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1977-04-19 第80回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月十九日(火曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 稲富 稜人君    理事 阿部 文男君 理事 本名  武君    理事 山田 久就君 理事 上原 康助君    理事 加藤 万吉君 理事 斎藤  実君       川田 正則君    熊谷 義雄君       篠田 弘作君    田中 正巳君       竹中 修一君    橋口  隆君       村上 茂利君    池端 清一君       島田 琢郎君    美濃 政市君       安井 吉典君    市川 雄一君       玉城 栄一君    瀬長亀次郎君       甘利  正君  出席国務大臣         外 務 大 臣 鳩山威一郎君         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)      藤田 正明君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         沖繩開発政務次         官       國場 幸昌君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君  委員外出席者         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第二一号)      ————◇—————
  2. 稲富稜人

    稲富委員長 これより会議を開きます。  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 きょうは大変忙しいところを外務大臣来ていただいたのですが、残念ながらわずか一時間程度しかお時間がとれないということで、余りまとまった質問ができないことは非常に不満なんです。しかし、今後も審議にはぜひ出席をしていただいて、いろいろな一般国政調査の場で沖繩基地問題なりその他やっていただくという理事会の申し合わせもありますので、きょうのところはわずかの時間で、主に沖繩基地問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、せんだってもいろいろとお尋ねをしたのですが、去る日米首脳会談において、沖繩基地問題なり今後の基地整理縮小、あるいは現に沖繩米軍基地内で起きているいろいろな事件等県民生活に非常なインパクト、悪影響を及ぼしていることなどについて、外務大臣の方から米国政府首脳に何らかの申し入れなり、あるいはどういう解決策を今後日米間で講じていくか等について何かお話し合いがあったのかどうか。これまで私たち新聞紙上なりマスコミを通して承っているところでは定かでありませんので、そこいらの点がありましたら、ひとつ簡明に御回答をいただきたいと思います。
  4. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 沖繩におきます基地問題につきましては、大変大事な問題でございますし、この問題は常時米側と緊密な接触を保って運用しておるわけでございます。私、特に、ハンス国務長官にお目にかかりましたが、会談時間が三十分しかなかったものでございますので、詳細な話し合いはなかなかできなかったわけでございますが、従来問題になっております。韓国からの引き揚げに伴いまして沖繩基地がいろいろな影響を受けるのではないかとか、御指摘のいろいろな問題がございましたので、それらの点につきましては、非常に短時間ではございますけれども、いろいろ申し上げてきたところでございます。
  5. 上原康助

    上原委員 具体的にはどういうことですか。
  6. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 上原委員から御指摘のありました、沖繩におきまして戦術核が移転をされておるのではないかという問題がまず大きな問題としてあったわけでございますが、この点につきまして、核の問題でございますから表現はなかなか回りくどいような話になるわけでございますけれども、しかし結論におきまして、そのような心配はないということを確認をいたしたわけでございます。  それから、基地を利用して戦闘作戦行動に出るというような場合におきまして、従来から事前協議の制度があるわけでございますから、これらの点につきまして従来と全く変わりないということも確認をしてまいった次第でございます。  非常に大きな問題は以上のようなことでございますが、基地整理縮小問題等につきましては国内において常時やっておりますので、それらの問題はワシントンにおきまして特に議論はいたさなかったのでございます。
  7. 上原康助

    上原委員 私がかねてから指摘をし、まだ私自身も十分納得しておりませんし、もちろん沖繩県民も核の存在の問題等についてはまだ納得はいっておりません。そこで、きょうは時間もありませんからそこいらを深めていくわけにはまいりませんが、ただ、せんだって三月三十一日付で外務省の方から私の方にも一応回答という形での文書が出てきているわけですが、いま大臣いみじくもおっしゃるように、非常に回りくどいところに核の疑惑があるわけですよ、正直申し上げて。いつかも申し上げたように、非常に正直な方だから、正直に申し上げさせていただくのだが、この回りくどさに問題があると私は見ているわけです。  ここで戦術核云々はちょっと触れられたようですが、生物化学兵器、いわゆるBC兵器の話は全然出なかったのかどうか。私が電話でお伺いしたときには、そのことも話し合いをなさったということでしたが、この文書の中には全然触れておりませんね。そこはどうだったのか、事実関係だけきょうのところは確かめておきたいと思います。
  8. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 生物化学兵器につきましても確かめてまいりました。この点につきましては、これは貯蔵していないということをはっきり確認をいたした次第でございます。
  9. 上原康助

    上原委員 米側の言い分だけを追認をするということは、私たち立場からするとなかなか納得し得ない点ですが、一応国会指摘をされたことに対して、重要な事項であるので米側の意向を確かめてみようというその誠意については、私も大臣初め外務省の御努力に敬意を表するにやぶさかでありませんが、しかし、その後も指摘しましたように、ここには核が貯蔵されているのではなかろうかという場所については、実際に全然立ち入り点検はできないわけですね。政府もできないし、私たちもできない。それでは納得できないわけなんです。そこいらに踏み込んでやるべきじゃないかということについては、信頼関係だからということでそういうおつもりはないということでしたが、やはり一歩踏み込んでそこまで確認をするという方向にいかないと、この点は決して解明されたとは言えないと私は思うのですね。その点について、さらに御努力をいただけるのかどうか、改めて御見解を承っておきたいと思います。
  10. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先日もそのような御指摘があったわけでございますけれども、日米間の信頼関係から申しまして、その点は信頼し合ってまいりたい、こう思う次第でございます。
  11. 上原康助

    上原委員 そうなりますと、これは残念ながら平行線的な論議にしかならない。  また、事前協議の問題にしても、もう何回か具体的な例を挙げて指摘をしても、事前協議の対象にならないということで、今日まで全くないということ自体がおかしいわけですよ、あれだけの軍事基地を抱えて軍事行動を展開しておきながら。そこいらが回りくどく非常に黒いベールに隠された基地実態であるということを改めて指摘をしておきたいと思います。  そこで次に、これとも密接にかかわりを持っていると私たちは思うのですが、大臣は、最近米海兵隊キャンプ・シュワブあるいはキャンプ・ハンセンを結ぶ戦車道を無断で構築していることについて、御存じですか。
  12. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先般も御指摘がございましたので、よく存じております。
  13. 上原康助

    上原委員 この点については、すでに本委員会でたびたび議論になってきたのですが、今回のことは余りにも無残な工事をやっておるわけですね。私はすでに二回現場に行ってまいりましたし、きょう本委員会がありますので、きのうも、沖繩は非常に悪い天気でしたが、現地までまた足を運んできました。小雨まじりでぬかるんでおりますので、ずっと奥地まで入るわけにはいきませんでしたが、余りにも無残な工事をやっているわけですね。  そこで、せんだって私は防衛庁沖繩開発庁長官には一応写真を見ていただきましたが、これは外務大臣にもぜひ見ていただきたいのです。どうお感じになるか、最近ではこれよりもっと無残なかっこうになっておりますから、よく見てください。  そこで、その事情については知っておられるということですから、このことについて外務省として米側に何らかの申し入れなりあるいは事後措置等について注意を喚起するとか、やった経緯はございますか。
  14. 山崎敏夫

    山崎政府委員 事実関係がございますので私から答弁させていただきますが、キャンプ・ハンセン及びキャンプ・シュワブにおきます米軍戦車道建設に関しましては、水源地水質汚染等のおそれがあることがわかりましたので、防衛施設庁から米軍に対しまして土砂の除去、それから一部のルートの変更等水質汚染防止のための所要の措置を講ずるよう申し入れを行ったと承知しております。その後、防衛施設庁におきましては、県その他の地方公共団体連絡をとりながら被害状況をさらに調査しておられると承知しております。  外務省として考えますのに、米軍がその施設区域内におきましてこの種の道路建設を行うこと自体地位協定上認められておることではございますけれども、他方、地位協定の第三条の第三項にも規定されてありますように、米軍がその施設内で行う作業につきましては「公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」ということになっております。したがいまして、今回のように、施設区域の周辺の公共の安全に影響を及ぼす可能性があるような場合には、アメリカ側において日本側関係当局事前連絡をとって、公共の安全に万全を期すよう配慮してしかるべきであったというふうに考えております。この点、アメリカ側から何らの連絡がなかったことは、われわれとしても遺憾に考えておる次第でございます。したがいまして、防衛施設庁によります調査の結果を踏まえて、この水源地汚染防止公共の安全に万全の措置を講ずるよう、近く開かれます合同委員会場等においてアメリカ側申し入れ考えでございます。
  15. 上原康助

    上原委員 このことについては、去る四月十五日の委員会でも局長から答弁があったので、繰り返す必要はないと思うのですが、要するに現段階まで外務省としては、この戦車道の、アメリカ側がやった無謀きわまる工事に対して何らの申し入れもやっていない、そういうことですね。
  16. 山崎敏夫

    山崎政府委員 いま申し上げましたように、現地におきまして防衛施設庁の方から米側申し入れておる、さらにまた被害状況についてはいま調査中であるというふうな連絡を受けておりますので、それを踏まえた上でわれわれとしては米側申し入れるということでございまして、その様子も大体わかってきておりますので、近く米側に正式に申し入れ考えでございます。
  17. 上原康助

    上原委員 大臣、いま写真をお見せしたのですが、どういう御感想を持ちますか、これをごらんになって。
  18. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これは道路工事一般に環境を破壊したりいろいろな問題を起こしがちなものでございますけれども、やはりこの米軍による行為というものは大変荒っぽい工事やり方ではなかろうかという感じがいたした次第で、工事の施行につきましてやはり公共福祉を損なわないように配慮をしてもらいたいということを感じた次第でございます。
  19. 上原康助

    上原委員 そこで、これは写真を見ただけでも人によってはいろいろ受けとめ方があると思うのですが、正直申し上げて現場はもっとひどいのです。  そこで、幾ら地位協定上、米側施設区域内におけるいかなる措置もとることができるという規定があったにしても、同時に、何回も指摘されておりますように、三条の三項においては「公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」という規定もあるわけです。しかし、この第三条三項を米側が犯した場合は一体どうなるのですか。この第三条を犯した場合には政府としてとれる措置はどういうものがあるわけですか、その点明らかにしてください。
  20. 山崎敏夫

    山崎政府委員 公共の安全に妥当な考慮を払わなかった場合には、もちろん政府としてはアメリカ側に対して強い申し入れをしてその是正を図るわけでございます。さらに、その結果として被害が生じました、あるいは損害がありましたときには、これについては地位協定関係条項に従いまして米側との間で話し合って、また関係者の方にはしかるべき補償をする、こういうことになるわけでございます。
  21. 上原康助

    上原委員 それは日本側として政治的にそうせざるを得ない立場に立たされるということであって、法律論争をしようとは思いませんが、第三条を犯した場合の罰則規定というのは残念ながらないのです。そこにも地位協定の非常な不平等性というものがある。一方、たとえば日本人が基地内に不当といいますか、政府立場で言う不法侵入した場合には、すぐに刑特法を適用するとかいろいろな罰則規定がある。だが、アメリカ自然破壊をしょうが、許可なくしていろいろなことをやろうが、勝手気ままにできる。それじゃ対等でもないし、平等でもないわけです。そのことに対して、やはり政府としてこの際毅然たる態度をとるべきじゃないですか。いま北方領土の問題あるいは漁業問題をめぐってソビエト連邦との関係で非常に緊迫した面もあるわけですが、とるべきときはソ連に対しても毅然たる態度をとっているわけです。これだけ自然破壊をされて、いろいろな人権問題が起きて、なお政府が黙して語らずというのはどういうわけですか。私はこの際政府として、出先の施設局やあるいは防衛庁に任すのでなくして、アメリカ側に対して厳重に外務大臣がじきじきにアメリカ在日大使なりしかるべき筋にこの問題は提起をしてしかるべき段階に来ていると思うのです。  きのう宜野座村の宜野座区に行って、区長さんなどにも会ってみました。もうすでに高等学校や中学校も断水をしているのです。日中は三千名の方々が宜野座区一帯にはおります。区民は千五百名、夜間断水とかそういうものをせざるを得ない状態になってきている。大変な状態なんです。  これは今回の工事だけじゃないのです。私が調べたところによりますと、この間自動車道との関係は全然ないと言いましたが、あの自動車道をつくる段階においても、一部は川の流れを埋めて変えてしまっているのです。森を切り抜いて、小川が、川田ダムの上流にいろいろな山の中から流れがあります、その小川流れを変えてしまっている。完全に自然を、地形を変化させている。それほど広い無残な工事をどんどんやっているのです。全くひど過ぎる。確かに最初はトタンのドラムかんのような暗渠なども入れておりますが、それが全部土で埋まっているのです、どんどん流れてくるものですから。  これは施設庁も何を一体調査しているのですか。ここまでくると本当にもう何をか言わんやという状態なんですね。今度の工事を加えていきますと、そろそろ雨期に入りますよ、沖繩地域は。大変な事態というものが出てくる。したがって、もう調査どころではない。この際、ここまで実態が明らかになった以上は、先ほど局長も近いうちに合同委員会申し入れをするということですが、それまで待たずに大臣の方から何らかの形で在沖米軍在日米軍在日大使館に対して、この戦車道の不当なやり方に対しては注意を喚起する、厳重に抗議をするという姿勢をとってしかるべきだと思う。このお考えはございますか。
  22. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいま御指摘のような事実がありますれば、これは住民生活上大変困ったことでございますので、施設庁と早速相談いたしまして適当な措置をとりたいと思います。
  23. 上原康助

    上原委員 これはね、大臣、こういう公式な立場での、大臣の責任あるお立場での御答弁だから、事実があればという形容をしなければいけないと思うが、事実はもうたくさんあるのですよ。何だったらきょうでもあすでもアメリカ局長行って調べてきたらどうですか、本当に熱意があるのならば。あの山に行ってみてくださいよ。だから、いままで黙っておった自民党沖繩県連さえも、安保を認めるにしても今度のことに対してはがまんならぬと言っているじゃありませんか、まあ参議院選挙前だからかもしれませんがね。  そのことは、事実関係調査の上でということは、政府立場では当然のことであると思いますが、改めてこのことについて、アメリカ政府のしかるべきところに日本政府として善処を促す用意がございますね。
  24. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 早急にアメリカ側に対しまして適切な措置をとりたいと思います。
  25. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ特段の御努力をいただきたいと思います。  これと関連して、さらにきょうから一〇四号線越えの実弾射撃演習も行っているわけですね。ですから、いまの戦車道の問題にしても、この相次ぐ実弾射撃演習にしましても、やはり沖繩基地の機能というものは強化はされておっても決して軍事基地の色合いというものが薄められているとは私たち見ていないわけですね。まさにここに沖繩の苦悩があるわけです、復帰五年たっても。したがって、このことについては、私はもう一度、余りにも県民生活に重大な影響を及ぼすような戦車道建設とかあるいは軍事演習というものは、この際もう少し県民立場というものを考えた、たとえ地位協定とか安保の問題があったとしても、もう少し配慮をすべき事柄があると思うのですね。ここいらもぜひ改めて善処を促したいと思います。  もう一点、いまのこともお答えをいただきたいのですが、このことと関連して確かめておきたい点は、せんだって読谷村の村長をしておられる山内徳信氏がカーター大統領信書を出しておられますが、このことについて外務省御存じですか。
  26. 山崎敏夫

    山崎政府委員 読谷村長カーター大統領手紙を出されたということは報道では承知しております。ただ、手紙それ自体コピーはわれわれとしてはまだいただいておられないわけであります。
  27. 上原康助

    上原委員 その出した信書は全然外務省としては読んでもおられなければ、また見たこともないということですか。それと、このことについて大使館なりあるいは米側から何らかの外務省に対する照会などがあったかどうか、この点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
  28. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この件に関しまして、米側から照会を受けたことはございません。
  29. 上原康助

    上原委員 そうしますと、確かに一地方自治体の理事者村長米国大統領手紙を出さなければいけないということ自体も、これもある面では異常ですよね。しかし、その背景と原因というのは、私が指摘するまでもなく、いま問題になっております旧日本軍が強制収用した読谷飛行場跡に、これもまた極秘にアンテナ工事を強行しようとしたことから問題が発展したわけですね。日本政府や、私たち国会で何回取り上げてもらちが明かぬから、もうやむにやまれず直訴をしようということで文書をお出しになっている。残念ながら英訳はしてなかったようなんですが、今日まで音さたないわけですね。こういう問題に対しても、本当に外務省に、住民立場に立ってあるいは仲介をしてアメリカ側の理解と協力を求めながら問題解決をしていこうというお考えがあるならば、いま少し労をとっていただいてもいいんじゃないですか。すでに多くの機会にこのことは報道もされております。当然そういうことはやるべきだと思うのですが、この点アメリカ側照会をしていただくと同時に、この切々と訴えている村長さんの気持ちというものに対して、米側から回答を求めるそのあっせんは当然やっていただけますね。
  30. 山崎敏夫

    山崎政府委員 その読谷村長手紙コピーをまだ私の方として承知しておりませんので、その内容を拝見した上で、またいずれにしてもそういう手紙が出されたということは事実でございますから、在京米大使館等とも、この問題については返事がもらえるかどうか話してみたいと思います。
  31. 上原康助

    上原委員 これまで、二月の七日からきょうまで、その手紙を見る努力をしなかったというのは、私はきわめて遺憾ですね。そこに外務省姿勢というものが証明されているような感を受けざるを得ません。しかし、いまできるだけ入手をして努力するということですから、この点もぜひやっていただきたいと思います。  そこで、時間が参りましたので、きょうは限られた約束の時間ですから、最後に大臣に、いま申し上げました戦車道の問題あるいは実弾射撃演習等、そのほかアンテナ工事の問題、また公用地等暫定措置法の期限切れをめぐっての土地問題等々、沖繩基地問題というのは山積しているわけですね。よくよくお考えになっていただいてこの種の問題に対処していただかないといけないと思うんですね。改めて、単に表面上の基地整理縮小ということではなくして、いま少し県民生活ということも十分お考えになってこれらの問題に対処をしていくという大臣の所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  32. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいま御指摘の問題、特に沖繩におきます米軍基地整理縮小もなかなか進展をしないというような事情にありますし、また今回政府としてお願いをしております。安全保障条約上わが国として義務を果たすためには、どうしてもこの基地というものはやはり存続をさせなければなりませんので、大変むずかしい問題でございますけれども、この法案にはぜひとも御配慮をいただきたいと思う次第でございます。  ただいまお述べになりましたような戦車道の問題あるいは一〇四号道路越えの射撃の問題があります。これらは人命尊重というものをまず第一に考えなければいけませんことでありますし、これらにつきましてはやはり安全な道をつくるということが必要なことであろうと考えて、この点については努力をいたしておるところでございますので、今後ともそのような住民福祉の向上ということを考えながら努力をさしていただきたいと思う次第でございます。
  33. 稲富稜人

    稲富委員長 次に、玉城栄一君。
  34. 玉城栄一

    玉城委員 時間も十五分ということできわめて限られておりますので、簡潔にお伺いをしたいと思いますが、大臣の先ほどの御答弁の中に、沖繩基地のあり方から派生するいろいろな問題において、人命の安全また尊重ということを第一義に考えて対処してまいりたいという意味の御答弁があったわけでございます。  まさにそのとおりでなくてはならないと思うわけでありますが、先ほどの質問にも関連いたしまして、現在、すでにきょうから例の県道一〇四号線越えの実弾射撃演習が行われておるわけであります。これは県民の反対はもちろんでありますけれども、先ほどの戦車道の問題と関連いたしまして、こういう時期になおかつまたそういう演習を強行しようとする米軍姿勢に対して、これはきわめて許しがたいことであるという強い抗議とともに中止の要請があるわけであります。先ほどの連絡によりますと、米軍は九時十五分にもうすでに実弾演習を開始をいたして第一発を撃っておる、こういうことです。  実はきのう、これは沖繩学生自治会の声明、記者会見で発表いたしております。八名ぐらいをその着弾地点に潜入させた。そういうことで、けさの連絡によりますと三名は逮捕をした。警察の方が一千名以上動員して警戒態勢をとっておるようでありますが、三名を逮捕した。しかし、きのうの八名ということでありますれば、まだ五名潜入しているということになるわけであります。それでもなおかつ米軍実弾を発射をしておる、こういうことであります。これは人道上あるいは大臣の先ほどの御答弁の生命の安全ということから、きわめてゆゆしき問題であると思うわけでありますけれども、この強行している米軍実弾射撃演習に対して、大臣とされてどのようにお考えになり、そして人命尊重、安全という立場からその中止を即時に申し入れ考えはないかどうか、改めてお伺いをいたします。
  35. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 米軍といたしましては、これはやはり軍隊である以上訓練は必要なことであると思いますし、実弾射撃をする場所がなかなかないということも事実であろうと思います。  本件の場合におきまして、やはり人命の安全のためには万全の策をとるということしか方法はなかろう、そして迂回する道路をつくって、安全な道路をつくって、生活上の支障も、若干の御不便はどうしても伴うかもしれませんが、そのようなことで安全の確保を図りたい、その点につきましては十分な配慮をしてやっておると信じておるわけでありますけれども、そのような反対運動が起こりまして、あえて弾着地点に入るというようなことは、ぜひこれはやめていただきたいと思う次第でございます。
  36. 玉城栄一

    玉城委員 そういう学生の方々が、そういう危険を冒してでも着弾地点に潜入せざるを得ないというその心情については、これはいま私がここで申し上げる時間もありませんけれども、なぜそうせざるを得ないかという沖繩の現在のあり方というものを大臣はよく認識をしていただきたいと思うわけであります。  それと、先ほどから問題になっております例の地位協定の三条の三項の「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」このことが戦車道建設関係して非常に問題になっております。これはもうこれに限らないことでありますけれども、今度の戦車道建設はこの問題が非常に極端にあらわれておるわけでありまして、したがいまして、この「公共の安全」ということと、この「妥当な考慮」ということ、これをどのようにお考えになっていらっしゃるか、これは局長の方からでよろしいですから、お答えいただきたいと思います。
  37. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この問題に関しましては私たちも実は過去のいろいろな事例も調べてみましたけれども、結論としましては、結局個々の事例に即して判断されておるようでありまして、その定義といいますか、解釈というものはないわけでございます。結局そのときどきの場合において常識的に判断していくということだと思います。ただ、基地内における作業について、公共の安全に妥当な考慮を払うということでございますから、常識的に考えまして、基地内における作業ないし行動が、基地外の周辺住民の方々その他に害を及ぼすようなことがないようにするということが第一義的には考えられるわけでございます。  今回のような事例で言いますと、まさにそういう土砂が水源地に入るという可能性がある、流入する可能性があるというような場合は、まさにそれがその水源地から水を引いている周辺の方々に御迷惑をかけるということになるわけでございまして、こういうふうな場合は、まさにそういう実際の事実があるとすれば、当然アメリカ側としてはそれについては考慮を払って、しかるべき措置をとるべきであるとわれわれは考えておるわけでございます。
  38. 玉城栄一

    玉城委員 したがいまして、今回の場合については「公共の安全」という立場から特に自然の破壊ということです。これはきわめて重大な大きな自然破壊が行われたわけであります。こういうことは当然この三条三項の「公共の安全」の中に含まれてしかるべきである、このように思いますと同時に、いま局長の御答弁のありましたとおり関係地域住民生活にきわめて重大な影響を与えるということも、これは当然「公共の安全」という概念の中に入ってくるべきだと私は思うわけであります。もしも、そういうことがこの「公共の安全」ということに含まれないとするならば、この規定の設けられた趣旨というものは全くどういうことになるのかということにもなるわけでありまして、したがいまして特に沖繩の場合のようにきわめて貴重な自然がどんどん破壊されていく、同時にまた水源が汚染される、人間の生活においてきわめて不可欠な水がそのような形で侵されていくということは、これは当然常識的に「公共の安全」という概念の中に含まれていくべきである、したがって米軍の今回の行為は、今回に限らないわけでありますけれども、この第三条三項の重大なこれは違反行為である、こういうことは決して許されるべきではない、先ほどの御答弁では、そういうことで申し入れをし、是正をせしめるということでありますけれども、この点について、今後もこの問題はきわめて重要な問題だと私は思います。特に沖繩のあの亜熱帯の自然というものがこういう形でどんどん無造作に破壊されていくというならば、これはきわめて重大な問題であると思いますので、いわゆる国民の生活を守る、また国土の保全を図るという立場から大臣としてこの点についてどのようにお考えになっておられるのか、常に米軍のそういう行為というものが優先されるのか、それとも国土が保全される、国民の生活が守られるということが優先されるのか、その点についての大臣のお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  39. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 御指摘のこの戦車道建設水源地の水質汚濁を生ぜしめたりするおそれのあるということは、大変これは遺憾なことに思います。道路の建設は、特に山岳地帯におきます道路建設というものは自然破壊を伴いがちでありますし、また水源等に影響を与えがちでございまして これは一般的に方々の道路建設で問題が起こって、これらの点につきましてはずいぶん改善をされつつあるわけでございますが、今回の米軍工事というものはそういった配慮が乏しかったのではあるまいかと思います。  これらの点につきまして、事前にいろいろ御相談があれば、もう少し住民生活被害を与えないようなやり方もあったのではないかと思われるわけでございますが、今後このようなことが起こらないように米軍も十分注意してもらいたいと思いますし、また、いままでの工事の結果、被害か及ぶおそれが現にあるということであれば、これは速急に何らかの対策を講じてもらいたい、このように考えております。
  40. 玉城栄一

    玉城委員 私は地位協定あるいは安保条約というものを肯定するという立場ではありませんけれども、自然環境がこのように破壊される、同時にまた関係地域住民生活に重大な脅威を与える行為がどんどん行われるということを考えますときに、大臣並びに局長の先ほどの御答弁からいたしまして、これはどうしてもこの際、そういうものを認めるというわけではありませんけれども、先ほどのお話にもありました日米安保協議会ですか、そこにいろいろと申し入れをされるということでありますけれども、環境破壊の問題、自然破壊の問題、こういうことにつきまして具体的に何らかの取り決めと申しますか、話し合いと申しますか、これはきちっとしておかないと、今回のように事前の相談もないという形でどんどん行われるということがどんどん出てくることは十分予想されるわけであります。いかがでしょうか、その点大臣のお考えを承りたいと思います。
  41. 山崎敏夫

    山崎政府委員 われわれ、米軍との折衝におきまして環境問題は非常に重大な部分を占めておりまして、各地に起こっております環境保全の問題に関連した問題については米側と随時話し合っておるわけでございます。ただ、米軍がやります工事がわれわれの知らないままに進められて、それが結果として周辺の住民の方に御迷惑をおかけする、そういう意味で、公共の安全に影響を及ぼすような場合には、アメリカ側としては事前にわれわれに知らせてほしいということは前から申し入れておるわけでございまして、今回の問題に関しては、その点についてアメリカ側配慮が足りなかったようでございますので、この点については十分注意を喚起して、今後こういうことは二度と起こらないようにアメリカ側に強く申し入れたいと考えております。
  42. 玉城栄一

    玉城委員 時間がございませんので、最後に大臣の見解を伺いたいわけです。  沖繩は、基地の中に沖繩があるといわれておりますし、また基地というものはまさに諸悪の根源といわれまして、直接間接あるいは有形無形に県民生活に重大な影響を与えてきたことはよく御存じのとおりだと思うわけであります。したがいまして、全国の米軍基地の五三%、これは御存じのとおりであります。あるいは専用施設につきましては七三%、沖繩の県土の一二%、沖繩本島におきましては一八%、このように巨大な米軍基地が存在をしておるわけであります。その重大な部分が沖繩に全部しわ寄せをされておるということは事実であります。そのことにつきまして、安保条約関係の担当の大臣とされてどのように御認識をされておられるのか、お伺いをいたします。
  43. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまおっしゃいましたように、わが国の安全保障上沖繩に大変な負担がかかっておるということは、もう重々承知をいたしておるところであります。それなるがゆえに、従来から細心の注意を払っておるつもりでございますけれども、なおいろいろな問題が起こりつつあることは大変残念に思います。今後とも基地整理縮小につきましては、できる限りの努力を払ってまいりたいと思っておるところでございます。  また、諸般の住民福祉の向上につきましても、政府としても格段の努力を払うべきである、このように考えて、そのような方向で努力を続けたい、こう思っておるところでございます。
  44. 玉城栄一

    玉城委員 時間がございませんが、そういう整理縮小もされるという大臣の御答弁は、これまでも何回も伺ってまいりました。したがいまして、沖繩復帰をしまして五年間整理縮小されたと言いましても、基地の返還されたのは五・六%です。本土においては一五%、数字の多少の違いはありますが、沖繩は返還率からしますと本土の三分の一という状態ですね。ですから、本土並み、あるいは整理縮小されるという言葉はよく聞きますけれども、実態はそうはなっておらない。果たしていつまでにどういう形で、どれくらいまで沖繩基地整理縮小をされるのか。安保条約のしわ寄せ、大臣の所信表明にも、安保条約の牽引によってわが国の経済繁栄はなされたというようなことについてありましたけれども、しかし、その陰に沖繩における巨大な軍事基地が置かれた大きな犠牲があったということは事実であるわけです。  したがいまして、こういうことを言う人もいるわけです。それだけ沖繩基地を置くならば、整理縮小と言うけれどもそれがされておらないならば、むしろ本土の方にどんどん分散したらどうかということを言う人もいるわけですけれども、その点について大臣のお考えを承りたいと思います。
  45. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 沖繩基地の本土への分散計画とかいろいろなことが論ぜられたことがございますが、私ちょっとそちらの方の勉強も余りしておりませんので、いまとっさに申し上げるわけにいきませんが、現状におきまして沖繩基地整理縮小に対しましては財政的な措置も相当必要でございます。これらの点につきまして、ことしの予算編成期におきましても、わが外務省といたしましては、防衛庁に対しまして、いわゆるリロケーションの経費につきましては十分な措置をお願いして極力努力をしていただいたのでございますけれども、計画どおり進めるには相当な努力を要するという状況でございます。  そういった意味で、今後とも防衛施設庁とともに努力をさせていただきたいと思います。
  46. 玉城栄一

    玉城委員 終わります。
  47. 稲富稜人

  48. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私も戦車道路の問題と、きょうもう始まっているようですが、一〇四号県道を封鎖しての演習について質問いたします。  十五日の沖特委で山崎アメリカ局長は、戦車道路の建設については公共の安全に障害があるというふうなことを答弁し、きょうもその答弁ですが、大臣も同じような見解だと思うのですが、そうですか。三条三項の問題です。
  49. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまの御質問は、公共の安全のために考慮を払わなければならぬ、こういう問題でございます。これはもう当然のなすべきことであるというふうに考えております。
  50. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ところで、四月十四日、沖繩県の要請にこたえて、在沖米海兵隊基地司令部の参謀長E・R・ブレディー大佐は次のように答えておるのですね。「戦車道建設工事で地域住民被害を与えているとは思っていない。実際に被害は出ていないのに県民が大騒ぎするのは、マスコミが正しく報道せずに余りにも一方的にセンセーショナルに、被害が出ているかのように報道するからだ。」という実に高圧的な、挑戦的な発言を参謀長の大佐がやっている。こうなりますと、いまの防衛施設庁あるいはアメリカ局長などの発言ですね、逆にそうではないのだということを参謀長が言っているのですね。大臣どう思われますか。
  51. 山崎敏夫

    山崎政府委員 参謀長のその言明に関しましては、残念ながら私の方としては具体的に承知しておらないわけでございますが、われわれの聞いておりますところでは、防衛施設庁から米軍にいろいろの申し入れをいたしまして、それに基づきましてアメリカ側水源地汚染防止のための措置にすでに着手しておるということでございますから、米軍の方としても若干の問題があることは認めてすでに措置をとっておると考えておる次第でございます。  ただ、先ほどから申し上げましたように、この現地にあります防衛施設庁の出先の調査をよく聞きました上で、われわれとしてはアメリカ側に今後ともそういう被害の生ずることのないよう近く合同委員会申し入れる所存でございます。
  52. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは大臣、ゆゆしい問題なんですよ。これは現地の新聞全部報道しているのですよ。これは十四日ですね、ブレディー大佐。それから、それを受けまして十六日、沖繩弁護士会、会長は久貝良順会長です、現地調査に行っております。調査に行った結果、報道されている以上にひどく、戦場ないし占領地における軍隊の作戦行動の一環として進められているのじゃないかといったようなことを実感として、これは新聞に報道しております。記者会見で。ちょっと読みますと、「戦車のような大型ブルドーザーやクレーンなどで樹木を切り倒し、表土をはぎとるなど、何ら土砂どめの設備もせずに、工事に伴う付近の地形や樹木、環境などへの影響に対して全く考慮を払わないような粗雑きわまりないもので、それは平時における道路建設工事というより戦場ないし占領地における軍隊の作戦行動の一環として進められているという感を深くした。」それで、結論、要求として工事の中止、復元補償の問題、さらに原状回復、汚染をやめろということを弁護士会がこれを受けて発表しているのですよ、大臣。  この問題は、この前の十五日の沖特委でも山崎アメリカ局長は、防衛施設庁がいま折衝中だというようなことを言っておりましたが、むしろこの問題は防衛施設庁の問題よりは外務省の問題ですよ、外務大臣の問題なんですよ。アメリカカーター大統領がもう就任三カ月、御承知のように人権外交を言っておるわけです。この弁護士会も、むしろこれは人権の問題であるということをはっきり言っているのですね。しかも、参謀長といえば向こうの部隊の代表的な、こういう人に、被害がないんだ、あんまり新聞がセンセーショナルに報道するからこうなっておるんだというようなことを言われても、アメリカ局長すら新聞も読んでいない。だから、結局沖繩現地がどうなっているか、沖繩に住んでいる日本国民が——あれはカーターが陸海空の総司令官なんですね。それが人権の問題を発表している。そういうカーターのもとで、その部下の兵隊がこういうことを犯して、しかも大佐などという責任ある人がこういう挑戦的な言辞を弄し、一蹴している。これを外務省はわからない。外務大臣、これをどうお考えなんです。ひとつ大臣の意見を聞かしてください。これが実際であればどうするのか、おわかりにならぬわけだ。局長もわからぬから、大臣わからぬでしょう。どういうふうにお感じですか。これは事実なんですよ。両新聞に書いてあるのですよ。どうですか。
  53. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまの戦車道の問題につきまして、先般予算委員会でも御指摘がございましたし、目下施設庁の方で先方と交渉をしておりますし、この工事やり方につきまして改善を求めておるところでございますので、私どもこれに対する施策といたしまして、施設庁の方とよく相談いたしまして、また先方に対しては、先ほどアメリカ局長から申し上げましたように、早速、早い機会に申し入れを行ってこのようなことが二度と起こらないように、また今般起こっておりますそのような水源地問題等につきましては、被害を最小限にとどめるように措置をとってもらいたいという申し入れを厳重にするということで御了承いただきたいと思うわけでございます。
  54. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 アメリカが、条約を結び、地位協定もちゃんとある、これを踏みにじっていることを県民も、防衛施設庁さえわかっている。ところが、参謀長がむしろ県民の感情を激発するようなことを言う。うそだ、被害はないんだと。これについては外務大臣、取り消しを要求するぐらいの強い姿勢で当たってほしいと思うのですが、どうですか。事実であれば取り消し要求、これはうそなんですよ。
  55. 山崎敏夫

    山崎政府委員 その米参謀長が具体的にどういう発言をいたしましたか、われわれとしても早速取り調べてみたいと思います。そして、先ほどから申し上げておりますように、わが方としてはこの問題に関しては米側合同委員会の席で申し入れをいたしたいと思いますので、もしそういうふうな事実に反するような発言をしておるということでございましたら、この点に関しましてもアメリカ側注意を喚起いたしたいと思います。
  56. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 こういったような挑戦的な——国民に対する挑戦ですよ。これは私は注意を喚起するだけでは国民は済まぬと思うのです。大臣もそう思うでしょう。挑戦ですよ、まるで県民を殴るような、国民を殴るような。これに対しては、時間が余りありませんので、要請しておきます。ぜひそういったことを言わぬように、取り消しを要求するならするで、強い抗議をしてほしい。いいですか。  それから、いま入った情報ですが、九時六分で、いまのこの戦車道をつくっている海兵隊が百五十五ミリ砲二門を使用して五十四発撃つという実弾射撃演習がもう始まっています。  これで私、問題にしたいのは、地位協定に基づいて区域施設は提供されておる。演習をする。ところで、この演習は県道を封鎖しての演習なんです。この前の沖特委で建設省に聞いてみたのです。沖繩以外に国道や県道を封鎖して米軍実弾射撃演習をやっているところがあるかと言ったら、ないとはっきり言いました。そうなりますと、沖繩状態は異常である。この問題は県道封鎖なんです。迂回道路をつくっているからいいじゃないか、迂回道路をつくってごまかされるようなものじゃありません。いわゆる歩く自由は主権に関係します。この主権に関係しているいまの実弾射撃演習であるからこそ、県知事初めほとんど超党派的にこのような演習はやめなさいということを言っているのだ。大臣は五年前のあのときどういう仕事だったかわからぬが、沖繩返還のときに自民党政府のスローガンは何だったか。核抜き本土並み返還核抜きは別にしましよう。五年間たった現在、本土並みじゃないという事実が明らかになっているじゃないですか。どこの県にも県道を封鎖しての演習はない。私はその意味でぜひ大臣が本当の外務大臣として、自主的な平等な外交を進める場合に、これは主権の問題として取り上げて折衝してもらいたいというふうに希望しますが、大臣、どのように考えますか。いわゆる県道封鎖の問題なんです。
  57. 山崎敏夫

    山崎政府委員 キャンプ・ハンセンを通っております県道一〇四号線は、御承知のとおり道路部分も含めまして全体として米軍演習場として提供しておるわけでございます。したがいまして、当時の合同委員会の合意に基づきまして、地域住民一般通行というものは米軍の使用に支障とならない範囲内で認められるというふうなことになっておるわけでございます。したがいまして、米軍がどうしても最小限度の必要として、そこを通るということをやめてほしいということを言いました場合には、われわれとしてもそれに協力しなければならぬということになるわけでございます。ただし、それが地域住民の方々に御不便をおかけするということも事実でございます。そういうこともございまして、御承知のとおり防衛施設庁の方においても迂回道路をつくりまして、地域住民の方々の御不便を最小限度にする努力はいたしておる次第でございます。そういう意味で、最小限度の道路の通行をやめていただくというふうなことが起こるような事態があるわけでございます。
  58. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたのでやめますが、いまの県道封鎖による実弾射撃演習沖繩でしかやっていないということはわかっているのです。国道、県道は道路法に基づいて安全に国民が歩行できる。これはもちろん大臣に説明する必要もないですが、私はこれは国民主権の問題だと思うのです。安保条約が発効して、あと九日すれば二十五年になります。したがいまして、安保条約を認める人も認めない人も、この安保条約二十五年が、実際の日本国民に対してどういう被害を与えたかといったような問題を含めて、主権の問題としてぜひ外務大臣に検討してもらいたいということを希望いたしますが、大臣いかがですか。
  59. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまアメリカ局長からお答え申し上げましたように、道路も含めまして施設区域として提供してあるということでありますので、この問題は、やはり米軍の軍隊であります以上は射撃訓練も必要でありますし、また人命尊重というものは何よりも優先しなければならないことでありますから、どのようにしてこの両方の目的を達していくかということになりますと、一定の実弾射撃の行われるときには、どうしても通行を一時とめるということしか道がないということであるわけでありますが、生活道路上どうしてもこの道は必要だということで、住民の利便も考えなければなりません。代替道路をつけることによりまして、その安全を一層期するということで努力をしているところでございます。そういう意味で、今後とも人命尊重には万全の配慮をしながら、なお必要な訓練は何とか確保しなければならない、こういう立場にありますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  60. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは私たちとしては理解できないのですよ。いわゆる人命尊重、人権擁護の立場と軍事優先の立場とにどういうふうな矛盾点があるか、これを解決しなければならない時点に——いま安保は二十五年たっている。その意味で、そういった基本的人権の問題として、国民主権の問題として安保を見直す方向での合同委員会を直ちに開いてもらいたいことを私は強く要請して、質問を終わります。
  61. 稲富稜人

    稲富委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  62. 稲富稜人

    稲富委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  63. 稲富稜人

    稲富委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  64. 稲富稜人

    稲富委員長 この際、ただいま議決されました本案に対し、附帯決議を付したいと存じます。  まず、その趣旨につきまして私から御説明申し上げます。  沖繩復帰に当たって、米国施政下の諸制度から本土の諸制度への円滑な移行を図るため、数多くの特例措置がとられました。  いま復帰後五カ年の経過を顧みますと、振興開発計画に基づく施策もなされ、本土との格差は漸次縮小を見つつありますが、一方日本経済の激動は沖繩にも及び、海洋博の終了後企業の倒産が続き、多数の失業者の発生を見るなど、沖繩の経済は深刻な不況に見舞われております。  したがって、政府は、この際沖繩産業の振興を図るため、本法案の諸措置を含め、第一次産業、第二次産業、観光産業等の育成強化について、積極的な施策を講ずる必要があるものと認められます。  また、沖繩は特異な文化遺産に恵まれており、その伝統芸能、埋蔵文化財その他の保存継承について、政府が適切な措置を講ずる必要があります。  さらに、県民生活の安定向上に関しましても、本島と離島間の諸種の格差是正の問題を含め、積極的な施策を講ずべきであります。  沖繩振興開発金融公庫の運営に関しましては、同公庫の沖繩経済に占める重要性にかんがみ、県民の要請に十分こたえるよう努めるべきであります。  食糧管理制度の特例、交通方法の変更、その他の特例措置についても、政府は、県民の強い要望に沿うよう努力する必要があると認める次第であります。また、総合的な交通体系の確立についても検討を促進する必要があります。  最後に、第二次大戦及びそれに引き続く米国施政等によりまして、沖繩には、本土各県にはその例を見ない数多くの特殊問題、たとえば旧日本軍用地として取得された国有地問題、境界不明土地問題、対米放棄請求権問題、不発弾の処理問題、VOA職員及び港湾労働者に関する問題、失業問題、その他基地に関連するもろもろの問題等が山積しているのであります。  これらの問題について、政府は、沖繩県民立場を十分に理解して、速やかに円満な解決を図るよう格段の努力を払うべきであります。  次に、案文を朗読いたします。     沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本法施行に当って、政府は、沖繩復帰後五箇年の経過に照し、次の諸点に特段の配慮を加え、沖繩県民の期待にこたえるよう適切な施策を講ずべきである。  一、沖繩の特性を生かした第一次産業、伝統工芸を含む第二次産業、観光産業等の振興及び沖繩県民の文化的遺産の保全並びに県民生活の安定向上について、なお一層の努力を払うこと。  二、沖繩振興開発金融公庫の運営に当っては、県民の要請にこたえるようなお一層の努力を払うこと。  三、米麦の政府売り渡し価格等食糧管理法の特例については、これが県民生活に重大な影響をもつため、県民生活の安定及び物価の動向に十分配慮して措置すること。  四、交通方法を変更するに当っては、県民生活への影響等を十分配慮し、県民の理解と協力を得て、その円滑な移行に努めるとともに、総合的な交通体系の確立についても検討を促進すること。  五、その他の沖繩に対する特別措置については、県民の実情を十分配慮し、遺憾のないよう処理すること。  六、第二次大戦及びそれに引続く米国施政等による沖繩の特殊事情については、県民立場を十分に理解し、一日も早く県民の苦悩を解消できるよう格段の努力をなすこと。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  採決いたします。  本附帯決議を付することに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  65. 稲富稜人

    稲富委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府より発言を求められておりますので、これを許します。藤田沖繩開発庁長官。
  66. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、十分その趣旨を尊重いたしまして、努力をいたします。  なお、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、御可決をいただきまして、ありがとうございました。     —————————————
  67. 稲富稜人

    稲富委員長 なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 稲富稜人

    稲富委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  69. 稲富稜人

    稲富委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十六分散会