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1976-09-24 第78回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年九月二十四日(金曜日)    午後二時三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第三号   昭和五十一年九月二十四日    午後二時開議  第一 特別委員会設置の件  第二 国務大臣演説に関する件     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  以下 議事日程のとおり      ——————————
  2. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  岩本政一君から病気のため四十二日間請暇の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ——————————
  4. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第一 特別委員会設置の件  ロッキード問題に関し徹底的に調査し、その真相解明するため、委員二十五名から成るロッキード問題に関する調査特別委員会を設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  よって、ロッキード問題に関する調査特別委員会を設置することに決しました。  本院規則第三十条により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。     —————————————    議席に配付した氏名表は左のとおり ○ロッキード問題に関する調査特別委員(二十五  名)       石破 二朗君    大島 友治君       岡田  広君    大谷藤之助君       岡本  悟君    亀井 久興君      久次米健太郎君    佐多 宗二君       戸塚 進也君    秦野  章君       林田悠紀夫君    宮崎 正雄君       最上  進君    上田  哲君       久保  亘君    栗原 俊夫君       対馬 孝且君    野田  哲君       矢田部 理君    黒柳  明君       桑名 義治君    峯山 昭範君       内藤  功君    橋本  敦君       三治 重信君      ——————————
  6. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第二 国務大臣演説に関する件  内閣総理大臣から所信について発言を求められております。これより発言を許します。三木内閣総理大臣。    〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 第七十八回国会が開かれるに当たり、当面する諸問題について所信を申し述べて、皆様方の御理解と御協力を得たいと存じます。  まず最初に、最近の災害について申し述べたいと存じます。  台風第十七号は、全国各地に大きな被害をもたらし、死者行方不明者百六十七人、被災者約四十万人を出し、建物、公共建造物、農作物に甚大な損失をもたらしました。これはまことに痛ましいことであり、それらの方々関係者に対し、深く哀悼と同情の意を表します。  政府は、直ちに非常災害対策本部を設置し、被害の著しかった中部、近畿中国、四国の三地域に政務次官を長とする政府調査団を派遣し、被害状態調査するとともに、百四十四市区町村災害救助法を適用して被災者救護救助に努め、また、災害の復旧に全力を挙げております。  また、激甚災害の指定、被災者に対する各種融資措置を速やかに実施すべく手続を進めておりますが、さらに今後このような災害再発を防止するため、新しい治山治水五ヵ年計画を来年度より発足させるべく検討を進めておる次第であります。  また本年は、北日本においては、低温寡照の不順な天候に見舞われ、冷害が深刻な問題となっております。これに対して、政府農業技術指導の徹底を図る等、今後とも被害最小限度に食いとめるべく努力してまいります。また、被害早期把握に努め、被災農家に対しましては、農業共済金年内支払いに努めるほか、各種融資措置を初め、被災農家経営の安定、被災地帯雇用確保等により、その救済に万全を期する考えであります。  次に、今臨時国会の最も重要な案件として御審議いただきたいのは、ロッキード事件解明財政関連法案であります。両者はいずれ劣らぬ重要性を持っていると考えますが、まずロッキード事件解明の方から申し述べたいと存じます。  いわゆるロッキード事件は、わが国政治に大きな衝撃を与え、ついに自民党のかつての最高幹部の中から容疑者を出すに至りました。私はこの事態を大きな悲しみをもって深刻に受けとめるとともに、政府及び自民党最高責任者としての責任を痛切に感ずる次第であります。ここに国会議員各位を初め、国民皆様に深くおわびを申し上げたいと思います。  ロッキード事件が起こったとき、私はその真相を明らかにしなければ日本民主主義は大きく傷つけられると考えました。そこで、私は、国会の決議を受けてフォード大統領に対して、真相解明協力を要請した書簡の中で、「私は、日本民主政治は、本件解明試練に耐え得る力を有していることを確信している。われわれは、真実を究明する勇気と、その結果に直面していく自信を持っている。」と、こう申し述べました。それ以来、私は日本民主政治のため、この禍いを転じて福となすことができるという確信を持って対処してまいりました。  ロッキード事件解明に当たって私が厳重に守ってきた方針は、捜査当局に対し、私も法務大臣も政治介入は一切行わないということであります。今後もこの方針は貫いてまいります。  検察当局によるロッキード事件真相解明は、丸紅と全日空の二つのルートについては、ほぼ終結に近づきつつありますが、なお、いわゆる児玉ルートが残されており、現在検察当局はその解明全力を挙げております。この三ルート法律的解明がすべて終わった時点において、私は検察当局から事件の全容について報告を受け、それに基づいて国会に対して政府報告を行う所存であります。ただし、児玉ルート解明に相当の時間を要する場合には、適当な時期に中間報告をいたしたいと存じます。  さらに、ロッキード事件にかかわる政治的道義的責任の問題につきましては、四月二十一日の「国会正常化に対する衆参両院議長裁定」第四項に従い、国会国政調査権に基づく御調査に対し、刑事訴訟法の立法の趣旨にのっとり、資料の提供等最善協力を惜しまない方針であります。  ロッキード事件のような不祥事件がもし再び繰り返されるようなことがあれば、日本民主主義が重大な危機に瀕することは明らかであります。この不幸な事件を転じて、今後の日本政治社会が健全に発展していくための出発点とするため、最善努力をいたす決意であります。  ロッキード事件解明と並んで、今臨時国会重要課題財政関連法案にあることは申し上げるまでもありません。前国会継続審査となりました特例公債法案及び国鉄電電公社関係の二法案が速やかに成立するよう国会の格段の御協力をお願いする次第であります。現に執行中の本年度予算及び政府関係機関予算は、これら三法案成立を前提として組まれたものであります。予算と一体不可分の関係にある重要な財政関連法案がいまなお成立していないことは、まことに残念な次第であります。  高度成長から安定成長への転換期に当たり、国の財政歳入不足を補うために、三兆七千五百億円に及ぶ特例公債の発行を余儀なくされました。特例公債法案成立はこの財源確保のために不可欠であります。もしこれを欠けば、予算の完全な執行は不可能であります。本年度予算は、景気の順調な回復雇用の安定を図ることを最重点の目標としております。特例公債法案成立がさらにおくれるような事態になれば、国の財政運営に支障が生じます。また、地方財政事業経営に携わる者の心理にも悪影響を与え、せっかく立ち直りつつあるわが国経済に不安を与えることは必至であります。  また、国鉄及び電電公社経営は、現在きわめて憂慮すべき状態にあります。国鉄電電公社に関連する法案は、国鉄の再建と両公社事業経営に必要な財源を確保するため、運賃料金改定を図るものであります。もとよりこの種の公共料金の引き上げは、だれしも好むものではありません。しかしながら、国鉄運賃電信電話料金は、これまで一般物価に比べて低く据え置かれてまいりましたことは事実であります。これらの改定を行わずに、国鉄等赤字一般財政資金を注ぎ込んでいけば、財政赤字はますますふくれ上がり、ひいては財政のみならず国民経済に大きな悪い影響を与えます。したがって、これらの事業経営健全化のためには、利用者方々にある程度の負担をお願いいたさなければなりません。法案成立がさらにおくれる場合には、職員のベースアップやボーナスの支払いが困難となり、労使関係に深刻な悪影響を及ばすおそれがあります。また、工事費等経費削減のために、中小企業の多い関連業界は現に大きな打撃を受けておりますが、さらにそれが深刻化することは必至であります。  以上、今臨時国会中心課題であるロッキード事件解明財政関連法案について申し述べましたが、この機会に、その他当面の内外問題についても触れておきたいと思います。  まず、最近の経済情勢経済運営について述べたいと思います。  景気は、国内需要の堅実な伸びと、世界経済回復に伴う輸出増加によって、着実に上昇してまいりました。生産、出荷、企業操業度も総じて回復を示しており、雇用情勢改善傾向にあります。しかしながら、個々の業種については、いまなお回復のおくれているものもあり、景気先行きについて手放しで楽観することはできない現状であります。  このような情勢のもとで、今後とも景気の着実な上昇基調を維持していくことが重要であります。輸出中心ではなく、個人消費企業投資など幅広い需要拡大を図り、バランスのとれた本格的な成長を実現しなければなりません。  個人消費は、生産雇用の順調な回復に伴い、堅実に伸びていくものと期待されます。企業投資は、慎重さの中にも次第に盛り上がる兆しが見られます。個人消費についても企業投資についても先行きに対する心理が大きな影響を及ぼしますので、財政関連法案を一日も早く成立させていただくことが、この点からもきわめて重要であります。  政府としては、今後の財政金融政策運営に万全を期するとともに、中小企業の倒産や失業の増加を防ぐため、金融面その他あらゆる適切な支援措置をとってまいります。  世論調査でも明らかなように、国民は依然として物価の安定にきわめて大きな関心を寄せています。  最近卸売物価がやや早いテンポで上昇を続けておりますことは警戒を要しますが、やがては鎮静するものと見られ、いまのところ、それが消費者物価安定基調を乱すおそれはないと考えます。消費者物価については、政府は最優先で安定政策を講じてまいりましたが、幸い、その上昇率を五十年度末で一けた台にするという公約を達成することができました。その後本年度に入っても比較的落ちついた動きを示しております。しかし、輸入原料値上がり公共料金のやむを得ざる改定景気上昇に伴う商品の値上がり傾向など、警戒しなければならぬ要因も少なくありません。政府は、物価動向に絶えず注意し、総需要の適切な管理を図るとともに、企業の安易な価格転嫁便乗値上げ自粛要請生鮮食料品など生活必需物資生産輸送対策など、あらゆる手段を尽くして、物価対策に遺漏なきを期するつもりであります。  次に、わが国の外交について申し述べたいと存じます。  去る六月二十七、八の両日、プエルトリコに驚いて開催された第二回先進国首脳会議には、大平大蔵大臣及び宮澤前外務大臣を伴って、これに参加しましたが、米、英、西独、仏、伊、加の首脳とともに、世界経済の抱える諸問題について忌憚のない意見を交換することができましたことは、きわめて有益でありました。特に、関係諸国間の密接な協議と協調により、事態の悪化を事前に防止することの必要性について意見の一致を見たことや、インフレの再燃を回避しつつ、経済持続的拡大を図る必要性について共通の認識を得たことは大きな成果でありました。  その後、友邦米国首都ワシントンに立ち寄り、建国二百年を迎えた米国国民に対し、日本国民日本政府を代表して、フォード大統領に対し祝意を述べる機会を得ました。その際、二百海里の漁業保存水域設定により生じた漁業問題や、日米航空協定の問題についても大統領話し合いました。これらの問題の解決は必ずしも容易ではありませんが、日米両国は深いきずなで結ばれている間柄でもあり、話し合いを重ねていくことによって合理的な解決を得るよう全力を尽くす考えであります。  中華人民共和国では、新中国の生みの親ともいうべき偉大な指導者であり、また、日中国交正常化に大きな指導力を発揮された毛沢東主席が死去されました。ここに重ねて深く哀悼の意を表するとともに、主席の遺志を継ぐ中国政府との間に一日も早く日中平和友好条約が締結されることを強く期待するものであります。  本年は日ソ国交回復二十周年に当たりますが、わが国としては、北方四島の一括返還を実現して、平和条約早期に締結するため、今後とも一層の努力を続けてまいる所存であります。  なお、最近、ソ連軍用機ミグ25がわが国の領空に侵入し、函館空港に強行着陸するという事件が起こりました。政府はこれに対し、今後とも冷静、慎重に対処する方針であり、本件日ソ間の基本的友好関係影響を及ぼすことがあってはならないと考えております。  朝鮮半島では、最近、板門店において国連軍側死者を出す衝突事件が発生したのを契機に、南北間に一時的緊張が高まりました。朝鮮問題に対する政府基本的態度は、朝鮮問題が武力ではなく、平和的な話し合いによって解決され、統一を目指して南北間の関係改善が進むよう諸外国と協力することであります。そのため、南北双方が直接話し合う機会を持つことを希望し、また、双方平和的統一を達成するまでの間、ともに国連に加盟することを期待するものであります。  先般の海洋法会議においては、深海の海底資源開発問題や経済水域設定の問題が論議されましたが、こうした問題は、海洋に依存することの大きいわが国としては重大な関心を寄せる問題であります。この問題に対しては、国際協調精神のもとに、国益を踏まえ、最善解決の方途を見出すべく、できる限りの努力を払う決意であります。  海洋法会議に限らず、現在の各種の大きな国際会議では、必ず南の発展途上国と北の先進工業国との間の、いわゆる南北問題が浮き彫りにされます。南北問題は、これからの世界経済政治秩序づくりに最も重要な問題であります。政府は、南北問題が対決でなく、対話と協調精神解決されるよう、でき得る限りの努力をいたし、日本としても、南の国々に対し、貿易の拡大を図る一方、経済技術協力、とりわけ政府援助の面を一層強化したいと考えております。  最近、日本を訪問されたブラジルガイゼル大統領とも、日本ブラジル両国理解友好を一層深めるとともに、両国が今後南北問題の解決に緊密に提携することを約束いたしました。こういう約束をしたゆえんもそこにあるのであります。  ロッキード事件は、わが国民主主義にとっての大きな試練であります。世界にはいろいろの政治制度がありますが、わが国にとっては議会制民主政治が最もすぐれた政治制度であると私は信じております。どのような政治制度も、人間の不正や失敗を根絶することはできません。いずれの国でも時として政治腐敗が起こります。経済運営失敗も起こります。民主政治のもとでは、その腐敗を摘発して政治を正すことができます。政策失敗を批判して改革を図ることができます。民主政治がそのような自己改革機能を発揮できるゆえんは、それが開かれた社会における開かれた政治制度であり、真相を明らかにすることによって、国民英知が発揮されるからであります。  議会制民主主義のもとにおいては、政治国民のものであります。自由な言論と報道を通じて国民真相を知ることによって、国民が正しい判断を下し得ると私は信じます。国民英知を信頼することなくしては民主政治成立いたしません。  私がロッキード事件真相解明に不退転の決意をもって当たっているのも、この議会制民主政治への信念によるものであります。単に事件を暴露することだけが目的ではありません。真相解明を通じて、日本民主政治自己改革機能が発揮され、政治腐敗の根源を断つ対策が立てられるところにこそ、真相解明の最大の意義があると信じます。  議員皆さん国民皆さんの御理解と御協力を願ってやみません。(拍手
  8. 河野謙三

    議長河野謙三君) ただいまの演説に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時三十二分散会