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1977-04-15 第80回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月十五日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 稲富 稜人君    理事 阿部 文男君 理事 西銘 順治君    理事 本名  武君 理事 山田 久就君    理事 上原 康助君 理事 加藤 万吉君    理事 斎藤  実君       川田 正則君    熊谷 義雄君       田中 正巳君    竹中 修一君       玉城 栄一君    瀬長亀次郎君       甘利  正君  出席政府委員         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁総務         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         沖繩開発政務次         官       國場 幸昌君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部施設補償課長 窪田  稔君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 秋山 雅保君         中小企業庁長官         官房総務課長  井村  功君         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         建設省道路局道         路交通管理課長 渡辺  尚君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 四月八日  北方領土の返還促進に関する請願(椎名悦三郎  君紹介)(第二八六一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第二一号)  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 稲富稜人

    稲富委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 きょうは時間がざっと一時間しかありませんので、その範囲で四点ばかりお尋ねをさしていただきたいと思います。  まず最初お尋ねしたい点は、防衛施設庁出先機関である施設局姿勢の問題、あるいは施設局長権限がどういうものであるかということについてお尋ねをいたします。  施設局長にはどのような権限が委任といいますか、委譲されているのか、御説明をいただきたいと思います。
  4. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 防衛施設局長は、防衛施設庁長官指揮監督を受けまして、自分の局の管轄区域内の防衛施設庁事務を処理するという立場にございます。  こうした事務を実施するために、防衛施設局長は、国有財産法上の部局長、あるいは会計法上の支出負担行為担当官、あるいは補助金適正化法上の交付決定権者、あるいは庁舎管理などの権限を持っておるといったふうなことになっております。
  5. 上原康助

    上原委員 そうしますと、防衛施設局長権限といいますか、その職務分限というのは、一応はもちろん法的に規制されて——規制というより、与えられている面、また防衛施設庁長官指示に従ってやっている、こういうふうに理解をしていいですか。
  6. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 防衛施設庁長官指揮監督を受けております。
  7. 上原康助

    上原委員 そこで、せんだって日本社会党沖繩調査団が、総評皆さん、それに沖繩県労協も参加をしていただいて、去る十日から十二日まで沖繩の離島を含む各分野にわたって、日程範囲調査をいたしました。  その中で、特に基地問題とかかわっております調査団の第一班は、基地問題を調査をしたわけです。米軍嘉手納基地、さらに後ほど問題になりますキャンプ・ハンセン那覇駐とんの航空自衛隊陸上自衛隊等を、国会議員二人、総評の幹事、さらに沖繩原水協沖繩県労協社会新報記者皆さん一行九人で第一班を構成して、ただいま申し上げた基地視察なりその他をやったのです。これにはもちろん、当然のことながら防衛施設局も入っておりました。しかし、きわめてわが党に対する侮辱であり、挑戦であるという受けとめをせざるを得ないことが那覇防衛施設局の方で起きたことは、私はきわめて遺憾であると同時に、施設局のとった行動に対して改めて猛省を促し、抗議をしたいと思うのです。  理由は、すでに長官の方にも御報告が行っていると思うのですが、私たち一行施設局にお訪ねをしたのは、事前日程も打ち合わせをいたしまして、ちょうど正午、十二時からお会いをするということでありました。那覇航空自衛隊の方から出て施設局に行ったのはたしか十二時二、三分のころだったと思うのです。当然、公党調査団であり、また国民を代表する、あるいは地域の県民を、住民代表する国会議員も一緒ですから——何も私は国会議員だから特権があるとか、そういう気持ちで申し上げているわけではありません。少なくとも公党調査に対しては、出先機関なりあるいは政府機関というのはそれなりの対応の仕方があってしかるべきだと思うのです。全くそういうことがなされていなかった。しかも、施設局の建物といいますかビルの前に、乗用車二台をわざわざ車入り口の方に駐車をして、私たちの車が入れないような状況というものをつくってあった。これが防衛施設局仕事で訪ねて来られた方々の車かとなると、そうでもない。そこで問題になったわけですが、私はこういう態度はあってはいかないと思うのですね。それは断じて許せない。  改めてここでお尋ねをいたしますが、当時駐車場入り口にとめてあった「沖五た九二五九」「沖五た三五七八」、これはいずれもクラウンです。この車は一体防衛施設局の所有であるのか、防衛施設庁のどなたがこれをお使いになっているのか、この点を正式にお答えをいただきたいと思うのです。  さらに、当初私たちが着いてから、これも二、三分後に清川守彦氏という方がまず出てきたのですが、この清川守彦さんは一体どういうお仕事をしているのか、この点も明らかにしていただきたいと思います。
  8. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 まず、ただいま先生からお尋ねがございました四月十二日の社会党先生方防衛施設庁訪問の際の出来事につきましては、まことに不行き届きのことが数多くございまして、私どもその点についてはまことに申しわけなかったというふうに心からおわび申し上げる次第でございます。  だんだんお尋ねにこたえましてその事実をお答えすると同時におわび申し上げたいと思っておりますが、いまお尋ね車両については、これは防衛施設庁那覇防衛施設局官用車でございまして、那覇局部長が使っておるものでございます。  それから、お尋ね清川というのは、総務課の係員でございます。
  9. 上原康助

    上原委員 私はここに当時の模様を、また同じタイプの車はたくさんあるわけですから、後ほど議論になると思って、証拠として車はこういうふうに写真を撮ってあるわけですね。どんなに常識的に判断をしても、この車の駐車のあり方というものは明らかに何らかの意図を持った置き方なんですね、どう弁解しようが。これは委員長、ちょっと見せますからね。  ここが入り口ですよね。これが私たちの乗っている車なんです。一台はこういうふうにぎりぎりおしりをとんがらかして、一台はここにとめて。ここから車は入れませんよね。ここからも入れませんよね。これはほかの角度から撮ったもの。一体こういう車の置き方がありますか。  なお、いま施設局公用車であるということが明らかになったわけですが、駐車場が満杯でどうにもならないという状況ならまだ理解のしようもあるわけなんです。写真で示すように、前の方はがらあきなんだが、わざと入り口の方にそのような形で駐車をしておったということ。さらに、その施設局ビルの前の道路というのは、御承知のように、交通が非常に頻繁で、一車線ですから路上のわきにも駐車できない状況なんですね。そこをあえて承知の上で、社会党調査団が十二時ころ行くということを知っていながらこのような態度に出たということは、全く理解に苦しむどころか、何らかの政治的な意図なりあるいは明らかに公党に対する偏見を持った態度としか受けとれない。  このことに対して、改めて長官の御見解を、まとめて次の問題と含めて、お聞かせいただきたいと思うのです。  それだけではなかったわけです。もう一点は、私と参議院大塚先生が乗っている車、車二台で行きましたが、後の方から行きました。最初先導車で、県労協社会新報皆さんが乗っておった。その車が最初ビルに入っていくや、たしか十七、八名ないし十二、三名くらいの若い青年の皆さんロビーにたむろしておった。たむろという言葉はどうか知りませんが、とにかくおったのですね。先導車が入っていくと同時に、入っちゃいかぬ、入っちゃいかぬという手ぶりで四、五名の皆さん駐車場まで出てまいりました。私たちが入っていくと一応ソファーなりあるいはその周囲に陣取ったのですが、後ほど清川さんと、さらに総務課長さんですか、佐藤さん、それと渡部さんというお二人も五分ないし七分くらいしてから、私が総務部長事情を聞きたいから出してくださいということに対して、そういうお二人が出てきて応答していただいて、聞いてみると、清川君は、施設局職員じゃないと言っている。そうであるならば、施設局の、政府機関であるところに私たちが行くというのに、何でそういう方々を十人前後集めておらなければいけないのか。これも明らかに調査団に対する何らかの対抗措置を講じようという意図がありありと私たちの目には浮かんだ。こういうことは全くもってあるまじき政府姿勢と言わざるを得ないのです。これは一体どういう方々であったのか、どういう目的でそういう人々を当日そこに集めておったのか、このことも明確にしていただきたいと思うのです。  さらにあと一点は、どうもいまの奥山施設局長さんは、私たちだけでなくして、沖繩のいわゆる革新団体に対する態度がなっていない。せんだって本委員会でも喚問をしようということまでも理事会で問題になりました、一〇四号線越えの実弾射撃演習のときに。私は何も役人いじめをこういう場でやろうという気持ちはありません。しかし、今日の民主的社会において、たとえ反対をする立場にある人々意向にしても、要求にしても、聞かねばならないのが、私は役人職務の一部でもあると思うのです。防衛施設局がやっておられる、あるいは施設庁、防衛庁がやっているお仕事に賛成をする、賛同をする人々意向だけ聞くのが政府機関でないはずなんです。本来、政府というのは、たとえ政権を握っているのは自民党であっても、奉仕する立場にある職員公務員というものは、公務員法からしても中立でなければいけないはずなんだ。にもかかわらず、今日までも国会議員県知事とは会うけれども、政党や民主団体とは会わないという拒否をしたことが二、三回ございます。一月の二十日にも、米軍実弾射撃演習再開に際して、県議会の各党各派社会党県本局長会見申し入れをしたら、会わないと拒否された。もうたくさん——たくさんというより、君たちの意見はわかるから会う必要はない、県知事国会議員市町村議会代表なら会うけれども、会わないと、にべもなく拒否をしてきている。私も何度か県本委員長という立場会見を申し入れましたが、これも拒否された前例があります。国会議員という立場でなら会いますが、県本代表という立場ではお会いできません、抗議文要求書を持っていっても受け付けません、何たる態度ですか。  当日も例に漏れず、大塚参議院議員と私と、そして、それぞれ秘書という立場で一人つけて、四名とは会うけれども調査団一行に会うことはまかりならぬ、会うことはできません、四名とならお会いします、三階の方でお待ちしておりますというような、全く木で鼻をくくったような、まあほかの方の言うことですが、そういう伝言を受けました。同時に、カメラマンもいけない、新聞記者も入れちゃいかぬ、こういう権限一体施設局長にあるのですか。確かに今回の場合に、嘉手納空軍基地にしてもキャンプ・ハンセンにしても、基地内でカメラを使うことはお断りしたいということで、基地内では写真撮影できませんでした。しかし、ゲートの入口とかあるいは基地内でないところは撮ってもらったのですね。航空自衛隊にしても陸上自衛隊にしても、説明するところまで、全部写真を撮るところまで許可していただいた。にもかかわらず、制服でもない施設局の方が、民生協力あるいは最も地域住民と接触をしなければいけない役所というものが、このような非民主的で高圧的な態度であっていいのかどうか、私はこの三点について、どういう御見解を持っておられるのか、改めてお聞きしたい。  また、那覇防衛施設局がとった、これは局長だけの問題じゃないと私は思う、次長やあるいは部長姿勢の問題にもかかっている。こうこういう団体が来るから車を入れないようにしておきなさいとか、あるいは大ぜいで押しかけてくるかもしれぬから、それに対抗措置をとるように若者を十名内外集めておきなさいとか、そして入れるなという指示をした人が明らかにいると思うのですね。それを明確にしていただいて、どういう処置をとられるのか、この際明らかにしてください。
  10. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 いま三点を挙げてお尋ねでございますが、この問題については、私も、先ほど申し上げたように、不行き届きな出来事である、大変申しわけないと思って厳重に事実を調査いたしました。そこで、その調査の結果をまず申し述べて、三点に対してお答えしたいと思っております。  当日はちょうど会計検査の二日目でございまして、会計検査院の副長と調査官五名がおいでになっておられました。それで、その七名の方々が、当日は午前中駐留軍施設ヘリで御視察されまして、終わってから、ちょうど十二時ごろに局に来て、それから局の車で次の行動に移るという事情がございました。  そこで、先ほど来問題になっております車両でございますが、施設局では四台の官用車を前に並べまして、そして会計検査官が次の行動に移るための準備をしておったわけでございます。そのために各車両運転手に十一時五十分に玄関前に待機しろということで四台の車が並んだのでございます。ところが、その時点で、十一時四十五分ごろになりまして、会計検査方々ヘリで降りたけれども、次の場所に直行して防衛施設局に立ち寄らないという連絡があったので、そこに同席するために施設局に待機しておりました事業部長建設部長が、それでは検査官の次に行く場所に行こうということで、四台の車のうち二台、先ほど拝見しました写真の車の前にあった二台の車に乗って急遽出ていったわけでございます。ちょうどその後に、先ほど先生がおっしゃったように、十二時二分か三分ごろに先生方がお見えになった。そこで、道路に面して庁舎の左側に二台の車が残っておった。そこへ先生方到着なされたというかっこうでございまして、その車が、先生方の車を庁舎前にお着けになるのに、はなはだじゃまになるかっこうであったということは事実でございますけれども、ただいま申し上げたような経過で車がそこにあったのだということでございます。したがって、わざわざ妨害するために置いたという経過ではないというふうに調査の結果では承知しております。  それから、ロビーにおりました者はどういう者であるか、これも一見して役所人間でない者がいたということでございますので私も厳重に調査をいたしましたが、先ほど申し述べたように、会計検査の当日でございまして、検査の内容が細かく現場工事施工監理状況を聞くことになってまいりますと、どうしても建設に当たった建設会社人たち実情を聞くということが必要でございますので、検査のときはいつでもそうでございますが、会社の者が詰めておるという事情でございます。当日も、調べましたところ、十社ばかりの建設会社人たち施設局に参っておりまして、大部分は事務室に入っておったのでございますが、なおはみ出した十数人が玄関ロビーで待機しておったということでございます。したがって、その人たち玄関ロビーにあるいすにかけたり何かして、先生方が御到着になるちょうどそのときにおったということでございます。そういうわけで、役所の者ではございませんが、先生方の御到着に際していやがらせのためにわざわざ集めておったものではないのだというふうに調査の結果では判明しております。  それから最後に、現在の防衛施設局長の応対その他でございますけれども、まず私は、先生が先ほど来おっしゃったように、今日の民主的な国家行政官としましては、先生御指摘のとおり、どんな場合であっても仕事関係でもって、なるたけ幅広く、労をいとわずに時間をさいて面接し、そして話を承るということが基本でなければならないと思っております。そういう意味で、行政事務を遂行する仕方としては、緊急の仕事があったり物理的に体が間に合わなかったり、そのほか合理的な理由がある場合があるかと思いますが、そういったものがない限り、合理的な理由がない限り、できるだけ各方面の方々仕事関係でお会いして面接すべきであるというふうに私も心得ておりますし、今後ともぜひそうすべきだというふうに思っておりまして、もし、その点について反省すべきものがあれば私は十分に反省して、今後民主的な運営をやるべきであるというふうに心得ております。  それから、私は、今回のことについては、実情を調べた結果、先ほど来るる申し述べたことでございますので、社会党視察団としておいでになった先生方に対してまことに非礼な結果になったというふうに思っておりますが、事情ただいま申し述べたとおりでございますので、今後こういうことが再び繰り返されないように厳重に局長注意をいたしまして、そうして今後のこのような場合の対処の仕方として、ぜひともこれを機会に誤りのないようにさせてまいりたいというふうに心得ておりますので、何とぞひとつ御了承願いたいというふうに思っております。
  11. 上原康助

    上原委員 まあ役所立場で、いやしくも社会党調査団の車を妨害するために駐車してありましたとか、あるいはその調査一行に対して何らかの対抗措置をとるために十名内外の人を呼んであったなどとは、恐らく口が裂けても、事実であってもそうは言えぬと思うのですね。弁解の余地はあろうと思うのですが、先ほど来私が指摘しましたように、どう状況判断をしても納得しがたい雰囲気であったことだけは事実なんです。  そこで、いま長官の方から、このことについてはかなり手落ちがあったということをお認めになると同時に、出先責任者に対しても厳重に注意を促し、今後改善措置をとるという御見解がありましたが、私も申し上げましたように、本来ならば一応の話し合いでそれぞれの言い分を聞いて解決をしてもいいのではないかという気もあったのですが、これまでのいきさつ等もあって、なかなかそういかない面もありますので、ここで取り上げたわけです。  なぜ私がこの問題に非常に関心を持っているかと申しますと、これは総合事務局もぜひ聞いていただきたいのですが、復帰して五年になったわけです、この五月に。あと一月すれば満五年になるのです。確かにここにも、沖繩施設局なりあるいは総合事務局局長をした方々がいまも本庁の方にも中枢部にいるわけですが、皆さんも体験をしていろいろわかると思うのです。ほかの都道府県にはない問題が次から次と起こるし、大衆運動だって、皆さんから見れば常識はずれと思うこともあるかもしらないが、長い異民族支配下においては、激しい面もあれば抵抗が執拗に繰り返されるところもある。それはそれなりの背景と原因があるわけです。それに対しては、しんぼう強く対応していくだけの姿勢というものがなければいかない。  私がなぜ、この官僚機構に対してあくまで抵抗し、いろいろな改めるべきは改めさせたいという気持ちがあるのかというと、かつてアメリカ民政府職員でなければ人にあらずという態度があったのです。どういう問題で筋を通して行っても玄関払い、時折は警官やMPにけり散らされて私たちの正当な要求や声というのが踏みにじられた。その二の舞を日本政府がやってはいかぬということを篤と御理解を賜りたいと思うのです。残念ながら今日、五カ年もたつとだんだんいろいろとなれてしまって、また、いずれの社会においても、アメリカ支配であろうが日本官僚機構であろうが、権力に迎合する人々はいるわけです。その権力に迎合する人々だけの意向を聞いて政治や行政や物事をやっては困る。このことがあるだけに、このような態度というのは厳に慎むべきだと思うのです。  そこで、この点は特に公式の場で取り上げましたので、その点御理解をいただきたいとも思いますが、そういたしますと、もちろん政府機構ですから、いま合理的にどうにもならないと思う場合、あるいは正当な理由があるという場合もあるでしょう。しかし、努めて会う人間を制限をしない、あるいは報道陣を入れないというかたくなな態度は原則としてとらない、その措置と、施設局に対して改めて十分な厳重な注意を喚起して反省を促して今後の行政を進めていく、このことをお約束いたしますね。
  12. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 私ども役所で第一線にあって住民方々と接する者の心構えというものは、先ほどもお答え申しましたように、今日の国家のもとで民主的な応接の仕方でなければならないということを、私は私自身信条としておりますので、その信条に基づいて十分に今後指導監督してまいることをお約束いたしますと同時に、今回のことについて、これをひとつ反省の資料とするように厳重注意いたします。
  13. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつそのようなお骨折りを強く求めておきたいと思います。  次に、この問題もすでに本委員会でも二度にわたって取り上げてきたことなんですが、例のキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブを結ぶ米軍戦車道の問題なんです。  私もせんだって現場に行ってみました。現場に着いて、小雨模様で中まで十分は入れませんでしたが、やはり見るも無残です。余りにもひど過ぎますよ。先日も写真もお見せいたしましたがね。  そこで、私は現場へ行っていろいろ感じたことは、約二十五キロにわたって三月十二日ごろから工事を始めたというのですが、私の現場を見た感じではそれ以前からやっておったのではないかと思うのです。あれだけの工事米側がやるのに、何ら日本政府協議もしない、あるいは通告もしなかったということになると——皆さんはこれまで事前になかったと言っている。余りにも政府の怠慢といいますか、日米関係というもの、あるいはいま米軍基地問題を律しているところの地位協定のたてまえからしても問題が多過ぎると思うのです。このことについては、一体外務省も全然知らなかったのかどうか。ひど過ぎますよ。皆さん本当に現場へ行ってみたのですか。  そこで、このことについて改めてお尋ねをいたしますが、事前に何らの通知もなかったのかということが一つ。そうであるならば、せんだっても問題になりましたように、地位協定第三条の三項との関係あるいは十六条等々からしても、明らかにこれは米側に瑕疵がある、落ち度があると思う。これを放任をするのですか、明確にこの点を明らかにしていただきたいと思います。  もう一点は、どうもあの一帯をいろいろ調査してみると、新しくできた自動車道との関係が私は非常に深いと思う。明らかにあの自動車道を含めて米軍優先の何らかの取り決めがなされていると私は見ている。合同委員会でこのことについてどのような協議があったのか。これは将来問題になると私は見ておるのです。きょうの段階で、一体本当になかったのか。自動車道優先的に使うようなかっこう方々のポイント、ポイントの戦車道というものが構築されてきていますね、この点。  もう一点は、せんだっても被害防止なりあるいはダムの汚濁については十分な万全の措置を講ずるということでしたが、一体どのような措置を講じているのか。さらに、県の環境保健部や農林水産部あたりのいわゆる県の調査によると、すでに被害を受けている各般にわたって調査もされているということですが、政府としては一体どのような調査をしているのか。  この三点について、まずお答えをいただきたいと思います。
  14. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねのキャンプ・シュワブ及びキャンプ・ハンセンの中の米軍戦車道路の建設関係でございますが、これはまことに申しわけのない、遺憾なことであるのでございますけれども、三月二十五日名護市長からの御連絡を受けるまで、この道路建設について防衛施設局は何も承知をしておりません。市からの御連絡に基づいて初めてそういう工事があったということを承知したわけでございます。したがって、事前米側からの通報は受けておりません。  それから、先生もよく御承知のように、地位協定の三条の三項の規定によって、米軍施設の中で行動する場合には、公共の安全についての妥当な考慮を払わなければならないという規定がございます。この規定に照らして、こういう場合には米軍としては慎重な配慮をもってしなければならない、水源地の汚濁の問題、あるいは樹木を伐採したといったような問題を考えまして、まさに公共の安全についての妥当な考慮を払うべきであるというふうに私は思っておりますので、その適用の関係から言いましても、米軍がこういう場合には十分に考慮を払うと同時に、適当な必要な連絡を日本側ともとってやってほしいというふうに考えますので、今回のことについては米軍に対してそういう趣旨の申し入れをしております。このような場合には所要の調整を行って措置をしてくれということを申し入れております。  それから、自動車道との関連は、全然覚えがございません。日米合同委員会でそういうものを——私、先生お尋ね自動車道の関連ということを、先ほどの御質問の内容がよく理解できないのでございますが、いずれにしてもそういうことは全然ございません。  それから今回の道路建設に際してわが方でとりました措置については、施設部長から答えさせていただきたいと存じます。
  15. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  本来、この戦車道米軍が直接工事を実施したものでありますから、その工事によって起きた支障に対しては、米軍みずからこれを処理すべきであるというのが施設庁見解でございます。  そこで、現在どのような状況にあるかということを詳しく御説明させていただきますが、まず本件は、残念なことですが、再々繰り返しておりますとおり、わが方には全然事前の連絡はございませんでした。最初に知りましたのは三月の二十五日でございます。名護市当局からの連絡によって承知いたした次第でございます。  直ちにその日、名護市当局と当庁出先那覇局職員現場に急行いたしまして、調査をいたしました。  続いて三月三十日、宜野座村松田区長からまた当局に松田第二ダムが汚染されているというふうな連絡がありまして、これまた即日職員を派遣いたしまして、調査をいたしました。  その結果、当面直ちに水質が汚濁されるということはないけれども、雨期を控えておりますし、将来そういった支障が起きてくるおそれがあるという事実が判明いたした次第でございます。  そこで、そういった背景を踏まえまして、五十二年の四月一日、米軍のアイクリー大佐、これは在沖米海兵隊の施設部長でございますが、これに対して次のような申し入れをいたしました。  一つは、水源貯水池に流下するおそれのある区間で、山腹に投棄している土砂を取り除くべきであるということが第一点でございます。  第二点は、水源ダムの水たたき部分に埋没している盛り土を取り除くとともに、水たたき部分を埋没させないため、沢を横断する部分の道路を下流に変更せよということを申し入れました。  第三点は、沢の横断部の盛り土区間には適当な暗渠を設けるとともに、盛り土の流出を防止するため適当な土どめ擁壁を設けるということを申し入れました。  それから次に、沢に布設されている水道管の上に盛り土をする場合には、必ず管の保護のためのコンクリートの巻き立てをやってほしいという、以上の点を申し入れました。  これに対しまして米側は、予算の関係上、カルバートを長くすることによって沢の横断部分の盛り土区間の傾斜がなだらかになり、それをもって土どめ擁壁の設置にかえたい、その他のことについてはすべて日本側の言うとおり処置をする、こういう回答に接しました。  そこで、これを踏まえまして、さらに四月十二日、局長から在沖米海兵隊基地司令官あて、文書をもちまして、以上の結果に対して責任を持って処理するように申し入れたところでございます。  なお、以上の米側による工事によってさらに住民の方に御迷惑がかかる、たとえば仮にも水が汚濁するということであっては困りますので、急速ろ過装置の設置というふうなことも、長官の命によりまして、現在、宜野座村あるいは名護市当局とも御相談の上、責任を持って処理するというふうな態度でもって臨んでおる次第でございます。
  16. 上原康助

    上原委員 あれだけ被害を与えてから、結果論としてやらざるを得ないと思うのですが、やっぱり事前の問題だと思うのです。しかし、アメリカ側はそれを現にまだやっていないでしょう。部分的には着手しているけれども、きわめて消極的な対策しかとっていない。  これに対しては、施設局も外務省も、一体いまこれを申し入れただけのことで済ますんですか。私たちがここでいろいろ問題を取り上げるのは、ある面においては政府を激励をしていることにもなるわけですよ。国会においてもこれだけ問題になって、あれだけの自然破壊をやりながら、なおかつ地位協定において、こういう第三条の第三項の規定もある、あるいは十六条もある、なぜアメリカに対して即時工事を中止させると同時に、与えた被害に対して万全の措置をとるように直ちに迫らないのですか。それはやりますね。外務省の方からこれは答弁してください。  それと、これだけの基地被害を与えておって、県民の感情を逆なでしておきながら、また十九日から実弾射撃訓練をやるとは、一体何事ですか。沖繩を一体何と思っているのか、皆さん。少なくとも与えた被害に対しては万全の措置をとって、手落ちのないような基地のあり方をやってのことなら、百歩譲って話はわかる。踏んだりけったりということです。このことに対しては、いままで実弾射撃演習は安保が認めるからということで容認をしてきた県の自民党さえも、今度は戦車道の問題もあるから演習は中止をしてもらいたいという申し入れを正式にやっているじゃありませんか。これにどのように対処していかれるのか。  この二点、明確にお答えください。
  17. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 この戦車道建設の問題に関しましては、この問題がわが方の知るところとなりましてから、いろいろと防衛施設庁からもお話を聞いております。そして、防衛施設庁から先ほど詳しく御説明がございましたように、現地においてその対策について先方に申し入れたということでございますので、そのアメリカ側の誠意ある回答を待って、その点が不十分であるということが認められるようでございましたならば、外務省といたしましても、合同委員会において先方に強く申し入れる所存でございます。  先生御指摘のとおり、米軍基地内における作業というものは、当然公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないわけでございまして、今回の米側措置ぶりについては、われわれとしても、もう少し事態を見守った上でアメリカ側に申し入れたいと考えております。
  18. 上原康助

    上原委員 あなた、実弾射撃演習についてを忘れているのですか、お答えください。
  19. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 キャンプ・ハンセンにおきます実弾射撃演習に関しましては、キャンプ・ハンセンの提供目的が演習場でございますので、この点に関しましては、わが方としては射撃演習それ自体をやめさせるということは困難かと考えておるわけでございます。  ただ、従来から申し上げておりますように、安全対策については万全の措置をとるように、改めてアメリカ側にも申し入れたいと考えております。
  20. 上原康助

    上原委員 ぼくは、もうどうしてもいまの外務省の姿勢というのがわからないのですが、これはいま問題になっている北方の漁業問題をめぐるソビエトとの交渉面を見ても、日本の外務省の姿勢というのは、もっと国民世論をバックにせねばいかぬと私は思うのですよね。これだけ問題を起こしている中で、実弾射撃演習までやるというその感覚もおかしいし、そのことに対しても、アメリカに対して公式に物が言えないという政府のそのさもしい態度が、私は理解できないのですよ。これはぜひ協議をいただいて、善処をしていただきたい。  それで、時間もありませんので、そうしますと、いまのこの戦車道によって起きた被害措置については、米側の回答を待ってやるということですが、アメリカ側はいつまでに具体的に回答するようになっているわけですか。
  21. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  何もやっておらないじゃないかという御指摘でございますが、私どもが受けている報告では、米軍は真剣にやっているものと受けとめております。いつまでかということについての明確な回答はございませんが、米側も先ほど申し述べましたアイクリー大佐が長になりまして、現在、鋭意その復興といいますか、土砂等の取り除きに当たっているものというふうに承知いたしております。
  22. 上原康助

    上原委員 そのような対策は、米軍まかせですか。
  23. 高島正一

    ○高島政府委員 先ほど詳細申し上げましたように、わが方からこのような工事をするべきであるということを申し入れ、それを米軍がのんだわけでございますので、その結果をわれわれは見守っておるところでございます。
  24. 上原康助

    上原委員 そうしますと、もし米側が、日本政府が申し入れたような、あるいは県当局などが要求しているようなことを実施しない場合は、どうするのですか。
  25. 高島正一

    ○高島政府委員 先ほど冒頭に申し上げましたとおり、これは米側が直接工事を実施した、その工事に基づいて支障が起きてきたということでございますので、その原因は米側にあるわけでございますから、米側が責任をとってこれを処理すべきであるというのが基本姿勢でございますが、しかし、その処理が適切を欠く、御指摘のように、県当局あるいは市村当局の御要望とは仮に大変かけ離れておって、住民に仮にも迷惑が及ぶということであれば、施設局の方で何らかの処置をとらなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  26. 上原康助

    上原委員 長官、これはちょっと時間がありませんので、ほかにもあと一、二点ありますので、お答えいただきたいのですが、立木の問題あるいは県の林業試験場、そのほかシイタケの栽培試験なども行っているわけですよね。そういうことに対しても莫大な被害が現に出ているわけです。さらに宜野座、名護の簡易水道ダムの問題、また一部においては養鰻業を営んでおる方の被害も出ていると報道されている。これは私も実際に調査してみたわけですがね。こうなりますと、これまでの経緯のように、米軍が万全の措置をとって十分な補償措置などを講ずるとは私たち考えられないわけですよね。第一義的に、私も申し上げましたように、アメリカがやるべきなんだ、これは自分で犯した罪は自分で処理すべきなんだ。そういうことをしないから日本政府が後処理をやってあげるから、いつまでも高慢な態度をとる。これはアメリカ局長を含めて、アメリカに改めて今度のことに対しては厳重に抗議なり注意を喚起すると同時に、直ちに被害の防止策をとる、政府としてもこの申し入れをやる御用意がありますね。
  27. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 この戦車道建設の問題につきましては、先ほど、最初にお答え申しましたように、地位協定の三条の適用からいって、十分に日本側と協議をしてやるべきであったというふうに思っておりますので、今後このような同じような性質のものについては十分な必要な連絡をとってほしいということを、米側に対して、改めて私は、もう少し事実が判明してからというふうに思っておったのですが、適当な機会に申し入れをするように措置したいと思っております。  それから、この補償につきましては、養鰻のお話も出ましたが、私も聞いておりますし、それから樹木の伐採についても、先般知事が見えまして詳しくお話を伺っておりますので、こういうものについての補償措置、そういったものは、実情をよく調査しまして事実に照らして必要な、あるいはできることをやるという姿勢で臨んでまいりたいというふうに思っております。
  28. 上原康助

    上原委員 この点は外務省も申し入れをし、防衛施設庁協議の上でやりますね。
  29. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 ただいま施設庁長官からお話がありましたように、われわれとしても事実をもう少し正確に把握してから、必要に応じて申し入れたいと思います。
  30. 上原康助

    上原委員 次に、大蔵省お見えになりましたね。  時間がありませんから簡単にお答えいただきたいのですが、旧日本軍が強制収用した土地、いわゆる現在国有地等になっているといわれる問題について、国会でいろいろと取り上げられ、せんだって私も読谷、嘉手納の問題等を中心に取り上げたのですが、また次長においでいただいて大蔵省の見解等もお伺いをしましたがね、そのときに、課長を派遣をして現地の実態調査をいまさせているのだということでした。  そこで、四、五日の間にですか、二、三日かわかりませんが、すでに大蔵省と防衛施設庁調査をしたということを非公式で承っております。このことについてどのような調査をし、どういう御検討をなさっているのか、その点簡単に御説明をいただきたいということと、私は、この問題は早急に何らかの結論を出すべき問題だと考えておるわけなんです。このことについて、できるだけ皆さん調査をした資料を本委員会に提供をしていただきたい。なぜならば、十三市町村ですかにまたがっているが、それぞれの面積も異なっているわけですね。県がまとめてある資料、あるいは防衛施設庁がまとめている資料、大蔵省が持っている資料、これがまとまっていない、同じでないのですよ。そういう面などもありますので、公式な資料としてお出しになっていただきたい。また、大蔵省の考え方がまとまるまでにどのくらいの期間がかかるのか、今後の審査の関連がありますので、この二点についてぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。
  31. 秋山雅保

    ○秋山説明員 いわゆる旧軍買収問題につきましては、大蔵省といたしましても従来からいろいろ調査を進めてきておりますけれども沖繩本島につきましては、宮古とか八重山の場合と異なりまして、物的な資料がほとんど収集されておりません。そこで今回は、いままでの調査方法の再検討ということも含めまして、地元の出先機関との打ち合わせ、それからさらに、もしあれば新しい資料が収集できないか、こういうふうな観点から沖繩に出張したわけでございます。主な訪問先といたしましては、沖繩総合事務局の財務部、那覇法務局、那覇防衛施設局沖繩県総務部、それから沖繩県の土地調査事務局、大体こういうところでございます。今回の調査結果につきましては、従来からの調査を含めまして現在整理分析中でございます。  それから、今後の調査の進め方につきましては、これは大蔵省だけの問題ではないということで、関係各省庁と協議してから決めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  32. 上原康助

    上原委員 関係各省庁はどこどこにまたがっておりますか。それと、いつごろ関係各省庁との協議を大蔵省としては持つお考えですか。
  33. 秋山雅保

    ○秋山説明員 関係するかしないかはっきりわからない点も含めまして、私どもの方で考えておる関係各省庁は、沖繩開発庁、法務省、防衛施設庁、こういうところでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 そこで、協議をなさって後に、まとまった資料としては先ほど申し上げましたように、提出していただけますね。
  35. 秋山雅保

    ○秋山説明員 それもやり関係各省庁と御相談してからでないと、私の口からは申し上げかねると思います。
  36. 上原康助

    上原委員 いま関係省庁として開発庁、それから施設庁という名前も出たわけで、当然これは関係すると思います。両方の方からお答えいただきたいのですが、大蔵省が一定の調査を改めてやって、早急に分析検討をしてまとめたいということですから、それをよりスピード化していくために、開発庁としても施設庁としても、この問題の該当者の要望を入れる形での解決策というのを講じていく努力をなさいますね。
  37. 亀谷禮次

    ○亀谷政府委員 先般、長官からもこの席上でお答えいたしましたように、問題が国有財産の基本的な登記にかかわる問題でございますので、第一義的には、ただいま大蔵の担当課長から御報告がありましたように、大蔵省を中心に、私どもも加わりまして、県民の方の御要望も前提にしながら、いろいろと検討を進めておるところでございます。  論議の中心が、いつも論議されますように、戦後のいわゆる所有権証明の発行の問題、あるいはいろいろな証拠、証憑の問題ということでございますので、大蔵担当課長からいま御答弁がありましたように、問題が非常に、いわゆる法務省も加わらなければなりませんし、いろいろな論点から詰めるべき問題であろうと思いますが、冒頭申し上げましたように、長官も申し上げたとおりでございまして、できるだけ速やかに円満な解決が図られるよう、私どもとしましてもできる限りの協力をするつもりでございます。
  38. 國場幸昌

    國場政府委員 いまの総務局長の方からの御答弁のように、その線に沿うて今後最善の努力をしていきたいと思います。
  39. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 施設庁立場では、御理解いただけると思うのですが、施設として提供されておるものについて、いまのような紛議がある限り、私ども関係者であると心得ておりますし、かつまた施設についてそういう紛議があるということは好ましいことではないので、重大な関心を持っております。そういう意味で、われわれは関係役所と十分連絡をして、この円満な解決が図られるように努力したいと思っております。
  40. 上原康助

    上原委員 最後に、二点お尋ねいたします。  一つは、この問題とも密接にかかわっておりますが、読谷の米軍が直接やっておるアンテナ工事は、中断されてかれこれ九カ月から十カ月近くなっております。これは当然再開をすべきでないと私は考えておりますが、今後の見通しなどを明らかにしていただきたい。これが一点。  いま一つは、これも簡単にお答えいただきたいのですが、先ほども言いましたように、きょうは四月十五日です。来月の五月十五日は復帰五年目になります。公用地等の暫定使用に関する法律の期限は五月十四日までです。もうどんなにじだんだ踏んでも政府提案の基地確保新法が今国会で成立する見通しはありません。私たちもこの問題については重大な関心を持っておるし、また沖繩の長い間の懸案である基地の跡利用の問題あるいは地籍確定をやらなければいかないという点で、地籍確定法案も社会、公明、共産三党共同提案で提案をいたしております。したがって、政府提案が成立をするめどが立たないという段階において、また地籍確定はやらなければいかないという共通の課題がある。基地の跡利用問題も、地主の皆さん意向、あるいは市町村や県の意向を入れて解決をしていかなければいかないという懸案事項がある。とするならば、政府としていつまでも基地確保法案だけにこだわっているのかどうか、新たな考え方が検討されているのかどうか、お答えいただけるのならお聞かせをいただきたいと思います。
  41. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 お尋ね最初のアンテナの問題でございますが、これはたまたま米軍がまさに紛争のある場所にアンテナを建設しようとして、そうして住民の反対その他の状況で、目下のところ工事が進行しておらないのでございますが、この問題が読谷のいわゆる国有地の所有権争いについて大変緊密な関連のある事項でありますので、私どもとしても、円満な解決の重要な関連事項として、これについての十分なできるだけの配慮をしたいというふうには思っております。  それから、法案につきましては、政府の法案は、御承知のように、基地の中の土地の位置境界の不明確なのを明らかにして、かつまた政府としては基地の未契約地主との関係において、基地の使用の法的な措置を図りたいという趣旨でございますが、この政府意図を十分に御賢察いただいて法案の御審議をお願いしたいと思っておりますが、わが防衛庁長官、私の仕えておる担当国務大臣でございますが、国務大臣としては、この問題については、この問題の解決を審議の経過を通じて図りたいのだということを本会議でもお答えになっておられるので、防衛庁長官としての御所存はそうであろうかというふうに思っております。
  42. 上原康助

    上原委員 終わります。      ————◇—————
  43. 稲富稜人

    稲富委員長 次に、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉城栄一君。
  44. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどの上原先生の御質疑とちょっと関連がございますけれども、例の旧日本軍接収地の国有地の問題について現地の調査をしてこられたというのでありますが、端的に伺いますが、当時国が土地を買収したのだという確たる証拠でも見つかったのでしょうか、お伺いいたします。
  45. 秋山雅保

    ○秋山説明員 今回の調査では、そのような資料はまだ見つかっておりません。  なお、宮古、八重山につきましては、これは今回ではなくて従来からの調査で相当数収集されております。
  46. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは繰り返し大蔵省の方としても答弁されておりますように、当時の確たるそういう買収の証拠というものは見つからない、これははっきり言えると思うのであります。したがって、問題は当時の土地所有権認定の作業、これは今後も大蔵省がずっと進めていかれるわけですか、お伺いいたします。
  47. 秋山雅保

    ○秋山説明員 国有地に関連する問題につきましては、大蔵省の所管かと存じますけれども、一般的な土地所有権確認作業という問題になりますと、これはちょっと私の方としてもお答えしかねると思います。しかしながら、先日の国会での予算委員会でも問題になっておりますので、大蔵省といたしましてもできるだけのことはやってみたい、わかる範囲で調べてみたい、こういう気持ちでございます。
  48. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういうことで、先ほどの御答弁で関係各省庁と協議をして進めていきたいという御答弁があったわけでありますけれども沖繩開発庁の方はこの調査についてどういうふうな担当になるのでしょうか、お伺いいたします。
  49. 亀谷禮次

    ○亀谷政府委員 ただいま上原先生の御質問にも関連してお答えをしたことと重複をするかと思いますが、先般来のこの問題に対しまして私ども長官から御答弁しておりますように、国有財産台帳登記、それ自身の中身の問題ということになりますと、第一義的には大蔵当局、総合事務局の中にも先生御案内のとおり財務部があるわけでございますが、そういった所管省庁を中心に、先ほども御答弁しましたように、これまでのこの問題に関連した経緯がございますので、そういった諸問題について分析検討を進めていくということになろうかと思います。  なお、それには当然法務省その他いろいろと法律的な問題もあろうと思いますし、証憑書類の問題もあろうかと思いますので、広い意味で沖繩にかかわる大きな問題でございますから、私どもとしましてもできる限り協力をすることは当然でございますので、国有財産担当課長から答弁がございましたような線で、私ども関係省庁の一員として積極的に協力をする所存でございます。
  50. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、先ほども御質問があったわけでありますけれども、幸いに斎藤長官がいらっしゃいますので、私もぜひ一言伺っておきたいわけですけれども、十九日から二十日にかけて行われます例の県道一〇四号線越えの実弾演習につきましては、重ねて伺いますけれども、そのまま実弾演習が行われることについては防衛施設庁とされては認める方針であるのかどうか、改めてお伺いいたします。
  51. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 キャンプ・ハンセンは、先生承知のように、日米安全保障条約の目的を達成するために地位協定米軍に使用を許されておる施設及び区域になっておりまして、ここで演習を実施するに当たってわが方でこれを中止させるということはできない日米間の話し合いになっておりますので、私どもとしましては、この演習の実施が地元住民の安全及び利便の確保についていろいろな支障を来さないように十分な配意をし、そして演習が行われるということについての最大の配慮をして対処をすることのほかには当面措置がございません。日米間の関係で演習を実施することの必要性も十分理解できるので、ここで演習をやるなということは言えない立場にございます。
  52. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回内閣委員会としましても、二十日、沖繩米軍基地の実態あるいは地籍の問題等についても現地視察をする予定をしておるわけでありまして、私ども、県出身として現地参加の予定でありますけれども、ちょうどそういう時期にこの実弾演習の時期がかち合ってもおるわけです。したがって、その実弾演習がいかなるものであるかという実態につきましては、内閣委員の行かれる方々も当然その実態をごらんになるわけでありますけれども、私は先ほどの上原先生の御質疑の中から非常に感じましたことは、御存じのとおり、例の戦車道の二十三・四キロといいますと、沖繩本島の長さの約六分の一、そういうきわめて長い戦車道がつくられておった。たとえ基地内であったにしましても、その緑の破壊、環境破壊、そのときに倒された木が約一万本、現在、いろいろ被害の実態については調査が進められているわけであります。しかも、それが事前に何の通告もなかった、そういうことも明らかになっておるわけであります。そういうことで、現実に現地の方では大騒ぎの最中です。そういう中に、また十九日には実弾演習を再開するのだ。この間も、これは十一日、十二日でありますけれども、例の金武のレッド・ビーチ、それからホワイト・ビーチに大量の戦車が陸揚げされているわけですね。それからマリーン、海兵隊も約二千人、これは韓国の演習参加の帰りだと思いますけれども、まるで戦争さながらのような状態の中に現在置かれているわけですね。そういう中で、なおかつまた十九日、二十日にかけて、しかも国会からそういう関係委員会が現地視察をするというさなかに米軍は実弾演習をやろうという。それについて、防衛施設庁としてはそれをとめるわけにはいかないのだ、こういうことなんですね。  沖繩の場合、沖繩が本土復帰する前、米国の施政権下にあって、当時最高権力者といわれた高等弁務官がおりました。琉球政府並びに民政府はその代行機関であったわけです。しかし、そういう中にあったにしても、やはり言うべきことは言い、また体を張ってでも抵抗してきた。しかし、現在の防衛施設庁姿勢を見ますときに、これは当時の代行機関よりもまだ悪いんじゃないか。まるで米軍の付属機関、そのような感じがしているわけです。そのように国土が破壊され、あるいは国民の生活がきわめて脅威にさらされている、そういう中において、なおかつ基地内であったにしてもそういうものがつくられていた、それも知らなかった。それでもまた演習が行われるということについては、安保を堅持している、あるいは地位協定がある以上、これはやむを得ないのだ、こういうことをおっしゃっておるわけです。この姿勢というものは、国民に対してきわめて許しがたいといいますか、まさに恥ずべきと言ってもあえて過言ではない、私はこのように思います。あくまでの日本政府機関なんです、米軍の隷属機関じゃないのです。この間の日米首脳会談でも対等に日米はやるのだ、そこまで言っているわけですから、どういうことであったにしても、少なくとも大前提は国民の生活あるいは財産は守られる、国土は常に保全されている、その大前提があってこその日米安保であり地位協定でなければならないと思うわけです。しかし、現実の実態というものは、それが常に脅かされている。長官もごらんになってよく御存じだと思いますけれども、そういう中でも、なおかっこれはやむを得ないのだ、そういう姿勢というものは、まさに米軍の代行機関と言われてもこれは返す言葉がない、私はこのように思うわけであります。  したがって、重ねてお伺いしますけれども長官とされて、なおかつ十九日、二十日に行われる県道一〇四号線越えの実弾演習に対してそのような態度でいかれるのかどうか、お伺いをいたします。
  53. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 先生ただいまいろいろ御指摘でございましたが、われわれ行政機関に働く者といたしましては、行政機関としての権限の中でできる最大のことをやっておるわけでございますが、さらにその枠を越えていろいろな立場からの御意見、御批判があるかと思うのですが、私ども先生がいま御指摘になった諸般の事情はよくわかりますので、行政機関立場でできる最大のことをやってまいっておるというふうに思っておりますし、今後もそうやってまいるつもりでございます。  先ほど、そういう立場でこの演習の中止を申し入れる仕組みになっておらないということを申し上げたのでございますが、われわれとしては諸般の事情を考えて、できる最大のことはやってまいっておるつもりですし、今後も御意見、御批判を賜りながら、一層の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  54. 玉城栄一

    ○玉城委員 現在の情勢というものは、いわゆる在韓米軍の撤退問題が絡みまして、きわめて頻繁に沖繩におきましては米軍のそういう演習が行われておるわけです。今後もそういう姿勢でありまするならば、米軍はますます好き勝手なことをやっていくでありましょう。そして、県主が破壊され、国土が破壊され、国民の生活というものがきわめて不安な状態に陥れられていく。こういうことは安保以前の問題であり、地位協定以前の問題であると思うわけでありまして、私はその点厳重に抗議しておくものであります。  この戦車の演習に関係をいたしますけれども、名護市の奥原の方で、連日連夜にわたりまして戦車が通過しているわけです。午前零時ころも、はなはだしいときには地域住民というのは寝ることもできない。あるいは廃弾処理ですか、そういうものも行われている。そういう方々の被害の実態について、施設庁とされて掌握しておられるのかどうか、お伺いをいたします。
  55. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン問を移動する戦車、重車両が国道三二九号線を利用するため非常に住民に迷惑をかけておるというふうなことは、実は新聞報道等では承知しておりますが、正式な調査なりあるいは調査に基づく結果なりについては、まだ承知しておらないところでございます。  それから、もう一点は何でございましたか。
  56. 玉城栄一

    ○玉城委員 キャンプ・シュワブから演習場までの約三キロの沿道に多くの地域住民がおります。そういう演習、特に戦車の轟音というのはひどいわけです。ガラスも割れている、建物にひびが出ているというような状態があるわけです。その実態を早急に調べてしかるべき措置をしていただきたいことを強く要請いたします。  それから次に、これも施設庁関係に改めてまたお伺いしておきたいわけですけれども、例の米軍油送パイプラインの撤去の問題についてでありますけれども、現在の時点でこの問題はどのような状態になっているのでしょうか、お伺いをいたします。
  57. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  昭和五十一年七月八日に開催されました第十六回の日米安全保障協議委員会におきまして、沖繩におきます陸軍貯油施設のうち、那覇市−宜野湾市間の大部分及び北谷村−具志川市問の送油管区域の大部分につきましては、移設措置とその実施に係る合意の成立後に、また嘉手納町−読谷村の大部分については移設を要せずに、それぞれ返還されることが了承されたところでございます。  政府といたしましては、現在この計画に基づきまして、米側との間で具体的な返還の範囲、移設の条件等、所要の調整を行っておるところでございまして、関係地方公共団体等の協力も得まして、できるだけ早期に返還が実現されるよう努力しておるところでございます。  なお、昭和五十二年度におきまして計画しておりますのは、那覇港湾施設の貯油タンク二基の移設、それから北美小学校を横断しておる送油管につきまして早急に実施しなければいかぬということで、五十二年度中に実施する所存でございます。そのために所要の予算を計上いたしております。
  58. 玉城栄一

    ○玉城委員 このパイプラインの問題につきましては、われわれもその実態につきましては、きわめて危険な個所を指摘して、その撤去につきましてはこれまでも何回も要請してまいったわけでありますけれども、一向にらちが明かないわけです。特に密集地域を通っております那覇市、この関係の撤去についてはいつごろされるのであるか。  この問題と関連いたしまして例の不発弾、沖繩の場合いつどういう災害が起こるかわからないわけです。したがって、そういう災害時において、地域住民の避難場所として現在の基地を開放することができるのかどうか、その二点をお伺いいたします。
  59. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  住宅密集地、それから学校等危険な場所におけるPOLの移設の問題につきましては、先ほど学校地区につきましては北美小学校について五十二年度実施を考えておるというふうにお答え申し上げた次第でございますが、住宅密集地域につきましては、先ほど申し上げました区間につきまして、現在日米問で合同調査を実施いたしております。この調査の結果を待ちませんと、どのようにルートを変更するかということが実は決まらないわけでございます。われわれとしては、できるだけ現在のPOLラインは既設の基地内に移設をするというふうな基本姿勢でもって対処しておるところでございます。  次に、避難場所として基地を開放すべきであるというふうな御意見であるように理解いたしますが、送油管の安全管理につきましては、かねてから政府といたしましては事故のないように米側注意を喚起してまいったところでございまして、米側もこれに応じて、沖繩で毎日パトローール等を行っておるものと承知いたしております。しかしながら、御指摘のように、不幸にも万一災害が発生したような場合には、避難場所として基地を開放できるように措置すべきであるというふうな御見解に対しましては、十分これを尊重いたしまして、防災対策の一環として十分政府としては配慮すべきであるというふうに考えておる次第でございます。
  60. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの災害時の避難場所としての基地開放の問題については、政府とされては当然米軍側と話し合いを進める、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  61. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 基地のことでございますので、米側管理権との関連があります。しかし、そういう事情のもとでも、防災対策の一環として、私どもいまの御意見を基礎にして十分配慮してみたいというふうに思っております。
  62. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題は沖繩に限らず、本土におきましてもしかりであります。地震にしましても、そういうきわめて予測しがたい災害が起きましたときに、特に沖繩の場合しかりであります。あれだけ巨大な軍事基地があるわけでありまして、住民はむしろすみっこの方に追いやられているわけですね。先ほど申し上げましたパイプラインの不測の事態あるいは不発弾のそういう不測の事態が起きたときに、そういう関係地域住民を当然基地内に入れて、そして、そこを避難場所とされるような状態がつくられていかないと、これは地域住民にとりましてはきわめて不安な状態に置かれているわけでありますから、そういうしかるべき措置をとっていただきたい、このように強く要望をいたします。  次に、話は変わりますが、開発庁の方にお伺いをいたします。  沖繩振興開発特別措置法の二十三条から二十八条にかけて一つの章を設けて、いわゆる沖繩の貿易振興という立場で自由貿易地域についての規定があるわけであります。現在この問題は具体的にどのような構想と申しますか、どういう状態にあるのか、お伺いをいたします。
  63. 亀谷禮次

    ○亀谷政府委員 先生お尋ねの貿易地域の問題でございますが、御案内のように、沖繩振興開発特別措置法の中で特に一章を設けまして、これは沖繩におきますところの有力な企業の立地創出、雇用の場の確保、あわせて貿易の振興というふうな基本的な姿勢の中で設けられた制度であるわけでございます。本来この制度では、できる限り有力な企業、工業出荷を伴う製造企業を一つの群として呼び込みまして、これらの基盤を特殊法人をもって造成できるような法的な基盤も付与されております。それらに対しましてはいわゆるフリーゾーンと申しますか、海外からのそういった原材料の輸入につきまして関税免除の措置を講ずる、こういうことになっておりますと同時に、これらの企業につきましては対外投資損失準備金制度等を基本にした方策を援用する、こういうことになっておるわけであります。  ただ、残念ながら復帰五年もたちまして、この制度はまだ日の目を見ていないわけでございますが、制度の手続としましては県知事から開発庁長官に対しまして指定の申請をいただいて、それに基づきまして諸般の措置を講ずるということになっております。私どもはこの五年間、沖繩の経済の現況にかんがみましてこのフリーゾーンの制度ができるだけ活用といいますか、実現の方向に向くよう、県ともどもこれらの立地企業の可能性、業種の選定あるいはそれに伴う諸般の必要な措置等について数次にわたって検討を重ねてまいっております。ただ、いろいろな検討の過程では、一度にそういった大きな企業が単発で入ってまいりましてそういった制度が活用されるという状態になるには、いま少し周辺の関連企業というか工業、そういったもののある程度の集積が必要であろうということで、産業基盤の整備と相まちまして、たまたま現在のような景気の状況の中で実現を見ていないということでございます。  ただ、私どもとしましては、今後なお検討を進めますと同時に、そういったものが近い将来実現の方向に向くよう期待を持って対処したい、こういうことでございます。
  64. 玉城栄一

    ○玉城委員 あわせまして、総合交通体系の整備につきまして、これは来年の七月に政府とされては沖繩交通方法変更を予定しておられるわけであります。したがいまして、沖繩の総合交通体系、これが早急にでき上がらないと、この交通方法の変更についてもどういう位置づけでどういうものがつくられていかなくてはならないのかといういろいろな問題があるわけでして、その総合交通体系の整備計画はどのようになっておりますか、お伺いいたします。
  65. 井上幸夫

    ○井上政府委員 沖繩の、特に本島の中におきまして総合交通体系といいますか、新しい交通システムをどうするかという議論は、大きく分けまして考え方としていま三つございます。現在のあの地形から考えまして、大体南北の交通をどうするかということに具体的にしぼられて三つということでございます。具体的なプロジェクトとして、若干ニュアンスは違いますが、モノレール、高速道路、国鉄、この三つの考え方が沖繩県内外でいわば提案されているといいますか、検討の場に上っている、こういうことでございます。  ただ、いずれにいたしましても沖繩本島の南北の距離の長さから見まして、他府県の例と比べてみますと、まず貨物は大体トラック輸送にほとんどが転移しておりますので、これから先新しく考える場合といたしましては、いずれにしましても人をどう運ぶかということが主体の交通システムになってくるであろう、こういうふうに考えます。で、そういうふうに考えてまいりますと、結局沖繩の北部の地域におきましてどういう土地利用がなされるか、どういうふうな人口の張りつき方をするか、どういう産業がそれに伴って出てくるかというような、要するに北部の強さというものが一体どうなってくるかというのが一つの大きな判断材料でございまして、それに伴いまして地域の経済構造、社会構造がどう動いていくかということを考えなければなりません。それを踏まえた上で総合的に最も適当な手段は何か、かつ最も現実的に実現しやすいのは何か、それらを総合的に考えました上でその三つの中で何を優先して着手すべきであるかということを決めなければならないかと思います。  ただいま申しましたこの三つのプロジェクトに限定して考えてみますと、いわゆる上に乗っかりました形での総合交通システムというのは何がいいかということは沖繩開発庁は勉強しておりますし、それからそのうちの一つでありますモノレールにつきましては、これも沖繩開発庁が調査費をつけております。それから、国鉄につきましては、沖繩県が約六千万ですか予算を計上して勉強しております。高速道路につきましては、道路公団が調査検討中でございます。  私どもといたしましても、それぞれのそういう調査の進みぐあいを見、かつ沖繩県の考え方を十分に踏まえた上、できるだけ早く考え方をまとめるべきだ、さように考えております。もう少し時間の余裕をいただきたいと思います。
  66. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖繩が本土復帰をいたしましてもう五年にもなりますし、きわめて大事なそういう基本的な計画がまだつくられておらないわけですが、部分的にはどんどん進行していく、こういうことでは、その後にそういう計画ができ上がったときまたやりかえなければならない、こういうことで非常に困ると思います。したがって、早急に、特に来年はそういうものを控えているということでありますれば、なおかつそういう基本的な交通総合計画というものは早急に策定されておらなければならない、このように思います。  時間がございませんので、次に通産省の中小企業庁の方いらっしゃっていると思いますが、沖繩の中小企業の実態につきましては、特に海洋博後よく御認識だと思いますので、沖繩の中小企業対策について、通産省中小企業庁とされてどういう対策を持っておられるのか。同時に、この間、中小企業関係の緊急融資制度を発表しておられるわけでありますけれども、それもあわせて、沖繩関係はどういうふうになっておるのか、具体的にお伺いをいたします。
  67. 井村功

    ○井村説明員 沖繩の中小企業対策についてお答えいたしますが、沖繩産業の地域的な特性あるいは非常に小規模企業が多いというような特性にもかんがみまして、従来から中小企業に対する指導あるいは金融、税制等の面で特別の配慮を行ってきたところでありますが、今後とも関係省庁と協力いたしまして、小規模企業の経営指導あるいは設備の近代化等の施策を積極的に推進してまいりたい、このように考えている次第でございます。  なお、倒産防止の問題につきましては、専門の金融課長がおりますので、お答えさせていただきたい、このように考えます。
  68. 松尾成美

    ○松尾説明員 倒産防止対策につきまして、補足的に説明させていただきます。  倒産問題は全国的な問題でもございますが、沖繩において非常に深刻であるということは、私どもも大変心を痛めております。従来、この関係につきましては地元の実態に即して、きめ細かくやるべき問題でございますので、それぞれの、沖繩でございますと総合事務局あるいは県等が中心になっていただきまして、政府系の金融機関の活用あるいは信用補完制度の活用等を通じまして、きめ細かく手を打つということをやってまいったわけでございますが、先ほどちょっと御指摘のありましたところでありますが、倒産件数が非常に高くなっておるということがございましたので、先般発表いたしましたところで、沖繩の場合でございますと、沖繩開発金融公庫の中の中小企業融資の部分につきまして、中小企業倒産対策緊急融資というものを実施することにいたしまして、早ければ来週早々から実施の運びになろうかということでございます。  それで、その要旨と申しますのは、連鎖倒産を防止するというために、取引先が倒産した場合に、特にこの沖繩開発公庫に中小企業につきましては二千万円、零細規模のものにつきましては五百万円でございますか、別枠を設けまして、特定の場合には適用金利も軽減する、あるいは償還期間、担保徴求等の貸し付け条件につきましても緩和措置を講ずるというようなことで、連鎖倒産の防止に特に配慮してまいりたい。先ほど申しましたような総合事務局あるいは県を中心とする体制の中で、この制度も含めまして、機動的に活用して対処してまいりたいというふうに考えております。
  69. 玉城栄一

    ○玉城委員 実はまだ二、三問あるんですけれども時間が来たようでありますが、十九日の本委員会で、本委員会に付託になっております特措法の採決がされるということで、その日は質疑も外務省関係に限られているようであります。  私、特にこの機会に御要望申し上げておきたいわけでありますけれども、この沖繩の復帰特別措置法につきましては、三年ないし五年にわたりまして今回再延長、こういうことになっております。したがいまして、あと六年かで漸増方式で本土と一体になるというようなことになっておるわけです。御存じのとおり、二十七年にわたる沖繩のそういう特殊な格差というものについては、あるいは五年とか十年という、こういう短期間で本土並みに一挙に持ち上げるということは、きわめてむずかしいと思うわけであります。したがいまして、沖繩の復帰特別措置におきましては、法律にしましてもあるいは政令委任事項にしましても、あるいはそれに織り込まれなかったいろいろな多様なものがまだ相当にあるわけです。  一つの例を申し上げますと、これは沖繩の愛楽園あるいは南静園関係、これにつきましても、これは国立にすぐ移管されたために、そういう本土との格差是正というものが、全国プールにされたために、その基盤整備等につきましてもなされていないというような問題も一つあるわけであります。そういうようなことからしましたときに、やはりこの特別措置の今後の運用のあり方、あるいは振興開発につきましても五十六年という期限が付されておるわけですけれども、今後こういう問題につきましては、これはもっともっとやはり弾力的に現地の沖繩に即した計画というものが策定され、同時にまた強力に実効性のあるそういう行政が展開されなくてはならない、このようにも思うわけでありまして、いろいろと申し上げたいことはたくさんありますけれども、今後の特別措置の運用の問題につきまして、あるいはそれから漏れた問題につきましても当然配慮を重ねながら、その目的とするところの沖繩のいわゆる格差是正の問題、そういう問題につきまして、その所期の目的が達成されるように強力に行政が展開されるように最後に要望をいたしまして、質問を終わります。
  70. 稲富稜人

  71. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に、十九日から二十日の二日間にわたって行われる海兵隊の原子砲演習について伺いたいと思いますが、建設省だれか見えていますか。——この演習は県道一〇四月を封鎖して行われるわけなんですが、沖繩のほかに、他府県にそういった実例がありますか。いわゆる国道や県道を封鎖してアメリカが実弾射撃演習をやるといったのがあるかどうか、ちょっと説明してください。
  72. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  道路管理者が一般的に道路交通規制をする、つまり通行制限したり、禁止したりするというのは、道路法の第四十六条一項に基づいてやるわけでございますけれども、こういった米軍の実弾演習を理由としてこういった交通規制をこの条項に基づいてやれるかということについては、われわれとしては消極に解せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、こういうことでございますので、建設省としては、こういった事例について詳細を把握しておらないというのが実情でございます。
  73. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が申し上げますのは、沖繩ではあるのですよ。復帰後もう十四回ですかな。沖繩のほかの他府県にそういう実例があるかどうか、あれば教えてほしいということなんですよ。それだけなんです。ないでしょう。
  74. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 先ほど申し上げましたように、われわれとして公式にそういった情報を集めているというようなことはありませんので、そういう意味で掌握していないというふうにお答え申し上げたわけでございます。
  75. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩の一〇四号というのは県道である。この点はおわかりですか。  同時に、もう十四回も県道を封鎖して実弾射撃演習をやったということぐらいはわかるでしょう。どうなんですか。
  76. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 御指摘のとおり、一〇四号が県道であること、またこれについて過去何回か交通どめが行われたこと、これはもちろん承知しております。この場合、道路法に基づくものではございませんで、道路交通法によって交通規制が行われたというふうに聞いております。
  77. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩の一〇四号線の県道の封鎖は、全国的に見て非常に異常な状態だということの理解は、建設省ではできるわけでしょうな、ほかにないんだから、沖繩だけなんだから。いかがですか。
  78. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 現実に一〇四号についてこういった交通規制が行われておるということはもちろん承知しておるわけでございますが、こういったものを一般公共の用に供するという道路本来の目的からいってどう考えるかということはもちろんあるわけでございますが、やはり条約上の制約というものがあるということもやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  79. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が聞いているのは、何も条約の話をあなたに聞いているんじゃないんだよ。県道を封鎖して米軍実弾射撃演習をやるということは、他府県にはないことであるので、異常であるという事実だけは認めるだろうなというだけの話なんですよ、仕方がないとかあるとかいうのじゃなしに。この事実を認めないということになると、ちょっと常識が疑われますよ。どうなんですか。
  80. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 こういう形で交通どめが行われているということは、もちろん認識しております。
  81. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま聞かれたように、この県道封鎖というのは異常な状態なんですよね。国道、県道は、いま話があったように、公共の用に供されている。日本国民は国道、県道、それから村道でも、自由に安全に通れる。道路法にもちやんと書いてある。そこで、なぜ沖繩県だけが、歩く自由、これさえ制限されて、アメリカの実弾演習を優先させなければならぬのか、この問題だと思うのです。  そこで、アメリカ局長おられるようなんで、条約専門だから一言御意見を伺いたいと思うのですが、地位協定第三条三項ですね、いまも建設省の方が言っておりましたが、「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」これは事実、記されておりますね。こういった問題からいっても、いまさっき同僚議員の質問に施設庁長官ども答えておりましたが、条約上しようがないんだといったような態度をとるのか。  さらに、こういったような地位協定にも書かれている公共の安全に妥当な考慮を払うということは、次に質問をします戦車道路、あれとも関連するのですよ。何がゆえにそういった戦車道路をつくって、沖繩県民の命に関係する飲料水、それだけではないのですね。この前施設部長ですか、すぐやるんだというように言っていたが、どうもうそらしいですね。その後、林業試験地にも多大の被害、立木八千本根こそぎだ。中身は余り言いませんが、シイタケ栽培にももうすでに影響が出ている。やがて梅雨に入ります。それだけじゃないのですね。養鰻場に赤土流入、シラスの放流取りやめ、もう個人の営業まで。飲料水だけじゃないのですね。水源地汚染は必至。  安保条約は廃止しなくてはいかぬ、軍事同盟の手を切らなくちゃいかぬという主張を共産党はしていますが、ところで、安保条約を認めたあなた方政府でも、こういった問題に、公共の安全に妥当な考慮を払わなくてはいかぬというふうな、よりどころがあるのですね。それで、一言だけでも抗議めいたことをやるとか、ここで、めいたと言いましたが、できれば、めいたではなしに抗議をやるとか、やめてくれとかといったようなことを言うのが、政府に対する国民の信頼だと思うのですが、アメリカ局長、いまの問題についてどうお考えですか。
  82. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 一〇四号線の問題に関しましては、これは合同委員会の合意によりまして、わが国といたしましてはキャンプ・ハンセン地域全体を施設、区域として提供いたしておりますので、一〇四号線の道路の通行につきましても、米軍の使用に支障とならない範囲内で行われるということになっておるわけでございます。したがいまして、確かにこれは県道でございますけれども、その点において若干の制約があるということは事実でございます。しかしながら、アメリカ側としては、地位協定の三条にありますように、公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならないのは当然のことでございまして、この演習を行うに当たりましても安全については万全の対策を講ずべきであると考えております。したがいまして、われわれといたしましても、従来からこの点に関しましてはアメリカに随時申し入れてきておるわけでございます。今回についても同様でございます。  次に、戦車道建設の問題でございますが、これは施設、区域内における作業でございますが、同じくやはり公共の安全に妥当な考慮を払うべきでございまして、今回のこの作業について日本側当局に事前の連絡がなかったということは、私たちとしても非常に残念に思っております。それで、現在、現地の施設庁出先の当局の方が米軍に対してその改善策について申し入れておられると承知しておりますので、その申し入れに対する米側の回答を待って、必要に応じてアメリカ側に対しても、十分でないところがございましたら、申し入れたいと考えております。
  83. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 危険でないようにする、公共の安全に妥当な考慮を払う、ところが逆ですね。危険だから封鎖するんでしょう。わかっているんですよ。大体百五十五ミリ砲というのは原子砲なんですよ。あれを五十発も撃ち込むのですからね、危険ですよ。危険だから封鎖するわけです。そういったことが安保条約、地位協定によって認められておる。いかに安保条約や地位協定日本国民の安全を脅かしているかということをこの現実が示している。私はそう信じておるんです。県民もそう信じておるんです。  そこで、施設庁長官局長の二人にお尋ねしたいのは、この件につきまして沖繩県知事はこういったようなことを言っております。米海兵隊の無軌道な戦車道新設が大きな社会問題となっているさなかに、県民の生活道路を封鎖する実弾演習の実施を通告してきたことは、県民の意思を無視した無神経な軍事優先のあらわれであり、断じて許せない、こういうことで、政府にもお見えになると思います。これは県民の声です。  ところが、政府は、施設庁長官も、さらに局長も、何とか努力はするが、これは基本的には提供してあるからもう仕方がないんじゃないかといったような姿勢ですね。これがいままでの答弁です。これでは一体沖繩におる日本国民は、だれを信頼し、だれに外交交渉をやってほしいと言えばいいのか、明確に答弁してください。
  84. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 たびたび申し上げますように、わが日本政府としては、日米の安保協定ということで日米間の安全保障の問題を認めておるわけでございまして、日本の防衛は、米国の防衛力と合わせて、日米間の防衛という協議の上に成り立っておるという基本的な態度をとっております。その結果、日本米軍が駐留しておるわけでございまして、その駐留に伴って先ほど来御指摘のようないろいろな地元住民の安全との問題が出てくるわけでございまして、私どもとしては、先ほど来御指摘のような地元住民のいろんな利害、支障、そういうものを十分考慮に置きながら、しかも一方において、日本政府としてとっておる基本的な安保体制というものとの間に立って最大限努力をしておるわけでございまして、そもそもの日米安保体制の基本を認めてのわれわれの置かれた立場というものについて御了承いただきたいということをいつもお答えしておるわけでございます。
  85. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので。  防衛施設部長ですか、この前の私の質問に、戦車道について何かすぐやれるようなことを言っていたな、水も汚さぬようにするとか堤防を何とかするとか。問題は、戦車道路をつくるな、これをつくると大変なんだ、いま言ったように。飲料水だけじゃないのですよ。この前、飲料水の問題は日本の国内法でも現に厳罰に付せられている、口紅を井戸に入れたというだけでも有罪の判決が最高裁でやられておる。それほど飲料水というのは汚してはいかぬということ。それだけではなくて、養鰻業者が、もう赤土が出て、シラスが放流できなくなっているといったような問題とか、森林が全部伐採されて、切り倒されている、こういったことはあなたの答弁した後に出てきているのですよ。何もやらなかったのでしょう、実際には。どうなんですか。やったのですか。
  86. 高島正一

    ○高島政府委員 先般当委員会で御指摘を受けたところでございますが、先ほども上原先生に対して御答弁申し上げたとおり、施設庁といたしましては、その後も米側に対して局長名をもって正式に抗議を申し入れるとともに、米側の行った工事による障害の除去を米側に強く申し入れ、米側は現在実施しておると承知しております。  なお、先生御指摘の養鰻あるいは試験場等に対する被害についても、わが方としていま十分調査をいたしておりますし、真剣にこれを受けとめておりますので、先生御指摘の結果は間もなく出てくるものというふうに確信いたしておる次第でございます。
  87. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 防衛施設庁、外務省、これがたとえばアメリカと話をするといったようなことは、アメリカは受け流して適当に返事をして、実際はどんどん計画どおり行動していくといったようなことが実態じゃないのですか。いまのような答弁から、現在までの経過から見ても、何か起こると追っかけ追っかけまた調査して、頼むから何とかしてくれといったようなのが実際の日米関係であり、さらに安保条約、地位協定の実施の運用の実態だということがこれで明らかになったんじゃないのですか。実際は地位協定がどうのこうの、公共の問題などもあるが、実はそれを無視してどんどんやりおる。やるからああいった問題が起こってくる。ですから、行政官庁として、施設庁長官は大臣でないわけですが、大臣に近いでしょう。ですから、アメリカに折衝する場合もそこら辺を自信を持って、あるいはアメリカ局長も国民の立場に立って、危険と安全の問題でしょう、その安全と危険の問題を、はっきり公共の問題として取り上げる場合には、現時点の地位協定でも、やはり抗議したり強く国民の要望を入れるように努力することができるような条項があるんじゃないのですか。これは局長どうですか。
  88. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 米軍施設、区域に対しては管理権を持っております。その意味において、いろんなそういう工事をすることもあり得るわけでございますが、他方において、まさに公共の安全には妥当な考慮を払う必要があるわけでございまして、今回のような事例の場合、確かに公共の安全に影響があるわけでございます。したがいまして、この問題に関しては、われわれとしては米軍から当然事前の連絡があった方が望ましかったと思っております。しかしながら、現実の事態が起こっておりますので、この点については現地にあります防衛施設庁出先米軍との間で現在話し合いが行われていると承知しております。その改善措置がいかに行われるかを私たちとしては現在見守っておる状態でございまして、その状況いかんによっては、必要と認められます場合においては、われわれの中央のレベルにおいてもアメリカ側に十分申し入れたいと考えております。
  89. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題はいろいろ国民主権の問題に関連するのですよ。歩行の自由さえ制限されるという時点まで来ているわけだ。そういう観点に立って、とりわけ公共の安全に妥当な考慮を払うという面を、やはり仕方がありませんとかいうふうに突き放すのではなくて、努力して県民の要望にこたえる、国民の要望にこたえるという努力をぜひ払ってもらいたい、その点いかがですか。
  90. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 先ほど先生から、日米間で米軍に強いことも言えないで、言われるままになっておるという趣旨の御意見がございましたが、私ども、日米間の、ことに米軍相手の折衝事が多うございますが、折衝に当たっては私どもの責任と権限においてやるべきことについては、これは厳しい態度米軍と接し、申し入れるべきは申し入れる。要するに地位協定の規定する枠の中でわれわれがなし得ることは最大の努力をして、厳正な態度でやっておるつもりでございまして、われわれの力及ばざる場合は、これは不徳のいたすところでございますが、なあなあで物を済まそうという考えは毛頭ございません。われわれがやるべきことはしっかりやるというつもりでやっておりますので、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。
  91. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、復帰後解放された軍用地の管理についてお伺いします。  きのうの参議院予算委員会の分科会で、わが党の内藤議員が復帰後の解放軍用地のいわゆる管理について質問した。その際、高島さんですか、答えが、昭和五十年七月八日付通達で期間が二カ年、金額は地代の一三・二カ月分を支払うようにしていると答弁した。  そこで、改めてお伺いしたいのですが、山中防衛庁長官時代、こういうことを言っております。これは四十九年三月の予算委員会第一分科会での発言です。「今度返還されます土地については、ただいま説明しましたように、防衛施設庁が責任をもって境界画定までごめんどうを見させていただきます」次に、「先ほども答弁いたしましたが、境界画定された私有財産として使用が自由であるようになるまでの間は、これは賃借料とは申せませんが、見舞い金の形で、賃借料相当額を支給してまいります」ということをはっきり担当大臣として言われております。  そこで、五十年七月八日の通達ということで、二カ年とか地代の十三・二カ月分を支払うというふうなことになったのは、基本的に政府の方針が変わったのかどうか、変わっていないが、まあまあこのくらいでできるんじゃないかといったような措置なのか。基本的な問題は、山中大臣が言ったように、これは境界画定し、地籍が確定し、私有財産として当然使用できるまで、名目はどうであれ、地代相当額の金額を払って復元補償の完璧を期したいという答弁なんだ。これは基本的な方針が違ったのですか、それとも違っていないのか、これだけ答弁してください。
  92. 高島正一

    ○高島政府委員 基本的に変わったわけではございません。先生の御質問に端的にお答えしますならば、琉政時代の地籍調査あるいは関係各省庁の意見を聴取した結果、この十三・二カ月でもってできるであろう、そのように認定したものでございます。
  93. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 山中大臣時代と現在でも基本的な態度は違っていない、これは当然のことだと思います。復元補償というのは、これは本当に境界がはっきりし、そして、これは自分のものである、これは太郎のものであるとわかって、そして登記されて自由に私有財産として使えるまで払うという線は変わっていないということを御答弁なさったのですが、この点は了とします。  ところで、矛盾点があるのですよ。これを答えてください。「本土復帰後返還された米軍施設用地の境界設定等について 昭和五十二年四月一日現在」、これは星野議員の資料提出の要請にこたえて施設庁が出したものです。この中に、たとえばトリイ通信施設、これは返還年月日、四十八年九月十五日ですね。ところが、工事完了及び完了予定年月日は五十一年七月六日、三十三・五カ月です。いいですね。ボロー・ポイント、これは四十八年六月三十日、それで工事完了及び完了予定年月日が五十二年七月二十六日、四十九カ月。それから、同じボロー・ポイントの一部、これは政府直轄で、五十一年九月三十日に返還されて、工事完了及び完了予定年月日は何と五十三年度以降となっているのですよ。いいですね。それから、牧港補給地区、五十二年三月三十一日、これは工事完了及び完了予定年月日が五十三年度以降、いつになるかわからぬ。それから、キャンプ・マーシー、これが四十九年十二月二十日、これも同じように二カ年以上かかるという予定。それから、同じくキャンプ・マーシーい五十一年三月三十一日に返還されたものは、何もない。何もないというのは、設定費支払い日、工事着工日、工事の完了日、和解成立、登記という順になっておるが、これが書いてない。  あなた方が出したものではっきりわかるように、いま施設部長が答弁なさったのですね、この十三・二カ月分ですか、これではどうにもなりませんということをあなた方自体が認めておるじゃないですか。どうなんです。
  94. 窪田稔

    ○窪田説明員 細かいことなんで私から答えさせていただきます。  十三・二カ月は、先生御存じのとおり、最初の一年は作業のために必要な期間、これは十割補償する。これは一年でございます。あとの一年は、作業が終わって登記等の手続、それにいろいろ時間がかかるでしょう、それで一〇%、期間二年であとは十分の一ですから、実質十三・二カ月の借料を払うわけです。  なぜそういうふうに決めたのかということは、先ほど部長が御説明しましたとおり、琉政時代のいろいろな事例、それから関係官庁の御意見などを聞いて、これで十分通常の場合だったら作業は終わるはずである、こう認定してやったわけでございます。  それから次に、星野先生に提出しました資料によっていろいろお話ございましたが、管理費支払い完了年月日に期日が書いてないものにつきましては、まだ最終的に管理費を支払っていないので書いてないわけです。これは、管理費は通損期間として幾らを見るべきかという問題がございまして、若干のものは、たとえば航空写真なんか手に渡ってないときに返還になったもの等ございますので、それを同じような一律の規定で扱っていいのかどうか、いろいろ問題がございますので、大蔵省等関係省庁とも相談して、目下五十二年度概算要求なんかにも織り込みまして検討中である、まだ最終的に関係者の方と合意して決めていないので書いていないので、払わないというわけではございません。
  95. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 払うかどうかの問題は聞いておりませんのでそれはいいとして、最後に二つの点を確かめて、質問を終わりたいと思います。  一つは、いま施設部長が言われた山中長官時代の基本方針、あの基本方針はいい方針です。境界がちゃんとわかる、明確になる、そして登記する、自由に自分の財産を使えるというまでは国がめんどう見る、見させてもらいますということまで言っておるわけです。この基本方針は変わっていない。そうなりますと、現実の問題として、十三ヵ月余りで打ち切られたのでは地主にとっては大変なことなんですよ、あなた方簡単に考えておるかもしれませんが。ボロー・ポイント、私も見に行きました。キャンプ・マーシーも行きました。それどころの騒ぎじゃない、十三・二カ月なんというのは。  それで、これは要請ですが、山中長官のおっしゃったあれは正しいですよ、そうすべきだ。基本的に変更はなさっておらなければ、何も十三・二カ月に拘泥する必要はないと思うのですが、どうなんですか。
  96. 高島正一

    ○高島政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、十二・三カ月と認定いたしましたのは、琉政時代における地籍調査並びに関係各省庁の御意見等も十分参酌した上で認定いたしたものでございますので、現在変える意思はございません。
  97. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう一つ、最後に承りたいのは、大蔵省と施設庁との関係なんです。  大蔵省の役人は、こういったのを予算化したのは、実は施設庁がこういうふうにこのくらいあればできると言ったから大蔵省としてはやったんだという答弁をしておる。それなら、施設庁施設庁として、本当に大蔵省にこれだけあればいいから予算はまあこのくらいでいいさということを主張なさったのか、この点だけはっきりさせてください。
  98. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えする前に、先ほど十二・三と申しましたが、十三・二の誤りでございますので、訂正させていただきます。  ただいまの御質問に対してお答えいたしますと、繰り返しますとおり、私ども沖繩の特殊事情ということを十分踏まえた上で私どもの考えも述べ、また関係各省庁の御意見も聞き、さらに琉政時代における調査も勘案してこの線を決めたわけでございまして、私どもとしてもこれが正しいというふうに考えた次第でございます。
  99. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もうやめますが、琉政時代、琉政時代と繰り返す間に矛盾が激化して抵抗が生まれてくることが予想されます。それで、きょうのあなたの答弁で、山中長官が言った方針は変わらぬ、これを原則にするのであれば、やはり私有財産がちゃんと自分の物になって使えるまで国はめんどうを見なくちゃいかぬということはもう確認されているわけだ。したがって、次は具体的に示しながら質問して、この十三・二カ月ですか、これはちょっと短いなと思うのであれば、実情に応じてケース・バイ・ケースで境界明確化、さらに登記するまで国がめんどうを見なくちゃいかぬという点はきょうまた確認されたわけで、具体的には後でまた質問をすることにして、きょうは終わります。
  100. 稲富稜人

    稲富委員長 次回は、来る十九日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会