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1977-03-23 第80回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十三日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 山田 太郎君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 宮崎 茂一君 理事 石野 久男君    理事 日野 市朗君 理事 貝沼 次郎君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    竹中 修一君       玉生 孝久君    塚原 俊平君       原田昇左右君    与謝野 馨君       渡辺 栄一君    安島 友義君       上坂  昇君    有島 重武君       瀬崎 博義君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      宇野 宗佑君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     小山  実君         科学技術庁計画         局長      大澤 弘之君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   伊原 義徳君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  安原  正君         行政管理庁行政         管理局管理官  山本 貞雄君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     姫野 瑛一君         自治大臣官房地         域政策課長   久世 公堯君         自治省税務局府         県税課長    川俣 芳郎君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団専務         理事)     倉本 昌昭君     ————————————— 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   有島 重武君     近江巳記夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子力船むつ及  び原子力安全性確保に関する問題等)      ————◇—————
  2. 山田太郎

    山田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
  3. 上坂昇

    上坂委員 原子力発電の問題について、いろいろとお聞きしてまいりたいと思います。  初めに、私たちよく事故という言葉を使うわけでありますが、政府の方も初めは事故という表現をしておったようでありますけれども、最近になりますと電力会社の方も呼応して故障という字しか出てこないわけでありまして、この事故故障というのは一体どういうふうに区別をすべきなのか、定義のようなものをひとつ見解として承っておきたいと思います。
  4. 伊原義徳

    伊原政府委員 事故故障区別という御質問でございますが、現在、原子炉等規制法ではその施行令におきまして、報告徴収し得る事項といたしまして第二十二条に二つございます。第六号におきましては「原子炉施設に関し人の障害が発生し、又は発生するおそれのある事故状況」こういう表現一つございます。それから七号におきましては「原子炉施設故障状況」こういうふうに並んで定められておるわけでございますので、これから見ます限り、人の障害に関連するものが事故施設に関連するものが故障と、こういうふうに一応読めるわけでございます。  しかしながら、その事故という用語につきましては、法律上非常に明確に定義されておるということではございませんが、一般的な感覚といたしまして、人に障害を与えるあるいは財産上施設に非常に大きな損害をもたらす、こういうような場合に言う場合が多いと考えられます。それに対しまして、運転時の異常な過渡的状態と申しますか、あるときにある状態が起きてそれが過ぎればもとに戻る、こういうふうな状態、こういうふうなものを含めまして比較的軽微なものを故障、こういうふうに称する例が多いかと思います。  新聞などでも、この事故故障というのは必ずしも厳密に使い分けしておらないように思われます。たとえば自動車事故と言う場合と自動車故障と言う場合と、その辺になりますと、これはおのずから常識的な一般の方の御理解があると思いますけれども原子力施設についての事故故障というものについては、まだそこまで世間の方々の御認識がございませんと思われますので、新聞などでも軽微な故障でも事故ということで報道されることはあるようでございます。  したがいまして、今後だんだんその実態がわかるにつれまして皆様方の御理解をいただけると思うわけでございますけれども、私ども立場としては、安全の立場からいたしまして、運転時の過渡的な変化なり機器の故障、そういったものでもある程度の頻度で発生するものについての防止を図るということが非常に重要でございます。そういうものが大きな事故に発展しないように十分注意をしてまいらなければいけない、こう考えております。
  5. 上坂昇

    上坂委員 故障の場合はそれに対する修理といいますかあるいは手当て、そういう場合に回復が比較的早いというふうに考えていいのではないかと思うのですね。重大な損害があった場合には事故というような表現でありますが、そうなりますとこれはなかなか時間がかかる。しかし、故障の場合は比較的速やかに回復することができる、そういう状態というふうに解釈をしていいのかどうか。  それからもう一つお聞きしておきますが、ここに原子力ポケットブックがありますが、ここの二百十二ページに参りますと「原子力発電所に関連する主な事故故障」こうあります。そしてその中の第一項で「諸外国の原子炉施設主要事故」こういうふうに出ておりますね。ずっと列挙してある。ところが、日本の項になりますと、これは事故もなければ故障等も実際ないのですね。この辺のところをひとつ説明をしていただきたい。
  6. 伊原義徳

    伊原政府委員 わが国の規制体系とたとえば米国体系とはやや違っておるということがございまして、そのためにたとえばポケットブックに出ております分類米国日本とで必ずしも統一の枠の中に入っておらないということは、あるいは先生の御指摘のとおりかと思われます。  私どもといたしましては、法律に基づきます報告義務のあるものにつきましての分類ということがまず基本に出るわけでございますが、米国の場合は比較的軽微なものでも報告をとっておるようでございます。したがいまして、私どもといたしましても、法律規定規定といたしまして、非常に軽微なものであっても実質的に私どもの方に報告を受ける、こういうことで実際上の処理をいたしておるわけでございます。
  7. 上坂昇

    上坂委員 人体影響がある、あるいは環境に非常に大きな影響がある、そういう場合には事故というふうに言って差し支えないと思うのですが、故障が頻繁に起きますと、これはいわゆるそうした人体なりあるいは環境に非常に影響を持つ事故につながってくる、こういうふうに解釈すべきだというふうに思うのですが、先ほど言いました故障の場合もこれは比較的回復が早い、そういうふうな解釈についての御意見と、それから何回も何回も起きるというような場合には、そういうのを故障の連続だから大したことないんだという形で片づけていいのかどうか、こういう問題が出てきてしまうと思うのです。そういうことに対して一応見解を承っておきたいと思います。
  8. 伊原義徳

    伊原政府委員 少し補足させていただきますが、たとえば故障という場合がある意味で広い意味事故に含まれるということがあるかと思われますが、一般的には、設備に関する軽いトラブルと申しますか、それを故障というふうに仕分けするというのが一般的のようでございます。そういう観点からいたしますと、修復に非常に長い時間がかかるというふうなもの、しかし、それが実態といたしましてどの程度環境なりそういったところに影響を与えるかという実態も踏まえて考えるべきだと思いますが、修復に時間が非常に長くかかるもの、こういうものを単に故障というだけで片づけていいかどうかについては、確かに先生指摘のような問題があり得るかと思います。  それからさらには、軽微とは思うけれども何回も起こるという場合どう考えるか、こういう問題につきましては、同じ原因で何回も起こるということは決して好ましいことではございませんので、そういう場合には常にその経験をもとへ戻す、フィードバックをいたしまして、点検方法の改善その他改修等を当然やるということで対処しなければいけないと考えております。
  9. 上坂昇

    上坂委員 この前渡していただきました五十二年三月四日の石野議員質問に対する答弁書ですか、これによりますと、美浜一号機の燃料体の損傷については、これは「事故」という表現をしているわけです。これは明らかに事故ですか。
  10. 伊原義徳

    伊原政府委員 これは原子炉等規制法関係電気事業法関係と両方あるかと思いますが、原子炉等規制法上は、いわゆる横文字で恐縮でございますが、原子力施設トラブルトラブルと言っておりますものについて、事故故障区別を厳密にいたしているわけではございません。ただこの場合、「燃料棒折損事故」という御質問に対して、その「折損事故」ということでお答えを申し上げておる、こういうことでございます。
  11. 上坂昇

    上坂委員 その辺が非常にあいまいで、こちらが事故と言うとそっちは故障だと言う、トラブルだと言う。ところが、こちらが事故と書いたから答弁のときは事故と書くんだ、これではやはりおかしいので、答弁のときもやはり故障なら故障トラブルならトラブルとやらなければいかぬ。こんなような総理大臣が出している文書ですからね。総理大臣衆議院議長に対してこれは出しているんですよ。この文書にいまのような答弁のようなことではこれは非常におかしいと私は思うんです。ここに「事故原因の詳細な究明」とびしっと「事故」とこうなっていますね。そうすると事故という形になりますと、いま言ったように人体なりそれから環境なり非常に大きな施設損害があった、こういうふうに見なければならぬと思うんです。したがって、美浜一号機の事故はこれは非常に大きな問題、こういうふうに解釈せざるを得ないわけですが、いかがですか。
  12. 伊原義徳

    伊原政府委員 事故という言葉を使うか故障という言葉を使うかにつきまして、いろいろ問題があるということは先生指摘のとおりでございますけれども美浜の問題につきましては実態がどうであったかということで御判断をいただくということかと思います。そういう観点からいたしまして、答弁書にも十分実態がどうであるかということのお答えを申し上げておるということかと存じます。
  13. 上坂昇

    上坂委員 水かけ論のようなかっこうになってしまいますから別に聞きますが、ここに「事故原因の詳細な究明」こうあります。これはどこでやっているのか、そしていつごろまでに原因が明らかになっていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  14. 武田康

    武田政府委員 現在、一つは、日本原子力研究所に頼みまして、運びました折損片につきましていろんな試験をしているところでございます。その試験につきましては、原研にお願いいたしましたときには三月末までに結果を出してくださいというふうにお願いしてございます。ただ原子力研究所はそういう外観試験から始まりまして、金属材料はどうなったかというような試験、あるいは目方がどうなったかということも含めてでございますけれども、そういう実態を明らかにしてくれるという約束でございまして、これがこうなっているという実態を判断することが別途必要でございます。  したがいまして、原研にお願いしているものにつきましては、三月末に科技庁通産省に御報告をもらいまして、その結果について必要であればいろいろ御意見等も伺いまして、その結果を科技庁通産省共同で判断するというかっこうになろうかと思いますので、三月末に最終結果でなくて、原研リポートを見て判断する、これが一つでございます。  もう一つは、これも前々から御指摘いただいていることでございますし、また先ほど御指摘の、時期は忘れましたが、答弁書にも書いてございますが、燃料棒折損部分で回収が確認されてないもの、これは、ペレットにつきましても燃料棒のジルカロイチューブにつきましてもそれぞれございます。いずれにつきましても、それがどうなったかという調べをまだいたしております。  そういうこと等が中心でございますけれども、私どもといたしましては、原研リポートが出てまいりますとそれから先どのくらいかかるかなということがもう少しはっきりしてまいりますが、いずれにいたしましても、事故原因究明並びにその事後対策というものにつきましては相当期間がかかると考えております。まあ夏は過ぎてしまう、もっとかかるかもしれませんが、あるいは概要はもっと早く出るかとも思いますけれども、いまはっきり申し上げるのはなかなかむずかしいのが現在のポジションでございます。
  15. 上坂昇

    上坂委員 相当な時間がかかりますから、大変な事故ではないかと私は思わざるを得ないわけであります。  そこで、一つ問題なのは、いま福島の第一原発でも大変長い定期検査をやっているわけですね。どんどんいろいろな故障なり何かが出てきているわけでありますが、東電の場合には、GEの方から大分大ぜいの技術者作業員が来ているようです。美浜の場合はウエスチングハウスだと思いますが、そちらの方にこの原因を送って調べてもらうというようなことはやっていないわけですか。
  16. 武田康

    武田政府委員 昨年末以来やっております私ども調査では、ウエスチングハウスに頼んでどうこうというようなことは目下のところいたしておりません。
  17. 上坂昇

    上坂委員 では、次の質問に移ります。  自治省来ておりますか。——今度は少し早く来てくださいね。余りおくれないで来てください。  公有地拡大推進に関する法律というのがありますね。この法律土地開発公社を設けることができるわけでありますが、この法律根拠として設置された土地開発公社が、民間企業から業務委託を受けて、経費なんかも取って、その会社が将来使用する土地取得業務を行っているわけです。それから、これは原発に関連したり火力発電所に関連するのですが、漁業補償仕事まで請け負っているわけです。こういうことは適法かどうかということについてお聞きしたいのです。
  18. 久世公堯

    久世説明員 ただいまの御質問の点でございますが、会社と申しましてもいろいろの形態があろうかと思います。全く純然たる民間会社であって、それが営利的な事業の用に供する土地について、土地開発公社に対して、取得なりあっせんなりそういう業務委託を行ったとすれば、これは法的に問題があると考えております。
  19. 上坂昇

    上坂委員 それじゃ具体的に申し上げますが、電力会社の場合はどうですか。
  20. 久世公堯

    久世説明員 ただいま申し上げましたように、全くの民間会社が営利的な事業の用に供する場合でございますと法律上はできないと思いますが、ただいま御指摘のような、電力会社電気事業法によって電気事業の用に供する電気工作物を設置する場合のように、公共利益となるような事業を行うものに対して土地取得なりあっせんなり、あるいは先ほど御指摘のありましたような漁業補償等業務をやることにつきましては、公有地拡大推進法に基づく業務範囲内と考えております。
  21. 上坂昇

    上坂委員 それは、公有地拡大推進法なり施行令なりのどの条文でそういう拡大解釈をするのですか。
  22. 久世公堯

    久世説明員 公有地拡大推進法の第十七条の第二項第二号に「国、地方公共団体その他公共的団体委託に基づき、土地取得あっせん調査測量その他これらに類する業務を行なうこと。」という条項がございますが、これに基づきまして公共的団体委託に基づく土地取得あっせん業務一つであると考えておりますし、また漁業補償につきましては「これらに類する業務」というところで読んでおる次第でございます。
  23. 上坂昇

    上坂委員 この二項の一番後ろですね。
  24. 久世公堯

    久世説明員 はい。
  25. 上坂昇

    上坂委員 「国、地方公共団体その他公共的団体委託に基づき、」ということですか。
  26. 久世公堯

    久世説明員 はい、そうでございます。
  27. 上坂昇

    上坂委員 ここに「調査測量その他」とありますね。「これらに類する業務」という範囲に入るのですか。
  28. 久世公堯

    久世説明員 先ほど申し上げましたように、この用地の取得につきましては「土地取得あっせん、」の中で読んでおりますし、また漁業補償支払い業務等につきましては「これらに類する業務」というところで読んでおる次第でございます。
  29. 上坂昇

    上坂委員 それは、土地の交渉をやってあっせんをしてやるという場合ですね。実際に公社が入って土地を買って、それを今度はこっちへ移譲してやる、こういうことについてはどうですか。
  30. 久世公堯

    久世説明員 ただいま御指摘の点も含めて「土地取得あっせん、」で解釈をいたしております。
  31. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、お金を預かっても構わないのですね。ところが、その預かったお金の中で経費までその土地公社が賄うということになった場合はどうですか。
  32. 久世公堯

    久世説明員 土地開発公社は、一般的な仕事を行います場合においては、民間金融機関から金を借りて行うのが一般でございますが、こういう漁業補償土地買収等を伴う場合におきましては、あらかじめその委託公共的な団体からそれに必要な金額あるいは補償経費というものを受託いたしまして、そして買収なり補償をしてそれに支払う、こういう形態をとっておるのが一般的でございます。
  33. 上坂昇

    上坂委員 これは福島県の場合ですが、最初企業局業務だったわけです。企業局がいまのようなことをやっていたわけでありまして、最初開発公社を設けておったのですが、その開発公社業務企業局職員が兼任して、両方の職員になってこの業務をやっておったわけです。今度それを、この法律根拠にしていると思うのですが、土地開発公社をつくってそこに移譲している。県が企業局等を通じてやらせることも違法ではないわけですね。
  34. 久世公堯

    久世説明員 企業局関係につきましては私の所管でございませんので、ここではっきりお答えすることはできませんが、土地開発公社ができましたのは昭和四十七、八年でございます。このときに公有地拡大推進法ができまして、そこで従来の開発公社と称する、土地取得あるいはそれに伴ういろいろな事業をやっておりました公社につきまして、それをそのまま継続して組織がえをするというように指導をしたわけでございます。  そういうことで、大体ほとんどの県におきましては、従来の開発公社がそのままの形において、あるいは一部業務を縮小したり拡大したりする形によりまして、土地開発公社というところに継続したことでございまして、御指摘の点は、恐らく従来企業局がやり、また開発公社とともにやっておりましたことをそのままの形において土地開発公社が引き継いだものだと考えるわけでございます。
  35. 上坂昇

    上坂委員 したがってそれは適法である、これでいい、こういうわけですか。
  36. 久世公堯

    久世説明員 開発公社なり土地開発公社なりが行っている土地買収なり漁業補償等につきましては、適法であると考えております。
  37. 上坂昇

    上坂委員 電力会社以外のいわゆる普通の営利会社の場合には、これは違法であるというふうに解釈していいわけですか。
  38. 久世公堯

    久世説明員 先ほど申し上げましたように、全くの民間会社でそれが公共的な関連を持たない、すなわち地域住民利益にならないような全くの営利活動の一環のものについて委託をするということは、法律上できないと考えておるわけであります。
  39. 上坂昇

    上坂委員 わかりました。それじゃ次に移ります。  福島第一原発の一号機の問題についてお聞きをいたしたいというふうに思います。  福島第一原発原子炉は、御承知のようにBWRでありますが、最近中国電力の島根原発にも同じような状態が起こっているように報ぜられておりますけれども最初福島第一原発の場合、定期検査予定日として五十一年の九月一日が予定されていたわけです。ところが、実際には八月十二日にこれはとまっております。この点についてはどういうふうな見解を持っておられるか、お聞かせいただきたいと思うのです。その定検の予定日というのは、あらかじめ通産省あるいは科学技術庁の方に連絡があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。したがって、その予定日変更になるような場合、その変更について、これはおかしいと疑問を持つというのが当然ではないかというふうに私は思うわけでありますが、その辺のことについて見解をお聞かせいただきたいのです。
  40. 武田康

    武田政府委員 お答え申し上げます。  福島第一発電所の第一号機は、先生指摘のとおり予定といたしましては昨年九月から定検に入る、こういう予定でございました。ただ、その直前の八月十二日でございますけれども発電機励磁回路というのがございまして、これは発電機にくっついている付属品みたいなものでございますけれども、そこで事故がございまして、それでそのために発電機が停止いたしました。この事故では、発電機がとまると同時に原子炉の方も停止しております。  それで、それを調べましたところ、励磁機の中のブラッシというような部分がございますけれども、そのあたり一言で言いますと焼けていたというような——実際は金属のものでございますので、普通の火事とかそういう状態とは違いますけれども一言で言えば焼けていたというようなことが起こりまして、その辺を取りかえる必要が生じました。  そういうことでございますので、定検の予定を繰り上げまして、確か八月十七日だったと思いますけれども、それから実際上の定期検査を二週間ほど繰り上げて定期検査に入ったというのがその実態でございます。
  41. 上坂昇

    上坂委員 東電側では同じことを言っているわけであります。八月十二日にいま言った発電機付属電気回路故障で停止をした、非常にささやかなトラブルであった、こういうふうに言っているのですね。そして運転再開は十一月の末か十二月に入ってしまう、その辺はまだはっきりしないんだけれども、大体その辺だろう、こういうふうに言っているわけですが、それがいままで非常に長くかかって、ことしに入っても運転開始になりません。それどころか、三月に入ってから原子炉給水ノズル、それから制御棒駆動水の戻りノズルに微細なひびが発見された、それで改造工事修復工事が行われている、こう言っておるわけでありますが、いつでも故障なり何なりが起きると、全然あたり影響がない、人体にも影響がないので非常に微細である、こうなんですね。微細ならば、先ほど故障事故のことでも申し上げましたが、修復というのは非常に早いだろう——原子炉の場合、そんなに早くはできないだろうけれども、まあ半年も一年もかかるようなことにはならないだろうと私たちは思っているわけであります。ところが、微細がどんどん重なっていって、非常に微細でなくなってしまって、恐らくこの一号炉は八月ごろに運転再開であろう、こう言われております。そうするとちょうど一年になります。  こういうことについて、どうも私たち疑問に思うのですね。だから安全なんだ、安全なんだというところへ持っていこうとする。実を言うと、本当のことを言わないのじゃないか、こういうふうな感じを受けるわけです。その点どうですか。
  42. 武田康

    武田政府委員 福島一号機の経緯でございますけれども、いま先生指摘のとおりでございまして、定期検査を繰り上げ実施をいたしまして、大体定期検査は三カ月、百日前後かかるものでございますから、繰り上げました当初におきましては、八月の半ばに始まるわけでございますので十一月ごろには終わるかな、こういうことであったわけでございます。  実は、その定期検査をやっております過程で、九月になりましてからでございますが、中、下旬であったかと思いますけれども原子炉の計装系とかあるいは浄化系の配管ににじみと申しますか、ある液体をたらしてチェックをいたしますと、にじみみたいなものが出る、それが発展しますとひび割れみたいなものになり得るものでございますが、そういった、一言で言えば微細なひび割れ、そういうものが発見されまして、そうなりますと、そこの部分を切り取りまして新しい管に直すとか、そういったたぐいの措置をとるわけでございますが、そういった必要が起こりまして、その時点で、はっきり原因がわかったのがあるいは十月にずれていたかと思いますけれども、ことしの一月、二月くらいまでかかるというような判断をしたわけでございます。  そうやって定期検査を進行さしておりますときに、昨年末、十一月の終わりか十二月になってからでございますけれども、アメリカの同タイプ、BWR型の原子力発電所給水ノズルに微細なひびが入っているのが発見されたという情報が入りまして、それで福島第一発電所はもう運転を始めましてから六、七年になるものでございますので、そうすると、もしかしたらそういう現象があるかもしれぬというような判断をして給水ノズルの点検を指示いたしました。給水ノズルというのは、御承知のように原子炉の圧力容器に、原子炉に参ります給水が入る入り口でございます。で、実は一次冷却水の中に——中につかっていると言うとおかしいのでございますが、接触しております。かなり放射線レベルの高いところでございます。点検そのものにも作業者の放射線被曝等がないようにとかいうような細工をしなければなりません。そんなこともございまして、実際に点検ができましたのがこの二月に入ってからでございます。で、点検いたしました結果が、先生指摘のように給水ノズルのコーナーの部分に微細なひび割れが見つけられたわけでございます。ひび割れにつきましてはその部分をはぐとか、それから原因を検討いたしまして、ちょうどノズルのコーナー部分に、給水と原子炉の中に入っておる温かいお湯との温度差が原因ではないかということで、そういう原因がなくなるような措置をしなければいけないというようなことでございまして、それから一方同時に、先ほど御指摘制御棒冷却水の戻しノズル、これにつきましても微細なひびが発見された。これについても、物が違いますのでなお詳細調査中でございますけれども、あるいは似たような原因ではないかといま推定しているわけでございますが、これについても対策が必要でございます。  そんなこともございまして、それがわかりましたのが二月の終わりか三月の初めだったものでございますので、それから後さらに三カ月あるいはもう少しかかるだろう。現在、運転再開になりますのは、それらの処置も終わり定期検査も全部終わりまして、ほかのものもよければの話でございますけれども、終わりますのがことしの六月、七月あるいは八月というぐらいに想定をしているわけでございます。  それから一方、事故故障環境への影響でございますが、実は先ほど一番最初の定期検査を繰り上げることになりました発電機励磁回路、これは原子炉とは無関係部分、電気回路でございます。これは故障部分の取りかえ、いわばエレメントの取りかえ等の措置で機能が復帰すればそれでいいわけでございまして、これは済んでおります。それから二番目の配管のひび割れあるいはにじみでございますが、これはその部分を切り取って新しいものに変える等々の措置をすでに済ましております。それから給水ノズル制御棒冷却水の戻しノズルでございますが、この二つにつきましてはいま修復作業といいますか、それが進行しているわけで言いますが、その部分は実は一次冷却水と同じところに入っているわけでございまして、冷却水なりそれから蒸気になりましてタービンの方にいってぐるぐる回っている回路そのものが一種の防壁になっておりまして、放射線的には外部に影響を与えるものではない。それから先ほどの配管の部分もこれは建物の中に閉じ込められている部分でございますから、外部に放出する放射線、これはにじみ程度でございますので、そこから大量に出るという性質ではございません。  そんなこともございまして、現在、昨年の八月それから九月、この二月に見つけた事故部分あるいは故障部分につきまして、外部に放射能的な影響を与えるものではなかったわけでございます。ただ一番最後の給水ノズルの修理等につきましては、実は原子炉の容器内の仕事でございますので、作業者の放射線管理というのには非常に神経を使わなければいけない部分でございます。その部分に。きましてはそういうしかるべき措置をとりまして、これはどちらかと言えば科技庁関係かとも思いますけれども、作業者に対する被曝管理というのを厳重にやるというような措置がいま続いております。仮にそれがうまくいけばと言うとおかしいのですが、適正に行われれば、そういう意味での作業者に対する問題もなかろうかと思います。  私自身も少し混乱いたしておりまして、いま事故とか故障とかという表現を無意識的に使い分けたり混同したりいたしておりますけれども、実は電気事業法では事故報告という表現でございまして、物が壊れてもそれから人に影響を与えても、いずれも法律報告が必要と定めているものにつきましては事故という表現を使っております。先ほどの伊原局長のお話と法律が違うものですからその表現がちょっと違いまして、その意味でも少し私自身を混同したことをいま事故故障について申し上げたかと思います。  それからなお、機器の故障が何度も何度も起こったらあるいは積み重なったらどうなるか、こういうことでございますが、実は機器の故障、私どもで言う事故の中、あるいは故障と言ってもいいのでございますけれども、それはたとえばある部品を取りかえればいい、または何ならある部分を切り取ればいい、あるいは溶接か何かで埋めてしまえばいい、いろいろな処置の対応がございます。処置の対応がございますが、同じカテゴリーでも時間のかかるものと短くて済むものとございます。特に原子力発電所の場合で放射線レベルの高い部分で何か仕事をするという場合には、厳正なあるいは厳格な作業者の放射線被曝管理をするというような意味から、火力発電所との比較でございますが、同じ部分が壊れても、あるいは故障をしても、手直しにはかなり余分な時間がかかるというような現象が起こっております。それで原子炉の圧力容器内でなくても、たとえば配管でございましても、PWRの系統の配管あるいはPWRの一次系の配管等ということになりますと、これは放射線レベルのかなり高いところでございますし、それが再度故障を起こしますと非常に困る場所でもございますので、チェックにつきましても、修復につきましても非常に慎重にやらなければいけない。放射線と無関係部分原子力発電所の中でもございますが、そういう部分につきましては、また故障が起こればそのまま、たとえば動かしたままでまた手直しができるというようなこともあり得るわけでございまして、同じ故障、同じ事故でも、その場所なり実態次第で時間はいろいろ変わってまいろうかと思っております。  それから、そういうものが重なって非常に問題かどうかということでございますが、私どもがいままでいろいろ見つけました事故なり故障なりあるいはそこまでいかないトラブルというものは、相互に必ずしも重複しない性質もございますし、それからこれは原子力発電所環境なり何なりに対する放射線管理といいますか、被曝管理あるいは放射能管理というようなものにつきましては、俗っぽい言葉で言えば三重、四重の防壁がございます。ですから、一つくらいの防壁が壊れても、それがすぐ見つかり、管理できるというものでございますと、あるいは修復できる、こういうものでございますと、そのあとの二つなり三つなりが機能をしてそれで抑えられるという性質でございます。したがいまして、時間はかかるかもしれませんけれども、一遍に重なって、それから前あったものと今度起こったものとが重複してということはなくて、むしろ問題は、原子力発電所の稼働率が下がる。稼働率が下がるというのは、ある意味で経済的な問題でございますけれども、そういう問題にはなってくるかと思いますけれども、対外部への安全管理というような観点では、もともと一番最初に原子力委員会、科技庁等が行われます安全審査を十分にやってあるということでもございますので、そこはそれほど心配はない。しかし、ただ放置して、知らないかっこうでずっと長々と放置いたしますと、そういうものがあちこちで積み重なって問題、ということはあり得るわけでございますので、私どもも毎年一回定期検査原子力発電所の各部をいろいろな角度から点検するというようなことをしているわけでございますし、それから今回美浜等々の関連でいろいろ御指摘もございまして、私どもも定検をさらに一層充実するというようなことで、今後とも一層その管理に努力していきたい、こう考えておる次第でございます。
  43. 上坂昇

    上坂委員 東電の原子力開発本部というのがあります。そこの森脇副部長というのが説明をしているところによりますと、数センチから十二センチぐらいのひびが入っていた。しかも、それが五ヵ所も発見をされた、こういうふうに言っているわけです。ところが、一番最初は、微々たるものだ、微々たるものだという言い方なのです。そういうことが非常に不信感を住民に与えているわけです。簡単だと思っていると、だんだん時間がたってくると大きな事故につながるようなものが発表されてくる。これが非常に住民に不信を与えている。この点については私は非常にやはり問題ではないかと思うのです。  それから今度のいわゆるトラブルは、先ほどあなたもおっしゃったように、炉の本体に関するものですね、圧力容器の中の問題ですから。したがって、これは重要な事故、放射能の問題も出てくるわけであります。したがって、この修復回復というのは非常にむずかしいような感じがします。特にそこで作業をする人の被曝ということが考えられてくるわけであります。先般の予算委員会の楢崎質問にもありましたように、原発の従事者の被曝対策というのは、特に下請の被曝対策というのは非常におろそかにされていて、被曝手帳も実際は持っていない。それから、教育をしているというようなことを言っておりますが、実際にそこの原発の中に入って仕事をしている人たちに聞きますと、そんな教育なんてほとんどされていない。それからある一定の被曝になるような状態の中で仕事をするとやめさせてしまう。その隣にまた原発が二号炉、三号炉とできているものですから、その労務者が今度はそっちへ移って仕事をする。こういう現象が、われわれ実態的に調べていきますと非常に多いわけです。ですから、実際にこうした定検のときの修理に携わっているいわゆる下請の労働者というのは特に被曝の実態がなかなかつかめないわけです。ところが実際問題としては、八人からの死亡者が出ているし、その中では白血病に冒されて放射能障害ではないかと思われるような人が実際出ております。その人のうちへ行って私たち聞きますと、奥さんなんかこう言うんですね。いままで非常に丈夫だったんだけれども、ちょうど五年ぐらい働いている間にどうもぐあいが悪くなってしまって、この間とうとう死んでしまったんだというようなことになるわけなんですね。そういうことが非常に多いので、いわゆる従事者の、特に下請従事者の被曝について早急に対策を立てていかなければならぬじゃないかと思うのです。これらに対して手帳を与えるというようなことがいまされていないわけでありますが、これは手帳を渡して一とにかく期限を何ヵ月、二ヵ月とか三ヵ月切ってもいいけれども原発仕事に従事した者についてはすべてやはり手帳を持たして、そして将来ともその人たちの健康管理というものをしていくということが私は早急に確立されていかなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そういう点について、これは大臣からもひとつ見解を承っておきたい。
  44. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 非常に大切な御指摘で、過般の予算委員会におきましても石野委員あるいは楢崎両委員から同様の御見解がございました。われわれといたしましても、これは大切なことでございますから、この国会に出しております予算の中には、御承知のとおり、中央においてそうした被曝状況を完全に管理をして、そしてその逓減化に努めなくちゃならないというふうな意味でセンターを設けるようにいたしたわけでございます。それも遅きに失したというふうな御叱正がございましたが、しかし、こうした問題は大切な問題でございますから、今後も前向きに取り組んでいきたいと存じております。  特に、下請の従事者の方々は被曝手帳がないという問題も、この間答弁をいたしたとおりでありますし、また、たとえ被曝手帳がございましても、そこに書き込むこと自体に対してやはり自分のポストを失うんじゃないだろうかというふうな御懸念から、その被曝手帳を避けておられるというふうな実態も耳にいたしましたし、それと、退職後いろんな病院で亡くなられたその困果関係はどうであろうかというふうな問題等々幾つか指摘されましたから、われわれといたしましても、今後原子力行政を推進する上につきましてはやはり安全が第一でございますし、なかんずく従事者の方々の健康、そして被曝ということは非常に重大な問題でございますから、そうした困果関係を初めといたしまして、今後これをどういうふうに持っていくかということに関しましては、先般もお話を申し上げましたとおりに、労働省の所管する部面もございましょうし、あるいは通産省、われわれ科学技術庁の所管する部面もございますが、そうした関係各省庁におきまして十二分に連絡をとりまして、どういうふうな新しい体制をしいていくかということにつきましては鋭意努力をいたしたい、かように存じております。
  45. 武田康

    武田政府委員 被曝につきましては宇野長官のお話のとおりでございますけれども、私どもとしてもう一点やりたいと思っていることがございまして、これはどちらかといえば通産省は設備面に着目というふうな分業体制が現在あるものでございますので、原子炉を含む原子力発電所の改良標準化というのを前々からやっておるところでございます。改良標準化といいますのは、すでに原子力発電所、アメリカなりイギリスなりから技術を導入いたしましてからすでに十数年たっておりまして、建設の下請がスタートでございましたけれども、いまやハード的にはまるまる一〇〇%国内でもつくるというようになっておりますし、それからやはりアメリカ的風土、ヨーロッパ的風土の技術の考え方と日本的風土の技術の考え方は、物の面でも管理の面でも違った面がございます。  そういったような意味で、たとえば先ほど定期検査のお話が出ましたけれども定期検査のやり方につきましてもやはりかなり違った面がございます。被曝管理につきましても、その仕事実態が変わるものでございますから、これまた違う面がございます。そういうような意味では、機器の信頼性を上げ、また定期検査等々に従事されます作業者の被曝を低減するというふうな観点から、原子力発電所を構成いたしますもろもろの機器、装置、エレメントにつきまして、日本的な意味での改良標準化をしていきたい。  たとえばいまの被曝管理に関連して申し上げますと、定期検査を自動化するあるいは遠隔操作化する、それでチェックをすることができるようになりますと、そのもの自身に人間が近づかなくても済む可能性が大分ふえてまいります。そういったようなことを含む改良標準化という仕事も前々からしているところでございますけれども、これで昭和五十五年ごろにはいわば日本型デザインの——そういう意味でのテザインでございますけれども日本型デザインの改良標準化型原子力発電所というものの固めをするというぐらいの目標で、しかし中間的にはできれば五十二年度いっぱいぐらいにはそのうちの幾つかの項目につきましてこういう要素、こういう要素は日本でつくる場合には、あるいは外国から買うにいたしましても、この部分は改良を加えるというようなことでございますけれども、そういった仕事を、先ほど宇野大臣がおっしゃいましたような直接的な作業者の管理あるいは被曝についての意識向上とでもいうのでございましょうか、あるいは中央ベースでいきますとコントロールといいますか、情報をキャッチし、フォローするという体制とあわせまして、物の面からもそういう努力をしたいと思っております。
  46. 上坂昇

    上坂委員 いまのこの問題について、大臣のおっしゃったような対策を早急に立てていただくことを要望しておきたいと思います。  いま修理がされているわけでありますが、給水ノズルの修理でありますから、炉内の一次冷却水がどうなるかという問題は私たち心配であります。これは相当汚染されていることは当然であります。これをほかのタンクに移すということを聞いているわけでありますが、移しても炉内に放射能がかなり入っているということについては予想される。したがって、それを今度はまた別の水で洗うという形になってくると思うのです。そうしますと、かなりの水で洗うことになる。洗った場合には、その水は一体どうするのかということがまたわれわれの心配になるわけであります。こういう処理についてどうされているのか、お聞かせいただきたいのです。
  47. 武田康

    武田政府委員 給水ノズルの修理は、先生指摘のとおり普通でございますと一次冷却水がそこにたまっている部分でございますので、一次冷却水の水位を給水ノズルが出るまで下げなければいけません。下げますと、その分だけ水が余るわけでございまして、この水は実は復水貯蔵タンクというのにパイプラインを通してでございますが、これは一次系の通るパイプラインでございますから、それなりの措置をしているパイプを通りましてそこに貯蔵してございます。  それから、原子炉を洗ったかどうかについては、私いまちょっと聞いておりませんけれども、仮に原子炉の中を、その中で作業ができるようにいま水位を下げました部分につきまして、あるいはその上につきまして洗ったといたしますと、その水は同時にやはり一次冷却水と全く同等のものになりますので、同じタンクに貯蔵されたものと思います。ただし洗ったかどうか、ちょっといま私確認しておりません。  ところで、洗ったかどうかも含めまして、そこで作業する、そうするとこれは水位を下げておりましても、通常でございますと相当な放射線レベルのあるところでございます。これはたとえば周りの壁から放射線も出ますし、下の水からも出てまいります。普通でしたら入らないところでございますので、そのままの状態で作業をするというのはかなり問題でございます。そういった意味では、周囲の壁あるいはその下にまだ、水位は下げましたけれども、下にございます水と、作業者がこの辺にいるわけでございますが、その間を遮断するための遮蔽壁、通常の原子力発電所の中ではいろいろなところに遮蔽の材料が入っておりまして、放射線を遮蔽するような、たとえばコンクリートの壁であるとかあるいは鉛の壁であるとか、それから同じコンクリでございましても目方の重いものであるとか、あるいは鉄板など、いろいろなものの組み合わせでございますけれども、そういったしかるべき遮蔽をしてそれで被曝レベルを下げる。で、現在作業しております状況では、大体一時間当たり百ミリレムぐらいの放射線レベルに下げてやっているというふうに聞いております。
  48. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、水は全部炉から抜くわけではなくて、ノズルが容器の中間にありますね、水位を下に下げてそれだけでやるわけですね。そうしますと、下に水は完全に抜いてはいないという形になります。そうすると、今度は水の上で仕事をするわけになりますね。いま洗ったのはわからないと言うけれども、洗わなければ私はこれはとても仕事はできないと思うのです。中へ入ってみたわけじゃないからわからないけれども、実際はそう思うのです。そうしますと、中へ入って仕事をするということになりますと、この仕事をするのはほとんど先ほど言った下請の人がやるようなかっこうになっているのが現実なんですね。そういうところに非常に危険性を私たちは感じますね。  それから、水は外部に絶対に漏れないというふうに考えていいのかどうか、その辺についてもお聞かせをいただきたいのです。
  49. 武田康

    武田政府委員 先ほど申し上げましたように、作業者の被曝管理につきましては、残っている一次冷却水あるいは炉壁との間に遮蔽を設けるといたしまして、一時間当たり百ミリレム程度のものまで下げていると聞いておりますが、そういたしましても被曝は相当なものがあるわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、作業者の被曝管理、これは法律ではたしか三ヵ月三レム以内、一年五レム以内というような規定がございまして、それから各それぞれの電力会社ごとに、あるいは作業を請け負うメーカーごとに一日当たりどう、あるいは一週間当たりどう、一月当たりどうと、いろいろそれぞれなりの法律の限度内でございますけれども、決めを定めて管理をしているわけでございますが、そういった管理は非常に慎重にやらなければいけないと思っております。  それから第二の、絶対に漏れることがないのかという点でございますけれども、実は先ほど福島第一号機の経緯の中で申し上げました事故トラブルのうちの九月に発見したという配管のにじみでございますけれども、これはにじみでございますから量的には大したことないと思うということを申し上げましたけれども、絶対量でいきますと何グラムなのか、あるいは何立方センチなのか、その何分の一なのか、これはよくわかりませんけれども、にじみがある以上ゼロであると断定はできないと思います。  それで、従来からも幾つかの事故例なり故障例で、発電所原子炉建屋内なり、それからBWRの方でございますとタービン発電機建屋内に放射能あるいは一次冷却水−冷却水と言った方がいいかもしれません、冷却水が漏れて出たというケースは幾つかございます。これはその限りにおきましては、その中でそれをそのまま浴びれば、量にもよりますけれども問題でございます。もちろん、部屋の中の放射線レベルは管理いたしておりまして、その管理でコントロールするということでございまして、そういう意味では絶対にないとは申し上げかねると思います。  ただし、建屋内にいたしましても外部への放出にいたしましても、決められた管理レベルの範囲内、それを超したことは私の記憶ではございません。ただ、特に建屋内、原子炉内で各パートを細かくやってまいりますと、アラームが鳴ったりしたケースはいろいろあったかと思います。そんなような状況でございます。
  50. 山田太郎

    山田委員長 関連質問を許します。石野久男君。
  51. 石野久男

    石野委員 一つだけお聞きしておきますが、炉内で給水ノズルあるいは戻りノズルのところに問題があって、それの修復作業をするという、その作業をするための状態として炉内の水をどうするかということは非常に関心の深いところなんですが、いまお話を聞いておりますと、一次冷却水はそのノズルのところまでは抜いてしまうけれども、あとは一次冷却水は残っている、その上に足場を組んで仕事をするというようなふうに聞こえるわけですが、炉の水は作業ができる段階のところまで取るだけで、あとは残った上で実際に仕事をさせておるのですか。私は、全部炉内の水は抜いているものだ、こう思っておりますけれども、そこはどうなんですか。そこのところをちょっと説明していただきたいし、それから、もし炉内に水が残っておって、その上で作業をするとするならば、これは防護装置も大切になるだろうし、作業も容易なことじゃないだろうと思うのです。足場も橋のようなものを組むんでしょうから、全面的な場ではないのでしょうから、私ちょっと考えられないのですが、それでよろしいのですか。
  52. 武田康

    武田政府委員 私も現物を見たわけじゃございませんけれども、聞いておりますところでは、通常の運転水位から三メートル半ぐらいその水位を下げたということでございます。そういたしますと、全部で十三メートルぐらい福島の場合ございますので、十メートル部分ぐらいは残っている、こういうことでございます。  ところで、いま先生指摘のとおり、一次冷却水に非常に接近した作業になるわけでございますし、それから炉壁とも非常に接近しております。先ほど申し上げましたように、足場を組み、たとえば鉛の厚い板をその上に乗せ、それで周りの壁につきましても壁からの放射線を防ぐような——防ぐといいますか、軽減するようなことをいろいろいたしまして、先ほど申し上げましたような福島の例では、一時間当たり百ミリレムの被曝量というふうに聞いているわけでございます。そういうことでございますので、先生指摘のとおり、大変な防護をし、大変な防護をした上でもなおかっ大変な作業でございます。そういうこともございまして、二月末、三月早々点検結果がわかりましてそれからやっているわけでございますが、点検いたすにつきましても同じことが要るわけでございます。  そういうわけで、点検も、それから修復作業も含めまして——作業そのものはそんなに放射線を抜かせばどうという問題ではございませんけれども、そういう放射線管理という点、防護という点を含めまして、結局運転開始は六月、七月あるいは八月になるというような調子で時間がかかっている、こういうようなことでございます。
  53. 石野久男

    石野委員 これは論議をしなくちゃならない問題がたくさんあるように思いますけれども、そういう作業をするに当たって、監督官庁としての通産省は何らかの指示を与えているのか、それとも会社が独自の考え方で作業をしているのか、その指示があるかないかということだけをちょっと。  それから、そこでは放射能汚染に対する危険度がどの程度であるというふうに認識なさっておられるか、そこのところだけちょっと……。
  54. 武田康

    武田政府委員 先ほど経過のところで申し上げましたけれども、昨年十二月初めだったと思いますが、アメリカの同じタイプの原子炉で、かなり長く使っておる原子炉等でございますけれども、こういう給水部のひび割れが発見されたという情報を得まして、まず調べなさいという指示をいたしております。  それから、それではその修理の仕方とか被曝管理でございますが、被曝管理はもちろん法律で定められておることでございますけれども、厳重な被曝管理をするようにというようなことは常日ごろ電気事業者に対して言っておるところでございます。  それから、こういう修復をすればいいというような考え方につきましても、私どもとしては、もちろん会社も考えるわけでございますが、私どもも必要に応じまして、学識経験の先生方にこれでいいんだろうか、あるいはこんなようなことでどうだろうかと、二通り、私どもが一応の判断をして伺う場合と、それから私ども事務局のみではなかなかわからないので、これはどうだろうか、どうしたらいいのだろうと伺いを立てる場合と両方ございますけれども、そういうようなことをやり、それで必要に応じまして電力会社に少なくともこれだけはしなさいというようなことを指導する、ときには文書かっこうで指示をいたしたりしますけれども、そういうのが実態でございます。
  55. 上坂昇

    上坂委員 非常に大変な危険を伴った今度の修理なんですね。そこで問題なのは、私は結論的に言って一号炉というのは欠陥炉ではないかと思っているわけなんですよ。東電も現実に西ドイツに原発技術者を派遣をして、加圧水型炉を調査を始めたわけですね。それから原電でも国産炉を採用する、GEの沸騰水型については見限る、こういうふうな方針を立てているようであります。  そこで、私はちょっと資料面からその点をながめてみたいと思うのですが、全国の平均被曝線量を比較してみますと、一号炉昭和四十六年三月の運転開始でありますから、四十七年からの比較をとりますと、社員の人は当時は〇・三二レムだったのですね。それが全国は一・三レムなんですが、下請の場合には〇・二二レムになっているわけですね。これは下請の人の場合です。これは福島県の場合ですよ。それから四十八年には社員が〇・四一レムで、下請が〇・二七レム。四十九年は〇・三九レムで、〇・二九レム。ところが、五十年になりますとふえてくるのです。全国平均が〇・三一レムでありまして、本県の一号炉の場合には〇・三九レム、それから下請の場合には〇・四一レム、こうふえてくるわけです。その間にいわゆる停止期間が非常に長くなってきているわけであります。  この停止期間をながめてみますと、昭和四十七年に全国で、五基運転しているわけでありますが、四千六百二時間なんです。そのうち福島号炉だけで実に二千四十時間、これは定期検査に要しているのですよ。これは四十三・四%に当たるのです。それから四十八年になりますと、五基でありますが、このころから運転が大分よくなってきて、全国的には一万二千四百六十三時間です。ところが福島の場合は、またこれよりふえまして三千四十八時間、二四・四%になります。四十九年は、全国では一万二千百九十二時間であります。これは八基です。ところが、そのうちの三九%の四千七百五十二時間とまっているのです。これが定期検査実態なんですね。それから、五十年は三万六千八十七時間であります。これは十基です。そのうち、一号炉で六千八百六十時間、定期検査に要しているのです。二号機が四十九年から運転開始になっておりまして、この二号機も六千六百六十三時間とまっているわけです。福島号炉は、これを日にちに直しますと、四十七年に八十五日、四十八年は百二十七日、四十九年は百九十八日、五十年になりますとまさに二百八十六、日です。二号炉は、運転開始したばかりで、二百七十七日、五十年にはストップしている。これは全部定期検査なんです。そうなりますと、定期検査の時間が非常に長いということは一体どうなのか。そうすると、故障もいわゆる事故もみんなこの定期検査の中に隠されてしまっているというふうに考えざるを得ないのですね。  これを今度は美浜の場合をとってみますと、美浜は一号炉では定検に要する時間が四十七年が四百五時間です。四十八年が四千十五時間、四十九年が一千四百四十六時間、五十年が六千六百時間、合計で一万二千四百六十六時間になるのですね。ところが、福島の場合には先ほど言いましたように一号炉だけで一万六千七百時間になるのです。すると、美浜の場合には、石野先生からも質問があって、やはり非常に問題になって、二年間も全くストップ。これは正常なものではない。  大体私は非常に疑問に思うのですが、電力会社は年じゅう値上げばかりやっておる。この値上げというのは——一年も二年も炉がとまるようなものをつくれば、これは普通の会社はどこだって倒産してしまうのです。倒産しないでいられるというのは、こういうのがみんな、いわゆる大衆にかぶってきているというふうに言わなければならない。そこにやはり非常に大きな問題があるわけであります。この美浜号炉というのは非常に問題の炉でありますが、この問題の炉と比較して定期検査というものが、四千四百時間も東電号炉の場合は長いのですね。これはまさに異常な故障と欠陥が連続して発見されている、私はこう考えざるを得ないのです。  そこで、今度は停止時間をとってみたのですね。これがまた問題なんです。美浜一号機の場合には四十六年からでありますが、九百三十五時間、四十七年、四十八年、四十九年、五十年、五十一年、こういうふうになりますと、次が四千三百九十五時間、これは定検を除く停止時間であります、四十八年が六百十三時間、四十九年が七千六百三十時間、五十年が八千七百八十四時間、合計で二万二千三百五十七時間になりますね。ところが、福島一号機の場合は、この定検を除く期間というものは今度ずっと減ってくるのです。これが九百二十時間、次が七百五十一時間、次が五百七十二時間、八百三十三時間、その次には十一時間というふうに減ってきまして、これは合わせますと五年間で三千八十七時間なんですね、定検を除く停止というのが。そうすると美浜の場合は五年間で一万九千二百七十時間、これは定検でなくて長くとまっている。片方は全部定検の方にかぶさっている、こういうふうに考えざるを得ないのです。  もう一つ、時間がありませんから申し上げますと、年間の利用率を見てみますと、四十七年度から見てみますと、全国平均は六二・二です。美浜の場合は三六・七、福島の場合は六五・七、ここのところだけは福島の場合平均を上回っていますね。ところが、四十八年にきますと全国平均が五五八、美浜は二七・四、福島は四八・五、四十九年になりますと全国平均が五二・三、それから美浜一号が七・四、福島一号の場合は二六・一、五十年になりますと全国平均が四六・六でありますが、美浜の場合はゼロ、福島の場合には稼働率が一六・三%しかないわけです。五十一年になりますとこれは全くゼロであります。四十六年から考えてみますと、全国平均を上回ったのは美浜では運転開始後二年間だけであります。後はもう全部利用率で落ちているわけであります。それから福島の場合には四十六年、四十七年二年間は全国平均を上回っておりますが、その後は全く大幅に低下をしていますね。こうなりますと、美浜一号というのは非常に表面にあらわれている。福島の場合には定検というところに全部隠されてはいるけれども、大体同じような形になっています。非常に似ている経過をたどっているように私は思いますね。だから東電がもう西独の加圧水型、PWRにかえるんだというふうになるのは当然ではないかという気がするわけです。  そこで、私はこれはまさに欠陥炉だ、こう指摘をせざるを得ないのです。もし欠陥炉でないということになれば一これだけ長い期間かかっても修理できない。GEからいま多いときで大熊に大体百五十人来ているわけです。この間七十人というような話がありましたが、七十人ではないようですね。多いときには百五十人以上来ている。それだけの作業員、技術員なりをアメリカから招致をしなければならないというような状態でありますから、これは大変な問題だと思うのです。したがって、これは欠陥炉だ、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  56. 武田康

    武田政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども定期検査の性質——先ほど美浜とそれから福島運転時間あるいは定検時間の差異が逆になっているというような御指摘がございましたけれども定期検査というのは毎年一回一年間の運転結果を踏まえまして、実は熱的にいろいろ温度が高くなったり下がったりというような運転を繰り返しますので、そういう部分でどんなところに弱くなったところがあるかというようなところを洗い出す、それで次の運転の際にはトラブルがなくて済むようにするというのが定期検査の考え方でございます。したがいまして、定期検査の過程でいろんな事故故障トラブル等々が発見されるというのは、定期検査の目的にある意味ではかなっていることでございます。もともとないことが一番いいのですが、もしそういう種があるならば、定期検査の過程で発見してできるだけ早く措置する、これが一つ定期検査の考え方でございます。そういうものがある場合には、それが長くなるわけでございます。  福島一号につきましては、四十九年から五十年、非常に稼働率が下がっておりますが、これは定期検査自身で発見されましたものと、その当時アメリカでこういうものがあったという情報を含めまして、たとえば配管のひび割れの問題等々、一番初めに四十九年から五十年にかけましてBWRタイプの各発電所につきまして点検をし、それが発見されたものにつきましては、その原因究明をし、この対策でいいかという検討をし、そしていろいろ配管を取りかえましたり、手直しをしたりというような、配管だけでなくほかにもあったかと思いますけれども、そういうのが幾つか同時に出てきましてそのための対策がおくれ、時間がかかり、それが定検中でございましたので、定検期間が長くなった、こういうふうに考えております。  一方、美浜の方はむしろ蒸気発生器という、これはPWR型特有の部分でございますが、その部分故障事故、これが修復に非常に時間がかかっている、こういうことでございます。PとBはタイプが違いますので、いろいろ故障事故が発生する部分故障事故トラブルも含めましてあるいはその前兆も含めてですが、発生し発見する部分がいろいろ違います。それで対策、手直し等にかかる時間もいろいろ違いますので、そのあたり定期検査の長さの差に——それがたまたま定期検査とぶつかっていたかどうかという偶然もあろうかと思いますが、反映しているかと思っております。  それから、先ほどBWRはあきらめて、日本原子力発電会社もそれから東電もPの方に、確かに両者ともPWRあるいはアメリカでなくてドイツの型というようなことの勉強、いろいろやっているようでございます。勉強はもっとずいぶん前からやっているようでございますが、新聞記事等で大きく取り上げられたのはわりに最近でございます。私ども承知しております限りでは、現在BWRをやっている会社がその性能なり機能、あるいはその機械的な部分、特徴それから相互に比較して悪いところというのはPとB、いろいろございます。そこでまたドイツ型とアメリカ型というのも違っております。それから私の先ほど申し上げました国内でいろいろ考えている改良標準化、これもまたアメリカのそのものを日本に持ってきてそのままやるんじゃという反省がスタートでございますが、現在Bをやっている会社がPのことを、PWRをやっている会社がBWRのことを、同じPWRでもアメリカ型のみでなくてドイツ型、あるいはアメリカでもウエスチングハウス以外の会社もございます。そういうことを広く勉強し比較考量し、この次あるいは次の次または五年先かもしれませんけれども、そのときに、新たな原子力発電所をつくるときに、むしろたくさんの勉強、スタディのケースの中から比較して、これが一番というのを選んでもらうのが——もちろん役所としての法律上の監督は別途やるわけでございますけれども、初めにどんな機種を、どんなデザインというのを一次的に決める電力会社が広く勉強するのは非常にいいことだ、こう思っておりますし、また東京電力それから日本原子力発電会社も私どもに言っています限りでは、Bをやめたとかそういうことじゃございませんで、もっと広く勉強する。これは私どもの改良標準化のいわば日本型のものをつくっていきたいという精神にも合致するわけでございまして、私どもも歓迎しているところでございます。  先ほどの福島第一につきましてもずいぶん時間がかかりますけれども、この六月、七月あるいは八月ぐらいに、ほかに問題が起こらなければまた運転を再開できると思いますし、それから現在コスト的に見ますと、既設のものにつきましては原子力発電所のコストは火力発電所の半分ぐらい、もっとも稼働率が正常な状態を頭に描いてでございますので、稼働率がたとえば七〇から五〇に下がりますとコストはもっと上がってまいりますけれども、既設のものにつきましては、やはり火力発電所で高い油をたくということに比べますと、稼働率が二割やそこら下がりましても、なお比較経済的には優位のようでございますし、将来つくりますものは、現在の火力に比べまして、標準稼働率状態を頭に描きますと、この五、六年先でき上がるものにつきましても二、三割安いのではないか。ただ稼働率は、原子力の場合だけ悪くなるという想定をしますとその差が縮まりますが、仮に標準の七〇%稼働が五〇%稼働というぐらいの稼働率低下を考えましても、なお火力と対比できるようなコストでございますので、そういった意味でも福島第一につきましては時間はかかりますが、これから同じようなことが再発しないような対策を施しまして運転再開に持っていくというのが適切ではないかと判断いたします。ただし、最終には安全を確認いたしませんと、私どもの方では動かしていいというような言い方をいたしませんので、最終判断はその運転再開直前に私どもとしてすることになろうかと思います。
  57. 上坂昇

    上坂委員 時間が来ておりますから一つだけ申し上げますが、いまのこれだけの事故といいますか故障があっても、これが回復すれば採算はとれるようなものになるんだというような見通しでやっておられるというふうに思いますが、私たち立場からいきますと、まさに欠陥炉と言ってもいいようなものが次々と許可になって建てられてくる。いま一号、二号、三号炉全部これはストップしています。そういうのを非常に距離のないところに集中的に建設をする。東電が第一、第二原発、そこへもってきて今度は東北電力がまた四基、大体四百万キロワットの計画を立てておるということになりますと、まさに福島県の双葉地方というところ、相馬にかけまして千四百万キロワット以上のものがどんどんつくられていくということになりますと、これは私たち住民にとっては危なくてしょうがないわけなんです。そういうところに非常に大きな心配があって、しかもそこに働く人は地元の人である、こういうことになりますと、非常に大きな問題が出てくるわけであります。  そこで、私たち問題なのは、大臣にもこの点考えていただきたいのは、非常に集中化、大型化という問題についてはやはり再検討してもらいたいと思うんです。日本は国土が狭いから、どうしても必要なところへは集中してやらなければいけない。特に民衆の余り反対のないところへは、いきなりみんなつくってしまうというような傾向があるようでありますが、これは非常に危険を伴うものだと私は思います。そういう点での再検討をいただきたいと思うのです。  それから、いまの原子力発電所は火力や水力に比して非常に効率がいい、あるいは採算がとれるというような問題については、これはまた後の機会に私は質問してみたいと思います。  それから、最近、発電用の原子炉の改良についていろいろな標準づくりをやっているということでありますが、これは、非常におくればせながらいいことだと思うので、早急にそういう体制を確立していくことが必要であると思うわけです。  そこで、最後に、これは委員長を通じてお願いしたいのでありますが、いまの東電給水ノズルのひび割れ、制御棒駆動水の戻りノズルのひび割れ、これの写真と図面をわれわれに提出をしてもらいたいと思うのです。  それから、被曝の状態の中で、いまいわゆる公害センター的なものがあってモニターがたくさんついているわけでありますが、実を言うと、原発の敷地内のものが全然つかめないのですね。県でもつかめないのです。もちろん市町村もつかめません。それで東電側の発表をそのままうのみにしなければならないわけであります。そこで、煙突から出ている廃放射能というのですか、これは煙じゃありませんからね、何か出ているものについての測定の結果、またいままでの測定についての詳細を東電に出させてもらいたいと思います。  それから、一次冷却水がフィルターを通過していくわけでありますが、その場合、前後のレベルを放射能の核種ごとに、たとえばストロンチウムとかコバルトとか、核種別にいろいろ調べたものを提出できればひとつお願いをしたいと思います。  もう一点は、第二原発の三号炉についての許可が今度おりたようでありますが、いまどの時点にかかっておるのか、私たちも余りつかんでいませんが、電調審に設置申請をするときに提出する設置者側の環境状況報告書というものが必ずあるだろうと思うのです。これをひとつ提出してもらうことを要望いたします。
  58. 山田太郎

    山田委員長 ただいまの上坂君より御要求の資料については、通産省は提出できますか。
  59. 武田康

    武田政府委員 第二点の放射線管理の関係はちょっと別でございますが、第一点、第三点、第四点につきまして、第三点はちょっと自信がございませんが、調べまして、できますものは御提出させていただくようにしたいと思います。私も調べないと一〇〇%の自信がございませんから、帰って調べまして、できますものは御提出するようにさせていただきます。
  60. 山田太郎

    山田委員長 上坂昇君、よろしいですか。
  61. 上坂昇

    上坂委員 はい。
  62. 山田太郎

    山田委員長 それから、大臣に答弁を求めていましたね。
  63. 上坂昇

    上坂委員 大臣、いまの集中化、大型化について。
  64. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子力発電所の大型化、集中化につきましては、先生指摘のとおりそういう傾向にだんだんなってまいるわけでございまして、これはわが国に限りませず、諸外国でもそういう傾向にございます。そういうことも踏まえまして、原子力委員会で安全専門審査会の場その他においてこの問題は十分配慮して安全審査をやっておるわけでございます。また、特に公聴会などについてもこういうケースに重点を置いてやるのだということを、かつて原子力委員会としても決めておったわけでもございますし、そういう問題意識は十分持って仕事を進めさせていただいております。
  65. 上坂昇

    上坂委員 いまの資料については、もし出せないものがあったときには、出せない理由についてこちらの方へ報告をしてもらいたいと思います。それはもう骨を折るでしょうけれども、できるだけ提出をするように努力してもらうことを要望して、私の質問を終わります。
  66. 山田太郎

    山田委員長 以上にて上坂昇君の質疑は終了いたしました。  午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十六分開議
  67. 山田太郎

    山田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。有島重武君。
  68. 有島重武

    有島委員 お時間をいただきまして、一般質問をさせていただきます。  大臣に承りたいのですけれども、カーター・アメリカ大統領は御承知のように非核を旗印に掲げて、それで大統領に就任したわけであります。原子力に多大な成果を期待しているわが科学技術庁は、カーター大統領の非核主義と申しますか、こうした態度についてどのように分析をしていらっしゃるのか、これを最初に承っておきたい。
  69. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 大体次のようなものではないかと推測いたしております。  それは、まず核不拡散の原則をグローバルにひとつ確立をしたいということが第一点だろうと思います。この原因は、はっきり申し上げまして、インドが再処理と称しながらプルトニウムをつくり、それをもって平和主義のための核実験だとは言っておりますが、一応爆発をさせた、そうしたことが今後世界に拡散されると世界の平和が脅かされる、したがってプルトニウムの製造そのものに関して今後いかにそれを規制するか、あるいはでき上がったプルトニウムをいかに今後管理するか、こうしたことについて十二分な検討が必要だというのが大体カーター大統領の基本姿勢だろうと思います。  これに対しまして、われわれといたしましても、核不拡散という点に関しましては大賛成でございますが、しかし、わが国はすでにそうした大統領の原則的な問題に関しましては賛成はいたしておりまするけれども、つとに日本としては非核三原則という貴重なる原則も持っておりまするし、また、すでに核不拡散条約にも参加いだしておりまするし、その条約の第四条にも明らかに、平和利用に対して支障があってはならない、特にそのことは核を保有しておろうが保有しておるまいがその差を問わずということが書かれておりまするから、そういう面におきましては、われわれとして今後平和利用をする日本に対してやはりそれだけの理解を示してもらわなければならない、こういうふうな主張をいたしたいと思います。そうしたところに今日カーター大統領と福田さんとの話し合いが持たれたものである、こういうふうに考えております。
  70. 有島重武

    有島委員 わが国で東海村の核燃料再処理工場の完成が本年五月ということになっております。その稼働につきまして、アメリカの方の同意ないしは許可が必要である。恐らくカーター米大統領はこれを軽々には許可しないであろう。今後これはどうなさるおつもりでいらっしゃるか。
  71. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 きょうの連絡を見る限りにおいては、許可しない、そういうふうな限定した言い方は大統領はしておられないわけであります。しかしながら、従来からの主張を案ずるに、そういうふうな場面も想定をしながらわが国としてはどういうふうな対処方策をとるかということをやはり慎重に考えておかなければならない、かように思っておるわけであります。いま御指摘のとおりに、動燃の再処理工場はこの夏に実物を用いましていよいよホットランの段階に入り、明年からは本格操作というふうな段階に入るわけでございまするが、そのもとの濃縮ウランは米国から日本が受領いたしておりまするから、その濃縮ウランを、たとえそれが使用済み燃料でございましても再処理する場合には、米国日本との間において共同の決定をしなければならないという条項が日本原子力協定にございますから、動燃の再処理工場を無事運転さそうというためには、どういたしましても日米間で同時決定をしなくちゃならない、こういうふうになるわけでございます。今後、日本立場を十二分にアメリカに説明いたしまして、そういう段階を迎えるべく努力をしなければならないと存じております。
  72. 有島重武

    有島委員 この核燃料の再処理及びそれをめぐっての開発に六百九十五億円が計上されておる。来年度の科学技術庁一般会計の予算は全部で二千二百四十二億円ですが、原子力関係がその半分の一千百七十億、そうなっているようですね。この核燃料の再処理工場の計画はそのまま推し進めていらっしゃるおつもりですか。これは、いま大臣がおっしゃったように、両国の合意がなければある程度のところまでしか進められないということになろうかと思うのですけれども、この計画はそのまま推し進めていらっしゃるわけですか。
  73. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 計画は、私たちといたしましては、将来の民族の死活を制すると申し上げてもよいほど非常に大切なことであると考えておりますから、進めていきたいと思います。ただ、再開をしようということに関しましては、二国間とはいえそういう協定があるわけでございますから、その協定に基づくところの共同決定をしなくちゃならぬという段階はやはり踏まなければならないわけでございます。それを無視してやることは、恐らく二国間協定に背反することになります。  そこで、私たちの主張といたしましては、多国間協定であってもいわゆる核不拡散条約に日本も参加したわけでございます。おくればせながらではございましたが、昨年国会がこれを批准をして、いよいよことしはIAEAの中におきましても、お互いに協定を結ぶという段階になったわけでございます。その四条に、先ほど申し上げたとおりに、われわれは今日核兵器を持っておりません、そういう国家ではございましても、その国における平和利用に支障を来してはならない、こういうふうに書いておるわけでありますから、これを私たちは国際信義として信頼をしてあの条約を進んで承認をし、また批准をし、参加したわけでございます。そういう経過を踏まえました場合に、常に正義を口にするアメリカがこの事態をどういうふうに判断するか、特にカーターさんは正義の人でございますから、国際間のこういう取り組み、お互いの信義を信頼して日本もこれに参加した、その四条をどうお考えであろうか、ここがアメリカとの間におきましても今後十二分に話し合っていかなければならない問題であろうと私は思うのでございます。  もちろん、多国間協定と二国間協定との間におきましては、どちらも同質ではございましょうけれども、われわれから申し上げますと、多国間が先に調印をされておる、その中から生み出されておる原子力協定だということを考えました場合に、やはりわれわれといたしましてもアメリカに対しまして、第四条の問題を十二分に話し合っていきたい。恐らく福田総理も、第四条を一番強く主張されたのではなかろうか、かように存じているところでございます。
  74. 有島重武

    有島委員 現実問題といたしまして、稼働の見通しをいつごろと考えていらっしゃいますか。
  75. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 これは単に日本とアメリカだけの問題ではなくて、すでに再処理をされておる国、すなわち英国、フランス、あるいは非核保有国ではございますが、再処理技術を十二分に持って、それをプラントとして輸出しようとしている国ドイツ、そういう国々との間におきましても、アメリカは今後同じような角度の話し合いを進めていくと考えておる次第でございます。したがいまして、わが国といたしましても、やはりこういう問題は、世界の中の日本であるという立場を踏まえながら関係諸国とも十二分に連絡をしてやっていかなければなりません。  昨日あたりたちのところに届けられております連絡によりますと、カーター大統領は、これを五月に予定されております世界先進首脳会議、いわゆるサミット会談に提案をいたしたい、こういうふうに言っておられる節も見えますし、また、四月の月末までにはアメリカの国内のエネルギー新政策を決めるから、それに歩調を合わすべく日本との間の話も詰めておきたい、こういうふうにも聞いております。その辺の問題に関しましては、直接話し合いをなさいました総理大臣あるいは外務大臣がお帰りになってから、私の立場といたしましても十分話し合いをしたい、かように存じておりますが、それがいつごろかということは、いま申し上げましたとおり、単に日本とアメリカだけで片がつく問題だとは考えておりません。やはり世界的な問題として、各国がこれにどういう反応を示し、また協力をするかという問題もございましょうから、その辺は現時点におきましては判じがたい点であろうと存じております。
  76. 有島重武

    有島委員 これはファックスでございますけれども、きょうのお昼過ぎのファックスによりますと、経団連では、稲山、安居両経団連副会長からのコメントとして、今度の福田総理の継続協議について、大変結構なことだという評価をなさったと伝えられておる。これを見て私は大変負け惜しみという感じを受けるわけです。  福田さんは恐らく、伝えられておるところによると、核平和利用を訴える、そして日本の計画が滞りなく進んでいくようにということを前提にして行かれたのだと思うのです。それで、これは継続して話し合いをしましょうということになったわけですね。これで見ますと、経団連の方では、これはとてもだめだろうと思っておったのじゃないですかね。だから継続になったのは大変結構だ、こういうふうになったのじゃないかと思うのだけれども、宇野大臣は今度の協議をどのように評価なさるか。やはり経団連と同じように、全然だめよりかましだろうとお思いになりますか。
  77. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 これは、内閣といたしましては、総理が出発される以前からの私たちの考え方でございますが、今度の核問題はわが国にとって非常に重要な問題である。また、カーターさんにとっても、選挙の一つの公約であるから、その具体化ということは重要な話であろうけれども、今度のカーター・福田会談においては、これはネゴシエーションをされる場面ではない。恐らくドイツ、フランス、イリタア、イギリス、そうした国々の反応もあろうから、この場面においてはネゴではない。お互いが意見を述べ合うだけにとどまるのではなかろうか。私たちはそういうふうに判断をして総理をお送りいたしておりますし、総理も出発に際しまして、私並びに通産大臣あるいは外務大臣、官房長官との会議におきましては、今後折衝をさらに続けていかなければならないであろうが、その折衝に際しての基本的な日本の考え方を申し述べておく、それでいいだろうということで出発をなさっておりますから、本日の共同声明の帰結はわれわれとして当然のことである、私たち予定しておったとおりのことになっただけの話であって、あえてそれを上できだとかふできだとか言う立場でないと私は思っております。事実またそうでございます。
  78. 有島重武

    有島委員 わかりました。  この前、三月四日の予算委員会の一般質問におきまして、私はエネルギーの長期計画について皆さん方に御質問もし、また提言も申し上げたわけですけれども、その中で私は長期計画のお話をしたわけです。大臣はお答えの中で、「一九八五年を一つの時代として考えておる長期エネルギーの需給計画がございます。」こうおつしゃったわけですね。大臣は、有島委員が言っている中期に該当するものであろうというようにコメントをおつけになっておったのですけれども、これは言葉の問題で恐縮なんだけれども政府が長期とかなんとか言えば、政府の言ったことは国民に大きな影響を与えるわけですよ。そうすると、日本国民としてエネルギーの問題を相当重要な関心を持って考えなければならぬ、そのときの心構えとして、大体五、六年、七、八年のところを長期というふうに考えておればよいのか、もう少し先まで考えるというか、そういった心構えの上でもって協力すべきものは協力していく、あるいは心配ならば心配でもっていろいろと意見を言う、こういうことにならないと、エネルギー政策の健全な将来というものがないのじゃないかと私は心配するわけなんですよ。  きのうもあるお役人さんとお話をしておったら、その方は三十歳です。三十歳の方が宇野先生のお年になるときは二十一世紀なんですね。そういうことから考えまして、本当の長期の御計画をお立てになるべきじゃないだろうか。もう一つには、長期という言葉をお使いになるならもう少し注意して使っていただいた方がよろしいのじゃないか、こう申し上げたいわけなんだけれども、いかがでございましょうか。
  79. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 私も長期という言葉に関しましてはいろいろと考えたことがございますが、このポストにつきまして以来、いろいろな計画書に目を通しますと、エネルギーに関しましては長期という言葉はおおむね十年という幅で使われておるのが今日まででございました。したがいまして、ついこの間も、長期エネルギー需給計画は昭和五十年に策定されたわけでございますから、十年で一九八五年の昭和六十年にはこうなる、そういうふうな指針を立てたわけでございます。有島委員は、先般の御質問によりましても、長期とはすなわちもう二十一世紀を展望した、それくらいの長期ということが普通ではないかというお話でございまして、確かに二十一世紀を展望した、いわゆる今日の政府から申し上げれば超々長期と申しますか、それぐらいの展望も必要でございましょうが、そういう展望を今後持つということになりますと、やはり長期の定義というもの、中期の定義というものももう一度考えてどうだろうかなというぐらいの気持ちが私にはなきにしもあらずでございます。  したがいまして、この間閣僚会議をやりましたときにも、やはり長期ということになれば、ことしが昭和五十二年ですから、六十二年を見通したエネルギー対策でなくちゃなりませんが、しかし、二年前につくったものを、いま長期だといってまたひっくり返してしまうということは、かえって、せっかく示しました基礎数字ががたがたになってしまうというおそれもございますから、一応昭和五十年の十二月につくられた長期需給計画は一九八五年をめどとしておるのだから、そのめどについての洗い直しということは必要であろう。しかしながら、それだけでは、あと八年の話だから、これまた政府としての見通しのきかない話だということもあろうから、さらにもう五年を延長した一九九〇年の見通しをもここにつけ足して、そしてその間の洗い直しということもいかがであろうか、こういうことをお互いに話し合いまして、現在その面に関しましてもそれぞれ関係省庁の幹事会で検討してもらおうということになっておるわけでございます。  したがいまして、現在といたしましては、長期は大体十年間だという物差しでやってまいりましたので、この物差しをいつ、どこで、どういうふうに変えるかということはまた非常にいろいろの問題もあろうかと存じまするから、御意見は十二分に私といたしましても拝聴いたしまして、今後本当に将来のエネルギーを思ったときに十年の物差しがいいのか悪いのかという議論もやはりやってみる必要があるのじゃなかろうかとは私は個人的に考えております。
  80. 有島重武

    有島委員 大臣方の御在任が何年であるか知らない、そういうことから考えれば十年は長期なんですけれども、国民生活は大臣がかわろうとかわるまいとこれは続いているものでありまして、日本の国の将来を——わりあいと来年のことぐらい考えていればいいというような時代もかつてはあったわけです。確かにこのままでどんどん経済は伸びていくだろう、こういうときもあったわけですね。いまは一つの曲がり角に来ているということが指摘されているし、ですからこれは早急に用語を改めるというか、関係はいろいろあるかもしれないが、それは印刷代がかかるくらいのお話ではないかと思うのですね。  それからもう一つは、長期計画を本当に立てなければならないというようなことを避けて、中途半端なところを長期長期と言っておくというふうにも勘ぐられる。中期計画まではできておる、長期計画についてはまだできていない、こういうふうにはっきりしてしまえば、それじゃ学者の方々も、あるいは行政担当の方々も協力して本当に長期のことを考えようという姿勢がそこから生まれると思うのですね。大体見通しのきく範囲でもっての長期、そればかりに終始していらっしゃるということは、やや怠慢といいますか、国民に対しても余りいい影響を与えないのじゃないかと思うわけですよ。いかがでしょうか。
  81. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 一つの御意見であることは確かだろうと思います。  ちょうど今日、私たちがエネルギー問題を考えますときに、核融合という問題も考えて現在着々とその実現を図って、いろいろな開発実験をやっておるわけでありますが、これはもうどこから努力をいたしましても二十一世紀だということになってしまいます。そうすると、それはそれなりの開発をしながら、たちまち国民生活はどうなるかということを考えますと、やはり一応今日の原子力を考え、あるいは火力、水力を考えつつも十年というところが日本にとってはいま一番よい幅ではなかろうか、そうしたことで長期という観点が今日までになったのじゃないかと思いますね。しかも私は、それは長期であろうが中期であろうがいいのでございましょうが、一応長期といって今日まで立ててまいりましたものをにわかに定義を変えてしまいますと、政府が途中でギブアップしたのじゃなかろうかというふうな印象を与えないこともないでございましょうし、あるいはやはり長期計画といって十年を定めたというゆえんは、一つの目標として、国民にもこうなりますよという指針を与えながら、政府みずからもあるいは民間の協力を得て努力をしなければならぬという一つの目標でもございましょうから、そうした意味合いにおきましては、いまの十年というのはわが国の国情に合った一つの物差しであるとは考えておるわけであります。ただ、いまおっしゃるように、それを長期と名づけるか中期と名づけるかはまたいろいろ問題がございましょうが、いままでの物差しが一応十年は長期であるという物差しでやってきておりましたので、これを途中で変更するということはいかがであろうかとは考えております。  ただ、有島委員がこの間からいろいろと長期の見通し、いわゆる二十一世紀、さらにもっと進んだ展望に立ってお話をなさっておる。なるほどそれも長期である。しかし、それは超長期と、こうつけるのか、あるいは思い切ってそれを長期にしてしまうのか、ここら辺の判断は一つの考え方であるということは私も十二分におわかりするわけでございますが、やはり政治を動かしておる者の立場から申しますと、いましばらくこの問題は——個人的にはわからないことはないのでありまするけれども、行政の面におきましてはひとつ重要な参考意見として今後いろいろ検討はさせていただきますが、急にことしか来年すぐ変わるというわけにはあるいはまいらないかもしれない問題である、こういうふうに御理解賜りたいと存じます。
  82. 有島重武

    有島委員 余りここにこだわりたくもございませんけれども、いま宇野さんおっしゃったように、行政の立場から言えばそうだ、いままでの行きがかりがそうだ、それが大臣のおっしゃっている根拠です。私が申し上げているのは、国民全般的なこれからの行き方ということにかかわりがあるわけです。いっか踏み切らなければならないわけですから、それを大きくしんしゃくなさるように、一つの決断をしていただきたい、こう思うわけなんですよ。立場はわかりますね、どうですか。
  83. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 まあ、いろいろ御意見としては十分私もわかっております。しかしながら、やはり現在のスピードなり社会の構成なり、原子力発電所一つつくるに際しましても七、八年はかかるという時代でございますから、もう少しく国民の方々の御理解を仰ぐようになればまた物差しの尺度もおのずから変わるかもしれません。言っていらっしゃることは私も十分わかるのでありますけれども、では長期だとか中期だとか、そういうふうな言葉にとらわれずに十年計画、二十年計画、三十年計画はどうだということの方があるいは手っ取り早いかもしれません。しかしながら、余り先の方になってしまいますと、夢は夢として大切でございましょうけれども、国民の方々には今日貴重な税金も納めていただきながらそれによって政府の計画を推進しておるという立場に立ちますと^やはり国民にじかに訴えるような、そういうふうなアピール力というものを持った計画でなければ私は意味がない、こういうふうに思う面も多々あるわけであります。  したがいまして、今度洗い直しをしようという新しい需給計画にいたしましても、やはり実行性並びに整合性を伴うものでなくちゃならぬということを私は科学技術庁長官としてやかましく言っておる点もそういうところでございまして、二十一世紀の夢は夢として科学技術は追求していかなければなりませんが、さてそれを超ロングの計画であると言って国民の方々にお示しするのは、またそれとは別の角度でお示しするのならば一つ意味があることではなかろうか。いまたちまち、エネルギーの問題として、原発はこうなりますよ、水力発電所はこうなりますよという背に腹はかえられない問題を国民にアピールする際には、やはり十年ぐらいのところで私は示していくべきではなかろうか。そのほかの問題に関しましては、二十一世紀の夢はこうある、しかし、いまから出発しなければだめですよというふうに分けてやるのならば意味があるのじゃなかろうか。恐らくそういう御趣旨ならばわれわれといたしましても、二十一世紀にはこういう夢がある、またこれは実現しなくちゃならない、実現できる、というふうな幾つかの分類をしながらやっていくことも一つの意義があることではないだろうか、こう考えております。
  84. 有島重武

    有島委員 夢、夢と言われると大変変なふうになってしまうけれども、最後におっしゃった、いまからもう出発していかなければならない、そういうことですね。それから、かなり実現性のある計画、だけれども、それはもう一つの総枠の中に位置づけられているということが大切であろう。また原子力そのものにしても、いまは実験の段階でございますね。ありていに言って実験の段階であって、これが本当に実用になるかならぬかという幾つかのネックがあるわけですね。原子力について大きなやはりネックがあるということは、これは認めていらっしゃいますね。
  85. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 幾つかのネック、ハードルがあるということは十分に認めておるところであります。
  86. 有島重武

    有島委員 原子力に頼る以外はないという思い詰め方をなすっていらっしゃるようにお見受けするわけです。これは前の長官の議事録を見ますと、「やはり日本も原子力にかわるエネルギーがあればいいのですけれども、ないということでございますから」というようなことを言っていらっしゃるのだな。これにかわる、かわるというよりもその出力が、大体あの御計画では六千万キロワット程度になっておりますか、その程度ですね。あるいは億の単位ですか、そういう出力を出し得るものは石油、原子力以外にはないという御断定をどうも前の長官は持っていらっしゃるらしいのです。それから核融合、これは大分先の話で、あるとすれば核融合だ。それ以外にはないのか、本当にないというのはどういう根拠で言っていらっしゃるのか。宇野長官はそう思ってないとおっしゃるか、宇野長官もやはり原子力、核融合も広い意味の原子力と申せましょう、核それから石油以外にはない、こう御断定ですか、宇野長官は。
  87. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 エネルギーには多種多様あるわけでございますが、わが国の産業を支え、国民生活を支えるだけの出力を持ち得るものというところから考えまして、先ほど来私が申し上げております。ここ当分の間どういうふうなエネルギーの確保が必要かといった場合に、やはり石油も有限の資源でございまするし、特に日本が将来パイが大きくなりまして、六%で伸びた場合に今日の産業は倍になるわけですから、そのときにはエネルギーも倍必要だということを考えますと、長期需給計画にも明らかなとおり、石油は四億八千五百万キロワットル必要だというふうに書かれておりますが、その後OPECの諸国の考え方も大きく変わってまいったことも事実でございましょうし、あるいはまた、しばしば値上げもあるでございましょうし、昭和五十年度の事態だけを考えてみましても、商品に支払いました外貨の三分の一が石油に支払われておる。六百億ドルのうちの二百億ドルが支払われておる、こういうふうな体系をそのまま今後持ち続けてよいだろうかということも考えなくてはいけない。また、お金さえあれば石油が入ってくると思いましても、あるいは入ってこないような事態になるかもしれない。  そういうことを考えました場合には、当然それにかわる一番大きなエネルギーは何であろうかということについていろいろ議論をすれば、それは昨今としては原子力以外になしというふうな答えが出てくるわけでございます。もちろん、そのほかにもLNG等ございましょうけれども、やはり外国に依存する燃料と今後国産に転じていく燃料というふうに考えなくてはならないと私は思うのであります。だから、石油等々はほとんど輸入でございますから、海外依存度が非常に高い物質でございますので、言うならばわが国の産業、経済、がこう伸びるのだと大きなことを言いましても、首の根っこを押さえられているようなエネルギーでございます。しからば、同じエネルギーでございましても、一応天然ウランを手にし、さらにそれを濃縮をし、そうしてさらに使用済み燃料を十二分に再処理をしてプルトニウムにつくる、効率を働かすということになれば、やはり核燃料は一つの大きなわが国にとりましては準国産とも言うべきエネルギーである。だから、この開発にいまから民族がうんと力を入れておかなければ、もうエネルギーに関して何でもかんでも全部海外依存で、そして首の根っこを押さえられているような状態のままで果たしてわが国の産業は今後も今日の繁栄を続けられるであろうかと考えると、もう私はインポッシブルという答えしか返ってこないのじゃないかとすら思う、それぐらいの気持ちで原子力開発に取り組まなくてはならぬ。もちろん、その安全性及び平和利用という原則は私たちは踏まえながらの話であります。
  88. 有島重武

    有島委員 るるお話があったけれども、原子力と思い詰めていらっしゃることはよくわかる。それから私いま申し上げたように石油、いま石油にかわるエネルギーとして原子力ということに、まあ全部かわるとは言えないかもしれないけれども、そういうふうにおっしゃっているわけですね。それでぼくが聞いたのは、石油はもうひとつ外しておく。原子力、これも外しておく。核融合も含んで原子力を外すとすれば、あとは何にもないのかというのです。宇野長官は、もうほかにはないとすら思える、こういうわけなんだけれども、その根拠は一体どこにあるのか。いろいろ話し合ったと言うのだけれども、そういう根拠がやや私は薄弱ではないか、こう申し上げたいわけなんです。
  89. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 何にもないということではございません。私の言いたいのは、やはり今日これだけのレベルを持つに至った国民の生活を考えますと、今後は高度成長はないだろうけれども、安定成長で少なくとも六%台の成長率を保つことが今後の国民の発展にやはりつながるということを考えた場合、その六%の経済規模とはどれだけの規模を言うのであるか、その経済規模を支えるためにはどのようなエネルギーが一番手っ取り早いのか、また実行性があるのか、こういう問題でございますから、そこから勘定いたしました場合に、とてもとても今日核融合も間に合いません、あるいは地熱も間に合いません、あるいは太陽熱も間に合いませんと申し上げざるを得ない。だから、現在間に合うのは石油であり、LNGであり、原子力である、あるいは火力、水力である、こういうふうに申し上げておるので、将来にわたりましてはサンシャイン計画等々におきまして、やはり極力エネルギーというものをあらゆる面で開発することは必要だ、これは私は決して否定しておらないわけでございます。
  90. 有島重武

    有島委員 お手元にこの間と同じ資料なんですけれども、エネルギーの分類表を差し上げでおります。そして、エネルギーはいろいろな種類がある。それで、科学技術庁の方もこれはお認めになっていらっしゃるというのが三枚目のところに出てあるわけでございますが、いまないとかあるとかいうことはここでもって議論しようとは思いませんけれども、大体この二枚目に、エネルギーのことを考えるのに、予算委員会でも少し申し上げましたけれども、幾つかの目安があろうかと思うのですね。いま特に宇野長官が強調なさいましたのは量的な問題、どのぐらいの量がとれるかということでしょう。確かに、サンシャイン計画でもっていっか進めてみても、それは何億キロワットというような出力は出ないであろう、こういう想定なわけです。億のレベルのような、その出力を持ち得るような可能性がもしあれば、これはいまから本気になってやらなければならない。また技術開発も、物によっては原子力よりも早く、五年、十年以内にできる場合もあるかもしらぬ。私は、幾つかの可能性もいろいろな方から伺っているわけですけれども、まだ御検討がやや不足ではないのかというふうに私は思うわけです。それで、それはどうして不足になっちゃうかというと、いま余り原子力、原子力、原子力にあらざるものはというくらいに思い詰めていらっしゃるその一徹さがかえって裏目に出る場合もあるんじゃないか、少し冷静に幅を大きく広げ、また種類も大きく広げてみてお考えいただきたい、こう申し上げたいわけなんです。  そこで、事の初めに、原子力に伴うメリットというものがございます。けれども、そのデメリットと申しますか、避けられないウイークポイントというようなものが挙げられている。私は余りよくわからない、素人なんで。幾つか耳学問程度でございますけれども、技術庁の方ではそういったことがしっかりと把握されておろうかと思うのです。いままでは推進しようとする余り、メリットの方ばかりをたくさんずっと並べ上げるという方向になりがちであったと思うのですけれども、ひとつデメリットの方を列挙していただいて、それでお示しいただきたいと思うのですが、これはできるでしょうか。
  91. 山野正登

    ○山野政府委員 御指摘のとおり、原子力発電につきましてはメリットのみならずデメリット、問題点ももちろんあるわけでございまして、基本的には二つ大きな問題点があろうかと存じます。  まず一点は、原子力発電におきまして燃料サイクル各段階におきまして放射能が発生するということは避けられない問題でございますので、これをいかに安全に防護するか、この安全確保策をいかに講ずるかというのが非常に大きな問題点でございます。これにつきましては、施設の設計、建設、運転等を通じまして各種の安全施策が講じてございますのに加えまして、安全の規制、安全確保体制ということにつきましても、私ども常日ごろ努力をいたしておるところでございますが、これが第一の問題点でございます。  それから第二の問題点といたしましては、核物質が軍事利用に転用されるおそれがあるという点でございまして、これは私ども、原子力基本法で原子力の利用につきましては平和利用に限るという点を内外に鮮明にいたしておるところでもございますし、また、昨年は核不拡散条約も批准したといったふうなこともございまして、この辺わが国におきましては万々注意をいたしておるところでございます。  以上申し上げました二点が原子力の大きな問題点ではないかというふうに考えております。
  92. 有島重武

    有島委員 この委員会でも恐らくいろいろな点がいままでも指摘されてきたと思うのです。それはある場合には、そちらから見ると何かないものねだりのように見えられたこともあるかもしれないけれども、ものはどんなものでもメリットもデメリットもあるわけなんで、それを両方ともよく心得て使っていかないと思いがけないことになるわけですね。いま人体に関する安全性とそれから軍事利用のおそれと二つ挙げられたけれども、まだそれだけではないと思うのです。日本における立地性の問題もあるし、いろいろな点がある。ここではちょっと時間が限られておりますから、それはリストアップしてお示しいただきたいのです。  これは委員長にお願いしたいのですけれども科学技術庁から、原子力のデメリットばかりじゃかわいそうだから、メリットと言われるところをしっかり、デメリットと言われるところをしっかり、これを少し網羅的に個条書きにして御提出いただきたい。お願いをしたい。
  93. 山田太郎

    山田委員長 ただいま有島重武君御要求のメリット、デメリットを個条書きに分けた表を御提出できますか。
  94. 山野正登

    ○山野政府委員 提出いたします。
  95. 有島重武

    有島委員 よろしくお願いいたします。  その次の問題。科学技術庁の設置法を拝見いたしますと、科学技術庁の任務は「科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進する」そういうことを言っております。予算配分を見ますと、先ほども言ったように二千二百四十二億円のうちの半分以上は原子力開発であります。そうしてあとは百七十億円、これが重要総合研究、それから宇宙開発が八百六億円になっておりますね。  こういう姿を遠くから見ておりますと、科学技術なんて大変いい名前だから科学技術すべてをやっていてくださるように思うけれども、その内実は原子力宗宙技術開発庁みたいなふうになっちゃうんじゃないか。名前を改めろとは言いませんけれども、本当は科学技術全般にわたって責任を持っていらっしゃるはずだとぼくたちは思うわけ。だけれど、何かやりづらいことがあるのですか。それとも何か制限があって全般になかなか及んでいかない。こういった予算配分を見ましても、大変偏りが感じられるわけですけれども、いかがでございましょうか。
  96. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 わが国の科学技術の総合的推進をするというのが科学技術庁の役目でございますから、したがいまして、さような意味科学技術庁だけの。プロパーの予算を見ていただきますと、あるいはそのような御感想をお持ちになるかもしれません。しかしながら、他の省庁に対しましてもやはり科学技術庁といたしましてはその推進役をいたしておるわけでございまして、他の省庁の予算を合わせますと、おおむね四千億くらいになり、さらには大学等におきましても同じように科学技術の研究開発をやっていただいておりまするが、そうした面をも含めますと、八千六百億円くらいに本年度もなるわけでございます。こうした予算すべてに関しまして、やはりわれわれといたしましてはいろいろと大蔵省との折衝の際にはそのお手伝いをしておるということでございますので、そういう面でひとつおながめ願いたいと存じまするし、また科学技術会議という最高の機関もあるわけでございますので、この会議とも十二分に科学技術庁といたしましては連動いたしまして、それでいろいろと予算を組んでおるわけでございます。  確かに科学技術庁プロパーをごらんになりますると、ことしは私は特に原子力に力を入れろ、こういう方針で臨みましたので、そういうような結果であるかも存じませんが、しかし、他の省庁とも考えてやっていただきたいと思いますし、またそれをするのが私たちの務めであると存じております。
  97. 有島重武

    有島委員 そういたしますと、ぼくの要望としては新しいエネルギーの開発に本気で力をお入れなさいませとこう申し上げたいんだけれども、ひとついま八千億と、それの内容も出してくださいませ。そして新しいエネルギーの開発ということに本当に本腰でもって取り組んでいくという姿勢をひとつ御表明いただきたい、いかがですか。
  98. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いまの数字をもう少しく詳しく申しますと、科学技術庁といたしましては、約二千三百億、関係省庁を入れますと四千億になり、さらに大学関係を含めますと八千七百億、これがわが国における科学技術関係予算でございます。したがいまして、この中にはいま有島委員の御指摘になっております新エネルギーの開発の面に対しましてもいろいろ各省庁にまたがりまして研究をしてもらっておるということでございます。特にサンシャイン計画は、これは通産省がその仕事を進めております。そうして他の研究開発機関におきましても幾つかの問題がございます。いずれ、そうしたことはひとつ表にでもいたしましてごらん賜ればいかがであろうかと存じます。
  99. 有島重武

    有島委員 その一つ一つの現場を見ますと、かなりお粗末な状況が見られるわけです。私も幾つか見ました。それでこういうことを申し上げているわけです。  それから、三月四日の予算委員会の明くる日、三月五日だったと思うのですけれども、エネルギー対策につきましての閣僚会議が開かれたというお話でした。これは一体どういった内容なのか。新聞では報道されたのですけれども、何かその会議のときのメモ書きのようなものがおありになりますか。どんなことが話されて、どういうことが決められたのか。
  100. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 大体こういうことでございます。  総合エネルギー対策推進閣僚会議と申しますが、ちょうどことしの二月十五日閣議の口頭了解で、そして総合エネルギー対策の推進に関する重要問題について意見を調整するためにこういう閣僚会議を設置しようということに相なりまして、それが三月の五日に開かれたわけであります。参加閣僚は、総理大臣、外務大臣、大蔵大臣、通産大臣、経企庁長官、科学技術庁長官環境庁長官、内閣官房長官、以上八閣僚でございます。  第一番目には、わが国のエネルギー政策の現状と今後の問題点、これは先ほど私が触れましたが、昭和五十年十二月に策定されましたその当時の内閣の閣僚会議における長期需給計画でございます。いわゆる原子力に関しましては四千九百万キロワットと書かれているものでございますが、これについて果たして整合性があるか、あるいは実行性があるかということが一つの議題になりまして、これを通産大臣から事細かに報告がございました。また、私からは原子力をめぐる国際情勢、特にその当時カーター新政権の新政策、これの全貌をつかみたいというので、私の代理であります井上原子力委員長代理をアメリカに派遣いたしましたから、そうした報告をも兼ねまして私からもそういう意見の発表を行いました。さらに、今後は原子力委員会、通産省の総合エネルギー調査会などにおいての検討を踏まえて、そして速やかにひとつ実行性、整合性のあるプランを練ろうではないかということになったわけでございます。そのときには二年前に策定いたしまして一応めどを一九八五年に置いたそのプランをひとつ見直そう、これが第一点でありますが、しかし、それだけでは後八年先の話であるからもう少しく延びたところの時点もキャッチしなくてはうそではないかという話になりまして、そして一九九〇年ごろの大体情勢をも踏まえての実行性ある計画を練ろうではないか、これはひとつ幹事会に任そう、こういうふうになったわけであります。
  101. 有島重武

    有島委員 時間がもう少なくなりましたけれども、最後に一つだけ具体的に承っておきたいのですけれども、億に達するキロワット・アワーの出力、日本の国でのいまの出力といったら大体二億程度のものであろうと思いますけれども、その中で電力が一億ぐらい——うなずいていらっしゃいますから、そうでしょう。それが他に求められるとするならばそれは海洋の波浪エネルギーではないかということは長官も御承知かと思う。大体どのくらいの可能性があるというふうに御承知ですか。
  102. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 波のエネルギーを利用いたしますことにつきましては、いろいろな利用の仕方があるわけでございますけれども、エネルギーのいわゆる物理的な見方でございますが、非常に波の高さとか条件等によって違うわけでございまして、それを日本全体で換算をしていくということは大変むずかしゅうございますけれども、非常に大ざっぱでございますけれども、現在一つの試算に使われております数字は、海岸線一メートル当たり四十キロワットということでございます。海岸線一メートル当たり四十キロワットというのを全国の海岸線でずっとあれすれば、数字の上だけでの日本全体としての波から得られるキロワットというのは計算ができるわけでございます。しかし、これは静かな日には出ないわけでございますし、波が高いときにはたくさん出るとか、非常に不安定なこともございますし、それからまだ発電の構想はいろいろなことで考えられるわけでございますので、構想いかんによってはいろいろなケースが考えられるわけでございますけれども、利用しようとすれば少なくとも大変な構築物をつくらなければならない。その構築物をつくるためには大変なエネルギーを使わなければならぬとか、いろいろな問題がたくさんあるわけでございまして、簡単にこのキロワットだけからそれが最も得られやすいエネルギーかどうかということは非常にまだ疑問が多いということでございます。  なお、科学技術庁としては、海洋開発センターというところにおきまして波で空気を圧縮する、空気タービンを動かして発電をするということについての非常に基礎的な試みを始めております。これは湾とかそういうところで波を消すということを目的にしておるのでございますけれども、同時にエネルギーが得られないかということで検討をいたしておる、こういう段階でございます。
  103. 有島重武

    有島委員 一メートル当たりというのを伺いましたけれども、総枠でもってどのくらいになるのですか。
  104. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 ただいま申しましたことで、全く単純に海岸線の長さを掛けたキロワットは、石油換算にいたしますと約四・二億キロリットル・パー年でございます。
  105. 有島重武

    有島委員 電力では……。さっきの電力でおっしゃったでしょう、一メートル当たり……。
  106. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 はい。一メートル当たり四十キロワットでございますから、海岸線の長さが幾らか、ちょっとそっちの計算はいたしておりませんので……。
  107. 有島重武

    有島委員 これは百億けたになるわけです。大体百億けた、幾つか係数を掛けましても六十億以上にはなるわけです。これは海岸線と言いましたけれども、海岸の波打ち際のエネルギーと——あれは波がクラックして砕けてしまうわけですね。そうじやなくて沖合いのエネルギー、いま海洋技術開発センターでもってやっておるのは、やや沖合いの波のエネルギーです。それの換算もあるわけなんですね。こんな基礎的なことなんだから、大変御熱心な技術庁の方々だから、もうさっと、そんな計算なんかしなくても出てきてもいいんじゃないかと思うのだけれども、やや不熱心だということはおわかりですね。  それからもう一つ、いまやっていらっしゃるのは波の上下運動のエネルギーです。これは横にもらったエネルギーの方がさらに強い。そういった学術的な成果がちゃんとあるわけです。それも御存じなのか御存じでないのか。宇野さん、どうですか。いろいろ聞いたけれども、ついに原子力よりなかった、こう結論を出された宇野長官ですから、そういったことはよく御承知かと思うのだけれども、いかがですか。
  108. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いま局長説明いたしました程度のことは私も一応耳にいたしております。そしてまた今日、各港等で浮き灯台がございますが、あれは自家発電をしておるとか、あるいはまた消波だとかそういうことは聞いておりますが、いまの有島さんの話は、ちょっと私といたしましても初耳でございます。
  109. 有島重武

    有島委員 ですから、やや長官も不勉強でいらっしゃるわけです。いちずに思い込んじゃって、原子力、原子力とこう——その執念はわかるけれども、やや馬車馬的である、こう何かなっておる。それを知っていただきたいわけなんですよ。そのために私は時間をいただいたわけです。  それから、いま幾つかお挙げになったけれども、そのほかに政府に対して報告されている文書がたくさんあるはずなんです。それはある場合には通産省の方に報告されているということがあるかもしれない。私の知っているのでも、こういつたのは御存じですか。これは三菱総合研究所の文書です、二冊ございまして、三冊目も出るそうですけれども。これは研究所ですから、机上プランということもあります。しかしその中には、もっと実験に踏み切ってみたらば一体どういうことになるのだろうかというようなことまで言っても、お金がなくて実験できないというような状態であるのがあるわけなんです。そのお金も何千億なんて使わないわけですね。数十億でもって実験が楽々できるというものがまだまだたくさんあるようであります。こういうことをもっと積極的にやり出すべきじゃないか。今度、原子力のデメリットについてはいただくけれども、いろいろな不安定要素がある、しかもまだ実験段階ですから、そういった御努力をぜひともしていただきたい。いかがでしょうか。
  110. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 まあエネルギーに関しましては、資源小国のわが国でございますから、もうありとあらゆる情報を集めて、そうしてその可能性を追求していくのが当然のことだと思いますから、今後もそういう面におきましても努力はいたしていきたいと思います。
  111. 有島重武

    有島委員 それで、いまの波浪のことについては、特に私は興味を持っているわけなんですけれども、今後もちょくちょく伺うかもしれないから御勉強いただきたい。そして、これはイギリスで開発されたもの、日本で開発されたもの、いろいろなものがあるわけなんですけれども、ぜひとも——原子力も確かに大切、私たちは原子力はいろいろ危険があるからやめてしまえといちずには申し上げるわけではありません。しかし、ほかのものが何にもないのだから、これ以外にないというような言い方は、いまのところ宇野長官の知っていらっしゃる範囲ではそうだったけれども、なおこれをもっと調べていくという、そういう姿勢は今後強く持っていただきたい。  それからまた、さっきの長期の話ですけれども、そんな夢みたいな話ではなくして、だけれども、ここからスタートしていかなければならない。これは原子力や核融合だけではない。そういうようなことをもっと多角的に、かつ長期、短期というふうに、それが総合計画であろうと思いますので、そのことを申し上げまして、きょうの質問は終わらしていただきます。  最後に長官からもう一遍御所信を承りましょう。
  112. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 きょうはいろいろ、有島委員独特の新しい観点に立った御意見を拝聴いたしまして、ありがとうございました。われわれといたしましても総合的にそうしたことにもやはり耳を傾けて、極力勉強していきたいと存じます。どうもありがとうございました。
  113. 有島重武

    有島委員 どうもありがとうございました。
  114. 山田太郎

    山田委員長 以上にて、有島重武君の質問は終了いたしました。  次に、小宮武喜君。
  115. 小宮武喜

    ○小宮委員 私は、質問の本論に入る前に、ぜひとも長官に明らかにしてもらいたいことがございます。  それは、去る十七日の衆議院予算委員会の総括締めくくり質問の中で、各地の原子力発電所でこの十年間に放射線被曝による死者が七十五人も出ている疑いがあるという質問がなされておりますね。もしこれが事実とすれば、これはゆゆしき問題だと思うし、また、今後の原子力行政についても非常に暗雲を投げかけるような問題でもございますので、こういう事実があったのかどうか。また、従来は政府にしても電気事業者にしても、死者は一人も出ておりませんということを発表していた手前からしても、これはもうその責任も非常に重大だと思いますけれども、こういう事実があったのかどうか。ややもすれば、こういう問題がマスコミに非常に大きく取り上げられ、特に原子力行政に対する不信感というのは非常に大きく倍加されてくるわけですから、この問題についてはひとつ明らかにしてもらいたい。これを長官は認めたのかどうか、この点明らかにしてもらいたい。
  116. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 あのときにもはっきり私から御答弁申し上げましたとおりに、今日までわが国における原子力関係で人身に障害を来したということはございません、一名もございません、これは申し上げておるわけでございます。ただ、楢崎委員といたしましては、本当に足であちらこちら歩かれまして、被曝状況に関していろいろなデータをお持ちでございましたし、そのデータにつきましても、われわれといたしましても初めてのことでございますから、その場での即答は避けたわけでございますが、私といたしましてはいまだに原子力において人身障害を起こしたことはないということをかたく信じております。しかし、重大な御提言でございましたから、この問題に関しましては十二分に、やはり人命に関する問題でございますし、今後の原子力行政の上におきましても大変な問題だと私は受けとめております。  特に、楢崎委員の御指摘の中に次のようなことが私は重大視されているのではないかと存じます。それは一応外的な被曝はいろいろと測定し得るかもしれないけれども、内部被曝というのがなかなか測定しにくいじゃないかというような御指摘が第一点だったと思います。第二点は、やはりいろいろそういうふうなデータをつくっておるのが企業側であって、したがって信憑性が非常に薄いとも受け取れる、こういうふうな面はどうするのかというふうなこともございました。また、現に下請企業の従事者の方々の中には、もちろん原爆手帳そのものにつきましても、みずからの被曝程度をそこにノートすることを今後のポストの上からいっても避けておられるような面があるが、この辺もどうであろうか。また企業側は、冷たく言うならば使い捨てのような調子でこういう人たちを使っておるのじゃないかという御指摘でございまして、安全という点から考えました場合には、いずれも重要な問題でございますので、私は、厚生省なり労働省なりまた通産省なり、そういう関係省庁とも十二分に連絡いたしまして、御指摘のあった面に関しましては政府といたしましても今後慎重な調査を十二分にいたしましょう、そして、なおかつそういうことの起こらないように考えてまいりますというふうにお答えしたわけでございまして、あのときの私の答弁といたしましては、今日までそうした人身障害というものは一件もないということだけははっきり申し上げておるわけでございます。
  117. 小宮武喜

    ○小宮委員 私もいままで原子力発電所を四ヵ所ばかりずっと見学して回った経験がございますが、その経験からすれば、個別の放射線管理だとか出入りの管理なんか相当厳しくやっておるので、まさかという気もしましたけれども、やはりこの事実関係はひとつ徹底的に調査をして、国民の前に黒白を明らかにしてもらいたい。科学技術庁もそれでは調査をするということを約束されたようですけれども、これはどういう方法で、いつごろまでに調査が終わるのか、その点いかがですか。
  118. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいまの先生の御質問につきまして、大臣の御答弁にちょっと補足させていただきながら御答弁申し上げます。  楢崎先生の御指摘、幾つかございましたが、まず先生の挙げられました数字は、かって原子力発電所で作業をしたことのある社員及び下請労働者で退職後お亡くなりになったという方を主としてお調べになったわけでございまして、その死因をお調べになったところ、七十五名の方々の中で、がんで亡くなられたと思われる方が三十二名、こういう御指摘でございました。私どもその資料を調べさせていただきましたが、私ども調査と比べてみまして、この三十二という中には必ずしもがんと分類されない方もおられるようでもございますし、これは厚生省の死亡統計との比較が必要でございます。つまり、お亡くなりになられた方全体で、たとえばがんの関係でお亡くなりになられた方が何人おられるかということを調べたわけでございますが、ただいままでの調査では、国民全体で考えますと、大体五人に一人ががんでお亡くなりになっている。これは原子力と全く関係のないことでございますけれども、平均で五人に一人。ただ、成年男子ということでとらえますと、大体三人に一人がお亡くなりになっておるというのが厚生省の統計に出ております。そういうことから考えますと、楢崎先生のお示しになったこの数字も、大体その平身の数字と同じということでございますので、現在までの調査ではその間に特に有意の差はないというふうに私どもは考えております。  しかし、この問題は非常に重要でございまして、ただそれだけの御答弁で済む問題ではないと私ども十分に認識しております。大臣の御指摘もございましたように、内部被曝の測定なり企業データをどう信頼性のあるものにするかという問題もあります。したがいまして、私どもといたしましては、下請の従業者を含めまして、今後ますます原子力施設におきまする作業環境の改善、特に放射線被曝の減少ということに努力をしなければいけない、そういうことによって初めて国民の間に信頼を得ることができると考えております。特に、この問題につきましては、昨年六月でございますか、電労連からも被曝低減化について非常に貴重な御提言をいただいております。そういうことを中心にいたしまして関係省庁との間で十分調査をいたしてまいりまして、皆様方に御不安をかけないようにいたしたいと考えております。  なお、私どもがいろいろやります中に、被曝管理につきましての登録制度を集中的に、いわゆる中央登録管理制度というふうなものを実施いたしたいと考えまして、これは五十二年度に予算もいただきましたので、その準備をあわせていたしておるところでございます。
  119. 小宮武喜

    ○小宮委員 私の質問は、この前の予算委員会での質問に対して、政府としても調査をするという約束をされたということが言われておりますから、改めて具体的にどういう調査をするのか、どういう方法で調査をするのか、その点をお聞きしておるわけです。それで、その調査がいつごろまでに完了するのか、その点をお聞きしておるわけです。いま調査で云々ということを言われましたが、それがもう調査だというふうにお考えではなかろうと思いますけれども、だから、具体的にどういう方法で調査をするのか、いつごろまでかということです。
  120. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 あのとき、特に楢崎委員の方からは、どの省が責任者として調査するかというような発言もございました。立つ者がいなかったものですから、責任上、私立ったわけですが、現在、商業用発電炉に関しましては、科学技術庁が一切の責任を持って調査するかしないかということに関しましても、いろいろ問題がございます。通産省にもやはり直接の責任はございましょうし——決してそういう意味で責任の押しつけをするという意味ではない。また、一たん退職をされた方々を追跡調査するというのは非常にむずかしいので、直接原子炉設置者との間はなくなっておるが、その因果関係はどうなるかということになれば、やはり労働省にもいろいろとお教えを願わなくちゃならない面もあるだろう、したがって、ここでどの省が窓口でやるかということは非常に言いにくいから、しばらく時間をかしていただいて、十二分に各関係省庁で連絡しますというふうに申し上げたのですが、それの第一回の連絡会議が、こうやって予算委員会等々がありましたので、まだできておりません。きょうも局長に、いつやるんだ、早くやってくれよということを私から申し上げておるわけでありますので、極力早い機会にこの問題に関しましては、どういうふうな調査内容にすべきか、またどういうふうな対応ができるのか、できないのか、いろいろございましょうと思いますから、そういう点を事務当局間で少しきちっといたしまして、やはりこれはもう国会でお約束した以上は、当の本人の楢崎さんにも私から申し上げなくちゃならぬと思いますし、また、いませっかく御質問賜りました小宮先生にも申し上げなくちゃならぬと思いますから、そうしたことを、早急に各省庁の関係者を呼びまして、だれが責任を持ってやるか、必ずどこかにきちっと責任を持ってやってもらおうと思っております。そうでございませんと、重大な問題でございますから。  さような意味で、いつごろまでにできるかということは、まだその第一回の会合がなされておりません。はなはだ不勉強でございますが、そういうふうな事情でございますので、早急にやりたいと存じておりますから、御了解のほどをお願いいたします。
  121. 小宮武喜

    ○小宮委員 この問題についてはわれわれも重大関心を持っておりますので、そういう関係から、われわれも組織を通じて現在もうすでに調査を開始しております。その調査結果が出次第、改めて本委員会で取り上げていきたいと思いますけれども、今回はこの問題はこれくらいにして、質問の本論に入りたいと思います。  そこで、科学技術庁質問したいのは、いわゆる長期原子力開発計画に関連して、二、三点質問します。  一昨年八月、総合エネルギー調査会では、昭和六十年度エネルギー需要のうち、原子力発電は九・六%の四千九百万キロワットと位置づけをしているわけです。ところが、この四千九百万キロワットの目標を達成するには、五十年度末で六百六十万キロワットですから、五十一年度から六十年度までの十年間に新たに四千二百四十万キロワットの開発が必要になってまいります。そうすると、毎年四百二十四万キロワットの開発が行われなければならないという計算になってまいります。しかしながら、五十一年度の電源開発計画では、原子力の着手目標の三百三十三万キロに対して、昨年九月末までに電調審の決定を見たものはゼロというありさまですけれども、このエネルギー問題は、先ほどもいろいろ論議をしましたけれども、また、この問題はわれわれの今後論議を続けてまいりますけれども、非常に資源の乏しいわが国にあっては、石油依存から脱却するためにどうするか、さしあたりはやはりこの原子力開発の推進というものはわれわれもそれを認めているわけですけれども、しかし、こういう事態に立ち至っておるこの現状について、政府はやはり反省をしていただくと同時に、次の問題をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。  第一は、六十年度四千九百万キロワットの達成は事実上もう不可能だ、こういうふうに思われるのですが、どれくらいの達成ができるのか、その点見解はいかがですか。
  122. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 御指摘のとおり、昭和六十年度四千九百万キロワットは、私はもう不可能だと率直に思います。したがいまして、早急にその見直しをしたいというところでございます。  現在、電調審が決定済みのものを入れまして、全部がそのときには稼働しておるという計算をいたしましても、全部で二十八基でございますから、したがいまして、それで二千七十九万キロワットしかございません。はるかに遠いものでございましょうが、あらゆる努力をいたしまして、近く閣僚会議におきましても、先般この見直しということを幹事会に命じておりますから、具体的な数字は、今後関係省庁におきまして、十二分に実行性の伴う数字として計上していく予定でございますので、いまここで見通しはと言われましても、はなはだむずかしいのではないかとしか言いようがございません。
  123. 小宮武喜

    ○小宮委員 達成できないということにもうなってまいるわけですから、そういうような意味で、わが国の電力の需給に支障はないのかどうか。たとえば中央電力協議会でも、この夏の電力需要の見通しでは、北海道電力はピンチに立たされておる。さらに中部、中国電力の一部でも供給制限に追い込まれるであろうということが言われておるわけですけれども、その対策はどうしますか。
  124. 武田康

    武田政府委員 原子力の開発等々がおくれておりまして、先生指摘のように、将来に向かって電力需給を考えますると、心配な面があるわけでございます。それで、原子力の四千九百万キロワットと、それから先ほど大臣がお答えになりました現在までに設置許可申請の出ております二千八十万キロワットとの差、こういったものが現実に影響してまいりますのは、原子力の建設とか、あるいは安全審査機関等々を考えますと、これから六、七年先、つまり昭和五十八、九年、六十年ごろということでございますが、もう一方で、原子力のみならず火力発電の立地等も前々からなかなかむずかしい問題がいろいろございまして、おくれぎみでございます。そういった意味では、北海道がことしすでに危ないという、あるいは中部なり中国なりの一部でやや問題がある。これは電気の需要そのものにつきまして、普通の地域では夏が一番問題でございますが、一体温度が何度になるのか、暑い日が続くのか、それともわりに涼しい夏で済むのかということで需要が大分狂って——狂ってというとおかしいのでございますけれども、予測と現実の需要が狂ってまいりますので、断定的に申すのはちょっと問題でございますけれども、悲観的な見方を積み上げますと、先生指摘のとおり、北海道が現在一番危ない状況でございますし、また、それに続きましては、ことしは私は何とかなると思いますけれども、来年、再来年以降中部地方なり中国地方で、それもよそからの融通が、もらう電気がないという仮定を立てますと、危ない状況が考えられるわけでございます。  もちろん、先ほど申し上げましたように、需要というのは予測をいたしますが、予測と実績とが狂いますので、いい方に全部狂ってまいりますと、いま申し上げました北海道、中国、中部等々もいま申し上げましたような期間を平穏無事に過ごすということもあり得ることでございます。  ただ、北海道の例で申し上げますと、すでに昨年大口需要の一部に、これは制限というとちょっと語弊がございますのですが、大口需要の一部で、普通の状況ならこれだけ使うんだというのに比べまして、電力バランスの点を考えてもらいまして、工場の運転状況といいますか、工場の稼働状況の調整をしてもらったというような実績がございます。そういう大きな工場の稼働状況の調整をしてもらうというような状態、これもまた、電力会社とそれから当該需要家との話し合いで話し合いがつくというような状態まで含めて申し上げますと、北海道はもうすでにそうなっておるわけでございますし、ほかの地域でもいつでもそういうことが起こり得る状況でございます。  何分、需要そのものが予測でございますので、いまから断定的に何年が危ない、何年には確実にそうなるということを申し上げかねる状況でございますが、現状、心配のあることであるということは間違いないわけであります。
  125. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に北海道あたりは東北電力から送電するということも不可能だし、だから、やはりそういった意味で私は景気回復の問題とも関連して、天気がよかったか、暖かかったか寒かったかというような天気任せの話でなくて、やはりいま景気回復がおくれておるから案外電力需要も落ち込んでおると思うのです。しかし、まさに景気回復を図るというのが今国会の特に予算の大きな趣旨でもありますし、そうなった場合、やはりいま言われておる北海道、あるいはたとえば中国、中部電力の一部でも供給制限をしなければいかぬというような問題に逢着した場合に、その景気回復にもやはり支障を来すようなことになりはしないかということを考えた場合に、三年、四年先ではなくて、そういう当面の電力不足の問題に対して、これをどうするのかということを考えておかなければ、私はこの問題はやはり大きな問題が起きてくるぞということを指摘したいのです。だから、その問題についていろいろ努力をしておることはわかりますけれども、まだこれからいろいろな問題を質問しますが、その中でわれわれは、やはりそういった問題を解消していくためにはどういうことを政府がしなければならないかということをこれからいろいろ質問するわけです。したがって、現在運転中のもの、それから建設中のもの、あるいは今後電調審にかかる見込みのあるもの、それから地点の決定だとか、あるいは電調審関係あるいは安全審査の問題あるいは着工というようなリードタイムを考えて本当に実現可能な計画をひとつ策定して、その計画の達成のために政策的あるいは具体的なプロセスをやはり再検討する必要がありはしないかということをわれわれは考えるわけであります。だから、六十年度の長期エネルギーの需給計画はもう御破算になった、だから、今後どうするかということについてはっきりしたものをやはり打ち出すべきだ、こう考えますが、その用意はありますか。
  126. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いまおっしゃったと同じ考え方で、三月五日でございますか、新しいエネルギー閣僚会議を開きまして、そこで早急に実行性、整合性のある計画を立てるべきであるということを決定したわけでございます。なお、作業は幹事会におろしましたので、幹事会で鋭意早くその策定ができるように努力をしている最中でございます。
  127. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は、原子力行政体制の改革と強化について質問します。  少なくとも一国のエネルギー問題、特にこの原子力問題は、やはり党利党略とか、あるいはイデオロギー問題だけでこれを考えるべき性格のものではない。エネルギー問題は、われわれが大きな責任を負わなければなりません。たとえば、いま石油がなくなる、原子力がなくなる——先ほどの質問にありましたように、いろいろなエネルギー源がありますけれども、そういったものも推し進めていくことは当然ですけれども、しかし、それとても三年や五年ですぐエネルギーとして、本当にいまの石油にとってかわるべきエネルギー量になり得るのかどうかということを考えた場合に、やはりそういったものも開発についてはいろいろ検討をしていただかなければなりませんけれども、当面のこの原子力の開発の問題は、問題はあっても、これを何とか国民のコンセンサスを得て推進しなければならぬのではないか、こういうふうに私は考えます。  そういう立場から現実を見てまいりますと、なかなか環境問題だとかあるいは安全性の問題で、国民のコンセンサスを得るための努力をやっておるとは思いますけれども、しかし、そういった国民のコンセンサスを得るための、接近していくことならいいけれども、むしろ遠のきつつあるのが現状ではないかというふうに考えますので、そういった立場から二、三質問します。  政府は、さきに、これは前田科学技術庁長官時代に、私的機関として原子力開発に関する基本構想をまとめるための懇談会を発足させておりますね。この懇談会の性格と目的、役割りについてひとつ御説明を願いたいと思います。
  128. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま先生指摘の、わが方大臣の私的諮問機関に先立ちまして各種の原子力行政についての懇談会があったこと、御指摘のとおりでございまして、これら原子力行政懇談会等を初めといたします各種懇談会の結論等を尊重しながら、今後の原子力開発の基本的なあり方といったふうなものにつきまして、各界有識者の貴重な意見を承って、これを今後わが方の施策の参考にしたいという趣旨で昨年の十月に初めてこの私的な懇談会というものが開催されたわけでございまして、実は今朝もそのような会合があったわけでございますが、これは、原子力産業会議あるいは経団連その他関係の幅広い識者の方々にお集まりいただきまして、各先生方個人の御意見をちょうだいするという性格で組織したものでございまして、全体としてまとめた答申を出すといったふうないわゆる審議会形式にはなっておりません。
  129. 小宮武喜

    ○小宮委員 この懇談会には原子力行政懇談会のメンバーもかなり参画しておるようですが、いまのような説明かちいっても、原子力行政懇と長官の私的機関であるこの懇談会との関係はどうなるのですか。答申なんかしないわけでしょう。それはどうなりますか。これは、長官がこういう問題は皆さんいかがでしょうかという、ただ長官の何か勉強するような一つの機関にすぎないのですか。
  130. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 これは前長官がおつくりになったものですが、私もその必要性を認めまして、いま局長が申しましたとおり、きょうでちょうど第二回目を開いたわけであります。仰せのとおり、この中には行政懇の会長の有沢さんも入っていらっしゃいますから、つまり行政懇の方々もいらっしゃるわけでありますが、行政懇は、その役目が無事終わりましたので、先般一応解散なさいました。  たとえば、本日の会合においてどういうことが議論されたかと申しますと、やはり福田・カーター会談でございます。特に今日、カーターさんの新政策に対しましては、米国内におきましてもいろいろ議論があることを私たちは情報によって知っております。特に、わが国にもございます原子力産業会議、原産会議と言っておりますが、あの原産会議におきましても、やはりカーターさんが余り行き過ぎた政策をとってくるとアメリカの経済に影響が多大であるというふうな意見もあるわけでございます。そういうふうな意見等々もやはり財界の方々からは直接私に教えていただきますし、また私からも、そういうふうな意見がアメリカにあるのならば、ひとつ日本の経済界の方々もアメリカの経済界の友人を通じましていろいろと日本立場説明していただいたらどうであろうかと、そういうふうな、もう非常に弾力性のある話がその都度その都度できるということでございますので、私といたしましても、二度目でございましたが、やはり相当なメンバーでございます。そういうメンバーの方々が寄っていただきますと、なるほどわれわれの政界では盲点であったようなところをずけずけと言っていただいて、非常に私個人にとりましてもこれは大きな収穫であると思っておることが幾つもございますので、さような意味でこの有識者の懇談会が持たれておる、かようにひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  131. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は行政懇答申の個々の問題について若干質問します。  原子力安全委員会のスタッフについて、現行方式では、原子炉設置許可申請が事業者から出された場合、総理が原子力委員会に諮問して、そして原子炉安全専門審査会が審査に当たっているわけですけれども、これを、行政懇答申によれば、発電炉の場合、通産省が審査し、それで原子力安全委員会がそれぞれダブルチェックをするという仕組みになっております。ここで問題になるのは、通産省の審査体制と原子力安全委員会のダブルチェック体制の問題です。行政懇答申の体制に移行する場合に、通産省の審査体制はどのようになるのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  132. 武田康

    武田政府委員 行政懇答申の趣旨を踏まえまして、現在原子力基本法等の改正の法律案というものができておるわけでございますけれども、その案どおりになるといたしますと、先生指摘のとおり、発電用の実用炉につきましては通産省で安全審査をする、こういうかっこうになるわけでございます。現在原子力発電所につきましては、従来とも基本的な設計等々につきます安全審査は、私どもでなく原子力委員会の方でやっておりますけれども、その後を受けまして、電気事業法に基づきまして詳細な設計の審査あるいはその工事につきましての検査、監督、それから運転に入りましてからの検査、監督等々を通産省としても実施してきたところでございます。そういう実績を踏まえまして、もう一つその基本設計等につきましての安全審査という重大な課題を私ども責任を持って実行しなければいけないわけでございますが、いま申し上げましたような従来から分担している部分につきましての実績をもとにいたしまして、今後ともさらに安全規制に関する私ども自身事務局の能力の向上、それから体制の強化というものに努め、安全の確保に万全を尽くしていきたいというのが、私どもいま考えているところでございます。
  133. 小宮武喜

    ○小宮委員 通産省が審査したものを今度は原子力安全委員会がダブルチェックをするということになってまいりますと、やはりわれわれが考えても、専門家の通産省が審査したものを原子力安全委員会がさらにチェックするということになれば、これはもう、通産省の審査体制よりむしろ原子力安全委員会の審査体制というのは、もっとやはり専門的にその体制がなければ、その通産省でやったものをこっちで原子力安全委員会がやるといっても、果たしてそのダブルチェックという機能を発揮できるのかどうかということを考えるわけです。ところが、この行政懇では、原子力安全委員会の委員は若干名ということになっておりまして、しかも政府の方針では九名、そのうち七名が常勤と、こういうふうに言われておるわけですけれども、その事務局は当面科学技術庁原子力安全局に置くということになっていますね。そうしますと、原子力安全委員会の所掌から見て、その体制で、事務局を科学技術庁原子力安全局に置くだけで十分機能し得るのかどうかという問題をわれわれは心配するわけです。したがって、原子力安全委員会の下部機構として、現行の原子炉安全専門審査会的なスタッフあたりを必要とするのではないかということを考えますけれども政府の考え方はどうなんですか。
  134. 伊原義徳

    伊原政府委員 先生指摘のとおり、行政省庁での安全審査を踏まえましてのいわゆるダブルチェックを行います原子力安全委員会の機能が強力であるということは、まさに必要なことでございます。したがいまして、今回の改正におきましては、原子力安全委員 これは実は予算要求段階では九名でございましたが、成案の段階で五名とはなっておりますが、そのうち四名は常勤ということで、その観点から現在の原子力委員会の安全担当の先生方に比べると、格段に強化されておる、こういうことでございます。  それから、先生指摘のその下の安全専門審査委員的な方はどうなるかといいますと、原子炉関係につきまして三十名が四十五名に、核燃料関係につきましては三十名が四十名、こういうふうに定員をふやすというふうなことを考えておるわけでございます。  それから、そのほかにもちろん事務局といたしましての科学技術庁側の体制の強化、これは量だけではなくて質の向上も含めまして、そちらの強化も当然必要になる、こういうことでございます。
  135. 小宮武喜

    ○小宮委員 大体その点わかりました。  次は、公開ヒヤリングの問題について質問します。  行政懇答申では、前後二回に分けて公開ヒヤリングを実施することになっているわけですが、まず第一回目の公開ヒヤリングについては、電調審の前に、原子力発電所設置にかかわる諸問題について通産省並びに関係各省庁が主催して行うことになっております。ここで問題になるのは、公開ヒヤリングの内容と電調審の関係がどうなるのか。第一回の公開ヒヤリングの時点では、まだ安全審査が行われておりませんから、その時点で公開ヒヤリングをやる場合、公開ヒヤリングをやるとすれば、いろいろな原子力発電所建設にかかわるすべての問題が爼上にのってくるわけですね。そうした場合に果たして公開ヒヤリングはうまくいくかどうか。つまり、知事の同意の関係の問題もありましょう。資料の公開問題等、従来のいろいろな説明あたりの経過を踏まえてみますと、実際に公開ヒヤリングがスムーズに混乱なく開催できるかどうかということにも疑問を持たざるを得ません。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕 したがって、電調審の決定がそのためにむずかしくなったり、あるいは電源開発の見通しが非常に困難になってくるということも、私は起こり得ると思うのです。原子力開発を推進するための公開ヒヤリングが、国民のコンセンサスを得るという目的のもとに開かれた公開ヒヤリングが、そういうことで意に反したような結果にならないとも限らないということを私は懸念します。  そういった意味で、第一回の公開ヒヤリングの実施について、電誤審との関係、知事の同意の関係、内容、実施方法等について政府の考え方はどうなのか、その点いかがですか。
  136. 武田康

    武田政府委員 行政懇の御意見によりますと、いま先生指摘のように、公開ヒヤリングは二度ございまして、第一回目は電源開発調整審議会に上程する前、こういう形になっております。それで、それを実施するものは、先生指摘のとおり、通産省関係省庁と協力して実施をする、いわば私どもがそういう場所を設定しなければいけないわけでございます。  それから、そのときにどんなことが行われるかということでございますけれども、これは当該原子力発電所につきましてだれが説明をし、だれが質問に答えるかということになろうかと思いますが、これまた行政懇の御意見の中では、当該原子力発電所原子炉を設置する電気事業者が説明役であり、答弁役でございます。ただ、仮に法律解釈はどうなのかというような話題が出れば、あるいはこれは電力会社が答えるのが適切でないようなものもあるかと思いますけれども、これはこれで応用問題で考えなければいけない問題かと思っております。  さて、それを具体的にどういうような内容でどんなようなやり方をするのかという点でございますけれども、これは現在のところ私どもでは、行政懇談会の意見の趣旨に沿いましてどんなふうに具体化していったらいいかということをいま検討しているところでございまして、検討結果が出るにはもうしばらくかかるかと思っております。  それから、電調審との関係あるいは電源開発調整審議会における知事の同意といいますか、知事からいつも御意見をいただくことにしておりますけれども、その方は、この公開ヒヤリングが終わり、それから電調審に必要な関係各省の調査なり議論なり、あるいは当該原子炉を設置いたします地域を所管される知事の御意見あるいは同意というようなもの、そういう現在ございますいろいろな手続といいますか、議論といいますか、そういうものが済めば電源開発調整審議会に出ていく、こういうかっこうになろうかと思います。  ただ、先生のお話のとおり、安全審査は電源開発調整審議会の後でございますので、安全審査につきましての国の判断がどうかというような議論につきましては、これは電調審時点以前ではお答えのしようのない問題でございます。そういった意味で、第一回の公開ヒヤリングでどんなやり方をしようと、議論が二回目に持ち越される部分というものはあろうかと思います。そんなことも踏まえ、それから議論なり、いろいろ出てくるであろう御意見、こういうものは非常に広範になる可能性のあるものだということを踏まえまして、かたがた、第一回公開ヒヤリングは通産省関係の各省と協力してということでございますので、そういったことも踏まえまして、先ほど申し上げましたように、具体的な実施方法等を検討しておるところでございますけれども先生指摘のとおり、そういった手続のために電源開発がおくれるようなことのないというようなことも配慮した上で、内容、やり方を決めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  137. 小宮武喜

    ○小宮委員 これはここで皆さん方が言われるようにスムーズにいくかどうか、非常に懸念される面がございます。しかしながら、われわれはこの公開ヒヤリング制度については賛成ですから、広く国民のコンセンサスを得るためのこういうような制度はぜひどんどん活用していかなければいかぬわけですから、そういった意味で、われわれはこの問題を、賛成をするだけに、またこういうような問題もありはせぬかとか、いろいろな危惧する面も出てまいりますから、そういうような面について、政府としても十分この問題については検討を加えていただきたい、こういうふうに考えます。  それからまた、原子力行政懇から答申が出ておりますから、その新しい体制に移行した場合の手続の問題あるいは審査期間の問題についても若干お聞きしておきたいと思います。  この行政懇答申に沿って諸手続を制度化した場合に、現行の制度ないしは実態と比較して手続なり審査に要する期間がどのようになるのか、また、それによってわが国の長期の電力需給面や電源構成面に何らかの影響を及ぼすかどうか、その点いかがでしょうか。
  138. 伊原義徳

    伊原政府委員 新しい体制になりますと、いわゆるダブルチェックでございますので、現在は一回行っております原子力委員会の安全審査に相当いたしますものが、行政庁と原子力安全委員会と両方で行うことになるわけでございます。したがいまして、ある程度審査期間が長くなるということは避けられないと思われます。しかしながら、安全の確保につきまして、原子力安全委員会が厳正、適切なダブルチェックを行うということによりまして国民の信頼を得る、いままで以上に御信頼を得るということが今回の改正のねらいでございます。したがいまして、たまたま個々のケースにつきまして多少長くなるようなことがございましても、全体的に見まして原子力利用の円滑な推進に十分資するものである、これが改正の基本的な考え方でございます。  ただ、長くなると申しましても、いたずらに長くするということではございませんので、長くなるにいたしましても不必要に時間をかけることは避けたいということでいろいろ安全審査体制を強化する。先ほど申しましたように、いろいろ人の量、質とも充実を図る。あるいは行政庁側におきましても、安全委員会におけるダブルチェックが効率的に行い得るように行政庁の審査を事前に十二分に行っていく。その他いろいろ工夫をいたしまして、たとえば、端的に申しまして、期間が倍もかかるというようなことは絶対に避けなければいけない、こう考えております。
  139. 小宮武喜

    ○小宮委員 それは皆さん方の期待であって、実態として新しい制度になれば手続は現行より複雑になるわけですから、そういった意味では、物理的にも期間が長くなるということは常識としても考えられるのではないか、こういうように思います。したがって、このまま行けば、先ほどからも言っておりますように、なかなかうまくいかぬということになれば、昭和五十年代の終わりごろにはいわゆる電力需給の逆転ということも起こり得るのではないかということも考えられます。そうした場合に、政府もよほどこの問題については真剣に取り組んでいただかぬと、そういうことになった場合に政府の責任はどうなるのかということをわれわれは指摘したいのです。そのためにやはり政府の原子力問題についての啓蒙について、国がどういう役割りを果たすのかという問題です。  わが国がいま現在原子力問題に行き詰まっておる原因として、私は、政府がこの原子力問題について国民を啓蒙し、正しい理解と協力を深めるための努力がやはり不足しておるのではないかというようなことをしみじみ感じます。いままでは、いろいろな問題を見ましても、電気事業者が前面に出て、政府はいつも何でも電気事業者にやらせる。それで、政府はいろいろな厳しい条件等はつくるけれども、実際に政府が前面に出て問題の解決に当たろうとした実績は何もないわけです。特にこの原子力の開発の問題については、御承知のように、わが国は世界でも唯一の原爆の被災国ですから、その意味では、この原子力開発の問題は非常に困難性も伴うし、やはりどこの国よりもそのための努力をしなければならぬ、私はこう思います。  したがって、この問題も原子力行政懇でもいろいろ指摘されておるところですが、原子力問題についての啓蒙を国が十分自覚していろいろな施策をやっていただかねばなりませんが、原子力広報活動に関する五十二年度予算額とその施策の内容についてひとつ説明を願いたい。これは科学技術庁と、それから通産省あたりでも広報活動に関する予算が組んであれば、通産省の方からもひとつ御説明を願いたい。
  140. 山野正登

    ○山野政府委員 原子力の平和利用が国民の理解と協力を得まして国民的なコンセンサスのもとで進める必要があるというのは、先生指摘のとおりでございまして、私どももそういった意味でできるだけ不安感を解消する意味におきまして原子力の広報活動というのに力を入れておるわけでございます。  内容としましては、原子力についての正しい知識の普及、また、私ども科学技術庁のとっております各種施策についての広報、あるいは国民各層の意見、提案といったふうなものの原子力行政への反映といったような、この三つのものをいろいろとやっておるわけでございます。  予算的に申し上げますと、五十一年度の科学技術庁の広報予算は約一億三千万円でございますが、さらに五十二年度の政府原案におきましては一億四千万を計上いたしております。この当庁のみの予算は余り多くないのでございますが、これに加えまして総理府の広報予算におきましても、原子力関係の広報というのをマスメディアを通じてやっておりますし、またこれは通産所管になりますけれども、電源特会におきましても、五十二年度の政府原案におきましては約六億円近い予算を計上いたしております。また、政府関係機関におきましては、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団、さらに日本原子力船開発事業団といった各種機関合計しまして、五十二年度の政府予算原案におきましては約九千万円の普及啓発予算を計上いたしております。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕  これらの予算をもちまして行っております内容でございますけれども、各種の講演会でございますとか、あるいは地方自治体の行政機関の職員を対象にいたしました行政セミナーでございますとか、あるいは教職員を対象にいたしました教育セミナーといったようなセミナー、それから雑誌等へのPRの掲載、また懸案となっておりますシンポジウムの開催というのもできるだけ早い機会にやりたいと思っております。  それから公聴活動と申しますか、先ほど申し上げましたように、この原子力行政に国民各層の御意見なり御要望を反映するための活動としまして、近く原子力モニター制度というものを発足させる予定にいたしておりまして、これは全国に五百数十人のモニターを置きまして、こういう方々から率直な御意見をちょうだいして、これをできるだけ原子力行政に生かしていきたいという趣旨でございます。  また、最近、これらに加えまして大臣の御発案で、茶の間で語る科学技術懇談会といったふうなものも発足いたして、各種の活動をいたしております。
  141. 武田康

    武田政府委員 全般的な考え方等につきましてはいまの山野局長のお話のとおりでございますが、ちょっと補足をさせていただきますと、先ほどの局長のお話にもございましたように、電源特会で約六億円の予算を五十二年度につきましては案として計上してございますが、これは都道府県が一その当該立地をしている都道府県でございますけれども、都道府県がきめ細かい広報活動をなさるための交付金とか、あるいは広報研修施設をつくるためのお金とか、そういったたぐいのものでございます。  それから、予算的にはきわめて小さいお金でございますが、通産省自身も、原子力の実態なり必要性なりあるいは安全性でこういうことをしているというようなたぐいのことを広く一般の国民の方々に知っていただきますための役所自身の予算を数百万円持っております。  私どもの考え方といたしましては、原子力発電推進の大前提は安全の確保でございますけれども、安全の確保と同時に、広く国民一般の、原子力はこの程度のものであればその安全が確保されており、原子力発電の開発を推進するに足るというような国民の御理解と御協力を得ること、こういうことでございまして、そういう観点から、これは単純な広報活動と言うとちょっとおかしいのでございますけれども、いろいろ原子力発電所の中で起こっております現象、それが事故であれ、故障であれ、そのほかのことであれでございますけれども、たとえささいなことでございましても、こういうことでこんな現象が起こってこんなことになっているというようなことを、新聞等を通じまして広く知っていただき、もし必要なものについては、こういう対策もあわせてでございますが、広く公表する。それから地方公共団体、地元の方々にはまたそれなりの情報連絡網をもちまして同じような情報を御提供する。それで内容を正確に把握していただいて御判断いただき、その上で御理解と御協力を得る。これはお金のかからない話でございますけれども、そういうことも必要だと思い、従来から心がけていることでございます。
  142. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、西ドイツのように、やはり国が前面に出て国民のコンセンサスを得るための努力をするというか、あるいはキャンペーンを展開するというか、そういう計画であると理解していいですか。
  143. 山野正登

    ○山野政府委員 申し上げましたように、国も前面に出まして鋭意やっておりますし、また電気事業連合会あるいは日本原子力文化振興財団というふうな産業界における関係団体におきましても、わが方と協力して鋭意努めておるところでございます。
  144. 小宮武喜

    ○小宮委員 昨年末、原子力公開シンポジウムの開催の問題が提起されておりましたけれども、いまだにまだ実現されておりません。その意味では、行政懇答申にもうたわれておりますように、こういう公開シンポジウムの開催の問題についてもやはり今後行うべきじゃないのか。公開シンポジウムを開いても平行線になって、ただ両方の学者がお互いの主張を言うことにとどまるかもしれませんけれども、それによってそれぞれ国民が原子力問題についての理解を深めていく上で意義があると私は考えますので、そういう公開シンポジウムの問題についてもやはり政府は実現を図るべきではないかと考えますが、それを実現する気持ちはおありですか。
  145. 山野正登

    ○山野政府委員 原子力シンポジウムにつきましては、原子力委員会におきましても早くからその必要性を認めておられまして、実は、一昨年の九月以来、日本学術会議と協力しまして原子力シンポジウムを開催すべくいろいろ努力をしてまいったのでございますが、この両組織でいろいろ相談する途中におきまして、日本学術会議の方の内部事情によって協力の継続が非常にむずかしいという状況になりまして、現在は両者の連絡が中断したままになっておるわけでございます。私ども、本件は、御指摘のように、原子力行政懇談会でも指摘されておることでございますし、またきわめて重大な問題だと考えておりますので、できるだけ早い機会にこの実現に努めたいと考えております。
  146. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから、海外における原子力問題の動向とかトラブルに関する情報について、政府の対応が遅いのじゃないかということをときどき感じるのです。政府の対応のおくれのためにこの原子力問題に対する混乱に拍車をかけておるのではないかという向きもまたあるのではないかと考えますけれども、外務省その他関係出先機関の体制が完全なのかどうか、出先機関の体制に問題ないのかどうか。その点はいかがですか。
  147. 山野正登

    ○山野政府委員 海外における各種の動向、情報をできるだけ迅速、的確にとらえまして、これに正確に対応していくということは、御指摘のとおり、私どもも重大な問題だと思っておりまして、現在世界各国の主な大使館に九名の科学アタッシェを配属いたしておりまして、これらからできるだけ迅速に科学技術関係の情報を収集するように努めておるわけでございますが、今後とも鋭意適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  148. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は、電源三法の運用の問題について質問します。  電源三法が四十九年十月に実施されてから三年目に入っておりますけれども、その立法趣旨や運用面で若干問題が生じておりまして、地方自治体等からいろいろの意見や要望が出されております。政府は今度五十二年度予算で交付金の増額については配慮しておられるようでございますが、今度の改正による上乗せ額は少ないのではないかということを率直に感じます。また、この上乗せ額が今度改正されたことによってどれぐらい交付金が増額されるのか、その点ひとつ御答弁を願いたい。
  149. 武田康

    武田政府委員 電源関係三法につきましては、先生指摘のとおりことし三年目でございます。それで、交付金の制度とか安全対策費とかあるいは予備費とか、いろいろございますが、五十二年度につきましては、現在まで、原子力の場合キロワット当たり三百円という単価がございましたけれども先生指摘のとおり単価の上積みをすることになっております。五十二年度における電源立地促進対策交付金の現在の予算額は二百三十七億でございますが、そのうち上乗せ分が十六億ということになっております。  電源三法につきましては、三法成立当時から各地方自治団体等々からいろいろな要望が出ておりまして、その要望の中には法律上なかなかむずかしいものもございますけれども、運用面でカバーできるものにつきましては、毎年毎年、そのうち実現し得るものについて実現の努力をいままでしてきておりますし、今後ともそういう努力はしていきたい。私どもとして、いろいろな意見を聞かせていただきまして、法律的制約から取捨選択はさせていただきますが、また予算的制約からの取捨選択もあろうかと思いますけれども、できるだけその御意見、御要望を入れていきたいということでございまして、いま申し上げました単価の上積みも、その御要望の一部を——全部の都道府県が御満足になるかどうかという点につきましては、先生指摘のとおりの問題がなお残っているかとも思いますけれども、私どもとして五十二年度予算におきましてできる限りの額を上積み計上したような次第でございます。
  150. 小宮武喜

    ○小宮委員 電源開発促進対策特別会計の収支状況はどうなっていますか。
  151. 武田康

    武田政府委員 五十二年度予算につきましては、予算額合計三百七十四億でございますが、収支の細目につきましては担当の開発課長の方からお答えさせていただきます。
  152. 姫野瑛一

    ○姫野説明員 ただいままでに出ておりますのは五十年度の決算でございますが、五十年度の決算を申し上げますと、電源開発促進税といたしましては二百九十八億入っておりまして、歳入合計では四百四億になっております。電源立地促進対策交付金といたしましては九十九億支出されておりまして、原子力発電安全等対策費といたしましては十八億支出されております。歳出合計は百十八億になっております。  以上でございます。
  153. 小宮武喜

    ○小宮委員 この電源立地がなかなか進まないということで、特別会計の方も予算消化がおくれておるということになってまいりまして、その金を一般会計の方に何か戻されておるというようなうわさを聞きますが、これは事実ですか。
  154. 武田康

    武田政府委員 一般会計に戻しているというようなことは、私聞いておりません。
  155. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、一般会計で負担すべきものを取り込んで特別会計が出しているということはないですか。
  156. 武田康

    武田政府委員 電源三法の関係で交付金その他いろいろございますけれども、これらはみんな法律範囲で、法律、政令、省令と違っておりますが、その範囲で出しておりまして、一般会計で出すべきものと電源特会で出すものとの区別というのは十分ついております。したがいまして、電源特会がたまたま電源開発のおくれから交付金等の交付が予想より少なくて、余った部分一般会計で支出すべき性質のものに出しているというような事実はございません。
  157. 小宮武喜

    ○小宮委員 出しておると大変です。もちろん、電源開発促進税は電源立地の円滑化のために目的税として徴収されておるわけですから、そのために、もしそういう金が余ったといって一般会計の方に払い戻しをするというようなことがあれば、この目的に反するわけです。そういった電源立地開発がおくれておるということで、電源特会の方でそれだけ財源があるとすれば、地元の地方自治体に交付金として少し上乗せはしておりますけれども、地元の人たちから見ればいろいろな要求があるわけですから、そういう地元に交付金をもっとふやしてやるとか手厚くするとか、地元の人たちの福祉のためにもつと金を出すべきだ、私の言っておるのはこういう考え方です。したがって、そういうものがなければ幸いですけれども、そういうような意味で地元の人に交付金としてもっとふやしていって、収支のバランスをとるということを考えていただかないと、地方自治体では電源立地のためいろいろな余分の経費が要っておるわけですから、現在の交付金にしてもまだまだ十分でないということで、地方自治体ではその財源の捻出にむしろ困っておるわけです。そういう問題について、電源特会で金が余っておれば、交付金として還元することを当然考えるべきだと私は考えます。  特に、電源特会の問題について、さっき申し上げました物価もどんどん上がっておるわけですから、地元の自治体等から交付金のアップがいま出されておりますけれども、これは三年目で初めて上げたわけですから、その意味では、パーセンテージから見れば物価上昇率にも追いついていないわけです。そういうような問題、たとえばモニタリングの財政措置の問題もあるわけです。これは普通の自治体と違った支出をしておるわけです。そういう電源立地による自治体の超過負担分だとか運営費あるいは人件費がよけい要る、こういうようなものについては自治体からも非常にいろいろな要望が出されておるし、それが原子力行政に対する不満となってあらわれてまいりますので、そういうような意味で十分対応するような予算措置を講ずべきだ。だから五十二年の場合は別として、五十三年度あたりでは思い切って地方自治体への交付金の増額等を考えるべきじゃないのかと思いますが、どうですか。
  158. 武田康

    武田政府委員 電源特会の財源というのは、当該地域、立地地域に対します交付金等を中心にして運用しているわけでございますが、その運用の内容につきましては、先生指摘のとおり、いろいろな御意見、要望というものを私ども前々から聞いているわけでございます。それと同時に、予算総額の問題、これは税収の問題もございますので、両方のにらみ合わせではございますが、昭和五十一年度予算、これはお認めいただき、すでに現実に実施している予算でございますけれども、五十一年度予算の段階で幾つか出ておりました御要望、御意見のうちから、立地促進交付金の建設費による頭打ちというような議論がいろいろございましたけれども、それの実質的な適用免除であるとか、あるいは先ほどお話が出ましたけれども、放射線監視交付金及び温排水の影響調査交付金を隣接の都道府県へも出すというような運用改善を行い、また五十二年度案におきましては、先ほどの立地促進交付金の交付金額の上乗せあるいは交付時期の繰り上げ、それから広報対策交付金の交付時期の繰り上げ等、運用の改善を図りたいと考えているわけでございます。  ところで、関係都道府県あるいは関係団体等から多数の御意見、これは昨年出た御意見でございますが、恐らく五十三年度予算案のもとをつくります段階でも、またいろいろ御意見、御要望が、運用の実態から見まして出てまいることかと思いますし、また積み残している御意見、御要望もあるわけでございます。これまた、収支バランスと、それから御要望のうち、法律的制約があるものは別でございますけれども、運用上カバーできるもの、これのバランスをいろいろ考え、緊急度を考えまして、今後につきましてもそういった実情を踏まえながら、引き続き運用の改善の努力をしてまいりたいというのが私どもの考え方でございます。
  159. 小宮武喜

    ○小宮委員 電源三法の適用は、原発が五年、一般が三年になっておる。これは通産省も、私は努力していないとは言っていない、かなり努力しているようですけれども、やはり大蔵省の厚い壁に阻まれて行き詰まっておるという話もちらっと聞いておりますが、この五年、三年という問題にしても、その言い分は、原子力発電所にしろ一般発電所にしろ、建設すれば後は固定資産税が入るじゃないかということで、これは大蔵省の言い分のようです。しかし、こういった三年、五年という、言葉を悪く表現すれば、つくるまでは、皆さん電源三法によって交付金をやりますよ、だからひとつ承諾してください、理解してくださいということで、言うてみれば、エビでタイをつって、もうできたから後は固定資産税でやってください、だからそれで打ち切りますよ。もちろん、それが完成するまでは、三年が五年になろうと五年が八年になろうとやるわけですけれども、何かうまいえさでつって、ただ発電所設置の問題を地元に了解してもらう、できたら、それはもうやりませんよというようなやり方は、うまくだまして、金はもうやりませんよということで、どうも印象が悪いのです。だから、固定資産税は固定資産税で計算ができます。それでは固定資産税と交付金との比較をした場合、一般的の場合にどちらが高くなりますか。交付金が高いでしょう。
  160. 武田康

    武田政府委員 担当の開発課長から答弁させます。
  161. 姫野瑛一

    ○姫野説明員 一般的ケースといたしましては、頭打ち条項というのがございますので、建設費による頭打ち金額より多くなりますと、そこで頭打ちがかかりますので固定資産税よりも低い金額というのが一般的なケースかと思います。
  162. 小宮武喜

    ○小宮委員 この問題は、電源立地の地方自治体に対しては永久にというわけにはいかぬでしょうけれども、いまの制度の中でやはりある程度は期間を延長して見てやるとか、それは理論としては大蔵省あたりからいけば、固定資産やっておるからいいじゃないかという話も出ましょうけれども、これは政治論的に見ていかぬと——そういった問題もひとつ通産当局としては十分考えてもらいたいと思うのです。  それから、電源特会の運用基準について弾力性が非常に乏しいのではないか、こういう問題もときどき考えておるわけです。たとえば整備計画の対象事業のうち国の一般会計からの補助事業については、補助裏への交付金の充当に厳しい制限がつけられているわけです。そのために地方自治体としては補助裏の財源捻出に非常に苦労しているわけです。いま具体的に言えば、補助裏が認められるものは公民館だけでしょう。そうすると公民館だけですから、建設する場合いろいろな問題が起きてくるわけです。たとえば公民館だけではなくて、これは私も現実に見学して回ったときも橋をつくっておるところもある、学校の体育館をつくるとかいろいろな問題があるわけです。だからそのために地元でも電気事業者だけではなくて非常に苦労しておるわけです。だから交付金の充当問題は非常に厳しい、弾力性がないということで、そういった電源立地の問題を地元に承諾してもらうためにいろいろな問題が出てくる。それらを理解してもらうためのいろいろな施策も必要であるわけです。だから公民館というだけではなくて、公共施設の整備を図るような場合にもこの交付金の補助裏の問題も考えていただいて、少し弾力的に運用すべきではないかというように考えますがどうですか。
  163. 武田康

    武田政府委員 ただいま御指摘の電源特会による交付金を補助裏に使うという問題は、電源特会ができました当初からいろいろ話題になっていたことでございます。ただ一つ問題がございまして、国の補助金、補助事業で補助の割合が法律で定められているというような場合につきましてはその裏の方に補助金、交付金を使うというようなことは、どうも当該事業の実施は国が決めている割合で補助を行えばできる、こういう判断とぶつかりまして法令上の整合性というような問題になりまして、そういう場合にはさらに上乗せ、つまり補助裏というのが困難なわけでございます。現実には予算補助で補助の割合が三分の一以下に相当するというようなものにつきまして、補助裏への使用のための交付金の交付というのが認められているというのが現状でございます。でございますので、ある意味では法令上の整合性といいますか制約、そういったものがない範囲でできるだけ運用上先生指摘のとおり地元の福祉の向上と、あるいは地元で必要な公共施設に使っていただくというような意味で交付金を交付しておりますので、それはやはり地元が使うのが一番いいんだというような方向はできるだけ考えるべきであるというのが私ども立場でございますが、同時に、法令上の制限あるいは法令の整合性上の制約というものはやはり私どもとしても考えざるを得ないというようなこともございまして、運用上では必ずしも十分各地元、県なり市町村なりの御要望どおりにはいっていないわけでございますが、私ども運用上できるだけのことはいままでしてきている、今後ともそういう努力はしていきたいということでございます。
  164. 小宮武喜

    ○小宮委員 もともと電源三法というのはそういうような電源立地を円滑にするために電気事業者から税金を取っておるわけですから、それがうまくいくように金を使うのがあたりまえな話で、いろいろな法律の制約はあるかもしれないけれども、先ほどからるる日本のエネルギー問題からいまの電力需給の問題からいろいろ質問していったというのは、そういう非常に厳しい条件下にあるので、できるだけ電源立地を円滑にするという目的のために電源三法はあるわけですから、金を取ったらもう国の金だという感じ方で、出すのは一銭でも出さぬ、舌でも出さぬというようなことじゃなくて、電源立地をうまく円滑にするために取った税金だからそのために金を出すのはあたりまえな話で、だから法律で制約を受ければ、そういうような制約を受ける法律であればむしろ法律を改正すればいいわけですから、できるだけ地元の人たちの福祉のために還元するということを考えていただきたいと思うのです。  それからもう一つ。最近、私これは非常に考えるのですが、電源立地の問題に関係してこういう交付金ばかりじゃなくて、その前の了解を受けるために、たとえば漁業補償費だとかいろいろな条件がついてくるわけですね。長崎でも現にもう松島の電源開発の発電所の問題が出ておりますね。ところが、ある漁協あたりでは四十三億要求してみたり、それがいっぱいあるわけです。そういうことで、ただ電源三法の運用の問題だけじゃなくてそういうような問題が現に発生しているわけですね。だからそれに付帯的に、ただ補償だけではなくてあそこの道路もよくしろとか水をもらうためにあそこには何をつくってくれとか、だから電気事業あたりもそういうような問題について非常に金が要る、巨額な金を必要とするわけです。そういうような問題についてこのまま放置していいのか。これはもう基準も何もないわけですから、要求の金がだんだん上がってくるということに現在なっておるわけですけれども、そういう現状がいいのかどうか。そういうような現状を放置していいのかどうか。そのために電力会社はその分を補償したり、そういうあらゆる要求に対して電源立地をうまくしてもらうために補償を出す、あるいはいろいろな要求に応ずるということがひいてはそのまま電気料金の値上げにつながってくると私は思うのですよ。  そういうことを考えた場合に、そういうような用地の取得の問題から何からただ電気事業者に対しておまえたちやりなさい、おまえたちは向こうが要求したら要求に応じて解決しなさい、国はそれに対して、できたら認可するぞとかいうようなことだけで、電源立地の問題、土地取得の問題がいまのままで放置されていいのか、またそういうことに対して何ら手を打たなくていいのか、この点、大臣どうですか。
  165. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 これはあちらこちらでそういうふうな声を聞いておりまして、いかに立地難であるかということを如実に物語るものであろうと思います。はなはだ申し上げにくいことですが、そういうようなことは今後極力お互いが協力して改めていかなければならない、かように存じます。
  166. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの大臣の答弁、不満ですけれども時間がございませんので、いろいろまだ通産省ありますが、それでは自治省にちょっと質問します。  最近、原子力発電所所在の地方自治体から核燃料税創設の問題が地方自治体の財源対策としていろいろ要求が出されておるようですけれども、いま現状はどうなんですか。それで、それに対して自治省としては、そういう核燃料税について各地方自治体から申請が出た場合、これはすべて承認するという考えなのか、その点ひとつ御答弁願います。
  167. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 ただいまのお話は、福井県で現在やっておりますような法定外普通税としての核燃料税のお話だろうと思います。法定外普通税につきましては、地方税法上、その税収入を確保できる財源があるということ、さらには、その税収入を必要とする特別の財政需要が存在するということが必要であるとされております。さらに、地方税法で定めております禁止事由に該当する場合はこれを不許可といたしますが、そういう事由に該当いたさない場合におきましては、自治大臣はこれを許可しなければならないということにされておるわけでございます。  昨年の秋に許可になりました福井県の核燃料税につきましては、ただいま申し上げましたような三要件をすべて充足をいたしておるということでございまして、実は昨年十月に許可をいたしたものであります。  今後の問題でございますが、他の原子力発電所所在の府県から正式の許可申請が参っておるということは、現時点ではございません。ただ、福井県で起こされておるような核燃料税の創設をしたいという意向を漏らされまして、内々御相談に来られておる県は幾つかございます。正式の申請がございました場合におきましては、先ほど述べましたような許可の諸要件が充足されるかどうかということにつきまして個々に検討を行いまして、その上で判断をすることといたしております。結局ケース・バイ・ケースで判断をしていく必要があるのではなかろうかと、現在のところさように考えておるところでございます。
  168. 小宮武喜

    ○小宮委員 あれは県税になるのですか、市税になるのですか。それと、いまの、そうする場合には、一つの基準として、財政需要基準以下の場合には許可する、それ以上の場合は許可しないとか、その法定外普通税の問題については何か基準が決めてあるのですか。その点、何か基準があるのかどうかということと、あれは県、市の両方に収入が入るのか、その点ちょっとお聞きしておきます。
  169. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 福井県の場合の例で申しますと、福井県の核燃料税は県税でございまして、県税として収入をされたものの一部を関係の市町村に交付されておるように聞いております。  それから、財政需要の関係でございますが、先ほど申し上げましたように、まずその法定外普通税を起こしまして、それによって相当の税収入が確保できるという見込みがあることが必要であるとされておるわけであります。それから、第二点の財政需要は、その地方団体の財政力というようなことではございませんで、その収入を必要とする特別の財政需要があるということが必要だとされておるわけでございます。この福井県の例で申しますと、収入は五年間で約九十億ほど予定されておりますし、充てるべき財政需要といたしましては、原子力安全対策費でございますとか、放射線監視事業対策費等々、これは十年間でございますけれども一般財源で約三百八十億程度の財政需要があると見込まれるというようなことであったわけでございます。したがいまして、その団体の財政力の強弱によりまして法定外普通税が許可になったり許可にならないというわけではございません。
  170. 小宮武喜

    ○小宮委員 これで質問を終わります。
  171. 山田太郎

    山田委員長 これにて小宮武喜君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  172. 山田太郎

    山田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力船「むつ」に関する問題調査のため、本日、日本原子力船開発事業団専務理事倉本昌昭君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 山田太郎

    山田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。     —————————————
  174. 山田太郎

    山田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。瀬崎博義君。
  175. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 きょう長崎県では、知事の諮問機関であります「むつ」安全性研究委員会が開かれているわけです。  この研究委員会については、第一に、これは大臣も、しばしば地元の意見、とりわけ県知事の御判断を尊重すると、こう言ってこられた。長崎県知事は、この研究委員会の論議を有力なよりどころにして正しい判断を下したいと、こうおっしゃっているわけですから、これはいやおうなしに、「むつ」の佐世保修理港問題ではこの研究委員会は重要な位置を占めざるを得ないと思うのです。第二には、研究委員会のメンバーの人選の過程で、すべてではありませんけれども、県漁連とかあるいは被爆者団体の推薦による専門家も入っていらっしゃる。従来地元の意見を尊重するということでいろいろ努力してきたわれわれ国会側としても、そういう点ではやはりこの研究委員会を尊重しなければならない立場にあると思うのです。さらに第三には、すでに明らかにされている部分だけでも、燃料棒引き抜き修理問題であるとかあるいは衝突時の安全性の問題など重要なテーマが論じられている。第四には、この研究委員会に参加している先生方の中にも、この研究委員会の結論が出た暁には、ぜひ研究委員会の論議の過程、結論等について国会側もよく知っておいてほしい、聞いていただきたいというふうな要望も出ているわけです。  きょう結論に至るのかどうか、それは私存じませんが、もしも結論が出たとすれば、これは委員長へのお願いなんですが、ぜひこの委員会にも、研究委員会に参加された専門家の代表の何人かに参考人としておいでいただいて、われわれも十分意見を聞きたいと思いますので、ひとつそのような取り計らいをお願いしたいと思うのです。
  176. 山田太郎

    山田委員長 ただいまの瀬崎君のお申し出につきましては、理事会に諮りまして結論を出したいと存じますので、さよう御了承願いたいと思います。
  177. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この間も私「むつ」について質問したのでありますが、政府側や事業団側の答弁から見て、結局「むつ」の修理は三菱、石播、SSKに分割発注されて、修理全体としての性能保証の責任は原船事業団が負うことになるだろうというふうに私は理解をしたわけであります。同時にまた、民間の造船界とか海運界がどういう態度で臨んでいるのか、一言で言えば、さわらぬ「むつ」にたたりなし、こういうふうな感じだったということ、冷淡な態度であったことはこの間申し上げました。そういう現況で、もし原子力船開発を進めるとすれば、国がまさに全面的に背負っていかざるを得ないような状況だろうということであったわけです。  そういうときに、きょう問題にしたいのは、「むつ」の安全性に重大な欠陥があるということはすでに指摘されている。しかも、その修理には明確にはされませんけれども数十億円ぐらいかかるであろう、こういうふうなときに、現在の原子力船事業団の体制のままで果たしてこういう重大なことが可能なのかどうか、国費のむだ遣いというようなことにはならないかどうか、こういうふうな点について質問をしていきたいと思うのであります。法律論としても、先ほどの理事会でもいろいろ論議がありましたけれども、それはさておきまして、私は実態の面でいろいろと政府の考え方を聞いていきたいと思うのです。  まず最初に、科技庁が所管をしている特殊法人ですね。これは行管が審査対象にしている特殊法人とはやや範囲が違うようでありますが、とにかく科技庁が一応所管している特殊法人の概念に入っているのは一体どういう機関があるのか、お答えいただきたいと思います。
  178. 小山実

    ○小山政府委員 科学技術庁が所管をしております特殊法人は七つでございまして、日本原子力研究所日本科学技術情報センター、それから理化学研究所、新技術開発事業団、日本原子力船開発事業団、動力炉・核燃料開発事業団、宇宙開発事業団でございます。このほかに、厳密な意味で特殊法人と言えないかとも思いますが、いわゆる特別の法律に基づきます認可法人といたしまして海洋科学技術センターがございます。
  179. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その中で原子力船開発事業団以外に期限を切られている、つまり有限の法人というのはありますか。
  180. 小山実

    ○小山政府委員 ございません。
  181. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 続いて、これは行政管理庁の方にお尋ねしたいのですが、今日行管の審査対象になっている特殊法人の総数は幾らありますか。
  182. 安原正

    ○安原説明員 現在特殊法人として行管が審査対象にいたしております法人の数は百十三でございます。
  183. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もともとこういう特殊法人は行管の審査の対象になっておらなかったのが昭和三十八年から審査対象に入ったそうでありますけれども、一体何を審査するわけでございますか。
  184. 安原正

    ○安原説明員 行政管理庁といたしましては行政組織を管理いたしておるわけでございますが、特殊法大と申しますのは一口で申しますと国の事業の代行機関という性格を持っておりますので、広義の行政組織を管理する立場で審査いたしております。  その場合、国の事業として取り上げることが適当であるかどうか、その点が一点でございます。それからその事業を国直接ではなくて第三者的な機関である特殊法人にやらせることが適当かどうかの点が第二点でございます。この二点を中心として審査いたしております。
  185. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ただいま挙げられた百十三の特殊法人の中でいわゆる期限つきになっている特殊法人は幾つ、同時に名称も答えていただきたいと思います。
  186. 安原正

    ○安原説明員 現在存続期限の付されております特殊法人の数は九法人でございます。その内訳は、事業団が三、金庫一、特殊会社四、その他の法人が一でございます。  具体的な名称を申し上げますと、いま問題になっております原子力船開発事業団のほか、石炭鉱業合理化事業団、それから石炭鉱害事業団、商工組合中央金庫、東北開発株式会社、それから電力用炭販売株式会社日本硫安輸出株式会社、沖繩電力株式会社、奄美群島振興開発基金、以上でございます。
  187. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こういうような特殊法人がそれぞれ有限になっているにはそれなりの根拠があると思うのですが、違った根拠になっておるかもしれませんが、大体似た根拠を集めればどういうふうな分類になるわけですか、有限になっているその理由です。
  188. 安原正

    ○安原説明員 いま申しましたように、存続期限が付されている特殊法人としましては九法人ございますが、それぞれの行っております事業の性格とか内容が区々でございましてなかなか一概には申し上げにくいかと思いますが、一般的にかいつまんで申し上げます。  その九法人について申しますと、特殊法人が行います事業自体が法律上特別な措置あるいは臨時措置としてなされることになっておりまして、したがってその事業主体としても存続期限が付されておるというのが一つのグループとしてございます。それから法律上、事業自体につきましては特別措置とか臨時措置と明記はされておりませんが、その事業の性格上、長期的な事業計画に基づきまして目標達成年次が明確にできるという場合に時限的に設立されているものがございます。それから、これは相当昔に設立されまして、その当時の考え方としまして特殊の金融機関につきまして五十年程度の長い存続期限を付するという考え方に立って付されたものがございます。  九法人につきまして色分けすれば大体その三種類になろうかと思います。
  189. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 三十八年当時ですから、原子力船事業団ができた当事は行管はタッチしていなかったと思うのですが、しかし、昭和四十六年の法改正で四年間延長のとき、これは当然行管が審査しておると思うのですね。つまり、四年間延ばすことが妥当かどうか、こういった問題もやはり行管の審査事項になっておるわけですか。
  190. 山本貞雄

    ○山本説明員 当初、日本原子力船開発事業団は昭和四十六年度末までに原子力船第一船を開発いたしまして、その上で事業団は廃止するということになっておったわけでございますが、当初の開発計画が改定されまして、このため建造着手がおくれたわけでございます。それからもう一点は、建造段階におきまして炉の艤装工事が予想以上に工期を要するということが判明いたしまして、そういった理由で四十六年度末までには開発を終了することができないということになったわけでございます。  したがいまして、当時科学技術庁からの要求によりまして同事業団の設置期間を延長せざるを得なくなったわけでございますが、設置期間の延長につきましては、原子力船「むつ」の燃料装荷、それから出力上昇試験、それから海上公試運転等の所要期間、並びに慣熟運転及び実験航海等に要する実験期間等を検討いたしまして、その結果五十一年度末まで延長する必要があるというふうに判断したわけでございます。
  191. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは科学技術庁の方に尋ねますが、原子力船事業団法で掲げられている目的では、原子力船の開発を行うということがうたわれてあり、業務運営の基準としては「主務大臣が定める原子力船の開発に関する基本計画に基づいて行なわれなければならない。」と定めているのであって、決して第一船だけつくったらよろしいとはなっていませんね。こういう点から考えて、先ほど行管の方が有限になった理由を三つ類型別に挙げました。法律そのものが臨時措置、特別措置になっている場合、それから法律上明確にはなっていないけれども一応事業の目標年次がはっきりしているもの、そういうもの、それからさらに、古いやつで例外的に五十年というふうな長期の期間を置いたもの、こういう三つだというのでしょう。こういうふうな状況の中で、そういうものには該当しないとわれわれは思うんだけれども、この原子力船事業団が期限つき、それも最初九年と、なぜこういうふうなことになったのか、それをまず説明してほしいのです。
  192. 山野正登

    ○山野政府委員 御指摘のとおり、この日本原子力船開発事業団法の目的におきましては、第一船「むつ」の開発を行うといったふうな表現にはなっていないわけでございますけれども、当時この事業団が設立されるに至りました背景を考えてみまするに、原子力第一船は国が中心になって民間がこれに協力する形で行うということでこの原子力船事業団をつくってここで開発をしようという背景でつくられたわけでございまして、実体は第一船の研究開発をするというのがこの原子力船事業団の設立の目的だったわけでございます。  そういう意味におきまして、当初四十七年までにこの事業団はそういう趣旨におきます目的を達成し得るであろうという考えで、その時点をこの事業団法の「廃止するものとする。」という期限として定めたのであるというふうに理解いたしております。
  193. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、この国の定める原子力船の開発計画は、場合によっては改定されることもあるだろうし、あるいは第二次計画が生まれてくる可能性もあると思うのです。現に動燃事業団の場合はそうでしょう。動力炉・核燃料開発事業団の動力炉開発業務に関する基本方針というのがあって、その後で今度は同じ動力炉開発業務に関する第二次基本計画というものが生まれてきているわけでしょう。原子力船の場合だってこういうことは当然あり得る。なぜ、これに対応できるような全く同じような目的や業務範囲を掲げながら違いが出てきたのか、納得できないのですが、わかるように説明してください。
  194. 山野正登

    ○山野政府委員 この原子力第一船開発基本計画につきましても、御指摘のように今後これを改定する必要はあるわけでございますが、昨年来私どもはこの日本原子力船開発事業団法の延長法案を国会に御提案申し上げて、この延長についてお願い申し上げておるわけでございまして、この法案の決着がつき次第この基本計画を改定しようというふうに考えております。
  195. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは大臣にお伺いしたいのですが、どう見てもおかしいのですね。通常であれば当然基本計画は他の部分がそうなっているように第二次が出てくる場合あり、また改定される場合があり、そういう場合にちゃんと受けて立てるように法律がなっていなければいけないと思うんですね。法律の文章上は決して有限をうたうような内容になっていないのに、実体が非常に短い期限つきになっている。大臣はそういうふうなことになった背景をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  196. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いま山野原子力局長がその経緯に関しましてお話ししたような背景があったと思います。党内におきましては、期限を切らずに、むしろ無期限にした方がいいよというふうなアドバイスもあったと思いますが、しかし、やはり原子力船というものは将来のために備えなくてはなりませんから、むしろ期限を切って、その間に忠実に第一船としての役目を果たさせたいというふうな気分があったのだろうと思いますから、私はそれはそれなりに一つの大きな理由であった、こういうふうに考えております。
  197. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の聞いておりますのは、少なくとも法律事業団に課している役目、つまり原子力船の第一船だけじゃなしに、開発という目的、これはやはりすべてを含むと思うのです。かつ、国の定める基本計画に従えということであって、第一船だけの基本計画に従えとはなっていないわけですね。そういうところから見て、この九年間という有限の事業団がつくられたのはまことに不可解だという感じがしませんか、そういうふうにお聞きしているわけなんです。
  198. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的に第二船以降は民間に期待しようという当時の考えはあったわけでございまして、そういう趣旨におきまして国が中心になって行う開発をこの事業団でやろう、その際には国が中心になって行う第一船だけを対象に考えようという背景があったわけでございまして、そういう意味におきまして、御指摘のように法律の目的等は特に第一船というふうなことを規定いたしておりませんけれども、実体はそういうふうなことであったというふうに考えるのでございます。
  199. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それだったらこの動燃事業団の場合どうなるでしょう。新型炉とかあるいは高速増殖炉については原型炉までという計画になっているわけでしょう。これだって目標がはっきりしているのですから、動燃事業もそれなら有限であっていいはずなのに、こちらは別に期限を定めていない。なぜそういう違いが生まれてくるのですか。
  200. 山野正登

    ○山野政府委員 原子力船第一船の場合には、先ほど申し上げましたように、第二船以降は民間に期待しようというはっきりした方針があったわけでございますが、動力炉・核燃料開発事業団の場合には動力炉はただ一つというふうなことは必ずしも限定されないわけでございまして、将来また違うタイプの動力炉といったふうなこともあり得るわけでございます。そういう趣旨におきまして、両者にそのような差が出てきたものと考えております。
  201. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると民間開発ができない、あくまで国がやっていかなければならないという事情のもとでは、原船事業団の方の事情は全面的に変わってくるわけですね。
  202. 山野正登

    ○山野政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私ども今後十年間所要の開発をいたしました後は、この原子力船事業団というものをどういうふうな組織に組織がえをするか、あるいは廃止するか、そういったふうなことをその時点において慎重に考えて、最もわが国の原子力船開発に有効な方法を選んで処理したいというふうに考えております。
  203. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今回の政府の提案は延長が十一年ですね。去年は十年でした。修理の段階以降だけでもそういう長い期間かかるものを、当初なぜ九年間と非常に短く出したのですか、その理由もちょっとわからないのですがね。
  204. 山野正登

    ○山野政府委員 当初九年間で開発できるというふうに見込まれたので九年間ということにしたものだと思いますけれども、その間、各種の見積もりについてのそご、あるいは放射線漏れ等によりまして、意外にこの開発期間が長期にわたり、結果的にはこういうふうに延長法案をお願いせざるを得なくなったという点につきましては、まことに遺憾に存じております。
  205. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 開発の見通しなり民間でやろうと思ったがやれなくなった場合また事情が変わるという話だけれども、それにしても事業団の中身が全然変わらないまま、いま提案されておるのは十一年延ばしたいということだけなんですね。  そこで、一体、科技庁の態度が本当に過去を反省してこれから過ちを繰り返さないような姿勢で臨んでいるかどうかをわれわれは問わなくてはいけないのだけれども、その九年のときに、当時の島村原子力局長昭和三十八年二月二十日の委員会でこんなことを言っているのですよ。「現在の見通しでは九年間がぎりぎりの数字というわけではなく、その後の状況も勘案いたしますと、さらにこれを切り詰め得る余裕は十分あるというふうに考えて」、十分あるというふうに言っておる。「できるだけ切り詰める方向で実施して参りたい」、十分余裕があるとすれば、恐らく六、七年ぐらいということになるのじゃないですか。そんな簡単にこの初めての原子力船ができるものであったのでしょうか。今回また十一年延長を頼んでいる、その科技庁の態度にもその当時と似たり寄ったりの甘さがあるんではないか、そういう意味で私はこれをいま引き合いに出したわけです。当時の科技庁がなぜこのような大きな誤算を犯したのか、その点を考えたことがありますか。
  206. 山野正登

    ○山野政府委員 昭和三十八、九年という当時におきましては、原子力開発利用につきまして、陸上における実用炉等もまだなかった時代でございますし、また原子力船につきましても、遮蔽等の専門家等も十分にはいなかったというふうな時代でございますので、そういう技術蓄積の少ない時点におきましてある程度見通しに誤りがあったというふうな面も認めざるを得ないと思います。そういう意味におきましては、今回十一年間の延長をお願いしますにつきましては、四十九年の放射線漏れの後、いわゆる大山委員会におきまして今後の進め方、体制問題等含めましていろいろ御検討願った結果をできるだけ私ども参考にいたしまして、所要の改善を加えましてお願いしておるつもりでございます。
  207. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 去年ですか、十年延長の提案をしたときに、その理由として安全性総点検に三年、それから出力上昇試験に一年、それから実験航海その一に三年、実験航海その二に二年、「むつ」の処分に一年、こういう割り出しをしましたね。国会で答弁しておるわけです。安全性総点検という特殊な事情の三年を除けば、残り七年でしょう。  行管にお聞きしたいのですよ。さっき四年間を妥当と認められたときの根拠として、出力上昇試験、当然当時必要ですよ。実験航海のその一、その二、当然必要ですよ。処分、当然しなくちゃいけませんね。それに加えて、まだ当時は原子炉の艤装も残っておったんだ。それを含めて四年という判断でしょう。いまは七年かかるというわけです。おかしいと思いませんか。行管は科技庁に一杯食わされたと思いませんか。
  208. 山本貞雄

    ○山本説明員 ただいま山野原子力局長からも御答弁があったわけでございますが、結果的に予定どおりまいらなかったことはきわめて残念であると思いますが、当時におきましては、少なくとも最善の判断をするべく努力をしてまいったものだと存じております。
  209. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 おかしいではないですか。最善も最善でないも、でき上がった後に必要なこととして出力上昇試験、それから実験航海のその一、その二、こういうことをしなければいかぬわけでしょう。七年かかるというのでしょう。当時四年の延長というのは、これは一体どこから出てきたのですか。
  210. 山野正登

    ○山野政府委員 四年間延長をします際の開発計画案と今回の今後十年間延長いたして行います開発計画の内容について若干違いがございます。  これは原子力委員会の中に設けました原子力船懇談会の結論等にもよりまして策定いたした計画でございますが、当初、所期性能の確認と実験航海による運航の経験の蓄積並びに乗員の訓練といったようなことに加えまして、安全基準の作成のための航海でございますとか、あるいは原子力船開発事業団に協力して行います原研あるいは運輸省の船舶技研といった各種関連研究機関の行います関連機器についての研究開発の成果をこの「むつ」に持ち込みまして、信頼性等についての研究をしようといったふうな新しい構想が盛り込まれておるわけでございまして、そういう意味におきまして、過去の四年がそのまま十一年になったというわけではないわけでございます。
  211. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 答弁にならないですよ。今日、とにかく修理という新しい事態の分は除いて、要は「むつ」を役立てようと思ったらあと七年間要る、こういう勘定が出ているわけですね。それでなかったら十年の延長にならないわけですよ。これは初めから必要なことなんでしょう。出力上昇試験は当然当時も必要だし、実験航海の一、二も必要だし、処分も必要だ。それを当時はわずか四年でやります、そのほかの原子炉の艤装の残りの部分もひっつけてですよ。だれがどう考えたって、その四年間というのはでたらめ、根拠がないですよ。結局何年間延ばしますというのが全然科学的な根拠なしにその場逃れのことをやってきたと言われたって仕方のない現状で、だからこそ大山委員会も、まず「むつ」をあれこれ手がける以前の問題として事業団体制の抜本的な改革を提起しているわけでしょう。よく御承知のことだけれども、その部分を読んでみれば、「事業団は、当初九年間の時限立法により、昭和三十八年設立されたのであるが、十年間に満たない寿命の事業団に基本設計から詳細設計、建造、運転に至る過程を一貫して担当する人材を固定させることは困難であったと思われる。しかし、第二船以降の民間計画の目途がたっていれば、時限立法による弱点は克服できたかも知れない。」しかし現実には、民間の方では「むつ」からますます遠ざかっている。そういうわけだから、後続いてこう言っているわけですね。「むしろ時限立法では、国家事業として推進してきた開発が技術的な完結に達しないまま挫折してしまう恐れが大きい点であろう。」という指摘でしょう。そうすれば延長問題は、これは少なくとも三度目ですよ。去年不成立に終わっているから四度目と言ってもいいですね。  もし本当に大山報告に基づいてそれを実行しようと思っているのですと言うのなら、この際、まずは第一に、もう一遍十年とか十一年じゃなしに恒久立法化で検討していくのが、それがいいか悪いかは別問題として、まさに最も妥当なことじゃないかと思うのです。大山報告はそのことを言っている。なぜ今回この大山報告一つの核心である問題、有限の事業団では技術の蓄積も人材の蓄積もできない、失敗する、この提起にこたえようとしなかったのか、答弁を願いたいと思います。
  212. 山野正登

    ○山野政府委員 大山委員報告におきまして、事業団を恒久法化する方がよろしいのではないかという御指摘があったのは、そのとおりでございますが、これはやはり優秀な人材を事業団に集めようという配慮からでございまして、そういう意味におきましては、私ども今回法律改正を恒久法化することはいたしませんでしたけれども、できるだけ優秀な人材を事業団に集めるべく、大山委員会の報告をいただきました後、技術能力の高い、経験豊かな人材を幹部として事業団に迎えるといったふうな努力もいたしておりますし、また技術部の要員につきましても、これは現在はまだ二十名ばかりでございますけれども、できるだけ早く事業団法の成立をお願いいたしまして、事業団法の改正法案が成立しました暁にはこれを倍近くに増強したいというふうにも考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、実体はこの大山委員会の報告に沿うべく措置してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、この大山委員会の指摘どおりなぜ恒久法化しなかったかという点につきましては、先ほど申し上げました原子力委員会の中に設けました原子力船懇談会におきまして、今後の事業団の扱いにつきましても御審議願っておりますが、その結論に基づいて恒久法化しなかったわけでございます。
  213. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 恒久的な研究機関でなければ原子力船開発という困難な事業、とりわけ舶用炉の開発などは非常に困難だというのは、各方面の専門家なりあるいは民間技術者ですら指摘しているところですね。代表的な一例を挙げれば、山県昌夫さんも舶用学会誌でそのことを指摘されているでしょう。「恒久的な研究開発機構の必要性を主張してきた筆者は、このような原子力第一船のみを対象とする臨時的なものの設立には気乗り薄であったが、各般の環境情勢から暫定措置として原子力船開発事業団の設置には賛同したものの、事業団が解散するにあたり、前広にその後における研究開発体制について、改めて検討すべしということを強調しておいた。」こういう方ですらこういう見解を述べていらっしゃる。これは一九七二年の話ですね。  こういう意見に基づけば、今回はまさにチャンスです。先ほどからの論議のように、科技庁所管の特殊法人の中でも、この原子力船事業団だけが例外的に有限、百十三ある政府の特殊法人の中でも、原子力船事業団が担っているような目的やあるいは事業の性格からすれば、まさにこれだけが唯一無二と言っていい有限的な存在、こういう点から考えて、本来ならば、私はまず第一に恒久立法ということを、同じ改正するならこの機会に考えるべきではないか、こういうふうに思うのですね。  その次に、恒久立法にしていないけれども、今度は中身の方で変わることをしています、こう言うから、当然言うだろうと思っていたから、そのことについて質問をしたいと思うのです。  これは原船事業団の方にお尋ねしますが、すでに言われているように、原船事業団の技術関係職員の総数はわずかに二十名ですね。この中でいわゆる事業団プロパーといいますか、専属の職員は五人で、出向が十五人、この数に間違いありませんね。
  214. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 技術部関係職員は、確かに二十名でございまして、そのうち、いわゆるプロパーと称しておるのは五名でございます。なお、技術者としましては、技術部以外の分野にもそれぞれ技術関係の者も配置をいたしております。
  215. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に技術の中枢を預かる管理職ですね。部長さん、課長さんの場合は全部出向者ではないのですか。
  216. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 現在技術部の部長、また、三課ございますが、各課長はすべて出向者でございます。なお、そのほかに、参事役としてプロパーの者を一名ほど持っておるわけです。
  217. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 参事という方は何か仕事を担当し、何か権限を持ってやっていらっしゃるのですか。
  218. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 現在技術部におきます参事役は、当事業団が発足いたしまして間もなくよりこの技術を担当してまいったものでございまして、過去のいきさつ等につきましては、本人は非常に精通をいたしておるわけでございます。なお、若干本人が体を壊したりいろいろしておりますので、現在は一応スタッフという形でその技術についての助言等をやってもらっておるわけでございます。しかし、技術部の中におきましては、非常に重要な仕事を実際には分担いたしております。
  219. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その参事というのは、多分佐藤さんのことだと思うのですよ。あの方に電話して業務のことを聞いてごらんなさいよ。何もお答えになりません。私別に何も担当しておりません、脇役にすぎません、こういうことでしょう。こういう人は、いわゆる責任を持って技術面の何らかの部門を受け持つスタッフと私は見るべきではないと思うのですね。もしそれで、先ほどの原子力局長のように優秀な人材を集めたと言われるなら、これは大変なことだ。われわれは決して動燃事業団の体制がベストだと思っているのではないのですが、それは前提とした上での話なんですが、これと比較して一体どうなのか。動燃事業団の技術職員の総数は大体何人ですか。
  220. 山野正登

    ○山野政府委員 技術系職員は千九百三十七名でございます。
  221. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いたのでは、千九百三十七人、約二千人のうちで、いわゆる事業団専属、プロパーの技術者は千四百三十九人、出向者の方がぐっと少なくて四百九十八人、つまり四分の三までは事業団の技術者なんですね。これも混成部隊に違いないのだけれども、まあまあ最低ぎりぎりの線じゃないかと思いますね。  さらに、管理職については、全部で百七十八名いらっしゃると私は聞いたのです。そのうちプロパーが百一名で、出向者の方が大体七十七名、したがって管理職で見れば三分の二がプロパーで三分の一が出向者、こういうのと比較した場合、原船事業団の二十名という技術者の総数も全く問題にならないけれども、しかもその三分の二までが出向者で、管理職は全部出向者、これで一体専務理事として、先ほどの局長の話じゃないけれども、本当に原子力船の開発を担えますか。率直なところを一遍答えてください。
  222. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 現在の事業団の体制でございますが、放射線漏れが起こりました時点におきましては、確かに大山委員会等で御指摘もございましたような体制でございました。その後、遮蔽改修また総点検ということを実施をしていかなければならないということになりましたので、そのための陣容を整えるということで、現在私どもの方の持っております定員の中で、優秀な人材を集めていくという形をとるためには、その当時の技術の専門分野等の者では適当ではなかったということから、各責任者、課長を初め各職員につきましては、造船会社あるいは研究機関等にお願いをし、それぞれ必要とする各専門分野の者を来てもらったわけでございます。それで、現在その体制のもとにおきまして、遮蔽改修及び総点検についての計画等を進めてまいったわけでございます。  それで、なおこの遮蔽改修及び総点検の計画作成、またその一部分については着手をいたしておりますが、これらにつきましては、先生指摘のように、これだけの体制ではなかなか力不足でございますので、私どもの方では、団内に外部の学識経験者の方々に委員になっていただきまして、専門部会あるいはその下にワーキンググループあるいは分科会というようなものをつくりまして、私どものスタッフで原案を作成いたしましたものについて、この委員会等で御検討をいただき、さらにまたそれらを検討の上、計画を積み上げていくという形をとってまいりました。  また、その計画を作成いたしまして、具体的には、例を申し上げますと、遮蔽改修に当たりましての原因究明の解析、あるいは模型実験、材料試験等、設備を使いましての試験、実験等もございますが、私どもの方ではこれらの施設、人材等も十分に持っておりませんので、これらにつきましては、内部で消化できるものは極力自分たちの力でやる、しかし、物理的にできないもの等につきましては外部の機関にお願いをして、解析あるいは計算機を回していただくとかあるいは実験をやっていただくとかいう形で実施をいたしております。  なお、これらの実験、試験の結果等につきましても、私どもの専門部会等でいま検討しておるという形でやっております。
  223. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原子力委員会の安全審査ですら、この大山報告は、高名で忙しい先生方が非常勤ではだめだという指摘なんでしょう。ましてや、ある意味では物をつくるということを含む事業団、それも新しい開発、研究を含むわけでしょう。これが非常勤のスタッフを周りに集めてできますか。そんなことを専務理事が考えているから、いつまでたったって「むつ」一隻解決できないんじゃないかと、私は聞いていて思ったのですよ。  それでは改めて聞きますけれども、技術第一課長は三菱原子力工業の出向でしょう、第二課長は日立造船の出向でしょう。この方たちは、では今後事業団と運命をともにされるのですか。
  224. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 第一課長、第二課長ともに一昨年の初めより出向してきております。それで、現在のところでは、一応出向期間につきましては当初二年ということでございましたが、これをそれぞれ一年延長ということで、現在の出向契約は来年の三月という形をとっております。なお、できれば、私どもとしては実際にこれらの事業ができるまでいてもらいたいという気持ちは持っておるわけでございます。
  225. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣、普通の考えからいけば、建造に携わった人がいててくれてこそ技術の継承性や蓄積になるわけですね。ところが、いまの専務理事によれば、過去の者はかえってぐあいが悪い、こうおっしゃって、新しい優秀なスタッフを集めたとおっしゃるのです。それが二年の出向期間で来てもらって、お願いして一年プラスして三年だということでしょう。また交代する。果たしてこれで、先ほどから言われております事業団そのものは有限であっても、中身は、大山報告に基づいて今度は優秀な人材を集め、きちっと技術の蓄積ができるように、入れかわり立ちかわりがないようにしますということになっているのでしょうか。  賢明な宇野長官だから、恐らくこんなことでいいとは思っていらっしゃらないと思いますが、いまの話を聞いていらっしゃいまして、こんなところに「むつ」を任せていいとお考えですか。御意見を聞きたいと思います。
  226. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 非常に適切な御指摘をちょうだいいたしたと思っております。  いやしくも今日、こうした事業団の存続に関しまして、政府といたしましても、ぜひとも「むつ」を修繕をして、りっぱに第一船のお役目を果たしたいと思っている以上、ただいまお考えを聞いております限りでは、瀬崎委員の御指摘も決して無理からぬ御指摘だろうと存じますが、そうした御指摘を仰ぎながら、今回この原子力船開発事業団法を御審議願うわけでございますから、当委員会におきます皆様方の御指摘をもっとものことと存じた場合、事業団に対しまして私は責任者といたしまして、そうした御指摘にことうべき体制を整えさすべきである、こういうふうに考えておりますから、いろいろ御指摘いただきました点に関しましては、今後私からも十二分に注意をいたしまして、さらに大山委員会が指摘をしてくれましたような体制に向かうように最善の努力をいたしたいと存じます。
  227. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 動燃事業団の方だって、最初は出向者が非常に多かった。それがやはり年数とともに出向者の比率がぐっと少なくなって、だんだん事業団生え抜きといいますか、あるいはそこへ定着する技術者の方がふえてきている。ところが、原船事業団の方はいつまでたっても出向者中心で、しかも、その出向者の出向期間も、大体二、三年で交代だ。この事態に変わりはないわけでしょう。なぜ原船事業団の方はそのように優秀な技術者の定着が得られないのか、その点をどう考えていますか。
  228. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 現在、私どもといたしましては、この団法の成立を待ちまして、ただいま先生の御指摘のありましたような点には大いに留意してまいりたいと思っております。  また現に、わずかにこの二年間でございますけれども、その中で、やはりプロパーの職員をできるだけ使えるところには使っていこうということで、新たに二名の学卒を採用して、実際に大いに活躍をしておるわけでございます。  なお、現在の事業団の状況から見まして、確かに少人数で一騎当千の士がすべて集められるとは限りませんけれども、相当の技術レベルを持った陣容を整えるという必要からいたしますと、新卒を現在の時点から採って養成していくということはなかなか時間的に余裕がないということで、現在でき上がっておる優秀な方々をメーカーその他のところから出向していただいて、それによって業務推進せざるを得ないというのが現状でございます。できるだけプロパーの者を整えていくことが好ましいことは申すまでもないことだと思います。
  229. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 事業団の方から、一応アルファベットの符号で過去の技術関係の管理職の変遷状況をごく最近まで出してきております。大山報告がつけておる表の後の部分も含めてですね。結局移り変わり、二十六人の部長、課長がいらっしゃったわけなんですね。グラフみたいなものだから、多少の誤差はあるでしょうけれども、ざっとこれで計算すると、五年以上在職した管理職というのは二人で、最高で六年ですよ。四年以上五年未満の人が三人、三年以上四年未満が六人でしょう。あと十五人は圧倒的に二年以下なんですよ。半分以上が二年以下でそれぞれ技術の責任者をかわっているわけでしょう。  この事態が今日でも一向に変わらない。ここまで来たら、これはやはり根本的な問題として、どこに欠陥があるのか、幹部なりは考えなければならない問題です。政府も考えなければならない問題だと思うのです。確かに新しく学卒を採用された。この十一ヵ月とか一年二ヵ月という勤続年数の人がそうだと思います。われわれも大いに期待したいけれども、この科学の最先端を行く原子力船の建造にこういう人たちが手腕を発揮してあげるのは、政府の思惑どおりいったとしても、まさに今度の延長の期限の切れる十年先じゃないですか。こう思うときに、だれがこの事業団目がけて集まってくるでしょうか。結局ここへくれば、このようなきわめて長期間を要するいわゆるナショナルプロジェクトを担う開発研究機関が期限を切られるということは、致命的な問題だろうと思うのですね。しかもそれを改めようとしない。  問題は、こういうがんこな政府の態度だから、去年二回も事業団法は不成立に終わっている。しかもまた、これは三度目出すわけでしょう。これがこのまま国会を通過すると思ったら、私は大きな間違いだと思うのです。  本当を言えば、一遍胸に手を当てて、こういう事業団体制そのものの欠陥を洗いざらい出して、廃止すべきものは廃止して、新しく、いろいろな専門家が望んでいるような舶用炉の開発そのものを含めるしっかりした研究機関に改める、こういうふうなことでもなかったら、事態の解決にはちっとも役立たないと思うのですね。  大体、母屋の方が朽ち果ててつぶれかかっておるのに、ひさしの方の「むつ」だけ修理しようというのですから、どだい話が逆じゃないかと思う。まず母屋の方を建て直すことを考えたらどうでしょうか。大臣、いかがですか。
  230. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 これは過般来申し上げておりますとおり、やはり事業団そのものを、いろいろと御指摘を賜りましたこともございますが、どういたしましても、今日原子力開発ということは、その安全性を確保しつつ推進しなければならない問題でございますから、したがいまして、政府といたしましても、全責任を持ってこの原子力船の開発を進めたい、そのための事業団法の改正をお願いしておるわけでございます。  従来いろいろ経緯もあったでございましょうけれども、また時限立法であったがために、いま御指摘のとおり、そのスタッフにおいてはいろいろとむずかしい点もあったかと存じますが、少数精鋭主義で今日まで事業団もがんばってきたと存じます。今後十年の間に、皆さん方の御協力を得てこの事業団法に十一年間こうした生命を与えていただくならば、やはり事業団の職員諸君も本当に第一船の建造のために懸命の努力をしてくれる、私はこう確信いたしますし、また、私もそのための最善の努力をしていきたい、かように存じます。  そうしてまた、今日、過般いろいろと御指摘になりましたとおり、海運界であるとか造船界が一向にこの問題に熱意がないじゃないかというふうなことに対しましても、この問題が発生いたしました当時、やはり海運界あるいはまた造船界の代表も入られまして、一九八〇年代には必ず原子力船時代が来るのだという意気込みでかかられた。しかしながら、その後原子力全般にわたるところのいわゆる立地難ということが大きな災いをなしている面もあろうと存じます。その災いの責任はやはり政府が大きく背負わなくてはなりませんから、この国会におきましても、安全性確立のための法律をお出しして御審議を願うわけでありますから、私といたしましても、そうした問題をも抱えながら、やはり国民各位の御協力を得るのならば、原子力船時代は必ず来るわけでございますから、したがいまして、その第一ページを飾る事業団といたしましても、それにふさわしいだけの誇りを持ってやってくれるものと存じますから、さような意味におきましても、私は事業団に対しまして言うべきことは言っておこう、こういうふうに存じておりますので、昨年いろいろ事情があったことも私は存じておりますが、どうかその点はよくお考え賜りまして、政府提出の案件に御賛同賜りますように切にお願い申し上げる次第であります。
  231. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題の本質の深刻さを少しも認識していらっしゃらないと思うのです。あれもこれも、いま政府のやっていることは改革したいことだらけだと思うけれども、さしあたって原子力船の開発体制だけをいま論じているわけなんです。やる気があったらできるはずのことだと思うのです。  先ほどから議論されているように、現在一番かなめを握っているのは、事業団では技術第一課長と技術第二課長とその上の部長さんでしょう。その一番肝心なところがすでに派遣期間の二年を過ぎ、ようやくいま頼んで一年おってもらうだけの話なんです。またここで交代するのです。これからという、技術者の卵と言っては大変失礼ですけれども、腕をみがいていただく方は、腕をふるっていただくまでに十年ぐらいかかるでしょう。そのころには、たとえ政府の思惑どおりにいったとしても、今度は事業団の方が店じまいになるわけです。こんな希望のない話で、あの「むつ」に何十億かけるとかそこから先の原子力船の開発を担うとか、そんなことが正気で考えられますか。だから、国民は政府のやることを信用しなくなってしまった。だから、えりを正してそういう研究開発体制そのものをこの際抜本的に改組改革する。事業団は、とにかくその能力と資格のないことが証明されたのだから、こういうものは廃止して、そして新しく、われわれが提起しているような総合的な、舶用炉開発も、全体が担えるような研究機関として再発足をしなければならないだろう。そうしなければ国民はだれも政府のやることに信頼を置かないと思うのですね。  結論として、こういう点で私は三つの点だけを特に強く主張しておきたいと思うのです。  その一つは、そもそも原子力の第一船の開発計画だけがあって、第二船以後のことは民間に任すことにしておった。このことが間違いなのだ。これは明らかになった。先ほど局長も認めている。さらには、分離型の舶用炉の研究開発だけではだめで、一体型の舶用炉の開発がいやおうなしに今後一つの日程に上ってくる、こういうことも含めて原子力船の開発基本計画を練り直すことが先決問題だ。  第二点は、原子力船事業団の延長法案を撤回して事業団を廃止する、そして舶用炉を中心とした新しい研究開発体制をつくり直す。  第三点は、巨額な国費のむだ遣いになるであろう「むつ」の修理計画はこの際中止すべきである。  こういう点を強く主張して、きょうの私の質問は終わりたいと思います。
  232. 山田太郎

    山田委員長 これにて瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。  次に、中馬弘毅君。
  233. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 先日来、こういった予算を含めての原子力問題あるいはいろいろな科学技術の開発の問題等について、この委員会というものを見ておりまして、委員というものが政府あるいはこうしてたくさんお集まりいただいております政府委員の方々にただ口頭試問のようなことばかりしていることに対しまして、何かさびしさと一つのむなしさを覚えるような次第でございます。委員というものが、それぞれの立場でそれぞれの意見を代表して来ているわけでございますから、またそれぞれの見識に基づいて、こういった科学技術の問題でございますから、お互いにフリーなディスカッションをして、そして何か前向きの建設的なものをつくり出していきたいというような気がする次第でございますが、委員会のあり方も含めまして私見をまず申し上げさせていただきます。そのむなしさを感じながら恒例によりましての一つ質問をさせていただきます。  さきにエネルギー需給の長期ビジョン、これは六十年以降はどうなのかということをお聞きしたわけでございますが、六十年以降につきましては非常に不明確だということが明確になったわけでございます。ただ現在ある総合エネルギー調査会が出しましたこの六十年度計画について、この数字にどれだけ政府は責任を持って掲げているのか、果たして絵にかいたもちなのか、そういったことをお伺いしたいと思います。原子力四千九百万キロワット、これは現在の見通しではほとんど達成不可能だということでございますが、現在の達成可能な数字はどの程度でございましょう。
  234. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 先ほども同様の質問がございまして率直にお答え申し上げましたが、二年前につくりました長期需給計画に基づく昭和六十年度の四千九百万キロワットは、私は不可能である、かように存じますから、やはり整合性、実行性を伴う目標を設定しなければならない、こういうようなことで、三月五日でございますか閣僚会議を開きまして、そして見直しということを決定したわけでございます。いずれ作業は関係各省庁間の幹事会でやりまして、それを改めて閣僚会議で決定するということに相なりますから、現在のところこの年次においてどれくらいのものが確保し得るかということを推測し得る段階、はなはだむずかしゅうございますので、率直にその点だけ申し上げておきます。
  235. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 政府からは具体的な数字は申せないということもわかりますが、日本エネルギー研究所あたりでは二千七百万キロワットがいいところというような調査も出しておりますが、こういつた減少分は何で埋め合わせることになるわけでございますか。
  236. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 その辺が今後の一番重要な問題になるのではないかと思います。たとえば四千九百万キロワットという数値をそのままにいたしまして、そのときに入る石油そのもの自体がとてもじゃないが四億八千五百万キロリットルは確保できない、四億四千万キロリットルぐらいじゃないだろうか、こういうふうに推定をいたしますと、では一体全体そのときの国民経済成長率は幾らかということになれば、これは明らかに六%を大幅に切ってしまうわけでございます。したがいまして、われわれの願いは、今後毎年少なくとも六%台の成長率を続けていきたい、そうすれば十二年たてば経済の規模は倍になるわけで当然それだけエネルギーが要るから、昭和六十年度の設定といたしましてそういうふうな数値をわれわれといたしましても二年前にこしらえたわけでございますが、それができないとなれば六%台の成長はダウンしてしまう、そうした切実な問題を私は率直に国民の方々に知っていただくべきだろうと思うのであります。  そして、本当にそのためには政府も、原子力開発に関しましては安全性ということを第一義といたしまして、原子力に対する国民の不安を解消する努力も今後強く打ち出していかなくてはなりません。その点におきましては今日まであるいはやや努力に欠くる点がありはしなかったかという反省のもとに、今国会におきましては御承知のとおり原子力基本法の改正法案を出しまして、行政面におきましてもそうした安全性の確立ということをわれわれといたしましては推進をしていかなくてはならない。そうした中において国民の御協力を仰ぎながらすべての電力エネルギー問題に関しましてはいわゆるパブリックアクセプタンスというものを一日も早く得たいものである。これが今後の私たちの努力になると存じます。もちろん、そういうさびしい話ばかりではなくて、その間に少しでも四千九百万キロワットに近づくだけの努力をしなくてはなりませんし、それ以外に過般の閣僚会議に私みずからも発言いたしておきましたが、いま忘れられている一つの問題に水力という問題がある。やはり一番きれいな発電の要素である水力、多少高くなるかもしれないけれども、しかし、この面においては減価償却の耐用年数をふやすとかあるいはまた建設に対する金利を低めるとか、そうしたことを自家発電用でやってもらっても相当助かるはずであるし、特に地方自治体においてもいろいろと開発に努力をしていただくのならば、あり余れる水力を有効に利用することもできるではないか、そうしたこともやはり一九八五年までに政府としては確立をして一つの大きな話題としてやるべきだ。こういうふうにありとあらゆる方途を講じまして極力私たちの生活がダウンしないようにやっていかなくてはならない、かように考えております。  しかし、その反面、国民の方々にそうした状態にあるということも率直に申し上げる機会をしばしば得なくてはならぬ。特に私はお願いするのでありますが、こうした問題に関しましては、やはり特に国会におきまして与野党間において本当にいろいろフリーディスカッションをやっていただいて、お互いに切実な思いをしながら、ではどういうふうにするかというふうな機会もまたぜひともおこしらえ願ったらいかがであろうか、こういうふうに個人的ではございますが考えているような次第であります。
  237. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 おっしゃるとおりでございまして、要するに国民的なコンセンサスというものを政府が明確にしてない点にいろいろな点で大きな問題が出てきているのじゃないかと思うのです。その点に関しましても、いまの大臣のお話を聞いておりますと、成長というものをまず一つの基本に置いておられるように思います、この六多なり何なりというものを。これを場合によっては下げなければならないのかもしれない。このところでやはり六%だということであれば、この四千九百万キロが達成できなければこれは場合によっては国家的な強権をもってでも原子力発電所をつくらなければならぬのかもしれませんし、あるいは逆に成長率の鈍化を、四%になりますよということを国民に本当に訴えなければならないのかもしれないし、あるいは節約ということも一つあると思います。たかだか目指しておりますのは一〇彩そこそこのことでございますから、みんな国民こぞって一〇%節約しようじゃないか、こういう一大キャンペーンを展開することも政府というか政治の役目かもしれません。  アメリカでは、御存じのようにこの間出しましたですね、超党派的な省エネルギーのキャンペーンをやっております。これは上院のパーシーが委員長になってハンフリーが副委員長になり、あるいは前のフォード大統領を名誉委員長にしてみたりあるいはキッシンジャーなんかも名誉顧問にしたりしながら、ここで申しておりますのも、これはアメリカにとって最大の一つのチャレンジだというような、あの持てる国が国民こぞってそれをやっているわけです。そういうことをいまの政府というのはやってないのじゃないか、国民に本当にそういうことを理解させてないのじゃないか。安全の問題があるならば、それもはっきり国民に問題点を明らかにして、そして納得してもらっての行動を起こしてもらう、こういうことも必要じゃないかと思います。その点に対しての大臣の御見解をお願いいたします。
  238. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 確かにおっしゃるとおりでございまして、やはり国民的コンセンサスを得るためにはこういう問題をどういうふうにして国民の方々に御理解願うかという方途も一番大切だろうと思います。しかし、それを考えている間にどんどんと月日がたってしまうようなことでございましては大変ですから、やはりまず政府みずからが安全性を確立するという姿勢を示しておるというのが今日でございますが、そうしたことをめぐりまして国民の代表である国会においてひとつ超党派的にそういうふうな問題を議論していくような場所がないものだろうか、これは国会がお決めになることでわれわれ政府から申し上げるわけにはまいりませんが、たとえばそういうようなことはどうであろうか、こういうふうに個人的に考えておるということを先ほど申し上げたわけでございまして、ひとつ中馬先生もお若いぱりぱりの方でありますから、若い感覚でそういうふうな御提案をなさっていただければ、われわれといたしましてもいろいろとそうしたことに対しまして対応策をとっていきたいと存じます。  とにもかくにも、エネルギー問題は本当に議論果てしないと思いますが、しかし、速やかに国民的コンセンサスを得ないことには大変だと思います。この夏、北海道がもう足らぬぞという声もありますし、続いて何々地方、何々地方もあと二年先、三年先にはだめになるというふうな切実な問題もわいておるわけでございます。といって、国民の声を無視して政府が強権発動して、じゃんじゃんと原発推進したり、あるいは一般火力の発電所をつくるということも、今日の民主主義の時代におきましては非常にむずかしい問題がございまするから、やはりそのような対決は避けていかなくちゃなりません。ではどうすればいいかという問題にお互いに逢着すると思いますが、やはりそれぞれがそれぞれの立場で話し合えば、そこにおのずから今後の深刻な事態に備えるだけのものが生まれてくるのではなかろうか、私はそう思いまして、まず政府立場から、この国会に原子力基本法の改正法案を初めとしたいろんな安全対策を何としてもまずこれを出そうということで出したような次第でございます。
  239. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 原子力開発と安全性という問題、これは本当に国民の理解を得なければならない問題でございますが、原子力行政懇談会が出しました中での公開シンポジウムあるいは公開ヒヤリングということが出ておりますけれども、これに対しまして具体的にどういうことをお考えになっておるか、それをお願いいたします。
  240. 山野正登

    ○山野政府委員 シンポジウムにつきましては、専門家、科学者に集まっていただきまして、原子力平和利用の必要性あるいは安全性等につきまして、賛成の立場からあるいは批判的な立場から自由に御討議を願いまして、その御討議を通じて国民の方々に原子力についての御理解を深めていただこうというのがその目的でございまして、原子力委員会におきましても、一昨年以来これを具体化すべくいろいろと学術会議等と御検討になっておるのでございますけれども、先方の御事情等もありましてまだ実現するに至っておりませんが、できるだけ早い機会にこれを実現してまいりたいというふうに考えております。
  241. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 どういう方式でやるかというのは、具体的なことはお考えになっていないですか。
  242. 山野正登

    ○山野政府委員 過去、原子力委員会と学術会議と七回ぐらい会合を持っておりまして、その席上いろいろとテーマとかあるいはシンポジウムの進め方といったふうなことにつきまして具体的な話し合いもしたのでございますが、先ほど申し上げましたように、いま一とんざいたしておりまして、まだ最終的な煮詰まりというものには至っておりません。
  243. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 やはりこれにはかなりの、場合によっては両極端の議論すら、たとえばテレビの前でやるといったことまでも含めての本当にしんからの国民の御理解が必要な時代ではないかと思います。そういう予想される最悪の事故について、これは住民が大体心配しているのは、学者とかあるいは物のわかった人がそんなことは絶対あり得ないと言いましても、それに対して何らかの危惧を持っているのがこれが国民感情だと思うのです。  そういうことで、あえて質問させていただきますけれども、たとえばこれは故障じゃなくて事故ということでございますが、最近は毒入りのそれこそコカコーラを配るような時代でございます。そういうふらちな人がいつ出てくるかわからないのがいまの時代でございますけれども、たとえばストライキで一週間なら一週間あそこの人たちが全然仕事をしなかった場合に、どういう事故が予想されますか。
  244. 伊原義徳

    伊原政府委員 非常に特殊な場合についての想定の御質問でございますので、あるいは的確なお答えにならないかもしれませんが、一般的に申しまして、原子力発電所の設計の基本的な考え方は、いわゆるフェールセーフという考え方がございまして、間違って何かがあった場合あるいは何も適切な措置を運転員がとらなかった場合、自動的に装置がとまるというふうな設計になっておるわけでございます。したがいまして、何らかの理由で運転員が何もしなかったという場合には、原子力施設は操作を自動的にとめるということで安全性が確保される、こういうことかと存じます。
  245. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 たとえばあそこにダイナマイトを持って入ってあれを爆破させたといった場合に、これはどの程度の被害が、その基地だけではなくて、あるいは地域に対しまして起こるものでございますか。
  246. 伊原義徳

    伊原政府委員 そのような仮定の検討、非常に精密にしたわけではございませんが、一般的に申しまして、その原子力施設は非常に大きなと申しますか装置でございまして、かつまた、コンクリートその他で遮蔽などもされておりまして、ある意味で非常に丈夫なものでございます。ダイナマイトで爆破するのがどの部分かというふうなこともいろいろ考えなければいけないと思いますけれども、ある系統が爆破されたというようなことを想定いたしましても、そういう場合にそれの保護回路が働くというふうなこと、あるいは先ほど申しましたフェールセーフのシステムが働く、そういうふうなことが考えられますので、その場合におきましてもそれほど大きな事故にはならないと考えられます。  ただ、実際に原子力施設原子炉の設置を許可いたします場合には、非常に大きな事故を想定いたしまして、普通技術的には起こらないというふうな事故までも想定いたしまして、その場合でも周辺公衆には大きな影響を与えないということを確認いたした上でなければ設置の許可をいたさないということも現在やっております。そういうふうなことから考えまして、先生の御質問につきましても、周辺公衆に大きな影響が及ぶようなことはないであろうと考えられます。
  247. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 これはあえてそういう極端な素人の質問をしているわけでございますけれども原子力発電所に内蔵されておる放射能の量といいますか、これは核兵器と同じぐらいのものかあるいはどの程度の比較においての量なのか、そういったことだとか、あるいは燃料の輸送上何か爆発現場に当たってその輸送しているものもろとも爆発した場合にどうなるのだとか、こういったことがあります。それについて、燃料の輸送上の問題についてちょっとお伺いします。
  248. 伊原義徳

    伊原政府委員 燃料の輸送につきましては、新しい燃料の場合と、発電所で使いました後のいわゆる使用済み燃料の場合とで非常に事情が変わってまいりますのは御承知のとおりでございますが、新しい燃料につきましては、もちろんこれは放射性物質ではございますけれども、その出てまいります放射線というものは非常に微弱なものでございます。ただ、発電所に使います燃料につきましては、非常に大量集めまして、かつ、いわゆる減速材的なものが加わりますと臨界の状態になるおそれがございますので、そういう臨界状態に絶対にならないような配慮をして輸送容器の基準を定め、かつ輸送をするわけでございます。  それから使用済み燃料の場合には、これは非常に強い放射線を大量に出すわけでございますから、それを十分に遮蔽する容器に入れるわけでございます。いわゆる使用済み燃料の輸送容器、数十トンのがんじょうなものでございます。これにつきましても十分その基準を検討いたしまして、これも国際的な基準が国際原子力機関で定められておりまして、それをもとにいたしまして原子力委員会でその基準を検討いたしまして、さらにその基準の中には、輸送物を入れた形でたとえばある高さから落としてみるとか、周りに火災の状態をつくってみる、そういうふうなことでその安全性の検討等をいたすわけでございます。したがいまして、先生の御質問の中の爆破するというふうなことでございますけれども、使用済み燃料につきましては爆破というようなことは余り考えられないのではないか、こう考えるわけでございます。
  249. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 たとえばトラックで輸送するのであれば、輸送しているそのトラックもろとも何か爆発現場に遭遇したといった場合のことでございます。
  250. 伊原義徳

    伊原政府委員 この容器の基準を定め、かつ、いろいろ試験をいたしますときに、たとえばその容器が転がり落ちたときにどうなるかというふうなことまでも試験をし、かつ、先ほど申し上げましたように周囲が火災の状態になったときにどうなるかというふうな試験までもいたすわけでございます。かつ、その容器が、これは放射線を防ぐという目的が主でございますけれども、非常にがんじょうな容器でもございます。そういうふうなことからいたしまして、何かほかの事情での爆発、私もよくわかりませんが、たとえばガス爆発でも何かあったようなところのそばをその容器を積んだ車が通りかかったというふうなことがございましても、そのために周辺に非常に大きな原子力の災害を及ぼすということは考えにくいのではないかと存じます。
  251. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 また、これはアメリカの事例でもございますけれども、三年ほど前にプルトニウムの管理が一部おかしくて、そして実際に計算される在庫よりも一%ほど少なくなっているということが一時問題になったことがございますけれども、これは、あのときにはどういう面でそういうことが起こったのですか。日本でもそういうことが起こり得るのか、その点についてお伺いいたします。
  252. 伊原義徳

    伊原政府委員 先生指摘の問題は、プルトニウムが実際に理論的にはこれだけあると思われる量と、実際にはかってみた量との差というふうなことかと思われます。この差につきましては三つばかりの原因が考えられるわけでございますが、いわゆる計量誤差、つまり測定の装置なり技術のばらつきその他によります誤差がまずございます。その次には、再処理工場などで考えますと、この系統の中で、たとえば壁に付着しておるとか底にたまっておるとかいうふうなことで系統内にとどまっておる分がございます。それから、これはごく少量でございましょうけれども、液体なり固体の廃棄物の方に移動して、そちらの方へ移るというものがあるわけでございます。  こういうものを総称いたしまして私どもはMUFと略称いたしております。マテリアル・アンカウンテッド・フォー、MUFと専門的に俗称しておりますが、これがあるということは一般的に許容されると申しますか、許容せざるを得ないということになっております。ただし、そのMUFがたとえば一%あるということが、直ちにその一%のものがだれかにとられた、施設の外に出たということではございませんで、先ほど申し上げましたように計量誤差とかあるいは系統内にとどまっておるとか、そういうものでございます。私どもといたしましても、特にこのプルトニウムのMUFについては重要な問題でございますので、今後動燃事業団の再処理工場の運転に先立ちますホット試験の過程で、相当この計量精度の向上の努力はいたしたいと考えております。
  253. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 国民がいろんな面で不安に思っているというのは、かなり単純な、私がいま述べたようなことなのかもしれないと思っておるのです。そういうことで、いままで各委員の方々が御発言になりましたことを見ましても、この原子力開発に対して非常に消極的だとかそういうことじゃなくて、みんな積極的に進めるべきだという御意見だと思うのです。しかし、それにしましても、こういったことに対する国民の理解が余りにも進んでないのじゃないか、またそういうことを進める努力をしてないのではないか、こういつたことから、先ほど申しましたような公開シンポジウムあるいは公開ヒヤリングというものも、より多く国民の目の前でわかりやすい言葉で行って、そうして御理解をいただくことが今後の原子力開発のより大きな推進になると思いますし、また安全についての一つの大きな理解にもなる、かように思う次第でございます。その点につきましての格段の御努力をお願いしたい次第でございます。  次に、そういったことも含めまして、原子力の損害賠償に関しまして、これは三十六年に成立したときが賠償措置は五十億円、その後六十億に上げたのでございますね。これでもまだいまの大型化した事態となっては少ないんじゃないかという気がいたしますが、その点についての御見解をお願いいたします。
  254. 山野正登

    ○山野政府委員 損害賠償の賠償措置額は、民間保険者の引き受け能力並びに諸外国におきます制度等も勘案しまして、現在は御指摘のように六十億円というふうに定めてあるわけでございます。六十億円を超えますような損害が生じました場合には、必要があれば政府が賠償のための援助というものも行えることになっておりますので、炉が大型化したということですぐにこの賠償措置額を上げなければ被害者の保護が十分図れないといったふうなことにはならないと考えております。
  255. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 以上、原子力開発と安全性につきまして私が言いましたのは、もちろん国民の大きな御理解を得る必要があることと同時に、やはりいま申しましたような全く予測されがたいと思われるようなことに対してまでも一つの配慮がなされなければならないのじゃないか。原子力というものは大自然の摂理から外れたことを人類のためにやろうとしていることでございますから、やはり敬虔な態度で、おそれの心をもって接していく必要がある、かように思う次第でございます。  そのことをお願いいたしまして、きょうは私、簡単でございますが質問にかえさせてもらいます。
  256. 山田太郎

    山田委員長 これにて中馬弘毅君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会