運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-10-19 第78回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十九日(火曜日)    午前十時四十分開会     —————————————    委員異動  十月十六日     辞任         補欠選任      宮之原貞光君     中村 波男君  十月十八日     辞任         補欠選任      中村 波男君     前川  旦君  十月十九日     辞任         補欠選任      前川  旦君     志苫  裕君      相沢 武彦君     桑名 義治君      小笠原貞子君     安武 洋子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林 国司君     理 事                 青井 政美君                 辻  一彦君                 相沢 武彦君     委 員                 岩上 妙子君                 大島 友治君                久次米健太郎君                 温水 三郎君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 神沢  浄君                 志苫  裕君                 宮崎 正義君                 小笠原貞子君                 塚田 大願君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  大石 武一君    政府委員        外務省欧亜局長  橘  正忠君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君        農林大臣官房長  森  整治君        農林大臣官房審        議官       杉山 克己君        農林省農林経済        局長       吉岡  裕君        農林省構造改善        局長       岡安  誠君        農林省農蚕園芸        局長       澤邊  守君        農林省畜産局長  大場 敏彦君        農林省食品流通        局長       今村 宣夫君        農林水産技術会        議事務局長    平松甲子雄君        食糧庁長官   大河原太一郎君        林野庁長官    松形 祐堯君        水産庁長官    内村 良英君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        外務大臣官房外        務参事官     井口 武夫君        外務省アメリカ        局北米第二課長  斎藤 邦彦君        厚生省保険局国        民健康保険課長  舘山不二夫君        海上保安庁警備        救難監      山本 了三君        自治大臣官房参        事官       平岩 金一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     —————————————
  2. 小林国司

    委員長小林国司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、前川旦君が委員辞任され、その補欠として志苫裕君が選任されました。     —————————————
  3. 小林国司

    委員長小林国司君) 農林水産政策に関する調査のうち、当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 神沢浄

    神沢浄君 きょうはみっちり大臣と少し農政論議をしたいというふうに考えていたんですけれども、大臣の御都合でもっていま時間の査定に大なたをふるわれてしまって大変持ち時間が短くなってしまったもんで、ごく要点だけを私も持ち出しますから、大臣の方でもひとつそのものずばりで御答弁をいただきたいと思うんです。  まず第一点の問題として、前回の委員会論議などを通じて私が受けとめましたのは、寒冷地稲作という問題についてどうも大臣考え方は、米の生産に無理のようなところに米をつくることの方が間違いじゃないかと、適地適作的な考え方を述べておられたと思うんですけれども、私は多少の疑問を持つわけでありまして、というのは、やっぱりいまの寒冷地稲作というものが定着をしてきたにはそれなりの長い歳月の歴史というものがあるわけであって、観念的に考えればなるほど適地適作というようなことも言えるでしょうけれども、農民だって自分の生活のことですから、いままでそれこそ必死の知恵を働かしながら今日になってきておるわけですから、やっぱり稲作が一番有利であるということでもってきておることに間違いはないわけなんで、そうなりますと、適地適作と言っても、これは言うことは容易ですけれども、なかなかそのようには私は簡単にはいかぬではないかというふうに思います。  むしろ、私が指摘をしておきたいと思うのは、今度の冷害などの中身を私も冷害調査に参りましたが見ておりますと、政策というか、政府の方の指導上の問題の方にむしろいろいろ難点や、あるいは不備の点があったのではないか。学者の説なんかに基づきましても、寒冷地稲作基本に戻すべしということを書いておられることが多いようであります。  たとえば、今度の冷害などを反省してみると、耐冷安品種からどうも良質米、これの方が勘定がいいんですから無理がないんですけれども、こういうようなものへ走らしてしまったというふうな点があるんで、やっぱりこれは寒冷地稲作というものを安定をさしていくには、この耐冷安品種というふうなものから外れるようなことをさしてはならぬというような点が、歴史の上でも何か南部藩は、昔のことですけれども、晩稲禁止令などというものを出しているような事実もあるようでありまして、そんな点からいくと、何か昔の方が真剣で賢明だったというようなことにもなりそうであります。そういうふうな点と、それからやっぱり減反政策などというものの結果としてどうも農民生産意欲というものを減退をさしてしまって、土づくりというふうなものから手を抜かしてきてしまった。だから、気象の異変なんかに対する土地の免疫力というものを非常になくしてしまった。こういうふうな点ですね。それからやっぱり農業の、まあ価格の問題を初め非常に経済的に不利な点が多いもんですから、早く出かせぎにも出なきゃならぬというふうな点でもって、そういう意味での機械化などが進んで、ついに機械化が稚苗田植えというふうなものに走らせていって、どうも稚苗というようなのはああいう寒冷地では出穂期をおくらしてしまうもんですから、冷害などにはきわめて弱くなってしまう。こういうような点がいま指摘をされているんですが、したがって私は、ただ単に米づくりのむずかしいところには米をつくらせなくてほかのものをつくらせるというようないわゆる観念論的な考え方では、これはもうとても歴史を変えるなんというわけにはまいらぬじゃないか。むしろ、いま申し上げたような反省点に立って寒冷地稲作というものに、本当にそれが成り立つような指導の姿勢の方がこれは基本ではないかと、こう思うわけなんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  5. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いま神沢委員の御意見をいろいろ承っておりますが、私も大筋の考え方においては同感でございます。  実は私は、寒冷地においては米をむしろやめて別なものにかえたらいいではなかろうかという考え方を申し上げましたが、それは確かにいま言われたように観念的な考えに近いかもしれませんけれども、しかし、やはり条件のいいところにはいろんな条件に適合したやはり作物をつくることが、一番私は農民にとってやりいいのじゃないかと思うのであります。そういう意味で、いま言ったように、条件の悪いところにはできるだけいろいろ工夫いたしまして条件のいいような、たとえば米をつくることは仮に必ずしも適当でないところは米をやめて、やめろと言ってもそれは強制的にはできませんけれども、別な作物を奨励して、それを何とか米に劣らないような収入のあるような方向に持っていけやしないか、そのような考え方はどうだろうということを申し上げたのでございますが、だれが考えたっていま米をつくることは非常に収入の多くなることでもありますから、当然これはなかなかそういうことを言ったって簡単にできるはずはないのであります。また、おっしゃるように、高冷地でも寒冷地でも、仮に米づくりが定着して、大体においていい品種をさえ選んでいけばやれるというようなところは、何も無理に米づくりをやめる必要はないと私も思います。そういう意味で、一般的な物の考え方がそうではなかろうかということを申したのでございまして、すぐ米づくりをやめさせろとかなんとかということは別に申したわけではありません。  それから、確かにおっしゃるとおり、いままでの農林行政が全部一〇〇%りっぱであったとは申されないと思います。これは御承知のように日本の国の経済あり方が大きく変わりまして、あの高度経済成長の十数年の時代がどれほど日本のいろいろな行政や政治の方向を曲げたかわからないと思います、これは農政だけではなくて。そういう意味で、農政も心ならずもいろいろな方向に私は曲げられた面がたくさんあると思います。そういう意味でこれはやはり反省して、もう少し地に足のついた、本当に農民のための長い将来を考え農政に転換さしていく時期がとうに来ているのではなかろうか。まあこれは一般論みたいなことになりますが、私はそう思っている次第でございます。  たとえば、うまい米をつくる問題にしても、うまい米をつくることは私は妥当だと思うのです、これは。条件のいいところは何でも改良することが必要だと思います。しかし、そのあり方をすべてのものに適用させるということは不可能でありますし、またそれが、農林省は別にそのことを無理無理押しつけるんではないのですけれども、やっぱりだれでもよけい所得が欲しいと思いますから、高冷地でもつい耐寒性のものを捨てて、ときにはいろいろな弱いうまい米をつくるということになりがちでございます。こういうものについては、やはりできるだけ親切に指導することが当然だと考えております。
  6. 神沢浄

    神沢浄君 その辺はちょっと論議したいですけれども、とにかく時間がないからどんどん進みます。  次に、私はこの間の論議を聞いておって、例の食管制度にかかわる問題ですが、大臣生産消費米価の一本化、要するに逆ざや解消というふうな点をこれは言われているんですけれども、その際この食管制度根幹は守ると、こういうふうにたしかおっしゃられました。私はこの食管制度根幹というのは、これは一つはやっぱり主要食糧管理統制。それからもう一つは、やっぱり二重米価制度ですね。これが食管制度のまさに骨組みであって、いまや自主流通米なんという仕組みを取り入れちゃって、この管理統制の方はもうやっぱり空洞化、穴があいちゃっておるのですよね。それに加えて、今度価格の方の一本化を図るということになれば、食管制度というのは事実上骨抜きになってしまうじゃないかと私は思うわけです。そういう点で最初見解をまずお尋ねをして、また聞き終わったらお尋ねをいたします。
  7. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 食管制度につきましては、私何遍も食管法を読んでみましたが、問題は国民のために必要な食糧確保を図るということ、そうしてここにありますように、国民食糧確保を図りまして、そしてその需給及び価格の調整と配給統制を行うことを目的とするということが原則でございます。しかし、このような原則は、私は当然でありますが、時代とともにその中身にありましてはやはり弾力性を持って変えていかなければならないものだと思います。そういう意味で、今日はすでに統制ということはなくなりまして、御承知予約制度、要するに供米制度がなくなりまして、御存じのように今度は予約制に変わっておるわけであります。中で適当に時代に合うように変えております。このようにして、やっぱり中身はだんだん弾力的に目的あり方は変えていかなければならないのではないかと思うのであります。  で、初めこの二重米価あり方は、確かに戦後あのように日本国民食糧が非常に生産が減退し、また国民全体が貧乏で主食確保にも事欠く状態でありましたから、農民のために生産意欲を向上させるということと、それから一般国民に対して安い食糧を与えて、生活を安定させた上で経済の発展に働いてもらうという方針のもとにこの二重米価がとられたわけでございますが、これは妥当で本当に時宜を得た政策だと思います。そのことが大きな一つの土台となりまして、その後経済の復興が行われ、あげくの果てはこの高度経済成長まで進みまして今日の状態になったのだと思うのであります。  そういう意味で、すでに二重米価あり方はその目的を達成したと思います。現在の段階ではこれだけの国民——それはもちろん社会福祉的な立場は十分考えなければなりませんが、全般的に考えますと、大多数の国民生活は安定しましたし所得も非常に多くなりました。この際、二重米価を堅持する必要は、私はその段階は過ぎたのではないかと思います。やはり一本化で私はいい時期が来たのではないかといま考えるわけでございます。そういうことで、二重米価ということは、私この食管制度根幹と思いません。食管根幹というものは、国民のために必要な食糧を絶対に確保するということ。それからもう一つは、近ごろではやはり同時に、国民生活安定は十分できましたから、今度は農民生活を守るために私はこの食管制度——つまり現在の管理制度配給ことに統制は、要するに考えてみれば、農民に対して米の最低価格を保障していることだと思うのです、これは。これが私は農民生活の大きな基本だと思います。そういう意味で、私はこの制度根幹はそこにあると思うのでありまして、二重価格というのはそれほど私は根幹にはちょっと関係ないような気がいたしまして、幸いに五十一年度から農林省はそのような逆ざや解消方向に出てまいりましたから、私、この決断に沿ってこれを進めてまいりたいと思うのでございます。
  8. 神沢浄

    神沢浄君 私は、その点に非常に疑問を感ずるわけなんです。いま食管制度根幹たるものは国民のために食糧確保する、そしてひいては農民生活を守る、これはおっしゃることは結構なんですよ。しかし制度として考えた場合に、さっきも申し上げたように、いまの食管法というものの仕組みは何といってもこれは主要食糧管理統制であり、同時に国民経済の上から言っての二重米価仕組みですね、これが骨組みで、これをどっちももうすでに——しかし自主流通米なんという制度が採用になって、この間私は宮城県に行って聞いたんですけれども、宮城県の場合などは七割から八割が自主流通米だというんですね。そういうようなもう実態になってきておるのに、今度はまた米価一本化。それも考え方としては、現状の経済情勢の上でもってある一部の考え方には、国民食糧確保については消費者の皆さんにもそれは負担をしてもらうことが必要だと、これは一つ考え方だと思いますよ。思いますけれども、そういう見地に立っての当面の考え方ということであればまだしもですが、二重米価解消するということになりますと、これは食管法なんというものは全く意味のないものになってしまう。これは大体法律を変えなきゃならぬ。何か法律を変えるところまで考えておられるかどうかという、そんなような点と、仮に大臣がそういうふうな考え方というものを持たれておやりになるとすれば、私は食管制度というものが維持されていくためには、一方における管理の面の自主流通米なんという制度は私はやめちゃった方がいいじゃないか、こう考えます。この二つのものがいまの政府考え方みたいに進めば、これは丸紅モチ米をやみでもってどんどん買ったようなことが今度は米に起こってくる。その場合どこでもって統制がしていけるか、重大な私は問題になってくると、こう思うんですけれども、その辺の御見解をお聞きしたいんです。
  9. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私は、この食管法の中には二重米価というような制度というものはないと思います。これは昭和二十三年からだと思いますが、これは便宜上、いま先ほど申しましたように、食糧の増産と国民生活の安定という意味でこういう方法考えたのだと思います。  ここの中に書いてあります、実際、米は農民から、以前はこれは供米でありました。取り上げておったんです、食管制度では。それが時代に合わないと、このように米の生産も多くなって取り上げる必要もない、いわゆる十分だということになりまして、食管制度の中の政令改正か何かによりまして、そのような供米制度をやめて、そして予約制度にいま変わってきている状況でございます。したがいまして、中身時代で変わって、これを弾力的に時代に合わしていくことがやはり食管法を堅持する上において私は一番大事じゃなかろうかと思います。そういう意味では、二重米価ということは別にいまの段階では必要がないと思うんです。農民生産も多くなりまして、国民のための米は十分に確保されるようになりました。それから国民生活水準所得も多くなりました。いま月に五百円、六百円の、考えてみれば二重米価というのは、米の、主食補助金を出しているとも言えると思います。いまの時代に、多数の国民に対して米の補助金を出さなきゃならぬほどの国民経済状態ではないと思います。そういう意味で、なるほどそれは国の補助金を減らせば国民は不満が多いかと思いますけれども、いろいろほかの物価も上がっている、所得も多くなっている、いろんなことを考えますと、ある程度これは何年かの段階においてやればがまんしてもいただけるのではないかと思いまして、二重米価という考え方はやはりこの際なくした方がいいというのが私の考え方でございます。
  10. 神沢浄

    神沢浄君 まことに問題の点であることは間違いがないですけれども、そんな論議をしていると時間がなくなっちまうから、この続きはまた後の委員会でやりましょう。私は、どうもいまの大臣の御意見には納得しかねます。私は、これでは食管制度というものは事実上空洞化されてしまう、ないと同じになってしまう。結局は、資本などの投機的介入なんというものが始まることはもう避けられぬと思います。これは丸紅モチ米の例がよく示しておりますが、そんなことになったらこれは大変だと思いますから、その辺はもう少し論議を深める必要がありますが、またいずれ後の委員会にでも譲りたいと思います。  次に、今度の冷害調査でもって、私はそれ以前から問題にし続けてきておる点ですけれども、いまの農業災害補償制度というのは名前はごりっぱだけれども、実際それはその名前のような役割りになっていないという点ですね。ちょっと後の論議のために先に伺っておきたい点があるんですが、これは大臣でなくて結構です。足切り問題、いま米の一筆単位共済では三割が足切りということになっているわけであります。そこで、三割以下は補償されないんだから、三一%、三割を一%超えた三一%被害の場合には実質補償率はどのぐらいになるか、それから、五〇%被害の場合には実質補償率幾らになるか。それから、八九%被害の場合には実質補償率幾らになるか、これを先にお伺いをしてから後の論議をしたいと思います。
  11. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 先生からお話がございましたので、私どもの方で試算をいたしました結果、次のようなことになります。  まず、計算方法でございますが、一筆単位引き受け方式の場合の支払い共済金は、先生承知のとおり、組合等が選択をしましたキログラム当たり共済金額、これに当該耕地減収量から一定部分、いわゆる足切り部分というものを差し引きまして得た量を掛けまして算出をいたすわけでございますが、それと、それから当該耕地の平年収量、これを基準収穫量というふうに考えまして、これにその年の米の代金先生承知のとおり、共済の場合には前年度の米価基準にして引き受けが行われるわけでございますが、その年の米代金を平年収量に掛け合わせまして出ました金額、それとを比較してみるという手続をとるわけでございますが、全国平均で見まして被害率三一%の場合のその補てん率は一%、それから被害率五〇%の場合には一六%、それから被害率八九%の場合には四六%ということになるわけでございます。
  12. 神沢浄

    神沢浄君 それで、しかもそれは制度上の計算でそういうことですけれども、基準反収実収というものはまた違うわけですね。これは税金などの関係もありまして、仮に百キロとれるものも実収では基準反収は恐らく九十か八十になっているわけでしょう。ですから、私もこの事業にいままで関係もかなりしてまいりましていつも感じてきた矛盾ですけれども、三割被害というと、災害なかりせばのときの農家実収にいたしますと、実際はもう五割近い被害なんですね。実態では五割近い被害にならなければ制度上の評価の三割被害にはなってこない、実収とそれから基準反収というものの相違の上から言ってですね。しかも、制度の上からだけの計算をしても、さっき御説明のように三一%ではわずか一%補償、それから五〇%被害、これは五〇%被害と言ったって、さっき言ったように、実収から考えますとそれこそ六割被害になるか、あるいはもっとになっているかもしれません。それに対してはわずかに一六%補償。八九%なんていえば、これはほとんどもう全損に近いわけですよね。それでも何か四六%ですか。これでは、私はないよりましだということにはなるかもしれませんが、本当に被害をこうむったときの農家の救済にはなりませんね。私は抜本的にこの制度見直しというものをすべきじゃないか、こういう感じがしてならないわけであります。足切りといって下を切っちゃって、しかも上の方は共済金額ってのは米価の九〇%でしょう。上の方をまた一割切っておる。まん中へこうわずかに押し込めておるということになりますと、この制度は生きないですよ。  ですから、これは私の経験上の意見ですけれども、やっぱりこれは比例てん補方式に変えるべきだと。一割の被害にはやはり一割の補償をする、三割の被害には三割の補償をしてやるという比例てん補方式に変えるということと、それから実際の運用の上の問題からすれば、実収基準反収というものをとにかく近づけるというか、これを一致させるような方法というものがとれないかどうか、この制度を生かすために。こういうようなことをいままでも感じてまいりましたが、今度冷害調査でもってああいう被害地へ行ってつくづく感じさせられました。意味がないですよ、この制度は、本当に被害を受けた場合には。まあ繰り返すようですけれども、この足切り問題、頭切り問題、それからいまの基準反収とそれから実収との格差を解消するという、ここまでいかなければ私はこの制度というものは生きないじゃないか、こう思います。この際、もう抜本的に見直しをしていただけるかどうか、ひとつ見解を承りたいと思います。
  13. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまの比例てん補方式でございますか、こういう方式はこれは一つのいい考え方だと、私もしろうとながら思います。  ただ、御承知のように、このたび前の国会で大幅な制度改正が行われまして、来年の二月から実施することになるわけでございます。やはりこの改正を尊重いたしまして、ある時期これをやっぱり見てまいりたいと、そうして折りを見ていまのようなお考えをひとつ取り入れて考えることが必要じゃないかと思います。ただ、いまの段階では、比例てん補方式でございますが、これも一つの私は農家にとりましていい方法だと思いますが、いろいろな国庫補助率の問題とか、掛金の問題とか、あるいは損害の評価の問題、いろいろな問題もございます。こういうものをやはりこれはできるだけ十分に検討いたしまして、ひとつこれを前進的に考えてまいりたいと、こう思います。  それから、あとの基準とか技術的な問題については、ひとつ局長からお答えさせていただきます。
  14. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 足切りは、先生承知のとおり、保険制度一般に伴う問題でございますが、やはり農業共済におきましては、農家の相互扶助に基づきまして、零細な軽微な損害についてはやはり自己補てんをするということが、モラルリスクを防ぐという観点からも必要であろうということで設けられておる制度であるわけでございまして、これをさらに引き下げるということになりますれば、先ほど大臣のお話もございましたように、農家掛金負担の増大でありますとか、損害評価の問題とかいうような問題がいろいろ出てくるわけでございます。将来の長期的な検討課題であろうというふうに考えております。  それから、基準反収の問題でございますが、これはやはり平年反収という考え方をとりませんと、ある単年度だけの反収をとりましてそれから被害量を算定するということは、非常にその年による振れが大きくなるわけでございますので、過去何カ年かのやはり平年反収というふうなものを基礎にして基準反収をつくり上げていくという方向はやはり必要なのではないか。問題は、それができるだけ実態に即した形で決められていくということが必要であろうというふうに思うわけでございます。私から補足的にちょっと御説明いたしました。
  15. 神沢浄

    神沢浄君 そういうふうな御説明を聞いておりますと、何か平年反収と基準反収というものが同じようなものだと、こう思わされてしまうんですけれども、平年反収というものに私は問題があるんだということを指摘をするわけです。平年反収というものが、本当にこれは農家実収に合っているのかどうなのか。どういうところからその平年反収というものをとってきておるのか。これはもちろんこういう事情はありますよ。ほかの税金の制度その他との絡みで、余り収入があることになると税金がよけいになるものだから、そういうようなことでもって報告される数量などというものが多少調整をされますから、そういうようなものがやっぱり出てきてこれが平年反収と言われている、そのこと自体が農家実収とは違うんです。そこら辺をやっぱり解消していくような方法というものが考えられなきゃいかぬのじゃないか。こういう点を申し上げているわけです。まあよろしいです。これも論議をやっている時間がないんで、あと十分しかなくなっちゃったものだからこれもまた後回しにしましょう。問題点の提起というだけのことにしておきましょう。こんなものにかかわり出すとそれこそほかのことには何にも触れずに終わってしまいそうですので、後へ進みます。  これはちょっと話が変わりますけれども、新聞でも書いておるんですが、私も自分の県にかかわる問題ですから非常に関心を持っておるんですけれども、例の南アルプスのスーパー林道の問題ですね。あれで、これは大臣が環境庁の長官当時、かなり批判の姿勢を示されておられたわけです。今度は森林公団の責任を持たれる立場に立っておられるんで、この間の新聞報道などによりますと、大臣はやっぱりあの林道問題には考え方は変わらないと、その批判の立場は不変であると、こういうふうに言われたのに対して、それならば森林公団の方でもってあれは取り下げてもらえばいいんだということを環境庁の側では言っておるというような内容の報道が出ておりまして、私も見ました。どうですか、大臣、ひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
  16. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私が五年前でありましたか、環境庁におりましたときに、一時あの工事をストップして再検討するようにということを決めましたわけでございます。いままでそのような凍結的な方針が続いておるようでございます。  どうするかと、私はやはり自然環境を守るためを中心として物を考えることが正しいといまでも考えております。仮に環境庁が、そんなことを言うならば農林省で取り下げたらいいじゃないかと言いますのは、それはそんなこと言うはずは環境庁はないと思いますが、そんなことを言ったとすればこれは私は堕落だと思います。そういう意味でそんなことを言うはずはないと思います。ただ、私はあれをあそこで打ち切ってしまったらいいのか、あるいは他の方法で、もう少しいろんな自然をそう無意味に破壊しない方向で何か目的を達することができないのか、そういう方法を検討して、そういう努力こそ一番大事だと思います。その結果で、どうしてもできなくてあそこでぶち切る以外にないという結論になればそれはやむを得ませんけれども、できるならばやはりあれだけ国費を二十何億かけてあるのですから、これはやはりできるだけ生かした方が私は意味があると思う。ですから、そのように自然環境を守りながらこれをうまくずっと完成するような方向、これを検討するのが私は環境庁の仕事でもあり、われわれの林野庁の方の考えでもあると、こう考えまして、できるだけこれは話し合いによって一番具体的な正しい方法を見出してほしいというのが私の願いでございます。
  17. 神沢浄

    神沢浄君 ついでですのでお伺いしますが、私はスーパー林道というものにかなり疑問を持つんです。林道というものはやはり林業のためのものでなきやならぬと思うのですが、私の県の関係ですから私も承知をしているんですけれども、あんなところはみんな禁伐区域ですから、ほとんど自然公園の特別保護地域やらあるいは特別第一、第二地域というようなもので、ほとんど禁伐区域でもって木なんか切れるところじゃないわけです。あそこへスーパー林道という名の道を通すということは、これは観光道路というのか、結果としては地域にはただ公害を残し、あるいは観光資本なんかのためにだけ協力をするようなものを、林道として森林行政でもって何もそんなものを請け負う必要はないじゃないかという、私はこういう見解を持っているわけなんですけれども、ついででございますから、ひとつ大臣の御見解もお聞きしておきたいと思います。
  18. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私、神沢委員と全く同感であります。少なくともスーパー林道と言う限りは、森林の資源をどうするかというところに中心がなければなりませんが、あれは明らかにどうも観光道路がほとんど中心であるという判断をいたしましたので、実はああいう処置に出たわけでございます。でありますから、いやしくも農林省が、林野庁が国費を使って、いろいろな国費ばかりでなく資本もありましょうが、使ってやる以上はやはり本当に正しい内容、正しい信念を持ってやらなければだめだと、こう考えておる次第でございます。
  19. 神沢浄

    神沢浄君 時間を厳守するように委員長からきつく命令をいただいておりますので、三点ばかり冷害関係について質問を並べますから、二十分までで時間が終わりますから、答弁もその中でもってひとつ合わせてお願いしたいと思うんですけれども、一つは、歩いてみますと、まず地方税の減免をしてほしい。それからそれとあわせて、国民健康保険税の減免を要望をしております。しかも、国民健康保険税の場合はこれは税金が入ってこないんだから、そうすると事業の運営がこれはもう非常に困難をする。これに対してはどういうふうな対応を国は考えてくれておるか、こういうような点ですね。  それからもう一つは、やっぱり救農土木というのが各被害地域の一致した強い要望だけれども、その救農土木の中でも特に大概これはもう山間部ですから、国有林なり何なりあるわけですね。だから、そういう林野の事業の方でもって何とか働けるようなそういう機会を提供してもらいたいと、こういう要望がこれは一致してどこでも強かったわけであります。これに対して、時間の範囲内でもって御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  20. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまのお話の地方税並びに健康保険税の減免の話でございますが、これはやはり各地方庁、関係の役所でそれをやってくれることと思います。われわれの方から、そういうことをしてほしいとか何とか申し出ることは失礼と考えるわけでございます。  それから救農土木のことにつきましては、林野関係につきまして大いに一つの大きな重点を置こうと考えております。その具体的なことにつきましては、ひとつ林野庁長官からお答えさせたいと思います。
  21. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) お答えいたします。  風水害あるいは冷害災害が発生した場合におきましては、地方税につきまして期限の延長であるとか徴収の猶予であるとか減免の措置を講じ、災害被害者の救済対策について遺漏のないよう地方公共団体に指示しているところでございます。これに伴います減収分につきましては、その実情等を勘案しながら特別交付税の配分において配慮することといたしております。
  22. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) 冷害による被害農家に対しましては、国民健康保険税の減税を市町村の条例によって行うことといたしております。その結果、国民健康保険財政に収入減がもたらされるわけでございますが、国といたしましては、特別調整交付金を交付することによって国民健康保険の健全な運営を維持してまいりたいと、かように考えており、すでに調査を実施中でございます。
  23. 松形祐堯

    政府委員松形祐堯君) 御指摘のような冷害対策にいたしましても、なるべく手間をかけて労賃として支払われるということで間伐、除伐等を、民有林につきましては、無利子の林業改善資金とかあるいは農林漁業金融公庫造林資金等を利用いたしまして、なるべくこの時期をはずさないように努力してまいりたいと思っておりますし、なお国有林につきましても、治山林道の一部と除、間伐というようなことを現在その緊急度につきまして鋭意検討をいたしておるところでございます。
  24. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 私は、昭和十五年から農村に住みまして、長い間診療所を開設してまいりました。農業あるいは農民生活実態というものをこの目で見、はだで感じてまいりました医師でございまして、このたび大石農林大臣が私と同じ医学の道を歩まれた先輩であるということから、私、農政について今度はもう一大転換があるのではないかという大変な期待を寄せている一人でございますので、今後よろしくお願い申し上げたいと思います。きょうは時間がございませんので、主に農村婦人の問題ということにつきまして大臣の御所見をお伺いしたいと、そう考える次第でございます。  現在の日本農政考えてみますと、国内外の農業生産といういわば経済行政に傾き過ぎていて、そして農村や農民の別な側面、すなわち農民の心とか、あるいはまた農民生活、その中には健康の問題とか環境の問題とかいろいろなことがございますけれども、そのようなことの重大性というものを非常に軽視しているように考えられますけれども、いかがでございましょうか。
  25. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私は全く同感でございます。  いま日本で一番大事な農村の各地域の連帯感と申しますか、お互いの助け合いなり、お互いに共同でその地域を守っていこうという考え方が、いろいろな経済情勢その他の問題によりまして崩れてきているような気がいたします。まことに残念に思います。
  26. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 大体ここ十年ぐらい前から高度経済成長のあらしを受けたという、そういうことは農村は非常に大きなあらしを受けているわけでございまして、私どもの方の農家におきましても、みんな季節労務者になるとか、あるいはまた他産業に転ずる、そのようにしなければ生計が成り立っていかないというような状態でございます。本当に専業農家が少なくなりまして、もう農村は兼業農家群の集落体というようなかっこうになりまして、農民のその階層分化が進んでいるというような感じでございますけれども、御存じのように農業人口も年々少なくなりまして、昭和四十年には一千百万人の人口が五十年に七百九十万人、このような推移をたどっていったのでは全くもう日本農業は崩壊してしまうのではないか、このようにどなたもおっしゃっておりますんですけれども、新しく農林大臣になられました大臣の御所見をお伺いしたいと思うのでございます。
  27. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いろんな兼業あるいは出かせぎその他によりまして農家所得が多くなっていくということ、これはある半面においては結構なことだと思います。やはり何といったって農村は貧しい。これはいままでは日本の一番豊かでないやっぱり職種でありましたから非常に結構だと思いますが、たとえば仮に農業人口が減っていく、農業人口が減っていくならば当然専業農家の経営規模は大きくならなきやならないはずでございます。日本の農地がそう急には崩れるわけはありませんから、農業人口が非常に減っていくならば当然それに比例して私は専業農家——いま専業農家という言葉を使いますかどうですか、そこで経営規模はふえていく。この経営規模を大きくすることが、私は農村、農民を豊かにする大きな土台だと考えております。ところが、いまの状態は、ただ残念ながら、そのような農業経営規模の拡大とか、あるいはそれはいろんなことがありますが、自分の所有でも結構である、あるいは協業のような形で、いろんな形で農業経営が行われることが望ましいのでありますが、そういうような方向が余り進まないで、逆に機械化とか別な兼業的な仕事が多くなっていることは、少しこれは当然この際見直して、やはりもっと農民農業をやっても十分に明るい生活がやり得るような、そのような私は方向に持っていかなきゃならぬではないかと考えるわけでございます。
  28. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 農業就業人口が減りますと同時に、その中の基幹労働力に占める主婦農業の割合というのが三十五年で五九%、ただいまでは六二・四%というふうにはね上がっておることは御存じと思いますけれども、世界の国々でも女性のやはり就業割合というのがいろいろ出ておりますけれども、たとえばフランスでは三〇%とか、あるいは西ドイツでは四五%、そんなふうに比較をしてみますけれども、日本のように高い率を示しているというところはないということから世界一ということになるのではないかと、そう思われます。結局、いまの社会構造の中での一単位として農民というのは一体だれなのだろうかということが何かこう明確ではないような感じでございます。農協などに名前を連ねておりますのは男性がその名義人となっておりまして、何か主婦農業というのが非常に多くなっているというのに、農協に名前を連ねているのは男性である。また、その農協というものが何かこう農民の農協であるということから逸脱してしまって、最近では経営オンリーということになりつつあるような、そんな実態を見まして大変に悲しいことであると思うんでございますけれども、主婦農業と申しますか、とにかく日本農業を支えておりますのは農村婦人であると言っても過言ではないんじゃないか。この点について、大臣はどのように御認識をなすっていらっしゃいますか、新大臣にお聞きしたいのでございます。
  29. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 現状においては確かに主婦が中心の農業になっております。しかし、このことが将来いいだろうか悪いだろうかということは、十分にこれは考えなければならない問題だと考えます。
  30. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 たとえば身分が保障されているというようなことにつきましては、戦後になりましてから労働三法によってスト権や団体交渉権などを確保したということで労働者の地位が安定しつつあるという、本当に安定はしておりませんけれども。また、スト権がないと言われている三公社五現業でさえも、仲裁裁定の機関があってそれで救済されている。あるいは公務員も人事院が制度的に確立されて、その身分が男女の別なく保障されているという方向に行っているわけでございますが、農民は全くそういう保障がないと言ってもいいのではないか。特にただいまの農政では、農村婦人対策というものはいささかのことはありますけれども、余り大きく取り上げられて顧みられていないような、放置されていると言ってもいいぐらいの状態であるということ、そのようなことを考えさせられます。しかし、昨年の九月の二十三日に閣議決定によって、国際婦人年であるからということで婦人問題企画推進本部が設置されました。九月の二十九日に総理府に婦人問題担当室というのができたわけでございますけれども、その内容を御存じでいらっしゃいましょうか。そこに出向しております職員は労働省から三名、文部省と厚生省が一名ずつでございまして、あとは総理府の職員が二名、このように七名で構成されておりますんでございます。私も農林省から一人出向させるべきではないかということをいろいろ働きかけをいたしましたんですけれども、そのままになってしまっておるというような現状なんでございますけれども、婦人の問題、農村婦人の問題というのは労働省サイドで考えられるということでは非常におかしいんじゃないか。全国で四百九十万人もいるという農村婦人の問題を、本当に大臣、真剣に取り組んでくださるというのならば、この担当室の中に農林省の職員も一人出向させてもいいんじゃないだろうか。それで、そんなふうに考えておりますんですけれども、まず農林省から先にそれをどうお思いになっていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  31. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 昨年の秋に総理府に婦人問題担当室というのができましたが、御承知のように、国際婦人年世界会議で決定されましたことを国内政策として実現していくために、関係各省の横の連絡をとりながら総合的な行政施策を推進するということのために、総理府に婦人問題企画推進本部というのが設置されまして、それの庶務を行うという役割りを担うものといたしまして、ただいまお尋ねございました対策室が、婦人問題担当室という名前でございますが、設置されました。  確かに御指摘のように、農林省からは担当室には出向はいたしておりません。企画推進本部の方にはもちろん本部員として事務次官が出、また私が幹事として出ておりますので、十分よく連絡をとっておるつもりでございます。今後必要がございますれば、担当室の方へ出すことについても検討してまいりたいというふうに考えております。
  32. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 大臣もその点について検討をしていただきまして、何とか御努力いただけるかどうか、お聞きしたいのでございます。
  33. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 確かにこの五百万に近い農村婦人、農業婦人のことを考えますと、当然これを正しく理解して、そのためにいろいろなことを、行政のもとを考え出す人があった方が望ましいと思います。それは農林省ということになりましょうが、いわゆるそのような農村婦人の問題を正しく理解して、これに何らかの貢献をし得るような能力の人をそこにつけ加えるように、ひとつ総理府の方にもよく相談してそのように前進したいと考えます。
  34. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 その婦人問題企画推進本部がことしの四月に国内行動計画概案というのを出したんでございますけれども、この五ページの六、施策の基本方向というところの六でございまして、ここに六行ほど、時間がございませんのでちょっと読むことを避けますけれども、大変にりっぱな文章が、何といいますか名目的にはりっぱなと申したのでは大変申しわけございませんけれども、名目的には大変りっぱな項目があるんでございます。その指導に一体農林省ではどんな人を充てるつもりであるかということを、局長にお聞きしたいと思うんです。
  35. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) ただいまの概案は近く正式の成案にするということで、総理府を中心にいたしまして政府部内で検討を進めておるところでございますが、これを実行してまいります場合、当然中心になりますのは、生活改良普及員というものが中核的な役割りを担うというふうに考えております。
  36. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 私は、後でこれは大臣にもよくお読みいただきたい。大変りっぱな文章でございまして、これがただお飾りにならないような方向をたどっていただくために、いま局長からお話がございました指導者という面をちょっと考えていただきたいと思うわけでございますけれども、私は現在まで三十六年ほど農村に住みまして、農村の末端の指導者、唯一の指導者と言ってもいいのじゃないかと思うんですけれども、国庫補助職員でございますこの生活改良普及員が末端でどのような活躍をしているか、そういうことをつぶさに見てきたわけでございます。それなりにそれを高く評価し、またその必要性というようなものを非常に痛感して現在に至っております。  そんなことから、農林水産委員であるというような立場からも、あるいはまた農村の生活の問題、農民の心の問題というものを深くこれからいろいろやっていきたいということを最初から考えておりましたので、二月には全国の生活改良普及員の代表の方と座談会をさせていただきましていろいろお話を伺いました。それから、あとやはり自分の住んでいる県のことももっとよく知らなければいけないと思いまして、六月からは毎月一回ずつこの方たちと半日がかりぐらいで意見の交換をしている会を、農村生活研究会というようなことの名前を皆さんがつけてくださったり、私の方でもいろいろ考えまして名前をつけてお話をし合っているわけでございます。直接農民に接しているわけでございますし、農村のいままでの荒廃あるいはまた農村婦人の実態というふうなものをいやというほどはだに感じながらいろいろお話を聞いてみますと、女性としては相当過重なその指導に当たっている、しかもなかなか情熱的によくやっている方が多いという、そういう姿を見まして、もう何か頭の下がるような思いのことがよくあるわけでございます。国と農民とをつなぐ農政の担い手とも言える指導者でございますので、こういうことで、何かもう四十一年まではずっと数がふえてきたんでございますけれども、四十三年からは定員削減ということの計画にひっかかりまして、これがだんだん減っているというこの実態大臣は御存じでいらっしゃいましょうか。
  37. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いま何ですか、総定員法というんですか、このことによりましていろいろと定員が減少されるということは存じております。ただ、これがやはり、これはまあ何十万かという大きな役人の実態——物を扱うし、各役所がなわ張り主義がありますから、これを実際に必要に応じて実態に合うような私は定員を決めることが望ましいと思いますが、いまのようななわ張り主義とか組織の多い役人の世界ではとうていそれはできないから、恐らく一括してあのような網をかぶせまして総定員の削減が行われると思いますが、これは必ずしも妥当と思いません。やはりもっと必要なものはこれをできるだけ守る、あるいは拡大するということが大事じゃないかと私は思いまして、この普及員につきましても今後いろいろと検討してまいりたいと思います。私は、この農業改良普及員とか生活改良普及員というものは非常に大事な仕事だと思うのです。かつて農林政務次官をいたしまして、アメリカへ行ってハワイ等を見てまいりまして、いかに普及員の活動が大事であるかを痛感してまいりました。それからはそのような考えを持っておりますので、具体的な内容についてはまだ十分に認識できませんけれども、ひとつそのような大事なものはりっぱに進めてまいりたいと考えます。
  38. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 では、参考までにちょっと申し上げてみたいと思うんですけれども、昭和二十四年にこれが発足いたしておりまして、そのときには全国で二百六十二人でございました。年々ふえまして四十一年がピークでございまして二千三百五十人、昭和三十九年には各市町村に一人ずつが望ましいというそういうことで、それを目標に全国三千四百人にしようというようなお話が出たということなんでございますけれども、四十三年から削減計画が進められまして、第一次削減計画で百二十九人、第二次計画で百十四人、第三次計画で五十七人と、九年間で三百人が減っております。これは全国で三百人だから大したことないように思いますけれども、とにかく二千三百五十人のうちで三百人減っております。私どもの県などにおきましてもこういうことは、農村婦人の生活改善グループというのが相当たくさんできておりますものですから、そういうところでも農村婦人が非常にこれを問題にしているわけでございます。さらに、この間八月十日の閣議におきましてやはり今度は第四次の削減計画というのが発表されまして、それによりますと五十二年から五十五年の四年間にまた五十五人も削ってしまう。それがおかしいと思いますことは、第三次の計画というのが五十二年まで入っていたわけでございまして、そのときは十四人で済むわけだったんですけれども、第四次の計画の初年度というのがまた五十二年から始められることになってしまったんでございます。そうしまして十九人減らされるということになりましたので、ここのところでもう五人計画よりもよけい減らされるということになったわけでございます。このまま放置してしまうということになっていきますと、どんどんどんどんこう先細りになってしまって、末端の農村生活指導者というのがもうだんだん減ってしまうのではないか。先ほどのこの国内行動計画概案の中に大変にごりっぱな文章が載っかっておりますので、その基本的な方向というものと逆行していくようなことをなさるということではおかしいんじゃないか。私、やっぱりこのこともいろいろ総理府などにもちょっとお伺いしてお話し申し上げたんでございますけれども、行政管理庁にも参りましたり、農林省の次官にもお目にかかったりというようなことだったのですけれども、何かこう決められちゃってあってどうにもならないような、ある場所では木で鼻をくくられたような、そんな感じを受けまして大変に失望いたしております。で、こういうことはもういわゆるだんだん減らしていくということではなくて、漸増すると申しますか、だんだんふやしていくという、そういう方向づけがなされなければおかしいのじゃないか。大臣がかわられたところで、私はこの問題をよく御認識いただきまして、特に農村婦人の指導に当たるこの方たちを何とかふやす方向に持っていっていただくようなことができないか。末端の方の指導というものが、上の方の国家公務員の定員減というものに一緒になるという、そこのところが非常におかしいのじゃないかというふうに思いますんですけれども、ひとつお願い申し上げたいと思うのでございます。
  39. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 御趣旨はごもっともだと思います。私もそのように努力いたします。  普及員は、いわゆる本当の意味の国家公務員ではございませんで、これに準ずる者になっておりますから、これを大事にしようという農林省考えとか、あるいは予算というものについて努力すればいろいろとまたいい工夫も出てまいると思います。少なくとも減らさないように、そしてまたできるならばふやせるように努力してまいりたいと存じます。
  40. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 局長にお伺いしたいのでございますけれども、五十二年の予算概算要求の中に農村婦人の家の設置の予算要求がございます。これも大変に結構なことだと、私も大変感謝申し上げておる次第でございます。二億二千三百万円、三十二カ所ということでございますけれども、これはどんな目的でどんな運営をしていくものなのか、そして長期の見通しというものがあるのかどうか、それをちょっとお伺いさしていただきます。
  41. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 来年度予算といたしまして農村婦人の家を全国に三十二カ所、来年度つくりたいということで現在折衝をいたしておるわけでございます。  この考え方は、先ほど来お話ございますように、農村婦人が家庭管理だけではなしに、生産面でも非常に担い手として重要な役割りを果たしておられる。にもかかわらず、その役割りが必ずしも十分認識されないし、特に生産なり経営の中心的な役割りを担っているにかかわらず、農業生産あるいは地域の農業振興とか、あるいは社会活動、そういう面での参加、発言が非常に乏しいというように思うわけでございます。そういう観点から、社会活動を広げていくと、生産なり一般の社会活動ともでございますが、そういう観点から農村婦人が共同で学習をしたり、あるいは自主的な相互の交流を図ったり、あるいは情報の交換をするというような場をつくるという意味で、農村婦人の家をとりあえず三十二カ所、来年度つくるという考えで検討をしておるところでございまして、これはとりあえずの問題といたしましては二カ年ぐらいは最小限続けてみたいと、それの成果を見た上でさらに将来のことは考えていきたいというようなふうに考えております。
  42. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 大変ありがたいことであると思っておりますけれども、そのほかに何かこう、たとえば生産構造の仕組みを近代化していくために、結局家事労働と生産労働の二重の重圧というものを農村婦人は持っているわけでございますので、そのようなことのための政策を何かほかに考えていらっしゃるかどうか。  それともう一つは、やはり大きな組織の中で働いている御婦人たちには労働時間というものが決められているとか、あるいは休暇というのも産前産後とか、育児休業制度政策がとられているとかというように、いろいろあるわけでございますけれども、とにかく農村婦人にはそういうものが行われてはいませんし、これは大変にむずかしい問題だと思うのです。しかし、兼業農家とそれから専業農家というものを調査していくとか何とかいうようなことで、これからのこの二重の重圧から婦人を解放してやるための政策というようなものが何かほかにも考えられていないだろうか、そう思います。
  43. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 農林省といたしましては、農業従事者である農村の婦人問題といたしまして二つの面があると思います。  一つは、生産面の技術の普及指導。これはこれまでの実績を見ますと、やはり男子の農業従事者を相手とする普及指導活動にどうしても重点をかけられておったという面がございますので、最近の婦人の農業従事者の実態から見まして、農村婦人を対象とする生産技術、経営技術の指導という点について一層力を入れていきたいということが一点でございます。  それからもう一つ生活の問題、生産と合わせて過重な負担になっておりますので、農村の生活問題、特に婦人の健康問題等につきましてこれまでもやっておりますけれども、さらに一層強化をしてまいりたい。これは農業者健康モデル地区というようなものをこれまでも育成をしておりますが、来年度さらに個所数をうんとふやしたいとか、あるいはまた農業協同組合が組合活動の一環として行います健康管理についての教育啓蒙活動に対しまして、新たに援助をしていくというようなことも考えております。その他また一般的な社会活動に農村婦人が積極的に参加をするために、婦人従事者セミナーといったようなものを各地域なり、全国で開催するというようなことも来年度の予算として検討いたしております。
  44. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 農村婦人対策を考える県や市町村などに特に積極的に助成をしていくというようなこと、そういう政策をお考えになってみる気はございませんでしょうか。
  45. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 現在は、県の職員である普及員を通じまして巡回指導あるいはグループの育成というような手法を通じて生活改善を推進をしておるわけでございますが、町村の行政の中で、その町村の生活改善を推進するために直接国が援助するというようなことは、現在のところはやっておりません。個々には、先ほど言いました婦人の家といったようなものは町村が設立するわけでございますから、その限りでは援助することも考えておりますけれども、普遍的に各町村にそういう生活改善推進のための行政費に対して援助するということは現在はやっておりませんけれども、今後の問題といたしましては検討してまいりたいと思います。
  46. 岩上妙子

    ○岩上妙子君 時間がございませんので、その他やはり担い手対策とか、あるいは大石大臣農民の健康の問題とか、あるいは前に環境庁長官でいらっしゃいました関係で農村の環境の問題とか、このようなことをお願いをしたいことたくさんあるんでございますけれども、時間がございませんので後日に譲りたいと思います。  私、長いこと農民生活をつぶさに見てまいりまして、現代、大変日本は民主主義社会であるというようなことを言っておりますけれども、農村の集落の中に入りますというと、内面においてはまだまだもう封建体制そのままの姿であると、こう申し上げてもいいんじゃないか。で、これからの農政考えていただきますときには、もう農村の老人も婦人も本当に解放されて、たとえば農村婦人が母親であるならば、誇りを持って息子や娘に農業のことを語り、あるいは若い女性も喜んでお嫁に行くような、また青年も輝かしい夢を持って喜んで農業の後継者になるというような、そういう農民の意識改造と申しますか、心の問題も取り上げた農政でなければならないんじゃないだろうかと、そんなふうに考えさせられます。農民の意識革命というと大変にあれですけれども、そういう意識が革命されるというような、そういう時代が来れば、農村の環境問題というようなものも自主的に整備されるわけでございますし、いままでの農政から、農業あり方から一段と飛躍して、先ほど大臣がおっしゃいました共同化あるいは協業化というような集団化というような方向に行くことができる。で、本当に真の自主農政というものが確立されて、また農民も非常に意欲がわいてくるのではないかと思われますけれども、大変に失礼な言い分かもしれませんけれども、いままでの農政あり方というものを見ておりますというと、そういう解明がちっともないままに観念だけが先行してしまっている。補助金をくれてやるというような方式で常に上から官僚的な指導をしてきたと、そんなことを申し上げては大変申しわけないんですが、そういうことでは、何か主客転倒しているのではないかというような、そんな感じさえも持たれるわけでございます。農村の農民、特に農村婦人全体も含めまして、私は大臣に、本当に農村の人間の問題を考え農政、こういうことをこれからはどうぞ、この間もいろいろな集まりでヒューマニスト大石というようなお話をどこかで聞きましたけれども、大臣に心からそういうことをお願いを申し上げて、最後にその抱負を一言おっしゃっていただきまして終わりにさせていただきたいと思います。
  47. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまの農村の人々の明るい物の考え方、温かい物の考え方について全く同感でございます。やはりそのような基盤のもとに初めて農民農業の将来に希望を持って明るい働きができると、こう考えます。できるだけそのような方向に持っていきたいと努力いたします。
  48. 川村清一

    ○川村清一君 与えられた時間が三十分しかございませんので、私は要点だけ簡単に質問しますので、御答弁も要点を外さないで簡単に御答弁を願いたいと思います。  私のお尋ねすることは、すでに農林省あるいは外務省で、海上保安庁とかあるいは北海道庁からの報告を受けて御存じの件でございますが、北方海域における漁業の問題についてお尋ねしたいと思うわけであります。  そこでいまいろいろ大変な問題が起きておりまして、まず第一にお聞きすることは、北方海域における日本漁船の拿捕の問題でございます。拿捕されるのは日本の小さな漁船であり、拿捕するのはソ連の監視船とか巡視船とかという向こうの政府の船によってつかまるわけでございますが、本年、五十一年に入りまして一月から十月の四日までの拿捕状況でございますが、この資料は私、北海道庁からいただいてきたものでございますが、拿捕された漁船は三十四隻、乗組員は百九十三人、このうち未帰還が十八隻、六十一人、こういうようなことになっております。まあミグ25のあの問題が関係しているのかどうかこの辺は定かでございませんが、あの問題が起きてから一層拿捕漁船が多くなってきておるというような状況が出ております。これに対して一体外務省はどう受け取って、どのような交渉をソ連当局にしておるのか、これをお尋ねしたい。  続いて第二点でございますが、これは農林大臣も御存じのことであります。われわれが国会でずいぶん議論しまして、現地の漁民ともども要求し闘ってまいりまして、ついに昨年の秋に日ソ漁業操業協定というものができまして、これを国会で批准して発効したわけであります。したがって、この協定の発効によって北海道の沿岸の漁業者は、ソ連のたくさん集団的にやってきている大型の漁船団によっての被害がずっと減るものと、こう考えておりましたところが、一向に減らない。最近はこの北海道の太平洋岸に昨年どおり、またそれ以上に大挙してソ連の漁船団があらわれてまいってきております。小さな沿岸の漁船は漁業が全然できない。これは北海道の新聞に出ておった記事でございますが、「北海道・様似漁協 ソ連船に追われ休漁 漁具被害を恐れて 厳冬期控えて途方に暮れる漁民」と、こういう見出しでもって出ております。北海道様似漁協というのは、私の住んでいる町の隣の町でございまして、そこの漁業協同組合が、もう網を張っても全部ソ連の漁船によって切られてしまう、そこでとても漁業ができないというわけで休漁処置をとっておるわけであります。全く途方に暮れておる。途方が今度怒りに変わりまして、様似の漁民の方々は、その切られた網などを持って道庁に押しかけて、そして道庁に強い抗議的陳情をしておるというような状況が現に出ておるわけでありますが、こういうような問題。これはこの漁業操業に関する日本政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定、国会で批准したこの協定です。これができてからのこれはこういう出来事なのであって、昨年と何ら変わっておらない。で、わが方の漁船は、この協定に書かれておる、特にこの附属書がありますが、この附属書に決められたことは厳に守っておる。ところがソ連側の方は、これは附属書IVですな、「漁船の運航及び漁業の操業に関する規則」、こういうものはちっとも守らない、そしてこういう被害を与えておる。こういったようなもの。一体こういう協定ができてから——協定というのは条約と同じだ。これができてからこんなようなものが続出しておる。ちっともなくならない。これは一体どういうことなのか、私はまことにこれは納得いかない。そこで、本来ならば外務大臣に聞き、外務大臣の責任を追及しなければならないところですが、きょうは農林水産委員会でございまして、それも何とかかんとか言って出ることを渋っておったんですが、強く申し上げてようやく欧亜局長に出席していただいたようなわけですから、欧亜局長、責任を持ってこの問題について御答弁を願いたいと思います。
  49. 橘正忠

    政府委員(橘正忠君) 二つ問題があると思います。  一つは、北方水域におけるわが方漁船のソ連による拿捕の問題でございます。この不幸な拿捕の件については、過去も毎年相当の件数が起こっております。本年においても、先生指摘のとおり、三十四件起こっております。その都度水産庁の方から御連絡を受けて、ソ連側に対して抗議をし、それから即時返還するように申し入れを行っております。ただ、それにもかかわらず依然として拿捕が続いておるということは事実でございまして、はなはだ遺憾に存じます。  なお、ミグの件にお触れになりましたが、私どもが水産庁から連絡を受けておるところでは、本年の九月に五隻、十月に二隻、七隻拿捕されております。この九月、十月という時期は、年によってずいぶんこの拿捕が起こる件数に変動がございますが、昨年は九月に三隻、十月に八隻、計十一隻つかまっております。数字から言いますと、特にことしミグの事件があってからふえたとも言えないと考えてはおりますが、ただこれはむしろわが方において危険な水域への出漁を差し控えておるという点もあるかと思っております。  それからもう一つは、日本の近海におけるソ連漁船の操業の問題でございます。御存じのとおり昨年の十月、御指摘の日ソの漁業操業に関する協定が発効いたしまして、間もなく一年になるわけでございますが、ソ連漁船による日本近海におけるトラブルは、この一年間、まあ協定のできます前に比ぶれば件数も損害額も減少はしております。しかし依然としてトラブルが絶えないということは、これまた大変遺憾に存じております。去る九月の二十九日にニューヨークで小坂外務大臣がソ連のグロムイコ外務大臣と会談された際にも、この十月ごろ以降というのは一つの北海道等における漁期を迎えた時期でもあるので、ソ連側が十二海里以内の操業を引き続き自粛してもらう、それから協定で決められたルールというものを守るよう末端まで周知徹底するようにということを強く要請されました。今後とも水産庁それから海上保安庁というような関係省庁とも連絡を密にして、何とかさらに事態を改善していくように努力を重ねていくつもりでございます。
  50. 川村清一

    ○川村清一君 結論的に言えば、遺憾であるということなんです。遺憾では済まないわけなんです。第一点の拿捕漁船の問題につきましては、これは北方領土の問題とか、あるいは日ソ間における政治的な問題でございますので、いまここで欧亜局長お尋ねしてもらちの明かない問題でございますから、この問題はきょうはさておきます。私も機会があれば外務委員会にでも出て外務大臣といろいろお話し合いをしたいと思いますが、これはさておきます。  次の問題でございますが、これは遺憾では済まないんじゃないですか。日本政府とソビエト政府との間に協定を結んでおる。それでそこには附属書がありまして、両方の国の漁船が、当事者が守らなければならない事項が具体的に書かれておる。わが方はこれはきっちり守っておる。水産庁からこういう指導書まで出ておる。日ソ漁業操業協定の操業ルールという、漁師の方々が読めばよくわかるように図解しまして色をつけて書いてある。これはきちりと守っておる。ところが、ソ連側の方はこの附属書にちゃんと書かれておることをちっとも守っておらないんです。守っておらないで被害をたくさん与えておるから、外務省はそれで済むのかと。いろいろその都度ソ連の方に申し入れをしておるが解決しないんだ、遺憾であると。あなたの方はそれは遺憾で済むかもしらぬけれども、実際に漁をして網を張る、網が切られてしまう、それだから休漁してしまう。休漁したら、あんた、漁師は生活できないわけです。おまけにもって、この協定ができてから件数は減っておるといったような御答弁ですが、例年こういうトラブルが起きるのはこれからなんですよ。九月、十月から翌年の二月にかけて、漁業で言うと、これからだんだん寒くなりますというと沿岸のカレイの刺し網、それからスケソウの刺し網、これが沿岸漁業の最大の漁業であり、そこから漁業者は所得を得て生活しておるんです。これができなくなるんですよ。だから、遺憾では済まないわけなんです。もう少しきちっと、約束したこういう協定があるわけですから、もっと強くよくお話ししてそうしてソ連の方に自粛をしてもらわなければ、これは沿岸漁民はとっても大変なことなんです。もう一回外務省の立場からきちっと御答弁を願いたいと思います。
  51. 橘正忠

    政府委員(橘正忠君) 御指摘のとおり、この漁業操業協定ができましても、件数は減ったものの依然としてトラブルが根絶しておりません。ソ連漁船によるわが方の漁具等に対する損害が起こって、その場合向こう側の協定のルールに違反ということがはっきりしている場合、これは水産庁から御連絡を受けてその都度ソ連側に強く抗議をし、それから今後こういうことが起こらぬように厳重に末端まで徹底してくれるようにその都度申し入れてございます。  あと、起こりました損害につきましては、協定に基づいて損害賠償請求処理委員会という機構もできましたので、そこで損害の賠償の処理を促進するという一応骨組み仕組みはできたわけでございますが、問題はそういうトラブルをどうやって起こらないようにするかということだと思います。これについては私どもも水産庁と協力をし、ただいま申し上げましたようなソ連側に対する抗議と注意の喚起というものをしんぼう強く言い続ける、同時に水産庁の方においても専門的な見地からソ連側との話を進めていただくということで、相協力して何とかさらに事態を改善するように努力したいと考えております。
  52. 川村清一

    ○川村清一君 時間がないですから、返事は簡単にしてください。  水産庁の長官にお尋ねします。いま外務省の欧亜局長は、何とか抜本的にこういうトラブルが起きないような解決策を出したいということをおっしゃってました。これは簡単なんです。水産庁の長官、これを抜本的に解決する、まあ全然一〇〇%は解決できないかもしれないけれども、少なくとも七〇%、八〇%までは解決できる方法あるでしょう。ないんですか。
  53. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私どもも、様似漁協がカレイ刺し網漁船二十七隻が十月十三日から現在まで休漁しているという報告を受けております。
  54. 川村清一

    ○川村清一君 簡単でいいです、簡単で。
  55. 内村良英

    政府委員(内村良英君) そこでわれわれとしては、洋上での監視体制の強化を図りますために、海上保安庁、水産庁、北海道庁が一体になって随次必要な巡視船を派遣する措置をとっておりますし、また協定の六条に基づきます通信連絡が近くできることになるわけでございます。となりますと、直接すぐ連絡ができるので、この面から事故防止に役立つというふうに確信しております。ただ、様似の漁協の行う刺し網漁業は十二海里内の操業でございますから、領海十二海里とすればほぼ問題は解決できるものと思っております。
  56. 川村清一

    ○川村清一君 いや、後段のそこだけ聞きたかったんです。そりゃ通信連絡も必要ですよ。これは協定にちゃんと書かれているんですから、お互いに通信連絡もぜひ必要ですよ。問題は、この協定というものは公海上において適用されるんであって、領海の範囲及び漁業管轄権の問題に関する両政府の立場に何らの影響も与えるものでないのがこの協定なんです。公海において適用されるこれは条約なんです、協定なんですから。したがって、領海の幅を広げれば、すなわちいま長官のおっしゃったように、十二海里に領海を決めれば八〇%はこれは問題解決するわけですよ。そのことを何十遍もう私がここで言っているか、長官は御存じのとおり。ここだけでない。昭和四十年以降、私は本会議でも二回も三回も総理大臣からも答弁を聞いておる。外務大臣からも答弁を聞いておる。あるいは昨年の暮れの国会では、予算委員会で三木総理以下担当大臣意見を聞いておる。前任の安倍農林大臣は、五月のジュネーブの海洋法会議の以後においてぜひ領海十二海里というものをこれを決めたいということを、当委員会ではっきり言われておるんです。ところがそれがいまだにできない。だれが一体反対しているか。これは外務大臣が一番反対している。特に宮澤外務大臣は反対した。そして最近は三木総理も、やるんだかやらないんだか、何だかうじうじしてきておる。十二海里さえ決めればこの問題は八割解決するんですよ。なぜ一体やらないんですか。  それで、それはぜひやってほしいということは水産庁の長官もおっしゃったでしょう。その考え方に変わってないかどうか、それをもう一回ここで確認していただくことと、外務省に対しましては、どうして十二海里の領海設定ができないのかどうかというその理由をはっきりここで答えてください。
  57. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 水産庁といたしましては、領海十二海里の幅員が一日も早く実現することを期待しております。  御承知のとおり、この問題につきましては、昨年の暮れあたりから関係各省集まりまして論議をいたしまして、ことしの一月二十七日に閣議決定で領海の幅員は十二海里とする、しかし時期及び態様についてはなお検討する、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、その後も事務当局においていろいろ検討しておりますが、水産庁の立場としては一日も早くやってほしい、こう思っております。ただ、この問題は漁業以外のいろいろな問題がございますので、その点については他省と一緒に努力して一日も早く実現したい、水産庁としてはそう考えております。
  58. 橘正忠

    政府委員(橘正忠君) 先生御存じのとおり、領海十二海里の問題につきましてはただいま水産庁長官からお話ございましたように、かねてから関係省庁において協議を進めて十二海里とすることを妥当と考える、ただ、時期、態様については海洋法会議というようなものもございますので、なお今後の問題として検討を続けるということになっております。  この件につきましては、御存じのとおり海洋法会議におけるいろいろな問題の一括解決、それによる新しいいわば海洋法秩序をつくっていくという課題がまだ解決されておりません。御存じのとおり、各国ともその中の自分の都合のいいことだけつまみ食いといいますか、実施するということは差し控えてくれという強い国際的な要請もございます。現実にそれを守っておらない国も一部にございますが、日本としてはやはりこういう新しい海洋法の秩序ができ、それによってすべての問題を一括して解決していきたいという基本的な考えを持っております。ただ、御存じのとおり、去る先般の海洋法会議でまとまればという強い期待を持っておりましたが、それが実現いたしませんで、さらに来年の五月に会議を開く、その間も各国において協議を進めていくという事態を迎えておりますので、ただいまのところその成り行きというものを見て政府としての立場を決めていきたい。これは一に水産とかあるいは外務というだけの問題ではなく、政府全体の問題であることは先生御存じのとおりでございますので、御了承願います。
  59. 川村清一

    ○川村清一君 それは外務と水産だけの関係でないことは十分承知しております。運輸省も関係しますし防衛庁も関係します。しかし、私のいろいろ聞いたところによれば、運輸省もそう積極的に反対しているわけでないし、防衛庁も積極的に反対しておるとも思われない。一番反対しているのは何といったって外務省である。何とか早く決めてくれと言っているのは当然これは農林省である、こういうことであります。  そこで、外務省のいまの御答弁は、海洋法会議、海洋法会議と言っている。海洋法会議で皆意見が一致すればやるんだと、こう言う。海洋法会議ではどういう問題をやっているかというようなことは全部私はよく知っておるわけでありまして、時間がないから申し上げませんが、そこであえて聞きますが、領海十二海里を海洋法会議の結論が出る以前に決めることによって日本の国益上どんな損害があるのか、ここをひとつはっきり聞かしてください。私は損になることもわかっている。しかし、その損になることによって沿岸の漁民をこうやって泣かしていいのかどうかということもあえて聞きたい。そこを一体外務省はどういうふうに把握されているんですか。どういう損があるんです。
  60. 橘正忠

    政府委員(橘正忠君) 繰り返しになって恐縮でございますが、海洋法会議で御存じのとおり多くの問題が一括して取り上げられております。したがいまして、日本側において領海の問題だけを取り上げて、いわばわが方が国際的に見れば一方的な措置をとるということになりますと、恐らくそれ自体が他の国における、やはり他の国もまた自分の都合のいいところだけを一方的に措置をとるというような事態も起こりかねない。そういうことによってわが国のいろんな、先ほど海運のお話もございましたが、そうした面を含めてわが方にとって国全体として見た場合にマイナスの影響を受ける分野というものも生じてくる、そのおそれが多分にございます。したがいまして、いましばらく、この海洋法会議のまとまるということを期待して、その間の事態、時期をこらえて、もうちょっと時期を見るということにするのが広い意味で、あるいは長い意味での国益に沿うゆえんであろうというふうに考えておる、これが政府全体としての考えであろうと思います。
  61. 川村清一

    ○川村清一君 政府全体としての考えであるならば、いずれ機会を得て総理大臣あるいは外務大臣お尋ねします。私は、特に挙げての損害というものはないと判断をしておる。それから、日本だけが勝手にやればよその国も勝手にやるからといったようなそういう御答弁ですが、いま世界の国で領海三海里なんと言っている国が何カ国ありますか。五指にも足らないぐらいじゃないですか。もう二百海里ぐらいの領海を言っている国もあるわけですよ。領海でない経済水域ですが、アメリカも勝手に経済水域二百海里を宣言したではありませんか。そしてアメリカの国会はそれを支持しているではありませんか。カナダだってそうではありませんか。そういうような国際環境の中において、日本だけが何でその三海里を厳守しなければならないのか。それは海洋法会議で同時に国際海峡の自由航行権のようなものが決まったときにやるのでしょうが、結局アメリカなりあるいはその他の国々に追従しているのでしょう。それで国際海峡の自由航行権が決まらないというと、安保条約に基づくところのアメリカと日本との約束事ができないといったようなことから、そういうことになっているのではないかと私は思わざるを得ないのです。それ以外には私は何も問題はないと思う。それが一体日本の損害になるのですか。そういう国益を名目にして、そうして沿岸の漁民を泣かしておいていいなんという、そんな一体行政がありますか。政治がありますか。  これを農林大臣から一回聞きたいことと、これは水産庁長官でよろしいですが、時間がないから端的に聞きますが、損害賠償処理委員会というものがその協定に基づいて設置されましたね。そこで、これはこの協定が発行する二年前の損害からこれが効力を持って賠償申請することができますが、いろいろ書類が出ておると思います。この委員会が発動して一件でも処理されたかどうかということをまず一点お聞きしたいことと、それから私は、これ北海道のある小さな漁業協同組合からもらってきた資料ですが、これは「漁業損害賠償請求申請書」、これを漁業損害賠償請求処理委員会に提出するのですが、いいですか、これはある人を代表として三人分の申請書ですが、その書類がこれだけあるのです。この書類を五部つくるのですよ、五部。そこの小さな漁業協同組合の職員は、この書類をつくるのでもう全く奔命に疲れていると言っても過言でない。こういう煩わしいことをしてこの書類をつくって、そしてこれはその個人が直接損害賠償請求処理委員会に提出する。これは町村自治体を経由するのではないのです。これは道庁を通じてここへ行くのだと思いますが、この書類を見ますと、被害漁船の方は詳細わかりますよ、被害を受けた方ですから。加害漁船の方は「船名不明」「船長名不明」「漁船登録番号不明」「総トン数約二千トン」「漁業根拠地不明」「漁業種類トロール船」「漁業を営む者の住所(所在地)氏名(名称)不明」、加害者の方は全部不明なんですよ。そうして添付資料がある。その添付資料には写真をつけろの、何つけろのと書いているが、十トン未満の、五トンか六トンぐらいの沿岸の小さな船が、そんな船のいつ一体網が切られたのかわからない、時期もわからなければ船もわからない、その船の写真つけろなんて、写真つけられるわけがないでしょう。こういうような申請を出してこれが処理委員会に提出された場合に、一体損害賠償される見込みがあるのですか、ないのですか。いままで一体処理された件数があったかないかということと、今後の見通しとして損害がきっと賠償される見通しがあるかどうか。ないならば、こんなものを一生懸命つくってやったってむだですよ。私は、こんなような書類では証拠書類は何もないんですから、加害者がわからないんですから。網切られたという事実だけはある。どこの船——まあ、これはソ連のトロール船だと思う、これは推量ですよ、船がたくさんいるから。しかし、何という船名の船で、船長が何という人で、漁船の登録番号が何番かちっともわからない。こういったような書類であっても、申請書であっても、処理委員会ではそれを正式に受理して、そして損害賠償するようなことができる見通しが一体あるのかどうかということをはっきりお聞きしたい。  私の与えられた時間は切れましたからこれで質問打ち切りますが、ここをはっきりお答え願いたいと思います。
  62. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 十二海里の問題はすでに閣議でも決定しておりますから、早急に決めたいと思います。恐らく海洋法会議は来年の五月に開かれますが、これでまとまるかどうかわかりません。それをじんぜんと待っているわけにはまいりませんので、できるなら私は国内法でこれは明確にさしたい、こういうふうに考えております。
  63. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 日ソ漁業損害賠償請求処理委員会が本格的に発足いたしましたのは、向こうの委員の着任がおくれたということもございまして、東京委員会が発足したのは四月でございます。そこで鋭意審査いたしまして、現在まで北海道で提出されました三件が東京委員会の審査を終わりましてモスコー委員会に送付されております。それから、現在北海道から三百七十六件の書類が出ております。  そこで、先生の御指摘のあった問題は、要するに、加害船がはっきりしない、そういうものについて果たして賠償が取れるのかという問題でございます。この問題は、私ども非常に苦慮している問題でございますが、御案内のように、ソ連漁船による漁具等の被害は民事の不法行為の損害賠償請求の問題に法律上はなるわけでございます。したがいまして、日ソ漁業操業協定におきましてもこのことを前提にいたしまして、一方の国の国民の他方の国の国民への損害賠償請求を容易にするため東京及びモスコーに委員会を設ける、こういうことになっておりまして、本来ならば裁判で決めることを調停すると申しますか和解させると、こういうことになっておるわけでございます。そこで、そういった性質の問題でございますので、賠償処理の申請には協定の九条の規定によりまして、被害者が知る限りにおいて事故についてのいろいろな細かい記述をすることになっているわけでございます。この点から、加害者が特定できないというような場合におきましては、処理委員会における審査が非常に難航しているわけでございます。  そこで、われわれといたしましても、今後海上保安庁、北海道庁、水産庁協力いたしまして、極力事故を現場において確認するとか、あるいは関係漁民が、協定によりましてソ連側もはっきり船名あるいは船体番号等をつけることになっておりますので、そういったものの視認を怠らないようにするというような指導をしております。しかし、現実問題として非常にむずかしい問題であるというところに、われわれの非常な悩みがあるわけでございます。
  64. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、きょう、農業改良普及員制度の問題と、カントリーエレベーターの二点についてお伺いしたいと思っておったのですが、ちょっと時間が非常に少なくなっておるので、なかなか十分聞くことができないと思いますが、要点を二、三伺いたいと思います。  第一は、全国に一万三千人の農業改良普及員並びに生活改良普及員がいますが、いずれも日本農業の第一線に立って農家農民に日常的に接触をし、しかもそれに適切な助言や指導を行って、一億の国民食糧確保に非常に大きな役割りを果たしておると思います。その中で、今日地方財政が逼迫するというこういう中で、普及員の人員削減や普及事務所の機構の縮小など、いわゆる普及事業から見れば後退と思われるような動きがありますが、これに対して第一線にある普及員の皆さんは大きい不安を感じておりますが、この不安を除くために農林省はどのような対処をいたしておるか、この点についてお伺いいたします。
  65. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 先ほど岩上委員にも申し上げましたが、この改良普及員につきましてはできるだけその重要性を考えましてこの数を確保したい。できるならもっとふやせれば結構でありますが、そのような方向でまいりたいといま考えております。
  66. 辻一彦

    ○辻一彦君 先ほどどういう御答弁があったのか、ちょっと私もいなかったのでわからないのでありますが、大筋としてはわかりますが、局長の方からその大臣答弁を受けてこの冬に次官通達も出ておりますから、そのねらい並びにそれがどうなっているのか、二、三ひとつ御説明いただきたい。
  67. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 定員削減の問題につきましては、政府といたしましては先般閣議決定をいたしまして、国家公務員について第四次の削減をするということで、標準的なものといたしましては四年間に三・二%ということを決めて、明年度から実施に移すことにしておるわけでございます。その際、地方公務員につきましてもこれに準ずる措置を講ずるというように決められておりますので、農業改良普及員につきましても、あるいは生活改良普及員につきましても、同様に来年度から第四次の削減を実施するというのが原則的な考えになっております。  ただ、定員の削減の問題は一応統一的な基準によってやりますけれども、削減は削減といたしまして、他方、必要な分野の定員は増員をするというのが基本的な考えになっておりますので、農業改良普及員につきましては、これまで統一原則に従いまして削減を重ねてきましたけれども、最近の農業改良普及員の重要性にかんがみまして、特に後継者等の育成という問題が改良普及事業の中でも一層重要になってきておるということも考えまして、私どもといたしましては、現在増員の要求を来年度予算としては概算要求の中で提出をしておるわけでございます。われわれといたしましては、できるだけ定員の確保に努力してまいりたいというふうに考えております。
  68. 辻一彦

    ○辻一彦君 要点は、一般的な削減の方針があるが、農業改良普及員については大臣答弁のようにむしろできれば増員、少なくも現状を維持して前進をさせたいと、そういうことですか。
  69. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 統一方針がございますので、削減は削減といたしましても、必要な部面はふやすということで総数として確保していきたいと、こういう考えでございます。
  70. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ農業改良普及員等は総数としては確保していくと、こういうことですね。
  71. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) はい。
  72. 辻一彦

    ○辻一彦君 それからもう一つ、一月十八日に事務次官の通達が出ておりますね。これはそういう趣旨に沿ったものであろうと思います、この人員確保という方向に。  そこで、いま普及員の皆さんの不安のもとになっているのは、要約をすると、改良普及員の明確な位置づけ、それから身分の安定が明確でない。こういう点から、一つは共同農業普及事業にかかわる経費、いわゆる国は補助金制度をとっておりますが、これを負担金にしてもらいたいという要望が非常に強いし、もう一点は、普及員の定数設置基準を法定せよと、こういう要望が非常に強いのですが、これについてはいまどういう検討をされており、それからどういう今後の見通しであるか、考えであるか。この点を簡潔にお伺いいたしたい。
  73. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 農業改良普及員の職員の設置あるいは運営費等につきましては、農業改良助長法に基づきまして補助をしておるわけでございます。先般、地方財政法の改正がございまして、第十条において国が負担する経費が各省関係ずっと掲げられておるわけでございますが、国が進んで負担する必要のある経費というものを整理をいたしまして、本来十条の本旨に従って負担すべきものはそのまま残す、単なる補助金的な性格のものは削除するということをやったわけでございますが、普及事業の補助につきましては、これは改良助長法上は補助ということになっておりますけれども、事柄の性質上は地方財政法の第十条の国が負担する経費に該当するものであるということで、そのまま存続された経緯がございます。その意味では、名前は補助ということでございますけれども、実質は国が負担すべきものである、負担金的なものであるというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。
  74. 辻一彦

    ○辻一彦君 その補助と負担金の関係については、名は補助金であるが実質中身においては負担金であると解釈していると、こういうことですね。  次に、次期の国会に農業改良助長法の改正を含む改正案を提案する考えがあるのか。あるとすればどういう問題点を考えておるのか、お伺いいたしたい。
  75. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 次の国会におきましては、やっぱり農業改良助長法の一部を改正する方針でいまおります。それはことに、この農業改良普及員のいろんな活動範囲をさらに広げまして、後継者対策の問題、いろいろございます。こういうものをねらいとしまして、できるだけりっぱなものにつくり上げたい、そう考えておりますので、その際いまの補助金の問題はここにおいて解決したいものと考えております。
  76. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃあ、法改正についてはかなり前向きに検討され取り組んでおられるということであろうと思います。  大変時間がもうないので要点だけ伺いますが、もう一つは、本委員会ではしばしば青少年の教育、後継者対策についても論議がありましたし、それからまた五月の農水では、農村の婦人の健康が非常に血圧あるいは肩こりや腰痛等々の農夫症によって脅かされておる、この問題は非常に重要である、こういう点を指摘して、農村婦人の健康維持のために強く対処すべきである、こういう論議を行ったわけでありますが、これについて具体的にいま検討されてこの点について取り組んでおられるならば、その方向をお示しをいただきたい。
  77. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 先般の委員会で辻先生から御指摘がございました農村における健康問題、特に婦人が農業生産と家庭管理と両方を負担しておるというような実態から、婦人の健康問題が今後の行政として大事な問題になっておるということで、これまでも種々健康モデル育成事業だとかいうようなことでやっておりますが、これの事業をさらに個所数を来年度ふやしてまいりたいということのほかに、農業協同組合が中心になりまして、一応いまのところは二千四百農協ぐらいを予定しておりますけれども、モニター等を各農協で設置をいたしまして、健康の実態、改善すべき点等について調査をいたしまして、それに基づきまして健康ハンドブックといったようなものをつくりまして、それを記入をしてもらいながら健康の管理についての普及員による指導を徹底していく。もちろん、それは農業協同組合が指導すると同時に、普及員がそれに協力をしていくというような形のいわば農業協同組合の健康増進、健康管理についての啓蒙教育活動といいますか、そういうものに対する助成を新たに実施していきたいということで検討しておるところでございます。
  78. 辻一彦

    ○辻一彦君 後継者対策についてはいかがですか、先ほどちょっと触れられましたが。
  79. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 後継者対策につきましては先ほど大臣からもお答えいたしましたけれども、後継者対策というのは、最近そういう言葉を用いるようになりましたが、従来は青少年対策というような言い方をしておりましたが、青少年対策については普及事業としてこれまでも実施しておりましたけれども、改良助長法の中で必ずしも明確に明文をもって規定をされておらないという面がございます。したがいまして、後継者対策を改良助長法の中に普及事業の一環であるということで、明確に規定をしたい。  それと同時に、具体的な対策といたましては、現在各県におおむねございます教育研修施設、農業者大学校とか、あるいは昔の言葉で言いますと経営伝習農場というものでございますが、これの内容の充実、施設の整備、運営の強化というようなことを図りたいと思いまして、予算的にも拡充をしてまいりたいと思いますが、それと同時に、この教育施設についての規定を改良助長法の中に織り込むことができないかどうかということを中心にして、現在法改正を検討しておるわけでございます。
  80. 辻一彦

    ○辻一彦君 聞きたいことはたくさんありますが、それもできないようでありますから、最後に大臣に一点決意をお伺いいたしたい。  それは、農業改良事業というものがきわめて重要であるということはこれは言うまでもないと思います。今後の農業改良普及事業の整備拡充というものが非常に必要とされておりますが、これについてこれから大臣の取り組みの決意のほどを伺って、この問題については一応終わりたいと思います。
  81. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 具体的なことは一々まだ申し上げられませんが、いまの農業改良普及員の仕事は非常に私は重大であり、これをもっともっと広めて活躍することが重大な問題だと私は考えております。そういう意味で、これは一生懸命に取り組んでまいりたいと思っております。
  82. 辻一彦

    ○辻一彦君 法改正について具体的に検討されておると思いますから、十分検討されて、いままでの委員会等における論議を踏まえて、全国の協議会もありますから、その希望も組み入れて留意をしていただきたいと要望しておきたいと思います。  もう三分や四分ではこれを聞いていいかどうかわからないのでありますが、カントリーエレベーターについてちょっと資料を用意していろいろ聞きたいことがあるのでありますが、これはどうにもなりませんが、この中で一点だけ聞いて終わりたいと思います。  一つは、カントリーエレベーターがいま非常に普及をいたしておりますが、早場米地帯では八月二十日過ぎると稲を刈り出す。北陸等はそうですね。これはもみをカントリーエレベーターに納めるわけですが、非常に温度が高いんですね。したがって、食糧庁が二十度C以下に温度が下がらなければ北陸の方は五度Cプラスを認めてはおりますが、温度が下がらないと政府が買い上げすることはできない、こういって温度を下げよと。そこで、八月の下旬や九月の上旬の日中にもみをまぜ返して冷やすわけですが、ローテーションをやりますが、これはとても日中にやったんでは暑いので、夜中にカントリーエレベーターの農協の職員の皆さんがいろいろ作業してはローテーションをやっている。そういう苦労をしながらやっておるのでありますが、この経費が、電力料金が非常に余分にかかるのですね。だから、これを何とか一番暑いときに余分に食うところの電力に対する助成等、ローテーションの経費を見るべきでないかという声が非常に強い。ある農協では、早場地帯に日がさをさしてくれるのはいいんだけれども、これはお日さんが照っている以上余分な経費がかかる。だから、米価が統一的なものであるならば、特に余分にかかる経費については何らかの対処がさるべきではないか、こういう点が強く指摘をされておりますが、これについてちょっと御見解をお伺いいたしたい。
  83. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  やはり、カントリーエレベーターにおけるもみ買い入れにつきましては、穀温二十度以下のものを買い入れるというのが原則でございます。北陸等の特殊なケースがございますので、特例として、買い入れた後、自力でそのローテーションをしていただいてそしてやっていただくということを条件としておりまして、やはりもみ買い入れの原則から申しましても、これは事業者の方でやっていただかざるを得ないというのが私どもの考えでございます。
  84. 辻一彦

    ○辻一彦君 もうこれで終わりますが、この平倉の関係もありますから非常にむずかしいんですが、十一月にもう一回ローテーションをやってもみをまぜ返しますね。それは私は、平倉の積みかえと同じようにこの保管管理のために必要なことじゃないかと思いますが、八月の下旬とか九月の上旬の非常に温度が高くて特殊な作業の場合は、これは私はちょっと一般的じゃなしに特別に考えてみる必要があると思うんですが、これについて論議の時間はありませんが、ちょっと検討していただけますか、いかがですか。
  85. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 私どもとしては、いろいろ御要望は承っておりますが、やはりもみ買い入れを行う場合に適切な品質のものを国が買う責任がございます。その場合は、カントリーびんの中の穀温が二十度以下のものを買わしていただくと、特例として早場米等の御需要のあるところについてやっておるわけでございますので、やはりそれはなお検討にはやぶさかではございませんが、たてまえとの関係で必ずしも簡単ではないというふうにただいまは思っております。
  86. 辻一彦

    ○辻一彦君 これについては五、六点具体的に伺いたいことがありますが、もう四十分という時間が来ておりますから、次回に譲りたいと思います。
  87. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 日ソ漁業操業協定が発効されましてもう一年になろうとしているわけです。非常に被害が深刻な漁民にとりましては、この操業協定というのに大きな期待をしていたわけです。私も読ませていただきました。「日本政府及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府は、両国の漁船による漁業の操業の安全及び秩序を確保することを希望し、両国の漁船の活動及びその漁具の使用に関連する海上における事故を防止する措置をとること並びに事故が発生した場合にはその迅速かつ円滑な処理を促進することが望ましいと考えて、次のとおり協定した。」という前文でございます。これはまことに結構な前文で、これがどれだけ役に立つかということになるわけですけれども、まあ被害を受けた漁民にしてみれば、協定ができればということで大いに期待していたと、やっとこれで何とか安心できるというふうに考えていたわけです。しかし、先ほどからお話が出ているように、現実には協定発効後も依然として漁業被害というのは後を絶ちません。二百四十九件、約七千七百万円の損害だということになっているわけです。非常に深刻なんだけれども、いつでもこの委員会に外務省来ていただきますと、先ほどのとおりの、何かもう本当に無責任な、遺憾でございますという程度でございます。そこで、私はやはり漁民の立場に立って奮闘していただける農林大臣として、そしてまた水産庁長官としての立場でいろいろとお願いもし、御意見も伺いたいと思うわけなんです。  具体的には様似漁協の問題なんですけれども、これはまさに御承知のとおり、二十七隻が横列に入って突っ込んできたと。向こうは二千トン級、こっちはもう二、三トンというようなところで、船が大きな波を避けて逃げるだけでも命がけで精いっぱいだったと。まさにこれは物質的な損害だけではなくて、命にかけられた大変な問題だということでございますね。こういう事態に対して、特に今度非常にたくさん来て深刻な事態を引き起こしていると、この事態についてまさに日ソ漁業協定違反の行為になっているわけですから、政府としてはソ連に厳重申し入れなすっただろうと思うけれども、どの程度厳重に申し入れなすったのか。また、操業安全の確保政府としてとられるために、先ほど水産庁長官、またこの間書面で御回答いただきましたけれども、こういう事故が起こらないように保安庁、水産庁といろいろと手を打ちたいというふうなことが言われておりましたけれども、巡視船の強化などで、お答えいただきましたあの程度でこういう問題が本当にどの程度解決できるかというような点でございますね、その点をまずお伺いしたいと思います。
  88. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 操業協定発効後も事故が続いていることは遺憾でございます。ただ、数字的にはかなり減っておりまして、私どもといたしましては、ソ連側もかなり努力はしているのではないかと、こう思っております。  そこで、私がことしの六月イシコフ漁業大臣にモスコーで会いましたときに厳重な申し入れをしたわけでございます。それに対しましてイシコフ漁業大臣は、このような問題が起こることは日ソ関係上非常に遺憾である、したがって、自分は極東の船団長をモスコーに招集していろいろ注意を与えているとか、あるいは十隻に一隻はパトロール船を配置するというようなことを言っておりました。ただ、いろいろ話を聞いておりますと、ソ連の場合は御案内のように、漁業が国営になっているわけでございます。したがいまして、ノルマの達成というのが非常にソ連の漁業にとって問題なようでございまして、ソ連の船団長がかなり無理な操業をしているのではないか、こう思うわけでございます。それにつきましても、東京にベロフという漁業担当官が来ておりますので、私ども絶えず会いながら注意を喚起しているところでございます。したがいまして、数字的には協定発効前に比べれば発効後の事故は下がりぐあいになっているというところでございますが、なお全然減っていない、三割ぐらいあるということでございますので、われわれといたしましては、先ほども御答弁申し上げましたように、監視船をふやしたり、それからいろいろ日本の漁業者にも操業上の注意を与えてやっているということでございます。ただ、遺憾なことは、現在向こうがやっておりますところは公海なものでございますから、これについて出ていってくれということはなかなか言い得ないというところに非常に大きな問題があるわけでございます。
  89. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで今度の——まあ去年に比べてだんだん数は減ってきているというふうな見通しだけど、これからが問題になると思うんですね。いまこんな勢いでやられてくるんだから、これから考えれば去年より減るという見通しが確実だと私は言い切れない不安を持つわけなんですね。だから、今度この大きな様似の漁協なんかが命がけだからといって操業を中止したというような時点において、また具体的にお申し入れになって厳重に抗議を——まあ抗議と申しましょうか、申し入れて注意を喚起するというようなことをしていただいたかどうかという点でございますね。  それから、いろいろと監視船だとか何かというのを今度予算でも少し出していただいたようだけれども、それではまだまだ私は不十分だと思うんだけれども、その辺のところがどうかということですね。  それから、確かに公海上の問題でございますけれども、たとえば附属書のIVのB1のところで、「いかなる漁船も、他方の国の漁船が既に漁業の操業を行っている漁場又は漁業の操業のために漁具を設置してある漁場に到着したときは、海中に設置されている漁具の位置及び範囲を確かめなければならず、また、既に行われている他方の国の漁業の操業の妨害又は障害となるような形で自船を位置し、又は漁具を設置してはならない。」と、こう出ているわけですね。今度の場合には、日本側がもうちゃんと標識もボンデンもつけてる。それ目がけて入ってきているということになりますと、全く向こうのやり方がひどいじゃないかということでございますね。そういう点で、ソビエト側が、確かにイシコフさんに会ったらこうやっていますとおっしゃっているけれども、具体的にはやってないですね。そういう問題で、下の方で——イシコフさんが上で言われたけれども、下の方までどういうふうに伝わっているのかというような点について、再度確認をするとか申し入れをするとかというような手だてがなされなければ、上でやっているんですと言ったままで突っ込まれてきたら大変だと思うんで、その辺のところを重ねてお答えをいただきたいと思います。
  90. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私どもといたしましては、この協定ができましてから、ソ連の大使館に漁業省の中ではかなり格の高かったベロフという人が来ておりまして、その人と常にコンタクトできるわけでございますので、外交ルートで抗議すると同時に、事実上の問題についてはいろいろベロフ氏と話し合いをやっているわけでございます。したがいまして、最近の向こうの大規模な操業についても、こちらからいろいろな注意は喚起しているわけでございます。  それから、モスコーの指令がどの程度末端に伝わっているのだろうかということなんでございますが、これについては私ども正確なことはわかりません。  そこで、ソ連の操業が果たして協定に違反するかどうかという問題でございますが、これは事実関係なものでございますので、現在いろいろ調べているところでございます。
  91. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この事件が起きる一番最近でいつお申し入れになりましたか、厳重に注意するということ。今後のことがありますから。
  92. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 先週の金曜日でございますから、十月の十五日……。
  93. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 口頭ですか。
  94. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 口頭です。
  95. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、もう一つお答えいただかなかったんだけれども、いろいろと監視体制を強めるというようなその処置として、いまでは大変不十分だと思うんですけれども、その点についてどういうふうに考えられますか。
  96. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私どもも十分と思っておりません。したがいまして、五十二年度の水産庁の予算要求の中でも、さらに監視船を増強することを要求しております。
  97. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当に向こうが全く違法な標式目がけて突っ込んでくるというようなことを防ごうと思いますと、やっぱりどうしても監視体制というものをしっかりしていただかなければならないわけなんで、伺った船の数では大変不十分だということで、来年度となりますでしょうけれども、ぜひそれをふやしてこういう事故が起きないようにしていただきたいと、そう思うわけです。  で、ソ連船が二千トンと、こっちが二、三トンというような場合には、やっぱりソ連船の方がどれだけ安全を確保してくれるかという立場に立つと思うんですね、波で倒されちゃうというようなときに。そこで、この前も私電話でお伺いいたしましたけれども、重要な対策の一つとして第六条の二項の「臨機の情報の交換のための通信」というようなことでございます。お答えを先ほどもいただきましたけれども、昨年十一月十八日にも私質問をいたしまして、そしてそのとき長官も、ソ連と打ち合わせ速やかに発足することができると答弁なさり、そしてきょうも速やかにということでございますけれども、一日一日もう大変な被害を受けている中でございますので、その速やかにというのは大体いつごろということをめどとして考えられるでしょうか。
  98. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ソ連の漁業省の専門家と話し合いをやってまいりまして、そこで漁業省の方は大体話がついた。これがやっぱり外交関係でございますので、ソ連の外務省にもすでに回っております。したがいまして、近くというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  99. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 済みません、その近くなんですけれども、遠くから見ればこの辺近いけれども、いろいろその近くというのには距離がございますので、漁民の方にとってはもう本当に深刻な悩みでございますので、その近くというのは、別に外れたからつて怒るわけじゃありませんので、大体いまの腹づもりではいつごろだというふうにお見通しになっていらっしゃるか。
  100. 内村良英

    政府委員(内村良英君) これは相手国の話でございまして、向こうの漁業省だといろいろ私どもコネクションございますし、過去の経験もあります。ただ、外務省にすでに回っているということを聞いておりますので、向こうの外務省の審査なり何なりがどれぐらいで済むのか、正確なことを残念ながら申し上げるだけのデータを持っておりません。
  101. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それ以上無理だと思いますけれども、再度早くやっていただくというようなことをお約束していただけますか。
  102. 内村良英

    政府委員(内村良英君) もちろん、私どもはその線でいろいろ努力しておりまして、もう技術的な話なんかについては全部話がついているわけでございます。
  103. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃぜひ積極的に、一日も早く実現させていただきたいと思います。  次に、損害賠償の問題ですけれども、一昨年の十月ごろより被害が非常にふえてまいりました当時、損害について当面国で補償する措置を何とか考えてくれと、相手を待ってればとてもどうしようもないと、そういうことを主張いたしましたのに対しまして、前安倍農相は検討するというふうにおっしゃっていただいたわけです。しかし、協定の締結がはっきりいたしますと、この協定の締結によってルールができたんだからだからこの協定によってというふうに、協定にげたを預けたというような形になってしまっているわけです。この点で漁民は一番この協定に期待していたんですけれども、先ほどから言われるように、その協定はいまのところ全く期待外れということになっているわけで、この協定が発効して漁業損害賠償請求処理委員会というのが設置されたわけですけれども、実際の賠償される見通しというのは非常に悲観的でございますね。先ほども三件が出たというようなことでございましたけれども、道の方から何件賠償請求があり、何件処理委員会にかけられているかという点をもう一度おっしゃっていただきたい。
  104. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 先ほど川村委員の御質問にお答えいたしましたように、北海道から提出されました三件は、東京委員会の審査を終わりましてすでにモスコー委員会に送付される段階になっております。このほか、最近北海道から三百七十六件の申請が出ております。したがいまして、現在までに北海道から出たのは三百七十九件でございます。
  105. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 三百七十九件出て、三件だけはモスコーの処理委員会ですかに行くということは、この三件だけは実情がはっきりつかめて出せるということになるわけですね。そうすると、あとのはそういう確認するべきものが足りないからそれは出せないという段階ですか。
  106. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 先ほども申し上げましたように、この委員会が本格的に活動を東京で開始しましたのは四月でございます。そこで私どもといたしましては、一番わが方が強いと申しますか、もう絶対に取れるというものをまず先に出したわけでございます。それから、残念ながらどうも加害船が不明というようなものもございます。そこで、とりあえずそういう三件について処理しまして、これから後審査が始まるわけでございますけれども、なかなか容易でない問題があることは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
  107. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 つまり、大部分は加害者がはっきりしないということで押さえられているわけですね。で、前の国会の答弁では、賠償請求が不明確でもできるんだという御答弁をいただいておりました。そこで三件だけ出して、あとのは加害者がはっきりしないからということだけれども、賠償請求ができるという立場で処理委員会にお出しになるんですか。  で、期日も十月の二十三日までとかいうようなこともありましたね、被害について二年間の場合。それは時期的には心配なく、あと全部は個々にははっきりしてないけど、ソ連漁船団だということはわかっているという立場で処理委員会にお出しになりますか、あとの分。
  108. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 協定でも、その申請を出すときにいろいろな加害船その他の資料の提出をしなければならぬことになっておりますけれども、「知る限りにおいて、」と、こういうことに協定でもなっております。したがいまして、私どもはそういうものにつきましても、加害船が必ずしも明確でないものについても出してみたいと思っております。ただ、そういったケースについての実質的な審査はこれからやるわけでございまして、この委員会の審査がどうなるかということについてはまだはっきりわからないという状況で、いずれにいたしましても、私どもといたしましては出すつもりでございます。  それから協定では、協定発効前の二年間ということになっておりまして、その二年前のものについてはいまからでももちろん出せるわけでございます。
  109. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 当然、それ出していただかなければならないと思うわけなんですけれども、漁民の方にはやっぱり協定が発効できればこれは請求できるんだと、賠償も何とか考えられるんだということで、いまから考えれば非常に大きな期待を抱かせたわけですね。だからそういう立場から考えると、具体的に出しました、これはだめでしたということでは、いままでの取れるんだと言ったことが、全く漁民の立場に立つとペテンにかけられたというようなことを言っている人も現実にいるわけですよね。私も、いろいろ様似だとかほかのところからこの間も見えましたし、書類の問題も先ほどおっしゃったように大変な仕事になっているわけですよね。だから形式的に、取れるんだ、出しなさい、出したけれどもだめなんだということになりますと、漁民に対して申しわけないと、漁民の立場がないということなんですね。そういうことから考えまして、賠償が非常に先ほどから困難だとおっしゃったわけですけれども、それじゃ、その困難な中でもしもそれが取れないというようなことになったときに、これも何回も質問申し上げまして、それは民事上のといろいろなことでおっしゃいましたけれども、零細な漁民に泣けと言うのか。泣かないでも何とかすると、相手はソビエトだからうまくいかないけれども、政府として、水産庁長官として、農林大臣として、漁民の皆さんにただ泣けなんて言っているんじゃありませんよと、何とか考えたいというようなことをこの前はおっしゃっていたんだけれども、現在はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  110. 内村良英

    政府委員(内村良英君) まず第一に、漁民が協定ができればもうどんどん金が取れるというような幻想を抱いたというお話でございますけれども、水産庁といたしましては、先ほど川村先生からパンフレットが示されてお話しになりましたけれども、そういうような指導はしなくて、これはかなりいろいろな条件があるのだということは、末端の漁民にも十分指導したつもりでございます。  それからこの問題、どうもソ連船らしいと、しかしはっきりしないと、どうも民事上の不法行為に対する損害賠償という形になってくると、自動車事故のひき逃げみたいな形でなかなか賠償金が取れないんだということで漁民が非常に困るんじゃないか、その点については先生指摘のとおりでございます。  水産庁といたしましても、そういった問題をどうするかということをいろいろ考えておりますけれども、ただ非常に問題なのは、これは法律論でいきますと、あくまで民法上の不法行為の損害賠償請求だ。そうなると、その受けた被害の必ずしも加害者がはっきりしないというものについて国がかわって補償するということは、ソ連の不法行為について日本政府がこれを補償するということはできないという法律論が出てくるわけでございます。したがいまして、直接的な賠償の肩がわりということはできませんけれども、やはり漁業者が非常に困る、そういうことによって生活が困るという場合には、四十九年におきましても先生御案内のように、融資措置その他の措置をとったわけでございますが、われわれはやはり漁民の生活が困らないようにしなきゃならない。しかし、直接受けた加害者不明の事故を国が肩がわりするというのは残念ながらいまのたてまえ上できない。そこで、漁業者が生活に困らないようにしなきゃならぬということはもうこれは水産行政としてあたりまえのことでございまして、そういうことの場合にはそのような措置をとらなきやならない。ただ、御案内のように、あの辺の漁場はこれから十月、十一月、十二月と盛漁期に入るわけです。ソ連の漁船の行動もどうなるかわかりませんし、そういうことを見ながら、事態の推移を見て、漁民が困らないようにしなきゃならないということはもう御指摘のとおりでございまして、私どもとしては大臣の御指示を受けてそのようにしたいと、こう思っております。
  111. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 おっしゃるように、去年の春ですか、九億の低利融資というものをお出しいただいたわけなんですけれども、なるほどいろいろと法律上から言えば国が肩がわりすることはできないということだと思いますけれども、こういう事態というのは国と国との関係で、先ほども外務省がごたごた言っていましたけれども、ああいうふうに長引いて具体的に被害を受けたのが漁民である。漁民にとってみれば、国がどうだという責任はないわけですよね。一生懸命やっているのに被害は受けたというような立場から、やっぱり特殊な問題ですよね。いままでの体系からはいかないというんじゃなくて、やっぱり国としてしっかりとそれを解決できないという、その弱さの中から漁民が泣かされるというケースになっているんだから、やはりその辺のところは、この問題は特別な問題として何らか御配慮いただくということがなければ、漁民は本当に泣かなければならないということなんですよね。その辺のところ、大臣としてもどういうふうな道が考えられるかということですよね。そして去年の融資というのは、当然ことしも低利の融資というものもまた考えていただいて結構なんですけれども、何回も言うようだけれども、漁民には責任ないんです。一生懸命やっているんです。ただ、国として十二海里宣言ごたごたやっているから被害を受けたんだから、やっぱり国の責任で何とかここで沿岸漁民を泣かさないで済むというような道を、やはりそれは政治的な立場で考えるというようなことはできませんか。
  112. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまの御趣旨はよくわかります。われわれもそうしたいと思います。とにかく漁民の生活を守ることがやっぱり農林行政基本なんですから、できるだけ生活が立っていけるように、国の責任とか国の補償とかということを離れまして、もっと広い見地からそのようなことを何とか考えなきゃならないと思います。  どういうふうにしたらいいか私はいま具体的にはわかりませんけれども、たとえばいまの何かあれですな、補償が返ってくるまでは国から金を貸してあげてもいいというようなこともあるかもしれません、素人が考えれば。何かとにかく彼らの生活を守るためのことは考えてまいりたい、そう思います。
  113. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大石農林大臣、この間からいろいろ御答弁聞いて非常に特徴的だと思ったのは、もう皆さんの御意見に御趣旨のとおりとおっしゃるんですよ。御趣旨のとおりなら、本当にやってもらいたいと思うんです。その辺のところ、御趣旨のとおりとおっしゃったんだから、もう具体的に御努力をいただきたいと思うんです。やっぱり外務省もしっかりやってもらわなければならないけれども、何といったって直接漁民を守るという責任ある大臣の立場ということで、いまの点、何かいますぐというわけにはいかないかもしれないけれども、具体的に漁民を泣かせないで済む方法というものを考えていただきたいと思うんです。  次に、領海十二海里の問題についてお伺いしたいんですけれども、漁民の人たちはいま損害賠償いろいろなものもほしいけれども、いまやってほしいことは、現実に入ってくるのを何としてもとめてほしいということですよ。これ以上被害受けたら大変だと。被害額というのは網だとかいろいろな漁具の被害額だけれども、被害があって、死につながるから行けないということで休漁していますでしょう。そうすると、様似漁協だけで一日最低二百万から三百万という損害になってくるわけですよ。そうすると、どうしてもこれを何とか抑えるという道は、先ほどから言われた十二海里宣言ということがもう早急に必要だということなんです。で、安倍農林大臣、昨年の二月十四日に私質問しましたときに、こうおっしゃっているんですよ。機は熟している、なんて、なかなかいい言葉ですよ。まさに機は熟していると、こうおっしゃったわけですけれども、外務省の意向として、先ほどもおっしゃったように、海洋法会議の要素の一つとして、経済水域二百海里や国際海峡問題一括して決定するというような立場が強調されて、結果的には十二海里宣言というのは延び延びになっているわけですよね。三木総理も、海洋法待ちでないと言いながら、非常に複雑なニュアンスを持っていらっしゃるわけですわ。私は、農林大臣大石さんの姿勢をはっきりさせていただきたいと思ったんですけれども、大石農林大臣、十月五日の予算委員会で、二百海里経済水域と領海十二海里を一緒にして——こう議事録に書いてあるんですよ。結局、日本としては不利になるとおっしゃっているわけですよね。これはとんでもない大臣だと、水産の方はゼロだなと、そう思ったんですけれども、きょうのところはちょっと姿勢を正されて、一生懸命やろうと。まあまんざらでもない、やっぱり大臣だなと、そう思ったわけなんですけれども、その辺のところで、十二海里宣言というのは非常に大事だということで、さっき確認されましたね。そして、来年五月の海洋法までは待ち切れないと、国内法でもというふうなことをおっしゃったわけですけれども、国内法でも十二海里宣言というものをするという立場で考えられるとすると、それは一体いつごろ、来年の海洋法会議まで待たないでやるというふうにおっしゃるんなら、それは具体的にどういうふうになるんですか。
  114. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 大分御丁寧に御指導いただきまして——その、何でもやるというわけでございます。私、いいことは何でもやりたいと、そう思います。皆様のおっしゃることはいいことが大部分でございますから、それを御趣旨に従いまして一生懸命やろうという決意でございます。  で、この前の答弁でちょっと私勘違いしておりまして、海洋法会議で決める以外に方法はなかったように私そう理解しておったものですから、それを待つ以外にないということを申し上げたのでありますが、やはり国内法でもこれが処理できるということがはっきりわかりましたので、来年の海洋法会議は五月にまとまるかどうかわかりません。そうすると、これだけ待っていてはまた来年もだめだということになるわけでありますので、その国内法を成立さして——これは法案でありますから、国会で御審議いただかなければなりません。そういうことで、この臨時国会には恐らくこれはとうてい間に合いませんので、通常国会に提案してできるだけ早い機会にこれを成立させたい、そういうことで皆様方の御協力もいただかにやなりませんので、そういういま考え方で努力いたす方針でございます。
  115. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これでやめますけれども、十月十三、十四日の日高沖の被害というのが二十五件でございまして、そのうち二十三件までが十二海里以内なわけですよね。だから、本当に十二海里にしておいていただけば、二十五件のうちの二十三件だから、大部分が救われるということで、ぜひ漁民も宣言を早くやってほしいということを切望しておりますので、いまの姿勢でしっかりやっていただきたいと思います。道としても、堂垣内知事も小坂外相に要請もされておりまして、前向きに検討するというお答えがあったというような報告も伺っておりますけれども、この十二海里宣言を早急にしていただくと一緒に、それまでの日日起こってくる問題についても、ぜひ、やっぱり農林大臣が姿勢をしゃんとしていないと外務省だって動かせないですからね。閣議の席がお隣りかどうかわかりませんけれども、ぜひあらゆる機会にこの漁業被害というものから漁民を泣かせないで済むようにということをしっかりやっていただきたいと思います。御決意をしっかり伺って、終わらしていただきたいと思います。
  116. 大石武一

    国務大臣大石武一君) しっかりした姿勢で一生懸命にやります。
  117. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 よろしくお願いします。
  118. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 限られた時間ですから、質問を大分用意しておったんですがなかなかできませんので、大事な問題だけを一つ二つ取り上げてみたいと思います。  大臣が就任なさって、委員会における大臣のあいさつの中に、漁業問題につきましてはごく簡単に、むずかしい複雑した日本のこれからの漁業というものは、いまの漁業というものは大きく転換をしなきゃならない重大な局面に達している日本の漁業の状態じゃないか、これは何かということはもう私が申し上げるまでもない、十分承知の上でこのわずか短い言葉で詰められておると思います。そこで、大臣が心配されている、「近年、水産業を取り巻く情勢は、第三次国連海洋法会議の動向、米国の漁業保存管理法の制定等に見られるように、国際漁業環境が一段と厳しさを増しつつあります。このような情勢に対処するため、強力な漁業外交を推進する」ということ、これを重点に置いて将来の方向づけ、それに基づいて日本の沿岸漁業に対処する、そしてまた漁港の整備をやらなきゃならない。いままでのような沿岸漁業対策ではどうにもならぬ。漁港の問題につきましても、今度五十二年度の予算等を見ていきましても、もう三分の二以上は漁港の要求をしていかなきゃならないという決意はわかってくるわけです。そこまでに追い込まれてきた今日までの日本の漁業というものに対する考え方が、非常に私は手を打たれてきていなかった現況がまざまざとあらわれてきた。いままではとにかく三海里を決めてどんどん取ることだけしか考えていなかったというようなことで、先ほど来から話がありますけれども、この十二海里の問題は、私は昭和四十一年、四十二年、四十三年、四十六年と予算委員会等等でこの問題を追及してきました。ところが、残念ながら三海里説をとってどうしてもこれを譲らなかった。その当時から、先ほど大臣が国内法でもこれを決めていくという——大臣が四十年、四十一年ごろにおいでになったら、きょうまでのいろんな問題が解決されてあったと思うんです。私は当時の会議録等きょう用意しましたが、皆さんおやりになったからやりません。ただ、そういう経緯の中から今度は締め出しを食っていった。今度は沿岸漁業をやらなきゃならない、漁港の整備をしなきゃならない。漁港の問題についても、第五次整備計画ではもう三年ちょっと、四年やったかどうか、もう一年間打ちどめなきゃならぬ。そうして第六次の漁港計画をしなきゃならない。しかも、その予算の内容はどうか。予算は、諸物価が上がるものだから、予算の面では確かに四年間やったような実績であるけれども、実質的な、実際的な現状というものは三年間やったかやらないかという整備状態にすぎない。そこで、長期計画は七年だとか八年の長期計画はやめて短期計画に変えて、今度は少なくともそれを埋めるためにも漁港問題を取り上げて、今度は大幅に漁港整備をしなきゃならないという、そういうときに、先ほど申し上げました国連海洋法会議等の問題で遠洋は締めつけをされちゃったというようなことを取り上げてみても、まことに重大な日本の漁業界としてのあり方、水産漁業としてのあり方というものを大きくこれは変革をしなかったらどうにもならない時期が来ていると思うんです。この点、簡単に大臣の所見をはっきり伺っておきたいと思います。
  119. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私は、ただいまの宮崎委員の御意見そのとおりだと思います。これは本当に重大な決意をもって立ち向かっていかなければ、とうていこの難局は打開できないというように考えております。
  120. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大づかみなことだけ最初申し上げておきましたが、細かくやりますけれども、「漁業外交を推進するとともに、」とあります。外交問題でもこれは大変なことだと思うんです。科学的な諸外国の水産漁業というもの、アメリカ、カナダ、ソ連、各国がどのような取り組みをやって国民のたん白資源というものを守っているかということ、そういうことも知らなきゃなりません。「漁業外交」というわずかな言葉でありますけれども、これをする人を十分に養うためには、調査研究機関なんかもいままでのような考え方であっては絶対ならぬと思います。幸いにして日ソ漁業協定については、いまのように内村長官が骨を折られておやりになった功績というのは私は深く多とするところでありますが、ともあれ経済水域二百海里の問題、言うならばこれは排他的経済水域二百海里ともいわれているぐらいです。この中にあっての今度は日本の漁業の形態というものが、北洋漁業に対する問題、全体の日本の列島を取り巻く問題が大きく変革をしてくると思うんです。こういう考えにつきましてもいままでの水産庁、農林省考え方ではまかりならぬと思うんです。しかも、農林省の中に一部水産庁があるということそれ自体が弱い。予算の面からいきましても農林省の総予算のうちの何%ですか、占めているのは。私がお伺いするまでもなく大臣もおわかりだと思いますが、今日までわずか四%か五%か七%ぐらいしか取り組んでいられなかったという、そういう点についてもこの際はっきりしなければならないのですけれども、来年の要求を見ていきましてもまことに嘆かわしいと思うのですが、この点をはっきり大きな問題としてお伺いをしておきたいと思うんです。
  121. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私はおっしゃるとおりだと思います。来年に概算要求も相当のものが出してあると思いますが、今後の、ことしの暮れからの予算要求につきましてはもう少しこれを検討いたしまして、できる限りやはり水産行政の将来が確保されるような、そのような方向で進めてまいりたいと考えます。
  122. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 具体的にいろいろ聞きたいのですけれども、時間がございませんので残念ですけれども、五十二年度の水産概算要求の中身をうんととっちめなければならない問題がいっぱいある。とっちめるというのは変な言葉でございますけれども、もっともっと追及していかなければならない点がいっぱいあるわけですが、残念ながらわずか三十分でこういう大きな問題を質問しろなんて、できっこありません。  そこで具体論に入ってまいりますけれども、外務省の方は見えていますね。
  123. 斎藤邦彦

    説明員(斎藤邦彦君) はい。
  124. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ところで、いまカナダの首相がおいでになりまして、この内容がどんなふうな内容であったのか、それからどんなふうな話し合いを進められておるのか、また水産庁長官は首相にお会いになったかどうか、こういう点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  125. 斎藤邦彦

    説明員(斎藤邦彦君) カナダ首相の訪日についてのお尋ねでございますが、トリュドー首相はあした十月二十日に日本に到着して二十六日にカナダに帰る予定になっております。したがって、会談はこれから行われることになります。
  126. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私の質問がちょっと横っちょに行きまして、カナダの方はこれからですけれども、日米漁業協定の箱根の会談についてはどうなんでしょうか。
  127. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 十一月の初旬に日米加漁業委員会が東京で開催されるわけでございます。日米加漁業委員会の場合には、その本会議の前に科学者の生物学小委員会等を開催するわけでございまして、先週箱根で科学者同士の話し合いが行われたわけでございます。この話し合いでは、主としてベーリング海その他のアメリカの経済水域になると思われる海域における底魚資源の評価について科学者同士の話し合いをやったわけでございますけれども、スケソウダラの評価については必ずしも意見が一致しなかったというような状況で終わっておりまして、これからさらに昨日から始まりました生物学小委員会でそれらの点について論議をする、こういうことになっているわけでございます。
  128. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまの海洋法会議の議長のアメラシンゲ議長が、米国の一方的な二百海里というものを制定するのを慎重にやるようにということだったということを聞いているんです。それで、アメリカが一九七六年四月に漁業保存管理法を制定して、そして来年の三月にやるということの前提のもとに進められているという。それからもう一つはカナダの方、カナダの方も、これは経済水域の実施を一月からやるというふうに聞いているんです。この問題、外務省の方からカナダの問題、それらのこと、それから海洋法会議の議長の発言と、それらをひとつ御答弁願いたいと思います。
  129. 斎藤邦彦

    説明員(斎藤邦彦君) 米国とカナダとの漁業交渉についてお答えいたします。  米国との交渉につきましては、先生指摘のとおり、ことしの四月に漁業保存管理法というのができまして、これによれば、来年の三月一日からアメリカは二百海里の漁業専管水域を設定してこれを施行するということになっております。したがって、日本政府としては、アメリカが一方的にこういう水域を設定することは認められないという立場はとっておりますが、実際の漁業を確保するという観点から、その法律的な違いをどのように克服して日本の実績確保ができるかという目的を持ちましてアメリカ政府と交渉中でございます。第一回の交渉が八月の後半に行われまして、第二回の交渉を十一月に東京でやる予定になっております。  それから、カナダにつきましては、カナダ政府はおそくとも来年の一月一日から二百海里の漁業水域を施行するという方針を発表いたしまして、恐らく来年の一月一日から施行するということになると思います。このカナダとの間の法律関係もアメリカとの場合と同様でございまして、日本法律的立場は違っております。しかしながらカナダの場合にも、カナダの二百海里沖合いで漁業の実績がございますので、これをどういう方法をもって確保するかという目的を持ちまして、カナダとこれは十月の二十七日と二十八日に東京で交渉する予定になっております。
  130. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 問題は、アメリカとの協定の内容によって、カナダももちろんそうでありますが、諸外国が全部そういう方向方向づけられていくだろうというように思うわけですから、そのアメリカとの協定の話し合いということは、これは重大な日本の今後の漁業の盛衰にかかわるわけです。この点につきましては、いまお話がありましたけれども、話し合いをしていくんだと言うけれども、聞くところによりますと千五十万トンですか、それをさらに八十五万トンぐらいの減少を考えて、この線で日本に承服をさせようという話も聞いているわけですから、こういうふうなことになりますと、いままで大体一五%の減であることから考えて、さらに減少をするということになるとえらい問題が起きてくるわけであります。こういう点についての、そういう時点を踏んまえての上の会談を再度することを私は強く要請もし、日本の将来にはっきりと方向づけをするような行き方をしてもらいたい。これを私は外務省にも申し上げ、それから農林大臣水産庁長官にも、このことによって大変な事態が起きてくるんだということを十二分に知っていただきたいということですから、この点についてそれぞれの御意見を聞かしていただきたい。
  131. 井口武夫

    説明員(井口武夫君) 実は、いま直接先生の御質問に対してでございません、その前の御質問に対してお答え申し上げてないので、補足説明させていただきます。  実は、現在、この海洋法会議において経済水域二百海里の問題がどういうふうに議論されているかということでございましたが、実は、八月二日から九月十七日まで第五会期がニューヨークでございまして、そのときにも経済水域二百海里の公的な性格が、従来のように公海であるのか、それとも公海でも領海でもない第三の性格の水域であるのかという点におきまして、実は先進国、これは先進海運国、漁業国でございますが、それに対する後進沿岸国の主張が対立したということで、その点についてもまだはっきりした結論が出ておりません。  それから、まさに第三国の権利、たとえば遠洋漁業国でございますが、それから内陸国、地理的不利国、こういうものの権利をどういう形で認めるかについての議論が出まして、それから、かつ、経済水域で汚染とか科学調査をどう扱うかという点についてもまだ議論が続いておるわけでございます。それで、アメラシンゲ海洋法会議議長は、九月十七日の最終日に、やはりいかなる形であれ一方的立法は控えるようにということをアピールいたしたわけでございます。これは累次の会期の終わりに、海洋法会議議長としては、交渉が続いている以上は交渉の内容を先取りする、あるいは交渉を混乱させるようなことは好ましくない、それで一方的立法というのを控えてくれと、こう言っているわけでございます。  他方におきまして、実際上、すでに発効した二百海里経済水域あるいは漁業専管水域法案を持っている国というのは、これはアメリカ、カナダ以外に、すでに昨年、アイスランド、それからメキシコが発効させましたし、アフリカがアンゴラとかモザンビークとか、そういうところがすでに制定しております。それからインド、フランスなんかもつくりまして、ただしインドもフランスもまだ発効させ施行させてはおりません。それから、法案準備を伝えられているのがEC諸国でございます。
  132. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間がありません。それはわかっておりますから、その実情は知っておりますから、ですから今後のあり方を聞いている。とにかく、いずれにしましても、一九七六年四月にアメリカ自身がもう漁業保存管理法というものを制定して、やろうということなんですから、それを前提にして今度は日本のこれからのあり方というものをどうするのかということの重大な時点になっているのだから。さらに、この内容については、もともと海洋法会議は、海洋法のできたときに日本は相当この海洋法の問題については推進をしていったわけです。ところが、いよいよスタートするという段になって日本は引っ込んだという歴史的なこともあるわけです。したがって、そういうふうなことから考えていきましても、考え方が相当ずれておったといえばずれておった。当時の、あれはいつですか、千九百五十何年ですか、行われたときに日本の態度というものがはっきりしておったならば、いまのような問題も堂々とやっていけたわけなんです。いずれにしましても、そういう議論をやってもいま時間がございませんから……。  そこで、カナダの首相が見えることにつきましても、これは私の方ではっきり要請しておきますが、このカナダが来年の一月から実施をしていこうというような問題等も含めて、外務省ではがっちりとこの話し合いをしてもらいたい。それから水産庁長官の方にも、これを等閑視するようなことがあってはならない、このように思うわけです。  そこで、これからの二百海里の、水揚げが半減していく、仮に二百海里を制定されたということになればどういう事態になるかということについて、その認識を新たにしていかなければならないと思うんですが、その認識に基づいての日本の遠洋漁業、日本のたん白資源というものをどんなふうに確保するかということに決定づけられてくると思うんです。そういうふうな意味合いの上から、仮にこのようになっていったときに日本の減少の実態がどんなふうになってくるかということを、水産庁長官の方から少しく聞いておきたいと思うんです。たとえば、この統計資料が出ておりますが、この統計資料はこれ私は全漁連からもらってきたんですけれども、南方トロールだとか、大西洋とか中部、南部だとか、この方面の各国の水域の問題で現在の漁獲量が大体四百五十万トンであるという、それに基づいて、これが制定された場合にはどれだけの減少になっていくかという、水産庁としてはその試算をしたことがあるかどうか。また、この地域の影響度というものの実態調査しているかどうか、こういう点についてお伺いをしておきたい。
  133. 内村良英

    政府委員(内村良英君) わが国の外国の距岸二百海里以内における漁獲は約四百五十万トンないし四百七十万トンでございます。  そこで、これまで日本の漁業が伸びてまいりましたのは、先生御案内のように、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へと伸びてまいったわけでございます。その背景には海洋自由の原則があったわけでございますが、残念ながら世界は経済水域二百海里の時代にもう突入しつつあるというふうに考えて、今後の水産の問題を考えていかなければならないわけでございます。そうしますと、その四百五十万トンの漁獲が全部なくなるかということでございますが、現在の海洋法における考え方その他から見まして、これが全部減るということにはもちろんならないと思います。ただ、現在遠洋漁業約三百五十万トン、沖合い漁業約四百万トン、沿岸二百五十万トンというふうな数字になっておりますけれども、この遠洋漁業が減ることはこれは避けられないというふうに考えております。したがいまして、水産庁といたしましては、わが国の漁業は今日もう世界のあらゆる海に広がっておりますし、実績を持っておるわけでございますから、その実績を背後にいろいろ諸外国と交渉すると。さらに開発途上国等につきましては、いろいろな協力等もやりながら日本の漁場を確保するということと同時に、やはり遠洋漁業が減ることは避けられないわけでございますから、それをカバーする意味でやはり沿岸漁業の振興、沖合い漁業を維持するということに努力しなけりゃならない、こういうふうに考えているところでございます。
  134. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまお話がありましたように、遠洋に出る中小漁業者というものはこれは大変な時点になると思うんです。そこで、特にその北洋漁業に対する、何というんですか、北転船ですね、この関係なんかも相当な痛手になるだろう。また、こうなった場合には大体どれだけの漁船が減少されるのか、人数がどれだけそのあおりを食って路頭に迷うようになっていくのかというような深刻な事態というものをおつかみになっておりますか。
  135. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 現在、北転船は百五十四隻ございまして、アメリカの経済水域になるだろうと思われる水域及びソ連の経済水域になるだろうと思われる水域、すなわち北洋で操業をしているわけでございます。  そこでアメリカとの関係でございますが、アメリカの経済水域には百五十四隻のうち大部分の船が出漁しております。しかしながら、漁獲高の実績を見ますと、やはり影響の多いのはソ連の水域でございます。今日、北転船の漁獲高は約八十万トンでございまして、そのうち七十万トンがスケソウダラでございます。このスケソウダラの大部分はソ連の経済水域になるだろうと思われる海域でとっております。それ以外に十万トンの冷凍魚をとっておりますが、冷凍魚の半分ぐらいがアメリカの経済水域でとられているわけでございます。したがいまして、アメリカとの話し合いはこれからやるわけでございますけれども、アメリカの経済水域二百海里設定による影響は、私は、まあ特に減船あるいは船員の整理というふうなところまでいかないで済むと思います。ただ、ソ連が経済水域を万一設定いたしまして、そこでアメリカと同じような考え方日本の漁業に対応してくるということになりますと、この受ける影響は甚大なるものがございまして、その場合の船と人をどうするかということは非常に大きな社会問題にもなる可能性があるわけでございます。
  136. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もう時間が来たということなんですが、いまお話がありましたが、ソ連との問題もございます。これは大きな問題だと思うんです。先ほど来から論議されております問題も、一方では、ある方面で言われていることは、ソ連がいま盛んに領海すれすれで操業を起こしているのはそういう実績をつくるためにもやっているんだというふうに言われておると聞いているわけです。そうなりますと、このアメリカの今回の法設定のもとに基づいてカナダが今度はまたそれをやるということになる、ソ連がまたそれをやっていくようになるということになると、いま長官がやはり危惧されておるような時点が、もう来年は早々にこういう問題が大きく左右してくるように私は思うんです。こういう面から考えていきまして、仮にこのいまの話を突き詰めてみまして、全漁連では各港別にこの減少のデータをつくっております。それから北海道では死活問題でございます。まず一番最初に大きな打撃を受けるのは北海道であります。北海道で試算してみますと、七〇%の減少になってくる。そして全漁連の試算の問題からいきますと——これは漁港別になっております。時間がございませんから申し上げることはできませんけれども、当然、この全漁連の統計資料も水産庁に行っているんじゃないかと思います。行っておりますか。——それらをごらんになりまして、どういう実態になるのかということを考え合わせながら、この将来に対する問題に取っ組まなければ大変な事態になるということを私は申し上げておきたいんです。  そこで、農林省においても、この影響度の実態調査を水域的に完全なものを水産庁自体が把握していく、対処していくようでなければならないと思うわけです。この点どうお考えですか。
  137. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 先生指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても、一昨年あたりから経済水域二百海里が問題になりましていろいろな作業はしております。その場合において一番問題になりますのは、外国の経済水域の管轄の度合いがどうなるだろうかによって影響が非常に違いますので、いろいろな場合を想定しながら一応作業はしているわけでございます。
  138. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間が来ましたので残念でなりませんけれども、私の言いたいことがまだ全然言い尽くされておりません。極海漁場のオキアミの問題につきましても深海トロールの問題でも、どれだけの漁獲量がとれるのか、そういう科学的な計算、根拠もないでありましょうし、また、アメリカのスケソウダラの割り当てにつきましても、北太平洋条約に基づいてのヤリイカの問題でも、二万三千トンのうち日本は七千トンしかない。ところが、韓国の方には二万トンからいっている。そういったようなアメリカ自身のアメリカの国民のための食糧確保していくその政治的な実態というものも承知していかなかったらとうてい将来は、将来じゃなくてもうすでに足元に来ております。そういうふうな検討を考え合わせながら、その五十二年度の水産予算概算要求等につきましても、もっともっと深く探求していかなければならない。また、これもいろいろな項目が分かれてございますけれども、対策としては出ておるようでありますけれども、まことに微々たるものだということを私は指摘をしておきたいと思います。  それから海上保安庁の人見えておりますか——先ほど来からの巡視艇の問題、巡視艦の問題、巡視船の問題ですね。警戒、警備していく警備船の問題、そういうことで現在の実態で、いま私が質問しました遠洋漁業の大きな問題に対しての運輸省としての、海上保安庁としての考え方、それで現在の保安整備でいいのかどうなのかということを一言聞いて、質問を終わりたいと思います。
  139. 山本了三

    説明員(山本了三君) 海上保安庁の巡視船艇の現況でございますが、巡視船は九十四隻、巡視艇は二百十四隻を保有いたしております。この船艇をもちまして海難救助その他法令の励行等を行っているわけでございますけれども、相当数が耐用年数を経過しました老朽船であります。したがいまして、この老朽船を現在のところ鋭意代替建造いたしておるという段階であります。また、業務が御指摘のとおり多様化し、複雑化あるいは広範化いたしておりますので、その面に適応した船艇を建造しようということで、現在具体的な計画を持って進めてまいっております。  具体的に申し上げますと、五十一年度は代替が十隻、三百五十トンが六隻含まれております。増強が二隻あります。五十二年度は、現在行っております老朽船艇の代替を続行いたしますほかに、いま御指摘のあった新海洋秩序に対応いたしますために、ヘリコプターを搭載するような巡視船を増強し、あるいは三十ノットの巡視艇を増強しようということで、そういう計画を現在持って大蔵と折衝いたしております。そういう段階でございます。
  140. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一言済みませんが、時間を。  私は、農業問題も地域を詳細に調べてきております。大臣は、東北の方には岩手県と宮城県に行かれましたが、前回も園田委員の方から西の方へ来ないとおっしゃられましたが、北海道の方の冷害にもおいでになっておりません。ですから、北海道の冷害問題について具体的な資料をもちまして、きょうは細かく質問をして訴えるつもりでございましたけれども、残念ながらこの次の機会に譲る以外にないんですけれども、北海道の冷害というものに対する深刻な受けとめ方を十二分にお考えの上、善処を願いたいと思います。
  141. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 初めに、私は去る十月五日から八日まで東北の冷害調査に参りました。初めて冷害の恐ろしさを知ったわけでございますが、しかし、そのことについては十月十四日の農水委員会で、それから今日まで他の議員がいろいろな角度から述べられましたので、私は一言次のことを大臣にお聞きしたいと思います。  すなわち、調査団からの報告やあるいは現地からの数々の要望事項、陳情があったわけでございます。それは緊急対策、恒久対策に分けられると思いますが、そのような角度から順調にその対策の方向に進められつつあると、このように理解してよろしゅうございますか。
  142. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 応急対策につきましては、順調に進んでおるものと考えます。対策の方針もすでに決定いたしましたし、その手はずも進めておりますし、あらゆることに迅速果敢に順調に進んでおると考えております。  それから恒久対策というのは、これはいろいろ考えられますが、まずどのような、今回の冷害の何が一体大きな要因であるかというようなそういう分析もしなければなりませんし、そういうことを土台としていままでやってきたこと、そういうことをあわせ考えましてこれからの行き方を決めなければなりません。これは拙速よりも、やはりこれは確実にその正しい方向に向けるように持っていかなきゃならぬ、こう考えておる次第でございます。
  143. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それで、冷害の問題は各委員からも述べられましたので、私はこういういわゆる北に冷害あり南に風水害あり、そして北にいもち病あり南に黒穂病あり、こういった立場、いままで北は冷害の問題やそれから北方漁業の問題が中心に述べられました。これと対照的と言えば語弊があるかもしれませんが、南には風水害、それに南方漁業の台湾船の領海侵犯が頻繁にありまして、私はその二つの立場から、沖繩のそして南のサトウキビ問題それから漁船の操業侵犯問題、その二つを中心に時間の範囲内でお尋ねをしたいと思います。  まずその前に、大臣は機会あるごとに日本農政あり方の転換を強調しておるわけです。いま、日本国民食糧の主なもので一番輸入額のウエートの大きいものは何でありましょうか。
  144. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いま聞いてみますと、砂糖だそうでございます。
  145. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そのとおりでございまして、もしその答えが間違うならばこれは大臣の資格がないなと、こう思うぐらいに実は思い詰めておるわけでございますが、時間がありませんので、ここに一覧表を持っていますが、それを見ていまさらのように、これは国内自給を最大限に伸ばしていくという、そのためにはサトウキビ値を上げて再生産意欲をもっともっとかき立ててがんばってもらわなければいけない。こういう日本国民食糧資源の確保という立場からも、もっともっと力を入れなければいけない。自給率から一五%落ち込んでおる。それから輸入量からは二百七十六万二千トン、金額で三千三百八十四億三千八百万円、これは一位でありますよ。これをどう自給を高めていくかということが、これは日本農政の立場からも非常に重大な問題で、ほかも関連して申し上げたいんですけれども、この一点にしぼっておきたいと思いますが、そこで大臣の十四日の農水委員会の御発言の幾つかを私ここで再確認をしておきたいと思います。  まず、こういうことなんです。日本の将来がどのように発展していこうが、米が日本人の主食であることは変わらない。それは私も同意いたします。そしてまた、沖繩、奄美大島におけるサトウキビは他県における米作と同じ性質のものであると考える、こうおっしゃいました。そしてまた、しかも沖繩には農業共済保険制度もまだないのでその趣旨で対策を考えていきたい、こう述べられたわけですが、私はそのお言葉をお聞きしながら、沖繩と結びつけて沖繩の将来がどのように発展していこうがサトウキビは沖繩の基幹作目である。しかも、他に基幹作目としてかわるべきものがない、こういうことを大臣もいつか述べられましたが、そのことをまずここでもう一遍再確認いたしたいと思います。
  146. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 沖繩に将来もっといい基幹作物ができれば結構でありますが、いまの状態を見まして、やはりいろんな栽培面積なり生産額から考えますと、サトウキビが大きな基本的な産業となるだろうと考えます。
  147. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでそういう重大な、日本にとってもそして沖繩の立場からも、これはもうどう沖繩の将来、日本の将来が発展してもサトウキビをどうしても守らなければいけない、そう私は信じておりますが、ところで今度のサトウキビ価格につきましては、北海道のビート、それから鹿児島県のサトウキビ、沖繩県、この三者の事前の調整がうまくいきまして、そして確認されたことはビートはトン当たり最低価格二万一千円、それからサトウキビはトン当たり二万二千五百円というこの最低価格の統一調整がなされて、その上に立って波状的に陳情要請があったわけですね。ところが、十月の九日に、最低生産価格いわゆるビートが一万七千円と決定したわけなんです。ところが、これは内容を分析しますと、告示価格はトン当たり一万三千百円、それから生生奨励金は三千九百円、この二つ加えたものが一万七千円になっているわけですね。そうしますと、前年度のトン当たり一万六千円よりも六・二五%の引き上げにとどまっておる。ところが、農家が要求していた二万一千円をはるかに下回るものと、ダウンしておるという、このことがすぐサトウキビの立場から非常に脅威を感じておるわけなんです。これは大変だ。なぜかと申しますと、従来サトウキビの価格決定の場合に、てん菜を一応決めてそれにプラスアルファという形でごり押しされてきたという、片づけられてきたというこれまでのいきさつからしますと、ことしもそのようなビートの価格最低価格をしかもダウンしておる、政府の抑える——それにプラスアルファで片づけられたんでは、今年のサトウキビにおいてはどうなんだろうか、こういう不安を持っておるわけでありますが、ところがサトウキビ価格につきましては、北海道の皆さんとの調整の段階でも合意の上に、二万二千五百円ということで一応最低価格としてやったわけですが、それでサトウキビ価格の決定につきましてはどういうお考えに立って、そしていつまでにその価格を決定しようとしておられるか、そのことをお聞きしたい。
  148. 大石武一

    国務大臣大石武一君) この北海道のビートは、実質的に一万七千五百円ということに決まったわけでございます。で、沖繩のサトウキビに対しましては、昨年は十一月一日に決定したわけでございますが、やはり今回もこれに準じた時期においてその価格を決めたいといま努力しております。  で、以前のことはよくわかりませんけれども、沖繩のサトウキビとそれから北海道のビート、沖繩のサトウキビと鹿児島県のサトウキビですか、これが大体性格が似ていると思いますが、サトウキビとビートでは、多少われわれは生産の物の考え方に対してちょっと違う面を考えております。つまり先ほど申し上げましたように、沖繩のサトウキビは米にかわるようなものである。内地の米のようなものである。北海道のビートは、これは北海道の畑作を伸ばす一つの中心の作物であるというふうに考えまして、多少そこに物の一どちらが比重が高いとか低いとかいうことは別にしまして、物の行き方がちょっと違うわけでございます。そういう方向で沖繩のサトウキビを考えてまいりたいと思います。  そうしますと一できるだけ内地の生産米価を上げてほしいという農民の希望もありますように、やはり沖繩のサトウキビの価格を上げることは当然だと思います。そういう御希望の強いことはよくわかります。でありますから、日本の現在の財政なり行政の許す範囲において、できるだけのいい値段に決めたいとは考えております。しかし、ただ値段だけでは私はどうにも将来ならないと思います。そこで、やはり問題は内地の米、いま米が多少余っているということでいろいろな方策が立てられておりますが、やはり何といっても生産性を向上するのが一番大事な問題だと思います。そういう意味で、特に土地改良なりそのようないろんな生産性の向上する基盤をつくることに、より多くの努力をしてまいりたいというのがいまの考え方でございます。
  149. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 米にかわるべきものであるとおっしゃったことに、沖繩の農民要求も米方式、米方式と、こう言っておるわけなんですね。そうなりますと、今度問題は恒久対策のパリティから所得補償方式ということになりますけれども、一つの一貫した路線になっております。これはきょうは触れませんが、緊急な価格決定の面からこの問題を論じたいと思いますが、そこで大臣は、このサトウキビの価格を上げることよりもその反収を、いわゆる生産性を向上する方策をとることが大事であると、この前もこうおっしゃったわけですね。これは鳥と卵の関係だと私はいつも言うんです。サトウキビ値を上げていただくことが再生産意欲を高める。現にそういう反響があらわれつつある。だからどっちが先かという、反収を上げたらサトウキビ値を上げるんだ、あるいは上がるんだ、こういうことは何か後ろ向きの私は呼びかけではないかと思う。本当にサトウキビの値を上げていただいたら、ほうっておいても反収も上がってくる。こういうふうに私は考えておりますがね、その点見解の相違です。  そこで、この価格につきましては、ビートと今度は完全な調整が北海道さんとできたと、三者でできたということをさっき申し上げましたが、てん菜よりも生産費がかさむということも確認されております。特に最近の化学肥料、それから農薬、農機具などの工業製品である生産資材の値上がりによるしわ寄せが大きいということも確認されております。それから、労働賃金の上昇は生産費をさらに高騰さしておるということも確認されております。てん菜地域に比べてサトウキビの生産地域の生産基盤の整備の立ちおくれも、十分確認されております。このことがコスト面にはね返っておるという、この両者の生産費を同一視することは妥当ではない、こういうことがビート、サトウキビ、三者の話し合いの中でもお互いに確認をされておる。ビートがどうこうということじゃなく、あれはもっと上げてもらいたい。先ほど申し上げましたようにダウンしておるので、あのようなダウンで決められたんじゃこれはサトウキビにも大変な影響がある。こういうことを実は心配しておるわけであります。そういう点を踏まえていただいて、ぜひひとつ農民要求を最高度に吸い上げていただきたい。沖繩の特殊事情をいろいろ申し上げたいんですけれども、そのことについてもう一遍大臣のお考えと、そして時期の問題、それはいつまでに大体値段は決まるのであるか、このことをお聞きしたいと思います。
  150. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 先ほど申し上げましたように、やはり価格と基盤整備が鶏と卵であるというふうに考えても結構でございますが、そんなふうに考えないで、やっぱり生産の一番基本になることは基盤の整備だと思います。基盤の整備に全力を挙げることが私は一番大事だと思います。そうしてその上に立って、価格というものも当然のこと、妥当に上げてあげることが、なお耕作反別その他に対する意欲も増すでしょうし、これは結構なことでございますから、そういう点ではある程度の組み合わせをすることになりますけれども、やっぱり基盤の整備ということに特に重点を置きたいと私は考えております。  それから、価格の決定につきましては前のような考えでございますが、月末までには何とかこれを決定さしたいというのがいまの考えでございます。
  151. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖繩の農業は、本土に比べても三十年おくれておるということも言われております。それはおくれる理由があるわけですが、それはいまさら申し上げることもありますまい。その立ちおくれを一日も早く取り戻すということは、おっしゃるとおり基盤整備の立ちおくれであることはこれは十分認めます。それをひとつ、特に沖繩の場合には、立ちおくれの格差をできるだけ短い期間のうちに本土並みに持っていくということが前提でなければいけませんから、当然基盤整備の拡充は急いでもらわなければいけない。それも大事でありますし、緊急な問題としては価格を最大限に最高の配慮をしてもらうという、この両々相まって初めて本土並みという基準ができる。一刻も早く追いつくわけであります。そして、それが日本国民の甘味資源の提供地の沖繩としてそれ以外には基幹作目はない。こういうふうな御配慮を一段とお願いをしたい。ぜひひとつ大石大臣の決意でもって、なるほどここまで目に見えて善処したと、こういう目に物を見せていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  152. 大石武一

    国務大臣大石武一君) これは一生懸命にみんなで努力してその方向に持ってまいります。
  153. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、そのサトウキビに関連して、もう一つ含みつ糖の問題について。  含みつ糖の保護措置は、申し上げるまでもなく、沖繩の復帰対策要綱と沖繩振興対策特別措置法によって、国や県の財政措置によって今日まで含みつ糖の生産価格の安定が図られてきたわけですが、ところがその特別措置が来年の五月十四日に一応期限が切れる。ところが最近聞くところによると、五十二年度以降は保護措置を打ち切られるのではないかという、こういう情報があって、特に含みつ糖以外につくれない離島の農民が非常に心配しております。このことについてどう考えておられるか。
  154. 大石武一

    国務大臣大石武一君) これは、一応復帰に伴う特別措置ということで来年までの期限になっております。しかし、やはり沖繩のいろいろな特殊事情を考えますと、このままいままでのこの制度を簡単に打ち切るというわけにはまいらないと思います。そういうことで、これはりっぱに沖繩のそういう生産が成り立っていくようにできるだけいい方法考えてまいりたいと、こう思います。
  155. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に念を押して私からも改めてお願い申し上げておきたいことは、国の政策もそうでしょうが、特に沖繩県の政策は離島振興ということが非常に大きなウエートを打ち出されております、この立場から。それから、この離島農民生活を守っていくという、農民生活を守るということを絶えず大臣は強調しておられますが、この離島の農民生活を守っていくという立場からも、離島では含みつ糖以外製造できないということですね、そういう特殊な事情に置かれている。それ以外にはできないということですね。そういった特殊事情からも、どうしても含みつ糖は守っていただかなければいけない。  そこで、守るということは、甘味資源確保基本施策としての位置づけ、それから含みつ糖地域の生産農家が安心して生産活動に励むことができるような裏づけ、そして沖繩産含みつ糖については、分みつ糖に準じて早急に保護法を制定して、含みつ糖の生産価格の安定を図ってもらわなければいけない、こう思うわけでありますが、それを具体化していただくことが、それを考慮するとか配慮するとか生活を守るということになるわけでありますが、その点いかがですか。
  156. 大石武一

    国務大臣大石武一君) おっしゃるとおり、そのような離島の農民の方々の生活を守ること、これは基本的に大事でございます。当然そのような考え行政を進めなければなりません。  ただ、その具体策につきましては、やはり所管の局におきまして、十分にその趣旨をわきまえて検討いたすでしょうし、またいたされるようにいたしますから、詳しいことにつきましては、もし御必要がございましたならば所管の局長から御答弁さしたいと思います。
  157. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 含みつ糖の対策につきましては、含みつ糖に国が三分の二、県が三分の一の所要の補助をいたしております。その補助を原料サトウキビ代に直しますと、大体六〇%ないし七〇%を国が補助金を原料代に出しておると同様の計算に相なります。したがいまして、そういう計算からいきますと、分みつ糖などよりもはるかに手厚い対策を現在講じておるわけでございます。  これらの対策を今後どうするかという問題は、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、復帰の特別措置ということでございますから、今後いろいろ検討いたします場合にも、先生お話しのように、離島対策としてどうするかというふうな観点から物を考えていかなければいけないと思います。したがいまして、沖繩開発庁とも十分相談いたしまして、今後どのような扱いにするかについては十分検討いたしたいと思います。
  158. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 国全体の立場からも離島対策は非常に大事なことでありますが、特に沖繩県の特殊事情から、沖繩自体が本土から切り離された離島である、しかも沖繩本島のまた離島が無数にあるというこういうことですね。こういう特殊事情の離島対策ですね。だから、沖繩を考えるということは、沖繩の県民の要求をストレートに吸い上げるということは、この離島対策をどう具体化していくかということが最も大事であります。いろんな方面から申し上げたいんですけれども、これは要するに離島の一番大事な問題はこの含みつ糖対策をどのように保護していくか、そして生産意欲を高めていくかと、こういうことが非常に大事でありますが、もう一つ具体的に、そこで製糖工場の近代化に必要な助成措置ですね、これをどうしても製糖工場の助成措置をしてもらわぬというと、いまの生産意欲を高めていくというものにもまたつながらない。離島だけではこれはどうにもならない、県だけでもどうにもならない、小規模のものが無数にある、なければいけない状態にあるものですから、そういった特殊事情ですが、この助成措置につきましてはいかがお考えでしょうか。
  159. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私は、余りまだ具体的なあり方についてはよく認識しておりませんので、これは所管の局長からお答えをさせます。ただし、所管の局長もそのような方針を考えて十分に対処してまいると思っておりますので、それのお答えをお聞き願いたいと思います。
  160. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沖繩も奄美もそれぞれ島に一工場あるというかっこうに相なっておるものですから、なかなか何といいますか、工場の規模がまちまちに相なっておりまして、一律にはなかなか論じがたいのでございますが、これの近代化といいましても新しい工場を建てればいいというふうにもなかなかいかない点もございますので、それぞれの島の特殊性に応じてどういうふうにやっていくのが一番いいかというふうに考えていかなければいけないのではないかと思います。  現在、対策としましては、沖繩金融公庫で低利資金を出すということがございますが、これを補助にのせる、あるいはまた別途のそれ以外の低利融資措置を考えるかどうかということにつきましては、なお私たちとしましてもどういうふうな近代化が一番いいのかということを踏まえて考えてまいらなければいけませんので、それぞれの実情に即してどういうふうにやっていくのが一番いいかということは、今後十分検討いたしたいと思っております。
  161. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間がありませんので次に移りたいと思いますが、沖繩の糖業振興を裏づける大事なものとして国立糖業試験場を沖繩にぜひ設置してほしい、こういう強い要望があるし、また私もそのことを機会あるごとに強調いたしておるわけでありますが、まあ国立と申しますと、果樹、果物の試験場があるし、あるいは野菜の試験場があるし、あるいは畜産の試験場があるし、林業の試験場があるわけですが、唯一のサトウキビの産地としての沖繩にこの糖業を振興するための国立試験場がどうしてもなければいけない、こう思うわけですが、その点に対してお考えになったことがありますか、また農林省としてどのようにお考えでしょうか。
  162. 平松甲子雄

    政府委員平松甲子雄君) サトウキビが沖繩の農業にとって非常に大事な作物であるということは先ほど大臣からお話のあったとおりでございまして、そういうことを頭に置きまして、私どももサトウキビに関する試験研究を鋭意進めてまいっておるところでございます。  で、国の農業試験場といたしましては、九州農試の温暖地作物研究室が種子島にございまして、そこでサトウキビの育種及び育種方法に関する研究、あるいは栽培方法に関する研究をやっておりますし、それから熱帯農業研究センターの沖繩支所が石垣島にございますが、ここで育種に関する基礎研究をやっておるところでございます。それから沖繩県が沖繩県としてサトウキビの重要性にかんがみて試験をやっておられるわけでございますけれども、国といたしましても沖繩県に指定試験として委託をいたしまして、サトウキビの育種に関する指定試験を五十一年度から開始をいたしますと同時に、従来からサトウキビに関する病害虫の防除の指定試験をやっておるところでございまして、今後とも先生指摘のような形で、サトウキビの研究に対する重要性を認識いたしまして研究を鋭意進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  163. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ことしからおっしゃるように、県立農事試験場に育種試験事業を委託されております。そして二人の職員を派遣しておられるということもわかっておりますが、そのような併置的な、まあ極端に言いますと間に合わせ的なこういうことじゃなく、また熱帯農業研究センターが、この沖繩支所が八重山にあるわけですが、あれも内容をいろいろ分析しますと、東南アジア植物研究が主であると思いますがね。だから、そこに位置されるということ、これはどちらかというと糖業専門に、サトウキビを専門に研究していくという、こういうウエートには遠いような気がするんですね、何か併置的な。そうじゃなくして、国立糖業試験場を独立さして、そこで品種の改良、それから病害虫の撲滅、それから土壌・肥料の研究、それから精糖化学の研究、こういうことを専門の分野から検討して研究してもらうことによって沖繩の糖業が私は正しく成長していく、発展していく、こう思うわけですので、そういった片手間的な併置じゃなくして独立さしてほしい。大臣、いかがですか。
  164. 大石武一

    国務大臣大石武一君) まあお話をお聞きすると、なるほどその方が合理的になるようにも思います。しかし、いまの現状がどうなっておりますか、これがどのようにして可能性があるか、もう少し検討してみなければいま御返事ができませんので、いまはっきりつくりますとかどうしますという御返事はできませんけれども、前進的には考えてみたいと思います。  ただ一般的に申しまして、国立は県立よりも内容がいいのだという考え一般には強いのでありますが、必ずしもこういう考えは私は当てはまらないと思う。せっかく沖繩で沖繩県立の糖業試験場があるならば、これにつまり予算的にもまたいろんなもので国もてこ入れをしまして、それをりぱな内容のものにすることも一つ方法ではないかと思います。国というといかにもりっぱなように聞こえますが、なるほど国というと大きな予算になりますから仕事はやりやすいようには思いますけれども、せっかく沖繩にあるその県立の試験場を、これをりっぱな内容にするということも一つの沖繩県民の誇りでもあり、私はその一つ方法ではないかと思います。しかし、実際に私具体的なことはまだわかりませんので、もう少しこれは検討さしていただきたいと思います。
  165. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうも大臣は遠慮しておられるようにも思うんですが、どうぞもっと自信を持って、国立試験場の使命を達成するということが大事でありますから、地方がいいんだという、もちろん物によっては地方がいいとおっしゃる気持ちもわからぬわけではありません。といいますのは、この県立農事試験場の場長初め職員も、国立糖業試験場の実現を期してほしいということが強い要望でありますので、そこに何か満たされないものがいっぱいあるということで、まあ時間がありませんのできょう申し上げませんが、ぜひ実現の方向にひとつ努力していただきたい。実現するまではいつでも私この問題を追及をいたしますから、覚悟してください。  それじゃ時間がもう迫っておりますので、最後に台湾漁船の領海侵犯について海上保安庁に。先ほど来北方漁業問題、拿捕船の問題領海の問題、いろいろ論じられましたが、南の方には尖閣列島、八重山、宮古、久米島における侵犯の実態、これは台湾船であります。台湾船の領海侵犯が、これはずっと昭和四十年前後から統計も出ておるようでありますが、ところが従来は漁業、魚の操業に対して侵犯があったようですけれども、最近はあの南方の沖繩独特のサンゴを採取する侵犯に発展しておるということで、これは大変だ、こういう怒りと国に対する取り締まりの要望が非常に強いわけですが、これは県議会でも問題になっておりますし、また地元の八重山、宮古、久米島でもそれぞれの立場から強い反発もあるわけですが、その実態についてどのように理解し把握しておられるか、それで、それに対してどのような対策をとっておられるか、それを聞きたい。
  166. 山本了三

    説明員(山本了三君) 沖繩周辺におきます台湾漁船の領海不法操業の状況でございますが、沖繩が復帰しました昭和四十七年の五月十五日以降ことしのきょうまでで結構ですが、海上保安庁の巡視船艇、航空機が視認いたしました数を申し上げますと、領海内の不法操業は五百七十八隻ということで、島嶼への不法上陸は二十二隻、八十二名ということになっております。これをことしについて言いますと、領海内の不法操業は全部で二百四十隻ありまして、不法上陸は六隻、三十一名ということであります。これを海域別に見てみますと、尖閣諸島周辺が不法操業は八十四隻、不法上陸四隻、八重山、宮古列島周辺は不法操業が百二十隻、不法上陸は一隻あり、また沖繩の本島周辺は不法操業が三十六隻、不法上陸は一隻ということになっております。従来は尖閣諸島周辺の海域が多くて、八重山、宮古列島周辺がそれに次いで、沖繩はほとんどなかったのでございますけれども、ことしの傾向としましては、八重山、宮古列島周辺が多く、尖閣諸島周辺がそれに次いで、従来なかった沖繩本島周辺にも三十六隻の不法操業があるという実態であります。これらの不法操業の漁船は、主としてトビウオ、マグロ、サバ、こういったものを従来操業してまいったわけでございますけれども、ことしに入りましては、先生指摘のとおり、サンゴを採取するというのが多くなってまいっております。で、台湾漁船の乗り組み員が島嶼に不法上陸するというのは、その目的は大体飲料水を補給するということ、それから海鳥の卵を取る、薬草を取る、そういったのが目的になっております。  こういう実態を踏まえまして、海上保安庁は昭和四十七年以降沖繩に配属いたしております船艇を現場に派遣しますと同時に、これだけでは実は不十分でございますので、本州、四国、九州、こういったところから大型巡視船を派遣し、あるいは航空機を派遣しまして、定期的にこういった漁船の侵犯が行われる海域のパトロールを実施いたしております。そして、そういうものを発見しますと、なるべく極力可能な限りは立ち入り検査をやる、そしてその事実を確認させまして、領海内では再び不法操業はいたしませんという誓約書をとって、現在のところは領海外に退去さしておるという状況であります。しかし、先生指摘のとおり、サンゴ等の不法採取等が行われるという事態になりましたので、あるいはこれまた先国会の議論のとおりに、新海洋法秩序といいますか、そういったものの関係もございますので、外務省、水産庁と協議をいたしまして、そしてこれの対策について、取り締まりについて強化してまいろうと、そういう考え方でおります。それからまた、こういう不法操業船に対応いたします巡視船は、航空機もあわせてでございますけれども、先ほども申しましたとおり、本土の方から派遣しておりますので、そういったことでは困るということで、五十一年度は航空機、船艇、こういったものを沖繩に配備しますものを増強するよう予算を要求してまいっておると、そういう実情であります。よろしくお願いいたします。
  167. 小林国司

    委員長小林国司君) ちょっとお待ちください。  大臣、お約束の時間がまいりましたので、どうぞ。よろしいですか、大臣に行っていただいて。いいですね。
  168. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、一言で終わります。もう時間を守ります。  まあいまお聞きしまして、北方漁業問題はソ連に日本船が拿捕されておる。この南方は台湾が侵入しておるから、これこそ日本側が拿捕してしかるべきである。そうして納得ずくでやるべきである。ところが、外務省との国際関係の問題とか、あるいはいまおっしゃるように、全体の巡視の立場からの量の問題、機能の問題、いろいろあると思いますが、まず姿勢を正していただいて、納得させるものは納得させると、こういうことと、さらに予算化の面で不備であるとするならば予算化をしていただいて、とにかく北方漁業もそうですが、被害者は国民、県民ですから、これは考えてもらわなければいけませんよ。そういうことで、これは農林大臣にもつながる問題でもありますので、ひとつ取り締まりを厳重にして、安心して国民が、県民が生活できるように、また仕事に励めるように、守ってもらわなければいけない。もう歯ぎしりをしておりますよ。こういうことを強く訴え要望しまして、終わります。
  169. 大石武一

    国務大臣大石武一君) わかりました。
  170. 小林国司

    委員長小林国司君) 他に御発言もないようですから、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十七分散会      —————・—————