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1977-03-02 第80回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二日(水曜日)     午後零時十八分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 野中 英二君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君    理事 岡本 富夫君 理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    江藤 隆美君       大塚 雄司君    瓦   力君       坂本三十次君    住  栄作君       谷川 寛三君    中尾 栄一君       松野 幸泰君    渡辺 紘三君       井上  泉君    伊賀 定盛君       下平 正一君    吉原 米治君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         建設政務次官  小沢 一郎君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         大蔵大臣官房企         画官      十枝 壯伍君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 山本 昭市君         水産庁漁政部沿         岸漁業課長   平井 義徳君         自治大臣官房参         事官      平岩 金一君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     沢田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     伊藤 直行君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     吉田 喜市君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   津川 武一君     瀬崎 博義君 同月二十五日  辞任         補欠選任   井上  泉君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     井上  泉君 三月二日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     渡辺 紘三君     ――――――――――――― 二月十九日  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二九号) 同月二十一日  尾瀬分水広域的運用に関する請願丹羽喬四  郎君紹介)(第五三六号)  県道下鞆渕桃山線改修に関する請願坂井弘  一君紹介)(第六二〇号)  荒川放水路の砂町側に河川敷設置等に関する請  願(不破哲三紹介)(第六五四号) 同月二十五日  河川改修緊急整備に関する請願唐沢俊二郎君  紹介)(第八一九号)  同(倉石忠雄紹介)(第八二〇号)  同(中島衛紹介)(第八二一号)  同(原茂紹介)(第八二二号)  長野富山基幹ルート公道化に関する請願  (唐沢俊二郎紹介)(第八二三号)  同(倉石忠雄紹介)(第八二四号)  同(中島衛紹介)(第八二五号)  同(原茂紹介)(第八二六号) 同月二十八日  河川改修緊急整備に関する請願羽田孜君紹  介)(第八六三号)  同(向山一人紹介)(第八六四号)  同(清水勇紹介)(第九一九号)  同(中村茂紹介)(第九二〇号)  同(小川平二紹介)(第九七四号)  同(小坂善太郎紹介)(第九七五号)  長野富山基幹ルート公道化に関する請願  (羽田孜紹介)(第八六五号)  同(向山一人紹介)(第八六六号)  同(清水勇紹介)(第九二一号)  同(中村茂紹介)(第九二二号)  同(小川平二紹介)(第九七六号)  同(小坂善太郎紹介)(第九七七号)  尾瀬分水広域的運用に関する請願濱野清吾  君紹介)(第九七八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月一日  東海北陸自動車道建設促進に関する陳情書  (第六六号)  第二阪和国道早期完成に関する陳情書  (第六七号)  国道一〇号バイパス建設促進に関する陳情書  (第六八号)  東九州縦貫自動車道建設促進に関する陳情書  (第六九号)  九州縦貫高速自動車道早期完成に関する陳情  書  (第七〇号)  高速自動車道建設促進等に関する陳情書  (第七一号)  国道四三号の緩衝緑地帯早期設置に関する陳情  書(第七二号)  道路災害防除事業整備促進に関する陳情書  (第七三号)  地方道路公社経営健全化に関する陳情書  (第七四号)  都市計画推進に関する陳情書  (第七五号)  日本住宅公団家賃値上げ反対に関する陳情書  (第七六号)  下水道整備事業促進に関する陳情書  (第七七号)  河川改修整備促進に関する陳情書外一件  (第七八号)  河川による水害補償制度確立に関する陳情書外  一件  (第七九号)  中小河川改修事業促進に関する陳情書  (第八〇号)  海岸保全施設整備促進に関する陳情書  (第八一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二九号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本住宅公団総裁南部哲也君、理事沢田光英君、理事有賀虎之進君、日本道路公団理事伊藤直行君及び理事吉田喜市君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 北側義一

    北側委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷一夫君。
  5. 塩谷一夫

    塩谷委員 今国会の焦点であり、また現在、与野党の争点になっております公共事業による景気回復という大きな問題があります。減税によるか、公共事業による景気回復がいいか、この問題で予算委員会では、もうすでに各党代表がかなり細かく、しかも具体的な質疑をいたしております。これに対しまして福田総理大臣は多少、途中では変化を見せましたが、現在のところは、とにかく公共事業一点張りでがんばっております。いよいよ、その問題も今週いっぱいに予算委理事会において詰めをするようでありますし、そこでできなくても日程上、政審会長段階あるいは場合によっては、さらに党首会談になるか、いずれにしましても本国会としては、これが大きな政治課題であります。そこで公共事業の主力をなしまする予算の大半を占めるわが建設委員会、その所管大臣であります、担当大臣であります建設大臣として、この点については確信を持っておられるものと思いますので、公共事業景気回復に占めます効果、そうした点についてお伺いをしたいわけであります。  要するに高度成長の過程で、社会資本整備そうしたものがきわめて急速に水準が上がったのでありますが、片や公共事業、特に民間部門の活動が急速であったのであって、実際に社会資本整備としては、公共事業としてはおくれをとっておることは、もう申し上げるまでもない。下水道にしましても住宅にしましても、あるいは治水道路等々において非常なおくれをとったわけであります。また事実、数年来の不況景気は全くの停滞状態となって民間設備投資等の盛り上がりはもう見られず、毎月、企業倒産が平均一千件を超しているわけであります。あるいは鉱工業の生産等についても急速に低くなっておる今日、何としても国民経済景気回復をしなければならない。それについて最初、申し上げましたように、公共事業をもって充てるという自由民主党の姿勢でありますが、これについて担当大臣として、公共事業こそ、この景気回復に大きな効果があるんだということについての確信のあるところをお伺いいたしたいと思います。
  6. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 冒頭に御指摘公共事業推進によって景気回復を図ることだ、私たちも、その方が最も優先し、御指摘のとおりであろうというふうに考えております。特に先日来、総理府の調査によりましても、公共事業と同額のものならば、少なくとも公共事業の方が一・八五、一方は〇・七八という数字も出ていることでございます。私たちは、この方が景気浮揚というような点については効果をもたらすものであるというような確信を持っておるものでございます。したがいまして、民間投資を刺激して、そして雇用の拡大を図る、その効果もまた相当大なるものがある、こういうふうに今後、自信を持って公共事業に邁進をする、こういう考え方でございます。
  7. 塩谷一夫

    塩谷委員 そこで、ただいまの自信ということでありますが、具体的に公共事業がどういう現状であり、また事業別資材費労務費その他用地補償等々の区分割合について、どういうふうな状況になっているかを御説明願いたい。
  8. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 お答え申し上げます。  五十二年度の建設省所管公共事業関係費でございますが、国費で二兆九千四百八十七億円でございますが、これが事業費になります場合には、地方の負担、公団事業につきましては財政投融資自己資金等それが加算をされますので、事業費といたしましては六兆七千二十六億円でございます。  いま、お尋ねの、この事業費労務費用地補償費資材費等に、どういうふうに配分をされておるかということでございますが、予算上は、これらの区分はされておりませんけれども、過去の実績等に照らしまして推計をいたしております。それによりますと、公団を含みます直轄事業につきましては、労務費が四千三百七十五億円、用地補償費が八千六百三十六億円、資材費が一兆九千四百十五億円、合計事業費として三兆二千四百二十六億円でございます。補助事業でございますが、労務費が六千四百七十四億円、用地補償費が八千二百六十四億円、資材費等が一兆九千八百六十二億円、事業費として三兆四千六百億円でございます。これを合計いたしますと、労務費が一兆八百四十九億円、用地補償費が一兆六千九百億円、資材費等が三兆九千二百七十七億円、事業費合計六兆七千二十六億円でございます。全体につきまして労務費等の占める比率でございますが、合計だけで申し上げますと、労務費が十六・二%、用地補償費が二五・二%、資材費等が五八・六%というふうに相なっておる次第でございます。
  9. 塩谷一夫

    塩谷委員 そこで、ただいま予算区分というものは、そのとおりになっておりまするが、公共事業、一口にそういう説明はわかりまするけれども、それが経済的に波及効果ということについて、お尋ねの点はそちらにあるわけでありますから、そちらの方をお願いしたい。
  10. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 いま、お尋ね波及効果、これは乗数効果であらわしてみたいと思いますが、これにつきましては、いろいろな計量モデルがございまして、経済企画庁の短期パイロットモデルによりますと、一の公共投資をやれば一・八五倍の乗数効果があるとされております。さらに京都大学では二・二倍、電力中央研究所モデルでは一・九五倍、日本経済新聞社のニーズモデルでは二・三三倍というふうになっておりますので、先ほど申し上げましたように六兆七千二十六億円ということの公共投資を行いました場合においては、約十二兆から十三兆の波及乗数効果があるというふうに考えております。
  11. 塩谷一夫

    塩谷委員 そこで公共事業に対して、これだけではだめだという論がありますね。これに対して私どももうなずける点は、公共事業遂行に当たって、たとえば五十年度、五十一年度、現在の進捗状況、そういった点はどうなっておりますか。
  12. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 五十一年度予算執行状況でございますが、本年の一月末の進捗状況を見てまいりますと、直轄で九〇・八%、補助事業で八八・六%、公団事業で八一二二%、これを合計いたしますと八六・六%でございます。  なお、補正予算を先般、成立さしていただきましたので、当初予算執行促進はもとより、補正予算執行促進についても特段の努力をいたしたいと考えておりまして、補正予算成立後、直ちに事務次官通達を出しまして、各事業主体に対して事業の完遂を目指すように指導をいたしておるところでございます。いまのところの予測では補正予算は少なくとも一〇〇%は達成をいたしたい。それから当初予算を含めましても、昨年は大体九八%くらい達成をいたしておりましたが、それに匹敵する数字は、ぜひとも確保したいということで努力をいたしておる次第でございます。  なお、五十二年度予算につきましても、要するに公共事業を切れ目なく行うことによりまして着実に景気回復を図るということは最も肝要であると考えますので、五十一年度予算につきましては先ほど申し上げましたように執行促進を図りますが、五十二年度予算につきましても、成立前にいろいろな諸準備を行いまして、成立をいたしましたら直ちに予算の令達ができ、かつ早期発注ができるように努力をいたしたいと考えて、現在その準備を進めておるところでございます。
  13. 塩谷一夫

    塩谷委員 遂行状況パーセントを見ますと非常にいいわけでありますが、その中で、われわれが常識的に懸念している問題がだんだん出てきて、過般やはり同僚議員からも質問がありましたが、用地補償という問題が一番難関ではなかろうかと思うのです。そういう点において事業内容について顕著に、この用地補償で、こういう点がどうしても打開できないとか、あるいは硬直状況にあるとか、そういう事例が何かございますか。
  14. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 いま具体的な事例を持ち合わせておりませんが、五十一年度の予算執行につきまして先般、公団長会議あるいは地方建設局長会議土木部長会議等を招集をいたしまして実情を聴取をいたしたわけでございますが、若干、用地補償が未解決なものがあることは事実でございます。そういうものが繰り越しの一つ原因になるのではないかと思いますが、先ほど申し上げましたように全体として見ましたならば、補正予算を含めましても九八%は執行できると考えておる次第でございます。
  15. 塩谷一夫

    塩谷委員 非常にパーセントのいいことは安心しておりますが、その中で、よく言われております問題で、たとえば土木工事等にしましても、こういう不況の中ですから自由経済では自然現象、当然だと言われておりますけれども、何といっても大企業の進出はもう大変なものであります。そういうものが地方自治体にどんどん入ってきて、わずかなものでもとっていくという状況で、地方中小業者倒産の件数にも入ると同時に行き当たりばったり、全く、どうにもならない。それが系列化という形へ入っていくならいいけれども、もう節度もなければ何にもない。とにかく仕事さえあればということで、大変な出血どころの騒ぎじゃなくて、見るに耐えかねるような状況がある。そういう意味からいって、これはもう、きょう始まったことじゃありません、前々から言われていることでありまするが、やはり地方中小企業に対する努力なり、あるいは行政指導というものをやっておられるのかどうか、そういう点を伺いたい。
  16. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 先生指摘のように、中小企業者公共事業仕事をやっていただく面が相当多いわけでございます。そういうことで中小企業受注機会確保につきましては、昨年二回、ことしも補正予算成立と同時に事務次官通達を出しまして、事業者に対して周知徹底をさしておるところでございます。  中小企業者受注確保に関する法律に基づきまして毎年度、中小企業者受注機会の増大を図るための方針を閣議決定しておりまして、目標を設定いたしておるわけでございます。五十一年度の閣議決定された目標は、建設省の場合、工事だけをとって見ますと二七・九%の受注機会確保しようということで閣議決定されておりますが、上半期実績を見てまいりますと三四・七%でございまして、目標をはるかに上回っておるわけでございます。下期も同じ傾向で推移をいたすだろうと考えております。  さらに先生指摘の、中小企業受注機会確保を図るのはいいが、中小企業の数が、建設業全体で何しろ四十万を超える状態でございますので、これが受注競争の余り無理な入札をする。過当競争で、それが倒産原因になるというようなことの御指摘であろうかと思いますが、それにつきましては積算上は適正な積算を組んで発注をいたしておりますので、発注の側からする、そういう問題はないと思います。  なお、中小企業者指導につきましては、協業化、協同組合化を図る等によりまして、その体質の改善に努力をいたしておるという状況でございます。
  17. 塩谷一夫

    塩谷委員 もう一つ、さっきの用地補償に関連することでありますが、一つの例を申し上げますと、たとえば下水道下水道がおくれておる。各自治体からも要望が大変強いわけであります。おかげで五カ年計画もできて予算化は一応、順調ということになっておりますが、その遂行に当たって現場事業団とか、あるいは県に委託しております。その場合に、まだ下水道局もないと同じように、地方土木部の中に、これだけのスタッフを持たない、そういう脆弱性があらわれておるものか、あるいは現場説明不足といいますか、汚水についての一部科学者等反対が全国的に起こります。それに対して明快な答弁のできない現場が多い。それがそのまま今度は民衆に訴える住民運動になって、理由はともかく、この下水道反対だという旗を上げるというような現場が、あちこちに出てきておると思います。  これは一つの例でありますが、聞いてみると、もう聞く耳を持たない。反対に対して、もう政府で決まったのだ、これだけのことはやるのだということで押しまくっていこうという姿勢で、自信のないままに数々の質問に対して答弁ができない。そういうままに市長なり、あるいは周辺の議長なり相変わらずの姿勢で、これを押し切ろうという点があります。私しろうとでありますが、聞いてみて、このくらいの答弁はしなくてはいかぬ。たとえば工場汚水等の問題、そうした水質保全等の問題について、どこがネックになっているかということについて全然説明をしていないようなところが、末端といいますか現場役所にある。そういうものは、すればできるのに避けて、じんぜん日を送っている。そして反対運動はどんどん広がっていくというような姿がありますが、何か大事な時点で正確な説明をしてやれば何のことはないというのに、役所関係がそれを怠る、逃げる。そして住民運動というものはけしからぬというようなことで、せっかくの公共事業が進んでいないというようなことがあります。そういった点で、もう少し末端まで組織的にも、また指導面でも、していかないと大きなロスが出るのじゃないかというふうに考えますので、お願いします。
  18. 中村清

    中村(清)政府委員 お答え申し上げます。下水道お話が出ましたので例を下水道にとって申し上げますと、御承知のように下水道事業都市計画決定をいたしまして都市計画事業として執行いたすわけでございますから、都市計画法手続によりまして意見書提出であるとか、あるいは公聴会とか、こういった手続をとりましてやっておりまして、一応その段階意見を反映する。最後は反映した結果を都市計画決定をする、こういう手続になっております。  現地の方で具体的に、どういうふうになっておるかという問題でございますが、いま先生から組織お話が出ました。たまたま下水道局というお話も出ましたが、都道府県の組織につきましては大体、都市計画課でやっておるところが多いのでございますけれども、最近、下水道が非常に大事であるということで、下水道関係の課を分離させましてつくるという傾向が相当あらわれてまいりました。各府県のうち大体半数ぐらいの県において下水道課なり、あるいは公園下水道課あるいは、そういう室ができておると思います。  そこで、御指摘がございました反対運動等に、どういうふうに対処するかということでございますが、冒頭、申し上げましたように都市計画決定段階で、できるだけ、そういう意見を吸収をして計画決定をするということでございます。それから、特に反対ということで問題になるのは、あるいは終末処理場あたり建設位置の問題であろうかと思います。二、三そういう問題がないわけではございません。したがいまして、そういう問題につきましては、できるだけ適切に対処するように、私どもは県あるいは市を通じまして指導をしておるところでございます。
  19. 塩谷一夫

    塩谷委員 公共事業につきましては、どうか大臣、特に景気回復といううたい文句がありますから、また現実に、それが政府としても唯一の景気回復の策です。したがって、少なくとも上半期に集中するような事業遂行については徹底的にスピードアップしていただきたいということをお願いいたします。
  20. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 五十一年度の分も先ほどお話し申し上げたとおりであり、それから補正も大体九〇%以上はいける。したがって、五十二年度予算につきましては早期発注をする、こういうことで大体、手順は、予算は通してもらえるものなりという考え方の上に立って発注をする段取りはしておるわけでございます。ただ、まだ議会を通っておりませんから、通り次第発注するということになっており、万全を期しておりますから……。
  21. 塩谷一夫

    塩谷委員 次に、治水についてお伺いいたします。  とりわけ最近の激甚な災害は大変なものであって、お互いに災害対策に追われるわけでありまするが、昨年の十七号台風だけでも八千五百億円という推計が出ております。したがって、これらに対する対応策。並びに生活用水初め水の需要は大変高まっております。これについて従来は、特に生活用水都市であったのでありまするが、地方においても非常にそういう緊迫状況が出ておるわけであります。治水施設整備を初めとして治水対策に対する抜本的な考え方あるいは利水対策に対する考え方について質問をいたします。
  22. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘のとおり水の重要性は、このごろは特に各地において運動も開始されておりますし、国民みずからが水を大切にしようじゃないかという運動がいろいろ起こされてきております。したがって、この水の問題をどういうふうに解決をつけていかなければならぬか。昭和六十年度になったとき現在の水量で十分かどうかということになると、現在においても、まだ、それを満たすだけの充実したものであると自信を持ってお答えすることはむずかしいのじゃないだろうかという立場にもあります。したがって、さらに今後二十年、三十年将来において水の重要性がいろいろあるものですから、経済団体においても先日来この水の問題を、節水運動をもう少しやったらどうだという話も出ておりますし、省内におきましても、もう少し節水運動を中心に、水を大切に使ってもらおうではないかというような協議会というか委員会をつくりまして、省内だけでも、いろいろな面において検討を加えようじゃないかという段取りができておるところでございます。したがいまして、ただいまの水の問題は緊急に、将来、水不足ということのないように体制を整えてまいるつもりでございます。
  23. 塩谷一夫

    塩谷委員 治水五カ年計画もまた今回、延長のお願いを出すわけでありますが、いま大臣がおっしゃったような精神的な一つの運動あるいは通り一遍の計画ということでなくて、本当に具体的に、日本の水はどれだけ必要になり何年後にはどうするのだということについて、局長から、もう少し正確な見通し並びに計画があったら知らせていただきたい。
  24. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  まず、水需給の現況でございます。昭和五十年現在の水の総需要量は八百七十億トンでございます。そのうち河川に依存しておる数量が六面六十億トンでございます。この六百六十億トンのうち四十億トンは渇水時には取水できないというか利用できない、いわゆる暫定豊水水利、河川に水が多いときだけ使えるということで賄っておるわけでございます。したがいまして現況においても非に不安定な状況でございます。  それで今後の水の需要供給の問題でございますけれども、生活水準の向上あるいは経済社会の発展に伴いまして、今後とも水の需要はますます増大していくというふうに予想されます。しかも最近、地盤沈下の問題が大きく出ておりまして、地盤沈下を防止するために地下水を河川水に転換する必要も出てきておるわけでございます。こういうことから河川水への依存度がますます増大しておる実態でございます。  このような状況におきまして、昭和五十一年から昭和六十年の間に新たに必要となってくる川の水を推定いたしますと、約二百億トンというのを新たに川の水を開発せぬといけないということでございます。したがいまして、このような水需要の増加に対処するために、まず多目的ダムなどの水資源開発施設の建設を積極的に推進するというのが第一点でございます。それに水需給逼迫地域それから地盤沈下地域におきます下水処理水の再利用、これは新年度から新しくやっていきたいと思っております。再利用等のほか、今後とも水資源の合理的、効率的利用を図る施策を含めて実施してまいりたいと考えております。  第五次治水事業五カ年計画におきましても計画的、重点的に水資源開発を実施していきたい、そうしまして先ほど大臣も言われましたけれども、水の節水あるいは水の高度利用等、総合的な水資源対策を推進してまいりたいというふうに考えております。
  25. 塩谷一夫

    塩谷委員 ちょうど三十分ですから模範的に、この辺でやめておきます。
  26. 北側義一

    北側委員長 福岡義登君。
  27. 福岡義登

    ○福岡委員 まず、不況対策について要望したいのでありますが、不況対策の全般論につきましては予算委員会で十分、議論されておりますから、ここでは建設業倒産実績に対して今後の対策を考えていただきたいという意味で要望するわけでありますが、昨年一月から十二月までの一年間の建設業倒産実績を見ますと、帝国興信所の調べで四千二百八十二件の倒産件数が出ておるわけであります。その内訳を見ますと圧倒的に中小零細業者が多いわけであります。個人の倒産件数が八百十五件。法人で資本金百万円未満が二百四十四件、百万円から一千万円までが二千八百十七件で最も多いわけであります。一千万円から五千万円までが三百九十五件、五千万円から一億までが七件、それ以上が四件、こうなっておるわけであります。資本金五千万円以下の倒産が全体の九九・八%になっておるわけであります。五千万円以上の資本金の倒産は〇・二%でしかないわけであります。決定的に中小零細業者の倒産件数が多いわけであります。そこで今後、不況対策の一環として、これらの中小零細業者対策を重点的に考えていかなければならぬと思うのであります。  なぜ中小零細企業がこんなに倒産するのかということを考えてみますと、一つ仕事が足りない。足りないというのも、全体の枠が減ってくるものですから大手が下へどんどんおりてくる。結局はみ出て、そこが倒産するということだと思うのであります。  それから、もう一つ考えられますのは、これらの業者はほとんど下請でやっておるわけであります。下請の条件というものが非常に過酷ではないかということも容易に推定できるわけであります。  それから第三には、大手の方は金融は何とかやれるけれども、中小零細の方は非常に金融が苦しいというようなことも考えられると思うのであります。  そういうことを考えますと、これらの改善を進めていかなければならない、こうなるわけであります。少なくとも今後の対策として考えていかなければなりませんのは、全体的には公共事業早期発注ということを考えてもらわなければなりませんが、その際に、できるだけ中小零細業者に対して仕事発注していただく。一括発注ということよりも、できるだけ分割発注の方法をとっていただきたい。それから、やむを得ず下請へ出す場合でも厳しい基準を設けていただきたい。あるいはまた、取引条件などにつきましても相当の監視をしていただく必要があるのではないか、こういうように思うわけであります。さらに金融関係につきましても相当の配慮をしていただかなければならぬのではないかと思うのであります。  将来の方向を考えてみますと、政府の方も提案されておるようでありますが、われわれ野党も、それなりの対案を考えているのですが、例の事業分野の確保に関する法律、これなどは早急に成立をさせていく必要があると思うのでありますが、以上、要望を兼ねまして建設大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。
  28. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 四十七年と、それから四十八年上期の好況によって、全国で建設業という方が現在、調べただけでも四十何万というふうに急増もしております。したがって、上昇ぎみのときにあったから、たくさんの業界や業者ができたんですけれども、四十八年の十月を境に、安定成長というようにオイルショック後の経済のあり方が変わってきた。こういうことで、まさに御指摘のとおり建設業界で、つぶれていったといおうか、そういうような状態になった方々がふえてきたことは見逃すことのできない事実でございます。したがって御指摘のように、これだけ、たくさんの業界ができまして、その業界自体におきましても何とか整理の方法をあわせて考えていかなければならぬ。いまもおっしゃったように資本金百万円以下のものもあり、百万円程度の会社がたくさんあるわけでございますから、そういうようなものを整理統合して、健全にその請負が従事して、それが完遂できるだけの会社に直していきたいというような考えも持って、いま指導もしておるのでございますけれども、いずれにしても安定成長を迎えた今日でございますので、私の方から出す発注の点につきましても、いままでは一つ会社に一つ、そのまま渡す、これを、おっしゃるように二つに分割するとか三つに分けて、そして発注をしているというのが、大小にかかわらず現在の情勢でございます。そういうような方向づけをして現在は発注をし、そして、すべからく多くの人が仕事に従事できるような方法を開いておる、こういうことでございます。  さらに、下請に対して余り上が搾取するのではないかというような点の御指摘でございますが、この点につきましても先日来、十分に、そういうことのないようにという通知も出ておりますし、また現場に行って調査もしてみましたけれども、そうたくさんの、といおうか、意外なことだったというような原因は認められなかったのですけれども、なお、その点については十分に注意をしてまいりたいと考えております。
  29. 福岡義登

    ○福岡委員 業界自身が自粛をしていく、みずからの体制強化をするということも、それは必要でしょうけれども、先ほど私が指摘しましたような問題の解決が、これら零細中小業者の対策に大切だと思いますので、今後、特段の御配慮を強く要望いたしまして、次に移りたいと思うのです。  次の問題は住宅問題であります。住宅基本法につきまして政府が検討されておるようでありますが、この国会には、どうも出てこぬようである。いま、どういう作業段階にあるのか、国会提出はいつごろの時期になるのかということをお伺いしたいと思うのですが、これに関連いたしまして、社会党としては住宅保障法というものを提起しておるわけであります。それらの野党の意見というか、そういうものについて政府は、どの程度の配慮をされておるのかという点について、まず、お聞かせをいただきたいと思います。
  30. 山岡一男

    ○山岡政府委員 住宅基本法につきましては鋭意、事務的な検討を進めておりますけれども、今国会におきましては提出検討法案ということで閣議に報告をいたしております。  その中身といたしまして、われわれが一番問題にいたしておりますのは、第三期五計の際にも居住水準とか住居費の負担のあり方等につきましての大まかな方向は出しましたけれども、家賃のあり方ということにつきまして基本的な問題が残っております。その問題につきまして、われわれの方の住宅宅地審議会におきましても、そういう問題の決着をつけてから国民的コンセンサスを得て基本法を提出すべきだという強い御意見がございまして、現在、基本問題小委員会というものを鋭意、開催中でございまして、家賃問題の方向づけをしてから検討法案を提出するようにいたしたいというふうに考えております。  それから社会党御提出の保障法案につきましては、われわれも鋭意、勉強をいたしておるところでございます。中身につきましては大変いいことがたくさんございます。そういう点につきましても、われわれの方の基本問題小委員会にも報告をいたしまして十分、参照させていただきたいと考えておる次第でございます。
  31. 福岡義登

    ○福岡委員 早急に国会提出をしていただくことを強く要望しておきたいのですが、その際、特に御配慮をいただきたい点が二つあるのです。  一つは、現在、第三次五カ年計画遂行中なんでありますが、持ち家主義、持ち家が重点になっておりまして、われわれが強く要求をしております公共賃貸が非常に少ない。諸外国に比べましても公共賃貸はもう比較にならないほど少ないわけであります。これを思い切って大幅に建設するように配慮していただきたいということが一つであります。  それから、もう一つは民間自力住宅と公的住宅、これも第三次五カ年計画で見ますと六〇%は民間自力に依存をしておる。公的住宅は四〇%しかない。この反対でなければならぬ。公的住宅が六〇%で民間自力が四〇%というようなことが、あるべき姿だ、こう思うのでありますが、そういう点についても強く配慮していただきたい。  それから、もう一つは家賃問題であります。先ほど住宅局長のお話もありましたように、住宅政策の中の大きな課題であることは間違いありませんが、所得の一〇%以内に家賃がおさまるように家賃補助制度その他を配慮していただくという点、以上三つを強く要望しておきたいと思うのであります。  そこで住宅公団関係についてのお尋ねになるのでありますが、非常にたくさんの遊休地を持っていらっしゃる。千五百八十八ヘクタールあるわけであります。この内訳を見ますと、これは例外だと言えば例外でしょうが、昭和三十九年四月に取得に着手したものが五十ヘクタールですか、あるわけであります。また四十四年、四十五年当時に取得したものも相当あるわけであります。もちろん最近、昭和四十九年ごろに取得されたものもございます。そこで、この年間の支払い利息は相当なものになっておるわけであります。個所数で二十二カ所、面積で、申し上げましたように千五百八十ヘクタールに及んでおるわけでございまして、何十億という膨大な金利がこれにかかっておるわけであります。常識では考えられないというように私は思うのであります。推測の域を出ないかもしれませんが、住宅公団には優秀な役職員がいらっしゃる、そういう方々が宅地用地を買収されるわけでありますが、一定の見通しを持って用地は取得されておると思うのであります。にもかかわらず家が建たぬということになりますと、そこに何らかの問題がある。一つは、住宅公団の立場から考えては宅地としては適当でないと思う、しかし、どこからか何かの関係で取得をせざるを得ないというようなものも、この中に含まれておるのじゃないか、こういうように思います。一体どういうことで千五百ヘクタールもの広大な土地が遊休地として手持ちになっておるのか。次の質問もありますから、ひとつ簡単に答えていただきたい。
  32. 南部哲也

    南部参考人 お答えいたします。  千五百ヘクタールの遊休地につきまして、住建部門の十四団地というのは、遊休と言っていますのは三年内に着手ができないという団地を挙げてございます。それから宅地開発部門では、五年以内に着手ができないというものを長期保有、このようにして表に出してあるわけでございます。  これらの問題につきましては、経済の変化あるいは人口抑制あるいは他の公共施設との関連、たとえば先ほど例に挙げられました阿武山、三十九年のものは、これは河川改修事業との関連というような、ほかの公共事業との進捗のバランスをとる、あるいは水の問題あるいは交通の問題、このようなバランスをとるためにおくれておるわけでございます。一番問題なのは調整区域に買っておる土地、これは、まず地方が調整区域を市街化区域に編入をするという手続がございますが、石油ショック以来の経済の変動その他で、人口抑制を県の方針とされるようなところにつきましては、もう少し開発を待ってくれというような話になりまして、これの解除に、なかなか時間がかかるというのが現在、一番頭の痛い問題でございます。そのほかの市街化区域の方の問題につきましては逐次、話をつけて、たとえば住建の五百ヘクタールのうちの三百ヘクタールは、この五カ年計画の中で用地を使用するという計画になっております。  お話のとおり住宅公団といたしましては、できるだけ開発の見通しをつけて用地を取得すべきが当然でございまして、当時は、とにかく用地がなければ公団仕事が全然進まないということで、四十八、九年の一億総不動産屋の時代には、ほとんど用地の入手が思うようにいかなかったという焦りで、地元との詰めが若干、十分でなくて入手をしたという問題がございまして、そのとがが、いま出ておると大いに反省している次第でございます。
  33. 福岡義登

    ○福岡委員 理由はいろいろあるでしょうが、都市計画法の規定によりまして、二十ヘクタール以上は都道府県知事の許可をもって、調整区域であっても開発をすることができる、こうなっておるわけですね。公団の場合は、まあ国とみなされておるわけでありますから許可は要らない。しかし国とみなされましても、建設省の方から通達が出ておりまして建設大臣の認可を得るように、こうなっておるわけですね。それでは、これだけ膨大な土地が二十二件、千五百八十ヘクタールもあるのに、過去において建設大臣に、どれだけ許可申請をしておるかといいますと四件しかないのですね。一部、中身は修正になっていますけれども具体的に処理されておりますのは四件しかない。一体どういう理由で、二十二カ所もあるのに四件しか開発申請がされていないのか。民間デベロッパーの場合は、ここに表をいただいておりますけれども、都道府県知事の許可に係るものは相当件数やっておるわけです。どうして住宅公団はそういう申請をしないのか、そういう申請もできないようなものを、どうして取得されるのか、答えてください。
  34. 南部哲也

    南部参考人 申請の前提条件といたしまして、公団がやる場合でも、地元公共団体の了解を得るということになっております。その地元公共団体の意見書がつかなければ大臣への許可の申請ができない、こういうふうになっておりますので、その地元の御了解を得るために、交通の問題であるとか水の問題であるとか、そういう関連公共の問題の詰めの方に、いろいろ時間がかかっておる、こういうわけでございます。
  35. 福岡義登

    ○福岡委員 それはわかるにいたしましても、さっきも言いましたように例外だと言われれば、そうかもしれませんが、昭和三十九年に取得をしたものは、いままで何年たっておるのですか、十三年たっておる。昭和四十四年に取得されたものでも八年たっておる。地元と話のつかないような、そういう用地を、どうして無理に取得をして莫大な金利を払われるのですか。それは不明であった、見通しが悪かったんだ、責任を感じております。こうおっしゃるんなら、それはまた次の議論があります。どうなんですか、それは。
  36. 南部哲也

    南部参考人 三十九年の阿武山の問題は、これは調整区域ではございません、市街化区域でございます。先ほど申しましたように治水関係の詰めを、ただいまやっておりまして逐次、国の方の御援助もいただいて解決に向かっておるわけでございます。  現在、保有いたしております千五百ヘクタールの平均の価格は平米六千円強ぐらいでございます。金利を入れましても、たとえ、これが倍になっても一万二千円、平米一万二千円で、いま新しい用地の取得はなかなか困難でございます。そのような意味で、時間はかかっておりますが、宅地開発の方は用地を取得してから工事に着手するまでに、いままでの実績では大体五年五カ月かかります。そのようないろいろな事務の促進はいたしておりますけれども一つ一つ問題を詰めていくというのに時間がかかっておりまして、時間がかかるような用地を買ったということは、おまえたちの不明ではないかというおしかりは十分お受けしなければならないと思っております。
  37. 福岡義登

    ○福岡委員 八王子市の一つの例でありますが、百四十三ヘクタール、九十一億八百万円で取得をしておるわけです。現在まで幾ら金利を払っておるかというと十五億一千二百万円払っておる。建設大臣どうですか。いまの住宅公団の、こういう用地取得の仕事のしぶりについて、監督の立場におられる建設大臣の所見はいかがですか。
  38. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 地元の受け入れ条件がますます大きくなってまいりまして、いままでの公団が、かつて、その時分、家を建てるときと、その条件というものが、これもあれもという、ほとんど、これまでやって地元には負担はかけないという、こういう条件が全部そろわないと地元では、その相談に乗ってくれないというのが現在のようでございます。したがいまして先日来、その話につきましても不要なところがあるならば、どうしても可能性がないというのならば、土地を他へ移動したらどうなんだ、たとえば地元の方へお返ししたらどうなんだというような話も出ておりますし、逐次この問題につきましては御指摘のような膨大な金利もかかることでございますので、何とか早く解決をつけていかなければならない問題だと考えております。
  39. 福岡義登

    ○福岡委員 さっき言いましたように、都道府県は都市計画法三十四条の規定に基づいて開発許可をどれだけしておるかといいますと、百三十一件、五千百六十九ヘクタールやっているのです。住宅公団は、さっき言いましたように二十二件のうち四件しかやっていない。これはやはり制度上いろいろな問題があることもわかりますが、仕事のしぶりに問題なしとしないと思うのは私だけじゃないと思うのですね。ですから、これ以上この問題、言いませんけれども、早急に対策を講じていただきたいということだけを強く要望しておきたいと思います。  そこで、さっき大臣からもお話ありました住宅が建たない、宅地造成ができないという一つの理由に関連公共がある。これは建設省として相当、責任を感じてもらわなければいけない点があるわけですね。昭和四十八年以降五十年度までに、どれだけ関連公共を住宅公団がやっているかといいますと、四百八十七億六千百万円やっているのです。そのうちで、いわゆる負担分、家賃にはね返る住宅公団の負担となるものが二百九十二億六千七百万円ある。あとは立てかえ施行で百九十四億九千四百万円あるわけですね。全体の割合からいいますと、家賃にはね返る負担金のものが六〇%にもなっておるわけだ。立てかえが四〇%なんですね。  立てかえ制度がいいか悪いかという議論はいろいろありますけれども、問題は、この関連公共について住宅公団にすべて任せきりにする。本来ならば直轄でやるか補助事業でやるか、住宅公団以外が道路なら道路あるいは川なら川をやらなければならないわけです。これは家賃との関係も出てくるのでありますが、昭和五十年で例をとってみますと関連公共で二百九十二億六千七百万円負担をしておる。それが家賃に一カ月当たり、どれだけ、はね返っておるかといいますと千九百円はね返っておる。こんなことで、本当に建設省としては住宅行政いいと考えられておるのかどうか。一つは、いま申し上げましたように関連公共を住宅公団にこんなに負担させておる。それから事業費の負担もさせておる。これは別の角度から考えてみなければならぬ問題じゃないか。家が建たぬ、あるいは宅地造成ができぬという一つの大きい理由に関連公共事業問題があるということは、大臣お話のとおりに私どもも思っておりますよ。実際に、どういう姿になっておるかというと、申し上げましたようなことになっておるわけです。こういう実態について、どうですか建設大臣として。
  40. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほども申し上げたように、大きな土地は何とか方法はないかというようなことも先ほど申し上げたとおりでございまして、この問題は特に今後、御指摘のございましたことでもありますし、一層、私の方も考慮してみたいと考えております。
  41. 福岡義登

    ○福岡委員 強く善処を要望しておきたいと思います。  それからもう一つ住宅公団の資金コストを考えてみますと、使っておる金利の平均は七・一三%となっておるわけですね。これは高いのから安いのから、いろいろありますが、結論として、これが家賃にはね返っておる状態がどうなっているかといいますと、団地高層につきましては今度、面開発と同じように四・五%ということで〇・五だけ引き下げよう、こういうことになっておるのでありますが、全体の六〇%を占める中層団地住宅は依然として五%である、こういうことになっておるのですね。そこで、これは家賃問題との関係になってくるのですが、戦後、造船業界に対して、たしか負担金利三%まで利子補給をした実績がございますね。建設大臣どうですか、この際、その造船業界に対してやったくらいの利子補給をして家賃を適正なものにする、つまり資金コストを下げていくというような政策をとる必要があると思うのですが、御見解はどうでしょう。この点については、大蔵省にも来てもらっておりますので、あわせて答弁をしていただきたいと思うのです。
  42. 山岡一男

    ○山岡政府委員 公団の賃貸住宅財政投融資によってやっております。そのコストは七・五%で、おっしゃいますように中層は五%、最近四・五%の高層それから市街地面開発の四・五%というものもつくってまいっております。そのコストの差額につきましては、先生おっしゃいますとおり従来から利子補給をやってまいっておるわけでございます。  お説のように利子補給金等をうんとふやしますと家賃の低減にやはり直接つながるわけでございますけれども、試算をしてみますと、たとえば団地中唐で五十年くらいの供給でございますと、一戸当たりの建設費が九百五十万ということになります。この団地中層は七十年で償却することになっております。その七十年間全部につきまして一人の人が入って通年の利子補給を受けたということになりますと、私の概算でございますが千四百二十万くらいの利子補給を個人に対して、したということになります。これをアドオンいたしまして建設時に、もし補助金を出したということになりますと、建設費の三割近くを補助金を出したというようなかっこうになるわけでございます。したがいまして、家賃を下げるために、できる限り利子補給をふやすということは望ましいことではございますけれども、現状から見まして、おのずから限界がある。むしろ原価主義の家賃体系について根本的な検討を加えるべきではないかというふうに現在、考えて検討しておるところでございます。
  43. 福岡義登

    ○福岡委員 確かに、おっしゃるように財投資金については七・五%、これは資金運用部資金ですね。ところが簡保になりますと八・三%それから住宅債券になりますと八・三%それから民間の資金は九%払っているのですね。その平均が七・三一三%なんですよ、住宅公団が払っておる利息は。だから五%までの差額は二・三%利子補給がされておるということですね。一部〇・五%下げて四・五%のものがありますが、六〇%のものについては五%ですから、二・三%しか利子補給されていないということです。せめて、この四・五%に下げるということを考えるべきではないか、こう思うのですが、大蔵省どうですか。
  44. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  いま住宅局長から御答弁申し上げたとおりでございまして、住宅公団の家賃の引き下げのために利子補給をやっておるところでございますが、その額は年々、非常な勢いで増加しております。これは俗な言葉で言えば、たまたま入居していらっしゃる方々のために一般納税者の負担で、その分を安くしているということでございますので、家賃は安ければ安いほどいいわけでございますけれども、現在の負担の仕組みから考えますと、これをさらに拡大するということについては、どうしても慎重にならざるを得ないのではないか、かように考えます。
  45. 福岡義登

    ○福岡委員 ただいまのような答弁は、住宅政策の基本理念に欠けるものでありまして承服できませんが、別の機会に譲っていきたいと思います。  時間がありませんから先を急ぐのでありますが、家賃が非常に高い。現在、三DKで見ますと六万九千六百円というのが一番高いわけですね。これは傾斜家賃でいくと最終的には十二万円になる。一体、十二万円の家賃を払って住める人は、どういうクラスの人だろうか。一般国民大衆は一カ月の所得が十二万円か十五万円ぐらいの人が大多数です。これは、いま主計官のお話でありますけれども、何らか家賃問題を考えていかなければならない。われわれは、さっきも言いましたように家賃というものは大体、所得の一割が限度ではないか、余りにも公団の家賃は高いと思うが、将来の対策その他についての御見解を聞きたいと思います。
  46. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在、第三期五カ年計画を策定いたします際に基本といたしました審議会答申の線で考えております家賃負担の率といたしまして、国民の三分の一以下のところを占めております公営住宅入居階層の皆さんの中で夫婦二人子供二人の場合は、先生おっしゃいました一〇%でなくて一五%と実は想定いたしております。現実の調査によりますと二〇%のものもありますし、いろいろございましたけれども、一五%を基準にして、その前後の調整をしたいというのが家賃負担の考え方でございます。  いま先生おっしゃいました公団の十二万円というのは、たとえば現在でございますと、公団考え方といたしましては、やはり初年度の家賃につきまして所得の一六%から一五%というところをねらって、傾斜家賃の初年度を定めております。十二万円と申しますと、その一六%で逆算いたしますと四十二、三万円の月収ということになります。ただ、それは十年後の月収でございます。現在のところの公団入居階層で想定いたしておりますのは二十四万五、六千円、第三五分位の中位というところでございまして、そういう方々に対しまして現在一六%になるような傾斜の初年度を考えておる。したがいまして平均的には、そうなっておりますが、先生おっしゃいましたような当該場所につきましては、まだまだ少し高いという点がございまして、そういう点については、われわれも今後の原価家賃のあり方についての検討を現在いたしておりますが、そういうものの中で十分、考慮して検討したいと考えておる次第でございます。
  47. 福岡義登

    ○福岡委員 最後に、住宅公団の空き家対策についてお尋ねをしたいのですが、昨年末の空き家の戸数はトータルで一万一千九百六十八戸ございます。約一万二千戸ですね。内訳もいろいろあるようでございますが、こんなに空き家があるということは、どこかに問題があることだけは間違いないのです。それは距離の問題もあるでしょう、広さの問題もあるでしょう、あるいは家賃の問題もあるでしょう、いろいろあると思うのですが、一万二千戸もの空き家を持つということ、若干の空き家が出ることは、われわれも否定をいたしませんが、一万二千戸もの空き家を持つことは、やはり適当でない、こう思います。時間がありませんから中身は触れませんが、特段の対策を早急に立てていただきたいということだけを強く要望いたしまして、住宅問題についての私の質問を終わりたいと思います。  次は、道路の関係で一つだけお伺いしたいのですが、基本的には、いろいろ議論があるところであります。例の、高速道路建設は産業基盤強化につながるものである、もう少し地方整備をしたらどうかという、いろいろな基本的な議論は、時間がありませんので省略をいたしまして、一つだけ解明をしていただきたいと思いますのは、高速道路がどんどん建設をされて供用開始になる。私の選挙区でも、来年の秋ごろには中国縦貫道が供用開始される見通しです。三つのインターチェンジが予定されておるわけです。そのインターチェンジ周辺の一般道路こういうものは、ほとんど未整備の個所が多い。インターチェンジができるものですから、よその例もいろいろ聞いてみましたけれども、交通量はふえる、そのインターチェンジ周辺の一般道路整備されていない、交通事情は悪化の一途をたどっておる、あるいは、たどるであろう、あるいは排気ガスの問題も騒音の問題も出てくると思うのです。  そこで私は、インターチェンジ周辺の一定の区域内は高速道路と一体のものとして整備されるべきである、こう思うわけであります。ぜひ、そうしていただきたいと思う。今度、昭和五十二年度に建設省といたしましては、その辺に若干の配慮をいたしまして、道路公団に財投資金で立てかえ施行をさせる制度を考えられておるようです。しかし、その内容を聞いてみますと三つの条件がある。一つは何かといいますと、インターチェンジに接続をしておるということであります。それから第二番目には地方道であるという条件。それから、もう一つは一定の規模以上である、仄聞するところによりますと、事業費で八億以上の個所だ。こういうように検討中のようであります。これは一歩前進でありますから私どもは賛成なんであります。しかし、やり方が非常に少ない。  私は具体的な例を何カ所も持っておりますけれども、その論法でいきますと、インターチェンジに接続をしていないために、インターチェンジからは二キロぐらいしかないところで、たまたま、これは二級国道でありますがバイパス計画がある。その事業費を考えてみますと十六億ぐらいの事業費だ。昭和五十一年度に一億一千万円、昭和五十二年度は大体一億五、六千万円じゃないか、こう予定されておるようです。そのベースでいきますと、やはり十年近い年数を必要とするわけであります。高速道路の方は来年の秋に供用開始される。そののど元にある一般国道、二級国道ですが、これは十年近くしなければ整備されない、そういう実態があるのですね。  ですから、この際いま五十二年度から予定をされております立てかえ施行の枠を広げて、インターチェンジ周辺の、たとえば五キロ以内で特に問題のあるようなところについては一体的な整備計画を立てるべきである。これは立てかえ施行であっても補助事業であっても、地域住民はどっちでもいいのですが、財政の現実的な事情を考えてみますと、補助事業でやったのでは、そう早急には整備できないであろう、そうなると立てかえ施行ということにならざるを得ない、そういう方針を私はぜひ、やっていただきたいと思うのですが、いかがですか大臣
  48. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘のように周辺の地域が変形してまいるとか利用形態そのものが違ってまいります。したがって、本年は御指摘のような方法をとったのでございますけれども、今後さらに考えなければならないのは、周辺の主要地方道の整備公共事業でやっていったらどうなんだ、こういうような考え方を持って、いま検討を加えておるところでございます。
  49. 福岡義登

    ○福岡委員 お話はわかるのですけれども、実際に補助事業の実態を考えてみると、裏負担の問題もありまして、やりたくても地方財政の事情からなかなかできない。勢い八年も十年もかかる。それから道路財源の方も一定の枠があるわけですから、特定の地域に、そう集中的にというわけにもいかないと思うので、どうしても、ある程度の期間を遣いてやるほかない。そうすると、いま考えられておる立てかえ施行の枠を広げるということですね。  どうですか、いま申し上げましたように接続をしておるということなんですが、接続をしていなくても、インターチェンジから仮に五百メートルなら五百メートル、一キロなら一キロ、これはたまたま、うまく整備されておる。ところが、その一キロを飛んで未整備の地区がある。そこだけ、ちょっと手を入れれば、その周辺はスムーズに流れるようになる、こういう場所もあるわけですよ。だから接続をしておるという基準を、もう少し幅を持って考えられないかということが一つですよ。  もう一つは、地方道ということになっておるけれども直轄の一級国道は別といたしましても、二級国道は県管理で、補助事業とほとんど変わらぬわけですね。ですから地方道という基準をもう少し二級国道まで広げることはできないか。  一定規模というのは、これはある程度、必要でしょうから、それはまた必要な限度で決めてもらえばいいと思うのですが、前者の二つですね、この点はどうですか。
  50. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、高速道路が開通すると同時に、それにつながる一般道路が整合的に整備されるということは、これは道路網の整備の視点から理想であるわけでございまして、従来とも、そういう考え方から高速道路関連道路ということで、具体的な公共事業の張りつけに当たっては、特に重点を置いて高速道路関連の道路網の整備に努めてきたところでございますが、最近、道路事業全体の金が非常に窮屈になったということで、特に、ある府県では、高速道路のインターができるために、ある年に集中して非常に大きな財政需要が生じるというような事態がございまして、これに耐え切れないということで、ほかの事業にも、かなりしわが寄るというようなこともございますが、これを救済する考え方道路公団で、高速道路に接続するある範囲の周辺の地方道について、先生指摘のような方策を五十二年度からとるということにいたしたわけでございます。  これを拡大しろというお話でございますが、これにつきましては五十二年度からスタートするわけでございますし、また一方、高速道路公団が立てかえ施行するということのほかに、やはり並行して一般道路網の整備ということに関しましても、高速道路関連で重点を置くべき事業というのは当然あるべきでありまして、こういうものについては今後とも重点的に予算の配分をして、高速道路の開通に合わせて整合的にネットワークの整備を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございまして、やはり並行的な処置が必要だ、こういうふうに考えております。  ただ、これを国道等に拡大する考え方も、当面は地方道だけでやっておりますので、あるいは今後あり得るかもしれませんが、これは今後の推移を見て考えていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  51. 福岡義登

    ○福岡委員 二級国道の場合は、繰り返して言うようですが、これは地方道と同じような扱いになっておるわけです。直轄の場合は、また別な議論があると私は思うのです。しかし二級国道の場合は、どうしても対象にしていただく。  それからもう一つ、どうです、接続をしておるという、その解釈は。
  52. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 とにかく先ほど御説明しましたような事情で五十二年度から取り上げるわけでございますので、当面われわれの問題意識は、最近、開通する幾つかのインターチェンジでインターチェンジにすぐつながる道路が、すでに一車線道路とか、あるいは二車線で、やっとすれ違いができるような道路につなげるケースが非常に多いわけでございまして、そういうものを当面、四車あるいは二車でも十分すれ違えるような道路に改築するための金がやはり数億かかるというような状況でございます。それが県の中の全体の事業からいうと、すでに集中投資であるというような全体の道路予算の事情でございますので、そういうものを救済するということで、いろいろ枠をかぶせてまいりますと、勢い当面の考え方としては、接続するところの道路の改良ということからスタートせざるを得ないわけでございまして、余り五キロも十キロも離れたところの改良をやることになりますと、一般道路事業との境がはっきりしなくなるというようなこともございます。片や公共事業もあるわけでございますから、なるべく、そういう公共事業の重点的な配分ということで、道路網全体の整備の進め方としてバランスのとれた形で持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。当面とりあえず来年は、スタートの事業でございますので、そういうところから一応スタートをして推移を見守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  53. 福岡義登

    ○福岡委員 せっかくのお話だが、どうも了解できないのです。インターチェンジというのは大体、郊外にあるのです。町のど真ん中にインターチェンジはつくらないのです。郊外から町に入るまでが接続をしておる道路になると思うのです。町に入った途端にバイパス計画があって、まだ進んでない。一番込むところにこの問題は残って、郊外から市街地に入るまでは周辺は環境がいいですから、騒音も、あるいは排気ガスも、あるいは交通量も混雑は一車線ならば込むでしょうが、町の中とは事情が違うわけです。むしろ接続をしておる、その次です。  いま地名は言いませんが、私が具体的な現場を知っておりますのは、インターチェンジから接続をしておる八百メートルぐらい、一キロちょっと切れるのですが、これはこの関連で整備されている。これは町の中じゃなくて郊外。その整備されたところからが悪いのです。約一キロ、ハイパス計画があるのですが、これが手がついてない。さっき言うように五十一年度から始めまして一億一千万しかついてない。五十二年度も一億五、六千万円ぐらいの事業規模にしかならない。十六億かかる。そうすると八年から十年近くかかるじゃないか。そんなところは接続をしておるという解釈の中に当然入れるべきじゃないか。五キロも十キロも遠くのことを言っておるわけじゃないのです。接続をしておるというのは、そういう考え方をとったらどうか、こう言っておるのです。どうです。
  54. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 接続という言葉の解釈を拡大していきますと、いろいろ広がっていくわけでございますが、道路公団としても有料道路としてやります一応の限界があろうかと思いますので、今回は、ごく特別な措置として、ある範囲のものを道路公団で立てかえ施行するというふうに考えたわけでございますので、先生おっしゃるような八百メートルぐらいがどうかということになると、これはまた微妙な問題でございますが、その辺の事業は、道路公団の立てかえ施行のできる範囲が一応限定されれば、それに合わせて公共事業をそこにつぎ込んでやるという姿勢で、やってまいりたいと思っておるわけでございますが、御指摘のように非常に最近の道路予算は窮屈でございまして、高速道路関連主要地方道にいたしましても、先生指摘のように年間一億とか二億ぐらいのものしかつけられない。そのままで残事業をやっていくと十年もかかるというところが諸所にあるわけでございます。これをすべて公団の立てかえ施行でやっていくというわけには、なかなかまいりませんので、何といたしましても道路予算全体をふやしていただいて、その中で重点的に高速道路に関連の事業を集中的にやっていくというような形でやらざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  55. 福岡義登

    ○福岡委員 時間もありませんから、今後また機会を得て、この問題はやらしていただきたいと思うのですが、一体的な整備促進していただくように、ここでは強く要望して次に移りたいと思います。  建設業の振興についてであります。先ほど言いましたように昨年、建設業倒産が非常に多かった。そこで別の角度から、この問題を取り上げてみたいのですが、公共工事の前渡金に対する保証会社があるわけですね。莫大な倒産があったから相当、弁済を保証会社がしておるだろう、こう思って調べてみましたら、そうじゃないのですね。御承知のように保証会社は北海道、東、西と三社あるわけです。その三社が公共工事の前渡金に対する保証をして、その保証料として、いわゆる収入保証料でございますが、これが去年の一月から十二月末までに百三億ほど入っておるわけです。百三億ほど収入保証料があるわけですね。弁済額がどれだけかといいますと三億四千六百万円、これを百分比に直しますと百分の三・三ぐらいになるのですね。百億の収入で、その事業目的である弁済は三・三%しかない。  ところが考えてみますと、経営基盤の弱い業者に公共工事の入札の指名はしない。当然のことだろうと思うのですが、問題は、この百分の三・三の保証をするのに特別の保証会社を設置しておく必要があるのかどうかという点なんですね。ちょっとお伺いしたいのですが、昨年の一月から十二月末までに三億三千万円の保証弁済をしたのですけれども、この事業遂行するために人件費などの経費は幾らかかっておるのですか。——時間がありませんから後でもいいです。恐らく何十億という経費が、これにかかっておるのですね。三億三千万円の弁済をするのに、それの五倍も十倍も経費を使って仕事をしておる。しかも相当の資産を持っておるはずでありますが、その資産運用についても疑義がたくさんある。例の建設業振興基金に十五億しか出していないのですね。だから、この保証会社というものは廃止してしまう。しかし、この前渡金制度というのは、いい制度でありますから残さなければならぬ。前渡金制度を残す以上は、どこかに保証がなければいかぬ。これは何も保証会社でなくとも、たとえば、この振興基金でやらすことだって可能だと思うのです。この保証、会社というものは必要でないと思うが、建設大臣どうですか。
  56. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私も、そうよく知っているわけではなく、聞いてきたわけでございますが、保証事業会社は設立をして、すでに二十五年間たっておるそうでございまして、それは株式会社でありますが、一方、建設業振興基金は財団法人である。こういうような関係上、これを統合することは制度上ちょっとむずかしい問題が残りはしないかというようなことでございます。したがって一方、廃止したらどうだろうということですが、私の方は、廃止をしないで一つにしたらどうなんだというような考えも反面、持っておるわけでございまして、そうしていったらどうなんだというと、そういうところに、また、むずかしい面もあるそうでございます。  しかし、いま十分検討してみる必要もあると思いますので、これらについては業界等の考え方も改めて聞き直さなければなりません。業界に還元するかどうかというような考え方、会社自体の業務を改善する方法があるかどうかという点にも、また一方、考えてみる必要もあるだろうと思います。きょう、ここで、どちらか一本にということは、ちょっとお答え申し上げかねると思いますが、十分検討だけはしてみましょう。
  57. 福岡義登

    ○福岡委員 私も、限られた予定された時間の中で解明することは、これ以上できませんが、非常に問題があることだけは事実なんです。  そこで集約的に委員長にお願いをしたいのでありますが、さっき質問いたしました住宅公団のあり方あるいは一般の住宅政策問題を含めまして、さらに解明したい点もあります。あるいは、いまの保証会社の問題についても同様であります。それと同時に、当委員会といたしましても、これらの問題については何らかの対策を講ずる必要があるのじゃないかということを痛感をいたしますので、委員長の取り計らいで当委員会に小委員会でも設けていただきまして、十分相談をさしていただいたり審議をするように取り計らっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 北側義一

    北側委員長 後刻この問題につきまして理事会で検討いたしたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
  59. 大富宏

    ○大富政府委員 ただいま福岡先生指摘の一般管理費の資料、ただいま手元に持っておりませんので後刻、報告させていただきたいと思います。
  60. 福岡義登

    ○福岡委員 以上で建設省関係は終わって国土庁関係に入りたいのですが、ちょうど時間になりました。そこで国土庁関係に一、二お願いをして質疑を省略をしたいのですが、一つは、長官の所信表明にもありました、この秋ごろに三全総を策定をされる。去年の五月の例の社会経済基本計画で投資総額なども出ておりますが、特に要望したいのは、従来のような産業基盤強化というようなものではなしに、福祉優先といいますか、生活環境の整備というか、あるいは過疎過密対策というか、そういうものを中心にして、ひとつ御配慮いただきたいことが一つであります。  二つ目には、例の立川基地が近く返還される。跡地利用について、いろいろ議論が出ておるようであります。地元が長年、基地の騒音公害その他で悩まされてきておる関係もあって、地元の要望をある程度、聞くことは当然かもしれませんが、しかし、できるだけ集中を排除する意味も含め、あるいは首都圏に、こんな大きなあれはないわけですから、国有地として、たとえば公園などにして、将来また利用計画が必要になってくれば別でありますが、当面は拙速をとうとぶようなことのないように十分、配慮をしていただきたい。  もう一つは水源地域の問題であります。御承知のように水特法はあるのですけれども、別に予算措置がされていないわけであります。一般枠を食うわけであります。聞くところによりますと、予算書に目でもつくって水特法に基づく予算を計上すると、もし、その事業遂行できなかった場合は、その予算は流れてしまう。一般枠でやれば他にも流用できるといういい面もありまして、そう四角定規には考えませんが、しかし、いまから水資源開発は相当やっていかなければならない。そうするとダムの建設が必要になってくる。水源地域を整備しなければならない。いまダム建設ができないで紛争が起きているのは、生活再建でありますとか水源地域整備が伴わないからなんだ。そういう点を配慮していただきまして将来、水特法に係る予算措置を御配慮いただきたい。  この三つだけ要望いたしまして、時間がなくなりましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。
  61. 北側義一

    北側委員長 井上泉君。     〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕
  62. 井上泉

    井上(泉)委員 私は建設大臣国土庁長官に、それぞれ質問申したいと思うわけです。  まず最初に、国会の中でいろいろ質疑をすると、ただいま福岡議員の質問に対しても検討するとか、あるいは善処するとかいう言葉がずいぶん出るわけですが、少なくとも議員も任期があるものであるし、国会も会期があるものですから、それぞれ建設大臣が検討するという言葉、国土庁長官が検討するというような言葉については、これは大体およそ、いつまでに、それを検討して報告するのか、そういう一応のめどをつけた形で検討とか考慮というような答弁はできないものかどうか。その点をまず最初に承っておきたいので、それぞれの大臣からお返事を承ります。
  63. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 なかなか二者択一の御返事は申し上げられません。省に帰りまして、いろいろな局長、関係の方々にお集りを願って、これはどういうことだ、どういうふうにしたらよろしいのだというようなことを十分、検討を加えなければならぬし、また省内はさることながら、これに各省との関連もありますので、各省との関連も協議しなければなりません。したがって二者択一だから、どっちなんだといって、すぐというわけにはまいらないけれども、大体、何日ぐらいあるのだと言われると、今国会中にすぐできるかということは、ちょっとむずかしいのじゃないでしょうかね、というような感じがいたします。しかし、私が先ほど申し上げたお答えには、なるべく早く、考慮してみました、検討を加えました結果できなければ、できませんでしたということだけは私どもは申し上げます。
  64. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。  国土庁は御案内のように各省庁との調整の役を果たす役所でございますだけに、検討する期間というのは非常に必要なんでございます。しかし、私たち答弁はできるだけ責任ある答弁をしてまいらなければなりませんので、そういう点では、いま先生お話しのような線をできるだけ忠実に貫くように今後とも進めてまいりたいと考えております。
  65. 井上泉

    井上(泉)委員 二者択一、建設大臣はそういう話をされ、また各省庁との関係もと言われるわけですけれども、やはり、われわれの方も検討するという答弁をもらったということで事を済ませるうちに、一年が過ぎ任期が終わって解散、こういうことに往々にしてなっておるので、少なくとも、この委員会において審議をした中で検討すると言ったら、したことについては、その後どういう状態になっておるのかということを随時お尋ねをして、その検討の経緯というものは承知をしておきたいと思うので、その場限りの検討という答弁ではなしに、いま両大臣の言われた検討という、その答弁にこたえていただくように、まずもって、お願いをしておきたいと思うのであります。  そこで、まず私は国土庁長官お尋ねをするわけですけれども、長官の説明の中に、たとえば災害対策の問題ですが「災害から国土と国民を守り、安心して生活できる社会を実現することは、国の基本的な責務」であるということ、これは確かに国の基本的な責務である。それならば責務である限りにおいては、国が災害対策を怠ったために生じた国民の被害に対して、どう対処されるおつもりで、こういう説明をなされておるのか、承りたいと思います。
  66. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。  災害については災害対策基本法にのっとって、ただいまお話しの、いわゆる災害から国土と国民の生命財産を守るという、この精神を貫いていきたい、こう考えておるのでございます。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 国土と国民を守る、こういうことをすることは基本的な国の責任である、これは当然のことです。だから災害対策基本法にも書いてあるけれども、しかし今日、災害を受けた者に対する個人補償の制度、たとえば財産を消滅した者に対する補償制度というものは何もないじゃないですか。だから、あなたも現在ある法律に基づいてやるというのでなしに、やはり国民の生命財産を守るために不十分な法律なら、その不十分な法律を——いまの災害対策基本法が万全な法律ならいざ知らず、あなたの言われる国民の生活を守る、国民を災害から守る、そして災害を受けた国民に対して国としての責任を果たすという措置が、具体的に何もなされていないのだから、私は、そのことをするつもりがあるのかどうかということを、大臣は非常に責任を痛感をされた説明をされておるので、大臣に承るわけです。
  68. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 災害対策基本法の第二条ですか、御案内のように豪雪あるいは風水害等の場合、その被害というものが出てくるわけですが、その被害の判断というものが結局、問題の中心になるのじゃないかと思うのでございます。ですから、すべてを被害に見るというようなことに判断するのか、そうじやなくして一定の線を区切って、これを被害とするというようなことで、いままで、きておるものでございますから、その一定の線をどう決めるかということによって、災害とみなすか、みなさぬかということが生じてまいるわけでございますので、そういう線を私たちは、この災害対策基本法の線に沿うて、できるだけ忠実に、その災害を見詰めていこう、こういう考えでございますので御理解をいただきたいと思うのでございます。
  69. 井上泉

    井上(泉)委員 それで災害を受けた、たとえば岐阜の長良川の決壊で、たくさんの住宅が流失をした、あるいは高知県の十七号災害あるいは豪雨災害等で山崩れで家がつぶれたというような場合においての、いま、どういう制度があるとあなたは認識されておるのか。そうして家財がびちゃびちゃになって流失をして、もうだめになった、そういうものに対して、どういうふうな国として行政責任を果たす、いわゆる災害から国民を守る行政責任を果たす措置が、いま、どういうものであるのか、そのことを、あなた御承知をしておるでしょうか。
  70. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。  恐らく個人災害のことだと思いますが、個人災害については弔慰金制度(井上(泉)委員「弔慰金は死んだとか傷ついた人だね。」と呼ぶ)でございまして、そのほか個人災害につきましては前の長官、天野長官が、これに非常に熱心でございまして、この制度はぜひとも、つくらなければならないということで私も受け継がれております。ですから個人災害に対するいろんな調査等につきましては、今年度も予算は少のうございますけれども、この調査のための費用を織り込んで、今後とも、この問題は非常に重要であるから調査を進めて、できるだけ早い機会に結論を出したい、こう考えております。
  71. 井上泉

    井上(泉)委員 災害があったたびに開かれる災害対策特別委員会等では、絶えず、この問題が論議をされるわけですけれども一向、前進がない。しかし今度、いま長官言われるように、予算としては少ないけれども、これに要する調査費等の計上もしておる、こういうことでありますので、これはわずかながらでも期待は持てるわけですけれども、しかし、やはり今日、災害を受けて痛めつけられておる人たちのはかり知れない物質的な損害に対して、本当に、それの救済措置というものは微々たるものであるということだけは、これは大臣も認識をしておると思うわけなので、それについての調査を速やかに進めていただいて、個人災害を十分、国が救済する措置を一日も早く実現をするように強く要請をしたいと思うわけですが、大臣の決意を、さらに承っておきたいと思います。
  72. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 わかりました。
  73. 井上泉

    井上(泉)委員 国土庁の関係と、それから建設省の関係で、水の問題で両方がそれぞれ水資源対策の問題が論ぜられておるわけですが、こういう場合、国土庁の水資源対策の推進というのと、それから建設省の水資源対策の推進というのに、どういう違いがあるのですか。ひとつ違いを両大臣から説明してもらいたい。
  74. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。  国土庁のいわゆる考え方は、国土庁本来の政策なんでございますが、国土の均衡ある発展を図らなければいけない。そのためには、やはり、どうしても大都市圏の整備をしたり、あるいは地方振興を図らなければならない。これは何に起因するかと言えば、大都市圏が過密しているからでございます。その過密の一番の原因は水と土地なんでございます。将来、大都市圏の一番心配なのは水であり、それで土地であろうということでございますので、その水の解決のためには、どうしても、やはりダムをたくさんつくっていただく、そうして水資源に不自由しないような状態をつくり上げたいということを、私たちは長期の計画を立てて進めようとしているのでございます。
  75. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いま、お話があったようなものと大体、私の方も同様なものでありますけれども、国土全体の上から見ての問題と、実施する場合の問題と区分ができるだろうと思う。私どもは、その実施をする機関でもあり、さらに監督する機関であり、そうして、その推進を図っていく機関であろうと考えております。
  76. 井上泉

    井上(泉)委員 だろうとかなんとかいう推測ではなしに、あなた建設省ですから、だから、こういう方針で水資源の問題は建設省としてはやるのだ、こういう明確な答弁というものを私は期待をしておるわけですけれども、この水資源対策の推進の中身を見ても、建設省の方も国土保全と水資源対策、これは深刻化しておる用水不足に対して、こういうことをやらなければいかぬ、こう言う。やはり国土庁の方も広範な用水対策をやるためには、これをやらなければいかぬ、こう言う。私はそこに、これは別にかみ合うとか、なわ張り争いとかいうようなものは、それは役所間で閣議等でも話し合いをするから問題ないと思うわけですけれども、やはり少なくとも水資源対策というものについては、これは私は、一定の方針の中で各省が分担するものは分担するものでの区分というものがされてしかるべきだと思うわけですけれども、この問題については、新しい治山治水五カ年計画の問題を審議するときに御質問を申し上げることにして、これ以上、深追いは時間の関係でいたしませんけれども、少なくとも水の問題については、もっともっと各省いわゆる国土庁の関係であろうと、あるいは建設省の関係であろうと、これは大事なことでありますので、その辺について国土庁がやる分はこういうことである、それで建設省のやる分については、これはこうこう、こういうものだというようなことで、明確な国民にもわかるような業務区分というものを私は明示をしていただきたい。これは水資源公団の方は国土庁の所管でありますとか、あるいは建設省所管でありますとかいうようなことになっておるかどうかは知りませんけれども、これは一つの水資源の問題、これに対する対策一つをとっても、日本の政府の行政というものが複雑である。国民にわかりにくいのだから、国民にわかりやすい水資源対策、国民の求めておる水資源の確保について十分ひとつ努力をしていただきたい、かようなことを強く要請しておきたいと思います。  そこで国土庁の長官に、さらにお伺いをするわけですが、国土利用計画、いま福岡書の質問の中にも出ておるわけですが、これは、いままでのような国土利用計画であってはならない、私はかように思うわけですけれども大臣としては、いままでどおりの総合開発計画を足場にして推進をしていくつもりなのか、新しい今日の状態の中で見直した三全総をつくり上げていくのか、その点について答弁もなかったようでありますので、改めて承っておきたいと思います。
  77. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。  昭和五十年に先生御案内のように国土総合開発審議会が、昭和四十四年にできた新全総をやはり総点検し、新しい長期計画の作業をしながら、いわゆる見直しをしなさい、こう言われて、その後、昭和五十年の十二月に御案内のように三全総の概案というものが閣議に報告されておるわけでございまして、その概案に、いま肉づけをしている最中なんでございます。  そこで、社会経済情勢のこういう変化に伴うて、やはり、それなりに三全総の内容というものは大きく変えていかなければならないと思うのでございます。ですから、確かに首都圏の整備というものは当然してまいらなければならないと同時に、地方振興というものをまず図る。それからもう一つは、地方に雇用の場を与えることを考えなければいけない。そうして人口の定住構想というものを、この三全総の基本的な構想にしていかなければならない、基本的な目標にしなければならないと思うのでございます。  そういうような点からいいますというと、経済成長時代でありますと、あるいは大型プロジェクトを入れることによってのみ地方開発ができたでしょうけれども、それはいま望めません。ですから、やはり通信、交通体系はもちろん進めなければいけませんが、さらに教育だとか文化だとか、あるいは医療等の、これまでのあり方を見直していかなければならないときだと思うのでございます。  たとえて申し上げますならば、かつて農業の学問をしようとする場合には、東京よりも北海道大学に入学する青年が非常に多かったわけでございます。また特殊な哲学を勉強しようというときに、京都大学に学ぼうという学生が非常に多かったと思います。また、各地に高等商業があって、小樽高商あるいはまた福島高商等で、それぞれ、その地域で商業の、経営の学問を学んだ時代があるわけでございます。また各地に農林高等学校があって それぞれ特性を持った教育機関があったわけでございまして、私は、そういうように地域性を生かした教育の機関なり、地域性を生かした文化あるいはまた医療施設というものを、この際、織り込んでいって、農業も含めて中小企業も含めて、これらの地域的な特性を生かした総合的ないわゆる計画を立てることが、安定成長を基礎とする三全総のあり方であろう、こう考えておるのでございます。     〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕 具体的には、いま作業中でございますので、いま申し上げる段階でございませんけれども、いま先生の御心配のようなことを十分、私たちは念頭に置きながら、三全総の最もよい姿をつくり上げたい、こう考えているような次第でございます。
  78. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、国土のそういう開発構想の中で、いろいろ指摘したいことがたくさんあるわけでございますけれども、日本の国は資源のない国である。そして、いま二百海里問題で大変やかましく魚の問題あるいは海の問題というものが関心を集めている中で、依然として、いわば非常に優秀な漁場を汚染させるような、そういう石油基地構想というものが計画をされておるということをよく聞くわけです。きょうは具体的なその地点についてのことは挙げないわけですけれども、工場をつくるとか、あるいは新しく学校、教育機関をつくるとかというようなこととはまた別に、やはり国の持てる資源をどうやって国民のために開発をしていくのか、強化させていくのか。持てる資源を逆に、その油で汚してしまって破壊するような、そういうことが国土開発計画の中にあっては大変なことだと思うので、そういう点については十分ひとつ考慮して、国土のあるべき姿についての計画をまとめていただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、これは災害対策の関係で一つ抜かっておったので、改めて質問をするわけですが、普通、災害があった場合は地方自治体が非常に財政負担がかさむわけです。かさむことに対しては特交という形で配分をされるわけですけれども、しかし特交は一つの枠があるわけです。ことしは六%という枠の中で配分をするのですから、だから、たとえば五十一年のような、水害もあった、雪害もあった、あるいは冷害もあったというようなときになると、これは特交に依存をする地方財政というものには非常に薄く配らざるを得ないわけですが、そういうように予想せざる災害の多発した場合においては、特交をいまの枠以上に財政的な措置を講ずる余裕があるのかどうか、自治省の方に、そのことを承っておきたいと思います。
  79. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  災害が発生しました場合に、御承知のように、たとえば災害復旧事業などにつきましては、公共災害などについての地方負担については地方債を充当し、その元利償還を普通交付税の需要額で見ていくとか、そういう財政措置がとられていることは井上先生御承知のとおりだと思いますが、そのほか、災害というふうな予測せざる特別な財政需要が生ずるわけでございまして、これについては特別交付税でいろいろ手当てをしていくというのも御案内のとおりでございます。  御質問の、いろいろな災害について特交で手当てをしていけるのかという点でございますが、特別交付税というものは、普通交付税のいわば機能を補完すると申しますか、普通交付税で、たとえば災害などというものは、あらかじめ予測できませんし、そういったものを特別の財政需要に対応して措置するとか、あるいはテクニカル的に普通交付税という一種の計算技術では、どうしても織り込みにくいようなものを補足してカバーしていくとか、元来そういう機能を持っておりますが、御承知のように特別交付税の配分において、災害というのは最重点項目にいたしておりまして、台風災害あるいは冷害、大火災、こういつたものについて御案内のように従来からも最優先で配分し、今後もまた、そうしていくという方針に変わりございませんので、よろしく御了解いただきたいと思います。
  80. 井上泉

    井上(泉)委員 ちょっと、その枠があるでしょう。災害がたくさん日本全国至るところに起きてくると、やはりその枠の中で薄く配らなければいかぬ、こういうことにならざるを得ぬでしょう。
  81. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  特別交付税の総額のうち、あらかじめ災害用に幾らとかいうふうな枠というものは御案内のように、ございません。特別交付税の総額は決まっておりますが、その中で災害用に幾ら、何々用に幾らというのは初めから設定しておるわけでございませんで、その年度その年度におきます災害の発生状況に対応してまいる、特別交付税は、そういういわば弾力的な要素を持っていることは御案内のとおりでございます。
  82. 井上泉

    井上(泉)委員 これは、ことしは高知県にもこんな災害があった、ところが、どこそこにもこんな災害があったから、特別交付税も、それを配り合わさなければいかぬから少なくなるというような話をよく聞くわけだ。だから私は、いま、それを質問しているわけですけれども、あなたの言うのだと、幾ら日本国じゅう至るところに災害が出ようとも、災害で見るべき特交の金については、いささかも支障を来さない、こういうわけですか。
  83. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  たとえばSF小説のような日本全部といわずとも、あるいは相当部分が壊滅的な状態になる、そういう極端な場合には本来的に、もともと財政の仕組み、機能からいっても何ともはまり切りませんから、そういった場合にまで、どんなにでも対応できるということは、とうてい申し上げられないことは確かでございます。
  84. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、その災害が起きたところの地域いわゆる自治体に対する特交での見方等について、これは一つの枠があるから枠の範囲内でしか配分ができないということに承知しておったわけですから、この点については、なお詰めていきたいと思います。  それで、そういう場合に、たとえば特交で見る金額が非常に少ないというようなときにも、やはり防災関係の措置等についても、これは少なくとも災害の多発地帯における防災工事等については、国土庁でめんどう見るような予算項目というものがあってしかるべきだ、こう思うわけですが、この点については、また、次に質問いたしたいと思います。  そこで、いま公共事業の問題を自民党の塩谷さんから質問されて、景気を浮揚さすために、これは非常に重要だということを政府見解、述べられたわけですが、たとえば労務者の賃金、五十一年度の労務者の賃金と五十二年度の予算に盛られておる労務者の賃金の積算はどうなっておるのか、その点、承っておきたいと思います。去年より何%上げておるか。——そんなこと簡単に答弁できるでしょうが、労務賃金が四兆何千億円とか言ったから。わからぬですか。
  85. 大富宏

    ○大富政府委員 正確な数字を持っておりませんが、一一%でございます。
  86. 井上泉

    井上(泉)委員 景気がよくなるということは、どういう現象を景気がよくなると大臣はお考えになっておるのですか、建設大臣。庶民の生活にとってですよ、株が上がるとかなんとかということではない。われわれ庶民の生活にとってです。
  87. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほど塩谷さんにお話し申し上げたようなこととあわせて、あとは直接的にはセメント、鋼材あるいは、こういうような建設資材の需要が多くなってくるというような点、あるいはまた先ほどからいろいろ議論になっておりますところの住宅の問題等、これらが行われていくことによって、やはり、いろいろな業界そのもの自体に好影響を与えていく、こういうことでございます。
  88. 井上泉

    井上(泉)委員 公共事業によって景気がよくなるということは庶民の生活に、どう、はね返ってくるかということ、そして庶民の生活がどれだけ生活向上するかということが一つの目安になるのが、これが景気をよくするということになるはずなのです。それはセメントも使うでしょう、あるいは建設機械が需要がなにするから、それを製造する工場もできるでしょう。ところが一体、庶民はそれによって、どれだけの、いわゆるプラスになるのか、家計にどれだけプラスになるのか。つまり、それは一兆円減税をやるよりも公共事業景気浮揚策を求めた方が庶民の暮らしには何%よくなると考えられるのか、これが景気浮揚公共事業に求めておるところの積算の基礎になければ、会社が幾ら栄えたとかどうとか言ったところで、庶民の暮らしに、どう、はね返ってくるのかということが最重要なことではないかと思うわけです。このことを論議をしておりましたら時間がありませんので、もうそれは、また次の機会にいたしたいと思います。  そこで、建設大臣も魚の関係については非常に詳しいわけですから、漁師のことはよく理解をされておると思うわけですが、建設省やその他がやる、いわゆる海岸保全事業、海岸保全事業をすることによって日本の沿岸漁業そのものが、それによって非常な障害を受けておるということは、これは大臣お認めになっておるでしょうか。
  89. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は逆に、影響を受けているというんでなくて、かえって魚群に対する保護の対策の方にあるんじゃないんだろうか。建設によって保護対策の一環を遂げておるんではないかというように私は考えます。
  90. 井上泉

    井上(泉)委員 それは全般的には、そういう面もあるんでしょう。しかし個々のケースにおいては、たとえば地びき網漁業をしておるところ、ここなんかに、ずっと離岸堤をつくり防潮堤をつくってブロックを置いたら地びきが引けますか。大臣どうですか。
  91. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 地びき網というようなものを聞かれても、ようわかりません。細かい漁はわかりませんけれども、いずれにしても魚群というか、今日の魚それ自体というものが、いままでのような漁業方法ではいけない。いまは魚をつくる方に変わっていっているんですから、私はやはり、その方が護岸工事が完全にでき、そして漁は漁で、できる場所を、網を引くところは網を引く用地を別個にとらえていくことによって、漁業というものの振興が図れるんだ、こういうふうに私は考えます。
  92. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣、地びき網というようなものはないとあなたは思っておるから、そういう考え方が出るでしょう。それから、つくる漁業といっても、大洋の中で、いわゆる魚族の繁殖を図らなければいかぬわけでしょう。それを網でとるものはどうやりますか。ブロックがたくさんあった場合には地びき網というものはできぬじゃないですか。あなたはどうも地びき網がないと考えておるから、そういうお答えが出る。これは魚のことにもずいぶん詳しいという大臣にしては非常に認識不足だと私は思うのですが、もう一遍それを勉強して、次の機会に御返事を承りたいと思います。
  93. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 どうも、こっちは人がとったものを持ってきて売る方だものですから、そういう認識がございません。いずれにいたしましても、あなたが御指摘のような点があることになると地びき網は引けないということだけは明らかな事実であります。
  94. 井上泉

    井上(泉)委員 そうなれば、その引けないような状態になると、つまり全体の防災のために、そういう工事をすることは必要である。ところが零細な漁民が地びき網が引けなくなるというようなことで迷惑を受けることについては、やはり国としては当然考えるべき筋合いのものである。これは、とって売る方というても、あなたも売る魚はどこからとるかということくらいはわかっておるでしょう。そういう点で被害を受ける、いわゆる不特定多数の人たちのために一部少数の零細な漁民が被害を受けることに対しては、やはり国としては、それ相応の措置をするのが当然だとお考えになるのかどうか、そのことだけ明確にひとつ御返事願いたい。
  95. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 どうも、その点については私から明確にお答えを申し上げるといっても、私が実際の現地へ行ってみて、その構造等々を検討してみて、なるほど、これによって被害がまさに、そのとおりだということになった場合と、ここで、いま考える場合とでは大きな差があるだろうと私は考えます。したがって、それに明確にお答え申し上げることは私としてはできませんけれども、ここに局長もおりますから、どういうふうな工事によって、そういうことになりますかということについては、ひとつ御答弁を申し上げたいと思います。
  96. 井上泉

    井上(泉)委員 時間がないので、それはまた後で。そういうことについては写真その他について現地を視察されれば結構ですけれども、忙しいから、とても、そういうことは期待できぬと思うので、私は後でまた話します。  その次に、建設省仕事で私は都市の生活環境を整備するということ、これは非常に結構なことだし、その公園関係、都市公園というような構想もあるわけで非常に結構だと思うわけですが、高知県の、これはローカルのことを出して恐縮ですけれども一つの例として、長い間、高知に刑務所というものがあって、その刑務所の中で豚を飼い、あるいは紙すきをやって、そして江ノロ川というりっぱな川を悪臭ふんぷんたる川にしてしもうたわけです。ところが当局の措置によって、この刑務所も移転をして跡へたくさんの土地が残ったわけです。こういう土地こそ、長い間、地域住民に迷惑を与えたし、あるいは、そこの地域の環境整備のために、これはやはり公園化することが適当だ、こういうふうに私は思うわけなので、その点については、これは国有財産の管理に当たっておられる大蔵省の方に、その処置についてのいろいろな方針があろうかと思うわけですけれども、やはり、そういう場合には国の建設省の方針の都市公園にするような形で、これを利用するようなことに国有財産の処理の方法を考えられたらどうかと思うわけですが、大蔵省の見解を、この際、承っておきたいと思います。
  97. 山本昭市

    ○山本説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生お尋ねの件は、高知刑務所の旧刑務所のうち未処分の西側部分のお話と存じます。この部分につきましては一時期、高知市におきまして、その半分を公園として使いたいというようなお話がございましたわけでございますけれども、それを全部、公園として高知市に使わしてはどうか、こういうような御趣旨かと存じますが、大蔵省といたしましては、いずれ高知市から正式にお話があろうかと存じますけれども、国有財産の処分といたしましては、私どもの公用、公共用、公益用優先という原則がございますので、そういう原則を念頭に置きまして、かつまた関係地元の公共団体の御意見も十分に伺いながら検討いたしまして、最終的には国有財産四国地方審議会の議を経て処理方針を決めたいと存じております。
  98. 井上泉

    井上(泉)委員 時間が参りましたので、もう、これで私の質問を終わるわけですけれども、水産庁の沿岸漁業課長がおいでになっておりますので、私いま大臣に海岸保全事業あるいは防災工事等の工事による沿岸漁業の被害について質問をしたわけですが、そういう状態が各地において起こって紛争があるわけですから、その辺のことについての対策等について、畳の際、御見解を承っておき、そして、さらにはまた大臣に、こうした状態について、零細な漁民を痛めつけることのないような、そういう建設省としての行政姿勢を貫いてもらいたいということを要望するわけですから、それについての御返事を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  99. 平井義徳

    ○平井説明員 ただいま先生からお話がございましたように、各地で地びき網が行われておりましたときに、工事との関連で、そのような状況も生じておることがございますので、われわれとしましては漁業者が安心して操業できますように、たとえば、いろいろな石材等が波で洗われていったときに、それをまた拾うとか、あるいは、どうしても地びき網ができないときには、ほかの釣り漁業であるとか船びき漁業であるとかいうものに転換していくというようなことで漁業が営まれるように、地元の県に十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  100. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 井上先生、先ほどの答弁の中でございますが、そういうような漁業権たとえば地びき網を引くという場合に、工事に当たって、そういうようなことが行われて損失を与えるというような場合は、補償で幾分でも見るようなことになっておるのだそうでございます。したがって、私が先ほど申し上げたように今後、事前に十分に打ち合わせをしなければならぬだろうと思いますし、工法とか、あるいは施工時期、さらに影響のあるかないかという点については事前に十分に漁民との交渉をいたしまして、その結果において施工をするように今後は進めてまいるようにいたしたい、こう考えております。
  101. 栂野康行

    ○栂野政府委員 少し詳しく御説明いたしたいと思います。  堤防に並行に離岸堤などをつくりまして、地びき網がひっかかりまして引けなくなる、そういう場合には補償したり、あるいは漁業権取り消しあるいは変更取得する場合に補償しておるということでございます。それで、一般的に海岸の堤防を守るためのブロックを置いたりするという場合につきましては、できるだけ支障のないように今後とも進めていきたいというふうに考えております。(井上(泉)委員「支障のあるときはどうするのか」と呼ぶ)それにつきましては十分調査しまして、それがどういうふうに支障があるかというのを十分見きわめたいというふうに考えます。
  102. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  103. 北側義一

    北側委員長 古川雅司君。
  104. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 私は、建設行政の一般的な諸問題の中から、きわめて初歩的にわたりますけれども、数点にわたりまして政府の御見解と具体的な対処策をお伺いしてまいりたいと思います。  最初に建設大臣にお伺いをいたしますが、新年度の予算案の審議の過程で、公共事業によって景気の対策をということでございます。昭和五十二年度の公共事業は、昨年よりも二丁四%増の四兆二千八百十億円となっております。しかし、ここで今日までの公共事業工事発注状況を見てまいりますと、予算成立をしてから、きわめて時間を要して、数カ月たたないと工事発注はできないという現状になっております。特に、直轄工事事業の三倍ぐらいになります補助事業につきましては、地方自治体も非常に苦慮いたしております。地方自治体工事の設計をいたしまして、これを上部の自治体提出をする、それが中央の政府へ回ってまいりまして、それがまた逆の順序で都道府県、市町村というふうに伝達をされていく形、これが工事発注を非常におくらせている原因として通常になっておりまして、今回の、公共事業によって景気回復を誘導していくという考え方から見ましても、工事発注が早くできるようにしていかなければならない。主管の建設省としては、この点、具体的にどうお考えになっているか、まず、お伺いしたいと思います。
  105. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 五十一年度の分は大体、全部完了をする。それから、この間お世話になりました補正の件につきましても、年度内に大体九八%以上いくであろうという見通しでございます。さらに来年度の五十二年度は、いま審議をお願いしているわけでありますけれども、大体いまの金額といおうか予算を目安として早期発注を行っていきたい、願わくは、なるべく後期の分も前期に繰り上げるぐらいの考え方でもって進めてまいろう、こういうような意気込みで現在、進んでおるところでございますから、五十二年度の発注に対しては万全を期しておりますと、はっきりお答え申し上げられるだろうと思うのであります。
  106. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これは万全を期していくというかけ声だけでは、これまでの繰り返しに終わるわけでありまして、具体的に、こういうふうにして発注を早めていくんだというものを、すでにお持ちであれば、ここで、はっきりさせていただきたいと思います。
  107. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほどもお話にありましたように、大小にかかわらず一つ工事を分割をして、そして早期に進めていきたい、完成を見たい、こういうようなやり方で進めておる。いままでは一つ大きなものを一会社、二会社に渡したものを、それを分割して、そして工事推進を図っていこう、まあ例を挙げれば、こういうようなやり方をしている、こういうことでございます。
  108. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これまで事務処理の渋滞というようなことも非常に具体的に発注をおくらせていた大きな原因になっていると思うのでありますが、この点はどうでありますか。
  109. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ですから、もういつでも発注できるような状態というのは、一切、事務処理も完璧を期した、こういうことでございます。
  110. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 私の要望を添えて、いま、いろいろお伺いしたわけでございまして、その趣旨を十分くみ取られまして、景気回復に、より効果あらしめるように、これだけ実効をおさめたという実績を、ぜひ、ここで残していただきたいと思います。  次に、先般の大臣の所信表明の中で建設業の振興につきまして「中小建設業者の受注機会確保」には特に配慮をしていくということを建設大臣は強調しておられました。建設業者と申しましても、これは非常に大きな格差があるわけでございまして、聞くところによると、五十一年の六月現在で約四十万八千業者というふうに言われているわけであります。特に資本金一億円以下の中小あるいは零細の業者になりますと、全体の九九%になっている。これは東京商工リサーチが調べた建設業者の倒産状況でございますが、その資料によりますと、昨年の建設業倒産状況は、全産業で件数にして一万六千六百六件、その中で建設業が三千四百四十三件、実に全産業に占める割合が二七・三%というふうに数字が出ているわけであります。大臣の先ほどの答弁の中にも若干、触れておられましたけれども、中小建設業者の受注機会確保ということについては、こういう実態から見ますと、さらに具体的な、こういう方策によって受注確保達成していくんだという考え方をお持ちだと思いますので、ひとつ、その点をお伺いしておきたいと思います。
  111. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 まさに高度成長の時代にかけまして四十万を突破する業者ができた。これに当時と同じような仕事の率を与えるということも、なかなか困難であるし、経済の上に大変な問題だったと思うのであります。したがって私は、その当時は別に大臣じゃありませんけれども、考えてみるといおうか、今日になって、いろいろ振り返ってみましても、あの高度成長から一躍、四十八年の十月を期して、現在残っている公共事業も翌年度事業も、すべて、ここで一たん中止をする、発注を見合わせろというようなこともあったわけでございます。そして、それによって物価の抑制をやろうという考え方政府考え方であったと思うのでございます。こういうような点からの影響をこうむったということは、これは見逃すことのできない事実だと思うのでございます。したがって、こういうような事態と今日また違ってまいりまして、低成長時代で、その景気回復という面については公共がよろしいんだ、先ほど言ったように公共で一・八五の効果があるというなら、これに準じた方途をやっていかなければならぬ。それには、いま御指摘のような、つまり小さい業者を共同体までもつくらせて、そして、その共同体を一括したものによって、資本の少ない、仕事の少ない小さいものは、その小さいものの団体を一個と見て、仕事の方はなるべく回していくようにやろうではないか、こういうようなやり方と、先ほど申し上げたように一工区を二組、三組、四組というように分割してやるとか、五人を組ませて一仕事をやるとかというようなやり方に変えていきたい、こういうふうに考えております。
  112. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 特に、私の知っている範囲では、非常に小さい零細業者の倒産が多いわけでありまして、いわゆる建設企業のランクでいうA、B、C、D、E、この中でA、Bは、この不況の中でも何とか、ともかくやっているわけでありますが、その下のC、D、Eというところに倒産業者が非常に集まっております。しかも、民間受注の激減が、こうした業者をさらに苦しめているわけであります。こういう点に対して、いま私の申し上げたC、D、Eという、そういったランクにある業者に対して官公需受注の機会とか、そういった面でひとつ、さらに具体的な考え方をお示しいただきたいと思います。
  113. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 もちろんC、D、E、この点については十分考慮を今回はいたしております。特に、その中にも加わらないのはたくさんあるわけでございますから、その小さいものは、いま申し上げたように一つの共同体をつくらせよう、そういうふうにして発注したものが受けられるようなことにしていこうじゃないか、ここまで考えて、現在は発注の用意をさせておるということございます。
  114. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これはひとつ、ただいまの大臣の示された対策を、この時期にありまして何としても強固に推進をしていただきたい。それによって大臣の所信に述べられた「中小業者受注機会確保」ということが現実のものとして保証されていくものになると私は思います。  同じく、この問題に関連いたしまして、中小業者が大手の建設業者の圧迫で、どうしても、こうした受注の機会を損なわれるような幾つかの要素がある。これをひとつ一般的に指摘をいたしまして大臣の御所感を伺いたいと思うのであります。  特に、いわゆる大手に目立つわけでありますが、建設会社が設計コンサルタントと提携をいたしまして、しかも、そのコンサルタントには、設省あるいは公団、元公務員そういったところから役員が配置をされておりまして、かなり重要なポストを占めておるわけであります。ここで、いわゆる発注の情報が筒抜けになっている。設計内容あるいは工事発注のおおよその金額が、落札を希望する大手建設企業に入札以前に情報が筒抜けになっているという問題、これはすでに、ちまたには公然の秘密として指摘されているところであります。こういった事実を建設省当局として掌握をし、あるいは認識していらっしゃるかどうか、まず、その点をお伺いしたいと思います。
  115. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 実は、そういうようなお話を承りまして調査をしたのですが、実態はまだ把握することができておりません。したがいまして、コンサルタントの設計業務を発注する場合には、もし、そういうような機密を漏らす場合、漏らしてはならないという契約書もあることでございますので、もし、そういうような不当な業者があったとするならば、これは即時、指名を、そのコンサルタントには与えないというようなことにしていきたい、こういうふうに考えております。
  116. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 私は中国縦貫道路工事の中で、すでに完成をされた部分、また現在、工事が進行している部分の工事について、一部こうした情報を入手しているわけでありますが、道路公団といたしましては、こういう重大な問題について何らかの情報を得あるいは認識をしていらっしゃいますか。
  117. 吉田喜市

    吉田参考人 ただいま先生からお話がありましたような事実は、私はないと信じております。と申しますのは、なぜ、そういうことを申しますかと申しますと、当道路公団の主要な工事を占めておりますのは、やはり土工工事であろうかというふうに思います。土工工事の詳細設計をコンサルタントへ出す場合には、おおむね市町村単位で出している。市町村単位で出すということは、要するに設計協議が整い次第、詳細設計に移る、こういうふうな姿でございます。一方、工事発注する工事の単位というものは必ずしも市町村単位と同一じゃない場合が多うございます。といいますことは、その工事の土の配分、土工量の配分に応じて工事区間を決めていく、こういうことがまず主要な要素。  それからもう一つ、その区間の中に、たとえば橋梁工事などがある場合には、別途設計で行っております橋梁の下部工事も、その中に組み合わせていく、かような姿になっております。したがいまして、そういうふうな二つの設計書を組み合わせて一つの設計書にする、あるいは一つの設計書を分断をする、かような作業は公団の職員が直接行っておるわけでございます。  それからまた、もう一つ、コソサルタントから出てまいります提出書類の内容というものは、設計の図面と、それから応力の計算書それから、そういうことに基づく数量表でございまして、そういうものをもとにいたしまして公団の職員が積算をして工事発注を行っていく、かような姿になっておるわけでございます。  また、先ほど大臣からも答弁がありましたように、コソサルタントには守秘の義務を課しております。  さようなことで、いま先生からお話のあったことはあり得ないことじゃなかろうか。私は、ちょっと信じがたい、かように考えております。  なお、当公団といたしましては、これからも大量な工事を出すわけでございますが、当然、設計というものは外注になろうかと思います。したがいまして、いま先生お話がありましたように、情報が万一、漏れるというようなことのないように私たちは厳重に注意をし、対処してまいりたいと思います。また、私たちは知らないのですが、先生の御指摘のような事態が万一あったといたしますれば、そういうような業者につきましては当然、今後は契約の相手方から外していきたい、かように考えております。ひとつ御了解願いたいと思います。
  118. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この点につきまして私は本日は指摘だけにとどめさせていただきます。ただ、全くそういう事実がないと断言される以上、私はあえて企業名はここで述べません、墨でつぶしてまいりましたが、これは、ある建設会社と設計コンサルタントとの間で交わされた覚書であります。これは、いわゆる建設会社を甲そして設計コンサルタントを乙といたしておりまして「相互の社の発展を図るため設計コンサルタントに関する業務を下記の通り提携し本覚書の通り約した。」ということで以下、数項目並んでいるわけであります。その中にはっきりと、一つには「甲・乙双方の業務提携の対外的表示並びに人員派遣等については、必要に応じてその都度甲・乙協議し決定する。」二、「甲は乙の営業活動について協力し、受注量の増大を計る。」三、「乙が設計受注に際し、その設計が甲の受注希望工事である場合、当該設計料については甲・乙協議の上その都度決定する。」情報を流してもらったら、それだけちゃんと見ようじゃないかという表現がきちっとあるわけであります。これは明らかに刑法第九十六条ノ三、競売入札妨害並びに談合行為を禁止しているこの条項の違反になるし、百歩譲っても抵触する疑惑が十分生じてくるのではないか、このように考えるわけでございます。まして私の言わんとするところは、こうした大手の建設会社と設計コンサルタントの間の筒抜けの関係があることによって、いわゆる中小業者受注の機会を著しく損ねるおそれがあるというように私は認識いたしておるわけでございます。先ほど大臣から所感をお述べいただきましたけれども、そういう意味合いにおきまして、こういう問題については今後とも、さらに監視の目を光らしていただき、そしてまた行政指導を強化していただかなければならないと思うのでありますが、その点いかがでございますか。
  119. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 それは秘密を守るという適性を欠くわけでございますので、私の方は早速コンサルタントに対しまして意のあるところを十分御通知申し上げて、これに適合しない場合は、あなたのところを指名するわけにはまいりませんということを、はっきりと申し伝えておく考え方でございます。
  120. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 その点については、しかと承っておきます。  次に移ります。住宅問題でございますが、最初に今般、建設省では公団住宅問題対策委員会を設けられまして、当面、住宅公団が抱えております諸問題に取り組もうとしておられます。数々の問題があるようでございますが要約をいたしますと、一つには、五十一年十二月末で新設団地の空き家が約一万二千でございますか、家賃の未収入は年間約五十億円程度と言われております。二番目に、昭和五十一年入居の賃貸住宅には、三DKのもので七万円に近いものがありまして、これは傾斜家賃によりますと十年後には十二万円を超す高家賃になるという問題。三番目として挙げれば、五十一年末で二十二カ所、面積で約千六百ヘクタール、これだけの遊休地を抱えておりまして、年間金利負担が約七十三億円になる。こういう、どうにもならないような非常に大きな問題を抱えているわけでございます。この問題の解決には、ただ委員会をつくって委員会にお任せするというようなわけにはいかないわけでありまして、当然ここで思い切った切開手術を行わなければならない。そのためには、こうした住宅公団住宅建設、宅地開発、住宅管理、こういう各部門について、これからどうしていくのか。委員会にお任せしますではなくて、建設省としては、こう考えているのだから、こういう方法で、ひとつ解決をしていきたい、打開をしていきたいというものを当然お持ちになって、この委員会を設置なさったと思うわけであります。この点いかがでございますか。
  121. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘の未利用地の問題それから空き家の問題、これらにつきましては建設省の中に公団住宅問題対策委員会、こういうようなものをつくりまして、そして次官が長官となって、どうやったら、これらの諸問題、大きな問題の解決がつくだろうかということで、御指摘の管理の問題にまで触れまして、第二回目をやったところで、積極的に、この問題を早く解決つけようじゃないかということで、私の方からも、早くやってくださいというようにお願いを申し上げてあります。したがって、これらの問題をなるべく早目にということで、いま鋭意これに向かって、いろいろ協議を重ねておるところでございます。
  122. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ですから、私が先ほど挙げました代表的な三つの点にわたる問題も含めまして、今日に始まったことではないわけであります。しかも委員会を設置して、そこで検討をという、いわゆるお任せムードで済まされる問題ではないわけでありまして、ここで少なくとも何カ月先をめどに、あるいは、いついつまでをめどに何としても対応策の結論を出すというようなことをお持ちでなければ、これも、ただ委員会を設置したことで終わってしまうというように考えるわけでございます。いかがでございますか。
  123. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 この問題は、そう悠々とやっていることは許されないのです。あなたがおっしゃるばかりではなくて、しゃばの人全体から、たくさん、いろいろのお話を承っておりますので、もう悠長にしていられないのでございます。であるからこそ、この中に今度は省の中ばかりではなくて他の学識経験者というような方も入れてみたらどうだ、業界ではなくて体験のある人まで入れて、この解決を一日も早くやろうじゃないか、速やかに、これを解決つけていこうというような考え方で進めておるのです。何日までといいますと、時期はいつまでと、はっきり言えませんけれども、この問題は早期に解決をつけます、そして発表いたしますということだけは申し上げられると思います。
  124. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 どうも竜頭蛇尾に終わってしまうような印象を否定できないわけでありますが、いずれにしても公団住宅あるいは公営住宅についての非常な不人気あるいは不満については、すでに分析も実態の掌握も、し尽くしていると思うのであります。その点に対して、あとは具体的な決断と対応策をやるかやらないかということでありまして、むしろ、そういう具体策について私はお聞きしたかったわけでございます。  たとえば公団住宅は、先ほど来たくさん話が出ておりますけれども、市街地の便利なところは非常に高家賃である。その反対に、また地価の比較的安いところでは非常に通勤距離が遠くなっておりまして、空き家団地になってしまう。また一方、公営住宅につきましては、公共関連施設に非常に金がかかりますし、いわゆる地方自治体の超過負担でもって、地方自治体の中には、もう公営住宅の建設は御免だ、お断わりしたいというケースが出ているほどであります。したがって、こうした公団住宅あるいは公営住宅の建設の伸びというのは、いま完全にとまっているわけであります。じゃ個人資金の住宅の建設はどうかというと、これまた、いわゆる家計の収入の低下によりまして、この伸びが非常に下がってきているわけであります。五十一年度におけるデータによりますと、四月から六月の間で二八・六%増、七月から九月で八・九%増、十月から十一月で五・一%増と非常に下降線をたどっておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたとおり総理府の調査によりますと、全国勤労者の家計調査の結果でございますけれども、七月から九月の平均で二十四万五千六百七十二円、前年同期に比べて七・一%、非常に低い伸び率であります。同期の消費者物価指数の前年比九・七%に比べますと、所得の伸びというのは非常に低い。所得の伸びより物価の伸びが高くなっているわけでありまして、実質収入が激減をしているわけであります。こういう状況の中で民間資金による住宅建設の伸びも下降線をたどっておる。こうなりますと、来るべき昭和五十二年の住宅建設の伸びは期待できない、このように断定をしなければならないんじゃないか。この点、私は非常に心配しているのでありますが、政府として、この点に対して具体的な対策あるいは、この問題に対する抜本的な改革策をお持ちであれば御指摘をいただきたいと思います。  あわせて時間がございませんので、まとめてお伺いいたしますが、住宅ローンの非常に金利の高い住宅金融政策と申しますか、その点についても、ここで再検討をする必要があるのじゃないか。聞くところによりますと、住宅金融公庫の方にはかなり供給の余力はあるけれども、いかんせん、いま申し上げたとおり借り入れの能力が非常に低下をしてきている。これは何らか手を打たないと、このままでは住宅ローンの資金は固定化してしまう、身動きのとれない状態になってしまうんじゃないか。大蔵省いらしていれば、その点もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  125. 山岡一男

    ○山岡政府委員 民間個人住宅の伸びでございますけれども、着工ベースでとらえてみますと、本年度の一月から十一月までの着工戸数によりますと、民間資金による持ち家は四十八万四千亘月ばかり着工いたしております。これは昨年の同期に比べまして、昨年同期が四十六万一千戸でございますので五%の伸びでございます。先生おっしゃいますように、年度の初めごろの伸びから見ますと、九月、十月、十一月が若干下がっておるのは事実でございます。ただ民間の、個人がローンを借りまして一戸建てをつくるという以外に分譲住宅がございます。分譲住宅で見ますと十一月までに二十一万八千戸の着工をいたしております。それによりますと前年度が十五万八千戸ということでございまして、両方を足してみますと一三・四%という伸びになっております。それから、さらに公庫の個人持ち家これも、どちらかと言えば民間の応援でございますので、公庫の公的持ち家の伸びも加えてみますと、全体で八十六万五千戸、前年同期の七十八万三千戸に対して戸数の上では伸びておるというのが実情でございます。ただ、先生ただいまおっしゃいましたように、今後の勤労者世帯の実収入の低下等も、ある程度、予想されるということでございますので、民間個人住宅の建設の促進のためには民間住宅金融、これは現在までのところ、たとえば第一・四半期、第二・四半期、第三・四半期とも過去に例を見ないローンの貸し出しが行われておりまして、相当、順調に伸びておると思いますけれども、今後も引き続き安定的なローンの拡大等につきまして関係当局にもお願いをしていきたいと思っております。  金利の点につきましては、これはやはり長期プライムレート等と連動すべきではないかという考え方がございます。いろいろな意味で、やはり住宅ローンにつきましては、たっぷりで長期で低利だというのが一番望ましいことでございます。そういう方向で、今後も、そういうふうな点につきましての努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
  126. 十枝壯伍

    ○十枝説明員 お答えいたします。  まず最初に、最近の民間金融機関によります住宅ローンの状況を申し上げたいと思います。  全国銀行の総貸し出し残高、これはいわば住宅ローンだけではなくて、一般企業向け貸し出しも含めました全体としての貸し出し残高でございますけれども、この残高は、最近ずうっと前年対比で一一%程度の伸びとなっているわけであります。それに対しまして、同じ時期におきます住宅ローンの残高は、大体三〇%を超える伸びで推移しているわけであります。そういう意味で、ただいまのところ、私どもの認識といたしましては、民間金融機関による住宅ローンは順調に推移しているというふうに理解しておるわけであります。  次に、民間金融機関による住宅ローンの金利の問題でございますけれども、民間金融機関の金利は、それぞれ金融機関ごとに、まちまちになっているわけでございますけれども、民間住宅ローンで一番主力をなしております銀行の金利について申し上げますと、これは貸し出し期間ごとに違う金利がつけられているわけでございますけれども、一番普通の、期間が十一年から二十年ものというので申し上げますと、現在、年九%というレートになっております。これは実は企業に対する最優遇金利であります長期プライムレートが現在九・二%になっておりますので、九・二%に比べまして、それよりも低くなっているということで、いわば民間金融機関によるローンといたしましては、金利も、この辺が限界ではなかろうか、現在の金利体系をもとにいたしますと、この辺が限界ではなかろうかと考えておる次第であります。
  127. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 私が指摘いたしました、物価の高騰に対して実収入が伸びていないということが非常に大きなネックになっているわけでございまして、いろいろ、いま数字をお並べになりまして御答弁をいただきましたけれども、実際問題は民間資金による住宅の建設の意欲というのは非常に低下してきているという、この現状の認識だけは、ひとつお忘れのないように、具体的な対処をお示しいただきたいと思います。  公団住宅の問題に、もう一度、戻りますけれども、その中で一つ、お伺いしたい問題として敷金の問題がございます。これは私の認識が間違っておれば御訂正いただきたいと思うのでありますが、たとえば三DKで初年度に六万九千六百円というような家賃をお払いになる場合、これは傾斜家賃で十年後に十二万六千六有田になるわけでありますけれども、敷金は、この最終年度の十二万六千六百円の三カ月分、これに最初の家賃を加えますと、家賃と敷金と両方で四十四万九千四百円という金額になるわけであります。これは日本住宅公団法の第一条にうたってあります、住宅に困窮する勤労者のために住宅や宅地を供給するという趣旨から著しく逸脱をする、非常に大きな負担になってきておるわけであります。この支払い方法については何ら救済策がないように私は承っておるのでありますが、この点、住宅公団総裁いかがでございましょう。
  128. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お答え申し上げます。  住宅公団の敷金につきましては、ただいま先生指摘のとおりで、傾斜家賃の場合は最終家賃の三カ月をいただくということになっております。この点は御指摘のとおりでございます。  私ども、家賃につきましては、中堅勤労者の所得の適正な負担で入居ができるようにということで、傾斜家賃制度を採用し、資金のコスト等も下げたりいたしまして、大体、中堅勤労者の所得の一五ないし二八%というもので当初、入居できるように、こういたしております。その後、傾斜家賃で順次、上がっていくわけでございますが、その上がり方につきましても、勤労者の所得の伸び等を考慮いたしまして、七%以下程度で伸びていくようにというふうな措置を講じているわけでございます。ただ敷金につきましては、私ども賃貸借契約におきまして、三カ月というものの家賃の滞納がありますと契約を解除するというたてまえになっておりますので、そういった意味から当初から家賃の三カ月をいただくというふうになっておりましたけれども、特に御指摘のような昨今の家賃の事情におきましては大変、高額になる場合がございます。基本的に、こういう問題を検討するということになりましたら、今後いろいろな面から検討していかなければならないと思いますけれども、私どもといたしましては当面、特に高額になりまして問題が生ずるというふうな場合におきましては、関係当局といろいろ相談いたしましてケース・バイ・ケースで、どのような措置をとっていくかということについて検討してまいりたい、こういうように思っております。
  129. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これは住宅公団に対する大蔵省からの財政投融資と、その返済計画との関連はございませんか。大蔵省の意向の問題で、いま私が指摘しました問題の解決がむずかしいという点がありましたら、その点、一言お答えいただきたいと思います。
  130. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 この問題につきましては現在、財政当局も相談中でございまして、これからいろいろと御相談申し上げたい、こういうふうに考えております。
  131. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 その点につきましては私も今後、十分に関心を持って、その経緯を見てまいりたいと思います。  お約束の時間が非常に切迫をしたようでございますので、最後に道路問題につきまして一括して、お伺いをしておきたいと思います。答弁漏れのないように、ひとつお願いを申し上げます。  第七次の道路整備五カ年計画が五十二年度で終了するわけでございまして、五十三年度から新しい道路整備五カ年計画が発足するわけでございますが、この整備計画が昭和二十九年に発足をいたしましてから、三十年代、四十年代、四十八年秋の石油ショック、こうした日本経済の非常に大きな変動の中で今日まで変化を遂げてきたわけでございますけれども、今日の安定成長の経済の時代に入りまして、おのずから、この考え方に根本的な改革が求められるのではないか。結論を申し上げまして、いわゆる道路整備については、すでに議論は多々されていると思いますけれども、質を重視する軌道に修正しなければならない、そういう時代に入っているのじゃないか。これまでの道路整備は、距離をかせぐという表現をされておりますように、量の時代であったわけであります。これまでの論議を聞いてまいりますと、質的な転換を図る、軌道修正をするという答弁は確かに出ておりますけれども、そこで当然、では距離を犠牲にしても質的な転換を図るという軌道修正に入っていくのか、その点が非常に大きな問題になっていくと私は思います。距離を伸ばす点も犠牲にしない、また質的な転換も図るということになりますと、これはまた道路財政を二割なり三割なり膨張させなければならない、こういうネックもございます。それがまた一般大衆の負担という形で覆いかぶさっていく、こういう不安も残ってまいります。いずれにいたしましても、そういう点、第八次の計画の作成に当たりまして当然、最終的な決意と結論を得ていなければならないと思うのでございます。その点についての考え方はいかがでございましょう。すでに何回も言われておりますとおり、いわゆる環境の保全、住民の生活の保護、環境のいい道路づくりに転換をしていくということが必要になってくると思いますが、その点まず具体的に対応策をお示しいただきたいと思います。  なおかつ高速道路等が特に問題になりますが、その建設に当たりまして、これからは、そういうインター周辺であるとか、あるいはまた従来の生活道あるいは水路等を遮断する場合に、その機能を回復する交換的な設計のあり方、そういったものがこれから問題になるということは、たびたび言われてまいりましたけれども、すでに、これまで計画、そしてまた用地の買収等にかかっているものについては、どうなっているのか。第八次から考えるという御答弁が出そうな気がいたしますけれども、これまでの点についてはどうなのか。かく申しますのは、建設省のこうした基本的な姿勢と、また現地の住民要求との間にはさまりまして、市町村あたりの住民対策室、そういったところで奮闘している第一線の皆さんにとりましては、いわゆる基本設計の段階から、こうした環境保全開発と申しますか、そういった姿勢を求めているわけでありますから、これは再三、建設省陳情を重ね、要求をして初めて、そうした要求が少しずつ実っていくというようなことでございまして、従来のそういう姿勢にありましては、今後の道路整備道路開発には非常に大きな支障が残っていくと思うのでございます。  るる申し上げましたけれども時間になりましたので、以上の点につきまして具体的に御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。
  132. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  第八次道路整備五カ年計画の策定は現在、進行中でございますが、その中で、これからの道路整備のあり方をいろいろ勉強いたしております。先生の御指摘のように、質か量かを判断する非常に重要な時期に来ておるわけでございまして、確かに、これまでの道路整備は距離をかせぐという考え方で、やむを得ず伸びてきたと思いますが、これも道路の過去のストックが欧米に比べて大幅におくれておりました事情からいって、これだけの経済成長を支えるためには、距離をかせぐことはやむを得なかったというふうに考えておりますが、やはり、そのしわ寄せが今日あちこちで、いろいろな道路の周辺の問題として起きてきているわけでございます。これからの経済安定成長下の道路整備のあり方としては、どうしても質に重点を置いて道路整備を進めていくという方向に軌道修正をせざるを得ないと思います。しかし量的にも、まだまだおくれているわけでございまして、全国津々浦々からの道路整備に対する要望は、いまだ非常に根強いわけでございまして、これらに対応するためにネットワークの整備というものも、あわせてやっていかなければならないというふうに考えております。  それから御指摘の高速道路等の建設に伴う周辺の土地利用との関係、あるいは、いろいろな施設の機能回復の問題等につきましては、従来から高速道路計画する際に幾つかの段階を踏んでやってまいっておりまして、原則的には従前の機能を一〇〇%回復する、維持するというねらいで道路の設計等をやってきておりますが、これからも設計協議の段階で十分に地元と話し合いを進めながら、間違いのない道路づくりに努めてまいりたいというふうに考えております。
  133. 北側義一

    北側委員長 渡辺武三君。
  134. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 最近にわかに住宅公団の問題が取り上げられまして、先ほども問題になっておりましたように、建設省の中に事務次官を長とした特別委員会が設けられて検討が続けられようといたしておりますが、この種問題を単なる住宅政策問題の中から考えていくと大変に問題解決にならないのではないか。つまり、いま起こっております問題は、たとえば言われておりますように三悪がある。それは遠い、狭い、高い、こういう三悪が言われておるわけでございまして、これらの問題を解決するためには、単なる住宅政策のみからの検討では、とても問題解決にならないではないだろうか。つまり、遠いという問題は交通上の問題がございまして当然、運輸省関係の仕事も入ってまいると思います。さらに人間の環境整備という問題も当然、出てまいります。働く場所という問題も入ってまいりますから、通産関係の仕事も出てまいる。高いという問題は、物価政策上の問題も当然、出てまいります。そう考えていきますと、これらの三悪を解消するためには、また解消しなければ現在の住宅公団が抱えている問題は解決できないんではないか、こう考えるわけですが、その辺の認識は大臣はどのようにお持ちなのか、まず、お伺いをしておきたいと思います。
  135. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いま緊急に、いろいろな事態が起きております。それらの問題で早急に解決しなければならない公団内部の問題または公団自身でもできる問題、そして建設省としてもやらなければならない問題等、こういうような問題は早急に、いま、やらなければならない問題だ、こう解釈をしております。したがいまして、先ほど申し上げておいたように省内にそういうようなものをつくったということは、緊急、早急になさなければならない問題を三つばかりにしぼりまして、そして、これらの問題つまり今後の住宅公団のあり方について検討を加えてみたらどうか、こういうことでございます。  いま渡辺さんのおっしゃるような問題になってまいりますと、これは都市政策というような大きな問題に入ってくるだろうと思うのです。したがって、この都市政策というような問題は、安全で快適な生活を送らせようということになってまいりますと、また一つ考え方を変えた角度から大きく見ていかなければならぬということは当然なことだと思うのでございます。たとえばニュータウンならニュータウンのつくり方自身、東京都内なら東京都内をどういうふうに区分して、どういうふうにやっていくんだというような問題についての見方というものは、これはまた別個の考え方から出てくるものだと思うのでございます。これは建設省だけの問題ではございません。国自体の考え方の上に立たなければならない問題だと解釈をしております。
  136. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 別個の問題だとしてとらえることには、私は問題があるのではないかと思う。別個の問題としてとらえてしまうから、そういう行き詰まって壁にぶつかった問題を単なる住宅政策の中で解決しようとせられる。それはやはり過去の集積がそうしてしまったのだから、そういうことにならないように一体どうすべきであろうかという観点で取り組まなければならないと思うのですね。本来もう起こってきてしまった問題を解決するために、これは必要でございますけれども、それだけで、この基本的な問題が解決できるとは思われないのですね。だから単なる住宅政策としてのみの観点から対策を立てても大した意味は持たぬのではないか、実際、基本的な問題が直っていかない限りですよ。それじゃ直りますか、遠いという問題一つ考えてみたって。これは住宅政策上だけじゃ問題にならないわけでしょう。狭いという問題は広くすれば直るかもしれぬが、それにはやはり人間の環境全体の立場から関連公共施設等を非常に多くとらなければならないという問題も出てきた。そのためには住宅の単価そのものが非常に高くなってきてしまっておるという問題も当然、含まれてきておるわけですから、単なる住宅政策の観点からだけでは、いま起こっている問題はとうてい解決できないのではないか。  しからば一体どうしていくか、こういうことを大臣みずからが、やはり認識を新たにされて、そして住宅政策そのものが大きく転換をしていかなければならない時期に来ている。そのあらわれが、いまの公団の壁にぶつかった姿ではないか。もちろん、その壁にぶつかった姿を、そのまま放置しておけということではありませんよ。当面の問題は当面の問題として早急に手を打っていただくということは必要なんだけれども、ともすると、それだけで終わってしまうおそれがある。そうではないのだ。この問題はやはり根本的に考え面さなければいけない問題を含んでおるのだ。それはまた別の問題でございまして、都市政策の問題でございますから都市計画局で何とか、かんとかということになってしまうと、これはやはり問題をそのまま温存をしていくことになってしまう、こう考えるわけですが、いかがですか。
  137. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 省内の都市計画局くらいの考え方で目的を達する問題ではないと思うのです。ですから関連のある各省が集まり、政府そのもの自体の考え方が、ここに統一されていかなければならない大きな問題だと思うのでございます。ですから、たとえば家のつくり方から始めましても、多摩のようなやり方があるとか、こういうような面と諸外国との比較をしてみて日本はどうなんだというようなことも当然、考えていかなけれならない問題で、いまの住宅公団そのものが誕生するときは、もうこれよりほかにない、何とか、これでやっていこう、これでなければ、どうにも解決つかないというような、せっぱ詰まって追われてできたのが、いまの住宅公団のあり方だと思うのです。しかし、もう今日になってみると、いま、おっしゃったように高いとか狭いとか遠いとかという三つの問題がある。これらの問題も早急に解決をつけていかなければならない問題だと先ほど申し上げたのでございますけれども、これらの解決できる問題は早急に解決をつけていかなければならないし、今後の住宅問題をどうするかという問題に、もっと一歩踏み出していかなければならないときが、まさに来ている。  ですから先ほどからの御質問で、いま、いろいろ土地をたくさん持っているじゃないか、何だ余らしておくのはもったいない、何しているのだというお話もたくさんあります。しかし、これらは当然の御意見ではございますけれども、やはり住宅問題を解決つけるのには、もっと国土全体の上に立った大きな都市計画、私のところの局で都市計画を立てるのではなくて、国自体が、どうやっていくかという基本的なものを、まず決めていかなければならない。それには各省とも関連を持つ問題でございますので、これらと打ち合わせをした政府一つ考え方を打ち出していかなければ、その問題を解決することが困難ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。早急になさなければならない問題を、いま、そういうような手段でやっております。こういうわけでございます。
  138. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 従来、住宅政策というのは、ともすれば人間にベッドを与えるという観点で進められておったと思うのですね。その結果は大都市の人口分散にもつながらないし、郊外に住宅をつくってみたところで、働く場所は都市の中心にあるということになれば一層、交通渋滞を激しくしておる。いろいろな都市的な問題は一向に解決をしていないのですよ。それはやはり基本的にベッドタウンをつくるのだという考え方に乗っておるから、そういうことになってしまうのではないか。本来の都市そのものの機能を回復させるためには、ベッドタウンではなくて、むしろニューシティーをつくるのだという考え方に立たなければ、やはり、それらのいま起こっている、いろんな問題を解決することにはつながっていかないのではないだろうか。  それには、そのように法律的な対応もしていかなければいけないということで、実は、いろいろ調べていきますと、たとえば新都市基盤整備法なんというものは実際には、もう五年前にできておるのですね。この人口の規模の是非については考え直さなければいけないかもしれませんが、新都市基盤整備法なんというものは、法律はできましたけれども実際には運用されていない、適用されていないのではないかという気がするのですね。この法律自身も大都市の過密人口を分散させていこう、そしてニューシティーをつくっていこうという考え方が基本にあったはずなんですけれども、実際は、そのように行われていない。その延長は、やはり依然としてベッドタウンづくりに終始してきたというのが、いままでの実績ではないであろうか。そういう集積が、いま、いろいろな問題のうみが出つつあるということなんですよ。  したがいまして具体的に、新都市基盤整備法ができてから実際にそれが適用されているのかどうか、その実態。あるいは、その法律の内容が、すでに今日の段階では、もう手面ししなければいけないようになっているのかどうか、この辺はどのようにお調べになっておられるでしょうか。
  139. 大富宏

    ○大富政府委員 御指摘のとおり、新都市基盤整備法というのは四十七年六月に成立さしていただいたわけでございますが、これは全面買収による新住宅市街地開発法と区画整理法の二つの大規模開発の手法が、いままであったわけでございますが、いわゆるこの全面買収と区画整理法を一緒に併用した第三の開発手法ということでスタートしたわけでございます。その目的は、御指摘のように単なる宅地開発ということではなくて新市街地をつくるんだ、新都市の基盤を整備するんだということで、この法律は構成されているわけでございますが、こういうぐあいな新市街地の基礎をつくるものといううたい込みなものでございますから、これの要件といたしましては五百ヘクタールという規模を最低にいたしております。現在のところ、まだこれだけの五百ヘクタールを超える大規模な計画がございませんものですから、せっかく、いい手法としてできましたけれども、今日に至るまで、まだ一件も適用いたしておりません。宅地開発公団は、御承知のように大都市地域における大規模宅地開発、新市街地を形成しつつ大量に宅地供給する、これも同じような趣旨でできた公団でございますので、今後この宅地開発公団が大規模開発する場合の、かっこうな手法だというぐあいに私は考えております。
  140. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 四十七年に忙しいのに一生懸命に審議をした法律は、そのまま五年間、眠っておったということでございますね。そうなりますと本当は基本的な認識がなかったのではないかと言わざるを得ないのです。実際の法律は、もう五年前にできていた、そういう兆しを考えながら、つくったんだけれども実際には五年間、眠らしてしまった。現実には、そういう問題が出てきて、いろいろな壁にぶつかっておる、こういうことですから、そう考えていくと、基本認識を本当にしっかりと持っていないと、われわれが質問すると、将来方向としては、そういうような認識をしております。こうおっしゃるけれども現実に認識しているかどうか、大変に疑わしい。また認識していないと断定せざるを得ない現象が出ている、こう言わざるを得ないわけでございます。  確かに、欧米諸国を見ていきましても、この都市政策というのは人間がいろいろな試行錯誤を繰り返しながら、いろいろな開発手法の変遷がございます。しかし、手近なところでヨーロッパあたりでも、あるいはイギリスあたりの都市開発のあれを見ておりましても、相当な期間を経て、いろいろな試行錯誤を繰り返しながらやられておるのですね。参考になるところがたくさんあるのです。だから日本が同じように試行錯誤を繰り返す必要はないのです、実際は。つまり実験はすでに済んでおる、こう見てくるならば、もっともっと早く、それらに対応しなければならぬのではないか。  たとえば、いま交通事故、交通渋滞で大分、騒がれておりますが、イギリスあたりの都市政策を見ておりますと、いわばニュータウン法という法律ができておって、そして、このニュータウン法そのものも、いろいろな変遷をしておりますよ。変遷をしておりますが、現在のニュータウン法によって、いろいろ考えられておることは、われわれが見ても大変参考になることが非常に多いのです。実際、新しい都市は完全に歩車道は分離をされておる。もう、すべてが信号なしで目的地へ着くような道路計画になっておる。そういうのがどんどんと実際には建設をされておるのですよ。同じイギリスの中でも、そういう新しい手法で開発したところ、古い手法で開発したところと比較すれば、交通事故一つとってみましても何十分の一というように安全率が高くなってきておる。だから、古い手法で開発された都市は、どんどん、また改造が加えられていっておるわけですけれども、そういう実験都市といいますか、実験段階は、すでに、もう諸外国で終えておるわけですから、日本が同じようなことを繰り返す必要はないわけですよ、実際は。そういうことを見ながら、もっと早く思い切って基本認識を改めて、ニューシティーづくりというものをやるべきではないか、また、やらなければならぬ、こう考えるわけですが、この辺はいかがです、大臣
  141. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 非常に高道な理想でございまして、何もつけ加えるところはないと思います。できるならば、ぜひ、そういう方向づけをしていきたい。そういうようなことから考えましても、御承知のように筑波学園だとか、あるいは鹿島工業団地のようなところも幾分か、そういうようなものを取り入れてあるというような感じがいたしますけれども、そんなものでなくて、もっと渡辺さんのおっしゃるような、そういう面についての考慮というか——大体、日本という国、国民の習性を、いまだ、そのままでやっておる。ベッドタウンというのは大体、日本人の習性みたいなもので、これを今日になっても、そのまま行っていくというところに、改革ができてない、おくれておるということは私は十分認めざるを得ないと思う。したがって、そのような理想にということでなくて、もう理想ではなくなってきておるのじゃないか。そうなさなければならない時代を、まさに迎えておるという点については、ありがたく拝聴いたしまして、そして、そのような方向づけは、なるほど、ごもっともだというように私は承っておきます。
  142. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 討論会をしておるわけではありませんから、実施をしてもらわなければならぬわけです。私は先日あるところで、この問題について討論会で対談をしたわけでございますが、突き詰めていきますと、これはもう教育問題にまで実はつながりを持ってくるのです。確かに、いまの日本人の意識構造はいろいろなものに大変、災いを及ぼしておりますね。自分さえよければいいという、いわばエゴイズムが蔓延をしておる。したがって終末処理場一つできない、道路一本できない。いろいろ分析していきますと、すべてエゴイズムにぶつかってくるのです。だから、そういう面では公共の福祉というものを一体どう考えておるのかという基本的な問題にまでぶつかってまいります。  そう考えていくと住宅問題といっても、これは大変な問題だ。そこまで、もう現実にぶつかってしまっておるのだ。だから、これは一建設省だけでは本来もう解決ができないところまで来つつある、こう見なければいかぬわけです。そうなりますと、建設大臣として閣議における発言、閣議における主張というものは、そういう立場で相当、強力にやってもらわなければいけないのではないか。ところが、お役所にはなわ張り根性というものがありまして、建設大臣の発言をあれしておるという面もなきにしもあらずだと思うけれども、そこはやはり思い切って、やっていただかないといけないのではないか。次官を長として、たまたま公団の問題に限っておやりになる。それは決して私は否定をいたしません。当面の問題をやっていただかなければならないわけですけれども、しかし、小手先で当面の問題だけをなぶっておったのでは、将来方向が解決できないのではないか。そういう将来方向がないために、簡単に言えば、そういう意味の都市政策はない。単なる建設省の中で考えられる都市政策だけではだめですよ、こう言っておるわけです。  たとえばニューシティーをつくろうとするならば、それには働く場所をどうするかという通産省関係の問題が当然出てくるでしょう。そうなりますと当然そこに交通をどうするかという運輸省関係の問題も出てくる。そういう一大プロジェクトチームが編成できるような、あるいはお役所自身が縦割り行政ではなくて、十分に横との連携がとれるような総合省ができてこなければいけないのではないか。これは本当は単なる住宅問題だけではありませんね。交通問題一つ取り上げても、そういうことが言えるわけです。これもアメリカなんかの例を見れば、アメリカは総合開発庁ですか、こういうお役所がもうできておって、うんと広い範囲で新しい理想的な都市建設のための仕事がやれるようになっておる。ところが残念ながら、わが国は依然として縦割り行政が続けられておって、お役所間のなわ張り争いが行われておる。  たとえば住宅一つとってみてもそうでしょう。建設省の中に住宅生産課だったか忘れましたが、住宅をつくる課がありますわ。通産省へ行きますと、また、これありますね。どうして、こんなところに二つもあるのかと思って、いろいろ調べていくと、通産省はつくるという立場から、建設省はその居住者の立場から、そういうものがあるのだそうです。つくる立場と居住者の立場と別々に、そういうお役所をつくっておいて、いわば、その有機的なメリットを享受するわれわれ人間が、本当により有効なメリットが受けられるだろうか、こう見ていきますと疑問を持たざるを得ない。むしろ、それらは合体をして、つくる立場も入る立場も、すべて総合した中で十分に考えられていく、こういうふうに本当は変わってこなければいけないと思うのですね。そういう面から見ていきますと大変、問題があるのではないか。この辺の大臣の今後の御決意をお聞きしておきたい。
  143. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 おっしゃるような方向に進むことができますならば、交通の緩和もできます。また住宅と働く場所が本当に歩いて行かれるような方向にもなるだろう。住宅公団、帰ってしまいましたが、大阪と神戸に、それにやや似通ったようなものをつくっていきたいというような話を、きのう、ちょっと承りました。いま、おっしゃるような方向ではないけれども、その中に住宅を置こうじゃないか、そして周囲に働く場所がある。そうすると余り、そう車を使わなくても出ていけるのではないか、交通緩和もできるじゃないかというような話を、きのうも伺ったところでございますけれども、まあ、これとは別個にいたしまして、渡辺さんのお話のような方向に行くように、私も何とか考えを一にして統一見解を出してみたいというふうに考えます。
  144. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 時間が切迫いたしてまいっておりますから、あと簡単に御質問を集約していきたいと思います。私は大体いままで都市政策におけるマクロ的な見解を大臣にただしてまいりました。あと一、二ミクロの立場で個々の問題について御質問をしたいと思います。  まず第一に、現在、宅地の造成に伴って関連公共公益施設の負担の増大が非常に大きな問題になっております。これらの公共公益施設の負担の実績というものは現在どうなっておるのか御説明願いたい。
  145. 大富宏

    ○大富政府委員 現在、宅地開発で一番難点とされている問題は、この関連公共公益施設の負担が非常に多くなったということでございまして、これは民間でございますけれども、社団法人都市開発協会の調べによりますと、民間事業者の場合は、こういった関連公共公益施設負担の宅地原価に占める割合は五〇%ということになっております。これを住宅公団の場合について調べてみますと、住宅公団の場合は区画整理でございますけれども、開発規模によりますが、この場合でも、おおむね三〇%から五五%くらいの負担になっております。
  146. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうしますと、わかりやすく言うと、五十坪の宅地を買うためには百坪分の金を払わなければならぬ、こういうことになりますね。であるから勢い地価は倍額だ、こう見ておかなければならぬ。そうなりますと、これは大変なことになるわけでございまして、本来的に関連公共公益施設というものを一体どこが負担するかという基本的な問題を、やはり早く統一をしなければならぬ、こう考えるわけですね。  そこで、建設委員会も四十七年でしたか、実は、この委員会として決議をされておりますね。お忘れになっていないと思うけれども「宅地開発等に伴う公共公益施設整備のための地方財政負担の軽減等の措置に関する決議」というのが実は四十七年に、この建設委員会でやられておるんですよ。これらについては、どう処置をされておりますでしょうか。
  147. 大富宏

    ○大富政府委員 まず第一点に御指摘になりましたように、確かに原価に占める関連公共公益施設の負担というのは五〇%ということでございますが、単純に言いましても、土地を買収しまして何にも手をつけなくとも半分しか宅地にならないということですから倍の値段になる。したがいまして、素地価格自身がある程度の採算のとれる程度のものでなければ、とても使いものにならないというのが大前提でございます。  それから第二番目に、しからば一体こういう関連公共公益施設の状況はどうなっているかという御指摘でございます。当建設委員会で御決議いただきましたのが四十七年でございますが、これ以後、逐次、私どもは改善いたしているつもりでございます。  まず、児童生徒急増市町村における小中学校校舎の補助率の引き上げ、当時はまだ二分の一でございましたが、これを三分の二に上げろということでございましたが、これは四十八年に実現いたしております。それから児童急増市町村における幼稚園園舎の補助率の引き上げ、これは当時三分の一でございましたが、御決議は三分の二ということでございましたが、四十九年段階で二分の一まで引き上げております。それから三番目に、人口急増市町村の消防施設の補助率の引き上げ、これが当時三分の一でございましたが、御決議では三分の二ということで、これが四十九年段階で二分の一、その他公共下水道、流域下水道都市下水路等、逐年、内容は改善いたしているつもりでございますけれども、私ども、まだ、これで十分だとは思っておりませんので、御決議の趣旨に従いまして、また今後、努力いたしたいと思っております。
  148. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 四十七年に当委員会で決議をいたしました、その措置は、実績を調べてまいりますと、まだまだ十分とは言いがたいものがたくさんございます。どうか一日も早く当委員会の決議を遵守をされまして、この決議が実現できるように、なお一層の努力を要望しておきたいと思います。  次に、あと一点だけお伺いをいたします。建設省都市局の「都市局関係予算説明資料」を拝見をいたしますと「街路事業」の中に「総合都市交通施設整備事業の実施」という項がございます。この内容と、それから今年度行おうといたしております事業の概要について、ちょっと御説明を願いたい。
  149. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えを申し上げます。  いま御指摘がございました総合都市交通施設整備事業でございますが、パンフレットにも書いておきましたように大体、主要都市の枢要地区で非常に交通が混雑しておる、これを具体的に申しますと、たとえば駅前でございますとか、あるいは商業の中心地でありまして、人、車の交通量が非常に多いというところにつきまして、道路交通の安全と円滑化を図るという意味合いから、従来は、たとえば警察庁が交通規制を別途にやり、建設省建設省で街路整備なり歩道整備をやるということで、ともすれば、ばらばらになりがちでありました行政を、ともかく総合的にやろうということでございまして、まず建設省のサイドとしては、街路なり、あるいは歩行者専用道、これを整備するということを大前提にいたしまして、それが整備できた暁に交通規制をどうするか、あるいは、その際、交通規制に伴いましてバス路線の再編といいますか、変更を伴う場合もあり得ると思いますが、そういうことを、ともかく一体的にやろうじゃないか。したがいまして、別に新しい制度ではございませんで、従来ありました制度を、ともかく総合的にやろうということで、五十二年度からは、これは場所はまだ現在いろいろ検討中でございますが、全国で約四カ所程度の土地を選びまして、五十二年度は、そこにつきまして、まず調査、測量をやりまして計画を具体的につくる。計画に従いまして後どうするか、これは先ほど申し上げましたように街路事業を進める、歩道の整備をする、あるいは交通規制を総合的にやる、一方通行をやる、場合によっては、それに伴ってバス路線の再編成をする、こういったことを将来の問題として考えていきたいというふうに考えております。
  150. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 都市局長、それは都市局の中だけで、おできになるのですか、いま、おっしゃったことは。
  151. 中村清

    中村(清)政府委員 申しおくれましたが、都市局だけでは、なかなかできない問題でございます。交通規制の問題につきましては警察庁がございますし、バスの路線という問題につきましては運輸省の問題がございます。したがいまして、総理府の交通安全対策室が中心になっていただきまして、あそこで調整をとっていただきながら、関係各省庁、協調しながらやろうという仕掛けに現在なっております。
  152. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 交通安全対策室なんというものは、そのようなことをやれるところじゃないのですよ。あれは予算書を見たって貸し部屋業をやっているだけなんですから、だから都市局がこうお書きになっても単なる名目をお並べになっただけに終わってしまうのではないかと思うから、実は、あえて御質問申し上げたわけですが、この資料をずっと見ていきますと、七番目に「街路交通調査」というのが出てまいりまして、そして、ここで調査をするのだ、こういうことが出ているのですよ。歩行者、自転車等の交通手段とか、せいぜい、このくらいの程度ならわかるのですよ。ところが街路事業の中で総合的な都市交通施設の整備事業を実施するのだときているから、ほんとにできるのかいなと思って実はお聞きをしたわけですよ。
  153. 中村清

    中村(清)政府委員 御心配をいただくのは非常にありがたいのですが、私どもは御期待に背かないように一生懸命やりたいと思います。
  154. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そういうことで実態は、私は交通安全委員も長く、もうやっておりましたけれども、そういうことにはなっておりません。単なる貸し部屋業で各省を集めて文句を言わせるだけに終わっているのですよ。そうなりますと都市局が幾ら計画をお立てになっても、なかなか建設省は何を言っておるかという省が出てくるのです。だから本当におやりになるなら、もっと別な方向を考えなければいけないのではないかと心配をするから、ここにお書きになっただけでは名目に終わってしまいはせぬか、こういう心配は十分に持っておるのです。だから心配に終わらせないようにやってちょうだい。  終わります。
  155. 北側義一

  156. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど大臣住宅問題、特に公団住宅について、狭い、遠い、高いという問題は早急に解決が必要だし、解決のできる問題だ、こうおっしゃったと思うのであります。問題は、そうだとすれば、そのために必要な手を打つかどうかにかかってくると思いますので、政府がその手だてをしているかどうか、この点について質問をいたしたいと思います。
  157. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、省内にその委員会をつくりまして次官が長となって、狭い、商い、遠いというような問題を、どうやったらば早期に解決ができるかというようなことについて、ただいま、せっかく協議中であります。なるべく早目に解決をつけたい、こう考えております。したがって狭い面は、二DKというやつを二つを一つにするとか、あるいは三つを二つにするとか工夫をこらして、そして現代の要求に応じられるような施設に改良していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  158. 瀬崎博義

    瀬崎委員 新聞等の報道では、その具体案が出るのは八月がめどだというふうなことでしたが、そういう悠長なことでいいんだろうかということを、お尋ねしたいのです。
  159. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 数もたくさんあることでございまして、全部で、そのくらいの余裕を見なければ、そのような三問題の解決はなかなか困難じゃないでしょうか。
  160. 瀬崎博義

    瀬崎委員 年間約五十億以上と言われる家賃の収入欠損が現に生まれているわけですね。今日これは一日に幾らぐらいになりましょうか、こういう家賃収入の欠損は最終的には一体どこへ、しわ寄せされるのですか。
  161. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、空き家によりまして五十数億の収入が減になっておることは事実でございます。これは損益計算いたしまして欠損になるというふうな種類のものでございませんで、本年予定した収入が入ってこないということでございまして、その間は資金繰り資金等によって泳いでいるということでございまして、今後、入居されてから従来どおり七十年間で回収していくという性質のものでありますので、特別に、これが他の現在の住宅にかかるとか、そういったものではございません。ただ、資金繰り資金等要りますので、それに伴う多少の経費等につきましては、事務費等の節減によりまして対処したい、こういうように考えております。
  162. 瀬崎博義

    瀬崎委員 資金繰り資金を特別に必要とすること自体が、経営にとっては不安定な要素だと思うし、また当然、借り入れ総額を圧迫するし、金利がついて回る、これは避けられないと思うのですね。  特に、三つの悪と言われますけれども、一番問題になっているのは私はやはり家賃だと思いますよ。これが引き下げられれば問題は大きく解決してくるのではないか。家を探し求めている人は現にある。この点で、たとえば、まだ大都市などの存在しない滋賀県などでも公団住宅に大きな空き家が生まれているでしょう。大津市の美空団地というのができて、もう一年からになりますが、ここの二DK、三K、三DKですね、三DKで五十五平米ですが、三百三十戸のうち、やっと百四十戸が埋まったにすぎない。なお半分以上の百九十戸が空き家のまま残っているわけであります。これは私も直接、公団に何とか対策を講じるように申し入れたことがある問題ですが、現実には、らちが明かない現状です。なぜ、こうなるか。三DKの場合をとりますと、傾斜家賃で当初が最高三万七千円でしょう。これに共益費が二千百円。この団地は公団汚水処理施設をつくってないから、その部分については公団住宅を含む京阪のローズタウンの処理施設を使う。つまり京阪に対して払うことになる。全部足しますと四万一千百円になるわけですね。大体、大津で、こんな住宅をつくって人は入りっこはないわけですね。ちなみに今度は建設省のあしき指導によって公営住宅の方の値上げも各自治体で問題になっているのです。そこで大津市が出している値上げ案なんですが、この中で五十年度、美空団地とほぼ同じ時期につくられた市営住宅、これは広さが大体五十八平米のクラスです。これで二万一千二百円なんです。それで市のど真ん中にあるわけですね。約倍なんですよ。それから、さらに参考資料として民間の家賃の動向も市の資料についているんですが、この二万一千二百円の市営住宅のすぐそばにある非常に便利のよい、ほぼ同型の民間の借家で家賃四万二千円。民間と全く同レベルで、それで場所はへんぴですね。  だから、ここの解決がされれば私は、ここの住宅は利用されると思うのです。何となれば市営住宅は実に競争率二十三倍なんですから。しかも、この美空団地の場合は現在、不便には違いないけれども、あのあたりなら車を持たなければ生活にならない地域ですから大体、入居者は持っていらっしゃると思う。とすれば、そう極端に不便ということはないし、丘の上にあって見晴らしもいいし環境はいいんですよ。しかも大体三DKまであるんですから、そういう点では問題は結局、家賃だげにかかる。だから、この家賃引き下げの努力に、まず集中して大臣が取り組まれたら、それだけでも私はこの空き家問題は解決すると思うのです。そこそこの財政措置を思い切ってとっても、一年間五十数億遊ばしておくことを思えば、国家的には私は大きな利益じゃないかと思うのですが、まず、その点についての大臣の決意を伺いたいのです。
  163. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 お話はそのとおりでございますけれども、なかなか、このごろは地方公共団体の方が、つくるまでの間の交渉そして、つくっても、これでよろしいかというと、なかなか、それでも許してくれません、いろいろな条件がさらに加味されてまいりまして、そういう条件等が加わって、決して公団は金をもうけるためにある公団ではございませんので、利潤追求をしているわけではないのですけれども、どうしても、そういう計算が立っていく、こういうことでございます。ですから私に、すぐ、それを下げたらどうかと言われても、どうも少し私には答弁ちょっと、しかねるのですけれども、極力そういう面の工夫のできる面、また地方公共でやれる面というものと国の方の負担でできる面と、このところはさらに区分をして、そして、なるべく家賃の引き下げに努力するようにいたします。
  164. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう一般論に解消してはいかぬと思うのですよ。この団地は関連公共施設でいえば排水処理施設すら、つくってないという団地でして、いま言ったように、それは別に京阪に払わなければいけないという負担が入居者にかかってくる。別に学校をそばにつくったわけでも何でもないのですね。現在、家賃の中で一番大きなコストになっているのは一体、何ですか。
  165. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 一概に家賃の中で何が一番かといっても、その場合、建築費あるいは用地費いろいろな比率もございまして、必ずしも、すべてにわたって同一ではございませんけれども、最も影響あるのは第一番目に何かといいますと、やはり基本的には用地、工事ともに相当、物価が上がっているということでございます。ただ、その現状に立ちまして、引き下げるに当たりまして何が一番有効かということになりますれば、それは資金コストを下げるということだと存じます。
  166. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この家賃の中に含まれている利子相当額というのは、大体どのくらいの割合になっておるんですか。
  167. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 物によっても違いますけれども、大体のところ利子相当額が四十数%ぐらいになると存じます。
  168. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣、問題は結局、家賃の四十数%つまり半分を占める利子相当部分をどうするか、これが解決すれば、全部ではなくても家賃問題というのは相当解決できると思うのです。いかがです、大臣の御見解は。
  169. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 利子の方も、公団には国の方でも、かなりの金額を見ておりまして、利子も、そのままのものではなくて国の負担においても、かなり補っているということを申し上げられると思います。
  170. 瀬崎博義

    瀬崎委員 現在は、たしか家賃算定上の資金コスト、年利率を五%に計算していると思うのですが、これはかっては四%ちょっとというような時代もあったんではないですか。
  171. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 ただいまは面開発市街地住宅を除きまして五%、面開発市街地住宅につきましては四・五%ということになっております。先生指摘のように、公団の当初は四・一%でございました。ただし私ども、この資金コスト、回収コストの率につきましては、要するに家賃が中堅勤労者の所得と見合いまして大体どの程度でおさめるのが適当かということで、現在は大体一五ないし一六%のところでもって負担をしていただく、こういうふうにおさめるのに、家賃が幾らの額になればよいか、こういうことで算定いたしておりまして、そのために資金コストを幾らにする、それから傾斜家賃制度をどの程度の幅で実施するというようなことでやっておりまして、現在は五%ということで大体一五ないし一六%の辺に家賃がなるということになっております。
  172. 瀬崎博義

    瀬崎委員 よけいな説明は要らないのであって、かつて四・一%を採用しておった時期はある、こういうことは事実なんです。だから現在、家賃の計算要素として過去よりは分の悪い方法をとっているということは事実ですから、ここらは当然ぼくは洗い直してしかるべき一つの問題点だと思うのですよ。過去やっておったことを一度、検討してごらんということなんですね。いまの方が過去よりいいとは言えない状態の問題なんです。そういうふうな解決を実態面から可能にしていく方策が必要だろうと思うのです。  私、四十九年度しか調べられなかったけれども公団政府借り入れ累計が千九百億、これに対して民間の借り入れ累計が実に千六百億に達していますね。つまり政府資金と民間資金と似たり寄ったり公団は使っている。私はここらに公団が今日、高家賃を生み出してきている一つの要因があるのではないかと思う。この傾向は恐らく去年、ことしも大して変わらぬと思います。  この点でお尋ねしたいのですが、昭和三十九年までは、ほぼ毎年七十億ないし百億くらい出資金を政府が出しておった。ところが、それ以後、出資金を出さなくなった。一回だけ十億ほど出た年がありますが、とにかく出しておりません。なぜ出さなくなったのですか、その理由をお聞きしたいのです。
  173. 山岡一男

    ○山岡政府委員 住宅公団は、先生御案内のとおり利子つきの金で仕事をしておるわけでございますが、おっしゃいますように、中堅勤労者のためにふさわしい分譲価格、賃貸価格になるようにということでございまして、もとは出資金で、これは無利子の金でございますので金利を薄めておりました。その後、利子補給金に切りかえておりまして、現在では毎年度精算額の差額を翌年度に利子補給をするという制度をとっておるわけでございます。
  174. 瀬崎博義

    瀬崎委員 利子補給は毎年出ているのではなくて途中で、ない年も三年か四年この間にあったと思うのですね。しかも、いずれもこれは後払いみたいな形で、道路公団のように、あらかじめ予算に組むのとは、また違うのでしょう。なぜ、そういう違いが生まれてくるのですか。
  175. 山岡一男

    ○山岡政府委員 利子補給金が当初、相当額がございまして、初めのうちの数年の間は精算をいたしましても赤にならなかったということでございます。したがいまして、公団の決算は毎年度八月期にならないと固まりませんので、予算要求時期に概算の要求もなかなか無理なものですから、翌年度補充ということに制度として確定したわけでございます。
  176. 瀬崎博義

    瀬崎委員 公団の側から見て、あらかじめ年度当初に予算として出資金を与えられるのと、事業をやった決算の結果として利子補給金を後払いでもらうのと、どちらが経営上は安定するのですか。
  177. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 これは出資金でいただきましても補給金でいただきましても、要は回収コストを幾らにするかということでございますので、私どもといたしましては問題は回収コストを何%にするかということで、どちらでも結構だというふうに考えております。
  178. 瀬崎博義

    瀬崎委員 何も私、道路公団に出資金を出したり補給金を出したりするなというのではないのでありますけれども、余りにも格差がひどいので、これはちょっと比較を申し上げてみたいと思います。  道路公団の場合の出資金の累計は、五十二年度予算も含めますと四千百九億円になります。これに対して利子補給の方、これは道路公団に対しては五十年から始まったばかりの制度ですが、わずか三年間で七百十九億です。住宅公団の方はどうなっていますか。出資金の累計は七百二億円でしょう。道路公団の六分の一ですね。利子補給は四十年から実施されているけれども、全部足したって六百七十四億で、三年間で道路公団がもらっている額よりも低い。こういう傾向が続けば続くほど私は住宅の家賃は下げにくくなると思う。この点については大臣予算措置の問題でも、できることなんですが、やはり考えていただきたいですね。いかがでしょう。
  179. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 まことに申しわけありませんけれども、考えの基本理念が違っておりますので、御満足のいくお答えは、ちょっとできません。
  180. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は考え方の違いがあるかないか聞いているのじゃないのですね。全然、政府に金がないというのなら話は別だけれども、問題は配分の問題として、このような状態では住宅公団として資金コストを下げようと思っても下がらない。家賃低下のために努力すると大臣がおっしゃった一番手っ取り早い方法は、まず政府出資金を復活するとか、あるいは補給金をふやしていくということにならざるを得ない。だから何も道路公団のやつを全部、住宅公団に持っていけというのではないということは最初に断っています。しかし、この傾向だけは多少、改めないと、ますますもって家賃の問題の解決は困難になるのではないでしょうか、こう申し上げているのです。
  181. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 極力、努力はいたしますけれども、税金は大衆からいただくものであって、ある一部の方が入る住宅にだけというわけには、ちょっと、いかないのじゃないだろうか。それは先ほど申し上げたとおり現在の国のあり方というか政治のあり方にもあるわけでございますので、その点は十分と御理解いただけるだろうと思います。
  182. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ということになれば結局、当初の、家賃を下げる努力をしてみたいということは全く架空の話ですか。
  183. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 架空の話を申し上げているのではございません。現実の問題を申し上げているのであります。
  184. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私の言っているのも、現実の問題として最も手っ取り早い可能性の多い話をしているわけですね。だから多少そういう改善を講じて、かつては資金コスト四・一%という計算を行っておった、こういうことの可能になるような道を切り開いてはどうでしょうか、こう申し上げているのですね、いかがです。
  185. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 瀬崎さんの言うことはわかりますから、その点については十分、今後も努力をいたしますと申し上げておるのでございます。
  186. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この家賃とともに最近また問題になってきているのが駐車場の料金なんですね。これは東京の王子五丁目団地なんですが、ここも、もともと家賃が高いのです。三DKですと当初家賃が五万八千八百円、これに共益費が二千円プラスになります。加えて駐車場料金がほとんど家賃ほどの一万七千円と、こうくるわけですね。全部締めると七万七千八百円になるわけです。大臣の論法からいけば当然、自動車を持っている人が負担すべきなんだということになると思う。しかし、実際の金額から見て、七万七千八百円を負担できる人は一体どんな人なんだろうかと考えていただければ、この高さは御理解いただけると思うのですよ。  そこで、この一万七千円の内訳なんですが、公団側の説明によれば、地代相当額が一万六百四十五円、公租公課二千三十円、償却費千六十八円、管理事務費六百五十七円、これに株式会社団地サービスの維持管理費二千六百円、こういう内訳を示されました。地代相当額は五%で計算しているという話ですから、逆算しますと土地代は二百五十万ぐらいというふうに出てくるのです。一体この基礎になっている土地代は、ここは幾らなんですか。——時間がかかりますから、細かいことは後で一遍、知らしてもらえばいいです。これは、たしか十條製紙の土地を買ったのじゃないですかね。坪当たり四十万余りじゃないかと思うのです。だから、そうすると、どういう計算で地代相当額が一万を超すような金額になるんだろうか、私は不思議なんです。これは、いま手元に資料がなければ後で教えてほしいのです。  ここには、ちゃんと公団側の管理事務費も六百五十七円ついた上、今後の維持管理費というのが二千六百円、団地サービスに払わなければいけないことになっていますね。これは二百二十八台収容なんです。したがって、一年間に直しますと七百十一万円の収入になるのですが、団地サービスは常駐の管理人というものを置いているわけじゃないのです。一体どういう管理をして、この七百十一万円の経費になるのか、その説明をしてほしいのです。
  187. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 先ほど地代につきまして先生五%と申しましたが、駐車場の場合、六・五%でやっております。そこで、お尋ねの件でございますが、団地サービスは一万七千円のうち二千六百円を修繕管理費として取っておるわけでございますが、内訳といたしましては、維持管理費に百三十五円、電灯とか水道とか、そういうものの公共料金に二百五十円、それから空車になる場合がございますので、そういうものの引当金としまして千五百円、それから諸経費七百十五円、こういうようなかっこうで二千六百円となっておるわけでございます。
  188. 瀬崎博義

    瀬崎委員 空車引当金が半分以上の千五百円も占めるとは、どういうことですか。あけておくということですか。
  189. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 通常、契約が切れたりいたしまして次の契約までの間、駐車場が空き家といいますか契約がない場合がございます。現在たとえば、この王子におきましても二百二十八台ございますが約八〇数%の契約状況でございまして、約四十台近くの分があいておる状況でございます。そんなことから全体の中で大体百分の十というものを引当金といたしております。
  190. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大体が、この駐車場経堂というのも法律で示された政令業務の一つなんです。つまり公共事業なんです。それが千五百円もの空車引当金を、言えば車を持っている人にぶっかけている、こういうことが一体、妥当なのかどうか、これは一遍、検討してほしいと思う。  そこでお尋ねしたいのですが、株式会社団地、ビスという、この会社のそもそもの目的は企業利益の確保にあるのか、それとも住民の福祉の確保にあるのか、一体どっちなんですか。
  191. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 株式会社団地サービスは形式上は一応、商法上の株式会社でございますけれども、昭和三十六年に日本住宅公団法を改正いたしまして、団地管理業務も行う企業体に対しまして公団から投資することができるようにするということで、公団あるいは銀行、生保、損保会社等から出資いたしまして創立された会社でございますので、その創立の趣旨等にかんがみまして、私どもといたしましては十分、公団住宅の管理の補助機関として機能するというふうに現在、指導しておるところでございまして、その辺につきましては、私ども公団におきましても大株主といたしまして、十分その運営方針あるいは事業計画等をチェックいたしまして、利益に走らないよう十分、指導しているところでございます。
  192. 瀬崎博義

    瀬崎委員 利益に走らないようにということは、この会社については公共性の方が重要なんだ、そういうことなんですか。
  193. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 私ども住宅公団が三分の二の資本を出しておるということからいたしまして、そういった設立の趣旨にかんがみまして、実際の業務の運営に当たりましては公共性を十分、認識して運営してもらいたい、こういうことで、やっておるわけでございます。
  194. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まさに、この業務は政令業務として、まず保育園の経営、駐車場の経営それから貸し倉庫の経営がありますね。それから委託業務として水道業務とか汚水処理業務あるいは清掃業務それから水道料金の徴収事務とか、あるいは、ごみ処理、消毒、給排水施設の維持管理等々、これはほとんど本来ならば地方自治体の行うべきような仕事を、この団地サービスがやっている。しかも公団が団地サービスに出資するに当たっては、これはちゃんと大臣の認可事項になっていると思うのですが、この点で認可するときに、公共性というものが守られるような政府側の指導体制はとっているんでしょうか。これは政府の方に。
  195. 山岡一男

    ○山岡政府委員 毎年度、出資をいたしまして累積で二億四千万円の出資を現在までいたしておりますけれども、この団地サービス株式会社につきましては、住宅公団が直接実施することが適当でないようなもの、公団の公的性格上、制約の多いようなもの等につきまして、一部の事業を分担してもらうというようなことで、つくったものでございまして、株式会社としたこと自体が、仕事の能率化とか、それから企業努力によるサービスの向上が期待されるという趣旨で、つくったものでございます。したがいまして、そういう趣旨に沿うように出資金が運用できるようなことを公団にはお願いしておるわけでございます。
  196. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それではサービスの向上に反するようなことが現にあれば、これは政府側として、それなりの是正措置を講じますね。
  197. 山岡一男

    ○山岡政府委員 実態に即しまして十分、相談したいと思います。
  198. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど駐車料金一万七千円の内訳の説明があったわけですね。その中に千五百円の空車引当金があるということであります。これが一体、本当に必要な経費かどうか、それは私も、その駐車料金だけを分析したわけではないから、わからないのですが、こういう数字が出てくるのですよ。この政令業務つまり保育園と駐車場と貸し倉庫の三つです。この業務の昭和五十一年三月決算の収支を見てみますと、ここで、どれくらいの粗利益を出しているかということです。売り上げに当たります収益が十六億四千八百万円、これにかかりました諸経費が九億五千百万、これは原価、直接経費が入っているということですね。としますと差し引き粗利益は六億九千七百万、実に粗利益七三%、こう出てくるのです。そうすると、さっきの、わけのわからない空車引当金なども、こういう大きな利益の源泉になっているのじゃないか。利益が大き過ぎるから駐車料金などが高くなってくるのではないかという疑問も生まれてくる。この点、直接の監督の立場にある公団として、果たして、この政令業務で、こんなに大きくもうかるものなのかどうか。どう考えているか、ひとつ答えていただきたい。
  199. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 先ほど先生おっしゃられましたとおり、団地サービスのやっておる業務は三種類ないし四種類ございまして、物によりましては必ずしも、そのように利益を上げていない種類の業務もたくさんございます。そういった点で、全体で団地サービスがどの程度の収益をおさめておるかということでもって判断していきたい、こう思っております。
  200. 瀬崎博義

    瀬崎委員 政令業務の大きなもうけについての説明はできないでしょう。では他の業務はどうなっているか。受託業務ですね、さっき言った水道とか排水とか、ごみ処理とか清掃とか、こういう問題ですよ。大体、公団から仕事を受ける場合に原価に二〇%ぐらいの粗利益をお願いしている、こう団地サービス側は言っているわけなんです。それ自体も大きいと思うけれども、実際の数字はもっと大きいですね。売り上げに当たるものが九十八億三千二百万、それに当たる原価が七十八億八千七百万、粗利益が十九億四千五百万、これは二五%の利益率ですよ。さらに、よく問題になる補修業務があるでしょう。これは団地に入っている住民の方が、公団のペンキの塗りかえなら色の指定がうるさいとか、建具の取りかえも規定がうるさいので、どうしても指定業者に頼む、それは団地サービスを窓口にするというので、いろいろ問題を起こすのですが、これも一五%程度しか粗利益は認めません、こう言いながら、実際には百五十三億二千二百万円の売り上げに対して原価百二十億八千五百万、粗利益三十二億三千七百万、利益率二七%。さっき、あなたは、もうかってない部分もあるから政令業務で七三%もうけるのはやむを得ないような話を言ったけれども、どれもこれも大きくもうかっているわけですね。大体こんなにもうけていい会社なんですか。総裁どうです。これは総裁に答えてもらいたい。
  201. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 団地サービスにつきましては、全体としての純利益は数%でございまして、そんなに上がっていると思っておりませんけれども、御指摘のような、業務によりまして非常に利益が多過ぎるというものがございましたらば、今後、検討してまいりたいと存じます。
  202. 瀬崎博義

    瀬崎委員 純利益が少なく出てくるのは、結局わけのわからない一般管理費だとか、こういう会社に営業費が要るというのは不思議なんですが、とにかく二十億か三十億かの営業費、ほかに一般管理費が二十億くらいあったかな、大きいですよ。純利益も最近、急激にふえていますね。まず第一に営業収益、つまり売り上げ高の変化を見てみますと、できた昭和三十七年、このときは十カ月決算ですから、これを一年に直しますと三千八百万円の売り上げにすぎなかったのですよ。これが今日、二百八十九億九千二百四十万円というマンモス売り上げになっているでしょう。これは成長率は一体、何ぼになりますか、九百六倍ですね。たとえば昭和四十六年三月の決算から見ても、この年、九十一億の売り上げですから、やはり三倍以上に伸びているわけです。営業利益を見てみますと、古い資料をもらえなかったのでわかりませんが、四十六年三月の決算で一億五千万、これが今日三億六千六百万、二・四四倍でしょう。おととしと去年だけを比べても二億六千万の純利益が三億六千万に一・三八倍にふえていますね。したがって、配当も当初はゼロだったけれども、昭和四十年三月の決算から六%、四十五年の決算から八%に上げていますね。  一方、従業員数と資本金を見てみますと、資本金は当初三千万、昭和四十二年に三億六千万に増資して今日までふえていない。そのままなんです。従業員の方も当初百七十四人で出発して今日、約四千四百人ほどなんですね。この倍率は二十五倍ほどなんです。特に昭和四十六年ごろからは人はほとんどふえておりませんね。資本金はふやさない、人はふやさない、そして売り上げと利益だけが急成長している、ということになるならば、これは当然サービスの中身が薄くなるか、いささか商売気たっぷりの営業がふえてきているか、そういうことがなかったら、こんな数字にならないと思うのですが、いかがですか。
  203. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 営業成績が御指摘のように伸びていることは事実でございますが、当初は団地サービスは政令業務とか、あるいは受託業務というので大変、人件費といいますか人手のかかるものばかり多うございましたけれども、その後、修理といいますか補修業務といいますか、そういうものが大変伸びてまいりまして、あわせて公団住宅の戸数も非常に伸びたところでございまして、そういう関係から人手の割り合いに営業の総売り上げが伸びてきた、こういうことでございます。
  204. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ということは、人手も資本もかからないトンネル業務が多くなってきたという意味じゃないですか。  しかも、こういうことも起こっているでしょう。これは千葉県の高洲二丁目団地なんですね。ここでは分譲なんですが、管理組合が四十九年、五十年、五十一年とずっと団地サービスに給水、清掃それから窓口業務、収納業務、植栽、造園ですね、等をやってもらったわけです。年間大体一千七百七十万円ほどの仕事なんですね。これが年々上がってくるものだから、管理組合では植栽、つまり造園の部分だけを自主管理したい、こう申し入れた。そうすると団地サービス側いわく、これまでは、それぞれの粗利益率を一五%で計算しておったけれども、植栽を抜かれるのだったら、ほかの部分の粗利益率を二〇%に上げさせてもらう、これは一種のおどかしみたいなものでしょう。こんな商売があるわけです。だから、もうかっているのですね。  こういう事実に対して、公団になるのか政府になるのかわかりませんけれども、一体、野放しにしておいてよいのか、何らかの手を打つのかどうか、お答えいただきたい。
  205. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 具体の問題でもって不都合なことがございましたら、私の方から強力に指導監督いたしたいと存じます。
  206. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ただいまの事実は管理組合の役員をしておる人から出ている話であって、これはまさに事実そのままで、詳しい数字が欲しかったら、いつでもあげますから、ぜひ是正してもらいたい。  結局、団地サービスとしては管理組合から、してくれと言われる部分だけをすればよいのであって、自主管理しようと言っている部分までよこせとか、全部一体でなければならないということではないのでしょう。
  207. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 これは団地サービスと管理組合の問題でございますので、私どもが余り介入する問題ではございませんが、管理組合から注文する内容につきましては、管理組合と団地サービスとが話し合いをいたしまして、話し合いのまとまらない部分につきましては当然のことながら契約をしない、これは重要なことでございます。
  208. 瀬崎博義

    瀬崎委員 住宅公団は大変、団地サービスの独立性を尊重されるようなお話をするけれども、団地サービスの役員を見ますと、専務は一人ですが、これは元公団理事御出身でしょう。それから常務が四人いるのだけれども、そのうち三人まで公団御出身でしょう。監査役は団地サービスに四人いますが、このうちの二人は公団の役員出身でしょう。この間、予算委員会の方で、わが党の三谷議員が、政府の高級官僚と言っては失礼だけれども、その天下り天国の一つ住宅公団があるという指摘をしたのだけれども、今度は、その住宅公団の天下り先がこの団地サービスか、こういうことになるじゃないですか。事実上これは住宅公団の管理部門だと見ていいんじゃないですか。それが会社を独立さしているがために、その取引内容には余りタッチできないのだ、自主性を尊重するのだ。これでは、ふんだくられる住民の方はたまったものじゃないと思うのです。これは公団がそういうなまぬるい態度なら、当然、出資を認めている政府の方で、きちんと行政指導をやってほしいと思うのです。先ほどの駐車場の料金について、それから、いまの千葉の団地の問題について答弁願います。
  209. 山岡一男

    ○山岡政府委員 確かに住宅公団の行っております任務の一部を肩がわりしておるのが団地サービスであろうと思っております。そういう意味で、そのような事態につきましては十分調べまして実態に即して措置したいと思います。
  210. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それと大臣にお願いしておきたいのですが、団地サービスの出資者、株主は、一番大きいのが公団ですけれども、それ以外は結局、銀行と保険会社です。これでは本当に住民サービスに徹し切れるのかどうかと思うのです。私は、こういう株主構成にも問題があると思いますので、この点、一遍御検討いただきたい。  もう一つは、住宅公団そのものに管理委員会がありますね。この管理委員会のメンバーも、見ますと結局、委員長さんが富士銀行の相談役岩佐さんで、あと保険会社の社長さんとかが入っていらっしゃるわけです。もちろん自治体の長もいらっしゃいますけれども、利用者の代表は入っていないわけです。こういう点も、もう少し構成を公正なものにしてもらって、こういう管理業務を含めて適正に行われているかどうかということが、ちゃんと内部管理されるような、そういうことも一遍、御検討いただくべきじゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
  211. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 十分調べてみまして、また実態がそのとおりであるとするならば、私の方からも厳重に申しつけておきます。
  212. 瀬崎博義

    瀬崎委員 問題はかわりまして具体的なことになるのですが、これは小平市の問題です。ここにダイエーのスーパーの建設が行われようとしているわけであります。工事を行いますのは鹿島建設であります。問題は、この建てようとしている地域は二種住専地域なんです。面積三万八千平米、地下一階、地上四階なんです。これは、いま改正されている建築法が動き出せば当然ひっかかってくるものだと思うのですが、いかがですか。
  213. 山岡一男

    ○山岡政府委員 前国会において成立をさせていただきました建築基準法の改正によりますと、これは将来は禁止される建物になります。
  214. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ただ、この建築確認の出たのは去年の八月なんですね。その限りにおいて法律に違反するというものではない。けれども、この法律そのものは四十九年の第七十二国会に、すでに提案されておった。そういうことからすれば、本来、法律で規制しなければならない対象の建物であったということは、その当時から大体わかるわけですね。しかも住民の側と、それから鹿島建設との間には、小平ビル——ダイエーです、建築確認についての念書というものが入っております。その中では極力、強行着工は避けるということだとか、周辺住民並びに世論の動向を踏まえて円満にダイエーが出店できるよう協力いたします、こういう一札を鹿島が入れているわけですね。そのように当然、改正された法律であれば禁止される建物であること、住民との間には合意をもって進めるという協定書が入っていること、こういうことを考えれば、建設省としても、衝突が起こって大きなトラブルに発展することは好ましいことではないと思われるから、何らかの行政指導があってしかるべきだと思うのですが、現在、何らかの手を打っておられれば、それを御報告いただきたいし、今後やろうとされることがあれば、それをお答えいただきたいと思うのです。
  215. 山岡一男

    ○山岡政府委員 鹿島、ダイエースーパーの建設計画が公表されたのは四十九年の秋だそうでございます。確認の申請は四十九年の十二月九日に出ておりますが、その後いろいろな経緯を経て五十一年の八月二十一日に確認申請はおりておるということでございます。  その間におきまして、先生おっしゃいましたような施工主からの地元の事務所に対しまする念書の提出、それから地元商工会に対する事前着工する場合の事前の協議の約束等は、ずっとなされているということでございました。法が施行になりますのは、法律によりまして一年以内で政令で定める日となっておりますので、まだ少し時日がございます。しかし、その間におきましても、やはり、そういうふうなトラブルは困りますので、建設省からも東京都の本庁を通じまして担当事務所に、最近そういう話を聞いたものですから照会をいたしました。担当事務所から建築現場事業所に、そういうふうな問題についての連絡をとりまして、その後、現場の方からは、そういうことについて、いままでの念書等について趣旨を尊重するつもりだという返答が私の方には参っております。なお、五十二年の二月の二十五日でございますか、建築主の方にも直接、地元の方々がお見えになったということでございまして、その際、建築主といたしましては、月が改まったら必ず同じテーブルで十分協議をしたいという回答をしたという報告も参っております。  本件につきましては建築確認手続については、これを了しているものでございますけれども、今後は当事者間の円滑な協議によりまして問題が解決することを期待しております。また、それは当事者間の誠意と努力で十分、可能ではないかとわれわれ思っておる次第でございます。
  216. 瀬崎博義

    瀬崎委員 当事者間で解決されるであろうという建設省の見通しなので、それは了としますけれども、もし、そうならない可能性が生まれた場合には、これはやはり改めて建設省としても処置を検討してもらいたいと思うのです。  最後に、これは国土庁長官お尋ねをしておきたいと思うのです。それは琵琶湖総合開発事業計画見直し問題です。  これの事の起こりは四十九年九月になりますが、当時の亀岡建設大臣が、いろんな事情があって琵琶湖総合開発が進んでおりませんし、下流との水の需給関係の問題等々、大きい問題から小さい問題全般にわたって、やはり再検討の必要があるというので、見直しの時期に来ていると、この場で言明されたことに始まるわけなんですね。  その後、見直しのやり方については、まず県の方で十分見直しの原案をつくってくるならば、国土庁の側としても、いろいろ相談に乗っていきましょう、できるだけ地元滋賀県の御意向を尊重する、大筋で言えば、こうなっておるわけです。実際、滋賀県議会等でも知事は、しばしば見直しの推進を言明もしておるし、見直し項目についても大体、住民に相談がかけられている。関係市町村の意見を求められている、こういう経過で来ました。  ところが、ことしに入ってから、この琵琶湖総合開発の見直しについて国土庁側は、まだ事業も十分進んでないのに、やる必要はない、もっと先になってからやるようにというふうな指導をおろしているというふうなことで、見直し作業が一時、中断をするのではないかという情報もあるのですね。ここで改めて国土庁長官が過去の政府側の答弁やいきさつを守って、滋賀県の案を尊重した見直し作業の相談に乗っていくのかどうか、それをお尋ねしておきたいのです。
  217. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。  琵琶湖総合開発計画については、もう今年で五年を迎えるわけでございまして、国土庁としては、この法を基礎にして事業を進めようとしているわけでございます。ところが進めるに当たっては、環境保全というものを十分図ってまいらなければならない。そういう意味で滋賀県と連絡をとって関係省庁とともに、いわゆる検討を進めておるのでございます。そこで滋賀県としては、その検討の結果、この検討が直ちに、いわゆる見直しにつながるのかということが、いろいろ困難な点があるようでございますので、さらに検討したいという意向のようでございますから、国といたしましても、さらに、これを引き続き検討してまいりたいと考えております。ただ国土庁としては、これまでも貫いてまいりました、この計画について地元の意向は十分反映するという、この基本的な姿勢については変わりがございません。  以上です。
  218. 瀬崎博義

    瀬崎委員 見直し作業を大きく分けますと二つになるのですね。一つは、現在の琵琶湖総合開発特別措置法の枠内で可能な計画の見直しと、もう一つは、法律改正をやらないと新たな事業が組み入れられないとか、あるいは事業をやめられないとか、あるいは特殊な規制措置が行えないというふうな問題、さらには上位計画になっている淀川の水資源基本計画であるとか、あるいは、これから策定されようとする三全総がらみに影響するような問題、大きく言ってこの二つある。  県の考え方として、当面は法律の枠内の小さい見直しでやって、その付記見直し事項として、つまり要望として、こういうこともやりたいから国の方で法改正なり、あるいは上位計画の方にも、ひとつ留意願いたいというふうにしていこうという意図もあるのですね。そういうことについては尊重して、これを受け入れて、上位計画なり関係法案の改正問題などは受けたら考慮する、こういうふうに理解していいわけですね。
  219. 国塚武平

    国塚政府委員 いま、お話がございましたように琵琶湖総合開発計画の内容の問題として片づけます問題と、先生いま仰せになりましたような制度上の改正と申しますか、そういった両面あることは事実だと存じます。私ども、ただいま大臣からもお答えを申し上げましたように、県当局と十分打ち合わせをしながら進めておるわけでございますけれども、ただいまの段階では、まだ法律の改正云々というところまでは至っておりませんけれども、将来、法律上の措置が必要だということがあります場合には十分検討する必要があろうかとは考えております。
  220. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もう一点だけであります。  もとへ戻りまして建設省の問題になるのですが、先ほどの王子五丁目の団地で、これは家賃とか、そういうものではないです。騒音の問題です。去年の六月に騒音が激しいというので公団の方で調査されましたですね。その結果はいただいているわけであります。これで言えることは、騒音規制法十七条一項の規定に基づく要請基準というのですか、これの住居地域をとった場合には、中央値では超えているものはないけれども、最高値をとりますと、やはり夜間あたりで、そこそこ超えてくるものが出てくる。その要請基準の商業地域をとれば、これは最高値をとってみても、ほぼ要請基準内だ、傾向としてそうなんですね。しかし、もう一つ騒音に係る環境基準というものが閣議で決定されていますね。あれは、おたくの資料には載せてないのですが、これと比較したらどうなるか。その場合の住居地域と比較しますと、これはもう中央値で、昼間を除けば朝、夕、夜、ほとんど全部ひっかかってきています。超えています。この環境基準のBを採用した場合でも、やはり夜は中央値でもほとんど超えてくるし、最高値なら、もう各時間帯ともに超えてくる。こういう点から見て、私はやはり、これは対策を必要とする騒音公害ではないか、こう思うわけです。この点について公団が一体どう考えているのか、どういう対策をとろうとしているのかということを、まずお尋ねしたい。
  221. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 この団地につきまして、昨年六月、数日にわたりまして騒音の調査をいたしました結果でございますが、先ほどの先生お話にもございましたように、中央値では騒音の要請基準を上回っているものはない状況でございます。  音につきましては、瞬間的に非常に高い音が出たり、あるいは低い音が出たりということで、その上限、下限につきましても上の方五%、下の方五%というものを切って数値を出しているようでございますが、この騒音規制法十七条の基準につきましては、測定値は中央値で行うということになっておりますので、私どもといたしましては、この要請基準では以内にあるというふうに考えておるわけでございます。ちなみに、先ほど先生が申されました商業地域については、もちろんでございますけれども住宅地域といたしましても要請基準の範囲内にある、こういうふうに考えております。  なお環境基準につきましては、御指摘のとおり、もっとずっと低い数値でございますので、その中央値といたしましても、道路におきましては当然それを出ておるわけでございます。  これはまあ私どもというよりは、むしろ道路の管理の方の問題であろうと存じますけれども、私ども公団住宅を管理する立場からいたしましても、住宅を静かな住みよい環境の中に置くということは常に考えていかなければならないことでございますので、私どもは、この団地をつくるにあたりましては最初から防音サッシを施しまして、この防音サッシによりまして騒音を低下させ、この環境基準の中央値の範囲内におさめるようにいたしております。
  222. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その防音サッシとやらを閉めてみても、そう変わらないというのが、この数字、測定値に出ているわけですね。したがって、これが最後ですが、一応、住民側の希望として、道路側を二重窓にしてほしいということが一つ。それからもう一つは、後ろの方の号棟にも空いた部屋があるそうです。あるいは入れかわりで空くことがある。こういうときに現在、道路側に入居している人を優先的に移してもらえないか、こういう希望があるのですね。この点は一遍、研究してみてほしいと思うのです。
  223. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように一応、防音サッシでもって規定の数値内におさめるようにいたしておりますので、これで十分であろうと考えておりますけれども、音に対するいろいろな影響といいますのは、人によって個人差もございまして、相当程度の音でも影響をこうむらないこともございますので、医師の診断書等によりまして、相当、影響があるというふうな特異な件につきましては、他の住宅に優先的に変更するというようなことも考えてみたいと思っております。
  224. 北側義一

    北側委員長 甘利正君。
  225. 甘利正

    ○甘利委員 御期待に沿えないかもしれませんけれども、お疲れのこともわかりますが、ひとつ、ややきめ細かに聞かしていただきたいと思います。  国土法の三本の柱といいますと、土地利用基本計画を定めること、土地の取引の制限をすること、遊休地に関する措置、いずれも知事ということでございますが、ことに二本目の土地取引の制限については、かなり力が入っていると思うわけであります。なぜならば、知事は全く抜き打ち的に規制地域の指定をすることができる。規制地域に指定されたところは現在ございませんが、指定されますと、あらゆる取引が許可でございまするから、行政が取引の価額に全く介入してくる、こういうことでございまするから、ここに一番力が入っていると私は思うわけでございます。  そこで、この国土法が生まれる前に、地価は昭和四十年から四十八年の間に三・四倍と、上昇の一途をたどっておるわけです。そして四十七年、四十八年はともに三〇%の上昇ということでございまして、まさに売り手市場であった、こう言われるわけでございます。そこで、いまの地価、いまの取引について、ひとつ長官と私とでレベルを合わしていきたいと思うわけでございますから、お聞き願いたい。  現在は、企業等が持っておる土地で庶民の住宅に分譲するには価額が合わないというようなところは、どのくらいの値段かと申しますと、公示価格の一〇%引きでよろしいから売りたいがと言っておるが、なかなか買い手がない、これが実情なんでございます。ところが反面、規制を受けない数十坪あるいは百数十坪、場合によりまして二百九十九坪、こういうような土地には買い手が殺到しておるという状況でございます。そうして古家があります五十坪の土地を大企業が買って、古家を取り片づけて二戸建てにして売っている、こういうような実情でございまするから、ここに集中してきておるということでございます。  それからもう一つ、市街化区域で速やかに市街化、都市化を図らなければならぬというような農地等でございますが、これも価額にして二千万あるいは二千五百万までぐらいのところでございますと、ある程度、取引も成り立つわけでございますが、それより金額が多くなりまして五千万、七千万等となりますと、御承知のように四分の三課税でございまするから売り手がない、こういうことでございます。値段は高くないけれども素地がない、こういうような状況でございますが、こういう点でレベルが合うかどうかということでございまして、まずレベルの問題はそれといたしまして、次に、まず第一に二点質問いたしますから、焦点についてお答え願いたいと思います。  国土利用全国計画を基本として県計画の策定と並行して県の土地利用基本計画の見直しを行うということでございまするが、この点につきましては県計画がない今日、県の土地利用基本計画は暫定的なものでございまするから、県計画ができると同時に確定されるという手段であるわけでございますが、単にそれだけのものなのか。五つの内容について大幅な見直しをする、こういうことなのかどうなのか。見直しをするのか、単に暫定が確定になるのか、その焦点だけ、ひとつ、ここではお答えを願いたいと思います。  次に、国土利用全国計画及び第三次全国総合開発計画に基づき都道府県計画、市町村計画の策定を指導し、必要に応じ、国土利用全国計画の見直しを行う、こういうことでございますが、これは列島改造はもはや過去のものなんだ、地域改造でいくんだという思想なのかどうなのか、これもこの焦点だけ、ひとつお答え願いたいわけでございます。お願いいたします。
  226. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまの最初の御質問の土地利用基本計画の見直しについてお答えいたします。  土地利用基本計画は、お話のように現在、暫定的な色彩を持っておりますので、県の国土利用計画ができることと合わせたいということが一つ。それからもう一つは、ただいま、お話がありましたように地域の実態等を勘案いたしまして、特に土地利用基本計画が非常に五地域の重複部分が多くなっておりますので、その辺の調整も図っていきたいというふうに考えております。
  227. 甘利正

    ○甘利委員 若干、焦点が合いませんけれども、次に進みます。  適正な土地利用の促進のために土地利用基本計画がつくられ、農業地域が定められる、これはよろしゅうございますね。ところで、この農業地域においては食糧の生産がある。いまや食糧は、行政が国民の嗜好、食生活に介入してまでも米の無制限増産をやらなければならぬというような事態になるのかもしれない、こういうことでございます。そういう事態を認識の上で、それは農林省だと言われるかもしれませんけれども、いろいろ問題としては、むずかしい問題がありまして、農業地域に耕作放棄地が幾らあるのか、その他の地域に耕作放棄地が幾らあるのか、だれが、どんな状態で所有しているのか等々、問題は非常に多いと思いまして、農林省これに取り組んでおりますが、農地法の関係、都市計画法等の関係もありますので、これこそ内閣、政府がこれらの問題に取り組んで、農業用地の中の少なくとも耕作放棄地というものを解消して総生産に動員する、これだけの決意がおありになるかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  228. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。  土地政策については先生御案内のように、国土利用法に基づいて一定規模以上の土地の取引については、その目的だとか価格だとかを内容的に吟味して、それで土地の安定を図る。いま一つは、先生、先ほど御指摘のありましたように非常に取引の激しいところ、あるいはまた投機的な取引が行われるところ、あるいはまた地価がどうも高くなる可能性のあるという地域については規制地域に指定いたしまして、そこで許可制をつくりまして、そこで一定期間、地価を固定させることができる。これは実施しておりませんけれども、そういう方法をとっておるわけでございまして、他の二千平方メートル以下の土地を一体どうするのかということになりますというと、それは農地については農振法あるいは農地法にのっとっている。あるいはまた都市の部分については都市計画法あるいはまた建築基準法にのっとる、森林地域については森林法にのっとる、環境保全については自然環境保全法にのっとって、それぞれ管理していただいておるというのが現状なんでございます。ですから、その全体を私たちはどう見るかと言えば、常に地価公示でもって地価の動きを監視しつつ地価の安定を図っているというのが現状なんでございます。
  229. 甘利正

    ○甘利委員 次に、地価安定化と公共負担について私なりにお尋ねしたいと思います。  土地は、まず所有者から開発業者に、そして消費者に、こういうふうに渡るわけでございますが、第一の段階で二千平米以上は届け出なければならないということでございます。ここで行政が土地の値段に介入してくるわけでございますが、いまの地価情勢下においては著しく適正価格を超えるような価格はございませんので、ここにおいては、ほとんど問題がないというのが実情でございます。ところが次の段階、ユーザーにいくという次の段階行政指導を受けると、地価が極端に高くなってまいります。  この実情について申し上げますならば、まず業者は、あらゆる法律の許可を得なければならない。場合によると十を超えるような法律の許可が必要になってまいる。そのために少なくとも土地を買って代金を払って一年、二年かかるということがないとは、どうも申し上げにくいわけでございまして、こうなってまいりますと小さい業者では、会社経営の経費そして金利負担等でございまするから大変、土地が高くなってしまう。そうして、その法律の許可をとって今度は行政指導を受けるという段階になりまして、その行政指導の一部についてだけ私が申し上げてみますと、道路の連係上、工区外の道路についても業者の負担でやる、こういうことでございます。排水路は排水可能なところまで業者の負担。海が近いところはいいですが、太平洋に遠いところは大変なんです。そういうことになるわけでございます。そうしてその区域内に河川があって、その河川改修計画があるときには業者の負担で改修をしなければならぬ。排水等の問題で第三者紛争が起こった場合には、すべて、これは当事者が解決しなければならぬ、こういうことなんです。そうして小中学校の用地は一定基準において寄付をしなければならぬ。義務教育無償というのは、やっぱり授業料を取られないだけだということが、ここで出るわけでございますが、それだけではございません。下水路及び公共下水道整備費、清掃整備費、消防整備費等が取られるわけでございます。さらに、それだけではなく、まだ公民館とか、いろいろな公益公共施設の整備費負担というものがかかってまいるので、大変、価格は高くなってまいるわけでございます。  そうすると行政が介入できるのはオーナーからデベロッパーまでであって、デベロッパーからユーザーという点については行政は価格に介入できないで、これはながめていればよろしいんだ、こういうことになるのかどうなのか。そうじゃないんだとするならば問題は、どういうふうに解決されるのかということでございまして、そうして今度はどうなるかと申しますと、多くの場合、五百平米以下は、この負担はないわけでございまするから、ここにやはり殺到があるというわけでございまして、地価は別な意味において、消費者の手に渡るときには高くなってしまうというのが実態でございますが、こういう点について、私の説明が時間の関係で足りないかもしれませんが、また後の機会で具体的な例で説明してもよろしゅうございますが、私にちょっとレベルを合わせていただきたい。  次に遊休地に関する措置についてでございますが、昭和四十四年一月一日以降、沖繩の場合は違いますが、契約の土地について二年間は同じに取り扱うことができたということですね。「できる。」とありますけれども、できたんです。二年間過ぎちゃったから、もうできないでしょう。そうじゃないでしょうか。法律では削られたわけですから、そこはできない。できるということはあっても、むだなんですから、できない、時効ですから。そういうことになっておるわけでございますが、私その点よく知りませんので、これはできたら御説明を願いたいと思います。そうして、この遊休地の中に「有効かつ適切な利用」を確保すべき土地ということがあるけれども、これはどんな土地なんだろうかということです。  それから次の点については、四十四年一月一日以降契約の未利用地がどのくらいあるかということです。この中に遊休地がどのくらいあるのか。そうして、この膨大な未利用地はもう法律のもとに、国土計画法のもとに置き去りにされてしまうんではなかろうかと私は思うが、それは間違いかどうなのか。もう少しで終わりますから、それをやってください。
  230. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまの御質問の二つの点についてお答えいたします。  最初の公共公益負担との関連でございますが、ただいまの御質問では、いわゆる造成のための用地を購入する段階では国土法の適用があるけれども、それを売る段階では適用がないのではないかというお話がございましたが、実は、それもあるわけでございます。ということは、一つ一つの区画は二千平米以下でございましても、一団の土地として、その基準以上になりますと国土法の対象になりますので、国土法の対象にいたしております。それで、その場合には個々の区画ごとに届け出を受けるということは、いろいろと繁雑でございますので、いわゆる事前確認制度ということで、その審査を県が一括して事前にいたしまして、それにパスしたものを認めるという形になっておりますので、届け出と同じように分譲地の販売の場合も国土法の対象になるということでございます。  ただ、その場合に、いま、お話がありましたように非常に公共公益負担が重くなるという問題がありますので、この点につきましては主として建設省の行政所管でございますが、国土庁といたしましても、こういうふうな土地の転換が円滑にいきますために、特に市町村を中心といたしまして計画を立てていただきまして、公共公益負担等の円滑化を進めるということについて新しく予算を計上したところでございます。  それから第二番目のお話の未利用地の問題でございますが、この未利用地につきましては、いま、お話がございましたように附則で、四十四年以降の土地につきましては、四十四年から四十九年までの間に約八十万以上の取引が行われたわけでございますが、その土地について昨年の十二月二十七日までの間に指定ができるということになっております。それで、この未利用地を私ども調査いたしました結果は三十万ヘクタールほどございました。その三十万ヘクタールにつきまして指定を都道府県にお願いしてまいったわけでございますが、従来、未利用地の利用が促進されておりませんでしたので、ただいま御質問もありました具体的な基準を、ある程度、示しまして利用の促進を図ったところでございます。具体的な基準といたしましては、宅地に利用する場合、公共用地として利用する場合、それから農用地として開発をする場合、さらに林地として利用する場合というふうなことに分けまして、それぞれ具体的に遊休地指定の指導基準を出したところでございます。その結果に基づきまして各都道府県で遊休地の指定が昨年末までに行われまして、その結果、件数といたしまして三百九十五件、面積で八百ヘクタール余の遊休地の指定が行われたわけでございます。  それで、この指定された遊休地につきましては今後、県が指導をいたしまして促進を図っていくわけでございますが、その中で公共用地として利用するというものにつきましては、これは地方自治体の財政上等の問題もございますので、国土庁といたしましては来年度予算におきまして、地方公共団体が取得する土地につきましては二分の一の利子補給の予算を計上いたしまして、その促進方を図っていこうということにいたしておるわけでございます。残りましたものにつきましては、これは条件の非常に悪いところにある土地が多いわけでございまして、たとえば市街化区域の中にある未利用地は一万二千ヘクタール程度でございまして、二十万ヘクタール程度は都市計画区域外の山が多いわけでございますので、立地条件からいって、なかなか利用ができないというふうな問題がございますけれども、今後とも長い目で、こういうふうな地域は国土利用の有効化という観点から指導をしていく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。
  231. 甘利正

    ○甘利委員 しっかり取り組んでください。  今度は建設大臣都市対策についてお尋ねいたしますが、国は多くの期待を土地区画整理事業それから市街地再開発といいますか、都市再開発事業に寄せておられます。これで都市対策をやるんだと言っておられます。ところで、この二つの事業事業費の大部分は保留地、保留床を処分することによって賄われておる。自治体並びに国からの多額の補助もありますけれども、その大部分は保留床、保留地を処分することによって賄われている。ところが、いままでの高度経済成長時代においては、保留地、保留床の処分で困難をしたというためしはないようでございますが、今日のような経済状態においては、保留床、保留地の処分ということになりますと、かなり厳しくなっているのではなかろうかと私は思うわけでございます。さらに、政府がお考えになっているほど景気はよくなっていないですよ。経済の活力もありませんよ。ないんです。私はこれだけは断言できる。そうなってまいりますと、将来この両事業に期待して都市対策を推進しようとするときには、もし市施行の場合においては市がへこんでくるでしょうし、組合施行の場合にはということで、地権者等のいろいろな問題も起きてきますので、保留床がなかなか売れなかったという事態、保留地が処分できなかったという事態があった場合には、こうすればよろしいのだというようなことは、もうお考えになっていた方がいいのではなかろうか。いや、そんなことはないんだということでなくて、そういうこともあるだろう、そのときには、こういうふうな処置をしたらいいだろうという青写真ぐらいは置かれた方がいいと思いますが、これに対しては私の見解が間違いなのかどうなのか、こういう点をお尋ねしたいわけでございます。  次にもう一つ、いま人口急増地帯に非常に床上浸水が多いのですよ。床下浸水ですと一枚七千五百円の畳がやられてしまいませんが、床上だと、ほんの水の量の違いでえらい被害を受けてしまうわけですね。そこで、どうでしょうか、せめて床下浸水ぐらいには緊急にするんだというような、こういう措置をとるのは、よほどむずかしいものなんでしょうか、政治にそれだけの愛情を出すのは大変なんでしょうか、これをひとつお尋ねしたい。
  232. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えを申し上げます。  床上浸水の問題は後ほど説明があるかと思いますが、市街地再開発なり土地区画整理で保留床あるいは保留地の処分について、どういうふうに考えるかというお話でございますが、まず市街地再開発事業につきましては、これは法律のたてまえからいきますと、公益的な施設の用に供する場合あるいは地区内の権利者の居住、業務の用に供する場合のほかは原則として公募でやらなければいけない、公募で処分をするということになっておるわけでございます。ただ経済情勢の変動によりまして、そういう処分が困難になるという事例が生じておることも事実でございます。  ところで、市街地再開発事業のうち組合がやります再開発事業、これは参加組合員制度というのがございまして、将来、保留床を取得しようという人は最初から参加組合員として参加をいたしまして(甘利委員「組合制度はいい。土地区画整理の場合」と呼ぶ)はい。再開発について申し上げましたので、一応、終わりまでちょっと言わしていただきたいのですが、参加組合員の場合には将来の保留床価格に見合うものを一応、負担金として出しておりますから、取り損うということはないわけでございます。ただ組合施行でない部分につきましては参加組合員というふうな便利な制度がないものでございますから、ただいま御指摘がございましたように何かいい方法はないものか、私どもで考えなければいけない問題であろうかと思っております。  それから、いまも御指摘がございました区画整理の保留地の問題でございますが、区画整理の場合は、保留地を処分いたしますと、それを大体、事業費に充てるということで、いままでは済んでおります。したがいまして、保留地の処分が十分できませんと後々、事業の進行に支障を来すというふうなことになるわけでございます。そういうことで保留地処分が非常に大きい意味を持っておるわけでございますから、計画の最初から指導を申し上げまして、実は事業計画をつくる際に、資金計画というのが具体的にこの中にございますが、事業計画を適切に定めるよう、すなわち土地の処分時期を誤らないよう、あるいは処分価格を適正な価格で売れるように、その辺で誤った計画をつくらないようにしてほしいということで、事業計画の作成につきまして都道府県をいろいろ指導しておりますが、あわせまして、保留地の処分に当たりまして恒久的な安定的な資金が確保されるようにということで、たとえば学校の用地でございますとか、あるいは公営住宅の用地というふうにあっせんをするということも、地方公共団体について指導をしておるところでございます。  それから組合施行の土地区画整理事業につきましては、補助金あるいは無利子資金の貸付制度がございますが、こういった制度は保留地の処分価格を安くするという方向で非常に役に立つものでございますから、将来とも、こういう方向につきましては引き続き制度を強化していきたいというふうに考えております。
  233. 甘利正

    ○甘利委員 さて、国土庁になるでしょうか、地下水利用の適正化について簡単にお尋ねいたしますが、水が足りないということだけじゃなくて、地盤沈下という一つの背景がありますから、この綿密な調査の上に来るものは地下水の厳重な規制、制限だろう。これを便っているのが小零細業者が非常に多いものだから、直ちに、それが来るんじゃないかといって大変、心配しておるようですから、これらの点、心配している者がうんといるんだという点をひとつ、しっかりと受けとめてもらいたいと思います。
  234. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。水の需給に関しての現状は非常に厳しいということは御案内のとおりでございます。ですから、私たちとしてはダムによる水の供給というものを、まず第一に考えておる。それからもう一つは、やはり地下水というものは非常に経済的でございますから、それだけに、いままでも非常に多く利用してまいりましたし、いま現に非常に数多く利用されておるわけでございます。ですが、ただいま御指摘のいわゆる地盤沈下という問題が出てまいりましたので、これについては関係省庁と連絡をとりながら、新たなる規制のための立法を、いま考えておるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  235. 甘利正

    ○甘利委員 終わります。      ————◇—————
  236. 北側義一

    北側委員長 次に、去る二月十九日本委員会に付託されました内閣提出治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。長谷川建設大臣。     —————————————
  237. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま議題となりました治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  政府におきましては、現行の治山治水緊急措置法に基づき、昭和四十七年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定し、これにより治山治水事業計画的な実施を進めてまいりました。  現行の五カ年計画は、昭和五十一年度をもって終了いたしますが、一方、国土の利用、開発の著しい進展に伴い、山地及び河川流域において、しばしば激甚な災害が発生するとともに、各種用水の不足が深刻化し、治山治水事業を一層強力に推進する必要が生じております。  このような情勢に対処するためには、現行の五カ年計画に引き続き昭和五十二年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定することにより、これらの事業を緊急かつ計画的に実施して国土の保全と開発を図る必要があります。  以上がこの法律案提出した理由でありますが、次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一に、ただいま申し上げましたとおり、現行の五カ年計画に引き続き、昭和五十二年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定することといたしました。  第二に、昭和五十年度より国の補助事業として実施しております準用河川に関する事業治水事業五カ年計画の対象となる治水事業に追加するとともに、この事業に関する経理を治水特別会計において行うよう、あわせて改正することといたしました。  以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  238. 北側義一

    北側委員長 以上で提案理由の説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来る四日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十五分散会      ————◇—————