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政府委員(犬丸直君) 五十一年の十月十八日に坂元
学園の理事長に
文部省へ来てもらいまして事情聴取をししたこと及びその翌日もその事情聴取を続行したこと、それで、それからその中間において理事長が、学生との団交があるというので一応事情聴取を打ち切って後日を約したと、そこまでの御報告はたしかこの
委員会ですでに申し上げたと思っております。その後の御報告をいたします。
その後十月二十七日に
文部省より
調査団が参りました。現地に参ったわけでございます。その人員は、私ども管理局の企画調整課の平川
調査官、それから
私学振興課の山本事務官、それから
大学局の
大学課から巻島課長補佐、技術
教育課から三浦課長補佐、高等
教育計画課の今井事務官、さらに
私学振興財団からも北川指導課長に参加してもらいまして、以上の六名が参ったわけでございます。
二十七日は十一時にこちらを飛行機で立ちまして、その日は向こうに着きましてから県との
調査日程打ち合わせをやった後、まず国分市の助役から事情を聴取し、それから県の担当の
私学担当の課長でございます総務部の学事文書課長から事情を聴取いたしました。
翌二十八日に朝八時四十分から初め打ち合わせを、県庁において若干の打ち合わせをした後、現地の
学園へ参りまして——国府の現地へ参りまして、国分市役所を場といたしまして、そこで坂元理事長夫妻からの事情聴取、それから学生代表十名からの事情聴取、それから
大学及び短大の後援会長からの事情聴取、それから父兄代表の方七名からの事情聴取、そういう事情聴取で午前中は終わりました。それから午後になりましてさらに添島教授から事情聴取をする。で、その後いわゆる問題となっております校庭、研修センターと称する校庭を実地に見ました。それから舞鶴旅館、そこを視察いたしました。それからその後九州学院
大学構内に入りまして坂元
学園の現場を実地に
調査をいたしました。途中でちょっと記者会見がありまして、夜の二十二時二十分まで、かなり遅くまで学内で
調査をいたしました。
翌日もやはり朝、宿舎内で
調査、連絡をし、さらに県庁との、総務部長とも打ち合わせした後、国分市役所に赴き、それからまた九州学院
大学内に入りました。昼ごろまで
調査いたしまして一応打ち切って戻って参りました。
それでその間にいま先生からおっしゃいましたように、突発事故といたしまして二十九日の午前零時、ですから二十八日の
調査が終わって、十時二十分に終わって宿舎に落ちついたころだと思いますけれども、その午前零時ごろにピケの強行排除というようなことが行われたという報告を受けたわけでございます。それで、これはいわゆるガードマン——これは
大学側で雇ったガードマンのようでございますが、三十数名タクシーなどで乗りつけてそして学生と衝突を始めた、その当時では学生にも負傷者が出たというような話も聞いております。それで、そういう
状況でその騒動をおさめるために警察官が出動しその場はおさまった、そういう突発事故がその間に起こったわけでございます。なお、ピケを張っている学生も
文部省の
調査に対しては協力的であったということでございます。ただ、
大学の職員が入ることについてはかなりいろいろ抵抗があったと、いわゆる
大学の職員が証拠を隠滅する危険があるというようなことでございますが、そういう
状況であったけれども
文部省の職員の
調査については協力的であったと、こういうことでございます。
調査事項は非常に多岐にわたっておりまして、非常に詳細な細かな事柄が多うございます。それで必要な資料等もまだ十分でないものもございますし、行った者も、
調査に行った者全体の相互の打ち合わせ等もまだ十分に行われておりませんので、完全に整った報告書を作成するまでにはまだ至っておりませんけれども、主な点だけを拾って一応の中間的に御報告申し上げたいと思います。
まず、理事会、評議
委員会等の機能の問題でございます。理事会、評議
委員会がもう有名無実になっておって、理事長の独裁ではないかというような
指摘があったわけでございますが、これにつきましては、最近かなり理事会を開いたことはあるようでございます。最近、今
年度に入ってからですと、四月二十四日、六月十日、六月二十日、八月十六日、九月八日、九月十六日、十月十六日、十月二十日と理事会が開かれております。評議
委員会も七月二十四日、六月十日、六月二十日、八月十六日と。ただし評議
委員会の方はこれ以後の開催
状況は不明でございます。それから、それぞれの議事録を手に入れ得る限り入手してまいったわけでございますが、九月八日、九月十六日及び十月十六日の議事録は入手できませんでした。紛争が激化しましてから後は余り理事会開かれておりませんが、理事の一部の人の言うことによると、これは理事長にとにかく紛争中はまかせておるんだというような言い方をする理事もおられたということであります。
それから二番目に、いわゆる公邸と称するものの私的使用——理事長の自分の自宅を、りっぱな御殿のようなのをつくっておるという
指摘事項でございます。これは所在地は国分市でありまして、
大学から約二キロの
ところにございまして、六千二百七十四平米の敷地に鉄筋二階建ての五百九十五平米の建物、四十八年一月十日に竣工しております。工事費が約九千二百五十万円、使用目的は
学園本部の業務、研修その他であると、そういうことになっております。問題は、これが理事長の私的な自宅ではないのか、私的使用になっているんではないかということでございます。一応これは四十八年四月以降、これは
私学財団からの経常費助成の際に、助成する場合に
指摘があったこともあってであろうと思いますが、四十八年四月一日以降、
学園と理事長間で建物の賃貸契約をつくっております。なお、建物自体は登記上は
学園のものになっております。理事長の個人ではなくて
学園のものになっております。そして、理事長と
学園との間で賃貸借契約を結んで、それで学長は賃料を払う、月二万五千円の家賃を払うというふうになっております。それから、光熱、水料も年間そこで使われる光熱、水料の三〇%は払うというような形で、公私の区別を一応
立てる形をとっております。その後、ことしの五月には別な
ところに、理事長は自分のうちをつくって、自分の私宅はそちらに移っているということでございます。それで、現在の
状況ですが、建物自体は、確かにこれはりっぱな庭があったり、豪華なつくりであったりして、本当に
学園のために必須な建物であるかどうか、ちょっと疑問な点もあるということのようでございます。ただ現在は、そこで
学園の事務が行われております。
学園が封鎖されているためもございますが、ここで事務を行っておるようでございます。純粋に
学園の事務に使われておるという
状況のようでございます。以上が公邸の私的使用の問題です。
次が、いろいろな
ところに土地を買っておるということでございますが、キャンパス外にいろいろな土地を買っておるということでございます。これは
大学側の説明によれば、将来研修とか厚生
施設のために買ったのだということで、その土地の資産、所在等を調べてまいりました。伊豆の大島であるとか、あるいは霧島の方であるとか、その他に原野、山林の土地を持っております。で、これは将来厚生
施設、研修
施設に使うのだということでございますが、現在の
ところはまだ未利用のままで放置されております。
大学側は将来これを使うのだという、そういうことに使うために確保した、こういう言い方をしておるようでございます。
それから武道館の
建設のために寄付金を集めているという御
指摘もあったわけでございますが、その点につきましてはそのとおりである。五十一
年度入学者からは徴収しておるということでございまして、募集要項を見ました
ところ、そこにははっきり明記してある。それで一人二万円、一回限りということできております。一応台帳などもできておるようでございます。それでなおこれは具体的計画がないんじゃないか、という武道館などの話は聞いたことがない、というような学生の
指摘があるというお話でございますが、これは公表はされていなかったのかもしれませんが、理事会の資料によりますと、何か鉄筋鉄骨の平屋建てのものをつくるのだ、五十三
年度に
建設予定約九百平米のものをつくる。で、そのための金を五十一
年度から五十五
年度にかけての入学生から一人二万円以上徴収するのだ、そういう計画書がございました。
それからいわゆる延滞金のお話もございました。ちょっとでも延滞するとそれに利息をつけて徴収されるという話でございましたが、これはその延滞金の規則を入手してまいりました。大体やっぱり一定の期間、延納分納の制度がございまして、その延納の期間を十五日を過ぎるとそれ以上、あとは延滞利息を払わせる、そういう規定になっております。それでこういうことが実際
私立学校の場合にままあるものであろうかということでございますが、
大学側では大阪工業
大学でも同じようなことをやっておるという話で、その大阪工業
大学の規則は入手してまいりました。これは多少この
学園の場合とは違った面がございますけれども、大同小異、同じような規定になっております。しかし、ほかの普通の
大学でもみんなこのような制度になっておるのかどうか。これは少しほかの例も調べてみる必要があると思います。ちょっと一、二見ますると、十五日間でもうすぐに延納利息を払わせるというのはちょっとないような気がいたします。ただし、納期六カ月を過ぎても完納しない場合には除籍をするとか、ある程度延納した場合には除籍とかいうような制度を決めている
ところもございます。これはこの
評価につきましてはまた十分検討する必要があろうかと思います。
それから推薦入学者の父兄に対して通信によって徴収している、こういうことでございますが、これは確かにやっておるようです。一人三万円ないし十五万円のものを取っておる。これは募集要項に書いていない入学金を、入学の際の寄付金をとっておるということでございます。それからこれは入学時寄付金とは別で
私学振興協力金という名前でそういうものを取っておる。それからさらに、
補欠合格者に対して入学時寄付金を取っておるということもこれは出てまいりました。これも募集要領に記載されていない入学時寄付金を取っておるという事実も出てまいりました。
それから
学校債についての御
指摘もございましたが、これは
学校債を取りますよ、ということは、徴収すること自体は募集要項にはっきり書いてございます。
大学は十万円、五十一
年度の場合、
大学は十万円、短大、各種
学校は五万円。それで私どもの指導では、やはりそういったときにちゃんとした債券を出しなさいということでございますが、債券は出しておりませんで、領収書のみのようでございます。
ところが、同じ坂元
学園でも父兄以外の
学校債応募者に対してはちゃんとした債券を出しております。ですから、なぜ父兄にはその場合には出してないのかということでございますが、そういう
状況でございました。
その他いろいろございますが、諸規定の不備という点がずいぶん議論されました。これはいろいろな規定を全部入手してまいりまして、これは詳細にいま分析中でございます。これはいろいろ法令の疑問な点がないかどうかというのをいま現在検討いたしております。
それからあと、今度はアカデミックスタンダードの点について多少いろいろ
調査いたしました件につきましては、現在の教員組織と基準とのずれでございますが、全体の一般
教育の教官が基準十七名に対して約六名不足しておる、あるいは機械工学科の教員が基準に対して二名不足をしておるというようなことがございますが、多少のそういう基準不足の
状況に立ち至っておりますがこの点もどう
評価するかはまた後の問題だろうと思います。
それから助手が
授業——資格もない助手が
授業を担当しておるということでございますが、これも
教育の現場を抑えるわけにもいきません。これ書類で見るはかなかったわけでございます。あるいは教授等に聞く以外なかったんでございますけれども、一応助手がやる場合も教授の指導のもとに、教授要綱を書類上見ますると、教授の指導のもとに行う。しかも、実験実習等の場合だけ助手が
教育を担当する。教授の指導のもとに担当する。これは法令どおりのことでございますが、そういう形でしか書類の上では書いてございません。
それから
大学の入学案内に、航空整備士
課程が資格取得の虚偽記載と、これはやはりどう見ましても事実と異なるという点ははっきりいたしておりますので、これはすでに募集要項等にそういう人を誤らせるような記載はしないようにという指導をいたしてまいっております。
それから
設備について、いろいろの機械が実際使われないで、ただ、置物のようになっているというような御
指摘でございましたが、これも外見的な事実だけを申し上げますと、確かに電算機、IBM一四一〇型電算機、これは
昭和四十七年に神戸太陽銀行から譲渡されたもの。で、見た
ところ、空調
設備もなくて、行った人間はそちらの方の専門家ではございませんが、空調
設備もなく、使用できる
状態ではないと認められた。それからレーダー
設備があるというようなことも学生寮の屋上にレーダーアンテナが設置されているけれども、レーダー本部の部屋はかぎがさびついていてあかなかった。こういうようなことで、そういったものはそういう
状況ではあったということでございます。ただし、この
評価につきましては、ここの
教育課程からして、こういったものがどうしても必要なのかどうかということはまた十分に検討する必要があろうかと思います。
それから機械工学科のラジアルボール盤というかなり大きな工作機械がございましたが、どうも実習材料等が見当たらないし、本当に使っているのかどうか疑問な点はあった。
それから高等
学校の産振の
設備を使っておる、こちらへ持ってきておるというようなお話もございましたが、それも
大学の中にいわゆる産振
補助のマークのついたものがあったという、油圧装置があったということは確認しております。
その他、風洞装置——まあ風洞装置は
国立大学の大きな工学部にあるような本当の実験はできないにしても、実習用にはある程度使えるんじゃなかろうかというような判断でございました。
それからジェットエンジンなどが置いてあるというようなことも、これもただスクラップが置いてあるという
指摘もあろうかと思いますけれども、こういう見本として、教材として使うといえば使えるのかもしれません。
そのようなことで、実際の
ところ、そういう外見的な
状況があったわけでございますけれども、こういったものが
教育上、こういう
状況であることがどうなのか。
教育上不可欠なものが欠けておるのか、あるいはアクセサリー的なものが欠けておるのだからいいという判断をするのか、この辺はまた今後の課題であろうかと思います。
このようなことで、詳しくお話し申しますれば切りがないわけでございますが、いずれにしてもまだ中間段階でもございますし、それからなお、まだまだ調べなければならないことも残してまいってきております。それでまた今後
状況によって再
調査あるいは事情聴取というようなことが必要ではなかろうかと思われます。以上でございます。