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高橋(寿)
政府委員 お答え申し上げます。
一番初めに、ことしの一月起こりました日本
航空のアンカレジでの事故につきましてお答え申し上げます。
一月十四日零時三十分にアンカレジ空港におきまして、日本に向かって生きた牛を輸送するDC8
貨物機が墜落いたしました。この原因につきましてはアメリカの
政府機関がいま調べておりますけれ
ども、その結果はわかっておりませんが、その途中におきまして、そのマーシュという外人機長でありますが、 かなりの程度のアルコールをとっていたということが解剖の結果わかったわけでございます。わが国の
航空法におきましてパイロットの飲酒は禁止されております。これを犯した場合には罰則もかかっておりますし、それを受け費して日本
航空その他各社の社内規程におきましても、乗務前十二時間の飲酒を禁止するというようなことで、外国のエアラインに比べまして日本のエアラインはアルコールに対しましてはかなり厳しい規定を置いているわけでございます。それにもかかわらず、解剖の結果多量のアルコールが検出されたというふうなことが起こりましたことは、このことが今度の墜落事故の原因であったか否かにかかわらず、酒を飲んでおったということ自体が悪いことである。そこで、直ちに日本の国内三社に対しまして注意をいたしました。追っかけて、また文書によりまして厳しい指示をいたしました。その中では、各社の運航規程をもう一遍再検討いたしまして、この種のことが再発しないようなことをまず会社として厳しく措置すべきであるということを申し上げました。特に、乗組員同士が相互にかばい合うということはいけないことである、こういったことにつきましてはお互いにかばわずチェックし合って、おかしいと思ったらすぐに相互でこれを抑制すべきではないかというようなことを言い、また運航管理者というのがおりまして、飛行機が飛び立つ前に気象
状況とかいろいろなことの連絡をいたしますけれ
ども、運航管理者は
航空機の安全につきましては、私は機長と同じ水準の
責任を持ってしかるべきであるという点を考えまして、従来、ともすると運航管理者というものの社内における地位が低いために機長に対して物が脅えないということがございましたので、この点を改めさせまして、運航管理者の
責任におきまして機長に対してもどんどん物を言うようにしなければいけないということを指示いたしまして、そのように各社とも対応いたしております。また、具体的にはアルコールにつきましては、
自動車でやっておりますようなアルコールの検知器につきましても可能な限り採用するということで、現に日本
航空は国内あるいは外国の主要営業所に配置をしたようであります。
それから、この機長がたまたま外人でございました。日本
航空には、先生御指摘のように百十九名の外人機長がおります。これは、アメリカのIASCOという略称の会社と日本
航空がまとめて役務提供契約を結ぶわけでございまして、この機長は直接にはIASCOに身分上は雇用されているわけでございまして、身分
関係のことはIASCOが見る。しかしながら、
航空機乗務員としてのすべての
責任は日本
航空にあります。したがって日本
航空は、日本人のパイロットと同じようにこれら外人のパイロットに対しましても一〇〇%
監督ができる立場であり、しなければならない立場にございます。そこで、先ほ
ども申し上げました今後の事故防止
対策につきましては、日本人、外人もちろん問わず厳しくこれを施行するように指示いたしたわけでございます。なお、日本
航空とIASCOとの契約によりますと、外人機長が日本
航空の運航規定に違反した場合には直ちに解雇できるという規定もございますので、そういった点を今後厳しく運用すべきであると考えております。
なお、この点に
関連いたしまして、日本人機長に早くかえるべきではないかという点につきまして私たち全く同感でございまして、現在五百二十人の日本
航空の機長の中に百十九人の外人機長がいるということは、他産業を見ますと、日本の各種産業というものが世界に冠たる産業になっているという中で、なぜ国際
航空だけが五百二十人のうち百十九人も外人の手をかりなければいかぬか、まことにこれはふがいない話ではないかということで、日本
航空に対しましてこれをできるだけ速やかに日本人機長にかえる、リプレースすることを前々から
指導しております。ただ、
事情がございまして、日本
航空はジャンボ機を導入いたしました。そういたしますと、DC8という中型の飛行機からジャンボに一遍に飛びますと、それだけの資格のある機長を得ることが事実上困難です。そこで、その端境期を乗り切るために外人機長に頼っておりますけれ
ども、なるべく早くこれをなくなしたい。日本
航空では当初五十九年ごろと言っておりましたけれ
ども、いまあらゆる
努力をしてこれを縮めるようにということを
指導いたしております。いろいろ、たとえば日本人機長の定年がきて退職をしてしまうと穴があいてしまうので、そこのところをまた外人機長で埋めなければならないというようなこともあるようでありますけれ
ども、それらを全部含めましてやはり日本人機長に一日も早くかえるということを
指導してまいるつもりでございます。
それから第二点の地方空港の問題でございますが、
航空につきましては今後やはり日本の総合的な交通体系の中で当然占めるべき位置がなければならない、そういうように思っております。そこで地方空港の問題でございますが、現在YS11機が飛んでおります空港がたくさんございます。三十四ほどございますが、YS11は御承知のようにすでに生産を中止いたしておりまして、これにかわるプロペラ機はいまのところございません。それで、どうしてもジェット機にかえなければならないという
事情がございます。そこで、地方の空港の中から主要なものを漸次ジェット機にかえるという計画をいまとっているわけでございます。現存、千五百メートルの空港にジェット機を入れるというようなことで、たとえば山形空港がジェット化いたしましたけれ
ども、これなどは山形空港の各種の条件を全部精査いたしまして、かつ
東京から飛んでいく飛行機の重量を制限し、また着陸できる場合の条件を厳しくした上で臨時にやった措置でありまして、原則としてやはりジェット機の就航する空港は二千メートルにしなければいかぬということでやっております。この点は、やはり
航空機の安全ということを考えますならば滑走路の長さというものはある程度見なければならないということもございますので、今後各ローカル空港の周辺の
事情それからその地域への
航空輸送需要、こういったもの等を十分勘案いたしまして、かつ地元の地域社会、住民の方々の御理解を十分得ながら進めていくことを考えたいと思っております。