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1977-05-25 第80回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月二十五日(水曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 野中 英二君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君    理事 岡本 富夫君 理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    江藤 隆美君       大塚 雄司君    瓦   力君       坂本三十次君    谷川 寛三君       中尾 栄一君    中島  衛君       松野 幸泰君    渡辺 紘三君       伊賀 定盛君    下平 正一君       渡部 行雄君    古川 雅司君       西村 章三君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         通商産業大臣官         房審議官    平林  勉君         通商産業省立地         公害局長    斎藤  顕君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       善木 正敏君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    滝沢 宏夫君         中小企業庁計画         部下請企業課長 和田 文雄君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 五月二十日  公営住宅政策に関する請願(有島重武君紹介)  (第六〇七五号)  同(吉浦忠治紹介)(第六〇七六号) 同月二十一日  公団住宅設備改善に関する請願寺前巖君紹  介)(第六五八二号)  国道一二七号館山バイパス路線計画変更に関  する請願柴田睦夫紹介)(第六五八三号)  公営住宅政策に関する請願瀬崎博義紹介)  (第六五八四号)  同(東中光雄紹介)(第六五八五号)  同(不破哲三紹介)(第六五八六号)  国道長岡バイパス神田、川崎間の建設促進等に  関する請願村山達雄紹介)(第六八三三  号)  エスカレーターの危険防止に関する請願和田  耕作君紹介)(第六八三四号) 同月二十三日  中央自動車道高井戸インターチェンジ廃止等  に関する請願松本善明紹介)(第七五九八  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際観光文化都市整備のための財政上の措置  等に関する法律案起草の件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  まず、国際観光文化都市整備のための財政上の措置等に関する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来、各党間におきまして御協議が続けられておりましたが、先刻の理事会において協議が調い、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。  その内容及び趣旨につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。  国際観光文化都市整備のための財政上の措置等に関する法律案趣旨説明。  戦後の昭和二十五年から二十六年にかけて別府国際観光温泉文化都市建設法等特別都市建設法が制定されて今日に至っていることは皆様御承知のとおりであります。  本案は、国際観光文化都市わが国国民生活文化及び国際親善に果たす役割りにかんがみ、これらの都市において特に必要とされる施設整備促進するため、国際観光文化都市整備に関する事業計画の作成及びこれに基づく事業の円滑な実施に関し必要な財政上の措置等について規定し、もって国際観光文化都市にふさわしい良好な都市環境の形成を図り、あわせて国際文化の交流に寄与しようとするもので、その要旨は次のとおりであります。  第一に、本案における国際観光文化都市は、別府国際観光温泉文化都市建設法等の九特別都市建設法が適用される市または町並びにこれらの市または町に準ずる市町村のうち、当該市町村流動人口及び財政力基準にして、政令で指定する市町村をいうものといたしております。  第二に、国際観光文化都市の長は、流動人口状況を考慮して特に必要とされる都市公園、下水道、道路等施設整備に関する事業計画を作成し主務大臣に提出し、その事業完成に努めることといたしております。  第三に、国は、事業計画に基づいて施行される事業については、当該事業進行状況当該国際観光文化都市財政状況等を勘案して補助金の交付の決定並びにその事業に要する経費に充てるため起こす地方債については特別の配慮をすることといたしております。  また、国及び関係地方公共団体は、その事業促進完成にできる限り積極的な援助を与えることといたしております。  なお、この法律は、昭和六十一年度までの時限法であります。  以上が草案説明でございます。     —————————————  国際観光文化都市整備のための財政上の措置等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 北側義一

    北側委員長 本草案について別に発言申し出もありませんので、お諮りいたします。  お手元に配付してあります国際観光文化都市整備のための財政上の措置等に関する法律案草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 北側義一

    北側委員長 起立総員。よって、さよう決しました。  なお、ただいま決定いたしました本案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 北側義一

    北側委員長 次に、住宅宅地問題に関する小委員長から、小委員会における調査の結果について御報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。小委員長野中英二君。
  7. 野中英二

    野中委員 日本住宅公団建設にかかる賃貸住宅入居者家賃負担軽減等措置に関する件につきまして、住宅宅地問題に関する小委員会における調査経過について御報告申し上げます。  本小委員会調査案件としまして、住宅建設改善宅地供給促進及び家賃問題の三項目を予定しておりますが、近年、日本住宅公団建設にかかる住宅につきまして、社会及び経済情勢等の著しい変化によりまして、建設費の高騰に伴う新規住宅家賃高額化新旧住宅家賃格差拡大による入居者相互間の不均衡の増大関連公共公益施設等に対する負担金増大に伴う家賃上昇等きわめて厳しい世論となっておりますことは周知の事実であります。  本小委員会はこの事態を重視いたしまして、家賃問題を最初に取り上げ、早急に問題を解明すべく調査をいたすこととしたのであります。  本小委員会は去る四月八日設置されて以来、七回にわたり大蔵・自治・建設の各省及び日本住宅公団から説明を聴取し、及び学識経験者から意見を聴取する等慎重に調査検討を進めてまいりました。  その結果、本小委員会としましては、政府が次の諸点について格段の努力をすべきであるとの結論に達しました。 1 日本住宅公団賃貸住宅家賃適正化を図るため家賃算定の方式の改善及び公的援助拡充について検討すること。 2 関連公共公益施設整備に要する費用負担基準明確化を図り昭和四十七年七月十二日の当建設委員会における決議を早急に実施すること。 3 関連公共公益施設整備に要する費用のための特定財源確保並びに財政投融資資金活用を図ること。  以上で御報告を終わります。  委員長において適切な措置を講ぜられるようお願いいたします。
  8. 北側義一

    北側委員長 ただいまの小委員長報告委員会において了承するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  建設大臣に申し上げます。  ただいまお聞きのとおり、小委員長報告委員会において了承いたしましたので、その趣旨に沿って善処されるよう要望いたします。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川建設大臣
  10. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 住宅宅地問題に関する小委員会における熱心な検討成果を、本日、御報告をいただき、建設省といたしましても感謝にたえないところであります。  日本住宅公団賃貸住宅に係る家賃負担軽減等措置について、ただいま御指摘があった事項は、いずれも重要な問題であり、御報告の御趣旨を十分に配慮して、その解決努力をいたす所存でございます。
  11. 北側義一

    北側委員長 次に、中小建設業振興に関する小委員長から、小委員会における調査の結果について御報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。小委員長福岡義登君。
  12. 福岡義登

    福岡委員 中小建設業振興に関する小委員会における現在までの調査経過について御報告申し上げます。  御承知のとおり、本小委員会は、本国会において設置されたのであります。  小委員会は、調査案件として、中小建設業振興対策及び公共工事前払金保証事業改善の二項目といたしたのであります。すなわち、昭和四十八年以来の経済不況の中で、特に中小建設業におきましては、受注不振等の原因による経営の悪化、倒産件数等が依然高い状況にありますので、中小建設業受注確保重層下請の是正及び助成強化等について検討調査することとしたのであります。また、建設業に対する金融と密接な関係にある公共工事前払金保証事業につきましても、同保証事業が、はなはだ公共性が高く、かつ、事業の公正な運営確保が期待されておりますので、同保証事業実情等をも調査検討することとしたのであります。  小委員会は、去る四月八日設置以来、両項目に関してきわめて慎重な調査検討を進めてきたのであります。その結果、小委員会におきましては、安定成長経済のもとにおける中小建設業振興を図るため、政府は、次の五項目について対策検討し、所要の措置を講ずべきであるとの結論に至ったのであります。すなわち  第一は、公共工事契約制度あり方について検討することであります。  第二は、中小建設業者に対する受注確保を図るため、発注標準の遵守、中小建設業者活用による分離・分割発注共同請負制度及び協同組合による請負制度活用について十分に配慮することであります。  第三は、建設業の元請・下請間の契約関係を適正にするため、建設工事下請契約約款普及を図り、契約書面化推進することであります。  第四は、中小建設業協同化等による経営基盤強化資金確保を図るため、従来の金融税制措置を十分検討するとともに、特に建設業振興基金拡充活用について検討することであります。  第五は、公共工事前払金保証事業につきまして   その(1)は、前払金制度の一層の重要性にかんがみ、これが整備強化を図ることであります。   その(2)は、前払金保証事業は、その業務公共性にかんがみ、前払金保証事業制度あり方について検討することであります。   その(3)は、保証事業会社については、その公正な運営確保されるよう指導するとともに、当面、経費節減に努め、資産活用に当たっては、中小建設業振興のために還元されるよう検討することであります。以上でありますが、なおこの際、その趣旨につきまして、若干の御説明を申し上げます。  第一は、公共工事契約制度あり方であります。  公共工事契約現況から見まして、工事規模等により、随意契約等の効果的な活用を図る等その他契約全般について検討する必要があることであります。  第二は、中小建設業者に対する受注確保対策であります。  建設省では、すでに所管事業の執行の通達において、同趣旨内容の徹底を図っているのでありますが、同内容は、その他の公共事業全般についても必要であり、これが実効について十分配慮されたいのであります。  特に、共同請負制度活用に当たっては、中小建設業者相互の組み合わせに留意されたいのであります。  第三は、建設業の元請・下請間の契約関係適正化であります。  本問題につきましては、重層下請現況等から、最も効果的な対策が、迫られていたのでありますが、去る四月、建設工事標準下請契約約款契約書面化を主内容として全面改正されたのであります。同約款活用されれば、従来多かった元請・下請間の契約についての諸問題が大幅に改善されることが期待されるのでありますから、そのためにも、同約款普及推進が必要なのであります。  特に、公共工事においての普及がまず望まれるのであります。  第四は、中小建設業経営基盤強化資金確保対策であります。  金融措置につきましては、政府系中小企業金融機関による融資措置のほか、前払金保証会社等預託融資制度建設業振興基金による債務保証助成制度がありますが、これらの機関による融資内容改善について検討するとともに、特に建設業振興基金につきましては、その一段の拡充活用を図る必要があるのであります。税制については、中小建設業は、他の中小企業と共通の措置を受けているのでありますが、これが検討も必要であるのであります。  なお、建設業振興基金検討に当たっては、同基金の被保証者資格を、知事許認可建設業者団体等にも拡大することを考慮されたいのであります。  第五は、公共工事前払金保証事業についてであります。   その(1)は、前払金制度公共工事前払金保証事業に関する法律に基づき、昭和二十七年から発足して現在に至っているのでありますが、社会資本整備に伴う公共事業拡大に応じて、建設業者着工資金の調達に資する前払金制度拡大してきたのであります。今後、公共事業の円滑な実施を図るためにも、同制度は、いよいよ重要であり、同制度整備強化を図る必要があるのであります。   その(2)は、前払金制度が発足してから、すでに三十年近くになりますので、前払金保証事業業務公共性等にかんがみ、前払金保証事業制度全般について、検討する必要があるとしたものであります。   たとえば、業務公共性保証事業を営む法人の性格並びに保証会社保証金額弁済額等実情等について、それぞれの意見のあったところであります。   その(3)は、保証事業会社は、その公正な運営確保が期待されるのでありますから、事業についての一層の適切な指導が必要であります。   また、保証会社の最近の経理内容等により、経費節減についての配慮保証資本等の適切な活用を図るために、中小建設業等への融資等について検討する必要があるとしたのであります。  以上で御報告を終わります。  委員長において適切な措置を講ぜられるようお願いいたします。
  13. 北側義一

    北側委員長 ただいまの小委員長報告委員会において了承するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  建設大臣に申し上げます。  ただいまお聞きのとおり、小委員長報告委員会において了承いたしましたので、その趣旨に沿って善処されるよう要望いたします。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川建設大臣
  15. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 中小建設業振興に関する小委員会における熱心な検討成果を、本日、御報告いただき、建設省といたしましては感謝にたえません。  御指摘いただきました諸点は、いずれも重要な問題であり、その一部は現に中央建設業審議会におきまして御審議願っているところでありますが、建設省としても今後、諸施策推進に当たりましては、御報告趣旨を十分に配慮して、その解決努力をいたす所存であります。      ————◇—————
  16. 北側義一

    北側委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺紘三君。
  17. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 私は、まず第一に、今国会最大の使命は、やはり景気浮揚という問題であります。したがいまして、公共事業景気刺激効果について、まず、お伺いをいたします。同時にまた上半期契約目標が七三%ということでありますが、実際に、これが実現が可能であるかどうか、まず、お伺いをいたします。
  18. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 公共事業建設資材の需要を喚起いたし、また雇用の拡大につながるほか、民間設備投資等を刺激するなど、景気刺激効果はきわめて高いものであると考えております。したがいまして政府は、現在の経済情勢にかんがみまして、景気回復をより一層、着実なものにするために、四月の十九日に五十二年度公共事業等上半期契約率を七三%と決定をいたしまして、その円滑な実施を図るために公共事業等施行推進本部を設置いたして推進しているところであります。建設省としては所管事業上半期契約率七一・六%を達成することによって景気の着実な回復を図っておるところでありまして、さらにお尋ねの七三%の実施は可能であると私は確信を持ってお答え申し上げます。
  19. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 上半期契約が七三%達成が可能だということでございますが、あわせまして私が心配をいたしますのは、なるほど七三%上半期にいわゆる工事契約が集中をいたすわけでありますから、それに伴って、いわゆる建設資材の価格が不安定になるおそれはないかどうか、あわせてお伺いをいたします。
  20. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 特に建設資材値上がり等には配慮をいたしまして、それぞれの機関と十分な連絡をとりつつ、そういうことのないように、いま努めておるところでございます。
  21. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 次に、道路整備についてお伺いをいたします。  昭和四十八年度いわゆる第七次道路整備五カ年計画が一応、始まったわけでありまして、いよいよ最終年度を迎えたわけでありますが、残念ながら、その達成率が、いわゆる事業費におきましては八〇%、また事業量におきましては六〇%程度ということでありますが、この間オイルショックであるとか、いわゆる経済の低下でやむを得ない面もあろうかと思います。しかし、このような現状で、経済社会の要請にこたえるには、ほど遠いものと考えられるわけであります。この現状をどのように考えておられるか、同時にまた、第八次道路整備五カ年計画の基本的な構想を、まず、お伺いをしておきたいと思います。
  22. 浅井新一郎

    浅井政府委員 先生御指摘のように、第七次道路整備五カ年計画は本年度で一応、終わることになるわけでございますが、計画のスタートの年であります昭和四十八年に、いわゆる石油ショックに見舞われまして、公共事業抑制策の中で道路事業は一番大きく抑えられた結果、年によっては、前年対比で、ほとんど伸びない、むしろ、前年からマイナスになったというような年もあるわけでございます。その結果、達成率は非常に落ち込みまして、過去の五カ年計画では前例のないことでございまして、御指摘のように八割の達成率にとどまったわけでございます。しかも、この間の工事単価上昇等によりまして、実際の事業量は六割というようなことでございまして、当初、予定しました計画が大幅におくれておるわけでございます。国道バイパス等でも従来、五年で計画されていたものが、十年かかっても、まだ見通しがつかないというようなところも、かなり、あるような状況でございます。  そういうようなことから、わが国道路整備現況を全般的にながめてみますと、まだ地方部では国道、県道においては、その半分の区間で自動車が満足にすれ違えない。また、ちょいちょいございますように山地部では、落石事故等による災害が後を絶たないというような事情でございます。また一方、都市部でも交通渋滞とか、あるいは交通事故あるいは道路環境問題等が各地で発生しているのは御承知のとおりでございます。そのほか歩道、植樹帯整備とか、道路質的向上のおくれという点については、非常に大きなものがあるわけでございます。  一方、高速自動車国道にいたしましても、当初、三千百キロの建設を予定いたしていたものが、現時点で五十二年度までで、ようやく二千二百キロに達するという程度でございまして、特に経済基盤の弱い地域整備がおくれているような実情でございまして、いろいろ道路については大きな課題を抱えているわけでございます。  今後の道路整備は、こういった実情を踏まえながら、安全の確保を特に重視しながら、地域社会におきます生活基盤整備生活環境整備並びに均衡ある国土の発展、基盤整備といったことを目標に、高速国道から市町村道に至ります道路網を体系的に整備いたしますとともに、環境の保全に配意した道路構造確保するという質的な面に重点を置きつつ、また一方では、だんだん、ふえてまいります道路資産を適正に管理して、交通の用に十分、効率的に役立てるというような視点から、維持管理の面を強化いたしまして、異常気象時等においても安全で快適な道路交通を常時確保できるような、適切な道路管理体制をつくっていきたいというようなことを考えておるわけでございます。第八次道路整備五カ年計画は、現在、作業中でございますが、その策定に当たりましては、このような考え方に沿って検討してまいりたいというふうに考えております。
  23. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 次に、道路整備についてお伺いをいたします。地方道路整備には地域住民の要望が大変に強まっている一方、残念ながら近年、道路予算が大変に伸び悩んでおるわけであります。いわゆる地方都市山間僻地は、いまだに生活道路基盤が大変に立ちおくれているわけであります。これらの地方道路は、まさに生活基盤であり、整備は大切な福祉であると考えるわけでありますが、残念ながら現実には、市町村道整備が大変におくれているわけであります。  特に、山間豪雪地道路は、まさに一雪降りますと、部落から町へも出てこれない。若者はみんな出かせぎに行ってしまう。わが屋根に降り積もる雪おろしさえできないで、ふるえている老夫婦の家庭が多々、見られるわけであります。なるほど、こういったお年寄りたち福祉年金を差し上げることも大切な行政措置かもしれませんが、このような冬期間交通確保されるような道路づくりをしてあげることが、そのお年寄りたちにとっても、また地域住民にとりましても最大福祉であると私は確信をいたすわけであります。  したがいまして今後、建設省としても、このような道路づくり予算国家予算の中から大幅に確保すべきであると考えるわけでありますが、今後の地方道路整備についてのお考えをお伺いいたします。
  24. 浅井新一郎

    浅井政府委員 道路整備現状につきましては、先ほど御説明しましたように、まだまだ非常におくれがあるわけでございます。その中でも地方道路整備のおくれというものは、まだまだ非常に大きいわけでございまして、御指摘のようないろいろな事情が地方に、国道網の未整備というようなことから起きておるわけでございます。  生活基盤をつくる上に道路整備重要性は、いまさら事細かく申し上げる必要はないかと思いますが、このおくれを今後、早急に取り戻していくことが、われわれの、これからの道路計画の姿勢だと思いますが、その計画のおくれは非常に多方面にわたっておるわけでございまして、従来のネットワークの整備ということに関しましても、都市部では、かなりバイパス等ができて道路がよくなったという声が間々聞かれるわけでございますが、地方部に参りますとネットワークの整備がおくれているために、地方生活の非常に大きなおくれの原因になっている、地域格差の原因になっているというような事態が、全国的に見られるわけでございまして、これからの地方道の整備に当たりましては、まず生産地と消費地とを結び、国の経済活動と地域生活基盤を支えることによりまして、地域格差の是正の決め手となる、いわゆる幹線道路高速自動車国道や一般国道整備、これはまずネットワークの基幹として必要ではないかと思います。  それと、さらに、もう一つの面といたしましては、従来、道路整備延長をかせぐことに追われたために、安全対策といいますか、防災、震災対策というものは非常におくれているわけでございまして、道路交通の安全を確保するための防災、震災対策あるいは交通安全対策事業といったものを、ますます強化していく必要があるのではないか。ネットワークの整備と、そのネットワークの中での安全の強化というようなものが中心になろうかと思います。  それから、さらに地方生活基盤整備のために、いま非常に大きな問題となっておりますのは、渡船だとか木橋等の非常におくれた施設あるいは老朽化した施設の解消の問題があろうかと思います。  それから、交通不能区間の解消はもちろんでありますが、狭隘道路それからバス路線を中心にした道路整備推進、それから住宅関連その他、生活関連事業に影響する、いろいろな、これと並行的にやらなければならない道路整備事業、そういったものの推進が必要かと思います。  また、生活環境改善するためには、バイパス等整備なども今後ますます促進してまいらなければならないと考えております。
  25. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 新潟−新発田間いわゆる国道七号でありますが、いよいよ新新バイパスが昭和四十六年度から用地買収にかかっておるわけであります。そこの完工は昭和六十年度程度と、いま見込まれておるわけでありますが、しかしながら現状は、二十キロ程度の距離でありますから三十分から四十分かかれば新潟まで行けるわけでありますが、たとえばラッシュアワーのピークになりますと二時間半から三時間要さなければ新潟へ到着できないということであります。また、土曜、日曜は果たして、それでは簡単に行けるかといいますと、ちょうど、その中間地点に新潟競馬場ができ、土曜日には、また場外馬券も買えるということであります。したがいまして、土曜、日曜ですらも大変に混雑をいたすわけであります。  私も新発田市民の一人といたしまして、新発田の住民が大変に迷惑をいたしておるわけでありますが、十五年を要さなければ、いわゆる、これが完成をしないということでございますが、一日も早い完工を望んでおるわけでありますが、道路局長の御見解をお伺いします。
  26. 浅井新一郎

    浅井政府委員 新新バイパスの促進の問題でございますが、御指摘の一般国道七号の新新バイパス、これは延長十七キロの区間でございますが、昭和四十六年度に直轄事業として採択いたしましてから、地元関係者の協力を得まして鋭意、整備を進めてまいっておるわけでございます。かなりな年月が、もうすでに、たつわけでございますが、ことし十月には、起点から市道競馬場線までの間が約六キロありますが、これが二車線で暫定供用に持ち込める段階になっております。これができますと、部分的にはバイパス効果が発揮できるわけでございます。なお、市道競馬場線から以北の区間につきましては、五十一年度から用地買収に着手しておるわけでございまして、まだ残事業が百三十五億ございまして、かなり大きな額があるわけでございます。  バイパス事業促進についての要望は各地に多いわけでございますが、先ほども申し上げましたような道路予算現状で、各地のバイパスがおくれております。なかなか見通しもつかないようなところも、かなり、あるわけでございまして、こういった近年におきます道路事業の落ち込みによりまして、全区間の供用は、まだ、ちょっと時間がかかると思いますが、今度の第八次道路整備五カ年計画の策定に際しましては、この供用目途をはっきり立てていきたいと思っております。また、道路予算の大幅な確保を図りまして、その早期供用に努力したいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 大変に新発田市民の、いわゆる強い要望でございますから、一日も早い完工をお願いを申し上げる次第であります。  大変な前向きな御答弁をいただきまして、もう一点、先ほど実は過疎問題に触れたわけでありますが、いわゆる私の選挙区で最も過疎だと言われておる東蒲原郡というところがあるわけであります。地域住民の切なる願いにより、津川バイパスというものがやっと着工に至ったわけであります。延長三・六キロということでありますが、これも、あわせて早期実現方をお願いをいたしておく次第であります。これは御答弁、結構です。  続きまして、道路特定財源につきましてお伺いをいたします。  道路特定財源につきまして、その使途を拡大せよという声があるようでありますが、果たして、そのような余裕があるのかどうか。ましてや、それを仮にほかに使ったとして、いわゆる納税者の方々の御理解が得られるのかどうか。その点をお伺いをいたしておきます。
  28. 浅井新一郎

    浅井政府委員 道路財源に関する御質問でございますが、御承知のように、わが国道路整備の水準は、欧米諸国のような長い道路整備の歴史を持つ国々に比べまして、量的にも質的にも非常にまだ低い水準にあるわけでありまして、市町村道だとか、あるいはバイパスなどを中心に、特に地方における道路整備に対する要望はきわめて強いものがあるわけでございます。また、さらに歩道とか交通安全施設あるいは環境対策といったような、これから大いにやらなければならない仕事が、ますます多くなっておるのが実情でございます。  たとえば先ほど申し上げましたように、国県道でも十六万キロあるうちの半分、約八万キロが、まだ出動車が満足にすれ違えないというような状況でございます。交通不能区間につきましても、五千キロがまだ通れない。それから国県道で渋滞の著しい区間が、まだ一万キロ以上の区間を抱えている。そういうようなことに加えて、さらに質的な面のおくれは非常に著しいわけでございまして、たとえば歩道の設置延長につきましても、ぜひ緊急に必要と思われる区間のまだ四〇%程度整備にとどまっているというような実情でございます。  このために現状では、揮発油税等の特定財源だけでなく一般財源を大幅に投入して、やらざるを得ないような状況にあるわけでございまして、また特定財源道路整備に充てるという納税者の理解のもとに、道路利用者が負担しているわけでございまして、税負担の適正化という見地からも十分に理由のあるものであるというふうに考えておるわけでございます。また、長期的に見ましても道路財源の不足は、現在、八次五カ年計画をいろいろ策定の作業をやっておりますが、まだまだ他に回すだけの余裕は、とても考えられないというような実情でございます。
  29. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 次に、国土庁にお伺いをいたします。  わが国国土利用の現状は、一方におきましては自然条件の大変厳しい地域で開発をされながら、また他方におきましては相当量の未利用地がある。非常に何かアンバランスのような感がいたしてならないわけであります。いわゆる国土の均衡ある利用ということになりますと、過疎過密の問題しかり、住宅対策しかり、また出かせぎ問題、また、ひいては、いわゆる農用地の拡大等あらゆる諸問題に通じてくるわけでございますが、今後の国土庁としての将来の国土利用の方向づけについて、まず基本的な御見解をお伺いをいたします。
  30. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 ただいま御指摘のように、日本の現状は過疎過密の現象が非常に強うございまして、そのために人口の増加に伴うて、いわゆる水の問題だとか、あるいはエネルギーだとか食糧だとか、あるいは住宅問題だとか宅地の関係あるいは教育問題等が非常に大きな話題になっているのでございます。これはすべて過疎過密の現状から発生した多くの問題でございますので、私たちは、やはり国土の均衡ある発展を図りまして、国民が将来とも安全で豊かで、しかも住みよい、いわゆる日本列島にしなければならないというのが私たちの願いでございます。  そのためには、まず都市のいわゆる過密の抑制をする政策をとることが第一でございますが、それと同時に、ただいま先生御指摘の、いわゆる過疎地域における振興対策を考えなければいけない。そのためには、まず、やはり雇用の場を与えるということ、そのためには、たとえば新潟県はどれくらいの人口を擁することによって産業あるいは文化の本当の向上になるのかという人口の定住化構想というものを基本にしながら、地方開発というものを図ってまいらなければならないと考えておるわけでございまして、そのためには、どうしても先ほど来、先生の御指摘がございました道路だとか、あるいは鉄道だとか、いわゆる全交通体系、通信体系というものを見直す、あるいはまた教育、文化、医療等の施設を見直してまいらなければならないと思うのでございます。  それらのことを進めるために、ただいま三全総を策定中でございまして、その中で、できるだけ過密過疎のあり方を是正するようなあり方をつくり上げてまいりたい、こう考えておるのでございます。また一方、狭い、限られた国土を適正に利用するためには、どうしても国土利用計画法にのっとって、投機的な取引を抑えまして、そして地価の安定を図るということが、やはり均衡ある国土の発展につながるものでございますから、そういう点にも十分力を入れて今後、進めてまいりたい、こう考えております。
  31. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 地価を安定させながら宅地供給を進めることが、都市政策の大きな課題であると考えるわけであります。最近の住宅地の需要は、当然ながら交通の便がよく、また、より環境のよいところを求めておるわけでありますから、これに対応して環境づくりから、まず手をつけていくべきである、計画的な住宅地の供給を進めていくべきであると考えるわけでありますが、その点の御見解もお伺いいたします。
  32. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お話のように、価格を安定させながら宅地の供給を図るというのが宅地政策、土地政策の基本でございますから、そういう線に沿うて、いま、いろいろ計画を進めておるのでございますが、ただいま先生が御心配のように、どうも最近、宅地の需給関係が芳しくない現状にございます。それは都市近郊の宅地供給目標が明らかでないということ、あるいはまた環境影響評価に非常に時間がかかる、あるいは公共投資をすることが市町村財政に大きな影響を与える、負担になるというようなことなどから、非常におくれを来しておるものでございますから、私たちといたしましては、宅地に切りかえる段階で市町村にある程度援助を与えるという政策を講じてまいっておるわけでございますが、今後これに一層力を入れて、宅地供給ができるようなあり方をつくっていきたい、こう考えております。
  33. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 ただいま市町村等の問題が出たわけでありますが、いわゆる計画開発を進める場合には、バス、水道、下水、学校等いわゆる関連公共公益施設費の負担等が地元市町村等の大変、大きな問題になろうかと思うわけでありますが、その点の御見解もお伺いしておきます。
  34. 松本作衛

    松本(作)政府委員 ただいま先生が御指摘されましたように、現在、計画開発を進めていく上での一番大きな問題は、公共施設整備、その整備に要する負担を実質上、開発業者が負担させられておるというような点から、計画的な宅地開発がなかなか進まないというような実態がございます。  このような実態につきましては、ただいま大臣からも御発言がございましたが、私どもといたしましては市町村の段階におきまして土地利用の方向づけを考えていただきながら、公共公益施設整備についてのあり方、負担区分ないしは地域住民との関係というようなことについて、それぞれの地域の実態に応じた計画づくりをお願いをしておるわけでございまして、なかなか一律に解決するということは困難であると思いますけれども、漸次、市町村の協力を得ながら、そういうふうな具体的な解決方法を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  35. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 ただいま大臣から地価の安定というお話を承ったわけでありますが、地価は、なるほど昭和四十九年にはマイナス九・二、五十年には〇・五プラス、五十一年には一・五プラスということで、過去三カ年間、非常に安定した推移が見られるわけでありますが、これは昭和四十九年の国土利用計画法の施行等、また四十八年の土地税制強化等、こういったものの、いわゆる効果であろうかと考えられるわけでありますが、しかしながら、その反面、この二、三年のわが国経済は大変な不況に陥っておるわけでございます。したがいまして、私が心配いたしますのは、今後の景気の動向次第、景気回復次第によっては、再び地価の不安定な要素があるのではないかという感がいたすわけでありますが、その辺の御見解をお伺いいたします。
  36. 松本作衛

    松本(作)政府委員 地価の動向につきましては、ただいま御指摘がありましたように過去三年ほど安定的に推移しております。このような安定的な地価の推移を見ましたことは、御指摘のように経済の動向のほかに、国土利用計画法等の制度的な枠組みがあるということが大きな支えになっておるかと思うわけでございます。  景気の動向につきましては、昭和五十一年におきましては、その回復がおくれておると言われながらも、漸次、回復の傾向が見られておるわけでございますが、それにもかかわらず地価は必ずしも急騰はしておらない、安定的に推移しておるというふうな実情がございます。これはやはり土地に対する国民全体の考え方が大分、変わってきております。また取引等も、景気の若干の回復にもかかわらず、比較的、安定的に推移しておるというふうな事情がございますので、私どもといたしましては、現在のような経済的な基調ないしは制度的な枠組みがあります以上は、従来のような、いわゆる急激な地価高騰というようなことは起こらないであろうというふうに考えておるわけでございます。  しかし、そうはいいますものの、狭い国土に多くの土地需要があるわけでございますから、やはり地価の上昇に対しては絶えず、われわれとしては警戒して当たっていかなければならないというようなことで、今後とも国土利用計画法等によります地価安定に対する規制の枠組みというものを維持して、地価の安定に努力を続けていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  37. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 何といいましても地価は、昭和四十年の後半には、われわれ大変苦い経験をいたしたわけでありますが、まさに地価の異常な高騰は、先ほど大臣のおっしゃったとおり投機的な取引を誘発し、これが大都市住宅地のみならず地方の農地にまで悪影響を及ぼしておるわけであります。まさに国土の均衡ある開発を行うためにも、地価の安定は今後の国土行政の基本であると私は考えるわけでありますが、これに対しての国土庁の御決意をお伺いいたします。
  38. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 ただいま先生御指摘のように、地価の安定が国土計画の基本でございますので、私たちは、これからも国土計画法にのっとって、地価の投機的な取引のないような、そして地価の安定を図るように最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  39. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 時間が参りましたので、最後の質問をさせていただきます。  昭和五十年の国勢調査の結果によりますと、全人口の四五%が、いわゆる国土面積のわずか一〇%にすぎない三大都市圏に居住をいたしておるわけであります。また、いわゆる工業出荷額の実に七三%が太平洋ベルト地帯に集中をし、依然として過疎過密が進行しているわけであります。特に、東北地方国土の七割を占める豊かな国土資源に恵まれているにもかかわらず、その人口シェアは昭和三十五年の一二・五%から昭和五十年度には一〇・四%と減少をいたしておるのが現状であります。その中で特に、わが新潟県を見ますと、明治初年には全国一の人口シェアであったのが、いまや半減をし、全国シェアのたかが二・一%を占めるにすぎない。こんな結果に陥ってしまったのであります。これらは明治百年の歴史上の経過と高度成長の過程で過疎過密がますます深刻になってきたことを反映をいたしているものと考えられるわけでありますが、国土庁におきまして、現実に先ほど大臣の御答弁のとおり現在、三全総策定をなさっておるわけでありますが、その三全総についても中心テーマとすべきものは、何といっても過疎過密の解消と均衡ある国土利用の実現であると考えるわけでありますが、長官の御所見をお伺いいたします。
  40. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、限られた国土を均衡ある発展を図って、国民が新潟県におっても青森県におっても、また東京に住まっても、日本というものはいい国だなというような国をつくることが、私たちの使命なんでございますので、そのためには、やはり過疎過密のあり方を解消していかなければならないということは先生御指摘のとおりでございます。私たちは、安定経済成長の段階で、これをどのようにして位置づけるかということを、ただいま三全総の策定の作業の段階で、これを詰めているわけでございまして、ただいま先生の御指摘の点について十分配慮しながら三全総の作業を進めて御期待に沿うような長期計画を立てて、そして過疎過密のない日本列島をつくりたい、かように考えております。
  41. 渡辺紘三

    渡辺(紘)委員 終わります。
  42. 北側義一

    北側委員長 渡部行雄君。
  43. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 最初に、国土庁長官にお伺いいたしますが、むつ小川原開発についてでございますけれども、これは、いま大変、住民の反対等もありまして、非常に重大な段階に来ておると思うのです。そこで、このむつ小川原開発の今後のスケジュールと現況について、ひとつ御説明をお願いいたします。
  44. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 むつ小川原につきましては、先生御案内のように昭和四十七年の九月に閣議了解をいただいておりまして、その後、五十年十二月に青森県が策定した第二次基本計画に対して具体的な検討を進めておるという段階でございますが、本年の一月の十日に、これらの事項を関係省庁の合意を得まして、ただいま環境影響評価の作業を青森県が進めているという状況でございます。  特に予算の面から申しますというと、五十二年度予算においては港湾の実施設調査二億五千万円程度、小川原湖総合開発事業実施計画調査費一億円程度が五十二年度予算に計上されております。  そこで青森県が実施しております環境影響評価の成果を勘案しつつ総合的な調整ができ上がりますならば、できるだけ早い機会に閣議了解を得たい、かように考えております。
  45. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、いまの計画の中で防潮堤の着工予定は大体いつごろになる見通しなのか。あるいは漁業補償についての、あらましについて、おわかりであれば、お伺いいたします。
  46. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、五十二年度予算計画実施のための調査を行うという段階でございます。したがいまして、そういった資料に基づいて、どういった影響があるか。たとえば小川原湖につきましては淡水化の結果どういった影響が出るかといったようなこと等は、それぞれの関係の省庁ごとに詰めておられるわけでございまして、そういった数値をもとに地元の漁協その他いろいろな住民の方方とも折衝をするということになりますので、とりあえずは、ただいまの環境影響評価の結果等で、これでいこうではないかという合意が出る。そこらの様子を見ながら実際の動きに合わせて交渉に入っていこうということになろうかと存じます。時期的には明確にいつごろということは申し上げかねるわけでございます。
  47. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そうすれば防潮堤の着工ということ、あるいは漁業補償ということは、環境影響の評価結果が出ないうちはわからない、こういうことでございますか。
  48. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほど申し上げましたように、五十年に出されました第二次計画に基づいて、いま関係各省の間で、いろいろと合意を得ようとしておるわけでございまして、それが出た暁には環境影響評価等について合意が得られた結果、閣議了解を得るということになるわけでございます。そこで初めて全体の規模というものが第二次計画についての公認と申しますか、そういう形が得られるわけでございますので、それを踏まえて、いま、おっしゃいましたような実際の実施にかかるとか実施調査にかかるとかいったことに相なろうかと思うのでございます。  もちろん地元との折衝は具体的には青森県が、関係各省と相談しながら折衝しておるわけでございますから、現在まで全然、皆無であるというわけではございませんけれども、具体的に、その第二次計画が閣議了解をされるという形になってから、具体的には進んでいくということになろうかと思っておるのでございます。
  49. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 いま実施計画調査費というものを計上して相当、煮詰まった段階じゃないかと思うのですが、大体、実施計画調査費を予算に組むには、それ前の調査というものは相当、大体煮詰まった上で、こういう一つの手続がなされるものと思うのですが、しかし、いままでの御答弁の中では、さっぱり雲をつかむような御答弁で、具体的な一つの判断というものは全然、示されていないわけですが、その点については、どうでしょうか。
  50. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  実施計画調査と申し上げるのは、いわゆる実施をするための調査でございまして、その前に、いろいろ調査が行われておるわけでございます。したがいまして、建設省としましては実施調査一、二年後に建設に取りかかりたいというふうに考えております。
  51. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 全体のスケジュールが、まだ、はっきりしないうちに一省庁だけで、一、二年後には、もう計画に取りかかりたい、こういう判断が出てくることは少しおかしいじゃないでしょうか。全体計画で、これでやっていけるという一つの判断が出て初めて、その全体の中の建設省担当として事業を進める、こういうふうになっていくのが普通だと私は思うのですが、その辺についてお伺いします。
  52. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  先ほど国土庁の方から答弁がありましたように、現在いわゆる第二次基本計画がおおむね出ておるわけでございます。したがいまして、それによりまして現在アセスメントは行っているわけでございます。したがいまして、アセスメントの結果によりまして閣議の了解を得ましたら、建設省としましては実際の実施計画調査に取りかかりたいというふうに考えるわけでございます。そうしまして、そういうふうに実施計画調査に取りかかった後におきまして、できれば一、二年後に事業の着手に入っていきたいというふうに考えております。
  53. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、いよいよ、そういう形で実施調査が行われ、また、これからアセスメントの一つの結論を出される、こういうことについては一番大事なのが、その基礎となる調査結果の資料だろうと思います。そこで実は、この間、去る四月八日の委員会で私が質問しましたところが、昭和四十年から青森工事事務所で、この調査をやっておる、こういう御答弁がありましたけれども、まあ非公式ではありますけれども、実際には昭和四十九年から建設省がやっておって、それ以前は、まあ土地改良区とか、あるいは、その他の団体がやっておったというようなことを聞いておるのですが、その点について、この間の局長の答弁では、どうしても納得できない点がありますので、その点についてお伺いいたします。
  54. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生のおっしゃるとおりの調査もやっておるわけでございまして、先般の四月八日の建設委員会におきます答弁を、次のように訂正させていただきたいと思います。  まず第一点としまして、小川原湖流入の六河川の水位流量観測でございますけれども、これは昭和三十九年ないし四十一年から青森県の農林部において通年観測を開始しておるわけでございます。このうち建設省としましては、姉沼川、中津川につきましては昭和四十九年四月から、土場川につきましては昭和五十年十一月より観測を開始した次第でございます。  それから、これら六河川の観測結果でございますけれども、それらにつきましては、いわゆる水位流量観測データに基づきまして水位流量曲線を建設省が作成いたしまして、昭和四十年ないし四十九年の流量資料として、建設省の青森工事事務所が取りまとめたという次第でございます。  それから建設省の青森工事事務所で、水理調査費による観測というものは、昭和四十八年四月から七戸川の用地橋観測所で行っております。したがいまして、それ以前は水理調査というものは実施していないという次第でございます。  そういうふうに訂正させていただきたいと思います。
  55. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで建設省が、この資料の中で本当に責任を持てるというのは一体どこまで持てるのか。つまり、建設省が直接調査した事項については、これは当然、建設省が責任を持たなければならないけれども、いま申されましたような団体や機関調査した点については、ただ単に機関を尊重するということで信頼するか、それとも、これに科学的な調査のメスを入れて、その上で決断をするか、こういう二つの立場しかなかろうと思うのです。そういう点で建設省は、出されておる資料について、時間がありませんから一々申しませんが、前回、私が指摘した資料について、ひとつ、その責任の所在と分野について、お伺いいたします。
  56. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先ほど申し上げました観測の資料でございますけれども、これは青森県の農林部において責任を持って観測をしておるということでございまして、建設省におきましても、この資料を取りまとめる段階におきまして、やはり、その整合性につきましてチェックして取りまとめたということでございます。     〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕
  57. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは、この七戸川の昭和四十九年の流量というものが昭和四十七、八年から比べて大体二億トン近い増量になっておるわけです。ところが当時の気象台の調べを見ますと、降雨量というものは四十九年は前年度より非常に少ないわけです。そうすると、この気象台の統計の降雨量と、ここに出されておる、いわゆる水量の統計とは全く食い違っておるわけですが、この点について、いま専門家の立場から、どのように、この資料を解釈したらいいのか、お伺いいたします。
  58. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  先生がおっしゃいますように、いわゆる四十八年と四十九年は雨量が大体同じにかかわらず総流入量において非常に違っておるということでございます。それで七戸川につきましては、これは流域の平均雨量というものを出すのに、ちょっと時間がかかりますので、同じような傾向を持っております。この小川原湖に流入する総流入量につきまして、いろいろ御説明してまいりたいと思います。  まず七戸川等流入河川及び残流域などから計算いたしますと、四十八年の総流入量でございますけれども、一年間に六億四千万立方メートル、そして一方、四十九年は八億五千万立方メートルというふうに、約二億トン違っておるわけでございます。一方いわゆる天間林などの雨量観測所の雨のデータから見てみますと、四十八年と四十九年の流域平均雨量というものは、それぞれ千二百八十五ミリこれは四十八年でございます。一方は千二百八十七ミリというふうでございまして、ほとんど同じである。これを流出的に見てみますと、大体十・三億トンになるわけでございます。したがいまして、年間の平均の流出率としましては、四十八年が〇・六二、四十九年が〇・八二というふうに、かなりの差が生じておるということでございます。  したがいまして、では、この原因がどこにあるだろうかということになってまいるわけでございます。まず一つとしましては、四十八年は渇水年でございます。年間の雨量は同じでございますけれども、六、七、八月に非常に降雨量が少なかったということで、流出のロスというものが多かったというふうに判断されるわけでございます。一方、四十九年は比較的、出水回数も多かったということで流出率が大きかったものというふうに推定されるわけでございます。  第二点としましては、いわゆる東北地方におきます各川の四十八、四十九年の流出率を比較してみたわけでございますけれども、四十八年と四十九年では、概算でございますが、かなりの差がある。たとえて申し上げますと、馬渕川におきましては、四十八年が流出率が〇・五六、四十九年が〇・七九というふうに大体〇・二三の差があるということで、高瀬川の場合と同じような傾向を持っておるわけでございます。  また、雪の方を調べてみたわけでございますが、雪の方で見てみますと、これは最大積雪深でございますけれども、四十八年の一月末が二十センチ、四十九年の一月末は四十センチ。二月末は四十八年がゼロ、四十九年が三十七センチというふうに、いろいろな気象条件が総合されて、こういうふうな流出率の差になったと考えられます。
  59. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この七戸川の周辺の観測地点というのは六カ所で観測されているわけです。天間林のいまのお話ですと、私の資料と若干違うのですが、これは「青森県農業気象十年報」というのですか、この中にあったものですが、これによると、四十七年が天間林で千三百三十二ミリ、四十八年が千四百二十二ミリ、四十九年が千四百一ミリ、こういうふうになって、四十八年が渇水期であるという御説明であれば、四十九年は、それよりも降らなかったのですから、これは、ますます水が出ないはずなのに二億トンも多く出ているというのは、どうしても科学的に証明できないんじゃないか、こう思うのですが、その点はどうでしょうか。
  60. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先ほど、お答えしましたように、四十八年と四十九年の総雨量というものは、ほぼ等しいということでございます。しかしながら、渇水期と申し上げましたのは、全国的にも渇水年でございましたけれども、六、七、八月という水の必要な夏に降水量が非常に少なかったということ、こういうことから流出ロスなんかも多かったんじゃなかろうかというふうにも考えられるわけでございます。それと、先ほど申し上げましたように、東北地方におきます四十八年と四十九年の流出率を比較してみましても、やはり大きな差があるという次第でございます。
  61. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間がなくなりますから。  結局、私の質問と答弁がすれ違いのような感じがしてならないのです。責任というものについては、お答えになりませんし、また先ほど言いましたように、四十九年からのことについては、建設省は自信を持って、これはこうだと答えられると思うけれども、ほかの機関調査したことについては、そうだろうということでしかないと思うのですよ。しかし、そこで判断が必要なのは、もっと科学的な判断を、どうしても、しなければならないと思うのです。渇水期だから降った雨がほとんど地下に吸い取られて、流れる水が少なかったんだろう、こういうことでは、四十九年ならば、それよりも降らないのですから、なおかつ渇水期の次の年に、より降雨量が少なければ、ますます降った雨は吸い取られて少なくなるのが、だれが考えても当然だと思うのです。ところが二億トンも多く流れるという一つのからくりは、どうなんでしょうか。
  62. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  先ほども御説明しましたように、これは実際のデータに基づいて計算したのが第一点でございます。  それで、なぜ、そういうふうに差があるか、同じ雨量にかかわらず流出に差があるかということでございます。これは自然現象というものは非常に複雑でございまして、それを多角的に検討する必要があるわけでございます。  それで第一点として、いわゆる六、七、八月の夏に雨が降らなかったので、流出のロスが多かった。  第二点としまして、これを別の面から見て、東北地方におきます。よその河川において、四十八年と四十九年の流出率がどうであったかと見てみますと、やはり四十九年の方が〇・二ぐらい大きくなっておる。  それから第三点としまして、雪を見てみますと、最大積雪深で見てみますと四十八年の方が四十九年より小さかったということで、そういうことを総合的に判断して、こういう数字が妥当であるというふうに解釈するわけでございます。
  63. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは、これは時間がありませんから。     〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕 昭和四十九年以前の実測に当たられたのは一体、青森県なのか、それとも土地改良区などの民間なのか、この点が第一点。  また、観測地点の位置と実測の方法について、これが第二点。  それから、それぞれの年次における最大流量と最小流量の出現した年月日。  第四点には、昭和四十九年以降の、今度は最近までの雨量と流量などの新しい一つの調査結果の資料を、後日で結構ですから、お願いします。この点については答弁は要りません。  そこで次は、問題が別に移りますが、福島県の田村郡三春にある三春ダムの問題についてでございますが、これに対する計画の概要と現在の状況について御説明をお願いいたします。  なお、その際、用地買収の進捗状況や、あるいは地元のメリットについて、どの程度のメリットを考えておるのか。  それから次は、電源開発についての考えは全然、将来とも、ないのか、この点についてお伺いいたします。
  64. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  まず、三春ダムの概要でございます。目的としましては、第一点としまして洪水調節、第二点としまして、いわゆる用水、水資源の開発ということでございます。  水資源の開発の中身としましては、一つは既得用水の補給など流水の正常な機能を維持する。次に、三春町と郡山東部地区に対します灌漑用水の補給というのが第二点でございます。第三点としまして、郡山市、三春町を初めとします市、町に対する都市用水として、新たに日量約十七万トンの水を生み出すということでございます。  このダムの高さとしましては七十一メートルで、有効の貯水容量は三千六百万トンでございます。  進捗状況でございますけれども、この事業は、四十七年度から実施計画調査というものに着手しておりまして、五十年度から建設事業に着手したものでございます。現在、ダムサイトの技術的な調査、それから代替地の確保など、水没者の生活再建に関連した諸調査実施しておる次第でございます。  この事業実施に際しまして必要な基本計画でございますけれども、これは現在、灌漑計画との調整も図っているところでございまして、関係機関協議の上、年内には告示するように努力いたしたいというふうに考えます。  今後の見通しでございますけれども、水没者の協力を得まして、補償に関する調査実施する。と同時に、代替地の確保など、いわゆる水没者の生活再建案をさらに具体化していきたい。それに水源地域対策特別措置法を適用することによりまして、地域住民の理解と協力を得ながら事業の進捗を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから用地の関連でございますけれども、ほとんどの部落におきまして、まだ現地で用地の一筆調査に入れないというのが実態でございますけれども、先ほど申し上げました、いわゆる生活再建対策ということで、地元が悪くなったのでは困るのでございまして、生活がさらに豊かになるように、今後とも地域の人々と話し合いながら、やっていきたいというふうに考えます。  それから電力関係でございますけれども、今後とも水力発電については計画に入っておりません。
  65. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは地元の地権者あるいは、その地域の利益というものを十分尊重して進めていただきたいことを要望しておきます。  それで次は、耶麻郡高郷村の磐見地内に起こった地すべりの問題についてでありますが、これについて、きょうまで、どのような対策を行ってきたのか。それから、今後の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。  なお、この地すべりについては二戸の住宅移転が考えられているように思いますけれども、また、これは非常に危険地帯ですから、仮に、いま地すべりがとまったといっても、そのまま放置はできないと思うのです。これらについての、これからの対処の仕方についてお伺いいたします。  それから次は、山都町の沼ノ平地内において発生した地すべり沈下の問題についてですが、これについても、いままでの対策と今後の処置の仕方についてお伺いいたします。時間がちょうど五分前ですから、ひとつ、そのことも考慮して御答弁をお願いいたします。
  66. 善木正敏

    善木説明員 前段についてお答えいたします。  福島県の耶麻郡の高郷村磐見地区でございますけれども、三月末に地すべりによる亀裂を発見いたしまして現地調査を行った結果、幅百メートル、長さ三十メートルというような規模で渓流に向かって地盤が移動しておるということが判明したわけでございます。福島県からの報告によりますと、いま先生おっしゃいましたように、地すべり地区に人家二戸その他ございまして、人家一戸が傾くという被害が発生しておるわけでございます。地域内には農地、農業用施設というものは、被害地区としては存在はしておりません。  それで対応でございますが、県は四月四日に地元から地すべり発生の報告を受けるとともに、直ちに応急対策といたしまして亀裂に粘土を詰めるとか、あるいはビニールを敷くというようなことをいたしまして、水の浸透を防止するというような応急工事実施するとともに、この危険家屋二戸につきまして緊急に避難をさせたわけでございます。  それから、四月七日に観測ぐいを設置いたしまして、地すべりによります移動量を観測しておりますが、五月四日までに移動量の最大は水平方向で二十二センチ、垂直方向で十二センチというようなことでございます。その後、地すべりは緩慢となっておりまして、小康を保っておるというような状況でございます。  それで、この地すべりの防止工事といたしましては、本年度予算をもちまして抑止工事といたしまして鋼管ぐいを建て込むというようなことにいたしておりまして、去る四月の二十五日に工事の発注をいたしております。工事につきましては、この梅雨前に、くい打ちを完了させるというような段取りで進めておるというふうに県から聞いております。  私たち、農地関係の対応といたしましては、そのように対応いたしておるわけでございます。
  67. 山岡一男

    ○山岡政府委員 住宅の移転につきまして、がけ地近接危険住宅移転事業というのを建設省で所管いたしております。現在、地元の方で、住民の皆さんの意向等について調査中と聞いております。もし、そういうことについて御要望がございましたら、積極的に採択していきたいと考えております。
  68. 栂野康行

    ○栂野政府委員 後段の沼ノ平の地すべり地区でございますけれども、これにつきましては昭和二十九年から本格的な地すべり対策に取りかかっておるわけでございます。それで現在、水抜きのボーリングあるいは、くい打ち工ということで、本年度予算を伸ばしまして対策をやっていく次第でございます。  それで先般の融雪によりまして、現在、建設省がやっております隣の地区におきまして地すべりが起こったわけでございます。これは藤沢−沼ノ平線という町道でございますけれども、これを含めまして幅六十メートル、長さ約百メートルにわたって、すべっておる次第でございます。一般被害はございません。  それで対策でございますけれども、まず応急措置といたしましては、被災後、直ちに仮道に着手いたしまして現在、普通自動車程度交通確保しておるという次第でございます。と同時に、調査ボーリングというものを直ちに実施しまして、いわゆる地すべりの機構というものの解明を行いまして、早急に適正な復旧工法を検討するよう現在、進めておるわけでございます。六月二十七日から、この査定を行いまして復旧事業決定いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  69. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  70. 北側義一

    北側委員長 岡本富夫君。
  71. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は新産業都市及び工業整備特別地域、この問題について若干、質問をいたします。  国土庁の方で、これを、ことしから五カ年延長するということでありますが、いままで、いろいろと、この地域におけるところの結果が問題が出ておるようであります。この反省について今後の計画変更というようでありますが、その改定について、ひとつお答えを願いたいと思います。
  72. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 先生御指摘のように、新産工特は財政上の特別な措置が議会で議決になりましたのを踏まえまして、新産工特の計画改定を行ったのでございまして、この計画実施に当たっては、関係県で地元の方々と協議をした上で、それぞれ計画を進めてまいると思いますので、それを踏まえて私たちも検討してまいりたい、かように考えております。
  73. 岡本富夫

    ○岡本委員 これから検討をするということなんですか。それとも私どもの方にいただきました資料、五十二年一月二十六日、国土庁地方振興局の「基本計画変更の概要」が出ておりますが、これはもう関係なくして、これから基本計画の変更をする、こういうことなんですか。局長からでもいいです。
  74. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま長官から申し上げましたとおり従来から、ずっと新産工特地区については整備を進めてまいったわけでございますけれども、たまたま、その支えとなる財政特例法が五十年度をもって終わるということで、その特例法の延長をお願いし、その際に、従来の計画実施状況を見ながら、実態に合った改定をいたしたいということで改定をいたしたわけでございます。  その際には、先ほども御指摘がございましたけれども、全般的に見れば所期の目的を必ずしも十分果たしていない。たとえば、せっかく、つくったものについての関連施設整備に総体的におくれが見られるというようなことと、それから一方では、生産関連施設はかなり進みましたけれども、生活関連施設について、おくれが見られるといったような、いろいろな反省もございました。そういったことをもとにいたしまして、全般的に改定計画をするということになったわけでございます。  特に先ほど長官から申し上げましたように、五十一年度から新たに五年間また財政特例法の延長もございました。そういったことで五十一年度中に計画改定をする必要があるということで、ただいま申し上げましたようなことを踏まえまして計画改定をされ、そして総理の方においても、その計画について承認をしたということに相なっておるわけでございます。
  75. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま、おっしゃったように生活関連施設の立ちおくれ、あるいはまた基礎産業の関連産業への波及効果が十分あらわれていない。あるいは地区内の人口も当初計画されたほどに増加していない。これ以外に、この、あなたの方からいただいた資料を見ますと、環境保全計画が非常に立ちおくれておるというようなことも書いてあるのですけれども、いま、それはお話がなかったのですね。今後、改定をどういうようにしていくのか、かいつまんで御説明を願います。
  76. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 きわめて、はしょった説明で恐縮でございましたが、私どもが具体的に計画の改定をいたします際に指導をいたしましたことは、まさに、いま御指摘のございましたように、新産都市、工特地域整備開発するに当たりまして、やはり環境保全ということが大事であるということで、私ども「改定について」という通知等を出した中にも、特に、この環境保全について記述をしてもらいたいということを申し上げまして、各県の作成に当たっての指導をいたしたわけでございます。  そういった意味で、各地方団体におきましても計画を改定されます際には、特に、この環境の保全等という項目をつけられまして、そうして具体的に計画を進めるに当たっては、環境保全について、その環境影響評価をやって、その結果に応じて必要な措置をとっていくという記述まで、しておられるわけでございます。  そういった点、特に私どもとしては重視をして指導をしたわけでございます。今後とも、そういった意味で、具体的な計画に基づいて、具体的に実施をされていく場合は、十分そういった点を留意して進めてもらいたいということで、今後の事業が進む過程におきましても、その点は留意をしてまいりたいというふうに考えております。
  77. 岡本富夫

    ○岡本委員 現在の新産都市あるいは工業整備特別地域の中で、まず一つ、二つ例をとりますと、これは工特地域ですね、ここで東三河地域というのがありますが、ここの富士市を一つ例をとりましても、いま相当な公害の患者が出ているわけです。また播磨地域の姫路市ですか、ここも環境基準を上回っておるというようなことで、これは通産省から資料をもらいますと、こういった大気汚染あるいはまた水質汚濁、こういう面の事前調査昭和四十年に実施したという御説明なんですが、結局、事前調査実施したけれども、こういった被害が出ておる。こういうことを考えますと、これは通産省、この間も公害委員会でちょっとお聞きしましたが、ほかの地域もやりましたけれども、この富士市あたりは事前調査実施したということになっておりますけれども、実際に事前調査をその当時、実施しながら、こういった公害患者が出ておるということは、どういうことですか。
  78. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 富士市は区域としては東駿河地域に属しておる市でございますが、ここにおきましては私どもでは環境事前調査を、まだ、やっておりません。  いまの御質問でございますが、この環境影響評価とは、今後の産業の配置、工場の操業のあり方ということにつきまして事前に技術的な評価をしていくものでございますが、これだけで、すべての公害を律していくということのための調査ではございません。したがいまして、こういうふうな調査と現実の規制と相まちまして、その地域環境をよくしていく、こういうふうな施策になっておるわけでございます。
  79. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、東三河地域では事前調査実施しなかったのですか。あなたのいまの答弁では、どうもしてないという……。
  80. 滝沢宏夫

    ○滝沢説明員 お答え申し上げます。  いま局長が御答弁申し上げたことで若干、説明不足の点がございましたので補足させていただきます。  束駿河湾の工特地区におきます富士地区の事前調査につきましては、四十四年に現地調査実施いたしたのですが、あいにく非常に悪天候でございまして、途中で中止いたしております。  それから東三河につきましては私ども調査をいたしておりまして、本件につきましては、その後いろいろ地元の事情等がございまして、当初、計画したよりコンビナート等の開発が非常におくれておりまして、現実には環境濃度そのものは、新たに決められております新環境基準より、はるかに下回っているというのが実態でございます。
  81. 岡本富夫

    ○岡本委員 まず一つ、この東三河地区の富士地域は途中で何で調査を取りやめたのですか。やったら悪いから取りやめたのですか、どうなんですか。
  82. 滝沢宏夫

    ○滝沢説明員 もう一回、確認させていただきますが、東駿河湾地域と東三河湾地域と二つございまして、東駿河湾地区の富士につきましては、先ほど申し上げましたように天候等によりまして一応、取りやめておりますが、本件、事前調査をやろうとしました理由の一つは、先生御案内かと思いますが、当時、東京電力が富士川河口に火力発電所をつくるという計画がありまして、その影響調査をやるというのが主目的でございましたが、本計画が中断になりましたので、県と相談しまして一応、取りやめたという経緯でございます。
  83. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと通産省の方では、こういった工特地域で新しく発電所をつくるとか、あるいは何かするというときに初めて環境影響調査をするということであって、工業整備特別地域に指定された、そのときに、どういう計画をし、どういう配置をしということに対しての環境影響評価あるいは規制を適用をしていないわけですね。よくわかりました。  新産都市促進法あるいはまた工業整備特別地域整備促進法ですか、これは昭和三十七年にできました。高度経済成長時代でありましたね。やれ、やれ、どんどん開発していくという法律なんですね。その結果が、いまも通産省の意見を聞きましても、あらゆるものに対する、きちんとした環境影響評価もやっていない。国土庁から、いろいろ連絡があって、非常にわずかな短い期間でありましたけれども、各県から出てきた、いろいろな資料もあるわけですけれども、ここにも環境汚染と書いてあるし、それから、いま局長さんからのお答えでも、今度の基本計画については環境保全を重視せよというような通達もしておりますけれども、通達とか指導だけでは結局また同じように日本列島が公害列島になってしまう。せっかく財政もついたわけですから、今度は、そういうようなことになってはならないということを、お考えになりませんか。長官いかがですか。
  84. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 先ほど質問をはき違えて、ちょっと、おかしな答弁をいたしまして失礼いたしました。生活環境整備環境保全に重点を置いて新産工特の計画改定を行ったということだけは御理解をいただきたいと思うのでございます。  そこで環境保全については、今後も私たちは十分配慮しながら計画実施するようにいたしてまいりたい、かように考えております。
  85. 岡本富夫

    ○岡本委員 そういうことで、ただ配慮とか、あるいは、あなたの方からそういう趣旨の通達を出したところで、新産都市促進法あるいは工業整備法の中に、これは古い法律でありますから、そういった趣旨の一項目もないのです。この間、公害委員会で土屋局長からは、こういう御答弁をいただいておるのです。「おっしゃるとおり、法律上においてもそういったことを明確にすることは結構なことだとは思うのでございます」「基本的には、もうおっしゃるとおりだと存じます」こういった法律を、いま、つくろうとすると当然その規定が入るだろう、こういうようにおっしゃっておるのです。これから五年間この法律を適用して新産都市あるいは工特地域促進をするわけですから、やはり財政の裏づけを持った法律は、ここで基本的な法改正をしておくべきではないか。  そうでなければ、ただ指導だけでは、またぞろ——いままでも恐らく、この新産都市あるいは工特地域も、環境保全はどっちでもよろしいよと、当時は建設省でありましたから、そういうような野放し的なことは言わなかったと思うのです。ところがやはり、この法律に、そういうのが入っていません。したがって、いま通産省の答弁にもありますように、ただ一つの発電所が来る、それによって初めて環境影響調査をやる、こういうことでありますから、全体的なことができていない。したがって私は、こういう面を踏まえまして、まあ今国会はちょっと無理かもわかりませんが、ここに環境保全というものを一項目入れるべきであると考えるのですが、長官は、どういうお考えですか。
  86. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 御案内のように地域振興整備に当たっては、環境保全に十分留意して、これまでも、まいりましたし、今後も、まいらなければなりませんので、法律上の明文がなくても当然、環境保全というものを重視してまいっているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、今回の新産計画を改定するに当たって、特に環境保全等の項目を加えて鋭意、配慮をすることにいたしているわけでございます。  ただいま御指摘のように新産業都市建設促進法ができたのが昭和三十七年でございますので、この法律には確かに環境保全の項目が出てないわけでございます。ただ、工特法には四条二項に「前項の整備基本計画を定めるに当たっては、公害の防止について、適切な考慮がなされるようにしなければならない。」という項目がうたわれておるのでございますけれども、これも確かに弱いと思いますので、今後、適当な時期に先生の御意思をも踏まえて検討してまいりたい、かように考えます。
  87. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは、ことしから始まるわけですね。一番適当な時期は今国会が一番適当なんです。しかも、あなたの方の所管である国土利用計画法にも、ちゃんと「環境の保全を図りつつ」という項目が入っているわけです。明文でなくてもできるのだと言えば、こっちも要らぬということになるわけですね。だから、これをしておかないと、ただ指導あるいはまた財政の配分といいますか補助金を出すから、やれというようなことでは弱い。したがって、またぞろ、この日本列島に公害をまき散らしてしまう。したがって、ここでひとつ英断をふるって、次の国会ぐらいには、ちゃんと整備をすることが大事だ。もう一つ進んでいただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  88. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 改定の時期については、ちょっと、ただいま申し上げられませんけれども、できるだけ早い機会に適当な時期を選んで、これを検討してまいりたいと思いますので御理解をいただきたいと思います。
  89. 岡本富夫

    ○岡本委員 ちょっと言葉のあやで、言葉じりをとらえて悪いですけれども、適当な時期を選んで検討してまいるということは、まだ、いま適当でないということになるのですよね。ですから、そこのところを、現在もうすでに検討をされたからこそ、こういった今度の基本計画の変更というものが出ておるわけですから、早急に各省とも詰めなければならぬと思いますから、そこと詰めて、そして次国会には出せるように努力するということでないと、できればやるというような、いまの言葉では、どうも、もうちょっと納得ができない。いかがですか。
  90. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 各省との調整を図りながら、できるだけ早い機会に御期待に沿うように努力をいたします。
  91. 岡本富夫

    ○岡本委員 努力するということは、やるということですね。首振ったから、そう決めておきましょう。  次に建設大臣、これも、いよいよ今国会が終わりでございますので道路法にも同じ問題があります。これも私、先般の当委員会で、道路の周辺の環境整備というものが予算措置だとか賠償措置で行われておる、したがって、もう少し進んだものができないということで、国道四十三号線の問題を取り上げまして、道路法の改正について実は意見を申し上げたわけですが、いよいよ来年度五十三年度が第八次道路計画ということだろうと思うのです。その機会に、この道路法もやはり改正をして環境保全というものを一項目入れて、そして法的に整備された中から日本の国土道路整備をした方が、私はいいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、道路局長、手を挙げておるが、あなたに聞いても、しようがないのだけれども、まあいい。
  92. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘道路法の中に環境に対する明文がないということで、前から御指摘いただいているわけでございますが、沿道環境対策につきましては、御承知のように今日では道路行政の中の最大の課題の一つということで、従来から道路計画の策定に際しては十分配慮しておりますほか、御承知のように遮音壁だとか環境施設帯だとか、そういったものの設置による道路構造改善に努めております。また、そのほかにも高速自動車国道等の周辺の住宅に対しては防音助成を行ったり、いろいろ所要の施策を講じてきて、今後とも建設省では、こういう姿勢で道路整備をやってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、道路をつくるに際して守るべき環境基準というものは、また別途の法律でも基準が定められておりまして、現在は、その基準目標にして道路整備をやっておるわけでございます。道路本法の中に、そういう条項があれば望ましいと思いますが、このため立法措置を、いますぐ、するかどうかにつきましては、なお十分に前向きで検討してまいりたいというふうに考えております。
  93. 岡本富夫

    ○岡本委員 道路法の中に、そういった環境保全といったものがあれば望ましいと、あなたもおっしゃる。また、そうでなければ、いままでと同じようなことになってしまう。いよいよ来年、第八次ですからね。その計画の中に、いままでも配慮してないとは言いません。口での配慮あるいは指導配慮というものは出ているわけです。ところが、いま、どうしようもなくなっているという現状が、あちらこちらにあって、そして緊急に防音壁をつくってみたり、あるいは中にはトンネルをつくってみたり、いろいろなことをしている。これは財政措置は、やはり私は法律に基づいてされると思うのです。したがって道路局長としては、なかなか、そこからもう一つ先の答弁はできないと思うのですが、大臣の方から指針をひとつ与えていただくように、次の国会に、ちょうど第八次は来年でありますから、各省とも打ち合わせをしなければいかぬと思いますが、そういう方向で検討して法改正に持っていこうという確たる、ひとつ答弁をいただきたい、こういうように思うのですが、いかがですか。
  94. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 環境保全ということは岡本さんに、さんざん、いろいろ言われておりますし、御承知のように道路問題は、何も公共事業をやるのに環境保全を考えなくて、今後、何事だって進むものは一つもありません。でありますから、今度の環境アセスメントも、それを基礎として、ある法案の上に法案をつくるんだから、その法案の調整をどうとるか、そういうことで、いま、いろいろやっておるところでございますので、別に道路法になくても他の法案にあるので、環境のことを行う場合には、これをしなければならぬぞという法案があるのですから、その法案を無視してはできないのですから、もう別に、これに入らなくとも、こちらの法案で、後からできる新しい法案で、きちんとやられますから同じことでございますが、まあいずれにしても、お聞きしておいて、できるなら、そういうふうにいたしましょう。
  95. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも大臣、環境アセスメントも、いよいよ、できるんだからとおっしゃる。ところが、これに反対しているのは建設省なんですよ。ここまで出ていったんじゃ時間がありませんが、都市局長がえらい反対しているんです。都市局長建設省局長だ。だから、どうも言うところに矛盾があると私は思うのですね。ですから、ほかに法律があるんだから、これに入れなくてもいいという考えで今日まで来たからこそ、いろいろと問題が起こっておると思うのです。だから、ひとつ大臣、あなたの下の局長も、これは望ましいという話ですから、あなたも望ましいんじゃないかと私は思うのですがね。したがって各省とよく調整をとって次国会ぐらいには検討を進めてやろうというぐらいの、ひとつ前向きの御答弁をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  96. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 できる限り、可能な限りということでしょうけれども、いずれにしても屋上屋を架すると、本当にむずかしい問題が出てくるのであって、いまも環境アセスメントの話が出たように、全く、いま二つもある上に、もう一つ今度、新しいのが出てくるから、それじゃ古いのは要らないのかというと、やっぱり古いものも使うんだ。使うんなら、どう調整とるんだという、こういう面の新しいのと古いのとの調整なんですよ。別に反対でも何でもないんであって、その調整さえとれれば同じことなんですよ。だから一本でいくなら一本でいくというふうにすればいいんだし、こっちの法案は、もう全部、消すなら消すようにやっていけばいいんだし、こっちの法案を新しい方へ幾分か入れればいいんだし、ちっとも、むずかしいことはないんですけれども、その調整がとれないなんというのは、われわれ政治をやる者は不思議でたまらぬと思っているんですよ。ちっとも、おかしくないんだ。  ですから現在あるんですから、現在ある上に、もう一つ、つくるんだという。それは結構じゃないですか、じゃ、つくりなさい。つくるなら、こっちの法案を今度この中へ幾分か入れたらどうだ。じゃ、それをここで、そうしようじゃないか、こういうふうにやっていける。どうも、そこらのところが食い合わないとかなんとかなんて、すり合わないなんというのは、おかしなもので、これはすり合わないも食い合わないもないんです。一つなんですから。国家をとにかく預かる以上は、建設を預かる人も環境衛生を預かる人も、一つものなんですから、一つものがなぜ、かみ合わないのですか。(岡本委員「不思議だね」と呼ぶ)不思議ですね。岡本さんも不思議だと思うのです。ですから、こんなことはちっとも不思議ではないんだから、そこのところを両方が尊重し合っていけば、もっと完全なものができていくんじゃないでしょうか。おれの方が後からできたんだから、これでなければならぬのだという。じゃ先にできているものも、これでなければならぬのだ、こうなるのであって、その辺の調整というものができないはずはないと私は考えております。ですから、これらの問題も次期国会までには、きっちりと整備をして調整を整えた上に当たって、さあできましたから、どうぞお願いします、こういうことにやりたいと考えております。
  97. 岡本富夫

    ○岡本委員 なかなか高邁な御高見を拝聴いたしましたが、これは全部、福田内閣の責任でございまして、そっちの方の政府の中のごたごたしたのを、ここで愚痴を言うてもらっても、これは仕方ないわけでございますから、いま最後に、よく各省と調整をして来国会とおっしゃったから、そのことを了承しておきます。  時間がありませんから次に進みます。  そこで道路問題について、あるいはまた都市計画について、一つの例をとりますと大阪と兵庫との間にありますところの川西市あるいは池田市、ここの市長さん、あるいは議長さんが見えまして、これは各党にも陳情いたしておるわけですけれども、この奥の方の猪名川町、川西市の奥に、たくさんな団地が、日生団地、清和台団地あるいはまた大和団地ができて、川西市の人口が約三万であったところが、いま約十万近い人数になっておる。上の、そういったところに、たくさんの団地ができた。そのために、出てくるところの道路というのですか、これが非常に少ないために、もう毎日短日、交通渋滞で、普通であれば十分もあれば行くところが一時間から二時間かかるというような状態で困っておるわけですが、これはすでに都市局の方で五十一年、五十二年に調査費が約一千万出ておると思うのですが、そこで建設省、大阪府、兵庫県、池田市、川西市の五音会議というものが行われておるはずです。その調査研究の結果、早期に事業化しなければならぬ、こういうようなことも出ておるはずなんですが、この事情がおわかりであれば、ひとつお聞きしておきます。簡単にやってください。
  98. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  国道百七十三号の実情と、その沿道の開発の実態につきましては先生御指摘のとおりでございまして、このために朝晩の渋滞が非常に激しいわけでございますが、特に猪名川上流地域の川西市それから猪名川町等の宅地開発が現在も、かなり進行中で、ここからの発生交通量が市街地に出るためには、猪名川左岸の一般国道百七十三号と右岸の主要地方道、川西−篠山線の二本で全部、処理しておるわけでございまして、非常にネックになっておる実情でございます。  これに対して抜本的な改良計画を立てなければいけないわけなんですが、御指摘のように都市局では五十一年度から街路計画充実のための調査実施しておりますし、私どもの方でも四十六年度から百七十三号の再改築、これは一次改築は一応、終わっておるわけなんですが、再改築の概略の調査を引き続き実施しておるわけでございます。  この計画は、いま大体、絵はかけておるわけでございますが、それによりますと総額約三百億かかる。わずか七キロぐらいでございますが、御承知のような実情のところでございますので、かなりな建設費がかかるわけでございます。計画が確定するまでには、まだ街路計画との調整が必要でございますが、確定してから逐次、事業実施に踏み込んでいくわけでございますが、三百億という事業量があるわけでございまして、近年の道路事業の落ち込み等を考慮しますと、その早期着工というのは、なかなか困難な実情にあるわけでございますが、新しい五カ年計画策定の年でもございます。十分前向きで、その促進に取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  99. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで時間がありませんから、要望と、それから質問に、ぱっぱっぱっと各省から答えてもらって、そして終わりたいと思うのです。また、その次にやりますけれども。  まず、そういった抜本計画というのは、これは相当むずかしかろうと思うので、一番早く、まず、たとえ少しでも緩和するには、百七十三号線と百七十六号線のバイパスの北側ですかが、まだ側道がそのままになっている。これを通すと少し緩和されるではないか。  もう一つは能勢電ですか、阪急電車の高架それから、その地域の開発。もう一つは、道路ばかりではとても無理だと思いますので、大量輸送機関の新規の施設、たとえばモノレールとか、そういう計画も総合的にやらなければならない、こう考えるのです。  もう一つは、そういった大きな計画、三百億もかかるというのでありますが、これを待っておったら、ずいぶん長い間かかりますから、できれば河川敷の上、あの猪名川という川がありますから、あの上をずっとバイパスで通せば非常に早いのではないか、こういうことも考えられるわけです。  それから、もう、すぐにやってもらいたいことは、これは警察庁ですが、能勢口と火打というところの、ちょっと幅の広いところがあるのですが、ここだけをバス優先のレーンをつくってもらいたい。それから清和台の中の広いところもバス優先とすると、皆バスで来ますから、車が少し少なくなるのではないかというようなことも考えられるわけですが、これについて建設省と警察庁から御答弁いただいて終わりたいと思うのです。
  100. 浅井新一郎

    浅井政府委員 前段についてお答えいたします。  御指摘のように、三百億の抜本計画の中から、どういうところを重点的に、まず始めるかというようなことも十分検討いたしたいと思いますし、また、さらに百七十六号との交差付近の側道の利用あるいは猪名川の河川敷の利用というような暫定的な緊急対策というような形での取り上げ方も十分あわせて検討してまいりたいというふうに考えております。
  101. 福島静雄

    ○福島説明員 御指摘のバス優先通行の規制につきましては、全般的に大量輸送機関の優先を図るという見地から積極的に推進を図ってきたところでございまして、今後も拡充してまいりたいというふうに考えているところでございます。  御指摘の兵庫県川西市の道路の問題でございますが、とりあえず私の方で現地の状況を聞きましたところ、団地から川西市の市街地をつなぐ道路、全般的には片側一車線の部分が大部分で、バスレーン設置につきましては、なかなか、むずかしい問題があるというふうな判断をしているようでございますが、私ども、まだ現地の状況につきまして詳細把握いたしておりませんので、所轄の兵庫県警察とよく連絡をとりまして、実情に即した適当な措置をとり得るかどうか、検討いたさせたいというふうに考えているところでございます。
  102. 岡本富夫

    ○岡本委員 約束の時間になりましたから、これで終わりますが、ぜひひとつ、毎日毎日の生活道路でございますので、抜本策も必要でありますと同時に、きめ細かい手当てをしていただくように特に要望いたしまして、きょうは、これで終わります。
  103. 北側義一

    北側委員長 中村茂君。
  104. 中村茂

    中村(茂)委員 五月十三日の本委員会において大臣から、既存の特殊建築物等の避難施設整備に関する特別措置法案、いわゆるビル防災法について、この国会で提案することを断念するという正式な表明があったわけでありますが、それに対して私から、そのような政府の態度は納得できない。この防火避難施設というのは人命にかかわる問題だ、この法案の制定の経過からして、この国会に提案断念ということは納得できない。こういうふうに質問したわけでありますけれども、大臣から、この国会に出すことができなくなった経過と、したがって次の機会に出すように努力したい、こういう答弁があったわけでありますが、その答弁に対しても私はどうしても納得できないということで、その措置について理事会で、ひとつ検討していただきたい、こういうことで理事会にゆだねたわけであります。  その後、理事会において私は、この国会に出すように、何といっても筋からして特別決議をしていただきたいということを主張したわけでありますけれども、いままでの経過政府も、そういうふうに言っているんだから特別決議ということはなじまないということでございまして、したがいまして、前回に引き続いて私の考え方を申し上げて、大臣の決意をひとりお伺いしたい、こういうふうに思うのです。  私、いろいろな角度から考えてみまして、この法案を政府が出すようになった、その原点、どうして出すようになったかということを大臣に、もう一度よく考えていただきたいというふうに思うのです。  この前も申し上げたわけでありますけれども、大阪の千日デパート、熊本の大洋デパート、あの大火災、特に大洋デパートなどについては御存じのように九十九名の死者、百名以上の負傷者を出したという大災害で、そのときに政府で特別に亀岡建設大臣を派遣いたしまして、そういう人災にかかわるような防火避難施設については、まず基準法を改正して、それを既存の特殊建築にまで遡及させよう。消防法を改正してスプリンクラーを設置するようにしよう。この二大方針を決めて人命を守っていこうという、この原点、それからずっと、いろいろ経過してまいりました。  その経過の中においても、こういう重要な問題でありますから、本委員会で慎重審議をやってまいりました。そして、この問題について、もっともっと検討しよう、即基準法の改正とイコールということでは、なかなかむずかしい問題があるということで、本委員会で附帯決議もいたしました。それから小委員会をつくって、小委員会でいろいろな角度から論議もしてまいりました。参議院では、次期国会には必ず出すという当時の中馬建設大臣の表明もございました。  ですから私どもは、何といっても、この国会で、人命を守るために、いわゆるビル防災法について成立させたいということで、誠心誠意、来たわけでありますけれども、いろんな事情で、この国会には出すことができなくなった、こういうことでございます。会期もここまで来れば、私も一歩下がって——いま発言する瞬間までは、筋からして何といっても、この国会へ出さなければならぬということを私は徹頭徹尾、主張してきたわけでありますけれども、もう、ここまで来れば、そうも言ってられませんから、次の通常国会ぐらいには必ず出すという強い決意を大臣に、ひとつお願いしたいと思うのです。私は、はっきり申し上げまして、そういう表明がはっきりないとすれば、この法案が出るまで、建設省から出る法案については非協力の態度をしていきたい、このくらいなつもりであります。国会も詰まってまいりましたけれども、次の国会には必ず出すというような強い態度、明確な大臣の考え方を、ひとつ表明するよう要望いたしたいと思う。
  105. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいまの中村さんの御質問の件につきましては、速やかに総合的検討を行いまして、次期通常国会に提出するようにいたしたいと存じます。
  106. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  107. 北側義一

    北側委員長 西村章三君。
  108. 西村章三

    ○西村(章)委員 まず最初に、省資源・省エネルギー政策についてお伺いをいたします。  資源有限時代と呼ばれて、その対応が迫られてから、すでに相当期間が経過をしております。世界の各国で、それぞれ緊急措置、恒久措置がとられておることは御承知のところでございますが、資源保有国であるアメリカにおきましても、カーター大統領は将来に向けて資源・エネルギーの確保、備蓄、開発、こういう観点から、石油を中心とする資源・エネルギーの使用削減、これを具体的な数字で示して、目標達成のための節約を国民に呼びかけ、税制面においても、そういう措置がなされておる。ところが、石油の九九・七%までを海外に依存するわが国におきましては、もっと積極的なエネルギー資源の節約、効率使用というものが官民一体で図られなければならないと思うのでありますが、一向に具体策が出ているように思えません。  そこで、建設行政の中においても広範囲なかかわり合いがあると思います省資源・省エネルギーを、どのようにとらえておられるのか、まず建設大臣から基本的な見解を承っておきたいと思います。
  109. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 省資源・省エネルギー、われわれ現在、生きている者の当然な義務だと私は考えます。特に建設省で省エネルギーをどう、とらえるかという点についてお答えするならば、モノレールとか、あるいは自動車の改造をするとかということを申し上げたいと思うのですけれども、それではモノレールは何で動くのだということになると電気であります。電気は何だ、これも石油でございます。そういう基本となるものは全部、石油で動いておる、ほとんど七八%が石油でございます。そういう電気を使っておるのですから、モノレールにしたといっても、やはり、もとは石油でございますから、これも省エネルギーということに入るかどうかという点については疑問だと思います。お答えとしては、そういう面は、なるべく今後は電気だとかあるいはモノレールとかに、やれるところは変えていきたいと思います、こう言いますけれども、もとは、やはり石油だということは、だれも知っているのでございますから、今後、建設省といたしましては、石油の消費状態、こういう面から、むだな消費をしないような道路のつくり方をしていくというより、お答えの方法がないのじゃないか、こういうふうに私は考えます。
  110. 西村章三

    ○西村(章)委員 政府は、資源とエネルギーを大切にする運動本部というものを設けておられまして、省エネルギー政策の推進というものを閣議決定なさっておられます。内容は、節約指導の徹底なりあるいは長期的な観点から省エネルギー型産業構造生活パターンの形成誘導、そのための基盤整備、こういったものを推進するということに決まっております。  そこで私は、建設行政の中でも省エネルギー化の図れる部門というものは、かなりあると思うのです。いまモノレールだとか、そういうお話がございましたけれども、都市計画上、可能なものもありましょう。また住宅なりあるいはビルの光熱、冷暖房の構造設備、いま、おっしゃった新しい交通システムとしてのモノレール、ガイドウエー・バス、道路におけるバイパス環状線あるいはエネルギー効率の高い建築資材、これの採用、また地域冷暖房施設、こういったものがかなりありまして、それぞれ開発なり推進をしていられると思うのでありますが、この点につきまして、もう一度お尋ねをいたします。
  111. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 もちろん御指摘のような点等等についての研究をしなければなりませんし、新しい開発をしなければならぬというので、これはもっぱら、いま、いろいろな角度から研究をしておるところでございます。したがって、お説のような点につきましては、でき得る限りの省エネルギー政策をとらなければならぬということは当然な役目だと思って、十分これにおこたえ申し上げる考えでございます。
  112. 西村章三

    ○西村(章)委員 現在、わが国のエネルギーの消費構成というものは、産業用が大体六〇%、住宅、商業用で二六%、輸送用一四%、これが大まかな数字でございます。政府の省エネルギー政策の目標では、昭和六十年度の省エネルギー率というものを昭和四十八年度基準にいたしまして九・四%、こう決められております。そのうちの住宅、商業用の民生部門では二・七%節約することになっておるわけでありますが、産業部門に比べまして相当この民生部門の立ちおくれがあるんだ、こう言われておるのであります。この二・七%の節約の目標値の達成のために、さらに今後どのような努力内容をされるのか、あるいは、この目標達成のための見通しというものは一体どう考えておられるのか、この点についてお答えをいただきたい。
  113. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いま先生お話しの中で、特に住宅関係等につきます省エネルギーの問題が重要だと思います。建設省におきましては昭和五十二年度から、予算は五十二年度千四百万円でございますけれども、総合技術開発プロジェクトというので、これは年次計画を立てて計画をする研究技術開発でございますけれども、その中に省エネルギー住宅システムの開発というのを掲げております。先ほど先生がお話しになりましたような住宅サイドの省エネルギー対策について研究を進めるということにいたしております。その結論に従って逐次、積極的な対策を講じれば、目標達成に一歩進められるだろうというように考えております。  それ以外にも、たとえば一般の研究におきましても建設省の建築研究所におきましては、ソーラー・ファウンテン・システムと称しまして、太陽熱を地下に蓄える方法の検討、それから科学技術庁等におきましては、いわゆるソーラー・ハウス、太陽熱を利用した冷暖房をやるようなシステムというようなものを勉強いたしておりますけれども、こういうものを直ちに義務づけるとか、一概に全部のものに直ちに適用するということについては、まだまだ検討の余地があるというように考えておるのが現状でございます。
  114. 西村章三

    ○西村(章)委員 技術開発なり、その促進ということは当然のことだと思うのでありますが、その大前提は、やはり消費の節減、これが私は大前提になると思います。ところが現在、下水道の汚泥、この処理につきまして、聞くところによりますと、投棄場所が少ないので重油を大量にたいて、この汚泥を処理しておる、こう聞いておるのであります。そのために非常に重油の量が消費をなされておる。莫大な費用がかかっておる。これについての実態なり改善策というものを、どのように考えておられるのか。
  115. 中村清

    中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  手元に資料を持っておりませんので、私の記憶で申し上げますが、現在は下水の汚泥は年間大体二百万立米くらいあるわけでございますが、そのうち処理方法としましては約七〇%ぐらいを埋め立てに使っておりまして、それから、あと焼却で二〇%ぐらい、一〇%ぐらいは農業の肥料といいますか、そういう方面に使っておるというふうに理解しております。  そこで、ただいま御指摘がございました汚泥の処理を処理場で焼却をするという際に、周辺に、いろいろな御迷惑をかけるではないかというふうなお話が種々ございまして、こういう点につきましては周辺に公害をもたらさないというふうなことを目的にいたしまして、そのための工事につきまして補助金を出しておるというのが現状でございます。  そこで、なおかつ汚泥の処理につきまして、これは大臣の強い御指示もございまして、農業の有機肥料として使うということにつきまして、大臣からも、いろいろ御指導を受けておりまして、私どもも、そういう方面につきましては農林省の方とも御相談をいたしまして、もっと有機的な肥料として農業用に使いたいということを、いろいろ検討中でございます。
  116. 西村章三

    ○西村(章)委員 省エネルギー政策の遂行という問題は技術開発だけでは、なかなか前進をいたしません。したがって今後、税制金融、あらゆる面におきまして、省エネルギー意欲というものを、さらに強めるような優遇措置が望まれるわけであります。同時に、わが国では、まだ建築基準が、いわゆる省エネルギーを念頭に置いたものにはなっておらない。また旧家屋の改築に際しましても、節約を促進するような行政上の支援措置というものがとられておりません。今後こういった問題を法的に全般にわたって改正、規制をしていかなければならないと思うのでありますが、この点については、どうお考えでございますか。
  117. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 これは西村さんがおっしゃるとおり私は大賛成であり、そうしなければならない、それが現代の要求であろうと考えます。したがって、今後の建築等につきましては、その点には十分配慮を加えなければならぬ。そういうことで先ほども局長からお話を申し上げたとおり、いろいろな研究機関をもって研究はしておりますけれども、まだ、その極に達しておりませんけれども、この点につきましては十分配慮しなければならぬ。御指摘の点は十分に心得ていくつもりでございます。
  118. 西村章三

    ○西村(章)委員 次に、住宅政策についてお伺いをいたします。  第三期五カ年計画に基づく政府施策住宅達成率というものは非常に低いわけであります。その主たる理由といいますものは建設立地である市町村、これが住宅建設に伴う関連公共公益施設の後追い整備のために財政負担が非常に増加をして地方財政を圧迫しておる。地方公共団体では、このために公団や公営住宅団地の受け入れには、きわめて消極的でありまして、むしろ開発指導要綱で、その抑制を図っておる、こういう実情であります。  このような現状を打開して、いわゆる住宅建設促進を図るためには、地方公共団体に特定の財源措置をとる必要があると思うのであります。これにつきまして、どのように考えておられるのか。また政府に、強力ないわゆる調整機構、こういった関連公共施設促進するための調整機構を設置して、負担軽減のために各省庁間の調整を行い得るような措置が必要だと思いますが、この点についてお答えをいただきたい。
  119. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生のお話のとおり、特に最近におきます住宅建設の立ちおくれは、大都市周辺におきまして関連公共公益施設等の負担の問題等を中心にしまして、公的も民間も余り建たないというのが一番大きな問題になっております。そのために従来そういうふうな地方公共団体の財政負担を容易にするための施策といたしまして、国庫補助率の引き上げだとか立てかえ施行制度拡充強化だとか地方債制度拡充だとか努めてまいりましたけれども、本日の小委員会の御報告にございましたとおり、そういうための特定の財源措置についても大いに検討する必要があると考えておりまして、今後、十分そういう点についての検討を加えていきたいと考えております。  それから関係各省間の調整の問題でございますが、これにつきましては昭和四十二年の六月でございますけれども、建設省、大蔵省、文部省、厚生省、自治省の間で、いわゆる五省協定というものを結びまして、そういうふうな団地開発に関連をいたしまして必要となるようなものにつきましては事業主体が立てかえ施行する。その場合に、それを市町村等が長期にわたって補助もしくは起債を受けながら取得をしていくというような制度を発足さしておりまして、この五省協定の中身の改善拡充ということに十分努めていくというのが今後も必要だろうと考えております。なお同じ建設省内でも河川、道路、下水道その他、宅地開発、住宅建設に関連する事業がございます。これにつきましては、当然のことながら、省内にも技監を長とする、そういう調整委員会を設けておりまして、これを励行してまいりたいと考えておる次第でございます。
  120. 西村章三

    ○西村(章)委員 公営住宅というものは、一種で二分の一、二種には三分の二、それぞれ補助金が出されております。また公庫、公団には、金利差に対しまして、利子補給金が、それぞれ一般会計から支出をされております。たとえば住宅公団には、五十一年度二百三十六億四千七百万円の補給金が出ておりますし、これは一月当たり月額約二万円の援助に当たると言われております。いずれも国民の税金で賄われていることに変わりはないのでありますが、公団住宅は、今日、空き家の戸数でもわかりますように非常に人気が悪い。いわゆる遠、高、狭、これは公団の代名詞になっているような状態であります。この現状を打開するために先般、公団住宅問題対策委員会というものが設置をされまして、その後、暫定対策というものが発表されておるようでありますが、この内容について簡潔に御説明いただきたい。
  121. 山岡一男

    ○山岡政府委員 大臣の御指示を受けまして、公団住宅問題対策委員会というのを昭和五十二年二月十四日に省内に設立いたしております。その後、未入居住宅問題及び長期保有土地問題を中心に、その対策につきまして鋭意、検討を進めてまいりました。現在までに十数回開催しておるわけでございますが、その中身といたしましては、当面、緊急に措置すべき事項、それから五十三年度予算措置すべき事項、その他引き続き検討すべき基本的事項、おおむね三つの方向に分けまして、検討を進めてまいっております。  そのうちで当面まず暫定的に、こうやったらどうかという結論を得ました未入居住宅問題につきまして、五月十一日に当面の暫定対策決定したという次第でございます。暫定対策内容といたしましては、当面の未入居対策の中で、計画・設計面における住宅等の改善、これは住宅を大型化するための改造を行う。それから住宅種別の変更を行う。それから魅力ある住宅団地への転換のために、専用物置、庭、駐車場等のバラエティーのあるアクセサリーをつくる。それから交通機関整備促進に努める。そういうふうなハード面と、それから入居基準の緩和といたしまして、単身者にも賃貸できる範囲を広げる。それから老人または身障者等が存在する世帯に対しましては、複数戸の住宅を賃貸または分譲するというふうな道を開く。さらに広報活動の強化に努める。主な内容はそのようなものでございます。  細目につきましては、いろいろと細かく団地ごとに視察をいたして決めたわけでございますが、大まかな筋は、そのようなものを暫定対策として実施をいたした次第でございます。
  122. 西村章三

    ○西村(章)委員 本来、住宅政策というものは立地それから家賃、規模、この三つの相反する条件を、いかに調和させるかということであるはずであります。ヨーロッパでは、この矛盾を解決するために家賃補助制度といいますか、こういうものが広く普及がなされております。ただいま御答弁のありました今回の公団住宅問題対策委員会の暫定対策内容といいますものは、いまお述べになりましたように遠、高、狭のうちの、いわば遠、狭の欠陥是正にウエートが非常に置かれておる。  そこで中間結果に続いて、この暫定対策についてお聞きしたいわけでありますが、この暫定対策というのは空き家が埋まるまでという期間になるのか。いわば、それは時限措置でありますか、それとも今後、恒久的に、こういう措置をおとりになるのか、これが一つであります。  それから、いま、いわゆる質の向上という面から大型化を、分譲に限定をして改造されたようであります。賃貸から分譲に切りかえが図られるということでありますが、値段も民間と余り変わらないほど高い。しかも、これはまだ、いまの時点では賃貸には適用されておらない、こういうことであります。これは単に公団だけの問題ではなしに、公営住宅の規模につきましても鋭意、質的な向上を図るという意味で改良がなされなければならないと思うのでありますが、これは各地方公共団体、それぞれ工夫をいたしております。若干、進んでおるとも聞いておりますが、この点につきまして、まず、お尋ねをしたいと思います。
  123. 山岡一男

    ○山岡政府委員 今回の暫定措置につきましては当面の措置ということでございまして、全団地に全部、適用するというものではございませんで、現に未入居の状態が生じている対策を講ずべき団地というものを対象にとりまして、その中でも特に五、六月ごろを実施予定期間と定めまして、試行ということで当面、暫定措置を講ずるものでございます。試行後は、その結果を見ました上で、他の、そういうふうな未入居団地にも及ぼし、適用してまいりたいと考えております。この未入居団地が当分すぐ、なくなるというふうにお答えできるような状況でもございませんので、現在のところ適用期間を限定的には考えておりませんが、そういうふうな状況に応じまして、できる限り、未入居のある限りは、そういうふうな暫定措置を講じてまいりたいと考えておるのが現状でございます。  それから、大型化を分譲に限定したというお話でございましたけれども、実は、これは現在の分譲住宅の中で残っておりますものが、たとえば二DKというふうな小さいものでございますと、これに対する分譲としての御要望が少ない。現状といたしまして、そういうふうな小さいものでは要望が少ない。大きいものでなければならないということでございますが、そのために賃貸住宅の一部を改造いたしまして大きいものにいたします。それをまた賃貸で供用いたしますと家賃そのものも相当高くなってしまいます。しかしながら逆に大きくいたしまして分譲いたしますと、三LDK、四DK等の九十数平方メートルのものに改造いたしましても千八百万円もしくは千九百万円台というふうなことで済むということでございますので、試行的に、そういうものも、あらかじめ募集をしてみまして御要望があれば、そういう切りかえをやってみたいという判断をしたわけでございます。  賃貸の大型化のお話もございましたけれども、実は逆に、これは分譲の中では三DKあたりがきらわれておりまして、賃貸ならば三DKでは要望があるというものがございます。そういうものにつきましては、むしろ分譲から賃貸の方へ切りかえまして、分譲で予定しました三DKを賃貸の方へ切りかえるというふうな措置も、あわせて試みることにいたしております。なお将来の問題といたしましては、賃貸住宅の大型化についても当面、努力をしなければならぬと考えております。  それから公営住宅の規模も、先ほどお話が出ましたけれども、これはもちろん、そのとおりでございまして、この五カ年計画の間に大体、平均で十二・二平方メートルは必ず大きくするというふうなことにつきましての予算上の見通し、計画上の見通しを持っておるというのが現状でございます。
  124. 西村章三

    ○西村(章)委員 入居基準の緩和につきましても、かなり工夫がなされております。たとえば単身者に二DKを開放する、この五月二十三日から実施がなされるようでございますけれども、いわゆる単身者に対しての平均居住水準というのは、五カ年計画の中では、きわめて狭いのでありますが、しかし、これは他の家族数の多い世帯との関係で、どうなんだろうかという疑問が一つ、わいてまいります。さらに複数戸の使用を認めた場合には、これはいわゆる住宅困窮者という公団法に基づく、そういう立場というものが、いびつになりはしないかという懸念があります。さらに、いま一つ、学生に、これを開放するというようなことも考えられておるようでございますが、これは一定の収入資格という面で、いろいろ疑念が出てまいります。この三点について、どういう御見解をお持ちか、伺っておきたいと思います。
  125. 山岡一男

    ○山岡政府委員 単身者の方に対します公団住宅の開放につきましては、従来から一DK、一Kにつきましては開放してまいっております。今回はやはり、そういうふうな未入居住宅が非常に多い団地ということを対象に限定いたして、試行的に実施するのでございまして、当面、一般世帯者の需要を圧迫することはないというふうに考えておる次第でございます。特に開放いたします二DKにつきましても、五十平方メートル以下という条件をつけて行いたいと考えている次第でございます。  それから学生への開放でございますけれども、これにつきましては先生のお話のように、やはり、いろいろな問題が出てまいります。一つは法律上の目的との関連の問題でございます。これにつきましては、確かに第一条に「勤労者のために」とございますけれども、「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」ということが究極の目的として掲げられておりますので、住宅に困窮しておるということのあるような学生につきまして、有権的に広義の解釈は許されるというふうにわれわれは考えております。  ただ、いろいろな問題といたしまして、今回も直接、学生に貸すということは考えておりませんで、やはり学校法人その他の法人に対しまして賃貸をいたすケースがある場合でございますが、学校法人が出てきたという場合に、実は公団法施行規則の中などで、従来は「従業員」と書いてございますものを「従業員等」と改めるような問題は出てくるかと考えております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、住宅に困窮する学生であれば、最終的に「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」という公団法の目的解釈からいたしまして、有権的には結構だというふうに考えておる次第でございます。
  126. 西村章三

    ○西村(章)委員 これは、いろいろと問題が発生をしてまいると思います。特に、住宅困窮者だとか、あるいは、現に同居する親族がある者、こういう規定がありますから、この大原則を外すことによりまして、いろいろ問題が生じてくることは火を見るよりも明らかでございます。私はそういう意味で、住宅公団の人気が悪いのは、遠い、狭いということよりも、本質的には家賃が高いことにある。むしろ、ここに問題があるんだろうと思います。空き家があるからといって住宅需要が減ったということでは決して、ないわけでございまして、むしろ、これとて増加の傾向にございます。  そこで家賃問題でございますが、家賃負担の軽減策、これは住宅宅地問題小委員会で非常によく論議をなされたところでございまして、本日も報告がなされておりましたが、その中心は、やはり現行家賃算定方式、これにあることは間違いありません。公団法を改正して、今後、個別の原価主義家賃制度、これを改善する意思があるのか。また公団につきましての、いわゆるプール制の家賃制度、これの導入について、どのように考えておられるか、承りたいと思います。
  127. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生のおっしゃいますとおり、公団の不人気の一番大きい原因は、最近、供給します住宅が高額であるということだとわれわれも考えております。公団の住宅家賃につきましては個別の原価主義というものに基づきまして、それに政策的利子補給を行っておる家賃であるということでございますけれども、やはり住宅を近くにする、もしくは住宅を大きくするということになりますと、今後ますます高くならざるを得ないという問題がございます。片一方では、建設年度の古い住宅につきまして、ずっと家賃を据え置いておりますので、相当の不均衡を生じております。この不均衡の度合いは、たとえば傾斜家賃の初年度分で比べましても八・八倍、建設原価で比べますと十四・何倍という格差がすでに生じております。  したがいまして、これの問題を抜本的に解決するには、今後、政府の応援をどの程度ふやしていくのかという問題もございますけれども、抜本的な家賃あり方についての検討が必要だということでございまして、現在、審議会で鋭意検討中でございます。  審議会の検討の中におきまして、プール制家賃制度というのは検討の素材の一つになっておることば事実でございます。しかしながら公団住宅家賃に適用することの可否につきましては、本当にコンセンサスを得るに足りるようなプール制のあり方についての激変緩和措置等の名案ができるかどうかにかかっております。本日の小委員会でも、そういう方式についての検討の示唆がございました。十二分に前向きに努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  128. 西村章三

    ○西村(章)委員 公営住宅建設率というものが、先ほど申し上げましたように非常におくれてきておるわけでございます。これは建設費の高騰ということも大きな問題点でありまして、いま都市部におきましては、公営住宅一戸を建設するに当たりまして、用地費が五百万、建築費が七百万、関連公共公益負担その他が大体五百万、一戸千七百万ぐらいが必要だ、こう言われております。これはある一面から見ますと非常に投資効率が悪いわけであります。ところが一方、マンションなり、あるいはミニ開発と言われておるような小型の建て売り住宅というものは、値段が大体一千二百万から一千三百万程度、この家というものは需要が非常に多く、購入率が非常に高いわけでございます。  そこで総理府統計局の発表によりましても、勤労者の平均貯蓄額といいますものは、いま大体二百万から三百万だ、こう発表がなされております。その貯金をもとにいたしまして住宅を購入しようとした場合に、住宅金融公庫の融資限度額四百五十万円では、なかなか足りないわけでありまして、それぞれ無理をいたしております。そこで個人の持ち家促進資金の有効活用という見地から、特定家賃住宅融資制度の個人向け版といいますか、こういう形で地方公共団体が融資制度をそれぞれ創設して、現行の住宅金融公庫の四百五十万の金額と同額以上の融資を低利で運用すれば非常にいいのではないか。質、量とも、あわせて向上が図れるし、効果も期待ができるのではないか、こう思うのでありますが、この考え方につきまして建設省の基本的な見解を伺いたいと思います。
  129. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在、公庫で融資をいたしております融資額四百五十万円と申しますのは、五十一年度の実際の融資の実績を見ますと、全体でかかりました金額の、上物だけでございますけれども四六%に当たるというのが実績でございます。先生おっしゃいますように残りの五四%につきましては、自分の頭金、これは約二三%、残りを、ほかから借りているというのが実情でございます。したがいまして、公庫の融資条件等について考慮してまいるというのが今後のわれわれの方向だと一つ考えております。  それから第二に、いま先生から御提案のございました地方公共団体の融資制度でございますが、これにつきましては相当の地方公共団体が現にやっております。ただ、その中身といたしましては、公庫融資の補てんをするもの、公庫融資に上乗せをするものというのが大宗を占めております。私ども、地方公共団体の行う融資に対しまして国がいろいろと援助をするということも一つの方向であろうかと思いますけれども、やはり低利にいたしますためには、財政投融資に対しまして現在、行われておりますような利子補給が必要でございます。地方公共団体の融資のもとと申しますのは、どうしても縁故債等が主になりまして、財政資金に比べますと相当、高利の資金でございます。したがいまして、もし国の金等で利子補給等を考えるということでございますならば、資金運用部資金等をできるだけ住宅に回して利子補給するというのが当面の方向ではなかろうかと考えております。
  130. 西村章三

    ○西村(章)委員 多くの地方公共団体で、すでに実施がなされておるということであります。いま局長は公庫融資の補完的なものだ、こういうお話でございますが、ここに東京都の住宅資金貸し付けというものがございます。これは資格といたしましては、都内に三年以上居住している者、その年齢は八十歳以下、公庫とあわせて借りることももちろん可能だ、そういうことでございますね。それから貸し付けの限度額につきましては、一般貸し付けで千二百万円、特別貸し付けで一千五百万円、その金利は一般貸し付けが五・五%で、特別貸し付けが四%でございます。償還期限は木造で二十年、耐火等で二十五年、こういう内容でございまして、いま局長がおっしゃられたものと若干、趣を異にすると思うのであります。これはなかなかよい制度でございまして、今後こういった制度を広く地方公共団体に普及をさせる方がいいのではないかと思うのでありますが、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  131. 山岡一男

    ○山岡政府委員 北海道その他、各地方公共団体で行っておりますものを中心に申し上げたわけでございますが、東京都におきましては、先生のおっしゃいますとおり公庫よりも低利で、公庫よりも多額に、公庫よりも長期に貸しておるというのがございます。これにつきましては、やはり都が相当の利子補給を行っておるという現状でございまして、実は戸数がきわめて少ないというのが現状でございます。これはやはり、そういうふうな施策を方向づけまして、たとえば公庫におきましても直ちに、そういう程度のものをやったらどうかという意見はあるわけでございますけれども、やはり最後になりまして、額をとるか数をとるかという選択の問題が生ずる場合がございます。そういう場合に、われわれいままでは、やはり財政資金の中で限度も数もという、調和のとれたあたりで考慮してまいったというような実情でございますが、今後、財政事情も少し好転するようでございます。金利も下がるようでございます。いろいろな意味で、そういうふうな面の条件の改善には努力してまいりたいと思います。  なお、東京都等が行われます、こういうようなものについて好ましいと思っておりますことは当然でございます。
  132. 西村章三

    ○西村(章)委員 公団の家賃の問題と関連をいたしまして、お尋ねしたいのでありますが、公営住宅に入居したいという希望を持っておるにもかかわらず、収入がオーバーするために入居ができない、また公団、公社では収入基準に達しない所得階層というものが私はあると思います。これらの階層は、公的賃貸住宅の恩恵を受けられないわけでありまして、このような現状を改めて、これらの人たちが平等に公共住宅に入居できるように、現行の公営住宅入居資格の収入基準、これを実情に合うように引き上げるということ、あるいはまた公団の基準を引き下げる、こういう考えにつきましてはいかがでございますか、お尋ねをしたいと思います。
  133. 山岡一男

    ○山岡政府委員 公営住宅の収入基準につきましては毎年、見直すということに最近いたしております。本年度も四月から実施するということで告示の改正を行っておりますが、第一種公営住宅につきましては四万七千円を越え八万一千円以下、これは標準四人世帯の場合の粗収入月額で見ますと十七万八百三十三円を越え、二十一万九千三百三十三円以下というようなことに相なります。第二種公営につきましては、いまの十七万八百三十三円以下ということになっておりまして、収入基準は昨年に比べて平均で二三%くらいの引き上げを行っております。そのほかに、従来の配偶者、扶養親族控除、障害者控除、老年者控除、寡婦控除等々の控除を追加をいたしまして、実質上は相当大きな収入基準の引き上げを行ったと実は考えております。  ただ、公団住宅の方の賃貸住宅の入居収入基準は、当初は募集家賃の六倍ということでございましたけれども、その後、五倍に変更いたしまして、最近では四倍にいたしております。四倍の収入でございますけれども、年収の十二分の一が十五万円以上を超える場合は、十五万円あれば、もう入居できるというような入居の基準にしておるわけでございまして、たてまえの上では、つながっておるわけでございます。  ただ問題は、現実の問題として、そういうふうな人が入りたい地域に、そういう公営住宅公団住宅家賃がつながっておるかという問題でございまして、理屈上では、そういうふうに、つながることになっておりますけれども、現実の問題として、いろいろなちぐはぐが出ておるというのは事実でございます。そういう点につきましては今後、公団の家賃適正化等々絡めまして、収入基準適正化と両々相まちまして、おっしゃるような方向を今後も保ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  134. 西村章三

    ○西村(章)委員 いろいろと改善努力を行っておられることにつきましては、私も高く評価をするものでございますが、公営住宅の収入基準の中身は、これはもう年の総収入でございまして、ボーナスから各種手当、もちろん残業手当から通勤手当、そういったものも、あるいは税金までも全部含んだ総収入でございまして、それがために八万一千円のいわゆる限度額というものを超す、こういう傾向が非常に強いのであります。  しかも最近、公営住宅家賃というのは、だんだん値上がりしてきております。昭和五十一年度で基本家賃は大体三万七千七百円だ、かように言われております。さらに傾斜家賃制度というものが採用されておりまして、現実的に当てはめてまいりますと、八万一千円という上限がございますと、いわば生活費というものは大体月額五万円前後で生活をしなければならぬ、こういう層が対象になると思います。  一方、公団の方では、いま、おっしゃっていましたように家賃の四倍以上ということになりまして、公団の方も著しく家賃が上がっておる。最終家賃七万円から十二万円というような、ばかげた家賃もあるわけでありまして、これから換算いたしますと、これは本当に、もう実情にそぐわなくなってきておるということが指摘をされると私は思います。先ほど申し上げました公営住宅に入れない人、また公団住宅に入れない人、こういう層はどんどんふえてきておる、こう考えておるのでありますが、これについて、どのようにお考えでございますか。
  135. 山岡一男

    ○山岡政府委員 公営、公団のほかにも公社というのもございます。公社の入居基準は公営住宅の収入基準を超える人ということになっております。それから公団も、先ほど申し上げましたように年額の粗収入の十二分の一が十五万円を超えれば入る資格があるということになっておるわけでございます。したがいまして、現在の公営住宅基準が収入月額十七万円になれば入れるということでございますので、大体、問題はないと思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、現実の問題としては、平均で申しますと、そういうことが言えるわけでございますが、現に目の前にある住宅について、先生がおっしゃるようなアンバランスが生じておることは事実だと思います。そういう点につきまして、先ほど申し上げましたような改善措置を今後も十分講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  136. 西村章三

    ○西村(章)委員 もう一度お尋ねをいたしますが、公営住宅の収入基準につきましては年々、変えておる、こういうことでございますが、いままでの経過を見てまいりますと大体二年ごとでございます。さらに今後、この八万一千円という現行収入基準というものを、いつごろ変えられるというお考えでございますか。お考えがあれば、お聞かせをいただきたい。
  137. 山岡一男

    ○山岡政府委員 確かに昔、二年に一遍とか三年に一遍しかやらなかった時代がございます。一昨年の国会でございましたか、収入基準については毎年度、見直しますと、この国会で私ども答弁をいたしました。必ず見直すことにいたしておるわけでございます。ただ、ことしにつきましては従来と変えまして、従来よりも、たとえば扶養親族の控除二十四万円、それから老人扶養親族割り増し年額六万円、老年者二十万円、寡婦二十万円、それから障害者二十万円、特別障害者二十八万円、基礎控除が二十四万円というふうな、非常に新しい控除をたくさん盛り込んだというふうなことを試みております。来年度も、こういうような税制等との絡みがございますので、毎年必ず検討いたしまして、引き上げる必要があったら引き上げるという方針にいたしております。
  138. 西村章三

    ○西村(章)委員 いろいろと制約がございますが、公団なり、あるいは公営住宅、公共住宅に入れる人は、まだ幸せな方でございまして、民間アパートに居住する人が、今日段階まだまだ多いわけでございます。いわゆる木賃アパート及び、そこで間借り世帯をしている人、こういう人がたくさんおいでになります。そこで私は、一つの提案でございますが、木賃アパート、民間アパート等に一定の年限、たとえば四年とか五年とか以上、居住をされている方につきましては、公共住宅への優先入居資格、これを与えるような方法というものが、公団法なりあるいは公営住宅法の改正を通じて、やれるかどうか、いかがでございますか。
  139. 山岡一男

    ○山岡政府委員 まず公営住宅でございますけれども、公営住宅の入居につきましては、特定入居というのがまずございます。特定入居と申しますのは、政令で決めた理由でございますけれども、収用された場合だとか、それから二種の方が一種に住みかえる場合だとか、同種の中で住みかえる場合だとか、都市計画法に基づくいろいろな事業の施行に伴って移転をしなければならないとかいうふうなものにつきましては、特定入居ということで入れることになっております。  それ以外のものにつきましては、やはり基準で公募というのが原則でございまして、公募した上に入居者を公正な方法で選考するということになっております。公正な方法のもとといたしまして、入居者の選考基準というようなものを施行令で定めておりますけれども、いま先生がおっしゃいましたような問題につきましては、入居者の選考基準等の中で十分読み込める話であるというふうに思っております。したがいまして、そういうようなものにつきまして、たとえば公正な方法の中に、そういうものを地方公共団体が入居基準として取り上げるということは、公営住宅は当然できると思っております。  ただ公団住宅につきましては、将来の問題は別でございますけれども、現在のところ入居者の募集につきまして、公団のたてまえは行政区画にかかわらず広く大都市地域におきまして公募をするというたてまえにいたしております。したがいまして、地域住民が限定されていないといううらみがございます。したがいまして、直ちに、そういうふうな措置が講ぜられるかどうかにつきましては十二分に検討を要すると思っております。  それから将来は別といたしまして、と申し上げましたのは、将来、公団等の住宅の管理等を地方公共団体と共同してやることが一つの検討課題になっております。所得のぐあい等によりまして、公営か、公社か、公団か、もしくは民間かというようなことにつきまして、地方公共団体の窓口で、皆さんを、そういうような振り分けをすることはどうかというような意見もございます。これは真剣に検討すべき問題だと思っておりますが、そういうふうな問題を、いまの公団の行政区域という問題との間で、どのようになるか、将来、十分な検討をした上でなければ、いま直ちに、そういうものを公団の入居基準に取り入れることはむずかしかろう、公営はいいけれども、公団はちょっと、むずかしいというのが最近の私どもの考えでございます。
  140. 西村章三

    ○西村(章)委員 現在、公営住宅入居者の中で収入基準の上限を上回っている人というのは非常に多いわけでございます。地方団体の中では、追い出し条例そういうものを制定する中で、この対策を進めているようでございますけれども、たとえて言うならば、年収一千万円以上の人もかなりおる、こういう実情にあると思います。私は、こういうものは非常に不見識でございまして、早急に是正すべきものだと思いますけれども、余り積極的に、この対策がなされておらない、こういうのが実情でございまして、建設省としても調査をして、これに適切なる対処をされることを私は強く要望しておきたいと思います。  いま局長の御答弁の中に、公募が大原則だということで、そういった民間の人の救済措置があるのだということでございましたが、公募抽せん制というのは、一見公平に見えるのでありますけれども、ある意味では偶然性があり、不公平の一面も蔵していることは否めない事実でございます。そこで住宅困窮度、これを指数にいたしまして、いわゆる点数制度、ポイントシステム、こういうものが徐々に採用されておると聞いておるのでありますが、現在どの程度、採用されておるのか。こういう制度をあまねく普及をし、制度化していくお気持ちがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  141. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在、公営住宅事業主体が二千七百から八百の間であろうかと思っております。その中には、小さいといいますか市町村の中で十軒とか二十軒とかしかないものもございます。そういうところは、どうしておられるかと申しますと、公募されましても、何のたれ兵衛さんが今度入るのだと決まっておるようでございます。しかし本当に、そういうふうな公募で抽せんをしなければならないというような事業主体は、全体のうちで大体千ぐらいあると思っております。その中で、どの程度かと申しますと、困窮度評価による選考をやっておりますのが二十五事業主体、それから困窮度評価と抽せんの併用をしておるものが現在三十五事業主体と報告を受けております。特に困窮度評価をよく採用しておられるところでは宮城県、福島県、それから東京都では特目でございますけれども、特目について東京都、大阪府、兵庫県、山口県、香川県等が非常によくやっておられると聞いております。  私どもは公営住宅の公正な選考方法ということにつきましては大いに推奨したいと考えておりまして、通達によりましても「各事業主体においては、入居者の選考に関する条例、規則等を整備し、住宅困窮の態様について、地域実情に応じた基準を設けて、これに基づき困窮度の高い者から入居者を選考することとして、一律抽せんによる選考のみに依存することのないように努めること。」というのを指導通達として流しておる次第でございます。今後も、そういう方向を助長してまいりたいと考えております。
  142. 西村章三

    ○西村(章)委員 時間がありませんので、次に進ませていただきますが、観点を変えまして、公営住宅法には第一条の目的に「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅建設」云々、こういう抽象的な表現がございます。そのことによって住環境整備がうたわれておるのでありますが、実際的な建設に当たって住環境にどのような配慮がなされておるのか。最近、聞くところによりますと用地取得難とはいいながら、用途地域を無視した公営住宅建設計画というものがなされておる、かように伺っております。私自身は必ずしも望ましいことではない、こう考えておるのでありますが、この点についてはいかがでございますか。
  143. 山岡一男

    ○山岡政府委員 公営住宅建設に当たりましては、都市計画法、建築基準法等の法令の定めるところによるほか、公営住宅建設基準、これは省令でございますけれども、この定めるところに従って行うこととしております。この公営住宅建設基準の中には、団地の位置の選定、宅地の造成、住宅、共同施設等の配置等について必要な基準を定めまして、良好な居住環境確保を図ることにいたしております。同時に必要な植樹、植栽、児童遊園、集会所、排水処理施設等につきましても実際の基準を決めておりまして、そういうものが通常の工事費を超える場合には、特例加算をする等の予算上の措置も講じまして、団地の良好な環境の保持に努力をしておるというところでございます。ただ、用途地域等の地域選定に当たりまして、やはり良好な居住環境確保するための立地の選定ということは、この基準の中にも最初に掲げておる点でございまして、そういう点につきましては十二分に配慮していただきたいと考えております。
  144. 西村章三

    ○西村(章)委員 いま用途地域における立地の選定ということについて局長から御答弁がございました。私は、ひとつ具体的に問題をお尋ねしたいと思うのでありますが、これは大阪府の八尾市における工業団地の中における府営住宅建設問題であります。若干、時間をとりますが、お聞きをいただきたいと思うのであります。  大阪府八尾市の中小企業工業団地の真ん中に、大阪府が高層府営住宅建設しようといたしまして、五十年七月に八億五千百万円で用地を買収いたしました。この計画に反対する地元工場二十四社は「反対の会」を結成して、五十一年十二月一日、大阪地裁に対し建設禁止を求める仮処分を申請いたしました。府は強行着工の方針を変えずに、警察力を動員して十二月二十四日、着工に取りかかったのでありますが、「反対の会」は抵抗の姿勢を崩さずに今日に至っておる、こういう状況であります。  こうした経過の中で、次のような問題点がございます。  一つには、この建設計画は、計画の打診から上程まで、わずか一年足らず、用地買収から入札まで半年足らず、入札は地元への説明会の一カ月前に終わっておりまして、説明会へは最も影響を受ける周辺工場の企業を呼んでおりません。  二つ目には、当該地区は住宅地に適さないとして、八尾市が昭和三十二年に工場誘致条例をつくって積極的に工場誘致をしてきた準工業地域であります。真横には中央環状線も通っておりまして、府は、こうした地域的な特殊性に対する事前調査をほとんどやらずに計画を進めてきた。しかも用地の買収につきましては五十年四月に、前年である四十九年の国土庁の公示価格をもとに買収額を決めておりまして、当時、六カ所の建設予定地の買収をいたしましたが、うち一カ所だけが時点修正しまして、四十九年の公示価格は五万五千円、五十年が五万円でありますが、前年にさかのぼって、しかも時点修正一二%を掛けた非常に高い八万九千百円と言われるような単価で購入をしております。これは当時すでに施行されておりました国土法の趣旨に反するものであり、しかも一億六千万円程度高く買っておる、こういうことでございます。  三つ目には、工業団地の中心部に住宅建設すれば、当然のことながら入居者からは騒音等に対する、あるいは工場からは日照や風害に対する苦情が出てトラブルを誘発することは明らかであります。こうした計画といいますものは、いわゆる住工分離という国、自治体を問わずに基本的な国土利用の方向に逆行するものでございまして、最初から居住環境が悪いとわかっておる地区に公営住宅をつくることは公営住宅建設趣旨に反するものだ。  四つ目には、トラブルが原因で、工場全体が移転に追い込まれるようなことになれば、これら中小企業の死活問題で、自治体が誘致しておきながら、きわめて無責任だということが指摘がなされます。  五つ目には、仮処分を申請して、いまだ地裁の判断が示されていないにもかかわらず、先ほど申し上げたように二度にわたりまして警察力を導入して着工を強行しようとした。こういう府のやり方はまことにけしからぬ、こう私は思うのであります。しかも建設に反対いたしておりますのは工場だけではなくて、近くのマンション住民も同様に反対でございまして、決して、これは企業エゴではない、かように存ずるのでありますが、これら全般にわたって国の考え方、建設省の考え方を聞かしていただきたい。
  145. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生お示しの北久宝寺住宅団地につきまして、昭和五十年度に大阪府が工場跡地を買収いたしまして計画したものでございますけれども、企業が当該府営住宅建設に反対しているということもあって、現在、工事を中止をしておるのだという報告を受けております。企業の当該府営住宅建設に反対の主な理由は、先生のおっしゃいました中で特に大きな理由としまして、府営住宅ができれば将来、騒音問題等に係る夜間作業反対などの住民運動が起こりまして、企業活動が著しく制約をせられることを懸念するというのが一番中心であると聞いております。  これに対しまして大阪府では職住近接を目標に既成市街地の中での府営住宅建設を現在、各所で進めてまいっておりますけれども、工場跡地につきましても、住宅適地であれば積極的に利用していく方針をとっております。  大阪府に言い分を聞いてみますと、当該地域は準工業地域であるということでございます。準工業地域都市計画法で定めますとおり「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域」ということになっております。したがいまして住宅の立地を禁止する区域ではございません。そういうような点から申しまして、準工業地域だから、だめだというのは、立地の位置の選定から見まして、われわれ直ちにいけないと申す理由はないように思います。  それから、特に大阪府といたしましては、そこを騒音規制地区に指定しておりまして、府条例による第三種地域ということでございます。したがいまして、その第三種区域の府条例の騒音規制を、周りの企業が守られておる限りにおいて、それ以外のクレームについては一切、府が引き受けるからといって、いま企業を説得中であるというふうな報告を聞いております。  これらは、いままで両者の言い分を聞いただけでございます。われわれといたしましては、一つには、今後の公営住宅建設につきましては、郊外の団地を求めるだけではなくて、都市内の既成市街地等におきましても、住宅に適した場所におきましては大いに活用すべきだという方針に変わりはございませんけれども、今回のケースのように、いろいろな問題がございますものにつきましては、特に今回の場合のようなものについては、係争中でもございますので、われわれ十二分に、さらに府その他についても実情を調べたいと思っておりますけれども、周辺住民の皆さんと十分に調整を図りながら慎重にやっていただくように指導してまいりたいと思っております。
  146. 西村章三

    ○西村(章)委員 これは府の基本計画の中でも本年度、住工分離をうたわれておりますし、もう一つは、府の方の見解は、近くにマンションが建っておるから公営住宅建設が可能だ、こういう考え方のようでありますが、これは全く逆でございまして、公営住宅があるからマンション建設も可能だ、私はそのように思います。仮に、この土地が民間デベロッパーによる建設でありましたならば、これは絶対に開発許可なり建築許可は出ていないはずだ、こう考えるのでありまして、私は、そのためにも、やはり強力な指導が必要ではないかと思います。ここに地図も持ってきておりますが、全く中小工業団地のど真ん中、しかも誘致をされた企業が一部、縮小した土地を府が買い取って、そこに建てよう、こういうことでありまして、建設大臣、これは中小企業振興を図る意味におきましても保護育成という意味におきましても問題があると思います。  最後に、大臣としてどうお考えになりますか、お尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 十分お話は承りましたが、調査をいたしまして、また改めて私どもの態度を決定していきたい、こう考えております。
  148. 西村章三

    ○西村(章)委員 終わります。
  149. 北側義一

  150. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず、建設大臣にお伺いをしたいのでありますが、これまで大臣は、公共事業役割りとして、それが景気回復に役立つことを強調されてこられたと思うのであります。そのお考えは今後とも変わりありませんでしょうか。
  151. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 変わりはございません。
  152. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうだといたしますと大臣、重ねてお伺いしたいのですが、国が発注する工事は、ひとり大企業といいますか大手の建設業者のみならず、下請であるとか中小零細業者から建設にかかわる労働者に至るまで、その景気回復効果が行き渡るように、政府としては細心の注意を払うべきであろうと考えるのでありますが、いかがですか。
  153. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 そのとおりでございます。
  154. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もしも国が発注する工事で、それが大手の業者のみを潤して、下請業者や、あるいは労働者が犠牲にされているというふうな事実があった場合には、政府としては現行の法律とか制度最大限に活用して、必要な改善の手を、機を失せずに打っていただけるものだと思うのでありますが、いかがですか。
  155. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 事業の実体から見て、果たして中小というものに行える事業であるか行えない事業であるか、これは事実的の面もございますので、ただ一つだけとらえて、さようでございますと申し上げるわけにはまいりません。
  156. 瀬崎博義

    瀬崎委員 少し私の質問、誤解をいただいたようでありますが、私が言っておりますのは、どうしても国の公共事業、大規模なものは大手の企業に発注される。それと、その大手業者の下請になっている業者あるいは、そこで働いている人々との間において、元請の大手の方は潤っておるけれども、下請あるいは労働者の方は、いろんな事情で犠牲にされているというふうな事実が明らかになったときに、必要な改善の手を直ちに打っていただけるか、こういうことであります。
  157. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御承知のように、業者も現在では四十三万の業者がおりまして、どんな方にも看板を掲げた方には全部行き渡るということは、なかなか可能だとは考えておりません。
  158. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では私は具体的に、現在、大きな社会問題にもなっている一つの事実について、ただしたいと思うのです。  現在、建設省の直轄工事として国道一号線の富士−沼津バイパス建設工事が行われております。これは元請が幾つかあるのでありますが、現在、私が取り上げている問題に関連しているのは新日本土木、鉄建建設、不動建設の三社であります。この三社が、かたはま産業に第一次下請をさせ、かたはま産業が第二次下構として宮川工務店に構造関係の労務工駐を再下請させているケースであります。  去年の六月から、ことしの三月末までで、二次下請であります富川工務店は、一次下請の、かたはま産業から、労務賃金が大半である工事代金締めて五千三百五十五万九千円を、もちろん何回かに分けてでありますが、そのすべてを百五十日の手形で受け取っているわけであります。もちろん宮川工務店は何回も支払い改善を、かたはま産業に頼んでいるのでありますが改善されなかった。  労務費の割合の高い下請代金は、できるだけ現金払いとして、手形がまざるときは、できるだけ期間を短くするよう、建設省は去年十一月に通達を出していらっしゃるのでありますが、この百五十日というのは、その短い期間の範囲に入るのですか。
  159. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 百五十日は長過ぎるというので、先日も業界の方々を呼びまして、そういう長い手形ではなくて、今後は少なくとも三十日ぐらいの手形より長いものは困りますということで、政府直轄の仕事だけは、そうしていただかなければ困る。他の民間の企業のことになりますと、私の方で監督はいたしますけれども、そこまでは申し上げられませんが、政府は、そういうふうに指示をしておるところでございます。
  160. 瀬崎博義

    瀬崎委員 三十日ぐらいという指示をされたことから見て、百五十日は、まさしく非常識に長いものだと言わなければなりません。  四月二十五日に、この第一次下請の、かたはま産業は倒産をしてしまったわけであります。したがって、第二次下請の宮川工務店は、約五千万円受け取った手形のうち三千八百万円が不渡りとなる始末になりました。  実は、この件については、ことしの初め、二月十九日に沼津の国道出張所長、高尾所長あてに事情を宮川工務店側が訴えているわけであります。その時点で建設省は事情を調査したのですか。申し出のあった事実を認めておったのですか。
  161. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま先生のお話しの件でございますが、発注者としてトラブルを知りましたのは御指摘のように昭和五十二年二月十九日でございました。そこで関係者から御要請がございましたので、建設省の沼津国道出張所におきましては、賃金支払い等について直接、下請業者と話し合うのは適当でないという判断をいたしまして、まず二月二十二日に関係の元請業者三社を呼んで調査、善処方を要望をいたしたわけでございます。
  162. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その元請三社は二月二十二日に事情の聴取といいますか調査を行っているわけでありますから、元請三社とも、百五十日の手形が支払われていること、その手形が現実には金融機関で割れなくなっていること等の事情は重々知っていたと思うのであります。こういう場合には元請の特定業者としては、当然のことながら業法もあるわけですから、下請の、かたはまを指導して是正させる、少なくとも、これは第一段階として、やらなければならないことだと思うのでありますが、そういう処置はとられたのかどうか。一体、具体的にどういうことが、その時点で改まったのか、答えていただきたいと思います。
  163. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま申し上げましたように最初、出張所におきまして事情の調査をいたしたわけでございます。その後、出張所から沼津工事事務所へ状況報告いたしまして、事務所におきましても関係の元請業者を呼びまして、円満に解決するよう要請をいたしたわけでございます。  その段階におきましては、下請から孫請に対する支払いも円滑に行われたような事情もございまして、一応、解決を見たかのようであったわけでございますが、その後、四月二十五日に、かたはま産業株式会社が不渡り手形を出したことによって新たな局面を迎えることになったわけでございます。  その後、建設省といたしましては、沼津工事事務所さらには中部地方建設局に関係元請業者を呼んで、いろいろ指導をしてまいりました。また、かたはま産業関係の債権者会議も開かれまして、種々協議が行われたようでございます。私どもの本日、受け取った報告によりますと、そういうような建設省指導、債権者会議協議等によりまして、労務賃金につきましては元請、これは新日本土木でございますけれども、かたはま産業や宮川工務店と話し合い、賃金の計算書を添えて請求があれば、いつでも支払う用意があるというような決定がなされておるというふうに聞いております。
  164. 瀬崎博義

    瀬崎委員 こういう事情を知った建設省としては、一応、法律に基づく指導監督の責任を果たした、そういうふうに言える状態なんですか。
  165. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 発注者の立場としては、元請、下請関係について、その関係に介入をいたしまして、元請を指導し、賃金の支払いが確保されるような措置をとったものと考えております。  なお、業法上の問題につきましては計画局長より御答弁いたします。
  166. 大富宏

    ○大富政府委員 御案内のとおり建設業法では、特定建設業者下請指導を義務づけておるわけでございます。したがいまして特定建設業者は、下請建設業者が賃金不払い、あるいは第三者に損害を与えた、あるいは法令違反があるという場合には、元請として十分の指導をやる。指導をやって、なおかつ元請の指導に従わないという場合には、建設大臣あるいは知事に、それを通報するという仕組みになっておるわけでございます。  本件は、御案内のとおり宮川工務店は大変苦しい事情のようでございますけれども、私どもは、まだ賃金不払いの事態には陥っていないように聞いております。それから、さらに元請は、その下請かたはま産業に対しましては、下請関係で違法が見られているわけではございませんが、問題は、かたはま産業が宮川工務店に対して相当の債務を負っている。逆に言うと、宮川工務店は、倒産をした、かたはま産業に対して債権を持っておるわけでございますけれども、この、かたはま産業が、その再建方針が決定いたしておりまして、その中に宮川工務店も参加しているわけでございまして、これの債権者会議の方針に従って、どうするかという問題があるわけでございますので、宮川工務店が、かたはまに持っているところの債権関係をすぐ執行するとかいう問題が、すぐ実行できるかどうかという問題があるわけでございます。私どもは、いま先生御指摘のように、元請三社が、建設業法にいうところの特定建設業者指導を十分に行ったかどうかという事実関係は、もう少し究明しなければいけないと思っております。
  167. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど官房長は、一時解決したかに見えたと言われるけれども、それは、ごくごく一部分の話であって、二月二十二日の元請三社の現地調査があった後も、同月二十八日であるとか三月三日であるとか、あるいは三月九日であるとか、本当に三日に上げず宮川工務店は、この元請三社といろいろな折衝をして事態の改善を求めているわけでありますが、これらが何一つ解決をしていないのであります。新日本土木は、なるほど五月十日に本社の専務や常務が、救済処置を行う、こういう確約をしていることは事実であります。しかし鉄建建設のごときは、出先の支店では解決を約束しておきながら、五月十一日、本社の契約審査部長目黒氏は、あなたの会社と私どもとは何らの債権も債務も存在しない、こう突き放しているのであります。こんなことが元請として許されておっていいのですか。
  168. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 私、先ほど、一時解決したかに見えましたけれども、その後さらに事態が進展をしてトラブルが発生をしたということを御答弁申し上げたわけでございます。  いま、お尋ねの元請と下請。元請が全く無責任であっていいはずはございませんで、建設省としては、それなるがゆえに何回か出張所、工事事務所、中部地方建設局、それらを通じまして元請業者に対して指導を行い、賃金の不払いがないように善処をしたつもりでございます。
  169. 瀬崎博義

    瀬崎委員 建設省が去年の十一月、まさに、この工事が行われている最中で、しかも事態の悪化が表面化しかけておったときに通達を出している。その中には「下請代金を手形で支払う場合は、一般の金融機関による引受が困難であると認められる手形を交付しないこと。」とか「元請負人は、下請負人が、倒産、資金繰りの悪化等により、下請工事の施工に関し、再下請負人、労働者等の関係者に対し、請負代金、賃金の不払等不測の損害を与えることのないよう十分指導すること。」このように、りっぱなことを通達としては出している。  問題は、これを守らせるか守らせないかの問題だ。元請三社は、すでに早くからわかっている、こういう、まさに、ずばり当てはまる事態に対して、当時から、どういう処置をとったのか。また宮川工務店は、その後、文書まで出して建設省にも国道出張所長にも善処方を要望しているのだけれども、じゃ建設省として、どれだけ、この通達や業法に忠実に元請を指導したのか。もしも二月の時点で建設省が本当によい意味での介入を行って元請を指導して、この通達どおりの行為を実行させておったならば、恐らく国から支払われた金が高利貸しのところにいったり銀行の返済に当てられたり、あるいはまた大手のもうけだけということにならないで、実際、工事をやった人に渡るような方法があり得たと思う。なぜ、そのときに国の払われる金の流れを建設省がきちんと押さえなかったのか、そこを明らかにしてほしいのです。
  170. 大富宏

    ○大富政府委員 昨年の十一月三十日、計画局長名をもって、非常に経営環境が厳しくなっている建設業については、ことに下請代金の支払いの適正化に努めるようにと非常に具体的に通達を出しております。  当面の問題の元請、下請、孫請の代金支払い関係でございますけれども、元請三社、不動建設と鉄建建設、新日本土木というのがございますが、下請である、かたはま産業に対しましては、私どもの調査によりますと不動建設は四〇%を現金で支払い、六〇%を手形で支払った。この場合の手形サイトは百五十日ということになっております。鉄建建設は現金支払いをやっておる。それから新日本土木は労賃相当については現金で支払い、手形は百二十日の手形だということで、かたはま産業のところまでは私は何ら大きい問題はないだろうと思うわけでございます。  ただ、かたはま産業と宮川工務店の代金支払い契約につきましては、現金と手形がフィフティー・フィフティー、五〇%現金、五〇%手形ということになっておりますけれども、私どもが聞いておりますのでは、宮川工務店の方から、かたはま産業の方に、ひとつ支払い期以前に手形でもいいから支払ってくれという申し出があって、その申し出に基づいて手形で決済がなされているというぐあいに聞いております。
  171. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今日の下請の苦境を知らないから、そういうことが言えるのであって、仕事のない下請にしてみれば、当初、仕事をもらうときには支払い条件等についても、工事代金についても、少少無理があっても受けますよ。しかし、この場合、もう去年の年末ごろから具体的には、かたはま産業振り出しの手形が割れなくなってきた。したがって、この宮川工務店は直接、元請三社に対して、その事情を訴えて、元請の手形を、そのまま宮川に回してくれるようにという要請まで行っている。こういうことを元請は知っているわけです。知っていて是正しなかったということになれば、この元請の責任は一体どうなるのか。その元請を指導し切れなかった政府の責任は一体どうなるのですか。
  172. 大富宏

    ○大富政府委員 先ほど答弁いたしましたとおり、元請の責任を追及するということになりますと、元請建設業者下請について、建設業法にいうところの十分な指導を行ったかどうか、指導を行った結果はどうなったかという事実関係を、もう少し究明しないことには私どもは結論は出せない、その点はもう少し十分に検討したいと思っております。
  173. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは究明した結果、国にも責任がある、元請にも責任がある、こういうことがはっきりしたときには、当然、法律によって、できるだけの手を打って事態の改善のために努力しますね。
  174. 大富宏

    ○大富政府委員 調査の結果、元請建設業者に有責の問題があるということであれば、建設業法に基づいて、しかるべき措置をとりたいと思います。
  175. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もう一つ具体的に聞いておきますが、その場合、建設業法の四十一条等で、実際、宮川工務店の支払いのほとんどが、八〇%から九〇%が労務賃金であるようでありますし、元請三社は特定業者、こういうところから当然、賃金部分については元請業者が、その全額を立てかえ払いする、こういう方向で建設省は勧告、あるいは勧告に従わなければ指示を出すというふうなことをしていきますね。
  176. 大富宏

    ○大富政府委員 大部分が労賃だと私どもは聞いておりますけれども、一体どのくらいの労賃であるか、もう少し調べたいと思っております。(瀬崎委員「あった場合は」と呼ぶ)あった場合は当然しかるべき措置をとりたいと思います。
  177. 瀬崎博義

    瀬崎委員 中小企業庁、来ていますね。  建設業法によれば中小企業庁長官も中小業者である下請負人の利益保護のため、こういうトラブルが起こってきたとき、必要に応じて元請負人、下請負人から取引に関する報告を徴するとか、あるいは立入検査をすることができるようになっています。私は、そういう点では今度は下請中小企業を保護するという立場から、ここまできた本件について一応やはり事情の聴取、少なくとも報告を徴取する等は中小企業庁としても、やるべきであると思いますが、いかがですか。
  178. 和田文雄

    和田説明員 ただいま、お話を伺ったばかりで実態がよくつかめていないわけですが、いままでの御審議の様子を伺っておりますと、建設省の方で大分、調査も進んでおるというふうに理解しておりますので、中小企業庁としましては新たに立入調査なり何なりを、いますぐ、するということではなしに、建設省調査の結果を十分お聞きしまして、それから今後のやり方についても、建設業法の所管大臣は建設省の方になっておりますので、相談をじっくりした上で、どうするかを決めていきたいと思っております。
  179. 瀬崎博義

    瀬崎委員 建設省自身は業法に基づいて、これは当事者ですから、それなりの処置はとるし、具体的な解決を図らなければいかぬと思うのだけれども、少なくとも中小企業庁としても、この事情を調査する権限は与えられているのだから、まず調査だけは、たとえ建設省を通じてであれ事情を把握することが必要ではないか、こういう点を私は言っているわけです。それをやるのか、やらないのか。  それと同時に、そういうことに基づいて初めて現在の事態の深刻さもわかるであろうから、たとえば建設省はまだ、しばらく調査してみないと元請に勧告とか指示が出せないと言っているわけですね。また時間がかかる。その間のつなぎ融資の問題が当然、起こってくる。あるいは、かたはま産業は倒産しておりますから、関連倒産防止ということも起こっておる。こういうふうな融資面での行政指導も当然、中小企業庁は考えるべきだと思うのです。その点、当然やるべきだと思うのですが、どうですか。
  180. 和田文雄

    和田説明員 まず最初の点でございますけれども、私の答えが、ちょっと、わかりにくかったのかとも思いますが、元請企業に建設省がいま調査をやっている段階で、中小企業庁も同時に調査を始めるということになりますと、ダブりといいますか、それから、ある程度の混乱も生ずるおそれもございますので、建設省調査の結果を十分教えていただきまして、必要があれば、さらに中小企業庁として追加調査をするというようなことはあり得るかと思いますが、それから最終的に決めていきたいというふうにお答え申し上げたわけです。  それから、二番目の金融措置の問題でございますが、現在、中小企業を対象にした金融制度制度としては、いろいろなのがございまして、そのケースをお聞きした上で、できるものについては、できるだけ配慮していくようにということで、必要があれば金融機関支店等にも話をしていきたいと思っております。
  181. 瀬崎博義

    瀬崎委員 本来、元請負人が発注者から支払いを受けたときは、下請人に対しては該当する下請代金を一カ月以内で、できるだけ短い期間に支払う、こういうことが法律上も決められているし、もしも、これがきちっと守られておれば、私は今回の問題は、こんな最悪の事態を迎えなくて済んだと思うのです。こういうことが大事であればこそ、国の公共事業については、とりわけ元の支払いは現金だし、そう、おくれはしないのですから、こういうことが、きちきち下請まで流れていけばいいわけですね。そういう意味もあって、建設省の通達にまで、これはなっていると思うのです。あるいは先ほど大臣が言われたように、最近では手形を三十日ぐらいにせい、先月末ですか、そういうことの指導もしている。問題は、こういうことが守られておろうが守られておるまいが、要は後が全然、追跡調査もされていない。また守らない業者に対しても何らの、制裁という言葉がいいかどうかは別にして、制裁的な措置も行われない。これでは通達の出しっ放し、意味がない。  そういう点では建設省としても、国の発注する工事というのは、おのずから限定があるわけなんです。業法では、ちゃんと報告徴取もできるような権限を建設省は持っているんだから、そういう方法等を駆使すれば、国が払った金の流れが果たして、この法律や通達どおりになっているかどうか、すぐにわかると思うのです。先ほど一次下請に対する支払い問題はないと言われたけれども、これだって百二十日、百五十日の手形ですから、明らかに法律や通達には反している。こういうケースは氷山の一角、すでに私が建設省へ直接持ち込んでいるトラブルというのは非常に多いわけです。そういう点について建設省は一度、報告等を徴取して事情を調べてみるべきだと私は思うのだけれども、いかがですか。
  182. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 調べてみるべきでなくて調べているんです。ですから、それをいま調査が済みましたならば、こうなりましたと御報告申し上げましょう。ですから私が三十日と言ったのは、つい五月に……(瀬崎委員「四月二十六日でしょう」と呼ぶ)その時分でございまして、そのお話は二月だそうでございまして、そういうものを踏まえて、そういうことがあってはならないよと申し上げたんでありますから、あなたのおっしゃるのは二月の話で、私が言ったのは四月の話で、だから、そういうことがないようにしてくれよということを私の方から各業界にお話を申し上げた、こういうことでございます。
  183. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が一遍、調べてみるべきだと言っているのは、この沼津−富士間のバイパスの工事に関する部分だけではないのであって、建設省が去年、通達を出した。大臣がせんだって、また異例の要請をされた。そういうことが実際に守られているかどうかということを、業法等に基づく建設省の権限で、広く一般的に調べてみる必要があるんではないかという意味です。  具体的に言いますと、滋賀県でも県議会で似たようなことが問題になりました。現に私自身が建設省に持ち込んだ野洲川の国の直轄工事でも、元請と末端下請ダンプ業者との間でトラブルがあって、これは建設省の処理で解決されましたけれども、そういうこともあって、ごく最近ですが県は、県が発注した工事について、県の支払った金が、どのように流れていったか調査しているわけですね。その結果が部分的に公表されたんです。  大手元請五社を調査した。調べた工事は十二。下請へ、決められたとおり一カ月以内に支払われた例は一件もなかった。これが調査結果なんです。もちろん会社の名前は具体的に挙げておりませんが、A社、B社というふうなイニシアルで発表した。たとえば、ある社は三千三百八十三万円の発注工事で元請A社が十二月九日に八百八十二万円を県から前払いを受けた。十七日に、このうち三百万円を百五十日、百八十日の手形で支払い、残りは現金です。それから二月八日に現金二百十六万と手形百五十六万、これがまた百五十日の手形。こういうふうに県からは一括現金でもらっておきながら二回に分割して、それも手形は百五十日、百八十日で払うというふうな事実が公表されているんです。これは非常に間接的な表現での公表であったんだけれども、それでも、やはり元請業者に対しては相当大きな刺激になった。下請関係の業者からは大変、歓迎されているわけであります。  先ほど私が一度、報告をとって、国の公共工事を請け負った元請が、どういうふうに金を下請に流しているか、こういうことを調べてみなさいと言ったのは、こういう滋賀県でやっているようなことを、国としても、やったらどうですかという意味を含んでいるのです。県でやれることは当然、国でもやれると思うのですが、こういうことは一遍、国の方でも検討してみる必要があるんじゃないですか。
  184. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 国の直轄工事は五十年で申しますと一万六千件程度になるわけでございまして、全部について先生のお話のような調査を行うことは困難と考えますけれども、一部につきまして、ひとつ検討をしてみたいと考えております。
  185. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは、ぜひ検討して、一度、滋賀県の例もよくお調べになって、それに準ずるような措置をとられるならば、必ず、それなりの効果はあると私は思います。  次に、地代家賃統制令に基づく告示の改正の問題についてお伺いをしたいと思います。  今回、告示改正が行われまして、去年二六%引き上げに続いて、ことしもまた二六%引き上げる。この上げ方もきわめて異常であれば、同時にまた、この告示の仕方も、まことに抜き打ち的といいますか、そういう感じを、われわれは受けているわけであります。  そこで時間もないので簡単にお伺いしたいのでありますが、住宅局が出した五十二年五月の「地代家賃統制令による統制額の改定について」という文書を見ますと、住宅宅地審議会の答申の趣旨に沿って地代家賃統制令の廃止を図るというふうなことを明記しているわけですね。たとえ審議会がどういう答申を出したにもせよ、現在なお国会にも、この統制令の改正案も出ていなければ、また廃止案が出たわけではない。こういう段階で政府が、この廃止を目指して行政を行うということは国会軽視というか、法律無視というか、私は、この点については、はなはだ建設省の態度けしからぬと思うのですが、いかがです。
  186. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いま先生のおっしゃいました五十二年二月というのは、ちょっと私よくわかりませんが、建設省といたしまして……(瀬崎委員「五月ですよ、こういう通達あるだろう」と呼ぶ)五月でございますか。はい出しております。五月のどの通達でしょうか。まあ、それは別といたしまして現在、地代家賃統制令につきましては先生御案内のとおり第三次の統制令でございます。これは第二次の国家総動員法の廃止に伴いまして、経過規定で六カ月有効とされました第二次の規制の後を受けまして、いわゆるポツ勅によりまして昭和二十一年の十月一日から施行になったというものでございます。その後、二十五年、三十一年、対象の範囲を次第に狭めてまいっておりますけれども、その後も政府提案で二回、議員提案で二回、廃止の法案が国会に提出されまして審議未了になったのは事実でございます。  建設省の方針といたしましては、こういうふうなものにつきましては戦争中の残滓でございまして、現在のような世の中になりますと、行管等からの、いろいろな指摘もございますとおり、やはり廃止をすべきだというのが基本の考え方ではございます。しかしながら、長い間、統制額等について据え置いた事情もございまして、最近に至りまして少しずつ、やはり現実に合うような告示をやっておるというわけでございます。  今回の告示につきましても、昭和五十一年度の地代家賃等の実態調査をいたしまして、統制家賃の平米当たりの平均額の百六十円に対しまして統制対象外が八百二十九円、約五・二倍ということで、依然として大きな格差が見られるということでございますので、その格差を一気に縮めるということは大変なことでございますけれども、大体、昭和四十一年ごろからの目減りを何とか回復するということを基調にいたしまして、必要な最小限の計算をいたしまして二六%程度の値上げを行ったというものでございます。  改正の告示も唐突だということでございますけれども、これは実は私ども経済企画庁その他にも十分合い議をいたしまして、その結果といたしまして、やはり施行は五月中にやるのが実態に合いますので、五月の十五日に告示をさせていただいたというものでございます。
  187. 瀬崎博義

    瀬崎委員 家賃統制令については、確かに現時点で考えて、われわれだって内容については文字どおり改正すべき点はあると思う。しかし、国民生活の安定を図るという、その目的からすれば、その存在理由というのは十分あるわけです。したがって、こういう法律が現に存在するにかかわらず、これを廃止と同じような扱いで、いいかげんな告示などをしていくことは許されないと私は思うのです。特に今回の唐突さというのは、関係者が唐突に感じているわけです。ここに問題があると思う。借家人の意見も全然聞いていなければ、また家主側の意見も別に聞いたような様子もない。こういうふうな形で改正が行われるのは、まさしく異例だと思う。通常こういうものの改正に当たっては、しかるべき審議会等に諮問して、いろいろな意見を吸収するというくらいの手続はとられるべき性質だと思うのです。今後の告示改正に当たっては、法律は、統制令はあるのだから、この役割りを十分認識すること、その上に立って十分、関係者の意見を尊重しながら、唐突というふうな印象を与えないように、コンセンサスが得られるような、それだけの努力はちゃんとやることを、ここにひとつ要求したいと思うのです。
  188. 山岡一男

    ○山岡政府委員 私ども住宅施策を進めるに当たりまして、重要事項につきましては住宅宅地審議会に御相談しているのは事実でございます。ただ、この問題につきましては住宅宅地審議会の本審議会の場におきまして答申をいただいておりまして、廃止を図るべきであるけれども、当面の問題としては、やはり統制額の適切な引き上げ等は適宜やるべきだという答申をいただいておるわけでございます。したがいまして、その答申の線に沿いまして、事務的な案がまとまりました際には御報告はいたしております。審議会にも御報告をいたしまして、審議会の方からも、これにつきまして、とかくの御意見はなく、それは基本の方針だから、よろしかろうということの御了承はいただいております。正式に諮問、答申というかっこうではございませんけれども、御報告という形でお話をいたしております。そういうようなことでございます。  さらに、地代家賃統制令の運用につきましては、私ども、先生も御案内のとおり、貸し主の方、家主の方からも月に何回という陳情その他を聞いております。したがいまして、両方を判断しながら行政的態度を進めてまいったというふうに、かたく信じておりまして、必要な措置については十分とった、今後も、そういうことにつきましては十分努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  189. 瀬崎博義

    瀬崎委員 われわれは、いまの答弁とは全く逆の、借家人の意見などは全然聞かれていない、無視されている、こういう抗議を受けているわけでありますから、その点では、一方的な主観的な判断ではなしに、そういう苦情が現にあるということをよく考えて、今後の改正に当たっては民主的な手続をぜひ踏んでもらいたいと思います。  最後に、積立式の宅地建物販売業者問題についてお伺いをしておきたいと思います。  現在、積立式宅地建物販売業法の対象になっている全国業者は十一と聞いております。いわゆる大手では殖産とか太平とか電建などがそうですね。この法律によれば許可制となっているのでありますが、現在、全然許可の手続をしないまま、法律ができて六年にもなるのに、ずるずる来ているようなんですが、これでは、ある意味では建設省自身が法律に照らして怠慢だと言われることにもなりかねないと思うのです。なぜ、こういう事態になっているのですか。
  190. 大富宏

    ○大富政府委員 御案内のように積立式宅地建物販売業法というのは、四十六年の十二月に施行されたわけでございますが、それまでにも、この積立式宅地建物販売事業というのは行われておったわけでございますが、この事業を営んでいた法人は、この法律施行後一年以内に建設大臣または都道府県知事に許可を申請した場合には許可を得たものとみなすということになっておるわけでございます。  ただいま御指摘になりましたように現在、建設大臣の許可を申請している積立式宅地建物販売業者は十一社あるわけでございますけれども、これらにつきましては、法律に許可基準というのがございまして、非常に厳しい許可条件がいろいろ出ております。一つは資本金額が一定金額以上であるということ。それから二番目には、資産から負債を控除した額が資本金の百分の九十相当以上であること。三番目に、以上のほか積立式宅地建物販売業を健全に遂行するに足る財産的基礎を有すること。四番目に、法人、役員、使用人等が積立式宅地建物販売業に関しまして不正、不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。五番目に、積立式宅地建物販売契約約款が積立者の利益を保護するに必要かつ適当であること。許可をする場合に非常にいろいろ要件があるわけでございます。  十一社というのは、おおむね、この許可要件は満たしていると思いますけれども、巷間いろいろ問題になりますように、一つは給付契約締結時における工事費の見積もりとか、あるいは解約申し入れがあった場合の処置というものが明確でなかったりというようなことで、契約の実行面で購入者からの苦情がいろいろ今日までもある。問題がないわけではない、非常にたくさんあるという現状でございますので、当面、許可を留保いたしまして、個別の問題が起きたごとに業者に行政指導をやっているわけでございます。建設省といたしましても、いわば若干、行儀が悪いということなんでございますが、これらの業者が今後の事業運営をやりまして、積立者の利益を十分保護するにうみがないというような確信があれば、許可に踏み切っていきたいと思いますが、ひとつ、もうしばらく様子を見てみたいということでございます。
  191. 瀬崎博義

    瀬崎委員 様子を見る、見ると言いながら、その間に事態がよい方へ向かっている、つまり改善されているのなら、それはいいだろうと思うのです。ところが逆に、次々ときわめて深刻なトラブルを引き起こしている。この点を指摘せざるを得ないわけであります。水増し見積書や工事契約の水増し問題は依然として後を絶たない。私は、きょうは会社の名前を具体的には伏しますけれども、現に滋賀県内でも十件近くも積立金、つまり契約金等の解約返還を求めているにかかわらず、金が返されないという事態が起こってきております。  たとえば契約した工事材料を買い込んだ。だから、それを精算しないと返せないというので引っぱる。じゃその材料を引き取るからと言ったら、その材料がどこにあるのかわからない。また社員の歩合が問題になる。ところが、いろいろ聞いてみると、その社員自身が事実上まともに歩合をもらっていない。もらうどころか会社が解約の金を払わないから、自腹を切って、義理につまされたお客さんに対して解約金を一部払っているというふうな事態が現に起こっている。あるいはまた出先の営業所の所長がいたたまれないものだから、結局、所在不明になっちゃって責任者がいなくなる、話の相手がなくなる、こういうふうな事態も起こっている。  二つの点を建設省に要求したいと思うのです。一つは、先ほども話がありましたが、具体的に、それぞれのトラブルのケースを建設省が責任を持って解決すること。もう一つは、直ちに許可せよとは私は言いませんけれども、一たん許可したら永久許可になって、それが困るのだと言われるのなら、法律の方をむしろ改正して、実際、法律どおりやれるようにして、こういうトラブルをなくしていく。本来、許可にしなければならないものを許可にしないで、様子見る、様子見ると来て、だんだん悪化してきている、こういう現状だけは、はっきり認識してもらわなければいけないと思うのです。こういう点について、この時期に建設省としても、本当に、これなら積立式住宅をやっている会社の社員も安心だ、また消費者の方も安心だというふうな事態に改善してもらいたいと思うのです。  以上、答弁を求めて私は終わりたいと思います。
  192. 大富宏

    ○大富政府委員 もう先生も十分御案内のとおり、積立式宅地建物販売業の経営環境がすっかり当時と変わっているということで、有名な業者でも現在では最盛期の半分ぐらいの事業量しかない。十一社と申し上げましたけれども、当初、十二社ぐらいあったわけですけれども、もう一つは脱落している。だんだん宅地建物販売業から脱落していく傾向にあるわけでございます。  そこで先生が御指摘になりましたような問題が、いま非常に出てきているわけでございまして、私どもは、現在の法律にも、ちゃんと監督指導をするような根拠の条文もございますので、十分に個別に行政指導は現行法の枠の中で進めてみたいと思います。(瀬崎委員「法改正その他は」と呼ぶ)その点については、議員立法に基づく法律でございますが、私ども、また十分検討させていただきたいと思います。
  193. 北側義一

    北側委員長 甘利正君。
  194. 甘利正

    ○甘利委員 二点について。一点は、都市計画線引き後の問題点について、もう一点は、国土法の三本の柱の一本であると言われております遊休土地の措置について、以上、二点について御質問をいたします。  都市計画の基本理念ということになりますと、都市生活都市機能の確保、と同様に農林漁業との調和でございます。そこで区域区分、線引き後の問題点について質問いたすわけでございますが、線引きがされて、調整区域の性格づけが不明確であったと私は思うわけでございます。  調整区域は二つの面を持っている。一つの面は都市開発の調整である、もう一つの面は農業振興地域など保全区域である、こういうことでございます。この二つの面が明確に出ないというと間違いが起こる。ところが一つの面が隠れて開発の調整のみが先行してしまった。その結果として、調整区域の地価が都市的利用価額になってしまった。農業的利用価額じゃない都市的利用価額に、先行の結果、なってしまった。さらに、その結果として農業環境が、調整区域において非常に悪くなった。遊休地がたくさんできてしまった。そして農業者が納税困難に陥ってしまった。こういうことが起こっておるわけでございます。  次に、市街化区域内には、どういう問題が起こったか。これは市街化区域内の整備のアンバランスの結果として、集中されたところには地価の急騰が起こってしまった。さらに、公共投資の効率が低下してしまった。要するに市街化区域において都市再開発、区画整理、これが並行して行われるということについて欠陥があったと言わざるを得ない。ために、こういうことが起こってしまった。そして、さらに市街化区域の面積と公共投資の見通しに大きな食い違いがあった。この結果どういう状態が起こったかと申しますと、広範な農地と宅地並み課税の矛盾がますます拡大されていく、こういう状態が起こっておるわけでございます。  こういう点については、恐らく私と認識が同じじゃないかと思うので、もう一度もとに戻ります。  線引きが行われますと、十年内に市街化を図るところ、そして十年間は市街化を抑制するところ、このように分かれるわけでございます。ところが、単純に市街化が進むと、どういう状態が起こるか。東京二十三区、川崎、横浜のような市街地がふえていくだけでございます。居住環境確保など思いも寄らない、都市機能など確保はできないと言わざるを得ない。その結果として昨今は自治体が、どういうことをやっておるかと申しますと、居住環境を守るために、自然環境保全法に基づいて環境条例、この条例によって緑の協定を結んで、少なくとも開発地域は二〇%以上の緑地率を求める、こういうことをやっているというのが実態でございます。  そこで私は、ここで申し上げたいのは、すでに市街化区域、旧市街地、そして新しく市街化を進める地域、これを称して市街化区域と言うわけでございますが、市街化区域が設定されたときに、その市街化区域の中には三〇%の緑地が位置づけられていた、求められていたんだ。そして既成市街地の周辺の市街化区域は開発の余地はないほど、極端に申すならば面積の少ない都市化の進んだ自治体においては既成市街地が八〇%で緑地率は二〇%である。そういうところに居住環境など、あるのかないのかということを考えたときに、こう言わざるを得ないと思うわけでございます。  ところで市街化区域の中において、その緑地の確保、これはいろいろありますが、長くなりますから、農業者に関係があるところだけ申し上げますと、現状は、相続税特別措置による二十年の農業の約束、これで緑化が保たれている。さらに生産緑地法、自治体の農業地域指定等によって、農家による緑地の確保がなされている、こういう状態なんです。この状態の結果、さきの状態と今度の状態と合わせたものといたしまして、調整区域について、また、もう一度申し上げますと、調整区域は私よく存じていないわけでございますが、宅地審議会が第六次答申しておりますが、間違っていたら訂正いたします。そのときに、農林地として保存すべき保存区域と調整区域の二つに分けて答申しているということを聞くわけでございますが、そうだとすると、その分けるということは確かに正しかった。したがって調整区域の大部分が農業振興区域等に指定されて、残った部分が都市開発の調整区域になる、こういうことでなければいけなかった、調整区域にこの二面を持たせなければいけなかったというふうに考えるものでございます。  これらの結果といたしまして、現行の区域指定で、いろいろの問題に対して、どういうことが言われておるかと申しますと、地域住民並びに関係者の最大の不満、そして土地所有者等の今度は不安の要因がどこにあるかということになりますと、残念ながら区域指定等、計画の硬直性にあるのではなかろうか。したがって諸制度の抜本的な改革と同時に弾力的な対応が必要であろう。そして、このむずかしい土地問題が解決されなければならぬのではないかと私は思うわけでございます。  たとえば一つの不満といたしますと、一本の道路をもって市街化区域、調整区域に分かれております。ただ道路が一本だけです。片方はどんどん開発が進む、片方は絶対にだめだ、こういうような点で、これらは、もう少し工夫はなかったのかという点等も考えられる。したがって市街化区域、調整区域、これを画一的に分けて動かざるものであるなどということは愚かな話であって、その十分な入れかえや制度等の新しい改正に取り組まれなければならぬのではなかろうかと私は思うわけでございますが、見解を示していただきたい。
  195. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えを申し上げます。  非常に広範にわたる問題でございますので、全部お答えできるかどうか、脱落がございましたら御指摘をいただきたいと思いますが、確かに御指摘がございましたように都市計画の基本理念としましては、法律でも、農林漁業との健全な調和を図るということと、かたがた健康で文化的な都市生活と機能的な都市活動を確保する、この二つが主な柱になっておることは御指摘のとおりでございます。  そこで順を追って、お答えを申し上げますと、まず調整区域の指定の際に農業との調整をどうするか、こういう御指摘であるかと思いますが、市街化区域は法律にもございますけれども、すでに現在、市街地を形成しておる区域、それから今後おおむね十年以内に優先的、計画的に市街化を図るべき区域、これが市街化区域でございまして、それ以外の区域は調整区域でございます。したがいまして、調整区域というのは当然、市街化を抑制すべき区域であるということになるわけでございますが、当然、問題になるのは、農業との調整という問題が線引きに際して起こるわけでございます。したがいまして現在、都市計画法では市街化区域あるいは市街化調整区域、いわゆる線引きの決定に際しまして、農林大臣と十分御相談を申し上げるということになっております。ごく最近の見直しの例について申し上げますと、農林省と、これはもちろん農政局の段階から調整が始まるわけでございますが、いろいろ御調整を申し上げまして、相当時間がかかったけれども、やっと最近、調整ができたというのもございます。そのようにいたしまして、農業との調整は十分とっておるつもりでございます。  それから二番目の問題として、市街化区域の整備と申しますか、市街化区域を整備すると地価が上がるではないか、こういうお話があったと思いますが、もちろん、ただいま御指摘がございましたように、たとえば再開発でございますとか、あるいは周辺地域につきまして計画的な区画整理をやるということによりまして宅地の供給を図る。かたがた中の地価の問題につきましては国土庁の方でも、いろいろ御苦心をいただいておるところでございまして、最近は幸せなことに地価が、そう上がっていないというふうな状況になっておるかと思います。  それから、市街化区域と公共投資が必ずしもバランスがとれないのではないかという御指摘であったかと思います。市街化区域というのは、法律にもございますように十年以内に優先的に計画的に市街化を図るという区域でございますから、当然そこに公共投資をしなければいけないということが要請されるわけでございますが、これは石油ショック以後、経済が低成長で相当、下向きのカーブになってまいった。かたがた総需要抑制といいますか需要管理というか、そういった点で公共事業も非常に抑えられてきたというふうなことがございまして、当初、予想しておりましたテンポが鈍ってまいりました。したがいまして、市街化区域あるいは、いわゆる線引きの見直しを、いま、やっておりますが、当初いろんな事情がございまして相当広い市街化区域をとったという事情もあったかもしれませんが、いま一つの理由としまして、公共投資の規模といいますか、いわゆる市街化区域の実体を備えるための投資が必ずしも予想どおり、うまく、いかなかったというふうなことがございまして、実は見直しに際しましても市街化区域の面積が、それほどふえない、いわゆる地方から上がってまいります案、必ずしも市街化区域の面積がそうふえないというふうな事情があるようでございます。したがいまして私どもは、今後、行われる線引きの見直し、これは、いままでのところ感じております範囲内では、大体、微調整の範囲内にとどまるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから、いわゆる都市の緑の問題で、ただいま御指摘があったかと思いますが、第二次の都市公園整備五カ年計画で、五十一年度を初年度にいたしまして一兆六千五百億ということで、いろいろ仕事をやらしていただいておりますが、実は都市において緑とオープンスペースを確保するための基本的方策はいかがであるべきかというふうなことで、私どもの建設大臣の諮問機関でございます都市計画中央審議会に対しまして諮問をいたしておりまして、昨年の七月二十九日に審議会から御答申をちょうだいをいたしました。それに基づきまして、去る四月一日に都道府県知事さんにあてまして通達を出しております。  その中身といいますのは、都市におきまして都市公園等の施設として整備すべき公園緑地の長期的な目標、これは大体二〇〇〇年目標ということで私ども言っておりますが、目標水準を原則といたしまして住民一人当たり二十平方メートル要るであろう。その方策といたしまして、児童公園でありますとか近隣公園でありますとか、あるいは地区公園、こういった住区基幹公園を重点に仕事をやる。そして住区基幹公園は一人当たり大体四平方メートルぐらいを目標にしようということで、そういうことを前提にいたしまして都市計画区域ごとに緑のマスタープランをおつくりいただきたいということをお願いしております。  それから先ほど、お話がありました都市の緑、この市街化区域内の緑は大体三〇%程度確保すべきではないかというお話でございますが、実はその三〇%という数字は都市計画審議会の先ほどの御答申の中にもあるわけでございまして、この三〇%といいますのは市街化区域内において保全すべき緑地の目標水準といたしまして、まず市街化区域内の緑地、それから市街化区域内の緑地だけではなくて周辺を含めまして、周辺の緑地でございましても市街化区域内の緑地と同じ程度の評価を与えてもいいようなものも周辺にあるわけでございますから、そういうものを含めまして、原則として市街化区域の面積に対して大体三〇%程度の緑地といいますか、そういうものを確保していただきたいということを標準として、いろいろ案の策定方をお願いをしておるわけでございます。  なお、生産緑地等につきましても、市街化区域内にそういう農地がございました場合に、できるだけ生産緑地の指定をいたしまして緑として確保する、かたがた農業経営の方も続けていくということになりますと一挙両得、両方並び立つことになりますので、生産緑地の指定ということも、これは、わりあい新しい制度でございますが、そういう制度をスタートさせていただいております。  それから、線引きの見直しということで、先ほど中間の道路で区切ってしまって白と黒はっきりと分かれてしまう、真ん中の、どちらにもつかない、こういう制度をつくり得ないかというお話でございますが、実は私ども、いろいろ検討しておりますが、制度上は、市街化区域になりますと市街化を優先的に図る、調整区域はむしろ市街化を抑制するということで、法律上の取り扱いが、ぴちっと分かれるものですから、いま御指摘の中間地帯をつくるのも一つの案かと思いますけれども、それをつくりますと、かえって混乱するのじゃないかというふうなこともございまして、現在は調整区域それから市街化区域ということで、たとえば道路とかなんとかという明確な地形地物で、はっきり区切っていただきたいという指導をしておりますので、真ん中の区間をつくるという問題につきましては、今後、長い目で、もう少し検討させていただきたいと考えております。
  196. 甘利正

    ○甘利委員 局長さん、私、これだけの資料で要約しましたので、そのまま受け取っていただけなかったと思うのですが、ただ道路一本で左右に市街化、調整と分けるというようなことは愚かな話じゃないのか。自然的条件、経済的条件、こういうもので、やるべきだったのだ、こういうことでして、だから真ん中の地域をつくりなさい、こういうことを言っているのじゃないです。道路がこうあったら、道路の両側ということを考えていいじゃないか。右側は全部市街化、左は調整なんて、道路一本隔てた、そういうことはだめなんだ。だから、そういう点、大いに見直されたらどうか。  それから、市街化区域の中に農家が求める、自然が求める緑地を、どおんと、とったらいいじゃないですか。そうして調整区域の中で保存されるものは、ぴちっと、りっぱに保存させて、そこには農外資本のうかがい得る余地もなくしてしまう。そして、そこの土地の値段は農業サイドの値段にする。そのかわり調整区域の中では、一部市街化予備地というところは、どんどん——どんどんと言うとおかしいのですが、市街化区域にされていいじゃないですか。そして弾力性を持って、おやりになったらどうですか、こう言っているのでございまして、真ん中の何のというようなことではございませんので。
  197. 中村清

    中村(清)政府委員 補足させていただきたいと思いますが、ただいま私が申し上げましたのが、ちょっと舌足らずでございましたが、線引きの際の表示の方法として、たとえば道路とか、そういう明確な地形地物を使えということでございまして、どういう地域を市街化区域とし、あるいは、いかなる地域を調整区域にするかという問題は、御指摘のように当然、都市の発展の動向とか将来、人口がどういうふうになるのであろうか、あるいは交通がどうなるであろうかということを見通した上で総合的に考えるべき問題であるかと思いますので、その点は先生のおっしゃるとおりだと思います。     〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕
  198. 甘利正

    ○甘利委員 次に、国土法の三本の柱の一本でありまする遊休土地に関する措置について御質問をいたしますが、質問の前に「有効かつ適切な利用を特に促進する必要がある」と「特に促進する」が入っているのです。この「特に」を取ってしまうと「促進する必要がある」というだけのものは、一体これから行政的に、どうされるのかという点に触れていきたい、こういうわけでございます。それが焦点でございます。  そこで質問に入ります。いまの経済状態は安定低成長というまでにはいかない、非常に横ばい的な成長経済ということでございますから、土地を、これから新しく取得して三年間使わなかったというような事例は、まず皆無ではなかろうか、私はこう思います。そして、この遊休地指定条項があるというと、三年間も使わないならば遊休地として勧告を受けるぞということが、将来、抑止的な働きがあるではないかということも考え得ないことではありませんが、御承知のように、土地の取引については厳しい規制が他の条項で、なされている。届け出それから指定すれば許可ですから、そこが働きますから、将来は遊休地に指定されるという土地は、もうないと私は思うんですね。  そうだといたしますと、今度は附則の二条でございますが、あれはもう期限切れでございますから、附則の二条全部は歴史的空洞化ということでしょうね。こうであったという法律の歴史を示すだけでしょうね。そういうことになる。そうならないということだったら、それはまた見解の相違ですが、そういうことになる。  そうしますと国土白書、大変よくできておりまして、私も一読して感心したわけです。また読ましていただきますが、取引が行われた。しかも一定規模、二千平米、五千平米、一万平米以上であるというところの遊休地、しかも登記が行われている。仮登記じゃない。それは三十万ヘクタールですか、とおっしゃっている。そうすると仮登記のものはまだありますな。たくさんある。(「いっぱいある」と呼ぶ者あり)いっぱいありますか。それから今度は一定面積以下のやつ、これはやはり、いっぱいあるんじゃないですかな。それから、いわゆる耕作放棄というやつですね、これもたくさん、あるのじゃないかと思う。  そうすると、どのくらい、これがあるかということは私にはわからないのですが、それは国土法では一切、置き去りである。しかし、そういう土地を有効的に使うということで、土地利用計画で、その刺激を与えるということならば国土法と関係がありますが、何か知らぬけれども、三本の柱の一本が、片方の面においては歴史的空洞化であり、片方においては抑止効果といったって、それもないというようなことだと、何か三本の柱の一本がそんな状態だというのは非常にさびしいような気がするというのが一つ。それともう一つは、置き去りにされた未利用地を、どういうふうに利用への刺激をされるか、こういうことをお尋ねしたいわけです。
  199. 松本作衛

    松本(作)政府委員 ただいま国土法による遊休地の制度が、一つは本則の適用というのは余りないのではないか。二番目には、附則の適用は、すでに終わったものであって、それは過去のものになりつつある。第三番目に二千、五千、一万という基準以下のものについては国土法については何も触れておらないのではないか。したがって国土法による遊休地の制度というのは実質上の効果は非常に薄いものではないかというふうな御指摘であったと思います。  第一番目の国土法による本則の問題につきましては、確かに最近の土地取引につきましては、あらかじめ遊休地になるような取引が行われるという事例は非常に少ないということは御指摘のとおりかと思います。しかし、この土地取引規制の制度を設けました趣旨からいたしまして、一般の土地取引というものが、当初、審査をしました時点では必ずしも利用目的等が十分に明確でないということが、三年後に明確になってくるというふうな事情も出てまいるかと思いますので、私どもといたしましては、この本則によって、取引後三年たってから、もう一度、利用状況を再確認するということは意味のないものではないというふうに考えております。また、こういうふうな制度があることによって、取引の際の利用目的というようなものも、できるだけ適正なものに保たれるというふうな効果もあろうと思いますので、まず第一点につきましては今後、決して無内容にならないように運用してまいりたいと考えております。  それから第二番目の附則の点でありますが、この点につきましては、いま先生から御指摘がございましたように、未利用のものは全体で三十万一千ヘクタールほどカウントされたわけでございますが、その中で遊休地の指定という形で、特に利用を促進すべきものというふうに指定をされましたものは全国で三百九十五件、約八百三十ヘクタールほどでございますから、必ずしも多い面積ではないということは御指摘のとおりでございます。しかし、この三百九十五件の指定をされましたものは、主として市街化区域の中において、いわゆる住宅地等の供給ないしは住宅供給に関連する公共用地の取得というような目的のものが大部分でございますので、現在の住宅用地の供給という点からすれば、それぞれの地域において効果を発揮しておるものと考えております。特に公共用地につきましては、まだ全部まとまっておりませんけれども、相当程度、学校用地等に利用するというふうな希望も出ております。これにつきましては先般、御審議いただきました今年度予算におきまして、公共用地に取得する場合には市町村に利子補給をするというふうな予算もお認めいただいておりますので、この面から特に促進してまいりたいというふうに考えております。  ただ、従来の三十万ヘクタールの未利用地の中には、いま申しましたように住宅用地だけでは利用し切れないものが非常に多いわけでございますので、それは農林地なり林業用地としての利用の促進ということも重要な中身になってくると思います。この点につきましては農林省とも打ち合わせをいたしておりまして、農林省の方におきましても、特に農用地へ活用するというようなものにつきましては、農地保有合理化法人による土地取得をいたしまして、これを農用地として活用するというようなことをやっておりまして、全国的に相当程度の面積が上がってきておると聞いておるわけでございます。  そこで三番目の、こういうふうな一定規模以下のものについて、どうするのかということにつきましては、確かに国土法の遊休地の制度からは外れるわけでございますが、先生からも御指摘がございましたように、私どもといたしましては、国土利用法に基づきます土地利用基本計画、この土地利用基本計画の運用上、できるだけ具体的に利用の促進を図っていくということを方向づけをいたしてまいりたい。しかし、方向づけだけでは、なかなか具体化が困難な面もございますから、農用地につきましては農林省の農用地の利用の促進、市街地につきましては都市地域における利用の高度化、ないしは林地につきましては林地の利用の適正化というような、いわゆる具体的な利用の問題として関係各省とも話し合いを進めながら、御指摘のような趣旨に沿って利用の高度化を進めていく必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。     〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕
  200. 甘利正

    ○甘利委員 ただいまの答弁から、三本の柱の一本、何か知らぬけれども一部は形骸、一部は直接、使いものにはならなくなったけれども、あらゆる広範な遊休地に対して、常に有効利用への刺激を与え続ける、こういうお答えでございますから、私は大変満足しました。  質問を終わります。
  201. 北側義一

    北側委員長 次回は、来る二十七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十五分散会