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1977-03-30 第80回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月三十日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大野  明君   理事 小此木彦三郎君 理事 増岡 博之君    理事 宮崎 茂一君 理事 坂本 恭一君    理事 渡辺 芳男君 理事 石田幸四郎君    理事 河村  勝君       北川 石松君    関谷 勝嗣君       永田 亮一君    堀内 光雄君       三塚  博君    森下 元晴君       太田 一夫君    久保 三郎君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       田畑政一郎君    草野  威君       宮井 泰良君    川合  武君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         運輸政務次官  石井  一君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省船員局長 横田不二夫君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         海上保安庁次長 間   孝君         労働大臣官房審         議官      谷口 隆志君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   森  郷巳君         外務省国際連合         局専門機関課長 中村 昭一君         社会保険庁医療         保険部船員保険         課長      川崎 幸雄君         労働大臣官房国         際労働課長   石田  均君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   古屋  亨君     関谷 勝嗣君   中馬 弘毅君     川合  武君 同日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     古屋  亨君   川合  武君     中馬 弘毅君     ————————————— 三月二十五日  外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する  不利益取扱いに対する特別措置に関する法律  案(内閣提出第六四号) 同月二十八日  国有鉄道運賃法改悪反対等に関する請願(小  林政子君紹介)(第二一六五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する  不利益取扱いに対する特別措置に関する法律  案(内閣提出第六四号)  陸運に関する件(トラックの過積みに関する問  題)  陸運及び日本国有鉄道経営に関する件(踏切  道の連続立体交差化に関する問題)  海運に関する件(船員失業対策に関する問  題)  航空に関する件(地方空港に関する問題及び日  米航空協定の改定に関する問題)  港湾及び海上保安に関する件(港湾運送に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保(三)委員 まず最初にお尋ねしたいのは、ごく最近内浦港ソ連木材積みプッシャーバージが入港して荷役作業をした事実に関係してであります。この内容については関係の方、御承知だと思うので、時間の関係もありますから余り申し上げません。ただ政務次官はおわかりにならないかと思うので、これをごらんください。——このプッシャーバージについて一番問題になるのは、何といっても港湾運送の問題であります。特に港湾運送関係する労働者関係することが大きいわけであります。時代は進むのでありますから、近代化や、あるいは革新というか、そういうふうに進んでいくことは船の場合でもあるいは当然かと思うのであります。しかしこれは、他の領域に大きな影響なり打撃を与えることがあってもやむを得ぬ、あるいは当然であるということは、社会正義の上からいっても通らぬ理屈だと思うのです。そういう意味で、技術革新を伴う場合には特に関係労働者というか労働力というか、そういうものを中心にした経済環境というか、そういうものを十分に考えねばならぬ。それから、言うまでもありませんが、環境の保全について考えねばならぬ、こう思うのです。そこでソ連船内浦港における木材の取りおろしについてでありますが、これは、いま申し上げたような観点からいくならば、当然関係者の間で意見の調整を行った上で、この方式を導入するかどうか、導入するについてはいかなる方法をとるべきかというようなことが協議されてしかるべき筋合いのものだろうと思うのであります。ところがこれは全然そういうことがなくして、しかも港則法というか、いわゆる港湾として開港はされておりますが、港湾運送法上の港湾でない内浦港というところで荷役作業をしている。これは何かどうも法律の盲点をくぐってやられているのではないかというふうな疑いを持つわけでありますが、これらについて運輸省はどういうふうに思っていらっしゃるのか、まず最初それだけ伺いましょう。
  4. 石井一

    石井(一)政府委員 ただいま先生がお見せになりましたこのプッシャーバージの写真を私も拝見いたしまして、いわゆる近代化を進めたいがそれに関して労務条件がどうなるかということに関して一目して理解できる、私も何かぎょっとするような感じを受けたわけでございます。  そこで、この問題が起こりましてから、全港湾から、港湾労働者の雇用不安に対する問題について、並びに環境問題に関しまして海洋の汚染などについての問題がある、この点について、という二つの問題に関する要求書提出がございまして、運輸省の方では、現在鋭意これを港湾局において関係者を招致いたしまして、事情を聴取するなり今後の方針検討しておる、こういう段階でございます。それからまた海上保安庁に対しましてもこの汚染問題等について検討をお願いしておるというのが現在の姿でございます。  それから今後の方針といたしましては、今後北洋材輸送量がどのように変わっていくかということを勘案したい。恐らく増加の一途をたどるのではないかなというふうに見ておるわけでございますが、これがどのようになるかということが一点。それからもう一つ、これがもっと港湾労働にどんどんと入ってくるというふうなことになりますとどの程度影響を及ぼすだろうか、恐らく船内荷役というものは完全に減少するという方向でございますけれどもいかだ等作業は恐らく多くなるだろう。こういうふうな問題につきましてもいま関係者との意思疎通を図っておりまして、この点遺憾なきを期していきたい、こういうふうに考えております。  なお、これらの協議港湾労働者を雇用しておる運送事業者経営の責任という上において行うべき筋のものでございます。それからもう一つは船主であるソ連側と荷主である商社、こういう協力が必要だろうと思いますので、これを港湾事業者に任すというわけにまいりませんから、運輸省は積極的にこれらの協力を要請していきたい、こういうふうに考えております。  なお、御指摘中心でございました、こういうものが入る事前協議をするべきではないかという点でございますが、なるほど運輸省の方はその点については必ずしも十分な措置をしたとは考えておりません。特にこれが日本国内でつくられたというふうな事実もあるわけでございますから、それだけの時間もあったというふうなことを考えました場合、もう少し万全の措置をとるべきではなかったかな、こういうふうに考えます。
  5. 久保三郎

    久保(三)委員 大体お話わかりましたが、一つはいまの港湾運送事業法適用範囲ですね。これは、御承知のとおり港湾運送事業法において港湾は限定されております。この限定されている理由は、言うなら港湾運送事業秩序を維持するということが中心的な目的であるというようなことから、余り競争のないところとかあるいは業者がたくさんおらぬところとかいうようなことで実はできているように思います。しかし、いまこのソ連船プッシャーバージ内浦港にたまたま来た、たまたま来たというより計画的に来ているのではないかというふうにも思うわけでありますが、だからこれから、政務次官おっしゃるように、南洋材についてはすでに御承知のとおりの問題もありましてこれはもうほとんどストップかもしらぬ。そうなると北洋材が御説のとおりかなり持ち込まれてくる。しかも今度原木の横持ちですね、横持ちは極力避けることが、これは何といっても流通経済の上から当然だと思うのですね。そうなりますと、港湾運送事業法適用港だけじゃなくて、すべての開港をねらってと言ってはおかしいが、そういうものを利用して、横持ちに便利なところにどんどんやってくる。しかもこれは港湾施設を余り必要としないんですね。貯木場みたいな水面があればいいんですね。そうなりますと、これは港湾以外のところにも場合によっては、そういう取引はできないと思いますけれども、来るかもしらぬ。海岸であればいいというようなことになると、これは大変な問題になると思うので、港湾事業運送法適用範囲検討をすべき時期に来ていると思うのであります。しかも港湾運送事業法は、先ほども申し上げたような事業秩序を維持するということだけになっておりますけれども、これはそういうことだけで果たしていいのかどうかですね。港の機能もずいぶん変わってまいりましたし、あるいは船の出入りも違ってきた、船の形もいまお話しのように変わってきたというのでありますから、そういう観点から港湾運送事業法は当然再検討するのが必要です。  それからもう一つ。その問題は別として、きょうの質問の中心であるソ連船プッシャーバージについて、いま政務次官から、これから関係者協議をされるということであります。これからでも結構であります。これからでも結構でありますが、それじゃだれがイニシアチブをとってそういうテーブルに着かせるのか。これはどういう考えでおられますか。
  6. 大久保喜市

    大久保政府委員 この問題につきましては、この事柄が起こりましたのが港湾の中のことでございます。そういうことで、私どもといたしましては、先ほど政務次官の御答弁の中にありましたように、今後の輸入の見通しとか、こういう方式港湾労働の問題あるいは環境の問題にどの程度影響を与えるか、それから実は一遍にばっと落とすということは、この狭い港湾区域の中で、どこでもできるということでもございませんし、そういう港湾管理上の問題もございます。そういうことからしまして、やはり港湾局といたしまして、非常にいろいろな方面と接触していかなければならないと考えております。  それで、港湾労働の問題につきましては、私ども、いわゆる港湾運送業者の団体でありますところの日本港運協会、これは全国的な組織でございますが、それと全港湾との間で、よく意思疎通を図って、相談していただくように、私どもとしてできるだけの調べた結果の情報、データを提供しながら指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  7. 久保三郎

    久保(三)委員 局長お話政務次官の話よりずいぶん後退していますよ。政務次官は、ソ連というか外国でありますが、商社港湾運送事業者、それから関係労働者、そういうものも入れてという話。私が聞いているのは、だれが主導権をとってテーブルをつくりますかと聞いているのでありまして、あなたの場合は、当然港湾運送事業者と当該の港湾労働者代表が会って話をすればいいと言う。そういうことではいまこれは話してないのですからね。内浦港でやる場合は、港湾運送事業法適用外ですからね、何もそういう事業者関係はないのですよ。だれがやったっていいのですよ。そうでしょう。そういうものがあるから、私は、だれが主導権をとってテーブルをつくってくれますかということを言っているのです。しかも港湾労働組合は、ソ連にも再三にわたって公式に要請というかこちらの考え方を申し入れしているわけですね。だから、本来ならば政府も、いままでのしきたりからいけば、当然政府としてソ連政府にこの問題について、ひとつテーブルに着いてもらいたい、少なくともそのくらいの申し入れをして、テーブルに着かせることでなくてはいけないのではないかと思うのですよ。  と申し上げますのは、ILOの、一九七三年に、港湾荷役変更に伴う労働条件といいますか、そういうものに関係しての条約があるわけですね。この条約については、もちろん日本政府賛成はしましたが、これはまだ批准をしておりませんね。正式の名前は、御存じのとおりだと思うのですが、港湾における新しい荷役方法社会的影響に関する条約並びに同じく勧告、二つ出ているのですね。これは批准するしないにかかわらず、賛成した立場からいけば、この中に盛られている大きな課題というのは、いま私が質問している内容そのものなんですね。新しい荷役方法による労働計画というかそういうものに大きな影響を与える場合には、関係者寄って協議をしなければなりませんということになっているのですね。だから、本来ならば、こういう条約を早く批准してもらいたいのです。これは後から聞きますが……。  いずれにしても、そういうものを考えますれば、これは政府——政府といっても港湾局中心だろうと思うのですが、関係者を同じテーブルに着かせ、早急にこれは協議をして、そして一応のめどをつけるというのが、私は一番正しい方向だと思うのです。アメリカラッシュ船が入ってくるときには、事前アメリカの方から打診があって、御承知のとおりそれに基づいて協議の上にラッシュ船の受け入れをしたわけでしょう。そうでしょう。そうだとすれば、ソ連だけが別扱いというわけにはまいりませんし、また大きな問題ですからね。  それからもう一つは、船内荷役がなくなるだけでいかだの組みやなんかは多くなりますというお話がありましたが、多くなるとか少なくなるの問題ではないのです。港湾荷役方法が変わってきているのですから。その点でソ連代表部も言うそうですね。いや、仕事が多くなってきているのですからいいじゃないですか、減るわけじゃないのですよと言うのですが、それだけで簡単に仕切れるものではないと思うのです。もう一遍御答弁願えますか。
  8. 石井一

    石井(一)政府委員 ただいまの問題は確かにごもっともだと思うのでございますが、主体が一つは全港湾という働く人々、それからもう一つはこれを雇用しておる港運協会という組織が歴然としてあるわけでございますから、これらを中心お話しをいただくということがまず筋だろうと思います。ただ、私が答弁いたしましたように、もうすでに関係官庁とも交渉もいたしておりますし、商社筋とも当たっておりますので、運輸当局といたしましては、これらに勧告をしたり指導をしたり助言をしたりするというふうな形から、問題が起これば徐々に積極的に入っていく、こういうふうな姿勢が一番自然ではないかな、こういうふうに省内では考えております。  それからILO条約の問題に関しましては、その精神をとうとび賛成をしておるのですから、当然直ちに批准をしたいのでございますが、技術的な細かい問題があろうかと思うのでございますが、基本的には批准でき得るものでも国内法との調整でなかなかうまくいかぬというふうな問題もございますので、この問題も、こういう問題が出てきたのを契機に十分検討をして批准可能性というものを進めていきたい、こう思っております。
  9. 久保三郎

    久保(三)委員 港湾運送事業者とその相手である港湾関係労働組合、そういうものの話し合いで片がつくならこれは問題はないのです。御承知のとおり数多くの商社日本輸入業者が介在しておるのです。それから相手ソ連船というのでしょう。だから、そういうものも含めなければ港湾運送事業者との話し合いはできないのです。大体さっき言ったように内浦港では港湾運送事業法適用にならないのだから。やっている人はもちろんどこかの運送事業に登録した人がやっているかもしれませんが、そこでは事業法によるところの事業者ではないのであります。理屈を述べればそういうことになるので、そういう意味商社も含め、あるいはソ連代表部なら代表部も入れて話し合いをしましようというのが当然じゃないですか。もしもソ連代表部が入ってこなくて直接は無理であるというならば、あなたらが実際はソ連との交渉に当たってほしいのです。そしてそれをテーブルに持ち帰ってこれをやっていく。本来ならこれは仁義にもとるわけですよ。港湾運送事業法適用以外の内浦港で何でやるのか。新潟港とか何かあの辺にもありますね。堂々とそこでやったらいいじゃないですか。何でそういう港湾運送事業法適用港以外のところでやるのか。これからもそういうものを日本政府としてはやむを得ないとかあるいはそれはいいのだということでおやりになるのかどうか。これは港湾運送ばかりではなくて、あなたは港湾管理上の問題と言うが、管理上からは、はっきり言うと、これは取り締まれませんよ。港湾法取り締まりには何もないですから、取り締まるのは何かといったら港則法ですよ。港則法適用になっていないのです。これははっきり言うと取り締まりはないのですよ。だからそういうものを含めて正規な手続に、軌道に乗せる、そのためにはいまのプッシャーバージの入港はちょっと待ってくれ、お話し合いをしましよう。港湾労働の方でもこれを阻止するということだけではないのです。いわゆるルールを決めてもらおう、とにかく無法に入れられては困るということが真意じゃないかと私は見ているのです。しかし、この問題が片づかなければ港湾労働組合は一斉にソ連船荷役はやめます、ストップするというのです。これは政府としても黙っているわけにはいかないでしょう。国際間の問題になりますから。単なる労使の問題とか何かじゃないですよ。だから、そういうものを考えてどういうふうになされますか。もう一遍お答えいただきましょう。
  10. 大久保喜市

    大久保政府委員 ただいま御指摘のように、この問題は港湾運送業者港湾労働者だけの問題ではなくて、これを解決するためには、ソ連側それから商社協力を得なければ解決しない問題でございます。そういうことからいたしまして、私どもといたしましては、ソ連という外国との関係でございますので、その件につきましては外務省の方を通じましてソ連側の方に善処方をお願いするように考えております。  それから商社筋の方につきましても、これは実は私どもの方は直接商社を監督する立場にはございませんので、やはり制約がございますが、関係省とも連絡をとり、商社協力を得るように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  11. 久保三郎

    久保(三)委員 それでは局長、いまおっしゃったことをいつから始めますか。
  12. 大久保喜市

    大久保政府委員 実は外務省の方に対しましては、即刻にもよくお願い申したいと思っております。  それから商社筋の方につきましては、実は現在突然のことで余りわからないことが多過ぎるものでございますので、いまいろいろの事情を、ともかく情報をとるという作業をやっておりますが、これも私どもこの対応の仕方を早急に組み立てまして、それで取り組みたいと思っておる次第でございます。
  13. 久保三郎

    久保(三)委員 商社は十何社あるそうですか、一遍港湾労働組合の招集に応じて事情を聞いて帰って、きのうの夕方返事をしたそうです。御存じかもしれませんが、テーブルができますればいつでも着きます。こういう話なんです。ぜひあなたの方でイニシアチブをとってやってもらいたいと思います。  それで、きょうは外務省からも来ておるけれども中村専門機関課長さん、あなたはその方の関係ではないですね。
  14. 中村昭一

    中村説明員 直接の担当ではございません。
  15. 久保三郎

    久保(三)委員 ないけれども、あなたに申し上げておきますが、ILOの先ほど申し上げた港湾荷役変更に伴う条約並びに勧告関係して、ソ連政府に対して、いま港湾局長が言うように、早急に手続をとってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  16. 中村昭一

    中村説明員 お答えいたします。  ただいま石井政務次官から御答弁がございましたとおり、政府といたしましては運輸省において事態の検討その他を始められた上、所要の措置について当省にも御相談があるかと存じますが、外務省といたしましては本件に関し問題の所在を明らかにした上でソ連側と話し合う問題点があるか否かを含め、同省と協議の上措置ぶりについて検討してまいりたいと考えております。
  17. 久保三郎

    久保(三)委員 大変しとやかな答弁で、ちょっと途中がよくわかりませんけれども、おやりになるということですね。
  18. 中村昭一

    中村説明員 運輸省協議の上、必要がある場合にはそのようにいたしたいと考えております。
  19. 久保三郎

    久保(三)委員 必要があるのです。ある場合じゃなくて、必要があるのです。先ほどこちらで答弁したとおりでありますから、よろしくお願いします。  時間がありませんから次へ参りますが、続いてILO条約です。これは労働省は来ておりますか。労働省が言うなれば原局というか原省というのか、外務省関係がありますし、運輸省はもちろんでありますが、この三省間でいま私が挙げたILO条約並びに勧告批准する、そういう作業はこれまでやっておられるのかどうか。まずどちらに聞きましょうか。労働省が一番いいですかな。
  20. 谷口隆志

    谷口(隆)政府委員 御指摘のございました港湾労働条約につきましては、私どもとしましては、その条約内容港湾労働法とかその他関係諸法令におおむね合致しているということでは考えておるわけでございますけれども、ただその批准につきましては、わが国の関係諸法令条約で実施を求めております事項に完全に合致しているかどうかという点でなお問題がございますので、慎重に検討しているところでございます。
  21. 久保三郎

    久保(三)委員 条約は現行の法律におおむね合致しているということでありますが、あなたの方の所管の港湾労働法律港湾労働法一つですね。その一つだけ見て、これに合致しておりますか。これはそういう変化があるときには、たとえば関係者協議しろ、あるいは労働力計画変更がないようにしろとか。ところが、あなたの方の労働力計画なんというものはないのじゃないですか。おおむね合致するというのじゃなくて、そういうものは第一持っておらないのじゃないですか。失礼だが、大体この内容をまさかお読みになっているのでしょうね。限られた時間でありますから、私が一々読んで聞かせてどうですかなんというのではちょっと時間がありませんから、いずれ時間をもらいますけれども、この「荷役方法変化影響」という条項、おいでになる限りはまさか読んできたのでしょう。そういう中に何が書いてあるか、もう一遍見てもらいたい。その四の中に「新しい荷役方法の導入及びこれに関連してとるべき方法は、国内及び地域の開発並びに労働力計画及び労働力政策調整されるべきである。」こんなもの何もないじゃないですか。港湾労働法なんかにそんなこと書いてないですし、またそういう政策はいまだ寡聞にして聞いたことがないのですよ。それをおおむね合致していると言うのは、これを批准すると国内法をつくるのにめんどうだからというので、おおむね合致しているということでいいかげんな答弁でいるんじゃないですか。これを専門検討している人はだれですか、労働省専門検討している方はどなた。
  22. 谷口隆志

    谷口(隆)政府委員 港湾労働関係の所掌は、職業安定局特別雇用対策課というところがございまして、そちらで検討いたしております。なお、国際条約に関連いたしましては、官房国際労働課というところもございまして、そちらであわせて検討いたしております。
  23. 久保三郎

    久保(三)委員 これは両方で余り熱心でないんじゃないですか。おれの方じゃねえぞ、これは条約はおまえの方だとかね。審議官はそれをまとめる人ですね、あなたは。あなたがキャップだな。責任者でしょう。あなた自身がいままでこれを検討したためしがありますか。御答弁はおおむね合致しているという答弁だったが、ないんじゃないですか。きょうは時間がないからこの辺にしておきましょう。この次までに勉強しておいてもらいたい。賛成したからには批准するというのが当然な国際的なルールですよ。賛成しても批准しないなんというのはおかしい。批准できないものは賛成しない方がいいんじゃないですか。何かお話があるようですね。では、どうぞ。
  24. 石田均

    石田説明員 お答えいたします。  ILOの総会において、この条約が採択された時点におきまして日本政府賛成立場をとった、したがってこの条約については当然批准をすべきものではないか、こういうお尋ねのように承ったわけでございますけれどもILO条約と申しますのは、先生御案内のとおり世界各国たくさん集まりまして、それで議論をするわけでございます。労使からいろいろ意見が出まして、国際的にこういうものをつくってはどうかということで条約ができている、そういう過程にあるわけでございます。そこで、もし仮に国内法に少しでも抵触するような条約案文でございましたら批准をしないという前提で反対をするというふうにいたしますと、ILO条約というものは実はほとんど成立し得ないのではないかというふうな感じさえするわけでございます。したがって、多国間の条約でございますから、条約ができるということとそれを批准するということとは分けて考えるべきではないかというふうな考え方を私ども持っておるわけでございます。したがって、政府が当時批准賛成をいたしましたのは、大体この条約に盛られている内容につきましては国際的な基準として設定することには異存がない、そういう趣旨で賛成をしたというふうに理解をしておるわけでございまして、それが直ちに日本政府として批准するかどうかということにつながっておるものではないというふうに考えておる次第でございます。
  25. 久保三郎

    久保(三)委員 それはあなた、ゆゆしい問題だよ。そういうふまじめな態度でILO会議というのを運営しているとするなら、これは国際的な問題になるよ。これはどうでもいいんだ、余り当たりさわりがなければめんどうだから賛成しておけ、こういうかっこうだ。しかも中に書いてあるのは、それぞれの国内の問題が書いてあるわけだ。それで、国際的にもそういうルールでひとつお互いにやりましょうということなんでしょう。それをあなたのいまの答弁では——後で速記録を調べてからもう一遍来てもらいますけれども、これはゆゆしい態度だと思うよ。これは労働大臣にも来てもらうし、総理大臣にも外務大臣にも今度は来てもらおう。そういう態度であなた方が国際労働機構に行ってILO条約を審議していると言うなら、これは大変なことだと思う。きょうは時間がないからそのくらいにして、お互いに研究しましょう。しかしあなたの発言はゆゆしい問題だぞ、はっきり言って。訂正しますか。——訂正しなければいいよ。
  26. 石田均

    石田説明員 言葉が足りませんで、あるいは先生の誤解をいただいたかと……(久保(三)委員「いや、誤解じゃない」と呼ぶ)私が申し上げましたのは、ILO条約をつくる場合に政府がふまじめな態度でよろしいということを申し上げたつもりはございません。(久保(三)委員「ふまじめだというのは、ぼくが君の発言からそうとっている」と呼ぶ)国際的にこういう基準が必要であるということであれば、それは賛成をするということでございます。それで、国内法に合致するかどうかということにつきましては非常にむずかしい問題が多々ございますので、批准批准として努力をいたしますけれども、ストレートに結びつくかどうかというのは非常にむずかしい問題である、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  27. 石井一

    石井(一)政府委員 実は私、外務委員会に長らくおりまして、また労働次官もやってきたわけでございますが、先生のお気持ちなり御指摘は当然のように思うのでございますが、ILOの中にダブルスタンダードといいまして、非常にまじめに厳密に考える一方のグループと、それからもう一つは、労使関係がまだ未熟な段階でありあるいは政府と企業が一体になっているというような国であってもどんどん批准しているような国と、いろいろあります。私なども、なぜこの条約批准できないのかということを何回も言ったことがございますけれども、わが国の政府のサイドとしては、各省にまたがっておりますと、どこかの条項が一つ、二つひっかかりますと全部だめにしてしまう、こういうふうな悪いくせがあるようにも私は思います。何も他の国の例を見る必要はございませんけれどもアメリカのようにあれだけ労使関係が進んでおりましても批准の数が少ないという国もございます。いずれにしましてもこの問題は重要な御指摘でございますので、ランキングを上げるように、わが省としてはこういうものはできるだけ早く批准をしてもらいたいという要請をしていきたい、こう思います。
  28. 久保三郎

    久保(三)委員 政務次官からのお話でありますから、この問題は時間もありませんから一応そのままにしておきましょう。  海上保安庁、時間がないから簡単に聞きますが、さっきのソ連プッシャーバージ木材の取りおろしで、いわゆる木皮による海面の汚染、そういう問題についていろいろ注意をしているようだけれども、実際は行われているのかどうか、それだけ。
  29. 間孝

    ○間政府委員 今回のプッシャーバージ荷役方式によりましては、従来よりも木皮の散乱が非常に多くなる可能性があるということで、当初から計画をとりまして、それについて具体的な指導をいたしてきておるわけでございまして、これによりまして、ある程度荷役業者の側において、私どもの指導に沿ったことが行われてはきております。  ただしかし、その結果を見ますと、必ずしも木皮の流出が防げているとも見られない点がございますので、さらにこれに対する対策の強化を指導いたしておるところでございます。
  30. 久保三郎

    久保(三)委員 このプッシャーバージの問題は、先ほど政務次官から集約した御答弁がありましたから、いずれ近いうちにあとの問題についてお尋ねをすることにして、これはこの程度でやめておきます。  あと少々の時間でありますが、これは船員局長中心で、それから保険庁に聞きたいのであります。  最近、二百海里の問題が海洋法会議の結論を待つまでもなく現実の問題になってきている。特に漁業の問題でありますが、そうなりますと、遠洋から締め出された船がだんだん沿岸、沖合いへとなだれ込む。そうしますと、沿岸や沖合いの漁業が一番先に打撃をこうむってくると思うのです。こういう打撃をどの程度こうむって、どの程度離職者が出てくるのかという予想は、恐らくいまお尋ねしてもおわかりにならぬと思います。だから、これはもうやめますが、だれが考えてもそこに一番しわ寄せが来ることは当然だというか、そういうふうになるだろうと思うのですね。ついては、いろいろな対策があると思うのです。職種を転換するとかいろいろありますが、その中でさしあたりやらなければならぬのは、失業した場合の給付、手当て、こういう問題について、きょうは一言だけ尋ねたいのです。  御承知かもしれませんが、船員保険法は一般の保険法とはちょっと違っておりまして、業種によって差別がある。それは周年作業をしていない船であるというようなこともあって、もっともそれは船によって違うのでありますが、そういう既成観念に基づいて区別をしているわけです。結局、一番問題になってくるのは、そういう失業保険から漏れて適用にならない者が一番先にしわ寄せを食う危険があるわけです。それが失業保険の対象になってない。中には、たとえば沖合い底びきあるいはサケ・マス、それから、私の選挙区にはまき網が多いのですが、まき網、それから近海カツオ・マグロというようなものは全然失業保険の対象にならぬ。いわゆる一年以上の操業をしていないという観点から区別しているのでしょうね。しかし、水産庁が実態調査したデータによりますれば、いま申し上げたようなものはみんな一年以上、いわゆる周年操業をしているものがほとんどなんですね。だから、この際適用を広げてというより実態に即して適用して、失業保険の給付対象にすべきだと思うのだが、これについてはどういうふうにいま考えられているか。早急な対策を立てるべきだと思うのだがどうか、保険庁から先に聞きましょう。
  31. 川崎幸雄

    ○川崎説明員 ただいま御指摘がありましたように、船員保険の場合、漁船の失業部門につきましては、漁船の労働形態の特殊性もありまして、通年雇用の場合に失業部門の適用を行っておるわけでございます。ただ、いまお話もございましたように、年々漁船の労働形態というものが変化をしてまいっておることもうかがえるわけでございまして、おっしゃいましたような調査によってもある程度の傾向が示されておるわけでございます。したがいまして、本来適用すべきでありながら適用漏れになることのないように、特に雇用問題が非常に重要な時期に参っておるわけでございますので、この適用の適正化につきましては特に力を入れるようにということで、各都道府県に対しても私どもも機会あるごとに指示をいたしまして、今後ともこの点については適用漏れのないように十分力を入れて進めてまいりたいと思います。
  32. 久保三郎

    久保(三)委員 あなたの方の調査だからぼくから言う必要はないのだけれども、漁船関係の被保険者というものは大体十二万人以上になっておるんですね。そのうち失業保険の適用というのは三万六千人しかない。約二九%だけが失業保険の対象になっておる。あとの残りの七一%、九万人というものは失業保険の対象になっていない。船員保険の対象にはなっているが、失業保険の給付の対象にならぬ。それで、あなたは都道府県を督励していると言うが、具体的に何をいつおやりになって、どういうふうに指導しておるのですか。  それから、時間がありませんから船員局長に聞きます。船員局長はそういう実態について御承知なのか。御承知だとすれば、保険庁なり厚生省との交渉はどうやっておられるのか。いかがですか。
  33. 横田不二夫

    ○横田政府委員 お答えいたします。  ただいま社会保険庁の方から答弁がありましたように、適用の実態は漁船については約三分の一であるということは事実でございます。したがいまして、最近の漁業の実態にかんがみまして、実態に即するように船員保険法の適用が行われるよう、また処理が行われるよう、そのように図るべきだと私は考えております。したがいまして、そういう観点から厚生省の方と密接に協議を行って対処していきたい、かように考えておるわけでございます。
  34. 川崎幸雄

    ○川崎説明員 ただいま御指摘ございましたように、約三分の一の失業部門の適用になっておるわけでございます。この問題につきましてはまず二点あろうかと思います。  まず一点は、現行制度としてまず適用除外になっておる。それからもう一つは、通年雇用であります場合には、現行制度におきましても失業保険を適用するという形になっておりますけれども、雇用の実態に即応してこれが適用漏れのないようにやっていく、こういう二点であろうかと思います。  第一点の制度的な問題につきましては、船員保険という単一産業での保険でございますし、これにつきまして全面的に失業保険を適用するということにつきましては、制度の基本に触れる問題でございます。しかしながら、雇用問題という今日非常に重要な問題でございますので、こういった大きな基本問題につきましては、今後審議会等で基本的な問題として十分御検討いただく。それから、第二点の現行制度において適用漏れがないようにやっていくということにつきましては、私ども、行政措置といたしまして、各都道府県に対しまして全国会議あるいは通知というようなことで、機会あるごとに注意を喚起いたしまして、適正な運用を図っていくように指示しておるところでございまして、今後とも強力にやってまいりたいと思います。
  35. 久保三郎

    久保(三)委員 時間がありませんから、課長、あなたがいつどういう指示をされたかあるいは通知を出されたか、その中身を後で資料として出してください。  それから、政務次官にちょっとお願いしますが、お聞きのとおりなんで、私は制度全体を改正することを主張しているのです。しかし制度全体を改正すると言ってもなかなかそう簡単にはいかない面もある、さしあたりは現行法で適用になるものが適用にならぬでいるものが先ほど来申し上げているようにありますから、ぜひ政務次官の責任で船員局長あるいは厚生省のしかるべき人と話を詰めるようにお願いしたいと思うのですが、どうでしょうか。
  36. 石井一

    石井(一)政府委員 実は私、この話を聞きまして制度的に非常に不備があるということを痛感しました。ただ運輸省といたしましてはやはり社会保険庁、労働省等にお願いをする立場だ、こういうことでございまして、きょうこの時点で前向きな答弁のできないのは非常に残念でございますが、各省も来ておりますので十分詰めまして、少しでも現行法の中から改善ができるようにいたしたい、こう思います。
  37. 久保三郎

    久保(三)委員 終わります。
  38. 大野明

    大野委員長 太田一夫君。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 私は、最初鉄道監督局関係のお仕事、その次に航空局の関係のお仕事、これについてお尋ねをしたいと思います。  最初、簡単でありますから住田鉄監局長にお尋ねをいたしますが、最近国鉄でも、あるいは各都市の民営鉄道でもそうでありますが、都市計画に基づく連続立体交差化の工事、連続踏切除却工事とも別に言いますが、鉄道の線路を上に上げるという工事が特に大きな駅周辺に集中して行われております。東海道線で言いますと、静岡駅、浜松駅で現在工事が進んでおる。たとえば静岡駅のこの工事は、東海道本線静岡駅付近高架化工事と名づけておりますが、実は静岡県が行う都市計画に基づきます立体化工事ですね。今後これがどんどんふえる傾向にある。いつもそれを見ながら思うことでありますが、昭和四十五、六年のころだと思いますが、運輸省と建設省との間に協定ができて、国鉄に原則としてその一〇%の負担を求めるということになっておるようであります。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕  一〇%とはいいますものの、現実には改良部分というのがあるとすればそれは含みませんから、一〇%と言えば現実二〇%ということになっていくわけです。お尋ねしたいのは、四十六年ころの運輸省建設省協定というのはいつか見直されるのであるか、それともこれはどうにもならないものであるのかということですが、それについてお答えいただきたい。
  40. 住田正二

    ○住田政府委員 いま御指摘のございました運輸省と建設省との協定でございますが、昭和四十四年に結ばれております。建運協定と言われておりますが、これには長い歴史がございまして、戦前は内務省と鉄道省の間で内鉄協定というのがありまして、その当時は、こういう高架の費用について鉄道と都市が半分ずつ持つという制度であったわけでございます。その後建国協定ということで建設省と国鉄との間の協定、この際には鉄道が三分の一、都市側が三分の二ということになっておったわけであります。その後高架事業のいろいろな変遷がございまして、昭和四十四年に建運協定というのが結ばれたわけでございます。この際鉄道が一〇%、都市側が九〇%ということで大幅に改善といいますか、鉄道側にとりましては大幅な改善が見られたわけであります。  本来都市における鉄道の高架事業といいますのは都市計画事業として行うということでございます。これは都市における交通の安全であるとかあるいは都市交通の円滑化ということを目的にいたしておるわけでございまして、あくまで都市をよりよくすることを目的にいたしているわけであります。したがって、都市計画における鉄道の高架事業というのは都市側からの要望であるというふうに考えていいのではないかと思います。したがって、本来ならば都市側が全部持つのが原則であると言えないこともないわけでございますが、一方鉄道側にも高架化によりまして相当の利益があるわけでございます。たとえば踏切が要らなくなりますから踏切を維持したりする費用がなくなる、またこれによりまして鉄道側の交通安全も図られるということがございます。またこの高架下建物は、全部完成いたしますと都市側から国鉄の方に、私鉄の場合も同じでございますが、全部寄付されることになっております。したがって、高架下の貸し付けは鉄道側の方でできるわけでございます。貸し付けによりまして相当の収益を上げる場合もあり得るわけでございます。そういうことを勘案いたしまして、鉄道側の受益が一〇%くらいではないかということで鉄道側の負担を一〇%ということにいたしたわけでございます。いろんなケースがございますので、それが一五%の場合もあればあるいはもっと少ない場合もあろうかと思いますが、当時におけるいろいろなケースを総合的に勘案してみまして大体一〇%、当時一〇・七%というような数字が出ておったわけでございますけれども、一〇%が適当であろうということで四十四年に協定が結ばれたわけであります。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 局長お話は、その四十四年の協定当時の経済成長時代の鉄道の役割りか都市計画の重要性か何かというものを基礎にした協定を非常に妥当性があるといまおっしゃったように聞きますが、局長、高架化工事にすれば今度いささか列車運転の様相を変えようと思っても思うとおりに変わりませんね。高いのですからね。高いところにあるのだし、非常に金がかかる。それで将来とも固定してやれるものならいいのでしょうが、いやこれはまずかった、こうした方がいいなんということで待避線一本よけいつくろうとしてもできないことになるじゃありませんか。そういうことを考えてみたならば、最初おっしゃったように、都市計画は都市側の必要によってやるというなら、鉄道側が一〇%受け持つということは、それは余力のある場合はいいと思いますが、今日の事態において、これは絶対に受け入れるべきじゃないと思うんですね。たとえば浜松駅の改良高架化工事は百六十六億円でしょう。国鉄は約一四%の二十二億円を受け持っておるわけですね。現実には一〇%以上になる。場合によっては二〇%にもなる。ですから、さっきもおっしゃるように、本来は都市側が全部持つべきものであるとおっしゃった。そこのところに返って、もう一回協定の再交渉をなさる、それが私は必要じゃないかと思うのですよ。鉄道側の利益があるとおっしゃるけれども、そんなものはあるのですか。スピードだってアップにならぬでしょう。私はそんなものは何ら利益がないと思うのですよ。都市側の要望によってやるなら、都市側に任せたらどうですか。そこで一〇%でも持つなんということをやっているから、大変なことが起きますよ。市町村納付金は、寄付を受ければ、今度はふえるでしょう。これは無税ですか。固定資産の対象になる。これは、私はそういうことはもう少し考え直して、建設省と運輸省との運建協定というのか、建運協定というのですかね。向こうで言えば建運協定、こちらで言えば運建協定、どちらが主になっておるか知りませんが、少なくとも一〇%というのは見直すべきだと私は思う。次官、どうですか。大臣にかわって、それは局長でもいいけれども、次官も一遍大臣にかわって言ってくださいよ。両方意見を言ってくださいよ。
  42. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、鉄道側に全く利益がないということではないわけでございます。とにかく踏切がいままであったやつが除却されるということでございますし、またそこで事故も起きなくなる。のみならず、これから大いに利用したいと考えておるわけでございますけれども、高架下というものはやはり十分利用できる施設でございますから、そういうものから上がる収入を考えれば、鉄道側に全然利益がないということではないわけでございまして、その利益を考えまして一〇%ということにいたしているわけでございますが、本当に一〇%国鉄側に利益があるかどうかについては、最近また事情も変わっておりますので、再検討の余地もあるかと思いますけれども、私ども詳しく調べているわけではございませんが、担当者から聞いている範囲内では、やはり現在程度の利益は鉄道側に十分あるという判断をいたしているようであります。
  43. 石井一

    石井(一)政府委員 実は私この説明を聞きましたときに、これはお言葉を返すようになりますが、九〇%と一〇%なら鉄道の方は大分得するなというふうな感じが率直にいたしました。それは、高速化しないと申しますけれども、高架にした方が障害物も少なくなるわけですから、高速化するというのが常識であろうと思いますし、駅の下の問題等々、鉄監局長が説明したとおりでございます。ただ、線増しましたときには、これは一〇〇%鉄道側が持つ。これは、下を走っておりますものが上を走る場合には、やはり運輸事情等を考えましてそれをやりたいというふうなことになるのが人情だと思います。そうしますと、都市計画が変わることによって、鉄道の希望であるといたしましても、かなり出費がふえるというケースもあるのではなかろうか。さらに、最近の国鉄なりの財政事情というふうなことを考えました場合には、別の角度から財政的な検討をするということも必要かとも思いますが、このこと自体、一〇%、九〇%の協定自体に関しましては、私は余り不合理なものではないというふうな感触を持っておる次第でございます。
  44. 太田一夫

    ○太田委員 お二人のお話を聞いておりまして、賄に落ちないことばかりで、監督官庁は自分のふところを痛めることじゃないからそのようなことをおっしゃっておっても済むかもしれませんが、実際出す側の身になってみますると、そんななまやさしいものじゃないと思うのですよ。線増工事というのはこちらの一方的なものだとおっしゃるけれども、こちらが一方的だというのは、こちらが考えてやるのだから、立案してやるのだからこちらが責任を持つべきだということなら、都市計画をやるというのは向こう側の理由でしょう。なぜ向こう側が一〇〇%お持ちになるべきだと言わないのか。こちらだって、線増すればその都市にはプラスになるものがあるでしょう。地方公共団体にプラスするものがあるはずです。だから、何%かは向こうに持たせるということがあればどうかと思いますけれども、そういう際には、線増工事はオール考えた国鉄側の費用だ。それから、都市計画による連続立体は一割以上持つのだ。メリットがある、メリットがあるなんて、どうも何か向こうの謀略にいささか乗せられているような気がしてしようがないし、一方的議論のようでありまして、つじつまが合わないと思いますが、これはひとつ局長、あなたは本来鉄道のことは専門だから、次官は先ほどどこかの方に長くいらっしゃったとおっしゃったから、鉄道は素人でしょう、素人の人をごまかさないで、あなたは本当のことを教えて、建設省に対して本当のことを言ってもらわなければ困ると思う。言うべきことは言ってもらわなければ。そうしないと、りっぱなものになれば固定資産税がふえますよ。市町村納付金がふえるでしょう。局長、どうですか。ふえないですか。寄付を受ける、寄付を受けると、まるでただでもらったようなことをおっしゃる。
  45. 住田正二

    ○住田政府委員 市町村納付金の件は、ちょっと詳しく調べておりませんが、対象になっているかあるいは除外されているか、いずれ調べまして御報告申し上げたいと思いますが、しかし高架下を利用できるということはかなりのメリットではないかと思います。これまで十分利用されていない面もございますけれども、今後は十分活用いたしたいと思っておりますので、そういうメリットを考えれば、一〇%の負担というのはまあまあ現状ではやむを得ないかなという感じでおります。  しかし、先ほど申し上げましたように、最近いろいろなケースが出ておりますから、そういうケースについてもう一遍調べ直して、国鉄側のメリットが一〇%よりも少ないのかどうか。——逆に多いという数字が出ますと逆な結果になりますけれども、一遍検討はいたしてみたいと思います。
  46. 太田一夫

    ○太田委員 次官、高架下が利用できる、高架下が利用できるとおっしゃるでしょう。高架下ということは、逆に言うなら地上でしょう。用地の上でしょう。用地は本来国鉄のものでしょう。用地を都市に売って、あるいは都市側の用地の上に鉄道線路をつくってもらってそれをそっくりもらうということじゃないのですから、自分の用地の上のものを自分が使うのに、地上権は大したことはないじゃないですか。高架下高架下と言われるけれども、最近の大都市駅の前後を連続立体交差するについて国鉄側に負担させる、いわゆる鉄道側に負担させるところのパーセントというのはいささか不当だと思いますから、一度これは検討してください。  そこで、時間の割り振りの関係でこの質問はこれで終わりますが、そういうことに関係して、東京駅を壊して何か線増するという話がありますね。総裁が壊される前に、運輸省が何か許可しなければやれないですね。勝手にある晩突然に壊されるのですか。日本の顔であるところの、文化財である東京駅をそう簡単に壊そうなんということは——立体交差に関連してちょっと尋ねておきますが、だれか答えてください。
  47. 住田正二

    ○住田政府委員 いまお話のございました、東京駅を建て直すといいますか、あの地域を再開発するという話は、東京駅が戦災に遭いまして仮復旧のような形で現在に至っているわけでございますが、これは昔からの国鉄の悲願というか、夢であるというように聞いております。何分御承知のような国鉄の財政状況でございますので、国鉄の駅を建て直すというような問題が早急に手がつけられるというような事態ではないわけでございます。  ただ、私どもが聞いておりますところによりますと、東京駅周辺の古い建物、たとえば郵便局であるとか、あるいは現在三菱銀行の本店の建て直しの計画があるようでございますが、そういう計画がこれから進んでいった場合に、やはり日本の首都である東京の表玄関の周囲の美観といいますか、整合的な開発というものが必要になってくる。そういう観点から、関係者が集まって、どういう形で東京駅の周辺を開発していったらいいかということについての研究会を設けようということで、関係者である東京都であるとか郵便局、国鉄それから関係の会社、そういうものが集まって研究会を設けて将来に備えていこう、そういう話が進められているように聞いております。
  48. 太田一夫

    ○太田委員 どうも運輸省、国鉄のそろばん勘定というものは、概観いたしまして一けたか二けた単位のとり方が違っておるような感じがいたしますから、いま東京駅の取り壊し論も、十分単位のけたのとり方を間違えないようにしていただくことを注文しておきます。これまた改めてやりますが、いまの運輸省建設省協定につきましては、私としてはぜひ根本的に見直してほしいと要望をつけ加えておきます。  第二問でありますが、これは航空問題、ローカル空港につきまして局長にお尋ねをいたします。  これはいつのことでありますか、航空政策研究会の五十二年度総会に局長さん御出席になりまして、りっぱな御演説をなさいまして、拝見をいたしたのです。それは、ローカル空港の中の——私は特に花巻空港の問題で前々から、余り無理なことをやってはいかぬよ、やってはいけませんよと申し上げてきました。ところが五十年の末に、ついに拡張計画は、公聴会の出席者ゼロというような状態の中で行われたあの公聴会を一つのポイントとして許可された。こういう状態で、私は残念に思っておりまして、その問題を中心としてローカル空港整備の計画についてお尋ねをしたいと思うのです。  たまたま航空政策研究会の総会で局長さんがおっしゃいました中に、非常にはっきりポイントを明らかにして話されておる部分があるわけですね。一つは、いまから五年かないしはせいぜい十年の間に国内航空のネットワークは形成してしまわぬともうどうにもならぬのだよ、なぜかというと、用地がだんだん高くなって取得難になるよ、住民の反対運動が強くなるよ、幸いにいまのところはまだ自治体あたりが賛成に回っておるから、いまのうちにやってしまうべきだ、こういう一つの点ですね。それからもう一つの御議論は、航空審議会の答申が一つありましたね。この航空審議会というのは常識的な答申をしておって、地元と十分話し合うことが必要であって、受け入れ体制の整ったところから優先的に拡張計画はやるべきだ、こういう答申があったことについて、意を強うしたとおっしゃっていらっしゃる。これは私は、別に不思議でも何でもない、こう思います。しかしこれは最初の、住民の反対運動が強くならぬうちにやってしまえという御意見と、地元と十分話し合って受け入れ体制ができることが空港拡張の条件であるから、そういうところから優先的にやってほしいという審議会の答申に意を強うされたということとが、ちょっと方角が合わぬような気がするのです。一体あなたの真意は何なのか、これをちょっと伺いたい。
  49. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  私が講演いたしましたことを引用されての御質問でございまして、大変光栄かつ恐縮に存ずるわけでございます。  御質問の二つの点についてお答えいたします前に、私の考え方をちょっとお話しいたしたいと思います。  私は、高速交通体系、これは新幹線とか航空ネットワークというものはやはりわが国の将来の国土のあり方を大きく左右するものであると考えております。それで、現在の国土の状況は、御承知のように東京、大阪というふうな二眼レフと言われる大都市に過密状況が起こっておりまして、その逆に、地方では過疎現象が起こっておる、極端な両極構造になっておる。これを何とか直すためには、やはり高速交通、通信体系によって過密と過疎のギャップをなくすのだということが基本的考え方であると思っているわけでございます。  そこで、従来の空港整備の考え方は、どちらかと申しますと、需要後追い型であったわけでございます。したがって、東京、大阪その他の主要空港、需要の多い主要空港というところに重点を置いて、地方空港というのは需要が少ないから、やっても先行投資になってむだが多いという、いわゆる財政の資金効率の点を重要視した計画であったわけでございます。  私は考えますのに、そういったことで進んでいきますと、巨大都市はますます巨大になっていく、そして地方都市はいつまでたっても浮かばれないという状況になると思うのであります。この地方都市あるいは地方の地域社会というものが今後文明の恩恵を受けて栄えていくためには交通、通信体系というものが便利になることが先決問題の一つであろう、こう考えておるわけでございます。したがって、従来のややもすれば需要後追い型の大都市集中型の投資から地方の空港に目を向けていくということに切りかえていくべきじゃないかと思っているわけでございます。大蔵省は資金効率の点から反対するかもしれませんが、私どもは、これから三十年、五十年先のことを考えるならば、それをする必要があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  翻って、わが国の国土の現状を見てまいりますと、可住地面積が非常に少のうございます。そして都市の周辺には人家が密集いたしております。そういたしますと、おいおいこれが地方都市に及んでまいりますと、いまから二十年、三十年後にその地方都市に空港をつくろうと思っても現実にできなくなるだろうという感じを持っておるわけでございます。そこで、将来のわが国の国土に合った一つの空港ネットワークというものを考えていくならば、余り先にならないうちに、つまり地方都市の周辺が過密にならないうちに、いまのうちに手を打っておく必要がある、少なくとも用地だけは確保しておかないといけないのじゃないか。そうしませんと、もう空港をつくりたいということになっても現実問題としてできなくなってしまうという非常な危機感を感ずるわけでございます。そういったことを考えるならば、余り悠長なことを言わないで、いまから、たとえば五年ないし十年というところで主要な地方の空港については用地のめどをつけておいてもらいたいという願望があるわけでございます。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 そのことをまず申し上げたわけでございます。  それから、それと地元の受け入れ体制との関係でございますが、いかにそういった願望を私どもが持ちましても、現実問題として地元の受け入れ体制が整わなければこれは不可能でございますので、それは航空審議会の答申にも言われておりますように、地元の地方公共団体を中心に、地元の意思の集結を図っていただいて、集約を図っていただいて、そして受け入れ体制を整えていただく、そういうところに私どもは優先的に投資していくことがいいんじゃないだろうかということを申し上げたわけでございまして、現実としてはあくまでも地元の意見を聞きながらでなければできないということを強く考えております。したがって、願望と現実の施策との間にはギャップがあるわけでございますけれども、その現実の地元の受け入れ体制との間に十分パイプをつくりながら、できるだけ早く土地ぐらいは確保したいという願いがあるわけでございます。
  50. 太田一夫

    ○太田委員 高橋局長は、もともと欲望と権謀術策の俗世界よりは、空気の清らかにして自然の花の咲く高山を愛されて、そうして宇宙間の大きな原理というものを身につけながら人間の理想を求めるという独得の歩き方をしていらっしゃった方だと私は聞いておったのです。ですから、高山植物を愛されるがごとくに、花巻空港の周辺の地権者、農民各位が絶対反対をしておるときに、機動隊を導入して、公聴会に対するバリケードを張り、反対意見を封じながら、県議会が可決したから、要望したからこれは地元の意見が整ったものなりと認定されたという、あなたがおやりになったわけじゃないが、そういう行政というのは、私はいただけないと思うから、あなたも同じ意見だろうと思うのです。必要あるローカル空港はつくるべきだが、花巻空港のような、新幹線ができる、東北高速自動車道路ができる、およそ不要なところに二千メートルの滑走路を持つ飛行場をつくろうということはどだい国費のむだ遣い、地方住民の負担を不当に過大にするものだと私は思うのです。ですからローカル空港整備の基本原則はそれでよろしいけれども、取捨選択をしてもらわなければいけない。それは佐渡や隠岐やあるいはどうとかこうとか、ローカル空港でも辺地、離島等の必要なところもありましょう。けれどももう少し厳重に個々に調べていただかないと、何もかにも五年か十年のうちにやってしまわないといけないというのは、まさに七、八年前の田中内閣時代の発想じゃありませんか。それはいかがですか。あなたは今日になったら少し変わっておらなければいけないと思う。
  51. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私は着任いたしまして花巻空港の建設計画にまつわる経緯を伺いまして、大変不幸なことであるという実感を持ったわけでございます。何が不幸かと申しますと、花巻空港は第三種空港でございますので県が設置管理している空港でございます。そういたしますと、県の代表者である県知事さんが地域住民の意見の上に立って社会資本投資をするということが一応考えられるわけでございますけれども、伺いますとどうもその間に十分な了解が成立してないということを聞くわけでございまして、これは大変不幸なことであるというふうに考えているわけでございます。一方花巻空港の将来計画につきましては、私どもの手元で第三次空港整備五ヵ年計画をつくりましたときの作業はございます。これは昭和六十年時点というものを踏まえまして、そのころのわが国の経済成長率その他から考えまして新幹線ネットワークの形成状況なども踏まえまして、ローカル空港の所要の整備基準を決めて計算したわけでございまして、それによりますと、花巻空港につきましては昭和六十年までにはやはりジェット化していることが必要であるという結論が出ましたので、花巻空港をそういったジェット化整備の計画に入れているわけでございます。ただ、いま先生も御指摘のように花巻空港近くには東北新幹線も計画がございます。これは大宮以南の問題が片づけばわりに早くでき上がるかもしれない。また東北縦貫道も延びていっております。そういったこととの関連で、私は花巻空港の工事の完成時点というものにつきましては、十分地域周辺の航空輸送需要との関連で考えることは可能であると思います。したがいまして、この点につきましては設置管理者である岩手県当局にお話をいたしまして、計画の適正化、建設工事の適正化をするように今後とも話をしたいと思います。それから何よりも空港の計画なり建設過程におきまして地元の方々との摩擦を避けるということは、やはり空港の設置管理者であると同時に地域の公共団体である県の責任でもあると思いますので、その点については十分県に要請を重ねたいというふうに考えております。
  52. 太田一夫

    ○太田委員 そこで別の意味からお尋ねいたしますが、国内航空がYS11がもうだめになるからその後の跡継ぎ機として候補者に選んでいるのが米英蘭三国の何か千二百メートル滑走路用の飛行機だと聞いておりますが、それが約二十機ほど入るというのは事実ですか。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
  53. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 いまのお話は恐らく東亜国内航空株式会社がそれに近いことを何か外に表明したということとの関連だと思いますけれども、私ども東亜国内航空に聞きましたところ、YSの跡継ぎの飛行機についてどんなものがいいかということを検討するための社内の検討委員会をつくったというところまでは事実でございます。まだ検討の最中でございますのでどの機種をどのくらい買うということについては何も決めておりません、という話が返ってきているわけでございます。現在そのYS11の飛行機は約七十機ほど日本国内で使われております。製造はすでに中止されておりますので、年々これが退役をしていく。それから部品なんかもだんだん少なくなっている。そういたしますと、YS11は数として減っていくだけではなくて、使っていく上にもだんだんコストが上がっていくという状況がございますので、いまから十年先ごろを考えますと、恐らくYS11はもう主要機種ではなくなってしまって、ごく例外的存在ということになるのではないか、こう考えているわけでございます。その後はどうかと申しますと、YS11のようなプロペラ機の計画は世界じゅうどこにもございません。そうなりますと、いまちょっと先生お話ございましたような短距離のジェット機、千二百なり千五百の滑走路で離着陸できるジェット機というものが、いまアメリカ、イギリスそれからオランダですか、におきまして引き合いといいますか、そのカタログを配ってメーカーがエアラインに話を始めている状況はございます。ただ、これにつきましてはまだカタログの段階でございますので、実用段階に入るのはまだかなり先になるし、また実用段階になったときに果たしてどのくらいの性能を持ち、かつまたどのくらいの値段になるかということも全く未定でございますので、そういったことを十分見きわめた上で、もしそういったものが実用できるものであるならば私どももそれを使ったらいいと思いますけれども、現在の段階では少なくともそれを前提に空港計画を考えることははなはだ危険であるというふうに思いまして、現在はそういう大変使い勝手のいい航空機ができることはまだ未定であるという状況で、一応二千メートル化ということを原則に全国のYS11空港の整備につきましては考え始めておる次第でございます。
  54. 太田一夫

    ○太田委員 二千メートルの計画というのはジェット化の計画でありますね。そういうことであるとするならば、いまの米英蘭三国の短距離飛行機の検討というのももうむだなことになるわけですね、二千メートルという基準でローカル空港を全部整備されるとするならば、ジェット機用の飛行場になるわけですから。そこで、それは未定、はっきりしておらないけれどもカタログで検討中だといまおっしゃる。これはもう少しで実現するかもわかりませんが、現在わが国の科学技術庁によって開発を研究されておる、あのSTOL機計画はどうなっておるのですか。
  55. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この方は大分おくれるという話でございまして、これが実用段階に入れるのは早くても六十年以降というふうに聞いているわけでございます。先ほどの外国の飛行機は、その性能について世界各国のエアラインが納得をし、かなりまとまった機数の発注ができるという段階になれば工場生産が可能になるわけでありますが、問題はそういった発注の数がまとまるかどうかという点が一つ不明確でございますが、仮にそういうことになれば発注ができる。発注すれば実用化に入りますので、うまくいけばこの短距離の外国製のジェット機の方は恐らく昭和五十六年か七年ごろには実際の路線に投入できるようになるかもしれないと思いますが、科学技術庁の方は残念ながらもうちょっとおくれる、早くても六十年ごろだろうというふうに聞いておるわけでございます。
  56. 太田一夫

    ○太田委員 通産省の研究はどうなっていますか。
  57. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 通産省のYXという飛行機はもともとYS11の跡継ぎの飛行機ということで始めたわけでございますが、これもジェット機でございます。航空機工業審議会で答申をもらって一応開発に一歩踏み出したわけでございますけれども、これも何せ、たしかアメリカのボーイングとの共同開発でございますし、これが実際に実用段階に入ってくるということはかなり先になろうと思われます。それから仮に実用段階に入りましても、これはかなり大型でございまして、伺っているところでは滑走路は千八百メートルが必要だというふうに聞いておりますので、これではいま議論されていることにはちょっと適用しないというふうに思っているわけでございます。
  58. 太田一夫

    ○太田委員 全日空が山形空港に千五百メートルの滑走路でありながらボーイングを投入しておりますね。それから考えても航空機の技術の進歩を考えれば、あるいは米英蘭の三国の短距離飛行機の開発、製造の日程等を勘案すれば、たとえば花巻空港のようなところは、仙台空港でも東北新幹線完成後は利用客半減ではないかと言われておるぐらいでありますから、そういうところに二千メートルの拡張計画を強行させるのではなくて、千五百メートルぐらいでとどめておくというのは最も妥当な案ではなかろうかという気がしてしようがないが、局長としてはどうお考えでありますか。
  59. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 実は、山形空港の千五百メートルでB737を入れたということの経緯は、現在は千五百メートルの空港である、これを将来二千にするということはすでに決まっておるわけでありまして、いずれ二千になるのだけれども、現在千五百メートルの空港で在来のYS11機ではどうしてもお客がさばき切れない。何とか大型の航空機を入れたいという非常に強い要望が現地、県等からございまして、それではということで暫定的措置といたしまして、滑走路に特殊な加工を施し、さらには千五百メートルでB737を入れるということはかなり問題がございますので、たとえば東京から出発する場合の離陸重量を減らす、つまりお客さんの数を定員いっぱい乗せないという制限をつけるとか、あるいは冬、雪のあるときは滑走路の表面が、ブラックトップと言っていますが、黒々と見える状況まで雪をどけてからでないといけない、さまざまな制約をつけまして、認めたわけでございますが、これは全日空のパイロットからも当初問題にされたように、やはりパイロットとしてはジェットは二千がいい、千五百では不安だという点もございましたけれども、いろいろそういった制約を加えた上で、臨時的に千五百での離着陸をパイロットが承知したわけでございまして、私ども航空機の安全という点を考えますと、やはりそういうことはなるべくしたくないと思っております。したがいまして、花巻空港に関する問題につきましては、山形方式で考えるのではなくて、一応二千を前提に考えていきたい。  それから、もしも中間段階で非常に滑走路が短くて飛べる航空機が早く実用化されるなら、そういった航空機によって就航をすることもいいと思いますけれども、これもだんだんいまから先になりますと、輸送需要もふえます。いずれ大きい飛行機が入るようになりますので、何とか用地手当てだけは少なくとも二千メートル分はした方がいいというふうに考えておるわけでございます。
  60. 太田一夫

    ○太田委員 時間がありませんから、最後のお尋ねにいたします。  山形空港を手本にしなさいと私が言っておるわけではありませんが、千五百メートルでなおかつ可能な使い方があるのではないか、これは科学と技術というものは日進月歩であるということを前提に置いて私は申しておる。アメリカ、イギリス、オランダの飛行機というのは百人乗りぐらいの飛行機でしょうから、それで結構間に合うとするなら、それは千二百メートルの滑走路を基準とした性能機でありますから、千五百メートルあればそれで十分ではないか。花巻になぜ二千メートルの滑走路が必要であるのか、地権者の強硬に反対しておるときに無理ではないかということを私は申し上げたいのです。  そこで局長、あなたはさらにこういうことも考えていらっしゃるのですか。国鉄が運賃を五〇%昨年値上げした、これによって国鉄離れが顕著になって、航空機に大量の大衆乗客が移動してきた。さらに国鉄が一九%上げるということになるならば、航空機のお客さんというのは一部の方だというのみでなくて、新幹線に乗れない、新幹線に乗るのには少々高いからということで、一般大衆が飛行機にわんさと押しかける。だからローカル空港の整備は急がなければならないのだ、こういうお考え方があるのですか、何か発表されておるようですが。
  61. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私はもともと新幹線と航空機というのは競争関係にないと思っているわけでございます。輸送力から見ましても圧倒的に違います。現にわが国の国内輸送実績の中で、現在航空機の占める比率はわずかに三・二%程度でございます。したがいまして、将来どんなに航空旅行が盛んになりましても、それは新幹線と太刀打ちできるものではないと思います。  ただ、大衆化するという意味は大量化することと違うのであります。大衆化ということは大量化ではなくて、ぜいたくな交通機関、お金持ちしか乗れない交通機関ではなくて、ふところのさびしい人も急ぐときは乗れるという大衆化だ、こう考えておりますので、大衆化だからといって、いわゆる航空機を大量交通機関として考えることは、私自身としては反対であります。
  62. 太田一夫

    ○太田委員 それならわかりました。これに書いてあるので、それは局長さん、あなたが、一九%値上げをされると航空機の方が安くなるかもしれない、そういう路線が出てくるというと本当に大衆化路線に突入する、こうおつしゃったように私は短絡して読んだのですが、そうでなければ結構なんで、国鉄の運賃が高くなるということと関連をして、もしもローカル空港の整備に二千メートルで急ぐということになりますと、投下される予算も膨大でありますし、地方、国ともに負担が大きうございますから、新しい性能の飛行機、ローカル用飛行機の開発のテンポと合わせながら、滑走路二千メートル説というものについては再検討を加えていただくことを私は求めておきたいと思います。  御答弁は要りません。時間ですから終わります。
  63. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 次に、石田幸四郎君。
  64. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 私は、トラックの過積みの問題についてお伺いをいたしたいと思うのですが、いろいろトラックの業界の話あるいはまた運転者の話等を聞いてみますと、法律によって過積みの問題は厳しく規制をされておるわけでございますが、依然としてその実績が上がってこない、だんだん違反件数がふえる一方、こういうような状況にあるわけでございまして、そういった意味で、これは一体法律が不備なのか、あるいは行政指導が足らざるゆえの実態なのか、こういった点を逐次お伺いをしながら、この取り締まりの実績が上がるような方向でひとつ問題を解決をしてもらいたい、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、まず警察庁にお伺いをするわけでございますが、過積み取り締まりの問題について五十年、五十一年とわかっておりましたらば、どのような状況であるかまずお伺いをいたしたい、こう思います。
  65. 森郷巳

    ○森説明員 私どもの、各府県から出ました報告、それをもとにしました集計によりますと、積載違反、五十年度は全国で十三万八千二百九十七件、五十一年は十五万一千七百五十五件でございます。このうち重量超過、重量違反でございますが、積載違反のうち約八〇%ちょっとというような状況でございます。
  66. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 これはそうしますと、一月から十二月、そういう年度で考えてよろしいのですか。
  67. 森郷巳

    ○森説明員 そのとおりでございます。
  68. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 運輸省にお伺いしますが、五十年度の路線トラックの車両数、地場トラックの車両数というのはどのくらいになっておりますか。——わからなければ、後で数字を見ていただければ結構なわけでございますが、大体において両方合わせて四十七万くらいだろう、こう思うのでございます。そうしますと五十一年度の積載違反の問題を取り上げてみますと、全部が重量違反ではないにいたしましても、その数字と照らし合わせてみると、五十年度で二九・四%、五十一年度では三〇%を超えておるわけでございますね。一体、この法律によります罰則規定の問題は、運輸省、どういうふうになっておりましょうか。
  69. 中村四郎

    中村(四)政府委員 まず先ほどのトラックの車両数について申し上げますと、五十年度路線トラック四万六千、地場トラック、区域トラックでございますが、四十二万三千で、先生のおっしゃった数値と同じでございます。  過積載についての罰則につきましては、交通安全上危険であるということで道路交通法によって規制されておりまして、道路交通法で運転者に対する罰則、それから事業者に対してこれを下命しあるいは容認したことに対する罰則規定が規定されております。
  70. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 この実態を明確にしていかなければならないと思うのですが、運輸省からいただいた過積載実態調査結果、これはいつごろ行ったものであるか、またその主な実態調査内容について御報告をお願いをしたい。
  71. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私どもといたしまして、五十年の十二月から五十一年の一月にかけまして首都高速道路を利用して、通過した車両のうち繰り返して過積載をしていたいわば悪質な営業用トラックにつきまして調査をいたしたわけでございます。  その場合におきまして、トラック事業者あるいは荷主、運転者、この三者のサイドから事情調査したわけでございます。その場合、調査の便宜上、自家用トラックは除外いたしておりますので、ダンプカー等につきましてはほとんど調査対象から外れておるという状況でございます。それで、調査対象数につきましては、さほど多くございませんので、その結果から直ちに全般の傾向を類推することは危険でございますが、大体そういうことは全体的な傾向としても見られるのじゃないかと思っておるわけでございます。  いま申し上げました三者それぞれのサイドからの事情調査いたしまして、同一項目につきましてそれぞれのサイドから一致しているような傾向もございますが、同一項目についてたとえばトラック事業者サイドあるいは荷主サイドの考え方が食い違っている項目もございました。  大体の概要といたしましては、過積みの発生原因につきまして、荷主サイドから常時過積みを要請されている、あるいはときどき要請されているというものが調査対象の中で約半分を占めているわけであります。あとの半分につきましてはトラック事業者の配車計画等に基づいて過積みに至っているのじゃないかと推定されているわけであります。それからトラック事業者、運転者におきましては、実際の収受運賃額から見た採算性のほかに、過積みを拒否すると荷主離れといった状況が起きるのではないかという不安から過積みを容認しておるというような傾向が出ております。  第二に、運転操作に関係いたしましては、過積みによってブレーキ操作等運転の不安を感ずるというものと、若干不安だが余り大して気にしてないというものを合わせたものが六五%ぐらい占めておったわけであります。  第三に、過積みに対する荷主の態度でありますけれども、荷主サイドとしましては自分の依頼した貨物が過積みによって輸送されていることを知っているケースが四割程度になっております。  ただ、その場合におきましても、過積みの防止義務について荷主サイドに要求されてくるということは酷ではないかと考えているものが約半分ぐらいあるわけであります。  それから、荷主からトラック事業者に対しまして過積み要請の条件と申しますか、過積みを要請してくる場合に運賃の増額を提示してくる、あるいはその場合におきまして大部分が出荷の不継続と申しますか、出荷を継続的にお願いしませんよというようなことを暗に示唆しているというものが入っております。  第四に、過積みに対するトラック事業者及び運転者の考え方でございますが、運転者はトラック事業者と同様に事業の被雇用者でございますので、大体同じような考え方に立っておりまして、トラック事業者はただいま申し上げましたように、基本的には荷主との輸送の継続性ということに非常に関心を持っておりますし、また実際の収受した運賃から見まして一台当たりの採算性を重要視しておりまして、したがってそういった観点から過積み状態で運行しているということを承知しているケースが多うございます。  また、トラック事業者におきまして、運転者に対して道路交通法に違反した場合の反則金を事業者が負担する、あるいは歩合給を増加させるというような手だてによっているものが半分程度に達しておるような状況でございます。  以上、要約して申し上げた次第でございます。
  72. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 これは警察庁に伺った方がよろしいと思うのですが、この法律の体系からいきますと、罰則規定は、いわゆる運転者が第一責任、それから事業者が第二責任、こういうふうに考えていいのか、あるいは両方とも同じ責任があるのか、そのウエートのかけ方はどうなるのか、その辺の問題について御意見を伺いたいと思います。
  73. 森郷巳

    ○森説明員 過積載の違反そのものにつきましては、御指摘のとおり、それぞれの運転をしている運転者の責任ということになろうかと思いますが、その違反の実態をさらに詳しく見てみますと、場合によってはその雇用主あるいは安全運転管理者等の責任というようなことも考えられる場合があるわけでございまして、どちらが主か従かということにつきましてはそれぞれの事案によって変わってまいりますが、いずれにいたしましても、それぞれの事案に従って運転者並びにその雇用主ないしは安全運転管理者の責任ということで道交法の規定に従って罰則の適用がある、こういうことになろうと思います。
  74. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 運輸省の方に伺うわけでございますが、運転者と事業者関係ですね。最近は若手の労働力を雇用することが非常にむずかしいような状況が続いておるわけです。そういう実態からいきまして、いまもお話がありましたように運転者にももちろん責任があるわけですが、事業者あるいはまた荷主、そういったものの要請によって、まあ二、三割程度ならいいではないかという感覚、あるいはぎゅうぎゅう言われるからやむを得ず倍ぐらい積むというような実態があるわけですが、実際にこれが道路交通法の取り締まり等の対象になって、運転者はいわゆる罰金を払わなければならぬ。同時にこれは点数ですか、これが減らされるわけですね。  まず罰金の問題ですけれども、これを何回もやっていたんでは、つかまっておったんではどうしようもないというようなことで、最近の傾向としてはやむを得ず事業者が払っている、そういうケースが間々あるというのではなくして相当ふえているというふうに、私はいろいろな事業者等の話を聞きましてそういうふうに感ずるのですけれども、ここら辺はデータ的にお調べになったことありますか。
  75. 中村四郎

    中村(四)政府委員 先ほども、数が少ない調査でございますが、その場合に出てきた事例としましては、道路交通法に基づく反則金につきまして運転者でなくて事業者がその分を肩がわりするというようなものが全体の中で三割ぐらい入っておるわけでございます。
  76. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 これは、この五十年十二月から五十一年の一月までの調査の中でのデータだと思うのですけれども、実際はかなりふえているわけです。ここら辺の問題については、警察庁は何かデータを持っていらっしゃいますか。
  77. 森郷巳

    ○森説明員 いまのところ私どもの方にはそういったデータはございません。
  78. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 そういうわけで、これは運転者としての自分の職業の生命にかかわる問題でございますので、どちらかと言えばやはり運転者の責任というよりは事業者の方がより多くの責任をかぶらざるを得ないということですね。やはり仕事をもらうという立場から考えてみますと、どうしても荷主のそういった強制的なもの、あるいは強制的でないにしてもそういうようなサゼスチョンを与えられると、やむなくやらざるを得ないというようなことが事業者等の一つの不満にもなっているわけですね。そうしてみますと、私はいまの法律体系はこのままでいいかどうかという問題がここにどうしても出てくるんではないかと思います。  先ほどの調査の結果によっても、荷主についての責任は相半ばしているわけですね、データの数字を見ますと。トラック事業者の義務であるし荷主にはそういう過積載の義務を負わせるというのは過酷である、四八%でしょう。荷主にも過積載のチェック義務があると思うというのが四五・五%、ちょうど相半ばしているわけですが、しかしこれはかなり良心的に答えている人もおるわけですけれども、荷主が責任を回避しているというような、そういうような状況がどうしても出てくると思うのですね。そういった意味において、この荷主の問題を一体法的に扱うことができないのかどうか。この法律が制定されるときに、そこら辺のいろいろな意見はどういうふうに処理されたのか。過去にさかのぼってというだけのことではないのですけれども、現在の立場でも結構でございますから、この問題一体どう処理されようとしていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思いますが。
  79. 中村四郎

    中村(四)政府委員 過積載につきまして、いろいろな多面的な対策を総合的に実施していきませんとなかなか効果が上がらぬと思うわけでありますが、その中で大きな、今回の調査等からも見られますのは、やはり荷主とトラック事業者との間の関係だろうと思います。  私どもとしましては、やはりトラック事業が荷主と同等の力関係に立てるように早くならなければならぬということで、運賃の収受の問題にいたしましてもたとえば車建て運賃というような制度をとったわけでございますが、そのほかにトラック事業の構造改善事業近代化をさらに進めていかなければ、力関係からいきましてやはり相拮抗するような地位にはなかなかならないだろう。それから、団体活動を通じて荷主団体との間の正常な関係を維持していかなければならないというふうに考えておるわけであります。  先生お示しのような、荷主の義務づけについてどこまで法令的にタッチしていくかという問題でございますが、やはりそこに経済取引と申しますか、経済関係から出てくることでございますので、これについては慎重な検討、配慮が必要だろうというふうに考えておるわけであります。  私自身、かつて道路運送法におきまして定額制運賃あるいは現払い制運賃という規定を盛り込むときの作業をした経験があるわけでありますが、現在、現払い制につきましてはその規定がなくなっております。発足当初におきまして、現払い制で荷主から現実にその場その場の運送行為の際に現金収受するのだということを規定したことがあるわけでありますが、これはもちろん試みとしまして罰則規定で担保いたしませんで、義務規定として発足したわけでありますが、なかなかこれがうまく運用されなかったわけであります。  その原因はなぜかと申しますと、やはり荷主と運送人との間の経済関係にあると思います。したがって私どもの方としては、荷主に対しましてあるいは荷主団体に対して、現実に地方局等で地域団体に働きかけしておりますが、私どもの方としても荷主サイドに対する過積載等による交通安全の遵守ということの必要性をさらに訴えてまいりたい。と同時に、トラック事業者サイドにおきましても団体活動なりあるいは構造改善等の近代化施策を通じましてその力をつけていくという、両方面から取り組んでいかなければならないというふうに考えている次第でございます。
  80. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 警察の方に伺いますが、こういう運転者の罰則規定があって、取り締まりでどんどんやるわけですね。しかし、罰金を払ってもこれは事業者がそのうちの——いまのデータだけ見ましても三分の一、私は恐らく半分以上になっておると思うのです、事業者が罰金を立てかえているのは。これでは運転者から罰金を取るという意味がその目的の半分は失われてしまっている、こういうふうに思いますね。そうしてまた事業者も、取り締まりに出っくわしたのは運が悪いのだということで、そういうものを自分たちの経営経費の中へ必然的に組み込まざるを得ないというところまで追い込まれているわけですけれども、そういう形で道路運送法ですか、が運用されているというのは非常におかしなぐあいですね。そういった意味で、やはり荷主のところまで法律の手が及ばない限りは、これはいつまでたってもイタチごっこでどうにもならぬのじゃないか、先ほど五十年、五十一年度のデータを伺ったわけでございますけれども、恐らく四十八年、四十九年のデータまで伺えば、これは不景気になればなるほどこういう傾向が顕著になってくるのじゃないかというふうにも思われるわけですよね。そこら辺のことについてどういうふうにお考えになりますか。
  81. 森郷巳

    ○森説明員 私どもは過積載の防止、これはやはり法律適用以前に関係者の理解と協力といいますか、そういったことが必要であろうというふうに考えております。したがいまして、これまでも関係の省庁と連絡をしながらトラック協会あるいはダンプカー協会、そのほか関係の業界に対してそういった趣旨の協力方依頼と指導をしてきたところでございます。ただ実際に目に余る違反というものが現実にあるわけでございまして、それにつきましては、先ほど申し上げましたように取り締まりをもって臨むというふうな考え方をとっておりますが、同様に雇用主、安全運転管理者による、車両の適正な運行管理といいますか、安全運転管理といいますか、そういったものがやはり過積載防止に大変効果的であるというような観点から、雇用主等についての下命、容認というような違反、私どもは背後関係の責任追及と申しておりますが、そういうものも積極的にやっておるところでございます。  参考までに申し上げますと、過積載違反に係る背後関係の責任としましては、下命、容認の関係で昨年約一千件の検挙をいたしております。それから、教唆、幇助の関係では約四十件。なお、道交法の規定に基づきました両罰規定といいますか、そういった関係では三千八百八十六件というような検挙をいたしておるわけでございます。私どもとしては、直接の違反をしておる運転手だけでなくて、やはりその背後にある責任追及といった問題についても今後積極的にやっていきたいということで各都道府県警察を指導しているということでございます。
  82. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 警察庁としてはそこまでしか——やはり現行法律を守らなければならない立場でございますから、軽々に意見を述べるということもむずかしい立場にあろうと思うのです。  それでは、運輸省の方にお伺いしますが、この調査のデータによりますと、過積載違反時の輸送品目というものは、対運転者に調査をした限りにおいては、鋼材品が二四・五%、約四分の一ですね。それから鮮魚、冷凍食品が一七・六%、木材が一五・一%、紙パルプが一〇・一%というふうに、この四業界で大体三分の二を占めているというような実態になっていますね。そういうふうにかなり明確に過積載違反の実態が明らかになっておるわけでございますから、この一つ一つの業界について運輸省としても注意を喚起しなければならぬと思いますけれども、具体的にはどういう方法をやっておりますか。
  83. 中村四郎

    中村(四)政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、首都高速道路通過車両についてのデータでございますので、そういった面からの品目があらわれてきておると思います。したがって、いま先生申されたとおりの品目でございまして、こういった品目につきまして、それの荷主、当事者については私どもの方で呼び出して事情調査しておりますので、その方々には自粛を求め、反省を求めているわけであります。それから、こういった荷主の団体に対しまして、地方の陸運局から協力依頼という形でお願いをしておるわけでございます。
  84. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 政務次官にお願いをするわけですが、いま警察庁あるいは運輸省の各担当からお答えがあったとおりなんですけれども、それぞれの個別の会社あるいは業界を指導していらっしゃるようです。つかまえたところを指導するというようなことも必要でしょうけれども、これでは違反件数がどんどん増大している傾向を鎮静化させるということにはならぬわけですね。それだけの効果は出てこない。ノミやシラミを一匹ずつつぶしているようなことでは、これはどうにもなりませんね。そうしますと、法律問題をやはりもう一遍検討せざるを得ないところへ来ているんじゃないか。これなくしては、荷主が何でもかんでも悪いというのではありませんが、やはり適正運賃という問題は、運搬機器全体の運送価格にも関連してくるわけでありますから、この整備というのはかなり重要な問題だと思うのですね。そういった意味において、国鉄の荷離れの問題もありますけれども、この過積みの問題が大きく影響しているのも間違いない事実でありまして、自然発生的にいろいろ価格というものが決まっていく、そういうトラック運送の実態でございますから、なかなか強制力は及ばないにしましても、そういった荷主の責任というものを明確化しなければ、この問題の鎮静化あるいは縮小というかっこうにはならぬと私は考えるわけでして、そこら辺の法律改正の問題についてどのようにお考えになるか、御意見を承りたいと思います。
  85. 石井一

    石井(一)政府委員 実は私、この間公用で松山へ参りましたら、全く違った陳情を受けたわけでございますが、要するに、食っていくためにはたくさんの荷物を乗せざるを得ない、いまのままだと違反をせざるを得ない、だからもっと取り締まるようにしっかりやってもらいたい、さもなくぱ、いわゆる積載する容量というものに対して新しい検討を加えてくれ。なかなかむずかしい問題で、本省へ持って帰って相談もいたしましたが、なかなか一概にいかぬという問題のようでございましたが、要は運輸当局だけでなく、かなり広範に協議をしなければいかぬ問題でございますから、きょうの先生の御指摘を十分にそんたくいたしまして、今後関係の官庁とも連絡をとっていきたいと思います。  私、いまの話を聞いておりまして感じましたのは、やはり一つは、日本人の法秩序に対する遵守精神と申しますか、こういうところにも問題があるんじゃないかなということであります。交通違反ぐらいとか積載違反ぐらいというふうな感覚が、やはり国民感情の中に一つあるのではないか。これは非常に原則的な問題で、法律を変えたぐらいではなかなか直らぬというような問題もあるのじゃないかなと思いますし、それからもう一つは、最近軽油引取税等の運輸事業振興助成金、交付金等がありまして、このことによって、荷主よりも事業者が強くなろう、こういうふうな動きもございますので、こういうふうなもろもろの面がすべてこれは関係をしておる問題だと思いますから、所見のごく一端を申し述べただけでございますけれども、きょうの御指摘を踏まえて警察当局、自治省あるいはそのほかとも相談をし、法律改正をお約束するという段階ではございませんけれども、何らかの前進をひとつ試みたい、そのように思います。
  86. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 当然ここで法律改正をお約束できるというような状況にないことは私もよく承知をいたしておりますので、いまの御答弁で結構なのでございますけれども、しかし先ほど来御指摘申し上げているように、この違反件数というのは増大の一途をたどっていることは間違いないわけでして、そしていままでの力関係から見れば、運転者あるいは運送事業者ですか、それから荷主の関係、その関係を考えてみたときに、どうしたってこれは利益を与えるところの荷主が一番大きな影響力を持つということはその図式の上からいっても明らかなわけですね。それだけにやはりその根本に手をさわらぬで、そうして末端だけ取り締まりをしようとしたって、これは本末転倒という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、それに近い状況であるということだけはぜひひとつ運輸省も認識をしていただいて、しかも繰り返し申し上げるようでございますが、違反者を一人一人呼び出して注意を喚起してみたところで、これは罰則規定がないわけですから、いま政務次官もおっしゃられた遵法精神の欠除ということも考えあわせてみますと、これはやはり行政指導だけでは片づかない。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 また逆に本質的なところにメスを入れて法の適用をさせるということにならなければ、遵法精神というものもまた逆に高揚してこないんではないか、こういう議論も成り立つわけでございますので、そこら辺はひとつ十分に御検討をいただきたいと思います。とにかく日本のトラック業界というのは、最近はかなり厳しく会社設立についても事業者管理義務等がやかましく言われておりますから整備はされてきたものの、しかしやはり十台、二十台のトラックを運行している会社というのはこれは全く中小企業、零細企業の枠を出ないわけでございますから、どうしても資本的にも弱い。資本的にも弱ければ荷主に対して正当な対価を払うよう要求するその力も弱いという実態論、そういう実態論的な処理をひとつしていただきたいということを強く御要望を申し上げておきたい、こう思うわけでございます。これはなお日時がかかるようでございますので、さらにまた次の国会等においてもできれば申し上げたいと思いますが、ひとつ十分御研究をいただきたい、これだけひとつお願いを申し上げておきたいと思うわけでございます。  あと、航空協定の問題を若干。運輸大臣が来られるまでまだちょっと時間があるようでございますから、日米航空協定問題点、これについてはもうすでに明らかになっているわけでございますが、特にアメリカ・イギリス間におきますところの航空協定、いわゆるバーミューダ協定が、戦後協定をされた各国の航空協定の見本みたいなものになっておりまして、いずれにしてもイギリスは昨年六月これを破棄したわけでございまして、一年後のことし六月ですか、新しい航空協定を発足させなければならない。そういう状況の中で日米航空協定交渉が行われようとしているわけでございますから、まず運輸省の方の、何を問題点として交渉しようと思っていらっしゃるのか、またわが国として、イギリスに準じて過去の不均衡な日米航空協定を破棄して新しいものをつくるんだというぐらいの強い決心があるかどうか、そこら辺から伺いたいと思います。
  87. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 昨年の秋やりまして、ここでまた四月にやりまして、さらにまた五月までにもう一度やることを予定しておりまする今回の日米航空交渉の基本問題は、沖繩返還後五年以内に日米間の輸送力の相互的均衡、オーバーオールバランス・オブ・ベネフィットという日米間の航空企業の利益の相互的均衡ということに照らして議論しようということが五年前に決まったものですから、それに従ってやっておるわけでございます。したがいまして、昨年の秋に私どもが提起いたしましたのは、三つの点、一つは発着地点の問題、それから以遠権の問題、三番目には輸送力の問題、この三つの点につきましてわが国と米国の航空企業との間には明らかに不均衡がある。これはわが国とアメリカの間の航空協定が締結されたときの、戦後でございましたので、そういった特殊な両国間の力関係を背景にしてつくられたものが今日までこの基本線が変えられていない。これでは日米間の航空企業の利益の相互的均衡が図られないんだという点を強く主張いたしまして、この均衡を求める決意を迫ったわけでございますけれども、昨年の秋はアメリカ側がそれに対して食いついてまいりませんで、一方的に日本側の意見を申し述べた。ごく大ざっぱに申しますればそれに終わったわけでございます。大変残念なことに、アメリカの方はほうっておいても余り損はしない。日本側はほうっておけばますます不均衡が拡大するという状況にございますので、何とか食いつかせる必要があるということで、四日から始まります日米航空交渉、これは現地で行いますけれども、これにおきましては何とか食いつかせようということでいろいろ外務省とも相談いたしまして食いつかせる手段、方法について策を練っていたわけでございます。そういったことのテクニックの一つといたしまして、いま先生御指摘の協定の廃棄通告ということもあり得るわけでございます。これは協定本文に書いてございまして、協定は、双方どちらからでも一ヵ年の予告期間を置いて廃棄できると書いてございます。かつてイタリーが、そして最近にはイギリスがアメリカに対して廃棄通告をいたした例もございますので、わが国におきましても協定上の地位といたしましてはもちろん廃棄通告をして全面的見直しを迫るということが可能ではございますが、ただ、これをいかなる時点にいかなるエネルギーのもとにぶつけるかという点については、いろいろ協定交渉上の戦略戦術の問題がございますので、有効な時期にこれを行いたいというふうに思っております。私どもの考え方では、少なくとも今回四日から行われます航空交渉テーブルにおきましては若干時期尚早であるのではないか。続いて行われますところの五月前後の交渉のときにはこの問題を真剣に考えていく必要がある、こういう状況でございます。
  88. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 いまもお話が出ましたように、五十年度の日米の企業収入比較を見てみましても、日本側は貨物を入れて八百七十一億、アメリカ側は千七百七十四億ですから、その収入格差というのは九百三億という、倍以上になっておるわけですね。そういう実態を見ても、これはアメリカ側で口を出すはずはないのであって、このままにしておけばアメリカがもうかるに決まっておるわけですから。しかしいかにも、発着地点の問題にしても以遠権の問題にしても、この問題だけは少なくとも平等の立場でなければならない。運送量という問題になれば日本は日航だけというのに向こうはたくさんのそういった企業があるわけですから、そこら辺の問題はあるにしても、どういった点からこの改正を迫ろうとしているのか。しかし、いま申し上げた供給量の問題、日本は日航以外にないにいたしましても、これは国と国との協定でございますから、確かに民間企業との関連はあるにしても、国と国との協定、そのバランスというものをもちろん第一義に考えてこれは交渉してもらわねばならぬわけでございまして、いろいろ戦略上の問題はありましょうけれども、一体どういう具体的な要求をこの四月ですか、交渉なさろうとしているのか。それから五月にもう一遍交渉されるわけでございますが、これは確かに日米航空協定を破棄してもという強い決心もいま御披瀝になりましたけれども、間違いありませんか、これは。
  89. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 四日からの交渉はこの次の協定の地ならしといいますか、きっかけづくりに主たる目的が、恐らく少なくとも日本政府としてはそういったことになろうかと思われますけれども、その際に私どもは、一つはいわゆる発着地点とか以遠権とかの平等確保という点が一つ、それからもう一つの問題は輸送力の問題でございまして、これは先生も恐らく御存じだと思いますけれども日本とほかの国との航空交渉では常に便数協定までいたしましてやっておりますけれどもアメリカとの間では便数協定がない。そうして一方的にアメリカ側に有利な協定になっているわけでございまして、事後審査主義という言葉で言っておりますが、これを何とか修正させないと、たとえば成田が開港になりましてわが国の空港収容力がふえてまいりますと、アメリカがかなり力ずくで投入してくるおそれもある。これに対して、これを防ぐためには現在の輸送力事後審査主義というものに対して一矢を報いる必要がどうしてもあるわけでございます。したがいまして、この両者の権益の平等ということと、それから輸送力事後審査主義の改正という点を中心に四日からの交渉では議論を展開することになるだろうと思います。その結果によりまして問題を整理いたしまして、五月前後の協定交渉のときにどういう戦略で臨むかということはこれからの相談でありますし、また先生方のお知恵も拝借するわけでございますけれども、そのときに当然もう廃棄通告をするということでいくということは私は考えていないわけでございまして、戦略戦術の中にそういったことも可能性としてはあり得るというふうに考えます。それが最も有効な手段であるという場合、総合的に考えて適当であるという場合にはそれを遠慮する必要はないと思いますけれども、今日、必ず五月のときに廃棄するんだということをまだ決めているわけではございません。
  90. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 そんなあいまいなことを言っていたのではいかぬのであってね。それでは、イギリスとイタリアはそういった協定を破棄してまでも闘っておるわけでありますけれども、そこら辺の研究は十分なされていますか、あるいは打ち合わせ等が行われていますか。
  91. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 イタリーは廃棄いたしましたのがかなり前のことでございます。イタリーは昭和四十一年に廃棄通告をいたしまして、一年の間に新しい協定ができなくて無協定状態が続きまして、昭和四十五年に新しい協定が調印されました。これが果たして廃棄前の協定とどういうふうに変わっているかという点については表立ってわからない点がございますけれども、恐らく秘密取り決め等でイタリーは何がしかのものを得たに違いないというふうにわれわれは推測をいたしております。  それから、イギリスは昨年の六月に廃棄通告をいたしまして、現在盛んにアメリカと新しい協定の交渉中でございます。そこで私どもは、イギリスと一番状況が近うございますので、イギリスの当局とは緊密に連絡をいたしましてやっております。これは昨年の夏以来何度かにわたりまして、当方の担当官とイギリスの担当官がお互いに行き来いたしまして打ち合わせをいたしまして、まあ運命共同体とは申しませんけれどもアメリカと対抗する意味でひとつお互いに情報を十分交換してやろうということで、緊密な連絡のもとにやっております。
  92. 石井一

    石井(一)政府委員 私からも一言補足させていただきたいと思いますが、運輸当局としましては、石田先生のように御激励をいただくことを非常にありがたいと思っておりますし、当然、今回のこの春の二回の交渉で何らかの前進をしたいと思っておりますが、率直に申しまして、外務当局は、外交的な関係等から最悪の事態を避けるべきだというふうな主張をしておるのではないかと推測をいたします。ただ、廃棄というのはけんかを売るということでなく、協定上も書いてあることでございますし、他の国もやっておることでございますし、そういう方法から何らかの前進も得ておるというふうな確証も得られる今日、今回は、四月の最初交渉にはそういう状態に入らないにしても、不退転の決意で交渉に臨むべきである、こういうことをわれわれといたしましては原局とも話し合っておりますので、この点、何らかの期待が持てるのではないかと思います。
  93. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それでは、大臣がいらっしゃいましたのでこれで終わりますが、いずれにしても、五十年度における両国間の往来を見てみますと、アメリカ側の訪日者が二十三万七千人ですか、日本の訪米者は七十四万六千人、三倍以上もわが国の方がアメリカへ行っておるわけでございまして、そういう状況を見ても、日米両国間の航空協定のアンバランスを是正しなければ日本側の損失というものは膨大なものであるという状況でございますので、四日からの交渉、また五月に入ってからの本格的な交渉についてはぜひひとつ腹をくくってやっていただきたい。その予備交渉の状況を見てその後また質問をしたい、こう思います。  では、以上で終わります。      ————◇—————
  94. 大野明

    大野委員長 外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田村運輸大臣。     ————————————— 外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する  不利益取扱いに対する特別措置に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  95. 田村元

    ○田村国務大臣 ただいま議題となりました外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国際海運の分野におきましては、伝統的に海運活動を事業者の自主性にゆだね、国家の干渉はできるだけ少なくすることが海運ひいては貿易の発展に寄与するとの考えからいわゆる海運自由の原則がとられてまいりました。  しかしながら、近時、発展途上国の中には、自国商船隊の拡充等を目指して、法律等により自国関係貨物を自国船に留保する等の国旗差別政策を実施し、またはそれを強化するものが増加してきており、わが国海運は、このような国旗差別政策により大きな影響を受けております。  これらの一方的な国旗差別政策については、海運自由の原則を守る立場から、直接影響を受けている民間海運事業者が、個々に交渉し、あるいは海運同盟の場においてその実施を控えさせるための交渉をするなどの措置をとってまいりましたが、政府といたしましても、他の先進海運諸国とも協調して外交交渉によりこれらの国旗差別政策を改めさせるよう努力してまいりました。しかしながら、このような措置だけでは十分な効果が期待できないのがその実情であります。  このため、日本、欧州政府間の団体である先進海運国閣僚会議におきましては、外交交渉によって問題が解決しない場合の究極的な手段として国旗差別国の船舶の入港制限等を含む対抗措置を整備することが必要であるとの合意に至っており、欧州の先進海運諸国は、これらの国旗差別政策に対抗するため、すでに法律によってそれらの国の船舶に対する入港規制等の措置をとることができる制度を確立しております。  わが国といたしましても、他の先進海運諸国と同じく、このような国旗差別政策を是正させるための外交交渉を推進する場合における究極的な法的対抗手段を整備する必要があり、そのため、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律を制定しようとするものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、第一に、本邦の外航船舶運航事業者外国等の国旗差別政策により不利益な取り扱いをされ、その利益が著しく害されている場合において、その事態に対処するため必要があると認めるときは、運輸大臣は、当該外国の外航船舶運航事業者に対し、一定期間内にその事態が消滅しないときは対抗措置を命ずることがある旨を通告することができることとしております。  第二に、右の一定期間内に本邦の外航船舶運航事業者の利益が著しく害されている事態がなお消滅していないと認める場合には、運輸大臣は、当該外国の外航船舶運航事業者に対し、その船舶について本邦の港への入港または本邦における貨物の積みおろしの制限または禁止を命ずることができることとしております。  第三に、当該外国の外航船舶運航事業者が運輸大臣の命令に違反した場合には罰則を適用することとしております。  これらのほか、運輸大臣が対抗措置の通告及び命令をする場合には、関係行政機関の長と協議して行うこととする等所要の規定を整備することとしております。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  96. 大野明

    大野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十九分散会