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1977-03-16 第80回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十六日(水曜日)     午前十時四十四分 開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 野中 英二君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君    理事 岡本 富夫君 理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    江藤 隆美君       大塚 雄司君    瓦   力君       坂本三十次君    住  栄作君       谷川 寛三君    津島 雄二君       中尾 栄一君    中島  衛君       松野 幸泰君    渡辺 紘三君       井上  泉君    伊賀 定盛君       下平 正一君    吉原 米治君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         建設政務次官  小沢 一郎君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   神戸 芳郎君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         林野庁指導部長 須藤 徹男君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      岩崎 八男君         建設省河川局水         政課長     吉沢 奎介君         建設省河川局治         水課長     小坂  忠君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         自治省財政局財         政課長     関根 則之君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   谷口 是巨君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     谷口 是巨君 同月十四日  辞任         補欠選任   井上  泉君     大出  俊君   渡部 行雄君     武藤 山治君   古川 雅司君     近江巳記夫君   甘利  正君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     井上  泉君   武藤 山治君     渡部 行雄君   近江巳記夫君     古川 雅司君   田川 誠一君     甘利  正君 同月十五日  辞任         補欠選任   谷口 是巨君     岡本 富夫君   瀬崎 博義君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   岡本 富夫君     谷口 是巨君   不破 哲三君     瀬崎 博義君 同月十六日  辞任         補欠選任   古井 喜實君     瓦   力君   森山 欽司君     津島 雄二君   矢野 絢也君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   津島 雄二君     住  栄作君 同日  理事岡本富夫君同月十日委員辞任につき、その  補欠として岡本富夫君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二九号)      ――――◇―――――
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。  去る十日、理事岡本富夫委員辞任により、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、理事岡本富夫君を指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 北側義一

    北側委員長 次に、内閣提出治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川寛三君。
  5. 谷川寛三

    谷川委員 私は災害襲県の育ちでございますので、子供のときから台風洪水の恐ろしさが骨の髄までしみついております。そういうこともありまして、治山治水政治根本である、国民の皆さんが安心して暮らせる郷土をつくりますことが政治の第一の使命である、私は、こういうふうにかたく信じておるものでございます。そういうことで五十二年度の予算の編成の過程におきましても、治山治水防災予算につきましては強い関心を払ってまいりました。  私から申し上げるまでもございませんが、日本は美しい豊かな自然を持っておりますが、自然災害の多発も宿命となっております。とりわけ台風洪水によります災害が非常に多うございまして毎年、数千億に及ぶ被害をこうむっておりますし、大ぜいのとうとい人命も失われておるところでございます。加えまして最近は異常豪雨とか異常豪雪異常続きとなっておりまして、台風襲地帯におきましては出水期が近づきますと、びくびくしておるような状態でございます。人心に必要以上の不安を与えている。予期し得ない突発的な天変地変に科学が挑戦しようとする時代に、相変わらず河川洪水に悩まされる、災害復旧費の獲得に血眼にならざるを得ない現状を見ますと、どうも、これは政治の貧困ではないかと言われても、しようがないというふうにも考えるのでございます。そこで私は、きょうは治山治水問題を中心にいたしまして、防災対策につきましての政府の基本的な考え方を承っておきたいと思います。  まず第一に、建設大臣に承りたいのでありますが、今度の第五次治水事業五カ年計画内容でございます。去年の台風十七号によります災害など、最近の激甚災発生状況それから増大一方の水需要に対処いたしますために、治水事業を強力に推進する必要があることは、私から改めて申し上げるまでもございません。ところで前内閣の公表したところによりますと、治水構想につきましては五カ年で八兆円の投資をするということであったように思うのでありますが、今度の五カ年計画を見ますと、総投資額は七兆六千三百億となっておりまして、大分これは姿勢が後退したのではないかというふうな印象を受けるのでございます。これで十分な治水ができるんでしょうか、承りたいと思います。また、計画の詳細な内容は、ただいま検討中であろうと思うのでありますが、計画策定の基本的な考え方、それから事業重点などにつきましても承知をしたいと思います。  同様に、治山につきまして一括して林野庁にお伺いいたしますが、今度の五カ年計画では総投資額が一兆二千億となっておりますが、五カ年計画の基本的な考え方、それから事業重点などにつきまして、お答えをいただきたいと思います。なお私は、山を治めなければ川を治めることができないと思うのでありますが、治山の方は治水事業に比べますと、いささか立ちおくれておるのではないかというふうに考えますが、いかがでございましょうか。
  6. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 お尋ねの八兆円の要求額に達しなかったではないかという点でございますが、八兆円というのは政府の原案ではなくて、われわれが要求した案でありまして、その要求した案に対して御指摘の七兆六千三百億が獲得できた。これには、われわれもかなりの苦労をしたといいましょうか、努力をしたつもりでございましたけれども、何としても七兆六千三百億において、でき得る限り今後の防災また修理等に当たっていきたい、こう考えるわけであります。  また、現在の五カ年計画の四兆五百億というもみから見ますと大体、二倍に相当するものでありまして、これらの完遂によって治水施設整備だとか、あるいは相当程度推進が行われていくというように考えられるのであります。したがって、事業実施に当たりましては災害実態用水不足実情、こういう面を十分に勘案して、そして緊急を要する事業について重点的かつ効率的な執行に当たっていきたい、そして治水施設整備推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  7. 栂野康行

    栂野政府委員 第五次治水事業五カ年計画は、どこに重点を置いて内容を組み立てておるかという御質問でございます。  昨年を初めといたします最近の災害実態並びに用水不足実情にかんがみまして、治水施設整備を大きく推進する必要があるというふうに考えるわけでございます。このため治水事業の五カ年計画におきましては、次に申し上げます事項重点を置いて促進を図るよう検討を進めているところでございます。  第一点としましては、まず中小河川都市河川、いわゆる整備が著しく立ちおくれておりまして災害も非常に大きいという、これらの中小都市河川整備を積極的に進めていきたい。第二点としましては、いわゆる土砂害によりまして、水害で多くの人命が奪われておるわけでございます。そういう実態に即応しまして土砂害対策というものを推進していきたい。それから大河川におきましても、昨年の長良川の決壊というふうなことにかんがみまして、いわゆる重要河川治水対策というものも一層、推進していきたいということでございます。と同時に、本年度発足しました激特事業でございますけれども、そういう激甚な災害発生した河川あるいは渓流等につきまして再度災害防止するための激特事業を強力に実施していきたい。それから第五点としましては、いわゆる生活用水を初めとします増大する水需要に対処していく必要があるということでございまして、治水計画とあわせまして、いわゆる洪水調節とあわせまして多目的ダム等水資源開発施設建設を強力に推進していきたいということでございます。  以上が五カ年計画重点でございまして、こういう災害を軽減するためには、治水事業推進しまして治水施設整備を強力に進めるということが第一義でございますけれども、あわせまして流域の適正な土地利用あるいは災害時の警戒体制避難体制の充実、それらのソフトな治水対策というものを含めた総合的な治水対策というものを推進して、災害に対処するよう努めていきたいというふうに考えます。
  8. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えをいたします。  まず第五次治山五カ年計画投資規模の問題でございます、ただいま先生からお話がございましたように治山投資総額は一兆三千億でございます。これから災害関連事業費あるいは予備費を除きますと一兆三百億の投資額になります。この投資額によりまして国土保全水源涵養生活環境向上のため特に緊急を要するものを対象計画する方針でございます。この一兆三百億は現行の第四次治山五カ年計画投資額五千八百億に比べまして一・八倍に相当するものでございます。この計画の完全な達成によって治山施設整備相当程度推進されるというふうに考えております。なお事業実施に当たっては予算の効率的な執行に十分留意することによって、計画達成に万全を期してまいりたい、かように考えるのでございます。  そこで治水と大変、見劣りをしているのではないかというような御指摘がございましたが、今回の五カ年計画におきましては、五十一年度の当初を初項といたしました伸び率におきましては、治山事業が二一・九%、治水事業が二一・七%、かように相なっておるのでございます。  次に、五カ年計画重点事項でございますが、一つは、近年におきます国土の高密度な利用に伴う人家、公共施設等保全対象の増加に対応いたしまして、復旧治山事業予防治山事業治山激甚災害対策特別緊急事業地すべり防止事業等を積極的に計画をいたしまして、山地に起因する災害防止を図るということが第一点でございます。  第二点といたしまして、水不足が一段と深刻化いたします傾向に対処し、保安林改良事業等を積極的に計画いたしまして、森林水資源涵養機能向上を図るということが第二点でございます。  第三点といたしまして、都市過密化に伴います生活環境の悪化に対処いたしまして、生活環境保全林整備事業を積極的に計画をいたしまして、森林による生活環境向上を図る。以上三つを最重点事項として計画をする所存でございます。
  9. 谷川寛三

    谷川委員 ダムの問題につきましては、 この間、分科会で質問いたしましたので、次に、いま話の出ました中小河川都市河川対策につきまして伺っておきたいと思います。  最近の災害実態を見ますと、中小河川都市河川による災害が非常に多いように思います。そこで、いまお話がありましたが、この中小河川都市河川対策実施方針、それから五カ年計画実施後の整備状況はどうなるか、お聞きしておきたいと思います。  それから地元のことを申しまして大変、恐縮でございますが、私の高知市を流れております御承知鏡川、これは昨年、一昨年と大変な被害を受けました。これにつきましては五カ年計画におきまして、どのような方針改修をしてくださるのか、これは出水期をまた六カ月後に控えまして、高知市の皆さん非常に関心が強いので、具体的に伺いたいと思います。
  10. 栂野康行

    栂野政府委員 中小河川、特に都市河川でございますけれども、従来からも建設省としましては治水事業重点施策として位置づけて、その推進を図ってきたところでございます。第五次の「治水事業五箇年計画(案)」におきましても、いわゆる中小河川整備につきましては時間雨量五十ミリ相当の降雨を対象としまして、災害の著しい河川都市河川及び下水道整備あるいは宅地開発農業基盤整備事業等に関連した河川重点を置いて施行していきたいというふうに考えてございます。それで五カ年後の整備水準でございますが、中小河川としましては約二〇%程度整備率に、都市河川におきましては、できれば四五%程度まで持っていきたいというふうに現在、検討中でございます。  それから先生がおっしゃいました鏡川でございます。おっしゃいますように昭和五十年、五十一年と二年にわたりまして非常な災害を受けたということで、建設省としましても、この新年度におきましても大きく予算をつけまして、その促進を図っていきたいと考えます。それで五カ年計画においては、どの程度できるかということでございますけれども、現在、鏡川としましては下流高潮対策事業中流部におきましては激特事業、その上流におきましては災害復旧助成事業というふうに総合的に予算をつけまして、そして、その推進を図っておるわけでございます。  まず天神橋下流部でございますけれども、これは高潮対策補助事業としまして、上流激特事業にあわせまして、おおむね五十二年以降五カ年程度堤防を概成したい。それから中流部、いわゆる天神橋から廓中ぜきの区間でございます。と同時に、その支川であります神田川、吉野川につきましては、激特事業としまして五十二年度以降おおむね五カ年内には河道改修を概成させたいというふうに考えます。それから上流部の廓中ぜき上流でございますけれども、これは災害復旧助成事業としまして現在、施行中でございますけれども、五十一年度以降五カ年で河道改修を概成したい。また用地の問題など、いろいろむずかしい問題があろうかと思います。こういう点は地元の協力を得て鋭意その促進を図ってまいりたいというふうに考えます。
  11. 谷川寛三

    谷川委員 ひとつ万全な対策を講じてもらいたいと思います。  そこで、いま問題になりました激特ですが、激甚災害対策特別緊急事業、これは四十九年災から適用対象になったものと思っておりますが、その後、五十年、五十一年災と激甚災発生しております。四十九年以降、各年の激特発生額はどの程度でございましたか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  12. 栂野康行

    栂野政府委員 河川事業砂防事業、これは砂防事業には地すべりを含んでおりますけれども、それにおきます激特発生額でございますが、これは全国におきまして昭和四十九年が七百四十三億円でございます。それから五十年が六百二十四億円、五十一年が一千七百二億円ということで、この三カ年で合計三千六十九億円に達してございます
  13. 谷川寛三

    谷川委員 いま伺いましたように、激特三カ年で三千六十九億円という大変大きな額になっております。そこで激特の問題に関連いたしまして、予備費の活用問題について伺っておきたいと思います。  最近の災害発生状況から見まして、今後も激甚災が頻発するおそれの十分にあるように思いますが、この場合、激特以外の改修事業が圧迫されることになるおそれがございます。これは困るのです。また考えてみますと激特事業災害に伴いまして必要となる事業でありますし、計画的に予算化し実施する事業とは本質的に性格が違うように思うのです。そこで激甚災害発生した場合には、激特事業につきましては、たしか今度の五カ年計画では五千八百億円の予備費が計上されておると思うのでありますが、この予備費を取り崩して手当てをすべきではないかと思うのでありますが、建設省見解を承っておきたいと思います。
  14. 栂野康行

    栂野政府委員 予備費でございますが、予備費というものは予期しない災害発生に伴う、いわゆる激特事業など緊急に対策を講ずる必要がある事業が急増するなど、そういう場合に財政需要など勘案しながら、今後とも有効に使用していきたいというふうに考えます。
  15. 谷川寛三

    谷川委員 そこで、大蔵省主計官が見えておるようですが、大蔵省見解を承っておきたいことがございます。それは予防予算の強化ということでございます。  冒頭にも申しましたように、私は治山治水政治根本であるというふうに考えております。にもかかわらず、先ほど激特被害額が示されましたが、わが国は毎年のように非常に大きな災害を受けております。そうして大ぜいの人命も失われている。財産も非常な被害を受けております。こういうことを考えますと、幾ら福祉を充実しましても一度、災害に遭いますと一瞬にして崩れ去る。それからまた、災害復旧多額の経費を支出しておる。これも考えてみますと、国家経済上から見ますと非常に大きなロスであると私は考えます。そこで政府災害を事前に予防する治山治水事業に余り、けちけちしないで思い切って予算を投入すべきではないか、こういうふうに考えます。予算のバランスの問題もあることはよくわかりますけれども、私は、これが政治ではないかと思うのでありますが、この際、大蔵省のお考えを承っておきたいと思います。
  16. 西垣昭

    西垣説明員 お答え申し上げます。  まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、毎年のように災害によりまして、公共施設だけでなくて、さっきもおっしゃいましたような国民一般生命財産につきましても非常に多額被害を受けております。これは本当に財政的に損失であるだけではなくて、国民経済的にも大変な損失だと思います。それから、わが国の置かれております地理的条件でございますとか気象条件から見まして、非常に災害を受けやすいという事情も十分考慮をして、災害予防のために国土保全のための投資について努力しなくちゃならないということにつきましては、私どもも、そのとおりだと思っております。  まことに不幸なことなんですが、四十九年度、五十年度と総需要抑制のために公共事業全体を抑えざるを得なかったときに、治山治水等国土保全事業予算も、どうしてもふやすことができなかったわけでございますが、その後は五十一年度、五十二年度予算とも公共事業が伸ばせる状況のもとで、一般公共事業伸び率よりも上回る予算伸びを、国土保全のためには確保いたしておりますし、それから五十年度、五十一年度の補正の内容をごらんになっていただきましても、その相当部分国土保全に振り向けているわけでございまして、私どもとしては財政の許す範囲内で、できるだけの努力をしてきたつもりでございますし、これからも努力するつもりでございます。
  17. 谷川寛三

    谷川委員 謙虚なお気持ちがわかりました。今後とも、そういう姿勢で、やっていただきたいと思います。  そこで、最後に承っておきたいのでありますが、私は防災の要諦は、この際、危険な個所を総点検いたしまして、そして危ないところにつきましては速やかに手当てをすることであるというふうに考えております。そこで、危険な個所についての総点検につきまして、この際、承っておきたいと思います。  去年の台風の際の異常豪雨を例にとるまでもございません。これは国鉄の問題ですが、この間は上越線で落石による大きな事故がございました。こういうように日本列島危険地帯だらけだと言っても過言ではないと思います。建設省では全国直轄河川堤防の総点検実施しておられるように聞いておりますが、その実施状況はどうなっておりますか、お知らせをいただきたいと思います。それから現状で、どの程度手当てができているか。また総点検の結果を先ほどの五カ年計画に、どういうふうに反映させていくおつもりか、承りたいと思います。  それから、一括して伺いますが毎年、多くの人命なり多額財産を失わしめております土石流地すべりがけ崩れ等危険区域全国にどれくるいあるか。それからまた、これに対して、どの程度手当てをしているのか、今後の取り組み方も含めまして、あわせて伺いたいと思います。  それから時間がありませんので、もう一つ一括してお伺いしますが、直轄以外の河川につきましても、政府で指導いたしまして総点検を、この際すべきではないかと私は考えておりますが、いかがでしょう。
  18. 栂野康行

    栂野政府委員 全国直轄河川堤防の総点検でございますけれども、その内容としましては、一つ堤防それから基礎地盤現状、その履歴、それから破堤、のり崩れ、漏水等、既往の災害実態というものを、まず把握したい。第二点としまして、いわゆる河道の変遷の経緯等の情報を総合しまして必要な補足調査ども、あわせ実施しまして、安全の低い地点の選別を現在、点検しておるわけでございます。そうしまして本年秋までに一応、総点検の結果を取りまとめたいということで現在、鋭意検討中なわけでございます。それで、この総点検の結果に基づきまして、必要な補強あるいは改築という措置を逐次、実施していきたい。それで五カ年計画におきましても、緊急的に対策が必要な個所重点を置きまして、整備を図っていきたいというふうに考えます。  それから先生指摘のように毎年、地すべり、あるいは土石流がけ崩れによって多くの人命財産が失われておるわけでございます。これに対する危険区域個所でございますが、それにつきましても四十七年の調査をしておりまして、現在また、その見直しをやっておりますけれども、四十七年の調査によりますと土石流発生危険渓流というものが約三万五千カ所ございます。それから地すべり危険区域、これは建設省所管分について言いますと約五千カ所、急傾斜地崩壊危険個所が約六万カ所でございます。これらの危険個所につきます現在までの整備率というものでございますけれども土石流発生危険渓流につきましては約九%の整備を行っておる。地すべり危険区域につきましては約一二%、急傾斜地崩壊危険個所につきましては約四%を現在までに整備しておる実態でございます。  それで第五次治水事業五カ年計画におきましても、いわゆる土石流地すべり対策を、いままで以上に一層、促進を図っていきたいというふうに考えております。また、急傾斜地の崩壊対策事業つきましても、前年度よりも一・四四倍というふうに非常に重点を置いて大幅に促進していきたいというふうに考えてございます。また、人命を保護するという見地におきまして、これらのいわゆる施設の整備促進するほかに、あわせまして人命保護という意味におきまして警戒避難体制整備などの指導を強化していきたい。そのために、先ほど申し上げました危険渓流などの見直し作業を実施するとともに、あるいは、そういう指定の促進をやっていきたいというふうに考えてございます。  それから、先ほどの直轄河川だけじゃなくて、いわゆる補助河川についても堤防の総点検をすべきじゃなかろうかということ、まことにごもっともだと思います。しかし、現在のいわゆる中小河川の水害の実態というものを考えてみますと、施設の整備がなかなか進んでいないということによって堤防をあふれて、はんらんして水害が起きるというのが水害の大半であるわけでございます。したがいまして建設省におきましては、現在は、いわゆる洪水はんらんの予想区域の調査、この川は何ミリ降れば、どの程度まであふれるか、その浸水はどの程度の深さになるだろうかという調査を、いま、やっておりまして、そのデータを地元住民の皆さん方の避難をする準備あるいは適正な土地利用の一助にしていただければということで、現在そちらの方に鋭意、作業を進めておる段階でございます。  以上でございます。
  19. 谷川寛三

    谷川委員 まだ、いろいろ伺いたいこともございますが、時間が参ったようでありますから、これでやめます。ところが、いま御説明がありましたように危険個所の特に土石流地すべり地帯等につきまして手当て状況は非常に寒々とした感じがいたします。ひとつ今後とも国民の皆さんが安心して暮らせる、眠れる国土をつくっていただきますように、最大の努力をしていただきますように要望いたしまして、質問を終わります。
  20. 北側義一

    北側委員長 中村茂君。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 まず、治山治水の今回の緊急措置法の一部改正について最初に若干、質問をいたしたいと思います。  五十年度末の河川整備状況を見ますと、大河川については整備率が大体五一%、中小河川整備状況は、都市河川については二四・五%、一般河川については一〇・七%、全体として一二・八%であります。そういうことを考えてみると、最近の災害実情ども中小河川都市河川に集中されてきている。整備状況も大河川については五一%程度いっているけれども都市河川、特に一般河川などについては一〇%、こういう状況の中では、今度、五十二年度を初年度とする新しい五カ年計画の中では、この都市河川を中心にする中小河川について相当、力点を置いて整備していかなければいけないのではないか、こういうふうに思うのですが、その点の計画内容は、どういうふうになっているのですか、明らかにしていただきたいと思います。
  22. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいますように近年、前からでございますけれども中小河川、特に都市河川のはんらんが非常に大きくて、水害が激化しておるわけでございます。したがいまして、建設省におきましても毎年度の予算におきましても、これら中小河川都市河川重点を置いて、その改修促進を図っておる次第でございます。第五次の治水事業の五カ年計画におきましても、中小河川整備につきましては時間雨量五十ミリ相当の降雨を対象としまして、災害の著しい河川それから都市河川、それから下水道整備とか、あるいは農業基盤整備事業というふうに、ほかの事業と関連して施行する必要のある河川重点を置いて、事業促進を図ってまいりたいというふうに考えてございます。  それで第五次五カ年計画で、どの程度整備が進むかというお話でございますが、まず第四次五カ年計画と比較してみますと、これらの中小河川都市河川などにつきましては約二倍、一・九倍程度伸びを示しておるわけでございます。それで五カ年計画におきましては、これらの中小河川については先ほど先生おっしゃいましたように現在が約十三%程度整備率でございますけれども、これをせめて二〇%くらいまでには持っていきたいなというふうに考えておる次第でございます。その中におきまして都市河川は現在が大体二五、六%でございますけれども、これを四五%まで持っていけるかなというふうに現在、鋭意、中身を検討中でございます。  以上でございます。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 都市河川四五%というと相当整備されてくると思うのですが、そうすると全体として二〇%程度ということになると一般河川がやはり、そう整備されてこないのではないか、こういうふうに思うのです。しかし最近の災害状況を見ると、都市河川に案外、災害が集中していますから、こういう方向もやむを得ないと思いますけれども一般河川整備も、もう少し積極的にやっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  続いて準用河川でありますが、今回の法改正によって五カ年計画対象にしていただいたわけでありますが、準用河川の指定状況を見ますと、指定は相当、進んできているわけであります。しかし四十七年三月現在では準用河川の指定数は四十四、指定市町村は七、それが五十一年の八月になりますと準用河川の数が九千二百八十八、指定市町村数が九百五十六、言いかえれば、ここ五、六年の間に相当、指定されて整備が進んできたという数字を示しているというふうに思うのです。そして今回、五十年、五十一年は助成をしていただいたわけでありますけれども、今度の法改正で五カ年計画対象にする、こういうふうになってまいりますと、対象にすることによってメリットがどのくらい、どういうところに出てくるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  24. 栂野康行

    栂野政府委員 まず、準用河川をなぜ五カ年計画に入れたかということを御説明申し上げたいと思います。  準用河川改修事業につきましては先生、御承知のとおり昭和五十年度から国庫補助を行ってきたわけでございます。その後、いわゆる準用河川の重要性にかんがみまして毎年、事業量も増加させ、今後も大幅な増加を見込んでおる次第でございます。それから、この準用河川改修事業というものは、名前は準用河川ではございましても治水事業そのものでもございます。したがいまして、他の治水事業と一体として計画的に実施していく必要があるということで今回、治山治水緊急措置法の一部改正に当たりまして、この五カ年計画対象に加えて、あわせまして治水特別会計で経理するというふうになって、お願いしておる次第でございます。したがいまして、こういうものをあわせまして今後とも準用河川改修につきまして計画的に、また積極的に進めていくというふうに考えておる次第でございます。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 どうも、よくわからないのですが、形が変わっただけで、対象にしても結局は、五十年度、五十一年度で補助をしてきた、それも、そう伸びないということですか。対象にしたので、少しぐらいはメリットが出てきているのですか。
  26. 栂野康行

    栂野政府委員 本当を言いますと、五十年発足当時に五カ年計画に入れてしかるべきであったと思います。しかしながら、ちょうど第四次五カ年計画の途中でもございましたので、一般会計で処置してきたわけでございます。しかしながら、今後とも準用河川というものを五カ年で幾らの枠をもってというふうに計画的に実施していきたい、しかも大幅に伸ばしていきたいということでございまして、いわゆる五カ計画の中に組み込んでいきたいという次第でございます。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 まだ作業は終わってないわけですね。したがって、せっかく法改正までして準用河川についても対象にしていくわけでありますし、特に地方財政が困難な中で、しかも指定状況が、ここ数年間これだけ伸びてきているわけでありますから、助成の面においても相当伸ばしていかなければ整備が進まないと思いますので、その点は積極的に、ひとつ対処していただきたいというふうに思います。  次に、予備費についてでありますが、この予備費というのが私どうも理解できないのです。第二次計画では一千億円、第三次計画では二千五百億円、第四次計画では四千五百億円を計画としては見積もっているけれども、いま申し上げた予備費については全然使われてない。しかも今回の五次計画の中では五千八百億円計上している。これはどこか障害があって使うことができないのですか、使う必要がないのですか。
  28. 栂野康行

    栂野政府委員 予備費の性格でございますけれども先生おっしゃいますように、いわゆる治水事業におきましては過去に使用したという例はないのでございます。しかし災害発生によりまして緊急に対策を講じるなど、その他、緊急に必要になった場合には、財政事情などもありますので、そういうことも見ながら、しかしながら今後は有効に使っていきたいというふうに考える次第でございます。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 今後は有効に使うと言っても、いままで災害がなかったわけではないし、しかも大きな災害が出て、その予防措置ども積極的にやっていかなければならない事態が相当あったと思うのですよ。しかも第二次計画から第四次に至るまで、これだけの予備費を組んであって全然使ってない。それで今度また五千八百億もの予備費を見積もって、積極的に使うというふうに言ってみても、また予備費だけは計画に見積もったけれども、結果的には使うことができなかった、こういうことになるのではないかという心配が、まだ絶えないわけでありますけれども、使うことができない予備費だったら見積もらない方がいい、違う方にやっておいた方がいい。これはどこに、使うことのできない障害があるのですか、大蔵省ですか。見積もるけれども、金を出すときになれば大蔵省がうんと言わないのですか。どうも、そこのところが私はどうしても理解できない。もう少し、はっきりさしてください。
  30. 栂野康行

    栂野政府委員 先ほども申し上げましたように、いわゆる予備費の性格にかんがみまして、災害などの発生によって緊急的にやっていかぬといけないというふうな場合に、財政事情などを勘案しながら使用していきたい。有効に使っていきたいというふうに考えます。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣どうなんです、これ。先ほど申し上げましたように、いままでは、これだけ予備費を盛ってきたけれども全然使われていないのですよ。これだけ膨大なものを計画では組んで全然使わなかったものを、また五次で、これだけ組もうとしているわけでしょう。意欲はわかりますよ、今度は使っていく、使っていくという意欲は。しかし、これだけのものを二次から三次、四次にわたって使ってこなくて、ただ口だけの意欲ではだめなんですよ。私は、どこかに、これを使おうと思えば金が出てこないとか障害があると思うのですよ。だから、そういうものをやはり克服して、使うものはきちっと使う、特に、いままで大きな災害があって、これは本当に使われるとすれば予備費を出して使わなければならぬことがあったと思うのですよ。ですから、そこら辺の決意というか、特に予備費にまつわる問題について、大臣の決意をひとつ明らかにしてください。
  32. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 前回まではよくわかりませんけれども、私が今年度の折衝に当たりましては、予備費も緊急やむを得ざる場合は取り崩しますということを大蔵省と約束はしてありますから、その場合には、これを使用することにいたします。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 次に移ります。  私のところに陳情書があるのですけれども、これは「水力発電地帯振興に関する陳情書」ということで、その中に「治山治水事業の一環とし、併せて地方産業振興を図るため水源地帯の造林事業に特別助成措置を図ること。」とある。水源涵養として水源地帯に造林していくということは私はいいことだと思うのです。そういうふうにしていかなければならぬと思うのですけれども、こういう事業について特別助成という問題について、農林省はどういうふうにお考えですか。
  34. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えいたします。  いま御指摘ありましたように、近年におきます経済社会の高度化に伴いまして、水事情が一段と逼迫の度合いを濃くしてまいっておるという状況でございまして、水源林地帯におきます森林整備の重要性が一層高まっておるわけでございます。  そこで、この水源林地帯でございますが、一般に保安林が多いわけでございまして、これら保安林及び、この保安林が過半を占める地域につきましては、いろいろな優遇措置を講じておるわけでございますが、そのうちで拡大造林につきましては実質補助率におきまして、一般の拡大造林四〇%に比較いたしまして五二ないし六〇%の補助率アップというような優遇措置を講じておりますし、また保安林におきます再造林及び保育についても補助の対象にするというようなことなど、水源林地帯の森林整備に努めておるのでございます。  最近、水源地帯の造林事業は、対象地の奥地化、過疎化等によりまして森林所有者の自主的な努力のみでは推進しにくい情勢にございます。このために、これらの地域につきましては森林開発公団によります水源林造成の推進を図るとともに、これらの地域の造林の推進を主たる目的といたしております、都道府県が設立いたしております造林公社が行う造林についての助成の強化に努めておるところでございます。  さらに水需給上、重要な流域におきます森林水源涵養機能の充実向上を図るために、水源林の造成を上流下流の府県が共同して推進する場合に特別の助成を講ずることを内容といたします共同水源林造成特別対策事業を、新たに五十二年度予算案に計上しておるところでございます。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、地下水規制について質問したいと思いますが、私の時間、あと残されたのはわずかでありますから、端的に、それぞれ、お答え願いたいというふうに思うのですが、地下水という問題を考えてみた場合に、私は地下水というのは、どこの所管庁に属しているのか、よく理解できないのです。というのは工業用水法からいくと通産と環境庁、ビル用水でいくと環境庁、農業用水でいくと林業、地下水ですから河川と関係ありますから、河川重点に考えると建設省、水源問題の面から見ると国土庁、飲料水の面から見れば地方自治体。この地下水というものについて、しかも建設省として法案を準備されているというふうに聞いているわけですけれども、今度の国会に出るのか出ないのかも、まだ明確ではありません。  そこで地下水という問題について若干、質問したいというふうに思うのですが、まず最初に工業用水法の規制地域は、いまどのくらいになっているのか、これ通産省。それから地盤沈下地域これが、いまどのくらいあるのか、環境庁、それぞれお答え願いたいというふうに思います。
  36. 岩崎八男

    ○岩崎説明員 工業用水法の現在の指定地域は、政令で申しますと十四地域でございます。地理的に申しますと千葉、東京それから埼玉南部、横浜川崎という東京湾周辺、それから大阪、伊丹、西宮、大阪湾周辺、それから四日市、それから名古屋市の臨港部二区、それから仙台平野、こういうことになっております。
  37. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 お答え申し上げます。  環境庁の調査によりますと、地盤沈下をしている地域としましては三十一都道府県で四十六地域、面積として約七千三百八十平方キロメートル、こういうふうに調査が出ております。
  38. 中村茂

    中村(茂)委員 私も、いろいろな角度から調査をした資料等、見ましたけれども、通産省の規制区域、それから地盤沈下ということで指定している環境庁、開きがあるのですよね。そこのところに私は、いまの工業用水法から来る規制に問題点があると思うのです。その問題点というのは、他の水道なり他の水を持ってくるという施設がなければ、工業用水として地下水を使うことを許す。ですから通産省としては工業用水の規制区域にすることができない。しかし地盤沈下はどんどんしている。こういう言えば地盤沈下ということよりも工業用水を確保するという点に力点が置かれて、法律というものができている。そこのところに、地盤沈下がどんなに起きてきていても規制の区域にならない、こういう問題点があるというふうに思うのです。時間がないから次に移りますが、私は、いまの法律の欠陥だと思うのです。  そこでお聞きしたいのですけれども、まず建設省にお聞きいたしますが、一本化した、いわゆる地下水の規制という問題について立法化をどのようにお考えですか、お聞きしたいというふうに思うのです。
  39. 栂野康行

    栂野政府委員 建設省としましても、この地下水問題は非常に重視しておる次第でございます。こういうような地下水の無秩序な採取というものが地盤沈下あるいは地下水の低下などの障害をもたらしておる状況でございます。一方また、水資源としての地下水の重要性というものを、どう考えていくかということでございまして、建設省としましても、国土の保全及び水資源の確保を図る見地から、地下水を総合的に管理するための法制が必要であるというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、建設省としましては現在、地下水法案を準備しておるところでございます。しかし、ほかの省庁におきましても同じような趣旨の法案が検討されておりまして、また一方、議員立法ということを進める向きもございますので、これらの、よその方の諸法案と調整を図って対処していきたい、そして、いわゆる地盤沈下あるいは貴重な水資源としての地下水の人工涵養等の問題に対処してまいりたいというふうに考えます。
  40. 中村茂

    中村(茂)委員 この問題は答申があったのは五十年ですが、五十一年になり五十二年になり、まだ、それぞれのところで案が出てきて、それが先ほど申し上げたようなことで、なかなかまとまらない。しかも議員立法も出てくるということですが、答申も出ているわけでありますから、私はできるだけ早く整備していただきたいというふうに思うのです。内容を聞いてみると、なかなか進まないという実情でありますけれども、これは大臣にお聞きしたいわけでありますが、やはり一日も早く建設省が中心になって整備していただきたい。これが一つです。  それから、まあ最後でありますから大臣に治山治水の、先ほど私がいろいろ申し上げた点を含めて、御決意をひとつ承りたい、こういうふうに思うのですが、よろしくお願いいたします。
  41. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 地下水の問題は、まだ各省との話し合いがはっきりついていないような状態にもありますが、地下水の涵養という点、また地下水の保全というか、水資源としての利用を図るためには、これは非常に大きな役割りをしている問題であり、またすでに、わが国において水がどういう方向づけをされているか。昭和六十年には現在の水をフルに使っても、まだ足らぬというような情勢下にもあり、その水の重要性から、わが国ばかりではなくて世界各国が集まって、いまアルゼンチンで世界水会議を開いているというような現実を見る上に立って、これらの問題は早急に考えを一にして、もって解決をつけなければならない問題だと考えております。したがって、先ほどからの御質疑、ごもっともな点もたくさんございますので、十分これらに対しましては対処していくつもりでございます。
  42. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  43. 北側義一

    北側委員長 井上泉君。
  44. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、この措置法の一部を改正する法律案については賛成をするもとであります。その賛成する立場から質問をいたすわけでありますが、第一に治山治水緊急措置法の目的の中に「国土の保全と開発を図り」こういうことになっていますが、私は、この法律の改正そのものには賛成ですけれども、この法律の条項の中の「保全と開発」というのは、保全を図るためには、いろいろな仕事をしなければいかぬわけですから、この際「開発」という条項を削除したらどうですか、大臣。
  45. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 開発、保全と申しますが、この際、開発をやらなければならない問題がたくさんあります。たとえば現在のダムの数を考えてみましても、大体いまの倍以上のダムをつくっていかなければ、安定した国民生活というのは考えられない。そういうような点につきましては当然、開発ということになるであろうと思うのでございますが、開発したものを、いかに保全し、そして、その目的を全からしめるかというような点もあると思うのでございます。私は、保全と開発というのは一つ物のように考えられますけれども委員各位が、それはいかぬということになれば、また、われわれも考えなきゃなりませんけれども、私は、そういうような考え方をもって、一体のものなりというふうに考えておる次第でございます。
  46. 井上泉

    井上(泉)委員 それは、国土の保全を図るためにダムをつくったりすることは当然のことであって、これを開発と解釈しているところに、今日のダム問題等が各地で論議を起こしておる問題ではないかと思うわけであります。そういう点からも、また治山治水緊急措置法でも、国土の保全を図り、そうして国民生活の安定に資するということになっておるのですから、それに基づく、いろいろな事業というものは開発じゃない、こう解釈をすべきであるのに、ことさらに、これに「開発」という字句を入れておる。ちょうど、この法律の制定されたのが昭和三十五年であって、昭和三十五年ごろは日本の経済が高度経済成長政策をとり始めた時点であるから、何もかも、これに名をかりて開発を指向するような形で、十分な調査研究もせずに至るところにダムをつくってきたのも、そこに大きな原因がありはしないかと私は思う。  こういう点から考えまして、やはりダムというものについては――いま大臣がはしなくもダムの話をされたわけでありますが、私は、日本全国ダムの地点で問題の起こっていないところは非常に少ないと思うわけであります。そのダムの必要性というものは認めるわけですが、しかし、ダムの必要性というものの認識よりも、ダム被害に対する認識の方が地域関係住民の方には非常に多いわけです。そういう点からも開発ということが先行した形でダムが取り上げられたのではないか。国土の保全を図るという意味におけるダムであれば、その辺がもっと慎重になされておるべきであると思うわけなんです。この点、こうした全国の主要なダムで問題の発生をしておるダム地点というものを建設省の方としても掌握はしておると思うけれども、なお調査し、その問題点の解明に当たっていただきたいと思うわけですが、それについての見解を大臣に承りたいと思います。
  47. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ダムの開発については、いままでのような考え方によるダム開発というものは不可能なりと私は考えております。御指摘のように、ダムができたために住民が非常な困惑をするというような事態のあることも知っております。したがって、住民が喜んでというまではいかなくとも、やむを得ないというくらいにまで了解を得たダム施設の開発をやらなければならない時代がまさに来ておる。こういうような点で、今後のダムの開発問題には、それらに意を置いて進めていく考え方でございます。
  48. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、その大臣の見解に賛成をします。ぜひ、そういう方向でダム問題に対処していただきたいと思うわけです。  それで、この治山治水事業五カ年計画の中で、治水事業については、いままでの計画達成率等についての詳細な資料が提示をされておるわけですけれども治山関係は、そういう資料がないのですが、この法律に基づく治山事業の、いままでの各第一次、第二次、第三次、そういう関係での、こうした資料というものはつくれるのか、つくれないのか。この担当の省の方に承りたいと思います。
  49. 須藤徹男

    須藤説明員 現在つくっております。ございます。
  50. 井上泉

    井上(泉)委員 現在つくっておると言ったって、こういう法案が審議をされる段階で、治山事業はいままで、こういう経過になって、こういう問題点があって、今度は、これだけのものだ、こういうふうなことを、やはり、こうした計画並びに法案を審議するに当たっては、現在つくっておっては間に合わぬじゃないですか。そういうものはすでに持ってなければ新しい第五次の計画は立たぬでしょう。
  51. 須藤徹男

    須藤説明員 私の表現が悪うございました。現在あるということでございます。
  52. 井上泉

    井上(泉)委員 あれば出していただきたいと思います。  治山治水とは表裏一体の関係にあるものであるわけなので、治山事業の関係はやはり農林省の関係だ、こういうことで建設省の方は、治水の関係には詳しく、いろいろな資料を出しておるけれども治山のものは出さないというようなことで、そのまま見過ごすということではなしに、省庁が分かれておっても治山治水計画の進捗状況等については、やはり一番金を使う、金の多い建設省は当然、掌握しておって、しかるべきだと思うわけですが、そうした関係が緊密にされておるのかどうか、大臣に承りたいと思います。
  53. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 治水を考える場合には、まず治山を考えなければならない。治山を完全にして、もって治水の問題に移っていかなければならない、一番根本的な問題であります。でありますから治山治水という言葉を言いますけれども、そのとおりで、治山をまず考え、そして治山によって、被害が起きないような状態にしていくということが緊急、一番大きな問題だろうと考え、したがいまして、戦後に至りまして乱開発の後というものは治山重点を置いて進められ、いまもなお治山事業には非常に力を入れて林野庁でも、おやりになっていただいており、したがって、われわれは、それに伴いまして治水の面に重点を置いて進めている、こういうことでございます。
  54. 井上泉

    井上(泉)委員 林野庁も熱心にやっておられるかも知れませんけれども治山事業等については非常に不備な面があるわけです。たとえば戦後、伐採をして、そうして新しく植えつけた木が、もう二十年、三十年たってきておるわけですが、そうすると、その伐採した根株が腐っておる。腐ってくることによって土が崩土になってきておる。そういう点から最近、山崩れが非常に急増しておる。そういう実態の中で、この治山計画について農林省の方は、もっと真剣に考えなければならぬ問題だと私は思うわけですけれども、当委員会の審議に対しましても、そうした十分な資料も与えずに、そのまま建設省のおそばにくっついておるというようなことでは、これは大臣の言われるように完全な治山がなされるのかどうか、非常に疑問を持つものであります。  そこで治山に関連をするわけでありますが、治水の問題で、ダムは今日どうしても、なさねばならないことだと私も理解しておる。水資源確保の面でもダムは必要だと思う。ところが、そのダム周辺の治山重点を置かないと、たとえば高知県の早明浦ダムのように周辺で四千カ所も山崩れがある。こういうことになって早明浦ダムが水が汚れて昔の吉野川ではなくなった。これはダム建設者が当初、意図したこととは反した結果に、予想だもしなかった結果として生まれたのではないか、こう私は善意に理解をしておるわけでありますが、このダム周辺の治山ということ、これは農林省サイドにこれを任しておいては、私はなかなか事が進まぬと思うわけであります。だから、そういう点からもダム周辺の治山については、これはやはり建設省が――これは農林省は、そんなことを言わぬでも農林省がやると言えば、やったらいいですから、やってもらったら結構ですけれども、この一兆のは年間二千億ですが、そういう点でダム周辺は、これはやはり建設省がもっと積極的に乗り出すべきじゃないか、こういうふうに思うわけですが、大臣どうですか。
  55. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘のように、ダム周辺の治山問題それから治水問題というものは大きな関連性を持っておりまして、その中の分野がはっきりと分かれておりまして、この分は農林省でやる、この分野は建設省でやるという、分野ははっきりと分けてあるのでございます。しかしながら、いま御指摘のような吉野川上流というような問題が突然起こってきたという点については全く、われわれは申しわけないことだったというふうに考えると同時に、今後これらの問題につきましては、現在では大体八十年さかのぼって雨量というものを調べ、そして、その水の量を調べ、かつ、そういうことがあったか、ないかというものを、ずうっと調べて、これならば上回るから大丈夫であろうというようにつくるわけでございますけれども、さらに、これらにかかわらず、もっと予期しない今度の十七号台風のような点もございますので、こういうような点も十分考慮に入れて今後の問題に処してまいるつもりでございます。
  56. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、こういう結果が生じたことを何もあなたの責任だと言っておるわけではないですから、別段、謝る必要はないと思います。やはり、できた結果について、そしてまた、そういう山地の様相というものが四千カ所にもわたって崩壊をするという中で、大量の土砂が流入することによって、これはどうしても、なかなか水が澄まない。そこで水資源の方でも建設省の方でも、いろんな形で、これの対策に苦慮されておるというのが現状であるが、しかし、そのことについては、やはり山地砂防というものに重点を置かなければいかぬのじゃないか。そうしないと、どんなにしても、きれいな水が流れてくることにはならぬじゃないか、それを蓄えることにならぬじゃないか、こういうように私は思うわけですが、その点これは担当の河川局長に、その辺の見解を承っておきたいと思います。
  57. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいますように、いわゆる山の崩れ、あるいは濁水の問題、こういうものにつきまして、どうしてもやはり治山及び砂防というものは非常に重要になってくるわけでございます。それでダムに関係します周辺流域につきましては、従来からも、その保全につきまして林野庁建設省など関係省庁の間におきまして、相互に調整をとって実施してきたところであるわけでございます。今後とも流域の状況変化に対応しまして連絡調整を十分に行って、いわゆる一体となって管理の万全を期していきたいというふうに考えます。
  58. 井上泉

    井上(泉)委員 あなた、そう言われるのですけれども林野庁は吉野川の早明浦ダムの周辺に砂防工事を何カ所やったのですか、やってないでしょう。
  59. 須藤徹男

    須藤説明員 現在、手元に資料がございませんで、よく承知いたしておりませんが、林野庁といたしましては、いわゆる治山事業の中の造林につきまして積極的に、あの周辺については、やっておるつもりでございます。
  60. 井上泉

    井上(泉)委員 それは、あなた、つもりでしょうけれども、やってないですよ。やっておるとするならば、何年度に、この治山五カ年計画で第一次で幾らやった、第二次で幾らやった、このダムができてから、どれだけ、この治山事業を、あのダム周辺へ投入したのか、その資料を出していただきたいと思うわけです。  これは大体、こうしたいわば七兆六千億いわゆる八兆円になんなんとする、八兆円を超すところの計画を、きょう一日で、この法律を上げるというのですから、質問時間も制約されておるので十分な論議はできないわけなんです。できないわけなので私は非常に残念に思うわけであります。  そこで、いまお聞きになったように、河川局長はそういうふうに言われるのですけれども河川局長も資料いただいたら、わかると思います、やってないのですから。それをいいかげんに、ごまかして始末をつけぬように。やはり、あの吉野川の清流を取り戻すためには、私は治山事業というものは絶対不可欠だ、こういうふうに思うので、その点の注意を喚起しておきたいと思います。  さらに、水というものにつきまして、水資源局長は四国地建の局長もされておったので四国の地理についてはよく承知をしておると思う。早明浦は四国の命というほど、高知県はいわば水の宝庫である。その水の宝庫であるがために、逆に水によって非常な災害を受ける。いま私の前に谷川先生指摘をされた問題と同じように、非常に水の被害を受けておるわけなので、そういう点から水対策というものについて、水資源を確保するためには、やはり、どうするのがいいか。たとえば四国の地理体系を一つのよりどころとして考えた場合に、どう考えておるのか、水資源局長から承りたいと思います。
  61. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 お答えいたします。  水資源の確保のためには従来は河川の、いわば自然の流れから主として取っておりましたが、近年の不足に対処しましては主としてダムを中心に水資源の確保を図ってまいったわけでございます。そのほかに、いろいろな知恵をしぼりまして河口ぜきとか、あるいは湖沼水位調節施設等をつくりまして、ダム以外にも、これらの水資源確保のための施設を講じておるわけでございますが、先ほど御指摘のございましたように、とかくダムにつきましては、その周辺におけるもろもろの対策、特に治山対策を中心とする措置も必要でございますので、そういう問題も含めながら今後ともダムを中心とした水資源の確保を推進してまいらざるを得ない、こういうぐあいに考えております。
  62. 井上泉

    井上(泉)委員 水資源を確保するということは今日の社会事情の中で、きわめて重要なことであるし、その水資源を確保するためには、河口ぜきをつくり、いろいろ、やるにしても、やはり川へ流れてくるもので、川へ集めてくることが一番大事なことで、川へ集めてくる水の中で一番の中心はダムである。これは局長も指摘をされたとおりで、そのことは私は常識として一般国民も理解されると思う。ところが、そのダムによって被害を受けるということのないように、いま局長も言われたようなダム周辺の治山ということについては、私は、これはもとへ戻りますけれども、農林省サイドだけで考えておって、それができるのか。きょうは農林省のしかるべき責任者がいないわけですけれども、これは本当に大事な問題なので、その点について私は大臣に改めて水資源確保、これは国土庁の関係でもありましょうけれども、やはり、これは農林省サイドだけで治山というものを考えてはだめじゃないか、こういうふうに強く思うわけですが、どうでしょう。
  63. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私も、ごもっともと承っておきます。したがいまして、今後も両省のその調整につきましては十分にとらせていただき、満足をするような、期待ができるような方向づけをしてまいりたい、こう考えております。
  64. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、この治山治水事業五カ年計画の中での治山関係等についての、いわば予算の配分のなにというものは、いわゆるダム周辺というものに、かなり重点を置かなければならぬと思うわけですが、さしあたって、いま農林省の所管でありますので、農林省の方から、それについての見解を承っておきたいと思います。
  65. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えいたします。  今回の治山五カ年計画につきましては、先ほど申し上げましたように伸び率二一・九%でございますが、その中で特に予防治山あるいは保安林改良、この中に水源林造成等々ございますが、この中にダム周辺の森林の造成についても十分、見込んでおるわけでございます。
  66. 井上泉

    井上(泉)委員 森林の造成だけではだめですよ。現在の崩壊しておる、いろいろな砂防工事等も必要ですが、それはどうですか。
  67. 須藤徹男

    須藤説明員 復旧治山についても十分、見込んでございます。
  68. 井上泉

    井上(泉)委員 十分、見込んでと言っておることが具体的に、どれだけ出てきておるのか、その点をひとつ私は注意深く見守っていきたいと思います。  そこで水資源の問題というものは、これは人類社会に不可欠なものであって、そして水が不足しておる。その水が不足しておることによって、逆に水で非常に被害を受けておる。たとえば高知県の場合、これは台風が四国山脈でさえぎられるために、いわば香川県とか愛媛県、中国地方等、瀬戸内海沿岸が逆に雨量が少なくて困っている。それで水は全部、高知県を流れておる川から取ろうという計画がなされておるわけですが、そういう災害の常襲県のような地域に対する治山治水というものは、これは優先的に重点的に考えねばならない。何も私は高知県のことを言っておるわけじゃない。いわゆる四国四県の水がめとしての高知、さらには台風のいわば遮断壁をつくっておるような四国山脈によって、つまり他の地域の防災的な役割りを高知という土地が背負わされておるわけなんです。だから、それに対する治山治水事業というものを積極的に進めなければならないと思うし、それについては、たとえば十号台風の場合における高潮――山から川から水が来る、海からは高潮が来るということで高潮対策事業というものが取り上げられた。ところが、その十号台風があってから、もうすでに七年を経過しておるわけですけれども、この高潮対策がまだ十分、終わっていない。しかし終わったところは昨年の十七号台風でも、これは河川局長も御存じだと思うけれども、あれだけ大量の雨が降って高知市の西半分が水浸しになるような状態でも、その高潮対策でやったところは水浸しにならなかったわけです。これは非常に効果のあることだし、やれば災害は防げる、やれば水害は防げるという実際的な証明だと思うわけです。  そこでお尋ねをするわけですけれども、いま激特事業その他で鏡川の工事というものが進められておるわけです。それで高潮対策についても、まだ残っておるものは早急に処理をし、海からの高潮による浸水も防ぐような措置もせねばならぬわけですが、そうなると一方においては内水の排除というものが非常に重要性を加えてくるわけで、堤防で囲まれているところの内水の排除の中で、都市下水道というものが緊要な課題になるわけですが、この激特事業は三年、四年で仕上げるということになっておるわけです。そして高潮対策も、そう何年も後へ残ってはいないと思うのですが、そういうものと並行して内水を排除するところの措置が、下水道工事として、でき上がる予定になっておるのかどうか、その点を建設省都市局長に、ひとつ承りたいと思います。
  69. 中村清

    中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  いま御指摘がございましたように下水道の整備と、それから河川改修、これは雨水の排除あるいは浸水の防除、こういう意味合いから共通の目的を持っておりますので、機能的に一体的にやらなければいけないということで、実は四十八年でございましたか、末端にいきますと都市下水路と、それから河川の方で分担する分野が必ずしも明確でない面があるということで、両方で協議をいたしまして、こちらの部分は河川の方で持ちましょう、これは都市下水路の方で持ちましょうという分担を決めまして、両方で仕事の整合性を保つようにしながら、いままで実施してきたつもりでございますし、今後とも、そういう方針で仕事を進めていきたいと考えております。  そこで、いま御指摘がございました高知県のお話でございますが、昨年の十七号台風、これは高知県の浸水の被害が非常に大きかったということで、私ども都市下水路の仕事から見ましても、全国で比べましても非常に重点的に仕事をやっておるところに属しておるかと思います。それから、いまお話がございました今度、新しく取り上げられました高知市で行われます激特事業につきましても、いま申し上げましたような趣旨から、下水道事業としましても整合性がとれるように仕事を進めてまいりたいと考えております。
  70. 井上泉

    井上(泉)委員 あわせて河川局長にお伺いするのですが、私、高潮対策の工事はまだ相当やらなければならないと思うわけですが、その点はどうなっておるのか、この際お聞かせください。
  71. 栂野康行

    栂野政府委員 高知周辺の中小河川鏡川とか国分川、そういう川の高潮対策事業は、先生おっしゃいますように、これからも重点的にやってまいりたい。同時に、いわゆる高潮の堤防によって高潮の浸入を防ぐと同時に、河川局の方の高潮対策事業におきましても内水排除のポンプ、こういうものも並行してやっていきたいと考えてございます。
  72. 井上泉

    井上(泉)委員 この治山治水事業計画、八兆円以上になるわけですが、その中で直轄でやる分については全部、国の予算でやるわけですが、今度の準用河川を、その中に入れることによって、これは大きな前進であるわけですが、これは地方自治体にはかなりな負担になるわけなので、こうした計画が順調に――私は、いろいろな五ヵ年計画の中で、この治水事業の五ヵ年計画の進捗状況は非常に率がいいと思っております。しかし、率がいいといいましても全体から見れば、まだまだ何十年もかかるようなことになっておるから、これを手放しで、ほめるわけにまいらぬわけですけれども。しかし、この第五次の五ヵ年計画によっても地方財政に、かなりの負担がかかるわけですが、これを完全に遂行していくための財源措置を、地方自治体に迷惑をかけないように、おまえのところは負担ができないから、おまえの工事はやれないよ、建設省の方は、おまえのところは地元負担、自治体の負担ができないから、おまえのところをやるわけにいかぬよ、そういうような悲哀、悲しみを地方自治体が負うことのないような財政措置がとられなくてはならないと思うわけですが、自治省としては、その点については十分留意しておるのかどうか、承りたいと思います。
  73. 関根則之

    ○関根説明員 長期計画に基づきます地方負担額につきましては、総額の問題といたしましては、毎年度の財政計画をつくりますときに公共事業に伴う地方負担額及び地方の単独事業というのがありますから、それを含めまして総額を財政計画の必要経費の中に入れまして、地方団体全体として財源が足りなくないように措置をいたします。個別の都道府県なり市町村なりに関する配分の段階におきましては、従来、地方交付税が十分ありましたときには、事業費補正という形で事業量に応じまして交付税を重点的に配分を、必要な額を見てきたわけでございます。しかし五十一年から五十二年度にかけまして地方財源が不足しておりますので、公共事業の裏負担分につきましては九五%の起債を充当するという形でやっております。そういう形でやっておりますので、少なくとも治山治水事業実施に伴う地方負担額は、個別の団体につきましても問題はなく措置されるものというふうに考えております。
  74. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは五十二年度の分については、いま出されておる地方財政計画の中に織り込み済み、こういうことになっておるのですか。
  75. 関根則之

    ○関根説明員 さようでございます。新しい計画に基づきます地方負担額を、建設省、農林省と相談をいたしまして計上いたしておるわけでございます。
  76. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、治山治水事業というものは、国土の保全を図って国民生活を守ることが目的ですから、災害襲地帯は勢い、絶えず国なり県なり、いわゆる直轄河川なり、あるいは準用河川なり山地砂防なり、こういう工事を多くせねばならないわけで、その点からも、その区域内の自治体は非常な財政負担がかかるわけですが、おまえのところは、よけい工事を割り当てられてきておるし、それほど財政では持てないとかいうような差別というか、そういう建設省の割り当てに関する注文とかいうようなものは、自治省としては別段やってないでしょうね、その点。
  77. 関根則之

    ○関根説明員 自治省として特に、そういうことはやっておりません。
  78. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで私は建設省にお尋ねするわけですが、この治山治水の工事、これは非常にありがたいことで、国民としては、この予算が少ないうらみは持つけれども、しかし、このよって進められていくこと自体については、私はイデオロギーを超えての措置だと思うわけです。そこで、これが普遍的に、どこもかもというようなことでなしに、災害襲地帯あるいは台風襲地帯というものが国土の中にある。そのところに集中豪雨がもたらされるには、それだけの気象条件がある。本来なら、きょうは気象庁の関係者にも来ていただいて、年間雨量の多いところ、台風の多い地域についての解明もされて、その上で建設省の方に質問いたしたい、かように思っておりましたけれども、そういうことをせずに、それは一つの常識ですから大臣にしても河川局長にしても、おわかりだと思うので、そういう点からも災害襲地帯に関する治山治水事業は、かなり重点的に施行せねばならない。そしてまた激特事業にいたしましても、これは亡くなられた先輩の仮谷大臣が非常に力を入れておったという経緯もあるわけです。それはやはり災害が絶えずあるから仮谷大臣は、そういうことを構想もし、そしてまた、そのことは河川局の方も受けこたえたと思うのです。  聞くところによると大臣は、山はあるけれども余り災害のないところだ、こう聞くわけですから、あるいは地理勘は薄いかもしれぬけれども、全体的な日本国土状況から見て、こういう災害襲地帯に対しての建設事業はかなり重点的に配置をする。そして、そのことによって、建設省から割り当てをもらったけれども、甲の自治体は受け入れないとか乙の自治体は受け入れないとか、返上しなければならぬとかいうふうなことの心配は、いま自治省の答弁によっても、いささかもないので、そのことから考えましても、この工事の施行は、私が、いま申し上げましたようなことに留意をしてやるべきだと思うので、その点について大臣と、あわせて河川局長の答弁を承りたいと思います。
  79. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいますように、災害が非常に多い地帯でございますけれども、現在、建設省におきましては鏡川激特事業でやっておりますように、災害実態に応じて予算をつけておるということでございます。今後とも激特事業あるいは激特まで至らなくとも危機一髪であった川、そういう川にも重点を置いて災害を少なくするように、少しでも河川整備率を上げるように努力してまいりたいというふうに考えます。
  80. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで私は、この水資源の確保の問題でダム問題、そしてまたダムの設置については大臣の見解も承ったわけでありますが、四国の河川の中、そして日本全国の大きな川の中で、いまダムのつくられてない川は高知県の渡川。ところが、その渡川にダムをつくることについては地元としても猛反対であるし、そして自然保護の関係からいっても、高知県自体の利水の関係からいっても、県民感情としても、渡川にダムをつくるなんていうようなことは、もうやめてもらいたい。せめて四国に一つぐらいは昔のままの自然の川の流れに置いておいて、そうして、その川が洪水等にはんらんをしないような堤防の補強なり、いろいろな措置を講じて自然の川としての姿をいつまでも残して、その流域住民に対する幸せをもたらすような、そういう川の役目を果たさすようにしてもらいたい、こういう強い要求があるわけですが、この渡川に対するダム建設計画というものを、よく聞くわけですが、今日その計画を、まだ持っておるのかどうか、この点を承っておきたいと思います。
  81. 栂野康行

    栂野政府委員 先生がおっしゃいますように、いわゆるダムのない自然河川といいますか、全く私も同感でございます。しかしながら、日本の川の特性を考えてみますと非常に急流な河川が多い。しかも、その下流には都市が発達しておるということで、川幅を二倍にも広げることができないということで、治水面においてダムをつくらざるを得ない。と同時に、また人間生活のレベルアップに伴って、いわゆる生活用水その他の用水が非常に必要になってくるという二つ、治水、利水の両面から、日本においてはダムをつくらざるを得ないというのが実態ではなかろうかと思います。  渡川について申し上げますと、やはり治水面と利水面と両面あるわけでございます。まず治水面でいきますと、渡川の治水計画というものは明治二十三年の大洪水を契機にしまして、基準地点であります異同におきまして計画高水流量を毎秒一万三千立方メートルというふうに定めまして現在、改修を進めておる次第でございます。しかし、昭和十年八月の洪水あるいは三十八年八月の洪水というふうに、最近におきましても計画を上回る洪水が出まして、下流部では大きく破堤して被害をこうむっておるという実態でございます。また、利水面におきましても、高知県の西南地域の発展のために、そういう水資源を生み出すという意味におきましてダムが必要であるというふうに高知県においても考えられておる次第でございます。したがいまして渡川におきましても、その治水面あるいは利水面、両面から、やはりダムが必要じゃなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  82. 井上泉

    井上(泉)委員 時間が二、三分超過して恐縮ですけれども、いま河川局長の言われたことは、私は一面それは正確な言があると思うわけですけれども、しかし高知県は、利水面で、あの川にダムをつくりたいという要求は一つもありません、知事が申し出ておればともかくとしても。それから、その流域の住民もダムをつくってもらいたいという要求は一つもありません。それは、あるのは愛媛とかいう地域の者が水を取りたい、利水をしたい、こういうわけです。そういう点があるだけのことであって、高知県としては四万十川、渡川という川にダムをつくってもらうのは迷惑千万な話だ、こういうことになっておるのです。  そこで、これは河川局長も一つくらいは、りっぱな川を自然のままで残しておいたらいい。自然のままで残すことによって災害を防ぐような措置というものも考え合わせて、やはり私は渡川のダムについては慎重に検討して対処していただかなくてはならないと思うわけなので、その点を大臣に要求をするわけですが、大臣の見解を承って私の質問を終わります。
  83. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 お話はよくわかります。したがいまして、いままでのダムのつくり方、そのダムの開発の仕方、先ほど申し上げたように、ここに欠陥があったと思うし、また、その住民に損害というようなものも予想以上に与えておったかもしれない。そういう面を見直しをしなければならない時代に入ってきております。したがって、いま渡川の話でございますけれども、渡川の付近の住民の方々の納得のいけるような条件というものを今後はつくり出さなければならない。渡川だけの問題ではないと思うのです。全国ダム建設については、いままでのやり方を全部見直しまして、本当に納得のいく、歓迎はしないけれども、やむを得ないじゃないかという、地元民がそれだけの意欲に燃えるような方途を今後、切り開いていかなければならぬ。こういうようなことで現在では、ダムというもののつくり方について一応、見直しというような考え方を、いまやっておるのでございます。したがいまして、いま申し上げたように歓迎はしないけれども、やむを得ないだろう、よろしいという、その前の青写真を見て御賛成が願えるような方法に持っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  84. 北側義一

    北側委員長 福岡義登君。
  85. 福岡義登

    ○福岡委員 ただいま審議中の治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては特段の意見はございませんし、賛成なんであります。ただ事業計画の策定が閣議にゆだねられている。したがって、その事業計画について、われわれの発言する機会が余りない。また、策定をされました事業計画を遂行する過程に考えられる諸問題が幾つかあるわけであります。そういう問題について若干ただしておきたいと思うのであります。  一つは、現在は第四次五カ年計画の過程にあるわけですけれども、過去の進捗率を見ますと、第一次は規模が小さかったという点もあったのでしょうが、二一二・三%の進捗率になっておるわけです。第二次は五六・四%、第三次は七六・九%、第四次は九四・五%、これは治水会計だけでございますが、いずれも一〇〇%に及んでいない。われわれとしては大変、遺憾に思うのですが、それなりに事情はあったと思うのであります。その進捗率が悪かったという事情を、ここで聞かしていただくことも、あるいは必要かもしれませんが、問題は過ぎたことであります。その点は今後、計画を完全に遂行するということを強く要望しておきたい。  そこで、さっき中村君が質問しました中に、予備費について大臣が答えられました。大蔵省との間に、必要な場合は取り崩す約束ができておる、こうおっしゃいました。ところが現在までの第四次五カ年計画で見ますと、第一次は予備費がとってなかった。第二次は一千億、第三次が二千五百億、第四次が四千五百億、こうとってあるわけであります。ところが過去、この事業計画予備費が取り崩されたことはないわけであります。大臣のおっしゃった、第五次五カ年計画で五千八百億の予備費をとっておるけれども、必要によって、これを取り崩す約束が大蔵との間にできておるとおっしゃったが、その必要な場合とは一体どういうことなんですか。
  86. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいますように予備費というものは、いままで一度も取り崩されておらぬわけでございます。それで具体的に、どういう場合に予備費を取り崩すかというのは、これから大いに詰めたいと思いますけれども、五カ年の計画規模で考えて予期しない大きな災害とか、あるいは大きな地域の開発とか、そういうものがあった場合に予備費を活用して、そして治水対策の万全を期していきたいというふうに考えます。
  87. 福岡義登

    ○福岡委員 過去二十年間に幾つもの大きな災害や水害あるいは台風などがございました。過去二十年間に予備費を使わなかった、それ以上の特別の事情、災害などというのは、たとえば、どういうことを想定されておるのですか。いまの答弁の域を出ないと思うのですが、五千八百億の予備費を計上しなくても、予備費をゼロにしろとは言いませんけれども、本来この予備費は、それぞれの事業計画の中に計上されるべきであると思うのです。恐らく、この五千八百億は、このままでいきますと、過去二十年間の実績の上に立てば使われぬのじゃないか。そこで五千八百億というものは、もう少し圧縮をしまして、それぞれの事業費に計上した方が私はいいと思うのですが、大蔵省建設省と両方から見解を聞きたいと思う。
  88. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 本年度、五十二年度から始まります五カ年計画で八兆要求をいたしました。そのほか公共で一兆三千億を要求いたしました。要求いたしました公共の方は八千億で決めたもので、そういうような関連からいきまして私の方から、それでは予備費というものは緊急の場合または必要性を帯びた場合には、これは取り崩しますから、さよう御了承を賜わりたいと言ったらば、立ち会った方々は、たくさんの人が立ち会いましたけれども、それは困ると言った方は一人もございませんので、さよう御了承をお願いしますということで納得を得たものと私の方は考えておりますし、帰ってきまして、今後は、これは取り崩してもいいことになったから、取り崩すときもあるよという話をしてまいったわけでございます。
  89. 西垣昭

    西垣説明員 まず予備費計上の目的でございますが、公共事業の長期計画と申しますのは、計画期間中の当該事業の規模、内訳等につきましての方針計画を定めるものでございますが、その実施に当たりましては、その他の施策との総合的調整でございますとか、そのときの経済財政事情でございますとか、それから当該事業整備需要の変化等を勘案しながら、弾力的に行うべきものだというふうに考えております。たとえば治山治水では、災害発生状況でございますとか河川流域の開発等によりまして、整備需要の急激な変化というようなことがあり得るものと考えております。その結果、計画の策定時に予見し得なかったような情勢の変化に対応いたしまして、事業の規模を増加することが必要になるというような場合も想定されますが、そのときの対応の仕方として、それが大きいときには計画の改定を行うということが必要になると思いますし、そこまでは必要でないという場合に機動的、弾力的に対処するためには予備費を使うということが考えられるのだと思うのであります。  さっき、そんなことを言ったって、いままで取り崩したことがないじゃないかということにつきましては、まことに、そのとおりでございますが、ただ第二次計画、第三次計画ともに計画が満了する前に改定されたというような事由がございますのと、それから現在の第四次計画につきましては、さっき申し上げましたように、その間、四十九、五十と総需要の抑制ということで、どうしても公共事業を抑制せざるを得なかったというふうな事情がございまして、予備費の使用に至らなかったという事情もございますので、いままで使わなかったから予備費が要らないのではないかということにはならないかと思います。  それから非常に大きいというお話でございますけれども予備費の占める割合につきましては第四次計画よりも小さくなっているということにつきましては御理解いただきたいと思います。
  90. 福岡義登

    ○福岡委員 主計官一般論としての御説明は、もう聞かなくても、わかっているのです。過去の五カ年計画が途中で改定されたのは、確かに一年早く二回やられていますね。これはわかっていますよ。わかっているけれども、それぞれ計上された予備費は手がついていない。建設大臣がおっしゃったような災害発生その他、緊急事態に備えてということも、何回か、そういう緊急事態はあったと私は思うのです。ところが手をつけてない。それから五カ年計画の改定が一年繰り上がったということは余り大きな理由にならない、私はそう思うのです。今後を予見をしてみましても経済変動その他、予備費を使わなければならぬという事情は余り想像できない。あるといたしましても五千八百億も必要でないように私は思うのです。建設省が要求しました第五次五カ年計画の規模も圧縮されておるわけですから、この際は五千八百億を、もう少し少なくして、そして、それぞれの事業計画に計上した方がいいと私は強く思うのです。これは建設大臣に特にお願いしますけれども、いま申し上げましたような趣旨で閣議決定をされる――第五次五カ年計画はまだ、されてないでしょう。いまからでしょう。
  91. 栂野康行

    栂野政府委員 閣議了解です。
  92. 福岡義登

    ○福岡委員 閣議了解は、もうできているのですか。
  93. 栂野康行

    栂野政府委員 はい。決定はまだです。
  94. 福岡義登

    ○福岡委員 決定はまだですね。だから最終決定をするときには、ただいまの趣旨を踏まえて御努力をいただくように強く要望しておきたいと思うのです。  それから、それができないにいたしましても、この予備費の取り崩しというものは最悪の場合でも八〇%から九〇%くらいは建設省の意思によって発動できる、取り崩せるというようなことに、ぴしゃっとしておいてもらいたい、そういうことを強く要望しておきたいと思います。  それから、次は事業遂行上の問題でございますが、私が過去の実績から一番大きく問題にしておりますのは、水源地域というものが常に犠牲にされておる。また水源地域の諸問題があるために計画自体が進められないということになっておると思う。現在、御承知のように水特法が制定されておるわけですが、これが運用上、あるいは、この法律の改正を必要とするような問題が相当あるように思うのですね。それを二、三申し上げて見解をただしたいのですが、一つは水源地域の指定の時期です。いままでの例からいきますと、予備調査が済んで実施調査が大方、終わった段階で県知事が水源地域整備の指定を申請してくる、こうなっておるわけですね。結論から言いますと、それでは遅い。予備調の段階から、ある程度の水源地域整備計画の作業を進めて現地に、こういうダム建設させてくれれば、こういう地域整備をしたいと思いますというように、両面並行的に進めていくべきだと思うがどうか。必要な法改正はやればいい、あるいは運用上、私はできぬこともないと思うのですね。これが一つの問題です。  それから、もう一つは水源地域の対象区域であります、これは水特法の三条一項で「基礎条件が著しく変化する」地域という規定がございまして、さらに五条一項で、特に必要とする場合は水源地域外の整備計画を策定することができる、こうなっておるわけですね。私は幾つものダム建設予定地の事情を知っておりますけれども、ある地域は、その町自体の四割も五割もが水没する、町の経営そのものができなくなる、そういう広範囲にわたるダム建設地域があることも承知いたしております。したがって、その町村だけの整備計画ではどうにもならない。二ないし三の市町村を含めた整備計画を立てなければならぬ場合がある。あるいは大きく言えば、その地域、相当広範囲に数カ町村、場合によっては七カ町村も八カ町村も含めた整備計画を立てなければ、その地域経済が保てないという場合もあるので、この水特法に言う水源地域の整備計画を策定する対象区域を相当、広範囲にする必要がある、こう思います。  それから、もう一つ対象事業であります。いま現在、水特法によって整備計画がされておりますのが二十一地区ございます。この二十一地区で見ますと、たとえば農地の水没面積が千九十五ヘクタールあるわけです。今度、水没する地域の中で農業を継続してやりたい、そういう人が相当あるわけであります。ところが、この水特法の対象事業としては土地改良法に基づく事業しかできない。これは地主が持っておる土地を持ち寄って組合をつくって、そして、やるという手法なんであります。水没地区の人は、おおむね、その地区に自分の所有地があるわけですから他に土地を持っていない。組合をつくって土地改良法の適用を受けようとしてもできない。そこで、たとえば水特法の中で宅地造成と同じように農地造成ができる、そういうように対象事業の再検討をする必要があるように私は思います。  それから、生活再建の問題であります。この、あっせんの義務は確かに水特法によって規定されておる。あっせんの義務はあるけれども、具体的に事業の責任はない。これはある程度、責任を国なり地方公共団体が持つような方向に考えていくべきである。  次の問題は、ダム建設などは集中的に、そこへ投資するわけであります。それで水特法によって地域整備をするのですが相当投資をしなければならない。そのダム建設の当該市町村は整備計画に基づいて補助裏を持たなければならない。相当財政支出を必要とするわけですね。確かに財政上、金融上の援助をすることに水特法では規定されておりますけれども、では、どこまで国が責任を持って、やっているかということになりますと、相当、問題がある。そういう意味で地方財政の裏づけをどう、してやるかということも深刻な問題であります。  それから、さらに地域整備計画は立てるけれども、そして事業の遂行はするけれども、問題は、それに見合う予算措置がされていない。御承知のように一般枠なんですね。ですから一千億の道路予算があるとすれば、ダム建設のために仮に二百億使ったとすれば、一般枠を二百億食うわけであります。したがって、私はかねてから主張しておるのでありますが、この水源地域整備計画に見合う予算措置を講じておくべきである。いろいろ予算制度上、問題があることも承知をしておりますが、一般枠をもろに食うというやり方は適切でないのじゃないか。したがって予算書の目ぐらいは設けまして、整備計画に見合うものを計上しておくべきであろう、こう思います。  それからもう一つは、やはり財政上の問題で、整備計画に入れば補助のかさ上げをする規定がなされておる。しかし、この補助のかさ上げも、そう大幅なものではない、こころもち配慮されておるという程度でありまして、私は、この補助率のかさ上げを、もう少し再検討すべきではないかと思うわけでございます。  以上、水特法を中心にして、この事業実施上の諸問題を提起したのですが、時間がありませんから簡単に、それぞれ建設省なり大蔵省から見解を聞かせていただきたいと思います。
  95. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 御指摘の問題ですが、個別にお答えしたいと思います。  まず最初に、整備計画の提示をする時期について、もう少し早目にしたらどうかという御提案でございますが、私どもも、そのように考えたいと思っております。しかしながら予備調査あるいはまた実施計画調査段階でございますと、予備調査の時期におきましては、そのダムの可能性の問題を含めながら調査しておりますし、実施計画調査におきましては、そのダムの規模等を決めるための調査でございしまて、その段階で、構想より、もう一歩立ち入った具体的な整備計画地元に提示するというのは、なかなか事務的にも困難な問題であろうかと思います。しかし、いずれにいたしましてもダム建設予定地域におきましては、それらの整備計画内容が非常に関心事でございますので、極力そのように早期に提示できるように、今後とも指導してまいりたいと思っております。  それから整備計画の地域について、もう少し幅広く指定したらどうかということでございますが、これにつきましても、そのような趣旨に沿って地域指定を行いたいと考えております。しかし、それ以上に離れた地域につきましては、それらに関連する諸事業として、その事業が円滑に整備事業と調整がとれて実施できるように考えてまいりたいと思っております。  それから、対象事業の範囲の中で土地改良で、もう少し代替農地等の整備等について積極的に善処したらどうかという御意見でございますが、これにつきましては、代替農地が確保される場合には、ぜひ、そのように考えたいと思いますが、代替農地を新規に土地造成をして、やることにつきましては、いろいろ農林省においても御意見があるようでございますので、私どもといたしましては地元の、そういう場合の代替農地の新規取得についても非常に要望が強いわけでございますので、そういう方向に向かって農林省と今後とも協議を進めてまいりたいと考えております。  それから生活再建対策について、もう少し手厚く考えたらどうかということでございますが、水特法にも先生、御存じのとおり努力規定のようなものがございますが、この努力規定をより具体化するために、今年度は利根川、荒川につきまして水源地域対策基金という財団法人による制度をつくりまして、それらの問題に対処するように、受益者が金を負担して、その負担された金によりまして水源地域の生活再建対策を、より、きめ細かく指導してまいるような制度をつくりました。来年度は木曽三川について同様趣旨の基金をつくる予定にしておりますが、引き続き筑後川等の河川についても、だんだん範囲を広げまして生活再建対策に寄与できるような制度を考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それから地方財政の問題でございますが、これは自治省所管のことと思いますが、裏負担につきまして事業者の方で一部、肩がわりをするというような趣旨の条文が水特法の十二条にございます。これにつきまして具体的な例として、栃木県にございます川治ダムで、その十二条を適用した例がございます。そのときには、その裏負担につきまして私どもの方から自治省に申し入れをいたしまして、好意ある措置を講じてもらって栃木県から喜ばれたというような具体例もすでにございますので、そういう前例を踏まえまして今後とも善処してまいりたいと思っております。  それから、整備事業について別枠でやったらどうかというようなお話でございましたが、これにつきましては、従来からも各整備事業は所管省ごとに非常に温かい理解を得まして、それらの事業につきましては優先的に予算措置を講じていただきまして、現在のところ特に支障がないような現状でございます。なおかつ整備事業の進行につきましてはダムの竣工年度におおむね合わせて整備事業を遂行していくということになっておりますので、もう少し推移を見て、今後これに対処してまいりたいと思っております。  最後に補助率のかさ上げの問題でございますが、これについては引き続き検討させていただきたいと思います。以上でございます。
  96. 西垣昭

    西垣説明員 予算科目の問題でございますが、整備計画に定めてあるということで一括して別枠計上ということは、予算の計上の仕方としては適当ではないんじゃないかなというふうに、われわれは考えております。国の予算上の区分につきましては、経費と性質あるいは内容、そういったものに応じて行うべきものでございまして、たとえば整備計画に定めてあります道路整備事業も、接続するほかの道路とのネットワークを形成いたしておりまして、それで初めて効果を発揮するというふうなものでございますので、一般の道路整備事業の中で事業配分を行うことが予算上の区分としてはいいんではないか。要は、それぞれの事業の中で整備計画に定めてある事業に対する優先配分が行われるかどうかということだと思いますが、さっき水資源局長からお答えいたしましたように円滑にいっているようでございますし、私どもも、その方向で努力をしたいというふうに考えます。
  97. 福岡義登

    ○福岡委員 御答弁をいただいたわけでありますが、なお若干の意見があります。しかし、きょうは、もう時間もありませんので、これで終わらせていただくことにします。
  98. 北側義一

    北側委員長 林野庁から発言を求められておりますので、これを許します。
  99. 須藤徹男

    須藤説明員 先ほどの谷川先生の御質疑の中で、私、一兆三千億と申し上げましたが、一兆二千億の誤りでございますので、訂正させていただきます。
  100. 北側義一

    北側委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十四分休憩     ―――――――――――――     午後一時五十分開議
  101. 北側義一

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。 古川雅司君。
  102. 古川雅司

    古川(雅)委員 ただいま議題となっております治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、治山にも重大な問題がたくさんございますけれども、私は本日は、治水に係る諸問題の中から数項目にわたって質問をしてまいりたいと思います。なお、午前からの質疑応答に一部、重複をすることがあるかもしれませんけれども、あらかじめ、お許しをいただきたいと思います。  最初にダムの問題でございますが、いわゆる特定多目的ダム法に基づきまして昭和四十九年以降に基本計画の公示がなされましたダムにつきまして、私これからピックアップしてまいりたいと思います。私が挙げましたのは七つございますが、福島県の大川ダム昭和四十九年二月十八日の公示で、工事期間が四十六年度から五十四年度、総事業費が二百五十億円、この総事業費の各事業配分額は建設省負担分の治水関係が百九十九億二千万円、電源開発の負担分が四十億四千二百万、その他が十億三千八百万円となっております。次に、北海道の十勝ダムが四十九年八月十五日公示で、工事期間が四十五年から五十四年、総事業費百六十八億円、配分につきましては治水関係が百六十三億九千四百万円、電源開発分が四億六百万円。次が、長野県の大町ダム、四十九年八月二十九日の公示で、工事期間四十七年から五十六年、総事業費二百四十四億円、その中で配分は治水関係二百二十一億五千五百万円、電発分が五億一千二百万円、その他が十七億三千三百万円。青森県の浅瀬石ダムが四十九年十月二十六日の公示で、工事期間が四十六年から五十五年、総事業費三百二十億円で、治水の配分が二百九十四億円、電発分が四億五千万円、その他が二十一億五千万円。熊本県の川辺川ダムは五十一年三月三十日公示で、工事期間が四十二年から完了は不明、総事業費三百五十億円、この配分は建設省治水分が三百四十五億四千五百万円、電発分が四億五千五百万円。次に、山形県の寒河江ダム、これは五十年七月十九日の公示で、工事期間が四十七年から完成は不明、総事業費が四百六十億円、その配分は治水関係三百九十一億円四千六百万円、電発分が二十三億四千六百万円、その他四十五億八百万円。最後に、三重県の蓮ダムが五十一年三月二十四日の公示で、工事期間が四十六年から完成は不明、総事業費百九十億円、配分は治水関係が百二十五億四千万円、電発分が五千七百万円、その他が六十四億三百万円。  以上のように列挙しましたが、これに相違ございませんか。
  103. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  電発事業負担関係につきましては大体この程度でございます。しかしながら、河川治水負担額でございますけれども、これに若干、大きく違っておる点がございますので申し上げたいと思います。  寒河江ダムでございますけれども、総事業費は四百六十億で、おっしゃるとおりでありまして、治水負担としまして先生は三百九十一億四千六百万円とおっしゃいましたけれども、こちらの調べによりますと三百三十六億七千二百万円となってございます。それから川辺川ダムでございます。これも治水負担でございますけれども先生、三百四十五億五千万とおっしゃいましたけれども、これは三百三十一億八千万というふうになってございます。そのほかの事項につきましては、おっしゃるとおりでございます。
  104. 古川雅司

    古川(雅)委員 以上、多目的ダム七カ所の総事業費の合計が、ただいま御訂正をいただきました以前でも千九百八十二億円、訂正部分を修正いたしましても大体それに近い数字になると思いますが、この中で建設省負担が、その八七%前後の千七百四十一億円、この点について訂正いただいたわけですから、この数字がちょっと変わってくると思いますけれども、このような非常に大きな数字になってくるわけでございます。  この多目的ダム建設省が負担する、いわゆる治水予算の算定の根拠でございます。これは特定多目的ダム法施行令の第一条の二によりますと、負担金の額の算出方法は、多目的ダム建設費用をダムの使用権設定予定者が、それぞれ負担割合に応じて負担をするということになっておりますが、これに相違ございませんか。
  105. 栂野康行

    栂野政府委員 相違ございません。
  106. 古川雅司

    古川(雅)委員 そうしますと、電源開発分につきましての負担割合を算出する場合、いわゆる山元発電単価に当該ダムの設置により発生する有効出力及び有効電力量を乗じた額を基礎として算定することになっていると言われますが、この点にも相違はございませんか。
  107. 栂野康行

    栂野政府委員 お説のとおりでございます。
  108. 古川雅司

    古川(雅)委員 さらにお伺いをしてまいりますが、この山元発電単価につきましては建設大臣が関係行政機関と協議をして決めることになっている。ここで関係行政機関の各大臣が申し合わせをすることになっております。この山元発電単価は、一般の需要に応じて電気を供給する電気事業者の電気料金の算定の基礎となった総括原価を基準として算出すると言われておりますが、この点に相違ございませんか。
  109. 栂野康行

    栂野政府委員 そのとおりでございます。
  110. 古川雅司

    古川(雅)委員 そこで、お伺いを進めてまいりますが、昭和四十九年六月に電気料金の大幅な値上げが行われました。これは御承知のとおり平均五六・八%というきわめて大幅の値上げでございます。そこで、お伺いをいたしますが、先ほど申し上げました山元発電単価の決定につきましては、それから実に一年九カ月もおくれた五十一年三月に行われております。ここに非常にタイムラグ、時間的なおくれがあるわけでございますが、その改定のおくれた理由を御説明いただきたいと思います。
  111. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいますように四十九年六月一日の電気料金の一斉値上げに対応しまして、いわゆる山元発電単価を改定すべく昭和四十九年十月からアロケーション問題協議会というものを開催しておったわけでございます。それで協議に時間がかかったという次第でございます。
  112. 古川雅司

    古川(雅)委員 協議に時間がかかったという御答弁でございますけれども建設大臣が決定すべき山元発電単価の決定が、二カ月や三カ月じゃなくて実に一年九カ月もおくれているということです。これは一体どういうことなのかとお聞きしているわけでございます。
  113. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  いわゆる電力料金の山元単価でございますけれども、電力会社の決算報告が出てこないと、それがわからないということで、その四十九年の決算報告が五十年に出てくるということで、そういうこともあわせまして、おくれたという次第でございます。
  114. 古川雅司

    古川(雅)委員 そうしますと、この一年九カ月という大幅のおくれは当然だということでございますか。――御答弁がもたついているようでございますけれども、その点は保留しておきます。後ほど御答弁願います。  かくして、一年九カ月のおくれの後に山元発電単価が決定をされたわけでございますが、これは私の方で数字を申し上げます。改定後、これは地域別に分かれておりますが、北地域、北海道地方におきましてはキロワット当たり一万四千三百三十八円に改定されまして、これは一六二%、それからキロワットアワーにつきましては三円五銭で一五五%。東地域これは東京、東北地方でございますが、キロワット当たり一万六百五十八円で一四九%、キロワットアワーは四円八十四銭、これは二五一%。中地域これは中部、関西、北陸になりますが、キロワット当たり一万一千四百五十二円、これは一六五%、キロワットアワーにつきましては四円九十九銭、二七四%。西地域これは中国、四国、九州でございますが、キロワット当たり一万一千九百九十九円、これは一三九%、キロワットアワー当たり四円八十四銭、これは二三六%。この数字に間違いございませんでしょうか。
  115. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  金額の数字につきましては間違いございません。
  116. 古川雅司

    古川(雅)委員 それでは先ほど列挙いたしました七つのダムの基本計画公示は四十九年以降であります。電気料金の値上げ以降のものであります。したがって、この七つのダムの総事業費に対する電源開発、建設省のいわゆる建設費負担配分につきましては、算定の基礎が変更されたわけでございます。山元発電単価は改定後の値上げ幅に応じた単価で算定をしなければならない、このように理解をするわけでございますが、この点いかがでございますか。
  117. 栂野康行

    栂野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  118. 古川雅司

    古川(雅)委員 では、この山元発電単価改定後に、どのような各事業配分額の変更がなされたか、数字をお挙げいただきたいと思います。
  119. 栂野康行

    栂野政府委員 御指摘の七ダムでございますが、そのうち十勝ダム、大町ダム、浅瀬石川ダムにつきましては、いわゆる特定多目的ダム法に基づく文書協議中でございまして、近く基本計画を改定する段取りになってございます。それから大川ダムでございます。これにつきましては発電の負担増に伴うアロケーションの変更のほか、新しく灌漑計画を加える方向で現在、農林省、農林関係者と事務的に折衝を続けておる段階でございます。そうしまして、この結論を待ちまして速やかに、いわゆる基本計画を改定いたしたい。それから川辺川ダム、寒河江ダムそれから蓮ダムにつきましては現在、関係者の間で鋭意協議中でございまして、その促進を図ってまいりたいというふうに考えます。
  120. 古川雅司

    古川(雅)委員 これは電力料金の値上げから一年九カ月というずれがあって山元発電単価の改定がなされておりますし、その改定された五十一年三月から、すでに一年を経過しているわけでございます。今日もなおかつ、まだ、その配分額について正確な算出結果、変更後の数字をお示しいただけないというのは、どういうことでございましょうか。
  121. 栂野康行

    栂野政府委員 ただいま御説明しましたように現在、協議中でございます。それで決定次第、これはまた官報で告示いたしたいというふうに考えます。
  122. 古川雅司

    古川(雅)委員 私が伺っておりますのは、山元発電単価の改定後も一年も経過している。そんなに時間のかかるものなのかという疑問が一つありますし、これは決して少ない数字ではないと思うわけでございまして、一体いつから、その算出の作業を始めたのか、いつをめどに再び、この協議の場を開いて変更を決定するのか、その点ひとつ、お示しいただきたいと思います。
  123. 栂野康行

    栂野政府委員 五十年三月の、いわゆる申し合わせ事項に基づいて鋭意いま、やっておるわけでございます。
  124. 古川雅司

    古川(雅)委員 先ほど申し上げました、この特定多目的ダム法施行令の第七条になりますと、「基本計画で定められた多目的ダム建設に要する費用についての負担割合は、多目的ダム建設が完了するまでに物価の著しい変動その他重大な事情の変更により当該負担割合を変更する必要がある場合には、新たに第一条の二の規定により算定した負担割合に変更することができるものとする。」いわゆる、この第七条の規定に基づいて負担割合の計算の算出の作業を進めているということでございますか。ただいまの局長の御答弁では、五十年三月の申し合わせに従って作業をしているというようなことでございますが、私が先ほどから申し上げておりますのは、山元発電単価の変更後に負担割合の変更の作業をしているのかということでございまして、いまの御答弁はちょっと違うように思いますが、いかがですか。
  125. 栂野康行

    栂野政府委員 先生いま、おっしゃいました、いわゆる特定多目的ダム法施行令の第七条に基づいて、いまアロケーションの変更を協議中でございます。先ほど申し上げました五十年三月の申し合わせ事項といいますのは山元単価でございます。
  126. 古川雅司

    古川(雅)委員 そうしますと先ほどから、くどいようでございますけれども、山元発電単価が改定されてから、すでに一年になるわけでございます。当然この単価の改定に伴って、いわゆる電源開発の負担分が増高することは、これは素人考えにも明らかでございましょう。各ダムごとに大体の概算の数字をお示しいただきたいと思います。
  127. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  ただいま文書協議中の三ダムにつきまして、いま協議中の内容によりますと、十勝ダム、浅瀬石ダム、大町ダムの三ダムで大体十三億ぐらいの発電の負担の増が出てまいる予定でございます。
  128. 古川雅司

    古川(雅)委員 もう一度伺いますが、大川ダム、川辺川ダム、寒河江ダム、蓮ダムについては、この変更の対象にならないのですか、その根拠をお示しいただきたいと思います。
  129. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 先ほど局長から御答弁いたしましたように、大川ダムにつきましては新しく農林事業ダム事業に参加いたすという計画がございまして、その件につきまして調整中でございますので、その変更とあわせて発電の負担額を更正するということで、基本計画を新しくつくり直すという作業を、いま、やっておるわけでございまして、発電だけでやるということは、地域の農業計画が参画いたしたいという御要望もあわせて処理をいたさないと、県議会その他の問題もございますので、若干、時間をおかし願いたい。改定するということでございます。  残りの蓮その他三ダムにつきましても、先ほど局長御答弁いたしましたように、いま調整中でございます。  以上でございます。
  130. 古川雅司

    古川(雅)委員 調整という御答弁になれば、調整しているんだろうということになるわけでございますけれども、余りにも、さっきから私、繰り返し申し上げているとおり、時間的な経過が長過ぎるわけでございます。しかも大川それから川辺川、寒河江、蓮につきましては、特に大川の方は電発分についても負担分が多いわけでありますから、変更の要素も非常に額として大きいものになってくると思うのです。農林関係との調整を待ってということでございますが、これは当然、建設省が中心になって協議、申し合わせをして変更されていくべきものでございますから、もう少し建設省が積極的に、これを進めていかないと、従来こうして一年以上も経過しているのに、さらに調整してなんということでは、これはいつになるかわからない、そういうことが非常に憂慮されるわけでございます。  先ほど挙げられました十勝、大町、浅瀬石ですか、それ以外の四カ所について大体いつごろ変更の結論のめどが出る見通しでございましょうか。
  131. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 先ほど、手間がかかり過ぎるという御叱責ございましたが、まず申し合わせ事項をつくりますにつきましても関係各省間、特に発電だけの問題でございませんで米価の問題であるとか、いろんな各部門の調整をやらなければなりませんので、申し合わせ事項をつくるのに若干、時間かかります。  それから、申し合わせ事項ができまして各ダムの個別にアロケーションを計算いたしまして、それなりに関係者の意見を調整いたしまして、なおかつ文書協議にいたしましても、県知事さんの同意をとるとか、あるいは利水者の同意をとるとかということがございまして、また県知事さんが同意書を大臣あてに送ってこられるにつきましては、県議会にかけなければいかぬということがダム法で法定されておるわけでございます。そういった関係で時間がかかるわけでございますが、たとえば浅瀬石ダム等は昨年の十一月に、すでに大臣名で関係機関へ文書発送いたしておるわけでございます。その関係者が、たとえば挙げてみますと国土庁である、大蔵省、厚生省、自治省、青森県、浅瀬石水道企業団、東北電力、通産省、これは数えただけで八者ぐらいあるわけでございます。それから文書の返事が来まして、先ほども申し上げました官報に告示するということにつきましては、時間がかかるということは、おわかりいただけるんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。全くの事務的処理期間中でございます。  続きます大町ダム以下につきましては、これは大町ダムにつきましては農林関係との調整、これはいろいろ問題ございまして、鋭意やっておるところでございますが、いまちょっと、めどを申し上げる段階には至っておりません。その他の三ダムにつきましても、いま一生懸命、関係者の間で協議を進めておりますので、可急的速やかにやるということに御了解願いたいと思います。
  132. 古川雅司

    古川(雅)委員 電力料金の値上げの後、一年九カ月を経て山元発電単価を改定した。そしてまた、この各事業の配分額についても、いまだに調整中であるということでございまして、ここに非常に大きな、私は極端に申し上げれば行政の怠慢があったんじゃないかというふうに考えられます。  もう一度、確認をいたしておきますが、第一にこの山元発電単価の変更後に配分額の変更のための算出作業に着手したのはいつか。それをもう一度お答えいただきたい。  さらに、山元発電単価の決定について非常におくれていることを会計検査院から指摘をされているはずでございまして、その事実があったかどうか、それほどに怠慢であったのではないかということ。  そして第三番目に、この各事業の配分額の決定が非常におくれたということについて、同じく会計検査院から指摘あるいは警告を受けた事実があるかないか。この三点についてお伺いしたいと思います。
  133. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 第一点の、いつから配分の作業を始めたかということでございますが、五十年の四月一日から始めております。  それから第二番目のアロケーション、要するに電力料金の値上げがあって、そういった各省申し合わせ事項が早くできないことについて、会計検査院から改善の意思表示があったことは事実でございます。  それから第三番目の、各ダムの費用配分の変更がおくれておることについて、検査院から別に御指摘を受けた事実はございません。
  134. 古川雅司

    古川(雅)委員 各事業配分の変更をする算出の作業が五十年の四月からという御答弁があったわけでございますが、山元発電単価は五十一年三月に改定されているわけでございます。
  135. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 失礼いたしました。五十一年の四月一日から作業を開始いたしました。
  136. 古川雅司

    古川(雅)委員 これから調整中とはいえ、この七つのダムを総合いたしまして、すでにある程度、最終的に電発の負担分がこれだけはふえるという見通しはお立てになっていると思います。先ほど十勝、大町、浅瀬石の三カ所につきましては約十三億という数字をお示しになりましたけれども、総額では大体どのくらいになるお見通しでございましょう。そしてまた、この七つのダムの合計が出た段階で建設省の方の治水予算についても操作をなさるのか、逐次、更正をしていかれるのか。その点、お示しいただきたいと思います。
  137. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 現在、調整中の四ダムにつきましては、まだ数字がめどがついておりませんので、この席で申し上げる数字はないわけでございますが、二点目の、七つのダムが済んでから予算措置に反映させるのかという御趣旨につきましては、基本計画を変更が成立いたしますと、その時点におきまして予算措置上、電気の負担分をそれだけよけいに年々取っていくということになるわけでございます。
  138. 古川雅司

    古川(雅)委員 ちょっと、はっきりしないわけでございますが、当然、建設省予算というのは変わってくるわけでしょう、負担分が。その算出をした結果の変わった分について、これはいわゆる修正をするわけですね。これはどういう操作で行われるのですかということを聞いているわけです。
  139. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 基本計画の改定が成立いたしまして、それが次年度の予算措置に間に合う時点でございますと、次年度から予算措置に反映させることに、厳密に申しますと、なります。
  140. 古川雅司

    古川(雅)委員 いずれにいたしましても、非常にこうした変更のための算出の作業がおくれているというふうに私は受け取れるわけでございます。しかも、建設大臣を中心にして、こうした作業を進めていかなければならないのですが、非常に他のいろいろな要素が多過ぎて全体的におくれているということでございますけれども、やはり、こうした作業は、もっと迅速に進めていくのが当然ではないか。このおくれは私は非常に納得できないわけでございますけれども、大臣いかがでございますか。
  141. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いろいろ、この中に農林関係が入ってきたというような関係もございますので、その分は確かに余りにもおくれたと思いますけれども、どうもお話しのようだと、ちょっとおくれ過ぎているように感じます。帰りまして十分、指導をしてまいります。
  142. 古川雅司

    古川(雅)委員 いずれにいたしましても、非常に大きな数字になるわけでございまして、私は専門家ではございませんので、きわめて大ざっぱな単純な計算によりましても、この七つのダム建設省の負担が軽くなる部分、いわゆる電発にさらに負担をかぶせる額は大体四十億以上になるのではないか。これは素人計算でございますから全く正確は欠いておりますけれども、非常に大きな額になるわけでございまして、それだけ治水予算に負担をかけ、そしてまた治水事業をおくらせていくという一つの原因にもなってくるのではないか。したがって、先ほど来るる申し上げてまいりましたけれども、こういった算出につきましては、もっと厳重に対処して、お進めをいただきたい。  なお、時間的にこうしておくれて算出結果が出、電発分の負担が変更された場合、この時間的なおくれに対する電発に対する負担の増ということはお考えにならないのかどうか、その点、最後にお示しいただきたいと思います。
  143. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 基本計画の変更が行われました時点で次年度の予算措置に反映させるということを申し上げましたが、そういった電気事業者の負担分と申しますのは基本計画の変更が成立したときから有効になるわけでございますので、基本計画の変更がおくれたということに伴う利子その他の徴収ということは考えておりません。
  144. 古川雅司

    古川(雅)委員 この問題はこの程度にいたしまして、次に移らせていただきます。  けさほど来の質問に多少、重複をするわけでございますが、国土の体質改善につきましては、これは一朝一夕ではできないと思いますし、長い年月をかけて着実に進めるべきものだと私も理解いたします。しかし、昨年の台風十七号が日本全土に非常に深いつめ跡を残しまして、この水害の教訓というのは非常に大きいものがあると私は思います。特に長良川の決壊、それから四十九年の多摩川、五十年の石狩川と、三年続きまして一級河川の決壊事故が続いたわけでございます。しかも、政府が非常に力を入れてきた利根川や淀川についても決して安全ではない。広島県の太田川や芦田川しかりでありますし、その他の河川については言うに及ばずであります。この教訓をどのように生かしていくか。けさほど来の議論を伺っておりまして、私もう一つ腑に落ちないことがあるわけであります。  河川流域の、特に上流都市化の進展によりまして、これは乱開発とはっきり申し上げてもいいわけでございますけれども、水害に弱い日本の体質が、さらに、もろくなっている。これまで、いわゆる自然の貯水池の役割りを果たしてまいりました水田等が宅地化をされ、あるいは道路の舗装、そういうことで土地の保水能力が非常に弱まっている。それで雨水の流出速度が速くなっているわけでございますが、こういう河川洪水に対する安全度を非常に低下させている要素、これがまだ進んでいるわけでございまして、国土保全上、治水対策を進める反面、こういう上流における都市化、乱開発が続いていく以上は、これは毒をあおりながら医者に通って薬を飲むようなもので、非常にマイナス効果としては無視できないものであると思います。その両面を考えなければ治水対策根本的な将来の見通し、計画というものは立たないと私は思うのですが、その点いかがお考えでございますか。
  145. 栂野康行

    栂野政府委員 先生がおっしゃいますように上流部で開発が行われますと、いわゆる洪水の流出がふえてくるということでございます。したがいまして、われわれとしましては、治水施設をまず第一番目に整備して洪水対策に対応するということ、それから第二点としましては、そういう流域の適正な土地利用はどうあるべきかということを考えていかなければいけないのではないか。都市計画法におきましては、上流で大規模開発をするときには、それに対応する治水対策というものをとらせておりますし、建設省としましても現在、都市計画審議会の中におきまして総合治水対策を審議するための小委員会を設けておるわけでございます。その総合治水対策といいますのは、流域に降った雨を地先、地先で貯留しながら、ゆっくり川に持ってくることが第一点。それと、もう一つは適正な土地利用、遊水地をできるだけ残すような土地利用、あるいは低い土地に家を建てる場合には、床上浸水がないような水に強い住宅づくりとか、そういう問題、あるいは警戒避難体制の問題、さらには、いわゆる洪水はんらん予想区域といいますか、この川に、どの程度の雨が降ったら、どの程度、浸水するであろうかとか、そういうふうな総合的な治水対策を、治水施設整備とあわせまして現在、鋭意検討している最中でございます。
  146. 古川雅司

    古川(雅)委員 鋭意検討中と申しましても、治水事業というのは、すでに過去からスタートしているわけでございまして、どんどん進められているわけでございますが、先ほどから申し上げてきたような上流都市化、乱開発というのは依然として大きなスピードで進んでいるわけでございます。検討をするということでございますけれども、これで対処し得るのでしょうか。その点をぼくはお伺いしたかったわけでございます。
  147. 栂野康行

    栂野政府委員 その前に一点、訂正させていただきたいと思います。  先ほど都市計画審議会の中において総合治水対策云々と御説明しましたけれども、これは河川審議会の中でございまして、訂正させていただきます。  それで、先ほど申し上げた点の一環でございますけれども、いわゆる河道改修だけで洪水を流すだけではなくて、あわせまして上流におきまして防災調節池とか、あるいは多目的遊水地、中流部におきましては平地を使った多目的遊水地、そういうものをいろいろ考えておるわけでございます。また将来におきましては雨水貯留施設とか、そういうものも検討しておりまして、そういうものを総合的にやりまして洪水に対処していくというふうに考えてございます。
  148. 古川雅司

    古川(雅)委員 要は、上流のそういう開発問題も絡みまして河川改修が全く追いつかない。それでも、なおかつ改修に力を入れるということは事実なんでございますが、その河川改修費について公共事業関係費に占める治水対策費の割合を見てまいりますと、昭和二十年代には大体二〇%台であったわけでございますが、最近では、わずかに一一から一二%程度というように非常に減少をしているわけでございます。これは宅地需要とか道路需要という関係もあるわけでございますけれども、さらに、国民の社会資本に対するニーズが非常に多様化しているということも挙げられましょう。しかし、いずれにしても今日の河川災害実態を見てまいりますと、治水対策に対する力の入れようが、マイナスの要素が増大しているにもかかわらず改修が追いつかない、対策が間に合わないというのが実情でございまして、これは国民の生命と財産を守るという防災の基本の考え方からしても、当を得ていないのではないかというふうに考えられるわけでございます。けさほど来の答弁を伺っておりましても、河川改修率につきましては、一級河川にしても、あるいは中小河川にしても非常に率がおくれている、数字を挙げてお示しでございましたけれども、そういう実情からして、総合的な対策検討しているということは、もう検討の段階ではない、すでに実施、実現の段階に入っているのではないか。いま、なおかつ検討を繰り返していなければならないということは、この問題については非常に悲観的な見通ししか考えられないわけでございますけれども、その点いかがでございましょう。
  149. 栂野康行

    栂野政府委員 治水事業予算でございますけれども、五十年度の補正それから五十一年度の補正におきましても非常に重点的に配分を受けておるわけでございます。また今度の五カ年におきましても、前回の五カ年計画の倍近い投資枠ということで、私たちとしましては、この予算を、災害を受けた川を主体に置きまして重点的に、また効率的に実施しまして、治水対策に対処していきたいと考えます。
  150. 古川雅司

    古川(雅)委員 総合的な対策を御検討になっていらっしゃるという御答弁の中で、先ほど建設省河川局と土木研究所によって緊急の都市河川の水害対策として、雨水の貯留施設の開発に乗り出していらっしゃるという御答弁があったわけでございます。これは、どの段階まで進んでいるのか。本気に実現に踏み切って、それに対する財政的な裏づけもつけて、河川改修そしてまた河川の安全対策に効果を上げることができるのか、期待できる要素なのかどうか、その点お願いします。
  151. 栂野康行

    栂野政府委員 雨水貯留施設開発でございますけれども、先ほど申し上げましたように、各地先に降った雨を、できるだけ、そこに貯留さして、ゆっくり川に持ってくる、いわゆる洪水の時差出勤を考えて洪水が増大するのを防ぎたいというのが、この構想でございます。たとえて申し上げますと、これはアメリカなどで、やっておりますように、家に降った雨は屋根の上で貯留さすとか、あるいは庭先に貯留さすとか、そういう方法もあるわけでございます。現在の新しい家を見ておりますと、家に降った雨は、とよから直結して一遍に下水を通って川に出てくる。そういう場合に少しは不便でございますけれども一度、庭に遊ばす。そうしますと地下水の涵養にもなりますし、それから下水を経て出てきますと、ゆっくり出てくるということでございます。そのほか駐車場に貯留したり、あるいは地下に貯留槽をつくって、そこにためる。それから舗装の場合でも、歩道の場合などは、できるだけ浸透性の舗装をやっていくとか、あるいは公園にためるとか、そういうふうに現在いろいろ手法を開発中でございます。そして、こういうことを実際にやっていく場合には、いろいろ私権の問題等、絡んでまいるかと思います。その辺につきましても検討を加えていきたい。そうして、できるだけ早い機会に、これを実際に移していきたいと考えてございます。
  152. 古川雅司

    古川(雅)委員 伺っておりますと、これは膨大な構想になるわけでございますが、これが先ほど来、挙げてまいりました都市河川、特に大型河川災害防止のための一つの決め手になり得るのかどうか。しかも、いまお話を伺った範囲では、とても夢のような話で実現不可能とも思われますけれども、この辺を一つの決め手とお考えになって開発をしていらっしゃるのか。先ほど私は本気になって、やっているのかと伺ったわけでございますが、その点いかがでございますか。
  153. 栂野康行

    栂野政府委員 決め手とまでは考えておりません。こういう手法あるいは治水緑地といいますか遊水地を設ける、あるいは洪水調節池をつくるとか、あるいは河川改修を行うとか、そういう総合的な治水によって洪水に対処してまいりたいというふうに考えます。
  154. 古川雅司

    古川(雅)委員 次に、五十二年度に発足をいたしまして五十六年度までの、いわゆる第五次治水事業五カ年計画でございますけれども、昨年の災害以降、建設省全国の一級河川百九の水系について総点検を行っているというふうに伺っております。この五カ年計画を進めるに当たって、この総点検の結果が出ましてから、この計画の練り直し、改修あるいは補修事業をあわせまして緊急に、これを組み込むお考えがあるのかどうか。総点検の取りまとめに大体どのくらいの期間を予定していらっしゃるのか。また、その点検の結果をすべて、その五カ年計画の中に組み込んで事業計画を変更させるのか。そしてまた、この五カ年計画の決定に際しまして、河川審議会の意見ないし答申というべきですか、それはいつごろ得て、この計画をまとめるのか。その点お伺いしてまいりたいと思います。
  155. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  この総点検でございますけれども、一応ことしの秋に、その成果を得たいということで現在、鋭意実施中なわけででございます。それで、この総点検の結果に基づきまして、必要な補強あるいは改築の措置実施する必要が出てくるわけでございますが、五カ年計画におきましては、このうち緊急的に対策が必要とされる個所重点を置きまして整備を図っていきたいというふうに考えます。
  156. 古川雅司

    古川(雅)委員 四十七年の十一月でございますか、建設省調査によりますと、がけ崩れ危険区域が六万七百五十六カ所、それから土砂流の危険区域が三万四千七百カ所、地すべり危険区域が五千二百二カ所、このように調査の結果が発表されておりますけれども、その後の五年間に発生をいたしました土砂災害、この土砂災害だけを見ましても、大体三割から四割が、その危険個所に指定した以外のところで起こっているという事実がございます。この点をどのように考えていらっしゃるのか。  そしてまた昨年でございますが、昨年の六月初めに建設大臣が、全国の都道府県知事に対しまして、水害防止に万全を期せという通達を出していらっしゃいます。これは一つには災害防止施設の現状を掌握しろ、二つ目に危険個所の補強をしろ、三番目に水防体制の強化をしろ、四番目に土砂流、地すべりがけ崩れ危険地域対策を行えと、非常にすべてを網羅した完璧な通達でございましたけれども、しかし、その通達の分の万全さは、現実の予防的な力にはなり得なかったわけでございまして、大臣このたび、おかわりになりまして、この点をどのように受けとめていらっしゃるか、最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。その二点をお願いいたします。
  157. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘の数字でございますけれども河川、海岸あるいは砂防設備等の現状から見ていって、出水期に十分に対処しなければならない個所が、先ほども数字で申し述べたように、まだたくさんあるわけでございますので、これらに万全を期してもらわなければならぬということで、毎年このような雨期に入ってまいりますると事務次官通達を出しまして、そして、これらに万全を期してもらうように特に御協力を願っておるわけでございますが、本年も同様、これらの問題に対しましては地方建設局長並びに都道府県知事あてに通達を出すつもりでございます。
  158. 古川雅司

    古川(雅)委員 終わります。
  159. 北側義一

    北側委員長 関連して質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  160. 岡本富夫

    岡本委員 古川委員の質問に、ちょっと関連をして、わずかな時間ですから。  まず、先ほどの答弁いろいろ聞いておりましたが、私まず治水、利水、排水、この行政の一元化というものが大事だと思うのです。あっちの省と、こっちの省と調整しなければならぬ。たとえば利水のうちで上水道、これは厚生省がやっておりますね。このなわ張り争いで非常に行政がおくれるということを私、今日まで痛感いたしております。したがいまして、いまここで、すぐに大臣にどうせいと要求しましても、すぐこうだとは言えないかもわかりませんが、今後、行政の一元化ということの検討が必要ではないか。これが非常に行政のおくれを導いておるわけですから、その点について大臣、一言だけお聞きしておきたいと思います。
  161. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘の点につきましては、まさに一元化が必要である。特に今日に至った水問題に対しましては、さらに必要性を感じるというふうに思っております。
  162. 岡本富夫

    岡本委員 それはひとつ、特に痛感されているようですから検討していただきたいと思います。  次いで、大阪府と兵庫県の県境にございます川西市、それから、その上流、北の方に猪名川町というのがありますが、ここの水資源対策のために一倉ダムというのがいま建設中でありますが、私が一倉ダムについて、いろいろお聞きしてから約十年の歳月を経ておりますけれども、いまだに、どうしようもない。御承知のように川西市の北部あるいはまた猪名川町付近の宅地開発が非常に進んでおりまして、清和台とか萩原台、大和団地、日生団地こういうところには、もうすでに入居をしておりますが、まだ入居できない団地が相当残っておる。これは結局、水問題がネックになっておるわけです。したがって一倉ダムの進捗状況あるいはまた、いつごろ完成するのか、これをひとつ、お聞きをしておきたいと思うのです。
  163. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  一倉ダムは、水資源開発公団事業ということで昭和四十三年度から実施計画に着手しておりまして、建設事業としましては昭和四十四年度から実施しておる次第でございます。おかげさまで貯水池予定地、ダム地点の用地取得というものも、家督の相続人がまだ明らかでないとかいう土地あるいは採石場でございますが、そういう一部を残しまして終了したわけでございます。それで昨年の十二月からダム本体工事に着手しておる次第でございます。現在、仮排水トンネル、工事用道路などを施工中でございまして、事業の完成の一つのめどとしましては、できれば昭和五十六年度には完成いたしたいというふうに考えてございます。
  164. 岡本富夫

    岡本委員 この地域は、現在も夏には相当、節水をしておるというでありますので、水資源開発公団を督励をして、できるだけ早く、いまの目標を達成できるようにしていただきたい、これを要求しておきます。  次に、猪名川町を縦貫しておりますところの猪名川、これは一級河川でございますが、二十六号台風のときでしたか、これが非常にはんらんいたしまして、この一級河川の猪名川の流域に、この町のほとんどの家屋が張りついておるわけでございまして相当被害があった。したがって、猪名川流域の河川改修は大体どういうような見通しで、どういうようにやろうと考えておるのか、ひとつ、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  165. 栂野康行

    栂野政府委員 一級河川の猪名川でございますけれども直轄河川上流域は災害を非常に多く受けておるわけでございます。それで先ほど、お話がございましたように、猪名川上流域の猪名川町域でございますけれども、四十七年災害それから四十八災あるいは五十一災と、それぞれ非常に被災したわけでございまして、現在、改良復旧を含めまして災害関連事業であるとか災害復旧事業を鋭意、実施しておるわけでございます。しかしながら、災害を受けなかった地区の水利施設の貧しさが目立ってくるわけでございます。そういう未改修部分に対する地元要望が非常にありまして、槻並川を初めとしまして六カ所程度あるわけでございます。このうち最も改修が必要である槻並川につきましては、昭和五十一年度に兵庫県が調査実施しておるわけでございます。それで新年度からは国の補助事業として、できれば局改に着手したらどうかということで現在、兵庫県と、いろいろ検討中でございます。
  166. 岡本富夫

    岡本委員 十七号台風のようなものが来ると、ほとんど猪名川という町はなくなってしまうわけですから、兵庫県と早く詰めて、できるだけ早く工事を完成できるようにしていただきたい、これを要望いたしておきます。  最後に、本四架橋のうちの鳴門大橋、これの橋梁の下に導水管を併設できるように設計がされておるわけです。そして鳴門大橋の工事に着工しておるわけですが、淡路島というところは天明の時代から水飢餓がよくあるわけでございますので、そのために導水管を付設したということでありますが、水利権というのがありまして、淡路島に水飢餓があっても、四国の徳島の方から吉野川の水がもらえないというようなことで、現在、兵庫県側と徳島県の方で何か、ごたごたやっておるらしいのです。もしも淡路島の方に水飢饉があった場合、たとえば水を供給する方の四国側の御要求に応じて、建設省が仲に入って、中をとって導水管が使えるように、建設大臣の方で検討をしておいていただきたいと思うのですが、この点いかがでございますか。
  167. 栂野康行

    栂野政府委員 それについて具体的に存じておりませんけれども、非常に大きな問題だと思います。今後の課題としまして十分、検討していきたいと思います。
  168. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、これは亀岡さんが大臣のときでしたか、鳴門大橋のことで、その下に導水管を入れる、だから、淡路島の方に非常に水飢饉があった場合には四国の方の水を送るのだ、そのための導水管なんです。ところが、いま四国側は、そんなに水やれぬ、このようなことなんですね。ですから、これはやはり水飢饉があった場合のことを考えての導水管でございますので、その場合は、ぜひ中をとって、お互い日本人でございますから、四国の水が使えるように、飲料水に使えるような、こういう検討を、いまから、しておいていただきたい、これを要求いたしまして、ちょうど約束の時間になりましたから終わります。
  169. 北側義一

    北側委員長 西村章三君。
  170. 西村章三

    ○西村(章)委員 全般的には賛成の立場でありますので、そう追及するつもりはないのでありますが、若干のお尋ねをいたしたいと思います。  第五次治水事業投資規模といいますものは、第四次の規模から見ますと約一・八八倍とふえておりますが、いま全国重要河川、これを抜本的に改修するには数十兆円もの金が必要だ、こう言われております。この立場から考えますと当初予定額の八兆円でも、整備水準を飛躍的にアップすることは、とうてい期待ができない、こういうことです。しかし実際には、閣議了解のされました金額は、それをさらに下回っておりまして七兆六千三百億円。当然これは今回の五カ年計画におきましても財政的に制約を受けて勢い、緊急に工事を要する区間または、その個所に、いわゆる事業というものが限定されてくると思うのでありますが、事業重点施策なり、あるいは内容というものについて、まず伺いたいと思います。
  171. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  第五次治水事業五カ年計画重点でございます。最近の災害実態あるいは用水不足現状ということから、治水施設を大いに推進していく必要があるわけでございますが、このために第五次治水事業五カ年計画におきましては、次の五つに重点を置いて検討を進めておるという次第でございます。  第一点は、近年非常に水害のはなはだしい中小河川あるいは都市河川整備を積極的に進める。  それから第二点としましては、土砂害によりまして、とうとい人命が非常に奪われている実態にかんがみまして、いわゆる土砂害対策というものを推進していきたい。  第三点としましては、昨年、長良川の堤防が決壊したわけでございますけれども、そういう重要河川治水対策につきましても、また一層、促進する必要があるという次第でございます。  それから第四点としましては、本年度から激特事業というのが発足したわけでございますけれども、いわゆる再度災害防止するために激甚災害対策特別緊急事業というものを強力に推進していきたいということであります。  第五点としましては、いわゆる生活用水を初めとします水需要の重要性にかんがみまして、洪水調節を行うこととあわせまして、多目的ダムなどの水資源開発施設建設というものを強力に推進していきたいというふうに考えているわけでございます。
  172. 西村章三

    ○西村(章)委員 先ほどの質問と若干、重複するきらいがございますが、そういう中で今日段階で大河川整備率が約五一%だ、こう言われております。ところが、いま御指摘がございましたように昨年、長良川で決壊いたしました。一昨年は石狩川、四十九年の多摩川と、この三カ年間に毎年、直轄河川が大決壊を起こしておりまして、大きな被害を与えているわけでございます。このように一応、整備済みだと言われている河川におきましても、これらの弱点を非常に抱えておる。  しかも、これら、いま申し上げた長良川、石狩川、多摩川、この三カ所の決壊原因といいますのは典型的な三つのパターンではないか、こう言われております。すなわち、長良川におきましては、いわゆる水が堤防にしみ込んで飽和状態になって堤防が決壊された。石狩川におきましては、これはもう完全にオーバーフロー。多摩川におきましては、本川を横断する井ぜきがあったために、これが原因になった。こういうようなパターンがありますけれども、その三つの大決壊、これが今度の新五カ年計画の中で、どのように反省をされて、それを生かされようとするのか。特に今後の治水計画、何を検討し、何を見直すべきかということについて、お尋ねをしたいと思います。
  173. 栂野康行

    栂野政府委員 長良川、石狩川あるいは多摩川の破堤、その原因につきましては先生のおっしゃるとおりだろうと思います。それで、そういう経験を、どういうふうに今後の五カ年に生かしていくかという問題でございます。  まず多摩川の災害の後におきましては、全国河川工作物につきまして総点検を行った次第でございます。その結果に基づきまして、五十一年度から新しく河川工作物関連応急対策事業というものを発足させたわけでございます。そうしまして河川工作物関連の施設の応急復旧をすべく鋭意、事業実施促進を図っておる次第でございます。  それから昨年、長良川におきまして堤防が、未曽有の豪雨あるいは洪水の複合によって決壊したわけでございますけれども、あの堤防の決壊にかんがみまして、全国直轄河川堤防につきまして総点検を現在、実施中でございます。一応ことしの秋までに取りまとめたいというふうに考えてございます。この総点検の結果に基づきまして必要な補強あるいは改築という措置実施したい。それで五カ年計画におきましては、いわゆる緊急的に対策が必要とされる個所重点を置いて整備を図っていきたいというふうに考えてございます。
  174. 西村章三

    ○西村(章)委員 災害対策、これはいろいろあるわけでありますけれども基本的には、いま申されたように施設整備あるいは総点検、あわせて各般の施策というものを総合的に講じてまいる必要がございます。ハードな面、ソフトな面、それぞれあると思うのでありますが、特に要求されますのは多面的な治水政策であると思います。開発計画における防災上の配慮であるとか、あるいは土地利用を適正に指導するとか誘導していくとか、また災害発生いたしましたときの警戒避難体制、こういったものも、あわせて確立をしていかなければならぬと思うわけでありますが、この点については、どういうお考えをお持ちでございますか。
  175. 栂野康行

    栂野政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、いわゆる水害対策としましては、治水施設整備とあわせましてソフトな面における総合的な治水対策というものをやっていかなければならないわけでございます。そのソフトな治水対策といいます総合治水対策というものは、河川審議会の中におきまして小委員会を設けて、学識経験者あるいは市長さん方あるいはジャーナリストの先生の方々とか、いろいろ入っていただきまして現在、鋭意検討中の段階でございます。  その内容といたしましては、まず第一点としましては、流域から出てくる洪水流出の大きさをできるだけ抑制したいということが一つございます。これは流域の貯留機能を確保していくということでございます。たとえば水源におきましては山林を涵養していく、それから平地におきましては遊水地、調節池を生かしていくとか、あるいはまた都市部におきましても、自分の家に降った雨は一たん庭で遊ばしてから下水に持っていくとか、あるいは歩道におきましては、浸透性のある舗装をするとか、その他いろいろのことで水の時差出勤を考えていきたい。と同時に、いわゆる洪水はんらん予想区域の調査もやっていきたい。と申しますのは、自分が住んでいる土地が水に対して、どういう安全度であるか。たとえば、ここに五十ミリ降った場合に川があふれて浸水するのであろうかというような調査、あるいは土石流による死者が多いということからいたしまして、土石流危険区域の設定とか、そういうものをやりまして、住んでいる方々が水に対して、洪水の場合の心構えをする、あるいは土地利用において、そういう土地の性格を生かしていくとか、そういうふうに役立てたいということでございます。そのほか適正な土地利用あるいは警戒避難体制、そういうものについて現在、総合的に検討をお願いしておる次第でございます。
  176. 西村章三

    ○西村(章)委員 多面的な対策が望まれます。総合治水対策委員会ですか、この中でも、やっておられるようでありますけれども災害は時を待ってくれません。どうぞひとつ一日も早く、そうした体制を確立していただきたいものであります。  ただ問題は、先ほど申し上げました長良川決壊、この場合でありますけれども、これは岐阜県下で約九百ミリにも及ぶ記録的な降雨量があった、計画高水位十・六六メートルに対して十メートル程度の高水ピークが二回もあった、洪水継続時間は八十時間にも及んだと言われております。これが原因だ、こう言われております。また、多摩川の場合も計画高水流量程度でありまして、決壊地の上流の測水所、下流の測水所ともに計画高水位を大幅に下回る水位を記録したにすぎなかった、こう言われておるのであります。  そこで、根本的なことでありますけれども河川計画上の問題として、計画雨量なりあるいは計画高水流量決定の方法に問題はないのか、あるいは検討すべきではないか、こう思いますが、いかがでございますか。
  177. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  計画雨量、計画高水流量などの決定に当たりましては、過去の洪水における降雨の時間的、地域的分布、それから、その結果として生じた流量の時間的な変化及び、そのピーク流量、最大流量でございますが、これを考慮に入れて決定している次第でございます。したがいまして、こういうふうな計画雨量とか計画高水流量の決定法については適正であるというふうに判断してございます。
  178. 西村章三

    ○西村(章)委員 最近の災害実態を見ておりますと、大河川の決壊もさることながら、中小河川都市河川被害、特に土石流による災害が非常に多いわけでございます。しかし、整備状況は非常に低うございまして、中小河川全体で約一二・八%、都市河川全体で二四・五%こういう状況でございます。かてて加えて全国的に開発に伴う市街化が非常に著しゅうございまして、それに対応できるような治水対策の強化を図る必要があると思うのであります。  そこで、都市に係る治水対策について、お伺いをいたしたいと思います。これは、けさほども同僚の委員の方から御質問があったかと思いますが、都市河川対策について、この五カ年計画における実施方針、いま一つ都市砂防対策についての同様、実施方針、これはいかがでございますか。
  179. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃいましたように最近、都市河川における被害が非常に激増しておる次第でございます。それで都市河川の浸水対策につきましては、最近の被害実態から考えまして、毎年の予算におきましても重点的に事業促進を図っておる次第でございます。拡大しております人口の急増地域及び人口の密集地域につきましては、今後とも重点的に整備していきたいと考えております。  なお、五ヵ年計画における整備の目標でございますけれども都市河川としましては、できれば時間雨量五十ミリに対しまして四五%程度に持っていきたいと考えております。  次に、土石流によって、とうとい人命が失われておるわけでございますが、いわゆる都市砂防対策につきましては、既成市街地それから、その周辺の土石流対策重点的に、しかも危険度の高い渓流から整備していきたいということで、現在それをやっておる次第でございます。  また、市街化区域の中で渓流が未整備のまま都市化が進行する、それによって引き起こされる激甚な土砂害を未然に防止する必要があるわけでございますが、そういう渓流の縦横の浸食防止あるいは障害物の除去を目的とする流路工を現在、促進しておる次第でございます。それから、これらの渓流というものは、流域内の開発行為によって危険性を増すことが多いわけでございます。したがいまして、下流地域の安全度を低下させておるということでございますので、砂防指定地の指定を積極的に促進し、災害防止に努めていきたいと考えております。
  180. 西村章三

    ○西村(章)委員 これは、いささかローカルな問題で恐縮でございますけれども、大阪、特に南部は中小河川の密集地帯だ、こう言われているほど非常に多いところでありまして、加えて市街化のテンポが急激でございまして、災害発生率も非常に高いのであります。これに対応した、いわゆる河川改修を進める必要性が強く要請されております。中でも代表的なものは石津川水系、その上流には、いま人口二十五万規模といわれる泉北ニュータウンが造成されつつあるわけでございます。そこで、石津川の改修状況あるいは今後の対策改修整備率の進捗状況、こういったものについて、お教えをいただきたいと思います。
  181. 栂野康行

    栂野政府委員 石津川水系につきましては、先生おっしゃいますように非常に重要な水系でございます。それで現在、治水対策と砂防対策をやっておるわけでございます。  まず、石津川の改修状況について、お答えいたしたいと思います。石津川というのは大阪府の堺市に位置しております中小河川でございます。これは昭和二十七年の豪雨によって大きな災害があったわけでございます。その災害を契機としまして災害助成事業などによって、すでに一次改修が三十四年に完了した次第でございます。しかしながら流域内の、たとえて申し上げますと泉北ニュータウンの開発計画などに関連しまして、この石津川水系というものの計画規模を大きくしなければいけないということで、昭和四十年度から、いわゆる開発者負担を加えまして二次改修に着手した次第でございます。この二次改修は、五十年度末におきましては約八〇%の進捗率を示しておる次第でございます。それで、この二次改修のまだ残っておる部分でございますが、これについては第五次五ヵ年計画で、おおむね概成させたいというふうに考えております。しかも最もおくれております支川の妙見川、これにつきましては新年度に小規模河川改修事業に採択して、そして積極的な改修促進を図っていきたいというふうに考えてございます。
  182. 西村章三

    ○西村(章)委員 あわせて、いま申し上げました泉北ニュータウンに関連する土石流対策、これの現状及び、その今後の対策、これを教えていただきたい。
  183. 栂野康行

    栂野政府委員 泉北ニュータウンに関連します砂防事業につきましては、昭和四十六年から事業実施しておるわけでございます。特に重点を置いておりますのは石津川水系の妙見川、和田川、それから法道寺川を中心に、その土砂害防止したいということで現在、砂防ダムそれから流路工などを計画的に実施しておるところでございます。昭和五十一年度におきましては三億円以上の事業費を集中的に投入しまして、砂防ダムあるいは流路工というものをやっておるわけでございますけれども昭和五十二年度以降も積極的に推進してまいりたいというふうに考えてございます。
  184. 西村章三

    ○西村(章)委員 あと引き続いて対策の強化なり、早期完工ということでお願いをいたしておきたいと思います。  次に、いわゆる準用河川の問題についてお尋ねをいたします。  緊急措置法の一部改正案によりますと、いわゆる準用河川これを新たに五ヵ年計画対象、こういうことにしようということであります。五十年に補助制度というものが創設をされましてから、ちょうど本年度は三年目であります。二年を経過いたしました、この問の実績はどういうことでございましたか。また、この補助事業の採択基準、これはどうなっておりますか、お聞かせをいただきたい。
  185. 栂野康行

    栂野政府委員 過去二年の実績でございます。昭和五十年に百八十河川を採択いたしまして事業費が十億二千万という次第でございます。昭和五十一年は二百九十河川事業実施しておりまして、二十六億六千四百万というふうに二・六倍程度伸びを示しておるわけでございます。来年度におきましても一・七倍程度予算をもちまして重点的に促進を図っていきたいというふうに考えてございます。  それから補助採択の基準でございますけれども、まず総事業としましては、いわゆる都市河川の準用河川という場合には二千万円以上三億円以内、それから、その他の河川につきましては二千万円以上二億円以内というふうに考えてございます。そういう事業の準用河川に係る河川工事でございます。そして、次の各号のいずれかの要件に該当するもの、総事業費としては、いまのでございますが、その間なお条件がある。その条件としましては、一つとしまして、過去三カ年間にはんらん被害が三回以上発生した区域に関する工事であるということと、第二点としまして、はんらん防止区域内に六十ヘクタール以上の農地、五十戸以上の家屋または五ヘクタール以上の宅地があるということでございます。それと三番目としまして、宅地開発、区画整理、土地改良等の事業に関連して河川工事が必要となるものであるということ、第四点としまして、下水道または農業排水路からの排水を処理するため河川工事が必要となるものであること、その四つのうちの一つに該当すればいいわけでございます。それで現在は以上の基準に該当するもののうちから緊急を要するものから順次、採択して改修促進を図っておる次第でございます。
  186. 西村章三

    ○西村(章)委員 地方の小規模な河川のはんらんというものが非常に最近、特に増加をいたしております。そこで、そういう意味でも準用河川改修の必要性というものが一段と高まっておるわけであります。補助事業は二カ年で、ようやく緒についたばかりだ、こう言えるのでありますが、全般的に、まだまだ少ないと私は思います。そのためには、もっと拡大をしなければならぬ。それを新しい五カ年計画では、どの程度、見込んでおられるのか、この点についてお伺いいたします。
  187. 栂野康行

    栂野政府委員 この準用河川改修というものは市町村からの補助要望というのが非常に強いわけでございます。したがいまして毎年、先ほど申し上げましたように予算を伸ばしておるわけでございますが、第五次治水事業五カ年計画におきましても大幅な促進を図っていきたいというふうに現在、検討中でございますが、一応、五十二年度の予算の約十倍程度は確保したい。届くか届かぬか、その辺をめどに現在、鋭意検討中でございます。
  188. 西村章三

    ○西村(章)委員 十倍にしたい、こういう希望的なお言葉でございますが、やはり、この準用河川の補助事業というものは、もっと拡大をすることによりまして地方の、そうしたはんらんが、さらに少なくなるということでありますから、さらに御努力をお願いしたいと思います。  ただ現在、この補助事業を補助率という問題からながめてまいりますと、市町村の事業費、これは市町村は事業費の三分の二これを負担しておるわけであります。地方財政それぞれ現在、逼迫をいたしております今日の事情から申し上げまして、事業実施が非常に困難な場合もあるわけであります。したがって国がもっと補助率を引き上げてもいいんではないか、私自身はこう考えるのであります。たとえば二分の一にするとか、こういったお考えはございませんか。
  189. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいますように、準用河川の国庫補助というものは三分の一でございます。この準用河川につきましては、昭和五十年から発足した事業でございますが、非常に市町村からの改修の要望が強い事業でございます。したがいまして当面、事業費の増大に重点を置いてやっていきたい。そして、いわゆる非常に治水のおくれておる準用河川の安全度を少しでも上げていきたいというふうに考えます。
  190. 西村章三

    ○西村(章)委員 最後に、先ほどから他の委員からも質問がなされておるんでありますが、治山治水、これは有機的にタイアップして初めて、その効果というものが大きく期待できるんであります。これは当然のことでございます。そこで建設大臣、そういう意味から林野庁で、いま進めておられます治山五カ年計画、これは具体的に、どのような協議をなされるのか承っておきたいと思います。
  191. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  現在、治山治水事業の総合性を確保するということで、五カ年計画の策定に当たりましても、その整備目標とか、あるいは計画内容について相互に調整を行っている次第でございます。また五カ年計画の毎年の実施に当たりましても、治山治水行政事務担当者の間におきまして、計画、工事、管理等につきまして連絡調整会議というものを、これは中央と地方と二つに分けまして相互に協議し合いながら、治山治水事業の一体化といいますか、連携を図りながら事業推進に当たっておる次第でございます。今後とも両者の緊密な連携のもとに治山治水事業促進を図って、そして災害の軽減に努めてまいりたいというふうに考えます。
  192. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま局長が御答弁申し上げたように、治山治水という問題は切り離すことのできない問題でございます。いずれにいたしましても治山の方は優先しなければならない問題であり、また、それぞれ総合的な調整を十分とって、昨年の災害を機としまして本年からは特に、この点については調整をとって進む考え方でございます。
  193. 西村章三

    ○西村(章)委員 日本の行政は往々にして縦割り行政でございまして、そうした連動が非常に乏しいということが、よく指摘されているわけであります。どうぞひとつ緊密に連携をとっていただいて、各省あって政府なしということのないようにお願いを申し上げたいと思うのです。水を治める者国を治める、これは古今東西の名言でございます。河川のはんらん、洪水による被害を防ぐことは国を治めるかなめでもございます。新五カ年計画達成を通じて、この大目的というものをさらに前進していただきますように特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  194. 北側義一

  195. 瀬崎博義

    瀬崎委員 昨年の災害は最近のあらゆるタイプの災害を含んでいると言われるぐらいに、被害全国的広範囲かつ深刻であったわけです。御承知のように山形を除いた四十六都道府県に及んでいるし、死者、行方不明は、四十八年以降では最高の二百四十二人に及び、被災家屋が約六十二万、公共土木被害が三千八百億円。被害総額八千億円。こういうところから特に、ことしの治山治水の第五次五カ年計画が、ある意味でクローズアップされるという、実際には遺憾な事態であろうと思うのです。  昨年の災害でも最も代表的な例として挙げられるのが長良川の堤防決壊でございます。この原因については、もちろん当事者である建設省が最も真剣かつ科学的に究明されているんだろうと思うのですが、すでに木曽川上流工事事務所を中心として行われました第一次の原因究明の報告は昨年十二月末にはできた、本省へも、これが伝えられた、こう聞いているわけであります。一言で言えば、現地の工事事務所がまとめましたこの報告の中での、この決壊原因の特徴は何か、まず、それをお答えいただきたいと思います。
  196. 栂野康行

    栂野政府委員 昨年の台風十七号、長良川の流域におきましては上流において千ミリ降った、そして大きな山が四つもの雨が降ったわけでございます。それで洪水としましても、いわゆる計画洪水に近い波が三つ参りまして、いわゆる警戒水位以上の高い水位が約八十時間近く続いた。それにあわせまして地元の岐阜市におきましても八百ミリ以上の雨が降って、堤防が側面から、また地元の雨と両方から浸透、サチュレートされまして切れた、複合的な異常の洪水によって切れたわけでございます。現在、土木研究所それから木曽川上流工事事務所、本省と鋭意、破堤の機構を解明中でございます。それで、まだ、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、そういうサチュレートされたのに合わせまして堤防がすべっていったというふうな段階でございます。しかし現在、鋭意その具体的な破堤機構につきましては検討中でございます。
  197. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう抽象的なことを聞いているのではないわけです。現場の工事事務所が一応まとめた報告があって、これに対して本省の方からは、さらに補足的な意見を出して、その結果、現在いろいろと検討中だ。こういうふうにわれわれは聞いているわけなんです。したがって現場の工事事務所が、いまの堤防決壊の機構について、どういうふうな報告を出したのか、これに対して本省側はどういう補足意見を出しているのか、ここを明確にしてほしいわけであります。
  198. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  ただいま先生お話しの非常に具体的な内容につきましては、実はまだ確定的な原因と思われるような統一見解はできておりません。ただ資料といたしまして、いろいろ、こういったことも考えられるというようなことが併記されまして、いろいろな要素が、事務所の方で調べた結果、上がってきております。それの一つずつと申しますか、それらが複合して起きたんじゃないかというようなことは言えるわけでございますが、それらの総合的な意味づけ、価値づけ、そういったものにつきまして現在やっておる最中でございまして、その細部につきましての御説明は、ちょっといま、いたしかねるわけでございます。
  199. 瀬崎博義

    瀬崎委員 細部についての説明はいたしかねるということだけれども、現に一応、現場の方の工事事務所が、とりあえず現場としての報告をまとめた、こういうことは事実なんでしょう。
  200. 小坂忠

    ○小坂説明員 報告をまとめたと申し上げるよりは、資料といたしまして、たとえばボーリングの資料であるとか、あるいは聞き込みの調査であるとか、いろいろの観点から、いろいろな資料を集めておるわけでございますが、その生の資料は上がってきております。ただ、それについての見解をどう扱い、あるいは今後それを、どう評価して今後の調査を進めていくかということを議論しておるわけでございます。
  201. 瀬崎博義

    瀬崎委員 昨年度は、ずいぶん、この原因について論議がされていますね。一般的には地建の方では残留水圧説だ。しかし、これに対してはパイピング説もあって、漏水で小さい穴があいた、これが漸次、広がっていったという説もあった。あるいはまた、くい打ちが決壊の直接の引き金になったという説もあったわけでしょう。それぞれによって、その原因に対する対処の仕方が、また違ってくると思うのですね。そのほかにも地元の人たちの言い伝えによれば、昔の切れどころで、そのときの水が外側の池として残っているんだとか、あるいは堤防の外側に池があったことが今度の一つの弱点になっていて、長良川の地下水が浸透して、できたものであるとか、あるいは、もっとずばり、もともと池の上に堤防をつくったのではないか、ここまでも言われておるわけでしょう。いずれも、これは事実を調べればわかることで、もし、それが原因だとするならば、今後の堤防をつくる場所も、よく検討しなければいかぬということになるでしょう。また、そういうところへ堤防をつくる場合には、基礎から、どういうふうにしていかなくちゃいけないか、こういうことも変わってくると思うのです。そういう点では、この原因究明というのは、まさに全国的な今後の堤防工事の一つの試金石になるとも言うべき重大な内容を持つと思うのですね。だから、中間報告的なことはしないという態度のようだけれども、少なくとも残留水圧説だった建設省が、その他の要素も考えているのかどうか、そのくらいは答えてもいいんじゃないですか。
  202. 小坂忠

    ○小坂説明員 ただいま、お話し申し上げましたように、そのいろいろな複合した事象を、どう判断していくかということが実は一番の問題になりますので、私どもとしては現在その解明を急いでおる最中でございます。ただ、いろいろな調査も大体、出そろいかけておりますので、それらを総合いたしまして近いうちに結論が出るような段取りにはいたしております。
  203. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ところが一方、復旧工事の方を見ますと、いわゆる仮締め切り工事が九月二十五日に完了しておって、引き続いて本復旧工事の準備に入り、十月九日に本復旧工事に着手して、今年の二月末には一応、完了しているんではありませんか。
  204. 小坂忠

    ○小坂説明員 長良川の決壊個所災害復旧状況でございますが、いわゆる応急復旧工事につきましては、御承知のように破堤後すぐ着工いたしまして、仮堤防を五十一年十月十四日に完了いたしております。それから本復旧につきましては、五十一年の十月九日に着工いたしまして築堤、護岸等を実施いたしまして、今年の二月末日に一応の完了をいたしております。
  205. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは大臣にお聞きしたいのですが、まだ原因がよくわからない、検討中だというのですね。この原因究明のいかんによって当然、工事の方法も大分、変わるだろうし、また、あそこは堤防個所を変えるわけにはいきませんが、それだけに、もし、そういう軟弱地盤の上だとすれば相当、基礎から強化しなければいかぬと私は素人考えで思うのですよ。そうなると、原因は後回し、工事だけ済んだ。さて原因が明らかになったときに、その工事を一遍、見直して、さらに補強の必要があればするのか、改善するならばするのか、この点だけは大臣から、はっきりお聞きしておきたいのです。
  206. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほどから瀬崎さんのお話のように、原因はどこにあるのか、一口に言えば治山の方で水を蓄えるだけの力がなくなってきて、予想以上の降雨のために洪水になったということでしょう。しかし、いまのお話は違いまして、見直しをするか。もちろん、これらに対しては早急にやらなければならない工事でございますので、一応、民意の安定のために早急に原形どおりにやっておいた。しかし、さらに、これの見直しは当然やらなければならぬときが来るだろうと思っております。
  207. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは私も直接、現場へ行きましてお聞きしたことでもありますし、また、その他の論文等にも出ておりますが、中部地建の木曽川上流工事事務所長は「残念ながら、堤防の設計には、どれだけの瞬間的な高い水位に対応できるか――という発想はあっても、それより水位は低くても洪水期間がどれくらい続いても耐え得るかという発想は」なかった。つまり水位の方は考えていたけれども洪水の期間の方は堤防の強度の中に入れていなかった、こういうふうな反省の声は現に出ておりました。私も聞いておる。そういうことであれば、これは全国堤防にも、そういうことが言えるんではないか。こういう点で、私は長良川の決壊原因というのは非常に重要性を持つと思うのですね。やはり現場の人が一番よく知っていると思う。だから長良川の決壊原因を早急に究明することと、その究明の結果は長良川の堤防のいまの工事にも、さらに補強改善で、いま大臣のお約束のとおり適用すると同時に、全国の他の河川にも必ず応用する、こういうことも建設省ではやられますね。お聞きしておきたいと思います。
  208. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  ああいうふうな、いわゆる超異常の時間の長い洪水に対処するには、どうすればいいか、どういう堤防をつくれば万全であるかというのは現在、長良川の決壊の堤防をもとにして検討中でございます。それで全国堤防につきましても、おいおい見直してまいります。  ただ、いつ、それに対処するかということは、いわゆる河川治水事業というものは、一連の堤防を同じような安全度で改修を進めていくということで、高さを先に上げた方が確率的に多くの洪水に対応できるか、あるいは幅を広げた方がいいかとか、あるいはまた用地問題で幅を倍も三倍も広げられぬ場合には別の対応の仕方がないかとか、そういう、いろいろなことがあるわけでございまして、いわゆる川の実情実態に応じまして治水の安全度をできるだけ早く上げていくようにやってまいりたいというように考えます。
  209. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この緊急措置法は、そもそも成立時点において、その直前にありました昭和三十三年の狩野川台風であるとか、その翌年の伊勢湾台風、こういうものによって大きな災害が起こったことをきっかけにして、つくられたのではなかったかと思うのです。ところが最初十年でしたが、それも五年で見直しになりました。この五年の見直しのたびに、やはり何か大きな災害に出っくわしているということで、緊急措置法をつくったことによって、より災害はましになったと言えるどころか、逆に年々、災害はふえ、かつ大きくなってきているというのが現状ではないかと思うのです。特に去年あたりのは大中小すべての河川で、言葉は悪いですが、まんべんなく災害が起こってきている。こうなってきますと、政府がせっかく五年ごとの計画を立てて鋭意、治山治水努力されたんだと思うけれども、なお追いつかないで逆の現象があらわれるということは、治山治水が十分でないというだけではない、他のもっと根本的な原因があって、そのことも、ここで、ちゃんと見直しておかないといけないということになるんじゃないかと思うのですが、その点の建設省のお考えはどうですか。
  210. 栂野康行

    栂野政府委員 災害の歴史を振り返ってみますと、先生がおっしゃいましたように三十三年の狩野川台風、三十四年の伊勢湾台風、それから三十六年にも若干あったわけでございますが、三十七年以降四十七年までの間は、ほとんど洪水らしい洪水はなかった。それから近年に至りまして、また戦後のような水害が生じておる次第でございます。これの原因としましては、治水の施設整備が毎年毎年、増強されているけれども、やはり、まだ足りなかったのが一点と、やはり気象条件というものもまた、もう一つ考えられるわけでございます。と同時に、もう一つは、これはむしろ中小河川でございますけれども、いわゆる流域開発による洪水がふえていくという、いろいろな要素が複合されて現在のような水害が頻繁に起きているというふうなことだと思います。
  211. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは、この前の第四次五カ年計画策定の段階でありますけれども、当時の川崎河川局長だったかが、年を追うごとに災害が大きくなってくる基本的な原因について、特に経済成長の激しいこの数年、非常に顕著な現象となって、あらわれてきておりますというように答えていますね。私ここを抜かしたら、せっかく治山治水五カ年計画予算をふやしたとか、多少、補助対象河川の範囲を広くしたというだけでは、この日本の病気は治らないのではないかとも思うのですね。この点については河川局が出しております「第五次治水事業五箇年計画(案)について」この中にも述べていますでしょう。「昭和三十年代後半から始まった経済社会の急激な発展」つまり経済成長の高いことを言っているのだと思います。「に伴い、河川流域における国土の開発が急テンポに進み、さまざまな影響を河川に与えた。国土の開発は、洪水や土砂の流出を増大させ、河川治水機能の劣化を招き、災害を拡大させるとともに、氾濫区域における市街化の進展は、治水施設がそのままでは、新たな水害対象を創り出し、水害を質量ともに増大させることになる。」したがって、治山治水五カ年計画の審議のうらはらの関係にあるのが、まさに急激な高度経済成長にどう対処するか、こういう問題にあろうと思うのです。  この点で、災害をひどくしている原因と指摘される国土の開発の大部分が、また建設行政なんですね。建設省部内において、一方で災害を大きくする原因をつくり、一方臓災害を少なくしようと努力する、これは矛盾している。ここの兼ね合いといいますか調整といいますか、整合性といいますか、これがうまくやられない限りは、今度の五カ年計画で今後、必ず災害防止できるとは言いがたいのではないかと思っているのです。この点では当然、大臣は考えておられると思うのですが、一番基本的なこととして、お考えを聞いておきたいと思います。
  212. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私も、それが全然間違っているとは申しません。地下浸透させようといっても地下浸透させられない現在の、たとえば道路一つを見ましても、そのとおり。かつては舗装でなかった細い道路も全部、舗装化してくる。恐らく瀬崎さんも舗装道路をやれという陳情があれば、おいでになるでしょう。同じことであって、そういう面においての地下浸透という面があれだけあった、地下へ吸っていく量よりも、はるかに、その度を超えてきているという今日、すべてが舗装の上を流れて河川に入っていっている、こういうような問題を伴っている。先ほど申し上げたように、山を見れば開発と言おうか、開発でなくても現在の山が、これで戦前のもとの山に戻ったとは私は言い切れないだろうと思う。こういう面において山の貯水する力も失っている現在、何とかして治山を早急に完備しなければならぬ。あわせて道路の問題も、これだけ、どこへ行っても舗装道路でございますので、その流水をどういうふうに今後、防いでいくかという点についても十分考えなければならぬ問題だと思う。したがって、八十年の歴史から調べて、これだけの堤防があれば間に合うという点については見直しを考えなければならない。同じ雨量であっても河川に流入してくる水量が多くなっているという現実は見逃すことのできない事実だと思うのです。こういう面もあわせて検討を加えていかなければならない複雑な問題がある、こういうふうに考えます。
  213. 瀬崎博義

    瀬崎委員 複雑な問題があるという認識だけされて、それにどう対応するかというものがなければ、私は、せっかくの治山治水事業が本当に生きない、こう思うわけですね。これは建設省の出しているいろいろな資料に指摘されているのです。たとえば建設白書でも「国土の開発の急激な進展により、自然が有する保水機能、遊水機能の低下と土砂の堆積等に伴う治水施設の機能低下を招来し、水害の危険を増大させており」こういうふうに、はっきり指摘しているわけでしょう。いま道路の舗装の例を挙げられましたけれども、確かに私も生活道路の舗装は要請します。だけれど、これが地下浸透力を阻害するのはわずかだと思う。やはり山の保水機能などを大きく破壊すると言えば高速道路にならざるを得ない。私は、それをやるなとは言わない。一方で治山治水事業をやるわけですから、これと見合って災害を拡大しない範囲内で開発が行われれば、急激な開発によって災害を拡大することは防げると思う。ここの調整がまさしく政治だと思うんですね。建設大臣の最大の仕事だと思う。  いままでの例で見ても、第七次の道路五カ年計画は十九兆円の投資ですね。これに見合う第四次の治山治水は四兆円でしょう。これが少ないからというので今度引き上げられたのでしょう。このことは評価しているのですが、それでも八兆八千億ですね。道路にははるかに及ばないわけであります。この前、住宅と比較したら、住宅は居住者が利用されるんだ、特定の人が利益を得るのだから道路と同じようにいかないんだ、こうおっしゃった。じゃあ一体、治水と道路と、どちらが一般国民生命財産に影響するか。これはまさか特定の人とは言えないと思うのです。こういう点を具体的に改められてこそ、私はなるほど本当に治山治水国土の保全を重視して、それと調整をとりながら開発も進むんだと安心できると思うんですね。ひとつ、その点で大臣が具体的に、どうお進めになるのか、お聞きしたいと思います。
  214. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 おっしゃることと同じことだと思うのです。私は、一般に総括的に見直しという言葉の中には、すべてが含まれておるだろうと思うのです。ですから過去八十年の歴史をたどって、いま、やっていたことも現実と合わないということになれば、見直しすることは当然のことだ。でありますから幾分でも、こういうような点については見直しをして今後の施行をしなければならないだろう、こう申し上げておるのですから、あなたのおっしゃることと同じことを総括しただけで、一言で言った方が早いだろうと思って、そう言ったのです。
  215. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうすれば結局、いままでのように開発だけが先行して国土の保全が後回しになる、その後追いを治山治水でやる、こういうことは改めます、こういうふうに理解していいんですね。
  216. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 改めますとかいう問題ではなくて、全般を見直して、そして今後の新たなる計画の上に立って進むべきである、こういうふうに示唆をしております、こう申し上げておるのであります。
  217. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私どもは、今回のこの緊急措置法の一部改正には賛成なんですよ。その立場で申し上げているのです。それは本来、治山治水というものは、文字どおりいけば必ず国土を保全して国民生命財産を守るはずであります。ところが過去は、この治山治水という名のもとに、たとえば多目的ダムなどで逆に利水の方が幅をきかしてくるというふうな面もあって、必ずしも治山治水すべて災害防止と言えない面もあった。そこに、われわれが過去、反対したという理由もあったわけであります。今回は、こういう点では政府側も一定の認識を改めてきているということが、こういう白書等にあらわれていますから、われわれは一応、法案の改正には賛成する。  しかし今後つくられるであろう五カ年計画そのものは、ここに中身としては提示されてないわけでしょう。それにはわれわれは注文があるわけです。少なくともこの治山治水事業に十分、国の予算の配分が行われること、それから先ほどから出ておりました危険個所の総点検とか、あるいは長良川などの決壊原因、こういうものを十分適用して、再発防止に万全を期する内容にしていくこと、それから地方自治体や住民の意見を十分くみ入れて治山治水事業の進められることを望みたい。これはダムといったような問題だけではなしに、長良川の決壊でも、付近の住民は危険だと指摘しているというふうなことが、後からではあるけれども言われているわけであります。こういう点での住民の意見の尊重を、私たちは、ぜひともこの際、強く強調しておきたいし、こういうことが今後の五カ年計画で十分、生かされないということになれば、われわれだって、それはそれとして、また計画に対する批判という立場に立たざるを得ないと思うわけでございます。  以上、わが党の見解も述べまして質問を終わりたいと思います。
  218. 北側義一

    北側委員長 甘利正君。
  219. 甘利正

    甘利委員 局長さん、川と水路と底地の所管これについてお尋ねいたします。  国、県が管理するもの、それから市町村が準用河川として管理するもの、それ以外の川と水路は市町村が管理する、この場合、地方自治法に基づいて管理する、こういうことなんでしょうかね、どうでしょう。
  220. 栂野康行

    栂野政府委員 河川法におきましては一級河川建設大臣、二級河川は都道府県知事、そして準用河川は市町村、普通河川につきましての管理は自治法に基づきまして市町村が管理するということでございます。
  221. 甘利正

    甘利委員 そうしますと準用河川を五カ年計画に入れたことは、計画的に事業を伸ばす、こういうふうな御説明でございましたので、言うならば、これは管理維持の合理化、強化、こういうふうに解釈をし、そして普通河川が準用河川になった時点において、市町村が管理するが河川法に基づいて管理する、こういうふうな解釈でよろしいでしょうか。
  222. 栂野康行

    栂野政府委員 そのとおりでございます。
  223. 甘利正

    甘利委員 それから河川並びに、いま言っております河川と水路の公図は登記所あるいは市町村にあるわけでございますが、ところで、それら河川、水路の底地権は、無主物は国へという原則で国にある。そこで国が直接ということになりますと、これは建設省の所管でございますね。建設省の所管ですから建設省は、それを県に所管させている、こういう現状でございますが、なかなか厳しい条件がついている、こういうことでございます。その点、ごく簡単で結構でございますから、御説明願いたいと思います。
  224. 栂野康行

    栂野政府委員 その水路の底地は建設省所管のいわゆる公共用財産として都道府県知事が管理しておるという次第でございます。
  225. 甘利正

    甘利委員 知事に管理させていますね。そうですね。そして、かなり厳しい条件なんですね。たとえば細い水路がありましても、その水路の上に構造物から構造物をつなぐ橋をかける、この場合は空中権というんですよ、そういうものは許さないとか、かなり厳しいですね。それから細い水路であってもコンクリートボックスでもって、すっかりやって通す、そういうことも許さない。こちらから、こちらをつなぐ必要最低限度の橋をかけるぐらいは許すという、かなり厳しい管理であるということなんですね。あすこまで厳しくおやりになる必要があるのかないのか、最近の住宅事情等にも見合ってということでございますが。それから、この場合、条例設定をすることによって、知事でなく建設省からのお仕事を市町村がちょうだいする、こういうことができると思うわけでございますが、これはどうですかということでございます。  なぜ、そういうことを私が言うかと申しますと、実は、ここが聞きたいということなんです。ある町で、こういうふうにミミズがはったような水路があったわけです。この水路を埋めなければいけないということで代替水路のりっぱなものをつくったわけですね。その時点においては行政財産であった。しかしながら、行政財産であったときに処分をしなかったから、今度は新しい水路が働いておるから心配ない、埋めてしまった。埋めた時点において、ある段階において、それが普通財産になってしまった。それだから、いよいよ、それを払い下げるということになると、財務局の方の関係になっちゃって時価で、ぱちぱちとはじかれちゃって、水路をつけかえるのに三百万円も出しちゃった、その時点で変えればよかったけれども、今度は坪幾万円でもって五百万円いただかれちゃった。どうも、これは何だか知らないけれども、余り親切な行政じゃないじゃないかと言えば言えるのじゃないかと思うのですよ。しかし、法律があるから仕方がないと言われれば、そうでございますが、そういうことをなくすために、むしろ積極的に条例設定によって市町村が県の仕事をやるというふうにした方が、県もいいし市町村もいいし、市町村へ了解をとりに行ってから、また、やり直しで県へ行ったなんて厄介で、しょうがないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。ポイントだけでいいです。
  226. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えいたします。  具体的な案件は、ちょっと存じ上げないのでございますが、法律があるから仕方がないと先生おっしゃいましたけれども、国有財産法その他、規定によりまして建設省所管の国有財産は、公共用財産は都道府県知事が管理するわけでございます。そして公共用財産の用途が廃止されますと、それは普通財産になるわけでございますが、公共用財産として管理している者が、その管理費を負担している場合には譲与を受けることができる、用途を廃止された後に譲与を受けることができるとなっております。したがいまして、いま先生おっしゃいましたように、条例などをつくって市町村なり、あるいは都道府県知事でもいいのでございますが、それが管理をいたしまして、そして用途廃止をいたしまして、その管理費を払った範囲内において自分の土地として譲与を受ければ、先生おっしゃるような、また高いお金を出さないで済むというようなこともあるかもしれませんが、それは前に、それだけの行政上の管理をしているということが前提になるわけでございます。また、条例をつくって管理することにつきましては、普通河川において、そういうことをするようなことを、私どもとしては市町村なりに、いろいろ指導しております。  以上でございます。
  227. 甘利正

    甘利委員 私も、もう少し、いろいろ研究しまして、またお尋ねしたいと思います。  質問を終わります。
  228. 北側義一

    北側委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  229. 北側義一

    北側委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  230. 北側義一

    北側委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  231. 北側義一

    北側委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る渡辺栄一君外五名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者渡辺栄一君から趣旨の説明を求めます。渡辺栄一君。
  232. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 ただいま議題となりました治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきまして自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、趣旨の御説明を申し上げます。  案文は、お手元に配付してあります。  御承知のとおり、本法案は、最近における異常な災害の頻発及び水需要の増大等に対処するため、現行の治山治水事業五カ年計画の改定について所要の規定を整備しようとするものでありますが、本法の施行に当たっては、新治山治水事業五カ年計画の完全達成を図るのみならず、従来、使用されなかった予備費についても積極的な運用を図る必要があると思われるのであります。また最近の山地に起因する災害の多発、水需要の逼迫等に対処するための予防治山事業の充実、総合的な水資源対策推進、さらには都市河川等の中小河川を初め、今回の一部改正により特別会計で経理されることとなった準用河川等の改修事業促進するための財源措置、近年の河川流域の開発等に伴う河川環境の改善、河川敷地の適正利用等の、いわゆる河川管理体制についても強化を図るとともに、これらの諸施策を実施するに際しては、国、地方公共団体の財政のバランスを失しないよう十分配慮する等、政府は適切な措置を講ずる必要があると思うのであります。  以上、簡単ではありますが、趣旨の説明を終わります。委員各位の御賛同をお願いいたします。 ――――――――――――― 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一 社会経済の発展に即応し、災害発生に対処して国土の保全を図るため、今次の治山事業五箇年計画実施にあたつては、これを緊急かつ先行的に行い、計画の完全達成を期するとともに、両計画の各予備費についても積極的な運用を図ること。 二 森林のもつ公益的機能の確保に対する国民的要請が高まりつつある現状にかんがみ、国土保全、水資源の確保のため、予防治山の充実に努めるとともに、治山治水事業間の有機的な連けいの強化を図ること。 三 水受給のひつ迫に対処し、水資源の開発を図るため、水源地域対策および地下水対策等、総合的な施策を積極的に推進すること。 四 治水事業においては、都市河川中小河川および準用河川改修事業の一層の推進を図るため、その財源確保と補助事業の拡大等、市町村に対する国の財政援助を強化すること。 五 近年における河川流域の開発、土地利用の高度化にかんがみ、河川環境の改善、河川敷地の適性利用及び砂利対策の充実等、地域行政との調和を図りつつ、河川管理体制の強化を図ること。 六 治山治水事業実施に当たつては、国、地方公共団体の財政秩序を乱すことのないよう配慮すること。 右決議する。 ―――――――――――――
  233. 北側義一

    北側委員長 以上で趣旨の説明を終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  234. 北側義一

    北側委員長 起立総員。よって、渡辺栄一君外五名提出のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川建設大臣
  235. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 本法案の御審議に当たりまして、委員会におかれましては熱心な御討議をいただきまして、ただいま全会一致をもって議決されまましたことを深く感謝を申し上げます。  審議中における各委員の御高見に対しましては、今後その趣旨を十分生かしまして、ただいま議決になった附帯決議につきましても、その趣旨をさらに生かして尊重いたしまして、今後の運用に万全を期してまいりたい所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際しまして、委員長初め各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意をあらわし、ごあいさつといたします。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  236. 北側義一

    北側委員長 なお、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  238. 北側義一

    北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会