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1977-04-22 第80回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十二日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 原   茂君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 林  孝矩君       井出一太郎君    宇野  亨君       染谷  誠君    津島 雄二君       野田 卯一君    村上  勇君       高田 富之君    馬場猪太郎君       春田 重昭君    荒木  宏君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業大臣官         房会計課長   小長 啓一君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         中小企業庁計画         部長      児玉 清隆君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  柳館  栄君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政課長     吉岡 博之君         科学技術庁長官         官房参事官   石渡 鷹雄君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         大蔵省銀行局総         務課長     宮本 保孝君         国税庁調査査察         部調査課長   小野 博義君         中小企業庁計画         部計画課長   安田 佳三君         消防庁危険物規         制課長     矢筈野義郎君         会計検査院事務         総局第四局長  松田 賢一君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         中小企業金融公         庫総裁     渡辺 佳英君         中小企業信用保         険公庫理事   上国料 巽君         参  考  人         (日本沙漠開発         協会専務理事) 山口 仁秋君         参  考  人         (アジア経済研         究所理事)   梶田  勝君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     安藤  巖君     ————————————— 四月二十一日  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十九年度政府関係機関決算書  昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (通商産業省所管中小企業金融公庫中小企  業信用保険公庫)      ————◇—————
  2. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 これより会議を開きます。  昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本沙漠開発協会専務理事山口仁秋君及びアジア経済研究所理事梶田勝君の出席を求め、意見聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取委員質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 それでは、まず、通商産業大臣から概要説明を求めます。田中通商産業大臣
  5. 田中龍夫

    田中国務大臣 昭和四十九年度通商産業省所管歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして御説明をいたします。  通商産業省主管歳入予算額は二十九億四百十四万円余でありますが、収納済歳入額は三十一億三百三十七万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと、一億九千九百二十三万円余の増加と相なっております。  これは、試験研究所におきます国有特許権の実施による収入が予定より多かったこと等によるものであります。  次に、通商産業省所管歳出につきましては、当初予算額は二千五百五十二億一千四百四十九万円余でありますが、予算補正追加額百四十八億八百九十三万円余、予算補正修正減少額十六億二千三百七十一万円余、総理府等省庁所管からの移しかえを受けた額百十四億四百八十一万円、前年度からの繰越額二百八十三億四千二百四十五万円余、予備費使用額十三億九千八百九十九万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は三千九十五億四千五百九十七万円余と相なっております。  これに対しまして、支出済歳出額は二千七百五十六億二千八百三十九万円余でありまして、その主なものといたしましては、中小企業対策費八百一億六千七百九十八万円余、科学技術振興費五百九十五億八千七十七万円余、経済協力費六十七億四千五百四十万円余、公共事業費二百八十五億四百五十三万円余、等と相なっております。  この支出済歳出額歳出予算現額との差額は三百三十九億一千七百五十八万円余と相なっております。その差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は二百五十九億一千四十二万円余でありまして、不用と相なりました額は八十億七百十五万円余と相なっております。  次に、通商産業省所管の各特別会計決算について御説明をいたします。  第一に、電源開発促進対策特別会計であります。  収納済歳入額は百十六億二百九十三万円余、支出済歳出額は十三億五千四百九十三万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は百二億四千八百万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は七十六億六千五百四十六万円余、剰余金は二十五億八千二百五十三万円余と相なっております。  第二に、石炭及び石油対策特別会計であります。まず、石炭勘定であります。  収納済歳入額は一千二百九十九億七千八百八十一万円余、支出済歳出額は一千十六億八千七百二十二万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は二百八十二億九千百五十八万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は百十四億三千九百六十万円余、剰余金は百六十八億五千百九十七万円余と相なっております。  次に、石油勘定であります。  収納済歳入額は三百七十三億四千二百六十七万円余、支出済歳出額は三百十二億六千七百十九万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は六十億七千五百四十七万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は十八億二千五百九十九万円余、剰余金は四十二億四千九百四十七万円余と相なっております。  第三に、アルコール専売事業特別会計であります。  収納済歳入額は百四十五億百七十四万円余、支出済歳出額は百四十五億五千六百七十万円余であります。  この会計損益計算上の利益は八億一千四百五十万円余と相なっておりますが、その全額固有資本増加に充てることといたしました。  第四に、輸出保険特別会計であります。  収納済歳入額は六百四十三億八千五百七十四万円余、支出済歳出額は七十六億七千百七十一万円余であります。  第五に、機械類信用保険特別会計であります。  収納済歳入額は二十四億五千三百六十二万円余、支出済歳出額は四億三百一万円余であります。  なお、一般会計及び特別会計事業の詳細につきましては、お手元にお配りをいたしております「通商産業省所管昭和四十九年度歳入歳出決算概要説明書」に記述してありますので、ごらんいただきたいと存じます。  最後に、四十九年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。  今回、不当事項として指摘を受けましたものは、中小企業設備近代化補助金財源とする都県貸付金運営が当を得ないもの四件であります。  この指摘事項につきましては、直ちに返還を命じまして、すでに都県特別会計収納済みであります。  今後は、この種の事態の発生を未然に防止するために、より一層の指導、監督等を行い、かかる事態の絶滅に努力をいたす所存でございます。  以上をもちまして、昭和四十九年度における通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わります。  何とぞ、よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
  6. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めます。松田会計検査院第四局長
  7. 松田賢一

    松田会計検査院説明員 昭和四十九年度通商産業省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件でございます。  これらは、中小企業者設備近代化に資するため、無利子で融資する貸付金財源といたしまして国が都道府県に交付した中小企業設備近代化補助金に関するものでございまして、その貸し付け適否等について調査いたしましたところ、当該年度に設置した設備貸付対象とすることになっておりますのに、既往年度分対象として貸し付けているものなどがありまして、いずれも貸し付け補助の目的に添わない結果になっていると認められるものでございます。  なお、このほか、四十八年度決算検査報告に掲記いたしましたように、輸出保険特別会計保険料徴収等の経理について処置を要求いたしましたが、これに対する通商産業省処置状況につきましても掲記いたしてございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 原茂

  9. 渡辺佳英

    渡辺説明員 昭和四十九年度における中小企業金融公庫業務について御説明申し上げます。  当公庫は、昭和四十九年度の当初貸付金を七千四百五十億円と定められましたが、その後、金融引き締め措置長期化に伴い、中小企業をめぐる経営環境が一層厳しさを増してきたこと等から、下期中小企業金融対策及び年度中小企業対策として、合計二千二百五十億円の貸付金追加が認められましたので、これにより、前年度実績に比較して一七・八%増に相当する九千六百四十三億七千百六十一万円を中小企業者に対して貸し付けたほか、設備貸与機関に対して七十二億四千五百七十五万円余、中小企業投資育成株式会社に対して十一億円の貸し付けを行い、総額九千七百二十七億一千七百三十六万円余の貸し付けを実行いたしました。  中小企業者に対する貸し付け九千六百四十三億七千百六十一万円のうち、設備資金は、その三九%に相当する三千七百五十九億五千三百二十九万円余、運転資金は、同じく六一%に相当する五千八百八十四億一千八百三十一万円余となっており、また、直接貸付は、九千六百四十三億七千百六十一万円の五〇・四%に相当する四千八百六十五億一千九百三十万円、件数にいたしまして一方六千七百四十二件、代理貸付は、同じく四九・六%に相当する四千七百七十八億五千二百三十一万円、件数が五万一千九百六十四件となっております。  年度末総貸付残高は、二兆七百六十五億七千八百六十万円余で、前年度末に比べ三千九百二十一億九千二百四十万円余、二三・三%の増加となっております。  昭和四十九年度融資に当たりましては、金融引き締め等の総需要抑制策が堅持される厳しい経済環境のもとで、中小企業経営を維持安定させるため、長期運転資金の円滑な供給に努め、特に、資金繰り難の著しい不況業種関連業者に対しては、特例運転資金融資を行うなどにより対処してまいりました。  一方、設備資金につきましては、中小企業合理化省力化その他環境保全のための資金等緊要な資金供給に重点を置き、また、前年度に引き続き、中小企業近代化促進法指定業種に属する中小企業者構造改善事業等に必要な資金流通機構近代化合理化産業公害防止及び事業転換を円滑に促進するために必要な資金についても、配意してまいりました。  なお、昭和四十九年度におきましては、中小企業者の一層の便益に資するため、千葉支店及び甲府出張所を開設するとともに、大津出張所支店に昇格させました。  最後に、当公庫損益計算について申し上げますと、昭和四十九年度におきましては、三十二億六百七十五万円余の償却利益を上げましたが、固定資産減価償却引当金繰入額一億二千二十三万円余を差し引きました残額三十億八千六百五十二万円余は、大蔵大臣の定める滞貸償却引当金の繰り入れに係る限度以内でありましたので、その全額を滞貸償却引当金に繰り入れました結果、利益金はなく、国庫納付はいたしませんでした。  以上、中小企業金融公庫昭和四十九年度における業務概況の御説明を終わります。
  10. 原茂

  11. 上国料巽

    上国料説明員 総裁の近藤が、あいにく病気のために休んでおりまするので、かわりまして御説明申し上げることをお許しいただきたいと思います。  中小企業信用保険公庫昭和四十九年度業務概況につきまして御説明申し上げます。  御承知のとおり、昭和四十九年度わが国経済は、石油危機などの要因による物価高騰に対してとられた総需要抑制策の効果が実体経済面に浸透していくに伴って、景気は停滞感を強め、きわめて深刻な状態になりました。  このような経済情勢下にあって、中小企業の景況は不況による需要減少、在庫の著増、生産の大幅な減少などにより、ほとんどすべての業種において経営悪化傾向が強まるとともに、企業倒産も大幅に増加するなど中小企業を取り巻く環境にはきわめて厳しいものがありました。  こうした情勢から、中小企業金融の一層の円滑化を図るため、信用補完制度におきましても、その充実強化が図られた次第でございます。  すなわち、中小企業信用保険法改正により、付保限度額の引き上げが行われるとともに、倒産関連特例措置対象中小企業者の範囲が拡大されました。また、同法施行令改正により、全保険種類について保険料率の引き下げが実施されました。  このほか、国の一般会計から保険事業の円滑な運営を図るための原資として、保険準備基金五十億円及び信用保証協会保証活動円滑化を図るための原資として融資基金百四十五億円、合計百九十五億円の出資が行われるなど、本制度の一層の推進強化が図られた次第でございます。  まず、保険事業について見ますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引き受けは、件数で九十八万八千件余、金額で三兆一千七百八億五千二百九十五万円余になっております。これを前年度に比較いたしますと、金額で一兆二千六百八十五億八百一万円余、比率にいたしますと、六六パーセントの増加になっております。  この結果、昭和四十九年度末の保険引受残高は、件数で百四十二万六千件余、金額で四兆三千八百七十二億千四百九十七万円余となっております。  なお、保険金の支払いは二百五十七億八千三百二十四万円余になりまして、これを前年度の百七十八億五千四百十八万円余に比較いたしますと、金額で七十九億二千九百六万円余、比率にいたしますと、四四パーセントの増加になっております。  一方、信用保証協会に対する融資事業におきましては、昭和四十九年度におきまして、国の一般会計から新たに出資されました百四十五億円及び既往貸し付けにかかる回収金五百八十八億七千四百万円、合計七百三十三億七千四百万円をもちまして、長期貸付七百三十二億二千三百万円の貸し付けを行いました。  この結果、昭和四十九年度末における貸付残高は千四十八億四千九百万円になっております。  次に、収入支出及び損益概況について申し上げます。  まず、収入支出について申し上げますと、収入済額は三百三十一億七千百五十万円余、支出済額は二百七十四億七千二百六十八万円余でありまして、差し引き五十六億九千八百八十一万円余の収入超過になっております。  損益計算につきましては、さらに支払備金等整理を行いました結果、総利益及び総損失は同額の五百四十三億千二百七十九万円余でありまして、損益を生じませんでした。  以上、簡単でございますが、昭和四十九年度業務概況につきまして、御説明申し上げた次第でございます。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  13. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  14. 森下元晴

    森下委員 初めに、原子力平和利用につきまして、お聞きしたいと思います。  エネルギー問題は、わが国だけではなしに、資源大国アメリカでも非常な悩みのようでございまして、去る二十日に、カーター大統領エネルギー教書を発表して、国民エネルギー危機を訴えております。そして石油節約から説きまして、日本で行っておりますサンシャイン計画の太陽熱の利用とか地熱の開発、そういう面まで非常に詳しく教書では示されておりました。  資源大国アメリカが、なぜ危機を訴えておるんだと、われわれも非常に奇異に感ずるわけでございますけれども、やはりアメリカアメリカなりエネルギー長期計画に基づいてカーター大統領が発表して、節約開発案の樹立を急いでおるのではないか、このように思っております。  その前には核燃料政策を、これも世界に向かって大きな声で叫んでおります。  すなわち、その一つは、高速増殖炉のようなプルトニウム燃料とする原子炉開発は、そう簡単にできないんだ、まだまだ軽水炉による原子炉時代が続くんだ、濃縮ウランを使う時代が続くんだ、こういうことを世界に向かって叫んでおりますし、特にわが国に向かっても強く叫んで、あの東海村の核燃料の再処理工場は中止してもらいたい——私は、その真意がはかり知れないわけでございますけれども、いわゆる親切心で言っておるのか。とうていできないことを巨費をかけてやるよりも、いまの軽水炉原子炉を使う方がしばらくは得なんだ、こういう考え方一つと、疑いの眼をもって見れば、西ドイツかフランスが、もうすでにアメリカ以上の軽水炉開発して世界じゅうに売りまくっており、アメリカの市場を脅かしておりますけれども日本が仮に高速増殖炉に成功したならば、ドイツとかフランス以上に、アメリカ原子力平和利用の部門が脅かされるかもわからない。  造船においても、自動車においても、また電気製品におきましても、日本は、いわゆる知識集約型の産業をもって世界に雄飛して、それで貿易立国として立っておるわけでございますから、日本の立場はそれでいいわけにしても、アメリカとしては、日本に非常に脅威を感じておる、そういうような非常な危機感が、ああいう措置を打ち出しておるのじゃないか、二つ考えられるわけでございますけれども、この問題につきまして、ひとつ大臣から総論的で結構でございます。なお、専門官の方もおいでになっておるようでございますから、大臣からお述べいただきまして、詳しいことは専門官からお答え願えれば幸いだと思います。
  15. 田中龍夫

    田中国務大臣 私から、わが国エネルギーの問題、アメリカの今回の考え方等をあわせて概括的に一言申し上げたいと存じます。  御承知のとおりに、日本の場合とアメリカの場合とは非常に異なっておるのでございまして、御指摘のように、日本エネルギー事情というものは、特に液体燃料石油におきましては九九・八%までは海外に依存しておるというような状態でございまして、またわれわれといたしましても、これに年間約二百億ドル余の外貨というものを要する次第でございます。そういうことにかんがみましても、今後国内の石炭関係は二千万トンというのが現在のところ、ぎりぎりであろうと考えますならば、どうしても核燃料、核のエネルギーに依存せざるを得ない、こういうふうな観点に立っておる次第であります。  私どもは、一応五十年十二月の計画は四千九百万キロワットというものを想定いたしましたが、これを見直さざるを得ないというような客観情勢でございまして、今日作業をいたしておるのでございますが、しかし御指摘のように、わが国は、ほとんどすべての燃料海外に依存しておる。そういう中におきまして、原料も同様でございますが、特にアメリカの場合におきましては、あれだけ高い自給率を持ちながら、なおかつ、カーター政権になりましてから、今回の非常に厳しいエネルギー問題を提起いたしましたのは、アメリカにおきまする需要というものは、日本パーヘッド約三倍ぐらいの消費量でございまして、今日全世界の四分の一、二五%程度の消費をいたしておりますが、その中の海外に依存いたしておりまする、中近東方面依存度はだんだんと高くならざるを得ない。その場合、私どもが一番考えますのは、中近東方面からアメリカに輸送いたしまする非常に長距離の油というものに対しまして、これが一朝事あるときにおきましては、非常に重大な影響を持つということが、やはりアメリカとしての今回の措置の大きな原因でもあろうと存じます。  反面またそれに対しまする核拡散という問題につきましては、御案内のインドの核爆発というものを契機といたしまして、カーター政権になりましてからの非常に厳しい核に対する政策がとられておる。これがとられまする場合におきましては、わが国の場合は、前段申し上げたように、今後将来のわが国エネルギーの根幹をどうしても安定化するためには、純国産であります核エネルギーに依存せざるを得ない、ことにそれもできるならば、プルトニウムのリサイクルという問題、そういうことから、動燃におきましても、新しい炉の開発に鋭意努力いたしておるような状態でございます。  それが今回のカーター政権考え方いかんによりましては、非常に重大な障害と申しますか、できるかできないかというところに相なるわけでありまして、われわれは目下全力を挙げて対米折衝を重ねておりますのも、そのためでありまするし、あるいはまた、この核拡散防止条約に調印、批准をいたしましたのも、やはり平和利用ということを確約してもらうことが前提で、ウラン供給を安定的に確保すると同時に、また今後将来のエネルギー核依存というものに対して約束をしてもらうということが、われわれの最も期待いたしたところでありましたにもかかわりませず、カーター政権の今度の措置というものは、われわれには今後外交交渉を通じて、ぜひとも実現をしなければならない重大なポイントでございます。こういうことから、福田総理の対米折衝、あるいはカーターとの会談というものに相なっておることは申し上げるまでもない次第でございます。
  16. 石渡鷹雄

    ○石渡説明員 ただいまわが国におきまする再処理の必要性、あるいは将来を考えましてのプルトニウムを原料といたします高速増殖炉につきまして、通産大臣から、わが国の方針について御答弁があったわけでございますが、この動力炉・核燃料事業団の東海におきます再処理の施設の稼働問題につきましては、ただいま通産大臣よりの御答弁のとおり、何とかこれを稼働に持っていく、そして将来のための技術の開発あるいは蓄積のために、これを十二分に活用いたしたいという方向で、目下外交ルートを通じまして米国と鋭意折衝しているわけでございます。  私どもは、この一日〇・七トン、年間フルに稼働いたしましても二百十トンという、非常に規模の小さい再処理工場ではございますが、将来のわが国核燃料サイクル確立のかなめとなりまする再処理の技術の開発、そしてわが国独自の技術の蓄積ということをねらいまして、ぜひともこの稼働を達成いたしたい、かように考えておる次第でございます。  それから、先生先ほど御指摘アメリカにおきます高速増殖炉開発のスローダウンと申しますか、その処置につきまして若干説明をさせていただきます。  現在、高速増殖炉の技術は、世界的に開発の競争の状態にございまして、先生御指摘のように、すでにフランスあるいはソ連等は、一歩先を走っておりまして、現在、日本がこれから手をつけようとしております原型炉の建設が、すでに終わっているわけでございます。現在アメリカがその原型炉の建設中で、これを中断するのか、あるいはスローダウンするのか、まだ定かに詳細な報告を受けておりませんが、予算はある程度減らすという処置をとるやに伺っております。わが国のポジションは、これからその原型炉の設計に入っていくという段階でございまして、目下その敷地の適正かどうかの調査をしているという段階でございます。  私ども考え方といたしましては、このプルトニウム燃料といたします高速増殖炉の臨界試験がうまくいくであろう時期が一九九〇年代の半ばというふうに考えておりまして、今後約二十年先の稼働をねらいまして、やや息の長い研究開発を進めていくというスケジュールでございますので、今日現在のアメリカ政府の考え方が、じかにわが国のこの研究開発の段階まで影響があるというものとは考えていないわけでございまして、また一九九〇年の半ばごろという時点につきましては、米国の研究開発計画も、現在では大体その辺をねらっているというようなテンポでございまして、そういうことでございますので、相当先をにらんだ自主技術の開発ということで、このわが国における高速増殖炉開発計画を御了解、御理解願いたいと存ずる次第でございます。
  17. 森下元晴

    森下委員 ちょうど十年前に動燃事業団が発足いたしまして、軽水炉については、アメリカにすべておんぶすれば安全であって、濃縮ウラン供給も十分保証してくれる、こういうことであったように聞いております。したがって、動燃事業団の方向は一九八〇年ですから、あと四、五年、この期間を目指して実験炉を成功さそう、そして軽水炉時代を追い越して高速増殖炉、いわゆるプルトニウム燃料による原子力平和利用、これを目指した、その考え方はいいと思うのですが、その時点では、この軽水炉による発電も三五%ぐらいであったと聞いております。いずれは高速増殖炉による時代が近く来るであろう、先取りしようということであったと思うのですが、残念ながら、現在世界軽水炉のシェアは大体八〇%以上だと聞いております。  そういうことで、カーター大統領をして、高速増殖炉による原子力発電等については、そう簡単にいかない、まだ三十年も四十年も先のことである。これが本当でございましたら、いままで何のために、そういう巨費を投じてきたかわからないという、この動燃事業団に対するわれわれの期待外れと申しますか、失望の気持ちが実はあるわけなんです。  一昨年、私ども決算委員会が、あの敦賀のふげんですか、十六万キロワット、約二千億以上かかると聞いておりましたけれども、あれは実験炉ですから、キロワットにして非常に高価につくことは当然でございますけれども、あれを見学していろいろ勉強したわけでございますけれども、一九八〇年には、大体実用化すると言っておったのが、そうでなくなった、まだまだ五年、十年では、とうていでき得ないということになりますと、これは大変な経費のむだ遣いと申しますか、幸いむだ遣いにならなければいいと思うのですが、そういう時期にアメリカから、カーター大統領から、東海村の再処理工場までストップされるようなことでは、これまた大変なことでございます。  そういうことで、将来の日本原子力平和利用の方向を、ここらで見直す必要があるのじゃないか。  昨年、この軽水炉の標準化の設計について、通産省ほか三者が、いわゆるアメリカ軽水炉から日本型の軽水炉に固定していこうじゃないか、どうもアメリカのは故障が多くて困る、またアメリカから、いろいろ注文をつけられるから、ドイツやフランスのように、日本型の軽水炉をつくって、それを国内の、たとえば原子力発電等の利用だけではなしに、いわゆる商業製品として、かつての造船とか、現在の自動車、また電気製品にかわって世界の市場に輸出すべきである。自動車にしても、電気製品にしても、かなり量を売らなければドルはかせげない。それがECで問題を起こしたり、アメリカでいろいろ抵抗を受けておるわけでございますが、たとえば、ドイツがブラジルに軽水炉を売り込んだり、イランに売り込んでおりますけれども、二基とか五基で一兆数千億円の商取引をやっておる。これはまことに効率のいい知識集約型の輸出製品である。日本にとっては、まさにうってつけの商業製品になり得ると私は思うのです。  残念ながら、いままではアメリカにおいて、それを頭から押さえられておった。もちろんわが国プルトニウム利用して原爆をつくるとか、そういうことは絶対にできないし、あり得ないと思います。にもかかわらず、なぜ頭を押さえられるか。先ほど申しましたように、やはり万一日本日本型の軽水炉を早急につくって、ドイツとかフランスと同じような方法で売り出した場合には、アメリカ原子力産業も壊滅的打撃を受けるであろう。  いろいろ実績を調べてみますと、本年も、昨年も、一昨年も、アメリカ軽水炉世界に余り売られておりません。昨年は零でございます。国内用にやっと三基ぐらい出たようでございます。アメリカのGEとか、そういう大手の原子力会社は、大変な青息吐息であるということも聞いておりまして、何かその裏に、日本開発が余り上昇されると困るのだというような意図がうかがわれるように、実はわれわれは考えるわけです。  そういうことで、軽水炉にいままで余り力を入れておらなかったわけでございますけれども、これをできるだけ日本型の安全性の高い、しかも知識集約型の商業製品として大いに開発をしてもらいたい。と同時に、この高速増殖炉の研究開発について、もう少し見通しを、このあたりでつけ直す必要があるのじゃないだろうか。本当にできるかどうか、これが原子力学者のおもちゃになっては困るのだ、できないならできないように、この機会に少し速度を緩めるとか、そのかわりに軽水炉にもう少し全国各地で——事故はないそうでございますけれども、ときどき故障が起こっておる、非常に発電効率が悪い、そういうものに全力を挙げて、全国どこでも軽水炉による発電施設が、地元の住民から歓迎されるような、りっぱなものを実はつくる必要がある。また、商業製品として世界じゅうに出せるような体制づくりも必要であるのじゃないか、実はこういう気持ちでおります。  それにつきまして、先ほど御答弁ございましたけれども、もう一度高速増殖炉の問題、また軽水炉日本型の開発問題について御答弁いただきたいと思います。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 先生御指摘の、わが国におきます原子炉の国産化につきましてのいろいろの努力でございますが、御案内のとおりに、これに対しましては、日本開発銀行によります原子力の機器の国産化融資額というものも、四十二年から五十二年まで累計約三千億円ほどの研究費用を出しておりまして、この合理化された、わが国国産の原子炉の研究を続けておる次第でございます。同じく合理化融資額も、四十六年度以来十二億円に達しておりまして、原子炉の国産化推進のためには自主技術を確立し、同時にまた、それに基づきます改良標準化の推進が欠くべからざるものであるとの観点から、昭和五十年には、通産省に原子力発電機器標準化委員会等を設けまして、鋭意その推進に努めておる次第でございます。  また、五十一年、五十二年の改良標準化等の調査費予算といたしましても、二億八千二百万円を計上いたしまして、その具体的な方策の立案に努めておりますが、なお、さらに科学技術庁におきましても、これらの研究を、続けておられることは御承知のとおりでございまして、通産省といたしましての私の御答弁にあわせて科学技術庁からも、お答え申し上げたら、なお、いいのではないか、かように考えます。
  19. 石渡鷹雄

    ○石渡説明員 補足的な御説明をさせていただきます。  先ほど先生が例示されました、ふげんの問題でございますが、これは今回カーター大統領が直接的に疑問があると言っておられるFBRとは、ちょっと技術的に内容が違いまして、高速増殖炉と現在の軽水炉との中間に、技術的には位置するものというふうに御理解願いたいわけでございます。むしろ、その軽水炉から高速増殖炉に将来つながる場合に、その真ん中に入るであろうというねらいでもって、いわゆる重水で減速をするタイプの炉の開発を、敦賀で現在行っているわけでございます。  近く、約一年後に臨界に達するということで、これ自体は順調に進んでおるわけでございますが、FBRも含めまして、こういったタイプの軽水炉以降の原子炉が、どういう位置づけになるのかということを再検討すべきではないかという御指摘でございますが、私どもも、現在の国際情勢はもちろん、また技術的なその後の進歩、今後の見通しも含めまして、その研究開発計画については、さらに見直していこうという方針で現在、作業を進めている段階でございます。
  20. 森下元晴

    森下委員 原子力平和利用の問題は、あと一問で終わりたいと思います。  実は、昨年の五月末に、NPT、いわゆる核防条約を国会で批准をしたわけでございます。自民党の一部と共産党が、これに反対をしたというようなことがございましたけれども、この核防条約が調印されたときに、日本がジュネーブにございます世界軍縮会議の一員に入りたいというようなことで、これに調印しないと、入れてやらないというようなことがあったと聞いておりますけれども、そういういきさつで、自分の手かせ足かせをするような核防条約に入れられた。  私は、これは非常に不平等条約であって、アメリカとかソ連だけが核をたくさん持ち得る、そして、できるだけ、ほかの国には持たさない、身勝手な条約でございますけれども世界の百カ国近くが、もうすでにこれに入ってしまっておる。その裏には、やはり核防条約第四条の原子力平和利用の発展は、締結国の奪い得ない権利であるということが書いてございまして、平和利用のためには、むしろ協力するというような保障があるわけでございますけれども、今回のアメリカのやることは、まことに核防条約に違反をしているというふうに実は思うのです。  これだけではなしに、昨年の十月十四日に、もっとひどい事件が敦賀の原子力発電所で発生しております。すなわち、英国の核燃料公社専用船レーベンフィッシャーという船がございますけれども日本が英国から核燃料を入れておりまして、それを処理するために、結局英国に返す、そういう条件が入っておると思うのです。そういうことで、英国に委託をして再処理を行うために、この船に使用済みの核燃料の積み込みをしておった。そのときに、米国の大使館から中止命令がかかって大変なことがあったように聞いております。何日か後には出航できたようでございますけれども、ああいう状況を見ましたら、まだ日本アメリカの占領下にあったのかというような感じさえしたわけでございます。  この核防条約の第四条の考え方は、先ほど申しましたけれども原子力平和利用は、加盟国の基本的権利であり、条約のいかなる条項も、この基本的権利に影響する解釈を行ってはならない、こういうことを考えましても、このレーベンフィッシャー号の事件は、米国の、条約第四条違反である。だから、カーター大統領の再処理禁止も、日本原子力平和利用の基本権利を侵害するものである。いろいろ日本の再処理事業が採算に合おうが合うまいが、これは日本のやることでございまして、アメリカのせっかいは御勘弁願いたい、このように実は思うわけでございまして、福田総理が先般渡米したときも、この問題が非常に激論の種になった、争点になったように実は聞いております。  そういうことで、原子力平和利用という問題は、将来の日本産業に非常に大きな影響を及ぼします。国内で使用する分、また知識集約型の商業製品として輸出する場合にも非常に障害がある、このように思っておりますので、この点、日本型の安全な軽水炉をつくっていただくことによる早期開発、それと同時に高速増殖炉に対する見直し、これを一つお願いをいたしまして、次の問題に移りたいと思います。  次は、海外援助の問題でございまして、先ほど大臣から四十九年度の歳入歳出説明がございましたが、四十九年度海外経済協力費の予算規模は、大体七十五億三千六百五十三万円余、こうなっておりますね。そのうちで、六十七億四千五百四十万円使っておる。この使途は、日本貿易振興会の出資金とか、海外経済協力費補助金、こういうものが出ておるわけでございまして、やはり非常に高度成長してまいりました日本といたしましては、海外から資源を買いまして、これを加工して、海外で買ってもらう。これで日本という国は立っておるわけでございますから、世界じゅうと仲よくしなければいけない。  だから、時によれば海外援助という形で、ときには無償であったり、またときには有償であったり、また、ときには技術協力という形で、協力することによって、好意的に資源を分けていただける。南方あたりの木材なんかも、いままで乱伐いたしまして相手国から非常に苦情が来た。それから、これからは開発輸入といいまして、向こうで植林するから切らしてくれ。植林費はこちらで全部持ちましょう。これも一つ開発、また援助の行き方でございます。  これは共存共栄の趣旨にのっとって、こういう金を惜しみなく効率的に使うことは当然でございます。中には、いろいろはっきりしないような投資もあるようでございますけれども、きょうは、そういう問題に私は深く触れません。  その中で、中東地域は非常に雨の少ない砂漠の多いところでございまして、この地域をひとつ緑化しようというような考え方が通産省に前々からございましたし、現にもう補助事業としてそれをやっております。そして、これは非常に結構なことでございまして、非常に予算も少ないし、民間の協力も得ておるようでございますけれども、こういうものは民間の協力よりも、むしろ国家事業として進んでやるべきである、実はこのような考え方を持っておるのです。  世界の陸地の四分の一は不毛の土地、砂漠だと言われております。その四分の一のうちの半分は、いわゆる熱帯砂漠でございまして、水さえあれば、すぐに緑ができる、ジャングルになるわけでございます。だから、ああいう中東のイランにしても、アラブ首長国にしても、リビアあたりにしても、サウジにしても、石油はあるけれども、残念ながらわれわれには緑がない、だから黒い水の石油と引きかえに緑をいただけば、われわれは石油はなくなってもいいのだ、そういうくらい、あのベドウィンである砂漠の民は緑に対する執念が非常に強うございます。いろいろ石油をいただくためにお上手を言ったり、目先だけの利益では、何千年もの間砂漠にしがみついて、しかも水を求めて生き抜いてきた民族にとっては、ちゃんちゃらおかしいという感じが私はすると思うのです。  そういう海外援助というものは、相互扶助の精神にのっとって、やはり心と心のつながりがなくてはいけない。そういうところで一番ああいう砂漠の民の心をとらえるのは緑化事業でないか。日本なんかの緑化事業一つの林政であるし、水資源という一つ政策問題でございますけれども、砂漠の国の緑化というものは一つの国土計画でございます。その点、通産省の指導で現在やっております緑化のやり方につきまして、ちょっと私の考え方は違うわけでございますけれども、いわゆる農業と森林政策を一緒にしているような感じが私はするのです。  農業でございますと、食糧政策で、お米をつくるとか、ナスビをつくるとか、キュウリとか、トマトをつくる、これでございましたら、別にそこを開発して農地をつくる必要はない。インドあたりで、効率のいいところでつくって飛行機で運んであげてもいいわけでございますけれども、森林政策、いわゆる砂漠を緑にするということは、その土地の風土を変える、そうして国民の心までも温和に、豊かにしていく、いわゆる国土づくりでございますから、その後で農業が入ってくるわけです。たとえば、金をかけて森林をつくりますと、そこには、いままでの砂漠に腐植土ができる。いろいろな虫もつくし、小鳥も飛んでくる。潤いもできる、こういう順序で森林造成、いわゆる緑の造成というのは大きな国土計画である。  私もそういうところの大統領、いわゆるルーラーにお会いしましたけれども、彼らの言うのは、そういうことをひとつ日本の技術でやってくださいという要望が非常に強いわけでございまして、そういう面には、ひとつ海外協力、海外援助を思い切ってやるべきである。社団法人の日本沙漠開発協会には、通産省の方から補助金が、微々たる金額でございますけれども、いっておりまして、これは主として農業開発でございます。アブダビのアルアインというところに、五十ヘクタールばかりで現在やっておりますけれども、これはこれとして、やはりそれを基盤にして、フランスがやっておりますように、大規模な緑の造成を砂漠でやるべきである。そうして産油国の方々の心をとらえることによって、日本にない石油を分けていただく、これが私は海外援助の本当の姿であるように思います。  イランでも、もうすでにやっております。リビアあたりでは、もうすでに関東平野ぐらいの大きな森林が人口造成されておるようでございます。これはもちろん日本じゃなしに、フランスかどこかがやったんだろうと思いますが、やはり日本の森林技術、林業技術は非常に優秀でございますから、ひとつ通産省でも国策としてこの点に努力をしてもらいたい。そして海外援助の実を上げていただきたい。そうして、日本にないエネルギーの確保のために全力を挙げていただきたい、このように要望いたします。  そこで、せっかく参考人山口専務理事さんがおいでになっておりますので、いまのアブダビでやられております、いわゆる事業の進捗状況、将来の見通しですね、それについて簡単で結構でございますけれども、御答弁を願えれば幸いだと思います。
  21. 山口仁秋

    山口参考人 ただいま御質問の趣旨につきまして、まことに私ども以上に御理解をいただいておりまして、感謝いたしております。  日本沙漠開発協会は、四十六年の六月に通産省の指導のもとにできまして、それまで国内におきまして、主として鳥取大学、それから静岡大学、東京大学等の乾燥地農業の研究の先生方を中心にいたしまして、鳥取砂丘におきまして砂漠地における農業の経験を積んでまいりました。その間、通産省から一億二千万円の海外補助金と、四千万円の国内事業に対する補助金をいただいております。  これは五十一年度までの合計でございますが、そういたしまして四十九年に、大体国内における事業研究の成果がめどがつきましたので、海外における実験農場を計画いたしまして、アブダビのアルアイン地区が最も適しておるということで、アブダビ政府と契約を結びまして、五十年七月に契約が完成したわけでございます。それ以来、鋭意建設に努力いたしまして、約四億円の建設費、うち二億円余りを政府補助並びに他の公的な費用を援助していただきまして、二億円を民間の援助に仰ぎまして、会員を中心といたします寄付金に仰ぎまして、本年四月五日をもって工事が完了いたしました。四月五日から農場を運転いたしております。  大きさは、全体の敷地が六ヘクタールでございまして、そのうち、二ヘクタールが圃場になっております。そのほか二百平方メートルの実験室と付帯設備がございます。  昨年、建設過程におきまして、秋口になりまして、昨年の十一月から一部圃場に水を引きまして、キャベツとトマトと、それにタマネギを試作いたしております。ことしの三月に、アブダビ政府におきまして農産物の品評会がございまして、これに出品いたしまして、非常な好評を得ております。しかしながら、これから夏に向かいますので、夏場は温度が非常に高うございまして、今後の実験は非常に困難を伴うものと思います。  主たるテーマは、いま御指摘のありましたように、アスファルトバリヤーの三ミリばかりの膜を地下四十五センチから九十センチの間に敷きまして、これによって地上からかけました水が地下に漏れることを防ぎ、それから地下から塩害が上がってくることを防ぐ、こういう方法で、アブダビでも最も砂漠地に近い、オアシスの近くから二十キロばかり離れました条件の悪いところで試みておるわけでございます。フランスの農場などもございますが、これは非常に条件のいいところで、オアシスの近くで砂漠シルトといいますか、普通の土壌に近い状態のところでやっておりまして、われわれとしては、いま砂漠の最も条件の悪いところで、このアスファルトバリヤーの実験をやろう、こういうことでございまして、あと三年くらいで実験を進めてまいりたいと思っております。  現在、現地に三名の日本人の研究員を派遣いたしまして、その他向こうの専門家一名を近々カウンターパートとして出していただく契約になっております。  将来は、いまも御指摘のありましたように、三年くらいやってみませんと、塩の問題、塩害の累積する問題、それから水の問題、それからただいまやっておりますのは、御指摘のありましたように、主として農作物、野菜、それから果樹等でございますが、今後は樹木等にもこの方法をもってやれるかどうかということを研究いたしますのに、最低三年くらいはやってみないとわからないと思いますが、その結果を見た上で、将来大規模な要求があれば、これは政府の御援助を得てやらないと、とても民間のわれわれのボランティアによる活動では限界があるということを感じております。  以上です。
  22. 森下元晴

    森下委員 ありがとうございました。時間の関係で、あと質問をやめますけれども最後意見だけ申して質問を終わりたいと思います。  アラブ首長国だけではなしに、私も実は先般、反対側にございます中南米のベネズエラに参りました。ここも産油国で発展途上国でございます。通産大臣も一昨年おいでになったと思います。できるだけアメリカの経済圏から独立して日本とも手を結びたい、またほかの世界とも手を結びたい、こういう気持ちがございます。  そこでも非常に意欲的なのは、日本の技術を導入したい、その前に人材教育をやりたい。アヤクチョ計画といいまして、日本が明治維新のときに世界各国に若い連中を出したと同じように、一万二千名くらいの連中を日本その他世界各国に出して、そして企業等で勉強したい。そうしてベネズエラの発展のためにがんばってみたい、こういうような非常に意気に燃えておるわけなんです。こういう受け入れも私は積極的にやってもらいたい。もちろん、あそこには日本で使う半分くらいの油がとれております。大きな産油国でございますので、やはりそういう心と心のつながりを、人材教育によってしていくことも必要である。それから、そういう面のひとつ前向きの海外協力また技術協力、それも実はお願いしたいと思っております。  それから最後に、私が参りまして、ザイドというルーラーといろいろ話したときに、彼が最後に言ったのは、こういうことを言っております。  われわれ民族の悲願は、この砂漠を緑化し、森林を造成することによって気候、風土を変えて、住みやすい国にすることである。砂漠の国の開発とは、緑化をすることである。幸い石油が神様より与えられてありがたい。しかし、この石油は有限なものでありて、いつかはなくなり、もとの砂漠だけの国になる。われわれの願いは、この石油がなくなっても、そのかわり緑の国土が開発されれば、それでよい。緑の開発のため、日本の皆様の協力をお願いする。  そういうことで、人類の夢は宇宙開発や海底開発だけではない。もう一つ広大な面積を持った不毛の土地の砂漠を緑化、開発することが人類の夢でございます。その夢につながるロマンというものを日本の政治に求めてもいいんじゃないだろうかということを申しまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 山口参考人には、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席くださいませ。  次に、春田重昭君。
  24. 春田重昭

    ○春田委員 私は、本日はマルチ商法とネズミ講対策につきまして、お尋ねしてまいりたいと思っております。  最初に、マルチレベル・マーケティング・プラン、通称マルチ商法でございますけれども、この定義並びにマルチ商法の販売方法について大臣に御説明願いたいと思います。
  25. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたしますが、私も余りつまびらかにはいたしておりませんけれども、約四十五社ほど、通産省といたしまして把握いたしておりまする組織があるようでございます。いろいろと当省にも苦情や相談が寄せられておりますが、訪問販売等に関する法律によりまして、何か処理をしておるようでございまするけれども、担当の政府委員がおりますから、かわりましてお答えさせていただきます。
  26. 山口和男

    山口政府委員 マルチ商法につきましては、訪問販売等に関する法律の第十一条で、「連鎖販売業」の定義がございます。「物品の販売の事業であって、」「再販売をする者を特定利益を収受し得ることをもって誘引」するということでございますが、いわゆるマルチ商法と言われる場合には、この中にある、たとえば販売利益よりも勧誘による利益の方が多いという式のものが一般に言われておるようでございます。
  27. 春田重昭

    ○春田委員 この問題につきましては、過去においても再三国会で論議になっておるわけでございます。大臣として余り詳しくはわからないというような答弁であっては、私は困ると思うのですね。  確かに通産省は、他の省と違って広い範囲内のいろいろな問題等がありますけれども、このマルチ商法につきましては、この本会議でも、また予算委員会でも相当取り上げているわけでありまして、大臣の認識、理解というものを、さらに深めていただきたいと要望する次第でございますが、このマルチ商法につきましては、まずその社会性が非常に問題とされております。社会悪性といいますか、詐欺性が非常に指摘されて問題になったわけでございますが、そういうことで、さきの国会におきましても、独禁法だけでは、どうしても物足りないということで、訪問販売等に関する法律が全党一致で成立したわけでございます。昨年の五月だったと思います。で、昨年の十二月三日より施行されたわけでございますが、施行後、約五カ月たっているわけでございますけれども、その後の経過を御説明願いたいと思います。  被害はおさまったのか、それとも被害者はふえているのか、その辺の問題、またマルチ商法企業は、どういう形で現在まで来ているのか、最初に通産省、そして警察庁、経済企画庁、この三省庁から御説明願いたいと思います。
  28. 山口和男

    山口政府委員 現在マルチ商法を行っております会社で、この法施行後、当省におきまして把握いたしましたものは、約四十五社ございます。これらのマルチ組織のうち主要なものにつきまして、その活動の報告を求めるというようなことによりまして、その実態把握に努めておるところでございます。特にその中では、法の十七条によりまして報告徴収を求めることができる規定がございますが、この規定によりまして報告を求めているというものもございます。  マルチ商法につきましては、御承知のとおりいろいろ問題がございまして、当省にも苦情、相談等が寄せられております。昨年成立いたしました訪問販売等に関する法律、これを厳正に運用をしていくということのほか、一般に対するPRというのも、予算をいただきまして積極的に進めておるところでございます。
  29. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  私ども、訪問販売法が成立して以来、非常な熱意を込めまして捜査等を行っておるわけでございます。ただ、いままでのところ、検挙というものは一つもございません。訪問販売の方につきましては、十四都道府県で四十三件ばかり検挙いたしておりますけれども、連鎖販売業については、いまだ検挙を見ていないという状態でございます。ただ、現在八都道府県で十五社につきまして内偵をいたしておるということでございます。また私どもが連鎖販売業について把握している組織は約四十組織でございます。
  30. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、訪問販売法の公布以来、通産省や総理府広報と協力いたしまして、いろいろなその被害防止のために広報をやってまいったところでございますが、必ずしも全国的ということではございませんが、特定の地域において、まだまだなくなっていないようだというふうに一応伺っております。
  31. 春田重昭

    ○春田委員 警察庁の方にお尋ねいたしますが、先ほど通産省としては、四十五社ぐらい大体想定しているということで話があったわけでございますが、警察庁としては、八都道府県で十五社をいま内偵中だということでございますし、さらに四十組織ぐらいだということで、若干この差があるわけでございますが、まず八都道府県に限って十五社ということでございますが、そちらの方では、四十社程度ということで掌握しているわけでしょう。  これは全国的に大きな問題になっているわけでございまして、その中で注意してやっているのか、特に目立った、そういう販売等が非常に活発なところだけ選んでやっているのか、その辺を明確にしていただきたいと思いますし、数字的な面で、お互いに連絡をとってないのかどうか、その辺を明らかにしていただきたいと思いますが、どうですか。
  32. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  私どもが四十社把握いたしておるといいますのは、捜査という観点、そういう関心から把握いたしておるものでございます。したがいまして、通産省の場合は、恐らく行政的な観点から把握されておると思いますので、私どもが把握しているよりも、恐らくよけい把握されていることは事実なんだろうと思います。
  33. 春田重昭

    ○春田委員 八都道府県で十五社しかやってないのでしょう。
  34. 柳館栄

    柳館説明員 現在内偵いたしておりますのは、十五社でございます。
  35. 春田重昭

    ○春田委員 それを全国的にやらないかということです。
  36. 柳館栄

    柳館説明員 もちろん全国的に指示をいたしまして、これの摘発には積極的にやりなさいということを私ども指示いたしておるわけでございますけれども、具体的な犯罪事実というものと結びついてこないと、どうにもならぬわけでございます。そうした形で、ややそれと結びつきそうであるというのが十五社である、こういうことでございます。
  37. 春田重昭

    ○春田委員 再度お尋ねしますが、この十五社というのは、一応四十社全部調査して、十五社ぐらいが法律違反の疑いがあるのではなかろうかということで、しぼって十五社、こういう形で理解していいのですか。
  38. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。御承知のように、訪問販売に関する法律の犯罪になる部分は、書面の不交付という点、それから重要事項を告げなかったというようなことであるわけでございます。  したがいまして、マルチ商法であるから違反であるとかいうようなことにはならないわけでございます。そういう観点から把握した結果が、十五社については、私ども内偵をして、何とか裁判にもたえ得るような資料を集め得るのではないか、こう見ておるわけでございます。
  39. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、一応四十社全部当たって、そのうちのしぼって十五社、こう理解していいわけですね。
  40. 柳館栄

    柳館説明員 そう御理解いただいて結構でございます。
  41. 春田重昭

    ○春田委員 経企庁にお尋ねしますが、減ってはいないようでございますということですが、ということは、ふえているということですか。それとも現状維持ということですか。
  42. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 お答えいたします。  私どもの方は、詳しく実態をつかんでおるわけではございませんが、法律の施行後、私どもとしては多分減っているだろうと思ってはおります。ただ、まだ問題を起こしている企業があちこちにあるということで、ふえているか減っているかというところまで、私どもで実際の調査をしておりませんので、そこまでは、ちょっとつかんでおりません。
  43. 春田重昭

    ○春田委員 この問題につきまして通産省の見解をお尋ねいたします。
  44. 山口和男

    山口政府委員 法律施行後、現在で四カ月になるわけでございますが、この間に私どもが把握いたしました件が四十五件ほどあるということでございまして、それ以前から悪質なものがふえたり、あるいは減ったりというところまでは、まだ十分調査はできておりません。
  45. 春田重昭

    ○春田委員 そうじゃないのですよ。会社がふえているか減っているかじゃなくして、いまいろいろな会社を対象にやっておるわけでしょう。その中で、参加者、加入者がふえていないかどうかという問題です。
  46. 山口和男

    山口政府委員 現在調査中でございますが、まあ方向としては、ふえておるのではないかという推定ができるのじゃないかと思います。まだ調査中でございますので、明確にふえておる、あるいは減っておるということは、ちょっと言えないと思います。
  47. 春田重昭

    ○春田委員 いまの通産省の答弁と、先ほどの経企庁の答弁では大きく違うわけですよ。通産省の方はふえていると思う、経企庁の方は減っていると思います、お互いに連絡とっていないのですか。これはどうなんですか。
  48. 山口和男

    山口政府委員 ただいま私申し上げましたが、新たに加入する者と、それから脱会していく者と両方ございますので、トータルでどうなっていくかというところを調べてみる必要があるわけでございます。全体として会員数がどうなっておるか、現在、部分的にはある程度わかっておりますけれども、全体としては調査中でございます。そういった意味で、企画庁とももちろん連絡をとりながらやっておるわけでございますが、最終的な数字は、まだ出ていない状況でございます。
  49. 春田重昭

    ○春田委員 要するにふえているか減っているかによって、企画庁の方は、これをPRなんかやっていくわけでしょう。その辺で、減っているのだったら、それなりの対応策を経企庁がやるだろうし、ふえていれば、ふえているなりの対応策があるわけであって、ここで根本的な大きな違いが出てくるわけですよ。その辺の政府内の不統一というのは問題ですね。大臣、どう見ますか。
  50. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  先般、予算委員会におきましても、このマルチ商法のパンフレットなんかを見せていただきまして、非常に巧妙な訪問販売をいたしておることも、私存じておりますが、しかし、ただいま各省の間で御答弁も違っておるようでありますが、実際問題といたしましては、非常に巧妙な手口でこれが行われているのではないだろうか。警察の方は格別でありますが、通産あるいは企画庁は、現場をフォローして追跡調査をするということが、なかなかむずかしいのではないかと私は存じておりますが、しかし、何はともあれ、これらの訪問販売に関します特に欺瞞的な、詐欺的な商法がおっしゃるとおり、非常に問題になっております段階でございますから、私ども、今後もこれらの問題につきましては、御指摘に基づきまして、なお一層調査を進めたい、かように存じております。
  51. 春田重昭

    ○春田委員 先ほど通産省の方から減っている人もある、脱退者もあるということが答弁ありましたけれども、それは私も否定はしないです。脱退する人はあるでしょう。しかし、それは微々たるものですよ。ほとんどふえているのです。  どういう人がふえているかということを私たちが調査したわけでございますが、また、悪徳商法被害者対策委員会というものもありますけれども、この調査によれば、非常に低所得者層とか知識的にも余り高くない、主婦の方とか学生とかが非常に多いわけです。そういう社会的に弱者という人たち、マルチということを、いままで全然聞いたこともないし、見たこともないそういう人、また地方の純朴な人たちがふえていっているのです。  こういうことを調査で私たちは明らかにしているわけでございますけれども、通産省としても商政課があるわけでしょう。それから消費者相談室なんかあるわけでしょう。こういう中で、いろいろな問い合わせがあると聞いておりますけれども、一日数十回電話とかがあって、通産省としては入らない方がいいですよと言っても、いや、私は入りたいという声があると聞いているのです。そういう点からしたら、ふえていると考えてあたりまえじゃないですか。どうですか。
  52. 山口和男

    山口政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、昨年の十二月以降この三月までの間だけでも、私どもの方の消費者相談室にいろいろ問い合わせをしてまいっておりますのが、六十件近い数がございますし、そのほか私どもにございます商政課の方にも直接電話その他でいろいろ問い合わせをしてまいっております。  そういうことで、この販売につきまして、いろいろ疑問を持たれる方もたくさんあるわけでございます。いままで調べておりますところで、やはり会員の数がかなりふえてきておる数字も部分的にはございます。ただ、一方では、やはりやめていく方も同じような、かなりの割合でふえております。そういうようにふえているものと減っているものと差し引きしていかなければならぬことになるわけでございますが、そういった状況でございまして、できるだけ広い範囲で、実態が全体としてどうなっているかというようなことで、ただいま全体の調査をしておる最中でございますので、そういった傾向が部分的にあるのか全体として出てくるか、この辺を現在調査しております。
  53. 春田重昭

    ○春田委員 えらい確信を持って、自信を持って減っているとおっしゃっていますが、そういう事実が、証拠があるのですか。たとえば、どこの地方で減っているとか、数字の上では、これだけ減っているとか、そういう証拠があったら示してください。
  54. 山口和男

    山口政府委員 先ほど来申しておりますように、こういったマルチ商法の組織が全体で減っているかどうかという点は、まだ調査完了いたしておりませんが、一部問い合わせ等によりまして調べましたところで、脱会者の数が新規に入会する人の数の大体三割近くになるというような例もございます。したがって、相当一方で加入しながら、一方で脱会しておるというような動きが、かなりあるということも部分的にはございます。(春田委員「それはどの地方ですか」と呼ぶ)地方的にどこというのは、ちょっとまだはっきり数字で出ておりませんが、東京その他全国的な組織のものだと思います。
  55. 春田重昭

    ○春田委員 えらい自信を持っておられますけれども、先ほど言ったように、そういう純真な純朴な方たちが入っていっているわけです。通産省としては、各地方の通産局の方に指示徹底はされているのですか。
  56. 山口和男

    山口政府委員 これは、先生おっしゃいますように、確かに大都市周辺だけの問題ではございませんで、地方でいろいろ問題になっておるわけでございまして、この法律が施行になりまして、直ちに各地方の通産局の担当者会議等も実施いたしまして、この法律の施行について万遺憾がないように十分連絡をとり合ってやってきておるつもりでございます。
  57. 春田重昭

    ○春田委員 その通達というのは、いつ出されたのですか。
  58. 山口和男

    山口政府委員 ただいま通達ということじゃなくて、連絡会議を開きまして、八通産局の各担当者会議等を開きまして、法律の趣旨、それから実施の、これからの考え方等について十分打ち合わせ会をやってきた、こういうことでございます。
  59. 春田重昭

    ○春田委員 その八通産局の中に大阪は入っていますか。
  60. 山口和男

    山口政府委員 大阪も入っております。
  61. 春田重昭

    ○春田委員 私の大阪の枚方の、被害者対策委員会の一員から手紙が参っておりますが、「通産省は国会でたびたびマルチ禁止の姿勢を示したいきさつがありながら、大阪通産局に対しては現在に至るも一片の通達も出さず、担当の消費経済課長は、本省から指令があれば動くことになるでしょうが、今のところ何の連絡もありませんと弁明しています」と、四月十五日付です。いまから約一週間前です。この方が大阪通産局に当たったのです。どうなんですか、この事実。
  62. 山口和男

    山口政府委員 実は施行前に、すでに本省から担当官が大阪の局にも参りまして、この法律の施行その他の問題につきまして説明をやっております。  実は私、先週まで名古屋の通産局長をいたしておりまして、名古屋の通産局長時代にも、わが局から、本省に呼ばれまして、この会議にも参加をし、連絡を受けたと担当官が言っております。これは各局から皆出ておるわけでございますので、大阪につきましても、そういうことは恐らくないのではないかと思いますが、またさらに、どういう事情になっているかを調べてみたいと思います。
  63. 春田重昭

    ○春田委員 この被害者の方が直接当たって、こういう、担当課長がおっしゃっているのですよ。これは間違いないと思いますよ。だから、何ぼ本庁では調査しています、努力していますと言っても、地方へ行ったら、こういう状態なんですよ。この事実を大臣もよく知っていただきたいと思うのです。だから、減っているとか言っているけれども、減ってないのですよ、ふえているのです。  要するに、被害に遭ったら来なさいとか、そういうにしきの旗を立てて、被害者で届けて来る人なんて一部なんですよ。先ほど言ったように、主婦や学生なんか、ほとんどそういう知らない人ばかりだし、奥さん連中なんて、私一人ぐらいだと思う人がたくさんいるわけですよ。  経企庁では、苦情相談というのが、マルチ商法に対して、数字をとっていると思うのですが、その辺の相談件数は、どれぐらい上がっているのですか。
  64. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 お答え申し上げます。  私どもの方で直接はやっておりませんが、国民生活センターという機関がございます。そちらに持ち込まれた苦情相談件数の推移でございますが、五十年に大体六十件弱、五十一年は三十件強、三十五件くらい、五十二年のことしに入りましてからは、三月ぐらいまでで大体六件というふうに国民生活センターへの苦情申し出でございます。
  65. 春田重昭

    ○春田委員 資料にも出ておりますが、そういう苦情またその相談を持ち込んだ方たちなんて、全体の三%だというのですよ。だから九七%の方たちは泣き寝入りしている状態が判断されるわけです。そういう点で、減っているなんて、私はそういう言葉を二度と使ってもらいたくないと思うのです。  減っているか、ふえているかというのは、調査中ということでございますが、ふえている、今後またふえる、そういう状況のもとで対策をとっていなかったら、これは絶対根本的な抜本的な対策にならないですよ。  さらに、警察庁の方にお尋ねいたしますが、最近大阪府の堺市で、マルチ企業に加入した人が、加入の際、サラ金から金を借りてそれを出資し、その利息が払えないということで自殺した事件がございますが、この事件のてんまつ、背景というものを、警察庁はどのようにとらえているか、お答え願いたいと思うのです。
  66. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  去る四月九日、大阪府堺市の大北泰弘さん、三十七歳、この方が自殺いたしました。自殺の状況、原因等については、プライバシーにもわたる点がございますので、詳細は差し控えたいと思いますけれども、要点だけ申し上げますと、大北さんは、同日午後三時三十分ごろ自宅で縊死したものでございます。現場の状況等から判断して、他殺だということは当然ないわけでございます。動機等につきましては、遺書も何もございませんので、はっきりいたしません。ただ、家族の話等から判断しますと、借金を苦にして自殺したのではないか、こういうぐあいに推定いたしておるわけでございます。  なお、大北さんは、五十一年四月ごろから、ベストライン・プロダクトに加入しておるようではあります。ただ、それが自殺と結びつくのかどうかという点になりますと、私どもまだその点は推測しかねておるわけでございます。私どもが知っておりますのは、借金をかなりしておったということでございます。しかも、それはサラ金から借りておったということでございます。それでサラ金の方をずっと調べてみたのでございますけれども、これはサラ金は出資法に違反していない、違反しない範囲内において貸し出しをいたしておる、こういう状況でございます。まあ少し推測がきつくなるかもしれませんけれども、恐らく借金を苦にしてではないだろうか、こう考えております。
  67. 春田重昭

    ○春田委員 いま保安課長から答弁がございましたが、この方はベストラインの社員ということは、いま答弁があったとおりでございまして、サラ金業者から百万円を借りたということですね。なぜ百万借りたかというのは、このベストラインに入ろうと思ったら、六十三万のお金を払わないといけないわけです。そこで六十三万を払うために百万借りたんだということが判断できると思うんですね。したがって、警察としてはサラ金——それが直接の動機かどうかはわからないかもしれませんけれども、明らかに私としては、このベストラインに六十三万振り込むためにサラ金から借りて、そしてそれが返せないために自殺したんだということで、根本的な動機というのは、やはりこのベストラインに入るための借金を苦にして自殺した、こう理解すべきではないですか。
  68. 柳館栄

    柳館説明員 私どももいろいろ推測はいたしておるわけでございますけれども、ただ公の席で当局がこう推測していると申し上げるのもいかがかと思いまして、答弁が少し不十分になっておるわけでございますけれども、どういうわけかわからぬのですけれども、最初百万円だったのかもしれません。しかし結局、あるいはそれが原因になりまして、サラ金から借りていますので、そしてまたそのサラ金の返さなければならない期日が来て、また別のサラ金から借りていくということを繰り返ししたのではないかという感じもいたすわけでございます。トータルといたしまして、十四業者から七百万円ばかりの借金になっておるわけでございます。それが最初の百万円と、どういう結びつきかということについては、私どもも断定的なことを申し上げるわけにはいかない次第でございます。
  69. 春田重昭

    ○春田委員 もう一点、お尋ねいたしますが、ある新聞社の記者の方が、堺北署ですか、この所轄の警察署に電話して、ベストラインはマルチではないかと聞いたところ、そうではない、サラ金業者である、金融であると答えたというのですね。マルチを取り締まるべき所轄が、この高名なマルチを知らないということは、その認識といいますか、理解というか、その姿勢を大いに疑うわけでございますけれども、これは事実ですか。
  70. 柳館栄

    柳館説明員 そういう事実は私ども聞いておりません。おりませんけれども、担当が、もしそういうことだとしたら、大変申しわけないと思っております。注意したいと思います。
  71. 春田重昭

    ○春田委員 これは事実なんです。したがって堺だけの問題ではなくして、全国的にそういう形で周知徹底していただきたい、このように思っております。  さらに悪徳商法被害者対策委員会の調査では、これまでに判明しただけでも、このマルチ以外の自殺者は四名、うち一人は大阪の高校生になっております。ざらにこの二月には、ベストラインに加入した愛知県の一婦人が自殺を図っております。二月二十六日の中日新聞でも「マルチの犠牲主婦、自殺図る」と、このように大きく出ておりまして、御存じだろうと思います。幸い命は取りとめましたけれども、悲惨な被害が全く後を絶っていないのが現状だと思うのです。したがって、これの後遺症というものは家出、夜逃げ、ノイローゼ、家庭の崩壊など、その被害の数を数えれば、切りがないわけでございます。したがって、事件が起こって対処しても遅いわけでございます。今後、より悲惨な被害が出ることは、容易に推定できるわけでございます。  私は、実にゆゆしい問題だと思いますが、これらの被害を起こしているマルチ企業に対して、通産省としては、どのような基本的な姿勢でいどもうとしているのか、この辺を明確にしていただきたいと思うのです。
  72. 山口和男

    山口政府委員 確かに先生の御指摘のとおり、いろいろマルチ販売法につきましては問題があるということでございます。この法律が昨年の十二月から施行になりまして、この法律で、どういう規制をするかという点についても、いろいろと議論があったわけでございますが、できるだけ脱法の可能性をなくすようにしなければいかぬという要請もございまして、必ずしも全面禁止というような非常に厳しい形での法律体系には実はせずに、行為規制という方法をとったわけでございます。  しかしながら、悪質なマルチ商法は何とか撲滅しなければいかぬというように、私どもも十分認識をいたしておるわけでございまして、行為規制法でございますけれども、法務省あるいは警察庁等関係省とも緊密な連携をとりまして、法の許す限り、できるだけこれを強力に厳しく施行していきたいという考えでございます。
  73. 春田重昭

    ○春田委員 先ほどマルチ企業は国内で四十五社くらいということで報告されましたけれども、現在この四十五社の中で最大の規模、販売方法を誇っている会社は、どこと推察されますか。
  74. 山口和男

    山口政府委員 私どもの情報でいろいろ知っております限りでは、ベストライン社というのが非常に大きな規模でやっておるというように理解いたしております。
  75. 春田重昭

    ○春田委員 このベストラインという会社は、いまや北は北海道の山の中から、南は八重山群島、沖繩の果てのそういう小さい島までも広がって、これまでも全国的に約五万人の人々が参加している、このように言われております。私は、この五万人の方々がほとんど被害者である、このように思うわけでございます。自殺者はなるほど法律施行前の加入者であったわけでございますが、法律施行後推定で約一万五千人の方が新しく加入している。また今日も、マルチと知らず、先ほど言ったような方たちが、全国の約二百会場で夕方六時四十五分からですか、約二時間説明会が行われていて、そこに参加をする、そして相当ふえておる、このように私聞いておるわけであります。  ここにベストラインの機関誌がございますけれども、十ページに書いてある。「ベストライン予備面接会場」一からずっと書いてあります。全国で約二百会場あると聞いております。御存じですね。  そこで、こうして大手を振って、のうのうとしているベストラインにつきましては、いま調査中であると思いますが、訪問販売等に関する法律の十二条、十三条に違反していないかどうかという問題があるわけでございますが、通産省としては法律違反として認めているのか、それとも現在どういう形で理解しているのか、その辺御説明願いたいと思います。
  76. 山口和男

    山口政府委員 先生の御指摘にございましたとおり、訪問販売等に関する法律では、第十二条におきまして、連鎖販売取引についての勧誘におきまして、特に店舗によらない個人に対する勧誘につきまして、故意に事実を告げないとか、あるいは事実でないことを告げるという行為はしてはならない、こういう禁止規定がございます。こういった規定に対応いたしまして、その勧誘が適正を欠くという場合には、しかもいろいろな点につきまして問題があるという場合には、一年以内の期間を限って勧誘を停止させる、あるいは販売取引の全部もしくは一部を停止させるという規定がございます。したがいまして、マルチ商法において最も問題となっております欺瞞的、詐欺的な勧誘が行われないように、この条文につきましては厳正に適用して取り締まりを行っていく、そしてマルチ商法による被害の防止に努めるということにいたしたいと考えます。  さらに、マルチ商法の被害防止につきましては、法律に基づく取り締まりのほかに、事情をよく理解しないままで、そういった方々が加入をしてしまうというようなことでございますので、できるだけ一般の人に対して政府広報誌等によりましてPRをしなければならないというようにも考えております。  特にベストライン社につきましての問題は、先ほども申し上げましたように、現在相当詳しく調査をするということで進めております。その内容を検討いたしました上で、警察庁、法務省等とも御相談いたしまして、法律的に可能な限り厳しく対処していきたいと考えております。
  77. 春田重昭

    ○春田委員 この十二条、十三条につきまして、警察庁はどのように御見解を持っていますか。
  78. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  十二条、十三条、特に十二条につきましては、重要事項の不告知でございますけれども、具体的な事例に即して判断しなければならないと考えておるわけでございます。  ただ、総括的に申し上げますと、加入したりあるいは商品の契約をする場合に、もしそのことを言ってくれておったら、あるいはそういうことを言ってもらわなかったならば、自分は一般人の感覚として加入しなかったであろうと思われるようなことに該当するかどうかという観点から判断してまいることになる、こういうぐあいに思うわけでございます。しかし、その実際の適用に当たっては、法の許す範囲内において、なるべく広くそれをとらえていくという観点から具体的な判断をしてまいりたい、こう思っております。
  79. 春田重昭

    ○春田委員 具体的なそういう事例があったらということで、警察庁の答弁があったわけでございますが、ここにベストラインの、いま全国二百カ所でやられている催眠的な集団説明のテープがあるわけです。このテープは法律が施行された後のテープなんです。どういうことを言っているか、ちょっと時間もありませんので、つまびらかにできませんけれども、抽出して申し上げます。  「皆さん今晩は、ようこそおいでくださいました。」ここで始まって、「ベストラインを通じて月に二十万円から三十万円もの収入を上げておられる方々も少なくありません。本職でベストラインの仕事をしておられる方の中には、月に五十万円以上もの収入を上げておられる方々もあります。」そうして「世界の主要国で、一般家庭用の高級洗剤を初め、化粧品等いろいろな製品を製造販売いたしております。」こういうことで始まっております。「おわかりいただきましたように、このすばらしい製品のおかげで、十年前にカリフォルニアのサンホゼに始まった小さな町工場が、現在では全世界の主要国で洗剤、化粧品のほか、いろいろな家庭用品を製造販売する大企業になりました。」こうなっております。  さらに続きまして「昨年の秋よりベストライン製品がマスコミを通じて広告体制に入っております。ですから、このような製品は、ますます売りやすくなるということですね。」「特約店の資格をいますぐ取るには、商品、販売用備品、パンフレット、書類、訓練費、すべて八十八万円相当の価値のあるものを六十三万円で買って在庫を持っていただきます。」こうなっております。「マネージャーはベストライン社より五〇%引きで商品を買う資格を得られます。これはサイドビジネスとしてできる地位としては最高の地位で、しかもマネージメントの仕事ですので、月収もぐっと多くなり、五十万円以上の収入が可能となる地位です。」「ここに書いてあるようにですね、六千万円の六百万円という特別ボーナスが出ます。これはマネージャールートの販売組織の成績によってのみ支払われます。彼らの学歴、年功序列には委細関係なく、マネージャーの管理、指導能力の真の尺度と言えます。」  このように六百万のボーナスが支払われるということも言っているわけですね。「私の場合」、これは説明員です。「本当にベストラインを通じて自分のすばらしい将来、すばらしい夢が実現してきました。これはあるアメリカの大企業家であり、またベストライングループの創始者でもあるウィリアム・ベイリー氏のおかげです。」このようにほめたたえているんですね。それから、勲章をもらったとか、いろいろなことを言っております。  こういう本当に催眠的な用法で、しかもタキシードに身を包んだ方たちが言ったら、あすでも自分が大金をつかむような、そういう形になってしまうわけですね。こういうテープと原稿からして、私は十二条、十三条の違反ということは明らかに断定できると思うのです。この点につきまして、通産省はどう思いますか。
  80. 山口和男

    山口政府委員 先ほど申し上げましたように、十二条では適正を欠く勧誘を、店舗を持たない個人に対してやってはいけない、やったときには停止命令も出せる、こういうことでございまして、そういった適正を欠く勧誘の基準というものを政令でも定めておるわけでございます。法律にございますように、故意に事実を告げない、あるいは事実でないことを告げるというような点のほか、特定の利益を得られるということが確実であるような誤解をさせるような断定的判断、そういったものを提供する場合、あるいは威迫をするような言動を交えて勧誘をするというような場合、そういった場合には適正を欠く勧誘であるという考え方が政令でも示されておるわけでございます。  ただいま先生から、お話ございましたようなやり方を、どうもやっておるということにつきましては、私どもも直接そういうところに入りまして証拠を得るということが、なかなかむずかしい事態でございますけれども、できるだけそういった情報をいただきまして、調査をして、そしてこの条項に適応するかどうか、十分検討をしてみたいと思います。
  81. 春田重昭

    ○春田委員 この資料は通産省に貸しますから、調査してください。  さらに、いま私が一部読みました中にも、ベストラインは映画を見せるわけですね。世界各国で非常に隆盛の一途をたどっておるような形で説明しております。この点、実際世界的な企業なのかどうか、調査していますか。
  82. 山口和男

    山口政府委員 ただいま外務省を通じまして、アメリカ等での調査をお願いをしております。ミスター・ウィリアム・ベイリーですか、の点等につきましても調査をお願いしておる段階でございます。
  83. 春田重昭

    ○春田委員 この本国のベストライン社は、一九七三年の六月、カリフォルニアの法務当局によって、ベストライン社と、その親会社のベストラインコーポレーションと、役員らは告発されているのです。そして、五億五千万の罰金処分を受けております。そして倒産しております。また、昨年六月十八日、ベストラインの創立者、いま官房審議官がおっしゃったウィリアム・ベイリーは、カリフォルニア裁判所において三億円の罰金刑に処せられているのです。  これらの説明会では、こういうことを言わないで、映画で、あたかも逆のことを見せているということは、明らかに十二条違反だと思うのです。事実を言わないのですから。どうですか、この点。
  84. 山口和男

    山口政府委員 確かに先生おっしゃっておられますように、非常に問題のある説明の仕方があるのじゃないかというように存じます。違反の点につきましては、先ほど申し上げました外務省を通じての調査等も踏まえまして、判断しなければいけない問題かとは思いますが、非常に問題のあるやり方であるというようには存じます。
  85. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても、十二条の重要事項の不告知に完全に当てはまることでありまして、これは法律違反に間違いないと思うのです。十二条、十三条というものが施行されたわけでございますけれども、確かに違反すれば、実質の禁止ということを、目的を達成するようになっているわけです。ところが、私はやはり通産省の運用の次第によってどうでもなると思うのですね。ただ単なる空文化になってしまって、もう死文化されていくかどうか、これが本当に生きた条文となるかどうか、これは通産省の考え次第なんです。一日二百会場で、一会場三十名ないし五十名の方が参加して、毎日毎日ふえているのですから、調査中とか検討中とか、そういう悠長なことを言わないで、本当に早くやらなかったら、それだけで被害者はふえていっているのですから、また被害者が加害者になる場合だってあるわけです。  そういう点で、取り組み方が非常に——そっちの方では一生懸命やっているでしょうけれども、遅々として進んでいない現状を見たときに、私は、もうちょっとやはり力を入れるべきだと思うのです。どうですか。
  86. 山口和男

    山口政府委員 もう先生の御指摘のとおりでございまして、極力力を入れてまいりたいと思います。法律をできるだけ厳しく運用するという考えで、私どもも参りたいと存じますが、実際の適用その他の問題になりますと、法務省あるいは警察等とも御連絡し、よく御相談をして進めていくということになろうかと思います。
  87. 春田重昭

    ○春田委員 最終的にこの十二条、十三条の運用は、大臣がお決めになると思いますが、この運用に期待していいですか。
  88. 田中龍夫

    田中国務大臣 いろいろとお話を承りましたが、ここに申し上げるまでもなく、かような不当な販売行為というものにつきましては、われわれといたしましても、あるいは警察あるいは法務省とも緊密に連絡いたしまして、ぜひこれをやめさせると申しますか、撲滅すると申しますか、これはどうしてもやらなければいけないものだということを、しみじみ感ずる次第でございますが、その具体的な方法等々につきましては、また話を詰めなければいかぬ、かように考えております。
  89. 春田重昭

    ○春田委員 説明会場が全国で二百カ所ぐらい行われているわけですね。先ほどの答弁では、会場に行くのが非常にむずかしいという話がありましたけれども、本省の方たちは顔が知られて、当然チェックされると思うのです。地方通産局の方とか、そういう方たちは余り顔を知られていないから、会場に乗り込んで調査する。具体的にどういうことをやっているかということを、ただ資料だけではなくして、自分たちの皮膚と体でつかんできたらどうですか。それをやると言ったら、向こうに知られちゃうから、むずかしいかもしれないけれども、それぐらいの勇気ある行為をしなかったら、これはもう本当に撲滅しないですよ。  そういうあらゆる方法を考える必要があると私は思うのです。十二条、十三条に、もしベストラインが違反したとなれば、そちらとしては告発する、それだけの用意がありますか。
  90. 山口和男

    山口政府委員 大変有益な御示唆をいただきまして、私ども地方の方に対しましても、極力真剣にこれに取り組むという姿勢でやるように指示いたしたいと思います。  十二条、十三条の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、これをできるだけ厳重に、厳格に適用していきたいと私どもは考えておりますが、あるいは法務省、警察等とも十分御連絡をとりたいと思っております。
  91. 春田重昭

    ○春田委員 契約解除の問題でございますが、十六条に規定されておりますけれども、これは五十一年の五月の商工委員会で、東大教授の竹内参考人がお述べになって、皆さん方も御存じだと思いますが、答申では、この契約を解除した場合、普通十四日間になっているはずですね。契約解除して、その経過後も、マルチの参加者がもうやめたいと思ったときには、仕入れ商品を一定の割合以上の値段で買い戻す義務を課そうということにしていたわけでございます。これは答申で出ていたらしいんですね。それが削られた。ところが、イギリスやアメリカでは、仕入れ値の九掛けで買い戻させるということにしておるわけでありまして、こういう規定がありますと、ともかくマルチの参加者にたくさんの商品を仕入れさせてしまえば、そこで勝負あったということはなくなるわけでございます。私は、こういう規定があった方がよいと思いますけれども、となっているんですが、この点、どうお考えになっていますか。
  92. 山口和男

    山口政府委員 ただいまの点につきましては、契約を解除いたしました場合には、当然民法上の規定によりまして、引き取りの義務があるというようになっております。
  93. 春田重昭

    ○春田委員 このマルチ商法に対する国民への啓蒙でございます、PRでございますけれども、被害者の増加を見ると、その実効が上がってないように私は思うわけでございます。これにつきまして、それぞれ、通産、経企は予算があると思いますけれども、どのような形でPRしているのか、この辺具体的に説明していただきたいと思います。
  94. 山口和男

    山口政府委員 PRにつきましては、この法律施行後、説明会、テレビ、パンフレット等の方法によってやっておりますが、たとえば法律の説明会を通産局ごとに、いろいろな方々を対象にいたしまして説明会を実施してきております。これは、すでにもう十一月から十二月にかけて実施いたしております。また、テレビにつきましても十二月、日本テレビなどで「ご存じですか 奥さま」という番組で、いろいろPRをさせていただいております。また、新聞につきましても、全国紙四、ブロック紙三、地方紙五十、郷土紙二十三、こういった全五段の広告を十二月、何回かやらしていただいております。そのほか、パンフレットは約六万部消費者相談室を通じまして配付いたしております。こういったことで、予算も中央地方初めて五十二年度予算でいただきまして、PRを進めることにいたしております。
  95. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 政府の広報でございますので、通産省と共同して、いま通産省の方からお話しした点は通産省と一緒でございます。なお、私どもの方にあります先ほど申しました国民生活センターにおきましても、昨年の七月、あるいは昨年の十二月に、テレビの三十分番組で二回やっておりますほか「国民生活」という雑誌、あるいは「あなたのくらし」というグラフ的な見やすい雑誌がございますが、そういったものに記事を掲載して、国民に対するそのPRを実施しております。
  96. 春田重昭

    ○春田委員 通産省の方が、各通産局ごとに説明会を開いているという説明がありましたけれども、こういうことがあれば、先ほどの提案の文書とまた矛盾を感じるわけでございまして、本当に周知徹底されておるかどうか疑いたくなるんですが、その辺、事実をちょっと調べてください。  経企庁にお尋ねいたしますが、国民生活センターや消費生活センターで、いろいろな苦情なり、また相談等も受けていると思いますし、PR等もやっていると思いますが、この消費生活センターでございますが、各都道府県、また一部の市町村にあると聞いておりますが、全国で、どれくらいあるんですか。
  97. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 消費生活センターでございますが、現在全国に百六十二カ所ございます。
  98. 春田重昭

    ○春田委員 百六十二カ所でございますが、都道府県でどれだけ、市町村でどれだけ。
  99. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 市町村で、村はございませんが、市町に九十八、県立が六十四、九十八と六十四、合わせて百六十二だと思います。
  100. 春田重昭

    ○春田委員 都道府県の六十四カ所は別として、私はこのような苦情相談、いろいろな問題等を吸い上げていくためには、やはり身近な市町村が一番行きやすいと思うのですね。この市町村、市町だけだそうでございますが、九十八カ所というのは、余りにも少ないんじゃないか、こう思うわけでございます。  やはりそういう主婦やまた学生たちが一番行きやすいのは市町村なんです。大阪だけでも府下には三十市があるのですよ。そういう遠方な方が、わざわざ大阪府のところまで行けるかどうかとなったら、距離的にいっても、時間的に見ても、それは本当に持ち込む率というのは少ないと思うのです。だから先ほど言ったように、数字的に言ったら三%しか出ていないわけですよ。これを市町村にぐっとふやしていけば、さらにここでPRをやっていけば、私はもっとこの問題は吸い上げることができるんじゃないかと思うのです。私は市町村に拡大すべきだと思うのですが、どうですか。
  101. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 最初にちょっと訂正させていただきます。県が九十四で、市と町が六十八でございます。失礼をいたしました。  私どもといたしましては、住民に身近に接する地方公共団体が消費者保護のために、いろいろなことをやることは結構なことだということで、自治省等とも話し合った上で、いろいろやるように指導をしております。しかし、消費生活センターだけが苦情処理の窓口ではございませんで、それぞれの市で、市の消費者相談窓口というようなものも設ける、あるいは市の消費者行政の担当の課なり係等でも、そういうものをやるように指導しておりますので、今後市町村の消費生活センターがふえることは私も歓迎しておりますけれども、センターだけがやっているのではないということは御理解いただきたいと思います。
  102. 春田重昭

    ○春田委員 時間がありませんから、その論議はまた別にしますが、私は被害者を救うためには、内部からと外部からのそういう調整が必要だと思うのです。そういう点で、まず内部に入っている人たちが、どういう形でこのマルチにひかれたのか、また被害に気づいたきっかけはどういうことか、こういう点も調査して、それをやはりPRしなかったらいけないんじゃないか、こういう生の声といいますか、これが一番生きるわけでございます。  そういう点で、マルチの直接被害に遭った方たちの、そういう事実が一番PRの効果があるわけでございまして、そういう面では、四年も前から、この被害者の対策と撲滅のキャンペーンをやっている民間団体がありますけれども、こういう団体が消費生活センター、国民生活センター、また通産省の消費者相談室も、かなり情報提供をやっておると聞いておりますし、こういう団体にもPRを委嘱したり、また参画をしてもらったりして、また法律の審議の際には、参考人意見という形でもっともっと重要視し、そして活用すべきである、このように思っておりますけれども、どうですか。
  103. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 被害者の団体等につきましては、私どもの方にもいろいろな話がございまして、私どもからも情報を提供する、被害者の団体の方からも情報をいただくというようなことは現在でもやっております。また、政府全般の広報でございますが、政府の広報でございますので、総理府の広報室が中心でございます。それから、それぞれまた法律の所管省が第一義的には広報することということで、私どもといたしましては、消費者一般に対する広報をお手伝いするという形になっております。したがいまして、関係省に伝えて広報をやると同時に、私どもが持っております国民生活センターの広報につきましては、その被害の事例の紹介等によりまして、被害の未然防止を図っていきたいと思っております。
  104. 春田重昭

    ○春田委員 情報の提供をお互いにやっていると言いますけれども、現在では一方的にもらっているのが多いのであって、民間の善意に甘えてはならないと思うのですね。そういう意味で、物心ともに援助といいますか、補助が必要じゃないかと私は思います。そうしなかったら、何ぼ知らない人にPRをやったとしても、余り効果がない。やはり入っている人の生の声を、こういう被害があったのだ、こういう実態だということを暴露することが一番いいわけでありまして、そういう点では、そういう団体があるわけですから、さらに有効に活用し、そしてそれらの団体等が本当に自主的に活動ができるような、いろいろな補助をやっていくべきである、このように私は思うわけでございます。そういう点、要望しておきます。  さらに、先ほどから話があったように、この法律はマルチの全面的な禁止法でないわけでありまして、行為規制法なんです。ということで、逆に言ったら、許容基準を与えているようなものである。マルチ企業は、機関誌にはこれで堂々とやっていけると大みえを切っているそうでございますけれども、法律を施行して、向こうがそれによって乗ってくるなんというのは、通産省もばかにされているわけでございまして、こういう点は、どのようにお考えになっていますか。
  105. 山口和男

    山口政府委員 先ほども申し上げましたように、全面禁止という法律体系になりますと、範囲の問題、条件の問題等、非常に厳しい要件の問題がございますので、行為規制法になったわけで、ただいま御指摘がございましたように、これがかえってマルチを助長してくることになりませんよう、できるだけ厳格にこれを適用いたしまして、悪質なものの撲滅を図っていきたいと考えます。
  106. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、五十一年五月の通産省の天谷審議官の答弁になってくるわけでございます。最初はマルチの全面禁止法を私たちは主張したわけでございますが、こういう形の行為規制になってしまった。しかし、この運用につきましては「実態に応じまして機動的に物事を処理していくことも可能であろうかと存じております。」「新しい法律の制定によりまして、将来こういう被害が起こらないようにいろいろ措置を講じていきたいというふうに考えております。」さらに「詐欺的な悪徳連鎖販売業が残存していく余地はほとんどなくなるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。」このように天谷審議官は、マルチ撲滅に対して希望的な御意見を言っているわけです。さらに「マルチに対しまして実質的に禁止に近いような効果を与えることができるというふうに考えております。」こうおっしゃっているのですね。  先ほどから何回も論議しているように、十二条、十三条の運用次第でございまして、天谷審議官がおっしゃったことと、現在までの経過から言ったら、相当後退しているような感じがしないわけでもありません。いろいろな問題があるでしょう。網をかぶせるには、向こうだって相当な弁護士等もついて、いろいろな抜け道を考えているでしょう。しかし、このように天谷審議官が壊滅的状況に追いやれると思っていますと言いながら、現実にまだこのようになっているし、さらにふえている。こういう経過を考えてみた場合、この法律の運用は、もうちょっとそちらの方で考える必要があるのじゃなかろうかと思うのです。再度お尋ねいたします。
  107. 山口和男

    山口政府委員 先生から非常に有益な激励のお言葉をいただきまして、私ども、この法律は、こういう法律体系になりました以上、運用について十分目を見張るといいますか、許認可法以上に目を見張る必要がある、許認可法の方が実は運用といたしましては、やさしいのだろうと思いますが、そういう意味で十分真剣に取り組んでまいりたいと存じます。
  108. 春田重昭

    ○春田委員 期待しておりますよ。  最後に、大蔵省にお尋ねいたします。  一般的に見て、マルチ商法に対する税の申告の問題でございますが、いろいろな申告漏れ等があるように聞いておりますけれども、適正な課税はなされておりますか。
  109. 小野博義

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  御指摘の外資系企業のように問題があると考えられております法人につきましては、私ども税務におきましても、常々関心を持っておるところでございまして、必要に応じて実地調査を行い、適正な課税処理をしているところでございますけれども、その内容等につきましては、個々の納税者にかかわることでございますので、答弁を差し控えることを御了承いただきたいと存じます。
  110. 春田重昭

    ○春田委員 わが国のマルチ商法に対しては、結構ホリデイマジック社に対しては独禁法に違反するということで破棄勧告がなされたり、またエー・ピー・オー・ジャパンに対しても直接立入検査をなさった経緯がございます。しかし、いずれにしても現在は野放しの状態であると言っても、私は決して過言ではないと思います。外国の例を見ましても、アメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、シンガポール等においても相当厳しい規制をしております。こういう点で、外国の例もよく参考にしながら、最後大臣に再度このマルチ商法に対して決意のほどをお尋ねいたしまして、マルチ商法についての質問を終わりたいと思います。
  111. 田中龍夫

    田中国務大臣 大変詳細にお調べをいただいておりますので、われわれの方も今日のお話に従いまして、ぜひともかような悪徳商法というものを撲滅しなければならぬ、思いを新たにいたしまして今後対処いたしたい、かように考えます。
  112. 春田重昭

    ○春田委員 時間が迫ってまいりましたが、次に、マルチ商法の一番大もとであるネズミ講の問題でございます。  このネズミ講には、通称天下一家の会、第一相互経済研究所というのがございます。全国で約百五十万と称して、昨年秋には日本武道館に一万三千人ですか、人を集めて、その勢力を誇示しているわけでございますが、最近はアメリカや韓国等においても、はでにやったのが、いずれにおいても摘発されております。ところが、これも本家本元では野放し状態になっておりまして、この組織を規制する法律がいろいろあるわけでございますが、現在の法律で規制できないのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。
  113. 田中龍夫

    田中国務大臣 規制する法律がどのようなものがあるかという御質問だと思いますが、政府委員からお答えいたします。
  114. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  規制ができるネズミ講のタイプと、それから規制のできないネズミ講のタイプがございます。ただいま先生御指摘の天下一家の会は規制できないタイプのものでございます。
  115. 春田重昭

    ○春田委員 大臣にお尋ねいたしますけれども、このネズミ講とマルチ商法の違いを御存じですか。
  116. 田中龍夫

    田中国務大臣 両方とも有名ではありますけれども、私、特にそれを調べてみたことはございませんので、御無礼ながらその程度以上のお答えはできません。
  117. 春田重昭

    ○春田委員 最初にも申し上げましたけれども、これは大きな問題になっているわけでございまして、社会的な問題が発生しているわけですから、もうちょっと大臣、さらにひとつ研究、勉強していただきたいと思うのです。  警察庁の方からは、対象にならないということでありますけれども、大蔵省の方にお尋ねしますが、ネズミ講は出資取締法の対象にはならないかどうか、お尋ねしたいと思います。
  118. 宮本保孝

    ○宮本説明員 いわゆるネズミ講につきましては、元本の返還を約束しているものと、約束していないものとがございまして、元本の返還を約束しているものでございますと、これは出資法違反になりまして、これまでも法務省及び警察庁と連絡をとりながら取り締まりを行ってきたところでございますが、元本の返還を約束していないものにつきましては、現行の出資法では取り締まりが不可能ということになっております。
  119. 春田重昭

    ○春田委員 通産省の方にお尋ねいたしますが、これは訪問販売等の法律の対象になりますか。
  120. 山口和男

    山口政府委員 商品を扱っていない場合には、対象にはならないことになります。
  121. 春田重昭

    ○春田委員 去る三月三十日でございますが、長野地裁で第一相互経済研究所に対する判決が出ております。代表者の内村氏に対して訴訟を起こしていた原告の五百二十名に対して、ネズミ講は民法第九十条公序良俗に反し無効であり、入会金二千二百八十七万円を返せという判決が出されました。読んだと思います。  この中で裁判長は、ネズミ講は、組織の数理的破綻性、詐欺的、誇大的宣伝、非生産的で著しく射幸的要素があること、そしてネズミ講がもたらした社会的悪影響は大であるなど、まことに良識的、また画期的判決で、その存在自体が社会悪と判断されたわけでございますが、四年前の四十八年二月、熊本地検におきまして、この組織を不起訴処分にした法務省の当局は、これをどう考えられますか。
  122. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、民事事件と刑事事件は、基本的な性格を異にしておるものでございますから、結論が違ったということで、一概に非難には値しないと考えておりますが、いずれにいたしましても、公序良俗に違反するような行為を放置するということの重大性にかんがみまして、しかるべき措置も考えていきたい、かように考えております。
  123. 春田重昭

    ○春田委員 ネズミ講につきましては、社会的に問題化した時点からその規制、立法化が叫ばれてきたわけでございますけれども、現在まで野放し状態になっているわけでございます。そこで政府は、昨年の秋、十一月二十六日だったと思いますが、第九回の消費者保護会議で、この規制を打ち出したはずでございますけれども、その後の経緯というものを、これは経企庁担当だと思いますが、お尋ねしたいと思います。
  124. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 ネズミ講につきましては、その活動が公序良俗といった社会的な観点、あるいは一般大衆の被害という観点、その他のいろいろな観点から好ましくないものと私ども考えまして、昨年から各省庁と連絡会議を設けて話し合いをしてきたところでございます。ただ、ネズミ講の類型はいろいろございまして、出資法といった現在の法律による取り締まりには限界もございますので、私どもといたしましては、その危険性を広く国民に注視させよう、あるいは取り締まりのために、早急に出資法の改正を含めて新規立法を検討しようというふうに決めたところでございます。  その件は、先生がおっしゃいますように、第九回の消費者保護会議で決定をしたものでございます。ただ何分にも問題が非常に複雑で多岐にわたっておりまして、商品も介在しないというようなことで法律技術上のむずかしさもございますので、現在鋭意その方向で検討しているところでございます。
  125. 春田重昭

    ○春田委員 経企庁は法務省とその辺について、お互いに連絡をとり合っていると思いますが、法務省としては、この点をどういうふうにお考えになっておりますか。
  126. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、法務省は刑法あるいは少年法等、いわゆる刑事に関する基本的な立法を所管しておりまして、お尋ねのネズミ講につきましては、やはり行政官庁の行政指導あるいは行政規制が行われる仕組みをつくりまして、それに対する違反者を処罰する、いわゆる行政罰則を設けるという形の対処の仕組みが最もふさわしいのではないかというふうに考えております。  したがって、しかるべき行政庁におきまして、その規制措置を考えるという際におきましては、行政罰則の適切な運用という観点から十分御協力を申し上げたい、かように考えております。
  127. 春田重昭

    ○春田委員 このネズミ講につきましては、主要官庁は経企庁ですか。確認したいと思うのです。
  128. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 ネズミ講につきまして、私どもが主管しているというふうには、ちょっと申し上げにくいのでございますが、消費者保護の立場から、法律の谷間にあるようなものでございますし、関係省庁がたくさんあるということで、経済企画庁の一般消費者の保護に関する施策の総合調整という意味で、関係各省と連絡会を設けて話し合いをしているところでございます。
  129. 春田重昭

    ○春田委員 関係各省が十省庁あると聞いておりますけれども、この連絡会議、これは大体年間、また月にどれぐらいやっているのですか。
  130. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 お答えいたします。  昨年の六月に、そういう会議を設けましてから、今日までに九回開催をいたしております。
  131. 春田重昭

    ○春田委員 先ほど経企庁の課長から答弁がございましたけれども、この問題につきましては、さきの国会でも、私たちの渡部一郎議員が予算委員会で取り上げているわけですね。その中で総理の答弁は、早急に検討する、速やかに結論を出すということをおっしゃっているわけです。ところが一部新聞では、この法制化につきましては見送られたという記事も書いてあったわけでございますが、この辺はどのように理解したらよろしいのですか。
  132. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 ネズミ講の対策につきましては大変にむずかしい問題でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、ことしの二月十五日に、衆議院の予算委員会で、公明党の渡部一郎先生の質問に対しまして総理の答弁もございます。私どもといたしましては、早急に立法の可否を含めて検討してまいりたい、かような所存でございます。
  133. 春田重昭

    ○春田委員 そうすると、立法化は見送られたということは考える必要ないわけですね。今後立法化に進む、そのように理解していいわけですね。
  134. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 まだその連絡会で検討している段階でございまして、立法しないというふうに結論を出したわけでもございません。立法の方向で検討を続けているところでございます。
  135. 春田重昭

    ○春田委員 立法の方向で検討しなかったら、この予算委員会の総理の答弁はおかしいわけですよ、前向きで検討するとおっしゃっているのですからね。そういう点では、ひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  このネズミ講とマルチの関係でございますけれども、マルチが、先ほど言ったように、ベストラインがますます加入者がふえていっているという問題で、このマルチ商法を撲滅するためには、ネズミ講の問題に根本的に対処していったら、このマルチ商法はなくなると思うのですが、その辺はどうお考えになっていますか。
  136. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 ネズミ講とマルチ商法につきましては、確かに類似した面もございますけれども、片一方は商品を介在するマルチ商法であり、片一方は商品を介在しないで、ただ人間だけがネズミ算式にふえていくということで、両者関連はございますが、ネズミ講がなくなったから、直ちにマルチの方もつぶれる、そう直接的に言えるかどうか、私としては、ちょっと自信がございません。
  137. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても、マルチの根源はネズミであって、ネズミ講対策が根本的にできれば、マルチも自然となくなっていく、このように私は思っているわけでございます。  いずれにしても、このように不労所得を推奨し、拝金風潮を助長するネズミ講は、その存在自体、明らかに社会悪であると私は断定します。商品を介在されたネズミ講であるマルチ商法の完全撲滅のために、一刻も早く禁止立法化して断を下すべきだと思いますが、最後に、重なりますけれども、経企庁のこの問題に対する御決意のほどをお願いしたいと思います。
  138. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 先ほども申し上げましたとおり、私どもといたしましては、関係各省と十分連絡をとりながら早急に何らかの結論を出してまいりたいというふうに考えております。
  139. 春田重昭

    ○春田委員 その早急というのは、大体いつごろをめどにしたらいいのですか。
  140. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 経済企画庁ひとりの考えでございませんで、関係各省との話し合いの中で結論を出しますので、できるだけ早く持っていきたいというふうにお答えいたします。
  141. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、きょう取り上げたネズミ講、またマルチ商法につきましては、非常に害が大になっております。そういう点で、委員会また本会議が開かれるたびに、努力している、検討している、調査中でありますということではなくして、何回も申し上げますが、一日二百会場で大体一会場三十名ないし五十名の方が参加しているわけでございまして、それだけ参加者はふえていっているわけでございます。これらがほとんど被害者であると言っても私は過言ではないと思います。  早急に立法化なり、いろいろな行政指導をするなりして、その撲滅に立ち上がっていただきたい。今回のこの私の質問でもって一つの大きな歯どめにしていただきたい。また、こういう問題を再度いろいろな委員会で取り上げなきゃならないということがないように、ひとつ経企庁もまた通産省も、それぞれ各省庁がお互い連絡を取り合って、この規制化に励んでいただきたい、このように思う次第でございます。  それを要望いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  142. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 次に、北山愛郎君。
  143. 北山愛郎

    ○北山委員 昼食の時間がおくれましたけれども大臣の時間の都合もあるようでございますから、しばらく皆さんにがまんしていただいて、私もできるだけ要約して質問時間を短縮することにいたします。  まず最初に、先ほど森下委員の方からもお話がございましたが、やはり日本石油といわず原子力といわず、資源エネルギーの問題についての、いままでの政策を大きく転換する時期に来ているように私は考えます。さきのアメリカの、例の核使用済み燃料の再処理に対する制限の政策なり、あるいは今回のカーター大統領の新しいエネルギー政策は、わが国エネルギー政策にとりまして、大きな示唆を与えたものだ、むしろアメリカよりも先に日本の方がエネルギー政策転換をしなければならぬ、これに対する示唆である、このように受け取っております。  そこで、原子力の問題につきましても、安全性はもちろんのことですが、経済性、その他技術にしても、原料にしても、海外依存でありますから、政府の思うとおりにはどうしても進みません。むしろ、私がこの前科学技術庁長官に強く要望をしましたとおりに、まず第一に思い切った省エネルギー、特に石油等のエネルギー節約するような政策を打ち出す。特にその中でも、日本の場合は産業用の石油が多いわけですから、エネルギーを大きく消費する構造になっている産業の構造まで含めて、やはり省エネルギー政策を早急に進める必要があるということが第一点です。  それから第二点は、ここで原子力の研究、開発もさることながら、さらに新エネルギー開発ですね。水力や石炭は、これを見直すと同時に、太陽熱や地熱あるいは潮力あるいは風力というものの新エネルギーの研究、開発利用を早急に進める必要がある。ことに風力などにつきましては、日本では政府は余り取り上げておりませんけれども、すでに国際エネルギー機構あるいはまたアメリカのNASA、あるいは西ドイツと、各国でもってこの風力と取っ組んでおるわけです。ところが、政府の新エネルギーの研究、開発に費やす予算というのは、これらを含めて、たった四十八億ですよ。科学技術研究開発費の大部分は、原子力と宇宙開発に費やされて、新エネルギー開発に対しましては五十一年度はたった四十六億、ことしはたった四十八億、こんなことでは何もできないですよ。  ですから私は、成立した予算でありますけれども、予備費を追加するとか、あるいは補正をして、新エネルギーについて思い切った調査研究、開発利用というものを進めるべきである、このように思うのですが、この点についての通産大臣の御意見を聞きたいのであります。
  144. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  先生も御承知のとおりに、五十年十二月の、あの総合エネルギー計画というものは、いまや見直しの段階にまいっておる。そうして御案内のとおりに、目下政府を中心といたしまして、思い切った今後の見通しの改定なり、また現実的な開発の問題について取り組もうといたしておるのでございます。そういうさなかに対米交渉、あるいはまた今回のカーター大統領エネルギー政策というものが発表されたわけでありまするが、客観情勢の非常な変化というものを、あくまでも私どもは現実の問題として取り入れて、そうして今後の日本経済、日本民族の生存のためのエネルギーに真剣に取り組まざるを得ない。  ただいまのお話のサンシャイン計画、あるいはまた新規の開発についての研究費がまことに少ないというおしかりでございまするが、工業技術院におきましての同プランというものは、一つのテストプランの経費であることも先生御承知のとおりでございます。それだけではなく、いまや石油の問題につきましても、あるいは自主開発の促進のテンポというものが、所期のとおりにはなかなかいっておりませんことやら、その他国内におきまする石炭の問題にいたしましても、二千万トンというのはなかなか容易な努力では達成できないというような状態やら、あるいはまた水力の問題、さらに加えて原子力の問題につきましても、多くの問題を残しておるのでございまして、先生の御指摘のように、今後の新エネルギーの開拓と申しますか、新規の発見というものは、全力を挙げて、これまた取り組まなければならぬ問題であろうと存ずる次第でございます。
  145. 北山愛郎

    ○北山委員 言葉だけがあって、サンシャイン計画とかいうことは、何年も前から言われているのです。それから省エネルギーのための産業構造の改革をしなければならぬという提言も、民間の団体からも出ておる。それからもう三年ぐらいたっているでしょう。かけ声だけはありまして、実際は政府の姿勢というものは、いまのところでは、原子力の問題について対米折衝を一生懸命やる、ソ連に対する漁業と同じようにやっているということで、こんなふうに言うことと現実が違うというのは、やはり政府のエネルギー政策というものは財界追随型だ、やはり業界奉仕型だ、そこに一つの問題があるのじゃないかと考えるものであります。ですから、時間がありませんから、私は、この点については大問題だということですね。われわれ社会党としても、これについてのプランを早急につくって提言するつもりでございます。大きな問題でありますから、ただ言葉だけではなしに、予算は成立したから来年、こんなことでは間に合いませんから、ひとつ思い切った措置を要望しておきたいのであります。  そこで、石油の自主開発政策についても、やはり転換の時期ではないのか、このように考えます。石油開発公団をつくって、そしていわゆる国際石油資本の手を経ないで、直接日本が持ってくるものを三割程度に引き上げようという意図でやったのですけれども、実績を見ると、さっぱり効果が上がっておらないようであります。すでに石油開発公団では、数千億の政府の出資もしたり、あるいは借金をしてこれに金をつぎ込んでいる。たとえば五十二年度末の見込み額から言えば、固定負債は開発公団の固定負債が四千五百八十三億、政府出資が二千五百八十八億、これだけのものをつぎ込むというわけです。そしてすでに石油開発融資資産、開発の方の投融資は三千五百三十八億になる。こういう数千億の金を出しておるのですが、必ずしも自主開発の効果が出ておらない。私、資料をいただいておりますけれども、その数量はわずかに年間、五十年で千二百万キロリットルぐらい、四・五%くらいですね。こういうふうな実態で、実際に効果が上がっておらないのではないか。  これは一つの原因があるのであって、あの自主開発を始めた当時においては、相手はメジャー、いわゆる国際石油資本との対抗だったのです。ところが、その後産油国の方がいわゆる資源ナショナリズムで、こっちが後で行っても、やはりメジャーと同じように必ずしも新しい利権というか、開発のプロジェクトが進まない、そういうふうな情勢の変化があるのです。ですから、そういうこともあって、しかもすでにメジャーがもう世界至るところ開発をして、あとの落ち穂拾いみたいなところをやっていますから、何十という会社、子会社みたいなものを持って、あっちもこっちもやっておるけれども、成功しているものは、そのほんの一部にすぎないわけですね。  ですから私は、この石油の自主開発政策そのものもやはり転換をする必要がある、このように考えておるわけであります。まず、その点について大臣からお答えを下さい。
  146. 田中龍夫

    田中国務大臣 先生の御指摘のとおりでありまして、当時計画は三〇%程度の自主開発ということを目標にしながら、いまなお九・六%という自主開発の現状でございます。われわれは、御案内のとおりに九九・七といいますか、〇・三%ぐらいしか自給できないという石油の現状でありまして、何はともあれ、国内の資源がないということが、エネルギーの問題におきましては最大の欠陥であり、脆弱な基礎と言わざるを得ないのであります。  先般も、イギリスから大臣が見えた際に、やはり資源のなかったイギリスが、北海油田の開発によりまして両三年後には自給できるんだ、えらい希望を持って語っておりました。さような点におきまして、今日日本は資源がない、自給資源がないということを非常にかこつわけでございます。さような意味からも、お願いをいたしておりまする大陸だなの開発という問題につきまして、私どもは大きな民族的な期待を寄せておる次第でございます。
  147. 北山愛郎

    ○北山委員 そこで石油開発公団の内容なんですけれども、この点については会計検査院の方でも検査をされて、その経過といいますか、結果について若干資料もいただいておりますが、こういうことが書いてあるのです。「公団の投融資資産表示の適正化を図る要があるものと思料される。」ということは、私の想像では、これは政府の「財政法第二十八条による昭和五十二年度予算参考書類」ですが、その中に石油開発公団の貸借対照表があります。その中に、いま申し上げた「石油開発融資資産」として一括して五十一年度末では二千九百四十三億幾ら、こう書いてある。「投融資資産」などという表示はおかしいじゃないですか。  この点、恐らく会計検査院指摘したんじゃないか。出資をする。そうすれば、その会社の株を持つでしょう。あるいは融資をする。ですから、投融資というのは違うわけですよ。違った内容のものを一括して、こんなふうに計上しているのは、おかしいじゃないですか。そういう点を指摘しているんじゃないかと私は思うのですが、検査院の方からもお答えを願いたいし、それからこんな貸借対照表のやり方ですね、出資なら出資として、それは株券なら株券で、融資融資として表示されているわけですね。なぜ別個にやらないのですか。  備蓄についてもそうですよ。「備蓄投融資資産」、こんな貸借対照表ありますか。なぜかと言えば、株券というのは、やはり評価があるわけです。帳簿価格があって、それの評価がある、それが載っているはずだ。融資とは違うのですよ。こんなやり方でいいですか。
  148. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  確かに貸借対照表の表示で一緒に計上するということは、これを見る人に正当な評価をさせないという意味では、先生おっしゃるとおり、分けていただいた方がよろしいのじゃないかと考えます。また出資につきましては、国としても株主としての正式の権限を行使できるわけでございますので、そういう点でも出資額ということは、はっきり分離して計上した方が好もしいのじゃないか、このように考えております。
  149. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは、通産省としては、いまのような公団の貸借対照表の作成については、今後そのような指導をする、こういうように了解をしていいですね。
  150. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点もございますので、他の同種事業団、公団等との兼ね合いも見た上で検討いたしてみたいと思います。
  151. 北山愛郎

    ○北山委員 これはいろいろ疑惑が起こるのですよ。なぜかなれば、やや特殊法人みたいなもので、投融資資産の上に借入金の利子などを上積みしていくようなやり方をとっている会社が、このごろあるのです。そういうようなやり方を廃する意味においても、いま言ったように厳正にやるべきです。  それからもう一つ、時間がありませんから、ちょっと要望しておきますけれども、この石油開発公団が出資をし、融資をし、そして債務保証をやっていますね。五十一年度末の見込みは二千四十三億五千万円債務保証をやっているのです。債務保証をやるのも本当はおかしいわけです。ただ、これは公団法の中に債務保証ができることになっていますが、これは実質上は政府の機関、国の機関でしょう。他の政府関係機関とは区別されておるけれども、実態は同じじゃないですか、国の機関じゃないですか。そうなれば、債務保証するときに、政府の機関が野放しで債務保証をやって、国会にもかけないでおいて、後のしりを負えますか。そのために債務保証基金というものを設けております。ですが、債務保証額というものは、五十一年末、二千四十三億ですね。そして保証基金は百二十億しかないわけですから、とてもこれじゃ間に合わないわけです。こういうふうなやり方を公団に許していいかどうかという問題。  もう一つは、業務方法書の中を見ますと、債権について、元本をとれない場合には、これを減免するような規定があるのです。国の機関が債権を減免するときに、公団だけの処理で、それは通産大臣が監督するでしょうけれども、それだけのことで、実質上は業務方法書などで、国の債権をそんなに簡単に減免していいものでしょうか。その点を通産省から聞きたい。
  152. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 公団の債務保証の問題は、民間の資金を最大限に活用したい、国といたしましても、公団を通じて直接出資あるいは融資をいたしておるわけでございますが、それと兼ね合わせて民間資金の活用という立場から債務保証制度を置いておるのだと思うのでございます。  それから元本の減免措置の問題につきましては、現在石油開発企業に対する公団の投融資は、原則といたしまして海外で五〇%、国内で七〇%という比率になっておりますが、その差額につきましては、それぞれの当該企業が自己調達いたすわけでございます。  一方、御承知のように、石油の探鉱、開発はきわめてリスキーでございます。そういった意味もございまして、仮に成功しない場合には当該企業も、まず自己負担したものについて相応のリスクを負うわけでございます。そういった石油探査、開発といったリスキー性に着目いたしまして、状況によって元本を減免する規定が置かれておる、かように理解いたしておるわけでございます。
  153. 北山愛郎

    ○北山委員 それは事業をやる意味からすればいいのですけれども、やはり国の機関ですから、一定の手続なり適正な方法によって、そういう目的を達するように考えなければならぬのであって、ただ機動性とか融通がきくというようなことでは困ると思うのですね。それらの点について、私は検討してもらいたいと思う。  それから、いままでの検査院の報告でも、アンデス石油開発とか七社ばかりの企業が、もうすでに鉱区、利権を放棄して、役に立たない会社になっておるのですが、それに対して百三十五億も出資している。これ以外に融資もあるのじゃないかと思うのですけれども、これをどうするかということです。まだ処理していないでしょう。もうだめになった会社が七社もあるのです。これをどうするのですか。
  154. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘の七社に対する約百三十六億程度の公団債権は、全部出資でございます。  それから御指摘の七社と申しますのは、七社のうち、カタール石油とジャペックス・カナダの両社は、現在みずからは石油の探鉱活動を行っていないわけでございますが、他の石油探鉱会社に出資を行っておるということでございます。オセアニア石油とジルド・オーストラリアの両社は、新しく探鉱活動を行う準備をいたしておるという立場にございます。一方、サバ海洋石油とコロンビア石油、この両者は今後清算する方向で検討中である。アンデス石油につきましては、現在探鉱活動に使用した諸機材につきまして処分を行っておる、その処分を終えた後、今後の活動方針について検討をするというふうに報告を受けておるわけでございます。  もちろん御指摘のように、このまま放置しておきますと、公団といたしましても、経理上は資産を保有しているものの、事実上不良資産を抱えておるということにもなりますので、ただいま申し上げましたような七社の実情に合わせまして、順次必要なものについては解散の手続を進めていく、かように考えておるわけでございます。
  155. 北山愛郎

    ○北山委員 先ほど石油開発というものはリスキーだ、いわゆる危険を伴うということを言われましたが、それならば、いままでのように公団の下に何十社もばらばらにやらせておくということは、リスキーな性格に合わないのじゃないですか。四十社くらいもあるのですが、それがばらばらにやって失敗をしてしまう。一回やっても失敗をすれば、それで立ち上がれないというようなかっこうです。  もう少し強力な企業体であれば、こっちで失敗しても、こっちで成功する、それで調整がとれる、こういう形で経営の形を考えていく必要があるのであって、公団みたいに、その下に有象無象というか、それぞれあの連中が、われもわれもと会社をつくって、それに対して出資をする、融資をするというような形でやったのじゃリスキーな石油開発に合わない形態ではないでしょうか。どうなんですか。
  156. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま北山委員から御指摘のありましたように、現在のわが国石油開発は個別のプロジェクト会社が中心になっております。これも、いまお話のありましたような石油の探鉱開発というものは、きわめてリスキーであるということ、あるいは民間の資金を極力活用したい、あるいは物によりましては相手国の法制等の関係もあって、かような状態にあるわけでございますが、ただ、いま御指摘のありましたように、石油開発をより効率的に推進してまいるためには、中核となるような企業を育成いたしまして、この企業が資金、技術面で石油開発を効率化していく、あるいは企業を総合的、弾力的に実施していくという必要性を、われわれも認識いたしておるところでございます。  現在総合エネルギー調査会の石油部会におきまして、石油開発のあり方について検討を依頼いたしておるわけでございますので、この検討の過程におきまして、北山委員の御指摘のような方向で検討いたしたいと思います。
  157. 北山愛郎

    ○北山委員 民間の資金を活用すると言いましたが、私は民間の方から言うと、政府資金を活用しようと思っているのだと思う。だから結果としては、失敗しても、そのしりはみんな政府へ持っていくということで、むしろ民間の方が頭がいいですから、民間資金を活用するのじゃなくて、政府資金を活用されてきたのじゃないですか。結果としては、事実はそうじゃないですか。  それからもう一つ問題なのは、この中の一番大きいジャパン石油開発なんです。これについては、いろいろな雑誌等で、いろいろな疑問が投げかけられておる会社であります。これは、私は本質的な意味では、開発じゃないと思うのです。すでにアブダビで開発をされて、イギリスのBPと、それからフランスの会社でもって開発をした企業があって、その利権に参加をした、株を三〇%か何か買って参加をしたということにすぎない。そしてその三〇%の株の持ち分を取るために七億八千万ドルという莫大な金を出した。その大半を国がめんどうを見たということで、その成立の過程で、いろいろ密室の中で進められた一つのプロジェクトというか、そういうものですから、疑問が投げかけられておるのです。  最近の「現代の眼」という雑誌の中には、成立の世話をした、口ききをした田中清玄氏に、ジャパン石油から二億三千万円の現金をフィクサー料として払った。この受け取りが会計検査院の目に触れて、コピーがとられて会計検査院に保管されている。国会で追及されても、検査院は領収書の存在は認めざるを得ないだろう。こういうことが書かれているのですよ。こういうことが事実あったのかどうか。会計検査院の方からお伺いをしたい。
  158. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘になりました「現代の眼」という雑誌、私、実は読みまして、その中に御指摘のとおりの文章がございますが、私どもは、そこで言う領収書というものは、コピーも持っておりません。  それから、これは公団の検査の際に、ジャパン石油の方に来てもらいまして、ジャパン石油が発足する前の海外石油開発という会社と、あるコンサルタントとの間の契約があるというお話を聞いただけでございまして、その詳細は——その当時聴取したという程度でございまして、雑誌に書いてあるような領収書のコピーを持っているということは、事実と少し違うというふうに考えております。
  159. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、会計検査院としてはコピーは持っておらないが、しかし、そういう話は聞いたか、あるいは領収書があるのを見たか、そういうことは認められるのですね。
  160. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  領収書があるかどうかということまでは、私、部下から報告は聞いておりませんが、そういう契約があったということは聞いております。
  161. 北山愛郎

    ○北山委員 この点については、できるならば後で、聞いたことの内容をお知らせを願いたいと思います。  いずれにしても、そういうことが疑いを持たれる一つの原因で、田中清玄氏が興銀の中山素平氏を通じて田中内閣に働きかけて、そして、すでにある利権が七億八千万ドルという高い金でもって買われた、こういうことなんですが、さらにおかしいのは、実はこの話が決まったのが四十七年の十二月の末ですね。これは閣議了解でも決まっておるわけです。当時の田中内閣で決まっている。そのときには三〇%であったわけですが、四十八年の一月というと、次の年のすぐ一月ぐらい後ですが、その利権が向こうのアブダビの政府の関係で二二・五%に減ってしまっているんですよ。そしてまた、一年たった四十九年一月には、それが一二%に減ってしまっているんです。  要するに、この経営にアブダビの政府が参加をして、そして六〇%の持ち分を取る、こういうことになったから、結局一二%分に七億八千万ドルも払ったということになりまして、実質の値段は十五億ドルにもなる。一年の間にそうなったんですよ。ですから、これは故意にそうなったわけじゃないでしょうけれども、しかし、少なくとも見通しがないということなんですね。ですから、ジャパン石油がBPの株を買った、BPは自分の株をジャパン石油に売って、その金でもって北海油田の開発に使った、こういう経過じゃないか。  いずれにしても、全く見通しのないやり方じゃないでしょうか。七億八千万ドルも使って一二%しかないじゃないですか。その株は、国営になったんでしょうから、一部は売ったでしょうね。政府に対しては幾らで売ったのですか。だから、その分として何千万ドルかもらったでしょう。もらったけれども、その金は恐らくそう大したものじゃないだろうと思うのです。補償を受けたのだろうと思うのです。補償を受けたけれども、大した金ではなく、株はとられてしまった。三〇%と称したものが、一年の間に一二%に減ってしまった。全くばかばかしい商売で、こんなことが一体石油の自主開発になりますか。どうですか、通産省。
  162. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 シャパン石油開発の利権条件の悪化と申しますか、いわゆるアブダビのパーティシペーションの点につきましては、ただいま北山委員から御指摘になったとおりでございます。  日本側といたしましても、当初アブダビ政府が産油会社に対してパーティシペーションをしてくるという可能性についても、事前に予測をしておったわけでございます。このプロジェクトの採算性を考える場合にも、この点を考慮に入れて考えておったということでございますが、ただ御指摘の、いまのアブダビ政府からの補償の問題でございますが、私たちの承知しておる限りにおきましては、ジャパン石油分といたしましては約九百四十万ポンド、邦貨にいたしまして、当時の金で六十六億円程度というふうに聞いております。
  163. 北山愛郎

    ○北山委員 いずれにしても、そのような安い金で三〇%の持ち分が、次には二二・五%になり、さらには一二%に減ってしまった。しかも新しく開発する会社じゃないのです。会社をつくって、向こうと一緒になって開発をするのじゃない。すでに開発されておるもの、イギリスの石油会社とフランス石油会社が共同で開発したもの、その中へ株を買って参加をした。そこへ今度は予想しなかった、政府が六〇%も株を持つ。しかも安い値段で株を引き取るということになったから、当てが外れてしまった。もともとこんなことは自主開発じゃないじゃないですか。  しかもいまの形態だって、これに参加しておるものは、向こうの政府がもちろん六〇%ですプランスのフランス石油が一三%、それからイギリスのブリティッシュペトロリアムが一四%、日本が一二%といったように、各社が一緒になってやっておる仕事なんで、日本側の都合のいいようにはできないのですよ。向こうの政府と、こっちだけで話し合って石油を持ってくるとか開発するということはできないのじゃないですか。  こういう形の、こういうジャパン石油のアブダビの開発に対して、物すごい金を出しておるのですが、いま公団からジャパン石油開発に出している出資額、融資額あるいは債務保証、これは一体どのくらいになっておるのです。
  164. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石油開発公団からジャパン石油に対する出資額、合計いたしまして三百七十五億でございます。融資は千二十一億でございまして、両方合算いたしますと、千三百九十六億円程度になろうかと思います。  債務保証は、ジャパン石油に対しては実施いたしておりません。
  165. 北山愛郎

    ○北山委員 お話しのとおりでございますと、ジャパン石油の長期借り入れが千六百八十七億ある。その大部分というか、相当な部分が、やはり公団の融資ということになる。出資の方は三百七十五億も出している。しかも、そのジャパン石油が、会計検査院の報告によりますと、「経営は著しく悪く、五十年期の決算では二百九十八億一千万円の累積赤字となっている。」公団がやっておる、しかも、いわゆる成功した部類に入っている最右翼にあるジャパン石油開発会社にして、しかりですよ。ですから、私は他の会社も、それは見込みのある会社があるかもしれませんが、一番主たる主力の会社がこうなんですから、一番最初に申し上げたように、こういう実態、実績というものを、それを監督している通産省として、よく反省をすべきではないのか。  先ほど申したように、情勢が変わってきているのです。産油国のメジャーだけを目のかたきというか、考慮して、メジャーの手を通じない、直接に持ってこれる石油開発しよう、こう思ったけれども、産油国の政策が変わっているのですから、日本石油取得、石油の輸入確保の政策というものは、もっと多面的なものに変わっていかなければならない。  先ほど森下さんが言ったように、もっともっと経済的、文化的な面でも交流を深めていくということで、産油国との間の協調を図って、そして石油を確保していく、あるいはまた中国とか、その他の石油も確保していくということであって、三〇%の自主開発の目標というものは、もはやこだわるべきものではなくて、むしろ再検討すべきものではないか。したがって、公団の事業目的とか、そういう内容とか、そういうものについても、やはり同じように再検討すべきものではないだろうか、私はそう思うのですが、通産省では、どうお考えでしょうか。
  166. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のように、少なくともオイルショック以降、海外における石油開発情勢というものは、確かに変わってきております。特に、産油国がみずから事業に参加する、いわゆるパーティシペーションの傾向が非常に強くなってきている。そのほか、利権状況も悪くなっておるということも事実でございます。そういった意味合いからいたしまして、先生のおっしゃるように、GGあるいはDDベースで引き取りを安定的に持っていくことも必要であろうと思います。現にわが国といたしましては、イラク、中国、インドネシア等との間におきまして、さような形で直接原油の引き取りというものも進めておるわけでございまして、今後ともこの方向で進めていくべきだと考えております。  ただ一面からいたしますと、確かに海外における探鉱開発事情は悪くなっております。現に、メジャーもかつてほどには積極的に海外における開発にも参加しておらないと申しますか、ピークに比べて若干後退的になっておるというのも事実でございますが、ただ、世界に埋蔵されておる石油をできるだけ多く開発するということは、世界における石油需給全体の安定化に資するものでもございますし、わが国といたしましても、石油を安定的に確保する道に通ずるものである。  別の表現をいたしますと、日本のように自国に石油がなくて、多くのものを海外から依存しておる国の立場といたしましても、積極的に発見あるいは開発に乗り出していくということも、ある意味では国際的責務ではなかろうか、かように考えるわけでございますので、GG、DD石油の引き取りを推進すると同時に、やはり効率的な方法で海外あるいは日本周辺の大陸だなの石油開発を進めていくということも、両々相まって必要なことではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  167. 北山愛郎

    ○北山委員 時間もありませんし、大臣ももう退席されましたので、政策的なことは後の機会にいたしますけれども、私はやはり公団の仕事として、いまの石油の自主開発だけではなしに、備蓄についても問題があろうかと思うのです。したがって、備蓄のため、あるいは開発のためという、いわゆる石油関税といいますか、あの関税、石特を通じて石炭石油の公団の方に流れてくる金、こういうものも使い道を考えて、もっと省エネルギー政策なり、それからまた先ほど申し上げた新エネルギー開発財源なり、そういうものにやはりもっと発展的に使うべきものではないだろうか。むしろ石油の自主開発とか、あるいは備蓄という考え方、この期に及んでそういう考え方は業界主導型のにおいもするし、そういう構想ではないだろうか。  やはり国は国として、国家的あるいは国民的立場から、石油の自主開発はもちろんのことですが、このエネルギーの問題について大きな角度から計画的に、しかも民主的に、この政策を進めていかなければならぬ、そういうことをひとつ大臣にお伝えを願って、私は、きょうの質問を終わります。
  168. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 午後四時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時五十六分休憩      ————◇—————     午後五時六分開議
  169. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高田富之君。
  170. 高田富之

    ○高田委員 インドネシアからのLNG、液化天然ガスの開発輸入に関連いたしまして、いろいろな点で疑惑が持たれておることは御承知のとおりでございますが、その疑惑の持たれております二、三の主要な点につきまして、この機会にできるだけ懇切な御解明をいただきたい、こう思うわけであります。  まず、最初にお伺いしたいのは、この液化天然ガスのわが国への輸入が、本年の三月から開始されるという予定で今日まで進められてきておったわけでありますが、最近になりまして、三月にはとうてい間に合わぬ、数カ月はおくれるであろうというようなことになって今日に至っておる。すでにもう四月も終わろうとするわけでありますが、このおくれたことにつきましても、どういうわけなんだろうかという疑惑が大分持たれておるわけであります。  そこで、なぜおくれたのか、現在向こうのインドネシアにおける開発はどういうふうな現況にあるのか、そのこれからの見通しというようなことにつきまして、最初に御説明をいただきたい。
  171. 田中龍夫

    田中国務大臣 先生の御質問も、いろいろと経過なり、あるいはまた今後の見通し等技術上の問題もあると存じますので、かわって政府委員にお答えをいたさせます。
  172. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 インドネシアLNGでございますが、バダック基地とアルン基地と二つあるわけでございます。バダック基地のものは全量日本に持ってくるという予定で建設工事を進めております。本年の二月の末に完成いたしまして、現在試運転中でございます。それからアルンの方は、当初から一年後に完成するということでございますが、現在工事は順調に進んでおる、こういうことでございます。  御指摘のように、当初三月ごろには、第一船が日本に入着するということで予定いたしておったわけでございますが、最近、インドネシアの方からも関係者が参りまして、日本側のユーザーと話し合いをいたしました結果、本年の七月末を目標として船積みしたい、ただ従来のこともございますので、インドネシア側からは試運転の状況を毎週報告させる、あるいは船の、結果としての遊休に対する負担はプルタミナ側で負ってもらいたいという申し入れをいたしまして、現在七月末に第一船入港ということで考えておるわけでございます。  工事がおくれました理由は、主として個別の設備が完成していく都度、試運転に入っておればよかったわけでございますが、保険との関係等もございまして、全部の設備が完了するまで試運転に入り得なかったというようなことがございまして、第一船は七月末におくれざるを得ないということになったわけでございます。
  173. 高田富之

    ○高田委員 そこでちょっと疑問に思われますことは、昨年の九月に、関係者が日本に集まられまして、当初の売買契約の一部改定でありますとか、いろいろな相談をなされて、そのときにはまだそのことがわからなかったんだろうかということであります。そのときに、あれだけの契約をされたときは三月に入港するということが前提になってのお約束だったと聞いておるのですが、それからほんのわずかの期間で数カ月もおくれる、半年もたたないうちに数カ月もおくれるというようなことがわからなかったというのは、どうも腑に落ちないのです。そこら辺の事情はどういうことになっておりますか。
  174. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 当時インドネシアとしましては、試運転の期間は四カ月ぐらいということを前提として考えておったようでございます。われわれといたしましても、追加融資の決定までに一年ぐらいかかったということもありまして、内心心配しておったわけでございますが、インドネシア側としては、三月末に船積みができるように努力するというようなことも言っておりましたので、さようにわれわれも期待いたしておったわけでございます。  ただ御参考までに、ユーティリティー関係の過去の試運転の状況を見ますと、アラスカの場合、ブルネイの場合、あるいはアブダビの場合、いずれも六カ月ぐらいかかっております。そういうところからいたしまして、やはり七月ごろにならないと第一船が入らないのじゃなかろうかという気がいたすわけでございます。  一方われわれといたしましても、できるだけ早く入着することを期待いたしておるわけでございますが、やはり大規模な、しかも液化設備と申しますものは、マイナス百六十二度まで冷却いたしまして、液にいたしておるわけでございます。そういったところから、予定どおり、当初の話し合いどおりに入着することが好ましいわけではございますが、また半面継続的、安定的に長期にわたって供給されるということも必要かと思いますので、われわれとしては、御指摘のような点において、必ずしも十分でなかったという点は認めざるを得ないわけでございますが、ともかく七月末までには第一船が着くように、現在インドネシア側を督励いたしておる段階でございます。
  175. 高田富之

    ○高田委員 何といいますか、言いわけ的なことできれいに説明しようという御努力は必要ないのです。ない方がいいのですが、そうでなくて、実際にその当時はそう思わなかった、三月に来るものだと大体思っておった、ところが意外にもこんなにおくれてしまって、この点は非常に残念に思っていると言われればいいのですが、何かあたりまえのようなことをきれいに説明されましても、どうも納得がいかない。  つまり追加融資をされたのは去年の六月でしょう。九月には改めていろいろな契約をされて、約束をされた会議が九月一日か何かに妥結しているのです。ですから、追加融資だって六月ですね、そのときに三月には入港するであろうと大体期待していたというのですね。そうすると、いまのお話では、試運転に四、五カ月かかるとすれば、三月に第一船が来るためには、十月かそこらには完成していなければならない。そうすると、六月ごろに追加融資をするときに、もう二、三カ月で完成する状態にあるのかないのかということはわかっているはずですね。ですからどうも、そんなことがわからないで、三月に入ることを期待しながら追加融資をしたということになりますと、何だかルーズな、ずさんな、現地の状況も何もいいからかんでやったのじゃなかろうか、世間では、新聞や雑誌を見ましても、そう見ているわけですからね。一般には常識的には、みんなそういう不信感を持って見ているわけですよ。  だから、そういうことについて、確かにこれは大変狂ってしまって大変なことだと思っているんだと言われれば納得がいくのですが、あたりまえのような御説明では、ちょっと因るのです。普通ならば、去年の六月に追加融資をし、九月に改めて改定した契約みたいなものを妥結させているのですから、ここへ来て数カ月もまたおくれるということになれば、相手に対して相当の不信感を持って、これは大変だ、これからもこんなことがちょいちょいあるんじゃあるまいかというようなことになって、取引相手に対する、かなり厳しい責任追及のような気持ちが、損害賠償を取る取らぬは別としまして、あってしかるべきだと私は思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
  176. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のとおりだと思います。先日、プルタミナのハルヨノ総裁日本に参りましたときに、私のところにも参りまして、陳謝と申しますか、事情を申し述べていったわけでございます。それに対しまして私の方も強く遺憾の意を表明いたしました。と申しますことは、ただいまお話のありましたように、損害賠償とかいった問題以上に安定供給が阻害されるという問題がございますので、その点は強く申し入れた次第でございます。
  177. 高田富之

    ○高田委員 何しろ十五億ドルですか、に近いような莫大な融資をし、国家的なプロジェクトとしてやっておりますので、これについては国も非常に責任がありますし、融資しましたものが厳密に正確に使われ、生かされて、そしてわが国のためにも、また相手国のためにも有効に使われておるということでないと困ることは申し上げるまでもないのですが、いろいろ疑惑があるということは、大きなお金をインドネシアに出しながら、どうもそういう点で、はっきりしてない面が多いんじゃないかというところから出ていると思うのです。  いま言いましたように、おくれた問題もその一つなんですが、しからば、追加融資のところも、ちょっといろいろな点で疑惑を受けておるというのは、最初の融資の行われましたのが四十九年の四、五月でしたね。最初二億ドルの十億ドルですか、約十二億ドルぐらいのものが、十一億ドルですか、行って、その後半年ちょっとぐらいたちますと、すぐに非公式ながらも、あと五億ドル足らないんだ、追加して融資してほしいんだという話が、正式には少しおくれているのでしょうけれども、出されてきた。そういうところあたりも、何だかずさんな計算に基づいた金額、莫大な金額でありますが、動かされているような感じがする。  そして、その話が出ましてから、かなりの期間を置いて検討されたと言うのです。それはおかしいからということで、そうおいそれと追加追加でやられたんじゃたまらないですから、もちろん厳密に検討されて二度目の追加融資をされたのだとは思うのですけれども、ちょうどたまたまそのときが、相手方の、国営の会社ではあるのでしょうが、会社自体の内容が、プルタミナの内容が世界じゅうに知れ渡って、もう破産状態、まさに紊乱をきわめ、めちゃくちゃになって、イギリスだとかアメリカだとかのあらゆるところの船会社から差し押さえはされる、訴訟はされる、そういう大騒ぎになったその期間なんですね、追加融資すべきかどうかという検討をしている間というのは。ですから、なかなか踏み切れなかっただろうとも思うのでありますが、この追加融資を決めるときに、最初の融資をしたときの売買契約内容が非常に相手方の言いなりほうだいじゃないかと言われるぐらい、どうもこちら側に不利な契約だというので、追加融資をされて間もなく、改めて契約を一部手直しをするというような作業も行われたようですね。  ですから、そういう経過を見ますと、どうもかなり多額の金を融資をしている。同時に、そのときの契約もどうかなと思われるような契約をしてしまっておる。また追加融資をするとき若干の手直しをしたとはいうものの、それらの点について徹底的な再調査をしてみる、現地調査もやってみるというようなことを一体やったのだろうか、どうだろうか。相手の方は破産状態、出した金が一体どこへ使われているのかも疑いたくなるくらいの経理紊乱をきわめている中、そういうときの追加融資でありますので、この追加融資をしたこと自体もどうかなと思われるのが、あたりまえだと思うのです。  その融資についても、いま言いましたように、その後半年ぐらいで、そういうふうにすぐ見込み狂いが生じているということを見ましても、その間一年間は期間を置いておるけれども、検討はしているのでしょうが、実際に本腰を入れて相手側の方へ行って現地の実情を見たり、経理の内容等についても調べてみたり、一体万全の調査をしての追加融資だったのだろうか。私はどうもそこいらの点が、皆さんが非常に不審に思っている点だと思うのですが、この追加融資のためには、どういうふうなことを検討されたのですか。
  178. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいまお話しのように、プロジェクトが発足した当初、日本側の融資窓口として設立されましたジルコを通じまして八億九千八百万ドル、経済協力基金から五百六十億円、約二億ドルでございますが、約手一億ドルの融資が行われることになっておったわけでございます。この交換公文は四十九年の三月、それから融資契約が四十九年の五月になっております。  こういった後を受けまして、ただいま御指摘のように、五十年の六月に、プルタミナからジルコに対して四億八千二百万ドルの追加融資を要請してまいった。その理由といたしましては、詳細設計を詰めていった、その結果、液化設備、タンク等の設計の見積もり直しが出てきた。あるいは資材の高騰等があったということを理由にいたしておるわけでございます。  このような要請を受けまして、ジルコは銀行等の協力を得まして、プルタミナのこの要請の内容を厳重に審査いたしまして、現地にも出かけていって調査いたしたわけでございます。その結果、結論といたしましては、五十年の九月に、内容は妥当であるが、工事内容の削減等により、金額を圧縮することが可能である、かような結論を当時は出しておったわけでございまして、お尋ねの点につきましては、ジルコあるいはユーザーあるいは関係金融機関が直接現地に行って調査をいたした、こういうことでございます。
  179. 高田富之

    ○高田委員 プルタミナ自体は、一体現在どういう状況にあるのですか。経理の中身も相当紊乱しているというふうに見られておるわけです。何か借金が百億ドルぐらいあるだろうというようなことも言われておる。訴訟されているものだけでも、もう三十億ドル近くなっているのでしょう。そういう中で差し押さえもかなりやられていますね。資産の公売までされているのでしょう。  ですから、こちらから行った金が正確に、その部門に使われているかどうかだって、これは疑えば疑える。疑う方が、あるいは常識かもしれないのですが、そういうふうな状況なのでありまして、現在は一体どうなっているのですか。相手の会社の状況はどうなっているのですか。前総裁は、いま収賄の疑いか何かで軟禁されているというじゃないですか。どういう状況にあるのですか。
  180. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 プルタミナの財政危機については、いろいろ言われておるわけでございますが、その発端となりましたのは、短期資金をもって長期の設備資金に充当しておった、その結果、資金繰りがきつくなって返済不能状態に陥った、かように承知いたしておるわけでございます。  それから、負債額につきましても、いろいろ言われておりまして、最近時点、われわれが承知しておるところでは、六十二、三億ドルになっておるのじゃなかろうか。一時期には債務額が百五億程度あるということでもあったわけでございますが、一年ほど前の数字では六十二、三億ドル、こういうことのようでございます。  プルタミナに対しましては、現在われわれが承知いたしておるところでは、インドネシア政府が、プルタミナが行っておる事業を監督し、みずから責任を持ってやるという基本的な姿勢をとっておるというふうに承知いたしております。  それから、ただいま御指摘資金の流れでございますが、まず貸し付けに当たりましては、いわゆる投資の窓口であるジルコから、アメリカにある日本海外支店に特別口座がございまして、そこに資金を送り込みまして、それからベクテルだとかその他の業者に直接支払われていく。一部ローカルコスト分がプルタミナに行くという形になっておりまして、毎月プルタミナからジルコに対しまして支出報告を寄せておる、こういうことでございますので、万々ジルコを通じての資金が他に流れておるということはないというふうに確信いたしております。  また返済は、本年の秋以降出てくるわけでございますが、これもLNG代金を日本側のユーザーがアメリカの銀行に振り込みまして、その中の一部が市中銀行とのニスクロ契約によりまして、ジルコへの返済に充当されてくる、あるいは経済協力基金に返済されてくるといったような形になっておりますので、返済の面におきましても、LNG代金が一部イヤマークされて充当されるということでございますので、そういった点からの懸念は、まずまずないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  181. 高田富之

    ○高田委員 代金を払う、その代金の中から返済されるのだから心配はない、こういうお話でございますが、当初の売買契約で非常に不利だということで、後から手直しをされたというものの中に、所定の数量だけ日本側で買い入れなかった場合であっても、約束した数量の分の金は払うのだというような約束があったらしいのですね。それを何か一部手直しをしたというのですが、そこのところ、ちょっと詳しく説明を願いたいのです。当初はどういう契約であった、それを去年の九月のときにどう改正したか、そこをちょっと御説明願いたい。
  182. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先生御指摘の点はテーク・オア・ペイ条項の取り扱いの問題かと思います。  テーク・オア・ペイ条項と申しますのは、品物を引き取らなくてもペイしてもらいたいということで、こういう契約におきましては通常のことではあるわけでございます。ただ、そのテーク・オア・ペイ条項を非常にシビアに適用してまいりますと、今度は当方の受け入れ側の事情などもあって、非常に不利を免れないことになります。そういったことから、このテーク・オア・ペイ条項の内容を緩和すると同時に、年間の許容量というものを設定いたしたわけです。年間にある一定の量を引き取らなくてもよろしいといったような年間の許容量を設定するとか、あるいはこれに関連いたしまして、いわゆる立ち上がり期間中の引き取り数量の調整をやったわけでございます。  この契約は平年度ベース年間七百五十万トンということになっておるわけでございますが、当然初年度は送り出す方も受け入れる方も慎重に事を運ぶ必要がございまして、これよりはるかに少ない量が入ってくるわけでございますが、そういった立ち上がり期間中の引き取り数量の調整をやるとか、あるいは買い主というものは、日本側は五社ございますが、買い主間あるいは基地間での引き取りの相互融通性を認めさせたというようなところが、いま御指摘のテーク・オア・ペイ条項に対する改善点でございます。
  183. 高田富之

    ○高田委員 それではもう一つ進めまして、いまのような非常に不利な条項があったのを一部手直しをしたというのでありますが、当初の売買契約から、最近のでも同じことが言われておりますが、価格がほかの国際的な市況と比べてみて、ほかの地域から入っている、たとえばブルネイだとかと比べてみまして、著しく高いということが一貫して言われているわけなんですね。  この点につきまして、実は私はこの前、書面で前国会のときに、ブルネイ、アラスカから輸入しているLNGの最近のCIF価格を教えてくれと言ったところが、これはだめだ、資料として出せないとかなんとかというようなことがありましたけれども、出せないはずはない、こう思いまして、重ねてこれを書面でお尋ねをしたわけなんですが、高い、高いということが一般に言われておるわけであります。この間の事情を具体的な数字で御説明願いたいのです、高くないのか高いのかを。
  184. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 LNGの価格が高いか安いかという判断は非常にむずかしい点がございます。と申しますのは、LNGの価格なるものが開発の地点あるいは開発の規模あるいは開発の時期、状況によりましては、世界におけるエネルギー需給事情、こういったものが影響してまいりますので、一概に高い、安いの判断はむずかしいわけでございますが、ただいまお話がございましたアラスカあるいはブルネイについて申し上げますと、アラスカは昭和四十四年の十一月に第一船が入港いたしております。その当時の価格は、これは通関統計から換算したものでございますが、百万BTU当たり五十二セントになっております。  それから、ブルネイにつきましては、四十七年の三月に第一船が入っておりますが、ブルネイについては価格が二本立てになっておりますので、必ずしも明確に申し上げづらいわけでございますが、これも通関統計から換算いたしますと、大体六十数セントであったわけでございます。  その後、四十八年のオイルショックを経、かつは五十年の五月のOPECのガボン総会におきまして、LNGについても原油価格にスライドすべきであるといった決議がなされております。そういった影響を受けまして、このアラスカ、ブルネイの両プロジェクトにつきましても、だんだん高くなってきておりまして、昨今ではアラスカにつきましては百万BTU当たり百七十セント、ブルネイについては百九十セントくらいになっておるというのが実情でございます。  これに対しまして、インドネシアLNGにつきましては、四十八年の四月に、両角・ラディウス会談がございまして、その際に出された数字は、CIFベースで九十五セントということであったわけでございます。これは当時より一年前の四十七年五月に、イランのカーグ島というところで、同じくLNGプロジェクトの話が進んでおったわけでございます。当時CIFで九十五セントであれば経済性がある、フィージビリティーがあるということで検討しておったわけでございますが、結果として九十五セント以下では上がらないといったようなことになりまして、カーグ島プロジェクトを放棄した経緯がございます。その当時の九十五セントを話し合いのベースに置いた、こういうことでございます。  その後、その年の十二月三日に、販売契約が結ばれまして、その販売契約の中に価格決定方式が入っております。簡単に申し上げますと、LNG要素と輸送要素に分けまして、輸送要素の方は、当然実費ということになるわけでございますが、LNG要素のうち、九〇%はインドネシア産原油の価格にスライドさせる、あとの一〇%は、年率三%でスライドさせるといったような方式でございます。  当時の時点で、この方式に当てはめますと、バーレル当たり五ドル八十セントくらいになるわけでございまして、その時点におけるミナス原油がバーレル当たり六ドルということでございまして、オイルショック直後の時点としては、まずまずの数字ではなかったろうかと思うわけでございます。  さらに、その後昨年の追加融資決定の際に、プルタミナ側と販売契約の改定をいたしておりますが、その中に、将来アメリカに向けてLNGが輸出される場合には、FOBベースでアメリカ向け、日本向けの価格を等しくするといったような調整規定も入れておるというのが現状でございます。
  185. 高田富之

    ○高田委員 いまの御説明によりますと、別段高いのじゃないということなんですが、四十八年の四月の両角・ラディウス交渉による合意価格、いまあなたのおっしゃった九十五セントはそのとおりなんですが、同じころのブルネイからの輸入価格は、計算してみますと、大分違うような感じがするのです。CIFで四十八セントくらいになる、通関統計からの計算ですが、そういうことになる。これは違いますか。いまのちょっともう一遍……。
  186. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ブルネイにつきましては、A契約とB契約というのがございまして、A契約の方が五十セント弱、B契約の方が八十セント強、こういうことになっておるわけでございます。通関的には、これはそれぞれ分けて出てまいりませんので、ここで四十八年ごろの数字を見ますと、B契約の方は百九あるいは百十セント程度いたしております。
  187. 高田富之

    ○高田委員 そのB契約というのは、どういうことですか。ちょっと御説明願いたい。
  188. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 当初三百六十五万トンについて契約をいたしたわけでございますが、その後約百五十万トンこれに追加して引き取りたい、第二次分でございます。第二次分の方が、第一船は同じく四十七年の三月から入ってきておるわけでございますが、追加分の方が当初の三百六十五万トン分よりも、かなり高い価格になっておるわけでございます。
  189. 高田富之

    ○高田委員 なかなか専門的なことで、どうもよくわからないのです。倍も違うというのは、ちょっとあれですが、私、通関統計から計算をしまして、百万BTU当たりの価格を出してみたのです。違っていたら違っていると御指摘願いたいのです。  そうしますと、もう一つのA契約の方なら私の計算が合っておるわけですね、同じ四十八年ごろ、四十八セント。ですから、両角・ラディウス交渉による九十五セントに対して四十八セント。それからアラスカからのやつが同じ四十八年四月ごろで、BTU当たりCIFで五十八セント。それからプルタミナとユーザー五社との間で正式契約されましたときのCIFが一ドル二十九セント、四十八年十二月。同じ四十八年十二月ごろのブルネイからの価格を計算して出してみますと、CIFで八十二セント。だから、一ドル二十九セント対八十二セント。アラスカからのやつが同じ四十八年十二月ごろで、CIFで五十八セント。  大分安いのですが、そんなふうな計算でずっとやってみますと、こちらの五十一年九月のプルタミナと価格改定をしたとき、去年の九月ですが、CIF二ドル三十三セント、こう決めたわけですが、その同じ九月ごろのブルネイからのものを計算してみますと、一ドル八十九セント、二ドル三十三セントに対して一ドル八十九セント。それからアラスカの方の五十一年九月ごろのやつを計算してみますと、一ドル七十二セント。二ドル三十三セントに対して一ドル七十二セントといったようなぐあいに、初めのころから最近までのやつをずっと計算してみまして、大分高いなという感じがするのですが、これは私の計算違いでございますか。どういうことになりますか。
  190. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ブルネイあるいはアラスカについては、大体先生の計算されたような価格であろうと思います。ただ、両角・ラディウス会談、四十八年の四月でございまして、ブルネイ、アラスカについて初めにおっしゃった数字は四十七年の四月ごろと、一年くらいの差があるということ。  それからもう一つ、これは言いわけではございませんが、アラスカ、ブルネイにつきましては、これはまだ液化天然ガスというものを、さように使っておらない時点であり、かつはオイルショック以前であったというようなところから、イニシアルインベストメントも比較的安くついておったというようなことが影響して、御指摘のような数字になったのではなかろうかと思います。  それから、販売契約の中で何ドルということを、いま御指摘になったわけでございますが、販売契約の中には、販売価格を決定する方式だけが記載されておりまして、御指摘のような数字は、それぞれにその要素について数字を挿入した場合に、御指摘のような数字になるであろう、こういうことでございます。
  191. 高田富之

    ○高田委員 それから輸送料部分ですね。昨年九月一日のときの価格では、輸送料部分がCIFの二ドル三十三セントのうち、三十三セントということらしいのですが、その輸送賃部分というのも相当高いのだというふうに一般に言われていると思うのですが、これは国際的な価格と比較してどうですか。
  192. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 LNGにつきましては、まだ当時世界的にそう多く使われておりません。そういったところから、LNGの運賃が国際的、標準的に幾らであるかということは、なかなか言いづらいわけでございます。ただ、大体三十セント前後というのが、われわれの考えのベースにあるわけでございます。  ただ、ここで一言申し上げておきたいのは、先ほどお話のありました昨年の九月に、追加融資を決定した際に、売買契約について当方にとって不利な点を是正いたしたわけでございますが、その際に、輸送契約につきましても、これは本来プルタミナとパーマが両当事者として契約をいたしておるものでございますが、われわれといたしましても重大な関心があるわけでございまして、このプルタミナとパーマの輸送契約の中で、フレートのエスカレーションクローズの運用を限定して、船価の上昇が輸送費にはね返ってこないようにするという改善がなされております。プルタミナから、わが方もそういった通知を受けまして、これに対して了承しておるというようなことで、できるだけフレートにつきましても、低位に抑えられるような配慮はいたしたつもりでございます。
  193. 高田富之

    ○高田委員 いろいろ価格の問題についても、もう少し私も蹄に落ちない点があるのですが、一つだけお伺いしておきます。  最近報道されておりますように、本年度から三井物産でアブダビから輸入することになったということになっておりますが、これの契約価格が一ドル九十セントだと言われておるのですね。大分遠いところから来るのに非常に安い、こういうことになるわけで、運賃は、普通の油の場合でも、大体インドネシアから日本へ持ってくるのと、アブダビから持ってくるのでは、遠いですから、運賃が五割違う、こう言われておるのですが、そのアブダビから、本年度から入ってくるLNGで、CIFで一ドル九十セントということになりますと、大分これは安い、こういうことになるわけですが、これは間違いありませんか。
  194. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のケースは、全く民間ベースでやっておるわけでございますが、私たちが聞いておりますところでは、二ドル前後というふうに承知しております。  それからエスカレーションクローズが、やはりついておりますので、これもだんだん先ほど申し上げましたようなLNGに対する需要がふえてくる、あるいはガボン会議の決議の線に即応してくるというようなことを考えますと、当面は二ドル前後でスタートいたしましても、やはり価格的にキャッチアップしてくる可能性があるというふうに見ておるわけであります。
  195. 高田富之

    ○高田委員 いずれにしましても、私がいま申したことが間違いでない、一ドル九十セントということが間違いでないとしますと、あの遠いところから、船賃だけで五割もよけい取られるところから一ドル九十セントで、インドネシアからは二ドル三十三セントというのでは、やはり相当これは——だから、初めのときから今日に至るまで、一貫して相当いい値で入れているなというふうに考えざるを得ないのですね。  それで、ただいまもお話が出ておりますように、当初の契約では、いろいろな点で向こう側に余り有利過ぎて、こちらがややもすれば大変不利になるということから、去年の九月に改定をしたということになっておるわけでございますが、それにしましても、そういうふうなちょっと考えますと、乱暴なような契約を当初しておる。莫大な金を融資しておきながら、そういう乱暴なような、相手に有利なような契約をしちゃったということが、どうも納得いかない。それをある程度反省して、去年の九月には、もう少しちゃんとしたものに直しましたと言われるわけですから、直したのだから、いいようなものではあると言えばそれまででしょうが、なぜ一体そんな契約をしたのか。  莫大なお金を融資してあげて、そういう契約を結ぶときに、どうしてそんなルーズな契約を、相手方に一方的に有利に運営されるような契約を結んだのだろうかということは、やはり疑問として残るのですね。これはどういうふうにお考えになっておりますか。
  196. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 一つには、四十八年と申しますと、十月に中東戦争が勃発して、いわゆる石油危機なるものが発生したわけでございます。その当時は、その春ごろからエネルギー需給も非常にタイトになってきておった。しかも最終的な販売契約、これはもちろん民間の契約であるわけでございますが、販売契約を結んだのは十二月、オイルショック直後であったといったようなことも、一つの焦りとしてあったのではなかろうかと思うわけでございますし、かたがた、また資源保有国としても、できるだけ有限な地下資源を有効に活用したいといったようなことも手伝って、御指摘のような、他のアブダビ、アラスカ、あるいはブルネイに比べて割高だ、御指摘になるようなことになったのではなかろうかと思います。  ただ、いま挙げておられます三つのプロジェクトは、いずれもオイルショックより、かなり前からスタートしておった設備でございまして、それだけに、やはり使用機器等が安く上がったという点も大きな原因になっておるのではなかろうかと思います。  御参考までに、最近時点でいたしますと、年間五百万トンベースのLNGプロジェクトを実現するためには、二十数億ドルの資金が要るというふうにも言われておりまして、こういった設備につきましては、オイルショック前と後、あるいはその後でも一年あるいは二年と、時期の隔たりがあれば、かなり投資額に差が出てくるというのも実情のようでございます。
  197. 高田富之

    ○高田委員 時間がなくなりますので、もう一つだけお伺いしておきたいのですが、CIFで契約をしているということですね。このことがもとになっておりまして、用船利権をめぐりまして、いろいろなうわさが出てきたわけでございますね。  この間、バーマ石油の会長さんですか、前会長さんですか、ニューヨークの裁判所で、ほかの問題での証言の中で、LNGをインドネシアから日本へ運ぶ問題で、有利に用船の問題が展開するようにということで、日本の海運高官というのですかね、海運関係の高官の方に九億円ですか、賄賂を贈りましたということを会長が証言したというので、大変なセンセーションを起こしたのですね。  とにかく用船の大変な——二十年以上にわたって一定の油を運びさえすれば、莫大な金が入るのですから、ずいぶん安定したいい商売ですから、いろいろな国際的な利権争いというようなものが起こったらしいのですね。その中でいろいろなことがうわさされ、たとえばトンネル会社みたいなものをつくって、そうしてその用船料のリベートを、分け前をそのペーパーカンパニーでもって持ち株によって分ける、それが発覚してアメリカで問題になりまして、その中に、実はわが国の法人も入っておる、そういうこともあったのです。  いろいろなそういうことを考えますと、CIFでやっておるということ自体が、どうしてこんなことをやったのだろうか、FOBでやったらいいのじゃないかということになるのです。ですから、FOBでなぜやらなかったのか、CIFになったのは、どういうことかということと、いま言いましたような用船利権をめぐる問題については、わが国の法人も、その中のリベート受け取りの資格を持って、そのトンネル会社の中へ入っておったということも発覚して、大変不名誉なことになったのですな。こういう事件もあり、いま言ったように、九億円の賄賂を贈りましたなんというパーマの会長からの証言などが飛び出すということにもなった、こういうことについて一体どうお考えになっておりますか。
  198. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、なぜFOB価格で引き取らなかったかというお尋ねでございますが、実は、これは当時の通産省の関係者といたしましても、FOB価格で輸入したいということでいろいろやっておったわけでございます。ところが、御承知のように、LNGというのは、まだ新しいエネルギーでございまして、現に先ほどお話も出ておりますアラスカとかブルネイから持ってくるのもCIFベースで買っておったわけでございます。  と申しますのは、日本側のユーザーも、あるいはその船を運航する企業も、なれておらないということで、通産省としては積極的にFOBと、それだけ外貨の節約といった立場でFOB契約をということを願っておったわけでございますが、肝心のユーザーなりオペレーターがなれておらない、非常に危険なものを、なれていない人が扱うわけにまいらないといったようなところから、むしろCIF契約でやりたいのだといったようなことで、結果としてCIF契約になったわけでございます。  また、いま時点におきましては、日本の造船所でもLNGの専用船をつくりつつございますが、当時まだ一隻もLNG船をつくった経験がなかったといったようなことも影響いたしまして、結果としてCIF価格でまいった、こういうことでございます。  それから、用船の問題とおっしゃったわけでございますが、これは短期用船の問題と、長期の問題とございますが、まず長期の問題といたしましては、当初プルタミナはバーマスト・イースト・シッピングという会社と輸送契約を結んでおったわけでございますが、いわゆるアメリカのマラッド・タイトル・イレブンとの関係で、アメリカ側から、バーマスト・イースト・シッピング社では適当でないといったようなお話もございまして、われわれが承知いたしておるところでは、米国国籍のパーマ・オイル・タンカーズの一〇〇%小会社としてパーマ・ガス・トランスポーテーションという会社が、かわってプルタミナと輸送契約を結ぶことになった。その結果、タイトル・イレブンの対象として融資保証を受けておる、かように承知いたしておるわけでございます。  ただいま御指摘のあったバーマスト・イースト・シッピングに日本側の法人も関与しておったのじゃないかというお話でございますが、これも私たちの承知いたしておりますところでは、FEOのことをおっしゃっておるのじゃなかろうかと思うわけでございますが、FEOなるものは、インドネシアの石油を販売するために設立された会社でございまして、そういったところから、プルタミナの要請に基づいて四十八年の十月に、バーマスト・イースト・シッピング社の株式を購入した。その後五十一年の七月に、バーマ・オイル・タンカーズ社の要請に基づきまして、五十一年九月、昨年の九月に持ち株を売却したというふうに承知いたしております。  それから、バーマの会長の証言問題ということにつきましては、私たちとしては関知いたしておらないことでございます。
  199. 高田富之

    ○高田委員 時間が参りましたので、これで一応打ち切りますが、用船利権の問題ということにつきましては、実は初めからゴタスラーセンが建造を請け負ったわけですけれども、その能力がないだろうとか、いろいろな事情でできないだろうということがわかっていたらしい。それよりずっと前に、四十八年当時からゴタスラーセンの方で、その権利を横取りしようという動きがあったのではあるまいか。川崎重工だったかと思うのですがに、船を二隻注文をしておったということがあり、ゴタスラーセンや川崎重工との関連では、三光汽船が絡んでいるのではあるまいかというような、うわさももっぱらになり、いろいろと疑惑が疑惑を生む事実がたくさんあるわけでございます。  いずれにしましても、そういうふうな問題がたくさんあるわけでございます。とても五十分ぐらいでは、私自身納得できる御説明をいただけないので残念なんですが、問題は、国際的にそういうふうな疑惑が広がっているという状況にあるのでして、場合によってはロッキードよりも何倍もの大きな問題になるぞなんというようなことが、あちらこちらでささやかれる、書かれるというような状況にありますので、国民が疑いを持たないような、解明がきちっとできるか、そうでなければ疑わしい部分を徹底的に摘出して、これをきれいに清算する措置をとるか何かしませんと、このままでは、この疑惑というものはなかなか解けませんし、それに、今後長年にわたって重要なLNGの輸入をしなければならぬということでありますから、相手が信用できないということでも困るわけですし、そこらの点につきましては、今後もっと納得のいく系統的な総合的な解明がなされなければならぬ、そういう必要があるということを痛感しますので、大臣から最後にお考えを述べていただきたい。
  200. 田中龍夫

    田中国務大臣 いろいろと御懇切なお話をありがとうございます。  申すならば、対外経済協力の問題としましても、あるいはまたエネルギーの問題にいたしましても、さらにまたインドネシアという日本との間の国家といたしましても非常に重大な問題でありまして、こういうことは明朗濶達に行われなければならないということを私は本当に心から願っておるわけであります。しかしながら、ただいまお話いただきましたような、いろいろな疑惑がありますことは実に残念でございます。  これにつきましては、あくまでもこれを明朗な姿に戻していかなければならない、かように思う次第でありまして、今後ともに、またいろいろと御協力をお願い申したい、かように存ずる次第であります。
  201. 高田富之

    ○高田委員 では、終わります。
  202. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 馬場猪太郎君。
  203. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 三月は、たしか千七百五件でしたか、倒産がございましたし、去年中は一万六千件を超えるような倒産、このほとんどが中小企業でございますが、この中小企業の倒産、いままでと倒産件数が非常に多いというか、ちょっと状況が違ったような感じがいたしますが、通産大臣はどういうふうに受けとっておられるのか、まず大臣から、お答えいただきたいと思います。
  204. 田中龍夫

    田中国務大臣 今日の非常な不況、また相次ぐ倒産、先月は千七百五件というような大量の最低の状態を示したのであります。  しかしながら、これが原因は、いままでの高度成長の状態から低成長に参りました一つの構造変化というものが本質的には原因であろう、かように存じます。  しかしながら、同時に今後これを底といたしまして、予算も成立いたしましたことでもあり、あるいはまた、各種の中小企業対策、あるいはまたきめの細かい連鎖倒産防止対策、あるいは金融の措置、信用補完的な各種の施策というものが総合されまして、私は一日も早くこういった状態から抜け切っていかなければならない、かように念願をいたしております。
  205. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 通産大臣だけではなしに、だれも皆この不況を抜け出すために、お互いにがんばっているわけですが、いまの予算が成立したら、景気の回復は明るい見通しだというふうに思っていらっしゃるわけなんですか。  たとえば、従来なら、四十二年のときもそうだったと思いますが、四十五、六年ごろの倒産の起こったときもそうだったと思いますが、金利を引き下げることによって、設備投資なんか相当積極的に進められた。ところが、今度はそうじゃないのですね。数次にわたって、四次、五次にわたって景気対策が出され、昨年の暮れから春にかけて金利の引き下げもやられた。ついこの間もまた一%大幅に引き下げられました。ところが、どの企業家の発言を見てみても、果たしてこれだけ金利を引き下げても設備投資には回らないだろうというような予測の方が多いわけなんです。なぜそういうふうな状態になっているのでしょうか。
  206. 田中龍夫

    田中国務大臣 一つには、稼働率という問題があると存じます。いまここで需要が増しましても、直ちにそれが、新しい設備投資にという要望にならないということは、私はあると思っております。しかしながら、金利の今回の引き下げの問題、さらに膨大な予算というものが成立いたしましたことによりまして、市場に資金散布があるということ、のみならず、過ぐる閣議におきましては、上期に公共土木の関係七三%を集中的に発注していこう、それには大蔵大臣を本部長といたしまして、これが各省の間の注文を集中して出す。ことに四—六に五〇%を投入するといったような、いままでにない需要というものの喚起につきましては、特段の措置もいたしたと思います。  ただ、これが代金は、元会社の方には出るけれども、下請の方には依然として出ないというようなことがないように、また手形の問題も、サイトを決めて出す、こういうふうなことも行われると存じます。  かような次第で、今度は、お話のように、われわれの願望が何とか達せられるように本当に祈る気持ちでおります。
  207. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 願望は幾らしても、なかなかそうはまいらない場合もあると思いますが、さっき、はしなくも構造変化というふうに言われた。どういうふうな構造変化というふうに受け取っていらっしゃるのですか。
  208. 田中龍夫

    田中国務大臣 結局、低成長ということになりますと、数多い企業というものが、どうしてもそれだけの需要が当然なくなってまいりますから、必然的に整理の段階が出てくるということは、やむを得ないことのように思います。それをいかに転換して、いかに新しい活力を与え、新しい方向に企業を発展させるかということは、これまた産業政策の上から言って、非常に大事なことであろうと思います。  たとえて申すならば、繊維企業にいたしましても、あるいは平電炉の問題にいたしましても、これがこのままでいいというものではございませんし、どうしてもこれが、同じ構造という言葉を使えば、構造改革といいますか、相当設備その他を整理しなければならないというようなことを意味する次第であります。
  209. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 構造変化というのは、実は最近出てきたわけじゃなしに、早くから出てきておりますね。通産省が、たしか四十四年の七月ですか、新産業政策ということをお出しになった。そのときを見てみますと、経済の国際的な発展あるいは公害防止や消費者保護等の国民生活の立場に立った質的な充実、そのときから資源エネルギー問題、労働条件、工業用地問題、基礎的な条件というようなものが変化を来しておるのだから、ひとつこの際、いままでやってきたやり方じゃだめじゃないかという方針は出されておるわけですね。  そうして具体的に四十六年の五月に、七〇年代の通商産業政策というのをお出しになっています。これには、従来やってきた重化学を中心とした構造はもう時代おくれだ、外に向かっては鉄鋼や化学工業、自動車、家電、こういったものの輸出に対する国外からの圧力、内輪に対しては公害、環境や資源問題、エネルギー問題、いま言いました用地問題、あるいは用水問題というような、いろいろな角度から、方向転換をしなければならないというふうに、四十六年の五月に、そういう方針をお出しになっています。  ところが実際には、四十六、七年ごろというのは、四十四、五年ごろの不況対策として、いまと同じように金利対策、できるだけ金利を安くしたりして設備投資をどんどん進めるようなことをやっていらっしゃるわけですね。もういつまでも、いままでと同じように、三十年代からやってきたやり方じゃだめですよということを言いながら、中小企業の皆さん方は、政府の金利政策だとか誘導策を真に受けて設備投資をどんどんやってきた。そうして、それができ上がって、これから稼働するという段階になって今度の不況になったわけでしょう。  言うならば、国の産業構造政策というものは、ころっと変わっておるのに、同じゃり方をして、中小企業者がずいぶんと設備投資をして、結局それが命取りになって倒産しているのが、ずいぶん多いのじゃないでしょうか。  そういう意味から言うと、政策転換ということが中小企業者にはっきりと理解されないままで今日まで来て、そうして、いままた同じように、金利政策だとか何かで、いままでと同じようなやり方で中小企業者の皆さんに対して、いわば応急措置ばかりをやってきているような感じがいたします。  それじゃ一方大企業の方はどうかと言えば、すでに四十六年の五月に出たころから、自己防衛策をいろいろ考えていますね。たとえば、いま非常に不況だと言われておる鉄鋼あたりも、新しい設備を増設したり、新設したりする、そういった場合には、古い設備を全部なくして、廃棄して、生産量の拡大にならないような自己防衛的なことを、そのときからもうすでにやっておるにもかかわらず、中小企業に対しては高度成長時代と同じようなペースでここ五、六年進んできているわけです。  こういう状態が続いていることは、結局は国の政策、いままでと違って、構造的な政策の交換が、中小企業をこれだけ長期にわたって苦しめ、倒産を強いている結果となっていると思いますが、その点について、どういうふうにお考えになりましょうか。
  210. 田中龍夫

    田中国務大臣 私のいま申し上げたいと思う一番の問題は、何しろOPECによりますオイルショックでございます。それまでは本当に安い値段で入っておった油が約七倍近いコストになったこと、これは何と言いましても、九九・七%を全部海外に依存しておりました日本が途端にコストが非常にはね上がるわけでありますから、これによりますショックは、もう世界のどこの国よりも激しいショックを受けたわけであります。  その前の時点におきましては、御承知のソ連や何かのアメリカにおける小麦の買い付けその他から国際的なフレートが非常に上がったことによりまして、木材あるいは穀類の輸入価格が、これまたフレートが四倍にもはね上がったというときに、一つの波が来ております。  しかし、何と申しましても、ある段階には、つくりましょう、捨てましょうといったかっこうで大変謳歌した時代も数年前にはあったわけでありますが、そのころから比べてみますと、まるで、さま変わりがしたような今日の状態は、残念ながら日本経済が無資源工業大国といいますか、自給できるのは米だけでありまして、あとは燃料にしろ、食糧にしろ、原料にしろ、材料にしろ、ほとんど全部を海外に依存しておる、こういう国柄から来ます世界経済の動きに非常に脆弱な体質であることは、これはもうやむを得ないわけでございます。  しかしながら、その間において、明治維新の日本の新しい産業革命以来、どこの国にもないような中小企業が非常に多いという一つの特色を持った経済環境は、明治、大正、昭和、戦前戦後を通じて、一つ日本経済独特の中小企業問題というものがずっとあるわけでございますが、そういう間におきましての景気、不景気、いろいろの波が重なり重なってまいっております歴史的な背景は、これまた御承知のとおりであります。  しかし、何をおきましても、当面の一大不況を乗り切るために、私どもは特に国民の過半数を擁しております中小企業に対しまして、あらゆる政策を整合性をもってこれを処理することによって、一日も早い不況からの脱却を全力を挙げていたしておるような次第でございます。
  211. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 口では中小企業対策とよく言われるのですが、いつも政策転換があるたびに、中小企業は景気がよくなればよくなったで一番置き去りにされ、悪くなったら悪くなったで一番先に犠牲を受ける。中小企業政策転換のたびに、一番先につぶれたり、あるいは合併したりということを繰り返しているわけですね。  高度成長路線が始まって、もう二十数年、高度成長は高度成長なりに、大企業があり、そしてそれを下請する元請から下請にきて、零細企業に移り、そして家庭の主婦のパートに至るまで、一応の秩序というか、組織というか、そういったものができ上がって、この二十年間の運営がなされているわけです。  ところが、この新しい産業政策の中では、もうこういう高度成長路線はだめだと言っているわけでしょう。そうすると、それができ上がるためには、ずいぶん長い期間かかり、いろいろのひずみを経ながら、でき上がると思うのですが、でき上がった途端に、その政策がだめだということで、いま方向転換をもうすでに始めているわけでしょう。そして始めているけれども、しかし中小企業に対するいろいろの対策は、高度成長型と同じようなやり方をいまやっているわけでしょう。  これでは幾ら融資の額をふやし、金利を下げ、各論においては手当てをしておっても、根本的に大企業、上の方はこっちの方に行くのですよと言っておるのですが、下の方にくっついていっている中小企業は、ばらばらになれば、それでつぶれるわけですし、ついていかなければいけないけれども、方向転換についていけないような状態が、いま続いている。その構造変化に対応し切れないということが、今度の不況を長引かせ、中小企業の倒産を多くしている大きな原因ではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  212. 山口和男

    山口政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、昭和四十四年、五年ごろから日本経済の高度成長がある段階に進み、重化学工業化もかなり進行いたしまして、これから以後の産業政策のあり方を反省してみる時期に参りまして、私どももいろいろと通産行政のあり方について真剣な検討をやってまいりました。  その後、御承知のとおりアメリカの課徴金制度、ニクソン・ショックを経まして、さらにオイルショックというようなことになってきたわけでございますが、この間、長期の産業構造の見通しという問題につきまして、私ども産業構造審議会の場で、長期ビジョンの作成に取りかかってまいりました。特に、この数年来の国際経済環境の変化に対応してどうあるべきか、あるいはまた資源エネルギー供給の制約等に関してどうあるべきか、また国民ニーズの変化に対してどうあるべきか、こういうことから今後の路線というものを検討いたしまして、御承知のように、四十九年度からこの長期ビジョンの結論を一応世に出してきております。毎年見直しをいたしまして、五十年度、五十一年度とやってきております。  五十年度の長期ビジョンの中では、特に「中小企業の役割とその展望」という一章を設けまして、わが国中小企業の位置づけ、そして存立の基盤はどういうものであるか、また新たな課題としてはどういうものが出てくるか、今後の展望、あるいは中小企業の発展方向といったような項目を設けまして、いろいろ検討いたしております。  そういうことで、長期ビジョンの中に立って中小企業政策を進めていくという考え方をとってやってきておるわけでございまして、五十二年度予算におきましても、そういった新しい長期的な観点に立った政策という新しい政策も含めて進めようということで、努力をいたしてまいっております。
  213. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 四十四年ごろから始まって、いろいろこれからの産業構造のあり方を考え直さなければならぬと言われておりますが、その中で付加価値の高いという言葉が、たびたび使われております。あるいはまた知識集約産業、具体的にどういうことを考えていらっしゃるのでしょうか。
  214. 山口和男

    山口政府委員 たとえば、同じ工作機械にいたしましても、最近御承知のように景気の状態が余りよくないものですから、工作機械の需要というものは比較的低調でございますけれども、その中でも、たとえばNCつきの自動化の装置のついたような工作機械、そういったものは相当やはり伸びておるわけでございますし、輸出の方にも大いに伸びてきております。そういった高度の製品というものが、やはり需要面から非常に強いものを持っておる、たとえばそういうようなことじゃないかと思います。
  215. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大阪は、昔から繊維の町と言われておりますが、繊維が二十七、八年ぐらいまでですか、非常によかった。それから以後は長い間、もう繊維というのは斜陽産業だと言われて久しいと思います。それでもなお大阪では、まだまだ繊維に従事していらっしゃる中小企業が非常に多いわけなんですが、たとえば、そういう繊維を取り上げてみても、新しく付加価値の高いということになると、非常にファッションというか、ファッション界とか新しいデザインというような、そういった方面に主に進んでいかざるを得ない。そして、そういう高度なものになっていくと、結局いままでやっておったようなはだ着であるとか、既製服であるとか、比較的大量生産に乗るようなもの、そういったものは、つい引き合わなくなるものですから、これはもう各国分業論ということで、外国の発展途上国へどんどんと回っていっている。特に既製服だとか、はだ着だとかいったものは、韓国における加工あたりが非常に多いと思うのです。  そういうふうな形になっていっていると、今度は高度化していったファッションについていけるというのは、中小企業というのは、なかなかついていけないのですね。そうすると、親会社についていったものは、いつの間にか離される。その場合に、繊維がどういう形で系列化されていったかというような実情については御存じでしょうか。
  216. 山口和男

    山口政府委員 繊維の場合に、非常に大きな問題は、御案内のとおり発展途上国製品の追い上げと申しますか、そういった国際分業体制の進展というものによりまして、輸出面で非常に後退を余儀なくされておるというようなことによる影響、これが非常に大きいわけだろうと思います。  しかし、そういった意味で過剰設備と申しますか、そういった状態に現在数年来になってきておるわけでございますが、昨年十二月には、繊維工業審議会におきまして繊維産業の新しいあり方というようなものについての御答申をお願いいたしまして、アパレル産業を、ともかく育成しなければいかぬというような、ある方向が打ち出されております。  私、繊維の直接の担当でございませんので、具体的に繊維産業の系列化の状態というのは、どういうように進展しているか、ただいまちょっと申し上げられないのが残念でございますが、高付加価値の繊維製品の開発ということを具体的にどうやればいいかということになりますと、なかなかむずかしい問題が、確かに先生おっしゃるようにあるんだろうと思います。それを、そういったファッション化あるいは、そういうアパレル産業の強化、そういったことを中心に何とか力を入れるということを現在進めておる状態でございます。
  217. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 細かいことはおわかりにならないかもわかりません。  たとえば、紡績会社というのは、生地だけつくっておったのが二十五、六年ぐらいまでですよね。そして繊維も、もうそこそこ生活の分野で行き渡ってくると、二次製品に乗り出しましたね。最初ははだ着だとか、カッターシャツだとか、そういったものは下請加工に回しておった。そしてメーカーのブランドをつけておる。そのうちに合理化のために、機械を入れるために融資をやる。そしてだんだんとそれが整備していくと、今度は直営に切りかえていくというような形で、零細企業、中小企業を傘下におさめてしまう。そして不況になれば、それを切り捨ててしまうというようなことを繰り返して、二次製品、三次製品まで繊維が系列化を図りましたね。これは繊維だけではありませんよ。すべての生産財、皆そういう形で——家庭電器だってそうだと思います。  そういう形で一応のものが二十年代の終わりまでにでき上がった。ところが二十年代の終わりででき上がって、今度三十年代になって高度成長、高度成長路線は御承知のとおり、石油化学を中心とする、あるいは鉄鋼を中心とする近代工業ということで、せっかくつくったその系列もばらばらにされる。そして二十年続いてきて、今度また先ほど言われた四十九年から新しい産業構造に変わる。いまはいまなりの、系列化というものはできているわけですが、それがまた切り離されて、ばらばらにされようと思うけれども、それじゃその中小企業に対して、次にどういう——たとえばベンチャービジネスでも開拓して、こういう方面自分で研究したり、あるいは自分で新しいものをつくり出そうというような力をなかなか持っていないもんですから、公的な機関でもやって、新しい模索している道を中小企業にも与えるというようなこともやっているかと言えば、非常に微々たるものしかやっておらないと思うのですよ。  そういう形で系列を切り離される。やむなく、またわずかな国内消費だけを頼りに、市場を頼りに個人家内工業的なものをやっておると、今度は国際分業論で非常に生産性の低いようなものは、皆低賃金の開発途上国あたりへ出している。それが逆に日本の国内に輸入されたり、あるいはまた加工という形で入ってきたりして、それもまた中小企業の存立を脅かすというような状態がいまの姿だと思うのです。  ですから、産業政策が変わるたびに、中小企業はいつまでも置き去りにされる、これが現実の姿だと思うのですが、新しい産業政策を出されるということは、いわばそういう低位な生産を預かっておる中小企業の切り捨て論につながるのじゃないか、極端に言えば。そういうふうに受け取られてもやむを得ないと思う。  だから本当を言えば、四十四年から研究が進み、四十九年に新しい方針というものを出しておれば、当然そういうひずみをなくするためのいろいろの対策というものは、付随してやっておらなければならぬ。ところが、中小企業の分野を確保する法律にしても、今日まで七年も八年もかかるまで、大企業に対する対策は考えているけれども中小企業はなかなかそういうことをやってくれない。これが、いまの通産政策じゃなかろうかと思うのです。切り捨てにならないような方法というものを実際に考えていらっしゃるのかどうか。
  218. 山口和男

    山口政府委員 最近の国民のニーズの変化によりまして、特に衣料品等におきましては、いろいろ多品種少量生産というようなものが要求されてくるわけでございます。そういたしますと、バラエティーに富むような、そういった商品を開発しなければいかぬということになってまいりますと、一つの企業につながる、いろいろなたくさんの企業というものが、やはり協力をして開発していかなければいけないというようなことになっていくのじゃないだろうかと思います。そういうことで、ベンチャービジネスの促進といいますか、そういうことも大変重要なことだと思いますが、あくまでそれを要らなくなったら切り捨てるというような点につきましては、これは非常に問題でございますので、そういう点は十分監視の目を持って臨んでいく必要があるのじゃないかというように存じます。
  219. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 切り捨てているのは、政府の政策なんですよ。方向が変わっていっているのに対して、次に中小企業者に対する指標も何も与えてないまま方向が変わっていっているわけでしょう。だから、大企業は産業構造審議会あたりのメンバーとなって、そういう内情というのは、政策の方向というのは、早くから知っているわけですから、先ほどの鉄鋼の例のように、いろいろな抵抗はあっても、自主的に解決の方法というものは考えているわけですが、中小企業、零細企業はそういう方法もないのですよ。ないままに政策転換が行われて、そして従来型でやってきた企業というのは倒産せざるを得ない、それがいまの倒産の実態じゃないんですか。  だから、そういうことを少しでも減らすような対策を何かおとりになっていますか、具体的にどういうことをやっていらっしゃるかと、お伺いしているわけですよ。
  220. 安田佳三

    ○安田説明員 御説明させていただきます。  中小企業の発展と申しますと、もともとは中小企業者の自主的な努力を政府は助長する。ただ、中小企業であるために経済的、社会的に、非常に不利な状況にあるわけでございますから、その点を是正するというのが、政府としての大きな役目であるというふうに存じておるわけです。  そこで、たとえば産業構造審議会のビジョン等につきましてのPRにつきましては、これは政府といたしましては、中小企業者に対する情報の提供の一環といたしまして、関係の機関あるいは都道府県等を通じまして、いろいろ情報として提供しておるわけでございます。それを中小企業者が、どのように判断するかということは、基本的には中小企業者の自主的な判断ということになります。それにつきまして、できるだけその判断が適正になるようにお手伝いするという方向で努力をいたしまして、そして中小企業の発展に尽くすように私どもといたしましては努力いたしております。
  221. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 中小企業庁としては、それでいいと思うのですよ。だから私は、中小企業庁をわざわざ呼んでいないのですよ。  政府の産業政策、構造政策が変換になって、中小企業家は次の目標をまだ見失っているんですよ。だから、その目標を大企業にだけ与えるのじゃなしに、中小企業者に、そういう目標もわかるような方向を、あらかじめ示してあげていますか。具体的に、そういう方向が何かありますかと聞いているんですよ。何か一つでも二つでもあれば、やっておるんだったらやっておる、やっていないならやっていないと……。
  222. 山口和男

    山口政府委員 先生御指摘のような点につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、産業構造の長期ビジョンの五十年の審議のところで、特に中小企業につきまして、いろいろな項目から一つの方向づけと申しますか、示唆を出しておるわけでございます。  たとえば、これからの中小企業というものがどういう方向に発展しなければいけないか。高度成長から安定成長への転換の時期におきまして、消費者のニーズの多様化あるいは高級化、個性化に対応した新しい製品、サービスの開発とか、あるいはまた技術革新、また加工度を高めるというようなことについての構造変化に対応した努力、そういうものが必要であろうというようなこと、それには中小企業の小回り性とか、あるいは創意性とか、そういったものを大いに発揮する努力は必要であろうと考えます。  また、最近の情勢との関連におきまして、安定的な発展等の対応において、国内企業との協調体制、たとえば研究とか教育訓練、あるいは省エネルギー、そういったことについての共同化、あるいは製品の高級化の問題それから、特に中小企業関係につきましては、地域社会あるいは地域経済との関係というものは非常に密着なものを持っておるわけでございますから、中小企業の地域経済への寄与、そういったものを考えながら、たとえば公害対策等も大いに充実させていかなければならぬということを指摘しているわけでございます。  私ども産業構造の長期ビジョンの中で、さらにこれの地域別の産業構造ビジョンづくりを始めまして、五十一年度に三地域、五十二年度には残りの通産局のございます五地域につきまして地域別の産業構造ビジョンをつくっていこうということにいたしております。
  223. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 非常に抽象的でわかりにくいのですが、たとえば、このビジョンの中においては、研究開発産業については、具体的に電子計算機をやるとか、航空機産業を興すとか、あるいは産業ロボットを開発するという具体的なことをいろいろ示しているのですよ。あるいはまた、ファッション産業については高級衣料をやったり、高級家具、住宅用の調度品、電気音響器具の高度なものというように具体的に示しているのですね。これは、大企業はそういう生産設備という大きなものを持っておるわけですから、それにすっと乗っていけばいいわけです。そういう事業というものは、これから高度なものということは、いままでのような大量生産、大量販売式に乗るようなものではないわけですよ。大量生産、大量販売のそういう様式に乗った中小企業は、そこから外れていくわけでしょう、質的に向上していくわけですから。  そこで、中小企業の行き方というのは、こういう方向ですよということを教えてあげ、誘導策というものを考えてあげなければいけない。大企業は研究室も持っておりますし、みずからの力でつくり出せる能力を持っている。そういうところに対しては、政府自体もいろいろ誘導策をやりながら、中小企業に対しては、ほとんどそういうことがなされていないじゃないですか。事実上切り捨て政策になりはしませんかということをお伺いしているのです。
  224. 山口和男

    山口政府委員 御指摘の点、まことに重要なポイントでございまして、私ども、そういう努力をしなければいけないわけでございますし、現に、たとえば中小企業近代化促進法の活用によりまして知識集約化を進めていくというようなこと、繊維関係につきましても構造事業の推進というようなことをやって、そういった中で、いろいろ長期ビジョンの中で出てまいりました内容をできるだけ実現の方向で努力をしていく、こういうことになろうかと思います。
  225. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言われた、たとえば中小企業近代化資金なんかをもし借りようと思ったら、どのくらいかかるか御存じですか。たとえば新しい機械を入れるでしょう。そして、それが稼働まで、どれぐらいかかりますか。申し込んでから一年しないと入らないのですよ。  そんなことではなしに、たとえばファッション産業ならファッション産業で、大阪府には繊維研究所というのがあるのですね。繊維研究所あたりで、これからの繊維はこういう方向ですよということで、研究機関が何かを設けようとします。そうすると、いまのファッション界は、恐らくフランスだとかイタリア、そういったところが日本のファッショシ界に非常に大きな影響がありますね。色なんかも染色、染料、こういったものについての研究、こういう特殊なドイツのカラーはいいとか、フランスの染料はいいとか、いろいろあるわけです。そういう特色を出させるためには、たとえば、そういう繊維研究所のカラーをつくり出すための研究費を出してあげて、そうしてこの地域に合った、こういう独特なファッションをつくろうじゃないですか、そういうふうなことを具体的に示してあげなければいけないと言うのですが、たとえば大阪府が、そういう色彩科学について通産省へ来ても、だれも相手にしてくれないのですよ。  そういうやり方じゃ、中小企業対策と、言葉では言われるけれども、ちっとも進んでおらないし、事実上切り捨てになってしまうおそれがある。だから、方向転換をなさるときにはなさるような手当てを十分やるべきだということを、ひとつお願いしたいと思います。  時間が来ましたので、最後に通産大臣に、そういう手厚い心の込もった中小企業対策を考えていただけるかどうか、お伺いしたいと思います。
  226. 田中龍夫

    田中国務大臣 先ほど来のお話でも、先生の場合は、わかり過ぎるほどおわかりになって質問しておられるわけで、私どもがお答えをいたしましても、それはみんな抽象論みたいなことになります。でありますから、近代化と申しましても、あるいは構造改善と申しましても、先生に対するお答えは、むしろそういうことから離れまして、本当に中小企業のそういうふうな気の毒な状態に対して、私ども政府の者、なかんずく中小企業対策をいたします者は、心から愛情と真心をもってきめ細かく対処するという、私はむしろ、そういう気持ちを申し上げた方が御満足がいくんじゃないか。  しかし、私どももまことに役人でありまして、町工場一つ自分で経営をしたこともございませんし、あるいはまた歩積み両建てと申しましても、実際自分で借金をして困った体験もない、われわれ役人でございますから、思うこと必ずしも先生の御期待に沿い得ないかとも思いますけれども、しかしながら気持ちだけは十分にある次第でございまして、今後どうぞよろしくいろいろな問題について教えてもいただき、また御鞭撻も賜りたい、こういう気持ちでおります。ありがとうございました。
  227. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういうことであれば、審議会に、実際にそういうところで働いている人たちの声が反映できるような、中小企業金融公庫総裁中小企業の代表者だなんというような感覚ではなしに、そういう審議会もひとつ考えていただきたいということを御要望申し上げて、終わりたいと思います。
  228. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 荒木宏君。
  229. 荒木宏

    荒木委員 下請問題についてお尋ねをいたします。  窮迫状態にある下請の中小企業をどうするか、二、三の例を挙げながら質問をいたしますが、大阪に、大照金属という企業がありまして、これは住友金属の下請で、住友金属の中に工場がありまして、車軸それから車輪、台車、いずれも住金の仕様、注文どおりに作成をして、そして全部住友金属に納入をする。ほかの取引はない、こういった関係でありますが、経営状態が悪化したということで企業解散、そして清算手続に入るという話が出てまいりました。  ところが、職場の従業員、労働者は、何とかして仕事をしたい。長年の技術、伝統もあり、しかも、その仕事自体はなくなっていない、こういうことで、本年の二月十七日でありますが、職場の代表が大阪通産局に参りまして、そうした要望を踏まえて通産局の方から住友金属の方に強力な指導、助言をしてほしいと要望いたしました。沓脱タケ子議員も同道いたしました。  またその後、正森成二議員も通産局の方に、あるいは中小企業庁の方に要請をしてきたわけでありますが、その後の経過がどうなっているか、どういうふうな処置をしていただいたかということを、初めに伺いたいと思います。
  230. 田中龍夫

    田中国務大臣 御質問が非常に具体的な問題だろうと存じますので、政府委員からかわってお答えをいたさせます。
  231. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  いまお話しございました大照金属の件につきまして、沓脱議員と労働組合の方から申し入れを大阪通産局が受けましたのは、二月十七日でございまして、その後の扱いを、若干細かくなりますが、日を追いましてお話し申し上げますと、二月十七日に、沓脱先生と労組の方から大阪通産局の方に要望がございましたのは、四項目ございまして、大きく言いまして、第一が、親企業でありますところの住友金属との取引を継続されたいということが第一点。それから第二点が、加工賃相当部分につきましては現金払いをしてもらいたい。それから発注量の増加という点が第三点でございます。それから第四点といたしまして、受注単価の引き上げ、この四項目について要望を受けたわけでございまして、それを受けました大阪通産局は、直ちに親企業でありますところの住友金属に対しまして、局の方に来るようにということで連絡をいたしております。  同時に、大照金属の社長でありますところの野口氏に対しましても、事情説明方の招致をいたしております。ただ、翌日の二月十八日でございますが、野口社長の方からは、現在局に出頭しかねるということで、日の延期を言ってまいっておりまして、その事情といたしましては、すでに特別清算に踏み切る覚悟で組合と団交を持っておるということで、十八日、十九日に大阪通産局に出頭するということは困難な旨を伝えてまいっております。  で、御指摘のように野口社長と一応面談することは、当初、局としてはできなかったわけでございますが、さしあたり親企業でありますところの住友金属から細かい実情を聴取するということをやっております。  そういうことを局として措置したわけでございますが、片や大照金属自身につきましては、臨時株主総会を二月の十八日に開きまして、そこで大照金属の会社解散の決議をいたしております。それから大阪地方裁判所に対しまして、特別清算の開始を申し立てておりまして、これが十九日の土曜でございます。  大阪通産局として、これを知りましたのは、二十一日でございますけれども、実際にそういった手続行為がすでになされているということでございまして、住金に対しても、こういった事情を背景として、どういうふうに対処できるかということで当たったわけでございますけれども、住金の回答といたしましては、現在いま申し上げましたような清算がすでに進行中でございますので、そういった清算段階にある会社に、先ほど申しました大照金属労働組合の要望事項であります四項目のような仕事を新しく出すということについては、非常に困難であるというような態度表明がなされております。  その旨、大阪通産局から大照金属の労働組合の方にも伝えてございますが、さらに労働組合の方からは、重ねて大阪通産局の方に、事情をもう少し改善してもらいたいという行政指導の申し入れが来ております。その点につきまして、通産局としましても、さらに住友金属を呼んで何とか善処できないかということを重ねて申し入れをしているという段階でございます。
  232. 荒木宏

    荒木委員 経過の御説明を伺ったんですが、実は、われわれの調べたところでは、ちょっと違うんですね。大照金属の経営者が、もうこれ以上やれぬというて法律的な手続をとっている。住友金属はこれじゃしようがない、こういう返事だというのですけれども、労働組合との話し合いの席上で大照金属の社長が言ったのは、住友金属から、もう最後通告を受けた、これではやれぬというので、法律上の手続に踏み切らざるを得なかった、こういう説明を従業員一同いるところで報告があり、その旨いろんな報告文書類にもなっているわけです。私と正森議員と調査したところでは。  したがって、外にあらわれた形は、いま部長御報告のとおりなんですが、実はそのもとが、親企業のそういう態度によって、その結果が出ているということであれば、事情が少し変わってこようかと思いますので、いま御報告のように、再度検討ということでありますから、さらにそうした事実を踏まえて、ひとつその点の確認、そして御報告もいただきたい。なお一層行政指導の御努力をいただきたい。  そして、そういう前提のことが変われば、下請の経営者も元気を出して、もう一遍やろうということもあり得るわけですから、そういう方向で一層御努力いただきたい、指導の強化をお願いしたいと思いますが、答弁いただきたいと思います。
  233. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 ただいま御指摘いただきましたような、平たく申しますと、裏があるというようなお話でございますが、その点につきましても、通産局は通産局なりに、いろいろ事情を聞いているつもりではございますけれども、せっかくの御指摘さらにございましたので、その辺の事情の解明をさらに住金に対してやるというようなことで、その上で新しい事態等ございましたら、その線に即しまして対処していくということでやりたいと思っております。
  234. 荒木宏

    荒木委員 大臣に一言お尋ねしておきたいのですが、私は、この点は相当重要だと思うのですよ。どうしていくか、政府もいろいろ検討されていると思うのですね。従来のお話ですと、まずその体質を改善していかなければいかぬ、体力づくりだ。まあ繊維に関係して言いますと、新繊維法の規定その他を活用して、協同でいこうとか垂直統合でいこうとか、あるいはゴーゴー作戦というのを出しておられる。一方、どうもいかん、これは転換をせざるを得ぬというものについては事業転換ということでスムーズにいくように考えていますよというお話があるのですが、いま月間千数百件とか、年に一万数千件とか非常な倒産が言われる。  これは言うなれば、元気で走っている、あるいはもうどうにもいかんという、そのちょうど中間といいますか、やる気はある、やればやれる、言うなれば、ドック入りをしているような段階で、これを生き返らせる再生への努力といいますか、更生のための行政指導強化といいますか、ここのところは具体的な運用の妙にもかかるわけですけれども、非常に重要ではないかと思っておりますので、いまの例に関連して、一般的に言って、やる気はある、そして条件も総合的に検討すれば、もちろん時期はありますけれども、やはり先行きのことについても十分考えれば、技術、伝統、あるいは市場問題その他でてこ入れをするという更生のための行政指導といいますか、これをひとつ強化されるべしと思うのでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  235. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は、就任以来申しておるのでありますが、われわれ通産省の行政というものが他の省の仕事と非常に違うことは何かと申しますと、対象になっております企業というものは、みんな生命体だ、生き物でありまして、自分自身起き上がろう、自分自身立ち上がろうという気持ちをみんな持っておられる方々、これが企業であり、法人であり、会社であるわけでございますが、そういう中において、特に脆弱な、信用のない中小企業、さらにまた零細な企業というものは、私どもが気持ちの上でも心から愛情を持って抱きかかえてあげなければいけないし、また困ったときには手を差し伸べて救い上げてあげなきゃいかぬ、こういうのが商工行政、通産行政の特徴だろう、こう私は思うのであります。     〔原(茂)委員長代理退席、北山委員長     代理着席〕  それで、お話のような事業体におきまして考えられますことは、元気づけてあげるためには、あるいは資金の面において、あるいはいろいろの政策の面において、あるいは下請振興協会といったような行政の面において、幾つも幾つもいろいろな方法がある。それを私どもは、通産局という現場があり、あるいはまた商工会といったような機構もあり、あるいは県、市町村といったような地方自治体もあるわけで、こういう現場の方々と手を取り合って、そうして信用のない脆弱な中小企業に対しては信用補完の信用保証協会でありますとか、その他いろいろなところがある。こういうところが、あるいは不況業種の指定をいたしましたり、あるいはカルテルの指導をいたしましたり、幾多の方法もありますが、しかしながら、地域社会と密着しながら、これに立ち上がってもらうための、きめの細かい行政をしなければならぬ。また、倒産の場合におきましては、倒産防止の対策を講じ、あるいは親会社その他の関係の連鎖倒産ということにつきましても、特別金融措置を先般も発令したような次第でございます。  何はともあれ、資金の面あるいは信用補完の面、さらにまた冷え込んだ、こういう状態で金があっても仕事がないんだという場合の仕事をつくり出す。われわれが直接できることは、官公需に対しましての発注という問題がありましょうし、またいろいろの企業に対しましての繰り上げ施工という問題もございます。こういうふうなたくさんのいろいろな処置を総合的に活用することによって、ひとつ何とか元気を出してもらうというのが先生に対するお答えだろうと思います。
  236. 荒木宏

    荒木委員 いま大臣がお述べになりましたように、支えるというか、てこをするというか、いろいろな施策があると思うのです。下請の場合は、確かにそういったことも必要でしょうけれども、同時に、そういった状態の原因となった事態、これはもう親企業との関係なんですから、そしてその妨げになっているところを切り開いて、取り除いて進む気持ちはあるんですから、その道を進みやすくしていく。もちろん行政指導には一定の限界がありますし、法律上の根拠によらずして規制措置はなかなかむずかしいところですけれども、この支えと同時に、親企業との関係の下請圧迫になっているところを切り開いて、取り除いていくという点も、もう一つの側面として大事だと思うのですね。  そこで、もう一つの例を挙げさせていただきますが、これは繊維の関係ですけれども、大阪府下に市新という染色の企業があります。これは丸紅と三陽というのが、いわゆる親企業に当たるわけですけれども、ここでやはり同様の事態がありまして、職場の労働者は何とかがんばって生産を続けてほしいということで、本年の三月十八日に、私も、それから他の同僚議員さんも御一緒に生活産業局長に、上部団体の幹部も含めて、この丸紅、三陽との間の話が、そういった企業継続の形で進むように何とかひとつ指導、助言、援助を強めてほしい、こういう要請をいたしました。あわせて政務次官にも、その点の御要望もした次第なんですけれども、この問題について、その後どういうふうに取り組んでいただいたか、ちょっと簡単に御報告いただきたいと思うのです。
  237. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  お話の市新でございますが、いま御説明ございましたように、オイルショック後、従来のさらし染め加工からプリント専業に変わりまして、その後プリントが非常に供給超過というようなことで不況になりまして、やむを得ず事業の縮小決定をした、こういう経緯でございますが、それに伴いまして労働組合との話し合いを進めてまいりましたが、合意に達しないまま今日に至っておるという実情でございます。  われわれといたしましては、労使紛争の円満な解決を図りたいという見地から、同社の社長等に対しまして、労働組合と円満な話し合いを行うよう要請いたしまして、現在話し合いが続けられていると承知をいたしておるわけでございます。  なお、主要債権を持っている会社につきましては、市新自体の再建の意思というものが実は基本的な問題でございまして、まだその問題について話し合いが行われておらない段階であるように承知いたしております。  本年三月八日、大阪府地方労働委員会に仲裁申請が行われておりまして、現在仲裁作業が進行中でございます。私どもといたしましては、当面この作業の推移を見守るよりほかないかと思うわけでございますが、先ほども申し上げましたように、同社の再建問題につきましては、同社の事業を継続する意思の有無というものが非常にポイントでございまして、今後その推移いかんによりまして、会社と労働組合、さらには会社と債権を持っております会社との間の再建問題の取り扱いについての話し合いを行われますよう、私どもの方といたしましても進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  238. 荒木宏

    荒木委員 これは先ほどのお話に比べると、ちょっと取り組みが弱いんじゃないでしょうかね。なるほど確かに労働委員会であっせんが行われている。これは労使問題ですね、その職場の。私が言っているのは、丸紅、三陽という親との関係ですね。確かに、市新の経営者は、いま経営意欲を非常になくしつつあって、しんどいと思っている。しかし、人間の目でも、上にがっとかぶさっていると重苦しいものですけれども、ちょっと切って、ぱっと軽くすると、また視野が開けて展望が出て元気が出てくる。私、先ほど二つの側面を申し上げた、そのうちの親との関係改善というのは、その側面を言っているわけですね。  ここの実態を申し上げますと、経営がうまくいかないというのは、一つは金利負担なんです。大体年間四、五億ある。それからもう一つは、工賃とコストとの関係で逆ざやが四、五億出る。大体十億の損と言っているのです。ところが、金利負担の方の借入金は全部三陽、丸紅なんです。約四十億ぐらい。それから工賃の方も、納入は九〇%以上が丸紅、三陽なんです。三陽、丸紅全体としますと、これは結構ペイしているわけです、どのくらいもうけているかは別ですけれども。そして金利の問題と工賃の低下による逆ざやが、ちょうど水が低きに流れるように全部ここにたまっちゃっている。ですから、そこのところで親企業の方がいろいろ配慮をし、そしてやる気が職場の労働者にある、それがいけるような気になれば、これは今後の市況ということもありますけれども、経済全般からしますと、政府は七・六%、総理は大変強気でがんばっていらっしゃる。国際的に見たって、もう機関車で行くのだ、こういうふうな勢いでありますから、本年の上期から下期にかけましての推移というものは、政府展望によれば、やはり上向いていくということをおっしゃっているわけですから、そのときに単に、労働委員会をやっているから見ておりましょうというのじゃなくて、せめて、先ほど大照の場合におやりになったように、よく事情をつかんでいただいて、そして、ここがいまのような形で立ち直っていくような指導を丸紅、三陽の方にも進めていただきたい。  何よりも、やろうというふうに言っている職場の労働者の諸君やその代表と、その点での話し合いを三陽、丸紅も含めてやる、そしてその中で当該の企業の経営者もまた元気を出してくる、こういった指導をぜひひとつ要請をしたい、こういうふうに思うのでございますが、これは、局長からは先ほど伺いましたので、中小企業庁の方にもひとつ御意見を伺いたいと思うのです。
  239. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  誤解があるといけませんので、あれでございますが、先ほども申しましたように、大照金属の場合も、現在いろいろな手続が進んでおります。その前提となっております事情は、通産局を通じて両者からいろいろと聞いております。したがいまして、そこで先ほど大臣も申し上げましたように、企業は生き物でございますので、実態判断というものを十分やりまして、そして法に従って手続が進んでおるので、できない面が非常に多いかと思いますけれども、もしそれ以外の点でできることがございましたら、せっかくの御要望でございますので、中小企業対策という面からもいろいろと、相手側の意思その他も確認いたしまして、そして親の側からも事情を聞いて、もし何らかお手伝いできる点があればいろいろやっていこうということでございまして、市新の場合も、恐らく染色の中小企業だと思いますので、その辺も、これは原局と十分連携をとりながら進めてまいりたい、このように考えております。
  240. 荒木宏

    荒木委員 一層努力をしていただきたいと思うのです。  大臣、一言つけ加えて御説明しておきたいのですが、三陽の代表者と市新の代表者と一緒なんです。代表権を持っている人が両方の代表者をやっているわけですね。そして単価を決めるわけでしょう。それから、もちろん市新の方の資本は、三陽の方の役員さんが過半を占めておる。取引も、いま申しましたように、九割以上だし、貸付金もほとんどがそこから出ているというかっこうですから、ちょうど親は太るけれども、結局、子供の方はどんどん吸われてしまって、そして、もう大体底をついたとなると、これで店じまい。  こうなりますと、先ほどせっかく大臣がおっしゃっていただいたお気持ちや御方針にも沿わない結果になるわけでございますから、こういう問題について、いま中小企業庁の部長から、法の範囲内でできるだけ努力するという趣旨の御答弁をいただいたのですが、大臣の方針として、一層その点の努力と当事者の話し合い、そして再建の方向への実が上がるように、親企業を含めた指導を強化していただくという点で決意も伺いたいし、あわせて、そういう問題を扱っていただく窓口といいますか、現に各出先の局では、それなりに御努力もいただいておるのですが、いま金融の関係でも、民間まで含めて相談の窓口とか苦情処理の窓口というのができております。担当が決まっておるというだけじゃなくて、その窓口が表示されておる、そこに行けば相談に乗ってもらえるということも非常に重要なことだと思いますので、そういった窓口設置も含めて、御意見を聞かせていただきたいと思います。
  241. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたしますが、そういうふうな窓口として、私どものところでは御承知の通産局があり、また同時に、今後分野法等の御審議をいただく中において、調整官といったような立場のものもつくり、いろいろと商工会や商工会議所あるいは自治体なんかと御相談をし合っていくわけでありますが、こういうふうなお話を承ってみますと、前々からいろいろと経過のある問題、これが、同じことを言っても、従来の人が言ったのでは、なかなか話が、お互いこだわりがあってできないものも、また違った立場の者が新しくお話をすれば、いままでの詰まったパイプも通って、そしてまた解決の新しい道も展開することもあるかと思うのであります。そういうことのお役に私どものまた末端の機構があるわけでございます。  同時に中小企業の転換対策の新しい法制におきまして、これは通産省の関係だけでなく、組合やその他の関係では労働省の方も、やはり末端の、法に基づく機構を持っておりますので、そういうふうな横の連携もとって解決しなければならない面もあるし、あるいはまた金融の関係でお話のできる面もあると思います。何はともあれ、先生の御苦労、御心配に対して御配慮本当にありがたいと思いますと同時に、当方もまた御協力を申し上げたいと思います。
  242. 荒木宏

    荒木委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、いま一、二の例を挙げて申し上げましたとおり、こういう状態にある気持ち、意欲をくんで、そうした職場の再建が進みますように一層御協力をお願いしたいと思います。  審議官と局長には、もう少しお尋ねする予定だったのですが、また別途に御相談することにしまして、これで終わらしていただきます。
  243. 北山愛郎

    ○北山委員長代理 原茂君。
  244. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に、アジア経済研究所の問題についてお伺いいたしますが、前回はむだ足をさせ、きょうまたこんなに遅く、まことに申しわけありません。おわびします。きょうも時間がありませんので、端的に二、三の問題だけお伺いしたいと思います。  アジア経済研究所の設立の目的をせんじ詰めますと、何になるのですか。まず、それをちょっとお聞かせいただきたい。
  245. 梶田勝

    梶田参考人 アジア経済研究所の設立の目的は、アジア経済研究所法第一条に掲げられておりまして、アジアを中心といたします発展途上国の経済及びこれに関連する諸事情について基礎的、総合的な調査を実施し、その成果を広報することによりまして、わが国のこれらの地域の貿易の拡大あるいは経済協力の推進に寄与する、こういうふうに定められ、私どもこの目的に従って事業を実施いたしております。
  246. 原茂

    ○原(茂)委員 第三世界に対する、いまの目的からいった調査研究はどの程度進んでいますか。
  247. 梶田勝

    梶田参考人 もちろん対象国は発展途上国でございます。これまでにこれらの国の経済、社会、ある場合には政治動向等につきまして研究会を組みまして、毎年研究会の数としまして三十ぐらい、対象国になっております発展途上国の数が非常に多いもので、全部にまんべんなく行き渡らない、目が届かないわけでございますけれども、大体アジアを中心にして研究会を進めております。  これまで研究会の結果の報告書を出版いたしたものが九百三十七点でございます。
  248. 原茂

    ○原(茂)委員 この研究は、大部分日本の国内にいて研究をされているのですか。対象国に、研究される学者なりあるいは所員を、年間対象国はどのくらいで、人数はどのくらい出張させているのでしょう。
  249. 梶田勝

    梶田参考人 お尋ねの点でございますが、研究所の総定員二百七十六名のうち、二十七名は海外に長期に、長期と申しますのは、二年を一応の期間としておりますが、滞在して調査いたしております。そのほかに、毎年一月ぐらいの期間で短期の現地調査、四十名ぐらいを派遣しております。  それから、そのほか発展途上国から官庁のエコノミストあるいは大学の先生、これらの方は将来発展途上国を担っていく指導層になるべき人でございますが、そういう人を、将来に対する影響に着目いたしまして、研究所に海外客員研究員として、毎年十名ないし十五名を招請いたしております。これは研究所に毎年お迎えして、十カ月ぐらいの期間で研究をしていただくという制度でございます。  これとやや似通った研究の形態でございますが、昨年度から海外特別共同研究というのを始めました。研究所の方に長期間お招きして共同研究をやると言っても、現地で大学の先生をやったり、あるいは官庁のエコノミストでありますと、優秀な方は、なかなか長期間国を離れるわけにいかない、こういうことがございますので、現地におられて、必要な場合には私どもの方から出向いて共同研究する、こういう仕組みでございます。昨年度からアジア五カ国を対象にして始めております。
  250. 原茂

    ○原(茂)委員 多く申し上げませんが、その種の予算というのは、五十年度に使われたものが約二億三千万、全体十九億余のうちの二億三千万ぐらいしか使われていないことになりますか。
  251. 梶田勝

    梶田参考人 いま申し上げました各事業の五十二年度における予算額を御説明させていただきたいと思いますが、海外事業費全体で補助金三億一千八万五千円でございます。このうち、研究所の職員を二年単位で海外に派遣する経費が一番大きくて二億二千五百七十五万六千円、海外から客員研究員としてお迎えするのが三千八十四万七千円、それから短期の現地調査事業費でございますが、これが二千四百六十七万一千円。先ほど最後に申し上げました特別海外共同研究事業二千八百八十一万一千円でございます。
  252. 原茂

    ○原(茂)委員 五十二年度は約一割五分ぐらいふえたという説明なんですが、梶田さん、これはもうちょっとこの方に予算を使って、海外の状況を長期に出張して調べることをやらないと、少し足らないんじゃないですかね。研究目的に沿えないんじゃないですかね。全体の予算も少な過ぎるということになるのかもしれませんが、どうせあるなら、やはりもうちょっと激しい、特にアジアを中心にした変動の予想もされますし、事実変動しつつあるのでありますから、いままでとは違った形で、思い切った海外における調査をしないといけないと思うので、予算の面で少し足らないから、結局海外の調査が手薄になるということになるんじゃないかと思うのですが、いまで十分なんですか。
  253. 梶田勝

    梶田参考人 いまで十分であるというふうには考えておりません。ただ、全般的な予算の状況にありまして、海外事業に関する経費は毎年ふやしていただいている現状でございます。
  254. 原茂

    ○原(茂)委員 国庫補助が十九億の中で約十七億、あと残りが企業その他いわゆる賛助会員ですか、ここから出さしている。  私の友人が、おたくをずいぶんいろいろな意味で勉強させてもらって資料をちょうだいしたり、社会党なんかもずいぶん助けられていると聞いていますが、もう少し海外における実際の調査をおやりにならないと、私どもから言うと、少し足らないものが多過ぎるという感じがしますので、したがって、ことしの予算が政府の補助金がどのぐらい出たか知りませんが、きっと十八億ぐらい出ているんじゃないですか、いまの御説明でいうと少しふえているんだろうと思うのですが、もう少しふやさないといけないと思いますし、これはお聞きになっている大臣以下が、せっかくこんなに金を使っておくのでしたら、もうちょっといまの激動する情勢の中で、的確なものは非常にタイムリーにつかんで、先にどんどん利用できるように、日本のいろいろな打つ手が遅滞なく打てるように、アジア経済研究所はもっと有用に、役立つように、使ったらと言ってはおかしいのですが、活用した方がいいんじゃないかという気がしますが、どうですか大臣
  255. 田中龍夫

    田中国務大臣 御存じかと存じますが、私は満鉄の調査部の出身でございまして、いまのちょうどアジ研のような仕事、一番端的には最末端は情報から業務調査、さらに純粋調査、いろいろな分野があるわけでありますし、お説のとおりに現地に出張もし、また滞在もして相当長期にわたった、まじめな資料の提供ということが一番重大であろうと存じます。御意見も十分わかる次第でございますから、また予算等の面におきましても考えたいと存じます。  同時にまた、こういう時代になりますと、やっぱり各企業体あたりも貴重な資料や、あるいはまた指導もしてもらう関係から、当然喜んで協力もしてくれておると存じます。
  256. 原茂

    ○原(茂)委員 たまたま大臣の方から、おられたからでしょうが、満鉄の調査部という話が出ましたが、全く当時の満鉄調査部の状況と、現在のアジア経済研究所というもの、大部分が似たようなレールの上を走っているのですね。これは脱皮しなければいけないと思いますし、「現代の眼」ではありませんけれども、いまのアジア経済研究所は、立場がない、いわゆる無性格だ、有用ではないが無害でもない、こう言って締めくくっていますよね、あの「現代の眼」に。  私、ああいうものを見ていて、これではいけないなと思ったので、いまのようなことを言っているのですが、もうちょっと思い切って活用した方がいいんじゃないですか。ずいぶん歴史もありますし、われわれから見ますと、有用ですよ。ですから、もっと活用できるように、思い切って、殺さず泣かさず生かさずみたいな調子じゃないような活用の仕方を考えるべきじゃないかという感じを持っています。  そこで、具体的な問題、二つお伺いしたいのですが、一つは、台湾について、どういう調査研究をなさっているのか、それから韓国に対して、どんな調査研究をなさっているのか、これをちょっと梶田さんから……。
  257. 梶田勝

    梶田参考人 韓国につきまして、まずお答えさせていただきます。  韓国につきまして、大韓民国の関係でございますが、これまでに研究成果として発表いたしましたのは、三十八点になります。  主要なものだけを申し上げますと、韓国の経済構造と産業発展、韓国の貿易と産業市場構造、韓国の貿易パターンと産業構造、韓国の企業、韓国の金融事情、韓国の租税制度、韓国の農業協同組合、韓国工業化の課題、韓国輸出雑貨産業の発展、韓国人口の分析、法律関係で単行書として……(原(茂)委員「結構です」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
  258. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がありませんから、台湾は結構です。  いま韓国の方を先にお伺いしたから、韓国で一つお伺いしますが、韓国の朴政権の非常に重要な施策の中心に据えているものは、私はセマウル運動だと思う。これは韓国のいわゆる貧乏をなくす運動といいますか、あるいは農村再生の運動といいますか、こういったものは、日本の農林省がつい二カ月、三カ月、先年度の終わりに、千葉県あたりで、補助金を出して、やり出したことも、見ていて、これはセマウル運動のまねだなという感じをしたのですが、それがアジア経済研究所のセマウル運動に対する調査研究の結果、そういったことにつながったのかなという感じを実は勝手に持ったのですが、この韓国のセマウル運動に対して調査研究が格別できていなければいけないと思うのですが、それはどうでしょう。  いまは、ただ農業協同組合のことだけ言われましたが、単に農村ばかりではありませんね、いまは工業にまでこれは発展しているわけですから。セマウル運動というのは、精神革命運動ですよね、朴大統領の。われわれは立場が違うから、韓国へ行けないのですけれども、しかし韓国だって、朴政権下にも、われわれが見て、なるほどと思うものはなきにしもあらずだと思うのですね。私は、アジア経済研究所が、昔のように左がかっているとかなんとかうわさされていましたようなその時代とは、いまは違って、バランスもとれて、まあ近経の学者も入っているようですし、大変いいと思っているのですが、そういう意味から言うと、セマウル運動というのは大胆に取り上げて、われわれの前に提示してもらう必要があるのじゃないか。われわれは見られないのですから、うわさに聞いているだけですから。しかし、感心すべき、あるいはわれわれが範とすべきものもなきにしもあらずです。非常に古い日本に適用したら、ずいぶん適用できるだろうと思うようなことが現に行われている。しかし、近代的な現在でも、この中における相当のものがわれわれの政治、経済の中に取り入れていいものがあるのじゃないかという感じがしますが、このセマウル運動に対して特別な報告がございますか。
  259. 梶田勝

    梶田参考人 これまで単行書の形では特にございません。ただし、韓国を担当しております者が五、六名おりますので、この中で農業問題をやっております。御指摘のとおりに、韓国の経済発展にとっても、あるいは日本の農業問題にとっても非常に参考になるので、御趣旨に従いまして、この問題についての経過あるいはそういう報告書を取りまとめてみたいと思っております。
  260. 原茂

    ○原(茂)委員 韓国へ行って、この種の調査研究をしようと思えば、アジア経済研究所から学者先生を派遣できるのですか。
  261. 梶田勝

    梶田参考人 いまのところ、支障はございません。と申しますのは、先ほど申し上げました発展途上国から招く客員研究員の人数からいって、韓国がいまのところ一番多い。これは地理的な関係もございます。私ども海外における調査研究については、先生御承知のとおりだと思いますが、外国人が非常に調査しにくくなっている。ある国は外国人の調査研究についての制限、規則をつくっているというようなこともあります。研究ナショナリズムと申しますか、そういう問題が出ております。やはり私どもがやる場合も、その国の経済、社会発展に役立つこととか、あるいは互恵主義、私どもも行ってやるけれども、向こうからもお招きするとか、こういうような事情に各国ともなってきております。そういう点が、研究所の事業一つの柱としております海外との研究交流という点につながっております。そういう面で、われわれも発展途上国の調査研究をやるためには、どうしても現地に行く必要がございますので、この研究交流を通じて、現地における調査研究の道だけは確保していきたいと考えております。
  262. 原茂

    ○原(茂)委員 韓国のセマウル運動だけは、徹底的な調査研究をして、まとめていい課題だと私は思っていますから、期待をしています。  ただし、いま農村、農村というお話がありましたが、セマウル運動は、いまや農村からぐうっと広範に広がりつつありますから、単に農村だけではなくなったところに、われわれが範とすべき何かがあるというふうに考えますので、ぜひこれはおやりいただいて、われわれに提示していただくことが必要だと思います。  それから最後に、もう一つだけお伺いしておきたいのですが、現在のベトナムに対しては、派遣をして調査研究ができますか。
  263. 梶田勝

    梶田参考人 現在のベトナムには派遣いたしておりません。国によって、私どもの調査員を派遣するのに非常に困難な場所がございます。たとえばビルマ、場合によってはインドネシアとか、こういう場合には現地の日本大使館の調査員ということで、大使館のお仕事を手伝いながら調査研究をやるということを進めております。  現在そういう意味でインドネシア、これは最近帰国いたしました。それからビルマ、中国。かつてはサイゴンに日本大使館がありましたときに、そういう形で調査研究上の便宜を与えられたこともございます。
  264. 原茂

    ○原(茂)委員 大使館員として、わずかに調査研究をするという困難はあるでしょう。現在のベトナムは、ある意味で経済協力の手をアメリカに求め、また日本にだってそれを期待している。現在は一つの障害はありますが、やはりああいうベトナムの非常に政治的な変革をした直後の状態の研究ということも、非常に大事なんですね。われわれにとっても大事ですが、国にとって、非常に大事だと思いますし、ぜひひとつベトナムを——ビルマなんか、なんかなんと言ってはいけませんが、いま調査しても、別にわれわれは余り参考にならないでしょう。しかし、インドネシアも確かにそういう意味では関心のあるところです。特にあるのはベトナムだと思います。ぜひひとつベトナム等に対しても、外務省その他とも話し合って、チャンスがあったら一日も早く思い切った調査研究をしてもらうということは、非常に必要です。せっかくアジア経済研究所があるのなら、もっと本当に現実的に——いままでずいぶん現実的に役に立つものをいっぱいおやりになったのでしょう、私が不勉強で見ていないだけなんでしょうから。いまの日本の置かれている立場からいって、必要だなと思われるようなものを、ぜひひとつまとめていただくような研究をやっていただきたい。  時間がありませんので、夜おそく来ていただいて、まことに申しわけありません。これでお帰りいただいて結構です。
  265. 北山愛郎

    ○北山委員長代理 梶田参考人には、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。どうぞ御退席ください。
  266. 原茂

    ○原(茂)委員 あとは石油の備蓄問題について、ちょっとお伺いしたいのですが、その前に大臣にお伺いしますが、簡単にお答えいただいて結構ですが、今度のカーターのいわゆるエネルギー政策をずばっと言って、その特徴はどんなことにあるとお思いになりますか。三つぐらいで結構ですから、その特徴を簡単に、何が特徴なんだという点で、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  267. 田中龍夫

    田中国務大臣 大変むずかしい問題でございまするが、まだ就任されてから日も浅いのでありますけれども、その政策を貫いておりますところは、非常に人道主義的であるということと、それから、まだ選挙が終わってから日も浅いので、選挙中のいろいろの公約とか、あるいはまた活動の余じんいまだ消えやらずというような気持ちがいたしますことと、もう一つは、エネルギーの問題に対しては、私は非常に真剣に取り組んでおるというような気がいたすのでございます。日本に比べれば膨大な資源を持っておりますけれども、しかしながら中近東から、あの延々長距離を海上輸送をすることにつきましての国防上の問題やら、いろいろな問題を考えてみると、今回打ち出したいろいろな政策というものは、何かうなずかれるような気がいたします。
  268. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、エネルギーに関してだけお伺いしたので、前段はよかったのですが、そのエネルギーの問題で私は一つだけ、ははあ、これはすごいなと思いましたのは、カーター政権は、政権をかけていますね。そういう感じを持つのです。その意味では、大変参考になると思うのです。あれだけの有資源国であって、なおかつ、あんなことをやるのは、政権をかけていますね。政権をとったばかりで、大衆から総反撃を受けるようなことも平気で、いわゆる省エネルギーという点では思い切ったものを、しかも、それを実行に移すのですね。  ああいうのを見ていて、私、二つ目に感じるのは、まあここにもたくさん世にもりっぱな勉強をしたお役人がおいでになるのですが、やはりアメリカは政治家が政治をやっているなという感じがしましたね、カーターを見まして。これでなきゃだめだという感じがします。現在日本をしょって立っていただいている官僚の皆さん、これがいなかったら大変ですから、非常に有用だし、結構なんですが、しかしその上に、政党政治で政権がある限り、やはり政治家が政治を行うという、ああいうものは二つ目に大きな特徴として見習っていいんじゃないかなという感じがしました。これは日本に欲しいなと思うのですね。  大臣も恐らく同感なんでしょうが、私が何を聞いているのかわからないから、言わなかっただけだと思いますが、それと三つ目に、カーターのやっていることを見まして、政治家として先取りという点、この点はいろいろな面において非常に見習うべきだと思うのですね。これは全体について言えることなんですが、人道主義の問題もそうです。それが当たっているかどうかは別問題ですけれども、それにしても、やはり単にキャッチフレーズをつくるんじゃなくて、相当先取りをやるという点を、私がこのカーターエネルギー政策を見て、三つ感じたわけです。  その意味で、そのエネルギー政策の中で一番彼が危険を冒してやっているなと思うのは、やはり省エネルギーですね。いま日本は五十四年を目途にして、御存じの九十日分の備蓄に懸命な努力をしているわけですね、相当の金を使って。これからお伺いしますが、それこそ相当のエネルギーをかけてやるわけですけれども、それに匹敵するくらい、やはりカーターを見習うんじゃありませんが、省エネルギーというものは非常に大事ですね。変に金を使うより、とにかく節約した方がいいんですから、この面に石油備蓄と、ある意味ではそれ以上の力を、急転回して、いま日本エネルギー政策としては省エネルギーを最重点に置かないと——これにはほとんどコストが要りませんからね。備蓄の方はコストが大変ですよね。  ですから備蓄、備蓄でやっていって、九十日の備蓄がいいかと言えば、フランスだってドイツだって百一日だ、百五日だというのを、すでにやっているわけでしょう。日本だけが、いまごろ後を追っかけて九十日なんということを、この困難な中でやっているわけですけれども、それを側面から百五十日にもできたと同じ効果を挙げるものは、コストなしでやれるものは、やはり省エネルギーだから、これにうんと重点を置かなければいけない。  私は、委員会でここ二、三回省エネルギーということを経済企画庁長官にも聞いたり、いろいろあらゆるときにちょびちょびと聞くのですが、省エネルギーなんというものは、閣議でどんな決定をしているか知りませんが、最近は大々的にやるということをお決めになっているようですけれども、ほとんど徹底していないですね。省エネルギーというものは、それこそ各省が目の色を変えて、いかにエネルギー節約をするかということを大号令をかけて、担当の責任者である通産大臣は思い切ってやっていただかないと、備蓄、備蓄なんというものに余り力を入れ過ぎちゃって、そっちに気をとられて、やがて九十日がいいかと言えば、九十日だって次の情勢によっては、とてもまだ賄い切れない、だめだというときだって来そうなんですからね。  したがって、これでいいという安全保障にはならないのですから、その意味では、やはり安全保障の立場で、備蓄もさることながら第一には、やはり省エネルギー、こいつに思い切った力を入れるということを、ぜひひとつ大臣が非常な決意で実施するように、大号令をかけてもらわないといけないと思うのです。福田さんは省エネルギー、資源有限時代ということを始終言っていますから、口では何回も聞いているのですが、では、さぞ省エネルギーが徹底しているかと思って各省に聞くのですが、徹底してませんね。これは通産大臣が悪いのだと私は思う、一番の責任者なんですから。もう少しこれが徹底するようにしていただかないといけないと思いますが、いかがですか。
  269. 田中龍夫

    田中国務大臣 激励をいただいて、まことにありがとうございます。じくじたるものがある次第でございまして、アメリカにして、あれだけの節約というものに踏み切った姿というものは、いまさらのように私は敬服しておる次第でございますが、私どももあれ以上にやらなければならない国柄であることを十分に心得て、できるだけ御期待に沿うように速やかにしたいと思っております。
  270. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、大臣を激励なんかしてないつもりなんで、本当は大臣でなければ、しかり飛ばしたい気持ちで言っているわけです。これじゃ日本はだめだというつもりですから、まあ激励もあるでしょうけれども、激励以上に、ある意味では不満やる方ない気持ちで申し上げているというふうにとっていただきたいと思うのです。  それから、今度は備蓄そのものに関して二、三お伺いしたいのですが、実はこの間資料を見ましたら、四十八年九月末の五十九・七日、それが四十九年二月末にはぐっと下げて四十九・二日に減少したという理由、あの当時なぜ減少したのか、それを簡単に答えてください。
  271. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のとおりに、四十八年九月と四十九年二月を比べますと、大体十日ほど備蓄日数が減っております。これは冬場という季節要因もございますが、当時御承知の、いわゆる石油危機が発生いたしまして、いろいろと緊急対策を講じたわけでございますが、その際、その一環といたしまして、備蓄の取り崩しを業界に対して指導した、その結果も加わって、十日ほど減少したものと見ておるわけでございます。
  272. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど、備蓄の取り崩しが主な原因で減少した、こういう答弁ですね。それなら不思議はないのですが、ああいうぽこんと一つダウンしてますと、どうしたのだろうかと気になるわけです。  それで、いま追っかけて九十日分ということになっているわけですが、本当に省資源とかいろんなことを配慮しながら、いま九十日分ということを設定したから、九十日が適正だというのじゃなくて、本当の日本の現段階における適正基準というのは、どのくらいなんでしょう。九十日が、いろんなことを勘案した適正なんですか。もっとなんですか。
  273. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 非常にむずかしい御指摘でございます。九十日と申しますのは、IEAの約束事として九十日を努力目標としよう、こういうことでございます。もちろんそれ以上多く持った方がベターではございますが、それに要する経費、土地手当てといったような問題もございます。それで五十四年度末を目標に、われわれとしては九十日達成に努力いたしておるというのが現状でございます。
  274. 原茂

    ○原(茂)委員 国際的な取り決めによる目標なんだ、だから九十日だ、これは自主性がなさ過ぎますよね。いやしくも資源のない日本石油というものを考えるときに、独自の立場で、本当は日本は、これが適正基準でぜひ欲しいのだというものがあって、それで国際的な話し合いと取り決めの目標が九十日だ。それが中間の過程の目標設定なのか多過ぎる目標なのかという基準をつくるためにも、カーターではありませんけれども、やはり日本独自の適正な基準とは一体幾らなのかというものが出ていないのは、まずいと思いますよ。いま出ていないのに、まずいと言ったってしようがないでしょうが、これは出すべきだと思いますが、どうでしょうか。
  275. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 一応コマーシャルベースの在庫というのは、四十五日と言われておるわけでございまして、五十年までに、それを六十日まで伸ばした。その後、五十年をベースにいたしまして、九十日ということを設定いたしたわけでございまして、言ってみれば第二次的な目標値ということでございます。  先生も御承知のとおり、EC諸国では、これを百二十日まで持っていこうという検討を始めております。一部の国では、百八十日程度を持っている国もございます。私たちといたしましては、現在五十四年度末に九十日を達成するということで、官民ともに非常に努力をいたしておるわけです。ことしは八十日を目標にいたしておるわけでございまして、ここの十日分というのは山場にかかってくるという感じはいたしております。  ただ、九十日を達成した後につきましても、石油の需給動向あるいは各国での取り組み方なども考えまして、九十日プラスアルファを、どこまで引き上げていくかということを検討しなくてはいけないと思います。  ただし、その段階では、いまの備蓄のやり方でいいのかどうか、要するに備蓄のあり方なり備蓄の方法、これは現在陸地にタンクをつくるという形をとっておりますが、いわゆるヨーロッパ諸国がやっておりますような地下貯蔵が可能であるかどうか、あるいはタンカーを使っての貯蔵はどうか、あるいは海洋貯蔵と申しますか、そういったいろいろな貯蔵の方法についても、あわせて検討していかないと、いまのままでは限界があるのじゃないかという気が私はいたします。
  276. 原茂

    ○原(茂)委員 私が答えてもらおうと思ったのは、そういうことじゃなくて、要するに、わが国わが国で独自の適正基準はどのくらいかというのを、やはり出す必要があると認識していただきたいから、そういう必要を認めるかどうかをお聞きした。それは後で答えてもらいますよ。  時間がありませんから聞きますが、五カ年で三千万キロリットル積み増しということになりますと、十万キロリットルタンクが約三百七十五基必要になる。その用地も約五百万坪なければいけないと言われていますね。その費用がどのくらいかかるのかを、ひとつお伺いするのと——大体費用はわかっていますから、簡単で結構です。余り細かくは要りませんが、どのくらいかかるかというのが一つ。  それから、これを備蓄しなければいけないので、用地ももちろん必要なんですが、用地が、日本国内だけではいろいろな状況からいって、現在の住民パワー等を考えたときに、なかなか確保できないのじゃないかと思いますが、この三百七十五基をつくるのに、国内で一体どのくらいの用地が確保できるとお考えになっているのか。国内でこれが確保できないものは海外というのか、どういう処置をなさろうとしておるのか。これは非常に重要なんですね、もうすでに始まっておるのですから。  それから、いまお話がありました、タンクは海洋もある、地下もある、それから地上もあるでしょう。しかし、大体地上が多いのじゃないかと思うのです。一番安直にいきますし、だからといって、環境その他を考えると、なかなかそれが簡単にはいかないということは、よくわかります。わかりますが、たとえば、きょう持ってきませんでしたけれども、この間の新聞で、何とかして建てさせてもらいたいというので、全国的に誘致を希望するところはないかということで、一生懸命手を打っていると思うのです。その中に、長崎県でぜひ来てくれというようなことを言っていますが、現在、国内で、そういう誘致を希望しておるところ、誘致しておるところは一体何カ所くらいあるのでしょうか。どことどこにあるのかをちょっとお伺いしたい。誘致以外にも、新潟の石油共同備蓄会社がありますね。これはいいでしょう。それ一つくらいで、あとはどこで誘致をしておるのかを聞かしてもらう。  それから消防庁に、きょうおいでいただいておりますので、一緒にお伺いしますからお答えいただきたいのですが、何といっても、こういうものは安全性が第一でないと、誘致どころか住民が反対して、なかなかできないということになるのです。その安全性なんですが、石油の貯油タンクというのはいろいろな方法が、先ほどおっしゃったようにあると思います。  私の聞いたところによりますと、いまの技術をもってしては、完全な貯油タンクはできない、つくったにしても、非常に短期間で危険な状態になる。たとえば、ウレタンを使うとか、あるいはアスファルトを使ってやるとか、いろいろなことを研究しているようですが、地盤沈下の問題もあるでしょう。腐食の問題もある。現にいろいろな事故も起きておりますが、これに対する技術の開発がもうできて、このタンクなら大丈夫だ、こうやればいいのだというものが、いま私が言ったほかに何かあって、確たる自信のもとに安全性第一、大丈夫、タンクは長期間の、危険はなく、つくられるということになっているのかどうか、これは消防庁からお伺いする。まず、その三つを聞き、お答えをいただく。
  277. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、九十日備蓄に必要とする資金は一兆五千億と試算されております。これに要する費用は約六千億程度になるということでございます。  それから、土地手当てでございますが、二千六百万キロリッターの積み増しのために必要なタンク容量は三千三百万キロリッターでございまして、したがって、十万キロリッターでいくと、三百三十基ということになるのでございますが、これに要する土地は千六百万平米ということでございます。  これは国内か国外かというお尋ねでございますが、九十日備蓄までは、われわれとしては国内で手当てをいたしたいということで努力いたしております。  それから、第三点の誘致が具体的にどういった地点であるかという御指摘でございますが、これにつきましては、誘致の動きというのはございますが、その地域全体として決定を見ておるというところまでは至ってないというのが実情でございます。ただ、強いて申し上げますと、北九州地域の方で、そういった誘致の動きというものが他の地域よりも多いというのが現状でございます。
  278. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃいますように、タンクはどうしても安全性が第一だと思っております。したがいまして、その原因となる地盤の不等沈下あるいは底板の塗装、それからウレタンフォームを使用することによる腐食の促進等を排除するために、今回まず第一に、不等沈下につきましては、常に一定の時期に検査をするように自主保安義務規程を設けたわけでございますが、なお、一定規模以上のタンクについては、たとえば百分の一以上の不等沈下があれば、消防機関が強制的に保安検査をするというような規定の整備もいたしました。  さらには、基礎地盤について今回基準を改正いたしまして、設計審査及び完成検査検査にかからしめたわけでございます。  それから、ウレタンフォームについては、昨年通達を出しまして、ハロゲン原素、燐化合物を含んでおりますと、どうしても鉄を腐食するという危険性がございますので、そういったものの使用の禁止を通達いたしたわけでございます。  それから底板のアスファルトの塗装等については電気防食、あるいはアスファルトサンド等の使用によりまして、水等の影響、電気による腐食防止等について、その安全性を確保するために必要でございますので、基準の整備を図りましたが、いずれにいたしましても、異状を発見いたしますと、常に消防機関が関与いたしまして検査をして、その安全を図るということを目途として努力いたしております。  さらに、技術的になお解明されていない地震対策上の諸問題もまだ残っておりますが、これらについては委員会あるいは研究所の研究成果をまって、さらに安全性の確保に努めてまいりたい、かように存じております。
  279. 原茂

    ○原(茂)委員 総体的に、エネルギー全体の問題を一度一括してお伺いしますが、きょうは時間がありませんので、備蓄だけ、さらにお伺いしたいのは、備蓄の主体というのは、石油企業なわけですね。それで、四十五日というのは、ランニングコストとして必要だ、営業上必要だというものを持っておる。そこに九十日備蓄ということで上積みされますね。国から助成が行きますね。ところが、タンクの中に入ってしまうと、油は一つになってしまう。古く安いものが、ランニングコストで自分が買ったものが、たとえば百円とする、上積みされた分が二百円になった、あるいは百五十円になったといったときに、一体その石油企業が出す値段は、どれを基準に出すのでしょうか。  もし上積みされたときの値段を基準にして石油製品なり、あるいは油をわれわれに売ることがあるとしますと、国民の方から言うと、上積みには国家助成という名前で税金が使われている、そうして今度買うときになると、ダブルパンチで二重にもうけられて高く買わされるということになったんじゃたまらないですよね。石油備蓄をしたときの、われわれのところに来る値段を、どこまで細かく監査をして、指導をして、計算をして、適正なものにするかということが、現在配慮されているのか。やがて九十日になったとき、これからどんどんまだ上がりますね、そうすると、上積み分とランニングコスト分の値段の違いは明瞭にあるのですよ。それを油だから一つにしちゃって、上積みの単価でやられたんじゃたまらないと思うのですが、この点は配慮していますか。現在どうなっているのでしょうか。最後に、その点をお伺いしたい。
  280. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のように、備蓄主体は石油企業というたてまえでやっております。毎年石油の備蓄計画なるものを策定いたしまして、それに基づいて今度は各社の個別計画を出させ、それを審査いたす、こういうやり方になっておるわけでございます。  それから、ただいま御指摘の価格の問題につきましては、一つには需給事情で決まってくるだろうと思います。一つには、今回のOPECの値上げのように原油購入価格が上がってまいりまして、これがコストに反映していくといったようなところから、コストプッシュによるところの価格決定という問題もあろうかと思います。(原(茂)委員「そんなことを聞いているのではない」と呼ぶ)ただ、先生御承知のように、油というものは一度入れると、ずっとほっておくというわけにまいりませんで、一年前後で入れかえてまいらなくちゃいけないということもございます。  したがって、本来四十五日分として設定したものに上積みされたものは、いつまでも上積みのままではなくて、順次回転していく、こういうことになるわけでございます。その場合に、価格的には安く入ったものを高く売ってしまいますと、次の時点で、今度はまた高い油を買わなくてはいけない、原油を購入しなくてはいけないというふうに、経理的にはいろんな手法、三つくらいの経理のやり方もあるようでございます。  そういったところからいたしますと、備蓄を放出しなければいけない段階において、幾らで出させるかという問題は、きわめて重要な問題かと思いますが、そういった備蓄放出を必要としない時期における油の回転というものは、必ずしも御指摘のような不当な利得を石油企業に与えることにはならないというふうに見ておるわけでございます。備蓄石油を放出しなくてはいけないような時点におきましては、当然石油需給適正化法等といったものがございまして、ここで標準価格を設定するといったようなことも可能でございますので、その線に基づきまして、不当な利得を上げ得ないように処置いたしたい、かように考えております。
  281. 原茂

    ○原(茂)委員 長官、一生懸命答弁されて、その気持ちはわかるのですけれども、私が平たく言ったことは、やはり真剣にお考えになる必要があると思いますよ。いまのように、不当な利得を与えないと言うけれども、不当利得はないと思っても、あるときがないという保証はないんですよね、時の情勢によっては。したがって、そういったものに対しての配慮が、もし細かくされていないのなら、する必要があるし、多額の税金を使っているのですから、そのことを国民にぴしっと納得させないといけないと思います。  大臣、そういうことに対しての配慮をどうしてもしなければいけないと思いますが、答弁としては、いまのような答弁になるでしょうけれども、実際にはそんなものじゃないはずですから、それに対して大臣からお答えをいただきたい。
  282. 田中龍夫

    田中国務大臣 いまのお話は、われわれ役所の計画の問題じゃなくて、実際のお話でございます。そういう問題こそ、行政の執行の上から言うならば、とかく忘れがちな問題でありますが、いまのお話のようなことは本当に大事なことでございますので、十分配慮いたします。
  283. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  284. 北山愛郎

    ○北山委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五分散会