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高橋説明員 まず最初に、
検査の問題でございますが、十五、六年ほど前までは特に
検査の専門家というのを設けてございませんでした。
線路を保守いたしております保線区員が全員で自分の持ち分の範囲の
構造物の警戒並びに
検査をして、したがって、特に
検査専門ということでなくてやっておりました。十五年ほど前からそういう
検査専門の
職員を置いて、そしてそれに技術的な能力等の教育もいたしまして、やっておる。それで、先ほど
先生の申されたように、この保線
区間内の専任の
検査職員というのが、六人でお互いに協同し合いながら
検査をいたしておるというのが実情でございます。いまこの
職員等については、いま
先生もおっしゃいましたように、「土木建造物取替の
考え方」という、これは技術的な指導書でございますが、本社で部外の
先生方も入れた
委員会でいろいろ
検討した結果を、
現場の教育指導書ということでそういうものを
現地に渡して、それを
一つのよりどころにして
検査をいたしております。
検査の中で一番むずかしいのは、橋梁、
トンネル等については、比較的はっきり結果が出てまいります。しかし残念なことに、のり面
対策については、その
検査が技術的に判断が非常にむずかしいということ、またコンクリート
構造物等に比べて、その進行が非常に不規則で、かつ速いというような問題がございまして、まだまだ研究しなくちゃならない点は多々あるかと思います。ただ、
検査体制だけの問題ではなくて、私の方は
防護設備等々をどういうふうにつくっていくかというようなこととも両方相まって、
事故防止の万全を期したいというふうに
考えております。
それから第二点は、従来——従来というのは
昭和二十二、三年ごろのことでございますけれ
ども、この
区間については危険
個所ということで固定警戒員が昼夜を分かたず、一名でございますが交代でおりました。それをその後、この
区間につきましては、固定警戒というのは、昼夜を分かたず一人でそこで警戒していることは労働条件から見ても、どちらかというと非常に過酷な条件の問題だというふうに
考え、私の方はそれを設備に置きかえることによって、そういうものをなくしていきたいということで、この
区間についてコンクリートの
防護設備を、実施いたしたわけであります。その後、この固定警戒というものをやめまして、設備に置きかえていったということでございます。
それから、第三点の警報装置について、非常に少ないではないかというふうに言われておりますけれ
ども、私の方は
落石対策というのは、まず
防護設備をつくることを第一義的に
考えておりまして、それの補助手段として警報装置を
考えております。警報装置というのは、金網等に鉄線を一緒につけておきまして、
落石によってその線が切れますと、警報が鳴る、あるいは発煙筒が燃えるというような装置でございます。したがいまして、これは金網を破って石が
線路の上に転がってくる場合に、効果というか、音が出たり、発煙されたりというものでございまして、出会い頭に
落石が出ますと、これは
脱線防止には直接には役に立たないということで、私の方は
落石をとめる防護法に最重点を置いて
処置をいたしております。したがって、重要線区というか、非常に高速線区については、むしろ警報装置というのは補助的に
考えているというのが実情でございます。そういうことでございますので、何も警報装置が少ないということではなく、警報装置は、補助的に
考えた設備であるというふうに御理解をいただきたいと思います。