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薮仲委員 どうかただいまの
大臣の御決意のとおり、すばらしい
海上保安庁が整備され、
体制が確立されることを心から願っておりますので、よろしく推進方をお願いいたします。
ではもう一点、これは決して
海上保安庁にいやみを言うのではなくして、認識をしておいていただきたいという意味で申し上げます。
いま二百海里のことを取り上げましたか、今度は水際の
問題、これも
保安庁の所管でございますので確認をさせていただきたい。特にこれから海水浴シーズンになりますので、どうしてもこのことを確認しておきたいのです。
海上保安庁の方からいろんな
資料をもらいましたので、その
資料の数字的な
問題で誤りがあっては非常に失礼でございます。読み上げますので、誤りがあればあるとだけ御確認いただければ結構でございます。
一つだけ申し上げますと、
保安庁からいただきました救助
状況、
昭和五十年、海難隻数が二千四百二十一隻、このうち
海上保安庁が救助した数は六百五十二件、これは誤りございませんね。約三分の一。あとは
海上保安庁以外が九百九十六件、自力入港が三百六十八、こうなっております。
それからもう一点ですが、これはたとえば仮に神奈川県の江ノ島の沖とかああいうところで水難が起きました。そのときのことを想定して
お話をするわけでございますが一たとえば大磯の海岸の沖合い二十キロくらいで水難が起きました。ここの一番
隣接の海保の拠点基地といいますと横須賀
海上保安部、それから下田
海上保安部があるわけですね。ここにある救助艇のスピードが、横須賀が二十三ノット、下田が十七ノット、これで一生懸命来てくださる。所要時間が、横須賀からですと二時間、下田
海上保安部からでも大体二時間二十分ぐらいかかります。非常に時間がかかる。しかし現実はそうではなくして、その間に
日本水難救済会の基地が四カ所ほどありまして、そこから
海上保安庁に
協力援助して参ります。こうなっているわけです。
この点、私よく理解しておるわけでございますが、ここで私が申し上げたいのは、
日本水難救済会の立場といいますか、果たしている役割りというのが非常に大事じゃないか。
昭和二十三年に
海上保安庁というものが設置されまして、いままで全国的にあった
日本水難救済会というものがある程度消滅しかかって、最近また盛り返しております。しかし、いま申し上げた例にもございますように、遭難隻数の三分の一を
海上保安庁が救助している。また、たとえば海水浴場で水難客が出たとき、時間が二時間以上かかる。しかも非常に喫水の深い船が多いのですね、
保安庁の船は。余り海岸線まで寄れない。そうなりますと、
漁業組合とか
日本水難救済会の方の
協力援助というものが非常に重要な立場になってまいります。
こういう方の活動がいまどういうことによって支えられておるかといいますと、長官もよく御存じのように、出動一回、手当千五百円です。そして長時間モーターボートで救助
作業をやっても、そのガソリン代は遭難した人からもらいなさいということになっておりますが、実際はもらってないですね。全部自力で、自己負担でやっております。ボランティアです。これにいま
日本水難救済会が支えられておるわけです。しかし、今後のレジャー
時代を考えたとき、ヨットあるいはサーフィンとかいろいろなものがあって、水難事故の多発というものが、なければ結構ですけれ
ども、ないということはあり得ない。それに見合った
体制というものがどうしても必要じゃないか。そうなったときに、
保安庁を
中心とした水難に対する
体制というものがここで確立されなければならないのではないか。水難救助法という法案もございますが、きょうは時間がございませんからそれはやりません。でも、県あるいは市町村が本当に水難救済にかかわり合っているかというと、かかわり合っているところが非常に少ない現状です。しかも、たとえばこれはその身分の保証といいますか、身分のことでございますけれ
ども、消防隊の隊員の方がたとえば消火
作業に当たって亡くなられた、殉職なさった、こうなりますと国からその方に出るのは一千三百万、いろいろ功労等によってありますけれ
ども、最高は三千九百万円亡くなられた本人に支給されます。ところが
海上保安庁に
協力援助をするということだけですから、現在の法律では、水難救済会の隊員の方に一文も出ないわけです。お見舞い等のことで終わるわけでございますけれ
ども、
アメリカのコーストガードのように、コーストガードに
協力援助している間は公務員というような身分の保障を与えます、そこで殉職した場合には公務員に準ずる身分を確約しましょう、こうなっておるわけです。現実、水難救助あるいは海難救助という
問題になりますと、事は消防隊員と同じように専門的な海技免許を持った人でなければ走れないわけですから、そういう水難救済会の隊員の人が万が一、二重遭難に遭ったときの身分保障とか、これは国全体の
問題になるでしょうけれ
ども、県、市町村、地方自治体が
海上保安庁と一体になって、そして水難救済会もその中に組み入れて水難救済に対する万全な
体制の確立が必要なように思うのでございますけれ
ども、その辺の長官のお考えはいかがでございましょう。