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塩崎政府委員 大変広範な多
国籍企業問題について御勉強中のこの小
委員会に御喚問を受けまして、
外務省の
方々とともに
意見を述べさせていただける機会を与えていただきましたことを大変光栄に思います。
しかし、かつて
外務委員会に籍を置いた者でございますので、どうかひとつむずかしい追及はぜひとも御遠慮していただいて、
報告を簡単にやらせていただいて、もしも
皆様方から御注意がございましたら受ける程度にやっていただきたいということをかねてから小
委員長にお願いしておきましたが、そういう趣旨で呼ぶからということでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
そこでまず、なぜ私が
与野党伯仲のこの
国会に、貴重な国費を使って、
国会開会中に
アメリカあるいは
ヨーロッパにまで出張したかという理由、またその
背景を真っ先に申し上げさせていただきたいと思うのでございます。
外務省の
方々から大変なだらかに
国連あるいは
アメリカの
動き等についての御
報告がございましたが、私がこのような時期に参りましたのは、言うまでもなく、例の
腐敗行為防止に関します
国連の
作業がだんだんと煮詰まってきたからというふうに考えていただきますれば、国費を使ったこともお許しを願えるのではないか、こんなふうに思うわけでございます。
多
国籍企業問題の生じました
背景につきましては、もう
皆様方御
案内のとおりでございます。一九六〇年代から多
国籍企業問題がいろいろと
論議をされてまいりましたが、そのとらえ方がいろいろある。当初は
アメリカの大
企業の
世界侵略のように言われ、その次には
通貨危機の元凶であるとか、あるいは南北問題におきます
一つの
搾取機関とか、いろいろ非難があったのでございますが、最近一番取り上げられておりますのは、
腐敗行為の問題であり、
不正行為の
防止の問題であることは言うまでもございません。
そこで、いろいろの経緯がございましたが、一九七三年に
アメリカ上院の
外交委員会に多
国籍企業小委員会が設けられたことは御
案内のとおりでございます。その直接の原因になりましたのは、例の
チリ政変、
アジェンデ政権の転覆と
アメリカのITTの
関係からであったというふうに言われておることは御
案内のとおりでございますが、だんだんとそこで
論議が進んでまいりまして、
アメリカには
国連におきまして一九七五年の十二月十五日、これもいま
八木課長からお話がございましたが、どうも私どもの
日本政府は恐らく無邪気に入ったのじゃないかと思うのです。翌年の二月四日に例の
チャーチ委員会で
ロッキード事件が発覚し始めたわけでございますが、全く発覚の前の一九七五年、一昨年の十二月十五日の第三十回
国連総会において多
国籍企業による
贈賄を含む
腐敗行為を非難する
決議、同時にまた、そこで本国、
受け入れ国双方の
政府が
腐敗行為予防のための
措置をとり、
予防、
処罰等に関して協力すべきこと、及び
本件を
国連多
国籍企業委員会が
検討するという
決議を十二月十五日に採択し、もちろん
日本は当然のことながら参画しているわけでございますから、私は、どう考えてみましても、
決議に参画している以上はこの問題については逃げられない、いろいろと法制的な問題がありましても、政治的に何らかのこの
決議の趣旨を生かすような方向をとらざるを得ないというのがまず多
国籍企業の
背景だと思うのでございます。
そして、実はこのような
決議後、私は
外務政務次官という大変はえある役職をいただいたおかげさまで、去年の七月
ECOSOC、第六十一回の
経済社会理事会にも、アビジャンで開かれたのでございますが、行かしていただいて、これは
国会閉会中でございましたから堂々と出席させていただきまして、
日本の立場、きわめて抽象的な演説を、
外務省の
方々が書いたのでこれをやれということで、これをやったわけでございますが、具体的な
提案はなくて、大いに多
国籍企業のメリット、デメリットを述べてきた記憶が、いま考えてみるとあるのです。
しかし、まだきわめて
具体性のないような
段階でございましたが、だんだんとそれから煮詰まりまして、八月四日の
ECOSOCの
理事会ではもう少し詳細な
決議が行われまして、まず第一に、多
国籍企業等による
国際商取引における賄賂を中心とした
腐敗行為問題の
検討を行うこと、それから第二は、
国際商取引との関連で不法な
支払いを
防止及び除去することを
目的とした
国際協定の範囲及びその
内容についての詳細にわたる
検討を行うことを
目的とした
アドホック政府間作業部会、
ワーキンググループと言っておりますが、
ワーキンググループを設置する、それから多
国籍企業委員会による
作成作業に高度のプライオリティーを与えるべきであるということを三番目に
決議し、そして第四番目には、第六十三回
ECOSOCは、その決定に従って
国連総会が最終的なアクションをとるために具体的な勧告を同
総会に送付するという
決議を八月四日、これは
ジュネーブであったと思いますが、
経済社会理事会で
決議をいたしたわけでございます。
そこで、ことしの三月に
ワーキンググループが開催されたわけでございますが、これからだんだんと緊張してくるわけでございます。つまりその原因は、
アメリカが
一つの
提案を勇敢にいたしたわけでございます。いろいろ
アメリカの考え方もございましょうけれども、
アメリカがまず第一に、
国際商取引に関して
外国公務員に対する
贈賄を禁止するための本国における
処罰化、つまり
贈賄者だけを処罰するということですね、多
国籍企業の
本社国が
贈賄者だけを処罰する、
収賄者のことは触れない。第二は、
国際商取引に関連してなされた
外国公務員または
仲介者に対する
支払いの
報告義務及び
公開の
制度の
新設——悪事をしておいて
報告しろという、例の憲法三十八条との
関係でやかましい議論の起こるような、何といいますか、自己に不利益になる自白は強要されないという規定の違反になるような感じの、いわゆる
ディスクロージャーと申しますか、こんなような
内容を持ち、
外国に払った
支払い金額を
報告する、あるいは
公開する、このような大胆な
提案が行われたわけでございます。
三番目には、これはもう当然のことでございますが、
わが国あたりが言い、
ヨーロッパも言っておりました
情報交換のための
国際協力と
法執行のための
国際的司法共助の促進、
国際的な
司法共助を促進していこうという
提案がなされたわけでございます。
大変各国の反響が大きかったわけでございますが、しかしまだまだ
各国の
反応は鈍いようでございます。
そこで、
国連の予定といたしましては、
八木課長から御
報告があったと思いますけれども、六月の二十七日から
ジュネーブで第四回の
ワーキンググループを開いて、
アメリカの気持ちでは、引き続き
ECOSOCで討議の結果を
報告してもらって、そして今秋中にも
外交委員会に付議して、今年中にでも
国連総会でひとつ
結論を出してもらうという
アメリカの大変な意気込みであることを私は知ったのでございます。
そして、また一方、
アメリカが
国際的にこのような
動きを示しておるのみならず、
国内的にもやはりこのような問題について大変張り切って各方面でいろいろの
改正作業を進めておる、あるいはキャンペーンをしていることは皆さん御
案内のとおりでございますが、勉強を若干してまいりました。
アメリカでは、もう御
案内のように、
ウオーターゲート事件のショックというのは大変大きかったと思うのでございます。したがって、多
国籍企業あるいはまた大
企業、この活動は単に
国際的のみならず
国内にも大きな影響を及ぼしている。つまり、不正な
国内及び国外における
政治献金ないし
贈賄の事実、これは
政治資金規正法では
企業の献金が禁止されておるにもかかわりませず、いつの間にか不正と申しますか、虚偽の
報告という手段を通じて、あるいは
国内に戻ってきたり、
国内で
贈賄が行われたりしてきた。これはどう考えてみましても、道徳的に非難さるべきのみならず、
投資家保護の
ディスクロージャーの
制度あるいは
証券取引法の精神に大きく反する、そして
企業の
会計制度が全般的に崩れるのじゃなかろうかという認識を強く持っているわけでございます。したがって、国民の大きな批判を生んで、結局もう
国内的には
SEC——日本では
セック、
セックと言っておりますが、向こうは
SECと言っておりますが、それから国税庁、IRCというのですか、正確に言えばインターナル・レベニュー・コミッション、それから
司法省、いろいろと行政上の活動でこれらの
不正行為について、あるいはアンケートまでして追及している。それから、いまお話がありましたが、
国内法を改正してまでひとつこれらの
不正行為の
予防をやろうではないかというふうに張り切っているわけでございます。
まず第一は、去年税法改正して、いままで
国内の会社なら当然
贈賄とかいう不正の金は罰金と同じく
損金に算入しないということになっておったのでございますが、
海外の
子会社の
贈賄まで
損金に算入しないという形で、
海外の
子会社を通じていろいろと
他国に
政治介入をするようなこと、あるいはむしろぐるっと一回回って
アメリカに帰ってくるようなことを防ぐ。防ぐと申しますか、税法上は否認する、税法上はペナルティーを課す、こういう
措置がとられているわけでございます。
それから
武器輸出改正法、これはもう御
案内のとおりでございますが、武器の
販売促進のために
支払いした場合、それはもう
政治献金も
代理人手数料——秘密代理人の
手数料まで意味しているのだと思うのでございますが、
代理人の
手数料を払った場合には
国務長官へ
報告しろということを、いち早く
武器輸出法について始めてきているわけでございます。
こんなような
動向で
アメリカはあるわけでございますから、私どもは、何といっても
ロッキード事件の発端が
アメリカにあるだけに、どうしてもこのような
動向について着目したいというのが大きな出張の
背景であり、
目的でございます。
しかし、
アメリカだけではどうも不十分でございまして、これに対して
ヨーロッパ諸国あるいは
OECDにおいてどのような反響を生んでおるかということをぜひとも研究させていただきたいと思って
OECD、それから同じく
ロッキード事件に巻き込まれました
オランダ、それからまた
関係ありと言われておりました
西ドイツにも行かせていただきまして勉強させていただいたのでございます。
日本の外交というものは
他国の
動向を見て決める傾向が多いし、私が
提案理由を述べても、
外国はどうだろうという質問が恐らく出てくるかとも思いますので、これらの
動向も大事な
資料であろうと思って
OECD、
オランダやドイツにも行かせていただいたのでございます。
それからもう
一つ、この出張の
背景、
目的は、もう
国内的にも
先生方御
案内のとおりでございます。いま衆議院の
法務委員会で刑法の一部
改正案が
論議されております。
ロッキード事件の
再発防止のためにどのような施策を講ずるのか、いろいろの議論がございましたが、現在
提案されておりますのは刑法の量刑三年を五年に引き上げる、したがって、その結果として
単純贈収賄の場合でも
時効期間が三年から五年に延長されるという
改正案でございます。しかし、これだけでは不十分なんだ、
国内的には例の
公職選挙法を直しまして、
執行猶予中の者にも
選挙権を剥奪する、
公民権を停止するというような案があったこともございますが、そのときにこれだけじゃ足らぬじゃなかろうかというようなことが言われたのでございますが、まさしく
国連で
論議されておりますところの
腐敗行為防止の案ができますれば、
国際協定ができますれば、仮に
日本がこれに参加いたしますと
一つの案が出てくるわけでございます。帰趨はわかりませんけれども、
再発防止の
一つの案になろうかと思いますので、
国会中でございましたが、私はこのような観点からも
大変意味のあることだと思って行かせていただいたわけでございます。
そこで、
各国の
動向等について、私の主観的な印象ではございますけれども、少し言わせていただきたいと思います。
大体いま申し上げましたところからもうおわかりのとおりでございますが、まず全般的に見て、
アメリカが最も積極的である、そして
国際的にやはりこの問題の
リーダーシップをとっておる。何といっても多
国籍企業の祖国でございます。最も強力な多
国籍企業、最も多くの多
国籍企業を擁しておる
アメリカが最も
リーダーシップをとっておることは
大変興味のあることでございます。
国連においても
リーダーシップをとって案を出しておりますのは
アメリカだけでございます。
各国の
反応は、後で申し上げますようにまだ
検討不十分で、
事務当局らしくいろいろと法制上の、技術上の
意見を述べておるような
段階でございまして、政治的な判断はほとんどないような
状況でございますが、
アメリカは何としてもこの案でまとめたい。そこで、昨年以来
日本政府がこの問題について大変熱心であるということに感づいたのか、私が参りましても、このような問題に出張してくるのだからやはり
日本は熱心じゃなかろうかと感じたのでしょうか、とにかく
日本との間で話し合いでもして話をつけて、それから
各国を説得したいというような口調まで漏らしており、
日本政府に協力してもらうことは非常にありがたいんだというようなことを盛んに述べておったのでございます。
しかし一方
国連の方は、もう百五十国という国が集まっておりますから、処士横議し、百家争鳴というのですか、私もちょうどニューヨークでその
委員会の
状況を見てまいりましたが、まだまだ
アメリカ案の
内容の
検討には至っていないのがいまの
状況でございました。それよりも、先ほどありましたように、
コード・オブ・
コンダクトというのですか、
行動基準あるいは
行動規範、この方が先なんだということで、この問題について
意見をまとめるべく、いろいろの
論議が盛んにされておったのでございます。
国連はそんな調子でございますが、同じ
国際機関でございます
OECDの方はもう少し
反応が鈍いようでございます。
OECDにつきましては、昨年の六月に
日本ほか先進国八カ国が起草
委員になってつくりましたところの
コード・オブ・
コンダクト、例の
国際投資及び多
国籍企業に関する
宣言、あれができてほっとしたところだ、もちろん非常に広範な問題を持っておる多
国籍企業でございますから、その問題すべてにわたりまして
宣言を昨年の六月にし、
日本も、もちろんまだまだ
ロッキード事件が緊迫していないころでございましたから悠々と参加したわけでございますが、それができてほっとしておる。
アメリカのような具体的な
腐敗行為防止のような
協定案をつくろうというまでにはいっていない、
反応もきわめて鈍いという
状況でございます。
そこでもう
一つ、若干
国内的な問題まで含めての
各国の具体的な対応の仕方でございますが、
アメリカの例は、いままでたびたび申し上げましたように大変張り切っておるわけでございます。奮起して、ひとつ大
企業の不正な
国内及び国外における
政治献金とそのための
企業会計制度の紊乱を直そうじゃないかという意気込みに燃えているのが
アメリカでございます。
その
内容につきましては先ほど申し上げましたが、なお今度私が気がつきましたことは、いま
八木課長からお話があったと思いますが、五月六日に私が
アメリカを立った翌日でございましたが、S三〇五といっております
海外不正行為に関する一九七七年法、これが去年からたくさん——
アメリカ式に、議員立法でございますからプロクシマイヤーとか
塩崎潤とか渡部一郎とかいう
委員の名前をつけてたくさん出されておりましたが、結局一本にまとまってS三〇五、三〇五
法案として
上院を通過して、現在下院で審議中でございます。
アメリカのことでございますからこれが通るかどうか、私はよくわかりませんけれども、この問題について、カーターのエシックス・ポリシーというのですか倫理政策が大変後押ししたかっこうになっておりまして、もしもひょっとすると通るのではなかろうか。つまり、
国際的な
協定ができる前に、
アメリカだけでもひとつ
国内法でこの問題を解決しようとする意気込みが見られ、それが
上院を通過しているわけでございます。
そこで私どもは、このような
国際的な
国内的な
アメリカの
動きを見ましたので、いろいろと質問しました。私は
アメリカの当局、
国務省、法務省、
SECというようなところ、それからまた
国会にも若干顔を出して当たってみましたが、皆さん方の言うところは大体異口同音、意識が統一されておりまして、私どもが提起をいたしました疑問に対しては即座に回答をするような
状況でございます。
日本政府でも
外務省が窓口となりまして各省がこれらの案についていろいろ
検討されております。各省らしくさすがに——大体こんなものは問題が多くてだめだというふうに言うのがいつもの慣例で、だめがだんだんよくなるわけでございますが、こういう観点で、だめだという点を質問してみると、こんなような答えが返ってくるわけでございます。
まず法務省サイドから申しますと、
贈賄罪だけ処罰して収賄罪をほったらかすのはおかしいじゃないか、どこの
ヨーロッパの国に行きましてもこんなことを質問しておるのですが、それはどういうわけかというふうに
アメリカで質問いたしますと、確かに贈収賄罪の法益というものは、その国の公務員の廉潔性というものを保護することが法益である、しかし今度は違うのだ、収賄罪というものは
各国で取り扱いはまちまちである、恐らく、暗に発展途上国における収賄の慣行化というようなことを考えてみると、収賄罪の問題を
国際協定で取り上げたならばこれはまたどろ沼みたいな議論になってまとまりやせぬじゃないか、やはり
贈賄罪を簡単につかまえる、それも多
国籍企業というものの概念というようなことで入りますとなかなか大変でございますから、とにかく
国際的商取引に関して、その取引に影響を及ぼす金、あるいは法令の制定のために
外国の、パブリックオフィシャルと言っておりますが、公務員に働きかけて金を支払った場合は違法とするというふうに、
贈賄とかいうようなむずかしい要件を離れた、若干広範な犯罪の構成要件でございますが、そのようなことにすれば話がまとまるのではなかろうかというふうに、私は
法務政務次官でございますが法律は素人なので、私が感じたところかもしれませんが、そのような印象を受けたわけでございます。収賄罪の方に手を触れたら話はまとまらぬから、多
国籍企業の——多
国籍企業という言葉をもちろん避けておりますが、
贈賄罪だけつかまえるということの方がまとまりがいいのじゃなかろうか、またそれによって根絶と申しますか、もとを絶つことによって
不正行為の
防止ができるのではなかろうか、こういう趣旨でございます。
それから第二の、私どもが提起をしまして答えました
アメリカ側への疑問は、先ほど申し上げましたように、わが憲法三十八条の自己負罪といいますか、自己に不利益な自白の禁止規定、そのような規定が
アメリカにもあるのです。もちろん憲法三十八条は
日本が発明した規定ではなくして、
アメリカからもらった本当にしゃれた、私も憲法ができたとき驚いた規定でございますが、
アメリカにもこのような規定があるにもかかわらず、なぜ不正
支払いをしたならば
報告義務を課すのか、憲法上の
関係から非難が出ないかということを言いましたら、これも簡単に、私はこう聞いたのですが、いや、憲法の第五次修正から、この自己負罪の規定の意味は、これは個人に適用があるので、
企業には適用はないのだ、つまり、
企業の不利益を陳述することあるいは自白することは憲法が禁止するところではないという考え方である。これはどこへ参りましても、異口同音にそのようなお話がございました。そして、
公開の規定を入れておかなければ、簡単に
企業の帳簿に載せておっただけでは、たくさんの多
国籍企業が競争しておるのだからわからぬではないか、他の
企業が見ておって、どの
企業が見ても
贈賄とか
政治献金というものはしておらぬのだということを公表することによって初めて保障されるのではないかというふうな
説明を
司法省もあるいは
国務省もしているわけでございます。
それから第三は、これも
日本的な質問だと思ったのですがあえてやってみました。
日本で
アメリカのように
国内法をつくって、
日本に本社がある
企業だけを
贈賄罪で処罰するというようなことをいたしますれば、恐らく
日本の
経済界からでもあるいは
国会からでも、
日本がそんなに率先してやる必要がないじゃないか、東南アジア諸国なんかに行ったときは、このようなことで手足を縛られたら輸出競争で不利になるではないかというような非難が出ようかと思うのでございますが、そんなことを私は聞いてみたわけでございます。
アメリカの
国内では、
国内法までつくって
アメリカの
企業だけ
贈賄あるいは
政治献金の規制をしていくことは、
アメリカの商品の輸出がむずかしくなるのではなかろうか、そんなような非難はないかと言いましたら、いや、
アメリカではそんな非難はないのだ、
アメリカの
企業というものは、商品の品質のよさ、あるいは価格の低廉さ、あるいはその他のサービスのよさで競争すべきものであって、プライペリーみたいなもので競争すべきではないのだ、この点は世論として確立しているところである、こんな返事がはね返っておりまして、質問した方もちょっと弱るぐらいな感じでございましたが、以上三点ばかり、質疑応答の
状況も御
報告させていただいたわけでございます。
なお、これは大変生臭い最近の問題でございますが、
SECに参りまして、例の
ロッキード事件の特別調査
報告書はどうなるのか、こういう質問をいたしました。
ワシントン連邦地方裁判所の同意審決によって、ロッキード社に、社外重役三人で構成される特別調査
委員会が作成する特別調査
報告書を五月十六日までにロッキード社の役員会に出して、それを一カ月以内に
SEC及び連邦地裁に提出させるということがあったことは御
案内のとおりでございます。この問題はどのようなことであるかと言いましたら、
SECのウイリアムズ
委員長は、まだまだ出ておらぬからわからぬが、出るはずである。ウイリアムズ
委員長は、
委員全体の同意、満場一致で公表することを決めているわけでございます。一カ月以内にロッキード社から
公開拒否の裁判を得ない限りは、六月十五日に公表されるわけでございます。聞くところによりますと、確認はされていないそうでございますが、五月十六日に特別調査
委員会からロッキード社の役員会に提出されているようでございます。これは
外務省からの
報告じゃありませんが、新聞紙上では、ロッキード社は
公開反対の
動きをしておるようでございます。まだ、裁判所に提訴したということは聞いておりませんけれども、その中に
政府高官名が入っておる、これがロッキード社に大変不利であるから、これを裁判によって拒否しようという
動きをしているというふうに新聞に報道されておりました。この点はまだ確認はしておりませんが、きょうが二十六日でございます。六月十五日までが
大変興味のあるところではないかというふうに新聞は取り上げておるということをここで申し上げさせていただきたいと思います。
国連、
OECDの問題を申し上げましたが、その次にここで申し上げたいのは
オランダの
動向でございます。
先ほど申し上げましたように、
OECDは例の八カ国起草
委員、
日本がその一人でございましたが、
コード・オブ・
コンダクトの以後は関心が薄くなっておりますけれども、
ヨーロッパはまさしくそのような
状況でございます。そして、ここで広範に御研究されようといたしますところの雇用労働問題あるいは課税の問題、これらの問題も余り進んでいない
状況でございます。課税の問題も、これは私、昔とったきねづかでございますが、読んでみると、まだまだ、現在のところはそんなに際立った弊害は出ておらぬからというような認識のようでございますが、しかしこれらの問題はだんだんと議論されるということは予想されるところでございます。小
委員会がたくさんできているようでございます。
そこで、
OECDのメンバーでございます
オランダと
西ドイツの
状況でございますが、
オランダでは、例のベルンハルト殿下がロッキード社から百万ドルもらったとかいうようなことで、一応いま公職を全部剥奪されて、それで一応片づいたようでございます。
国連における
アメリカ提案につきましては、いろいろ
贈賄の対象とかあるいは証拠の問題とかいうような点を考えるとなかなか受け入れがむずかしい、消極的のような感じを受けているわけでございます。
西ドイツでございますが、私はデビッツという政務次官、私と同じような立場にいるわけでございますが、大変若くて張り切った、私らと全く違ったような政務次官でございましたが、どうもまだ研究不十分である、しかし
アメリカのような
提案では、どうも
公開の原則が、こんなような問題はなかなかむずかしいのじゃなかろうか。
国内法のたてまえからなかなかそう簡単にいかないのだということを言っておりました。ただ世界
各国が共通して受け入れるならこれまた話は別の問題であるというようなことを言っておりましたが、
アメリカに
提案されてまだまだ
各国はあれよあれよというような
状況というふうに私は見たわけでございます。
なお、
アメリカの
提案に対して驚いている
状況であることは、その
反応としていまのような不十分のほかに、対案を出して、
アメリカの
提案がこれだから、それじゃこれでいこうというふうに
行動した
各国はまだございません。いろいろ文句を言うなら、ではこれならどうかという案が出てしかるべきだと思うのでございますが、そのような案はまだない。私は
国連のやり方を知りませんけれども、そんな
状況でございます。
なお、私が聞きましたところでは、ロッキードの
資料は十三カ国に
アメリカから送付されたようでございますが、解明の進みましたのは
日本だけで、あとはさっぱり解明が進んでいないということを聞いてまいりました。
以上、大変大ざっぱでございますが、わずか十日間の出張で、もう少し時間をいただきますれば、ここでもう少し御
報告申し上げて、ちょっとほめられるぐらいいけると思うのですけれども、ちょっと十日間では、時差の
関係だけでも本当に頭がぼやっとするぐらいでございますので、以上の程度の御
報告で終わらせていただきまして、なお私は、いろいろと
外務委員会でいまブラジルとかあるいはルーマニアですか、租税条約が審議されると聞いております。この租税条約と多
国籍企業問題との
関係、大変おもしろい問題でございましょうが、いろいろな問題につきましてもいろいろと御質問でもございましたらお答えさせていただくことにして、この程度で
報告を終わらせていただきたいと思います。大変失礼いたしました。(拍手)