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1977-02-18 第80回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十一年十二月三十日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 北側 義一君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 野中 英二君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君    理事 岡本 富夫君 理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    江藤 隆美君       小沢 辰男君    大塚 雄司君       瓦   力君    坂本三十次君       住  栄作君    谷川 寛三君       中尾 栄一君    中島  衛君       松野 幸泰君    井上  泉君       伊賀 定盛君    下平 正一君       吉原 米治君    渡部 行雄君       谷口 是巨君    古川 雅司君       西村 章三君    瀬崎 博義君       甘利  正君     ————————————— 昭和五十二年二月十八日(金曜日)     午後六時三分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 野中 英二君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君    理事 岡本 富夫君 理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    江藤 隆美君       大塚 雄司君    瓦   力君       坂本三十次君    住  栄作君       谷川 寛三君    中尾 栄一君       中島  衛君    松野 幸泰君       渡部 恒三君    井上  泉君       伊賀 定盛君    下平 正一君       吉原 米治君    渡部 行雄君       谷口 是巨君    古川 雅司君       西村 章三君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土政務次官  佐藤 守良君         国土庁長官官房         会計課長    松本  弘君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         建設政務次官  小沢 一郎君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         大蔵省主税局税         制第二課長   水野  勝君         自治省財政局財         政課長     関根 則之君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 二月四日  辞任         補欠選任   古川 雅司君     貝沼 次郎君 同日  辞任         補欠選任   貝沼 次郎君     古川 雅司君 同月十五日  辞任         補欠選任   谷口 是巨君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   浅井 美幸君     谷口 是巨君 同月十七日  辞任         補欠選任   井上  泉君     高田 富之君 同日  辞任         補欠選任   高田 富之君     井上  泉君 同月十八日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     渡部 恒三君   古川 雅司君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   渡部 恒三君     小沢 辰男君   浅井 美幸君     古川 雅司君     ————————————— 二月三日  昭和五十年度における道路整備費財源特例  等に関する法律の一部を改正する法律案内閣  提出第二号) 同月十六日  尾瀬分水広域的運用に関する請願野中英二  君紹介)(第三六二号)  街路事業促進に関する請願藤井勝志君紹  介)(第四〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  昭和五十年度における道路整備費財源特例  等に関する法律の一部を改正する法律案内閣  提出第二号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち  一、建設行政基本施策に関する事項  二、都市計画に関する事項  三、河川に関する事項  四、道路に関する事項  五、住宅に関する事項  六、建築に関する事項  七、国土行政基本施策に関する事項 以上七項目について、建設行政及び国土行政の実情を調査し、その運営を適正ならしめるため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料要求等方法により、本会期調査を進めるため、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長提出する国政調査承認要求書の作成及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 北側義一

    北側委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、建設行政基本施策及び国土行政基本施策について、建設大臣及び国土庁長官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。長谷川建設大臣
  6. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 建設行政基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べたいと存じます。  建設行政課題は、充実した国民生活を実現するための基盤として、豊かで住みよい国土建設することにあります。このため、国民の要望を的確に反映しつつ、長期的視点に立った国土建設の諸施策計画的かつ着実に推進してまいりたいと存じます。  また、御承知のとおり、わが国経済情勢は依然として緩やかな景気回復傾向にとどまっております。このような情勢の中で、昭和五十二年度の予算編成においては、景気の着実な回復を図り、安定成長路線への円滑な移行を達成するため、公共事業関係費充実を見たところであります。建設省といたしましては、予算成立の暁には、公共事業の適正かつ円滑な執行を図り、所期の目的を達成するよう努める所存であります。  以下、当面の諸施策について申し述べたいと存じます。  第一に、住宅宅地対策についてであります。  住宅対策につきましては、すべての国民が、その家族構成居住地域等に応じて良好な水準の住宅確保できるようにすることを長期目標として、特に住宅規模拡大、立地の改善等住宅の質の向上重点を置くとともに、住宅金融公庫の個人住宅融資拡大を図ることといたしております。  宅地対策につきましては、良好な宅地の一層の供給を図るため、公的宅地開発推進するとともに、優良な民間宅地開発に対する融資措置拡充等を図ってまいることとし、あわせて、関連公共公益施設整備について配慮してまいりたいと存じます。  第二に、国土保全水資源開発についてであります。  わが国国土は、これまでの相当の公共投資にもかかわらず、台風十七号による災害に見られますように、まだ災害にきわめて弱い体質を持っており、他方、近い将来、深刻な水不足問題の到来が予見されております。  このため、来年度より、投資規模七兆六千三百億円をもって第五次治水事業五カ年計画を発足させ、特に被災河川治水対策中小河川及び都市河川整備砂防事業等災害対策促進するとともに、多目的ダム河口堰等建設推進して水資源開発を進めてまいることといたしております。  第三に、都市対策についてであります。  安全で快適な生活環境確保し、魅力ある都市づくりを進めるため、下水道、公園、街路等生活環境施設整備推進するとともに、土地区画整理事業市街地開発事業等による良好な市街地計画的整備を図ってまいりたいと存じます。  また、都市防災対策につきましては、その総合的な推進を図ることとし、特に東京江東地区の再開発促進するほか、既存の百貨店、地下街等特殊建築物防災対策重要性及びこれについてのさきの国会での審議経過にかんがみ、今国会所要法律案提案いたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  第四に、道路整備についてであります。  道路は、国民日常生活にきわめて関係の深い重要な社会資本であり、その整備は、地方振興等国土の均衡ある発展を図る上できわめて重要であります。このため、良好な環境保全と交通安全の確保に十分配意しつつ、幹線道路から日常生活基盤となる市町村道に至るまでの道路網を体系的に整備するとともに、道路管理強化を図ってまいりたいと存じます。  最後に、建設業振興についてであります。  建設業につきましては、その体質改善を図るため、建設工事施工体制合理化経営基盤強化等建設業振興施策を総合的に推進してまいるとともに、中小建設業者受注機会確保には特に配意してまいりたいと存じます。  なお、不動産業につきましては、消費者利益の保護、不動産流通円滑化等を図ってまいりたいと存じます。  また、開発途上国における経済社会開発に対して積極的に協力していくとともに、建設業海外活動促進してまいりたいと存じます。  以上、諸般の施策について所信を申し述べましたが、いずれも国民生活を支える重要な施策でありますので、その積極的推進に努め、国民期待にこたえる所存であります。  何とぞ、よろしくお願いを申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手
  7. 北側義一

  8. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 国土行政の当面する課題と、それに対する基本的な考え方について私の所信を申し述べたいと存じます。  わが国におきましては、御承知のように世界的な資源・エネルギーの制約、食糧需給の逼迫に加え、狭い国土水資源不足等の内外の厳しい条件の中で、今後なお増加する国民が、長期にわたり安定した潤いのある生活を享受し得るよう国土の均衡ある発展を図ってまいらなければなりません。  私は、このような見地から、国土庁に課せられた責務の重大さに深く思いをいたし、全力を挙げて国土行政に取り組んでまいる決意でありますので、よろしく御指導、御協力を賜りますようお願い申し上げます。  以下、当面の諸施策について所信を申し述べたいと存じます。  第一は、第三次全国総合開発計画策定国土利用総合調整推進であります。  第三次全国総合開発計画は、前に申し述べましたような課題にこたえて、健康で文化的な人間居住総合的環境計画的に整備することを基本的目標として、今後の国土政策の指針を示すために、本年秋を目途策定する予定であります。その策定に当たっては、地方公共団体の意向をも十分に反映させてまいる考えであります。  さらに、国土利用計画については全国計画基本としつつ都道府県計画策定促進を図るとともに、国土利用総合調整を積極的に行ってまいりたいと考えております。  第二は、総合的土地対策推進であります。  最近の地価は安定的に推移しておりますが、この傾向を引き続き維持しつつ、土地利用適正化を進め、あわせて宅地供給促進を図ることが必要であります。このため、現行の土地政策基本的枠組みを堅持しつつ、土地利用基本計画の見直しを行うとともに、土地利用転換の適切な誘導、遊休土地利用促進地価公示及び国土調査充実を図る等、総合的土地対策推進してまいる所存であります。  第三は、水資源対策推進であります。  将来の水需要は、なお引き続き増大するものと予想されますので、限られた水資源計画的かつ効率的な活用を図ることが重要な課題であります。このため、全国の各地域について長期的、総合的な水需給計画昭和五十二年度末を目途策定してまいりたいと考えております。  また、逼迫する水需給に対処するため、水資源開発事業の一層の促進を図ることはもとより、水源地域対策特別措置法運用による地域整備を進めるとともに、水没関係者生活再建対策を積極的に推進してまいる所存であります。  第四は、大都市圏整備推進であります。  大都市地域における過密の弊害を除去し、地域全体の均衡ある発展を図るためには、人口、産業の集中を抑制するとともに、過度に集積した諸機能の適正な分散配置都市環境改善整備を進めることが重要な課題であります。  このため、昨年十一月、首都圏整備基本となる第三次首都圏基本計画策定したところでありますが、今後引き続き、近畿圏及び中部圏についても新しい整備計画策定し、その整備推進したいと存じます。  また、筑波研究学園都市建設につきましては、昭和五十四年度概成方針のもとに、研究学園都市としてふさわしい整備を進めてまいりたいと存じます。  第五は、地方振興推進であります。  国土の均衡ある発展を図るためには、大都市地域過密対策と並んで地方振興整備を進めていくことがきわめて重要であります。  このため、人口地方への定住構想具体化について鋭意検討を進めるほか、ブロックごと地方開発促進計画策定するとともに、その実施の推進に努めてまいります。  さらに、地方都市農山漁村等整備を総合的かつ計画的に推進し、活力に満ち、確固たる基盤に立った地域の形成に努力してまいりたいと考えております。  これらの施策とともに、過疎地域、山村、豪雪地帯、離島、特殊土壌地帯等については、引き続き諸施策充実し、地域格差の是正と住民福祉向上を図ってまいる所存であります。  最後災害対策についてであります。  災害から国土国民を守り、安心して生活できる社会を実現することは、国の基本的な責務であります。  この観点から、関係省庁との緊密な協力のもとに、風水害対策地震対策等各般にわたる災害対策所要の機構の整備を行いつつ積極的に推進してまいる所存であります。  以上、国土行政についての私の所信を申し述べましたが、いずれも、わが国の将来にわたる安定的発展に重大なかかわりのある問題でありますので、誠心誠意課題の解決に当たり、国民期待にこたえる所存であります。  よろしくお願い申し上げます。(拍手
  9. 北側義一

    北側委員長 次に、昭和五十二年度建設省関係予算及び昭和五十二年度国土庁関係予算について、その概要説明建設政務次官及び国土政務次官から順次聴取いたします。小沢建設政務次官
  10. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 建設省関係昭和五十二年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入百三十四億四千九百余万円、歳出二兆六千七百二十三億五千七百余万円、国庫債務負担行為三千七百十三億六千二百余万円でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出三兆百四十億八千八百余万円、国庫債務負担行為三千八百九十七億一千余万円を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも一兆四千三百九十二億三百余万円、国庫債務負担行為二千三百七十六億二千百余万円、治水特別会計では、歳入歳出とも六千四百十億一千百余万円、国庫債務負担行為一千二百一億六千四百余万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも三百八十五億四千四百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出七百四億八千百余万円、国庫債務負担行為六百九十六億五千二百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策都市対策国土保全水資源対策道路整備等各般にわたる国土建設施策推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十二年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  11. 北側義一

  12. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 総理府所管のうち国土庁昭和五十二年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、千五百八十九億四千三百余万円を予定しておりまして、前年度予算に比べ二百三十二億八千百余万円の増加となっております。  その主要な内容は  第一に、第三次全国総合開発計画策定を初めとする国土計画推進  第二に、地価の安定、適正な土地利用確保等総合的土地対策推進  第三に、長期的な水需給計画策定水資源開発促進等水資源対策推進  第四に、良好な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進  第五に、地方都市農山漁村整備促進等地方振興推進  第六に、地方都市開発整備、工業の再配置及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団事業推進  第七に、国土保全し、国民の生命及び財産を守るための災害対策推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配布してあります昭和五十二年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  13. 北側義一

    北側委員長 以上で概要説明は終わりました。  なお、昭和五十二年度建設省及び国土庁各局予算については、その資料をお手元に配付いたしましたので、御了承願います。      ————◇—————
  14. 北側義一

    北側委員長 次に、去る三日本委員会に付託されました内閣提出昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。長谷川建設大臣。     —————————————     —————————————
  15. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま議題になりました昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  今国会提出された補正予算におきましては、景気の着実な回復に資するため、約五百三億円の道路整備事業費の追加が計上されておりますが、この財源につきましては、現下の厳しい財政事情等にかんがみ、できる限り揮発油税等のいわゆる道路特定財源を充てることが必要であると考えられます。  ところで、道路整備費財源につきましては、道路整備緊急措置法の規定により、揮発油税等収入額決算額がその予算額を上回ったときは、当該上回った額に相当する額を決算調整額として翌々年度道路整備費財源に充てることとなっておりますが、昭和五十年度におきましては、約三百七十四億円という多額の決算調整額が生じております。  このため、昨年度の補正予算におきましてとられた措置と同様に、本来、昭和五十二年度の財源に充てられることとなるこの決算調整額昭和五十一年度の財源に充てることにより、今回追加された道路整備事業費財源確保することとし、道路整備緊急措置法第三条の適用について特例を設けることとした次第であります。  したがいまして、法律案要旨といたしましては、昭和五十年度の揮発油税等決算調整額昭和五十一年度の道路整備費財源に充てることとし、これに伴い、この決算調整額昭和五十二年度の道路整備費財源には充てないこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。     —————————————
  16. 北側義一

    北側委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 まず第一番に、この決算調整額先取りという問題について質問をいたします。  いまも説明ありましたように、五十年度の補正予算のときにも、このような先取り措置が行われました。四十九年度の決算調整額約五百三十四億円を、五十年度の補正予算のときに特例を設けて行われたわけであります。私どもは、そのときに余りよい方法ではないけれども財政事情からやむを得ない措置として一応、認めたわけであります。ところが、今回また五十年度の決算調整額約三百七十四億円を五十一年度の補正予算特例を設けて先取りしようと、これは二年連続して、このような措置が行われたわけであります。そういう意味で私どもはなかなか納得できません。  そこで御質問いたしたいと思いますが、政府として経済の見通しに誤りがあったのではないか。また、財政運営上、失敗したために、このようなやりくりをしなければならないような結果になったのではないか、こういうふうに思うわけであります。その点について大臣はいかがお考えですか、お伺いいたします。
  18. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 大体、予算をつくるときに、この経済の実体でいくならば、このくらいの税が取れるであろうということで予算を立てるわけでありますけれども、その年度内に、経済の動きによって油の購買力というものの相違も出てくることでありまして、それによった、つまり税がよけい上がったということであります。もちろん、こういうことがいいことであるとは考えておりませんけれども、その場合には、こういうような使い方を、翌々年に使わなければならないというように決められてもございますので、その決められた法によって、このたび、また提出をした、こういうわけでございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 その点について、私は二点について実は考えているのです。その第一点は、五十一年度の予算が組まれたときに言われましたけれども景気対策の安全弁として公共事業等予備費というものを一千五百億円見積もりました。いまだかつて例がなかったわけであります。したがって補正予算は、よっぽどのことがなければ組まない。それで景気の変動はあっても、この公共事業等予備費を活用するんだと、言いかえれば予算総合主義ということが言われたわけであります。ところが結果的には、この公共事業等予備費というものがどういう形で使われたかというと、一千三百五十億円は十七号台風それから冷害の土木事業これに使われました。ほとんどそれであります。そして現額分百五十億円は今度の補正の中に組み込まれたわけであります。言いかえれば、予算編成したときに、こういう予備費というものをつくって景気対策に活用していくんだ、こういうことでありますから、それが結果的には違うところに利用されて、そして景気対策公共事業だということで、今度は補正予算を組むというふうになってきた。ですから私は、経済の見通しなり、または財政運営というものについて当初の計画よりも誤りがあったから結果的に、こういうふうにせざるを得なくなったのではないか、こういうふうに言っているわけであります。  二点目には、いま、ちょっと大臣も触れられましたけれども揮発油税、この伸びをやはり、きちっとつかんでおかなかったというところに、これだけの調整額が生まれた。確かに四十九年のときに先ほど申し上げましたように五百億円以上の調整額が出たということはわかります、その前の石油ショックそういう問題があったわけでありますから。しかし、その後の五十年に二年続けてこういうことは、そういうものに対しての見積もり、これに甘さがあった。だから、これだけ余った、こういうふうに私は思うわけなのです。  そういう意味で、五十一年度の予算の編成をしたときの政府考え方が、こういうふうに変わってきたということ、これは何事だ、その点について明確な答弁をいただきたいというふうに思います。
  20. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 大体、四十八年は御承知のような経済であり、したがって、あの引き締めの経済が四十九年でありまして、五十年には恐らく、これだけの揮発油の売り上げがないのではないだろうかというような見方をしたのだろうと私は思うのであります。したがって、自然増収がこれだけあったということは、国内の経済景気は別として、海外への輸出貿易が非常によかったというような結果が、こういうような面にまで出て、揮発油、ガソリンの売れがよかったのではないだろうか、こんなようにも考えるのですが、私は、その点はわからないけれども、大体そんなようなことで自然増収という形になってあらわれてきたのであろう、こういうふうに考えるわけです。いずれにいたしましても、見方が少し違ったのではないかという御指摘は、そのとおりであろうと思います。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 前段の予算の編成との関係
  22. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 全体の予算の上からいくと、大体この程度のものであろうという想像はつくだろうと思うのでございます。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 私の質問している後段の方は、いまのお答えでもいいのですけれども、前段の方の、五十一年度の予算を組んだときには総合主義という考え方で公共事業等予備費をつくって、補正予算はよっぽどのことがなければ組まないという考え方で、五十一年度は発足したと思うのです。ところが、こういう結果になったのは何事だ、こういうふうに言っているわけですけれども、その点について、ひとつ。
  24. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘のように、昭和五十一年度予算編成に当たりましては、千五百億円の公共事業等予備費を計上いたしまして、経済情勢の推移によって、いわば景気が停滞状態に陥ったことが明白になった場合には、それを公共事業に支出をするということでスタートをしたわけでございます。で、予算編成をされました一−三月の時点におきましては、予算編成後、一−三月の景気指標が出ましたところ、非常に成長が高いということがございまして、やや景気刺激政策を弱めた感があったわけでございます。その後、四月−六月あるいは七月−九月になりまして景気停滞の傾向があらわれておりましたのですが、その時点におきましては、マクロ的な経済指標からいいますと、まだ景気刺激の策を打つべきではないというような状態であったかと思うわけであります。  そこで、たまたま九月に第十七号台風が発生をいたしまして、その財源措置を講ずるために公共事業等予備費を、いま先生御指摘のように災害復旧事業に充ててまいったのであります。  ところが、十一月になりまして景気停滞が明らかになったことにより、景気刺激を講ずる必要があるということで、十一月十二日に経済対策閣僚会議を開きまして、景気刺激対策を講ずるとともに、さらに補正予算公共事業の追加をするという方針に至ったわけでございます。そういうことで、景気に対する見方自体が変動してまいったということに起因をしているのだと思うわけでございます。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 ですから私は、政府のそういう経済の見通しについて誤りがあった、こういう点を指摘しておるのです。  それはその程度にして、もう少し、その調整額の問題についてお聞きしておきたいと思いますが、これは大蔵省に少し聞いておきたいというふうに思います。  五十一年度の予算揮発油税等収入額予算額で九千九百十億円を見積もっています。この中身について、どういうふうに見ているかということでありますけれども、そのことは五十一年七月一日にガソリン税の値上げを行っているわけであります。ここ数年間の推移を見ると、ある程度の伸びがある、そして、なお値上げを行っている。そして、いま申し上げた予算額を計上したわけでありますけれども、先ほど五十年度のものについても見積もりに狂いがあった、こういうことですから、この値上げ分、伸びを含めての予算額、これはどういうことで、こういう数字が出てきたのか、その点を、ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  26. 水野勝

    ○水野説明員 お答え申し上げます。  税収の見積もりは、毎年、その予算の編成される大体十一月、十二月ごろの時期で見通しをつくるようにいたしております。そのときには大体八月、九月ごろまでの程度の実績しか判明いたしませんので、その段階での見通しでございますので、先生お話しのように、実際に、その年度が始まってまいりますと若干の狂いがまいりますことは、どうも否定できないところでございまして、五十年度も、そういうところであろうかと思われますが、五十一年度につきましては、そのような情勢をもとにいたしまして、大体三%程度の伸びを見込んで予算がつくられているというふうに了解しております。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 値上げされているのでしょう、七月一日に。ですから、それがどのくらい値上げになっているかということも明らかにしていただいて、その伸び分とそれから値上げ分を含めて、どうも、もう少し伸びているんじゃないかというふうに私は見ますので、そういう角度で質問しているわけですけれども、その値上げ何%かぐらいは、ひとつ明らかにしてください。
  28. 水野勝

    ○水野説明員 昨年と申しますか今年と申しますか、この改正によりまして揮発油税、地方道路税につきまして二五%程度の増税をお願いいたしまして、それまで三万四千五百円という税金に対しまして四万三千百円という程度の増税をお願いしたところでございます。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 それからもう一点、いま五十二年度の予算審議中でありますけれども、この中には、この揮発油税はどのくらい見積もっているのですか。
  30. 水野勝

    ○水野説明員 本年度につきましては五%程度の伸びということで見積もりをしておるようでございます。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 数字、出ているでしょう。
  32. 水野勝

    ○水野説明員 五・三%という伸びのようでございます。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 予算審議中ですから、数字、出ているのでしょう、パーセンテージじゃなくて幾らという。
  34. 水野勝

    ○水野説明員 揮発油税といたしましては一兆一千百九十億、それから地方道路税といたしまして二千二十億、こういう見積もりにさせていただいております。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで申し上げたいわけでありますけれども道路財源について何でも特定財源特定財源ということで安易に特定財源に求めてきているのじゃないか、こういう感じを強く持つわけであります。そこで、明らかにしていただきたいと思うのですけれども、ここ数年間の道路の中に占めている特定財源と一般財源の比率について明らかにしてください。また地方道についても、これは国からおりてきますから、それが一つ入ると思いますけれども、いま申し上げたような比率を明らかにしていただきたいと思います。特に地方道については自治省を呼んでありますので、お願いいたしたいと思います。
  36. 浅井新一郎

    浅井政府委員 特定財源の比率を申し上げます。  五十一年度の特定財源比率でございますが、国費に占める特定財源の比率が九〇・二%でございます。それから五十二年度の比率が八九・〇%でございます。それより前のものは、ちょっと資料を……(中村(茂)委員「いいです」と呼ぶ)
  37. 関根則之

    ○関根説明員 地方道の特定財源比率でございますが、府県と指定都市の関係が五十一年度で五九・九%、市町村分が五〇・一%でございます。全体ひっくるめまして地方道の比率は五六・四%になっております。五十二年度につきましては、まだ最終的な数字を私の方としてはつかんでおりませんが、ほぼ五十一年度と同じ程度でございますが、全体としては、やや比率が落ちるのではないかというふうに見込んでおります。
  38. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、特定財源の占める割合が国の方は九〇%ですから、もう一般財源なんというものはほとんど使われていない。ですから、道路整備をしていこうとするとガソリン税を上げて特定財源を求める、こういう形になるわけですね。ところが地方道、これはその比率が非常に少ない。ですから、この際、特定財源のあり方というものについて根本的に考えてみる必要があるのじゃないか。後ほど、また触れますけれども、特に生活関連道路地方道この整備は、これからどんどんしていかなければならないし、そこに重点を置いてやっていかなければならないという方向に来ていると思う。ところが国という立場に立つと、そういう特定財源をがっぽり持っていて一般財源の、国から本当に出すのはほんのわずか。ですから、これを根本的に考え直して、特定財源なんというものはみんな地方にやってしまう。そして地方道を整備していく。国のやつについては国費でやっていくというような立場。もう九〇%も特殊財源道路道路と言われていたら、とてもじゃないけれどもガソリン税を上げろ、ガソリン税を上げろと、ここへ求めるよりほか方法がなくなるわけでありますから、根本的に考えてみる必要があると私は思うのですが、そういう気持ちがおありかどうか、ひとつ明らかにしていただきたい。
  39. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように国分では確かに九〇%というふうに、ほとんどが特定財源で賄っているというような状況でございます。一方、地方の方は五十数%というようなことで、特定財源比率は一見かなりアンバランスというような形になっておりますが、実は、この辺のバランスの問題につきましては現在、第八次の五カ年計画の作業中でございまして、五十三年度から、いずれ新しい五カ年計画策定してスタートさせるわけでございますが、その中で適当な財源のバランスといいますか、特定財源のバランスというようなものも考えていきたいと思っております。特定財源そのものにつきましては、やはりまだ九〇%ないし地方税も五十数%ということでございますので、今後、重量税等の一般財源をさらに投入して今後の五カ年計画を賄っていかなければならないという事情がございます。しかし、バランスそのものにつきましてはその際に十分検討していきたいというふうに考えております。
  40. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、その点、特に強く主張するのは、同じガソリン税を見ても、先ほど申し上げましたように五十一年の七月一日に二五%値上げしているわけでありますけれども、これは揮発油税の方は二万九千二百円から三万六千五百円に値上げしている。そこへ付随している地方道路税というのは五千三百円から六千六百円で、この値上げ分はたったの千三百円、それが揮発油税というかっこうになって、合計して三万四千五百円から四万三千百円に値上げしてある。これは比率からして、地方にいく地方道路税についてはほんの微々たるもの。そして国の方へ取るのはがっぽり上げて、それで取り分も大きくしてある。それから、いま問題になっております決算調整額のもとになるのにしても、揮発油税というものについては相当、高額に取るようになっているけれども、石油ガス税これは国と地方で半々ですけれども、もうほんのわずか。いま問題になっております調整額にしても、揮発油税の方は三百五十四億円で石油ガス税の方が十九億円。半分は地方へいっているわけですが、その地方へ分ける方の石油ガス税の方は十九億円、非常に少ない。それを合わせて三百七十四億円の調整額、こうなっているわけでありますから、どう考えてみても国の取り分が多くなっていて地方の方は少ない。先ほど説明があったとおり地方の方は特殊財源が約五〇%、国の方は九〇%も占めて、国の出す分はほんの少し。これは逆じゃないか、こういうふうに思うのですね。ですから、この点については大蔵省も来ておりますから、大蔵省にも強く要請しておきたいと思いますが、大蔵省の答弁を求めたいというふうに思います。
  41. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  先ほど道路局長からお答えいたしましたように、次の五カ年計画策定いたしますときには、こういった問題も一緒に検討するチャンスがあると思います。建設省から御相談がありましたら、私どもも一緒に検討してまいりたいと思っております。
  42. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、道路行政について若干、質問いたしたいと思いますが、第七次道路整備五カ年計画の進捗状況、これは私が申し上げるまでもなく、四十八年から五十二年の、いま予算編成されているこれをもって一応終わるわけでありますけれども、この進捗率について、予算の金額の面から大体何%までいっているのか、それから整備状況からして何%までいっているのか、明らかにしてください。
  43. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  第七次道路整備五カ年計画の進捗状況でございますが、金額の面で申し上げますと、一般道路関係が五十二年度の予算案を全部入れまして七九・八%、有料道路が七八%でございまして、合計で七九・二%という姿になっております。事業量の面で考えますと、ちょっと指標がまちまちでございますが、たとえば一般国道について申し上げますと改良事業が六三%、舗装が五六・三%、地方道につきましては改良が五五・一%、舗装が六六・三%といったぐあいに、事業量の面では、この間のコストのアップというようなことが大きく響いておりまして、かなり小さくなっております。
  44. 中村茂

    中村(茂)委員 五カ年計画は金額の面でも、いいところで大体八〇%、まあ八〇%までなかなかつかない。それから整備状況に至っては、もう五〇%から六〇%。特に私は、この整備状況がおくれているということを指摘したいのです。確かに進捗状況、進捗状況というふうに言えば予算ですから、金額の面で、それでも何とか八〇%まで来た、こういうふうに言いますけれども整備状況というものが、この物価高騰の中で全然進まない。したがって、計画は立ててみたけれども実際のやった中身は五〇%というのだったら、もう話にならないわけです。したがって、この整備状況が非常におくれている。それから地方道の方がなおおくれている。こういう関連について、その理由、いま、ちょっと簡単に説明がありましたけれども、それと将来に向かっての考え方、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  45. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、かなりなおくれが第七次五カ年計画の達成率の上から見られるわけでございますが、この理由と申しますのは、やはり何といいましても石油ショック、この第七次の五カ年計画のスタートが昭和四十八年でございますので、ちょうど、まともに石油ショック以後の期間にぶつかったわけでございまして、その間、昭和四十八年の石油ショックを契機にした工事費の単価アップというものは非常に大きなものでございまして、五十一年度では昭和四十七年と比較して一・六八倍というような大きな倍率にコストが上がっております。そういったコストアップの一方、道路予算につきましては、景気抑制政策のために、ほとんど横ばいというような状況でございまして、たとえて申しますれば、昭和四十九年とか昭和五十年の対前年伸び率で見ますと、四十九年が〇・九九ということで一を割っております。それから五十年の対前年伸び率では〇・九五ということで五%ダウンしている。ほかの事業は曲がりなりにも伸びていく中で、道路だけは金目で、すでに横ばいどころかダウンしているというような状況でございまして、ここ四年間ほぼ横ばいに抑えられていたということで、一方の単価の値上がりと一緒に、大きくこのおくれの原因になったということでございます。
  46. 中村茂

    中村(茂)委員 今度、進捗状況、というのは金額じゃなくて実際に中身がどのくらいできたかということで私どもの中へ明らかにしてください。  そこで、この地方道ですね、特に生活関連道路、この点に私どもはもっと力を入れていくべきじゃないかということを、この委員会でも何回かにわたって主張してまいりました。しかし、なかなかそういう方向には実際にはなっていないですね、進捗状況を見ても。その一番いい証拠には、地方道になっていると、なかなか整備もできないから国道昇格の請願なり、そういう運動があって、何しろ地方道はさっぱり進まないから国道に昇格さしてくれ、地方自治体では、そういう意見が非常に多いですね。裏を返せば、国道にしておけば整備は進むし、地方道はなかなか進まない、そういうことだと思うのです。ですから地方道というものをもっと整備していく、それには先ほど言いましたように特殊財源の問題から考えていかなければいけない、こういうことになっていくのではないかというふうに思うのです。  そこで、お願いしておきたいと思うのですけれども、いずれにしても五十二年度で第七次の計画が終わるわけであります。五十三年度からは第八次の新しい道路計画に入っていくわけでありますから、やはり生活関連道路地方道ここに重点を置いて、しかも予算財源の裏づけのある計画をひとつ立てていただきたい、これが一点であります。  それから二点目には、これも前々から主張してきているのですけれども道路環境整備、交通安全対策、こういう点に力点を置いた第八次の計画を立てるべきではないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがですか。
  47. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  生活関連道路重点を置くべきではないかということでございますが、先生御指摘のように、私ども道路整備に当たっては、生活関連という視点で道路整備がいかにあるべきかということを常に考えて、やっておるわけでございますが、ただ生活関連ということの内容がどういうことかということにつきましては、いろいろな見方があろうかと思います。旧二級国道ぐらいまでから市町村道までを生活関連というとか、あるいは県道以下が生活関連だというふうに道路を種類別に分けて、これが生活関連道路であるというふうに決めつけるわけには、なかなかいかないと思うわけでございます。私ども道路につきましては、高速道路につきましても、これはやはり生鮮食料品などの生活必需物資の輸送とか、あるいは地域間の人の交流など生活を営むために欠かすことのできない道路だと思っておりますし、こういうことで道路網全体がやはり一体となって国民生活を支えているというふうに認識しておるわけでございます。  その中で末端の道路であります市町村道整備というのは、これまた非常に重要なものだというふうに認識しておりまして、第七次の五カ年計画でも五千億の投資を一応、予定いたしておりまして、毎年、市町村道事業につきましては、ほかの一般道路事業よりも大幅な伸びを見込んでおりまして、この間、一般道路に比べると非常に大きな伸びで五カ年計画の間、推移してきておるわけでございます。今後とも市町村道整備につきましては、現況では全体の金が非常に少ないために、どうしても交通量の多い、需要の高い幹線道路の方に金を投入せざるを得ない状況もございまして、市町村道の伸びがなかなか思うようにいかないわけでございますが、第八次の道路整備五カ年計画策定の機会に、やはり全体としてバランスのとれた整備のあり方がどういうことになるかということを十分検討いたしまして、市町村道整備それから幹線道路網とのバランス、そういうものを十分研究して、生活に役に立つ道路網整備を心がけてまいりたいというふうに考えております。
  48. 中村茂

    中村(茂)委員 道路に、生活関係しない道路はないわけでありますから、先ほど言われましたように有料道路だって生活関係あるけれども、私ども、そういうむずかしいことを言っているのじゃなしに、有料道路は産業開発の面も含まれているわけでありますから、生活関連道路というのは少なくも県道、市町村道。まあ昔の二級国道そこらもおくれていますし、私は生活関連に入れてもいいと思いますけれども、俗に言えば市町村道、この面が非常におくれているわけですね。しかも財源がない。そういうところを含めて、やはり八次の中では重点的に考えていくべきではないか、そういう財源措置もきちっとやってやるべきではないか、私はこういうふうに主張しているわけでありますから、そこら辺の点は素直にとって理解しておいてください。そういう角度から見ますと、五十一年度の補正道路整備事業に、補正でありますから国道を入れてもいいのですけれども、少なくとも国道、地方道、それにまつわる整備ここのところに、この補正で組んであるなら私は胸に落ちるのですけれども、有料道路にも、この補正で組んである。先ほどから言っておりますように、もっと地方へ力を入れろ入れろとあれだけ言ってきて、補正予算でやはり有料道路などにも組んである。そして特に景気浮揚のためにというふうに言っているのですけれども、私は、地方道の方の本当の下へおろしていった方が、道路という問題は景気対策景気の波及効果というものも、より大きくなっていくんじゃないか、こういうふうに思うのです。したがって、景気対策そして公共投資ということで道路補正予算が出てきた。ですから、全部そういうところに回して、こういう有料道路なんというところは全部削ったらいかがですか。その方が私はいいんじゃないかと思うのですけれども、そこら辺のお考えはいかがなんです。
  49. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、今度の補正予算道路関係の中身といたしましては、有料道路にも若干金が回っておるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、有料道路の大部分は高速国道でございまして、これもやはり生活関連ということで、必要な区間については整備促進しなければいけないという観点から若干、建設費にいたしまして高速道路で百九十五億ですか、一応、事業費として見込んでおりますが、全体とのバランスといたしましては御指摘の、たとえば生活関連道路を仮に旧二級国道までを含めて生活関連道路というふうに仕分けしてみますと、今回の補正予算の中で五百三億の国費のうち六五%に相当いたします三百二十九億、これがいわゆる生活関連道路というようなことで回っておるわけでございまして、この中で、いろいろ交通安全だとか雪寒とか、民生に直接役に立つ、それから国民の生命を守る意味の交通安全施設の充実というような関係予算に使われているというようなことでございまして、バランスとしては、この辺が適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  50. 中村茂

    中村(茂)委員 道路というものは、景気という面からいくと、景気に対しての波及効果というものはどのくらいあるのですか。
  51. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  道路事業の波及効果の計測はなかなかむずかしい面もありますが、たとえば産業連関表から推計いたしますと、道路投資額の約二倍の生産を誘発するものではないかというふうに試算されておるわけでございます。ちなみに同じような指数で生産誘発係数というようなものを考えてみますと、民間の消費支出が大体一・七倍ぐらい、それから公共事業全体で二。一倍、住宅が二・二倍というようなことで、これに比べて道路は二・一倍というような数字になっておるわけでございます。そのほかに道路事業は御承知のように全国津々浦々の仕事でございまして、その事業内容にいたしましても改築から舗装、交通安全というように非常に多種多様でございまして、そういう意味からいきますと、全国にわたっての景気刺激効果というものは非常に大きいものではないかというふうに考えております。
  52. 中村茂

    中村(茂)委員 土地代はどのくらいになっていますか。
  53. 浅井新一郎

    浅井政府委員 土地代は場所によっていろいろ違うわけでございますが、比率で申し上げますと、道路関係街路事業を入れまして今度の補正分で見ますと二三%ぐらいの用地補償費比率になっておりまして、街路を除きますと、道路だけでいきますと一三%と、今回の補正分については非常に低くなっております。
  54. 中村茂

    中村(茂)委員 最後に、この予算が成立して予算配分が行われて地方にいくのは今月いっぱいかかるのではないかというふうに思うのですが、そうなってきた場合に、この予算の執行が年内にスムーズにいくかどうかということについて、自治省が来ておりますので、ひとつ。
  55. 関根則之

    ○関根説明員 まだ予算が成立いたしておりませんので、私どもとしては正式にといいますか公式の場では、予算編成等にかかれという話は、そういう指導はしておりませんけれども会議等の席で非常に団体の方から心配をいたしまして、どう取り扱ったらいいのかといったような相談が出ております。そういう機会を通じまして、必要のある地方団体においては予算の計上その他、事務手続を進めてしかるべきではないか、こういった指導もいたしております。事業量が多くなりそうなところにおいては、そういった事前の準備などを進めておると思いますので、私どもの見込みといたしましては、ほぼ消化できるものというふうに考えております。
  56. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  57. 北側義一

  58. 岡本富夫

    岡本委員 財源措置については、ただいまの委員の方からお話がありましたので重複を避けますけれども、ただ一言、大臣に申し上げておきたいことがあるのです。特定財源だからといって余りガソリン税を上げたり、あるいはLPガス税ですか、これはやはり物価に関係がありますから、この点についてはひとつ十分注意をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、まず大臣から、その点を聞いておきたい。
  59. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私もそのとおりに考えております。したがいまして、今回のガソリン税につきましても、その意見を十分述べたつもりでございます。
  60. 岡本富夫

    岡本委員 本法案は、見込み違いだったということですから、今回はいたし方ないといたしまして、次からは、こういうことのないようにしていただきたい。  そこで、五十年十一月十九日当委員会におきまして、当時の故仮谷建設大臣の発言の中で、道路整備計画についても、これは田中前首相の列島改造論から出発した計画であって、しかも高度成長時代であったから、これから新しい安定成長時に入ったわけですから、いろいろ検討しなければならぬ、そういうことが生じておることは事実だ、こういうように発言をしておられますけれども、あなたのこの所信演説を聞きますと、道路につきましては「良好な環境保全と交通安全の確保に十分配意しつつ」という非常に時代に適した所信演説であったと思うのです。ところが言うはやすくで、いまは立法措置がなく、法律から逸脱したかと言えば逸脱したと言えませんけれども、ただ政府が財政措置でいろいろとやっている。これでは強力な本当に大臣がおっしゃる「良好な環境保全」を十分配慮できないと私は思うのです。そこで私は、実例をこれから挙げて大臣に、はっきりした、これからの方向づけをしておいてもらいたい、こういうように思うのです。  そこで、まず国道四十三号線、これは昭和四十八年、三木さんが環境庁長官のときに、ここと川崎の二つを全国のモデルの地区として、一車線を削ってグリーンベルトをつくろう、そうして対策をしなければならぬ、こういうような非常に厳しい話もありまして、おかげさまで、いま尼崎のところが少しできたところなんです。この間、環境庁長官の石原さんが来まして、この沿線住民が毎日毎日、振動、騒音、排気ガスで悩んでいることを一日も早く救ってやらなければならぬ。だから閣議でひとつ建設大臣に意見を申し入れて、一年ぐらいで早くできるようなことをしようというぐらいの強い決意で帰っていらっしゃるわけですが、環境庁長官の方から大臣に、そういう要請がありましたか、いかがですか。
  61. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 環境庁長官から、そのお話は承りました。
  62. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、当初の計画は昨年から五年間ということになっておりますから、あと四年かかるわけなんですが、道路局長、これはあと、どのくらいの期間を短縮してやるように考えておるのか、ひとつ、この点を承っておきたい。
  63. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘のように国道四十三号のグリーンベルトでございますが、これは五十四年度を目途に、いままで整備を進めてまいってきたわけでございます。五十二年度以後に約十八キロメートルの緑地帯の設置を考えておるわけでございますが、この工事規模は御承知のように緑地帯としては、かなり大きな規模のものでございまして、全体の事業費も二十三億というようなことで、緑地帯の事業としては、われわれとしては相当思い切った仕事というようなことで、予算的にも重点的な手当てをいたしまして鋭意進めておるわけでございます。  ただ、非常に評判のいいといいますか、沿道の緑地帯を設置した地区の住民の方々からいいますと、かなり好評というようなこともございまして、われわれとしては、できるだけ早く、これを実施したいというふうに考えておるわけでございますが、ただ何分ああいった植木を植えるような仕事でございまして、しかも、それもかなり大きな植木を持ってきて植えているようなわけでございます。やはり植樹の期間といいますか、時期的な問題もございます。それともう一つには、いろいろ沿道の住民の方々で必ずしも、たとえば商売のガソリンスタンドとの関係で、看板が見えなくなるとかいうようなことで、植樹をするにしても沿道の皆さんとの個々の調整を図りながら、やっていかなければならぬというような面もございまして、われわれとしては、できるだけ急ぐつもりでおりますが、大幅な短縮ということは、ちょっと困難でございまして、できるだけ早くやるということで、現在いつごろまでにできるか検討中でございます。  また、もう一つは尼崎地区と甲子園周辺につきましては現在、阪神高速が工事中でございますので、これは、この工事との調整を図りながら設置を進めてまいりたいというふうに考えております。
  64. 岡本富夫

    岡本委員 要するに今度の高速の工事をやっておるところで、少しのところはあると思いますが、それ以外で住宅地域たとえば西宮から芦屋の辺、こういうのは住宅地域ですから、早くやろうとすればできるわけですね。もっと前向きに何とかならぬのですか。
  65. 浅井新一郎

    浅井政府委員 ただいまグリーンベルト設置の制約面だけをちょっと強調したわけですが、そういう問題もありまして、いま、いつまでにということは申し上げられませんが、できるだけ早くやるようなことでまいりたいというふうに考えております。
  66. 岡本富夫

    岡本委員 これは、ひとつ検討して早くやってもらいたいと思います。  そこで、その沿道対策の一環としまして、あなたの方では阪神高速道路公団に対して民防、要するに防音工事の助成というようなことを打ち出しておる。もう一つは立ち退きですか、どうしてもそこで住めない人は、そこから立ち退きをするのだ、こういうような何か清水の舞台から飛びおりたようなことをやっているのだ、要するに道路以外のところに今度は財源を出すのだというようなことが、これはおととしでしたか、あなたの方から聞いたことがありますけれども、ここでいま、いよいよ道路公団の方で、ここをやろうとしておるわけですが、六十五ホン以上のところに対して防音工事をしようというのです。ところが六十五ホンは実測じゃないのですね。あの道路を自動車の速度制限五十キロで走ったときの六十五ホンなんです。普通、常識で自動車というのは大体十キロぐらいは、そのくらいは警察も黙認しているというようなことで、これは普通なんですよ。だから現在、六十五以上だけれども、ところが通る車が速度制限で走ったときの計算をして、あなたのところは当たりません、こうなるのです。こんなばかなことがありますか。  それからもう一つ、立ち退きにつきましては「都市計画決定がしてあって、将来確実に公共施設や公共のために使われる土地」なら買い上げるというのですね。あなた、あんな沿線で、もう毎日困っている人が立ち退きたいというときに、それが都市計画で公共施設になりますか。市も、そんなところ、どうもしません。公園にしたって行く者いませんよ。これが清水の舞台からおりたというのだったら、よほどおかしい。この点、何か御答弁いただけますか。
  67. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、五十一年度から、おっしゃいますような沿道の建物に対する防音工事の助成というようなことで、清水の舞台から飛びおりたつもり、われわれとしては、そういうことなんですが、それは実を申しますと従来、環境対策としましては大体、道路の敷地の中での構造的な対応というようなことで鋭意やってまいりました。その後、御承知のように環境施設帯というようなことで道路の外側に、ある幅を広げて、これも道路敷の中ということで道路工事の一環として、そういうものをやっていくというようなことで逐次、環境対策を前進させてまいってきておるわけでございますが、その範疇を一つ越えまして、従来からやっておりませんでした沿道の建物に対しても防音工事の助成をする。これはいってみれば補償的な措置ということで、やっておるわけでございまして、スタートの段階でございます。  これは今後どういうふうに伸びていくか、具体的な計画をいろいろと模索しながら前向きに取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございまして、スタートの段階では、やはり徐々にやっていくといいますか、騒音にいたしましても一番状況のひどいところから逐次、取り上げて予算的な対応もしていかなければなりませんし、そういうような観点で、まず対象をしぼっておるわけでございまして、おっしゃいますように六十五ホンというようなことで一応考えておりますが、これは一応、計算値によってやるということでございます。これはやはり交通規制というものを前提にいたしませんと、それから、これがある程度、常識的に守られるということを前提にいたしませんと、なかなか、われわれサイドだけで、この騒音問題を解決するというわけにもいきません。やはり、それとの絡みもございまして、ほほ正常な運行状況を仮定して六十五ホンまでのところを、とりあえず救っていこうというような考え方でやっておるわけでございます。
  68. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、毎日毎日苦しんでいる住民に、なぜこういうようなお粗末な対策しかできないんですか。道路行政がこれから進まないというのは、たとえば、ここへ道路つけるのを皆、反対する。都市計画でもやろうと思ったら、区画整理やろうと思ったら減歩はもうだめなんですよ。前は減歩して、それで道路つけてもらえば地価が上がるなんて賛成だった。ところが現在は困る、減歩でも買い取りでも困るという反対が各所に起こっている。と申しますのは、そういった自動車公害というものが、そういう現在の幹線道路そこにたくさんあらわれておるわけですね、それに対する対策をしない。なぜできないかと申しますと、御承知のように道路法にも、いま審議しておりますところの道路整備緊急措置法にも、環境対策というのは一つもないのですよ。阪神道路公団がいま、これをやろうとしているから、何かこの中に、そういった法律があるかと思ったらないのです。全部、予算措置、財政措置なんですよ、補助金のような。だから抜本的な本当の、あなたがいま所信演説をされた「良好な環境保全」はできないことなんです、「十分配意しつつ」と言っても。だから、これは大臣に真剣に考えていただいて、ひとつ、あなたの英断でもって、この法改正を、一番根拠になる道路法あるいはまた緊急措置法でもよろしいから、あるいはほかの新しい法律を別に考えるか、この法改正をひとつお考えになりませんか。
  69. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいまの岡本さんの四十三号でございますが、これは私の方も非常に力を入れてというか、いま局長が申し上げたより以上に頭を悩めておるところでございます。したがって、通行量の問題が原因になるわけでございますから、他に、このかわりに求めるところを、どういうふうに持っていって、そして、この混乱をどう防ぐかというようなことも、あわせて考えながら、おっしゃるように、いま困っている人をどうするか、こういう問題に対しては一日も早くその対策を考えなければならぬ。おっしゃるように道路問題で一番大切なことは何だというと、やはり、その周辺の環境問題だと思うのです。しかし、その法律がないではないか。しかし、ないからそれでいいというわけでは、もうまいらない。ある、ないよりも、ただ道路をたくさんつくればいいのだとか、延長すればいいのだという問題ではなくなってきている。同じ金額が高かろうが安かろうが、そういう問題が沿道に住む住民に、もうそういう心配のないような方途を開いていかなければならないということは当然なことだと思うのであります。  私は、法律があるから、ないからというような問題ではなく、おっしゃるように法律をつくれ、こうおっしゃるのですが、その法律といっても、なかなか、その法律なんというものは各省の関係もあって、すぐは間に合いませんので、とりあえず、そういう方法は結構だけれども道路周辺の環境というものを第一に考えて、現在あるものから、まず手をかけて、その手当てをしていくことが優先しなければならない、こういうように考えておるのでございます。  したがって先日来も、その四十三号に、われわれも行ってみようかというような考えを持ったところが、ちょうど国会が二日ほど早く始まってしまったものだから行かれなかったのですけれども、そういうように私の方も四十三号に対しては十分に考えておりますので、一日も早く、その方々に御心配のないように考えております。
  70. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、何か私が四十三号で陳情しておるような考え方ではいけませんよ。これは私、一つの例をとっておる。そして、これでもって全国の今後の道路周辺の環境対策のモデルをつくろうというのが当時の考え方だったのです。そのモデルがまだできないのですよ。だから、その根本はどこにあるかといえば、ただ財政措置、補助を出してやる、これはいまのようなのはスズメの涙みたいなものです、全体から見れば。これで済んだというのではないですよ。まだ、こういうことが各所にあるのです。そのモデル地区はここできちんとして、そのためには、やはり私は法改正をしなければ——あなた、いま法律がなかったから何をやってもいいのだというような発言は、これは国会軽視ですよ。これは立法府を行政府がばかにしたような話ですよ。だから、やはり立法府がちゃんと法律というものをこしらえて、それに基づいてやれば、これは財源もきちっとしたものが出てくる、出さなければならなくなってくるのですね。ですから、ひとつ何か私、四十三号線を陳情しておるような考え方ではちょっと納得できない。要するに英断をもって大臣、いよいよ五十三年度からの第八次五カ年計画。それまでには少なくとも、この環境対策の方を少し入れればいいわけですからね。ぼくもいろいろ法制局にも相談しましたよ。ですから、そういう方向づけを、あなたがここでなさること、これはお役人さんではなかなかやらぬわけですわ。ですから、やはり政治家である、しかも大臣が、ここでびしっと方向づけしていく、これが一番大事なんです。いかがですか。
  71. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ぼくのは、いま早急に法律を改正しろといっても、それはなかなかすぐできないから、少なくとも、そういうふうに困っている場所、四十三号のような、そういうふうに困っているところを一日も早く手をつけて、そのお話のとおり安定をしていかなければならないんだ、こういうことを申し上げたのでございまして、したがって法律を改正しないんだと言っているのではないのです。これは法律を改正するとか、新しい法律を立法するということになりますと、なかなか各省との関係が関連してまいりますので、それらの打ち合わせがあるためにも、すぐ、それを早急につくるということは困難なものですから、それを待つよりも、まず現場そのものを、いま苦しんでいる人をどうするかという、これを優先をしなさいよ、こういう話をしたわけで、その御趣旨はよくわかっております。
  72. 岡本富夫

    岡本委員 非常によくおわかりのお話なんですから、だから当面の対策ですね。これはまだ、先ほどお聞きのように四十三号線にしましても、五カ年計画のものが一年でわずか六百メートルできただけなんです。これは見本なんです。これで喜んでおるのではないですよ。本当にわずかのところなんですね。ですから、これに対する促進は、あなたがおっしゃったように早くやっていただけるのがありがたいです。しかし、これは一つの見本でありますからサンプルになるわけですね。  そこで今度、五十二年の予算審議をいまやっている最中ですけれども、ここにも重点事項としまして新たな沿道環境保全対策の推進というのがある。これにも何の法律の根拠もないわけでしょう。だから、それは大臣がおっしゃったように法律はなくたって、やったらいいんだ、こう簡単に言えば、それはよろしいですけれども、これを見ますと五階建て以上建てたときに二階まで利子補給をしましょうということなんですわ。これは、しかも道路の騒音を一手に引き受ける、その建物が防音壁なんですよ。そういうところにわずかな利子補給を二階までやる。三階以上は音がしても仕方がない。こういうふうな本当にわずかな、これは顔出しですね。これもやはり法的な根拠がないために苦肉の策で、こういうことになっているのではないかと考えられるわけです。しかも、その次には沿道住居の除去というのがあるのですね。これも、これで見ますと重点施策環境対策なんですよ。  ですから私は、少なくとも大臣こう逃げなくて、そんな法律をつくるよりも前とか言わずに、少し余裕を見て、少なくとも、いますぐとは言いませんから、今度の第八次の計画これは五十三年になりますか、それを目途に法改正を検討しますかということを、そのくらいの答弁は、やはりきちっとしておいていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  73. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御趣旨はよくわかります。それに対しましては十分検討を加えてまいりたいと考えます。
  74. 岡本富夫

    岡本委員 非常に御慎重な発言なんですけれども、ぜひもう一度、検討していただきまして次の機会には、どのくらいの時期でできるという答弁が当委員会でできるように、ひとつ御配慮を要請をいたしておきます。  そこで、大臣がおっしゃったように当面の問題として四十三号線の問題で二点あるのです。一つは夜間たくさんな大型トラックが走るのです。それで、もう周囲は寝ておれない。ですから神戸からちょうど西宮くらいまで、これはわずか四百円なんです、大型で。これを無料開放して、上はもう大型だけ通してしまう。そうすると下の一般道路は非常に助かる。ただしこれは、このグリーンベルトができたり対策がきちんとできるまでですね。これがきちっとできたら、また上を通るものは金を取るというような便法と、それからもう一つは、今度あそこに高速道路を、いまつくろうとしておるんですが、そこの料金を取るところ、尼崎の、ちょうど城内小学校のそばで料金を取る、そのブースをいまつくっておる。この間、環境庁長官も行ったときに市も県も、これを何とかひとつ、ちょっとどこか、もう少し移動してくれぬかという話であったんですが、これは昭和四十七年の四月十二日、当時の都市局長の吉兼さんが検討しますとおっしゃっている。ところが検討しますと言って、これは四十七年ですから、もう四年目です。ところが、そこにきちんと今度はまたつける。だから答えて、おしまいでは話にならないと私は思うんですね、検討するだけでは。しかも学校のすぐ校庭の横で南風の大変なところです。この二点について、だれがお答えいただけますか。
  75. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  後段のお答えは都市局長からお答えになるかと思いますが、前段の高速道路の夜間料金を下げて、一般道路から交通を誘導することによって現在の騒音を減少させられないかというお考えでございますが、確かに御指摘の点については一つの考え方であろうかと思います。前々から、そういうお話もございまして、私どももいろいろ、その実施の可否について検討はしてまいったわけでございます。  ただ申し上げられますのは、いま国道四十三号は、わりあい夜間交通が信号処理の関係もありまして比較的、円滑に通っておるわけでございまして、仮に夜間料金を若干下げましても、どれだけ上に乗るようなことになるか。この辺、交通の相当大幅な転換を期待することは若干むずかしいんじゃないかというふうに考えられます。  それと、もう一つは特定の区間及び時間帯につきまして料金の引き下げを行うということ(岡本委員「無料はどうですか」と呼ぶ)現在、無料にすることにいたしましても、無料にすれば、かなり上がるかもしれませんが、ただ無料化というのは、やはり全体として均一料金制度をたてまえとして都市高速道路の料金体系を決めておりまして、これを崩すことが通行車の料金負担の公平という見地から問題がないわけでもない。  それから特定区間につきましてだけ、この措置で実施することについて、料金徴収技術上の問題がかなりありまして、非常に困難な点がございます。  それから夜間料金の引き下げを実施しますと、いま似たようなところで交通環境対策上、国道と並行しているようなところで料金を下げてはどうかというような意見も、かなり出ておりまして、たとえば東名の富士−沼津とか、あるいは同じ阪神高速でも西大阪線というようなところで、いろいろそういう話も出ております。そういうところに非常に波及いたしまして、有料道路の体系が成り立たない、非常に償還計画に大きな影響を及ぼすというようなことが考えられまして、そういう点から、どうもこういう料金をただにするというようなことは非常に困難ではないか。従来、有料道路につきましては料金をただにするのは災害等の緊急避難ということで、ごく、やむを得ないときに一時的にやるようなことしかやっておりません。そういうような波及の問題が非常にあろうかということで心配しています。  それから、じゃ上に通すために、いろいろな、ほかの方策はないか、料金以外の方策はないかということでございますが、現状をいろいろ見てみますと夜間、上と下の交通の実態は、御承知のように下の交通は大体速度制限が五十キロというふうになっておりますが、これは観測によりますと、夜間十五分間の平均走行速度で七十六とか八十というような非常に高い、平均でそのくらいの大型車のオーバースピードが観測されるというようなことでございまして、まず、こういうようなものを十分、規制で取り締まるというような方策があるんではないか。五十キロなら五十キロ、四十キロなら四十キロの定常流を確保するような信号処理も、やはり、あわせてやるというようなこと、そういったことをいろいろ総合的に考えて効果が期待できるというような施策について、関係各省とも協議の上、引き続き検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  76. 中村清

    中村(清)政府委員 阪神高速道路の尼崎料金所の問題について、お答え申し上げます。  御存じのように阪神高速道路は、もちろん有料道路でございますので、大阪圏とそれから神戸圏、二つの圏域に分けまして料金圏をつくっております。したがいまして、この道路ができ上がりました暁には、料金圏相互間を移動する車について当然、料金徴収上の問題としてチェックしなければいかぬ。そのチェックすべき場所は、たまたま県境に近い尼崎の周辺ということで、この尼崎料金所は問題になるわけでございます。  御指摘のように確かに城内小学校の近くではございますけれども、一応、立地条件として考えますと、国道四十三号がございまして、その南側に高速道路があるということでございますから、日照という問題は当該場所については、まずなかろう。それから、このブース自体が大部分、国鉄の尼崎港駅の上を利用してつくっておる。しかも、南側が国鉄の貨物線であり、あるいは川である。一般の民家もそう多くないというふうなことで、日照、騒音等々考えまして、この場所が一番最適であろうということで場所をここに決定したわけでございます。  たまたま御指摘がございましたように、料金所の位置の変更につきまして、排気ガス対策といたしまして御要請がございまして、いろいろ検討いたしました。考えられますのは、東側の左門殿川の方に持っていくか、あるいはさらに、もう少し東の神崎川の方まで持っていくかということで検討いたしました。  まず、最初の左門殿川の方まで持っていくことでございますが、これはよく御存じのように、あそこまで持ってまいりますのは、いまの法線をそのままにして、料金所を左門殿川の方に持っていきますと、あそこに辰巳橋という橋がございます。その橋の上にちょうど、そのブースが載っかるというかっこうになりまして、したがいまして辰巳橋の改築をしなければいかぬというふうなことが当然出てまいります。そういたしますと、国道四十三号辰巳橋工事をいたすわけでございますから当然、長期間、全面的に交通をストップしなければならぬということで、まず現状では不可能であろうという結論に達しました。  それから、いま一つの神崎川の方まで持っていくことでございますが、これは、たとえば川の真ん中につくるということでございますと当然、神崎川の中にたくさんの橋脚を立てなければいけないということになりますと、これは治水対策上の配慮もいろいろございまして、そういう点も非常に問題があるということで、どうしても現位置でないと、しょうがないだろうということになったわけでございますが、おっしゃいますように確かに公害という問題、非常に大事な問題でございます。  したがいまして私どもといたしましては、一つは通常の高速道路の高さは大体十二メートルでございますけれども、排気ガスの拡散効果をねらいまして、当該部分については十六メートルぐらいの高さにするということと、それから北側につくります遮音壁といいますか、それにつきましても通常は大体一メートルぐらいの高さでございますけれども、一応六メートルぐらいにしたらどうかということで、いま地元の方に御提案を申し上げております。  なお、城内小学校のお話が出ましたが、城内小学校との関係につきましては、五十年の十一月に尼崎市と契約を結びまして、城内小学校の防音工事あるいは冷房装置等々という工事につきまして、公団が費用を負担をして工事が進んでおるというふうに聞いております。  大体、以上申し上げたようなとおりでございますけれども環境対策、大事な問題でございますので、今後とも十分留意をしながら料金所の建設を進めてまいりたいというふうに考えております。
  77. 岡本富夫

    岡本委員 時間が来ましたから、私はいまのお答えではどうしても納得できない、だからもう一度、次の機会に詰めていきたいと思うのです。  いま、いろいろお話があったけれども大臣、石原さんも来たのですから、あなた、ぜひ一遍ごらんになってください、要するに全国のモデルなんですから。これをひとつ要求しまして、きょうは終わります。
  78. 北側義一

  79. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 道路の持つ有用性、効用性については、その立場を異にすることによって、いろいろ評価が異なるということは私も十分に承知をいたしております。したがいまして、道路の必要性を余り感じない方々から見れば、むしろ道路予算を削ったらどうかという意見があるようでございますが、私自身は、日本の道路というものは本来、道路と呼ばれるものが本当に完備されているだろうかどうかという点について大変、疑問を持っておるわけでございます。いわば道路の大半は明治時代にできた道を舗装したにすぎない、これが実際の現状ではなかろうか。もちろん幹線道路等は以前と比べれば相当りっぱなものもできておりますけれども国民が日常、生活道路として使っております大半は、いわば明治時代の道を舗装したにすぎない、こういうことが言えるのではないかと思うのでありますが、そういう観点から見て、現在の日本の道路整備の現況は一体どうなっているだろうか、これについて、まず御説明を願いたい。
  80. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  現在のわが国道路整備の現状は全く先生の御指摘のとおりの状況でございまして、たとえて申し上げますれば国県道、これは国の幹線道路に相当するわけでございますが、これの半分に相当いたしております八万キロの路線が、トラックとバスがまだ、すれ違いができないというような状況でございます。しかも、この八万キロのうちバス路線が二万二千キロを占めているというような状況でございまして、そのほかにも全般的に見まして大都市周辺でこそ、かなりな幹線道路整備が終わっておりますが、地方部においては、まだまだ整備に対する要望が非常に強いわけでありまして、地方を中心にして、その道路網整備の立ちおくれが目立っておるわけです。特に地方部は、逆に自動車保有台数の伸びが非常に最近、多いわけでございます。それとのアンバランスが諸所に見られるわけでございます。  それから、そのほかにも国県道で自動車が全く通れない延長が五千キロも、まだあるというような状況でございます。そういった道路網といいますか、車の通れる道路の延長、車を通すという意味からの道路網整備がおくれておるばかりでなく、特に問題なのは、歩道とか自転車道とか、その他、緑地帯あるいは環境施設帯といったようなもの、そういった道路の質的な面のおくれが非常に大きいわけでございます。  おしなべて考えてみまして、日本の道路の現状は欧米主要諸国の約半分という水準ではないかというふうに考えておるわけです。特に質的な面のおくれは非常に大きな差があると思います。ナショナルミニマムとしての道路整備の現状というものは、まだまだ不十分であるというふうに認識しております。
  81. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いまの御説明のように、わが国道路整備は大変おくれておるということは、よくわかるわけでございますけれども、それにいたしましては一般公共事業費に占める道路予算というものが、この数年来むしろ減ってきておる、こういうふうに思うわけでございますが、いまの認識とは、どうも矛盾をしておるように感ずるわけです。この辺は大臣、どのように認識をしていらっしゃいますか。大変におくれておる、こういうことでございますね。ところが実際には一般公共事業に占める道路予算というものは、この数年来もうダウンの一途をたどっておる、こういうことが数字上で、はっきりしておるわけですよ。この辺はどうなんでしょうか。
  82. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほどお話がございましたように今回の予算委員会においても、道路にかけ過ぎやしないかという御意見もございまして、そういう意見もございましたけれども、いま局長からもお話し申し上げたように、本当に道路としての価値あるものはどうか。四十三号線の先ほどの話もございますけれども、せっかくつくってみて、その効果がそれだけにあらわれていない、道路としての効果はあらわれているが環境整備ができていないというようなところもあるわけでございまして、これから先、道路の延長とあわせて、なさなければならないのは、先ほど申し上げたとおり、その沿道の環境問題、障壁の問題、これらに膨大なものをかけていかなければ、わが国道路網の完全というものは見ることができないのではないだろうか。  かつては道路がこれだけ高度に使われるというようなことを予想もしなかったこともあるだろうと思うのです。戦後われわれは、自動車が日本でこれだけになったら、これだけの道路網ができて、それだけの経済力を保つというような考えもなかったゆえんも、そこにあると思いますけれども、いずれにしても道路というものは現在のままではならない。もっと道路として認められるような道路網の確立をしていかなければならない。それが国民生活に大きなつながりを持ち、国民生活向上に一番大きな影響を与えるゆえんだろうというふうに考えております。御指摘のとおり今後は、この問題に対しましては十分に要求もし、現実にそれらを実現させていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  83. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その認識はいいのですが現実に、その予算が減っておるわけです。むしろ予算は漸増いたしていきましても、いま大臣がおっしゃるように環境が変わってくるわけですからね。いわば道路環境そのものを、よりよくしていかなければならぬという新しい要素が加味してまいりますと、道路予算というものはうんとふえておっても、実は余りできないのですよ。ところが、それが逆現象なんですね。そういう環境はより厳しい要求があるにもかかわらず、一般公共事業費に占める道路予算というのは年々、低下をしておるというのは、これは相矛盾しておるではないか。ところが認識をお聞きしますと、大変これから道路環境をよくしていかなければならぬ、グリーンベルトをつくらなければならぬ、こうおっしゃるのだけれども、おっしゃる割りにしては、どうも傾向として予算の配分がおかしいではないか、こういうことになるわけですがね。
  84. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 あわせて公団道路の方は、国の予算の中には入りますけれども、別個これに対する手当てができておりますけれども、国の予算、その中においての道路に対する予算は、まさに、そのとおりだと思います。したがって今後というか来年度の予算にも十分、期待に沿えるようにがんばってまいりたい、こういうふうに考えております。
  85. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ひとつ十分がんばっていただきたいと思います。  それから、時間がございませんから急ぎますが、いまバイパスの建設が各所で行われておるようでございます。私もバイパス建設というのは大変、効果が大きいというふうに聞いてもおりますし、実際に経験もいたしておるわけでございます。ところで、そのバイパス事業の進捗はどういうことになっておるでしょうか。
  86. 浅井新一郎

    浅井政府委員 バイパス建設の効果というのは、非常に御指摘のように大きなわけでございまして、バイパスは大体の機能といたしましては、市街地を貫通している通過交通、特に大型車の交通を密集市街地の外側に誘導するということによりまして、市内の交通混雑の解消とか交通事故の減少、交通公害の緩和というものを図ろうとしているわけです。最近開通した、たとえば水口バイパスというようなところの例では、旧国道の交通量がバイパス建設によって大体、二分の一に下がっている。それから夜間、大型交通の量は二十三分の一に落ちたというようなこと。それから交通事故の発生件数につきましても十分の一というようなことで、非常に具体的な例でもバイパスができたことによって市内の交通環境改善に大きな著効があるというような例が多く見られるわけです。  そういうことから全国的にバイパスの建設促進しておるわけでございますが、実は四十七年度、石油ショック前まで、かなり大幅にバイパス建設の手を広げたものが最近、非常にこういった状況でバイパス建設がほとんど足踏みしているというような状況でございまして、現在、全国五百五十余の市町村におきまして、一般国道の直轄事業によって三百十六カ所の建設を、いま進めておるわけでございます。しかし、そういった最近のテンポのおくれによりまして、三百十六カ所のうち、一部暫定供用を含めまして曲がりなりにも、その機能を発揮しているのは全体の五分の一の六十四カ所というような状況でございまして、残事業をいまのペースで処理していくというようなことで考えますと、これらのバイパスの完成には、なお十七年かかるというような状況でございまして、非常に憂慮しておるわけでございます。
  87. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣、いま計画されているバイバスが、いまのままでいくと十七年かかるそうでございますが、これは十七年も、そんなことをしておってもらったのでは全然、交通環境は変わってくるのですよ。そうならば、もう十七年先を想定をして、もっと思い切ったことをやらないと、せっかく投資した予算がまた変なふうに、むだ遣いをされてしまう、こういうことですから、むしろ現在、困っていらっしゃるという地区はたくさんある、にもかかわらず、なかなかそれらが有効に改善、改革がなされない、こういう状況ですから、この辺をひとつ十分に再点検をしていただいて、なるべく重点的に予算の配分をするというわけにはまいりませんか。
  88. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 明年は道路の五カ年計画を新たに立てるわけでございますので、その中には十分それらの意味を組み入れて五カ年計画というものを立てたいと考えておりますし、また、いまバイパスが三百何カ所も一度にやれるわけもございませんけれども、ですから、ばらばらに幾らかずつのゴマ塩的な行為もあるだろうと思うのです。重点的に、やるべきものはやって、そして繰り越せるものは一年でも二年でも繰り越して重点的に処理していくということが一番効率的だというふうにも考えられます。十分その点は検討を加えてみたいと考えております。
  89. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 もちろん三百十六カ所一挙にやるというのはむずかしいでしょうけれども、やはり、それは一つの工事者がやるわけじゃないのですから相当程度はやれると思うのです。問題は予算の配分だと思うのです。もちろんバイパスだけが道路予算ではありませんから、いろいろな問題はあるでしょうけれども、そういう現実な問題を十分に把握をしていただいて対処していただかなければならぬではないか、こう考えております。  それらに関連をいたしてまいります、つまり生活道路市町村道路というものの予算、これも予算書を見る限りでは、いろいろな要望に関連をして予算の配分が少ないのではないかというふうに思うわけですが、この辺はいかがでしょうか。
  90. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  生活関連ということで直接、生活に関連の強い市町村道整備でございますが、先ほども申し上げましたように、かなり、この第七次の五カ年計画重点を置いて、一般の道路に比べて大きな伸びで伸ばしてきたつもりでございます。たとえば昭和五十一年度の事業費を、五カ年計画発足のときの四十八年度の事業費に比べますと、五年間で一般道路事業はわずかに一・〇五倍、五%ぐらいの伸びにとどまっておるわけでございますし、市町村道につきましては、これに対して一・五七倍ということで六割近い伸びを確保しておるわけでございます。  そういうふうなことで、非常におくれておるものを追いつこうということで努力しておるわけでございますが、何せ全体の金がしぼられますと、先ほど申し上げましたいわゆる県道とか国道とか、そういうものの整備に、やはりネットワークの整備のバランスから、どうしても、ある程度の金が取られるというようなことで、思うように市町村道整備の方に回らない。回らないながらも、いままでのようなことで伸ばしてきたことは事実でありますが、非常に苦しいのは実情でございます。そういうことで全体の予算をふやしながら、できるだけ市町村道整備にも回るように、全体のバランスを見て整備を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  91. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣予算が大変少ないという、さっきからの御説明ですが、道路予算というものは大半が目的税といいますか、言いかえれば自動車を持っていらっしゃる方々が負担をしていらっしゃると言っても過言ではないくらいの税金が実際はかけられておるのですね。本来、外国なんかの例を見ていきますと、そのようにモータリゼーションの進行過程においては一般税の投入率というのは非常に高かったのです。ところが、わが国はそうではない。一般税の投入率が大変低いのですね。一般税の投入率が低ければ、それでは日本国内の道路整備は完全なのかというふうに見ていきますと決してそうではない。いまもお話しのとおり諸外国の五〇%、こういうふうに非常に整備がおくれておる、こう言われる中で実は大変、一般税の投入率が少ない、こういう現状ですからね。だから、もっと建設大臣がんばってもらって、ひとつ、しっかりやってもらいたいと思いますが、その決意をお聞きをして私の質問を終わりたい。
  92. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 まことに御理解ある御注文で、ありがとうございますけれども、なかなか、これが税の問題になってまいりますと、皆さん方が賛成してくれれば、すぐやれるのですけれども、与党といえども、なかなか、これが賛成をしていただけないような点もたくさんございます。いずれにしても原因はそこにもあると思う。やはり平等の負担をしていただいてこそ初めて、その目的が達せられるのだと考えられます。十分その点は考えてみる必要があるということを痛感をいたします。
  93. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。
  94. 北側義一

  95. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず大臣にお伺いしたいのでありますが、数年くらい前までは、道路というのは地元陳情の花形であったし、各地とも引っ張りだこだという現象でしたね。ところが最近では、特に高速道路などの建設は、高度成長型公共事業の典型として常に批判の矢面に立たされてくるという状態も出てきているし、また、道路に関する陳情が多いことは事実だし、私どもも受けますが、これはやはり、その地域住民が利用度の高い、相当厳選された陳情という形になってきて、幹線道路などの場合には、むしろ至るところで反対運動が住民によって組織されてくる、道路建設が思うに任せないという事情ですね。私の滋賀県で言えば、最も重要な部分である百六十一号線のバイパスは三井寺トンネルで行き詰まってしまうし、また国の方で国道一号線、名神高速のバイパスの役割りを果たさせようとしている京滋バイパスも、当該学区住民九割の反対署名が国会や国へ出てくるという状態だし、裁判に持ち込まれている国道も生まれるという状況です。このように、この数年で道路に関する国民の認識といいますか風当たりといいますか、世論が大きく変わってきた、その根本的な原因はどこにあると考えていらっしゃいますか。
  96. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほどから、いろいろ御論議をいただいておる環境問題ということが第一条件に挙げられるだろうと思うのでございまして、これらに対するところの完備ができるということになるならば、それほどの反対はないのじゃないかとも考えられます。いずれにしても環境問題というものによっての住民の反対というものが一番多いのではないだろうか、こういうふうに考えます。
  97. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、そういう単純な受けとめ方だけでは、今後の道路建設は決してうまくいかないだろうと思うのです。  まず一つ言えることは、道路予算が多いか少ないか、ずいぶん論議されておりますけれども、これが、国が投資を可能とされる公共事業あるいは、その他の福祉、文教も含めた全部の施策の中で、どういう割合を占めるかというバランスの問題が一つ、やはり注目されなければいかぬと思うのです。  一応、私の手元にある資料によってではありますけれども、たとえば建設白書で少しはじいてみますと、昭和三十年から五十一年まで累計いたしまして全国建設省関係行政投資の総額で見ますと四十三兆ほどなんです。この中で道路が二十五兆それから住宅が六兆、こういう数字が出てきますね。だから大体、道路四に対して住宅に対する投資は一の割合だ。こういう点も、国民道路に対して非常にシビアな見方をしてくる原因ではないかと私は思うのですよ。しかも、これをずうっと年次別の傾向で見ていきますと、昭和三十年当時ですと道路が全体に占める比率は四五%と出ているのですよ。住宅が実に二三%占めているわけです。ところが、これが三十三、四年ごろから道路はぐんぐん上がっていく、それから住宅の方はどんどん下がってくるというふうな現象があって、道路の最高時は、ちょうど四十年前後でありますけれども六五%にも達します。高度成長時代と言われるころは大体ずうっと六〇%台を維持しております。最近、下がったとは言われますけれども、しかし、この建設白書の示すところでは五十一年度は道路に五四%の比率で投資される。住宅の方は昭和三十年当時、二三%の高い率を持っておったものが、ずうっと下がってきて一〇%強というのが高度成長時代に続くわけです。最近やや復活したとはいっても、この建設白書の示すところでは一六%の比率を示しているにすぎない。そういう点で全体として、やはり公共投資道路中心であるという傾向には変わりはないのではないかと私は思うわけなんです。  もう一つ、きょう建設省が試算してくれました資料から見ましても大体、同じようなことが言えるのです。これは建設省関係だけの国費の推移表であります。昭和二十九年の道路が全体に占める比率は一九・八%、三十年で二五・七%なんです。大体いま出されている道路特定財源という制度ができてから道路が急増してくる。昭和四十年前後になりますと六〇%を超すような高率がずっと続きますね。昭和三十六年から四十七年の間は五五%以上を道路が占めている。減った、減ったと言われるのだけれども五十一年で四三%、五十二年で四二%は、やはり道路が占める。住宅の方を見ますと二十九年、三十年ごろは住宅が二八%を占めているわけです。これを道路と対比すると、三十六年から四十七年ごろを見ますと一〇%以下になっているわけです、建設省だけの分で見れば、国費ですよ。最近これが回復したとはいいますけれども、やっと四十八年以降一〇%台に復活し、五十一年一四・九%、五十二年一四・五%、こういうわけですからね。日本の国全体を見ても、また建設省が直接国費を投資している部分を見ても、どっちにしてもまあ半分は道路だ、こう言わざるを得ないような傾向にあると思うのです。問題は、ここを改める気があるのかどうかという点ではないかと私は思うのです。  そこでお尋ねなんですが、五十一年度の当初予算並びに今回の補正予算で、道路の一般財源の中で占めている自動車重量税分はどのくらいなんですか。
  98. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  五十一年度の補正後で特定財源比率は九〇%、それから五十二年度の当初案、今度の予算案では八九%という特定財源比率になっております。
  99. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いや、それはもうわかっているのです。一般財源ですね、当初予算で言えば千四十八億円あるでしょう。補正で言えば百二十九億円あるでしょう。この中で自動車重量税の占めている比率はどれだけか、こう聞いているのです。
  100. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えします。  御承知のように、重量税につきましては国分の八割を道路に回すという形になっておりますが、国分の八割ということで計算いたしますと、五十一年度補正後の姿では重量税の国分の八割が二千二百八億ですが、それに対して一般財源投入額が千百八十四億、差し引き千二十四億オーバーフローして、これは他に使われているという形になります。それから五十二年度で見ますと、やはり同じように重量税の国分の八割が二千三百十二億ということでございまして、重量税のうちの逆に九百五十八億だけが他に回っているという形になっております。
  101. 瀬崎博義

    瀬崎委員 つまり、道路財源というやつは他に回すほど、特定財源あるいは、それに準ずるような財源がある、それによって支えてもらっているということが言えるのじゃないかと私は思うのです。だから、そういう点で一般財源が実質的には入ってないような道路財源の見方にも二通り出てくる。いままでは一般財源を使わないのはけしからぬじゃないかという論議なんです。私は逆なんです。公共事業全体が国の財政事情等によって圧縮される場合が出てきても、事、道路に関しては、こういう特定財源にきちんと支えられて、これだけはひとり歩きできるようなかっこうになっている。こういう制度が一体、低成長時代だと言われているいまに妥当なのかどうか。大臣、どうお考えなんです。
  102. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 どうも少し私どもと見解の相違があると思うのですけれども、申しわけないのだけれども、あなたのおっしゃるのは、道路の方へかけ過ぎるから住宅ができない、住宅の方が少ないから、道路をつくるのに住民が反対をするのだという御意見でございますけれども、私の方は、道路をつくってあげて、そして生活の安定を図ってあげて、住宅をなるべくふやしていきたいというような考え方を基本的に持っておる、こういうことでございますから、その相違が少しあるんじゃないだろうか。ですから、何ゆえ住民が反対するか、それは道路にばかりかけて住宅にかけないから反対するんだという御意見は承っておきますけれども、果たして、そうかどうかという点については私は疑問に思う、そういうことでございます。
  103. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私の聞いていることをそらして答えてはいけませんね。つまり、ほかの公共事業の裏づけになる財源道路投資の裏づけになる財源とでは、その財源基盤が違うと考えませんかと、こういうことを聞いているわけですね。道路基盤は非常に強固だ、こういうことを言っているわけです。
  104. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、確かにガソリン税が特定財源ということで道路に使われるようになりまして二十年たつわけでございますが、この二十年間で、このガソリン税に支えられて道路は確かによくなってまいりました。しかし先ほど申し上げましたように、これは、いわゆるモータリゼーションを追っかけて車道をできるだけ延ばすというような方向で道路整備を進めてきた関係で、現状では御承知のように歩道、自転車道というような質的な面で非常に大幅なおくれを生じておるわけで、こういうようなものを、これから大いに整備して質のいい道路をつくっていかなければならぬ段階でございます。しかも、その道路整備の水準は欧米に比べて、わずかに半分という状況でございます。  そういうことで、いま確かに財源として強いじゃないかというお話がございますが、これからの道路整備の必要性から考えますと、この財源では、まだ足りないというような状況でございまして、道路に対する投資が住宅と比べて見かけ上、非常に多いじゃないか、これは一概に、その額だけで比較するわけにはまいらないかと思います。     〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕 道路事業全国津々浦々に及ぶ事業でございまして、額としては、やはり非常に巨額になるものでございます。日本の道路事業は、そういうことで昔からガソリン税に守られて、かなり大きなシェアを占めるようになってまいりましたが、石油ショック以後は先ほど言いましたように、大体一・〇五倍と横ばいの数字でございます。それに対して住宅は、この五年間に二倍ぐらいの伸びになっておるというようなことで、その関係道路公共事業に占めるシェアは、ここ五年間に一〇%も落ち込んでおるというような状況で、現在は三分の一というような数字でございます。一方、諸外国ではどういうことかというふうに見てみますと、道路投資は、諸外国はすでに大幅なストックを持っているにかかわらず、現状で六〇%あるいはイタリーにおきましては七〇%の道路投資を公共事業の中でやっておるわけでございまして、日本の公共投資の中で占める道路事業の比率が多いとは決して考えてないわけでございまして、まだまだ財源強化して道路整備をやっていく必要があろうかというふうに考えている次第でございます。
  105. 瀬崎博義

    瀬崎委員 道路局長道路から国全体を見るというのは、これはあり得るかもしれないけれども大臣が物を見るときに、道路からすべてを見てはいけないと思うのですね。全体をまず見てから道路考え及んでほしいと思うのです。  その点では、こういうこともあるのですよ。いま国道と地方道に対して、国道といいましても知事管理の場合ですが、補助率は四分の三それから三分の二に、それぞれなっていますよね。しかも、これはちゃんと用地費を含んでの上のことであります。ところが、これが公営住宅になりますと補助率は二分の一で、しかも用地は除外されますね。しかも道路の場合は補助単価は実勢単価方式であり、住宅の場合になりますと標準工事単価方式でしょう。いろいろなものと比較してみたいのだけれども時間もないし、とりあえず、きょうは建設省の中で比較してみたいと思うのです。大臣、こういう点でも、やはり道路は優遇されている、こういうようにお考えになりませんか。
  106. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 計算からいくと優遇されておるようでございますけれども、何しろ、いずれにしてもおくれている道路を何とか現代の交通機関に合わせようということで、これに向かって極力努力をしておることだけは事実でございます。といって住宅を放棄しているかというと、そうでない。現代の住宅でも世帯数から見てみれば住宅の数の方が多いのでございますから、それにもかかわらず、いままでのと違って住宅というものを、もう量より質に変えて、そうして、これらに万全を期そうではないかというような方向づけをしていることも、その一例でありまして、必ずしも私はおっしゃるようにも考えておりません。
  107. 瀬崎博義

    瀬崎委員 日本道路公団には、たしか五十年から利子補給金というのがつきましたね。五十年、五十一年、五十二年で日本道路公団の出資金、補給金の推移はどうなっていますか。
  108. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のように日本道路公団に対しては利子補給と、それから出資金の両方の方式で国費が出ておりますが、その推移といたしましては、利子補給、出資金の合計額で申し上げますと、四十九年度が三百六十二億、それから五十年度が三百三十一億、五十一年度が五百三十億、補正後でいきますと五百六十二億というふうに逐次ふえてまいってきております。
  109. 瀬崎博義

    瀬崎委員 合計で言われましたけれども、これ分けて日本住宅公団と比較してみると、ここにもずいぶんな、また一種の差別扱いが出てくるのですね。道路公団の場合、いま言われましたように年々、出資金並びに補給金がふえてくる。五十年で言えば三百三十一億のうち二百億が出資金、百三十一億が補給金だと思うのですが、その同じ年の住宅公団は出資金がゼロ、補給金が百七十一億で、辛うじて補給金は五十年度では住宅公団が上回っている。これが五十一年度になったらどうなるか。出資金が三百十六億、これに対して日本住宅公団の出資金はゼロ、補給金は道路公団が二百四十六億、住宅公団はここではすでに、それを下回って二百三十六億。傾向としては恐らく住宅公団は道路公団にどんどん引き離されていく、こうなると思うのですね。  それから、時間が来ているそうですから、お尋ねにはしませんけれども、どこをどうとってみても道路は最優先になっている。こういうふうな点で、いろいろと国民道路に対する考え方が今日、変わってきているのじゃないかと思うし、それから、もう一つ言うなら、先ほどモータリゼーションの後追いと言われましたが、まさに、それだと思うのですよ。結局、自動車の増加、それがガソリン税等をふやして道路財源を増加させる、これでいって幹線道路建設が進む、また、これが自動車の増加を招く、こういう悪循環もあるわけでしょう。これがいみじくも先ほど局長の言葉にモータリゼーションの後追いという形で出たと思うのです。国民の願いの中には、これもどこかで断ち切ってくれ、こういう意味もあると思いますね。ひとつ、その点で交通体系全体とか道路政策全体を、改めて国全体の政治の中で見直す必要があると私は思うのだけれども大臣はどうですか、お答えいただいて終わります。
  110. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私としては十分承っておきます。
  111. 岡本富夫

    岡本委員長代理 甘利君。
  112. 甘利正

    甘利委員 地方経済は活力を失っております。景気は沈滞から抜け出そうとはしておりません。建設業界の不況が厳しく、ことに小零細企業は受注難で倒産が続いております。     〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕 地方財政の状況も厳しい状態でございます。そうして国の財政はきわめて厳しく、たまたま調整額が比較的多額でございます。これらの背景の上に今回の提案であると私は受けとめますので十分、理解することができます。したがいまして、本案議決後における約一千億にわたる総事業費の金の流れについて、三点について質問をいたします。  第一点、予算の執行は、道路整備五カ年計画に基づいてなされるものと受けとめるものでございますが、昨今、道路の防災性、交通地獄等、緊急に解消を要する問題が多いわけでございますが、この予算執行に当たっては、この緊急性と十分取り組んでおられるかどうか、これが第一点でございます。  次に第二点、景気対策についてとられるものでありますので、需要創出量については十分検討がなされておるという点について、先ほど御答弁があったわけでございますが、予算執行の窮屈さから、その相当部分が用地買収費に化けてしまうなどということはあり得ないと思うが、この点どうか。これが第二点であります。  次に、予算のうち地方公共団体において執行されるものについて、お尋ねをいたします。この執行に当たりましては二月議会において処理されるものでございます。二月議会におきましては恐らく三月の十日以降の議決に相なるものと私は了承するものでございます。三月いっぱい余りにも日がないのでございますが、予算執行の窮屈さから、かかる予算はいただいてもお返ししよう、とうてい消化困難である、このような事態に対して十分な配慮がなされておると思いますが、この点どうか。  以上三点にわたって質問をいたします。私の質問について基本的な私の間違い並びに私の基本的な認識の不足については御指摘をいただきたい。答弁は簡単明瞭に願います。
  113. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えします。  三点でございますが、まず第一点の、今回の補正事業の中身として、交通安全対策あるいは防災対策等について十分な配慮がなされているかということでございますが、今回の補正予算の張りつけにおきましては、災害、治山治水事業等に関連する事業及び民生安定並びに交通安全を確保するための緊急に施行を要する事業重点に編成を行っておりまして、後段の交通安全並びに民生安定関係予算は、全体のうち七百三十三億、約一千億のうちの七百三十三億に及んでおります。  それから第二点の景気対策としての効果はどうか、並びに用地費として相当使われてしまうということに対する御懸念でございますが、これにつきましては先ほども説明申し上げましたように、投資効果としては二倍の需要を創出するということでございまして、しかも全国津々浦々に及ぶ道路事業でございますので、その点は十分、効果があろうかというふうに考えております。また、用地補償費につきましては、先ほど申し上げましたように、街路事業を除きますと二二%の比率になっておりまして、街路を入れましても全体で二三%ということでございますので、この点の御懸念は余りないかというふうに考えます。それからまた、用地費につきましても、調査によりますと用地費のうちの七五%ぐらいは、そのまま、すぐ消費に回るというような調査もございまして、こういう点からも比較的大きな効果が道路事業全体として期待できるのではないかというふうに考えられます。  それから、もう一点の、あと年度末までに非常に期間がないわけでございますので、補正予算の執行についての御懸念がある、これはごもっともな話だと思います。しかしながら私どもは、かなり前から、そのための準備をしてまいっておりまして、地方公共団体におきましても、国の予算成立後、直ちに事業に着手できるように、臨時議会等をすでにもう開いて決めておるところもありますし、知事専決でやろうとしているところもあります。それから国の決定を待って、すぐに議会を招集するというようなところもあるようでございます。そういうようなことから、年度内消化については十分間に合うものというふうに考えております。
  114. 甘利正

    甘利委員 総事業費約一千億の金の流れについて十分、見守らせていただくことをつけ加えて、質問を終わります。
  115. 北側義一

    北側委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  116. 北側義一

    北側委員長 これより本案を討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷一夫君。
  117. 塩谷一夫

    塩谷委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の意向を表明するものであります。予算各位も御承知のとおり、本法律案は、現在、予算の関連法案として提出されたものでありますが、現下の厳しい財政事情及び昭和四十九年度に引き続き昭和五十年度におきましても揮発油税等決算調整額が約三百七十四億円という多額のものとなったこと等を考慮し、この決算調整額を、昭和五十一年度の道路整備費特定財源として先取り使用することによって、景気対策の一環としての道路整備事業財源確保し、その実施の促進を図るために、やむを得ない措置考えるものであります。  以上、本法律案に対する賛成の理由を簡単に申し述べて賛成討論を終わります。(拍手
  118. 北側義一

  119. 瀬崎博義

    瀬崎委員 日本共産党・革新共同を代表して、反対討論を行います。  反対理由の第一は、常に道路財源だけは優先的に確保できる特定財源制度を改めるべきであるということであります。  五十一年度当初の道路予算の国費は実質的に一〇〇%特定財源確保されています。この制度を改善しない限り、国全体の財政事情によって公共事業費が圧縮されることがあっても、道路予算は常に特別に確保され、建設省関係公共事業費に占める道路予算の割合は常時、半分ぐらいを維持することとなって、国民が要求する生活基盤整備重点的な予算の配分をすることが不可能となります。  理由の第二は、こうした道路に対する特殊な優遇制度の上に成り立った五十一年度当初の道路予算は、その性格として産業基盤整備重点的に投資を集中している高度成長型、大企業奉仕型予算であり、今回の補正は、さらに、その性格を強めるものとなっていることであります。  このことは詳細を述べるまでもなく、当初予算の国道、高速道路への予算配分と地方道への予算配分の割合を比較すれば、国費ベースで二倍強、事業費ベースでは何と三・五倍となり、いかに高速道路等を含む幹線道すなわち産業基盤整備を優先した道路予算であるかは全く明らかであります。  さらに、このような制度上、予算配分上で問題を持つ当初予算に対し、補正では、国の財政が困難であるということを理由に、特定財源から財源を補給し、しかも、その内容が、事業費ベースで見るならば幹線道路地方道の配分割合において約三倍の格差をつけるに至っては、これが産業基盤整備への集中投資の上乗せであることは明白であり、わざわざ改正までして先食いする理由は認められないのであります。  理由の第三は、こうした特定財源によって高速道路を専門に建設する日本道路公団の出資金と利子補給金を破格にふやし、その事業拡大促進している点にあります。  その優遇ぶりは、ここ数年、出資金ゼロ、補給金が五十一年度では道路公団より低くなっている日本住宅公団と比較すれば、より明瞭であります。  理由の第四は、自動車の増大が道路財源の増加を招き、それが幹線道路建設促進し、それがまた自動車増大を招くというこの悪循環、その結果は、ますますモータリゼーションを助長し、公共交通機関の衰退を促し、さらには交通事故の増大、排気ガス、騒音、振動、日照妨害等々を引き起こし、国民生活を破壊する状態になってきていることであります。  このような道路政策は、国民本位のものに改められなければなりません。  日本共産党・革新共同は、今日の道路政策は、国民社会的、経済的、環境保全的な内容を第一義に置いて、地方道と、国道でも国民が必要性、緊急性を認めている部分など、国民生活に役立つ道路整備重点に行い、市町村にその財源を保障すべきことを強く主張し、反対の討論といたします。  以上です。
  120. 北側義一

    北側委員長 以上で討論は終局いたしました。     —————————————
  121. 北側義一

    北側委員長 これより採決いたします。  昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  122. 北側義一

    北側委員長 起立多数。よって本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川建設大臣
  123. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ごあいさつ申し上げます。  本案の御審議お願いいたしましたところ、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決をされましたことは深く感謝を申し上げる次第でございます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに当たりまして、委員長初め各委員の夜遅くまでの御熱心な御審議に対して厚くお礼を申し上げ、御協力に対して深く感謝の意をあらわしまして、ごあいさつといたします。(拍手
  124. 北側義一

    北側委員長 なお、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     —————————————
  126. 北側義一

    北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十五分散会