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1977-06-08 第80回国会 衆議院 決算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年六月八日(水曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君       宇野  亨君    櫻内 義雄君       染谷  誠君    津島 雄二君       西田  司君    村上  勇君       高田 富之君    馬場猪太郎君       春田 重昭君    安藤  巖君       大原 一三君  出席政府委員         防衛施設庁次長 安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         大蔵大臣官房長 長岡  實君         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         大蔵省理財局次         長       吉岡 孝行君  委員外出席者         文部省管理局企         画調整課長   塩津 有彦君         文部省管理局私         学振興課長   山本 研一君         自治省行政局振         興課長     矢野  始君         会計検査院長  佐藤 三郎君         会計検査院検査         官       知野 虎雄君         会計検査院事務         総局次長    柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         会計検査院事務         総局第二局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第三局長  小沼 敬八君         会計検査院事務         総局第四局長  松田 賢一君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正興君         日本国有鉄道事         業局次長    岩瀬 虹児君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   工藤  晃君     山口 敏夫君 同月二十八日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     依田  実君 同月三十一日  辞任         補欠選任   依田  実君     伊藤 公介君 六月一日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     山口 敏夫君 同月三日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     正木 良明君 同月四日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     高沢 寅男君 同日  辞任         補欠選任   高沢 寅男君     広瀬 秀吉君 同月七日  辞任         補欠選任   正木 良明君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月八日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   大原 一三君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (会計検査院所管)      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  この際、閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、  一、昭和五十年度一般会計歳入歳出決算    昭和五十年度特別会計歳入歳出決算    昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和五十年度政府関係機関決算書  二、昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関経理に関する件  七、国が資本金を出資している法人会計に関する件  八、国または公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等交付しまたは貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する件 以上、八件について、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会審査案件が本委員会に付託され、審査または調査のため現地に委員を派遣する必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員派遣期間派遣地及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  会計検査院所管について審査を行います。  まず、会計検査院長から概要説明を求めます。佐藤会計検査院長
  6. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 昭和五十年度会計検査院主管一般会計歳入決算並び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その大要を説明申し上げます。  会計検査院主管歳入につきましては、予算額八百二十七万余円に対しまして、収納済歳入額は、九百十二万余円であり、差し引き八十四万余円の増加となっております。  収納済歳入額の主なものは、公務員宿舎貸付料等国有財産貸付収入八百五十二万余円であります。  次に、会計検査院所管歳出につきましては、当初予算額五十五億二千九百五十六万余円に補正予算額九千九百五十二万余円を加えた予算現額五十六億二千九百八万余円に対しまして、支出済歳出額は、五十五億一千五百十一万余円で、その差額一億一千三百九十七万余円を不用額といたしました。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費四十九億四千七百七十六万余円、検査旅費三億七百五十二万余円、施設整備費四千二百三十万余円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、昭和五十年度における会計検査院関係決算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 芳賀貢

  8. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和五十年度会計検査院所管決算検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、昭和五十年度決算検査報告中、特に重要な事項について会計検査院長から説明を求めます。佐藤会計検査院長
  10. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 昭和五十年度決算検査報告に掲記した事項につきまして、その主な事例説明いたします。  まず、「不当事項」のうち、収入に関する批難金額十二億五千五百万円の大部分を占めておりますのは、例年どおり大蔵省において租税の徴収額に過不足が生じたというものであります。これらの過不足額十一億五千五百万円につきましては、本院の指摘後、いずれも徴収または還付の処置がとられております。  次いで、支出に関する批難金額五億八千二百万円のうち、その主なものについて説明いたします。  まず、工事の施行が適切でなかったため不経済になった事例としては、日本道路公団中央高速道路笹子工事があります。この工事では土どめ擁壁基礎工といたしまして、地中支持層に達するよう長さ八メートルから十八メートル、延べ千八百八十メートルの現場打ち鉄筋コンクリートぐいを打設することとし、そのとおり工事をしたこととして工事費を支払っておりました。しかし、検査いたしましたところ、実際には地中支持層が当初設計で見込んだより浅く、相当短いくいで足りたため、安くでき上がっておりました。このため二千三百万円が支払い過大になったというものであります。  次に、労働省関係保険金等支給に関する批難金額は、最近では毎年度数千万円程度となっておりますが、五十年一月に不況対策の一環として創設されました雇用調整給付金について検査いたしましたところ、この給付金支給が適切を欠くという事態が見受けられ、新たな項目として千二百万円を指摘しております。  次に、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものについて説明いたしますと、従来、不当事項件数相当部分を占めておりました農林省及び建設省関係公共補助事業につきましては、近年、件数金額とも減少してきておりまして、五十年度においても同様の傾向がみられました。五十年度補助金に関する批難金額四億三千七百万円のうち、その大宗を占めておりますのは、文部省関係の一億五千万円及び日本私学振興財団関係の一億七千五百万円であります。この両者につきまして、それぞれ一例ずつ説明いたしますと、まず、文部省関係では、城陽市の古川小学校校舎新築事業に関するものであります。この事業は、城陽市が、国庫補助金一億三千百万円を含む一億九千六百万円の事業費で、建築確認を受けた設計図書どおり施工された鉄筋コンクリートづくり校舎を買収したとしておりましたが、検査いたしましたところ、その鉄筋量設計図書に示されたものよりも著しく少なくなっているなどのため、はり、床板、耐震壁などにたわみや深い亀裂が生じていて、使用することができない校舎であると判断いたしましたので、補助金全額を不当としたものであります。また、日本私学振興財団関係では、学校法人東京音楽大学に関するものであります。この大学に対しては、財団から経常費補助金として、四十九、五十両年度に計一億三千百万円を交付しておりますが、同大学は、この補助金を受けるに当たり在籍学生数を減らした資料を提出し、しかも、その減らした学生分授業料等収入を別途に経理しており、このように事務処理が著しく適正を欠いていることが検査の結果判明いたしましたので、補助金全額を不当としたものであります。  以上、「不当事項」の主なものについて説明いたしましたが、次に、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により「意見を表示し又は処置を要求した事項」十二件のうち、その主な事例について説明いたします。  会計検査院法第三十四条の規定により、会計経理是正改善について処置を要求したものといたしましては、まず、漁港公害防止対策として実施しております廃油処理施設整備事業に関するものであります。この廃油処理施設は、漁船内で生じた不要な油や油性混合物を、海洋汚染防止の見地から、陸上で処理するための施設でありまして、四十八年度以来、各県が事業費の二分の一の国庫補助を受けて設置しているものであります。しかし、八戸漁港など六漁港事業費一億二千二百万円で設置しました施設について検査いたしましたところ、これを利用させる行政指導が十分でないため、完成後相当期間が経過しているにもかかわらず、いずれも稼働率が著しく低く、中には施設の一部が全く使用されないまま遊休しているものもありましたので、有効に利用されるよう早急に適切な処置を講ずべきであるということで、処置を要求したものであります。  次に、日本道路公団高速道路などのトンネル新設工事施工に関するものがあります。同公団施工しているトンネル工事十四工事について見ますと、設計では、トンネルアーチ部コンクリートの厚さはトンネルによって五十五センチから九十センチとなっており、また、背部に生じたすき間にはコンクリートまたは良質の岩片を詰め込んだり、モルタルを注入したりすることにしていました。しかし、施工部分をせん孔するなどして三千二百カ所について検査いたしましたところ、厚さが相当不足している個所が一割以上、工事費にして三億三千万円に相当する区間について見受けられましたほか、背部に一メートルを超えるすき間が生じている個所や必要なモルタルてん充が行われていない個所も相当ありました。このように、公団における工事の監督、検査が適切でないと認められましたので、適正な施工が確保されるよう処置を要求したものであります。  次に、会計検査院法第三十六条の規定により法令、制度行政改善について意見を表示したものといたしましては、血液代金自己負担金支給事業に関するものがあります。  この血液代金自己負担金支給事業といいますのは、疾病の治療のため輸血を受けた患者医療機関に支払う血液代金自己負担分を無料化しようという趣旨で設けられた事業でありまして、四十九、五十両年度において日本赤十字社等に対して血液代金自己負担に相当する額として厚生省から十一億七千四百万円の補助金交付されております。そして、この血液代金自己負担に相当する額は、この補助金支給要綱などで、輸血を受けた患者に適用される各種医療保険給付率に基づいて、医療費保険給付額自己負担額との割合を使って計算することにしておりました。しかし、医療保険には、患者医療機関に対して支払った自己負担額一定額を超える場合には、その超える額を高額療養費として後日払い戻す高額療養費支給制度どもありまして、一律にさきに述べました方法補助金額を算定いたしますと、実際の自己負担額以上に補助金交付される結果となるという不合理な事態を生じることになります。そこで、血液代金として患者が実際に負担する額を補助の対象とするよう補助金支給方法について改善意見を表示したものであります。  次に、「本院の注意により当局において改善処置を講じた事項」について説明いたします。これは、本院が検査の過程で不適切な会計経理を発見し、それに関して処置を要求しようと検討を進めている間に、本院の注意を契機として、当局において改善処置を講じたものでありますが、他の同種の事業運営経理執行等の参考に資するために検査報告に掲記しているものでありまして、五十年度では、十件あります。  その一例として、下水道工事における管推進工事積算に関するものについて説明いたしますと、御承知のとおり、近年、地方公共団体では、盛んに下水道工事を実施いたしており、これに対して国庫補助が出ております。そして、下水管を埋設する方法として、推進工法が多く採用されていますが、近年施工設備改善されてきたことなどのため作業能率が著しく向上いたしておりまして、一日当たり工事量は四、五年前に比べて五割程度上回っております。しかし、大宮市における工事など百九工事について検査いたしましたところ、工事費積算は依然として四、五年前に建設省実態調査をして定めた積算基準によって算定しており、推進工法による工事費は十五億二千四百万円となっておりましたが、仮に、これを近年の実績値によって計算したといたしますと、そのうち、四億二千万円、国庫補助金にして二億五千万円は低減できると認められましたので注意いたしましたところ、建設省では、積算基準を改め、地方公共団体にそれを徹底させる処置を講じたものであります。  以上、説明いたしました事項のほかに、五十年度決算検査報告におきましては、新たに「特に掲記を要すると認めた事項」八件を掲記いたしておりますが、そのうちの主な事例について説明いたします。  一つは、カドミウム汚染米処理に関するものであります。  昭和五十年度末で食糧庁が保有している米の中には、食品としての規格には適合するということで買い入れたものの、カドミウムが含まれていたり、含まれているおそれがあるために、その配給を忌避する消費者感情から配給に回せないということで配給を保留している、いわゆる配給保留米が八万二千七百トン、買い入れ価格にして百五十六億円の多額に上っておりまして、その保管に要した経費は十億二千七百万円、金利相当額は二十四億円となっております。食糧庁としては、この在庫を減らすために、五十一年度以降毎年度二万トン程度接着材の原料として売り渡すことを考えておりますが、この程度では在庫の解消を図るまでには至らない状況でありまして、しかも、売り渡し価格トン当たり約二万円で、これは買い入れ価格の十分の一程度となっております。農林省でも、この種の米の生産抑制という立場から、一応米から他作物への転作指導を行ってはおりますものの、自然条件流通条件などの関係で、それもはかどらず、この種の米は今後もなお生産され、食糧庁としてもこれを買い入れざるを得ないわけであります。このような状態では、配給保留米による国の財政負担は今後とも続き、その額も増加の一途をたどることが必至と考えられるものであります。  次は、日本住宅公団における土地の利用及び住宅の供用に関するものであります。同公団におきましては、住宅等建設用地または宅地造成用地として、五十年度末で三千九百五十万平米、取得価額にして五千三百億円を保有しておりますが、このうち、長期間使用できないと見込まれるものが千五百八十六万平米、取得価額にして九百七十一億円あり、また、建設した住宅で入居の募集もできないでいるものが九千八百七十戸、建設費にして五百二十四億円ありました。このような状態が続けば、建設工事費金利負担保守管理費の増大という好ましくない事態が生ずることになるというものであります。  次は、新東京国際空港開港遅延に関するもので、十年余の長期間にわたり事業を実施し、公団支出額だけを見ても、五十年度末までに二千百九十一億円、そのうち、借入金利息だけでも三百七十九億円に上る投資を行っているわけでありますが、なお開港の目途が立っていない状況にあります。  もう一つは、原子力船「むつ」の開発に関するものでありまして、これも多額の国費を投じてきたにもかかわらず、その成果が確認されず、今後ともさらに相当額国庫負担を要することが見込まれるものであります。  以上、述べましたように、予算執行効果発現が停滞していたりしている事態につきまして、本院としても看過することができないということで取り上げたものでありまして、その趣旨は、このような事態についてその事実を記載することにより、広く国民に認識していただくとともに、当局者関係者にさらに事態の進展、打開のために努力していただこうというものであります。  以上、概括的ではございますが、昭和五十年度決算検査報告に掲げましたもののうち、主な事例について申し述べました。  会計検査院といたしましては、ただいま申し上げましたような事態が是正され、適正な予算執行が確保されるような会計検査を通じて努力してまいったところでございます。  特に、最近、ますます国家財政が窮迫の度を増し、また、国家財政に対する国民の関心が高まっておりますとき、その期待にこたえられるよう会計検査機能の充実に、より一層努めなければならないと考えており、今後とも当委員会の御批判をちょうだいしつつ、努力を重ねてまいる所存でございます。  せっかくの機会を与えていただきましたので、私の所信を述べさせていただきました。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。     ————————————−
  12. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 さきに当委員会におきまして、会計検査院に対して調査約束をしていただき、御報告をしていただくようになっております問題を、二、三最初にお伺いしたいと思いますが、その前に、さき四十九年度決算の締めくくりの指摘事項の中に、会計検査院に対する強化という問題を一点取り上げて議決をいたしまして、本会議においても総理からこの善処方の発言がございました。  これに対して、会計検査院長としてお読みになっていると思いますが、その感想をまずお伺いをし、なお会計検査院調査機能強化に関して、現在の状態から一歩突っ込んで、どういうことがネックとなり、これを打開するための制度として、どういうことを希望されているかも、あわせて先に御答弁をちょうだいしたい。
  14. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 会計検査院といたしましては、まず調査機能拡充ということは、これは従来からも願っていることでございまして、先般、総理答弁もございましたし、調査官の増員、それから旅費の増額というような面につきまして、今後とも努力してまいりたい、こういうふうに考えております。  また、先般の本委員会警告決議におきましてありましたように、検査院権限強化拡充ということにつきましても、私どもとしても積極的に取り組んで、現在どういうふうな方法でやるのがいいか、根本的に検討さしていただいている段階でございます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 われわれも独自の立場で、海外の状況等も含めて検討しまして、やがて提案もしたいと考えていますが、ぜひ会計検査院としても、いま院長のおっしゃったように、十分なひとつ検討と献策なり権限が、われわれにちょうだいできるようにお願いしたいと思います。  それでは、三月十日の当委員会におきまして、軍人林の件で会計検査院の十分な調査をお約束していただきましたが、これは読み上げると時間がかかりますが、速記録の八ページにございますが、この俗にピンはねと言われております賃借料最終利用権者たる記念会、中間にあります恩賜林組合、国から金を受け取っている山梨県、この三つの段階における配分の率が非常に逆さまではないかというので、端的に言いますと、実際に利用している記念会が実は一五%程度しか金が入らない。三〇%以上のものを中にある恩賜林組合が取っている。県が五一%程度、いわゆるピンはねと言われるだけありまして、これはどこの事例に見ても、ある意味では不当と考えられるような、いわゆる賃借料配分の仕方だと考えまして、この点をるる当時防衛庁長官以下にお尋ねをしたとき、この不都合な配分実態というものに対して会計検査院でも調査をしてもらいたい。私の要求に対しまして、会計検査院高橋局長お答えがありました。そのお答えだけ読んでみます。  「私、賃貸借契約上の問題、法律上の問題として、われわれがどこまで入れるかというような表面的な問題で先ほどお答えしたわけでございますが、先生指摘のように、内部関係でも、賃借料の分配と申しますか、そういう種類のものが不公平になっておるということが、もしあれば、これはゆゆしい問題であろうかと思いますので、私たちといたしましても、できるだけ正確な資料に基づきまして検討をしてみたいと思います。」  こういう答弁がありました。私が重ねて「県も調べますか。」とお伺いしましたら、「はい、調べます。」こういうお答えがございました。  この調べた結果、お答えをいまちょうだいしたい。
  16. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 先生指摘事態につきまして、私ども努力を傾けて、できるだけの調査をいたしたいというお約束を申し上げたわけでありまして、それを実行いたしましたわけでございますが、何分、私ども検査権限から外れておるものでありますが、そのような不公正な問題があっては、ゆゆしいことでもありますので、誠意を持って調査をいたしました。  調査の経緯でございますが、第一回は、四月の十五日に、県の林務部長それから同じく林政課長を呼びまして、県の、国から受けた賃借料を財源とする交付金について、どのような交付の仕方をしておるかという事情を承りました。  それから第二回は、四月の十八日に、同じく県の林政課長、それから恩賜林組合の組合長、議長、出納長、この四人の方においで願いまして、いろいろ事情をお尋ねしたわけでございます。  結果的には、県内部の事情がありまして、交付の詳細なところにわたってまでの正確な御説明は得られませんでしたが、交付についての諸規程、それに基づく配分状況ということは承りました。  それから恩賜林組合につきましては、かなり詳細に聞くことができまして、恩賜林組合としての考え方、配付の仕方というものは承った次第でございます。  その結果を申し上げますと、先生もすでに、この件につきましては十分御承知のことでありまして、先生の御存じになっておられる以上のことをわれわれ実は承知していないかとも思いますが、私たちの調べた範囲におきましてお答えしたいと思います。  県における国から受けました賃借料配分につきましては、北富士演習場賃貸料及び立木補償料に対する交付金算定基準、こういう基準がございまして、この基準に基づきまして交付をしておる。全体の運用については県当局、県議会、恩賜林組合三者の協議によって、この規定の運用がなされておるということであります。  そうして県から受けました恩賜林組合が、これを記念会などにどういうように配分しているかと言いますと、その配分の基準は、富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合手数料条例、こういう条例がございまして、その条例に基づいて一定額を留保した上、面積割合で配付しておるということになっております。  それを計数的に申し上げますと、記念会が四十四ヘクタールの土地につきまして、当然もらうべき金が幾らかということで争っておるわけでございますが、実際交付されておる金額は三百二十一万円ということになっております。この土地に係るもので施設庁から県に支払った金額は幾らかと申しますと、県の財産からしますと、普通財産の中の山林というものでございまして、百三十七万六千七百三十六平米というものに対しまして、平均平米当たり二円五十一銭という単価で総額三百四十五万円ほどを支払っております。これが施設庁から県に支払われた金額になっております。  このうちから、先ほど申し上げましたように、県が定めておる北富士演習場賃貸料及び立木補償料に対する交付金算定基準というものに基づきまして、恩賜林組合に対して交付しておるわけでございますが、その計算の内容につきましては規定はございますけれども、かなりあいまいな規定でございまして、その内容をいろいろ追及はいたしましたが、明確なお答えはいただけないような状態でございます。  そうしまして、恩賜林組合記念会交付するということになるわけでありますが、それは先ほど申し上げました富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合手数料条例という条例の第六条ただし書きに基づきまして、恩賜林組合が受けた全体の料金をプールいたしまして、その中の三〇%を留保いたしまして、残る七〇%につきまして面積割合で配分しておる、その金額が三百二十一万円という金額になるわけであります。  もう一度もとに返りますと、施設庁がこの土地に係る借料として払っておるものの評価単価で計算しますと、この土地に係る金額は百十五万円程度になるというようなところまで調べることができたわけでございますが、先ほど申し上げましたが、県から恩賜林組合にどういう計算内容で、どういう金額が渡っているかということは、その詳細を承知することはできませんでした。  以上でございます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 まだ調査をするのですか。
  18. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 いまのところ、これ以上調査しても、事態が進展する見込みがあるようにも思われないような状況かと承知しております。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの説明の中で、国が県へ払っている金額を三百四十五万と言っていましたが、間違いありませんか。
  20. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 四十四ヘクタールの記念会の持っておる土地に係る、まあ山林部分でございますが、それが百三十七ヘクタールになっておりまして、二円五十一銭という評価でございますから、三百四十五万、この全体が三百四十五万になります。その一部四十四ヘクタールについて計算しますと、百十五万円という計算になると思います。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 その計算が、前に私が質問した当時と、いまの説明を聞いて何ら進展をしていない。しかし、まあ苦心をされたようですから、労は多といたしますが、いま報告をいただいた、それでもうあとは手がない、これ以上どうも進展はしないというようなお答えがあったわけですが、自治省等とも、やはり十分に関連をさして調査を進めましたか。
  22. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 本件につきましては、自治省とは接触いたしておりません。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 当然自治省とは接触して調査を進めることを、もう一工夫すべきじゃないでしょうか。
  24. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 先生の宿題でございますが、国から県に対して、その面積に係るものが金額が幾ら交付されておるか、県はどういう基準で、どういう計算方法で、恩賜林組合に対してどういう金額交付されているか、恩賜林組合はどういう規定で、どういう計算内容で、記念会にその金額交付されておるかということが、われわれに課された仕事の内容かと思います。  それにつきましては、先ほど申し上げましたように、県の林務部長林政課長、それから恩賜林組合の責任者というものと接触できましたので、その範囲において調べた結果を申し上げた次第でございます。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 目的は、いま局長が言われたいろんな苦労をしていただいた目的は何かというなら、間違いなく、言われるところのピンはねと言われる不当ないわゆる配分の仕方に対して、これが正しいかどうかを突きとめるところにあるわけですから、私の言っていることも、お願いしたのもそこにある。  恩賜林組合という一部事務組合に対しても、県という自治体に対しても、自治省はこれを監査をし、監督指導する権限を持っている。あなた方は、どうもこれ以上言っても、のれんに腕押しじゃありませんが、あるところへ行くと配分、あるところへ行くと、それ以上の資料を出してくれないから、どうもそれ以上進展がないといまおっしゃった。ならば、会計検査院が、やはりもう一工夫するなら、自治省のこの監査、監督権限利用した、それの協力も得て突きとめようとなさる努力が、もう一段とあってしかるべきだと思うのですが、もう一遍、どうですか。
  26. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 おっしゃるように、自治省ともタイアップして検査努力はすべきだと思いますので、その方向で善処させていただきたいと思います。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 ぜひ大至急にお願いします。また次の機会に、こういう問題は、いつまでもほうっておいちゃいけませんので、あるべき姿に解決をしたい、こう考えますから、一段と突っ込んだ、ひとつ工夫をこらした調査をお願いします。  それから次に、これは四月二十七日、やはり当委員会におきまして、自治大臣等の出席を願った上で、同じく軍人林に対してお願いをしたり、検討をいたしました。  その中で、速記録をお持ちだろうと思うのですが、七ページにありますように、「そこで記念会では、国費が正当に支払われていないからというので、先ほど言ったように、会計検査院に対する審査請求を行った。これに対しても、前回にも満足なお答えがありませんでした。では、その後よく調べていただくということで、きょうはある程度会計検査院からの答弁がいただけると思いますが、これもいままでのところ、満足な審査請求に対する答えを出していない。五十二年、ことしの三月末、国と県との契約更改の時期が来ていると思うのですが、一体今日防衛施設庁は、県との間に五十二年三月末、年度末における契約更改に対してどのようにしているかは、きょういまお答えをいただきたいと思いますが、」云々と私が申し上げました。  この中にもありますように、いわゆる会計検査院に対する審査請求がすでに行われている、これをいまはどう扱っているのでしょう。その後どうなっているのでしょう。
  28. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 先生おっしゃいますとおりに、審査請求を私どもの方でいただいております。これの内容につきましては、これも先生が先ほどから御披露されておりますとおりに、賃借料の一部の未払いがある、一部と申しますか、むしろ大部の未払いがある、これについて利害関係人として審査を請求する、こういう内容のものでございます。  私どもといたしましても、この審査請求に対しましては、かねがね問題のあるところであり、先ほど主管局長の方からも調査の経緯について御説明申し上げましたが、ということで、これについては真剣に取り組んでおるところでございますし、また早急に結論を出したいと考えてはおりますけれども、部内において何回か会議を持って検討をいたしております。また関係者についても、役所まで来ていただいたりして事情の聴取もいたしております。  ただ、問題がなかなかむずかしい問題でございますので、まだ結論を出すまでに至っておりません。しかし、今後も検討を重ねて、なるべく早期に結論を出し、審査の請求に対してお答えできるように努力をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 それもペンディングで、やがて答えを出していただく以外にない。  そこで十ページに、もう二問お伺いしたい点がございますということで、実は私から、  「第一は、会計検査院は先ほど言ったように、支払いが一年度ずれているのを一体どうお考えなのか。これは利息の不当なもうけもあるでしょう。その利息が一体どういう配分をされるかという問題も起きるでしょう。国からは五十年度に払われている、組合に対しては同じ五十年度に払っている、記念会に対しては五十一年にならないと払わない。まる一年以上というブランクがある。その間、そういったことが見逃されている。勝手にできるはずはないと思うのですが、これに対してどうお考えなのか。  防衛施設庁も、一体こういうことまでぴしっと調査をし、あるいは指導なり、適切な助言なりをされているのかされていないのか。国が県へ払ったものは、一年たとうと、二年たって利用権者に渡ろうと、そんなことは知ったことじゃないという調子の投げやりな態度で施設庁は過ごしてきたのか。  両者からひとつ御答弁願いたい。」  それに高橋局長からの答弁がございました。  「国の予算を財源とする支払いにつきましては、支払い期限を厳重に守るように、私どもとしては検査上指導しているところでございます。その金を県なり恩賜林組合なりが受け取って、その下部に流す関係につきましては、私ども実は詳細について存じ上げない次第でございますが、契約などの趣旨からしましても、国から受け取った金は、速やかに下部に流すべき性質のものであると考えております。」  こう答弁がされているのです。一体これに対しては調査をされ、どんな指導をされましたか。
  30. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  県にしてももちろんでありますが、恩賜林組合にしても地方公共機関でございまして、それぞれの議決機関を経た予算を通すわけでございます。そういう関係で、国から受けたものが素直に、そのまま下部の機構に渡っていくということにつきましては、若干時間があるというふうに聞いておりますが、具体的にどういうおくれがあるかということについては、いま調査をさせております。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 忙しいには違いないのですが、こういうことは、こうやって委員会ごとに問題の追及をずっと継続的にやっている場合には、やはり大至急に調査をなさる必要があると思いますよ。何とかして早く調査をして、おっしゃるとおり、適正ではないと思うから指導をするとおっしゃったその指導が少なくともできるように、意思表示ができるように、これはぜひやってもらわないと、ただこの委員会答弁して、時間が過ぎれば、それでいいのだというような態度にしか見えない。ある意味では、非常に真剣味が少ないように、われわれ考えられてなりませんから、大至急にこの問題に対する調査をして、これに対する適切な、いわゆる会計検査院としての指導的な立場を発揮していただきたい。  先ほど説明をお聞きしました中で、一つ触れておきたいと思います件が、この委員会で、実は当日も問題になっておりました。したがって、それをまた二つ目にお聞きしますが、  「国が支払っておる借料と、県が恩賜林組合その他の利用者に支払っている時期がずれておるということでございますが、私どもが県の方に聞いたところでは、昭和四十九年までは、その年度の借料は翌年度歳入に上げておるというふうに聞いております。したがって、一年間ずれる形になると聞いております。それから、恩賜林組合に聞いたところでは、この問題については是正すると言っておりました。」  こういうことを防衛施設庁が答弁をしているのですね。また、そのとき局長もお聞きになっていたわけですが、この防衛施設庁の答弁も少し食い違っているのですね。恩賜林組合の方は、どうも間違っていましたから、これは近く改めますと言った。しかし、県からは、ずれるのだと聞いておりますと言いながらも、正直に、恩賜林組合を調べたところが、恩賜林組合は是正をしますと答弁がございました、こう防衛施設庁は言っているのです。これも一つまとまっていない答弁なんです。  したがって、ぜひひとつこのことに関しても大至急に調査をして、その上でこれに対する適正な指導あるいは会計検査院としての態度を表明していただくということをお願いをしておきます。  それから、五月十六日の当委員会におきまして、予備費を中心の大蔵大臣への質問をいたしましたときに、二百十ヘクタールの国有地の払い下げ問題に関して、いろいろと論議をいたしました。その中で、特に会計検査院に私はお願いをいたしました。こういうことを実は申し上げて、また、これから申し上げるようなお答えをいただきました。  「そこで会計検査院においでいただきましたが、お尋ねもしたいし、厳重な調査をお願いをして、また、その調査の結果を、後日お答えをいただきたいと思います。  その第一は、林雑補償費についてであります。」云々、これはもう言いません。  「次に、五月七日の朝日新聞の報道によりますと、富士吉田市の市民十七人が、実損もないのに林雑補償金をもらうわけにはいかないとして、ついこの間、この補償金を横浜防衛施設局に返還をしています。  三つ目に、さらに、これは仄聞ですが、上吉田入会組合長の藤井徳次氏なるものが、演習場に草も、そだも取りに行かないのに、実損があるとして補償申請をするのは良心に背くとして、五十年度の申請を拒否しております。  以上の点から見て、北富士の林雑補償金については、重大な関心を持たざるを得ません。ある意味では、重大な関心を持たざるを得ないときにまいりました。重大な事態が発生をしたと言っても間違いありません。  その第二は、周辺整備事業そのものについてであります。  その一は、特に重大な関心を持たざるを得ないのは、吉田口の登山道沿いの神田堀、まま堀に対する山梨県に対する障害防止工事の助成なんです。この工事について、すでに地元民渡辺孝基氏からも補助金等適正化法の違反ではないか、違反であるというので告発されておりますし、また、私の同僚議員の調査によっても、渡辺氏の言う、いわゆる補助金等適正化法に違反をしているのだという疑いが非常に濃いし、私はそうだと思います。  いま申し上げた諸点について、軍人林同様、検査院の徹底的な調査をしていただきますが、それをやっていただく、やっていただかぬの御返答と、これに対するお考えを検査院としてお答えをいただく。」  これに対しまして、前田局長から、「私、この前自治省所管の際、二局長並びに防衛施設庁に対しまして御質問がございましたときに一応同席させていただいておりますので、これは二局の所管でございますけれども、一応お答えさせていただきます。  いままで先生がおっしゃった内容から判定いたしまして、やはり会計検査院としては、調査すべきものと私、考えます。したがいまして、帰りましてから、二局の方に伝えさせていただきたい、このように考えております。」という答弁でした。  私は、「調査の結果を報告させてください。」と言いましたところ、「そのように伝えます。」こうお答えをいただきました。どうでしょう、この報告をきょうお伺いしたい。
  32. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 最初に、国から受けた賃借料を財源とする交付金の下部機構に対する交付の遅延という問題につきまして、先ほど公共機関の議決機関の議決を経る、つまり予算を通すというようなことで若干おくれるんじゃないかということで申し上げましたが、実は担当者の方で、先ほど申し上げました県の林務部長ですか、林政課長並びに恩賜林組合の組合長、議長、出納長などの見えたときに、この事実を指摘いたしまして、早速是正するという約束をいただいております。  それから、先ほどの第一局長から調査約束した件でございますが、第一は、富士吉田市の十七人が実損もないのに林雑補償金をもらうわけにいかない、これについて施設局に対して返還をしている、これは事実かどうか、その事情を調べたらどうかという点でございますが、本件につきましては、内容証明により送金してきたのは事実でございます。その概要は、次のとおりでございます。  十七名は、すべて補償対象者または家族で、そのうち査定の結果、支払いの対象となっている者は十三名でございまして、四名につきましては、施設庁の計算としては対象にならない者でございます。申請人本人が、申請の内容が事実と異なると言っているので、事態が明確になり次第、取り消し手続をとり全額返還せざるを得ないなどの措置がとらるべきものと思われますが、補償の対象となっていないものまで含まれているという事実が本当にあるかどうかということの詳細については、なお調査中でございます。  次の、吉田口の登山道路沿いの神田堀、まま堀に対する山梨県に対する障害防止工事の助成について補助金等が交付されておりますが、これは適正化法などの趣旨からしておかしいのではないかという御疑問でございますが、これにつきましても、調査いたしましたところ、まま堀、神田堀の障害防止工事に対する補助で、まま堀は三十八年十月から、神田堀は四十三年一月から、それぞれ着工し、現在工事が続行中のものでございます。  この二つの流域は、まま堀につきましては八百六十一ヘクタール、神田堀につきましては九百九十九ヘクタールでございまして、米軍が使用していた時期には、各流域の約八九%、八〇%が演習場として使用されていたこともあり、四十八年四月の使用転換後でも、なお、まま堀の流域で約四七%、神田堀の流域で約一一%が場内になっておるような状況でございます。  米軍が占用的に使用していた当時においては、場内の道路の築造、軍用車両の頻繁な走行、ざんごうの設置等によりまして著しく荒廃され、火山灰土から成る両流域を含む場内は、現在一見落ちついているように見えますけれども、渓流の荒廃は、いまなお続いておるという状況であるように承っております。  そういうような事情でございますので、この補助金は、不当にあるいは適正化法の補助金交付趣旨から外れた、目的を外れた使用の仕方であるというようなものとは私ども認識しておりません。  以上でございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 第一の、十七人の問題に対しては、いつごろ調査をしますか。それが一つ。  それから、いまの第二の、神田堀、まま堀に対して、米軍の使用して以来、今日に至ってもまだ神田堀一一%、まま堀が四七%程度の荒廃に対する助成なり工事が行われている、こういうふうにおっしゃいました。現に助成を行っただけの工事が行われていますか、今日。いまおっしゃったこと、間違いないですか。
  34. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  富士吉田市の十七名の実損がないのに云々という問題につきましては、先生の御指摘があった後、直ちに施設庁を通じまして調査をいたしました結果でございます。  それから神田堀、まま堀の件でございますが、私ども先ほど説明したとおりであると確信しております。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 確信しているというのは、現に昨年度も助成されたその金額に相当する工事が行われているという意味ですか。ぼくはそれを聞いているんだ。調べたかどうか。
  36. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  助成された金額どおりの工事が実施されております。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 それは、どういう手段で、いつ調べたのです。
  38. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昨年の実地検査の成績表によって、その事実が確認できます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 昨年の実地検査の確認によって明瞭だと答えたのですか。昨年の何月何日に実地検査をやったのですか。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員長 説明は担当の課長でもいいですよ。
  41. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 五十一年、昨年ですが、七月十五日から十六日、それから二回やっておりまして、七月二十一日から二十三日、これは会計実地検査でございますが、この期間中に、本件につきまして検査をしております。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 幾らの助成金に対して調査したのですか。その工事が実際に行われているという工事調査をいつやったか、日にちはわかりましたが、幾らの助成金の工事が行われたのですか。
  43. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 記録があるはずでございますから、後ほど報告させていただきたいと思います。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 後で報告をしていただきますが、万が一実際に工事が行われていないということがあったら、会計検査院の非常な検査ミスですね。そういうことになりますね。私の方ももう一度調査をして、はっきりと申し上げますから、ひとついまのことを私に報告していただき、私もそのときに申し上げたい。いまここで違うの、違わないのと言ってもしょうがないでしょうから、そういうような報告をぜひしてもらう、私の方も申し上げる。  それから、会計検査院に対して昨年の十二月九日付で「忍草入会組合構成員に対する昭和四十二年度分以降の林野雑産物損失補償金支払に関する審査請求」というのが佐藤院長あてに出ていると思いますが、おわかりですか。
  45. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 先生おっしゃるとおり、昨年の十二月に、忍草組合からの林雑補償についての審査請求をいただいております。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 内容の概要と、それから現在どうしているか、いつその請求に対する答えが出せそうかを、三つに分けて答えてください。
  47. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 内容は、審査請求者は忍草入会組合でございますが、経理行為の相手先といたしましては横浜の防衛施設支出負担行為担当官、これからの林雑補償金の支払いについて、要するに演対協を通してこれを窓口として一本化して支払いをしようという施設局側の取り扱いに対しまして、忍草組合といたしましては、一方的に演対協を通してしか支払いを受けられないという取り扱いはおかしいではないか、正当な債権者は自分たちであるから、自分たちに対して直接支払ってもらう道はないのかという、簡単に申し上げますと、そのような概要でございます。  これに対しまして双方——双方と申しますのは、審査請求人と実際の経理処理した施設局でございますが、この双方の見解というものが相反しているというようなところから、当然こういう審査請求が出たわけでございます。  そこで、これも大変処理がおくれておりまして、まことに残念でございますけれども、この間の事情を双方に当たって鋭意聴取し、また部内でも何回か会議を繰り返して、これについての結論を得たいということで鋭意努力はいたしておるわけでございますけれども、双方の意見が全く相反しており、そこにまた入会慣行権というものの非常にむずかしい法律的な問題も絡んでいるというようなことで、はなはだ遺憾ではございますが、まだ結論を下すまでに至っておりません。  これについても、同じく先ほどの北富士からの、ことしになっていただきました審査請求とあわせまして、早急に処理はいたしたいということで鋭意努力はいたしております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 大至急に調査をしていただきます。  ここでちょっと資料要求を、またしておきたいと思うのです。  まず、防衛施設庁に対する資料要求ですが、これは北富士演習場に係る林雑補償、障害防止事業の助成、借地料について。  その第一は、林雑補償について。  (イ)昭和四十二年度より昭和五十一年度に至る各入会組合別、年度別、個人別に野草・そだ別の補償額及びその対象となった田畑別面積、牛馬別頭数、そだ使用施設数並びに支払い年月日、契約当事者名。  (ロ)東京高等裁判所の和解による各入会組合別、年度別、個人別に野草補償の追加額及び支払い年月日、契約当事者名。  二つ目に、障害防止事業の助成について。  いまの神田堀、まま堀に対する当初より現在までの年度事業費、助成費及び障害防止事業として認定した根拠、助成金交付対象者名。  次に、三つ目、借り上げ料について。  (イ)瑞穂村日露戦役記念会が山梨県より転借している軍人林について、国が昭和四十一年度より昭和五十一年度まで支払った年度別借り上げ料(平方メートル当たり単価)、借り上げ面積、支払い年月日、契約当事者名、同意者名。  (ロ)山中湖村山中浅間神社、富士吉田市新屋堀内政治に対し、国が支払った借り上げ料の昭和四十一年度より昭和五十一年度までの年度別借り上げ料(平方メートル当たり単価)、借り上げ面積、支払い年月日、契約当事者名。  (ハ)山梨県有普通財産、行政財産に対し、国が支払った借り上げ料、使用料の昭和四十一年度より昭和五十一年度までの年度金額(平方メートル当たり単価)、借り上げ面積、使用面積、支払い年月日。  (ニ)昭和四十一年度より昭和五十一年度までの年度別、支払い先別、被弾木補償、踏み荒らし補償、その他これに類する補償金及び支払い年月日。  これを防衛施設関係に要求をします。  自治省に来ていただいていますが、自治省に対して、  一、富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合の昭和四十年度より昭和五十年度までの決算書。すでに提出してもらった部分は除いて結構です。  二つ目に、山梨県有行政財産、普通財産に対し、国の支払った使用料、借り上げ料について、山梨県が演習場地元交付金として昭和四十年度より昭和五十年度まで、地元に交付した年度別、財産別(行政財産については部分林、県施業地別)、交付先別金額及びその対象面積(平方メートル当たり交付金)、それから交付年月日。  これを自治省に資料要求しておきますので、わかりましたら、自治省お帰りになって結構です。  それから、もう一つ防衛庁関係資料として、昭和四十八年度より昭和五十二年五月三十一日までの北富士演習場における年度別、月日別、米軍、自衛隊別の演習状況、演習の種類、演習の規模など、できましたら各使用地域別に出していただきたい。  これは、会計検査院にお聞きをいただいておりますので、特に言っておきますが、目下演習場としては全然使用していない、必要のない場所、これがたくさんある。ところが、これに借地料を払っているところが、ずいぶんある。これはぜひ現地を調査して——多額の国費を使っておきながら現在演習場として全然使われていないところがたくさんあります。必要なら、私の方からある程度の面積を出してもいい、地域も教えても差し支えない。会計検査院としては重大な問題として、この調査をあわせてしていただきたい。これは検査院の方からお答えをいただきたい。  資料要求の方は、委員長、ぜひ取り上げるようにお願いしたい。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員長 ただいま原委員から資料提出の要求のありました件については、防衛施設庁並びに自治省において、追って調製の上、提出をするように委員長からも申します。  なお、ただいまの調査要求に対して、会計検査院から答弁を求めます。
  50. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 多額の演習場の使用料を支払っていながら、実際には未使用であるという事実があるといたしますと、これは私どもの方としましても重大な関心を持って調査いたさなくてはならないことでございますので、この点については改めて調査をいたしたい、かように考えております。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、さきに行われました二百十ヘクタールの国有地の払い下げ問題に関しまして審議会の答申も出ましたので、大蔵省を中心にお伺いをいたします。  審議会の答申というのは、本来、各委員が十分判断できる資料を提供して、それに基づいて十分調査研究をする、その上で十分な審議の結果としてつくられたものでなければいけないと思う。この二百十ヘクタールの払い下げに関する場合、大蔵省の役人が書いた作文を、ただ承認したにすぎないように実は感じられてなりません。  各種の審議会がございますが、往々にして審議会というものは、政府の隠れみのに利用せられているのが現状だと言われています。私もその幾多の事例を知っている。米価審議会しかり。しかし、国有財産払い下げに関するこの審議会が、いやしくも政府の隠れみのに使われるというようなことがありますと、他の審議会もそうですか、審議会の委員になられた先生方あるいは有識者たちが、何らその答申に対して責任を持てないことになる。  この場合で言うなら、大蔵省の陣立てといいますか、十分に審議をしていただくように十分手を尽くした素材を提供し、時間をかけてそれを見て十分に吟味をした、その研究の結果として、十分な審議会における審議が行われたということにしてあげなければ、審議会の答申に対して、審議会の委員あるいは委員長に私がじかに聞いたときに、たとえば今度の二百十ヘクタールの問題に関して、このことはこういうふうに審議をした結果、こういうふうな結論になったという答えのできるような状態にもしなっていないとすれば、この事務当局を預かっている大蔵当局の非常に大きな怠慢だ、非常に大きな欠陥だと私は思う。審議会のあり方そのものが、ある意味では根本的に問われなければいけない一つ事例として、今回の二百十ヘクタール国有地払い下げの問題で、また同じように私はそのことを感じました。  なぜ一体今度の中央審議会の答申に対して、私がそう感じたのか、これも個人的な考えだけを、ただ一方的に言ってはどうかと思いますので、御批判をいただきたいと思いますから、その根拠は一体何だというその根拠を、これから申し上げておきます。  大蔵当局は、国会での審議状況、特に本件処分が指摘事項として議決され、今後さらに審議が継続されようとしていることを知りながら、以前からセットしたとおりに審議会を開いた。本件のごとき場合は、国会が十分な審議を尽くすべき旨の意思表示中にもかかわらず、新たな資料を提供することなく、法的問題等の審議の手続なり時間を考慮せずに、ただに一方的に結論をのみ急いだ審議会の開会は、はなはだしい国会軽視だと私は思う。国会で指摘をした、大蔵大臣も十分に検討すると言った、その検討すべき案件は、これとこれだということを十分に指摘をしてある、そのことが審議会では審議されていない。審議されているとおっしゃるかもしれませんが、これから徐々にお伺いをしていく。私には、そのような時間的な余裕は審議会にはなかったと思う。  しかも、国会が指摘をして、国会が終わって、すぐに開いている。ずっと前にセットをした予定どおりの日にちに、五月三十一日に小委員会、六月二日に中央審議会を開いている。こんな時間で、私がばかなせいかわかりませんが、普通なら、とてもじゃないが、この重大な問題の審議に当たれるような知識を得ることは不可能であります。しかも大蔵省が、十分にその知識が得られるように資料の提供をしたかどうか、徐々に聞いていきますが、私にはそういうことを十全にやっていないと断定する根拠があります。  その証拠に、開かれた審議会では、資料として山梨県選出国会議員のあっせん案は出されました。これは隠れみのじゃありませんが、大蔵省にとって、山梨県選出の国会議員が、このあっせん案を出しているんですからというのを唯一の道具に使ったわけです。ですから、これだけは必ず出す。国会の指摘事項の議決録は出されていない。われわれが委員会指摘し、本会議でもそれが採択をされました指摘事項、その前後における資料というものは、この審議委員に出されていない。国会での審議状況などは何ら考慮されずに審議がされたことになった。国会軽視でないと言い切れますか。  これほど真剣に——再び成田やかつての北富士演習場における、あの闘争という血みどろの事態が起きないように、いま予見される問題が起きている限り、これを防ぐことが政治だというたてまえから、るる私は何回も何時間も、いままでそれを訴えてきた、十分に考慮をしていただきたいとお願いもしてきた。これが政治の場にある者の役目である。国の行政を預かっている皆さんの役目なんだ。予見される不測の事態というものは、血を流すような事態が起きないように、それを予見できたときには起きないようにしてやることが、われわれの任務じゃないかというので、その前提でいろいろと申し上げてきたんです。  馬耳東風、自分の予定どおり五月三十一日には小委員会を通して、六月二日には中央審議会の答申を出させて、一瀉千里にとにかく払い下げて山梨県にこれをおっつけてしまえばいいとしか、われわれには思えないようなやり口であり、このことはいま言った立場から言うと、国会軽視もはなはだしいという私の断定している理由の一つであります。  したがって、審議会では、国会の指摘事項も、坊大蔵大臣の意思も、福田総理の本会議での約束も、何ら考慮されないままに答申となったことは事実であります。われわれの審議してまいりました、指摘した事項を審議会委員には配付されていない。これが審議をするときの材料になっていない。われわれはさらに国会での検討を継続しなければと考えて対処してまいりました。われわれが真剣にこのことの仕上がりを、不測の事態が起きないようにという前提で仕上げてやることが、政府の側で言う例の閣議了解に対する責任なんです。われわれもこのことを知った以上は、政治の場にある者として、このことに関して政府に協力をして、閣議了解が実現できて、不測の事態が起きないようにしてやる。現に起きているむだな闘争なり係争というものを事前に、払い下げを契機になくしてやるということが一国民としても当然の考え方であり、しかも議会に籍を置く私たちとしては義務だと考えている。崇高な義務だと考える。  閣議了解を完全に実行することによって、円満にいま起きている紛争らしいものを解決してやる。これが政府の側の閣議了解に対する責任でもある。これに協力することが政治の場にある私たちの義務でもあるというたてまえを、いまも、これからも貫くという立場でお伺いをしていくわけであります。  もちろん審議会答申と、国権の最高機関である国会の指摘事項とでは、重さが違うと言っては変ですが、私はどちらが軽いとかいうことのできないような重要な問題だというふうに確信をしているわけであります。  国会の指摘事項なんか何であろうと、その十分な検討約束した大蔵大臣が何を言おうと、これに対する善処を約束した総理が何を本会議で言おうと、そんなことは知ったことではない、一瀉千里、予定どおり、国有財産払い下げのための審議会の答申が出れば、それが唯一の柱であって、それで事を進めていくんだというような考え方があるんじゃないかと思われるほどに、国会があの議決をしたその間を置かずに、一カ月前にセットした予定どおりの委員会を開いた。私は各種の委員会が、ある事情があれば延期したのを知っている。大蔵当局は延期をしなかった。予定どおり短い期間にやった。そして答申なるものを出させました。  そこで、ほかのことを言わないで結構ですが、いま私が言いましたように、国会の指摘事項を含めた議決録に対しては、私が委員会において物を言ったそれが速記録の形ではない、未定稿という形でございましたが、委員に配られたと同じように、国会におけるいまの指摘事項その他が論議をされ、つくり上げられた、こういうものをやはり出しましたかどうかだけお答えいただきたい。ほかのことは一切言わないでいい。
  52. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 国会のいわゆる決算委員会指摘事項の問題でございますが、これは資料としては提出しておりませんが、質疑の過程で、その問題が取り上げられまして、十分その点も審議はされております。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 取り上げられましてというのは、委員のだれかから発言があったという意味ですか。
  54. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 そういうことでございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 委員のだれが、何を言ったということは、この種の審議会は発表をしないのだという説明をプライベートに受けていますから、あえて聞きませんが、速記録はあるのでしょうね。
  56. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 審議会の審議は、審議会の議決によりまして非公開ということになっておりますので、速記録は、もちろん速記者を入れておりますが、それを公開することはいたしておりません。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 文書であなたが必要だと思うもの、すなわち山梨県の国会議員のあっせん案は文書で出した。私がやかましく言ったから、この委員会における質疑の未定稿の速記録は出したのだ。国会における重要な意思表示に関しては、文書でそれを出さない態度というのは、この場合は私は国会軽視に通ずると思う。けしからぬと思う。ではあるけれども、口頭で、もしある種の委員が発言をして、これが問題になったというなら、ぜひこれは、私は見なくてもいい、その速記録委員長にだけは見てもらって、公開はしなくてもいいですから、事実そういうことがどの程度論議されたかは、委員長が責任を持って速記録を見ていただきたい。これも拒否しますか。
  58. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 ただいま申し上げましたように、審議会の審議内容は非公開ということになっておりますので、速記録そのものをお示しすることはできないわけでありますが、いま御指摘個所についての、どのような質疑が行われたかという要旨は、その後調べまして作成したいと思います。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは要旨ですから、本当は、きょうその要旨を出していただく約束をしておいたのですが、持ってこなかった。その要旨をぜひ出していただきたい。  私は、審議会の委員を二、三よく存じ上げている。その審議会の委員先生は、自分で重要なものを全部メモしています。それで、ある程度実はわかる。あなた方が個人の名前は出さないまでも、要領よくまとめたというその報告書がどんなふうに書かれるか楽しみですから、それを見てみます。そうして、この問題がどのように審議されたかということを後のペンディングにしておきます。  しかしながら、あなた方は、原茂がやかましく言った委員会における速記録らしいものは出す、あっせん案は出す、しかし議会で一番重要な意思表示をしたそういうものに対しては、文書によって出さないということは、十分に審議委員の諸君に審議をしてもらう、いわゆるおぜん立てができていない、こういうふうに私は思いますよ。そんな片手落ちの審議の仕方では、本当の審議にはならないと私は考えます。  そこで、重い国会の指摘事項——これは重いか軽いかは言っちゃいけませんが、これを十分尊重し、調査し、その意のあるところを審議する、十分に審議を尽くしていただいて、答申を出された審議委員の皆さんにも、責任を持って結論を出していただくためにも、諮問をした大蔵省の当然踏むべき手順であると思いますし、義務であったと思うが、遺憾ながら、この点は不十分きわまる資料提供その他で、審議会の皆さんの答申が出されるような結果になってしまったと私は断定しています。まだ必要な資料を出していないことを、これから申し上げます。  審議委員の皆さんに対する大蔵官僚の責任というものは、その意味では重大だという指摘をいましているわけであります。これからも、また申し上げますから。  私は、前段的な結論らしいものを、まず先に申し上げてみたい。  国会の指摘事項に対する十全な対処、審議会の不十分な審議のあり方、社会党決算部会の意見書に対する反論なり意見を出さないままの現状での、ただ何かに追いまくられるような山梨県への払い下げを決めようとするための答申の受け取り方、出させ方は断じて慎むべきだと私は考えている一人であります。  ここで審議会の審議そのものが、どのようなものであったか、これもやはり検討してみる必要があると思うのです。  まず第一に、構成メンバーの点から言うと、幹事は役人だけ、委員は役人と元役人が大半、学者、専門家は少ない。ざっと見て、そういうことが言えます。やがて、この審議会も構成メンバーを、ある意味では、ほかの審議会に各党代表が入るように各党代表を入れたり、そうして学識経験者その他をもっとたくさん入れるという構成に変えていかなければいけないのではないか。これはまた審議会のあり方に対して、後に提案をしたり審議をしてまいります。今回気がつきましたが、この審議会のあり方は、構成メンバーから見て、どうもこれではよくないというふうに私は考えました。  第二に、会の運営の点について。  処理委員会が五月三十一日に持たれました。昨年の四月から、北富士問題で何回会合を開いたのでしょう。この国有財産二百十ヘクタールを払い下げるというための一番大事な処理委員会というのが、この問題で、昨年四月から何回審議をしましたか。
  60. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 返還財産処理委員会は、この北富士返還区域の問題について、全体として六回にわたって審議をしておりますが、昨年の四月以降といいますと、合計四回でございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 そのときの資料は、どんなものが配られたのですか。その四回にわたる四月からの小委員会に対する資料は、どんなものが配られましたか。後でその資料はお出しいただきますから、先に口頭で言ってください。
  62. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 昨年二回やっておりますが、その際はいろいろ現況の地図なり、あとは地図その他、ちょっと詳細に覚えておりませんが、資料を出しまして、昨年ちょうど地元で紛争が起きておりましたので、その状況について詳しく説明し、地元国会議員団のあっせん案が出ました経緯等をいろいろ御説明して、審議いただいておるわけでございます。  ことしに入りましてからは、いままでの経緯、それから改めてもちろん地図その他を出しまして、御審議願っておるわけでございます。  それから五月三十一日の小委員会におきましては、先般の五月十六日の本院決算委員会における質疑の議事録を当方で作成しましたもの及び原先生の出されております意見書等を資料として配付しておるわけでございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの説明、口頭で主なものの説明をしたわけでしょう。出した資料説明をしたわけですね。  当初この二百十ヘクタールというのは、恩賜林組合に払い下げるというので論議をしてきたわけです。そうして、それが途中で変わって、県への払い下げに方向転換した。三年間、すったもんだやってきた。その場合に、恩賜林組合が払い下げを受けたときの林業整備計画とは一体何だという、膨大なあの計画を論議し、それから今度は県へ払い下げると決まった、あるいは方向転換した以後、県のいま持っている林業整備計画という膨大な計画書を、なぜ小委員会に出さないで審議ができるのですか。出してないですよ、こういうものは。
  64. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 県から提出されております林業整備計画の計画案につきましては、本年四月に開きました小委員会の際、資料として提出して御説明しております。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 ことしの四月に、県の林業整備計画が初めて出されたというのですね。その四月に提供した県の林業整備計画を、後でちょうだいできますか。
  66. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 これは山梨県の事業計画書でありますので、山梨県の方と御相談して、そのように配慮したいと思います。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 あなた方が持っているものをリプリントすればいいので、山梨県に相談して山梨県の許可を得なくたって、国会がそんな要求したときに、山梨県の許可を得なければ出せないような回答の仕方は一体何ですか。ふざけちゃいけないですよ。そんなばかな答弁の仕方があるか。だれだって手に入っているんじゃないですか。四月に出したというものをほしいんだ。計画はぼくにもあるかもしれない。山梨県の許可を得なければ出せないような言いっぷりというのは一体何の考えなんだ。ばかにした言い方をするな。  それを出してもらうことと、今度は具体的にちょっと聞いていきますが、処理委員会報告二項の三「本地をめぐる経緯、本地の客観的条件、地元の意向等を総合的に勘案すれば、」とあるのですが、「本地をめぐる経緯」を説明する資料は一体いつ配付されましたか。  こんな答申が出るのに「本地をめぐる経緯、本地の客観的条件、地元の意向等を総合的に勘案すれば、」云々とありますね。では、「本地をめぐる経緯」を説明する資料は、いつ審議会に出したのか。審議会の諸君が審議できるように「本地をめぐる経緯」というものの資料を出しましたか。
  68. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 本国有地の払い下げ問題の経緯につきましては、当初四十八年四月に、国有財産中央審議会に諮問されているわけでありますが、その後の四十八年十月に、小委員会においてその経緯なり問題点を説明しておりますが、そのときも資料として配付しておりますし、それから本年に入りましても、四月の小委員会におきまして、そういう経緯を説明した文書を配付しております。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 これも後でちょうだいするように、ぜひすぐに持ってきていただきます。  「本地をめぐる経緯、」というものの説明資料が出されたとおっしゃいますが、私のところへ届けていただけますか、よろしゅうございますか。あとのものもみんな同じですよ。  それから地元の意向。ここに「地元の意向等を総合的に勘案すれば、」とあります。地元の意向というものを説明する資料について、何を委員に配付しましたか。
  70. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 地元の意向をいろいろ説明する資料というのは、それ単独のものということでなくて、その経緯の説明の中で、いろいろ地元からこういう要望が出されておる、たとえば今回の場合ですと、地元の富士吉田市、忍野村、山中湖村、それぞれからも県へ払い下げてもらいたいという要望が出ておる、というような形で説明をいたしております。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 だから十分な審議ができないと前から言っているのですよ。少なくとも紛争の起きている現状で、新屋における永小作権を主張する諸君、あるいは忍草の入り会いを主張する諸君、こういうものがいろいろな文書を出していますよ。あっせん案を出すのなら、私の速記録を出すのなら、十分に審議できるように、口頭でいいかげんに説明しないで、どんなに頭がよくたってわからないのですから、そういうものを資料として出さなければいけませんよ、経緯の中に。簡単にかどうか知りませんが、とにかく審議ができるまでに、答えが出るまでに二時間ですから。この一つだけをとらえたって、人によっては何時間も論議しなければいけない、考えなければいけない。資料を出さなければだめじゃないですか。資料で出すべきですよ。出していない。口頭でもって、おのおのこういう問題があります、ああいう問題があります。それで判断できるような委員諸君は、私はいないと思うのです。非常にむずかしい問題を含んでいるのです。  しかも、いずれもみんな裁判で係争中ですよ。それほどむずかしいのです。裁判の結論が出なければ本当の結論は出ないかもしれないような大きな紛争の、いわゆる地点が方々にあるわけでしょう。それを都合の悪いことはさっと説明する。なぜこういうふうに資料を出さないのだ。読まなければ審議委員が本当に審議ができないじゃないですか。非常にむずかしい重要なことが書いてあるじゃないですか。会計検査院に対する審査請求にしたって、そう簡単にすぽっと答えの出る問題じゃない。同じように、堀り下げれば堀り下げるほど問題が非常に難解なんです。そういうようなものを審議委員の諸君に考えてもらうためには、資料として出すのがあたりまえじゃないですか。  それから今度は、処理委員会報告の二項の四の二をごらんなさい。「これらの第三者の国有地を利用する権利は、昭和四十八年五月十九日の本地の返還と同時に消滅していることは明らかである。」としている。こういうことがうたってありますね。  いま、問題が難解だと言ったのに触れていくのですが、国有財産中央審議会には法制小委員会があります。「四十八年五月十九日の本地の返還と同時に消滅していることは明らかである。」という結論を審議会が出した。審議会には、法制小委員会がある。乙の種の法律問題で、その法制小委員会が一度も開かれていない、ここにかかっていない。一体なぜこの結論が出た。
  72. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 法制小委員会という形では開催しておりませんが、返還財産処理委員会そのものにおいて、全体として六回にわたる審議を行っておるわけでございます。それで、そのメンバーの中には、もちろん法律の専門家もおられます。そういう中で審議されて、こういう結論になったわけでございます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 なぜ法制小委員会があるのですか。この重要な法律問題に関して、小委員会のメンバーの中に法制小委員会のメンバーがぱらぱらと入っている。だから、そこでやったからいいのだというようなことが通ると思いますか。国有財産の審議をするいろいろな事件には法的な問題があるというので、法制小委員会というものを特につくってあるのじゃないですか。それを処理委員会の中に法制小委員会の人も入っているから、それで済むのだ。ばかなことがありますか。そんな運用でいいのですか。  法制小委員会がある限り、この種の問題は法制小委員会にかけるべきです。そうして、いまりっぱに言い切っているように、「本地の返還と同時に消滅していることは明らかである。」という結論を出したのなら、私たちも、その論議の内容を聞いた上で、ある程度納得をしますけれども、法制小委員会というものをつくっておきながら、処理委員会があり、中央審議会がある。そうして、この法的な重要な、いま問題になっている、裁判になっているいろいろな事件があるのに、それを法制小委員会にかけないで、この結論を出して、こんな言い切ったことが正しいと思いますか。何のために法制小委員会がある。法制小委員は要らないじゃないですか。もう一遍答えてください。
  74. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 国有財産中央審議会の中に設けられております法制部会のお話ですが、これは国有財産法なりそれの施行令とか、そういう国有財産制度そのものの改正等が問題になりましたとき審議していただく、従来の法制部会の審議ということは、そういうことになっておりまして、個別の問題、いわゆる今回のような問題につきましては返還財産小委員会なり、もう一つ設けられております筑波移転跡地小委員会なりで、それぞれ審議されることになるわけでございまして、われわれはその辺について、決して審議がなおざりにされたというふうには考えておらないわけでございます。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 いま、あなたは便宜上そういう答弁をしたのだろうと思うのです。何と何に限ってだけやるという、法制小委員会委員は、そんなこと知っていませんよ。どういうわけでしょう。  それじゃ次の委員会に、この委員をここに参考人として、私、委員長に頼んで呼んでいただきます。この委員は、そんなこと知っていません。あなたが勝手に言っているのです。その委員は、自分の任務をそうだと思っていない。そんな小さな枠をはめて、それだけをやるのだなんて、この委員は知っていない。どうですか、もう一遍答えてください。委員は知っていますか。委員はそんなこと知っていませんよ。
  76. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 法制部会についての従来の運用は、ただいまお答えしたようなことになっているわけでございます。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 従来の運用はと、勝手に次長が判断をする、都合のいいときには。だから審議会が隠れみのになる。委員はそんなこと承知していないですよ。そんなばかな小さな枠をはめられたなんて考えていない。この種の問題に関しては、法制小委員会にかからないのが不思議だと言っている。いつでも、どこへ出ても言いますと小委員は言っている。一体どういうわけですか。こんなことを論議してもしようがないが、あなたの言っているのは、言いわけなんだ。いまここだけを糊塗するための言い逃れであります。「明らかである。」と言い切るためには、法制小委員会の議を経ないことは手落ちです。間違いです。断定して間違いない。  後でまた審議委員なり、あるいは小委員長なり、ないし法制小委員の皆さんに来ていただいて、もう一度あなたが勝手につくって言ったことだということを立証したいと思います。  それからその次に、処理委員会としては、いま出されているその結論を出すに当たって、どういう検討しをいう、その内容を——いま消滅していることは明らかだということですよ。このことに対して処理委員会は、どんな検討をしたのでしょうか。四十八年五月十九日の本地の返還と同時に明らかに消滅しているんだといった結論を出すまでに、どんな論議がありましたか。大蔵省の原案をうのみにしたのでしょう。そうでない内容を、ちょっと説明してください。どんな審議が行われましたか。
  78. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 先生の御質問は、主として入会権等のお話だと思いますが、御承知のように、北富士演習場内国有地の入会権の問題については、四十八年六月に、閣議了解で政府の統一見解が出されておるわけでございます。いろいろと昔からの経緯を見まして、これらの土地については入会権は存在しないというふうに考えるのが合理的である。それから入会権は消滅したものと考えられるという統一見解が出されておるわけであります。  その辺の事情を御説明し、決して先生方が、これらの説明をうのみにされたということではなくて、十分その辺の事実を踏まえて、御審議を願って、そういう結論を出していただいたわけでございます。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 だから、先ほど言ったように、忍草の入会権を主張する諸君の重大な資料も、新屋における永小作権を主張する諸君の言い分も、文書でもって出さないから、あなた方の一方的な、四十八年からこうなりました、そうですかというふうに通ってしまったのです。ああいうものは資料として出さないからいけない。出せば、明らかであるなんと言い切った答申が出るというふうに私は思わない。  少なくとも付帯条件がつくか何かつきます。こんなに明瞭に一方的に、また、裁判をやっていても、まだむずかしくて、問題のけりがつかない。現地においても問題のけりがつかないで、ずっといわゆる昭和十六年以来の入会権だ、入会慣行だ、それ何だといって、ずっといまでも紛争している。しかも、進駐軍といえども、あるいは防衛庁といえども、入会慣行というものをつながった形で、かつては入会権を認め、入会慣行を認め、それから今度は林雑補償という名前に変えて、入会慣行らしいものをずっと認めて、今日払っているという事実があるから、非常にむずかしい。  そんなものをこの答申で、明らかであると言い切れるなんということは、この審議委員の諸君がどうかしていると私には思えてならない。本当に良識のある審議を、材料をもらってやったら、この審議委員先生方諸君だって、こんな明らかであるなんという答えを断定的に出すことは不可能だ。国だって出さない。裁判だって出さないのだ。会計検査院だって、いろんなそれに類似した問題を調査してもらっても、調査がむずかしくて、それに明快な答えが出せない。  なぜ一体この処理委員会、あるいは中央審議会の委員諸君は——非常に問題の深い入会権の問題なんというのは、どこでも解決できない。これに対して明瞭であるという答えを出すなんという越権が、私は不思議でならない。こんなことを大蔵省が簡単に、何月何日に大審院の判決が出て、こうなってこうなったから、いまこうなんですよ。国管法が切れて、こうなったからこうですよ。それをうのみにした。うのみにしないためには、あなた方が、こういった資料を、新屋のものも、忍草でも、文書によって提供して、十分に考えてもらったら、こんな断定的な、明らかであるなどという答申は出なかったと思う。  それから次に、処理委員会がいまの結論を出すに当たって、利用権者の意見を聞いたことがありますか。利用権者の意向というものを聞いたことがありますか。——次長がどんどん答えなさい。あなたが一番ベテランで、始終ここのところを踏むんじゃないですか。
  80. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 利用権者と言われますと、われわれの方は、ちょっとひっかかるところがあるわけでございますが、われわれの方は、問題になっております忍草地区の入会権なり、新屋地区のいわゆる永小作権なりの権利というものはない、こう考えておるわけでございます。ただ、現地の実情というのは、もちろん言い分そのものは、われわれの方も、そういう意見なり何なりを伺っておりますから、当然それらの方々の御主張というのは承知しておるわけでございます。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 利用権者の意向を聞けと言ったら、少しひっかかるんですが、なんというのは重大な問題です。利用権者の意向を十分尊重するというのが、国会の指摘事項じゃありませんか。全会一致の指摘事項じゃありませんか。総理もそれに答えているじゃありませんか。だから、国会があのような指摘事項、議決事項をやったにかかわらず、ほとんど舌の根も乾かないうちに、予定どおり一カ月も前にセットした五月三十一日なり六月二日に開くことが、非常にそこつだと私は言って、延ばしなさいと前に注意した。そうでしょう。国会全体の意思として、地元権者の意向を十分尊重するということが指摘事項じゃありませんか。  全然それを無視して、利用権者の意向を聞こうともしない。どうやって一体尊重できるのですか。利用権者の意向を尊重するということは一体何か。国会の指摘事項に対して、どう考えているのか、答えてください。どうやって利用権者の意向を尊重するのか。
  82. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 われわれとしましては、国会の議決の中にあります「国有財産の処分については、利用権者、地元の意見を十分に尊重すべきである。」という、この議決につきましては、文字どおり、そのように解釈しているわけでございまして、利用権者、地元の意見を十分に尊重すべきである、これは当然そのように考えております。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 その利用権者の意向を聞いたかと言ったら、ひっかかるというのは、どういうわけですか。聞くのはあたりまえじゃないですか。何らかの方法で、それを聞かなければ、だめじゃないですか。尊重したことにならないのじゃないか。利用権者の意向を尊重したことになりますか。全然聞きもしない。何らかの方法で、その意向というものを確かめなければ、尊重したことにならないじゃないですか。
  84. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 先ほどちょっとひっかかると申し上げましたのは、利用権者という言葉で、いわゆる忍草における入会組合なり、新屋のいわゆる開拓組合を含めるかどうかということについては、文字どおりの利用権者と言えるかどうかということについては、われわれ若干疑問に思っているわけでございます。  ただ、事実上の問題としまして、忍草地区に、入会組合によって植林された樹木が成長しており、新屋地区において、その開拓組合によって耕作された開墾地というのが造成されているという事実はあるわけでございます。それらの点について、今回の答申にもありますように、「山梨県が、現地の実情を十分勘案して、適切な措置を講ずるよう、国としても十分指導を行うこと。」と指摘されているわけでございます。  現に山梨県の方が先月末から、これらの地区についての懸案事項を解決するため、地元に呼びかけまして、地元の村長なり議長なり入会組合長、それから新屋の方につきましては、開拓者の組合なり永小作権を主張しておられる連盟の代表の方等を入れまして、その懸案の解決について積極的に話し合いをやっていこうということで、いろいろ地元としては、その解決に向かっての努力を始められているわけでございます。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 現に県が何をやっているかなんということを聞いているんじゃない。国会が、いま言った利用権者の意向を尊重することを満場一致で指摘をした。その後、小委員会が開かれ、中央審議会が開かれた。国会の意思に沿うように、あなた方が努力をするなら、小委員会が、その利用権者の意向を何らかの方法で聞くとか確かめるとかいうことを当然させなければいけないじゃないかという意味で私が質問したのです。  現在何をやっているか、いま言っていることは、一回やりましたよ。忍草の組合長は都合が悪くて行かなかった、だから忍草の方は行かない。新屋の方は代表者一人だけ行きましたよ。そうして何を言ったか知っていますか。そんなことはまた後で論議する。  ただ、そういうものを形式的に持ったから、県が何をやったなんて言われては困る。新屋から出て行った代表者も何を言ったかを、やはり問題にしなければいけない。それは後の問題だ。  国会が議決事項で満場一致で指摘したこと、利用権者の意向を尊重するといったことを指摘した国会を重視するなら、当然小委員会なり中央審議会にそのことを十分に考えてもらえるように、尊重する意向、利用権者がどんな意向を持っているのか、何らかの方法で、その意向を確かめるということがあってしかるべきなんだ。なかったじゃないですか。そのことを指摘しているのです。  これ以上、あなたに言ってもしょうがない。とにかく、次から次に矛盾が出てくる。ただ一瀉千里に、県へ押しつけてしまおう、払い下げてしまおう、かつての密約に従って、とにかく払い下げなければいけないということだけに、せっせとしている態度が如実に出ている。  それから、こういう断定をする前に、やはりできるなら、その手順としては、入会権に絡まる諸問題に対する学者、研究者の意見を、小委員会なり法制部会は十分に聞かなければいけないと私は思います。これから審議をするときも、入会権を中心にして、ずっともう何十年となく、いまだに解決していないこの問題に関して、こんなに断定的に「明らかである。」と言い切るためには、あなた方がおぜん立てをする事務局なんだから、小委員会が十分に審議ができるように、その小委員の皆さんに、入会権に絡まる諸問題に関しての学者なり研究者なり大家がいるのですから、その人を呼んで意見を聞くというくらいのことをしなければ、「明らかである。」などという断定した、こんな答申が出せるはずがない。そういうこともすべきだと私は思いますよ。  特に県当局や、あなた方が知っている演対協の意思を調べる必要もありますね。県は、「四十八年五月十九日の本地の返還と同時に消滅している」のだという立場を、国と一緒に右へならえでとっているようにお考えになっているでしょうが、県もやがて意思統一をしなければいけないと思いますが、県の林務部長の川村浩一君が、五十一年六月二十二日の県議会でこう答えている。  「二百十ヘクタール地域内におきます問題、特に忍野村忍草天野賢吉氏からの上申書に関連いたしまして、三点御答弁申し上げます。  まず第一点の、この問題となります土地の耕作権は、国有財産管理に関する法律によって創設されたものではなく、開墾永小作権であるといっているが、これは、県のいままでの態度では、国管法により解決済みであるという見解を県は表明しているが、そのとおりでよいかという点についてでございますが、本件土地につきましては、昭和二十七年四月一日から昭和四十八年五月十九日まで、いわゆる国管法に基づく国有財産の一時使用の許可によりまして、国が新屋開拓協同組合に貸し付けていたものでございます。したがいまして、昭和四十八年五月十九日、この日をもちまして、合衆国から基地として日本国に返還されたわけでございますが、この時点において、国管法の規定によりまして、従来のその土地の使用収益権は一応消滅した、その後国は貸し付けていないために、現状では、いわゆる権原のない無権限による耕作であるというのが国の関係当局の考え方でございます。一方開墾永小作権につきましては、これは民法第二百七十条でいう永小作権の一つのタイプを指しているのではないかと思われます。問題は、昭和二十七年四月一日以前の耕作権というものがはたしてどうなっていたのか、その後どういう形で存続したのかという問題につきましては、この二十七年以前の貸借関係の両当事者による当時の事情が十分詳細に検討されなければ、なかなかにわかには判断しがたい問題ではないだろうかというように考えられます。  次に、御質問の第二点は、本件土地は米軍に接収されていなかったら、自作農創設特別措置法施行令によって、農林省に所管がえされたはずだという上申につきまして、これの法的根拠なり、実効性の問題の御質問についてでございますが、農地につきましての所管がえは、あくまで農林省大蔵省の間の協議によって決定される性格のものでございます。上申書にありますように、農地改革当時においてみますと、旧軍用地内耕作地の多くが、この自作農創設特別措置法施行令によりまして、農林省に所管がえをされて、その後自作農創設目的で売り払われたということが多いことは事実でございます。しかし、この施行令は、昭和二十七年七月十五日に廃止されておりますので、現状におきまして、この施行令に基づいて、法的な権原を主張することはできないのではないかというように考えております。  御質問の第三点は、以上のように問題は永小作権問題に移ってきたといえるが、今後どのように対応していくのかという点についてでございますが、この永小作権問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、当事者の関係がこの貸借当時において一体どうなっていたのかという問題なり、当時の実態関係者間の使用収益権その他の権利設定についての理解がどうなっていたのかということが、やはり解釈上の中心になると思いますので、当時の実態がやはりはっきりしなければ、非常に判断はむずかしい問題ではないかというように考えられます。特に昭和十六年当時といいますと、旧陸軍の当時でございますので、現在いわば国の立場、国がその当時をどう理解をするかということにはなりますが、この天野さんと国の見解、当事者間の見解があくまで相違するという場合には、最終的には司法上の判断にゆだねるということによらざるを得ないというケースも出てくるのではないかというように考えられます。」と答えておるのです。  これは常識的ですよ。「明らかである。」なんということを山梨県当局も言っていない。問題は深いから、結論を出すのは、結果的には裁判による以外にないだろうという答弁をしていますよ、この問題に対して林務部長が。あなた方の言うように断定するようなことが——山梨県当局だって、こういうことを言っている。  朝日新聞の山梨版に、けさ、こういう記事が出ておる。「返還地は利用不可能 旧十一ケ村入会守る会県監査委に措置請求」というのが出ておる。あわてて持ってきてくれました。いま来るときこれを見た。これに関して、概略的に言いますと、こういうふうな問題になってまいります。  北富士演習場返還国有地払い下げに関し、従来から多くの疑惑が指摘されてきているが、きょうの朝日新聞山梨版によりますと、地元住民の山梨県に対する住民監査請求が提出され、また物議を醸すことは間違いありません。その内容は、次のようなものです。  山梨県及び演対協は、「国有地二百十ヘクタールの払下げに係るあっせん案の運用及び解釈について」昭和五十一年七月二十九日に回答をしているのですが、「当該地域(本件国有地)に対して従来から地元住民が使用、収益してきた入会慣行は、所有者が変わっても承継されるものと考える」ということを山梨県並びに演対協が質問者に対して、はっきり答えているのです。  つまり、この回答によって、県は地元入会集団の有する入会慣行が、単に天然自然の産物の採取ばかりでなく、同地を使用して生産的に収益することのできる内容を持つ強力な用益物権であること、言いかえれば、当該地域の所有者が、たとえだれになっても、その所有者は、本来的な所有権の内容をなす使用権、収益権、処分権の三つの権能のうち、単に処分権のみを持つ観念的な所有権、いわゆる虚有権を持ったにすぎないと解せる内容の回答を県及び演対協は地元に出しているわけです。にもかかわらず、山梨県が当該国有地を完全なる所有権を有するものとして、国と売買契約を締結しようとすることに対して、地元住民がその不当性を追及して住民監査請求をなしたというのが、この新聞の趣旨であります。  このことに関連して、私は以下数点にわたって質問をいたします。  政府は、当該国有地の上に用益物権としての入会慣行及び永小作権等を主張する農民たちがいることを当然知っているものと思われるが、どうですか。先ほどの答弁で、こういうことを知っているでしょうね。知っているか知らないかだけ、簡単に答えてください。
  86. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 そういう事実があることは承知しております。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、北富士演習場返還国有地払い下げ問題に関する参議院の鈴木力氏の質問主意書に対する回答が、五十一年十一月十九日に出ていますね。政府は、当該国有地については、第三者の権利は一切存在しないと考えられると回答していますね。先ほど述べた山梨県及び演対協の回答においては、県は、用益物権としての入会慣行を地元住民に認めていることが明瞭なんです。政府は、この矛盾をどう考えるか、どういうふうにこれから解消していくのか。国は、いま言ったように「明らかである。」と言い切った答申を出させるようなこういう結果を招来した。県の方は、あらゆる機会に用益、収益権があるんだ、こう言っているんだ、これを一体今後どうするつもりなのか。この点は、答申案がせっかく出ましたけれども、県の態度とは矛盾している、全く相入れない、これが一つ。後で答えてもらう。  これについて、県がどんなことを、いままで言ったかということを全部調査した上でないと、今度払い下げを実際に決定しようと考えたときに、県と国との立場の相違というものが、いま明瞭に浮かび上がっているわけですから、これを単に、知事が来て何を言いました、望月副知事が来てどう言いましたというだけで済む問題じゃない。ずっと長い間、一切議会の速記録に残っている、公式に知事が答弁をする、公式にその要路の当局者答弁をしているのです。それが、国が言っているのと相反している。公式にこれを否定し、公式に議会で否定した態度が認められない限り、これは国と県とはまるで相反したまま、ずっと並行線でいるのに、国はいま、県に払い下げるのが妥当だと答申が出たから、県へ払い下げるのだと言っている。この問題に関する立場だけでも、政府と県とは違っている。これは非常に重要な問題ですから、一体これを今後どういうふうにしていこうとするのか。  それから、仮に政府が主張するように、国有地について第三者の権利が一切存在しないとしても、現実に当該国有地に付着する権利を主張する者がいる場合、その権利の存否の有無は、裁判確定までは最終的に決せられないのであると私は思う。これはさっきの林務部長が言ったのと同じで、私もそうだと思う。政府は、その付着している権利関係を法的に明確なる処理をなしてから、払い下げの措置をとるべきであると思うが、これは一体どうなさいますか。この問題の解決をしておきませんと、これは非常に重要な問題を、あと国が厄介な荷をしょうことになりますよ。したがって、これに対してどうするのかを二つ目に。  官房長がいま来られたようですから、官房長に最後に、まただめ押しのようにお願いをしておきますが、よく聞いておいてください。  また、普通財産取扱規則、昭和四十年四月一日、大蔵省の訓令に出ておりますが、普通財産取扱規則第九条本文に、「財務局長は、普通財産の管理及び処分をしようとする場合には、当該財産を実測計量して、その数量を確実には握するとともに、当該財産に係る権利関係を明確にしておかなければならない。」と規定している。  したがって、前記の事実が存在している本件払い下げにおいては、当該財産に係る用益物権としての入会慣行及び永小作権等の権利関係を明確にした上でなければ、財政法第九条、予算決算及び会計令第九十九条の五などに基づいて、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮した適正な価格を定め得ないと思うのですが、これは一体どうなりますか。これから審議する、でいいのですが、これはこのことを十分に配慮しないと、値段が出てこないはずであります。もし決めるとするならば、その理由及び前記事実に対する法的または行政処理の仕方、いま私が指摘した各条章に対する対処の仕方、これをひとつ三つ目にお答えをいただきたい。  次に、前記の事実が存在している本件払い下げの場合に、売買の目的物たる当該土地の上に用益的な権利を主張する者があるために——いまあるのですから、買い主たる県が、その買い受けた権利の全部または一部を失うおそれがあるので、売り主たる国が、民法第五百七十六条ただし書きによって相当の担保を供するか、契約書において特約をもって排除しない限り、買い主たる県は、民法五百七十六条本文の規定によって、その危険の限度に応じ、代金の全部または一部の支払いを拒むことができると解するが、これは一体どうでしょうか。もしそうでないと言うなら、その理由を明らかにしてもらう、これが四つ目であります。  その次に——あなた方は審議会で、この調子でもって委員の諸君に、ずっと話してよくわかるのだそうですから、私は、いまそれを試しにやっているのです。あなたに、どんどん物を言ってみる、わかるだろうと思う、答えていただく。  その次に、先ほど申し上げました県と国との間のいさかいがここで起きますが、いわゆるそのおそれが現実に問題となった場合、買い主である県が、その買い受けた権利の全部または一部を失ったときは、買い主たる県は売り主たる国に対して、民法第五百六十六条の売り主の担保責任を問うことができると解するが、これはどうでしょうか。もしそうでないと言うなら、その理由を明瞭にしていただく。これが五つ目であります。  その次、いま申し上げた項で述べた事態が払い下げ後に起きたとしても、それでも、なお、国としては売り主の担保責任を負わない旨の特約をして処理した以上は、その責任をとらないというのが政府の見解であると思わざるを得ないが、そのように解してよろしいでしょうか。国は責任をとりませんというふうに解釈してよろしいかどうかを六つ目に。  七つ目に、売り主たる国が民法に規定する担保の責任を負わない旨の特約をした場合でも、政府は昭和三十一年五月、いわゆる国管法(昭和二十七年四月二十八日法律第百十号)第四条に基づいて、本件売買物件の一部である檜丸尾及び土丸尾、なかざす地域に対し、植林及び耕作の権原を「自ラ第三者ノ為メニ設定シ」たのであるから、たとえその後、この権利が消滅したと主張しても、その第三者によって、いまなお現実に、その土地が使用、収益の用に供されているとすれば——いましているのですよ。なお、その農民たちは、その土地を離れる意思は全くないのである。そのことは社会周知の事実といまなっているのですが、売り主たる政府は、民法五百七十二条の規定によって、なお担保責任を免れることはできないと解するが、どうでしょう。国は、絶対に担保責任を免れることはできないと思いますが、一体どうでしょう。そんなことありませんと言うなら、その理由もお答えをいただく。  八つ目、本件払い下げにおいて、政府は買い主たる県が、いま申し上げた四、五、七項の三項で触れたような行為に出ることは、およそ起こり得ないと判断しているのならば、その起こり得ないと判断する根拠をここで明示していただく。  九つ目に、最後に、以上述べたように、当該国有地に用益的権利が付着していることを主張する者が存在し、かつ、県及び地元も、その存在を認めている現状のままでは、政府は、その間に存する法的関係を明確にしない限り、払い下げをなすことができないと思われるのですが、どうでしょう。これは大きな障害になると思います。  この問題の一から、いま言った九つまで、最後までを十分に検討をして、これに対する明解な態度が法的にもきちっと解明されない限り、この払い下げは不可能だと私は思いますが、どうでしょう。  そういうことに対して、九つ、お答えをいただく。
  88. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 まず最初の、いわゆる地元のいろいろ入会権なり小作権について、県の考え方と国の考え方が違うんじゃないかということでありますが、われわれその後、県と十分意見交換をしておりますが、その点についての考え方の違いはございません。先ほど申しましたように、われわれとしましては、忍草の入会権なり新屋の永小作権というものについては、権利としては消滅しておると考えております。  ただ、そこに植林された樹木があり、開墾された畑があるという事実は承知しておるわけで、ですから、それについて地元問題として、県が円満な解決に努力するよう国としても、十分に指導していかなければならぬと考えておるわけでございまして、それを、権利がないから切り捨て御免でいいんだというふうに考えておるわけではございません。それで基本的に、その点について県の考え方と国の考え方とは矛盾してないと考えております。  それから普通財産取扱規則九条で、いろいろ数量の確定なり、権利関係の明確化をした上でなければ処分できない、これはまさしく、そのとおり実施するわけでございます。  それから価格につきましては、これは国有財産を売り払う場合の価格は、財政法九条によりまして、適正な価格を算定するわけでございます。目下いろいろなデータを収集して、その適正な価格の算定に当たっているところでございます。  それから民法五百七十二条に基づく国の担保責任の問題でございますが、これについては、われわれとしては、いわゆる第三者の権利の付着したものであるとは考えていないわけでございますから、われわれ売り主たる国が、そういう責任を負うものとは考えておりません。そこに権利を主張しておられます方がおられるというのは、事実でございます。ただ、国の立場としては、先ほど言いましたように、第三者の利用する権利は、四十八年の返還と同時に消滅しているという考え方でございますので、そういう点の法的関係は明確になっておると考えておるわけでございまして、その前提に立って払い下げ事務を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 審議会じゃないけれども、私が口頭でいろいろ細かく質問しても一々答えられないでしょう。頭に入らないでしょう。幾ら吉岡さんみたいな優秀な人でも、大ざっぱな回答以外にできない。審議会のあり方も、資料がなければだめですよ。きょうの速記録を見て、その一つ一つに対して、私のところへ回答を持ってきていただきます。いまの大ざっぱな回答でいいかどうかも、ひとつ速記録を見た上で、回答をちょうだいする。  ただ、こういう問題が解決しない限り、払い下げできないという明瞭な答弁が前段にありました。確かに、そのことが問題を解決しておいて、後に問題を残さないようにしようという私の趣旨と合いますから、その点は結構なんですが、いま私の言ったことに対しては、速記録を見た上で、一つ一つ教えてくれるような気持ちで回答していただきます。よろしゅうございますか。
  90. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 速記録ができましたら、それを見まして、さらに必要があれば、補足的に説明させていただきたいと思います。
  91. 原茂

    ○原(茂)委員 必要があれば、じゃない。ぼくが、いま必要があるから頼んでいる。あなたの必要じゃない、ぼくの方から要求しているのです。
  92. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 補足的に説明させていただきます。
  93. 原茂

    ○原(茂)委員 ぜひそうお願いしたい。  ここで、処理委員会にも中央審議会にも、あなた方は一番大事なものとして、あっせん案をお出しになってきた。県のあっせん案なるものをお出しになった。これが一番大きなよりどころだったのです。山梨県出身の衆参両国会議員全員が、このあっせん案を一、二、三、四項まで示して、三年間もすったもんだやった組合への払い下げ先を変更して、このあっせん案に基づいて県へ払い下げることに決めた。これが唯一のよりどころで、皆さんは審議会あるいは小委員会にこれを資料として出した。これに答申が出る大きなウエートがかかっていたわけであります。そこで、あっせん案に対して、少し一緒に検討をしていただきたい。  これは読み上げません、皆さん持っていますから。一項から五項まであります。  私は、あっせん案そのものが、一体何を意図しているのかが問題だと思う。大蔵当局は、あっせん案を唯一の武器として、県への払い下げ適正化を図っていることは事実ですね。唯一の武器にしています。その問題点は、事態収拾策としての県への払い下げあっせん案と、現実の県の払い下げ地利用計画に基づく払い下げとを意図的に混同させている。  いいですか。事態収拾のために必要だというので、あっせん案を出した、そのあっせん案という性格と、それから県が持っている払い下げ地の利用計画、その内容が適正であるということとは違う。そのことは、あっせん案は審議していない。いかにもそうであるのに、このあっせん案なるものが、県の払い下げを受けた後の、この国有地の利用計画の内容までが正しいと、山梨県出身の全衆参国会議員が考えているような装いで、小委員会なり中央審議会に提出され、説明をされていた。この二つの問題は、区別しなければいけないと思います。  ですから、あっせん案賛成イコール県の利用計画賛成ということではないんですが、いかにもそうであるように、審議委員なり小委員なり、審議をされる皆さんに受け取られていたと思います。あっせん案は、社会党議員も名を連ねているが、県がその後それを具体化させる過程では、社会党は必ずしも同じ意見ではなく、昨年九月の県の林業計画発表後の定例県議会での発言、さらに十月末の渡辺孝基質問状によって、あっせん案に対する解釈の違い、具体化された県の計画に反対の態度までが証明されています。その後十月と五月にですよ。あっせん案に対して、何でもかんでも無条件で社会党の国会議員がみんな賛成したんだ、こういうふうな受け取り方を審議会の諸君に持たせることは間違いだという意味の指摘であります。  なぜかと言いますと、この渡辺孝基なる人は、あっせん案が出たときに、あっせん案に対するいわゆる質問状を出しているんですね。これはいろいろありますが、一つだけで結構だと思うのですが、「国有地二百十ヘクタールの払下げに係るあっせん案の運用及び解釈について」照会をしますというので、書留で内容証明で、配達証明つきで出しているんですね。自民党の国会議員、社会党の国会議員、全部に出しているんですよ。その回答が全部あるんですよ。しかも、内容証明、配達証明で全部回答が来ている。自民党からも社会党からも、全部渡辺孝基氏本人に来ています。  渡辺孝基氏は何を質問したかと言いますと、  「1、あっせん案第一項に「払下げ先は山梨県」とあるが、これは、あっせん案第五項により富士吉田市外ニケ村恩賜県有財産保護組合(以下「保護組合」という。)への払下げを前提とした県の一時預りと解してよいか。  2、当該地域における従来からの地元住民の入会権益は、県の一時預りとなっても継承されるものと解してよいか。  3、県への払下げ時点で、あっせん案による保護組合の行う林業整備事業の実施にあたり県は、前項の権益を公示するため保護組合に対し地元の納得する、いかなる権利関係の設定を考えているか。  4、あっせん案第三項に「県が整備計画を策定し」とあるが、この場合策定にあたつては、予め地元と協議し、その同意を得る用意があるか。  5、あっせん案第四項の諸懸案については再払下げに先行して行なうことを原則とし、その解決にあたつては一市二村の首長並びに保護組合長と協議して取りまとめるものと解してよろしいか。  6、あっせん案第五項の林業経営の定着した時点の判断は誰がするか。  7、あっせん案第五項の「県の事情変更の申請」とは保護組合へ払下げることを大蔵省に申請することと解してよいか。  8、県が一時預りとして、国から払下げを受ける場合、その払下価格は林業経営のため林地素地価格により、再払下げの場合においては、国からの払下価格によるものと解してよいか。  別項として県は、入会協定を早急に締結するよう国にあっせんすべきであると考えるかどうか。」というのを、まず田辺県知事と、それから有泉演対協会長に質問状を出しているんですね。  それに対して答えが来ています。この答えが——これは公式文書ですよ。  「第一項について  「県の一時預り」と理解してよい。  しかし、地元保護組合への再払下げには、林業整備事業の実績が積み重ねられることが必要であると理解願いたい。」これが第一項に対する回答ですね。知事、演対協会長両者の正式の回答であります。  「第二項について  当該地域に対して従来から地元住民が使用、収益してきた入会慣行は、所有権者が変っても承継されるものと考える。」第二項で明瞭にこう言っているんですね。  「第三項について  保護組合が行なう林業整備計画の実施に当たっては、明確な法律関係が設定されるべきであると考える。  そのためには、地元関係者の意向を十分に伺い適切な法制的な措置を講じたい。  第四項について  貴見のとおりとご理解願いたい。  第五項について  貴見のとおりとご理解願いたい。  第六項について  定着した時点の判断は県が行うものと考える。  第七項について  貴見のとおりとご理解願いたい。  そのためには、保護組合を中心として一市二村が一致協力し、理解と協調を深められたい。  第八項について  国からの払下げ価格は、林業経営が可能な林地期望価を希望し国と折衝する考えである。  地元保護組合への再払下げの際の価格は国からの払下げ価格を基準といたしたい。  別項について  早期に締結されるよう最大の努力をいたす所存である。」  特に、この九つ目、これは非常に大事ですよね。「入会協定を早急に締結するよう国にあつせんすべきであると考えるがどうか。」と言ったら、田辺知事が正式文書で演対協会長も一緒に「早期に締結されるよう最大の努力をいたす所存である。」というのですよ。どうでも国と県は一緒だとは言えない。あなた方が、払い下げを受けるのに、いろいろな問題が起きている。原がとやかく言う、うるさいからというので、知事もまあまあそんなことはありませんと、何だかんだと言って答えているかもしれない。ところが、実際に残っている文書というのは、全部そうじゃない。これは公文書です。  そこで「「国有地二百十ヘクタールの払下げに係るあっせん案の運用及び解釈について」と題する県、演対協の回答に関して、県選出国会議員への質問状」を今度出した。この知事や、あるいは演対協の会長から、こういう回答がありましたから、そこで渡辺孝基氏が、入会組合の一員ですが、公式に質問状を出したのですね。  「田辺知事、有泉演対協会長は、地元三市村長および吉田恩賜林組合長らから、七月二十八日づけで照会のあった「国有地二百十ヘクタールの払下げに係るあっせん案の運用及び解釈について」に対して、翌七月二十九日、両者連名で、「あっせん案」の運用と解釈について回答しています。  ところが右回答書には、「あっせん案」提出の当事者である貴職らの署名は一つもなく、したがって右回答書の内容に、当事者たる貴職らがそもそも同意しているのかどうかすら不明であります。」  選出国会議員に対して言っているんですね。署名をおまえたちしていないけれども、どうなんだ。  「そこで、「あっせん案」提出の当事者として、次の十点につき責任ある回答を文書をもってなされたい。」というのを選出国会議員に出しているのですよ。  「一、貴職は右回答書に示された「あっせん案」の運用、解釈について、「あっせん案」提出の当事者として、同意を求められたのかどうか。求められたのなら、いつ、どのような方法で、それがなされたのかを明らかにされたい。  一、同意を求められていないのならば、右回答書は「あっせん案」提出当事者以外の県、演対協による勝手な運用と解釈にすぎず、当然、「あっせん案」提出当事者の責任において、即刻、その無効を県知事、演対協会長に宣告すべきとおもうがどうか。  一、閣議了解の払下げ目的は地元民生安定のためであり、政府も神沢浄議員の質問主意書への回答で、そのことを再確認している。したがって、貴職らの「あっせん案」の運用と解釈も、当然閣議了解の趣旨にそって、地元民生安定のためを基本にしてなされなければならないとおもうが、「あっせん案」の当事者として貴職の見解を明らかにされたい。  一、右回答書は、「あっせん案」の「払下げ先は山梨県」とあるのは、吉田恩賜林組合への再払下げのための「県の一時預り」と理解してよいとしているが、貴職の見解も同じなのかどうか。  一、前項のように解する場合、当然次のごとき問題が生ぜざるをえない。すなわち、吉田恩賜林組合への直接払下げが駄目になったのは、社会党北富士小委員会の、同組合への払下げは、地元民生安定にならず、閣議了解に反するとの報告が大きな理由とされているが、なぜ「県の一時預り」をへれば、同組合への払下げが可能となるのか。「あっせん案」の当事者として、その理由を、閣議了解の払下げ目的である地元民生安定との関連で、具体的に明らかにされたい。  一、右回答書は、「あっせん案」の「林業経営が定着した時点」の判断は県がおこなうとしているが、貴職の見解と同じなのかどうか。  一、前項に関連して、吉田恩賜林組合への再払下げの時期を決定する「林業経営の定着」とは、具体的にどのような状況をいうのか、それは払下げ目的である地元民主安定と当然関連があるとおもうが、「あっせん案」の当事者として貴職の見解を明らかにされたい。  一、右回答書は、「あっせん案」第四項の「諸懸案については、県が地元の協力を得て解決にあたる」の中に記されている「地元」とは、地元一市二村の首長、吉田恩賜林組合長だとしているが、貴職も同じ見解かどうか。とくに「諸懸案」たる桧丸尾問題、土丸尾などの開墾永小作権問題、梨ケ原の牧草地問題の当事者たる忍草入会組合や新屋開墾永小作権者連盟と、県が直接話あわずに「諸懸案」が解決できると考えていたのかどうか、「あっせん案」の当事者として貴職の見解を明らかにされたい。  一、右回答書は、国有地二百十ヘクタールにおける地域住民の入会権益について、「従来から地元住民が使用、収益してきた入会慣行は、所有権者が変っても承継される」としているが、貴職の見解も同じかどうか。  一、前項の見解にたてば、「あっせん案」によって、県が払下げをうける場合、当然、諸懸案の解決や県の策定する林業整備事業にあたっては、「従来から地元住民が使用、収益してきた入会慣行」を侵さないような処理がなされるか、あるいはそれを消滅、制限させるため買上げ、借上げ等の必要な法的措置がとられるか、そのいずれかになると思うが、貴職の見解を明らかにされたい。  昭和五十一年八月三日 富士吉田市下吉田一二五六 旧十一ケ村の入会を守る会 代表 渡辺孝基」という質問を、書留郵便の配達証明で全議員に実は出しているのです。  これに対して自民党の議員連盟の回答が寄せられています。  「昭和五十一年八月三日付で「国有地二百十ヘクタールに係るあっせん案の運用及び解釈について」貴殿からご照会がありましたので、次のようにお答えいたします。  今回のあっせん案は、ご承知のように有泉演対協会長から行詰った国有地の払下げ問題を収拾するための方策として提示してほしい旨の要請をうけ、県選出国会議員の連名で提示したものであります。  もともとあっせん案とは、事態打開のための対策でありますから、細部に亘ることなく、大筋の事項に限られることは当然であります。  従って、この解釈または運用は、あっせん案の大筋をそれることなく、法令の範囲内で行われるならば差支えないものと考えます。  今回のあっせん案の提示後受諾までの間に、その一部の解釈または運用について応答があったことは承知いたしておりますが、以上の趣旨で取り運ばれたものと理解いたしております。  以上、お答えにかえますが、よろしくご理解願いたいと存じます。昭和五十一年八月二十日」これは金丸信、内田常雄、中尾栄一、中村太郎。  それから、社会党の国会議員団から回答を出しています。  「過日、貴殿より御照会のありました、国有地二百十ヘクタールに係るあっせん案の運用及び解釈についてお答え申し上げます。  あっせん案は県演対協会長の要請に基き、行詰った国有地払下げ問題の収拾方策として提示したものでありますが、もとよりあっせん案の基本は、閣議了解の払下げ目的である地元民生安定を図ることに在ることはいうまでもありません。  従って、あっせん案はその具体策に過ぎませんので、その運用・解釈は当然基本に副って行なわれるものと了解しております。  多忙に紛れて御返事が遅れましたが、以上お答えに代えます。」これが小林信一、金丸徳重、神沢浄というので、実はこの回答が出されているのであります。  したがって、社会党の県会議員団は、私が今日まで主張してまいりましたような、いわゆる地元民生安定が閣議了解の基本線である。この払い下げが民生安定に沿うかどうか、払い下げた後の県の林業整備事業が一体民生安定に直結するかどうか、同時に、現に生活をし、問題になっている、いわゆる桧丸尾、土丸尾における忍草入会権の問題、あるいはまた新屋の開墾永小作権の問題、この四十ヘクタール、三十ヘクタール、あるいは実測はもっと多くなりますが、これに関係して生活をしている諸君に、ただ、上畑をずっと三十六年も開墾してきたのに、これを畑をやめちゃって林業整備だ、県の計画によると、そこに林をぶっ立てて、五十年後に林が大きくなったら、それを切って買い取ってやります、これが一体民生安定になるかどうかというような問題を、幾多の例を挙げて、いままで言ってまいりました、というような、そういう民生安定に通ずるかどうかという、このことが基本なんだということを、社会党の国会議員三名ともに公式に回答しているという事実も、あっせん案は、ただ何かこう大事なところをぼやかしている、県の払い下げ後の林業整備計画そのものがいいような、そのものまで認めたような雰囲気で、この審議会なり小委員会に出されたということは遺憾だと思う。冒頭に言った、いわゆる私の考え方から言うなら、非常に遺憾だと思います。  しかし、このあっせん案に対して、まだまだたくさん論議しなければいけない問題もありますが、時間の問題もございますから、後の問題に関しては、あっせん案に対して、また次の機会に必要があれば十分に批判もし、その真意なるものを浮き彫りにして差し上げようと思います。しかし、あっせん案の真意というものが、ここにあったということだけは、その社会党県会議員団、国会議員団の回答書によって、ひとつわれわれと違っていないのだということを、よく御理解いただきたいと思うのであります。  きょう私は、いままでの審議会のあり方、あるいは小委員会のあり方、資料の出し不足、審議が十分にされていないままに答申が出されたその前後の問題等に関し、あるいは法的にいまの入会慣行に準ずる林雑補償の問題等に関して、一体今後どのように、国は県との間にその解決を求めるのかというようなことを、るる申し上げたり意見を聞いてまいりました。  私は、やがて関東——十六日か十七日に、先ほどもお話がありました審議会が、これから持たれて、払い下げの値段の問題、あるいは条件等の問題の審議に入るそうでありますが、この審議に入るに当たっては、もうかつての審議会で、少しでも手抜かりがあってはいけないと指摘した一切の資料というものを、この審議会にはお出しをいただく、きょうの速記録も出していただく、十分に読んでいただいて、そして関東財産何とか処理委員会委員先生方に十分な審議ができるように材料を全部出していただく。そして、きょう指摘した出し不足のあれもこれもと言ったものを全部お出しいただく、そして十分に審議をしていただくということを、私はここで、ぜひ要求をしておきます。  なお、いま中央審議会が終わったから、小委員会が終わったからではなくて、きょうの私の質疑による速記録、あるいはきょう指摘をいたしました審議会に出すべきだったと思ういろいろな資料に対して、いま答申は出されても、後から問題があったときに審議ができるように、中央審議会の委員諸君に、あるいは処理委員会の諸君に、足らなかった資料を全部出して、きょうの速記録もお出しをいただく、そして十分にこの問題の円満な、いい意味の、二度と成田なりその他の事件が起きないために、いわゆる政治なり行政府があることを、今度こそ、ここではっきり示すような結論を、必要があれば、もう一度いろいろな意味で審議をすることもありますから、十分にこの資料は、かつての中央審議会の委員処理委員会委員、関東のこれから審議をする十七日の審議会に出られる委員、これに指摘した資料を全部お出しいただく、十分な審議をしていただくように、ぜひお願いをしたいと思います。  また官房長に来ていただきましたが、後で、恐らくいま全部お聞きをしていただいておりませんので、次長からもお聞きを願い、少なくともこの問題が、国有地の払い下げが県にされるまでに、いま指摘しているいろいろな問題のすべての解決を十分にして、この払い下げが県に決定されるその前に、十分に問題の芽を摘み取るように、円満に北富士における一切の問題の解決ができて、二度とこういった紛争が長く、同じ日本人である国民に迷惑をかけるような事態が、ずうっと続くことのないように、この払い下げを契機に、北富士の問題の一切がぴしっとピリオドの打てるような十分な大蔵省としての配慮と努力を、大蔵大臣が言った十分に検討しますというその線に沿い、いわゆる地元利用権者の意向というものが、やはりある程度花を咲かせるといいますか、違った意味、違った立場、両方の立場の者を五十、五十でうまく歩み寄らせながら問題の解決が、これならできるという目鼻がついたときに払い下げを行う。  しかも年内には、その問題のめどをつけて、そうして来年の三月には北富士演習場の使用期間が更改期が参りますから、三月以前に、なるべく早い機会に、いま言った問題の解決をした上で払い下げを行い、一挙にこの演習場の永久に平和な使用ができるように配慮していただきたいという意味で、きょうは大臣においでいただいていませんが、官房長にいま私が最後に申し上げたことに対して御協力をいただく答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  94. 長岡實

    ○長岡政府委員 大変遅刻いたしまして申しわけございませんでしたが、こちらへ参りましてからの質疑の内容は十分伺わせていただきました。  国有財産行政に関しましては、第一義的には理財局が大臣を補佐する立場にあるわけでございますけれども、私といたしましても、議論を交わされました質疑の内容を十分に勉強させていただきまして、大臣にも原委員のお考えその他は、十分にお伝えするように努力いたしたいと思います。
  95. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員長 午後二時十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時四十二分休憩      ————◇————−     午後二時二十分開議
  97. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬場猪太郎君。
  98. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 昭和五十年の国有財産の移管に関して、そのうち土地は全部で六兆六千三百六十三億、その面積が九百億平方メートル、わが国総面積の四分の一に相当しておる、こういうふうに御報告がございます。そのうちに、いわゆる無番地であるとかゼロ番地であるとか、あるいは0線地域だとか言われるような土地は含まれておるのでしょうか、含まれておらないのでしょうか。
  99. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生のお挙げになりました数字は、国有財産台帳に掲げられた数字でございましょうか。
  100. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 会計検査院の方からいただいているこの国有財産台帳です。
  101. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いまおっしゃいました無番地は、国有財産台帳には含まれておりません。
  102. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういう無番地は、推定どれくらいあるものですか。
  103. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 ちょっといまのところ、数字を持ち合わせておりませんが、ちょっと推定以外には申し上げることは不可能であろうと存じます。
  104. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 これは無番地であっても、たとえば農業用水路であるとか池であるとか、そういったところであるならば、恐らく農林省がその行政財産として管理しておるだろうと思いますし、道路というような形として使われておるならば建設省、河川ということであれば建設省ということであろうと思いますが、それぞれの所管の省庁においても、そういう数字的なものはつかんでおりませんでしょうか。
  105. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 恐らくつかんでいないものと思われます。
  106. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうしますと、つかんでおらないような国有財産が非常にたくさんございますが、そういう国有財産が、人口がそんなにふえない地域では変動はないと思いまするけれども、大都市周辺では、ずいぶん土地をめぐっては、いろいろな争いも起こっておりますが、そういうところでは、いろいろのトラブルがあると思うのですが、そういうことを、いままでお聞きになったことはございませんか。
  107. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 そういうたぐいのうわさは、ときどき耳にしております。
  108. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 国有地に不法占拠されて家が建ったとか、あるいはまた滅失したとか、用途変更になったとか、そういった事象がいろいろあると思うのですが、そういうことをうわさされておるけれども、事実についてお確かめになったことはございませんでしょうか。
  109. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いわゆる無番地と言われます財産につきまして、とやかく言われておることは、ときどき耳にするところでございます。それで本院といたしましても、所管の検査課が、検査のたびごとに一応検査はいたしておるわけでございます。ところが先生御案内のとおり、いわゆる無番地と称せられます財産につきましては、これは登記所に公図があるだけでございまして、そのほかの書類は一切ない、これが現状でございます。  したがいまして、検査に参りましても、結局その公図を頼りにいたしまして、しかも地形がかなり変わっておる、こういったところを公図を頼りにいたしまして一々やっていく、こういうことでございますものですから、余り全部に行き渡るような検査などというのは、いままでとても望めなかったというのが現状でございます。
  110. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 膨大なものだろうと思いますから、もちろん全部に行き渡る検査というのはないでしょうけれども、うわさをお聞きになった限りにおいては、部分的にでも調査をなさったという前例はございませんか。
  111. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 われわれの考え方でございますが、これは一応かつての地租改正、その際に公用地は無番地にする、こういういきさつから現在のような無番地財産ができてしまった、一種の制度的な存在として残ってしまった。大蔵省の方とされましても、私はかなり何とか整理をしようという努力はしておられると思いますけれども、それなりの効果が上がっていない。結局われわれのその検査の際に、ぼつぼつと一つ一つやりますよりも、むしろこういう検査というのは、ある程度制度的な産物でありますだけに、特別の検査班をつくりまして、専門の目で見ながら問題点を探って歩くという検査が最も妥当であろう、そういうように考えまして、毎年毎年ぼつぼつと不法占拠があるといううわさもございましたら、行ってみるということはいたしますが、それよりも、むしろ検査の効果を上げるといたしますと、やはりある程度時を決めて、そして専門的な検査を行うというのが効果的ではなかろうかということで、昭和四十年から四十一年にわたりまして、二年がかりでその検査をいたしました。  この際、主として問題になりましたのは、先生指摘のような公用地として、まだ生きておるものじゃございませんで、公用地とはなっておりますけれども、すでに用途が事実上廃止されておる、こういうものは普通財産として大蔵省に引き継ぐべきではなかろうか、こういうような見地から問題点を探り出しまして、これは四十年の検査報告に留意事項として載せてございます。  この検査は、実を申しますと、公図一つが頼りという検査でございますので、それで一々境界を策定して歩く。まあ、こういうことを申し上げるのは、ちょっと言い過ぎかと思いますが、労多くして功少ないと申しますか、そして予算と人員もかなりかかる。したがって、毎年毎年やってまいるというわけにちょっとまいりませんですが、この前の御指摘もございましたし、四十年から四十一年でございまするから、そろそろやる時期が来ているのではないか、このようには考えております。
  112. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 その四十年当時に発見された動機とか、そういうことはおわかりですか。そしてまた大蔵省に対して、検査の結果を指摘して改善を当然言われたと思うのですが、その結果、大蔵省がその検査をなさったところについては、どういう手を打ったのか、その後の経過をお知らせいただきたい。
  113. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 この前、四十年、四十一年にやりましたものは、農林、運輸、建設、各省が所管します公共用財産のうち、都道府県知事が管理しておるということになっておるもので、公共の用に供しなくなって行政財産として存置の用がなくなったと認められるもの、これを四十一年福島県外四都県を選びまして、特に建設省所管の分について調査をいたしましたが、これは特に情報があるとかないとかいうことではございませんで、ある程度ねらいをつけて計画的にやったわけでございますけれども、そのときに、引き継がなければならないのに処置未済となっておるものが二千余カ所、三百十八万平方メートルある、これを指摘いたしまして、この点につきましては、大蔵省の方でしかるべき措置をとっていただいたわけでございます。
  114. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 しかるべき措置とは、どういうふうな措置をとったのですか。
  115. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 それから後の、いわゆる制度的な改善というところまでは至らなかったと記憶しておりますけれども、このわれわれが指摘しておりました二千余カ所、三百十八万平方メートルにつきましては、結局は行政財産としての価値はなくなっておるわけでございますので、普通財産として引き継いでもらう、そしてそれからから後、要らないものであれば、売却していただく、こういうようなところ、それが主たる結果であったろうと思われます。
  116. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 その間に、昭和四十一年ごろにやられたものについて、たとえば従来河川として行政財産であったものが用途廃止になって、普通財産として引き継いだというような手続的な問題については、各省庁きちっとやっておりましたか。
  117. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 まことに申しわけありませんが、細かな資料を実は持ち合わせておりませんので、もし先生御必要でございましたら、調べまして、後ほど御報告させていただきます。
  118. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 なぜこんなことを申し上げるかといいますと、御承知のとおり大都市周辺のゼロ番地、無番地というのは非常に多いと思うのです。せんだってからの決算委員会の中で、私の地元の問題について大蔵省建設省農林省それぞれに皆ただしました。しかし結局、農林省の所管であったものが農業用水として使わなくなった、だからといって、じゃ次に事務的な引き継ぎをやって建設省に渡す、あるいは建設省がまた府県に委任事務として引き継ぐ、あるいはまた、その用途がえについて大蔵省報告するといったことは一切やっておりませんね。その結果どうなったかということになると、ずいぶんと国有地が滅失したり、不法占拠をされたり、荒らされたり、そういったことが至るところにあるということなんです。  それで、このままでいけば、結局監督者がないということなわけですから、取りほうだいということなんです。ですから、制度的に何とかしなければならないと、先ほどちょっと言われたのですが、その制度的には、どういう方法が考えられるのでしょうか。
  119. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いろいろ考えられるかと思います。場合によりましては、これらを整理するための、たとえば特別立法をするとかいったような考え方も一時出たことがあると私は聞いておりますけれども、いずれにいたしましても、そのほかにもう一つ考えられますことは、やはりかなりの予算が要るであろう、これだけは間違いなく申し上げられると思います。  したがいまして、予算と人員、これを何とか御手配いただきませんことには、これが片づくということは、なかなかむずかしいことじゃなかろうか、そのように考えます。
  120. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 金がかかるから、そして人員が要るから、つい手おくれになっておる。そうするとその間、予算がかかるから、なかなかそこまで手が回らないから、自然に取り得になっているという状態が進んでおるということは、この十年間知っておりながら手がつかなかったということが実態ですか。
  121. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 先ほど検査の面から申し上げれば、私は一応そういうぐあいにお答え申し上げました。各省の実態は必ずしもそうであると断言はできませんけれども、しかし、われわれの検査しました経験からいたしましても、これはかなり予算と人員を食うものであろうということだけは、やはり確かじゃなかろうか、このように考えます。
  122. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 すると、国有財産をきちっと保全しようと思えば、そういう予算をつけなければならない。全国的にやろうといっても、なかなか無理でしょうけれども、とりあえず都市化の進んでいるようなところでもやるというようなことについて、大蔵省に対してそういう建議といいますか指導——指導という言葉は当てはまりませんが、そういうふうな検査結果についての何かの進言というものをなされましたか。
  123. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いままで大蔵省にしたことはございませんけれども、最近私、きょう出席しております院長からの指示を受けまして、特に先生指摘になりましたのは大阪でございますが、そのほかに東京にもかなりあろうと考えられます。こういうところは地価のかなり高い、単に予算と人がかかるからというばかりのことじゃ済まされない地域と私も考えます。そういうものを特に重点にして、やってみたらどうかという指揮を私は受けております。
  124. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大蔵省は、そういう検査結果について、大蔵省としての何らかの態度をいままで出してきたということはありませんか。いま言われたように、全般的に及ぼすということは大変だけれども部分的に少しずつでもモデルケースとして直していこうというような態度というのは見られませんでしたか。
  125. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 一応はっきりと国会でも問題になり、会計検査院も問題にし、大蔵省も問題にし、という形ではっきりと出しましたのは、いわゆる普通財産における無番地でございますが、いわゆる国有畦畔あるいは旧里道という名前で知られているものでございます。  これにつきましては、会計検査院とあれも一緒にいたしまして、そしてその処理につきまして、いろいろ議論いたしました。そしてその結果、管理が一番行き届いてないのは、恐らくこういう国有畦畔とか里道とかいうものでございましょうけれども、ただ公図があるわけでございます。公図にはちゃんと青、赤でもって線が書かれていて、これだけが国有地であるということが明示されている。ところが、これを勝手に直してごまかそうとした人が、かなりあらわれているということを発見いたしまして、それで大蔵省当局の方で、公図については妙なもので直してくれるな、たとえば国有地として、それから無番地となっておるものでも、公図に残っております限りは、正当な手続がない限りは絶対に直してくれるなということを、大蔵省当局から法務省に申し入れまして、そのとおり法務省は実施してくれているわけでございます。  したがいまして、全然台帳も何もないというものは、旧所有者がいざ何かしようといたしますと、その公図の上に青線、赤線が載っている、これを消すためには、結局は国有財産を売却してもらうほかはない、、こういうことで売却に至る、国も代金を取り上げる、こういうようなことになっているのはございますが、私の知っております限りは、制度的な改正としては、一応その程度のものではなかったか。あるいは私の不勉強かもしれませんが、私の知っておりますのは、大体その程度でございます。
  126. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言われた普通財産だけでも、そういう問題点がたくさんありますね。行政財産では物すごくたくさんあると思うのです。現に十数軒の家に不法占拠されている河川敷、こういった場合は、どういうふうにすればいいのでしょう。
  127. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いままでのところは、不法占拠をされておりましても、公有地の上には取得時効は成立しないという大審院の判例がございまして、それで普通財産とは違う扱いになっておると私は承知しております。  したがいまして、いまおっしゃいましたような不法占拠でございますれば、それが調査確認の結果、不法占拠と断定されました場合には、一応立ち退きを要求し、原形に復旧するということは可能であろうかと思われます。
  128. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 不法占拠として確認をするのは、だれがやるのですか。
  129. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いまお挙げになりましたような、たとえば河川なんかでございますと、河川管理者ということになりましょう。それで恐らく普通河川を言っておられると思いますが、やはりこの場合は県知事に、たしか管理が委嘱されているはずだと思います。  それから、行政財産でございましたら当然各省である、普通財産でございましたら大蔵省である、こういうことになろうかと思います。
  130. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 結局は府県なり地方公共団体が、最終的なその管理責任を問われるという形になっておるのですが、その府県なり公共団体が、実際にどこからどこまでが国有地であるかということも明確に把握できてないような状態がたくさんあるわけです。だから、府県に任せる限りは、これは法律上いくかいかないかは別として、国有財産法でいけば、面積だとか境界だとか、地籍だとか形だとかを明示して、委任事務として渡す、渡す限りは、当然そこに管理費であるとか調査費であるとかというものがつくだろうと思います。  そういったものが、ほとんどつかないまま、うやむやのうちに、それは府県が当然やるべきだし、市町村がやるべきだという形になっておる。それは法律の上では、市町村なり府県がやるということになっておっても、事実上だれも手をつけない。せめて賃貸料を取っておれば、国有財産として何がしかの収入も上がりますけれども、それもやっておらない。三年や五年じゃないのですよ。十年も十五年も、そういう状態が続いておる。そして、それが国有地であることを知っておるために、だんだん広がっていきつつある、こういう状態が続いていますね。  そうして大蔵省の方も、予算もつけないし、人も派遣しないし、責任の所在も明確にしないまま来ているのですが、だれがやるべきかということが法律的には決まっておっても、実際にはやれないような仕組みになっておる。これがいまの都市周辺の国有地の現状だと思うのですよ。これはこのままにやっておいていいのでしょうか。
  131. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 決していいとは申し上げられないと思います。
  132. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうしたら、大蔵省がやらなければやらないで、具体的に事例が挙がれば、ここの問題をどうするのだということを、総括的な責任者は大蔵省なんですから、そういうことを御指摘なさって、何らか改善をさせるというような措置を検査院としては、おとりになるというつもりはないのでしょうか。
  133. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 先ほど申し上げましたとおり、院長から私、指示を受けておりまして、特に大都市におきまして、先生のおっしゃるような問題になっておるところは、やはりこれは相当重点だろうと思います。したがいまして、やはりこれは、ほかの検査の片手間でやるというわけには、ちょっとまいらなかろうと思うわけでございます。したがって、ある程度専門チームを組んでいく、こういう検査でございまするから、ことし直ちにやるとは、ちょっと申し上げかねますけれども、かなり息の長い検査になってくるということも、四十一年の経験からいたしまして申し上げておるわけでございまして、ですから、近い将来やらしていただきたい、このようには申し上げたいと思います。
  134. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 検査をなさることも、もちろん必要だけれども、具体的にわかったところぐらいは、大蔵省にきちっと管理の実を上げさせるというようなこと、全部と言いません、一つでも二つでもいいから、そういうことぐらいはできるでしょう。大蔵省自体が、管理の責任を回避しておるというような事例がたびたびあるのです。  せんだっても、大蔵省の担当のときに質問いたしましたところ、大蔵省は答えようとしないのですよ。きょうはわざと呼ばなかったのですけれども……。大蔵省大蔵省で別にやろうと思うのですが、すぐに河川局の方に振り回したりして、大蔵省自身が管理の責任を回避しようとしておるのです。  ですから、そういう姿勢である限りは、国有財産は守れないと思うのですよ。せめて検査院が厳しく大蔵省の姿勢を指摘して、一つでも二つでもいいですから、具体的な事例を解決させるという方向、これだけは検査院としてとれるのじゃないでしょうか。
  135. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いま先生がおっしゃいましたとおりに、一つでも二つでもいいじゃないか、とにかく少しでも前進せよという御趣旨でございましたら、おっしゃるとおり、今年度検査においても十分われわれ、できるわけでございますので、そのようにさせていただく所存でございます。
  136. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ただ単に財産の損失ということだけではなしに、その周辺に非常に悪い影響を与えておる。これは、大阪府の中でも、あるゴルフ場で何千坪という坪数が四、五年前に出てきたことを御記憶にあると思います。たまたま地域の告発があって、すでに買収して十数年たってからでも、そういう事例があったのですが、やはりわかれば一つでも二つでも、国有地については払い戻しするならするで、きちっと有償で、正規の手続を経て払い戻しさせる、どうしても取らなければならないものは、こちらで取る、あるいは地方公共団体に譲与するものは譲与する、けじめをつけていただきたい、こういうことをひとつ強く要望いたしておきたいと思います。  全体をやろうと思ったって、これはそう簡単にできるものではありません。ですから、モデルでいいですから、一つでも二つでも、できるところから手がけていく、こういう検査院の厳しい姿勢を示していただきたい。これは大蔵省だけじゃなしに、行政財産その他についても、厳しい姿勢をひとつ示していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。非常に時間が少ないものですから……。  次に、海外経済協力の問題につきましては、今後も経済協力というものは非常に大きくふくらんでいくでありましょうし、それだけに経済協力に対する国民の目も厳しくなってくると思います。ところが、いまのように、ソウルの地下鉄を初めとして、新韓碍子の問題であるとか、疑惑に包まれたままで進んでおるということになると、せっかく開発途上国であるとか、非常に貧しい国であるとか、そういったところに対する援助も、かえって疑惑を深めるだけの結果になると思うのです。そういう意味では、検査院の方としても、ずいぶんと御努力をいただいて、いろいろ究明をなさっているのです。  三月十六日の予算委員会において、わが党の安宅委員の新韓碍子に対する質問がありまして、ちょうど第五局長もそのときにおいでになったと思います。詳しく申し上げることは抜きますけれども、そのときに、四十一年六月三日に、川崎重工や、それから日商岩井と、新韓碍子との二百九十九万九千七百五十ドルですかの契約が成立をした。その後、韓国内のクーデターの問題であるとか、あるいはまた韓国の外換銀行のLGの復旧のおくれ、そういったことから、なかなか予定どおりにいかなくて、結果的には四十五年八月に、新韓碍子が不渡り倒産をした、この事件はよく御承知のとおりだと思います。詳しいことは申し上げません。四十八年十一月に、そのときのトラブルに対して謝礼金の五千四百万について宗さんという元の社長が東京地裁に提起してあることも御承知だと思います。  この裁判をめぐって日商岩井から四十九年八月二日に出した東京地裁への提出書類の中に、宗学淳さんという元の社長さんに対するオーバープライスですね、いわゆる口銭というものですが、これの十五万ドルの項目がある。その十五万ドルは支払い済みだ、プラントの代金の中に支払い済みだということをめぐって訴訟があったことは御存じだと思います。  もしそういうことであるならば、輸銀の融資については、謝礼金を含んでおった場合には違法だと言われておりますが、そういう疑惑を生じたことについて、違法であるのかないのかというようなことについて、輸銀に対して、その後調査をお進めになったかどうか、お伺いしたいと思います。
  137. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたように、日商岩井に対しまして融資しておりまして、その中に口銭の分が含まれているかどうかということについては、先般の国会でも問題になりまして、私、部下に命じまして、よく検討させたわけでございますが、先生おっしゃるように、もしそういうものが入っておれば、これは当然返還させるべきでございますし、その辺のことを輸銀を通じまして、日商岩井に対して聞き合わせておりますけれども、訴訟中だということで、なかなか的確な回答が戻ってきてないというのが現状でございまして、私どもとしても、なるたけ早くその辺のことをはっきりさせたいと、いませっかく努力中でございます。
  138. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 訴訟になったのは最近でございますけれども、提起したのは、四十八年十一月に提起をしているわけでしょう。その当時から今日までは、検査院としては全然お気づきにならなかったわけですか。
  139. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  本件につきましては、四十五年八月に、私ども輸銀の検査の際に、これを調査したわけでございますが、そのときの融資に際しましては、通常の貸し付けの稟議書とか、あるいは関係書類を全部調べまして、その当時としては私ども、特に問題点を提起できなかったわけでございまして、その後、今国会で問題になりまして、初めてまた再調査をしているという段階でざいます。
  140. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 その当時はわからなかったということですね。それで、今度の国会の三月十六日に、初めてそういう問題がまた明らかになってきた。その三月十六日以後は、通産省自体も調べておると言っておるのですが、通産省の調査というものは進んでおりますか。
  141. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 あの予算委員会の節には、通産省も再度調査するということを当然したというふうに記憶しておりますが、私自身、まだ通産省の調査がどうであるかということは聞いておりません。私どもとしては、担当の課を督励いたしまして、輸銀を検査しているという状態でございます。
  142. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 通産省が当の宋さんの弁護士からの要請にもこたえずに、これを断っていますね。ですから、事と場合によっては、偽証の罪に問われるような内容の証言も出ておるわけですから、通産省としても責任は重大ですから、相当真剣に調べなければいかぬと思うのです一ですから、検査院だけじゃなしに、通産省に対しても、その答弁書を出さなかった、資料要求に対して応じなかったということについて、検査院としてお調べになる必要があるのじゃないですか。並行してやる必要があるのじゃないでしょうか。
  143. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 通産省との連絡は、実はまだ十分とってないのでございますが、私どもが当時の御質問、答弁を聞いておる記憶では、輸出承認書の金額がどうであるかということに問題が集中しておったようでございますが、その後通産省が、先ほど先生おっしゃったように、資料の提供を断ったとか、そういう事実については、私ども承知しておりません。
  144. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 資料について、輸出承認書の中に手数料が含まれているか含まれてないかということを争っているわけでしょう。そして通産省の出しておる資料というのは秘密だと言うけれども、事実はもう毎日新聞にも三月十六日に明らかにされておりますね。そして日商岩井が出した資料と、それが食い違っているわけでしょう。ですから、当然通産省もお調べにならなければいかぬわけでしょう。どちらが正しいのかということがわかれば、どちらがうそだというのが、はっきりわかるわけです。時間の関係がありますから、それもすぐお調べいただかなければならぬと思いますし、それからそのときに、約三百万ドルに及ぶ融資については、この程度のプラントであれば、三十万ドルぐらいで終わるのじゃないか、一割ぐらいでできるのじゃないかということを日本の電磁器協会が申し入れをしておりますね、反対運動をやっておりますね。ですから、三百万ドルかかるものが三十万ドルでできるというような内容、そういうずさんなものなのかということもお確かめになったかどうか、それもひとつまた調べていただきたいと思います。  それから、安宅議員の中で御指摘になっている、二百九十九万九千七百五十ドルのうち、約四〇%が行方不明になっておるじゃないかという指摘もあるのです。それから以後、それについての解明も何もなされておりませんし、この国会の中でもそういうことが明らかになっておりませんので、そういう点はお調べになっているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  145. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、現在訴訟中だということで、日商岩井から、なかなか輸銀を通じて私どもにも資料が参りませんので、問題の解明については、ちょっといまのところ進んでおりませんが、今後もう一度督励いたしまして、いま先生のおっしゃったようなことを中心に十分解明してみたい、このように考えております。
  146. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 相手の商社を通じてしか一切資料は出ないのでしょうか。たとえば輸銀が融資をする前には、そのプラントならプラントについての、ある程度積算の基礎というものをこしらえて、そしてそれをもとにして総額を決めていると思うのです。通産省なり、あるいはまた企画庁なり大蔵省なり、それぞれのところで、ある程度資料は持っているはずなんですが、そういう資料会計検査院としては調べ得ることができないのでしょうか。
  147. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  輸銀としましては、一応相手国との借款契約におきまして総体としての金額は決められまして、それの年度ごとの実施計画というのも出てまいりますので、その辺のところで、大づかみな予算を決めておりまして、そう細かい予算の積み上げというようなことはやっておらないというふうにわれわれ聞いております。それで、あくまでも融資の実施に際しましては、契約書なり船積み書類で実際の調達の資金を交付している、そのようにわれわれ理解しております。
  148. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 輸銀にしても基金にしても、そういう細かい原価計算的なことはやっておらない、やっておらないといつも言われるのですが、実際に問い詰めてみますと、原価計算はやっておらないけれども一定の枠、三億ドルなら三億ドル、三百万ドルなら三百万ドルというものをつくるための、ある程度積算の基礎というものは必ず出しているはずなんです。ですから、それを調べることによって、全くそれとかけ離れたものだということは言えないと思います。輸銀の中なり、あるいは基金の中で、そういう資料を持っていることについては、当然検査院としては手の届く範囲内ですが、そういう努力は余りなさってないのですか。
  149. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 融資につきましては、その計画の作成に当たりまして、すでに公換公文がございまして、これに金額は記載されている。それから各事業計画のある程度大まかな積み上げと申しますか、こういう施設にはどのくらい、こういう施設にはどのくらいというようなことは書いてございます。私どももそれを一応踏まえまして、実際に融資の実行に当たりましては、それが効率的に融資が実行されているかどうかということは、その予算金額と対比しながら検査はやっております。資金の額、資金の交付の時期、そういう点につきましても十分検査しているつもりでございます。
  150. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もうすでに時間が超過しておりますので、これ以上申し上げる時間がないのですが、とかく輸銀であるとか基金、あるいはその先の商社あたりの資料が集まらないと、進まないのだという言い方をされるのですが、交換公文を決めるまでに、総枠を決めるまでの作業の過程で、総枠を決めるまでのある程度積算資料を各省庁皆持っているはずなんですよ。現に経済企画庁長官に、この前お聞きしたときにも、ソウルならソウルの総額二百七十数億について、車両は幾ら、レールは幾ら、工事は幾ら、そういったものについての作業はやっておりますということを言っているわけですから、ある程度そういう資料もおつかみになるということが、それがストレートに直接に結びつくわけじゃありませんけれども、類推するのに大きな資料になると思うのです。  ですから、どうも輸出入銀行が資料を出さないとか、あるいは商社が出さないとか、あるいは基金の方が十分な資料をくれないとかいうことでなしに、手の届く範囲内の資料をひとつ集めていただいて、疑惑を明らかにしていただく必要があるのじゃないかと思うのです。強くそのことを要望しておきたいと思いますが、最後にお答えいただきたいと思います。
  151. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 ごもっともな御意見で、私ども、なお、見れるだけの資料を見るという心構えで部下を督励して、厳重な検査をやっていきたいと存じます。
  152. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  153. 芳賀貢

  154. 春田重昭

    春田委員 私は、本日は最初に会計検査院権限といいますか立場、第二点として国有財産検査につきまして、第三点といたしまして私大における補助金と寄付金のあり方、大きく分けて、この三点につきまして御質問を展開してまいりたいと思っております。  最初に、会計検査院の方にお尋ねいたしますけれども、各年度に出されている決算報告でございますが、これは憲法第九十条を踏まえて、会計検査院法二十九条の規定にあるものと理解しておりますけれども、これが当たるかどうかお答え願いたいと思います。  また、記載の内容でございますが、院法第二十二条及び第二十三条に検査事項が掲記されている、このように解しておりますが、この点もどうか、お答え願いたいと思います。  さらに、二十二条における必要的検査事項と、二十三条におきます任意的検査事項の内容の差異につきまして御説明願いたい、このように思っております。
  155. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 まず、院法二十九条の検査報告の掲記事項について御説明を申し上げたいと思います。  検査報告は、憲法九十条の規定によりまして、会計検査院検査報告を作成し、これを内閣は決算に添えて国会に提出するということが義務づけられているわけでございますが、その作成、検査報告の形式なり内容、こういうものについては、憲法に特段の規定がございません。  そこで会計検査院法の第二十九条に、必要的な掲記事項ということで列挙してあるわけでございますけれども、これは必ずしも、これだけに限るという制限的な意味で定めてあるわけではございません。会計検査院検査方針というものも、基本的にはもちろん変わりませんけれども、時世、時世の要請というものに応じた検査ということが必要でございます。そこで、時によりましては、いわゆる必要掲記事項のほかに掲記をした方が、検査報告としてふさわしいというような事項も出てくるわけでございますので、そういったような事項、これにつきましては、院法の施行規則に根拠がございますけれども、ここで院法二十九条以外の事項についても掲記することができる、このようになっております。  抽象的ではございますが、その規則の中で「その他必要と認める事項」という規定がございまして、それによりまして、私どもの方でも、現にたとえば昭和五十年度決算検査報告におきましては、通称特記事項と呼んでおります特に掲記を要する事項というような新しい記載内容を設けたわけでございます。  こういうことで検査報告には、その折々に応じて必要にして十分と認められる事項を掲記する、こういうことに私ども常に検討し、努力をしておるわけでございます。  次に、しからば検査との関係では、どういうことになるかというのが、お尋ねの第二点であろうと存じますので、これについて御説明申し上げますと、私ども検査の対象といたしましては、先ほど先生もおっしゃいました院法の第二十二条、これは必要的検査事項でございます。院法の第二十三条、これは任意的検査事項と私ども呼んでおりますが、この二つの規定がございまして、ここに定めているところに従いまして、私ども検査をいたしておるわけでございます。  この検査をいたしました結果につきましては、検査報告の掲記につきましては、特別の違いというものは設けておりません。検査の結果として、たとえば不当事項あるいは是正改善を要求する事項とか、いろいろございますけれども、そういった分類に従って検査報告には掲記をするということで、院法二十二条、二十三条、この根拠の違いによって検査報告の内容が変わるという扱いはいたしておりません。  大体先生からお求めの件については、以上のようなお尋ねがあったと思いますので、一応これで終わります。
  156. 春田重昭

    春田委員 この決算報告が開始された時期というのは、新憲法制定後、いつごろなのかお答え願いたいと思うのです。
  157. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 会計検査院ができましてから、もうかれこれ、やがて百年になりますけれども、この検査報告制度はございます。  ただ、戦前と戦後との違いは、たとえば検査報告について、国会において御説明申し上げるとかいうような取り扱い、この辺が戦後においては新たにできた点でございますけれども、私どもが職務といたしまして検査した結果について、これを検査報告に取りまとめて報告するという取り扱いは、一貫して昔からあるわけでございます。
  158. 春田重昭

    春田委員 そこで具体的な問題につきまして、お尋ねいたしますけれども、租税の徴収の過不足の問題でございますが、昭和二十四年度におきます会計検査院報告を見ますれば、その概要の中には、企業名や個人名も明確に記載されております。  たとえば四十二ページの「徴収不足一事項百万円以上のもの」の中には、税務署管内として京橋、「国際興業株式会社が二十二年十二月小佐野某に支佛つた賞與の性質を有する給與七、九七〇、八五九円に対する源泉徴収所得税を、同会社から徴収しなかつたことに困るもの」その他、東京都斎藤某とか株式会社パピリオとかいうことで、具体的に書かれているわけです。この本は御存じですね。  ところが、昭和四十年になりますと、各税務署別のトータル数しか記載されないようになっておるのです。さらに五十年度におきましては、国税局別の集計のみで終わっておるわけですね。  私は、非常に後退しているように思うわけでございますが、このような掲記になった理由というものを御説明願いたいと思うのです。
  159. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 租税の検査報告上の掲記の仕方は、まさに先生いまおっしゃいましたとおりでございまして、これについては戦後も幾たびかの変遷を重ねております。たしか、ただいまお話のありましたとおり、四十年以降は納税者の名前を一件別に注記するというような方法をやめまして、税務署別あるいは国税局別といったような分類でこれを取り扱う、こういう扱いに変えました。  この変えた理由でございますけれども、租税関係について申しますれば、税務当局、これが私ども検査の対象でございます。税務当局が行ったところの賦課徴収の処分がいいか悪いかということが、われわれの検査の主眼でございます。納税者の納めた税金が少なかったかどうかという納税者を本位にした検査ではございませんで、あくまでも税務当局の行った処分の当否でございますので、かつては納税者の名前を挙げる、法人名なり、あるいは納税者、これも必ずしも特定した形ではございませんで、何の某というようなことで、そこで若干特定を避けた形はとってはおりますけれども、いずれにしても、かつてそういう時期がございましたが、いま、先ほど申し上げましたような私ども検査趣旨、それからこれを検査報告に掲記する趣旨、そこいら辺からいたしまして、納税者を個々の一件ごとに明らかにするような掲記は、適当ではないのではないか、むしろ、われわれの批難の対象は、あくまでも税務当局であるから、これを本位にして掲記すべきではないかというような反省のもとに、四十年以降、現在に至るような取り扱いに変えたわけでございます。  これは、たとえば、ほかに保険の問題等もございます。毎年のように保険についても掲記をいたしておりますが、これについても、保険の一件別の内容を記載するというような形はございませんで、あくまでも保険料の徴収を行っているそれぞれの官署を単位にして、これを批難するという形をとっておりまますので、そこら辺とのつり合いもございますし、というような、あれこれの配慮のもとに、四十年以降現行の取り扱いに変えたわけでございます。
  160. 春田重昭

    春田委員 個人名または企業名を公表することがいいか悪いかという是非論はあると思いますけれども、このように一応検査報告が国会に報告されることは、大きな社会的な制裁があるのではなかろうかと私は思っているわけです。そういう点で四十九年、五十年という形で、一年度まとめて検査報告が国会に報告されますけれども、これに対しては次長としては、そうしたらどのような効果があるとお考えになっているのか。その辺をお答え願いたいと思うのです。
  161. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 先ほども説明申し上げましたように、要するにこの租税の賦課徴収の問題につきましては税務当局、ここがしつかりしてもらわなければ話にならないわけでございますので、そこで、そういうわれわれの直接の検査対象である税務当局を主体にして掲記をする。もちろん先生から見ますれば、簡略な掲記になっているかもしれませんけれども検査の過程におきましては、当然個々の税務署長あてに質問書を出し、その是正の措置を求めるということでやっておりますので、検査報告の面では、あるいは各税務署の名前が一々挙がらないという御不満はあろうかと思いますけれども、その上部機関である現在で申しますれば、国税局の名前を明記することによりまして、監督機関である国税局からの各該当の税務署に対する是正方なり監督、これを検査報告の掲記によって期待できる、このように私どもは考えております。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
  162. 春田重昭

    春田委員 私は、会計検査院検査されて不当事項、不正事項が挙がって、そういう者が社会的な制裁を受けなかったら、会計検査院立場というものは、何のためにあるかと言いたいわけですね。ところが、そういう税金の問題について国税当局だけを責めて、それ以上言わない、公表しないとなれば、果たしてそういう不当、不正事項をやった企業なり個人に対しては、どういう制裁といいますか、いろいろなそういう具体的な問題が起こるのか。その辺は、国税当局だけを怒って、それ以下は国税当局が、その企業なり、あるいは個人に対してどういう指導をしているのか、また社会的制裁があるのかどうか、その辺が非常に問題じゃなかろうかと思うのですね。その点はどうお考えになっていますか。
  163. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 先生がおっしゃいますお気持ちは十分によくわかります。わかりますけれども、要するに先ほども申し上げましたように、税務当局がしっかりしてくれさえすれば、こういう事態はないわけでございますので、私ども直接の検査対象である税務当局に対して物を言う。また、その検査の結果を検査報告で明らかにすることによって、もちろん税務当局自体としては、今後の問題の取り扱いについて大いに検討してもらうこともできましょうし、また納税者に対する今後の賦課徴収に当たっての十分な課税上の配慮というものも、これを契機に行われるというふうに私どもは期待しておりますので、先生の納税者個々を天下に公表してというお気持ちも全くわからないわけではございませんけれども、私ども立場が、あくまでも検査の対象は税務当局であるというところから、税務当局からの納税者の納税意欲、意識についての十分な指導を期待をするという方法検査報告を取りまとめていきたい、このように考えているわけでございます。
  164. 春田重昭

    春田委員 プライバシーとか守秘義務とかいろいろむずかしい問題もあろうと思いますが、考え方によれば、そういう企業や圧力団体からの圧力によって、公表を差し控えるということが起こったのではなかろうかという疑念もわいてくるわけです。そういう面では、国税当局をしかって、納税者に対して何もしないというのじゃなくして、やはり国税当局から、どういう行政指導をしたのか、どういう指導監督をやったのか、その後の報告もとるべきである、私はこのように思っておりますが、その点はなされていますか。
  165. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いま次長から御説明申し上げましたとおり、国税当局を責めるという立場で書かれておりますので、むろんこれに関係いたしました担当者並びにその監督者につきましては、それなりの処分が行われておりまして、五十年で申し上げますと、注意を受けました者が五百二十八名、それから監督責任者が四百二名、これは懲戒処分までは至っておりませんけれども、訓告その他の注意を受けております。
  166. 春田重昭

    春田委員 次に、過日の三月十六日の予算委員会の集中審議の際に、ソウルの地下鉄の日韓癒着の問題で焦点となりました海外経済協力基金についてお尋ねいたします。  その当時の会計検査院答弁趣旨を私なりにまとめてみたわけでございます。  四項目あると思いますが、一つは、海外経済協力基金に対しては検査権限がある。二番目、ただし、調査したが十分な資料がなかった。三番目、できれば仕様明細とか原価計算書を見せるように依頼した。四番目として、三月十六日時点では、それが参らぬため的確な結論が出せない。このような答弁がなされておりますけれども、これで間違いありませんか。
  167. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  確かに、いま先生がおっしゃったような答弁をしたわけでございますが、その当時としては、私どもとしても、どうしてもそれ以上進めなかったわけでございます。その後、国会の諸先生方の御指摘とか、あるいは三菱商事、日本車輌の各社長の喚問等によりまして、私どもどうしてもわからなかった新しい事実が、その後解明されまして、私どもそれを踏まえて、基金を通じて再度事情聴取をしたわけでございます。  その結果、車両価格の構成内容につきましては、国内の契約価格は平均五千百五十万ドルである、そのうち、車両会社の分が二千七百五十万ドルである、そこまでわかったわけでございます。  その後、残余の二千四百万ドルについて、私どももいろいろ地下鉄の車両と、わが国の国鉄の車両とがよく似ておりますので、その辺の対比をいたしまして、いろいろの交付材料につきましては、その二千四百万ドルのうち、千七百万ドルが交付材料に相当するであろうということまでわかりまして、残りました七百万ドルが、結局最後までブラックボックスとして残ったわけでございますが、これについて、再び基金を通じまして事情を聴取しましたところ、車両の取りまとめとか、あるいは電気品の取りまとめ、設計をやりました日立製作所の費用としては、約七百万ドルかかりましたということを基金から私どもの方に言ってきたわけでございます。  しかしながら、全体として七百万ドルかかったということだけでございまして、その内訳、詳細については何もございませんので、私どもとしても、それを要求したわけでございますが、現在のところ、まだそれも入っていないということでございまして、もし日立の七百万ドルというものを妥当といたしますと、全体の五千百五十万ドルというものが埋まってしまうわけでございますが、現在のところ、私どもその七百万ドルについても、まだ今後調査を続けていきたい、このように思っております。
  168. 春田重昭

    春田委員 詳細な具体的な資料がないということでございますが、これらに関しましては韓国に対しまして、そういう具体的な資料なりデータの請求というものはできないのですか。
  169. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 相手方の政府との関連でございますので、なかなか思うようにはいかないというのが実情というように理解しております。  それから、ちょっと御訂正いたしますけれども、先ほど五千百五十万ドルということを申し上げましたが、あれはすべて円でございまして、五千百五十万円、それから二千七百五十万円、残りましたのは七百万円ということでございますので、訂正させていただきます。
  170. 春田重昭

    春田委員 今後具体的な資料といいますか、詳細な資料が入る見込みがあるのですか。
  171. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 私どもとしましては、設計費用にどのくらいかかったか。それはどのくらいの人が何日くらい設計にかかったか、あるいは国鉄の車両の設計の分がどのくらい役に立ったかとか、あるいは取りまとめ費用として相当かかったというけれども、それがどういう内容の取りまとめ費用であるか。それから、交付材料の調達に費用がかかったということを言っておりますが、それは、どのくらいの範囲の下請業者にどういう契約をしたのだということを、もう少し細かく知らしてもらわないと、われわれとしても最終的な判断ができないということで、基金を通じて要求しておりますが、基金としてもどうもその後私どものところに言ってこないところを見ますと、ちょっと難航しているんじゃないかというふうに考えております。
  172. 春田重昭

    春田委員 要するに、これは海の向こうのことでありますので、なかなか調査できないということでございますけれども、先ほど租税の問題で、過不足の問題が徴収であったわけでございますけれども会計検査院は、税務署管内で、要するに関係資料で問題点をただすことができない場合は、税務署員の質問調査権を行使させ、そして実地検査を行い、その調査結果において判断することができるということがございますけれども、これと同様に、海外経済協力基金の場合も、監督権は経企庁にあるわけでしょう。だから経企庁にあるわけですから、性格は租税とは違いますけれども、監督権を有する経企庁に対しまして、また外務省等にも対しまして、それと同様な措置を講じて行っていくべきじゃないか。  一方ではやりながら、この協力基金の方につきましては、非常に弱腰である。できない、こういうことでは、ちょっと理屈が合わないのじゃないか、このようにも思いますけれども、この点、会計検査院長の方にお尋ねしたいわけでございますが、どうですか。
  173. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 税務署の場合は、非常に強烈な立ち入り調査権を持っているのですね。ところが、海外経済協力基金と輸銀の融資先の場合は、融資先自体は、これは本件の場合は韓国政府なんですね。韓国政府に対して立ち入り調査権というのは、これは持っていないわけなんです。したがって、その点は非常に大きな相違で、税務署のようなぐあいには、ちょっと参りかねる、こう私は思うのですが……。
  174. 春田重昭

    春田委員 だから、経企庁なり外務省を通して行っていくべきである。会計検査院が単独で行っていけと言うのじゃないのですよ。
  175. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 経企庁、外務省を通してでも、やはりこれは相手は外国なもんですから、主権が違うもんですから、何ぼ監督官庁の経企庁が輸銀をつっついても、これは相手国、外国に対して、そういうことはちょっと外交関係上できかねると思うのです。  またこれ、そういう問題について外務省の感覚も聞いてみてはおるのですが、そういう借款という外交親善関係をせっかく進めていこうというやさきに、そういうことで何といいますか、マイナスを加えては、せっかくの本来の目的に沿わないというような面もあろうかと思うのです。そんなことで外務省の感覚も聞いておりますが、いま申し上げましたような、やはり他国の主権尊重という線で、それはちょっと無理だろう、こういう考えでおります。
  176. 春田重昭

    春田委員 確かに、主権侵害という問題が、そこに大きくかかわるわけでございますけれども、この海外経済協力基金を初めとしまして輸銀、開銀等におきましては、たびたび国会でも、その運営面が非常に明朗を欠くということで指摘されておるわけでございまして、非常に私は遺憾に感じるわけですね。そういう点で、これらの資金というものは、やはり国民の血税で賄われておるわけでございまして、いささかの疑惑もあってはならない、許されない。したがって、前車の轍を二度と踏まないためにも、検査に当たっての必要な書類、資料等は、貸付事項の中に必要書類の提出を義務づける、このようなことを考えてもいいのではなかろうか、このように思っておりますけれども、どうですか。
  177. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 これは今後の問題でございますが、おっしゃるように今回の問題を契機として、一体どうしたら、そういう事態が防げるかということでございますが、認証行為、認証する段階もありますので、認証する段階において、その価格が適当であるということを何か証拠づけるような資料を提出させるということは、これは将来考えていいことじゃないかと私は考えております。
  178. 春田重昭

    春田委員 院長からそういう答弁がありましたので、あえてこれを質問する必要はないわけでございますけれども、市中金融機関が融資する際は、書類を業者側に提出させるわけですね。このようにやっておりますので、当然国費により支出されておる性格のあるものだけに、私はやはりシビアにやらなくてはならない。  そういう意味で、会計検査院権限をもっと強化すべきであると私は思うわけです。院法第一条にも「内閣に対し独立の地位を有する。」と明確に記載されておりますが、その権限は手かせ足かせがついて、私は現在非常に弱いように思うわけですね。そういう点で、国の金が流れているものにつきましては、国内におきましても海外におきましても、すべて調査する権限を有する、そうした法改正を行なうべきである、このように私は思うわけでございますけれども、再度院長の御見解を賜りたいと思います。
  179. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 これは、先般も当委員会の決議もございましたし、投融資関係も非常にふえてまいりましたし、それから海外関係も相当な規模に上っております。とかくのうわさも相当あるわけでございます。したがって、私どもといたしましても、これをほっておくわけにいかないので、検査権限拡充という面は、積極的にいま検討中でございます。
  180. 春田重昭

    春田委員 前向きに検討されているものと私は理解いたしまして、質問を終わりたいと思います。  続きまして、国有財産検査につきまして、お尋ねしていきたいと思います。  検査院では、近いうちに沖繩県下の国有財産に対しまして、実地検査を行われるということを聞いておりますけれども、その予定があるかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  181. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いまのところ、六月二十日から三名、十日間という予定で出張する予定でございます。
  182. 春田重昭

    春田委員 その実地調査には沖繩県下所在の国有林野等も含むと思いますけれども、特に今国会で問題になりました読谷飛行場等の、現在まで国有地扱いになっているものを含むかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  183. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 この読谷飛行場につきましては、国会の決議があったことでもございますので、無論重要なものと考えて、その中に含んでおります。
  184. 春田重昭

    春田委員 国有財産検査全般について言えることでございますけれども、たとえば読谷飛行場は、国有財産台帳に記載されたのは、昭和四十七年四、五月ということは御存じのとおりでございます。その後四十七年、四十八年、四十九年度会計検査院検査を終了しているわけでございますけれども、読谷飛行場につきましては、この検査の中で確認されたのかどうか。また未検査、未確認であったかどうかということで、どちらだったのかお答え願いたいと思います。  また、国有財産検査における年度制というものでございますけれども、その年度制というものは、どのようなお考えでなさっておるのか、この点もお尋ねしたいと思います。
  185. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 いままで沖繩県に所在いたします国有財産は、復帰後四十七年と四十九年の二回にわたって行っております。この検査におきましては、沖繩が復帰いたしまして国有財産ということになっていたのでございますけれども、御承知のとおり、要登録財産というのが圧倒的に多数を占めておりまして、これが果たしてどういうものであるのか、境界もはっきりしていない、こういう財産が非常に多うございまして、資料も十分ない。したがって、そういう資料がはっきりしているものから、いこうではないかということで、その検査に従事したのが実情でございます。  それで、要登録財産の整理も最近大分進んでまいりまして、五十二年が、たしか第二期五カ年計画でございますか、その最終年度と聞いておりますので、ことしは、そういうものを確認しよう、そういうことで来たわけでございます。したがいまして、このうちの読谷飛行場につきましては、まだ手が回っておりません。  それから、年度制とおっしゃいましたけれども国有財産が所在いたします以上、その管理は、年度を越えてずっとしなければならないものでございますから、それはもう管理につきましては、別に年度の区別なく検査いたしております。
  186. 春田重昭

    春田委員 その場合の検査の内容といいますか、着目点というものは、当該財産の取得が憲法とか国有財産法の上から、法的な問題があるかないかということが重大なポイントであると思いますが、この点いかがでしょうか。
  187. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 取得につきましては、大体の取得の形態は交換ないし売買でございますので、法律的な問題が出てくるということは余りないのでございますが、恐らく読谷飛行場のことをおっしゃっておられると思いますが、こういう場合には、おっしゃるとおり法律問題がきわめて重大でございます。
  188. 春田重昭

    春田委員 御承知のことと思いますけれども、この読谷飛行場の問題につきましては、本国会において予算委員会、また本委員会でも取り上げられまして、政府の見解に対しまして、われわれは大きな疑義を持っているものでございます。  そこで検査院は、この財産取得の是非を検査するに当たりましては、証拠主義というものの的確な資料によって、たとえば通常必要とされる代金領収の証拠、譲渡契約の証書等を示すべきであると私は思うわけです。少なくとも、いつだれが、だれから幾らで買ったというような具体的な事実の確証が最低限必要であろう、このように私は思うわけでございます。そうしなければ正当か不当かという判断ができない、このように私は考えるわけでございますけれども、この点どうでしょうか。
  189. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 正常の場合でございますと、先生のおっしゃるとおりでございまして、国有財産台帳に増として挙がりますれば、支出の方には必ず支出として出ている、こういう関係に当然立たなければならないわけでございます。  ところが、この読谷飛行場の場合には、われわれが聞いております限りにおきましては、この買収が戦争末期のかなり切迫したときに行われて、しかも、それを証する書類が一つもないというのが現状と聞いておりますので、この場合に、先生のおっしゃるような証拠書類が絶対どうしてもなければならないかということに関しましては、ちょっとなくちゃならないとまでは言わなくてもいいのではないかとは考えております。
  190. 春田重昭

    春田委員 その点が、前回委員会で大きな問題になったわけでございまして、要は、政府は、資料というか物的証拠がないから、八重山とか宮古等における、そういう近い例から類推できるものと決めてかかっているわけです。これでは、国有財産法二条で言う国の負担で取得した云々という根本の点において、ある疑義を含むことになるわけでございまして、検査院も証拠主義を堅持することなく、行政の類推によって、判断の押しつけに同調されるようなことは絶対ならないと私は思うのです。  こういう点で、読谷飛行場が国有財産であるかどうかというものが最大のポイントになるわけですから、どうかこの点だけは委員会会議録等もよく読まれまして、ひとつ公平な検査をやっていただきたい、このように思っておりますが、どうですか。
  191. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 先ほども申し上げましたとおり、本院としては、読谷飛行場の所有権確認という行為を初めてやるわけでございます。したがって、どういった書類があるのか。話に聞きますところでは、全然ないということでございますが、そうしますと、先生がおっしゃったとおり、買った以上は、現金が支払われておるはずでございます。  ところが、それがないということでございますれば、それに最も近いものは何なのか、結局はそういうことに相なろうか——戦中、戦後を通じまして、当時のアメリカ軍が行いました、この所有権の確認作業というものの実態が、どういうものなのか。先生の御指摘によりますと、かなり怪しいものである、こういうことでございますが、そういったものも一応ずっと見せてもらいまして、かなり苦しい検査であると私ども覚悟しておりますけれども、真実に近いものは何か、これはわれわれなりに、ひとつ努力させていただきたい、そのように考えております。
  192. 春田重昭

    春田委員 いままでの答弁を聞いておったら、何か大蔵省答弁みたいに思うわけでございますけれども、そういう先入観を持って、大蔵省の考え方を先入観として検査に当たったら大変だと思うのですよ。詳細につきましては、しかるべきときにお尋ねいたしますけれども、この点につきましては、決算委員会の議決案件にもなっておりまして、重要であるということは、もう言うをまたないわけでございまして、要は、国有財産の決定の是非、認定につきましては、国民にいささかの疑念も残さないように明確な措置を私はお願いをするわけでございます。  そういう点で、いままでの答弁から聞きますと、何か最初から非常に大蔵省見解の答弁みたいに思いますけれども、そういうことで検査に当たってもらったら困ると思うのですけれども、どうですか。
  193. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 私といたしましては、ともかく現在どれだけの書類があるかないか、それをはっきり存じておるわけではございませんけれども、しかし、何が一番真実に近いものであるかということを確かめるのが私の務めである、このように申し上げたわけでございまして、たまたま大蔵省答弁に、あるいは似たかもしれませんけれども、決してそういうことではございませんので、御了承願います。
  194. 春田重昭

    春田委員 続きまして、岐阜歯科大学の入学時の納付金並びに寄付金の問題につきまして、前回委員会でお尋ねいたしましたが、その時点では、会計検査院調査する以前の時期でございましたので、具体的な答弁が得られませんでした。その後、会計検査院では調査されたと聞いておりますけれども、その概要を、簡単で結構でございますから、御説明願いたいと思います。
  195. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 三月一日でございましたか、先生の御要請、御質問がございまして、検査計画からいたしましても、検査のローテーションからしまして、ちょうどそれに当たっておるということもございまして、四月二十六、二十七日の二日間にわたりまして調査官三名を動員し、岐阜歯科大学補助金検査を実施いたしました。  検査は、私学振興財団から補助金交付されておるわけでございますが、その補助金金額交付された金額が適正に計算されておるかどうかということでございます。その適正かどうかという問題は、大きく分けまして、学生数であるとか、あるいは教職員の数であるとか、あるいは学校の財政状態であるとかということを丹念に見ていくわけでございます。この関係におきまして、補助金の配付額の間違いはございませんでした。  それから、この問題が特に新聞紙上並びに国会で問題になりましたのは、寄付金に絡んでの問題であります。寄付金の問題は、財政状況に大きな影響があるわけでございますから、私どもも、寄付金の収支につきまして、適正な経理がなされているかどうかという観点から、ずっと見てまいりましたが、特に指摘する事態はございません。
  196. 春田重昭

    春田委員 助成が開始されたのが、この岐阜歯大は昭和四十九年からと聞いておりますけれども四十九年度から今日まで、補助金はどれだけ交付されたのか、金額を御説明願いたいと思います。
  197. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 四十九年度分は七千五百八十一万五千円、五十年度分として一億一千九百三十五万三千円、五十一年度分は一億九千百三十三万二千円でございます。
  198. 春田重昭

    春田委員 この助成措置につきましては、補助基準に照らしてみても、何ら間違いはない、正しいという御答弁が先ほどございましたけれども補助の対象になるのは、先ほど局長がおっしゃったように専任教員数、専任職員数ですね、それから学生数が大体主体となって決められると聞いておりますけれども、五十年、五十一年度調査されました、その補助基準の算定した基礎資料といいますか、これをお示し願いたいと思うのです。専任職員が何名、専任教員が何名、学生数が何名、単価どれだけによって、これだけの金額になったのだと。
  199. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 学生数につきましては、定員は四年間で四百八十名、六年に引き伸ばしますと七百二十名。現員は四年間で、これは五十年度分でございますが、九百八十三名、これを六年に引き伸ばしますと千四百七十四名。それから専任の教員の数でございますが、教授が三十六名、助教授が十九名、講師が十名、助手が九十七名、職員が百五十九名、こういうことになっております。しかし、開設されてから、まだ間のないものでありまして、この数値をフルに計算に乗せるということではないのでございまして、たとえば専任教員数でございますが、八十一名に抑えまして計算の数値をとっております。
  200. 春田重昭

    春田委員 専任教員が八十一名、学生数が四百八十名ですね。専任職員は何名ですか。
  201. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 先ほど申し上げましたように、五十年度の職員の数は百五十九名でございますが、まあ学校としてフルに運転していないわけでございまして、規則によりまして、これを専任教員の数である八十一名に減額査定して計算がされてまいります。
  202. 春田重昭

    春田委員 先ほど専任教員は教授、助教授何名というお答えがありましたが、合計数で専任教員は何名ですか。
  203. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 百六十二名になりますか。教授、助教授、講師、助手まででございます。
  204. 春田重昭

    春田委員 配分の基礎は専任教員が八十一名、実際は百六十二名いるけれども、これは半分になっているわけですね。専任職員が百五十九名で八十一名、生徒数が四百八十名という形になっておりますけれども、文部省の方がおいでになっておりますので、文部省の方にお伺いいたします。  このように未完成の学校というものは、補助金額も年数によって非常に差があると聞いておりますけれども、これはどういう基準になっているのですか。
  205. 山本研一

    ○山本説明員 お答えいたします。  経常費補助金は、先生指摘のように、昭和四十五年度から創設されたわけでございますけれども、創設当初から、完成年度になっていない大学、いわゆる卒業生を出していない大学については、原則として交付しないという方針をとってまいりました。これはやはり私大の設置認可行政との関連、あるいは私大の経常費補助金が創設された趣旨が、教育条件の維持改善というようなことを趣旨といたしておりますような、そういう目的との関連から、原則として補助金交付しないという考え方をとってまいりまして、その趣旨は、私学振興助成法にも受け継がれているわけでございますけれども、特に医歯系の大学につきましては、非常に多額の経費を要するというようなことを考慮いたしまして、四十九年度から学年進行に伴って逓増させる方式で、補助金を例外措置として交付するようにしてまいりました。  ただ、新設の医科大学、歯科大学あるいは理工系の大学につきましては、新設理工系理科教育設備整備費補助金という別の補助金がございます。その補助金につきましては、やはり多額の経費を要すること、あるいは科学技術教育の振興というような見地から補助金交付いたしております。  岐阜歯科大学に対しましても補助金交付いたしておりますけれども、そのほか私学振興財団の融資制度がございまして、やはり新設の医歯系の大学には、施設の整備費を長期低利の融資をいたしております。  そういう制度が片方にございますので、経常費補助金については、原則として未完成の大学、学部、学科に対しては交付しない、そういう考え方をとってきております。  ただし、医科歯科系については例外措置で、四十九年度から逓増方式で補助金を経常費補助につきましても交付するという考え方をとってきているわけでございます。
  206. 春田重昭

    春田委員 その補助率というのは、どういう形になっていますか。
  207. 山本研一

    ○山本説明員 設置されました第三年目から六分の二、四年目が六分の三、五年目が六分の四、それから最終の六年目が六分の五というような計算で補助金を計算いたすことにいたしましておりますけれども、先ほど会計検査院の方から御答弁がありましたように、専任職員の数は専任教員等の数の限度内にするとか、いろいろ限定はいたしております。
  208. 春田重昭

    春田委員 ただいま説明があったように、医歯系の新設校は二年まで全く補助金はなく、三年目から逓増率が掛けられまして補助が開始されるわけでございます。  したがって、私は思うわけでございますけれども、非常に補助金も、そういう点では抑えられているわけですね。勢いやはり入学金や、また施設整備費や寄付金等にそれがはね返って、父兄や生徒に、それが負わされていく、このようになると思うわけでございますけれども、文部省としては、現今の医者の不足、これと私学における学校運営の根本である財政との兼ね合い、この辺をどのようにお考えになっていますか。
  209. 山本研一

    ○山本説明員 医科歯科系の大学の教育経費については、多額の経費を必要とする、そういうようなことを十分考慮いたしまして、従来とも私大の経常費助成金の配分につきましては、他の学部、学科と比べますと、積算の内容も、かなり傾斜をつけて手厚くいたしておりますし、配分についても十分その点を考慮するという考え方をとってきております。  しかし、私大の経常費補助金の総額の問題もございますので、今後やはり、これだけ社会的問題になったわけでございますから、医科歯科系の大学の学部、学科の助成につきましては、積算の内容の改善をさらに進めるとか、あるいは総額をふやす、そういうことによって対処してまいりたいと思いますし、先ほど申しました新設理工系の理科教育設備整備費補助金拡充ですとか、あるいは融資制度拡充で、できるだけこういう財政状況の苦しさをカバーしていくような、そういう側面援助をしたいと思っております。
  210. 春田重昭

    春田委員 文部省としては、できるだけやっているということでございますけれども、たとえば人件費一つの例にとってみても、非常に現状と合わないわけですね。  たとえば、昭和五十年の私立大学の学生一人当たりの収支の内訳を、医歯系と文科系を比較した場合どうなるかということですが、支出の面で見ると、医歯系の場合は、人件費が約二百十四万四千円で、全体の四〇%強を占めておるわけです。そしてそれを補う収入では、学生納付金が六十一万円、補助金が百五万一千円で、人件費の七五%しか占めておりません。ところが一方、文科系の方の人件費は十七万七千円と非常に低いのです。これを補う収入では、学生納付金と補助金で約二十二万三千円ということで、十分に収支のつじつまが合うわけです。  私は、この数字を見たとき、医歯系は人件費で相当なウエートを占められ、それが学校経営の苦しさを一層助長しているように思うわけでございます。  ところが、文部省の人件費の算定のやり方は、前年の五月の、いわゆる給与を基準としているのでしょう。したがって、その年の人勧による給与アップ率も見られないし、実質的には二年前の金額を基準にしているゆえ、それだけの差は超過負担として学校側が支払う羽目になってきて、結局それが、いろいろな入学納付金や寄付金にはね返っていく、このように非常に現状とマッチしてない、こういう点が指摘されているわけでございますけれども、この点、文部省としては改善の必要があると私は思うのですが、どのようにお考えになっていますか。
  211. 山本研一

    ○山本説明員 この補助金を始めますときの積算の内容といたしまして、専任の教職員給与費あるいは教員経費、学生経費あるいは研究所費等いろいろ積算項目があるわけですけれども、一応私大の全体の教職員給与費の実態調査をいたしまして、それに五%アップですとか、あるいは人勧のアップを、ある程度見込んだ計算はいたしております。  ただ、全大学の平均の調査になりますので、特定の大学の給与水準等と比較いたしますと、若干実態にそぐわない面があるわけでございますけれども、今後とも先ほど申しましたように、積算内容の改善に努めたいといいます趣旨は、そういった専任教員の給与費ですとか、あるいは職員の給与費あるいは教員経費、学生経費について、さらに拡大させていく部分がないかという検討をしてまいりたいという意味でございます。そういう方向で努力したいと思っております。
  212. 春田重昭

    春田委員 確かに人件費の五%までは上限として見ているわけですけれども、たとえば国立大学の場合は、八月の人勧を待って秋の給与改定を行って、その四月からの差額は、全部国の方が支給しているわけでしょう。こういう点においては、相当国立と私立の場合には、その考え方が違うわけですよ。そういう点で、私学の一層の苦しさを示している、こういう点も、やはり今後の改善一つの項目にして、現状にマッチした、そういう補助の対象にしていただきたい、このように私は要望しておきます。  最後になりますけれども、このように昭和五十年度の学生一人当たり経常費補助金を見ると、医歯系はちょうど百万円なんです。これは収支全体の一九・九%で、私学経常費の二分の一の助成を目指した数字より、はるかに少ない、こう指摘してもいいと思うのです。  昭和四十五年に発足してから、昭和四十九年度を当初この二分の一の助成の目標年度としたわけでございますけれども、現在においても非常に少ない。五十一年度は、二四%ぐらいになったそうでございますけれども、五〇%までには、まだまだはるか少ない、こういう点で、前回でも指摘いたしましたけれども、この私学振興助成法で言う二分の一の経常費助成というものは、いつごろまでを目標として持っていくつもりなのか、この辺を明確にしていただきたいと思うのです。
  213. 山本研一

    ○山本説明員 ただいま先生から数字の御指摘がございましたけれども、五十一年度の私大経常費補助金の経常的経費に占める割合は二四%でございます。それからまた五十二年度は、千六百五億円の予算を計上いたしまして二六・九%というふうに一応パーセンテージは上がってきております。財政状況の非常に厳しいときですので、いつごろまでにということは、なかなか申し上げにくいわけですけれども、総額の拡充には、今後とも努めてまいりたいと考えております。  なお、医歯系の大学の学部、学科については、特に手厚く助成いたしております関係で、たとえば五十年度の経常的経費に占める割合は二〇六%でございましたけれども、医科系大学の平均が二七・六%、それからまた歯科大学の平均が二五・三%というように、全体の経常的経費に占める割合よりは、医科歯科系大学の割合は高くなっております。
  214. 春田重昭

    春田委員 高くなっていますけれども、五〇%については、まだ半分なんです、そうでしょう。五〇%を助成すると、私学振興助成法で法的にちゃんとうたっているわけですから、わずか一%、二%上がって手厚い保護をしているということは言えないと私は思うのですよ。  時間がだんだん参りましたので、次に、寄付金の問題につきまして、会計検査院の方にお尋ねいたします。  先ほど寄付金につきましても調査されたということでございますが、五十年度、五十一年度、五十二年度では、岐阜歯大はどれだけ取っていたのか。一人当たりの平均金額と全体の総額につきまして、金額面をお示し願いたいと思うのです。
  215. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 五十二年度分については、把握しておりません。  五十年度、五十一年度分について申し上げますと、五十年度の寄付金の総額は三十四億二千九百万円、一人当たり千八百五十万円。五十一年度は、寄付金総額は三十六億一千百万円、一人当たり平均金額は千九百六十万円。こうなっております。
  216. 春田重昭

    春田委員 莫大な金額になっておりますけれども、この寄付金を納付した学生は、全体のうち何名なのか、この点も明らかにしていただきたいと思います。
  217. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 五十年度の入学学生は百八十五名でございますが、この中で寄付をした数は百八十二名でございます。五十一年度は、入学者の数は百八十四名、これに対して寄付者の数は百七十五名、こうなっております。
  218. 春田重昭

    春田委員 寄付をしなかった者が若干あるわけでございますけれども、この寄付をしなかった数名につきましては、なぜしなかったのか、その辺調べましたか。
  219. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 この学校は、入学者につきましては寄付金を原則として要請する、お願いをするというたてまえできておるようでございます。そして、受験の前の大体の約束では、寄付をするということで試験を受け、入学しているようでございますが、その後の事情がございまして、どうしても納められない方があるというふうに承っております。
  220. 春田重昭

    春田委員 ということは、それだけのお金がないので納められないということで、学校側がそれを了解した、このように理解していいのですか。
  221. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 仰せのとおりでございます。
  222. 春田重昭

    春田委員 さらに、寄付金が学生の成績順によって金額に差がある、ランクによって決めている、こういう事実があることを御存じですか。
  223. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 仰せのような事実は、私ども検査を通じては把握しておりません。
  224. 春田重昭

    春田委員 そこまで検査したのか、それともそこまで会計検査院権限ではないということで検査しなかったのか、どちらですか。
  225. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 実は寄付金につきましては、世間で大変騒がれておるようなことでございまして、これの全貌について把握する、説明を聞くということは、調査官に大変困難があったわけでございますが、ついに学校側の協力を得まして、先ほど申し上げましたような一人当たり金額であるとか総額であるとかというものまで、帳簿にわたって聴取することができたというものでございまして、何番から何番まではどれくらい、何番から何番までは幾らというようなところまでは、とても聞き及び得る性質のものではないように聞いております。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  226. 春田重昭

    春田委員 私は、寄付金の問題につきましては、あれだけ社会的に大きな問題になっただけに、会計検査院としては、補助の対象でないのだから、むずかしいとお考えになっているみたいでございますけれども、院法二十二条、施行規則の十五条によりまして、調査なり、また報告すべきであると考えておりますけれども、この点どうですか。
  227. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 寄付金の大きさ、寄付金の収支につきましては、学校の経理状態を判断する重要な性質のものであると、われわれ心得ております。それであればこそ、当然の権限を持ちまして——学校側は大変抵抗したのでありますが、当然見せるべき性質のものであるということで、われわれ聴取してまいったわけでございます。しかし、それはどこまでも勘定の上のことでございまして、成績との絡み合わせということでは、とても入れないことではなかったかと思います。
  228. 春田重昭

    春田委員 検査院としては、表面的にさらりと言って、それで終わりだ。具体的問題につきましては権限がないということで、その辺非常に遠慮なさった面があるのじゃなかろうかと私は思うのでございます。  この寄付金の問題を、具体的に詳細に今後調査するとすれば、たとえば補助金の問題につきましては国から行っていますから、当然具体的に詳細な検査ができると思うのです。これと同じように、私学につきまして国が、寄付金を抑制するならば、補助金を若干上積みしましょう、そういう条件がついた場合においては、寄付金の問題について調査できるかどうか、具体的に入っていけるかどうか、その辺の見解はどうですか。
  229. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 いま先生の御質問の御趣旨、実はこのように理解していいかどうかわかりませんが申し上げますと、寄付金の大きさはどのように見るかという点では、実は私ども検査の当然の対象として考えてはいないのでございまして、取った寄付金がどういう経理をされておるかということで見ております。  ただ、財政状況に重要な絡み合いのあるのは、寄付金の大きさというのは剰余金の大きさに絡んでくる、あるいは赤字の大きさに絡んでくる、そういうことで、補助金交付する配点の上で、剰余金の大きさなり赤字の大きさという点に影響が出てくるものですから、寄付金の総額というものは、当然私ども検査の対象として、とらえられる性質のものでございます。
  230. 春田重昭

    春田委員 なぜ私が、このようにしつこく聞くかというのは、私の調査段階によりますと、これは昭和五十二年度ですけれども、一番新しい年度の岐阜歯大におきましては、五百八十二名が受験しているわけです。第一次で七十八名が入学しております。そして第二次と合わせて大体百三十名ないし百四十名が入学しているわけです。  肝心の寄付金でございますけれども、この寄付金は、一番から十番までが特待生と称せられまして五百万円。そういうことで最も低いわけですね。ところが、十一番から百十三番になりますと二千万円にはね上がるのです。さらに百十四番から百二十四番になりますと、実に二千三百万円にはね上がっているわけです。  こういう事実があるわけでございますけれども、この点は、会計検査院としては検査の対象になったかどうか、またお知りになっているかどうか、お答え願いたいと思うのです。
  231. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 私としましては、いま初めてそのような事実を先生から承った次第でございます。
  232. 春田重昭

    春田委員 重大な問題でございますけれども、この点は、文部省としては知っていますか。
  233. 塩津有彦

    ○塩津説明員 お答え申し上げます。  過年度調査におきましては、書類上は、特に徴収の基準を定めてないというふうに報告を受けております。  それで、先生の国会における御質問もございまして、事情を口頭で聴取しておりますが、その際には、一部成績によって金額に差をつけておるというふうなことを伺っております。  五十二年度先生の御指摘の分につきましては、五月に例年のごとく調査の通知を発しまして、七月ぐらいに結果を求めるというふうにしております。それには寄付金の徴収方法も記載欄が一応ありまして、それを報告を求めるということにしております。
  234. 春田重昭

    春田委員 文部省としても、この事実は知らなかったと思うのですが、このように合格順、いわゆる成績順によって、ランクによって寄付金が違うわけですよ。このように寄付金を入学の条件としないという規定ですね、通達がありますね。あれに全く反して、金のかさによって入学されると思いますけれども、この点については、私は大問題であると思うのですよ。この点、いわゆる寄付金を入学の条件としないものに全く相反するわけでしょう。この点は、どのように文部省としてはお考えになっておりますか。
  235. 塩津有彦

    ○塩津説明員 御指摘のとおり、四十九年の通達を初め、あらゆる機会に、寄付金は任意のものであるべきである、条件としてはいけないというふうに指導しております。  岐阜歯科の事情聴取によりますと、学校当局は、任意であるというふうに申しておるところでございます。
  236. 春田重昭

    春田委員 文部省としては、任意であるからということで理解しているみたいですけれども、このように合格者に対して、任意的また好意的に取っておるということにおいて、これだけの額が出てきますか。そうでしょう、任意ですから、好意的に受け取るのですから。何も金額のせいにしなかったら、これだけの二千三百万円、二千万円なんか出せないですよ。明らかに、これは何らかの形で提示されているのです。この点、どう思いますか。
  237. 塩津有彦

    ○塩津説明員 たてまえはそうでございますし、学校当局もそうは言っておりますけれども、岐阜であるかどうかということは別として、これだけの多額のものでございまして、一部には事実上、若干強制——強制という言葉はおかしいのですけれども、任意を超えておるというのがないとは言い切れないと思います。
  238. 春田重昭

    春田委員 一部と思っているのですか。一部じゃないですよ、これは全体ですよ。そういう文部省の見解であるから、このように寄付金につきましては規制ができないのであって、弱腰なんですよ。五年前には、昭和四十七年度の入学者の中には、四千八百万を出して裏口で入学した人もあるのです、こういう事実が。その辺のところは文部省では知っているかもしれないけれども、そういうたてまえだけを言っておったらだめですよ。  通達の中では「適正な寄附金」ということが書かれておりますけれども、この「適正な寄附金」というのは、前も問題になりましたけれども、犬丸政府委員答弁では、今後詰めて後日御答弁したいという話がございましたけれども、この「適正な寄附金」限度ある金額という形で私大協会も言っておりますけれども、この辺は、どのように理解しているのですか。
  239. 塩津有彦

    ○塩津説明員 「適正」という言葉は、確かに御指摘のとおり通達で使っておるところでございますが、一つには、適正ということの意味は、学生から徴収する納付金等もそうでございますけれども、やはり教育の対価というような意味があると思います。そこで行われている教育というのは、やはりその教育の量とか質、もっと具体的には、先生の数とか、先生の給与の額とか、あるいは教材の量とか質とか、そういったものの見返りとしての教育の内容から見て、適正であるかというのが、一つの観点だろうと思います。  それから、これは私大の特殊性とも言えると思いますが、やはり独自に経営していくというたてまえでございます。ですから、赤字を補てんせざるを得ないというような意味で、その経営の状況から見ても、適正であるかどうかというふうなことが考えられると思うのでございます。  大きく言って、対価としての教育の量と質、それから経営の状況といったようなことから、おのずから出てくるというふうに考えられますが、局長が、この前先生の御質問に答弁いたしましたように、いま直ちに、それが幾らかというのを一律に申し上げるのは、なかなかむずかしい問題でございまして、そのときの諸条件を勘案して考えるべきものである、そういうふうに考えております。
  240. 春田重昭

    春田委員 ということは、先ほど私が言いました成績順によって、ランク別によって、現実に金額が違うわけですよ。こういう事実があった場合には、文部省としては、明らかに不正である、このように認めるのですね。
  241. 塩津有彦

    ○塩津説明員 お答えします。  成績によりまして差があるということでございますが、これはいろいろに考えられると思うのでございます。たとえば経営の赤字を補てんするために、一人割りにすると幾らかというふうな額が仮に出たとします。その額というのを一律に取るという方法もあると思いますが、その徴収する際、育英というか奨学というような意味で、先ほども質疑にありましたけれども、成績のいい者に対しては減免をして、そして奨学の目的を達するというような意味、あるいは成績は優秀であるけれども、経済的に非常に困窮しているというような意味で、これも奨学に反面は絡みますけれども、困窮している人には減免するというふうなことも考えられると思いますし、その成績による差というのは、いろいろな考え方があると思いますので、一々個別の事情に当たってみませんと、一律にこれを論ずることはむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えます。
  242. 春田重昭

    春田委員 いや、成績と家庭が貧しいとかいう問題は、また別個でしょう。先ほどの一番から十番まで、十一番から百十三番まで、百十四から百二十四というのは、明らかに成績順なんですよ。これによって金額が違うのです。たとえば一律の線を引いて1私学において寄付金を全然取ってはならないと私は言っているのじゃないのです、ある程度これは必要でしょう。その線を引いて、それ以下で、その学生のまた家庭の状況によって減免していく、これは私は理解しますよ。  ところが、今回の場合においては、明らかに成績順によって、いわゆる金額が違うということは、たとえば成績が悪くなってくれば、あなたは非常に成績が悪い、ぎりぎりです、これだけ納めたら入れましょうという、全く寄付金によって入学の条件としないという項目に相反するから、私は言っているのであって、今回の場合は、その事例がはっきりしているわけですよ。その点を私は言っているわけです。こういう事例があった場合は、当然是正するべきでしょう。どうですか。
  243. 塩津有彦

    ○塩津説明員 おっしゃる場合に一番問題なのは、入るべき能力といいますか適性といいますか、そういったものを持っていない人が、寄付金を納めることによって入学させられるとしたら、それはまさに直ちに是正されるべきものだろう、こういうふうに思います。
  244. 春田重昭

    春田委員 そういう遠回しな言い方でなくして、今回の場合は、はっきりそれをしているわけですから、こういう点は事実としてあるのですから、調査して、それは是正してくださいよ、いいですか。  時間が参りましたので、もっと質問したかったわけでございますけれども、最後に、私は提案するわけでございますけれども、やはり私大におきましては、かなりの寄付金が要ることは、私もある程度認めざるを得ないと思うのです。したがって、この寄付金の徴収方法でございますけれども、たとえば入学時に一度に徴収するのでなくして、年払いや、または卒業後に納付できる、そういうシステムまたは奨学資金制度拡充を図るなど、現在の入学納付金ないし寄付金の徴収方法を抜本的に考えていく必要があるのではなかろうかと私は思うわけですね。多額の入学納付金が要ることによって、せっかくの人材が入れない、こういう悲しい目に遭わしてはならないと私は思うわけです。  その点で、そういう方法も考えていただきたいし、さらにやはり根本的な問題は、国の大きな私学に対する助成の問題があるわけでございまして、この辺も強力な助成をやっていくべきである、このように私は思うわけでございます。これをもって、私のきょうの質問を終わりますけれども、最後に、いまの提案といいますか要望につきまして、政府側の御答弁をいただきまして終わりたいと思います。
  245. 塩津有彦

    ○塩津説明員 先生のまさにおっしゃるとおりでございまして、この寄付金の根本的な問題は、医学部、歯学部の運営に非常にお金がかかる、現在納められている正規の学生納付金で足りないというところに起因しておると思います。したがいまして、ただいま医科大学協会、歯科大学協会という、それぞれの私学の団体がございますけれども、その団体におきまして、先生のおっしゃいましたような事項を含めまして鋭意検討しておるところでございます。  それと同時に、二番目に先生がおっしゃいましたように、学生ないしその父兄からの負担で、これを解決するということでなくて、できるだけ国庫助成とか融資とか、そういった道を拡充することによって、この問題の前進といいますか改善を図りたいというふうに考えております。
  246. 春田重昭

    春田委員 終わります。
  247. 芳賀貢

    芳賀委員長 安藤巖君。
  248. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、会計検査報告について二、三お尋ねしたいと思います。  御承知のように、院法の三十四条、それから三十六条の規定によりまして、検査院としては是正改善処置をさせることができるわけでございますし、さらには改善処置を要求するということもできるわけでございますね。その結果、こういう処置を要求したということが検査報告に載っているわけでございます。さらには、処置を要求した結果の処置状況というのについても検査報告の中に載っておるわけでございますけれども処置を要求した結果、こういうような成果が上がったという、あるいはどういうような効果が上がったかどうか、そういう点について追跡検査といいますか追跡調査といいますか、そういうことも当然してお、られると思うのですが、いかがでしょうか。
  249. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 私どもの方で当局に対して処置の要求をいたしましたこと、このことについては当然のことでございますけれども当局側において私ども意見に応じた処置を講じてもらわなければ、何ら意味がないわけでございます。それを私どもとしては当然期待をするわけでございますが、あわせて、果たして当局で私ども意見の具申のとおりの処置を講じているかどうかということについては、その後の検査におきましても、常にこれをトレースして追跡調査をする、こういうことで取り扱っております。
  250. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、具体的にいま御答弁がありましたような結果について、効果がどういうふうに上がっているかという点について、お尋ねしたいと思うのですけれども、これは昭和四十九年度検査報告、この中に国鉄の関係で「工事用品の準備要求等について処置を要求したもの」という項目がございます。これは百十八ページです。もちろん中は読みませんけれども趣旨は、工事用品のうちには所要時期、所要数量等の見込みが適切でなかったなどのために、昭和四十九年度末に使用に至らず、次年度に繰り越されたものが百六十八億千五百六十九万余ある。そしてこのうち五十一億千九百二十八万余円相当分は、五十年九月現在、なお使用見込みが立たない、そのまま保有されている状態となっている。  そして、これは具体的な事例があるわけですけれども、そしてその結果、昭和五十年度検査報告の中では、処置状況について記載がありますけれども、結局「継続工事、新規工事の区分及び予算の通達状況を明確にして購入手配を行うなどの処置を講じた。」こういうことに処置状況としてはなっているわけですね。  しかし、いま御答弁がありましたように、追跡調査をしてその効果が上がるように、ちゃんとお目付役としての役割りを果たしているのだというふうにおっしゃったのですけれども、こういうような購入手配を行うなどの処置を講じた結果、前に処置を要求したようなことが改まったというふうに認めておられるのかどうか、そういうふうにお認めになるについては、どういうような調査をしておられるのだろうか、このことをお尋ねしたいのです。
  251. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、非常に調達がずさんであるということで、われわれは、その調達の方法そのものを今後直しなさいということで改善意見を出したわけでございまして、その後、現に私ども指摘したものが、どうなっているかということも、本社の資材局あるいは地方に参りましたときに厳重にチェックいたしております。  たとえば、先ほどの五十一億の使用残につきまして五十二年三月末現在で計算いたしますと、大部分が使われまして、三億八千万ばかりに下がってきておる。それと同時に、これと同じような調達方法をやったものはないかということも厳重にチェックいたしましたが、その後については、相当厳密な計画を立てて調達しているというふうに理解しております。
  252. 安藤巖

    ○安藤委員 次に、これは文部省の関係でお尋ねしたいのですけれども昭和四十九年度検査報告書の四十四ページに、会計検査院注意によって処置を講じたもの、これは「財団法人日本武道館の経理について」ということですが、この日本武道館に対して文部省が補助金を出しているわけですね。その補助金の額は、結局「運営による収入と運営に要した費用の開差分に相当する額」です。そして昭和四十八年度で千七百三十九万余円、こうなっているわけです。ところが、この日本武道館の運営については、施設や設備の使用料の徴収に当たって、任意に減額処理、まけてくれと言われれば、まけるというような処理、あるいは「週四時間程度しか勤務しない職員に対して常勤職員としての給与を支払っていた」とか「未払金を過大に計上していた」とかという指摘がなされているわけですね。これに対して、文部省では「適正な経理処理を行うよう指導し、」「五十年三月に関係規程を整備するなどの処置を講じた。」こう検査報告に載っているわけです。  ですから、素直な疑問といたしましては、こういう処置を講じた結果、先ほど申し上げましたように、補助金の額は運営の収入と経費との差額なのですから、たちどころに補助金の額が減ってくるのが普通じゃないかと思うのですね。そのほかに、いろいろな要素がありますから、たくさん利用者があったとか、いろいろあろうかと思いますけれども、普通、素直に考えれば減ってきたと思うのです。その結果、具体的にどれだけ補助金の額が減ってきたのか、こういう点についてはどうでしょうか。
  253. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 ここでは、具体的な数字を挙げずに項目の記述ということになっております。最終的な御質問で、どれぐらい補助金を減額したかということへのお答えといたしましては、週四時間ぐらいの勤務であるのに、非常勤職員とせずに常勤職員としての給与を支給しておうたというのがございますが、これは四十八年度分として百九十一万四千七百三十七円の給与を支給しておったわけですが、これを非常勤職員としての規定に基づく給与で計算しますと、かなり減額されまして、その差額である百三十八万七千四百八十七円が過大支給ということになりますので、この金額につきましては、補助金の減額の処置をとらせております。
  254. 安藤巖

    ○安藤委員 いま非常勤職員の問題について、お答えがあったのですけれども、これは(ア)から(オ)までの項目が指摘してあるのですが、全体的に見て、幾ら減額することになったというような数字は出てこないのですか。
  255. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 四十八年度交付済み額は先ほど先生指摘の千七百三十九万、四十九年度は五千六百七十八万、五十年度は四千六百七十五万、五十一年度は四千四百四十一万という数字になっております。
  256. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、実際の金額としては増額しているのですけれども、中身としては、この処置のとおりのことが行われて、総体的には減額になっているのだという確認はしておられるのでしょうか。
  257. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 補助金の各年度別の収入金額は、先ほど申し上げましたとおり徐々に減っております。これの端的な裏返しの事実は、私ども指摘の運営収入の規程を厳格に施行するということもありまして、四十九年度施設運営収入が二億八千五百万円、五十年度は四億四千六百万円、五十一年度は五億四千九百万円、このような増加を来している事実からも、ある程度くみ取れるのではないかと推測しています。
  258. 安藤巖

    ○安藤委員 これはまさに財団法人日本武道館についてのすぐれた事例なのですけれども、具体的には、これは予算の編成にも大きなかかわり合いを持ってくる問題ですから、今後ともしっかり追跡検査をやっていただきたいということを御要望いたしておきます。実際の効果が上がっているようでございますから。  次に、これは昭和四十八年度決算検査報告の百十ページに処置状況として載っているものですが、国鉄の「特種広告料金の徴収について」という項目でございます。この「特種広告料金」といいますのは、駅舎その他の建造物に掲出するものとか、建植板に広告を出す、よく駅なんかに立ててあるあれだろうと思うのですが、この掲出面積が実際の面積よりも小さい面積の広告料しか取っていないという事例指摘されておりまして、「適正な料金を徴収したとすれば、年間で約五千六百万円の収入増加したと認められた。」という指摘があるわけですね。  この指摘に対して国鉄の万では、四十九年十月に、各鉄道管理局等に通達を発して、各鉄道管理局では、四十九年十一月に、広告基準規程を改正して、とにかく整備する処置を講じたというふうに処置状況として報告がなされているのですけれども、これなんかの場合は、先ほどの武道館の問題とは違って、経営の実態が大きくなってきたということとの関連で、いろいろ異同はあると思うのですが、ストレートに改善処置を講ずれば、広告収入増加が見込まれているはずだと思うのです。これについては、どういう増加が認められたというふうに検査院としては確認しておられるのでしょうか。
  259. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 これは、先ほど先生おっしゃったように、四十九年十月に通達を発しまして、次の契約更改期から全部切りかえました。その当時私どもが推定しました五千六百万円というのが、次の年度からでも契約更改していなければ、これだけの増収が得られなかった、このように考えております。
  260. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、そのとおり五千六百万円の収入増加したということなのですか。
  261. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 これはあくまでも計算上、私ども五千六百万円は増収になるはずだということをやったわけでございまして、私ども指摘したものについては全部改善いたしましたので、その分は引き続き増収になるというふうに考えます。
  262. 安藤巖

    ○安藤委員 いや、なると思うというのでは、この処置要求をしたときと、ちっとも変わっていないわけなのですね。処置要求をされて、その結果、こういう処置がなされたという処置状況報告されているのですから、その結果、具体的な金額の問題として、これだけ指摘したとおり増収になったということでなければ、おかしいと思うのですね。いかがですか。
  263. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 これは次の年度改善しましたし、中には取りやめてしまったものもございますし、あるいは新たに建植板などをやめまして、特種額面がふえたのがございますので、私ども指摘したために、翌年度あるいは翌々年度どれだけの増収になったかということは、的確に把握できないわけでございます。
  264. 安藤巖

    ○安藤委員 取りやめたなら、いたし方がないのですけれども、取りやめたのではなくて、そのままそういう広告がちゃんとあるということであれば、是正処置をすれば増収になるのは、はっきりしていると思うのですね。検査院の方としては、先ほど私が最初にお尋ねしましたように、ちゃんと追跡検査をして、その効果が上がっているかどうかを、ちゃんとやるのだというふうにおっしゃってみえたはずですね。だから、そういうことからしますと、ちゃんと増収した金額が出てきても、おかしくないと思うのですけれども検査院の方で、いまの段階でおわかりにならないとすれば、国鉄の方からも来ていただいておりますので、国鉄の方からもお答えいただきたいと思います。
  265. 岩瀬虹児

    ○岩瀬説明員 四十八年度の特種広告料金につきましては、ただいまお話がございましたように、二点の御指摘を受けました。一つは広告種別の取り扱い、一つは料金の計算の取り扱いについて適正でなかったという点でございます。  ただいま検査院の方からも御報告がございましたように、これはいずれにつきましても、一応部内的に規程の改正その他の処置をいたしてございまして、いずれも徴収済みのものでございます。
  266. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、具体的にこれだけふえたということには、ならぬわけでありますか。
  267. 岩瀬虹児

    ○岩瀬説明員 これは、理論的に計算いたしますと、こうなるという数字でございまして、実際全部に当たってみますと、若干の出入りがあると思います。ただ、数字で申しますと、ただいま、たまたま検査の対象になりました地域のそれは持ってまいっておりませんけれども、国鉄全体で申しますと、四十八年度に特種広告が二十三億五千五百万円でございますが、四十九年度には二十六億三百万円、約二億四千八百万円の増収になっております。との中には、いわゆる広告媒体の増加をいたしましたものでございますとか、あるいは、いまもお話にもございましたような、やめてしまったもの、その他いろいろなケースがございますので、詳細はちょっと不明でございますけれども、そのように増収になっているわけでございます。これは、いずれも検査院の御指摘の内容を行いましたものが、全部入っているというふうに私どもは考えております。
  268. 安藤巖

    ○安藤委員 指摘のことも行われているので、全体の増収の中には、それも入っていると思うということではなくして、せっかく検査院検査をして、そして指摘しているわけですね。だから、その結果、こういう処置をして、具体的にこれだけ是正しました、これだけ増収になりました、そういう計算をはじき出せぬことはないと思うのです。面積が、これだけ少なかったのを、これだけ広くした、そのおかげで、これだけ収入を上げることができました、これをはじき出せぬことはないと思うのですが、いかがですか。
  269. 岩瀬虹児

    ○岩瀬説明員 御指摘でございますけれども、御指摘を受ける前の状態においての取り扱い方、計算をいたしますと、このような数字になるということはいたしておりませんで、増収額を整理しておりますので、ただいまのような御回答になったわけでございます。
  270. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、いま私がお尋ねしているような、検査院指摘されたことを是正した結果、これだけ増収になったということは、全く不可能なことじゃないと思うのですね。たとえば、ここに指摘されているのは、東京北、南、西各鉄道管理局というふうになっていますけれども、ここで具体的にあの広告の面積を適正に計算をして、その面積に応じた料金を徴収した、これをずっと集めてくれば出てくるのじゃないかと思うのですよ。しかし、それはまだやられていないわけなんですね。
  271. 岩瀬虹児

    ○岩瀬説明員 検査院から重大な御指摘を受けたわけでございますので、その点について今後はよくフォローをいたしまして、結果を検査院の方にもよく御連絡をするようにいたしたいと思います。
  272. 安藤巖

    ○安藤委員 ぜひともそうしていただきたいと思うのです。そして、やはり検査院の方でも、最初に御答弁いただきましたように、きちっと処置要求の結果、こうなったという確認をしていただきたい、こういうふうに思います。  それから、もう一つ国鉄の関係でお尋ねしたいのは、国鉄の機関区における水の使用の問題なんです。  機関区とか運転所、車両工場等で、これは昭和四十六年度検査報告の中にあるものですが、結局車両の洗浄とか、ボイラーへの給水等に使っている水の水源として上水道の水を使っている、高い水を使っている。だから、その代替水として工業用水、あるいは河川や井戸の水、こういうものを使えば、相当水の代金を減額することができるという指摘があるわけですね。これは、調査の内容、個所は、二百十四カ所調査した、そのうちで、水源を切りかえることによって相当の経費を節減できると見受けられるのが多数あったということなのでございます。  これについて、私の方でいろいろ資料をいただいて見たのですが、この結果、これは昭和四十七年の十二月に、処置済みということになっているわけですね。そして四十六年度検査報告として出ているわけです。ところが、その結果、合計五十の機関庫あるいは工場で是正がされたわけなんですけれども、この中に昭和五十二年度になって是正をされたというのが三つあるわけなんですが、これは、そのとおり間違いないでしょうか。
  273. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 おっしゃるとおり、そのような報告を受けております。
  274. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、いま私がお尋ねしました武道館の問題にしろ、国鉄の広告料金の徴収の問題にしろ、それから、いまの機関庫や工場などの水の利用の問題にしろ、特に水の利用の問題につきましては、昭和五十二年度に、まだ三工場がこういうような是正処置をやっととっているということで、相当な期間があるわけですね。だから、これは昭和四十七年十二月に、もう処置済みとなって、処置はしましたということで済んでしまってはおらないわけなんですね。だから、こういうような問題、それから先ほど来お尋ねしておりますその効果が、どういうふうに上がったかというフォローをしてちゃんと確認をして、一件落着というのを処置状況報告だけで済まさないというようなことを、やはり検査院としてもお考えいただきたいと思うのですね。  そして、それを検査報告の中に、きちっと入れていただくか、あるいは検査報告と一緒に国会へ提出していただいて、その結果どうなったかということを国会に報告していただく。そして、それについていろいろ問題点があるなら、あるということで、審議の対象にしていただく、そういうふうにしていただくということはお考えになっておられないのでしょうか。
  275. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 一応ごもっともな御指摘で、従来ともわかりやすく検査報告を記述するということについては努めてまいったつもりでございますが、なお御指摘のような点、ごもっともでございますので、ケース・バイ・ケースで考えながら、今後の書き方について検討させていただきたいと思います。
  276. 安藤巖

    ○安藤委員 いま院長の方から前向きな御答弁をいただきましたので、せっかくの御努力をお願いします。  それから、国鉄の方からも来ていただいておるのですが、これはずっと一遍調べてみたのですけれども、同種の指摘を何回か検査院の方から受けておるけれども、その同種の誤りがちっとも直っていない。いわば常習犯みたいなことを国鉄がやっているのじゃないかという印象を受けましたので、時間が余りありませんけれども、ちょっと話してみたいのです。  簡単に申し上げますけれども、四十五年度検査報告、この百一ページに「車両工場における工場予備品の調達および管理について処置を要求したもの」というのがあるのですけれども、これは、いわゆる工場の予備品、車両の定期修繕のため、工場においていよいよ修理するときに使う備品ですね。備品を買いためておる、その調達数量が過大になり、適切でないという指摘があるわけです。ですから、予備品の調達、管理の適正を期する必要があると認められる。それで具体的に指摘されているわけです。  そして今度は、四十六年度会計検査報告の中で、それについての処置状況というのが百二ページにあります。これは「必要数量を決定することとするなどして調達数量決定の適正化を図ることとした。」こうなっているわけなんです。だから、その結果どうなったかということを本当は聞きたいわけですけれども、これは時間の関係で省略します。  それから、昭和四十七年度検査報告の九十七ページ、「軌道保守用機械の活用及び今後の導入について処置を要求したもの」、これはいわゆるマルチプルタイタンパーという機械で、道床突き固め用の作業車というのだそうですか、これを四十五年度に十億五千三百九十四万余円、四十六年度に四十一億二千二百三十七万余円、四十七年度四十一億九千二百二十八万余円購入しているわけです。ところが、この「マルチプルタイタンパ及び軌道モータカーだけを単独で使用し、」——これは幾つかの機械がセットになって初めて効力を発する機械なんですが、「他の機械はほとんど使用しないまま保有している状況であった。」とか、あるいは「オペレーターの養成、作業要員の組織、作業間合いの確保などの機械受け入れ体制が十分整備されていなかった」ということで、日数で二九%、軌道延長で一五%程度しか稼働していない。相当高額な機械なんですけれども、こういう状況指摘されているわけなんです。  そして、これについて、四十八年度検査報告書の百十ページに、それについての処置状況があるのですが、結局オペレーターを養成する、あるいは要員教育を実施する、保守間合いの確保ができるような処置を講じている、こういうことになっているわけです。  それから、先ほど私が最初にお尋ねした工事のときの予備品ですね。これは四十九年度決算報告で、百十八ページですが、「工事用品の準備要求等について処置を要求したもの」これは見込みが立たないものに、たくさんの工事用の部品が購入されて、保有されたままになっているというものですね。  それからもう一つ、最後の五十年度会計検査院報告の百十三ページ、これは「特急券等の準備について処置を要求したもの」とあるわけです。  この中身は、結局は、たくさんの特急券を印刷し過ぎて、たくさん購入し過ぎて、料金の改定等もあって余ってしまって、そして廃棄処分にしているということなんですけれども、その料金の改定等もあったけれども、それは予見することができたはずだし、そんなにたくさん印刷をして保有しておく必要はなかったのだという指摘で、たとえば、これは札幌ほか八つの印刷工場における製作の価額二億三千百七十一万余円、一億二千三百一万余枚という特急券です。これをもうすべて廃棄処分にしている。この二億三千百七十一万余円もかけてつくった切符をですよ。そして、このうち、少なくとも一億百七十万余枚、製作費約一億八千八百五十万円については、適正な保有数量を確保し、あるいは「五十年十月以降旧券の印刷をとりやめていたとすれば、これを廃棄処分するような事態は生じなかったと認められる。」というふうに会計検査院指摘しているわけですね。  だから、この四つ、まだほかにもあるのだろうと思うのですけれども、どうも、これは国鉄が親方日の丸で無計画な買い物をしているのじゃないか、無計画な発注をしているのじゃないかというような印象を非常に強く受けたわけなんです。  この点について丁検査院の方としても、これはもういいかげんにしておけと、同じことではないのですけれども、同種のことじゃないかと思いますね。余分な買い物をして遊ばしておく、あるいは廃棄処分にするというようなことが繰り返されているわけです。だから検査院としても、何らかの機会に、五十年度検査報告からお始めになったという特記事項か何かでもいいですから、何か、こういうようなことはもう改めろ、一切やるなというようなことをやっていただきたいと思うのです。そして、これは国鉄の方としても、こういうような親方日の丸式な買い物をするというようなことは、まさに金のむだ遣い、そして経費がかかったと言って料金を上げて、あるいは運賃を上げて、国民に犠牲を押しつけるというようなやり方にもつながってくると思うのです。  だから、その点について、いま私が指摘した事項について、それから、その趣旨について、国鉄としてはどういうふうにお考えになるか、それから検査院としては、これからどういうふうにやっていこうとされているのか、お伺いしたいと思います。
  277. 小林正興

    ○小林説明員 ただいま御指摘のありましたように、ほとんど毎年のように会計検査院から御指摘を受けまして、この点につきましては、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。  ただいまお話のありましたようなものの中に、細かく分けてみますと、軌道保守用のタイタンパーの使用効率が上がっていない、余り活用されていないというような問題もございますし、また、相当多額の用品が年度をまたがって繰り越されておるというような問題等、いろいろ個別には、それぞれの重大な問題があるわけでございます。  国鉄といたしましては、毎年度こういった指摘を受けまして、それに対する対応策を、改善策を直ちに講じまして、それにつきまして検査院報告いたしますとともに、その後も検査院の方に、どこまで改善されたかというような実績の報告もいたしておるわけでございまして、改善措置をりっぱに立てるということと、それから御指摘された事項を具体的に改善していくというようなことでございまして、先ほども指摘のありました工事用品の準備要求というような問題につきましては、工事のテンポ等もう少しきめ細かく、あらかじめ計画を立てるというようなことも必要でございますし、あるいは工事に入ってからの進捗模様というようなこともございますので、そういった点について関係個所で十分連絡、調査いたしまして、今後こういったことのないように十分努力してまいりたいと思うわけでございます。  それから御指摘を受けました具体的な、たとえば五十一億の繰り越しの工事用品につきましても、その後、別のところに転用できるものにつきましては、そういったことで、それ自体の使用の促進をいたしまして、先ほど検査院から御報告のございましたとおり、五十一億の問題につきましては、五十二年三月末で三億数千万のところまでに何とかこぎつけたわけでございます。もちろん、こういった点につきましては、今後なお一層努めていきたいと思うわけでございます。  ただ、非常に膨大な数量の購入をいたしまして、また工事につきましては、その工事施工のテンポ、そういうような点にむずかしいことが部内的にもございますが、さらに、それぞれ工事の性格によって、地元の自治体といろいろ協議をしながら進めなければならぬというような問題もございますし、あるいは先ほどの保線用の機械というようなことになりますと、導入の初期の段階におきましては、どうしても能率が上がらない、あるいは現場になかなか、なじみにくいというようなこともございまして、こういった点は、もとより改善しなければならぬことでございますが、そういったむずかしい点もあるわけでございますが、各般にわたりまして、またきめ細かくその対策を講じて、この問題につきましては、私どもとしましても前向き、積極的に対処していきたいという考えでおるわけでございます。
  278. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 先生御案内のとおり、国鉄は現在財政が非常に悪化しておりますし、私どもとしましても、その運営については、相当重大な関心を持ってやっているわけでございます。したがいまして、支出の面で、もっと節約する面がないかどうか、あるいは収入の面でも、こういう方法をやれば、もっと増収になるんじゃないかというような点は、常に念頭に置きまして検査をしておりますし、今後とも、先ほど先生がおっしゃったような事態があれば、どしどし不当事項として摘発したり、あるいは処置要求を続けていくつもりでございます。
  279. 安藤巖

    ○安藤委員 終わります。
  280. 芳賀貢

    芳賀委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四分散会