運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-09-29 第78回国会 参議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年九月二十九日(水曜日)   午前十時八分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第五号   昭和五十一年九月二十九日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  第二 昭和四十八年度一般会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(その2)(第   七十七回国会内閣提出衆議院送付)  第三 昭和四十八年度特別会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(その2)(第   七十七回国会内閣提出衆議院送付)  第四 昭和四十八年度特別会計予算総則第九条   に基づく経費増額調書及び経費増額調書   (第七十七回国会内閣提出衆議院送付)  第五 昭和四十八年度特別会計予算総則第十条   に基づく経費増額調書及び各省庁所管経   費増額調書(その2)(第七十七回国会内閣   提出衆議院送付)  第六 昭和四十九年度一般会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(第七十七回国   会内閣提出衆議院送付)  第七 昭和四十九年度特別会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(第七十七回国   会内閣提出衆議院送付)  第八 昭和四十九年度特別会計予算総則第十一   条に基づく経費増額調書及び各省庁所管   経費増額調書(第七十七回国会内閣提出、衆   議院送付)  第九 昭和五十年度一般会計予備費使用総調書   及び各省庁所管使用調書(その1)(第七   十七回国会内閣提出衆議院送付)  第一〇 昭和五十年度特別会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(その1)(第   七十七回国会内閣提出衆議院送付)  第一一 昭和五十年度特別会計予算総則第十一   条に基づく経費増額調書及び各省庁所管   経費増額調書(その1)(第七十七回国会内   閣提出衆議院送付)  第一二 昭和四十八年度一般会計国庫債務負担   行為調書  第一三 昭和四十九年度一般会計国庫債務負担   行為調書  第一四 昭和五十年度一般会計国庫債務負担行   為総調書(その1)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、日程第一より第一四まで  一、裁判官訴追委員予備員東北開発審議会委   員、日本ユネスコ国内委員会委員及び鉄道建   設審議会委員選挙  一、国家公務員等の任命に関する件      ——————————
  2. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) これより会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第五十五番、地方選出議員、奈良県選出堀内俊夫君。    〔堀内俊夫君起立、拍手〕     —————————————
  3. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 議長は、本院規則第三十条により、堀内俊夫君を社会労働委員に指名いたします。      ——————————
  4. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。多田省吾君。    〔多田省吾君登壇、拍手
  5. 多田省吾

    多田省吾君 私は、公明党を代表いたしまして、三木総理並びに関係大臣に対し、内政、外交の当面する問題について質問いたします。  初めに、ロッキード疑獄真相徹底解明と今後の制度改革について、政権担当政党総理総裁としての三木総理に、その決意をお伺いしたいと思います。  総理は、真相解明政治生命をかけると言われた当初の勢いが最近は影をひそめ、相次ぐ後退が見られるのははなはだ残念であります。また、事件解明後に粛正と制度改革に着手すると抽象的な言葉を繰り返すだけで、一向に具体的改革案を示さず、あまつさえ、党内ではいたずらに国民不在政権抗争に明け暮れていたのであります。総理はみずから議会の子と言われるなら、国民真相究明制度改革への強い願いをくみ取って、強い徹底究明への決意具体的制度改革案を示していただきたいと思います。  質問の第一は、最も多額の児玉ルートに対する究明が非常におくれていることであります。稻葉法務大臣は、二十六日、村上市で、児玉ルート解明は十月末には黒白がはっきりするだろうと言ったと報道されておりますが、コーチャン、クラッター氏等の嘱託尋問も進んだ今日、児玉ルート徹底解明見通し決意をお聞きしたいと思います。  次に、灰色高官名の公表について、総理は当初すべて公表するのが原則だと言われておりましたが、最近は、灰色高官範囲考える慎重さが必要だと後退しております。灰色高官範囲について、野党側が金品を受領したすべての高官と広く定義しているのに、自民党見解では、時効不起訴、微罪不起訴など狭い三条件にしぼり、政治資金として受けたのは灰色高官としないとしております。これは、刑事犯罪範囲に問題を矮小化して、政治的道義的責任徹底追及を放棄した灰色高官隠しにほかなりません。総理は、いままでの答弁のような国会任せの逃げ口上じゃなくて、自民党総裁として、灰色高官範囲を狭い自民党見解に同調されるのかどうか、明白にお答えいただきたいと思います。いままで総理は何回も逃げ口上を言っております。私たちが聞きたいのは、自民党総裁としてのあなたの個人意見なのでございます。また、現職国会議員証人喚問は憲法上も何ら問題はないのですから、自民党が拒否する理由は何もありません。総理、ここでも自民党総裁としてのあなた個人のお考えをお聞きしたいと思います。  第三に、ロッキード疑獄の本質は構造汚職であり、政・官・財界癒着企業献金依存金権腐敗体質にその根本原因があります。三木総理は、いまなお企業献金は悪ではないとして、今度の総選挙やあるいは今後も企業献金を継続させるおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。  また、ロッキード疑獄では政治家個人の受けた収賄が罪に問われておりますが、現在、政治家個人政治資金収支公開や授受の規制は何ら措置もなく、税法上の申告すら免除されているのであります。ロッキード疑獄解明との関連において、政治家個人政治献金収支公開献金総額規制税法上の申告について、総理はどのような具体的措置考えておられますか。  さらに、政・官・財界癒着を断ち切るために、従来から問題となっております高級公務員立候補制限は、少なくとも参議院全国区に限ってはやるべきではございませんか。  第四に、総理の派閥や党内機関で、党の体質改革のためと称して、自民党が四割台の得票率で八割もの議席を獲得しようとする衆議院の小選挙比例代表制を持ち出して、国民主権選挙制度党略的手段で改悪しようという論議があり、総理はそれを放任しております。これは、ロッキード疑獄改革と称して、民意をさらにねじ曲げる反国民的意図となりますが、総理自身の御見解をお伺いしたいと思います。  いま、選挙に関して緊急に問われておりますのは、参議院地方区定数是正問題であります。国民の主権と議会制民主主義を守るため、また、最高裁の違憲判決に対応いたしまして、早急に、区制とは別に、定数是正を図るべきであります。自民党区制との一括方式を主張して、また、アンバランスや逆転現象をほとんど解決しない案を持ち出して、定数是正を阻んでおります。総理定数是正に対する党への指導性決意をお伺いしたいのであります。  次に、災害及び食糧、環境問題についてお尋ねいたします。  ここ数年、風水害の災害が数多く起こっております。先般の台風第十七号は西日本を中心に猛威をふるい、多くの方々が不幸にも犠牲になられ、また被害を受けられました。心から謹んで哀悼の意を表し、お見舞いを申し上げます。政府は、人命尊重徹底救済立場で救助、復旧に努め、特に中小企業者農業者等に手厚い救済を図るとともに、個人災害に対する救済措置を、災害弔慰金やあるいは貸付金大幅増額とともに、また、新しい個人災害共済制度考えるべきであると思います。また、災害再発防止の五十二年度よりの治山治水五カ年計画は、その規模、一級、二級河川の決壊対策がけ崩れ対策等、具体的に示していただきたいと思います。  また、東日本一帯は四十二年ぶりの冷害に襲われ、関東の早場米地帯を初め、東北、北海道、新潟県など、農作物に壊滅的な打撃をこうむりました。岩手県では収獲ゼロの農家も続出いたしました。初霜がさらに追い打ちをかけ、自殺者も出している県があります。また、来年の十月まで一切の収入がなく、多くの人が職場探しに懸命であります。地元では、天災融資法激甚災害法早期発動、融資枠の拡大と融資条件の緩和、農業共済資金早期高額支払い病虫害防除対策費助成、また、等外米麦規格外米の全量買い上げ、新しい職場探し、さらに、災害県市町村に対する特別交付税起債枠設定などの財政援助を強く望んでおります。政府は万全の対策を立て、特に、大石農林大臣が現地で約束されたことはすべて実行されるよう強く要望して、所信をお伺いいたします。  わが国食糧問題は、小氷期と言われる世界的な異常気象、大干ばつ、冷害の中で、穀物自給率が大豆を含めるとわずか三〇%台という現状でありまして、世界一の食糧危機の中に立たされております。食糧自給率を高め、生活できる農業の復興のために、思い切った政策転換が必要であります。  わが党が、最近、穀倉地帯と言われる純農村で広範囲農業者意識調査を行ったところ、農政不満のある人は全体の九〇%もあり、その内容は、経営が成り立たない、農政一貫性がない、抜本的な農産物の価格補償がない、また、税制上の優遇策がない、こういう不満が多く、その他、将来農業をやめるという人が全体の三〇%、また、後継者がいないという人が二五%もありました。福島潟や大潟村の紛争や青刈り問題は、まさに農政一貫性のない証拠であります。  農地について言いますと、農林省は昭和六十年まで十六万ヘクタール増加の目標でありますが、食糧自給率を高めるためには、遊休農地の買い戻しや、農地六十万ヘクタール、草地やあるいは野草地百九十万ヘクタール程度新規造成を図るべきではございませんか。  次に、公害、環境問題について伺います。  公害による環境汚染はますます広がり、公害病認定患者が増加し続けております。最近の例でも、長い間工事がストップしておりました長野県の有料道路ビーナスライン、これを環境庁建設を認め、南アルプススーパー林道建設促進動きが見えます。六月には、鹿児島県かも新大隅開発計画の第二次試案が突然発表されました。日南海岸国定公園の指定を外してまで強行施行するのか、総理環境保全に対する基本的姿勢をお伺いしたいと思います。  また、環境アセスメント法、すなわち環境影響事前評価制は、公害の後追い行政から未然防止へと脱皮を図るために国民の強い要望であり、わが党も昨年二月に法案を提出いたしまして、早期法制化に努力してまいりました。しかし、昨年十二月、環境庁が報告した環境アセスメント素案は不十分なものでありましたけれども、それすら各省庁との調整がつかず、成案まで至らなかったと聞いております。三木総理は、各省庁を指導して、早期法制化されるお考えはありませんか。  次に、財政経済問題について質問いたします。  私たちは、財政特例法による安易な大量の赤字国債の発行に反対し、不公平税制是正や歳出の節約、償還計画市中消化明確化などの提言を行ってまいりましたが、昨日の政府答弁を聞きましても、政府の努力にはほとんど見るべきものがございません。  税制面では、東京都の調査でも、昭和四十九年の企業優遇税額は実に二兆五千八百三十七億円に達し、資本金百億円以上の大企業実質税率資本金数千万あるいは数百万円の中小企業実質税率よりも低い、こういう不合理さえ生じております。政府は、このような大企業金持ち優遇不公平税制を抜本的に改革し、また、ロッキード疑獄に見られる悪質脱税の摘発を強化する、公正な税の執行、健全で効率的な財政運営等を図るべきであります。  大蔵省は、五年ものの国債、中期割引債発行考えているようでありますが、銀行の反対、また利息に一二%の税金を払えば無記名で買えるという税法上の問題について、大蔵大臣所見を伺いたいと思います。  第二に、国鉄運賃電信電話料金値上げ消費者物価について、総理にお尋ねいたします。  電力、ガス料金を初め、多くの公共料金値上げ卸売物価の十四カ月の連騰で、消費者物価も前年比九・五%も上昇し、さらに高騰する勢いであります。私どもは、安易な国鉄運賃の五〇・三%という大幅値上げ案に強く反対いたします。国鉄の再建には、国鉄自身経営努力、国の助成強化、新線建設の見直し、大企業優遇貨物料金抜本改革、あるいは総合交通体系確立等がまず急務であります。  また、電信電話料金大幅値上げに対しても強く反対いたします。値上げしないで済むように、第五次五カ年計画を抜本改正すること、また、減価償却制定率法から定額法に改めること、データ通信等企業優遇料金制度を改めて、一般住宅用電話料金を抑制すべきことを主張いたします。  しかも、政府のこうした公共料金値上げは、上昇を続ける消費者物価をさらに押し上げ、ますます国民生活を圧迫するのであります。このような状態で、総理は、年度末消費者物価を八%にする目標を守れると思っておりますか、お伺いいたします。  次に、国民福祉の課題についてお伺いいたします。  国民福祉は、過去の高度成長のときも最もなおざりにされ、いまや不況とインフレの同時進行の中で、完全失業者は百万人に達し、老人世帯母子家庭身障者世帯方々の生活はまさに危機に直面しております。  わが国社会保障国民一人当たり給付額は、西ドイツ、フランスの六分の一、カナダ、イギリスの四分の一、イタリアの三分の一で、まさに福祉三流国であり、福祉充実の声はますます高まっております。三木総理のもとにライフサイクル計画提言もあったことでございますから、ナショナルミニマム設定し、予算を優先確保して、社会保障充実のための五年計画または三年計画を示すお考えはありませんか。  第二に、すべての国民の老後に安定した最低生活を平等に保障する老齢年金制度の確立についてお尋ねいたします。  わが国年金制度は、厚生年金の改善もまだまだ不十分であり、特に国民年金老齢福祉年金については非常に立ちおくれております。積立期間が少ないとか無拠出という理由は、国民年金の発足が遅かったのは政府の責任でありますから、理由は成り立ちません。いま厚生省にも基礎年金制などのお考えもあるようですから、所得比例年金との二階建て年金制で、諸外国並み修正賦課方式に切りかえ、世代間の相互扶助の精神で、社会に大功労のあられた御年配のすべての方々が安心して生活できる年金制度を抜本的に早急に確立することが必要でありますが、政府考えをお尋ねいたします。もしそれが早急にできないなら、せめて国民年金の十年年金、五年年金を、現在の低い二万五百円、一万五千円より大幅に増額し、そして老齢福祉年金を、十月からの一万三千五百円を早く月二万円に引き上げるべきだと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。  第三に、住宅対策ですが、全国で二百四十七万七千世帯住宅難世帯が、また一千三万世帯住宅困窮世帯があります。いま大都市圏でごく小さな持ち家やマンションを購入するのに、若干の手持ち資金に一千百万円程度住宅金融公庫や民間住宅ローンを借りますと、二十年間毎月九万五千円程度返済額になりまして、これでは持ち家は庶民にとってますます高ねの花となってまいります。賃貸住宅も年々家賃が上がり、民間アパート四畳半一間平均一万三千四百円、耐火づくりの二DK平均五万七千六百円、公団住宅も高家賃団地となり、二DKで四万六百円、高いのでは赤羽二丁目団地の三DKで六万九千六百円となっております。中でも、ひとり暮らしのお年寄り、夫を亡くされた御婦人など、単身世帯では公的住宅にほとんど入れず、過酷な仕打ちとなっております。政府は、住宅五カ年計画公的住宅三百八十六万戸を少なくとも五百万戸に増加し、条件をよくし、特に老人、御婦人単身世帯向け公営住宅を開放または建設するお考えはありませんか。  第四に、医療における健康保険制度の問題であります。中でも国民健康保険財政は逼迫し、市町村の中には、苦しさの余り、国保返上論さえ起こっております。健康保険制度はすでに定着しております。保険制度崩壊国民の健康の崩壊につながるものであります。政府は、この危機をいかに回避し、国民健康保険健全化を図るか、考え方を示していただきたい。  また、被用者保険加入者が退職後に苦労されるのを防ぐために、退職者継続医療制度の整備を図るべきだと思いますが、見解をお聞きしたいと思います。もちろん、老人医療有料化への動きには強く反対してまいります。  第五に、教育について伺います。  受験地獄の中で塾通いの児童が激増しており、文部省でも実態調査をしているそうですが、塾へ行かなくても済む教育制度充実対策についてどのように考えておりますか。また、高校建設人口急増地区等では深刻な問題であり、高校入制の実現も強く求められております。来年の文部省概算要求はまだ少額と言わざるを得ません。大量の高校建設に対する政府助成についての考え方をお伺いしたい。  さらに、だれでも高校大学で学べるように、高校大学奨学生制度を、人数、金額ともに来年度はさらに倍増し、改善すべきだと思いますが、どのように考えておりますか、お伺いいたします。  次に、外交問題について三木総理にお伺いいたします。  アジア世界の平和を強く願うわが国外交方針は、平和憲法を基本とした自主平和外交と、すべての国と友好親善を図る等距離中立外交でなければならぬと私たち考えております。  この立場総理にお尋ねしたい第一点は、海洋法会議経済水域設定の問題であります。経済水域二百海里、領海十二海里の設定を主張する声はもはや世界の大勢となりつつあります。  まず、領海十二海里の早期宣言は、わが国零細沿岸漁業を守るためきわめて重要であります。三木総理は、本年二月二日の予算委員会で、海洋法会議で結論が出ない場合でも政府としてことしじゅうに領海十二海里決定をやりますと確約しましたが、いまだに宣言を渋っておりますのは公約違反ではありませんか。何かいま宣言できない理由があるのですか。その理由をはっきりお答えください。  また、経済水域二百海里設定についてわが国利害得失をどう考えておられますか。各国がばらばらに経済水域二百海里を宣言することが予想されますが、これはわが国遠洋漁業に壊滅的な打撃となると思います。先般は日米漁業交渉もあったわけです。経済協力入漁料、減船の救済など、その二国間交渉対策について明確な答弁をお願いしたいと思います。  第二に、核政策でありますが、前の国会核兵器拡散防止条約批准に踏み切ったのに、肝心の核軍縮は進まず、米ソ間の戦略兵器制限交渉米ソ両国拡大均衡の結果しか生じておりません。総理は、米ソ両国に強い態度で核軍縮を求めるべきではありませんか。  また、次の問題として、気象を変えるという、人類皆殺しの恐るべき環境破壊兵器開発が現在進んでおりますが、政府はこの開発を取りやめるよう強く発言すべきだと思いますが、いかがでございますか。  さらに、領海十二海里が設定された場合、国際海峡における核兵器無害通過は、非核三原則を堅持するわが国は当然禁止すべきであると思いますが、総理の明確な姿勢をお尋ねいたします。  第三に、日中平和友好条約締結交渉でありますが、早期締結を強く願っている間に、残念にも毛主席周首相が死去されております。総理はさきの国会で、現在の日中間にそんなに大きな考えの隔たりがあるとは思わないと答弁されておりますが、すべては総理の断固たる決断にかかっているのであります。小坂外務大臣喬冠華外務大臣との会談が近く行われるようでありますけれども、総理に、反覇権問題に関する交渉のいきさつ、締結見通しを、あわせて示していただきたいと思います。  第四に、日ソ関係についてお尋ねいたしますが、日ソ復交以来二十年、アジアの隣国としての友好親善が、ミグ25強行着陸問題で重大な局面を迎えております。ミグ25の機体は現在解体調査が行われておりますが、わが党は、昨日の矢野書記長質問のような早期返還を要望しております。本日は小坂・グロムイコ会談も始まったようですから、機体調査期間返還方法について、また、今後の日ソ関係のあり方について、総理の明確な御所信を伺いたいと思います。  また、将来の問題として、もしミグ25が函館を少しずれて、三沢とか横田等米軍基地に強行着陸した場合、わが国政府のなし得る権限について、種々の場合について、この際明らかにしていただきたいと思います。  第五に、わが国海外政府援助が、先般OECDから指摘されたように、昨年は目標のGNP〇・七%にはるかに及ばず、一昨年の〇・二五%より低い〇・二四%に落ち込み、量質ともに諸国の強い批判を浴びておりますが、総理は、所信表明に、経済技術協力、とりわけ政府援助の面を一層強化したい、こう言われております。本年の具体的な目標と抱負をお聞きしたいと思います。また、発展途上国に対する一次産品の価格安定構想累積債務救済についてのお考えをあわせてお伺いいたします。  次に、日本共産党のいわゆるスパイリンチ事件についてお伺いしたい。  本件はすでに前国会でも取り上げられましたが、また、昨日の衆議院会議でも、共産党金子議員から改めて本件についての問題提起があったことは御承知のとおりであります。それを受けて、わが党の矢野書記長疑問点について若干触れたわけでありますが、日本共産党側からあえて問題提起があったのは、本件がまさに今日的課題としてまことに重要であるとの判断からであろうかと思います。矢野書記長もまた、自由と民主主義を守る今日的課題に立ったものであります。しかも、矢野書記長質疑の途中、日本共産党議員席からわが党書記長に向かって犬呼ばわりをいたしたのであります。これはまことに無視し得ない暴言であり、その根底には、自分と意見の異なる者は人間として認めないという日本共産党体質を露呈したものであり、まさに議会制民主主義に真っ向から挑戦するものと言わざるを得ないのであります。(拍手)  私は、以上の観点から、国民各位本件に重大な関心を持っているとも思いますので、きわめて常識的に若干お伺いするものであります。  法務大臣は、昨日の答弁において、宮本顕治氏が連合軍特別指令によるいわゆる超法規的措置によって釈放されたと答弁された。つまり、リンチ事件については勅令七百三十号の適用除外であり、これを釈放することは法規上の裏づけを欠如するものであり、まさに連合軍司令部のおかげであると言っても差し支えないと答弁された。当時、このような総司令部措置については、法務当局もこの命令を受忍せざるを得なかったと思うが、もし連合軍特別指示がなかったとすれば、わが国法律上、刑法犯として網走刑務所に収監されておった宮本氏はどのような取り扱いになったか、所見を承りたい。  また、法務大臣が述べられた超法規的措置内容については、立憲民主国家としての日本の進路に対して重大なる影響を与えるものであるとの立場から、同措置内容、特にアメリカ側の指令の態様及び日本側司法当局のとった措置及び法的手続等について御説明をいただきたい。  さらに、治安維持法下におけるスパイリンチ事件の発生については、異常な時代の不幸なる出来事として共産党説明が行われているが、同党の持つ本質的な体質から生ずる事件であるとの見方もあり、これについて戦後同種リンチ事件が発生していないことを望むものであるが、不幸にして同種事件が発生したとすれば、民主議会政治においてまことに遺憾な事実と言わざるを得ません。ここに政府は、共産党にまつわる同種の戦後の事件について覚知しているかどうか、伺いたい。もしありとすれば、その資料を提出した上、かかる事態の再発を防止するための措置としてどのような方策を考えておられるか、明らかにされたいと思います。  以上、私は内政、外交の当面の問題についてお尋ねいたしましたが、三木総理及び関係大臣の明確で誠意ある答弁を要望しまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手
  6. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 多田君からきわめて多岐にわたっての御質問がございました。できるだけ私がお答えをして、ほかの大臣の答弁の要求もございますので、私が答弁を他の大臣にゆだねる項目もあることは御承知を願いたい。  最初に、ロッキード解明に対する私の熱意が後退に次ぐ後退であるという御批判がございましたが、私はこの御批判をそのまま受け取るわけにはいかない。多田君がお考えになっても、やるべきことはやっておるという私は考えでございます。たとえば、今回の事件についても、私や稻葉法務大臣は、一切政治的な介入はせぬと、捜査当局がひとつ法律に基づいて厳正にやってもらいたいという態度を終始とって、起訴すべきものは起訴し、また、児玉ルートに対しては、多少の時間がかかっても、どんな困難であってもこの真相を究明しなければロッキード事件の全容は明らかでないと、やってもらいたいという立場をとり、また、国会の国政調査権に対しては、まだ事件が進行中ですよ、それにもかかわらず、国会がお決めになった灰色高官範囲に従っていままでの捜査に基づく資料を全部出しますと、こういうことを言って、国政の調査権に対しても議長裁定に従って協力をしようとしておるわけでございまして、この態度というものが、ロッキード事件の真相を解明したいという私の最初の熱意から後退したという批判は、私はこれは受け取るわけにはいかぬということを最初に申し上げておきたいのでございます。  また、第二の問題は、灰色高官の定義について野党と自民党との見解が違うと、総理自身はこれに対してどう思うかと。私は、自民党見解は相当覚悟を決めて自民党考え方を出したものだと思いますが、それでも野党との間に隔たりがあることは事実であります。したがって、これは当該の委員会において、なるべく真相を究明したいという国会の要望にこたえて一致の線を見出してもらいたいと思うわけでございます。そういう考え方でございます。  また、証人の喚問について私自身の見解を聞かれましたが、原則的には、これはもう議員であろうが、だれであろうが、例外はないわけでございまして、しかし、だれを呼ぶかということは委員会の決定に——委員会において十分検討してもらいたい。ただし、その委員会の自民党の委員に対しては、国民の疑惑を受けないように証人の喚問については十分に検討してもらいたいという注意は私は与えるつもりでございます。しかし、委員会の決定そのものを私自身が支配することはできないことは御承知を願いたいと思うわけでございます。  また、企業献金をどう思うかということでございますが、まあ私も将来——企業献金が悪いのだという考えはない。やはり企業が、いわゆる自由、民主主義を信奉する自民党というものの党の一つの立党の精神といいますか、これに賛成をして自民党に対して応分の寄付をしたいということが悪だとは思いませんが、やはり将来は政党の運営は党費とか個人の献金、これを中心として考えるべきだという意見に私は賛成の意見なんです。ただ、それを多田君は一遍にせよということですが、これにはやっぱり段階的に考える必要がある、これだけの違いであります。その段階的に考える——たとえば、今度のいままでにないような政治資金規正法の改正を行って、献金を受けた政治団体の収支公開をきわめてこれは明朗化したことは事実である。また、寄付の量的な制限や質的制限を加えた。政治資金規正法はいままで改正されたことはないんです。いろいろな評価はございましょうけれども、これは画期的な改正であると私は考えておる。だから、その改正の中においても、今後五年たった後には、個人献金というものを一層強化する方途とか、あるいは会社、労働組合等が拠出する政治資金のあり方についてもう一遍見直そうということになっておりますから、こういうことも、先般の改正法についてはそういうことも決められておるわけでございますから、この問題は多田君の考えられるように、できるだけそういう方向に早く持っていくことが理想であるという考え方は、方向においては多田君の意見と私は一致するものであります。  次に個人の、一つの政治家の個人政治献金について収支公開というものがされてないというお話でございましたが、そういう弊害も認めまして、今度の政治資金の規正法の中には、いままで野放しになっておった政治家個人への政治献金については、新たに量的な面と質的な面との受領の制限が相当厳しく制約をされたということで、こういう改正を行ったということで御承知を願いたいわけでございます。この経過をしばらく見てまいりたいと思うわけでございます。  次に、選挙区制度というものについていろいろお話がございました。この自民党の小選挙比例代表制、こういうものに対して総理はどう考えるかという御質問がございました。選挙法というものに対して私は絶対にこれが正しいという選挙法はないと思っています。いろいろその国の事情によって——選挙法はまた各党間ルールでございますから、選挙法というものは一つのルールである。政治のルールですから、その国の事情によっていろいろその国に適した選挙法が行われることは当然でございますが、大体において、下院選挙というものは——衆議院選挙ですね。これはやはり小選挙区で行われておることが大抵の国の例になっておりますね。しかし、ドイツなどでは比例代表制を加味しておるわけです。日本選挙制度の審議会においても、小選挙区による比例代表ということがしばしば大多数の意見として意見が述べられておるわけで、これは確かに一つの方法だと私は思っておるんですよ。いわゆる小選挙区制比例代表制を加味する方法は日本が検討すべき選挙制度の一つであるという考え方を持っておりますが、いま申したように、選挙法はやはり一つの選挙のルールであるという見地に立ちまして、この点については各党間においても十分に話し合わなければならぬ問題であると考えておる次第でございます。  また、参議院の定数是正の問題、これは一つの大きな問題であるとは思いますけれども、やはり基本的には、参議院選挙のあり方をどうするかという全体の問題の一環でも私は実際はあると思うのです。全国区のあり方というものは私は問題だと思うのです、この全国区のあり方。この問題は、やはり選挙に金がかからないという見地から見ましても、全国区のあり方は再検討すべき時期に来ておると。まあこういう選挙区制の問題は、やはり単に地方区の定員是正というものばかりでなしに、皆さんのこの参議院をより一層権威づけるためにも選挙法というのは重要な関係があるのですから、全国区のあり方についてもあわせて検討されるべきではないかと私は思うわけでございます。  それからまた、いわゆる公務員の立候補制限についてもお話がございました。これはまあ選挙制度の審議会においてもしばしばこの問題というものは出た問題でありますが、憲法上のいろいろな規定もございまして、結局は、昭和三十七年の法改正では、公務員の地位利用による選挙運動の禁止、地位の利用による地盤培養行為などの禁止、連座制の強化ということを取り入れて、この公務員の立候補というものに対する弊害の面を除去しようと図ったものであります。この問題はきわめて憲法上の関係とも関連しますから、慎重に検討すべき問題だと考えております。  次に、第十七号の災害についていろいろお話がございました。台風第十七号の災害救助に関しては、災害救助法に基づいて、罹災者の救助に万全を期しております。  災害弔慰金の限度額をもう少し上げたらどうかというお話でございましたが、現行の限度額百万円というのは、昨年の法律改正によって改められたばかりでありまして、現在のところ妥当でないかと考えておるわけでございます。  災害援護貸付金、この問題については、できるだけ、この需要の増大にかんがみまして、この原資をふやさなければならぬということで、その原資を確保し、それをふやしていくということを重点的に考えてまいりたいと考えておるわけで、それは予備費で充当したいという考えでございます。  また、個人災害の共済制度については、現行の災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の立法の過程でいろいろ検討されたのですが、現在のところ、この制度を新設するということはなかなか困難であるという結論に達したわけでございます。  治山治水の五カ年計画については、これは多田君の言われるように、いろいろ災害のあるたびに考えられることは、いわゆるこの根本から、災害基本からこれを防止するという態度、防止するということが災害防止の中で一番大事なことで、目につかぬことであります。道路とかいろいろその他に比べると華やかではないけれども、治山治水という問題がこの際もっと政策の中で重点的に考えなければならぬということを考えられますので、来年度から始まる治山治水の五カ年計画は一段と強化してまいりたいという考えでございます。  また、長野県のビーナスライン、スーパー林道などについていろいろお話がございました。また、環境問題についていろいろお話がございましたが、私は、日本のような狭い領土の中で一億を超える人たち生活をしていくためには、開発ということは当然になされなければならぬが、その場合にはやっぱり環境を破壊してまで開発するということに私は賛成はできない。環境を保全しながら開発をするということでないと、これはやはり国民の環境を守りたいという要望にもこたえるゆえんでありませんから、あるいはいろんなスーパー林道建設についても、開発の必要と環境保全という見地から、どうしても環境の事前調査といいますか、アセスメントということが、多田君の御指摘のように、必要である。これについては何らかの環境のアセスメントというものに対する制度、体制を確立しなければならぬということ、多田君と全く同感でございます。環境庁及び各関係省庁において、この点は多田君の言われるようなことも含めて検討を進めている次第でございます。  次に、国鉄運賃などについていろいろお話がございましたが、今回の国鉄運賃は運賃の値上げという点ばかりがとらえられますけれども、実は、この国鉄運賃の引き上げということは国鉄再建の一環であって、引き上げだけをやろうというのではない。やはり過去の累積赤字に対しては、二兆五千億円にわたるこの赤字は、これをたな上げする、国がめんどうを見るということですね。そして、一方においては国鉄も思い切った合理化をやる、それでなおかつ、国鉄の再建は可能であるということで、国鉄を利用される方々にも応分の運賃の負担をお願いをしたいというわけでございまして、これはただいたずらに運賃を値上げしようというのでなくして、国民国鉄、これをやっぱり再建するためにはどうしても運賃の引き上げというものがないと再建は成り立たないということでございますから、この点を御理解願って、この国鉄の再建案に対しては国会の御協力を得たいと切に願うわけでございます。  次に、電話あるいは電信の料金についても同じような、これがもし引き上げが行われなければ日本の電信電話の経営基盤というものが非常に弱体化する、国民に対するサービスも低下する、そういう点からも考えて、この際引き上げをお願いをしておるわけでございます。  次に、消費者物価の来年度末八%の見通しはあるのかというお話でございました。物価の動向というものは手放しでわれわれも楽観しておるのではないわけです。絶えずきめ細かい物価安定の対策をとらなければならぬということを前提にして、卸売物価の、これがどのように消費者物価に波及していくかということ、これに対しては十分注意をしてまいらなければなりませんし、いろいろな季節的な動きなども考慮しなければなりませんが、本年度の末に消費者物価上昇率八%の政策目標はぜひ達成したいと考えるし、政策の努力によってはこれは達成可能であると政府考えておるわけでございます。  次に、中小企業について、官公需というものに対する中小企業への発注というものを確保せよということは、これは政府も特に気を配っておるわけでございまして、できるだけ五〇%ぐらいまで持っていきたいということが目的でございますが、五十年度の実績は三二・六%を上回る——実績はそうでございましたが、五十一年度にはもう少しこれを、目標を少し上げていきたいと努力をいたしておる次第でございます。  それから、住宅問題については、老人とか婦人とか単身世帯など公営住宅の開放等、いろいろ建設的な御提案がございました。まあ第三期の住宅建設五カ年計画の中には、公的資金による住宅三百五十万戸を供給することになっておりますが、これは住宅需要の実績を十分に考慮した上策定したもので、これは現時点では必要かつ十分なものと考えております。その公的資金は、いま多田君の御指摘になったような一つの居住の水準を確保するために必要な老人とか母子世帯などに対してこれを考えた一つの案でございます。それから公的住宅への単身者の入居などについては、これは公社、公団においても実施しておりますが、今後ともこれはさらに進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  さらに、教育の問題については、いろいろ塾の問題などをお取り上げになりましたが、どうしてもやはり日本は学歴偏重ということが、塾などが全国的にいろいろ普及することになりますわけですから、入学制度のあり方とか、小中高等学校の教育内容の精選などについて文部省改革に手がけておることは御承知のとおりでございます。  それから、高校の増設などについても、政府としては、特に人口の急増地帯などによっては高校の新増設のために非常に苦しんでおるわけでございますから、国の助成というものを、いままでも強化してまいっておりますが、今後とも強化してまいりたいという考えでございます。  それから……(発言する者あり)いや、いろいろお答えしないと、答弁漏れということでお叱りを受けますから。また、海洋法会議の結論が出ない場合に、十二海里というものを、なかなか決まらぬときにはこれを何とか処置せなけりゃならぬという私の答弁をとらえられて、どうするのかということでございました。私は、全般として海洋に関する一つの世界的な秩序ですから、これは全体としての海洋法会議の結果が決まることが一番好ましいと思っているんですよ、これはね。ところが、私はまあ今年中には海洋法会議の結論は出るという見通しであったわけです。私の見通しが甘かったことは認めますよ。そういうことで、しかし海洋法会議が決裂ではないんですね。今後一層、来年の五月までに、再開するまでの間各国でもっと内部調節をしようということでございますので、この海洋法会議の推移等も一体どう予測するかということもにらみ合わして、この十二海里という問題は考えてみたい。まあできれば、世界の海洋の秩序ですから、全体の国際条約の中で決めることが好ましいという考え方をいま持っておるわけですから、もう少し海洋法会議の推移を見守らせていただきたいという考え方でございます。  また、二百海里の経済水域を各国が設定をするので、わが国の漁業に対する影響は多田君も御心配になっていることだと思うんですが、われわれもやはり日本の漁業——まあたん白質の供給源はやっぱり陸と魚と半々になっておるわけです。その魚の中の四〇%というものはこういう遠洋漁業によるものでございまして、わが国というものは、食糧の見地から見ても、あるいはそういう漁業に従事しておる人々の生活の安定の面から言っても、非常にこれは重要な問題であるので、いままではこれはまだ世界的に決められていないのを一方的に決めることは認めないという方針でございますが、結局は、各国との間に経済協力などをやりながら、この問題は各国との間に多角的に解決していくよりほかないと思っておるわけですね。アメリカとの間にもこれはいま話をいたしておりますが、アメリカばかりでなしに、ほかの国にも認めないと言っても、一方的にこう決められたような場合においても、その国との関係というものを考えてみると、何らかの話し合いをしなければならぬわけでございますから、この点は今後の外交的な、非常に多角的な外交努力が必要と考えております。  また、核防条約については、この条約が批准をいたしましたことによって、軍縮に対する日本の発言権がふえたわけでございますから、今後米ソ両国、ことに核を保有しておる中心である米ソ両国に対しても、その他の核保有国に対しても、核軍縮という点では一段と日本努力をいたしてまいりたいと思うわけでございます。  また、日中の平和条約あるいは日ソの平和条約については、日ソ間のは、御承知のように、あくまでも四島の返還を求めて、そうしてその上に立って、そして日ソとの平和条約を締結する。また日中は、もうわが国は、覇権を求めず、第三国の覇権にも反対するというのは日本基本的な態度でございまして、これは日中の共同声明の中にもうたわれておる文句でありますから、日本と中国との間に大きな基本的な開きは私はないと思う。これをどのようにして条約の中に作成するかという点について、いろいろな条約技術上の議論はありましょうが、根本の認識において日中の間に大きな開きはないと思いますから、できるだけ早く日中の平和条約締結のために今後努力をしてまいりたいということでございます。  また、ミグ25の機体の返還問題というものについてお話がございましたが、二十八日の現地時間午後五時、小坂外務大臣とグロムイコ外相との会談の際に、これを返還する用意があるということを申し出ました。私も電話できょういろいろとその詳細の報告を受けたわけでございますが、その具体的な返還時期及びその処置、方法等については、技術的な点もあるので、これは外交ルートを通じて、そしてソ連側に申し伝えることになっております。これは返還をしたいということでソ連との交渉に入るということでございます。  それから、南北問題についてもいろいろ御質問ございましたが、基本的な考え方は、これからの世界の大きな課題は、いわゆる南北の関係をどう調整するかという問題でありますから、日本はそういう間に立って果たす役割は非常に多い。そのためには、日本みずからがいわゆる発展途上国に対する経済協力、技術協力、政府援助、これを強化していかなければならぬという方針のもとに、日本財政事情等もにらみ合わして、今後は強化していく方向でこの問題と取り組みたいということでございます。  まあ、大体お答えをしたつもりでございますが、残った問題がございますれば、各省大臣から補足いたすことにいたします。(拍手)    〔国務大臣稻葉修君登壇、拍手
  7. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 公明党の多田さんの御質問にお答えいたします。  児玉ルート解明見通し決意を聞きたいということですから申し上げますと、児玉の病状等、捜査上種々困難な障害が存するために、全日空及び丸紅ルートに比べて児玉ルート解明がおくれていることは御指摘のとおりであります。しかしながら、ロッキード事件の全貌を究明するためには、この児玉ルート解明が絶対に必要不可欠であることは再三申し上げたとおりであります。したがいまして、検察当局としてもあらゆる障害を克服して真相解明のために鋭意捜査を続行中であります。一日も早く捜査を終わらしたい、こういう気持ちを検察庁が持ちますのは当然のことであります。刑訴法第一条にも、迅速厳正に捜査すべしとあるからであります。  ところで、多田さんの質問には、稲葉法相は二十六日村上で、十月末に黒白をつけると言ったと報道されているがと、こういうことですが、また演説を持ち出されましたが、私が去る九月二十六日、新潟県村上市自民党大会であいさついたしまして、ロッキード問題に触れて、そうして言った言葉は、私の記憶をたどりますと、十月中には児玉ルートについても決着をつけて、まあ一杯やりたいもんだが、なかなかロッキード山脈のうち、これが一番険しくてねえ云々と述べたのはそのとおりでございます。しかし、これは私個人の感触と希望を申し述べたまでであって、検察当局の確たる報告に基づいて述べたわけではありません。これが検察庁に対する間接的な指揮になるなどということは考えておりませんね。  次に、いわゆる共産党リンチ事件についてお尋ねがありました。  第一の御質問は、戦前の暗黒時代においてやむを得ない出来事であったかのように共産党は言っておるが、終戦後においても共産党員による暴力的部内統制処分あるいはリンチ事件が各地において発生しているやに多田さんは聞いておられると、法務省はその事実をどういうふうに考えるか、把握しているかと、こういう質問です。これはですね、終戦後における共産党員による暴力的部内統制事件等についてでありますが、戦後においてもお尋ねのような事件が幾つか発生していることはよく承知しております。詳細は委員会等において申し述べます。  御質問の第二は、連合国軍最高司令部の指示の効力に関するものでありますが、私が超憲法的あるいは超国内法規的と申しましたのは、何分にも当時日本連合軍の占領下に置かれており、最高司令部の指示は超憲法的ないし超国内法規的な効力を有し、日本政府はこれに従わざるを得なかったという事情に基づき、右の指示がなかったとすれば、したがって、右の指示がなかったとすれば、宮本氏は資格を回復しなかったであろうと考えております。(拍手)  昨日の衆議院会議において、公明党矢野書記長及び民社党春日委員長の質問に対し、私が、宮本氏の資格回復は一にかかって司令部特別指示によるものであって、いわば司令部のおかげで助かったと言っても差し支えないと申したのは、この間の消息を御披露申し上げたものであります。  次に第三に、右特別措置内容、態様、それから、それに基づく国内措置はどういうことであったのかとのお尋ねにお答えいたします。  右指示は、昭和二十二年四月末、司令部から司法省に対して、ミスター・ケンジ・ミヤモトを勅令七百三十号に該当したものとみなして取り扱え、宮本氏を勅令七百三十号に該当したものとして取り扱えということを口頭で指示してきたものであります。これにより、司法省は当時その旨の取り扱いをするよう、部内、すなわち東京地方検察庁に指示しております。この司法省刑事局長から検事正に対する指示に基づいて、東京地検検事正が、判決原本のあの付記、将来に向かって宮本氏についてはこの判決の言い渡しがなかったものとみなすという判決原本の付記を行ったものであります。  以上がその国内措置であります。  以上で答弁を終わります。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手
  8. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私に対する第一の御質問は、災害対策冷害対策との関連におきまして、第一に治山治水計画についてでございます。  五十一年度から新しく五カ年計画を発足させたいと政府は部内でいま検討をいたしておりますけれども、その内容につきましての御質疑でございますが、政府といたしましては、この計画内容につきまして、国民経済の中期的な展望を踏まえた上で、多田さんが御指摘のように、災害の再発防止ということに役立てるためのものにいたしたい、そういう問題意識を持ちまして五十二年度の予算の編成過程で内容を固めてまいりたいと考えております。  それから、現実の冷害災害対策でございますけれども、この点につきましては、後ほど農林大臣からも御答弁があろうと思いますが、財政当局といたしましては、農業共済金の年内の支払いが可能になるように、激甚災害法でございますとか、天災融資法の発動を早くするように準備を進めるとかいうこと、それから規格外米の取り扱い、それから病害虫防除対策のこと等につきましては、農林省とよく相談の上、御期待にこたえたいと考えております。  それから、災害を受けました地方公共団体の財政対策でございますけれども、これにつきましては、十二月に予定されておりまする特別交付税の交付、さらには地方債の消化促進等をもってこれに対応いたしたいと、自治省といま協議を進めておるところでございます。  それから、第二の御質問は、財政問題についてでございます。  第一は、税制に関しまして不公平税制の整理、合理化を急げという御指摘でございます。ごもっともでございます。租税特別措置の合理化につきましては、先国会におきましても相当な程度御承認をいただいたところでございますが、多田さんが御指摘の法人税に関しての東京都の調査でございますけれども、この調査につきましては、若干算定の根拠に私ども承服できないところを持っておるわけでございますけれども、租税特別措置自体の整理、合理化につきましては、年々歳々これが既得権化することのないように精力的に進めてまいることは、御指摘のとおりの趣旨で進めたいと存じております。  それから、所得税の物価調整減税について、個人消費の拡大のためにも御提唱に相なっておるわけでございます。御趣旨は理解できないわけでは決してございませんけれども、ただいまのような財政事情でもございまするし、また、今日われわれが推進いたしておりまする経済政策をもちまして景気の回復はともかく回復の方向に着実に向いておると判断いたしておりますので、せっかくの御提言でございますけれども、いまのところ、所得税の減税ということは政府としては考えていまいわけでございます。  付加価値税についての御指摘でございます。政府は、来年度の税制改革につきましては、所得課税、資産課税はもとより、付加価値税が属すると目される消費課税全体につきまして、つまり税制全体につきましての御検討を税制調査会に求めておりまして、付加価値税という特定の税目を限りましてその御審議を求めておるわけではございません。したがって、今後の税制の方向を所得課税に重点を置くか、あるいは消費課税に重点を置くか、あるいは資産課税にも関連して考えてまいるかというようなことは、国民の負担に大変重大な関係がございますので、慎重でなければならぬと思っておりまして、付加価値税について、すぐこれを実行する用意があるというようなことは考えておりません。  それから、中期国債発行につきまして御指摘がございました。銀行の反対があるではないかということでございまして、なるほど新しい商品を開発して実行しようと思いますならば、これと競合する領域におきまして関係方面との摩擦が起こるのは考え得ることでございます。これにつきましてはシ団方面と今後十分協議いたしまして折り合いをつけていきたいと考えております。  税制との関連でございますが、これは恐らく中期割引国債の償還差益に対する課税の問題だと思うのでございますけれども、これに対しましては、税制全体の問題といたしまして税制調査会で御審議を願わなければならぬ問題と考えております。  多田さんはさらに、国債の償還を計画的に真剣に進めるようにということとあわせて、歳出の節約に努めるように御提言がございました。ごもっともでございます。政府といたしましても、御趣旨のように一般的経費の節約には極力努めてまいったつもりでございます。定員管理の徹底を期しまするし、機構も——仕事の分量はだんだんふえてまいりましたけれども、機構を拡大することは歴代の政府は極力抑えてきたつもりでございます。定員につきましても、この十年間若干定員を減らしてまいったつもりでございますが、地方は若干ふえておりますけれども、機構におきましてはこの十年間やや縮小の実を上げ得たことは私どもの内心誇りといたしておるところでございまして、今後この定員管理、機構の簡素化のためには、御趣旨の線に沿いまして一層努力してまいるつもりでございます。  補助金等の整理につきましても、ことしの予算で、たとえば七百何件につきましても、努力をいたしまして七百八十一億円という整理をさしていただいておるわけでございまして、今後御趣旨のような線に沿いまして一層歳出の縮減に努力をして御期待にこたえなければならぬと考えております。(拍手)    〔国務大臣大石武一君登壇、拍手
  9. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 多田さんの御質問にお答えをいたします。  北日本冷害はきわめて厳しいものがございます。私も、先日その二県ほど視察してまいりましたが、余りのひどさに心を痛めておる状態でございます。これに対しまして、できるだけ早く被害の実態の確認をいたしまして、被災農家に対する具体的な救済に万全を期してまいる考えでございます。  現在までに数々の災害を経験いたしまして、そのたびにいろいろとりっぱな対策、制度というものがつくられてまいりました。これを温かい気持ちで全面的に活用いたしますと、相当の成果を上げることができると思います。そういう方針のもとにこの災害対策を推し進めてまいりますが、何と申しましても、この冷害は、ことしから来年までの一年間の生活をそう落とさないように保ってあげることと、それから来年以降の再生産に対して、そのあり方を確保しなければなりません。そういう点で、先ほど総理大蔵大臣からもお話のありましたように、農業共済金は年内に支払いを完了するようにいたす方針でございます。  さらに、数々の制度融資を利用いたしまして、天災融資法及び激甚災害法を発動いたしまして、これによって天災融資法あるいは自作農維持資金の貸し付け等、そういうものを、できるだけ金が、現金が入るようにいたしたいと考えております。  さらに、いままでの借入金、制度の借入金が相当ございましょう。こういうものに対しましては、できるだけその返還の条件を緩和いたしまして、これに対処できるようにいたしてまいりたいと思います。  なお、これらのいろいろな施策というものは、必ずしも十月か十一月にはこれらの金が出てまいらないおそれがございますので、その間は、いろいろと国が各県に連絡をいたしまして、つなぎの融資の手だてを尽くしてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、規格外米の取り扱いにつきましては、幸いに大蔵大臣からもまことにありがたい話がありましたので、これは政府におきまして何とかして責任を持って処分いたしたいと思います。どのような方法によりますか、いま細かいところは申し上げませんが、政府において責任を持って十分にこれを処理してまいりたいと考えております。  それから、なお、病害虫の防除費その他につきましても、これは大蔵大臣のお話のとおり、できるだけ確保して、重点的に配分いたしてまいりたいと思います。  その他いろいろございますが、とりあえずこういうことを中心として災害対策を進めてまいる方針でございます。  次に、純農村には、経営が成り立たない、いろいろな不満があるではないかという御意見でございますが、私も残念ながらそのように認識いたしております。で、これは御承知のように、日本農業というものは、他の産業に比べまして、きわめて厳しいハンディキャップをしょっております。これは日本の何百年来の歴史の中で、そのような宿命を負わされておるのでございます。これを取り除いて、他のどの産業にも負けないような生活をつくってあげることが農政の大きな目的だろうと思います。  そういう意味で、この数十年来いろいろと方策が行われました。国の力、指導によりまして非常に農村はよくなってまいりました。しかし、また、十数年この方の日本の高度経済成長がこれらの歯車を狂わしまして、農村のあり方、考え方が大きく変わってまいりましたことが今日のいろいろな農村の混乱の原因だろうと私は思うのでございます。現に、私のような純農村地帯の、地域の郷里におきましても、たとえば二ヘクタールとか二ヘクタール半の耕地ではとうてい経営が成り立たないとか、四ヘクタールや五ヘクタールのたんぼではとても生活が苦しいというような不満が非常に多いのでございます。こんなことでは、とうていもう農業というのは成り立ちません。  そこで、やはり何と申しましても、これらに対して希望を与えることが一番大事だと思います。農業の将来に対して十分に明るい希望を持たせて、情熱をかき立てて、そうしてその農業経営によって明るい生活が保障されるような農政をつくることが一番大事だと考えております。で、これらに対してはいろいろと苦労はいたしておりますが、何とかしてそのような方向で、このような農政の方針を打ち立ててまいる決意でございます。  その中の一つとして、当然、農業経営の安定が大事でございます。農業経営の安定のためには、農産物価格の安定がきわめて大事でございますことは御説のとおりであります。したがいまして、従来、それぞれの物資の特性に応じました価格安定制度をつくりまして、適正な価格水準の実現に努めてまいっておるのでございますが、反面、価格政策だけによることも問題があると思います。これだけでは十分だと思いません。そこでやはり経営規模の拡大であるとか、あるいは生産基盤の整備であるとか、あるいは生産コストの低下だとか、いろいろの政策を行いまして、このような農家経営の安定を進めてまいりたいと思うのでございます。同時に、都市に比べまして、いろいろと農村環境の整備やその他の点において立ちおくれがございます。こういうものを十分に整えていくことが大事な問題ではないか。そのようなことになりますと、おのずから農業後継者農業に希望を持って働いてまいることと考えておる次第でございます。  それから、農地は十年間で四十万ヘクタールも減少ではないかと。これらのものの、その他遊休地の買い戻し対策を講ずべきではないかという御意見でございます。これにつきましては、現在、国土庁の発表によりますと、取得された未利用地の面積は二十六万七千ヘクタールとなっておりますが、このうち遊休化している農地は余り多くないようでございます。しかし、やはりこの農地がそのまま遊んでおりますことは、まことに好ましくありませんので、これを何とか利用できますように、農地として利用できますように、土地につきましては農地保有合理化法人等による買い入れによりまして、できるだけ優良農地の確保に努めてまいりたいと思う次第でございます。  なお、農用地につきましては、昨年閣議決定されました「農産物の需要と生産の長期見通し」において、食糧自給力の向上を図るために、昭和六十年度に五百八十五万ヘクタールを確保することを目標に、四十八年から六十年までの十二年間に八十六万ヘクタールの新規造成を見込んでおります。その造成につきましては、なかなか、これからいろいろな困難な問題がございますけれども、できるだけその方向に進めまして、この耕地を確保したい覚悟でございます。ことに、今後の日本の畜産のあり方を考えますと、どうしても多くの広い耕地、草地を造成することが一番大事でございます。そのような方針から、御意見どおり一生懸命に努力してまいりたいと思うのでございます。  最後に、食管制度あるいは二重米価についてのお尋ねでございます。この食管法というものは、食管制度は、これはあくまで堅持していかなければなりません。御承知のように、食管法ができました初めは、国民食糧、国の食糧を確保することが大きな目的でございました。しかし、その後三十数年を経過いたしまして、今日におきましては、この食管制度というものはその内容が多少変わってまいりました。現在では、むしろ農民のために米の価格を補償するという点に重点があるのではないかと思います。私はこの両方面の目的が日本農政の根本であると思いますので、この食管制度の根幹というものは今後とも維持してまいる方針でございます。  なお、二重米価制度の問題がございますが、これは別に食管法の根幹とは考えておりません。現に農林省におきましては、本年度から二重米価の中の逆ざや解消を目的として、この数年間に逆ざやを完全に解消しようという方針のもとに、この方向を進めておるわけでございます。    〔副議長退席、議長着席〕 こういうことにして、この二重米価制度も、ある期間をもって、できるだけ適当に処理してまいることが正しいのではないかと思うのでございます。  なお、米の需給につきましては、現在、現実に米は余っておる状態でございます。しかし、日本人の将来、日本の民族の将来を考えますと、やはり米というものは、これは一番大事な主食であります。あくまでもこの米というものは、私は主食として確保しなければならないと思います。そういう意味では、現在は余っておりますけれども、将来のいろいろな時期に対処するために十分な生産性の向上ということは、これは図ってまいらなければならないと考えております。しかし、現に米が余りますと、それは食管会計の赤字をふやすことになりまして、農政上の操作にもいろいろと重荷になっておりますことは確かでございます。したがいまして、非常にむずかしい問題でありますが、この現在米の余る問題をどのように処理するか、そうして将来の生産性を考えながら、どのような方向に行くかということが重大な問題でございまして、これを何とかして、むずかしいものであるけれども、これに対して対処して、正しい方向を決めてまいりたいと考えておる次第でございます。  なお、米の備蓄につきましては、現在二百三十万トン、約四カ月分の配給分がございます。大体これくらいあれば一応は間に合うではなかろうかと現在考えておる最中でございます。  いずれにしましても、私は、この農林省の目的というものは、国民、民族のための正しい、よい食糧を確保することということと、農民の命を守り、農民の暮らしを守ることが大きな使命であると考えます。この点からあらゆる努力をして、明るい日本農業の将来をつくってまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣早川崇君登壇、拍手
  10. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 多田議員にお答えいたします。  第一は、社会保障充実のために長期計画を策定してはどうか、こういう国際比較を通じての御質問でございます。  御指摘のように、国際比較をとりました場合に、日本社会保障費は先進国に若干おくれをとっておりますけれども、ただ、医療保障については、すでに国民総所得の四%を突破いたしておりまして、先進国とひけをとっておりません。しかしながら、年金、御承知のように、老後保障の年金につきましては発足がおくれましたので、そういう意味におきまして社会保障費が先進国よりも低位にあるという次第でございます。特に厚生行政の、あるいは政治の根本は、いかに健康で国民が長生きするかということだと思うのです。そういう意味におきましては、わが国はすでに女性は七十七歳、男性は七十二歳、スウェーデンと並ぶ世界一、二の優等生になりました。そういう意味では、厚生行政の成果は、評価されてしかるべきではないかと私は思うわけでございます。  ただ、医療行政の長期の展望をとりますと、二つの課題を解決したいと思うのです。一つは、いまなお無医村がある過疎地域の医療対策でございます。もう一つは、都会地におきまして夜中の、夜間の救急医療体制が整備されておらない。救急医療を欲した場合にもお医者さんにかかれない、こういった点は、ナショナルミニマムとして、いつでもお医者さんにかかれるという体制をさらに整備してまいりたいと思います。  国民年金、老後保障につきましては、期間が過ぎますとともに充実してまいるわけでございますが、御指摘のように、昭和五十年代の前期経済計画がすでに作成されておりますので、この線に沿いまして社会保障長期計画を作成いたしまして、今後とも社会保障の充実に努力をいたしたいと、かように存じておる次第でございます。  二番目は、年金制度修正賦課方式に改め、二階建て年金制にしてはどうかと、こういう御指摘でございます。多田議員も御承知のように、二階建ての年金制度はフランスやイギリスでも実施されておることは御承知のとおりでございますが、わが国の場合には、年金の発足の年次が非常にまちまちでございまして、公務員の共済組合による年金厚生年金、さらに国民年金と、それぞれ経過が違っておりますので、一挙にこれを二階式年金制度に改めるということは困難だと思いますが、この年金間のアンバランスが非常に大きく、特に厚生年金は十三兆円もいま積み立てがあるんですね。ところが、国民年金は、御承知のように、単年度ではもう赤字になってきておる。いわば、もう賦課方式みたいな形になっておるわけです、国民年金。根本的に性格が違ってきております。こういったことを踏まえまして、総理大臣も、衆議院会議で、年金制度の根本的な調整と再検討をやりたいと御答弁になっておられるわけでございますので、御指摘の年金間の調整につきましては、年金懇という審議会もございますし、内閣にライフサイクルの調査費を一億円かけまして、すでに検討を始めておりまするから、こういうものを含めまして年金の再検討をいたしたいと考える次第でございます。  なお、現実的な問題として、さきの七十七国会において、十年年金、五年年金及び福祉年金について、すでに大幅の値上げをいたしました。さらにそれを、福祉年金を二万円にしろという御指摘でございますが、来年度におきましても、そういう御希望を踏まえまして、所要の改善措置を講ずる予定でございます。ただいまここで具体的内容については、検討中でございますからお答えできないことを御了承賜りたいと思います。  最後に、国民健康保険財政健全化退職者継続医療制度の整備を図れという御指摘でございます。多田議員も御承知のように、国民健康保険につきましては、すでに医療費の四五%、一兆二千億円の国費を投入いたしております。さらに本年度は財政調整交付金その他八百三億をさらに追加いたしまして、基盤の弱い国民健康保険財政強化にすでに実績を上げつつあるのでございますが、さらに御指摘の——大きい問題を御指摘されたと思うんです。結局、老齢になって退職した人が一番病気にかかる年齢になって国民健康保険に入ってくる。いわゆる吹きだまりみたいなかっこうになっている。これが大変国保の財政を圧迫しておるわけでございます。そういう観点から、厚生省といたしましても、すでに社会保険審議会におきまして、この老人医療退職者の継続医療の問題は真剣に現在検討中でございまして、いずれ結論を得ました段階におきまして具体案を提示いたしたいと思っております。以上でございます。(拍手)     —————————————
  11. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 立木洋君。    〔立木洋君登壇、拍手
  12. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、総理所信表明に対し、総理並びに関係大臣質問をいたします。  言うまでもなく、今国会の重要な任務は、ロッキード問題の徹底解明であり、同時に、国民生活の防衛であります。しかるに、一昨日、昨日の衆議院会議で、また本日のこの会議においてでも、国会の演壇を党利党略の反共宣伝と個人攻撃の場にかえ、すでに決着済みの四十年前の治安維持法下の裁判事件を蒸し返し、わが党に不当な攻撃を加えてきた発言に対し、私は強く抗議し、断固として反論するものであります。(拍手)  先ほど、この席から公明党の多田議員が、昨日の衆議院会議におけるわが党の不規則発言に対して非難をする発言を行いましたが、自席に座っておるわが党紺野議員に対し、本会議場で立ち上がり、演壇を背にして数回にわたって突くなど、あるまじき暴力をふるったのは公明党の正木議員であることは、テレビニュースでも放映されており、歴然としておることを明確に指摘しておきます。(拍手)  まず、彼らが持ち出している問題の大前提についてわが党の見解を述べておきます。  日本国の憲法は、その前文で「政府行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と述べ、また、「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」と高らかに宣言しました。時の政府に気に入らない思想を死刑を含む重刑によって禁圧する治安維持法こそ、まさにこの人類普遍の原理に反し、平和と民主主義を求める国民を弾圧する希代の悪法でありました。(拍手)治安維持法は二回にわたり改悪されましたが、この悪法は、治安維持法の被告から控訴する権利も奪い、予防拘禁と称して無制限に拘禁し得るという残酷な扱いをしました。ちなみに、この天人ともに許さざる治安維持法改悪に民社党の創立者の西尾末廣氏なども加わり、満場一致で賛成したことや、同党の春日委員長が、戦時中兵器会社を経営したことなどは、二回にわたる質問の性格と無縁でないことを示しているのであります。そして、この悪法のために数十万人が検挙され、約七万五千人が送検されました。わかっているだけでも、拷問や虐待、長期投獄などによって死亡した者は千六百名以上にも上っています。日本共産党員であり作家である小林多喜二は、昭和八年二月二十日逮捕されて、わずか七時間後に拷問により死亡しました。治安維持法による犠牲者は、単に日本共産党とその同調者にとどまらず、故鈴木茂三郎氏や美濃部亮吉氏も逮捕され、宗教団体である大本教は二十名を超える人が獄中で死亡しています。戦前の反動権力は、この治安維持法によって国民の声を弾圧して、あの無謀な侵略戦争を拡大し、三百十万の日本国民の生命を奪い、幾千万のアジア国民にはかり知れない損害を与えたのであります。  そこで、私は、政府が治安維持法などによる犠牲者、遺族に対し、この壇上から謝罪する気があるかどうか、さらに、国が賠償することを義務づける国家賠償法を制定する意思があるかどうか、総理は明確に答弁を願いたいと思います。  次に指摘しなければならないのは、矢野議員や春日議員質問と稻葉法相の答弁が、この治安維持法を前提とした暗黒裁判の判決を絶対化しようとしている点であります。  日本共産党は、国民に甚大な災厄をもたらすこの暗黒弾圧政治と侵略戦争に反対し、主権在民の民主主義と平和を主張して不屈に闘ったただ一つの政党であります。このわが党を破壊するために、特高警察は特に激しい弾圧をわが党に加え、スパイ挑発者を使って共産党の検挙を手引きするだけでなく、党の方針をねじ曲げ、銀行強盗などの反社会的犯罪行為まで組織したのであります。わが党の宮本現委員長は、日本共産党の指導者として、この弾圧政治とスパイ挑発政策と闘ったのであります。ところが、当時の特高警察は、この闘いの過程でスパイの調査中に生じた不幸な事態を利用して、党内派閥の指導権争いによるリンチ殺人などと称し、大宣伝をしたのであります。これに対して宮本氏は、自分の公判で全面的な科学的反論を行い、指導権争いだの、殺人だの、計画的なリンチだのというのが虚構にすぎないことを具体的に明らかにしたのであります。判決が外傷性ショック死としていることに対しても、今日の専門家による詳細な否定的批判も発表されております。  しかしながら、当時の裁判所は、さすがに殺人、殺人未遂という筋書きをそのまま認定し得なかったが、宮本氏の主張にほとんど質問も反論も行わず、遺体の鑑定人を含め証人喚問を全部却下するなど、それだけでも今日の刑事訴訟では判決が破棄されるような暗黒裁判によって一方的に有罪としたのであります。それは、治安維持法によって日本共産党の活動自体を重罪とする前提に立って、スパイ挑発者を調べる党活動自体をも犯罪視し、その過程で生じた事態をすべて党活動による犯罪とみなして、治安維持法違反と一体のものとして、さまざまの刑法上の罪名をも付加したものであります。法律的には観念的競合とし、宮本氏は治安維持法に基づいて、まさに非転向のゆえに無期懲役を科せられたのであります。  故宮澤俊義氏が言うように、「戦前の特高時代の裁判はどこまでが本当かわからない、これを正しいという立場で取り上げるのは適当ではない」というのが現憲法を尊重する者の当然の見地であります。この裁判の当事者である宮本氏や日本共産党が判決を批判するのもきわめて当然であります。この点で、判決の言うごとき犯罪事実があったと見るのが常識などという稻葉法相の答弁や、わが党が治安維持法裁判の判決を批判することがいけないという春日議員らの質問は、治安維持法をもとにした判決を絶対化するものであって、現憲法の精神に反するものであります。(拍手)  次に、戦後の日本の民主化の過程と宮本氏の釈放、復権の問題についても触れておきます。  戦争終了時にわが国が受諾したポツダム宣言は、戦争犯罪人の処罰などととも一に、言論、宗教、思想の自由など基本的人権の尊重を高らかにうたっています。これは、民主主義の一かけらも認められなかった戦前の暗黒政治を清算し、平和と民主主義日本を再建するための土台となったものであり、現憲法の出発点ともなったものであります。政治犯として投獄されていた宮本顕治氏が、このポツダム宣言に基づく昭和二十年十月四日付覚書、同年十二月二十九日付勅令第七月三十号によって釈放、復権されたのは、民主主義を是とするならば全く当然であります。  宮本顕治氏の釈放について、稻葉法相は、病気を理由とした執行停止であって、政治犯としての釈放ではなかったかのように説明していますが、これは驚くべき詭弁であります。敗戦直後釈放された政治犯が、すべて執行停止の手続で出所しており、政治犯として釈放された者がすべて勅令七百三十号で復権すべきことは、連合国司令部の覚書に明記されたとおりであります。稻葉法相は、勅令第七百三十号第一条の本文の、「刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」という規定について、一般の恩赦法と同様のもので、復権までの判決や刑の執行が有効だったとしています。しかし、「受ケザリシモノト看做ス」という、過去にさかのぼって否定するこの文言は、勅令第七百三十号に特有で、恩赦法にはないものであります。これは、治安維持法によって国民を検挙、投獄した者の責任の法的追及や国家賠償まではしないが、過去の治安維持法裁判の判決や刑の執行を有効として済ますことはできず、事実上、国自身が過去の誤りに一定の反省を加えざるを得なかったという当時の政治情勢を反映したものであって、勅令七百三十号は、不徹底ではあるが一定の民主化措置の法令なのであります。戦後の民主化措置に対して当時の政府は無理解と抵抗を示し、特に非転向で闘った宮本顕治氏については極力復権の措置をサボってきました。宮本顕治氏らが「われらは抗議す」と題する文書を発表し、司法当局に抗議したのはそのためであります。  昨日の衆議院会議において、稻葉法相は、宮本顕治氏の復権が超法規的措置であり、連合軍最高司令部のおかげで助かったなどと言って、あたかも本来行うべきでない不当な措置連合軍が指示したかのように答弁したが、宮本氏の復権は、ポツダム宣言に基づく民主化措置として当然のものであり、なすべからざることを、ある種の恩恵として、あえて行ったという性質のものでないことは言うまでもありません。もともと、婦人参政権など当時の一連の民主化措置は、すべて明治憲法やそれに基づく旧法令を超えているのであります。「おかげ」などという言葉で、あたかも宮本氏が特別の恩恵を受けたかのような印象を与えようとする稻葉答弁は、宮本氏らの抗議と、連合軍の具体的指示があるまで宮本氏の復権をおくらせてきた日本司法当局責任を回避するものであり、戦後の民主化措置の本質を理解しないものであります。  この際、総理にお聞きしたいが、治安維持法廃止などポツダム宣言に基づく戦後の一連の民主化措置は、本来なすべからざるものと考えるか、それとも、人類普遍の原理として基本的人権と民主主義の当然の発展の過程と考えるか、三木総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)  次に、わが党が治安維持法に基づく暗黒裁判の不当性を国会外で主張しているから、あるいはそれが異常だから、過去の治安維持法裁判事件国会に持ち出すのだという公明党の矢野議員や民社党の春日議員の主張についてであります。  もともと民社党の幹部たちは、人殺しだの、刑期が終わっていないなどという誹謗、中傷の発言を新聞雑誌などでしきりに繰り返し、公明党も各地の演説会などで同様の個人攻撃を繰り返しております。こうした、それこそ異常な状態に対して、わが党がしかるべき反撃をするのは、むしろ革新政党としての責務でさえあります。わが党のこの当然の反論を云々するのは、治安維持法裁判の判決の絶対化を重ねて示すものにほかなりません。  さらに、国会の外で裁判を批判したり、判決の当否を論じたりすることは、すべての国民に保障された言論の自由に基づく当然の権利に属するところであります。他方、国会において判決の当否を論ずることは全く別の問題であります。国会外での論議を口実としてこれを国会の場に持ち込むことは、国会議員の言論の権威などと称して、国会を事実上再審の場にするものであって、このようなすりかえは絶対に許されないのであります。  春日議員らは自己の質問が違憲ではないとの弁明を試みているが、春日議員らが過去の判決の事実認定が真実かどうかの判断を政府質問し、国会で審議しようとするものであって、三権分立の原則に反し、違憲という非難を免れることはできないものであります。  また、稻葉法相は、前国会でも、あるときは判決の当否を言う立場にないと答えながら、昨日また、判決の言うごとき事実があったと見るべきだと、判決の当否について行政が一方的認定を行う答弁をしているのは憲法違反を重ねるものであります。  ところで、民社党春日一幸議員は、三月十一日付イギリスの新聞ガーディアン紙で、次のように述べています。「国会は、ロッキード事件でハイジャックされているが、一、二週間もすれば騒ぎは静まる、そうしたら共産党事件を取り上げることができる」と言っているが、この点は、春日議員の一番の執念がどこにあったかを語っているものではありませんか。金権、戦犯、売国の政治と一貫して闘ってきた日本共産党は、このような策謀を断じて黙過し得ないことを、ここに明らかにするものであります。(拍手)  さて次に、私はロッキード問題について質問をいたします。  言うまでもなく、今日のロッキード事件解明は、わが国民主政治の再生、国民生活の防衛、国の真の独立を守る立場から徹底的に行わなければなりません。昨日、衆議院会議において、以上の見地から総理のその解明を迫ったわが党金子議員が、この事件自民党政治と大企業癒着した金権政治がとめどもなく広がり、アメリカの多国籍企業とまで結びついたものであり、大企業と政界、官界との癒着を断ち切ることが必要であると指摘したのに対し、総理は、金子君は共産党立場から分析したものであると述べるとともに、政治に金がかかり過ぎることも背景だなどと答弁しました。  しかし、大企業癒着した金権政治を断ち切ることは、ひとり共産党のみならず、広範な国民の常識であります。現に、総理自身も八月十八日の自民党地方代表者会議の席上、激しいやじの中で、金力万能の政治を一掃する、政・官・財界癒着の解消を図ると述べたではありませんか。それにもかかわらず、なぜこの点をことさらに避けた後退的答弁を行ったのですか。もし総理自民党代表者会議での発言に偽りがないとするならば、現職議員証人喚問灰色高官の氏名の公表、政治的道義的責任解明企業献金の禁止などは、何はばかることなく、堂々と積極的に、総理総裁責任と権限においてできることではありませんか。いまや問題は、あれこれの個々の問題でなく、総理の政治的基本姿勢そのものにあるのであります。ロッキード解明政治生命をかけるとまで言ったあなたが、なぜこれを実行できないのか、その障害はどこにあるのか、この点を明確に答弁されるとともに、この国会でどこまで真相を解明する決意があるのか、具体的に答弁してもらいたいのであります。(拍手)  なおこの際、田中金脈についてもただしておきたいと思います。田中前総理の金脈問題について、三木総理は、田中本人がこれを明らかにし、公表すると国会答弁しましたが、いまだにこれがなされていません。その後この問題はどうなっているのか、国会における三木総理の発言であるので、伺っておく次第であります。  次に、いま長引く不況のもとで、労働者の失業問題はきわめて深刻になっております。特に五十五歳以上の失業者は一昨年の三倍に達するという状態であります。総理は、雇用情勢も改善傾向にあるなどと言われましたが、あなたには、物価値上がりや貧しい社会保障などによる生活難のために老後も働かなければならない人たちの失業の苦しみが見えないのでしょうか。  政府は、十月一日から高齢者の雇用率を六%以上とする制度を発足させるなどと述べています。しかし、この制度には強制力もなく、もともと高齢者雇用率の低い大企業は冷淡な態度をとっています。五十五歳前後と言えばまだ働き盛りであり、家庭の中心であります。政府は、大企業に対し、雇用率達成計画書を提出させて厳正に実行させ、また定年制を延長させるなど、積極的な指導を行うべきであります。  では最後に、職場における思想、信条を理由とした差別と非人道的な扱いの問題について質問いたします。  憲法個人の尊重をうたい、第十九条において、思想及び良心の自由は何人も侵してならない基本的人権として保障されることを明らかにしています。ところが、職場の活動家であることを理由に、六名の婦人労働者をガラス張りの小部屋に入れ、他の労働者から隔離し、警備員が始終、胸のネームが曲っている、なぜ笑ったと、いじめ抜いて、終日監視するという、基本的人権を無視した行為が東京の日立製作所武蔵工場で三年間にわたって行われていたという信じがたいことが、労働者の告発によって明らかにされました。このような事実は、決して特殊の例外ではなく、全国各地に発生しているものなのであります。さらに、活動家に対する不当解雇、配転や賃金、資格差別は枚挙にいとまがありません。これは人間の尊厳に対する重大な侵害であり、日本憲法では絶対に認められるものではありません。このような暴力支配が放置されることは、戦前の暗黒政治のもとにおける労働者の無権利状態をほうふつとさせるものであります。  政府は、こうした事態を速やかに調査し、憲法違反の人権侵害を直ちにやめさせるための措置をとるべきであると思いますが、その意思があるかどうか、明確に答弁を求めるものであります。(拍手)  いま自民党は、ロッキード問題で深刻となるその支配の危機を切り抜けるために、小選挙区制制定の企てを公然と示すなど、一層危険なファシズムヘの道を進もうとしております。日本共産党は、創立以来の不屈の伝統に立って、自由と民主主義、清潔な政治、そして国民本位の政治を実現するために一層奮闘するものであることをここに明らかにして、私の質問を終わるものであります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手
  13. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 立木議員質問にお答えをいたします。  第一問は、共産党のスパイ調査問題に対しての御質問でございます。戦前の治安維持法に対する犠牲者への謝罪とか、賠償とかいうお話でございます。治安維持法について、いろいろ問題を含んだ法律であるという批判があることは事実でございますが、しかし、その当時においては有効な法律であったわけでございますから、それに対して謝罪とか賠償とかいうようなことは考えてはおりません。  また、第二の問題は、ポツダム宣言について、一連の民主的処置は当然の処置と考えるかということでございますが、連合国最高司令官は、ポツダム宣言に基づいて占領政策を遂行するために、みずから適当の処置がとれる権限を有しておったわけでございます。その中に基本的人権と民主主義の擁護のための処置も含んでいたことは御承知のとおりでありますが、その精神は今日まで受け継がれておるものでございます。  次に、立木君はロッキード問題についていろいろ御質問がございました。この問題については、ロッキード事件証人喚問に対して国会で決めるというようなことは非常に無責任答弁だと言いますが、国会は国権の最高機関でありますから、国会の決定に対して行政府の私がとやかく申すことはできません。しかし、自民党が多数を占めることは事実でございますから、証人の喚問については、国民の疑惑を受けないように自民党の委員が厳正に、冷静に検討するようにという注意は与える所存でございます。  それからまた、ロッキード問題に対しての処置というものが非常に手ぬるいというお話でございましたが、私はやれることはやっているという考えでございまして、特にロッキード事件を私は隠そうというような考え方は全然ないわけでございます。だから、これからの手順についても、先般も国会で申し上げましたように、遅くも十月の十五日までには稻葉法務大臣が——まだこれ捜査は終了してないわけですから、児玉ルートが残っておるわけでございますが、しかし、いままでの捜査結果に基づいて、いろいろこのロッキード事件に関係して金品の授受のあったような、そういう問題も含めて、国会に対して総括的な、最終報告でございませんから、中間報告をいたすということでございます。  また、この政治的道義的責任は、私は議長裁定というものを非常に重く見るわけです。それは各党の党首が寄ってこの議長裁定というものに対して同意を与えたものでございまして、その中には政治的道義的責任の有無に対して国会調査する、こういう前提に立って国会の国政調査権の行使について最善の協力を政府がするということに私は承諾を与えたものでございます。これは誠実に守らなければならぬと考えております。  そこで、国会の道義的政治的責任の追及に対して最善の協力というととは、いままでは法律的責任を捜査当局が、これは政府もやってきたわけですから、この資料というものはきわめて政治的道義的責任追及の重要な前提になることは明らかですから、まだ事件が終了してないわけですから、現に捜査が進行しておる、そういう制約の中にあっても、ぎりぎりまで国会の国政調査権に協力をしましょうと、国会においていわゆる灰色と言われておるものの一つの範囲はこのように考える、こういう範囲国会の意思としてお決め願えば、個人名も含めて資料を提出いたしますと、こう言うんですから、これはぎりぎりの協力であると御承知を願いたい。非協力ではないんです。こういうことで、私のやっておることが、それは手ぬるいとか、いろいろありましょうが、冷静に考えたならば、いま捜査が進行しておる段階において、まあ、これ以上の協力というものは私は刑事訴訟法の精神から踏まえても困難ではないかと、ぎりぎりの協力である。そういうことで、国会の政治的責任あるいは道義的追及に対して政府は消極的ではないと、ぎりぎりいっぱいの協力であると御承知を願いたいわけでございます。  それから、労働大臣も出席の要求でございますから、雇用問題については労働大臣からお答えをいたします。  田中金脈問題について御質問がございました。この刑事的な法律的な側面は、新星企業の宅地建物取引業法違反で関係者の有罪を確定いたしました。信濃川河川敷の問題は、地元の住民などから出されておった詐欺罪告訴については、新潟地検で不起訴処分にいたしたわけでございます。これ以上のいろいろな問題については、これは田中氏自身がいろいろこの問題に対する国民の疑問にこたえるということを言われておるわけでございますが、まだそれはいろいろな事情でおくれておるわけでしょうが、こういうことで問題は国民の理解をいただくことが適当であろうと、われわれが追及するものは法律的な側面でありますから、これについてはいままでやることはやってきたと思うわけでございます。  それからまた、政治資金の問題についていろいろお話がございました。先ほども多田君の御質問にお答えしたように、企業が献金をするということは私は悪だとは思わないんですね。しかし、いろいろな国民の疑惑がここによって生まれることも事実ですね。だから、できるだけ個人の献金に、政党の運営というものは党費あるいは個人の献金に依存していくべきであるという方向に私も賛成なんです。しかし、まだ日本社会的ないろいろな諸条件は、一遍に個人献金に依存するというところまでは、すぐに切りかえることは行きにくいので、やはり一つの準備期間といいますか、いきなり行かないで、それまでの準備期間というものは私は実際問題として要ると思う。だから、政治資金規正法の法律にも、五年後にはそういう点を見直すという規定を加えたのもそういう意図からと思うわけでございますから、五年と限らずもっと早く必要があるというなら見直してもいいわけですから、そういうことで、方向は大体大きな違いはないけれども、行くまでの間に多少の準備期間を置くか置かぬかという違いでありますから、われわれも今後自民党の運営にできるだけ、そういう方向で党の資金というものを集めるように努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。  また、ロッキード事件に対していろいろな改革というものをどう考えるかという御質問がございました。私は、これはやはり二つの面があると思うんです。精神面ということは私は無視することはできない。公人としての一人一人が、やはり目的のためには手段を選ばずという考え方を捨てなけりゃいかぬ。それは民主主義の敵である。そういうことで、これは単に金ばかりではありませんよ。目的のためには手段を選ばずということは民主主義の敵である。この精神に徹して、公人としての、あるいは公党としての倫理を確立することが大前提である。いろんな法律をつくってみましても、それはまた全部人間の行動を法律で縛れるものではない。それが前提でありますが、一方において、精神面ばかりではありません。あるいは行政指導、役所の行政指導のあり方とか、許可、認可、こういう事項については再検討を必要とする。また、いわゆる役人の人たちの民間企業に対しての天下りというものに対しては、現在も規制をされておりますが、これはもう一遍考え直してみる必要もある。ことに、多年にわたって政権を担当してきた自民党、これはやっぱりロッキード事件に当然に反省があってしかるべきですから、自民党の粛党という見地から、党の改革について私はいま党との間にいろいろと相談をいたしておるわけで、これは自民党責任においてやるつもりでございます。  とにかく、ロッキード事件というものは、いろいろ真相を暴露することが目的ではないのです。それもやらなければならぬが、これを機会に——私は自民党ばかりでないと思いますね。自民党が一番責任は重いにしても、各党がこれを機会に、政党の健全化日本民主主義の基礎を強固にする、そのために、この事件を教訓として日本の民主政治再生の機会たらしめるところにロッキード事件の教訓がある、こう考えて、これを厳粛に受けとめるつもりでございます。  お答えといたします。(拍手)    〔国務大臣浦野幸男君登壇、拍手
  14. 浦野幸男

    国務大臣(浦野幸男君) お答えをいたします。  質問の第一点は、五十五歳以上の高齢者の深刻な失業問題を解決するために、大企業に対して高齢者の雇用率の達成計画提出させよ、さらに、定年制の延長を図れ、こういう御質問でございましたが、高年齢者の雇用の安定を図るためには、さきの通常国会で法の改正を行いまして、高年齢者雇用率制度を設けました。来る十月一日から施行することといたしております。  わが国における高年齢者の雇用問題の解決には、労使の関係者の着実な努力の積み重ねが不可欠でございます。この雇用率制度は、高齢者の雇用問題の実態をよく見きわめまして、定年延長の促進を大きなねらいといたしておるのでございます。国による奨励措置と相まって、労使による自主的な努力を促すためのガイドラインとして設けてあるわけでございます。当面、その周知徹底を図ることに重点を置かなければなりませんが、これを機会に、労使の間におきましても、雇用の賃金慣行の改善や、あるいは定年延長についての話し合いが一層促進されることを期待しておるわけでございます。  第二の御質問は、職場におきまして労働者に対して不当な抑圧や権利侵害が行われておるのではないか、どう監督をしておるかと、この違反をどうしておるか、こういう御質問でございまするが、労働基準法の第三条では、信条を理由とする労働条件の差別的取り扱いを禁止いたしております。労働基準監督機関におきましても、その趣旨の徹底を図るとともに、その履行の確保に一生懸命で努めているところでございます。  なお、万一違反が認められる場合には、厳正に是正させるよう努力をいたしておる次第でございます。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  15. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 中村利次君。    〔中村利次君登壇、拍手
  16. 中村利次

    ○中村利次君 私は、民社党を代表して、国政が当面する諸問題について質問をいたしますが、その前に、ただいまの日本共産党の立木議員質問を伺っておりましたところが、まことに納得のできないものがある。まず冒頭に、そのことについて新たな疑問も含めて質問をいたします。  日本共産党の言い方をすれば、わが党や公明党には言論の自由はない、この言論の府において、いろんな課題についてこれを知ろうとするための言論を張る自由がないという言い方であります。あるいはまた、法務大臣答弁に対しても、それが日本共産党の気に入らなければそれは不当であり、憲法違反であるという、きめつけであります。(拍手)  私どもが言っておるのは、わが党の春日委員長が取り上げて、冒頭からそうでありますけれども、真実はどうなんだと、真実はどうなんだということなんです。この真実はどうなんだという真実追求の問題に対して、これが憲法違反である、あるいは不当であるという、ばり雑言が投げつけられましたけれども、ただいまの立木議員意見を聞けばですよ、裁判に対する批判や判決の当否を論ずるのは自由であるとおっしゃる。日本共産党が裁判の批判をしたり、あるいは判決の当否を論ずるのは自由であって、ほかの者には一切そういう自由は認めないという、このきめつけは、まさに日本共産党一流の左翼全体主義と言わざるを得ません。(拍手)  また、裁判——戦前の治安維持法下における暗黒裁判のその判決がいかにもこれが不当である、こういうことを言いながらですよ、不当であるから宮本顕治氏は関係ないんだということを言いながら、宮本顕治は無罪であるとおっしゃる。あの暗黒時代の裁判なんだから、殺人はしたんだが、しかし、これはアメリカ軍が助けたんだと言うならまだロジックは通ずるんです。そうじゃなくって、不当だと言いながら、殺人はやっていないんだ、それはでっち上げだ——大体どっちをとればいいんです。裁判の記録は明らかに、金網で縛って、さるぐつわをかませて、そして、傷害死に至らしめたということになっておるわけでありますから、したがって、この事実を(「暗黒裁判だ」)と呼ぶ者あり)暗黒裁判なら、あんた、暗黒裁判のあれは認めないと言うんですか。民主化のためには殺人も放免すべきであるという議論ですか。そんなばかげた議論は成立をしない。殺人そのものが裁判の記録として明確に残っておる限り、これがインチキででっち上げだとおっしゃるならば、再審の請求はまさに自由でありますから、したがって、正々堂々と再審の請求をされて、国民の前に本当の、本物の事実を示すべきであります。(拍手)  そこで、私は大事な質問がありますから、法務大臣質問をいたしますけれども、公明党の多田議員質問法務大臣答弁によりますと、戦前の暗黒裁判ではなく——戦前の暗黒時代ではなく、戦後にもまた共産党によるこれに類する事件が発生をしておることを承知しておるという御答弁でございましたが、もしそれが事実であれば、その具体的資料を本院に提出をされるよう要求をいたしますが、その求めに応じられるかどうか御答弁を願います。  いま国民は、政治に対して強い期待を寄せながら、激しい不信と不満を持っていると思います。また、国会は何をしているんだというやり場のない憤りすら感じていると思います。  第七十七国会閉会後この臨時国会召集までの百十余日、政治課題が山積していたにもかかわらず、国政の渋滞ははなはだしく、特にその後半に至っては完全な空白状態であったと言えましょう。国民の不信と不満が頂点に達するのもまた当然であります。しかるに、総理は、この憂うべき状態について、その理由について、さらにまたその責任について全くお触れになっていない。これは一体どういうおつもりか。あなたの政治感覚と国民感情にはそれほどのずれがあるのでしょうか。  衆参での質問に対して、あなたや大蔵大臣は、政治の空白はない、行政は遅滞なく実施されていると答弁されていますが、私は行政事務職の三木さんに質問をしておるんではありません。政治家の、それも一国の総理としての三木さんに尋ねているんです。国民のほとんどが政治の空白を感じ、国政のおくれを憂慮したことをあなたはお認めにならないのですか。もしそうだとすれば、総理の政治感覚はもはやずれではなくて、世論すら把握することができないということになります。しっかりとした御所見を伺います。  ロッキード事件を初め、論外とも言うべき自民党の内部抗争によって、行政や立法の機能が国民の期待に敏感に反応できない現状については、野党としてのわれわれも厳しい反省が必要と思います。  自民党がその内部抗争によって政権政党としての責任をみずから放棄し、国政を停滞させ、国民の不信を買ったにもかかわらず、いろいろな主張、いろいろな構想はあろうとも、現実にこれにかわるべき政治勢力がなく、国民のいら立ちにこたえ得ないという事実に対しては、われわれも深く反省をし、主権者たる国民とともに政治の原点に立ち返って、国民本位の政治体制確立の強い決意を固めなければならないと思いますが、それにしても、まことにわかりにくいのは、内閣改造時における副総理大蔵大臣、それに三木総理の進退であります。副総理大蔵大臣が三木おろしの旗頭であることは天下周知の事実であります。また、総理が三木政治こそ国民の信を得る保守政治のあり方だと確信されているのに対して、お二人や反三木派の人たちは、三木政治は保守本流の路線ではないとのお考えだと伝えられています。だとすれば、これはまさしく政治路線の相違であり、政治信条の違いであります。新内閣の組閣に当たって、総理はなぜ政治信条を異にするお二人を再任されたのか。お二人が再び閣内から総理の退陣を求め、前内閣末期の状態を再現して政治空白を生むことは断じてないと確信をされたのかどうか、総理の御所見を伺います。  さらに、副総理大蔵大臣にお尋ねします。  三木退陣を迫った十五閣僚のうち、お二人だけが再び重要閣僚として留任されたのでありますが、政府の当面する課題はまことに重要であり、閣内不統一による政治空白は、これを国民が許しますまい。この際、三木退陣の旗をおろして入閣されたのかどうか、政治家のモラルの問題でもありますので、明確な御所見をお聞かせ願います。  ロッキード問題につきましては、総理は、この事件の真相を解明しなければ日本民主主義は傷つけられる、そして、その全容を個体名を含め明らかにすると言っておられます。ところが、総理所信表明を受けた法務当局は、中間報告に灰色高官の名前は出さない、資料提供も秘密会でなければその量や範囲が変わると、まるで骨抜きの姿勢であることが報道されています。この報道は誤りなのか、もし事実だとすればその責任はどうなるのか、総理のお答えを求めます。  また総理は、この真相解明には政治生命をかけると言っておられますが、政府自民党の中にこの事件についての統一姿勢が見られませんので、この際、総理政治生命をおかけになるその中身について、具体的に政治生命をどうおかけになるのか、御見解をお示しいただきたいと存じます。  財特法案につきましては、すでにわが党の春日委員長が衆議院においてこれを取り上げましたので重複を避けますが、この法案処理のおくれには政府自民党の重大な責任があることでもありますので、国民生活、地方財政、産業活動に悪影響を及ぼすことのないよう、その努力と具体的な対策を重ねてお示しいただきます。  次は、景気対策についてであります。  政府は、景気は着実に上昇しているとして、両院を通じての御答弁でも楽観論をとっておられるのでありますが、そこでただしたい第一点は、政府の言ういわゆる景気上昇の原因は、米国を初めとする世界経済の回復による輸出の急増によるものと思いますが、政府見解と相違するのかどうか。第二点は、国内需要の伸びも輸出の急増に関連するものと思うが、この点も政府見解と異なるのかどうか。第三点は、他力本願によるわが国の輸出の急増が米国を初め他国の非難を受けていないのかどうか。米国を中心として円安批判や課徴金等保護貿易的な機運はなぜ起きているのか。第四点として、その輸出の急増にもすでにかげりが見えているが、政府はこれをどう受けとめておられるのか。第五点は、輸出主導型の景気回復がこのまま定着するとお考えになるのかどうか。  以上について、まずお伺いいたします。  わが国が節度のある輸出の増加を図るのは当然であります。同時に、みずからの政策によって国内需要を拡大し、両々相まって、偏りのない全業種にわたっての回復を図り、雇用不安をなくして景気を安定的に定着させるのが真の経済政策であると存じます。その意味では、私は政府の自画自賛を認めるわけにはまいりません。内需の柱とも言うべき民間消費が三カ月間連続してマイナスを記録している事実は、重大な赤信号としてこれを受けとめるべきです。政府は頑強に減税を拒否されますが、個人消費の回復に最も有効な減税は設備投資の拡大にもつながり、総じて内需の堅実な伸びに通ずることは疑う余地はございますまい。これに節度のある輸出の増加が加わるならば、バランスのとれた、まさに好ましい景気の回復となり、結果して租税の収入も増加して、財政上減税の余裕はないとおっしゃる歳入欠陥も逐次改善されることになると思いますが、なぜ政府は頑迷に減税を否定なさるのか。アメリカが大幅減税を行って景気対策に成功したということをどのようにお考えになるのか。また、減税が景気政策上どのようなマイナスを伴うのか。お伺いをいたします。  次は、国鉄の再建について伺います。  国鉄の現状が破産状態にあることは、これを直視します。しかし、あの世界に冠たる輝かしい歴史を持った国鉄がなぜ今日の姿になったのか。国鉄赤字の元凶は何なのか。総理や運輸大臣はこの原因の究明対策を真剣にお考えになったことがありますか。国鉄は年ごとに貨物をトラックや船にとられ、貨物輸送に占める比重を歯どめなく低下させています。五十年のシェアは、たったの一二・九%にすぎないではありませんか。このままでいけば間もなく一〇%を割ることになるでしょう。輸送競争の条件では国鉄がはるかに有利のはずであります。にもかかわらず、民間のトラックや船舶の企業努力国鉄の無策、怠慢との差によって、数字は冷酷に国鉄貨物のシェアの下落を示しているのであります。荷主が国鉄に信頼をなくすれば、船やトラックヘの切りかえが進行するのは当然であります。対策を怠り、怠慢の結果として生ずる赤字は芸もなく運賃値上げに頼るというのでは、国民はとうてい浮かばれません。民間に劣らない企業努力が必要なはずです。職場秩序を回復し、違法ストがなくなる労使関係の改善をして、国民の信頼を取り戻してこそ、国鉄再建の前提が整うことを肝に銘じて知るべきであります。政府姿勢とその対策について明確な御答弁を求めます。  台風十七号は関東以西の各地に甚大な被害を与え、とうとい人命すら奪い去りました。また、東北、北海道では冷害によって深刻な打撃を受けています。被災された方たちに謹んでお見舞いを申し上げますとともに、行政上の対策に万遺憾なきを強く要望しますが、台風、冷害、干ばつ、あるいは地震等のいわゆる天災と称する災害は、天災という名によって施策上の責任を免れることはできません。対策のおくれが想像をはるかに超える被害を招くことはすでに体験済みであります。天災もこれを人災と心得て、人間の英知と科学技術を駆使して未然に防止し、あるいは被害を最小限度にとどめなければなりません。政府対策をお尋ねいたします。  次に、ミグ25問題について質問します。  この事件は、ソ連機によるわが国の領空侵犯、強行着陸によって生じたものでありますが、第一に、ソ連はこのことに対し何ら遺憾の意を表することなく、逆にベレンコ中尉の亡命を強制であり、でっち上げであるとしてわが国に強い抗議を行っていると伝えられていますが、事実かどうか。事実とすれば、これに対し政府はどのような対応をしているのか。ソ連との友好関係を強く希望することはもちろんでありますが、それは独立国としてのわが国主権確立した上でのことであるのは当然であります。不法侵入機の調査は当然と思うのでありますが、それに米国の力をかりたのはなぜか。わが国が自力で解体調査すらできる能力がないのかどうか。また、米国の介入を求めたことがソ連との友好関係に悪影響があることを考慮に入れられたのかどうか。お伺いいたします。  さらに、私はこの事件によって文民統制に対し強い不安を覚えました。地上レーダーで不明機を発見してから防衛庁への連絡に一時間を要しているのであります。緊急発進したファントム機より不明機に警告を発してから防衛庁への連絡が五十分、領空侵犯してからなお四十七分三十秒を要しているのであります。強行着陸されてから防衛庁運用課への電話連絡はさらに十三分を要しているのでありまして、領空侵犯から防衛庁長官、総理に報告されるのに要した時間は果たしてどれほどの時間がかかったのか。私は唖然といたしました。これではシビリアンコントロールは有名無実であり、全く機能することができません。われわれはいろんな事態を想定しなければなりませんが、このたびの事件は、シビリアンコントロールが全く機能しないままに現地自衛隊の独断専行が行われる可能性を示唆しています。総理の御所見と、何らかの対策をお持ちかどうか、お伺いいたします。  以上、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手
  17. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 中村君の御質問にお答えをいたします。  第一番には、自民党党内問題をお取り上げになりまして、政治の空白の責任について触れられたわけでございます。自民党という政党は、名前の示すとおり、自由民主という政党でございますから、非常に議論というものが活発な政党であります。だから、いろいろな過程においていろいろな議論が出、しかもこれは今日の時代では皆世間に明らかになるわけです。秘密はないわけであります。そういう点で、国民にも御心配をおかけし、あるいは臨時国会の召集には多少遅延する影響を与えたことは申しわけないと思っておりますが、そのために政治の空白を生じたとは私は思っていない。党内問題は党内問題、国政問題は国政問題で、政治の空白を与えたとは思っていない。外交、内政全般にわたって、やるべきことはきちんとやっておるわけでございまして、政治の非常な停滞、空白を生じたというふうには考えてはおらないのでございます。  また、いま大臣の問題について中村君から御質問がございましたけれども、私は閣議で、ざっくばらんに言ってもらいたいと、自分の意見をざっくばらんに言ってもらいたいと、時間をかけて各閣僚の意見を徴したわけでございます。いろいろな意見が出ました。しかし、最後には私がおこなって、私が下した決断に対して一同賛成をしたわけでございます。だから、過程においてはいろいろな議論があるが、一遍決まったならば、それで一同がそれに賛成をしたわけでございまして、だから結論は一つである。過程はいろいろな議論があったが、結論は一致したわけでございまして、それが造反だというふうには考えておりません。あるいは福田、大平君の留任についてでございますが、経済を重視するという見地から両氏の留任を要請をしたわけでございます。両相とも、その点もお伺いになったでありましょうが、やはり私の決断に対して一致したからこそ留任の要請を受けてくれたものである。これはやはり名誉を重んずる両氏のことでございますから、そうでなければこれは留任の要請にこたえられたわけはない。まあ私が下した結論は、早期に臨時国会を召集して懸案を処理するということに対する同意を求めた閣議であったわけでございます。  また、ロッキード問題について中村君はいろいろお述べになりましたが、私は、このロッキード問題というものは、いろいろ立場によって御批判はあるけれども、やることはやっているという感じですね、ロッキード問題は。これはやはりいろんな報道、大統領に対して国会の決議を受けた書簡を出して以来、あるいは捜査に対して、何らこれに対して政治的配慮は加えていない。また、いま残った児玉ルートに対しても、時間がかかっても、やはりいろんな障害はあっても、これは真相を解明したい。その途中において稻葉法務大臣が——これは最終的の方がよろしいんですけれども、児玉ルートの方がおくれますから、十月の十五日、遅くも十月十五日までには、いままでの捜査の結果に基づいて、そうしてロッキード社から金品の授受のあった者も含めてですね、金品の授受も含めて、そうして総括的な今日までの捜査結果を国会に御報告したいと。しかも、その間、国会の一つの議長裁定に従って、国会がお決めになった、灰色と言われておりますが、いろいろ範囲も違うものですから、国会の意思としてお決めになった、灰色高官と言われるものの国会の決められた基準に従って、すべて個人の名前を含めて出しましょうと言うんですから、これはもうぎりぎりの協力だと思いますね。ぎりぎりの協力である、それは。これ以上、やり方が手ぬるいとか、いろいろ御批判はあると思いますが、これは私は、政府としてロッキード事件を政治、道義的に解明をしたいという、こういう政府の処置が非常に消極的な態度だとごらんになることは、少し御理解がなさ過ぎるという感じを持っておるわけでございます。  また、経済の問題については、これは大蔵大臣にも経済企画庁長官にも御質問がありますから省略をいたしますが、私は、経済の将来というものを見通す場合の前提というものが私自身にはあるわけです。一つには、昨年の十一月のランブイエ、この会議で先進主要工業国の首脳が——いままではマイナスであったのです、成長がマイナスであった。これをひとつ今後はインフレを抑えながら成長政策に向けようという約束をしたわけですね。その約束に従って、今年に入ってからはもう各国とも、どの国もみなやはり、成長の度合い、成長のための実質成長の数字は違いますけれども、いずれも成長に向かって世界的に景気の回復が見られる。このことが日本の輸出増進にも役立っておるわけです。また一方において、国内においても不況対策というものが効果を奏して——まあちょっと四月から六月ごろまでは中だるみ的な傾向もございましたが、七月からは生産も出荷も、あるいはまた操業度も雇用状態も改善の跡が見られて、まあこの日本の景気の回復というものは、これはいろいろ業種別、地域別な跛行性という問題はありますけれども、全体としての景気が順調な回復軌道に乗っているということは私は間違いないと考えておるわけで、詳細は両大臣からお答えをいたします。  また、運輸大臣の出席の要求がございませんからこれはお答えをいたしますが、やはり運賃の値上げというものは安易に考えておるわけでないのでして、先ほどもお答えしたように、やはり政府の方としても累積赤字のたな上げというものに対して国がめんどうを見、国鉄としても、中村君ごらんになっても、現在の段階では相当国鉄経営の合理化というものを図った、そして、その上へ立って、なおかつこれだけでは国鉄の再建はできぬというので運賃の改定になったわけで、単に運賃の値上げだけが先に独走したわけではない。再建の一環としての運賃改定である。  しかもその中で、中村君の御指摘になったような労使関係というものを、やはり労使の関係というものを改革しなければ、いまの状態では困るではないかということは、全く私も同感なんです。いかに経営者ばかりが再建再建と言っても、やはり国鉄の業務に携わっておる労働者の方々が一緒になって、ひとつ再建をやろうという気にならなければ国鉄の再建は困難でございますから、今後はこういう再建案を推進すると同時に、労使関係というものはきわめて重要な問題になる。この点については、各党の御協力も得て、日本の公共企業体における、ことに国鉄の労使関係というものの改善には特に力を入れていかなければならぬということに対しては、中村君と全く同感でございます。  また、防衛庁の長官にも答弁の要求がございませんから、これもこれだけ私がお答えをいたしますが、ソ連のミグ25というものがわが国土に侵入して、函館空港に強行着陸したわけでございますが、これはやっぱりこういう事件のときにはそういう強行着陸をした背景というものを調査をするということは当然でございますから、当然のことをしたわけでございまして、しかし、このミグ25というものは日本も手がけたことはないわけでございますから、それを函館空港から移動をするについても、どうしても日本の技術ではこれはどうにもならぬ。たとえば輸送機にしたって、あの解体をするにしても、それを運ぶ輸送機の問題から問題が起こるわけでございますから、そういう意味で、日本の自衛隊の持っておらない専門的な知識をアメリカの協力を求めたので、日米が共同してどうこうという性質のものではございません。日本の自主的な責任においてこの問題は処理するわけでございまして、もう必要最小限度の技術的専門家のアメリカの協力を求めたというものでございます。  また、日ソ関係というものが、これ日本が意識的にやった事件でないんですから、こういう事件日ソ関係基本的関係が悪くならないようにこれはいたさなければならぬことは当然でございます。この点はソ連に対しても強く望みたいということでございます。  また、先ほど申し上げましたように、このミグ25は、小坂外務大臣とグロムイコ外相との話し合いによって、日本が返還するという意思を申し述べて、これをどういう形でするかというものは今後話し合うことになっております。  お答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣稻葉修君登壇、拍手
  18. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 中村さんの裁判批判と言論の自由についての御質問にお答えします。  裁判批判については、まあ憲法に定める言論の自由の範囲内において、民主主義のルールに即した裁判批判が一切許されないというわけではないと思います。しかし、一般的には、一般的には、確定した裁判についてはこれを尊重すべきものと私は思っております。  共産党の立木さんの宮本事件に関する私の昨日来の答弁内容について大変御批判がございました。中村さんも言われるとおり、自分は判決批判を自由にやるが民社党や公明党はやっちゃいかぬとか、そういう態度はよろしくない。(拍手)  昨日来の私の宮本リンチ事件に関する答弁はでたらめだと、一方的な法理論できめつけておられますが、そうしておいて、答弁は要らぬと。おれは言う、おまえは聞け、おれは食うが、おまえは食うな、人の物はおれの物、おれの物はおれの物という、そういう体質は(拍手)まことに、そういう態度で言論の自由とか三つの自由とか国民に訴えても、国民は信用しないでしょう。(拍手)  立木さんは、宮本氏の資格回復についての法的見解を述べられました。そうして、それは戦後に発せられた勅令あるいは覚書、そういうものによって当然に資格は回復せらるべきであったが、日本政府が怠慢でやらなかったんだと、昭和二十二年四月末日の総司令部の特別の指示がなくっても資格は回復すべきものだったんだと、こういう理論でありますが、それは間違うております。戦後の一連の勅令や覚書は、治安維持法関係の犯罪については、戦後のいわゆるポツダム勅令等によって赦免されることになっただけであって、不法監禁致死罪、死体遺棄罪、銃砲火薬類所持取締法違反——あのリンチの現場に宮本氏はピストルを持っていましたからね。そういう一連の刑法犯は消えるものではないのです。これは政治犯でないからです。しかし、これが、この犯罪についても、この刑法犯についても、これが将来に向かって刑の言い渡しがなかったことにしたのは、もっぱら一にかかって司令部のあの特別の指示によるものであります。したがって、司令部のおかげで助かったと私が申すのは、這般の事情を申すわけでございます。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手
  19. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 過般の自民党の中での政局論争、その中での私の立場についての御質問でございます。私は、いかなる団体でも、いかなるサークルでも、そのサークルあるいは団体の運営をよくしていこうというための論争、これは、あることは当然であり、あることが望ましいと思うんです。特に政党、つまり国の、あるいは社会の運営に重大な関係のある政党において大事である。もし、政党の党首に対して不満があるけれども、それを包み隠して言わぬというようなことは、これは私は、逆に政党に対し、国家に対して忠実なゆえんではないと、こういうふうに思うんです。過般のわが自由民主党の政局論争は、一に自由民主党、つまり自由民主党は国の政治の中で重要な立場にある、その重要な立場にある自由民主党の運営を誤らしてはならぬという真剣な論争であったというふうに評価をしていただきたいのであります。まあしかし、論争は一段落いたしまして、内閣の改造が行われる。私に対しまして総理大臣から留任の要請があったわけでありますが、ただいま総理大臣が申されたように、非常に国政重大な段階である。私が留任を受諾するということは、私は国家のためであると、こういうふうに考えましてオーケーをいたしたわけであります。私は、まあ論争は大いによろしいと思うんです。しかし、その論争が一段落した後で、またそれが尾を引いてぐじゃぐじゃしているというような状態は、これはよくないと思います。まあ論争が済んだらあっさりする、そうしてもとの姿に戻っておのおのがその任につく、これが自由民主党の美しい党風であるというふうに御理解を願いたいのであります。  次に、中村さんは、いまの景気は、まあ順調だ、順調だと政府は言っておるが、しかし輸出景気であって、必ずしも楽観できないのじゃないかというような御指摘でございます。確かに、ことしの一月から三月、これは景気が急激に上昇いたしました。それはなぜかと申しますと、二つの理由があるのです。一つは、昨年政府が逐次第一次から第四次までの対策をとりました。そうして、特に第四次対策というのが、その効力が一−三月に発揮されるということになったわけであります。それと、世界経済が回復過程に転じまして、わが国の輸出が大きく伸びるという段階になった、この二つが理由でありますが、確かに、そういう一−三月の状態なんかを見ますと、これは輸出に非常に依存した成長であったというふうに言えると思いまするけれども、今後を考えてみますると、輸出の増加はもうそういう一−三のような状態にはなりません。これは後で申し述べますが、特殊な臨時的事情があるのです。そういうようなことで、これからは輸出はだんだん増勢が鈍化をする。そのかわり内需の方が堅実に伸びていくというので、バランスのとれた成長が実現されるであろうと、かように考えております。  それから、いま私が、輸出がこれから鈍化するであろうと、それから一−三月の輸出増加が非常に激しかったと、こういうふうに申し上げましたが、これは、中村さん御指摘のように、対米輸出なんです、問題は。アメリカが、まあ自動車でありますとか、あるいはテレビ、そういうような商品につきまして、在庫補充の必要が大きく出てきたわけです。そのためのわが国からの輸出、そういうことで本年初頭の対米輸出が非常に激増した。しかし、逐次アメリカにおけるそれらの商品の在庫補充も一巡いたしまして、これからは対米輸出はもうことしの一−三月、また一月から六月のような、そういう伸びはしない、さように考えておるのであります。  しかし、輸出が急増をいたしましたその反面におきまして、それに伴いまして若干の摩擦現象が日米間に起きておる。これは事実でありまするが、お互いに良識を持って話し合い、これがお互いの保護貿易手段に転じていくというような、そういうようなことは断じて避けなけりゃならぬ。私ども日本の国は、とにかく輸出に依存しておる国でありますので、そのようなことから考えまするときに、世界に保護貿易主義の風潮が出てくるということについては最も警戒的であらねばならぬ、かように考えております。  それから次に、景気を刺激するために減税をやったらどうだというお話でございますが、そういう特別な手を講じませんでも、私どもは、ことしの経済は順調に動いておる、大体政府が年度初頭に申し上げました五%ないし六%の実質成長は実現可能である、こういうふうに考えておりますので、いまここで減税までいたしまして景気を刺激するという考えは、これは妥当でないと、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手
  20. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 三木改造内閣に留任をした理由についてお尋ねでございます。先般来、三木内閣におきまして、内部で臨時国会の召集をめぐりまして、閣議で召集日を先に設定していくべきか、それとも、いろいろな手順を踏んで、後で閣議の決定をすべきか、というようなことで議論がありましたことは御承知のとおりでございます。これはささいなことでございますけれども、それが異常な政治的緊張を呼んだことは、私隠そうといたしません。まあ政党でございますので、自由民主党ばかりでなく、ほかの政党も——のことはよく存じませんけれども、しかし、いろいろ議論があってしかるべきだと思うのでありまして、私も一党員として、一閣員といたしましてそういう論争に参加したまでの話でございまして、他意はございません。しかし、これが先ほど総理もおっしゃったとおり、一応決まりまして、片づきましたわけでございまして、改めて留任を求められたわけでございます。私は、実は御承知のように長く閣内にとどまっておりますので、閣外に去らしていただきたいということをお願いしたのでございますけれども、財政問題、いま懸案も抱えておることでございますので、しばらく職にとどまってもらいたいという御要求がございましたので、引き続き職を汚すことになりましたわけでございます。  それから、財政特例法案成立遅延の対応策でございます。これは重要な歳入法案でございまするので、これが遅延するということは財政計画的な運営に支障を来すばかりでなく、経済全体に対して心理的な影響を及ぼすことは避けがたいことであることは御理解いただけると思うのでございます。したがって、こういう重要法案は予算と同時に成立さしていただく必要があろうと私は考えておるわけでございます。しかし、不幸にしていまだ成立を見ておりませんためにどういう支障を来しておるかと申しますと、さしあたって九月という資金の余剰月に発行すべき国債がほとんどございませんで、むなしくこの九月を空過しなければならない羽目に陥っております。十月以降このずれを回復していくにつきましては、国債発行の手順に相当狂いを生ずるおそれがあると思うわけでございますけれども、極力これを回避すべく最善の努力を払いまして、歳出を実質的に規制しなければならぬというような事態が起こらないようにやらなければならぬといま考えております。したがいまして、一日も早く成立をさしていただきたいのがいまの念願でございます。もしおくれるというようなことになりますると、歳出を規制せざるを得ないというような羽目に陥りますことも申すまでもない成り行きでございますので、そのあたりは十分の御理解をいただきたいと存ずるのでございます。  それから、景気対策と所得減税につきましては、いま副総理から御答弁がございましたとおりに私も考えております。  それから円問題につきましての御懸念でございますけれども、わが国の円がその後マルク、スイスフラン等とともに、比較的強い立場を維持できたことは幸いであったと思うのでございますけれども、しかし、これはわが国政府が不当に干渉した結果ではないのでございまして、われわれはランブイエその他における国際的な約束を踏まえて、市場の自由というものを尊重いたしまして、価格の形成を市場にゆだねておるわけでございまして、不当な為替市場に対する干渉は行っていないわけでございますけれども、日本の輸出によりまして競争場裏に立った向きからは、これは円安のためではないかというような一部に抵抗がございましたこと、誤解がございましたこと、これはありますけれども、そういった誤解は、私ども全世界にわたりまして、そういう誤解が一部にありますことにつきまして、その誤解を解いてまいるように努力をいたしておるわけでございまして、各国政府の間にそういう誤解はございませんで、民間のクォーターにおきましてそういう誤解あるいは歪曲された意見が一部にありますこと、これは事実でございますけれども、そういったことも漸次解消されつつありますことでございますので、今後もそういったことがございますならば、そういう誤解の解消につきましては努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手
  21. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 貿易についての御質問でございますが、先ほど副総理から大体お答えになりましたので、私からは補足的に若干申し上げたいと思います。  ことしの上半期の貿易の伸びは、昨年に比べまして約二一%でございます。下半期は若干この伸びが少なくなると考えております。その理由につきましては、先ほどお述べになったとおりであります。ただ、昨年の輸出は五百七十億ドルでございましたが、ことしの目標は一応六百七十億ドルと想定をしておりまして、この目標は十分達成できると考えております。  それから次に、保護貿易につきましては、OECDあるいは二回にわたる首脳国会談等におきまして、お互いに保護貿易をやめようじゃないか、自由貿易の原則を堅持していこうと、こういうことをたびたび申し合わせをしておるのでございますが、しかし、いろんな事情から世界各国で保護貿易的な動きが非常に強いということは御案内のとおりでございます。ただしかし、わが国におきましては、そういう国際間の申し合わせ等もございますので、この国際的なコンセンサスをぜひとも各国が守ってもらうようにいろいろ努力をする必要があろうと思います。また、事実、わが国はことしの上半期は大変輸出超過でございまして、貿易上の黒字が大きな数字になっておりますが、八月の通関統計を見ますと若干の赤字になっております。それから同時に、第四・四半期には、景気の回復につれまして、貿易の収支は第四・四半期全体として若干の赤字が出るものと想定をしております。  さらにまた、わが国の国際収支の特徴といたしまして、貿易外の赤字が非常に大きいわけでございます。ことしは約六十七億ドルと想定をしておりますが、これはアメリカやヨーロッパに例を見ない現象でございますので、こういうこと等につきましても十分諸外国に説明をいたしまして、日本に対する保護貿易的な動きが起こらないように今後とも配慮していかなければならぬと考えております。  また同時に、国内の景気につきましては、ただ単に輸出だけではなく、内需の振興が必要であると、こういう御意見でありますが、その御意見に対しては賛成でございます。(拍手
  22. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。     〔国務大臣三木武夫君登壇〕
  23. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 中村君の御質問に、シビリアンコントロールの問題が抜けております。ああいうミグ25のような上空侵犯は、これは防衛庁長官の権限で処置するということになっておるわけで、そしてそういう経過を経て私のところにも報告があるわけで、多少の時間的な余裕がある、時間的な遅滞があるわけですが、そんなに大きな時間的な遅滞があるわけではございませんが、そのことがシビリアンコントロールの根本に触れるような問題であるとは私は思っておりません。根本に触れる問題ではない。また、この事件を契機にしてわれわれが今後検討しなければならぬのは、日本は守るということが中心の防衛体制ですから、だから警戒体制と申しますか、国内における警戒体制、あるいは上空・海底警戒体制を強化することが必要である。中村君も御承知のように、低空で入ってきた飛行機に対しては、これはレーダーがつかまえないのです。これはアメリカでも一緒で、これ皆苦心をしておるのですから、レーダーシステムあるいは電気の器具等に対しても検討を加え、あるいはどのようにして低空の場合などでもこれを捕捉するかということも検討いたさなければなりませんが、とにかく日本の警戒体制というものは強化されて、相手にも、日本からはいつも監視されているという状態に置くことが必要でございますから、この点は、警戒体制の強化という点については今後力を入れてまいりたい所存でございます。
  24. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 稻葉法務大臣。    〔国務大臣稻葉修君登壇〕
  25. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 資料の提出についての答弁を忘れまして失礼しました。  戦後においても共産党員による暴力的内部統制事件が幾つか発生しておるということを公明党の多田さんにお答えしたのをとらえられまして、民社党の中村さんから、そういう資料があるなら出せと。やはりこういう点につきましては、共産党のリンチ体質というものは治安維持法下だけではないのだと、戦後も残存しているのだと、これを指してやっぱり公明党の矢野書記長や民社党の春日委員長が共産党体質問題としてこれをとらえ、今日的な問題だと、こういうふうに取り上げられたものと思いますので、これらの資料につきましては、国会の正式な御要求があれば提出いたしたいと思います。(拍手)  少し総理に似て答弁が長くなりまして失礼しました。
  26. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  27. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 日程第二 昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その2)  日程第三 昭和四十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その2)  日程第四 昭和四十八年度特別会計予算総則第九条に基づく経費増額調書及び経費増額調書  日程第五 昭和四十八年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)  日程第六 昭和四十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書  日程第七 昭和四十九年度特別会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書  日程第八 昭和四十九年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  日程第九 昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その1)  日程第一〇 昭和五十年度特別会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その1)  日程第一一 昭和五十年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)   (いずれも第七十七回国会内閣提出衆議院   送付)  日程第一二 昭和四十八年度一般会計国庫債務負担行為調書  日程第一三 昭和四十九年度一般会計国庫債務負担行為調書  日程第一四 昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為調書(その1)  以上十三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長鈴木力君。    〔鈴木力君登壇、拍手
  28. 鈴木力

    ○鈴木力君 ただいま議題となりました日程第二から第一四までの昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十二件につきまして、決算委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  議題の十三件は、いずれも第七十七回国会において継続審査となったもので、そのうち、予備費関係の承諾を求めるの件十件は、第七十七回国会衆議院から送付されたものであります。  これら十三件の内容は、昭和四十九年一月一日から昭和五十年十二月三十一日までの間に支出された一般会計、特別会計の予備費関係及び国庫債務負担行為にかかる経費でありまして、主な項目として、災害復旧、建築資材の値上がり等に伴う経費、国民健康保険の国庫負担、外国旅費、国内米の買い入れ及び政府職員の給与等が挙げられております。  委員会におきましては、これら十三件を一括して審査いたしました。質疑の主なものは、予備費の災害復旧関係の使途、予備費と予算作成・執行との関係、公共事業予備費のあり方等でありましたが、その詳細は会議録に譲ります。  七月二十一日質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表して大塚委員、公明党を代表して峯山委員、民社党を代表して田渕委員より、予備費関係十件の承諾を求める件については反対、国庫債務負担行為関係三件については賛成の意見がそれぞれ述べられ、また、自由民主党を代表して青井委員より、予備費関係及び国庫債務負担行為関係十三件すべてについて賛成の意見が述べられました。さらに、日本共産党を代表して加藤委員より、予算費関係十件の承諾を求める件のうち、昭和四十八年度特別会計予算総則第九条に基づく経費増額調書及び経費増額調書外二件の特別会計予備費関係の使用総調書等についてのみ賛成、他の七件には反対するとの意見が述べられました。  討論を終局し、採決の結果、昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その2)外九件の承諾を求めるの件につきましては多数をもって承諾を与えるべきものと議決され、昭和四十八年度一般会計国庫債務負担行為調書外二件については全会一致をもって異議がないと議決されました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  29. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これより採決をいたします。  まず、日程第二、日程第三、日程第五、日程第六、日程第八、日程第九及び日程第二の予備費使用総調書等七件について採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。七件を承諾することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  30. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  31. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  32. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百十四票   白色票           百二十票   青色票           九十四票  よって、七件は承諾することに決しました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百二十名       青井 政美君    青木 一男君       井上 吉夫君    伊藤 五郎君       岩動 道行君    石破 二朗君       石本  茂君    糸山英太郎君       稲嶺 一郎君    今泉 正二君       岩上 妙子君    上田  稔君       上原 正吉君    植木 光教君       江藤  智君    遠藤  要君       小笠 公韶君    小川 半次君       大島 友治君    大鷹 淑子君       大谷藤之助君    岡田  広君       岡本  悟君    長田 裕二君       加藤 武徳君    鹿島 俊雄君       片山 正英君    金井 元彦君       上條 勝久君    亀井 久興君       川野 辺静君    河本嘉久蔵君       神田  博君    木内 四郎君       久次米健太郎君    久保田藤麿君       楠  正俊君    熊谷太三郎君       黒住 忠行君    剱木 亨弘君       源田  実君    小林 国司君       古賀雷四郎君    郡  祐一君       佐々木 満君    佐多 宗二君       佐藤 信二君    佐藤  隆君       斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君       坂野 重信君    迫水 久常君       山東 昭子君    志村 愛子君       塩見 俊二君    嶋崎  均君       新谷寅三郎君    菅野 儀作君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       園田 清充君    高田 浩運君       高橋 邦雄君    高橋 誉冨君       高橋雄之助君    橘直  治君       棚辺 四郎君    玉置 和郎君       土屋 義彦君    寺下 岩蔵君       寺本 廣作君    戸塚 進也君       内藤誉三郎君    中西 一郎君       中村 太郎君    中村 禎二君       中村 登美君    中山 太郎君       永野 嚴雄君    夏目 忠雄君       西村 尚治君    温水 三郎君       橋本 繁蔵君    秦野  章君       初村滝一郎君    鳩山威一郎君       林  ゆう君    林田悠紀夫君       原 文兵衛君    桧垣徳太郎君       平泉  渉君    福井  勇君       福岡日出麿君    藤井 丙午君       藤川 一秋君    藤田 正明君       細川 護煕君    堀内 俊夫君       増田  盛君    増原 恵吉君       町村 金五君    丸茂 重貞君       宮崎 正雄君    宮田  輝君       最上  進君    望月 邦夫君       森下  泰君    八木 一郎君       矢野  登君    安井  謙君       安田 隆明君    柳田桃太郎君       山崎 竜男君    山本茂一郎君       山内 一郎君    吉田  実君       吉武 恵市君    亘  四郎君       有田 一寿君    松岡 克由君     —————————————  反対者(青色票)氏名      九十四名       阿具根 登君    赤桐  操君       案納  勝君    上田  哲君       小野  明君    加瀬  完君       粕谷 照美君    片岡 勝治君       片山 甚市君    神沢  浄君       久保  亘君    工藤 良平君       小谷  守君    小柳  勇君       沢田 政治君    杉山善太郎君       鈴木美枝子君    鈴木  力君       瀬谷 英行君    田中寿美子君       竹田 現照君    竹田 四郎君       辻  一彦君    田  英夫君       戸叶  武君    戸田 菊雄君       中村 波男君    中村 英男君       野口 忠夫君    野田  哲君       野々山一三君    羽生 三七君       浜本 万三君    福間 知之君       村田 秀三君    目黒今朝次郎君       森  勝治君    森下 昭司君       森中 守義君    矢田部 理君       安永 英雄君    吉田忠三郎君       和田 静夫君    相沢 武彦君       内田 善利君    太田 淳夫君       上林繁次郎君    黒柳  明君       桑名 義治君    小平 芳平君       塩出 啓典君    白木義一郎君       鈴木 一弘君    田代富士男君       多田 省吾君    中尾 辰義君       二宮 文造君    原田  立君       藤原 房雄君    三木 忠雄君       峯山 昭範君    矢追 秀彦君       矢原 秀男君    山田 徹一君       岩間 正男君    上田耕一郎君       加藤  進君    春日 正一君       神谷信之助君    河田 賢治君       沓脱タケ子君    小巻 敏雄君       近藤 忠孝君    須藤 五郎君       立木  洋君    内藤  功君       野坂 參三君    橋本  敦君       星野  力君    安武 洋子君       山中 郁子君    渡辺  武君       柄谷 道一君    木島 則夫君       栗林 卓司君    三治 重信君       田渕 哲也君    中沢伊登子君       中村 利次君    向井 長年君       青島 幸男君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    野末 陳平君      ——————————
  33. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 次に、日程第四、日程第七及び日程第一〇の予備費使用総調書等三件について採決をいたします。  三件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  34. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、三件は承諾することに決しました。      ——————————
  35. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 次に、日程第一二ないし第一四の国庫債務負担行為調書三件について採決をいたします。  三件は、委員長報告のとおり異議がないと決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、三件は全会一致をもって委員長報告のとおり異議がないと決しました。      ——————————
  37. 河野謙三

    議長(河野謙三君) この際、  裁判官訴追委員予備員、  東北開発審議会委員、  日本ユネスコ国内委員会委員各一名、  鉄道建設審議会委員二名の選挙を行います。
  38. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  39. 内田善利

    ○内田善利君 私は、ただいまの井上君の動議に賛成いたします。
  40. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 井上君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、裁判官訴追委員予備員に佐々木満君を、  東北開発審議会委員に寺下岩蔵君を、  日本ユネスコ国内委員会委員に林ゆう君を、  鉄道建設審議会委員に安井謙君、三木忠雄君を、それぞれ指名いたします。      ——————————
  42. 河野謙三

    議長(河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、公害等調整委員会委員に加藤泰守君、金澤良雄君を、  漁港審議会委員に上杉武雄君、及川孝平君、佐藤肇君、瀬尾五一君、瀬戸尚君、高木淳君、林原嘉武君、松田惣之助君、森勝君を、  運輸審議会委員に吉田善次郎君を、  電波監理審議会委員に市原昌三郎君を、  労働保険審査会委員に及川冨士雄君を任命したことについて、それぞれ本院の承認または同意を求めてまいりました。  まず、公害等調整委員会委員、運輸審議会委員、電波監理審議会委員の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、いずれも承認または同意することに決しました。      ——————————
  44. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 次に、漁港審議会委員のうち、上杉武雄君、及川孝平君、瀬戸尚君、林原嘉武君、松田惣之助君、森勝君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  45. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。      ——————————
  46. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 次に、労働保険審査会委員及び漁港審議会委員のうち、佐藤肇君、瀬尾五一君、高木淳君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  47. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもっていずれも承認または同意することに決しました。  本日はこれにて散会いたします。   午後一時四十八分散会