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1977-04-06 第80回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月六日(水曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       櫻内 義雄君    染谷  誠君       津島 雄二君    三池  信君       小川 国彦君    馬場猪太郎君       春田 重昭君    安藤  巖君       川合  武君    麻生 良方君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸大臣官房会         計課長     西村 英一君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         防衛庁経理局施         設課長     千秋  健君         外務省アメリカ         局外務参事官  浅尾新一郎君         国税庁直税部審         理課長     掃部  實君         建設省都市局都         市再開発課長  牧野  徹君         建設省都市局区         画整理課長   高桑 保治君         会計検査院事務         総局第三局長  小沼 敬八君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         参  考  人         (船舶整備公団         理事長)    亀山 信郎君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   原島 龍一君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     三谷 秀治君 同日  辞任         補欠選任   三谷 秀治君     安藤  巖君 同月三十日  辞任         補欠選任   津島 雄二君     福永 一臣君   山口 敏夫君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   福永 一臣君     津島 雄二君   加地  和君     山口 敏夫君 同月三十一日  辞任         補欠選任   西田  司君     三池  信君 四月六日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     小川 国彦君   山口 敏夫君     川合  武君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     広瀬 秀吉君   川合  武君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十九年度政府関係機関決算書  昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として船舶整備公団理事長亀山信郎君、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君、理事原島龍一君、新東京国際空港公団総裁大塚茂君及び理事角坂仁忠君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見の聴取は、委員の質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 それでは、まず、運輸大臣から概要説明を求めます。田村運輸大臣
  5. 田村元

    田村国務大臣 昭和四十九年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額八億九千九百五十五万円に対し、収納済歳入額は四十二億九千九百十二万円余であり、差し引き三十三億九千九百五十七万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出につきましては、歳出予算現額六千九百四十三億九千百四十八万円余に対し、支出済歳出額は六千五百十五億一千九百十九万円余でありまして、その差額四百二十八億七千二百二十八万円余のうち、三百四十億七千七十九万円余を翌年度へ繰り越しましたため、差し引き八十八億百四十九万円余が不用額となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、木船再保険特別会計でありますが、収納済歳入額は三億四千三十一万円余であり、支出済歳出額は一億一千二百八十九万円余でありまして、差し引き二億二千七百四十一万円余の剰余を生じましたが、この剰余金は、同特別会計昭和四十九年度限り廃止されましたため、一般会計の翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は七千四百五億六百八十一万円余であり、支出済歳出額は一千六百四十一億四千五百五十一万円余でありまして、差し引き五千七百六十三億六千百二十九万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は一千九百五十六億四千六百二十万円余であり、支出済歳出額は一千七百八十億八千二百二十七万円余でありまして、差し引き百七十五億六千三百九十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は百十七億七千八百七十万円余であり、支出済歳出額は百十二億九千五百万円余でありまして、差し引き四億八千三百六十九万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第五に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は八百五十七億一千三百十五万円余であり、支出済歳出額は七百四十八億八千四百三十万円余でありまして、差し引き百八億二千八百八十四万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、昭和四十九年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算大要でありまして、このうち重点施策につきましては、お手元に配付いたしました資料をごらんいただきたいと存じます。  最後に、本決算につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾に存じております。  指摘を受けた事項につきましては、今後、この種の事例発生を未然に防止するため、内部監査充実強化等を行い、特に管理者に対しては厳重に業務管理を実施するよう指導監督の徹底を図る所存であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  次に、昭和四十九年度日本国有鉄道決算大要を御説明申し上げます。  昭和四十九年度における日本国有鉄道運輸成績は前年度に比し、旅客収入で約一三%、貨物収入で約一%、それぞれ増加し、損益勘定において、収入済額は二兆二百九十六億四千三百九万円余、支出済額は二兆二百五十六億七千五百六十三万円余となり、収入支出を超過すること三十九億六千七百四十五万円余となりましたが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では六千五百七億九千七百九十二万円余の純損失となり、昭和四十九年度末の繰越欠損金は二兆二千四百六十三億一千九百二十万円余となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は一兆六千八百十四億八千百七十九万円余、支出済額は一兆六千九百五億八千七百三十六万円余であり、また、工事勘定におきましては、収入済額は九千九十八億五千六百九十万円余、支出済額は七千九百一億三千八百九十九万円余となっております。  最後に、昭和四十九年度予算の執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上、大要を申し上げました。なお、概要につきましては、昭和四十九年度日本国有鉄道決算概要説明書によって御了承願いたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  6. 芳賀貢

  7. 小沼敬八

    小沼会計検査院説明員 昭和四十九年度運輸省決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、本院の注意により当局において処置を講じたもの一件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  これは、運輸省航海訓練所におきまして、会計課の職員が、債権者預金口座振込手続をする際、日本銀行代理店に小切手に添えて交付する国庫金振込請求書と、これに添付する国庫金振込明細票を偽造するなどして、同人が開設した架空名義預金口座等国庫金を振り込ませる方法で歳出金を領得したものでございます。  次に、本院の注意により当局において処置を講じたものについて説明いたします。  これは、運輸省の第一港湾建設局で、函塊方塊製作等工事使用する鋼製型枠損料積算に当たり、同建設局が独自に定めた管内積算基準等によって算定していましたが、この管内積算基準の内容に適切でないと認められる点が見受けられましたので、当局見解をただしましたところ、管内積算基準を改める処置を講じたものでございます。  なお、以上のほか、昭和四十八年度決算検査報告に掲記いたしましたように、防波堤等築造工事におけるケーソンの曳航、据え付け費積算について処置を要求いたしましたが、これに対する運輸省処置状況につきましても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 芳賀貢

  9. 東島駿治

    東島会計検査院説明員 昭和四十九年度日本国有鉄道決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件、本院の注意により当局において処置を講じたもの三件でございます。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号七九号は、大阪工事局岡山工事事務所ほか三局所において、新幹線騒音防止対策の一環として、山陽新幹線八幡地区逆L型防音壁新設工事ほか三十九工事施行するに当たりまして、工事夜間施工となることから、電力会社から臨時電力の供給を受けるための照明設備を設置して工事施工することとして計画し、これに必要な費用積算しておりました。  しかし、新幹線には軌道の保守作業夜間施工するための照明設備として保守用低圧回線が別途設備されていて、所定の区間ごとにコンセントが設けられておりますので、この保守用低圧回線を電源とすれば、新たに照明設備を設置する必要はなく、設置費が不経済になったと認められるものでございます。  検査報告番号八〇号は、新幹線総局施行した大阪運転所事業用水設備改良工事給水管等布設費積算に関するもので、本件配管工事では、フランジ接合ビクトリック・ジョイント接合による工法であるのに、ネジ接合による配管の場合の歩掛かりを適用して布設費積算しておりますが、フランジ接合等の場合は、ネジ接合より作業が容易で能率がよいので、適切な歩掛かりによって積算すべきであったのに、これを行わなかったため、結局契約額割り高になったと認められるものでございます。  次に、検査報告番号八一号は、下関工事局福岡工事事務所において、博多車両基地新設に伴う在来道路、水路のつけかえ工事について四十九年度末までの既済部分の代価を部分払いしておりますが、この支払いの対象になる道路舗装工事について見ますと、設計舗装厚より大幅に不足し、しかも不均一に施工されておりまして、アスファルト舗装道路としての強度が著しく不足していて、工事の目的が達成されていなかったり、また、在来水門鉄筋コンクリート取り壊し費用支払い額計算を誤ったため、過払いになっていたというものでございます。  次に、検査報告番号八二号は、門司鉄道管理局が、列車食堂営業者等から構内旅客営業料金を収受するに当たりまして、旅客構内営業規則等の適用を誤ったなどのため、列車食堂営業における営業料金算定に当たって営業者使用する電気料相当額を過少に算定していたり、駅構内店舗営業における営業料金算定に当たって営業料金を過少に算定していたりしたため、営業料金収受額が不足していたというものでございます。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  その一は、排水処理施設設計に関するものでございます。  この排水処理施設は、水質汚濁防止法施行に伴い、機関区等から車両の洗浄によって排出される油分を含んだ汚水を基準値以下に浄化するための施設で、集水槽原水槽加圧浮上装置等の各槽から構成されております。検査に当たりまして、施行個所におけるこれら集水槽等配置状態を見ますと、各槽を平面的に分散設置しておりますが、現地の状況から、これらを接続して集約配置し、さらに、地形や地盤の条件が適している場合には、一部の水槽を他の水槽上部に立体配置しても十分に施行が可能であると認められる事態のものであります。  そして、各槽を集約的に配置する設計によれば、各槽の接続部の側壁が共用できることになり、コンクリート量等所要量が減少し、また、立体的に配置することとした場合には、上部配置した槽に必要とした基礎工事は不要となり、相当な工事費を節減することができる状況であります。  加えて、本件工事のため、各槽を分散配置することとして新たに用地を取得しているものが見受けられますが、さきに述べましたように、各槽を集約化もしくは立体化すれば、その相当部分用地購入の必要がなかったものと認められます。  このような事態を生じましたのは、工作局において排水処理装置集約化立体化については適切な指示がほとんど行われていないなど経済的な設計についての配慮が十分でなかったことによると認められます。  本件施設は、今後多数設置されることが見込まれますので、このような観点から改善処置を要求いたしましたところ、国鉄では、五十年十月に地形地質等を勘案して、各槽の構造、配置集約化立体化することとして設計するよう関係部局に対して通達を発するとともに、発注済み工事につきましても、設計変更処置を講じております。  その二は、工事用品準備要求等に関するものでございます。  資材局及び各地方資材部が、四十八、四十九両年度中に車両改造工事踏切等保安設備電気関係工事等に充てるためのものとして購入した工事用品について検査いたしましたところ、各使用部門からの準備要求等に当たって、所要時期、所要数量等見込みが適切でなかったなどのため、四十九年度末までに使用に至らないで、翌年度に繰り越されたものが、百六十八億千五百六十九万余円相当分見受けられました。そして、さらに、このうち、五十一億千九百二十八万余円相当分は、五十年九月末現在、なお使用見込みが立たない状態となっておりました。  いま、その主な事例を御説明申し上げますと、事例一は、工作局見込み準備によりまして、車両改造工事用資材として、冷房装置、車上電気機器等工事用品購入いたしましたが、工場施行能力を超える車両改造を行うことといたしまして、これに必要な数量を見込んだり、他の関連工事施行見通しが立っていない時点で要求したために、今後の使用見込みが立っていないものでございます。  次に、事例二は、各鉄道管理局準備要求等によりまして、踏切整備工事用資材として遮断機等工事用品購入いたしましたが、踏切整理統合につきまして地域住民との交渉の目途が立っていなかったものや費用負担につきまして、道路管理者側との協議が十分に整っていなかった個所の分が購入数量のうちに含まれておりまして、工事施行について、なお部外関係者との間の合意が成立してないなどのために、今後の使用見込みが立っていないものでございます。  次に、事例三は、東京建築工事局及び仙台鉄道管理局等からの準備要求によりまして乗車券印刷発行機及び群管理券売装置購入いたしましたが、この準備要求工事施行見通しが立っていない段階でなされたもので、この結果、工事施行について、なお関係部局との協議が整わないなどのために、今後の使用見込みが立っていないものでございます。  このような事態を生じましたのは、工事用品準備要求等に当たりまして、これを使用する工事規模施行時期等を十分把握しないで購入したことなどによると認められますので、今後の準備要求等に当たりましては、工事実施に関係する各局所等との連絡、調整を緊密に行って当該工事施行時期、規模等適確に把握するとともに、やむを得ず見込準備によらなければならない場合には、その数量必要最小限にとどめて、このような事態発生を極力防止する対策を講ずるよう改善処置を要求したものでございます。  次に、検査の結果、本院の注意により当局において処置を講じたものについて御説明いたします。  その一は、急行形食堂付随車運用についてでございます。  金沢ほか二鉄道管理局では、従来、北陸本線ほか二線区における急行列車食堂付随車を連結して、これに食堂営業を行わせてきましたが、四十八年十月以降、食堂営業を取りやめとしたのに、その後も依然として急行列車食堂付随車を連結して運行しておりました。これら三線区における急行列車は、乗車効率の低い列車であることと、食堂付随車客席数一般車両と比べ半数以下であるのに、運行費用一般車両と同程度の不経済な車両でございます。  したがって、この食堂付随車運用から除外したとすれば、運転検査等の経費を節減できると認められましたので、当局見解をただしたところ、これを運用から除外することとしたものでございます。  その二は、新幹線変電所等新設工事における土工費積算についてであります。  東京第一電気工事局ほか二電気工事局では、新幹線変電所等新設工事のうち、屋外鉄構及び機器基礎掘削等土工費積算について、積算基準により人力施工を主体とする作業の場合の標準歩掛かり等を適用していますが、施工実態を調査いたしましたところ、近年、土木機械多様化変電所規模大型化に伴って、この種土工事においても機械施工の割合が増加し、経済的な施工がなされているところであります。  したがって、施工実態に合った積算をする必要があると認められましたので、当局見解をただしたところ、国鉄では、五十年十月に、このような場合に適用する積算基準を新たに定めたものでございます。  その三は、橋梁防音工事における工場加工等積算についてであります。  新幹線総局及び東京第二工事局ほか二工事局では、新幹線騒音防止対策として無道床鉄けた橋梁防音工施行していますが、鉄けたの下面に防音のために取りつける消音鋼板耐候性鋼板工場加工費については、新幹線総局か作成した積算基準に示されている加工基本直接工数を適用して算定していました。しかし、施工実態を調査したところ、加工基本直接工数積算基礎となった工数を相当程度下回っておりました。  また、取りつけ労務費については、新幹線総局が作成した積算要領に示されている標準歩掛かりを適用して算定していますが、この取りつけ作業と同様のボルト締めつけについて、国鉄本社施工実態を調査して作成した積算基準に示されている標準歩掛かりは、本件積算基準となった工数を相当程度下回っておりました。  したがって、いずれも施工実態に合った積算をする必要があると認められましたので、当局見解をただしたところ、新幹線総局では、五十年九月に積算要領施工実態に適合したものに改めたものでございます。  なお、以上のほか、昭和四十八年度決算検査報告に掲記いたしましたように、(1)変電所等電気設備工事における空気配管工費積算、(2)車両工場等地方資材部との間の資材準備要求等にかかわるデータの授受、(3)工場製作品を材料として多量に使用する工事施工、(4)潜函工事における掘削沈下費積算、及び(5)路盤鉄筋コンクリート工事における突起コンクリート型枠費積算について、それぞれ処置を要求しましたが、これに対する日本国有鉄道処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 芳賀貢

  11. 高木文雄

    高木説明員 昭和四十九年度日本国有鉄道決算につきまして、ただいま、運輸大臣から予算区分に基づく収入支出決算状況の御説明がございましたが、日本国有鉄道法第四十条に基づく財務諸表により、経営成績概要を補足して御説明申し上げます。  昭和四十九年度におきましては、旅客輸送量は前年度より増加いたしましたが、貨物輸送量は前年度より減少いたしました。  これを収入面で見ますと、営業収入は、旅客収入一兆一千二百五十一億五千百四十五万円、貨物収入二千四百五億四千三百二十五万円、雑収入五百七十八億四千八百七万円、助成金千四百七十八億七千百七十六万円、合計一兆五千七百十四億千四百五十三万円となっております。  なお、助成金は、工事費補助金財政再建債利子補給金及び特別利子補給金であります。  この営業収入を前年度と比較いたしますと、旅客収入千三百二十九億二千三百十九万円、率にいたしまして一三%の増加貨物収入二十四億四千五百五十九万円、率にいたしまして一%の増加雑収入二十九億千八百七十三万円、率にいたしまして五%の増加助成金五百四十億七千二十三万円、率にいたしまして五八%の増加合計千九百二十三億五千七百七十四万円、率にいたしまして一四%の増加となっております。  輸送量につきましては、旅客輸送量二千百九十二億二千二百三万人キロ、貨物輸送量五百二十三億八千三百七十五万トンキロと、それぞれ前年度に比べますと、旅客は三%の増加、貨物は一〇%の減少となっております。  営業経費は、極力経費の節約に努めてまいりましたが、仲裁裁定等による人件費の増加、物価高騰による物件費の増加並びに利子等の増加がありました結果、営業経費の合計は二兆二千三百二十八億七千九百五十四万円を計上するに至りました。  この内訳は、人件費一兆三百三十五億千九百万円、動力費九百九十三億二千二百六十二万円、修繕費三千八百億千七百十四万円、業務費千九百二十八億七千四百二十三万円、租税及び公課百六十八億七千九百十九万円、営業費計一兆七千二百二十六億千二百十八万円、利子及び債務取扱諸費二千六百九十七億八千四百五十八万円、減価償却費二千二十七億二千九百五十七万円、固定資産除却費百六十一億六千六百二十一万円、繰延資産償却費二百十五億八千七百万円、資本経費計五千百二億六千七百三十六万円、合計二兆二千三百二十八億七千九百五十四万円であります。  以上の結果、営業成績は営業損失六千六百十四億六千五百一万円を計上することとなり、営業外利益百六億六千七百八万円を含めて純損失は六千五百七億九千七百九十三万円となりました。  このため、前年度から繰り越された欠損金一兆五千九百五十五億二千百二十八万円と合わせて繰越欠損金二兆二千四百六十三億千九百二十一万円を計上することとなりました。  次に、設備投資の概要を御説明申し上げます。  昭和四十九年度は、山陽新幹線、東北新幹線、大都市圏の輸送対策、主要幹線の電化及び複線化、安全対策及び公害対策、合理化等の諸工事を実施いたしました結果、設備投資額は七千九百一億三千八百九十九万円となりました。  なお、昭和四十九年度の設備投資額の事項別内訳は、新幹線四千四百二十六億九百七万円、大都市圏輸送六百二十八億八千八百七十二万円、幹線輸送千二百九十二億八千五十六万円、安全公害対策合理化等千五百五十三億六千六十四万円、合計七千九百一億三千八百九十九万円であります。  この設備資金の調達は、そのほとんどを外部資金によりました。  新たに長期負債の増加となる外部資金調達額は、資金運用部等からの借入金一兆八百五十六億円、鉄道債券発行額四千二百八十六億三千八百万円、合計一兆五千百四十二億三千八百万円であります。一方、長期負債の償還等に伴う減少額は三千四百四十億二千六百十四万円でありまして、この結果、長期負債は前年度に比べて一兆千七百二億千百八十六万円増加し、昭和四十九年度末において五兆五千三百八十一億三千百八十四万円となりました。  また、資本金は、一般会計より千百三十億円を受け入れ、昭和四十九年度末において三千八百六十億千六百八十二万円となりました。  なお、負債・資本総額のうちに占める負債の比率は、前年度の一〇〇%から一〇九%となりました。  最後に、昭和四十九年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項四件と是正改善処置を要求された事項二件の御指摘を受けました。  このことは、まことに遺憾にたえないところでございまして、今後、さらに予算効率的運用に一段の努力をいたす所存でございます。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  13. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  14. 森下元晴

    ○森下委員 私は、陸海空について御質問したいと思います。大臣の御答弁は、最後にまとめて御所見という形でお願いしたいと思います。  初めに、航空問題、お聞きしたいと思います。  日本航空は政府出資が約五〇%でございまして、当然会計検査の対象になっております。私は、六年前に、この決算委員会におきまして質問をして保留をしておった問題がございます。最近解決できたようでございますので、御答弁をお願いしたい。また、後で会計検査の方からも、検査結果の御報告をお願いしたいと思います。  この件は、日本航空と日本国内航空が合併しなくなったことに伴う問題の処理でございます。昭和四十五年十一月二十日閣議了解で、最終的には政府の承認を受けて決定する、こういうふうにされておったわけでございます。その解決が昨年の四月一日に両者が合意して清算されておるようでございますけれども、政府は、いつこれを承認されましたか。その件について、まずお伺いしたいと思います。
  15. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十五年の閣議了解におきまして、この件につきましては最終的に政府の承認を受けることになっておりますところまでは、いま先生の御指摘のとおりでございます。その後の経過について御報告申し上げます。  昭和四十六年の三月三十一日、日本航空株式会社は日本国内航空株式会社に対しまして、合併を前提とした両者の諸契約は、その前提がなくなったのでありますから無効である。したがって、これまでの関係を清算をいたしたい。そして、その理由によりまして約二十二億円の日本航空の受け取りとなる金額を提示いたしまして、日本国内航空と協議の申し入れを行いました。これに対しまして日本国内航空の側は、清算を行うべき法令または契約上の根拠はなく、もとの契約に従うべきことを主張していたわけでございます。  次に、日本国内航空と東亜航空が合併いたしまして、昭和四十六年五月十五日に合併会社の東亜国内航空ができまして、この会社に、この問題が引き継がれたわけでございます。そして日本航空との間に協議が続けられました結果——この間ずいぶん時間がかかったわけでございます。そして、その間におきましては、国会におきましても運輸省は両者を督励して、早く決着をつけるようにせよというふうに御決議をいただきまして、私どもも両者を督励してまいりました。なかなか思うように進みませんでしたけれども、昨年の春先に一応両者の調印ができまして、私どもの方に承認を求める話が参りまして、それについて協議を続けてまいりまして、五十二年三月三十一日に承認をしたわけでございます。  この五十一年の春に両者が合意に達しましたことの考え方は、かつて日本航空と日本国内航空とが合併をするということを前提といたしまして、運営の一体化を図ったわけでございます。日本国内航空のジェット機を三機日本航空が借りる、そして必要な要員もつけてもらうというふうな種類のことによりまして、運営の一体化を図ったわけでございますけれども、そのことによりまして、日本航空と日本国内航空とが、それぞれが受けました利益がありますし、それぞれが受けました損失がございます。その因果関係がどうなっていくのかという点を中心といたしまして検討をいたし、その結果、両者は五十一年四月一日付で合意をしたわけでございます。  合意の中身を簡単に申し上げますと、争点が大きく二つございます。  一つは、航空機の賃借料でございます。日本航空としては、日本国内航空と合併をするということを前提に、かなり高い賃借料を払ってきた。したがって、合併がなくなった以上、それを全部もとに戻して、白紙に戻しての検討だ、払い過ぎ分を全部返せということでございましたけれども、この点についての両者の合意に達しました内容は、こういうことでございます。  この両者の業務提携が行われました昭和四十一年度から四十三年度まで約三年間は、運輸省が当時の国内航空輸送需要の動向から、国内幹線のジェット機の数に制限を加えていたわけでございます。これは行政指導でございますけれども、供給過剰になることを恐れまして、制限を加えておりました。したがいまして、日本航空といたしましては、当時日本国内航空からジェット機を借りてくるという以外に、日本航空として国内幹線のジェット機をふやして増収を図るチャンスがなかった。したがいまして、市場価格プラスプレミアムというものが入りました、いわゆる原契約に基づきますところの割り高な賃借料を払っていることを、日本航空はそれを認めるというふうにいたしました。  ところが、四十四年度以降につきましては、そういう国内幹線のジェット機の機数の制限という縛りがなくなりましたので、通常の市場価格—合併がなければ通常借りられたであろうもっと安い価格で計算をいたしました。そういうことで計算をいたしました結果、日本航空が払い過ぎであると言っていた分と、日本国内航空が当然もらうべきであった分というふうなものの関係を清算をいたしまして、日本航空は東亜国内航空から十三億九千八百万円を受け取る、そういうことで合意をしたわけでございます。  関連いたしまして、昭和四十五年の閣議了解以後、この航空機を実際に日本航空が返還をいたしましたときまでの航空機賃借料は払ってなかったわけでございます。このことを、この際清算いたしまして、日本航空は当然これは払うべき点でありまして、このことについては、もともと争点がなかったところでございますが、四十六年七月十日に二機を返す、同じ九月一日に一機を返す、合計三機分の四十五年十月から、この時点までの未払いの航空機賃借料といたしまして、日本航空が東亜国内航空に九億一千百万円を支払う、この点が、まず航空機賃借料に関する合意の概要でございます。  第二の争点は、航空機を借りたことに伴いまして、日本国内航空から、それを操縦する。パイロットが日本航空の方に移っていったわけでございます。その後、合併がなくなりましたために、再び東亜国内航空の方の側に帰ってまいった人もたくさんございますけれども、最終的には、十八人のパイロットが日本航空に残りました。これはもともと日本国内航空時代にパイロットとして一人前の仕事ができるように養成をして、仕上がった人間を日本航空がもらった形になる。それだけ日本航空は養成費が節約されたのである。逆に東亜国内航空の方の側としては、この穴を埋めるために、操縦士に仕立てるために新人を採用いたしまして、十八人のパイロットを養成する必要がある。そういたしますと、この訓練費を積算いたしますと、五億九千七百万円になります。この分は日本航空が東亜国内航空に支払おう、こういうことになったわけでございます。  これらに関連いたしまして、利息とか、あるいは航空機の整備費の分担金、あるいは立てかえ保険料等を整理いたしまして、日本航空の受け取り分が一億四千九百万円、このような数字を全部差し引き計算いたしますと、最終的に日本航空が三千九百万円を受け取るということで両者は合意をいたしたわけでございます。そして、私どもはその内容を精査いたしまして、ことしの三月三十一日に承認をいたしたわけでございます。
  16. 東島駿治

    東島会計検査院説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、従来からたびたび問題になっておりましたので、私どもとしても非常に重大なる関心を持って検査しておりました。それで、先ほど運輸省当局から御答弁がございましたように、昨年の四月一日付で合意に達しまして、覚書を両者交わされましたので、それについて、われわれとしても非常に詳しく検討したわけでございます。  その中で二点ばかり、われわれとしても、ちょっと疑問がございましたので、昨年照会をし、また回答をいただいたわけでございますが、当時としましては、運輸大臣の御認可がなかったので、債権債務としては確定してないということで、その最終的な結論につきましては、本年に持ち越したわけでございまして、いま申し上げました二点ばかりにつきまして、今後さらに検討を重ねていきたい、このように思っております。
  17. 森下元晴

    ○森下委員 この問題につきましては、もう六年前に私が質問いたしまして、当時約二十八億ばかり日本航空か国内航空に、返せと——四十一年五月二十日の閣議了解で、日本航空と国内航空が合併する、昭和四十六年には合併できる、そういうことでジェット機三機、B727をリースして、これを好意的にいわゆる賃借料を払っておった。われわれから言わしめれば、過分の援助をしておったように思うのです。それが急に航空再編成が変更になったために、国内航空は東亜国内航空と合併した。婚約しながら結婚を破棄された日本航空としては、感情的になった点も私はあると思うのです。その結果、二十八億が三千九百万円で手が打てたということでございますので、長らくかかりましたけれども、終止符を打ったようなことでございまして、これで私の保留しておりました質問について、一件落着というかっこうでございます。  多少疑点もあるかもわかりませんけれども、とにかく航空需要は非常にふえておりますし、日本航空、それから全日空、国内航空、非常に安全性を要求される輸送事業でございますので、この点三者ともが完全に輸送できるように願うわけでございます。  この件は、この程度で終わりたいと思いますけれども、次に、同じ航空問題で、新東京国際空港の開港問題でございます。  航空需要は、御承知のように昭和四十年ごろで約五百万人と聞いておりますし、昭和五十年は二千五百万人、十年間で約五倍くらいの航空需要人口があったわけでございます。昭和六十年に恐らく一億を超すであろう。非常にふえ続けておる。しかしながら、空港の整備が非常におくれております。非常な期待をされまして、昭和四十一年の七月に新東京国際空港公団が発足いたしまして、もう十年以上の歳月がたっておりますけれども、まだその見通しが立っておらない。政府出資にいたしましても五百十八億円余、それから、長期借入金も千六百億円余の多額になっておりまして、五十一年事業年度支払い見込み利子額だけでも百十九億円である。  この点につきまして、いつごろ開港できるのか、決算から見て非常に効率の悪い、多額の投資をしながら、需要が増大しておるにもかかわらず、非常に安全度が要求されておるにもかかわらず、これが開港できない。非常に遺憾なことだと思います。この点につきまして、時間の関係で簡単で結構でございますから、お答えを願いたいと思います。
  18. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 新東京国際空港の開港にこぎつけることのできない大きな原因が二つございます。  一つは、燃料の輸送問題でございまして、御承知のように本格的なパイプラインによる輸送方式がうまくいきませんので、さしあたり暫定輸送方式ということで、鹿島港及び千葉港から荷揚げいたしました油を鉄道で運ぶという方式を立てたわけでございますが、鉄道が走る沿線の市町村から、ジェット燃料の輸送に伴う危険というようなことを理由にさまざまの御要望等がございまして、それとの折衝にずっとかかっておったわけでございます。これはおかげさまで、茨城県方は全部済みまして、千葉県側につきましても、現在もう八分どおり済みまして、近く関係町の合意をいただけると思っております。そういたしますと、燃料輸送問題は、一件落着をすることになると思います。  それから、もう一つは、四千メートル滑走路の南側場外にございます二本のいわゆる妨害鉄塔でございますが、これがございますと、航空機が飛べません。そこでこれを、航空法による障害物でございますので、何とか取っていただきたいという要請をただいま、あれを建てられました反対同盟に対しましていたしております。自由なる合意によって取っていただくことがむずかしいような情勢にも立ち至るかもしれません。その場合には、千葉の地方裁判所に仮処分申請をいたしまして、仮処分の決定をいただいて撤去をするというふうなことに、あるいはならざるを得ないかと考えております。  地方裁判所の仮処分の決定までに、どれくらい時間がかかるかということが不確定要素でございまして、そのことが私ども読めませんので、確定的な開港時期はいまわかりませんけれども、ある日に、その仮処分の決定が仮にいただけて、そして鉄塔が撤去されたと仮定いたしますと、私どものいまのもくろみでは、撤去後約五カ月いたしますと開港準備が全部整う、こういうふうな段階でございます。私どもは、何とかして年内には開港をいたしたいということで、いま努力をしておる最中でございます。
  19. 森下元晴

    ○森下委員 新空港には世界各国から、かなり乗り入れの申し込みがあるようでございまして、一日も早く開港して、安全な航空行政ができるように努力をお願いしたいと思います。  それから、関西国際空港の計画を、場所、工法、工費着工時期等についてお尋ねしたかったのですが、時間の関係で、これもひとつ早く決定していただくようにお願いしたいと思います。これは要望だけといたします。  それから、ローカル空港の問題です。  全国各地同じような問題がございますけれども、ちょうど私の選挙区でございますけれども、徳島空港でも、非常に県民の願望がありながら、せっかく予算をつけていただきながら、いろいろなネックがございまして開港できない、そういう事情でございますし、そのネックの中には、海上自衛隊との共用飛行場でございますから、滑走距離を延ばすために、管制塔が真ん中でなくてはいけないとか、また、それを移動するために、かなり経費を要するとかということがあるやに聞いておりますので、この点、防衛庁から施設課長がおいでになっているようでございますから、防衛庁の立場と運輸省航空局の立場、両方から、これも簡単にひとつ御答弁願いたいと思います。
  20. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在問題になっておりますポイントは、大体先生の御指摘のとおりでございますが、防衛庁との間で話がかなり最終段階に来ております。両方の経費の分担の問題だけでございますので、これは余りそんなことで時間をかけては申しわけありませんので、精力的に詰めまして、もう一、二カ月以内には少なくとも解決をいたしたいということで、いま鋭意折衝をいたしております。
  21. 千秋健

    ○千秋説明員 いま運輸省の方がお答えしましたのと問題点の内容は同じでございますので、私どもの方としましても、徳島空港の整備等につきましては、十分理解を持って、この問題について協議したいと思っております。
  22. 森下元晴

    ○森下委員 早急に協議して着工できるようにお願いしたいと思います。  次に、国鉄、特に新幹線の問題について、これもひとつ簡単にお答え願いたいと思うのです。  先ほど総裁から国鉄の収支内容等について詳細な説明があったわけでございますけれども、借入金も非常に多いし、また赤字も多い。しかし、鉄道が日本の発展のために貢献した功績は大きいわけでありまして、明治維新以来、鉄道法と郵便法が交通、通信全国ネットワークを敷きまして、これで日本の経済、産業、文化、すべてこの原動力によって発展してきたと言っても過言ではございません。しかしながら、赤字であることは事実でございますし、大変な時期に総裁も努力しておるわけでありますけれども、その中で新幹線の収支内容は一番いいわけでございます。これにすべてをかけるような体制でもあるわけでございます。  しかし最近、この新幹線も、事故がかなり出ております。私ども、よく利用させてもらっておりますけれども、東京から大阪に行く間の、あのいわゆる関ケ原の積雪地帯、豪雪地帯、あそこに行くたびに列車が徐行いたしまして、そのために一時間以上もおくれて払い戻しをしなくてはいけない。日本列島の中で関ケ原付近が、昔もそうでございますけれども、いまでもネックになっておるわけでございます。  そういうことで、この雪害対策と申しますか、それから新幹線に期待するところ、われわれも大でございますが、その点についてお答え願いたいと同時に、第二新幹線という構想もあるようでございます。われわれもちょっと聞きますと、関ヶ原あたりを避けて鈴鹿山脈を抜いて、むしろ紀の川上流に出て和歌山の方に出る方がいいのではないかという建設省案のワイズマン工法があります。すなわち、大臣は三重県の方でよく御存じだと思いますけれども、伊勢湾に橋をかけて、そうして志摩半島から鈴鹿山脈をトンネルで抜いて、それから紀の川上流に出て和歌山に出ていく、そうして淡路を渡って四国に出て九州に行く、こういう構想の道路計画もございますし、第二新幹線が、もし将来計画されるならば、やはり関ヶ原付近は非常なネックでございますので、そういう構想もちらっと聞いておりますので、それが本当にあるのかどうか、ございましたら、お聞かせを願いたい。これも簡明にひとつよろしくお願いします。
  23. 高木文雄

    高木説明員 新幹線が特に関ケ原を中心にしまして雪害で非常に御迷惑をかけておるわけでございまして、何とかしなければならないということで、たとえば、水をまくことによって雪が吸い上げられないようにするというようなことも研究をし、実施に移してはおりますけれども、まだ全体の距離の中のごく一部しかできておりませんような次第でございまして、これをなるべく早く進めることによって、いまの輸送障害を除去いたしたいというふうに思います。  それから、第二の点の新しい線のことにつきましては、お示しのような案は、私どもも一部にそういう案があり得るという話を聞いておる程度でございまして、まだ、いまそこのところまでは、国鉄部内で技術的に詰めるところまではいっていないわけでございますが、その点は技術関係で私もよくわかりませんので、補足をして担当常務から説明をいたさせます。
  24. 高橋浩二

    高橋説明員 後半の問題につきまして、いま総裁が申し上げましたように、私の方もまだ具体的に検討をいたしておりません。中央新幹線の調査ということで、東京から名古屋の間の山脈地帯の技術的の可能性ということについては、運輸大臣からの御指示も得て、ただいま調査をいたしておりますけれども、名古屋から先、大阪あるいはそれから西に向かってのルートについては、ただいまのところ、具体的に調査いたしておりませんので、いまお示しのような雪害の面からの技術的な検討ということも、確かに重要なことかと思いますので、将来そういう点も含めまして、私の方は検討いたしたいというふうに考えております。
  25. 森下元晴

    ○森下委員 新幹線は、まことに雪に弱いし、強い風には弱いようでございまして、せっかくの世界一の新幹線が雪や風に負けないように、ひとつよろしくお願いしたい。うんとかせいでもらって、そして赤字を解消していただくようにお願いしたいと思います。  次は、海運関係について御質問をいたします。  初めに船舶整備公団ございますけれども、この公団船の貸付状況、それから返済状況について、これも簡単で結構でございますから、お願いしたいと思うのです。  最近海運界も余りよくないようでございます。その中で、船舶整備公団の占める役割りは、非常に重大でございますし、ひとつ船舶整備公団の方で従来どの程度の金額をどのような方面に貸して、その貸付状況はどうであるか、また船舶整備公団の方から見た現在の荷動きの状況は、いわゆる公団船にかせいでもらわないと、金が返せないというような状況もございますし、公団の方としても、荷物の心配までしておるようでございますけれども、将来見通しがかなりあるのかないのか、そういう点についても、ひとつ簡明にお答え願いたいと思います。
  26. 亀山信郎

    亀山参考人 お答え申し上げます。  現在船舶整備公団が共有という形で持っております船舶は、五十年三月末で旅客船三百八十二隻、貨物船五百三十一隻、はしけ等が三百三十九隻、荷役機械が九百五十八台等ございまして、主として国内における旅客及び貨物の輸送に役立つように精いっぱい努力をいたしております。  この資金は、預金部資金あるいは債券等による、いわゆる財政資金で調達をいたしておりますので、これが回収については細心な注意を払っております。しかしながら、一方において公団が対象にする、お相手になっております船主さんは、御承知のとおり中小零細企業でございまして、大企業と違って資金力、営業力に非常に乏しいものでございます。これらを援助するというのが主たる使命でございますので、回収に当たりましては、高利貸しのような取り立てばなるべくいたしたくない。しかし、一方において貴重な財政資金であるという点で十分注意しながらやっております。しかし、幸いにいたしまして、船主さんの方でも非常に協力的でございまして、今日までにそう大きな使用料の延滞というものは発生いたしておりません。  いま御指摘ございましたように、最近の海運の状況は不況でございますので、若干その使用料の延納がふえておりますけれども、私どもは、そういう会社については、一つずつ細かに資金繰りの状況等を拝見いたしまして、そうして支払い猶予の措置をとる。ここ数カ月は猶予をいたしまして、その後に多少とも景気が上向くときに分割して猶予した分を返済していただく、こういう措置をとっておりますので、実際に回収が全く困難になっておるというものは少ないわけでございます。ただ、昨年来の不況の中で旅客船で二社、貨物船で一社、事実上もしくは本当の倒産をいたしました会社がございますので、これらについての使用料の回収は、なお非常に困難ではないかと考えております。  今後の内航海運業界の見通しにつきましては、私より海運御当局の方から御説明するのが筋だと思いますが、私どもは、やはり政府の景気政策が一日も早く功を奏して国内の荷動きが活発になっていくということが何よりも大事でございます。国内の貨物につきましては、鋼材と石油とセメントが非常に大きな部分を占める。特にそのうちで、石油の方は、まあまあ順調にと申しますか、国内の沿岸タンク船は、好景気とは決して申せませんが、どうやら経営が成り立つような状況でございますが、鋼材の荷動きが非常に悪いために、貨物船は非常に苦心をしておりまして、われわれとしても、早く国内の公共投資あるいは設備投資が回復して、それによって国内の荷動きが活発化する、これが何よりも内航海運業界にとって大事なことでございます。  他方におきまして、やはり古くなった船が相当多いわけでございますから、これを公団等の手によりまして効率の高い船にいたしまして、経費を節減して能率を上げる、こうして経営内容を改善する、こういうことを、われわれとしても今後とも御当局の指導のもとに、できる限り進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  27. 森下元晴

    ○森下委員 それから日本内航海運組合総連合という会かございますけれども、これは任意団体でしょうか、それとも社団法人、または財団法人でしょうか、お答え願います。
  28. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  内航海運組合総連合会、これは内航海運組合法の法律に定められたる団体でございます。内航海運組合法は、内航の海運業者が相互に組合を設立することを可能ならしめる法律でございますが、そのようにしてできました各種の組合というものを、またさらに一元的、全国的に集める組織として日本内航海運組合総連合会、これは同じ内航海運組合法の法律の中にあらかじめ予定された組織でございます。
  29. 森下元晴

    ○森下委員 その性格等につきましては、ただいまの御説明よくわかりました。ただ、船舶整備公団の資料をいただいた中でも「総連合会の定めるところによる」という文句があり、自主規制団体である総連合会が、かなり行政に立ち入ることができるように、われわれは聞いております。これは間違っておるかどうか知りませんけれども、非常に大きな力を持っておるように実は聞いておるのです。この件につきましては、また別の機会に、私ももう少し掘り下げて質問したいと思いますし、きょうは時間がございませんので、この総連合の問題については、この程度で、局長さんの説明だけをお聞きする程度にとどめたいと思いますけれども、また機会を見まして、総連合について、実際にどういうことをやっているか等について、いろいろお尋ねをしたいと思います。  それで、私は陸海空につきまして質問をいたしてまいりましたけれども、最後に、大臣にお尋ねしたいと思うのです。  航空の方は非常に需要が多くなりまして、最近はどの空港に行きましても、非常にふくそうして、たくさんの客がキャンセル待ちになっておるということで、収入の面、いわゆる財政状況につきましては、かなりいい状態だと思うのですが、残念ながら整備が追っつかない。空港が本当に満杯でございまして、大きな飛行機も入れないし、また便数もふやすことができない、新しい空港もなかなか簡単にできないというような隘路があるようでございます。  鉄道輸送の問題につきましては、人事問題とか、また赤字問題を抱えまして、これも一つの悩みを持っております。  また海運問題につきましては、長期の不況の中で荷をどうするか、運賃は簡単に上げることができない。貨物輸送、特にフェリー輸送なんかでも、いろいろ統廃合したり、また中には休んで船を係留してあるような事実もございますし、あるところでは、かなり荷は動いておりましても、運賃が安いために収支がとれない、海運界も非常に低迷の状況でございます。  しかしながら、やはり陸海空を通じまして、輸送というものは日本の産業にとって非常に大事な動脈でございます。そこで、総合的に能率的な輸送体系を将来どういうふうにしていくか、またいま申し上げましたようなネックをどういうふうに解決していくか、この件につきまして、最後に大臣の所見をお聞かせ願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 田村元

    田村国務大臣 いまのお尋ねは、いわゆる総合交通体系をどうするかという御趣旨かと存じます。昭和四十六年七月に運政審が答申をいたしました。たしか十二月でございましたか、関係閣僚協で閣議了解がございました。これが一つの総合交通体系ということが言えるかもしれません。私ども、これを見ておりまして、基本的な問題点については、おおむね今後も妥当であろうと思いますけれども、しかし、御承知のように、ここ数年というものは社会環境、経済環境が激変をいたしまして、そしていまなおその余震といいますか、安定性を欠いておるということも否めない事実であろうと思います。  でありますので、いずれにいたしましても、経済社会環境の激変で、この総合交通体系というものを相当手直ししなければならぬ、これも当然でございますけれども、何といっても社会経済環境が一応おさまるということを見越していかなければなりませんから、同時に三全総が恐らく近々できると思いますが、この三全総との整合性ということも考えなければならぬということでありますけれども、いま運輸省におきましては、こういう問題について各局が非常に熱心に努力をいたしております。将来よき総合交通体系を策定したい、このように考えておりますけれども、時期的には、いま直ちにこれを手直しをするということによって固定せしめることは、いかがなものであろうか、時期的に若干適当でないような、そういう感じでございます。
  31. 森下元晴

    ○森下委員 終わります。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員長 北山愛郎君。
  33. 北山愛郎

    ○北山委員 私の問題は、ローカル空港の整備、拡張の問題であります。この問題は、この前の予算委員会でもお尋ねをしたわけでございますが、時間が非常に短くて要を得ませんでしたので、きょうは要点をしぼりまして、特に運輸大臣のお考えを尋ねたい、こう思います。  その前に、第一に第三次空港整備計画——第一次、第二次、第三次とやってまいりまして、そうして地方空港につきましてもジェット機化のための整備をやっておるわけですが、第三次空整が過ぎましても、ジェット機が飛べる飛行場というのは、昭和五十五年になりましても、たしか二十九しかない、あと四十ぐらいのものが残るわけでございます。そこで運輸省としては、今後この四十のものにつきましても、YSHの後継機というかジェット機化するというための整備を進めていくのかどうか、その整備は一体いつごろをめどに終わるのか、あるいはその整備には相当巨額な金がかかると思うのでございますが、その資金というものはどの程度になるのか、この辺のところをひとつ航空局長からお答えを願いたいと思います。
  34. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  現在ジェット機でない、いわゆるYSHの飛行機が使っております空港が、私どもの手元の資料で四十一あるわけでございます。その四十一の中で、現在ジェット化をすべく滑走路の延長工事を整備しております空港が十五ございます。これらのうち、五十五年までに完成するものは五つでございます。それから現在まだ着手をしておりませんが、この第三次五カ年計画の期間中に整備に着手をするという空港が六つございます。そういたしますと、現在私どもの計画に全く載っていないという空港が、まだ二十五ほどあるわけでございます。このうち、将来ジェット化ということに地元の御要望等でなるだろうと思われるものが六つ、七つございますけれども、十七、八のものにつきましては、いまのところ全く方向は決まっておりません。  しかしながら、十七、八の中でも離島などにおきましては、いわゆる近距離離着陸機、最近問題になっておりますようなSTOLジェットではなくて、プロペラのSTOL機でございますが、離島などで、八百メートルの滑走路で離着陸できる、そういうSTOL機に適する空港が恐らく十近くあるのじゃないか、そういうふうに考えておるわけでございますが、これらのものすべてにつきまして、将来の輸送需要に合わせた整備が完了いたしますのは、まだ私は十年はかかるのではないかというふうに考えております。  整備費につきましては、用地費がそれぞれの地域によって違いますので、なかなか一概に積算できないわけでございますけれども、ただいま私どもがやっております第三次五カ年計画では、いわゆる地方空港の整備に千七百五十億円を投下いたしております。仮に、これが第四次、第五次と行われると仮定いたしましても、千七百五十億円がふえることになるだろうと思います。と申しますのは、現在の第三次計画の中で、たとえば約九千億円のお金の中で三分の一の三千億円は、空港の環境対策費に使われておるわけでございますが、これらは、この五カ年間でかなり整備が進みますので、次の五カ年計画になりますれば、地方空港の整備の方にかなりウエートがかけられる、恐らく二千億円は超すものが計上できるであろう。ごく大ざっぱにいまの価格で積算をして、あと十年間に七、八千億ぐらいのことになるでありましょうか、全く自信はございませんが、五、六千億から七、八千億は少なくともかかるのじゃないだろうか、こんなふうに考えるわけでございます。
  35. 北山愛郎

    ○北山委員 そのように第三次空整で計画中のものが完成するのも五十五年以降ですから、それ以外にも、まだ二十五も整備しなければならないものが残っている。従来の計画が遅延しているという経過から見ましても、いろいろなネックがございますから、私は計画よりは相当ずれていくのではないかと思うのです。そういうものはやはり計画的に整備をしないと、それ以前にYS11がリタイアしてしまう、ブランクが出るんじゃないだろうか、こういうような問題については運輸省としてはどう考えていますか。
  36. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 その前に、先ほど申し上げました数字の訂正をさせていただきます。  四十一のYS空港のうち、現在ジェット化の整備をしている空港が十五と申し上げましたが、間違いでございまして、現在十でございます。その十のうち、五十五年度までにでき上がるものが五つ、五十六年度以降になるものが五つということで十でございますので、申しわけございません、訂正させていただきます。  そこで、お尋ねの点でございますけれども、YS11の後継機といたしまして、御承知のようにプロペラ機は、いま世界のどこでも、もう需要がございませんので見当たらないわけでございます。そういたしますと、すべてジェット機になってしまうわけでございます。私どもの現在手元にある限りの資料では、実用にたえるジェット機というものは、いずれも滑走路の長さは、やはり二千メートルが必要になる、そういうジェット機しか現在私どもの手元にはわかってないわけでございます。  ただ、たとえば千二百メートルくらいで離着陸できるジェット機が外国のメーカーの手元で開発されて、それが世界の航空会社の方に一応引き合いが出ております。そういったものは二、三機ございますが、これにつきましても、まだそういった段階でございまして、本当にこれが実用にたえるものかどうか、経済性、安全性等詰めまして、その結論が出ますのにはまだ二、三年はかかるであろうと思いますし、また航空機は数十機あるいは百機近くの単位で注文がまとまりませんと、なかなか製造する方でも踏み切らないということがございまして、不確定要素がございますので、いま千二百メートルというふうな短い滑走路で済む短距離ジェット機を前提に計画を立てることは、まだ適当でないということで、さしあたり従来型のジェット機、二千メートル滑走路の必要なジェット機ということを前提にいたしまして、ローカル空港の整備計画は立てていきたいと私どもとしては考えております。
  37. 北山愛郎

    ○北山委員 私の言いたいのは、いまのような状況で、空港整備というのは、相当に時間がかかるし、金もかかる。しかも最近の状況からすれば、騒音対策とか環境対策というものが非常にめんどうくさくなってきている。したがって低騒音、騒音の少ない飛行機という要望も非常に強くなってきている。ですから、原則としてというか、その三次空整のようにジェット機化するためには、二千メートル以上なければならぬのだということで、どこまでも固執をすることは、それ自体一つの矛盾ではないかと思うのです。なぜかならば、二十五なり三十なりの飛行場が残るわけですから、飛べる飛行機がないままにブランクが出る、こういうことについての考え方も持たなければ、いまのところ、新しい小型ジェット機等の開発については、まだ確信は持てぬというけれども、その中間的なものとしても、少なくとも運輸省としては、そういうものの開発なり、あるいは採用なりについて、もっともっと熱意を持っていかなければならぬのではないか、私はそう思うのです。  それは具体的に、この前も指摘しましたけれども、科学技術庁の諮問機関である航空技術審議会、この中には運輸省の関係官も入っているはずですが、そこがおととしの暮れに建議案を政府に出して、これは極端ですが、九百メートル以内で百五十人乗りのSTOLを開発しろという建議をして、それを受けて科学技術庁が航空宇宙技術研究所でもって研究に着手をして、その予算もついているわけですね。そういうことが進んでいる。それからまた最近、航空政策研究会というところでも、いろんな提言をしておる。ここにありますけれども、これは通産省関係の機械振興協会の委託に基づいた研究報告なんです。これを見ましても、いま申し上げたような事情で小型のジェット機を開発すべきである。それは騒音公害を少なくする意味からも、あるいはローカル空港全部で何十というのを拡張するために、先ほどお話があったように七千億も八千億もの巨額な投資をするよりは、この方が経済性があるのだ、こういうことを提言して、そして千二百メートル、百二十人乗りくらいのものを使うことが適当だし、また、その需要もふえてくるんだということをレポートとして出しているんですね。  そういう研究が行われているのに、いままで私は委員会でも、あるいは運輸省との折衝においても、こういう点を指摘しましたのにかかわらず、STOLとか、そんなものはまだまだだめなんだというような姿勢は、ぼくはいただけないと思うのです。運輸省こそが、そのブランクを埋めるための小型のジェット機を開発し、採用するための積極的な姿勢が必要だと思うのですが、いままでの話を聞かれまして運輸大臣、いかがお考えでしょうか。
  38. 田村元

    田村国務大臣 短滑走路で役に立つジェット機の開発というのは、当然一生懸命進めていかなければならぬと思います。科学技術庁でいま開発中と聞いております飛行機も、何か実用開始が早くて六十三年ごろということだそうでございますが、いまの世界各国のSTOLの開発状況を見ましても、ちょっとすぐに実用化されるめども立たないようであります。そしてまたYSはリタイアだというので、その間どのようにしていくかということで、現在ある飛行場のジェット機に向いた改修といいますか、これを進めておるわけでございますが、それはさておきまして、運輸省も真剣にSTOL型のジェット機を開発する努力をしなければならぬ、これはもうおっしゃるとおりであろう、このように思います。
  39. 北山愛郎

    ○北山委員 確かに科学技術庁の開発するものは八年もかかるとかいう話も聞いております。しかし、そうじゃなくて、やはりもっともっと情勢が迫ってきている。ですから、航空会社としても空港の整備を待っているわけにいかない。そこで滑走路の短い飛行機、ジェット機を採用することをいろいろ検討していることは御承知のとおりなんです。それは全日空でも国内航空でもそうなんですね。千五百メートルの中でDC9とかそういうものを試験してやっている。また事実、山形空港でも滑走路にいろんな工夫をしたり、機体に工夫をして千五百メーターで、ボーイング737ですか、それを使用している。こういう努力をせざるを得ないような情勢に航空会社自身がなってきているわけですね。  その一つが、ことしの二月末に、東亜国内航空が新聞でも、記者会見で発表しましたが、アメリカのマクダネル・ダグラスのDC9−22とか、イギリスのブリティッシュ・エアクラフトあるいはオランダのフォッカー、この三機種を候補機として挙げて、そうして社内にYS11の後継機調査特別委員会というものをつくって、年内に、そのどれかを選定するということを決めるという、具体的な発足をしているわけですね。それは御承知のように、千二百メーターで飛べるような飛行機だというような、いろんな、三つの条件か何かをつけましてやっているわけです。これはまさか東亜国内航空が、運輸省に黙ってそういうことを始めたわけでもないだろうと思う。  要するに、単に科学技術庁で研究開発をするということは、先のことだからというのではなくて、すでに迫ってきているし、先ほど航空局長が言ったように、海外ではそのような飛行機の開発あるいは売り込み、そういうものがどんどん来ているわけですから、そういうものを中間的に採用するとかということは、運輸省としてもっと熱意を持つべきじゃないでしょうか。  そうして、第三次空整が千八百メーター以上とか二千メーター以上とかという計画であっても、やはり情勢に応じて、小型ジェット機の採用というものを臨機応変に、空港によっては、これを採用するというように機動的に運営してもいいのじゃないでしょうか。もう決まったのだから、これはしようがないんだ、二千メーター以上なんだというようなことは、少し硬直化し過ぎているのじゃないかと私は思うのですが、どうです。
  40. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  私どもも、全国のローカル空港全部を二千メーターにするということには大変な日時もかかりますし、その中間段階におきまして、エアラインが使用にたえる機材を外国から買ってきて、中間的に飛ばせるということについては結構なことだと思いますし、それを私どもは妨げる必要は全然ないと思うわけであります。したがいまして、現在東亜国内航空で、そういう選定委員会を開いて勉強しているそうでございますが、本当にいい飛行機が選定されるならば、私はそれに沿いまして考え方も進めていいと思うわけでございます。  ただ、ここで私たちとしての、これは願望になるわけでございますけれども、やはりわが国の地方都市が、これからだんだん全国開発の中核的な意味で発展してまいりますと、地方都市の周辺に、これからだんだん住宅がふえてまいるわけでございます。そうなりますと、いずれ、いまから十年、二十年、三十年先を考えますと、やはり二千メーター滑走路が必要だというふうになったときに、もうとても飛行場をつくる場所がないということでは困りますので、私どもの願いとしては、やはり用地だけは何とか手当てをしておいていただきたい。  その中で実際の滑走路に舗装いたします距離は、それは飛ぶ飛行機が短ければ短い滑走路でいいと思うのでありますけれども、用地だけは何とかいま手をつけておかないと、先行きこれは恐らく取得困難になるだろうと思いますし、そうなりますと、やはりその地方が航空輸送による便益を受けることができなくなるということを心配いたしまして、何とかそこのところは用地だけは手当てをしていただきたいものだ、こういうふうに願っているわけでございます。
  41. 北山愛郎

    ○北山委員 それは少しぜいたくな願望で、それは場所にもよりますけれども、人家のないようなところに、原野みたいなところに用地を確保しておくということ、そういう場合もあるでしょうけれども、そうではなくて、すでに人家がそばにあるところに飛行場を設定している。もう初めから立地的におかしいようなところに飛行場をつくっているのですよ。私の地元の花巻空港なんかその例ですよ。もう近所に学校はたくさんあるし、密集した住宅はあるし、すでに、いままででも問題がある。そこへもってきて、それを二千メーターにしようということで六年間も争っているわけですよ。  そういうふうなことであるならば、むしろ運輸省自体が、なるべく滑走路が短くても済むような機種を選定するとか、そういう努力をやらなければならぬと思うわけです。これはパイロットとか会社から言えば、何ぼでも滑走路が長い方が便利であり、安全であるに決まっています。決まっていますけれども、いままで要約して申し上げたような事情の中で、しかも国土のいろいろな制約がある中でやろうとするときに、やはり実態に沿ったことを順序を追って進めていくということが当然じゃないでしょうか。アメリカとかブラジルとか、そういうところと日本は違うのです。もともと狭いところなんですから、狭いところに合ったような、滑走路が短くて済むような機種を開発すべきである。それが先ほど来申し上げたような、いろいろな専門家、団体の提言であり、それによって政府の一部も動いているわけですから、そういうふうにしてもらいたいと思うのです。  そこで、私は岩手ですから、花巻空港の問題について何回も運輸省に参りました。六年間ですね。納得のできる説明は出なかったのですが、ことに最近、地元の連中が申しますのには、肝心の東亜国内航空が千二百メーターでも済むような、飛べるような飛行機を買おうとしている。それなのに、なぜしゃにむに二千メーターにしなければならぬのか、こういう素朴な疑問があるわけなんです。しかも、これは地形上無理があって、二千メーターに延ばしますと、ずっと二十メーターぐらい低くなるのです。そこを膨大な土を持ってきて埋め立てをしなければ滑走路が延ばせない。そういう無理なことまでして、二百億の金をかけて、何で一体二千メーターまで拡張しなければならぬだろうか、こういう素朴な疑問を持っているわけです。  そういうことですから、私は、三次空整なり、あるいは工事の認可をしたから、決定したんだから、もう動かせないんだ、こういう硬直した姿勢ではなくて、会社がそのような飛行機を採用するというなら、とりあえず、これは私見ですけれども、千五百までにしたらどうだ、それで間に合わせる。しかも、国内航空だって臨時にそうするのじゃなくて、二十機も買おうというのですから、二十機も買えば、相当期間はその飛行機を使うに決まっていますから、二年や三年の問題ではないのです。  したがって、率直に言って、私の私見からすれば、既定方針だから、もうこれを変更することはできないんだというふうな硬直した姿勢じゃなくて、千五百ならどうだとか、そういうふうなもう少し弾力性のある、融通性のある姿勢が何とかとれぬものでしょうか。大臣、どうですか。
  42. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大臣のお答えの前に、ちょっとお話しいたしたいと思いますけれども、東亜国内航空が機種選定を始めたことは事実なんでございますけれども、新聞に報ぜられているほど、東亜国内航空は短い距離で済むジェット機につきまして、まだそう具体的に話が進んでいるとは聞いてないのでございます。先日、東亜国内航空の幹部に聞きましたところ、まだ検討を開始した段階で、具体的な機種を論ずる段階ではないということでございます。安全性、価格、整備の問題等々考えますと、本当にいつになったら、そういった結論が出るかという点は、私どもとしては、ちょっと不安があるわけでございます。その点は、ちょっと申し上げたいと思います。
  43. 田村元

    田村国務大臣 先ほど北山さんがおっしゃったように、新しい機種の開発に努力をしなければならぬことは当然でございます。運輸省自体が独自でやるのがいいのかどうかということは別問題でございますけれども、そういうことに協力をする、あるいは外国の新機種に対して重大な関心を持つ、これは当然のことであろうと存じます。先ほども申し上げましたように、STOLなんかを探しましても、いま直ちにこれが役に立つということはむずかしい。相当時間がかかるというところに、航空局の悩みもあるということでありますが、いずれにいたしましても、一般論として申し上げますならば、それはもうやり出したのだから、何が何でもやるのだというような硬直的な姿勢ではなくて、客観の上に立った姿勢でなければならない、これは当然でございましょう。私は、これはもう飛行場のみならず、どういう場合でも政府の姿勢は、そうあるべきものだと思っております。  ただ問題は、その客観の上に立った判断が、時に反対の方々の厳しい批判を受けることもありますけれども、しかし、それはあくまでも判断でありまして、時にそれを強く志向しなければならぬこともございましょうけれども、一般論として申せば、私は客観の上に立って、主観的な硬直論ではよろしくない、このように考えます。
  44. 北山愛郎

    ○北山委員 いまの東亜国内航空が三機種を後継機にして、それを買うことに乗り出したということは、これは御承知のように記者会見をして、はっきり天下に声明したことなんですよ。まさか東亜国内航空が何ら根拠なしに、これから何にも前提のないところでそんな措置を、調査委員会まで設けてやるとは私は思わないのです。また部内でも、全日空でも、あるいは東亜国内航空でも、それぞれ試験をやっているわけです。そういうものに基づいてやっているのだし、彼らも商売ですから、本気になってやっているわけです。それはまだまだ決まるという段階じゃないかもしれぬけれども、それを過小に評価というか、これは私は非常に重大な問題だと思うし、会社がそういう姿勢であることは明らかなんだから、それはみんなにわかっているのですから、それなのに二千メートルにするというのがおかしいということは当然の話です。  それからもう一つ、花巻空港は、単に地元の人たちが反対しているという陳情問題じゃないのです。やはり地方空港の一つのサンプルなんです。ケースなんですね。ですから、これはほかの空港にも当てはまることなんです。先ほど来申し上げているように、ローカル空港に今後YS11の後継機にどんなものを採用するかというのは、一定の方針を持たなければならぬわけです。それを二千メートル以上の大型機でなければだめだというふうに固執する方が実態からおくれている。私は、それは花巻空港だけの問題じゃないということを強調したいのです。  花巻空港はその中でも特殊なケースであって、御承知のように、この空港拡張の整備ができ上がる前に、五十五年には、もう計画のとおりいけば新幹線が通る盛岡まで、二時間半で往来ができるわけです。時間的に見ても、いろいろ利用の便利さから見ても、新幹線が通ったときに、果たしてこの花巻空港が運輸省が考えているように、それだけ利用客がふえるかどうか。現在四万数千ですけれども、それが四十数万、十倍にもふえるというのですから、これはちょっと期待し過ぎだ、非常に計算がおかしい、そう思わざるを得ない。  航空局長に聞きたいと思うのですが、新幹線後における仙台空港においては、運輸省見通しでも、たしか現在三十数万というのが三分の一ぐらいに空港利用は減るのだというふうに出ていると思うのです。ところが逆に花巻空港は、それから飛行機にすればちょっとの時間、新幹線でもほんのわずかの時間ですが、その花巻空港の方が、いまよりも十倍にふえるというのは、一体どういう計算からそんなことが出てくるのですか。
  45. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもが第三次五カ年計画を策定いたしましたときには、一応昭和六十年時点を想定いたしまして、六十年時点までに開通していると思われる全国の新幹線ネットワークを想定いたしまして、具体的にそれぞれの空港ごとに新幹線と航空との時間差、運賃差といったものを基礎にいたしまして経済計算をした結果、需要が出てきたわけでございまして、その需要をベースに計算をしているわけでございます。  現在は、羽田空港の発着枠が非常に窮屈である等のことで需要が伸び悩んでおりますけれども、これが成田空港の開港等によって自由になりますれば、潜在需要が相当出てくることも考えられますので、現在の一年間四万六千人というのが四、五年先に四倍、五倍になるということは、現在の航空旅客の伸び率から見て、そう際立って花巻空港の伸び率が高いというわけでもないわけでございますので——これは数字のことでございますから、私たちもこの予測がそのとおりいくかどうかということは、もちろん申し上げられませんけれども、ただ長い将来を考えて、先になって後悔することがないような若干の先行投資をしておくことが必要ではないかという考え方がございます。  それから、何よりもローカル空港の大半は、地元の県が設置、管理する空港でございますので、県の意向というものを私どもは尊重することにいたしております。花巻につきましては、岩手県が二千メートル化、将来二千五百メートル化ということで非常に強い計画を持っていらっしゃるものですから、私どもは、それを一応のベースにいたしまして計画を組んでいるわけでございますけれども、その点につきましては、先ほど大臣がお話し申し上げましたように、一遍決めたことは、もう何が何でも突っ走るという必要はございません。中間に本当に実用可能な航空機が出てくるようなことになるならば、工事計画の若干のスローダウンはあってしかるべきだと思いますので、その点につきましては、なおよく県とも話をいたしまして、地元の方々との平和な話し合いの中で、皆さんのお使いになるような地元の空港ができ上がるために努力をいたしたいと思います。
  46. 北山愛郎

    ○北山委員 時間が参りましたから終わりますが、地元、地元と言って、まあ地元の地権者も猛烈に反対していますけれども、そうではなくて、やはり航空行政こそは、その他のバスとか私鉄とか、そういうものよりも、もっと全国的な単位で物を考えなければならぬ。したがって、運輸省の指導性があってしかるべきだ。県の意見というのは、地方のバスとか私鉄とかそういうものについては、むしろ県知事の意見を聞くべきなんです。しかし、空港というのは、もっと大きな単位で利用されるものだし、もっともっと運輸省の指導方針がなければいかぬものだと思っています。  それからもう一つ、新幹線が通った結果どうなるかということは、これは山陽新幹線が博多まで延びたその結果で、はっきり出ているわけです。広島から福岡とか、大阪から福岡という従来の航空を利用したお客さんが三割なり五割なり、どっと減ったでしょう。経済力が岩手県なんかより、もっともっと高いところでも、そういうふうな結果が出てくるのですから、まして二時間半で行けるようなところに新幹線が通ったときに、その空港の利用客が、いまの四万数千が十倍以上にふえるなんという計算はおかしいですよ。  だから、そういう点も含めて、大臣にもこの問題についてもよく御理解をいただきたい。お役所式でない、官僚的でない大臣だと私は思いますので、ひとつ道理にかなった判断をしていただいて、そして既定の方針に固執しないように話し合いもする、われわれも努力いたしたいと思いますし、そういうふうにしていただきたいということを希望申し上げまして、私の質問を終わります。
  47. 芳賀貢

  48. 小川国彦

    小川(国)委員 最初に田村運輸大臣にお伺いをいたしますが、先日福田総理が千葉においでになりまして、再度本年の十一月、成田空港の開港ということを断言されて帰られたわけでございますが、現在運輸省当局において、成田空港の開港の障害というものはどういうところにあると、大臣はどのように理解をされておられるか。主要な問題点として、どういうものがおありになるか、この点をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  49. 田村元

    田村国務大臣 第一期工事としましては、いわゆる油の暫定輸送の問題、それから俗に妨害鉄塔と言われております二基の鉄塔の問題、これが大きな障害になっておると存じます。
  50. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは具体的な問題に入りまして、もう一点お伺いしておきますが、福田総理初め運輸大臣等において、十一月開港ということの閣内の意思統一というものはなされているわけでございますか。
  51. 田村元

    田村国務大臣 この問題について意思統一というような行為はありません。
  52. 小川国彦

    小川(国)委員 少なくとも総理が十一月開港ということを言われ、そしてまた繰り返して言われているからには、当然当該の運輸大臣ともこれは十分な打ち合わせの上に、十一月開港という発言が出てくるんじゃないか。そうじゃないと、これはもうやはり閣内の不統一ということになりましょうし、内閣が一体の立場に立つなら、当然これは十一月ということについては、その辺の一つ一つの福田総理の発言というものは、やはり内閣の中で十分意思統一された上での発言、こういうふうに、これは受け取らないと大変な問題になると思うのですが、その辺、運輸大臣と総理との間では、成田開港の時期についての意見は一致されているかどうか。
  53. 田村元

    田村国務大臣 この問題については、福田総理の発言は、私の報告を基礎にしての発言だと思います。私は、福田総理には、年内開港のめどが少しついてまいりました。早ければ十一月ごろの開港ということになるかと思います、こういう報告がしてございます。もちろん一回こっきりの報告というわけではなく、成田問題のみならず何でもそうでありますが、運輸行政についていろいろと総理に報告もし、また総理の意見も承っております。
  54. 小川国彦

    小川(国)委員 何か大分心もとない話で、めどが少しついてまいりましたというようなことでは、やはり政府の行う施策というもの、しかも、ことしの福田内閣の目玉商品というような大きな公共事業の柱に、成田開港十一月ということを掲げておられるので、担当の運輸大臣が、少しめどがついてきたというような報告をしているというぐらいでは、大変政府の施策というものは心もとない話で、その点は、やはり確信があっての十一月ということではないんでございますか。
  55. 田村元

    田村国務大臣 私が報告しておりますのは、年内開港のめどがついてまいりました。早ければ十一月開港ということにこぎつけることができると思います、こういう報告をしております。いま心もとないというお話でありますが、こういう問題について何月に、あるいは何月幾日にということを明確に最初から宣言すること自体が、担当大臣としては、むしろ慎まなければならぬことであって、ただ総理大臣は、私が報告をしたことを基礎にして御発言なすったものと思います。
  56. 小川国彦

    小川(国)委員 これは少し無責任だと思いますね。やっぱり担当大臣が見当で、明確に宣言できないようなことを、総理が公然と公式の場で何度も繰り返して、しかも公共事業の柱だということを言っている。これはやはり非常に無責任じゃないかと思いますよ、運輸大臣自身が責任が持てないようなことを総理が公式の場で言っているということは。これは、やっぱり担当大臣としては、その時期について明確に、少なくとも総理がいろいろな公式の場で発表することについては、明確な根拠があって言われることじゃないと、国民は大変な迷惑を受けるということになりますね。
  57. 田村元

    田村国務大臣 総理が言われたこと、私はそばで聞いたわけではありませんけれども、私は、あのとき千葉へ行っておりませんから、聞いたわけではありませんけれども、そんなに私、無責任だと思いません。といいますのは、こういう問題は、先ほど申し上げたように、権力的に何月幾日ということを担当大臣が言えるものでもないし、ただ総理は、私が早ければ十一月ごろ開港できるようですと、こういうことを報告しましたから、それを大変喜んでおられたということであって、別に私、そう無責任な発言だと思っておりません。
  58. 小川国彦

    小川(国)委員 これは、そうすると、今後大体総理が言われることというのは、そういう確定的な自信があってお言いになるんじゃなくて、いま大臣が言われるような、できるようですというようなめどで総理というのは物を言われる、こういうふうに私ども理解せざるを得なくなるのですね。  これは私は御注意として申し上げたいと思いますが、やっぱり一国の総理が重要な事項について物を言うときは、もう少し担当大臣の責任ある、根拠のある発言の上に立って物を言われるように、これは担当大臣から十分私は注意をしていただきたいと思います。福田総理については、まだ残念ながら成田空港について対話をする機会がありませんけれども、これはやはり担当大臣が成田空港の現状というものをきちんと総理に伝えませんと、総理が十一月開港もできないのに、そういうことをそちこちで公言されるということは、大きな問題だと思いますから、福田内閣の発言に関する重要な問題として、これは十分御注意をされるように申し上げておきたいと思います。  いま申し上げた問題は、私は、これは閣内の不統一の問題として、いずれまた何らかの機会にはっきりさせてもらいたいと思います。  次に、成田空港の建設にかかわる代替地問題についてですが、新東京国際空港公団の行う代替地業務の法的根拠について、空港公団には代替地業務を行う法的根拠がない。これは成田空港の建設にかかわる代替地業務は、当初千葉県がこれを行ってきたが、その質と量が拡大してくるにつれて、これを公団が千葉県から引き継いだ。しかし公団法には、この代替地業務を裏づける法的根拠がない。この点については、公団法にこういう規定がないまま、法的根拠がないまま、こういう業務を行っているわけでありますが、これは公団法に定めのない業務を行ってよいものかどうか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  59. 大塚茂

    大塚参考人 空港公団では、おっしゃられますように代替地の問題を取り扱っておりますが、これは公団法第二十条に、空港の設置、管理あるいは航空保安施設の設置、管理という言葉がございます。この設置のために必要な業務として行っておるわけでございます。
  60. 小川国彦

    小川(国)委員 その法的根拠は、どういうところに置いてやっておりますか。
  61. 大塚茂

    大塚参考人 ただいま申し上げましたように、空港公団法第二十条第一号、第二号、それから最後にそれに「附帯する業務」というようなことがございます。
  62. 小川国彦

    小川(国)委員 公団の行っている代替地業務実態を見ますと、法的な根拠がないにもかかわらず、公団はすでに四十八ヘクタールの土地を代替地として取得して三十八億円を支出しております。このうち、約六億円については、この代替地を提供する譲渡金として回収が見込まれておりますが、その差額約三十二億円は、法的根拠のない代替地業務を行うための不正不当な国費の支出である。代替地業務を行う法的根拠がなく、公団は農地法上一般農地を取得できないことになっているので、悪質不動産業者の行う中間省略という脱法行為まで犯して、この業務を行ってきている、こういう点については、どういうふうにお考えになりますか。
  63. 大塚茂

    大塚参考人 私どもは、先ほど申し上げましたように、法的根拠はちゃんとあるという見解で行っております。したがって、決して不当、不法な行為というふうには考えておりません。したがいまして、その負担はいろいろございますけれども、それも正当な支出であり、正当な負担であるというふうに解釈をいたしております。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
  64. 小川国彦

    小川(国)委員 これは公団の言い逃れでありまして、民家防音の騒音対策を、やはり公団は最初みずからできない、そういうことで、その法的根拠がないということで千葉県にやらせていた。しかし、本来原因者がやるべきだとして、この騒音対策を公団がやるようになった。このとき公団は公団法を改正して、同法二十条「業務の範囲」第一項四号に騒音対策業務を追加しているわけです。これは四十九年三月の改正の際にこういうことをやったわけです。代替地の業務も同様に当初千葉県にやらせていた。これを公団が引き継ぐのは当然のことだと思いますが、なぜこのときに法改正を行わなかったのか。
  65. 大塚茂

    大塚参考人 騒音対策につきまして法改正を行って、いわゆる騒防法の根拠に基づいて、また同時に公団法が改正をされまして、公団が実施をするということになったことは、おっしゃられるとおりでございます。  代替地につきましては、昭和四十一年の七月四日の閣議決定がございまして、国は営農の意思のある土地提供者に対しては、県の協力を得て代替地を準備し、提供するという閣議決定になっております。これは、もともと県の要望によってそういう閣議決定が行われましたので、これに対して県が協力をするということになったわけでございまして、その協力を得て実施をしてきたわけでございますが、決して公団が何ら権限がないから、千葉県にやっていただいたというわけではございません。
  66. 小川国彦

    小川(国)委員 公団の行っている現状の代替地業務が、等価交換のものの交換のあっせん、こういう程度なら総裁が言われるように「附帯する業務」で済まされるかもしれませんけれども、現在三十億円もの国費を投入するような業務は、明確に法的な裏づけが必要なんじゃないか。それは代替地について閣議決定だと言われるならば、騒音対策も閣議決定ですよ。両方とも閣議決定。あなた方は、この騒音に対する問題で公団法の改正を行ったときに、代替地も当然この四十九年三月の改正の中に盛り込まなければならないのを、これは運輸省の怠慢か公団の怠慢か、そういう法的な裏づけを行わず、六年間も七年間も千葉県に預けっぱなし。  こういうように放置してきた結果、いま、これから申し上げるいろいろな問題が続出してくるわけですが、あなた方は、現在においても、こういうようなものについて法的な明確な根拠をつくらずにやっていっていい、こういうふうにお考えになっているのかどうか。
  67. 大塚茂

    大塚参考人 先ほど申し上げました公団法二十条の根拠で十分であるというふうに私は考えております。
  68. 小川国彦

    小川(国)委員 会計検査院にお伺いをしたいのでございますが、現在騒音に関する業務というものも公団が行っておりますが、これの現在までの予算支出は約十億円前後というふうに推定をされるわけですが、それはきちんとした公団法の定めのもとに、約十億ぐらいの民家防音工事というものを公団法の中に、きちんと一条織り込んで行っているわけです。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕  ところが、公団が三十億もの国費を投入するような代替地造成事業というものを法的な根拠は付帯業務、こういうような形の中で非常に問題の多い代替地取得を行っているわけですが、こういうやり方、法的な裏づけがないような代替地業務のやり方というものについて会計検査院は、これをどういうふうにお考えになるか、見解をちょっと。
  69. 小沼敬八

    小沼会計検査院説明員 お答えいたします。  代替地取得の問題は、過去のいろいろな経緯もあったと思いますけれども、いまお話しのような実態であるならば、これはやはり法的な問題を、行政的に解釈するいかんの問題はあるとはいえ、内容的に個々に私どもとして十分検討させていただきまして、対処したいと考えております。
  70. 小川国彦

    小川(国)委員 大蔵省の見解はどういうような見解を、この問題についてお持ちになりましょうか。
  71. 松下康雄

    ○松下政府委員 私、突然のお尋ねでございまして、この事案の詳細については承知をいたしておりませんけれども、ただいまの御質問と空港公団のお答えをお聞きをいたしておりますに、空港公団といたしましては、公団法の規定によりまして空港建設事業を実施するために必要な措置の一環として、代替地取得という業務をやっておられるようでございまして、私どもの予算の査定上は空港建設に必要な経費ということで一括計上してございますけれども、その実行に当たりまして、直接の用地買収でありますとか、補償支弁費の支払いでございますとか、あるいは代替地の取得でございますとか、いろいろのやり方はあろうと思います。それをいかなる方法で実行をいたしていくかということは、第一義的には、事業実施官庁にお任せをしておるところでございます。
  72. 小川国彦

    小川(国)委員 それじゃもう一度事業実施官庁に戻って運輸大臣にお伺いしますが、公団法の第二十条「業務の範囲」というのがあるのですが、これの第四号には「新東京国際空港の周辺における航空機の騒音等により生ずる障害を防止し、」云々ということで、「緩衝地帯の整備のための土地等の取得、造成、管理及び譲渡その他の必要な業務を行なうこと。」ということで、騒音対策については、先般の改正の際に一項目を入れているのです。  ところが、代替地の問題については、五号のところに「前各号の業務に附帯する業務を行なうこと。」ということの中で定めた付帯業務の中に入れている。しかも、騒音対策の方は十億の予算であるのに、代替地造成事業は、予算はすでに三十億を超しておる。そういうことについて明確な根拠なしに、こういう代替地の取得事業をやらせていいのかどうか。この辺、運輸大臣あるいは担当局長から、どういうふうにこの点を考えておられるか伺いたい。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員長 まず、大臣が答弁して、不明な点とか補足すべき点を政府委員が行う、そういうことです。
  74. 田村元

    田村国務大臣 私は、本件につきましては空港公団総裁から、適法に行ったと報告を受けております。
  75. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  二十条の一項四号の入りました経緯は、私も現在つまびらかにいたしませんけれども、空港周辺の騒音対策をするということは、空港公団の本来の、つまり飛行場をつくって、それを管理するという業務から見ますならば、一種の付帯業務である、しかしながら付帯業務としては、かなり大きな付帯業務であるというようなことから、わざわざ一号を立てて四号を置いたものだと思います。しかしながら二十条の一項一号「新東京国際空港の設置及び管理を行なう」ということは、公団の一枚看板でございます。したがいまして、この設置、管理を行うために必要な手段であれば、代替地の購入等を行いまして、それによって空港施設をつくるための必要な用地を取得するということは、一号から当然読めるというふうなことで、あえて改正をせずに行ったものだと思います。
  76. 小川国彦

    小川(国)委員 苦しい言い逃れをされていると思うのです。騒音と代替地というのは、空港建設に二つとも重要な問題だと私は思います。一千百町歩の用地のうち、六百町歩という農民を移転しなければ事業ができないわけでしょう。そういう代替地造成事業という重大な事業について、あなた方は、飛行場をつくればいい、そういうことだけでやみくもに突っ走ってきているから、農民の代替地造成の問題については法的根拠もなしにやみくもに——具体的な例を出しますが、いいかげんなことをやってきているわけですよ。この点について、私どもは、こういうめちゃくちゃな空港建設のやり方を、まだこれから今後続けられては、国民の立場で困ると思いますが、あなた方は今後についても、こういう法の欠陥とか矛盾、片や十億の予算に対しては法的な裏づけをして、三十億もやっている事業について法的裏づけがないままやっている、こういうことについて法的な根拠というものを、もう少し明確にしていくということをお考えにならないか。法のもとに国の政治は行われるわけですね。
  77. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 先生にお言葉を返して申しわけございませんけれども、代替地の事業というのは、騒音対策に劣らず重要である、そのとおりでございます。重要でございますから、私どもは、この一号の中で十分読めるのだ、空港公団の一枚看板である空港の設置、管理という中の仕事の一環として読んでいくのだというふうに考えるべきだと思っておるわけでございます。
  78. 小川国彦

    小川(国)委員 では、あなた方が、そういう結果どういう問題を引き起こしているかということを、この次に質問していきます。その次に、岩山代替地の問題について、具体的な問題を挙げて質問いたします。  富里村の七栄に社台ファームという牧場があります。この十三万二千平米を十五億六千二百九十七万円、反当一千百八十万円で、あなた方は購入された。これは丸紅に担保に入っていた土地であります。これを農民に対しては反当百六十一万円で売り渡す。何と反当一千十九万円もの差額を国が負担するということをやっているわけです。この場合、農民の土地は二百四十万円で買い上げているわけです。なぜこういうことをやったか。あなた方御承知のように、われわれは騒音鉄塔と言い、あなた方は妨害鉄塔と呼ぶが、あの鉄塔のあるところは、アプローチエリアをつくらなければならないところだ。あなた方はそれを事業計画の中から落としてしまった。運輸大臣に対する事業申請の際、アプローチエリアのところを事業計画から落としてしまった。結局その鉄塔のある用地を取得するためには、事業認定の区域から落としてしまったから、土地収用法の発動はできませんから、その農民を何としてもつり出す、つり出すためには、えさをやらなければならぬ。そのえさが、何と農民に対して一千百八十万円で買った土地を百六十一万円で売り渡す、こういうことをやっているわけです。  あなた方は、これまで十一年間成田空港の代替地造成を行った中で、農民を外へ出すときに幾らで買い上げてきたか、一反歩百四十万ですよ。しかも、いままでの人たちに与えられた代替地は一反歩九十万の代替地ですよ。土地収用を行ってまで、強制執行を行ってまで敷地内の農民を追い出すのに、一反歩百四十万で強制執行してきたあなた方が、今度は一千百八十万円も出して代替地を買って、これは疑惑の代替地ですよ、丸紅の担保に入っているような土地を十五億も出して買い上げて、そしてこれを農民に一反歩百六十一万円で売り渡す、これは非常に問題だと思うのです。  結局、このことを厳密に見てまいりますと、これを等積交換としてみましても、現在農民が鉄塔の下に持っている土地を二百四十万であなた方は買い上げて、そして一千百八十万の土地を百六十一万円で引き渡すのですから、単純な売り買いとしてみても、約八十万円、この鉄塔下を公団に売りつける農民はもうかる。それに公団の差額負担が約一千百万円、このもうけを、またこの農民には与えるわけです。これは先ほど私が言ったように、千葉県当局に行わせた代替地造成では、七十万円で購入して二十万円の造成費を加えて九十万円で売り渡してきた、こういうようなやり方、これはまさに公団が代替地業務で法的根拠のない業務をやってきた、不正不当、こう思われるやり方でありますが、こういう点について会計検査院はどういうふうにこの問題を判断されるか、会計検査院の御所見を承りたいと思います。
  79. 小沼敬八

    小沼会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいまの代替地買収の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろな経緯もあったかと思います。  もともと空港公団が用地の買収をするに当たっての方針、これはほかにもございますけれども、やはり任意買収というような基本方針に基づいて実施されておるようでございます。御承知のように、任意買収ということになりますと、個々の条件はありますものの、やはり時価の問題とか、あるいは現況の問題とか、あるいはその鑑定評価の問題とか、あるいは付近売買の実例とか、こういうものに基づいて実施されるのが一般の姿であると私どもも見ております。したがいまして、ただいまの問題も、個々に検討してみないとわからない点もあると思いますけれども、一つ申し上げられることは、やはり時点の修正、いつ買ったものが、いまこうなっている、その差はどうだということは結果的には言えますけれども、これは長い目で見て、その辺の評価、比較をしてみないといけないことではないかと私らは考えております。  ただ、いまの具体的な問題につきましては、私どももその内容につきまして、場合によっては実査するなりしまして、十分着目して検討し、早いところ、その結論を出すように努力してみたいと考えております。  以上でございます。
  80. 小川国彦

    小川(国)委員 私、会計検査院の用語がよくわからないのですが、じっしゃというのは、どういうことでございますか。
  81. 小沼敬八

    小沼会計検査院説明員 私の申し上げたのは実査、実際の調査でございます。お聞き取りにくかったと思いますけれども、その点を申し上げます。
  82. 小川国彦

    小川(国)委員 具体的には、時期はいつごろ会計検査院として、この実際の調査を行っていただけますか。
  83. 小沼敬八

    小沼会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私どもも、御承知のように常時書面を通して検査をしております。しかしながら、実際に現地へ行ってみて、いろいろな実情を聞かなければ結論が出しにくい、判断も十分定かでないということもあり得ます。今回の場合などは、実査ではございますが、たまたま今年度実地検査にスタートする四月の時期でございますので、先ほど申し上げましたように、なるべく早い時期に実施したいと思います。ころ合いとしては、例年ですと、八月いっぱいぐらいまでには大体の実査を終えるスケジュールでございますので、その間に当たるように努力してみたいと思います。
  84. 小川国彦

    小川(国)委員 この点については、ぜひ決算委員長にお願いをしたいと思いますが、この問題は、現在仮契約の段階でございまして、本契約がさらに今後行われるという状況にありますので、いま会計検査院の御答弁では、八月までにということでございますので、できるだけ早急に決算委員会としても御督励を賜りたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員長 ただいまの小川委員の要望については、後刻理事会において検討をして、適宜な措置を講じたいと思います。
  86. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、この問題について大蔵省は、こうした公団の予算執行について、どういう判断をお持ちになられるか。財政緊縮の厳しい財政状況の中で、こうしたきわめて不当な、不正な代替地の取得、譲渡が行われようとしておるわけでありますが、こういう予算執行のあり方について、予算積算に当たられる大蔵省は、これをどういうふうに考えておられるか。特に公団の行っている業務の原資は、郵便貯金とか簡易保険とか、もう零細な国民の金を集めた財政投融資で事業を行っているわけです。法律上の根拠がきわめて乏しい、そういうことをいいことに、こういう予算支出が行われているということは、非常に問題だというふうに考えますが、大蔵省の予算当局はどういうふうにこれをお考えになるか。
  87. 松下康雄

    ○松下政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、私どもも個別の事案の個々につきまして、査定積み上げをいたしておるわけではございませんので、この件につきましては、用地の問題というのは、それぞれ非常に個性のある問題が多うございますから、私がこの件について、ここで意見を申し上げるということは御勘弁をいただきたいのでございますけれども、私どもの査定に当たりましては、特定の事業を遂行していくために御指摘のございましたような、国民からお預かりをした原資を投入しておるわけでございますから、できるだけ、これを効率的にかつ公平に支出をしていただくように、常々実施官庁にはお願いしておるところでございますし、またその実施の結果は会計検査院等からお話も伺いまして、その翌年以降の予算査定上の参考にもさせていただいて、効率的な財政支出が確保されますように努力をしておるところでございます。
  88. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは、国税庁おいでになっていると思いますが、国税当局にお伺いをしたいと思います。  今回の空港公団のやり方は、悪質な不動産業者のやり方と同じでございまして、公団法自身では農地が取得できない。ですから、丸紅の担保に入っていた社台ファームを、仮契約の契約書はつくって、そしてそれを社台ファームから買う、そして金は社台ファームに払う。しかし、公団法で農地の取得はできませんから、登記はできない。したがって、中間省略の形で社台ファームから農民に直接売り渡しをしようとしているわけです。先ほど申し上げたように、農民の土地は二百四十万で買って代替地は百六十万で売り渡す。しかし百六十万で売り渡される土地は、本来の評価でいきますと、一千百八十万、こういう高い評価の土地なんですね。いわば空港公団が中間省略をやっているわけですが、農民に対して百六十万で一千百八十万円の土地を取得した、こういう場合にはどういう課税が行われるのか。この点を国税当局から伺いたいと思います。
  89. 掃部實

    ○掃部説明員 本件契約につきましては、現段階におきまして、実行に移されておりませんので、税務当局といたしましては、現実にその調査をいたしておりません。したがいまして、本件の事案としてお答えすることは、いろいろ後に問題を残すことも考えられますので、収用等の場合に、一般によくある事例を前提にいたしまして、お答えしたいと思います。  代金のほかに現物で収用の対価を支払うというような場合には、原則として譲渡所得の対価であるというふうに考えて、現金のほかに、その現物自体につきましても譲渡所得の収益があるとして課税するという立場をとっておるわけでございます。税は、先生御案内のように、実質課税でございまして、現実の経済実態がどうなっておるかということを前提に置いて課税をいたさないと、公平の概念にもとるということもございますので、さような取り扱いにしております。  ただし、本件は、まだ私の方といたしましては十分調査しておりませんので、その事例に該当するかどうか、明確にここでお答えするわけにはいかないわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  90. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、わかりやすく言いますと、一般の収用の場合には、百六十一万でその土地を買った、しかし、その土地の評価が一千百八十万円であったら、そのお金のほかに、そのものの評価も見て課税をする、そういうことを一つの目安にしてこの問題を考える、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  91. 掃部實

    ○掃部説明員 そういう場合もあるということでございます。
  92. 小川国彦

    小川(国)委員 国税当局として非常に何か自信のない話で、やはり一般の場合には、こういう中間省略が行われたものに対して、国税当局はきちんきちんと私は税を取っておられると思うのですね。しかも、千百八十万円もする土地を百六十万で、現実には一千百八十万、公団が払っているわけですから、払った土地を百六十一万で売り渡すのですから、それだけの差額というものの利益を得るわけです。  ですから、これは、あなた方もまだ問題を具体的に承ってないということのようですが、現実に公団が社台ファームに金は払っているわけです。これから農民に売り渡そうとしているわけですから、この件を十分御調査なすっていただいて、国税当局としての、それに対する判断を示していただきたいと思います。これに対する調査をひとつお願いしたいと思いますが、その点について御答弁をいただきたい。
  93. 掃部實

    ○掃部説明員 契約が実行に移されまして、現実の売買その他が行われる段階になりますと、私の方、調査に入るわけでございますが、だれそれに対して、どれだけの譲渡所得がある、あるいはその譲渡の所得がどうだということは御説明できませんが、法律の解釈としてどういう形で、どういう方法で課税するかということにつきましては、調査した段階でお答えできるというふうに考えております。
  94. 小川国彦

    小川(国)委員 国税当局の答弁も若干歯切れが悪い点があるのですけれども、これは現実に半分行われて、あと半分これからという状況ですから、十分御調査を願って、委員会に御報告を賜るよう、これもまた委員長にお願いしておきたいと思います。  次に、鉄塔問題について。  田村運輸大臣は、鉄塔問題と燃料輸送とが大きな問題だ、こういうことを言われたのですが、公団の言う鉄塔の除去請求権問題でございますが、空港公団は近く仮処分による鉄塔除去請求を出そうとしている。したがって公団は、燃料輸送問題に一応の解決を見たとする緊急性に基づいて、仮処分申請を行い、その許可を待って鉄塔除去に取りかかられたい、こういう意向をいろいろ発表されているのですが、仮処分の申請というものは、その不可欠の要件として、法律上の権利の問題としては被保全権利、それから事実上の問題としては保全の必要性、この二つを求めているのでありますが、ここでは一応被保全権利の問題はおくとしても——これにも多くの問題を残しておりますが、保全の必要性というものは、現段階では全く存在しないのではないか。  公団の言う保全の必要性というのは、あの鉄塔が建っておりまして、これが空港の進入表面に突出しており、航空機の離発着を妨害するということを指しておりますが、公団は、この鉄塔が存在しても、航空機の離着陸に支障がないことを、みずから認め、そのための工事計画の変更を行ってきているのです。  これは昭和四十七年四月二十八日、公団が申請し、六月二十七日に運輸大臣の認可を受けた工事実施計画の変更というところを見ますと、A滑走路の進入灯等の航空保安施設を、四千メートル滑走路の内側七百五十メートルに移して設置する変更許可申請は、その理由として、一、滑走路の先端に設置されねばならない航空保安施設設置のための用地、アプローチエリアの買収ができていないこと。二、また、反対派の建設した鉄塔その他の物件が進入表面等の制限表面上に突出して障害となるためと、その理由を説明している。すなわち公団は、鉄塔に妨害されずに航空機の離着陸を保障するために、四千メートル滑走路の内側七百五十メートルのところに進入灯等の航空保安施設をみずからの手で移動させているのである。このため、成田空港の滑走路は実質三千二百五十メートルとなっているが、羽田空港の滑走路は三千百五十メートルであり、当面これで航空機の離着陸は可能である。  このことからすれば、当面、アプローチエリアの土地買収が完了し、正規の航空保安施設の建設が終わるまで、鉄塔の存在は航空機の離着陸の障害となっていないことを、みずから認めてきた。このことは、仮処分申請の要件である保全の必要性が全くないことを示している。したがって、仮処分申請の要件を満たしていない鉄塔除去は不可能である、こういうことになるわけですが、あなた方はこうしたことをそのとおりだ、こういうふうにお認めになりますか。
  95. 大塚茂

    大塚参考人 A滑走路の南側の着陸地点を暫定的といいますか、一時的に七百五十メートル引っ込めたといいますか、移しましたのは、主として進入灯をつくるためのアプローチエリアの用地の買収ができていないということによるためでありまして、これはあくまで暫定的といいますか、一時的なものでございます。四千メートル滑走路そのものを三千二百五十メートルに変更したというものではございません。あくまでも滑走路は四千メートルとして使う必要がございます。  ただいま羽田についてのお話がございましたが、確かに羽田の滑走路は三千百五十メートルでございますけれども、実際には、空気の希薄な夏なんかは、DC8でロサンゼルス等に直行するような場合には積み荷といいますか、重量の制限をやっておるという現実がございます。三千百五十メートルでは十分な長さではないということでございます。  それから、外国の例を見ましても、四千メートルの滑走路を持っておりますのは、たくさんございます。
  96. 小川国彦

    小川(国)委員 それで結構です。わかっておりますから、次の質問に移らせていただきます。  公団総裁、あなたの方では昭和四十七年四月二十八日、当時の運輸大臣に出した空港公団の建計第三〇号の二という文書で、こういうことを言っているのです。「反対派の建設した鉄塔その他の物件が、進入表面等の制限表面上に突出し、障害となるため、同側からの着陸接地点を、臨時に七百五十メートル内側に移して運用する必要がある。」こういうことを運輸大臣にあなた方は出しているわけです。四キロ滑走路の中に、七百五十メートル引っ込めたところに誘導灯その他をつくった。したがって、あなた方は三千二百五十メートルで当分飛行場はよろしゅうございます。こういうことをもう四十七年四月二十八日に運輸大臣に報告しているわけです。  ですから、妨害鉄塔とあなた方が言う鉄塔は、四十七年三月すでに建っていたわけです。その四月二十八日に、あなた方は、滑走路は四千メートルあるけれども、この鉄塔があるから、三千二百五十メートルで使わせてください、それであと七百五十メートルの滑走路のわきに誘導灯の工事をやらせてもらったわけですよ。ですから、三千二百五十メートルであなた方は飛ぶ。そのための誘導灯の予算も、何十億か何億かかけておやりになったわけですね。それを、あなた方は、いまさら今度四千メートル使うということを言い出すと、じゃ、七百五十メートル内側に引っ込めるための誘導灯建設の予算は、これこそまた会計検査院指摘するむだ遣いになるのじゃないか、こう  いうことになりゃしませんか。  だから、あなた方は鉄塔があるということを認めた上で、四キロの滑走路では、四キロ飛んでいったのじゃ、この鉄塔にぶつかってしまう。だから三千二百五十メートルで飛ぶのだ、だから七百五十メートルはアプローチエリアの誘導灯をつくってください、こういうことで三千二百五十メートルならば、この鉄塔にぶつからないでいけるから、その工事をおやりになったわけでしょう。やっておいて、また今度は鉄塔があるからというのは、これはあえて鉄塔を問題にすることによって、あなた方の開港の延びている問題を、そういうことにすりかえようとしたり、いろいろな形に問題をすりかえていくために、鉄塔をお使いになっているのじゃないのか。そうすると、三千二百五十メートルで飛ぶなら——その時点では、三千二百五十メートルにすれば、鉄塔があっても大丈夫ですと、あなた方は言ったわけなんです。いまでも開港するというなら、鉄塔があっても三千二百五十メートルなら、あなた方は飛べるはずなんです、飛べるということを運輸大臣に答弁しているのですから。その点はどうなんですか。
  97. 大塚茂

    大塚参考人 三千二百五十メートルとして滑走路を使いますのは、南側から着陸をする場合だけでございます。そのために、着陸地点を七百五十メートル引っ込めたということでございまして、南側へ向かって離陸をする場合とか、それから南から北へ向かって飛行機が離陸をしていくという場合は、四千メートルの、七百五十メートルの一番端のところから走り出して離陸をしていく、そういう使い方まで改めたわけではございません。南側からの着陸についてだけ、臨時に七百五十メートル引っ込めた、そのほかの使い方としては、決して四千メートルとして使いたいということを改めてはいないわけでございます。
  98. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしますと、あなた方は鉄塔だけを問題にしていますが、もう一つ鉄塔の手前に産土山があって、産土山の木も、あなた方の障害物件になっているはずなんです。これは共有地に所属し、神社庁に所属するものですが、これに対する手続はおやりになっていらっしゃいますか。
  99. 大塚茂

    大塚参考人 確かに障害物件として立木がございます。これについては、大部分は契約で切る約束ができました。指摘されたような四所神社でございますか、これの森については、まだ話し合いがついておりませんけれども、私どもは、これについても、できるだけ早く切るように目下折衝中でございます。
  100. 小川国彦

    小川(国)委員 あなた方は妨害鉄塔、妨害鉄塔ということだけ言って、肝心の、もう一つその手前にある産土の森が障害物になっているということを隠してきている。この二つが解決しなければ、現実にはやはり飛べないでございましょう。それがあっても飛べますか。
  101. 大塚茂

    大塚参考人 決して私どもは隠しておったわけではございませんで、やはり障害物件ありということは、工事実施計画にもたしか載っているはずでございます。したがって、これはどうしても取り除かなければいけませんので、目下われわれ鋭意努力中でございます。
  102. 小川国彦

    小川(国)委員 じゃ、産土の木と鉄塔が解決しなければ飛べない、こういうことでございますね。
  103. 大塚茂

    大塚参考人 そうですね。フルに四千メートルとして使うためには、鉄塔と立木が障害であるということでございます。
  104. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣、そうすると、十一月に飛ぶと言うなら、三千二百五十メートルで飛ぶしかないですね。いま総裁がお認めになったように、反対のための鉄塔があるということだけを、しきりに強調しているけれども、その手前の産土山の木は共有地なんですよ。しかも神社庁に認められた神社総代がおりまして、合議を経なければ切れない木なんです。それを切らないと、結局三千二百五十メートルにまたバックさせてやらなければならない、こういう問題がまだあるのですね。そういう事態を抱えていながら開港ということを総理が口走っている。これは重大な問題だというふうにお考えになりませんか。  それから四キロの滑走路は、いまやろうとするなら、三千二百五十メートルとしてしか使えない、そういう事実も、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  105. 田村元

    田村国務大臣 先ほど来総理の発言というのを問い合わせてみました。総理に同行しました秘書官は高田秘書官。高田秘書官は、総理が話をされたところにおったようでありますが、断定的に言い切ってはいないはずだ、こういうことを言っております。それから新聞記事も調べさせました。一番地元の新聞ということで千葉日報、これの記事を調べましたところ、財政的裏づけさえあれば、年内に開港できる見通しである、こういうことを総理が発言しておるようでございます。まあ実際に私が立ち会ったわけではありませんから、内容について知る由もありませんが、いま調べたところによりますれば、そういうことであることを御参考までに申し上げておきたいと思います。  それから、いまお尋ねの件は、一方向だけであるということを私に総裁は強く申しておりますので、私は年内開港に全力を挙げて進みたい、このように考えております。
  106. 小川国彦

    小川(国)委員 もう時間が過ぎましたので、資料として要求したいと思いますが、産土参道、産土山の木の高さ、それから鉄塔の高さ、これを公団ではどのように把握されておるか。それから、その問題が解決しない場合は、三千二百五十メートルで開港せざるを得ないということになりますが、それでも開港をされるのかどうか。  それから、いま総理大臣は年内開港ということを言っているけれども、財政的裏づけさえあればと、こういうきわめてあいまいな表現に後退をしてきている。こういうことは、逆に言えば、財政的裏づけがなかったら開港は来年になるのか、この一点だけは、もう一遍運輸大臣に念を押したいのです。後は資料として、委員長にお願いをしておきたいと思います。
  107. 田村元

    田村国務大臣 私、いま、あればと言いましたかね。財政的裏づけさえすれば、年内に開港できる見通しである、これが千葉日報の記事でございます。
  108. 小川国彦

    小川(国)委員 いや、千葉日報の記事を聞いているのじゃなくて、田村運輸大臣の一番重要な主管事項でしょう、成田空港は。私どもが言った環境問題、いろんな問題を切り捨てても開港する、公共事業だけで開港すると、あなたは言い切ってきているわけでしょう。そのことについて、総理とあなたが意思統一をして、いつが開港なのかということを、対外的には、やはり年内開港と言っているわけでしょう。財政的裏づけができればやる、こういうのでしょう。そのことを本当にやると言い切れるのかどうか。  私は、いつも大臣の首と何遍も言うけれども、やはり大臣が言うこととか、総理が言うことというのは、責任があることを言ってもらわなければ困るので、運輸大臣が知らないような、裏づけもできないようなことを総理が勝手に言って歩かれたんじゃ、そういう全くめちゃくちゃな内閣の発言は受け取れないですからね。だから、その開港の時期について総理の言っていることと、あなたの言わんとする時期はいつなのか、これを明言していただきたい。
  109. 田村元

    田村国務大臣 私は、別に無責任なことを言った覚えはありません。総理と私とで話をいたしておりますときにも、私は年内開港をするということを申し上げておるわけであります。年内開港に向かって、私は全精魂を傾けたいと思っております。
  110. 小川国彦

    小川(国)委員 できなかった場合のことをお尋ねしたいと思いますが、これは何度繰り返してもあれですから、できなかった場合には、改めて総理や運輸大臣の指針の誤りを正したいと思います。  先ほど申し上げました公団の国税庁の資料と、それから産土の木の問題、鉄塔の問題、それから三千二百五十メートルで、それが解決しない場合は開港するのかどうか、この点を委員長の方から資料として、ひとつお取りいただけるように、お取り計らいを願いたいと思います。  以上で終わります。
  111. 掃部實

    ○掃部説明員 国税庁の資料提出ということを先生おっしゃいましたが、国税庁の調査が終了しない限りは、資料を提出するといいましても、なかなか提出できないことになるわけです。  それで、調査の時期なんですけれども、調査の時期といたしましては、契約が実行に移されまして、確実に譲渡所得なり所得金額の権利が確定いたしましたその日の属する年分は、その日の属する年の翌年の三月十五日に確定申告が出るわけでございます。それから私の方で調査準備をいたしまして、調査にかかるということでございますので、先生がいま御質問になりました件の所得の申告という時期がいつになるのかということも含めてお考えいただかないと、直ちにその資料を提出するというようなわけにはいかないと思うのでございますが、いかがなものでございましょう。
  112. 小川国彦

    小川(国)委員 この取引の形態は、もう公団の方でほぼ決まっているわけです。ですから、公団のいま行おうとしている代替地の取得はもう行われたわけで、その譲渡が行われた場合、どのような課税が行われるか、こういうことの回答で結構でございますから。  個々の例について幾らの所得になるということじゃなくて、いま言った値段、取得した価格、売り渡される価格、それはもうはっきりしていることですから、その場合にどういう課税がなされるか、一般的なケースとして、どういう課税が行われるか、その回答で結構でございます。
  113. 掃部實

    ○掃部説明員 いま先生がおっしゃいましたような事例を想定いたしまして、法律の解釈論として、お答えするということでよろしゅうございますか。(原(茂)委員「幾ら課税するかを聞いているんだよ。それを言いなさいと言っているんじゃないか」と呼ぶ)先生にお尋ねしますが、幾らの金額というところまで説明せよということですか。
  114. 小川国彦

    小川(国)委員 幾らの税金がかかりますか、こういうことです。
  115. 掃部實

    ○掃部説明員 税率でございますか、それとも当該納税者が納めるべき税金を言えと、こういうことですか。
  116. 小川国彦

    小川(国)委員 税率と税金、金額ですね。
  117. 掃部實

    ○掃部説明員 先生御案内だと思いますけれども、各納税者個々の税額につきまして、それをお知らせするということは……
  118. 小川国彦

    小川(国)委員 先ほどお聞きになっていたと思うのですが、十五億幾らの、金額もはっきりしているわけですよ。それで、それが個々に売り渡される金額も、あなたはお聞きになっていたと思うのですが、総体を十五億で買われて、一反歩一千百八十万で買って、それを百六十一万で農民に売り渡す、こういうことです。その中間の差額は公団が支払う、こういうことであります。その場合に、だれにどういう課税がなされるか、こういうケースについてどういう課税が行われるか、そのことを委員長の方に文書でお知らせいただきたい、こういうことです。
  119. 掃部實

    ○掃部説明員 じゃ、検討をすることにいたします。
  120. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、大塚参考人に申しますが、先ほどの小川委員の資料要求の点について、公団におかれては、可及的速やかに整備をされて提出を求めたいと思います。よろしいですか。
  121. 大塚茂

    大塚参考人 はい。
  122. 芳賀貢

    芳賀委員長 林孝矩君。
  123. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私は、日米航空協定の改定に関して若干の質問をしたいと思います。  三月の日米首脳会談の共同声明の第九項、この項目の中で福田総理とカーター米大統領との間において「航空問題を討議した。」こういうふうに声明は述べております。  そこでお伺いしますが、福田総理は米国首脳と、どういう航空問題を討議をしたのかということについて運輸大臣は御存じかどうか。第二点は、カーター大統領に、日米航空協定が不平等であるということを言ったかどうか、「航空問題を討議した。」というならば、そういう不平等性を主張したかどうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  124. 田村元

    田村国務大臣 この問題につきましては、実際に担当いたしました外務省の方から参事官が来ておられますから、外務省からお聞き取りをいただきたいと思います。
  125. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 ただいまお尋ねの日米航空問題について、首脳会談でどういうやりとりがあったかということでございますが、首脳会談の二日目において、総理大臣の方から、四月の四日から第二次の日米航空交渉が開かれる、そこで、日本側の立場に対してアメリカ側の好意的な配慮を要請しております。それに対してカーター大統領の方から、自分は現在日米間で航空交渉が行われているということは承知している、そこで日本側の立場は十分聞く用意がある、同時にアメリカ側の立場についても、日本側の好意的な配慮を得たいという応答がございました。
  126. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまの内容が、この「航空問題を討議した。」という項目の内容になるわけですね。  それでお伺いしますが、三月二十三日からワシントンで開く予定の航空協定の改定交渉、これがアメリカ側の都合で延期になって四月四日からと、ただいま答弁があったとおりでございますけれども、現在行われている。この交渉の経緯、今後の日程、予定等について報告をしていただきたいと思います。
  127. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  四月の四日から現在、今週いっぱいのめどで交渉をいたしております。これは昨年の秋に続きまして第二回の交渉でございますが、この主たる題目は、すでに何遍も国会でもお答え申し上げ、また新聞等に出ておりますように、基本的には、日米間の航空関係の基本的な不均衡——御承知のように日米航空交渉は、戦後のまだ非常に弱小なわが国の国力のもとで締結されたという経緯もありまして、不平等条約と言っては言葉が過ぎますけれども、非常な不均衡がございました。数次のその後の改定交渉によりまして、かなり是正されておりますけれども、いまなお残っている。そして今回、この交渉を機に、この不平等の是正を行いたいということでやっておるわけでございます。  具体的には、わが国とアメリカの企業との間の、いわゆる乗り入れ地点の数とか、あるいは以遠権についての不平等をなくすこと、あるいは輸送力に関しまして日米航空協定のひな形になっておりますところの、いわゆるバーミューダ協定、これは、いわば強い言葉を使えば強者の論理と申しますか、これはアメリカの企業の基本的な原理である、いわゆる自由競争ということを原理にいたしまして、それなりに正しいと思いますけれども、これを航空関係に援用されますと、強き者はあくまでも強く、弱き者はなかなかその差が縮まらないという結果になりがちでございますので、私どもはこれに対しましては、何とか輸送力の調整をする方向に持っていけないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  現在、アメリカ以外の諸国との航空協定では、それぞれ入り込む便数を協定いたしまして、輸送力の調整をした上で取り決めておりますけれども、アメリカとの関係だけは、バーミューダ協定というひな形がそうなっているものですから、イギリスとの関係でも、日本との関係でも、そこのところが輸送力条項が入っていない形になっております。そこで、イギリスはこれを不満として昨年の六月に破棄をいたしまして、いま新しい協定の締結に向かってイギリスは交渉しておりますけれども、わが国におきましても、そのバーミューダ協定にありますところの、いわゆる自由競争主義というもののもたらす新しい問題点というものを、るる説明いたしまして、何とかこの際、それに足がかりを見出したいということで、いま鋭意現地で交渉している最中でございます。
  128. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今後の日程等に関して具体的に…。
  129. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 失礼いたしました。  今回の交渉は、今週いっぱいまでの予定でございますが、もちろん交渉が終わります前に、こういうことを申し上げるのは不謹慎でございますが、余りにも問題の深さと広さを考えますと、この土曜日までに私どもの考えておりますような決着がつくということは、ちょっと望み得ないかもしれないと懸念いたしております。その場合には、さらに数カ月後に次の機会をつかまえまして、今度は相当の構えで臨むということになると思います。  御案内のように、今回の交渉は、沖縄返還後五年たった時点で、日米間の航空関係の利益の相互的均衡という観点に照らして、日本側に与えるべき権益はどういうものかという点を議論しようということから始まったものでございますので、一応の区切りは、ことしの五月の沖縄返還五周年の日になりますけれども、この五月十五日という日に必ずしもこだわる必要はないと思いますが、これが多少おくれましても構わないと思いますけれども、やはりそうおくらすわけにいきませんので、相手があることで全くわかりませんけれども、少なくとも夏までには、次の交渉をやる、次の交渉では、ぜひ何とかめどをつけたい、こういうことでいま考えているところでございます。
  130. 林孝矩

    ○林(孝)委員 一九七七年五月十四日という一つの限界があるわけでありますけれども、現在の日米航空協定の不平等、この内容には先ほど御答弁がございましたけれども、さまざまなものがあると思うわけです。昭和二十七年のサンフランシスコ条約第十三条によって締結が強制をされたといういきさつ、発着地点の差異を考えてみても、アメリカ側が十九の発地点、着地点三が可能であるのに対して、日本は発地点が二で着地点が七である点だとか、以遠権の問題も先ほど答弁があったとおりでございます。  便数の不均衡について、ちょっと指摘しておきたいわけでありますけれども、昭和三十四年に、アメリカが秘密裏に日本と交わされた日米輸送力に関する合意議事録というものがあります。これを盾に、実質上無制限に近い増便枠を行使しているということが事実である。これは後で私、質問しますが、そのような点も一つの不均衡の問題です。運賃収入の差、これは日本人訪米者七十五万人に対して、昭和五十年の例でありますけれどもアメリカ人訪日者二十四万人、それにもかかわらず、日米間の路線構成はアメリカに有利になされているために、五十年の航空運賃収入は米国側が千七百七十四億円、日本側が八百七十一億円、その差は九百三億円に及んでいるわけです。また貨物の日米間の輸送力シェアの問題もあります。  それで、お伺いいたしますけれども、このような不平等な協定の改定交渉に当たっての日本側の態度、先ほど答弁の中で、今週じゅうに万が一目的が達成されなければ、次の機会の五月に相当の構えで臨むということでございましたけれども、今回の交渉に当たっての日本の態度、それと、その相当の構えというのはどういうことを意味するのか、この二点に関して明確にしていただきたいと思います。
  131. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 今回の交渉におきましては、先ほど来問題になっております各種の不平等の点があるわけでございますが、やはり私ども問題にしたいということで、こちら側の担当官に持たせております交渉態度といたしましては、いわゆる輸送力条項、アメリカ側が無制限に輸送力をふやせるという、このたてまえを何とかここで突き崩すということを、まずやってみようじゃないか、そのことに対しましては、アメリカはアメリカの反論がありましょうけれども、それを何とかこちらの土俵に引きずり込んで議論をさせるというところに、かなりの眼目を置いているわけでございます。また交渉の経過等、そう逐一つまびらかでございませんので、その成果がどうなっているか今日わかりませんけれども、そういった姿勢で今回の交渉をするということにいたしておりますが、これはアメリカ側としては一番弁慶の泣きどころでもございますので、非常に強力な反発が予想されます。  その場合に、次回の交渉にどういうふうな態度でこちらが臨むかということは、今回の交渉が終わりました後で、今回の交渉でこちら側の申し出た事項、それに対するアメリカ側の反応、これらをしさいに検討いたしまして、次回までに外務省とも十分協議をしながら決めることでございますけれども、日米間は航空関係以外にも、その他各種の関係を持っておりますので、外務省当局としては、やはりそういった総合的な立場からのお考えもありましょうし、そういった中で次回の交渉態度を決めたいと思っていますが、ぜひ強力な態度でやりたいというところまででございまして、今日いかなる点を重点に、いかなる手段で、いかなる戦略戦術でやるかということにつきましては、次回のことは、今日ここではまだ決めていないわけでございます。
  132. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今回の交渉に当たっての日本側の態度、それを具体的に申し上げれば、先ほど御答弁の中にありました以遠権の問題とかいろいろございます。しかし、その交渉をかち取るための腹構えというか、そういうものは非常に難航が予想される、それも先ほど答弁がございました。どういう態度で臨めば、その難航を突破できるのかというようなことまで検討されて今回臨まれておるのか、その点いかがでしょう。
  133. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもは、今回の第二回交渉では恐らく最終的妥結に至ることは、むずかしいかもしれないというふうな予想も若干ございましたので、次の交渉の基盤づくりと論点の整理をしようということが、かなりの目的になると思うのであります。したがいまして、着陸地点の問題でありますとか、以遠権の問題と申しますのを初めからテーブルにのせますと、これは足して二で割る式のことになって、そこで話が済んでしまいがちになる。だから、これを余りやらずに、やはりわれわれの悲願である輸送力関係についての問題点を披瀝して、相当抵抗ありましょうけれども、アメリカ側になるほど輸送力問題について議論する必要があるな、次回それをやる必要があるなということを理解させるというところが、恐らくかなり大きな眼目になると思うのであります。
  134. 林孝矩

    ○林(孝)委員 昭和三十四年に、秘密裏に交わされた日米輸送力に関する合意議事録の内容を明らかにしていただきたいと思うのです。
  135. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 合意議事録の内容そのままのことは、こういう外交交渉の慣例から表に出すわけにいかないわけでございますけれども、趣旨を申し上げますと、これは一九五九年、昭和三十四年に航空交渉がございまして、そのときに——これはちょうど戦後二度目のと申しますか、初めて締結された交渉に対して、日本側が不満として第一回の不平等を破る交渉をした場であったわけでございますが、そのときにわが国はホノルル−ロサンゼルス−ビヨンド南米線、そういったものを獲得したわけでございますが、代償といたしまして、かなりのものをとられた。一つは、ホノルル−シスコ−ビヨンド南米を除くというふうなことで代償をとられました。  それは協定上の問題でございますが、協定にはっきり書いてない事項といたしまして、いま先生御指摘の、いわゆる事後審査主義というものを再確認するという合意議事録をこのときに結んだわけでございます。  この要旨は、この協定に輸送力条項がもともと入っておりますが、それの適用についていろいろ討議がございまして、その討議の中で、米国の航空企業が明らかに不合理だと思われるような運航回数の増加を企てたり、あるいは相手国の、つまり日本の航空企業に対して不当な影響あるいは損害を与えることを目的とした競争手段をとらないということが、お互いの交渉団の間で合意されたことにかんがみまして、米国政府から事業計画の変更の申請があった際、つまり通常の場合、ある路線の便数をふやしたいという申請があった際、日本政府は、その問題になっております事業計画の変更が、もしも協定の輸送力条項に違反する、著しく両国間の輸送力の格差を広げるおそれがあるときには、アメリカ側に通報いたしまして、一定期間運航した後で協議をするというふうにしたわけでございます。  つまり、一定期間その運航を始めた後で、これは大変な格差になるという結果が出るおそれがあるときには、事後的に協議をする、協議にまたアメリカ側が応じようという取り決めでございまして、裏返して申しますと、そういう著しい不均衡を起こすような事実でない場合には、アメリカ側の申請を私どもは速やかに認可をする、こういったことで当時合意されたわけでございます。  そのころは、わが国とアメリカとの航空企業の力から考えまして、日本側がアメリカ側に乗り入れて便数をどんどんふやしていくことが、まだ実力としてかなりむずかしいときであったということでございますので、この合意議事録は、いまのように一方的にアメリカ側が入ってくる場合について書かれたわけでございますが、その場合にも、明らかに不合理な運航回数の増加はしないのだ、あるいは相手国企業に対して不当な影響または損害を与えるような競争手段はとらないのだということで、双方の交渉団が合意をいたしましたものですから、それならばということで、事後的に輸送力の審査をする、著しく不平等を広げるようなケースでなければ、一定期間後に認可をしましょう、こういうふうなことになっているわけでございます。  これが、いわゆる事後審査主義の根拠でございまして、その後、わが国の航空企業としては、これが日米間の実力上の不均衡をなかなか埋められない、かなり大きな障害になっていると理解をしているわけでございます。
  136. 林孝矩

    ○林(孝)委員 全くいま最後に答弁があったとおりであって、日米間の航空交渉は、この秘密裏に交わされた合意議事録が大きな障害になっている。私もそのとおりだと思うのです。  その秘密裏に交わされた合意議事録のただいま公表されたその中に「一定期間運航後協議する」云々というところがございます。もう少し詳しく言いますと、「事業計画の変更の申請があった際、日本政府が当該事業計画変更が協定の輸送力条項に違反するおそれがあると思われるときは理由を米国政府に通知し、一定期間運航後協議をすることとし、」というところがあるわけですね。この「一定期間運航後」に審査をするというところが、また重大な場面だと私は思うのです。これは極端な言い方になるかもしれませんけれども、「一定期間運航後」ということであったのでは、審査の調整権の発動が後回しになる、事後になってしまう、したがって歯どめが全くできない、その結果、強力なアメリカ企業が全く有利な立場に置かれる、こういうことになると私は考えます。  ですから、合意議事録の、ただいま指摘したようなことから考えますと、実質的にこの日本への乗り入れ便数に対する運輸省審査権が、運輸省の手によって放棄されておる、こう言わざるを得ないわけです。  なぜ、こういう秘密の合意議事録が公表されなかったのか。いろいろ外交上の問題はあると思いますけれども、公表されなかった結果、国民の前にそういうものが明らかにされなかった。今日まだその禍根が傷深く残っておる。どうして公表されなかったのかというところが、これからの問題と考えても、はっきりさせなければならないことではないかと思います。  また、その次にお伺いしておきたいのは、このような合意議事録の内容と類似したものは、アメリカ以外の国との関係において、運輸省は認めておるのかどうかという点。それから今回の日米交渉に当たって、この合意議事録を破棄して、そして事前の審査権を取り戻す考えはあるかないか、この点について明確にしておきたいと思います。
  137. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 初めにもお話し申し上げましたように、ほかの国との航空協定では、一週間に何便とか一日何便とかというところまで協定で結んでいるわけでございますので、こういった、いま先生御指摘のようなことになっておりますのは、日米の関係だけでございます。したがいまして、この種のものを他の国との間で結んでいることはございません。  私どもも、実はこの点が大変というか一番の問題であると思っているわけでございます。なぜならば、現在は幸か不幸か羽田しか使えませんので、羽田の一日の離着陸回数が四百六十回という制限もございまして、そのうち国際線では百五十回ぐらいしか使えないという枠があるものですから、アメリカの飛行機が増便しようと思っても、テクニカルにできないという壁がございますが、先ほど来問題になっておりますが、幸いにして成田が開港いたしますと、成田については、その壁がなくなります。  そうなりますと、いままで羽田のそういった混雑ということを理由に、アメリカの飛行機が入ってくるのを何とか抑えていたというバリアがなくなってしまうわけでございますので、そういった意味では、この際、この輸送力条項について何がしかの改善をしておきませんと、わが国とアメリカの間の航空企業の格差は、ますます広がることになると思いますので、今回の交渉でも、先ほど申し上げましたように、この点の是正をどうやって向こうに食いつかせるかというところを中心に、いまやっていると思います。
  138. 林孝矩

    ○林(孝)委員 他の国との関係においては、こういうものはない。もう一回繰り返すわけですけれども、三番目にお伺いした点ですが、他の国とはないわけですけれども、今回の交渉に当たって、まあこれを中心にしてやっておるということでありますが、はっきり話し合いの上で、どのような環境がつくられるかということは、当然前提になるわけですけれども、こちらの日本側の腹構えとして、こういう合意書なんていうものを破棄する、そこまでの強い姿勢といいますか、決意といいますか、そういうものを持った上で交渉に当たられておるかどうか。  少なくとも、先ほどからの私の指摘に対して御答弁も、やはりこの合意書の問題を認めておられます。こういうものが秘密に交わされたということに対する指摘も私はしたわけですけれども、そこに非常に大きな問題がいま残っておる。こういうものを破棄する、これくらいの決意で臨むことが、不平等を平等にするという一つの大きな結果を生み出すことになるのではないか。  先ほどの総理とカーター大統領との話し合いというのは、検討したということですけれども、非常に簡単な内容のものでありまして、日本の姿勢というものが、アメリカ大統領にどれだけ伝わったかということは、首相と大統領との間の話し合いでは、私はうかがえない。それは立場上の問題もあるでしょう。しかし今度は事務レベルの交渉なわけですから、こういう不合理な、まして秘密裏に交わされた合意議事録というようなものは、破棄するというような立場で臨むことが望ましいのではないか。  その点を重ねて決意のほどを、これは直接の所管として運輸大臣にも御答弁を願いたい、こう思うわけであります。
  139. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 いまの先生のお尋ねは、直接には合意議事録の破棄というお話だと理解いたしております。  今回の交渉に臨むに当たりまして、合意議事録の不合理性というものを強く訴えよう、これを何とかやめさせるようなことを向こうに働きかけようということで協定に臨んでいることは事実でございます。ただ、協定全体の破棄という問題につきましては、これはまた、おのずから別の問題でございますけれども、合意議事録につきましては、何とかこういうものはやめてもらいたいということで、いま交渉に臨んでいるはずでございます。
  140. 田村元

    田村国務大臣 議事録につきましては、いま局長が申したとおりでございます。  いま林さん、協定のことにお触れになったのかどうか、ちょっと私迷ったものですから、委員長に聞いたのですけれども、日米航空協定の破棄もあり得るのかということにお触れになったという前提の上に立ってお答えを申し上げれば、何といっても現在まだ交渉中でございますから、先走ったことを申すこともどうかと思います。しかし、航空協定は、一年の予告期間を設けて、これを破棄することができるということは、はっきりしておりますから、そういうことも将来の一つの対抗要素となることは可能であります。
  141. 林孝矩

    ○林(孝)委員 協定の問題と合意議事録の問題と、二つ私は先ほどから話をしておりまして、結論的には両方そういう意味を含んでいるわけです。なぜかといいますと、たとえば協定の場合も、昭和四十一年に、イタリアが協定の不平等を理由にして一方的に破棄して、四十五年に至って、現在の日米協定と比較すると非常に有利な内容の米伊の航空協定ができ上がっている。それで、またさらに改善を目指して、昨年からアメリカと交渉に入っているわけです。それからイギリスの場合も、御存じのように昨年の六月、協定の破棄を米国に通告して、現在不平等是正交渉に入っておる。  アメリカからの報道というものを見ますと、アメリカは、いまイギリスの破棄通知に対しての交渉、これがもう非常に重大な局面を迎えておって、そして日本とアメリカの協定の改定交渉というのは、何かその合間に行われておる。したがって、向こうから出席するメンバーの顔ぶれも、アメリカのいわゆる航空行政の首脳というのは、イギリスとの交渉のメンバーになって、日本とアメリカとの交渉のアメリカ側のメンバーは、首脳はあらわれないというような報道もなされておるのですが、その点は真実なのかどうか、お伺いしたいと思います。
  142. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 英米間のことにつきましては、昨年の六月に、イギリスがアメリカに対しまして協定の廃棄を通告いたしまして、これも協定によりまして一年の間は廃棄前の状態が続く、一年たっても新協定ができませんと、無協定状態になるということでございます。イタリアの場合には、無協定状態が数年続いて新協定ができたわけでありますけれども、恐らく英米両国間では、無協定状態にしてはいけない、何とかことしの六月までに新協定を結ぼうということで、いま非常に時期が切迫しておりますので、追い込みにかかったのだろうと思います。  しかしながら、日米と英米とでは、おのずから違いますし、決して英米の合間に日米をやっているということはございません。ただ、両方は大変なんで、向こうは担当者を分けた。その場合に英米につきましては、たしかボイドさんという、前の運輸長官だろうと思いますが、この人が担当しておるそうでございまして、六月になって協定ができないと、無協定状態になってしまうというせっぱ詰まったこともあるのかと思いますけれども、ボイドさんという方が出てきたわけでございます。  しかしながら、日米間をやっております向こうのスタイルズという人も、向こうの局長クラスの人ですけれども、この人は航空交渉のベテランで大変手ごわい人物で、またアメリカの国務省の中でも航空関係では専門家でございますので、決して格落ちをしているというようなことは、私はないと思っております。
  143. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それならば結構なんですが、もう一つ、先ほどの共同声明に戻りますけれども、「緊密な協議」という言葉で共同声明にうたわれておりますが、そういう形で将来においても日米航空協定の改定交渉というものに当たって、それで不平等性が解決されるかどうかという問題、それから先ほど来私が指摘しておりますような、協定そのものの破棄ということ、これが先ほど答弁があった相当な構えということになるのではないかと私は思ったわけですが、そういう形での交渉、それによって不平等性を是正することはできる、どちらを選ぶかということになると思うのです。なぜ私がそういうことを言うかといいますと、過去に国会における決議がございまして、そのときの答弁には、はっきりそれがうたわれております。これは「日米航空協定改定促進に関する決議案」として上程されておるわけでありますけれども、その決議の内容を見ますと、   わが国の国際航空企業がニューヨーク経由世界一周路線を実現することは国民の長い間の熱望である。   しかるに、現行の日米航空協定においては、米国の航空企業に対しては、東京乗入れ及び広範な以遠権を認めているにもかかわらず、わが国には、米国の西海岸までしか乗入れを認められていない。   よって本院は、政府に対し日米航空協定の改定に当たっては、協定の廃棄をも辞せずという堅い決意をもつて不平等を是正し、正しい日米友好関係を確立するよう強く要望する。   右決議する。  これは本院の決議として行われておりまして、その趣旨説明があって、最後に大臣の決議に対する発言の中で、「現行航空協定の破棄をも辞せずという強い決意を持って交渉に当たり、」という、この決議の趣旨に沿って、そういう態度で臨むという大臣の発言がなされておるわけです。  これは昭和四十年の決議でございまして、もう十二年を経過しておるわけですね。なるほどその間幾分是正されたという面もあり、また国際環境も変わってきておりますけれども、しかし、このような日米の航空協定の不平等さ、先ほど指摘いたしました合意議事録の中の重大な問題点等を考えますと、やはり今回の福田内閣、そして福田総理が訪米されて米大統領に会われた、その中の一項目にうたわれたということ、さらに、これだけの長い時間がたっておるということ、また内容が非常に重大な意味を持っておるということを考えますと、この航空協定の破棄、また合意議事録の廃棄ということを構えとして交渉に当たる、また運輸大臣も、それだけの決意を持って臨まれるということが不平等をなくすことに通ずると私は確信するわけです。  時間が来ましたので、私はこれで終わりますけれども、まあ、こういう決議もございますので、最後に、その点に対する関係当局と大臣の決意を伺いたいと思います。
  144. 田村元

    田村国務大臣 日米航空協定が不平等であるということは、何人もこれは疑うものではありません。私は、このたび航空局の山地審議官をワシントンに派遣いたしますときにも、厳しい姿勢で折衝に当たるように指示をいたしました。いま大変ありがたい御激励をいただいたわけでありますが、私自身、航空協定の改定の問題につきましては、いわゆる日米航空交渉につきましては、深く期するところがあるわけでありまして、きわめて厳しい決意で臨んでもまいりましたが、これからも臨む決意であります。
  145. 林孝矩

    ○林(孝)委員 もう一点だけ。  先ほど国際空港移転の問題に関連して、さらに乗り入れ問題、便数の問題、そうした問題が、いま以上に大きくなるということの話もございましたし、現在アメリカにおいて、その交渉が行われているわけでありますけれども、たとえば交渉しておられる人たちに、政府として、さらに一段と督励を促すとか、あるいは、いま大臣が厳しいという表現をされたわけですけれども、何らかの報告を受けて、さらにこういう態度で臨めとかというアクションを起こされるか、その点はいかがでしょうか。これだけ伺っておいて終わりたいと思います。
  146. 田村元

    田村国務大臣 日本代表から政府に対して経緯を報告してまいっております。この報告を見て、なお一層の奮励努力を私の名において申し伝えたいと思います。
  147. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その結果を見まして、この問題に関して、また別の機会に議論をしたいと思います。  終わります。
  148. 芳賀貢

    芳賀委員長 安藤巖君。
  149. 安藤巖

    安藤委員 私は、港湾運送事業の運賃及び料金の問題について、お尋ねしたいと思います。  港湾運送事業の運賃、料金は、これは港湾運送に関する秩序を確立するということで、運輸大臣の認可によって、定額として、しかも作業別に各港ごとに決められているものですね。ですから、そういう法の趣旨からいたしまして、運輸大臣としましては、この認可料金が適正に守られているかどうかということについては重大な関心を持っておられると思うのですが、その点について運輸大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  150. 田村元

    田村国務大臣 地方海運局におきまして、昨年四月から五月にかけて、五大港について行いました料金監査結果によりますと、監査件数に占める料金の完全収受件数の比率は、基本料金についてみますと、船内荷役料金の場合約九三%、はしけ運送料金の場合八〇%、沿岸荷役料金の場合は約八四%となっております。
  151. 安藤巖

    安藤委員 いや、私が大臣の御答弁をお願いしているのは、この認可された運賃、料金が適正に守られているかどうかということについては、大きな関心を払ってもらわなくちゃいかぬと思いまして、それで、関心を払ってもらってしかるべきだと思うが、どうかというふうにお尋ねしているのですよ。
  152. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 この港湾運送の料金につきましては、先ほど先生御指摘のように、港湾における諸作業が的確に行われるためには、その作業に従事する事業体が健全な姿で、この事業に当たらなければ、やはり成り立ちませんので、そういう意味合いから港湾運送事業法におきましては、そういう諸作業を行いますところの港湾運送事業者が健全に活動できますように、秩序を保つということを目的にいたしまして、いろいろ施策を講じているわけでございます。  そういうことからいたしまして料金につきましても、先生御承知のように認可料金と申しますのは、適正な活動に要する費用と、それからまた、当然のことながら港湾運送業というのは、人件費も相当の率を占めるものでございますから、そういう労賃も確保し、しかも、事業として成り立つためには、適正な利潤も確保できるような形で認可料金というものを決めておるわけでございます。  それで、その料金が的確に履行されているかどうかということ、これは、言うなれば、そういうようにしてせっかく料金の水準を決めておきながらも、それが完全に収受されておりませんと、いわゆるダンピングがなされたりしておりますと、やはり体質が弱くなるおそれがございますので、この実施状況につきましては、毎年度監査を行っておる次第でございます。それで、先ほど大臣から御答弁いただきましたところのものは、そういう趣旨によって毎年度監査してまいったもののうち、一番最近のものといたしましては五十一年度に監査したものがございます。その結果の数字を申し上げた次第でございます。  いまの数字を全部ひっくるめて申しますと、料金の完全収受件数は、調査件数のうち、九〇%くらいの件数のものは完全収受がなされていたということが確認されております。それで、あと残りの一〇%程度のものは残念ながら、そうでなかった面がありますけれども、これも、しさいに見てまいりますと、いわゆる収受率が九〇%を切っているもの、要するに一〇%以上ディスカウントされているようなものというのは全体のうち、三%未満でございました。しかし、これでいいということではございませんので、そういうような実態のあるものにつきましては地方海運局を通じて、その是正について指導いたしている次第でございます。
  153. 安藤巖

    安藤委員 私がこれからお尋ねしようと思っていることをお答えになったので、その辺は少し飛ばしますけれども、いまおっしゃったのは、関東海運局長名で京浜港全事業者にあてて「港湾運送事業法令の遵守について」ということで通達を出しておられるわけです。この中で、五月に実施した監査で、運賃、料金の不遵守があって、その事例が見受けられたことは遺憾である、とありますので、その割合等をお聞きしようと思ったのですが、先ほどお聞きしたとおりということでお聞きしておきますけれども、これに対して、結局運輸省あるいは海運局の方から、是正措置としては具体的にどういうようなことをおとりになったのかということと、このあて名の事業者というのは、いわゆる元請だけなのか、下請にも及んでいるのか、その点お伺いしたいと思います。
  154. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 先ほど申し上げましたように、実際に現地におきましては地方海運局が監査をし、また指導しておる次第でございます。この関東海運局の発しました文書につきましては、これは関東海運局の管内の全港湾運送事業者に対して文書を発しております。  それで、こういうように各地方でもやっておりますが、中央におきましても港運業者の全国的な団体でございますところの日本港運協会というものがございます。それで中央におきましても、その日本港運協会に対して、ともかくこれは業者自身の死活の問題になるわけでございますから、業者自身そこいらのところをしっかり自覚して、業界自身努力してもらうように指導しておる次第でございます。
  155. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、いまお尋ねしておるこの通達は、元請の一種、それから下請関係になる二種、三種、四種までですか、の全事業者に対して、こういう通達を出しておられるというふうにお聞きしてよろしいわけですね。
  156. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 そのとおりでございます。
  157. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、これはあえてお尋ねするまでもないと思うのですが、たとえば、これは昭和四十四年一月三十日付で「港湾運送料金の下払いの確保について」ということで通達が出されているのです。これは直接作業費の全額下払いの確保、管理費等も入っておりますけれども、この確保の問題について「指導監督にあたられたい。」というふうになっているわけです。この通達はどこあてに出しておられるのか。そうすると、指導監督に当たるのはどこになるのかということをお尋ねしたいのです。
  158. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 この四十四年一月三十日付の港政第二十三号という文書だと思いますが、この文書は港湾局長名をもちまして地方海運局長に通達したものでございます。  それでこれは、この文書にもございますように、非常に港、港によっていろいろ事情も違うものでございますので、一応先ほど申しました日本港運協会がいろいろ検討した結果の、何といいますか標準的といいますか、そういうようなものを付しまして、それでこういうようなことがあるので、ひとつ指導されたいというふうにしたわけでございます。
  159. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、認可された料金について運輸省が監査され、その是正のための行政指導をされるとかいうようなことは、元請の会社を対象にするばかりではなくして、元請と下請との間のいわゆる下払い料金になろうかと思いますけれども、その点についてもぴしっと監査をし、指導監督をする、そういうことになるのだというふうに承ってよろしいわけですか。
  160. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 先ほども触れましたように、港ごとにいろいろと事情がございますので、これは下払いの割合といいますか、個々にケース・バイ・ケースでやりますと、どうしても力関係といいますか、妙なはずれが出てくるおそれがございますので、大体各港ごとに、たとえば一種なら一種の業者の集まり、それから三種なら三種の業者の集まり、その業種ごとのグループで、いわゆる協定といいますか、協定というのは、ちょっと行き過ぎでございますが、配付率の協議をして、それを標準にしてやるようにしている状況でございます。  そういうことからいたしまして、私どもといたしましては、当然そこいらにつきましては、下請の方も元請の方も承知している率というふうに理解しておりますので、全業者にこの趣旨を徹底し、指導するということによって、これが確保できるのではないかと考えておる次第でございます。
  161. 安藤巖

    安藤委員 先ほど最初に私がお尋ねしました関東海運局長名義の通達の中に載っております監査というのは、元請と下請との間の運賃、料金が認可料金に従って適正に行われているかどうかということをも対象にしてなされた監査なのかどうか、どうですか。
  162. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 この監査のやり方につきましては、業種によりましても監査事項が異なっておりますが、たとえば、はしけ料金につきまして申しますと、一応要するに元請が、先ほど申しましたような認可料金の収受を完全に行っているかというようなことが一つ、それから現実に下払いの状況もどうなっているかというようなことも調べております。
  163. 安藤巖

    安藤委員 私が問題にしたいのは、もちろん船主あるいは船会社と元請との間のいろいろな契約、その契約において認可運賃、料金が適正に収受をされているかどうかということは、いま先ほどお話がありましたように、大分不遵守の率は少ないようでございますけれども、事実、あることはある。そしてさらに元請と下請との間の運賃、料金の収受の関係が、認可料金を守っていない、というのは、元請の方がダンピングを下請に対して強制するというようなことが行われていて、下請の方は仕事をもらえなくなると困るものですから、どうしてもそれに応ぜざるを得なくなる。しかも、ほとんどこれが公然の事実になっておるのですけれども、海運局の方に、そのありのままを申し立てれば仕事がもらえなくなるというおそれがあって、なかなか本当のことが言いにくいというような事情があるということをよく聞いているのです。  それで、たとえば先ほど御答弁の中にもありましたが、横浜港のはしけの下払い料金などの協定があるわけです。これは、はしけですから、一種と三種との間の協定書です。その基本料金は料金表の八一%とするというのがあるわけです。この料金表は四十九年、五十年、五十一年とだんだん上がっていますね。ところが、そういうふうに増額されているにもかかわらず、こういう協定書がありながら、実際は、現在ですと五十一年度に改定されたものがあるわけですけれども、四十九年の認可料金を基準にするのだ、そして、そのうちの七八%にするのだというふうに、実際の契約としてはダンピングを強制されているわけですね。  ということになりますと、これは、たとえば五十一年ですと、雑貨の場合トン当たり七百九十四円になるわけなんですね。だから、この八一%ということになると六百四十三円十四銭ですか、ところが四十九年のときは六百四十円ですから、この七八%ということになりますと四百九十九円二十銭、五十一年の認可料金からすると、わずかに六三%にしかならないというような、認可料金を相当下回る料金を押しつけられているという状況があるわけなんです。だから、そういう元請と下請との間の運賃、料金の実際に支払われている金額が幾らかというようなことについて、運輸省としてはどの程度監査なり、調査なり、関与しておられるのかと思いまして、いまお伺いしているのです。
  164. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 実は、先ほどの答弁で一点誤りがございましたので、おわびをいたしまして訂正させていただきたいと思います。  監査の内容でございますが、実は下払い関係のことをはしけを例にして申し上げたのでございますが、これは私の手元にありました資料が五十二年度実施しようとしております。いま準備段階のものでございまして、実績といたしましては下払いの関係は、実は五十一年度はやっておりません。  それで、御承知のように、はしけ関係が非常に扱い量が少なくて、はしけが過剰という状況がございまして、先生御指摘のように、どうもダンピングやら下払いに対する抑圧やらが行われているのではないかというような声も聞くものでございますので、私どもは地方海運局が適正に指導してやってくれているものと信じておるわけでございますけれども、的確な監査ではございませんけれども、サンプル的にいろいろな情報を取り寄せてみますと、どうもはしけの方については、先ほどの完全収受の率が少し低いようでございます。そういうようなことから、ひょっとすると先生御指摘のような事項もあってはならぬということで、五十二年度の監査につきましては、元請と下請との関係の下払いについても調査いたすべく調査票を準備している状況でございます。
  165. 安藤巖

    安藤委員 私が一番考えているところを、五十二年度からやっていただけるということで非常にありがたいのですが、元請の方に下払いの支払いをきちっとさせるというような方向でお願いしたいと思うのです。  もともと船主あるいは荷主と元請との間にダンピングがある。そのダンピングが今度元請と下請との間の契約にしわ寄せをされる。そうすると、今度は労働者の方へ賃金の低下ということでしわ寄せされていくわけですね。だから、これは最後運輸大臣に御答弁いただきたいのですけれども、たとえば、これは昭和四十八年三月二十日の運輸政策審議会の答申にあるわけですけれども、結局これは港で良質の労働力がどうも不足していく。それは労働条件が低下しているからなんだという指摘があるわけなんです。だから私がいま言いましたような、そういうダンピングというのが、労働条件の低下、もちろん低賃金ということになっていくわけですね。それが良質の労働力を補給することができないという大きな問題になると思うのです。そういう一つの大きなポイントであるこのダンピングについて、きちっと監査をしていただくべきじゃないかというふうに思います。  その点について決意も含めて運輸大臣から御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  166. 田村元

    田村国務大臣 いま承っておりまして、まことに私も同感でございます。さようなことのないように厳しく指導監督をいたします。
  167. 安藤巖

    安藤委員 終わります。
  168. 芳賀貢

    芳賀委員長 原茂君。
  169. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣を解放しなければいけないらしいから、先に二、三お伺いしておきます。  一つは、会計検査を毎年受けます。きょうも検査結果がここに出ていますが、こういうものは、まともに実行しようという特別な配慮があるのですか。できるだけやっていけばいいというようなことなんでしょうか。会計検査を受けて、いろいろ指摘がありますね。こういうものを実行するのに、直すべきものは直し、不当事項は改めるというようなことをやるのに、何か特別な配慮をして大至急にやるというようなことになっているのですか。やれるときにやればいいというようなことになるのですか、どうですか。
  170. 田村元

    田村国務大臣 検査院の指摘については、これをまじめに受けとめて、可及的速やかに改めるべきだと思います。
  171. 原茂

    ○原(茂)委員 会計検査院に聞きますが、きょうも指摘がありますけれども、こういう指摘が、すぐできるものが一年も二年もやれなかった場合どうなるのですか。一年も二年も不当事項だという指摘を受けながら平気でやっているのは、どういうことになるのですか。
  172. 東島駿治

    東島会計検査院説明員 私ども指摘しまして、それが是正されないということになりますと、繰り返し不当事項として提案するつもりでございます。
  173. 原茂

    ○原(茂)委員 例を言った方が早いのだけれども、踏切資材指摘が四十九年度にありましたね。これは全然踏切工事もまだしないのに、とっくの昔に積んでいるのが、いまだにずいぶんありますね。  それからもっと卑近な例は、ここに食堂車のついた急行に対してやめてしまえと書いてある。四十九年ですよ。いまだについていますね。しかも食堂の営業をしていないものです。これは私が見ているのだから、中央線ですよ。私はこれを見ているうちに、へえ中央線はまだついているのだけれども、どうなんだろうと思った。食堂はやっていない。空っぽの食堂車がそのままついている。四十九年に指摘されて五十年、五十一年、五十二年、いまだについている。こんなのは切り離すだけだから、やる気があればすぐできますよ。どうしてできないのでしょう。何年もほってある。いまだについているのですよ。しかも営業していない食堂車、空っぽのままです。四十九年に指摘を受けていながら平気で三年間まだやっているわけです。確かに言うとおりもったいないですね。こういうのは、なぜすぐ実行できないのか。どうでしょうか。
  174. 高木文雄

    高木説明員 いまの食堂車といいますか、ビュッフェの問題でございますが、これは確かに御指摘があったわけです。ここは非常にむずかしいところでございまして、ビュッフェというのは、大体半分普通の乗客が乗っております。それから半分はビュッフェになっているわけです。そこで、その乗りぐあいがどういうことになるかと申しますと、ビュッフェの方はいろいろな営業の関係で、業界の方では、これはとても引き合わないから営業できないということになってまいります。それから、あとの半分の方はどうかといいますと、たとえば線区によりますし、それから列車運用によって、非常に乗りぐあいの多い時間帯に車が使われる場合と、同じ車がお客さんの少ない時間帯に使われる場合とあります。  そこで問題は、土曜日とか日曜日とか、あるいはゴールデンウイークであるとか年末であるとかということで、非常に乗客の多い時点を基準にして物を考えるか、すいた点を考えるかということでいろいろ議論がありまして、御指摘のように、最近はいささかお客さんが全体として減っておりますから、先生が御指摘になりますように、非常に目立つ例が多いかと思います。  いま、大体の方向としては、検査院から御注意があった分についてはほとんど外しておりますが、そういう議論で、この線区ならば、あるいはこの線ならば、まだあった方がいいのじゃないかということで一部残しておるのがございます。
  175. 原茂

    ○原(茂)委員 それは後でまた……。  大臣、三月十八日か何かに大臣が記者会見をされましたときに、国労、動労などもやがて経営参加をさせる必要がある、こうおっしゃっていますね。経営参加をいまの国労、動労にさせるというと、どんな形態になるか、これだけちょっとお伺いしたい。
  176. 田村元

    田村国務大臣 私は、経営参加をさせるべきであるという表現はしなかったので、経営参加という時代が来たのではないだろうか、そういう表現をしたわけであります。これは組合の方がどういう受けとめ方をするかわかりませんが、仮に経営参加を私が正式に組合、労使に対して提示したとした場合に、法律の問題もございましょうし、あるいは組合が推薦するものというような形になるかもしれませんし、実はまだそこまで詳しく考えて発言したわけではありませんけれども、経営参加も含めまして、もうすでに現代社会は参加ということが日常使われる言葉になってきたということから、私はあえてそれに触れてみた、こういうことでございますので、断定的に申したわけではございません。
  177. 原茂

    ○原(茂)委員 私、興味を持ったのは、公労協で経営参加という、所管大臣としては初めて発言された。何かやろうかなという意思がおありなのかと思って実はお聞きしたのですが、確かにそういう時代はもう来たと思いますし、ある種の形の日本的な経営参加というものは、具体的に検討すべきときがもう来たと思います。ですから、大臣、逃げてしまわないで前向きでひとつ案をつくって、組合にも一遍話をひそかにして打診をするような、やれば日本では先駆ですよね。話がつくかどうかは別として、大臣も案をつくって、世界的にもそういう時代が来ているのだから、ひとつ前向きで検討するということを考えていいのじゃないですか。  私は、賛成反対を言っているのじゃないですよ。大臣に、あのときに、ただひょっと思いついたから言っただけである、その後何も考えていないじゃなくて、前向きで検討するという姿勢であって欲しいと思ったので聞いたのですが、どうですか。
  178. 田村元

    田村国務大臣 全然何も考えないで、全くその場の思いつきで言ったというわけではありません。  と申しますのは、私は、もう五年ほど前でございますが、労働大臣というのをしたことがございます。実は、そのときからの私の個人的な考え方でございます。そういうことで、非公式の場では労働大臣時代にも発言したことがございますけれども、労働大臣の場合は一般論で済みますけれども、今度は現業を担当する役所の大臣でございますので、その点は慎重にもならなければならぬと同時に、勇気を持ってやらなければならぬことも当然だと思います。  でありますので、妙な表現でございますけれども、大臣というのが、任期がどれだけあるかわかりませんけれども、まあ太く短く生きるといいますか、自分で信念的に考えておりますことは、どんどんと言葉にも出し、行動にも移していきたい、私はこう考えております。
  179. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、いいです。  高木さん、いまお話があったのですけれども、たとえば一週間のうち土曜、日曜だけ使う、あとは使わないという場合もありますね。おっしゃった説明はそうでしょう。採算がとれないから、もうほとんどやってないし、私の知っている限りでは、客席のついたのを全然見たことがないのですが、いまだにつけて歩いておるのですから、やめるものは、すぐにやめていいのじゃないでしょうか。  いま、そうでなくても大変な赤字をしょって、何とかしようと言っておるときに、目先すぐできるものを、いつまでもやらないでおく。それで、聞かれると、つべこべ、一週間のうち、土曜と日曜は忙しそうだとかなんとかいうよまい言に引かされて、ふだんこういうものを空っぽのまま、営業もしないで引っ張って歩くということを四十九年に指摘されて、まだやっておるなんということは、怠慢ですよ。  いかにも総裁が赤字退治するために神経を一生懸命使ってやっているように見えるのだけれども、国民の目には、そんな苦労をしておる跡が全然見えないということになりますね。国民にも見せなければ、いけないのじゃないですか、苦労されていることを。そういう点、まだお役所仕事といいますか、きめ細かにやっていったら、ぴしぴしできるところがあるのじゃないかと思う。あんなもの、使わないのだから、すぐにやめたらどうですか。
  180. 高木文雄

    高木説明員 空いている車、あるいは営業してないビュッフェカーというものが走っておるというのは非常に印象が悪いわけでございまして、そういう意味から言いますと、おっしゃるとおり外した方がよろしいということで、どっちかというと、どうしようかということについては、私も個人的には外す方に傾いている方の判断をしておるものでございます。  ただ、現実にどうだ、外そうではないかということで議論をしてみますと、日数としては非常に少ないわけでございますけれども、お客さんが座席がなくて立っておられるということがあるわけでございます。そうすると、片一方において立っておられることがあるのに、その車を外しますと、二十幾つでございましたか三十幾つでございましたか、半分部分の座席が外れてしまうということになりますので、そこらは全国一律に——あるいはいろいろ名前がついておりますこの特急はどうしようとか、この急行はどうしようということで、一律でなしに、個別に議論してみなければならぬだろうということで、従来やっておりましたが、基本的には空いているものは外すのが常識だけれども、あとの半分を使うことのメリットがあるなら、それは管理局の判断でやってもよろしいというようなことで来ておるわけでございます。  検査院から御注意を受けましたのは、特に問題になりましたのは、急行につながっておるビュッフェなんでございますが、三十五、六両のものについて問題になったわけでございます。現在すでに七、八割は外して、いま車庫につないである形になっておるわけでございますが、二、三割のものは、まだあとの半分のメリットが大きいからということで、つながって走っておるということでございます。  ただ、こういった事態というものは、そのときどきで変わってまいりまして、最近は全体として、お客さんの乗りぐあいが少ないわけでございますので、ことしの初めから今日までの数カ月の状態などを見ますと、どうも外した方がいいのじゃないかなというような感じが強まってきておるわけでございまして、いままたその検討をしております。
  181. 原茂

    ○原(茂)委員 総裁、こんなことをまともに論議をしたことないのだろうと思いますよ。いまの急行の付随の食堂車なんというのは、中央線には、半分座席があるなんというのはついてないのですよ。ビュッフェだけですよ。半分座席があるなんというのは、もちろん使ってはいないけれども、ほとんど走っていない。ビュッフェだけのやつが多いんですよ。ですから、赤字赤字と言っている国鉄が、基本的な問題としては、いま言ったように、立っているやつがあって、そいつが助かるからつけておくなら、サービスから言ったって、もっと本当に座席ばかりのやつをつけるべきですよ。食堂車の片すみに、たまたま半分座席があるのに、座れるからいいだろうというので、要りもしないあとの半分の食堂を連れて歩くなんという、ばかなことをすべきじゃないじゃないですか。  会計検査院指摘したら、もっと素直に、勇猛果敢に、これはだめだというものを切っていかなかったら、赤字などというのは解消できないじゃないですか。小さいから構わないのだというのじゃ赤字対策になりませんよ。ささいなものからやることも赤字対策ですから、いまのような答弁で、最近の傾向としては、またくっつけた方がいいように思うなんというような調子の考え方では、総裁は陰で苦労しているんだろうと思うけれども、赤字対策というのは、まだ本当に骨身にしみてやってないなという感じを私、いま受けました。  これじゃ赤字なんか解消できない、根本的にもだめだけれども、こういう末端の大事なことを見逃して、平気でつべこべ言い逃れをしているようじゃだめだというふうに、感じとして受け取りましたよ。これは国民的な感情でしょう。実際あれを見ていれば、国民も国鉄の赤字なんというものを全然感じませんよ。声を大にして赤字赤字と言ったって、だめだと思いますから、検査院がせっかくいいところを指摘したら、四十九年から今日までほうっておく手はない、即座にやるべきものだというふうに思いますから、いまやります、あるいはやりませんなんて言ったってしようがない、本当にまともに検討してみてごらんなさい。そうすれば、どんどん廃止するものが出るはずです。これはひとつ強く要望しておきます。  それで、ついでにお伺いしますが、今度グリーン料金を今月半ばか何かから少し値引きをしよう、新幹線中心のようです。これを見まして、一体なぜ普通の幹線、あるいはローカル線にはグリーンなんかないけれども、新幹線だけにこれをやって、あとに適用を考えないのか、これが一つ。  それから、回数券制度というのは、お互いに手間を省く意味で非常にいいと思います。新幹線だけにあって、ほかの、たとえば中央線その他に回数券はない。回数券制度を他の線にも拡張したらどうかなと思うのです。国鉄の赤字対策の意味からも、何か割引するから損のように思えますけれども、回数券なんか持っていると、つい今度は自動車にしようかと思っても、また鉄道に乗るというようなことになりますから、長い目で計算してみると、決して赤字の助成をするのじゃなくて、ある意味では黒字への助力にもなる、こういうふうに思いますから、いま言った、なぜ一体新幹線だけの、あるいは東海道線だけの割引にするのか、あとは全部割引にしないのか、回数券制度をどうして援用していかないのか。私はすべきだという意味で……。
  182. 高木文雄

    高木説明員 これはまさに二つの考え方があるわけでございます。  一つの考え方は、運賃そのものは法律で決まっておりますけれども、料金は運輸大臣から認可をしていただいて決めるということになっておりますから、そのときそのときの状況に応じて弾力的に運用していってはどうか。そういう意味から申しますと、料金について現在の状態から見て、場合によったら値下げというようなことも考えられ得るのではないかと思います。しかし、この場合には運輸大臣が認可をされます前に運輸審議会で御審議を求めることになりますが、従来の例でございますと、かなり御審議に手間取るといいますか、時間がかかるわけでございますし、かつて現行の料金制度につきまして運輸審議会に御審議を求めておるという経過もございまして、これは相当時間がかかるのではないかと思う。そうだとすれば、運輸大臣に一々お許しを求めないでも、弾力的に運用することができることになっております。営業割引と俗称しておりますが、そういう制度をうまく使うことによって、何か少し弾力的な制度をとることができないかということを検討してみまして、その後段の部分について考えております考え方が、一部新聞で報道せられたわけでございます。  しかし、まだいま、いずれとも決め切れていないわけでございまして、もうしばらく時間をかしていただきたい。このままではいけないのではないかという考え方と、実は最近に至りまして、急に乗車効率が非常に上がってまいっておりますので、余りあわてて、いろいろな施策をするべきではないのではないかという意見もまた出てきておりまして、いま検討いたすと同時に大変判断をつけにくいところで、いろいろな数字を並べて、私の手元で考えておるところでございます。  それから回数券についても、できればいろいろな回数券があった方がよろしいのではないかという御意見は前々からも承っておりますが、券面の種類がふえるということは、私、実は余り実感をもってまだよく理解ができないわけでございますけれども、改札あるいは検札の業務に当たる現場の諸君の方からは、余り券面種類をふやすということについては異論が出るわけでありまして、たとえば、普通にA地点からB地点までの回数券をそのとおり使って乗ってくださる場合には、何ら問題がないわけでございますけれども、非常にしばしば乗り継ぎとか、あるいは行き先変更とかいうことが起こります関係で、相当程度料金計算上にややこしい問題がありますので、回数券について、ある程度のものは営業政策上はいろいろなバラエティーのものがあってよろしいと思うのでございますけれども、現場におきますトラブルをなるべく多くしたくないという点からいいますと、余り回数券を出すことには、いろいろ議論があるわけでございます。  しかし、これにつきましても、方向としましては、だんだん競争産業的要素を強めておるわけでございますから、お客さんが何とか乗ろうというか、乗ってやるという気持ちを持っていただけるような営業形態になっていかなければいけないわけでございますので、基本的には、多少トラブルといいますか、煩わしさがふえましても、やはりそういった方向に広げていくべきではないかしらというふうに考えております。
  183. 原茂

    ○原(茂)委員 これから決めるのだから、一生懸命に中に入れて検討した方がいいと思いますね。  時間が余りないものですから、総裁から余り細か過ぎる説明は要りませんから、ずばりとひとつ答えるようにしていただきたい。  四十九年の一月から四月にわたって行管が調査をして、その行管の勧告が出ましたね。五十年の一月に行管の勧告が出ている。前から言ってあるから、きっと見てきたと思います。これに対して、一体どんな手をお打ちになっているのか。特に国鉄の未利用地の問題、この総点検を行管は特に強く言ったわけですよ。その前のときに、高木総裁は決算委員会でも、これにちょっと触れたときに、これは一生懸命にやらなければいけないのだという意思表示をされている。これは四十九年の行管の監察ですから、五十年の一月に正式に出されたものですから、その後一体この行管の勧告に従って、いまの会計検査院ではありませんが、どんなことをやりましたか。どういう成果が上がったか言ってごらんなさい。
  184. 高木文雄

    高木説明員 この前も御答弁申し上げましたとおりでございまして、用地状態を的確に把握する、そうして未利用地をいわば総点検するということを始めております。それによって不用地を的確に把握いたしまして、処分の促進に努めるという基本方針でございます。それは行管の言われたとおり、素直にといいますか、まさに、そのとおりのことを言われたというふうに理解をいたしておりまして、それを具体的に進めておるつもりでございます。  具体的な内容について、補足して担当常務理事から答弁をいたさせます。
  185. 高橋浩二

    高橋説明員 指摘を受けましたうち、一番大きな問題は、国鉄用地の管理、特にその中の未利用地の管理が十分に把握されてないではないかというのが、一番大きな点かと思います。  まず、未利用地の把握をいたすためには、現地に——百年の歴史の中で用地境界等が非常に不明確だ、したがって用地台帳自体が必ずしも正確でないという点から、まず一つ手をつけまして、用地の境界ぐい等をまず整備する、それに従って台帳を整備するということから手始めております。しかし、これには非常に時間がかかります。しかし、そういうものは必ずしも整備されなくても、未利用地実態については、大まかなところは見当がつきますので、現地で再調査をいたしまして、従来からつかんでおりました、たとえば一昨年の行管に御指摘いただいたときには、未利用地として約二千三百万平方メートルということになっておりましたのを、昨年度五十一年度末で再調査をいたしまして、それが千九百七十万平方メートルということに、一応再調査の結果は、そういう数字になっておるわけであります。  私の方は、この千九百七十万平方メートルというものが今度どういうふうに、これは、たとえば売却していいのかどうか、あるいは国鉄の事業用地にしたら、どういうふうに使っていくのか、あるいは、どういうふうに活用するかということを仕分けして、それを実行に移していく方がより重要な仕事かと考えております。いま、その未利用地のうち、約半分につきましては、即座に売却してもよろしいという判断がついておりますけれども、残ります約半分の一千万平方メートルについては、どういうふうにいま活用し、またその活用の中から、いままた売却していいものをえり分けておるところでございます。  ちなみに、昨年度五十一年度におきましては約百億円ほどの処分をいたし、また一方においては、活用すべきもの等については、駅前等についてはビル等に利用できるように、国鉄から出資した会社で、そういうものを活用するように図っておるのが今日の状況でございます。
  186. 原茂

    ○原(茂)委員 五十二年度には、残りの一千万からどのくらい売却しますか。
  187. 高橋浩二

    高橋説明員 その中に、最初申しました一千万平方メートルについては、直ちに売却してもよろしいというものがございます。これは売却してもよろしいという私どもの判断でございますけれども、この大部分の面積は、昔の廃線敷あるいは地方のローカルにおける、いわゆる防雪林等を含めた用地でございまして、この一千万平方メートルについては、まず第一段階として、地方自治体からの御要望があれば、地方自治体と協議を申し上げて、なるべくまとめて売却したい。それから地方自治体等が不要なものについては、公開入札等で売りたいという手順を経て、ただいまのところは、まず地方公共団体等にその利用方を打診をしております。  しかし、実際には私の方が売りたいというものは、なかなか売れない。それからまた、私の方が余り値段を下げて売りたくないというものについて、地方自治団体から、うんと値段を安くしてくださいというようなことで、なかなかうまくまとまらないのが実態でございますけれども、先ほど申し上げたように、昨年度は約百億円ほどの売却をいたしております。
  188. 原茂

    ○原(茂)委員 聞こうと思ったことを先に言われたのですが、地方自治体に対して、少なくとも売却可能というものはわかっているのですから、書類で正式に、ここと、ここの、このくらいの広さのものをというのは、当該の地方自治体に対して、希望があるかどうかをすぐに出すべきだと思うのですが、いままでの百億売ったというのは、全部その手順を踏んでいるのですか。
  189. 高橋浩二

    高橋説明員 いま百億のうち、約六割ぐらいが地方自治団体に売却したものでございます。四割ぐらいは一般に売却した。大きくまとまったものにつきましては、私の方から申し上げなくても、地方自治団体がぜひほしいということで、長年の間出ているものがたくさんございます。  いま先生がおっしゃいますのは、それ以上に、私の方から地方自治団体の方にもっと積極的に、まず働きかけたらどうか——そういう点については、まだ不十分な点があるかと思いますので、そういう点も含めまして、地方自治団体とよく御協議申し上げたい。ただ、最近の地方自治団体の財政自体から、いまでなくて、もう三年待ってくれ、もう五年待ってくださいというものが実はたくさんございまして、そういうものも逐次、私の方とよくお打ち合わせをして処理をしていきたいというふうに考えております。
  190. 原茂

    ○原(茂)委員 これも私の乗っている線ですから、飯田線を特にきょう中心に聞きますが、飯田線には地方自治体が欲しいところがたくさんあるのです。ところが、あなたの方では、そんなものは何も言ってくれないんだ。いっぱいあるのですよ。どうなるんだろうと言っている。ぼくは、構わないから、どんどん売ってくれと言え、こう言っているのですが、売る意思があるかないかということが決まらないうちは、地方自治体というのは、議会で決議して、こうしてなんということは、なかなかやらないのですね。  ですから、私は、もっと赤字対策で、こういう行管の勧告に従ってやろうというからには、細かいものでもいいから、あそこの沿線はほとんどあるのですから——行ってみたかどうか知りませんが、一度あの線をずっと歩ってごらんなさい。未利用地が全くうそのようにあるのです。そういうものを書類でもって、こういうものは、いつでも、もし欲しければというものを地方自治体に出すべきですよ。積極的に赤字対策をやるべきじゃないですか。これはすぐやりますか。飯田線なんかやってごらんなさい、幾らでもあるのですから。
  191. 高橋浩二

    高橋説明員 私は、じかには現地をよく存じませんけれども、最近、駅を無人化したり、あるいは貨物駅を集約したりいたしますと、駅の付近にも貴重な土地が全国方々出ていることは事実でございます。  そういう点につきましては、いま先生のおっしゃいますように、いま実は厳密に選別をさしておりまして、私の方で事業用に使わないものについては、私の方からなるべく積極的にこれについて買っていただけるかどうかということを地方自治体等にお示しすることについては、当然そういうことを考えていきたいというふうに考えております。ただ、実際問題として、なかなか値段の点が折り合わないということがございまして、それはそのときのことで、いろいろ解決していくべき問題だというふうに考えております。
  192. 原茂

    ○原(茂)委員 これは局長でもいいのかもしれませんが、その場合の各駅の現地に、これは未利用地かどうかというのを聞いているのですか、要らないものかどうかということを聞いているのですか。  私は、国鉄に別途の機関があって、みずから査察をしなければいけないと思うのですよ。現地では、あれもこれもやってみたいという気持ちはみんなありますよ。ですから、お互い、そうでしょう。家の中で大掃除をしても、これは捨てていいのかどうか、捨て切れないものがずいぶんありますよ。あるでしょう。それと全く同じ心境が働くのですから、この未利用地のいわゆる売却その他利用、あるいは現在の貨物に使っているところも、これは将来要らない、いつごろになれば要らないものだとかいうことも含めて、国鉄としての査察機関が別途になければだめだと思うのですよ、本当の査察をしなければ。そういうものをつくっておやりにならないと、これは現地から来るのを待っていたのでは、本当には出てきませんよ。どうですか。そういうのをやりますか。
  193. 高橋浩二

    高橋説明員 いま私は本社の立場で申し上げます。これは、総裁からお答え申し上げるべきかと思いますけれども、社の中に、用地の問題についての専門部局が従来ございませんでした。いわゆるどういうふうに利用したらいいか、管理の部門はございますけれども、どういうふうに積極的に活用したらいいか、そういう専門の部局がなくて、各局ごとに、いろいろまちまちの施策を考えていた、それをまず改めるために、ごく近いうちに、本社にそういう土地を活用していく、あるいはそういう総合的な判断に立って、どういうふうに利用するかという、まず基本を決める部局をつくりまして、それから、若干時間がかかるかと思いますけれども、まず東京とか大阪とか比較的地価の高いところで、未利用地の非常に多いところの現場機関に、従来の運転部門と別のそういう部門を、いまつくるべく検討いたしておるところであります。  そういうものができてまいりますと、いま言った、受けて立つのではなくて、私の方から積極的に、ここはどうしろ、どうしろ、どうしろと判断をして、活用なり売却なりということができるようになろうかと思います。その点については、従来の組織自体が、先生も御指摘のように非常に不十分であったということで、いま申し上げたような方向にしたいというふうに考えております。
  194. 原茂

    ○原(茂)委員 これからこういうものをつくる予定で、こういうものができたら、こうなります、この次また一年二年たって聞くと、いまつくっております。調査しておりますというのが、いままでのあれですよ。  しかし、本当に国鉄が赤字赤字で大騒ぎしていたら、焦眉の急で、すぐにやらなければだめだと思いますよ。総裁、これはひとつ真剣に、実際に取り組んだら、ずいぶん違うと思いますし、自治体も喜びますし、大至急に、いま常務さんのお話しのあったようなことをぐっと期限を切ってやるように、ひとつやっていただきたいと思うのですが、どうですか。
  195. 高木文雄

    高木説明員 あと一週間くらいでございますが、四月の十五日に、現在の局とは別に、改めて開発局というものを設けることを予定いたしております。  そして開発局、事業局、それから土地の管理をやっておりますのは非常に多くの部分を施設局でやっております。また場合によりますと、貨物局の方の管理の土地というふうに、非常に土地を使うという前提から、あるいは管理するという前提から、組織が全部できておるのでございまして、これではならぬということで、ただいまの御指摘のように処分といいますか、あるセクションの中で使うというのではなくて、使うとしましても、もっと広い幅で使うということでなければならぬというふうに考えまして、各土地、その他の資産を持っております局を横つなぎといいますか、くし刺しにして、全体を見る役割りのポストを一つ、またさっきの開発局と別につくりまして、そしてみんなで集まって、これをどういうふうにして処分なり利用なりを進めていくかという体制をつくったところでございまして、これが四月の十五日から動き出すことになっております。  しかし、例に挙げられました飯田線の場合に、その組織ができたら、うまく動くかというと、なかなかそうはまいりませんので、まず本社で、その体制をつくりまして、そこで各管理局におきます同様の事態がございますから、これを、そうかと言って、余り組織を膨大にしたのでは意味がありませんので、各管理局においては、それを今度どういうふうに動かしていったらいいか。  たとえば東京とか大阪とかいう資産ボリュームの非常に大きな場所につきましては、特別な組織なり、人なりを置くということは意味があろうかと思います。それほど資産のボリュームがないというか、ボリュームは大きいかもしれませんが、単位当たりの価値が、それほど高くないというような場合には、現行組織のままで何か連絡組織をつくってやることにでもするかということで、その運営の仕方をどうするかということも、今度本社にできます新しい組織で考えさせることにいたしておりますので、少しく時間がかかるかもしれませんが、方向としては先般来、先生御指摘の方向に動いていっているものというふうに御理解をいただきたいと思います。
  196. 原茂

    ○原(茂)委員 たとえば飯田線のみならず、飯田線もですが、駅の周辺にとにかく国鉄が使っていないというので、地方自治体が、皆さんから言ったら小さいものであっても、これは非常に活用できるので欲しいと言ったものは、皆さんの方から働きかけなくても、自治体の方でどんどんまた新たに申請して、そうして要求があったら、それにちゃんとこたえるように応待もする、こういうことにしてもらえますね。いいですね。これから、どんどん自治体から出ますから、自治体から出たら、その方がずっと未利用地を現地の人はよくわかっているのですから、ここのところをぜひもらいたいと言ってきたら、自治体がどんどん言ってきたら、どんどんそれを受けて応待をして、処分をするものは処分する、いいですね。そういうふうになりますね。
  197. 高木文雄

    高木説明員 さっきから御説明申し上げておりますように、未利用地として概念しているものについては、そういうことになると思います。当然おこたえしていくことになると思います。  ただ、現在、外からごらんになって、これは使い道がないじゃないかというふうにお考えであるかもしれませんが、国鉄の方から見ますと、まだ予定があるというものもありまして、またその中で、現場では使う予定があると言っていますけれども、もう少し大所高所から見れば、それを処分してもいいではないかというようなものもありますから、いろいろ具体的に問題はありましょうが、基本的には、従来とは根本的に変わって、ただ財産を大事に管理しているというのではなくて、先ほどのように、引っ越しのときにいろいろのものを処分するというような心組みに、だんだん切り変わっていくというふうに考えております。
  198. 原茂

    ○原(茂)委員 ですから、自治体から見当違いがあったら、教えてやればいいですね。本当の未利用地だったら、応待して、すぐに処分してあげるというふうに応待をしてもらえること、そういうお答えだったというふうに理解しておきます。  それから、また飯田線の踏切の問題ですけれども、飯田線というのは、くねくね曲がり曲がっていて、運転する人も大変だろうし、何といったってスピードアップしようという前提としては、踏切を何とかしなければいけないでしょう。踏切の廃止を飯田線全体でどのくらい考えているかというのを資料でちょうだいしました。いままで廃止してきたのも大した数じゃありませんが、まあまあ廃止が五十年度、五十一年度でできています。あとこれから廃止するのが十八カ所予定している。この十八カ所予定をしているのを、現地の自治体は知っていますか、知っていませんか。  時間の都合で先に言っておきますが、いよいよ予算がとれました、来年度はここの踏切を廃止しようと思います、あるいはこういうふうに改修しようと思いますというのを自治体にいきなり言われると、また自治体はそれから騒いで、そうして住民パワーが起きる。踏切一つを廃止するのでも大騒ぎでしょう。私は、十八カ所というこれからの計画があるなら、問題は起きるかもしれませんが、自治体には、何年度にこういうものは廃止したいと思うということを出してしまいまして、そうして自治体にやはり住民との間の接触をしてもらう。その中で必要があれば、皆さんが動いていくというようなことを、計画があるなら、すぱっと最初に言って、住民の意向というものをゆっくり吸い上げて、そうして推進をしていくというやり方をしませんと、支度はできました、予算がつきました、だから、来年度、再来年度やりますといった、そこから一つ一つ問題を起こすようなことをすべきじゃないと思うのですが、いままでのことは聞きません。飯田線の、これから廃止する十八カ所、これに対して、すぱっと全部事前にこれを提示して、協力を求めるようにすべきだと思いますが、いかがですか。
  199. 高橋浩二

    高橋説明員 いまの十八カ所につきましては、いま自治体と先生言われましたのですが、県の段階に設けられております。いわゆる踏切改善促進協議会、そこの場ではいろいろ議論があるので、県の段階では了知されているかと思います。ただ、そこでいろいろ議論されたものが、自治体と先生おっしゃるのは、もっと下の市なり町なりということだと思いますけれども、そこへ行く段階で、必ずしもこの十八カ所が現地にまだ明示されていないというふうに私は聞いております。  したがって、いま先生のおっしゃいますように、前広にお話を申し上げて整理して、またその間には、ただ整理するだけではなくて、ほかの踏切については、これを整理するから、ほかの踏切については、こういう整備をするという両方の問題と絡んで初めて統廃合というものが可能かと思いますので、そういうものも含めまして前広に御協議申し上げる方がよろしいのではないかというふうに考えて、できるだけそういうふうにしたい。  ただ、いま申し上げましたように、統廃合とともに整備のことも私の方はあわせて申し上げなければならないので、整備の方については、なかなか技術的な問題その他があって、必ずしもホローできないという実態があろうかと思いますので、その点もよく勉強いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようなかっこうで協議を進めていきたいというふうに考えております。
  200. 原茂

    ○原(茂)委員 おっしゃるとおり、整理統合というたてまえでやらなければいけませんわね。どうも実際の下部では、管理局の方ではきちっと整理統合というその範疇で検討がもうずいぶんできているようですよ。だけれども、これ反対がひどいだろうというので、しり込みしているのですよ、実際は。私が聞いたところによると、どうもみんなができているようですね。ですから、余り整理の方を考えて、なかなかに案がむずかしいなんて——むずかしいんじゃない、反対があるだろうということに非常に困難を感じていることは間違いないのですから、したがって、いま言ったように、自治体の方に早く問題を投げかけてもらって、そうして私は一日も早く飯田線全体の問題として解決すべきは解決すべきじゃないか。細かいことは申し上げませんが、ぜひそれだけは実行して、ひとつやっていただいた方がいいように思います。どうせ問題は起きるのですから。  どうせわれわれ、この中へいろんなふうに突き上げられたり頼まれたりするのですから、そんなもの一々ことし、これが終わったと思うと、来年またあの踏切だ、再来年この踏切だと、同じようなことを始終やっているよりは、県の方はわかっているのですから、だから皆さんも自治体の方にすぱっと流しちゃいなさいよ。これはぜひお願いします。これはお願いだ。  それから、塩嶺トンネルについて、ちょっとお伺いしますが、塩嶺の今後の見通し予算、それから工事の完了する時期等について、どんな見通し持っていますか。大ざっぱに言ってください。
  201. 高橋浩二

    高橋説明員 塩嶺トンネルは、延長約六キロございます非常に大きなトンネルでございます。四十八年の秋から工事にかかりまして、実は岡谷方では、まだごく最近まで非常に強い反対がございました。いま塩尻方から工事を進めて、延長のおよそ三分の一ほど、ただいまトンネルが完成をいたしております。あと残ります三分の二が、これから問題、ただいまのところ岡谷方の協議がほほ順調に進みかけておりますので、私どもの方は五十四年度中には完成をさせて使用を開始したいというふうに考えて努力をいたしていきたいと思っております。  おおよその金額は、トンネルが約百四十億くらいかかるかと思いますが、ただいまのところまで三分の一ぐらいの予算を注入いたしております。
  202. 原茂

    ○原(茂)委員 塩尻側で大変な水が出ましたね。凝固剤を使って固めていく。凝固剤の影響かどうか知らぬが、湿疹が非常に起きて、三十九名も異常湿疹が起きた。これは凝固剤をいろいろ調査をした結果、その心配はないということにもなり、飲料水も飲んで差し支えないというのも、盛んにずいぶん金かけて大変なあれですね、選挙のときのビラよりもっとりっぱなやつをいっぱい配っていますよ。最近、鉄道はなかなかりっぱだと思って感心しましたけれども、あの宣伝は確信を持っているのでしょうね。飲んでも大丈夫です、絶対に心配はございませんというふうにまいておいて、もしそれか本当に後になって——よくありますよね、こういう問題は。後になってきて結局調べてみたら、やはりあれが影響しているんだなんということになって、いま非常に大きな問題になっていますね。これは、その心配は全然ないのかどうか、それが一つ。  それから、塩尻の北小野に地盤沈下が起きましたね。これに対しては、地盤沈下を防ぎながら漏水も防ぐというための薬剤というのか何というのか知りませんが、配りましたね。それで、たんぼの水の漏水を防ぎ、同時に地盤沈下を防ぐように、いまやらせていますよ。一生懸命やっていますね。これも全然地下水その他に影響はないということになりますか。凝固剤による異常はございません、人体に影響は何にもありませんというような宣伝をしているのですが、あの宣伝は、絶対今後間違いないように、きちっとあらゆる検査をして大丈夫という自信をお持ちなのかどうかをお聞きしたい。
  203. 高橋浩二

    高橋説明員 ここで使用しておりますのは、ここだけで使用しておるのではなくて、もう相当前から全国で使用され、建設省の暫定指針に基づく制約がございまして、その指針に従った、いわゆる珪酸ナトリウムを主としたLWというものを、ここで使用をいたしております。私の方は相当長年これを使って、全国で方々で使っておりますので、その点では大丈夫だというふうに、私の方は確信を持っております。  なおかつ、注入をいたしまして出てくる水質、その付近の水道に使っております水質試験も、これは私の方だけでなくて、市の試験所等でいろいろ試験をいたしております。私の方からのデータも市のデータも、この注入剤が水の中にまざっているというそれの証拠は、いまのところはございません。そういう意味で、水道の中には、これがなるべくまざらないような取水の仕方がまず第一段階。なお、まざった場合に、一体これが人体に影響があるかどうかということについては、もう相当長期にわたっておりますので、いままでのところは大丈夫だというふうに考えて使用を許可しておるところでございます。(原(茂)委員「地盤沈下は」と呼ぶ)  地盤沈下剤の方は、いまちょっと手持ちにデータございませんのですけれども、地盤沈下剤も同じようなものだと思いますので、それが人体には影響がない。ただ地盤沈下剤自体が、いま言った地盤が、なおかつ、どういうふうに下がっていくかということについては、必ずしもこれは十分な工法でございませんので、その方の地盤沈下自体については、これで十分だというふうには考えておりませんけれども、人体自体については大丈夫だというふうに考えております。
  204. 原茂

    ○原(茂)委員 結構ですが、地盤沈下を防ぐために、いま配っております何というのか知りませんが、どろだか薬だか知りませんが、漏水を防ぎ、地盤沈下を防ぐというので、田を耕している農民に配っています。これも、いま言ったように、凝固剤が人体に影響がないかどうかを、飲料水にしても大丈夫だという宣伝をしましたが、この地盤沈下を防ぎ、漏水を防ぐ薬剤か何か知りませんが、これもやはり調査をされておいた方がいいのじゃないかと思います。水というものはどこへ行っちゃうかわかりません。これもちょうど凝固剤と同じような調査をなさるべきだと思うので、これはぜひ一度やって、これも大丈夫なら大丈夫だと地元へやって、きれいなビラで知らせたらいいでしょうね。どうですか、それをすぐ調査してやりなさい。
  205. 高橋浩二

    高橋説明員 御趣旨に沿うような調査をはっきりいたしまして、確信を持って仕事ができるようにいたしたいと思います。
  206. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしなければいけないと思いますが、それから塩嶺トンネル、諏塩トンネルですが、塩嶺トンネルを工事をやるという条件のように伊那谷開発同盟に対して国鉄が約束をした一項から八項まであるわけですね。要するに、意向表明という形でもって、文書でもって知事あてに出す。知事が各地方自治体にこれを配って、そうして諏塩トンネルが工事ができるようになれば、伊那谷の増強に対して、こういうことをいたしますというお約束をされている。意向表明をしているのですね。それがどうですかね、前から通告してあるから、わかっていると思うのですが、読み上げなくても何と何を約束をしたのかということをおわかりだろうと思うのですが、何を実行しましたか。  四年後には、もう諏塩トンネルができます。塩嶺トンネルはあと四年でできますね。十何年前に約束した塩嶺トンネルと引きかえに、飯田線伊那谷開発同盟の要求に従って折衝をやって、われわれ議員も中に入って、ついに、塩嶺トンネルは工事をやらしてくれ、そのかわり塩嶺だけつくったんでは片手落ちだから、飯田線の増強もひとつ頼むよというようなことが地元からも非常に強く出されて、それをうんと言わなければ塩嶺トンネル反対だというものだから、ついに長野県の衆参両院議員、私も含めて全部仲へ入って、ようようあの工事ができるようにしてあげて、そのかわり飯田線の増強は、かくかくのものにいたしますというのを八つ皆さんは約束をしたのだ。そのうち何を今日までに実行していますか。
  207. 高橋浩二

    高橋説明員 いま先生のおっしゃる八項目と私の手元のあれと、八という数字、ちょっとあれでございますけれども、当時飯田線は——当時と言いますか、これは昭和四十一年だと思いますが、当時四十一年における飯田線の輸送量というのは、逐次輸送のお客さんがふえておりました。恐らく十年後の今日には、もっとふえるだろうという前提で、地元の方々からは非常に大きな要求としては、飯田線の複線化という非常に大きな問題がございますが、そういう大きな問題は一応別にいたしまして、飯田線自体の、まず辰野以北は廃止するなといったような、非常にそういう増強とは関係のない御要求もあったかと思います。  そういうものは別にいたしまして、当時の御要求の主たるものは、まず車両の増備をして、なお通勤ラッシュ時間帯は非常に込むので、車両増備とともに列車回数もふやしていけ。それがためには変電所もつくったり、あるいは行き違い設備をつくったりというようなことを含めて、表現的には車両増備ということよりも、むしろ行き違い設備だとか、待避設備だとか、あるいは立体交差化の保安設備といったようなことで御要求があったということになっておるかと思いますが、そのうち、いま最初に申し上げました、お客さんの増に対処をすべき車両増備、これは実はお客さんが四十一年からただいま五十年まで、この十年間に当時よりもお客さんが非常に減ってきております。したがって、当時非常に混雑したものが、必ずしもいまそういう意味では混雑しないということで、当時私どもの頭にありましたのは、もっと列車回数をふやそうということは、実はこの十年間お客さんがふえなかったために、そういう点については、ごく一部行き違い設備をつくって、急行を一往復増発したといったことはございますけれども、お客さんに見合わなかったということで、その点については、まだできてないところがあるかと思います。  ただ、そのときに申された立体交差の問題あるいは辰野駅、小野駅等の駅舎の改築の問題、それから行き違い設備の新設の問題、これらについては、その後実行いたしまして、現在お役に立っているというふうに考えております。
  208. 原茂

    ○原(茂)委員 私、八項目というのは間違いなんで、これは七項目ですね。  その中で、たとえば辰野の立体交差なんというのは、これから地元負担が決まればやるわけですわね。そういう遅々としてやっていることはあるんですが、主な問題は、この項目の中に車両増強に対しては十五億円をかけますと書いてあるのですね。複線化はやります。それから塩嶺トンネルには六十億円かかります、同額をかけますと言っているのですね。塩嶺トンネルの六十億円と同額のものを飯田線増強にかけますと。それからホームの延長もいたします。ホームの延長をしなければ困るところはずいぶんありますよ、いまでも。延長してないんですね。これ、やる気があるんですかね。やる気がありますか。今後この約束を実行する気があるんですか。まず第一に、複線化言ってください。
  209. 高橋浩二

    高橋説明員 一番大きなのは複線化でございますけれども、ただいまのところ、列車回数が上下合わせまして貨物も含めて五十五回ほどの列車を走らせております。実は五十五回程度では、いま全国的に見ましても、複線化にして運ばなければならぬという状態ではございません。これはやはり輸送の状況を見て、複線化の必要な時期になったら、複線化を進めていくということになろうかと思います。当時のお約束も、そういうことで複線化をするというのではなくて、複線化については将来の輸送その他を見て、いろいろ御要望に沿うようなことを配慮していくという、複線化については、そういうふうなお約束だったかと思います。  その前に、いま車両、ホームの延伸、これはさっき申し上げましたように、当時二両のものを四両にし、あるいは四両のものを六両にして、そうしてお客様の混雑率を緩和しようという計画がございました。しかし、先ほど申し上げましたように、お客さんの数は、四十年に比べまして、この四十九年、五十年は、大体七割になっております。したがいまして、六両に必ずしもしなくて四両で、いまのお客さんの輸送には対応できるということで、ただいま二両を四両までには増備いたしました。それに対する一部のホームを延伸いたしましたけれども、まだ昔ながらの、これは私鉄買収当時のホームでございますので、車両は四両でございますけれども、ホーム自体が四両分がないというところが随所に実はあるというふうに聞いております。これは安全上の問題にもいろいろ絡んでくる問題でございますけれども、逐次、できれば、そういう安全の問題に絡むものについては、お客さんの多いところについては、ホームの延伸等も図らなくちゃならないというふうに考えております。
  210. 原茂

    ○原(茂)委員 ずいぶん、後になると、まるでやると言ったことがみんな、客が少ないから、やらないんだとかなんとかいうことで、意向表明で、こういうことを塩嶺トンネルができたらやりますと言ったからには、やらないときには、かくかくの理由で、これはできませんということを、何年もたっているんですから、正式に文書で細かく約束した者に、それこそ意向表明をすべきですよ。ほうっておかないで。それが、鉄道が国民の信頼を得るゆえんじゃないですかね。  これはみんなそう思っていますよ。この七項目ができるんだと思っているんですよ。人が少ないから、複線化も当分やらないんだ、そんなことを、いまいきなり——塩嶺トンネルがいまできる間際ですけれども、これは反対に岡谷側は、やめちゃおうじゃないかなんという案が出るかもしれない。出てもいいから、やらないならやらないでもって、これに対して正式の意思表示をすべきですよ。この七項目に対して返事をすべきですよ。しますか、返事を。書類でもってなさい。そうすべきですよ。  意向表明しておいて、われわれが仲へ入って、だからトンネルを上げさせろと、あの反対をとうとう説得して、やるようにしておいて、そうして、いよいよあと四年でできますよというときになったら、いや実は人が少ないから、あれはだめだ、これはこういう事情でやらないんだ、あれもやらないんだ、そんな、まるで子供だましみたいな、そのときになって言ったら大騒ぎですよ、これは。事前に言うべきですよ。こういうことを意向表明しているんだから。あなた方の、あのとき磯崎さんでしたかね、やっているんですから。高木さんには責任はないとは言わせないけれども、とにかく何かそういう証書を出したら、それが実行できないときには、かくかくの理由によって実行できませんというのを出すのが常識でしょう。  借金したって、返せないなら返せない理由をつけて延ばしてもらうのがあたりまえじゃないか。あなた方が勝手に理由をくっつけて、こういうものがあるのに、これに対する何らの意思表示もしないで、もう十年以上もたつんですからね、これは。しかもトンネルは、もうすぐできるんですよ。あなた方の目的は達するんだ。だけれども、陰で約束したものの主なものは、ほとんどかくかくの理由でできません、聞けばそう言っているんですが、したがって細かいことを一々聞きませんが、ぜひひとつ書類で意思表示をするようにしてもらいたい。どうですか。
  211. 高橋浩二

    高橋説明員 この件については、ごく最近県議会等を通じまして、県知事からも強くその要請がございます。ただいま私の方で、その趣旨に沿いまして現地の実態をもう少し詳しく調べております。その調べた結果、いま先生の申された方向に御回答申し上げる方が、どうも一番現地の方々の不信をなくすという意味において、そういうふうにすべきかなというふうにいま考えておりまして、御趣旨にできるだけ沿った処置をとりたいというふうに考えております。
  212. 原茂

    ○原(茂)委員 今月いっぱいぐらいには、増強計画に対する正式な意思表示をするという約束を現地に、県会に対して、していますね。だれが応対したのか知りませんが、電話で知事と何か盛んにやりとりして、後で観光課長がこっちに来て、あなたかどなたかに二十六日に来て会ったら、一カ月以内にはちゃんと増強計画案なるものを出しますと言った。それをお出しになることは、もうお約束だから出すんでしょうが、そのときに、これに対して詳細に正式に答えなさい。いま答える意思表示があったからいいと思いますが、すべきですよ。しておかないと、後の問題の方がうるさいですよ。私は、混乱させるために言っているんじゃない。これはすべきです。問題になるんなら、早くなった方がいいのです。そして、やはり真実を吐露して折衝すべきです。  そのときの細かい問題ですが、辰野の駅と小野の駅、駅舎の改築はするということになっていたですよね。あれもあのままになっているのですが、確かに駅舎の改築をしましょうというのは、あたりまえですよ、あれは。いまどき珍しいような小さい建物が、そのままになっているのですからね。やはりそのときの地元の要求の中で、辰野と小野は駅舎の改築をしますというやりとりがあるのですよ。したがって、これも大至急に辰野と小野の駅舎の改築は、やはりやるべきだと思います。  先ほどお話のあった辰野、下辰野のいわゆる桜町というのですか、あそこの踏切は、立体交差にするための手順がもう済みましたから、実際にあと二年ぐらいでできると思います。これはできる。  それから地元から特に要望の強い中田切、与田切の二つの川を、何とかして付近の大きなカーブを抜いて直線化してもらいたいというようなことが、前からの宿題になって細かく陳情が出たりいろいろしているのですが、これに対しては、金はよけいかかるし、駅を四つくらい廃止しなければいけないし、それでもいいんですかと言って、逆に短刀を突きつけたような調子になっているのですが、飯田線増強の中で、これは実際にはできるのですか、できないのですか。中田切川と与田切川の、駒ケ根と飯島の中間ですよね、あそこの大きなカーブを抜いて直線にするという工事は、一カ月以内に返事をする飯田線増強計画の中では返事に入るのですか。それができる、やる、どっちですか。
  213. 高橋浩二

    高橋説明員 十年前にお話のございました項目には、この問題は入っておりません。したがいまして、この点について、十年前のことの御返事とは関係ございませんけれども、私の方はいまいろいろと検討いたしておりますけれども、技術的に非常にむずかしい。非常にむずかしいといいますのは、この中田切にしましても、もう一つ与田切でございますか、そこを越えるにいたしましても、橋梁の高さか五十メーター以上の高さになるというような技術的な問題がございます。しかも、これはお金がべらぼうにかかるということもございまして、ちょっと実現はできないというふうに御返事を申し上げたいと思っております。
  214. 原茂

    ○原(茂)委員 それから塩嶺トンネルができると、辰野と岡谷、川岸ですね、岡谷から辰野、あそこは本当のローカルになっちゃうのですよね。で、現在は岡谷を出ると川岸、それから辰野に行くでしょう。トンネルができたら、その川岸を境にして川岸と辰野の間、川岸と岡谷の間が一キロちょっとずつ、二キロ以上になるのですが、そこに無人駅でいいから乗降のできる、いまたくさんありますよね、無人駅が。金がかからないんですから、ああいう無人駅をつくると住民に非常に便利だし、乗降客も多くなる。トンネルができた暁に、岡谷と辰野の間に川岸町を真ん中にしてその中間に一つずつ、たとえば橋原駅とか駒沢駅というような、乗降するだけの駅を無人駅でいいからつくるべきだと思いますが、これは私の案ですよ、これをひとつ検討してもらいたいと思うのです。  あそこの線をずっと見ますと、鈍行の一々とまるのは一キロちょっとで、みんなとまっているんですよ。いま言った間に一駅ずつつくらないと二キロ以上になっちゃうのです。ここだけが二キロ以上になる。だからトンネルができるのを契機にして、辰野と川岸の間に駒沢駅を一駅つくる、川岸から岡谷の間に橋原駅を一つつくるということになりますと、いまとまっている駅間の大体平均した距離になる。しかも、あそこを鉄道がトンネルを通って行っちゃいますからね。したがって、あそこで乗降客が非常に助かるし、住民も助かるし、国鉄の場合、まあまあ増収ということもねらいながら、無人の金がかからない駅でいいから、つくるべきだと私は、あそこを通るたびに思うのですが、いかがでしょうか。
  215. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいまの先生のお話は、いま初めて伺いましたが、この新駅の設置につきましては、この線はいま単線でございますし、どのぐらいの乗降が見込まれるかとか、あるいはどういう開発計画があるかとか、いろいろその条件がございまして、ただいまのところでは、全国的に新駅の設置というのは、現実にはほとんどやっておらないわけでございます。  しかし、いまお話がありましたのも初めて伺いましたので、ここで直ちに御返事もできませんので、持ち帰りまして勉強させていただきたいと思いますが、一般的に言うと、そういうような状況にありますので、現時点では、なかなかむずかしいかと思います。
  216. 原茂

    ○原(茂)委員 おっくうがらずに、一カ月以内に回答する中に、やはりそういうことも検討して、私はつくるべきだと思いますよ、金がかからないんだし、乗降客も多くなりますよ。ここにはいろいろな工場その他ありますからね。学校もある。いまの川岸のままに放置しておきますと、自動車に頼る以外にない。ここにいま言った中間駅、それを置いて、ちょうどほかの駅の間と同じ間隔になるのですから、そうすると鉄道に乗る者が多いということは、もう間違いない。増収の点からいっても、こういうのをやらなければ赤字対策にならないだろうと、ぼくは思いますから、それは検討してもらいたいと思う。困難だから、むずかしいですよじゃない、前向きで検討すべき問題だと思いますので、検討してできるなら、そういうものをぜひ設置して増収を図るようにやってもらいたい。これは検討の結果が、県へ回答する中に入れば、なおいいですね。これはだれも何も言っているのじゃない、私の試案ですが、ぜひ前向きに検討をしてもらいたい。  それから、前にも運輸省のときに、この決算委員会で言ったのですが、飯田線を利用しまして県庁所在地の長野に行こうとしますと、飯田線から中央線に乗り継ぎをいたしますと、急行料金、特急料金が運賃よりずっと高くなるというので、これは何とか検討しなければ困りますと言ったら、検討いたしますという約束があって、もう一年たつのですが、今度はいろいろな意味の検討をなさるのだろうと思うのですが、ああいう飯田線から中央本線に乗りかえる、そのときの急行料金、特急料金が、乗り継ぎをするために運賃よりも、ぐっと高くなっちゃうというのを是正しなければ不合理ですよ。不合理なんです。  したがって、これに対して、グリーン券ではありませんが、やはり何らかの配慮が、もう時間がたっているのだから、されていいのじゃないかと思いますが、検討された結果がどういうふうになりましたか、これは何とか特別な配慮をして、いわゆる乗り継ぎによって急行料金、特急料金で高くなることを防ぐということだけは何とか実行しなければいけないと思うのですが、この点、どうですか。
  217. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 昨年も先生から御質問があったのは承知しておりますが、この乗り継ぎの問題につきましては、確かにおっしゃるように、運賃については、ずっとキロ幾らということでいただいておりますが、料金は列車ごとにいただくということで、乗り継ぎになれば確かに高くなる。それで、現在では、乗り継ぎますと四百円と四百円で八百円、それから直通の急行で行きますと五百円、運賃が九百円ですから、前よりは料金が運賃より高いということはございませんが、乗り継ぎの方が高くなることは間違いございません。そして料金につきましては、各種料金みなそうでございますが、大体列車についてもらっているということになっておりまして、運賃と体系を違えておることは御承知のとおりでございます。  それで、乗り継ぎの場合に特別の措置をしたらどうかという御提案、昨年もございまして、これは私は議事録を見た限りにおいては、なかなかむずかしいのではないかという答えをしておりますが、現在乗り継ぎをやっておるのは新幹線とその他ということと、それから四国と北海道の島についてやっている。これは事実上、列車新幹線在来線を直通でつなげない、あるいは島に対しては海がじゃまになって行けないということからきているわけで、その他については乗り継ぎということはやっておりません。そのかわり、そういう需要がある程度あるものにつきましては、列車を乗り入れて、そういう列車をつくっていくということで本線区と接続の線区をやっておるわけであります。  ここでは三往復の列車を立てておりますので、それを御利用いただくということで救済するほかはないんじゃないかということで、制度的にこれだけ特例というわけにはいきません。全国的にこれをやりますと、先ほどの総裁の話と同じように、かなり出改札の点あるいは車掌の手数ということで、特に乗り入れをしたり、しなかったりする列車がありますので、事務的には非常に繁雑になりますので、やはりそういう措置でやっていかざるを得ないんじゃないかと考えております。
  218. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは恐縮ですが、まとめて四件お聞きします  鉄建公団からも御答弁いただきたいのですが、中津川線と下呂線の現況と、今後の見通しをお伺いをしたい。  二つ目に、中央新幹線が現在どうなっているのか、この見通しもお伺いをしたい。  それから三つ目には、中央本線、東線ですね、中央線の特に東線の方だけで結構ですが、これの複線化が相当進んでいますが、まだちょっとした区間だけができていない。特に私の住んでいる地元なんかは全然手もついていない、わずかな区間ですね。この複線化の見通し区間ごとに、いまやっているところが三カ所ありますから、それが一体どういう見通しで、いつごろできる予定なのか、これをお伺いしたい。  それから最後に、松本駅、塩尻駅、上諏訪の駅。上諏訪は駅前開発の一環ですね。それから都市計画の一環で塩尻が行われている。松本も多分そうじゃないかと思うのですが、いずれにしても、駅舎の改築なども入って、そこへ商店が入って、いろいろやるというようなことを言っているのですが、この高架を中心とした駅舎の改築、駅前の開発等を中心にした松本、塩尻等は、これは内容を聞こうと思うのじゃないのですが、鉄道債券の負担を地元にどのぐらいさしているのか、国鉄費用のうちの、どのぐらいを鉄道債券を持たしているのか。  それは全然関係ありません、これはもう建設省の関係だから関係ありませんというなら、そのとおりおっしゃっていただけばいい。上諏訪の駅前開発に対しても、そういった面で、いま恐らく調査の費用ぐらいはつけてやっているんだろうと思うのですが、駅前開発は一体どういう状況になっているか、鉄道利用債はどうなのかということを最後にお伺いをいたします。
  219. 篠原武司

    篠原参考人 中津川線の工事の現況についてお答えいたします。  中津川線は、四十一年の十二月に、工事実施計画、これは路盤の工事でございますが、認可になりまして、四十二年の二月に、路盤に着手したわけでございますが、総工事費は二百二十八億円で、五十一年度までの決算額は二十二億四千万円の見込みでございます。  現在までの路盤工事は、飯田市二ツ山及び山本地区で約三キロ進行しております。現在は神坂トンネル、これは延長約十三キロございますが、それの中津川方の導坑を約九百六十メートル掘り進んでおります。  今後の見通しにつきましては、工期は長大トンネルの神坂トンネルの施工に支配されるように考えております。それから、神坂トンネルは、神坂断層その他の断層群がたくさんございまして、工事はかなり難航が予想されるので、相当長期を要するものと見込まれております。  それから、下呂線の工事の進捗状況及び完成の見込みでございますが、下呂線は、昭和五十年の三月に工事実施計画、付知と下呂間の路盤が認可になりまして、測量設計に着手したのでございます。総工事費は二百八十一億円で、五十一年度までの決算額は約八千五百万円であります。  今後の見通しとしましては、工事着手前に長大トンネル区間の地質調査を進めまして、工法などについて検討をしますので、完成までには、まだ相当長期を要すると考えております。(原(茂)委員「両方とも、完成の目標はいつごろですか」と呼ぶ)これは全体の工事費の額がはっきりいたしませんので、いまのところ何年に完成するということは申し上げられません。
  220. 住田正二

    ○住田政府委員 中央新幹線についてお答えいたします。  中央新幹線は、現在、基本計画だけが決まっています。今後着工するかどうかにつきましては、国の財政状況あるいは三全総との関係、あるいは国鉄の再建の見通し等を勘案いたしまして決まることになると思います。  ただ、御承知のように、中央新幹線は第二東海道というような役割りも持っているわけでございまして、東海道線は輸送がふえておりまして、今後の見通しははっきりいたしませんけれども、昭和六十年以降余り遠くない時期にパンクしてしまうおそれがあるのではないかという状況でございますので、そういう点も考えながら今後検討いたしていきたいと思っています。
  221. 高橋浩二

    高橋説明員 中央東線の複線化の見通しという御質問でございますが、ただいま手をつけておりませんのは、下諏訪、上諏訪、その前後でございます。それ以外については工事中でございまして、ただいまのところ、中央東線全体としては八割の複線化が完了いたしておりまして、もう手のついてないところは、ごく一部でございますので、これは引き続き工事にかかっていきたいというふうに考えております。  ただ、この上諏訪付近につきましては、いま先生もちょっと触れられましたように、上諏訪の駅全体を高架化してほしいという地元の要望が非常に強く出ております。これについては、高架化事業というのは都市計画事業でございますので、都市側において、この都市計画事業をお決めになれば、私の方は御一緒に調査をして、どういう設計になるのか、どういうお金がかかるのかということが確定いたしますと、それにあわせて複線化をするのが、より効率的かというふうに考えて、その辺あわせて検討をしたいというふうに考えております。  それから、松本駅についての御質問がございますが、松本駅については、すでに駅前広場等については都市計画決定がなされておりまして、ただいま進めておりますのは、松本における国体に合わせて松本駅舎自体をよくしようということで、ただいま工事にかかったところでございます。  この駅舎自体は、一部は約四割ぐらいは駅本屋自体でございますが、六割強はいわゆるショッピング等の国鉄が出資した会社で行うところのビルでございます。それを駅舎と合築をいたしておりますので、その出資会社によりますものは鉄道債券、利用債公募は全く関係ございません。駅舎自体については、これは利用債をお願いをして駅舎の改築をする。これは全国的にそういうふうにいたしておりますので、駅舎については利用債の御負担を地元に願うというふうに考えております。
  222. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、上諏訪はやるとしたら利用債は要らないのかどうか、それが一つ。  それから、上諏訪の駅は抜かして、本線の複線化がいつできるのか。
  223. 高橋浩二

    高橋説明員 最初の御質問の上諏訪の高架化については、これは都市計画事業が決まりませんと、それに合わせてやりますので、その費用の分担は、上諏訪駅の高架部分については、在来線を高架にする部分については、九割が都市計画事業としての都市側負担、一割が国鉄側負担で、その一割の負担は必ずしも利用債をいただくかどうかについては決めておりませんけれども、この複線化に伴っていくものについては資金の都合上、大部分利用債を御負担願うというふうにして進めておりますので、高架化事業よりも、むしろ一緒にあわせてやる複線化の方に利用債の御負担を相当部分いただかないと、資金がないということで、御負担をいただくようになろうかと思います。まだ決まっておりませんが、そういう予定で考えております。  それから完成の時期は、いまの上諏訪が結局一番最後になるわけでございまして、それ以外については五十五年度までに、ほぼ完成させたいというふうに考えております。
  224. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。ありがとうございました。
  225. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、明七日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会