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中村(清)
政府委員 お答えを申し上げます。
非常に広範にわたる問題でございますので、全部お答えできるかどうか、脱落がございましたら御
指摘をいただきたいと思いますが、確かに御
指摘がございましたように
都市計画の基本理念としましては、
法律でも、農林漁業との健全な調和を図るということと、かたがた健康で
文化的な
都市生活と機能的な
都市活動を
確保する、この二つが主な柱になっておることは御
指摘のとおりでございます。
そこで順を追って、お答えを申し上げますと、まず調整区域の指定の際に農業との調整をどうするか、こういう御
指摘であるかと思いますが、市街化区域は
法律にもございますけれども、すでに現在、市街地を形成しておる区域、それから今後おおむね十年以内に優先的、
計画的に市街化を図るべき区域、これが市街化区域でございまして、それ以外の区域は調整区域でございます。したがいまして、調整区域というのは当然、市街化を抑制すべき区域であるということになるわけでございますが、当然、問題になるのは、農業との調整という問題が線引きに際して起こるわけでございます。したがいまして現在、
都市計画法では市街化区域あるいは市街化調整区域、いわゆる線引きの
決定に際しまして、農林大臣と十分御相談を申し上げるということになっております。ごく最近の見直しの例について申し上げますと、農林省と、これはもちろん農政局の段階から調整が始まるわけでございますが、いろいろ御調整を申し上げまして、相当時間がかかったけれども、やっと最近、調整ができたというのもございます。そのようにいたしまして、農業との調整は十分とっておるつもりでございます。
それから二番目の問題として、市街化区域の
整備と申しますか、市街化区域を
整備すると地価が上がるではないか、こういうお話があったと思いますが、もちろん、ただいま御
指摘がございましたように、たとえば再開発でございますとか、あるいは周辺
地域につきまして
計画的な区画整理をやるということによりまして宅地の供給を図る。かたがた中の地価の問題につきましては
国土庁の方でも、いろいろ御苦心をいただいておるところでございまして、最近は幸せなことに地価が、そう上がっていないというふうな
状況になっておるかと思います。
それから、市街化区域と公共投資が必ずしもバランスがとれないのではないかという御
指摘であったかと思います。市街化区域というのは、
法律にもございますように十年以内に優先的に
計画的に市街化を図るという区域でございますから、当然そこに公共投資をしなければいけないということが要請されるわけでございますが、これは
石油ショック以後、
経済が低成長で相当、下向きのカーブになってまいった。かたがた総需要抑制といいますか需要管理というか、そういった点で
公共事業も非常に抑えられてきたというふうなことがございまして、当初、予想しておりましたテンポが鈍ってまいりました。したがいまして、市街化区域あるいは、いわゆる線引きの見直しを、いま、やっておりますが、当初いろんな事情がございまして相当広い市街化区域をとったという事情もあったかもしれませんが、いま一つの理由としまして、公共投資の規模といいますか、いわゆる市街化区域の実体を備えるための投資が必ずしも予想どおり、うまく、いかなかったというふうなことがございまして、実は見直しに際しましても市街化区域の面積が、それほどふえない、いわゆる
地方から上がってまいります案、必ずしも市街化区域の面積がそうふえないというふうな事情があるようでございます。したがいまして私どもは、今後、行われる線引きの見直し、これは、いままでのところ感じております範囲内では、大体、微調整の範囲内にとどまるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
それから、いわゆる
都市の緑の問題で、ただいま御
指摘があったかと思いますが、第二次の
都市公園整備五カ年
計画で、五十一
年度を初
年度にいたしまして一兆六千五百億ということで、いろいろ仕事をやらしていただいておりますが、実は
都市において緑とオープンスペースを
確保するための基本的方策はいかがであるべきかというふうなことで、私どもの
建設大臣の諮問
機関でございます
都市計画中央審議会に対しまして諮問をいたしておりまして、昨年の七月二十九日に審議会から御答申をちょうだいをいたしました。それに基づきまして、去る四月一日に都道府県知事さんにあてまして通達を出しております。
その中身といいますのは、
都市におきまして
都市公園等の
施設として
整備すべき公園緑地の長期的な
目標、これは大体二〇〇〇年
目標ということで私ども言っておりますが、
目標水準を原則といたしまして住民一人当たり二十平方メートル要るであろう。その方策といたしまして、児童公園でありますとか近隣公園でありますとか、あるいは地区公園、こういった住区基幹公園を重点に仕事をやる。そして住区基幹公園は一人当たり大体四平方メートルぐらいを
目標にしようということで、そういうことを前提にいたしまして
都市計画区域ごとに緑のマスタープランをおつくりいただきたいということをお願いしております。
それから先ほど、お話がありました
都市の緑、この市街化区域内の緑は大体三〇%
程度、
確保すべきではないかというお話でございますが、実はその三〇%という数字は
都市計画審議会の先ほどの御答申の中にもあるわけでございまして、この三〇%といいますのは市街化区域内において保全すべき緑地の
目標水準といたしまして、まず市街化区域内の緑地、それから市街化区域内の緑地だけではなくて周辺を含めまして、周辺の緑地でございましても市街化区域内の緑地と同じ
程度の評価を与えてもいいようなものも周辺にあるわけでございますから、そういうものを含めまして、原則として市街化区域の面積に対して大体三〇%
程度の緑地といいますか、そういうものを
確保していただきたいということを標準として、いろいろ案の策定方をお願いをしておるわけでございます。
なお、生産緑地等につきましても、市街化区域内にそういう農地がございました場合に、できるだけ生産緑地の指定をいたしまして緑として
確保する、かたがた農業
経営の方も続けていくということになりますと一挙両得、両方並び立つことになりますので、生産緑地の指定ということも、これは、わりあい新しい
制度でございますが、そういう
制度をスタートさせていただいております。
それから、線引きの見直しということで、先ほど中間の
道路で区切ってしまって白と黒はっきりと分かれてしまう、真ん中の、どちらにもつかない、こういう
制度をつくり得ないかというお話でございますが、実は私ども、いろいろ
検討しておりますが、
制度上は、市街化区域になりますと市街化を優先的に図る、調整区域はむしろ市街化を抑制するということで、
法律上の取り扱いが、ぴちっと分かれるものですから、いま御
指摘の中間地帯をつくるのも一つの案かと思いますけれども、それをつくりますと、かえって混乱するのじゃないかというふうなこともございまして、現在は調整区域それから市街化区域ということで、たとえば
道路とかなんとかという明確な地形地物で、はっきり区切っていただきたいという
指導をしておりますので、真ん中の区間をつくるという問題につきましては、今後、長い目で、もう少し
検討させていただきたいと考えております。