○佐藤
会計検査院長 検査院のいわゆる
不当事項というのは、院法で規定されておりますが、その内容についてまで規定してございませんので、これをどう
考えるかは、おのずから常識の線に従って
考えなければなりませんが、
法律、政令もしくは
予算に違反した事態または不経済となっているものという中から
不当事項が出ていくわけでございますが、それにしても、御承知のように、たとえば、ごく小額の過払いがあったりしたものを一々
不当事項として挙げるということは、これまた非常にどうかと思うのです。それで、おのずからそのスケールの問題が、そこに出てくるわけでございます。
それと、もう
一つ皆さんに御理解していただきたいのは、
不当事項としてわれわれが批難する以上は、その裏に何らかの手落ちがあって、そういう
不当事項が生じた。神ならぬ身のあれがやるのですから、行政官がやっているんで、結果において不当な事態になってしまったという場合もあるわけですね。そういうものまでも、われわれとしては
不当事項として批難するわけにはいかないと思うのです。それで、いま申し上げましたようなことから、ある
程度の規模ということ、それから批難されるべき、
検査報告に掲記して批難するに値する
程度の落ち度があったという、そういう大きな柱がございまして、それにかけて掲記した方がいいかどうか、こういうことを
考えて出しているのが、現在の
不当事項でございます。
それからもう
一つ御質問ございましたように、是正済み
事項というやつですね。これは、その前に
一つ、改善
意見というやつがございまして、改善
意見、これは「会計経理に関し法令に違反し又は不当であると認める
事項がある場合には、」それを速やかに是正させ、同種事態の再発を防止するため、本属
長官または
関係者に対して
意見を表示し、または
処置を要求するとともに、「その後の経理について是正改善の
処置をさせることができる。」というものが改善要求でございます。これは院法にそう規定されておるわけでございます。
それで今度、これと最初の
不当事項と、じゃ、どう違うんだということになるわけです。これにつきましては、これは要するに
不当事項があって、そうして改善させる、なお改善させる要素がある場合に改善
処置要求というのが出ていくわけです。しかしその場合に、それじゃ改善
意見に載ったやつは
不当事項に載らぬか、こういう御疑問が起きると思うのですが、これは改善
意見を出す事態であっても、その根元の事態が最初申しました
不当事項に該当するものでありますれば、
不当事項にも載っけるし、それから改善要求としても出ていく。だから二本足になって
検査報告には載っかる、こういうことになるわけです。
それからその次に、いま御質問のありました是正済み
事項でございますが、これは改善
意見を出さなければならぬなということで、これで作業中に、その前に、御承知のように
検査院では
局長が照会を発遣いたしまして、いろいろと
意見を闘わすわけです、当局と。その過程において向こうが直してしまう。これを注意
事項として、是正済み
事項として挙げておるわけです。
それで今度は是正済み
事項と、それじゃ最初の
不当事項との関連はどうかという御疑問がまた生ずると思うのですが、これは是正済みであっても、その根っこの事態が最初申し上げました
不当事項に該当するものであれば、これはもう是正済みに載っけなくて、
不当事項の柱の方に載っけるわけです。お調べになればわかるように、
検査報告のその
不当事項の中で直せるものは全部直しております。そういうように直していても、根っこが
不当事項であれば、これはもう
不当事項に載っけるということでやっております。
それから、もう
一つ最後に、いまの金額の問題にからんで、一億何千万といううちの七千万が節約できたじゃないかというようなことで、これは非常に大きな金額なんだから、
不当事項に載っけるべきではないかという御質問のようですが、これはいわゆる積算の問題では、たとえば一億の中に百万円とか五百万円とかその
程度の積算過大がありましても、積算の議論というのは非常にむずかしいのですね、ちょっとしたさじかげんで、そのくらいのものは出たり引っ込んだりしちゃうのです。したがって、そういう安全性を見込んでおりますので、私
どもとしては、積算の問題は、総契約に対して、そのうちのある
程度のパーセントを占めたものが積算過大という計数にねりませんと、
不当事項として大段平をかざして非難するということはしないという方針でおります。
しかし、そういう積算態度自体は、これは改めてもらわなくちゃ困るわけです。実損があるかないかは別といたしまして、積算態度自体は改めてもらわなくちゃいけないので、これは改善
意見として出そうということで作業をやっておるわけです。それで、最終的に改善
意見を出すまでに直らなければ、こういう積算態度はよろしくないから直せという改善
意見として出てくるわけです。しかしながら、その作業の途中で向こうが直しちゃった、この
防衛庁の場合は、まさにそうなんですが、そういう場合には是正済みになりましたということで御
報告申し上げる、こういう過程をたどっておるわけでございます。
非常に技術的なことで、おわかりにくかった点があろうと思いますが、そういうことで
検査報告というものは掲記してございます。