運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-04-27 第80回国会 衆議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十七日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 天野 光晴君 理事 葉梨 信行君    理事 森下 元晴君 理事 北山 愛郎君    理事 原   茂君 理事 林  孝矩君       櫻内 義雄君    津島 雄二君       早川  崇君    村上  勇君       高田 富之君    馬場猪太郎君       春田 重昭君    安藤  巖君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       小川 平二君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       山田 英雄君         警察庁長官官房         会計課長    大高 時男君         警察庁刑事局保         安部長     吉田 六郎君         警察庁交通局長 杉原  正君         北海道開発庁総         務監理官    黒田  晃君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         自治大臣官房長 近藤 隆之君         自治大臣官房審         議官      塩田  章君         自治大臣官房会         計課長     中野  晟君         自治省行政局長 山本  悟君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部施設調査官  田口 正雄君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     有岡 恭助君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         会計検査院事務         総局第二局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第三局長  小沼 敬八君         北海道東北開発         公庫総裁    吉田 信邦君         公営企業金融公         庫総裁     細郷 道一君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十九年度政府関係機関決算書  昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管警察庁北海道開発庁)、北海  道東北開発公庫自治省所管公営企業金融公  庫〕      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管警察庁北海道開発庁北海道東北開発公庫自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。  それでは、順次概要説明を求めます。  まず、小川国務大臣から警察庁北海道開発庁及び自治省所管について概要説明を求めます。小川国務大臣
  3. 小川平二

    小川国務大臣 昭和四十九年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十九年度歳出予算現額は八百二十四億三千八百二十五万四千八百五十二円でありまして、支出済歳出額は八百億三千九百十六万二千百六十円であります。  この差額二十三億九千九百九万二千六百九十二円のうち、翌年度へ繰り越した額は十七億七千六百六十五万八千八百九十七円でありまして、これは財政執行繰り延べ措置として、歳出予算執行調整をしたこと等により、年度内に支出を完了することができなかったものであります。  また、不用となった額は六億二千二百四十三万三千七百九十五円であります。これは退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったため等であります。  次に、支出済歳出額の主な費途について、その大略を御説明申し上げますと、  第一に、警察庁経費として五百四億四千八百九十一万七百四十三円を支出いたしました。これは、警察庁自体経費及び都道府県警察に要する経費のうち、警察法規定に基づき国庫が支弁する経費として支出したものであります。  第二に、科学警察研究所の経費として四億八千七百八十八万十四円を支出いたしました。これは、科学捜査、防犯及び交通についての研究調査等のための経費として支出したものであります。  第三に、皇宮警察本部経費として二十七億六千八百三十七万六千三百五十三円を支出いたしました。これは、皇宮警察の職員の給与その他皇居の警備、行幸啓警衛等経費として支出したものであります。  第四に、警察庁施設費経費として二十九億六千三百九十八万五千六十円を支出いたしました。これは、警察庁関係施設整備するための経費として支出したものであります。  第五に、都道府県警察費補助として二百三十三億四千五百六十六万七千円を支出いたしました。これは、警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出したものであります。  第六に、他省庁から移しかえを受けて支出した経費は、科学技術庁から国立機関原子力試験研究費として千二百十四万二千九百九十六円、環境庁から国立機関公害防止等試験研究費として、千二百十九万九千九百九十四円を支出したものであります。  以上、警察庁関係歳出決算について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。  次に、昭和四十九年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査立案し、及びこれに基づく事業実施に関する事務調整推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発計画費及び一般行政費等並び北海道開発事業費でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策道路整備港湾空港整備農業基盤整備等事業費であります。  昭和四十九年度の当初歳出予算額は三千百九十二億九千四百三十一万円余でありましたが、これに、予算補正追加額六十二億五千八百四十四万円余、予算補正修正減少額三千三百八十二万円余、予算移しかえ増加額四百四十万円余、予算移しかえ減少額千九十億五千百八十九万円余、流用等減少額千六百五十一万円余、前年度繰越額九十六億八千二百九十八万円を増減しますと、昭和四十九年度歳出予算減額は二千二百六十一億三千七百九十一万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二千百七十一億九千五百五十四万円余、翌年度繰越額八十二億八千四百二十四万円余でありまして、その差額六億五千八百十三万円余は不用額であります。  開発事業執行に当たりましては、関係各省所管一般会計移しかえまたは特別会計繰り入れ措置を講じ、直轄事業については、北海道開発局が、補助事業については道、市町村等実施に当たっているものでありますが、各省所管別移しかえ及び繰り入れ状況を申し上げますと、移しかえた額は、厚生省所管へ六千三百万円、農林省所管へ八百四十四億千四百七十万円余、運輸省所管へ二億千五百七十万円、建設省所管へ二百四十三億千四百六十五万円余、通商産業省所管へ三千八百八十三万円余、総理府所管の国土庁へ五百万円、合計千九十億五千百八十九万円余であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林省所管国有林野事業特別会計へ五十一億五千九百八十一万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ百七十二億四千六百三十七万円、運輸省所管空港整備特別会計へ七億七千六百十九万円余、建設省所管治水特別会計へ三百七十八億先千三百五十四万円余、建設省所管道路整備特別会計へ千二百九億五千四百六十六万円余、合計千八百二十億三千五十九万円余であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発庁一般行政費で五十六億五千二百一万円余、北海道開発計画費で一億千三百四十五万円余、北海道開発事業指導監督費で三億七千七百四十四万円余、北海道開発事業の各工事諸費で二百九十億五百六十二万円余、北海道特定開発事業推進調査費で千百九十九万円余、総理府所管科学技術庁から移しかえを受けた特別研究促進調整費で四百四十万円余であります。  以上、北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。  次に、昭和四十九年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額三兆五千七十六億七千百四十四万円余、予算補正追加額七千八百四十八億七千二百九十六万円、予算補正修正減少額三億一千九百五十九万円余、総理府及び大蔵省所管から移しかえを受けた額三千四百九十一万円、前年度繰越額五億二千五十三万円、予備費使用額八億七千五百三十九万円余、合計四兆二千九百三十六億五千五百六十四万円でありまして、これに対し、支出済歳出額は四兆二千九百十六億四千二百八十六万円余で、差額二十億一千二百七十七万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰越額は五億三千四百九十九万円余、不用額は十四億七千七百七十八万円余であります。  以下、支出済歳出額の主なものにつきまして御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は四兆一千六百六十五億七千七百三万円余、支出済歳出額は四兆一千六百六十五億七千七百三万円余でありまして、全額支出済みであります。この経費は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づき、昭和四十九年度所得税法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額過年度精算額等を加減した額に相当する金額を、交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れたものであります。  次に、臨時沖繩特別交付金でありますが、歳出予算現額は三百二十一億円、支出済歳出額は三百二十一億円でありまして、全額支出済みであります。この経費は、沖繩の復帰に関連する特別措置として、沖繩県及び同市町村交付する必要があると見込まれる地方交付税交付金財源の一部を交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れたものであります。  次に、参議院議員通常選挙費でありますが、歳出予算現額は百十七億七千七百三十七万円余、支出済歳出額は百十七億七千百五十七万円余、不用額は五百八十万円余となっております。この経費は、参議院議員通常選挙執行及び開票速報実施に要したものであります。  次に、交通安全対策特別交付金でありますが、歳出予算現額は四百七億七千八百二十四万円余、支出済歳出額は四百七億七千八百二十四万円余で全額支出済みであります。この経費は、交通安全対策の一環として、反則金に係る収入額に相当する金額を、道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、都道府県及び市町村に対し、交通安全対策特別交付金として交付したものであります。  次に、地方債元利助成費でありますが、歳出予算現額は五十九億九千四百十四万円余、支出済歳出額は五十八億二千八百二十四万円余、不用額は一億六千五百九十万円余となっておりまして、この経費は、新産業都市の建設及び工業整備特別地域等整備に係る地方債特別調整分に対する利子補給金として、道府県に対し、交付したもの等であります。  次に、地方公営企業助成費でありますが、歳出予算現額は百三十七億二千百十六万円余、支出済歳出額は百三十一億八千六十万円余、不用額は五億四千五十六万円余となっておりまして、この経費は、地方公営企業財政再建に係る財政再建債に対する利子補給金として、地方公共団体に対し、交付したもの等であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は七十一億円、支出済歳出額は七十一億円で全額支出済みであります。この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し交付したものであります。  次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は五十四億九百二十一万円余、支出済歳出額は五十億三千五十八万円余、翌年度繰越額は三億八百十九万円余、不用額は七千四十三万円余となっておりまして、この経費は、消防施設等整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し補助するために要したものであります。  以上が、一般会計歳出決算概要であります。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計決算につきましては、歳入予算額は、当初予算額三兆七千九百九十二億六千九百七十八万円余、予算補正追加額七千八百四十二億八千九百六十八万円余、合計四兆五千八百三十五億五千九百四十七万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は四兆五千九百二十七億九千二百五十三万円余となっております。  また、歳出予算現額は、当初予算額三兆七千九百九十二億六千九百七十八万円余、予算補正追加額七千八百四十二億八千九百六十八万円余、予算総則規定による経費増額七十億五千四百十三万円余、合計四兆五千九百六億一千三百六十一万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は四兆五千八百九十一億六千八百四十三万円余、不用額は十三億四千五百十七万円余であります。  不用額を生じましたのは、一時借入金利子等を要することが少なかったこと等によるものであります。  支出済歳出額の主なものは、  第一に、地方交付税交付金四兆一千九百八十六億八千六百七十九万円余でありまして、これは、一地方団体基準財政需要額基準財政収入額を超える場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体交付したものであります。  第二に、地方譲与税譲与金二千二百二十五億五千二百三十九万円余でありますが、これは、地方道路譲与税譲与金石油ガス譲与税譲与金自動車重量譲与税譲与金航空機燃料譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として関係地方公共団体に譲与したものであります。  以上、昭和四十九年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどを、お願い申し上げます。
  4. 芳賀貢

  5. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昭和四十九年度警察庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 芳賀貢

  7. 小沼敬八

    小沼会計検査院説明員 昭和四十九年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 芳賀貢

  9. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和四十九年度自治省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件でございます。  これは、児童生徒が急増いたしました市町村公立小中学校用地取得に要する経費に充てるために起債をいたしました場合に、地方債利子負担を軽減する目的で一部助成金交付されているわけでございますが、この助成金に関するものでございまして、その交付適否等について調査いたしましたところ、取得した学校用地を幼稚園、保育所保健センター及び生徒急増に該当しない中学校等用地に使用していたり、取得していた学校用地を売却したり、学校用地起債額より低額で取得したなどのために生じました余剰資金を他の用地取得に使用したりしているなど、助成目的に添わない結果となっていると認められたものでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わらせていただきます。
  10. 芳賀貢

  11. 吉田信邦

    吉田説明員 北海道東北開発公庫昭和四十九年度決算について、概要を御説明申し上げます。  当公庫昭和四十九年度における事業計画は、当初、貸付九百六十億円、出資十億円、合計九百七十億円を予定しておりました。  これに対し実績は、貸付九百九十二億千五百万円、出資五億八千五百万円、合計九百九十八億円となりました。  これは、前年度事業計画におきまして予定されていた出融資額のうち、五十四億円が当年度繰り延べとなったこと、及び苛性ソーダ緊急融資向け財政投融資追加五十億円の貸し付けを行ったことにより、合計百四億円の増加がありました一方、総需要抑制措置に沿いまして七十六億円の節減を行い、差し引き二十八億円の増加となったものでございます。  これらの原資調達状況は、政府出資金十五億円、政府借入金三百億円、債券発行四百六十四億九千四百万円(うち政府保証債三百六十四億九千四百万円、政府引受債百億円)及び自己資金二百十八億六百万円、合計九百九十八億円となっております。  この年度決算は、貸付金利息収入等益金総額が三百億四千三百九十四万円余、支払い利息事務費等損金総額が滞貸償却引当金繰り入れ前で二百八十五億九千十四万円余となり、差額十四億五千三百七十九万円余を全額滞貸償却引当金繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  かくいたしまして、昭和四十九年度末における主な資産の状況は、貸付金残高三千四百四十四億七千七十三万円余、出資金四十四億九千七百五十万円となり、これに対する政府出資金は百二十三億円、また主な負債の状況は、政府借入金残高九百三十六億二千六百八十一万円余、債券発行残高二千三百四十七億四千六百三十万円、滞貸償却引当金残高百五十二億千八百三十九万円余となりました。  以上、昭和四十九年度北海道東北開発公庫決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  12. 芳賀貢

  13. 細郷道一

    細郷説明員 公営企業金融公庫昭和四十九年度業務概況について御説明申し上げます。  昭和四十九年度における貸付計画額は、当初二千二百四十三億八千万円でありました。  これに対し、貸付実行額は二千三百三十六億四千四百八十万円であり、前年度と比較して一九%の増になっております。  一方、この原資としては、産業投資特別会計からの出資金五億円、公営企業債券発行による収入千九百二十七億二千五万円、及び貸付回収金等資金四百四億二千四百七十五万円を充てたのでございます。  なお、当年度における元利金回収額は千百四十二億七千九百九十七万円余でありまして、延滞となっているものはございません。  貸付実行額の内訳は、地方公共団体の営む上水道事業地域開発事業下水道事業等に対するもの二千百六十一億三千三百六十万円、地方道路公社及び土地開発公社に対するもの百七十五億千百二十万円となっております。  以上により、当年度末における貸付残高は一兆百三十億千七万円余になり、前年度残高と比較して二二%の増になったのでございます。  以上のほか、短期貸付として三百五十九億四百万円の貸し付けを行いました。  また、当年度は、一連の長期金利改定に伴う公営企業債券発行条件改定により、基準貸付利率が八・九%に引き上げられました。一方、公営競技納付金原資とする公営企業健全化基金運用益により上水道工業用水道下水道交通市場電気ガスの各事業及びこれらの事業の借りかえ債について〇・四%の利下げを行いました結果、上水道工業用水道下水道交通市場電気及びガスの七事業については、国の補給金等による〇・三%の利下げと合わせて八・二%になり、また借りかえ債については八・五%になりました。  また、農林漁業金融公庫から委託を受けて、公有林整備事業及び草地開発事業に対し百十四億三百三十万円の貸し付けを実行しました。このため、受託貸付当年度末における貸付残高は五百五十億二千百七十五万円余になっております。  次に、当年度における公営企業債券発行額は二千四百十一億九千万円でありまして、このうち公募債が千百五十七億円、縁故債が千二百五十四億九千万円であります。  なお、これらのうち、五百十九億二千百万円は、昭和四十二年度発行した債券満期償還に必要な資金に充てるために発行したものであります。また、縁故債のうち、二百五十一億円は低利の債券発行いたしました。  次に、公営企業健全化基金について申し上げますと、当年度における公営競技納付金収入額百三十七億二千四百八十一万円余を基金に充て、当年度における基金運用益から基金管理費用及び利下げ所要額を差し引いた残額十四億八千五百四十万円余を基金に組み入れました結果、当年度末における基金総額は四百八十一億七千四百九十一万円余になりました。  次に、収入支出状況について申し上げますと、収入済額は、収入予算額六百五十四億二千百万円余に対し六百五十八億五千百八万円余、支出済額支出予算額六百四十四億九千九十六万円余に対し六百三十八億五千八十五万円余でありまして、収入支出を二十億二十三万円余上回っております。  また、損益の状況でございますが、貸付金利息等利益金総額六百八十八億六千三百七十二万円余に対し、債券利息及び事務費等損失金総額六百七十六億九千九百四万円余でありまして、差し引き十一億六千四百六十八万円余を各種の償却に充当いたしましたので、利益金は生じておりません。  以上、昭和四十九年度公営企業金融公庫業務概況について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどを、お願いいたします。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。  この際、委員長より小川自治大臣に尋ねますが、先ほどの昭和四十九年度自治省についての決算に関する会計検査院説明の中で、自治省につきましては不当事項一件を検査報告に掲記した旨の内容の説明があったわけでございますが、先ほどの小川自治大臣自治省決算概要報告の中においては、この不当事項に対する遺憾の意の表明並びに改善についての意思表明が全く欠除しておったわけでありますが、これに対して、自治大臣としては、決算責任者としていかように考えておるか、当委員会において明らかにしてもらいたいと思います。
  16. 小川平二

    小川国務大臣 御指摘をいただきました点につきましては、まことに遺憾に存じております。責任を痛感いたしております。今後改善につきまして、十分努力するつもりでございます。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員長 さらにお尋ねしますが、各省において会計検査院からの不当事項等指摘があった場合においては、必ず大臣概要報告の中においてこれを明らかにしておるわけですが、自治省においては、ことさらに報告書の中に掲載しなかった点について理由があれば、明確にしておいてもらいたいと思います。
  18. 小川平二

    小川国務大臣 当然報告において、この点を申し上げるべきでございまして、まことに恐縮に存じております。単なる事務的な不手際の結果と存じまするので、今後十分注意をいたすつもりでございます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員長 この点については、決算委員会を代表して、委員長から厳重に御注意を申し上げます。  原茂君。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、三点にわたって審議をしていきたいのですが、最初に、いまのような当然やるべきことを手抜かりをして、大臣に謝らせるようなことのないように、スタッフが気をつけるべきだと思うのですね。注意をしてもらいたいと思います。  最初に、これは大臣にお伺いします。  北海道開発庁でございますが、いまの説明を聞きましても、ほとんどが移しかえ、移しかえで、長く行政管理庁を中心にして行政の統廃合が非常に問題になり、相当の決意でこれに取り組むんだという福田総理の考えもあります。北海道開発庁に対しては、いままで言ってこられました多くの案で、もう廃止すべきだという意見が強いようですが、担当されていましてどうですかね、開発庁は廃止を率先するというようなことになるのか、あるいはこの問題に対して違った考えをお持ちか、まず、それを伺いたい。
  21. 小川平二

    小川国務大臣 今後日本の国はいわゆる低成長時代あるいは減速経済に入っていくわけでございますが、なおかつ六%、七%の成長を遂げていかなくてはならない。その際の問題として解決しなければならない問題は、たくさんございます。たとえば人口問題の解決ということもございまするし、あるいはまた基幹的産業の立地の問題が非常にむずかしい問題になってくるわけでございます。そういう意味におきまして、今後も北海道の開発を積極的に進めていくということ、ひとり北海道のためだけではない、国土の均衡ある発展を図るという観点からいたしましても、きわめて大事な問題だと考えておりますので、廃止をすべしというような御意見に対しましては、私はさような考えは全く持っておりませんというお答えを申し上げる次第でございます。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 北海道の開発は、もとより非常に重要でございますから、これは進めなければいけません。ただ、各省移しかえがほとんどのような現状ですと、もう開発庁の廃止、統合というものが俎上に上って当然だと思いますが、いま大臣のその決意を伺いまして、大臣の方から進んでこれはもう廃止してもよろしいというようなことには、きっとならないだろうと思いますが、こういった世論が非常に多いということだけは頭に置いて、今後の行政の統廃合に関して、国務大臣としては思い切って決断を持ってやる必要がありますから、十分に配慮していただきたい。これは要望としてお願いをしておきます。  次に、時間の都合で余りお聞きできませんが、警察庁にちょっとお伺いしたいのです。  今日まで道路交通法違反で相当の処分をし、大体その処分の結果として取り上げた金、下手な罰則を用いてやるよりは、簡便に迅速にという趣旨のもとに、いままで大分徴収をしてこられました。ここに資料をいただきましたが、四十九年度四百三十一億九千万以上、それから五十年度が五百九億四千二百三十万以上というものを徴収して、それが交通安全対策特別交付金として各自治体に交付されている。この交付されている内容を見まして、これは何を基準にして、この額を決めて交付をしているのかが一つ。  それから、これは比較するとよくわかるのですが、たとえば青森、群馬、埼玉、あるいは飛んで岐阜といったようなところは、交通反則金の徴収が、ぐぐっと四十九年度よりは五十年度多くなっているのですが、この多くなっているのとは何にも関係なしに、いわゆる特別交付金が自治体にまんべんなく、多く取った、少なく取ったということに全然関係なしに交付されているのです。ということも含めて、いま私の質問申し上げた、一体何を基準にして特別交付金の算定をするのかというのをお答えをいただきたい。  それから次に、今日までにその反則金を言い渡されて、それに納得しない連中が裁判に訴えて、その結果、全く警官の側のミスであるということになって、敗訴をした、完敗をしたという例が新聞等にも出ております。おおむね忙しいし、厄介な裁判までして金を使うくらいなら、一万円やそこいらくらいなら納めてしまえというので、本来非常に不当だと考える処罰に対しても、反則金の徴収に対しても泣き寝入りをする数が非常に多いのじゃないかと言われていましたが、私の知り合いの中にも、まあ、めんどうだから払っちゃえというのがあります。それが氷山の一角のように、たまたまどうしても承服できないというのが訴えて裁判で勝ったわけであります。  その場合の、裁判に勝つは勝ちましたが、相当不当な精神的な苦痛を味わい、時間的にも相当のロスをあえて冒し、裁判等を行う金銭的な負担に耐えながら、しかも勝訴はしましたが、それに対する、誤って反則金の徴収命令を出した責任というものを、どういう形で負うのか、故意に、あるいは故意と思われるような、警官側に過失がない限り、これは、その種の被害者に対する補償、救済はできないというので突っ放しているのか。  私は、突っ放すべきではないと思いますし、精神的にも、そこの署長さんあたりは、裁判の結果を見たら、謝りに行くくらいのことが当然だと思いますが、そういうことすらやっているのかいないのか。補償がどうしてできないのか、これが二つ目です。  それから三つ目に、御存じのように、いま何といってもエネルギー問題が、わが国の政治課題としても非常に大きな問題になっている。それで石油の備蓄でございます。何でございますといって、大変なことを言っていますが、この備蓄が思うように進まない。土地を手に入れようとすれば、いわゆる公害を不安に思う住民の反対が起きるとか相当のお金が用意されなければ、その備蓄も十分にいかないということを考えますと、備蓄も大事ですが、同時に省エネルギー、節約することに相当の重点を置いておけば、これは備蓄と同じ以上の効果を発揮することができます。  その意味で、アメリカあたりでは、カーターがあのような思い切った省エネルギー政策をぶち出しました。これは、われわれも非常に参考になりますが、そのうちの小さい道路交通法の問題に関連して一つお伺いしますが、アメリカでは、たとえば右折するときに、赤のうちは右折ができないということで空吹かしをやっている。そのガソリンのむだな消費を防ごうというので、赤であっても、右折に差し支えないという状態が確認できれば、曲がってよろしいということで、約一億三千万リットルの節約をするということを目標にした大胆な道路交通法の改正をすでにやりました。  これは全体の問題でございますが、警察庁の道路交通に関連して考えるのですが、日本だって、私ども歩いてみて、まあこんな時間に何で赤になっているのだろう。それも危険を防ぐために必要なものでございましょうが、しかし確認は十分できる、何も通っていないような十一時や十二時、朝早くにも依然として赤である限り、左折ができないというようなことで、カーターが言うのじゃありませんが、空吹かしをやってガソリンのむだ使いをやっている。  一日も早く省エネルギーというものに国全体が取り組む必要があるわけでありますから、道路交通法を改正してでも、こういったことを、きめ細かに省エネルギーの立場で再せんさくを行って、アメリカのたくさんの例がありますが、この種のことを日本でも取り入れるということをすべきだと思いますが、この点どうですかということ、三点だけ警察庁にお願いいたします。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員長 政府に申しますが、政府側の答弁については、まず担当大臣より発言をして、しかる上に不明な点や補足すべき点は、政府委員から発言をする、そういうことで進めます。
  24. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま警察にという原委員の御発言でございましたので、警察庁の担当者が手を挙げたわけでございます。この点は、ひとつ御容赦をいただきます。  改めて申すまでもないのでございますが、今日の制度というのは、非常に大量の違反者が、その違反の度合いの軽重を問わずに、ことごとく犯罪者として刑罰を受けることになる、一億総前科者というような議論も当時あったわけでございます。こうなりますと、刑罰というものの効果が減殺されてしまうということから今日の制度が発足し、すでに制度として定着をいたしておるわけでございます。  御指摘のような点が現にあるということは、非常に遺憾なことだと思っておりますので、職務の執行について、これからも十分留意をいたしてまいるつもりでございます。  実情については、政府委員から答弁を申し上げさせていただきます。  それから、交通規則については、絶えずいろいろな観点から改善に努めて今日に至っておりますが、仰せのような省エネルギーという観点からも一層研究をいたしまして、改善すべき点は改善をしてまいりたい。いま、まことに貴重な示唆をいただいて感謝を申し上げます。
  25. 杉原正

    ○杉原政府委員 順次お答えいたします。  第一点は、反則金が国に一度入りまして、それがどういう考え方で都道府県に、市町村を含めまして配分されているかということでございますが、これは道路交通法の附則に、当分の間、交通安全対策交付金として、交通事故の発生件数、それから人口の集中度等を考慮しまして都道府県及び市町村に還元する。その計算式は非常に細かいのが政令で書いてございます。  確かに、警察官が現実に取り締まった件数並びにその反則金の額、それから配分をされるときに、かなり格差がございます。  この一つの考え方は、道路交通法の一番基本は罰則でございまして、罰金で入りますと、みんな国庫に入ります。そういうものが担保になって、ただ、そうしないで反則金を払えば、もう罰金は適用しない、こういう考え方でございますから、基本的に、まず一遍国の中に入れる。  配分の仕方について、これは先ほど先生からおっしゃったような考え方も一つございますが、ただ、私どもは、県で取り締まったものは、そのまま県で使うという形になりますと、取り締まりを受けるドライバーからも、金をかせぐために取り締まりをやっているんじゃないかという強い印象、誤解を招くというふうな点がございます。また現実に交通事故の発生件数その他も安全施設の面でよく考えていかなければいかぬというふうなことがございますので、若干の格差はございますが、発生件数その他も考え合わせながら、その辺のところも十分考慮して配分というものを考えていくようにしたいというふうに考えております。  それから第二点の反則金、これは仮納付ということで、現場で仮納付を違反者に通告をいたしますが、とりあえず、法律のたてまえは仮納付をしておいて、それから本部の方で調べてみて、それで、たとえば一番の例は、無免許というのは反則の対象でないのですが、たまたま免許証を持たない人がある。現場では不携帯なのか無免許なのかわからぬというふうなことで、仮に不携帯で反則で切っておきまして、本部に送ったら、それが無免許だというふうなことになりますと、それを返して、今度は罰金の方の適用をするということになります。  それから、裁判で負けた、これは確かに御指摘のように、年に二十件から三十件ございます。数の多い中ということはありますけれども、本当にわれわれとしては、相手方の権利という問題もありますので、このゼロを目指さなければならぬということで、いまもかなり教養はしているつもりでございますが、さらに指導教養の徹底を図ってまいりたい。  なお、そういうことで無罪になられた者につきましては、国賠法の適用の問題もありますし、また私どもの内部の行政処分、管理というふうな問題もあわせまして、これから適正な措置を講じていくようにしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから最後の交通方法の問題と省資源の問題、これは先生の御指摘のとおりでございまして、われわれもいまアメリカのやっておる施策を取り寄せまして検討中でございます。いま町などでも車の走行速度は四十キロ規制、これは経済速度ということで四十キロを基本にして、交通管制なども四十キロで走れば青で行けるという形にいたしております。さらに、先ほど御指摘のありましたような、できるだけノンストップで走れるというふうな措置につきまして、交通管制センターなどが電計を入れながら、車の量と合わせて規制をやることを考えておりますが、さらに省資源という方向でどういう走り方が一番いいかということを、事故防止との関連を考えあわせながら検討を重ねてまいるということで現在進めております。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 二つ目に質問したことに答えていない。それをちょっと答えてください。  裁判の結果、完全に過失がなかったのだ。勝訴した。その人の受けた被害、精神的な、物的な損害に対する補償を考えるべきじゃないか、それはどうなっているのだということです。
  27. 杉原正

    ○杉原政府委員 国賠法によりまして、相手方に賠償するということが当然出てまいります。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 国賠法で賠償ができないケースの方が多いのじゃないですか、それはどうするのですか。  私、言ったでしょう、せめて最悪の場合でも署長ぐらいが謝りに行くべきじゃないですか。警官に国家賠償ができないから、法律上は、これは適合しないから賠償しないのだというので、いまほってあるのじゃないですか。そういうものに対する配慮を何とかしなければいけないだろうということを、いま聞いているわけです。
  29. 杉原正

    ○杉原政府委員 御趣旨の点を十分考慮しながら、第一線の指導をやるようにしていきたいと思います。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 私の趣旨に沿って配慮しながらと言っても、その配慮が、いまの法規上なかなかできない。それでついに警官に過失がなかった場合には、やむを得ないというので泣き寝入りをさせられているという者に対して、国家賠償の精神に のっとっても、この種のものに、やはりきちっとしたけじめをつけることをしないと、警察官の取り締まりがおろそかになるおそれがあると思いますから、時間の関係上これ以上申しませんが、この点は、ぜひ十分な検討をしていただいて、どういうふうに変わってきたのか、変えようとしているのかを、結論が出たら、また私並びに委員長にも報告してもらいたい。  それから、前回に引き続きまして、軍人林の問題についてお伺いしたい。  二月二十三日だと思いますが、会計検査院所管のときに、アウトラインどころか相当の質問を申し上げ、そうして、その資料の要求もしてまいりました。幸いに資料は出されましたが、これは後ほど申し上げますが、大事なところが資料として十分にこたえていない。したがって、もう一度資料の要求をします。  ここで、先ほども大臣とちょっと話したのですが、なかなか歴史の古い大変な問題なので、よくのみ込めないだろうと思いますが、この間、現地の視察を実はやってまいりました。視察をしたときに、この記念会の趣旨に反対をする側の十一カ村の入会権を守ろうという方々の陳情も受けました。その人々から、記念会をボスがもうけようとして、こんなことをやっているのだ、その手先になって原が動かされているのだというような、きわめて厳しい文書まで私はもらいまして、これじゃ問題の解決ができないだろうなと感じました。  相異なる立場のものがある場合、その二つを同時に解決することは不可能だと思います。特に今度の軍人林の場合はとてもじゃありませんが、ああいった考え方と、そうでない考え方と同時解決は不可能である。特に入会権を守ろうといっても、入会権に関しては国も県も否定をして今日に至った。したがって、演習場として賃貸借が行われて使われているという状態でございますから、同時に問題の解決は不可能だろうと思います。かといって、入会権を一方的に否定をされて泣き寝入りをせよということも、ちょっとそこに何か矛盾があるように思いますので、入会権は非常に大事な問題でありますから、この問題に関する配慮、あるいはその結果、どうするかという手当て等に関しては、やはり別途に考えるべきだと思います。私も別途に考えていきたいと考えます。  きょうは前回に続きまして、この記念会の借りている軍人林の四十四ヘクタールについて質問をしたいと思うのですが、概略を申し上げた方がいいと思いますから、もう一度簡単に申し上げます。  この件は、明治の御料林から、やがて恩賜林となりまして、昭和二十四年、米軍の北富士演習場に接収をされるようになりました。昭和四十八年からは、自衛隊が使用するようになりました。その間、演習場面積が大幅に減少いたしまして、民有地の大部分はすでに返還になりましたが、県有地は、ほとんどそのまま演習場となっているのが現状であります。記念会の借りております五十二ヘクタールも、そのうち八ヘクタールは、すでに返還されまして、四十四ヘクタールが演習場の中に入って、今日使用されているというのが、いわゆる置かれている軍人林の所在であります。  前回も問題にしましたが、県の行政財産である部分林あるいは県の施業地、これは県が県会なり恩賜林組合と話し合って承認を得て合意を得た上で、国に使用許可を与えることは可能だし、それが現に行われています。  問題になるのは普通財産、すなわち貸し地の部分です。この四十四ヘクタールも民有財産であり、貸し地なんでありますが、この契約期限は五十六年で切れるようになっています。従来も、ずっと更新してまいりましたから、今後のことはどうなるかわかりませんが、当然更新しなければいけませんが、とにかく一応いまは、五十六年で契約期限が来るという状態になっております。現在、記念会などいわゆる借地権者の同意をとって県が代行して国との契約者になっている。県は代行者であります。そういう方法で今日までずっとやってまいりました。  ところが不思議なことに、記念会など借地権者は、これまで一度も同意書というようなものを県や組合に出した覚えがない。この点が一つの問題であります。いわゆる利用権者の同意を正式に書面によってもらっていないままに、県と恩賜林組合とが、ある種の権利を主張して、国から払われる相当額のうちから半分以上のものを、自分たちの手数料みたいに取り上げているということが、問題の核心なんであります。また、契約内容や国からの借地料などが、どういうものであるという報告を一遍も受けたことがないのであります。利用権者に全然報告していない。こういうことも今日まで見逃されてきた事実であります。  やがて最近になりまして、これに記念会が気がついた。おかしいじゃないかというので、再三にわたって防衛施設庁あるいは県、恩賜林組合に、一体どういう金額で国からおり、それが幾らで県へ、県から組合へは幾らでという数値を示してもらいたいというので、再三にわたって、その明示をする要求をしたのですが、明瞭にこれを示していただけないで今日に至りました。  ついに私が、ほかのことからこれを知りまして、前回取り上げるようになったわけであります。どう考えても常識上の不正だと考えて、その不正を排除し、正しい形に戻すことが政治の本務でございますから、当然のこととして、このことに手をつけ始めた動機は、そこであります。同時に会計検査院に対しても、何とかしてというので審査請求をいたしましたが、これも明瞭な、これを解明するだけの答えを得られないまま今日に至っている。前回に申し上げたとおりであります。  いま申し上げたように、半分以上のものを県や恩賜林組合が取っちゃう。実際の利用権者である、借地権者である記念会というものは、約一五%程度しかもらっていない現状というのは、常識上考えても、あるいは他の建物がある、家を借りている、あるいは土地を借りて家を建てるといったような借地権というものとの比例をいたしましても、まさにもう非常識も非常識も、考えられないような状態の、俗に地元ではピンはねと言われているものが、そのまままかり通って今日に至ったわけであります。  しかし、ただ理由なしにまかり通るわけじゃない。県には県のとるべき根拠があるだろうというので調べてみますと、法的根拠というのは、ほとんど見当たらない。県が約五一%取り上げるんですが、その法的根拠というのは、ほとんど幾ら調べても出てこない。これは前回の資料要求のときに、この点がはっきりするようにというのでお願いをしたのですが、満足な資料を出していただいてない。では、何を根拠にやっているんだろうというので調べてみますと、過去の歴史的な経緯と慣例による行政措置なんだ、こう言うんであります。慣例も大事ですし、あるいは歴史的な経過というものも大事には違いないのですが、それがほかに何らの根拠もなしに、ただ県なら県が勝手に決めた、いわゆる過去の歴史的な経緯と慣例による行政措置なんだというだけで、それがまかり通るようなことがありますと、かつての大名時代の政治と何ら変わらない。大変なことだと思うのですが、これが一つの大きな問題。  しかも県は、記念会などから借地料を毎年取っている。借地料を逆に取っている、貸しているんだから。だから記念会は借地料を払っている。その上に、県林務部の答弁によりますと、貸し地の賃貸料、交付金について次のように言っている。地代相当額を取り、残り金額を地元に交付する、そうしてきたんだ、こう言うんであります。地代とは言わない。地代相当額を取り、そして残った金額を地元に交付しているんだよ。これだけしか明瞭な答えが得られないで、今日に至りました。まさに、われわれが考えると借地料の二重取り、ダブルパンチ、こういうことを県がやっているとしか思えないのであります。  さて、恩賜林組合の方の、いわゆるピンはねと言われている、その手数料みたいなものを取る根拠は一体何だろう。これを調べるのに大変な苦労をしましたが、県の資料をようやくひもといてみますと、四十九年度分として県から恩賜林組合に渡された貸し地部分の借地料の交付金、これを具体的に調べる以外にありませんからやってみますと、国からの賃貸料交付金は、部分林、県の施業地という富士の山頂に至るまでの、あの壮大な土地をひっくるめて県からの交付金総額を、それを割りまして、そうしてべらぼうに安い単価を出して、坪当たり幾らという計算のもとに支払いをしている。  しかもその上に、四十六年からは、特に手数料条例なるものを恩賜林組合がつくった。恩賜林組合というのは、一部事務組合という法的な根拠もあると思いますから、こういった条例をつくることは可能だと思います。四十六年に、その条例をつくりました。その条例によりますと、国から交付された賃貸料から手数料を三〇%の範囲内で徴収することができると決めた。それを実行に移して四十六年以来、今日に至っている。  本件において、さらに問題なのは、これは会計検査院は特に聞いておいてもらいたいんですが、記念会が五十一年五月三十一日に、組合から受け取った賃貸料交付金、これは五十年度分。五十一年五月三十一日に、組合から受け取ったその賃貸料交付金というのは五十年度分。いいですか、五十年度分だと言って支給してきたんです。国と県から払われましたそれが、四十九年度分と実はなっていることを発見いたしました。国と県からは四十九年度分だと言って渡されている。にもかかわらず、五十一年五月三十一日に、これは五十年度分だよと言って組合から記念会へ払われた。  すなわち、国、県と恩賜林組合では、一年度ずれている。これも大きな問題であります。この四十九年度分を防衛施設庁が県に払ったのは、五十年四月二十五日なんです。県が組合に払ったのは、五十年の五月二十八日であります。恩賜林組合へ払ったのは、五十年五月二十八日であります。それが記念会に払われたのが五十一年五月三十一日なんです、いま申し上げたように。明瞭にずれはおわかりだと思います。  またその上に、国から県に対して五十年度分は、すでに五十年の八月二十八日に支払われていることがわかりました。国からの五十年度分というのは、すでに五十年の八月二十八日に、県へ支払われている。にもかかわらず、一年以上経過している時点でも、記念会は組合から支払いを受けていない。当然その間利息もつくはずだが、一体それがどうなっているのか、どうなるのか、もちろん不明だし、答えは得られません。  記念会などの組合からの借地料というものは、組合を通して県に払っているのが、今日までのずっとしきたりであります。これには、いろいろな事情があって、そうなりました。現在それを認めて、国も、県も、組合も、記念会も、その慣例に従って金銭の授受を行っている。記念会の借地料というものは、年額九万九千八百六十七円払っているんです、記念会が今度は組合に。組合から県に払う。いわゆる記念会自身は、自分は借りているんだというので、借地料を払っているんですね。いま考えると、ずいぶん安いような金額ですが、とにもかくにも九万九千八百六十七円年額払っている。  ところが、そのうち県に入っているのは、どのくらいだろう、組合から。これを調べてみますと、六万七千五十八円しか払っていない。恩賜林組合は県に対して六万七千五十八円だけしか払っていない。つまり記念会は、組合によって借地料の約四七%を勝手に組合の取り分だとして水増しして請求をされたそれを、組合に払って今日に至った。一体この四七%が何の理由で取られたものか、それが妥当なのかどうか、非常に問題のあるところであります。  当然これに対する不当な分け前を、一日も早く直して返してもらいたいという要求を記念会が出して、いま地元民が結束して、皆さんに対しても、その正当な解決に対する、あるいは不当に取られてきた今日までのものを返してもらおうじゃないかという運動、今後は是正して正当なものを記念会に払ってもらおうではないかという考えになって、いま国会でも論じられるような問題になったというのが今日までの経過であります。  そこで、いまどういう状態が周りにあるかと言いますと、ある意味では恩賜林組合は高圧的な、私が行っても大変な決議文を突きつけるような状態、これには入会権というものを不当に無視されている、否定されたという、解決しなければならない問題があることは前段に申し上げたとおり。これは別途にやらなければいけないと思います。何らかの方法で解決をすべきだと思いますが、とにかく何か恩賜林組合というのも、ある意味ではいたけだかになって、記念会におどしをかけるような、圧力をかけるような状態での、いわゆる対立の状態が恩賜林組合との間には起きてしまいました。  県はどうか。県はだんまりであります。何を言っても答えない。真相は何一つ知らせてもらえない。前回の委員会で皆さんにもお願いをし、いろいろ調査して、こういう資料を要求しましたが、当然これにも満足な答えが出てこない。県に対してはほとんど手がつかない。防衛施設庁は一体どうだ。一目でわかるような、インチキとは言いませんが、われわれが見て、こんなものではしようがないという資料を平気で出してくるにとどまっている。逆に悪く言えば、何らかの意図をもって、どちらかに偏って、われわれをごまかそうとしているような意図すら、勘ぐってみれば勘ぐれるような状態としか受け取れない回答しか出ないという状態が現状であります。  そこで記念会では、国費が正当に支払われていないからというので、先ほど言ったように、会計検査院に対する審査請求を行った。これに対しても、前回にも満足なお答えがありませんでした。では、その後よく調べていただくということで、きょうはある程度の会計検査院からの答弁がいただけると思いますが、これもいままでのところ、満足な審査請求に対する答えを出していない。五十二年、ことしの三月末、国と県との契約更改の時期が来ていると思うのですが、一体今日防衛施設庁は、県との間に五十二年三月末、年度末における契約更改に対してどのようにしているかは、きょういまお答えをいただきたいと思いますが、万が一利用権者等に対して、いままでと同じような状態で、県、組合、記念会という状態が、そのままの形で放置されているそのことに問題があることは知っているのですから、それに手を触れずに、ただ契約は更新しましたというようなことになりますと、相当の問題だと思いますし、新たに問題が起きているその最中に契約を更新するなら、その問題に対して一体どういう見解を持ち、どういう手当てをし、日本の国民同士が相争うような、しかも長い間むだな時間と体力を消耗して、現地に行ってみるとわかりますが、大変な苦労をお互いがしている。このむだをそのままにしておきながら、何年もたっている。  五十二年三月末、年度末において同じような契約を更改したというなら、一体どういう確信があってやったのか、あわせてお聞きをしたいし、また今後どうしようと決意をされて契約更改をしているのかを、ここでまず第一に明瞭にしていただきたいと思います。  そこで、ついでに申し上げますが、一体どの程度ピンはねといわれる状態が行われているのかを数字でちょっと申し上げてみます。四十九年度に国の交付額に対して県のとった率は五一・九一%、約五二%であります。それから国の交付額に対して恩賜林組合がとった率はどのくらいか、三二・三六%であります。したがって残り、記念会、利用権者が実際に手取りとした額はどのぐらいかというと一五・七三%、一五%強であります。五十年度、第一が五二・九二%、県のピンはねはまたぐっと多くなった。組合の方は三一・七三%、四十九年度よりちょっと減ってまいりました。したがって残りが、記念会へ入りましたのが一五・三五%であります。これは私どもなりに、全部一括一単位として、あの広大な土地を単価計算をしているんだという防衛施設庁の答えに従って計算をすると、こういう数字が出てくるということを申し上げたわけであります。  そこで、何回も言うのは大変ですから、いままでの、これがどういうことなのかというのを、もっとくだいて申し上げでみますと、だれがだれということを言いませんが、たとえば甲と乙とが、土地をはさんで長い間賃貸借という形式で使用していたという場合の、甲とはいわゆる記念会であり、それから乙とは組合であり、丙とは国であります。記念会と組合と、県と国を一つにしたものが、一つの土地をはさんで、いまのような争いを続けてきた場合における平たく言ったときの考え方はどうなるのだろう。  いままでるる申し上げましたから、大体おわかりだと思いますが、たとえば賃貸借という形式で使用していたその土地、たまたま丙、たとえば防衛施設庁はどんなに多くの金を出してもよいから、その土地を使用する必要に迫られたとしますと、そこで丙、いわゆる防衛施設庁、国は、その金がだれのふところに入るべきだろうということを全然現在のところは考えずに、とにかく欲しい、演習場に金を使わなければいけないというので、それがどんなに多額であろうとも、施設庁の場合には金を出していく。その出された金は甲、すなわち記念会の土地使用が中絶させられる代償として支払いがされるお金なんです。したがって、その金が甲、記念会のふところに入るのは当然なんです。  ところが、その金が余り多額でありますから、何となくピンはねみたいなものが行われたように思います。しかし、丙がどんなに多くの金を出しても、国がどんなに多くの金を出しても、その土地を使用しなければならなかったから出した金なんですから、どんなに多く記念会、甲にそのお金が入ったって、運がいいといいますか、これはもう当然のことなんです。非常に常識より多過ぎるから、中に入って、だれかがピンはねしていいという理屈にはならないということは、おわかりだろうと思うのであります。  必要があれば、法的に根拠を挙げて、いまの不当であるということを申し上げることができますが、必要のない限り、それはいま省かせていただきます。  そこで、私がいま申し上げましたその経過の中で、特にこの資料に対して委員長にも要求いたしますが、これでは不十分でございまして、大事なことがわからないという点で、新たに資料の再提出をお願いいたしたいと思いますが、これから、これを読み上げてみますから、その資料をぜひお出しいただくように、しかも緊急に出していただきたい。  要求資料の一は、「接収時より現在に至るまでの年度別賃貸借契約書、使用許可書及び当該土地に対する関係権利者の同意を証する一切の書面」という要求をしたのに、昭和四十六年度以降についてしか提出していない。要求どおり直ちに再提出をしていただきたい。また、今回提出しなかったその理由も書き添えていただきたい。  要求資料の二は、「接収時から現在に至るまでの年度別借地料、使用料及び支払い年月日」という要求であるのに、これも昭和四十六年度以降についてしか提出していない。したがって、要求どおりのものを直ちに再提出を求めるわけであります。  さらに、四十六年度の備考欄に「四十六年度まで一括処理」ということが書いてあるのですが、これはどういう意味なのかをあわせてお示しいただきたい。よくわかりません。  次に、私の方から出しました要求資料の七「接収時から現在に至るまでの年度別借地料、借地面積、借地料支払い年月日及び平方メートル当たり単価」という要求に対して、これも昭和四十六年度以降についてしか提出していない。直ちに要求どおりのものを出していただき、いずれも出さなかった理由をひとつ明示していただきたい。  要求資料三は、「昭和四十二年度より現在に至るまでのいま申し上げた一の各財産に関する、平方メートル当たり平均単価及びその平均単価の基礎となっている林班別平方メートル当たり単価並びに当該林班の面積」という要求に対して、これも昭和四十六年度以降についてしか提出していない。したがって、再提出を求めます。  さらに、三の(注)に「普通財産、行政財産ともに、林班別には借料を算定していない。また行政財産については部分林・天然林別には借料を算定していない。」とあるが、これは、行政財産については国有地沿いの部分林も、富士山五合目沿いの天然林も、何ら区別なく一律に使用料を算定しているということなのかという大きな疑問が生じました。さらに、普通財産についても、同様山中湖側、新屋部落上、吉田口登山道沿いといった地域の区別も、赤松、カラマツ、モミといった植栽木の区別、林地、原野等の区別もなく一律に借料を算定しているということにしか読めませんが、そうなのかどうかを明瞭に答えるようにお願いをしたい。もしそうじゃないということになるなら、行政財産についても、普通財産についても、その使用料、借料の割り出し根拠を具体的に、たとえば普通財産について言えば、平方メートル当たり年単価が何円の区域については、場所がどこで、面積は何ほどかというごとく明らかにするように求めるわけです。これがないと、実際には問題の核心に触れませんので、ぜひこれを出していただきたい。  五番目、要求資料四に対する提出資料(注)一によりますと、「軍人林地区に係る土地は、富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合が入り会いによる利用を認めている土地であって、」云々、「貸し付けのための契約書はない」とあります。しかるに、同じ防衛施設庁が瑞穂村日露戦役記念会に出した資料によりますと、「県有財産を恩賜林組合から転借している」と書いてある。また、昭和三十二年十月二十六日付の恩賜林組合組合長大森直光、昭和八年二月八日付同恩賜林組合長羽田治胤の記念会に対する証明書には、貸し付けまたは転貸と、はっきり書いてあります。  さらに、恩賜林組合が記念会に出した「昭和五十年度分賃貸料交付基準」なる文書にも「転貸地分」と記載され、昭和四十六年三月八日付の同組合手数料条例第六条ただし書きにも演習場転貸料の文言が使用されているのであります。そして、記念会会長渡辺吉訓が恩賜林組合職員を私文書偽造で甲府地検に告訴した恩賜林組合作成の委任状にも、「恩賜県有財産転借地」となっております。  このように、防衛施設庁は法理論上、全く相矛盾した資料を記念会と国会に提出していることになりますが、これははなはだしい国会侮辱といいますか、べっ視といいますか、許しがたいと思いますが、一体どちらの資料が正しいのか、要求どおり直ちに再提出を求めたいと思います。  もし、そのお答えが、入り会いに基づく利用であるという答えと、転貸借に基づく利用であるというふうにお答えがあるとするなら、その入り会いに基づく利用であるという第一の答えに対しては、それはどういうような調査の結果、そう判断したのか、その判断の基準の確たるものを示していただかなければいけないと思います。  県有地入り会いをがんとして否定し、部分林に対する国の借料の一部を恩賜林組合に支出するのも、あくまで行政措置であると言い切ってきた山梨県も、入り会い利用という施設庁の判断に同意しているのかどうか、これもぜひお聞かせいただきたい。また、記念会の利用が「入り会い利用」であるとすれば、記念会の利用が「県有財産を恩賜林組合から転借している」という記念会への提出文書は、うそということになりますが、その責任は一体だれがとるのか。二つ目の、転貸借に基づく利用であるという答えをもしお出しになるなら、それは国政調査権に基づく資料請求に虚偽の文書を出したことになるのですが、一体その責任は、具体的にだれがどうとるのか、それもお聞かせをいただきたい。  六番目に、要求資料四は「瑞穂村日露戦役記念会の軍人林地区に関する、接収時より現在に至るまでの年度別借地料、借地面積、借地料支払い年月日及び平方メートル当たり単価」を請求しているのに対して、提出資料では、昭和四十六年四月一日以降についてしか答えていないのは一体なぜか。  また、「県有普通財産十二林班のうち、いわゆる軍人林地区について、樹種カラマツとした場合の国の借料算定上の単価及び借料算定額は下表のとおり」として表が示されておりますが、これは答えを故意にそらしているとしか言いようがない。私の要求しているのは「樹種カラマツとした場合」どうであるかを聞いているのではない。軍人林にずばり何ほどの借地料が支出されているのかを明らかにするよう要求しているのであります。しかし、仮に、この資料を要求に答えたものとして検討すれば、次のような不合理な点が出てくるのです。  たとえば、昭和四十九年度で見た場合、同表では年平方メートル当たり単価二円五十一銭、借料は百十万五千二百九十六円。しかるに、要求資料三に対する提出資料では、同年度の普通財産に対する年平方メートル当たり単価は四十六円四十八銭になっているのです。この単価で軍人林四十四万三百六十平方メートルの借料を算出しますと、実に二千四十六万七千九百三十二円八十銭となるわけです。同じ普通財産であるのに、このような格差が出てくるのはどういうわけか。軍人林の借料が平均借料の二十分の一とは一体どういうわけか。  さらに不思議なことに、国は借料算定額は約百十万円だと言っているのに、記念会は、県や恩賜林組合に地代相当額とか、手数料とか、全体のプール計算とかで莫大な額をピンはねされたと言いながら、なおかつ現実には、国の借料算定額の約三倍以上の借料、すなわち三百二十一万九千三十一円六十銭を昭和四十九年度分として、恩賜林組合より受け取っているのである。これはどう考えても納得ができない。それどころか、記念会会長は、恩賜林組合がピンはねの道具に委任状を偽造したというので、同組合の職員を甲府地検に告訴するとともに、一方横浜防衛施設局長に未払い借料ありとしてこれを請求、さらに会計検査院に対しても、本件会計経理の是正を求めんとしているようでありますが、先ほど来申し上げているように、事はきわめて重大だと思います。  繰り返して言えば、こちらの要求しているのは、軍人林そのものに対し、国が接収以来、今日まで何ほどの借地料を支払っていたのかを求めているのであります。納得のいく説明を、数字をもって具体的に明示されたいと思います。  次に、要求資料五の山中浅間神社有地に対する借地料等についてでありますが、防衛施設庁は備考欄において「個人の財産に関することであり、相手方の了承が得られないので、借地面積及び借地料支払い年月日のみを提出する」として、借地料及び平方メートル当たり単価を明らかにすることを拒否しています。  それでは、山梨県作成の「北富士演習場問題の概要」に記載されている山中浅間神社に対する借料は、防衛施設庁が提供したのではなくて、山中浅間神社がその資料を提供したと解していいのかどうかも明瞭にお示しをいただきたい。また「相手方の了承が得られないので」という以上、山中浅間神社に交渉したと思いますが、いつ、だれが、どこで、どのような方法で、この山中浅間神社と交渉をしたのかも明らかにしていただきたい。  次に、国の借地料支払い額の説明を国会が要求しても教えないということは、他に比較して余りにも高額であるために、問題になることを恐れるからではないのか、この点、施設庁の見解を後でお示しいただきたいのですが、資料としても明示していただきたい。いずれにしても、憲法第六十二条、国会法百四条等の国政調査権に基づく資料請求に対し、「職務上の秘密」でもなければ「基本的人権を侵害」するおそれもない借料支払い額について、資料提出が拒否されるとすれば、本決算委員会は一体何を審議するのか。かかる防衛施設庁の拒否理由が万一正当であるとすれば、予算で承認された借料であっても、それがどのように支出されたか調査することもできなくなってしまうと思います。これはきわめて重大なことで、黙過することはできない。直ちに要求どおりの資料を再提出するように、厳重に要求をしたいと思います。  なお、今回、本委員会要求の資料を、なぜ故意に出さなかったのかも、その法的根拠があるなら、それも書き添えていただきたいという、資料要求を、再度提出を願いたいと思いますが、委員長において取り計らっていただくようにお願いをしたいと思います。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員長 ただいまの原茂委員の発言の中で、特に北富士演習場の国が支払った借地料に関する問題、これは政府に対する質問とみなされますので、国務大臣としての小川大臣から、所見があれば答弁を願います。  続いて、資料要求については、防衛施設庁に対して、先般来、当委員会においては理事会の決定を通じて正式に資料要求を求めておったわけですが、資料の提出の内容が非常に不十分な点が、いま原委員の発言のとおり指摘されておるので、この点については防衛施設庁において、早急に整備をして委員会を通じて提出すべきものであると思います。  まず、小川国務大臣からの発言を求めます。
  32. 小川平二

    小川国務大臣 いま御指摘の問題は、過去にさかのぼりますると、いろいろな経緯があったと聞いております。先ほど来、長時間を費やして、経過あるいは問題点について承ったわけでございますが、本件について、恐らく引き続いて御質疑等があるものと存じます。ことごとく承りました上で、私の考えを申し述べたいと思います。
  33. 田口正雄

    ○田口説明員 資料要求について先生から要求されているわけでございますが、その中で欠陥があるというふうなお話でございますが、この資料の提出に当たっては、検査院と十分に協議をするようにという先生の御趣旨であるというふうに理解しておりましたので、計算証明規則に基づき、現存する証拠書類の範囲内で、会計検査院の確認を得た昭和四十六年度以降のものについて提出したものでございます。  なお、それ以前のものにつきましては、改めて検査院とまた相談して、資料を出すか出さないか、お答えしたいと思います。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの施設庁の資料要求に対する答弁の中で、会計検査院と打ち合わせる、これは私も望んでおりましたから、やっていただきたいのですが、いやしくも予算を通した国会が、決算委員会決算を調査をしようというときに、われわれの四十六年以前からという要求に対して理由もなしに、四十六年以降だけしか示さないような態度は不遜だと思う。いま言ったような理由があるなら、その理由を事前に、あるいはこれに明記するようなことをしない限り、本当に決算委員会に対する軽視と言っても過言ではない。したがって、会計検査院と話し合うことは、ぜひやってもらいますが、私の第一回資料要求どおり、いま読み上げましたような欠陥を補って、文書による資料提出をぜひやっていただくように、もう一度委員長から念を押してください。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員長 なお、この際、これに関連して会計検査院当局から発言があれば許します。
  36. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 原先生から膨大な資料の御要求があったわけでございますが、資料提出の御要求があったわけでございますが、資料提出につきましては、施設庁当局といろいろ打ち合わせてございます。しかし、私どもの方は、証拠書類としてだされて、私どもの役所で保管、保存しているのは過去五年に上るものでございまして、過去五年のものにつきましての契約書、契約書に関連する一連の書類並びに計数については、確認した上で出すというようなことで、四十六年度から以降のものについて、お出し申し上げた次第でございます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 過去五年以上にわたっても、全部、はっきりしていない限り調査をして、五年以前のことは、国が全然わからないなんということは認められませんから、したがって、どんな苦労をしても、いま要求したものの再提出ができるように努力をして、しかも、それが早急にもらえるようにしていただきたい。  それから、大臣にこの際、お尋ねいたします。  先ほどからちょいちょい経過の中で申し上げているように、山梨県はほとんどだんまり。何を問い合わせても、恐らく検査院あるいは施設庁が聞いても、どうも手がつけられないような、だんまりの状態で今日まで経過してきました。  そこで大臣に、この二つだけは直接決意のほどをお示しいただきたいのですが、北富士演習場内山梨県有地に対して国が支出した借地料を、本来の利用権者に渡るまでに莫大なピンはねを県や特別地方公共団体である富士吉田の恩賜林組合がやっていると地元民が騒いでいることは、前述したとおりです。このことについて自治大臣は、国から借料が山梨県から利用権者に行くまでにどう処理をされているのか。たとえば山梨県の取り分、恩賜林組合の取り分の具体的な額を調査するよう当委員会で求めたのに対しまして、国は、国としては最善を尽くしているのだが、山梨県が具体的な数字を教えてくれない、いわゆる拒否されているため、もはやなすすべがないと言わんばかりの回答を、さきの委員会でも、またこの資料でも出されてまいりました。したがって、国には責任がないと言わんばかりの態度に終始しているのが現状であります。  しかし、このような態度は、地方公共団体を指導する立場にある国の責任を糊塗するもので、なすすべがないわけではないのです。国がとり得る法的措置がちゃんとあると思いますが、たとえば地方自治法第二百四十六条、財務監視等に基づいて助言、勧告、情報の提供を求めたり、わけても第二百四十六条の規定に基づけば「事務報告をさせ、書類帳簿を徴し又は実地について財務に関係のある事務を視察し若しくは出納を検閲することができる。」という条項があるのですから、早速山梨県や吉田恩賜林組合を財務監査をしていただいて、地方公共団体の逆に言うなら権威を高める、住民から疑いを持たせない、はっきりさせていただくような処置をおとりいただきたいというのが一つであります。もうこれは自治大臣に頼む以外にありません。  二つ目に、吉田恩賜林組合は一部事務組合でありながら、調べてみますと、監査委員を設置していない。一部事務組合といえども、監査委員は法的に設置しなければならないと私は思うのですが、この点はどうお考えですか。法的に監査委員を設置しなければならないということを、もしお答えいただくなら、直ちに吉田恩賜林組合に対しても行政指導をしていただいて、監査委員の設置を義務づけていただきたいと思いますが、この二点に関して大臣から御答弁いただきたい。
  38. 小川平二

    小川国務大臣 仰せのように、地方自治法の二百四十六条の規定が、一部事務組合についても準用されるわけでございます。したがいまして、自治大臣あるいは県は、必要ありと認めた場合には、県あるいは一部事務組合について財務の監視をすることができるわけでございます。  しかし、この種の個別的な財務上の問題につきましては、これは原則でございますが、県におきまする内部的な監督——の監督によって処理をすべきものだと考えておるわけでございます。しかし、ただいまこの場でいろいろな問題点の御指摘があった問題であります。国会で御論議のあった問題でございますから、実は従来、私どもこの件について山梨県から何ら報告も相談も受けておらないわけでありますが、さしあたって事情を聴取いたしたいと存じます。その上で、県のとっておりまする措置が適正を欠くということであれば、必要な指導をするつもりでございます。  それから一部事務組合につきましては、これは昭和三十八年の地方自治法の一部改正で、普通地方公共団体に監査委員を義務設置するということになりましたので、一部事務組合においても監査委員を設置すべきものだと考えましたから、そのような指導をいたしてまいりました。山梨県でも、この趣旨にのっとりまして指導を行っている、また富士吉田市外二カ村の恩賜県有財産保護組合におきましても、去年の末に、規約等調査特別委員会というのを議会の中に設けて、監査委員の設置を含めて検討している、かように聞いておるわけでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣の、調査の上で指導をするという決意は結構です。一部事務組合の監査委員に対しては検討をしている。検討の期間が法的にどう決まっているか私知りませんが、去年の暮れから検討をしているんでしたら、これもぜひ指導をして、大至急に監査委員の任命ができるように、設置ができるように指導をしていただくように、これも重ねて要求しておきます。よろしゅうございますね。  そこで、先ほど経過を申し上げる中で、二点お答えを願いたいと申し上げたことを、先にお答えをいただきたい。長過ぎたから忘れているといけません。  第一は、会計検査院は先ほど言ったように、支払いが一年度ずれているのを一体どうお考えなのか。これは利息の不当なもうけもあるでしょう。その利息が一体どういう配分をされるかという問題も起きるでしょう。国からは五十年度に払われている、組合に対しては同じ五十年度に払っている、記念会に対しては五十一年にならないと払わない。まる一年以上というブランクがある。その間、そういったことが見逃されている。勝手にできるはずはないと思うのですが、これに対してどうお考えなのか。  防衛施設庁も、一体こういうことまでぴしっと調査をし、あるいは指導なり、適切な助言なりをされているのかされていないのか。国が県へ払ったものは、一年たとうと、二年たって利用権者に渡ろうと、そんなことは知ったことじゃないという調子の投げやりな態度で施設庁は過ごしてきたのか。  両者からひとつ御答弁願いたい。
  40. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 国の予算を財源とする支払いにつきましては、支払い期限を厳重に守るように、私どもとしては検査上指導しているところでございます。その金を県なり恩賜林組合なりが受け取って、その下部に流す関係につきましては、私ども実は詳細について存じ上げない次第でございますが、契約などの趣旨からしましても、国から受け取った金は、速やかに下部に流すべき性質のものであると考えております。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員長 原委員に申しますが、防衛施設庁においては、ただいま説明員のみが出席でありますので、責任のある政府委員の答弁ということであれば、午後に出席を求めて、その際、答弁を得た方がいいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。説明員でよければ……。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 午後のときにわずかな時間、相談を願った上で説明をいただいても結構ですが、いま来られている防衛施設庁の説明員でお考えがあるなら、ここで答えていただいて、責任ある答弁はまた午後に譲っても結構ですが、私がいま質問したのにお答えいただきたいのが一つ。  それから、記念会が会計検査院に対して、さっきも言いましたような審査請求をした。どうも国費が正当に支払われていないということに対する審査請求を行ったことに対しては、どう処置をし、今後どうするつもりなのか、会計検査院からお答えをいただきたい。
  43. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  審査請求につきましては、実は官房の方で確かに受け取りまして、現在鋭意検討中のところであると聞いております。
  44. 田口正雄

    ○田口説明員 お答えいたします。  国が支払っておる借料と、県が恩賜林組合その他の利用者に支払っている時期がずれておるということでございますが、私どもが県の方に聞いたところでは、昭和四十九年までは、その年度の借料は翌年度の歳入に上げておるというふうに聞いております。したがって、一年間ずれる形になると聞いております。それから、恩賜林組合に聞いたところでは、この問題については是正すると言っておりました。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 恩賜林組合が是正すると言った方が正しいので、県があなたに言いわけをしたような内容で、完全に一年度ずれるなんということは許されないし、許してはいけないと思います。後で、県がそう言ったというのを含めて、ぜひ責任ある答弁を、もう一度聞かしていただく。組合の方が是正しますと言っているのが正しいと思いますが、御答弁は午後にいただきたい。  それから、先ほど施設庁からお答えをいただくように、経過の中で最後に申し上げたのは、五十二年の三月末で契約更改の時期が来ている、これに対してどうだということを、少しくどくお尋ねしておきました。これにはお答えできますか。
  46. 田口正雄

    ○田口説明員 昭和五十二年度の賃貸借契約につきましては、軍人林を含む山梨県の普通財産については、五十二年四月一日から五十三年三月三十一日までの期間について、本年三月三十一日付で契約の更新を行っております。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 従来どおりの条件で契約をしましたか。
  48. 田口正雄

    ○田口説明員 そのとおりでございます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほども経過の中で言ったように、これほどの問題が起きているのを承知の上で、住民同士のいやないがみ合いなどの、非常に長いロスをずっと積み重ねているのに、少しでも前向きな、それに対する手当て、措置を考えないで、とにかく演習場を使わなければいけない、とにかく県と結べばよろしいのだ——それが三十年の末に起きた問題じゃない。問題の古さは、あなた方も御承知のとおりだ。にもかかわらず、いつでも期限が来れば、それに対する対策も講じないうちに、問題が起きるのは向こうの勝手なんだ、国の知ったことではないという態度で、黙ってこの種の契約を行っていくような物の考え方が、いつまでたっても物を解決しない大きな原因なんだ。そんな無責任な態度がありますか。  これほど大きな長い歴史的な係争があるのに、しかもそれに対して適切な措置を講ずるように、われわれが委員会を通じても要望しているのに、それを無視して、三月の末には、ちゃんと結びましたと麗々しく言えるような態度は、国の責任を軽んずる態度だと思う。国民のために政治がある。防衛施設庁だって国民のためにある。演習場のために施設庁があるのじゃない。国民のために施設庁があり、防衛庁がある。国民のために必要だというので、いま演習場がある。一番大事な主人公である国民が、どんなに紛争して血を流そうと構わない。それに対して適切なことをやれと言うのに、やりもしないうちに、平気で契約だけはどんどん進めるという態度が、一体政治の場にある者として許されると思いますか。  その前に、指摘されたことを、このように努力をしましたが、まだ解決しない、こんなに血のにじむような手当てをした、努力をしたけれどもという跡があって、そして期限が来た、演習場を使わなければいけない、仕方なしに契約は結びます、こういうことがにじみ出してこなければならない。何もやってないじゃないですか。県へ言ったら、県はまるでのれんに腕押しで、だんまりでだめだ、わかりません、県が来たから、契約だけは結びます——これほど大きな紛争が起きていることに対して、本当に寝ることもできないほど神経を使って対策を講じ、努力をした、いい成果は上がらないが、これだけのことをやった、これだけの折衝もしました、なおかつ、問題の解決ができないので、県が来ましたからというようなことになるのが当然じゃないですか。そのような跡が見られますか。  二月に、私が質問して以来、私には何も言わない、努力の跡も何もわからない。にもかかわらず、一カ月ちょっとたった後に、県が来たから契約をしました。何のためにわれわれが貴重な時間をつぶして、こんなに物を言っているのか、努力の跡が見られないじゃないですか。いつまでも県と組合あるいは記念会が、勝手に問題の解決をすればいいのだという態度でいるなら、自治省は要らない、防衛庁も要りませんよ。  したがって、先ほど大臣にも、山梨県に対する適切な措置を要求し、調査、措置をしますという回答がありました。これは一歩前進で、それがどのようにあろうとも、努力した跡があれば、われわれはそれで納得することができると思う。  施設庁に対しては前から指摘しているのに、何らの努力もしない。しかも、ただ、じんぜん時を待つ間に、県と組合と記念会が何とかしてくれればいい、こんなばかな受身な態度で、事なかれ主義で、一体わが国の防衛なんかできますか。  これから質問をもう少しいたしますが、委員長にもお願いしておきますが、こうして論議をしたからといって、ここで問題の解決ができるわけではありません。私なら私の腹案があります。それはあえてきょう申し上げませんが、どう解決をするのかについては、次の機会までにその努力した跡、こういう手当てをする、あるいはしたということが逐次報告がされるように、そしてそれを通じて私も私なりの意見を申し上げ、そして締めくくりは次の機会にいたしますが、そのときには問題の解決ができたということになるように、自後、委員長並びに私の手元に、いろいろ皆さんの努力した跡が届くようにしていただきたいと思いますが、これは委員長からぜひ諮っていただきたい。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員長 ただいまの原茂委員からの資料要求の件については、すでに理事会において決算の審査上必要と認めて、政府当局に資料の提出を求めておったわけであります。しかるに、提出資料については、いまだ提出されない分、あるいは提出した分についても内容不備のものがありますので、この点については、追って理事会において協議をいたしまして、理事会の協議を経て、政府当局に対して、正規の手続で資料の提出を求めることにいたします。  なお、四十九年度決算の審査については、いまだに結了したわけでございませんので、次回以降の委員会において、これも理事会の協議を経て、残余の分については審査を進めることを申し上げておきます。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで一つ、二つだけ施設庁にお聞きをいたします。  賃借権等が存在している土地を国が演習場として使用するときに、国、すなわち、横浜防衛施設支出負担行為担当官は、演習場内借地権者をみずから確認し、本来、手続の上においても、これら借地権者との間に土地転貸借契約を締結しなければならないことになっていると思いますが、たとえば、提供土地等賃借等処理要領、昭和三十六年八月四日、調達規第二八号の第三十八条は、次のように規定していますが、もちろん御存じだと思います。  「賃(転)貸借契約第三十八条 調達局長は、民公有地の土地等を施設および区域として駐留軍に提供するときは、原則として、」いまは自衛隊と読みかえますが、「所有者または関係人と賃(転)貸借契約を締結して処理するものとする。」また、昭和四十八年四月に締結された北富士演習場使用協定第五条においても、次のように規定されています。  「第五条 国は、本演習場内土地の使用について、当該土地の所有権者又は借地権者と使用契約を締結する。」まさしく、これらの規定に従って、国は、北富士演習場内借地権者をみずから確認し、手続上もこれら借地権者と転貸借契約を締結する形式で処理する義務を負っているのではないか。そして、国がもしこの義務を忠実に果たしていたとすれば、国の借料の一部が受領権者、ここで言うと記念会などに支払われず、借料の一部に未払いが生ずるようなことはなかったと思いますが、この点に対してはどう思うかが一つ。  しかるに、横浜防衛施設支出負担行為担当官は、その職分に係る借地権者の確認及び転貸借契約締結手続を怠り、土地所有者である山梨県と賃貸借契約を締結する形式で処理して、その職分に係る契約事務を県知事にゆだね、知事をして借地権者の承諾を得せしめようといたしました。かかる処理のあり方自体がまずもって、問題となるのではないかと思いますが、これが二つ目。  だが、かかる処理のあり方に問題が存することは一応別として、このような事実の前提に立っても、借料の支払いに当たっては、一体だれが債権者なのかを、国は確定する義務を負っていると思います。かかる確定をしないで、直ちに県知事を債権者として取り扱うことは、きわめてずさんな支出負担行為であると思いますが、いかがか。  たとえ、国と県との間の契約書において、国が県知事に賃借権者の承諾を得るよう義務づけている、同契約書第二十一条がそうですか、——としても、県知事が賃借権者から得る承諾の内容が何の承諾か、決して一義的に確定できないだけでなく、この条項は単に県知事に賃借権者の承諾を義務づけているにすぎず、現実に当該土地を利用している賃借権者の承諾が得られるかどうかは、もっぱら賃借権者の意思にかかっているのであるから、この条項が存在することをもって直ちに国が当該土地を使用することができるわけでもなければ、県知事が債権者となるわけでもない。  いずれにせよ、かかる場合、国は、県と既存の賃借人との法的関係がいかなるものなのかを確定しない限り、一体だれが債権者なのかを確定し得ないと思う。それに対してどう思うかが三つ目。  ところで、記念会に係る土地、軍人林については、書類形式上、県と恩賜林組合との間に契約が結ばれる形となっているが、賃借権者は同組合ではなく、記念会そのものである。  一方、国は演習場の用に供するため、昭和二十五年以来、記念会が賃借権を持つ軍人林を賃借するにあたり、県と契約を締結する形式をとってきた。しかし、恩賜林組合はもちろん、県には当該土地の利用権はないから、県が現実に国に使用させるためには、記念会の同意を得なければならない。記念会は、契約の締結に係る事務処理については、黙示に県に委任してきた。このことから、記念会に係る土地については、演習場の用に供するための県と国との契約は、単に書類形式上のものにすぎないで、法的には、記念会の同意を基礎とした本契約の形式において、記念会を転貸人、国を転借人とする転貸借契約が成立しているのである。  したがって、県知事を代理人とする記念会と国との間に、有効な土地転貸借契約が成立しているのであるから、国は、その契約に基づく約定賃料を、債権者たる記念会に対して支払うべき債務を負っていると思う。つまり、このことは、当然のことながら、国が軍人林を演習場として使用するために、その対価として支払う借料の受領権者は、軍人林の賃借権者であり、国への転貸人である記念会であるということである。  なお、軍人林の賃借権者は、記念会をおいて、ほかには存しないのであるから、たとえ国が恩賜林組合の同意を得たとしても、この同意の存在によって国が同地を使用することが可能になるわけではない。あくまでも、記念会の同意があるから、国は同地を使用できたのだ、こう思います。  要するに、同地に対する国の借料の受領権者は、記念会そのものであって、県や恩賜林組合ではない。  しかるに、国は、提供土地等賃借等処理要領第三十八条及び北富士使用協定第五条が、借権者と転貸借契約を締結すべきことを義務づけているにもかかわらず、これに違反し、さらには、会計法第十六条の「債権者」確定義務を怠って、債権者たる記念会のために直接約定賃料を支払わず、県に引き渡したということになる。そして、国がきわめてずさんな会計経理の取り扱いを行っているために、国が同地を使用する対価として当然支払うべき約定賃料が、受領権者たる記念会に全額渡らないで、その一部につき、未払いを生じているのである。  同地の利用権を持たぬ県や恩賜林組合が、国からの借料を自己のポケットに入れる法的根拠は全くないと私は思う。記念会が県に対して支払う地代に比べて、記念会が国から受領する借料が多額だからといって、それを自己のポケットに入れる権利はだれにもないと私は思う。地代が安過ぎるのであれば、それを引き上げれば済むことであって、記念会に引き渡さなければならない金を強奪することは許されない。  最後に、山梨県、恩賜林組合が、それぞれ自己のポケットに入れた具体的な額を調査することは、国の責任であり、そのための法的手だても存在していると思う。地方自治法第二百四十六条の規定がそれである。国としては、この規定の財務監視権を発動して、それを調査すべきなのであり、県や同組合が報告を拒んでいることを理由に手をこまねいていることは許されないと思うので、適切な措置を、いままで時間をかけてお願いをしてきたわけですが、これに対して、一括いま一々答弁ができる時間がないと思いますし、すぐには答弁ができないと思いますから、これは後ほどぜひこの委員会に対する回答として、正式に回答がちょうだいできるようにお願いをして、その決意だけ聞いて質問を終わります。
  52. 小川平二

    小川国務大臣 御要望のありました点につきましては、各庁に伝えまして、貴意に沿うようにいたしたいと存じます。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  54. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。原茂君。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 午前中の委員会で、前回要求した資料に対しての補足の要求をいたしました。委員長の計らいで、あとは理事会に諮りながら、お出しいただくようにお決めをいただく予定でございます。  これと同時に、いまの軍人林の問題に関して、すでに問題のあるのを承知の上で五十年三月末に再契約をした、その前にするべき努力をされた形跡もない、そういうやり方では困るということを強く私の見解を言っておきました。  余りにも長い歴史を持ったこの紛争、こういうものがあるにもかかわらず、問題がどこにあるかを前回委員会指摘もしておいたのに、なおかつ、それが十分できない、十分にやった努力の跡も見えないうちに、ただ契約をして、問題の解決は県と組合と記念会でやればいいと言わんばかりの態度で、この種の問題を進めていくことは、国、政府の立場として許されないという見解を強く述べましたが、これに対してお答えをいただくと同時に、最後に時間がありませんので、早く要求しました質問がございます。  これは要求がありますから、プリントして差し上げますけれども、これに対するお答えを、やはり文書をもって委員会にちょうだいをしておきながら、同時にまた、次の委員会の機会に、これの締めくくりをするような意味の発言をさせていただこうという前提で、先ほど要求をしてお答えをいただくように言いましたが、恐らく要旨だけしか伝わっていないと思いますが、これに対する決意をちょうだいしておきたい、こういう意味で、おいでいただいたわけであります。
  56. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  施設庁長官からお答え申し上ぐべきところでございますが、他の委員会から呼び出しがございまして、私、かわりにお答え申し上げさせていただきます。御指摘の軍人林に係る土地を含みます県有財産につきましては、先生御案内のように、防衛施設庁といたしましては、占領直後から今日に至るまで、県と円満に契約を締結してまいったところでございます。この問題が起きまして、私どもといたしましては、直ちに山梨県の方といろいろ調査、折衝を行ったところでございます。  ただいま何もやらずに、五十二年度の契約を締結したというふうな御指摘がございましたが、私どもといたしましては、県当局と十分協議あるいは調査を行ったつもりでございます。そういった調査結果を踏まえまして更新手続をとった次第でございますが、私どもの理解しておるところでは、この記念会の問題につきましては、現に恩賜林組合と同記念会との間で、現在なお話し合いを続けておるというふうに承知しておるところでございます。  したがいまして、いろいろ長い歴史もございますし、施設庁といたしましては、恩賜林組合と記念会との話し合い、あるいは県と恩賜林組合との話し合い、そういった経過を踏まえまして、何とか納得がいく解決が図れるようにということで、目下努力をしておるところでございます。何とぞ、その点を御了解いただきたいと存ずる次第でございます。  なお、先ほど後段で御指摘のございました資料については、十分検討の上、所要の御説明なり御連絡を申し上げたいというふうに存ずる次第でございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一点、いまの御答弁の中の県と十分に話し合いをし、調査をしている、私が、きょう時間をかけて申し上げましたことは、県とだけやれば、それでよろしいという態度が間違いではないか、こういう問題がその下にいっぱい起きているのに、それに対する努力が十分ではないという指摘をしましたので、記録などをよく見た上で、私の意のあるところを、ちゃんとくみ取った上で対策を立てながら御報告をちょうだいしたい。  なお、最後のあれは、資料要求の件とあわせて質問を申し上げておきました。それは先ほど言ったように、非常に早口で言いましたので、ちょっと要点も書き取りにくかったと思うから、伝わってないと思います。後でプリントしてお見せしますから、どうかひとつこの質問に対しては、ぴしっと回答を委員長並びに私の方にちょうだいできるようにということを要求しておいたわけですが、もう一度お答えください。
  58. 高島正一

    ○高島政府委員 御指摘の点につきましては、十分承知いたしました。そのとおり処置いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員長 北山愛郎君。
  61. 北山愛郎

    ○北山委員 私は、地方の土地開発公社を中心として若干のお尋ねをいたしたいと思います。  これは御承知のように、昭和四十年、特に四十五年以降数年間、経済の高度成長、そしてまた日本列島改造ということで、いわゆる開発ブームといいますか、そういう時期があったわけです。その間に、地方におきましても、都道府県あるいは市町村それぞれ自分の仕事を委託するというかやらせるような公社、地方公社、いろいろな種類の地方公社をどんどんつくりました。それを四十七年の公有地拡大法によって、土地開発公社というものを制度化したわけでなんです。  年々物すごい勢いで、この地方公社がふえまして、自治省の資料によりますと、地方公社、これは土地開発だけじゃなしに全部含めますと、これは昭和五十年ごろの調査ですが、総数で三千六十八、そのうち大多数が地域土地開発関係の地方公社、これが千六百八十九、その中で正式な土地開発公社が千二百四十二ということで、非常な膨大な数字に上っておるわけであります。  そのうち都道府県関係のものは、言うまでもなく、設立については自治大臣の認可を受けなければならぬとか、全体的な監督権というか地方行政に関する重要な問題だと思うので、その内容について、特に土地開発公社の設立の状況、それからまたい財政面でも相当な借金をしておるわけであります。五十年末の土地開発公社の債務というのが二兆一千八百八十億円、こういう資料が出ておるわけであります。そしてまた、五十年末に開発公社が保有している土地の面積は二万八千五百二ヘクタール、こういうふうになっておりますけれども、大体こういうふうな状況であるのか、その後どのような変動があるのか、まずもって、これをお尋ねをしたいのであります。
  62. 小川平二

    小川国務大臣 五十年末の状況は、先生のおっしゃるとおりでございます。その後の調査は、ただいまのところございません。
  63. 北山愛郎

    ○北山委員 問題は、土地開発公社が買っておる土地が、後の処分等ができないで焦げつきになっておる。したがって、これに伴う借金の方も焦げつきになっておる。二兆円も借金をするのでありますから、二千億近い利子を毎年払っておる。こういうことでありますが、これは地方財政の、表面には出てまいりませんけれども、やはり大きなガンになっておるのではないか、こういうふうに考えるのですが、自治省としては、この問題をどのようにとらえて、どのようにしようとしておるのか、それをお伺いしたいのであります。
  64. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 先生の御指摘のとおり、五十年度末に二万八千百五十二ヘクタールの土地を抱え、その借入金の総額が二兆二千億余りに及んでおるわけでございます。ただ、この内容を分析いたしますと、そのうちの約三五%というものは、直轄事業用地あるいは国の補助事業用地、先行取得分でございますので、工事を着手する段階におきましては、それぞれ国の補助金等によりまして処置できるという見通しが立っておるものでございます。  なお、また、全体の半数を占めます五三%の土地は単独事業用地でございまして、それぞれの地方団体が公共施設用地として先行取得しておるものでございまして、それぞれの目的があるわけでございます。それぞれの建設段階におきまして、一般会計等におきまして措置できるという確信を持っております。  問題は、プロパー事業用地と申します住宅用地あるいは流通業務団地用地、港湾埋め立て用地、工業団地の用地、そういったようなものでございますが、それは全体の約一割程度を占めておるものでございまして、中には景気の停滞等によりまして、処分計画がはっきりしてないのもあるわけでございます。私どもといたしましては、土地公社の運用につきましては、売却目的が特にはっきりしておるものについて仕事をするというふうに、常に強く指導しておるところでございますけれども、プロパー用地の中には、現在抱えておりますものの中に若干、先生の御指摘のようなものがあることは、否めない事実かと思っております。  なお、今後の問題につきましては、ただいまも申しましたように、できるだけ見通しのはっきりしたものに限って行うようにという指導は強めてまいりたいと思っております。
  65. 北山愛郎

    ○北山委員 いまおっしゃったように、道路であるとか、学校であるとか、本来の公共用のものであって、公有地になるもの、こういうものは、いずれは公社から県なり市町村なりが買うという形になるでしょうから、処理がつく見通しが立つ。問題なのは、お話しのように、港湾の埋め立てであるとか、あるいは流通団地であるとか、あるいは工業団地であるとか、そういう企業に対して造成した土地を処分する、これが、企業が来ないわけです。来ないで、焦げついて、せっかくの工業団地が閑古鳥が鳴いているといったような状況のものが、あちこちにたくさんあるわけですね。  その数字は、いま自治省の方でお話しになったものは非常に少ないわけなんですけれども、実は同じような資料を、これはちょっと古いのですが、四十九年九月現在で、通産省が調べました全国の工業団地の相当膨大な資料があるのです。これを要約したものが、この表なんですけれども、それによりますと、全国の工業団地が千二百七団地ある。うち内陸が八百九十一、臨海が三百十六ということで、それの工場用地面積が七億二千四百四十一万三千平方メートル、そしてそのうち売れてしまった分を差し引きますと、売却可能用地面積、いわゆる残ったものが、その当時でヘクタールにしますと、大体三万五千ヘクタールぐらい残っておるのですね。  ですから、おっしゃったような数字じゃないのですよね。もっと膨大なものがあるわけなんです。若干統計の基準が違っているかもしれませんけれども、工業団地の内訳を見ますと、大体において、やはり都道府県の開発公社だとか、あるいは都道府県自身がやるとか、そういうふうな工業団地なんです。だから、これは非常に統計の差があるわけなんです。私ども現実に自分の県の実態なり、よその県でも、まあちょっとした中核都市ごとに工業団地をつくっているのに、さっぱり企業は来ていない、そういうものはたくさん見るわけですね。  ですから、むしろ私どもの実感からするならば、通産省の方の統計の方が何か正しいように思う。一割程度だと言われましたけれども、実数はそんなものじゃないというふうに思いますが、少なくとも現実にあちこちでは、せっかくこの工業団地を開く、あるいは流通団地をつくりましても処分ができないで、焦げついて借金の利子ばかり払っているというものは、たくさんあるわけなんです。  そういうことですから、私はもう一遍自治省としても実態を把握される必要があるのじゃないかと思います。何しろ二兆円も借金があるわけですから、大変な利子になる。しかも、それが当分は処分ができないものが相当数あるということになれば、これは地方財政にとりまして大変なことだと思うのです。もちろん都道府県市町村の表面の予算とかそういうものには出てきませんから、表面には出ないけれども、裏の方で潜在する大きなガンになっているのではないか、このように思うのです。この点はひとつ十分さらに実態を把握してもらって、この対策を立ててもらわなければならぬと思うのです。  それから、なおつけ加えまして、私が疑問に思うのは、公有地の拡大推進法には第三条で目的が書いてあるわけですよ。土地開発公社というのは何をするか、必要な土地を公有地として確保するということが目的なんですね。それから同じ条の二項目には「公有地となるべき土地を確保し、これを適切に管理し、地方公共団体の土地需要に対処」する、これが公社の目的になっているのですよ。ですから、本来の公共用に使うというようなものを先行取得して、それを公共団体に売る、そのために土地を先買いするのが公社の目的ではないでしょうか。  ところが第十七条には、いま指摘したような地域開発に関係のあるような工業団地を取得するとかそういうようなことまで入っているのは、法律自体が第三条と十七条とでは矛盾しているように私は思うのです。どうでしょうか。  第三条そのまま読めば、これはもう本来公有地、公有地とは何ぞやという定義まで二条には書いてある。これは地方公共団体の所有する土地が、すなわち公有地なんだ、その公有地を取得するために、まず最初に公社が先行取得するんだ、これが公社の目的なんですね。それなのに、十七条では、それと矛盾することが一部書いてある。これは法律自体がおかしいんじゃないでしょうか。
  66. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 土地開発公社の本来の目的が公有地の取得にあることは、御指摘のとおりだと思います。  ただ、先ほど先生も御指摘ございましたように、昭和四十年代になりましてから、土地ブームというものが全国的に起こりまして、地方公共団体が公有地も取得できないというような事態になりまして、民法法人としての公社——いろいろな形態をとっておるわけでございますが、それが四十年代の前半には、各地方公共団体の区域に続出したという事態がございます。昭和四十七年度末で、たしか一千近くのこういった民法法人ができたと思います。その民法法人でございますので、現実問題といたしましては、公有地的なものを先買いしておるわけでございますけれども、都道府県あるいは市町村といった地方団体との関係というものが、まことに不明確である、このまま放置できないというようなことで、これを法律によって規制すべきであるという論議が起きまして、この土地開発公社というものが生まれたわけでございます。  そこで、われわれといたしましては、民法法人がいろいろな事業をやっておりましたので、できるだけそれを整理いたしまして、この土地開発公社に切りかえていこう、そういうような考え方もありますし、かたがた土地開発公社というものが地域開発、地域整備といったものの一翼を担うということが当然あってもいいのじゃないかというようなことも考えまして、公営企業的なものということで、政令で具体的に事業を四つにしぼったわけでございますけれども、その四事業に限っては、プロパー事業としてやってもいいというような形で、この公社というものを設立したわけでございます。おかげをもちまして、従来の民法法人というものが相当数この土地開発公社に吸収できたという経過を持っております。そういった背景を持っての産物であるということを御了承願いたいと思います。
  67. 北山愛郎

    ○北山委員 それはちょっと実態から見ましても、私は納得ができないのです。なぜならば、四十七年、八年というのは、民間の企業も、いわゆる法人が土地の買い占めに出動したときである。したがって、それに地方団体まで土地の先買いを積極的にやれば、いわゆるブームをさらにひどくして、地価を上げることは明らかなんです。しかも、そういうふうな地価の上昇の中で、公有地を確保したいというのが第三条の目的であるならば、公社の仕事はそれに限定すべきなんです。何で工場の団地だとか、そういうところまで手を伸ばさなければならぬのか。そしていまお祭りが済み、土地ブームが去って、地価の値上がりが抑えられた。そういうときになって、民間の企業と同じように地方の公社も、高いときに買った土地が処分ができなくなって困ってしまっている、そういう結果になったのじゃないですか。  ですから、いまにして考えましても、やはり第三条の趣旨に従って、純粋な公有地たるべきものの先行取得ということに限定すべきであったのです。それを手を広げて、民間の会社の工場を誘致する団地であるとか、あるいは流通団地であるとか、そういうものまで手を広げて買ったから、それが焦げついたわけですよ。そうじゃないのですか。ですから、私はいまになって考えましても、この第三条と第十七条の、いまおっしゃったような、いわゆるプロパー事業ですか、そういうものの矛盾が法律にあるわけですから、むしろこれは立法事項ですが、やはり三条に徹するという形にすべきものじゃないかというように思うのですが、大臣はどのようにお考えですか。
  68. 小川平二

    小川国務大臣 このいわゆるプロパー事業として四つを加えた経緯につきましては、いま官房長から申し上げたとおりでございます。やはりそれぞれの地域の開発、整備を進めていくということも地方公共団体の大事な仕事でございましょうから、工業団地あるいは住宅団地等に必要な土地を、公社をして取得せしめるということも大切な仕事の一つだったと考えておるわけでございます。  ここにきて経済の環境ががらりと変わってきておりますために、いろいろ問題も出ておるわけでございますが、いま直ちに、いわゆるプロパー事業を除くということにつきましては、いま少し慎重でありたいと考えておるわけで、むしろ運用の面で今後十分留意をしてまいりたいと考えておるわけであります。
  69. 北山愛郎

    ○北山委員 本当は、公有地拡大法というのは時期がもう遅かったのですよ。工業団地にしても、昭和四十五年以前に始めた工業団地は多少とも工場は来ておるのですが、四十五年以降に始めた工業団地なんかほんの一部しか売れてないのですよ。それはもう統計ではっきりしている。ですから、もう時期が遅いときに、しかも民間のいろいろな法人の土地買い占めと並行して公社が活発に、われもわれもと土地の先行取得だと称して工場誘致、いわゆる工業団地とか流通団地まで手を広げた。そこに私は問題があったと思う。問題があったので、今後の問題もさることながら、それによって焦げついた土地を持った地方自治体は一体どうすればいいのですか。一体この借金は、どこへ行くのです。  たとえば滋賀県の例なんか、私は詳しくは知りませんけれども、たしかあそこの公社は五百億くらいの借金をしょっていると聞いております。そして処分もできないような土地をたくさん抱え込んだ。大失敗ですよ、これは。これを一体どうするのですか。自治省はどういうふうに指導するのですか。
  70. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 個々のケースによっていろいろ違いがありますが、一番ひどい例と申しますか重症の例は、滋賀県の例かと思います。ただ、これは御承知のように現在裁判の問題になっております。なお、この場合におきましては、実は金を払ったという形をとっておりませんもので借金がかさむ——もちろん一部はかさんでおりますけれども、大部分につきましては金の支払いが行われておりませんので、したがって裁判になっておるわけでございますけれども、金利がかさむという問題は、それほど大きな問題ではございません。  ただ、そのほかの公社の中には、土地が現在不況のために、売れないために金利に苦しんでおるというようなところがあるわけでございます。個個の問題について御相談があれば、私ども御指導に応ずるという態度はとっておるわけでございます。
  71. 北山愛郎

    ○北山委員 こういうふうな事態を招いたということは、自治省としての、いままでの指導監督が悪かった、やはり大きな責任があると思うのです。  まず制度上の問題で、先ほど法律の三条と十七条という点を申し上げましたが、それから大臣御承知のとおり、いま地方自治体は府県でも市町村でも勝手に起債はできませんね。「当分の間」と称して、いまだに自治法の二百五十条ですか、許可を受けなければならぬ。それなのに、公社はそんな制限がないでしょう。そして公社の借金に対しては、自治体が債務保証をしているでしょう。債務保証するということは、要するに一種の債務を負担する行為ですよ。それの方は野放しにしておいて、一般の事業債、地方自治体の起債の方は、いまだに一々許可を受けなければならぬ。公社の方は野放しだ。だから、こんなことになっちゃうんですよ。そうじゃないですか。制度上の欠陥があるのじゃないですか。どうですか。
  72. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 公社の資金につきましては、御指摘のように、ほとんどすべて債務保証あるいは損失補償が地方団体においてなされております。したがって、その債務保証を通じまして適正な借り入れかどうかというのが議会においても審査されるというように考えておるわけでございます。  それから、なお地方公共団体に対しましては、御承知のように限られた資金を有効に配分するという意味におきまして、現在許可制が敷かれております。それ以外の縁故資金といったようなものを土地開発公社で活用しておるわけでございまして、一々起債の許可制度に乗っておりましては、機動的に土地が買えない、公有地の先行取得ができないというところに、また公社というものが生まれました一つの原因もあるわけでございまして、そこが公社の一つのメリットとも言えるかと思います。したがいまして、一般会計等におきまして必ず責任を持つ資金と、それ以外の縁故資金の活用というところの差があるものと考えております。
  73. 北山愛郎

    ○北山委員 私の聞いているのは、公社の債務について自治体の議会なり何なりでチェックすればよろしい、それならば一般の事業債、普通の公共債でも同じじゃないですか。それを中央の大蔵省なり自治省が一々許可をしなければならない、そういうことも、やはり議会でチェックできるじゃありませんか。  それから限られた金と言いますけれども、やはり地方の金融機関の持っておる金だって何も無限なものじゃない。そういうふうなことは理屈に合わない。  要するに国の方でいっても、いわゆる公団とか、あるいは事業団とか、その他の特殊法人とかたくさん出ましたね。そういうものは議会のコントロール、予算や決算のコントロールを経ないんですね。中央でも同じように公社をどんどんつくって、そこで借金をして、債務保証だけさせられて、そしてあっちこっちの土地を買って、いまそれが焦げついて困っているわけですから、やはりこれは自治省なんかの監督の責任、指導の責任があると思う。ことに問題は四十九年ごろ、四十七年、八年ごろに始めるというのはおかしいのですけれども、四十九年ごろでも自治省の計画なんかを見ますと、事業計画は一兆七千億くらいになっているんですね。莫大な資金を借りて土地を取得することになっていますよ、実績はどのようになったかわかりませんが。ところが、五十年になりますと、がたっと落ちていますよ。それはそうですよ。土地の取得のいろんな矛盾が出てきたからですね。土地を買っても処分ができないという矛盾が出たから、景気が悪くなってきたから五十年は実績が落ちているでしょう。ところが、五十年になっても、まだ自治省は金融機関なんかに頭を下げて、世話してくれというふうに頼み込んでいるでしょう。  ですから、もうそのころにはセーブをして、地方自治体が公社で土地を買うのは本当に必要なものに限る、本当に学校なり道路なりの用地取得する場合に限るというふうに指導すべきなんですよ。昭和五十年になっても、私の見た資料では、自治省が金融機関に行って公社の資金を何とか円滑にしてくれというようなことを頼み込んでいるんですよ。おかしいじゃないですか。ずれていますよ。
  74. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 五十年の通達では、むしろそういうことよりも、公社につきましていろいろ問題が起き始めた年でございますので、事業の運営について特に注意してやれということを強くうたった通牒となっておるようでございます。
  75. 北山愛郎

    ○北山委員 私の見ているのは「地方財政」という雑誌かなんかからコピーしたものですが、当時の地域政策課長の久世さんが書いているのですね。金融土地方の金融機関に借りるのが、なかなか障害があるからというので、頼むというようなことを金融機関に申し入れをしているのですよ。あなたの言っているのは、確かに自治体にはそういうことを言ったかもしれぬけれども、金融機関に対しては、こういうふうにして金を何とか工面してくれということを言っているんじゃないですか、それを指摘しているんですよ。
  76. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 四十八年、四十九年のころに、土地の融資につきまして金融で規制したという時代がございますが、しかし、土地開発公社が買う公有地の先行取得分については、それを緩めてくれ、協力してくれという意味の通牒を出しておると思います。
  77. 北山愛郎

    ○北山委員 だから、久世さんのあれは「それ以来、土地開発公社にとっては、資金を確保することが、当面の最大の課題であり、これなくしては事業の計画的遂行はおろか、」云々というようなことを言って金融機関の方に頼み込んでいるんですよ。やはり金を借りて、土地をどんどん取得する計画を達成するための努力をしているんですよ、自治省が。五十年ですよ。五十年というのは、土地の値上がりがとまって、そんなにあわてなくてもいいときなんですよ。そういうときにもこういう指導をしている。そうじゃないですか。
  78. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 最後の通牒だと四十九年の十二月に、銀行が大口融資を規制した時期がございます。それに対応いたしまして、公社の必要な公共用地の先行取得には協力されたいという旨の通牒が出ているようでございます。
  79. 北山愛郎

    ○北山委員 いずれにしましても、大臣も、いまのやりとりで大体お感じになっていると思うのですけれども、いまや開発公社のそういう部門における焦げつきの土地と、それからこれの金をどうするかという問題、財政をどうするかという問題については、今後制度上の問題を含めて十分考えてもらう必要があると思うのです。その点についての御意見を聞きたい。
  80. 小川平二

    小川国務大臣 この開発公社に対しましては、取得する土地が公共用地であります場合は、これを地方公共団体取得する見通しについて、あるいはまた工業団地、住宅団地等の場合は、売れる見通しが確実にあるのかどうかということを十分地方公共団体とも相談をして、見きわめをつけた上で取得するようにという趣旨の指導を一貫してやってきたわけでございます。  いま、金融機関に頼み込んで云々というお言葉でございましたが、これは申し上げましたとおり、非常に金融が逼迫しておる時期におきまして、いま申したような指導をした上で、なおかつ必要な土地の取得については必要な資金を供給してくれ、まあ、かような趣旨であったと御理解をいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、ここへ来て、さまざまな問題が出ておりますことは御指摘のとおりでございますから、これから先、制度の面でも運用の面でも改めて十分に検討をいたしてみたいと思います。
  81. 北山愛郎

    ○北山委員 その運用の面ですが、また制度の面ですが、一体、公社に対する監督というものが、いまの制度ではおかしいんですよ。設置主体が、県なら県が公社を設置をする、そして県知事がこれを監督しているんです。多数の県の職員が、その公社の役員になっておるでしょう。何でも、この公社の役員というのは四万人以上おるようです。職員を入れますと、九万人もおる。その相当部分が県や市町村の職員が、それを二重に担当しておるでしょう。そういう公社ですからね。県がつくっておって、県知事が自分で監督するなんという制度はおかしいじゃないですか。これじゃ監督できないじゃないですか。  そこで私は、これは当然制度上必要と認めれば、監査委員は監査できるわけなんですけれども監査委員が監査をして、その報告は出さなければならぬ、知事の要請がなくたって、あるいは監査委員が特に必要と認めなくたって、制度上当然この公社については監査委員が一般の会計と同じように監査をして、そのリポートを議会に出すというふうな制度にする必要があるのじゃないですか、どうですか。
  82. 小川平二

    小川国務大臣 開発公社は、地方公共団体とむしろ一体となって業務執行に当たるべきもの、いわば分身とも申すべきものでございましょうから、したがいまして、地方公共団体の長が土地開発公社の役員を兼ねて運営に参画をするということが認められておるわけでございます。先ほど御指摘のございましたように、通常、債務の保証もしておるわけですから、財政面の問題につきましては、最終的には地方公共団体責任を負わなければならない立場にもあるわけでございます。  この土地取得につきましては経営の状況を地方議会へ報告をする、あるいは債務保証についても、これまた地方議会の承認を要するということになっておるわけであります。公社の業務計画については、地方議会が事前に参与する機会を与えておるわけでございます。さらにまた、監査委員が行いまする出納事務その他の監査を通じまして、現行の制度の適正な運用によって十分円滑な運営が期待される、このように考えております。
  83. 北山愛郎

    ○北山委員 とにかく県なら県とは別個な団体でありながら、そして県が設置主体である、その監督官庁、監督官が知事じゃ、自分が自分を監査する、検査するようなもので、監督する立場と設置者と同じようなものです。そういうことでチェック・アンド・バランスということが、やはり弱いと思うんですね。これは国の方の公団あるいは事業団も同じでありますけれども、予算決算を出さないのですから、何かこの点は、なるほど債務保証のときには議案が議会を通るということになるでしょう。ですけれども、私の聞いているところでは、この公社の実態、業務運営の内容の細かい点は、なかなか議会を通じては明らかにされない、こういうふうに私聞いております。ですから、そういうことのないように、やはり監査委員は必ず監査する、そして監査報告も出す、あるいは監査請求があったら、公社の内容を監査するということをしなければ——そういう点が足りなかったから、そういう結果があったから、あっちこっちの問題が出てきているんじゃないですか。十分なチェックがされるような状態であれば、そんないまのような状態は出てこないと思うんです。  それから中央の指導が、何でもかんでも地域開発だ、土地先行取得だというふうにはやし立てますから、たとえば、きょう出ておられる北東公庫でも、あのむつ小川原のこれは第三セクターで、県は一部出資しているだけですけれども、あれが五百億の借金をしょっているのですよ。三千ヘクタールの土地を持って、いつになったら、その土地が使えるのかさっぱりわからない。毎年の利子だけでも四十億以上払っておる。そういう企業に対して北東公庫が百七十九億も融資している。これはもう普通なら倒産する会社ですよ。とにかく開発だとかそういうことで、何でもかんでも事業を拡大していく。  私の県でも、私の町の近所に二つ工業団地がある。一つか二つしか企業が来ていない。ところが、ちょっと行ったところに、また町には工業団地をやっている。ちょっと行きますと、そこには三百ヘクタールの第三セクターがつくった大工業団地、三百ヘクタール以上あるのですが、そこに一つの企業が来るとか来ないとかいっている程度なんです。いまになって水がないと言って騒いでいる。ところが、政府の地域振興整備公団ですか、あれが、またすぐそばに新しい工業団地をつくっている。むちゃくちゃですよ。そこには何らの計画性も何もない。それで開発だ、開発だと称している。また、いま申し上げた流通センターにしても、そうですよ。都市ごとに流通センターをつくっている。そんなむだな投資をやって、そして土地を買って、それが有効に使われないという、こういう全体的な指導というものがめちゃくちゃだと思うんです。その犠牲になっている。地域開発という一つの幻想がまだ残っているのですよ。  ですから、そういうことから出る弊害がないように指導するのが自治省じゃないでしょうか。自治体は、ある意味では犠牲者なんですから。そういうことを十分配慮していただきたいと思うのです。それから、公社が解散をすると、どういうことになりますか。
  84. 小川平二

    小川国務大臣 これは法律の二十二条に規定がございます。  設立団体がその議会の議決を経て、第十条二項の規定の例によって主務大臣または都道府県知事の認可を受けたときに解散をする。解散をした場合において債務を弁済して、なお残余財産があるときは、公社に出資した者に対して定款の定めによって分配しなければならない、こういう規定がございます。
  85. 北山愛郎

    ○北山委員 財産に余りがあって分配できるようだといいんですけれども、いま二、三の例を申し上げたように、赤字のものが相当あると思うのです。ですから、赤字をしょい込むのは設立団体ですか、そういうことになるのですか。それともそういうことじゃなくて、一応解散の場合の処置については定款で決めるのでしょう、そして大臣の認可を受けるでしょう。そういうことで、ある限度しか責任は負わないという取り決めをしておれば、普通の民間の会社と同じように、その限度でしか自治体は責任を負わなくていいものかどうか。どうなんでしょう。
  86. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 御承知のように、法律上はただいま大臣がお答え申したとおりでございますけれども、残余財産がなくて、赤字の場合はどうなるかということでございますが、民法八十一条の準用を排除しておりますので、破産の手続をとることができないわけでございます。現実問題といたしましては、借入金のすべてについて債務保証あるいは損失補償を地方団体がしておるということを考えますと、最終的には地方団体が負担せざるを得ないのじゃなかろうかというふうに考えております。
  87. 北山愛郎

    ○北山委員 それにまた関連をしまして、結局赤字が出ても、しりは全部設立した地方団体が負うということになるわけですから、これは表に出ない裏ですけれども、実質は地方財政の一つの大きなマイナスのものを、そこに潜在して持っているということなんで、やはり表と同じように、自治省の方もその実態を把握して間違いのないようにしてもらいたいと思うのです。  それから債務保証の問題ですけれども、土地開発公社以外の他の地方公社はたくさんありますね。それには県なら県が債務保証をしておるものはございますか。
  88. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 細かく調査した資料を持ち合わせておりませんけれども、恐らく債務保証をしておると思います。
  89. 北山愛郎

    ○北山委員 それなら、これはやはり問題だと思うのです。法人に対する財政援助の制限に関する法律というのがありまして、国や地方公共団体というのは、たてまえとしては債務保証はできないはずですよ。土地開発公社は法律で認められているからできるわけですね。それ以外の公社はできないわけです。それをやるためには、自治大臣なら自治大臣が、その法人について指定をしなければならぬ。ですから、いまのお言葉は恐らく誤りではないかと思うのですが、再度お答えを願いたい。
  90. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 どうも債務保証と損失補償とごっちゃにして答えて申しわけございませんが、債務保証でなくて、損失補償を法律の規定がない場合はしておるのではないかと思います。
  91. 北山愛郎

    ○北山委員 時間がございませんから、以上で終わりますけれども、この問題と同じような第三セクターの問題ですね。  いずれにしても、多少とも地方自治体が皆関係をしている。表へ出てきておりません。恐らく公社の貸借対照表は、持っている土地の評価の上に、払った利子なんかを上積みしたくらいにして決算しているでしょうから、赤字は出てきませんけれども、赤字は潜在している。売れる見込みのない土地を大量に持っている、そういう公社はもう行き詰まることは明らかですから、徹底的に調査をされて、自治省としても対策を講じてもらいたい、こういうことを要望しまして、質問を終わります。
  92. 小川平二

    小川国務大臣 御指摘をいただきましたように、この現状は地方財政の健全な運営を阻害する潜在的な要因になっておると存じますので、改めて実態を調査いたしました上、運営の面その他の点で適切を期してまいるつもりでございます。
  93. 芳賀貢

  94. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最初にお伺いしますが、地方警察職員である都道府県の警察職員の定数、この資料をいただいたのですが、これは五十二年三月三十一日現在です。それ以前、いつと、いつぐらいに改定になっているのでしょうか。
  95. 山田英雄

    ○山田政府委員 お答えいたします。  増員の経過でございますが、都道府県警察の、地方警察職員の増員につきましては、昭和四十年以来、逐年増員をいたしております。そういう意味では、年ごとに一々申し上げるのもあれでございますので、昭和四十年以降について申し上げますと、昭和四十年に五千人、昭和四十一年に五千九百八十人、昭和四十二年同じく五千九百八十人、昭和四十三年も同様に五千九百八十人、昭和四十四年と昭和四十五年が五千人、六年が飛びまして昭和四十七年四千人、昭和四十八年四千五百人、昭和四十九年、昭和五十年同じく四千五百人、昭和五十一年二千人、そして本年度五十二年は二千五百人の増員が行われております。
  96. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 数字だけで推しはかることは、むずかしいと思いますけれども、この資料を見ますと、警察官一人当たり負担人口についてのばらつきが、ずいぶんございますが、いわゆる過密地帯と過疎地帯について、その負担の度合いというのは相当差が出てきておると思いますが、その点はいかがでしょう。
  97. 山田英雄

    ○山田政府委員 確かに最近の人口増は年間百二十万から百四十万人という状況でございまして、特に県庁所在地を初めとします都市部に人口の集中が激しいわけでございます。全国的に見ますると、首都圏並びに近畿圏において人口の急激な増が見受けられております。そういう意味で、各県の人口の負担率は、県警ごとにいろいろに差はあるわけでございますが、全国平均では、警察官一人当たり五百七十人の人口を負担しておるという状況でございます。警視庁におきましては二百九十一人でございますし、多いところでは青森県で八百三十人という数字もございます。そういう意味では、県ごとに負担人口はアンバランスがあるのが実態でございます。
  98. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 先ほども申し上げましたように、昔から村の中で、だれとだれがどういう位置に住んでいるということがわかっているところは、人間関係もあって比較的事犯も少ないだろうと思いますし、一人当たりの負担も少ないと思いますが、いま言われた首都圏及び近畿圏、まあ周辺のことはわかりませんが、私の自分の居住区だけ考えてみましても、ずいぶんと第一線の警察官に過酷な仕事を強いているような場面が非常に多いのじゃないかということを、たびたび経験いたします。  それだけじゃなしに、現に交通事故の件数も多いし、また犯罪もずいぶん多いということから、幸いにして私の地元では、七年ぶりか八年ぶりかに運動することによって、やっと一警察署をつくっていただきましたけれども、都心から十五キロ圏、二十キロ圏あたり、いまでもなお人口がふえつつあるところについては、全体的にバランスに欠けて、地域の住民の皆さんの精神的にも、そして事実生命や財産を守ることに欠けるような結果が出ているのじゃないかと思いますが、現状認識はいかがでございましょうか。
  99. 山田英雄

    ○山田政府委員 先ほど申し上げました人口増に対応いたしまして、ただいま御指摘のありましたように、一つの府県警察の中でも定員の再配置、そういう合理化を行うことによって、負担が過重になったところには県内の再配分で増員をする、多少とも負担の軽くなったところから切り詰めて増員するという措置もとっておるわけでございますが、その合理化には限界があるわけでございまして、最近警察各部門の仕事も多岐をきわめ、量的にもふえております。したがいまして、絶対量の増員をお願いしませんと、住民を事故、犯罪から守り、住民の方の御期待にこたえることが非常に困難なのが現状でございます。そういう意味におきましては、今後とも必要な増員、必要な警察官の確保に力を尽くしてまいりたいと思っておるわけでございます。  警察署の新設につきましても、ただいま御指摘のありました増設につきましても、私どもといたしましては、各都道府県警察が、警察需要から必要だという判断をいたしました場合には、その趣旨を十分に理解して、予算措置その他についても努力しておるわけでございます。ちなみに、昭和五十二年度におきましても、全国で四つの警察署の新設を予算措置しておる次第でございます。
  100. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いろいろ合理的な再配分を考えているとおっしゃっても、事実は後追い後追いになっていると思います。そうすると、新しく人口が伸びつつあるところは、どうしても治安上も防犯上も手薄になっている事実は否めないと思います。そしてまた、恐らく新しい署をつくられるにいたしましても、あるいは配分計画をやり直すにいたしましても、相当な年月がたってからしか実現していないのが実情だと思うのです。その間はどういう扱いをやっていらっしゃるのでしょうか。
  101. 山田英雄

    ○山田政府委員 具体的に御指摘のありました大阪府警察の中で例をとってみますと、最近において中心部で夜間人口が少なくなった地域がございます。しかし、そういう地域は、反面昼間人口が増大しているのでございます。たとえば天満署を例にとりますと、昭和四十二年には二百四十三人の定員でございましたが、昭和五十一年には府警察の内部における合理化、切り詰めによって二百十一人に減らしております。東署につきましても、昭和四十二年に二百八十七人の定員を持っておりました署でございますが、昭和五十一年には二百六十四人に切り詰めております。その反面、人口急増の傾向にございます。たとえば寝屋川署、これは十年前には百二十三人でありましたのを倍増、二百三十七人にいたしております。茨木署について見ましても、百六十八人から二百七十八人に増員しております。  ただここは、なかなか機械的にいきません点は、夜間人口が減少いたしましても、昼間人口がふえるという実態が中心部にございますので、必ずしも人口の減少ほど警察官の定員を削減していくわけにはいきません。そういう意味で、非常に厳しい条件のもとではございますが、警察需要が新しくふえておる郊外の人口急増地域につきましては、いま申し上げましたように、切り詰めた範囲ではありますが、措置を講じておる次第でございます。
  102. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いろいろ御工夫いただいて、努力をしていただいておるのはわかるのですが、実際には、一つの署に勤務している皆さん方は、過酷な条件を長期間強いられているわけですね。その対策はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
  103. 山田英雄

    ○山田政府委員 もともと警察官の職務というのは事故、犯罪との対決でございますので、勤務時間におきましても、仕事量におきましても、定量ではございません。住民の期待にこたえて治安を維持していくためには、いわば無定量の勤務に服しておるのが実情でございます。そういう意味におきましては、私どもそうした現場の警察官の労苦に報いるために、たとえば給与の問題にいたしましても、超過勤務手当にいたしましても、一般の公務員よりも端的に申し上げまして、少しでも多いものが警察官の手に渡るように給与上の手当てもいたしておりますし、あるいは勤務環境の面につきましても、大変疲労の多い勤務でございますので、少しでも快適な勤務環境を確保できるよう予算上の措置も講じておるわけでございます。
  104. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 できるだけ警察署の数も少ない方がいいし、警察官も少ない方がいい、そういう環境の方が本当はいいわけです。しかし現実には大都市周辺では逆ですし、その間、新増設とか合理化がおくれおくれになっておる現実の中では、結局組合も何も持っておらない第一線の警察官が、みずからの犠牲という言葉はどうかわかりませんが、ある程度犠牲的な精神もあってやっておられる面も非常に多いと思うのです。日常接しておりまして、私どももよく感ずるのです。  それが、どういうことになるかといえば、たとえば第一線の派出所におりまして、非常に疲れておるのはよくわかるわけですが、そうすると、住民に対する応待なんかも非常につっけんどんになるのですね。われわれは、それがわかるけれども、一般の市民の立場から見ると、警察官というのは、どうもぞんざいだ、民主化警察だと言うけれども、ちっとも変わってないじゃないかというようなことから、いろいろトラブルも起こっておると思うのです。ですから、そういう点では、ただ単に量的な面だけでなしに勤務の内容、質的な面も相当高めなければいけないと思うのです。特に最近、私の周辺で分かれました守口署の内情なんか見ておりますと、そういう条件が長らく続いたと思うのです。  ですから、財政との関係もいろいろあると思いますが、そういう再配分とか合理化というのは、できるだけ早目、早目に考えていただく必要があると思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  105. 山田英雄

    ○山田政府委員 先ほど年々増員をお願いして実現しておる経過も申し上げましたが、本年度においても二千五百人の増員が認められたわけでございます。この配分につきましては、ただいま御指摘がありましたように、少しでも現場の警察官の勤務の過重が解消できるように、各県ごとの要望を伺いながら適正な配分をして、その面に貢献いたしたい、かように思っておる次第でございます。
  106. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 また一面では、警視総監、警視監、警視長、警視正までですかは、国からの給与を保証されておりますが、一般の職員は自治体が全部負担しておるわけですね。そういう面では、増員についていろいろ府県、自治体と警察庁の間に何もございませんか。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
  107. 山田英雄

    ○山田政府委員 確かに、ただいま御指摘のように地方警務官というもの、都道府県警察において勤務をしながら、身分が国家公務員である警視正以上の者と、警視以下の地方警察職員というものに対しましては、給与の負担区分は差はあるわけでございますが、しかし、その増員の必要性というものにつきましては、トータルなものとして、その都道府県警察ごとの警察需要というものに見合って措置してまいっておるわけでございまして、その間に格段の問題はないと承知しております。
  108. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういうことになると、結局自治体の負担がふえるということになるわけですが、せんだっても全国知事会の方から、教員並みに、ある程度警察官の人件費について考えてほしいというふうな要望も出ておったことは、自治大臣も御承知のとおりでありますが、大臣、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  109. 小川平二

    小川国務大臣 地方警察官の人件費を昭和二十三年以来、地方費で措置いたしておるわけでございます。それに見合う一般財源交付税で保障して今日に至っておるわけでございます。  知事会からの要望につきましては聞いております。警察庁研究はいたしておるわけでございますが、問題が二つあろうかと存じます。  一つは、御高承のように、今日の警察というのは、自治体警察のたてまえをとっているわけでありますから、それとの関連で問題がございましょう。もう一つは、これを教員並みにするということになりますと、交付税をそれだけ減らす、理屈の上からは、そうならざるを得ない。地方公共団体の一般財源を減額するということをめぐって、いろいろむずかしい問題が当然出てまいりますから、そういう点を考慮に置きまして、知事会の要望に対しましては、もう少し慎重に研究をしてまいりたいと考えております。
  110. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 公共事業なり、国の当然やるべき仕事の第一線を引き受けている自治体の財政危機ということは言われて久しくなりますし、特にここ数年来の地方財政というのは、非常に厳しいことば御承知のとおりでございますので、十分ひとつ御検討いただいて、地方財政の負担の軽減のために御助力をお願いいたしたいと思います。  次に、移りたいと思います。  交通問題というのは、本来警察のものであるのかどうか。実際は、人口がふえるということは、国の経済政策によるでしょうし、住宅が建つ、土地開発が進むということは都市計画によるでしょうし、そういったように非常に多面的な、駅の一つの出入り口が変わっただけでも人の流れも変わり、車も変わり、駐車場も変わるというふうに、本来警察だけに文句を言うのは筋合いじゃないと思うのですが、とかく交通対策といえば警察の所管であるかのように思われがちでありますし、その責めがほとんど警察に行っている場合が多いと思います。  特に、いまの警察官の配置の問題との関連もありますけれども、大都市周辺の交通事情は悪い悪いと言われてもう十数年、よくなっている気配というものは、ちっとも見えないわけです。それぞれ手は打たれていることは、よく承知もいたしておりますが、特に大阪の例をとってみましても、四十五年当時、万博の当時には、確かに道路網なんかも飛躍的に伸びた。しかし、もう一、二年もすると、完全にもとのとおりになってしまった。いま現状では、せっかく都心部の、御堂筋などの幹線の一方通行などの規制をやりましても、四十五、六年以上に停滞が多いし、麻痺も多いし、車があふれているような状態が続いております。これについて何らかの新しい方法をお考えになっていらっしゃるのかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
  111. 杉原正

    ○杉原政府委員 先ほど委員からお話のありましたとおりでございまして、一般的な交通環境、都市の構造その他含めまして、これが余り変わらないままに、車の台数だけがどんどんふえていく、免許人口もふえるということでございまして、交通事情というのは年々非常に厳しいものになってきておるわけでございます。  私ども、一応与えられておりますいまの条件の中で、車が円滑に、しかも安全に走れるには、どうすればいいのかということで、御案内のように交通管制センターなどというものを設けまして、本部から車の台数に合わせて信号機のサイクルを変えていくというふうな方法やら、いまの一方通行方式であるとか、いろいろそういう都市の総合交通規制、これは本当に、あるものの小手先で、どのように措置をしていくかという、それのぎりぎりを、いまやらしていただいているというのが現状であろうと思います。
  112. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 端的に言えば打つ手がないということなんですね。しかし、このまま放置されますと、低成長とはいえ、自動車も依然として増加もしております。やはり何らかの対策を講じなければいかぬ。たとえば都心部に対する乗り入れ規制をするとか、そういった方法を考えなければならぬと思うのです。東京も同じだと思いますが、しかし、まだ東京の方が道路率も多いし、幅も広いし、幾分かはましかもわかりません。しかし、それもせいぜい幾分という差だけであって、大都市周辺は同じような条件が続いているわけです。そういう都心部への乗り入れ規制等の方法は考えられないものでしょうか。
  113. 杉原正

    ○杉原政府委員 これは私どもも、つとにいま交通警察の観点から、どういうやり方があるかということでいろいろな角度から検討してきております。ただ、その都心全体をとらえて車の乗り入れ禁止ということをやろうとしますと、当然のことながら、それにかわる足を確保しなければいかぬということに相なるわけでございます。そこで足を確保しようとしますと、電車であるとかバス、こういった大量輸送機関の整備拡充という問題が当然出てまいりますし、あるいは郊外等につきましてのバス路線網の整備というふうなものがありましょうし、あるいは郊外の最寄り駅の周辺でのバスが仮にない場合に、だんだん住宅が遠くなっているものですから、乗用車でそこまでは出る、そういう駅の周りに駐車場が確保されるというような総合的な施策が前提でありませんと、足の確保がむずかしいという問題がございます。  そこで、それができない前にどうするかということで、都心にできるだけ乗用車その他で入りにくくするという、われわれのやっているのは間接の措置の、いわゆる規制措置になるわけでございますが、御案内のような、ある時間帯には、ある車線はバスしか通さぬというようなバスの専用レーンでありますとか、あるいは都心部の駐車禁止を非常に強化するというふうな問題、あるいは貨物の物流の合理化を働きかけるとかいういろいろな手段を講じて、都心にはだんだんに入りにくくなるような措置は講じておりますが、抜本的な措置がない状況の中で、いま直ちに都心に車を入れないような措置を規制としてやるという事柄については、まだ現実的な措置ではない。方向としては、いろいろな周辺の対策を促進することで、だんだんにそういう方向に持っていくということにすべきものではないだろうかというふうに考えております。
  114. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 現在でもそうでありますように、従来からそういう考えで来られた。だから、結局は打つ手がないというのが現実の姿だと思うのです。  これはちょっと離れてくるかもわかりませんが、いままで十キロ圏、十五キロ圏が、二十キロ圏、二十五キロ圏に住宅が建ちます。そしてぼつんと、そこのたんぼのまん中に建つと、必ず通勤対策でバス路線を申請し、住民運動で通ります。そうすると今度、既成の町中を通ると、そのバス路線を減らせという運動が起こって住民運動同士でぶつかり合う。そういうような場面を考えますと、本当を言えば、住宅団地を建てる時点から、交通対策という立場で警察にも参画を求めるというような措置もあってしかるべきだと思うのですが、規制問題等については五者会議などと称して、いろいろの団体がやっておられますが、そういう都市計画のサイドとか国土開発のサイドでは、そういう場面に出られるということはあるのですか。
  115. 杉原正

    ○杉原政府委員 これはいろいろな形で委員になって入りましたり、それから現実に、たとえば非常に小さな地区でありますと、署長あたりに、いろいろな意見を事前に求めてくるというふうなことは、だんだんには傾向としても強まっておりますし、制度的にもそういうものが取り入れられるようになりました。これはいろいろな規制というものが必ず絡むということが、皆さんにわかってきたという結果であろうと思いますが、だんだんにそういう方向になっております。
  116. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういう場合に警察側の発言権というのは、どういう程度あるのでしょうか。たとえば都市計画のサイドで言えば、圧倒的に土木だとか建設省のサイドですね。警察側の交通対策に対する発言権は、どの程度認められてやっておるのか。
  117. 杉原正

    ○杉原政府委員 具体的な例で申しますと、たとえば、いろいろな道路をつくります際に、高速と平場との取りつけをどうしたらいいのかという問題、それからたとえば、ここにこういう団地をつくるときの交通の問題はどうするのか。たとえば、いま成田の問題なども非常に具体的な意見を求められて、これはこうすべきではないかというようなことで発言をするようになってきてはおります。
  118. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 実際には、都市計画のサイドでは警察側の意見がすうっと通ることは少ないと思うのです。それで、都心部については、先ほどおっしゃったように、バスレーンの確保とか、あるいはタクシーなんかも含めて公共輸送機関の確保ということにぼちぼち、五十年度の実績を調べさせていただいても、四十九年度に比べて倍になっているのはわかるのですが、それでは住宅地域はどういう手を打たれておりますか。  最近では、住宅地域における駐車違反問題、住民苦情の中でトップを数えるのは、やはり車の駐車だと思うのです。住宅地域における駐車違反措置とか、そういった規制措置というものは非常に弱いと思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  119. 杉原正

    ○杉原政府委員 確かに住宅、特に大規模な団地等での車の駐車の問題というのは、車を持っておられる人と持っておられない人との間に、同じところに住んでおられる中で非常に意見の食い違いが出てきています。第一線では、そういう住宅地あるいは団地等の駐車の問題で一番頭を悩ましている。これはストレートに土地の問題に関連をしてまいる事柄でございますので、単に一律に、駐車がいいとか悪い、あるいは保管場所のあるなし、しゃくし定規なやり方だけで措置ができるというものでもございませんで、自治会その他の意向を十分聞きながら、徐々にではありますけれども、改善をし、車を持つ人に、今日車を保有し、運転することの社会的な責任というものを自覚してもらうというような方向で指導させていただいておるのが実情でございます。
  120. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまお伺いしておりますと非常に心細い限りでして、結局住民の自覚にまつしかしようがない。確かにそれはそうだと思います。しかし教育効果というものは、五年、十年というような長い期間かかるわけですし、そう簡単に期待できるものではないと思うのです。しかし、そこにも何らかのぎりぎりのところででも、警察として打つ手があるのではないかと思うのです。たとえば三悪と称して、飲酒運転であるとかスピード違反であるとかには非常に厳しい態度で臨んでいらっしゃる。ところが駐車違反に対しては、比較的寛大な措置を講じていらっしゃるのも現実だと思います。そうすると、まあまあ一点や二点ぐらいという安易な気持ちもあるだろうと思います。それから地域住民が、いま言われた自治会あたりで自主的にカークラブなんかをつくって、不法駐車に対して第一線の派出所あたりに通報しても、めったに来てくれることがない。駐車違反に対して非常に寛大な姿勢というものも大きな影響があると思うのです。この際に、ひとつ思い切って駐車違反については三悪並みに、何か厳しい措置を講ずるというような考え方も一つの方法であると思うのですが、そういう点については何か新しい考えはお持ちでないでしょうか。
  121. 杉原正

    ○杉原政府委員 一つには、住宅地等につきまして例の保管場所法、車庫法と俗に言っているものの適用の問題、これは制度の問題も含めましてどうすべきか、現在検討をいたしております。これは特に軽自動車等が除外されているという問題がございますので、この辺は制度的な問題と絡めてやっていきたい。それから都心等につきましては、車はある程度駐車ができないと用が足りないという、車の持っている一面があるものですから非常にむずかしいのですが、昨年の駐車違反の取り締まりの件数は大変な数になっております。それから現実には、単に取り締まるというだけではなくて、現実にその車をどこかへ持っていかないと、通行を確保できないということで、レッカーでどんどん運ぶというようなことも併用いたしております。  そういった制度面並びに運用面につきましては、確かに駐車の秩序が乱れるというのは、交通の秩序の一番基本になる部分でございますので、今後も合理的な方策について、うんと力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  122. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 たとえばA市とB市があって、A市は人口十万くらいのところ、B市は隣同士にあって駐車場確保に関する法律の適用を受けてない。そういうところでは、極端にB市の方に車の登録がふえる。これは当然やみ確保ですね。そういったことも駐車違反を非常にふやしておる大きな原因になっておると思います。逐次改善しつつあることは認めますけれども、なお、まだそういうところも多々あると思うのです。大ていおくれるのですね。そしてまた、そういうことを許していることが、一昨年ですか、セールスの人たちの違法行為ということで新聞紙上をにぎわしたことがあると思いますが、そういう点についても、何らかの新しい考えをお持ちになる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  123. 杉原正

    ○杉原政府委員 駐車の問題は、私ども将来に向けて、どういう形でどう措置をすべきか、いま保管場所の問題にしましても、最初の登録の時点で一度チェックということで、その後の確認ということを制度的にやらない仕組みのものになっております。その辺もどうしたらいいのかということでございます。それから保管場所の適用地域というのは、いま市と名のつくところは全部入りまして、もうよほど山間僻地の方に行かないと、適用地域でないところはございませんで、そういう意味では、だんだん全国的に、車を持てば当然であるという形になってきておりますし、そういう方向で、やはり車を持っている人の最低限の義務であるという形で、世の中の物の考え方もだんだんに変わってきておりますので、そういうものを十分見ながら、これからの駐車問題を考えていきたいと考えております。
  124. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 これもよく御存じだと思いますが、不法駐車があるために消防車が入れない、あるいは救急車が入れないというような事故もたびたび、私どもも、ついせんだっても目にいたしましたし、体験もいたしました。そういうことも非常に多いと思うのですね。ですから、とりあえず、そういうふうな人命にかかわるような駐車違反については、やはりもっと厳密な厳しい処分をするという態度ということも、制度改正を含めてやっていただく必要があるのじゃないかと思うのです。  先ほどちょっと制度改正の問題に触れられたのですが、特に軽自動車も今度は五百五十ccまで同じような扱いになってきたわけですから、いま制度改正を考えていらっしゃるということはないのですか。
  125. 杉原正

    ○杉原政府委員 駐車問題全般を含めまして、現在検討をしております。
  126. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もちろん駐車違反の問題だけじゃなしに、いろいろ検討されておると思うのですが、先ほどもたびたび申し上げているとおり、比較的駐車違反に対する態度が寛大であるということから、特にまた住宅地域では、そういう苦情が非常に多いということから、特に要望を申し上げている次第ですが、大体どういうふうな程度のことを考えていらっしゃるのですか。明らかにできる範囲内のことをひとつ……。
  127. 杉原正

    ○杉原政府委員 駐車の問題につきましては、それをとらえてのいろいろな問題がございます。そういうものを十分加味しながら、先ほど申しましたように、やはり車を持っている人は、少なくとも車の保管場所を自分で確保するのは当然のことである、登録のときだけやって、後はもうどうでもいいというふうな形のものであってはならぬというのが、まず基本であろうと思います。それから駐車をすることで非常に交通の妨害になる、そういうふうなことは、車を持っている、運転をする者はすべきではないということにつきまして、世の一般的な批判も非常に強いものがございます。こういうふうなものを加味しながら、どういうふうな制度と運用を考えていったらいいのか。先ほど委員からお話のあったような、そういうものを念頭に置きながら、現在検討しているということでございます。
  128. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大体いつごろぐらいまでにやろうというふうに考えていらっしゃるんでしょう。
  129. 杉原正

    ○杉原政府委員 ちょっといま、まだその時期をいつまでにこうするということを、お答えできる段階ではございません。
  130. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 まあ法律一つつくるには大変だと思いますし、それぞれのいろいろの機関を経て根回しもしなければならぬ面も多いでしょうが、結局いま始まったことじゃなしに十数年来続いているわけなんです。いまだになかなか実現していないんですよね。その間、第一線の警察官に対して、どういう指導をしていらっしゃるのでしょう。車が不法駐車しておったって、ほとんど素通り。それは、何遍やっても飯の上のハエという感覚があるものだから、そういうことが非常に多いですね。ですから、そういうことをやっておるから駐車違反をする側も平気でとめる。特に住宅地では、それがはなはだしいものがあるというのですが、それはどういうふうな指導をなさっているのでしょう。
  131. 杉原正

    ○杉原政府委員 限られた人員での指導、取り締まりということでございますので、警察官が一当たりやりましても、帰ってくると、またそこにあるというようなことになりまして、やってもやってもなくならないというのが実態でございますが、これはどうすればなくなるかということが前提になるわけでございますので、その取り締まりに力を入れるということとあわせまして、やはりドライバーに対する日ごろの指導といいますか、免許の更新その他で必ず三年に一回は皆さんと相まみえるという機会もございますし、それから車を使っている企業もたくさんあるわけでございますので、これに安全運転管理者という制度がございまして、われわれこの人たちに法制上講習をするというふうな機会もございます。  大量の車に対する措置でございますので、そういう現実の取り締まりで担保する一方、いわゆる協力を仰ぐための方策というものに、どういう効果的なやり方があるのか、そういうことをあわせて考えていきたいというふうに思っております。
  132. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ある時期、それぞれの所轄の署あたりで、自発的な自治会の防犯関係とか、あるいはカークラブとか、通報していただいたら行きますよというような指導もあったのですね。ところが、いつの間にか人がかわり、そして時期がたつと、そういうことをやらない、せっかく地域で、もうこのごろ住民参加の形で地元の住民の御協力を得なければ、そういう駐車違反の摘発というのは、なかなかむずかしいと思うのです。せっかくそういう芽が生えたとしても、すぐにむしろ指導した警察側がつぶしていらっしゃることの方が多いのですね。そういう面も、やはり不信を買う大きな原因じゃないかと思うのですが、そういうことについて何か考え方をお持ちじゃないでしょうか。
  133. 杉原正

    ○杉原政府委員 先ほど申しましたように、駐車の問題というのは、単に取り締まりでやればいいということだけでなくて、先ほど話しましたように、いろいろな企業を通じて、あるいは地域の監視の目を通じて、あるいはドライバーの意識の問題を通じて改善をしていくべきものだ。ですから、先ほどお話ございましたような方策というものは、私どももう一度従来のやり方を含めて、やはり再検討してみたい。いろいろないいアイデアというものもございますし、地域的に非常に成功している例がございますので、こういうふうなものを、いま取り寄せまして、それらをもとにして、総合的にどういうやり方をしたらいいのかということを考えております。
  134. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 一つはやはり最初に申し上げました警察官の数が少ないということ、仕事の分量の多いということもまた、いまの駐車違反の取り締まりをなかなかむずかしくしている原因であることも事実だろうと思います。総合的にそういうことを考え合わせて、駐車違反というのは日常茶飯事なことなんですけれども、意外と隣同士で車を持っている者と持っていない者との衝突、地域コミュニティーの破壊にもつながりますし、先ほど申し上げました防災の面だとかいろんな面での被害は非常に大きいわけですから、いま検討していらっしゃるというのだったら、特に早い機会に改善をなさるように要望いたしまして、一応終わりたいと思います。
  135. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 次に、春田重昭君。
  136. 春田重昭

    ○春田委員 私は、最初に北海道の総合開発についてお伺いしたいと思いますが、この開発計画につきましては、第一期が昭和二十七年より始まりまして、第二期を過ぎました。さらに第三期の時代に入ったわけでございますが、この第三期計画の期間は、昭和四十六年から昭和五十五年の十カ年計画という形になっております。ことしが昭和五十二年で、いよいよ後半の年次に入ったわけでございますけれども、最初に計画の進捗状態につきまして、大臣にお伺いしたいと思います。
  137. 小川平二

    小川国務大臣 お答えいたします。  開発計画の現段階並びに進捗の状況につきまして、政府委員から答弁いたします。
  138. 黒田晃

    黒田政府委員 四十六年から第三期計画が十カ年の予定で発足をしたわけでございますけれども、四十六年の発足当時におきましては、いわゆる高度成長というような言葉であらわされております名残を経ていたわけでございますが、四十八年、四十九年という、いわゆるオイルショックといいますか、その後の経済不況というようなことで、私ども開発基盤整備というものを主体としたものを国として行い、その目的といたしましては、いわゆる工業の導入ひいては経済の発展というようなことをねらってまいったわけでございます。  しかしながら、先ほど申しましたような経済の変動によりまして、いわゆる基盤整備の公共投資というようなことも、なかなか思うように伸びが見られないわけでございます。また一方、経済の成長におきましても、なかなか所期の目的が達せられないというようなことで、現在では三期計画を見直すべきではないだろうかというようなことで、四十九年に、北海道開発審議会の方からそういう提言をいただきまして、現在新しい北海道開発計画を立てるべく検討をしておるところでございます。  したがいまして、三期計画から次の新しい計画へ移行をしていかなければならない。これは私どもといたしましては非常に残念でございますけれども、経済の変動あるいは社会情勢の変動ということで、所期の目的を十分達していないことは事実でございまして、やむを得ない点があるのじゃないかというように考えておるわけでございます。
  139. 春田重昭

    ○春田委員 見直していくという話がございましたけれども、この第三期総合開発計画では、政府の投資資金が八兆五千五百億円、民間の企業投資が約十二兆二千億円、合計二十兆七千五百億円という膨大な大型のナショナルプランであったわけでございますが、いま説明があったように、石炭産業の斜陽化、また異常寒波による農作物等の被害発生、さらに景気停滞のために企業の設備投資の意欲が非常に低下した、こうした総合的な原因がありまして、見直しの必要があるということを言われておりますが、私たち考えますと、この長期計画というものは、設定したら、それでいいというのじゃなくて、あくまでも、それを進めていかなければならない、促進していかなければいけない、このように思っているわけでございます。  したがって、こういう時期に入りまして、北海道庁におきましても、これまでの補助制度では、どうしても企業誘致はできないということで、何とか政府の方に機械関連企業の道内立地に対しまして、そういう上積みの助成制度を設けてほしいという要望があったと聞いておりますけれども、これに対して、政府はどのようにお考えになっておりますか。
  140. 黒田晃

    黒田政府委員 そういういわゆる機械工業を主体とした内陸工業、そういう非常な切実な要望につきまして、北海道庁におきましては、そういう条例を設けまして、本年度からそれを施行していくというような体制をとっておるわけでございます。
  141. 春田重昭

    ○春田委員 だから、政府としてはどう考えておるのですか。北海道はそう考えているけれども。
  142. 黒田晃

    黒田政府委員 工業の問題でございますので、私どもよりも通産省の方から御答弁いただきたいと思います。
  143. 有岡恭助

    ○有岡説明員 ただいま先生から御質問のございました企業の遠隔地立地に対してインセンティブを与えよという点につきましては、各方面から御要望をいただいております。最近の低成長下におきましては、その必要性が大きくなっているということを私どもも強く痛感しているところでございます。できるだけ早い機会に、そういった企業の誘致のインセンティブを与える必要性、あるいは、どういうふうな具体的な与え方をするかというようなことについて検討いたしたい、このように考えております。
  144. 春田重昭

    ○春田委員 その企業誘致の問題につきましては、後でまた質問をしていきたいと思いますので、ここでは省きますが、北海道の総合開発計画では第三セクターというものを加えて事業推進に当たろうということになさっていますね。民間資金を投入して官民一体として事業推進に当たる、このような考えだろうと思いますが、このように民間資金を投入するということは、民間の企業の進出意欲を高めるということで、一面では、そういう点では結構でございますけれども、第三セクターが現在北海道地区でいろいろな事業をやっておりますけれども、この事業も私の調査では、各方面に広がっておるわけでございますが、特に北海道地区に関しての事業別の第三セクターにつきまして、簡単に御説明願いたいと思うのです。
  145. 黒田晃

    黒田政府委員 第三セクターという言葉が現在使われておるわけでございますけれども、経緯は比較的新しいわけでございます。特に北海道におきまして、いわゆる官と民といいますか、公と民といいますか、というようなことで、お互いに金を出し合って計画的に事業を進めていく、そうしてその事業の計画的な整備を図っていくというようなことで、現在私どもが考えておりますのは、御存じのように苫小牧東部の会社あるいは石狩開発というようなものが、いわゆる大規模な第三セクターというようなことで現在活動をしつつあるわけでございます。  そのほかに、広義で申しますれば、熱供給公社に近いものとか、あるいは札幌市なんかでつくっております。いわゆる観光レクリエーションをやる会社とか、いろいろあるわけでございます。これは現在それぞれ事業が活動中でございまして、特に熱供給につきましては、ある程度の成果が上がっているのではないかというように考えております。
  146. 春田重昭

    ○春田委員 開発庁が第三セクターを積極的に取り入れているその理由というものは、どういうものか、またそのメリットはどういう点にあるのか、あわせて御説明願いたいと思うのです。
  147. 黒田晃

    黒田政府委員 第三セクターの性格から、おのずからわかるわけでございますけれども、一つの計画に基づきまして体系的に整備を計画的に行うことが可能である。これは、いわゆる公の分野として入ってきておるということで、その指導のもとに、やっていくことが可能であるということが第一点であります。  それから第二点といたしましては、いわゆる民のいい事業欲に対する、事業をやっていくということに対する民の利点が一つその中に入ってくるであろう。  それからもう一つは、大体そういうものは相当大きな資金が必要になってくるわけでございますし、その資金を、いわゆる官も公も当然出資はするわけでございますけれども、それ以外のいわゆる財政力といいますか、融資力、そういういわゆる民間の資金を大きく導入することが可能じゃないだろうか。  そういう官公民一体となって、一つの事業目的に向かって体系的に整備を進めて、所期の目的を達することが可能であろうという前提のもとに、スタートをしておるわけでございます。
  148. 春田重昭

    ○春田委員 具体的に言ったら、どういう恩典があるのですか。
  149. 黒田晃

    黒田政府委員 現在、第三セクターというのは、全国から申しますと非常に数が多うございます。本来、国といたしまして第三セクターをどこまでめんどうを見るべきか、そういう議論が一方あるわけでございますけれども、現在、私ども北海道について申し上げますれば、いわゆる税財政の問題、それからいわゆる用地の買収、そういう問題について私ども関係機関等にいろいろお願いいたしまして、ある程度その成果が上がってきておる。しかし、それで満足であるとは考えていないわけでございまして、今後まだそういう面において相当努力をしていかなければならない点が、多々あることは申すまでもないことだと思います。
  150. 春田重昭

    ○春田委員 いま監理官がおっしゃったように、政府として、第三セクターに対してどこまで責任を持っていくかという問題ですね。どこまで、どの範囲まで指導、助成ができるかという問題です。この点の線引きが、私が、この前説明を聞いた範囲では、ちょっとあいまいになっているわけですね。その点、明確に説明していただきたいのですけれども。
  151. 黒田晃

    黒田政府委員 制度論は別といたしまして、実際にどの程度指導をやっていくかということでございますが、一つには、大体公的あるいは国がつくりました計画に基づいてやっているのが大部分でございます。したがいまして、忠実にその計画の線に沿って目的を達するように、いわゆる行政指導を行うことができるという点が第一点だろうと思います。  それからもう一つは、第三セクターといえども、いわゆる民間会社で、株式会社でございます。したがいまして、国あるいは公というようなものは、そういう行政指導の面以外に、会社の内部の問題にまで立ち至って、これを統制していくということはできないわけでございます。したがいまして、いわゆる行政指導をいかにやっていくか。そうして秩序ある開発なり事業の進捗を図っていく。と同時にまた、その目的を所期の目的になるように合わせていく、軌道を外れないようなことをやっていく。そういうようなことが現在行われておるのではないかと思います。
  152. 春田重昭

    ○春田委員 確かに一企業でありますから、会社の内部の面まで立ち入ることはできないと思います。ただ行政指導で推進を図っていくということでございますが、たとえば一つの計画があります。その場合、その進捗状態は非常におくれているとなった場合、そちらの方で指導をやって、そして早急に進めるように、促進するようにといいますけれども、なかなかそれが進まないとなっていった場合、政府としては、どこまでそれは責任を持っていくのですか。
  153. 黒田晃

    黒田政府委員 抽象論で申し上げると、非常にわかりにくいと思いますので、具体論として申し上げるわけでございますが、たとえば現在、苫小牧東部というのが第三セクターとして国がっくりました。また当然これは地方自治体の了解を得て、いわゆる公がつくった計画でございますが、これにつきましては、いわゆる民間のやる部門と、国のやる部門、あるいは地方自治体のやる部門と、こういう三つの部門が合わさって初めて目的を達するわけでございます。それで、国あるいは地方自治体の行う部門については、できるだけその目的に沿うべく、いろいろな投資をやっておるわけでございます。  しかしながら、いろんな情勢のもとに、民で行うべきものが、いろいろネックがあって、なかなか進んでいかない。そういうような場合が想定されるわけでございますけれども、これにつきましては、いわゆる国及び地方公共団体が一体となって、そのネックを排除するように考えて、努力を現実にしておるわけでございます。しかし、その努力と申しましても、いわゆる日本あるいは世界と申しますか、そういういわゆる経済、社会情勢上、どうしても努力をしても、なかなかできないという問題も現実にあるわけでございます。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕  したがいまして、それをどうするかということでございますけれども、私どもといたしましては最大限の努力をして、そうして苫小牧東部の開発株式会社というようなものが、所期の目的を達し、最終的には工場を立地するということでございますが、企業活動ができるような体制に早く持っていかなければならない。そういうようなことで一生懸命やっておるわけでございます。  ただ、現実の問題といたしましては、先生御存じのように、当初四十六年に第三期計画がスタートいたしまして、当初から六十年代、あるいは五十年代という目標を定めてやってきておるわけでございますが、冒頭に申しましたような、いわゆる大きな経済変動というようなものによって、なかなかそういう目的がおくれておるということは否めないわけでございますが、しかし、これはあくまでも私どもといたしましては、長期的な観点に立って、そうして一日も早く、いわゆる一年でも早くと申しますか、そういうようなことで企業活動が開始できるよう、いろいろな関係機関と打ち合わせをして、最大限の努力をしておるというところでございます。
  154. 春田重昭

    ○春田委員 いま苫小牧の具体的な事例が出ましたけれども、この問題をこれから質問をしていくわけでございますが、私が心配しているのは、北海道の総合開発昭和二十六年から第一期、第二期、第三期と始まって、第三期に入ったわけでしょう。この第三期の開発の計画については、政府が責任を持っていくわけですよ。ところが、その途中から、昭和四十七年ぐらいから、第三セクターの方に移行されたわけです。  だから第三セクターの方は官民一体であって、一つの企業であるから、政府の方は関係ない。第三期総合開発については、政府は責任を持ちますけれども、第三セクターをやったのは、これは一企業の責任ですよ、ということを私は心配して聞いているわけですけれども、第三セクターに一応委嘱したけれども、石狩にしてもそうですね。そういう問題でも、最終的に責任を持っていくかどうかということを聞いているのです。
  155. 黒田晃

    黒田政府委員 それは、いわゆる公的部門がつくりました計画を会社が施行していくということでございまして、その計画がいいかどうか、また見直しを必要かどうかという問題、そういう問題につきましては、公的部門が全面的に責任を持つという考え方をしておるわけでございます。ただ、そういうように、いわゆる社会の経済情勢に合わせてやっていかなければならないということは、十分私ども承知をしておるわけでございますが、そういうようなことで、計画そのものにつきましては、公的部門が十分検討し、指導していくということになると思います。
  156. 春田重昭

    ○春田委員 最初から余り煙幕を張られたのでは質問しにくいのですけれども、責任を持っていただきたいわけでございますが、いま問題になりました北海道総合計画の中における大規模な開発プロジェクトの一つである苫小牧の東部の開発の問題がございます。  これは昭和四十七年の三月の基本計画、マスタープランでは、昭和六十年代を想定して工業開発の予想を立てております。鉄鋼で約年間二千万トン、石油精製で日量百万バレル、石油化学で年間百六十万トン、自動車で年間五十万台、非鉄で年間約百万トン、電力で約六百万キロワット、このような計画をマスタープランでは立てておりますが、この計画は現在でも生きておりますか。
  157. 黒田晃

    黒田政府委員 先ほど先生がおっしゃいました計画につきましては、三期計画をつくるときに、いわゆる六十年代という言葉を使っておりますが、六十年代では、こういうようなものを苫小牧に導入した方がいいじゃないかという前提のもとにでき上がっておるわけでございます。  しかしながら、これは先生御存じかどうか、「基本計画」ということじゃなしに、「基本計画案」という形でできておるわけでございまして、「案」をつけましたのは、これはそういう前提はあるけれども、いろいろやっておる間に、長期間かかるわけでございまして、一度にそういう目的を達しようということはできないわけでございますから、漸次それをやっていく間に、いろいろまた考え方なり、社会情勢が変わるであろう、そういうようなときには、当然それに従って変更をしていく必要があるのじゃないかというようなことで、「案」というものをわざわざつけておるわけでございます。  しかしながら、これが生きておるかということでございますが、三期計画は現在まだ生きておるわけでございまして、新しい計画ができていないわけでございます。したがいまして、新しい計画に移行するときに、どういうようにこの苫小牧東部を扱うかということは、新しい計画をスタートさせるときに、はっきりしなければならないと思っておるわけでございますが、当初の六十年代というような構想は、現在まだ生きておるといいますか、存在するということは事実だろうと思います。しかし、あくまでも、その目標を変えないというような意味での生きておるという意味ではございませんので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  158. 春田重昭

    ○春田委員 経済情勢が変われば、当然いろいろな見直しが必要であるということで、盛んに先ほどから煙幕を張られておるわけでございますけれども、案だから、これは途中で変わってもしようがないというような考え方ではいけないと思うのです。それは、そのとおりに移行するとは限りませんよ。変わる面もあるでしょう。しかし、その基本計画、マスタープランだけは、やはり最終的に持っていくという意気込みがなかったら、できないのではないかと思うのです。  そこで、六十年代のマスタープランというものが非常にむずかしいということで、これを縮小して、昭和五十三年ですか、最低これだけの企業は間に合わしたいということで、企業立地想定ということが苫小牧市議会において決議されました。この問題を知っていますね。これは政府としては了解しているのですか。
  159. 黒田晃

    黒田政府委員 先ほどのいわゆる六十年代の目標に対しまして、どういうように段階的に施行をやっていくか、実現をしていくかということにおきまして、苫小牧市が一つの計画というようなものをつくったわけでございます。これは当然市議会の了解のもとにつくっておるわけでございますが、その案につきましては、石油精製が三十万バレルとか、石油化学が一年間に四十万トンというような数字でございますけれども、この案に基づきまして、道は道において、一つのステージプランといたしまして適当であろうというような考え方を持って了承をしておるわけでございます。  それから国におきましても、全体構想の中で、五十三年を目標といたしまして、こういうようなステージプランをやるということにつきましては、その業種及び規模において適当であるというようなことで、政府機関の間でも了解がとられておるわけでございます。
  160. 春田重昭

    ○春田委員 市議会で議決されたのが昭和四十八年十一月十七日でございまして、二日後の十一月十九日、開発庁も入りまして九者連ですか、これは了承しております。したがって、この企業立地想定については、開発庁は責任を持つ必要がある。私は、このように理解しておるわけですけれども、それでいいですね。
  161. 黒田晃

    黒田政府委員 この目標につきましては、私どもも責任を持って実現をすべく努力をしております。
  162. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、縮小した計画を第一次計画と一応呼びましょう。第一次計画でございますけれども、現在原野を造成にかかっておると聞いておりますけれども、その造成は大体いつごろ完成されるのか、また、どれくらいの範囲を造成しているのか、それを具体的に説明していただきたいと思います。
  163. 黒田晃

    黒田政府委員 土地の造成につきましては、第三セクターが行うわけでございますけれども、さしあたって、先生御存じのように、三十五万キロワットの電力、それからさっき申しました石油精製、石油化学、そういうものの敷地の一部といたしまして、約三百八十ヘクタールを区画整理事業としまして、道知事の認可が、すでにおりておるわけでございまして、近く実際に現地に着手するという予定でございます。
  164. 春田重昭

    ○春田委員 着手にかかるのはいいんですが、いつごろ完成するんですか。
  165. 黒田晃

    黒田政府委員 三百八十ヘクタールの施工につきましては、これは本年からかかりまして、私どもが準備を全部整えたいと思っておりますのが、五十五年までには、いろいろな整備をしたいと思っておりますので、大体それに間に合うように、五十三年度中くらいには完成をしていきたいというように考えております。三百八十ヘクタールの分でございます。
  166. 春田重昭

    ○春田委員 造成したものを企業に分譲していくのは、大体いつごろかかるのですか。
  167. 黒田晃

    黒田政府委員 企業に分譲する場合には、企業の立地決定というようなものが必要になってくるわけでございまして、現在、それがはっきりしておりますのは、三十五万キロワットの石炭火力が、すでに決まっておるわけでございます。  そのほかの石油化学あるいは石油精製という問題がございますが、これにつきましては、できるだけ早く企業を決めてまいりたいというようなことで、現在、会社が中心になりまして、どういうような誘致を行うか、どういうような条件で行うか、あるいは、具体的には土地の価格、そういうようなことも必要になってくるわけでございますが、そういうものを検討中でございまして、そういう検討を待って、実際には各企業と、こういう条件でいかがでしょうかというような話に入ってくるわけでございまして、したがいまして、現在のところ、目標はございますけれども、いつ売り渡しをするんだということは、企業誘致をそういうような形で最大限努力した上で決まってまいるわけでございまして、私どもとしては、できるだけ五十五年までに、そういうものを完了してまいりたいというように考えておるわけです。
  168. 春田重昭

    ○春田委員 その五十五年というのは、分譲を開始したいんですか。それとも、石炭火力、石油精製へ化学、いろいろ来るでしょう、それが完成するのが五十五年という意味ですか。
  169. 黒田晃

    黒田政府委員 五十五年までに、そういうものが来た場合に、十分操業ができるような体制に持ち込みたいということでございます。五十五年度までに、そういうものが来たときに十分操業が開始できるような諸準備をしたい、そういうことでございます。
  170. 春田重昭

    ○春田委員 ちょっとそれがあいまいでわからないのですが、土地の造成は一応五十二年、五十三年、二年間で終わっちゃうわけですね。五十四年から売りにかかって——いまのところは、石炭火力だけしか来ないということです。それから、いろいろな石油精製や化学や自動車、鉄なんかも呼ぶわけでしょう。それが一切完了して、五十三年の計画で石油化学が四十万トン、それから石油精製が三十万バレル、自動車が十八万台、電力三十五万キロワット、これが完成するのが昭和五十五年ということですか。その点はっきりしてください。
  171. 黒田晃

    黒田政府委員 完了するのが五十五年という意味じゃなしに、できれば五十六年に一部煙をはかしたい。全部じゃございません、一部というようなことでございます。これが若干おくれる可能性はあろうと思います。
  172. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、苫小牧市議会で議決した五十三年のこの計画というのは、全くおくれるわけでしょう。開発庁は、先ほど責任を持ちますということだったのですが、この辺は矛盾するんじゃないですか。どうお考えになっているのですか。
  173. 黒田晃

    黒田政府委員 当初は五十三年の目標ということでございますけれども、いわゆる港湾計画を認める、あるいは需要のアセスを行うというようなことで、港湾に着手し、実際現地に着手したのは昨年でございますけれども、その時点において、すでに二年半ぐらいのおくれがあるわけでございます。したがいまして、私どもは、現在のそういう石油精製、石油化学の量については妥当であろう。したがって、この計画を変えるということはないわけでございますが、いわゆる企業が煙を吐くまでの間のおくれというようなものは、いろいろな関係で二年から三年ぐらいおくれておることは事実であろうと思います。  これがおくれた場合に、どういう影響が出るかということだろうと思いますけれども、おくれることによって、会社は金融機関から金を借りてやっておるわけでございますから、確かに金利という問題がかさんでくるということは事実でございます。これは土地価格を、いわゆる企業が誘致できるような土地価格に片方では抑えていかなければならない。これには企業の受益者負担の問題、あるいはいろいろな整備をするときの地方自治体の財政問題、そういうような問題との絡み合わせで、土地の価格というものを決めていかなければならないのではないかというように考えておるわけでございまして、その中で二、三年おくれた場合の金利の負担、これが傾向的にはふえることは間違いないわけでございますけれども、その程度の場合には、十分まだ企業を誘致し得る土地価格の範囲内に入るんじゃないかというような見当をつけておるわけでございます。
  174. 春田重昭

    ○春田委員 そういうふうに理詰めで、しゃあしゃあと説明してもだめですよ。いずれにしても、あの計画を大きく方向転換して縮小して、五十二年には、このようにやりましょうという形で進めたわけでしょう。それがさらに五十六年になる、五十七年になる、こういう形で——これは当然いろいろな問題を発生してきますよ。そういう問題は、やはり反省しなかったらだめだと思うのです。  この問題は昭和四十八年ぐらいから問題になっているわけです。土地の買収なんか、昭和四十四年ごろからやっているのでしょう。これは私は本当に調べていったわけですが、本当に大変な問題ですよ。金利だけでも相当な負担がかかっております。これは後で土地の買収の面で質問していきたいと思っておりますけれども。  いずれにしても、いま三百八十ヘクタールの造成にかかっているわけですね。これは五十三年度工業立地想定の中にも、鉄は除いていますね。それ以外の企業は、この面積で全部誘致できるようになっているのですか。
  175. 黒田晃

    黒田政府委員 鉄というのは、全体の中でございますが、さしあたって五十三年目標と称しております中には入っていない。いわゆる階段的にやっていく。将来そういうことになってくるだろうと思いますけれども、現時点では、五十三年目標の石油精製、石油化学、電力、それに関連する関連産業、そういうようなものの工場造成地の中の一部が三百八十ヘクタールということでございます。
  176. 春田重昭

    ○春田委員 一部ということですね。わかりました。  それで、企業の誘致につきましては、自動車企業の誘致もされております。昭和五十三年で十八万台になっておりますが、これはこの三百八十ヘクタールの中に入ってしまうのですか。
  177. 黒田晃

    黒田政府委員 入っておりません。
  178. 春田重昭

    ○春田委員 入ってないということは、そうしたら、さらに五十六年以降になってしまうわけですね。
  179. 黒田晃

    黒田政府委員 現在のところ、まだ自動車の進出につきましては非常に不明確な点がございます。したがいまして、そういうものが大体可能性が出てきたときに、土地造成をあわせてやっていくということでございまして、進出企業の状況等にらみ合わせながら造成をやっていくということでございます。自動車については、現在のところ見通しを持っていないわけでございます。
  180. 春田重昭

    ○春田委員 さらに六十年代の計画と五十三年の計画では、先ほど言ったように非鉄と鉄鋼が入ってないわけですね。これはどういう理由なんですか。
  181. 黒田晃

    黒田政府委員 先ほど来お話し申し上げていますように、いわゆる六十年代目標という非常に大きな目標を持っております。したがいまして、これを一時に全部やっていくというわけにはいかないということで、私どもいわゆるステージプランと呼んでおるわけでございますけれども、何年までには、どういうものをやっていこう、次にまた、どういうものをやっていこうという、段階的に仕事を進めていって、最終的には、そういうようなものに仕上げていこうということでございまして、五十三年までの目標の中には、現在そういう鉄鋼とか非鉄とかは入っていないということでございます。
  182. 春田重昭

    ○春田委員 事実としては、実際は鉄鋼の方に呼びかけたけれども、来なかったのじゃないですか。要するに、業界の読みでは、昭和六十年までの鉄鋼需要は一億七千万から八千万トンと予想しているわけですね。この数字は、いずれも既存の製鉄所の増設で十分賄えるというのですよ。またある企業では、海外に進出した方が、苫小牧よりもコスト的にも安くなるという結論を出しているところもあるのです。  こうした背景を考えたら、年次ごとに計画を立てているということでございますが、鉄鋼進出のめどは全く立たないのじゃないかと私は思うのです。この点、どうですか。
  183. 黒田晃

    黒田政府委員 全体のプロジェクトとしましては、現在その見直しをしておりますけれども、仮に鉄鋼は二千万トンという形で入るかどうかわかりませんけれども、恐らく入ってくるだろうという感じはします。  しかし、現在の大きくというような目で見ました場合に、いわゆる日本の経済は六%成長というようなことも言われておりますし、特に日本の人口の分散といいますか、いわゆる一億三千万というようなものを、どういうようにして地域が分担していくかというような問題も、一つの国の課題としてあるわけでございます。そのためには、現在のようないわゆる基幹資源型工業と申しますか、そういうようなものも、これは通産省の方が専門だと思いますけれども、ある程度ふえていかなければ、そういうような経済の発展あるいは人口の配置、ひいては国民生活の安定、そういうようなものが達せられないのじゃないだろうか。  したがって、時点は別といたしまして、そういうようなことをやるには、現在の日本の国情からいって、そうどこでもやれるというところじゃないだろう。日本におきますその有力な一つの基地として、現在の苫小牧東部が考えられるというように考えておるわけでございます。
  184. 春田重昭

    ○春田委員 通産省の方にお伺いいたしますけれども、この東部開発につきまして、鉄鋼関係の企業につきまして誘致する、そういう打診はしましたか。
  185. 有岡恭助

    ○有岡説明員 お答え申し上げます。  先ほど北海道開発庁の方から御返事がございましたように、ただいままでのところ、鉄鋼につきましては、正式に計画としてはオーソライズされておりませんものでございますから、具体的に打診するということはいたしておりません。
  186. 春田重昭

    ○春田委員 「財界展望」という本の昨年の九月号に、開発会社が打診している資料があるわけです。この中では、鉄は全く見通しがないようになっているのです。そういう事情で、先ほど言ったような既存の製鉄所で十分間に合うというわけですよ。こういうことを考えた場合、私は、この計画は、全くそこから考えなおさざるを得ないと思うのです。  たとえばA、B、C、D、E地区まで一応立てておられますけれども、特にC地区、E地区なんかは関連企業を持ってくるようになっているわけでしょう。やはり鉄鋼が来て、初めて関連企業は、そちらの方へ移行できるわけですよ。だから、いわばこの最大の目玉は鉄鋼じゃないかと思うのですね。その鉄鋼が、いま全然めどが立っていないということは、これはもう根本的に、この計画の見直しが必要になってくるわけです。こういう点、どうお考えになっていますか。
  187. 黒田晃

    黒田政府委員 鉄鋼の問題でございますけれども、当初二千万トンというのを基本計画で考えられております。五十三年度では、そういう鉄鋼をやる段階じゃないだろうというようなことで、後年度に持ち込んでおるというのが現実でございます。  鉄鋼を今後どうするかということでございますが、先ほど申し上げましたように、いわゆる鉄鋼については、先生おっしゃいますように、国内で現在の施設でいいのだ、あるいは現在の施設を増設するのでいいのだという、何か雑誌にもあるようでございますが、私どもといたしましては、やはり先ほど申しましたように、いわゆる日本の経済成長をある程度進めていくためには、将来どうしてもそういうものをつくっていかなければ経済の成長ができないのじゃないかということでございまして、一部では、そういう鉄鋼は、日本ではもう要らないのだ、すでにできておるところでいいのだ、あるいはそれを増設していけばいいのだという見方も、あるいは一部載っておるわけでございますから、あるだろうと思いますけれども、やはり日本の将来を考えますと、そういうものも増加して増産していかなければならないことは事実だろうと思うわけでございます。
  188. 春田重昭

    ○春田委員 それは政府の方の希望であって、実は苫小牧開発会社が調べたはずなんですよ。実際に調べてどれだけ、たとえば石油化学、石油精製、自動車、いろいろ打診をしているわけですよ、大体いつごろ来てくれますかと。ところが、石油精製に関しては、昭和五十五年とか五十七年とか検討中とかいう形が来ているわけです。鉄については、いま言ったような理由で全く返事がなかったわけです。ということは、政府としては来てほしいけれども、現実の鉄鋼界においては、そこまで行く必要はないと言っているのです。これは大問題ですよ。鉄が来なかったら、この計画はおじゃんですよ。その辺はどういうふうにお考えになっているのですか。また、どのような手を打っているのですか。
  189. 黒田晃

    黒田政府委員 鉄でございますけれども、会社が調べておるとおっしゃったわけでございますが、先ほど第三セクターのところでお話し申し上げたわけでございますが、現在第三セクターといたしましては、石油精製、石油化学、電力、自動車、そういうものの企業立地ができるようなものをつくっていこうというのが第三セクターでございます。会社が現在企業に当たっておりますのは、そういうような業種について、企業の進出希望あるいはいろいろな条件というようなものを当たっておるわけでございますが、鉄鋼について当たるというのは考えられないわけでございまして、私ども国といたしましては、鉄鋼が将来要るであろう、必要なときにそういうものをつくっていく、関係各省との間で将来それが必要じゃないかということが決まりますれば、その時点で、どういう鉄鋼企業が適当であるか、進出希望があるかということを当たっていく、そういうようなことになるわけでございます。  当たった結果、鉄鋼の進出希望がないじゃないかとおっしゃるわけでございますが、これは実際問題としては、そういうわけではございませんで、私どもとしては、先生のおっしゃるように、現在ではある程度鉄鋼の生産、稼働率というようなものも下がっておるわけでございますから、現時点で、そういうことを計画の中に入れていくべきじゃないのじゃないかということで、五十三年の計画から将来へ延ばしたということをしておるわけでございます。
  190. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、通産省の方にお伺いいたしますが、鉄鋼に関しましては、いま言ったような形で会社が調べた時点では、苫小牧に行く必要はないと言っているのですよ。通産省としては、それだけの需要と供給の関係で新設する必要があるかどうかということはお考えになっていますか。
  191. 有岡恭助

    ○有岡説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問の点でございますが、私どもは、会社の方が鉄鋼業界の意向を打診したというふうには報告は受けていないのでございます。といいますのは、先ほどから御説明がございましたように、政府といたしまして鉄鋼を具体的な計画の中へまだ組み込んでおりませんものですから、恐らく第三セクターである会社も、鉄鋼については打診するという段階には至っていないのではないかと思います。  ただ、先生の御質問の点でございますが、はっきり申し上げまして、こういうふうな基幹産業の需要というものにつきましては、経済成長率、需要分野の動向等が非常に複雑に関連いたしまして、長期の見通しというものは非常に立てにくいわけでございます。しかし、国民の資材の安定供給という点から考えますと、六%成長を続けますとともに、やはり相当の生産規模の拡大ということは必要であると思います。特に最近になりますと、低成長で五十年代前半というのは、余り急激な拡張はむずかしいというふうにも言われておりますが、五十年代後半には、かなりの成長がある、こういうふうに考えられますので、それの受け皿としまして、こういうふうな大規模工業基地ができるということは必要なことではないか、かように考えている次第でございます。
  192. 春田重昭

    ○春田委員 時間がありませんので……。  いずれにしても、鉄鋼が来なかったら、この計画は絵にかいたもちになると思うのですが、鉄鋼は絶対必要なんですね、その点だけ確認しておきます。
  193. 黒田晃

    黒田政府委員 現在のところは、量は別といたしまして、今後の検討にまつわけでございますが、鉄鋼は今後の日本経済として必要である、またその立地の余地としては、残された数少ない一つが苫小牧東部ではないかというふうに考えております。ただ、時期の問題については、今後の検討にゆだねなければならない点が多々あるわけでございます。
  194. 春田重昭

    ○春田委員 電力会社への融資は決定したそうでございますけれども、いつごろ運転開始なのか、それと環境アセスメントの問題はなかったのか、その点お伺いしたいと思います。
  195. 黒田晃

    黒田政府委員 電力については、燃料を石炭という前提のも一とに先般の電調審で決定をされまして、現在電気事業法に基づき北海道電力株式会社において手続中でございます。大体五十四年度中には運転を開始したいということで北電は計画をつくっておるわけでございます。  それから、アセスメントについては、これは電力ばかりではないわけでございますけれども、そういう石炭を燃焼させるというようなことで、主としていわゆるNOxがいろいろ問題になったわけでございます。北海道の方でいろいろ検討をしたわけでございますが、一昨年の十一月に、北海道で苫小牧東部の環境影響評価をつくりまして、環境庁の方に提出をしておるわけでございますが、その後私どもが中心になって関係省庁といろいろ打ち合わせをした結果、いわゆる道がつくりました環境アセスメントの範囲内に、五十三年度を目標とするプロジェクトは入る見通しありということで、合意がされておるわけでございます。  しかし、これからいろいろ事業を進めていくわけでございますが、その場合には必要に応じてそういうようなものをチェックしながら進めていって、環境に悪い影響を与えないように努力をしてまいる所存でございます。
  196. 春田重昭

    ○春田委員 時間がないから、要領よく答弁してください。  発電所の建設は、着工して完成するまでに大体どのくらいかかるのですか。
  197. 黒田晃

    黒田政府委員 ことしに着工しまして、五十四年に完成いたします。だから三年でございます。
  198. 春田重昭

    ○春田委員 さらに漁業補償の問題が、前からも地元の問題としていろいろ上がっておりましたけれども、この問題は解決したのですか。
  199. 黒田晃

    黒田政府委員 いろいろ問題がございましたが、昨年の三月に、全部完了いたしております。
  200. 春田重昭

    ○春田委員 幾らですか。
  201. 黒田晃

    黒田政府委員 現在まではっきりしておりますのは、全体で約百二十億でございます。
  202. 春田重昭

    ○春田委員 次は、土地の買収状況についてお尋ねしてまいりますが、マスタープランでは全体面積は一万二千六百五十ヘクタールということになっておりますが、この用地は、すべて買収をしていくのですか。
  203. 黒田晃

    黒田政府委員 全部買収をしてまいる予定でございます。
  204. 春田重昭

    ○春田委員 一応買収対象地は八千八百八十八ヘクタールということになっておりますが、このうち、すでに買収した用地はどれだけか、さらにその買収した用地を国有地と民有地に分けて御説明願いたいと思います。
  205. 黒田晃

    黒田政府委員 苫小牧東部全体といたしまして、面積が一万二千六百五十ヘクタールございます。そのうち、一次買収——これは一次買収という言葉を使っておりますけれども、道がすでに買収をしたところでございますが、九千八百ヘクタールでございます。一次買収が九千八百。それから埋め立てをやるところがございます。これは買収に関係ないわけでございますが、それが千六百二十ヘクタール。それから、その他といたしまして千二百三十。それを合わせまして、一万二千六百五十となるわけでございますが、そのうち、一次買収で民有地が七千五百四十六ヘクタール、国及び公有地が二千二百五十四ヘクタールでございます。  民有地のうち、いわゆる緩衝緑地というものが考えられるわけでございますから、現在いわゆる農地、牧場のようなところは、わざわざ買収しなくても緩衝緑地の役を果たすだろうということで、そういうものを除外いたしますと、買収対象面積が七千三百九十六ヘクタールでございます。そのうち、買収がすでに終わっておりますのが六千六百八十三ヘクタール。  それから国及び公有地でございますが、これは二千二百五十四ございますが、そのうち、道路とか河川とか湖沼とか、そういうものがございますから、それを除きますと、買収対象面積が一千四百九十二ヘクタールでございます。そのうち、買収済みが四十七ヘクタールということでございまして、買収対象用地の七五・七%が買収をされております。民有地だけで申し上げますと、九〇・四%が買収をされておるというのが現状でございます。
  206. 春田重昭

    ○春田委員 そういう経過は要らないですから、私の質問だけに答弁してくださいよ。  それから、買収済みの用地の六千七百三十ヘクタールのうち、北海道庁が買収した土地がどれくらいあるのか、また、そのうち、第三セクターである東部開発公社が、この北海道庁からどれだけ譲渡されているのか、その数字を御説明願いたいと思います。
  207. 黒田晃

    黒田政府委員 買収済み民有地でございますが、六千六百八十三のうち、道が買収いたしましたのは六千五百二ヘクタールでございます。そのうち、会社に引き継いだものでございますが、会社に引き継ぎましたのが五十一年末でもって三千五百五十六ヘクタールでございます。
  208. 春田重昭

    ○春田委員 数字がずいぶんちょこちょこ違いますよ。私、持っているのですから。  六千五百四十九ヘクタールでしょう。そのうちの三千五百五十六ヘクタールを、すでに譲り受けているわけですよ。とすれば、北海道庁がいま手持ちに持っているのは、差し引くと二千九百九十三ヘクタールになるわけですね。この用地は、開発公社はいつまでに譲り受けるのか、明確にしていただきたいと思います。
  209. 黒田晃

    黒田政府委員 大体現在の予定では、五十五年を考えられておるわけでございます。
  210. 春田重昭

    ○春田委員 五十五年までに譲り受けるとなっておりますけれども、開発公社の資金として十分それに対応できますか。
  211. 黒田晃

    黒田政府委員 資金の面で申し上げますと、現在収入がないわけでございますから、いわゆる融資に依存する以外にはないと思います。
  212. 春田重昭

    ○春田委員 融資でもいいから、間に合いますか。十分それだけの資金がありますか。
  213. 黒田晃

    黒田政府委員 北東公庫、いわゆる公的機関、これは私ども最大限の努力をしたいと思います。できるだけその会社が、そういう資金面で行き詰まらないように努力をしてまいりたい。それから、民間の資金でございますが、これにつきましては、会社が全精力を挙げまして努力をしておるわけでございます。
  214. 春田重昭

    ○春田委員 監理官も資料を持っておると思うのですが、昭和四十七年から五十一年度までに、北海道庁から譲渡しているわけですよ。それで、昭和四十七年に平米当たり千十九円で譲り受けているわけですね。五十一年には平米当たり千二百七十三円になっています。間違いないですね。となれば、五十二年度以降はもっと私は高くなってくるのではないかと思うのです。五十五年といったら、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年、あと四年間ですよ。大体どれくらいと見込んでいるのですか。
  215. 黒田晃

    黒田政府委員 当初千十九円、約千円でございますが、千円で会社と道との間に売買がなされておるわけでございますが、これは土地代それから金利、人件費、管理費、そのほかに緩衝緑地とか、いわゆる公的なものを道が保留しておるわけでございます。そのほかに、いわゆる受益負担と申しますか、そういうものを一部仮定して積算をして、引き継ぐ面積で割ったのが、大体こういうことでございます。  その後、面積が変わったり、いろいろしておりまして、これは最終的には精算をするということになっておりまして、当初百五十億円ぐらいだろうと言われていたわけでございますが、それが精算をすると、どれだけになるか、いまのところ、わからないわけでございますが、これは今後の売り渡す時期、それからどれだけ保留するか、緑地をどれだけ確定していくかというようなこととも関連があるわけでございまして、トータルで幾らということでございまして、毎年幾ら払っていくかということと、土地代として全部で幾ら払うかということとは若干ニュアンスが違っておりまして、こういう過程でやっておりますけれども、最後には精算をしてトータルで幾らということになっていくわけでございます。
  216. 春田重昭

    ○春田委員 トータルでそういう形になっていくわけですけれども、昭和五十五年までに、一応北海道庁から持っている二千九百九十三ヘクタールは、全部第三セクタ−である東部開発が譲り受けるわけでしょう。いま半分ぐらい譲り受けたわけですよ。ところが、まだ二千九百九十三ヘクタール残っているのですよ。大体どれくらいと金額的に算出しなかったら、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年、あと四年間ですよ。大体毎年どれくらい要ると思っているのですか。
  217. 黒田晃

    黒田政府委員 この二百円程度上がりました理由でございますが、これは……(春田委員「そういうのは聞いていないんだよ。どれくらい必要かと聞いているんだよ」と呼ぶ)大体同じでいくだろう。漁業補償が、もう済みました。これは漁業補償が行われる前に仮定した数字でございます。(春田委員「だから、大体どれくらい要るかと聞いているんだよ」と呼ぶ)約千二百七十三円というのが、大体千三百円ぐらいでいくんじゃないだろうかと思っております。
  218. 春田重昭

    ○春田委員 となれば、大体四百億円ぐらい要るのですよ。最低でも四百億円。毎年百億円ですよ。五十五年までに返せますか。基本協定を結んでいるでしょう。五十五年までに買い戻します、北海道庁から譲り受けますとなっているのですよ。いままで見ても、大体最高で四十七年で八十九億ですよ。五十一年度になったら、ぐっと下がって四十九億円しか出していないわけですよ。これが毎年均等にいっても百億円要るのです。五十五年までに買い戻しますと基本協定はなっているのですよ。開発公社には、そんな金がないですよ。できますか。
  219. 黒田晃

    黒田政府委員 これは、会社の全体の資金計画といたしまして、五十五年までに返していって、いつ今度はそれが売れるかということとあわせまして、資金計画を現在会社が持っておるわけでございます。  それじゃ金を借りられるかどうかという御質問だろうと思いますけれども、これは、私どもを初め、会社、あるいは地方公共団体一体となって借りられるよう努力をしていきたいと思っております。
  220. 春田重昭

    ○春田委員 それは売れたらいいわけですよ。結局、売れないから問題になっているわけでしょう。先ほどの話もあったように、やっと石炭火力だけ決まっただけですよ。それも、四百ヘクタールのうち、一部でしょう。一万二千のうち、約九千買っているのですよ。そのうちのやっと四百を造成にかかって、それも決まったのが、やっと石炭火力だけなんですよ。売れる見通しなんか全然ついていないじゃないですか。借入金以外にないでしょう。借入金も利子を返すだけで、自転車操業なんですよ。  したがって、これは本当に四十四年から土地を買収して、今日まで八年間たっております。当初計画としては五十三年ぐらいにやりたいと言ったけれども、それも売れないし、いろいろの経済情勢が変わったということで御説明がありますけれども、こういうように、すべてが狂ってきているわけですよね。恐らくこれは五十五年の基本協定では、北海道から譲り受けるというけれども、北海道だって、ほとんど借金で地主から土地を買っているのですよ。返せないと思いますよ、百億円ですもの。大臣、こういう実態を知っていますか。
  221. 小川平二

    小川国務大臣 経済の状況がここへ来て激変いたしておりますので、会社の経理面にも、非常に困難な問題が出てきておるということは承知いたしております。したがいまして、必要な資金を確保いたしますために、今後もあとう限りの努力をするつもりでございます。
  222. 春田重昭

    ○春田委員 大臣、そんなことで逃げたらだめですよ。四十四年から買収しているのですよ。経済の情勢が変わったのは、四十八年の石油ショックからじゃないですか。四十五年、四十六年、四十七年、四十八年、四年間は土地が遊んでいるのですよ。その分だけ金利が上がって、どぶへ捨てるようなものじゃないですか。  さらに質問を展開いたしますけれども、第一次買収対象地で約八千八百八十八あったのですね。すでに、その中で取得した土地が六千七百三十ヘクタールであるから、現在未買収地が二千百五十八ヘクタールあるわけですね。御存じですね。この未買収地につきましては、いつごろから買収の着手に入っていくのか、なぜ今日までできなかったのか、その理由を明確にしていただきたいと思います。
  223. 黒田晃

    黒田政府委員 道が、いわゆる計画的に大面積を一次買収をしたわけでございますが、残っておるのが民有地で七百十三ヘクタールあるわけでございます。これにつきましては、会社が企業の進出に合わせて土地造成をしてまいります。その必要な時期に所有者の方々とお話をして、そうして民有地の買収を今後続けていく予定でございます。
  224. 春田重昭

    ○春田委員 その民有地というのは、どれくらいあるのですか。
  225. 黒田晃

    黒田政府委員 七百十三ヘクタールでございます。
  226. 春田重昭

    ○春田委員 聞くところによると、相当に土地の値段が高騰して、こちらの方としては平米当たり千円ぐらいですか、それが向こうの方では相当高いというように聞いているわけですが、この問題につきましては、先行した土地と、後から買っていく土地のその差が、かなり大きな問題になっていくわけですね。昭和四十四年に買収した当時は、平米当たり三百五十円ぐらいだったでしょう。ところが、昭和五十一年で大体千二百円。いま聞くところによると、はっきりしませんけれども、三千円ぐらいの値段が吹っかけられていると聞いておりますけれども、昭和四十四年の十倍になってしまうわけですね。  そうしたら、昭和四十四年に、何とか公共用地のために使っていただきたいということで土地を放した地主さんたちは、全然損になってしまうわけですよ。その辺のギャップが大きな問題になってくると思いますけれども、こういう問題につつきましては、開発庁としては、どのようにお考えになっておりますか。
  227. 黒田晃

    黒田政府委員 最初に買収に四十四年からかかっておりますが、三百円程度ということでございます。現在先生御存じのように、追加買収をやるのに、いろいろトラブルが出ておるわけでございます。  それで、これは当時といたしまして、年数の差、いわゆる金利の差というものも当然ございます。そういうものはアップしても、当然バランスは崩されないだろうと思うわけでございますが、そのほかに、現在国土利用計画法に基づいて適正な価格以下でないと売買できないという一つの側面があるわけでございます。したがいまして、いわゆる適正価格以上で買収をするということは、現実問題としては非常にむずかしい問題でございます。したがって、その間の格差は、そういう金利とかいろいろなことを考えますと、国土利用計画法でもって土地価格が抑えられる限りにおいては、大きな問題は出てこないのじゃないだろうかと考えております。
  228. 春田重昭

    ○春田委員 ところが、きょうの新聞では、大阪の万博の用地買収の件で大阪地裁に地主さんが、非常に安い、大阪府の場合は平米当たり三千五百円でしか買収しなかった、本人は八千円と言っているのです。それが昭和四十三年時点の値段なんですよ。これは最終的な判決では、平米当たり七千円ぐらいは当然じゃないかという形になっているのです。その理由としては、大阪府が速やかに収用を始めれば地価高騰は防げたという形で、地裁では出ているのです。  私は、こういう問題が起こってくるのじゃないかと心配しているわけです、それだけ、おくれればおくれるほど。そういう問題も非常にありますし、これは私は何も責めているんじゃないけれども、もうちょっと気合いを入れて、この問題は取り組んでいかなかったならば、何回も言いますけれども、本当に金をどぶに捨てているようなものであって、この問題は国民の皆さんに、どのように説明していいかわからないと私は思うのです。そういう点で鋭意努力していただきたいと思うのです。  時間もなくなってまいりましたので、さらに進みますけれども、この第三セクターとして発足した苫小牧の東部開発会社でございますけれども、資本金が六十億、昭和四十七年の七月十五日設立されたと聞いておりますが、かなりいろいろな方面から借金しているのですね。北海道東北公庫からの融資も、かなりあると聞いておりますが、年次別にどれくらいあるのか御説明願いたいと思うのです。
  229. 芳賀貢

    芳賀委員長 黒田監理官、答弁を落ちついて正確にしなさい。
  230. 黒田晃

    黒田政府委員 五十一年度末でございますが、北東公庫からの借入金が、四十七年四十億、四十八年四十四億、四十九年三十五億、五十年六十三億、五十一年四十四億、合計二百二十六億でございます。これが北東公庫からの融資でございます。
  231. 春田重昭

    ○春田委員 五十一年は三十六億でしょう。
  232. 黒田晃

    黒田政府委員 融資だけですと、三十六億でございます。
  233. 春田重昭

    ○春田委員 このように二百二十四億相当の融資を受けているわけです。この利息は、一体どれくらいついているかということで私も計算したわけでございますが、黒田監理官、知っていますか。
  234. 黒田晃

    黒田政府委員 支払い利息合計で三十四億、いままで払った支払い利息は三十四億でございます。
  235. 春田重昭

    ○春田委員 ずばりそのとおりです。四十八年に三億、四十九年に六億一千五百万、五十年に十億一千万、五十一年で十五億、合計三十四億二千五百万なんです。特に一日の利子も四十八年が八十二万なんです。四十九年で百六十八万、五十年になったら二百七十七万になっているのです。さらに五十一年になったら、一日の利息が四百十一万になっているのです。三十四億二千五百万になっているのです。これは北海道東北公庫だけです。  民間の市中銀行からの借入金も合わしたら、全体でどれぐらい、この第三セクターとしての開発公社は受けているのですか、借入金は。
  236. 黒田晃

    黒田政府委員 現在の借入残高が、両方合わせまして五百二十二億でございます。
  237. 春田重昭

    ○春田委員 その利子はどれぐらいですか。
  238. 黒田晃

    黒田政府委員 百億円でございます。
  239. 春田重昭

    ○春田委員 正確に言ったら百億四千九百万になっているのですね。この数字は間違いないでしょう。
  240. 黒田晃

    黒田政府委員 いま端数が計算で若干違うように思いますけれども、百億二千二百万、私どもの試算では、そうなっております。
  241. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても大差ないですよ。
  242. 芳賀貢

    芳賀委員長 大臣に申しますが、この委員会決算委員会ですから、決算の審査を行っているわけだから、政府側の答弁中、特に数字に関する点については、正確な数字を述べなければ、これは記録に残るわけですから、でたらめな数字をあわてて述べて訂正することのないように、大臣からも注意してください。
  243. 小川平二

    小川国務大臣 正確な数字を申し上げておるわけでございます。
  244. 春田重昭

    ○春田委員 正確な数字でないのが、先ほどから何回か出ているわけですから、大臣、それは違いますよ。  さらに質問を続けます。  大臣にお尋ねしますが、企業誘致の見通しは、このように暗いわけです。私はほとんどないと言っても過言でないと思います。したがって、土地は売れないわけです。ところが市中銀行や北東公庫からの融資、借入金は受け入れる、当然利子がついていくという形で、新たに借入金を受け入れると、それは利子だけでいっぱいなんです。いわば自転車操業みたいなものなんですね。したがって、こういう状態が続いていることは、先ほどから何回も言っているように、本当にどぶに金を捨てるのと一緒である。この金は国民の税金でしょう。この責任は非常に重大だと私は思うのです。大臣も、この事実は知っておられると思いますけれども、北海道は本当に内地より非常におくれている面がありますので、力を入れなければなりませんけれども、計画と実行が全然かけ離れているわけです。現実、このように百億円の金がいまでも水泡に帰していっておるわけです。  こういう問題をさらに細かく見詰めて、この計画は見直していくべき必要があるのではないかと私は思います。早急な対策を練っていく必要があるのではなかろうかと思うのですね。たとえば、もっと金利を下げるとか、それから先ほど言った北海道については、五十五年までに全部譲渡すると言うけれども、それは無理でしょう。したがって、市中銀行の返還も聞くところによると、五十六年ぐらいまでに返還しなければならないとなっているわけですね。それをさらに延長するとか、いろいろな方法を考えていかなかったら、この計画は空中分解です。大臣としては、この計画につきまして、どのような御決意を持って当たるのか、最後にお尋ねしたいと思います。
  245. 小川平二

    小川国務大臣 現在、政府は不況の克服、経済の安定ということに全力を傾注いたしておるわけでございます。私は必ず遠からざる将来に、国の経済が安定成長の軌道に乗ると信じておるわけでございますが、安定成長の軌道に乗りました際にも、なおかつ、経済は六%の成長を遂げていかなければならない。鉄鋼のお話も出ておりますが、いわゆる基幹資源型産業につきましても、一定水準の伸びを期待していかざるを得ないと考えております。  鉄鋼業界は、いまの時点で設備の増強は必要ないという判断を、あるいは持っておるかもしれない、苫小牧に立地することに対して、はなはだ積極的でないかもしれない、これは聞いてみないのでわかりませんけれども、しかし長い目で見ました場合に、鉄鋼だけではなく、基幹資源型産業を立地せしめるために苫小牧というところは、きわめて限られた適地の一つだと信じておるわけでございます。これは国の計画にのっとって策定をした計画でありますし、まとまった公的な資金もつぎ込んでおるわけでございますから、最終的には必ず政府が責任を持たなければならない計画だと考えております。  かような経済の状況でございますので、五十三年を目標にしておる第一段階の計画がおくれておることは否定できない事実でございます。それに伴いまして、先ほどから御指摘がございましたような、いろいろな困難が出てきておるわけでございます。私どもは、あくまでこの計画を完遂しなければならない。そこで港湾とか先行的に整備をしなければならないもろもろの施設については、これから先も大いに努力して整備を急いでまいるとともに、企業の立地ということも極力促進をしてまいりたいと考えております。  先ほど来、いろいろ御指摘をいただきました趣旨は十分理解できますので、これを反省のよすが、貴重な参考として考えまして、今後鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
  246. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても、もう一回見直してやっていただきたい。こういう問題が起これば、当然開発庁の存在そのものが必要ないのではなかろうかという論議だって出てくるわけです。先ほど原先生からも、そういう質問がありましたし、私はそこまで言いませんけれども、どうか開発庁が先頭に立って、この問題について努力していただきたい。  ただ、この苫小牧東部開発の問題だけでなくして、石狩新港の地域開発の問題でも、こういう似たケースがあるわけです。そういう面で、非常に少ない人員で大変だと思いますけれども、どうかひとつ鋭意努力して所期の目的を達するように、早急に見直しをした計画を出すようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続いて、娯楽施設利用税についてお尋ねしたいと思います。  この娯楽施設利用税については、ほとんど道府県の財源になっているわけです。そのうち、ゴルフ場だけは市町村へ二分の一交付するようになっておりますが、従来ゴルフ場の定義は九ホールで、しかもホールの間隔が百五十メートル以上なかったら、ゴルフ場と定義しない。それ以下だったら、ゴルフ場に類する施設という形で処理されておりまして、交付金がなかったわけでございますが、要望がありまして、やっとこの四月一日より、ホール数が十八あって、面積が十万平米以上あったならば、たとえ百五十メートル以下でも百メートル以上あったら、市町村交付しようという形になったと思います。  これは、いろいろな市町村からの要望で、こういう形になったと思うのですが、そこで、全国で何カ所ぐらい、この法改正によって適用されるゴルフ場ができたかということがわかれば御説明願いたいと思うのです。
  247. 森岡敞

    ○森岡政府委員 最終的に若干異動があるかもしれませんが、現段階で調査いたしましたところでは、改正によって新たに交付金の対象になるのが六カ所というふうに見ております。
  248. 春田重昭

    ○春田委員 大阪だけでも、先ほどの百五十メートルの間隔がなくて百二十メートル、百三十メートルというようなホール間隔のところが十六カ所あるのです。というのは、パブリックコースを設けることによって大衆を呼ぼう、そういう形でパブリックコースを設けたがゆえに、ホール間隔が百五十メートル以下になってしまった。したがって交付金が落ちないという現象が起きまして、一方、地元の負担は非常に大きい。下水にしても、交通安全対策にしても、全部市町村がやるわけでしょう。そういう問題が出てきて、こういう改正になったのですけれども、全国で対象のゴルフ場が六カ所しかないというのは、まだまだ検討する余地があるのじゃなかろうかと思うのですよ。  そういう点では、県も鋭意また検討していただきたいと思うのですが、さらに、パチンコ屋、マージャン屋、ボーリング、また射的、玉突き場、このゴルフ場以外の利用税というのは、全部都道府県の方へ吸い上げるようになっていますね。これも先ほど言ったと同じような理由で、地元の行政サービスは全部市町村がやっていくわけですよ。下水にしても、消防の問題にしても、排水にしても、いろいろな問題がある。こういう点で、都道府県で吸い上げているこの娯楽施設利用税を、何とかゴルフ場並みの二分の一ぐらいにしてほしいというのが市町村の望み、考え方なんですよ。この点どうですか。
  249. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先生御承知のように現在は、地方に対する税源の付与は、県も市町村も独立税主義をとっております。いわゆる付加税という形をとっております。これは自主性尊重ということでやっておるわけです。  そこで特定のものにつきまして、地元で財政需要を大変出しておるとか、あるいは土地利用を制約しておるとか、ゴルフ場というのは、まさにその端的な例でございますね。そういうものにつきましては、一部交付金という形で県から市町村に出す。しかし、独立税の付与のたてまえをとっております以上は、あらゆる税について地元に一定の交付金という形で県税から振り分けていくということは、たてまえとしておかしいのじゃないか。やはり、いま申しましたような特殊な要因のあるものに限定せざるを得ないのではないか。  そうなりますと、たとえば料飲税も同じではないかというふうな話になってまいりますし、市町村としては財政事情があることは御指摘のとおりでございますけれども、市町村財源増強は別途考えていくということの方が適切ではないかというふうに考えております。
  250. 春田重昭

    ○春田委員 時間が参りましたので、要点だけ。  次に、警察庁の方にお尋ねいたしますが、いまの自動販売機の中で問題になっているポルノ雑誌等の自動販売機、これによって非行化されている少年が非常に多いと聞いております。この問題にどういうふうに対処していっているのか。  それからさらに、スロットマシーンやルーレット等のギャンブルマシーンというのがあります。これは普通の喫茶店等にも置いているわけですよ。この問題につきまして、どういう取り締まりをやっているのか。  この二点を、あわせて御答弁願いたいと思います。
  251. 吉田六郎

    吉田(六)政府委員 自動販売機の取り締まりについてでございますが、これは、これというはっきりした法律の根拠がございません。ただ、私どもとしましては、自動販売機で売られるポルノ雑誌、これがわいせつ罪に該当すれば厳しく取り締まる。  ところが、わいせつ罪に該当しないけれども、青少年に大変有害な影響を及ぼすというものが実は問題であるわけでございまして、しかも昨年の八月の調査と、それからことしの三月の調査を比べますと、自動販売機が約四〇%ぐらいふえているというような実情にかんがみまして、地域団体、つまり婦人団体とか防犯団体、そういうところと提携いたしまして、そういうのを通学路に設置した場合に、できる限り撤去してもらうとかいうような運動を起こしておるわけでございます。  なお、こういう問題が各府県で問題化してまいりましたので、都道府県の青少年育成条例によりまして、有害指定をされたポルノ雑誌というものについては、自動販売機で売ってはならないというような条例が、最近整備されつつございます。これは現在六県ございます。できるだけそういう輪を広げていきたいというのが私どもの考えでございますが、あくまでも、わいせつ罪に該当するものについては、今後も厳しく取り締まってまいりたい、かように考えております。  それから、ギャンブルでございますが、これも最近非常に多くふえてきつつございます。これのゲームマシーンのいわゆるゲームセンター、これは風俗営業ではございません。商品とかえるというようなことはございませんので、風営法の取り締まり上の対象にはなりませんけれども、ただ、換金行為が行われるということであれば、これは賭博罪として検挙するということにいたしております。  問題は、これらのゲームマシーンが喫茶店とか、あるいは食堂とか、あるいはその他ホテルとか、そういうところで一台あるいは二台というようなことで設けられて、ひそかに賭博的行為が行われているというものが、だんだんふえてきております。これは、かなり取り締まりがむずかしい面もございますけれども、こういうものが蔓延しては風俗、環境を大変乱すということになりますので、全国的に強い取り締まり姿勢をもって対処しているところでございます。
  252. 春田重昭

    ○春田委員 時間が参りましたので、最後に要望だけ言っておきます。  いずれにしても、青少年白書によりますと、青少年の犯罪も非常に多岐にわたりまして、特にその中でも、性犯罪がふえていると書いてありますし、特に女子学生の売春等が問題になっておりますので、その大きな一因となっている自動販売機につきましては、警察にとどまらず学校方面、それからPTA、自治会、各方面に輪を広げて、その対策を練っていただきたい、このように望む次第でございます。  さらに、ギャンブルマシーンも、確かに換金しなかったり商品化しなかった場合は、賭博行為にならないわけでございまして、その場合はいいわけでございますが、もう事実換金したり景品を出しているところは、至るところにあるわけですよ。  私の近くでも喫茶店で堂々とやっておりまして、一台か二台ぐらいだったら、警察の方でも、そうやいやい言わないのですよ、ゲームセンターとかコーナーとか、そういうところが取り締まられるのであって、私ら喫茶店の一台ぐらいは、どうもありませんということを聞いておりまして、そういう点では、もうちょっと法改正をもやりながら厳しくやっていただきたい。このように要望して、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  253. 芳賀貢

    芳賀委員 安藤厳君。
  254. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、上水道事業に対する国庫補助改善の問題について、お尋ねをしたいと思います。  上水道事業の問題では、特に水源開発、それから水道施設の充実、これに相当多額の費用がかかるということは御承知のとおりだと思うのですが、このはね返りが高料金ということになって、国民あるいは住民にはね返っていくという点は、重大だと思うのです。  それで、多くの地方自治体あるいは水道事業の団体等から、国からの補助率のアップを要請する声が相当強いということも御存じだろうと思うのですが、この上水道事業についての補助の関係は、主務官庁は厚生省でございますけれども、地方財政の危機の中で、地方自治体の財源に対する補助という意味もありまして、それから住民の生活を守るという意味もございますので、補助率のアップという点について、これは実は五十一年度に三分の一から二分の一というふうに上げられたばかりでございますけれども、まだこの要望が非常に強いわけですね。  そういう点で、自治大臣として、この補助率のアップという点について、相当強く御努力を願いたいと思うのですが、その御努力をしていただけるかどうかという点について、一言お答えいただきたいと思います。
  255. 小川平二

    小川国務大臣 仰せのとおり水道、水源の開発ということはきわめて大事な問題でございますから、これまたお言葉にございましたように、昭和五十一年度補助率を二分の一に引き上げるということを含めまして、補助体系の改善を図ったわけでございます。  これからも水道企業の経営の基盤を強めていく、そうして生活用水の確保を図っていかなければなりませんので、御発言の点につきましては、今後も厚生省と十分協議を遂げてまいりたいと思っております。
  256. 安藤巖

    ○安藤委員 いま自治大臣から御答弁をいただいたのですが、そこで厚生省にお尋ねしたいのです。  同じ質問になるわけですけれども、この補助の関係につきましては、水道事業債、いわゆる起債でございますね、この起債の利率を引き下げてほしい、あるいは償還の期限を延ばしてほしいという要望もあわせて強いわけですけれども、厚生省の方としては、基本的な方向として、この事業債の方の利率、あるいは償還期限の問題で、その方向に力を入れていかれるのか、あるいは補助率のアップというようなことで、上水道事業の充実を図っていきたいというようなお考えなのか、あるいはいままでどおり、これを双方併用してやっていこうというお考えなのか、その辺のことだけお伺いしたいと思うのです。
  257. 山村勝美

    ○山村説明員 現在、水道事業がダムの建設でありますとか、いろいろなパイプの敷設等を行っております財源の主たるものは起債でございます。五十二年度で申し上げますと、七千百五十億は起債、それから国費が水資源公団分等含めまして、七百七十億余りでございまして、全体の資金から言いますと、起債が圧倒的に大きいウエートを占めております。  どちらにウエートを置いていくのか、良質の起債を確保することにウエートを置くのか、あるいは国庫補助を厚くしていくのかという御質問でございますが、いずれもきわめて重要な課題でございまして、両方とも、できれば順次良質のものに改善していく、あるいは補助内容についても改善に努力するという姿勢をもって臨んでいきたいというふうに考えております。
  258. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、従来どおりの方針でやっていくというふうに伺ってよろしいかと思うのですが、補助金の方を強化する方が効果的だというふうな議論も聞いたことがあるのですけれども、そういうような点について検討なさったことはないのでしょうか。
  259. 山村勝美

    ○山村説明員 御案内のとおりだと思いますが、現在、水道に関します国庫補助制度といいますのは、ダムの建設及び県営でありますとか、数市町村共同でやっております広域水道といった、いわゆる基幹的な施設について国庫補助をしておるわけでございまして、その範囲においては、それだけ手厚くすれば、ぐっと改善されるわけですが、むしろ一般の水道事業の方が、事業の量としましては多いわけでございまして、それがほとんどが起債実施されておるということでございますので、やはり総合的に財源の内容改善ということには常に配慮をしていく必要があるというふうに考えております。
  260. 安藤巖

    ○安藤委員 それでは、次に高料金対策の問題についてお尋ねしたいのですが、現在、自治省実施しておられる高料金の対策の問題につきましては、「昭和五十一年度上水道事業高料金対策実施細目」というのがございまして、これは三つあるわけですが、これは御承知だから申し上げなくてもいいと思うのですが、質問の都合上、ちょっと言わしていただきますと、一つは「一立方メートル当り家庭用料金が七十五円以上であること。」それから二番目が「前年度の有収水量一立方メートル当りの給水原価が八十円以上であること。」それから「前年度の有収水量一立方メートル当りの資本費が二十五円以上であること。」そして、これについて国は特別交付税で二分の一を措置するということになっているわけですね。  この三つの条件のすべてが該当してない限り、このような特別交付金の特別な対策はとらないというふうに伺っておるのですけれども、たとえば、最初に言いました「家庭用料金が七十五円以上であること。」というのが一円安くて七十四円だというような場合でも、やはりこれはしゃくし定規に当てはめて、特別交付金の対象にしないというようなきちっとしたお考えなのかどうかという点はどうでしょうか。
  261. 塩田章

    ○塩田政府委員 内容は、いまお話があったとおりでございますが、ちょっと補足させていただきますと、繰り出し額の二分の一じゃなくて、三分の二を現在見ております。そのほかは、いまお話しになったとおりでございます。  それで、いま七十五円以上の家庭用料金の場合に、七十四円あるいはちょっと足らぬ場合にどうかということでございますが、これはどのような制度をとりましても、常に起こる問題でございますが、私ども少なくとも、いまの時点では、この決めました線で実施いたしております。
  262. 安藤巖

    ○安藤委員 私が、いまのような質問をしましたのは、たとえば松江市の場合なんですけれども、松江市当局は、家庭用の料金を低く抑えようということで非常に努力をしておるわけですが、その結果、たくさん使えば料金が上がるという、いわゆる逓増のシステムになっておるわけですね。だから、この傾斜が相当急になっている。そのように急にして、大口の利用者に対しては、ある程度の高い料金を払ってもらおう、しかし小口の家庭用には、低い料金で抑えているというようなことをやっているのですけれども、これは料金が一番高いと言われている長崎市の場合よりも、松江市の方がこの傾斜の度が強いということらしいのですが、そういたしますと矛盾を感ずるわけですね。  一般家庭に低い料金で上水道を供給しようというふうに努力した結果、先ほど申し上げましたような七十五円に満たなくて、松江市の場合は六十六円でございますけれども、そういうようなことになっている。そうすると、かえって特別交付税の関係の先ほどのような措置がとってもらえない。それでは、その傾斜を緩くして、家庭用の料金も、これに該当するように七十五円まで持っていこうかということになると、大口の方が少し傾斜が緩くなるわけですから、下がるわけですね。そうすると、この特別交付税の特別な措置をとってもらうということが、かえって大口需要者の料金を引き下げることにもなってしまうのではないかという矛盾を感ずるものですから、お尋ねしたのですけれどもね。  そこで松江市の場合は、そういうような一般家庭の水道料金をいかにして低く抑え込んでいるかというその努力、その内容、それからいま言いましたような急な傾斜、そういうようなことも総合的に見てほしいということを強く要望しておられるのですが、そういう点について、総合的に見よちというようなお考えは全くないのでしょうか。
  263. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま松江市の具体的なお話、あるいは長崎市等のお話も出てまいったわけですが、いまもお話にございましたように、料金体系は千差万別でございます。いまのカーブにしましても、それぞれ違いますし、一言でなかなか申し上げにくいのですが、そういうようなことも私どもとしましては十分勘案をしまして、先ほど申し上げました三つの基準を出しておるつもりでございます。いまの時点で、いろいろな団体のいろいろなやり方がございますが、そういうものを勘案しまして、この三つの基準が、いまのところ客観的に見ていいのではなかろうかというふうな判断をしてつくった基準でございまして、どういう基準をとりましても、境目のケースというのは必ず起こるわけですけれども、一応私どもはこれでやっていってよろしいんじゃないか。  それから松江市の場合、おっしゃいましたような傾斜をとっておりますけれども、同時にまた、松江市に限りません、これはどこの団体でもそうですか、高料金になっていく場合の原因、その中身ですね。給水の単価が何ぼ、それに対する供給の単価がどうなっている、その中身はどうなんだという分析も、一方ではしていかなければならぬだろうと思います。  そういうことをいろいろ考えてやっておりまして、そういう意味で、私どもは総合的に考えてやっていくべきものだというふうに考えているわけでございます。
  264. 安藤巖

    ○安藤委員 総合的に考えていかれるための一つの基準が、先ほど私が申し上げ、御答弁いただいたことになっているのだと思うのですけれども、具体的にどういうようないきさつで、そういう料金になっているか。いま私が言いましたような松江市の努力、そういう点を一遍、全部というわけにはまいらぬかと思いますけれども、直接自治省として事情を聞いてみようというようなことは、お考えになっておられないのかどうかという、どうでしょう。
  265. 塩田章

    ○塩田政府委員 全国千七百ばかりの上水道事業がございまして、私どもは一応規模別、類型別につくっておりまして、その決算統計によりまして、大体類型的には、このぐらいの規模の場合は、どういう形だというのは掌握しておるつもりでございます。  そういうことで、別に特段個々のどの市をピックアップして見てみるというようなことはやったことはございませんけれども、もちろん必要があれば、そういうことを行うのにやぶさかではございませんが、一応私どもは決算統計によりまして、類型別に分析をしながら、その辺が適当じゃないかという数字を見ておるということでございます。
  266. 安藤巖

    ○安藤委員 次に、上水道の給水区域、これは自治体が計画を立てて、厚生省へ申請をして認可を受けるという手続になっているようですけれども、給水区域ということになっておっても、上水道の給水を受けられない、そういうような地域があるわけです。その原因が、計画は立てたけれども、標高差が相当あって高い、家屋が点在しておる、水道管を相当長く延々とあっちこっち引っ張らなければならぬというようなことで、とてもじゃないが、相当多額の経費がかかる。だから、これはある程度時期をずらしても、なかなか実現ができないというようなことです。しかし、住民の方にとってみれば、たまったものじゃないわけです。地方自治体としても、そういうような状況で、とても採算に合わない。とにかく経営の中に取り込むことができないというような場合に、特別な措置をおとりになるということはお考えになっていないのかどうか。  たとえばこれも松江市の関係で言いますと、忌部地区というのですが、ここは三百八十一世帯、千六百八十八人、これは相当高い台地のようなところに点在しているわけですね。それからまた、逆に非常に低いところで持田地区というのがあるのです。ここは七百四十世帯、二千五百四十九人の人が住んでいるわけですけれども、ずっと低地なものですから、途中で水を取られちゃって、もう一遍圧力を加えないと水が行かないというところなんです。そういうようなことなので、現実の問題としては水道管を引っ張っていないわけです。しかし、それが給水区域になっているわけです。しかし、水は行っていない。こういうようなところも、あちこちにあるのじゃないかと思うのですけれども、それに対して、先ほど御質問いたしましたような趣旨で、特別な措置をおとりになるお考えはないのかどうか、お伺いします。
  267. 塩田章

    ○塩田政府委員 お話しのようなケースは、松江市に限らず、あちこちにあろうかと思います。基幹的な施設がすでにでき上がっておって、その区域をさらに広げていくという場合に、大なり小なり必ず起こる問題でございまして、後から追加すればするほど地理的条件はよくない。したがって建設単価はかさんでくるというケースはどこにもたくさんある。松江の場合は、私は現地は承知しておりませんけれども、恐らく同じような事情ではなかろうかと思います。  そういう場合、給水区域の認可等は厚生省の所管でございますが、厚生省でごらんになった場合に、給水区域に入れておられるということですから、それは当然計画実施を前提で区域に入っておる地区だろうと思います。そういうことであれば、いずれはそういうふうになって工事も進んでいくのだろうと思いますけれども、現在の時点での事情は、私ども余りよくわかりませんけれども、一般的な考え方としまして、そういうことで従前の施設があって、それに追加していくという場合には、従前の施設と一緒になった運営になっていきますものですから、特別の国の方の補助もございませんけれども、私どもの方の措置といたしましても特別なことはいたしておりません。  ただ、それが、要するにウエートにもよりますけれども、全体の高料金になってくるということは非常に多いので、全体の高料金になってくるという事態があれば、それは別途の高料金の対策の方にかかってくるということになってくるわけでございまして、いまある地区に延ばしていく、そこに経費がかかるから、その経費を何とかというような形の決め方は、現在のところいたしておりません。
  268. 安藤巖

    ○安藤委員 なかなか冷たい御答弁をいただいたのであれですが、いまおっしゃったようなことで、そういうところへも配水管を引いて、あるいは特別圧力のポンプを幾つも設置するとかということになると、設備費に相当な金がかかるわけです。それがおっしゃったように高料金ということで、ほかの利用者のところへもはね返っていくわけですね。だから地方自治体としても、そういうようなことはなかなかやりにくいのじゃないかと思うのです。だから、その辺のところを自治省として大所高所から見て、もちろん事情を詳細にお聞きになって、調査もされた上でなければならぬと思いますけれども、なるほどそういう事情なら、特別な配慮をしようというような積極的な御配慮をしていただけないものかと思うのですが、いかがでしょうか。
  269. 塩田章

    ○塩田政府委員 非常に微妙な問題といいますか、よくあるケースでございまして、一つは、いまの国の方の補助の関係でそういうことが考えられるかどうか、そういうケースに対策があるかどうかという問題これは厚生省の方にもいろいろ御検討をお願いしなければならぬ問題だと思います。私どもの方といたしましては、少なくともいまの時点では先ほど申し上げたようなことで、高料金対策にまでなってきた場合に、一応の手当てがあるということでございます。  そこで、それ以上いまのところはないわけですけれども、個々の団体の事情、財政状況その他によって特別交付税等の段階で御相談があれば、承って検討させていただきたいと思いますけれども、一般的にこういうふうにするというような段階には、いまのところないわけでございます。
  270. 安藤巖

    ○安藤委員 それでは、もう一つの点についてお尋ねしたいのですが、異常渇水、たとえば昭和四十八年でしたか、ほとんど全国的に異常渇水の事態が発生したわけなんですけれども、こういう場合に、たとえばポンプ車をたくさん出動させたとかということで、特別臨時の出費を必要とするという場合があるわけですね。そういう場合に、異常な臨時の出費に対して国の方から特別に——特別交付税ということになろうかと思うのですけれども、そういう応急手当てをするというようなことはやっておられるのでしょうか。
  271. 塩田章

    ○塩田政府委員 異常渇水に限りませんけれども、そういう災害その他の異常渇水等、特殊な事情で特殊な出費が要ったという場合には、交付税の際に当然に対象に考えます。
  272. 安藤巖

    ○安藤委員 そうすると、そういう場合は、その異常の程度に応じて特別交付税の方でお考えいただけるというふうに伺っていいわけですね。  いまのお話の中にもちょっとあったのですけれども、これは一つの災害じゃないかというふうに思うのです。だから普通の地震とか台風とか風水害等々の災害をこうむって都市なり地域なりが破壊されて、それを復旧するための事業ということにはなりませんけれども、その概念にははまりませんけれども、そういう異常渇水というようなことで、たとえば四十八年のときは、松江市の場合は百三十四日間、第一次から第三次までの給水制限をやっておるのです。第三次になりますと、午前中は一時間しか給水しないのです。それから午後も一時間。ほかの時間は減圧というようなことで相当厳しいわけですね。  だから特別交付税ということで御配慮いただくということはいいのですが、さらに、いま言いましたように災害復旧の概念には、ぴたりと当てはまらないと思いますけれども、それに準ずるような考え方で特別な配慮をしていただくというようなことは、まあ前向きに考えていただくということですが、そういうことはできないものでしょうか、どうでしょうか。
  273. 塩田章

    ○塩田政府委員 これも大変微妙な問題でございまして、先ほど申し上げましたように、特別にかかった出費の方は現在でも見ておるわけでございます。逆に、いまのお話のように、入るべき収入が入らないといいますか、もともと水を供給しないわけですから、料金として入ってこない、そういう形のものも広い意味では、災害に関連して出てくるわけでございますが、いままでのところ、そういう入る収入が得られなかったということにつきましては、特別交付税で見たことはないと思います。  したがいまして、いまお話しのようなケースにつきましては、そういう具体のケースのときに個個に検討させていただく、こういうことになろうかと思います。
  274. 安藤巖

    ○安藤委員 いや、いま私がお尋ねしているのは、給水制限をしたので、その結果、水道料金が入らなくなった、だから、それが損害というようなことで特別な対策をということを申し上げているわけではないのです。ただ、災害復旧事業というふうに位置づけていただくということになれば、一般会計からの繰り入れがスムーズにいくわけでしょう。だから、そういうようなことで御配慮をいただくことはできないのかどうかということをお尋ねしているのです。  それは特別交付税の、いまおっしゃったような個々具体的に特別な出費を手当てするということで、もう十分いけるというふうに考えておられるということですね。
  275. 塩田章

    ○塩田政府委員 ちょっと、よくお尋ねの趣旨がわからなくて失礼いたしました。  いわゆる災害事業じゃないけれども、災害復旧と同じような意味で経費がかかった、それはもちろん特別交付税の場合に考慮します。
  276. 安藤巖

    ○安藤委員 終わります。
  277. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、明二十八日木曜日、午前九時三十分理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会