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1977-07-15 第80回国会 衆議院 決算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年七月十五日(金曜日)     午後零時三十分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 丹羽 久章君 理事 葉梨 信行君    理事 森下 元晴君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       宇野  亨君    染谷  誠君       津島 雄二君    野田 卯一君       高田 富之君    馬場猪太郎君       春田 重昭君    安藤  巖君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 鈴木 善幸君  委員外出席者         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省理財局次         長       川崎 昭典君         農林大臣官房経         理課長     石川 博厚君         農林省農林経済         局統計情報部長 白根 健也君         農林省構造改善         局長      森  整治君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   岡安  誠君         消防庁総務課長 荒巻 禎一君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         会計検査院事務         総局第四局長  阿部 一夫君         農林漁業金融公         庫総裁     武田 誠三君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 七月十五日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     菊池福治郎君 同日  辞任         補欠選任   菊池福治郎君     山口 敏夫君     ————————————— 六月九日  一、昭和五十年度一般会計歳入歳出決算    昭和五十年度特別会計歳入歳出決算    昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算    書    昭和五十年度政府関係機関決算書  二、昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計   算書  三、昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算   書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関経理に関する件  七、国が資本金を出資している法人会計に関   する件  八、国または公社が直接または間接に補助金、   奨励金助成金等を交付しまたは貸付金、損   失補償等財政援助を与えているものの会計   に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (農林省所管農林漁業金融公庫)      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、農林省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。  まず、農林大臣から概要説明を求めます。鈴木農林大臣
  3. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 農林省所管昭和五十年度歳入歳出決算につきまして、大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入につきましては、収納済歳入額は一千二百六十八億六千八百二十三万円余でありまして、その主なものは日本中央競馬会法に基づく納付金であります。  次に、一般会計歳出につきましては、支出済歳出額は二兆二千六百二十億七千二百七十一万円余でありまして、この経費の主なものは、国民食糧安定的供給確保といたしまして五千九百七十一億四千四百十二万円余、農業構造改善といたしまして七百三十四億八千七百八十八万円余、農産物価格の安定と農業所得確保といたしまして八千六百三億六千六百八万円余、農業地域計画的な整備開発といたしまして三百九十三億一千五百九十万円余、食品流通加工近代化消費者対策充実等といたしまして九百七十一億六百二十一万円余、農業技術開発と普及といたしまして五百七十九億二千五百七十八万円余、農林金融の拡充といたしまして三百九十五億二千一百八万円余、農業団体整備強化といたしまして一百五十四億九千一百三十万円余、森林林業施策充実といたしまして一千五百三十三億四千七百三十八万円余、水産業振興といたしまして一千七十六億一千七百五十九万円余、その他災害対策等重要施策といたしまして二千三十二億二千九百三十万円余の諸施策実施支出したものであります。  続いて、農林省所管の各特別会計決算につきまして申し上げます。  まず、歳入につきましては、収納済歳入額食糧管理特別会計勘定合計において六兆五千八百四十九億四千七百六十四万円余、国有林野事業特別会計勘定合計において三千五百億五千五百九十三万円余、農業共済保険特別会計勘定合計において五百九十九億三千二百九十四万円余、漁船保険及漁業共済保険特別会計勘定合計並びに森林保険自作農創設特別措置中小漁業融資保証保険及び特定土地改良工事の各特別会計の総合計において一千一百三十一億六千四百十五万円余であります。  次に、歳出につきましては、支出済歳出額食糧管理特別会計勘定合計において六兆五千八百十一億二千四百三十五万円余、国有林野事業特別会計勘定合計において三千七百九十七億八千九百二十五万円余、農業共済保険特別会計勘定合計において三百五十一億二千八百八十六万円余、漁船保険及漁業共済保険特別会計勘定合計並びに森林保険自作農創設特別措置中小漁業融資保証保険及び特定土地改良工事の各特別会計の総合計において八百三十八億三千六百三十四万円余であります。  これらの事業概要につきましては、お手元にお配りいたしました「昭和五十年度農林省所管決算概要説明」によって御承知を願いたいと存じます。  これらの事業の執行に当たりましては、いやしくも不当な支出や非難されるべきことのないよう、常に経理の適正な運用について鋭意努力をしてまいりましたが、昭和五十年度決算検査報告におきまして、不当事項等として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。指摘を受けた事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後とも指導監督を一層徹底いたしまして、事業実施適正化に努める所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 芳賀貢

  5. 前田泰男

    阿部会計検査院説明員 昭和五十年度農林省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項三十四件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項一件及び特に掲記を要すると認めた事項三件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号二〇号から三七号までの十八件は、公共事業関係補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、工事を施行するに当たりまして、積算が適切でなかったため工事費が過大となっていたり、監督及び検査が適切でなかったためコンクリートの強度等設計に比べて不足していたのに、設計どおり施工されたこととして処理していたり、設置した施設の一部が補助目的を達していなかったりなどしていたものでございます。  検査報告番号三八号から五一号までの十四件は、公共事業関係を除く補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、事業実施するに当たりまして、補助事業に対する認識が十分でなかったため、補助事業で導入した施設等補助目的達成のために役立っていなかったり、実際の費用より多額な事業費を要したことにして精算したりしていたものでございます。  検査報告番号五二号は、農業改良資金貸し付けが不当と認められるもので、この事業は、都道府県が、国からの補助金自己資金等によって造成した資金農業者等に対して無利子で貸し付けているものでありますが、同資金貸し付け対象にならないものに貸し付けていたり、借り受け者が貸付対象事業費より低額事業実施していたりしていて、府県の貸付金運営が適切を欠き、補助目的に沿わない結果になっていたものでございます。  検査報告番号五三号は、土地貸付料改定に関する処置が適切でなかったため、徴収額低額となっていたものでございます。  関東農政局昭和三十九年以降学校法人日本体育会貸し付けている土地貸付料につきましては、四十五年一月に固定資産税課税標準価格の評価がえがあったのに伴いまして、従前貸付料を四十五年度以降改定すべきであったのに、借り受け者等に対する貸付料改定に関する処置が適切でなかったために、四十五年度以降も毎年度引き続き従前どおり貸付料を徴収していたというものでございます。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  これは、漁港公害防止対策として実施する廃油処理施設整備事業実施について処置を要求したものでございます。  北海道ほか八県が、水産庁補助金を受けて施行した廃油処理施設のうち、八戸漁港ほか五漁港について調査しましたところ、完成後相当期間経過しているのに、稼働率がきわめて低くなっておりまして、中には施設の一部が全く使用されていないまま遊休しているものも見受けられまして、補助の効果が発現されているとは認められない状況でございます。  このような事態を生じましたのは、水産庁におきまして事業を適正に実施するための要領が整備されていないこともあって、事業主体に対する指導も的確でないことなどのため、事業主体において施設の活用についての配慮が十分でないまま処理施設を設置したこと、また、漁業者海洋汚染防止に対する意識の喚起が特に必要であると認められるのに、これについての対策がほとんど講じられていないことなどが主な原因と認められます。  つきましては、遊休している各施設が有効に利用されるように適切な処置をとるとともに、この廃油処理施設整備事業は今後も引き続いて施行されることが見込まれていますので、本件事業実施するための要領等を速やかに整備するなど適切な処置を講じる必要があると認められるものでございます。  次に、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、管水路工事設計に関するものでございます。九州農政局昭和五十年度に施行しました南薩農業水利事業西部送水路青戸(二工区)工事ほか十一工事について検査しましたところ、設計が適切でないと認められる点がございました。これらの工事は、灌漑用水路として内面にタールエポキシ塗料塗装した鋼管を布設するもので、この塗装鋼管管径農林省が定めている土地改良事業計画設計基準によって設計することになっておりますが、この基準には本件工事管径の算出に必要な塗装鋼管流速係数が定められていないので、塗装をしていない鋼管流速係数一〇〇をそのまま準用して管径計算しておりました。しかし、この準用した流速係数塗装をしていない鋼管管内面経年変化によって流水に対する抵抗が増大することを勘案して定められたものでございまして、これを流水に対する抵抗塗装をしていない鋼管より小さいと認められる塗装鋼管にそのまま準用したのは適切とは認められません。現に、他省管水路設計基準を見ましても、塗装鋼管に適用する場合の流速係数を一三〇と定めております。このようなことから本件工事について流速係数を一三〇として計算したとしますと、当局設計より小口径の管で足りたことになり、工事費を相当程度節減することができたものと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、農林省では、五十一年六月に各地方農政局等に対して、エポキシ鋼管流速係数を一三〇に定める旨の通達を発しまして適正な設計をするように処置を講じたというものでございます。  なお、前に述べました十二工事のほか、東北、関東、近畿各農政局が同種のエポキシ鋼管を使用して施行しました五工事について検査いたしました結果、いずれも同様な事態となっておりました。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  その一は、食糧管理特別会計損益に関するものでございます。  食糧管理特別会計は、国内米管理国内麦管理輸入食糧管理農産物等安定、輸入飼料業務及び調整の各勘定に区分して経理されておりますが、昭和五十年度の損益について見ますと、総額八千五百九十五億六千五百六十三万余円の損失を生じておりまして、前年度損失額八千四百五十六億千五百八十八万余円に比べますと百三十九億四千九百七十四万余円の増加となっております。  これを各勘定について見ますと、農産物等安定勘定を除いて各勘定とも売買価格差に起因して損失を計上しておりまして、前年度と比べますと国内米管理勘定では、国内米売買価格差が前年度とほぼ同じ水準を維持したものの損失増加しておりますが、輸入食糧管理及び輸入飼料の両勘定では、国際穀物市況が平静化して外国麦価格が低下してきたことによって損失が減少したことに支えられまして、この特別会計損失総額は前年度と比べて小幅の増加にとどまっております。  その二は、カドミウムによる環境汚染に係る米の処理に関するものでございます。  食糧庁では、カドミウムによる環境汚染の要観察地域として厚生省が指定した地域生産された米とその他の地域生産されたカドミウム濃度〇・四PPm以上一・〇PPm未満の米を買い入れておりますが、これを主食用に配給することを保留しております。このような配給保留米は、昭和五十年度までにその在庫総量が八万二千余トン、買い入れ価額百五十六億七千七百十六万余円にも上っておりまして、その保管に要した経費も十億二千七百二十二万余円、金利相当分は二十四億六千三百四十九万余円と多額なものになっております。  これに対しまして食糧庁では、この配給保留米在庫対策として合板接着剤等の原材料に売り渡すなどの計画を立てまして、滞貨に伴う財政負担の軽減を図ってはおりますが、毎年の発生量売り渡し実績などから見ますと、在庫の解消を図るまでには至っておりません。  さらに、食糧庁としては、これらの配給保留米が米の成分規格に適合しているところから、その買い入れを引き続いて行わなければなりませんし、一方、配給保留米生産を抑制するにも限界がある状況でございます。したがいまして、配給保留米による財政負担は今後とも継続され、その額は累増の一途をたどることになりますので、この取り扱いについては特段の配慮が望まれるところでございます。  その三は、国有林野事業特別会計損益に関するものでございます。  昭和五十年度の国有林野事業特別会計経営成績を見ますと、前年度の二百十三億八千四百六万余円の利益から百三十四億六千六百二十一万余円の損失に転じております。  そして、国有林野事業財務状況は、過去の過伐や近年の自然環境保護要請等によりまして収穫量が減少してきたことと、景気の停滞によって収入が伸び悩んでおりますのに、一方、人件費は年々増加しており、また、造林保育林道工事等費用も上昇し、これらの事業に投資された資金資産として長期間固定化されているため著しい資金不足状態となっております。  なお、以上のほか、昭和四十九年度決算検査報告掲記しましたように、水路トンネル工事設計積算について処置を要求しましたが、これに対する農林省処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 芳賀貢

  7. 武田誠三

    武田説明員 昭和五十年度における農林漁業金融公庫業務について御説明申し上げます。  五十年度のわが国農業は、四十八年度以降の資源・エネルギー問題、輸入農産物の高騰を契機とするインフレ、不況による打撃からようやく立ち直り、比較的順調に推移しました。  すなわち、農業生産は、米の大豊作があり、また麦、飼料作物、酪農の増加もあって、養豚部門で前年度を下回ったものの、全体としては前年度を若干上回ることとなりました。また、農家固定資本投資におきましては、土地投資土地改良事業等公共投資を中心に伸長し、農機具投資も前年度に引き続き旺盛であったこと等により、かなり回復しました。  しかし、農家経済におきましては、農業所得は米の農作、農業交易条件改善等を背景として、ほぼ前年度並みに増加したものの、農外所得雇用情勢低迷等もあって伸び悩み、このため農家所得の伸びは前年度を大幅に下回りました。  このような情勢下で、国においては、食糧安定的供給確保農業生産中核的担い手育成確保農産物価格安定等のための諸施策が積極的に講じられたところでありますが、当公庫業務運営に当たりましては、こうした国の諸施策の展開に即応して、関係機関との密接な連携のもとに、農林漁業生産基盤拡大整備及び経営構造改善するための融資を一層推進するとともに、多様化する資金需要に対処して、融資条件改善も含めて融資円滑化に特に配慮してまいりました。  この結果、五十年度における貸付決定額は四千五十三億三千二百九十一万円余でありまして、前年度実績と比較して四百八十八億七千七百五十二万円、一三・七%の増加となりました。  この貸付決定実績を、農業林業漁業等に大別して申し上げますと、一、農業部門二千八百七十八億九千百五十三万円余、二、林業部門五百十五億六千四百九十四万円余、三、漁業部門五百八十億千七百九十二万円余、四、その他部門七十八億五千八百五十二万円でありまして、農業部門が全体の七一・〇%を占めております。  また、この貸付決定実績委託貸し付け公庫の直接貸し付けとに分けて申し上げますと、委託貸し付けによるものが全体の六五・二%に相当する二千六百四十三億九千六百七十万円余であり、直接貸し付けが残りの三四・八%、千四百九億三千六百二十一万円余ということになっております。  次に、五十年度の貸付資金交付額は、三千九百二十一億四千三百五十九万円余でありまして、これに要した資金は、資金運用部からの借入金三千二百十億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金からの借入金百九十億円並びに貸付回収金等五百二十一億四千三百五十九万円余をもって充当いたしました。  この結果、五十年度末における貸付金残高は二兆三百九億千八百八十万円余となりまして、前年度末残高に比べて二千七百四十六億五千六十五万円余、一五・六%の増加となっております。  次に、五十年度の収入支出決算状況について御説明申し上げますと、収入済額は、収入予算額千百四十八億三千六百七万円余に対し、千百四十五億六千九百九十八万円余となりました。また、支出済額は、支出予算額千三百二十七億六千八百五十四万円余に対し、千二百六十七億四千二百五十二万円余となり、収入に対し支出が百二十一億七千二百五十三万円余多くなっております。  最後に、五十年度における当公庫損益計算の結果について申し上げますと、総利益は千七百六十一億四千三百五十七万円余、総損失は千七百六十一億四千三百五十七万円余でありまして、利益損失が同額となりましたため、利益金はなく国庫納付はありませんでした。  以上が、昭和五十年度農林漁業金融公庫業務の概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明聴取を終わります。     ————————————−
  9. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。宇野亨君。
  10. 宇野亨

    宇野(亨)委員 質問に入る前に、先般五月三十日、委員長初め各委員先生方、早朝から現地銚子沖ソ連船操業状態視察のため、六時間余にわたりまして雨の中御視察を願いまして、地元両県の知事初め銚子市長関係地元住民の皆さんから大変な感謝をいただいておりますので、地元に成りかわりまして皆様方に御礼を申し上げる次第でございます。その間、海上保安庁を初め政府機関の大変な御協力をいただきまして、改めて御礼申し上げる次第でございます。  まず、質問の第一でございますけれども、漁港整備の問題に先立つわけでございますが、さきの通常国会におきまして承認されました第六次漁港整備計画の主な内容、また五十二年度にどの程度予算で、どのような事業を行う考えであるか、お尋ねいたしたい次第でございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員長 まず大臣から答弁して、不明な点は担当局長からしていただきたい。鈴木農林大臣
  12. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 第六次の漁港整備計画は六カ年計画、一兆四千五百億円でございまして、これは各都道府県等から地元要請等十分聴取をいたしまして、それを総合的に検討し積み上げたものでございまして、現下の漁港整備事業の面から見まして、私としては適切なものであった、このように考えております。  第五次の漁港整備計画、七千四百億の総事業費であったわけでございますが、その間におきまして、石油ショック等あるいは狂乱物価というような経済の異常な事態もございまして、政府として総需要抑制政策をとらざるを得なかった。そういうようなことで、一般公共事業とともに漁港整備事業も大きな制約を受けたわけでございまして、その結果、第五次の整備計画進捗率は、五〇%程度進捗率にとどまったという残念な結果に相なっておるわけでございます。  そういう点を踏まえまして、第六次整備計画で、このおくれを取り戻すために、またさらに漁業情勢その他が大きく変わってきておりますので、それに対応するための見地からも、いろいろ検討いたしました結果、六次計画を整備したわけでございます。  私どもは、この六次計画は時あたかも二百海里時代という新しい漁業秩序の確立を要求されておる事態にかんがみまして、日本列島周辺沿岸漁場開発整備事業と相まって沿岸漁業振興をぜひ図りたい。また沖合い漁業、さらに沿岸国二百海里の制約を受けないところの海外の漁場等の新しい開発振興、こういうような点を勘案をいたしまして、ぜひともこの六カ年間に一兆四千五百億の事業費達成を図りたいものと、これに取り組んでまいる所存でございます。
  13. 岡安誠

    岡安説明員 第六次の漁港整備計画の全容につきましては、いま大臣からお答えいたしましたとおりでございまして、私からは五十二年度予算につきまして、お答え申し上げたいと思いますが、初年度の五十二年度におきましては、修築事業につきましては、事業費で約八百二十六億円、うち国費が五百九十六億円となっております。その対象の港は四百四十六港を対象にいたしたい。それから改修事業につきましては、事業費で約三百二十五億円、うち国費は二百二十四億円でございます。対象の港は七百八港というものを対象にしてまいりたい。それから局部改良につきましては、事業費で約百十億円、うち国費が五十九億円でございます。対象の港は五百四十三港ということになるわけでございまして、五十二年度におきましては、全体で千六百九十七港を対象にいたしまして、事業費で千二百六十億円、国費は約八百八十億円ということになっておるわけでございます。
  14. 宇野亨

    宇野(亨)委員 ただいまの大臣並びに岡安水産庁長官の御説明で大体わかったわけでございますけれども、その中で第六次の整備計画の初年度、折しも漁業交渉の真っただ中で予算が組まれたわけでございます。五十二年度が初年度でございますけれども、今後来年度、さらにまた第三年目を迎える五十四年度というような問題についての予算の取り組み方、これを伺いたい。大臣、お願いします。
  15. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 第六次の漁港整備計画の全体の計画は先ほど申し上げたとおりでありますが、五十三年度以降におきまして事業費の伸び率、おおむね二四%程度の伸び率をもって進めますれば、六年間にこの計画達成できるもの、五十二年度の予算におきましても、二三%以上の予算の伸び率を示しておりますので、今後この平均二四%余の伸び率によって、ぜひ計画年次にこれを達成したい。私は、このように考えております。
  16. 宇野亨

    宇野(亨)委員 二年度以降の伸び率の問題について、大変ありがたい、力強い御答弁をいただいたわけでございます。その中で、第一種、第二種、第三種、特定と、こういう業種別の港湾が七百八港、五百四十三港等、加えて千六百九十七港ございます炉、全体的な予算のアップは、まことにありがたい次第でございますけれども、実際に私どもの千葉県に飯岡漁港というのがございます。  飯岡漁港ということになりますと、ちょうど銚子沖の漁場になります。その漁港が、先般も決算委員会委員長に実情の陳情をしたわけでございますが、非常に零細な漁民の皆さんが、その港を頼りにしている。昭和三十二年から今日まで漁港整備事業を進めておって、五十二年でちょうど二十年になるわけでございます。その間約二十二億円の投資が行われたわけでございますが、最近に至りまして、ここ数年、港の入り口をしゅんせつしなければ船が出入りできない。先般漁港部長に大変な英断をいただきまして、とりあえず航行不能になったところのしゅんせつをしていただいたわけでございますけれども、それはもう一週間か十日で、また潮流の変化で埋まってしまう。せっかく今日まで大変な御努力をいただいて進めておるわけでございます。しかし先般も現地視察をしたわけでございますが、大変な砂原になってしまって、五トン未満の船がやっと出入できる、こういうような状態になっておることを長官は御承知でございますか。
  17. 岡安誠

    岡安説明員 いま御指摘の千葉県の飯岡漁港でございますが、おっしゃるとおり、これは九十九里の砂浜の影響を受けまして、砂があそこに寄ってまいりまして埋まってしまうということ、そこで、現在進めております第六次の漁港整備計画におきましても、漂砂の流入を防止するような意味から防波堤の延長ですか、これを重点的に現在やっているわけでございます。これを最初に完成をしなければ漁港機能が失われるということで、重点的に予算措置しておりますが、おおむね来年度中には、六次計画に予定されております防波堤の延長は、すべて完成をしたいというようなつもりで現在工事を進めているわけでございます。
  18. 宇野亨

    宇野(亨)委員 長官の御説明で来年度中にはということでございますけれども、実は現在しゅんせつをしなければ困っている。五十二年度予算では、防波堤の延長が約百メートルやることになっておるようでありますが、さらにもう百メートル、現地からの漁業の代表や地元の町長から図面できちんと——ちょっと見えないでしょうけれども、赤線のところまでは、いまやっておるわけでございます。それで、後で図面をお上げしますけれども、あと百メートル早急に進めれば非常に効率的だ。同時にまた、現在県単の事業で、約九千万くらいのしゅんせつ船を地元と県で買って、十二月ごろまでには、そのしゅんせつ作業が進むだろうということでございますけれども、漁期を迎えて、どうにもならないというような状況についての考え方をお聞かせ願いたい。
  19. 岡安誠

    岡安説明員 御指摘の防波堤の延長でございますけれども、ことしは西の防波堤を大体百三十メートルくらい延長いたす予定にいたしております。残りは御指摘のとおりあと百メートルくらい残ります。それから、東の方は若干二十メートルくらい延長ということに考えておりまして、これができますと、西と東の間の防波堤、多少間隔が縮まりますし、もちろんあと百メートル延長いたしますと、入り口が非常に狭くなりまして、砂の流入等が計画どおりに阻止できるものと思っておりますが、現在私ども、ことし全体で事業費を約三億と、ここに予定をしておりまして、今年度の事業計画としましては、これで大体満度ではなかろうかと実は考えております。  もちろん一日も早く完成することが望ましいことは御指摘のとおりでございますが、私どもは一応来年いっぱいで、この防波堤を完成いたしたいというのが現在の計画でございます。
  20. 宇野亨

    宇野(亨)委員 将来補正等の予算の問題があったときには、いち早く効率的な飯岡漁港へという考えがございますかどうか。
  21. 岡安誠

    岡安説明員 補正の問題は、まだ未確定でございますけれども、いま事務的にちょっと聞いてみますと、ことしの防波堤の延長の合計は約百五十メーターでございます。これも現状では、大体実施について、ことしいっぱいくらいかかるのではないかということを言っておりますので、その点はよく地元、県の御意見等も承って、もし補正というような機会がございますれば、検討させていただきたいというように思っております。
  22. 宇野亨

    宇野(亨)委員 大変ありがたい言葉をいただいたわけでございますけれども、年度年度、予算の中での空間がある。どうしても漁港整備計画の中での実施段階での設計が、陸上の設計と違いまして、大変時間がかかる。普通なら二、三カ月で設計が終わるということでございますけれども、どうしても時間がかかる。それで、早期にこういうものの運び方を指導していただければ、県も大変助かると私は思う。同時にまた、せっかく二十億以上も投資した港が、最後の少しの投資時期によって効能が発揮できないということは、非常に今日までお世話になった結果からいって残念だと思う次第でございます。  もう一つは、最後の百メートル、それから東側の堤防でございますね、これについて来年度はぜひともひとつ——全国にこういう関係漁港、小さな漁港で、もう少し予算をそれに抜本的に、重点的に投入してやれば効果が満点だという漁港が多いと思うのです。ですから、先ほど大臣も二四%の二年度につきましての決意を述べられてありがたいわけでございますけれども、その予算の伸びの中で、効率的なものを幾つか重点的にピックアップされて、そこに投入していただく、こういうことをお願いもし、また決意をもう一遍長官にお願いします。
  23. 岡安誠

    岡安説明員 御指摘のとおり、私ども来年度予算におきましては、できるだけ伸び率の増大に努力をいたしまして、早期完成ということを考えたいと思っております。また予算の配分につきましては、御指摘のとおりやはり重点的に、もう少しで機能が十分発揮できるというようなところにつきましては、ひとつ重点的に配分するということを心がけてまいりたい、かように考えております。
  24. 宇野亨

    宇野(亨)委員 ただいま大臣並びに長官から力強い御答弁をいただきましたので、漁港整備計画の問題につきましては、終わらしていただきます。  次に、一昨々日でございますか、銚子並びに茨城県両岸の漁民の代表並びに関係の市長、経営者の代表、漁業者ということで、不幸にして大臣も長官もお留守でございまして、大臣の秘書官に陳情書を差し上げてまいったわけでございます。大変地元の漁民の皆さんは心配をされているのです。御承知のとおりソ日協定の協議会ですか、バーター制に伴う協議会、それが陳情に行く前の晩にテレビに発表になるという状態がございまして、そのバーター制の問題、地元の葉梨委員も、この問題につきましては非常に苦慮されているようでございまして、十二海里内の操業の反対、バーター制の反対、こういうような陳情をされておりますけれども、大臣の御所見を伺いたい。
  25. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいまソ連漁船を、わが国漁業水域内に迎え入れるための手続並びに条件を定めるソ日漁業交渉を行っておるわけでございます。私は、このソ日協定の交渉に当たりましては、国会におきまして満場一致で御決定をいただいた立法の精神を踏まえまして、わが国の漁業水域に関する暫定措置法並びにそれと同時に御審議をいただきました政令の見込み事項、こういうことを踏まえまして、わが方の立場並びに資源の保全、有効利用、そういうものを十分筋を通して、この協定を結びたい、このように考えておるわけでございます。  その際、十二海里の新しいわが国の領海内におきましては、ソ連船はもとよりでありますが、韓国漁船につきましても、その他の外国漁船につきましても、領海内操業は絶対にこれを認めない、こういう不動の方針でやってまいる考えでございます。  そこで問題になりますのは、ソ連の漁船昭和三十年ごろから、特に昭和四十六、七年ごろから相当の漁船団をもちまして、わが国の沿岸沖合いで操業しておったわけでございます。そのうち、従来の領海が三海里でございましたものですから、三海里の外は天下の公海であるということで、三海里の外で相当イワシ並びにサバの漁獲をやっておりましたことは御承知のとおりでございます。しかし、そのために資源を荒らし、また大型漁船船団でやってまいります関係で、沿岸の中小漁船の操業の制約もある、また漁網漁具等に与える被害等もございまして、一日も早く領海の幅員を十二海里にしてほしい、こういう沿岸漁民諸君の強い要請があって、これは国会の方でも、そのことをお認めをいただいて、そして満場一致で十二海里になった経緯がございます。  そういう経緯からいたしまして、ソ連側としては三海里−十二海里の間でイワシ、サバ等を相当漁獲をしておった、それが今度は十二海里の中では操業ができない、こういうことになりました関係もございまして、日ソ漁業交渉の際におきましては、執拗に、繰り返し、繰り返し実績尊重というようなたてまえから、このイワシの漁業を継続させろという要求があったわけでございますけれども、私としては、領海の中では操業は一切まかりならぬという態度を堅持をいたしましたわけであります。  その結果私から、この三海里−十二海里の中でソ連漁船がとっておったイワシ、これが全体の八〇%ぐらいをとっておったわけでございますから、それを十二海里の外でしか操業させない、こうなった場合におきまして、ソ側としては、その際においては、どうしても自分の方としてはイワシを必要とするんだ、日本でスケトウダラその他を必要とすると同じように、どうしてもイワシを欲しい、こういうようなこと等もございまして、これはひとつ貿易か、あるいはバーターか、そういう方式で、相互の利益に合うようにやってまいりましょうという話し合いになったわけでございます。  そこで私は、このバーターにつきましては、向こう側も御承知のような国でございますから、窓口が一本でございます。わが方も、これはやはり窓口を一本にする必要がある。そのためには大手企業あるいは商社等は、一切中に介入をさせないで、全漁連あるいは県漁連あるいは道漁連あるいはまき網組合等々、実際にイワシをとっておるのは沿岸漁業者でございますから、沿岸漁業者の団体で、そのバーターに臨む窓口の一本化というものを図る必要がある、こういう方針で全漁連初め加工団体も含めまして関係の県漁連、道漁連、まき網業界、全国水産加工団体あるいはそれらの傘下の団体等で協議会をつくってもらいまして、そして十分バーターについて、関係漁業者並びに加工業者等の立場を害さないように、その協議会で御協議を願って方針を決める。  それから、実際のバーターの事業を執行するものにつきましても、いま申し上げたような団体等で出資を願って会社をつくって、それで一本化してやってまいる、こういう基本方針で業界に御相談を申し上げましたところ、御賛同願った。特に沿岸漁業者の団体で、それを一本にするんだということにつきましては大変共感を呼びまして、いまそういう方向でやっておるわけでございます。  ちなみに、もう御承知のことと思うのでありますが、イワシの資源は近年、年々上昇の傾向をたどっておりまして、年間百万トンないし百万トンを超える生産が上がるような状況に相なってきております。そして、そのうち実際に国民の食ぜんに供せられておりますものが約三六%程度でございます。その他は、あるいはハマチのえさになり、あるいはウナギの飼料になり、ミールになったり、あるいは肥料になったり——これは今後二百海里時代を迎えまして、できるだけ可食部分を食ぜんに供するようにしたい。  そのための加工技術等の研究開発も一生懸命やりたい、こう考えておりますが、とにかく百万トン前後の漁獲量というものがあるわけでございますから、そのうち、わが国の加工原料等の確保に支障のないような範囲内におきまして、これをバーターで北海道、東北、その他で必要とするスケトウダラ、これも練り製品の原料として必要でございますし、それらを原料としておった関連企業、加工業者等が、いま漁獲量の削減で大変困っておるという状況も踏まえまして、このイワシと、そういうもののバーターによって関係業界の仕事もできるように、こういう両方のことを考えまして、それを実施してまいりたい、こう考えております。  その際におきまして、銚子あるいは塩釜、八戸あるいは釧路等々の従来イワシが揚がっておりました漁港等に対しまして、手数料の問題をどうするとか、あるいはその取り扱いをどうするとか、そういう点も十分漁民の代表の諸君で構成された全漁連、県漁連等が参加しておるわけでございますし、加工業者の団体も参加しておるわけでございますから、十分協議を遂げて、そして先ほど申し上げたように、わが方の関係業界に支障を来さないような限度におきまして適正にこれをやってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  26. 宇野亨

    宇野(亨)委員 ただいまの大臣の御答弁は、まことに適切かと思います。ですけれども、いざこのバーター問題、貿易問題の実務になりますと、なかなか大変なことだと思います。  たとえば貿易問題でございますれば、あくまでも製品の値段、取引方法ということになりますが、実際には、なまものでのバーターというものがあり得るんじゃないか。そういう場合についての協議会は発足した。全漁連、県漁連あるいは加工業者、沿岸漁業者の代表でつくられた協議会の組織は、そうであっても、実際にはどうであろうか。大臣説明が何でございますれば、長官で結構でございますから、もっと突っ込んだ御説明をお願いいたします。
  27. 岡安誠

    岡安説明員 実は、バーターと一口に申しましても、御指摘のとおり、どういう品物を向こうに渡し、それからどういう品物を向こうから受け取るかというようなことを詰めませんと、この問題は進展をしないわけでございます。  日ソの交渉の過程におきましても、モスクワで若干話し合いはいたしましたけれども、具体的な詰め等につきましては、東京におきますソ日の交渉の際にというふうに持ち越しているわけでございますので、私どもは、現在行われておりますソ日交渉の過程におきまして、このバーター問題についてソ連側と十分話し合いをいたしたいというふうに思っております。  向こうが希望いたしておりますイワシにつきましても、向こうの受け入れの能力、それから希望、どういうような種類のイワシをどういう状態で欲しいかというようなことも、まだ具体的には詰めておりませんので、そういう希望条件を聞きまして、私どもがそれに応じられるかどうか、それは応じ得るような能力の問題もございますし、いま大臣がお答えいたしましたように、わが国の漁民並びに関係者に対する影響が非常に大きければ、やはり問題でもございます。  そこで、相手側の希望を聞きながら、私どもは、具体的な対処につきましては、現在設立されております日ソバーター問題協議会にお諮りといいますか、御相談をいたしまして、具体的な希望を伺いながら詰めてまいりたいというふうに考えておるのが現状でございます。
  28. 宇野亨

    宇野(亨)委員 どうも私ちょっと納得できないのですが、五月三十日に、委員長初めわれわれで操業の状態を海上で見たわけでございますけれども、母船が四杯ございまして、そこですべて、かん詰めにして、恐らく本国へ送っているのだろうと思うのです。  そうしますと、銚子にしましても鹿島にしましても、実際にイワシを加工し、あるいは塩干物にしておる業界というものに対する影響は甚大なものがあろうと思います。ですから、現実的にバーター問題をやりますと、いままでと状況が根本的に変わるのじゃないかということが思考されるわけでございます。  ということは、現在あそこで操業している漁船が母船に揚げる、そして、そこで加工するというような状態になる。ところが、仮に日本漁船の何々丸は、あの母船に入れろと言ってみたところで、なかなか現実にはできない。そういうことでないとすれば、市場に一遍通して、そうして競ったものを向こうの母船に売る、こういうようなかっこうができるのじゃないか、私、素人でございますけれども、素人考えで、そんな考えが出るわけでございますが、そういう詰めた答弁を、まことにどうも申しわけないけれども、もう一遍ひとつどうぞ。
  29. 岡安誠

    岡安説明員 いまの御質問は、イワシの受け渡しの方法についての具体的な御質問でございます。  私どもは、ソ連側がどういうことを希望するかということを想定いたしまして、いろいろ検討をいたしております。おっしゃるとおり、一応市場に揚げるという方法も可能かと思いますし、また沖合いでもって、これの受け渡しをするということも考えられるわけでございまして、それぞれ、たとえば沖合いで受け渡しする場合には、安全の問題その他十分検討しなければならないと思いますし、もし市場に揚げることになりますと、鮮度その他が、それで向こうの希望する条件になるかどうかという問題等もございます。  そこで、やはり向こうの希望を伺いまして、その希望にできるだけ沿うような方法、それはどうか、その沿い方につきましても、わが国に対する影響が非常に大きければ問題なので、その影響を少なくするためには、どうすればいいかというようなこと、量の問題、比較の問題、それから鮮度その他の問題、すべて向こうの条件を聞いてみないと、はっきりと決まらない問題でございますので、先生の御指摘のような問題、心配点等につきましては十分腹に入れまして、ソ連側と交渉をしてみたいというふうに思っております。
  30. 宇野亨

    宇野(亨)委員 もう一言でございますけれども、ソ連側の状況、出方というものを見きわめてという話でございますけれども、わが国の方の考え方は、という点を関係漁業者、加工業者と十分詰められまして、そして向こうが、どうしてもこれで譲らないのだから、これでやむを得ないのだというような結果にならないように、ひとつ長官、さらにまた農林大臣には、特段の御配慮をお願いいたします。
  31. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先生おっしゃるとおりでございまして、国益を守る、関係業者の利益を守る、これが何としても最優先で配慮されなければならない問題でございまして、したがいまして、先ほど来申し上げるように、関係漁業者の代表、団体で協議会をつくって、その条件、値決め、その他受け渡し方法、そういう点も十分関係業界の皆さん方の意に沿うようにやっていただく、また決済方法その他につきましても同様でございます。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕  わが方の利益を害さないように、これが大前提でございますから、その点は御安心をいただきたい、こう思います。
  32. 宇野亨

    宇野(亨)委員 力強い、ありがたい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  次に移ります。  先月、先々月、これはもう新聞、ラジオ、テレビ、各マスコミが報道して御承知のことでございますけれども、千葉県の大多喜町、農薬の空中散布、それによって一命が落とされた、こういう厳しい現実を踏まえまして、農林省はこの空中散布の方式についてどうお考えになっておるか、御答弁願います。
  33. 堀川春彦

    ○堀川説明員 空中散布によります農薬の病害虫の防除が始まって以来、もうすでに十数年を経過しているわけでございます。その間、毎年毎年の事故の発生状況等も、農林省も調べておりますが、この間、空中散布によります死亡事故が一件も報告をされておらないわけでございましたが、先般、千葉県におきまして、農薬の航空散布によります中毒死と伝えられる事故が起こったことは、私どもまことに遺憾に存じており、申しわけなくも思っておるわけでございます。  この事件を契機といたしまして、私どもとしては、この具体的な事件の実態がどうか、そういう中から今後の農薬行政等の対処姿勢を、改めるべきところがあれば改めてまいるということが一つでございます。それからもう一つは、一般的に農薬の航空散布によります事故防止対策のさらに一層の徹底を図る見地から、従来の施策の見直しをやりまして適当な是正措置をとりたい、そういうつもりでおるわけでございまして、この事件の具体的な経過等につきましても、県当局から御報告も聞いておりますし、私ども係官を現地に派遣をいたしまして調査もしておるわけでございますが、現在、千葉県の方では、この具体的な案件につきましては、県警本部が刑事事件の問題として捜査中でございまして、まだ結論が明確に出ておらない段階でございますが、それはそれとして、私ども、行政的に対処すべき方向については調査を進め、結論を得次第、是正措置をとってまいりたい、こういう形で対処しておるところでございます。
  34. 宇野亨

    宇野(亨)委員 ただいまの堀川局長の答弁では、まことにどうもあいまいもことしている。同時にまた、事件後一カ月有余もたっておる今日になって、この点が欠陥があった、これはこう直すべきだというような指針も出ないというのは、どこに原因がございますか。
  35. 堀川春彦

    ○堀川説明員 私ども四十年に、航空散布の安全を図る見地から、事務次官通達をもちまして、農林水産航空事業実施指導要領というものを定めまして、関係方面に通達をいたしまして、規制なり指導を加えておるわけでございます。  この内容につきましては、散布農薬の選定の問題、散布区域の問題、それから散布量の問題、それから散布の時期の問題、散布の方法の問題、それから危害防止体制の問題、こういうことに分けまして指導を加えておるわけでございます。  いろいろ薬剤自体の問題というものもございますが、この危害の防止の体制の問題につきましては、特に力を入れて私ども指導してまいってきたところでございまして、これについては、相当細かな点まで通達の中に明らかにしておるわけでございますが、今回の事件を契機といたしまして、私ども反省しておりますことの一つには、事前の広報、周知の体制の中で反省すべき点がないだろうか。これは県の農林部当局におきましては、こういう点については過失がなかったという見解を持っておるようでございますが、私どもは、まださような最終的な判定を行っておらないわけでございまして、なお事実関係等について調査を進めております。  ただ、当時の状況をいろいろ振り返ってみまして考えてみますと一、たとえば、この大多喜町の地区で航空防除をやりますに際しまして、前日と前々日、二日にわたりまして、前々日の昼と夜、それから前日は朝、昼、夜と三回にわたりまして、農薬の航空散布につき、居住者に対して有線放送をもって周知徹底に努めておる。確かに回数は相当徹底をしてやっておると認められますが、広報、周知を図りました内容等につきまして、もう少し工夫の余地がなかったかというふうにも感ぜられるという点がございまして、これらの点は農薬の航空散布の具体的なケース、ケースに応じて、それぞれ対応を考えるべき問題はございますが、たとえば使用薬剤とその解毒の方法等、もう少し細かな周知徹底を図っておけばというような気がするわけでございます。  かような点につきましては、具体的な運営の問題にもなりますが、私ども、もう少し詳細に、今後も徹底を図っていく必要があるというふうに反省をしておるわけでございまして、これらの点を含め、航空防除の運営のあり方について検討を加えまして、適切に対処していくという考えでございます。
  36. 宇野亨

    宇野(亨)委員 次官通達の細部にわたって、有線放送で周知徹底したということを局長おっしゃいますけれども、空中散布というのは大体、朝あるいは夕方の、朝露、夜露にかけての散布であろうと思います。この事件が起こったのは、何時の散布であったか、局長は御存じですか。
  37. 堀川春彦

    ○堀川説明員 十時五十二分ごろから十一時の間というふうに承知をいたしております。
  38. 宇野亨

    宇野(亨)委員 空中散布の効能というのは、いま言うように朝露、夜露という、われわれ田舎者の話で出ておるわけでございますけれども、じゃ何時に、十時五十分だ、十一時だという時間的な、有線放送と違う時間帯で、その作業が行われたかどうか。
  39. 堀川春彦

    ○堀川説明員 これは確かに実施時間につきまして、早朝の風の起こらない時期に、しかも、人も余り寄ってこないという時期を選んでやるという趣旨で行われておるわけでございます。  当初の計画では、朝早くに実施をするという計画だったものが、当日の状況で、朝ガスが発生をいたしましたために、風の状況は十一時ごろでも無風に近い、近くの測候所の風速計の記録を見ましても、風は非常に少なかったというふうに認められるわけでございますけれども、ガスの発生の状況のために時間が延引をしたということがあるようでございます。  この点につきましては、私どもも、そういう事情による時間の変更があるとすれば、さらに当日において徹底をした周知徹底の措置をとるべきであったというふうに思うわけでございます。
  40. 宇野亨

    宇野(亨)委員 そこに重大な過失が散布操業にあるというぐあいに私は解釈しているのです。ということは、有線放送では朝のうちだ、五時だ、八時だというようなことが、三時間も三時間半も、時間帯においてずれているというようなことは、どうも航空散布という問題についての全国的なネット、組織によって、もう請負的に、放送した時間外でもやってしまわなくちゃならないということに縛られて、危険防止というものをないがしろにした結果ではないか。無理にその作業員並びに指導監督者に対して刑事問題にさせようという意味じゃなくて、人命の尊重という問題から、私は重大な過失があるというぐあいに考えています。  同時に、またもう一点、もう時間がなくなってしまったのですけれども、各新聞では、農薬散布が原因であると各社みんな取り上げているのです。取り上げて、農薬中毒死と断定、こういうぐあいにマスコミは報道している。この問題について、いや、そうじゃないのだ、まだ原因不明なんだというような抗弁は、農林省並びに指導機関はしたかどうか。
  41. 堀川春彦

    ○堀川説明員 農林省としては、農薬中毒死であるともないとも、まだ判定をいたしておりません。それから、この点につきましては、司法解剖に処せられているわけでございますので、その解剖所見に従って警察当局がどう判断をするかということも重大な参考になるべき問題であろうというふうに思っております。  そういう角度で私ども、県警本部にも連絡をとって聞きに行ったわけでございますが、現在捜査中の段階であって、鑑定書も公表はできませんし、見解の表明を避けたい、捜査中であるということでございますので、これについては、いろいろと事故の処置状況でございますとか、事後処置関係してまいりますので、私ども、軽々に中毒死であるとかないとかいうことを申し上げることはいかがかと思って差し控えておるわけでございます。  ただし、解剖に当たりました医師の方にも、私どもの担当官がお会いをいたしまして、いろいろお話も承ってきておるわけでございます。これもお話を聞いたのを、こちらが聞き取りまして、それを私が承知をしておるということでございますが、解剖を実行いたしました医師の所見によりますと、どうも解剖時におきまして農薬の成分というようなものが検出されるということもあるし、それから、本人が、六十歳の男の方でございますが、心臓が既往症と申しますか、心筋に障害が相当程度のものがあった、それから肝臓の障害を起こしておるというようなことで、健康状態であれば、死に至るというようなことはなかったかもしれないが、そういった状況のもとで農薬の吸入によります中毒の疑いが強いのではないかという趣旨の見解を漏らしておるということを承知いたしておりますが、しかし、まだ捜査中のことでもございますし、私どもは非公式の見解として、それを受けとめて、まだこれをもとにして結論を得ておるわけではございません。
  42. 宇野亨

    宇野(亨)委員 考え違いというか、受け取り方の違いがあろうと思います。農林省が中毒死であるという断定をというぐあいに私が伺ったわけじゃないのです。新聞で農薬中毒死と断定という報道をしているけれども、そうでないならば、また不確定であれば、そういう報道は間違っているじゃないかということで、農林省としての見解を報道機関に抗議を申し込んだことがあるかというのを伺っている。
  43. 堀川春彦

    ○堀川説明員 特段に報道関係に対して抗議という形で申し上げてはおりませんが、取材に来ました段階で、状況説明はしておるわけでございます。
  44. 宇野亨

    宇野(亨)委員 もう時間もないわけでございますけれども、最後に、農薬の散布というものが、非常に時間的な安全圏の無風状態の中でされるのが安全だというのが、もちろん次官通達でも出ているでしょうし、いままでの経過であろうと思うわけでございます。不幸にして、三時間もおくれたというような時間帯の中で行われたというのが、間接的、あるいは直接的かもしれませんけれども、そのような不幸を招来してしまった。  今後やはりそれらの指導の問題につきましては、十二分な——散布の請負事業だというような事業体の推進にばかりとらわれて、効能と安全という両面をないがしろにしたのじゃないかという私の主観がありますけれども、局長の見解はいかがですか。
  45. 堀川春彦

    ○堀川説明員 いやしくも人身の事故を起こすというようなことがあっては、ゆめならないのでございまして、私ども、こういう事業を進めるにつきましては、事業実施主体、関係機関との連絡、それから農家に対する周知徹底、その他一般居住民に対する公報、周知の手段方法、そういったすべてのことが整合性を保って厳格に行われるということが、何よりも肝要であるというふうに思っておりまして、そういう意味で今回の事件を契機に重大な反省をいたしまして、適切な指導を加えたいと思っております。
  46. 宇野亨

    宇野(亨)委員 大変どうもありがとうございました。人命尊重を第一義に深く理解されまして、お願いいたします。  以上をもって終わります。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 芳賀貢君。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 本日は、農林大臣の出席の時間が限定されておりますので、この際、私から主として食管特別会計決算に関連して質問をいたします。  まず第一は、昭和四十八年の通常国会におきまして、当委員会では、当時総合商社の丸紅の国内産モチ米のやみ買い事件についての実態を追及いたしまして、その結果、食糧庁においても丸紅の犯した食管法違反事実というものを認定して告発をいたしまして、検察庁当局が四十八年六月六日に、水戸地方裁判所に食管法違反として起訴を行ったわけです。  それから数えると、もう四年間経過しておるわけでありますが、いまだに第一審の判決が行われないという経過は存じておりますけれども、これについて、農林省当局として、この悪質な丸紅のモチ米やみ買い事件——その当時からロッキード事件を巻き起こして、しかも時の内閣総理大臣に外国の大企業から贈賄を行わせる媒介をしたということで、今日これは裁判において追及されておるわけです。  ですから、こういう国民が排撃する悪徳商社に、もしもいまだに政府の食管会計の輸入業務を代行さしておるということになれば、これは重大問題でありますので、まず、この点について内容を詳細に説明願います。
  49. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いま芳賀先生から御指摘になりました昭和四十七年の秋から四十八年にかけて、総合商社の丸紅がモチ米のやみ買いをしたという事件は、私もその当時承知をいたしております。またこの事件の処理につきまして、農林省がこれを食管法九条違反の疑いで告発をし、現在、水戸地方裁判所で起訴されて審理中であるということも承知をいたしておるわけでございます。  この種の事件にいたしましても、相当裁判所の審理には時間がかかるということ等も勘案をいたしまして、農林省としては、米穀の取引あるいは外麦の取り扱い等に対しまして行政的な措置をとったわけでございます。裁判の結果を待たないで、行政の措置をとった。しかし、いま芳賀さん御指摘のように、裁判所で審理中でございますので、私どもその判決を見た上で十分検討し、それに対する行政庁としての対処の方針を決めたい、こう考えております。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 いま大臣の言われたその点が、非常に不明朗なわけですね。この違反事件は、まず食糧庁がその事実を告発したんですよ。それを受けて、検察庁当局が水戸地方裁判所に起訴したわけですからね。現実的に買い占め事件が行われたということは、もう天下周知の事実なんですよ。  だから、これを裁判進行中を理由にして、毎年毎年食糧庁として輸入業務の代行を、一年きりですから、その更新を続けておるというのは、どういうわけかということを、昨年も、三月五日の予算委員会において、この点を私はただしたわけです。そのときも、当時の安倍農林大臣あるいは現在の福田総理が副総理の立場から、いまの鈴木大臣と同じような答弁で糊塗したわけです。それからまた一年たっておるわけですから。  だから、いまの大臣説明を聞いても、たとえば裁判の判決が出るまでは、あと何年かかっても毎年毎年更新して丸紅に政府の代行を続けさせる、こういう意思のように受け取れるわけですが、それはどうなんですか。
  51. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、行政措置としては、米穀の取り扱い及び外麦の輸入業務の取り扱い一時停止という行政処分をしたわけでございます。芳賀さん御指摘の、これを終局的に、抜本的にどうするかという問題につきましては、裁判における判決の結果を見た上で、行政庁としては対処したい、こういう考えでございます。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、その行政措置というのは、それは昭和四十八年度に起きた事件ですから、その四十八年度の指定期間の残期間について丸紅側から辞退をするという、そういう形式をとらして、そして停止を命じたわけです。それだけのことであって、四十九年度は、以前と同じように、またこの代行を指定しておるわけですよ。だから行政措置が行われたということにはならぬわけですね。  それから、裁判の結論を待たなければと言っても、黒白がつかないという問題じゃないでしょう。これは厳然たる事実ですからね。しかも食糧庁が、そうした違反事実を調査して、これを食管法違反として告発したわけだから、その告発をした食糧庁が、裁判の結果を見なければ、これはシロになるかクロになるかわからぬなんという事件の内容ではないのですよ。しかも、三年とか五年という期間であれば別ですけれども、毎年毎年これは資格を判断して、適任と認めて食糧庁長官が指定をするわけですからね。だから、余り長く続けておると、何らかの理由によって温情を加えておるんではないか、裁判の長引くのを期待して、その間は指定を続けると……。  それでは百歩譲って、第一審において、これは有罪判決が当然出るわけですが、その時点で、この指定を取り消す考えか、また被告側が、この控訴、上告をするということになれば、その最終審まで結果を待ってということになるわけですか。そこらは、どう考えているのですか。
  53. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この水戸地方裁判所の第一審の判決、これは私ども非常に重視しておるわけでございまして、その裁判の判決の内容を十分検討いたしまして、その時点で判断をしていきたい、こう考えております。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、有罪の判決が出れば、その結果を待って、今後指定をしない、そういうことですね。
  55. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 その裁判の内容をよく私ども見たいと思っておりまして、私どもも、この問題につきましては、国民世論も十分納得するような観点に立って処置をいたしたい、こう思っております。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 これはもう少し明確にしてもらいたいのですよ。第一審の判決は、これは有罪が出ることは間違いないのですよ。だから、その時点で、代行業務の指定を、その後は行わないようにするという考えを固めておるのか。丸紅側は、さらに不服として控訴する、あるいは、それでも罪に服さないで、最高裁に上告するというようなことがないとも限らぬですから、そういう場合には、あと五年かかっても、十年かかっても、その最終判決の結論が出るまでは、やはり善良な商社として、最も信頼する商社として、その代行をやらせる考えかどうか。  そのころは、大臣も長官も、かわっているけれどもね。しかし、現大臣、現長官として、どう考えているのか。これは国民は注意している点ですからね。そのうちに、ロッキード事件の方の判決が出ると思うのですよ。これは有罪になれば、ただ贈賄を行った会社の重役個人だけではなくて、法人である丸紅そのものも両罰規定で、これは罰せられるわけですからね。食管法の場合は、たとえば第九条で食管法違反で起訴されても、結局第三十七条の両罰規定というのは、これは当然適用になるわけですからね。そうなればやみ買いを行った丸紅の社員とあわせて法人である丸紅そのものが罰則を受けるということになるわけですからね。だれが考えても、判を押したようにわかっていることを、四年間も漫然として温情を加えているというのは、どうも農林省当局の真意がわからないのですけれども。  だから、第一審の判決が間もなく出るでしょう。その場合に、明快にこれは処理するということであれば、そういうふうにわかりやすく言ってもらいたいのです。
  57. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は、先ほど御答弁申し上げたように、さらに第二審とか最高裁とか、そういうようなことを一言も触れておりません。この第一審の水戸裁判所の判決が出た時点で、その判決の内容をよく私ども検討いたしまして、国民世論も納得するような措置を、その時点で下したい、こう申し上げておるわけであります。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、お尋ねしたいのは、食管特別会計においては、この米価問題は、毎年度の当初予算においては生産者米価、つまり政府買い入れる米価については、前年度主義ですね。たとえば現在五十二年度ですが、五十二年の予算の中の食管の国内米買い入れ予算については、五十一年度の政府買い入れ米価によって試算をしておるわけですね。それから売り渡し米、つまり消費者米についても、やはり同様に前年主義をとっておるわけですから、結局当初予算においては、前年度の米価というものを計上して予算が編成されておる。その後、毎年の買い入れ価格あるいは売り渡し価格が決定された後、予算上は補正予算の中で、これを改定処理しておるわけですね。  ですから、毎年度の米価というものは、予算決算から見ると、まず前年度主義の米価で予算が編成されて、その後、補正予算審議の中で、その承認を国会が行うということを繰り返しておるわけですが、きょうは、まず五十年度の決算ですから、五十年産米に対して、五十年度の予算、それから決算の結果について概要説明を願いたいのです。続けて昨年度、五十一年度ですね。
  59. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 御答弁がおくれて申しわけございません。  五十年並びに五十一年につきましては、米価の改定に伴う調整資金の繰り入れというものについては、予算補正をしておりませんのでございまして、五十年につきましては、調整資金七千五百二十億円、五十一年度においては七千六百九十億円ということでございます。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 私が聞いているのは、まず五十年度の予算決算ですが、五十年度の予算における昭和五十年度産米の政府買い入れ予定価格ですね、それと、その後買い入れ米価を正式に決定したわけですから、それはその予算上補正を要しない場合は、食管の予備金等から、これは支出しなければならぬわけですから。特に、きょう決算でしょう。昭和五十年度の農林省関係決算審査ですからね、これは何が飛び出すかわからぬですよ。だから、やはり具体的に長官から、この点を説明しておいてもらいたい。
  61. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 御質問の趣旨に即してお答え申し上げますと、昭和五十年度の予算は、前年度四十九年度の決定米価でございます。万三千六百十五円を予算として予算上計上いたしまして、食管予算が編成されておったわけでございますが、それが五十年におきましての実行の米価と申しますか、具体的な政府決定米価は一万五千五百七十円ということに相なっておりますが、それで一四・四%のアップということに相なっております。一方売り渡し価格につきましても引き上げが行われまして、一九%の引き上げが行われましたので、一般会計からの予算補正は行わなかったという関係に相なっておるわけでございます。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 だから補正をしなくとも、当初予算に計上された、その買い入れ価格の単価というものは、その後変更されておるでしょう。総額においても当初予算と、数量においても金額においても相違がないということにはなっていないと思うのですね。その経過というのは、どうなっておるかということを決算上聞いておるわけですから。
  63. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  先生のお尋ねは、予算編成の際、前年度の米価を前提といたしまして、それによって組まれた予算が、当該年度の年度内の実行米価の決定によって、その実行上の変更があった場合においては、単に調整資金一般会計からの繰り入れだけではなくて、特別会計における国内米管理勘定買い入れ費というものについての価格については変化があったじゃないか、それについて予算上の価格と実行上の価格が変化があり、かつ、その場合においては、例年のように予備費等の措置でこれをしておるじゃないか、したがって、その関係についての返答をということでございますが、ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、後刻これを用意させていただきます。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。昭和五十年の決算審議をしてくださいと言っておいて、それじゃやってあげますということになって、きょう審議を行っておるわけですからね。そのときに、手持ちがございませんというのはちょっとおかしいのじゃないですか。  きょうは、大臣の出席が三時間ですからね。理事会においては、次に、もう一日農林省関係決算審議をやるということが決定されておるので、余りそれだけに時間を使うわけにはいかぬが、そういう政府当局の態度というのは……。  一昨年までは衆議院においても、与野党ということになれば、与党が過半数を持つでおったですからね。とにかく政府予算案でも、出せばこれは通る、それから参議院へやって、三十日たてば自然成立する、補正予算でもそうだということで、安易な扱いが、もう三十年も続いてきたわけだから、形式的に、食管予算であっても国会に出してだけおけば、それで、もうそのとおりいくわという安易感があるのじゃないですか。  ところが、ことしからは様相が変わったでしょう。昭和五十二年度の予算審議にしても、結局予算委員会の構成にしても、五十人の中で与党二十五人、野党二十五人、自民党の坪川君が委員長になったので、与党二十四人の野党二十五人でしょう。だから採決すれば、野党がかたまれば、政府提案の予算案であろうと、これは否決されるということになるのですよ。そういうことで、ことしは初めて政府提案の予算案を修正して、一兆円減税の道を開いた、あるいはまた、各公的年金の実質的な増額措置を行うことができたということになったわけですから——長官、こっちの話を聞いてなさい。そういうことが、すでに行われたでしょう。  だから、ことし、十八日から米審を開いて、新しい五十二年産米の決定をやるわけでしょう。やれば、それは完全据え置きであれば、当初予算を変更する必要はないが、どれだけでも上げれば、今度は変化が生ずるわけでしょう。それは、微々たる値上げであれば、何も補正予算に頼る必要はないかもしれぬが、とにかく、当初予算の食管会計の中身が変わることは間違いないでしょう。そうなれば、補正予算を出しても、あるいは予備費の使用の承認を求める案件を出しても、いままでのように、出しさえすれば大丈夫だろうというわけにいかぬですよ。場合によって承認しないとか、あるいは認めないという場合もあり得るわけですからね。  だから、ことしからは、いままでと違った態度で、食管会計運用にしても、米価の決定にしても、全く国会を軽視して、隠れみのの米審だけをうまく操れば何でもやれるというわけにいかぬと思うのですよ。この点は鈴木農林大臣として、どう考えていますか。
  65. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米価の決定は、政府がその諮問米価を決めまして、それを米審におかけをして、そして米審の御意見を伺った上で、政府において最終的に決定をする、こういう仕組みになっておりますことは御承知のとおりでございます。それが予算の問題等に関連いたしまして、国会の御審議がなされるわけでございまして、国権の最高機関である国会のその御決定ということは、これは最高の御決定になることであろう、このように私はわきまえております。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、具体的な質問をいたしますが、昨日、武道館において全国農協代表者大会が、全国から約一万名参加して開かれたわけです。私どもも、大事な集会ですから、来賓として出席して、その情景を認識してきたわけですが、たまたまこの大会の進行の中において、各ブロックの代表が決意表明をやることが慣例になっているのですが、それで、ことし異常に感じたことは、各代表がこもごも立ちまして、今度の参議院選挙で保革逆転を食いとめて自民党を守ったのは、これは全国の農協組織の努力の結果であるということを盛んに強調しているんですよ。保革逆転を食いとめたのは、これは農民でないですよ、全国の農協ががんばって、この伯仲の状態を維持させたのだ、だから政府、自民党としては、農協が要求する一俵当たり六十キロ、二万円米価の実現を図るべきである。  つまり、協力したその返礼として、逆転を阻止してやったのだから、ことしは、この二万円米価を実現させるのは当然である、こういうような非常に強い意思表明があったわけです。  これを受けて、一体農林大臣としては、まともにこの返礼をするつもりでおるのか。もう選挙は終わった、やれやれという気持ちで、最近新聞では、農林省案としては大体二・五%ないし三%、大蔵省はゼロの据え置きということが伝えられておるわけですが、いずれにしても、十八日には、政府の諮問の形で試算した米価というものが出てくるわけですが、ことしの米価の方針というものを、どのように決めておられるか、この際、明らかにしてもらいたい。
  67. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私、ソ日交渉その他の案件等もございまして、一万人大会において、その代表の諸君が表明された御意見というものを直接聞いておりません。おりませんが、生産者米価の決定、政府買い入れ価格の決定につきましては、国会でお決めになったところの食管法というものがあるわけでございます。行政府である政府農林省としては、この食管法の諸規定を遵守していかなければならないわけでございます。  生産費所得補償方式を、私は今年、五十二年度産米の政府買い入れ価格の米価決定に当たりましても、これを堅持してまいりたいと考えておりますし、農業諸資材あるいは賃金等の値上がり等は、これを正しくとらえて、政府試算の中に的確に反映をさせる。つまり、生産費等を十分賄えるように、そして再生産ができるように、また生産農家の生活の安定も図られるように、まあ、そういうような考え方を総合いたしまして、正しい姿勢と申しますか、正姿勢で取り組んでいく考えでございます。  つまり、いまお米が過剰基調である、ことしのの十月には、三百二、三十万トンにもなる、来年は四百万トンにもなるという状況でございます。しかし、そういうふうに米が過剰基調であるからといって、私は、これを据え置くとか恣意的に抑制をするとか、そういう考えは持っておりませんし、また選挙の結果がどうであるということで、これをいまの状況下において、過度に生産を刺激するというようなこともとるべきではない、こう考えております。  そういう意味で、正姿勢で取り組んでまいる、こういう考えでございます。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの大臣の姿勢については可とするものですが、実は昨日三時半に、社会党として米価対策の代表が大臣とお会いいたしまして、ことしの生産者米価についての具体的な要請を文書をもって行ったわけです。  その内容は、大臣御承知のとおり、社会党としては、いま大臣の言われたとおり、現在の食管法の諸規定に基づいて算出をした結果、六十キロ当たり二万一千百円以上に決定さるべきものであるということで内容を御説明したわけです。  そこで、ことしの方針として、たとえば過去一年間の物価の上昇率あるいはまた過去一年間、特に本年の春闘の結果等によって労働賃金の上昇というものが大体具体的に掌握できるわけですし、また昨年は、近年にない異常な大冷害に見舞われたわけですから、去年の作況は平年に比べると作況指数が九四、十アールの平均収量が四百二十七キロという、かつてないような激減の数字を示しておるわけです。そういうものを踏まえると、ことしの米価というものは、昨年の米価に対して当然相当大幅に値上げをしなければならぬということになると思うわけです。  そういう具体的な点については、担当の大河原長官の方が、もういろいろなそろばんを使って計算をしていると思いますから、まず、単一の計算でなくてもいいですよ、どういうそろばんを使えば——毎年毎年とにかく米価を安く抑えるために、小さいそろばんをつくっておるわけだかち、一つや二つじゃないのですよね。ことしまた据え置きのそろばんを使うとすれば別ですが、過去の数種類の算定方式の中で、大体大臣の言われた食管法の諸規定に基づいて生産費所得補償方式で計算をして、米の再生産が持続できるということにするためには、おおよそ、どのぐらいの上昇をしなければならぬかという点について率直な説明をしてもらいたい。
  69. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  米価算定作業中でございまして、その算定の基本的考え方は、ただいま大臣が申し上げたとおりでございます。  生所方式本来のルールにのっとりまして、労賃なり物財費等の、物価あるいは反収それぞれにつきまして、適切に反映いたすような作業をしておりますが、それについて現在政府部内でも、それぞれ折衝中でございますし、作業も、原生産費が本日公表になりましたが、今週早々に全資料が入手できたということで、最終の作業を急いでいる段階でございますので、何分数字のことでございますので、パーセンテージその他という点についての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、いま長官の言われた昭和五十一年の産米の生産費調査、いま公表されたと言われたでしょう。
  71. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 本日二時に公表になりました。
  72. 白根健也

    ○白根説明員 ただいま長官からお話がございました五十一年産米の生産費を、きょうの二時に公表いたしましたので、その結果を御説明いたしたいと思います。  十アール当たり第二次生産費でございますが、十二万二千三十七円で、去年に比べまして一九三%の上昇になっております。  この内訳を概略申し上げますと、物財費等の上昇が大体一〇・四。それと、後ほど申し上げますけれども、労賃の評価が従来臨時雇い労賃ということで評価しておりましたけれども、本年度から、ほかの作目と同様、農村雇用労賃ということに改めましたので、後ほど申し上げますが、フラットで見ますると、労賃の上昇が大体三割くらい。あと、生産費の構成要素によりまして、それぞれのものの生産費は異なっております。米の場合には、その分が約九%というふうな形になっております。  なお、一俵当たりの二次生産費で申し上げますと、対前年二八・八%のアップでございまして、一万五千八十二円に相なっておるわけでございます。これは冷害その他によりまして、反収の減がございます。生産費の調査農家で見ますと、四百八十六キロという形になっておりまして、去年が、たしか五百二十五キロという計算でございますけれども、約四十キロのダウンになっております。その分が加わりまして、これは九%ございますが、約二八・八%というかっこうの上昇になっておるわけでございます。  したがいまして、十アール当たりの所得といいますと八万二千五百八十九円、一日当たりの労働報酬五千八百二十四円と相なっておるわけでございます。反収の減によりまして、若干ずつ影響を受けて、一〇%ぐらいの減になっておるわけでございます。  内容的に申し上げますと、構成要素の中で、労働費が約四八%、それと農具費が二二%、肥料費が九%、賃借料及び料金が五%であり、この四費目で八四%のウェートを占めておるわけでございます。  内容的に、かいつまんで申し上げますと、まず肥料費でございますが、これは約一二%のアップになっておりますが、御承知のように肥料の手当てというのは、年度初めにやるわけでございますね。これが大体一〇%ぐらいのアップになっておりまして、年度末は四%ぐらいのアップで済んでおるわけでございます。そういう影響が一つ出ておりますと同時に、若干の投入量の増加というのがございます。したがいまして、一二%のアップになっておるわけでございます。  次いでアップ率が、わりあい大きいのが農業薬剤費ということで、これは一二・三%のアップでございます。これは冷害その他ということで、いもちがある程度発生しまして、いわばその手当てということで防除の回数を一、二回程度ふやしました。その影響が主たるものでございます。  それから賃借料及び料金の増は、刈り取り作業における委託の増加というのがございまして、委託の絶対量の増加と委託量の増加と両方合わせまして、約二〇%近い増になっておるわけでございます。  その次に、農具費につきましては、これは二〇%アップになっておりますけれども、これはトラクターなり動力田植え機なり動力刈り取り機、これの購入増がございます。その分の償却費の増でございます。これが二割になっております。  一番大きな労働費の上昇率は三一・二%に相なっておるわけでございます。これは御承知のように国会等の御意向もございましたので、調査の評価方法を変えて、本年度初めてそれを適用するわけでございますけれども、従来は調査農家に所在するところの農業の日雇い労賃、これはかつて日雇い労賃というのが農業経営にとって、いわば支配的な労賃である、したがって、それをもととして、家族労働費につきましては自分で雇用する場合にどうだろうか、こういう観点に立ってやったわけでございます。これが、かつて支配的であったから、それを使いました。現状におきましては、非常に地域的な問題でございますとか、地域的に非常に偏っているとか、あるいは機械その他の導入によりまして非常に回数が少なくなっておるわけでございます。  したがいまして、県一本ということでございますれば、まだまだ傾向というのは十分見れるとは思いますけれども、調査町村ということになりますと、いま申し上げましたように、地域的に偏っているとか件数が非常に少ないということがございますので、いわば農林水産業のほかに製造業、運輸通信業、建設業、これは土建業でございますね、そういうものを対象として農家の子弟が主として行っているような業種を選びまして、それの労賃といいますか、それをもって評価に当てたわけでございます。  したがって、生産費の側から見ますれば、一応新しく人を雇ってやったならば、どうなるかという考え方においては変わりないですけれども、やり方につきましては、いま申し上げたような労働評価を変えたわけでございます。これを通称農村雇用労賃、こう呼んでおるわけでございます。それの変更に伴いまして三一%、家族労働費だけで見ますると、三三・八の上昇になっておりますけれども、実際の労賃の支払ったのも入れますと、平均して三一%のアップになっております。そういう傾向でございます。  それが主たる内容でございまして、あと資本利子につきましては従来と同様四%で資本還元しておるわけでございます。  それから、地代につきましては、これは自作地について類似小作料で評価しているわけでございますが、八%ぐらい上がっておりますので、その分の上昇を見ております。  それと同時に、副産物につきましては、冷害の影響で稲わらの上昇のほかに、くず米の価額の増量がございます。これが約六割近くあるのではないかと思いますけれども、くず米の上昇がございます。  それと、一番問題になります労働時間でございますけれども、これは先ほど申し上げましたような冷害等のことがございまして、従来の傾向からは若干スローダウンはしておるわけでございますけれども、一・八以下の減少にとどまっておるわけでございます。従来ですと、大体五時間から七時間の減少ということでございますが、そういうことで一・八以下の減少にとどまって七九・七時間、これが五十一年度の生産費の内容でございます。  あと調査方法その他につきましては、特に従来と変わっている点はございません。  大体以上でございます。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの統計部長の内容の説明については、食糧庁長官は、それを持っているわけですか。
  74. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 はい。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、昨年の政府の決定米価は六十キロ一万六千五百七十二円でしょう、一−四等、平均の包装代込みで。それは、その前年度米価に比べると、六・四%の値上がりにすぎなかったわけですね。ところが、いま白根部長の説明によると、五十一年度の生産費は、五十年度の生産費に比べると、大幅な上昇を示しているわけですね、約二〇%生産費が上昇しているでしょう。これは毎年こういう傾向なんですよ。  先般、決定した麦類の生産費なんというのは、ことしは従来の一俵二千三百円の奨励金を基本価格に算入して、それに対して昨年の基本価格奨励金部分についても、それぞれ七%アップで計算したわけだから、小麦については一俵当たり九千四百九十五円ですか、それにしても七%しか上がっていない。それで、ようやく農林省生産費調査をカバーしたぐらいで、それ以前は政府決定の方が農林省生産費よりも下回っておったわけですね。裸麦は五十一年度の生産費が一万三千円でしょう、ことし決定された裸麦の値段は一万台を割っているわけですからね。  だから、せっかく農林省の内部で農産物生産費調査が定期的にも行われておる。そういうことをやっていながら、結果を頭に入れておきながら、毎年毎年それより下回るような米価決定をやるというのは、どういうわけなんですか。去年だって、二〇%生産費が前年度に比べて上がっているのに、わずか六・四%しか上げていないでしょう。そうするとその差は、一三%も違うじゃないですか。だから、農民が毎年毎年ダウンされた分を、この辺で返してくれというのは、選挙で自民党の応援もしたんだから二万円にしろ、これは当然のことだと思うのですけれどもね。  こういう上昇傾向にある農産物生産費調査の結果を踏まえて、ことしは、どういう試算をするかということは、大体見当がついているんじゃないですか。まだわからぬなんというのは、優秀な長官としては、ちょっとおかしいのじゃないですか。いままで休眠しておったんじゃないかと思うが、どうですか。
  76. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  先生十分御案内のとおり、米価、政府買い入れ価格は、過去三カ年間の生産費の平均でございます。したがいまして、その点が単年度の、五十一年度の生産費をとるわけではないわけでございます。ただし、ただいま統計情報部長から御報告申し上げました生産費は、五十二年産米価におきましては、四十八が落ちて、四十九、五十、五十一、この三カ年間の、五十一年については、ただいま情報部長の報告した生産費をもとにいたしまして、生所方式による所定のルールで算定いたすということになるわけでございまして、物財費の動向なり、あるいは労働時間の動向なり、あるいは反収の動向というものにつきましては、それぞれ従来の米価算定の方式の中に入ってくるということは間違いないわけでございます。  ただ、二〇%云々というお話がございましたが、家族労働の評価を先生多年の御主張の農村日雇い労賃から地方労賃に評価した結果、ただいま統計情報部長の御報告した家族労賃の評価の変わり方が、一つ今回は大きく影響しているわけですが、米価につきましては、その地方労賃ではなくて、さらにこの原生産費の地方労賃を五人以上千人未満の製造業労賃で評価がえをして、さらに高いところで評価がえをいたすということに相なるわけでございまして、その原生産費の上昇率が、そのまま米価の上昇率に相なるということはないのではないかというふうに思っております。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。過去三年間を平均して算定要素をつくるわけでしょう。問題は、最近毎年毎年生産費調査の価格政府決定価格というものが接近してきているということは認めるでしょう。認めないのであれば、三年前だから四十九年、五十年、きょう発表した五十一年ですね、この三カ年間の各生産費の価格政府決定米価というのは、あなた頭にあるでしょう。三年前は相当開いておったですよ、それは日雇い労賃なんかでやっておるからね。五人規模以上の天井のない製造業労賃の場合は、日雇い労賃の約倍なんだから。昨年は千人で頭を抑えちゃったから、大分低くなったのですけれどもね。その事実は、あなた一体認めないのか。
  78. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お説のとおり、十アール当たりの生産費は、先ほど統計情報部長の御報告したとおりでございまして、家族労働費の評価その他諸要因で上昇しております。したがって、家族労働費の評価の評価がえの方式の前進ということによりまして、政府決定米価の場合の価格生産費との間というものについては接近いたすことと相なるというふうに承知しております。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 だから生産費調査によると、一俵一万五千八十二円でしょう、政府買い入れ価格が一万六千五百七十二円だから、大体千五百円ぐらいに接近しちゃったわけなんですね。以前は、まだまだ三千円も離れておったから、だんだん政府の低米価に対して生産費の結果が追いついてきている。あと二年ぐらいたてば追い越すのじゃないですか。だから、それは大臣の言われた精神で米価が決定されていない証拠なんですよ。  そこで、ことしは一体どうするか。まず一番の大事な平均収量、これはどうするわけですか。去年は、先ほど言ったとおり、冷害によって全国平均が四百二十七キロしかとれていないわけですからね。収量についても、過去三年平均の反収によるわけですし、それは恐らくことしも、三年の要素の中の五十一年を、四百二十七キロにするかどうかということは、これからの問題ですが、少なくとも平均生産費でやるということであれば、全国の米づくり農家の平均的な収量というものを厳格に掌握しなければいけないでしょう。  単に調査農家の平均反収ということになれば、実態の平均よりも大体六十キロ程度上回る収量ということになるわけだ。だから、六十キロ当たりの価格を出すということになれば、分母が大きくなればなるほど答えは小さくなるわけですからね。収量を過大に計算すると、分母が大きくなるから、答えは安い米価になるわけだから、そういう作為的な収量の使用というのは、これは厳重に慎む必要があると思うのですが、そういう点は、どういうふうに反省しておるのですか。
  80. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 先生の御質問には諸点あるかと思います。  一つは、繰り返すようでありますが、御案内のとおり、米価決定の際に用います評価がえ生産費の前提になる生産費は、本年、五十二年産米でありますと、四十九年、五十年、五十一年でございます。したがって、その三年平均の生産費をとるということによりまして出てくるわけでございます。したがって、その間に大豊作がございましても、三年で消される。不作がございましても、三年平均でそれぞれ緩和する。要するに、収量当たりの生産費を求めるために、安定的に直近三年をとるということに相なっておるわけでございます。その点で、当然本年も、先ほど統計情報部長の報告した収量の四百八十六キロが五十一年の分として入ってくるということでございます。  さて、この収量の見方につきまして、これを調査農家でとるか、あるいは全農家のいわゆる作況反収でとるかという点につきましては、やはり十アール当たり生産費、その生産費によって上げられた収量という点から見まして、調査農家の実際の反収をとるというのが、いままでの一貫したルールでございます。ただし、米価につきましては、五俵以上販売農家で、しかも非常に災害の大きいものについての二〇%以上災害農家は、これを除くということで従来のルールからやっておるということは、先生のよく御案内のとおりでございます。  いずれにいたしましても、農家の反収を、その年その年それぞれ原数値のままでとりまして、三年平均で評価がえの生産費を導き出す前提にしておるということでございます。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことになるから、反収が平均的なものにならぬのでしょう。昨年は実収の平均は四百二十七キロ、これは農林省が公表しておるじゃないですか。それによって相当手厚い冷害対策を講じたわけでしょう。それが、わずかな調査農家だけの平均ということになれば、四百八十六キロというのは五十九キロふえておるでしょう。四百二十七キロの実態から見ると、五十九キロ、ちょうど一俵違うじゃないですか。一俵多いというのは、これは全体の生産者の平均にならぬでしょう。カバー率はきっと四〇%以下でしょう、こういうばかなことをやると。それじゃ本当の平均生産費方式にならぬじゃないですか。  だから以前は、これを適正に調整するために、昭和四十二年あたりは限界生産費、つまり標準偏差一シグマ、これはキロ数にすると、約七十キロないし八十キロの間で標準偏差が差し引かれたことを知っているでしょう。だから、調査農家の平均反収をとっても、標準偏差によってこれは調整されて、大体実態的には全国の平均の反収と相違がない、そういう手厚い配慮をしてやってきたわけです。それを低米価にするために取っ払ったわけでしょう。そういう場合には、この調査農家の平均反収だけをなまに使ったのでは、適正な収量の基準というものは生まれないのではないか、これは毎年国会において指摘する点ですよ。  だから、こういう点は、ことしは十分に検討を加えて、適正に行う必要があると思うのです。これは決算委員会として指摘しておきますよ。  それから最近、毎年問題にしておる地代ですね。地代というものは、当然価格算定上の重要な要素になるわけですよ。ただ金額的な面だけでなくて、農業生産上、地代というものを余り軽く扱うわけにいかぬと思うのです。  そこで白根部長にお尋ねいたしますが、ことしの五十一年の地代は、十アール幾らに計上されておるのですか。
  82. 白根健也

    ○白根説明員 お答えします。  五十一年度は、ヘクタール当たり二万一千五百五十四円ということで、この生産費を出しております。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 長官にお尋ねしますが、五十一年度の買い入れ価格の中の地代は、十アール幾らにな  っておりますか。
  84. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 七千五十一円でございます。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 一けた違うのではないですか。もう  一回正確な数字を。
  86. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 十アール当たり七千五十一円でございます。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、農林省生産費では二万一千五百五十四円、これは類似地小作料ですからね。それが去年の米価の場合は三分の一でしょう、七千五十一円というのは。こういうばかなことをやるから、米価が下がるのは、あたりまえじゃないですか。どうして同じ農林省が扱う場合の地代に、これだけの大きな差が出るのですか。米価を安くする便法だけで七千円にしているわけでしょう。理論的根拠も何もないのでしょう。首をひねる必要ないではないですか。統計調査をまじめにやっているから、こういうことになる。こういう点を、ことし直さなければ、大臣の言った食管法の精神に基づいて適正に決めるなんという答えは出ないですよ。これは一体どうしますか。
  88. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  米価算定上の地代については、小作地については当然支払い小作料がそのままとられるわけでございます。問題は、稲作地の九四、五%を占めます自作地の地代の評価いかんという問題でございます。これにつきましては、われわれといたしましては、統制小作料をもって評価しておる。その点が、近傍類地の小作料というものをとる場合との金額の差であるというふうに考えておるわけでございます。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、自作地に対しては、必ず統制小作料でやれという制度上の根拠があれば、示してもらいたい。
  90. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  これにつきましては、いかなる地代をもって自作地を評価するかという点については、いろいろ議論があるところでございますが、私どもといたしましては、現実に農村で行われている地代につきましては——われわれの米価におきましては、家族労働費を都市均衡労賃で評価しておるわけでございますけれども、現実の実納小作料は、この家族労賃を現実には低く評価することによって成立している地代だ。したがいまして、その点では、やはり米価におきましては、まず家族労働について都市均衡労賃で、その所得を付与するというたてまえから見まして、その残りとしての地代については、ちょうど統制小作料が稲作収入から物財費その他生産費用を引きました残渣、それで労賃については、一種の都市均衡の労賃を評価しておるということと平仄が合うわけでございまして、家族労働費につきまして都市均衡労賃と均衡する所得を付与するというふうな考え方でございまして、労働の対価でない地代については、これは統制小作料によって評価いたす、そういうたてまえをとっているわけでございます。
  91. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、その根拠が食管法の中にあるのか、たとえば農地法にあるのか、どこにあるのかということを聞いておる。
  92. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げますが、食管法におきましても、食管法では買い入れ価格につきましては、生産費、物価その他の経済事情を参酌して、再生産確保するというふうなことでございまして、その趣旨を受けまして、現在生産費及び所得補償方式ということを採用しておりまして、生産費及び所得補償方式は、投下生産費を回収し、かつ、家族労働につきましては、都市均衡労賃で評価がえするということによって所得を確保するという方式でございます。  したがって、その趣旨から申しますと、やはり家族労働の評価を都市製造業労賃をもって行う。それで地代については、統制小作料と同じように——御案内のように統制小作料につきましては、稲作収入から物財費その他の諸要因を差し引き、その場合の諸要因としての家族労賃については、均衡労賃をとって差し引いて、企業利潤も見て、最後にその残渣を地代としておるということと、やはり労働の評価を第一にして、これによって算定いたすという生所方式の考え方とあわせてやっておるわけでございまして、法律上とか制度上これを規定しているものではなく、生所方式の本来の基本的な考え方から、これをとっておるというわけでございます。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、昭和四十二年方式は間違ったことをやったわけですか。四十二年、四十三年当時は、これは実納小作料一本でやっておったわけだから、あれは重大な間違いを犯しておったわけですか、当時。  それから、この統制小作料制度というのをどう理解しておるのですか。食糧庁以外の役人の皆さんは、わかっていると思うのだけれども。  これは昭和四十五年を起点にして十年間、四十五年当時に耕作契約が締結されておるものの残期間については、この統制小作料を、この十年間に限って継続をさせる。それ以上長い契約であっても、この十年を経過した場合においては、統制小作料による契約というものは、それで消滅ということになっておりますからね。現在は統制小作料ではないですよ。農林省指導した、いわゆる標準小作料制度というものを適用しておるわけですからね。  長官だって審議官か参事官時代、農地法の改正に関与したんじゃないですか。それが食糧庁長官になった途端に全部忘れてしまって、これは一番安い統制小作料——これも過去の幽霊みたいなものですよ、統制小作料の七千円なんというものは。そういうばかなことをやって全国の農民を何年も何年もごまかせると思っているのですか。しかも、いまは全国の小作地というのは、全体の六%程度でしょう。九四%からもう自作地ですからね。これに対して統制小作料を当てはめる。これだって米価を下げるだけの目的じゃないですか。こういう点は、ことしの米価の算定については、まず政府試算の中で適正にしなければいかぬと思うのですよ。  それから労働賃金についても、別に千人で頭打ちにしなければならぬということはないのでしょう。これは、以前は五人以上の製造業労賃ということで実施したわけですから。それを、この労働報酬を安くするために五人から千人までということで、これを抑えているわけです。そういうことを毎年毎年やれば、だれがやっても米価というのは、安く計算されるのですよ。だから、こういう点についても、ことしは過去のいろいろな算定の方式というものがあるわけですから、そういうものを十分省みて、やはり国民全体が見ても、このそろばんを使うのが一番適正だったというふうに、これはやるべきだと思うのですね。  それから労働時間についても、いま白根部長から、五十一年の投下労働時間は前年に比べて一・八時間の減少にとどまった。これは冷害の理由もあるかもしれぬが、とにかくいまの農業の形態というのは、ほとんど機械農業でしょう。したがって、機械化によって投下労働力というのは、単位当たり減少していることは事実だけれども、これはもう大体限界に来ているわけです。毎年毎年五時間、七時間の時間の減少によって、米価を抑えるということは、もうできないと思うんです。しかも一方においては、過大な農業機械の購入に対する投下費用というものは、実際最近の米価の算定の中においては、反映されていないわけです。  これは昨日、農林大臣とお会いした際も、農業機械の償却とか、購入の利子であるとか、それから借入料であるとか、そういうものは、やはり、ことしは厳密に計算をして、適正に米価に反映させる必要があるということを大臣自身も言われたわけですが、こういう実態は農林省でもわかっておるんでしょう。食糧庁が調査しなくても、それぞれの局や部門があるわけですから。  今度の生産費調査の中にも、これは大きく反映されておるわけですから、単に単位当たりの労働時間が減少したから、米価を下げるのは当然だということではなくて、そうした機械力による労働生産性の向上というのは、機械の購入とか使用とか償却の部分において完全に補てんされなければならぬと思うんです。雇われた労働者が肉体労働だけを提供した結果と違うわけです。そういう点についても、一体長官としてどう考えておるか。
  94. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  三年平均の原生産費、本年は先ほど御報告した五十一年生産費であります。その労働時間なり、あるいは機械投下に伴う償却費というものについては、その原生産費の数値をそのまま用いまして、その評価がえ生産費をはじくということに相なっております。
  95. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、先ほどの地代について、長官から、いかにももっともらしい統制小作料論が言われましたが、統制小作料をかつて算出した場合は、粗収入から引き去る部分として四%の経営利潤というものは認められておるわけです。そういう経営利潤までも配慮して粗収入から引くわけだから、結局残った部分が、比較的割り安の小作料分と地代分ということになる。しかし、現在の米価の算定の中においては、特別に生産者に対する企業利潤というものは確保されていないんじゃないですか。どうしても統制小作料でやるというんであれば、その見合いとして生産費の中に四%なら四%、過去の実績に基づいた経営利潤といいますか、そういうものを新たに計上しておかないと、単に地代だけを、適正な採用すべき小作料の三分の一なんということにはならぬと思うんです。  何も無知でわからないで、でたらめな計算をするなら、まだ情状酌量の余地もあるけれども、長官初め、一年三百六十五日、どうしたらば安い米価を計算できるかということだけを天職と心得てやっておるわけでしょう。わかっとってやるわけだから、これは許せないですよ。これ以上情状酌量の余地ないですからね。だから今度は、ちゃんとそういうものをどういう点をごまかしたということは、あなたたちが一番わかるんだから、私よりもわかるわけだから、そういう点を総ざらいして、しっかりした計算をしてもらいたいんです。  そこで、最後になりますけれども、毎年私が持ち出す問題ですが、昭和四十二年の算定方式は、政府が行った算定の中で、一番食管法の精神に合致する算式ということに評価されておるんです。これは米審に諮問する価格を聞いておるんじゃないですよ。去年は、五十一年度の米価の計算に当たって、これは当時安倍農林大臣から説明を受けたわけですけれども、昨年は四十二年方式で計算すると、六十キロについて二万二千百四十四円であるということを、これは農林当局が国会の農林委員会説明しておるわけです。去年ですよ。政府がかつて採用した四十二年の算定方式で、昨年すでに二万二千百四十四円になっておる。ところが、決定米価というのは、毎年毎年そろばんを小さくするわけだから、それより約五千七百円低い一万六千五百七十二円ということにしたわけだからね。  ことし、この際四十二年方式を使った場合、一体幾らになるんですか。それはわかるでしょう、もう統計の必要資料全部整ったわけだから、去年の値段もわかっているんだから。それだけ、ここではっきりしておいてもらいたい。
  96. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  五十一年度の生産費が出まして、それを米価算定に入れまして、五十二年の米価の算定を四十二年方式ではじいたらいかがになるかということでございますが、これは率直に申し上げますと、統計の先ほどの生産費の原資料も、私どもといたしましては今週早々得たわけでございまして、われわれとしては、十八日からの米価審議会に諮問をいたします政府案の作成、検討に連日費やしておるわけでございます。  したがいまして、まことに残念でございますが、その四十二年方式で五十一年度の今度出ました生産費を取り入れた五十二年度の米価はいかになるかという点については、まだ数字の算出をしておらないわけでございますが、できるだけ早く本来の米価についての結論を得ましたら、これについての検証といたしまして、数字をはじく必要があるというふうに思っております。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員 これは私の推定では、おおよそ二万四千円になるんです。農林省にはコンピューターというのはないんですか。農林省予算二兆四千億も持っておって、そういう近代的な計算の器具くらい持っていなんじゃしようがない。そういうものがあれば、長官がボタンちょっと押せば、はい二万四千円と出るんですよ。それを、いまでも見ておると、筆算だとか何かやっておるじゃないですか。それじゃなかなか的確な計算はできないですよ。  長官じゃなくてもいいですよ、総務部長でも、企画課長でも、だれでもいいですよ、専門家たくさんいるんでしょう。私の言った二万四千円程度になるかならぬかということだけでもいいですよ。農林省大ぜい優秀な人たちいるわけだから、その中に一人くらいは、大体これぐらいになるという人物はいるんじゃないですか。これはどなたでもいいですよ、説明員でもいいですから、これは大事な点だから、この点について、推定でいいです。
  98. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げますが、先ほども申し上げましたように、本年産米価の算定につきまして、新要素、新しく出ました要素について検討している最中でございまして、事数字でございますので、やはり一定の検証を経まして、いろいろ御説明申し上げるのが筋ではないかというふうに思いますので、本来の作業というものと並行いたしまして、これらの数字等についても資料として整備いたし、しかるべき形で御説明申し上げるようにいたしたいと思うわけでございます。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま私が食糧庁長官質問しました、昭和四十二年方式による算定の数字ですね。これは、本当はきょう答えができないはずがないのですけれども、この程度にしておきますけれども、少なくとも米価審議会開会前に、迅速に当委員会を通じて資料として正確なものを提出するように、委員長の方からも指示を願いたいと思います。
  100. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 十七日までに資料を出すようにという要求ですが……。
  101. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  十七日までに間に合うかどうか、私どもは、これをいたずらに引き延ばすようなことはいたしませんが、政府諮問の作業が、いまピークに来ておりますので、この点につきましては、米価審議会等についての資料としても、われわれとしては準備をいたすということでございますので、それと並行いたしまして、できるだけ早い機会に、お手元にその資料を御理解願えるようにいたしたいというふうに思っております。
  102. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に、農林大臣にお尋ねしますが、大臣も目をつぶっておられたが、聞いておられたと思うのです。いま私が、長官に対して重要な諸点について指摘を行ったわけですから、ぜひそういう大事な算定上の諸問題を、大臣の手元においても十分整備をしてもらって、先ほど言われたとおりに、必ず食糧管理法の諸規定を遵守して、さすが鈴木農林大臣は、りっぱな米価を決めたと、後世に残るように十分に努力してもらいたいと思うのです。  それから資料の件ですが、われわれは国政調査権に基づいて、憲法、国会法、衆議院規則に基づいて、正しい要求をしているわけだから、米価審議会開会前に出せないという資料は、全然あるはずがないわけですから、そういうことを間違わないようにして、作業がどうしてもおくれる場合はやむを得ないですよ、しかし、米審開会前に、米価とか食管に関する資料の提出はできないのだ、企業の秘密というような考え方で提出を怠るようなことがあれば、後日また追及しなければならないわけですから、そういう点を十分に念頭に置いて、必要な資料というものは提出してもらいたい。  以上で、質問を終わります。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 芳賀貢

    芳賀委員長 原茂君。
  104. 原茂

    ○原(茂)委員 遺憾ながら大臣をあと七、八分で解放しなければいけない約束がある。長官も恐らく一緒にという希望がある。次回の決算では、またきょうと同じような委員会になりますので、詳しくは、そこに譲ります。  大臣に三つお伺いしますが、一つは、カドミウム汚染米に関してです。  この土地は汚染土地だというのが、わかっているのです。つくってみて、いまだに検査をすると汚染米が出てくる。その処置をずっとやっております。現在八万トンくらいあるというようなことを考えますと、どうせ生産調整をするなら、汚染米とはっきりわかるところ、あるいは汚染地区と推定できるところを調整の区域に最初から入れるようなことをすれば、むだが省けるのではないかと思うのだが、それをどうしてやらないのか、それが一つ。  二つ目に、大河原長官が権威ある誌上の対談で、今回の米価決定に当たっては、米作農民の米に頼る気持ちを、これ以上刺激しないように、できる限り米価を低く抑えたい、こういう発言をした活字がある。大臣にこれを答えてもらいたい。長官に答えてもらいたくないのだが、一体食糧庁長官が、公然とそのような意図を発表したということを、大臣は少なくとも知っているのか、大臣の意思もそこにあるのか。  いま芳賀委員から非常に突っ込んだ質問があったのですが、私ども考えても、やはり何とかして米価を抑えたい、抑えるために農林省がある。農民の側に立って、農家経済の中心である米価というものを、少しでもぴしっと本来あるべき姿にしてやろうという風は見えない。残念ながら、米価を低く抑えることに農林省は挙げて努力しているようにすら感ずる。農民はそう思っている。いろいろな事例から、そういうことが言えるというようなことを考えますと、いま大河原長官の言ったということを私が指摘したことが、農林省自体、農林大臣自体もそんな考えを持っているのじゃないかなという疑いを持ちますが、これに答えてください。  最後に三つ目に、さきに選挙が終わったわけでございますが、少なくともわれわれ国会議員、衆参両院の議員というものは、日本の国民の意図を代表して象徴的に物事の審議をするわけであります。  この国会の審議の中に、米価決定というものを、麦価も同じですが、主要農産物価格決定というものは——政府のいまの意向というのは、国鉄の運賃ですら、国鉄当局で値上げを決定させたい、これはあなた方にとって不幸にして今回成立はさせられなかったわけですが、国会で審議しているものを、どんどんいわゆる行政当局が勝手に決めることができるようにしたいと言っているのには逆行するのですが、少なくとも米価という農民の経済にとっては、非常に重要な基本的な問題に関しては、国会の審議において議決をするということに戻したら、恐らく与党の皆さんも——きのうの武道館の大会に行きましても、皆さんみんな米価を上げるということを強く決意し、農民に賛意を表している異常な空気の大会が各所で持たれているというようなことを考えますと、やはり十分な論議ができるように、国会で米麦価その他を決めるということにすべきだ、そうしなければいけないと私は思いますが、この三つを大臣から答えてもらいたい。
  105. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 第一点は、カドミ米の問題でございます。これは年間、政府が一PPm以下ということで買い上げておりますのが一万五千トン程度でございます。いま国民の健康の阻害になるのではないかというような消費者感情を考慮いたしまして、配給に回すことをやりませんで、政府でこれを在庫いたしておる段階でございます。これが利用につきましても、合板ののり用でありますとか、いろいろな用途を考えて、その処分の方法をやっておるわけでございますが、いま原先生の御指摘は、まず、その地域につくらせないようにしたらどうか、こういう御所見でございます。  私どもも、たとえば花をつくるとか、その他いわゆるカドミによって人畜に影響を与えないような分野において、その土地を活用する、あるいは宅地等にもそれを転用する、いろいろなことが考えられるわけでございますが、関係農民諸君は、どうしても米づくりをしたい、一PPm以下であれば、とにかく政府が買い上げる、こういう食管のたてまえになっております関係で、私どもの希望するような方向には、なかなか進んでいないというのが現状でございます。  しかし、今後とも関係農民の諸君と十分話し合いをいたしまして、食糧用として配給できないものをつくらせるというようなことは、国全体の立場から見ても適当でないと、かように考えておりますので、今後ともそういう方向で努力をしてまいりたい、こう思っております。  それから第二点の米価に関する問題でございますが、昭和四十二年当時、これは食糧が非常に窮乏を告げた時期でございまして、あらゆる条件等を整えて、そして増産をやっていただかなければいけない、こういう状況下において、四十二年度の米価の算定の物差しができたわけでございます。  その後、生産あるいは需給の関係、その他物価、賃金、いろいろな状況下において、いろいろ算定の方式が変わってきた。——私は、このことを、過去のことでございますから、批判がましいことを申し上げたくないわけでございますけれども、米価の算定方式というものは、きわめて科学的、合理的に決められるべきものだ、こう考えております。  この生産者米価、消費者米価を決める米価シーズンを前にして、しょっちゅう論議はされるわけでございますけれども、そうでない時点において、これを静かに、各方面の学識経験者等そういう方で、米審の場で結構でございますが、米価シーズンでない時期において静かに、きわめて客観的、合理的に米価の算定の方式というものを御審議を願って確立したらどうか、このように考えておるわけでございます。  芳賀さんのおっしゃる四十二年の算定方式、物差しということにつきましては、しょっちゅう論議になる問題でございまして、たとえば生産費の算定に当たって八〇%バルクラインをとるべきである、また政府においては、これは全国平均の生産費をとるべきである、あるいは労賃のとり方にいたしましても、農家の家族労働の評価がえの場合におきまして、五人以上九百九十九人までの全国の製造業者の労賃に評価がえをしておる、この点につきましても事業所単位でございまして、中小企業の労賃をとっておるのではない、中小企業は、御承知のように三百人以下、資本金一億円以内というようなことになっておりますが、これは事業所単位でございますから、ソニーであるとか、あるいはナショナルであるとかいうような大企業の工場も全部九百九十人までの間には入っておる、こういうようなことで、この労賃のとり方につきましても議論の存するところでございます。  また地代の問題につきましても、できるだけ不労所得部分の地代というものは圧縮すべきであって、むしろ労賃の評価がえにおいて、本当に農民の所得が都市均衡労賃と同じようなぐあいに確保されるようにすべきである、こういうようなことで、いま地代を実納小作料というような相当特殊な、七%か六%程度、全体の耕作地で納めておりますものを、全部これを自作地に適用する、これも革新政党の皆さんにとっても、いろいろ御議論が存するところであろうか、まあ不労所得といいますか、そういう観点にもなるわけでございます。  この米価算定の方式というのには、いろいろ議論がある、私はこう思っておりますので、私見ではございますけれども、静かな時期に、米価シーズンでないときに、じっくりひとつ御検討を願って、ルールを決めたら、後は資材費あるいは労賃等の変動を的確に調査把握をして、それを正しく米価算定の中に反映せしむる、こういうルールを確立する。いやしくも政治米価とかなんとかならぬように、そして生産の落ち込んだ場合には生産奨励金と申しますか、増産奨励金と申しますか、そういうときに対応できるような別途の措置を講ずるとか、しかし米価は正しく一つの物差しによって算定をする。毎回——毎回と言っては語弊がありますが、しばしば算定方式が変わるというところに農民諸君からの不信感も出てくるというようなことで、私はそのように考えておるところでございます。  第三点は、米価を国会で決めたらどうかという原さんの御所見でございますが、私は、いまのところ、食管法に基づきまして、あの諸規定を踏まえて政府が決定をする。もとより予算の問題として国会で全体として、その結果について賛否を御審議の上御決定になる、これは国権の最高機関でありますから、国会の御承認を得なければならないと思いますが、原さんの一つの見識として伺っておくにとどめておきたい、こう思います。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、各党代表が待っておりますから、大臣行ってください。  時間切れで、いろいろ言われましたので、また後刻それについての問題を取り上げてまいります。  そこで、きょうは自治省からおいでいただいていますね。こういうことを簡単にお聞きしたいのです。  消防車、これがエンジンのものであろうと、手押しのポンプであろうと、こういうものを出動させるという権限は、どこにあるのか。市町村の場合で結構です。  それから、どういう場合に出動ができるのか。  三つ目に、ああいったものが出動したときに、取れるときには、たしかその費用を、どんな費用か知りませんが、取っていると思うのですが、一体どういう取り方をするのですか。三つに分けて……。
  107. 荒巻禎一

    ○荒巻説明員 お答え申し上げます。  最初の消防車の出動の権限という点につきましては、これは常設消防では消防長、それから消防団の方では一般的に団長がその権限を持っている、こういうことになっております。  それから二番目のどういう場合に出動できるのかという点についてでございますが、これは消防の任務ということと大体関係するかと思いますけれども、消防の任務につきましては、御承知のとおり、消防組織法という法律の一条に、その任務が規定してございまして、消防の任務は、「国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害に困る被害を軽減すること」である、こういうふうになっておりまして、一般的に消防ということで火災の鎮圧、予防ということは当然でございますけれども、災害の防除あるいはそれによる被害を軽減する、こういうことが任務になっております。  この災害は、それでは、どういう場合までを災害と言うかということでございますが、災害につきましては、直接消防組織法には規定ございませんけれども、いままでの消防の一般的な活動の状況あるいはほかの、たとえば災害対策基本法というふうな法律との関係等から見まして、一般的には自然現象あるいは物理的なと申しますか、風水害、地震、津波あるいは山崩れ、こういうようなものを一般的に想定しておりますけれども、最近の社会情勢なり、国民のニーズといいますか、意識の変化等に伴いまして、次第にその範囲が広がってまいりまして、御承知のとおり、たとえば山で遭難したというような場合の捜索あるいは海水浴場や釣りに行って行方不明になってしまったというような場合の捜索、救助、こういうものからさらに進みまして、お祭りのときの雑踏で、けが人が出たような場合の予防のために警備に行く、それから救急で、普通の健康な妊婦の場合でも、間に合わない場合に救急車で行くというような、国民の生命、身体、財産を守るという消防の本質的な任務に従いまして、できるだけその点は広く解釈して、国民の信頼にこたえていこう、こういうふうな態度をとっておるわけでございます。  それから三番目の出動手当につきましては、これも御承知のとおり、消防団の場合でございますけれども、団員は非常勤でございまして、一般的な報酬、月給というものはもらっておりません。出動いたしました場合に、一定の額を出動手当として受け取る、こういうふうな仕組みになっております。
  108. 原茂

    ○原(茂)委員 三つ目の費用の点は、団員の費用を聞いているんじゃない。消火に行くとか出動しますね。出動したときに、場合によっては事件を起こした方が払っていないかということです。
  109. 荒巻禎一

    ○荒巻説明員 消防につきましては、一般的に市町村の義務というふうになっておりまして、たとえ失火によって火事を起こした場合でも、その火元の人からはいただかない、こういうたてまえになっております。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 先に事例を言っておけばよかったのに申しわけないんだけれども、こういう事例のときに、いまのどれに相当しますかね。  北富士の演習場を中心にした、いま問題になっている二百十ヘクタールの、厳密に言えば二百十四・四だそうですけれども、これの国有地の払い下げ問題に関して、その地元にそれに反対をする団体、賛成をする団体がある。民間の団体ですよ。反対をする団体が、ある種の行動を起こそうとした、すると賛成の方の団体が消防車を先頭に立てて大ぜい団員を動員して、そうしてこれを阻止しよう。そういうときに、先頭にこの消防車を使うのですね。何回も、いままでもやってきたのです。ついこの間もあったのです。これは、いまの私が聞いた権限なり、それから出動のいわゆる動機なりという点に合わせてみて、どうでしょう。これは違法じゃないですか。こんなことができちゃいけないんじゃないですか。ずばり答えてください、時間がないから。
  111. 荒巻禎一

    ○荒巻説明員 ただいまの具体的な案件につきましては、私、実は直接聴取いたしておりませんので、一般的なお答えしかできなくて大変申しわけございませんけれども、先ほどから申しましたような消防の任務というものについて、消防の責任を負う団長なり消防長が、自分の組織、施設を使って、その仕事を行うかどうかということの決定は、一般的にその団長なり消防長の判断ということに任されておりまして、御指摘のような場合、果たしてそういう反対派の方に対抗的に出ていかれたかどうかということは、ちょっと私も実情がわかりませんので断言できません。  一般的に考えられますことは、恐らくそういう人が非常に対立したような形で、たくさん集まられるというような場合には、そこでけが人が出たり、あるいはお祭りの雑踏のけが人のような形で、特に火がついたり何かして、その辺の野原で火事が起こったり何かすることがないか、いろいろな心配から出てこられるということもあるわけでございまして、それがそういうような判断で行かれたか、あるいは違った目的で行かれたかにつきましては、ただいまのところ、判断をひとつ留保させていただきたいと思います。
  112. 原茂

    ○原(茂)委員 私が設問しているのです。ほかのことを言わなくていいんですよ。私がいま言ったでしょう、そのときに一体違法ではないかと聞いているんですよ。  賛成派の諸君と反対派の諸君があって、反対派が出動したのを見ると、賛成派の諸君は消防車を出してくるのだけれども、人数は賛成派の消防車を先頭に立ててくる方が多いんですよ、大体。それで鎮圧じゃないけれども、ぶつけられちゃばからしいから、血を流さないように引っ込んじゃうんです、反対派の人は。ばかじゃないですから。だけど、それで何回も済んでいるからといって、そのことが行われていいというのは私は理解できない。無法地帯だ、そんなことができるということは。むやみにそんなものを使っちゃいけないというふうに判断するのですが、いま言った事例、ほかのことを何も考えないで、私が言ったことが事実あったとした場合に、それはどうですか。いいですか。
  113. 荒巻禎一

    ○荒巻説明員 ただいまの賛成派と反対派がぶつかり合うというような場合の件につきまして、恐らく警察法の二条の関係の「警察の責務」いわゆる個人の身体、生命を守るということから、あるいは犯罪の予防、鎮圧、そういう仕事との関係と、この消防の関係ということも絡んでくると思いますが、一般的に消防と警察の仕事というのは、同じように国民の身体、生命を守るということにありながら、その形態としましては、発生的にも消防は火災、災害から守るということが中心でございまして、本当の犯罪的な形での対立があった場合には、第一義的には警察の問題じゃないかという感じがいたします。  しかし、そのときの、これまたいま言った範囲の中だけで答えろということにつきましては、若干踏み出して恐縮でございますけれども、そういう中でも、果たして反対派であろうが賛成派であろうが、そこでけが人が出たり何かするおそれもある、あるいはそういうもみ合いの中から火災が発生するおそれがあると判断した場合には、やはり消防が出るべき責務がある場合もあるということはあるのじゃないかという感じがいたします。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員 あなたには、それしか答弁できないでしょう。用心深く言っているのは、よくわかります。だけど実際に、そういった事態が今度起きたときに、だれが命令をして、何の目的でということをもっと調査して、そして私が言ったように、本当の民間団体の賛成、反対の動員したその動きに対して、片方がそれを使うことがいいのか悪いのかということを、また後ほど聞きます。いま言いにくそうですから、きょうはそれで結構ですが、私はこういうことは違法だと思う。そういう使い方はいけない。もっときっぱりと答えられないと、これは拡大していったら、何に使うかわかりませんよ。  だから、ああいうことは小さい土地で無法地帯のように行われていても、知った以上は厳にこれを慎ませる、戒めるというのが、あなた方の立場でなければいけないと思いますから、この次、それが起きたときに、もっと詳細にきちっと事例を挙げて突きつけていきましょう。その方がいいでしょう。そのときに、あなた方が毅然たる態度で、違法は違法と言っていただくようにしないといけないと思う。こういうことが何回も行われているのですよ。こんなばかなことを許しておいてはいけないと思います。その点を聞きたかったわけですから、結構です。  それで、きょうは大蔵省の皆さんに来ていただいていますので、北富士の国有地の払い下げ問題のその後の経過を、ひとつ簡単に報告願いたいのですが、私が前に何回か委員会でいろいろ申し上げた後、国有財産審議会だとか、あるいは小委員会だとか、あるいは関東審議会だとかいうのが答申を一々出して、一応山梨県へ払い下げるべきだという決定をされた。大蔵省は、これを受けて山梨県へ払い下げをするという方向で、いま県との折衝を行い、作業を行っているのが実態であります。  その間に現地では、いろんな問題が起きています。いま言った消防車が出動した問題も、その一つなんだというような事態が現地では非常に起きている。特に七月十九日には、俗にいう過激派の学生、中核だ何だといわれるような諸君が四百五十名、約五百名あそこに集まった。三里塚その他からもどんどん集まって、毎年一回、七月十九日に行う、いわゆるお祭りと称する会合を持ったわけです。たまたま国有地の払い下げが、すでに決定をした。現地におけるいろんな矛盾、いろんな問題の解決には一切手をつけないままに、払い下げがどんどん進められていこうとすることに対して非常な憤りを持った、この諸君を中心にした大きなデモンストレーションが実は行われて、かつて見ないものになってしまいました。今後この情勢をほっておきますと、またどんな大きな事態になるか。要するに前から申し上げているような、成田において血を流したような事態が頻発するような予感もするし、そのおそれが多分にあります。  この間、過激派の諸君も集まった十七日の第一回会合の中で、あなた方は耳にたこなんでしょうが、こんなことを物すごい真剣な態度で決議をしたり、あるいは宣言をしたり、血の叫びのような叫びを上げているのですね。  「払い下げ国有地の利用権死守!」「二百十ヘクタールの県への払い下げは入会権をふみにじるもの!」「梨ケ原の死守を!」「国有地奪還!」「演習場全面返還!」これが一番問題になります。それから、いままでずっとやってまいりました、現地で苦労を重ねてきた組合の渡辺会長なんかも、演説の中でこういうことを言っている。  「返還国有地は、われわれの体の一部であり、忍草共同体の命です。たとえ山裂けるとも、この原の横取り」横取りとは県への払い下げなんですが、「は、許さない。」というような叫びを上げる。「北富士の勝利に向って闘う!」とか「北富士と三里塚が手を結んで農民の為に闘おう!」とか「北富士闘争二期目の闘争宣言」をしたり、「返還国有地の県への払い下げは地元の民生安定にはならない!」「二十二年前の六月二十日に忍草の農民が米軍の着弾地に座り込み、入会権のあることを宣言した。われわれは絶対に入会権を今日までと同様今後も守り抜く。そのために血が流れようと覚悟はできている。」というような、単に何か言っているなではなくて、私が前段に申し上げたように、事実このことが具体的な闘争として、住民間に血を流すような大きな闘争が起きるような、いまそういう雰囲気が満ちておりますが、この十九日に、たまたま爆発的に出てきた。予告と受け取っていいというように思います。  こんな事態があったことを多分御承知だろうと思いますが、これをどのようにごらんになっているのか。いままでの審議会、関東審が出したそのときの結論、答申の内容、その後の県との折衝の内容、同時にいま申し上げた、その間に起きた事態の中の一番大きな十九日の事態に対して、どう受けとめておいでになるかを、三つに分けて、しかも長たらしい答弁は要りませんから、簡潔に答弁をしていただきたい。
  115. 川崎昭典

    ○川崎説明員 審議会の様子でございますが、六月の二日でございますか、中央審議会、続きまして、中旬、十六日に関東地方審議会の御答申があったわけでございますけれども、本事案の重要性にかんがみまして、審議会としましても、二つの重要事項ということを確認しております。  私どもは、この二つの確認事項を遵守してまいりたいと考えておりますが、一つは、長い間林業に供する、地域の環境保全をも含めて、民生の安定のための林業に供すること。もう一つは、払い下げを受ける県の側が真剣にといいますか、地元問題を円満に解決できるように努力をすること。その二点でございます。  これを受けまして、私どもは払い下げの事務を進めておりますが、その間、県では鋭意努力をしておるわけでございます。  いまお話しの、七月ではなく、六月かと思いますが、十九日の事件は、私、詳細は伺っておりませんけれども、そういったようなことが今後たびたびないように、円満にいくように県が努力をするというふうに伺っております。
  116. 原茂

    ○原(茂)委員 ないように念願をしていたら、その念願が実現できるように誠意ある努力をしなければいけないと思うのですが、大蔵省の今日までの、その間の態度を見ていて、誠意ある努力は何もしていない、われわれには感じとれないという点を、私は非常に不満に思っておりますし、いま私が払い下げ問題に対して、ずっと論議してまいりましたのは、衆参両院の国会議員によって構成されている決算部会における、わが党の決定に従ってやっておるわけでありますが、もう少したちますと、党全体の問題として、党が前面に立って、この問題の処理に当たるようにまでしなければと考えています。  できるなら、そうしないように、われわれもいままで努力をしてまいりました。しかしながら、大蔵省当局の県との折衝の間におけるその努力の跡、誠意の跡というものが何ら感じられないというところに非常な不満を持ち、ある意味では、私の力足らずだ、もうこれ以上は単なる決算部会長としては、限界なんだろうという反省も、そろそろ持ち始めているわけであります。  やがて前面に出て、党全体の問題としてやるときには、現地に対する責任ある指導もやりますし、この不当な現時点の問題点を、あいまいもこにしたままで、とにかく問題うるさいから、早く県に払い下げればいいんだというようにすら、周りから見て感じ取れるような誠意のない態度が続く限り、現地においても、私どもが考えている正しさを行動で示すことをもあわせて考えております。  きょうは、ある意味では時間が当然足らないと思いますから、次回また引き続き問題点を論議をしてまいります。  私の誠心誠意考えておりますのは、少なくとも来年三月、北富士演習場のいわゆる契約期限が切れる、再契約の時期が来る。それまでに、長く続いたこの種の紛争を全部とにかく解決する。そうして政府も国民も希望している、いい悪いは別にして、ある北富士の演習場というものが、平和のうちに安定的に使用できるようにということは、どうせあるなら、どうせ使用しているなら、安定的に、その周りで始終血を流すような三里塚、成田に準ずるような、かつての北富士の紛争に準ずるようなことの再現しないように、問題のあることは、長い間の歴史の中で問題が積み重なってきている。いまだに解決をしないどころか、かえって、ある意味では非常に深刻な事態になっているこの事態を、やはり演習場の使用期限の切れる三月が期限だから、それまでに解決をするということが一政治家としても義務だと思う。国会に籍を置く者としての当然なすべき仕事なんだという、私自身に言い聞かせた気持ちで、しょせんは、とにかくやりたいことは、来年の三月までに問題の解決を、この際やるべきだ。やれるように、皆さんが知っていること知らないこと、あわせて私の、まあまあ浅く不勉強であっても知った範囲のことを、委員会でその都度誠心誠意申し上げてまいりました。  それが、ある一部くみ取られ、あるいは利用され、ないしは私の過ちが指摘されながらも、とにもかくにも目的としては、演習場がどうせあるなら、これが平和裏に安定して長期に使用できるようにしてやる。現にある問題の解決が、困難ではあっても不可能ではない。われわれは、どんな問題に対処するときも、その問題の複雑さ、あるいは困難さがあっても、それに辞易して、だから逃げるという態度は、今後の政治の一番大事な姿勢として逃げてはいけない、とにかく取り組んでいくんだ、問題の解決を必ずやるという決意でやれば、不退転でやれば、できないことはない。いままでその経験を私は何回も経験したではないか、政治的にも、個人的にも。自分にもそう言い聞かせて、とにかく来年の三月をめどに、この問題の解決をする。その前段のめどとしては、何といっても、山梨県への払い下げが実際に契約ができるという前に、ある程度の解決のめどをつける。そうして大蔵省も——きょうは局長も来ているわけですね。大蔵省も例の答申の中にある、ただそれを軽く読まないで、国としてやるべきことをやったと、そういう実績が、具体的にどんなつまらないことに対しても十分な誠意を示した努力を重ねていって、そうしてこの答申の最後にあるような「しかしながら、地元問題の円満な解決のため、払下げ相手方である山梨県が、現地の実情を十分勘案して、適切な措置を講ずるよう、国としても十分指導を行うこと。」この「十分指導を行うこと。」ということが、山梨県に対して、地元の反対だ何だという問題を起こしている団体に対して、十分に話し合いをやりなさい、もっと話し合えと言うだけで、国として十分な指導をしたことになるのか。ここに実は非常に重要な意味があるのです。  「国としても十分指導を行う」ということは、これはきのうも来られたから、よく言っておきましたけれども、山梨県に払い下げを行う。これには、もう反対じゃない。決定したんだ、やむを得ません。であれば、次善の策として、現にずっと長く続いている問題をどう解決するのか、問題があるんだから、その解決案を大蔵省に示しなさい。大蔵省はその案を見て、大蔵省の考えというものを、こうしたらいいじゃないか、あるいはこういう法的な措置をやって、これに対して、いわゆるよりベターな解決策にするように、こうしたらどうかというサゼスチョンを行う。山梨県はまた考えて、またこうしますと持ってくる。これに対してまた大蔵省が、いや、もうちょっとこうならないかということを何回か繰り返した後に、まあ、これが最後だろう、大蔵省がやるべき国としての十分な指導も行った、そういったことで、初めてこれならどうかという案が出たときに——それは、だれからも一〇〇%満足される案なんかはできっこない。問題がある以上は、必ずどっちかが、五〇か六〇か四〇か知りませんが泣く。どっちかがまた反対に、何十%かはがまんするということでなければ、現にある問題の解決というものはできない。一〇〇%どちらかに偏るという解決は私はない、そういう見込みを立てている。それでいい。それが政治なんです。われわれの尽くすべき目標なんです。  そのことをつかみ得るまでに、ただ山梨県に対して、払い下げの契約は近くやってやる、何回か反対の団体と会議を持って相談をしろ、話し合いをしろと言うだけで、いまの大蔵省の態度は、それしかやっていませんよ。ほかにやっていることがあったら、何をやっているか示してもらいたい。私には全部わかるのです。何もやっていない。一体「適切な措置を講ずるよう、国としても十分指導を行うこと。」ということに、これでこたえられるのか。審議会の答申を、それほど軽く見ていいのか。そんなに審議会というものをあなた方が、ただ国有財産を払い下げる便法として使うんだという態度を証明するなら別ですが、そうでないなら、真剣に受けとめるなら、幾つか問題が非常に深刻に起きている限り、この末尾の条項というものは、非常に慎重に受けとめて、十分に誠意を尽くした、努力をした後でなければ、国としても十分な指導を行ったということにはならないというふうに考える立場から言うと、今日まで大蔵省のやった態度というものは不誠意千万、何らやっていない、誠意ある努力をしていない。私どもの肝に銘じて許せない態度であります。  その点で、きょうは局長が本当はいなくてもいいでしょう、次長がいればいいでしょうというお話がありましたが、やはり新任の局長に来ていただきたい、こう私は言ったんですが、いま私が言ったそのことだけに関して、もう十分ごらんになって研究もしていると思うのですが、この地元問題に対して「適切な措置を講ずるよう、国としても十分指導を行うこと。」という、その「十分指導」というものは、いまやっているような山梨県に対して、反対の団体に対して同じテーブルにつかして、とにかく話し合いをしろ、話し合いをしろと言うだけで済むとお思いになるかどうかだけ、局長から、まず答弁をしていただく。
  117. 田中敬

    ○田中説明員 北富士の払い下げ問題につきましては、冒頭先生がおっしゃいましたように、国の目的といたしますところは、北富士演習場の将来にわたる安定的な使用を確保するということから問題の端が発しまして、閣議了解あるいは地元議員団のごあっせん等の経緯があって今日に至ったことは、御承知のとおりでございますが、その中におきまして、民生安定ということが非常に強く言われております。  その民生安定のために、従来の問題については審議会の答申におきましても、国として十分地元指導するという条項が付されておりまして、私どもも、この点につきましては、山梨県側に対しまして何度かその要請はいたしておりますし、今後の実際の払い下げの経緯を通じまして、今後も山梨県とよく話し合って指導してまいりたいと存じておりますが、ただ、国がこれに直接どういう手だてができるかということにつきましては、事が地元の問題でございますし、地元の民生につきましての行政責任者というものは、当然地元の公共団体が第一義的な責任を持っていただかなくてはならない。  そういう意味におきましては、国が前面に出ますよりも、地元の事情に精通した、地元の住民に密着した地元公共団体に実際の措置はお願いしたいということで、その要請はあくまでも続けてまいりたい、これが私どもの現在の基本的な考え方でございます。
  118. 原茂

    ○原(茂)委員 局長の言っていることも半分わかるのですが、私の質問しているのは、いま山梨県にいろいろな問題がある。その当事者と話し合いをしなさい、話し合いをしなさいと言うだけで、十分国としての指導を行ったことになるか、こう聞いておる。  その前段にやりとりをしなさいと、私は言いました。知恵も出しなさい、どんな案なんだと聞きなさいと言った。局長、もう一遍答えてもらいます。それだけ端的に答えてください。いまのように、山梨県に対して話し合え、話し合えと言うだけで、十分国としての指導をしたことになるかどうか、答えてもらう。
  119. 田中敬

    ○田中説明員 今日までの国の指導あるいはこれに対する態度が十分であったかということにつきましては、いろいろ御疑問もあろうかと存じますが、私どもといたしましては、今回、払い下げ契約が、いずれ近く実行に移されると存じますが、その段階におきまして山梨県にも十分要請をいたし、その要請に基づきまして、先般山梨県の方のあっせんによって、地元でいろいろ協議会を持とうかというような意図で会合も行われたことを承知しておりますが、これらの施策をさらに推進していただくようにお願いしていきたいと思っております。
  120. 原茂

    ○原(茂)委員 それも一部、これからやる態度として納得できないわけじゃないのですが、私がせっかくいままで言ったように、問題があったら、その問題の解決案というものを県が持ってくる、それに対して、ある程度のサゼスチョンを行うというやりとりが少なくともなければ、ただ、県が地元と話し合え、話し合えと言うだけで契約をしてしまうという態度では、いけないということを私は言っているわけですから、そのことだけは、おやりにならなければいけないと思いますよ。どうですか、もう一度。
  121. 田中敬

    ○田中説明員 山梨県の方で進めております地元の協議というのは、第一段としまして私どもが了解しておりますことは、県としまして、地元の意向、いろいろ権利を主張される方々の御意見をその協議会の場——正式に協議会という名前かどうか私存じませんが、協議会の場を通じてくみ上げられて、そこで一つの解決策を県としてお持ちになって、それで私の方へその解決策について御相談があるものというふうに承知いたしておりますので、その段階を通じまして、十分指導してまいりたいと存じております。
  122. 原茂

    ○原(茂)委員 なかなか言いようが、むずかしいらしいので、結局私のいま申し上げている意思と重ねて同じものと解釈できますから、いたします。それはぜひやらなければいけない。  それからもう一つ。演対協の会長を通じなければ林雑補償を払わないのだというようなことが前にございましたね。いま現に行われております。同じように、従来は、いまの国有地の中に永小作権を主張し、あるいは牧草の栽培入会権というものを主張して、米軍の進駐した当時から、ずっと長い間やってきた。これは国と折衝を行ってきた、いいとか悪いとかを通じて。それを今度いきなりひっくるめて、県へ払い下げてしまうんですね。そうすると、今度相手は県だと、いきなり言われるんですね。これも矛盾なんですよ。そういうやり方は、これから通りませんよ。  たとえば、私がどこかに住んでいて、そのうちを私が知らない問に、だれかにいきなり売ってしまった。買い受け人と、これから交渉しよう。私は断じて承知しませんね。民法上も対抗しますよ。私の承諾なしに、私の住んでおる借家を勝手に第三者に売ってしまった。その第三者に対して、これから何かあったら、原、おまえ折衝しなさいと言われて、そうですかと私はやりませんよ。断じて承服しませんよ。事前の私の了解ないうちに、私の住んでおるうちを勝手に売ってしまって、それで第三者のBなんという人に、これから何でも話をせいと言われて、そうですかなんて私は言わないよ。そういう問題も現地にありますよ。これはまた後で次の機会にやりますけれども……。そのことも、いま局長の答弁の中で、ちょっとひっかかったから申し上げておく。そういうことが正しいと言えません。  そこで、この問題が、その後どんどん進んでいって、ついに三百何十円かに単価を決定して売られることに——売られる値段は決めたらしいですね。それは三百幾らですか。
  123. 川崎昭典

    ○川崎説明員 三百四十八円くらいと思っております。
  124. 原茂

    ○原(茂)委員 それは一平米ですね。
  125. 川崎昭典

    ○川崎説明員 さようでございます。
  126. 原茂

    ○原(茂)委員 その値段を決定するのに当たって、どういう要素を考えて、その値段を決めましたか。
  127. 川崎昭典

    ○川崎説明員 価格の決定の要素と申しますか、現在、取引事例というものを参考にして決めるという方式になっております。原価法とか、あるいは収益還元法という方式は採用しない。売買実例比較法あるいは取引事例法と呼んでおりますが、したがって、その取引事例を比較して、その土地が林地であるという前提で評価をしたものでございます。
  128. 原茂

    ○原(茂)委員 これまた局長に判断を聞きたいのですが、われわれもそうですか、土地を買おうというときに、その土地の中にいろいろなごたごたがある。局長が自分が住もうというので、一千坪なら一千坪買おう、三千平米買おうというときに、その土地にはいわくつきの問題が三カ所も四カ所もあります。それを隠して売る方も売る方ですけれども、そしていま次長が答弁したような算出による三百四十八円で売ることにいたしました。買う方が素直に買いますかね。  今度の場合、山梨県が素直に買うのですよ。何かそこにおかしなことはありませんか。値段を決めるときに、こびりついた問題があるのに、そのことは全然考えない、計算の要素にしないという値段の決め方自体が、実際の法律上どうのこうのというのは後にしまして、世間の常識からいって、そういうことが通ると思いますか。買う方の本人が、それで結構だと言うなら、いいじゃないか、いま答弁をすれば、それ以外ないでしょう。山梨県は、それでいいと言っておるのだから。だけれども、国の財産を売るんですよ。  国の財産を売るときに、その問題がどういうふうに発展するかわからない。やがて、その問題がこじれてくると、もう国は売っちゃったから用はないと思った、その国に対して、今度は買った県が法律的に補償を要求することができるのですよ。そうすると、国民は後で不当な損害を受けることになりますよ。  したがって、その問題がある以上、その問題の解決のある程度の方向を出し、これにはこれだけの手当てをすれば、もう一度売り主に対して補償の要求などが出てこないというような、ぴしっと見解が決まったとき以外は、国の財産を扱う大蔵省としては、軽々に売買してはいけないと思うのですが、どうですか。後でどんどん問題になって、国へどんどんまた請求が来て裁判をやります、何だということがわかっているのに、その問題があっても構わないのでしょうか。——局長答えてください。法律論ではなくて、常識論で答えてください。
  129. 田中敬

    ○田中説明員 きわめて常識的なお答えを申し上げますが、国有地の払い下げであれ、通常の売買であれ、そこに一つ係争中の問題、いろいろな物権、権利の問題というものがあります場合に、これを処理してから売買契約をするという方法と、それから、それを未解決のまま、そういう問題の所在を承知の上で、引き取り手は引き取るという二つの方法があろうかと存じます。国有地の場合についても同様であろうかと思います。  本件、梨ケ原の件につきましては、これは法律的には、いろいろ議論がございましょうが、国並びに県とも、言われておるところの第三者の御主張になっておる権利というものは、消滅しておるという前提で事柄を進めておりますので、そういう意味では、今回の価格につきまして私どもの考えておることと、山梨県が考えておられること、これが一致して、大体山梨県がそれに基づいて県会に議案を付託なさったというふうに考えております。
  130. 原茂

    ○原(茂)委員 その点は、いま局長の答弁したことが間違いだと私は思うし、後からそのことを指摘します。  常識上考えて、その問題があることを山梨県は承知している。その場合の今度は取り引きをするのだとおっしゃった。国の立場から言うと、その問題が国に後で損害を与えることは絶対ないということだけは、はっきりと認めた上で取引をすべきですよ、いいですか。その問題の今後の行方によっては、払い下げはしたのだ、山梨県は承知の上だった。ところが、その問題が、ついにこじれて発展していったら、国にもう一度損害が来るということは、もうないということを、はっきりと断言できる状態になってからでなければ、公式的に言うなら、この取引はすべきではないと思います。  山梨県へ払い下げることは、すでに決まったのですから、それを阻止しようとかいけないとかということは、いまむだな論議ですから、しない前提です。だが、問題をせんじていきますと、国の立場で、もう一度国に波がかぶることはないよということを断言できるかというと、できないと私は思う。どんな問題があっても、この問題、この問題想定して、絶対に国にはもう来ない、こういうことが言えるかどうかは、これから少し二、三の問題で言っていきますから、そのことも含めて、また次回に、きょう時間がなかったら、はっきりと考えをお聞かせをいただきたいと思いますが、私は常識的に考えて、問題がこじれてある限り、それがまた国の損害となって返ってくるようなことが断じてないという、けじめがつくまで、やはり当局としては、やってはいけないと思いますよ。これは公式的な論議です。公式的にはそう思います。  それから順序で、これからちょっと申し上げてまいりますので、まず、こういうことを、いままでの繰り返しになりますが、頭にもう一度思い起こしていただきたいのです。  五十一年、去年の夏ですが、田辺知事が、あるいは有泉演対協の会長が、入会権に関して次のように言っております。これはひそかに言ったんじゃありませんよ。県会で正式に答弁をし、正式に記者会見をして新聞発表をし、正式に質問があった文書に対して、文書で正式に答えた等、全部総合したものを簡単に、前から言ってあることなんですが、こういうことを言っているんですよ。  忍草入会権を守る会に対して、慣行権は認めなければならないから、入会協定を結びますと言った。また地元住民が使用、収益してきた入会慣行は、所有者がかわっても承継されると責任ある言明をしているのですよ。回答しているのです。これはおよそ国の立場と違うのですよ。細かく前段のことを言わなくても、おわかりだと思いますが、およそこれは違うのです。  現実問題としては、現に入会慣行というものがある、永小作権があると主張して、ずっと小作をやり、牧草栽培をやってきているんですよ、何十ヘクタールか。これに対して山梨県は、責任者である知事が正式にそれは認める、承継されるものだ、持ち主がどんなにかわろうと、これだけは守ります、認めます。これはずいぶん国の皆さんの立場と違いますが、どうお考えになりますか。
  131. 川崎昭典

    ○川崎説明員 国の考え方を簡単に申しますと、入会慣行は尊重するということであります。(原(茂)委員「それは知っているから言わなくていい、知事との立場が違うのは、どうするのだと言っているのだ」と呼ぶ)その知事さんの、ただいま申されました表現自体私よく存じておりませんけれども、入会慣行を尊重するという国の立場とは、矛盾しないものだというふうに受け取っております。
  132. 原茂

    ○原(茂)委員 大蔵省の立場も、入会慣行を認めるという立場ですか。
  133. 川崎昭典

    ○川崎説明員 国の考えとしまして、入会権は認めないが、入会慣行は尊重するという考えでございます。
  134. 原茂

    ○原(茂)委員 これは貴重な答弁なんですよ。いままでの委員会の私の速記録を見てごらんなさい。そういう答弁はなかった。これは非常にありがたいのですよ。これは正しいし、正当なんです。入会権は認めなくても、入会慣行は尊重する。そうすると、山梨県知事の言った、これとぴったり合います。これは問題が一つ解決しました。  それから、忍草入会組合など、権利を主張して牧草の手入れ、それから施肥、肥料を施す、大がかりにどんどんいまやっているのです。これはどうなんでしょう、国の立場で。入会慣行を認めるのだから、大がかりな手入れをして、肥やしもどんどんやっていることは差し支えない……。
  135. 川崎昭典

    ○川崎説明員 国管法によります使用許可のお話かと思いますが、それは期限が切れておりますから、そのことを承認する考えはございません。
  136. 原茂

    ○原(茂)委員 入会慣行を尊重しながら、このことは認めない、国管法に従ってだめだ、これは矛盾しませんか。どう解釈したらいいのですか。
  137. 川崎昭典

    ○川崎説明員 入会慣行というものの内容は、またいろいろあろうかと思いますし、また一時使用ということも、その使用の条件と申しますか、形態によって、その使用の態様が変わってくると思いますが、ただいま私、申し上げましたことは矛盾するとは考えておりません。
  138. 原茂

    ○原(茂)委員 矛盾するとは考えていないと言わざるを得ないから、そう言っただけなんであって、これは、だれが聞いたって矛盾ですよ。入会慣行を尊重するのだと言いながら、ここで仕事をすることは認めない、そんなばかな論理が通るわけがないですよ。これはひとつ後で考えておいてごらんなさいよ、そんなばかな答弁を平気でここでやるなんということは。いまそんなことをあげつらう時間がないから、いいんですが、覚えておきます。後でまた、あなたもよく勉強しなければいけない。  それからもう一つ、富士吉田市の旧十一ケ村の入会を守る会、これは渡辺孝基という人が会長ですが、六月七日に、県の監査委員に対して監査請求を出したのですね。それを知っていますか。
  139. 川崎昭典

    ○川崎説明員 日が浅うございますので、知っておりません。
  140. 原茂

    ○原(茂)委員 知ってない……。  その監査請求の理由ですが、入会権や永小作権など諸権益の付着した国有地は、事実上利用不可能、県は払い下げを受ける際、利用権を含んだ対価を国に支払うなら、重大な損失をこうむるので、必要な措置をとってほしい、こう監査委員に監査請求しているわけですね。  そして問題点を幾つか指摘しているのです。  さきの田辺知事と演対協会長の言明、さっき言ったとおりですね。  二つ目に、忍草入会組合の植栽林がある檜丸尾や、耕作が続けられている土丸尾、さらに農林省の開拓財産である農道、農水路が問題の国有地をずたずたに切りさいなんでいることなどを挙げて、国有地の利用権は確有権であると主張しているわけですね。  次に、国が地元住民の諸権益を否定して売買契約を求めたときは、国の責任で、この問題の一切を解決すべき旨を国に対して要求するようという主張をしている。  要するに、県も認めている入会慣行が、あいまいな形で処理されたりすることは、さきの審議会の答申にある、これらの問題解決に、国も責任を持って当たれという趣旨に反するし、もし、これらのトラブルを残したまま処理、売買された場合は、売り主が責任を負う民法五百七十二条がある。また第三者が売買物件をめぐって権利を主張した場合は、買い主は、売り主に代金の一部または全部の支払いを拒絶できる民法五百七十六条もあるのだからという強行規定を列挙いたしまして、措置請求の論拠にしているわけです。これを放置できますか。  こういう論旨で言ってきているものを——いま私がしゃべっただけじゃ、まだわからないという点があるなら、後で結構ですが、こういったものが現に県へ、監査委員に対して出されているのですよ。  あなた方は、ただテーブルに着いて話し合いをしろ、反対派と話し合いをしろと言う。県は、県だけではとても解決できない、こういう問題をどんどん突きつけられていて——その他にもずいぶん問題があるのですよ。こういうようなものを契約をいたします、県が承知しているのだからいいのだ、一体国が、こういうものを放置したままで十分な努力をしたことになりますか、私はならないと思う。  これは言っただけじゃわからないと思うから、後でゆっくり記録を見て、これに対してもよく考えておかないと、こういう問題がこれからどんどん提起されるのですよ。どんどん提起されるのですから、記録を見て、ひとつ十分に考えてごらんなさい。これ一つ考えても、問題の解決がすぐにはできない。ただ県が、気持ちだけ解決するのだ、解決するのだ、こう言っている。それをうのみにして交渉しなさい、交渉しなさいだけじゃだめですよという一つの例に申し上げたのですが、これは後で記録を見て十分に検討していただいて、これに対しても、やはりこうするのだ、私はこう考えますという、皆さんのいわゆる見解というものが、次回出されるように期待いたしてます。次回は今月の末か来月上旬ですから。  それから、国有財産中央審議会と返還財産処理委員会の答申にありました、いま私ずっと読みましたが、その十分な指導というものは、砕いて言いますと、こんなことになると思いますから、もう一度頭に残していただきたい。  県の問題解決に対する内容を報告させる。それに注文をつけて助言、助力をする。三つ目に、国の立場で納得し得る解決策ができるまで指導を行い、その解決案をつくった後、売買契約を行って、初めて十分な指導をしたことになるのですよということを、せんじ詰めると私は言いたかったわけですから、これもひとつ記憶に願いたいわけです。  いまお聞きしますと、三百四十七円八十九銭というのを三百四十八円くらい、二百十四・四ヘクタールで総額は七億四千五百九十四万円というふうに決まった。そこで、この単価決定には、いま申し上げました入会慣行とか永小作権、開拓道路などの権利関係を明確にした上でなければ、適当な単価が決められるはずはないと私は思うのだが、さきの審議会の条件を考えてみても、こういったものを全然考えないで単価を決定したのは、実に不思議ですよということを、いままでくどく申し上げてきたわけです。  そこで、具体的な問題ですが、この単価決定に入会慣行とか、いま申し上げた三つの問題もさることながら、法律的に考えても大変むずかしいなという問題が二、三あるんじゃないかということを実は考えているわけです。  その前に、富士吉田市外二ケ村恩賜林保護組合などに林業整備事業を委託する等の計画は初めから、審議会にかける前から、どんどん進んでいたとおり、いま進んでいるのですよ。そうして、いま問題のあるものに対しては何にも進んでない。交渉しろ、交渉しろと言って山梨県のしりをたたいて、同じテーブルに着いて第一回の会合を持ちました。何の成果もなかったのだけれども。しかし、片方の県との間の林業整備の方は、いまどんどん進んでいますよ。  私は、この事態を見まして、やはり国という立場、親の立場で、山梨県という子供の立場か何か知りませんが、そういったところに、ごたごたが起きているときに、片方の言っていることだけは、どんどん進めてしまう、そして本当に血の叫びのような問題を叫んでいる諸君のことは適当に話せで、国としては何ら温かい手が伸びていないというような問題の解決の仕方をすると、どこかで爆発的な、日本人同士が血を見るような、いやな問題が起きる原因になる。  われわれの家庭だってそうですよ。女房がいて、子供五人がいて、みんな大きくなったのに、女房の言うことだけ聞いて、それをどんどん亭主が進めてしまって、大きくなった子供五人が、とにかくあの問題も、この問題もあるからと、何とかかんとか言っているけれども、そっちの方は適当に頭をなでて済んだと思って、女房の言うとおりに、どんどんやってごらんなさい。後になって、とんでもない家庭不和になる。この問題も全く同じなんですよ。変わらないのですよ。そういうことを平気でいまやっているのが、大蔵省の立場だというふうに私は思う。  林業整備なんか、もう御存じのように松、モミ、シラベ十二種類の計三十八万八千本を今年度から三カ年計画で植えるのだ、これらのことを県の方では、どんどんやっています。いいですか。  そこで、払い下げ地を普通施業林だとか施業見本林、法正林というような六地区に分けることを考えているようです。費用の点も、下刈りなど保育の総費用一億三千七百万円は、恩賜林組合が負担する一方で、県と恩賜林組合との間に分収造林特別措置法に基づく分収造林契約が結ばれて、そうして成木、これは四十年から七十年かかるのですが、その収益が保護組合、恩賜林組合ですが、に配分されるということまでずっと進行しているのですね。まだ契約ができていないのですよ。だけれども、そんなことまで、ずっと進んでいますよ、保護組合との間に。恩賜林組合との間で、片方では。  これは私、正式にはいいと言えないと思います。目下国会で、こんなに論議している。委員会における決議もある。坊大蔵大臣も、きちっとまともな答弁をした。総理まで本会議において答弁をして、十分に誠意を尽くして努力するということになっている。その払い下げが決まるか決まらないか、いま論議をしておる最中に、県の方では、もうどんどん進めちゃっているのだ。そうして費用を、おまえ、このくらい持てよ、保育費をおまえこれだけ持て。保護組合の方は、組合の総会を開いて、こういうことをやりますということを、どんどん総会に諮っている。人もなげなといいますか、余りにも国をなめたといいますか、こんなことが許されていいはずがない。  ずいぶん現地では進んでいるのですよ。したがって、きょうの新聞に出ているように、七月の定例県議会、きのう田辺知事は、こういうことをちゃんと言っておりますよ。  ずっと読むと、北富士がずっと出てきまして、けしからぬことがいっぱいありますけれども、特に「国有地払い下げに関する条件の大要は一、本地を林業整備事業の用に供する。二、払い下げ財産は普通財産とする。三、林業整備事業は分収造林方式で実施する。四、用途指定期間は六十年とする。五、払い下げ価格は林地としての時価とする。六、諸懸案事項処理は、県、地元市村及び保護組合等が地元問題としてこれを解決する。」という内容の県議会における報告をしているのです。  これを見て何かひっかかるものがありませんか。  第一にひっかかるのは、分収造林、あなた方は、これは承知の上らしい。分収造林というものを知っているらしいですね。きのうの次長の話では、そのことは、もう当然のような顔をして知っていたらしい。これが一つの問題。  六番目の「諸懸案事項処理は、県、地元市村及び保護組合等が地元問題としてこれを解決する。」というのもひっかかるのですよ。この保護組合と地元市町村と県だけではないのですよね。いいですか。こんなことまで正式に言われっ放しで、国が何ともひっかからないで、あたりまえのような顔をして、いま見過ごしておいたら、ますます問題の解決になりませんよね、こんなことではいけないはずですから。  それから分収造林に関して、これは大変な問題なんですが、いつ知ったのですか、分収造林をやるということを。県が分収造林を行うということを大蔵省、いつ知ったのですか。きのうは知ったような顔をしていたから、それを聞きたい。いつ知ったのか。
  141. 川崎昭典

    ○川崎説明員 私が分収造林契約という話を知りましたのは、この委員会における前回の速記録を勉強した際でございますが、その後、係の方に聞いてみますと、それ以前から、そういう計画を県がいろいろやっておるということは、係としては承知しておったようでございます。
  142. 原茂

    ○原(茂)委員 であれば、この重大な払い下げをしようというときに、なぜ審議会にそのことをかけないのですか。審議会にかけるのは、あたりまえじゃないですか。審議会で分収造林なんということを論議したことありますか。出さないのはどういうわけだ。
  143. 川崎昭典

    ○川崎説明員 審議会のお話でございますが、私、直接関係しておりませんでしたけれども、係の話を聞いておりますと、そういうことの、何といいますか、県の考えというものがあるということは説明されておったそうでございます。
  144. 原茂

    ○原(茂)委員 それは、だれが責任を持って、そのことを言えるのですか。審議会に説明されていたというのは記録か、責任を持って答えてくださいよ。
  145. 川崎昭典

    ○川崎説明員 大蔵省の内部記録でございます。
  146. 原茂

    ○原(茂)委員 では、その大蔵省の配付記録を見せてください。
  147. 川崎昭典

    ○川崎説明員 ちょっと発言がはっきりしなかったかもしれませんが、内部記録でございます。議論をしたのを係員がメモをとる、そんな感じの話でございます。
  148. 原茂

    ○原(茂)委員 次回の委員会に、審議会の委員をここへ参考人として呼んで、そのことを聞きます。いいですか。そんなものは論議されていませんよ。分収造林の分の字も出ていませんよ、審議会に。あなた、そんなうそを言っていいんですか、だれが言っているか知らぬけれども。断じて、自信を持って私は言えるのですよ。ここでいいかげんな答弁をしなさんな。いいかげんなことを言っちゃいけない。ばかにするな。
  149. 川崎昭典

    ○川崎説明員 配付資料の中に、はっきり出ておるというふうに係が申しておりますけれども、ただいまの、議論をされて、それを内部資料として係員がメモをしておるという点は、どうも私の聞き間違いであったように思われます。
  150. 原茂

    ○原(茂)委員 荒い言葉を使わなければ、本当のことを言わないなんて態度は、お互いによくない。国政を論議しているんだから。これからも、そんなでたらめなことを言わないでくださいよ。そんなものは実際にはないのですよ。三人の審議委員の先生から、ここできちっと証言を求めることができます。そんなことはありません。  いやしくも分収造林なんという法的にも問題のあるものを審議会で審議もしないで、十分に報告をし論議をしないで、そうしてあの答申を得るという態度自体は、審議会の諸審議委員に対しても、その義務を本当に果たしていないと思いますよ。いけないと思いますよ。  それで、分収造林のことだけに関して一言だけ言っておきますが、この随意契約のもとで払い下げられた国有地に分収造林というものが行われることは、法的に許されないと私は思います。次回の委員会で、これをよく言いますけれども、許されないと思う。きのうも言っておきました。それを法的に許されると言うなら、第何条第何項のどういう解釈で、随意契約による払い下げ地が、分収造林を行うことができるかどうかの根拠を示しなさい、そういたしますと次長も引き取った、それを聞かしてください。法的な根拠を話してください。分収造林が随意契約による払い下げ地で行えるかどうか。
  151. 川崎昭典

    ○川崎説明員 先生が御指摘になっております点は、随意契約で払い下げる場合には、直接その県がみずから事業をやらなければいかぬ、そういうことになっておるはずだ、分収林契約というものは、直接やることではないじゃないか、他人と契約をしてやってもらうんじゃないかという御疑問かと思いますが、私どもの方は、山梨県がみずから林業をやるという考えを持っており、かつ計画を持っておると、いうことを承知しておりますので、その計画を実行するために分収林契約というものを用いる、そうすれば随意契約による直接性がなくなるものかどうか、関係官庁といろいろ協議していただいて、分収林契約というものを用いても、県みずからが林業をやるために、そういう契約の形態をとっても、それは別段差し支えない。随意契約というのは、直接自分がやるということをたてまえにしておるから、契約はいろいろ別のやり方があるかもしれませんけれども、分収林契約をやったからといって、随意契約ができなくなるというものではないというふうに理解しております。
  152. 原茂

    ○原(茂)委員 だから、きのう言ったでしょうが。どこの官庁と相談をして、どうのこうのと抽象的な答弁なんかしたって、むだですよ。  随意契約というものをぴしっと法律によって調べていきますと、分収造林なんかできないですよ。いま時間がちょうどなくなったので、いい幸いですが、余り私の方の法的根拠を言わない方がいいでしょうね。私は、いつでも言いますから。きのう言ったように、法的な根拠を全部示してください、いま言ったことができるという法的根拠。法的にやってくださいよ、私も法的に言いますから。この件だけは、法的な根拠を、あした持てきてください。答弁してください。きのうから言ってあるのだから、あした持ってこれるはずだ。法的な根拠を全部示してもらう。そんなことは絶対にない。随意契約なんというものは、歯どめがかからなかったら大変ですよ。
  153. 芳賀貢

    芳賀委員長 原委員委員長から申し上げますが、約束の時間が迫っておりますし、特に農林省から森構造改善局長、林野庁の藍原林野庁長官が要求に応じて出席しております。これらは、いま原委員が御質問の入会権、あるいは入会慣行の問題とか、分収造林等についての担当の長官、局長ですから、必要であれば御質問されたら、どうかと思います。
  154. 原茂

    ○原(茂)委員 ほかのことに入り過ぎて、少し時間をむだにして申しわけなかったです、せっかくおいでいただいて。  端的に、いままでの論議をお聞きいただいておわかりだと思いますので、林野庁、それから農林省の見解を聞いておきたいのですが、次の三つを聞きたい。  一つは、随意契約のもとに契約が行われた国有地の払い下げが、分収造林計画という、やがて恩賜林組合に地上権が設定されます、そうして立った立木に対しては共有権を持って所有権を生じてまいります、こういうものを一体国有地の払い下げの場合にやっていいのかどうかということが一つです。  それからもう一つは、入会権の問題ですが、入会慣行というものを、いままでの歴史からいって、一体国管法にひっからめて、現在行っていることを認めないと言いながら、入会慣行は認める、尊重する、こう言っている、その入会慣行の、現に行っている忍草の諸君なり、牧草地をやったり、何をやっているこのものと、入会慣行というものを尊重するということとの関連はどうなるのでしょうか、このことを二つ目に。  それから三つ目に、申しわけない、きょうは遅くなりましたが、これは同じように農林省所管でいたしますので、専門的にお伺いしたいと思いますので、一つだけ最後に、三つ目に申し上げておきたいのですが、現在起きている北富士の演習場という問題、北富士の払い下げ問題というものは、冒頭にお聞きになっていただいたと思うのですが、ずたずたになっている開拓財産があるわけですが、これは一体いつ返還をいたしますか。当然返還しなければいけないと思いますが、農林省として、いま山梨県にこれを払い下げるわけにいきませんから、もとの関係者に、これを払い下げをするということになります。いつ払い下げをするのか。  この払い下げをするという問題も、いわゆる開拓財産に対して、大蔵省からいま山梨県と契約をしようと言っている、あるいは払い下げを決定するその前後に、農林省に相談がありましたかどうか、開拓財産に対してどうするかということ、この三つに分けて、ひとつお答えをいただきたい。
  155. 藍原義邦

    ○藍原説明員 私の方から分収造林の問題についてお答えいたします。  分収造林につきましては、先生いまおっしゃいましたように、土地所有者と、それから造林者が共同して林業経営を行うということで、日本の林業推進のための一方法として法律をつくってやっておるわけでございまして、私どもとすれば、土地所有者も、それから造林者も、ともに共同して行うものを分収造林というふうに言っております。  ただ、先生が御質問なさいました、そういう形のものに対して随意契約で国有財産を売り払えるかどうか、この問題は私の方の所管でございませんので、その辺につきましては、答弁は私の方はいたしかねる、御了解いただきたいと思います。
  156. 森整治

    ○森説明員 御指摘の開拓財産があるわけでございますが、これにつきましては先生御承知のように、農地法の八十条で、旧所有者に売り渡すというのが原則になっておるわけです、目的外使用でございますから。  そこで、それの調査を行っておるわけで、非常に膨大な権利者、地権者がおります。そういう関係で、十分な調査をした上で、早急に処分の決定をするという方針で臨みたいというふうに思っております。当然国有財産、大蔵省所管の本来の土地の処分ということと関連する問題でございますから、私ども十分よく相談をしながら、遺憾のないように処置してまいりたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  157. 芳賀貢

    芳賀委員長 局長、入会慣行で、使用権の問題で、ちょっと答えてください。
  158. 森整治

    ○森説明員 基本的な解釈、詳細な問題については、私正直に申しまして、いま先生御指摘のお話は、いま初めて伺ったわけでございまして、よくこの点大蔵省とも相談をしてまいりたいと思います。
  159. 原茂

    ○原(茂)委員 どうも長官や何か、申しわけなかった。少し遅くなり過ぎました。  そこで、局長に一つお願いしておきたいのは、いまの開拓財産に対して、この間名前だけ出してもらいました、三百何名、資料を。それで名前だけでなくて水路、道路別の農林省の開拓財産の図面ですね、それと旧所有者の所有する面積、それから、その人の住所、番地、地番、これをひとつ資料としてお出しいただきたい。前には名前だけ出してもらいましたが、いまの三つに分けてあるものをお出しいただく。  それから、会計検査院の局長においでいただいているのですが、分収造林の問題に関して、私がいままでずっと言ったことに関連して、どうでしょう、簡潔に。この次は十分な論議をいたしますが、こういうことが随意契約のもとに行われ得ると法的に解釈なさいますかどうか、会計検査院から。
  160. 前田泰男

    ○前田会計検査説明員 法律の規定がおっしゃっていただけないわけでございますが、恐らく九十九条の二十一号でございますか、これに基づいて随意契約ができるかということだと思います。  それで、われわれ、いろいろ検討してみたわけでございますが、結局、分収造林契約というのは一体何なんだろうか、これに恐らくかかってくるのではなかろうか。実態を見てみますと、分収造林契約というのは、確かに分収造林特別措置法というものの内容を満たしておりますと、一応そう言えるということになるのだと思いますが、しかし、契約そのものによりましては、かなり造林者の地位が高いもの、それから土地所有者の権限の著しく高いものがありまして、千差万別、したがいまして、恐らく先生御心配になっておられるような、分収造林させました造林者の方が全く権限をとってしまうといったようなかっこうになるものから、土地所有者の方が完全に押さえておりまして、そして造林者の言うようにはさせない、それから収益の分配割合においても、かなりの違いがある、こういうように一応考えられますので、ここにどういう分収造林契約が一体結ばれるのか、これは実は全然承知していない段階でございますので、そういう状態がいろいろあって、一概に九十九条の二十一号に該当しないのではないかという議論を、いまここで答えさせていただくのは、ちょっと御遠慮させていただきたい、このように考えます。
  161. 原茂

    ○原(茂)委員 私がもっと法的に根拠を示して言う時間がないからいけないのですが、会計検査院も一応おわかりいただいたと思う。  ただ、随契が行われて、名目貸しであろうと何であろうと、法律はいけないことになっています。これはお調べになれば、わかります。分収造林の内容いかんによって、どっちへウエートがかかるのかによって、随意契約でよろしいなんということは絶対ないという解釈をしていますが、もし会計検査院で調べていただいて、ウエートがどっちにあるかということによっては、これを共同経営していいのだ、恩賜林組合の事業としてやらしていいのだ、収益を持たしていいのだ、仮に地上権を与えていいのだということが、この随契というものの法律の解釈から出てくる根拠があるなら、会計検査院からもひとつ、あしたでも、あさってでも、お示しをいただきたい。これは絶対ないという自信を持っていますから、それはひとつお示しをいただきたい。その後に、次の委員会で、このことを専門に論議いたします。
  162. 田中敬

    ○田中説明員 先ほど大蔵省の方に対しましても、ただいま検査院に御要求のあったような御趣旨の要求がおありになったと承知いたしておりますが、私ども政府部内におきましても、法制局その他と法的根拠を詰めまして、それができ次第——先ほどの御要望は明日中というお話でございますが、明日に間に合うかどうかだけはお約束できませんので、その見解ができ次第、御説明に上がりたいと存じます。
  163. 森整治

    ○森説明員 開拓財産の資料の件でございますが、これは私ども手持ちを持っておりません。県から取り寄せました上で御提出を申し上げたいと思います。
  164. 原茂

    ○原(茂)委員 では、これで、きょうは終わります。
  165. 芳賀貢

    芳賀委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会