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1977-04-20 第80回国会 衆議院 決算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長代理理事 原   茂君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 林  孝矩君       井出一太郎君    石川 要三君       宇野  亨君    鹿野 道彦君       谷  洋一君    津島 雄二君       塚原 俊平君    馬場猪太郎君       春田 重昭君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 坊  秀男君         建 設 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         大蔵大臣官房長 長岡  實君         大蔵大臣官房会         計課長     高木 壽夫君         大蔵大臣官房審         議官      佐上 武弘君         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局次         長       吉岡 孝行君         大蔵省銀行局長 後藤 達太君         国税庁直税部長 谷口  昇君         建設省河川局長 栂野 康行君  委員外出席者         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       箕輪  哲君         建設省河川局水         政課長     吉沢 奎介君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本専売公社総         裁       泉 美之松君         国民金融公庫副         総裁      平井 廸郎君         日本開発銀行総         裁       吉岡 英一君         日本輸出入銀行         総裁      澄田  智君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員異動 四月十五日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     広瀬 秀吉君 同月十九日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     箕輪  登君   津島 雄二君     堀内 光雄君   広瀬 秀吉君     栗林 三郎君 同日  辞任         補欠選任   堀内 光雄君     津島 雄二君   箕輪  登君     宇野  亨君   栗林 三郎君     広瀬 秀吉君 同月二十日  辞任         補欠選任   櫻内 義雄君     石川 要三君   早川  崇君     谷  洋一君   三池  信君     鹿野 道彦君   村上  勇君     塚原 俊平君 同日  辞任         補欠選任   石川 要三君     櫻内 義雄君   鹿野 道彦君     三池  信君   谷  洋一君     早川  崇君   塚原 俊平君     村上  勇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十九年度政府関係機関決算書  昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫、  日本開発銀行日本輸出入銀行)      ————◇—————
  2. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長海外出張中でございますので、その間、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行います。  昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査を行います。  なお、概要説明等の聴取は、すでに行っておりますので、直ちに質疑に入ります。     〔原(茂)委員長代理退席北山委員長代理着席
  3. 北山愛郎

    北山委員長代理 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  4. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に、大蔵大臣に今後の景気見通しについて、ちょっとお伺いしたいと思います。  現在では政府も、大臣もそうですか、経済企画庁長官にしろ福田総理にしても、六・七%の経済成長は非常にむずかしいということが常に言われてきたわけでございますが、先ごろ大蔵省が少し強気の発表をして、四月から六月の経済成長率は、最低でも年率八%、うまくすれば一〇%に達する可能性があるというような発言があったのですが、これは予算成立後三カ月なら三カ月の間に思い切った効率的な公共事業中心予算使用、これに向かって努力をすることが前提で、そういった強気の見通しを立てたのかと思いますが、この点いかがでございますか。
  5. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  日本の最近の景気でございますが、去年の夏ごろから少し回復調子が緩慢化いたしまして今日に至っておりますけれども、しかし、その基調といたしましては、これは落ち込んでしまうとか底入れしてしまうということではないと思っております。そういったような事態におきまして、政府は前年度から今年度へかけまして、あらゆる手段を尽くして、そうしてこれの回復上昇ということに努めてまいっておるわけでございますが、最近に至りまして、景気浮揚を眼目といたしました五十二年度予算成立をさせてもらいまして、さらに、今度この予算公共投資公共事業を五十二年度前期において、これは前倒しと申しますか、七三%までこれをひとつ投資していこう、実行していこう、こういうような計画を立てました。  そこへ持ってきて、今度金利の大幅と言えば大幅な引き下げをやりまして、そういったようなことをやりまして、あらゆる手段、方法を講じまして、適切なる景気浮揚策を、さらにひとつ力を加えていこう、こういうことに相なっておりまして、私は四−六期でございますか、その期間におきましては、ある程度景気浮揚がもう期待されるものであるということを信じております。
  6. 原茂

    ○原(茂)委員 八%から調子よくいけば一〇%という数字が一応予見されて出たのですが、これは大蔵省が出した数字でしょうか、それとも——もしわかったら教えてください。
  7. 佐上武弘

    ○佐上政府委員 お答え申し上げます。  一部新聞大蔵省筋ということで、そのような四−六が幾らという数字が出ておりますけれども、御案内のように政府見通しをいたします際は、年間を通じて個人消費がどのぐらいであろうか、あるいは政府の支出がどのぐらいであろうかというものを積み上げて出しましたものが、実質で六・七という数字になっているわけでございます。したがいまして、来年の三月までの期にわたって第一・四半期はこのぐらい、第二・四半期はこのぐらいと、四つに割って期別伸率を出すということは、あらかじめ非常に困難な状況にございます。  ただ、先生御存じのように過去のと申しますか、たとえば昨年の十−十二が前期に比べて〇・六伸びておるという数字は、企画庁が速報として出してまいりますから、その場合、たとえば〇・六でございますと、年率に換算して四倍をしていただきますと、年率二・四ぐらいの風速で走っておるということは、過去に向かっては申し上げられるわけでございますけれども、四−六が幾らになるだろうということを定量的にいまの段階で、四月始まって、まだ一カ月たってないわけでございますから、当然予測することは困難でございます。  ただ、大臣が申し上げましたように、前倒しに進んでいく、あるいは金利の方もそういうような形であるというようなことで、かなりのはずみがつくのではないかということでございまして、定量的に八%、一〇%というようなことを私どもは申し上げる筋合いでもございませんし、それはまた非常に僭越なことだと思いますので、一応申し上げます。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 大分これは景気のいい見通しを立てたと新聞を見て、少し喜んだのですけれども、わかりました。  それで、近く先進国首脳会議があるのですが、依然として輸出依存型の日本経済政策をとっていくことは、何と言っても、ちょっと非難の出る理由になるだろう。したがって、予算の通ったのを契機にして、公共投資その他を中心の思い切った先行型の予算使用をやるわけですけれども、どうですか、輸出依存といういままでの体制は、数字から言っても、いままで程度には力を入れていく方針ですか。それとも輸出依存というものに対する国際的な一つ批判等もあるものですから、これに対するウエートを少し下げていくというようなことを考えたりしていますか、どうですか。
  9. 佐上武弘

    ○佐上政府委員 お答え申し上げます。  確かに昨年の十二月ごろから輸出の増勢がかなり目立ってまいりました。一方輸入の方につきましては、国内需要が鎮静をしておるという状況から、昨年の十二月から潮が変わりまして、この一−三月の貿易収支について、たとえば十三億ドル程度の黒字を計上しておるという状況にございます。しかしながら、こういうような状況は決して好ましくないわけでございまして、内外需ともにバランスのとれたものでなければならないかというふうに考えております。したがいまして、本年度経済見通しにおきましても、輸出の増を一二%程度に見ておりまして、そのかわり輸入かなり伸びるという形で御案内のように、経常収支では、マイナス七億ドルというような形に見ております。一方財政中心といたしまして、かなり伸びを、たとえば固定資産形成、つまり公共事業かなり伸ばしておるというような状況でございますが、生産の努力といたしましては、やはり内需中心にして、いたずらに輸出依存を高める、そのために海外批判を招くというようなことは避けるべきだと思います。  政策の上の基調は、そういうところにございますがゆえに、昨日、公共事業前倒しを上期について集中的にやる、あるいは設備投資までに参りますかどうかわかりませんけれども公定歩合を引き下げるという形によって民需の方のはずみを考えるということで、むしろ内需の堅調を期待をいたしておる、こういう状況にあるかと存じます。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 この公共事業中心で、また上期集中執行予算の面でするんだろうと思うのですが、これは福田総理の執念的な景気浮揚策にいまのところはなっているわけですが、この上期で七〇%目標に集中執行をすれば、やがてまた下期へ行って息切れをする。前例があるんですが、この点の見通しはどうですか。
  11. 坊秀男

    坊国務大臣 私どもは、この上期に相当財政力を集中してやってまいることによりまして、だんだんと自力回復力と申しますか、そういったようなものを日本経済に吹き込んでまいりたい、これが一つの今度の措置考え方でございますが、ぜひそういうふうに持っていきたい。そこで財政金融両方面からこの挙に出たということもひとつ御理解を願いたい。これによって、下期において息切れというようなことにはいたしたくない、こういうふうに考えております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 景気を考えたときに、一つの大きな柱は、やはり設備投資なんですけれども、三十七年、四十年、四十六年、この不況時に対する景気回復に対する設備投資寄与率というのは、二〇から三〇%あったわけです。しかし現在の状態を見ますと、この一月から三月、設備投資寄与率というのは、わずかに二%ですね。依然として設備投資期待ができない状態なのに、下期で息切れをしないようにという意気込みはわかるのですけれども一体設備投資に対して、現在の一−三月間における二%というわずかなこの寄与率、ゼロに等しいんですが、前回三回の不況時における二〇から三〇%という景気浮揚に対する寄与率と比較をしまして、一体ことし、いまの公共投資中心集中執行をした結果、設備投資の方は何らか期待が持てるような何らかの手を打つような、そういう寄与率が少なくとも一〇%前後になるような施策というものを考えたり計画をしておりますか。
  13. 佐上武弘

    ○佐上政府委員 お答え申し上げます。  政府見通しといたしましては、民間設備投資を名目でございますけれども、一二%程度に見込んでいることは、先生案内のとおりでございます。一方におきまして、最近各金融機関あるいは日銀等が、製造業、非製造業の主だった主要な企業からの設備投資アンケートが出まして、その数字を見ますと、確かに製造業におきましては、ほとんど増がない。そのかわり非製造業におきましては、電力は約二割以上伸びるということで、かなり伸びを見せるということでございますが、両方総体を合わせますと、その数字がまあ横ばいといいますか、それよりも少し上というか、そのような状況になっているのは確かでございます。  しかしながら、私どもが大数的に申しますと、御案内のように過剰設備もございます。あるいは鉄鋼につきましても、昨年は非常に出ましたが、ことしは三割減程度落ちるということはわかるのでございますけれども、この設備投資アンケートというのは、やはり一種の癖がございまして、やはり企業のマインドが沈んでおるときに、企業の方々にどういうことをなさいますかということをいたすわけでございますが、過去の景気アンケートを見てまいりますと、初めは非常に沈滞しておるけれども、ほのかな明かりが出ますと、かなり数字でもって上方修正されている傾向がございます。それはもう先生案内のとおりでございます。  さればこそ私は、過去における景気回復というような大きな設備投資回復は考えられないとは思いますけれども、現在言われておりますようなアンケート調査を、そのまま額面どおりに受け取ってよいかどうかは疑問に存じます。また各種アンケートGNPベースで申しますと、全体のカバレージの三割程度でございまして、あと七割は個人業種中小企業あるいは金融法人といったようなものが、かなり含まれているわけでございまして、この七割のビヘービアがどういうふうに動いていくかという点も、まだ勘案いたさねばならないわけでございます。  いずれにいたしましても、かなり設備投資については、先行き見通しというものが、はっきりつきませんと出てまいりませんことは事実でございますし、稼働率がこういう状況でございますから、さればこそ、ここでひとつ一種のはずみをつけて、そうして下期に向けて設備投資意欲を喚起する、そういうような含みもあるわけでございます。したがいまして、私どもは現段階におきまして、確かにいろいろなアンケートを見ますと、余り芳しい色ではございませんけれども、七−九までに財政中心にし、金融措置を講ずることによって設備投資意欲が、先行きの展望がよくなるとともに出てまいることを期待し、またそうなるのではないかというふうに存じております。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 依然として期待範囲を出ないで、ずっとここまでこういう景気状態で来たわけですが、少し上向いた、上向くだろうと言っていますが、それも期待どおりにいかないものですから、したがって集中的な予算使用等も考えざるを得ない。また、ちょびちょびやった公定歩合も、ここで急に一%下げるというような手を打って、あれもこれもやっているんでしょうけれども、もう少し長期の見通しで、民間設備投資の問題だけは計画的に一つの洞察を行い、それの刺激をどうしたらいいかを同時に考えていかないと、公共事業中心集中使用だけで何か期待すれば、後半よくなるだろう、大丈夫だろうといった考え方は非常に甘いと思いますので、この点、大蔵当局も違った角度から、いろいろやっていると思いますが、もうちょっと景気刺激策というものも違った角度からの検討をぜひやらなければいけないと思いますが、その点いかがですか。
  15. 佐上武弘

    ○佐上政府委員 先生の御指摘は十分拝聴いたしました。しかしながら御案内のように、各種需要項目の中で一番乗数効果が強い、つまり各種需要創出効果の強いのは公共投資であるというのは、現段階一種の定説になっておりますので、ここで一つのはずみをつける契機といたしましては、まず、われわれに与えられた最初の、政府としてやれる手段ではないかと思います。  その他の手段につきましては、金融面の補完を行うということでございまして、さしむきわれわれが行いました一昨日以来の措置を見守ってまいりたいと思います。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、国有財産について、少しお伺いしたいのです。これは前に概要説明をいただきました。四十九年度国有財産増減、現在額、総計算書等説明を受けました中の一部をちょっとお伺いしたいのです。  「昭和四十九年度国有財産内部異動のうち整理上の増加について」という資料をちょうだいしました。この中に「整理上の増加」として四百二十八億二千万円のうち「報告洩」というのが百五十一億六千百円万ある。報告漏れのどんなものをここに挙げたのかを見ますと、「台帳に登録し、国有財産増減及び現在額報告書に計上すべきものの報告洩れを翌年度以降において発見し、これを報告しようとするとき。」「前年度以前において台帳に登録してあるが、国有財産増減及び現在額報告書に計上洩れであったので、現年度において同報告書に計上しようとするとき。」この二つで実は百五十一億六千一百万円あるわけですが、この報告漏れは年々あるのですか。この四十九年度だけなんでしょうか。これは時間がなくて調べられなかったのですが、毎年度こういったことがあるのですかどうですか。
  17. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 お答えいたします。  ただいまお話のありました報告漏れの件でございますが、これは主として建物等について発生するわけでありますが、各省において年度末に取得した財産等について財産目録作成等に手間を要し、そのために当該年度中に台帳整理が行われない等の理由により、翌年度以降台帳登載がなされるというようなことが主な理由であります。それでこれは、先ほど来お話のありましたように、毎年度発生しておるわけでございます。  たとえば、ただいまお述べになりましたように、四十九年度分としては百五十一億でありますが、その前の四十八年度においては百三十一億の報告漏れが、やはり発生しておるわけであります。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 これは会計検査院指摘があったかなかったかわかりませんが、きょう検査院来ていないと思うのですが、この種のことが、これほどに計上されないで済むような、そういう措置は講じているのでしょうか。
  19. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 この報告漏れの件については、大蔵省としましても、しばしば各省に対して、いろいろその是正とか適正化について要望しておるわけであります。四十九年十二月には、そのために所要の通達も出しているわけでありますが、今後とも各省と協議して、そういう事態の発生を少なくするよう、その改善に十分努めてまいりたい、こう考えておるわけであります。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 この種のことが会計検査院から指摘を受けたことはありますか。
  21. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 正式に会計検査院指摘を受けたということはありませんが、会計検査院検査の過程で、いろいろ問題として提起されたことはあります。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 それはどこかに載っていますか。われわれの手に入る会計検査院報告なり、あるいは年度決算概要検査した結果としての報告に、これは載るのですか。
  23. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 正式に指摘を受けたわけではありませんので、そういう正式の文書には、その旨は記載されてないと思います。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 これは会計検査院にまた後で問い合わせますが、この種のことは、やはり指摘事項に入れておかなければいけない。前回委員会で、ほかの委員からも話がありましたが、これがそのまま指摘事項になっていないなどということは、どうもおかしいと思いますが、それはまた後で検査院に尋ねます。  次に、皆さんはお持ちになっていると思いますが、四十九年度の「国有財産概要」が皆さんのところから発表されています。その中に「千島列島に所在する財産で、現在国有財産台帳に登録されているものは計上されている。」というのですが、そうでなくても、現在問題になっております日ソ関係、非常に厳しい交渉を二百海里を中心にやっているわけですが、この「千島列島に所在する財産」とは一体どんなものか、「現在国有財産台帳に登録されているもの」というのは一体どんなもので、金額はどのくらいか、それをちょっとお伺いします。
  25. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 千島にありました国有財産につきましては国有財産台帳に登載され、お手元に提出してあります報告書にも記載されているわけでありますが、この数量金額等については、終戦前における最新の資料ということで、昭和十七年三月三十一日現在の数量、価格に基づいて載っておりまして、たとえば土地につきましては、九兆六千八百八十七万六千、失礼しました、九十六億八千八百七十六万三千平方メートル、それから立木が五千六百十七万七千立方メートル、建物が延べ二万平方メートルというようなものが載っているわけでございます。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に言ったのは土地が九兆六千八百万余、これは間違いないのですね。それから、ちょっと待ってください。これはどこに所在しているもの、千島のどこの範囲を言っているのですか。
  27. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 これはいわゆる千島と称される地域全域についての分が登載されておるわけであります。先ほどの土地数字は、私ちょっと最初九兆と読み間違いましたが、九十六億八千八百七十六万三千平方メートルでございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 千島全域といいますと、歯舞、色丹、国後、択捉はもちろんですが、千島全域といったときの千島は、現在問題にもならない状態で話が進められていますが、日本古来の固有の領土、そういう考え方には、われわれとして賛成ですが、現在の状態の中で、国有財産としてこの台帳にリストアップするということになるなら、この問題に対する相当の審議あるいは調査をした後に細かい数字が出ていると思うのです。  これは大蔵大臣にお聞きしますが、千島全域にわたるというようなものが、この台帳に載っているというようなことが、国際的に何か問題になる懸念はありますか。それが一つ。逆に、国際的に問題になる懸念があるから、むしろ戦前における評価をそのままにした台帳に載っけているのだというのか、その意図のほどはどちらなのか。現段階においては、こういったものを台帳に記載するというようなことが何か少し問題じゃないかと思います。しかし、問題であればであるほどに、だからこそ、こうして顕在化しておくのだ、こういう意思なのか。その前段か後段か、お答えをいただきたい。
  29. 坊秀男

    坊国務大臣 千島全域の帰属が、国際条約でどこからどこまでということは、まだ明確になっていないというような実情から、現在のところ、従前の千島全域にわたってとにかく面積、規模等をそのまま残してあるのだと思いますけれども、なお詳しく調べたいと思っております。そういうふうなことだと思います。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 端的に言うと、千島全域日本領土である、したがって国有財産台帳に上がっている、こういう理解でいいのですね。
  31. 坊秀男

    坊国務大臣 いま事務当局から詳しくお答えします。
  32. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 お答えいたします。  領土的な問題については、御承知のように、平和条約第二条によりまして、千島列島に対するすべての権利、権原、請求権というのを日本は放棄しておるわけであります。ただ、そこに所在する財産につきまして、はっきり区分することができないということと、それから財産の処理についての具体的な相互取り決めがなされていないということで、先ほど申し上げましたような十七年三月三十一日現在における額を全体としてそのまま載せておるということでございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 それは論理の矛盾ですよ。はっきりしていない。勝手に戦前、十七年のままで台帳に載っけている。載っける根拠は何なのか。千島全域日本領土だという前提ではない。それはまだ決まっていない。にもかかわらず載っけたということになると、やはりこれから決めるときに外交交渉その他必要な資料として、これはぴしっと台帳に記載して利用するというようなことが本当のねらいということになるのじゃないですか、どうですか。
  34. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 ただいま言いましたように、何分にも一番新しい数字として十七年三月末現在の数字しかないわけでございます。それと、千島をめぐる領土問題が御承知のような状態でありますので、どの島にある分、この島にある分というのが、はっきり分けられない状態にあるわけでございます。それで当時千島に存在した国有財産を、そのまま国有財産ということで載せておるということでございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 その財産土地が入っているのですよ。いまお話があったように、九十六億ですか、それほどの土地まで入れている。土地とは、すなわち領土権との関係で非常に重大な問題なんですが、これが入っていて、なおかついまのような答弁で、大臣が先ほど十分検討をしますと言いましたから、大臣も検討しなければわからないことをちょっと無理かもしれませんが、しかしこの点は、現在のような状況になっておりますと、ぴしっとある程度論理づけをして、台帳に記載をするならするというようなことを何か理論づけがぴしっとできている方が私はいいと思うので、その点はこれから検討するなら検討をしていただいて結構ですが、いま、この後にお答えをいただきますが、同時に会計検査院の前田第一局長が来ているようですから、先ほど言った問題と、それからいまの問題、このような台帳に記載をされているものが、国際的にまだ日本でははっきり決まっていないと言っている千島列島全域に対するいわゆる土地建物、立木というものを挙げているというようなこと、会計検査院がこれを検査したときに、一体どういうつもりでこれに対する——指摘事項にもしないし、先ほどの問題もそうですか、この二つの件に関して、どういう立場でそのときこの台帳検査をされたのか、あるいはこういう結果になっております理由というものを明快に会計検査院の第一局長、ひとつ答えてください。
  36. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  まず一番初めは、報告漏れの件と存じます。確かに報告漏れと申しますものは、前年度計算書の誤りが今年度において是正されたというケースであろうかと思われるわけでございます。本来なら、おまえたち前年度の総計算書検査して、何をしておったかということになるわけでございますが、結局われわれが気がつきましたものは指摘しておりますが、報告漏れと書いてございますのは、各省の方で自発的に発見されまして出てきたものということでございますので、したがいまして、必ずしも会計検査院指摘した、こういう関係に立つものではございません。その意味で、これを報告しないことがいいか悪いかは、ちょっと別の問題といたしまして、これは後でまた考えさせていただきたいと存じますが、そういう意味で書いていないわけでございます。  それから、恐らく現金あたりに比べて、国有財産の扱いが少しずさんではないかというお考えからの御質問と思いますが、実際問題として会計検査院当局といたしましては、さっき理財局の方から申されましたとおり、検査の際に、これをかなり問題にしておるわけではございます。ですが、確かに国有財産の管理というものは、実際問題としてかなりむずかしい面もございますし、余りうるさく言いますと、今度は全然報告したくなくなるということを若干心配したという過去のいきさつがある、そのように私は聞いております。現在もそれでよろしいかとおっしゃられますと、これはまた考えなければならない問題だとは存じております。  それから千島の問題でございますが、この点につきましても、われわれとにかく一体どこまでが領土であるのかないのかわかりませんけれども千島全体がそこの中に入っているということは承知しておりまして、これにつきまして、どう処理すべきか、実はことしあたりの検査で、もう一回この辺で再確認させていただきたいと考えておったところでございますが、いまのところ、まだわれわれの方としては、なぜそうなるのかということをお伺いしている段階でございまして、まだ結論を出したことはございません。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 会計検査院としても、第一の問題は、ぼくは報告はすべきだと思いますよ。したがって、検討してもらう。自今、報告事項に入れなければいけないと思う。  それから第二の問題は、これは非常に国際的な大きなかかわり合いのある問題ですから、検査院としても、こういうものをあいまいに過ごしておくこと自体、しかも現実には検査もできない、実際に手にとることもできないというような千島全域に対して、台帳に載っかっていることをそのまま——とにかくはっきり会計検査の立場で納得しないのに、こういうものを載っけておくということは非常に私は疑問がある。したがって、大至急会計検査院としても、また大蔵当局は、さっき大臣が言われたように、検討をしてみるという検討を大至急にしていただいて、両者ともに正当な理由をこれにぴしっとくっつけるということを、どうしてもしてもらわなければいけないと思いますが、もう一遍大臣からと会計検査院両方から……。
  38. 坊秀男

    坊国務大臣 この問題は、大変重要な問題だと私も思います。国際関係といったようなこともありましょうし、これはひとつ外務省ともよく相談をして、できるだけ早く検討をして、決着がつくかつかぬか大変むずかしい問題でございますけれども、検討を進めていきたい、かように考えます。
  39. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 お答えいたします。  われわれとしても、先ほどから申し上げましたとおり、内部では問題にしておったことでございますので、帰りまして上司とも相談の上、適切な処置をとりたいと存じております。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 それからもう一つ国有財産で一般会計所属の普通財産の売り払い状況というものを見てみますと、払い下げあるいは売り払いをしようというときに随意契約というのがあるのですね。随意契約以外のものは何もない。契約方式というと随意契約オンリー。これはどんな理由で随契だけになっているのかですね。民間への払い下げですよ、これ。それが随契になっている。これは区分の中では、法人への払い下げになっているのだが、法人とは、すなわち公共団体や公益法人ではないものに対して払い下げをするのに、全部随意契約。これはなぜ随契になっているのですか。  よけいなことを言わなくても、わかっていると思うのですが、この種のものは随意契約で払い下げ、売り払われていいはずはないのだ。これはどうなのかを当局から答弁をいただきますが、会計検査院も、この随契というものに対して検査を行って、妥当だと考えておられるのかどうか、両方からお答え願いたい。
  41. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 お答えします。  国有財産の処理につきましては、終戦直後、いろいろ旧軍用財産を初めとしまして国有財産の処理を大いに促進せねばならぬという時代においては、一般競争入札の方法もとられたわけでありますが、現状におきましては、国有財産というものは非常に残り少なくなり、これを、問題になっております土地問題なり都市問題の解決ということのために、公用、公共用を優先に使用していかなければならぬということで、その趣旨の国有財産中央審議会の答申もいただいているわけでございます。そういうことになりますと、だれか高くさえ落札した者が使えばいいのだということになりませんで、どうしてもそういう公用、公共用という目的を限定して、そういうことに使う者に売るということになるわけです。地方公共団体なり公益団体というものが中心になるわけであります。そういうものになりますと、どうしても随意契約によらざるを得ない場合が多いわけであります。  それで、現状におきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、売り払い件数の大部分のものが随意契約になっておるわけでありますが、ただ小規模なもので特別に公用、公共用にも適しない、ただし、いろいろ処分していかなければならぬというものについては、一般競争入札の方法もとっておるわけでありまして、現に五十年度におきまして、四十四件程度はそういう一般競争入札の方法により処分をしておる実績もあるわけであります。
  42. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 お答えいたします。  国有財産に関しましての契約のやり方は、われわれ会計検査院としては、国有財産売り払いに関しまして最大限に注意をしておるところでございます。ここの中で、地方公共団体その他の公共用の目的に使われますものについては、恐らく問題はないと存じますが、問題になりますのは、有利と認めてやったという、いわゆる有利随契というものであろうかと思われます。これにつきましては、有利随契というものをいたしました限りにおきましては、当然ほかより高く売れてなければならぬはずである、そういう観点から、われわれとしては相当しつこく検査をしておるつもりでございます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 会計検査院説明もありましたが、そうすると、他と比較して有利だということが前提で随意契約がなされていなければいけないということになりますけれども、いま大蔵のお話では、五十年度で四十四件だけあったというのですが、これは委員長に要求しておきます。資料として、随契の内容の五十年、五十一年、その売り渡し先の別と単価を一度出していただくようにお願いしておきます。  さっきお話があったように、公共だ、あるいは公益だというようなことが前提で国有財産の払い下げを行う、したがって随契でいいのだ、小さなものに限っては五十年度に四十四件ばかりあった、こういうような説明があったのですが、随契で払い下げを行っておいて、その払い下げを受けたものがトンネルで、その先にもう約束ができていて、転売がされておる。その転売されたものが、土地転がしではありませんが、非常に大きな利益を得ている事例がたくさんあるわけであります。したがって、そのこともある程度チェックをしながら、国有財産の払い下げというものは考えていきませんと、単に第一回の対象が公共団体である、あるいは公益法人であるというようなことだけで随契は差し支えないのだという前提に立ってやっていく、それが非常に大きな誤ったもうけをするような商売人の大変な利益になる、そのきっかけをつくると思うのです。  この資料を出してもらって、検討した後に、どうせ来月また大蔵当局に、この委員会でいろいろな御質問をしますから、そのときに必要としますので、この資料をお出しいただきたい。
  44. 北山愛郎

    北山委員長代理 ただいまの原委員からの資料要求につきましては、後刻理事会で取り扱いを協議決定をさせていただきます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの資料を出すことに対して理事会で後で決定をしてもらいますが、資料を出すことに対して大蔵当局の返事を……。
  46. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 大きな一定規模以上の売り払い案件等の内容についてはお手元にお配りしてあると思いますが、これは大蔵省財政金融統計月報というのの中の、国有財産特集号を毎年出しておりますが、その中に一応相手方、公共団体とかそういうことで掲載しておるわけであります。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 われわれのところへ配付されているかどうか知りませんが、あなたの方で、もしそれがそうだとするなら、それを出す意思があるかどうかを答えてもらえばいい。
  48. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 その基準で整理したものについては、もちろんすぐ御提出できるはずでございます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 では、それを出してもらってから、その問題については、またペンディングにしておいて、次の委員会でお尋ねします。  それから、同じ国有地で今度は北富士の国有地の二百十ヘクタールの払い下げ問題が長い間にわたって未解決のままになっています。この問題に対して、きょうは少しくお伺いをするだけにしまして、あと次の委員会で、多分来月大蔵省またおいでいただくようになると思いますが、そこで、これを存分にひとつお伺いをしたいと考えます。  経過は申し上げなくておわかりだろうと思いますし、私の方から言うと長くなりますが、四十五年の七月四日に、富士吉田市外二カ村恩賜林組合の当時の渡辺組合長あるいは防衛施設庁の山上長官などの間に文書で覚書が取り交わされたのをきっかけに、非常に問題が浮上してまいりました。この問題は、ずっと明治以来の問題でございますが、それは申し上げませんが、浮上してきて、いま一部は裁判、あるいはまた、大蔵省大蔵省で独自にこの払い下げ先をどこにするかの検討をずっとやってまいりました。現在いよいよ決着をつける段階になっているんですが、なかなか、去年の三月三十一日を期して、ぴしっとそれを決めるというようなことまで、ぐっと山を迎えてきたんですが、依然として、いまだにこの問題の決着がつかないでいる。  問題はたくさん、いろいろなことがあるだろうと思いますが、現在この二百十ヘクタールの払い下げ先をずっと検討しているんですが、どこにしようとお考えになっているのか、それから、払い下げを行うときの単価はどの程度に考えているのか、それを先にまずお答えいただきたい。
  50. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 この北富士演習場の国有地の一部を地元に払い下げる問題につきましては、ただいまお話しのありましたように、非常に長い経緯のある問題でございます。それで、いろいろの経緯を経まして四十八年三月三十日に、この件に関して閣議了解が行われたわけであります。すなわち、その部分につきまして、米軍から返還を受け、演習場の使用と地元民生の安定とを両立させるため、山梨県及び演習場周辺地方公共団体に払い下げを行う旨の閣議了解がなされたわけであります。それで、四十八年の五月十九日に、米軍からただいまおっしゃいました二百十ヘクタールの返還を受けたわけであります。  それで大蔵省としましては、当初これを、閣議了解の中にあります富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合、いわゆる恩賜林組合と称している団体でありますが、これを一応払い下げの相手方として、いろいろ事務を進めてまいったわけでありますが、昨年三月に至りまして、その払い下げの相手方をめぐり地元に紛争が生じ、いろいろとごたごたが発生したわけであります。それで山梨県としましては、この紛争を収拾するために、県が国有地の払い下げを受けることとして、この方針について地元の合意を得たということで、現在の時点においては、県の方から県に払い下げを受けたいという要望書が提出されておるわけであります。  大蔵省としまして、そういう県の方針に従いまして、本地を山梨県に払い下げる方向で現在検討を進めている段階でございまして、いろいろ諸準備の整い次第、国有財産中央審議会を開催いたしまして、その処理方針について意見を聞いた上で方針を決定してまいりたい、こう考えておる段階であります。  それから価格の点につきましては、これは従来、国会でも答弁されているわけでありますが、適正な価格で払い下げるものであるということになっておるわけであります。ただ、これがいわゆる先ほどの閣議了解にもありましたように、林業整備を目的として払い下げるということになっておるわけであります。その趣旨に照らして適正な額を算出すべく、いろいろなデータを現在収集中でございまして、まだその額が幾らぐらいになるかということを申し上げられる段階には至っておりません。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 四十八年の閣議了解が、いま言われたようにされた直前に、いま払い下げを県を通じて受けるかどうかという問題になっている県有財産保護組合、恩賜林組合というものが提訴をしておりましたその提訴を、閣議了解の直前に取り下げた。そして提訴を取り下げたと同時に閣議了解を終わり、後、急テンポで四十八年以来払い下げ対象というものを恩賜林組合にしぼってやってまいりましたが、非常に問題がある。事実、問題があるのはあたりまえだ。ために、今度は県にしようということになって、いま説明のありましたように、県がどうやら払い下げ対象になることは間違いない状態のようです。  そこで、県に払い下げを行うという場合に一体、いわゆる現所有権者、もとの所有権者、現在その土地の利用によって生活をする利用権者、こういう者の了解なしに県に払い下げることがあるのでしょうか。県がきちっと現在の利用権者に了解を得て、利用権者の了解をしたという署名がはっきりした上でなければ県に払い下げをできないのか、それはなくても県との話し合いで、いま説明のあったように、県に払い下げを行うことをされるのか、できるのか、その点はいかがでしょうか。
  52. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 お答えします。  ただいま問題になっております。この国有地二百十ヘクタールをめぐりまして、もとの開拓者であるとかその他から、訴訟が提起されているというような問題もあります。それから地元の入会組合のいろいろな御主張もあります。ただ、この点につきましては、われわれとしては関係省庁と十分協議し、いろいろそのための会議も開いて進めておるわけでありますが、現在われわれが払い下げようとしています国有地につきましては、正当な買収行為により国有地となっておるものである。だから、それが訴訟中であっても、それを払い下げることは問題ないという結論を得ているわけであります。  ただ、事実問題として、その後にいろいろとごたごたが残るということば考えられるわけであります。その問題については、県が責任を持って対処するからということで、われわれは先ほど申し上げましたように、県を相手方として払い下げるということで、ただいま事務を進めている段階でございます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 いやしくも国会審議の場で、次のことを私は申し上げておきたいのだが、県が責任を持つからといって県へ払い下げをしたときに、後非常な問題が起きます。法的な疑義もあり、一体県へ払い下げたということが、閣議了解の民生安定になるかどうかという実態を調べた上、あるいはその辺のこともぴしっと筋を通して考えた上で、県が責任を持って払い下げを受けられるかどうかというと、私は責任を持っては払い下げは受けられないと思う。県はそう言っていても、事実上非常な問題が起きてくるということを、いまはっきり申し上げておきます。  そういう状態にある。われわれが必ず大変な問題が起きますよと言うのを押し切って、県に払い下げをするというようなことがあってはいけないと思いますが、その点は十分に勘案をした上で、ひとつ対処していただきませんと、いまのように、あっちもこっちも問題がたくさん起きているものを、何の理由か知りませんが、県が責任を持つと言うからというだけで県に払い下げをするというなら、私が責任を持って大きな問題が起きますから、いまにわかに、そういった払い下げをすべきではない、こう申し上げていることをひとつ銘記しておいていただきたい。  この問題に関しては、なぜ、一体どういう問題が起きるのかを、次回もっと専門に皆さんの考えもただし、私の考えも申し上げたいと思いますが、きょうは最初申し上げたように、いま言ったお考えだけをお伺いをし、私もその考えを申し上げただけで、この問題は終わりたいと思いますが、この問題の審議をしていきますのに必要な資料の要求をこれからいたしますので、この資料をぜひ出していただいて、次回の委員会に私が出るときに、この資料中心に物の言いよいようにしていただきたい。  その一つは、北富士演習場返還国有地払い下げ問題に関する資料のうちの、演習場の国有地の一部返還について、次のような資料をちょうだいしたい。  防衛施設庁が返還方針を決めた年月日。  政府が日米合同委員会の議題とすることを決定した年月日。  米側に示した返還の理由。  日米合同委員会の議事録。  返還が確定した年月日。  返還された面積(国・県・民公有地別)  防衛施設庁から大蔵省に引き渡した年月日。  二つ目。返還国有地の払い下げについて、以下のものを。  払い下げについての閣議了解その他これに関して地元と交わした一切の文書。  払い下げを求めるため大蔵省その他関係省庁に出された山梨県及び富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合の申請(陳情)書、付属書類一切(林業整備事業関係の書類を含む)  払い下げ申請(陳情)者一覧表(申請年月日、希望面積、用途等を含む)  大蔵当局が返還財産処理小委員会等に提出した文書。  返還財産処理小委員会及び国有財産中央審議会、同地方審議会の運営規則並びに委員の住所、職業、氏名。  山梨県北富士演習場対策協議会理事田中克彦、本田圭司及び山梨県南都留郡忍野村長田辺正己より大蔵当局に郵送された国有地払い下げに関する文書。  三つ目。演習場の用に供するため梨ケ原入植者、その他より国が買収した土地について、次のものを。  買収年月日、買収面積、買収価格、平方メートル当たり単価。  協力謝金を支払った場合は、その金額、平方メートル当たり単価。  四つ目。返還国有地に接続する富士急行株式会社所有地の借地料及び近傍の売買実例について、次のものを。  昭和四十五年度より返還時までの、年度別借地料、借地面積、平方メートル当たり単価。  返還国有地近傍の土地売買価格及び賃貸価格の実例。  五つ目。桧丸尾地区について忍草入会組合、土丸尾地区について新屋開拓組合より、関東財務局長または横浜防衛施設局長に出された、当初よりの一時使用許可申請書及びこれに対する許可書並びに許可稟議書。  六つ目。昭和三十一年関東財務局長が桧丸尾地区の一時使用について、富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合を不可とした理由を明らかにした山梨県知事あて文書。  七つ目。忍草入会組合長より関東財務局長あて出された北富士演習場内国有地に対する採草許可申請書及びこれに対する許可書。  八つ目。返還国有地のうち、払い下げ予定国有地の面積及びその所管省別財産内訳(たとえば大蔵省所管普通財産、農林省所管開拓財産というごとく)特に農林省所管の道水路等開拓財産については、道、水路別に各面積、当該道、水路に対する関係権利者名、開拓財産の登記年月日。  九つ目。自衛隊へ使用転換前の北富士演習場の図面に、国管法に基づく桧丸尾、土丸尾等一時使用許可区域及び返還区域(国有地、県有地、民公有地別)並びに農林省所管の道、水路を明示した図面。  最後に十番目。北富士演習場の所有者別面積表及び演習区域の面積(所有者別)、保安区域の面積(所有者別)表。  これが一つであります。  二つ目に、北富士演習場関係林野雑産物補償に関する資料として。  旧忍草入会組合及び渡辺伊佐男を組合長として新たに設立された忍草入会組合に対する、当初より現在に至るまでの年度別、被補償者別の野草・そだ別補償金、補償金算定の基礎となる田・畑別経営面積、牛馬別頭数、そだ使用個所数及び補償契約書、補償金支払い年月日(野草については東京高裁の和解による増加分を特記してもらう)  山中湖村及び富士吉田市所在の各入会組合に対する、昭和四十二年度より現在に至るまでの年度別、被補償音別の野草・そだ別補償金、補償金算定の基礎となる田・畑別経営面積、牛・馬別頭数、そだ使用個所数及び補償契約書、補償金支払い年月日(野暮については東京高裁の和解による増加分を特記していただく)  最後に三つ目に、富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合関係についての資料として。  組合規約、組合条例、組合規則全部。  昭和四十四年度より現在に至るまでの歳入歳出決算書、組合運営状況報告書、賃貸料(演習場)交付基準及び演習地賃貸料交付台帳(全地区)  組合に関係を持つ山梨県有林に対する接収時より現在に至るまでの部分林・天然林別の年度別被弾木補償金、補償金支払い年月日、補償契約書。  組合に関係を持つ山梨県有林の経営阻害補償に関する覚書、会議録、補償金交付の理由書、及び補償金、器材購入費の支払い年月日、その契約書並びに経営阻害補償の対象面積。  組合所有地に関する接収当初より現在に至るまでの賃貸借契約書及び関係権利者の同意を証する書面。  演習場内県有地に対し、国から支払われた借地料(使用料を含む)の配分に関する組合と県の協定に関する文書。  これをお出しいただきまして、次の委員会における審議に供させていただきたいと思いますが、委員長において取り計らいを願います。
  54. 北山愛郎

    北山委員長代理 ただいまの原委員からの資料要求につきましては、後刻理事会で、その取り扱いを協議いたしたいと思います。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 次の問題に移りますが、歩積み両建てについて簡単にお伺いしたいのです。  いわゆるにらみ預金、拘束預金について、まあまあ大蔵省もずいぶん苦労をして、今日までいろいろおやりになっているようですが、まだその実効が上がっていないという面があります。しかし、都市銀行その他地銀、相銀等は、だんだんに改善をされてきているようです。多く申し上げませんが、皆さんが出した最近のいわゆる通達を見ますと、拘束性預金に関する債務者への正確な通知を実行する、債務者からの苦情に積極的に対応できる体制を整備する、行き過ぎた預金勧誘の自粛をやるというようなことが通達として生きているわけです。  これに基づいて、いろいろ指導されているようでありますが、私は全体の銀行のことを、きょう申し上げようとは思いませんが、たとえばの例ですが、信用金庫の場合に、東調布信用金庫というのがございますが、これは私などの常識で考えると、非常に行き過ぎも行き過ぎ、大蔵省のこういった拘束預金に対する指導とか監督などとは全然うらはらな状態で、現在歩積み両建てを行っているという事例がございます。そして他の銀行においても、これに関連して、都市銀行といえども全然ないわけではありません。地銀といえども相銀といえども、現在すっかりよくなったとは言えません。まだまだ改めなければいけない問題がありますが、それと比べて確かにコストの問題等から見、今後の経営状態から見て、非常に小さければ小さいほど困難な状況になっていくことは間違いない。したがって、であればであるほどに、大分えげつなく歩積み両建てが行われている事例があります。  いま申し上げました東調布信用金庫のごときは、一々あげつらってまいりましたら、驚くほどのことがあるわけでございますけれども、都銀、地銀、相銀あるいは信用金庫別に、現在拘束預金という性格のもののある率をひとつお聞かせいただいた後に、いま言った信用金庫に対してのあれは関東財務局がおやりになるかどうか知りませんが、非常に手抜かりがあるように思いますが、これに対する監督、指導は十分におやりになっているのかどうか、まず最初にそれをお伺いしたいと思います。
  56. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 業態別の拘束預金比率という角度から、いまの状況を御報告申し上げます。  最近の私ども調査によりますと、都市銀行におきまして一・五%、これは全体でございます。それから地方銀行が二・八%、相互銀行が四・三%、信用金庫が一〇・一%、平均をいたしまして三・五%、こういうことに相なっております。  なお、これに対する監督の仕方でございますが、地方銀行、相互銀行、信用金庫につきましては、財務局が主として監督をいたしております。ただ監督の内容につきましては、若干の違いはございますけれども、大筋は全部同じように是正をしていただくということでございまして、基準その他も同じものをやっていただこうと思っております。また、その実効を担保いたしますためには、常時ただいま御指摘をいただきましたようなケースに即しての具体的な行政指導、それから検査の際に、拘束預金の状態につきましては重点事項といたしまして、なかなか悉皆調査というわけにはまいりませんけれども、全体の大勢、あるいはさらに特定の店舗については、具体的な内容に即して検査をいたしまして是正の指示をいたしておる、こういう状況でございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 いま細かい事例をたくさん申し上げてもどうかと思いますが、しかし名前を挙げた東調布信用金庫の例などは、この信用金庫の平均一〇・一%なんというのとは、ほど遠くて話にならないことをやっているわけです。  これに対して、くどく細かく申し上げた方がいいのか、それとも、いま名前を挙げました東調布信用金庫に対して直ちに実際の調査をしていただいて、皆さんの方から、こういう指導をして、こういうふうに改めさせましたというようにしていただいたのがいいのか、どちらでもいいのですが、ひとつお答えをいただきたい。
  58. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 ただいまの御指摘によりますと、恐らく先生非常に具体的な事実なども御承知のことかと存じます。ただ、その具体的な名前等を公式の場で拝聴いたすのもいかがかと存じますので、もしお差し支えなければ、別の機会にお教えいただければ幸いでございます。そうでなければ、私どもとしましては、いま御指摘のところにつきましては、しかるべき機会に、しかも早い機会にこの内容を調査をいたしまして、是正すべきものは是正をさせ、その状況につきましては、御報告申し上げたいと存じます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 私も余りこんなところで名前を言ったり、いろいろな細かい事例を申し上げるのはいやだから、いまの御答弁で結構です。したがって、私のところに大至急に責任者においでいただいて、私もそこでは申し上げます。同時に、いま後段にお話があったような調査をした結果、どういう指導をして、どういうふうに改まることになって、いつから大丈夫だというような措置をした結果も御報告をいただけば結構だと思いますが、もう一度そうできるかどうか……。
  60. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 ただいまお話しのように措置をさせていただきたいと思います。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、その問題は後に譲らせていただきまして、最後にお医者さんの脱税について、少しお伺いしたいのです。  そうでなくても、医師の優遇税制というのは大臣御存じのように、幾ら長年にわたってやいのと言っても、ちっとも改められないのですね。そうである上に、相当の脱税があるという大阪国税局の例が新聞に出ましたり、あるいは東京国税局の歯科医師の脱税がばっと出たりしまして、いろいろな調査をしたり、また皆さんから資料もちょうだいしたのですが、時間がなくて、こんな簡単なものしか出せませんと言って、入り口でいただいたりしました。  私がお伺いしたいのは、医者ばかりではない、高額所得者の脱税というのが、なぜ一体今日までずっと見逃されてきているのか。これは新聞に出るほどのものが、たまたま出ただけなんで、全部が全部摘発されているのではない、したがって氷山の一角だ。氷山の一角になる原因は一体何だということも考えていかないと、いつまでたっても大魚が逸せられたままで泳いでいく。  庶民はそうでなくても税金が、あるいは利息がどのくらいになるかによって自分の生活が本当に影響を受ける。たくさんの庶民がきゅうきゅうしている。今度は一%公定歩合を下げる、恐らくすべての預金に連動するというようなことが流れていますから、非常にびくびくしているのです。われわれは一兆円減税というものを一生懸命に皆さんに要求をしてようやく、わずか三千億円でも減税に上乗せができた。それで税額控除方式でもらえるな、少し助かるなと思っているところへ、この金利がぐっと下がると、もうそれだけで吹っ飛んじゃうというようなことで、これもすぐ影響して、びくびくして生活しているような、いまの経済下における現状がある。  にもかかわらず、そこを平気で大魚が泳いで、高額所得者が堂々たる脱税を行っているのを見逃して今日まで来た。その一角が医師、歯科医師等の、東京国税局、大阪国税局のあらわれだというのにすぎないということを考えますと、一体何が原因で、こういう大魚が逃されているのかということを考えていかなければならないと思います。  そこで、こういう高額所得者の脱税というものが、たまたま出るだけで逃されている現状というものの原因は、何だとお考えになっているのか、まずその点を。
  62. 坊秀男

    坊国務大臣 税制は申すまでもなく、公正に運用されなければならないものである。もともと法体系そのものが公正であって、不公正なものは是正をしていかなければならないということと、もう一つは、他方この税を執行するに当たりまして、主として徴収の面において公正でなければならないということが、税制にとって一番大事なことだと思います。  さような意味におきまして、今日までも、大変ご不満な点も多かったと思いますけれども、われわれとしては鋭意体系の是正に努めてまいりました。それと同様に、執行して徴収をするということにつきましても、これは、見逃すとか、そういったようなつもりでもって見逃しておるというようなことは絶対にございません。できるだけ厳しくというか、適正なる税の徴収をしておるわけでございますけれども、御指摘の医師などという階層と申しましょうか、これは今日ほかの階層の人たちよりも一般的に見まして、大変な高額所得者であるということは間違いない事実だと思いますが、私は医師性悪説はとっておりませんから、お医者さん全部が、そういった人たちではないと思いますけれども、そのうちの一部の人が脱税をするということに相なりますと、根が高額所得者でありまするから、脱税の額も大変大きくなってくるというようなことで、世間にそれが漏れますと、大変なショックが起こってくるというようなことも私は一つあろうと思います。  そういったような高額所得者が脱税をするというようなことについては、特に徴税当局といたしましては、慎重に、適正に、これをやっていかなければならないということを考えておりますが、今日までも、徴税当局におきましては、いろいろな情報も入ってくると思います。そういったようななことで、これにつきましては本当に非常に厳正にやっておるということを私は信じておりますけれども、中にはそういったような不心得な者がおりまして、脱税をする金額が大きいといったようなことから、世間にこれが喧伝されるということでありまして、それだから、これはもう仕方ないだなんて絶対に考えておりませんけれども、そういった医師初め高額所得者に対しましては、さような不祥事が起こらないように私も督励をいたしておりますけれども、今後とも御注意を胸に畳み込みまして、大いにその方面において税制の係官に対しましても十分これを督励していこう、かように考えております。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 だから大臣、なぜ一体そういう適正な徴収あるいは課税が漏れなくできないのか、理由は何だとわざわざお伺いしたのですが、たくさんあるでしょうが、まず署員の数の少ないことも重大な障害になっているんじゃないでしょうか。十年前といまと比べると、利子の調書なんかだけでも一千百万枚にもなっていて、この処理だけでも大変な手が要るようになっている。もちろん電算機等も入れるのでしょうが、要するに署員の数が少な過ぎていることが一つの大きな原因だろう。  それからもう一つは、利子配当所得なんかを調査するときの一つの大きなあれになるのですが、銀行の架空名義などの預金を銀行自体がなくすように協力をしてもらうとか、そういうことを徹底的にやってもらえれば、この課税漏れ、あるいは脱税、高額所得者の泳いで逃げていく姿をつかまえることができるのではないかと思うのです。  多く申し上げる時間がないようですが、どうでしょう。署員を何とかふやさなければいけないのじゃないかというのが一つです。これはいまの定員法その他からいって、なかなかふやすことができないといってしまえばそれまでですが、しかし一般大衆からすると、高額所得者がこんな大胆な脱税をしているのを、たまたまでも新聞で見ますと、税金をまともに払うなんてばかばかしくていやになるのですね。そういうことを考えると、この署員はふやしていいんじゃないかというふうに思う。  もう一つは、いま言ったように、銀行なども架空名義の預金などに対しては、これをなくすように大胆に協力をしてもらうということぐらいは、いま急速にやらなければ手当てができないのじゃないかなと思いますが、この点いかがでしょうか。
  64. 坊秀男

    坊国務大臣 御承知のとおり、行政各部における整理といいますか、それは一般的な方針に従いまして毎年毎年その方に力も入れておりますけれども、そういった事情の中におきまして、国税庁が、その人がなかなか十分ではないということは、私もそう考えます。そういったような事情から、そういった厳しい中におきまして、とにもかくにも、ある程度の増員は毎年やっておるわけでありますけれども、それじゃ、そういったようなことだけで十分かといいますと、これはなかなか十分というわけにはいかなくて、仕事を大変よくやってもらっておるということについては、私は感謝しておりますが、いまおっしゃられたように、そういうことが脱税を防止でき得ない一つ理由ではなかろうかというふうなお話もよく——無論もっと十分人がおりましたら、それはやっていけるだろうと思いますけれども、しかし、人をふやすということでもって能事終われりということではなかろうと私は思います。  さようないろいろな点を考えまして、かかる不公正が行われるということは極力防止していかなければならない。単に医師とか高額所得者とか、そういったような対人的なこともさることながら、あるいは銀行の源泉徴収といったようなことだとか、あるいは名寄せ等について、いろいろまだ遺憾な点のあるということは私もよく承知いたしておりますので、今後とも法における税の改正を鋭意やっていくとともに、徴収の面におきまして全力を挙げて、さようなことのないように公正を期してまいりたい、かように考えております。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  66. 北山愛郎

    北山委員長代理 次に、馬場猪太郎君。     〔北山委員長代理退席、原(茂)委員長代理着席〕
  67. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 昭和三十三年に、国鉄と三公社を含めて三十三団体でありました特殊法人が、五十二年の三月には、百十三団体になっておりますね。そしてその間、三十九年、四十二年と決算委員会整理統合が決議され、そして五十年の十二月にも、行政管理庁の方針で統廃合計画をお立てになり、それを閣議で了解なさった。そこで、現実にやっていない公社、公団もあるし、財政が非常に厳しくなっておる折から、大蔵省としても、この帰趨については相当積極的にお進めになると思っておったのですが、現状は必ずしもそういうふうになっておらない。この現状について、大蔵大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
  68. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申し上げます。  公社、公団等につきましては、これはほかの役所も同じでございますけれども、主として正面からこれに当たるのは、人に責任を持っていくつもりは毛頭ございませんけれども、セクションといたしましては、行管がやっておるということで、われわれも行管に協力をいたしまして、予算の面からできるだけのことをやってまいりたい、かように考えて、今日までもずっとやってまいりましたが、私もなおいまだしの感をあなたと同様に持っております。今後ともこれは極力やっていかなければならない、かように考えておりますが、そこらの具体的な事情につきましては、政府委員からお答えをさせます。
  69. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 五十年の暮れでございますか、いまお話に出ましたように、十八法人整理するという閣議了解がございました。ただいま百十三というお話でございましたが、御承知の八郎潟と電力用炭は、現在、国会に法案が出ておりまして、われわれは、いま大体百十二ぐらいの感じで考えてございますが、さらに自民党の方におかれましても、御承知の園田委員会、それから山中委員会へ引き継がれまして、行管も独自の立場から研究される。私どもの方は、ただいま大臣が御答弁になりましたように、予算編成過程で行管と協議しながら、これをどういうふうに持っていくか。さらに、本年、予算委員会で総理からも行革のいろいろな御構想が出ておりまして、八月までというような御発言があったりしておりますが、私どもといたしましても、財政危機の折から経費を節減するという角度、まあ行政事務の能率という問題もございますが、両方の角度から、再度行管と一緒になって検討いたしたいというような段取りを考えております。
  70. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 五十年の暮れに閣議で御相談になって、その中で、節約という意味で、いろいろ方針をお出しになっていますね。それはどういうふうになっておりますか、どういうふうな方針を閣議でお出しになりましたか。
  71. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 詳細はいまちょっと資料を持ってきておりませんが、十八法人について、この法人はこうせい、こういう方針で検討すべきであるというように、大体四つか五つの表現で区別がされておりまして、一番厳しいのは、いついつまでに廃止する、それからたとえば八郎潟の場合でございますと、五十二年度当初にその組織を大幅に縮少するとともに、同年度上期末を目途に廃止するとか、一つ一つにつきまして方針が出ておるわけでございます。
  72. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 あらかじめ申し上げてあるわけですから、資料を持っておられないというのは、おかしな話でして、もちろんこれは行政管理庁の責任だとは言われますけれども、当然財政を預かる皆さん方の方でも、そういう点はもっと積極的に取り組んでいただかなきやならぬと思うのですよ。  それで、二年前にお決めになった方針では、二年間で大体三分の一統合しようじゃないか、そして一兆五千億の節減をしようじゃないかということ。それから役員の一〇%ないし二〇%を減らそう、二十九の特殊法人については、十六人以上は二人、十人以上十五人までは一人減らそうじゃないか。あるいはまた三年間で一兆九千億、政府出資五兆八千五百億の三分の一を返還させるというような方針をお決めになったはずなんです。  ですから、大蔵省予算との関係が非常に深いわけですから、仕事はなるほど行政管理庁の仕事かもわかりませんが、しかし実際には、予算の上では大蔵省の方がウエートが高いんじゃないでしょうか。そういう意味では、大臣自身が、いまだしの感だと言われておりまするけれども、それでは、大蔵省直接の所管の公社、公団等の特殊法人について、何らかのそういう対策をおとりになったのか、ならないのか。
  73. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 大蔵省の所管の特殊法人は、専売公社と輸出入銀行と開発銀行と国民公庫、この四つでございますが、五十二年度予算編成の過程におきまして、定員増加の面とか経費の面とか、そういう角度につきまして、できるだけ合理化を図るというようなことは検討いたしたわけでございます。
  74. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 具体的に、たとえば役員をどういうふうに削減するとか、あるいはまた現在の給与状況はどういうふうになっておりますか。
  75. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 給与状況という点でございますが、先生の方から御質問でお伺いしております給与の額が幾らであるかという、その点でよろしゅうございますか。  総裁が、公社の場合は、国鉄も電電も同額でございますが、百五万円。それから輸開銀の場合も同額でございます。それから国民公庫の場合は九十四万というふうになっております。
  76. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大体において特殊法人の総裁理事長といった役職の方々というのは、それぞれの官庁をおやめになってからの二度のお勤めだと思います。そういう方々が、いま言われた報酬というのは、社会的な常識から言いますと、相当高い水準にあると思うのです。だからこそ、先ほど申し上げたように、三項目にわたって経費の節減をやろうという方針をお出しになっておる。にもかかわらず、そういったことが全然——全然とは言いませんけれども、ほど遠いと大蔵大臣自身が言われるほど進んでおらない。なぜそういうふうになっているのでしょうか。
  77. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 私どもも決して満足しているわけではございませんが、五十一年の場合、五十二年の場合、歳入歳出予算、経費予算につきまして、かなり合理化を図ったつもりでございます。その結果、専売公社も多額の専売納付金を納めていただいておりますし、開発銀行の場合も納付金も納めていただいておるわけでございます。
  78. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 納付金が納まればいいというような筋のものではなしに、報酬を皆さん、閣僚会議でもお決めになって、その合理化を具体的に、少なくとも大蔵省自体だけでもお取り組みになったのかどうか。具体的に役職を減らされたとか、そういう事実もあるのかどうか。
  79. 長岡實

    ○長岡政府委員 ただいま具体的な資料を持ってきておりませんが、先ほど御指摘のとおり、役員の数が十人以上の場合、あるいは十五人以上の場合ということで、役員の数を減らしていく基準が一応ございまして、これにつきましては、その実施までに一定の猶予期間をいただいておると記憶いたしております。大蔵省所管の特殊法人につきましても、その猶予期間内には、定められた基準に従いまして役員の数を減らすという計画は立てておりますけれども、現在いままでに済んだものがどこであって、何人、それからこれからのものが何人という資料を持っておりませんので、後ほど改めて提出させていただくようにいたしたいと思います。
  80. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 急にやれといっても、そうはできないわけですから、猶予期間はわかりますが、それでは猶予期間はどれぐらいの猶予期間ということで取り組んでおられますか。
  81. 長岡實

    ○長岡政府委員 昨年の七月にスタートいたしまして、たしかおおむね二年間程度の猶予期間であったと思います。
  82. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 五十年の十二月に閣議決定されて、そして五十一年の五月十日に確認されておるわけですよ。そういうことも頭にすぐ上がってこないような状態で、本当に合理化をやるという気持ちがあるのかどうか疑わしいと思いませんか。やらなければならぬという気持ちがあれば、その二年の間にある程度具体的な方針というものは進んでいると思うのですよ。と言いますのは、なぜそういうことを言うかと言えば、今回の一兆円減税にしても、わずか三千億、わずかというのは語弊があるかもわかりませんけれども、四苦八苦して、絶対にやらないんだとがんばられたけれども、一方では一兆五千億の節減をやるんだと二年前に方針を出しながら、全然やっておられない。二年間で三分の一統合して、約一兆五千億の節約をするんだという方針を出しておられるのですね。  だから、そこらのところの感覚が全く違うと言うのです。二年たっているのです。だから、いまごろある程度具体化しなければならぬと思うのです。いま大蔵省直接の所管だけではなしに、厚生省とか、あるいは農林省とか、通産省とか、それぞれの共同の管理の面もあるでしょうから、まず予算を預かる大蔵省が、やはりそういう厳しい姿勢を持っておらなかったら、幾らあれは行政管理庁の所管だと言っても、強制力がないわけですから、結局は予算の上で、事実またその役員の報酬を決めたり、あるいは事業体全体の予算をお決めになるのは、ほとんど大蔵省の独断に近いような形でお決めになるわけでしょう。相当な権限を持っていらっしゃるところが、これをやる気にならなかったら、それこそ整理統合とか、あるいは合理化というのはできるはずがないじゃないでしょうか。その点どういうようにお考えになりますか。
  83. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 ただいまの先生お話の中で、一兆五千億という数字が出たのでございますが、私の記憶では、そういうような数字は決定はされておりません。先ほどの出資金の残高が大体五兆と六兆の間だったと思います。それから補助金等の一般会計から入っている分が百十三の特殊法人全部で一兆くらいです。  それから特殊法人に対する役職の問題でございますが、これは政府全体の人事課長会議をやりまして、ただいまちょっと用意をしてこないので、はっきりすぐ答弁ができなくて申しわけないのですが、各省の人事課長が全部集まりまして、ぴしっと計画ができておりますので、後ほど資料で御提出できると思いますが、非常にきちっと計画的にできるように段取りはできているわけでございます。  それから特殊法人の今後の問題でございますが、これは御承知のように、時代時代に応じまして、いろいろな必要性が起こってできたものでございます。ですから、特殊法人全部が悪いということではないと思うのでございます。使命の終わったものとか、あるいは統合を図った方がいいものだとか、合理化を図った方がいいものだとか、いろいろあろうと思います。それから、これから特殊法人をつくらなければいかぬ分野もあるかもしれません。そういうようなことで、個々具体的に検討をしなければならぬわけでございます。  五十年度のときの十八法人なんかも、行管の方とわれわれの方とが一体になりまして、一つ一つ検討いたしたわけでございます。相当時間もかかりますし、周辺問題、非常に絡みが多いわけでございます。いろいろな角度から議論しなければならない。今度改めて特殊法人問題に取り組むわけでございますが、そういういろいろな複雑な問題がございますので、明快な答弁が現段階でできませんが、私どもとしても、財政の合理化という角度から、答弁をちょっととちったり何かしておりますので、疑われてもしようがないのですが、決してそんなようないいかげんな態度で取り組んでいるわけではございません。真剣に、工夫をこらし、努力を傾注してやろうとしております。
  84. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 次長がいま言われるように、もちろんこれからも必要なものもあるでしょう。つくらなければならないものもあるでしょう。しかし一たんできてしまいますと、不必要になっても、なかなか廃止というのはむずかしい。事実上おくれおくれになっておると思うのですよ。そういうことを続けておりますと、これから財政が非常に厳しい折、あるいはまたどういう形で増税になるかは別として、国民負担というのはふえていく中で、まずそこから直さなければならないじゃないか。不公平是正ということも、たびたび言われておりますが、そういうことが結局国民感情にも大きく影響するということから、まず姿勢を正すべきところは、内側から正していくんだという姿勢をお示しいただきたいということで申し上げましたので、御答弁いただけなかった分については、なおまた資料でお出しいただけば結構です。この程度で終えておきたいと思います。  次に、国有地の管理の問題についてお伺いいたしたいと思います。  都市化の進んでおらないような、従来から国の所有であるとか、府県、市町村の所有であるとか、あるいは個人個人の民有であるとか、そういった区分が、だれが見ても明らかな地域では問題ないのですが、御承知のとおり、三十五、六年ごろから大都市周辺は非常に人口が急増いたしました。そうなってくると、国、公共団体あるいは民間の区分もわからないし、境界もわからないしということで、いろいろトラブルが起こってきております。  最初は、だれもわからないわけですが、一般論として話をいたしますと、非常にわかりにくいので、具体的な例として申し上げたのですが、農業用水路、私の周辺に古川という水路がございます。約一万メートルです。ここが都市化の進展に従って、河川敷だとか堤防だとか、その付近にまで家が建ち出しました。そして農地がなくなったわけですから、河川改修が進まないと、自然に水はけが悪くなって、四十二年から四回にわたって浸水問題を起こしました。そこで地域住民は、これは農業用水路だからということで地域の水利組合に行き、あるいは改良区へ行く。ただ、改良区や水利組合は、農業用水路の施設に対する管理だけだ。市へ行くと、市は、これは国有地だ。国有地だということで、管理しているのは当然大阪府だろうということで、大阪府へ行く。農林部へ行きますと、農林部も、これは国有地だし、ただ単に農業用の用排水の施設の管理だけだと言う。それじゃ、浸水ということだから、建設省の指導下にある土木部に行く。そうすると、土木部は農業用水路だから、全く関係がないというようなことで堂々めぐりをして、三回も四回も浸水を受けました。そうすると、どこにその責任の所在があるのかということがわからない。だからといって、いつまでも放置するわけにいきませんので、地域、地域の方々の運動によって水があふれないような施設だけは大阪府の農林部がやりました。  ところが、四十五年の都市計画法によって市街化地域の中に入ってしまったので、それ以後は農林部も直接関係がなくなってまいりました。そして、だれもこの維持管理をする責任主体がわからないものですから、大阪府の中でも府県だ、市だ、あるいは水利組合だということで責任の主体がわからないので、せんだって農林省にお伺いをしてみました。さらに建設省にもお伺いをいたしましたが、どうも責任の所在がはっきりしないということで保留になっておりました。  ちょうどいま建設大臣がおいでになりましたから、前回保留にしておりましたことについて、あのときには農林省、大蔵省の方からも出ていただいておりましたので、ある程度の結論が出たと思いますので、統一見解をお示しいただきたいと思います。
  85. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 三月二十二日の当委員会において、馬場さんの御質疑に際しまして、政府側の答弁に不一致の点がありましたが、古川水路の管理に関しまして、大蔵、農林、建設三省の見解を次のように統一をいたしました。  「古川水路の管理に関し、財産管理を所管する建設省と、土地改良事業を所管する農林省とは、協力して過去の管理の不備を是正するよう大阪府を指導するとともに、今後の都市水路としての管理に万全を期するよう併せて指導するものとする。」  以上でございますが、今後とも関係各省間で十分な連絡を保ちつつ行政に当たってまいりたいと存じます。御了承を賜ります。
  86. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大臣、ほかの担当委員会にお出になっておりますので、一応統一見解だけで結構でございますので、御退席いただきまして、あと、それじゃ建設省から局長及び課長がお見えになっていると思いますから……。  統一見解として、いま大臣から御答弁いただきましたように、大阪府を指導して、都市水路として管理に万全を期するというふうに言っていただいたのですが、その途中で、とりあえず溢水対策、浸水対策ということで大阪府が約五千万円をかけて調査をいたしました。調査をいたしますと、今度はただ単に浸水対策だけじゃなしに、土地の所有権の問題がいろいろ問題になりました。調査時点で不法占拠が十数件ある、あるいはまた直接水路だけじゃなしに、堤防敷であるとか改修したときに残った残地であるとか、相当大きな坪数のものがある。そういう不法占拠されたり、また、いまだにされつつあるというような土地がたくさんあることについて、いまの統一見解によれば、当然大阪府がこれを管理すべきだろうということで、大阪府にただしてみました。  ところが、大阪府は直接の連絡も何も受けておりません。ただ、法律上は、そういう行政財産として建設省の所管になり、そしてそれを管理するのが大阪府かもわかりませんけれども、具体的な何もなしに——現にまた農林部がごく一部であっても、まだ使っておることも事実でありますし、今後もまだ継続して農林部としての用水としての仕事も残っておることも事実でありますし、依然として維持管理についての責任の所在というものははっきりしませんし、そしてまた、土地の所有権などについては大阪府としての責任のとりようがないのですというふうな返事なんです。  そうすると、統一見解は示されたものの、事実上管理が進んでいかないで、相当な国有地が、民間の建て売り業者であるとか地域の住民にとられていく、滅失していくということが日々のこととして進んでおります。私は、私の周辺でよく知っているから、この古川の例を申し上げたのですが、この古川と同じような状況のところが大阪府で約二万ほどあります。狭い水路で一メートル、二メートル、広いところでは五十メートルの水路、またそれに付随した堤防敷であるとか、里道であるとか、そういったものを含めれば相当なものになると思います。  ですから、これはどこが中心になって、この財産権を管理するのが妥当なのか、大蔵省は当然行政財産であろうと普通財産であろうと、これを統轄するということになっておるわけですが、ひとつ大蔵省としての考え方をお聞かせいただきたい。
  87. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 役所の中の分担は、御承知のように一応設置法で建設省になっておりまして、あと関係省庁、大蔵省国有財産系統の部局と、それから建設省が絡んでまいるわけでございます。私の方は主計局で、そういう直接の所掌ではないわけでございますが、あと公共団体が絡みますので、当然ながら自治省が絡んでまいります。関係省庁といたしましては、ただいまも申し上げましたような建設省と、国有財産を管理しております理財局と、それから自治省、この三省、それからただいまのようなケースの場合には、当該事業をやっております農林省、あるいは運輸省の場合も出てくる、そういうふうな役所が関連しております。
  88. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ただ関連しているだけじゃなしに、総括的には、やはり大蔵省が全部、行政財産であろうと普通財産であろうと統轄しておられるわけですから、いろいろの協議をなさって進めていかれるわけでしょう。
  89. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えします。  先ほどの先生の御質問についてでございますが、古川は普通河川でございますが、その改修関係につきましては、現在農林省に予算計上されており、農林省関係の事業として改修事業はまだ行われており、恐らく今年度も行われるのじゃないかと伺っております。しかし抜本的には、都市河川として改修を行うことが恐らく望ましいのではないかということで、大阪府とも協議いたしまして、御要望があれば一級河川として取り上げて、そういう意味での河川管理を行いたいというふうに考えております。  なお財産的管理につきまして、いま先生からお話がございましたが、私、実は大阪府の土木部とも十分話しておりまして、その財産的管理につきましては、大阪府の土木部が責任を持って行うというふうになっております。  以上でございます。
  90. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま建設省からお答えがあったのですが、用途としての機能的な面は、確かに農林省と建設省で話がついたのです。ところが、実際の財産管理については、大阪府でどれだけの権限があるのでしょうか。たとえば不法占拠十数件ある。これの立ち退きがやれる権限があるのでしょうか。
  91. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えします。  いろいろ方法はございますが、財産的管理面からでも、民事上の問題としまして、その立ち退きあるいは排除する権限があると考えております。
  92. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは、府県の委任事務として、建設省あるいはまた大蔵省になるのかわかりませんが、そういうことはきちっとできているわけでしょうか。
  93. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えします。  大阪府知事は、建設省所管の国有財産の部局長ということになっておりまして、そのことは大阪府の方も十分承知しておりますので、そういうことで、国有財産を管理する部局の長としての資格を十分持っておるということでございます。
  94. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 資格を持っておるけれども国有財産法の九条三項でいけば、地方公共団体、その吏員に取り扱わせることができるということであって、そして施行令によれば「各省各庁の長は、法第九条第三項の規定により国有財産に関する事務を地方公共団体若しくはその吏員に取り扱わせようとするときは、事由を附し、取り扱わせる事務の範囲及び取り扱わせる者について大蔵大臣に協議しなければならない。」こうなっておるのですが、大蔵省と建設省がそういう点をちゃんと協議をなさって、大阪府に取り扱わせるようになっているのでしょうか。
  95. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 ただいまお述べになりました国有財産法九条三項、それから同法施行令の六条二項に基づきまして、建設省の方で建設省所管国有財産取扱規則というのが定められております。その規則の制定に関しては、大蔵省として協議を受けておるわけでございます。
  96. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 協議を受けて、事由を付して、きちっと手続をして、大阪府に管理を委任されたのかどうか。
  97. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 具体的にどういうふうにやっておりますか、実は私河川局で、官房の会計課の方でやっておりますのでよく存じませんが、現に大阪府の方では、管理をする立場にあることを理解しております。
  98. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 当然大蔵省と協議をなさって、そしてきちっとした理由を付して受けておるものなら、いままで十数年も放置されるはずがないのですよ。十五、六年にわたって結局無管理状態できておったから、不法占拠や河川敷の滅失、わずかじゃないのですよ、何万坪という国有地があるのですよ。  大阪府に尋ねてみると、いわゆる維持管理を委任されたものであれば、何らかの予算措置が講じられておるか、あるいは人員を配置されるか、そういう管理に伴ういろいろな措置があるはずなんですが、それが全くないわけですね。それも最初に申し上げたとおり、従来から官民あるいは官公それぞれの区分が明らかであって、人もふえないし、所在がはっきりしておるところは、そういう問題が起こらなかったのですが、ここ十四、五年の間に急速にふえたところは、かつてなかったような事態が発生しておるのです。ですから、海浜であるとか、農村地区の人口がむしろ減っていっているような地域では、こういう問題は起こりませんけれども、これは大阪だけじゃなしに、大阪、東京、名古屋、そういった大都市周辺は至るところ、そういうことが行われているのです。だからといって、そこにどの程度まで維持管理に対する予算をつけていいのかわかりませんが、それがない以上、しかも事務的な手続も何もないまま、法律では、国有財産は、その府県が管理するのが当然だということであって、しかもその間に農林省も、建設省も、大阪府も、大蔵省も、きちっとした取り決めも何もないままにきておるのですから、事実上無管理になっておる。そして、その無管理になっておることが土地の不法占拠を許し、自由に土地を取り得になっておるという状態を進めておるのですが、このままでいけば、自由に国有地を使ってくださいということになるのですよ。  世の中は新しく変わってきたのならきたように、国有財産の管理について、いわゆる青線、無番地と言われるところに関する管理、これをだれかがやらなければいけないのじゃないでしょうか。法律ではどう決まっておっても、いまのところ、事実上だれも管理する者がないことは事実なんです。具体的に地番も申し上げてもいいのでありますが、何千坪という土地が、いまとられつつあるのです。そしてなお都市化は周辺部、周辺部へ広がっていっております。  何度も言うようですが、約二万坪に及ぶような、農業用水路の周辺は全部そんな状態があるということなんです。これはこのまま放置していいものでしょうか。
  99. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えします。  先ほど大臣の申し上げました統一見解も、まさにその趣旨でございまして、私どもと、あるいは農林省が協力いたしまして大阪府を指導し、また大阪府もそれに対する対策を立てるというふうに現に申しておりますので、そういう意味で大阪府を指導いたしまして、やっていきたいというふうに考えております。
  100. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 都合が悪くなると、すぐ大阪府にと言われるけれども、大阪府は管理費もらってないですよ。浸水対策の調査費用だけで五千万円かかるのです。官民の境界明示とかそういうものを一万メートル両側にわたってやると、何億という金が要るのです。正式な委託も受けておらなければ予算もつけられない。それで大阪府だ大阪府だと言われるけれども、事実上できないような仕組みになっておるのです。農林省も、建設省も、大蔵省も、地方の自治体に権限を任すと言われるけれども、口頭で幾ら任せると言われても、仕事ができるような仕組みになっていなければ、任された方は任され切れないですよ。どうしても国自体で管理ができなければ、その管理の助成費を出す、人を入れる、あるいはまた払い下げをする、どちらかしか方法がないわけなんですが、そのどちらも決断せられないと、なし崩しに国有地が荒らされていっておる現実というものは進んでいくのですよ。  建設省にばかり答弁させていらっしゃるけれども、行政財産も普通財産も、全部大蔵省が最終的には統括して管理なさるのでしょう。それについての方針というものは何もないわけですか。百坪や二百坪じゃなく、何万坪という土地が大都市周辺にはたくさんあるのです。何らかの方針というものを、お決めにならなければ、野放しの状態になっておるのが続いておって、それでいいわけなんですか。
  101. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 ただいま建設省の方から答弁がありましたように、現実に公共目的に使用されている間は、建設省の行政財産として建設省の管理下にあるわけであります。それで、われわれとしましては、その公共目的が廃止されまして、普通財産として大蔵省に引き継がれれば、もちろんそれを法律に照らしまして払い下げをするなり、それから当該財産を事実上管理してきた地方公共団体がそれまでに負担している額がありますならば、それを限度として無償譲与できるという規定もありますので、そういう道も講じていきたい、こう考えておるわけでございます。
  102. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると、地元で要望があれば、そういう土地は全部地元に払い下げてもいいということになるわけですか。
  103. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 ですから、その公共用途が廃止されまして、普通財産となりますれば、払い下げなり譲与の道があるということでございます。
  104. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 用途廃止をしないままで現状不法占拠を許されているようなところは、どういう取り扱いになるんですか。
  105. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 その点につきましては先ほど来答弁がありましたように、現実に公共用途に供されている間は行政財産でありますので、建設省の方で管理しておられるわけでございます。
  106. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 行政財産だから建設省だと言われる、建設省に答弁を求めると大阪府に任してある、予算も人も何もつけておらない、で、訴訟は民事でみずから大阪府がおやりなさい、これで解決がつくでしょうか。
  107. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えします。  大阪府としては、公共用財産である、建設省所管の行政財産であるその土地について、河川が土地改良事業で改修されておりますので、その結果、普通河川でない、行政財産でないというふうに思われましたところは、用途廃止することが部局長としての資格においてできるわけでございまして、その用途廃止されました分については普通財産となりますので、大蔵省に引き継ぎ、そして、しかも大阪府はこの河川について相当の費用負担をしておりますところから、大蔵省からその土地の譲与を受け得るわけでございます。その受けて大阪府の土地となりましたものについて、不法占用者であるとか、あるいはその土地に隣接する者といろいろ話し合いをして、たとえば、それに払い下げるというようなことも可能であろうかと思います。
  108. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ただ、私は一つの例として古川の沿岸を申し上げたんですが、こういうところ、至るところにあるのは、じゃ全部府県なり市なりに払い下げたり、あるいは公共用を廃止したりしていくわけですか。一つの例だけ申し上げたから、いま大阪府が独自にやればいいとおっしゃるけれども、至るところ、あるんですよ。全部そういうふうになってきたらどうするんですか。さっき例を申し上げたでしょう。約二万ほどこういう水路があるんですよ。そしてその周辺に里道があり、堤防があるんですよ。そういうところは全部同じ扱いになるんですか。  そうすると、そういう測量をするだけでも莫大な費用が要りますよ。官民の境界明示だけでも、費用と日時と手間と要るのですよ。それ自体もできないじゃないですか、そんなことでは。
  109. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 そのような公共物を用途廃止しまして処分する際の、それにつきます所要の経費については、建設省の予算に若干計上されていると聞いております。
  110. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 建設省の方でそれだけの予算はあるのですか。
  111. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 河川局長、答えなさい。
  112. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  数字ははっきり存じておりませんけれども、わずか建設省が持っております。
  113. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 わずかではわかりませんが、本当に大阪府に聞いても現状では微々たるものです。ですから、いま言われるような手続をするにも、予算措置もどこにもない。結局、大阪府だ大阪府だと言われるけれども、大阪府も事実上何もできないという現状があるということをひとつ認識していただきたいのですよ。  これ以上言っても、堂々めぐりかもわかりませんけれども、ひとつ委員会の別の機会でも結構ですから、一応実情を調べてもいただきたいし、そして調べた結果を御報告していただいて——結局、農林省は建設省と言い、建設省は大蔵省と言い、また大蔵省は建設省と言い、大阪府だ、自治体だと言われる、そういう堂々めぐりが続いているのです。そういう現状が続いているのです。ですから、何らかの方針を示さなければ解決の糸口はつかめないと思いますので、その間にも貴重な国有地が滅失していくんだということをひとつ十分肝に銘じておいていただきたいと思います。  後ほどまた調査をしていただくなり、あるいはまた三者間で協議をなさっていただくなりして、報告をいただきたいと思います。  きょうは、これで終わります。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 大蔵大臣に申し上げるのですが、いまの馬場委員の質問は、堂々めぐりであることははっきりしているのですが、最後に締めくくりましたように、大蔵省の責任において、ぴしっとこうしますという回答のできるように、ひとつしてもらいたいと思うのですが……。
  115. 坊秀男

    坊国務大臣 いま御指摘のように、単に古川というところでなくて、たくさんおありになるということも大事な問題であろうと思います。これは、やはり現在のところの管理体制は、お聞きのように建設省にある。だから建設省とよく相談をしまして実態を——とにかく私は不敏にして、実はまだ実態がわからない。よく調べさして、そしてこれに対してどういう——いまの管理体制でいけば、いま申し上げたようなとおりでございますが、それだけで足りるかどうかということは、また別の問題で、ひとつよく実態を調べたいと思います。
  116. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  117. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北山愛郎君。
  118. 北山愛郎

    北山委員 まず最初に、政府が五十二年度予算成立すると、途端に不況対策というか景気浮揚策をとって、公共事業の繰り上げ、あるいはまた公定歩合の引き下げということを、予算成立すると、すぐにやったということに、私は非常に皮肉を感ずるわけです。  ということは、これは予算審議中はやむを得ないから、当初の政府経済見通し、国内経済は順調に推移して、安定的な拡大過程をたどるのだなんということは、やはり予算の審議中には言えないから、腹の中では鉱工業生産は伸びないし、設備投資伸びないし、倒産はふえるし、悪材料ばかり重なっているから、待ち構えたように、予算成立した途端に不況対策をとったのではないか、私はそう思うのです。それが真実だと思うのです。この分だと、いろいろな経済見通しも変えなければならぬし、あるいはまた、近いうちに大蔵大臣が補正予算を組まなければならぬと言い出すかもしれません。  いずれにしても、それは皮肉でございますけれども、この不況対策について感ずることは、依然として政府景気対策なるものは、企業、特に大企業を対象とする景気対策にしかすぎない。やはり公共投資をふやすとか、あるいは繰り上げるとか、あるいは公定歩合を下げるとか、それによって得をするのは大企業ですから、大企業を対象とした不況対策なんで、これは高度成長期の過去における景気浮揚策のパターンである。いまのこの経済情勢、いわゆる構造的な変化があるところの現在の経済不況には、余り効果はないのだ、私は、そのように考えております。  そういう前提から、若干具体的なことをお尋ねするのですけれども、まず第一に、一%公定歩合を下げるということによってだれが得をするのか、幾ら得をするのか、だれが損をするのか、この計算をひとつ示していただきたいと思うのです。  もちろんこれは予測でございますけれども、すでに、ある新聞相当詳しく、ある銀行の計算を載せております。それによりますと、企業の側では、長、短期債務が百三十六兆円ある。これに対する金利軽減分のプラスは一兆五百億円である。しかし企業の方も預金を持っていますから、それのマイナスが二千二百億で、プラス・マイナスでもって八千三百億、企業の方は得をするのだ、しかし個人の方の定期預金が去年の暮れでもって約五十七兆円ある。これの預金金利も今度連動して下げられるということになれば五千七百億のマイナスになる。そのかわり郵便貯金三十兆円ある、これもいずれは預金利子が下げられるだろうが、そのうち定期は八〇%であるから、マイナス郵便貯金の方では二千七百億である。したがって個人のマイナス分が、両方足しますと、ざっと八千四百億ということになる。いずれにしても、今度の金利の引き下げによって潤うのは大企業企業側であり、損するのは個人である、個人の預金者である、こういうふうな解説が新聞に載っているわけです。  大蔵省としては、どのように見ておられるのか、数字を挙げて御説明を願いたいのであります。
  119. 坊秀男

    坊国務大臣 最初に、五十二年度予算が通った途端に景気対策に一歩も二歩も踏み出した、これは皮肉だ、こういうふうにおっしゃられますが、政府といたしましては、景気はできるだけ早く着実な回復に持っていきたい、こういうふうに考えておりました。  そこで、五十二年度予算についての公共事業というものを繰り上げてやるということと、それから、日銀が公定歩合を引き下げた、二重の方法によってぜひとも景気を上げたい、こういうようなつもりでもってやった。日銀も恐らくそういうことであろうと私は承知いたしておりますが、それにつきまして、日銀の公定歩合の引き下げの所期の効果をさらに上げていくためには、これは預金金利を下げようとしておるところでございます。  これが御意見によりますれば、企業だけが得をして、一般個人だとかいうものが一向得にならぬ、こういうような御指摘でございますけれども、私はどうもそうではない、今度の一連のいき方、ことに金利引き下げという行き方は、やはりいまの景気の着実な回復を目指してやっておることでございまして、これはどうしても、その効果が上がらなければならないことであり、かつまた上がりますれば、景気回復の途上に上がってくるということになって、景気が上がってくれば、これは雇用の点におきましても、所得の点におきましても、向上していくということになれば、その限りにおいて生活水準が上がってくる。一にそれを目指してやっておる景気回復を図るためのことでございますので、それによって企業が得をして、個人が損をするというふうには考えたくないのでございます。  いま数字を挙げられて、いろいろのお話がございましたが、その数字等につきましては、事務当局からお答えをさせます。
  120. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 大筋の考え方はいま大臣から御答弁がございましたが、いまの数字の点でございます。  新聞等にいろいろな数字が出ていることは私も承知をいたしておりますが、この数字計算は非常にある前提を置きました計算だと存じます。多少その内容といいますか、私どもの意見を言わせていただきますと、たとえばマネーフローのベースで出てまいります数字でございますが、これはもう申し上げるまでもなく、個人部門が資金余剰になりまして、法人部門が資金不足になっているということでございますから、個人部門の資金がそちらに流れている、こういうことだと思います。  その数字は、個人部門の預金の残高が、いま御指摘数字とちょっと違いますけれども、大体百兆でございまして、それからこれは個人、企業と、そうでないものとが分けられませんのですけれども、借入金が四十兆ばかりございますから、差し引き六十兆ぐらいのものが個人部門の資金が余剰になっている。それから、今度は企業部門の方が、ちょうどその逆でございまして、借入金が百二十兆ばかりでございまして、そのほかに預金の方が五十兆から六十兆ぐらいある。そういうものを差し引き、やはり六、七十兆借りておる、こういうかっこうになろうと思います。  それにかかわります金利の負担あるいは受け取りの数字でございますけれども、申し上げるまでもなく、預金、借入金とも直ちに本日現在、従来の残高の利率が変更されるものではございませんで、その期日が来まして、書きかえとかあるいは新規のものから新しい利率が適用されるわけでございます。したがいまして、こういういま申し上げましたような数字、たとえば差し引き六十兆ぐらい個人部門から法人部門に流れておるというのに、たとえば一%の掛け算をいたしますれば、六千億という数字は出てまいりますけれども、しかし、それがどういう過程でどういうふうにあらわれてくるかということは、これはこれからの預金の増加額、貸し出しの増加額の推移あるいは金利の適用の仕方等々でございまして、そこも大変大胆に申し上げれば、定期預金の一番長いのが二年でございますから、二年すれば全部出てくる。貸し出しの方は約三割は非常に長期貸しでございますから、これはなかなかすぐ出てまいりませんが、七割の短期借りにつきましては、やはり三カ月から一年ぐらいの間には出てくる。  つまり、そういう期間の中で、いま先生指摘のような数字、これは多少数字が違ってくるかと思いますけれども、そのぐらいの数字の移転が行われる、こういうことになろうかと存じます。  なお、いま申し上げました数字には、大臣お話しのように、景気浮揚になりまして所得が増加をするというような要素は入っておりませんので、そういう非常に機械的な見方でございます。したがいまして、私ども厳密にこれを計算はいたしておりません。
  121. 北山愛郎

    北山委員 数字の面から言えば多少の食い違いがあるでしょうし、大ざっぱな数字であることは明らかなんです。けれども、少なくとも、いまのように個人の貯蓄の相当部分が企業に流れている、企業は借り越しである、個人の方は借りるよりも貯金の方が多いということは、はっきりしておるのですね。  そういう筋から言うと、いまのような状態の中で公定歩合金利を下げますと、長期、短期いろいろな変化があるでしょうけれども、大勢としては、やはりこれは企業に有利であり、しかも公定歩合の引き下げの影響を直ちに受けるような大企業の方が直接には利益を受ける。個人は金利がだんだん下がってきますから、マイナスになることは明らかじゃないですか。幾ら幾らというきちっとした数字は、だれがやったってできませんけれども、その大勢は、やはり新聞指摘するような傾向にあることは明らかじゃないですか。だれのためには得になり、だれのためには損になるかということになりますと、いま私が言ったようなかっこうで、しかも新聞指摘しているような影響、結果になることは認めざるを得ないのじゃないか。そこまで無理をして、する必要はないと思うのです。  それから景気がよくなったら、それは個人のためになる、これは言うまでもありません。ですが、利下げからくる直接の影響というのは、そういう影響なんで、しかも公共事業をふやせば、その結果はどうなるかというと、やはり四分の一ぐらいは用地補償とか土地所有者に回ってしまう。土地を持っておる連中は得をするでしょう。それから企業が、やはりその中からもうけをとりますから、したがって、実際に事業がふえることによって雇用が増大するとか、あるいは賃金部分に回るのはその一部にしかすぎない。そういう性格のものなんですね。ですから、必ずしもいまの情勢の中で公共投資がふえれば、それだけで景気がよくなって個人の所得もふえるなどということには、なれないのじゃないか。私が最初申し上げたのは、それなんです。  景気対策と言えば公共投資をふやすとか、金利を下げるというのは常套手段、従来のパターンですよ。いまのような状態で、設備が過剰だから、多少金利が下がっても企業が設備を増設するなんということは、まず当分考えられないですよ。それは、なぜかと言えば、個人の消費需要が伸びないからです。個人の消費需要が伸びないのは、物価が上がるのと、それから賃金が安いとか、そういう事情からくるのです。したがって、いまの景気対策というのは、やはり個人の所得をふやすことと、個人の消費需要をふやすこともあわせて考えていかなければならないのじゃないか、それなのに政府景気浮揚対策というのは、従来のパターンにしがみついている、こういうことを私は申し上げているのです。  いずれにしましても、私は、今度の公定歩合の引き下げによって、だれが得をし、だれが損をするかということは、やはり新聞で報ずるようなことが常識だ、そう考えます。  そこで、個人についても、いま問題になっている住宅ローンの金利の引き下げてあるとか、あるいは企業にしても、中小企業金利の引き下げとか、国民金融公庫金利の引き下げとか、そういうものが伴っていけば、多少いま申し上げたようなことが緩和されるわけですが、そういうことを今後どんどん進めていくという考えが大蔵省にあるかどうか、大臣からお考えをお聞きしたい。  要するに、住宅ローンをいままでの既契約の分まで含めて今後下げていく、それから国民金融公庫とか、あるいは中小企業金融公庫の金利も下げるような努力をするというようなそういうお考えがあるかないか、それをお聞きしたいのであります。
  122. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 ただいま先生指摘政府機関の公庫の金利につきましては、これは長期金利でございますので、最近の債券市場の動向あるいは長期金利全般につきましての検討をする機が熟してきているわけでございますから、その一環として検討されていくことに相なろうかと思います。ただ、時期的な点につきましては、実は公定歩合の引き下げが昨日行われまして、それが債券市場等にどういうふうに反映されてくるかということを見ながら検討を進めてまいるということで、引き下げの方向で検討を進めるということに相なろうかと思います。  御指摘の住宅ローンの金利でございますが、これも市中の住宅ローンの金利は、やはり長期金利の一環でございますので、長期の金利の検討の中での重要なる検討対象になる、こう承知をいたしております。  それから既往貸し出しの金利でございますが、この長期の金利につきましては、変動するようなやり方と、固定するようなやり方と両方いろいろ議論のあるところでございます。住宅ローンなどは十五年とか二十年とか、かなり長い方でございます。したがいまして、これをどうするかということにつきましては、今回の場合にはいろいろ議論ございますけれども、定期預金も下がることになりますし、また長期プライムレートも、これは下がる方向で検討されることに相なろうと思います。そういう幅などを見ながら、どういうふうにするかということをこれから検討してまいる。なかなかすでに契約がございますので、技術的な点等もございますけれども、きのうも大蔵委員会で総理の御答弁がございましたように、前向きの姿勢で関係者間で検討してまいりたい、こう考えております。
  123. 北山愛郎

    北山委員 そこで税収見積もりにつきましても、当初の大蔵省の五十二年度における税収見積もりというのは、やや楽観的というか、経済見通しが楽観的ですから、この税収見積もりもよけい見ているんですね。  この前もここで、この委員会でもって企画庁の人に聞いたわけですけれども、五十二年度の給与所得、雇用者所得ですね。それは一三・二%でしたか、二%以上の伸びであるということで、大蔵省の五十二年度税収見積もりの中の源泉所得税、給与所得の伸びも一三%程度、こういうふうに見ておるわけですね。しかし実際には、いまストライキまで組んでベースアップの闘いをやっているんですが、鉄鋼が八・五%とか、あるいは九%とか一向に二けたにはならないわけですね。  一体八%や九%のベースアップで、どうして五十二年度の給与所得が、この税収見積もりの基礎のこれが二%程度に上がるのかどうか、どういう計算で見積もりを立てておられるか、これをお伺いしたいのであります。
  124. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 税収見積もりの基礎は、ただいま北山委員がおっしゃいましたように、一三%強源泉所得税の対象になる雇用者の総収入がふえるだろうという前提になっておりますが、その内訳は、企画庁からお聞き取りいただきましたように、雇用が一・五%増で 一人当たりの賃金は一一・六%増ということにして見積もってございます。  御質問の御趣旨は、伝えられます春闘の妥結状況が、ベースとして九%そこそこではなかろうか、そうすると一一・六との間に差があるではないかという御趣旨だと思いますけれども一人当たりの賃金というのは、北山委員よく御承知のように、いわゆる総給与でございまして、定期の基準内賃金のほかに定期外給与、それから夏、暮れのボーナスすべてを含んだものを非常にマクロ的に見積もっているわけでございますので、私どもとしましては、春闘の妥結状況が伝えられるようなもので最後までいったとしましても、そのことによって直ちにその総給与の一一・六というのを下方修正しなければならないというふうには考えておりません。
  125. 北山愛郎

    北山委員 そうすると基本給の方は八・八%ないし九%でありましても、時間外給与とかそういうものが、その率より以上に去年に比べてふえるからというのですか。たとえばボーナスであるとか、あるいは時間外給与が、去年の額よりも平均額に比して率が上がるというわけですか。ふえると見ているんですか。
  126. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 個々の要素をとりまして、上げ率を計算して積み上げるというわけではございませんけれども、たとえば時間外手当で申しますと、昨年よりも時間数が若干ふえる、それに基準内賃金のベースがふえるということになれば、両方掛け合わさって、ふえてくるということになろうかと思います。まあもろもろのものを含めまして、総給与としては、依然として一一・六ぐらいの見通しのままで、あえて下方修正する必要はないんではないかと考えておるというふうに申し上げたわけでございます。
  127. 北山愛郎

    北山委員 時間の制限がございますから……。  給与所得だけじゃないんですね。今度の税収見積もりを見ますというと、申告所得につきましても去年よりもずっと、営業所得については、去年は一〇%の伸びをして、ことしは一五%の伸びにしている。農業については、去年の七%に対して、ことしは一〇%伸び率を見ている。その他の事業については、二%を一八%に、平均して、去年のこの申告所得の伸びが九%の伸びを見ておったのに、ことしは一%だというふうに、労働賃金だけじゃなしに、いろんな営業所得がどんどんふえるというふうに見ている。  それからもう一つは、法人所得なんですね。法人所得は、生産でいって一〇%の伸び。去年は八%の伸びでしたが、ことしは一〇%の伸び。物価においては、去年は五%と見ておったのが、ことしは六%。去年よりも、ことしは物価が上がると見ているんですね。それから生産も、去年の伸びよりはふえると見ているんですね。そうして合わせまして、法人所得は一七%の伸び計算している。  ところが、経済見通しの方を見ますと、鉱工業生産指数では、去年の伸びを一三・二%に見て、ことしは九・二%しか見ていない。生産は、むしろ去年の伸びに比べて、ことしは低く見ているんです。それから物価についても、去年は八・六%であるのに対して、ことしは七・七%しか見ていない。物価も去年より上昇率が低い。  そう見ておりながら法人所得の場合には、むしろ逆に生産も物価も去年よりも伸びるように見ているのはおかしい。矛盾じゃないですか、これは。
  128. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 申告所得税につきましては、時間の関係もございますので、ごく簡単に申し上げますと、先ほどの雇用者所得ほど、経済見通しからぴたっと出てくる数字はないわけでございますが、営業所得一五につきましては、経済見通し個人消費支出の伸びとか、鉱工業生産や卸売物価の相乗の伸びなどを見て一五にしておる。それから農業につきましては、五十一年度の冷害という特殊な事情を考えて、来年は一〇%ということにしておる。その他事業は、従来からの実績が前年比でかなり高い伸びを示しておりますので、一八と置いておるというような事情でございます。  それから法人税につきまして、これは経済見通し数字と対比していただきますと、まさしくおっしゃるような姿になっているわけでございますが、実は年度の法人税収になります基礎の期間が、経済見通しの基礎の期間と、かなりずれているわけでございます。私どもの方は、企画庁が経済見通しをつくられるものの中で、いわば四半期別の内訳のようなものを、ある程度お互いに相談して聞きまして、それによりまして、いわゆる期ずれを調整して税収ベースに置き直しますので、税収ベースに置き直して見ますと、五十一対五十二年度では、生産が一〇%、物価が六%というような計算になって出てまいるわけでございます。それは、ただいまの生産一〇%というのは、たとえば先ほど北山委員のおっしゃいました経済見通しベースの期間で言えば、一一三・二の期間と一〇九・二の期間が半々ぐらい入りまじっておる期間になるわけでございます。物価につきましても同様で、これは期ずれから出てくるものというふうに御理解いただきたいと思います。
  129. 北山愛郎

    北山委員 いずれにしても、五十二年度の税収見積もりにしても、経済見通しにしても、非常に楽観的だと思うのです。これだけ楽観ができるなら、今度の予算成立で、あわくって、あわてて金利を一ポイントも下げるとか、あるいは公共投資を上期のところに七〇%も集中するとか、そんなあわてる必要はないでしょう。あわてるわけなんですよ。企業の倒産はふえるし、鉱工業生産はマイナスにダウンしてくるし、設備投資は、経済見通しで一二・二%の伸びと見ておるのに、むしろ横ばいだというし、ですから、実態とまるで遊離しているのです。経済見通しも遊離しているし、したがって、それを基礎にした政府の税収見通しも、大蔵省見通しも、相当現実から離れているのではないか。法人所得が一七%伸びて、あるいは中小企業の営業も一五%所得が伸び、そして給与所得者も一三%も伸びるならば、大変結構ですけれども、現実がそれとは相反する傾向であるからこそ、あわくって景気浮揚策をとっているのじゃないですか。ですから、いずれは、これは時間の問題でしょうが、とにかく、ことしの政府見通しというのは非常に甘い、大蔵省見通しも甘いということを指摘しておきたいのであります。  それから次に、お伺いしたいことは、大蔵省は今度の三千億減税、野党一致してのいわゆる一兆円減税でしたけれども、三千億という減税の際には非常な抵抗を示しましたね。さすがは、やはり国の台所を守る金庫番であると言ってほめる人もありました。しかし、それだけシビアに国の財政を守っているのかというふうに思うとさにあらずで、案外、この決算委員会でいろいろやってみると、国のやっている仕事の中で、まるっきりでたらめに金を使っているのですよ。  それはいろいろな例が挙げられます。  一つは、私はいわゆる列島改造の後遺症だと言うのですが、地域開発、土地開発に対する金の出し方というのは、まるっきりでたらめですよ。むつ小川原の大規模開発、いつできるかわからぬようなあの開発に対して、第三セクターであるむつ小川原開発株式会社、こういうものが五百億の借金をして、土地を抱え込んで困っておる。それに北東公庫、北海道東北開発公庫が百七十九億も金を貸しておる。こんなものは不良貸しですよ。  あるいは、もうすでに各地に工業団地がつくられているのに、企業がさっぱり来ない。来ないのに地域振興整備公団が千五百億も政府資金の枠を取って、要りもしないような工業団地をあちこちにつくったりしている。そういうようなことも大きなむだですよ、この決算委員会でも指摘されましたけれども。  それから原子力船「むつ」のごとき、どこへ船を着けたらいいかわからぬようなものに二百億も金を出している。こういうことを挙げると、いっぱいあるのです。  ことに問題なのは、特殊法人なわけです。いわゆる三公社とか、あるいは公庫、それから二つの、輸出入銀行と開発銀行だけは、政府関係機関として処理されておるけれども、それ以外に予算決算も国会にも出さないような特殊法人がいっぱいあるわけです。百ぐらいあるでしょう。それ以外に、法律でわざわざ設置したものではないけれども、やはり政府の指導のもとでつくられている社団法人とか財団法人も、いわゆる認可法人といいますか、たくさんある。そしてそれが国の仕事の一部を下請してやっているのですね。そして、これに対して政府が金を出している。補助金を出し、出資をし、あるいは融資をしている。そういうものがたくさんある。そして、その内容に非常に問題のあるものが非常に多いわけであります。  そこで私は、基本的なことをお伺いしたいのですけれども、いま公団とか、あるいは事業団といわれるものは法律の規定で設置をされ、そして国の仕事の一部を担当する、公共の事務をやっている、またその資金も全額国の出資というものが相当あるわけです。どこを見ても、三公社とか、あるいは公庫とか、そういうものと本質的には変わらぬようなもの、その予算が一体なぜ国会の議決を経なくてもよろしいのか、したがって、決算も提出しなくてもよろしいのか、どこに一体基準があるのでしょうか。  大蔵大臣は、この点どう考えますか。たくさんの公団、事業団、こういうものが、予算は国会を経なくてもよろしいし、決算も承認を得なくてもよろしいというようなかっこうになって、しかも実質は同じようなものがたくさんある。どこに線を引いて、どういうわけで一体そういうものが予算を国会に出さなくてもいいのか、あるいは決算が国会の承認を経なくてもいいのか、本質的には、どこが違うのですか。
  130. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 技術的な御説明をちょっとさせていただきたいと思いますが、三つの点を申し上げたいと思います。  一つは、特殊法人の設立の問題でございますが、ある一定の事業が必要であるという判断で、これを政府で、行政機関で行うのか、あるいは特殊法人というような独得の形態の企業体で行わしめるのか、そういう判断が行われまして、その場合に、企業経営になじむというような事業の場合に特殊法人という形態をとるわけでございますが、その場合に、国会に法律をお出ししまして、そういうような特殊法人の事業計画なり予算につきましては、それぞれの主務大臣にお任せいただくという立法をとりまして、予算決算について国会の審議から外していただくという手続を第一段階でとるわけでございます。  二番目に申し上げることは、さはさりながら、非常に重要な仕事をやっておるというようなことで、財政法の二十八条の七号で、主要な法人についての財務諸表を国会にお出しするという手続をとっておりますが、この点につきましても、たしか四十五年だったと思いますが、北山委員からも御指摘がありまして、四十九年に、予算委員会理事会で、どういう範囲のものについて財務諸表を国会に出すのかというような基準を議論していただきまして、現在のところは、出資金が百億以上あるいは出資率が一〇〇%、例外もございますが、これを第一の原則にしております。第二には、財政投融資計画に乗ってくるもの、それから三番目には、その他のもので重要な法人であると認められるものというような基準を予算委員会理事会と御協議いたしまして、四十九年度からやり始めまして、五十二年度予算では、五十の法人についてお出ししておるわけでございます。  それから第三に、さらにそうではあるけれども財政投融資から資金の供給を受ける法人の数がふえる、金目も大きくなるというような、特殊法人という問題ではなくて、財政投融資から資金を受けているというような観点からの御議論が、かねて国会にあったわけでございますので、四十八年の際に、御承知のように財政投融資について、長期の資金についての運用計画を国会の審議に付するという法律をつくっていただきまして、現在特別会計の予算総則におきまして、そういうような計数を運用部と簡保、郵便年金、これについての資金の長期運用についての数字を国会に提出するというような手続をやらしていただいておるわけでございます。  そういうような、かねて先生からも御議論がございまして、十分御承知のことを、いまくどくどと申し上げたわけでございますが、大体そんなようなことで、そういう特殊法人の予算についての国会審議というような問題については、われわれといたしましては改善をいたしたつもりでございます。
  131. 北山愛郎

    北山委員 お話しになったのは技術的な問題だけなんですね。私の聞いているのは、公団、事業団と、公社とか、公庫、あるいは輸出入銀行とか、そういうものと本質的に差別をして、片一方は国会に予算を出さなくてもいい、あるいは決算の承認を受けなくてもいいようにする基準というものは何なんだ、そういう技術的なことじゃないのです。本質的なことなんです。  そこで、基本的に一体公団や事業団の財産というのは、国の財産なんですか、国の機関なんですか、どういう性格のものなんですか。ですから、たとえば公団、事業団の債権債務は国の債権債務ですか、国のものじゃないのですか、別個のものなんですか。
  132. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 法律的には国のものではございません。当該法律に基づいて設立されました、その法人のものでございます。
  133. 北山愛郎

    北山委員 しかし、国の行政機関が、各省なりが監督してやらせているでしょう。それが赤字を出したり、莫大な借金をしたり、つぶれてしまったり、そういうときには必ずしも国は、しりは負わなくてもいいのですね。どうなんですか。
  134. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 そういうような場合を避けるために、それぞれの特殊法人につきまして、いろいろな備えがしてあるわけでございます。御質問は、そういう備えが、さらにもうだめになってしまった場合、どうなるのかという御質問かと思いますが、そういう場合は、いままで一回もございませんけれども、もしあったとするならば、その場合に個々のケースに即して、その段階で検討するというようなことになろうかと思います。
  135. 北山愛郎

    北山委員 各省のコントロールだけではまずいから、住宅公団みたいな問題が出るのでしょう。せっかく一万二千戸も建てた住宅が使われない。それに投資した金というものは莫大なもので、大マイナスじゃないですか。コントロールが十分行われていない。あるいは石油開発公団もそうですね。そういうものがいろいろなことを金を使ってやっておるけれども、さっぱり効果が上がっておらぬ。それをチェックする機能というのは、やはり民主的な制度では国会に予算を出すとか、あるいは決算を国会に出して、業績の報告はもちろんのことですが、当然出して審査を受ける、それこそが民主的なチェック機能じゃないですか。なぜそういうことをしてはまずいのですか。  そしてまた、いままで一件もないと言われましたけれども、時間がないけれども、たとえば石油開発公団、これはもうすでに五十二年度末の見通しでは、石油の開発とか備蓄の投資というのは七千億ぐらいになるのですね、一つの公団で。借金、固定負債を四千五百八十二億、それ以外に債務保証を二千七百四十億もやる。これは、五十一年度末では債務保証が二千三百九十九億です。二千四百億も債務保証をやっているのです。原則としては、国は、あるいは地方自治体というのは、法人に対しては債務保証をしないことになっているのでしょう。そういう法律がある。これは例外だということなんだ。例外で、その金額は、予算もないし、何もないから、各省がただ監督するだけで、こんな二千七百四十億も債務保証をやって、それ以外に借金を四千五百億もやって、そしてやった仕事が、さっぱり効果が上がらなかったときにはどうします。赤字になる。そのしりは必ず国に来るのではないですか。だれが責任を負います。通産大臣が負いますか。総理大臣が負いますか。何もならないのですよ。  だから、事前のチェック機能として、議会政治のもとでは、できるだけ国会を通す。予算の審議をして、予算を議決をする。あるいはそれをやった決算の承認を受ける。これこそが民主的なチェック機能じゃないですか。何でこれをよけてたくさんの公団——公団だけでも十六もあるのですね。それから事業団というのが六十何ぼある。そしてこれは、いまの石油開発公団とか住宅公団は極端な例ですけれども、どれもこれも審査したら、いろいろな問題が出てくるに決まっている。こういう制度を直す気はありませんか。大蔵大臣は、どういう見解を持っていますか。  いま申し上げたような技術的なことだけでは済まないのですよ。問題は、基本的な問題なんだ。財政法二十八条の参考資料の中に入れましたとか、そんなのは参考資料ですよ。正式にこの決算を承認を受けるとか、あるいは予算の重要な部分を議決を受けるとか、そういうチェック機能というのは、一番大事なことなんです。それをやっておらぬから、いま申し上げたようないろいろな例が出るのです。どういう考えを持っていますか、大蔵大臣は。
  136. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 技術的な説明を先ほど申し上げたわけでございますが、一般的な問題といたしまして、そういう特殊法人の予算と国会の審議の関係は、多年にわたって国会で議論になりまして、先ほど申し上げましたように、昭和四十八年に運用部の資金と、それから簡保、年金の資金についての特別法をおつくりいただきまして、先ほど御説明いたしましように特別会計の総則において国会にお出ししておるわけでございます。  その形態をそういうようにとりましたのは、二重議決の問題、要するに産投特会から金が入っている、一般会計から入っている、そういうようなものは別途予算書において国会の審議に付されておるわけでございます。付されていない部分について、そこの中の非常に重要な資金は何であるか。これは運用部の金であり、簡保、年金の金であるというようなことで、そういう特別立法をおつくりいただきまして、国会に特別会計の総則のかっこうでお諮りをしておるわけでございます。  それから、特殊法人がなぜ国会の審議から外れておるかというお話でございますが、先ほど御説明をしたつもりでございますが、行政機関でやるよりは、むしろ法人格を与えた組織に仕事を任した方が能率が上がり、合理的に執行できるのではないかというふうに判断された場合に、法律をもって国会にお諮りをして、そういうような手続を決めていただいておるというようなところで、けじめがついておるというふうに考えております。
  137. 北山愛郎

    北山委員 けじめはついておらぬのですよ。いまお話しのことは、いわゆる財投資金の運用の問題ですね。財投計画は、やはり国会の中で論議をし、国会の意思決定をすべきじゃないかというサイドから来ているのであって、公団とか事業団をどういう形でコントロールするかということは別問題なんだ。こういう公団などは、何も財投だけの金を使っているわけじゃないですよ。政府が出資をしていますし、勝手に債務保証をやって、二千数百億も債務保証をやっている。  それならば、通産省に聞きますけれども、石油開発公団をつくって、どれだけ石油の自主開発ができましたか。
  138. 箕輪哲

    箕輪説明員 お答えいたします。  石油開発公団が発足いたしましてから、海外及び日本の周辺を含めまして投融資いたしました企業の数は、全部で三十八社でございます。これらの企業の活動の結果、どういう結果になっているかということでございますけれども、五十一年ベースで申し上げますが、海外で操業をしております石油開発企業が、わが国に持ち込みました原油の量と申しますのは、大体千二百万キロリットルでございます。これはわが国が輸入しております原油の輸入量から比べますと、全体の四・三%ぐらいのものでございますけれども、御存じのとおり、わが国は各種の地点から石油を確保してまいる必要があるわけでございますので、千二百万キロリットルというのは意味がある数字であるというふうに私どもは考えております。  それから三十八社の活動で千二百万キロリットルというのが、世界的に見て、どういうことかということを御参考までに申し上げておきたいと思いますけれども、自由世界でもって、石油探鉱をいたしまして、成功する率と申しますのは、大体百本掘って二本ないし三本当たるというのが通例でございまして、大体自由世界平均というのは、二・七%の成功率というのが定説のようでございます。開発公団がかみました対象プロジェクトにおきましては、これが大体六%ぐらいの数字になっておりまして、世界的に見ましても、成功率は高いということは言えるのではないかと思っております。  以上でございます。
  139. 北山愛郎

    北山委員 公団の出資をしたり融資をしたりする企業が、初めは六十幾つあって、それが整理をされて四十ぐらいになったと聞いております。その中で、いま問題になっているのは、雑誌等にも書かれておりますけれども、例のアブダビのいわゆるジャパン石油開発ですね。これに相当な金を石油公団が出しているんじゃないですか。その出資の六〇何%を公団が出している。ところが、これがいま赤字なんですね。この問題は、後で時間をもらって、通産省の際にやろうと思っているのですが、いろんな雑誌に書かれているのですよ。  要するに自主開発じゃないですね。アブダビの、すでにフランスとかイギリスが開発し、それからアブダビの国と一緒になって開発した航空会社ですね。航空会社の株を三〇%ですか引き取る。そういうことで参加をしたにすぎないのであって、しかもそれが国営化の部分が広がったために、三〇%のつもりが一二%になってしまって、初めにこの利権を買うために七億八千万ドルの金を出したんじゃないですか。それだけの効果が上がっておらぬのですよ。しかも、それにはいろいろなうわさが飛んでおる。一体七億八千万ドルの値打ちがあるのかどうか。西ドイツに売ろうと思って、交渉した際には二億ドルであったものが、日本の場合には、それを七億八千万ドルで買った。そんなに高く買った経過についても、いろいろうわさがある。  そこで、時間がないから、会計検査院にも聞きたいのですが、ジャパン石油開発の、いわゆる石油開発公団という特殊法人、言うならば公団の下の出資会社ですね。その出資会社として、会計検査院は、この検査をやったはずですが、その検査資料というものを出していただきたい。それから、それについての検査の経過、そういうものについても御説明願いたいのです。
  140. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  ジャパン石油につきましては、石油開発公団の検査の際に、公団で持っております諸資料に基づいて検査をしております。また昨年は、中東に職員を派遣いたしまして、現地について、その実情を調査してまいっております。
  141. 北山愛郎

    北山委員 その検査した資料を、この委員会に出していただきたいと思うのですが、委員長の取り計らいを願います。
  142. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 ただいま要求の資料は、後ほど理事会にかけて決定いたします。  出せるかどうか御返事を……。
  143. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 先生と御相談しまして、その資料その他どういう範囲のものであるかということをお聞きした上で提出いたしたいと思います。
  144. 北山愛郎

    北山委員 とにかく三千億減税じゃ大蔵省は非常に渋ったのですが、まるで石油開発公団なんか国会に予算を出さない、決算の審議も受けない、こういうものが七千億もの投融資をやっている。借金は莫大な借金をしょっている。しかも保証債務、国や地方団体なら例外的にはありますけれども、民間の法人に対しては保証はしないということになっている。そういう法律があるのですよ。それの例外として二千数百億も保証債務を負って、それがまずくいけば、そのマイナスのしりが、みんな結果は国に来るのですよ。そうじゃないですか。国会の予算も何も通っていませんから、国会は知らぬと言えばそれまでだ。一体そんなものでいいのですか。憲法を引っ張り出すまでもありませんけれども、憲法第八十五条には「國費を支出し、又は國が債務を負推するには、國會の議決に基くことを必要とする。」恐らく大蔵省は、石油公団法によって保証債務ができることになっているから、それはいいのだ、国会の議決を経たのだと言うんでしょう。しかし、何ぼでも保証債務をしょってもいいということにならないのですよ。  ですから、保証の限度なら限度、そういうものを国会で議決をする、議決をすれば、初めて国がそのしりも責任を負わなければならない。いまのようなやり方でやったら、国とは別な特殊法人だというから、借金しょってつぶれても、国は知らぬ顔をしていいという理屈になるのじゃないですか。どうですか。
  145. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 保証債務が、いまおっしゃいましたように、公団法の十九条に債務保証はできるという規定をいただいておるわけなんです。現在基金が百三十億ほど積んでありまして、二十倍ということで二千四、五百億の債務保証をしておるわけでございますが、執行状況を見ておりますと、御指摘のようなケースは一件もない。通産大臣の方で適切に監督をされているのではないかというふうに理解しております。  それから、もしもそういう保証債務が倒れた場合にどうなるかということでございますが、先ほども申し上げましたように、特殊法人でございますから、本来自己の責任においてやっておるわけでございまして、そういう場合に備えて、輸銀の方も百三十億ばかり積んでおるわけでございますが、一義的には、そういうような企業段階で対応策がとられる。そこから先一体どうなるのかという問題は、先ほど申し上げましたように、個々のケースについて対策を講ずるというようなことしか、仮定の問題でございますから、申し上げられないのじゃないかと思うわけでございます。
  146. 北山愛郎

    北山委員 仮定の問題だから申し上げられない、それだから困るのですよ。そういう場合があったときに、やはり国にしりを持ってこられるのじゃないか。そうさせないために、事前チェックというのがあるのであって、あなたがおっしゃったように、みんな公団がりっぱなことをしています、そんな御心配なくと言われないですよ、こういうことをやっていると。  いまの保証債務だって、なるほど基金を持っている——百二十億しか基金がないじゃないですか。そうしておいて二千数百億の保証債務をしょっているのじゃないですか。こういうこと自体がおかしいじゃないですか。通産大臣が監督をして、こういうことをやらしておる。こういうことだから、ほかにも住宅公団でも何でもあるとぼくは思うのですが、こういう公団や事業団のあり方を徹底的にこの委員会としては調査をし、そうして、どうしたらいいかということを制度的にも変えなければならぬ。  さらに、資料をいただいたならば、ジャパン石油開発の問題、それから、それに関連する石油開発公団の事業内容等については、また後でこの委員会でしたいと思います。  時間が迫りましたので、最後に一つだけ提案をしておきたいのですが、いわゆる地方の中小の私鉄とかバスとかがいま赤字で困っているんですね。いわゆる過疎になり、それからマイカーがふえるということで、住民の足を守るこれらの私鉄、バスというのは赤字で非常に苦しんでいる。ところが、これは住民の足を守るためには、どうしてもなくてはならない公共的な役割りをする機関なんですね。しかも料金としては認可料金で、御承知のとおり、勝手に値上げをするわけにもいかない。こういうふうな企業に対しては、財投などの政府資金を融資する、そういうふうな便宜を図るのが当然ではないかと思っているのです。  御承知のように環衛公庫法あるいは医療金融公庫法があって、お医者さんが病院をつくる、診療所をつくる、あるいは観光ホテルをつくるとか、そういうものについては、どんどん政府資金を貸してやる。それに劣らない、それ以上の公共性を持った私鉄やバス。大手の私鉄は開発銀行などの金融を受けておるようでありますし、一部は補助金ももらっているわけでありますけれども、しかし、こういうものにこそ、政府資金を融資すべきではないのか、私はそのように考えるものでありますが、特に社会党としては、数年前から議員立法として中小民営交通事業金融公庫法案というものを出している。これは本来は運輸省が出さなければならぬものですね。そして大蔵省と折衝してかち取らなければならないもの、それをわれわれは代行して議員立法で出しているわけですよ。これは常識的に言えば、環衛法だとか環衛のための資金だとか、あるいは医者の診療所とか、そういうものより一層の公共性を持ったものではないかというふうに考えるのです。  一体何で大蔵省は、こういう中小の民営の私鉄、バス等に対して政府資金を考えないのか、また、今後こういうことを再検討して考えてくれるかどうか、この点についての大蔵省の側の意見を聞きたいのであります。
  147. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 中小の私鉄、バスというものにつきましては、これは当然のことでございますが、民営の場合には独立採算でやっていただくということが原則だと思いますが、必要に応じまして、過疎の地域の問題とか、そういうふうな特殊な場合につきまして、中小私鉄については運輸省の予算で、五十二年の場合で申しますと十二億、地方バスの場合には、運輸省と自治省におきまして、五十二年度で九十八億というふうな金を一般会計で措置しております。政府関係機関の方におきましても開銀、北東、中小公庫、こういうふうな政府関係機関におきまして必要に応じまして融資が行われておりまして、五十一年度には大体二百億くらいのものが投入されるのではないだろうか。それから別途商中で、短期の金繰りで二千数百億ぐらいのものを使っております。  問題は、業種ごとに公庫をつくったらどうだという御指摘かと思いますが、環衛公庫の場合にも、かなり議論があったところでございますけれども、私どもといたしましては、金融というのは、できるだけ総合的に行われた方がいいのではないかというような考え方で、いまのところの二銀行十公庫ぐらいが限界ではないかという抑制的な考え方で臨んでおるわけでございます。御意見には沿いがたいと思いますが、金融というものは、できるだけ総合的なやり方で考えていった方がいいんじゃないか、その方が効率が高いのではないだろうかというように考えております。
  148. 北山愛郎

    北山委員 これは、地方のバスとか私鉄というのは、営利企業ではやっていけない、限界に来ているのですね。それは赤字路線を廃止してしまえば、住民は足をなくすわけですよ。マイカーのある人ばかりではありませんから、特に年をとった人や子供たち、通院とか通学とか通勤とか、そういう大事な足なわけですから、過疎地帯で採算が合わないからといって、どんどん線をやめていくわけにはいかない。そろばんが合わないからというようなことで若干の補助金は出ておりますけれども、しかし料金そのものもまた、これは認可料金ですからね。したがって、民営ではあるけれども、しかし、ある意味では住民の足を確保するための公共的な仕事を、言うならば担当してもらっておる、そういう企業なんです。ですから、必要性から言えば、環衛公庫、環衛関係の融資とかそういうものより、もっと緊急性があるのではないか。しかも、いまの経済事情は、それを非常に必要としているわけです。  ですから、多少の補助があることは私も承知しておりますけれども、しかし、それは単に過疎ばかりではないのですよ。マイカーによる問題とか交通渋滞、そういうものから来るバスの利用客が減っておるとかいろいろな事情で、大都市の周辺の場合でも経営は必ずしもうまくいっていない。そういうものに対して車を買う資金であるとかいろいろな資金に、政府資金を使わせるということは、公庫をつくるつくらないはまた別としても、そういう枠をとってやるということは当然のことじゃないでしょうか。石油開発公団よりは、少なくともずっと必要な金ですよ。どうでしょう、大蔵大臣、考えてみる気はありませんか。
  149. 坊秀男

    坊国務大臣 国鉄の赤字線というものを、もしも廃止していくということになりますれば、これは別途の立場から、その地域住民のためには何らか考えていかなければならない必要が起こってくるのじゃないかと思います。
  150. 北山愛郎

    北山委員 もちろん地域の住民も考えておるし、地域の自治体も考えておるのです。しかし運輸行政全体から考えてごらんなさい。そういうものを赤字路線だからと、どんどんやめてしまう。しかし地域の各市町村はほっておけないから、マイクロバスを買って子供たちを学校へ通学させるということをやっておるのですよ。しかし全体の運輸行政からするならば、決して能率のいい仕事じゃないのですよ。もっと統合して、そういうことをしなくても済むように、総合的な運輸行政をするのは運輸省の仕事だし、それを手伝うのが大蔵省の仕事ではないか、そういう角度から言っておるわけなんで、時間が参りましたから、これで終りますけれども、住民の足を守るという運動がずいぶん各地で行われておりますが、その実態を見て、もう一遍少し真剣に考えていただきたいということなんです。  以上で、終わります。
  151. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 春田重昭君。
  152. 春田重昭

    ○春田委員 私は最初に、昨日行われました公定歩合の再引き下げの問題につきまして、その背景を最初にお尋ねしたいわけでございますが、政府としては、三月十二日、六・五が六・〇、〇・五%引き下げたわけでございますけれども、昨日の十九日に、さらに一%下げたわけでございますが、今回の措置というのは、一応予想されたとはいえ、抜き打ちというか非常に電撃的な実施であったということが言われているわけでございます。  当初この公定歩合の引き下げの問題につきましては、日銀の政策委員会等で検討する。その日にちも定例会の二十二日の金曜日にやる予定であったと聞いておるのですが、十九日に結果的には行ったわけでございますけれども、どういう形でこういう抜き打ち的といいますか、予想外に早くなったかという背景を、まず大臣にお尋ねしたいと思うのです。
  153. 坊秀男

    坊国務大臣 いろいろのうわさがあったかのようでございますが、二十二日にやるべかりしものが、あわてて十九日にやったというような——私は、もちろんこれは日銀マターでございますから、詳しくは存じませんけれども、二十二日にやるべきものを十九日にやったというようなことではなかろうかと思います。  要するに、景気の着実なる回復ということは、何としてでも早ければ早いほどいいのでございますけれども、さればといいまして、金利などのことにつきまして、あんまりあわててやるということよりも、これが一番いい時期である、経済の問題金融の問題、諸般の角度からながめてみまして、これが一番いい時期であるというところをつかまえて、これをやるのが私は定石であろうと思います。いろいろなうわさというものは、それはそういった日にちの周辺には、幾日だろう幾日だろうといううわさがあると思いますけれども、やはりやった日が最も適切と日本銀行ではにらんだんだ、かように考えます。  なぜあの日にやったかということでございますが、これは、私は、いまの景気はどうも上昇の歩みが緩慢でございまして、何としてでも早く着実なる回復をしたいというようなことで、政府におきましては、五十二年度予算をぜひとも急いで成立させていただきたいというふうに努力を重ねてまいりましたが、これが幸いにして成立をした。そこで時を移さずに、御案内のとおりの上期において、これを前倒し七三%という公共投資をやるということを決めまして、いま具体的にいろいろな案をつくり中でございますが、それと相呼応いたしまして、公定歩合の引き下げ、これを日本銀行においてはやったというふうに私は承知いたしておりますが、いずれにいたしましても、財政金融の両方面から、着実なる景気回復をやりたい、こういう背景から、この措置がとられたというふうに思います。
  154. 春田重昭

    ○春田委員 大臣がおっしゃっているように、公定歩合とは、やっぱり機動的にやっていくべきだと私も思いますが、政府としては景気対策のかなめとして昨年の十一月、景気対策の七項目というのを挙げられたわけです。さらに、ことしに入りまして二月、三千億以上の補正予算を組まれました。新年度予算で新たにまた景気対策として四項目出されております。そういう矢継ぎ早といいますか、景気の低迷といいますか、稼働率が低下している、企業倒産件数がふえている、また設備投資意欲も欠けている、こういう面で今回の措置になったと思うのです。  そのように政府としては、昨年に続いて景気対策の諸施策を実施されているわけでございますが、結果的に、このように公定歩合を一%下げたいうことは、昨年から政府として努力しているという景気対策の効果が現実に出なかったから、こういう形になったのではなかろうか、このように私は思うわけでございますが、その辺本当に政府経済見通しに対する甘さがあったのではなかろうか、このように思うわけでございますけれども大臣としては、その辺の感触、どのようにお考えになっておりますか。
  155. 坊秀男

    坊国務大臣 五十二年度予算も、これは景気を上昇せしめるということが眼目になっておるのでございますが、去年からとられたいろいろな措置が、効果がなかったとか、あったとか、私は必ずしも断定しがたい。それは時の問題もございますし、いろんな経済の事情もございまして、どの措置がどういうふうな効果があったとか、この措置がこういう効果があったとかということでなくして、いままで政府によってとられたところの一連の、こういったような総合的な対策というものは、必ず私は効果を生んでくれるものであろうと期待し、かつそういうふうに私は信じております。
  156. 春田重昭

    ○春田委員 大臣としては期待されるのは当然だろうと思いますが、産業界、企業界では、そういう点では非常に危惧しているわけでございまして、ことしの経済成長六・七%も、このような対策をとったとしても非常に危ないのじゃないか、よくいって六%前後じゃないか、このような見方もされているわけですね。  そういう点で、さらに一層の政府努力を要望したいわけでございますが、今回の措置をやったとしても、先ほど言った経済成長六・七%は、やはりむずかしいのではないか、秋ごろにもう一度大型の補正予算を組む必要があるのではなかろうかということもうわさをされておりますが、その点、大臣としては、どういうようにお考えになっていますか。
  157. 坊秀男

    坊国務大臣 今度の、とりました一連の措置というものは、私は、日本の国の経済に自立活力というもの、これをつけるがためにやった。無論景気を浮揚していくことでございますけれども、自立の経済力をひとつつけていこうというようなことでやったのでございまして、上期にそれだけやったら、下期には息切れがするのではないかという御意見もありますけれども、さような息切れがしないように体力をつけていこう、こういうことでやったのでございまして、そのころになったら、補正予算をつくらなければならぬのじゃないかという御意見も私は耳にいたしておりますけれども、とにかく、いま五十二年度の本予算がやっと成立をさせていただいて、そしてこの予算運営について、いろいろなことを、財政の面はもちろんのこと、金融の面からも考えてもらっておるというときに、いまから、秋口になったら、ひとつ補正予算を組もうといったような、それはそのときの、秋口になったときの経済情勢といったようなものを踏んまえまして考えるべきことであって、今日ただいま私は、秋口に補正予算をつくらねばならぬとかつくろうとかいうような考えは毛頭持っておりません。
  158. 春田重昭

    ○春田委員 ただ、昨年がそういう事例があるだけに、やはり心配されているわけでございまして、昨年の公共事業の発注も前期において六五%でございましたけれども、結果的には、やはり後半に息切れしたわけでございますから、今年度は、当初七〇%をさらに三%上積みで七三%集中して発注していく、こういう形で総理も意気込んでいるわけでございますが、そういう前例があるだけに心配されているわけでございまして、そういうおそれがないように、ひとつ努力していただきたいと思うのです。  時間がありませんので、さらに進んでまいりますが、公定歩合の引き下げの問題とともに、それに関連する預貯金の問題と貸出金利の問題があるわけでございますが、この辺のところを大蔵省としては、どのようにお考えになっていますか、お答え願いたいと思います。
  159. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 貸出金利につきましては、一昨日、公定歩合の引き下げをいたしまして、同時に、金融当局から各金融機関に、公定歩合引き下げの趣旨に沿って貸出金利の引き下げに努力するようにという要請をいたしまして、早速昨日、会長銀行を初めといたしまして、プライムレートあるいは並み手の金利を同幅引き下げるということを発表されております。これに従いまして、この適用で金利を下げていくという努力をしてまいるし、私どももその要請をしてまいりたいと思っております。  それから、預金につきましては、一昨日、公定歩合の引き下げの日に、大蔵大臣から定期預金を含めて預貯金の引き下げを図る必要があるので改定すべしという発議、並びにこれにあわせまして、福祉年金受給者等に対する配慮を必要とするところから、そういう人の預金につきましては、期間、金額を限りまして、これは引き下げないこととするという措置をとるように、この二点を中心とした発議をされまして、今後金利調整審議会等で検討を願うことに相なっております。
  160. 春田重昭

    ○春田委員 その日銀の金利調整審議会ですか、時期的には大体いつごろ結論が出そうなんですか。
  161. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 私も委員の一人でございますが、来る二十六日に開催するという通知をいただいております。
  162. 春田重昭

    ○春田委員 その二十六日で結論が出ると考えていいわけですか。
  163. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 事柄の性質上、断定的に申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、私の見込みでは、二十六日に結論が出ると存じます。
  164. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、郵政省の貯金の問題があるわけでございますが、貯金の金利の引き下げの件につきましては、郵政省と話し合いはされておるわけですか。
  165. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 私どもは、郵便貯金の金利につきましても、金利体系の一環といたしまして同様の措置をとられる必要があるというふうに考えておりまして、そういう考え方は郵政当局に申し上げております。しかしながら、この問題は申し上げるまでもなく、郵政当局が郵政審議会等に御相談の上で御決定になることでございます。そこは郵政当局におかれまして、妥当なる措置をおとりになるものと思っております。具体的なことは申し上げているわけではございません。
  166. 春田重昭

    ○春田委員 次に、財政収支試算表によると、税収の伸び昭和五十三年に二十三兆九千四百億円、さらに五十四年に二十九兆一千九百億円、五十五年に三十五兆五千八百億円と、非常に大幅な伸びを見ているわけでございますが、現在の税体制で、これだけの自然増収というものが見込めるとは私は思いませんし、当然これだけの税の伸びには、税体制を改正して、直接税なり間接税の大幅伸びを見込まれていると思うわけでございます。今年度の名目経済成長率でも一三・七%見ております。ところが、五十二年度の税収の対前年度伸び率が、試算表を見たら一六・四二%になっているわけですね。このことから考えてみても、昭和五十三年から五十五年の経済成長率は平均一三%に見ていますので、したがって、税収の伸びが平均二〇・九%ですか、二〇・九%を確保するには、自然増収だけではだめだということは当然考えられるわけでございます。  大蔵委員会等で、いろいろな角度から論議をされたと聞いておりますが、五十三年度以降の税というものは、どういう形で大臣としてはお考えになっているのか、その辺のところをお尋ねしたいと思います。
  167. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 ただいま御質問の中にございました中期財政収支試算というのは、実は昨年度も、昨年二月に予算委員会にお出ししたわけでございまして、昨年度予算委員会にお出しいたしましたものを基礎にいたしまして、昨年の六月に税制調査会にお願いをいたしまして、まことにむずかしい仕事であり、ある意味では皆様方に必ずしも喜ばれない仕事であるけれども、まさしくおっしゃったように、いまの税制のままでは、五十五年度までに社会資本をふやし、振替支出の水準も引き上げ、なおかつ特例債依存から脱却するということは、とてもできない、ある時期に何らかの負担の増加をお願いせざるを得ないのではないか、そういう意味で、いわば増税調査会としての審議を始めていただきたいというお願いをいたしまして、昨年の十二月まで精力的に審議をしていただきましたけれども、十二月に入りましては、五十二年度の具体的な改正の審議の方に移っていただきましたので、現在は中断されております。  いまのところ、まだ具体的に、どの税目でどのような負担の増加をお願いするかというところまで審議が進んでおりませんけれども、できますれば、ことしの秋ごろには何らかの方向を打ち出していただきたいというお願いをしているのが、いまの段階でございます。
  168. 春田重昭

    ○春田委員 この問題は、また別の機会に私たちの党の委員が大蔵委員会等で質問していくと思います。  さらに、減税の問題でございますが、ちょうど決算委員会の中断のとき、その財源という問題が大蔵委員会中心になって論議がされたと聞いておりますけれども、この三千億円の財源は、どういう形で措置なされようとしているのか、この点お尋ねしたいと思います。
  169. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 ただいま資料をちょっと配らさしていただきますが、先刻大蔵委員会政府提案いたしまして、大臣から提案理由説明をしていただきまして、政府案どおり委員会で認めていただきました。提案理由を御参考にちょっとお配りします。  三行目からでございますが、三月の九日の六党合意によりまして、政府において対処することとされておったわけでございますが、その後政府におきまして検討いたしました結果、特別減税実施のための特別措置といたしまして、「昭和五十一年度の特例公債の本年三月末現在における発行残額」これが約三千五百億ございます。「のうち、特別減税の財源を確保するのに必要な金額を限り」ここのところは、目下確たる数字はわかりませんけれども、大体二千億弱というふうに想定されますが、「を限り本年五月三十一日」出納整理期間中でございますが、「までに発行するとともに、昭和五十一年度の租税収入の予算額を上回る増加、」これは主税局の方のお話によりますと、千億強というふうに聞いておりますが、それから「歳出の不用及びこの公債発行に係る収入等」この歳出の不用と収入等の「等」のところは税外収入の意味でございますが、約三千ないし三千五百億ぐらいございますが、こういうようなものによりまして「昭和五十一年度に新たに発生する剰余金」これが約三千億かと思いますが、「を特別減税の財源に充てることとし、このため必要な立法措置を講ずることとした」わけでございます。  それで、法案の中身でございますが、一条、二条の、二条から構成されておりますが、財政法六条の第一項に、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌翌年度までに公債又は借入金の償還財源に充てなければならないこととされておるわけでございますが、五十一年度発生新規剰余金につきましては、この規定は適用しないというふうにお決めをいただく。  それから二番目には、昭和五十一年度の特例公債につきましては、五十一年の特例公債法の方で五十一年歳出の財源に充てるためというふうに書いてございますが、今回お願いするのは、歳出の財源に充てるためではなくて、特別減税の財源を確保するのに必要なために発行するわけでございますので、目的を追加していただくわけでございます。そのために限り、出納整理期間末までに、これを発行することができるということで道をあけていただくわけでございます。この公債金の歳入は当然のことでございますが五十一年度の歳入になる。  大ざっぱに数字を入れながら提案理由に基づきまして御説明しますと、概要そんなことでございます。
  170. 春田重昭

    ○春田委員 大体わかりましたが、具体的ないわゆる剰余金として幾ら、特例公債として幾ら、こういう数字はまだ出てないのですか。
  171. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 具体的な数字は、御承知のように七月三十一日主計簿を締めくくる。したがって具体的な数字としては、七月三十一日、概数であれば、五月下旬にならないとわかりませんが、ただいまの御質問のところは、公債金を出しましても、全部剰余金になるわけでございます。公債金の分も、それから税外の分あるいは税収の増の分、予算額を上回った分、こういうのは全部剰余金というかっこうで五十一年度発生剰余金になります。そして、それを五十二年度の歳入で受けるわけでございます。数字は御指摘のようにまだ確定いたしておりません。
  172. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、この剰余金は、全額そこの赤字国債の管理基金の中に入れてしまうということですか。
  173. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 国債整理基金に入れないわけでございます。剰余金は財政法で二分の一を下らない金額を入れろと書いてございまして、坊大臣が国会で満額国債整理基金に入れるという御発言がございましたが、今回この立法措置によりまして、満額は法律規定でございませんけれども、二分の一を下らない金額を入れるというのもやめる、こういうことでございます。
  174. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても、剰余金は別として、特例公債で財源を賄うということは、私たちの党は一貫して反対してきておりますが、私たちの財源措置としては、不公平税制をまず改正して、その財源に充てるべきである、こういう形で今後詰めていきたいと思っております。  さらに銀行店舗の問題についてお尋ねいたしますが、大蔵省は最近銀行店舗の新設に関する許可についての通達を出されたわけでございますが、その内容を簡単に御説明願いたいと思います。
  175. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 銀行の店舗につきましては、大体二年度ごとぐらいにその考え方を示す通達を出しておりますが、先ごろ四月六日に出しました通達は、これは各財務局長あての通達でございますが、従来の取り扱いとほとんど変わっておりません。したがいまして、従来からの考え方から申し上げますと、私ども店舗を認可するに当たりましては、過当競争を防止をいたしたい、つまりむだな経費を使わないようにするという観点が一つと、それから預金者、取引先の利便を重視をして、その利便上必要なところに店舗を設けるようにしたい、こう考えております。したがいまして、具体的に今回の取り扱いの内容をさらに申し上げますれば、銀行が店舗を新設するにつきましては、付近に金融機関の店舗のないところ、あるいはきわめて少ないところというようなところに限定をいたしたい。ただ、最近団地ができますとか、これは住宅団地に限りませず企業団地等々、あるいは非常に高層なビルができて一つ経済的な区画をなす、こういうようなところにつきましては、小さな店が出ることも、これは別途弾力的に認めることにいたしたい、これが一つでございます。  それから銀行の店が引っ越しをいたします。私ども配置転換と呼んでおりますが、配置転換につきましては、やはり非常に過密のところから、店のないようなところへ引っ越しをしていくということを奨励をいたしております。しかし、これは銀行の店舗配置は、やはり経営者が経営の効率化を図るために配置を考えなければならない要素も大変多うございますので、その既存の店舗の地元で利用者に不便をかけないということが、はっきりいたしますものにつきましては、経営者の判断によりまして、引っ越しすることも弾力的に認めてまいりたい。それにしても、過密なところへ出ていくということは御遠慮願おう、こういう考え方でいたしております。  したがいまして、若干従来よりも、利用者利便のための店舗の設置数がふえるかと思いますけれども考え方は、従来とほとんど変わりはございません。
  176. 春田重昭

    ○春田委員 店舗の新設が五十年度、五十一年度では、二年間で二店舗でございましたのが、今回三店舗になったわけですね。そこで金融機関が全然ないところ——全然と書いてありませんが、ないところは二店舗、人口急増や企業が著しく増加している地域においては一店舗という形になっておりますが、五十年度、五十一年度のときは、一つのイに当たる項目、これは一応距離的には五百メートル離れて新設を認めるということになっておりました。今回の場合は、距離的なそういう範囲の規定はありませんけれども金融機関店舗がなくということは、全然ないということですか。これはどのように判断していいのですか。
  177. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 いま先生指摘の点につきましては、ないというのが、どの範囲にないかということでございますけれども、これは従来と同じように、ある地点から五百メートルの半径で描きまして、その中に金融機関の店舗がない場合、したがいましてその地区にいる人が不便を感ずるような場合、こういう取り扱いにいたしておりまして、従来と同様でございます。
  178. 春田重昭

    ○春田委員 五百メートルですね。
  179. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 さようでございます。
  180. 春田重昭

    ○春田委員 通達が出されたのが四月六日になっております。きょうが二十日で二週間たっておるわけでありますが、この通達を出されて以後、そういう申請の要請というものが何件くらい出ているか、わかれば御説明願います。
  181. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 通達以後の事務の取り扱いの手順でございますけれども、大体いま申し上げましたような基準を示すことによりまして、各金融機関がそれに該当するような場所の検討をいたしまして、私どもに申請を出してくるのでございますが、これは都市銀行等大銀行の場合には、私ども銀行局へ直接出してまいります。しかし、地方銀行、相互銀行、信用金庫の場合には、各財務局へ出してまいりまして、それを本省に集めまして検討するわけでございまして、具体的な詰めが行われますまでには約二カ月半くらいかかるかと思います。  したがいまして、まだ具体的に、どの地点にどこが出したいという希望は承っておりません。なぜそういうことになるかと申しますと、各銀行で出したいという店が同じ個所に集中をするということが、それは各行それぞれで考えているわけでございますから、起こるわけでございます。そういうようなことは、いままでは店がなくても、かえって過密になるというおそれもございます。その調整を要するということもございます。したがいまして、そういうようなことからまだちょっと時間がかかるというような状況でございます。
  182. 春田重昭

    ○春田委員 さらに配置転換の問題ですが、いま局長がおっしゃったように、そういう過密から過疎の方に行った場合いいわけですが、過疎で経営の採算が合わないからといって過密の方へ来る場合もあると思うのですね。この場合は、一応通達の中では地元の住民等が不便をこうむらないようにしなければならないということになっておりますが、先ほど聞いたところによると、五十年度二十九行、五十一年度で二十六行配置転換がなされているようですが、この二十九行と二十六行の中に、過疎の方から過密の方へ行った例は何件くらいあるのですか。
  183. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 これはないと申し上げていいかと思います。その過密、過疎の考え方でございますけれども、中には多少金融機関のあるところへ行ったのもございますけれども、いまのほとんど全部のものが金融機関の比較的多かったところから、余りなくてむしろ不便を感ずるのではないかというところへ配置転換されております。
  184. 春田重昭

    ○春田委員 住民等の苦情はなかったと考えていいわけですね。
  185. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 住民等の苦情は具体的には伺っておりません。また、私ども処理をいたします場合に、そういうことが起こらないかというようなことをいろいろ確かめまして、そうしてその上で廃止する方を承認をいたしております。その廃止の方が先に行われまして、それから新設の方をいたすわけでございまして、そこは注意して見ておる次第でございます。
  186. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、銀行進出の行う弊害という問題に、地価の高騰という問題があるわけですね。この通達を見ても、何といいますか、不当に高額である場合は認めないとなっておりますが、この不当に高額であると認められた場合というのは、どの辺でこれ理解していいのか、ちょっと判断に苦しむわけでございますが、何か基準なんかあるのですか。たとえば付近の地価が百万であった。銀行が二百万で買った。この場合は二倍になっちゃうわけですが、そういう何倍だったらだめだとか、この辺の基準はどの辺に置いているのですか。
  187. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 まず、私ども公示価格等を参考にいたします。しかし、公示価格と実際の売買実例とはいろいろ開きのある場合もございますので、さらに検討を要する場合には、それぞれの土地につきまして鑑定評価をしてもらいまして、その上で付近の売買実例などと比較をいたしまして、その付近の売買実例などと比べて非常に高いというようなものは、それは場所を変えなさいとか、そこはやめなさい、こういう指導をいたしております。  したがいまして、そういうことはもう大分、数年やっておりますので、現実に出てきますときは、大体そこら辺を金融機関の方で確認をいたしまして出てまいっております。
  188. 春田重昭

    ○春田委員 過去にこの項目に抵触する、そういう措置はありましたか。
  189. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 ただいま申し上げましたように、現実の問題となったことはございません。一応金融機関の方で疑問に思う場合に、事前に相談されることはございますが、具体的に申請を出してきて、高いから、これはだめだということが具体的な手続に乗ったものは、いままでございません。
  190. 春田重昭

    ○春田委員 私の地元の大阪府の大東市というところでございますが、国鉄の高架に伴いまして複線化ができるようになっているわけでございまして、人口が非常に集中してきているわけです。その駅前は、かなり金融機関がひしめき合っているのです。はっきりした年数はわからないとおっしゃっておりましたが、たしか三年か四年前でございますが、三和銀行です。三和銀行が進出してきたわけでございまして、当時の売買事例からいったら、百万ぐらいだったのです。ところがこの三和銀行は二百五十ないし二百六十万で落としているのです。大体二・五倍ないし二・六倍で落ちておるのですね。  こういう形で、その後周辺の地価が相当急騰して、最近の例をちょっと参考に調べましたら、この近くでお医者さんが土地を買いまして、百五十万で落ちているのですね。ということは、この不動産屋の方もおっしゃっておりましたが、銀行が来ることによって周辺の土地が急騰したという例は明らかである、このようにおっしゃっているのですよ。こういう実例があるわけでございますが、どう思いますか。
  191. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 土地のことでございますので、同一ということはございませんので、表通りと横とで違うというようなこともあり得ると存じますが、いま御指摘の三和銀行の例は、私ちょっと具体的に存じておりませんけれども、しかし、いまおっしゃったようなことがございましたとすれば、そういう話が出てまいりますれば、私どもはそういうことのないように是正をさせるようにいたしたいと思います。
  192. 春田重昭

    ○春田委員 過去のことですから、これいまさら取り壊せとかいうことはできませんので、今後こういう点を十分留意して、ここに書いてありますけれども、ただ単なる通達のみで終わるのじゃなくして十分注意していただきたい、このように思うわけでございます。  最後に、銀行新設の緩和政策といいますか、今回の措置は、一部では郵便局に対する対抗ではないか、こういうことも言われたわけでございまして、郵便局と銀行とを対比した場合、まず店舗数からして相当な開きがある。郵便局では全国で二万二千ですか、銀行は信用金庫等も含めて一万六千ということで、相当開きがあるわけです。そういう点で、この一年間の郵便貯金の伸び率は二四%、銀行関係等は一一%ということで、約二倍郵便貯金が伸びているわけですね。そういう点で銀行をふやせという、そういう声が銀行協会から起こって、今回の措置になったのではなかろうか、こういうことも言われております。  もう一点は金利の面で、特に通常預金では、いままでの率からいったならば一・四%も郵便貯金の方が高いわけですね。そういう点で差がある。さらに、定額においては複利式になっていきますから、ふえていくわけですね。それで銀行が郵便局に対して不利な点がある。大きく言って、この二点がある。これを銀行側から是正してほしい、対等にしてほしいという声があって、今回の一つ措置じゃないかということも言われているわけでございますが、どうですか。
  193. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 今度の店舗のやり方を、緩和という言葉をいま先生お使いになりましたし、また新聞等にそういう言葉を使って報道されたのもございますけれども、今回、その新設店舗につきまして、金融機関過疎地に二年間で三カ店と申しましたのは、実は従来二年間で四カ店とやってまいっておりまして、必ずしも緩和ではございません。ただ、五十年度、五十一年度は——五十年度が引き締め政策のときでございましたので、これは全部全くゼロにしたわけでございます。それで五十一年度を二にいたしまして、五十年のゼロがあるものでございますから、二から三と、やや緩和的な数字にはなっております。考え方として緩和をしたわけではございません。  それから、郵便局との関係でございます。  これは金融機関の側に、やはり店舗の数の少ないことが、いまおっしゃいますような預金の伸び率の違いではないか、したがって、店舗をふやしたいという希望のあることは私もよく承知をいたしております。しかしながら、郵便局の場合は、貯金業務だけでなくて、そのほか一般の郵便業務もあるということで、二万二千の店舗の配置されますのが全国まんべんなく配置をされておる。対しまして金融機関の店舗の方は、むしろ経済の繁閑に着目をして店舗配置が行われておるわけでございまして、その店舗の絶対数の違いというのがストレートにそのまま預貯金の伸びに反映されてくるという性質のものではないと私は思っております。したがいまして、そういう声があることは承知をいたしておりますが、今度の店舗の通達を書くに当たりまして、そういう声を意識したわけでは全くございません。むしろ利用者利便という角度から考えた次第でございます。
  194. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、私はあえて緩和政策と言いたいわけでございますが、今回の新設の問題につきましては、先ほどから何点か述べておるように、土地の価格の問題等や地元住民とのそういう納得のいく、理解される、そういう声を施策としてとるべきであると私は思うわけでございまして、そういう問題等が起こらないようにしていただきたい、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  195. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 林孝矩君。
  196. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私は、沖繩の読谷飛行場の国有地の取り扱いに関して質問をしたいと思います。  この読谷飛行場の国有地の取り扱いに関しては、今国会の予算委員会で公明党の同僚委員が問題の提起をいたしました。この問題の提起によって、いま沖繩の県民は、読谷飛行場の国有地の取り扱いがどういう決着をつけられるか、重大な関心を持ってながめているわけでございます。当決算委員会におきましても、四十九年度国有財産計算書の付託を受けて、ただいま審議をしているわけでございますが、この問題を重大な決算事項として、私は決算委員の立場からお尋ねし、問題の解明に努めたいわけでございます。  まず最初にお伺いいたしますが、この読谷飛行場の今日を迎えた経緯について御説明を願いたいと思います。
  197. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 読谷飛行場につきましては、戦時中に旧陸軍の飛行場として用地を取得し、飛行場を建設したわけでございます。それで、終戦に伴いまして、その国有地分につきましては、米軍の管理下に置かれたわけであります。  御承知のように、沖繩本島につきましては、戦火に伴いまして、いろいろ旧軍が買収した当時の物的資料というものは消滅してしまっておる関係上、米軍政府時代におきまして、いわゆる所有権認定作業というものが行われたわけであります。それで、いろいろ所要の手続を得まして、読谷飛行場のうち、旧軍が購入した分の二百十六万七千平米というものについては、国有財産であるという証明書が出されておるわけであります。そして沖繩復帰の際に、新たに国有財産台帳に登載され、現在も引き続き国有財産として管理しておるというのが、その経緯であります。
  198. 林孝矩

    ○林(孝)委員 二百十六万七千平米ですか、国有財産に至る経緯が、いま説明されたわけでありますが、それではお伺いいたします。  国有財産法第二条に、国有財産の定義が示されているわけでございますが、現在国有財産として明記されておる、この読谷飛行場が国の財産になったときの国の負担ですね。一体どういう負担がなされて国有財産になったのか。あるいは法令の規定によって、もしくは寄付によって国有になったものか。どういう根拠で国有財産になったのか、該当する定義は何か、根拠を明らかにしていただきたいと思うわけです。
  199. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 国有財産法二条にいう定義との関係でございますが、先ほども申し上げましたように、この読谷飛行場は、戦時中旧軍が買収して国有財産になったものでございます。それで、その売買に関する公的な物的資料というものは、戦火により消滅しているわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、米軍政府時代の所有権認定作業というものを得て、さらにそこで国有地として認定され、そしてそれに基づく、いわゆる復帰前の沖繩におきます登記法における登記も国有地としてなされておったわけであります。その米軍が日本国の国有地として管理していたものを、沖繩復帰の際に、日本国が引き継いだという関係でありまして、また登記の関係では、当時、沖繩復帰に伴う特別措置法に基づく法務省関係の政令によりまして、復帰前になされておった登記は、復帰後の日本国における相当規定によりした登記とみなすという規定によって、その登記は正当なものであるとみなされておるわけであります。
  200. 林孝矩

    ○林(孝)委員 米軍が買収したものを国有財産にしたという、いまの説明は間違いございませんか。
  201. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 米軍ではございませんで、戦時中、旧日本軍が買収したものでございます。
  202. 林孝矩

    ○林(孝)委員 国有財産として旧日本軍が買収した、それが今日に至っているということでありますが、国の負担というものがどのように行われたか、これは一つの重大な問題だと思うのです。だから国はいつ、だれに対して、どれだけの負担をして国有財産にしたのか、再度確認しておきたいと思います。
  203. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 国が確かに買収したものでありますが、先ほど来申し上げておりますように、沖繩本島の分につきましては、それらの旧軍時代の買収を公的に裏づける物的資料はないわけであります。  ただ、御承知のことと思いますが、戦火を受けなかった宮古とか八重山につきましては、やはり戦時中の同じような時期に旧陸海軍が建設した同じような飛行場があるわけでございます。それらの用地については、その売買を証明する資料なり、代金の支払い、受領という関係を証明する書類が収集されておるわけであります。  それでわれわれとしては、本島については、そういう物的関係資料はありませんが、宮古、八重山等におけるそういう資料から類推しまして、同じような時期に、同じような体制のもとに陸海軍が建設した飛行場であるので、同様な買収行為により取得されたもの、こう考えているわけであります。
  204. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、私は重大な問題だと思うのですが、あらゆる財産に関する公的、物的資料が消滅しているという、こういう特殊なケースにおいては、行政の判断が優先して、そして他の地域がそうだから、多分読谷もそうであろうということで国有財産にする、この法的根拠はどこにありますか。
  205. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 ですから、先ほど来の繰り返しになって恐縮なわけでございますが、宮古、八重山等において収集されている、そういう資料からして、同様な方法により旧陸海軍によって買収されたものと、われわれは判断しておると同時に、先ほど申し上げましたように、本島につきましては、国有地だけでなくて、公有地、民有地につきましても、登記簿とかそれを証明する物的資料は消滅してしまったわけであります。これは国有地だけの問題じゃありません。そういうことで、本島における土地関係の制度を確立するために、米軍政府時代に所有権認定作業なるものが行われたわけであります。それは所要の手続を経て昭和二十六年四月一日付で、それぞれの所有者に土地所有権証明書というものが交付されておるわけであります。それに基づいて不動産登記簿が作製された。それで、先ほど申し上げましたように、沖繩復帰の際、沖繩復帰に伴う特別措置法に基づく法務省関係の政令によりまして、この登記簿が復帰後の日本国における相当規定に基づく登記とみなすというふうにされたわけであります。  そういうことで復帰前における、とにかく一番権威あるそういう機関によって行われたもの、それを引き継いで、それによって証明された所有関係をもとにしておるわけでありますから、それを国有地と認定することについて、われわれはそう考えざるを得ないわけであります。
  206. 林孝矩

    ○林(孝)委員 考えざるを得ないとか、そういう感情の問題ではなしに、少なくともこの読谷飛行場という六十五万坪ですか二百十六万平米、こういう莫大な土地国有財産として現在登記されておる。しかし、その経緯の中で、国有財産になるためには国の負担がなければならない。しかし、それは、負担がだれに対してもなされていない。いま米軍という話が出てきて、米軍の後を引き継いだという、そういう昭和二十六年四月一日の土地所有権証明書の発行という話がございました。そのいまの説明の中で、旧地主に対して申請期間を設けて、この土地は私の土地であるという申請をさせたということでありますけれども、その間の事情、どういう状況のもとに、それは行われたのですか。
  207. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 戦後米軍政府のもとにおける所有権認定作業の方法でございますが、これはまず、一九四六年二月二十八日付で、琉球列島米国海軍軍政本部指令第一二一号「土地所有権関係資料蒐集に関する件」というのが発せられております。これに基づきまして、字とか村に土地所有権委員会というものが設けられ、これがそれぞれ土地所有権の申請を受けて所要の調査を行ったわけであります。  ただ、この申請につきまして、当時の米国海軍軍政本部指令なり、それに対する当時の指導通達等によりますと、国有地等については、民有地等の場合と異なりまして、いわゆる土地所有申請書というものは必要でなく、市町村土地所有権委員会が、みずから調査を行うということにされておったわけであります。  そういうことで、それの調査の結果、国有地につきましては、日本の国有地であるという所有権証明書が作成されたわけであります。それで、その作成されました所有権証明書は、三十日間一般の縦覧に供されております。異議のある者は、この期間中に異議を申し立てることができるような道が開かれておったわけであります。異議のない証明書について村長がこれを承認して署名、捺印し、土地所有権者に交付するという手続を経て、所要の認定が行われたわけであります。
  208. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その当時、読谷飛行場はどういう状態にあったですか。
  209. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 復帰前の状態でありますので、私として、その所有権認定作業が行われた当時の読谷飛行場の状況については承知しておりません。
  210. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そういう状況がわからないと、所有権の申請といっても、果たして申請できる状況にあるかどうかということがわからないと、三十日間の異議申し立て期間をつくったとしても、一体その期間に、どれだけの人が実際異議の申し立てをしたか、掌握されておりますか。
  211. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 復帰前の米軍政時代に行われたことでありますので、その間の事情、どういうような、どの程度の人数の者が申請を出したかというようなことについては、資料を持っておりません。
  212. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そういうところが大きな問題なんです。たとえば昭和二十六年の朝鮮戦争の当時というとき、この時代もう読谷飛行場は完全な基地でありますから、その基地の中で自分の土地がどこにあるか、そしてもう全部原形をとどめない状態にあって、どんどん離着陸している。そういう飛行機が飛び立つ中で、そういう確認作業というものは果たしてできるかどうか、こういうことも一つの問題です。そういうことなんかが全然考えられないまま今日を迎えている、こういうことも重大な欠格事項ですね。  それから、所有権の問題でありますが、土地所有権証明書、なるほど証明書は出ております。しかし、この土地所有権証明書というのは、この土地の所有者が、いわゆる地主の人たちが、こぞってこの土地の所有権はだれだれにあるということを証明した根拠になるかどうかということは、これまた問題なんです。証明という行為、そしてその効果、これが法律的に、この土地所有権証明書において効力を発揮するかどうか。  わかりやすく言えば、いわゆる土地所有権証明書という一つの証明書です、いわゆる身分証明書のようなものです、それを発行したからといって、新たな身分が発生するのではない、所有権者がかわってしまうのではない。そしてまた、その土地所有権証明書の発行自体に重大な瑕疵がある場合は、身分の問題とは関係はございませんが、当然のこととして、この土地所有権証明書そのものが取り消しの対象となる十分なものだと私は考えるわけです。  お伺いしますけれども政府は、この土地所有権証明書にそうした瑕疵があるとお考えか、それとも、所有権証明書というものは、あくまでも、私の指摘する単なる証明書ではなしに、その身分も変えてしまうものとして判断されておるのかどうか、この点も明確にしていただきたいと思います。
  213. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 その戦後米軍政府時代に行われました所有権認定作業に基づく所有権証明書でありますが、われわれとしましては、これは先ほど来申し上げていますように、沖繩本島につきましては、国有地だけでなくて、民有地、公有地、すべてを通じて行われた土地所有権の認定作業であります。それに基づきまして復帰前の登記というものが作製されておるわけです。  これも先ほど来の繰り返しになるわけでありますが、復帰の際に、沖繩復帰に伴う法務省関係法令の適用の特別措置政令に基づきまして、本土法令の相当規定による登記とみなされておるということでありますから、この所有権証明書というのが、何らかの証拠にならないものであるとすると、沖繩本島における土地の所有関係の秩序全体が成り立たないわけであります。  ですから、そういうことになりますと、われわれとしては、そういう認定作業を経て、それに基づき行われておる登記を復帰後引き継いでおるわけでございます。もちろん、それについて異議のあられる方につきましては、いろいろと所要の法的手続を経て、争われる場合には当然それに従って措置してもらうということになるかと思います。
  214. 林孝矩

    ○林(孝)委員 昭和四十七年の五月まで、読谷飛行場は国有地としての取り扱いにはなっていなかったわけですね。
  215. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 戦後、米軍政府時代におきまして、米軍により国有地として管理されてきておったわけです。それを復帰に伴って正式に引き継いだということでございます。
  216. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いわゆる国有財産として、昭和四十七年の五月まで、大蔵省国有財産台帳には掲載されていなかった、国会にも報告はされていませんでしたね。
  217. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 復帰前の問題でありますので、復帰前はもちろん国有財産台帳には掲載されておりませんでしたが、復帰の際に、戦後米軍が日本国の国有地として管理してきたその国有地のリストを引き継ぎまして、それをもとにして国有財産台帳を作製したというわけであります。
  218. 林孝矩

    ○林(孝)委員 米軍は、国有財産として管理してきたのですか。
  219. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 日本政府の所有土地であるとして管理してきたわけであります。
  220. 林孝矩

    ○林(孝)委員 二十六年四月に証明書が発行されて、そして国有財産として、四十七年五月、大蔵省が初めて国有地の取り扱いをした、この間、その土地がどういう状態にあったと解釈されていますか。
  221. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、復帰前は、当初は米軍政府、それから民政府という時代であります。それからそのもとに琉球政府というものがあったわけでありますが、それぞれの行政組織の中において日本政府の所有地として管理されてきたということでありまして、それを復帰の際、正式に米民政府からそのリストを引き継ぎまして、新たに国有財産台帳に登載せたというわけであります。
  222. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうすると、話をずっと前に戻さなければいかぬのですが、日本政府土地であるということで、米軍が管理してきた、それを引き継いで復帰と同時に国有財産とした。そうすると、日本政府土地であると米軍が判断した根拠は何ですか。
  223. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 これは先ほど来申し上げておりますように、いわゆる本島における所有権認定作業というものが米軍政府のもとにおいて行われまして、その所要の手続を経て、それぞれ民有地については、所有権の申請を出させ、それによって所要の調査を行った。  それから、国有地については、先ほど申し上げましたように、村委員会が独自に調査を行った。それで日本政府のものであるという認定を行った。  異議のある者については、もちろん異議申し立ての期間が設けられておった。それから一たん所有権証明書が交付された後におきましても、それに異議ある者については、さらに裁判手続により、それについて所要の是正を求めるという道ももちろん開かれておった。  そのような結果を経て、米軍としては、それぞれの所有権の認定、確認を行っていた、こう考えておるわけであります。
  224. 林孝矩

    ○林(孝)委員 二十六年四月の土地所有権証明、この証明行為は、米軍がどういう法的根拠によって行ったもので、そしてその行為は法的にどういう権利を意味するのか、説明してください。
  225. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 御承知のように、沖繩は戦後米軍の占領下に置かれたわけであります。それで、占領下に置かれたその状態のもとに、米軍がその権限に基づきまして、先ほど申し上げましたような指令を出し、それによって所有権認定作業というのを行い、そしてそれに基づきまして、所要の登記簿も作製されたということであります。  それから日本法令との関係では、これも先ほど来申し上げておるわけでありますが、沖繩復帰の際の特別措置法、それの法務省関係の政令によりまして、日本国の相当規定による登記とみなすという規定になっておるわけであります。
  226. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私の質問だけに答えてください。  こちらから申し上げましょう。昭和二十六年四月の証明行為、これは米軍がどういう法的根拠でやったかというと、陸戦規約五十五条です。それは所有権ではありません。国有地として管理権と用益権を行使しているという証明なんです。これは重大な問題ですよ。  それから、先ほどの答弁の中で、米軍が所有権証明を行った、それによって日本政府土地であるということが証明されたということでありますけれども、事実を申し上げますと、二十六年の所有権証明、そのときから米軍が国有地としたのではありません。昭和二十年、占領開始のときから、米軍は日本政府の国有地として管理していたわけです。ですから、先ほどの答弁は間違いだと私は思います。  それが一点と、いま私が指摘しました、この所有権証明というものは、陸戦規約第五十五条による国有地として、管理権と用益権を行使しておるという事実の証明にすぎないということに対して、どのように答えられるか、お伺いします。
  227. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 確かに、終戦後復帰までの間に、米軍政府日本政府の所有地を管理してきたのは、まさに管理してきたわけであります。それでその際、米軍政府が管理してきた日本政府財産のリストというものを復帰時に受け継ぎまして、復帰時に新たに日本国の財産として国有財産台帳に新規に登載したということであります。
  228. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ですから、いま私が指摘しておるのは、先ほど、復帰のときに米軍が管理しておった日本政府財産だという読谷飛行場を、復帰時点において国有財産として台帳に載せた、これは米軍が日本政府財産として管理しておったという説明だから、じゃ米軍が日本政府財産であるということで管理しておったことと、その所有権というものがどこに存在するかという問題と、ここに大きな矛盾がある。と同時に、じゃ米軍がどのような経緯を経て日本政府財産であると判断したかどうかという法的根拠は、いま私が指摘しましたように、陸戦規約第五十五条、それによって管理権、用益権を行使しているという証明なんです。  したがってこれは、いわゆる土地の所有者がだれであるかという問題と、そして管理権がどこに存在するかという問題と二つあるんですよ。あくまでも、この土地所有権証明書というのは、土地の管理なんです。先ほど答弁のあったニミツの財産の管理、いわゆる米国海軍の布告第七号、この中にも、それは明確に示されております。こういう法的根拠の非常に希薄といいますか、根拠のない読谷飛行場、国有財産としての根拠のない読谷飛行場なんです。  それがいままでの説明のように、米軍が日本政府財産として管理しておったから、復帰のときに国有財産として登記しました、台帳に載せた、じゃ日本政府財産として米軍が管理しておったのは、だれの所有の土地なんだ、さかのぼって追跡していけば、いまのような矛盾が出てくるわけです。土地の所有権、これは一片の土地所有権の証明書、村長が交わした証明書だけです。旧地主の人たちは全部自分の物が、関係のないところで国有財産としていってしまっておる。もっとさかのぼれば、旧日本軍がどのようにして、その地主の人たちから土地を手に入れたか、これはもう予算委員会でも問題になりました。ここにもその証拠がございますけれども、所有申請書なんというものは指摘するまでもなく、非常にあいまいな不完全な、こういうものなんですね。  そのような経緯のある読谷飛行場、現在は国有財産となっておる、こういう読谷飛行場が国有財産として、政府国有財産台帳に載せられておる。経緯を逆にさかのぼっていけば、その飛行場が国有財産として台帳に載るまでに、非常に重大な瑕疵がある。  大蔵大臣、これはすでにもう、大蔵大臣はこの問題を初めて聞かれたのではなしに、予算委員会でも聞かれておると思いますし、また総理もこの問題に対して調査を約束し、瑕疵があれば台帳から取り消すという約束もされておることでありますけれども、それはそれとして、私は、いまこの読谷飛行場の経緯を通して、今日を迎えた経緯の中に、法的にこうした矛盾があるということを指摘しているわけです。大臣は、この問題に対してどのように現在考えられておるか、お答え願いたいと思います。
  229. 坊秀男

    坊国務大臣 土地の所有権というものは、これはしっかりした根拠の上に立たなければなるまいと思います。ところで、いまの沖繩の中の読谷飛行場というものにつきましては、とにかく戦火を受けまして、これがはっきりした物証と申しますか、書証と申しますか、それが何にもないというときに、その手がかりになる物がただ一つ、先ほど来説明をしておりました物が一つ、アメリカがこれは日本の国の所有であるというようなことを最後にそう言って、そしてそれに基づいて手続をやった。ところが、本当にこれは確証というものではないと私は思います。思いますが、しかしほかに何にもない、唯一の手がかりだということになりますと、一応はそれによらなければなるまい、こう思います。  とにかく、これはできるだけよく調べまして、はっきりさせていくということが一番大事なことであろうと思いますが、今日の段階といたしましては、これは唯一の手がかりの上にのっておることでやっていかなければなるまい。しかし、これは調べていかなければならぬことだ、かように考えます。
  230. 林孝矩

    ○林(孝)委員 重ねて私、問題を指摘しますが、その唯一の手がかりというのは、いわゆる土地所有権証明書という、これなんです。これは先ほども言いましたように、布告第七号を背景にして、この中の第四条第二項、これに基づいて布告による管理官が国有地と定めて管理することになったわけですね。先ほども言ったように、米軍が占領した二十年から国有地となっておる。これが証明が出たのは二十六年。ですから、先ほど答弁の間違いを私は指摘しましたけれども、二十年から、米軍が占領したときから国有地として米軍は管理しているわけです。証明書、これによって唯一の手がかりとなった、この証明書が出た背景というのは、先ほど言いました布告七号、この四条の二項ですね。これは所有権を決めているものではないのです。証明するものではない。あくまでも財産の管理。  そしてもう一つ、本件の読谷飛行場の土地、これに対して当時の沖繩の情勢の中において、米軍占領下の中において、客観情勢を考える以外にないわけですけれども、こういう土地所有権証明書という形でアメリカ軍によって形づくられてしまった。あくまでも国有財産の管理ということであったとしても、所有権は自分のものであると思っておっても、こういう形で米軍が処理しようとした。当時沖繩県民の中で、終戦間もない時期に、これを否定するだけの闘いができたかどうか、こういう環境があったということ。  それから、先ほど、この唯一の手がかりを中心にして、アメリカ軍が国有地であると認定した、そのリストを受け継いだ、こういう答弁がございましたけれども、お伺いしますが、米軍の認定で国有地になるというのは、どこに根拠があるのか、国有財産というのは、そういう形で国有財産になりますか。  そうしたら米軍から引き継いだ時点で、では、その土地代金をだれに幾ら支払ったというリストがあるのですか。こういう引き継ぎの時点で、本土に復帰するときに、そういう地主に支払ったというリストがあって、それを全部引き継いで、これは間違いないから、国有財産にできるということなのかどうか。
  231. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 先ほど来の繰り返しになるわけでありますが、本島につきましては、そういう戦時中の売買を立証する公的な資料、それから不動産登記簿、終戦前の不動産登記簿というのは一切消滅しているわけでございます。これは国有地だけでなくて、民有地についても同様な事態にあったわけであります。物的資料はないわけでありますが、われわれとしては、当時の軍関係者なり、いろいろそういう方々から陳述といいますか、証言は聞いておるわけであります。そういう大方の人の御意見としては、読谷飛行場についても、正当な買収行為によって旧陸軍の買収したものであり、代金が支払われたという証言を得ているわけです。  われわれとしては、旧地主の方からもいろいろお話を伺ったわけでありますが、何分終戦後三十余年を経過しておるということで、いろいろ記憶も薄らいでおられる関係もあるわけです。それから、子供の世代にかわっておられる関係もあるということで、はっきりしない面があります。ですから、代金を受け取ったと言われる方もありますし、そういう代金は受け取ってないと言われる方もあります。それから、同じ人でも、前には代金を受け取ったと言われた人が、後から代金を受け取ってないと言われる人もあるというような状態でございます。  この辺の証言については、どう判断すべきかは、われわれとしては非常にむずかしいところだと思いますが、先ほど来申し上げましたとおり、物的証拠につきましては、戦火を受けなかった宮古、八重山等について、いろいろそういう売買を証明する書類、代金の受け取りを証明する書類、それから登記簿というものも残っておるわけでございます。それから考えましても、本島においても同様な手続により行われたもの、こう判断しておるということでございます。
  232. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私の質問は、その経緯を同じことを聞いているのではないのですよ。  土地代金の証拠があるのかどうか、リストを引き継いだというふうに先ほど答弁があったでしょう。米軍が国有地だと認定した、それをリストとして引き継いだ、その引き継いだときに国有地として土地代金を支払ったという証拠があったのかどうか。では、米軍の認定だけで国有地になる、こういうことはあり得るのか、この二点なんですよ。
  233. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、本島については、そういう代金を支払ったかどうかというような公的資料は消滅しておるわけであります。ですから、米軍から引き継ぎましたとおり、もちろんそういうような代金の支払いを証明する資料というものは引き継いでおりません。  それで、これもまた繰り返しになって恐縮なわけでありますが、その間戦後、先ほど来申し上げておりますような認定作業というのを行っておるわけであります。それに基づきまして、国有地だけでなくて、沖繩本島についての、民有地も含めた全土地の所有権関係というのが、それに基づいて成り立ってきているわけであります。ですから、われわれとしては、復帰時にそれによって国有地は国有地とするという以外に方法はなかったわけであります。  ですから、それについて、いろいろ御異議のあられる方は、もちろん物的証拠なり何なりを出していただいて、所要の法律手続に従って措置されれば、予算委員会で総理もお述べになっておりますように、われわれとしては、がんこにがんばるということでなくて、正すべきは正すという態度でおるわけであります。
  234. 林孝矩

    ○林(孝)委員 米軍が国有地だと認定した、それを国有地としていいのかどうかということに対する説明が、いまあったわけですけれども、そう判断するよりしようがなかった、そういうようなことで国有財産というものが誕生するのでしょうか。  それともう一つは、他の地域を民有地あるいはその他の八重山だとかという地域の例を出されますけれども、読谷飛行場というのは、他の地域と異なっています。全然違います。だから、それと同じ見方をするということも私は間違いだと思うのです。  それから、先ほど来私が指摘した土地所有権証明書、何回も言うようですけれども、これは土地所有者がだれであるかということを決定するものではない。それを唯一の手がかりとして米軍から引き継いだ、これしかないわけです。それで国有財産になってしまった。  先ほども一つ、答弁の中で、土地代金を支払ったという軍関係の人の意見を聞いた、その軍関係の人というのは、具体的にどういう人ですか。
  235. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 当時陸軍でしたら、それぞれのそういう施設関係を担当していた者、それから海軍ですと、佐世保鎮守府関係が直接やっていたようでございますので、そういう佐世保鎮守府関係で、その方面を担当していた者ということでございます。
  236. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それじゃお伺いしますが、この土地の買収に当たったのは陸軍ですか。海軍ですか。
  237. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 読谷飛行場は陸軍でございます。
  238. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その買収に当たった最高責任者の名前はどなたですか。
  239. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 最高責任者がだれであったということは承知しておりません。
  240. 林孝矩

    ○林(孝)委員 責任ある人から話を聞かれたと私は思うのですが、陸軍が買収に当たったという、陸軍のどなたから聞いたですか。
  241. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 当時の航空本部熊本出張所の担当官なり、それから三十二軍関係の参謀というような方々であります。
  242. 林孝矩

    ○林(孝)委員 もう一つ、この国有地とするに当たって日本政府が申請をしなければならない、いわゆる指令一二一号の問題でありますけれども、その指令一二一号に基づく日本政府の申請行為、これがなければ国有地になりませんね。その申請書、これには保証人を要件としております。申請人ですから、人でなければいけない。しかし、それは証拠があるのです。これは人は出てこない。日本飛行場であるとか、こういう申請書は、何ですか、保証人は一人も出ていません。こういう欠落もあるのですよ。それはどうお考えですか。
  243. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 その土地所有権認定作業に関する手続としまして、先ほどお答えしたかと思いますが、国有地とか公有地等につきましては、民有地の場合と異なりまして、いわゆる土地所有申請書の提出というものは必要ではなかったわけでありまして、市町村の土地所有権委員会が、みずから調査して、それで市町村長が認定したということでございます。  先生おっしゃっていますのは、読谷村の場合、いろいろ申請書かあるじゃないかということじゃないかと思うのですが、その点、どういう経緯か、明らかでないのですが、確かに読谷村の場合には、国有地についても土地所有申請書というのが作成されておりまして、いろいろそこに日本政府とか飛行場とか書かれているのが実情のようでありますが、その他の国有地については、こういう申請書なるものは残されておらないわけであります。当時のいわゆる先ほど申し上げました米国海軍本部指令なり、当時の指導通達等によりましても、国有地とか公有地については、そういう土地所有申請書は提出する必要がないということがはっきりしておるわけであります。
  244. 林孝矩

    ○林(孝)委員 話は読谷にしぼって答弁してください。そうしますと、政府は四十七年五月に、国有地の扱いに踏み切った。その根拠は何かというと、いわゆる土地所有権証明書、これだけであろう、そのように理解していいですか。
  245. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 形式的には、そういう米軍政府下において行われた土地所有権認定作業に基づく証明書、それに基づいてなされておる登記を引き継いでおるわけでありますが、これも先ほど来申し上げましたように、本島については物的資料はありませんが、宮古なり八重山等において収集されている資料から考えまして、本島についても同様な買収行為によって取得されたものと判断しておる、それからいろいろ関係者の証言等から、そう判断しておるということでございます。
  246. 林孝矩

    ○林(孝)委員 土地所有権証明書、それが唯一の国有財産としての引き継ぎで、国有財産にした根拠である。と同時に、それに基づいてなされた登記というのは、具体的にどれくらい登記がなされておるか説明してください。
  247. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 読谷村の場合は、登記は二十五枚に分かれてなされております。
  248. 林孝矩

    ○林(孝)委員 二十五枚ということは、どういうことですか。
  249. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 いわゆる二十五筆ということでございます。
  250. 林孝矩

    ○林(孝)委員 二十五筆は、所有権者何名になっておりますか。
  251. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 それは、二十五筆すべて所有者は日本政府のものとして登記されていたものを引き継いだわけであります。
  252. 林孝矩

    ○林(孝)委員 政府の登記の意味ですね、それは。わかりました。  そうすると、いよいよその手がかりというのは、土地所有権証明書しかないということになりますね。私が指摘したことを繰り返しますけれども、その土地所有権証明書というのが出された背景、またその所有権証明書というものは、あくまでも財産の管理であって、所有権そのものを決定するものではないという布告七号、こういう法的根拠、それが唯一の手がかりで、それで国有財産として引き継がれたというならば、これはもう国有財産の権威、国有財産というものは、そんな希薄な法的根拠によって台帳に載せられてしまうのか、もうはなはだこれは遺憾なことでもありますし、また国有財産の扱いとしては、私はそこに重大な瑕疵があると思うわけであります。  また先ほど大臣は、この問題に対して、これが唯一の手がかりであるということで認識をされておる。そこで、いま政府がこの件に関して沖繩で調査をされておる、そういうふうに伺っておりますが、その調査の内容、どういう項目を具体的に挙げて調査をされておるか、お伺いしたいと思います。
  253. 吉岡孝行

    吉岡(孝)政府委員 政府としましては、この沖繩における旧軍買収地問題というのが、復帰後四十八年当時から国会でもいろいろとお取り上げになってきたわけであります。それで、その当時からいろいろ調査をしてまいったわけです。  第一には、先ほど申しましたように、戦時中に旧軍が買収したその証拠になる物的資料の収集ということであります。それから二番目は、当時の旧軍なり関係機関の関係者からの事情聴取ということであります。それから第三番目には、旧地主等からの事情聴取ということでありまして、その結果、なお現在も調査を続けておるわけでありますが、いままでのところでは、先ほど申し上げましたように、宮古、八重山等については、その後相当の物的資料が収集されているが、本島につきましては、その物的資料がないという現状にあるというわけでありますが、われわれとしては、今後も、なおそれらの収集に努力していきたい、こう考えているわけであります。
  254. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま二つの調査内容を述べられました。  これは大臣に伺っておきたいんですが、最初土地代金支払いの物的証拠、こういう物的証拠がない場合は、国有地としての取り扱いを取り消すかどうかという問題。  それから二番目の、自主的な権利の主張ができる状態で、土地の所有権の認定が行われたというようなことが判断できない。実態は、そういう自主的な権利主張ができるような状態ではなかった。そういう状態で、この経緯の中でも、先ほど指摘しましたような土地所有権証明書であるとか、こういうものを唯一の手がかりとしなければならない。しかし実態は、権利の主張というものができる状態ではなかったというようなことが判明した場合、国有地としての扱いを取り消すか。この調査結果によっての判断でありますけれども、どのような——調査結果が出てみないとということになるかもわかりませんが、その結果いかんによっては政府として、どのような決断で臨まれるかということをお伺いしたいのと、時間が来ておりますから、質問を最後にしますけれども、もう二十年も三十年もたった、こうした問題でございますし、現在のこの読谷飛行場の調査、そしてその結論、こういうものをいつごろをめどに結論を出す計画調査に当たられておるか、この二点についてお伺いします。
  255. 坊秀男

    坊国務大臣 土地の所有権等を、これは自分のものであるということを主張するためには、先ほども申し上げましたとおり、しっかりしたこういう根拠というか、資料というか、そういうものがなければならない。ところが現在は全然そういったようなものが、不幸な戦火を受けたために、これがない。ないんだが、ただ先ほど手がかりと私が申しました、米軍から受けたときのそのものが、これはあるということ、唯一それがあるのですから、そこで、何か手がかりとして、この権利を主張するということになりますれば、いまの段階におきましては、それよりほかにないんだから、それを根拠としなければならないけれども、御指摘のとおり、それは大変しっかりしたものではないというお話でございますから、そこでこれを調べに、現に現地を調査し、あるいはその証拠、物証、書証について調査をするとか、あるいはこういったような事情について詳しい方々の証言と申しますか話、記憶といいますか、そういったようなものも聞きまして、そしてだんだんこれを固めていくなり、それは全然うそであるというようなことになるなり、だんだんとどちらへか明確になっていこう、こういうふうに思うのです。  そして、その明確になるのが一体いつか、ことしの暮れか来年かというふうに、いま聞かれましても、こういうむずかしいものを、いま調べておるのでございまするから、それはもうできるだけ早く、いつまでもこれをぐずぐずとしておるということではなくて、できるだけ速やかにそういったものを固めてまいりまして、そうして処理をしていくべきだ。ただし、現在のところは、ほかにないのでございますから、それに従って現状をそれで保持していくよりほかにないんじゃないか、かように考えます。
  256. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ほかにないその唯一のものが、先ほど指摘しましたように、法的に非常に希薄なものです。ですから、現状はそうやるしかしようがないということですけれども、これは国有財産として、もうすでに台帳に載っているわけですから、そういう希薄なものしかないものを国有財産台帳に載せてしまったところに、もう一つの問題がある。私は、こういう指摘もしているわけです。国有財産というのは、もっと完璧な資料に基づいて台帳に載せるものではないのか。こんな希薄なもので国有財産が誕生していったならば、これはえらいことになる。そういう意味において重大な問題だ。国有財産台帳に載せる手続上にも私は重大な瑕疵があった、こういうことを指摘しているわけです。  そのことを十分政府当局として考えて、もう一つは現在調査中ということで、これは調査の結果を待たざるを得ないということを前提にしますけれども大蔵大臣のいまの答弁で、一つの問題として、いま私が申し上げましたように、その唯一の材料そのものに瑕疵がある。そして、それが国有財産になってしまっておる。こんな形で国有財産にしてしまったという手続上の問題、これをどのように考えておるかお伺いして、終わりたいと思います。
  257. 坊秀男

    坊国務大臣 私も、自分の土地ではありませんし、これは国の関係でございますから、私自身の欲とか何にもございませんから、きわめて公正に考えられる問題でございます。いまそういうようなことで、それが唯一の手がかりで国有財産となっておるということについて、そんな希薄なもので国有財産になっておるのは、よろしくないのじゃないかという御意見もわからぬじゃございません。  ただしかし、先ほどから繰り返し申し上げておりますが、そういったものでも、それよりほかにない、そこで国の財産ということになっておりますが、もし仮にそういうことになってなかったら、これはきわめて秩序の混乱したようなものになりまして、私は沖繩県民の方々は非常に賢明な方々ですから、その土地に対して、ここはおれのものだった、そこがだれのものだったといったような争いは、恐らくはそういうことにはなるまいと思いますけれども、やはり一人か二人、そういうような人が全然いないということは保しがたいというようなことも考えますと、これはいまの一応国有財産であるということは、未来永遠このとおりだということは、あるいはひっくり返って、もっと確かな証拠なり立証なりというものが出てきて、おっしゃるとおり、これはもう全然希薄なものであったということになりますれば、そうしたはっきりしたものが出てくれば、これまた一種の幸せだと思っております。  政府といたしましては、そういうことを何とかして調べまして、できるだけ真実、真相を実現していくのが本当でございます。では、それはいつになったらと言われましても、この調べというものについては、本当に真相、真実をつかまえなければならない、かように思いますので、短兵急には、ちょっとむずかしいと私は思います。
  258. 林孝矩

    ○林(孝)委員 委員長にお願いしますが、この読谷飛行場に関して、国有財産になった経緯、それから、この取り扱いについて政府調査、一応速やかにという表現でありますけれども理事会でお諮り願って、政府に対して、いつまでに一応中間報告なりを決算委員会にする、こういう意味で議題としていただきたい。御要望申し上げます。
  259. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 いまの林委員の要望に対しましては、理事会に諮りまして審議をいたし、御希望に沿えるように、できるだけ努力をしてまいります。
  260. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  261. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 次回は、明二十一日木曜日、午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十七分散会