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1977-05-25 第80回国会 衆議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月二十五日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 大野  明君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 増岡 博之君 理事 宮崎 茂一君    理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君    理事 石田幸四郎君       井上  裕君    北川 石松君       永田 亮一君    古屋  亨君       堀内 光雄君    三塚  博君       太田 一夫君    久保 三郎君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       草野  威君    宮井 泰良君       薮仲 義彦君    米沢  隆君       小林 政子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         防衛庁長官官房         防衛審議官   渡邊 伊助君         外務政務次官  奥田 敬和君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 横田不二夫君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         海上保安庁長官 薗村 泰彦君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局統計審査         官       山田 隆夫君         外務大臣官房外         務参事官    井口 武夫君         外務省アジア局         北東アジア課長 遠藤 哲也君         外務省アメリカ         局北米第一課長 渡辺 幸治君         外務省欧亜局外         務参事官    加藤 吉弥君         水産庁漁政部企         画課長     大坪 敏男君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   山田 勝久君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         海上保安庁警備         救難部長    久世 勝巳君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   箕輪  登君     井上  裕君     ————————————— 五月二十日  広島空港へのジェット機乗り入れ反対等に関す  る請願大原亨紹介)(第五八三二号)  精神薄弱者国鉄運賃割引等に関する請願(井  出一太郎紹介)(第五九四四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第五九四五号)  同(中島衛紹介)(第五九四六号)  同(羽田孜紹介)(第五九四七号)  同(増田甲子七君紹介)(第五九四八号)  同(向山一人紹介)(第五九四九号)  同(小坂善太郎紹介)(第六二五一号)  同(清水勇紹介)(第六二五二号)  同(中村茂紹介)(第六二五三号)  同(原茂紹介)(第六二五四号)  国鉄財政再建に関する請願井出一太郎君紹  介)(第六〇五七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第六〇五八号)  同(中島衛紹介)(第六〇五九号)  同(羽田孜紹介)(第六〇六〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第六〇六一号)  同(向山一人紹介)(第六〇六二号)  同(小坂善太郎紹介)(第六二五五号)  同(清水勇紹介)(第六二五六号)  同(中村茂紹介)(第六二五七号)  同(原茂紹介)(第六二五八号)  国有鉄道運賃法改悪反対等に関する請願(有  島重武紹介)(第六〇六三号)  同外四件(貝沼次郎紹介)(第六〇六四号)  同外一件(草川昭三紹介)(第六〇六五号)  同(田中美智子紹介)(第六〇六六号)  同(広沢直樹紹介)(第六〇六七号)  同(伏木和雄紹介)(第六〇六八号)  同(伏屋修治紹介)(第六〇六九号)  同(藤原ひろ子紹介)(第六〇七〇号)  同(正木良明紹介)(第六〇七一号)  同(矢野絢也君紹介)(第六〇七二号)  同(吉浦忠治紹介)(第六〇七三号)  国鉄運賃法定制度改悪反対等に関する請願(  小林政子紹介)(第六〇七四号)  同(渡辺芳男紹介)(第六二五九号)  国鉄運賃値上げ及び法定制改悪反対に関する請  願(川口大助紹介)(第六二六〇号)  同(久保三郎紹介)(第六二六一号)  同外二件(坂本恭一紹介)(第六二六二号)  同(沢田広紹介)(第六二六三号)  国鉄再建並びに運賃値上げ中止に関する請願(  大原亨紹介)(第六二六四号)  同外五件(佐野憲治紹介)(第六二六五号)  同(山田芳治紹介)(第六二六六号)  同(横路孝弘紹介)(第六二六七号)  同外二件(米田東吾紹介)(第六二六八号) 同月二十一日  精神薄弱者国鉄運賃割引等に関する請願(倉  石忠雄紹介)(第六五五八号)  同(下平正一紹介)(第六五五九号)  国鉄財政再建に関する請願倉石忠雄君紹  介)(第六五六〇号)  同(下平正一紹介)(第六五六一号)  国鉄再建並びに運賃値上げ中止に関する請願(  千葉千代世紹介)(第六五六二号)  同(安田純治紹介)(第六五六三号)  同(山原健二郎紹介)(第六五六四号)  同外三件(小川国彦紹介)(第六八三〇号)  同(田口一男紹介)(第六八三一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第六八三二号)  国有鉄道運賃法改悪反対等に関する請願外一  件(小林政子紹介)(第六五六五号)  同(松本善明紹介)(第六五六六号)  国鉄運賃法定制廃止反対等に関する請願外一  件(小林政子紹介)(第六五六七号)  同(斉藤正男紹介)(第六五六八号)  同外一件(薮仲義彦紹介)(第六八二九号)  国鉄運賃の再値上げ反対等に関する請願(馬場  猪太郎紹介)(第六五六九号)  国鉄運賃値上げ及び法定制改悪反対に関する請  願(工藤晃君(共)紹介)(第六五七〇号)  同(不破哲三紹介)(第六五七一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第六五七二号)  同(松本善明紹介)(第六五七三号)  同(斉藤正男紹介)(第六五七四号)  同(沢田広紹介)(第六五七五号)  同外二件(渡辺芳男紹介)(第六五七六号)  同外二件(兒玉末男紹介)(第六八二八号)  国鉄運賃法定制度改悪反対等に関する請願(  工藤晃君(共)紹介)(第六五七七号)  同(柴田睦夫紹介)(第六五七八号)  同(不破哲三紹介)(第六五七九号)  同(松本善明紹介)(第六五八〇号)  同(兒玉末男紹介)(第六八二七号)  国鉄川越線の増発に関する請願小林政子君紹  介)(第六五八一号)  国鉄高砂線栄町の国鉄用地貸与に関する請願(  浦井洋紹介)(第六六〇五号)  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願佐野憲  治君紹介)(第六八九一号)  同(嶋崎譲紹介)(第六八九二号)  同(田畑政一郎紹介)(第六八九三号)  同(古川喜一紹介)(第六八九四号) 同月二十三日  国有鉄道運賃法改悪反対等に関する請願(安  藤巖紹介)(第七四九六号)  同(荒木宏紹介)(第七四九七号)  同(浦井洋紹介)(第七四九八号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第七四九九号)  同(柴田睦夫紹介)(第七五〇〇号)  同(瀬崎博義紹介)(第七五〇一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第七五〇二号)  同(田中美智子紹介)(第七五〇三号)  同外一件(東中光雄紹介)(第七五〇四号)  同(藤原ひろ子紹介)(第七五〇五号)  同(正森成二君紹介)(第七五〇六号)  同(三谷秀治紹介)(第七五〇七号)  同(山原健二郎紹介)(第七五〇八号)  同(中村茂紹介)(第七五八九号)  精神薄弱者国鉄運賃割引等に関する請願(小  川平二君紹介)(第七五〇九号)  国鉄財政再建に関する請願小川平二君紹  介)(第七五一〇号)  国鉄再建並びに運賃値上げ中止に関する請願(  東中光雄紹介)(第七五一一号)  同(小林政子紹介)(第七五八七号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第七五八八号)  国鉄運賃の再値上げ反対等に関する請願小林  政子紹介)(第七五一二号)  同(上田卓三紹介)(第七五九〇号)  国有鉄道運賃法の改正並びに貨物駅の廃止計画  中止に関する請願寺前巖紹介)(第七五一  三号)  国鉄運賃値上げ及び法定制改悪反対に関する請  願(安藤巖紹介)(第七五一四号)  同(瀬崎博義紹介)(第七五一五号)  同(田中美智子紹介)(第七五一六号)  高齢者に対する国鉄運賃優待制度等に関する請  願(池端清一紹介)(第七五一七号)  同(近江巳記夫紹介)(第七五一八号)  同(小林政子紹介)(第七五一九号)  国鉄運賃法定制度改悪反対等に関する請願(  小林政子紹介)(第七五二〇号)  広島空港問題早期解決及びジェット機の就航  実現に関する請願増岡博之紹介)(第七五  九七号) は本委員会に付託された。      ————◇————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(タクシー行政に関する問題及  びトラック事業に関する問題)  海運に関する件(造船業の不況に関する問題  等)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題  及び地方空港に関する問題等)  海上保安に関する件(新海洋秩序に対応する海  上警備に関する問題等)      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 大臣は、参議院の本会議が行われて、途中でお行きになるようでございますので、先に大臣に対して御質問をしておきたいと思います。  連休中、領海法並びに漁業水域に関する暫定措置法が通過いたしました。この施行に伴う当運輸委員会関係する海上警備問題点、主として二法施行までの問題点現有勢力の活用に関する問題点増強計画の確立に関する問題点、そして海上自衛隊の連絡、協力に関する問題点、その他ということで大ざっぱに御質問しておきたい、こう思うわけでございますが、大臣にお伺いしておきたいのは、御質問の順序は逆になりますけれども新規業務に対応した二百海里海上警備計画を作成する時期、めど及びその基本方針について、どのように作業あるいはお考えを持っておられるかということを冒頭お伺いしておきたい、こう思うわけでございます。
  4. 田村元

    田村国務大臣 御承知のように海上保安庁現有勢力は、巡視船艇が三百十隻、航空機等が三十四機であります。この現有勢力で二百海里時代を迎えるわけでありますが、五十二年度ヘリコプター搭載船なんかもつくりますけれども、二百海里時代が実は予想外に早く来たというところに正直言って戸惑いはあります。しかしながら、重点海域を決めてそれに対処するということで遺憾なきを期することはできるであろう、このように考えております。しかし、今日の現有勢力で十分であるとはとうてい申せるものではありません。そこで、速やかに長期計画をつくって——長期計画といいますか、逆に言えば短期計画かもしれませんけれども増強計画をつくってこれを実現させなければなりませんが、それはそれとして、当面の問題としては、補正予算というものに乗っけるか、あるいは予備費を取り崩して増強するか、いま大蔵省と折衝中でございますが、遺憾なきを期してやりたい、このように考えております。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、この漁業水域に関する暫定措置法、これを読みますと、いろいろ決めたり、省令政令あるいはその他やらなくてはならなくなっているようでございますが、施行までにやっておかなければならない政府部内での作業内容、その手順及び水産庁海上保安庁との関係、これは監視取り締まり体制における分担と協力その他になるわけでございますが、水産庁は何々をやらなくてはならないのか、水産庁の方から大坪企画課長がおいでになっておるようでございますが、この作業日程あるいは作業内容手順等についてお教えいただきたい、こう思います。
  6. 大坪敏男

    大坪説明員 ただいま先生指摘漁業水域法施行でございますけれども、目下、政府部内でいろいろ検討した結果、七月一日施行を目途といたして作業しているわけでございます。  作業といたしまして最も重要なものは政省令内容の確定でございます。ただいま先生も御指摘ございましたように、かなり政令委任事項が多うございます。たとえば二百海里水域の中から除外する海域をどうするか、あるいは外国人の入漁を認める際の許可の基準をどうするか等々、かなり重要な部分が政令に委任されておりますので、それらの内容につきまして目下政府部内で検討中でございます。  また、これらの政省令作成作業と並行いたしまして、水産庁といたしましては、やはり二百海里時代を迎えるわけでございますので、これに対応した組織体制をどうしていくか、あるいは、早ければ来月には今度は日本の二百海里内におきまするソ連漁船操業に関する日ソ交渉が始まるわけでございますので、こういった交渉に対する対処ぶり等につきまして目下関係省庁とも連携をとりながら検討しておるという状況でございます。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 大坪課長がいまおっしゃいました後段の分でございますが、今後予想されるソ連漁船のこの水域内での操業問題、これはこれからの大きな交渉にまつわけでございますが、この漁獲量あるいは海域、期間、これはこれからのことでございますので余り多くの質問をしてもどうかと考えられるわけでございます。  そこで参考のために伺っておきたいわけでありますが、日米漁業協定は昨日衆議院の本会議を通して参議院に送付したわけでありますが、アメリカの二百海里における日本漁船に対する監視状況その他はどのようになっておるかということ等を承り、ソ連漁船わが国漁業水域内での操業問題の見通しその他の参考にしたいと思うわけでございます。その点はどうなっておるでしょうか。
  8. 大坪敏男

    大坪説明員 アメリカ周辺水域におきまする日本漁船に対しますアメリカ監視がどうなっておるかという点でございますが、私ども承知する限りにおきましては、これまでも日本漁船は二百海里時代以前におきましても操業しておったわけでございますが、その場合におきましては米国のコーストガードの艦艇によって監視を受けておったということでございます。本年三月から米国も二百海里の漁業保存水域の設定を行ったわけでございますが、その監視体制といたしましては公開されました資料等を見ますと、アメリカの場合は三千トンクラスの艦艇十二隻が中心となりまして、その他の中小の艦艇を合わせまして北太平洋あるいは大西洋海域におきまして監視業務を行っておるというふうに承知しておりますが、それ以外の詳細な活動状況につきましては必ずしも十分承知しておりません。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 農林省資料をいただきまして、また領海あるいは二百海里漁業水域参考資料として政府農林省が出されておりますところのソ連漁船操業パターンというのが図示してあります。襟裳岬周辺がたとえば九月から十月であるとか、あるいは茨城、千葉沖が四月−六月あるいは十二月−三月というようにいろいろなパターンがあります。これに対してはこれからの大きな折衝になることでございますからいまこの席で御質問するのもどうかと思いますし、さらに当委員会運輸委員会でございますのでこの中身に触れることは避けますが、この二法を施行すると同時に新規海上保安庁として発生する業務内容というものはどういうものがあるかということを次に承りたいと思います。
  10. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 具体的にはまた続いてお答えもいたしたいと思いますが、まず冒頭でございますが、領海法かできまして領海が拡大いたしますことに伴って、従来やっておりました領海での警備事務か約四倍になるということで仕事がふえます。その仕事内容は主として領海内の無害通航に対する監視、取り締り、それから外国漁業の不法な——もちろん三海里の中では現在許しておりませんから、むしろ禁止に対する取り締まりということになります。それから領海法と違いまして二百海里の漁業水域法の方は恐らく日ソの例でもこれから決まる、六月になってソ日協定が決まるわけですが、お互いに二百海里の中に漁業を入れ合うということを前提として考えれば、外国漁船操業監視それから外国漁船日本漁船との紛争防止それから仮に入ってきた外国漁船が違法な操業を行えば検挙する、こういう三つになろうかと思います。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 水産庁にお伺いしますが、ソ連の二百海里水域内における漁業においては監視員は相互に乗り込むようになるわけですか。それともお互いに割り当てその他で漁獲量魚種その他が決まればあとはソ連側監視艇が来てときどき検査するというかっこうになるのですか。いろいろのパターンがあるように聞いていますけれども、大体はどういう方法をとっておるわけですか。
  12. 大坪敏男

    大坪説明員 ソ連の二百海里内におきまする監督業務につきましてどうするかということでございますが、私ども承知する限りにおきましては、ソ連がもっぱら監視するということではないかと思います。ただ日米漁業協定によりますると、アメリカの場合におきましては日本監視船が具体的に日米間で協定を結んだ事項日本側も責任を持って守らせるという意味から事実上監視の補佐的なことをやるということを認めているように承知しておりますが、ソ連に関する限りは現在のところソ連がもっぱら監視を行うというふうに承知しております。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうすると海上保安庁長官がいま申されました二法施行に伴うところの業務内容は、もっぱら日本側管轄権があるわけでございますから、日本側がこれを行うということになると相当膨大な量になると思います。先ほどちょっと触れられましたが、われわれはこの二法施行によって資源領土は八倍になる、四百五十一万平方キロメートルになるわけでありますが、この膨大な海域の中でどうやっていくかということは大変困難な問題だと思います。五月二日の参議院農林水産委員会決議の中の五項、六項、十二項あるいはまた五月十九日の衆議院交通安全対策特別委員会での決議の一項、二項という問題ははっきりと国会の意思を海上保安庁に対して示しておる、このように考えるわけでございますが、それに対応していかなくてはならない。先ほど冒頭運輸大臣にお尋ねしたわけでございますが、現有勢力でいま保安庁長官が申されました業務内容を果たして遂行できるかどうかというところに当運輸委員会として、またわが自民党としても非常に大きな問題を含んでおる、このように考えるわけでございます。現有勢力配備表保安庁からいただいておるわけでございますけれども、もちろん現有勢力配備表だけで云々は考えられないわけです。先ほどのソ連漁船操業パターンが六月に行われます交渉でどのようになるのかわれわれはまだ想像がつきませんが、先ほど水産庁からのアメリカの二百海里における体制というのは三千トン級の船十二隻が二百海里の新しい海域監視業務を遂行しておる。びっくりしたわけでありますが、海上保安庁が持っておるのは、宗谷型、これはアメリカの三千トン級と同じように比較してもいいと思いますが、これは一隻しかない。二千トン型は二隻しかないということで、新聞その他でいろいろ承りますと航空機を活用する以外に方法がないといったことに触れておられますけれども、当面この二法が施行せられた場合に、海上保安庁はいまの管区の区域と船艇航空機配属状況——五十一年末現在の表をいただいておるのですか、これを相当変更される気持ちがあるのかないのか承っておきたいと思います。
  14. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもも、先ほども大序から申し上げましたように二百海里時代の到来が率直に申し上げて予期以上に早かったということで、恐らく二法の公布が二カ月以内ということになっておりますので、本当にもう目の前に差し迫って領海警備ないしは二百海里水域操業秩序維持に乗り出さなければならない日が近づいているということであります。当面は隣接管区から応援に出して、先ほど水産庁からも話があったような状況、それから今後対外的に折衝がまとまるまとまりぐあいを見て、そういった重点海域隣接海域からの勢力の注入ということを行って当面の事には処していきたいと思います。  ただそういう体制がどういう期間続くものであるか、万一そういう体制を続けることによって隣接ないしはすべての管区勢力への影響が予期以上に大きくて、ほかの業務にもし仮に差し支えるというようなことがあったら、これはもう大変申しわけが立たぬ。  ただ、私ども仕事は、警備にしても救難にしても、率直に言いまして実は無定量というか、その量が予期できない面がございます。率直に言うて、海難がいつ起こるかわからぬ、いつ油が流れて公害防止に飛び出さなきゃならぬかわからぬという面がございますので、その点余裕があると言ったら言い過ぎですし、また、遊んでるのかと言われると、これはもう違うということを申し上げたいんですが、そういう面での勢力を当面重点海域に指向させて、それでできるだけやりたいと思います。  ただ、それだけではとうてい足りない事態が恐らく私は予想されると思いますので、御承知のとおり、五十二年度の予算案では、先ほど先生からお話がございましたヘリコプター搭載大型巡視船一隻、YS改造型ですが、大型航空機一機、これは実は二年かかるんですが、五十二年度で予算をつけていただいたのを皮切りに、それらを含んだ計画を、全体計画の中でその緒についたものとわれわれは思って、それを第一歩として実は計画を進めていきたい。ただ、何分多少時期的に早まったものですから、そういう面では、先生お話のような特に心配される二百海里沖合というようなものを中心に、大型航空機大型巡視船というようなものを中心に、今後いままでの整備計画の見直しないし繰り上げ促進方を図っていきたいということを考えている最中であります。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 次にまた水産庁へ返るわけですが、先般も衆議院交通安全対策特別委員会でいろいろ応酬があったようでございますが、ソ連漁船日本沿岸海域における従来までの操業及び被害の実情というので資料をいただいておるわけであります。この資料に四十八年、四十九年、五十年、五十一年の十二海里内外被害件数があるわけでございますが、昭和四十九年度が件数にしても千四十二件、そして金額にしても三億四千十八万円という被害金額を集計されておるようでございます。そして、十二海里内外別被害件数というのを見た場合に、これは五十一年度は四月から十二月だということですが、昭和四十九年度が件数としても離岸十二海里内で六百七十五件、六五%、離岸十二海里外が三百六十七件、三五%という割合で千四十二件というこの内訳があるわけですが、この数字は今後の交渉でどうなるかわからない問題になってくると思いますが、先ほど海上保安庁長官の方から言われました中に重点海域という言葉が出てきておるわけでございますが、このソ連漁船日本沿岸における操業パターン被害状況というものを判断していった場合に、海上保安庁としては、その重点海域というのは、かつてソ連が行った漁業操業パターンというものと、そしてまたわが国漁業に与えた被害状況、その地域ということを中心に、水産庁海上保安庁は相談してやるのかどうかというところを承っておきたいと思います。
  16. 大坪敏男

    大坪説明員 日本の二百海里内におきまするソ連漁船操業につきましてどんな形で入漁を認めるかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、早ければ来月にも始まるかと思うわけでございますが、日本側がこれまでソ連の二百海里内におきますわが国漁船操業に関しまして主張しましたのは、あくまでも実績尊重ということで主張してまいったわけでございますので、翻って日本の二百海里内におきましてもある程度ソ連操業実績というものを考慮しながら交渉するというふうになるんではないかと思うわけでございます。  ただ、先生指摘のように、日本の近海におきますソ連漁船操業によってかなりの被害が発生しておるということは事実でございまして、またこのことが領海十二海里拡大の大きな声となったことも事実でございますので、少なくとも、ソ連漁船の入漁を認める際に、わが国漁業の全体としての利益が損なわれないような形でもって対処する必要があるだろうと考えておるわけでございます。  ただ、具体的な漁獲量あるいは海域操業期間等につきましては、今後の交渉にわたることでございますので、目下慎重に検討中であるということで、かえさせていただきたいと思います。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうすると、海上保安庁がいまおっしゃった重点海域ですね。一部配置がえその他をしてやる重点海域というのは、まだ海上保安庁としては決めていないわけですか。それとも、想定して決めて作業をしておるわけですか。どちらなんでしょうか。
  18. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもは、過去のいきさつから、やはり目下の対象は、限定してあるいはいけないかもしれませんが、ソ連だと端的に申し上げられると思いますので、大体北海道南岸から最近は銚子沖までですが、そこに出現している従来のパターンを考えますと、やはりそこが重点海域であろうと思います。  仮に三海里から十二海里まで相手に下がってもらうというような問題を想定しても、その海岸線ないしはそれに付属している水域というのが問題になろうと思いますので、私どもはそこをやはり一番重点に考えて、先ほどもちょっと触れましたが、たとえば北海道の一管及び東北の二管に対しまして三管から応援を出して、私どもでPM、PSと言っておりますが、中型の巡視船、それから小型の巡視船を、それぞれの保安部をブロック単位に考えまして、一隻ないし二隻という配置を考えてやりたいと思っております。保安部は、北海道で申しますと根室、釧路、室蘭、それから東北に行きまして青森、八戸、釜石、塩釜、小名浜、銚子というところをブロックと考えて、それぞれ先ほど申し上げたような数字でやりたい。  それから二百海里の問題も同様に考えますと、やはり航空機ということが中心になろうかと思いますので、羽田のYSを利用する、それから千歳と仙台のビーチクラフトを利用するということで当面対処したいと考えております。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 先ほど大臣から答弁もございましたし、あるいはまたことしの予算で決定しました新海洋秩序のための増強三カ年計画、率直に言うて早く二百海里問題が決したと、こういうお話でございますので、これは大臣計画の見直しあるいは全面改定するかどうか、あるいは先ほど大臣の答弁の中でありましたが、新しい計画の策定、一部増強をやらなくてはならない、それを補正でやるのがいいのか予備費でやるのがいいのか、目下大蔵省と折衝中である、こうおっしゃったわけですが、私は、この新しい増強計画を策定するについての問題点を一、二伺っておきたいと思うわけです。  機材、船艇航空機の増強というのは、ある面で言えばそういう措置をぜひやっていただかなくてはならない。これはスタートが大切であります。スタートで、日本海上保安庁がこの法律で言うところのいろいろな問題でもたもたしたということになったり、あるいはまさに魚をとる、その魚が網から逃げるように、どういう協定が成立するかわかりませんが、十二海里、二百海里水域内での日本海上保安庁警備活動、監視活動というものは粗雑でしかも網の目がたくさんあり過ぎてさっぱり監視効果が発揮できないということになると大変なことになると思うのであります。  そこで、増強計画は早急に手直しし、政府一体となってやっていただきたいというのが強い願望ですが、それでも私たちが考えなくてはならないのは、先ほど海上保安庁長官並びに大臣お話しになりましたように、当面は一部配置がえでやっていく、こういうお話がございましたが、一つは現場保安官のオーバーワーク、こういう問題になるのかならないのかということが一つであります。それから、航空機船艇の増備というのは、いまのような政府一体となって馬力をかけていただいて増強計画をぜひお立てになってやっていただきたいと思うのです。もう一つは、現場保安官のオーバーワークの問題と、さらに現場保安官の増員計画というものは、定員法との関係から、どのように対処していかれるかという二点についてお伺いしておきたい、こう思うわけであります。
  20. 田村元

    田村国務大臣 船艇航空機の増強は当然のことでありますけれども、人間も相当ふやさなければならぬ。少なくとも当面百人はふやさなければなるまいというふうに考えておりますが、配置がえということより、さっきちょっと長官が言いましたのは、応援に行くという体制になろうかと思いますけれども、この六月中にはわれわれの要求も決着をつけなければならぬということで、人員もいま申し上げたように数百名はとりあえず増強したいというふうに考えております。
  21. 加藤六月

    加藤(六)委員 外務省においでいただいておるわけでございますが、外務省にお伺いします。  国連海洋法第六会期の動向との関連でありますが、もしいまの原案が採択されるようなことになって、二百海里経済水域が実施されるというようなことになりますと、海上保安庁はさらに新たな業務が追加されてくる、こう思うわけでありますが、これらの見通しはどうなっておるでしょうか。
  22. 井口武夫

    ○井口説明員 お答え申し上げます。  この海洋法会議で二百海里の経済水域というのが確立されるということは、もう大体確定しておるわけでございまして、ただこの二百海里の経済水域内容に関しまして、たとえば経済活動なんかで発電所をつくるとかあるいは人工島を建設するとか、科学調査についてどういう沿岸国の規制を設けるか、あるいは汚染防止に関しまして旗国の権限と沿岸国の管轄権等どういうふうに調整するか、いろいろそういう点が技術的な詰めがございますけれども、二百海里の全水域にわたって生物資源、非生物資源に関しまして沿岸国が排他的な管轄権を行使するということは、これはもう確立しておることでございまして、それに見合って必要ないわば取り締まり権を行使できるということでございます。  具体的な内容に関しましては、たとえば沿岸国が臨検捜査し、場合によっては、たとえば汚染防止の場合には国際基準に照らしてさらに拿捕処罰し得るというような規定もございますし、さらにボンドを積んで早期に釈放するというような規定もあるわけでございますけれども、なお若干そういう点について詰めが残されていることは事実でございます。ただ、沿岸警備の機能に関しまして、これは各国とも当然強化する方向でございますし、海洋法条約におきまして経済水域のそういう警備問題、追跡権の問題に関しましては、従来の国際法の延長にある問題として前向きに処理されるべきだろうというふうに考えております。
  23. 加藤六月

    加藤(六)委員 保安庁長官、いま外務省の井口参事官から答弁いただいたのですが、経済水域が海洋法会議で画定する場合に対しても、すでにいま一部申された増強計画、増員計画というものは考慮の上で作成されておるのですか。それともまだ決まってないからということで、そこまでのなにはされてないのでしょうか。そこら辺はどうなんですか。
  24. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 二百海里の国際会議が完全にまとまりますと、私ども仕事は二つふえる。一つは、海洋汚染防止の範囲が非常に広がるということ、それからもう一つは、海底のいろいろな資源の保護を図らなければならないという二つだと思います。  特に、私どもは当面海洋汚染防止ということを考えて、実は私ども計画の中にはそれは取り込んで計画は立ててあります。たとえばヘリコプター搭載巡視船の一隻は、南西諸島のタンカールートで油を流す外国船を取り締まりたいということで、計画の中には入れてあります。ただ、私ども今後大事なことは、ニューヨーク会議のまとまり方と、それから一方、先ほど申し上げました北方その他の漁業重点海域と、たとえばヘリコプター巡視船を使用すると言っても、どちらが緊急性があるかということをよく考えていきたいと思いますが、私ども計画の中では両方とも考えて入れてあるということであります。
  25. 加藤六月

    加藤(六)委員 もう時間があと五分ほどしかございませんので、まだたくさんあるわけですが、問題をしぼりまして、最後になると思いますが、海上自衛隊との連絡協力に関する問題についてちょっとお伺いしておきたいと思いますが、昭和三十五年に、海上自衛隊海上保安庁との間に、海上における警備行動又は治安出動に関する協定というものがあるようでございます。ところがこれはまだ一度もこの問題について協定が発動されたことはないようでございますが、もし先ほど来の増強計画というものが間に合わない、そしてスタートにおいて変なつまずきをしてはならないという問題等があった場合に、この協定を発動するか、あるいはまたこの協定を検討するような考えはあるのかないのかということにつきまして、長官並びに防衛庁の方から所見を承っておきたい、こう思います。
  26. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども海上保安庁仕事は、庁法二条で、簡単に申し上げまして、いろいろな法令の励行だとか犯罪の予防ということが書いてございますが、海上の安全の確保に関して全般的に責任を持つということになっておりますので、今回の十二海里、二百海里の問題につきましても、一言で申し上げまして、一義的には私どもが全部責任を負ってやるということでありますし、またそのつもりでやっておるわけです。ただ、御承知のとおり、先ほどお話ございました自衛隊法の中に特別な場合ということの規定がございます。そういう場合がどういうことに該当するか、いままでお話ございましたように、一回も発動した規定ではございませんので、これは防衛庁長官が内閣総理大臣の承認を得て、そういう特別の場合の発動をされることをお考えになるということが想定されているだけであります。その場合に対処するために、先ほどお話ございました協定はつくってございます。私は規定の仕方、それから協定のつくり方、すべてこのままで結構であると思っておるのであります。ただ、私どもは一義的に全責任を持ってそれをやりたい。そこで私どもがやるためには、別に自衛隊法の中にあるところの絶えず両庁が密接な関係をとって仕事をやっていかなければならぬという規定がございますので、その件について私どもは情報をもらう、広い水域ですが、いろいろなわれわれの取り締まりの権限に関する情報をもらうということで、その情報をどういうふうにもらうかというようなことは、今後自衛隊とよく相談をしていきたいと思っておるところでございます。
  27. 渡邊伊助

    ○渡邊政府委員 お答え申し上げます。  海上における警備につきましては、ただいま海上保安庁長官からお答えがございましたように、まず第一義的に海上保安庁が対処すべきものということが現行体制でございます。二百海里の漁業水域が設定された以後も、原則的には私どもこの現行体制を変えるという考え方はございません。  海上自衛隊におきましては、わが国周辺海域につきまして、調査活動という形で監視活動を行っておりますけれども、これは私どもの任務遂行に必要な情報を収集するという目的で行っておるものでございます。漁業のための行動ということは私どもの任務に与えられておりません。  ただ、先ほど海上保安庁長官からの御答弁にございましたように、法律の中に海上保安庁と防衛庁との間の協力関係がうたわれているという趣旨もございますので、従来から、私ども、先ほど申しました調査活動あるいは訓練飛行中に不審船舶等を発見した場合、そういうような情報がございました場合には、海上保安庁の方にこれを連絡をするということで御協力を申し上げるという考え方でございます。  先ほどお尋ねがございましたように、海上における警備行動の発動でございますけれども、これは過去において一度も発動されたことはございませんし、また、特別の必要がある場合というのは、私どもの解釈では、海賊が大挙出動する場合とかあるいは暴力行為を伴うような不法船舶が多数出没するということで、海上保安庁の能力をもって明白に対処できないということが客観的に明らかであるというような場合ということを考えております。  こういう事態はきわめてまれではないかということでございますので、昭和三十五年に結ばれた協定というものを見直すという考え方もございませんし、いまのところ発動するという事態は余りないのではないかということを考えております。
  28. 加藤六月

    加藤(六)委員 もう時間が来ましたのでこれでやめますが、私が海上保安庁並びに自衛隊に質問したのは、この暫定措置法案の第十九条で「前二条の場合においては、犯人が所有し、又は所持する漁獲物及びその製品、船舶又は漁具その他漁業若しくは水産動植物の採捕の用に供される物は、没収することができる。」これがあります。実際に、法を明らかに犯し、はっきり没収しなければならないというケースが起こった場合に、海上保安庁がそれを没収する力があるかないか、あるいはそれに対する能力があるかないかということ等に考えて、これができない、もちろん法律十九条では「これらの物件の全部又は一部を没収することができないときは」というエクスキューズも入れてあるようでありますけれども、ここら辺の問題に関連してきた場合に、海上保安庁の現有の航空機、回転翼機あるいは船艇でこれができるかできないかという問題は、あるいは協定を結んだ後における重要なる問題になってくるのではないだろうかという点を考えて、あえて御質問を申し上げたわけであります。  もう時間が来ましたのでやめますが、それ以外に、海上保安庁長官も申されましたが、海洋汚染防止法という問題が今後どうなっていくのかあるいは汚濁防止法がどうなるのか、あるいはいま十九条で申し上げました没収したいろいろな機具を一体どこへ集めて、どういう管理体制でこれを地方裁判所の判決が出るまでどうするのか、こういう体制海上保安庁でできておるのかできていないのかという問題等も含めて十分御質問したい、こう思っておったわけですが、同僚の井上委員が関連しまして質問いたしますので、これでやめるわけでございますが、どうぞ、七月一日になるのだろうと思いますが、この両法の施行に伴うスタートに当たって、混乱やごたごたや、あるいは日本監視体制がなまぬるいとかへまぬるいとかあるいはできてないとかいうふうなことを起こさないように、水産庁海上保安庁とよく相談していただいて、万遺憾なきを期していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  29. 大野明

    大野委員長 井上裕君。
  30. 井上裕

    井上(裕)委員 地元なるがゆえに運輸委員会質問の機会を与えていただきました理事の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。  質問の前に、犠牲になられました皆さんの御冥福をお祈りいたします。  私は、成田空港に関しましてこの機会に御質問いたしたいと思います。  大臣参議院に行っておりますので、航空局長さん並びに担当の皆さんに御質問いたしたいと思います。  成田空港の開港問題は、妨害塔の撤去ということで、現在テスト飛行や、あるいはまた聞くところによりますと、鹿島からのいわゆる暫定問題、あるいは、後で千葉ルートの問題大臣にお伺いいたしたいと思いますが、この問題、いろいろなことで非常にスムーズに計画されておるということでございますが、まだまだその千葉ルートの問題であるとかあるいは飛行コースの問題であるとか、さらにまた交通アクセスの問題、空港利用客のいわゆる足の問題、非常に種々な問題があるわけであります。  そこで、当局はこれから開港までのステップをどのように考えておられるか、つまり何と何を開港までにやるか、これを具体的にお伺いいたしたいと思います。
  31. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、私ども国会で、開港を決めるための条件として二つございますというお話を申し上げました。一つは鉄塔の除去でございます。もう一つは燃料の暫定輸送体制の確立である、こう申し上げていたわけでありますけれども、鉄塔の問題はああいった形で片がつきました。残る燃料の暫定輸送方式の確立につきましていま努力をしているところでございます。  御承知のように、茨城県側の関係市町村との関係は済みまして、現在千葉県側の関係市町村と詰めておるところでございますけれども、残っておりますところは、佐倉を中心とする一市二町、それから市原、千葉でございますが、千葉を除く関係市町につきましては、要望書が最近出てまいりまして、この詰めを行っておりますが、そう日を置かずしてこれらの市町とは話がつくと思います。  残されているところは千葉市でございますが、千葉市は、本格パイプラインの問題との関連で非常にこじれておりまして難航いたしておりましたが、最近何とか千葉市ともパイプができてこの問題について手がかりが得られたかと思っておりました矢先に、突然昨晩当面の責任者である千葉市長の荒木さんが亡くなられまして、私ども大変荒木市長の死に対しまして驚きました。心から御冥福をお祈りいたしておりますが、この問題につきまして、私どもとしては何とか、こういった大変な危機でございますけれども、このことによる時間の長引きということをなるべく起こさないように十分市当局の方ともお打ち合わせをしていきたい、こう思っております。その辺の話がいつつきますか、多少不安定でございますが、それができますれば暫定輸送の問題が一応めどがつくわけでございます。  残すところは空港の施設としての完成の問題がございます。現在、鉄塔が倒れた翌日からフライトチェックをやりまして、飛行場としての施設の十分であるかどうかという点の検査をいたしております。これが七月の上旬にはほぼ終わると思いますので、そうなりますと、空港の完成検査を終了して、一応物としてはでき上がるという形になるわけでございます。そうしますと、日本航空のパイロットがあの空港を使いまして離着陸するための路線資格をとるフライトが必要でございまして、三、四カ月の期間が必要でございます。  それから次の問題といたしましては、成田を実際に使う場合の航空機の飛行経路の設定、これに関連いたしまして空域の設定の問題がございます。現在、羽田の空域と新しい成田の空域をどう分けていくのか、この場合には百里の自衛隊の飛行場がございますが、これらとの関連でどういう調整をしていくのか、こういう問題がございまして、これから私どもはこの問題に取りかかる必要があるわけでございます。  それからアクセスの問題がございます。これにつきましてはかねてからいろいろ問題が出ておりまして、鉄道による方法あるいは道路による方法等それぞれにつきまして関係省庁あるいは国鉄とも連絡をいたしまして、着々進めております。私どものいまつかんでおります情報では、年内開港といたしまして、開港当初の輸送需要には何とか対応できるのじゃないか、必ずしも万全ではございませんが、最小限度対応できるというふうに考えているわけでございます。  そして最後に残された問題は、いわゆる騒音対策等を含めました地元対策でございます。私どもあれだけ巨大な空港をおつくりするわけでございますので、これによって迷惑を受ける地元の市民の方々、農民の方々に対しまして手厚い対策を講じるべきであるという観点から鋭意努力はいたしておりますけれども、なおまだいろいろ地元の県あるいは市当局から御要望がございますように、必ずしも御満足いただいてないという点がございますので、これにつきましては開港までに全力を傾けまして地元対策をやりまして、そして地元の方々から温かく迎えられる空港にすべきであるというふうに考えて努力をしておるところでございます。
  32. 井上裕

    井上(裕)委員 二十分という与えられた時間でございますので簡潔にお答えを願いたいと思いますが、いわゆる貨車輸送、これに伴いまして三年間という暫定期間でございますが、四分の三ですか、四分の三を鹿島ルート、四分の一を千葉ルート、そういうことで貨車輸送をやるわけでございますが、現実に京葉臨海鉄道で踏切事故があった。この貨車輸送に対する危険、そういうものを住民にPRしているかどうか、またその安全性ですね、それをひとつ御答弁願います。
  33. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 輸送をお願いいたしますのは国鉄でございますので、国鉄に対しましてこの燃料輸送が万全にできるような所要の施設の整備をお願いいたしております。たとえば軌道を強化するというふうなことでございまして、これらについては空港公団も応分の負担をして軌道強化をする。さらには必要な踏切の整備ということで、これも関係市町の御要望などを受けましていまその具体策を練っているところでございます。  特に、京葉臨海鉄道を抱えておりますところの市原市におきましては、タンク車の脱線事故等がございましたものですから、非常に神経を使っておられまして、現在でも具体的に踏切道整備の要望が出ております。これにつきましても誠意を持って対応するようにいま努力をいたしております。
  34. 井上裕

    井上(裕)委員 開港後の利用人員ですね、大体これを鉄道、バス、道路でもってどういうような状態で運ぶか。さらに、アクセス問題を具体的に申しまして、たとえば成田の橋上駅の前の五十一号線につながるアクセス、これは五十四年の三月ということですが、それまでに可能かどうか。さらに、湾岸道路は一応五十二年の三月三十一日ということでございますが、これも可能かどうか。  さらに、時間がありませんのでつけ加えておきますが、この成田は国際線だということだったわけですが、これをずっと十一年間そのように言ってきたわけですが、一応いまの段階では、国際線で成田へ来た観光客あるいはお客を羽田あるいは大阪、札幌、そういうところへいわゆる第二次輸送ですか、国内線といいますか、そういう形で運ぶのかどうか。その場合は、いろいろ燃料消費税ですか、あるいは譲与税ですか、この地域にはそういう恩典が恵まれるのか。ただただ騒音だけが残って、地元に対してのそういうものが見込まれるかどうか、その点をひとつ簡潔にお答え願いたいと思います。
  35. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  成田空港開港時の輸送需要でございますが、私ども、一日片道三万四千人という算定をいたしております。国鉄約五千人、京成電鉄約一万人、バスが約四千人、残りが乗用車一万四千人、こういう計算でございます。これに対する輸送力としては、私どもの手元で計算しているところでは対応できるというふうに考えております。  ただ、問題はかかる時間でございまして、時間を短くしなければ意味がございませんので、まず国鉄につきましては、いま御指摘の成田駅前の問題がございます。駅の橋上化によりまして駅前広場を確保いたしまして、そこからバスを出す。駅前広場を広げる工事につきましては開港までに間に合います。しかしながら、御指摘の駅の前から国道五十一号に直通する道路につきましては、この街路のでき上がるのが五十三年度いっぱいというふうに建設省から聞いております。これにつきましては建設省でもできると言っていますので、私どももそれを期待しているわけでございます。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕  それから、湾岸道路でございますが、湾岸道路は来年の三月に、高速道と一般道を使いまして千葉から東京の東雲まで来て、あれから晴海通りに入るルートができ上がるように聞いております。これも建設省の話ででき上がる、こう言っておりますので、私どももそれに期待しておるわけでございます。  それから成田に着いたお客さん、これを大阪とか福岡、札幌等に運ぶ場合にどうするかという点につきましては、やはり需要の多寡に応じましてこれらの都市へ直通する国内航空路線をつくる方がいいと思います。具体的に何をどうするかということは決めておりませんけれども、需要に応じましてこれをやっていきたいと思っております。したがいまして、これに伴いますさまざまな問題、いま御指摘問題も含めまして、地元にも十分御理解を得ながら進めていきたいと思っております。
  36. 井上裕

    井上(裕)委員 輸送関係が大体の見通しはついたといいますが、これに伴ういわゆる空港からのいま言う第二次輸送、それと並行して国鉄を利用する方が多いということで、アクセスではありませんが、成田−我孫子線の複線電化、これの見通しをひとつお答え願いたいと思います。
  37. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 成田−我孫子間の経路は、国鉄といたしまして総武線経由のルートのちょうど裏側になりますので、私どもも成田空港のアクセス問題として非常に注目をしているわけでございます。一方、国鉄におきましてもこの成田−我孫子間、いわゆる成田線周辺沿線の宅地開発が進んできて、だんだん利用者がふえてくるというところから、発展動向、輸送需要の動向に応じまして複線化を考えていく計画はあると聞いておりますので、私どももこれに対しては空港のアクセス問題という観点からもお願いをしてまいりたい、かように考えております。
  38. 井上裕

    井上(裕)委員 先ほど地元対策というものに万全を期したいということで、きのうも実は地元知事と国会議員との会合でお話が出たわけですが、空港周辺の土地利用計画法、これは現在どの程度煮詰まっているのか。また、これは地元の関心が非常に高いわけでございまして、法案の骨子などを、説明できるところまでで結構ですから、御説明願えれば幸いです。
  39. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 御承知のように、この法律は非常にむずかしい問題を含んでおりまして、財産権の制限ということをやる問題でございまして、わが国の立法史上ないような方式をとらざるを得ないというふうなことで二、三年の時間がかかっておりましたけれども、ごく最近に至りまして建設省が都市計画の手法を援用してやろうかという考え方を出してくれたものですから、建設省と運輸省とが共同の立案作業をいま進めております。都市計画の手法を援用いたしまして立地の規制をする、同時にこの規制を受けた土地につきましては補償ですとか、あるいは用地の買い上げの問題、さらにはこの周辺に対する助成の強化というふうな問題を盛り込みまして、現在法案の立案作業を進めております。関係する各省も多く、いま法制局審議と並行いたしまして各省が詰めをやっております。国会の会期も迫っておりますので、何とか今国会に提出したいということで現在努力をいたしております。
  40. 井上裕

    井上(裕)委員 いわゆる土地利用法案は、あくまでも地域の振興につながるものでなくてはならない。土地の基盤整備とかあるいはまた緑地の整備を含めた農業振興策、これが同法に盛り込まれなければならないと思うわけです。  そこで、土地利用に伴います県及び町村の事業に対しましても特段の配慮を願いたい。さらに地元民に対するPRは県でやらなければならないと思いますが、これまた公団あるいは運輸省でもいろいろ案を練って、ぜひこれをお願いいたしたい。ちょっとくどいようでございますが、この法案が成立する見通し、さらに見通しされた後の実施、それをもう一回お伺いいたしたいと思います。
  41. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 現在、一つ一つ問題点をつぶしながら各省折衝をしている段階でございまして、きょうこの段階で、いつの閣議にかけていつまでに出せるというところまではちょっと申し上げにくい段階にございます。  それからこの法案の内容でございますが、いま先生の御指摘の地域振興の問題につきましては、千葉県当局も御存じでございますけれども、いわゆる公共事業のかさ上げ立法でございます。あちらの方の内容の強化を図るということの方にかなり重点が移ることになるだろうと思います。したがいまして、立地規制法の中では立地の規制ということに伴って、立地の規制とバランスをとってこれに必要な助成というところまではうたい込む。しかしながら、その範囲を超えて地域振興を図るということはこの立地規制法の範囲を超えますので、その方はかさ上げ法の内容の充実という点で対応していくべきではないかというふうに考えて、関係省庁ともそういう話を詰めておるところでございます。
  42. 井上裕

    井上(裕)委員 大臣にはおいでになる早々大変恐縮ですが、昨夜実は突発的に千葉の荒木市長が急逝され、お悔やみ申すわけでございますが、いま問題になっておりますのは、鹿島ルートはもうすべて完了だ。さらにまた千葉ルートにおいても、市原あるいは四街道、さらに佐倉、酒々井、この市町村長さんは非常に好意的でうまくいった。千葉市長と大臣との話し合いは、簡単で結構ですからどの程度まで煮詰まっていたか、それをひとつお聞きいたしたいと思います。
  43. 田村元

    田村国務大臣 荒木さんが突然お亡くなりになって本当に悲しいことであります。謹んで哀悼の意を表したいと思います。  実は荒木さんと私とは何回かお目にかかってはおります。おりますが、具体的にどのように話し合いを詰めたということはございません。ただきわめて友好裏に二人が会っておったということは事実でございます。
  44. 井上裕

    井上(裕)委員 最後に開港の時期でございますが、運輸大臣並びに空港公団総裁は十一月ということを委員会で発表なさっていらっしゃいます。いろいろな点で、たとえばいま航空局長さんの答弁では、開港までに成田駅の拡張、こういうことも十一月までにはまだちょっと不可能だろうと私は思います。いずれにいたしましても、空港早期開港、しかしやらなければならない問題がいま多々あるわけでございます。  そこで、きのう千葉県知事並びに国会議員との打合会でも煮詰めまして、最終的には大臣と千葉県の代表である知事は芝山の町長あるいは成田の市長を代弁するわけでございまして、この点大臣と千葉県知事との合意で開港するということだけ、どうなっているかその点の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  45. 田村元

    田村国務大臣 昨日のことは新聞で読んだ程度であります。松本君からも若干の報告は聞きましたが、自民党国会議員団と知事さんとのお話し合い、あるいは県会議員さんのお話し合い、きわめて詳細なことはまだ伺っておりません。しかし知事さんと会った上で合意をしてということは手順として当然のことでありますし、千葉県知事の地位の重さとその責任の大きさというものに対しては敬意を表さなければならぬ、私はこのように考えております。
  46. 井上裕

    井上(裕)委員 ひとつそういうことで進めていただきたい、このように思います。  以上で終わります。
  47. 増岡博之

    増岡委員長代理 久保三郎君。
  48. 久保三郎

    久保(三)委員 大臣航空局長に成田の問題で申し上げておきますが、先ほども質問がありましたように、われわれ新聞等で承知しているのですが、十一月には開港とか、あるいは閣議では年内に開港を決めたとかいうようなことを存じているわけでありますが、そのよし悪しは別として、われわれはことしの一月に、予算編成あるいは政策立案に関して党として田村運輸大臣に申し入れをしております。お忘れではないと思うのでありますが、成田の開港については少なくとも見切り発車的なもの、いわゆる関係者の十分な理解と納得のないままに開港することについてはすべきではないという申し入れをしておりました。そこで、最近いよいよ鉄塔の撤去なども始まってまいりましたので、幾つかの大きな問題があるわけです。いまの質問にも出てきたような問題も含めてあるわけです。そういうものの処理の仕方並びにそれの手順について、われわれには余り公表されていないのであります。だからこの間事務当局を通じて詳細に、その手順、処理の方法、そういうものを調査して提出するように話をしてありますから、あらかじめ御存じかと思うのでありますが、改めて早急に提出するようにお願いしておきます。  そこで、予定した質問に入るわけでありますが、領海拡張並びに漁業専管水域の設定、こういうものはすでに法律案が通りました。本来ならば、法案の審議の段階で当運輸委員会も審議をすべき筋合いであったと思うのでありますが、各党間の調整がうまくいかずに、法律が通った後質問するということになりました。非常に残念だと思うのでありますが、もっとも、法案が通った後でも問題の解消はしておりませんから、質問するだけの意義は多少あると思っています。  そこで、直接関係するものとしては、保安庁の職務遂行であります。これは先ほど来もお尋ねがありまして、原則的には保安庁が全部責任を持ってやれますという回答がありました。なるほどそうしてほしいとは思いますけれども、私はやれないのではないかというふうに思っているわけであります。そこで、いろいろ長官からも話がありまして、現有勢力を多少配置をかえておやりになるようなお話もありました。配置をかえるだけでできるものかどうか、そういうことを考えますと、実際問題として保安庁監視体制というか、そういうものの体制そのものを根本的に変えていく必要がありはしないかというふうに思うのです。  いま予算要求とかもしていますし、そういうものを通して装備や人員の要求もされておると思うのでありますが、これには時間がかかります。時間がかかるばかりじゃなくて、今後の体制に応ずるためには、現体制では私はできかねると思うのです。これは常識的にそうだと思うのですね。たとえばいまの管区制度そのものを見ても、管区が受け持つところの管轄区域の範囲そのもの、あるいはその中の陣容にしても大幅に変えていかなければならぬだろうと思うのですね。そういう問題についてどういう検討をしておるのか、あるいは近くこれはもう実施でありますから、整えられたのか、いかがでしょう。
  49. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 率直に申し上げまして、いま久保先生からお話がございましたが、私ども実は配置がえというところまでまだ現状では考えていないのです。当面、もう現に北海道で問題が発生しておりますけれども、そういうときにはほかの管区から、隣接管区から応援に出すということをやっております。そういうことで処していきたいのですが、私とも実は一つは、今後——時期はまさに近づいております。ただ、重点海域などを決めていくということについていろいろ考えていかなければならぬ点がございます。したがって、当面はいまやっておるような隣接区域からの応援ということで対処していきたいと思いますが、基本的にはやはりとても現有の勢力では十分とは申せないということでありますし、また他の業務にしわ寄せがあってはいかぬというような点は十分考えていかなければなりませんので、やはり予算、人員の充足というものを今後考えていくということがまず第一ではないかということの現状でございます。
  50. 久保三郎

    久保(三)委員 いまのお話では、北の方に重点があるというお話でありますが、北の方に重点を移すというと、南の方の重点は軽くなりますね。軽くなった場合に問題はないのか。特に海洋汚染防止の問題について一つ例をとりましても、第三次の海洋法会議の小委員会ではすでに一応内容というか、決まっておりますが、二百海里海域というか、そういうものの区域での汚染については、いままでは国際的には、入国したところの国でこれを処理する、こういうことになっているわけでありますが、今後はそうではなくて、二百海里の区域内の問題はその沿岸国が責任を持ってやるということに御承知のとおりなっているわけですね。そういう体制にいまのお話では応じられるのかどうか、いかがです。
  51. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 お話しのように、ニューヨークの会議で新しい海洋法秩序というものが現在予定されておるところの草案のかっこうでまとまるということになったら、海洋汚染の取り締まりについて沿岸国が大きな権限を持つ、またその取り締まりをしなければならぬということになるということを承知しておりまして、私どもも実は整備計画の中には、南西海域用のヘリコプター搭載巡視船というものも計画の中に入れてあります。ただ、今後ニューヨークの会期で、ことしも第六会期になったわけですが、どういうことでその問題が進むかということをよく注視をしながらそういった整備計画の実行を緊急性のあるものから考えていかなければならぬのじゃないかということを考えておるわけでございます。ただ、当面南西諸島の公害監視が北方に重点を置くことによって全く空っぽになるのかということは、これは余り御心配をいただかなくても、実は仮に飛行機が飛びますときも、単なる領海整備と一緒に公害監視ということもかねてやれるということでありまして、全く空っぽになるということではないのであります。ただ、多少期間的に考えますと、そんな北方に重点を置いた応援体制というものを長く続けるというところはこれはできませんし、あるいはほかの仕事への穴があいてはいけないということを、海難救助だとか公害監視だとかいろいろな仕事がございますけれども、そういう点で不安がある点も出てくれば、当然これは基本的には整備を図る必要があるというように考えておるところでございます。
  52. 久保三郎

    久保(三)委員 保安庁長官の説明は長いけれども質問の要点には余り答えていないのですね。何と説明しようが、海域が広がってきているのですから、領海だけでもですよ。領海は全くの主権の及ぶところでありまして、領海を守るのは海上保安庁なんだな、そうでしょう。そうだとすれば、あなた、いまの勢力で、いまの体制で全部守れるはずはないのですよ。だから、守れないものは守れないとおっしゃることが先決ではないのですか。それが、何か手薄になるような感じもするか知りませんが、飛行機だってただ飛ぶんじゃありませんから、見ながら飛びます。あたりまえの話なんです。そうじゃなくて、私が聞いているのは、手薄になることは事実だから、さしあたりどうするのかということを聞きたいのだ。これは別な席でもだれかが提案したと思うのだが、今後のソビエトとの関係等で漁船にあぶれが出てくるわけですね、漁船というかあるいは漁船船員というか。そういうものの一部を暫定的に雇い上げて、その船に保安官を一人でも二人でも乗せてそういう補助的な仕事ができないものかどうか。あるいはそういう工夫をすべきではないかというふうにわれわれは考えているのです。もちろんあなたが直ちに答弁できることではないと思うのでありますが、少なくとも工夫しなきゃいけませんね。いかがですか。
  53. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私も現在の勢力仕事がふえても何も心配はないということは決して申し上げておりませんので、基本的には、根本的な装備の整備拡充が必要であるということであります。それは物もありますし人の点もございます。  ただ、ただいまちょっと新しいというお考えで御提案がございましたことについては、私どもも従来からかなりいろんな角度から検討を進めておりますが、なかなか私ども勢力の中に取り入れてうまくいくかという点については、かなり問題が多いということで、私どもも検討は続けておりますけれども、非常にむずかしい点がいろいろございます。
  54. 久保三郎

    久保(三)委員 これは水産庁が所管の官庁でありますから、水産庁は企画課長さんですね。あなたは政府委員ではないのだな。別に軽んじるわけではないが、こういうものに対して責任を持って答弁できる立場にある人ですね。そうですね。  それではお聞きしますが、二百海里での区域の問題。これは第三条第三項の中で「漁業水域」を規定しているわけです。原則的には距岸二百海里ということですね。中間線があるときにはもちろん中間線ですが、それが原則なんです。ところが、括弧書きで「政令で定める海域を除く。」こう言っているのですね。「政令で定める海域を除く。」というのは、これは政令規定見込事項として出てきた文書でありますが、こういうふうにしますというので「第三条第三項の政令で定める海域は、日本海西部、東海、黄海及び東海に隣接する太平洋南西部の一部の海域とする見込み。」これでは国会議員の私どもはわからない。わからないし、なぜこれは除くのか、これが一つ。どこからどこまで除くのかわからぬ。なぜ除くのか。  それからもう一つは、漁業水域二百海里というのは制限された主権だと思うのだが、それは違うのかどうか。単なる、何となく日本が魚をとるのに主張できる区域だというふうに思うのかどうなのか。いかがです。
  55. 大坪敏男

    大坪説明員 いまのお尋ねの第一点でございますが、先生指摘のように、暫定法の審議の際に、政令規定見込事項を提出しておりまして、その一番目に、三条三項によります政令で除外する水域につきましては、先生がいまお読みになりましたような案を提出したわけでございます。この除外する水域につきましては、基本的には、二百海里の漁業水域日本の周辺に設定されるわけでございますが、一定の海域につきましては除外し得るということを政令に委任しておるわけでございます。この政令規定見込事項に書きました海域の趣旨といたしましては、まず基本的には、中国と韓国との関係についてでございますが、現在日韓、日中関係につきまして、それぞれ日中漁業協定、日韓漁業協定がございまして、円滑な漁業秩序が保たれておるということでございます。したがいまして、二百海里水域設定に関連いたしまして、そういった秩序を損なうということは必ずしも国益にはそぐわないということから、中国及び韓国の周辺水域につきましては、一定海域といたしまして除外をするという考え方でおるわけでございます。この具体的な除外をどういう形でやるかにつきましては、現在政府部内で検討中でございまして、いずれできますれば、六月上旬ごろには政令案という形で公布いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  第二点目の二百海里内でのわが国の権限の問題でございますが、この点につきましては、漁業水域に関する暫定措置法の第二条におきまして、わが国漁業水域内におきまして、漁業及び水産動植物の採捕に関して管轄権を有するという規定を置いておるわけでございます。  この管轄権の意義といたしましては、一つには、たとえば水産動植物の保存、管理措置をやる。かつ、その保存、管理措置を有効たらしめるための取り締まりあるいは裁判管轄権、これを含めて総称した概念と理解しておりますし、また、別途の意味で申し上げれば、漁業に関しましては立法、司法、行政の三権を行使するということを意味するものと考えております。
  56. 久保三郎

    久保(三)委員 まさに主権の及ぶ範囲ですね、制限はされているけれども。そうですね。
  57. 大坪敏男

    大坪説明員 漁業及び水産動植物採捕に関しましては、立法、司法、行政の権限を行使し得る水域であるというふうに考えております。
  58. 久保三郎

    久保(三)委員 そういうのは主権と呼ばないのかどうか。そういうのは主権の一部じゃないのか。
  59. 大坪敏男

    大坪説明員 主権と申す場合、私もここで確たることを申し上げる知識もないのでございますが、やはり制限されざるものを主権と申すのじゃないかと思いますが、いま申しましたように、漁業ないしは水産動植物の採捕に関する権限という意味では、あるいは、私ここで正確に申し上げる知識もございませんけれども、限られた主権と言ってもいいのではないかという気もいたします。
  60. 井口武夫

    ○井口説明員 お答え申し上げます。  補足説明の形になりますが、実は主権と主権的権利と排他的管轄権、いろいろ条約で用語がございますが、主権と言う場合には、たとえば海域では領海でございまして、その場合に主権と言うのは、実は上空から海底に及ぶということでございまして、現在の海洋法条約の交渉においては、経済水域は主権的権利ということになっておりますが、漁業水域に関しましては、多くの国の国内法は排他的管轄権というような言葉を使っているわけでございまして、いずれにしても、ただいまの御質問の主権かどうかということに関しては主権ではないということでございます。これは五八年の大陸棚条約のときにも主権という言葉は使われておりませんで、主権的権利ということになっておりまして、その意味は、これはさらに定義がございまして、排他的管轄権というものと大体同じような形の定義になっております。
  61. 久保三郎

    久保(三)委員 厳密にはあなたが言ったとおりだろうと思うのです。厳密にはというか、妥協的な国際的な解釈としてはそうだと思うのですね。しかしあなたがおっしゃったように、いまのこの漁業専管水域という今度決めました日本のものも、近い将来、というよりは、ニューヨークでいま会議をやっておりますが、その関係から言うならば当然漁業だけじゃなくてこれは経済水域、こういうふうに移動していくことは当然だと思うんですよね。そういうふうなことを前提にしながら、それは別としても御説明のとおり取れば、主権という厳密な意味で呼ぶものではないけれども、主権に準ずるような形の権利権限がその国にあるという主張だと思うんですね。そういうものはこれは国権にかかわる大きな問題だと思うんですよ。それをなぜ政令にゆだねるのか。政府はいわゆる行政府なんだ。立法、いわゆる最高機関である国会が、早く言えばこれは決めなければならぬ問題なんだ。国民の権利義務、あるいは対外的な、さっき言った排他的なものでありますから、対外的な権利あるいは義務があるわけですね。そうだとすれば、これは一政府が決める、そういう性格のものではないんですね。何でこれはこういうものを政令にゆだねたのか。政令にゆだねた理由というのは何です
  62. 大坪敏男

    大坪説明員 先生指摘のように、この暫定措置法の三条三項によりまして、一定海域政令指定いたしまして除外し得るという道を開いているわけでございますが、この趣旨といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、当面韓国、中国周辺の海域を予定しているわけでございますが、御案内のように、韓国、中国はそれぞれ二百海里水域を設定しておりません。したがいまして日本の方から先手を打って二百海里を設定すること自体の巻き起こす影響等も考えまして当面は設定をしない、一部海域として除外するということを考えているわけでございまして、いずれにいたしましても現在の二百海里水域設定に関しましては、日本の周辺海域におきましてはきわめて流動的でございます。したがっていかなる事態が発生しても弾力的に適宜に対処できるという方途を考えるためには、こういった政令によりまして機動的に対処し得るという道が必要であると考えまして、こういった道をつくりまして御審議をいただいたわけでございます。
  63. 久保三郎

    久保(三)委員 最後の文句はこれは問題だと思うんですよ。機動的に運用させてもらうなんてとんでもない話なんだ。これは政令で規定する見込事項というのでぼくが読んで、これでやるから大体のところはここはつくらぬのだなと、こうわかる。しかし法律だけ読んでみてこれをわかる人はだれもないんだ。どこが除外されてどこが二百海里なのか。こういうことを、これは運輸大臣、国務大臣としてあなたもサインしたことでありましょうがこういうものはやはり政府姿勢の問題だと思うのですよ。こういうのをいま何か機動性をつけるために、——それじゃ向こうか出てきたら今度こっちはどこか除外しているところをやっちゃおう、そのときにはそこを勝手に行政府が二百海里をつけるわけだな。そんなことできるのですか。そういう法律案は時間を置かずに改正する必要があると思う。なるほど気持ちはわかりますよ。ソビエトからつつかれたとか、アメリカでは決められたとかいうことだから鈴木農林大臣がしょっていかなければならないものはこれだというようなことであるいはつくったのかもしれませんけれども、こういうものを法律として持ってくること自体に私は問題があると思うのであります。これは田村運輸大臣も別に余り気にしないでサインされたのかもしれませんが、これはやはりまずいやり方だと思うのです。  時間がありませんから先へ行きましょう。  それで、いつこの除外された海域を二百海里にするかわかりませんが、その場合には保安庁はどういう立場に立つのか。やるときには事前に相当長期間の猶予期間を置かれて、それで体制が整う時期から二百海里をやりましょうというふうになるのかどうか。今度の場合は全然事前にはそういう体制を整える期間を置いての話ではないわけだな。そうでしょう。今度もそういうことなんですか、どうです。
  64. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 この法律が公布されましたのはたしか五月二日、それで二カ月以内、当初は三カ月ということでございましたが、二カ月以内ということになっておりまして、大変施行の期日が迫っておる。しかもなお、いまのお話のございましたどの水域に適用されるかというのは今後の政令を待たなければいけませんし、それから政令の後で、日ソは決まりますけれども、ソ日の協定がどう決まるかということで、恐らく私どももう仕事を始めるのにぎりぎりいっぱいになってしまうだろうということでございますが、国家的な問題でございますので私どもはできるだけ対処していきたいと思っておりますが、それは早く決まって余裕がある方がいいに越したことはございません。  それから勢力的な増強については物理的にここ二カ月で間に合うという問題は何もございません。いまの勢力でできるだけやるということですが、基本的には大きな勢力の増強が必要になってくるということでございます。
  65. 久保三郎

    久保(三)委員 質問が飛び飛びになりますが、きのうですか、調印をしてきたこの日ソ漁業暫定協定第二条について伺いたいのだが、権威ある人は来ておりますか。水産庁が主だから、企画課長から聞くほかないかな。  この第二条というのはこういうふうに書いてあるのです。「日本国の国民及び漁船が前条の漁獲を行う権利は、」すなわち第一条のソビエトの二百海里海域内で行う権利は、「ソヴィエト社会主義共和国連邦の国民及び漁船のために日本国の地先沖合における伝統的操業を継続する権利を維持するとの相互利益の原則に立つて与えられる。」これを普通に読むと、いまソビエトの漁船は鹿島灘で、私は鹿島灘の方に近いところに住んでいるのですが、それはもう海岸からはっきり見える近いところで操業をしているわけなんです。これは、領海を新しく十二海里にいたしますればまさに領海内であります。そういうものも、「伝統的操業を継続する権利を維持するとの相互利益の原則に立つて与えられる。」と言っておるが、これはどういうふうに解釈しているのですか。農林大臣が帰ってこなければ何事もわからぬのですか。
  66. 大坪敏男

    大坪説明員 外務省から御答弁いただいた方がいいかと思いますが、私から御答弁申し上げますと、この第二条の規定の趣旨といたしましては、今般の協定自体がソ連の二百海里内での操業に関する協定ということでございますが、他方では、先生も先ほどから御指摘のように、五月二日に日本の二百海里漁業水域に関する法制が制定されたということもございますので、相互に漁業を認め合うということの表現の形式として、二条におきましてわが国周辺の「地織沖合における伝統的操業を継続する権利を維持する」というふうに表現になったように理解しております。ただ、先生指摘の点は、領海内の操業問題かと思うわけでございますが、領海内の操業につきましては、わが方といたしまして基本的に認めないという方針で臨んできたわけでございます。
  67. 久保三郎

    久保(三)委員 いまの説明で、気持ちはそうでしょうね、あたりまえだと思うのですよ。ただ、第一条ではこれはちゃんと区域が決まっています。ところが、第二条はそういうことは決めていないのです。ついては、何か合意文書があるのかどうか、あるいは別な協定でもあるのか、これは奥田政務次官にお聞きした方がいいと思うのですが、どうぞお願いします。
  68. 奥田敬和

    ○奥田政府委員 先生指摘のように、第二条は日ソ双方間の相互入り会いの原則の取り決めでございます。そこで、御指摘がございましたように、「日本国の地先沖合における伝統的操業を継続する」という文言だけから見ますと、まさにわが国領海内のソ連船の操業というものを排除する規定にはなっていないわけでございます。しかしながら、交渉の過程におきまして、わが方より繰り返し、わが国領海法施行ソ連船による領海操業は認められない旨を明確に述べ、先方もこれを十分に了解した上で今次の合意に至っておるわけであります。鈴木農相も、交渉に当たられて一番苦労されたことは、この領海操業を文字にする形を先方が非常に強く主張したことについて、領海操業は認められないという旨を明確に述べました。ソ連側は、当初わが国沿岸三海里以遠水域に関して明記した案文を提出したことは先生も御存じのとおりでございます。領海操業、十二海里から三海里の間の操業を強く主張し、イワシあたりの漁獲に関してイシコフ漁業相が並み並みならぬ強い姿勢を示してきたわけであります。  しかし、そういった案文を撤回し、領海内の字句をカットし、今次合意に至った経緯を考えれば、ソ連側としては本件につき立場を変更してきたことは明らかでございます。したがって、ソ連漁船がこれまでわが方の、前の領海三海里から新しく領海となりました十二海里の水域において漁獲してきた漁獲量については、わが国の二百海里の漁業水域内における漁獲量に加算する。非常にむずかしい形になりますけれども、結局十二海里内でいままでとってきた量に関しては、今度は新たに二百海里内の操業の中で漁獲量に加算するということは、お互いの伝達了解事項となっているように聞いております。  ただ、ソ連側が、いま先生指摘のように、第二条の文言だけを根拠にして、わが国領海操業というものをこの第二条から主張してくるということは、今次協定折衝経過にかんがみて、ないと政府側は確信いたしておるわけでございます。  もし補足があれば、政府委員から説明させます。
  69. 久保三郎

    久保(三)委員 いまの御説明で、当方の気持ちはよくわかりました。ソビエト側に伝えたと言うが、外交上は口頭で伝える場合もあろうかと思うのでありますが、重要な問題は、おのずから整った形式によって、記録し、お互いに承認し合う、こういうふうになっていると思うのですが、いまの政務次官の御答弁の限りでは、口頭でただ主張をされたということでありまして、今後どういうふうにされますか、もしお考えがあればお聞かせください。
  70. 奥田敬和

    ○奥田政府委員 大変微妙な問題でございますけれども、私たちはこれから始まるソ日協定において、日本領海内あるいは排他的専管水域内の問題も含めて討議するわけでありますが、先ほど述べましたように、交渉の経過から見て、領海内の形は認めるわけにはまいりませんし、二百海里内操業に関しておのずからただいま申し上げましたような形が具体的な俎上に上ってくる、そのときに明らかになってくる問題であります。御理解を賜りたいと思います。
  71. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、引き続いてこれから始まるソ日の漁業協定の討議の中で決まってくるというので、第二条そのものでは不明瞭であるというふうに思っていいのですね。うなずいていらっしゃるから、わかりました。  それでは次に船員局長と水産庁に聞きたいのですが、いずれにしても、いままでのような勢力漁業ができなくなってきたことは事実ですね。あるいは形を変えなければいかぬものが出てくる。そういう意味で、これは水産庁の企画課長が専門ですか、漁業制度そのものも変えていかなければならぬと思うのですよ。漁業制度を変えることは、いままでの政府漁業政策そのものを基本的に見直す必要があると思うのです。これか二点。三点目は、そういう変化に応じて、漁業から離れる船あるいは漁船船員がいるわけです。これらに対しての善後措置というのはどういうふうにするのか。船員局長については、一番後段の船員雇用の問題についてどういうふうな考えをいまめぐらしているか、お答えをいただきたい。  以上、時間もないから結論だけでいいです。
  72. 大坪敏男

    大坪説明員 国際的に二百海里時代が急速に到来しているわけでございまして、そういった二百海里時代に相応した水産政策の展開ということがこれからの課題であると考えているわけでございます。  そういった意味で、法制面の見直し、検討も含めて現在検討中でございますが、基本的な方向として今日段階で申し上げれば、一つには、わが国漁業の場合、外国の二百海里水域内に依存する度合いが非常に高いという事実かございますし、そういった意味からも、今後とも、強力な漁業外交の展開等を通じまして、漁獲実績の可能な限りの維持を図ってまいるということが必要かと思うわけでございます。  しかしながら、事態の推移いかんによりましては、漁獲量の削減等に伴います減船あるいは漁船乗組員の離職の問題も発生することも十分予想されるわけでございまして、こういった場合につきましては、水産庁なりに、過去の例等もございますので、適切な救済措置を講じていくということはもちろんのことでございますが、離職者の雇用、生活の安定の問題につきましては、運輸省、労働省、厚生省等関係省庁間におきまして、密接な連携をとりながら適切な対策を講じていくということであろうと思うわけでございます。  さらに、先ほど来先生指摘のように、今国会におきまして、領海十二海里あるいは二百海里漁業水域の法制が整ったわけでございまして、新しい海洋秩序のもとにおきます近海におきます日本漁業の展開ということがこれからの課題になるわけでございますが、これらの法制のもとにおきまして、外国人漁業につきまして適切な規制を加えながらも、沿岸漁業計画的な整備あるいは栽培漁業の展開等を図ると同時に、資源状態の的確な把握等も通じまして、沿岸、沖合い漁業の一層の振興を図ってまいるということであろうと思うわけでございます。  三点目といたしましては、わが国周辺の海域で、比較的豊富にありながら食用化率が非常に低くて、えさとか飼料等に使われておりますサバ、イワシ等の多獲性魚をいかにして有効に食用として活用してまいるかということも大きな課題であるわけでございまして、そういった面での消費拡大あるいは加工技術の開発等水産物の有効利用をさらに促進してまいる、さらにまた、深海魚あるいは新漁場等の開発を促進してまいるということでございまして、そういったもろもろの施策につきまして積極的に今後取り組んでまいりたい、かように考えているわけでございます。
  73. 横田不二夫

    ○横田政府委員 漁船員の雇用対策についてお答えいたします。  ただいま水産庁からお話がございましたように、これから北洋漁業がだめになってきた後どのように水産行政を進められていくか、それに応じて——漁船員としては、長年住みなれた職場を離れがたく思うのは当然でありましょうし、したがって、そういう別の漁業の職場というものか確保されることが望まれる次第でございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、漁船が総体的に減船せざるを得ないということになりました場合に離職を余儀なくされます漁船員につきましては、これはわれわれといたしましては何とかめんどうを見ていかなければいけない、かように考えているわけでございまして、その場合の職業の転換の方策等につきまして、この問題か起きまして以来関係の四省庁、運輸省、労働省、もちろん根っこの水産庁それから厚生省も含めて毎週一回くらいの頻度で検討を重ねているわけでございます。  それで、ただいまのところ関係漁業の実態についてほぼわれわれとして把握することができた、かように考えておりますけれども、サケ・マスを除きまして、その他の魚種についてはどのような最終合意になるかその辺もわかりませんので、その辺のところがはっきりしたところで、水産庁の御意見もよく承った上で詰めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  74. 久保三郎

    久保(三)委員 いずれにしましても、雇用対策の問題を含めて、漁業を転換しなければならぬというものについて、早急に対策を立てていくことがいま一番大事だと思うので、お話しのように詰めているというのならば早く詰めてほしい、こういうふうに思うし、必要があれば立法化をして制度的に——過去において例がないわけじゃありませんから、石炭の場合もそうだろうし、いろいろな問題がありますから、そういうものに見習って救済策を講じてもらうようにこの点は要望しておきましょう。  それからもう一つ、領海法問題でありますが、領海法では、すでに議論があったように、五つほどの国際海峡に類するものは従来どおり三海里の線で抑えたということなのですね。抑えたことについての議論をいまする時間はありませんけれども、ニューヨークで二十三日から、大詰めに来たと見られるのでありますが、また海洋法会議が始まっているわけです。これに臨む日本の態度として、特に国際海峡に対する考え方、基本方針、そういうものはどういう方針で臨んでおられるのかお伺いしたいと思う。政務次官からお答えいただきましょう。
  75. 奥田敬和

    ○奥田政府委員 先生御存じのとおり、わが国の海洋国としての基本的立場にかんがみまして、私たちは、海洋法会議におきまして、無害航行よりも、一般海峡に比しましてより自由な通過航行を主張してまいったわけでございます。その間、いわゆる無害航行を主張する側の立場と、より自由な形での海峡の航行を主張するわが国の立場の間におきましてはいろいろ議論があったわけでございますけれども、最近の大勢といたしましては、わが国らが主張する、一般海峡よりも自由な通過航行を主張することが大勢を占めるようになってまいりました。特に日本関係のあるマラッカ海峡、マレーシア側も、この問題に関しては何かの規制的な形の主張もなしておったわけでございますけれども、そういった汚染防止その他に関する取り決めと並行して、自由航行という形の中で賛成をする立場をとってきたというようなこと等々も含めて、日本側の主張が、今次の海洋法会議においては大勢を占め、恐らくそのことか結論となって出るであろうということを期待しておるわけでございます。
  76. 久保三郎

    久保(三)委員 これは固まったわけじゃありませんけれども、いままでに討議されている単一的な憲章ですか、それでは国際海峡については「国際海峡の通航制度は、通航問題以外の点では、海峡を構成する水域の地位又は海峡沿岸国の主権若しくは管轄権行使について影響を与えるものではない。」ということがまず最初にありますね。これをも外務省としてというか日本として承認して、御説明のとおりになるのかどうか。それから通過通航権でありますが、あらゆる船舶及び航空機は、この国際海峡において、妨げられない通過通航権を有するのだというようなことをひっくるめて、政務次官がおっしゃる普通の海峡よりもっと自由な通航権が主張される、そういう方向であるというふうに解釈していいのかどうか、いかがですか。
  77. 井口武夫

    ○井口説明員 お答え申し上げます。  ただいま久保先生の言われたとおりでございまして、国際海峡に関しましてはまだ最終的な案文が確定する直前の段階でございますけれども領海が十二海里に拡張される結果といたしまして、非常に数多くの交通の要衝である海峡が、領海十二海里ということになりまして従来の公海がなくなるわけでございますから、そのために妨げられざる通過通航制度というものをつくりまして、これは一般領海と違いまして、沿岸国の法的な規制権は限定された形で及ぶということで、それは漁業あるいは汚染それから航行安全、出入国の規制、関税法、こういうものについて限定された規制権が認められますが、しからざる問題に関しましては、これは一般領海ではないということで、従来公海で自由な航行が行われていましたものをできるだけ保持するという形の妥協的な新しい制度でございまして、そういう方向でこの交渉が収斂しつつあるということでございます。
  78. 久保三郎

    久保(三)委員 そこで、いまの井口参事官の御説明の中で、わが国は御承知のとおり非核三原則が国の基本方針になっております。この非核三原則というものは、いまお話しのようなところにはどういうふうな関係を持つことになるのか、どういうふうにお考えであるのか。あるいは日本としては、いまニューヨークで討議されているそういう国際海峡について、わが国の立場の特色的なものとして非核三原則は認められるような方向でやっておるのかどうなのか、いかがです。
  79. 奥田敬和

    ○奥田政府委員 たびたび政府側としては答弁をいたしておるところでございますけれども先生の、これから行われつつある海洋法会議との関連においてのこういった非核三原則絡みにつきまして、この国際海洋法会議において国際海峡制度ができ上がれば、これに従って当然わが国は対処すべき立場でございます。しかしその場合、いずれにしろわが国の権限の及ぶ限りにおいて非核三原則を堅持するとの政府の基本的な方針には絶対変更はないわけでございます。ただ、危険物を積載する核積載艦、あるいは危険物積載タンカー等も含まれるわけでございますけれども、こういった船種別規制強化につながるような形はわが国の立場としてはなじまないし、とらないという方針で進んでおるわけでございます。しかし、当然この非核三原則をいずれにいたしましても、堅持するという基本的な姿勢と、海洋法会議の趨勢にまって、こういった形の種類別の、船種別の規制強化という方向には賛成しない。ちょっとむずかしい答弁になりましたけれども、補足的な形には政府委員から答弁させます。
  80. 久保三郎

    久保(三)委員 ちょっと半分ぐらい政務次官わかったような気持ちなんですが、この憲章というか仮の原案というか、そういうものによりますと、通航問題以外の点では云々ということが一つは述べられているわけですね。その通航問題というのは、たとえばマラッカ海峡におけるところの経由ですか、そういうものの制限も一つだと思うのですよ。それからわが国の非核三原則もそうだろうとわれわれは思っているわけなんです。政務次官の御答弁によりますと、どうもわが国の主張がどうなっているのかはっきりいたしませんが、それは不動の姿勢で非核三原則を堅持するためにやっておりますというふうにとってよろしいんでしょうか、いかがです。
  81. 奥田敬和

    ○奥田政府委員 非核三原則を堅持するという基本的立場と主張は変わらない。しかし、この自由な航行を主張するわが国といたしましては、いわば海峡通過の際の船種別、種類別規制強化ということになじまないという立場をとっておるということでございます。
  82. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、マラッカ海峡の規制もあなたたちはとらないという意味になりますか。これは船種別ですね。二十万トンとか十万トンとか、船種別ですよ。いかがです。
  83. 奥田敬和

    ○奥田政府委員 マラッカ海峡におけるそういった船種別強化ということになると、早速先生も恐らくこの質問の裏にあるのは、タンカー等のそういった海上汚染につながるような、絶対無害とは言えないようなそういった大型タンカー等に対する規制、あるいはこういった海峡通過に関して油という危険物積載、こういった船を含めて規制を強化されていくという方向にはなじまない。タンカー等々のより自由な海峡通過ということをわが国は一貫して主張し続けておるわけでございます。
  84. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、マラッカ海峡のタンカーの通航に関係して、いまの御説明を聞いて、非核三原則の基本方針というものを頭に入れるというと、何か非核三原則も自由にしてもらいたいというふうに聞こえるのでありますが、そうではありませんね、これは。違いますね。
  85. 奥田敬和

    ○奥田政府委員 そうではございません。基本的姿勢というものは堅持してまいる。ただ、無害航行という概念の中にいろいろな船種が多く含まれてくる形の中で、わが国の生命としている海運、そして船舶規制等々において相当な不合理が生ずるのじゃないかということが大局的なこういった海洋法会議に臨む基本姿勢でございます。
  86. 久保三郎

    久保(三)委員 時間がありませんから、この次にまたお願いしましょう。  海上保安庁長官に聞くのですが、いま領海法では穴のあいた領海法ができているわけなんです。国際海峡では御承知のとおり従来どおり三海里ということで、公海として残しているわけですね。これは一般的に公海なんですね。しかしこれは二百海里の中には入るわけだな。そうですね。それから、それじゃいまやっている海洋法会議で一定の解釈というか合意ができまして、穴のあいている国際海峡が全部わが方の領海になった場合、この国際海峡におけるところの海峡の船の通航と航空機の通航は、これはあらゆるものが通航できることに原則はなっているわけですね、いろいろな制限いま言ったようにありますけれども。この通航というものは、航空機の国際海峡上における通航というのとわが領空上の、いわゆる領空ですね。海峡以外のところの領空上の飛行機の通過とは違うわけですね。違いますね。違いませんか。同じですか。同じならば海上保安庁関係ないのか、どっちなんです。航空自衛隊が国際海峡の上を通過する飛行機も全部スクランブルをかけてやるのですか。いかがです。
  87. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 簡単に申し上げて、領空のことは海上保安庁は所掌してない。自衛隊法の中で領空侵犯の問題を取り上げて自衛隊がやっているということであります。
  88. 久保三郎

    久保(三)委員 国際海峡はあらゆる航空機、あらゆる船舶が一定の制限のもとには通れることになっているのですよ。いまはそういう方向になっている。そうでしょう。そうだとすれば、領空侵犯の疑いがあるということならば、自衛隊が出ていってスクランブルをかけて追い飛ばすということですが、そうじゃないのだから、あなたの方の領分じゃないのかな。どうなんだ。
  89. 井口武夫

    ○井口説明員 実は御質問の趣旨が必ずしもはっきりしてない点がございますので、もし誤解がございましたら御指摘願いますけれども、国際海峡というのは、これは確かに船のみならず飛行機も妨げられざる通過通航の権利を持つということでございますが、他方において、わが国が今回五海峡については領海を凍結した。三海里を凍結したということでございますから、その上空も領空ではございません。それから、領海十二海里にした場合には、この上空というのは領空ということになりますが、それが国際海峡の上であれば、新しい条約上は妨げられざる通過通航権を持つということになるわけでございます。
  90. 久保三郎

    久保(三)委員 そうだとすれば、だれがこれを監視するかというのだ。だれでも通ってもいいというのだ。それはわかった。通ってもいいけれども野放しではないわけだ。領空侵犯の疑いがあれば航空自衛隊が特別な任務でやるわけだ。そうじゃないのだな。通航の権利を持つ国際的な海峡の上空だから、これは原則的に領空侵犯ではないのだから、保安庁じゃないのかと言うのだ。長官わからないのか。
  91. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私の理解が間違っておりましたら、後で正確に訂正させていただきたいと思いますけれども無害通航権の内容は、すべて船舶に関するものであって、航空機に関するものでないと私はただいま理解しておりますので。間違っていたら訂正いたします。
  92. 久保三郎

    久保(三)委員 海の方だけで、それでは空の方は大臣に聞いた方がいいのかな。海上保安庁は海だけだと言うのだ。大体そういうものの取り締まり——取り締まりと言ってはおかしいか、海上自衛隊がやるのかどうかだ。いかがですか。
  93. 田村元

    田村国務大臣 私もそういう点余り玄人ではありませんからよく存じませんが、航空機に関しては、これは自衛隊でもお願いしなければしょうがない。海上保安庁はあくまでも海上警備等が任務でございますから。第一、航空機、ジェットなんかが飛ぶのに対して対抗する一切の機材、施設もありません。YSぐらいが精いっぱいであります。巡視船は空を飛ぶわけにはいきませんから、これはどうにもしようがないということでございます。
  94. 久保三郎

    久保(三)委員 これは航空局長がやることなんだ。航空局長がやることであって、航空自衛隊がやるのでもないし、海上保安庁がやることでもないのですよ。航空局長、そうでしょう。あなたの職務じゃないのですか。どうなんだ。
  95. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 間違いであったら後で訂正させていただきますが、自衛隊法の八十四条の中では「領空侵犯に対する措置」という規定がございまして、「長官は、外国の航空機が国際法規又は航空法その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」という規定になっておりますので、航空法違反もどうもこの規定で読むのではないかと思います。
  96. 久保三郎

    久保(三)委員 それは領空侵犯の問題であって、領空侵犯ではないのだよ。国際海峡の上はあらゆる航空機が通れることになっておるのだ、原則は。一定の制限はありますよ。だから、これを監視し、だれが取り締まるのかと言ったら、これは航空局長のところだ。やはり運輸大臣ですよ。これは、時間がないから次の機会までによく調べてきてください。だれが取り締まるのかわからないで、ニューヨークに行って会議をやっているなんてこんなのんきな話はないよ。  時間がないから次にいきましょう。  そこで、今後は日米航空協定について聞きます。航空協定の改定で先般も続けてやったが決裂だ、話が合わない。日本としては従来から、アメリカ日本との間の航空協定は不平等である。不平等の原因は、言うならばアメリカは自分の思うとおりに日本に乗り入れをできるし、幾つかの企業も乗り入れられる。それから以遠権もすべて持っておる。日本航空については制限がある。だからこれは不平等だから直せというのが、言うならば年来の主張なんです。これはそのとおりでいい。  ところがそのほかに、最近ある雑誌に出ましたように、そういうものに輪をかけた不平等な取り決めをしている。もとを正せば、これは当時密約であったというのだな。それがその後航空協定の改正の際に、合法的な合意文書というか、協定の中に入ってきておる。だから、四十五日前にアメリカが言ってくれば、日本政府はこの要求にこたえなければならないというのが、簡単に言えばこの協定の中身なんだ。  もしそうだとするならば、これは問題だと思うのです。よけい問題だと思う。航空協定そのものもそのまま直らぬでいるわけですね。そのほかの裏づけとして、実際これを行う場合のやり方として、いまのような簡便なやり方があるという。ところが航空法では、たしかある一定期間を設けておいて、申請があっても審査の上許可するかどうかを運輸大臣が決めるということになっておるわけですね。ところがアメリカだけはそうじゃなくて、自動的に時間が過ぎればやってくるというかっこうなんです。これは大変だと思うのですよ。そういうものも含めてもしも本当だとしたら、その正式な文書を委員会に出してほしい。  そうしてわれわれとしては、そういう意味で、この基本になるところのアメリカ合衆国との民間航空協定を破棄することをひとつ真剣に考えてもらって、破棄して第一歩から出直すことが先決だと思うのですね。そういうわけのわからぬものまでくっつかった不平等条約です。これは運輸大臣にお答えいただきたい。いかがですか。
  97. 田村元

    田村国務大臣 日米航空協定がきわめて不平等な条約といいますか、協定であることは御指摘のとおりであります。幸か不幸か羽田の過密ということから、一応乗り入れについては秩序を保っておりますけれども、本来的な趣旨から言えば、秩序が乱されるおそれは多分にある。そういうことで今日まで協定を改定するたびに強く主張してまいったのであります。先般も東京でありました。結局お互いのコンセンサスがなかなか得られないということで、より上部機関に上げようということになったわけでございます。より上部機関というのが局長クラスであるのか、次官クラスであるのか、大臣クラスであるのか、これはこれから話し合うのでございましょうが、そこで日米航空協定を破棄しろ、こういう強い御意見でございますけれども、まあ破棄することを前提として臨むということもいかがかと思いますけれども、きわめて強い姿勢でアメリカにこの改定を求めるというその手段の中には、破棄も当然含まれるということはわれわれも考えなければならない、こういうふうに思っております。
  98. 久保三郎

    久保(三)委員 航空局長、いまぼくが指摘した「輸送力条項の適用に関する合意議事録」、古いものですね。その後これがいわゆる正式なものになっている。この文書を提出してもらいたい。この文書をいままでの討議の中で問題にしたのかどうか。いかがです。
  99. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  日米間の航空関係が不平等になっているということの原因に二つありまして、一つは協定の附表に書いてありますところの発着地点あるいは以遠権の点で両方が平等じゃないという点と、もう一つは輸送力の設定の方法について、いま先生指摘のようなことがある。この二つのことが、今日まで日米間の航空企業の競争力がかなり改善されたとはいえ、なお水があけられている原因であると思います。したがいまして、昨年の秋以来三回続けてやりました航空交渉中心課題の一つとして、いわゆる事後審査主義と言われておりますが、一九五九年、昭和三十四年の協定の改定交渉のときに日本側がロサンゼルス−南米線を獲得したいわば見返りのような形で約束させられた日米合意議事録と言われているものがございますが、この廃棄を強く迫っておるわけでございます。  この合意議事録の中身は、当時の日米両国の航空交渉しておりました交渉団相互で取り交わしたメモでございますけれども、中身はお互いに不当な競争手段を使って相手国企業を打ち倒そうという意図はないというふうな相互理解のもとに、両交渉団の間で、アメリカの企業が日本に乗り入れてくる場合、増便する場合には米国政府が四十五日前に日本政府に通告をする。日本政府としては、その点に問題があるとすれば問題点を通告をし、その通告に基づいて乗り入れ後半年たったところで協議をするということになっているわけでございます。このことは、当時、昭和三十四年というまだ日米間の全体の国力の差がかなりあった時代、特に日本側としては何とかロサンゼルス−南米線をとりたいというときに、いわば見返りとしてとられてしまったメモであるわけでございまして、これがその後大きな影響を及ぼしているということにかんがみまして、私どもは昨年の秋以来強力にこれの廃棄を求め、そしてこのことの話し合いがうまくつかなければ、協定全体の破棄もあえて辞せずという態度で交渉を進めているわけでございます。  なお御指摘の三十四年の覚書をさらに正式にしたという御指摘でございますか、私どもは、これは正式にしたというよりも、むしろもう一遍再確認をしたというふうな形で考えております。しかし形はどういうことであれ、このことが日米間の航空企業の力の差をあけてしまったことのかなり大きな原因であることは事実でございます。  そこで私どもは、昨年の十月以来、この廃棄を含めまして日米間の航空関係を平等にする交渉を進めているわけでございますけれども、なかなかアメリカ側も既得権益にこだわって、交渉はかなり難航いたしております。ただ私どもは、この合意議事録の廃棄ということ それによって日米間の航空企業の力を平等に設定していこうという点について強く交渉を続けましたところ、昨年の十月段階では全く相手にしなかったアメリカ側が、ことしの四月、さらにことしの五月という段階では、この問題を含む交渉に応じてよろしいということを言ってまいりましたので、私たちは何とかこのきっかけをつかまえまして、こういうことをなくなすという努力をいたしております。そしてこの合意議事録というふうなものの問題につきましては、私どもも確かに問題があったということを認めておりますけれども、そういうことも大事でありますけれども、さらに大事なことは、現実に今日の段階において、この議事録をもう一遍再確認するような行動だけはとるべきではないということは確信いたしております。したがいまして、私どもはこの議事録の中身を否定するような行動をとっていきたいということで、実は現実に四月二十四日から運航を開始したいということでアメリカのパンアメリカンが増便申請を出してきましたけれども、私どもはこれに対しまして否定の見解を出しました。従来であれば合意議事録に従って増便できた、これを私どもはけりまして、事実上合意議事録を否定する態度をあらわしたわけでございます。そういった強い姿勢を私どもはとりまして、私どもが不平等是正ということを言っている言葉と、私どもの行政措置の間にそごを来さないような努力はいたしておるわけでございます。  そこで、そういったことのラインに沿いまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、日米両国間において交渉当事者をさらにレベルアップしてこの問題をやろうということになっておりますので、その交渉のめどは一応私ども年内と思っておりますが、年内に片づけたいと思っております。この改定交渉中心課題の一つとして、この輸送力の問題がございます。したがいまして、このことの法制上の合法か違法かという問題もさることながら、私どもはそれを越えて、現実にこれをなくなすということにあらゆる努力を傾けていきたい、こう考えているわけでございます。
  100. 久保三郎

    久保(三)委員 これは法律にも違反する問題だと思うのです。しかも密約から今度は合意に達した。結局アメリカと取り交わしたこの合意書、これは「日米航空協定が存続する限り、この議事録は有効である、と日本政府は認める」というような意味のものなんですね。そうだとすれば、やはりいまの航空局長の姿勢、悪いわけではありません。実際をもって抵抗しているというのですから。しかし実際をもって処置することは当然でありますが、法的に国際間の問題として考えた場合には、やはりこれは根底からやり直すということが先決ではないかと私は思う。そういう意味で、運輸大臣大臣という立場だからそう歯切れのいい答弁もできないかもしれませんが、少なくとも一遍白紙に戻そうじゃないか、世の中もずいぶん変わったということで、そうでなければ日米間の友好というのをなかなか促進するわけにはいかぬという観点から、これはやる必要があると思うのです。     〔増岡委員長代理退席、加藤(六)委員長代理着席〕 そうでないと、何回航空協定の改定交渉をやってもしり切れトンボに終わってしまう。向こうは向こうでどんどん要求を出してくるのですね。要求の応接にいとまがなくて、結局こちらの航空協定の根本的な改定という問題はたな上げになっていることは、いまの航空局長の答弁でもわかるとおりなんですね。われわれは航空協定そのもの、そして付属文書になっているいまの合意議事録、こういうものをみんな白紙に戻せということが先だと思うのですね。その問題はたな上げになってしまって、向こうから出てきた要求をけることだけをやっていますでは、私はけりがつかぬと思うのですよ。やることはいいのですよ。けることも結構です。しかし問題の本質をたな上げしておいたのでは、こちらの言い分も言わずに、だめですだめですと言うだけでは交渉は前進しないし、日本のためにもならぬと思うので、この辺で新規まき直し、一遍白紙に戻しましょうという方が手間がかからぬと私は思うのであります。こういう協定というのは世界広しといえども日本アメリカの間だけなんですね。いまやどこの国もみんな平等なんです。南北問題一つとってもみんな平等を主張している、協調を主張しているのですよ。だから、これはどうかそういう観点から処理をされるように強く望んでおります。いかがですか、大臣
  101. 田村元

    田村国務大臣 日本アメリカとの関係は、過去において敗戦国と戦勝国であり、沖繩が長期占領をされておったというような特殊事情があって、いろいろと後世に禍根を残しておることは事実であります。先ほど航空局長がお答えいたしましたように、われわれは非常に厳しい考え方、姿勢で臨んでおります。これはだめだこれはだめだと言ってけ飛ばすばかりではありません。基本的な改革を求めておるわけであります。でありますから、先ほど久保さんがおっしゃいましたように、これを一応無視してかかる、そういうような考え方は、運輸省側には基本的にございます。少なくとも合意議事録なんかは破棄していいんじゃないか、そこまで実は私は考えておりますが、大変御激励をいただいてありがたいわけで、われわれは不退転の決意で日米航空交渉に臨みたい、このように考えております。
  102. 久保三郎

    久保(三)委員 それでは、残り少ないのでありますが、これは自動車局長にお伺いしたいのであります。  最近新聞に、これは余りいい記事じゃないのですが、巨額の脱税をした急行使という記事が出ていまして、全国に運送のネットを持って急行使というのをやっていた佐川急行使グループ、これは京都市に本部があるようですが、これが三年間で二十億円の脱税をしたというのであります。私は脱税の問題をいまここで議論するということじゃなくて、この急行使なるものの扱いについてどういうふうに考えられるのかということです。  それで、このやり方は私が説明する必要はないと思うのですが、この佐川グループのやっていることは、みんなそれぞれの地域で区域トラックの免許を持っているわけです。そしてこれらが不特定多数の荷主から荷物を集めてきて、全国にネットワークがありますから、その地域からある地域までの運送をさせる、そしてまた配送をするというようなことでやっているわけなんです。     〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 それで、これはまあ新しいやり方だと思うのでありますが、いまの道路運送法からまいりますとこれは問題がないわけではない、というよりは多いんですね。これは路線トラックの経営形態とどういうふうになるのか。それからもう一つは、運賃についてもこれは公開されておらないわけですね。しかも、これは言うならばかせげかせげということで、ある場合にはダンピングもするだろうし、ということでやっているわけです。顧客からは、一応安くて早いということになれば便利だということもありますが、ただし、事故があった場合にはだれが責任を負うのかということになると、これは必ずしも明確でない仕組みのようであります。ついては、これはどういうふうに御理解なさって、どういう対策をおとりになっているのかお聞きしたい。
  103. 中村四郎

    中村(四)政府委員 佐川急行使についてお尋ねがあったわけでございますが、私どもといたしまして、小口貨物の積み合わせ輸送につきましては路線トラックというものがございまして、この路線トラック事業がこれをまさに正面から受け取りまして、その集貨配達というものを両端に置いて運営していくというのが正常な姿だろうと思います。その場合におきまして、現在まで路線トラックにつきましては、路線貸し切りに近いような大口貨物の混載と申しますか、大体そういうふうな方向に重点を置いてまいっておるわけでありますが、やはり路線トラックというものは、小口混載貨物を正面から受けとめて輸送するという使命を持っておるわけでありますので、路線トラックの中でも二、三の事業者は何々便というような形でそういう対応をしておるわけであります。  他方、荷主の需要が先生指摘のように多様化してきて、即時速達性ということを非常に要望するわけであります。それで、急行使のように間に幹線物流としての路線トラックがありまして、その両端の区域トラックとして、ちょうど鉄道と通運のような形で正常にコンバインされて運営されるということでありますれば、これも一つの運営形態だろうと思います。しかし、現在のこの佐川急行使の場合を見ますと、区域トラックの面におきましての区域積み合わせあるいは路線トラックとの関係、そういった点について不分明な点もございます。果たしてルールどおりにいっておるのかどうか。それから、御指摘がございました運賃の問題もございます。また、そのほか労働関係の面につきましても検討すべき点があろうかと思います。  そこで、私どもといたしましては、この種の形態につきまして、従来陸運局単位で区域トラック中心調査というような観点からとらえて、またルール違反につきましては一定の行政処分等をしておるわけでありますが、今後これらにつきまして、全体的な物の流れの初めから終わりまでをとらえまして、本省と陸運局とが一体になってこの問題にメスを入れていきたい、かように思っておる次第でございます。
  104. 久保三郎

    久保(三)委員 全体的な流れというのは私もそう思うのです。そういう流れをとらえていかなる輸送形態あるいは仕組みがいいのかですね。いまのままで果たしてやれるのかどうか、やるとするならどういう形にしようか。小口荷物というか、少量物品の輸送というのは必ずしも円滑ではないのですね。それからもう一つはタリフというか、運賃や料金が不明確なんですね。だから、そういう問題を含めて調査をしてある体系を立てるというのが物流の一つの大きな柱だろうと私は考えているのです。それで、いまお話しの調査を始めたようでありますが、いつごろそういうものができますか。その調査はいまから始まるのですか。それとも終わるのですか、いかがです。
  105. 中村四郎

    中村(四)政府委員 いろいろ複雑な問題点を含んでおりますので、これから調査にかかるわけでありますが、一定期間御猶予をいただきたいというふうに考えております。
  106. 久保三郎

    久保(三)委員 運輸大臣にお願いしますが、調査とか研究とかというのはなかなか間に合わない場合があるんです。私はこんな考えを持っているんです。これはちょっと荒っぽいのですが、調査というようなものは、緻密な調査が必要な場合には後からやる。まず粗っぽく調査していく。そして体系を立ててみる。それで合わないところはどこであるかというやり方も一つだと思うのです。ついては、いま自動車局長の調査については運輸大臣も関心を持っていただいて、早急に試案ができるように、参議院選挙が終わるころには大体わかるようにしてほしいということを希望して質問を終わります。
  107. 田村元

    田村国務大臣 私も佐川急便には疑念を持っておりますが、先ほど局長が申しましたように、いろいろと問題点があるようでございます。いまいい御提案であって、一度とにかく粗調査をする、そうして問題によって突っ込んでいく、そういうふうにいたしたいと存じます。参議院選挙が済みましたころには、臨時国会といいますか、御報告ができるというように必らずやらせますから、御安心を願いたいと思います。
  108. 久保三郎

    久保(三)委員 終わります。
  109. 大野明

    大野委員長 御苦労さまでした。  次に、中馬弘毅君。
  110. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 領海十二海里それから漁業専管水域二百海里ということで一つの海洋分割時代に入ってきたかと思うのですが、それだけに今後の海上保安庁の責任と役割りは非常に重大になってくるかと思います。先ほど来漁業専管水域に関します問題についてはいろいろ御答弁がございましたので、私は主として不法侵入といいますか、領海を守るということについての御意見を承りたいと思います。  この間の子算におきまして五十四年度までの整備計画が出ております。これは先ほどもお話がございましたが、範囲が、たとえば領海の場合に三倍ぐらいに広がるといったことにつきまして、保安体制の面それから整備の面が現状に比べてどの程度の割合にふくれざるを得ないのか、またどこまでやらなければならないのかといったようなことについての御説明をちょっとお願いしたいと思います。
  111. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いまの体制ではなかなかやっていけない、特に二百海里時代の到来が早かったので整備計画をぜひ早くやりたいということでございます。ことしの予算ではヘリコプター搭載巡視船一隻それから大型航空機一機それから中型ヘリコプターが日本海の基地とともに一機それから三十メートルの巡視艇が二隻ということになっておりますが、領海が広がりますこと、それから二百海里の漁業水域が設定されることによって、私ども数年間かかって整備をしてまいりたいと思っておりましたものをできるだけ早くこの際縮めてやりたいということを考えている現状でございます。
  112. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 日本はそれこそ四面海に囲まれているわけでございますが、その領海の不法侵入、韓国からのいろいろな密入国、密出国、それから一つの事例としましては金大中が拉致されるのもわからなかったというようなこともあります。そういったことも関連しまして、いまの領海を守るといいますか、不法侵入を防ぐ、これを監視する体制をどのようにお考えでございますか。十分だとお考えでございますか。
  113. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 領海違反は、われわれは出入国管理令違反として摘発するということが最後の決め手でございます。現在そういう問題の可能性が起こっております点は、やはり対馬近辺に韓国の漁船領海内に入ってきて漁業をするという問題、それから尖閣列島近辺のわが方の領海あるいは領土に不法侵入してくるという問題がございますが、いずれもわが方の現状で対処をしております。対馬近辺は領海だけじゃなくて、例の日韓の漁業協定違反というものはさらに広い水域取り締まりの必要がございますので、それらを合わせると四百件ぐらい、それから尖閣列島は三百数十件、それぞれどういう理由で領海に入ったか、あるいは漁業協定違反でそういう特殊な水域に入ってきたかということを確かめておるという現状でございまして、それぞれ巡視船ないし巡視艇を常駐配備して取り締まっておるという現状でございます。
  114. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 その現状はいいのですが、実際にそれで防ぎ切れてないという面が多いわけですね。ですから現状をどう御判断なされておるかということでございます。
  115. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現状は、私申し上げました二海域についてはほとんど目が行き届いておると思います。ただ私ども心配なのは、日本海の方で不法侵入ということが心配なものですから、今度の予算日本海に基地を置いてヘリコプター一機を増強してやっていきたいと思っておりますが、それ以外の、先ほど申し上げた対馬それから尖閣列島では、私どもは現状で巡視船艇を配備して取り締まりができておると思っております。
  116. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そういう不備なような問題から竹島の問題も起ったのではないかと思うのでございますが、竹島が占拠状態になったのはいつでございますか。
  117. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現状のような不幸なことになったのは二十七年であります。これは取り締まりが行き届かなかった、監視が行き届かなかったからということでありますのか、当時の国情がしからしめたものか、その辺はちょっと簡単には判断できかねる点がございます。
  118. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ということは、占拠を事前にキャッチできなかったということでございますね。
  119. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもも、実は海上保安庁自体が竹島に当然自分の領土として上陸をしてそれで標柱などを立ててそれを守っていたという時代が二十七年に先立ってずっとあるわけです。遺憾ながら、二十七年ごろになって現在の状態になってしまったということなんですが、その当時、国情その他の判断からそういう現状になったということであろうかと思いますので、いずれにしても、平和な方法で解決するということは二十七年当時においても変わりはなかったであろうし、現状でも変わりはないと私どもは思っております。
  120. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 竹島の問題はこれは占拠されてしまったわけでございますから、場合によっては外交上の問題になろうかと思いますが、これから未然にそういうことを防がなければならない時代じゃないかと思うのです。  そういう観点に立ちますときに、国境を接する島嶼、たとえばサハリンの近辺だとか根室の近辺、朝鮮海峡沖あるいは尖閣列島それから南海のそういったところで、たとえば無人で、竹島のような独立の岩峰のようなのが幾つぐらいございますか。
  121. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 国境付近の島の数、それから特に無人島の数というのはちょっといまお答えできませんのですが、いま先生がおっしゃるのに一番問題であろうと思う点は、日本人が住んでいないということで、相手も上がってきやすいし、というような点を考えてみますと、尖閣列島の島かと思うのです。御承知のとおり、魚釣島には戦前日本人が住んでいたのですけれども、現状では実は住んでいないというようなことで、その周辺に海鳥をとりに来ますとか魚をとりに来るというので台湾の漁船が入ってくるというような例がございますが、これらは私どもは絶えず監視をして、不法に侵入してきたと解釈すべきかどうか——というのは、海が荒れて緊急入域、避泊をしてきたというような事態がございます。そういう事態がはっきりすれば、当然波が静まれば返すわけです。それから間違って入ってきたというときには私ども領海だぞということで追い返すということでありますが、上陸をしてきて出入国管理令違反で摘発したという例は最近では五十一年の夏に一件ございまして、これは出入国管理令違反ということで検挙しております。
  122. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 一件しかよう見つけなかったということが言えるのかとも思うのでございますけれども、そういうところに対して現在ではどういう巡視体制監視体制をとっておられますか。
  123. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 尖閣については、一番近い保安部署としては石垣島に保安部がございます。そこにはヘリコプターも置いてあります。それからそこに巡視船「やえやま」も置いてあります。しかし、そこだけではほかの業務との関連で不足であろうと思われる場合がありますので、現在は十管鹿児島から応援を出して尖閣は四、五日に一回巡回をしているという現状でございます。
  124. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 かなり不十分なような気がするわけでございます。国を守るということは、たとえばスイスのような国にしましても、それこそアルプスの山の中に国境警備隊を置いて、そんなところへ入ってくるはずがないというところにまでちゃんと網の目を張りめぐらしているわけであります。そういう観点に立ちますときに、いまの体制というものがどうも不備なような気がするわけでございます。国を守るというのは、ただ戦略兵器を数多くそろえることよりも、むしろ不法侵入というようなことまでも含めてそういったことを未然に防ぐ体制というのをやっていくことが必要じゃないかと思うのでございますが、そういう点からしますと、いまの海上保安庁のあり方というのは余りにも弱くないか、そんなところについて大臣、どのようにお考えでございましょうか。
  125. 田村元

    田村国務大臣 いろいろとむずかしい問題もあるようでございます。保安庁としては精いっぱいのことをしてまいったのでありまして、国際問題でもございますから、今後も十分強い姿勢で臨むようにいたしたい、このように思います。
  126. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 非常にあいまいな御答弁でちょっと不満でございますけれども、要するに海上保安庁がそういう本当の意味での国境を守るのか、あるいは自衛隊なのか、そこら辺のところもはっきりしていないのじゃないかと思うのです。いまのところの形で言うならば、まずは海上保安庁がそういった本当のへんぴな国境におきましても監視体制を続ける、そして場合によっては人手も置いてやっていかなければならぬのじゃないかと思うのでございますが、そこが余りにも不備なような気がするわけでございます。その辺についての大臣の御見解ということなんでございます。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕
  127. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 ちょっと誤解のないように申し上げておきたいのですが、国境警備を軍隊でやるか、海上保安庁でやるかというのはかなり問題でございますが、先ほどからも申し上げておりますように、領海警備と二百海里の操業秩序安定の仕事は、庁法の第二条に、法令の海上における励行、海上における犯罪の予防、鎮圧、それから犯人の捜査、逮捕、海難救助、海上交通安全、航路標識、水路業務その他海上の安全に関する仕事というのは海上保安庁が所掌するということになっておりますので、そういった面は全部私ども仕事であるということを考えております。  それから相手国の国境警備の現状について触れさせていただきますと、私どもが北方海域で接しておりますソ連は、国家公安委員会の系統に属する国境警備隊であって、軍隊ではないと私どもは思っております。それから韓国は海洋警察隊でありまして、これも内務系統の治安官庁に属しておるものと思っております。
  128. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 何か非常にはっきりしないような御答弁でございますが、たとえば竹島のような問題が、どの国境線におきましても結構でございますけれども、そこで起こったときに、知らぬ間に占拠されていたという事態が生じたときに、その第一義の責任はどこにありと判断されますか。
  129. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども領海警備の責任を持っておるということでございます。占拠されたというような事態がどういう経緯で発生したかによりまして、いろいろな日本の国としての判断があると思います。私どもは平和な海を守るために私どもの任務としておる領海警備をやるということ、それから領土を守るのも平和な手段で、外交手段その他で十分連絡をとってやっていくということを私どもの任務と心得ておる次第でございます。
  130. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 侵略の意味で入ってきたということで、何か一戦を構えようということを言っているのではないのです。知らない間に入ってきたというような事態が起こったときに、それはどこの責任かということを言っておるわけであります。
  131. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 それはわれわれが領海警備を怠ってそういう事態になったということだったら、私どもの責任であろうと思います。ただそのときにはやはり日本に許されているまず第一にとるべき手段は、外交問題として、日本の領土にそういう事態が生じたということを、外交手段によってやるべきかということを私どもは考えておる次第でございます。
  132. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そういうような事態が起こらないためにも、一つの海上保安庁の役目であるはずでございますから、十分な体制をとっていただきたいというのが私の希望でございます。  次に、タクシーのサービス改善の問題につきまして、私が一番初めのときの質問じゃなかったかと思うのですが、そのときに大臣はタクシーのサービスは必ずしもいいとは言えない、タクシーに乗ると一日不愉快な思いをすることが多いというようなこともおっしゃっておりました。またタクシー値上げに関しまして、「改善のために努力しなさいよ、何かそういう点において若干でも実の上がるような案を持ってきたときに私はまじめに考えましょう」という御発言もなさっております。といいますと、この間五月六日のタクシー値上げが行われたということは、サービス改善のための何か案が出てきたと判断するわけでございますけれども、どのような案を業者は持ってきておるのでございましょうか。
  133. 中村四郎

    中村(四)政府委員 今回の六大都市タクシーの運賃改定に伴いまして、われわれとしてもタクシーのサービス改善というのは非常に大きな問題として取り上げたわけでありまして、物価問題に関する閣僚会議におきましても、そういった点の決定事項というのをいただいておるわけでありまして、各陸運局長から認可いたします際に、タクシー近代化センターあるいは事業者団体に対しまして、一つは接遇向上対策といたしまして運転者教育あるいは街頭指導、それから忘れ物あるいは苦情に対します処理対策の足がかりとなるように、タクシーカードを全車両に備えつけさせる。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕 また、従来のようにタクシーはただ流しておればいい、旅客の方から寄ってくるというような対応姿勢ではだめでございますので、無線タクシーにつきましてこれを家庭配車といたしまして、一般家庭と無線利用というものをもっと密接に結びつけよう、それからタクシー乗り場の増設と利用促進、さらに乗り合いタクシーの導入に関しまして計画的な実施を図っていこう、こういうような内容の通達を関係陸運局長からいたしたわけであります。これについて、一定期日までに実施計画を出させまして、そしてその後におきまして定期的にその実施状況をフォローいたしまして、われわれとしても旅客の利便、サービス向上に資してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  134. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 タクシー値上げの前におきましては、私いろんなところからの陳情といいますか、そういうことも受けておったわけでございます。これは値上げをしてくれるなということ、そういう単純なものももちろんございますが、そうじゃなくて、上げても構わないけれども上げたら乗らないだけだ……。しかし、どうしても乗らなければならないような立場の人がおられるわけですね。何か病院に通院するのに足が悪いというようなことでタクシーに乗らざるを得ない、こういう人たちへの配慮ということなんかも、私も自動車局の担当の方をお呼びしていろいろお話もしたわけでございますが、それに対する御返答も全くないままにぽっと上げられたような次第でございますけれども、値上げされるときにはやはりそういう人たちに対する十分な配慮なり説明が必要じゃないかと思うのです。そういうことについてはどのような御見解をお持ちでございましょうか。
  135. 中村四郎

    中村(四)政府委員 先生指摘のように、利用者の声をわれわれといたしましてくみ上げながらタクシー運営というものに反映さしていくということは基本であろうというふうに思っております。私どもといたしましても、今回の改定について団地の方その他利用者団体の方とできるだけ陸運局において接触し、話し合いをしたつもりでございますけれども、なお今後におきましても、そういった点において足らざる点は補って、いま先生指摘のような方の声をじかに聞きながら反映させていきたいというふうに思っております。
  136. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 五月三十一日までに要求されておりますサービス改善の実施計画、これあたりが出てまいりましたら、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから、リース制のタクシーというのがあることは御存じかと思いますが、これがいまどの程度の割合を占めておるか、ちょっと承りたいと思います。
  137. 中村四郎

    中村(四)政府委員 ただいま正確な数字の資料を持っておりませんので、後刻整えまして御報告申し上げたいと思います。
  138. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 このリース制のタクシーは、御存じと思いますが、運転者に任してしまったような形で、水揚げの中から幾らか固定的なものを払えばあとは全部自分の実入りだということになっておりまして、それがために、欲との道連れと申しましょうか、二日間も徹夜して走り回るようなことがございまして、事故にもつながろうかと思います。こういう点についてどういう御指導をされておりましょうか。
  139. 中村四郎

    中村(四)政府委員 一口にリース制と申しておりますが、その内容につきましてはいろいろな形で行われておるわけでありまして、いま先生指摘のように、そのいかんによりましては運行面に反映されまして、安全運行なり事故防止という点に重大な問題も出る危険性があるわけでありますので、私どもといたしましては、労働当局と相連携いたしまして、今後も適正にその内容を遵守させていきたいというふうに思っております。
  140. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 リース制そのものが法制上どういうことで触れるか触れないかという問題もあろうかと思いますが、リース制のタクシーというのは一つの賃金支払いの形態かと思いますけれども、ただ、いまおっしゃったように、どの程度の割合を占めておるかもはっきり実態がつかめてないのが現状のようでありますし、これは労働省側の問題もありましょうが、そのあたりを厳密に指導していただきまして、利用者に迷惑のかからないようなことを考えていただきたい、かように願う次第でございます。  もう一つ、もう時間がございませんので簡単にいたしますが、現在、海運が大変な不況になってきております。国際海上荷動きも非常に沈滞しておりますが、航空貨物だけは毎年二〇%くらいの伸びを示しておるわけですね。日本の産業構造から申しましても、一つの付加価値の高いものに輸出、輸入のウエートが高まっていく。そうする中で、日本海運国と言いましたのが、場合によっては空運国になっていかなければならない面もあろうかと思います。しかし、日本の飛行機の積み取り比率というものは非常に少のうございます。この点に関して政府はどのような態度で今後処していかれるか。また、日本のふやせない制約条件があるとしたらどういうところなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  141. 田村元

    田村国務大臣 非常に専門的なことでございますので、実はまことに申しわけないことでありますが、質疑通告が航空局長に出されていなかったものですから航空局長がいまおりません。だれか航空局おるかと思って探しましたが、いないようでございますので、答弁を留保させていただいて、次の機会に航空局長から御答弁を申し上げたいと思います。あしからずお許しを願いたいと存じます。
  142. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 お願いしておきます。
  143. 大野明

    大野委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時九分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  144. 大野明

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  145. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、今国会において成立を見ました領海法並びに漁業水域に関する暫定措置法に関連しまして、現在の海上保安庁の対応がどうであるか、現有勢力でこのように一挙に領海が十二海里に、さらに漁業水域が二百海里になったというこの事態に対応できるのか、大丈夫かということをまず最初に伺っておきたいと思います。
  146. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 やはり率直に申し上げまして二百海里時代の到来というのは特に早かったものですから、私どもは従来考えていたよりも整備計画のスピードを上げてやりたいということを考えております。したがって、できるだけ早い機会に、従来の計画をもっと繰り上げて促進して、その装備の強化、整備を図っていきたいということでございます。
  147. 薮仲義彦

    薮仲委員 午前中からの質問等を伺っておりますと、海上保安庁は他の第三管区等から一管、二管の方へ適時船を回すようなことを対応としてとって、さしあたって七月からは何とか間に合わせるというようなニュアンスの答弁のようにうかがわれますけれども、その辺はいかがでしょう。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
  148. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 実は北方の警備については、現状も二管、九管等から一管に応援を出しておりますが、一番初めにそういう動きに入るときというのが一番大事なものだと思いますので、できるだけ近接の管区からそういう応援を出して、最初のときに間違いないようにしたいということを考えておる次第でございます。
  149. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは具体的に伺っておきますけれども、いまわれわれが当面一番問題にするのは漁業者の問題だと私は思うのでございます。いまの日本沿岸において漁業として魚がとられておりますのは大体三海里から十二海里、この辺のところが漁場として一番最適なところでございますが、言うなれば問題の一番起きるのもその三海里あるいは十二海里線上に多いのじゃないか。日本の漁民が一番願っているのは安全操業を確保してほしい、このことが漁民にとって一番大きな問題なわけです。当然領海内における外人漁業者というのは排除されなければならない。と同時に、十二海里から二百海里の間、漁業水域においてもやはり排他的管轄権というような答弁がございましたけれども、その意味合いにおいて、やはり日本漁業者の漁業というものの安全秩序というものが当然海上保安庁の力によって守られていなければならないと思うのですね。安全操業は守られるのでしょうね。その辺、ちょっとお伺いします。
  150. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども、現状の理解では、三海里内では外国漁船漁業は禁止をされておりますが、それと同様な事態が十二海里までに広がる。それから、十二海里を超えて二百海里までの間は、仮に外国と漁業協定その他でそういうお互いの権利を認め合うということになりますと、許される範囲での外国人漁業がその海域で行われる。と同時に、日本人も当然そこで漁業をいたしますので、相互の間の紛争防止ということについては、実は従来も三海里を超えたところでそういう問題が起こったわけでございますが、今度は十二海里近辺で特にそういう問題が起こるだろうということを予期して、私ども漁業操業の安定秩序の維持に努めたいと考えているところでございます。
  151. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、もう少し具体的に聞きます。  五十二年四月七日の朝日新聞でございますけれども、釧路の沖合いにおいて、韓国漁船日本沿岸の十キロ、十一キロ付近で操業して日本漁民の漁場を荒らしたという記事が出ておるわけでございます。しかもこれは日本の沖合い底びき禁止区域内に入ってきた。釧路の漁業者が海上デモを行ってこの問題と対応した、こう出ているわけでございます。これは今度は当然領海内の問題でございますから、こういう問題については不安はありませんよ、長官、漁民の方にこう確約できますね。
  152. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 北海道周辺海域の韓国漁船操業状態については、先生のいまのお話がございました当時、実は釧路沖等の道東方面にかなりの韓国漁船が出漁しておった。これは現状では三海里までは禁止ということになっておりますので、三海里を超えたら韓国の漁船が出てくるということはやむを得ない現在の秩序になっておるわけでございますが、私どもは特にいままで余り活動を見なかった韓国の漁船の活動が北海道周辺に出てきたということを重視して、同時に水産庁では韓国との話し合いもなさったというふうに聞いておりますが、私どもも特に日本の漁民との間の紛争が生じないようにということで、日本の漁民が魚をとりに行くこと、また定置した漁具を傷つけないことということについて指導、監督をいたしたつもりであります。その後、道東、道南方面ではほとんど韓国の漁船がいなくて、道西の留萌、利尻方面に回りましたが、それについても同様に私ども取り締まりも行っておったわけでありますが、現状ではそれがまた網走、紋別方面のオホーツク海に出ておるということでありますので、これも同様な取り締まりを行っております。いずれにしても、現状では三海里でございますけれども、恐らく近く十二海里ということになりますので、そういう周辺海域における漁民の紛争防止に十分努力をしていくつもりでございます。
  153. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一つ具体的に伺います。  ことしの二月四日、同じく福島県の沖合いで、これはソ連船が、ちょうど日本漁船がまき網でイワシをとっているところへ突っ込んできて網を張っていたロープを切ったという事件が発生しておりますね。このとき漁民の方か小名浜海上保安部に連絡をしたところ、公海上の問題であるので外国漁船との紛争には介入できないということから出動はしなかった。これは確かにその時点においては公海上の問題でありますから、その判断は正しかったと思うのですね。しかし、予想される、先ほど来長官がおっしゃっている領海十二海里あるいは漁業水域二百海里になってまいりますと、こういうことは許されないのじゃないか。今後は漁業水域内におけるこのような紛争事態が生じないように、それを未然に防ぎ、あるいはそのルールを守ることが海上保安庁の重要な任務であり、責任であり、立場であると思うのでございますが、この点、いかがでしょう。
  154. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。私どもの大事な仕事だと思っておりますので、特にいま御指摘のあった小名浜近辺についても、当然私どもが一番大事な重点的な海域だと思っておる道東、道南、三陸沖、小名浜沖から銚子沖にかけてというところを重点海域として今後も取り締まっていくつもりでございます。
  155. 薮仲義彦

    薮仲委員 こういう日本の零細な漁民の方の一人一人の悩みについては、やはり一番頼りにしておりますのは海上保安庁の皆様の昼夜を分かたぬ御熱心な沿岸警備というものにまつ以外にございませんので、どうかその点今後ともなお一層の御努力をお願いしたい、こう思うのでございます。  さらにもう一点。これもお願いと指摘をしておきたいのでございますが、ソ連が二百海里の漁業専管水域を実施したことによって、ただいまお話しのように、北海道の道東沖に三月になってから韓国漁船が非常に急増してきた、このように言われております。特に釧路を含むいわゆる東部、襟裳岬周辺ですね。この辺の韓国漁船は二千トンないし三千トン級の非常に大型漁船で、日本の刺し網やあるいは底びき網の被害が非常に出ておる。このようなことがいま非常に問題にされております。また、これは最近は起きておりませんけれども、胆振、渡島沖、ここへもソ連漁船が突っ込んできた。特にこれから十月になりますとスケソウの漁期に入ってまいります。先ほど来の質問にも出てまいりましたように、その沿岸における固定式漁具が相当な金額被害を受けた、こういう問題がございます。こういういわゆるトラブルの防止ということは非常に大きな問題でございまして、もう長官のところにもお話が行っているように、北海道の機船漁業協同組合連合会の方からの要請が出ておると思います。細かいことは差しおきますけれども、いわゆる流血の惨事にならないように、こういう要請が出ていますね。あるいはまたいま申し上げました胆振、渡島沖の問題についても胆振管内の外国船漁業操業被害対策協議会というところから、こういう問題は何とか起こさないでほしいという同じような要請がございます。あるいは北海道知事からも出ております。これからの重点海域とおっしゃった北海道沿岸は、韓国漁船あるいはソ連漁船との——いま日ソ交渉がありますが、日ソ協定等ができましても、いろいろと問題が多いのじゃないか。保安庁長官は非常に心を痛めていらっしゃると思うのでございますが、やはりそういう面を含めて、もしも現在の体制で非常に不安な面が多いというのであれば、この際国を挙げての大きな問題としてこの問題に取り組まなければならないのじゃないか。先ほど海上保安庁長官は五十二年度云々と言っておりましたけれども、あの予算要求をした段階ではとりあえずは十二海里ということが想定され、二百海里という問題がこんなに早く来るとは思わなかった。そうなってきますと、こういう問題が非常に重要な問題じゃないかなと思うわけでございます。そういう意味合いから北海道周辺の安全操業の確保、それに対する対応策、その辺の決意を伺っておきたいと思うのでございます。
  156. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生お話しのように、北海道周辺は単に釧路、根室周辺に限らず、襟裳岬を回って胆振、日高、私どもの管内で申しますと浦河だとか室蘭、当然先ほど申し上げました西海岸、それからオホーツク海全般にわたって日ソ、日韓の間での問題が出てくることは十分予測されることでございますし、現にそういう状態が生じておりますので、北海道周辺については特に強化を考えていきたいと思います。従来も巡視船の中でかなりの数と質のいいものを向けて北辺の警備に重点を置いておりましたが、さらに今後事態の推移に対応できるように重点的に考えていきたい。  また、予算全体のことにつきましては、先生からただいま御指摘いただきましたとおりで、率直に申しまして二百海里は予想よりも早くやってきたということでございますので、いままでの整備計画のスピードではちょっと追いつかないのじゃないかということが率直に申し上げて懸念されますので、ぜひそういった整備計画の見直し促進方について皆様の御支援を得たいと思っておるわけでございます。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 その問題については、最後に大臣にも御決意のほどを伺っておきたいと思うのでございますが、その前に二、三確認をしておきたいことがあるのでございます。  今度領海が拡大され、三海里から十二海里になるわけでございますが、いわゆる領海となりますと日本の主権の及ぶ範囲になります。重ねて伺いますけれども、現在の海保の体制日本の主権を侵害されない、日本の主権は守れるかどうか、その辺の保安庁長官の御認識を伺っておきたいと思います。
  158. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 領海警備については私どもがやることは当然でございます。現在の勢力では、特に二百海里に広がったことに伴って重点海域が現実の問題となって出てきましたときに、ほかの業務に差し支えるということがあってはいけませんし、長期間応援ということで無理な体制ということになってもいけませんので、私どもは基本的にはいままでにもまさった整備計画の充実強化を図っていきたいと考えておるところでございます。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少し確認をしておきたいのでございますけれども、十二海里から先ですね、漁業水域二百海里、これに対する海上保安庁の認識は、領海に準ずるような認識なのか、それとも公海という認識なのか。公海という認識になってまいりますと、排他的管轄権ということがいろいろ説明されておりますけれども海上保安庁はどの程度までの行為が本当にできるのか。その中において排他的管轄権を本当に行使できるのかどうか。特に公海上というのは、相手国と条約がありませんと国内法で規制するということは非常に困難なようにわれわれは理解しておりますけれども、条約を結ばない、ただこちらの暫定措置ということで公海上という認識ならば、排他的管轄権を一方的に行使するということはいわゆる国際法上妥当なのかどうか、その辺の認識ですね。と同時に、排他的管轄権というもので外国船と日本漁船とのトラブルが避けられる自信がおありなのかどうか、この辺を明確に伺っておきたいのです。
  160. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 二百海里の水域の法的な性格については、特にニューヨークの第六会期でもまた続いて議論されるという点がございますので、その性格について私どもがどうこう申し上げるよりも、先ほどからもお話が出ましたような、少なくとも漁業については排他的管轄権を持っているんだということの認識に立ちまして、当庁といたしましては二百海里の法案にわれわれの取り締まりが十分できるような考慮を払ってもらうように要求をいたしまして、そういう点は盛られておると思いますので、私どもは二百海里の水域におきまして不法な外国漁船がございましたならば監視取り締まりを十分に行える、それで不法な状況を停止するために停船をしたり港に入港を命じたり、また現行犯としての逮捕もできることを十分確信を持っております。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、もう少し突っ込んで確認しますけれども、この間資料を下さいと言ったら、余り親切とも言いがたいような資料を下さったのですが、それについては文句を言いませんが、そこにこう書いてあるのです。漁業水域の中において違反操業者の検挙、いまおっしゃったようなことが出ております。検挙というのは警察権の行使であって、この行為自体は日本の主権的な行為じゃないか、こういうように考えるのですけれども、そうじゃございませんか。
  162. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先ほどもございましたように、主権的という言葉の意味がむずかしいのでございますけれども、私どもは少なくとも裁判管轄権を持っておる、当然警察取り締まりもできる、現行犯の逮捕は十分できるという確信を持っている水域であるということはお答えできると思います。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、漁業水域二百海里の警備を十分にしていただいて、日本漁民が不安が起きないようにお願いしたいと思います。時間がありませんので、もっと突っ込みたいのですが、次に移ります。  いただいた資料の中に、いろいろいま海上保安庁が持っておる船舶配置の図面をいただきました。ここの中で、特に保安庁で言っている通称PM、パトロールですね、PMという四百五十トン型、これは非常に古い型の船で、スピードも十二、三ノットしか出ない。またPS二百七十トン型、これも非常に古いので、本年度内に、残っている五隻はかえたいと思う、こういう意向のようでございますけれども、先ほど来問題になっております第一、第二、第三管区というのが一番問題の起きるところでございます。第一管区の北海道の江差、ここに一隻ありますね、四百五十トン型。小樽にも一隻、それから第二管区の八戸一隻、釜石一隻、塩釜一隻、秋田に一隻、こういう重要なところの主力はみんな四百五十トン型なんですね。いつも問題になる伊豆沖の銭州、この二年間問題が起きておりませんけれども、下田海保にも四百五十トンなんですね。こういうところはやはり重点海域でございますので、先ほど来長官がそうおっしゃるのだったら、この四百五十トン型をいつごろまでに三百五十トン型の十八ノットが出る船にかえるおつもりなのか、その辺ちょっと伺いたいと思うのです。
  164. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども実はかなり古い船をたくさん持っておりまして、ここ数年間それで大変苦労してまいりましたが、おかげで二百七十トン型は三百五十トン型に代替するというのが本年五十二年度をもって完結することになりました。そこで、いま先生お話しの四百五十トン型というのはその次に古い船として出てまいりました。これは全国で十九隻ございます。そこでその代替建造を来年度から進めたいと思っております。ただ普通のペースでまいりますと、実は二百七十トンを新しい三百五十トンにする、四百五十トンを代替建造していくという通常のペースでよかったのですか、降ってわいた別の事情が十二海里であり、二百海里でございまして、そのためにヘリコプター搭載巡視船を増強しなければいかぬ、大型航空機も増強しなければいかぬ、三十ノットの高速巡視艇も増強しなければいかぬ、ヘリポートも増強しなければいかぬということで、その整備計画の促進に取り組むと同時に、その四百五十トンの代替建造をやっていかなければいけませんので、ぜひひとつ予算的に十分措置ができて、できるだけ早い機会に四百五十トンの代替建造も終われるようにということを一緒に計画をしていくつもりでございます。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 われわれもいろいろ申し上げましたけれども、いま海上保安庁の皆さんは非常に苦労しているのじゃないかと思うのです。ですから、できるならばこの際、日本領海の保全という立場から、自衛隊の出動ということはわれわれは決して好ましいことではない、絶対反対でございます。そういう意味合いにおいて、海上保安庁体制を本当に充実することがいま国全体の非常に大きな問題じゃないか、こういう意味合いからいろいろ問題指摘したわけでございます。  そういう意味で、最後に私は大臣に御決意を伺っておきたいのでございますけれども、このような領海法漁業水域に関する暫定措置法そのものが当初運輸省並びに海上保安庁が想定した計画より非常に早く来てしまった。ですから、本年度の予算要求もさしあたって十二海里時代を想定してのことであろうとわれわれは理解するわけでございますが、私はこの際運輸大臣にお願いしたいことは、この計画を抜本的に見直して二百海里時代にふさわしい、日本の国にふさわしい近代的な装備を備えた海上保安庁のすばらしい体制を挙党一致で確立しなければならないのじゃないか、こういう考えでおるのでございますが、大臣の御決意を最後に伺っておきたいのでございます。
  166. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおり二百海里時代というのが確かに予想以上に早く来ました。でありますから、今日の海上保安庁現有勢力で万全であるということを言う勇気はありません。しかし、とりあえずは重点海域を決めて体制を整える、これで相当お役に立つであろうと考えております。  それから、本年とりあえずの問題としては、補正予算にするかあるいは予備費の取り崩しにするかはとにかくとして、補充強化をいたしたい。  それから整備計画でございますけれども、これをとにかく繰り上げたい。いかにりっぱな整備計画をつくってみても、大きなものをつくっても、年がかかっては何にもなりませんから、とにかく現在の整備計画を繰り上げて実施していく、こういうことにいたしたいと考えております。  いずれにいたしましても、海上保安庁の増強ということは目下の急務であり、言うなればナショナルミニマムにこたえるものであるということが言えるかと思います。本年の補正あるいは予備費いずれにいたしましても、その点あるいは五十三年度の予算要求にいたしましても、運輸省としては海上保安庁増強策を最優先させて財政当局に当たりたい、このように考えております。
  167. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかただいまの大臣の御決意のとおり、すばらしい海上保安庁が整備され、体制が確立されることを心から願っておりますので、よろしく推進方をお願いいたします。  ではもう一点、これは決して海上保安庁にいやみを言うのではなくして、認識をしておいていただきたいという意味で申し上げます。  いま二百海里のことを取り上げましたか、今度は水際の問題、これも保安庁の所管でございますので確認をさせていただきたい。特にこれから海水浴シーズンになりますので、どうしてもこのことを確認しておきたいのです。  海上保安庁の方からいろんな資料をもらいましたので、その資料の数字的な問題で誤りがあっては非常に失礼でございます。読み上げますので、誤りがあればあるとだけ御確認いただければ結構でございます。  一つだけ申し上げますと、保安庁からいただきました救助状況昭和五十年、海難隻数が二千四百二十一隻、このうち海上保安庁が救助した数は六百五十二件、これは誤りございませんね。約三分の一。あとは海上保安庁以外が九百九十六件、自力入港が三百六十八、こうなっております。  それからもう一点ですが、これはたとえば仮に神奈川県の江ノ島の沖とかああいうところで水難が起きました。そのときのことを想定してお話をするわけでございますが一たとえば大磯の海岸の沖合い二十キロくらいで水難が起きました。ここの一番隣接の海保の拠点基地といいますと横須賀海上保安部、それから下田海上保安部があるわけですね。ここにある救助艇のスピードが、横須賀が二十三ノット、下田が十七ノット、これで一生懸命来てくださる。所要時間が、横須賀からですと二時間、下田海上保安部からでも大体二時間二十分ぐらいかかります。非常に時間がかかる。しかし現実はそうではなくして、その間に日本水難救済会の基地が四カ所ほどありまして、そこから海上保安庁協力援助して参ります。こうなっているわけです。  この点、私よく理解しておるわけでございますが、ここで私が申し上げたいのは、日本水難救済会の立場といいますか、果たしている役割りというのが非常に大事じゃないか。昭和二十三年に海上保安庁というものが設置されまして、いままで全国的にあった日本水難救済会というものがある程度消滅しかかって、最近また盛り返しております。しかし、いま申し上げた例にもございますように、遭難隻数の三分の一を海上保安庁が救助している。また、たとえば海水浴場で水難客が出たとき、時間が二時間以上かかる。しかも非常に喫水の深い船が多いのですね、保安庁の船は。余り海岸線まで寄れない。そうなりますと、漁業組合とか日本水難救済会の方の協力援助というものが非常に重要な立場になってまいります。  こういう方の活動がいまどういうことによって支えられておるかといいますと、長官もよく御存じのように、出動一回、手当千五百円です。そして長時間モーターボートで救助作業をやっても、そのガソリン代は遭難した人からもらいなさいということになっておりますが、実際はもらってないですね。全部自力で、自己負担でやっております。ボランティアです。これにいま日本水難救済会が支えられておるわけです。しかし、今後のレジャー時代を考えたとき、ヨットあるいはサーフィンとかいろいろなものがあって、水難事故の多発というものが、なければ結構ですけれども、ないということはあり得ない。それに見合った体制というものがどうしても必要じゃないか。そうなったときに、保安庁中心とした水難に対する体制というものがここで確立されなければならないのではないか。水難救助法という法案もございますが、きょうは時間がございませんからそれはやりません。でも、県あるいは市町村が本当に水難救済にかかわり合っているかというと、かかわり合っているところが非常に少ない現状です。しかも、たとえばこれはその身分の保証といいますか、身分のことでございますけれども、消防隊の隊員の方がたとえば消火作業に当たって亡くなられた、殉職なさった、こうなりますと国からその方に出るのは一千三百万、いろいろ功労等によってありますけれども、最高は三千九百万円亡くなられた本人に支給されます。ところが海上保安庁協力援助をするということだけですから、現在の法律では、水難救済会の隊員の方に一文も出ないわけです。お見舞い等のことで終わるわけでございますけれどもアメリカのコーストガードのように、コーストガードに協力援助している間は公務員というような身分の保障を与えます、そこで殉職した場合には公務員に準ずる身分を確約しましょう、こうなっておるわけです。現実、水難救助あるいは海難救助という問題になりますと、事は消防隊員と同じように専門的な海技免許を持った人でなければ走れないわけですから、そういう水難救済会の隊員の人が万が一、二重遭難に遭ったときの身分保障とか、これは国全体の問題になるでしょうけれども、県、市町村、地方自治体が海上保安庁と一体になって、そして水難救済会もその中に組み入れて水難救済に対する万全な体制の確立が必要なように思うのでございますけれども、その辺の長官のお考えはいかがでございましょう。
  168. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもも、率直に言って、海岸で遭難、溺死事故があるというようなときに手が回りかねるということがございますので、現在せっかく長い歴史で、かなり伝統を重ねてきた日本の水難救済会をできるだけ育成していきたいと思っております。現状では支部が三十八カ所と支所が五百八十一カ所、救助艇を八十隻持っておりますけれども、私どもも、公益法人として毎年その予算をできるだけ充実させることに十分関心を払っておるのでございますし、諸機材の整備ということも努めていかせたいと思っておりますし、また私どもが手伝って、できることはいろいろする。また、ただし、私どもの手の回らぬところは助けてもらうということでやっていきたいと思っております。  ただ、先生指摘のように、消防の組織とは、いまのところ公益法人としての組織でありまして、ちょっと違っておりまして、身分保障について消防と比べるとちょっと落ちるところがございますが、実は先日この委員会でも御審議を願って衆参両院を通していただいた海上保安官に協力援助した者等に対する待遇というものもそれに当てはまるかと思いますので、今後とも水難救済会の育成については、十分意を用いていきたいと思っております。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 協力援助した者については、私はよくわかっているわけでございまして、この問題はきょうは時間がございませんからこれで次に移りますが、水難救済会の立場等は非常に重要でございますので、どうか今後重要な課題として御検討いただきたい、このようにお願いしておきます。  次に、トラック事業の免許に関する問題について伺いたいと思うのでございますが、この問題は時間の関係がございますので、関連で石田委員から質問をしていただくようにしまして次に移ります。  次は、造船の問題について伺いたいと思うのでございます。  現在、世界的な造船不況という事態に立ち至っております。わが国造船業界も非常に深刻な状態にあることは御承知のとおりでございます。私がきょう取り上げたい問題は、造船不況でどこがしわ寄せを受けているかと申しますと、御承知のように造船事業に協力している下請の方に一番しわ寄せがいっているのではないか。従業員の方の推移を見ますと、昭和四十九年に九万人だった下請の協力業の方が五十一年末には六万七千人と、二万三千人の方が仕事を失った。それに比べますといわゆる本体と申しますか、本工の方は四十九年に十八万四千人、五十一年末に十八万三千人とほとんど変わっていないわけです。  今日までの日本造船業界を世界に冠たる造船王国にした力は何かといいますと、昭和三十五年をベースにいたしますと、生産増加量の七八%が下請の協力業の力によるのではないか、こう言われております。しかし、その一番の担い手の方に不況のしわ寄せがいっているのではないか。これには非常にお気の毒というよりもやりきれない気持ちでいっぱいでございますが、やはりこういう造船下請の皆さんの対策かさしあたって一番望まれるのではないかと思うのです。この辺の大臣のお考えをまず最初に伺っておきたいと思うのでございます。
  170. 田村元

    田村国務大臣 石油ショック以後の造船不況は、とりわけ下請業者に大変深刻な影響を与えております。政府としても懸命にその対策を講じてきておるところであります。  金融対策といたしましては、下請を含めました造船業を中小企業信用保険法によります不況業種に指定をいたしまして、金融機関へ融資のあっせんをするというような対策を講じてまいりました。  それから雇用対策といたしましては、造船下請業を雇用保険法によります雇用調整給付金の対象業種としてきたところでございますけれども、この五月一日から下請を含めまして鋼船の製造修理業を対象業種として指定をいたしました。また、五十二年以後さらに強力な雇用対策が必要であると考えられますので、下請を含めまして造船業を雇用対策法による職業転換給付金制度の対象といたすことにしております。  事業転換の対策といたしましては、下請を含む造船業を中小企業事業転換対策臨時措置法の対象業種といたしますとともに、事業協同組合等を結成して船舶解体業を実施する造船下請に技術改善費の補助金を交付して助成することにしております。  御参考までに申し上げますと、職業転換給付金の五十二年度の予算が二千百十五万六千円、船舶解体業技術改善費の補助金が一億四千六百二十五万円でございます。  おかげさまでどうやら下請業の労働事情も底をついたといいますか、ようやく安定してきた感じでございまして、その点ほっとしておりますが、これからも大変な問題でございますから全力を挙げてこの問題と取り組んでいきたい、このように考えております。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは私、いまの大臣の答弁に沿って問題点をしぼって伺ってまいりたいと思うのでございます。  最初に、下請協力業の方が一番要望している問題を一つ一つお尋ねしたいのでございます。行政管理庁の方に伺いますけれども、造船の下請協力業といいましても非常に業種が多くて六十種類ぐらいあると言われております。産業分類上は現在、建設業、製造業等といろいろ分かれておるわけでございますが、下請の方からこれからの課題として、日本の産業分類の小分類の中に三六四、船舶製造・修理業、舶用機関製造業というのがあるわけでございますが、その細分類の中に船舶製造業の直接サービス業として造船協力業という分類の新設を検討していただけないか、こういう要望があるのでございますが、その辺の行政管理庁のお考えはいかがでございましょう。
  172. 山田隆夫

    山田(隆)説明員 造船協力業には船舶製造に関連する多数の業種が含まれておりまして、これを一括いたしまして船舶製造・修理業、舶用機関製造業の中に新たに項目を設けるというのはなかなかむずかしい面があると思います。しかし産業分類においては、分類の原則といたしまして、もっぱら特定の産業に直接関係のあるサービスを提供する事業所は当該産業に含めるということになっております。したがいまして、この面から検討いたしたいと思います。
  173. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、運輸省の船舶局長のお考えはいかがでしょう。
  174. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 造船協力業につきましては、産業分類上ではそれぞれのサービスをする業種に分類をされております。ただ、これまでも下請事業者に対します施策を実行してまいります場合に、労働省その他関係省との話では、分類にかかわらず、小分類の中で船舶の製造業に関するものということで、たとえば雇用調整給付金その他の制度を運用してまいったわけでございます。したがいまして、造船協力業を産業分類表上一にするということにつきましては、先ほど行管からもお話がございましたので、行管ともお話し合いを進めながら検討をしてまいりたいと思います。  ただ、今後とも、造船下請業に関します施策を講じていきます場合に、必要な業種はすべて網羅できるようにということを念頭に置いて進めてまいりたい、こう考えております。
  175. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、造船協力業の方の皆さんの要望でございますので、今後とも前向きに御検討をいただきたい、このようにお願いをいたしておきます。  次に移りたいわけでございますが、先ほど大臣お話の中に、船舶解撤事業という問題が出てくるわけでございますが、この船舶解撤というのは、やはりこれからの造船不況といいますか、私はむしろ造船業そのものにとって非常に大事な分野を占めるのじゃないか、こういう考えに立っておるものでございますが、私はまず冒頭に伺いたいのは、この造船解撤というものに対する運輸省の基本的な考え方、この点を私は伺っておきたい。なぜかならば、運輸大臣の諮問六十二号に対して海運造船合理化審議会の答申がなされましたけれども造船業の建造需要量を昭和五十五年六百五十万総トンと見込んで操業度も工数ベースで昭和四十九年比六五%程度にするという答申がありました。これに基づいて造船業四十社に、大臣による操業短縮の勧告措置がとられたわけでございます。現在の不況の中で、こういうことによって下請の方が非常に、先ほど来申し上げた事態に立ち至っている、こういうことから船舶解撤ということが出てきていることも一因でございますが、私はこの船舶解撤という問題が、造船業界が不況だ、だからその不況対策といいますか、緊急避難のようなためにこの解撤業というものをお考えになるのか、それとも日本造船業の将来のあるべき姿の中には、いわゆる船をつくる、建造するということと、修理するということと、解体、解撤するということが大きな事業の流れの中の一つなんだ。自動車産業でもそうですか、つくったものはスクラップ工場でスクラップ化されて、リサイクル、再活用されているわけでございますが、やはり船というものは何万トンという大きなものでございまして、やはりそれを解撤するというのは特殊な技術も場所も必要とします。そうしますと、やはりドックなり浮きドックの中でやらなければならない部分も相当あります。また公害防除という問題もございます。そうしますと、たとえば大型タンカーを解体するということになりますと、造船業の中でやらなければ無理じゃないか。こういう点を考えますと、いわゆる造船協力業の下請の方がいま主になってやっておりますけれども、そうではなくして日本の中の大きな事業の分野として位置づけることが必要なんじゃないかな、このように考えるわけでございますが、運輸省のお考えはいかがでございましょうか。
  176. 田村元

    田村国務大臣 造船不況下において造船下請業者の業種転換ということで何がいいだろう、結局船舶解体業というのが一番技術的にも生かされていいのではないか、こういうことになってこの解体業に関して政府は関心を持ち、また先ほど申し述べたように保護を加えようということになったわけであります。造船不況に対応しての措置ではありましたけれども、外国ではこれが成功しておる例もございますし、日本でも最初の出だしは確かに不況対策だけれども、これが定着すれば資源有限時代においてまさにうってつけの業種である、このようにわれわれは考えております。でありますから、将来わが国において解体業という業種が定着をして造船業界における一つの大きな分野を形成していってくれるであろうことを期待もし、また奨励もしたい、そのように指導していきたい、こう考えております。
  177. 薮仲義彦

    薮仲委員 そういう御決意でこの解撤業に取り組まれるということを非常に私、心強くまたうれしく思うのでございますが、じゃそれを前提にいたしまして、さしあたっていま問題点となっております何点かについて伺っておきたいと思うのでございます。  まず、本年度予算が約一億四千六百万円余つけていただいておる。現在函館ドック、金指造船、石川島播磨の呉と相生、三菱重工の尼崎でそれぞれこれに取り組もうという動きがあるわけでございますが、この四カ所の現状それから見通し、確かに取りかかれるのかどうか、この辺の見通しについて伺っておきたいと思います。  また、このことに関連をして予想される問題点が幾つかあるわけでございますが、まとめてお伺いしておきます。この造船解撤という事業をやるときに、やはり親会社の協力といいますか、親会社が本腰を入れてこれに取り組まないと下請の方だけであってはできない問題が数多くあるんじゃないか。そのまず第一番は解撤する場所ですね。これをただで貸してくれるという親会社もあるようでございますが、この辺はやはり運輸省当局の温かい指導がないと事が進まないんじゃないか。また、やはり高度の技術を要する部門もございますので、技術の提供、あるいは設備として大型クレーン等の施設も必要でございましょう。また一番心配しているのはいわゆる買船、船を買うという問題ですね。これを下請の方が買えるかというと非常にこれは不安です。大きなリスクを伴いますので手を出しかねている面がございます。これをたとえば商社が入れば、非常に悪い船を高く買わされるということもございますので、やはり一番安全な方向とすればその辺は親会社が買船については責任を持つということが必要じゃないかな、このように考えられます。  また、いざ解撤いたしましたこのスクラップをどうするか、やはりこれも下請の方ではちょっと力が及ばない面が数多くあるんじゃないか。力のあるところもあると思いますけれども、やはり鉄を大量に買っておる親会社がそのスクラップの処理についても相当の責任を持つといいますか、応援をしなければできないんじゃないか、こういうことが考えられます。しかも現実に試験解体を三菱でやった日興丸、試験解体してありますけれども、あのところからいろんな話を聞いてみますと、やはり解撤する船について日本でつくった船が一番心配ないですよ、設計図もあればいろんなことについてよくわかっております。そういう意味でやはり一番いいのは日本のタンカーのようなものを解撤できないだろうかという希望をお持ちのようでございます。これは甘えの気持ちがあるのかどうかわかりませんけれども、私は専門でありませんが、しかしやはり日本の国でつくった船を下取りできないだろうか。先ほど来申し上げているように、車の場合も下取りで新しい車を買います。船の場合も古い船を下取りをして新造するというような中で考えれば、あるいは日本でつくった船をまず最初やってみたいという気持ちがおありのようでございますが、これに対する温かい理解をいただけないだろうか。こういう点がいま想定される問題点でございますが、この辺いかがでございましょうか。
  178. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 船舶の解体業につきましては、特に造船関係者として行いましたのは、先生承知のように長崎の三菱でこの事業が軌道に乗るかどうかということで試験解体したのが初めでございます。そこでその経験とそれから五十一年度の私どもの事業転換の議論の中から解体業を取り上げたわけでございます。そこで予算といたしまして五組合を予定してございます。現在まで親企業と下請業との話し合いを進めさせておりまして、まず北から言いますと、函館ドックの室蘭と函館それから東海地区で金指造船それから中国地区で呉、相生それから九州地区で長崎というようなところがいま現在話を進めております。この点につきまして、基本は下請事業者に事業組合をつくっていただいて、そこが中心になってやるわけでございますが、何分多額の金を使って買船をし、壊し、スクラップを売るというような事業でございますので、従来の下請事業者の手に余るところがあります。そういう意味で基本的に私どもも親企業の協力がぜひ必要であるという前提でやっておりまして、なるべく早くこの四ないし五地区につきまして親企業と下請の話を具体化していきます際に、私どもなりあるいは地方の海運局支局の担当者が入りまして、早く計画が具体的に進むようにということをいま検討して進めておるところでございます。  第二の問題であります場所とか技術とか公害防止の点でございますが、この点につきましては、原則としましては造船業であいてきました施設、広場でございますとかあるいはクレーンであるとか岸壁であるとか、そういったものを使うということを原則にしております。この点については、先ほどの親企業を含めた事業計画の中で具体的に進めさせたい、こう考えております。  それから技術の問題につきましては、非常に簡単に人海戦術でやるということであれば、上からガスで切っていくという簡単な方法でもやれるわけですが、それでございますと、たとえば台湾とかその他の、従来までやってきた国との競争上かなわないということで、下請事業者が持っております切断とか運搬とか、こういった技術はこれで十分でございまして、あと若干の器具の開発をするということも残っておりますが、これも団体でやっておるところでございます。  問題は、作業計画を合理的な作業計画を組み、それからそれを管理し、能率を向上させるというようなプロセスの技術といいますか、これは下請の手に余るところでございますので、この点については親企業のプロセスの技術を十分まぜていく、というよりもむしろ親企業から何らかの形でそれをつくってもらうということを考えております。  それから公害防止につきましても長崎での試験解体で、日興丸で約二百トンぐらいの雑ごみそれからビルジ等が出ましたか、これを参考にいたしまして、公害を発生しないような形、結局たまっているのは底でございますから底の部分を切るときにそれを出さないで、かつ全部上げて処理するということもあわせて長崎での経験を参考にして公害防止体制を固めた上で進めていただくということを考えております。  それから、いまのは技術的な問題でございますが、もう一つ事業として問題でございますのは売り買いの問題かと思っております。確かに先生おっしゃいますように、下請事業者としてはこういった船の買船なりあるいはスクラップの売却については未経験でございます。したがいまして通常解撤につきましてはロンドンとニューヨークで国際的なマーケットがありまして、そこで引っ張ってくるわけでございますが、たまたま日本が大量の石油を輸入します関係から日本でたとえば荷を揚げて終わりというような例もございますし、また先生がおっしゃいましたような、日本船のスクラップにつきましても一般的な市場から親企業の助けを借りまして引っ張ってくる以外に、海運業界ともよくお話をしまして、適船があれば日本の船主からじかに買い、あるいはさらに適船があれば海上保安庁なり防衛庁にも御相談を申し上げておりますので、そういったものがじかに引っ張ってこれるようにということを検討してみたいと思っております。  それから売却の問題につきましては、出てきますのが再生して使えます板とかあるいは棒鋼にします非常に良質のスクラップが一番金目のものですが、それと製鉄所の溶解用のスクラップ、それからあとは雑機械器具等で使えるものは使うということに考えておるわけでございますが、そういう意味で、そういったものの売買につきましては、確かに親企業かルートも持っていますし経験も持っていますので、この面でも親企業が何らかの形で参加をしていただくということを前提にして、親企業と下請企業とが協力して事業計画を早くつくるようにということでいま指導をしておりますし、これから現地にも派遣するなりあるいは支局の専門家にお願いするなりして具体化を早めたい、こう考えておる次第でございます。
  179. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題は、大臣初め船舶局長が非常に御努力なさってここまできた仕事でございますので、どうか温かい指導監督をされ、責任を持って、これか日の目を見て、喜ばれるような結果をつくっていただきたい、そのことをお願いしまして、質問を終わります。
  180. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 次に、石田幸四郎君。
  181. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 自動車局長に簡単にお伺いします。  トラック事業の営業免許、この申請の問題について若干私は疑義を持っているわけです。前回、国鉄問題の審議の中で同僚の渡辺議員からも若干触れたわけですが、そのときの答弁を見ましてもなお納得いかないのです。  まず大臣にお伺いしますけれども、法律というのは、私が申し上げるまでもなく、違反行為に対して罰則を与えるのは当然のこととしまして、やはりそういう行為を禁ずることによって予防措置を期待しておる、予防行為を期待しておるというのがいわゆる法律の趣旨ではないかと思うのですが、この点についていかがでしょうか。
  182. 田村元

    田村国務大臣 まさにおっしゃるとおりであろうと思います。
  183. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 自動車局長、いま運輸大臣にも確認を申し上げたわけでございますけれども、法律の趣旨というものは当然そういうものだと思うのですね。ところが現実、トラック事業の営業の免許に関しては聴聞会等いろいろあるのだと思うのですけれども、過去の実績をかなりしつこく聞いていますね。トラック事業を営む者が、輸送需要がそれだけあるかどうかという問題の質疑には違いないのですけれども、そういうものを申請する。白トラでやっていた場合、いわばそういうものの実績が出てくるわけですよ。そしてそういうようなところからいろいろ検討がされて、白トラからトラック事業を正式に営業したいということですから結構でしょうということで認可があるわけです。その認可がおりると同時に、前の白トラのあれは違反であるからと言ってペナルティーを科せられているのがずいぶんありますね。あなたはこの前ないとおっしゃったのですけれども、そんなことはない。実際に六割程度はそういうようなペナルティーを科せられていると思うのですよ。これはいま法律のたてまえを確認した上からいきましてもきわめておかしいことだと思いますけれども、局長どうお考えになりますか。
  184. 中村四郎

    中村(四)政府委員 区域トラック等の免許申請が出てまいりますと、申請書の添付書類といたしまして、推定によるところの取り扱い貨物の種類、数量、算出基礎、こういった書面を添付していただくことになっておりますし、その場合におきまして聴聞をいたします際に、その算出基礎につきましていろいろと御説明を願う。恐らくその場合におきまして、その過程で実は実績としてこういうものがあるんだという話が出てくるんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。それで、その場合におきまして私どもの方としましては、自家用で営業行為をやっておったことにつきましては、それは違法行為としてどういう措置が妥当であるかという判断をいたします。それと、免許するかどうかという場合に、その申請者におきまして営業車としてその需要を賄う方が妥当であるという判断をいたしまして、これを免許する者についてはその処分をいたす、こういうことで陸運局長にもその旨を示達、指示しておるところでございます。
  185. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いわゆるペナルティーを科せられるということは、法律の趣旨に私は合わないと思うのですよ。そのペナルティーを科せられている実情について、あなた御存じですか。
  186. 中村四郎

    中村(四)政府委員 申請し処分のある前に、自家用車時代に営業行為をやって、それについていま先生ペナルティーとおっしゃいましたが、車両の使用停止等の処分を受けているという実例は知っております。
  187. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この前の答弁のときにはそれが大変あいまいであったわけなんですよね。まああなたではなかったかもしれません、次長さんくらいだったかもしれませんけれども。そういうわけで、法律のたてまえからいきますと白トラはよくないということになっているわけですよね。だけれども、それが申請の段階では、そういう行為を悔い改めて、そして完全な運輸省のいわゆる認可基準に合うそういう事業者になろうとしているわけですね。いわば、それらの人たちはかなり努力をしておるわけですよね。ですから、そういった法律の趣旨からいきましても、そういった前の白トラ時代問題を引っ張り出されて、それに対するいわゆる免許の停止というのですか、そういうような行為になっているということはおかしいとは思いませんか。実績を要求するのですよ。実績を要求しますね。それを審査の基準の大きなめどにいたしまして、そして許可を与えるわけですよね。その許可を与えたら私はそれでいいと思うんだけれども、これを前にさかのぼって、そしてそのペナルティーを科するわけですよね。これは憲法の精神からいきましても、三十八条の精神からいきますと不利益な供述を強要されたというようなことになるのですよね。そういった意味からいっても、私はそういう制度はおかしいと思うのですよ。これに対して反論できますか。
  188. 中村四郎

    中村(四)政府委員 法律上、あくまで推定による取り扱い数量を添付書類として要求し、それの算出が妥当であるかどうかという判断をいたしておるわけでありまして、実績を前提とし、実績を持ってこなければ、それを明白にしなければ免許しないというたてまえでございません。したがってそこから出発しますと、話が先生指摘のようにどこかおかしいじゃないか、こういうことになるんじゃないかと思います。
  189. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いや、あなたは別に実績を強要しているわけじゃありませんとおっしゃっているけれども、聴聞会にしたってあるいは各地方の出先機関でそういうものをみんな聴取して、それが基準になっているじゃないですか。そうじゃないのですか。
  190. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私どもといたしましては、その推定数量等につきまして実際に荷主との関係がどうなっておるか、それから荷主の方もその申請者の方と契約を結んで輸送行為を委託する用意があるかどうか、そういったことにつきましては恐らく聴聞会のときにも話題になる、説明を受けるということだろうと思います。しかしその場合に、過去において運んだ数量を提出しなさいというところまで聴聞会で求めておるというふうには聞いておりませんし、もしもそういうことであるならば、そこは行き過ぎではないかというふうに思っております。
  191. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 あなたの言うとおりならペナルティーは科せられるはずがないじゃないですか。ではどうしてペナルティーがかけられるのですか。あなたはさっきペナルティーがかけられた、そういう実例もあるでしょうとおっしゃったじゃないですか。矛盾するじゃないですか。
  192. 中村四郎

    中村(四)政府委員 先ほど申し上げましたようなたてまえで聴聞をいたしておりますと、実際問題といたしまして、実はそういった算出基礎についてはすでに運んだことがあるんだ、こういう話が出てまいるわけであります。そこでそういった聴聞会等の過程で、過去において自家用自動車として営業行為をやっておったという事実になってくるわけでございます。
  193. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 あなたはお認めなんでしょう。だから私が言っているのは、その業者の人たちは過去においてはそういうような過失を起こしたかもしれないけれども、より一歩前進した大きな企業体になりたい、運輸省の認可を受けたいということで、一歩前進の姿勢で来ておるわけでしょう。それなのに、聴聞会あたりでそういうものが出てきたらすぐばさっとペナルティーを科すというのはおかしくないかと言うのです。どうですか、しつこいようですけれどももう一遍……。
  194. 中村四郎

    中村(四)政府委員 ただいまの事例の場合に、そういったことについてさらに厳しく処分をし一定期間免許を留保したらどうだ、こういう御意見もございます。それから、いま先生のおっしゃっているような御意見もございます。私どもとしては免許の審査の過程において、過去の自家用自動車として営業行為をやっておったという事実について、やみくもに直ちに処分するというのじゃなしに、その実態を見きわめて、その上で妥当な処理をするという考え方でおるわけでございます。
  195. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それじゃ、ペナルティーを科せられるのは各地方の出先機関において大体どのぐらいになっているか、わかっていますか。——まあよろしいでしょう。もう時間でございますからやめます。  運輸大臣、いまお聞き及びのとおりでございまして、いかに自動車局長さんがそういうような答弁をなさろうとも、認可を受けてペナルティーを科せられる人たちはその間に非常に矛盾を感じておるわけですね。いわば運輸省が行政指導の立場で、白トラはいけませんよ、営業車になりなさいというような善導をしておるわけですね。その善導に従って自分たちがそれに応じてみれば、確かに大きな利益を享受するかもしれないけれども、まああめを食べることはできるかもしれないけれども、同時にあめを食べることによって直ちにペナルティーが科せられるというのが、これは全部とは言いません。しかし私どもが聞いている範囲内においては、各地方の陸運局のところにおいては大体六割程度くらいあるというのですよ。私も現にここにメモしておりますけれども、何人かの業者の人がそういう矛盾を私に訴えてきている。それは会社の名前はあえて申し上げませんけれども、三件ばかり来ているわけですよ。こういう問題はやはり前向きに片づけていただかなければならぬと思うのですけれども、もう一遍総合的な御検討をいただきたいと思う。法律のたてまえからいって非常に矛盾があるし、憲法三十八条によれば「何人も、自巳に不利益な供述を強要されない。」とありますし、「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不當に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを證據とすることができない。」というふうに、その基本的な人権として、自己に不利益な供述等は証拠能力にはしないのだというのが裁判のたてまえでしょう。これがそのまま当てはまるとは言わぬけれども、まさにこれは類似行為ですよね。そのことによってペナルティーを科せられるというのは、憲法の精神にも反すると私は思いますね。御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
  196. 田村元

    田村国務大臣 ペナルティーをかけて免許といういまの御表現、免許というあめとペナルティーという体罰を食らう、これはいけませんね。これはいけないと思います。私も同感であります。  ただ、私は若干、お言葉を返すようで恐縮でありますが、この問題で頭を悩ましております立場で物を言えば、一つの考え方を持っておるのです。と申しますのは、白トラというのは、白タクでもそうですか、これは違法行為をやっておる。違法行為をやっておる者に——それはずっと過去において違法行為をやっておったのなら、これはまた許されるべき点もあろう。当然、刑法でも時効ということがあるのですから。けれども、違法行為をついこの間までやっておったことがわかっておる者に免許を与えること自体が、私は法治国としてはおかしいと思うのです。ですから、実は私、さっきからちょっと局長がかわいそうだなと思って見ておったのですが、しばらく前に私は自動車局長に、白トラをやっておった者には、それもついこの間までやっておった者には断じて免許を与えてはならぬという、命令でもないですが、実は私は発言をしたことがあるのです。ただ、だからといって、法律、特に刑法は応報刑でなくて教育刑主義でなければなりませんから、絶対にだめだと私は申しませんけれども、現在のような実績ということを聴聞会や何かで言うとすれば、これはむしろ白トラを、後でペナルティをとられても、やった方が早く免許が取れるのだという道にも通じるということもありまして、非常にむずかしい問題でございます。やはり処置は処置としてきちっとした行政措置をとっていくということは、一つのけじめとして必要なのじゃないか、こういう感じがいたすのでありますが、それはそれとして、一方で免許を与えて一方でペナルティーをとる、これはむちゃですね。これは私は絶対にいかぬことだと思います。卒業さしてやる、上の学校へ推薦入学さしてやる、そのかわり過去にやったことを何でもしゃべれと言われてカンニングをしゃべったら処置処分を食らったというのと同じようなことであって、これはいけませんね。私はその点は強く注意をいたしたいと思います。
  197. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 わかりました。これで終わりますけれども、ただしかし大臣、それでもなお問題は残りますね。それでは一体無免許で白トラをやっていた人たちの取り締まりは十分にできるかと言えば、これはなかなか手が届かないわけでしょう。片一方において、申請をしなければ、そういった一歩前進の措置をとろうとしない人たちは、一切そういうことがわからないままに利益を享受しておるという、そういう問題が少なければよい。しかし、かなり広範にその問題は残っておるわけですね。この問題を含めて、もう一遍機会がありましたら議論をすることにいたしますけれども、ひとつ自動車局といたしましても十分議論をして、整理をしていただきたい、これだけ要望しておきます。
  198. 田村元

    田村国務大臣 実はいま私は原則論を述べたわけです。そこに温情ということはあって当然だと思うのです。ただ自動車の監理官まで、そういう制度までつくって白トラとか過積みとか、いろいろなことを厳しく監視をしようという、そういう第一歩を踏み出したときに、原則論としては私は甘いことは言えないという趣旨でございますので、決して鬼検事でも何でもございませんから、そこらは当然温情を持って接しなければならぬということもひとつお含みおきを願いたいと思います。
  199. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  200. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 次に、米沢隆君。
  201. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、宮崎空港の拡張の問題について若干の質問をさしていただきたいと思います。  まず最初に、この拡張問題の過去の経緯と行政責任についてお尋ねをします。  御承知のとおり、宮崎空港の拡張問題につきましては、過去幾つかの経緯がございました。初めに四十二年夏、いまから十年前でありますが、第一次空港整備五カ年計画に基づいて、現在の空港のA滑走路を二千メートルに延長しようという案が出てまいりました。それから四十五年の十二月には、県の新総合長期計画の中で、これとは別の、B滑走路の二千五百メートル延長案が出てまいりました。それから四十六年十二月に、これはBランを発表してからわずか一年後でありますけれども、第二次空港整備五カ年計画にのせるということで、現在進められておりますAランの二千五百メートル延長案が出てまいりました。それから五十年の十二月には、ちょうど当時の木村運輸大臣が宮崎県に来られたときに、同じく第三次空港整備計画の中で二千メートルの段階延長論が出てまいりました。それから、いま国体絡みで千九百メートルの延長論が出てきておるわけであります。  こういう経緯を見てまいりますと、しょっちゅう二転三転、この計画が変更される。そして、変更されるけれども事業の計画は一向に進まない、そういうものが一方では行政不信を生んでおるのは事実でありますし、一方では、いつでもそんなふうに簡単に変えられるのであるならばという、そういう安易感や、その計画の信憑性を疑わしめるに十分だという感じがしてなりません。そういうものが、私は宮崎空港の拡張問題に関して何か大きな悲劇になっているのではないかと思います。  そこでまず大臣にお伺いしたいのでありますが、一体ローカル空港なんかの拡張問題についてどこが主導権を握って計画を作成し、どこが推進方の責任を持ってやっていかねばならぬのか、過去の経緯を踏まえて責任のありかを明らかにしていただきたいと思います。法的な問題についてはわかりますから、実体的にこの運動を進めていく責任について御説明をいただきたいと思います。
  202. 田村元

    田村国務大臣 二種の場合は国、三種の場合は県、これは御承知のとおりでありますが、国際空港等と違いまして、地方空港の場合はやはり騒音対策だ、あるいは宮崎のように海に出す場合は漁民大衆の反対だ、いろいろなことがございますから、つまるところ、地元の地方公共団体、とりわけ知事さんあたりの十分な根回し、ごあっせんあるいは対策要望等が出される、その努力をしていただくということが基本的な姿になるのではないかというふうに思います。
  203. 米沢隆

    ○米沢委員 そういうかっこうで進められておりますけれども、実際は一向に進展いたしておりません。現拡張計画のAランを海側に七百メートル延長するというこの案につきましては、もうこの計画が日の目を見ましてからすでに六年でありますし、現空港の拡張問題が云々され始めましてからすでに十年を経過しておるわけであります。しかしながら、いまだに関係者の理解を得られないままに計画はまさしく立ち往生いたしておりますし、地元ではこういうものをきっかけに、将来的にはだめなんではなかろうかということで、移転論が出てきたり、あるいはまた現状維持でいいではないか、そういう議論が出てくる。特にこの議論の中で一番問題にしなければならぬことは、この宮崎空港の拡張について理解を示しておいていただいた皆さん方が逆に世論を分裂さしていく。いままで認識をいただいた皆さんの中に、もうやめろとか移転をせよとか、もうそのままでいいではないかという、一面ではもうやけっぱちな議論まで出てくるような、こういう状況が私は一番大きな問題ではなかろうか、そう思うのです。  そういうことで、運輸省にお尋ねしたいことは、このようにいま完全に宮崎空港の拡張問題はデッドロックに乗り上げておるのでありますが、この問題についていま運輸省当局としてどのような認識をなされておるのかということが一つ。  それからもう一つは、過去の経緯からいたしまして、もう十年、六年がかりの期間をかけるにもかかわらず一向に局面は打開されないというこの交渉の実態から見て、一体二千五百メートル拡張計画というのは本当に可能であるというふうに踏んだ上でまだいろいろと指導をなされておるのか。それから県当局あたりから、そのあたりの見通しについてどういう見解が皆さんの耳に届いておるのか、これが一つ。それからもう一つは、宮崎県当局に対して国の立場から局面打開のためにどのような指導がいまなされておるのか、この三点についてはっきりとお答えいただきたいと思います。
  204. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  現在の地元の各種の問題につきましては先生がよく御存じのとおりでございますけれども、黒木知事が私どものところへ御上京になる都度、責任を持ってまとめるから、こういうふうに話されておりますので、私どもは知事さんの地元の各種の意見の調整力というものに期待いたしまして、なるべく速やかにまとめていただきたいということをお願いしている現状でございます。大臣が申し上げましたように、やはり地元の意見のまとまりがない段階においてこれを強行するということは私ども不適当であると考えておりますので、一にも二にも知事さんの調整に待つという態度をいままで変えてないところでございます。  なお、海の方に七百メートル延ばして二千五百メートルにするという計画につきましては、この宮崎空港というところの将来の輸送需要等から考えまして、やはり二千五百メートルにして受け入れ可能な飛行機を大型化する、あるいはそれによって陸側の方の騒音対策にも資するという観点からやっていることでございますので、かなり波の荒い、かつ急に深くなる場所であるということも聞いておりますけれども、この辺は最新の土木技術を活用いたしまして二千五百メートルにする工事は可能であるというふうに考えます。ただ、技術的に可能でありましても社会的に可能でないという点がございますので、この点について知事さんにいまあっせんの労をとっていただいているという段階にあるわけでございます。
  205. 米沢隆

    ○米沢委員 そういう努力にもかかわらず、残念ながら一向に進んでおりません。そうした中で、最近は計画修正とも見られるような段階的拡張案というのが公式見解になってまいりました。御案内のとおり、先ほど申しましたが、五十年の十二月に当時の木村運輸大臣が来られたときにも、二千五百メートル延長を前提にして二千メートル延長で第三次空港整備計画に入れたらどうか、こういうことになりまして、二千五百メートル計画は二千メートルを段階的に踏んだ上で最終目標に達する、こういうものがいままであたりまえのこととして言われてまいりましたけれども、しかしながら、今度の場合、もう一歩後退したかっこうで、今度はとりあえず千九百メートル延長をやろう、これは国体絡みもありまして、千九百メートル延長を成功させようという見解に変わってきております。そこで段階的に二千メートル、二千五百メートルと拡張するにいたしましても、この千九百メートルの背景は結局二千メートル、二千五百メートルと拡張するにしても、防波堤の建設などがあるために、とりあえず五十四年の国体までにはボーイングの727型改良機を就航させたい。しかしその導入につきましても、現滑走路の百メートル延長は最低必要で、反対漁民の同意が必要だ、こういう背景があるわけでありますけれども、こういう案が出てきた後どういう批判がなされておるかといいますと、反対派の皆さん方は、計画修正されたとしても二千五百メートルが最終の段階であるならば絶対にこれは反対である、漁民の皆さんも絶対反対を唱えておられますし、また727型がやってきますと現在よりも騒音が拡大するではないか、こういう御批判もあります。また推進派の賛成派の皆さんの中でも、実際もう二千五百メートルは最終的にだめだと踏んだから、結果的には千九百メートルだけで何とかごまかすつもりではないかとか、また千九百メートルをやった後は全然もう拡張は不可能ではないか、こういう悲観論まで取りまぜていろいろといま議論がなされるのが実態の姿でございます。  そこでお尋ねをしたいと思うのでありますが、この千九百メートルの延長案は結局運輸省との協議の中で決定されたものでありましょうから、認知されるに当たりまして、この最終の二千五百メートル拡張案とまず段階的に千九百メートルを踏むという兼ね合いについてどういう絡みで考えられて認知をされたのか、この点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  206. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私どもは、宮崎空港の将来計画として二千五百メートルがよろしいという点については方針を変えておりませんけれども、いま先生もお示しのように、五十四年夏には国体もある、国体のときにはいろいろなお客さんがたくさん来るので、いまの737よりもう一回り大きい航空機をぜひ就航させたいというのが地元のかなり強い要望である。こういったところから727を就航させるためのぎりぎりの長さといいますと、727の改良型で揚力の強いエンジンをつけたものでございますと、千九百メートルにすればぎりぎり就航できるということになりましたので、それでは二千五百メートル計画というものを捨てずに、その段階的な完成といった意味で、五十四年を目標にしまして千九百メートルにすることは結構なことじゃありませんかということで認知いたしまして、目下そういった話し合いをしていただいているわけでございます。
  207. 米沢隆

    ○米沢委員 しかしながら、もう航空局長もいろいろな情報で御案内のとおり、大変難航しておるのは事実でございます。国体に間に合わせようとするならばことしの夏がタイムリミットだ、こう言われる。その間、この前、県の空港を議論する特別委員会におきましても、いろいろとこういう経緯が議論されたことがございますけれども、話し合いは、進むという方向を確認するまでには全然至っておりませんし、夏までにトップ会談みたいなかっこうで何とか局面を打開したいという県の苦衷はわかるのでありますけれども、大体それが成功するなんというのはだれも信じていないような雰囲気が出てくるくらいに、確かに難航しているのは事実でございます。そうなりますと、結果的に出てくる議論は何かといいますと、二千五百メートルを最終目標にしながら千九百メートル延長を認めてくれ、こういう議論には絶対反対するであろうから、結果的には二千五百メートルをたな上げしたかっこうで千九百メートル延長を何とかしてくれ、こういう議論になっていくのではないかという危惧の念が出てくるわけでございます。その場合、ぜひお伺いしたいのでありますが、二千五百メートルをたな上げにして千九百メートルの了解だけ何とかしてくれ、こうなったときに運輸省としては認める腹があるのですか、ないのですか。
  208. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 今日の段階では二千五百メートル計画を完全に引っ込めるというお答えをすることは私はできません。やはり将来の輸送需要等から見まして二千五百メートル計画というものは適当であると考えております。したがいまして、これを完全に捨てるということは、きょうのこの段階で私は申し上げることはできないわけでございます。
  209. 米沢隆

    ○米沢委員 それなら、いまの段階では二千五百メートルがあくまで前提で千九百メートルに了解を与える、こういうふうに理解をしていいのですか。
  210. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 そのとおりでございますが、二千五百メートルの完成の時期等につきましては、地元の事情等によりまして弾力的な考え方をもって対した方がいいと思っております。
  211. 米沢隆

    ○米沢委員 重ねて聞くようで大変恐縮でありますが、それならば公式のポーズとしては、二千五百最終的にやるけれども何しろ千九百メートル延長をやらしてくれという議論には漁協の皆さんも反対なのです。だから、ポーズは二千五百メートル最終的に目標にするぞと言いながら、腹の中では、結果的には二千五百メートルをたな上げにして千九百メートル延長を成功しさえすればいいという議論になったときには、運輸省としてはどう取り扱いますか。
  212. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この場で私もなかなか明確なお答えがしにくい問題でございますけれども、いささか私見になりますけれども、ローカル空港と申しますのは、大臣も先ほどお話ししましたように、やはり国際空港と違って地元の各種の輸送需要なり要望にこたえるという点が非常に強いと私は思うのであります。したがいまして、私どもはローカル空港の整備を進めるに当たりましては、県知事のもとにおきまして地元の各種の意見が調整され、集約されるということを前提に考えたいと思っております。仮に宮崎県におきます各種の意見が千九百メートルということで結集をし、二千五百メートルたな上げすべしというふうになったとすれば、私はこの意見は相当尊重すべき意見だろうと思います。
  213. 米沢隆

    ○米沢委員 ところで、とりあえずそれなら国体に間に合わせるように千九百メートル延長しよう。しかしもうタイムリミットは先ほどから申し上げておりますようにことしの夏です。しかし、トップ会談が開かれても見通しはつかないであろうとわれわれは認識しておりますけれども、運輸省に対して県当局はこの見通しについてどういうような見解を述べておられますか。
  214. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 今日までの段階では、極力努力をしてまとめてみせるからもうしばらく猶予をしてほしいということで、知事さんが上京して話されておりますので、私どもはそのお言葉を信用して、いま待っているという段階にございます。
  215. 米沢隆

    ○米沢委員 さきも申し上げて大変恐縮でありますが、もし万一の話には答えられないと怒られたらかなわぬのでありますが、われわれはほとんど不可能だろうと思っておりますがゆえに聞きたいのでありますが、国体までに間に合うような状況になかった場合、国体については増便なんかを考えて何とか航空需要に対応できるかもしれない。しかし、その後この計画を推進するに当たりまして、国体絡みで千九百メートルが出ておるのでありますから、この国体が流れた後やはり段階論を踏んで拡張案に向けてがんばられるのか。それとも、もう一挙に二千五百メートル案をひっ提げて議論した方がいいと思っていらっしゃるのか。そのあたり、だめな場合のその後の取り組み方が段階的であるのか、それとも一挙にやっていくのかという、この方法論について御見解を聞きたいと思います。
  216. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私どもはもともと国体絡みの話というのはそう重要視しておりません。一つの地元の意見を集約するためのチャンスであるかなという程度に考えているわけでございまして、したがいまして、国体絡みの千九百という話がまとまらなかったという場合にどうするかということにつきましては、私どもはやはり二千五百メートルまで一気に進めるのがいいか、あるいは段階的にやるのがいいか。これは挙げて地元の御意見の集約のされ方次第であると考えておりますので、どちらでなければならぬということはいま考えておりません。
  217. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、千九百メートル延長が可能であったときの、その後の技術的なあるいは安全性の問題についてちょっと伺っておきたいと思います。  いま全日空では、この千九百メートル延長論に相呼応しまして、これに就航させるために727−17型、パワーアップの改良型を運航させるということで、この形の飛行機を二機発注したという話があるのでありますが、それは事実なのかどうか。そしてまた、それがいつごろでき上がるのかということを聞かしていただきたいと思います。  地元の新聞によりますと、これは三月の十五日の宮崎日日新聞でありますが、そこには「全日空は公的にはこの改良機の発注を認めていない。「導入はしたいが、安全性について条件が整わないとパイロットの猛反対に遭う」というものだ」こういうことが報道されておるものもあるのでありますが、事実関係についてお知らせいただきたいと思います。
  218. 梶原清

    ○梶原説明員 ボーイング727の改良型でございますが、ボーイング727−200型の17エンジンつき機のことでございまして、先ほどお話も出ましたように高性能のエンジンを搭載をすることになりますので、離着陸性能が非常にすぐれるわけでございます。  現在わが国にはございませんけれどもアメリカにはすでにこの改良型機ができておりまして、米国連邦航空局、いわゆるFAAでございますが、そこにおきまして証明もいたしておりますし、かなりのデータも公表されておるわけでございまして、きわめて高性能であるということが証明されておるわけでございます。  それから次に、全日空におきます計画でございますが、現在の727−200の改良型につきましての発注をすでに三機いたしております。五十一年の十二月二十日に発注をいたしましたのが二機でございまして、導入は五十二年の十二月、本年十二月の予定でございます。あと一機は本年二月二十八日に発注をいたしておりまして、導入時期は五十三年の六月でございます。
  219. 米沢隆

    ○米沢委員 いま話がありましたように、問題は最終的には安全性の問題だと思います。いまおっしゃいましたように、アメリカでは開発をされてすでにこれは使用されておるのですか。まあしかし日本ではまだ初めてのものでありますから、やはりこの点に関しては安全性を確認する意味で相当のチェックが必要だと思いますが、その安全性のチェックはどこがやられるのか、運輸省が関与するのかどうかを聞かしていただきたいと思います。
  220. 梶原清

    ○梶原説明員 運輸省におきまして航空機検査官が航空法上の手続といたしまして、航空法の十条、耐空証明等の検査をすることになっておるわけでございます。アメリカ等におきまして、この改良型機が相当現在すでに飛んでおる状態でございます。
  221. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、この飛行機が宮崎空港にやってまいりましたときに、滑走路等の整備について考える必要があるのではないかという心配があるのです。そこで、この727−17型が就航した場合、現在の宮崎空港の滑走路等各種のいろいろな施設等が使い得るのかどうかということ。導入のために空港構造等の改良や、たとえば騒音の発生源の問題とか空港周辺の問題等々について配慮した上で導入を図ることになるのかどうか。そのあたりを聞かしていただきたいと思います。
  222. 梶原清

    ○梶原説明員 727改良型機を導入しますために、滑走路を先ほど来お話が出ておりますように千九百メートルまで延長する必要があるわけでございますが、それ以上の、たとえば滑走路のかさ上げとかそういう工事を必要としない状態にございます。  それから、727になりますと音が現在の737に比べまして五デシベル程度高くなります。したがいまして、騒音対策上の配慮をしなければいけないわけでございますけれども、従来先生御案内のとおり、四十九年からこの空港につきましては特定飛行場に指定をいたしまして騒音対策を進めておるわけでございまして、すでに事業費といたしまして十二億円を投じ、また本年度につきましては、事業費にいたしまして八億余りを予定をいたしておるわけでございます。  737から727に変わりますために、先ほど申しましたように若干音が高くなりますが、これが直ちに現在指定をいたしております対策区域の線引きを修正しなければいけないかどうか、これにつきましては、今後の就航状況を十分勘案をいたしまして適切な措置を講じたい、かように考えておる次第でございます。
  223. 米沢隆

    ○米沢委員 聞きますところ、このダッシュ17型機というのは727−200型の改良型でありますから、727−200型は百七十八人乗れる。ところが、やはり安全性の面からダッシュ17型は百五十人くらいが限度ではないかと運輸省筋の話がある、こう聞いておるのでありますが、安全性の面からそのあたりはどうなっておりましょうか。
  224. 梶原清

    ○梶原説明員 現在までの検討いたしました結果では、ほとんど満席で乗れる、就航させることができるという結論が出ております。路線によりまして、季節によりまして十分検討しなければいけないわけでございますが、現在までのデータで検討いたしましたところ、重量制限をすることなく就航させるという技術的な結論を得ております。
  225. 米沢隆

    ○米沢委員 この千九百メートル延長論は、先ほどから何回も言っておりますように国体絡みで出てきた問題です。しかしいまお話を聞きますと、全日空が発注したのはたった二機ですから、千九百メートルに延長して、この全日空のダッシュ17型機が宮崎空港だけ往復何回もやったところで果たして本当の輸送の増強になるのかどうか、そういう疑問があるわけです。減ることはないでありましょうが、ふえたとしてもそれこそ百人から二百人という程度でございますから、そういうものが五十四年の国体の特に宮崎空港の利用客の予測等について聞いたのでありますが、まだ計算が出てきてない、そういう話でありまして、この千九百メートル延長論というのは、国体を利用しながら千九百メートルだけでもやって先行きの局面打開のために利用したい、あるいはまた二千五百メートルをたな上げしてここで終止符を打つために何とかしてかっこうをつけたい、そういうふうにしか見られないような感じがするのでありますが、輸送の増強の件に関して、国体の利用客の増に向かって17型機が発注される、千九百メートルが延長されるというその関連がどうも薄いような気がするのでありますが、御見解はいかがですか。
  226. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 必ず国体までに千九百メートルになると決まれば恐らく航空会社の方ももっとたくさん発注するのだろうと思いますけれども、その辺もかなりまだ不安定要素があるということで恐らく当面二機しか発注しないのだろうと思いますが、仮に千九百メートル延長が可能になりますれば、航空会社としてはそれに合わせるべく本格的に導入する。場合によっては借りてくることも考えられるだろうと思います。いずれにしても国体ということは私どもとしてはそう強く意識を持っておりません。基本的には宮崎空港というものの将来に向かっての需要対策、騒音対策をどうするかという点が一番基本でございますが、地元におきまして、国体というのを一つのめどにいたしまして千九百という中間段階を置こうということであれば、それに私ども対応していこうというふうな態度でございます。
  227. 米沢隆

    ○米沢委員 港湾局長来ておられますね。  実はこの宮崎空港の拡張計画よりも一年前に、四十五年の夏、同じく宮崎新港建設計画というのが立てられました。しかし御承知のとおり空港拡張が一向進まぬがゆえに、新港もアベック闘争になりまして、全然進んでおらないのでありますが、現在の新港建設の状況についてどういう把握をされておりますか。
  228. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答えいたします。  宮崎の新港の建設はあの地域社会の非常に大事な事業として、県知事も空港と並んでそれの建設に努力しておられるわけでございます。たまたま現在は大淀川の川口を使っておるわけでございますが、大型の船を入れるためには外へ防波堤をつくらなければいけない。その防波堤をつくらなければいけない海域がたまたま空港の拡張計画のある海域と、そこの海域漁業を営んでいる人と重なっているわけでございます。そういうようなことでございますので、その地域社会の行政全体をにらんでおります県知事といたしまして、これを切り離して漁業補償交渉をやるというわけにはまいらない。これは一体としてやらなければいけないということで、これまで県知事さんが中心になりまして漁業補償交渉を続けていることは先生承知のとおりでございます。私どもといたしましては、ともかくこの二つのプロジェクトが地域社会にとって大事なプロジェクトでございますので、関係者の理解と協力を得られまして早く着工できるようになりますことを期待している次第でございます。
  229. 米沢隆

    ○米沢委員 この新港建設というものが、同一海域、同時解決、こういう観点から空港の拡張とセットになって議論されておるのは十分知っておりますけれども、新港建設がおくれることによって緊急なデメリットが発生しないとするならば空港と営々とつき合ってもいいのでありますが、しかし空港そのものの拡張についてはかなりの抵抗があり、かなりの時間がかかるだろう。そうなった場合に、それとおつき合いをして新港建設というのが流れていった場合に、本当にデメリットがないのであろうか。逆な意味で新港の利用価値、あるいは宮崎県の経済発展のために使われる新港というものがかなりその価値を消滅していって、空港拡張と討ち死にをする。そのために新港そのものを別に推進していく方法論をとられる必要があるのではないか、そう思うのでありますが、いかがでありますか。
  230. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 私どもといたしましても、先生の御指摘のような形で地域社会の開発といいますか、発展が足踏みするということは非常に残念なことだと思うわけでございます。しかし、私ども現在まで県の当局から話を聞いておるところによりますれば、漁業者との関係も一歩一歩前進しているからもうしばらく待ってくれというふうに伺っておるわけでございます。  現在の宮崎港の計画は、昭和六十年までにあの地域で港湾取り扱い貨物量が三百九十万トン程度になるであろうという想定のもとに計画か立てられております。現在のところ残念ながら水深が三・五メートルくらいの航路しかございませんので、九十万トン程度が扱われているにすぎない状況でございます。早く六十年までの計画が緒につきますことを願っているわけでございますが、いまもう一歩というところで、私どもも県の御努力の成果を待っている次第でございます。
  231. 米沢隆

    ○米沢委員 いま反対されている漁協の皆さんに接触されているのは、結局漁協との交渉等はみんな県とかあるいは空港拡張関係者に任せておいて、新港関係者は全然タッチしていないんじゃないですか、どうですか。お任せしてあるのですか。
  232. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 新港の建設に関係する方は土木部の港湾課でございます。それで県知事、土木部長一体になってこの問題に取り組んでおりますので、港湾関係の者もタッチしているというふうに御理解いただいてよろしいのではないかと思います。
  233. 米沢隆

    ○米沢委員 さてこういうかっこうで大変もめておりまして、最近宮崎空港の移転論が再燃いたしております。  そこで基本的な問題についてお聞かせいただきたいのでありますが、現空港の拡張案、二千五百メートル延長というものができたとしても、現在の段階では相当の時間がかかるであろう。そうなった場合、ほとんどこれは不可能ということと同義語だと思いますが、運輸省当局としては二千五百メートルにしなければいかぬのだということで、理想を追いながらいつまでもこの状態を放置しておかれるつもりなのか。そうなりますと、結果的には宮崎空港は千八百メートルでそのまま放置される、こういう状態が続くわけでありますが、それともやはり物にはタイムリミットというものがありまして、航空需要がどんどん変わっていきます。そのかわり何らかの形で大きくしなければいかぬ、そのかわりデッドロックに乗り上げてどうしようもないとなったときには、やはり何らかのタイムリミットというものがあって、そしてもうちょっと考え直さぬかというようなことにならぬとおかしいのではないか、そう思うのでありますが、そのあたりの兼ね合いはどういうふうにお考えでしょうか。
  234. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私どもは宮崎を中心といたしました将来の航空輸送需要に対応するために、あの地域に二千五百メートルの滑走路を持った空港が必要だと思っているわけであります。したがいまして、どうしてもいまのところの拡張ができないということになった場合に、あの地域でほかに二千五百メートル可能な場所がありまするならば、それらを含めて総合的に判断すべきだと思いますけれども、いつごろをタイムリミットにするかという点については、ちょっといつごろという具体的なことを私どもいまこの段階では考えておりませんけれども、それは恐らく私どもよりも先に宮崎県の方々が、たとえばいまから十年も十五年もたっても片づかないということでは、これはとても県の方々自身がたまらないということで、恐らく私はこの問題に一つのめどがつきますのは、もう長くてここ三年ないしは五年くらいのところであろう。そこらのところでやはり一つの地元としてもめどをつける時期か到来するというふうに考えております。
  235. 米沢隆

    ○米沢委員 ということは、その時期のいわゆるめどを立てるのは、県自体の問題であって、運輸省としては、その県なら県の意に従って応援をしていく、こういうかっこうになるというのが常識だ、こういうふうに理解をしてよろしいわけですね。そうなった場合、たとえばいまのところ県が現空港の二千五百メートル案しかほかに適地はない、こうおっしゃっておりますから、いま運輸省はそれに応援しておられるわけですね。しかし、県自体として適地がもしあったとして、いまからちょっと計画を変えますとなった場合には、運輸省としては、またそれなりに対応してあげる体制をつくる、こういうことになるというふうに理解してよろしいですか。
  236. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 本当に将来、安全上も問題のないような候補地が見つかるかどうか、問題はあろうと思いますけれども、仮に本当に適地が見つかるものであるならば、そしてそれが県の意向としてそういうふうになってくるならば、そういった候補地について調査をいたしまして、問題がなければそういったところへの計画の練り直しということも一つの可能性としては考えていいと私どもは思っております。
  237. 米沢隆

    ○米沢委員 この前、宮崎県議会の議論の過程の中で、ある議員さんが運輸省の計画課長にお会いになって、そのとき計画課長から聞いたという話で、現空港の拡張事業が進んでおらず膠着状態になっておることに不安を持っておる、現空港に固執するものではない、こういう発言をされたということが、ひょっとしたら運輸省そのものが新立地を期待されているんではないかというふうにとられて議論を醸し出したことがあるのでありますが、そのあたりの真意はいかがでございますか。
  238. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私もその新聞を見ておりませんし、どの程度担当課長の意向をその新聞が字に正しくあらわしたかよく存じませんけれども、恐らく担当課長としては、もう先ほど先生お示しのように、長い間の懸案でございますので、もうそろそろ何とかならないだろうかというじりじりした気持ちから新聞記者に答えたことがあるいはそういう字になったのかもしれませんが、私どもとしては、その字のとおりを考えているわけではございません。先ほど御答弁申し上げましたように、必ずしもいまのところに限らず、ほかにもいい場所があって、現実性の問題からいっても、安全性の問題からいっても可能であると言うことができるならば、可能性の問題としてはもっと他のことを含めて考える余地はあると思います。  ただ、現段階としては、県当局があくまでも現空港の拡張ということを言っていらっしゃいますので、私どももそれ以外のことについては、耳を傾けてないという状況にあるわけでございます。
  239. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、最近この新空港建設を前提にしまして、もう皆さんもお聞き及びだと思いますが、宮崎の東諸県郡高岡町二反野というところにあるフェニックス高原カントリークラブの買収話が、うわさであるかもしれませんが出てまいりまして、また移転拡張問題が再燃されておる、こういうことになっておるのでございます。この拡張計画の方向転換を迫る、こういう動きとあわせまして、このゴルフ場はひょっとしたらひょっとするのではないか、こういう真実味を帯びていろいろ議論されるようになっております。この話についてはお聞き及びでございますね。
  240. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 一つの地元情報として耳には入っております。ニュースソースは地元の新聞等でございます。
  241. 米沢隆

    ○米沢委員 いつごろからそんな話を聞かれておりますか。
  242. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私が知りましたのは、たかだかここ二、三カ月のところでございます。
  243. 米沢隆

    ○米沢委員 この話は、地元では政財界の一部に賛同する人もおりまして、運輸省もこれに乗り気でこのゴルフ場の土地について空港適地調査等をやったのではないかといううわさがあるのでありますが、事実はどうでありますか。
  244. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私どもは地元の情報として聞いているだけでございまして、この空港について図上で検討したことすらございません。県からの正式の意思表示がない限り私どもはアクションを起こすことはございません。
  245. 米沢隆

    ○米沢委員 しかし、この周辺で調査されたことはありますね。
  246. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 これはいわゆる一里山という場所につきまして調べまして、その結果は空港の立地としては適当でないという結論を出しております。
  247. 米沢隆

    ○米沢委員 一里山の調査はどういうかっこうでやられたのか。それからその調査と同時に昨年の六月一日か三日か四日か、そのころ空からぐるっとこの上を回っておられますね。そのあたりと混同されましてまた問題になっておるのでありますが、この一里山の調査はいつやられて、どういう形でやられて、どういう結果になっておって、そして六月に皆さん、運輸省のだれか担当官が来られたその事件とどういう絡みがあるのか、そのあたりを教えてほしいと思います。
  248. 梶原清

    ○梶原説明員 県からの要請を受けまして運輸省におきまして日本空港コンサルタンツに委託調査をいたしましたのが、五十年三月成果が出ております。これは図上調査でございます。その後五十一年になりまして、反対派の方が私どものところへ来られまして、その御要請がございましたために私ども計画課の担当補佐官が宮崎方面へ出張する機会がございましたので、その機会をとらえまして現地の一里山へ参ったことがございます。  このときには地上踏査と、それから航大機を利用いたしまして上空から一里山周辺を見せてもらったわけでございます。そういうことでございまして、この一里山の調査のときには、先ほど問題になっておりますゴルフ場の敷地というのは全く候補になかったわけでございます。
  249. 米沢隆

    ○米沢委員 それなら確認をいたしますか、この一里山の空域については反対派の住民の要請もあって、また県の要請もあって調査をした。それは図面上の、いわゆる机上の調査であって、それが五十年三月に出てきておるこの報告書に盛られておるということですね、そうしてたまたま何かの出張に行かれたときに空からそのあたりを見学された、そういうことでいいわけですな。
  250. 梶原清

    ○梶原説明員 五十一年の六月に計画課の担当補佐官が参りましたときには、上空からと、それから地上踏査、両方やってまいっております。
  251. 米沢隆

    ○米沢委員 ところで、ゴルフ場そのものを適地調査はされていない。しかし、この一里山というのは大変近いところでありまして、地形的にも似たようなところでありますから、その一里山の調査結果からして、まあこれは類推でしか物は言えませんけれども、いまのゴルフ場の適地性についていまのところどういう見解をお持ちですか。
  252. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私ども調査をしていませんので、何も言えませんけれども、場所は地図で見たところで一里山とかなり近いわけでありまして、一里山についての難点は、あそこがやはり山地であるために気流等がよくないのではないか、あるいはさらにその西側に山がありまして、障害物になるのではないかというふうなことが一里山を不適当とする理由でございまして、ゴルフ場の場所がどういうところか知りませんけれども、そう遠く離れていない場所でございますので、一里山について表明した見解と似たような事情があるいはあるのかもしれないと思っておりますけれども、しかしいずれも大ざっぱに見当をつけただけの話でございますので、調査してみなければ何とも言えません。
  253. 米沢隆

    ○米沢委員 ちょうどこのゴルフ場の適地性の問題が県議会等でも問題になっておりまして、さきの特別委員会におきまして県の土木部長が、その適地性に関連して、空港設置基準から見てゴルフ場は適地とは言えない、しかし同法には特例事項もあり、公式見解については運輸省とも相談し、さらに手持ちの資料とも合わせて一カ月以内に文書で反証するという御答弁があるのです。そういうことで、運輸省の方にもその相談がなされておると思いますが、運輸省としてはいまどういうアドバイスをなされておるか、特にここで言われております航空法の五十六条の解釈論とも絡めて、わかりやすく説明をいただきたいということが一つ。  それからもう一つは、一向にこの計画が進行しない結果こういう移転論等が出てきていま話題を呼んでおるのでありますけれども、しかしながらいまお話を聞きます中におきましては、その近辺のいわゆる一里山の調査にいたしましても、机上の調査ですね。ただ練習機で上からながめられただけ、そういう意味ではとことん突っ込んでいった場合には、本当に適地性があるのかないのかという議論になったら、余り説得力がない。そういう意味で私はこの議論に終止符を打たないと、現在の空港拡張論というのはまたそっちの方に議論が集中して、こっちはお手上げになって結果的には何も前進しない、こういう結果になるような気がしてなりません。そういう意味で、これはお願いでありますけれども、このゴルフ場の適地性が議論になって県議会ももめておるわけでありますから、ぜひ運輸省が責任を持って、むずかしい調査は大変費用がかかると思いますが、概略調査等々、いわゆる適地かどうかということがわかるぐらいの範囲の調査ぐらいは運輸省の責任で白黒つけていただきたいと思うのであります。  その二点だけお聞かせいただきたいと思います。
  254. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  県の方から照会が来ておりますのは、いま御指摘航空法五十六条の関係についてどういうふうに考えたらいいでしょうかというふうな照会が来ているわけでございますが、それよりも私どもの方は、いま先生が御指摘の、一体現空港二千五百メートル拡張に固執するのか、それとも他の候補地について検討していくのかどうか、また他の候補地についていろいろ議論が沸騰することで現空港の拡張の話自体がぼやけてくるという御指摘については全くそのとおりでございますので、県当局とも十分協議いたしまして、県の方もそういう要請であるならば、候補地につきまして何らかの調査をいたしまして、この議論をある一つの方向に集約していくということの方向を私どもとる必要があると思っております。
  255. 米沢隆

    ○米沢委員 時間もちょっと過ぎておりますが、最後にお願いしたいと思います。  拡張がデッドロックに乗り上げてかなり長引くとなった場合には、今度は宮崎空港、現空港をどう活用するか、こういう問題が重要になってくると思うのです。  そこで拡張の一つの根拠であります737とかDC9またはYS11、こういうものはもうどんどんなくなっていく運命にあるのだ、こういう話がありますけれども、これから先の日本航空の情勢を見て、本当にリタイアの状況にあるのかどうか。それから、成田新空港が開設されますね。そうなりますと、羽田は過密性がなくなります。そうした場合には地方ローカル線から東京入りというのがふえてくるはずです。だから、緩和される状況、どのぐらい緩和されるのか、地方ローカル線から東京入りがどのくらいふえるのか、宮崎空港からの増便は考えられるのかどうか。  それから、わざわざ通産省の方から来ていただいておりますのでぜひ聞かしていただきたいのでありますが、いま一九八〇年代中期を目標に千八百メートル程度の滑走路で二百人乗りと言われるいわゆる短距離滑走大型輸送機を開発するために、YX計画というものが日本とイタリアとボーイング社の努力によって行われておる、こう聞いておりますけれども、その実現性あるいはそのめど、もし実現するとすれば拡張の要はないという議論になってくるのでありますが、そのあたりを絡めてお答えいただき、最後の質問にしたいと思います。
  256. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 先に運輸省の方からお答え申し上げます。  いま使われております航空機の中で、YS11でございますが、これはもう数年前に生産を中止いたしておりまして、逐次これは第一線から撤収をする運びになっております。いつごろになったら姿を消すかということについてはなかなか正確にはわかりかねますが、いまから五年ないし十年の間にYS11は日本の空から姿を消すことは明らかでございます。ただしB737あるいはDC9等の航空機はYS11のような事情にはまだございませんので、そういうことはないと思いますが、しかしいずれにしても航空機の機種というものは、ある何百台かまとめて生産いたしますとやめまして、次の新しい機種を生産するというのが従来のやり方でございますので、737もDC9もいずれはそういう運命になると思いますけれども、ただYS11と違いまして737とかDC9の方はジェット機でございまして、世界の航空界の趨勢に乗っている航空機でございますので、仮にこの機種が生産を中止されましても、やはり似たような大きさのものが生産されることは確実であると思います。したがいまして将来の航空輸送需要から見て、宮崎空港が仮に737、DC9クラスの航空機で十分であるというのならば、使う航空機に欠くことはないと思うのであります。ただ将来の輸送需要から見てもう少し大きい航空機の方が発着回数も減るから騒音対策上もいいではないかという観点から来れば、おのずから結論が別になる、こういうことでございます。  それから、成田が開港いたしまして羽田が緩和するということになった場合にどうなるかという点でございますが、いろいろこれから検討するわけでございます。成田開港後の羽田の問題につきましては、たとえば東京−大阪間のような幹線につきましては、新幹線等もございますし、従来以上に余り輸送力を投入することは考えなくていいんじゃないだろうか。むしろ現在東京から一便か二便しか行ってないような空港がたくさんございます。切符がとても買えないという空港がございます。そういういわゆるビームラインというような地方ローカル空港と羽田を結ぶような空港について、そういった路線について増便をするべきではないか、こう思っておりますので、宮崎空港もその一環として恐らく増便の必要性が出てまいるだろうと思っております。
  257. 山田勝久

    山田(勝)説明員 YX開発構想は、昭和四十二年にYS11の後継プロジェクトといたしまして研究調査が開始されました。その後昭和四十六年ぐらいから、世界的な一つの趨勢である大型化と同時に、それだけ費用とリスクがかかりますから、国際共同開発生産という方向へ指向されてまいりまして、四十八、九年ごろからボーイング社の7X7計画とこの私どものYX計画がドッキングをいたしまして、現在ボーイング社と交渉中でございます。基本的なと申しますか、仕様それ自体につきましては、需要先である米国のエアラインを初め、エアラインの方からの注文というものがございまして、まだ確定いたしておりませんけれども、基本的なコンセプトはいま先生おっしゃいましたような二百人から二百四十人乗りのワイドボデーの短中距離の、そうして低騒音低燃費型、加えましてできるだけ短距離離着陸性能を持ったもの、こういうものが新しい7X7また私どものYX計画の基本的なコンセプトでございます。  現在のボーイングとの交渉経過でございますが、昨年の秋になりまして、ボーイングの本社を中心といたしまして本計画の総合的な事前調査をやりたいので、それが終了するまで一時わが国との交渉を中断させてほしい、こういう申し入れがございました。私どもといたしましては、恐らく近くボーイング社の方から話し合いを再開したいと言ってくると思っておりますけれども、何せこういう大型のジェット旅客機の開発というものは約三千億円の開発費が必要とされますので、かなりリスクでございます。したがいまして、需要先であるエアラインからの確定発注というものが数十機あるいは百機ございませんと試作機の製造に入りませんので、その辺一九八〇年代のニーズというものを踏まえながら、ボーイング社、私ども入りましてでございますけれども、主たる顧客先である米国の大きなエアラインとの折衝をしているところでございます。  短距離離着陸性能につきましては、米国等におきましてと私どもの国とはいささか事情が異なりますけれども、少なくとも先ほど御議論のございました727−200−17でございますかエンジン換装型、あれは百七十人乗りでございますが、私どものは二百四十人乗りでもその程度の滑走路がございますれば離着陸できるというものを私どもとしては望んでおるわけでございます。その前後の関係につきましては、恐らくパイロットあるいは先ほど先生指摘の安全性の問題等がございますので、具体的な事業が開始されましてからできるだけの努力をいたしてまいりたいと思っております。いましばらく事情がちょっと混乱しておりますけれども、できるだけ早目にこのプロジェクトを開始したい、こう考えておる次第でございます。
  258. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。ありがとうございました。
  259. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 次に、小林政子君。
  260. 小林政子

    小林(政)委員 私はまず運輸大臣にお伺いをいたしたいと思いますけれども領海十二海里そして漁業水域二百海里の拡張という適用海域の広がりなど、海洋新時代に対応いたします海上保安庁警備体制あるいは海上保安体制というものを考えますときに、先ほど来からいろいろと御意見が出ておりましたし、質問に対するお答えもあったわけでございますけれども、現状というものを踏まえて、将来この対応策を具体的にどのように検討を深めていこうとされているのか、この点まずお伺いをいたしたいというふうに思います。
  261. 田村元

    田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、二百海里時代というのが実は想像以上に早く参りました。でありますので、従来的なテンポをうんと速めなければならない。それから航空機にしましても船艇にしましても、大型化しなければならぬ、高速化しなければならぬ、それにやはり相当増強しなければならぬ、こういうことで、もちろん五十二年度の予算でも、御承知のようにことしは相当思い切った増強でございますけれども、一応答弁は先ほど申し上げたように、重点海域を定めまして重点警備をするということで、その責めを果たすことはできると思いますけれども、将来のことを思えば、われわれはもっと増強していかなければならぬということで、本年も補正予算にいたしますか予備費にいたしますか、いまのところまだ詰まっておりませんけれども、急いで補充をしていこう、こういう考え方を持っております。  二百海里、十二海里時代を迎えまして、特に海上保安庁は非常に思いを新たにして使命感に燃えております。と申しますのは、従来海上保安庁業務について今日ほど論議されたことはありません。特に海上保安業務というのは海上保安庁がやるのだということを非常に明確にしてきたわけであります。もちろん海上自衛隊もございます。ございますけれども海上自衛隊はあくまでも情報提供者であり、仮に行動があった場合においても支援後拠にすぎません。海上保安庁が、海の守りといいますか、沿岸警備は全責任を負わなければなりません。でありますから、当然海上保安官も増強しなければなりませんし、今日使命感に燃えております保安庁の諸君の期待に沿うように私ども全面的な努力をしたい、このように考え、もって保安業務の万全を期しておる次第でございます。
  262. 小林政子

    小林(政)委員 ただいま大臣の非常に前向きな積極的な御答弁でございますけれども、聞くところによりますと、政府部内から、保安庁では幾ら船を買ってやっても実効が期待できない、こういったような主張も出ているやに聞いております。しかし私はやはりこの海上、沿岸警備という問題については、何といっても海上保安庁が新しい二百海里時代に対処して、本当に漁民の安全性の問題、あるいはそれらの点も海上保安庁として責任を持って対策を立てるということが最も必要ではないかというふうに考えますけれども、このような意見も出ておりますだけに、一層私は、この点について海上保安庁としての見解をひとつお伺いをいたしておきたいと思います。
  263. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 お言葉を返すわけでは決してございませんが、海上保安庁に物を買ってやっても役に立たぬという議論は余り出ておりませんので、その点はどうぞ御心配のないようにしていただきたい。  いまも大臣から海上保安庁の決意を述べました。私ども一万一千人の職員でございますが、本当に心からその責任を痛感しておりますし、さらにまたこういう席上で先生大臣お話を聞いておりますと、またこの席でさらに思いを新たにするということで重責を痛感する次第でございます。できるだけ皆さんの御支援によって必要な装備を強化することによって、またわれわれの決意を新たにすることによって、ぜひその任務を全うしたいと考えております。
  264. 小林政子

    小林(政)委員 現在保安庁が持っております巡視船艇三百八隻ですか、それから航空機三十四機、人員一万一千人と言われておりますけれども、具体的に保安庁が使用する巡視船などについても、船艇の建造トンというのですか、大きさなどもいろいろ違うと思いますけれども、これらに対する建造費というものはどの程度かかるのか、これらの見通しもひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  265. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 船艇航空機の整備の費用というのは最近ずっとふえてまいりました。一番近い数字で申しますと、これは正確ではないのですけれども、ことし五十二年度の予算で盛られている数字は百三億ぐらいということでありまして、その予算は一年前の五十一年度の数字はたしか六十数億でございましたので、かなりふえた結果が五十二年度の予算となっております。しかし先ほどからもいろいろお話がございましたように、こんなことでは足りないぞということにつきましては、私どももその必要を感じております。できるだけ数年間にわたる整備計画を見直して促進するということで、もうちょっと大きな数字にして整備を図っていきたいと思います。
  266. 小林政子

    小林(政)委員 巡視船艇等の増強とあわせて、先ほど大臣も言われましたように、性能の改善、これを強化していくことが非常に必要ではないか、私も全くそのとおりだと思います。現在保安庁が保有しております三百八そうのうち、保安庁が発足当時建造したような古いものも相当含まれていると聞いておりますが、具体的には船艇などの耐用年数は大体どの程度と見ているのか、あるいはまた古い船などは何そうくらいあるのか、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  267. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 巡視船だけで九十五隻ございますが、いま先生お話しのございましたように、二十三年に海上保安庁が発足した当時から残っている船といいますとただ一つ宗谷がございます。これは昭和十三年の建造でございまして、南極でかなり活躍もいたしましたが、そのためにも三十一年くらいに改造を加えてあります。しかし、もはやかなり老齢でございますのでこれは五十二年度の予算で代替建造ということで生まれかわって、ヘリコプター搭載巡視船になることになっておりますので、発足当時からのはただ一つで、これは整理がついたということでございます。  巡視船は耐用年数二十五年と考えますと、耐用年数を過ぎている船がそのほかに二百七十トン型の巡視船が二十六年の建造で五隻ございます。これも同様に五十二年度の予算で代替建造ができまして新しく三百五十トンに生まれかわることになりましたので、問題は済んだということでございます。  したがって、ただ一つ問題が残っておりますのは、先ほどもちょっとお話が出ました四百五十トン型の巡視船、これが二十五年ないし二十六年度に建造されたものが総数で十九隻ございます。これの代替建造をするということが今後に残された問題でございます。代替建造につきましては、当然性能の向上ということを私どもは絶えず考えているわけでございまして、現に三百五十トン型は十八ノットも出るということでかなり性能がアップしております。したがって、来年度からこの四百五十トンの代替建造にかかりたい、こういうことであります。  一方、それとは別に、新しい整備の問題が先ほど申し上げました四つの項目にわたってあります。一つは、ヘリコプター用の巡視船をふやしていくこと、YSの改造でございますが、大型航空機をふやしていくこと、中型のヘリコプターを陸上基地から飛ばせられるようにふやしていくこと、それから根室と対馬の海峡用に現在の二十三メートルよりも性能の向上した三十メートル、三十ノットの高速巡視艇をふやすこと、この四つを掲げている次第でございます。
  268. 小林政子

    小林(政)委員 北海道の北端部の沿岸操業しております漁民の人たちなどからも、冬に海がしけて遭難の危険に遭ったとしても、保安庁の船というのは小さくて、あるいはまた速度も遅くて直ちに間に合わないというような声を私どもも聞いております。何とか新鋭の大型船にかえてほしいという要求も強いわけです。いま聞きますと、二十五年の耐用年数を超えているものがもう十九そうもあるということでございます。こういった問題についても大臣、これは早急に代替の方向に切りかえて遭難の危険に遭った漁民たちの要望にこたえる必要は緊急の課題だと思いますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  269. 田村元

    田村国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございます。でありますから、従来あった計画等はどんどん先食いしていく、スピードアップする。また、ちょうどいい機会でございまして、こういうふうに国論が保安庁の増強に集約されておるときに、党派を超えて皆さんから応援、御激励を賜っておるときに、保安庁の増強体制の骨子をつくっていかなければならない、私はこのように考えております。でありますからいつだったか、私、予算委員会でも言ったことがありますが、保安庁長官にとにかく大蔵省とよく折衝しろ、もし力及ばなかったならば運輸大臣みずから、田村みずからが大蔵省へ乗り込んでいくであろう、こういうことを申しましたが、そのような決意で臨んでおる次第でございます。
  270. 小林政子

    小林(政)委員 時間もなくなってまいりましたので、次に私はタクシーの値上げ問題について、自動車局長初め大臣にお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおりこの五月六日から、約二〇%のタクシー料金の値上げを運輸省は認めたわけでございますけれども、このタクシー値上げの問題については、利用者の問題あるいはまたタクシー労働者の立場という問題で現在、深刻な影響が出てきているというふうに私どもは見ております。  この値上げの認可前にも、私はこれらの何点かの問題について指摘をすると同時に、質問もいたしたわけでございます。特にタクシーの経営者は法律違反の件数が相当多い。こういう問題についても、道交法だとか道路運送法の法律違反はやはり厳しく規制する、また改善指導を行っていくという点なども含めてこの問題について質問をいたしたわけでございます。  タクシー労働者の職場の実態一つを見ましても、あるいはサービスの問題、経営者の違法行為といった問題、利用者の問題など、いずれも本質的には解決の方向が出ているとは考えられません。  値上げ認可に際して、四月二十六日の物価問題閣僚会議の決定によっても、五項目の中で、特にタクシー労働者の実情にかんがみ労働条件の改善を図るということも一項目、はっきりと入っているわけでございますけれども、これらの決定が、具体的には改善どころか、むしろ逆行するような結果が出ているのではないか、私はこのように感じます。  これは私も具体的に話を聞いたり調査をいたしたわけでございますけれども、たとえば駅周辺の状況はいまどんなふうになっているだろうか、こういうことで調べてみますと、非常に長時間、集中的に客待ちの車がずっと行列をしているような状況です。商店街の場合などは、商品の搬入搬出をめぐっていろいろと迷惑をかける、こういう事実が出てきております。あるいはまた交通渋滞を引き起こして自家用車やバス、トラックなどの運行にも、場所によっては妨げになる、こういう事態も起こってきております。  あるいはまた交差点の実態など、運転をしている人の話を聞きますと、客減りがしている中で何とか前方のお客様を拾おうと、一歩でも他の車より先に走り出ていこうとする余り信号の変わり目に急発進をしていくというような、こういう危険度も増大している、こういうようなことも私は話を聞き、また目でも見ておりますし、あるいはまた盛り場の状況ども、客待ちのために路地路地に停車をしたタクシーの空車で、ほとんど他の車が通行できないというような場所すらできてきているのが現状でございます。これらは、このサービスの問題も含めて、本当に値上げ前のときに指摘した、あるいは閣僚会議が決定をした内容というものが具体的にどう改善されているのか。むしろこれは改善されるどころか、逆に動いて作用をしているのではないか、私はこのようにすら感じるわけでございますけれども、このような具体的な実態について調査をし、把握をされていらっしゃるかどうか、この点について自動車局長にお伺いをいたします。
  271. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私ども、六大都市のタクシー運賃の改定に当たりましては、物価問題に関する閣僚会議の決定事項を体しまして、関係陸運局長におきましてもタクシー近代化センター、事業者団体に対しまして通達を行っておりまして、それに基づいてサービス改善の実施計画を提出させ、これを定期的に点検していく、報告のフォローをいたす、こういう考えでおります。  いま御指摘の具体的な事例につきましては、関係陸運局におきまして、多数旅客の集合する場所等におきましては、陸運事務所とタイアップいたしまして、現地の街頭へ出てそういう実態を把握いたしております。  タクシー事業の場合は時間と場所によりまして需要というものが波を打つわけでありますので、従来から御指摘のような事象というものは間々見られるわけでありまして、これをただ流しをしてタクシーか旅客の需要を賄うというだけでなしに、私どもとしては無線タクシーの家庭配車なり乗り場の増設なり、そういうことによって旅客を引きつけてまいると申しますか、旅客の利便にこたえていこう、こういう方向で指導してまいろうと思っております。
  272. 田村元

    田村国務大臣 ちょっと私から、局長の補足というのもおかしいのですけれども、申し上げておきたいと思います。  先般の六大都市のタクシー運賃値上げに際しまして、本来行政的にはもっと早く値上げをすべきだったかもしれません。しかし、それを何カ月も私は抑えました。その趣旨はタクシー業界に対して反省を求めたかったからであります。タクシーというのは、私の認識としては自家用車すら持ち得ない、本当の庶民の足だ、それならば庶民に愛される足にならなければうそだ、こういう考え方でございます。  タクシー業界というのは確かに前近代的なところがございます。でありますから、サービス面においても労働条件の面においても、よほど厳しく改善をしてもらわない限りにおいては私はサインをしない、こう言ってがんばりました。今日労働省が労働条件について大変熱心にしていただいておる、われわれもお願いもし、それに御協力申し上げておる。その問題にしましても先ほど局長が申し上げたような問題、あるいは何でもないアイデアでありますけれども、私が指示いたしましたのがタクシーのカードでございます。これにはどこに苦情を言ってこい、番号は何番だ、この車はどこの車だ、みんなはっきりしておる。ナンバーも何番だとわかっておる。それをおりるときにちょっとポケットに入れていけば文句も言える。そういうふうにすればサービス向上もできるだろう、いろいろなことを考えまして、業界に対しては非常に厳しい姿勢で改善を求めておりますことをつけ加えておきたいと思います。
  273. 小林政子

    小林(政)委員 いま私が幾つかの例を挙げたわけでございますけれども、私はこの根本的な問題は前回の質問のときにも明らかにいたしましたけれども、これは公共性を持つ乗り物でございますので、確かに運転手の人にも、具体的に安全運転ということで気をつけてもらわなければならない。しかしそれだけでは解決できない。この裏に問題があるんだという点を私は指摘をいたしたわけでございます。  現在、東京の経営者団体が実質的にはスライド制というのを賃金体系の中でとっておりますね。客減りで収入が減った上にこのスライド制が実施されたら、具体的にはどうなるのか。これはもう運賃は上がったが給料は大幅なダウン、こういう結果になってあらわれてきているわけです。確かに運賃は上がったけれども、給料そのものが大幅なダウンになっているんですね。  私はいま具体的な数字を持っております。そして運賃値上げは、本当にタクシーの運転手にも労働条件の改善につながる、お客様にもサービスの改善につながる、経営者にも経営の安定につながっていく、こういう名目で値上げをしながら、具体的には運賃は上がったけれども、働いている運転手の人の給料は逆に大幅にダウンをするというこういう結果というものは、政府の言う労働条件の改善ということに当たるのかどうなのか、この点について自動車局長からお答えをいただきたいと思います。
  274. 中村四郎

    中村(四)政府委員 五月六日から実施いたしましたわけでございまして、五月二十日ぐらいまでの状況を見ますと、実車率等で、たとえば東京の場合二%から三%の対前年同月に比べて落ちてきておるわけであります。それにつきましては、従来ともこういった運賃改定の場合に一定期間の落ち込みというのはあるわけでありまして、今回に限ったことでございません。  しかしながら、いま申し上げましたように、私どもとしては運賃改定につきましては、経営の安定と同時に労働条件の改善、サービス改善、こういうことになっておるわけでありまして、そのことによって労働条件が改善されないということはわれわれ毛頭望んでおるわけではございません。もう少し時間をかけまして、そういった旅客の回復状況というのを見なければならぬと思います。そういたしまして閣僚会議においても御決定いただきましたように、今回の運賃改定を機にいたしまして、従来の条件改善ということに進むわけでございます。  事業者団体と組合の方におきましても、そういった一時的な需要の落ち込みに対しましては、従来の労働条件、給与等につきましてこれを維持するような話し合いも行われておるわけでありまして、そういった方向でぜひ今後も労働条件の改善にはわれわれといたしましても労働省とタイアップして指導してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  275. 小林政子

    小林(政)委員 東京の余り大きくないあるタクシー会社の実車率がいままで平均して、ことしに入りましても値上げ前までは約五〇%という数字がずっと出ておりますけれども、この値上げが行われましてから現在まで実車率は四二・八というふうに下がってきております。したがって、このことは六割近くが空車で走っている、こういう状況をこの数字は示しているものだと思います。したがって、運転手の人が何とかお客を早く拾おうということで、信号を待つ間ももどかしく他の車を追い越してでも先へ進もうというようなこういう結果も出てきておりますし、私は、本当の意味での安全交通とかサービスというものは、働く人たちの生活というものがある程度きちっと保障されなければ行われないというふうに考えております。  私は、運輸省がタクシーの値上げを行う場合の責任を持つ官庁でもございますし、また監督官庁としても今後大きな役割りを果たしていかなければならないというふうに思いますけれども、そういう点で、これらの問題点の正しい改善という問題について強力な行政措置を行う必要があるのではないか。事実、私自身が幾つかの具体的な数字を集めておりますけれども、時間の関係でいまここで全部これを明らかにするということはできませんので、これらの点については、ぜひとも政府がこのような実態というものを調査をしてもらいたい、そしてその実態を把握した上で行政措置をとるべきだというふうに考えますけれども大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
  276. 田村元

    田村国務大臣 民間企業の給与の立て方等について私どもは批判、指導する立場にはないかもしれませんけれども、タクシー業界におけるそういうような点においても、考えていただかなければならぬ点は多々あるかと思います。何といっても、労働者がゆとりある労働ができるということが、一番本人にもいいことであると同時に安全にも通じることでございますから、そういう点で私どもはこれからも十二分に監督をしてまいります。  また、実態調査、これは当然やろうと思っております。現にやっておると思いますけれども、もっと厳しくやろうと思っております。それは、先般タクシー業界に対して私が厳しい注文をつけた手前も、厳しい調査をしたい。そこで、恐縮でございますが、小林さんの方でも、お気づきの点を私どもの局長なり部長なりにちょっとまたメモ書きででもお渡しいただいて、いろいろとアドバイスも願いたいと思います。  さようなことで、この問題については、私は、峻烈と言うと言葉はちょっと厳し過ぎるかもしれませんが、厳しい態度で臨む決意であります。
  277. 小林政子

    小林(政)委員 終わります。
  278. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十三分散会