○中江
政府委員 先生が御引用になりました新聞記事の中に述べられておりますことは、いま
外務大臣も申しましたように、この
協定が署名されました年の二月四日の
中国外交部スポークスマン声明の中身と大体同じ
内容のことでございますが、二十三日には、いまおっしゃいましたように、
わが国が予想よりも早く二百海里の
漁業水域を
設定する
法案を国会に提出して審議を急いでいるという事情につきまして、隣国たる
中国にも十分
理解を求めておく必要があるということで、
中国の大使館員を呼びまして
外務省の
中国課長がその
説明をいたしたわけでございます。これが海の問題でございますので、その際に先方から、同じくいまの国会で問題になっておりますこの
日韓大陸棚協定につきましては一九七四年二月四日の外交部スポークスマン声明の
中国政府の
立場というものには変わりがないのであるということを改めて申したというのが実情でございまして、私どもは、その外交部声明が出まして以来一貫して
中国がその
立場を持っているということは十分承知しておりますし、それゆえにこそ、いま
大臣が言われましたように、この
協定を国会に提出して審議を求めますたびごとに
中国側に、
日本はこう考えるということを申し述べて、もし
意見の違いがある、あるいはその境界線について疑問があるというようなことであればいつでも話し合いをしようということをこちらからは申し述べておるわけですが、いままで
中国側から、それではこういう話をしよう、あるいはこの点についてはどうだという照会は一切なくて、原則的な
立場が繰り返されているのが実情でございます。
御
質問の後半で申されました、もし五十年の長い
協定の
実施の間に何か
事故でも万が一あったときには、
中国に
損害が及ぶようなときにはどうするかという問題でございます。これは申すまでもないことでありますけれども、五十年間日中間で
大陸だなの境界あるいは
大陸だなの
資源開発について何の話もなくて過ぎていくということはまず考えられないことだと思いますが、いずれにいたしましても、友好国との間では、そういった
紛争なり
事故が発生いたしましたときにはまず相互の話し合いによって
解決する努力をするということになろうかと思います。
いずれにいたしましても、この
水域を勝手な
開発にゆだねないで、
秩序ある
開発をするということによって
事故を防ぐという大目的を達し得るということで、この
共同開発協定という実際的
解決によってこの係争の地域の
開発の手だてを決めたわけでございますので、私どもの
立場からいたしますと、この
協定でいろいろ手を尽くしてある
事故防止あるいは万が一
事故が起きたときの補償の問題、そういったものを
関係国の間で十分
事前のアレンジをした上で
秩序ある
開発をしたいというのが、この
共同開発協定を
締結したときの本当の気持ちであったわけでございます。
理想を申しますと、
中国もこれに
参加して三カ国の間で、あるいはもっと北の方に行けば朝鮮民主主義人民共和国も
参加してくることもあり得るかもしれません。いずれにいたしましても、
中国が言いますように、
関係諸国が一堂に会してこの
大陸だな
資源の有効利用、また
秩序ある
開発という手だてをするのが一番いいということはわかっておるわけですけれども、現実の国際政治の
状況ではそれがいまの時点ではかなえられない。そこで、
中国の権利を害さないように細心の注意を払って
日韓間で話し合って
開発して、国際法上問題がないと思うところに限定したのがこの
協定であるということを絶えず
中国側には
説明している、こういうことでございます。