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1977-03-10 第80回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 天野 光晴君 理事 丹羽 久章君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       井出一太郎君    宇野  亨君       櫻内 義雄君    染谷  誠君       津島 雄二君    西田  司君       野田 卯一君    村上  勇君       川俣健二郎君    馬場猪太郎君       春田 重昭君    安藤  巖君       伊藤 公介君    麻生 良方君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 三原 朝雄君  出席政府委員         防衛庁参事官  水間  明君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁長官官房         長       亘理  彰君         防衛庁長官官房         防衛審議官   渡邊 伊助君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      竹岡 勝美君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁総務         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君  委員外出席者         会計検査院長  佐藤 三郎君         会計検査院事務         総局第二局長  高橋 保司君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月五日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   浅井 美幸君     春田 重昭君 同月七日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月八日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   依田  実君     山口 敏夫君 同月九日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     永原  稔君 同日  辞任         補欠選任   永原  稔君     山口 敏夫君 同月十日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     浅井 美幸君   山口 敏夫君     伊藤 公介君 同日  辞任        補欠選任   伊藤 公介君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十九年度政府関係機関決算書  昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管防衛庁について審査を行います。  まず、防衛庁長官から概要説明を求めます。三原防衛庁長官
  3. 三原朝雄

    三原国務大臣 御説明を申し上げます前に、一言ごあいさつをさせていただきます。  初めて委員会に参上いたしました防衛庁長官三原でございますが、今後、何かと皆さん方の御指導あるいはお世話になることと思うのでございます。誠心誠意業務に当たってまいりたいと思いますので、よろしくひとつ指導、鞭撻をお願いいたしたいと思います。(拍手)  昭和四十九年度防衛庁関係歳出決算に関する概要説明を申し上げます。  まず(組織防衛本庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は九千八百五十三億六千万円余でありまして、これに昭和四十九年四月以降政府職員給与を改善するため等の予算補正追加額一千三百七十五億五千万円余、高空における放射能じん調査研究等のため、科学技術庁から移しかえを受けた額五千七百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額十億一百万円余、科学的財務管理方法導入準備調査のため、大蔵省所管大蔵本省から移しかえを受けた額三百万円余、前年度からの繰越額百九十四億一百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額七十六億一千七百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一兆一千三百五十七億五千七百万円余となります。  この歳出予算に対して、支出済歳出額は一兆一千一百三十九億四百万円余、翌年度へ繰り越しました額は二百七億五千五百万円余でありまして、差し引き不用額は十億九千八百万円余であります。  昭和四十九年度予算執行にあたっては、第四次防衛力整備計画の第三年度として着実に防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下、自衛隊別にその主な内容を申し上げます。  一、陸上自衛隊については、六一式戦車六十両、七三式装甲車三十四両を取得し、新たに昭和五十年度取得予定の七四式戦車三十三両、七三式装甲車十八両の購入契約をいたしました。  また、航空機については、連絡偵察機一機、多用途ヘリコプター十一機、輸送ヘリコプター四機、観測ヘリコプター十五機、練習用ヘリコプター十二機、合わせて四十三機を取得し、新たに昭和五十年度取得予定連絡偵察機一機、多用途ヘリコプター十一機、輸送ヘリコプター二機、合わせて十四機の購入契約をいたしました。  二、海上自衛隊については、昭和四十五年度計画護衛艦一隻、昭和四十六年度計画護衛艦一隻、潜水艦一隻、昭和四十七年度計画護衛艦二隻、中型掃海艇二隻、輸送艦一隻、昭和四十八年度計画支援船一隻、昭和四十九年度計画調達に係る支援船十隻、合わせて十九隻を取得し、新たに昭和五十年度以降に竣工予定護衛艦三隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、輸送艦一隻、支援船一隻、合わせて八隻の建造契約をいたしました。  また、航空機については、対潜哨戒機八機、対潜飛行艇一機、対潜ヘリコプター六機、掃海ヘリコプター一機、計器飛行練習機一機、練習機三機、救難飛行艇一機、合わせて二十一機を取得し、新たに昭和五十年度以降に取得予定の対潜哨戒機八機、対潜飛行艇二機、対潜ヘリコプター六機、掃海ヘリコプター一機、救難ヘリコプター一機、計器飛行練習機一機、練習機三機、合わせて二十二機の購入契約をいたしました。  三、航空自衛隊については、戦闘機二十四機、偵察機十一機、高等練習機一機、輸送機三機、救難ヘリコプター二機、救難捜索機一機、飛行点検機一機、合わせて四十三機を取得し、新たに昭和五十年度以降に取得予定高等練習機二十二機、輸送機十三機、救難ヘリコプター二機、救難捜索機二機、合わせて三十九機の購入契約をいたしました。  昭和四十九年度防衛本庁職員定員自衛官二十六万六千四十六人、自衛官以外の職員二万四千四百三十四人、計二十九万四百八十人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、自衛官については同数であり、自衛官以外の職員において三百五十一人の減員となっております。  また、予備自衛官員数は、前年度同数の三万九千六百人であります。  次に、繰越額二百七億五千五百万円余は、財政執行繰り延べ措置によって歳出予算執行を調整したこと及び計画及び設計に関する諸条件等のため、工事等が遅延いたしたことによるものであります。  また、不用額十億九千八百万円余は、外国為替相場変更等に伴って生じたものであります。  続いて(組織防衛施設庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は一千七十五億八千六百万円余でありまして、これに昭和四十九年四月以降政府職員等給与を改善するための予算補正追加額二十六億四千七百万円余、前年度からの繰越額百三十九億四百万円余、昭和四十九年四月以降の駐留軍労務者離職者に対する特別給付金の増額による既定経費不足を補うため予備費を使用した額二億六千二百万円余、退職手当不足を生じたため(組織総理本府からの移用増加額二千三百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額三千万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林省所管農林本省へ六億七千一百万円余、建設省所管建設本省へ十三億九千九百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一千二百二十三億二千二百万円余となります。  この歳出予算現額に対して、支出済歳出額は一千百三億二千一百万円余、翌年度へ繰り越した額は百十五億三千四百万円余でありまして、差し引き不用額は四億六千六百万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、施設運営等関連諸費でありまして、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律等に基づき、自衛隊施設及びわが国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等提供施設等維持運営等に関連し必要な騒音防止措置障害防止措置民生安定施設助成措置飛行場周辺安全措置各種補償土地購入及び賃借等経費のため、九百三十四億九千九百万円余を支出いたしました。  昭和四十九年度防衛施設庁職員定員は三千四百九十六人でありまして、前年度職員定員に比べ、七人の減員となっております。  次に、翌年度への繰越額百十五億三千四百万円余は、(項)施設運営等関連諸費において、財政執行繰り延べ措置により歳出予算執行の調整をいたしたこと、計画または設計に関する諸条件、気象または用地の関係補償処理の困難及びアメリカ合衆国軍隊事情等のため、工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額四億六千六百万円余は、精算の結果等により、教育施設等騒音防止対策事業費補助金等を要することが少なかったこと等により生じたものであります。  以上をもって、昭和四十九年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終わります。  なお、予算執行については、諸法規を遵守することはもちろん、最も効果的に運用するよう戒め、また綱紀の粛正にも留意し、国民の信頼にこたえるよう努力してまいったところでありますが、昭和四十九年度決算検査報告におきまして(組織防衛本庁オシロスコープ修理について不当事項指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これについては、よく部内に徹底させ、将来このような過誤を繰り返すことのないよう適切な措置を講じますとともに、改善または検討を要するものについては、速やかにそのための諸施策を推進する所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 芳賀貢

  5. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昭和四十九年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一号は、航空自衛隊第三補給処において、各種通信電子機器電気波形等観測に使用する計測器であるオシロスコープ四十六台について修理を実施しておりますが、このオシロスコープ真空管を使用した旧型式のものでありまして、最近では、このオシロスコープより性能がすぐれ、しかも価格も低廉なトランジスタや集積回路を使用した新型式オシロスコープが市販されておりますから、修理を実施することなく新型式市販品購入すべきであるのに、新型式のものの購入価格よりも多額の費用をかけて旧型式のものを修理したため、不経済になったというものであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  これは、護衛艦定係港における停泊中の給電に関するものでございます。  海上自衛隊が保有している護衛艦のうち、横須賀港を定係港とする「はるな」、「ひえい」及び「あまつかぜ」の三艦の定係港停泊している間の電力供給状況について調査しましたところ、艦船に搭載しているディーゼル発電機を使用しないで、これより燃料消費量が大きく、このため発電コストが高くつくタービン主発電機を使用していたものであります。  この理由については、ディーゼル発電機では所要電力全量を充足できないためとしているものであります。  しかし、定係港停泊中の艦船については、必ずしも所要電力全量艦搭載ディーゼル発電機で賄わなくとも、不足する電力ディーゼル発電機による場合の発電コストと大差のない陸上からの電力購入することが可能であります。そして、これによりますと、一時的には受電設備設置費用を必要としますが、電力コストの低減により設置費用は早期に償却され、以後、毎年度相当な経費が節減できることになります。  したがって、このようなことから、現行の給電方法については総合的に検討を加え、早急に適切な処置を講じ、経費の節減を図る必要があると認めましたので、その処置を要求したものでございます。  なお、以上のほか、昭和四十八年度決算検査報告に掲記いたしましたように、F86F航空機用部品管理について処置を要求しましたが、これに対する防衛庁処置状況につきましても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  7. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 三点にわたってお伺いいたしますが、最初にポスト四次防に関しましての基本的な考え方のうち、一つ二つ特にお聞きをしてみたい、こう思いますが、五十二年度以降の防衛計画大綱をちょうだいいたしまして、五十一年十月二十九日閣議決定したものを見せていただきました。防衛というものを考えますときに、やはり平時防衛有事防衛というものがあると思うのですが、きょうは特に平時防衛に対してお聞きをすることなしに、有事防衛、これに関して一つ二つ所信をお聞きしたいわけであります。  いままででも、国内における自衛隊行動に対する規制というものは非常にございましたが、有事の際における自衛隊行動に関する規制は一体どんなものがあるのかをいろいろと考えて調べてみましたが、どうもはっきりしないものが非常に多い。そこで、有事の際の防衛力というものの第一にお伺いしたいのは、現在の予備自衛官の数ですが、国際的に比較しましても日本は三十万対三万幾ら、四万近く。この予備自衛官有事の際、足りるとお考えになっているのか。予備自衛官の数を今後有事の際に備えて何か考えておられるのか。このままで自衛隊がいろいろ設定している有事の際における防衛力というものを満たし得る、こうお考えになっているか。自衛官の数が、これでいいかどうかを中心に長官からお聞きをしたい。
  9. 三原朝雄

    三原国務大臣 いま平時有事という言葉が出まして、一つの問題の指摘がございましたが、私ども法律的な概念として、そうしたものははっきりはいたしておりませんが、大体有事というのは、自衛隊法の七十六条に示してありますことでございますとか、あるいは安全保障条約の五条に関連してと、そういうことで事態を有事考えておりますが、その際における、いま現在の自衛隊現有防衛力、それに予備自衛官を持っているが、それとの運用上の問題等について説明をせよということでございます。ひとつ政府委員説明をさせますので、お聞き取りを願いたいと思います。
  10. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいま先生から御指摘いただきましたように、予備自衛官といいますか、予備勢力の問題は、自衛隊が発足した当時からの一つの問題でございました。昭和二十九年に自衛隊が直接侵略に対処する任務を与えられましたときから、この予備勢力というものについて、どういうふうな考え方のもとにこれを整備していくかということが問題でございましたが、考え方といたしましては、現在の自衛隊では有事平時編成上の違いというものは分けておりません。それは専守防衛立場に立った場合には、現在の勢力侵略者に対応するという基本的な原則に立っているわけでございます。  しかしながら、それでは現在の陸上自衛隊十八万、その他の自衛隊それぞれ四万数千で足りるのかという問題がございます。  私どもが当時作業いたしましたときに幾つかの問題がございまして、まず一つは、戦闘をやるに当たっては、どうしても現在よりも後方支援、いわゆる補給の面とか医療の面、そういった面で、いまの体制では足りないであろうということが当時考えられました。  それからまた同時に、戦闘をやりますと消耗をしてまいるわけでございます。そういう最小限の人員をどういう形で確保するかということでございまして、予備自衛官は、一応自衛隊自衛隊教育を受けた者を予備自衛官に採用するという立場に立っておりましたので、陸上自衛隊海上自衛隊——現在、航空自衛隊はまだおりませんけれども、それぞれ一応教育を受けて、あるいは補給部門陸上自衛隊の場合でございますと、戦闘正面に師団を差し向けます、その後の警備のための軽普通科連隊編成、そういったものに充てることを眼目といたしまして予備自衛官制度をとっている次第でございます。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 去年の十二月現在で、予備自衛官は三万八千五百ぐらいですか、専守防衛のお立場に立つというのは原則ですが、ソビエトから飛行機が飛んできたときに右往左往して大騒ぎをして、平時有事というものに対する考え方、これが非常にシビアに問題になってきたわけですが、現在持っている自衛官の数に対する予備自衛官の数の三万八千というのは、専守防衛立場であろうといま予想して、そうして計画的に、あるいは訓練的に予想をしたときの予備自衛官の数は、今後ふやさないでこのままでよろしい、いまの御説明では、これで足りるとお考えになっていると見てよろしいのですか。
  12. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先ほどお答えしましたのが十分だというふうにお受け取りになられたかと思いますけれども、実は完全に十分だとは思っておりません。と言いますのは、陸上自衛隊におきましても警備連隊編成するのには、もう少し欲しいという気持ちがございます。私どもの事務的な作業の段階といたしましては、四万五千あるいは五万ぐらいあると、一応の警備連隊体制ができ、損耗補充にもたえ得るのではないかという気がいたしております。  さらに海空につきましては、これは海上自衛隊のいわゆる支援船乗組員とか航空自衛隊整備要員、そういったもので、これはもう少し人員が必要ではないかと考えておりますが、先ほど御説明いたしましたように、一応予備自衛官というものは、自衛隊教育を受けた者の中から採りたいということで、そういった意味では、人的なソースというものも限られてまいるわけでございます。  しかし、私ども専守防衛立場防衛の任を果たすに当たっては、今度の防衛計画大綱では限定されたと申しますか、期間的に、あるいは地域的に、あるいは手段、そういうものがある程度限定されたというふうな立場に立った防衛構想でございますので、その間、この予備自衛官は直ちに招集に応じてもらってその任務につくと同時に、一方私ども考えておりますのは、さらに期間的に必要であれば、緊急募集という形で必要な増員をお願いしたいというふうには考えているわけでございます。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 いま、くしくも四万五千から五万を望ましいと考えておられる。ところが、きょうの四十九年度報告を見ましても、ほとんど増減がない、現在も三万八千から三万九千。いまのような考えがあるのに、これに対して目的をはっきり設定して、予算措置あるいは計画的に予備自衛官を四万五千なり五万にするということが一つも見えていないのですが、やはりいつの日かそれを望ましい姿に持っていくのか、その点が問題だと思うのですが、どうですか。
  14. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 四次防のときには、やはり四万五千程度を私ども一応計画段階では考えました。そして法律でもお願いしたこともございますけれども、実は自衛隊法がなかなか成立いたさないという関係がございまして、一応陸上自衛隊三万九千という定数でとどまっているというのが実情でございます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 要するに、予備自衛官の数は今後ともふやす努力をしていく、目標としては四万五千ないし五万にしたい、そういう努力を今後はやっていく、こういうことですね。
  16. 三原朝雄

    三原国務大臣 いま伊藤局長が申し上げましたように、できますれば漸増いたしたい、五万人程度までは持っていきたいということで進めておるわけでございます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの三万九千というのは、計画に対して充足率はどうなっているのですか。
  18. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  昨年十二月三十一日現在で御報告したいと思いますが、陸上自衛隊関係では定員三万九千人に対しまして現員三万七千九百九十五人、充足率は九七・四%でございます。海上自衛隊関係では六百人の員数に対しまして現員が五百五十人、充足率九一・七%、計三万九千六百人の員数に対しまして実員三万八千五百四十五人、充足率九七・三%でございます。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 一〇〇%充足できない理由は何ですか。
  20. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  予備自衛官は、現職一年以上の勤務をしておる者の中から採っておるわけでございますが、特に、士の階級にある者につきましては三十七歳未満、それから、曹、幹部につきましては定年、すなわち五十歳の定年プラス二年、五十二歳までの中から採っております。  しかし、これは、一つには現在の国内事情もあろうと思いますけれども、この予備自衛官になりますと、現在一年のうち、五日訓練招集をしておりますけれども、お互いに職業を持ちましてから五日間の訓練を受けるということは、職場の関係なりで非常に窮屈な場合もあろうかと思います。現在の隊員の中で相当多くの者が予備自衛官になることを希望しておりますけれども、現時点では、自分の今後の再就職後の生活その他を考えますので、一応現在の充足率程度の希望でやっております。それと同時に、体力その他で厳選もしておりますけれども、現在のそういった国内事情等も、あるいは影響をしているのではないか、このように考えます。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 それから有事というものに、先ほど長官の言った専守防衛立場から、現在の戦力をもってあらゆることを考えているんだ、こういうことをお考えになっているようですが、先ほど説明なさった有事の際の自衛隊の出動、活動に対して、現在のままの自衛隊法、あるいはこれに関連する国内法、これだけで十分だとお思いになりますか。  これは例を言った方がいいと思うのですが、たとえば、有事の際の状況によりますが、少なくとも一般的に考えて物資の調達の問題が起きるだろうと思うのです。あるいは輸送の問題も起きてきます。ないしは、事によると土地収用というような問題も、実際の有事に当たってのあらゆるものを考えたときに、重大な課題としてやはり考える必要が出てくるんじゃないか。あるいは民間防衛という立場からいって、民間に対する協力のさせ方、してもらい方、こういうものを総合的に組み立てない限り、現時点における平時と、想像する有事の際の自衛隊法、あるいはそれに関連する国内法等の運用では、有事だと言われたときの調達なり輸送なり、あるいはさっき言った三つ目の土地収用の問題なり、民間に相当協力してもらう問題なりというのが必ず起きてくると思うのです。  自民党が自衛隊法をつくり、自衛隊を持ち、われわれは、これを違った角度から批判をしておりますが、平時有事というときになると、やはり有事におけるそういう意味の国内法整備なり何なりが当然されていかなければ、本当の有事に際会して、機動的な自衛隊行動力というものは出てこないというふうに考えますが、この点はどうですか。長官に答えてもらいましょう。
  22. 三原朝雄

    三原国務大臣 先生のお説ごもっともでございまして、このことは、ずっと以前から、実は議会においても問題になったことがあることは承知しておりますが、私も防衛庁長官になって、特に最近のごとく地震災害の問題が問題になり、その際における自衛隊行動、活動等について準備体制はどうなんだ、その場合に起こる諸般の問題等は、他省庁との関係でございますとか、あるいは住民の方々との関係、そういうものについてどうなんだということを実は研究をさしておるのでございますが、そういう場合を考えましても、いろいろなそうした国内のそういう災害時におきまする立法問題も、いろいろ問題がある。  いま先生御指摘の有時の際における輸送問題、あるいは最後の、地域に対する住民の方々との関連、あるいは土地の使用問題あるいは指揮系統の問題、諸般の問題にも問題がございますので、そうした地震災害等、それから有事の際のそうした問題点について、ひとつ十分な検討を進めておく必要があるということで、これは前任者におかれても、そういう点を考えられて研究を命ぜられておるようでございますが、私もあわせてそういう点についての研究をしておけ、そして、そうした有事に対してどうするかというような大きな政策的な御決定がなされたときには、いつでも進言できる準備は進めておくようにということを言っております。  当面、いますぐそれを立法化というようなことに動くということではございませんけれども、そういう準備だけはさしてまいっておるところでございます。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 有事の際と言われたなら、たとえば、いま長官が例に挙げたような地震災害等に対する出動、自衛隊法第六章によって総理の承認のもとに出動、あるいは都道府県知事の要請にこたえて出動をする、これに対しても何か計画的に審議あるいは研究をしていることが報道されていますが、一体この種のものの検討をしている機関とは何で、それに対して一応のめどを立てて答えが出てくるのは、一体いつごろなのか、それが一つ。  それから、俗に言う有事の際、これはいま申し上げた例というのは別個でございますが、これに対して自衛隊法あるいは国内法との関連において当然何らか急速に考えられなければいけないわけでありますが、これを考えさしているとか検討しているとか言いますが、その機関は一体どういう機関で検討さしているのか。その答えはいつごろ出させるように目標を設定しているのか。二つに分けて、ひとつお答え願いたい。
  24. 三原朝雄

    三原国務大臣 国全体の問題として、実は私、国土庁長官、それから自治大臣その他と、こういう問題がございますので、政府として、どこか主管の省庁を決めて、こういう問題について話し合いを進めていこうではありませんかという進言をいまいたしておるところでございますが、政府においても総理府、国土庁、建設省、そういうところでそれぞれの研究をやっておられるわけでございます。  なお本庁におきましても、各幕において研究はいたしておりますが、統合幕僚会議の方でそういうようないろいろな地震災害等の想定をいたしまして、こういう場合にはどうと、日本を四地区に分けて関東一円、東海地区、それから近畿阪神地区、北九州地区、そこに大災害、震災が起こった際の混乱をするであろうと想定される地域に対して、それぞれ研究をさしておるわけでございます。この時期はどうだということにつきましては、私は、これは政府全体のそういうものに対します一つの方針が決まりますれば、その時期に合わせていかねばならぬと思いますが、そういう方針がまだ明確になっておりませんけれども、準備だけをさせておる、勉強だけをさせておるという段階でございます。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 まあ、有事の際のことは、そうせっついてどうのこうのということではない。非常に大きな分野の総合的な研究にまたなきゃいけないと思うのです。これも期間を定めて一応のめどを出すように、専門的な研究機関というものをやはり設定してやらなきゃいけないと思うのですが、これをそうなさる気がありますかどうか、これが一つ。  もう一つは、地震の災害出動に対して四ブロックに分けて云々と言われておりまして、それが、しかも国の方針がまだ出ないために検討をしている、準備をしているというような悠長な話がいまあったのですが、お互い地震はいつ起きるか、だれもわからない。この地震災害の出動に関する計画とか、四ブロックに分けたら、こうするああするというようなことは、これはもう緊急中の緊急の課題として取り組んでいかなければいけないと思うのです。  いまのように、政府の方針が出るまで一応準備するつもりで検討をしているんだなんという状態ではないので、まさに地震災害等が起きたときには、自衛隊の出動に負うところが非常に多いと思いますし、その意味では自衛隊に地震災害対策本部みたいなものを設けて、近く起きるであろうことがいろいろ予知をされたり、非常に関心を持たれているあの東海地区に、自衛隊の災害援助部隊というものを思い切って駐とんしておかなきゃだめじゃないかということを私は前に言ったことがあるのです。検討に値するから検討すると言っていましたが、いま言った前段の問題、緊急に目標を立てて、まあまあ準備をしているというような心構えじゃなくて、もうすでに目の前に来ているというたてまえで地震災害に対する対策というものは、もっと真剣に急速にめどをつけて、期間的なめどもつけて、こうするという案をつくるべきだと思いますし、またいま日本も一応強化地区として予知連絡会等が挙げているような地区に対しては、起きたらすぐに出動できるように、どこかから、ばあっと集まるのじゃなくて、災害出動部隊そのものを駐とんさせるというようなことを真剣に考えなきゃいけないと思いますが、この二つに対して、もう一度お答えいただきたいと思います。
  26. 三原朝雄

    三原国務大臣 第一の全体のことでございますが、御承知のように政府に防災会議というのがございます。そこを中心にして、いま関係省庁で具体的な計画を樹立しておると思うのでございますが、いずれ、それを総合された立場で私どもは明確にしておく。いま先生の御指摘のように、総合演習ぐらいはやって明確にすることが急務ではないかということを申し上げておるわけでございまするが、防衛庁におきましては、非常に具体的に、いまこの地域にこの程度の地震があればこうするんだというようなことの綿密な計画書は、実はすでにつくっておるわけでございます。それをいろいろな各省の関係等も調整をしながら、なお一層精密な、実際に適するような計画にまとめ上げる、そこまでの準備は実は防衛庁においてはやってまいっておるところでございます。  そういうような段階でございまして、いま先生御指摘のように、実際演習などは図上でそういうことをやったりいたしておるわけでございまするから、できれば、それを実際の演習というようなことで一遍やってみる必要はないか。たとえば東海の問題のごときは、陸海空の総合的なあれが必要でございますので、海もどう動員するかという立場からやってはどうだということも、いま話を進めておるような段階でございまして、実際急務でございまするので、御指摘のように、なお一層盤石なものにしてまいりたいと思うのでございます。(原委員「常時駐とんさせるという問題は」と呼ぶ)  駐とんさせる点につきましては、まあ一番大事なのは、三時間ぐらいの間に火災が起こったりしないような処置のときには、いまおります通常の配置部隊をどう動員するかというようなことで実は進めておりまして、この地域というところに常時張りつけるという体制までは、いまのところやっておりませんけれども、いま先生御指摘のように、実際にどうもそういうおそれが濃厚であるぞという事態になりますれば、そこに張りつけをして、初動的に迅速に出れるようなことも考えざるを得ないかなということで、御意見がございましたので、そういう点をひとつ研究させてみねばならぬかという受けとめ方をいまいたしたわけでございます。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 東海地震に関しては、もしそんな危険があるならという検討をこれからするとおっしゃるんだけれども、いま日本の持っている地震予知の技術からいって、もうすでに現在東海における地震というものは、いつ起きても不思議はない。起きるという前提に立って、本当に住民あるいは国土を考えたときには、三時間や二時間で派遣をしようというんでなくて、その強化地域そのものに駐とんさせる。現在のわが国の持っている技術からいって、そういうことがもうきちっと指摘をされている以上、むだになるかもしれませんが、そこに駐とんをさせるというくらいのことをもっと真剣に検討してもらいたいと思うが、どうですか。
  28. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 具体的な事実について、ちょっと御説明申し上げます。  いま大臣から御説明申し上げましたように、東海地震につきましては、私どももその災害派遣等につきまして陸上自衛隊が中心になって、いま計画をつくっております。それで、いま、現地に置いたらどうだという御意見でございますが、東海地区におきましては現在富士学校に教導団というのがございまして、これが非常に強力な機動性を持っておりますし、また災害派遣に対する協力の中心になっております。したがいまして、東海地区と申しましても、どこで起きるかというのは、なかなかわからないものでございますから、私どもはとりあえず、あそこにあります教導団を中心にいたしまして、一時間あるいは二時間以内に現地に到達できるというような考え方を持っているわけでございます。  私どもの経験といたしましては、新潟の地震がございましたが、あのときには二十四時間以内に八千人の陸上自衛官を現地に派遣することができたわけでございます。それで東海の場合には、新潟と同じように海路あるいは場合によってはヘリコプターによる先遣隊の派遣、そういった意味で、ほとんど現地に駐とんしていると同じような形において、富士学校の教導団が中心になって救援体制に入れるというような見通しのもとに計画を立てている次第でございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 富士学校のいまのセンターの人員はどのくらいですか、言ってごらんなさい。
  30. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 正確な数字は、ちょっといま調べますが、教導団と申しますのは大体一個旅団程度でございますので、数千人——ちょっといま数字を調べさせていただきます。数千人になると思いますが……。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 それは数千人になっていないし、それから設備も、いわゆる機動力も地震災害に対する機動力として、ほとんど十分なものは備わっていない、こういうふうに私は判断しますが、数やその他ははっきりわからなくてもいいです、いまわかる範囲で。私はいま言ったように考えていますが、あなた方は、そんなことはありません、いわゆる地震災害に対して、こういう機動力がちゃんと十分に備わっているというふうにお考えになっているかどうかだけ答えてください。
  32. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 機動力と言いますと、まずトラックで運ぶ場合に道の問題がございます。それができない場合には、木更津にありますヘリコプター団というのがございます。これが約一個連隊を運ぶ能力を持っておりますので、ヘリコプターによる方法もございます。それからまた適当な地域がありますれば、これは富士教導団を持ってくるよりは、むしろ習志野の空挺団を飛行機によって運んできて降下させるという方法もございます。したがいまして、初動の段階におきまして、いろいろな方法によって送り込むということが可能だと思っております。  いま先生が申されました、最初の段階におきまして一番大事なことは、人命の救助と道路の啓開だろうと思います。その道路の啓開の機材につきましては、十分とは言えませんけれども、現在防衛計画大綱に従いまして、四次防の時点から普通科連隊その他にもブルドーザーを逐次配備いたしておりますので、とりあえずはそういうものを持っていく。あるいは現地に派遣したときの現地にありますようなものを利用するとか、そういうようなことによりまして初動に間に合うというようなことは考えておるわけでございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 いまあなたの説明されたように、初動で一番大事なことはやはり人命救助だ。今度のルーマニアの地震でもおわかりのように、崩壊したものをどんどん切り開き、そして人がいるなら、その救出をすることが大事なんでしょう。現地にあるブルドーザーその他を使うという考え方は、地震災害のときにはもう間違いなんです。したがって、その種の、ブルドーザーその他の必要な機材というものも十分に持っていながら、それを輸送する手段も持つということにならなければいけない。そういう意味の駐とん部隊がなければいけないと思うのです。  いま言った、それを強化すればいいとお考えならば、そういう点の強化を思い切ってしないと、ただ人間がヘリで運ばれました、船で運んでいきました、これだけで実は手がつかないのが、これから起きる大きな地震の問題だと思う。ある意味では、ポータブルと言いますか、自分で持っていって消火できるようなものも持っていかなければいけないでしょう。地震地における、被害地における消火設備、そういうものは全然役に立たない状態になっている場合だって恐らくあるのですから、そういうことを考えたあらゆる機材というものが本当に整備されてこなければ、住民は安心できないし、われわれが見ても、これで大丈夫だとは考えられないので、考えられる範囲の全部の準備を本当にしておかないと、東海地震というものがもし起きたときに、大きな被害が予想されている今日、焦眉の急としてそういうことをやらなければいけないと思いますが、この点どうですか。もう一度……。
  34. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたとおりでございまして、駐とんの問題というものは、仮に駐とん地がありましても、道路等が決壊いたしますと、その機材も運べないということになります。私どもは、御承知のように、陸上自衛隊はヘリコプターの輸送力というものをかなり持っております。したがいまして、ブルドーザーその他もバートル107というような大型のヘリコプターになると運ぶことができますので、あらゆる手段を通じて必要な機材をそこに投入し、災害がありましたときに一番重要なことは、組織力をそこに集中して仕事をしなければならぬということでございまして、ばらばらに小さなものを持っていても役に立たないというのは、私どもが新潟地震のときに強く体験したところでございますので、いま先生がおっしゃいましたような観点は十分配慮していると思いますけれども、さらに、おっしゃいましたような観点から救援体制というものを検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一遍検討してよく考えていただかないと、ほぞをかむ状態になるのではないかと私は思いますから、ひとつ十分な検討をお願いしたい。この次の機会にまた、どんなふうに検討したか、今度は資料を出していただいて、ヘリでブルドーザーを運ぶ、それが一体何台あるとかなんとかということまで私はお伺いしますから、そのつもりで、ひとつ十分な整備計画してもらいたいと思います。  次に、いまの有事の際に関連してお伺いするのですが、従来、三次防も四次防も五カ年計画でやってきましたね。現在のような経済変動の激しいこういう状況のときに、それは、防衛整備計画そのものは五カ年という、ある意味の中期か長期の計画を立てなければいけないと思いますが、しかし実際の問題として、四次防だ五次防だと言って五カ年の計画を立てること自体が、この経済変動の激しいときには、ちょっと無理じゃないかと思うことが一つある。それから五カ年という膨大な予算がすでに決まる、そのこと自体が国民に与える大きな心理的な影響もあるというようなことから、四次防の策定のときに、もうすでに五カ年計画というものを見直す、そういう論議が皆さんの中でされたはずであります。  ポスト四次防、いま言われていますが、一体従来と同じように五カ年計画で今後も策定していくのか、あるいはアメリカなんかがやっているようなローリング・バジェット・システム、こういうように長期の構想は持っているが、一年一年で見直ししていけるようないわゆる、何次防という名前も、今度は使わない方がいいのかもわかりませんが、依然として五次防というような名前を使おうとするのか、あるいはアメリカ式のローリング・バジェット・システム等を採用して予算を組んでいこうとなさるのか、従来どおりにやはり同次防であろうと、五カ年の計画を策定していくのか、この三つに分けて、長官からひとつお答えをいただきたい。
  36. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたします。  ポスト四次防の防衛構想につきましては、すでに御承知と思いまするが、従来のような考え方を変えまして、一定の現在の情勢下におきまして、平時における警戒態勢を主体として均衡のとれた防衛力整備していこうというものでございます。その防衛力は、限定かつ小規模な侵略に対しまして有効に対処し得るようなものでやっていこう。したがって、前提といたしておりまする情勢の基本的な変化があった場合には、新たな必要な態勢に移行する柔軟な態勢でいこうということで、基盤的防衛力構想というようなものをつくったわけでございます。  そして、いま先生も御指摘になりましたように、非常に経済情勢も流動する中でございまするし、日本の財政状態もきわめてシビアなときでございまするし、諸般の施策との整合も必要でございますから、したがって一応の基盤的防衛力、これだけの態勢であれば何とか平時の警戒態勢もとれ、有事に対しましても、小規模の侵略でございますれば、これに対処できるということを、一つの目標を定めて、それを整備していこう、しかも国内外の情勢を踏まえて整備していこうということでございまするから、単年度計画で進んでまいろうという方針でおるわけでございまして、今日までのような三年次とか四年次あるいは五年次というような年次計画ではなくてやっていこうという方針に切りかえてまいったのでございます。本年度予算等も、その方針に基づいて実は編成をいたしてまいっておるというような事態でございます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 重大な問題ですが、もう一度お伺いしておきますが、いわゆるポスト四次防、これも五カ年方式というものにとらわれないで、従来のような固定的な観念ではなくて、ローリング方式をすでに入れて現在の五十二年度予算も出されている。ポスト四次防は意識的に、もうすでに非常に柔軟な、年度年度で必要があれば見直しができて変更もできるような、そういう前提でいまの五十二年度予算も提出している、こういう思想なんだ、こう考えてよろしいのですね。
  38. 三原朝雄

    三原国務大臣 そのとおりでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 それを前提として、これから防衛問題に入りますが、きょうは同僚からも、この問題についてこれからお伺いすると思いますので、一応それでこの問題は打ち切ります。  それから次に、米軍基地の汚染のたれ流し状況というのを環境庁が中心になって調べようとして努力をして、一昨年の十月、十基地に関して調査をした。その調査をした概要等もいただいていますが、あのとき、これ以上むずかしい、これ以上は手がつかないし、よく調査ができないと言ったものが、環境汚染に対する国内的な仕事をしていると同じように、米軍基地といえども、あるいはその周辺といえども、たれ流しは許さないというので努力をすることになっていたのですが、その後効果が上がっていますかどうか、ひとつお聞かせいただきたい。
  40. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねの点について、防衛施設にかかわる仕事をしておる立場から事実関係をお答えしたいと思います。  いまお話がございましたように、米軍施設の区域は地位協定上米軍が管理をする、安全対策その他を含めて管理をするということになっておりますので、従来、ともすれば御指摘の点について不十分な点があったわけでございますが、米軍の施設といえども、たれ流しは許さないという観点から環境庁が調査を行ったことが契機となりまして、この環境庁の調査は五十年の十二月、公にされたわけでございますが、引き続いて米側と環境関係の日本の役所、外務省だとか環境庁だとか防衛施設庁を入れまして一緒に会議を持ちまして、その席上で環境問題に対する意見の交換あるいはいろいろの対策についての考え方、そういうものの交換を行ったのでございます。  さらにまた、いま御指摘のような、米軍施設といえども日本の環境保全の基準に適合する必要があるのだという問題について、昨年の七月八日に、日米安全保障協議会という日米安全保障の円滑な運営のための最高の集まり、場があるわけでございますが、そこで、この問題が日米双方にとって共通の関心を持つべき重要な問題であるという合意を行いまして、そういう認識のもとにこの問題を処理する日米の機関として、日米合同委員会の下部機関として環境分科委員会というものが設置されたわけでございます。正式にこの第一回会合がことしの一月二十五日に行われておりますが、この機関を通じて今後米側に対して施設区域の環境保全の施策充実を十分要請してまいりたいという段取りで進めておる次第でございます。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 五十年の八月二十三日に、環境の保護の協力協定というのを日本とアメリカで結びましたね。それから日米合同委員会の話し合いの結果、いまおっしゃったような下部機関である環境分科委員会が、ことしの一月二十五日に初めて一回だけ開かれた。関係各省庁間の協議がなされた。この間ほうりつ放しになっていたのですか。おととし基地の調査をして以来全然……。しかも下部機関である環境分科委員会が、せっかくできることになって、それがことしの一月二十五日に初めて会合を開いて、その間は全然あの調査をしっ放しで、そうして治外法権の壁があって手が届かないというような状態で、ずっとほうってあったことになる。それをひとつ……。  それからもう一つ。去年の十二月に、いわゆる鶴見方式という協議を中心にして合意が成立してやりましたね。私は、これは一つの成果だと思います。その鶴見方式をこの基地並びに周辺に、特に基地に関してまた援用して何とかやっていくようなことをやれば、治外法権というようなことでなくて、どんどん調査が進むのだろうと思うのですが、その考えはありませんか。
  42. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお答え申しましたのは、こういうものを抜本的に検討する組織といいますか、そういう場の話をしたので、その間何ら手を打っていないようなお受け取りをされたのは、言葉が足らなかったと思うのですが、この間においても日本側から米側に対して、環境庁が行った調査の結果に基づいて申し入れをやっておりまして、米側としては、たとえば使用の度数を減らすとか、あるいはまた洗機場、飛行機の機体を洗ったりその他機械物を洗って、そのためにいろいろな有害物が出るというものの使用を停止するとか、そういう比較的容易と申しますか、運用上できるようなものに対しては、それぞれ手を打ってまいっておりますが、非常に基本的な改善を要するものが多々ございまして、経費もかかる、最近は、米国もそういう経費が不十分でございまして、なかなかおいそれとできないという基本的な予算措置あるいは設備の改善を要するものというようなものの扱いについての場を申し上げたわけでございまして、わりあいに運営上措置ができるものは、それぞれ数並びに効果において大変な影響を持つものはございませんけれども、おいおいやっておるというような考え方でございます。  それから鶴見方式については、これは施設の中を日本の消防的な観点といいますか、日本の立場で見るということに対しての米側との調整に大変時間がかかったのでございますが、物事を実質的に解決しようということで鶴見方式という実際の成果が上がるような方式を考えられたのでございますが、米軍も地位協定上施設の管理権というものは持っておりますが、鶴見方式に見られるように、やはり米軍の施設が周辺に迷惑を及ぼすことがあってはならないということについての十分な理解を持っておりますので、今後一般論としてではなくて、個々の事案について十分な話し合いができるものはやってまいりたいというふうに思っております。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、北富士演習場で、始終次から次にいやな問題が起きているわけですが、きょうは会計検査院からも来ていただいていますから、先にちょっとお伺いしたいのですが、朝日新聞あるいは財界展望等に指摘されているような、ああいう問題に対する見解を一応検査院からお出しいただいたのですが、私どもは、やはり三百二十一万円しか記念会はもらっていないというふうに考えているのですが、どうもお調べになったところでは、逆に百十万五千円しか払っていない。こうなりますと、そうでなくても二千何百万という国から山梨県へ払われたもの、県から恩賜林組合に払われて、恩賜林組合からこの記念会へ行ったときには、十五分の一ぐらいになっちゃっているということですね、百十万というのは。三百二十一万でも五分の一以下になる。それが百十万しか払われていませんよという調査なんですが、会計検査院、四十九年度これをお調べになって、国から県へ行って、県から恩賜林組合へ行って、それから実際の借地権者のところへ行ったときには十五分の一になったということになって、何か不審を感じませんか。
  44. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 北富士演習場の借料につきましては、毎年何らかの形で検査を実施しております。それで、先生御指摘の軍人林といいますか、これの借料でございますが、私ども直接検査の対象といたしましては、それ自体はわからないのでありまして、山梨県から防衛庁が直接借りておる、したがって、借料は山梨県に対して払っておるということになっておるわけでございます。  中の分配関係は山梨県側のことでありまして、私ども検査としましては、山梨県に支払う借料がそれでいいかどうか、過不足がないかどうか、適正な金額であるかどうかということにとどまるわけでございますが、先生の御指摘がございまして、調査いたしましたところ、いま百十万しか払っていないというようなことでありましたけれども、新聞記事によりますと、三百二十一万円しか渡っていないということなんです。  しかし、防衛庁の試算したところを承ったところによりますと、評価の点からいきまして、四十四万平米でございますか、これに相当する金額は、正当に評価した金額は百十万くらいになりますよ、それに対して内部的に支払われておる金額が三百二十一万円になっておりますというような関係のようであります。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 これは前と同じことなので、準備はしたのですが、時間の関係で後に譲りますけれども、この種の、何千万かを施設庁が県へ払う、県が恩賜林組合へ払う、その二つで大体八五%ぐらいの頭をはねて、実際に記念会には一五%しか払われていない、これは事実なんだ。そういうようなことが平気で二十七年間も行われてきているのを、会計検査院は、県を調べる力はありません、あるいは県から行っている恩賜林組合を調査することはできません、こういうことで、力がないんだ、権限がないんだということで終わっていいはずはないのであります。  現にそういうとんでもない、何にも労力を使っていない二つの団体で八五%取っちゃって、実際の借地権者には一五%しか行っていないというような事実があったときには、この間の、資料を出していただく、出さないというソウルの地下鉄問題ではありませんけれども、これは何らかの方法で——県が施設庁からもらっているものの約四九%をピンはねをして恩賜林組合の方に払われておる。恩賜林組合もまたその半分以上をピンはねして、本当にわずかしか、たとえば一平方当たりにすると四十六円五十銭のものが、実際に記念会には七円五十銭しか行っていないという現状が事実あるのに、これを会計検査院たるものがどうも手が届きません、権限がありませんというので、じんぜんとしていいのかどうかというと問題がある。  これに対して何らかの方法がないのか、全然もう処置がございませんと言うのか。私は私なりに検討をしますが、実際にソウルの地下鉄の問題と同じように、回りくどい話ですが、協力を得て出してもらうとか、あるいはこういう手段でワンクッション、ツークッション置いて、これだけのものをいま調べていますという答えがこの間ありましたが、同じ方式で、県だって恩賜林組合だって協力をさして、あなた方が資料を集めることは不可能ではないと思いますが、一体それが全然できないのか、やる意思がないのか、それが一つ。  それから、防衛施設庁に伺うのですが、この施設庁が県へ払っているものは又借り又借り、そして借りたものは県に対して賃借料を払っているのですね。それなのに県が、いわゆる貸した地代相当額と称して勝手に従来の慣例に従っただけで、何の法規の基準はないのに、それを四九%も取っておる。あなた方が払ったものを県が勝手に取る。そして県から恩賜林組合に行ったものの中から、また五割以上を取る。その根拠は一体何だというと、勝手に恩賜林組合で一つの申し合わせで条例をつくって、三〇%は手数料としてもらいますということで、三〇%ピンはねをして、しかも借りておるものから地代をちゃんと取っておる、二重取りをしておる。そして最後には、五分の一ないしいまの百十万ということになれば、十五分の一しか記念会には払っていないというようなことが現に行われている。  これでは困るというので、記念会の諸君が一生懸命に施設庁に対して、どういう形の契約に基づいて毎年一体幾ら払っているのか、その対象の面積はどのくらいかというようなことを聞いても、施設庁はそれをはっきり出さない。山梨県も山梨県で、なかなか口を濁して、これに対する明快な数字を示さない。恩賜林組合も示さない。会計検査院は、いま言ったように、なるべくさわらぬ神にたたりなしで、やればできるものをやらないで、この種のことが、ずっといま問題になりながら、まだ行われていない。やがて裁判になる。裁判になったときに初めていろいろな資料を出すということでいいかどうかを考えますと、施設庁としても、この種のものを自動的にぴっちりと調べて、その意味では会計検査院にも協力しながら、連絡をとりながら、山梨県のピンはね、約半分、半分以上を恩賜林組合が残りからピンはねをし、そして最後には五分の一ないし十五分の一しか実際の借地権者に払われていないということに対して大至急に究明をし、会計検査院の前段におけるお答えを聞いた上で、施設庁からもそのお答えを聞いて、なお、いま私が申し上げたことに関連する必要な資料、対象はどのくらいか、四十四ヘクタールに対して施設庁がこういうふうに払いました、名目はこうですというような資料もあわせて後のためにいただいておく。そして次に問題の解明をやりたいと思いますが、二つに分けてお答えをいただきたい。  それから委員長にお願いしておきますが、いまの資料を出していただくようにお願いしたいと思います。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員長 高橋局長に申しますが、責任のある明快な答弁を求めます。
  47. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 私、賃貸借契約上の問題、法律上の問題として、われわれがどこまで入れるかというような表面的な問題で先ほどお答えしたわけでございますが、先生御指摘のように、内部関係でも、賃借料の分配と申しますか、そういう種類のものが不公平になっておるということが、もしあれば、これはゆゆしい問題であろうかと思いますので、私たちといたしましても、できるだけ正確な資料に基づきまして検討をしてみたいと思います。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 県も調べますか。
  49. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 はい、調べます。
  50. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いま御指摘の点については、私どもは、県がこの関係土地の所有者であるので、いろいろな方法がございますが、この所有者である県を相手に、関係権利者の同意を得て契約をして、県に対して借料を払っておるというやり方、そういうたてまえで、この問題に臨んでまいったのですが、この恩賜林組合以下転貸借人の間においていろいろ紛議があるということでございますので、私どもとしても、契約のたてまえは契約のたてまえでございますが、われわれが関係しておることに関連して紛議が生ずるということは好ましいこととは思っておりませんので、県並びに関係の方々に対して十分な資料を差し上げるということは努力してまいりたいと思っております。  それから、先生の御要望の資料も、私ども整えましてお出ししたいと思っております。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  52. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先ほど大変失礼いたしました。教導団の定員は、約三千百名でございます。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員長 なお、ただいまの原委員の要求資料については、防衛庁防衛施設庁並びに会計検査院において、それぞれ整備して提出するようにお願いします。  川俣健二郎君。
  54. 川俣健二郎

    ○川俣委員 国の決算、それに対して膨大な時間と陣容、労力を費やして検査し、それが国会に報告されて、それをこの委員会で審査、こういうことに相なるわけでしょうが、具体的な問題に入る前に、ひとつ初歩的な会計検査院の審査の態度、審査基準等について、ちょっと伺ってみたいと思うのですが、これは不当だ、これは注意に値する、これは特に掲載すべき事項だ、こういうように分けて、まとめておるようですが、それについて大体の基準、内容についてお話し願えればと思っております。
  55. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  検査報告に掲記する不当事項処置を要求した事項、あるいは是正済み、それから特記事項、いろいろございますが、それの掲記の基準を言え、こういう御質問だと思いますが、これにつきましては、私ではなくて、しかるべきところで答える必要があるかとも思いますが、私から一応答えさしていただきますと、不当事項というのは、不経済事態なり違法事態なりがありまして、そうした事態が、取扱者その他の故意とか、あるいは過失とかというようなことがあって、責めるに値する、批評に値するというような種類のものを掲上してあるのが不当事項でございます。  それから改善事項といいますのは、いろいろな不経済事態なり処理の不適切な点がいろいろございまして、それを基礎といたしまして、将来に向かって、あるいはすでに間違っておった事態について、どのようなぐあいに改善をしたらいいかというようなことで要求するのが改善事項でございます。  それから特記事項でございますが、これは五十年度決算検査報告から初めて顔を出したものでございますけれども、これは所管官庁におきまして処置が悪かったというようなものではなくて、その理由は社会的な事情とか、あるいは自然的な事情、もろもろの事情によりまして、ある大きな不経済事態というものが発生しておる、そういう事態について私ども検査報告の場をかりて一般に公開し、これに対して政府として大いに留意し、解決に努力をする必要があろうかというような観点から掲記するのが特記事項というものだと理解しております。  しかし、すべての不経済事態、すべての違法な行為というものが全部挙がっているわけではなくて、それには一応の基準があるわけです。限度枠といいますか、余り小さいものを掲上してもどうかというようなことは、これは会計検査院始まってから、ずっとそういうような取り扱いで、軽微なものとして扱わない、検査報告の上で掲記をしないというような扱いもございます。
  56. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間は余りないのですけれども、話を進める上でちょっと気になるのは、いま局長が、私が答えるしかるべきところではない、こうおっしゃるんだが、むしろこの審査事項という基準は、会計検査院が上から下まで、ずっと一本の概念というものがなければできることじゃないんじゃないか。それじゃ、この答弁は、どこがしかるべきところなんですか。
  57. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 ちょっと言葉が足りませんので、誤解があったかもしれませんが、私も会計検査院に職を置きまして、ずっと不当事項なり改善事項なりというものを扱ってきたわけでございますから、そういうことにつきましては承知しておるわけでございますが、これは一つの判断を要する問題でございまして、最終的には検査会議というところで決定されるものでございます。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員長 川俣委員に申し上げますが、いまの問題は、後刻会計検査院長の出席を求めて明らかにしたいと思います。
  59. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ありがとうございました。  それで、最後は検査会議でこういった貴重な資料をつくられて世に出すわけですが、これは単に国会に出すスタイルだけではなくて、こういう非常にわかりやすい、解説的というか、そして「御意見、御感想があれば、何なりと会計検査院調査課あてお寄せ下されば幸いである。」こうまで書いておるわけです。したがって、私たちが検査院の基準に対する通念、観念というものを探り当てるよりもずっと長い歴史で、これが不当事項だ、これは注意事項程度だというようにわれわれが判断する場合、どうも年度的にちぐはぐというか、むしろ年度的というよりも官庁的に、ちょっとメジャーが違うのじゃないかという感じがするわけです。  そこで、それは少し抽象的なんで具体的に入ると、たとえば、せっかく出していただいたこのわかりやすい五十年度決算検査報告の中で、防衛庁の注意事項、いわゆる艦船検査等工事における船底塗装、これをちょっと説明していただけませんか。内容を、金額的にも、ちょっと教えていただけませんか。
  60. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答します。  五十年度決算検査報告に掲上しました「艦船検査等工事における船底塗装費等の積算について」という問題でございますが、この内容は、ここに詳しく書いてありますが、塗装費等につきまして検査いたしましたところ、船底塗装と足場の工事費の積算が適切でないという点が見受けられたわけでございます。  どういう点が適切でないかと言いますと、予定価格の積算に当たりまして、水上艦の船底塗装の工事費及び塗装その他の施工に必要な足場の工事費について検討してみますと、海上幕僚監部が四十八年七月に船体部標準工数というものを定めていまして、それによって計算をしておったわけでございます。  ところが、それによりますと、塗装費については、はけとかローラーなどを使用いたします場合と同程度の工数となっておるわけであります。塗装技術の現代的な見方からしますと、大変進歩しておりまして、はけだとかローラーを使わずに——使うところもございますけれども、エアレススプレーで、いわば機械的に処理してきておるわけでございます。そういう工事の実態に照らしてみますと、かなりの程度積算金額が節減できたもので積算すべきではなかったかという趣旨で、当局者に対しましてお尋ねしたところ、当局者はそのとおりであるということで、船体部標準工数というその積算の基準を改めたという事態でございます。
  61. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それが注意事項一つのサンプル。ところが、不当事項のサンプルに、保険料の徴収がどうもうまくいっていないぞという、厚生省の不当事項のトップが保険料徴収である。人から取るものが不当事項のトップで、国の金を使うのは、たとえばこれは一億五千万くらい出ておるが、やり方によっては七千四、五百万で通ったのじゃないか、半値が吹っ飛んじゃった、こういうことだと思うのです。  そこで、私ら思うには、まず検査院の審査の態度以前に、船の船底を塗るのに、昔流の船大工のはけを使って、バケツで、どうも防衛庁、いまP3Cを百億近いものを買おうという科学の先端を行く官庁が、船大工まがいの塗装をさせて一億五千万。スプレーとかローリングタワーというのは、私らでも知っておるのに、こういったところの能力というのはないんだろうか、こう思っていましたら、とてもとても、本庁以上に構えておる。制服以上に人員を擁しておる。こういった面はどうですか。会計検査院にも御意見を伺いたいのですが、防衛庁の方からも聞きたいのです。これは担当官でいいですよ。
  62. 原徹

    ○原政府委員 ただいまの船底塗装の問題でございますが、確かに会計検査院から御注意を受けて、よく考えてみますと、いまの時代に足場の組み方、エアレススプレーというような新しいやり方、そういったものをしないという前提での積算をしているという点は、本当に申しわけないことでございまして、海幕の問題でございますので、早速海幕の方にも検討を命じ、そうしてそれを直すようにいたした、そういうことでございまして、御指摘のとおり、確かに大変申しわけないことであるというふうに考えております。
  63. 川俣健二郎

    ○川俣委員 もう一遍検査院に戻しますが、所管の防衛庁自体がこういう話をされておる、こういう態度で答弁されておる。不当事項のトップが厚生省の、人から取る保険料の取り方が悪いといって不当事項にする。ところが、こちらの方じゃ申しわけなかったと答えておる。これは不当事項じゃないんだろうか。
  64. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 改善事項でしましても、是正済み事項でしましても、それは不当な事態というものを踏まえた上でのものであります。そういう意味では、不当事項と基底を一にするというふうに考えていいかと思います。基礎は同じだと考えていいと思います。これは法律にもはっきり、そういうふうにうたってございます。  それで、一億五千万の中で七千五百万ほどで済むものをという御指摘、しかも防衛庁自体が大変まずいことをやったと言っておるんだから、どうかというお話でございますが、大きく言いますと、まさしくそのとおりだと思いますけれども、一応積算につきましては積算基準というものがございまして、各末端部局では、その基準にのっとって作業を実施しておるわけでございまして、その基準を改めなければ——基準どおりに実施してきたわけでございますが、基準を改めなければならないというような事態であるのでありますが、その基準が古い事柄を基礎にしてやられておった。その基準に従って、地方部局ではそれを忠実に実施してきた事態では、直接そういう基準に基づいてやったのに、おしかりを受けてはというようなことがあっても、地方部局に対しては、やや批判が過ぎはしないかという感じもないことはないわけで、そういう背景もありまして、基準自体を改めさせることが、この場合の先決であろうかという趣旨で、積算基準について改善の意思があるかどうかをお聞きしたわけです。それに対して防衛庁当局からの、基準が誤っているから、これを改めましょうという回答に接したわけであります。  ですから、われわれの指摘に対しまして、是正の効果が上がったという意味で、是正済み事項という項目をかりまして掲示をしておる次第でございます。
  65. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私も民間会社で会計検査院のあれを受けたことがございますけれども、これはおしかりを受けるだろうけれども、こういう事態でやむを得なかったのだ、会社の方は、むしろこういう態度で出ますね。それに対してもいかぬ、こういう態度で会計検査院が出る。いまの場合は、防衛庁が悪かったと言っているのに、むしろ検査する方の検査院が防衛庁にそうは言うだろうけれども、今後注意してひとつやれや。非常に温情的に聞こえてしようがないのです。  そこで、検査院にもう一遍伺いますけれども、国の決算ですから、基準もさることながら、たとえば一つの極端な例だが、船底は昔から、はけとバケツで塗るのがあたりまえだという基準がある以上は、その基準でやるべきだ、世の中にはスプレーが出てきても、そんなものは基準ではないという考え方ではだめだと思うのだ。国の金を使うのだから、金の支出は一つの大きなファクターとして基準の中に入らなければいかぬじゃないかな。そこのところはどうですか。せっかくその話が出たから……。
  66. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 おっしゃるとおりでございまして、そういう時代に合った判断が必要だ、そういう判断をしていないのはよろしくないという点では、是正事項不当事項も全く同じことであります。
  67. 川俣健二郎

    ○川俣委員 金額を大きな要素にするという考え方はどうです。金額が損したか得したかというところに基準を、ウエートをつけるべきでないか。これはどうです。——質問の意味わかりますか。たとえば、この仕事を五千万ぐらいでできるやつを、やらせ方によって一億ぐらいかかった。あんなのは進歩して、こういう社会になっているわけだから、五千万でやるところは幾らでもある。そういった場合、五千万でできるものを一億でやらせて一億払ったということになれば、注意のウエートがちょっと高いのじゃないですか、どうです。
  68. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 もちろん事態の判断につきましては、金額の大きさということは当然考慮の要素に入ると思います。しかし、そういう不経済事態を発生するについて何が原因であるか、しかもその原因をつくった、担当をしている人々のどういう不注意が基礎になっているかというようなことが、不当に値するかどうかという一つの大きなけじめになっておるわけでございまして、一概に金額だけでということで解決できる問題でもない、こういうふうに考えております。
  69. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私は行管に聞いているのじゃなくて、会計検査院に伺っているのだからね。これはどうですかね。大臣は防衛庁長官しかおられないのですけれども、国の金を使ったのを検査する場合、そんなのは五千万でできるものを一億も払った、こういった場合は、やはり会計検査院としては金額というものは大きな評価に値するのじゃないですか。昔からの基準どおりやっているから不当じゃないんだ、これで通しますか。行政管理庁なら、そういう話になるが、皆さんは会計検査院ですからね。どうでしょう。
  70. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 一般的には、そういうことが言えると思います。  それで船底塗装の問題でございますが、これは基準がいけないのだ、その基準に従って地方部局が実施した、しかも忠実に実施した、そのためにかなりの不経済的な金額が出ておるということですが、まず、その基準を改めさせなければならないという意味で改善の照会を出したわけです。これに対して、いち早く改めてきたものですから、不当事項という形ではなくて、是正済み事項というふうに掲示をしたわけでございます。  それで、先ほども説明したと思いますけれども、是正済み事項も、改善要求も、不当事項も、基礎としましては、不当な事態というものを基礎にいたしまして、改善を要求するか、まあ改善を要求したところが是正になったかという種類の種類分けであるにすぎないものでございます。
  71. 川俣健二郎

    ○川俣委員 平行線だな。かみ合わないよ。  それでは、本論に入って具体的に。金額的に大きくなると、これは会計検査院としては単なる仕事の手順、基準だけにこだわれない。やはり国の金であるだけに、金額が大きく左右するのだ、こういう感じがすると思うので、委員長、いま防衛庁から私が要求した「有償援助にかかる調達品等の未納入状況」というのをいただいておるのですが、これのプリントを配らしていただきたい。  この表をちょっと説明していただけませんか。
  72. 江口裕通

    ○江口政府委員 ただいまお手元にお配りしております表は、五十一年九月末現在の、いわゆる有償援助契約、俗称FMSと申しますが、そのFMSに係ります調達品等の未納入状況を示す表でございます。  その末尾にございますように、五十一年九月末現在の未納入件数は百三十九件でございました。金額にいたしまして百七十三億というふうに相なっております。それに対する全体の前金払総額、これは支払いベースで計算をしておりますが、前金払総額は四百八十五億でございまして、その四百八十五億の前払い金に対しまして現実に未納入の分が百七十三億ある、こういう表でございまして、それを時系列別に示してございます。
  73. 川俣健二郎

    ○川俣委員 この表を一般的に見ると、前金払いが相当払われておるものだなということと、長年滞留しておるものだなということが、まず直観的に感じられます。  そこで、たとえば四十五年分がまだ回収されないでいる。焦げつきだかどうか知らぬけれども。それから四十九年などは、七十五億九千万のうち、アメリカ側の都合によって三十八億、まだ予定が来てないんだから、しようがないのだというのが三十七億。まずフィフティー・フィフティーなんだ。相手方の都合で三十八億回収されてない、納入されてない。これはなるほど親方日の丸だが、これは会社なら倒産だわ。前金払いというのは、一体どのぐらいの割合で、何年くらい前にどういう契約になっているのか。
  74. 江口裕通

    ○江口政府委員 このFMSでございますが、これは御存じのように日米防衛援助協定、俗称FMS協定と言っておりますが、それの第一条に基づきまして、米国側の関連する諸法令あるいは規則等に基づきまして日本に対して付与される、一応援助の形態をとっておるものでございます。したがいまして、簡単に申しますと、米国側のルールと申しますか、取り扱いというものによって主に全体の運用が行われる。われわれといたしましても、それに依存せざるを得ない、こういう取り決めでございます。  このいわゆる未納入の原因といたしましては、いまお手元の表に記してございますように、米国側の事情の中には大きく申しますと、三つ、あるいはその他を入れますと四つということになるわけでございますが、事情がございます。  要するに簡単に申しますと、米国の方で各国、これは各国ごとにやっておりますので、各国の発注を取りまとめて、全体のそろうのを待って日本に送ってくるような場合もございます。それから、あるいは従来、向こうの方で在庫品で出す予定でおりましたのが、このスペック等が変わりまして新製品に切りかえられる。ですから、どうせ出すなら、そちらの方にしたらどうかというような場合もございます。それから技術改良等、これも同じようなケースでございますが、向こうの米国内におけるメーカーとの間の技術変更等がございまして、そういった関係等によって向こうの方でデリバリーを若干おくらせてくれというような場合もございます。もちろんそれ以外に、いわゆる手続上の若干ミスがあるという場合もございますが、こういうケースというものは必ずしも多いというふうには私ども思っておりません。しかしながら事情といたしまして、いま申し上げたようなケースがございます。  御指摘の、一体どの程度前金になっておるかということでございますが、これは米国側の、先ほど申しました援助協定の第一条に基づきますところの基本的な法規といたしまして、たとえば米国の武器輸出管理法というようなものがございます。これは今般改正をいたされておりますけれども、その中にいわゆるFMSに対する扱いというものが規定されてございます。  それをごく概略申しますと、向こうの在庫品、たとえば軍が持っておりますような在庫品から購入をいたします場合には、契約時の全額前払いを要求されております。それから、いわゆるもう少し大物等になりまして、いわゆる新規調達、米国の手持ちにないものでございますが、そういったものの調達によるようなケースにつきましては、米国の政府が向こうの企業に支払うその支払い日の来る前に、その額をアメリカに納めておいてくれということが決められております。そういうような関係から申しまして、相当数のものが前金払いにならざるを得ないというのが実情でございます。
  75. 川俣健二郎

    ○川俣委員 五十一年九月末で四百八十億で未納入、この金額を見て、余り多いと思わないという感覚が、どうもかみ合わないのですが、これは一枚の表ですけれども、いろんなことを教えているような気がします。  まず第一番目に、FMSですから、フォーリン・ミリタリー・セールズですか、これは大体援助という言葉はどういうところから訳したのですか。そのものずばり金額全額払うんですからね。援助というのは、まけるとか無償とかいうのは、援助という日本語になると思うのだが、この米国の対外軍事援助体系の概略図には有償軍事販売となって、援助がない。防衛庁は援助という言葉をどういうところから使っているのかね。どう思います。
  76. 江口裕通

    ○江口政府委員 私どもの方も、重々ごもっともな御質問だと実は考えておるわけでございます。ただ、この法律と申しますか、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の第一条をお読みいただきますと、その第一条の一項でございますが、「アメリカ合衆国政府がこの協定に従って使用に供する援助は、」という言葉を使っておりまして、それが、先ほど申しましたように、向こうの法律に従ってやるんだ、こういうふうに書いてございます。実はこれが私どもの方の基本的な法規と申しますか、よりどころというふうに考えておるわけでございますが、そういう意味で、ここでたまたまそういう言葉が使われておるということもございますし、いわゆる米国の方の全般の援助体系と申しますか、それが一応利益というものは全然見越しておらないわけでございます。したがいまして、いわゆる商業販売と申しますか、それとは違うだろう、これはそういうふうに考えられるわけでございます。  それから強いて言えば、実質的な問題といたしましては、これは米国の持っております兵器でございますとか、あるいは軍事秘密に属するものが、実はこのルートで入ってまいります。逆に申しますと、このルートでなければ入らないものがあるわけでございまして、そういうものについて米国側の支援を受けるという意味において、われわれといたしましては、援助的な感覚がこの点においてはあるのではないかというふうに考えております。  ただ全般的な感じから、先生の御指摘の、全部金をちゃんと適法に払っておるのに、それが援助とは何だという御指摘は、まことに気持ちとしては、ごもっともだと私どもも思っておりますけれども、以上申しましたような理由で、一応扱いといたしましては、これは援助扱いというふうにいたしておるわけでございます。
  77. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ぼくは単に気持ちを披瀝しているんじゃないんですよ。やっぱり、感覚的かどうかしらぬけれども、有償軍事販売という機構になっているようだからね、おたくの方のあれは。そこで、四百八十五億、余り多くない感じがするというのに、ささるわけじゃないが、これは調達本部だけの前金払い総額ですね。海空陸はこのほかにあるんですね。どうなんです。もしわかったら、総額だけでも、その分を。五十一年九月末。わからなかったら結構です。これは調達本部だけでしょう。どうです。
  78. 江口裕通

    ○江口政府委員 いま手元に必ずしも適当な資料がございませんので、額をラフな数字で申し上げます。  全体が、いわゆる有償援助が始まりましてから現在まで、五十年度までの分がごく大ざっぱに申しまして千六百億ございます。そのうちの八五ないし六%が中央調達でございまして、残りの一五%程度が地方調達ということになっております。でございますから、いまの表のほかに一五%程度の地方調達というものがあるというふうにお考えいただきたいと思います。
  79. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、四十四年に、四十二年の決算についての決算委員会でこの問題が大きく取り上げられて、総理大臣も出ておるようですが、一体前金払いはその物品によるんだろうが、大体何年ぐらいを先に払っておるのですか。というのは、四十五年のものが、なかなか消えないから、私は聞くのです。
  80. 江口裕通

    ○江口政府委員 これは、先ほど申しましたように、いわゆる在庫品から買うものは前払いをいたしまして、納入される前の状況というものは余り長いものではございません。したがいまして、未納入という事態も、それほど長く続くというふうには私どもは思っておらないわけでございます。  ただ、たとえばプラント的なものと申しますか、非常に大きなものがございます。たとえばターター設備でございますとか、そういった大きな本体設備的なものがございます。これは俗称よくプラント輸出というようなことを言っておりますけれども、生産にかなりの期間がかかってまいります。こういうものにつきましては、その生産過程において、その都度その都度資金を払っていく、俗称分割払いというようなことを言っておるように思いますけれども、そういう形式をとります。そういう場合には、最終の船積みが行われるまでに五年ぐらいかかる、その間分割払いが行われる。これが前払いになるというケースがございます。ごく大づかみに申しまして、そういうケースになろうかと考えております。
  81. 川俣健二郎

    ○川俣委員 分割払いかもしらぬけれども、アメリカから買うものは全部前金払いですね。分割払いかもしらぬけれども、全部前金払い制をとっておりますか。  それから、一般社会通念は何割ぐらいですか。  それから国内防衛庁がものを調達する場合は全額払っておりますか。前金払い、概算払いの形で払っておりますか。その辺をひとつ……。
  82. 江口裕通

    ○江口政府委員 まず最初の御質問でございますが、そういう分割払いの場合でも必ず前払いになるではないかということでございますが、お答えといたしましては、やはりそうであろうと思います。(川俣委員「であろうではだめだ」と呼ぶ)そうでございます。  それから、それ以外の、たとえば一般的にどういう慣行になるかということでございます。これはむしろ、あるいは大蔵省なりあるいは会計検査院なりの方のお扱いのものとの関連にもなろうかと思いますけれども、私どもの方の例で申しますと、先ほど申しましたような機械設備等で相当長い期間要るようなものは、まず契約のときにおいて、いわゆる頭金的なものを出します。これが一つ前払いでございます。  それから、その後生産状況の進展におきまして、たとえば飛行機等の場合には、契約代価の大体七五%程度、それから残りの二五%を最後に納入されたときに払います。そういう形でございます。
  83. 川俣健二郎

    ○川俣委員 国内の場合はそうだ。ところがアメリカの場合は、分割であろうが、全部前金払いだ。こういった問題について、いろいろと論議されて、こういうことがあったからというので会計検査院が幾ら注意したって、あるいはこの決算委員会で幾ら決議したって、さっぱり前向きではないなと思うのは、これは四十四年の決算委員会で当時の装備局長が「たとえば、FMSは大体二年程度の期間が必要だということを向こうは申しております。」この問題を取り上げて、この決算委員会で特別決議をやっておる。ちょっと読んでみますよ。  「防衛庁における武器等の調達のうち、アメリカ合衆国との軍事有償援助による購入契約において、予定した納期までに納入されないで、相当期間遅延しているものが多額にのぼっている。その結果、納入されるまでの期間は、国産品で代替する等が行なわれている事実がある。しかも、これら武器等の購入代金は、前金払いで全額支払われているものが多く、予算の効率的使用の観点からも、また、会計法の趣旨からも、その納入について、是非とも改善の必要がある。」こうなっている。  これは権威ある決算委員会の決議ですよ。その当時お話しされた資料全部持っていますけれども、いまよりはまだ、こんな悠長な未納入状況じゃない。ところが、いまの防衛庁の代表の方は、余り金額が多いとは患わぬ、こうおっしゃる。となると、決算委員会の決議はどうなるのだろうか、こうなる。大蔵省だろうか、会計検査院だろうか、当局の防衛庁だろうか。そういったものを三原長官、総合的にどう思いますか。
  84. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたします。  四十五年の委員会の決議、それ以前にもこの問題があったことも承知をいたしておりますが、今回先生からの質問があるということで、内容の説明を私自身が受けて勉強いたしたのでございまするが、御指摘のとおり、国民の税金でございます。しかも金額においても相当多額に上っておる。これが、そのままの状態にあるということは、私といたしましては、このまま看過するわけにはいかない。で、いま申されましたように、四十五年の決議の精神を踏まえ、ひとつ具体的にアメリカ当局と折衝をすることが必要であろうということを関係者に申しつけたわけでございます。そういう考え方でおるわけでございます。そういうことで進めてまいりたいと思うのでございます。
  85. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私の割り当て時間がなくなりましたので、この次の何らかの委員会で、原理事等を通じてお願いしたいのですが、この次のために、こういうことを検討してもらいたいのです。  というのは、前金払いというのは会計法の本法にあるわけですね。これを皆さん受けて政令をつくっているわけです。ところが、この本法は「運賃、傭船料、旅費」等経費のことを言っておるのです。ちゃんと例示してある。ところが、戦前の会計法は「國務大臣ハ勅令ヲ以テ定メタル場合ニ限リ前金拂又ハ概算拂ヲ爲スコトヲ得」「軍艦、兵器、弾薬」こういうのをうたってあるわけだ。こういったものが取り除かれて平和日本になり、「運賃、傭船料、旅費その他経費」一般的に社会通念で経費と言ったら、人件費、物品費に対抗する勘定科目ですね。ところが国の財政では、諸費用全部経費という考え方だから、したがって武器、弾薬もその経費に入るのだという解釈を自然としてきて政令をつくった。その政令をつくったいきさつについて、少し調べておいてもらいたい。  本法は「運賃、傭船料、旅費」というようないわゆる経費経費というのは経過する費用ですから、普通は物体がないのが経費なんです。ところが、皆さん方が政令でできておるのだ、こういう考え方で、政令、政令といって、政令の改正、進捗状況を見たら、いつの間にか武器、弾薬が表へ出て、用船料とか運賃はそっちのけになっちゃった、本法は直されないでいる。この問題は大蔵省にも言っておるのですからね。ぜひこの次のあれのために——この問題に集中しますから……。  それからもう一点ですが、せっかく三原長官が御出席ですから……。  P3Cをアメリカ政府が強く推しておる。共同作戦をやる以上は別の機種じゃだめなんだ、P3Cは何といったっていいのだ、アメリカで政治スキャンダルが出ておるかもしらぬけれども、それとは別だ、一遍どうですかということで、先月の二十七日、防衛庁が調査団を派遣された。これはマスコミ情報以上のものは、私はつかんでおりませんが、三原長官はかなりP3Cに御執心である。これは共同作戦をやる以上はそうかなとも考えられる。そこで、まだ調査団が帰ってきていないかどうかわからぬが、この辺の考え方長官、どうですか。
  86. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  次期対潜機について、アメリカから正規にそういう要請を受けたことはございません。あくまでも防衛庁独自の立場検討を進めておるわけでございますから、その点はひとつ御理解を願いたいと思うのでございます。  そこで、現在、いまお話しのように鋭意検討を進めておりまするし、調査に出ておることも事実でございます。おっつけ帰ってくると思うのでございまするが、私どもといたしましては、あくまでも純防衛的な立場で純技術的に調査検討を進めておるわけでございます。特にいま申されましたように、ああした事件が起こりましたので、私は防衛庁長官として、絶対にそうした国民の疑惑を持たせるような結果になってはいかぬということ、特にその点に注意をいたしまして、次期対潜機の整備について検討を進めさせていただいておるという事情でございます。その点はひとつ御信頼を賜りたいと思うのでございます。
  87. 川俣健二郎

    ○川俣委員 どうもありがとうございました。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員長 北山愛郎君。
  89. 北山愛郎

    ○北山委員 大変時間がなくなりましたけれども、先ほどの原委員の質問に関連をしまして、重要な点でありますので、指摘しておきたいと思うのであります。  それは、四次防のやり方を五十二年から変えたのだ、昨年の十月二十九日ですか、国防会議決定の防衛計画大綱ということで、非常に重要な点は、四次防までは、その期間に調達をする兵器等の主要項目が挙げられておったのですけれども、今度の場合は、どういうものをどれだけ買うのかという計画は出ておらないわけですね。そして毎年毎年、単年度ごとのいわゆるローリングシステムといいますか、そういうことに変えたのだ、こういうことでございますけれども、これは私は重大な問題があると思うのです。  一つは、兵器の調達等についての長期の計画を国民の中に明示をして、こういう年次計画で、こういうものをこういうふうに整備するのだということを一般にわからせておいた、今度の場合は、それを出さないということなんです。ただ最終目標の数量だけを挙げて、その期間における質の面の向上、あるいは維持というものの内容は非常に重大なんですが、その点ははっきりさせないで、毎年毎年の予算措置でもってやっていこう、こういうところに問題がある。しかし実際は、今度の防衛計画大綱の中には、非常に多額の財政措置、財源の必要な、たとえばFX、次期戦闘機の問題、あるいはいまのお話しのPXLの問題、あるいはAEW早期警戒機の問題、これらを合わせますと、数兆円の調達になるわけですが、そういうものが含まれておるわけなんですから、FXについても去年の十二月の初めですが、前の防衛庁長官が、次期戦闘機はマクダネル・ダグラスのF15イーグルに決めるのだ、それを百二十三機も買うのだということを防衛庁としては決定した、こういうことを発表しているのです。そうしてその値段は一機大体七十二億だ。そうしますと、一兆円になんなんとするような計画なんですね。  そういう膨大な財政支出を今後にわたって長く支出しなければならぬものを、単年度、単年度で処理することができますか。こういう点からしましても、私はローリングシステムで年度ごとの財政処理でいくのだということは、実際上不合理であるし、また先ほど申したように、国民に対してこれから調達をする、整備をするという兵器の種類なり数量を明らかにしない、これを国民の目から遠ざけるというような面で後退しているのだ、こういうふうに思うのですが、この点は、ひとつ長官の見解を聞きたいと同時に、その点の検討をしてもらいたい、このように思います。  それから、あわせて一緒に質問しますけれども、FXについては先ほど申し上げたように、前の防衛庁長官の時代、去年の十二月九日にF15イーグルに決定したという方針はいまだにそのとおりであるのかどうか。伝えるところによりますと、五十一年度予算の折衝においては、これは五十三年に検討するのだというふうに留保されたように伝えられておりますが、そうなのかどうなのか、それが一つ。  それから、いまPXLの調査団がアメリカに行っておるわけですが、私はまさか、いまロッキード会社の問題が出ておりますときに、ロッキードの製品を対象にして考えるというようなことは、政府としておかしいと思うのです。言うならば、ロッキードは贈賄会社ですよ。普通ならば贈賄の当事者として日本の刑法で訴追を受けなければならぬような不正行為をやった疑いのある会社を対象にして、その製品を買うなんということを考えること自体がおかしいのだ。だからPXLの調査にしても何にしても、現在それはロッキードの物を対象としているものではないと私は思うのですが、その辺のところはどうなのか、いろいろ問題点はございますけれども、以上の点についての見解を承りたいのでございます。
  90. 三原朝雄

    三原国務大臣 第一の問題でございますけれども、単年度方式をとったことについていろいろ問題の指摘をされました。先生の御意見のような御意見もずいぶんあるわけでございます。それをあえてやったではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもいままで四次防までやってまいりました。その四次防までやってまいりましたのは、一応第一次から第四次まで、日本の全くゼロのスタートから、一つの目標を段階的に定めながら四次防まで来て、この程度ならば、ひとつやっていけるだろうということで、どちらかといいますると、目標というよりも内部の、装備の中身について一つ一つを浮き彫りにしながら整備してまいったのでございます。  ところが、こういう行き方で参っておりますれば、この厳しい経済状態の中で、どこまで伸びていくのであろうかというような皆さん方の御批判も出てまいりまするし、そこで、坂田長官の時代に考えられましたのが、この時点で、この国際情勢の中で、あるいは国内情勢の中で、日本の基盤的防衛力を一応考えてみる必要があろうというわけで、御承知のような基盤的防衛力というものを打ち立てられたわけでございます。  そこで、その基盤的防衛力を打ち立ててまいりましたその防衛力整備一つの目標に向かって、そこまで来ました段階で見てまいりますれば、現在の国際情勢、国内情勢から見ると、大体日本の企図される防衛力というものは概成されたと見るべきであろう。一応のわれわれの期待する水準に到達しておると見るべきであろうというような結論に達したわけでございます。  しかし、御承知のように、その四次防までの間には、いろいろなまだ整備されないものもあるわけでございまするが、そういう整備されないものと、それから、われわれが基盤的防衛力はこの程度であろうというようなものを考えてまいりましたのを、防衛力計画大綱という形で浮き彫りにいたして、方針を決定をいたしておるわけでございます。言いかえまするならば、防衛力整備の指針として、それを打ち立てておるわけでございます。  したがって、これから先は、いま打ち立てておりまする計画大綱を見詰めながら、そして現在の日本の財政の状態なり、あるいは国際情勢なり、そしてその他の各国の諸施策というようなものとの均衡をとりながら、この年度ならば、この程度のものは整備できていくであろう、それも中心は、まず質の近代化あるいは諸外国の兵器等の前進に伴い、それにマッチするように日本も質を充実していかねばならぬ。量は、いま申し上げましたその程度でいいが、質の整備をしていかなければならぬだろう。それから、耐用命数が切れてまいるものがございますから、そういうものを補備していく、そういうところに重点を指向していこう。それから、後方支援体制整備ができておりませんので、そうした後方支援体制整備していこう。あるいは隊員の厚生施設でございますとか基地対策でございますとか、そういうところに整備の方針を立てていこうということで進んでまいっておるわけでございます。  したがいまして、今日までのように、何年後のどうだということでなくて、大体概成された中身を充実していくことを重点に指向しながら、国の財政状態なり、あるいは諸般の施策との均衡を図りながらやっていくわけでございまするから、一年、単年度でやっていくことが適当である、そういう判断に立って単年度計画でこれからはローリング方式で進んでいこう、そういうことでおるわけでございます。  次に、PXLとかあるいはFXというようなものを五十二年度予算には計上することができませんでした。わずかな調査費をつけておるわけでございまするが、この点につきましては、私ども先ほど申しましたように、実際、たとえばPXLといたしましてはP2Vが転落をしていきます。FXにつきましては、F104が耐用命数がやがてやってくるわけでございます。そういうものに対処しながら整備をしてまいりますれば、五十二年度ではできませんでしたが、五十三年度の概算予算編成いたしますその時分までには、防衛庁としては各省庁の御了解も得て、国防会議なり閣議にかけて、その時点には整備をいたしたい、そういう方針でおるわけでございます。  次に、ロッキード事件等があって、いま北山先生が言われますように、そのメーカーに対して鉄槌を加えるという意味においても、あるいは国民の心情等にかんがみても、ロッキード社から発注すべきでないということでございます。私は、御意見としては十分その点は理解できるわけでございますが、事実、いま防衛庁が使っております航空機の中でロッキード社から購入いたしましたものが相当あるわけでございます。その部分品は、どうしてもロッキード社から買わねばならないというような立場にあるわけでございます。  それから今回の問題にいたしましても、いままでのロッキード社と防衛庁関係におきましては、私も特にこの点について留意をいたしておるわけでございますが、国民に疑惑を持たれるような、そうした不信的な行為というものは全然ございませんし、したがって、私どもは純防衛的な立場で、優秀な航空機は何であるかという立場、それがロッキード社であるにいたしましても、その点についてはいままで、国民的な疑惑を持たれるようなことの絶対にないように、純防衛的な立場で、純技術的な立場検討を進めておる。したがってまた、商社との関係等につきましては厳重な、そうした歯どめと申しますか、そういう契約までして、不信的な結果が生まれないようにいたしたいということで注意をいたしてまいっておるわけでございます。そういうような決意と申しますか考え方のもとに、この問題と取り組んでまいっておるところでございます。
  91. 北山愛郎

    ○北山委員 いろいろ答弁漏れというか、一つの問題は、先ほど言ったように、去年の十二月初めに、坂田防衛庁長官時代に、防衛庁としては次期戦闘機としてマクダネル・ダグラスのF15に決定する、そういうことはいま引き継がれて、防衛庁の方針としてはそうなんですか。それが一つ。  もう一つは、いま長々と長官申されましたけれども長官の言葉には矛盾があるわけですよ。単年度、単年度、経済が変動の状態だから財政の見通しもつかない、こういう中で長期の計画は出せないというならば、FXみたいに約一千億もかかるようなものを買おうとするのはおかしいじゃないですか。そんな一機百億にもなろうというものを一年で買えますか。これは当然相当期間にわたって調達しなければならぬ問題ですから、したがって、財政的には長期の計画がなければならぬわけです。しかも経済が変動するという中ですから、したがって、どういうものをどのように買うかということは、計画的にはっきりしてやらなければならぬでしょう。単年度、単年度でやるわけにはいかぬでしょう。だから、長官の言葉は矛盾していると私は思うのです。  したがって、この問題は、実は予算の問題ですよ。五十二年度予算案として、一兆円減税だけじゃない、こういう重大な問題がある。しかも、去年決めました四次防にかわる防衛計画大綱なるものは、その他にもいろいろな問題を含んでいます。したがって、財政の側面からするならば、私は長官の御説明には納得できないし、それは間違っていると思うのです。むしろローリングシステムなるものをとるならば、FXやPXL、AEWというような、そういうものを含んだ計画を、内容を示さないで、ただ大綱だけでごまかそうというのはおかしいじゃないか。そういうことをやろうとするなら、内容について、どういうものはどのくらい、こういうふうな内容を国民の前に明らかにする必要がある。  こういうことを、私はきょうは時間がございませんから、以上の問題の指摘だけにとどめますけれども予算委員会等で、これは徹底的に論議をされるべき問題だ、このように思います。  それから、ロッキード社のことにつきましては、私は一つの点だけ指摘しておきます。  いまロッキードが問題になっておるときに、万一にもロッキードのP3Cなどを買うなどということになったら、あれを五十機購入すれば児玉何がしのところには二十五億円のコミッションがまた入るんですよ。みんな知っているんですよ、これを。そんなことをあえて構わないで、いろいろな都合があるから、やむを得ないのだ、ロッキードから買わざるを得ないのだというようなことでは、これはいかぬじゃないか、こういう点だけを指摘をしておきます。いずれ、他の委員会等で、この問題はさらに徹底的に論議さるべき問題だ、こういう問題点だけを指摘しておきます。
  92. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたしますが、坂田長官からFXについては引き継ぎを受けて、その方針に沿ってやっておるわけでございます。  それから、他の問題については、いずれ他の委員会等でお話があるということでございますけれども、一言だけ申し上げさせていただきたいと思いまするのは、PXLにしましてもFXにしましても、一年次あるいは二年次で、すぐどうだということではございません。その代替になりますP2Vなり、あるいはF104が、その耐用命数によってダウンしていきます。その年次に合わせていきますので、一年で多くの数のPXLなり、あるいはFXを調達したり契約するというようなことでは実はございませんので、そうしたことで代替機の耐用命数等を勘案しながら年次的に見ることができるわけでございますので、その点は一挙にどうだということではございません。また後日、そういう点については詳しく御意見を拝聴いたしたいと思うのでございます。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員長 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十四分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  94. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川俣健二郎君。
  95. 川俣健二郎

    ○川俣委員 会計検査院の院長がお見えになっておりますから、検査院の統一見解といいますか、ぜひ伺っておきたいと思っておるわけです。  それは審査基準、それがやがて所見になり、世にもわかりやすく発表されて、御意見があれば会計検査院に遠慮なく申し出てください、こういう色刷りのパンフレットも出していただいておりますので、ちょっと伺いたいのは、会計検査院というのは、かなり膨大な労力を費やしてお調べになる。しかも、いまが四十九年度のものをやっているというぐらいですから、そう簡単にできるものじゃないと思っています。そこで、国の決算が会計検査院に審査されて、それが国会に報告されて、それを審査するのが決算委員会だ、こういうことになっておるわけです。  そこで聞きたいところは、さっき言った検査する基準ですが、不当事項、これは注意事項、これは特記事項、大体三つに分かれておるようです。さて、そこで国民から見た場合に、何が不当で、何が注意で、何が特記事項だろうかということを考えました。そこでいろいろと論議がありました。抽象的にはかみ合わないと思いまして、一つの具体例を出しました。それは船底の塗装を一つ例に挙げて、従来の塗装をやらせる作業基準で、簡単に言えば、バケツ持ってはけで塗った。ところが、その後スプレーがあり、ローリングタワーなどがあるということを私らでも知っておったのに、防衛庁は知らなかったんだろうか。私も、せっかくの検査院の報告書を読んで感じたことは——防衛庁の見解では、これは大変申しわけないことをしたと思います。申しわけないでは済まない国費の使用なんで、一体金額的にはどうだろうかと言ったら、一億五千万かかった。ところが、スプレーやタワーを使うと七千五百万くらいでできたはずだ、そこで注意した。ところが、この報告書ができる直前に、注意されたとおりに今後やる予定だ、こうなると、これはかなりの、検査のおしかりのウエートが高い問題に入るんじゃないだろうか。  そこで、じゃあ不当事項はどういうものがあるんだろうかと思ってみたら、保険料の徴収が若干ずさんなものがあったんで、はなはだ遺憾であるという所見を加えて不当事項のトップに厚生省がしかられておる。防衛庁の方は注意事項で済んでいる。そうなると、何が基準だろうか、こういう論議になったわけです。そこで、しかるべきところから答弁すべきではないかという前置きはあったけれども検査院が、これが柱ではないだろうか、この三つの事項が常に念頭にあるんだろうから、自然と上から下まで、簡単に言うと、院長から検査官全員が、ああ、これは不当だよ、これは注意だよと、もうわれわれ一般の者でも感ずるものが、なぜこうなっているんだろうか。  いろいろ論議がありました。それは基準に従って塗装しているんだから不当な事項じゃないんだ。はけとバケツを持ってやっておったという基準が防衛庁にある以上は、そのとおりの基準に従ってやらしたんだから、したがって、その作業基準そのものを直して、これからかかるんだ、こういうようになる。そこで今度は論議が発展して、私は行政管理庁の作業のやり方とは事違い、検査院の生命というのは、やはり費用をむだ遣いしなかったかどうかというところに、かなりのウエートを置いて検査すべきじゃないんだろうか、こういうように感じたわけです。  そこで、これは後で検査院ですか、防衛庁ですか、一体これは注意されて直したから、後はこれから直します、こう言うんだが、いままで一体それではどのくらいのロスがあったんだろうか。こういうことになりますと、自然とこれは、いままでのロス分を累計してみたいなと思うのは当然なんだ、国会議員として。これは後で結構です。いま答弁は要りません。ひとつ検査院から注意された前提でやったとすれば、どのくらいでできておったのだ、そのロス分をどのくらいの額を払ったかということについては、後ほど資料で要求します。  さて、そこで質問は端的にお伺いしますけれども検査院の基準というものを、ぜひこの機会にお聞かせ願いたい。これは決算委員会の入り口論なんで、ぜひ院長に伺いたいというのが私の質問でございます。
  96. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 検査院のいわゆる不当事項というのは、院法で規定されておりますが、その内容についてまで規定してございませんので、これをどう考えるかは、おのずから常識の線に従って考えなければなりませんが、法律、政令もしくは予算に違反した事態または不経済となっているものという中から不当事項が出ていくわけでございますが、それにしても、御承知のように、たとえば、ごく小額の過払いがあったりしたものを一々不当事項として挙げるということは、これまた非常にどうかと思うのです。それで、おのずからそのスケールの問題が、そこに出てくるわけでございます。  それと、もう一つ皆さんに御理解していただきたいのは、不当事項としてわれわれが批難する以上は、その裏に何らかの手落ちがあって、そういう不当事項が生じた。神ならぬ身のあれがやるのですから、行政官がやっているんで、結果において不当な事態になってしまったという場合もあるわけですね。そういうものまでも、われわれとしては不当事項として批難するわけにはいかないと思うのです。それで、いま申し上げましたようなことから、ある程度の規模ということ、それから批難されるべき、検査報告に掲記して批難するに値する程度の落ち度があったという、そういう大きな柱がございまして、それにかけて掲記した方がいいかどうか、こういうことを考えて出しているのが、現在の不当事項でございます。  それからもう一つ御質問ございましたように、是正済み事項というやつですね。これは、その前に一つ、改善意見というやつがございまして、改善意見、これは「会計経理に関し法令に違反し又は不当であると認める事項がある場合には、」それを速やかに是正させ、同種事態の再発を防止するため、本属長官または関係者に対して意見を表示し、または処置を要求するとともに、「その後の経理について是正改善の処置をさせることができる。」というものが改善要求でございます。これは院法にそう規定されておるわけでございます。  それで今度、これと最初の不当事項と、じゃ、どう違うんだということになるわけです。これにつきましては、これは要するに不当事項があって、そうして改善させる、なお改善させる要素がある場合に改善処置要求というのが出ていくわけです。しかしその場合に、それじゃ改善意見に載ったやつは不当事項に載らぬか、こういう御疑問が起きると思うのですが、これは改善意見を出す事態であっても、その根元の事態が最初申しました不当事項に該当するものでありますれば、不当事項にも載っけるし、それから改善要求としても出ていく。だから二本足になって検査報告には載っかる、こういうことになるわけです。  それからその次に、いま御質問のありました是正済み事項でございますが、これは改善意見を出さなければならぬなということで、これで作業中に、その前に、御承知のように検査院では局長が照会を発遣いたしまして、いろいろと意見を闘わすわけです、当局と。その過程において向こうが直してしまう。これを注意事項として、是正済み事項として挙げておるわけです。  それで今度は是正済み事項と、それじゃ最初の不当事項との関連はどうかという御疑問がまた生ずると思うのですが、これは是正済みであっても、その根っこの事態が最初申し上げました不当事項に該当するものであれば、これはもう是正済みに載っけなくて、不当事項の柱の方に載っけるわけです。お調べになればわかるように、検査報告のその不当事項の中で直せるものは全部直しております。そういうように直していても、根っこが不当事項であれば、これはもう不当事項に載っけるということでやっております。  それから、もう一つ最後に、いまの金額の問題にからんで、一億何千万といううちの七千万が節約できたじゃないかというようなことで、これは非常に大きな金額なんだから、不当事項に載っけるべきではないかという御質問のようですが、これはいわゆる積算の問題では、たとえば一億の中に百万円とか五百万円とかその程度の積算過大がありましても、積算の議論というのは非常にむずかしいのですね、ちょっとしたさじかげんで、そのくらいのものは出たり引っ込んだりしちゃうのです。したがって、そういう安全性を見込んでおりますので、私どもとしては、積算の問題は、総契約に対して、そのうちのある程度のパーセントを占めたものが積算過大という計数にねりませんと、不当事項として大段平をかざして非難するということはしないという方針でおります。  しかし、そういう積算態度自体は、これは改めてもらわなくちゃ困るわけです。実損があるかないかは別といたしまして、積算態度自体は改めてもらわなくちゃいけないので、これは改善意見として出そうということで作業をやっておるわけです。それで、最終的に改善意見を出すまでに直らなければ、こういう積算態度はよろしくないから直せという改善意見として出てくるわけです。しかしながら、その作業の途中で向こうが直しちゃった、この防衛庁の場合は、まさにそうなんですが、そういう場合には是正済みになりましたということで御報告申し上げる、こういう過程をたどっておるわけでございます。  非常に技術的なことで、おわかりにくかった点があろうと思いますが、そういうことで検査報告というものは掲記してございます。
  97. 川俣健二郎

    ○川俣委員 追加質問ですから、これで終わりますけれども、いま検査院長が神ならぬ人のやっていることだからと言われたが、ミスを不当事項というような考え方は、こちらは考えていませんです、午前中の論議を聞いていただけばわかるのですが。  それから二つ目は、規模、程度、これが恐らく出ると思ったので防衛庁の前金払いを例に出したわけです。あれは規模が少ないとは言わせぬよ。それは、あれは不当かということになると、いろいろと見解がある。政令をつくってある、それは分割でも前金払いでちゃんと政令にあるんだから、何を言うんだ、こうおっしゃるが、かつての四十四年の決算委員会で特別決議をされておるということを考えると、その決議に沿ってないものなら、不当事項に入るんじゃないだろうかということを詰めたかったのですけれども、時間がなかった。  そこで、いまおっしゃるように境目が問題だ、こうおっしゃるのですね。そこで今度一般の国民から見れば、人から徴収する保険料がちょっとずさんだから、これはけしからぬ、不当だ、はなはだ遺憾であるという判定、この場合は不当事項の範疇にはとうてい入らないかどうかということを、これはもう少し検討していただく必要があるんじゃないだろうかと思ったわけです。  そこで、いま技術的な問題でおわかりにならないでしょうと院長がおっしゃるのですが、これは私らは即座にわからぬでいい。問題は、あ、これは不当事項ですよ、これは特記事項ですよということを一般の国民が自然とわかるためには、まず検査院が、院長以下全員、統一見解を出さなければだめなんです。それがどうもないんじゃないだろうか。  それは人によって、人間ですから、コンピューターじゃありませんから、これは不当事項ですよ、これはあれですよということを最後の検査会議でなさると思います。そうではなくて、歴史的に見ると、どうも調べる対象官庁によってちょっと違うのじゃないか、そういう感じがするだけに、ぜひ保険料の徴収の不当事項、七千五百万でできるべきものを一億五千万払ってやったという、これは一件だけなんですが、しかし、歴史的に塗装という作業はいままであったんでしょうから、その累計額を後で防衛庁から知らせてもらうのだから、そういったものを考えると、規模だって決して少ないものじゃないと思うのです。  そういうことを考えると、結論的には、私自身がメジャーが三つきちんと頭の中に入らぬでもいいから、問題は、院長以下検査院に、もうぱっと統一見解が出せるような状態になってほしいということを強く要望して、私の質問を終わります。
  98. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 一応ごもっともな御意見でございますので、なお検討させていただきます。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、委員長から佐藤検査院長に申し上げます。  いま川俣委員の質問の要旨は、特に院長の出席を求めるということで保留してあったんですが、それは、午前中の川俣委員の質問に対して、会計検査院を代表して出席した高橋第二局長が、この不当事項あるいは改善指示の指摘事項等についての区分の基準なるものについては、局長としては明快に答えることができない、しかるべき者が説明すべきであると思います、こういうことを発言しておるのですね。いいですか、これは議事録に残っているのですからね。  そうなると、各省所管の決算の審査を行う場合に、必ず会計検査院が大臣報告に対する意見を述べるわけですね。それは担当の局長が出席して述べるわけです。だから、責任を持って出席した局長が、その不当事項あるいは改善指示事項に対する明確な基準というものを持ち合わせがない、しかるべきところでそれは説明すべきだというのは、これは全く無責任ではないかということで、院長の出席を求めたのです。そういう責任のない局長検査院を代表して出席するということは、これは当委員会として妥当と思いませんから、そうであれば、次回からは必ず院長あるいはその三人の検査官のいずれかが出席して、責任のある報告あるいは答弁を求めたいと思います。これを踏まえて、検査院長としての明快な当委員会に対する解明をしておいてもらいたい。
  100. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 院長といたしまして、非常に部下の教育不行き届きで、はなはだ申しわけないと存じております。私の不徳のいたすところと思います。いま先生のおっしゃったようなことを体しまして、よく検討し、努めたいと存じます。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員長 林孝矩君。
  102. 林孝矩

    ○林(孝)委員 最初に、FX選定に関して若干の質問を行います。  防衛庁防衛防衛課が出版しました「新戦闘機の選定作業の経緯と今後の方針について」この出版物を発刊した背景というものについて御説明を願いたいと思います。
  103. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 防衛庁では、過去、三十四年に新戦闘機F104の選定がございました。四十四年にファントムの選定をいたしました。その二度の経験にかんがみまして、よく御批判をいただきましたのは、なぜそういう新しい戦闘機、そういう性能を持った戦闘機が必要であるかということが一般には理解しにくいという御意見を、私ども当時たびたび聞かされたところでございます。したがいまして、私ども、過去二年間F104の戦闘機の除籍に伴いまして、新しい戦闘機を選定するに当たりまして、御承知のように、五十三年度をめどにということで、まだ作業は続けられておりますけれども、昨年の十二月九日、防衛庁としては、一応現段階においてF15という戦闘機が次期戦闘機として最適であるという判断をいたしましたので、その判断に至った経緯を、なるべく平易に一般の方々にわかっていただけるような形で御説明するのがよいと考えまして、私ども防衛庁の広報課で発行しております「防衛アンテナ」という雑誌がございますが、それに最初載せたものでございます。それをさらに多くの方に読んでいただくために増し刷りしたというのが、お手元にある資料でございます。
  104. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この内容の最後の年次別掲載の中に、五十年六月一日から五十年七月二十一日まで「次期主力戦闘機に関する海外資料収集班の派遣」、それから次に、五十一年五月二十一日から五十一年七月十七日、これが「FX調査団を派遣」、五十一年七月九日から五十一年七月十八日、これは「米国における新武器輸出管理法の内容、日米了解事項覚書の主要内容について、米国防省と打ち合わせのため内部部局の担当官等を米国に派遣」、五十一年十二月二十一日までに三回の派遣をされておって、その派遣の後に、先ほど説明のありました十二月九日、F15を決定した、こういうことでございます。  この内容につきましては、メーンのファクターは、やはりF15に決定というところに焦点が合わされておると私は理解するのですが、そのとおりでよろしいでしょうか。
  105. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 最初からF15の決定を目指して、それを目的にやったということは必ずしもそうではございません。実は、ここにも書いてございますように、五十年に出しました調査団というのは、当時世界各国にありました、すぐれた戦闘機全体について調査をするためにヨーロッパ、アメリカに渡って調査をいたしました。そしていろいろ資料を収集し、現場で勉強してまいりました結果に基づきまして、その中から、さらに私ども自衛隊として適するであろうと思われる機種をしぼったわけでございます。  それがF14、F15、F16という三機種でございまして、今度は、その三機種の候補機に対しまして、実際に乗って飛行性能、整備性能あるいは後方支援体制、そういうものを現実に運用しておりますアメリカに行きまして、それぞれ調査するために出かけましたのが五十一年五月から七月にかけてのFXの調査団でございます。その後、価格の問題あるいは新しい法律ができたという関係がございまして、内局から行きましたのは、これはFXいずれに決まった場合にも法律改正に伴ういろいろな新しい事情、そういうものを調査するということで行ったわけでございまして、七月十七日の調査団が帰ってまいりまして、八月九日、一応報告が出ております。  この調査団の報告の場合には、主として運用面から見たFXということで、F15が最適であるという報告になっております。さらに空幕長に出されました報告に基づきまして、今度はそれを実際につくってまいります場合に、いろいろな条件があるわけでございます。  いま申し上げましたように、一つは、長年にわたって予算をどういうふうに組み立てていくかという問題がございます。さらに、今度は、整備の問題あるいは現実に私どもが使っております飛行場において、どういう問題があるかというようなことをいろいろ調べました。  そういった観点から、特に大きな問題といいますのは、現在の陸海空自衛隊予算規模、それが今後数年間にわたって、どのような形で伸びていくであろうか。その中における、このFXという飛行機に分かち得るシェアというのはどのくらいであろうか、こういったことをいろいろ試算いたしまして、F15の決定に至る作業を続けておった次第でございます。
  106. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それではお伺いしますが、そうした作業を続けた結果、十二月九日にF15というふうに決定をされたということですか。
  107. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 防衛庁の中で、十二月九日に、航空幕僚長から、F15にしたいという上申がございまして、それを受けまして、長官のもとでF15に内定して、関係省庁と折衝、説明に入った次第でございます。
  108. 林孝矩

    ○林(孝)委員 防衛庁が、その十二月九日にF15に内定したときのリードタイムというのは、どのように考えられておったか、具体的に説明をしていただきたいと思います。
  109. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 リードタイムというお言葉、五十二年度のいわゆる予算に間に合うかという点でございましたら、実はFXの問題につきましては八月末の概算要求までには間に合いませんでした。したがいまして、今後その作業が進みまして、防衛庁が意思決定をした段階において、追加上要求という形でお願いしたいというふうに私ども考えておったわけでございます。しかし、いろいろ調査に時間がかかりましたので、十二月九日というときになったわけでございますけれども、でき得れば関係各省庁の了解を得て、そして概算要求という形で大蔵省に要求をいたしたいというふうには当時考えておった次第でございます。
  110. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまの御説明によりますと、八月の概算要求に間に合わなかったので、十二月九日に内定して、それ以後本年度予算に、いま審議されている五十二年度予算の中に、各省庁と相談の上、入れたい、こういう考えであった。そうした場合に、防衛庁考えておられた予算規模というものは、どれほどであったのか、このFXに関する予算規模を明らかにしていただきたいと思います。
  111. 江口裕通

    ○江口政府委員 当時考えておりました考え方といたしましては、全体の機数が百二十三機でございます。それで、大体平均単価一応七十二億というふうに考えておりますが、それにいわゆる初度部品等を入れまして、そして単価を初度部品込みの単価に直しまして、それに百二十三機のうちの一時契約分二十九機で考えておりますので、二十九機を掛けて考える、そういう積算をいたしまして、私ちょっといま手元に数字が出てまいりませんが、大ざっぱで千三百億程度のものであったと思いますが、これは五カ年契約で国債が主でございまして、いわゆる当該年度に上がります歳出額といたしましては、これは後で数字をすぐ申しますが、二、三十億の規模であったというふうに記憶しております。いまちょっと資料をすぐ探させていただきます。
  112. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その後の経緯についてお伺いいたしますが、二月二十四日のアメリカ上院軍事委員会で、F15戦闘機についてブラウン国防長官が、これには欠陥があるということを発表いたしました。いわゆるF15戦闘機積載の空対空システムに欠陥がある、当初企画した性能にまで開発するためには、今後五年間前後の期間が必要、こういう証言をしているわけです。片や防衛庁においては、このF15を採用ということは、先ほどから説明のありましたように、防衛庁として内定しておった。これは一体どういうことになるかという問題が新たに提起されているわけです。  過去において、先ほど来御説明がありましたように、アメリカに調査に行った、その調査結果報告の内容は一体どういう内容であったのか。それに基づいて防衛庁が次期主力戦闘機にこのF15を内定した、その判断は間違っていたのかいなかったのか。さらにアメリカの上院におけるブラウン国防長官の証言というものに対して、防衛庁はどのような受けとめ方をし、行動を起こしておるか。この三点についてお伺いしたいと思います。
  113. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたします。  まず、ブラウン長官の上院軍事委員会におきます証言の内容につきまして、まず第一点お答えをいたしますが、実は重大な発言でございますので、早速その証言の中身について議事録を入手するために米国と折衝いたしておりますが、まだ完全な議事録の入手ができておりません。そういうことでございますので、ブラウン証言の内容について、いまとやかく私から申し上げることは、差し控えさせていただきたいと思うのでございます。  それから、三回にわたるアメリカにおきます調査団の経過につきましては、最終段階においてはF15が最適機種であるという機種決定をしてまいったわけでございまして、そういう点を防衛庁で、その調査の成果については、いまのところ、そのまま認めておるわけでございます。  今後の問題といたしましては、私ども新機種が採用された初期におきましては、小規模の修理が必要であるということは、いままでの新機種採用の際の経過等から見て、そういうようなことは私どもも認めてまいっておるわけでございますが、米国自身、現在F15それ自身について配備もいたしておりますし、生産もいたしておるような段階でございますから、F15それ自体に致命的な欠陥があるというようなことは、私は考えておりません。  そういうことで、いまその証言等を入手をし、これについてどう検討するかということについては、注視をいたしておる、注意をいたしておるという段階でございます。
  114. 林孝矩

    ○林(孝)委員 現在ブラウン議事録が入手されていないということ、それから調査報告はF15が最優秀であるという報告であった、今後の問題としては、このF15の欠陥は致命的な欠陥ではない、このようにおっしゃったわけでありますが、このFXの機種見直し作業に早期に着手し、防衛庁としての結論を七月をめどに改めて出す、こういう採用内定の形で結論が出ていたのが、これまでの経緯の中にあったと私は記憶しておるわけですけれども、この点はどのように理解されておるかということ。  それから、もうすでにF15の見直しということが考えられておるという話もございます。その点、いまの長官の御答弁のF15には致命的な欠陥はない、その致命的というのは、どういう欠陥のことを言うのかもちょっとわからないわけですが、その点、もう少し詳しく説明をしていただきたいと思うのです。
  115. 三原朝雄

    三原国務大臣 見直し云々の問題は、私が先ほど申し上げましたように、見直しするような段階ではない、見直しはしておりませんということを申し上げたのでございますが、これは予算委員会でも、はっきり見直しをするというようなことは考えておりませんということは、先ほど三点御指摘をなさいました際にお答えしましたとおりでございます。  それから致命的な欠陥というのは、たとえば射撃機能でございますとか、あるいはミサイル発射の問題でございますとか、そういうようなところに重大な欠陥があるということになれば、私どもは非常に重大な問題であるというような受けとめ方をいたしておるのでございますが、なおそうした技術的な問題、ひとつ詳しくは政府委員から答弁させます。
  116. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいま大臣からお答えいたしましたように、現時点においては、私どもはブラウン長官がどのような点を指摘されたかということを明確に知っていないわけでございます。  したがいまして私どもは、調査団が各種の調査を行ってきておりまして、細部にわたって調査をしてきた結果というものを一応信頼しているわけでございますが、次期戦闘機といたしまして私どもが一番必要であると考えられます、いわゆる航空機の性能といたしましては、六つの条件がございまして、第一点は、その時期になりますと、わが国の航空上の脅威といたしましては非常に高々度を飛んでくる飛行機になるであろう、その高々度を飛んでくる飛行機に対して非常に早い速度で上がっていって対応できるというのが一つの点でございます。  次は、その時期になりますと、現在のようないわゆる爆撃機の脅威以外に、戦闘機の足が非常に伸びてまいります。したがいまして、爆撃機ほどの爆弾は積めないにいたしましても、非常に飛行性能のいい飛行機が日本の脅威となる可能性があるわけでございまして、高空におけるいわゆる対戦闘機戦闘といいますか、そういった飛行性能を重視しているわけでございます。  次に、わが国の地理的環境におきましては、全天候性というのが重視されなければならないわけでございます。全天候性というのは、天気の悪いときも飛べるということではなくて、天気の悪いときにも武器を持って戦えるということでございまして、こういった点を重視いたしておるわけでございます。  さらに、先般参りましたミグ25のとき問題になりましたように、今後の戦闘機というものは非常に低空で侵入してくる可能性というものもあるであろう、これに対しましては高度が高いところから低空をはってくるような飛行機も発見して攻撃ができるようなものというのが一つの点でございます。  さらに、現時点におきましてもそうでございますが、電子妨害の技術というものが高くなっております。したがいまして、この妨害に対応できるような能力というものも一つの評価でございます。  さらに、わが国のような特殊な地理的環境のもとにありますと、非常に抗たん性といいますか、厚さがございませんので、いわゆるレーダーサイト等が攻撃を受けるような場面も考えなければならないわけでございまして、その飛行機が常にレーダーサイトの誘導によって戦うのではなくて、そういうところが破壊されたときにも、なお独自で戦えるような能力。  大ざっぱに言いますと、この六つの点におきまして特に三機種を比較してまいりました。調査団は、それぞれの飛行機につきまして、こういう角度から同じような条件で徹底的に調査をして帰ってきておりまして、その報告によりますと、やはりある点においては非常にすぐれた性能を持った他の機種があったのも事実でございますけれども、総合的に評価いたしましてF15が優秀である、最適であるという判断をしているようでございます。
  117. 林孝矩

    ○林(孝)委員 現在までの時点で、ただいまの答弁を承っておって、防衛庁においては、このF15は揺るぎない地位を占めておって内定どおりである、こういうことですが、ある報道によりますと、ことしの一月十三日に、防衛庁の装備局にグラマンとゼネラル・ダイナミック両社の東京代表を呼んで、このFXに関する何らかの話を伝達したということであります。たとえば、このFXは一年見送った、しかし五十三年度から着手するので、防衛庁としてはF15に決定しておるのだ、こういうような意味の話をされたという事実はございませんか。
  118. 江口裕通

    ○江口政府委員 いまの御指摘の点でございますが、私も日取りはちょっと明確には記憶しておりませんが、たしかことしの早々でございます。三社の東京代表を呼びまして、そういうような趣旨のことは申しております。  その中身をかいつまんで申し上げますと、一応防衛庁といたしまして、次期戦闘機の選定にいろいろ協力していただいたわけでございますので、それについてのお礼を申し上げると同時に、当庁といたしましては、F15を次期戦闘機の対象にしたいというふうに内定をしておるということは申してございます。  ただ、その際に若干の質疑がございまして、国防会議等はもちろんまだ済んでおらないというようなことも言っております。ごく大ざっぱに申しますと、以上のようなことは申しております。
  119. 林孝矩

    ○林(孝)委員 防衛庁が機種選定に当たって、こうした東京代表を呼んだ場合に、普通伝達方式はそのような形で、たとえば内定であるとか、あるいは決定であるとか、あるいは見直しであるとかいうのは、そういう形でなされるわけですか。
  120. 江口裕通

    ○江口政府委員 これは、私どもの方として、まだ依然として政府決定というレベルには、もちろんないわけでございますので、それまで、昨年の初め以来、るる三社には選定作業におきまして協力を依頼しております。たとえば価格の提出を求めるなり、あるいは説明を求めるなり、事情聴取をいたすなり、いろいろやっております。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕  そういう意味で、中間報告と申しますか、あるいは推移の報告と申しますか、そういうことは当然やる義務があるということでございます。そういう意味で一応申したわけでございますが、ただ、言い方といたしましては、文書で渡すとかそういう方式はとっておらないわけでございます。従来とも、そういうことに対しまして、われわれの方から文書を出すというような措置は、一般的にはとっておらないわけでございます。
  121. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、たとえば日本の三菱であるとか石播であるとか、そういう業者に対して、このFXに関する何らかの行動防衛庁として起こされたことはございますか。
  122. 江口裕通

    ○江口政府委員 三菱重工その他の若干の、こういった主要戦闘機をつくります会社というのは日本には数社があるわけでございます。昨年のこういったFXの選定過程におきまして、防衛庁の方といたしましては、大づかみの価格のめどをつけなければならないわけでございます。そういうことは本来防衛庁自体が当然やるわけでございます。それからまた、アメリカ側からも価格のオファーを受けるわけでございます。しかしながら、現在われわれの考えておりますFXというものは、ライセンス生産をとるということを考えておるわけでございます。したがいまして、外国から入れるもののほかに国内でも、いわゆる国内航空機メーカーあるいはエンジンメーカーが生産をするわけでございます。国内の付加価値が加味されまして全体の価格ができる、こういうことになります。  したがいまして、われわれとして価格が大体幾らくらいになるだろうかというめどをつけます場合には、やはり国内分についても、めどをつけなければならぬということでございます。そういう意味で、選定作業の過程におきまして三菱重工あるいは三菱電機、これは搭載機器の関係でございます。それからエンジン関係では、石川島播磨というようなところに一応協力依頼といいますか、そういった国内価格の算定等を当たります場合の調査依頼と申しますか、協力依頼をいたしております。そういう意味で、国内の業者に働きかけたという事実はございます。
  123. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そこで、話がもとに戻りますが、たとえば、今日のアメリカ上院における国防相の発言が万が一——防衛庁の中においては、もうF15に内定してしまっておって、アメリカの業者に対しても、口頭にしろそのように伝えてあるし、また価格算定に当たっては、国内の業者に対しての打診も行われ、ライセンス生産という一つの方式もとることに決定しておる。したがって、これは揺るぎなくF15というものを次期主力戦闘機として、少なくとも防衛庁は決定しておる、こういうことになると私は思うのです。  先ほど指摘いたしましたブラウン国防長官の証言というものが万が一事実であって、そしてこのF15がファイターX、すなわち次期主力戦闘機として、ふさわしくないというような条件、アメリカはすでに機数を削減するという決定をしておりますし、またこれから五カ年かかるであろうという将来の見通しまで発表しておるわけですから、やがて議事録が送られてきた場合は、防衛庁長官もそれを当然ごらんになるだろうし、また防衛庁そのものとして、その議事録をどう判断するかということになる。これは来るべきときには必ず来るわけですね、そういうときが。  防衛庁として、議事録の中に出ておる発言自体は、私は間違いないと思うのですが、その場合に、いま決定しておるこのF15というものを見直すという可能性を含んでおられるか、それとも、もうここまで来て決まってしまったものだから、致命的なそういう欠陥もなさそうだし、とにかくこれで見切り発車するというような考え方をお持ちなのか、その点は非常に重大な問題を含んでおりますので、私はこの際、明確にしておきたいと思うわけです。
  124. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  先ほど来いろいろ意見の交換をいたしましたように、数年間にわたってこの問題と取り組み、アメリカはもちろんヨーロッパまで調査をして研究を続けてきたわけでございます。そうして、最終的にFX、F15というようなところで内定をいたした経過でございます。その調査に対しては、われわれといたしましても信頼を持ってまいっておるわけでございます。  たまたまブラウン長官の軍事小委員会における証言というものがあったわけでございますが、これ自体も私どもは重要な発言だと思って重視をいたしておるわけでございます。しかし、いまの段階で仮定の、そうした将来こうなるであろう、あるいはしないかという立場で、いまここでどうだというようなことを私どもが発言することは慎んでまいりたい。現在のところでは、見直すというような考え方でおりません。あくまでもその結果を見て、十分実際の調査をした上で、私ども処置をいたさねばならぬということで進んでおるわけでございます。
  125. 林孝矩

    ○林(孝)委員 先ほどF15の性能に対する御説明がございました。非常に高高度におけるスクランブルであるとか、あるいはその他六つの性能について話がありましたけれども、こういうF15という戦闘機のそうした性能を日本がいま必要としている、防衛庁が必要としているその背景というのは、一体どういうことを考えられているのか。たとえば足が非常に速いとか、それから対戦闘機性能がすぐれておるとか、対戦闘機性能一つ限って考えた場合にも、何を想定されての対戦闘機性能なのか、どういう場合を考えられての高高度におけるそうした性能を必要とするのか。  まあ先ほど低空というのは、ミグ25の侵入ということを想定された御発言がございました。その点について高高度あるいは対戦闘機、こうしたものは何を想定されて考えられておるか、防衛庁考え方を示していただきたいと思います。
  126. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 次期戦闘機採用の必要性というのは二つの点がございます。  一つは、F104Jという飛行機が昭和三十四年度に決定いたしまして百八十機生産いたしました。さらに三十機の追加生産もございましたが、それぞれの飛行機は三千時間の飛行時間というのが一応の寿命になっております。したがいまして、この飛行機が徐々に寿命が参りまして、昭和五十六年ごろになりますと、一個飛行隊分、すなわち二十数機の飛行機が除籍という事態を迎えることになります。したがいまして、これにがかわる戦闘機が必要であるというのが一方にございます。  それからもう一つは、その五十六年あるいは五十七年という時期から配備いたします戦闘機というものは、その後相当長期間にわたって戦闘機として使用しなければならなくなるという見通しがございます。といいますのは、先ほど申し上げましたその飛行機の寿命の三千時間というのが、新しい戦闘機になりますと技術が上がってまいりまして、いまの見通しでは、恐らく一万時間くらいの寿命があると見られております。したがいまして、これは相当長期にわたって使用するという前提に立っておるわけでございます。  そしてまた、この飛行機が活躍する時期におきまして、わが国の防衛航空機による脅威というものは、どういう形の性能を持った飛行機であるかということを一応見通しているわけでございます。これは周辺諸国の飛行機、最近は飛行機そのものは、どこかの国が新しいものを開発いたしますと、その軍事技術というものは各国が取り入れてつくってまいりますので、同じような傾向をたどるわけでございますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、現時点におきますわが国の防空上の最大の脅威は爆撃機でございます。しかしながら、すでに出ております幾つかの戦闘爆撃機は航続距離が延びておりまして、そしてこの戦闘爆撃機の脅威の及ぶ範囲にわが国がすっぽり包まれるようなことになります。  そうなってまいりますと、一九八〇年代後半になりますと、これらの飛行機は非常に多様な攻撃をしてくる可能性が出てまいるわけでございます。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕 高度で申しますと、六万フィートあるいは七万フィートといった高高度を高速で飛んでくる能力も持つようになるでありましょうし、また低高度を飛んでまいりまして、レーダーの覆域以下の高度から突然侵入してくるということも考えられるわけでございます。  さらに、エンジンが非常によくなっておりまして、エンジンの出力がよくなっておりますので、いわゆる飛行性能というものが飛躍的によくなっております。  そういった考えられる脅威に対応する飛行性能の面、攻撃力の面、いわゆるルックダウン能力と申しますか、下の方を見るレーダーの性能、そういったものを総合的に検討いたしまして、次期戦闘機に期待される、要求される性能というものを私どもは判断したわけでございます。
  127. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そのような性能を現時点で考えると、そのような性能を持っておる飛行機が日本に低空で侵入してくるとか、高高度で侵入してくるとかという、それはどこの国の飛行機ですか。
  128. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもは仮想敵というのは持っておりません。専守防衛立場でございます。しかし、軍事技術というものは、一国が開発をいたしますと、他国にもたちまちそういった性能を持つ飛行機が出現してくるのは、従来の例から見ても、そのとおりでございます。したがいまして、わが国周辺諸国の軍事力というものが、一九八〇年代後半になりますと、そういった性能を持った飛行機を装備するに至るであろうという判断をしたわけでございます。
  129. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、冒頭に示しましたFX選定に当たって防衛庁が出されたパンフレット、これはPXLだとかAEW、こういった機種選定の場合に当たっても、同様のものを出される考え方があるかどうか、こういう点についてお伺いしたいことが一点。  それからもう一つは、たとえばNATO四カ国なんかを例に見ましても、一国の総理首相が、機種を選定する場合は、国民にその理由を明らかにして、国民の理解を求めておられる。わが国の場合も、このようなパンフレットという形をとられることも結構ですが、総理が国民に向かって何らかの形で、機種選定をするときのその選定理由であるとか、国民の理解、ナショナルコンセンサスを高めていく努力をされる、このような考え方が政府の中で議論されておるかどうか、それとも全くされてないか、それともそうした方向で取り組むということになっておるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  130. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  これは、FXについてああしたパンフレットを出して国民の御理解を受けるという処置に出たわけでございますが、これから先におきましても、こうした主要項目の一つになります大型プロジェクトに該当するものでございまするから、そうしたものにつきましては、国民の理解と協力を得るために、FXで処置しましたようなことを将来にも考えてまいりたい、そういま考えておるところでございます。
  131. 林孝矩

    ○林(孝)委員 後で私、具体例を挙げましたNATOのような形のものはどうでしょうか。
  132. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  この点につきましては、NATO等の例を挙げられましたが、国防会議において十分御検討を願う考え方でおります。
  133. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから次に、かつて本委員会において決議されました点につきましてお伺いいたします。  これは、「一商社が外国航空機メーカーとの間で結んでいた代理店契約の内容が明らかになったことから、防衛庁購入した航空機補用部品の価格のなかに同庁の了知しない商社の取扱い報酬が含まれていた疑いが出ている。政府は、商社の代理店契約の内容の把握につとめ、購入品の予定価格の算定が適正に行われるようにすべきである。」こういう昭和四十八年度決算における本院の決議でございます。  この件に関してお伺いいたしますが、最初に会計検査院に伺いますが、防衛関係輸入品の調達について、輸入品の調達は、防衛庁国内の商社との間の売買契約によって行われているわけです。その契約価格その他販売経費であるとか手数料、こうしたものを含めて、その売買契約というものの計算がなされるわけですが、輸入取り扱い商社と外国メーカーとの代理店契約には、報酬金に関する約定が行われる。これが一般的な商慣習であるというふうに私伺っております。  そこで、防衛関係輸入品の調達状況はどのようになっておるか、この本院の決議に基づいて会計検査院として調査したかどうか、昭和四十六年から五十年の調達額は幾らになっているか、調達先の商社はどのくらいあるのか、まず、その点をお伺いしたいと思います。
  134. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答え申し上げます。  四十六年度から五十年度の過去五カ年間におきます輸入品の調達総額は九百十一億になっておりまして、商社は約百二十会社になっております。
  135. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この百二十社、七百十一億に上る防衛関係の輸入、こういうところで防衛庁は、これらの百二十社の商社を通して調達品を購入するわけですが、購入価格が適正であるかどうか、これを判断する基礎的な資料、これは代理店契約というようなものがきわめて重要なものとなると思うのですが、過去の決算委員会でも問題になりましたロッキード事件、これに関連して、五十一年の四月二十八日、高橋第二局長は、検査院は、この種の問題については重大な関心を払ってきている、また解明すべく努力を重ねていきたい、このように答弁をされております。これら、いま御説明のあった輸入商社の代理店契約についての内容、その後の調査結果、このことに対して御報告を願いたいと思います。
  136. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 実は、この関係防衛庁の方でも大変努力をお願いしまして、いろいろ調査を願ってきたところでございますが、代理店契約は、そのときも説明申し上げましたが、防衛庁にとりましては、いわば第三者的な契約でございまして、代理店契約を国側に出せ、そういう法的な強制力が実はないわけでありますが、防衛庁にとっては取引の相手方というようなこともありまして、いろいろその間の資料の提出などを要求されてきたようでございます。しかし、その間の提出状況ば、そんなにはかばかしくないのでありまして、ごく一部のものしかわれわれも承知していないのでありますが、たとえば丸紅につきましては、はっきり契約書の提出を求めまして、内容についてはかなり承知しておるわけであります。  それで、代理店契約をやった場合には、普通、代理店報酬、コンペンセーションと称しておりますが、そういうものの授受があるわけでございまして、これは代理店という一つの行為を行うわけですから、報酬をもらうのは、まあまあ普通のことではないかとわれわれは思っておりますが、しかし、その報酬の高が異常に高かったりするような場合に、いずれはこの種のものは、わが方が買い上げるものの価格の中に当然反映してくるものでありますから、その異常に高い分も、そういうことで買わされるという結果になっては重大な問題であるということで、われわれも重大な関心を払ってきたのでありますが、先ほど御説明申し上げましたように、実は明確な形では、どういう金額の授受があるかということが、ごく一部以外の商社につきましてはわからないような状態でございまして、現在の段階では、防衛庁当局になお一層努力していただきまして、その辺の資料の収集、それから、われわれもほかの手段があれば、なるべく多くの資料を収集しまして、この種のものについて何らかの判断をしなければならない、そういうふうに考えておる次第であります。
  137. 林孝矩

    ○林(孝)委員 防衛庁にお伺いしますが、先ほど申し上げましたように、当委員会では、政府が商社の代理店契約の内容の把握に努めるよう五十一年十月十九日に要請の議決をしておるわけですが、防衛庁は、その後どのような措置をとられたか、またいつ当委員会報告されるのか、各商社に対して代理店契約の開示を要求した結果はどうだったのか、その点について御答弁を願いたいと思います。
  138. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたしますが、私は、防衛庁長官着任と同時に、まず関係者を集めて指示いたしましたことは、ロッキード事件後、私はこうして長官の席を汚すことになった、しかも五十三年度概算要求という時期を目してFXなりPXLあるいはAEW、そうした新機種を取得をするための実は処置をしなければなりません、準備をしなければなりません、したがって、いやしくも国民に疑惑を持たれるようなことがあっては相済まぬ、これだけでも私自身の仕事であるというようなことも申し上げて、したがって具体的にひとつ姿勢を正すとともに、手段としてどういう処置をするかということについて積極的に取り組んでいくようにという指示をいたしました。  その内容等につきましては、装備局長から説明をいたさせます。
  139. 江口裕通

    ○江口政府委員 お答えいたします前に、先ほどちょっと保留をいたしました数字を、とりあえず申し上げさせていただきます。  F15を五十二年度でもし概算するとすれば、幾らかという御質問でございましたが、私、正確な数字をお答えできませんでしたが、いま手元に入ってまいりましたので、申し上げます。  一応当時考えておりましたのは、先ほど申しました第一次契約分二十九機でございます。それの全体の契約額は約二千四百億でございます。厳密には二千三百八十六億でございます。私、ちょっと先ほど千三百億と申しましたが、間違いでございまして、二千三百八十六億、約二千四百億ということでございます。それから、それの五十二年度歳出額が二十二億でございます。以上、それが数字でございます。  次に、代理店の契約の問題でございますが、私ども当国会の決算委員会の議決をいただきまして、その後も鋭意商社等に対しまして、こういった代理店契約、エージェント契約と申しておりますが、そういったものの提出を求めております。その点につきましては、先ほど会計検査院からもお答えをいただいておりますけれども、この契約の性格上、実は私どもの方から、ある程度権限を持って要求するという立場には必ずしもないわけでございます。いわゆる調達契約が円滑に遂行されるために、いわば相手方の協力をこの点において求める、それは、言いかえるならば、相手方が、いわゆる信義の相手方であるということを挙証することにもなるわけでございまして、そういう意味から強く要請をいたしております。その結果といたしまして、若干、一、二の社につきましては、その後協力の動きがございまして、現在これは続けてやっておるわけでございます。  それからなお、先ほどの御質問等にも関連いたしますし、また、いま大臣の申し上げたことにも関連するわけでございますが、FX等を考えます場合には——現在たまたまF15の代理店は日商岩井という商社でございます。この日商岩井あるいはマクダネル・ダグラスに対しまして、私どもの方から現に代理店契約の提出を要求しております。これにつきましては、現在までのところ一応私どもの方にその概要についての話が——そういうことの中身についての概要を私どもの方で了知いたしております。そういうことで徐々に成果は上がっておると申しますか、それだけ申し上げるのには、いささかおこがましいことでございますけれども、徐々にそういうふうな努力をいたしておるわけでございます。特に、こういった大規模のものにつきましては、先ほどの長官のお言葉にもありましたように、一切こういった疑惑の生じないように、この面におきましても徹底した措置をとってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  140. 林孝矩

    ○林(孝)委員 詳しいことはまた別な機会に御報告を願いたいと思いまして、時間も来ますので、最後の質問に移ります。  これは、アメリカの大統領が九日の午前十時に、ホワイトハウスで就任三回目の記者会見をしたときの話でございますが、在韓米軍の撤退問題に触れて、アメリカの地上軍を韓国から撤退させるという私の公約は変更しない、私というのはカーター大統領でありますけれども、そういうことを強調した中に、アメリカの四千五百人以上の在韓米軍の削減を発表しているわけです。それに関連してカーター大統領は、地上軍は韓国、日本との協議によって慎重に撤退を実施する、このような項目があります。日本との協議によって慎重に撤退を実施する。  それから、このことについては韓国の金前首相が福田総理と会ったときにも、このことが議題になった、こういうことで、すでにこの在韓米軍の撤退に関連して、韓国側と総理あるいは政府首脳の間で話し合いが行われておるという事実がある。その後に、先ほど申し上げましたアメリカ大統領が、日本にもこの協議に参加してほしいということ、また日本と協議の上で慎重に撤退する、こういう考え方を明らかにしたわけでありますが、防衛庁では当然こうした動きというものを掌握され、理解をされておると思いますけれども、この一つの米大統領の措置に対して、どのような受けとめ方をされておるか、防衛庁としては、どのように対応されようとしておるのか、考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
  141. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  九日でしたか、カーター大統領の発言要旨につきましては、マスコミ等の報道によって承知をいたしておるわけでございます。なお、福田総理と金鍾泌さんの会見等のことにつきましては、よく承知をいたしておりませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、今回のカーター政権の在韓米軍の問題についての発言というものは、ニクソン・ドクトリン以来のアメリカの方針であり、カーター政権になっても、そういう構想のもとにアジア政策の遂行をなされておるものだと受けとめておるわけでございます。しかし、現在のところ、いつの時期に、規模がどの程度、そして代替策はどうするかというようなところも具体的にまだはっきりいたしておりません。重要な問題でございまするので、十分な関心を持って、ただいま勉強をいたしておるという事態でございます。  そういうようなところでございまして、地上兵力幾らがどう撤退をして、それがどうなるかというような具体的な問題につきましては、まだ私が防衛庁としての意見を申し上げる段階にございませんことをお許し願いたいと思うのでございます。
  142. 林孝矩

    ○林(孝)委員 あと一点お伺いして終わりますが、自民党の安保調査会の会長が、九日に発表いたしましたこの在韓米軍撤退のことに関連して、在韓米軍撤退は、日韓両国と十分協議を尽くし、慎重の上にも慎重を期すこと、カーター米大統領の道義外交を評価するが、アジアの多様性と特殊性を十分考慮すべきである、こうしたものを骨子とした意見書を発表しているわけです。  この意見書というものを防衛庁としては、やはり十分理解をされていると思いますが、これも踏んまえた上で、今回のカーター大統領の発言というもの、それからもう一つは、今回福田総理が、予定では十九日訪米されることになっておりますが、そのときに防衛庁として、この在韓米軍の撤退問題に関して福田総理と協議されて、そして防衛庁考え方というもの、あるいは内閣の考え方というものを、当然アメリカに赴く福田総理に携えられると思うのですが、その点の話し合いは行う考え方はございますか。
  143. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  坂田自民党の安保調査会長の、安保調査会としてまとめられました決定の事項については承知をいたしておりますし、それなりに私どもも尊重いたさねばならぬと思っているわけでございます。しかし、坂田会長も言われましたように、これ自身政府を拘束するものでもない、われわれ党の安全調査会としての意見をまとめたんだということで御連絡を受けておるわけでございます。  そういうことでございますので、私どもも、党の御研究の成果につきましては、それなりに十分これから先の防衛政策遂行の参考資料として受けとめてまいろうということでございます。  それから、福田総理の渡米の問題について、総理とカーターさんとの会談等について、在韓米軍等の問題が話し合われるのではないかということについての準備等をやっておるかということでございますが、この点も、私どももそうした問題が一つの問題になるであろうということを想像をいたしますので、それなりの準備をいたしておるのでございます。  しかし、問題は、政治全体の政策としての日米の話し合い、高い次元での話し合いでございましょうから、防衛庁意見がそのままどうだということにはなるまいと思いますけれども防衛庁立場からする意見は、ある時期には総理に申し上げねばならぬなということで準備をいたしておる現段階でございます。
  144. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  145. 芳賀貢

    芳賀委員長 安藤厳君。
  146. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、二つの点について質疑をいたしたいのですが、まず最初に、昭和五十年の十二月三十一日から翌年の一月一日、これは死亡時刻がはっきりしておりませんので、こういうふうにお尋ねするのですが、愛知県の刈谷市にありますアメリカ海軍の依佐美送信所で起きた少年の感電死事件について、お尋ねしたいと思うのです。  この点につきましては、すでに防衛庁の方に対しまして、昨年の五月十七日の内閣委員会におきまして私どもの木下議員が質問しております。そのときの御答弁では、まだ現地を調査していないということで、調査の結果を待って云々という御答弁がございましたが、その後、年月もたっておりますので、どういうような調査をされ、その結果原因は何で、そして施設の瑕疵については、安全管理関係については全く遺漏がなかったかどうか、そういう点についてお答えいただきたいと思います。
  147. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねのいわゆる依佐美通信所の事件は、御指摘のとおり五十年の十二月三十一日、大みそかから五十一年一月一日までの間に、幼い少年が鉄塔の高い電圧に感電して死亡したという、まことに痛ましい事件でございまして、私どもとしても、この処理に適切な方法をもって臨みたいというふうに考えておる次第でございますが、その後、この事案は名古屋地裁に提訴されまして、ただいま訴訟に係属しております。  そこで、私どもとしては、その結果を見て、これに対して措置をしたい。私どもの方でこの痛ましい事案をめぐって調べたところ、当庁としては、施設の管理に瑕疵はないというふうに考えておる次第でございますけれども、いずれにしても訴訟になって、その点がまさにいま裁判所で係属しておるという状況でございますので、その結果を待ちたいというふうに思っております。
  148. 安藤巖

    ○安藤委員 施設の管理に瑕疵がないというふうな御答弁をいただいたのですが、本件の事故があった後で、各鉄塔ごとに二枚ずつの新しい大きな看板をお立てになった。それから学校の児童に対して、これは施設庁の方がおやりになったのではないのですが、刈谷市がビラを配って子供に特に注意を呼びかけたという事実がございます。そういうことからいたしますと、そういう事故の再発を防止するためには、まだ十分でなかったので、改めてそういう措置をおとりになったとしか思えないのですが、その点はどうですか。
  149. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 この現場の事情、先生も詳しく御承知でいらっしゃいましょうから、余りくどくど申し上げないのでございますが、この鉄塔は大変大きな、二百五十メーターの高さのある鉄塔でございますし、高圧の電気が充電されておりますので、その周辺は大変厳重に二重のさくがしてあったわけでございます。外側にもさくがしてございますし、ことに内側のさくは一・八メーターの高さの、しかも忍び返しが二十センチついた、法令の基準に合致したさくが設けてございますし、そういう意味から言って、容易に中に入れないという状況でございます。  そういう意味合いにおいて、私ども諸般の事情から見て、これは管理上落ち度はなかったと考えておるのでございますが、いまお尋ねの、その後の措置については、これはいやが上にもこういう痛ましい事故がないように、より一層の努力をしたいという関係者の配慮のもとに、たとえば幼い新入学の人たちに対して、危ないことをよく知らせるとかという措置が行われたものだと私は考えております。
  150. 安藤巖

    ○安藤委員 新たに看板を掲げたというようなことからすれば、そういう点について手抜かりがあったんだということをお認めになったからではないかと私ども考えるわけですけれども、この鉄塔など、これは通信施設ですが、これに関する安全施設の関係では、御承知のように電波法がもとになっておりまして、それから通産省の省令で安全さくを設けるというような規定がございますね。電波法は三十条、それで省令は第四十四条になるわけでございますけれども、この省令の第四十四条から見ますと、一項と二項とございまして、この二項の方は、さく、へいなどと特別高圧の充電部分とが接近する場合の規定ですが、一項の方は別にそういう接近する場合ということではないようです。一項の方では「構内に取扱者以外の者が立ち入らないように」「さく、へい等を設け」というふうにあるわけです。  ですから、これはいろいろな方法で入ろうと思えば何とかというような議論があろうかと思いますけれども、本件の事件の場合は、とにかく小学校二年生の子供が入り込んだ。これは金綱もしくは鉄条網が張ってあるだけでございますから、下をくぐり抜けるということもできるような状態になっておったわけですね。実際にそこから入ったかどうかはわかりませんけれども、現実に入っておるわけです。だから、とにかく取扱者以外の者が立ち入らないように、そういうさく、へいをつくれというのが、この四十四条の規定の趣旨だと思うのです。そういう趣旨からしますと、やはり不完全ではなかったか、少なくともそういう疑いが持たれるのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  151. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いま御指摘の点については、結果的に中において、この少年が鉄塔のもとで死んでおったのでございまして、何らかの方法で物理的に中に入ったことは間違いございませんが、いかなる経過でどういうことで入ったのか、ただいまの時点では必ずしもつまびらかになっておりませんし、一方においては、先ほどもお答えしたように、二重のさくがしてございますし、中のさくはずっと金網のある高いさくでございますので、果たして子供がそれをよじ登って入ったのか、その辺の事実認定の問題がございますが、私どもとしては、過去の例から見ても、過去にわざわざ過激派の人が入った例だとか、あるいは窃盗のために入った例とかあるようでございますが、一応こういう子供が入るような状態ではなかったという判断をしております。  また標示も新しい標示をしたということでございますが、これも先ほど申し述べたように、子供が入ったという事態にかんがみまして、むずかしい字でなくて、ひらがなで書いたものを設けたようでございまして、一応の措置はしてあったという考え方でございます。
  152. 安藤巖

    ○安藤委員 いまの御答弁でございますけれども、だれが見ても、これなら人が入って、あるいは子供が入って感電死するというようなことにはならないだろうというふうに見られる程度のへいなり、さくなりを新たにつくるとか、あるいはさらに補強するとか、そういうようなことは全くお考えになっておらないのでしょうか。  これは御承知だと思いますが、先ほど御答弁の中に出てまいりました、外側のさくから数メートルのところに通学路があるわけですね。だから、しばしばというよりも、ほとんど毎日子供たちが学校の行き帰りに通るところです。子供たちですから、おもしろ半分にでも中へ入っていくというようなおそれが非常にあるわけです。ですから、そういう点から考えまして、たとえば自動車を運転していく場合でも、通学路あるいは子供がよく飛び出してくるというようなところは特別に注意を要求されておるわけです。それで事故を起こせば、自動車を運転しておった人は、車の相当頻繁に通っている大通りを走っているときよりも、もっと厳重な注意義務を課されておるわけです。  だから、そういう点から考えて、いま私が申し上げましたような、もっと厳重なさくなり、へいなりをおつくりになるというお考えは全くないのかどうかお伺いをします。
  153. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 この通信施設は、鉄塔のあるところは大変厳重にしてございますが、全部で八本の鉄塔が立っておりますが、そういうものを含んだ敷地そのものの外側には、境界のさくらしいものがしてございません。その理由は、周辺は大体保安的なイーズメントでございまして、そこに立ち入ることの地元の要望もございますものですから、厳重なさくをして一般の人が入れないようにするということが不必要な、基地の確保になるという一面の考え方がございますので、危険な二百五十メートルの鉄塔だけを厳重にしておる、そういう点で、いま先生の御指摘のような問題があろうかと思いますが、こういう痛ましい事故が起きてはならないのでございまして、その辺、いま御指摘があったような御意見を十分に考慮に入れまして、なおいい措置があるのかどうかということは十分検討してみたいと思います。
  154. 安藤巖

    ○安藤委員 それでは、もう一つの点についてお尋ねしたいと思います。  この点も先ほど申し上げました昨年の五月の内閣委員会でいろいろ御答弁をいただいておることなんですけれども、本件の事故と直接関係はないようですが、昭和四十四年八月六日付で名古屋の防衛施設局長、それから刈谷市長らとの間に合意文書ができているわけですね。この合意文書の特に第四項で、最終的には、ここに規定されているようなことでは、地位協定の第十八条の規定に基づく責任は一切負わないものと了解するというような条文をめぐって、この前いろいろ問題がありまして、それと地位協定十八条五項との関係はどうだという点について質問があって御答弁いただいたわけです。  そのときの御答弁ですと、聞いたばかりで、はっきりした答弁ができないということで、それ以後調査するということなんですが、大体の御答弁をいただいておる、その範囲で一応申しますと、とにかく日米安保条約第六条に基づいて地位協定というのができまして、その地位協定の第二条による施設及び区域内は、同じく第三条でこれはアメリカが完全な管理権を持っている。ところが、同じく地位協定の二条の四項の(a)ですか、一時的にアメリカ軍が使用してない施設もしくは区域内を日本国民に使用させるというような規定があるわけですね。そういう点では、先ほど申し上げました地位協定第三条のアメリカの管理権というのは、それだけ使用を認められているということに関しては、アメリカの管理権がそれだけ除かれているんだ、そういうような説明をしていただいてあると思うのです。  これは議事録を読みまして要約したことなんですけれども、そういうふうに理解してよろしいかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  155. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 大体いまお話しのような筋だと私は思います。つまり、前の内閣委員会で木下先生が御議論なさったのは、地位協定の中の十八条五項にある責任と、現地において取り交わした文書の四項との関係をお尋ねでございますが、現地で取り交わした文書がそもそもできてきたゆえんのものは、二条四項(a)の米側の立場、目的にとって有害でないということが、はっきりした場合にだけ使わしていい、それに関連しての条項であるというふうに私どもも理解しております。
  156. 安藤巖

    ○安藤委員 そこでお伺いしたいのは、この合意書の四項で、先ほど私がお伺いし、いま御答弁いただいたように、アメリカの管理権が、使用を認められているという関係においては制限をされるんだと言うんですね。その制限をされるアメリカの管理権、その制限される範囲、内容というのは、一体どういうことになりましょうか。合意書の第四項から見て、どういうことになるかということです。
  157. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまお尋ねの趣旨にちゃんとお答えしたことになるかどうかわかりませんが、要するに二条四項(a)によって使いたいという、その目的によって内容が違いますので、個々のケースによって違ってくるというふうに思うわけです。使用目的のいかんによって、それだけ米軍が全面的な管理権の制限を受けるということになると思います。
  158. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、それはもちろんこの刈谷市以外でも、いろいろなアメリカ軍の施設あるいは区域を使用する場合に伴って、このような合意書というのは、つくられているのではないかと思うのですけれども、その場所場所、区域区域の事情によって、あるいは使用目的によって違ってくる、こういうことになるわけでございますね。
  159. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 二条四項の(a)による使用例というのは、たくさんございまして、たとえば米軍が使用しているところの下に電線を埋めたいとか、あるいは米軍が使用しておるところを農耕のために使いたいとか、あるいは刈谷市の場合は建物を建てるためだったようでございますが、建物を建てるためだとか、態様がさまざまでございますので、私が先ほど申し上げたように、その事案事案によって一様には言えない。使用目的によって制限を受ける度合いが違うんだというお答えをしたわけでございます。
  160. 安藤巖

    ○安藤委員 そのこととの関連でお伺いしたいのですけれども、この合意書によりますと、これはこの前の質問でも、いろいろ問題になったところなんですけれども、使用を許可された人の、その使用に起因もしくは随伴するやもしれない財産上のいかなる損害等々、そのほかの生命身体の損害もあるわけですけれども、これに対して「在日合衆国軍隊の故意又は無関心の非行」ということになっているわけです。普通、日本の法律で言うと、「故意又は無関心」というのは、余り聞いたことのない言葉で、普通は、故意もしくは過失ということになるのですが、その辺のところが、ひとつわからないということ。  それから、地位協定の、問題になった十八条の五項ですね。これによりますと、「公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為」こういう言い方をしているわけなんです。それで合意書の四項の一番最後に「無関心の非行により惹起されたものでない限り、地位協定第十八条の規定にもとづく責任は一切負わないものと了解する。」こうあるわけですね。そうすると、地位協定十八条五項の「作為若しくは不作為」というのと、先ほど申し上げました合意書の方の四項の「合衆国軍隊の故意又は無関心の非行」というのと全く一致するのかどうか。もし、これが全く一致していないということになると、地位協定十八条五項の適用は排除されるというふうに規定してあるものですから、一致していないとすると、残ったところがあるはずなんです。  そうすると、その辺のところはどうやってカバーするのかということが問題になろうかと思うのですけれども、これは、その使用を認められた日本の国民の権利に関するものですから、明快にお答えいただきたいと思います。
  161. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 御指摘の点が、前回にも大変議論されたところでございますが、その後、私の方なり、あるいは外務省なりでいろいろ検討した結果、結論だけを申し上げますと、地位協定の十八条五項というものは、どんなことがあっても、たとえば、これは前回議論がありましたように、この合意書で変えるのだとか、あるいは合同委員会で変えるのだとかいう議論がございましたが、これはそういうものでは変えられない。十八条五項の規定というものは、この地位協定の大変重要な部分でございますので、軽々に変わるものではない。合同委員会で変えられるものではないというふうに理解しております。  それでは、先ほど来の依佐美の現場における合意書の四項は何であるかということになりますが、これはあくまで二条四項(a)に基づく米軍の管理権に関する問題というふうに理解すべきであるというふうに考えております。そこで、それではいま先生御指摘の文言は何だということになりまして、この文言が日米間で必ずしも理解がきちんと一致したわけではございませんが、私ども考えでは、最初に申し述べたように、十八条五項を否定するものであってはならないというふうに理解しております。
  162. 安藤巖

    ○安藤委員 それで、先ほど申し上げましたような故意または無関心というのと、作為または不作為というアメリカの方の責任が具体的に出てくる一番もとになるところなんですね。そこのところに食い違いはあるのかないのかということなんです。
  163. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 この点について前回お答えしておりますように、十八条五項を否定するものでないという考え方に立ちますれば、故意または過失という普通の文言になるべきである、食い違いがあると、何が残るかということになってまいりますから、食い違いがあってはならないのだというふうに思っておりますが、この文言必ずしも適切じゃないので、今後こういう場合にどういうぐあいに表現すべきであるか、先ほど来、私がお答えしておる線で、一体どういうぐあいに表現すべきであるかというところを、いま日米間で折衝しておる次第でございます。
  164. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで「故意又は無関心」という合意書の方の四項の規定は、故意または過失だというふうに、いまお答えいただいたわけですけれども、地位協定第十八条五項の「作為若しくは不作為」というのも、当然これは故意または過失による作為または不作為ということになろうかと思うのです。それでないと一致しないことになりますから。となると、合意書の方の四項の「故意又は無関心の非行」というのは、故意または過失の非行だということで、地位協定の十八条五項の、故意または過失に基づく「作為若しくは不作為」というのと一致するというのは、防衛施設庁の方がお考えになる、あるいは防衛庁の方のお考えであるけれども、この合意書は直接アメリカ軍あるいはアメリカ政府を拘束するものではないわけですね。当事者でないわけですから。  そうすると、合意書の四項の「故意又は無関心」というのは、故意または過失だということで、アメリカ政府あるいはアメリカ軍を拘束する保証は一体どこにあるのですか。
  165. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 最初にお答えしましたように、十八条の内容というものは、私ども防衛施設庁、あるいは外務省も、これは簡単な合意書ぐらいで変わるものではないという考え方をしておりますが、ただ、一方において全く別に、先ほど来議論になりました二条四項(a)というものがございまして、それとのかみ合わせ、二条四項(a)はどんなに管理権の制限があっても、十八条五項を否定をするものではないというふうに日本側は思っておりますし、アメリカとそういう話し合いをしておるわけでございます。そういった段階で、われわれとしては十八条に基づく責任というものは、はっきりしておるというふうに思っております。法律上の責任でございますが。
  166. 安藤巖

    ○安藤委員 以上で終わります。
  167. 芳賀貢

    芳賀委員長 麻生良方君。
  168. 麻生良方

    ○麻生委員 長官、あなたは、さっき二月二十四日のブラウン国防長官の発言はきわめて重大だと言われましたね。したがって、調査しているということですね。調査の結果がまだ入っていないということは、その委員会でどういうやりとりがあったかという速記録をまだ入手してない、こういう意味ですか。
  169. 三原朝雄

    三原国務大臣 さようでございます。
  170. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、長官予算委員会の発言は、ちょっと矛盾しているので、重大な発言だと受け取りながら、その調査の結果をまだ入手していないのに、しかし機種変更の意図はないというなら、何も調査なんかしなくてもいいのじゃないですか。
  171. 三原朝雄

    三原国務大臣 矛盾はしていないと思うのでございます。あの情報をキャッチをいたしまして、私どもといたしましては数年間にわたる調査を続けてき、FXにつきましては、防衛庁として内定をするという事態までやってきた間におきまして、現在FXについて欠陥があるという言葉でございますので、私は、その発言について重大な関心を持ち、注視をいたしておる。そこで、その内容について調査をいたしたいというわけで、いま外務省を通じ、また米軍を通じて、その資料の内容の入手を依頼をいたしておるということでございます。
  172. 麻生良方

    ○麻生委員 ということは、その調査の結果、内容のいかんによっては、やはり再検討するという御意思がおありなんですな。
  173. 三原朝雄

    三原国務大臣 先ほども申し上げましたように、私どもは四年間にわたります、いままでの調査、検討の実績には相当な信頼を寄せておるわけでございます。したがって、どうしてああいう発言がなされたかということに疑念を持っておりまするので、いまその内容が、あの欠陥があるというような発言それ自体が信頼すべきことかどうかというような事態を考えておりまするので、いますぐそれをどうだこうだと私が御意見を申し上げることは適当じゃない、そういう慎重な姿勢でおるということを申し上げておるのでございます。
  174. 麻生良方

    ○麻生委員 アメリカにはどなたを派遣されておるのですか。
  175. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 こちらから調査にやっているわけではございませんで、防衛駐在官で吾妻という空将補が行っております。外務省を通じて、その空将補に調査を依頼をしておるわけでございます。
  176. 麻生良方

    ○麻生委員 あれは公聴会です。秘密理事会でも何でもないので、本当に積極的に取ろうと思えば、もう入っているはずですが、まだ入っていないのですか。
  177. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 吾妻空将補から、まだその資料が届いておりせん。
  178. 麻生良方

    ○麻生委員 その公聴会のブラウン長官と各議員とのやりとりの速記録についても、まだ入手していないのですか。
  179. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まだ入手いたしておりません。
  180. 麻生良方

    ○麻生委員 それじゃ、はなはだ残念ですが、おたくの方が入手していないなら、私が入手したものを差し上げます。  これは二月二十四日の例の公聴会でブラウン国防長官と各議員とのやりとりの速記録の一部です。ただし、私がどうしてこれを入手したかは、政府のこけんにもかかわりますから申し上げません。同時に、これが確実に上院で行われた速記録の内容そのものであるかについては、後日やがて明らかになるときがあるでしょう。御参考までに差し上げます。  ところで、いま差し上げた速記録は英文の速記録です。したがって、その内容について私が読んだ印象を率直に申し上げます。  まずハロルド・ブラウン国防長官は、F15戦闘機に使用されている空対空兵器システムに欠陥がある、改善には少なくとも五年の歳月が必要であろう——これはすでに新聞に報じられております。フォード政権が提出した国家予算からF15調達経費の二千六百三十万ドル削減を含め、二十八億ドルの軍事予算削減を要請しているカーター軍事予算を支持するために、ブラウン国防長官が上院軍事委員会で述べたことです。ブラウン氏によると、F15自体は非常に優秀な戦闘機だ、特に高度な空対空攻撃ではすばらしい性能を持っていることは、その中で証言している。しかし、F15に具備された兵器システムには欠陥がある、同委員会に非公開の形で問題の詳細をやがて提出するとブラウン氏は述べている。  その非公開の形で提出される、どの点に欠陥があるかという問題点の資料も実は私は入手しています。しかし、それはまだ公式的に発表されておりませんので、ここでは差し控えます。  仮に空軍がこの問題の解決に、研究開発を計画した場合にどうなるかという共和党の上院議員ジョン・タワーの質問に対してブラウン長官は、いままでこのシステムに改善が加えられてきたが、当初計画した仕様とは合致しない、今後五、六年は無理であろうと明確に語っている。同委員会出席のブラウン長官は、これがすでに新聞に報ぜられているが、改善に五年かかろうと述べたのであって、現在直面している問題解決に五年かかると述べたわけではない。  またブラウン長官は、ソ連は戦闘爆撃機の航続時間及び性能の開発が現在非常に進んでおる。それは、この二、三年来に急速に進んでおる。われわれがF15に期待しても、なし得ないような抜群的な開発を現に行っておる。したがってF15では、その爆撃機に対して対応能力がないということを明確にその速記録の中で述べています。  また同時に、F15の購入延期は、F15の兵器システムの欠陥、同機の高価格、及びF15よりも性能は低いが、低価格戦闘機との組み合わせをした方がよいのではないかという観点からも決定された、こう長官は述べ、同時にキャノン議員の月九機から六機半のペースに減少するということになれば、その価格はどうなるかという質問に対して、同長官は明確に単価は上がることは必定だということを述べています。  これは防衛庁の方で、いま差し上げた文章をもう一度正確に御解訳をあそばされれば、大体いま私が申し上げたようなことが、その中に書いてある。  さらに、私がこの中で非常に興味深いのは、ここに同席したゼネラル・ブラウン、これは空軍でしょう、彼はときどきノーという発言をしています。したがって、アメリカの国防省内部にも、実は国防長官意見と必ずしも一致してない制服組がいるということも、その速記録の中にきわめて明瞭に出ております。  しかし、御承知のように政権は変わったということになりますと、その速記録をお読みになると感知されることだが、ニクソンからフォードに続いた政権、その政権下におけるアメリカのいわゆる機種選定政策、それがカーター政権になって、いま大きく変わりつつあるという実証が、かなりその速記録の中に出ている。そして同長官に反発をしているのは、ほとんど共和党の議員であります。ということは、カーター政権になってからの機種選定の政策に大きな変更が加えられつつあるという事実は、防衛庁としては、少なくとももっと早くキャッチしておくべきである、当然のことであります。  また同時に、いまごろになって、まだこの種の情報を入手していないということが本当であれば、あるいは入手して隠していたのかどうか、それは存じませんが、入手していないとなれば、これは、はなはだずさんなことであります。  そういうような観点から、私は長官にもう一度再度お尋ねをしたい。  もし、私がいま提出した資料が間違いなく米上院における国防長官の言明であるという公式な記録を防衛庁が入手した場合、防衛庁としては、再度その真相をアメリカに再調査する用意があるかどうか、これをお伺いしたい。
  181. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  前からお答えをいたしておりまするように、私ども防衛庁といたしましてはヨーロッパ、米本土全域にわたって、新戦闘機について研究調査を続けて数年間やってきておるわけでございます。そうした間において、ブラウン長官の発言でございます。それだけに非常に重大な発言であるということを考えておるわけでございます。  なおまた、いまお話しがございましたように、機数を減した事実、それから欠陥というような用語が出たというそうした点、あるいは価格問題をもう一遍調査検討する必要があるかどうか、そういうようなもの全体を含めて重大な発言に対しましては注視をして検討いたしておるわけでございます。  したがって、具体的に資料が入手されてまいりますれば、私どもといたしましても、その資料を踏まえて善処いたしたいと思うわけでございまして、いまさてどうするかというようなことについては、ここで即答申し上げることは控えさしていただきたいと思うのでございます。
  182. 麻生良方

    ○麻生委員 いま私が申し上げたような内容が、事実、米の軍事委員会で応答されているということが確認されれば、これはやはり国民の一人としては大きな関心を払わざるを得ない。少なくとも、もしそのような米国の動静に対してカーター政権がそれを具体的に実施していた場合、まず第一に、ソ連が新たに開発した爆撃機に対して、米国政府がはっきりと対応能力がないという、そういう意味でアメリカ政府自身が買い上げを手控えた飛行機を、われわれが押しつけられるという結果になる。  それからもう一つは、同長官の言明がもし事実だとすれば、価格のつり上げが必然だということになる。そうすると、先ほど御答弁にあった七十二億という価格は、さらにつり上げられてくる可能性が濃厚だということになります。これは当然アメリカ政府が買い上げる飛行機がそれだけ削減をされれば、その航空会社は、どこかでそれを穴埋めしてこなければならない。もし日本政府が、かような状況をあえて承知の上でF15を購入するということになれば、われわれ国民は残念ながら、アメリカ政府が買い上げることをやめたために損失をこうむった航空会社に対して血税を支払うという結果にならざるを得ない。この点について長官はどうお考えになりますか。
  183. 三原朝雄

    三原国務大臣 いま価格問題について御発言がございましたが、私どもこれを内定をいたしました際には、一応の概算をして七十二億ということで進んでまいりましたが、これを相当長期にわたって契約を結んでまいるわけでございまするから、価格問題もそれ相当に高価なものになるであろうということは、一応の想定はいたしてまいっておるところでございまするけれども、それがいま麻生先生の御意見のように、もっとこれが大きな差額になるかどうかというようなことがはっきりしてまいりますれば、価格問題についても慎重な検討を進めてまいらなければならぬなという受けとめ方をいたしておるのでございます。
  184. 麻生良方

    ○麻生委員 時間がありませんから、その点は長官に重ねて念を押しておきますが、私が提出した資料が事実であるとすれば、私は防衛庁側としては慎重にこの問題に再検討を加え、でき得れば、もう一度機種選定について米国のその他の機種についても再考慮して、国民が納得のいく購入の仕方をしてもらいたいということを要望しておきます。  それからもう一つ、この問題に絡んで防衛庁としてはこのF15、つまりダグラスですね、と日商岩井との間に代理店契約が結ばれているということは、先ほどの林委員の質問の中で明らかにされた。一体、どのくらいの手数料の契約になっているのですか、日商岩井とダグラスの間には。
  185. 江口裕通

    ○江口政府委員 日商とマクダネル・ダグラスの間には、先ほど申しましたように、厳正な調達をするという意味から、その概要等につきまして私どもの方で事情聴取いたしております。  ただ、この中身につきましては、先方からの要請が、特にこれは部外にひとつ出さないようにしていただきたいということもございますし、加えて先ほどおっしゃいましたように、まだほかにいろいろの契約がございまして、各社に対しましても同様な提出を要求しておるわけでございます。中には、その扱いにつきまして厳重に秘に扱っていただけるならば御協力をさしていただきたいというような社もございます。  そういった関係から申しましても、この際、内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもの見る限り、通常のベースと申しますか、つまり全然こういった契約のない社につきましても、もし日本で何らかの活動をするならば、支店とかあるいは駐在員だとかいうようなものが要るわけでございますので、それに見合うようなものにかなり近い線で、まあまあ妥当な線は行われつつあるのではないかというふうに考えられておるわけでございます。その程度でひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  186. 麻生良方

    ○麻生委員 御容赦できないですな。国民にとっては、少なくとも代理店契約をダグラスとの間に日商岩井が結んでいるとすれば、機種並びにその他部品を購入するために、国民の血税が日商岩井に支払われるということになるのですよ。そういう結果になるわけですよ。したがって、われわれ国民としては、一体どのくらいのマージンが、どのくらいの手数料が日商岩井に支払われるのかということくらいについては、防衛庁は国民に明らかにすべき義務がある。それが明らかにされないから、今度のロッキードのような事件が起こるのじゃないですか。もう一回御答弁ください。明らかにしてもらいたい。あなた御存じだ。
  187. 江口裕通

    ○江口政府委員 これは先ほど申しましたように、特にわれわれの方といたしましてマクダネル・ダグラス社の方にも協力方を要請しております。向こうの先方の了解を得るにつきましても、そういうプロセスを踏んでおるわけでございます。したがいまして、いま私は、実はそういう大体の概要を存じておるわけでございますけれども、要するに当事者の同意と申しますか、それが必要であろうかと思われます。少なくとも、それはひとつ、とらしていただきたいということでございます。  それから一般的に、これは私ども日商岩井から買っておるわけではございません。直接の相手方は国内の三菱重工であるなり、あるいは石川島播磨だとかいうような、そういったメーカーでございます。結果におきましては、そういうコミッションの動きというものが、そういった私どもが三菱重工から買いますものの価格の中に反映されるおそれはあるわけでございます。これは会計検査院からも御指摘を受けておりますけれども、その価格につきましては、私どもの方といたしましては厳重に現地において、要すれば価格の調査をいたしますなり、事後においても調査をいたしますなりということで、価格についての妥当性を期するという担保と申しますか、そういうことは極力努めてまいる所存でございます。  そういうことでございまして、いまの段階では、ひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  188. 麻生良方

    ○麻生委員 まあ大変納得のいかない答弁ですがね。一・五%になっているのじゃないですか。アメリカの商社というのは、つまりアメリカのメーカーは、そういうことについては非常に事務的なんだ。日本だけなんですよ、それをいいかげんにして、しかも知っている役所さえ、それを公表しないというのは。まだアメリカの方はフェアですよ。  私の聞き及んでいるところでは、一・五%という代理店契約になっていると聞いておりますが、その点については、きわめてほど遠い価格ですか、それに近い価格ですか。
  189. 江口裕通

    ○江口政府委員 端的に申しますれば、かなり近い数字でございます。
  190. 麻生良方

    ○麻生委員 米議会で公表されている米空軍の調達価格。F15は一機四十五億、F16は二十七億、F14は五十八億となっています。これは御存じでしょう。先ほどあなたがおっしゃった日本での購入価格が一機七十二億ですか、ということになると、かなりの差額が出る。ざっと見積もっただけでも二十数億の差額が出ますね、米国議会で発表している価格と、あなたが発表している価格との間には。一体どうしてこんな価格のつり上げが行われるのですか。
  191. 江口裕通

    ○江口政府委員 この点につきましては、結論から申しますと、その価額を厳重に洗う必要があると思うわけでございます。  私ども、この選定を進めてまいります際に、マクダネル・ダグラス社を初め他の二社につきましても、一応誓約書というものの提示を求めております。この中身は、こういったことを進めてまいります際に、ロッキード事件にありましたような、いわゆる贈収賄等を含みます不正行為というようなものがあった際には、私どもの方としては契約をキャンセルすることがある、それから、場合によって、もしそういう実額がはっきりした場合は、それは契約価額から差し引くというようなことについて異議はないというものを徴取しております。(麻生委員「一札取っているということですね」と呼ぶ)はい、取っております。  そういうようなことで、私どもの方としましては、最終的な担保を取っておるつもりでございます。
  192. 麻生良方

    ○麻生委員 それは向こうの会社から取っているのでしょう。
  193. 江口裕通

    ○江口政府委員 先方の会社から取っております。
  194. 麻生良方

    ○麻生委員 日商岩井からはどうですか。日商岩井から取ってありますか。
  195. 江口裕通

    ○江口政府委員 日商岩井は、実はこれは第三者でございまして、要するに向こうのマクダネル・ダグラスのものを買うわけでございます。ですから、マクダネルの価額の中から差し引けば、おのずとその分は相殺できるということになろうかと思うのです。それから契約の中身におきましては、単にマクダネル・ダグラスの行為のみならず、代理店その他いかなる名義のものであろうとも、その結果がそういうことをもたらすようなものについては、それをカバーするという趣旨のことにいたしておるわけでございます。
  196. 麻生良方

    ○麻生委員 時間が来ていますが、あと二、三問お願いしたいのです。  いずれにしても、日商岩井がダグラスとの間に代理店契約を結んでいる。その手数料は、ほぼ一・五%ということになる。そうすると、日商岩井としては、一機購入するたびに一億円近い金が転がり込むということになりますね。日商岩井の業務というものは、もちろん輸送業務その他もあると思いますが、販売業務も当然含まれる。日本の商社としては、販売工作をやるというのが常識です。従来まで、防衛庁幹部に対して日商岩井からの販売工作は皆無ですか。
  197. 江口裕通

    ○江口政府委員 従来、こういった大型プロジェクトと申しますか、こういう機種選定に該当いたしますものにつきましては、私どもの方といたしましては、商社の介在を一切排除しております。  具体的に申しますと、先ほども説明いたしましたような防衛的、技術的な見地から、専門的な見地から選択をいたしてまいりまして、そうして国防会議の御審議を経て決定するという過程でございまして、この間に商社の介在する余地はないと私ども考えております。  それから現実の問題といたしまして、われわれの担当者に関する限り、そういったコンタクトを受けた事実はございません。
  198. 麻生良方

    ○麻生委員 あなた方は、機種選定については余り御専門家ではない。むしろ工作は主として制服組です。制服組に対してコンタクトされたという事実は全くありませんか。
  199. 江口裕通

    ○江口政府委員 この点は、なお私どもとして、よく調査をいたしてみるつもりでございますが、若干こちらの方に情報——一般的な情報でございますが、そういうものの提示を、逆にこちらが求めておる場合はあるかと思われます。しかしながら、いわゆる工作と申しますか、そういうものはないというふうに、私どもはいま考えております。
  200. 麻生良方

    ○麻生委員 きょうは、その点についての質問は、時間がありませんし、保留いたしておきます。私の方にもデータがあります。しかし、それを追及するためのきょうの委員会ではありません。あなたの御答弁を一応聞きおく程度にいたします。  しかし、もし日商岩井が全く何の販売工作もしないということが事実であれば、日商岩井というのは、商売で言えば、ぬれ手でアワのつかみ取りというやつですな。政府が買うたびに、機種についても部品についても、一億に近い金が転がり込んでくる。こんないい商売はありませんな。こういう商社を中に置いて兵器を買うということ自体について、長官、あなたはどう思いますか。これは血税ですよ。
  201. 三原朝雄

    三原国務大臣 先ほども私が他の御質問に対してお答えをいたしましたように、私は、神経質になるほどロッキード事件のことを思いながら、FXなりPXL等と、いまから取り組まなければなりませんので、実は厳重な姿勢で臨む方針でおるわけでございます。内局にも三幕にも、その点は十分注意をいたしておるところでございます。したがって、いまのお尋ねに対しましても、絶対に国民の疑惑を招くような結果を招来しないように万全の注意をして処置してまいる所存でございます。
  202. 麻生良方

    ○麻生委員 まあ、あなたの答弁としては御無理ないです。要するに、日本の大臣なんていうのは、一年も首が持たぬのですから、あなたの首だって、いつまで持つかわからない。だから、あなたの御答弁としては、それでいいんです。しかし、その前の前の前の長官、そういう時代から、すでにF15について疑惑が持たれてきているわけですね。あなたは、そういうことがないと御答弁になっても、次の引き継ぎ者あるいは過去の中にそういう事実があったとしたら、やはりあなたが責任をとらざるを得なくなるということだけは肝に銘じておいていただきたい。  そこで、私は最後にもう一度だけ申し上げておきますけれども、私は、本来、日本政府が買うべき兵器について商社を中に入れるべきではないという持論を持っているわけです。現にアメリカの某商社などは、いつだったか、私は日取りの記憶はありませんが、NHKがたしか取材したニュースドキュメントを見ておりましたら、その商社の社長は、日本の商社が中に入れば、必ず汚い事件が起こるんだ、賄賂を贈るんだ、だから、わが社はストレートで日本政府と直に話をし、説明もしたいというようなことを言っているのを見た経験があります。それがどの社であったか、私はいまちょっと記憶がありません。  そういうようにアメリカにおいてさえ、メーカーによっては、日本の商社を排除して、直接日本政府との間にむだな経費を省いて取引しようという姿勢があるにもかかわらず、日本政府は依然として商社を中に置いて、商社に血税を払っていこうとする態度である。  私は、将来の展望としてもう一度長官に聞きたい。長官自身、個人として、日本人として、日本の国民として、今後依然として商社が中に入ることが妥当であると思うのかどうか。もし妥当でないとすれば、これは商社の立場もありましょう、商売ですから、民間の場合なら、これは当然です。しかし、今後もう少し商社と防衛庁とそれから政府、その間に明確な取り決めが行われ、国民が納得するような形での商社の介入か、しからずんば、一切商社の介入をさせないで、向こうの代理店と直接話し合う、そういう方向を検討する御意思があるのかどうか、これを最後にお伺いしたい。
  203. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  この点につきましては、私は、実は担当者から図面まで引いて、何とか政府対政府でできないか、あるいはメーカーと防衛庁と直接の取引もできないかというような点につきまして、実は検討をさしたぐらいでございまするし、ただいまも、その取引について国民の疑惑を受けないような手段方法はとられないものなのかどうかということについて検討を命じておるところでございます。そういう事態でございますので、いまの御意見の線に沿って最大の努力をいたしたいと思うのでございます。
  204. 麻生良方

    ○麻生委員 あなたの御在任中に、せめてそのぐらいの功績を残して御退任を願いたい。  それからさらに私は、再度アメリカに調査団を派遣していただきたい。もし、先ほど申し上げたような記録の内容が事実だとすれば、それを無視してF15購入に日本政府が踏み切るということになれば、第二のロッキード事件に発展しかねない要素を背後にはらんでいるということを厳重に私は警告しておきます。  きょうはここまで。ありがとうございました。
  205. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十一分散会