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1976-10-26 第78回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十六日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  十月二十日     辞任         補欠選任      川村 清一君     前川  旦君      桑名 義治君     相沢 武彦君      安武 洋子君     小笠原貞子君  十月二十一日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     向井 長年君  十月二十二日     辞任         補欠選任      前川  旦君     中村 波男君   委員温水三郎君は逝去された。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林 国司君     理 事                 青井 政美君                 鈴木 省吾君                 辻  一彦君                 鶴園 哲夫君                 相沢 武彦君     委 員                 岩上 妙子君                久次米健太郎君                 佐多 宗二君                 園田 清充君                 初村滝一郎君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 志苫  裕君                 中村 波男君                 塚田 大願君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  大石 武一君    政府委員        農林大臣官房長  森  整治君        農林大臣官房技        術審議官     川田 則雄君        農林大臣官房審        議官       杉山 克己君        農林省農林経済        局長       吉岡  裕君        農林省構造改善        局長       岡安  誠君        農林省農蚕園芸        局長       澤邊  守君        農林省畜産局長  大場 敏彦君        農林省食品流通        局長       今村 宣夫君        農林水産技術会        議事務局長    平松甲子雄君        食糧庁長官   大河原太一郎君        林野庁長官    松形 祐堯君        水産庁長官    内村 良英君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        通商産業省貿易        局農水課長   鈴木 一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○連合審査会に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     —————————————
  2. 小林国司

    委員長小林国司君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  議事に先立ちまして一言申し上げます。  すでに御承知のことと存じますが、本委員会委員温水三郎君が去る二十二日不慮の事故により急逝いたされました。まことに哀悼痛惜にたえません。ここに謹んで同君の長年にわたる御功績をしのび、各位とともに黙祷して御冥福をお祈りいたしたいと存じます。  御起立をお願いいたします。黙祷をささげます。   〔総員起立黙祷
  3. 小林国司

    委員長小林国司君) 黙祷を終わります。御着席願います。     —————————————
  4. 小林国司

    委員長小林国司君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動によりまして、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林国司

    委員長小林国司君) 御異議ないと認めます。  それでは理事相沢武彦君を指名いたします。     —————————————
  6. 小林国司

    委員長小林国司君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について運輸委員会に対し、連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林国司

    委員長小林国司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小林国司

    委員長小林国司君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  9. 小林国司

    委員長小林国司君) 農林水産政策に関する調査のうち、当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 中村波男

    中村波男君 限られた時間でありますからできるだけ端的に御質問をいたしますので、要点を的確にお答えいただけたらと存ずるのであります。  まず最初に、昨二十五日に農林省告示をもちまして、北海道及び東北六県を対象規格外玄米買い入れ等についての告示を行われたのでありますが、このほかにも新潟県、長野県、私の出身地である岐阜県等についてもかなり冷害による被害が出ておるのでありますが、たとえて申し上げますと、岐阜県の飛騨地区中心にいたしまして冷害減収量が二千トンとも言われております。したがって、規格外の米がこれまた相当出ることは明らかでありますので、これらの被害県についても北海道と同様に措置を講ぜられるべきであり、講ぜられる考えであると思いますが、いつごろこれらの県に対して告示をされる予定なのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  11. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  お話しのとおり、二十五日には、冷害が激しくしかも出回りの早い北海道及び東北につきましては規格外玄米について特別規格設定いたしまして、また価格設定いたしまして買い入れをいたすことになったわけでございますが、お話しのとおり冷害新潟なり長野、北関東あるいはお話の岐阜県についても被害地帯がございます。また、岐阜等はもちろんでございますが、十七号台風被害もございます。そういう点で、これに北海道並び東北にとりました措置に準じまして規格外玄米買い入れのための特別規格なり買い入れ価格の決定を急がなければならないわけでございますが、御案内のとおり、出回りが本年は非常におくれておりまして、十日ないし十五日でございます。したがいまして、規格外特別規格設定いたしますためにも、出回りました米の品質、品位を見まして設定をして、できるだけ主食に充当可能なぎりぎりの線で規格設定して買い入れます。したがいまして、まだそういう意味で、規格外玄米買い入れのための特別規格設定のために判断をいたします米の出回りがおくれておりますので、これがある程度出回ったのを見まして決めたいということで、当然のことでございますが、できるだけ急いでやりたいというふうに思っております。
  12. 中村波男

    中村波男君 冷害が出る地域であるということは、おのずから早く田植えが終わっておる地域でもありますから、すでにもう収穫は相当進んでおるわけでありますので、急いで実態調査されまして適切な措置をとられることを強く要求しておきます。  もう一つ、それに関連をして御質問をいたしたいのでありますが、水稲共済評価方法についてここで特に指摘をいたしたいと思いますのは、言うまでもなく、水稲評価方法というのは、一口で言いますと減収量すなわち目方ではかられるわけであります。しかし、本年は冷害水害等によりまして、規格外米規格外にも合格しない米が相当量残念ながら出てくる状況にあります。実は、きのうその見本を関係者にお渡しをしておいたわけでありますが、冷害と違って水害地のいわゆる冠水地帯における稲作というのは青田米ではなくて乳白米といいますか腹白米で、おのずから検査規格も考えてもらわないと、冷害と同じ規格検査をされましても実態には合わない面があります。したがいまして、水稲評価に当たりましては科学的な減収率ただ量だけではかるのではなくて、目方だけではかるのではなくて、いわゆる米そのものの価値というものが全く低いといいまするかゼロに近いものでありますから、そういうのがいわゆる共済で救われるような措置を講じないと実態とは合わないと思うわけであります。したがって、従来もおとりになった例があるようでありますが、損害評価特別措置当該水害等被害県に対しまして発令をされましてそして適切な措置をおとりになる用意があるのかどうか、この機会お尋ねをいたしておきたいと思います。
  13. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) ただいま先生指摘のとおり、現在の農作物共済農災法に基づきまして減収量に対して共済金が支払われるという仕組みになっておるわけでございまして、その減収量のはかり方、ひっくり返して申しますと収穫量のはかり方は、一・七ミリ目という段ぶるいを使いまして収穫をはかることになっております。したがいまして、品質低下共済の制度的な対象にするということは今日ではとられていないわけでございますが、御指摘のような非常に台風被害等異常災害発生をしておりますので、その減収量の取り扱いにつきましては、これまでもいわゆる損害評価に関する特例措置といたしまして、特定の被害粒等を控除するというような方法を使って適切な損害評価をやるということをやってきておりまして、今回に当たりましてもそのような措置をとることを決めており、すでに関係県、連合会等とその相談に入っておるところでございます。したがいまして、御指摘特例措置を適切に講じてまいりたいというふうに考えております。
  14. 中村波男

    中村波男君 次は、マレック・ワクチンを注射したことによります被害その他の問題についての質問に移りたいと存じます。  昭和四十八年の秋から四十九年の夏にかけまして、全国的にマレック・ワクチンを注射した鶏すなわちひよこが百万羽と言われておるわけでありますが、被害が出まして、恐らく農家被害というのは六十億とも百億とも言われておるのでありますが、この事件の概要についてまずお伺いをいたしたいと存じます。
  15. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) いわゆるマレック・ワクチン事故によりまして鶏の被害発生したわけでありますが、それは四十九年の春から夏にかけまして全国各地におきまして、これはメーカーである松岡科学研究所、それから千葉血清研究所製造したマレック・ワクチン接種によりまして異常鶏が多発したというような状況でございます。  被害状況を申し上げますと、松岡科学研究所関係は六十一ふ化場、おおむね九十七万羽、それから千葉血清研究所関係では十三ふ化場の十三万羽というものにつきまして羽毛の異常だとかあるいは発育不良、一部につきましては死亡等被害が生じたというふうに聞いております。  それからその異常鶏発生原因でございますが、原因究明につきましては、農林省といたしましては日本獣医学会微生物分科会に委嘱いたしましてそこに調査検討会を設けられまして、それに農林省の各機関動物医薬品検査所とかあるいは家畜衛生試験場というものが協力いたしまして調査いたしました結果、五十年四月に、主な原因というのはワクチンの中に迷入したREウイルスが主たる原因であるというふうに判断されたわけであります。その時点でいろいろ農林省といたしましては再発防止のための措置をとっている、こういったことであります。  それから事故補償につきましては、メーカーとそれから販売会社あるいは被害者の同盟という当事者間でいろいろ折衝が行われておりまして、一部につきましては解決いたしておりますが、まだ全部は解決していない、こういう状況でございます。
  16. 中村波男

    中村波男君 私が調査したところによりますと、いま御指摘のありました松岡科学研究所関係千葉血清研究所関係以外に、阪大微研それから日生研等々のワクチンにも被害が出たというふうに聞いておるわけでありますが、この被害調査農林省は独自でおやりになった形跡がないように思うわけでありますが、その点はいかがなものでしょうか。
  17. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) ただいま御指摘になりました阪大微生物研究会あるいは生物科学研究所、そういったものにつきましてもいろいろ出たのじゃないかという御指摘もその当時ございましたので、私ども事情聴取をし、場合によっては立ち入り検査をいたしました結果、発生したという事実は確認できなかった、こういうようなことでございます。  それから被害調査でございますが、私どもといたしましても都道府県を通じてかなり広範にわたっておりますから調査の指示をしたわけでありますけれども、何分接種から発病までかなりの時間がかかる。その間にかなりの鶏が実際問題として淘汰されるということもございまして、的確な被害の数字的な把握ができなかったというような実情でございまして、農林省自身としては何ら調査に努力しなかったということではございませんが、結果におきましてはどうも十分な調査がこの当時にはなされなかったというようなことは、いまから考えると残念だというふうに申し上げる次第でございます。
  18. 中村波男

    中村波男君 私ははなはだ遺憾に思いますのは、これだけの大問題を引き起こしたマレック・ワクチン禍を、農林省調査がなかなかできにくいということを理由にしてほとんどみずからが実態調査を行わなかったということであります。ただメーカー報告をもとにして被害を把握したということ自体が、これは畜産行政の上から余りにも怠慢でなかったかということを指摘しておきたいのであります。なぜならば、これだけの大問題が起きたんでありますから当然原因究明を行わなければならないわけでありますが、その被害実態を十分把握しない中から真の原因究明というのは行うことが不可能ではないか。こういう点からも実態調査をもっともっと農林省機関を通じ、県等を通じて、完全なということはできにくい性質であることは私も理解できますが、ただ製造業者報告だけに頼っておるというこのことが問題だと思うんであります。  そこで問題は、原因究明のためにいかなる農林省として手を打ったか、この具体的な態勢等々についてまず御説明をお聞きしておきたいと思います。
  19. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) マレック・ワクチンによる異常事例発生したわけでありますが、農林省といたしましては直ちに学術団体であります日本獣医学会、これに原因究明を委嘱したわけであります。当学会マレック・ワクチンに関する調査委員会を設置したということでございまして、昭和四十九年の十月から調査を開始した。それから農林省機関であります動物医薬品検査所あるいは家畜衛生試験場というものを中心にいたしまして調査検討が進められた結果、昭和五十年四月に主たる原因細網内皮症ウイルスREウイルスであるということが結論づけられた次第であります。
  20. 中村波男

    中村波男君 私の承知しておるところでは、畜産局要請をされまして日本獣医学会微生物分科会マレック・ワクチン調査委員会というものが設けられ、その委員長には東大農学部尾形学教授が当たられたと聞いておりますが、間違いありませんか。
  21. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 仰せのとおりであります。
  22. 中村波男

    中村波男君 そこで問題は、この事故原因というのは、いま局長も御答弁いただきましたように、REVウイルス病原性がいわゆる被害を与えたのだということが究明されたわけでありますが、なぜもっと早く農林省REVウイルス病原性について、こういう被害が出るということを、何といいますか、すでに二、三年前から欧米の学会ではそれが発見をされ指摘をされてきた事実があるわけでありますが、それに気づかなかったといいまするか、知っていたのか知らなかったのか端的にお尋ねしたいと思いますが、いかがですか。
  23. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) REウイルス病原性の問題でございますが、これは私もいろいろ技術者に確かめたわけでありますが、その病原性につきましては、これは日本だけではなく当時世界的にその病原性についての認識というものは得られていなかったということで、日本だけが知っていなかったということではないというふうに聞いております。それからいろいろの検査等につきましても、その当時一番進んでおりましたアメリカ等におきましても、そういったREウイルスにつきましての検査というものはなされていなかったということでございまして、世界の知見がすでにあって日本だけがその知見を得るのにミスをしたと、そういうような状態ではないというふうに私どもは聞いております。
  24. 中村波男

    中村波男君 事実私がこの問題をいわゆる指摘して今後の問題に備えたいと思いました最大の理由は、皮肉にも農林省養鶏試験場等機関にいらっしゃる先生方からいろいろお聞きいたしました中に、すでに一九五八年にアメリカツイハウス研究所で白血病と異なるウイルスがあると、これを当時はTウイルスとまあ名づけたといいますか称したと申しますか、それから一九六六年にREVウイルスと命名されまして学会に発表になっておる。一九七〇年には米農務省研究機関から、いわゆるひよこに注射をすると神経障害発育不全等に陥るという具体的な鶏の症状等が発表されておる、こういうことをはっきりと承っているわけであります。否定をされるならば、また機会を見まして証人として当委員会においでをいただいてこれらの事情をお聞きいたしても差し支えないわけでありますが、そういうことが農林省研究者によってもすでに知られておりながらこれを検定の中に入れてなかったということは、明らかに私は検定上のミスでなかったか、こういうふうに考えておるのでありますが、いかがでしょうか。
  25. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 御承知のとおり、マレック・ワクチン製造を承認したり、あるいはそれを販売するという場合には国家検定ということを要するわけでありますが、その検定基準設定に当たりましては、中央薬事審議会で慎重な審議をいただいて決定するわけであります。その当時の検定基準設定につきましては、マレック・ワクチンチェック項目というものがなかったわけでありまして、そこからこういう事態発生したということにもなるわけでありますけれども、その当時におきましては諸外国におきましても、先ほどお答えしたかと思いますが、マレック・ワクチンについてのそういった鶏についての類似の事例というものは一切報告はされていないわけであります。それから諸外国検定におきましても、REウイルスに対する特別措置というものは設けられていないということでございましたので、そういう意味で決して責任逃れという意味で申し上げるわけではありませんので、当時の事故発生を予測するということは客観的な情勢から言って、また客観的な知見の進みぐあいから言って非常に困難な事態であったということでありまして、そういう意味で、いわば法律的な意味国側責任があるという議論にはならないのではないかというふうにお答えするわけであります。
  26. 中村波男

    中村波男君 時間がありませんのでこの問題だけに時間をかけるわけにまいりませんので、もう一度時間の多くいただける機会に、すでに外国ではこういうウイルスが発見されて報告をされておるという実態についても明らかにして責任の所在というのを掘り下げてみたいと思うわけでありますが、いま局長の御答弁によれば、日本のみならず世界的にこのREVですか、いわゆるREVウイルス病原性が発見されていなかった、だから法律的には農林省には責任がないと、こうおっしゃるわけであります。  しからば、農林省検定を受けて合格したものを製造した、販売したその人たちには責任があるのかないのか、この点はいかがですか。
  27. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 医薬品製造メーカー自分製造、または販売業者自分の販売した医薬品によりまして農家の飼養する鶏に被害鶏発生したという場合には、当然それは責任がございます。
  28. 中村波男

    中村波男君 確認いたしますが、農林省の見解としては、農林省にも責任はないと、製造メーカーにも責任はないと、もちろん販売した者も責任ないと、こういうような無責任論ということで確認をしておきます。  そこで、今度は実際に被害を受けた農家被害を受けたふ卵場等々は、これは泣いても泣き切れない、農林省に言いましても販売業者に言いましても責任がないんですということで、大変な困った状態にいま置かれたわけでありますが、そこでこういう農家が当然農林省に対して被害補償の要求といいまするか、請求といいまするか、そういうのが出てきていたと思うのでありますが、その状況はいかがなものであったでしょうか。
  29. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 私ども、国に損害賠償請求をその被害者方々がなさっているということには聞いておりません。また私もそういうふうに承っておりません。ただ農林省といたしましては、その被害補償の問題につきましては、これはメーカーあるいは販売業者それから被害者である農民の方々、これの中にはふ化場も介在するわけでありますけれども、そういった方々の間で、当時者の間で決められるというのがこれは筋だと思っておりますが、被害者方々から、なかなかその話し合いが難航するので何とか農林省もそれに骨を折ってほしいと、いろいろそういう御要請はありましたし、過度な介入はもちろんいたしませんけれども、間に立っていろいろあっせんの努力は従来もしてきておりますし、今後もするつもりであります。
  30. 中村波男

    中村波男君 時間がありませんから時間の節約の意味で私の方から申し上げますが、農林省調停をいたしまして、聞くところによると、日本養鶏協会さらに全酪連等々を構成員とする調停委員会が設けられ、そして三、四回にわたって調停委員会が開かれておるようでありますが、七月二十一日に農林省において損害等について把握するために第一回の委員会が開かれたということも事実のようであります。したがって、農林省が事実上仲介役になって損害補償等について動き出したことは争えない事実だと思いますが、いかがでしょうか。
  31. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) まあ農林省が直接にという形では正確に申し上げればないわけでありまして、言うなれば、当事者の方から適当なあっせん人をつくってほしいと、こういう依頼農林省にあったわけであります。そういうあっせん依頼を受けまして農林省日本養鶏協会等に仲立ちになってあげたらどうか、こういうぐあいにお願いしたということでありまして、農林省自身が直接にあっせん当事者になっているということではございません。
  32. 中村波男

    中村波男君 しからば、当時の山本衛生課長松研等の幹部を農林省に呼びまして、損害補償に応ずるようにというような行政指導を行った事実を私は承知しておるわけでありますが、それでも農林省は積極的にそういう行政指導等は行わなかったと言い切れますか。
  33. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 行政指導という言葉の意味でありますけれども、私どもは両当事者がやはりテーブルに着いて円滑に話し合いが行われるということが、これは被害者補償を早く解決するという意味では望ましいわけであります。しかしながら、現実にはその話し合いというものが円滑に行われていなかったということが過程にございましたので、それは被害者の方の依頼を受けまして早くテーブルに着くようにと、こういうような指導はしたことがございます。
  34. 中村波男

    中村波男君 しからば、とにかく農林省がそういう行政指導をやったやらぬというようなことをここで争っても益のないことでありますが、かなり農林省山本衛生課長等々があっせんその他に動かれたという事実は局長もお認めになると思うわけであります。したがって、そういう役所がタッチする以上は、これはやはりこの補償という問題について農林省、言うなれば畜産局としてどうあるべきだというものがなければ、仲介もできませんし調停あっせん等はできないと思うわけでありますが、農林省はこの補償と言いますか、見舞い金という名前を使っておりますが事実上は補償でありますが、これについてどういう方針と言いますか、考え方があってそういうのをあっせんされたのか、明らかにしておいてもらいたいと思います。
  35. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 私どもはあらかじめ一定の与件といいますか、そういうものを設定して、それで両方ともこれに従いなさい、こういう態度はもちろんとっていないわけでありまして、あくまで仲介者というのは別途民間の方々にお願いして、それをしたあと御紹介したわけであります。その方々がいろいろ被害額だとかあるいは補償の仕方だとか、そういった条件を提示されまして、しかしそれでもなかなか話がスムーズにいかないという形ですから、農林省といたしましてはよく話し合いをするようにと、これは私はあたりまえのことだろうと思うわけでありますが、そういうような指導をしたということでございます。  本質的に私どもの考え方といたしましては、この事柄は結局先ほど申し上げましたように当事者間、つまりメーカーとそれから販売業者、それからふ化業者、あるいは農民と、そういった方々の間で話を尽くし条理を尽くして解決するというのが筋であると思うわけであります。私どもといたしましては、被害者補償ができるだけスムーズに進むという意味で、それが望ましいという意味でいろいろ側面からお世話をする、そういう立場をとりたいと思っているわけであります。
  36. 中村波男

    中村波男君 いや、私は、農林省はこの被害責任はないという見解、また製造メーカーにも責任はないという見解、この中に立って被害者から農林省被害補償等についての要請があったので、したがって農林省製造メーカーにのみこの補償をするようにというあっせんをしたこと自体が、何か意図的なものが別にあったような気がいたしてなりません。  そこで、もう一つこの機会にお聞きしておきたいんでありますが、事故調査委員会委員長である尾形教授が、松研等に出向かれましたり日生研に出向かれまして、いわゆる補償金を松岡科学研究所が出すようにかなりいろいろ工作をされたということが明らかになっておるわけでありますが、この事故調査委員会農林省はそういう調停まで権限として委嘱してあったのかどうか、これはどうなんですか。
  37. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 私どもが獣医学会にお願いいたしましたのは、事故原因究明だけであります。調停とかそういったことは一切お願いしてございません。  それから、いま尾形さんがいろいろ出向かれて、たとえば松岡科学研究所等に出向かれたという御指摘がありましたが、それはやはり事故原因究明のための調査でありまして、被害補償あっせんということとは全く無関係であるというふうに私どもは理解しております。  松研のケースでありますが、被害についてのいろいろ調停あっせんというものは、先ほどもお答えいたしましたように、日本養鶏協会等が主体になっていろいろお世話をしていると、こういうような経緯であります。
  38. 中村波男

    中村波男君 私も、事故調査委員会がこういう補償調停までやることは恐らく目的の中には入っていなかったんじゃないか。しかし、事実問題として、尾形教授は九月十日に日生研に荒井研理事長を訪ねて、その中で松研の松岡社長の個人財産が二十五億あるという話だから、何とか会社自体に負担能力はないにしても、松岡社長から金を出すように荒井理事長にあっせんしてくれないかというようなことまでやっておられるわけであります。これは、恐らく学者先生がこういう煩わしい問題をみずから好んでおやりになったということも考えられないわけであります。したがって、これを聞く者、この話を受ける者は、やはり農林省が尾形教授を使ったんじゃないか、あっせん依頼したんじゃないか、こういう疑いを持つことは私は当然だと思うんです。これはまことに不明朗きわまることだと思うわけであります。これらの点について農林省としてもしかと調査をされまして、しかるべき適当な時期にひとつ明らかにしていただきたいということを要求しておきます。  そこで、この事故補償について農林省がタッチしたと言いますか、あっせんしたと申しまするか、行ったのは   〔委員長退席、理事青井政美君着席〕 松研のほかにもあるのでしょうか。松研以外の、たとえて言うなら千葉血清研究所等についても何らかの農林省として要請といいますか、話といいますか、されたことはありますか。
  39. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 御指摘になりました千葉血清研究所のケースでありますが、これは松岡科学研究所と違いまして、比較的早くお互いの話し合いがついたということでございます。ですから、一部、正確に申し上げますれば、十三ふ化場被害発生したわけでありますけれども、そのうちの一ふ化場を除きましてはすでに解決しているわけであります。これはきわめてごく早期に、五十年の二月に見舞い金という形で両者——関係当事者間の話し合いが済んでいるということでございますから、比較的話がスムーズに行われ難航しなかったということですから、私の方にも調停あっせん依頼ということは来ておりませんし、したがって私どもはまたそういうあっせん者をお世話したと、調停者をお世話したということもございません。
  40. 中村波男

    中村波男君 予定の時間が参ってしまいましたので、全く中途半端な質問で終わってしまったわけでありますが、したがってこれから項目的にさらに質問をいたしたい問題を指摘しまして、後からひとつ文書その他の方法で御回答をいただきたいと思うわけであります。  第一番には、五十一年の三月一日付で松研に営業停止一カ月の処分を行っておるようであります。その方法も恐るべきヒステリックなやり方で、全国のメーカーを集めてその中で処分の申し渡しを行い、また全国の都道府県の知事あてに処分の内容を告示するというような、いままでいろいろな違反事件が起きましてもこのような措置を行ったことは異例なやり方ではないかと思うわけです。これらも、松研が農林省要請どおりいわゆる補償金の示談に応じなかったというようなことがあって、いわゆる報復的な手段としてやったんではないか、こういう疑いが多分に持たれて、畜産行政としての私は不明朗さというものを見せつけられた思いがするわけであります。厳密に言うならば、御承知のように薬事法によっては二年ごとに更新の手続を行わなければならぬという規定があるはずでありますが、松研はたしか六年もそういう更新の手続をしなかった。そこで狂犬病等のワクチンをつくっておった。しかし、農林省はそれを知ってか知らずか、別に問題を指摘することもなく放置しておった。そうして実際立ち入りを行って、その結果としてそういうことも違反だというようなかどで処分をする。みずからの手落ちを認めずにこういうやり方をやったということについては、まことに奇々怪々だと言わなければなりません。  それから、少なくとも農林省が中に入りましてあっせんをしたことは間違いない事実でありますから、この上に立ちまして要求しておきたいのは、補償金がどのようにどこへ支払われたか。そしてこれが完全に被災者に幾らずつ渡ったかというようなそういう実態調査を至急にひとつしていただきまして、委員長にもお願いをしておきますが、いわゆる資料として本委員会に提出をお願いいたしたい。  このことを申し上げまして、時間の一分半超過いたしましたのでこれでやめさせていただきます。   〔理事青井政美君退席、委員長着席〕
  41. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) ちょっと資料は後でお出しいたしますが、いまお答えできるものだけお答えしておきます。  松研の営業停止処分をいたしましたが、これは事故発生に伴いまして立入検査をしたわけであります。それは原因究明製造過程をわれわれしさいに調べるために立入検査したわけでありますが、その結果いろいろな違反事実が出てきた。これはかなり数えれば多いわけでありますが、いろいろな違反、薬事法違反事実が出てきたということでございますので、法に基づきまして適切な行政処分をしたということであります。  それから知事に連絡したということは、これはこの違反者だけじゃございませんで、すべての違反者につきましても違反事犯が起きましたら知事に連絡するということをとっておりますので、特別の扱いをしたわけでもございません。  それから、メーカーの中でいろいろこれを強調したということを御指摘になりましたが、これはちょっと、私どももう一回調べてみますけれども、そういったことはないというふうに私は聞いております。ですから、そういう意味で報復的な手段で私どもはこの行政処分をしたということは一切ございません。  それから、更新の手続をしていないというようなことが御指摘ございましたが、更新の手続を仮にしませんと、これは法律によりまして当然許可失効となるわけでありますから、もう一回これも念のため調べてみますが、そういったことはないのじゃないかと私は思っているわけであります。  補償金につきましては、松岡研究所から被害者同盟にこの九月二十一日に金の一部が、見舞い金が渡ったわけでありますが、その配分方法につきましてはこれから被害者同盟の中で相談すると、こういうことでございますので、よく事情を聴取してみたいと思います。
  42. 青井政美

    ○青井政美君 時間がございませんので、端的に御質問申し上げますので、お答えも端的にお願いをいたしたいと思うのでございます。  まず最初に、最近の畜産物の生産の状況と輸入の問題について、畜産局長の方からお答えいただきたいと思います。
  43. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 畜産物たとえば豚肉でございましょうか。
  44. 青井政美

    ○青井政美君 全体ですね、全体の生産の状況と輸入の状況実態ですね。
  45. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) まず牛肉につきましては、国内の生産はいわゆる二、三年来の畜産危機という過程でかなり後遺症がありまして落ちております。上半期で申し上げますれば、大体二割ぐらい前年に比べて生産が減ってきている。後半になりましてやや回復してきておりますけれども、まだ完全な回復の過程ではございません。それから豚肉の場合でございますが、上半期には大体前年に比べまして一割ぐらい国内生産が減っている、こういう状況でございます。それから牛乳でございますが、牛乳は幸いにして生産は順調に伸びておる。大体数%ぐらい前年に比べていままでのところ伸びておる、こういった状況でございます。
  46. 青井政美

    ○青井政美君 特に、豚の問題についてお尋ねをいたしたいのでございます。  最近の豚肉の価格は非常に安くなってまいったということでございまして、生産者団体からは直ちに輸入の減免措置というものを打ち切ってそうして市場価格というものの安定を図ってもらいたい、生産者団体は大臣にもお願いを申し上げておると思うんですが、その後の御見解を伺いたいのでございます。
  47. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 豚肉が最近七月、八月以降からだんだん下がってまいりまして、今月に入りましてからはすでに下の限界を割るようなところまで下がってきたということで、下の支えのところまでやってきまして大分陳情を受けておりまして、私ども心配いたしております。そういうことで、畜産局長に命じましてあらゆる努力をいたしてまいりました。どうやら最近の価格が最低価格であるというような考え方が畜産局にございまして、それで支えられるのじゃなかろうかということで一応見ておるわけでございます。すでに輸入につきましても、免税のやつはすでに十月以降は一切やめることにいたしておりますし、また十月の駆け込みの輸入もこれは禁止をいたしております。それからなお、十月中に入ってまいりますいままで約束しました畜産物も、凍結をしてこれは市場に出さないという方向をとらしておりますし、その他保管調整等も行いまして、何とかしてこの価格を支えてもう少しいい値段にしてやらなければならないと、いま努力しておる最中でございます。
  48. 青井政美

    ○青井政美君 豚肉の価格の急落傾向の問題につきましてはいろいろお話もございましたが、やっていることと行っていることとにやはり問題が残る。生産者が非常に不安を感じておるわけでございまして、具体的にその対策について伺いたい。
  49. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) いろいろ生産者の方に御心配をおかけして私も恐縮しているわけでありますけれども、結局は、現在の価格の大きな原因となっておりますのは、やはり需要が冷えているというところがありますので、小売価格を引き下げましてそれによる需要の換起を図るということで、これは九月以来いろいろ私ども努力をしキャンペーンもしているわけであります。逐次その効果は浸透してきているというふうに思っております。  それから、輸入ということにつきまして非常に心配されておりますので、やはり大臣がいまお答えいたしましたように、駆け込み輸入の防止とか、あるいは一たん輸入したものはそれは畜産局長が指示するまで凍結しておいてくれと、こういった指導をしておりますし、それからハム、ソーセージメーカーに対しましても国産の豚肉を使えとか、そういったこともしております。  なお、小売価格の引き下げは豚肉だけではなくて、ハムとかベーコンにつきましてもこの二十五日から引き下げを実施さしていると、こういった状況でございます。
  50. 青井政美

    ○青井政美君 豚肉の小売価格の引き下げの問題でございますが、いわゆる卸と小売とのバランスの中でやはりもう少し小売が下がって消費拡大ができるのじゃないか。この意味において、やはり行政指導というものをより強力に推進をいただくと実態はうまくいくのじゃないか。畜安法の運営の問題の中に、やはり安定帯構想なり上限価格との問題なりがよりスムーズにいくということにおいては、逆に言いますならば、現状の姿で言うと安定法の安定帯価格がどうかということに問題を結びつけなければ問題が残るのじゃないかというふうに考えるのでございまして、加工メーカーその他は若干新聞紙上等では百円前後の値下げをせられるという話も伺っておるわけでございますが、基本的にやはり小売価格の値下げの指導を強力にやっていただきたい、その具体的な意見もお伺いしたいのでございます。
  51. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 仰せのとおりでございます。私どもできるだけの努力はしているつもりでございますが、今後さらに努力はいたしたいと思います。  たとえば東京都の調査、東京都でわれわれが主婦連等に調査をお願いしているわけでありますが、これは数が少ないから全般を同一視するわけにいきませんが、今月の六日では五五%の店が値下げを実施していると、それから一週間たった十三日現在の調査では七〇%の店が値下げを実施していると、こういう状況でございますので、逐次値下げの状況は浸透してきている。しかし、私ども地方につきましてはまだまだ浸透の状況が十分ではないのじゃないかと思いますので、都道府県知事に御協力方をお願いしているというような状況でございます。努力はさらに続けます。
  52. 青井政美

    ○青井政美君 養豚の問題は、もとより価格の問題も大きい問題でございますが、やはり生産経営の実態に対する対策というものをまたひとつ大きく考えなきゃならないのじゃないかと思うのでございますが、その中で一番今日大きい問題となります問題は、やはり畜産公害と申しますか、その他の法律によって環境汚染云々という問題の中には非常に生産者の困っておるというのが実態だと思うのでございまして、若干の環境保全の打開のための御努力をいただくという姿だけではなかなか問題が前進しない、解決しないということだと思うのでございまして、どうしても畜産公害という問題のために、少なくともやはり行政の面から物心両面の大幅な指導がなければやっていけないのじゃないかということがひしひしと考えられるわけでございまして、現在もいろいろな姿の中で御指導もいただいておりまた仕事も進めていただいておりますが、これは必ずしも実態に合っているという状況ではございませず、より積極的に問題を進めていただくような方途を考えなければならないと思うのでございます。これに対する対策の問題をお伺いいたしたいのでございます。
  53. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 畜産の生産を振興する阻害要件の大きな問題としては、やっぱり先生が御指摘になりました公害の問題があるわけでありまして、かなりむずかしい問題でございます。それに対しまして、私ども公共事業あるいは非公共事業の中でいわゆる土壌還元を中心にいたしまして畜産の公害というものを防止すると、こういったいわゆる畜産農家と耕種農家を結びつけた形で解決するというような措置をとっているわけであります。それから、国の予算とは別に畜産振興事業団の助成事業といたしましても、この九月から畜産農家に対しましていろいろ公害の家畜のふん尿処理機械、施設というものの貸付事業というものを別途新たに創設したというようなこともしておりますし、今後そういった方面の努力は続けていきたいと思います。
  54. 青井政美

    ○青井政美君 この機会に種豚の問題について若干お尋ねをいたしたいと思うのでございます。御承知のように、一代雑種というものが非常に効率的にはよいかもわからぬ、またその後二元交配なり三元交配なりの御指導をうまくやっておられるというふうに思うのでございますが、かけ声だけで実態がやはりうまくまいらない、結果としては生産農民が非常に苦しんでおるというのが今日の実態じゃないかと思うのでございまして、やはり近親結婚の非常にひどいという問題は皆さん方の御努力でうまくまいっておるということでございますが、やはり行政効果がうまく上がらないことには何が一番大きなネックなのか、そういう問題について農林省としてはお考えになっていられるのかどうか。いわゆる種豚の交配という問題をより幅広く、より積極的にやることによって、価格形成の問題と二つにおいて効果的なものになるであろうと思うのでございます。これについての御意見を伺いたい。
  55. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 種豚の問題につきましては、結局経済性の高い品種というものを農家が望む傾向を受けまして品種の多様化が進んでいると。それから何といいますか、いわゆる雑種強勢ということによりまして、異品種間の交配による交雑種を利用する傾向が近年とみに強くなってきている。その半面、純粋豚が非常に少なくなってきている、こういうような問題があります。これにはいろいろ経済性の問題が絡むわけでありますけれども、しかしやはり純粋豚というものの飼養の減退ということは非常にゆゆしき問題でありますので、これをいかにして確保するかというところに国の主畜牧場等を中心といたしまして、民間のブリーダーの御協力を得まして対策を考えていきたいと思っております。  それから種豚の問題につきましては、豚の品種の改良の問題につきましては、単に個体の能率のアップということだけではなく、技術的なことだけではなくて、群としての能率のアップというような形での品種の改良ということも今後の大きな方向ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  56. 園田清充

    ○園田清充君 いまの非常に農家が困っておるという、問題に入る前段ですね、ぼくはさっきその前の問題で関連で聞きたかったんだけれども、あなたから満足な答弁が得られないからついでにお尋ねします。  今度いろいろな措置をとられたとさっき大臣からお話があったのですけれども、ということは、一面から言うとあなたたちが、生産者にこれだけの圧迫がかかってくるということを私たちも余り頭に置いていなかった。ということは、できるなら消費の拡大、消費者価格を下げてそして拡大を図ろう、それは現在の法の中で、価格の中でできたらというあなたたちの考え方だと私は思う。ところが、それがいわゆる小売値が下がらずして逆に生産者に非常に痛撃を与えるような畜産行政に結果的にはなっちゃった。それが現在の姿だと思う、価格の問題。だから、どうするかと言われるその前段では、そこでこれは前の大臣が攻めの農政ということを言われたけれども、やはり皆さん方が現実にそこまで農家が追い込まれないと対策を立てないという後追い農政、その後追い農政からいかにこれから脱却してもらうかということが一番大事なことなんです。それは新大臣、非常に私は意欲たくましく取り組んでいらっしゃると思う。そこで、いま農家が本当に困っているものの対策は、あなたがおっしゃったことだけでこれが片づくかどうかということなんです。これは、私もきのう九州から帰ってきたけれども、もちろん米の問題についての十七号台風の問題、いろいろなことに対しての不況の訴えもございます。しかし、集まってこられる方が必ず畜産の、豚の問題について深刻な農家の経営状況について訴えられる。その中で、いま豚を飼っていれば一頭三千円ずつ損ですと、だから四百頭なら四百頭持っているともう私どもの借金ではどうにもならないと、こう言っておるのです。そこで十月末とか何とかと気長いことを言わずして、なぜ速やかな対策がとれないのかということ。  同時にもう一つは、ちょうど前回の石油危機以後の飼料の危機の時代につなぎ資金を出された。むしろそういうものの併用でもやってもらうか、何らかの補助金対策をやってもらうか、どうにかしてもらわなければやれないというところまで生産者が追い込まれている。だから、ここで特にさっきのあなたの答弁の中であったのは、いま大体七〇%程度が協力を得て消費者価格がここまで下がってきつつある、地方まではわからないということですが、いかにあなたたちの行政指導ということが私は大事かということのその点のさっきの答弁は裏づけだと思うんです。そういうことからして消費者価格に対する流通面での価格を下げていくという努力、反面、生産者がそれによって受けている深刻な打撃に対する対策というのは、これはこの間あなたが言われたようなことだけでは私どもは納得できない。だから、それに並行していま言っているようなつなぎ融資なりなんなりの措置が必要であるならば努力しますというようなことがここで答弁が得られるならば、私は非常に結構だと思うんですけれども、それだけの決意がありますかないか、ひとつあなたからお聞かせを願いたいと思います。
  57. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) いま御批判をいただきましたけれども、私どもは私どもなりにやっているつもりでありますけれども、生産者の方々に対しましては国の予算とは別に、先ほどもちょっと触れましたけれども、いろいろ公害施設に対するリース事業をこの九月から新しく開始する。これは畜産振興事業団の助成でやるわけです、国の予算とは別に。それからまたこの九月から実施することにしておりますが、豚の生産振興資金、これは金利を五分にいたしまして償還期間五年という、この春にちょうど牛についてやったと同じようなシステムの低利資金を新設する、そういう措置をとっております。それから豚の経営の安定を図るという意味でのいわゆる長期平均払い制度というものもこの九月から発足させる。これも国の予算とは別に、別途畜産振興事業団の助成事業として上乗せしてやるというような形でやっておるわけでありますが、何か有効適切な方法がさらにありますれば検討いたしまして逐次実施をしていきたいと思います。
  58. 青井政美

    ○青井政美君 いろいろ御答弁いただいておりますが、五十一年度の予算を見ますと前年度より減っているんですね。具体的に言いますと、やはり豚の人工授精普及推進事業あるいは原種豚育種集団強化推進事業あるいは優良種豚の生産促進事業等、全部前年度の予算より五十一年度の予算が少ないという状況でございまして、うまくやると言っても、物価高の中で予算が減ってなおより経済効果が上がるというのは非常に至難な問題じゃないかということが考えられるわけでございまして、この問題については、特に今後の仕事を進める上においての予算の範囲内の重点的な事業というものを十分お考えをいただいて、今回のようなこのような状況の中では、今後の予算というものと農民の要請せられておるという問題をあわせて御検討いただきたいと思うのでございます。この問題は特に御返答が要るということではございませんが、特に私から御要請を申し上げておきたいと思うのでございます。  次には、御承知のように子豚の経営の問題でございますが、いわゆる子豚経営という問題は、育豚の問題と子豚とりとの問題がやはりうまく経済的にかみ合わない。この状況が、値が上がったり下がったりする状況の中では、やはり肥育豚の関係と子豚とりとのグループにおいての問題が年じゅう一つの問題を醸しておるのでございまして、この問題も逐次改善はされつつあるかと思うのでございますが、やはり大きい経営なら一貫経営ができております。小さいものでは別々である。この別々にやるのが、分配が自分の方へ都合のいいようにという問題が、やはり畜産事業全体を発展さすための非常に大きな阻害要因になるということが考えられるわけでございまして、もう少し積極的に生産者団体に任すという、基本的に畜産が企業経営に発展していけるような状況と環境づくりを行政がやらなければならないのじゃないかということを思うのでございまして、この問題についての御意見を伺いたいのでございます。
  59. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 豚の生産の形は、先生承知のとおり結局子とりの繁殖農家、それから肥育農家、それからその間に両方兼ねる一貫経営というものがあるわけでありまして、近年の傾向といたしましては一貫経営が逐次ふえてきております。これは私はいい傾向ではないか、また今後伸ばすべき傾向ではないかと思うわけでございます。やはり繁殖経営は非常に小さい経営が多うございまして、そういう意味で子豚の計画的な生産がなかなかできない、こういう悩みがあるわけでございます。ですから今後やはり、先生もこれも御指摘になりましたように、比較的規模の大きい農家は一貫経営を志向してそれを進めていった方がいいのじゃないか。しかしまた、そう簡単に経営規模を大きくできないわけでありますから、零細なやはり子とり農家というものの存在を前提にして、それら地域一貫体制、その中に農協、生産者がその肥育部分を受け持つという形で地域としての一貫生産体制というものを進めていく、あるいは農協が農家との間で契約生産をする、そういった形での農協の生産組織のリーダーシップというものがますます重要になってくるというふうに思います。
  60. 青井政美

    ○青井政美君 時間がなくなってきたので、若干申し上げたいと思ったのでございますが、特にやはりいまの養豚農家実態というものを十分把握していただきまして、より積極的に、また長年行政サイドでごらんになっておりながら、その一つの問題が年々宿題として残されておる。この問題を、少なくとも来年度の予算では十二分にやれるようにいまから御配慮願っておきたいと思うのでなさいます。  次は、若干、牛肉の問題でございます。御承知のように食肉指定がせられました後、逐次前進し発展をしてまいっておるのでございますが、御承知のように現状の姿の中では、今後の下期の割り当てというものがどうなるだろうということがやはり畜産業者の大きな不安になっておるということでございまして、生産者団体ではいわゆるまず価格が優先化されるような状態、安定帯価格の上位価格というものが上回るという見通しなり状況の中で次の割り当てを考えてもらいたいという要請が非常に大きく出てまいっておるのでございますが、さりとて、やはり牛肉の生産は国民の消費に足るだけの生産能力がないという実態、将来それが追いつけるような生産状況を考えなくちゃならない、こういった問題が、やはり畜産振興事業団の運営なり輸入の割り当ての時期なり方法なり、さらに数量なりに大きな影響があろうかと思うのでございまして、どうかそういった問題が、やはり今後の畜産農家が失望せぬような状況の中での割り当てを特にお願いをいたしたいと思っておるわけでございますが、現在のところ下期の割り当てというものの数量なり時期なりでお考えがあるならばお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
  61. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 御承知のように、上期は四万五千トンの輸入のあれをいたしました。いまのところは情勢を見ておりまして、いま牛肉の価格も大分落ちついてまいりまして、いまのところならまあまあ支えられますけれども、これ以上下がるとやはりいろんな問題が出てまいります。そこで、十二分に情勢を見ましてその輸入問題を考えたいと思っておりますが、いまのところはどのようにしてこれを発注しようかということはまだ考えておりません。
  62. 青井政美

    ○青井政美君 やはり国民の牛肉の消費といいますか、需給という問題と価格の安定というものが、生産者サイドと消費者サイドにおける考え方の中で非常に大きく考えられなければならない問題は、やはり国内の基本的な生産対策というものの強化が前提になるように、逐次匍匐前進ができるという畜産政策というものを御配慮願わなければならぬのじゃないか。一時厳しい問題がございましても、やはり安定帯的な内容の中での牛肉の生産といいますか肉牛の生産といいますか、これは雄子牛の問題なり乳牛の廃牛の問題なり黒毛和種の問題なりいろいろありましょうが、それぞれの問題が、少なくとも国際的に見ましても非常に不足傾向であるということははっきりしておると言ってもいいのじゃないかという状況の中で、やはり国内的な充足という生産対策が先行しなければ、いつの時代も同じことを繰り返しておるにすぎないということになろうかと思うのでございまして、そういう意味におきまする生産体制を特にお考えをいただきたいと思うのでございます。
  63. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 確かにいま牛肉はかなりの量輸入しておりますけれども、しかし、これはいつでも輸入できるというものじゃございません。やはり国内で牛肉というものはできるだけ自給度を高めていくということが必要でございますし、そういう意味で、いま御指摘になりましたような生産体制ということは、今後さらに充実していく必要があろうと思います。えさの問題だとか、家畜の導入の問題だとか、あるいは団地の問題だとかいろいろ対策はあろうかと思います。あるいは価格の安定の問題というのがありますが、そういった問題を総合的に強めていく必要があるというふうに感じております。
  64. 青井政美

    ○青井政美君 時間が参りましたので、最後に一つ液卵の問題でございます。  液卵の輸入というものを規制しなければやはり養鶏農家は困るのじゃないかということでございますが、年々輸入先がふえ、量的にもいろいろ問題がある。また、消費者サイドから考えてみますと、好きなときに都合のいい近くのものを買い入れてもらったらよりやりやすいという事情もあるかと思います。がしかし、養鶏事業を進めて採卵という問題を中心で生活をいたしておりまする養鶏農家実態を考えてみますときには、やはり関税の問題なりその他等によって簡単に上げるとか下げるとかいう状況だけでは、やはり安定した養鶏農家の発展というか、生活の安定というものにはつながらないと思うのでございまして、特に関税の取り扱い上の問題なり液卵公社の運営の問題なりにはもう少し弾力を持たして、やはり国民の消費の問題と生産の問題がよりうまくかみ合うように今後の御指導をいただくことの方がよいのじゃないかというふうに思うのでございますが、現時点での見解を伺いたいのでございます。
  65. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 液卵につきましては、輸入量が多くなるのじゃないかという形で生産者が心配をされておるわけであります。確かにことしの九月まで前年に比べましてやや多うございますけれども、しかし年間として見ますれば、下半期になってくると私は減ると思います。ですから、年間といたしましては昨年度を超えるようなことにはならないというふうに思っております。  それから、これは先生承知のとおり自由化品目でございますから、直接政府が権力で介入するということはできないわけであります。したがって、指導という形で対応いたしますが、まあインポーターにはできるだけ輸入を控えるように、自粛するようにという指導はいたします。それから外国に対しましても、これはたとえばオーストラリア等でありますけれども、そういう要請は従来もしておりますし今後もするつもりであります。  それから、関税の引き上げの問題につきましては、これはもう少しいろいろ検討さしていただきたいと思うわけであります。  液卵公社につきましては、この春に発動をいたしまして、これに対して畜産振興事業団等から助成の裏づけをして液卵の調整保管をしたわけでありますが、これが効果をかなり発揮いたしまして、畜産の卵の市況がパニックに陥るということはかなり効果的に防げたということでございますので、その機能の強化につきましては、さらに努力していきたいと思います。
  66. 青井政美

    ○青井政美君 牛乳の問題でございますが、御承知のように皆さん方の御指導もよく、若干環境もよくなってまいったということも言えるのかもわかりませんが、やはり不足払い制度というものがもう相当長期にわたって、その後の実情と実態とで非常に変わってまいったんじゃないか。まあ生産者団体で言うならば、やはり不足払いの対象は、市乳で売れないものは全部対象にしてほしいという要請が出ておるわけでございます。また、主産地が御承知のように年々北へ北へといいますか、ある意味ではもう北海道だけだという状況の中での従来からの考え方の中には、一つの問題があるのじゃないかということが考えられます。この問題も、やはり今後の乳製品というものの考え方の中にも一つ問題があるんじゃないか。あるいは畜産振興事業団の運営の中での問題もございますし、また現在畜産振興事業団が取り扱っておる乳製品の中には、乳製品か疑似かという疑いがあるという状況のものも一括して取り扱っておるということが、いわゆる加工事業その他等にやはり反映される価格上の問題が生産者にも波及をするという実態でございまして、少なくとも生産者も守っていただけるという畜産振興事業団の運営でございますならば、どうしてもやはりそういう問題についての検討も今日その時期に到達しておるのじゃないかということを私思うのでございます。やはり畜産振興事業団というものの不足払いの方法というものをこの際再検討してみるという御意思があるかないか。  さらにまた、いま申し上げましたように、乳製品そのもの自体の中身の問題につきましても、やはり乳牛の飼育なり牛乳を生産する立場の者から考えてみますときには、非常にやはり問題が残されるんじゃないかということが考えられるわけでございまして、いわゆる一元輸入の品目の中に必ずしも入れなくちゃならないのじゃないという品目も入っているという感じがいたしておるのでございます。この問題についてどのようにお考えになるか。  さらに、御承知のようにLL牛乳の問題でございます。この問題もやはりまだ結論が出るということではないかもわかりませんが、やはり生産者サイドと消費者サイドとそうして国際の環境の中でこの問題を取り扱う場合に、運用のいかんによりますと日本のいわゆる畜産農家が全滅するのじゃないか、乳牛農家が全滅するのじゃないか、そういう大きな問題だと思うのでございまして、日本のやはり乳を少なくとも生活の手段としておる問題点と、やはり長期保管という場合におきまするLL牛乳の取り扱いというものは、さらに慎重に考えなけりゃならないのじゃないかというふうに思うのでございますが、この問題全体を通じまして、ひとつお考えをいただきたいと思います。  若干時間がなくなりましたので簡単に御答弁いただきたいことと、最後に御要望を大臣に申し上げておきたいと思うのでございます。本日は時間がございませんのでえらい問題が残りましたが、冷害、災害対策の問題で、いわゆる規格外米の買い上げその他等の御配慮を願っておるようでございますが、あの規格と品位とで果たして守れるのかどうかという問題が一つ。徳用米にまぜて消費者と生産者をけんかをさすのじゃないかという新聞の書き方の中には問題がございますので、低品位米の取り扱い上におきましては、やはり少なくとも天災によるこういう被害でございますので、生産者にも消費者にも迷惑をかけなくして政治がこの問題の解決をつけるという御決意を持っていただくような今後の運営ということを、特にお願いを申し上げておきたいと思います。
  67. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 簡単にお答えします。  いろいろお尋ねがあったわけでありますが、一つは、不足払い制度の限度数量のお尋ねじゃなかったかと思うわけであります。いま牛乳の生産が非常に伸びております。一方、牛乳の消費量も伸びているわけでありますけれども、生産の伸びの方が多いものですから乳製品に回る量が多くなる。したがって、不足払いの対象となる百三十八万トンという限度数量に達するのじゃないだろうか、そういう生産者の御心配があるわけでありまして、これにつきましては、いま年度途中でありますから私ども予測をするのは控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、その時点にもしそういうことがありますれば精いっぱいの努力はいたしたいと思います。  それから次に、畜産振興事業団による乳製品の輸入の問題でございますが、これは国内の乳製品の市況が暴騰し、または暴騰するおそれがあるときに畜産振興事業団が輸入して放出するというたてまえでやっておりますから、国内の酪農あるいは乳製品の価格に悪影響を及ぼさないような形で運用していきたいと思います。  それからLL牛乳のお話がございましたが、LL牛乳、これは生産者の方は輸入されるんじゃないか、こういう御心配があるわけでありますが、私どもはLL牛乳を輸入するつもりはございません。  それからLL牛乳をどうするかということにつきましては、これは反対、賛成、いろいろの立場がありますから、よく話し合いをして、何らかの形でルールづくりをして、コンセンサスの上で実施した方がいいのじゃないか、そういうような指導を私どもはしているわけであります。
  68. 工藤良平

    ○工藤良平君 まず食糧庁長官に、簡単ですが二、三お聞きをしたいと思いますが、先ほど中村委員からもお話がありましたけれども、昨日農林省告示第千六号が出ておりますけれども、これによりますと、規格外米買い入れにつきましては北海道を初めとして六県に生産をされたお米ということになっておりますけれども、十七号台風、あるいは冷害につきましても全国各地にそういう事態発生しておりますので、当然これは同じような適用になると思いますが、その措置についてちょっとお聞きをしたいと思います。
  69. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 出回りが早く冷害被害が激しい地域につきまして、一道六県、早急に出回った低品位米の品質に応じまして御案内のように三特例規格設定いたしました。その他の冷害地域等もございます。新潟長野、北関東とか、先ほどのお話ございました岐阜、これらの地域につきましても、その出回り量をにらみまして特例規格設定したいということは当然でございまして、急ぎたいと思っております。  それから、なおお話の十七号台風につきましても、ことしは作はおくれておりますが、出回りを見まして、出回った米の品質に応じました特例規格設定いたしまして、その特例的な処理方針を決めたいというふうに考えております。
  70. 工藤良平

    ○工藤良平君 これはごく局部的でありますけれども、たとえば私どもの県のように高冷地がございまして、一カ町村で千二百ヘクタールの実は被害を受けておる地域がございまして、極端なところでは三百ヘクタールあるいは千ヘクタールといったところが恐らく五割以下というようなところもありますので、これは早急にその規格をおろしていただかないと、すでに米が検査時期に入っているところもありますので、ぜひその指示をおろしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、同じく農林省告示の中のこの規格の問題でございますけれども、要は容積重あるいは整粒歩合、水分——水分はさほど問題ないと思いますけれども被害粒、死米、着色粒等の混入割合が非常に問題になるわけで、私もいつも標準米を見るわけですが、現在予想されております標準米を見ますと、やはりかなり厳しいものになっているように私は判断をいたしております。と言いますのは、やはりことしの場合、この冷害でもそうですが、冷害と病気と台風というものが重なっておりますので、かなりくず米の率が非常に圧倒的に多いわけなんです。そういたしますと、この規格外米の実は標準につきましても、これは従来のようなことでいきますとかなり厳しいものになるんじゃないかと思います。もちろん、これは主食の対象になるということが前提になっておりますからその点の限界というものはおのずからわかりますけれども、ただ示されておるこの千六号の別表のこの表は、従来の規格と比較をして果たして容積重なりそういう整粒歩合とかあるいは他の被害粒等の混入割合はどうなっているのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  71. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 確かに主食として配給可能の限度と申しますか、それをにらんだ実情に合った規格設定しろということについては、私どもそう取り扱いたいと思っておりますが、今回の一道六県の規格外についての規格設定につきましても、御案内のとおり青未熟混入規格外米等につきましては、容積重におきましてもまた整粒歩合におきましても、その他非常に従来よりも規格をぎりぎりの線まで下げているというふうに私ども思っております。それによって本年の実情にマッチいたしたいというふうに考えております。本年の全般の低品位米の処理につきましてもそのような方針で対処したいと、そのように考えております。
  72. 工藤良平

    ○工藤良平君 いわゆる青米の場合と死米の混入割合というのは、私は今回の場合には非常に死米の率が高いような気がいたします、現場に入ってみますと。ですからそういう面で、やはり標準の設定につきましても十分な配慮をしないと救う面が非常に少なくなってくるというような気がいたしますので、その点もひとつ注文をつけておきたいと思います。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、もちろんこれで主食用として大体適用できるものを救っていくわけですけれども、先ほど申し上げましたように、くず米が圧倒的に多いんです。このくず米についてはもちろん主食用には向かないものでありますから、業者その他が直接買いに出るという可能性が多分にあるわけでありますけれども、その点につきましては指導方法として、非常に率が多いと思いますからこの扱いをどうするか、食糧庁としてあっせんその他の問題について指導をなさるとするならばどのようなお考えを持っているか、お聞きしたいと思います。
  73. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お話しのとおりでございまして、本年は異常気象に伴う低品位米の、特にくず米、主食として配給可能でないようなくず米の発生が、まだその数字は、西の方その他本年の作柄が私しばしば申し上げておりますように大変おくれておりますので、数量自体の的確な把握はまだつかめておりませんけれども、予想されます。したがいまして、生産者団体その他の方に対しましては、その計画的な集荷ということについて現在努力中でございまして、全農等におきましても各経済連等を通じてその集荷の適切について遺憾のないような措置をとりつつありますが、一方これは多用途向けの販売でございますので、実需者——醸造用、加工用その他ございますので、これらの全国団体につきましてもこの処理等を、数量に見合った引き取り等については適切な指導をしていきたいというふうに考えておりまして、準備を進めておるところでございます。
  74. 工藤良平

    ○工藤良平君 長官にもう一点お聞きしますが、現在の予約売り渡し制度の中に違約金という制度がございますけれども、今回のように非常に被害が集中的に同じ町村の中でありますと、この調整をするということが困難な場合もありますけれども、そういう場合に、もちろん県内における町村間の予約限度数量の調整によって行われるだろうと私は判断するんですけれども、個人的な責任において違約金を納めるというようなことは私はないと思うんですけれども、そのように理解をしてよろしゅうございますか。個人間あるいは町村間の調整でもってそれは違約金を納めるということはないようにするというような措置を考えられているかどうか。
  75. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生のお話は、予約限度に基づく買い入れ基準数量、これの履行という問題でございますが、これは御案内のとおり本年は全国的な作が弱うございまして、したがって、地域間なり県間の調整等を適切に行いまして、その買い入れ基準数量の改定というようなことによりまして適切な措置を図りたいというふうに思っております。
  76. 工藤良平

    ○工藤良平君 大臣にお伺いいたしますが、先日の委員会でもお話がずいぶん出ておりましたが、この集中的な被災地におきましては本年度の収入が非常に激減をいたします。したがって、もちろんそれは農業共済で救う面もありますけれども、それではとうてい追いつかないわけでありますので、救農土木を当然考えるべきだ、大臣も考えましょうということになっているわけですが、具体的にそれでは、たとえば現在おろされておる予算の中では非常に不可能となってまいると思いますから、そういう被災地で特に事業をやるという希望のあるところにつきましては、新たな事業として本年度中なら本年度中にそういうものをお認めになるのかどうか。その点をひとつ確認をしておきたいと思います。そういたしますと、たとえばいまある公共事業の予備金の千五百億なり、そういうものを取り崩すことによって新たに救農土木としての措置を講じられようとするのかどうか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
  77. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 救農土木事業は、なるべく国や各自治体から支出する金が、これが大多数のものができるだけその罹災農民に行くような方向で救農土木事業を進めたいと考えております。  いろいろございますが、いままでいろいろ土地改良とか大きな問題がございます。こういう問題につきましても、できるだけそういうその事業がさらに推進されるようには努力いたしますけれども、これはどちらかと申しますと、支出する金が必ずしも農民のふところに多く入らないという傾向がございます。それから残っておる事業もわりあいに少ないようでございまして、新規事業は当然いまから間に合いませんからそういうものは当然採用できませんので、その方面では必ずしも思うような目的が達せられません。また、県や地方で行いますいろいろな単独事業につきましては、これは必ずしも計画性——なんせ規模も小さいものでありますし国からの補助の対象にはなりませんので、これは地方の財源をできるだけそれが認められるような形において進めさしていただきたいと思います。問題は、やはりいろいろな国から補助を出して行う公共土木事業が一番望ましいのでございます。そういう意味では、御承知のように土地改良とか林道とかいろいろなそういう問題がございますが、これにつきましてはようやく予算のめどもつきましたので、すでに事業費として二百十億の予算を一応獲得することができましたので、各県の要望をいま全部、大体参っておりますので、それに応じましてしかるべき事業が始まるようにその配分をいたそうと考えておる段階でございます。
  78. 工藤良平

    ○工藤良平君 この点につきましては、後本題がありますので、ぜひ非常に切実な問題でありますので、できるだけ要望にこたえてことしの収入減をそういう意味で確保してやるようにお願いをしておきたいと思います。  それでは、漁業問題についてちょっとお聞きをしてまいりたいと思いますが、まず、つい二、三日前ですか、北海道では漁業に携わっている皆さんがソ連船から非常に大きな被害を受けているということから、再びこの十二海里の専管水域の問題が大きな問題になっておりますけれども、わが国といたしましては、現在三海里をとっておるわけでありますけれども、十二海里は一体いつごろどうするのか。そしてまた、いま北海道で問題になっております漁民の皆さんの御要請にどうこたえていくのか、この点についてまず大臣の考え方をお聞きをしたいと思います。
  79. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) いまお話しのとおり、ことに北海道の襟裳岬を中心といたしました地域におきましては、ソ連の漁船の問題でいま大騒ぎをいたしております。これはやはり大変な問題でございますので、何とかしてこれをできるだけ円満に正しく解決したいものだと願っておりますけれども、いまの状態ではなかなか困難なことがありますことは御承知のとおりでございます。  やはり一番いいのは十二海里の領海、これを宣言することが一番妥当だと考えております。このことにつきましては、政府におきましてもすでにことしの初めに、閣議におきましてこれを決定いたしているわけでございます。ただ、いろいろな見通しの問題とかあるいは海洋法会議の問題がございまして、必ずしも政府の思うとおりいまだに決定されておらないのでございますが、これは残念でございます。できるだけ早くこれは機会をとらえましてこの十二海里の領海を宣言することが一番妥当ではないか、そういう決意を持っていまおるわけでございます。
  80. 工藤良平

    ○工藤良平君 これは、十二海里問題はずいぶん長いこと実は議論がされてきておるわけですね、長い間。いま大臣おっしゃるように、閣議でもそういう方向が決められておるというし、十二海里の宣言をすることがわが国にとってはいいんだと、こういう判断をなさっていらっしゃるわけですね。いいとするならばなぜできないのか。私、これ資料を持っておりますけれども、百十九カ国のうち現在三海里をとっておりますのは二十六カ国だという数が出ておるわけでありますけれども、わが国として、いまおっしゃるように何が問題としてこの宣言ができないのか。もし支障があるとするならばそれは何なのか、そこら辺をもう少し明らかにしていただきたいと思います。
  81. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 政府の方針としましては、いままでは海洋法会議の結果を待ってこの場においてそのような宣言をすることが一番やはり妥当であるという考えを持っておったようでございます。ところが、その海洋法会議は御承知のようにまとまりませんで来年に持ち込されましたので、これは残念ながら少し見通しが甘かったとは思いますけれども、残念なことでございました。ですから、来年の五月からまた海洋法会議が開かれるわけでございます。ここにおいても当然これは審議されまして、できるならこの会議において決めることが一番妥当だと思います。しかし、必ずしもこれがまとまるという見通しはございません。  そうしますと、何らかの手を打たなければならないわけでございます。残るのは国内法で宣言をすることが可能でございます。そういう方向で、二つの方向でとにかく早くできるだけ宣言できるようにいたしたいという方向で進んでまいる方針でございます。そういう意味で、国内法の整備となりますと、どうしても通常国会においてやらなければなりませんので、やはりいますぐというわけにまいらない、これは残念でございますが、できるだけ早い機会にいたしたいというのがいまの考えでございます。
  82. 工藤良平

    ○工藤良平君 どうもそこがちょっと私余りよくのみ込めないわけなんですが、現にあれですか、それでは三海里のこの領海説で残っております国は何カ国あるわけですか。
  83. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 正確な数字を申し上げますと、これは昨年二月に調べた数字でございます。三海里が二十四カ国でございます。それから四海里が四カ国、六海里が九カ国、十海里が一カ国、十二海里が五十四カ国、十八海里が一カ国、三十海里が四カ国、二百海里が九カ国、その他五十海里から百五十海里の国が六カ国、不明が三カ国、その他が一カ国で合計百十六の国の領海がそういうようになっているわけでございます。  なお補足させていただきますと、欧米を初めいわゆる先進国と言われているグループは依然として三海里の領海の国が多いようでございます。
  84. 工藤良平

    ○工藤良平君 そういたしますと、これはアメリカも当然三海里の中には残っているわけですね。
  85. 内村良英

    政府委員(内村良英君) アメリカは領海三海里でございまして、いわゆる漁業専管水域十二海里というものを持っております。
  86. 工藤良平

    ○工藤良平君 領海三海里を主張しながら漁業専管水域は二百海里をとっているわけですね、これは宣言したわけですね、一方的に。一方的漁業水域は米国の場合には二百海里じゃないですか、その点。
  87. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 現在米国は、領海三海里、漁業保存水域十二海里でございます、専管水域。それを来年の三月一日から二百海里にすると、こういうことになるわけで、現在は十二海里でございます。
  88. 工藤良平

    ○工藤良平君 どうも失礼しました。来年の三月には二百海里ということをすでにアメリカとしては方針を出しているわけですね。そういうような状態があるわけなんですが、わが国がなぜそういう方向に行けないのか。というのは、わが国の場合には非常に遠洋漁業が多い。国際的に見ましても、この十二海里というものをやはり最終段階に国際的な舞台でやることが、日本の漁業全体を考えてみると非常にいいというような考え方に立つべきものなのか。いまソビエト船が来ているそれを対象に物を考えて十二海里というものを宣言をして、せめて十二海里の内だけでも日本の漁業を守るという立場をとるのが日本の漁業としては一体いいのかどうか、その点についての考え方はどうでしょうか。
  89. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 一九六〇年の国連海洋法会議で領海の幅員を実は決めようとしたわけでございます。そのとき結局結論を得ることができませんで、その際、領海の外に漁業専管水域十二海里をつくるというような考え方が国際社会の中にも登場してきたわけでございます。そこで、アメリカ、カナダ等は一九六〇年の国連海洋法会議の後に領海三海里、漁業専管水域十二海里ということをやったわけでございます。わが国もその際、そういうことをやるべきかどうかという議論を実は中でしたわけでございます。その際、水産業の立場は、当時まだ外国の距岸三海里の外、十二海里の中でずいぶんやっておりましたし、アメリカに対しても実績を主張したというようなこともございますので、わが国としてはやはり領海三海里だけで行った方がいいじゃないかという結論を出したわけでございます。その後、歳月の流れとともに、今日日本の漁業が外国の三海里と十二海里の間でやっておりますのはアメリカの保存水域で一応やっているぐらいであって、ほとんどできなくなってしまうということもございまして、いろいろ遠洋漁業の関係者、沿岸漁業の関係者の中で議論しました際に、これはおととしぐらいにやったわけでございますけれども、もはやわが国としては漁業の立場から言えば領海三海里を固執しなきゃならぬ理由は何もないと、そこで十二海里宣言は遠洋漁業も賛成だということで、大日本水産会でもそういうことを決めたわけでございます。したがいまして、水産業の世界に関する限り、今日領海三海里を維持しなきゃならぬという意見は全くございません。
  90. 工藤良平

    ○工藤良平君 だとするならば、この十二海里の宣言につきましてもできるだけ早くそういう方向に進んでいくということが日本の立場からしてもいいということであれば、ぜひ積極的に早く進めていただきたいと思います。  それから、そういうことになりますと、これはわが国の漁業にとりましても非常に大きな影響がもちろん出てくることは当然でございますけれども、そういたしますと、これはいろいろ言われますように、経済水域二百海里の問題も当然各国で検討されてすでに一方的な宣言をする国も出てきておるということから、日本の漁業が国際的に締め出される、その影響は四百万トンとかいろいろ言われているわけですが、そうなると、当然私は日本の近海における沿岸、近海の漁業の振興というものと、それからもう一つは、三海里説をいままでとってきた、それが十二海里になった場合の国内における漁業調整というものは一体どうなるのか、その点二つの問題が私は出てくると思うのですが、ですから、まず最初に遠洋漁業が大体締め出されてくるという傾向の中で、それでは日本の沿岸なり近海における漁業の対策は一体どうするのかということを、ひとつ基本的にまずお聞きをしたいと思います。
  91. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 二百海里の漁業専管水域と申しますか、経済水域と申しますかは、もはや世界の大勢になりつつあるというふうに判断せざるを得ないと思います。そうなりますと、将来におきましてわが国の遠洋漁業の漁場の縮小というのは残念ながら避けられない。これに伴いまして、たとえば船をどうするかとか人をどうするかという非常に深刻な問題も起こってくるということもある程度覚悟しなきゃならぬというのが、残念ながら世界の流れではないかと思うわけでございます。  一方、水産業というものは、今日わが国動物性たん白質の半分を供給しております。畜産物と水産物で半分ずつを担当しておるわけでございます。そこで日本人の食生活の動向から見ますと、この構造は変わらないのじゃないか。と申しますのは、四十五年ぐらいまでは畜産物の方が——たしか私の記憶では三十五年は三対七ぐらいで水産物が多かったわけです。それが四十五年ぐらいになりますと大体五対五になりまして、その後ずっと今日までこの五、六年間五対五になっておるわけでございます。と申しますことは、大体この辺で、日本人の食生活というのは戦後非常に変動があったわけでございますけれども、大体安定したパターンになったのじゃないか。そうなると、水産業としては動物性たん白質の半分を供給していかなければならない。その際、遠洋漁業の漁場の縮小は避けられないということになりますと、やはりこれからは沖合い、沿岸というものを見直して、そこで大いに漁業の振興をやっていかないと動物性たん白質の供給に支障が起こってはいかぬというふうに考えまして、私どもといたしましても、沖合い、沿岸漁業の振興には今後大いに力を尽くそうと思っておるわけでございます。  そこで次の御質問の、現在領海三海里だ、それが十二海里になる、そうなると沿岸の漁業調整規則に一体どういう影響があるのかということでございます。御案内のように、県のいわゆる漁業調整規則で決めておりますいろいろな漁業の許可は、その県の地先沖合いということになっているわけです。これは必ずしも領海三海里ということにはなっておりませんで、いろんなこれは解釈があるわけでございます。そこで水産庁のこれまでの解釈は、大体その県の取り締まりが及ぶところということで、当然公海にも及ぶということになっておりますので、直接的な影響と申しますか、いままでは三海里だったから今度十二海里になった、そこで県の地先沖合いの解釈が三海里から十二海里に広がるということにはならない。まあ地先沖合いの解釈はこれはいろんな説がございますけれども、私どもといたしましては、たしか昭和二十八年の水産庁長官通達でその県の取り締まりが及び得る範囲、こういうことになっておるわけでございます。
  92. 工藤良平

    ○工藤良平君 いま二つ問題出したものですから二つお答えがありましたが、どっちか一方ずつにしたいと思いますけれども、まず最初に、簡単と言うと問題がありますけれども、いまおっしゃいましたように、近海、沿岸漁業の振興を図らなきゃならぬということに一方ではなるわけですけれども、それで遠洋漁業で落ち込む分を輸入なりあるいはそういうもので補っていかなきゃならぬと思うんですが、ただ輸入ということはこれは問題がありますから、できるだけ私どもの身近なところで漁業を振興させるということがたてまえになってくるだろうと思います。  そこで、これは沿岸漁場整備開発事業ですね、これが計画をされておりますけれども、お話によりますと、これ、かなり後退しているんじゃないかというような考え方を私ども漁協の皆さんからも聞くわけであります。たとえば当初三千億、五カ年計画というものが、どうも二千億、七カ年ということで引き延ばされたんじゃないかという考え方もありますし、そういうことから特にこの事業につきましては、地方自治体としても補助率の引き上げなりあるいは公共土木施設災害復旧事業の対象にしてくれというような意見も実は出てきているわけで、そのことは、こういうような立場からこれからの沿岸漁業をどう振興さしていくか、そのための環境整備なりあるいは振興していくための振興策として、当然のこととして私は要求が出てくるんではないかと思いますが、そういう考え方についてお聞きをしたいと思います。
  93. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 沿岸漁業の漁場整備は、新しく法律ができまして五十一年度から公共事業として実施に入ったわけでございます。そのとき、先生のただいま御指摘がございましたように、七年間二千億という計画でやることになりまして、当初の計画が後退したのじゃないか、当初たしか漁業関係者は三千億と言っていたじゃないか、二千億に後退したじゃないかというお話でございますが、実は私どもの方で各県の計画をいろいろ相談したわけでございます。この漁場整備の事業というのは実は新しい事業でございまして、技術的な手法その他についても必ずしも確立していない面もあるわけでございます。そこで、いろいろな現実の技術の段階その他考えますと、大体七年間で二千億ぐらいの線でやるのが一番いいのじゃないか。ただ、この問題につきましては、先生御案内のように、最近は非常に大型の漁礁ができたり海洋開発に伴いましてこの面の技術も非常に進んでいるわけでございます。したがいまして、私たちとしては、一応とにかく七年、二千億でスタートいたしまして、今後の水産をめぐる状況とかあるいは技術の発達、浅海増殖なんかについてはまだかなり技術的に未熟な点もございますので、そういう点がどんどん拡充していけば当然それに伴って場合によっては計画の変更も考えなきゃならないのじゃないか。ただ、いまわれわれが持っておる技術その他から考えまして、大体いまやっている程度のことが現実的ではないかということで、もちろんこの問題重要でございますから、将来におきましても大幅拡充、前向きに考えるわけでございますが、現状においては新しい事業でございますので、その辺のところが実力と申すとおかしいわけでございますが、残念ながらわれわれの実力じゃないかという認識で事業を始めているわけでございます。  なお、補助率のアップ等につきましても、現に五十二年度予算では、大規模漁場保全事業につきましても補助率のアップを農林省は大蔵省に要求しております。そういうようなことで、逐次ステップ・バイ・ステップで、いろいろな技術の発達とかそういう面を十分勘案しながらこの事業を充実さしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと関連して。  いまの御答弁ですが、五十年度からこれは事実上この沿岸漁場整備開発事業はスタートを切っているわけですが、その当時はやはり五カ年計画で二千億とか三千億とか言われておりました。いまの長官の答弁ですと、身分不相応でそれを七カ年計画に引き延ばしておるわけですが、よく言われておりますように、水産庁の予算は漁港を引っ張ったら何も残らないと言われるぐらいに実は酷評をされて、この委員会でもさんざけつをたたかれているわけですよ。しかも、これからの先の展望を考えれば、遠洋が切り詰められてきますと、そこに重点を入れなけりゃいけないということがわかり切っておるわけですから、この点を私は、いまの長官の答弁は身分相応でということで縮小することを何か合理化をしているような言い方は承服できない。これはせめて五年で二千億要ったんだから、七年になったらその割合ぐらい伸ばさなければ問題になりませんよ。私は時間があれば、間もなく氷河期が来るそうでありますが、少し食い物の検討を全般にやりたいところですが、やっぱりおかで食い物がなくなれば海を探す以外にないということになりますと、これは非常に力を入れなきゃならぬと思うんです。この点はもう少し大臣からでも積極的な答えを願いたいことと、それから自治体が強く要望しているのは補助率のアップですね。北海道を例にとると、事実上四一、二%ぐらいの地元の持ち出しになっておるわけです。これがなかなかきついと言っているわけですよ。なるほど、ことしは環境保護の何とかということになっていますね。それの補助率アップを農林省予算で要求しているけれども、この分は要求そのものが出ていませんよ、これは要求自体。だって、あなたのところの予算を幾ら見たってそんなものは載ってやしないんです。そうすると、災害があった場合にいわゆる公共事業を対象にして負担を提供させると。これは始まったばっかりでして、災害の実例がまだ薄いというのでのんびり構えているのかもしれないけれども、起きてがたがた騒ぐよりはいまからしっかり網をかぶしておく方がいいと思うんでありますが、その点はどうですか。
  95. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 実力相応というのは非常に消極的じゃないかという御指摘を受けたわけでございますが、私どもといたしましては、日本の水産業の将来を考えたとき、この事業は非常に重要だということはもうつくづく認識しているわけでございます。そこで、実は三千億をやりますときに各県の細かい事業計画を一々全部当たったわけでございます。この点については技術的にちょっとまだ問題じゃないかというような問題も出てまいりまして、やはりお金を投ずる以上は最も効果的にやらなきゃならぬというところからとりあえず七年間二千億と決まったわけでございまして、このままでいいとかそういうことは全然考えておりません。現在、海洋開発で最近大いにいろんな面での技術が発達しておりますから、そういうもので技術的な確信を得たものはどんどん取り入れていくということをやりたいと思っております。  それから補助率の問題でございますけれども、公共事業の補助率の引き上げというのはなかなかむずかしい問題でございます。それでも、ただいま申しましたように、沿岸漁場の整備につきましては、大規模漁場保全事業につきまして現在十分の六の補助率を四分の三にするという要求を、五十二年度の大蔵省に対する予算の要求の中で水産庁は出しているわけでございます。
  96. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) いま水産庁長官は少し遠慮していろんな物を言っておるようでございますけれども、当然これはできるだけの多くの予算を割いて、そして将来の海の資源というものをやはり確保していかなきゃならないことは当然でございます。そういう意味では、七年間で二千億というのはこれは一応の初めの考え方でございますが、こういうものは四年なり五年なりで使い切って、そして新たなる次の新しい年度計画を立てるようにしなきゃならぬと、こう考えなきゃならぬと思うのでございます。  それから、補助率のアップも私は非常に結構なことだと思いますけれども、補助率をアップいたしますと、予算はふえても事業量はふえないことになるんですね、これは。ですから、こういう点もやはりあわせ考えなきゃならないと思います。どうしても補助率を上げる必要のものは上げなきゃならぬけれども、ある程度苦労してもがまんしてやってもらえるものは、それだけの予算のふえた分だけを事業量をふやすことに回すことも大事じゃなかろうかと、こういう考え方も必要だと思っておるわけでございます。
  97. 志苫裕

    志苫裕君 公共事業の災害の方は。
  98. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 実は、この沿岸漁場の整備事業というのはほとんど海の中の問題でございまして、それでわれわれといたしましても、大きな災害で事業が被害を受けるということはないのではないかと当初考えていたわけでございますが、今度の災害で長崎県で多少被害を受けたところがございますので、この問題についてどうするかということを現在いろいろ検討しております。そこで、これについて災害の場合の手当てをするということになれば法律改正を要する事項もございますので、今後慎重に検討して遺憾なきを期したいと、こう思っております。
  99. 工藤良平

    ○工藤良平君 そこで引き続いてお伺いをいたしますが、いまもお話がありましたように、沿岸漁場整備開発事業を進められておりますけれども、それ以前に浅海漁場開発事業というのが四十八年から具体的に進んでいるようでありますけれども、これは主として養殖漁業に対する対策のようでありますが、これは今後さらに一段と進められるものだと私は解釈をするんでありますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  100. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 今日の沿岸漁業の問題を考えますときに一番問題なのは、よくこういった委員会でも論議される問題でございますけれども、漁場汚染の問題でございます。そこで、沿岸の場合には優良な干がたとかモ場がかなり失われているということがございまして、今後沿岸漁業の生産力を上げていくという場合に、そういったモ場とか干がたをできれば人工的につくっていかなければならないという問題がございます。浅海増殖というのはまさにそういう事業でございますので、われわれといたしましては、こういった問題は大いに取り上げて大幅に拡充していかなければならないと思っております。
  101. 工藤良平

    ○工藤良平君 養殖漁業もその振興の一環として進められでおるようでありますけれども、もちろん、それを進めるためには、いまおっしゃるように漁場の環境をどうするかという問題もありますし、あるいは餌料の問題もあります。しかし大切なことは、やはり種苗の問題をどう確保するかというのが非常に私は大きな問題だろうと思っているわけです。ですから、この浅海漁場開発事業の内容を見ましても、必ずそれにはマダイあるいはブリの養殖というものが非常に進んできているわけでありますが、そういたしますと、いま私が申し上げましたように種苗の確保、そのために一体どうするか、こういうことになるわけですけれども、余り時間がありませんから具体的に申し上げたいんですが、これは水産庁の方から各県に対して養殖用種苗の採捕についてということで通知が出されております。これと、私は実態を見てみました。ところが、船の隻数にいたしましてもあるいは採捕の量にいたしましてもかなりのアンバランスで、この通達が本当に生かされているのかどうかという点については若干の疑問を持つ面が多分にあるわけでございますけれども、私はその意味で、いま国の方が指導をいたしております条件あるいは許可、たとえば具体的に言いますと、許可期間とかあるいは隻数、それから量の問題、そういう点についての指導はなさっておるようでありますが、一体これで果たして本当に効果があるのかどうか、その点について、これは言いにくいことですけれどもちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  102. 内村良英

    政府委員(内村良英君) まず第一に養殖の問題でございます。  今日非常に養殖が発達したわけでございますけれども、この養殖にはいろんな問題が実は起こってきているわけでございます。と申しますのは、養殖は大体主としてこれまで湾とかそういう波の静かなところで行われているわけでございます。さらに、一番養殖の主流でございますハマチというものをとってみますと、生の魚をえさとして与えているわけでございます。そうしますと、ハマチというのはえさがずっと底へ沈む間しか食べないわけでございます。そこで、食べ残したものは全部海底に積もってしまう、堆積するということになりますと、それは実は場所によっては非常に過密なところは汚染の原因になるというような問題もございますし、それから一キロのハマチに八キロの生魚を食わせるのはどうかというような意見がないわけではございませんそこで、今後の養殖事業というものを考えますときに、私どもといたしましては、しかし漁家の経済を考えますと、イワシをとれサバをとれと言いましても、やはりハマチの養殖をやった方が漁家経済の安定には役立つというものがございますから、一概にハマチの養殖はけしからぬというわけにもいかない。そこでその辺をどう調整するかという問題でございます。  そこで第一には、まずもう少し人工需要と申しますか、生魚以外の、今後いろいろな水産物の需給を考えますと、もっとイワシやサバを食べていただかなきゃならぬという問題がございますので、そういうことを考える。それから種苗でございます。これも、現在ハマチのモジャコの採捕でいろんな問題が起こっております。そこで、実はこれも五十二年度の予算要求をしているわけでございますが、全部が全部というわけにはまいりませんけれども、できれば人工ふ化をしまして、そこでそれを種苗にして養殖をやるというようなことも必要じゃないか。  それからもう一つ、これはこれからの技術開発が非常に必要なわけでございますけれども、流れがありますとかなり海の汚れ等も変わってまいりますので、できれば水深五十メートルとか百メートルのところへ養殖魚を出していきたい。そうすると、流れがあれば自然に堆積するえさも流れましてそれがまた自然の魚に利用されると。今度の沖繩の海洋博で海洋牧場というものをやったわけでございますが、あれでハマチをある程度浜辺で飼ったと、そうすると非常に自然の魚が集まってきたわけです。そういうような例にかんがみましても、もう少し沖合いの方へ養殖を出していったらいいじゃないか。これは海洋土木がもっと発達しなければできないとかいろいろな問題ございますけれども、そういったことも考えてやっていくということで、養殖は必要でございますから、それをしかし現在養殖が多少起こしておりますいろんな弊害がないようにしていきたい、こう思っておるわけでございます。  それから種苗の採捕の件でございますけれども、モジャコについて申しますと、現在水産庁は全国鹹水養魚協会というものがございますので、そこを指導いたしまして全国のハマチ養殖業者の需要量を調整し、県別の割り当てを決めて、それに見合った県別の採捕量を決めているわけでございます。ただ、地理的な条件によって採捕量に差が出てまいりますので、たとえば鹿児島県、高知県等の生産県では、香川、兵庫等の需要県に対して融通するというような、多少融通面の計画もつくりまして需給調整をやっているわけでございます。そういうことで現在需給調整をしておりまして、いずれにいたしましても、このモジャコというのはブリの小さい魚でございますので、余りモジャコをとりますと今度は自然のブリが減ってしまうというような問題もございますので、その辺は一定数量ということで、われわれの目標は大体モジャコの採捕は五千万尾くらいにとどめておきたいということで指導しておるわけでございます。
  103. 工藤良平

    ○工藤良平君 いまお話しのように、この養殖というのは、確かにマダイあるいはブリをとりましても高級魚といいますか、漁家の立場からすれば非常にいいわけで、私どもももちろんそれは進めなければいかぬ。ただ、餌料との関係については、消費者の立場からすると、安い魚を少なくなるならぜひ供給してくれという考え方もありますから、その調整は非常にむずかしいと思いますけれども、やはりある程度はこういうこともやらなきゃならぬと思います。ただ、いまおっしゃるように、ブリの養殖をする場合にはモジャコが要るわけですね。モジャコというのは黒潮に乗って上ってくる。ですから、たとえばこの許可の期限を見ましても四月一日から六月いっぱいということになって、ところが鹿児島なら鹿児島が一番先に許可をしていく。宮崎がやる、大分県がやる、愛媛県、高知県と、こうなりますと、その許可の期限につきましても、黒潮に乗って上ってまいります南の方から先に許可をおろしてくる。そうすると、一番北に位置するところは非常に少なくなる。おまけにいまおっしゃるように、自然のブリをとる豊後水道の漁民などは、できるだけとらなくて自然にやってくれなきゃブリがとれないじゃないかという意見も出てくるわけですね。で、非常にその調整もむずかしいわけで、ところが現在のところではその隻数についても、あるいは期間についても、四月一日から六月いっぱいという期限はあるけれども、それはそれぞれ県によって決めなさいということなんで、そういう点の調整も果たして県に任しておいていいのか。それはむしろ全体的に水産庁が総合的な判断をしながら、むしろ北の方から許可をおろしていった方が私はいいのじゃないかということを素人なりに考えるわけですけれども、そういうことも出てまいりますし、それからもう一つは、時間がありませんから要約をいたしますけれども、たとえばこのモジャコをとるについては採捕船の隻数によってある程度の規制は受けるわけですね。おまけに量の規制も受ける。ところが、いよいよ操業する段になりますと、いま言う黒潮に乗って南から上ってくる。大分県で許可を受けているけれども、もう大分県に来たときには少なくなるからやはり行かなきゃならぬという。行くと、いま言う許可権限の問題でいろいろなことに触れて逮捕されるというような事態発生をいたします。そうすると、いや、三海里を日本が言っているのだから、三海里の外であればだれがとってもいいじゃないかという、素人なりに私どもが考えるとそういう主張が出てくるわけですね。ですから、そういう権利の問題と合わせながら全体的な調整というものを国がもう少し踏み込んでやっていかないと、いわゆる個人間の、あるいは漁協間の、あるいは県間の大きな問題が私は出てくるんではないか。そういう意味で、さっき申し上げました十二海里説をとる段階で、私は国内における個人間あるいは漁協間、県間の調整というようなものも全体的な視野に立って考えてやる必要があるのではないか、これは漁業法の改正までいきますかどうか、そういうことを検討する時期に来ているのではないかということを、私はこの養殖とモジャコというものをとる一つの事例を見ましても、問題が提起されてくるのではないかという気がするんですが、この点についてのひとつ御見解を伺いたいと思います。
  104. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 現在、モジャコの採捕は漁業法及び水産資源保護法に基づきまして県の漁業調整規則で決めているわけでございますが、このことの背景には、モジャコをとる漁業は小型まき網漁業なわけです。これが知事許可の漁業になっているわけです。したがいまして、いま直ちにこれを農林大臣の許可にするわけにはいかないという問題がございます。  それから黒潮の流れの話なんでございますけれども、これは確かに自然的にそうなっているわけです。それで一番問題というのは、そういうことでモジャコをどんどんとってしまうわけです。そうすると、定置の連中がこれはもう待っている以外に道がないわけでございますね。モジャコの採捕は海区の調整委員会なんかで話しましてその調整をとることはできますけれども、定置の連中はもう物理的にそうなっているわけでございまして、まず高知の定置があって、和歌山の定置があって、静岡がある、神奈川があるというようなことで、そういうような問題もこれは必然的にどうにもしょうがない問題もあるわけでございます。  しかし、いま先生の御指摘になりました点は、確かに今後養殖業の振興の場合に検討しなければならぬ問題でございますので、いずれにせよ、漁業法自体を海洋法の動向等について考え直さなければならぬ時期も来ると私ども思っております。したがって、そういう際にひとつ検討させていただくということにさせていただきたいと思います。いますぐちょっと法律的にできない問題もございますので、そういうことでやりたいと思っております。
  105. 工藤良平

    ○工藤良平君 もう時間が参りましたからここらあたりで締めくくりをいたしたいと思いますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、確かに私はこの隻数、それから採捕量を見ますと、かなりのアンバランスと、それから非常に急速に隻数を許可したりしている面があるわけですね。確かに小型まき網漁業については、県知事の許認可の範囲になっておりますからむずかしいかもわからないけれども、しかし、そのことが全体的に漁業者間の非常に大きなあつれきになっているということを考えてみますと、やはり今後将来の問題を考えてみますと、いずれ何らかの形で一定の範囲は権限の及ぶ範囲として、それ以外やはり公海上における操業というものを認めてやるのかどうか、現在の漁業法というのはそういう形になっておりますけれども、それとあわせて全体的にモジャコの資源の問題をどう調整をしていくのかということは私は非常に重要な問題だと思いますから、ぜひこれはこれからの養殖漁業の種苗の確保という意味からいいましても、私は問題だと思います。たとえば私どもの県の場合も浅海漁場開発事業が二カ所、水産庁の御協力で進められております。で、この種苗を確保するためにも、よその県から持ってくるよりも、やはり自分の県でとってきたものを養殖をしてもらうということが一番いいわけなんで、非常に大きなアンバランスができるということは必ずしも好ましいことではないというように考えておりますので、この点はそう遠くない問題として早急に私は検討していただきたいということを再度長官に御意見として申し上げ、もう一度その点に対する御見解を聞かしていただきまして、これで時間も参りましたから終わりたいと思います。
  106. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ただいま御答弁申し上げましたように、ポスト海洋法の問題といたしまして養殖を今後どうするかという実態の問題、それに伴う制度の問題、いずれにいたしましても検討しなければならぬ時期に参っておりますので、その際、先生から御指摘のあったような点も十分考えながら今後の制度を考えたいと、こう思っております。
  107. 相沢武彦

    相沢武彦君 最初に、畜産物の輸入に伴う畜産農家の経営危機打開策について問いただしたいと思いますが、畜産農家は政府の畜産物輸入政策による国内市場価格の変動によって常に経営が不安定状態に置かれるわけですけれども、現状大変窮状を訴えておられる状態であります。先ほど青井委員からもお話ありましたが、生産団体の方から豚肉に対する減免措置の中止についてはかなり要求が早くからあったと思いますが、大変それに対する農林省措置というものは遅きに失しているというか、現状認識が甘いというか、かなり生産農家が大きな痛手を受けてからようやく腰を上げているというような状況だと思うんです。豚肉について考えますと、昨年の六月から今年三月まで連続して減免措置がとられまして、さらにことしの五月再開されて六月には輸入量が二万トンという大台に上ってしまいましたし、ことしの一月から八月までの輸入量というものを考えますと、昨年の一年分に匹敵するものがもう八カ月間で輸入されちゃっておる。また、それが国内生産量の二割近くに及ぶ数量だというわけですから、当然価格にはね返ってくるということは考えられるわけでして、この辺の見通しが非常に甘かったんじゃないかと思うわけですが、十月末の輸入関税減免措置の期限切れ前に駆け込み輸入量がふえるんじゃないかと非常に生産団体の方は心配しておる。それについて駆け込みは中止をすると、こういう御答弁でしたが、十月何日以降中止をされたのか、その中止によって十月末日まで駆け込み量がどれぐらいあったものが抑えられたのか、その辺の数量的な把握はどうなっていますか。
  108. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 八月に関税の減免を八月から三カ月間実施したわけであります。その当時は、卸売価格がこれは御案内のとおり九百数十円というようなばか値を呼んだ時代でありまして、それを鎮静するために関税の減免を実施したということでございますが、その途中で価格の鎮静化があった。最近には非常にそれが急激な形で下落をしてきたということでございます。  そこで、私どもに生産者の方から減免の中止という御要求があったわけでありますが、仮に十月の初めで減免を中止したといたしましても、現実に物は入ってくるわけであります。ただ、税金をかけるということだけでありまして、そういう意味で需給上は本質的な相違はない。そういうことよりも、一たん税金をまけてやるというふうに言っといて、日本に持ってきた途端に税をかけるという形では、これはやはり取引の安定を害するということになりますから、やはり途中で減免を中止するということは非常に困難であると、こういう判断をしたわけです。実際上、しかし需給に悪影響を及ぼさないというようなことで減免と同じような効果を出すことを工夫したらどうかというのが一番現実的じゃなかろうかと、こう判断して、九月末時点においてすでに成約している既契約のものは別として、新しくこれからの新規契約と、十月で減免は終わるからさらにこれから追加契約しようというものは一切これはやめろと、こういう形で指導したということは、いわば駆け込み輸入の中止という形であります。  それからもう一つ、また現実に既契約もそういう形で入ってくるわけでありますから、それがまた直ちに市中に流れてしまっては需給圧迫要因になりかねないわけでありますから、それは輸入業者あるいは需要者である加工業者の協力を得てそれは畜産局長が指示するまで凍結しておいてくれと、こういった措置を講じておる、こういうことでございます。  それから輸入の数量でありますけれども、六、七、八、大体一万数千トンぐらいのオーダーで入ってきております。これはことし特に多いというわけじゃございません。昨年の同じ月もちょうどやはり一万数千トンという台で入ってきておりますから、急激に輸入が急増したということじゃございません。九月にはかなり減っておりまして、約八千トン台という形でかなり減少しております。十月の見通しでは、現在時点で的確な数字はちょっと申し上げられませんが、しかし、大体かつて輸入されたような一万数千トンという台からははるかに数字は下がってくるというふうに期待しているわけであります。
  109. 相沢武彦

    相沢武彦君 先ほど輸入した豚肉の市場出回り停止というお話があったんですが、一体価格がどこに来るまで停止をするのか、その停止の期間の見通し、価格のバランスの見通しですね、それと調整保管は一体何万頭やろうと予定されているんですか。
  110. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 加工業者等に市場にやたらに出さないでほしいという形でお願いしているわけでありますが、期間というのは特に決めておりません。  それから、価格の水準がどの程度戻ったらというお尋ねでありますけれども、少なくとも私どもは、安定帯というものがありまして中心価格というものがあるわけでありますから、中心価格以上に戻るということはもう一つの要件じゃないかと思います。しかし、必ずそれじゃ中心価格に戻ったらすぐやるかということになりますと、これはやはり相場のかたさとかそれから将来の見通しとか、そういうものを踏まえてよく慎重に判断いたしたいと思うわけであります。  それから調整保管でありますが、特に数量は限定しておりません。五万頭ということを一応の目標として、もっぱら事務的な腹づもりはありますけれども、何もそれに限定するつもりもありません。必要に応じてそれは枠の拡大というものは弾力的に考えていきたいと思っております。
  111. 相沢武彦

    相沢武彦君 そうしますと、生産農家に大きな痛手を与えるような状況が続くとすれば、数字としては五万頭までは一応めどを考えている、こういうことに理解してよろしいですね。  それから、小売価格の値下げ指導について先ほども若干お話がありましたが、特に消費拡大など価格回復対策について短期と長期に分けてどういうことを考えられていますか。
  112. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 私どもは、少なくとも当面卸売価格かなり下がってきている、それに対して小売価格が十分連動していないということは事実でございますから、やはり連動を滑らかにした形で小売価格を引き下げるということがこれは消費者のためにもなりますし、また需要を拡大する意味におきましても生産対策にもなるわけであります。そういう意味で、九月以来各小売団体の方に強く要請いたしまして値下げをお願いしている。それから今月に入りましてから各都道府県知事にも徹底方を、協力をこれは私の文書でお願いしたわけであります。先週は東京都を対象にいたしまして特売週間というものをつくりまして、かなり大幅なキャペーンをやったということでございまして、今後断続的にそういったキャンペーン等は検討していきたいと思います。  それから、やはり将来的に小売価格をどうするかということにつきましては、いまお話ししましたように、卸売価格と小売価格の連動というものがどうも十分ではないということは、取引の問題だとかあるいは小売の規格の表示の問題だとかいろいろむずかしい問題があるわけでありますが、そういった根本論を同時に片方に置いて考えながら対策を立てていきたいと思っているわけであります。
  113. 相沢武彦

    相沢武彦君 牛肉の方なんですが、上半期は四万五千トンの輸入割り当てでございましたけれども、牛肉の方もやはり価格の方に影響を受けてきておりまして、下期の輸入割り当て、これは相当慎重に数量を検討されなければならないと見ておりますが、直接の所管庁は通産省でありますが、下期の輸入割り当て数量を十月中には決めたい方針のようでしたが、現状はどうなっておりますか。
  114. 鈴木一郎

    説明員鈴木一郎君) 通産省といたしましては、すでに下期に入っていることでもございますので、諸外国からの要望もいろいろございます。したがいまして、できるだけ早く行いたいと考えております。
  115. 相沢武彦

    相沢武彦君 聞くところによると、余り具体的にこの下期の輸入割り当て量について通産当局と農林省との間の話がまだ詰まってないと、こういうことなんですが、公共料金の値上げも考えられますと、また恐らく消費の停滞ということもこれは波動的に出てくると思うんですね。そして肉牛の国内生産量もいま増加の傾向をたどってきているわけですから、よほど出荷動向というものを的確につかんで輸入量を大幅に圧縮しないと豚肉の二の舞を踏むんじゃないかということで、この点農林省としていつの時点までにその動向を見きわめてどれぐらいの数量で通産当局と話し合いをするのか、その段取りですね。  それからもう一回通産省に聞きますけれども、通産省としては最終いつの時点までに決めなくては諸外国との関係で通産当局としては限度があるのか、いわゆる決定期間の最終限度。
  116. 大場敏彦

    政府委員大場敏彦君) 上期の牛肉の輸入割り当ての量、それから時期につきましては、やはり国内の牛肉生産に悪影響を及ぼさないように配慮しながら、また一方消費者の立場も考える必要があります。そういう意味で慎重にいま検討しているということで、まだ決まっておりません。それから、これは通産省がお答えになるかと思いますけれども農林省の方からも一応考え方を申し上げますが、いつまでにというタイムリミットでありますけれども、大体上期で四万五千トン割り当てておりますが、まず年末の需要はそれで賄えると思っておりますから、大体下期はやや若干の時間的なずれはありますけれども、むしろ年末以降、来年の一月以降というような実際の需給というようなものに合わせたかっこうで、これは大体運んでくるのに三カ月ぐらいずれがありますから、そういうようなことになると思います。そういう意味では、この十月いっぱいにぜひやらなきゃならないというようなそういう意味でのタイムリミットはございません。いずれにしても、時期につきましては、慎重に国内の需給をよく洗い直して検討してみたいと思います。
  117. 鈴木一郎

    説明員鈴木一郎君) ただいま畜産局長からお答えになったとおりの実態でございまして、取引を円滑に進めるためにはできるだけ早くすることが必要だと考えております。
  118. 相沢武彦

    相沢武彦君 まあ、どちらにしても十月末、越しても十一月上旬までには決めなきゃならぬと思うんですが、農林省としてはひとつ生産農家を守る立場で、よく動向を見きわめての輸入量の大幅な圧縮をしての折衝をされるように望みます。  大臣に所見を承りたいんですが、畜産は日本農業において国民の食生活向上という時代の趨勢に合致した成長部門である、その発展いかんが今後の農業政策を推進していく上に重大な役割りを占めていると、こういうことを言われ続けてきましたが、しかし実際に農業部門の中で見ますと、最も苦難な道を畜産農家というのは歩んでいるように思います。そして、日本農政の悲劇を代表するような被害者すなわち自殺者が時たま出てくる。そういう現状でありますし、畜産に対する政府当局の対策、考え方を見ても、生産の問題それから飼料の問題、流通価格のどの部門をとらえてみても、御努力は認めるにやぶさかでありませんけれども、生産農家の現実からしますとまだまだ手ぬるい、また時期を逸していつも後手後手の対策であると、こういう批判が非常に強いわけであります。特に、四十八、九年の畜産危機の痛手がまだ十分消え去ってないわけでありますから、このわが国の畜産の振興あるいは自給度の向上、こういうものに逆行するような輸入増加政策というものをとり続けることは、これはもう現在以上に畜産農家の経営を圧迫しますます被害者を出すということになりますのでこれはもう断じて避けなきゃならない、こういうふうに思いますが、この点つついて大臣の所見を伺いたい。
  119. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) いろいろな大きなお尋ねでございますのでどういう返事をしていいかわかりませんけれども、輸入はこれは別に何も無理にしなければならないものではございません。ただ問題は、消費をふやすことが何と言っても私は畜産の将来のために大事だと思います。そういうことで、消費をふやすためにはやはりよいものを安く供給する以外にございません。そういう意味で、そういうことを土台として消費者に食生活の安定を与えながら、同時にそれが生産者の方で大きな生産の役に立つということを前提としていたしているわけでございます。ですから、輸入というのは私は大事なものだと思いますけれども、過去の例においてはやはりその時期を誤ったり量を誤ったりすることがたびたびありまして、そのことによって畜産農民に輸入に対する一つの不信感を与えているということは確かでございます。でございますから、これは十分にやはり慎重に構えまして、やはり行き過ぎないように正しくこれを判断していただくことが大事だと常々考えておるわけでございます。  で、畜産は、将来私はなかなか困離な問題だと思います。ことに今後長期的に見まして恐らく世界的な食糧の不足時代が来るということを考えますと、いまの畜産のような、たとえば七トンか八トンの草を食わして、穀物を食わして一トンの肉をつくるというようないわゆる量の問題で生産性の低いものは、やはりこれはだんだんとこのままほうっておけば淘汰される私はおそれがあると思うのです。そういうことを考えますと、やはりどのようにして畜産を守るべきかということはいろいろ考えておるわけでございますが、一番日本にとりまして大事なことは、この飼料、特に草を日本でたくさん生産することが日本の畜産の発展のただ一つの私は道だと思うのです。この前の昭和四十八年、四十九年のようないろいろな畜産の大不況時代が起きましたのも、一つはオイルショックのせいもありますけれども、もう一つはえさが高くなった、五割か倍になったということであのような大きな痛手を受けているのです。今後世界の食糧のことを考えますと、私はこの日本の畜産のために必要な穀類はだんだん買いにくくなっていくのじゃないかと思うのです。それは結局人間の食糧に向けられまして、動物の食糧に向けられることがだんだん少なくなっていくと思うのです。そうなりますと、やはり日本では畜産を伸ばすために基本的な草をつくるということが非常に大事だと思います。この草地をつくることは、しかし個人や団体ではなかなかできませんので、また日本の国費を中心にしてできるだけの草地を造成するということが畜産の基本的な土台になるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  120. 相沢武彦

    相沢武彦君 次に、きょうはリンゴの問題をやりたいものですから、畜産酪農の問題につきましてはまた後日大臣に伺います。  十月二十一日、東北北海道を襲った強風で青森それから北海道の方は大変リンゴが落果被害を受けているわけでございますが、二十三日現在で北海道は四億四千万円、青森県が二十五日現在で四十九億四千万円、そのほか岩手県が六億三千万円、秋田県が四億八千万円、山形県五百万円、現在六十五億円の被害ということでありますが、通産当局では県の調査と別個に調査をやって十一月中旬ごろ天災融資法適用かどうかのめどをつけたい、こういうことなんですが、このリンゴの場合は常に実ってから落ちているわけで、落果しても生食、それから加工用に販売できるんではないかということで、その算定はむずかしいということでありますが、やはり落ちてから品質傷みますし、かなり価格の面で下落するということで、被害額はまだまだ上がるのではないかと思いますが、この天災法の適用について見通しはどうなっていますか。
  121. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 十月二十一日の強風によるリンゴの落果被害がございましたが、その前にも十月の十、十一日にも、規模は小さいのですが強風被害がございました。私ども県からの報告で見ますと、十月二十一日分はただいま御指摘いただきましたように約六十五億という報告が来ておりますが、十月の十日、十一日の分は約十一億、合計いたしまして十一万一千トン、七十六億という数字が私どもの方へは来ております。これは被害を受けた直後の数字でございますので、私どもといたしましてはさらに県に詳細な報告を今後とってまいりたいと思いますが、統計情報部の方におきましてももちろん被害調査を今後実施いたしますので、被害が判明いたしましてから検討をしてまいりたいと、天災融資法等の問題につきましてもその他の対策についても検討をしたいというふうに考えております。  なお、この数字の中には、落果して生食用あるいは加工用に販売できる物等については通常の物よりは価格が下がるであろうという品質低下といいますか、その部分も織り込んだ数字として報告を大多数の県はしているはずでございます。
  122. 相沢武彦

    相沢武彦君 それで、天災法の適用は一応被害額が六十億円以上ということを聞いているんですが、これはリンゴの被害の場合は、たとえば北海道北海道だけで六十億というふうな局地的な金額で決めるのか、それとも今回の強風被害ということで大きな範囲で網をかけて金額を査定するのか。ひょう害のように局地的で必要があれば被害額が六十億円以下でも適用しているというわけですが、その辺どうなんですか。
  123. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 天災融資法の発動をいたします際の従来の規模といたしましては、先生おっしゃいましたようにおおむね六十億円程度をめどにいたしまして、二県以上にまたがるようなひどい天災によってこうむった被害対象にいたしまして発動をするというようなことで今日まで運営をしてきております。  それで、ただいまのお話のありましたリンゴの落果については、被害状況等が判明をいたしました際に発動について検討はいたすということにしておるわけでございます。
  124. 相沢武彦

    相沢武彦君 どっちにしても、天災法適用が必要かどうか農林省の判断で決まると思うんですが、恐らく大臣、あなたが決裁になるんですがね。それで、今回の冷害では大変御熱心に東北の方に行かれました、特に宮城県。これからも地元にもお帰りになる機会あると思うんで、ちょっと足を伸ばせば青森県ですから、北海道まではなかなか大変でしょうが、青森のリンゴ被害ひとつ実態調査に行かれませんか、いかがですか。
  125. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) いま担当の職員でいろんな被害をできるだけ実態調査をしております。私もできれば行ってみたいのでございますが、なかなか足を運ぶ時間的な余裕も少のうございますし、いずれ選挙も近くなるとなかなかこれは出にくくなるということでございまして苦労をいたしておりますが、できるだけそのような努力をいたしたいと思います。  で、この被害は七十何億でございますか、いまの報告は。これは当然天災融資法の発動になる被害でございます。ただしこれは県の報告——ところが、これが六十億ぐらいが一応の標準だということになりますと、できるならば天災融資法が発動になってそのいろんなめんどうを見てあげることができればいいと思いますが、また逆に考えますと、それだけの被害額よりも少ない被害額の方が農民の方にも苦しみが少ないだろうと思うし、いろいろとジレンマがあるわけでございますので、何らかのしかし救済する方法については努力しなきゃならないと考えております。
  126. 相沢武彦

    相沢武彦君 大石農林大臣はヒューマン大石としてかなり皆さんから期待されている、また尊敬されていると聞くんですが、直接の有権者だけでなくて広くそうであろうと思わけでして、大変リンゴ農家の方たちは窮地に陥っております。ぜひ大臣、青い顔をしてしょんぼりしているリンゴ娘がにっこり笑うようなひとつ何らかのいい救済措置を現実にとられるように期待しておりますから、お願いします。  それで、次にリンゴの腐乱病対策について御質問したいんですが、腐乱病そのものに対する正しい認識という点でちょっと一言申し上げておきたいんですが、非常にこの病気は歴史的にも古い病気だそうでありますし、そのわりあいには一般の人には正しく認識されていない。ここ最近腐乱病対策について生産地でも真剣に取り組んでおりますし、マスコミも事あるごとに取り上げるようになっておりまして、最近は非常に関心は高まってきていると思うんです。そこで心配な点は、この腐乱病に対する関心の高まりと同時に、生産されたリンゴの果実そのものが市場価格において不当に評価されたり人気が下落するようなことがあると、これはまた生産者にとっては非常に不利になるということで、広く流通機構や消費市場に正しく認定されるように農林当局としてPR等また措置をされるようにする配慮が必要ではないかと思いますが、この点どのように努力されていますか。
  127. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 腐乱病菌は樹体を冒すものでございまして、果実そのものが罹病するということはないわけでございますので、腐乱病の発生地域で生産されましたリンゴが安値で取引されるというようなことは現在のところは聞いておりませんが、ただいま御心配のような点もございますので、消費者の不安を除去するように十分指導してまいりたいというふうに思います。
  128. 相沢武彦

    相沢武彦君 そこで、リンゴ腐乱病の防除関係予算なんですが、特殊病害虫緊急予防予算ということで四十七年度一千万円弱の予算規模であったと思います。ところが、四十八年度は二百六十万円というようにがっくり減らしたんですね。四十九年度に腐乱病がまた全国的に盛り返したということで、五十年度予算では七千万円を確保しているということなんですが、こういうように防除対策について一貫した政策がとられていない、根絶を目指して力を入れていないという気がしてならないんです。腐乱病は、蔓延してからあわてて措置をし予算をふやしているとい状況じゃだめじゃないかと思うんですが、継続した防除予算の確保、それから薬剤が非常に高騰しておりますので、防除農薬についての大幅な措置等講じる必要があるんじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
  129. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 腐乱病の防除対策に対する助成につきましては、ただいま御指摘がございましたように、四十六年度以降主要な発生源に対しまして薬剤の補助という形で助成をしてまいったわけでございます。最初長野県あたりが非常に激甚だったわけでございます。長野県はこれによりまして、根絶はいたしておりませんけれどもかなり減ってきておるわけでございますが、最近は北海道、青森を中心にいたしまして、周辺の岩手、秋田等にもこの病気がふえておりまして、これに対する対策が必要であるということで、長野北海道等にこれまでやっておりました特殊病害虫緊急防除事業という予算項目ではなくして、新たにリンゴ腐乱病対策としてリンゴ低位生産園再開発促進事業という事業を行いまして、罹病した木を伐根、改植をするというのに対しまして補助をする、また伐根、改植によりましてその間所得減になりますので、その生活費という意味で、系統から融資を受けた場合低利融資をするというような対策を、今年度から予算措置を講じまして実施をしておるわけでございます。しかしながら、今年度の発生状況を見ますと、昨年に比べまして若干増加の傾向が見られます。被害発生面積は昨年が一万二千三百ヘクタールぐらいでございましたが、今年は一万四千七百ヘクタール前後ではないかというふうに見ております。それらのこともございまして、今年度当初予算では考えておりませんでしたけれども、休眠期間——冬季でごさいますが、リンゴの木の休眠期間に薬剤防除をするための経費につきまして援助をするということを、流用により実施をすることを検討しております。約三千八百万円程度、被害激甚の地区に対しまして休眠期間の薬剤防除等を中心といたします事業の実施を今年度中にやる予定にいたしております。
  130. 相沢武彦

    相沢武彦君 腐乱病の防除薬は農家人たちは特効薬はできないかと言うんですが、この予防は農家人たちの手入れ、これをしておくことが基本になりますことは当然でありますけれども、今後の問題として、広く専門研究員の結集を図って開発予算等を投入して特効薬的なこの防除薬の早期開発、これに力を入れていただきたい。要望だけ申し上げます。  次に、植物防疫法の指定の問題でお尋ねしますが、腐乱病の撲滅のために思い切った措置を講ずる必要があるんじゃないかということなんですが、現在植物防疫法による有害植物に指定されていないわけですね。かつてモニリア病を撲滅した経緯もありまして、生産地は何とかして腐乱病をこの際根絶したい、こういう熱望もありますので、同法を適用するような強力な実施援助、これをしてほしいということを地元としては熱望しているようでありますが、この植物防疫法の指定についてはどういうお考えを持っていますか。
  131. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 植物防疫法に指定有害動植物という制度がございまして、「有害動物又は有害植物であって、国内における分布が局地的でなく、且つ、急激にまん延して農作物に重大な損害を与える傾向があるため、その防除につき特別の対策を要するものとして、農林大臣が指定する」と、こういう規定があるわけでございます。ただ、この制度が、この仕組みを発動いたしますと、農林省が都道府県の協力を得て発生予察事業を行うと、発生予察事業を行いますればその結果に基づきまして防除計画を県が立てると、それを国が指示すると、その防除計画に従いまして農家あるいは生産者団体等が防除を行う場合には薬剤その他に援助をすると、こういう仕組みにおおむねなっているわけであります。この点につきまして、われわれとしてもこれまでも御質問いただいておりまして検討いたしたわけでございますが、発生予察事業の発生予察の方法につきまして現在まだこの病気につきましては確立をいたしておりません。リンゴ腐乱病といいますのは原因が種々ございまして説がいろいろ分かれておりますが、要するに単一の発生要因ではなくして、複合的な各種の要因が重なった場合に発生するということで、幾つかの要因は指摘をされておりましておおむね意見が一致に近づいておりますけれども、詳細には、原因もこれはというものずばりの原因が必ずしも明らかでないと。したがいまして、発生予察の技術的な方法につきましてもいろいろ研究はいたしておりますけれども、確立はいたしておらないということでございますので、この制度をいま直ちに発動するということができないというのが実情でございます。  また、これをやりますと、指示によりまして農家が防除をしなければならぬ、場合によっては伐採もしなけりゃいけないというようなことになるわけでございますが、現状におきましては農家としては必ずしもいますぐ切りたくはない、削り取りぐらいで済ましたいというような問題もありまして、その制度の発動ではなくして行政指導によりまして、先ほど来申し上げているような種々の対策を講じて、法律に基づかざる行政指導に基づく防除事業をやっていくことによって、当面蔓延を防止し撲滅を期するように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  132. 相沢武彦

    相沢武彦君 そこでリンゴの改植事業なんですが、低位生産園再開発促進事業を行っておりまして、この事業には、その実施計画や資金面で各産地の都道府県に任せているようでありますが、どの程度自由に運用できるのか伺いたい。たとえば改植をするのに反当たり費用はその実情によってまちまちであると、こういうことなんですが、机上で積算したものと改植を行う現場での見積額というものは金額的にもかなりな格差を生ずると思うんですが、こういう場合にはどういう調整を図るのか、具体的にお伺いしたい。
  133. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) この事業は伐採、改植等を行う事業でございますけれども、もちろん予算でございますので一応標準的な単価というものは決めておるわけでございまして、五十一年度につきまして言えば、ヘクタール当たり百三十万円の事業費を予算上組んでこれを標準といたしておるけでございますが、実際の事業を行います場合、かかります経費は御指摘のように差があるのは当然でございますので、そこは実情に即しましてできるだけ弾力的に配分をしてまいりたいというように考えております。
  134. 相沢武彦

    相沢武彦君 改植等農家経営改善資金利子補給事業について伺っておきたいんですが、五十一年度初めて認められた予算だそうでありますが、この利子補給、全国で現在何件ぐらい申し込みがあるのか。それから農林省の予定あるいは見込み件数と比較してどうなっておるか。これをお聞きしますと、まだ申し込みは農林省で予定しているよりも少ないと聞いておりますが、その辺の事情。  それから、各生産地の果実生産出荷安定基金協会の問題ですが、北海道ではまだ設立されてないということであります。なぜ設立がおくれているのか、この理由。  それから、この基金協会ができないと具体的に経営資金も借りられないし利子補給もしたがってあり得ない、こういうことになるんですが、この辺のところはどういうふうに対処をするお考えなのか。  それから、時間がないからもう一つ関連して、利子補給期間はいま五年間になっていますけれども、利用農家が五年以内に完全に返済できるということは非常に確証がないわけですね。むずかしいと思うわけです。万一、利用農家が完済できなかった場合はどうなるのか。六年目から九・五%の利子率を全額負担をするということに規則上はなってしまうと思うんですが、もしそうなりますと、恐れをなしてとても初めから利用しようという気にはならなくなるんじゃないかと思います。もう少し金利を低く抑えて、せめて六年超えても心配なく借りられるというように改正をすることを考えてはいないのかどうか。  また、期間五年でなくてもう少し延長する等の検討が行われてないか、この辺もあわせて御答弁願います。
  135. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 利子補給事業は五分まで、平均標準四分五厘の利子補給をするという仕組みになっておるわけでございますが、先ほど申しました低位生産園再開発促進事業で伐根、改植をした農家が、それによりまして収入がその分だけ減るというのを補う対策としてやっておるわけでございますが、申し込みは、現在各県でそれぞれ申し込みをとりながらまとめておるところでございますので、現在何戸というところは申し上げる段階までいっておりませんが、改植、伐根は予定を四百四十六ヘクタールことし予算上予定しておるわけですが、これは十分数字に達するだけの事業は行われるというふうに思っておりますが、その中で融資を受けて利子補給の助成も受けたいという方が申し込みをされるわけですが、申し込みはいま言いましたようにまだ正確にわかりませんけれども、どうも伐根、改植をした農家の全部が全部申し込んでくるということではないのではないかというように見ております。これは利子補給がございましても融資は受ける必要がないという方もおられますので、若干減るのではないかという見通しは持っております。予算上は一応百ヘクタールの利子補給対象面積を予定をいたしておるわけでございます。  次に、北海道に基金協会ができておらないために農家が利子補給を受けたいと思ってもできないということは、まさにこの制度の仕組みがそういうふうになっておりますので、できなければ補助を行う事業主体がないわけでございますので受けられないということになりますが、これは私どもといたしましてはできるだけ早く設立するように指導をいたしておりますので、できますればこの対象に加えていきたいというふうに思っております。  なお、五年の問題につきましては、最近新しい栽培技術といたしまして、リンゴの矮化栽培ということで通常の栽培よりは早く実がなるというような栽培方法を国も助成をいたしまして援助していることもございまして、また自主的にもそういうように進んでおりますので、まあ五年あればおおむね適当ではないかということでやっておるわけでございます。
  136. 塚田大願

    ○塚田大願君 きょうは、食管制度の問題について私は大臣の所信をただしておきたいと思うわけであります。  先般、当委員会冷害対策問題を審議いたしました際に、米の生産調整について大臣は適地適作主義ということをおっしゃいました。そして、こういう考え方から生産調整については見直す必要があるというふうなニュアンスの御発言がございました。確かに今日、米が非常に過剰であるという事態の中で、一定の生産調整というものは必要であろうと思うのでございます。これを否定するものではございませんが、ただ問題は、その節にも私意見を申し上げましたけれども、やはり農民が自発的に、自主的に協力するということがなければ、こういうことは実際に不可能なことになるわけであります。  そこで私は、農民が自主的に、自発的に協力してくれるようなその保障として第一に挙げたのが主要農産物価格の保障の問題、これが一つだ。これをやらなければ結局高冷地で米をつくると、七百メートルの標高のところでやはり銘柄米がつくられておるというような矛盾がどうしてもなくならないと。今度の冷害視察で、私もその矛盾を非常に強く感じました。それで、そういうことから見ましたときに、やはりいまの農政が米以外には農家の経営が成り立たないというような状態から生まれてくる矛盾であって、やはりそれをなくするということが必要じゃないか。そのためには、農産物の価格保障ということが非常に重要な問題であるということが一つ。  それから第二は、やはり畑作転換を可能ならしめるためには基盤整備というものが非常に必要である、このことも私申し上げたつもりでございます。もちろんそのほかに販売体制、流通機構の問題などもございましょうが、いずれにいたしましても、こういった側面で積極的な施策が講ぜられない限り、米はもう減反するんだと、転作しなさいと言っても、実際にはこれは不可能なことになるのではないか。なるほど農林省は、転作奨励金があるからいいじゃないかと、こうおっしゃるんだけれども、転作奨励金のようないわば竹馬みたいな制度では実際には実行を期しがたいものがあるので、そういう点でやはりこういう点を改善しないと、転作だ、生産調整だと言っても実行不可能になるんではないかということを申し上げたつもりでございます。この点で、その節も御意見を伺ったつもりでございますけれども、そういう私の考え方について、ひとつ大臣もう一回その辺を明らかにしていただきたいと思うんです。
  137. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) いまのお話をお聞きしておりまして、私は大筋においては同感でございます。やはりいまのような物の考え方で進めていかないと、幾ら農民に、たとえば適地適作だから米つくるのをやめなさいと言ったって、これは命令する権限もありませんし、また当然喜んで、そして将来の見通しを持ってそれに同意してくれるのでなければこれはやってならないことでございますから、おっしゃるとおりやはり合意を得てやると、納得してやっていただくと。そして、それが実際にいまのようないい方向に向かうということでなければ、農民の収入もいままでより転作することによって収入が落ちるようなことがあってはなりませんから、そういうことをやはり注意しなければならぬじゃないかと考えております。
  138. 塚田大願

    ○塚田大願君 この減反政策、生産調整も大臣御承知のとおり、四十六年から始めましてすでに六年経過しているわけですね。ところが、依然としていまのような状態が続いておるというわけであります。米以外の作物は全く不安定な状態であると、こういうことが続いてきているわけでありますが、その実態はいま申し上げたとおり、価格の面であるとか、あるいは技術研究の面であるとか、あるいは災害補償の面でも非常に不完全であるということでございますが、そういう政策がやはり続けられて、しかもそういう条件整備というものが放置されていたと。農林省がおやりになったのは、振り返ってみれば、ただいかに米を減らすかというだけに努力をして、本当に農民の自主性とか、あるいは適地適作というふうなことを言葉では言われましたけれども、実際には上から強権的に減反政策を押しつけてくると。そこから農民の不信というものが、農政不信というものが生まれてきたということだと思うんですが、特に私はこの際強調したいのは、四十五年の二月に次官通達で行われました農地転用許可基準の特例ですね。こういうものが出されまして、これは五十一年度に廃止はされました。廃止はされましたけれども、水田を宅地などにどんどん転用してよろしいと、こういうひどい方針が当時出されたわけであります。私は、ここに最も米つぶしの典型的な事例があったんではないかと思うんですが、この点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  139. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) いまお話しの米の生産調整が制度的には四十六年から始まりましたけれども、それとの関連におきまして、農地法の運用の一環としまして道路の両わきに所在する水田につきましては従来の転用の基準を緩和をいたしまして、確かにそれらにつきましては転用が容易にできるような措置を講じたわけでございます。もちろん、私どもはそういうような水田がいわゆる集団優良水田に必ずしも入ってないところが多いというような考え方から緩和をいたしたわけでございますけれども、一応目的といいますか、を達成したということで、今年の三月末限りでこの緩和措置は廃止いたしまして、現在は従来どおり農地法の本来の基準に従いまして転用を規制しておるというのが現状でございます。
  140. 塚田大願

    ○塚田大願君 目的を達したというよりも、やはり余りにもひどいこういう政策が、これはやはり農民から批判を受けて撤廃せざるを得なかったと、これが私は本当だと思うんですが、それは一応撤回されましたから別にここで改めて申し上げる必要はありませんが、これは教訓として私は受けとめておく必要はあると思っているわけであります。  そこでさらにお聞きしたいのは、大石さんの前に安倍さんが農林大臣でございました。で、安倍さんが就任の際に施政方針を述べられましたが、そのときには安倍さんは攻めの農政ということを言われたんですね。私どもはそれに期待しました。これは農林省も今度は腰を据えて大蔵省とも折衝して大いに農業発展のためにおやりになるんじゃないかと、実はひそかに期待しておりましたけれども、どうも実態は逆でして、農民の方を攻めてこられると、こういう攻めの農政だったように、私はいま考えるというとそういう感じがしてしようがないんです。非常に反動的だった、早く言えば。ですから、生産調整も、当時その名称は水田総合利用対策というふうな名前だけは変わりました。が、やっぱり生産調整は進めると、減反政策は進めると、こういう点ではちっとも変わりはなかった。その内容を見れば、結局転作奨励金の対象となる作物を規制したというだけのことでありまして、そして逆ざやの段階的解消、これだけは確実に実行すると、こういう形で、昨年などは史上最高の豊作にもかかわらず、生産調整に一〇〇%協力した農民に対して超過米は政府買い入れを行わない、結局実質的には二段米価ということになってしまったわけであります。私は、これは本当に比喩的に申し上げるわけじゃないけれども、幕府時代の悪代官並みの米いびり政策じゃないかと、こういうふうに見ているんです。こういう米をいびるという政策ですね、これはやはり大臣が適地適作とおっしゃっても、あるいは農政の見直しとおっしゃっても、米作農民の米づくりの情熱というものを本当に半減さしてしまいますよ。ですから、ことしのような冷害に対する技術上の対応も非常に弱くなってしまうと、こういう結果に私はなるんじゃないかと思うんで、そういう意味で、大石さん、このたびは希望の持てる愛情の農政ということをおっしゃっているんですが、これも大変いい言葉です。しかし、これが攻めの農政の轍を踏まないようにひとつやっていただきたいと思うんですが、その辺はどうでしょうか。
  141. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) みんな農林大臣に就任しますと、やはり一生懸命やりたいという気持ちがありまして、いろいろ物の考え方を進めていきたいということだろうと思います。私もいろいろ考えておるわけでありますけれども、いま御承知のように、農林行政はきわめてむずかしい段階だと思います、これは。昔から農政というのはむずかしいものだと思うのです。とにかく昔から生かすべからず、殺すべからずで置かれた農民の、これは考えれば昔から全国の農民の耕作反別が一戸当たり一町——一ヘクタール足らずですから、こういう状態であってはどんなにいい作物をつくったって何したってそう豊かになれるはずはないと思うのです。このような状態から農民の生活を他の産業に劣らないように持っていこうというわけでありますから、私はやっぱり大変むずかしい仕事だと思うのです。それでもこの四十年、五十年、三十年ぐらい以上前の農民の姿といまとではもう格段の差がある、いまの生活内容は天と地ほどの違いがあるような気もいたします。そういうことで非常によくなりましたが、それでもまだまだでございまして、やはり今後ともこういうところに非常にむずかしさがあると思うのです。  そこで、まあどうしてたらいいかというのですが、私は愛情のある農政と言うのです。要するに、何をやるにも農民の幸せを中心に考えてやはりやっていこうと、どのようなことをやるにもすべては農民を幸せにするのだと、明るく豊かにするのだということを前提として、それを目標として行政をやっていこうということでございます。もっと言葉をかえますと、農民に農業の将来に明るい希望を持ってもらうということ、そして農業に情熱を傾けてもらう、そして農業によって暮らしができるような将来をつくりたいというのが、これは私の希望でございます。まあだれでもそうなのは当然だと思いますが、それにはどうしたらいいかとなると、具体的に一つ一つこうする、ああするという問題はなかなかございません。そういうことでいろいろ工面しているわけでございます。たとえば米の問題にしましても、おっしゃるとおりいまの現在において米の余っている段階においては、これはある程度この需給のバランスをとることがやっぱり一番農政上やりやすいと思います。ただ、そのことによって農民をただ米をつくることから別なところへ追いやってはならない、せめて転作するならば転作することによってより所得が落ちないように、より生活が落ちないような面においてこれを転作をやらせるように指導しなきゃならないというようなことでございます。何をやったらいいかと、非常にむずかしいと思います。そういう立場から、たとえば高冷地の米づくりもこれは本人が希望するならこれは別に強制はできませんけれども、たびたび災害に遭って、そうしていろいろな災害に遭えば借金もしなきゃなりません。こういうものは、できるならばそのようなものでなくとも、それに適するような別ないい農業経営がなかろうかということに気持ちがあるわけでございます。何でもかんでもそれを追いやるということではございません。その点はひとつ御理解願いたいと思うのでございます。とにかく一生懸命にやる気持ちだけは変わりございませんので、何とかして少しでも役に立ってまいりたいと思います。
  142. 塚田大願

    ○塚田大願君 大臣のその気持ちといいますか、一生懸命にやりたいという気持ちは大いに了といたしますし、また農政が非常にむずかしいという点も理解できるわけでありますが、ただ、これが絵にかいたぼたもちであってはいけないのでありまして、したがって私も具体的にひとつその愛情の農政を推進する意味において御提案を申し上げたいと思うんですけれども、御承知のとおり五十一年、ことしの五月十日付で農林省構造改善局長の通達がございます。これは「昭和五十一年度農業基盤整備事業における水田の総合利用の推進について」という通達でございますけれども、これを拝見いたしますと、灌漑排水事業の場合、転換面積の目標は原則として事業実施予定の水田面積の一五%を下回らないように指導しなさいということがこの灌排事業の中にあるわけであります。それから圃場整備事業の場合には、目標を全体の約二〇%というふうに指定されておるわけであります。そしてさらに、この目標を実行するためには、事業計画にこれが入ってない場合に念書をとりなさいということまで通達に指摘されているわけであります。農民の場合、圃場整備までやって米づくりで一生懸命に生産性を高めようということで努力しているのに対して、政府は二割も米づくりをさしてはいかぬということを通達しているわけでありますけれども、これはもう各地で非常に問題になりました。私、この間山形県に参りましたときに、千座川の圃場整備でも地元から陳情を受けましたけれども、こういうことを農林省はひそかに通達を出してやっておると、これは私はゆゆしい問題だと思うんですね。こういうめちゃくちゃなやり方というのは、先ほど申しましたように悪代官のやり方であると、私はそう思うんですが、こういうやり方は直ちに撤廃すべきじゃないかと私は思うんです。そうしないと、いわゆる愛情の農政というものが本当に前進するはずはないです。まるで後ろからぶん殴るような卑劣な私はやり方じゃないかと思うんですけれども、その点大臣どうでしょうか。
  143. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) これは、いま先生五十一年の五月の構造改善局長通達をお引きになりましたけれども、これはずっと生産調整が開始されまして以来やっている方針でございます。いまさら申し上げるわけのものではございませんけれども、灌漑排水、圃場整備事業等の事業を実施いたしますと、高能率農業の展開のために必要な圃場条件が整備されるわけでございまして、先生も先ほど指摘いたしましたように、水稲から他作物へ転換するような条件である汎用耕地の造成ということが可能になり、したがってそういうところにおきましては農産物の選択的拡大ということが可能になるわけでございます。ところが現状におきましては、やはり米の生産が過剰であるというところから、そういうふうに転作が可能になったところにおきましては、もちろん地域の自然的条件とか営農条件に応じたものでなければいけませんけれども、私どもといたしましては、できるだけ、可能な水田になるわけでございますから、その地域におきましては一応の目標を揚げまして転作計画をお立ていただくということにいたしているわけでございまして、灌漑排水につきましても、これはもう全国総体で大体一五%、それから圃場整備につきましても、これも全国総体で二〇%という目標をつくりまして御協力をお願いをいたしているというところでございます。
  144. 塚田大願

    ○塚田大願君 その生産調整で転換をやらせると、それは先ほどからも論じていますように、決して一般論として悪いわけではない。農民が実際納得して協力しましょうという形でなければ、ただ通達を出して県知事や何かのしりをひっぱたいてそして念書までとってこいと、いままで計画が入ってなかった、これは農民びっくりしますよ。私が山形県の現地へ行きましたときに、もう農民はびっくりしているんですね。どうしたらいいんだと、これ。もうそういう衝撃的な状態なんです。ですから、これでおやりになろうとしても、私は所期の目的なんか絶対に達成できるものではない。農民は、もうそれだったら農地をほうって出かせぎでも何でもしてしまうと、こういうことにならざるを得ないんです。これはまさに農民の追い出し政策ですよ。ですから、こういうやり方はどうしても改めてもらわなきゃいかぬと、私はそう確信をしているんですが、その点で大臣からもひとつその所見を伺いたいんです。
  145. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) こういう制度を採用している事業を先ほど申し上げたわけでございますけれども、いま先生、農民はびっくりしているというお話ございましたけれども、実は全国大体どこでも、いま水田総合利用対策によりまして市町村ごとに稲作転換計画を実は立てていただきまして、生産調整といいますか、奨励金を交付して実施をいたしているわけでございます。大体市町村ごとにそういう転換計画といいますか、がございますので、そういう計画に沿ってその地区で土地改良事業を行うときにはそういう計画を織り込んだ計画にしていただきたいというふうにしているわけでございまして、びっくりするというのは私はいささか特殊な例外的なところじゃなかろうかというふうに考えております。  念書というお話ございましたけれども、そういう計画を計画の中に織り込んでそれで申請をしていただければ私どもは優先的に採択をいたしますと言っているわけでございまして、そういう計画に織り込む暇がないところは念書でもってこれにかえるということにいたしているわけでございまして、別にとりわけ念書の方がきつい効果があるとかいうようなことではございませんで、そういうような約束でやっていただければ事業は優先的に推進いたしましょうということでございます。
  146. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 実は、いま構造改善局長からお答えいたしましたが、私はこの十数年来宮城県の土地改良事業団体連合会の会長もいたしておるわけでございますが、実際は、はなはだうかつでありますが、こんな制度を知らなかったのです、実は。ただ土地改良はできるものだということで、畑地転換なんということを実際は知らないでやっておったのです。それが大体全国の状態じゃないでしょうか。ですから、あの時代は急に米が余ってどうにも処理がつかなくなってあわてて減反政策までやった時代ですから、このような物の考え方でいこうということはやむを得なかったと思うのです。しかし、そのことは強制してはならないことでありますから、やはり強制はしないで大体はこの通達で済んでおると。ああいう時代のやっぱり背景というものを考えないと、いまから考えると余り実行もしておりませんからこれはおかしいと思いますが、あの背景の時代を考えますとやむを得なかったのじゃないかとも私は理解できるわけなんです。あすこの委員長、土地改良をこれはお互いに一生懸命やっている仲間でございますが、委員長もそういうことで、これはもう少し弾力的に考えまして、決して農民に強制するということでないということでございますから、ひとつそのところは穏やかに考えてまいりたいと思う次第でございます。
  147. 塚田大願

    ○塚田大願君 この問題は、もっとこれから論議を私は尽くして、本当に農民が納得するような農政をつくり上げていく一つの材料にしていきたいと思うんです。  それからもう一つ関連してお聞きいたしますが、例の青刈りであります。これもいま非常に問題になっておりますけれども、四十一年から始まりました新規開田の抑制の問題ですね。これはやはり非常に当時から不評を買った政策でありますが、要するに、もう今後開田するものは一切補助しないとか、あるいは継続中のものは計画を変更しろとか、公庫の融資も行わないとか、近代化資金の利子補給もしないとか、自己開田は抑制せよとか、また干陸しても農民に土地を配分するなとか、こういう指示を破った場合には青刈りをするんだというふうな、いわば新規開田の抑制政策ですね。私は、これも言うならばやはりファッショ的なやり方だと思うんです。決して農民の自主性、自発性というものを尊重する、あるいは新規開田、適地適作、こういうものをやはり認めるという立場ではなかったのではないか。こういう政策をやはり今後も続けていかれる気持ちがあるのかどうかですね。農民が反対しているようなこういう政策はやはり続けるべきではないのではないかと私は思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
  148. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) いま開田抑制政策につきましての御質問でございますが、これはもう何遍か本委員会でも御論議があったところでございますが、これは私御理解いただけると思うのでございます。というのは、四十五年以来米が過剰になりまして現在でもその基調は変わっておらないわけでございますが、そういう時期に干拓なり農用地の開発をして国費を多額につぎ込んでさらに米をつくるということが、それはやはり政策の矛盾ではないかというふうに私どもは考えて、その点はもう皆さん方の御意見は一致しているというふうに思うわけでございます。ただ、私どもはやはり農用地はさらに拡大しなきゃならない、耕地は確保しなきゃならないということで、干拓なり農用地開発は今後とも大いに進めたいと思っております。しかしそういうところでやはり米はつくらないで、不足しているような農産物を生産をしていただくということの方向で私どもは努力をする、これが現在私どもの進めなければならない農政であるというふうに考えるわけでございます。  そこで、私どもは今後干拓なり農用地開発を進める場合には、これはもう開田は一切しないという方針でございます。それからすでに工事を進行中のもの、これはやはりストップをすべきであるというふうに考えますけれども、地元の御要望によりまして、水稲はつくらない、しかしほかのものをつくりたいからやはり干拓計画なり農用地開発計画は進めてほしいというふうなところにつきましては、じゃそういうふうにいたしましょう、ここは水稲をつくっていただかないでよろしいのですねという約束のもとに、工事を継続し進行させたところがあるわけでございます。現在そういうような対象になったところが全国で約七万ヘクタールございますし、そういう約束のもとに営農といいますか、約束をしていただいている農家が約十万戸あるわけでございます。そういう農家方々が、現状を理解していただきまして御協力をいただいているのでございますので、私どもはやはり一部の農家が約束に違反いたしまして稲作をするような場合には、これは極力おやめいただくということにならざるを得ない、やはり行政というのは公平を確保しなけりゃならぬという面もございますので。そういうことで、私どもは現状におきましては、開田抑制政策というものを米の需給関係から考えまして継続せざるを得ないというふうに思っておるわけでございます。
  149. 塚田大願

    ○塚田大願君 そこで私は最初に大臣に確認しておいたんですけれども、いわゆる適地適作ということを考えなければいけないのではないか。たとえば新潟県の福島潟や、あるいは昨年、一昨年問題になりました魚野川の干拓、あの圃場、土地改良ですね、あれも青田刈りになりましたけれども、あるいはその他ずいぶんあるわけでありますけれども、こういうところで畑作をやれと言ったって、実際うまくいかないんですよね。それはその土地の状況を見ればもう常識的にわかるんですけれども、そういうところまで米をつくっちゃいかぬというふうなことでは、やっぱりこれは適地適作政策ではないと思うんです。米のつくれるところは大いに米をつくらせる、そうでない、条件が必ずしもよくないようなところでは畑作転換なり何なりを強力に進める、全体として日本の国民の食糧を確保していく、これが私は農政の基本ではないかと思っているから最初に大臣の所信を求めたわけでありますが、この問題も毎度ここで論議をしているわけでありまして、なおかつやはり私どもはこういう政策は適当でないと、こういう判断をしているからあえてお尋ねしたわけであります。  さてそこで、私持ち時間が非常に少なくなりましたので大臣に最後にお聞きしたいことは、そのほかにもう一つ林野庁長官にもお聞きしたいところがあるんですが、大臣にお聞きしたいのは二重米価制の問題です。これは大臣この間から委員会で、もう二重米価制は廃止した方がいいという持論を盛んに打って回っていらっしゃるんだけれども、なるほどちょっと聞くと、何かこれが農民にとって大変有利なようにも聞こえるんですけれども、私はそれはやはり逆ではないかと思うんですね。米がいま過剰だという現在、これが自由になったら私は米の価格は暴落するんではないか、その心配が一つあります。それから二番目には、二重価格制をなくしましたら米の消費というものは一層減退するんではないか。いま米の消費拡大運動というものが行われているわけですけれども、こういう保障がなくなれば、むしろもう米はパンの方に流れていくという可能性だってなきにしもあらずだと私は考えるんです。それから三番目には、米が今度不足した場合に、たとえば今度のような冷害がございまするけれども、米が不足した場合に商社などが介入して買い占めをする、かつて四十八年、丸紅がモチ米の買い占め事件をやりました。こういう悪徳商社の買い占めによって大変な騒動が起きる可能性だってある。こういうふうに考えますと、このやはり二重価格制の撤廃というのは、私は非常に危険といいますか、冒険といいますか、やっぱり間違っておるんではないか。私は、日本の稲作が今日ここまで発展してきた、過剰だ過剰だと言いますけれども、昔のことを考えれば本当に結構なことなんですね。われわれが子供の時分は、本当に農家自分のつくった米すら満足に食えなかった時代があったんですから、それを考えれば、非常に稲作がここまで発展してきたことは結構なことだし、そしてその根本には、やはり食管制度というものによって稲作が保護されてきた、私はそう考えるんです。で、自分の国の農業を守ろうとするなら、やはり保護政策を徹底させる必要がある。ヨーロッパなんて、私もちょっと行っていろいろ勉強してきましたけれども、フランスなんかでも非常に強い保護政策をとっているんですね、ヨーロッパ諸国は。やはり自分の国の食糧を確保するには、そういう徹底した保護政策が私必要だと思う。その一環としての食管制度というものが私はあると見ているんですけれども、そういう点で大臣が持論としておっしゃる二重価格制の撤廃、自由にした方がいいというお考えは、やっぱり間違っているんじゃないかと私は考えるんですが、その点ちょっとお聞きしたいと思う。
  150. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 私の過去、いろいろなベトコンの大将をしたり、いろいろなことをしゃべったりやってきましたから、そのいろいろな言葉と現在の物の考え方をちょっと混同して私考えられているのではないかと思うのでございます。  私は、かつては統制を解除したらどうかということを言ったこともございます。しかし現在では、とうてい統制解除はできないといま考えております。そういうことで、この二重米価の問題と統制解除とはこれは別個の問題、全然私は別個の問題だと考えておるのです。統制撤廃の問題は一つの問題としては考えられますけれども、たとえこれをやろうとしたって、いまの段階ではとうていそんなことはできないという段階であります。いまのように米が余っている時代には、こんなことは断じてできません。できるはずはありません。そういうことを考えまして、とても五年や八年で統制解除の段階に入るわけにはいきませんから、私は、統制解除とか、間接統制といいますか、こういうことはいま一切やろうとは考えておりません。できるはずもございません。それだけはっきり申し上げておきます。私は、やはりこの食管制度はぜひこれは守っていかなきゃならないと思うんです。食管制度は、いま塚田委員の仰せられましたように、国民の食糧を確保すること、いつでもどんな時代にも食糧、主食を確保するということとやはり農民の生活を守るということ、この二つが私は食管制度の主眼だと思うのです。そういう意味では、たとえば米はいま一俵一万六千何ぼになっておりますけれども、これは安いとかいろいろ言われますけれども、逆に考えますと、農民に対して一俵一万六千何百円の米価で、それを最低価格を保障していることなんです。そうですね。こういうことを考えると、なかなか私やっぱりこの制度はいい制度だと思うのです、ついに最高価格と最低価格が一緒になっておりますけれども。そういうことで、私はこの現在の食管制度はあくまでも守っていかなければならぬ。  それから二重米価は——二重米価という言葉はちょっとあれで、いまのところは逆ざや解消という言葉を使っております。これはやはり食管制度とは関係がないと思うのです。別に農民の方にプラスにもならないと思うのです。なるほど二重米価をやめますと、逆ざやを解消しますとそれは当然消費者の負担増になります。負担増と申しますか、いまでは政府が消費者に対して主食の米の補助金を出しているわけでありますから、補助金がだんだんになくなっていけばなるほど負担は幾らか重くなるかもしれません。しかし、この逆ざや解消ということは一年や二年でこれはすぐやるのではございません。やっぱや四年も五年もかかって段階的にこれを減らしていくというのでありますから、その間に国民のいろんな所得も多く上がってまいりましょうし、このような月に五百円、六百円の主食の補助金というものは四年、五年あたりの間に段階的になくしていっても、私は国民の大多数の人の生活には大した影響はないという気持ちで、このような逆ざや解消をした方がいいと私は考えているわけなんです。これは、統制撤廃とか食管制度の否定とかと一切つながりません。そう思っております。そういうことで、たとえば米不足になった場合と言っても、これはありますが、米不足になった場合が急に参ると思いません。これは来ると思いますが、やっぱり何年か、十年、十五年の段階を経てだんだんと米が不足になっていくのだと思うのです。ですから、そう米の不足の場合の救急な場を想定する必要はないと思いますが、仮に米不足の場合に大商社が買い占めを行うという心配もよくありますけれども、こんなことは断じてあり得ないことなのです。それはしようと思うものがあっても、法律でこれを厳重に禁止しております。これは絶対にできません。あんな大きな米をどのようにして移動させますか、あの米をですね。そんなものを五万トンや十万トン移動したって、価格を政府が決めている以上はこれは相場なんてあり得ないのですから。そういうことを考えますと、とうてい大量の米の移動なんということは絶対にやり得ないのです、法律を犯してまで。そういうことを考えますと、余りそういうことは心配しなくていいのじゃないかと、こんなふうに考えるわけでございます。
  151. 塚田大願

    ○塚田大願君 いや、この食管の問題はやっぱり今日の農政の中心問題の一つでございますから、これはこれからも大いにわれわれも勉強するし、大臣の方もひとつ大いに勉強していただかなければならない問題だと思うんです。  で、もう時間も参りましたので、最後に、せっかく林野庁にも来ていただいたんで、白ろう病の問題について意見をひとつお聞きしたいんです。白ろう病はこの間全林野労働組合から長官が告訴される、訴えられるというふうな事態にまで来ている不幸な問題だと私は思うんですけれども、これはもう説明は抜きにいたします、時間がございませんから。もう農林省よく御存じのところであります。ただ問題は、この白ろう病に対しまして今日抜本的な予防、治療、生活保障対策というものをどうとるかということが一番の問題だろうと私は思うんです。ところが、この病気の問題に対しましても、対策につきましても、この白ろう病に対しては農林省、労働省、厚生省みんな分割されていまして、結局責任のなすり合いが行われているというふうな感があるんですね。  そこで、私、大臣あるいは長官に御提案申し上げたいんだが、この三省で何らかの協議機関を持ってこのチェーンソーの機械の改善であるとか、労働条件の改善であるとか、あるいは予防、治療の対策、あるいは生活保障、こういうものに早急に私取り組んでいただく必要があると思うんですが、その点についてひとつ農林省のお考えを聞かしていただきたい。
  152. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) いまの塚田委員の御意見、私も賛成でございます。  実は、先日組合員の方々ですね、白ろう病について代表者とお目にかかりましていろいろ陳情を聞きました。話も聞きました。そして、やはりこれは何とかしてあげなきゃならないという気持ちでございます。やはりこれは農林省がもちろん中心ですが、労働省あるいは厚生省あたりとお互いに話をして、そして少なくともこのいろんな病気の研究とか手当ての内容とか、あるいは今度は手当をどのように実施するかとか、そういう具体的なものにつきまして、そういうことにつきましてもう少し意見をまとめて、本当に白ろう病の防止に、あるいはその治療に役立つようにしなきゃならぬという返事をいたしまして、そのようにこれから労働省その他厚生省ともお互いに話をしていこうといま考えておりますので、御期待に沿いたいと思う次第でございます。
  153. 塚田大願

    ○塚田大願君 終わりました。
  154. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、台風十七号の風水害対策についてはいま一生懸命に取り組んでおられると思っております。その場合に特に沖繩の台風十七号の問題は——その前に台風七号の災害、これが七月一日から二日間ですね。この台風七号はこれは南北大東が主であります。それから次に台風十三号は八重山群島が主でありますが、これが八月の八日から十日まで。その二つを受けて台風十七号があって全面的に広がったわけなんですね。ところが、十七号は全国的な規模があったものですから、非常にクローズアップいたしております。その前の台風七号、それから十三号については余りクローズアップしていないきらいがありますので、ぜひ七号、十三号の風水害対策に当たっては南北大東の問題、八重山の問題、これを含めて御配慮願いたいと、こう思うわけであります。  で、農水関係被害額をざっと申し上げますと、七号による被害が一億一千九百四十万、こういう額が出ております。それから八重山の台風十三号の被害が五千四百五十二万五千円と出ております。それから十七号は、これは中間報告でありますが二十二億三千六百六十七万六千円、こういう被害額が出ておるわけでありますので、それをひとつぜひ考慮に入れていただきたいということと、それから農水の被害といいますと基幹作物のサトウキビが主でありますので、ちょうどいまサトウキビの価格決定がこの二、三日うちに決められるということになっておることをこの前の農水委員会でもおっしゃったんですが、その風水害対策とサトウキビ価格決定の現段階においてどのように進められておるか、そのことをお聞きしたい。
  155. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 災害に対しましては、やっぱりいろいろとこれは考えてあげなきゃならない、そう思っております。  そこで台風の被害につきましては、まだ残念ながらサトウキビにつきましては共済制度もありませんし、できるだけこの被害に対するいろいろな手当てを織り込みまして糖価を決定いたしたい、価格を決定したいという方針でございます。  で、この七号と十三号につきましては、よく私わかりませんが、こういう被害を受けてさらにそれが十七号によって被害がなお増大したとすれば、同じ台風による被害だと考えられてもいいと思いますから、そのような物の見方ができればそのような方向に当然これは包含されていいのじゃないかと思いますが、詳しいことにつきましては杉山審議官の方からひとつお答えをさしていただきます。
  156. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 沖繩におきましては、本年の六月以来台風七号、それから十三号、さらには先般の十七号というように相次いで被害をこうむっております。これらの台風による農林漁業関係被害のうち、まず農林海岸、それから治山、漁港、農業用施設等、いわゆる施設関係被害につきましてはこれは早期復旧ということを目標にいたしまして、おおむね十月中に査定を完了して直ちに緊要なものから復旧工事を実施するという予定になっております。それから、これらの施設の被害のうち十七号にかかるものにつきましては、御承知のように九月十二日に激甚災害法の激甚災害として指定をしたところでございます。  次に、被害を受けた農作物のうち、サトウキビ、野菜それから果樹、こういったものについては、植えかえや病害虫防除などの技術指導の徹底を図ってまいったところでございます。  先生価格の問題についてもお尋ねでございましたが、これはまた後ほど関係局長から御答弁があることと思いますが、それから水稲の被害につきましては、これは共済にも加入していることであり、共済金の支払いを早急に行うように目下事務を進めているところでございます。  それから、農作物被害のうち、やはり台風十七号にかかるものにつきましては十月十九日に天災融資法、激甚災害法の対象としてこれをしております。これらの台風による被害農林漁業者に対する措置といたしましては、被災者の資金需要等を調査いたした上で、天災資金あるいは沖繩振興開発金融金庫の自作農維持資金あるいは主務大臣災害復旧施設資金、こういったものの融通によって対処してまいりたいというふうに考えております。
  157. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 糖価の問題。
  158. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) サトウキビの価格につきましては、これはおっしゃるとおり今月中に決定いたしたいという方針でいま作業を進めております。できるだけいい価格になるようにと願っておるわけでございます。
  159. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 このサトウキビ値についての農民要求は御存じのとおりでありますので、ぜひそれを入れていただくよう、実現していただくよう重ねてお願いしておきます。  それから次に、大臣は、沖繩の農業開発はいろいろ問題があるわけだが一番大事なことは基盤整備であると再生産意欲の面からも絶えず強調して、それからサトウキビ価格の面からも絶えず裏づけておられますが、この沖繩の農業開発の基盤整備についてどのような構想を持っていらっしゃるか、これが第一点。  そして、五十二年度予算と結びつけて具体的にどのような計画をなされておるか。この細部につきましては担当官にお答え願って結構だと思いますが、その基盤整備の基本的な問題について大臣の見解を承りたいと思います。
  160. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 沖繩の米作とも言うべきサトウキビに対しましては、やはり本土と同じような、本土の米作に対する協力と同じようなそれくらいの情熱と予算をもってこれに対処しなければならないと私は考えます。ことに、沖繩のいままでの土地基盤整備対策につきましては大分おくれておるようでございます。これはまことに申しわけないことでございますけれども、内地のいろいろな基盤整備のあり方から比べますと非常におくれております。これは残念でございますので、できるだけ早くこれを取り返すようにあらゆる努力をいたしたいというのが私の気持ちでございます。  具体的にどれくらいの予算にするかどうかということにつきましては、十分に構造改善局とも相談、努力いたしますが、とりあえず、いまの気持ちだけははっきり申し上げまして、あと細かい具体的なことにつきましては局長からお答えさしていただきたいと思います。
  161. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 方針はいま大臣からお話し申し上げましたとおりでございまして、具体的にじゃ来年度予算をどうしているかということでございますが、沖繩県に対します基盤整備総体の額は、昭和五十年度の当初で約四十一億円でございまして、これは前年対比一四五・四というようになっております。五十一年度、本年度は沖繩県で約六十四億円で、これは前年対比一五四・八でございますが、来年度、五十二年度におきましては沖繩県について約百四億円、前年対比一六二・三というように、私どもはぜひこのぐらいの額は確保いたしたいということで要求いたしております。
  162. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 年々アップしておることは結構なことでありまするが、またよく知っておりまするが、ところがこの現在のようなテンポで行きますと、たとえば灌漑排水事業とか、あるいは大事な圃場整備事業、この二つをとらえましても、いまのようなテンポでは多分百年近くかかると関係者は言っておるのです。だから、年々アップしてはおりますけれども、本土並み水準からしますと非常に気の長い遠い話だと、こういうことで非常に焦りを持っておるわけですが、いかがですか。
  163. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) これは確かに初めが小さいところから出発しましたからそのような計算になるのは当然で、これはまことにその通りだと思いますが、そういうものでなく、差があってもずうっと追いついてまいりますから、これは近い将来に必ず追いつくように、そして十分な所得を上げるようにいたしたいという、これはわれわれの願いでございます。農業というのは気の長い事業でございますし、また一挙には効果の上げ得ない事業でございますから、その点も十分に考えましてできる限りの努力をするということで、その気持ちを申し上げたいと思います。
  164. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ステップ・バイ・ステップでなければいかぬということもわからないわけではありませんが、しかし本土並みという線から見ると余りにもこう格差があるわけでありますので、そこはどうしても急テンポでまた運営をしてもらわなければいけないということを要望しておきます。  それでは次に、具体的に五十二年度予算との結びつきにおいてどう考えておられるかということに対する一例として一、二申し上げたい事柄は、水資源の確保という面から、羽地大川地区の、国営地区としての羽地大川、これは北部の方でありますがそこのダム建設の問題、それから宮古における地下ダム開発の問題、これをどのように考えておられるか、またいつまでにこれを完成しようとしておられるか、私が五十二年度に結びつけて具体的にお聞きしたいと申し上げておるのはこのことであります。
  165. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) まず、羽地大川地区について申し上げますが、これは先生十分御承知と思いますけれども、本島北部の名護市東北部に広がる畑地を主といたしまして、約千四百ヘクタールの地域に水源とそれから用水施設を整備いたしまして、サトウキビ、パインの生産性を上げようというようなことをねらいといたしておるわけでございまして、このために羽地大川にダムをつくって水源を確保いたしまして、地区内の用水施設を整備して農業の生産性の向上、経営の安定を図りたいというふうに思っておるわけでございます。農林省としましては地元といろいろ相談をいたしながら、昭和五十二年度から新たに国営地区調査が実施できるように今後努力をしてまいりたいというふうに思っております。  それから宮古におきまして、現在地下ダム建設につきまして事業を実施いたしておるところでございます。御承知のとおり、沖繩県の中には、宮古島同様サンゴ、石灰岩から成ります島が多くて、このような島では河川水それから地下水、両方ともなかなか利用ができがたいわけでございます。しかし降雨量が非常に大きいわけで、これを地下に貯留しまして利用するということが非常に有効でございますので、私どもとしましてはこの地下水を貯留しまして農業用水に利用いたしたいということで、四十九年度から宮古島におきまして地下ダム開発の調査を進めておるわけでございます。現在まで止水壁、水をとめる壁ですけれども、止水壁の築造に関しましては基礎的な技術が明らかになりましたので、今後は小規模な実験地下ダム、これをつくる。そういうことによりまして地下水の流れ方、地下水の貯留量等の地下水の調査、それから上下流の環境に対します影響、これを調べたいというふうに思っております。私どもは、これが実験的に可能になれば、宮古島以外におきましてもなおこのような考え方をもって地下ダム設置が可能になるところもあるというふうに考えておりますので、漸次この方式を広げていきたいと思っております。
  166. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣、お時間のようでありますので、一つだけ大臣に。  それは、先ほども触れられましたが、領海十二海里の問題ですね。この前の農水委員会で大臣の領海十二海里に対する決意を披瀝されたわけですが、その反響が、沖繩も非常に勇気づけられまして、実は二、三日前から電話、はがきなりで、ぜひそれを実現してほしい、強く要望してほしいという激励も参っておりますので、この前申し上げました台湾船の侵犯問題ですね、そういったものとも関連しまして、非常に痛切に沖繩県民としても、または漁民としてもこれに関心を持っておりますので、その領海十二海里に対する大臣の御決意を伺って、またあとはあとの方に伺います。
  167. 大石武一

    ○国務大臣(大石武一君) 領海十二海里の考え方はこれは世界の大勢でございますし、われわれとしても日本国民の権益、国益を守るためにはぜひこれは早急にやらなきゃならない問題だと考えまして、その準備を進めて努力いたす方針でございます。
  168. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは時間も迫ったようでありますので、さっき羽地大川のダムの問題と宮古の地下ダムの問題と挙げましたが、羽地大川の場合、地元側からは農業専用のダムが欲しいと。ところが、国としては多目的ダムを考えておられるということも聞いておりますが、先ほどの御見解は、すると地元民との調整もなされた結果でありますか、あるいはまだ未調整でありますか、その点をまずお伺いしたい。
  169. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) おっしゃるとおり、この羽地ダムにつきましては、今年度から建設省が特定多目的ダムというようなことで実施計画調査を始めておるわけでございます。これに対しまして地元の方々の御意見も、いろいろ完全に調整がいってない面も多少あるやに聞いておりますので、これはやはり私ども建設省、地元と十分意思の疎通を図りまして合意を得なければならないと。それから、調整ができた上でないとなかなかできにくいというふうには考えております。
  170. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひひとつ、十分なる調整の上に立って進めていただきたいということを強く要望しておきます。次に、宮古における地下水ダムですね。これは、沖繩には先ほどおっしゃったとおりサンゴ礁の空洞が地下にいっぱいありまして、これは本島の南部地区にもいっぱいあることはご存じだと思いますが、それで宮古における皆福ダムを一つのテストケースとして着工する、こういうことになっておりますね。これは、沖繩は降雨量は日本一多くてそして水の最も不自由な島だと、こういう皮肉があるわけです。まあ幸いにサンゴ礁の空洞があって地下ダムが無数にあると、こういうことで、非常に水を効率的に農業用水に使う、こういう面からもぜひひとつこれを急いで早く実現していただきたい。ということは、これは循環方式といいますか、吸い上げて農作物に水を利用する、しみ込んだ水はまたこの空洞にたまる、こういった循環式で最も効率的な水の利用ということになりますので、これをぜひ急いで早く実現していただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、そして本島の南部地区もぜひ早く手がけていただきたい、こう要望いたしたいと思います。  最後に、農業基盤整備事業における特に基幹施設等の整備の重点ですね。まあ四項目——灌漑排水あるいは圃場整備、農道整備、農地開発、こういった基本的な問題がありますね。これに対する問題と、それから次には、いわゆる農地保全にかかわるところの海岸保全施設整備事業の問題ですね。特に沖繩は台風、風水害が多いために護岸の決壊が毎年非常に問題になるわけですが、被害があるわけですが、これに対する御計画。  それから次に、特に要望の強い農村の総合整備モデル事業の実施の拡大ですね。これは特に本土の全国的な状況の中で沖繩がどう位置づけられておるか、そういう点から非常に強い要望がありますので、これに対するひとつ御計画をお聞きしたいと思います。
  171. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 基幹的な土地改良施設といいますか、の整備につきましては、先ほど来お答え申し上げましたように、一日も早くおくれを取り戻しまして、本土の事業もおくれておりますが、沖繩におきましてはさらに促進をしたいというつもりでございますので御了承を得たいと思いますし、海岸事業につきましても、現在第二次五カ年計画が発足いたしております。これにつきましても、沖繩は本土に比べましてやはり整備がおくれているようでございまして、私どももそのつもりで今年度たとえば沖繩に対しましては事業費で一億六千万円という事業費を計上しておりますが、前年対比一四五という伸び率でございます。ちなみに全国は前年対比一一七でございますので、重点的に沖繩につきましては配慮をいたしておるつもりでございます。今後もそのつもりで、この海岸整備につきましても努力をいたしたいと思っております。  それから農村総合整備モデル事業でございますが、これは四十八年度から発足いたしておりまして、五十一年度までに沖繩県におきましては五地区で事業の実施計画を策定をし、うち四地区におきまして事業を実施中でございます。このほか、事業の前提となります国土庁の農村総合整備計画を二カ村で現在作成中でございまして、私どもも今後とも沖繩県におきましてこの事業がやはり相当強い要望があるということは承知いたしておりますので推進をいたしてまいりたいと思っておりますが、特に申し添えたいと思いますのは、補助率につきまして内地はこれは五〇%でございますけれども、沖繩県におきましては三分の二以内の補助ということで事業を実施いたしております。今後そういうような優遇措置によりまして、事業を特に促進をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  172. 小林国司

    委員長小林国司君) 喜屋武君、時間が参りましたので簡潔に。
  173. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これで終わりますが、いまの問題に関連をしてお尋ねしたいのですけれども農林省の五十一年度の全国の調査済みは幾らか、それから同時に五十一年度着工は何カ所か、五十二年度の着工予定はいまの全国規模で幾らか、これをお聞かせ願って、それと沖繩のいまの予定の個所ですね、それをお聞きしまして、私がいままでお聞きした範囲におきましては全国規模は数が非常に多いが沖繩が少ないと。そうすると、平常並みの割り当てにしかいっていないんじゃないか、特に沖繩の立ちおくれを配慮して特別に個所をふやしたという、こういう配慮にはならないんじゃないかという懸念があるわけなんです。ですから、ぜひもっと割り当ての数をふやしていただきたいということを強く要望を申し上げて、もし私の申し上げたことが当たっていないならばこれは幸いでありまするが、そういう声が非常に強うございますので、そのことの実態をお聞きして、さらに数をふやしていただきたいということを申し入れて終わりたいと思います。
  174. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) ちょっと数字でございますのでお答えいたしますと、全国の農村総合整備計画策定ですね、これは国土庁がやっております計画策定の町村が五十一年度八十、それから実施計画作成の、これはもう農林省に移りまして実施計画段階が八十八、それから新規事業採択が八十八というような、五十一年度はそうなっております。ちなみに沖繩におきましては、五十一年度農村総合整備計画作成、いわゆる国土庁関係のところが二カ村、それから実施計画作成のところが一カ村、それから事業実施中のものが四カ村、七カ村でございます。これを仮に市町村数の割合で申し上げますと、全国三千市町村のうち、いろいろ計画策定まで加えますと四百三十というふうになっておりますけれども、これが一四・三%、沖繩におきましては四十八市町村のうち計画策定まで七市町村でございますので一四・六%ということで、ほぼ全国並みに指定がされているというのが数字的な説明でございます。
  175. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの結果、数と私の調査とずいぶん食い違いがありますが、後で調整します。
  176. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この十月二十九日、金曜日にサトウキビの価格が決まると思うんですけれども、私、サトウキビの問題につきまして、一つはビートの価格というものが十月九日に決まっている。それから十七号台風あるいは沖繩で言いますと十三号台風、それから奄美のたび重なる干ばつ、こういう災害の問題。それからもう一つは、サトウキビが私がたびたび申し上げますように、また御案内のように、奄美では一万ヘクタールのサトウキビが植わっている、米は六百ヘクタールしかない、あるいは沖繩で言いますとサトウキビの作付面積が二万ヘクタール、それに対して米はその一割ぐらいの二千ヘクタール。ですから、沖繩、奄美におきましては、サトウキビというのは米よりもはるかにでっかい地位を占めているのだと、そういう立場を踏まえまして若干伺いたいわけであります。  一つは、サトウキビの価格でありますが、ビートが農家の手取り価格としましてはトン一万七千円、六・二五%アップという形で決まったわけでありますが、ですからこれを踏まえざるを得ない。踏まえてここでまず一点は、昨年はビートがトン一万六千円、サトウキビがプラス百円いたしまして一万六千百円という形になっておったんですが、その百円はサトウキビの生産性というのが大変におくれていると、十アール当たりの労働時間だけ見ましても、一方の方は三十時間ぐらい、二十九・五時間と、サトウキビはこの間統計情報部の広報をいたしましたところによりますと百六十四時間と、五倍以上の時間がかかるわけでありますが、非常にそういうふうにおくれているという点等を加味して百円というものがついたわけでありますが、でありますから、今回のサトウキビの価格の決定にありましても、この百円というのは最低確保しなければならぬだろうということを考えておるわけであります。その点について一つ。  もう一つは、ビートにつきまして、作付反別がどんどん減少してきたと、ビートの最大の問題は作付反別がどんどん減少してきたことだと思うのです。かつては六万ヘクタールあったものが、今日四万二千ヘクタールという形に急速に減ってきた。したがって、これを増反をするということで三年計画で増反をすると、年間三千ヘクタールふえた場合はトンあたり五百円の増反奨励金みたいなものを出すということを決めておられるわけですが、そこでビートの場合の最大の問題は、いま申し上げましたように反別がどんどん減少してくるとだと思うのです。サトウキビの場合は、生産性が大変に低いという点にやはり最大の問題があると思うのです。でありますから、ビートに対しまして増反という形で奨励金を出す、一トンについて五百円というならば、サトウキビについて生産性が大変におくれているということに着目をして、それに相当するものをサトウキビについても考えるということが相当であるというふうに私は思っております。ですから、値段の問題について以上二つまずお尋ねをいたします。
  177. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 第一点の、昨年の価格決定を踏まえまして、ビートの一万六千円についてサトウキビの方は一万六千百円であったと、この実績を確保するかどうかという御質問でございますが、その百円は生産費という観点もございますし、いろいろな観点がございまして百円というふうなことに相なったわけでございまして、一概に生産性の低さといいますか、生産費の高さということのみではないのでございますが、ことし価格を決定いたします場合におきましても、お話のようにサトウキビは鹿児島県の南西諸島や沖繩県の農業の基幹的作物でございますから、そういう観点を十分踏まえて適正な決定に努めてまいる所存でございますけれども、私といたしましては、過去にそういう実績があったということは十分これを踏まえて考えていく必要があるのではないかと思っております。  それから第二点のビートの面積の減少を食いとめる、あるいはそれをふやしますための増反の奨励金といいますか、それは私たちは段階的にこれを増産するという観点からその実績を踏まえて金を出すというふうに考えておるわけでございまして、ただ単にトン当たり五百円上積みするのだという趣旨ではございません。結果的には来年ビートがふえますればあるいはそういうことに相なるかと思いますが、考え方といたしましては大体段階的にビートを増産すると、しかもその市町村ごとに目標面積等を決めまして、それを達成したそういう市町村につきまして面積全体について二千三百円を交付するということでございます。  一方、サトウキビにつきまして、その生産性の低さに着目をしてそれに相当するものを考えることが相当ではないかというお話でございますが、今後価格を決定いたします場合に、サトウキビにつきましてはその生産性の向上ということに着目をしての対策をどうするかということにつきまして十分検討してまいりたいと考えておる次第でございます。御存じのとおり、昨年もそういう生産性を上げるという観点から三年間十五億の特別な奨励措置を講ずるという、そういう考え方があるわけでございますから、御指摘のようなその生産性を上げるという観点からいかなる対策を講ずべきかというふうな問題につきましては、今後十分検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  178. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その第一点の百円の問題については、いま局長お話しのように、実績は踏まえていきたいということでありますから了解できるわけでありますが、もう一つの五百円の問題につきましては、私が先ほど指摘いたしましたように、ビートの最大の問題は作付面積がどんどん低下していくということ、それを何らかの形で食いとめそして増反をしようという考え方。それで、実績を踏まえて段階的にということは、三年でということ。しかし、それは結局ビートの価格というものになってくることになります。段階的にビートの価格になるということになりますと、その減反と言うのかな、どんどん減ってくるということに対して、サトウキビの場合については最も大きな問題は、何といってもこれは生産性が低いということ。だから、そこへ着目をしてこれは均衡ある措置をとっていかなきゃならぬ。サトウキビとそれからビートについては均衡のある政策をとる必要がある。その生産性を高めていく上については、いろいろなことが考えられると思うんです。ちょっとやそっとのことではどうにもならぬ段階なんですから。でありますから、均衡をとるという意味において、増反に見合うと言いますかな、増反に見合う生産性というものを考えて均衡のある実質的な価格を決めていくということが相当であると私は思っております。局長、若干答弁に少しあいまいな点があるんでありますが、均衡を失っちゃだめですよ、これ。後で均衡の問題でもう一つ澤邊局長にかみつこうと思っているんだけれども、均衡という問題についてそういう見解でひとつ進めてもらいたいということについての今村局長の答弁をいただきたいと思います。
  179. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 均衡のある措置を講ずることが相当ではないかというお話でございますから、そういう御指摘の点も十分踏まえまして検討をいたしたいと思っております。
  180. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に第二番目の災害とそれから干ばつ——十七号台風、十三号台風、それとたび重なります干ばつ、これに対する問題について伺いたいんでありますが、御案内のようにサトウキビは農業共済対象にいまなっていないわけでありまして、実験段階にある。でありますから、東北なり北海道等の冷害なりあるいは台風による農作物の被害というものとこのサトウキビというものは一概に論ぜられない。もっと困った状態にサトウキビ地域は置かれておるという点から伺いたいわけでありますが、まず一つは、そういう災害の割合は、私が計算しますと鹿児島県の場合、統計情報部の発表によりますと十九億ぐらいの被害を受けておると、こう出ておるんです。それから沖繩の方が、これは沖繩の方は県の報告でありますが、二十四億ぐらいという被害を受けている。鹿児島の場合で言いますと、ほぼ二割五分ぐらいの被害だろうと思うんです。全体としまして二割五分の被害地域によりましては相当な被害を受けておるわけですけれども、全体として見ますと二割五分ぐらいの被害。沖繩の方は二〇%足らずの被害、一八%ぐらいの被害になるのではないかというふうに見るわけでありますが、その場合に、いま申しましたように、サトウキビが共済対象にまだなってないという点等から言いますと、特にこの点については配慮を払っていく必要がある。そういう点を踏まえまして最も重要なことは、やはり買い入れのやり方について歩どまりが落ちると思います。歩どまりが非常に落ちるだろうと思うし、さらに製糖工場にいたしますと操業率が落ちるということになるわけでありますから、その二つを踏まえまして適正な価格というものを考え、あるいは適正な買い入れ方法というものを考えていく必要がある、こういうふうに思っております。  ですから、その点について考え方を一つ伺うことと、もう一つは、自作農創設資金、それから天災融資等々の融資について十分な配慮を払う必要がある。  三番目は救農土木事業ですが、国費で百十億というのが決まって、その中で農林省関係が九十八億、建設省が十二億という予算が決まったわけでありますが、これは被害を受けたサトウキビ地帯に対しても十分な配慮を払っていく必要がある。前回十月の十四日の木曜日の日に同じ問題について大臣と質疑をいたしましたときの大臣の答弁はもらっておりますが、もちろん東北その他がすぐ冬に入りますので直ちに始めなきゃならぬという点はありますが、このサトウキビ地帯に対しても救農土木事業について速やかな対策をとってもらいたい。  この三点についてお尋ねをいたします。
  181. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 第一点と第二点とにつきましてお答えを私の方から申し上げますが、御指摘のとおり本年の災害によりまして、県報告によりますれば、鹿児島県の甘蔗糖企業の操業率は前年に比して一八%ぐらい低下するのではないかと言われております。それから県報告によるサトウキビの製糧歩どまりは、両県とも前年より低下の見込みでございます。これらにつきましては私たちとしまして現在鋭意検討中でございますが、いずれにいたしましても、今回の被害によります歩どまりの低下及びその操業度の低下によりますコストの増加につきましては、糖価安定事業団の買い入れ価格の算定の際に十分に考えて適正に価格を算定いたしたいと思っております。  第二点の自作農資金と天災資金につきましては、私たちの方で鹿児島県あるいは沖繩県の要望を聞いておりますが、現在鹿児島県の要望としましては、天災資金が約三億円、それから自作農資金が約四億円でございます。沖繩県の方は、天災資金の要望はほとんどございませんで、自作農資金を約五億円ということを要望いたしておりますが、私たちとしましては、今次災害にかんがみまして、天災資金及び自創資金につきましてはできる限り県の御要望に沿うように措置をいたしたいと考えておるわけでございます。  なおまた、先生の御質問は恐らく被害サトウキビに対してどういう措置を講ずるかということかと思いますが、被害サトウキビにつきましては、一部被害甚大な圃場では夏植えへの切りかえ等も行われておりますが、収穫期において製糖原料となり得る被害サトウキビについては、会社と農家の間で円満な取引が行われるように県及び企業を十分指導してまいりたいと考えております。しかし、製糖原料になりがたいような被害の著しいサトウキビまでも製糖工場が買い入れるようにすることは、これは非常に困難なことと思っております。いずれにしましても、そういう観点から県及び製糖会社を十分指導してまいる考えでございます。
  182. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 第三点のいわゆる救農土木事業についてでございますが、これは一般的に雇用機会の余り期待できない冷害地帯を中心に要望が強かったものでございますけれども、先般大臣からお答えいたしましたとおり、台風十七号等によりますサトウキビの被災地域におきましても、同様の趣旨によりまして実施基準等に適合するものにつきましては、必要に応じ実施することといたしまして現在検討中でございます。
  183. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今村局長の答弁がありましたですが、冷害その他による米の問題について規格外の米について特例の規格をつくってそれで買うという対策をとっておるわけですが、サトウキビについてもいま局長のおっしゃるように、砂糖に精製できる、砂糖にできるそういう被害サトウキビについても買い入れるように、そういう指導を県あるいは農協あるいは製糖会社等に積極的にするというわけですな。
  184. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御存じのとおり、現在サトウキビの買い入れ価格はブリックス一九度のものと一六度のものとがございまして、ブリックス一九度のものが正常サトウキビでブリックス一六度のサトウキビが正常と言えないサトウキビということで、価格は二本立てになっております。しかし、通常は、大部分はブリックス一九度のところの価格で一本で買っておるというふうな実情にございます。したがいまして、私たちとしましては、一六度のサトウキビにして、そういう調整をして工場に運び込んでもらうというのがたてまえでございます。そういうたてまえでございますが、現在のような被害状況をかんがみれば、その辺は十分みんな、農家の方もそれから県の方も農協も会社も、常識を持って措置をすることが最も適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  185. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまの中に、先ほど答弁がありましたが、砂糖に精製できるという被害のサトウキビも買い入れるように指導するというさっきのさっきの答弁なんですがね、それはどうなんですか。
  186. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 精製して砂糖にできるというサトウキビはたてまえとしてはブリックス一六度のサトウキビでございますから、たてまえとしてはそういうことでございますけれども、まあ一々一六度であるか一九度であるかというわけのものでもございませんから、そこは農家方々も常識を持ってブリックス一六度になるように調整をしていただかなければいけませんけれども農家のそういう努力を払った上でなお会社としまして砂糖たり得るサトウキビを買うように指導したい、こういう趣旨でございます。
  187. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三番目の問題は、これはこの間の十月の十四日の委員会でも一応問題にしたんでありますけれども、澤邊局長の答弁が少しあいまいでありましたので、しかも時間がありませんでしたから重ねてきょうここではっきりさしておきたいと思うわけでありますが、それは農蚕園芸局の甘味資源に対する生産対策、これは、サトウキビについての生産対策は大変伸びがよくて四十九年も九八%伸びる、五十年度も九七%前年に対して伸びるという形で伸びてまいりまして、五十年でほぼビートの生産対策は八億二千万、それからサトウキビの生産対策は八億一千万か二千万ということで、甘味資源についてのビートとサトウキビの均衡がとれて、五十一年度もほぼ生産対策は二十二億円、その中の半分がビート、半分がサトウキビとこうなっておったわけでありますが、われわれはこれでもまだサトウキビは大変不足だと、もっとやっぱりいままで伸びてきたような勢いで伸ばしていかなきゃならぬと思っておったところが、五十二年度の農蚕園芸局がお決めになって大蔵省に出しておられるものは、大変われわれの期待に反しまして、ビートの方は八四%前年に対して伸びて二十二億円と、サトウキビの方は一三%の伸びで十一億という形になりましてビートの方が二倍になっちゃったんですな。ですから、サトウキビは余りにもこれは不均衡じゃないかということでこの間もお話をしたんですけれども、私もっと具体的に申し上げればよかったんだけれども、時間がなくて具体的に言えなかったんですが、こういう非常に不均衡になってくる。しかも、ビートにつきましては、今回新しい項目が一つできて、新しい項目として十一億というものがプラスになったものですから二十二億を超すものになったと。こういう状態では私は悪い、まずいというふうに思うわけでありまして、でありますから、私はぜひこの点についてひとつ改善をしてもらいたい。で、先ほど今村局長もちょっと言いましたですが、三年間に十五億という金があるわけであります。小さな規模の土地改良あるいは農薬をどうするとかということで生産性を高めていくというような形で十五億というのがあるわけでありますが、これを大幅にふやすという形でこの不均衡を是正するといいますか、あるいはもっと正確に言えば、サトウキビのおくれを取り戻していくという考え方が必要ではないかと、こう思っておるわけなんです。これについて、時間の関係もありますからついでにもう一つ言っておきますが、それは基盤整備ですね。サトウキビの基盤整備をふやして要求しておられる、四四・七%五十二度はふえるという形で要求しておられることは、非常にその見解を評価するものであります。また、品種改良なり優良品種の育成あるいは農機具の開発その他のことをいままでたびたび私も強調してまいったところでありますが、そういう意味の試験研究関係の経費というのが来年、五十二年度の要求としてほぼ二倍になる、二倍をちょっと超すというぐらいにサトウキビ関係の試験研究の費用というものをふやして要求しておられるということについても、これは敬意を表するものです。でありますが、生産関係についてこのように低いものではこれはおかしいじゃないか。で、いまここでこの問題をどうするということになれば、結局三年間に十五億という金をはっきりやはりふやしていくという、そういう対策をとらなければできにくいのではないかという私は感じがするわけでありますが、そういう点についての局長の答弁を願います。
  188. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) お尋ねの趣旨は、五十二年度のサトウキビの生産対策関係の予算の伸びが前年度に比べて、てん菜と比べてはなはだ低いという点の御指摘であるわけですが、確かに五十二年度生産対策関係予算といたしまして現在大蔵省に概算要求いたしておりますのは、てん菜では二十二億、サトウキビでは十二億と、これはもちろん基盤整備関係は除いておりますが、前年の伸びがてん菜の方が八四%であり、サトウキビは一三%という点は御指摘のとおりでございます。  ただ、ここで若干御説明させていただきますと、昨年からことしの伸び、あるいは一昨年から昨年の伸びという点では、五十一年から五十二年の伸びは低いわけでございますが、先ほども先生ちょっとおっしゃいましたけれども、五年前の四十八年から比べれば、長い目で見れば伸び率は生産対策関係予算だけで見ましても、サトウキビの方がてん菜関係よりも五年間の伸び率が大きいという点も、長い目では御理解をいただきたいと思うわけであります。それからまた、てん菜関係の二十二億、去年の十二億に比べて約十億ふえておるわけでございますが、これは名前はてん菜輪作営農団地育成事業費というふうに書いてございますが、実はてん菜だけをというふうに、関連が深いわけでございますけれども、てん菜だけの関係予算といいますよりは、てん菜を基幹作物として合理的な輪作を北海道畑作において組むためのそれを促進するための予算と、こういうことでございます。たとえば、数年間永年草地を栽培いたしますと生産力が落ちますので五年目に一遍ひっくり返すと、その際一作一年だけビートを入れるというような予算、それを促進するための予算とか、あるいは畑作の主産地で四年ないし三年の輪作を組むためには、基幹作物であるビートを地質が弱いために土壌改良をやるというような観点から組んでおるわけで、広い意味ではてん菜だけではなくして幅広い畑作全体の予算というふうにも考えられるわけでございますので、これをそのまま比較するのもいかがかという感じがいたします。ただ、そういうことはいろいろございますけれども、ただいまお話ございましたように、ビートにつきまして今年度の価格決定に絡みまして来年度増反した部分につきましては反当二千三百円の奨励措置を講ずるということを決めましたので、それとの関連におきまして均衝ある措置をという御趣旨だと思いますが、その点につきましては、近く行われますサトウキビの価格決定の際に御趣旨の点も十分念頭に置いて、来年度の施策につきましてサトウキビについてさらに何をなすべきかということは十分検討してまいりたいというふうに思います。
  189. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間が参りましたのですけれども、サトウキビの生産対策について非常におくれているからひとつ運動をやってもらいたいんだという再三の強調をしてきたわけですね。そこで、どんどんふえまして、それで五十年でほぼ均衡のとれるような形にふえてきたわけです。五十一年も均衡とれておった。いま精製糖に直した場合にサトウキビも二十二万トン、てん菜も二十二万トンという形になってほぼ同じだ、全く同じと言ってもいいくらい。さらに、これからサトウキビというのは、先ほども申し上げましたようにこれは米よりはるかにでっかいんですよ、あの地帯にあっては全然違うんですから。ビートはこれはバレイショと競合しているわけですし、そのほか牧草とも競合しています。ところがあそこは競合するものがありはしい。ですから、これはやっぱり私はこの生産対策について、品種もこんなにおくれている品種はないんじゃないか、サトウキビみたいに。農作物の中でこれは例外中の例外ですよ。ですから、そういう意味でこの生産対策については、サトウキビについてはもっとやってもらわなけりゃ困るんだと。これはふえる可能性がうんとあるんです。かつて沖繩だって三万ヘクタール超しておったわけです。奄美でも一万三千ヘクタール以上にあったことがある。そういうふうにぐっと持っていけるわけです。ですから私は、先ほども言ったように、これはいまこういう予算が出されておるわけですから、これはどうだこうだと言うわけにはいかないから、先ほど言った三年間に十五億という金があるんだと、その金をこの価格が決まる際にこれを倍増するという形で補うということが賢明ではないか、あるいは相当ではないか、こういう考え方を言っているわけです。
  190. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 倍増するかどうかという率の問題は別にいたしまして、現在、ことしから、実質は五十年度の流用からやっておるわけでございますが、実質三年間でやっております十五億の予算を増額するという点につきましては、ビートとの実質的均衡ということも十分念頭に置いて検討してまいりたいと思います。
  191. 小林国司

    委員長小林国司君) 他に御発言もないようですから、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会      —————・—————