警手を配置したらどうか、こういうような点でございますが、私ども、あくまで踏切の遮断機の遮断というものにつきましては、これは電気的に制御をする必要があろうというふうに考えておるわけでございますが、なおその点につきましては、いろいろ検討いたしたいと考えております。
  90. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、伊藤公介君。
  91. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は、前回の質問に引き続いて、大都市における交通改革を大胆にしなければならない。しかし現状の中では、いま通勤どきに車に乗ればどこでも渋滞でございますし、電車に乗れば、お年寄りの方や御婦人の方が危険を冒して、押し戻されたりしながら乗っているという状況を見ますと、都市における交通改革を思い切ってやらなければいけない。しかし、いま現実の問題としてできる問題、また恒久的な意味で国の一つの大きな事業としてやるべき問題として、実は私も東京に住みながら、都市交通の中における自転車道路、つまり今日まで考えられてきたような千メートルとか千五百メートルとか、サイクリングロードとしてほんの細切れにつくられてきた自転車道路というものから、完全に車から遮断をされて、しかも、もちろん安全に、そしてかなり快適に子供たちあるいは買い物に奥さま方が使えるという意味の生活道路としての自転車道路というものを、国の都市交通改革の上でぜひ取り上げていただきたい、こう考えているわけでございます。  先ほど本委員会で同僚議員の御質問があったようでございますけれども、生活道路としての自転車道路をつくってほしいという要求が私ども地域にも非常に出てきているわけでございますが、一体自転車道路というものについて今後の見通し、どういう形で取り組んでいくのか、まず最初にお尋ねをしたいと思います。
  92. 室城庸之

    室城政府委員 お答え申し上げます。  第二次交通安全基本計画というのを、昭和五十一年度を初年度といたしまして五十五年度までの計画としてただいま推進しつつあるわけでございますが、その中に、特に歩行者自転車の問題を大きく取り上げてございまして、歩行者自転車が安全に通行できるような道路環境をつくるということをうたってございます。  現在、自転車道路につきましては、御指摘のように、必ずしも十分ではございませんで、いわゆるサイクリング道路といったようなもののほかに、都市内の交通の場におきましては、自転車通行帯というものをいわば車道の一番外側につくるとか、あるいはそれがむずかしいところでは、歩道の上に自転車通行する部分を設定するというような措置を講じておるわけでございますけれども、基本計画の中にもうたってございますように、必要に応じて道路そのものを自転車の専用の部分にしてしまう、いわゆる交通規制でほかの車両の通行を禁止して、自転車だけの通行の用に供するというようなことも考え得るようになっておりますし、それ以外にも自転車通行の安全ということのために、都市計画的な手法でいろいろこの事業をやっていこうというようなねらいの事業ができるように一応位置づけてはございます。これを現実にどの程度進めていくかということだつきましては、全般の交通処理の中で考えられていく性質のものでございますので、今後それぞれの地域につきまして、具体的な問題としてこれを推進してまいりたいというふうに考えております。
  93. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 建設大臣いないですか。
  94. 鈴切康雄

    鈴切委員長 建設大臣は来ておりませんけれども建設省からは小林道路局次長が来ております。
  95. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 いま公安委員長さんの御答弁ございましたけれども、私が考えている都市における生活道路は、むしろ公安委員長さんにお聞きするということが必ずしも妥当でないと思いますけれども、いまある道路でさえも狭過ぎる、もう肩をお互いにこう触れ合うようにして、よけ合わなければならないなどという東京歩道現実であります。その歩道にさらに自転車専用道路をつくるとか、こういう、現実でももう狭過ぎる、どうにもならない道路の上にさらに自転車道路をつくるということではなくて、たとえば東京や大阪の中には、もちろん土地買収をしなければならないということもあるでしょうけれども、改めて土地を買収しなくても生活道路としてのサイクリング  ロードをつくるということが可能な地域があるわけです。たとえば、前回にも御提案をしましたけれども東京をちょうど割って流れている多摩川の両サイド、これは全部河川敷でありまして、それぞれの隣接の市町村がここにグラウンドをつくったりテニスコートをつくったりして、娯楽の施設がつくられている、それに並行して多摩川の両サイドにずっと一貫してサイクリングロード、生活道路としての自転車道路をこれに並行してつくるということは、決して土地買収にもならないわけですし、非常に容易だと思うのですね。これにたとえば、それぞれ学校に通学のための道路をも放射線状につくっていくということも可能なわけですから、今日の全く交通渋滞をしている都市交通を変えていく、そういう自転車道路というものを新たに考えていかなければいけないのではないか、こういう提案をぜひさせていただきたい、いまあるものを後ろに回すとか、あるいは歩道の上につくるとかという形ではなしに、全く新規に、生活に密着をした生活道路を大都市の中においてはつくらなければならない、こう私どもは思うわけでありますけれども、御所見を伺いたいと思います。
  96. 小川平二

    小川国務大臣 御提案のように、ほかの車両と構造的に全く分離された自転車専用の道路ができるということは、これはひとり交通の安全確保という観点からだけでなく、きわめて望ましいことだと私は存じておりますから、機会のありますごとにさような提案をいたしてみたいと思っております。ただ、今日の状況下でそれが——もちろんこれは非常に困難なことだと思いますが、どの程度困難であるかというような点につきましては、これは建設大臣あるいは建設省当局がお答えすべきことだと存じますが、私の立場といたしましては、ただいまの御提案、歓迎を申し上げるわけでございます。そういう努力もいたしてみたいと思っております。
  97. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 つい数日前のことでございますけれども、多摩地域の市町村長さんがお集まりになられて、御存じかどうかわかりませんけれども、年々非常に大変な御努力によって交通事故の絶対数は減少傾向にある、しかしその内容を検討してみますと、残念なことに自転車による事故というのは非常にふえている、こういうことで、自転車利用して通勤をしたり、自転車利用ということをひとつできるだけやめるような方向で指示をしよう、こういう決議なのか話し合いがあって、すでにこれは公表をされたわけでございますけれども、これは当面の問題として、そういう議論ということはわからないわけではありませんけれども、しかし大都市における公害、車が排気ガスを吐き捨てて走っていく、こういう騒音と排気ガスの東京から美しい東京をつくっていくためには、言葉だけでバイコロジーへということではなしに、ただいま大臣も歓迎だという御答弁でございますので、ぜひそれぞれの関係省庁、連絡をとっていただいて、繰り返しますけれども、いままで考えられていた自転車道路と私たちの提案は違う。全く新しい形で大都市における生活道路としての交通機関の一つとしてぜひこの自転車道路というものをつくっていただきたいと強く要望をしたい。  実は、先ほどの質疑の中で、現在東京都内、特に多摩地域、非常に人口がふえておりますので、駅前自転車放置数が非常に多いわけであります。十万台とも聞いておりますけれども、これを取り締まらない、こう交通局長さんは御答弁されておりますけれども、何ゆえに取り締まりをしないのか、今後どういう方針でこれに対処をしていくのか、またわれわれは取り締まりをするということだけに意味があるのではなしに、現実に、車に乗らないで、ささやかな庶民の方々が自転車で朝ようやく時間ぎりぎりに電車に駆け込んでくる、そこに自転車を置いて、たまたまかぎをかけ忘れたり、あるいはかぎをかけていっても自転車がどこかに行く、紛失をした、盗難に遭ったというようなケースが非常に多いわけでありますけれども、やはり具体的にこれに対する何らかの対策を立てなければならない。すでにこの特別委員会でも、長い時間をかけて論議をされてきた点でありますから、そろそろ思い切った、本当のこれに対する解決に向けての方策を立てなければならないと思いますが、御所見を承りたいと思います。
  98. 杉原正

    杉原政府委員 駅前放置自転車取り締まりをなぜやらないか、こういうことでございますが、実は伊藤委員からお話がありましたように、私ども自転車利用という問題は、これからの一つの新しい生活のための交通機関として見直しをすべきであるということ、他方で、大衆輸送機関というものが整備をされない、やむを得ず駅に自転車で乗っていかざるを得ないという条件のもとにあるわけでございます。  そうは言いましても、やはり放置自転車というのは、事故防止あるいは盗難防止という観点から考えますと、ぜひ置き場というものを確保していかなければいかぬということでございます。そういうためには、どうしても路外の自転車置き場整備ということが必要になってまいりますので、私どもとしましても、総理府を中心にして関係機関が集まって、ただいまいろいろとこの問題について検討している段階でございます。
  99. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 一つだけお聞きをしておきたいのですが、自転車の路上放棄ということについては、道路法の七十六条、八十一条にどうも違反をするのじゃないかと私は思いますけれども、違反をするのかどうなのか、それだけちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  100. 杉原正

    杉原政府委員 道路法、ちょっと私は道路法はあれですが、道路交通法の領域の中で駐車違反という形になります。
  101. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 取り締まるということだけが私の意図しているところではありませんけれども自転車道の整備法、法律で、重ねて申し上げますけれども、ただ現状凍結で取り締まればいいということではなくて、駅前に駆けつけてくる自転車について、一連のこういう問題についての自転車整備法というものをつくる御意思があるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  102. 室城庸之

    室城政府委員 ただいま自転車の問題につきまして、総理府が中心になりまして、いろいろ専門家の御意見等も承るような形の研究会を継続してやっておるわけでございまして、実は先般、専門の先生方の提言という形で、一応将来に対する自転車駐車場の処理の問題というようなことについて御意見を承っておりまして、これを私ども行政サイドでどのように受け取っていくかということについて早急に研究を進めてまいりたいというふうに考えております。  ただ、いまの自転車道をつくること自体につきましては、必ずしも現在の法体系が不備であるということにはならないのではないか。現に、かなりの自転車道もできておるわけでございまして、それをいわゆるサイクリング道路というような形で、郊外の体育あるいはレクリエーション施設というような形で設けるばかりでなくて、都市内にそういうものを導入したらどうだというふうな御指摘であろうかと思いますが、これにつきましても、道路そのものをつくることにつきましては、必ずしも現在の法体系で十分でないというわけではないんではないかというふうに考えます。  したがいまして、もし御指摘のように、法律を新しくつくってというようなことがあるとすれば、たとえばその設置義務者をだれにするかとか、あるいはその財源をどういう形で設定するかとかいうようなことについて、現在の法律体系で十分かどうかということになろうと思いますが、これらの点につきましては、先ほど申し上げましたような、私どものやっております研究会で今後ともいろいろ進めてまいりたい。ただ、全体として、先ほども関連して御説明申し上げましたように、自転車利用者の利便ということを今後積極的に考えていきたいということは、第二次交通安全基本計画の中でも大きく取り上げておるわけでございます。  なお、まことにささいな経験でございますが、昨年秋にヨーロッパをずっと回ってまいりましたときに、オランダが昔から自転車利用度の非常に高い国としていろいろな施策をやっておりますので、オランダの自転車道路状況あるいは駐車場の施設等の状況を見てまいりましたが、ただいまハーグ市のちょうど真ん中あたりのところに、東西に通ずる非常に大きな自転車道路計画をやっておりまして、これはもと、いわゆる中心になる道路でありましたものが、バイパス的な新しい道路ができましたために旧道になっておる部分でございまして、これを自転車専用の道路にするということについて、いろいろ工夫をしながらやっておる実態も見てまいりました。先生御指摘のような形で、今後都市内にそういった自転車の専用道路というものを十分考え得るのではないかというふうに考えておりますので、なお検討させていただきたいと思います。
  103. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 時間が参りましたので、最後に、この自転車道路についての責任官庁は一体どこなのか、お尋ねをしたいと思います。  もう質問する時間がないと思いますので、要望でございますけれども、きょうは建設大臣が御出席いただけるということで、ぜひ建設大臣に要望をしたいと思ったわけでありますが、部分的な、その場しのぎの自転車道路ということではなしに、都市をつくる上に非常に大事なものだ。私ども、車ですと、あるいは大量輸送ですと、なかなか触れ合いというものはありませんけれども自転車道路等で家族ぐるみで、あるいは友だちと子供たちが利用できる自転車道路というのは、学校の行き帰りに自転車利用できるということもまた新しい触れ合いができるような気もいたします。大都市においては、単に道路交通の面ばかりではなしに非常に重要な意味を持っていると私ども考えておりますので、ぜひ一つの国策として、自転車道路を具体的にお考えをいただきたい。いま予算というお話がありましたけれども、当然予算が伴うわけでありまして、新幹線を一つつくる、それに匹敵する意味があると私は思っておるわけですので、ひとつ十分予算も取って、国策として自転車道路をお考えいただきますように強く要望をいたしまして、質問を終わります。
  104. 室城庸之

    室城政府委員 自転車道の整備等につきましては、実は昭和四十五年の四月三日に法律第十六号ということで、自転車道の整備等に関する法律というのがつくられておりまして、市町村等の道路管理者が自転車専用道路の設置についていろいろ計画いたしまして、主管官庁は建設省でございますが、一応こういう法律は設けられております。したがいまして、具体的な計画をどういうふうにやっていくかということで今後検討を進めていけば、御指摘のようなことが実現可能であるというふうに考えております。      ————◇—————
  105. 鈴切康雄

    鈴切委員長 この際、上越線列車脱線転覆事故及び国道三百三号の定期路線バス転落事故に関連して、落石対策に関する問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  106. 北川石松

    ○北川委員 本委員会において先般報告を受けましたところの岐阜県を走っておる国道三百三号の落石事故は、ただいま委員長がその質問を私に許可を与えていただいたのですが、その後その対策をどのようにしておられるかということを承りたいと思います。  この事故に関しては、政府が昭和四十五年に通達を出しまして、落石危険個所というような点に対する総点検を指示し、またどういうふうに実施しているか、このような事故が起きてはいけないではないかというところの通達は、現時点において危険防止の効果を発揮しておるかどうか。今日の三百三号の落石事故、また上越線等を考えますときに、どのような個所を、落石をなくし、また点検をしておられるか、質問を申し上げます。
  107. 小林幸雄

    ○小林説明員 御指摘のように、落石防止対策といたしまして、昭和四十五年それから四十六年、五十一年と三回にわたりまして点検の要領、通達を出しております。そういうふうな指導をしておるにもかかわらずこのような事故がどうして起きたのか、こういうふうな御質問であろうかと存じますが、実はこの危険個所の点検作業につきましては、現場をよく知っているエンジニアが常時この辺をよく、道路状況あるいは山の状況、勾配の状況、地質の状況等を検討いたしまして、また気象状況によりましてどういうふうな危険な状態になるかということも勘案した上で、危険個所の指定をしているわけでございます。したがいまして、従来こういう総点検の要領に従いまして指定をして、それぞれ必要な防護さくその他の施設をしております個所につきましては、事故は起こっていないわけでございますが、たまたまこの今回の個所につきましては、四十八年の点検の結果、本路線全体につきまして、もう少しきめ細かく危険個所をふやそうということでふやした結果、これもそのうちの一つとしまして取り上げまして、そこで簡単なといいますか、ある程度の十分と思われる施設はしたわけでございます。  この現場は非常に小さな谷といいますか、谷にもならぬようなところでございまして、カヤなどが生えておる。そこで今回の場合も、雨はそんなに降っていないわけでございます。それからこういう大きなものが落ちる前には小石が路面に転がってきておるとかいうふうな前兆があるわけでございますけれども、そういうふうな問題も全然なかった。  そこで、大体雨がこの路線につきましては、この個所につきましては連続雨量で六十ミリぐらい降りましたら警戒警報を出す、八十ミリ以上降ったら交通をとめるというふうな基準になっておったわけでございますけれども、それほどの雨は降っていない。そんなような状況でございましたところへ三百メートルの上の方から非常に大きな石が落ちてきたという、ちょっと通常予想されないような状態であったわけでございます。常時点検要領に従いましてパトロール等は行っておりますけれども、このような三百メートルも上方から、しかも一応危険個所として対策施設は設置してはありますけれども、それを予想を上回るような、見当もつかないようなところから落ちてくるということは、全く予知することはまず現在の状況では不可能と遺憾ながら申し上げざるを得ないわけでございます。  ただ、こういうふうな状況は、全国に今後とも出てくる可能性はあるわけでございますので、上の方の土地の管理者あるいは施設の管理者等々とも一平素から十分連絡をとりまして、予想される個所につきましては、なお十分の防止施設を設置して、事故を未然に防止するように努めてまいりたい、かように考えております。
  108. 北川石松

    ○北川委員 いま、三百メートル上から落ちてきた、そして普通こういうような事故が起きる場合は小石が落ちてくるのだ、ところが今回は予期せずして、雨量も少ないのにこういう落石事故が起きた、こういう答弁を得たのであります。そして八十ミリ降った場合は交通を停止する、こうおっしゃったですね。じゃ一般に走っておる者たちは、八十ミリ降っておるから交通がとまるのだとか、そういうことはわかり得ないと思うのですね、道路を使用している者については。いま八十ミリの降雨量があったからその道路をとめられるのだとか、あるいは自分でとまらなくては危ないのだということはわからないと私は思う。そして予期せざるところから落ちたからやむを得なかったというお考えは、けさの運輸委員会においても、鉄道に千七百カ所の危険個所があるのだというのです。それで上越線のときには、そういう危険個所でなかったところから落ちてきた、こういう答弁をしておられたように聞いておるのであります。そういう点を考えましたときに、私は、現在鉄道にしろ道路にしろ、国が国民交通利用のためにつくっておるいろいろの公共施設、特に国道は山腹面を走っておる、その数は膨大なものであると思うのです。そういう点において、のり面についての防護施設というものをどのように考えておられるのか、またどういうふうに整備していこうとしておられるのか、質問申し上げます。
  109. 小林幸雄

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  八十ミリということはわからぬじゃないかというお話でございますが、ちょっと御説明が不足しましたが、これは管理者の方で常時そういう観測施設がございまして、連続雨量で八十ミリという状態になりましたときに、道路管理者の方で交通どめの措置を警察の方とも相談してやるわけでございまして、通行者の判断に任せておるわけではございません。補足して申し上げておきます。  それから、のり面防護施設につきましてどんなことをしておるか、また今後どうしていくかという御質問かと存じますが、一般的に落石の防護対策は、落石の危険が予想される場所につきまして、斜面の形とか、岩盤の風化の程度、気象条件、交通量、過去における落石の実績など、それぞれの現地の状況に相応した対策を講じておるわけでございます。  今後どうしていくのかということでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、道路管理者が常時監視し、パトロールしておるというふうなやり方では、三百メーター上までということはなかなか予見できない場合が相当あるわけでございますけれども、しかし、そうばかりは言っておれませんので、今回の事故にかんがみまして、川とかダムとか、あるいは湖とかいうものと、急な斜面の山との間を走っておる道路というふうなものは、非常に危険度が高いわけでございますので、こういう区間の安全対策につきましては、今後優先的に点検も行い、また所要の措置も講じてまいりたいというふうに考えております。  どんなことをやるのかということでございますが、モルタルの吹きつけとか、防護さくを設置するとか、あるいはネットを張るとかいうふうなことをいろいろやるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、鉄道があれば鉄道、あるいは上の方が住宅団地であれば土地の所有者、あるいは普通の山林等であれば山林の所有者、それぞれの施設の管理者あるいは所有者等々とも、これはどうも危なそうだ、こういう例から見て、ちょっと上から落ちてくる可能性がありそうだというところにつきましては、事前に十分相談をしまして、状況を聞きまして、先ほど来申し上げておりますようなさまざまの施設によりまして、適切な防護対策を講じていきたい、かように考えております。
  110. 北川石松

    ○北川委員 いまの御説明をお聞きいたしまして、点検をする以前の問題といたしまして、こういうのり面その他、山腹に対する防護施設を施すところの基準設定というものを行う必要があるのではないかというふうに私は思うのでありますが、いかがですか。
  111. 鈴切康雄

    鈴切委員長 政府委員に申し上げますけれども、時間の都合がありますから、簡潔に要領よくやってください。
  112. 小林幸雄

    ○小林説明員 基準につきましては、現在、道路構造令に、「落石、崩壊、波浪等により交通に支障を及ぼし、又は道路の構造に損傷を与えるおそれがある箇所には、さく、擁壁その他の適当な防護施設を設けるものとする。」という基準がございます。これを具体の場所にどういうふうに適用するかということにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、千差万別の状態でございますので、熟練したエンジニアが現場につきましてそれぞれ諸条件を勘案しまして、最も適切な措置をとるということが一番いい方法である、かように考えまして、従来もそういうふうにやらせておりますし、今後ともそういう方針で指導してまいりたいというふうに考えております。
  113. 北川石松

    ○北川委員 時間がどうもなさそうなんですが、現在聞いておるところでは、危険個所六万カ所というように聞いておるのですね。こういう個所を今後どのように整備していくかということ、これには予算が必要だと思うのですね。ところが、朝の運輸委員会で、鉄道のそういう危険個所に対しては五十二年度三百八億だ、その一割に該当する、こう言っていますね。これではなかなか容易じゃないと思うのですね。建設省においては、こういう個所についてどういう予算を取り、またどういう予算措置についての整備を行っていくか、簡単明瞭に答弁してください。
  114. 小林幸雄

    ○小林説明員 六万五千カ所につきまして約五千百億円の金がかかるというふうに考えております。そこで、四十八年度以来昨年度まで四カ年間にこのうちの約五三%の整備を終わっております。今後とも、増減はあると思いますけれども、随時、危険個所につきましては、こういうふうなベースをなるべく上回るように努力して進めてまいりたい、かように考えております。
  115. 北川石松

    ○北川委員 五三%終わっておる、こうおっしゃるのですね。ところが、この三月二十三日の事故、また三月八日の上越線の事故にしましても、予測せざるところ、つまり危険個所でないというところに起きてくる可能性が多いのですね。これは日本全体の風土というものも考えなければいけませんし、たとえば昭和四十七年七月の高知県におけるなだれ現象、とうてい起きないだろうと思っていることが突発的に起こってくるということを考えますときに、私は、こういう事故の起きないようにするためには、先手先手と打つところのよほどの努力が必要である。そういう点についても、今後引き続き当局として鋭意御努力願いたい、こう思う次第であります。要望いたします。  それからまた、不幸にして事故に遭った方に対してはどのような処置をとっておられるか、これをお聞き申し上げます。
  116. 小林幸雄

    ○小林説明員 事故が起きました際に、被害を受けられた方に対しましては、国家賠償法等によりまして、道路管理者に設置、管理上瑕疵責任があったという場合につきましては、従来の例で申し上げますと、ほとんど九十数%は、示談でこの賠償法に基づく損害賠償の責めに任じております。
  117. 北川石松

    ○北川委員 九〇%は示談で全部解決しておるという御答弁を得たのでありますが、事故が起きて死別をした人たちの心というのは、なかなか容易になだめられるものではないと思うので、何といいましても事故が起きないということが先決条件であると思いますから、こういう点について当局者は鋭意御努力を願いたいと思います。  なお、時間がございませんが、関連をいたしまして、これは該府県単位、また建設省運輸省、農林省も含む関連的なものが大いにあると思うのでありまして、一省が責任を持ってやるということにおいては百点満点の防護対策は講じられない、私はこのように思うのでございますので、次の機会に、先ほどの質問の中にもありましたように、今度は過密都市におけるところの交通安全ということを考えなくちゃならない。いまは国道における落石事故一つの引例をいたしまして御質問申し上げたのでありますが、私は、今後は過密都市におけるところの事故防止ということも重大であろうと思うのでございまして、委員長にお願いをいたす次第でありますが、時間がないので、次の機会に、ただいま申しました各省の最高の責任者並びにこれに該当する方の御出席をお願いしたい、自治省、建設省運輸省、農林省等から総合的な御意見を聞かしていただいて、安全対策をともに審議し、ともに語り、よい手を得たいと思う次第でございます。  大変ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  118. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、太田一夫君。
  119. 太田一夫

    ○太田委員 それでは最初に、国鉄並びに運輸省にお尋ねいたします。  例の上越線の列車転覆事故、落石が原因であります。それからさらには、その後大糸線でやはり落石事故がありまして、同じような脱線事故が出ております。最近、この落石事故は非常に多うございますので、各方面で質疑されておりますから、詳しい話は別にいたしまして、結論の方をお尋ねいたします。  こういう事故が起きた上越線では、予測しないところから大きな何十トンという石が落ちた。しかもそれは非常にかたい安山岩である。普通ならそれは落ちてくるなどというのは考えられない。それが落ちてきた。そこで大事故になった。あと残ったところの岩壁に対して、石を落とそうとすれば発破をかけてもなかなか落ちない。人間の知恵では落ちないが、自然の知恵なら落ちてくる。そういう教訓を受けられた監督官庁である運輸省、当事者である国鉄は、その教訓をどう生かして、今後の安全を確保する対策を立てようとしていらっしゃるか。いまのこういう対策をこれくらいの間にとか、具体的なお答えをいただきたいと思います。
  120. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 お答えいたします。  事故の直後に、運輸省からは、国鉄に対しまして落石危険個所の総点検を命じたところでございます。現在国鉄で鋭意全国千七百カ所、これは一応予想された個所でございますが、総点検を実施中でございまして、こうした点検の結果を待ちまして、さらに今後の対策を練りたい。今回の事故につきまして、ただいま先生のおっしゃいましたような、従来の危ないと思われた個所以外の個所、こういうところで今後起こるであろう事故に対してどうしたらいいかという問題につきましては、非常にむずかしい問題でございます。  ともかく今回の事故を契機といたしまして、全国的な総点検の結果、十分にその辺を分析いたしまして対処してまいりたい。また、運輸省といたしましても、予算上の配慮を十分、今後したいというふうに考えておるわけでございます。
  121. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 たびたび事故を起こしまして、まことに申しわけなく思いますが、国鉄といたしましては、全国に百九十七の保線区がございまして、この落石あるいは防災体制に約二千名の要員を使いまして、巡回等をやっております。またそうしたもののやり方も規定づけておりますが、今回の上越線のような場合、私ども現場では、通常自分たちの技術力ではむずかしいと思われましたものについては、上部の管理局の技術者あるいは私どもの研究所の地質の専門家等を全部動員しまして、いろいろと現場に技術的な援助をしているわけでございます。今回の上越線の場合は、本当に私どもは一応防護済み、処置済みという感じでおりましたところが起きたわけでございまして、現在の技術力の中でこうしたもの、要するに岩の二メートルないし三メートル奥で発生しているクラックを見つけるというのは事実上非常にむずかしく、苦慮している次第でございます。しかし運輸省の御指示もあり、現在そうした専門家を通じまして総点検をやっておりますので、その総点検の結果、これはわりあいとこういう防護措置ができやすいという判断のものと、あるいはこれはもう少し専門家に十分調べてもらわなければならないというようなもの、それからその危険性等々の度合いをある程度つけまして、鋭意予算化をいたしながら一つ一つ現場に対処するような施策をとってまいりたいと思います。  要するに、網を張るとか、あるいはいわゆる擁壁をつくるとか、あるいは覆いをつくるとか、あるいは石が落ちてまいりますと、それによって信信号を停止にさせて列車をとめるというよう施策をとるとか、そういうような細かい具体的な処置を現場現場につきまして指示し、具体的な計画を立てて施工してまいりたいと思います。
  122. 太田一夫

    ○太田委員 私の聞いたことにぴたっとこない。  運輸省にお尋ねしますが、予算上のこともいまちょっとお触れになったように聞きましたが、国鉄が現在落石防止に費やしておる予算というのは二十億、それでこれから対策を講ずる必要のあるところがいままでにわかっておるだけでも千七百カ所ある。さらに、今度の点検によってそれが上乗せされる。そうなれば何十年かかるかと言うと、二十年や三十年かかる勘定になる。それでは困るから、万全を期すということは直ちにやるということ、一斉にやるというくらいの気持ちがなければいけない。だから国鉄にはそれがありますかということを聞きます。  それから運輸省の方には、そういう場合に、貧乏な国鉄という前提を忘れては困る。だから財政上のバックアップというものには、一千億円以上として、遺憾なきを期するという決意が本当にあるのかどうか、これをお伺いいたしたい。
  123. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 先生御案内のように、特に地方のローカル線区におきましては、山と川の間に道路と鉄道、あるいは林野がございまして、それぞれ土地の所有者が違っている場合がございます。現実に、四国におきましては、災害地区でございますので、予土線、土讃線につきましては、具体的に政府の出先機関である建設省の地建あるいは林野庁の出先機関、私ども国鉄の総局等々と地元の学者グループを交えまして、具体的にどうしたらいいかというホールプランを立てて、今度これは道路で施工しようじゃないか、これは林野で施工しようじゃないかというようなことで、四国につきましてはそういう全体計画ができて、具体的な予算の配分も含めましてそういう計画ができました。私どもといたしましては、今後も、こうしたような政府の出先機関とも協調をとりながら御援助をいただきまして、一つ一つの地区についてどちら側が一応持つかというようなことも含めまして御協議申し上げ、国鉄のやるべきものについては、できるだけ短い期間で進めてまいりたいという覚悟でございます。
  124. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 予算の点につきまして先ほどちょっと申し上げましたように、最近非常に制約的な総枠でございます。その中で特に安全第一を考えまして、安全関係予算は逐次ふやしております。その内訳の中で、ただいま御指摘のように、落石の関係におきましては二十億、三十億という金額でございますけれども、総枠の安全対策費の増加ということにつきましては、今後とも十分努力をしたいと思います。  それから赤字の国鉄に対して負担にならないようにという御指摘でございます。これにつきましては、この落石防止を初めとする安全対策はほとんど工事費で実行しておりますので、この工事費につきましては、御承知のように、政府の方から工事費補助金が交付されております。三分五厘の差額の利子補給に相当する金額でございまして、五十二年度の予算では、総額千百億円余りを予定いたしておるわけでございまして、その一環といたしまして、こうした安全対策費が含まれておるということでございます。
  125. 太田一夫

    ○太田委員 国鉄関係は時間がないからこれで終わりますが、科目が大きく言えば、工事費の中の保安公害費という中に入っていますね。保安公害費というその打ち出し方そのものに若干私は問題があるような気がいたします。これは交通安全対策費としては、もっとぱりっと出すべきじゃないか、こう思います。これは、別に何という科目でもおやりになれば結構でありますから、確実にやっていただきたい。  それで、次に、建設省にお尋ねをいたします。  これは国道三百三号線の落石事故とバス転落事故でありますが、先ほど来お尋ねがありまして、私もこの困難性ということはよくわかる。よくわかるが、三百メートルのところから一トンの石が落ちてきた。この石は石灰岩ですね。やはりなかなか普通なら落ちない石だろうと言われておりますが、三百メートルというのは、たとえば岐阜で言いますと、岐阜の町から見上げる山に金華山というのがあって、斎藤道三の居城、あのお城から下に落としたぐらいの高さなんですね。さらにその上、その山は二百メートル高いんです。五百メートルの山なんです。しかも民有地ですね。こういうところに対する落石の防止措置というのは、あとなお三万一千カ所、これは四十八年点検の際の数から言っても、まだ三万一千カ所ぐらい残っておるわけであります。これに対して、建設省、いかに大規模な予算を持っておるといえども、これを早期に完成するということはできるだろうか。民有地に防護擁壁をつくらなければならない。三百メートルも五百メートルも落ちてくるやつを下姫受けるなんということは、これは万里の長城を心要とする。大丈夫ですか。
  126. 小林幸雄

    ○小林説明員 三百メートル上の石が落ちてくるのを全部待って、下で防ぐというだけでは、御指摘のように、不十分でございます。落石対策としましては、そのほかに、危ないことがわかるものにつきましては、これはその石を細かく砕いてしまうというふうなこと、あるいはがけ崩れ等の可能性があるというようなものにつきましては、ネットを張ってこれを防ぐ等のいろいろな技術的な方法を、従来の経験によりまして講じておるわけでございます。
  127. 太田一夫

    ○太田委員 次長、それでは重ねてお尋ねしますが、いろいろの方法と言ったって、そんな千姿万態もあるはずはないので、余り金のかからなくて一番安全な方法ということになれば、おのずから局限されてくるが、万全を期すということをあなたの言葉から言えますか。この教訓を体して万全を期しますと言えますか。
  128. 小林幸雄

    ○小林説明員 なかなかむずかしい問題でございますが、四十八年の総点検によりまして、先ほど申し上げましたような六万五千カ所の危険個所が判明しました。しかしながら、その後の気象状況の変化あるいは沿道の土地利用の変化等々の状況がございまして、なお従来危険じゃないと考えられておった個所であっても、危険個所に指定しなければならぬものが相当出てきているんではないかということで、五十一年度にさらに総点検を実施したわけでございます。  現在、その結果は取りまとめ中でございますが、そういうふうなことでございまして、私どもとしましては、あとう限り危険と思われる個所は、これを早目に手当てをしていくというふうな姿勢で、毎年度の予算におきましても、重点施策として取り上げてきておる次第でございます。
  129. 太田一夫

    ○太田委員 これは交通対策室長に聞いた方がいいかしれませんけれども、それは後にして、一遍道路局、建設省に聞きたいのですが、あなたの方の道路落石等のそういうものの事業費というのは道路防災対策事業ですね。防災ですね。災害と見ておるわけです。災害と見ておるところに問題があると私は思うのです。これは国鉄でも、国鉄は先ほど申し上げましたように、保安だとか公害だとかなんとかおっしゃいますね。あなたの方は防災事業、防災、ちょっと違うじゃないですか。ここのところに、この構えに対して私は遅いような気がしておる、弱いような感じがして仕方がない。だから、いまから十年もかかってやるのじゃなくて、早急にパラレルで一斉にやり始めていただいて、早期に完成するということ、万全を期するという決意を私は求めたいと思う。答弁は要りません。要望しておきます。  時間がありませんから、そこで大蔵省にお尋ねをいたします。  こういう予算というのは、いままで余り重きを置かれておらなかったのではなかろうかと思う。しかし、今日になってみるというと、非常に重大問題になっておりますから、落石防止措置について国鉄がやるいろいろな工事の財源、財政措置あるいは建設省の行う緊急措置に対する財源というようなものについて、必要があるとするなら、遺憾なくその措置を講ずる用意がおありなのかどうか、これを伺いたい。
  130. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  道路等の公共施設を落石あるいは土石流、急傾斜地崩壊、こういった災害から防護するための予算上の措置といたしましては、まず治山砂防等の国土保全事業実施当たりまして、道路そのほかの公共施設の防護に資する個所を優先的に採択するというようなことをやっております。  それは例として申し上げますと、たとえば緊急治山砂防事業につきましては、公共施設関連のものについて採択基準を緩和するというふうなことをやっているわけでございます。  それから次に、道路、国鉄等の新設、改築に当たりまして、それぞれの事業費の中で防護さくの設置、のり面の整備、モルタル吹きつけ等の防護対策に十分な措置がなされますように、これは事業実施計画等で十分配慮しているつもりでございます。  それから既設の道路、鉄道線路の防護対策といたしましては、事業の工種、規模に応じまして改築事業等、または維持修繕事業におきまして、災害防除事業等により危険個所対策実施されますよう、実施計画等におきまして十分配意しているつもりでございます。まだ十分じゃないかもしれませんが、とにかく努力はいたしております。  それからまた、積雪寒冷地域におきましては、積寒道路事業の中でなだれ防止さくの設置等の安全対策に配意いたしております。  今後の問題でございますが、今後も公共施設の安全対策の強化のために事業実施計画の策定等で十分努力をしてまいりたい、このように考えております。
  131. 太田一夫

    ○太田委員 金に心配なければ、工事の方はどんどんやってください。これを頼みます。  国鉄の方に特に注意しておきますが、上越線の場合は、落ちてきた岩がたまたま一番最初、第一期工事ですか、防壁の一番高さの低いところへ当たった。あれは高い、新しい方の第二期に建設された擁壁に当たったならば、内側でとまったかもしれないと思うのです。低いところへたまたま当たった。残念だと思います。運否天賦じゃなくて、運任せじゃなくて、最も安全な設備を完成されることを望んでおきます。  最後になりました。土木研究所の今西地質官がおいでのようでありますので、私は後学のために承っておきます。  石というものについて、安山岩などは実にかたい石で、徹底して安全だろうと思っていたのが、実は非常に危ないことがあった。それは国鉄の調査等によれば、どこからかひびが入って、その中に雨水が入って亀裂が深まって、そしてだんだんと落ちるようになったのだろうということは言われておる。これは同じように、あちらの方の三百三号線でもそういうことを言われておる。三百三号線は石灰岩でございます。  そこで、石というものはどういう石が危ないのか、ありとあらゆる石が危ないのか、石を御研究なさいました土木研究所の今西さんに、地質と石というものについて結論がありましたら、ちょっとお教えをいただきたい。
  132. 今西誠也

    ○今西説明員 お答え申し上げます。  落石に関しましては、岩石の種類といったものよりも、むしろ岩石の性質、すなわち岩盤の風化の状態であるとか、岩盤の中にあります割れ目だとか亀裂の分布状態といったようなものが非常に影響してまいります。それと、さらにその山腹の傾斜、いわゆる勾配でございますが、それに関係して現象が出てくると考えております。
  133. 太田一夫

    ○太田委員 そこで今西さん、あなたの方の診断にかかったら、国鉄がこれはどうだなと手をこまねいたり、建設省がここは大丈夫だと言ったのが、あなたの方の目を通して見ればこれは危ないよ、これは大丈夫ということはわかりますか。
  134. 今西誠也

    ○今西説明員 お答え申し上げます。  残念ながら、現在の技術レベルでは、的確に落石の現象を明確にする基準は、いまのところできておりません。  判断の材料としましては、先ほど申しましたような岩石の性質、それから斜面の形状、それから過去の落石の実績といったようなものを参考にして判断している状況でございます。
  135. 太田一夫

    ○太田委員 終わります。
  136. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、新井彬之君。
  137. 新井彬之

    ○新井委員 落石の問題につきまして、若干の質問をさせていただきます。  この落石の問題というのは、先ほど来論議されておりますように、非常に大変な問題である。といいますのは、一体どこから石が落ちてくるか、あるいはまた、その予算面におきましても多額な予算を必要とする、こういうようなことで大変でございます。それからまた調査をいたしますにつきましても、日本全国を調査しないと完璧な調査とは言えない。こういうことで、建設省初め国鉄関係あるいは農林省関係、本当に御努力をされておる、このように理解をいたしておるわけでございますが、国鉄におきましても、建設省におきましても、いままで何回か総点検をやって、危険個所はここだということで、ある程度チェックをされたわけでございますね。ところが、この前の上越線の事故におきましても、これは国鉄については危険個所に含まれていないところだ、処置済みのところである、こういうことに結果が出ております。また建設省におきましても、この三百三号線の国道におきましては、これはそういうところから起こるべきものではなかったのではないかというような見解にあるわけでございまして、いままで何回も総点検をやられて非常に御苦労ではございますが、そういうことで、いままでの点検結果というものが生きていなかったということでございますので、現在建設省は、五十一年度ずっと再点検をやられておるわけでございますが、もう一度これは再点検をし直す必要があるのではないか。国鉄においても、やはりもう一度し直す必要があると私は考えますけれども、その件について、建設省と国鉄の方にお伺いしたいと思います。
  138. 小林幸雄

    ○小林説明員 五十一年度の総点検の結果を現在取りまとめ中でございますが、危険個所というものは、気象状況の変化のみならず、沿道の土地利用状況によりましていろいろ変わってくるわけでございます。したがいまして、五十一年度の点検結果の取りまとめを十分検討いたしまして、それに基づきまして、それぞれの道路管理者に、今回の事故のようなものが再発しないように十分指導してまいりたい。また、今後の様子によりましては、随時、状況に応じ総点検をすることも検討してまいりたい、かように考えております。
  139. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 先ほども申し上げましたように、私ども約百九十七の保線区で毎日二千名の職員がこうした巡検に当たっております。また特に、山の上の方まで見るというようなものは二年に一回で、今回の上越線の場合も三月にヘリコプターで上空を見させております。それから九月にも山の上を歩かせております。それから当日も、現にその午後にレール交換をやっていて気がつかなかったというのが実態でございます。  したがいまして、今回あの事故にかんがみまして、早急にまた総点検を命じて、その結果は今月中にまとまると思います。今月中にまとまりました結果から、またいろいろと危険度その他を判定して、処置してまいりたいと思っております。
  140. 新井彬之

    ○新井委員 まず、建設省からお伺いしますが、この揖斐川の三百三号線の転落事故につきましては、前に飛騨川で転落事故がございましたときに、あの方面についてはよく調査をしまして、そうしてこれは危ない、危険個所だということで、コンクリートの吹きつけ等でこれもきちっと処理をされたということになっておりますね。したがいまして、その下の方はきちっとできたのですけれども、まさか三百メートルの上から石が落ちてきて、今回のような事故になるなんということは当然わからなかった。しかし現実はそういうことになったわけでありますから、現在調査をして、取りまとめておりますけれども、その調査そのものがやはり大分漏れているのではないか、私はそういうぐあいに考えて、総点検というものをどういう方法でやられたか、時間があれば聞きたいわけでございますが、やはりもう一度やる必要があるのではないか、こういうぐあいに考えるわけでございますが、いかがですか。
  141. 小林幸雄

    ○小林説明員 たまたま今回の場所は、四十六年の総点検の際には危険個所に入っていなかったわけでございます。その後、先ほど来申し上げておるような事情によりまして、四十八年に再点検を行った結果、この個所のみならず、この路線全般につきまして、さらに危険個所として指定する必要があるところが相当出てきた、ここもその一カ所として指定しました。ただし、その危険の程度でございますけれども、どうも斜面の状況その他から見まして、点検の結果施しましたような防護対策で十分だというふうな判断であったわけでございます。現実にこういう場所もございますけれども、従来点検の結果、対策を施した危険個所につきましては、ほとんど事故が起こってないということでございます。  ただ、この三百メートル上というふうなことで、しかもそれが下からあからさまに見えない、こういうふうな場所で、これは非常に例外中の例外とも言うべき事故だと思っておりますが、なお今度の総点検の結果の内容を十分分析しまして、将来におきましてまた必要とあれば、総点検その他の対策も考えてまいりたいと考えております。
  142. 新井彬之

    ○新井委員 では、国鉄の方にお伺いします。  先ほどから、保安対策費一千百億ですか、そして百九十七の保線区で二千名の方がそういう危険個所については調査をされておるということでございますが、先ほども、上越線のあの問題につきましては、ヘリコプターでも上空から見たんだ、あるいはまたそういう検査もちゃんとしているんですということを言われながら、なおかつああいう事故が起こっておるわけですね。そうしますと、どこに問題があったか。結局、先ほども言いましたように、落石防止というのは危ないところを完璧にチェックすることがまず第一段階です。それから二番目には、結局それに対して予算をつけて、きちっとそれに対する手当てをする。そのやり方については、結果的には各省ばらばらでございますから、そういうもので、だれがやるかということを非常に合理的にやらなければいかぬのじゃないか、こういうことが一つの流れとして当然出てくるわけです。そこで私が申し上げたいことは、それだけのチェックをしながらそういう事故が起こるということは、実際問題、総点検をしなさい、総点検をしてくれたらいいんだけれども、それをやっていてできないということは、人が足らないのか、それとも技術的にもうそういうことはできないのか、そういうような問題になろうかと思うわけです。  そこで、上越線のあの事故の問題につきましても、公明党といたしましても、現地へ調査に参りまして、いろいろ聞いたわけでございますが、保線掛の国鉄の職員の方は、ここのところは最も危険な個所であったので、以前から何度も管理局に何とかこれを手当てしておかなければいけませんということを言ってまいりましたということが言われておりますことと、その線の近くに吾妻線というのが通っておりますが、そこも約四十カ所の危険個所があるんだということの指摘があります。そしてその吾妻線については、一日に四十往復するわけでございますが、ここも一昨年の夏に羽根尾駅付近で二十数人の重軽傷を出した落石事故が起こっております。  そこで、防災対策要綱ではわりかたきめの細かい基準が決められておるわけでございますが、根本的な解決策、それは一つは、目視による個人の経験的技術が現在でも生かされておる。したがいまして、本当に自分がよく経験を持って、そしてここは危ないんだどうだと、先ほども専門家の先生のお話がございましたが、なかなか専門家でもおわかりにならないわけでございますから、やはりそれについては、先ほどお話がありました上部の管理局の技術的な援助というものが非常に必要だろうと思いますが、上部の管理局といいましても人数が少なくて、なかなかそこまで応援をするような体制になっていない、あるいはまた、そういう一つの器械を使うとか、そういうようなことについてもできていないという問題がございます。  そこで質問でございますけれども、もう一度総点検をする必要がありませんかということと、それから、要するに、先ほど百九十七線区で二千名だと言うけれども、実際問題、この方々がどれだけ多くの場所を一生懸命に点検をしておるかということです。現実的には、年に一回くらいちょっと見るだけで終わってしまうというような現状ですという現場の声というものをどのようにお受け取りになっておられるか、だから完璧にチェックするためにどうしたらいいかということです。それについてお伺いをしたいと思います。
  143. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 ともかくあれだけの事故を起こしましたものでございますから、現在厳重に、さらに綿密にこの今月末までにまとめるべくいわゆる調査をやっているわけでございますが、先生御案内のように、この一回の調査が終わったからもう当分大丈夫だというものではないと私は思っております。要するに、自然は風化現象を起こしているわけでございまして、なかなかむずかしい問題でございますけれども、絶えず定期的に見ていくということが大事だと思っております。これが第一点でございます。  それから第二点の問題でございますけれども、やはりわれわれといたしましては、他官庁やその他と一緒に総合的な対策を立てていかないと、ただ国鉄だけが、たとえば上に道路がありまして、下に国鉄があります場合はうちは関係ないというような態度ではいけないわけでして、やはりさらにその現場現場でいたしたいと思います。  吾妻線につきましては、建設公団でつくりました最近のものでございますが、昨年起きましたものも民地でございます。そうした落石区間の地域を建設するときに、どこまでいわゆる鉄道側として買収するか等々は、建設の問題としてあると思います、経済的な問題もございましょうと思います。しかし、いずれにせよ受け取りました国鉄としましては、あらゆる努力をして対策をしていかなければならないと思います。ただ、その場合に、千七百カ所のうちの半数以上が民地だと思いますので、そうした全体的な計画をぜひ関係省庁とお諮りしながらやってまいりたいと思っております。
  144. 新井彬之

    ○新井委員 本当に大変な努力をされておるということはもう前提お話をしておるわけでございますが、とにかくこれは本当に全部調査をして、これを直すということは大変なことだというぐあいにこっちもよく理解をいたしておるわけでございます。ところが委員会質問いたしますと、建設省建設省で、いやもうこれだけの予算をつけてこういうふうにやっておりますから、そういうことはなかったはずなんでございます。国鉄は国鉄で、国鉄としてももうこのことについては何回も総点検をやって、こうでございますから、事故はないはずでございます。そういう答弁であって、なおかつそういう事故が起こるというのはおかしいんではないか。だから、ありのままに、いやそれはいまみたいなこんな予算でできますか、確かに国鉄は国鉄で赤字で、その中で防災対策まではなかなかいかないのですというようなことで、やはりこっち側のところにどんどんまじめにそのありのままを言っていただいてこそ、私たちには幾らでも御協力ができるんじゃないか、こういう立場で私は御質問をしているわけでございます。  そこで、いま民地とか、あるいはまた建設省の土地だとか、あるいは国鉄の土地だとか、いろいろの状況お話ございましたが、そういうことについてばらばら行政だということは、再三にわたって言われておるわけでございますが、こういう問題について、一体国鉄あるいは建設省あるいは林野庁ですね、そういう方がどういうような打ち合わせで担当区分をしてやっていっておるのか、その現状についてお話を願いたいと思います。
  145. 小林幸雄

    ○小林説明員 従来とも林野庁あるいは国鉄等と関連をする区域の問題につきましては、それぞれ十分に御相談をしながらやっていっておるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、沿道の状況はしょっちゅう変わりますことでございますから、今後とも関係の諸官庁あるいは関係施設の管理者、土地所有者等々とは事前に十分に意見を聞き、連絡調整をし、対策を講じていくというふうにしてまいりたいと考えております。
  146. 江藤素彦

    ○江藤説明員 お答え申し上げます。  私どもの治山事業と最も関係の深い事業といたしましては、建設省の砂防事業があるわけでございまして、この関係につきまして毎年砂防治山連絡調整会議というものを中央段階でも持っております。また県段階でも、これにつきまして現地現地の調整を図るという形で密接な連携を保ちまして、両事業間の円滑な推進を図っておる次第でございます。  以上でございます。
  147. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 上越線のように、ただ一個の石が落ちてきたというわけでございませんで、年平均大体五十個ぐらい石が落ちてきております。それで、やはり落石については、私どもは十分関心を持っております。  それで、各省庁の連絡につきましては、たとえば一昨年起こりました大きな湯檜曽の事故がございましたが、この場合は、直ちに林野庁と協調をとりまして、その復旧、それから自後起きないような防護も、お互いに費用を分かち合いながらいわゆる防災対策を進めております。  実際のことで申しますと、私ども一番うまくいっておりますのは四国でございまして、四国につきましては、多くの災害があるものでございますから、出先政府機関と地元の学者グループとが一緒になりまして、やるべき具体的な問題を決めまして、それを今度どちら側が分担してやるというようなことを決めております。  以後も、国鉄といたしましては、関係省庁と密接に連絡をしながら総合防災体制をつくってまいりたいと思っております。
  148. 新井彬之

    ○新井委員 事故があった後は、確かに打ち合わせがうまくいくと思います。しかしながら、現実的にこれからここをどうするかということについては、予算の面につきましても、また各省の担当につきましても、なかなかやりづらいというぐあいに感じておるわけでございまして、そういうところは、ひとつよく話し合いを密にしてやっていただきたいと思います。  とにかく落石の問題というのは、道路にも、国鉄にも、いろいろな問題に係るわけでございますが、当然、県とか市とか町とか、そういうような地方公共団体の方々も、非常にそういうことについては関心を持っておりまして、何とかそこを直していただきたいというようなこともいろいろあるわけでございますから、そういうようなところで完璧に各地方公共団体でそういう調査体制というものを、危ないときには連絡があって、建設省が見に行く、あるいはまた国鉄が見に行く、林野庁が見に行くというような形で、何とかこういう事故がなくなって、安全な生活ができるということに御努力を願いたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  149. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、寺前巖君。
  150. 寺前巖

    ○寺前委員 去る三月二十三日の朝の岐阜県の久瀬村の国道三百三号線で起こった揖斐川転落事故をめぐって、若干の質問をしたいと思います。  私は、この事故が起こるたびにああやった、こうやったということを一日も早く言わなくてもいいようにしたいものだとつくづく思うわけですが、今度の事故についてお話を聞いておっても、新聞を見ておっても、ずいぶん高いところで山腹が崩落して、そして落石が人命に影響するというようなことが起こっているようです。こういう国道の周辺にある山ですね、これをめぐっての事故になるわけですが、一体こういう場合の周辺の山というのはどういう状況にあるかを点検しながら、その対策を組んでいくわけですが、その山の対策というものは建設省が責任を持つんですか、どこが責任を持っているんでしょうか。下を人が通る、車が走る、その両方の問題ですね。この危険性の問題との関係において、山の管理の責任というのは、一体どこが持つことになるんでしょうか。
  151. 小林幸雄

    ○小林説明員 道路管理上の責任といたしましては、原則的には道路の区域内ということでございますけれども、ただ区域を越えた上の方から土砂の崩壊その他が、従来の事例等から見ましても十分予想されるという場合には、区域内にこれを防ぐべき施設をするということは、私どもの判断でやっておるわけでございます。しかしながら、道路管理の観点から見まして、どう考えても、常識的には、上から石が落ちてくる、あるいは土砂が崩壊してくるというふうなことが予想されないというふうな場合におきましては、これは私どもとしましても、何とも対策の立てようがない。もし上の方に——私どもの方からよくわからない。しかし、上の方の土地所有者あるいは施設の管理者が、仮にそういうことが自分の管理する土地の範囲内あるいは施設につきまして予想される状態であったならば、これは、当該の土地の所有者もしくは管理者がそれ相応の対策を講ずべき責任がある、かように考えるわけでございます。
  152. 寺前巖

    ○寺前委員 林野庁は、今度のことをめぐって、その点どういうふうにお考えなんでしょうか。
  153. 江藤素彦

    ○江藤説明員 お答え申し上げます。  林野庁といたしましては、実は今回の落石の個所につきまして、この個所は山林ではございますけれども、全山が砂防指定地ということになっておるわけでございます。したがいまして、砂防指定地の所管は建設省ということでございます。私どもの所管といたしましては、それぞれ保安林という制度がございますが、この保安林に指定した所管のところを私どもがやっておるわけでございます。  ただし、砂防に指定してあるからといって、私どもの林野庁関係が手を出せないということではございませんので、この点につきましては、県に段階の各担当部課が密接な連携を保ちまして、その中で協議の上、それぞれの地域につきましての防護策を講じておるわけでございます。  なお、国鉄関係につきましても、前回の上越線関係につきましては、鉄道防災林、国鉄所管の防災林でございますが、この点につきましても、県の林務担当者を指導いたしまして、密接な協力のもとに防護策を講じてまいりたい、このように考えております。
  154. 寺前巖

    ○寺前委員 当該の県の土木事務所ですか、多田さんという所長さんがおられます。この所長さんが、道路法の第四十四条というものをお話しになりまして、「道路管理者は、道路の構造に及ぼすべき損害を予防し、又は道路交通に及ぼすべき危険を防止するため、道路に接続する区域を、条例(指定区間内の国道にあっては、政令)で定める基準に従い、沿道区域として指定することができる。但し、道路の各一側について幅二十メートルをこえる区域を沿道区域として指定することはできない。」となっている。つまり沿道区域としては、二十メートルを限界とするということになる。岐阜県の場合は条例がないので、沿道区域についても二十メートル、つまり垂直にして二十メートルの高さまでしか道路の管理責任がないというようなことを言っていられるんですね。だから、パトロールの対象というのをそういう道路法に基づいてお話しになっておりますが、この点について建設省はどういうふうにお考えになるんでしょうか。
  155. 小林幸雄

    ○小林説明員 沿道区域の制度は、道路管理者が一定の権限を行使できるという限りにおきましては、同時に、その沿道区域の土地の所有者等につきましても、一定の制約が課せられるという反面の作用もございます。ただ、ただいまの御質問のような落石事故等の場合に、沿道区域外だからどんなに危ない状態になってもそれは知らないんだ、こういうふうな考え方で指導はしておりません。これはやや法律的な問題でございますので、若干現場の所長あるいは理解不十分なところがあったんじゃないかと存じますが、先ほども申し上げましたように、たとえ私ども道路区域あるいは沿道区域、仮に指定してありましても、あるいはなくても、パトロールしておりまして、これは明らかに上から石が落ちてくることがもう必定だ、危ない、落ちそうだ、あるいは土砂崩れがどうもありそうだ、こういうふうな場合において、道路管理者の責任の区域じゃないからそれは知らない、こういうふうなことで処置するような指導はしておらぬわけでございまして、これは当然その道の所有者なりあるいはその施設の所有者なり等とよく協議しまして、これは場合によりましては、相手方が費用負担ができないというふうな問題もございましたならば、道路側の費用でその石を取り除く、あるいは砕く、あるいはあらかじめ落としておく、あるいはよその区域から落ちてくる可能性はあるけれども、防護さくをつくっておけば十分防ぎ得ると判断した場合には、防護さくを設置しておくというふうなことを、道路サイドの責任においてやるべきものであると考えておりますし、またそのように指導しておるわけでございます。
  156. 寺前巖

    ○寺前委員 私の言っているのは、石が落ちてくるのがわかっているのに知らぬ顔しておるということを指摘しているのじゃないのです。法律に基づいて、条例あるいは政令で決める基準に従って沿道区域を指定して、その沿道区域として指定した地域に対する管理責任を明らかにしていくというふうに道路法ではなっているではないか、したがって、その道路の各一側は幅二十メートルを限度ということで位置づけられているけれども、実際の事故が起こっている問題は、二十メートルという一側の話では、ここに狂いが起こってくる問題があるのではないかという制度上の問題を私は言っているのです。当該の人たちが、石が落ちてくるのを知っておって、それが法的にどうのこうのということを言っておるわけじゃないのですよ。ここに一つ問題点がないのかということを私は言っているのです。  そして同時に、岐阜県の場合には、その条例がありませんので、沿道区域についても二十メートル、つまり垂直にしても二十メートルだそうですね。一側二十メートルと言ったらこっちだけかと思ったら、こちらも二十メートルだという話ですよ。そうすると、飛騨川の事故の経験から考えても、どうもこのままではうんとは言えないのではないだろうか。現に県のパトロール要綱によっても、同国道は週一回以上道路パトロールをすることになっており、担当の揖斐土木事務所は、事故前日の二十二日に行ったパトロールでは、ほかの個所で落石を発見したことが日誌にも書かれている。ところがこのパトロールというのは、車で徐行しながら路面と側溝の状態を調べ、山はだは路面から十メートル上までを観察するのが原則であって、とても発見できるような状況にはなかったということを言われているわけです。  ですから、私はこの観測のあり方、もちろん十人がこの地域を担当しておられるようですから、人数的にも問題があるということがあると思いますが、先ほどから言っているように、一側二十メートルという問題とか、あるいは現実的にも条例その他で決めるということにするならば、そこでの問題点を制度的にも明らかにするということが重要な段階に来ているのではないだろうかということを素人ながら感じましたので、見解を改めてもう一度お聞きしたいと思うのです。
  157. 小林幸雄

    ○小林説明員 沿道区域につきましては、道路法四十四条の四項というのがございまして、道路管理者が道路に関する損害あるいは危険防止のため必要があると認める場合においては、当該土地、竹木または工作物の管理者に対して、これを予防するためのいろいろな施設をつくり、その他その損害または危険を防止するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができるということになっております。すなわち、沿道区域に指定されますと、沿道区域の土地、竹木、工作物の管理者は、沿道であるがゆえに、場合によりますと、こういう道路管理者の命令に従いまして、いろいろな措置をしなければならぬという義務が発生するわけでございます。これは場合によりますと、なかなか大変な費用負担等の問題が関連しまして、問題でございまして、したがって、沿道区域をなかなか指定しないというふうなことも、あるいはこの辺に一因があろうかと思われるわけでございます。しかし、仮に沿道区域を指定してなくても、危険であるということであれば、これは先ほど申し上げましたように、当然道路側としては、早急に所要の措置をとるべきものでありますし、またそのように指導もしております。  十メートルぐらい上までしか見なくてもいいことになっておるというお話でございますけれども、これは通常、車で徐行して通っておっても、斜面は十メートルぐらいまでしか視野の中に入ってこないじゃないか、こういうことじゃないかと思いますが、私ども指導といたしましては、落石、小さい石等でありましても、下にぱらぱら落ちているというふうな状況のときには、必ず上の方までながめまして、そこで上の方で大きな土砂崩壊あるいは大きな落石が上の区域から出てくる可能性がないかということを十分に点検するように指導をしておるわけでございまして、この辺のところは、法律の条文は、申し上げましたように両面ございますので、必ずしも、この沿道区域という制度そのものを落石防止対策の中の重要な手がかりとして動かしておるというふうな状態ではございません。また、そういう必要も必ずしもないというふうに考えております。
  158. 寺前巖

    ○寺前委員 しかし、現実に行われるのは、したがってそこから七メートルから十メートルぐらいのモルタルの吹きつけが、現におたくがおっしゃったようにして措置はされているけれども、それから上のところはもう放置されたままだ、調査の方も視野に入る範囲としての十メートルだ、だから高所の部分というのが現実的には抜かっていっているという事実関係が今日の事故をつくっているんじゃないだろうか、私はそう感ぜざるを得ない。  そこで、改めてこの飛騨川事故のときの中部管区行政監察局長や岐阜行政監察局長からの当時の報告を、教訓として私はもう一度見てみました。私は、もう一度見直してみる必要があると思うのです。そのときにこういうふうに言われています。  飛騨川事故の場合、保安林、砂防指定は国道四十一号から山沿いに約二百メートルの地域だけだった。今度の事故の原因となった土砂流出は、国道から二百メートル上の未指定地で起こったものであり、保安林、砂防指定はもっと広範囲にすべきだった。つまり、高所についても保安、治山対策を講ずべきであるのに、それを怠っていたということが原因の一つだということが、あの事故のときに教訓として監察局長から出ています。  また、山地は民有林であり、土砂崩れの防護措置を講ずるには、用地買収など困難な面もあるが、建設、農林両省が国道保護の立場から防護さくを考えず、連絡を十分にとらなかった責任は大きいという指摘があります。  また、道路管理者、建設省は、道路部分については構造令に基づいて設計並びに構築しているが、山地側の危険防止については、関係機関に何も要請していない。山地道路の場合は、道路のほかに山地に対しても適切な基準をつくり、山地の崩壊防止に努めるべきであるという指摘を飛騨川のときに言っているのです。  すると、今度の場合にも、私は共通したものを持っているんではないだろうかということを強く感ずるわけです。たとえば現地の久瀬村では、前から、道路の改良や落石防止の安全対策など、国や県に対して毎年のように要求をしているようです。毎年のように要求をしているのにもかかわらず、結局何も相談に応じてくれなかったではないかということを言っている。  私は、こういうふうに見てきたときに、飛騨川の教訓というのが果たしてちゃんと詰められているのだろうか。あの飛騨川の場合には、二百メートルのところだった。問題はそれを超えたところにあるということがあのときずっと言われた。常にそういうふうに、ああしまったあの上だった、こうなっているわけです。実際に高所の対策について、先ほど中央段階では相談をしてやってますと言うけれども、現地で毎年治山対策を要求しているのに何も応じてくれなかったという村当局の意見というのは、私は厳しいものがあるというふうに思わざるを得ないのですよ。率直に、林野庁は、これは砂防指定地域だ、だけれども私らも相談に応じないわけじゃない、こうおっしゃっている。この地の問題をめぐってそういう相談がされておったのかどうか、毎年要求しておったというのに現実はそうなっていない。パトロールの姿といい、あるいは現実的に要求されておった治山対策といい、この責任をどういうふうにとられるのか。私は重要だと思うのです。もう時間が来たようですから、私は、改めて建設省にどうなんだということをお聞きしたいと思います。
  159. 小林幸雄

    ○小林説明員 高所対策でございますけれども、御指摘のとおり、飛騨川事故以来、私どもはこれを教訓としまして、四十六年にも総点検を行い、その後二回にわたり行っているということで、行管その他から指摘されましたような林野庁等と、他省庁あるいは他の土地所有者、管理者等との連絡協調を特に十分に配慮してやるように指導している次第でございます。  当該三百三号線につきましても、これは全く同様でございまして、そういうふうな観点から、この道路は山岳道路でございますので、非常に事故の起こる確率が高い、そこでこれは、実は年間に十数億円の金をかけております。現実にこの当該、今回の事故の個所よりやや岐阜寄りの地点でございますけれども、ここには現在トンネルを掘っておりまして、これは五十二年度に完了することになっております。これはもとよりこういう地域でございますので、抜本的な対策は、予算関係もございますが、やはりトンネルが一番安全である。これは経済的な面のみならず、そういう観点からもこういうことをしておるわけでございまして、しかしながら当該個所につきましては、現在の林野庁あるいは私どもの方の知識といいますか能力では、どう見ても、そういう危険個所という判定が能力の限界を超えた場所であったということに尽きるわけでございます。決して林野庁その他との連絡を怠ったわけでもございませんし、また防災対策としまして、当該路線につきまして全然金をかけてなかったということではございません。むしろこのような田舎の、もと二国と言いますか、昇格国道でございますが、新しい国道としましては、異例なほど巨額な予算を毎年度つぎ込んでおるということでございまして、私どもとしましても、できるだけの努力はしておるつもりでございます。
  160. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来たから終わりますけれども努力をしておったのだから仕方がないのだということでおっしゃるならば、私は、政治はないのと同じことになると思う。努力というのは、ぼくは切りがないものだと思う。だから努力というのはとことんまでせねばいかぬ、私はそのことをあえて最後に言って、地元の人が毎年要求してきておるのだというこの声を大切にしてもらいたいと要望して、発言を終わります。
  161. 鈴切康雄

    鈴切委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  162. 鈴切康雄

    鈴切委員長 速記を始めてください。      ————◇—————
  163. 鈴切康雄

    鈴切委員長 ただいま野中英二君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六党共同提出に係る落石等による事故を防止するための防護施設整備強化に関する件について委員会において決議せられたいとの動議が提出されております。  本動議について議事を進めます。  この際、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野中英二君。
  164. 野中英二

    ○野中委員 ただいま議題になりました落石等による事故を防止するための防護施設整備強化に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     落石等による事故を防止するための防護施設整備強化に関する件   去る三月八日の国鉄上越線の列車脱線事故及び同月二十三日の一般国道三〇三号の定期路線ス転落事故発生にかんがみ、政府及び日本国有鉄道は、人命尊重の見地から、列車及び道路運送車両の安全運転確保に万全を期するため次の措置を講ずるとともに、このたびの事故の被害者に対する救済措置については、遺憾なきを期すべきである。  一、落石等のおそれがある箇所に関する総点検等の結果にもとづき、防護施設整備強化を積極的に行うこと。  二、落石等のおそれがある箇所に関する検査、点検の方法を改善するとともに、その体制の充実強化を図ること。  三、防護施設整備強化を行うにあたっては、落石等のおそれがある箇所が国鉄用地又は道路区域の外にある場合には、当該土地等の管理者と十分に連絡協議し、その成果があがるよう努めること。   右決議する。  次に、その趣旨について申し上げます。  今回の事故に見られるように、落石等による事故は、一瞬にして多数の死傷者を出す重大かつ悲惨な事故であります。政府及び国鉄は、このたびの事故の被害者に対する救済措置については、遺憾なきを期するとともに、二度と再びこのような事故を引き起こさないよう万全の防災対策整備強化することが緊急に必要であります。  落石等事故の防止対策としては、落石等の危険のおそれがある個所を完全に把握することがまず必要であります。そのためには、早急に危険な個所の点検を行うことであり、これに基づいて、必要な防護施設整備強化を総合的に行い、あわせて、検査、点検の方法をも改善するとともに、その体制の充実強化を図る必要があります。  また、落石等の危険のおそれのある個所が国鉄用地または道路区域の内にある場合においては、みずからの責任体制を整備することとなるので問題はないが、国鉄用地または道路区域の外にある場合も、相当あると考えられるので、このような場合においては、当該土地等の管理者と十分に連絡協議し、落石等の危険を防止するための万全の措置をする必要があります。  よって、政府及び日本国有鉄道は、これらの実情を十分に認識し、何物にも優先されるべき人命の尊重を期して、常に交通の安全が確保されるよう努めるべきであり、本決議案の措置について強力に推進するよう特段の努力をすべきであるというのが、その趣旨であります。  委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。(拍手)
  165. 鈴切康雄

    鈴切委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  野中英二君外五名提出の動議のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 鈴切康雄

    鈴切委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議のごとく決議することに決しました。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。田村運輸大臣
  167. 田村元

    ○田村国務大臣 ただいま御決議を賜りました趣旨を尊重いたしまして、政府といたしましては、万全の措置をとる決意でございます。
  168. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、小沢建設政務次官
  169. 小沢一郎

    ○小沢(一)政府委員 道路交通の安全の確保は、道路行政においてきわめて重要な課題であります。  道路における危険個所につきましては、従来からその点検を数次にわたって実施し、その結果に基づき各種施策を講じてきたところでありますが、ただいまの決議の御趣旨を十分に尊重し、誠意をもって、できる限り、きめ細かな危険個所対策実施してまいる所存であります。
  170. 鈴切康雄

    鈴切委員長 なお、議長に対する報告及び関係方面に対する参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 鈴切康雄

    鈴切委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明七日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会