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1976-10-14 第78回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十四日(木曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員異動  九月三十日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     塚田 大願君  十月四日     辞任         補欠選任      辻  一彦君    目黒朝次郎君  十月六日     辞任         補欠選任     目黒朝次郎君     辻  一彦君  十月九日     辞任         補欠選任      藤原 房雄君     宮崎 正義君      柄谷 道一君     向井 長年君  十月十二日     辞任         補欠選任      川村 清一君     志苫  裕君      向井 長年君     柄谷 道一君  十月十三日     辞任         補欠選任      志苫  裕君     川村 清一君      鶴園 哲夫君     上田  哲君  十月十四日     辞任         補欠選任      上田  哲君     鶴園 哲夫君      前川  旦君     宮之原貞光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林 国司君     理 事                 青井 政美君                 鈴木 省吾君                 辻  一彦君                 鶴園 哲夫君                 相沢 武彦君     委 員                 岩上 妙子君                 大島 友治君                久次米健太郎君                 園田 清充君                 温水 三郎君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 前川  旦君                 宮之原貞光君                 宮崎 正義君                 小笠原貞子君                 塚田 大願君                 柄谷 道一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  大石 武一君    政府委員        農林政務次官   片山 正英君        農林大臣官房長  森  整治君        農林大臣官房技        術審議官     川田 則雄君        農林大臣官房審        議官       杉山 克己君        農林省農林経済        局長       吉岡  裕君        農林省構造改善        局長       岡安  誠君        農林省農蚕園芸        局長       澤邊  守君        農林省畜産局長  大場 敏彦君        農林省食品流通        局長       今村 宣夫君        農林水産技術会        議事務局長    平松甲子雄君        食糧庁長官   大河原太一郎君        林野庁長官    松形 祐堯君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        文部省初等中等        教育局財務課長  西崎 清久君        文部省体育局学        校給食課長    加戸 守行君        厚生省保険局国        民健康保険課長  舘山不二夫君        農林省農林経済        局統計情報部長  有松  晃君        中小企業庁計画        部金融課長    松尾 成美君        自治大臣官房参        事官       平岩 金一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林水産政策に関する調査  (派遣委員報告)  (冷害による農作物被害対策に関する件)  (当面の農林水産行政に関する件)     —————————————
  2. 小林国司

    委員長小林国司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動によりまして、理事が欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林国司

    委員長小林国司君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事辻一彦君を指名いたします。     —————————————
  4. 小林国司

    委員長小林国司君) 農林水産政策に関する調査議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました冷害による農作物被害実情調査のための委員派遣につきまして、各班から派遣委員報告を聴取いたします。第一班鈴木君。
  5. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 調査の概要を御報告申し上げます。  第一班は、私と神沢藤原塚田喜屋武委員の五名が十月五日より八日まで岩手宮城福島県下に派遣されました。宮城県では戸田議員福島県では野口議員現地参加されました。  まず、各県とも県庁において県下全体の被害状況を聴取し、あわせて陳情を受けました。  次いで、被害度の大きい町村の現地を視察するとともに、被災農民との懇談をいたしました。各県とも被害農林省発表作況指数よりはるかに低く、被害度を多く見積もっております。しかも、日がたつにつれて深刻化していると訴えておりました。  われわれの視察した現地は、岩手県では花巻市の西方奥羽山脈山麓和賀郡沢内村、湯田町、和賀町を、宮城県では、白石市の西方、刈田郡の南蔵王山麓の七ケ宿町を、福島県では、東白河郡の阿武隈山中の鮫川村、古殿町の被害調査いたしました。  視察した現地は、標高三、四百メーター以上の高冷地中心でありましたために、収穫皆無あるいはそれに近いところが多く、飯米も種もみ確保できないというところが多数見受けられました。  被災現地要望としましては、第一に天災融資法及び激甚災害法早期発動措置を講ぜられたいということが第一であります。  次に、自作農維持資金災害融資枠拡大するとともに、貸付限度額引き上げ措置を講ぜられたい、こういうことでございます。  第三には、農林漁業制度資金融資枠拡大されたい。  第四には、農業近代化資金既借入金について、償還猶予期間の延伸を図っていただくとともに、利子減免等措置を講じてもらいたい、こういうことでございます。  さような資金手当ての事項のほか、農業災害補償法に基づく農業共済保険金早期に払ってもらいたい。年内支払いをできるようにしていただきたい。こういうことが各地から一様に強く要望がございました。  次に、本年産米は、規格外米及び等外米等が大量に産出されることが見込まれるので、政府買い入れについて特別の措置をひとつ認めていただきたい、こういうことでございます。  第七番目といたしましては、米の事前売り渡し予約概算金返納については、納期の延長なり、あるいは分割払いなり、あるいは利子減免等について特別の措置を講じていただけないかということでございます。  第八番目としましては、次年度用優良種子、特に種もみ確保に対する助成等を考慮していただきたい等の営農問題でございます。  さらに、生活資金確保のための救農土木事業を早急に実施するとともに、当該事業等国庫補助率のアップ、融資枠拡大並びに補助残全額起債充当等地方団体等に対する財源措置も考慮していただきたい、こういうことでございました。さような要望各地で同様に見られました。  その他、各地特殊なもの等もございましたが、なお、水稲のみでなく、畑作、果樹等被害も若干調査してまいりました。  まだそのほかに、冷害は本年限りではないのではないか、明年はどうなるんだろうと、明年も続くのではないか、あるいはまた、過去の例からすると冷害は二、三年続くのではないか、あるいはもっと長期化するのではないか、こういう危惧等の念が表明されまして、これに対する技術的な解明と対策を検討してもらいたいとの要望があり、さらにこれと関連して、国の食糧政策の再検討が必要なのではないか、こういうことが表明されております。  以上、概略御報告申し上げた次第でございますけれども、詳細はどうぞ本日の会議録末尾に掲載していただくようにお願いいたします。  以上で報告を終わります。
  6. 小林国司

    委員長小林国司君) 青井君。
  7. 青井政美

    青井政美君 去る十月六日から八日にわたって行いました北海道における冷害実情調査の御報告を申し上げます。  参加いたしましたのは、相沢理事川村委員小笠原委員柄谷委員、それに私の五名であります。  今回の調査は、空知管内網走管内における水稲中心を置いて調査をいたしたのであります。  冷害には、幼穂形成期に寒波に襲われその時点発育のとまってしまう障害型と、発育はするが冷害によって登熟のおくれる遅延型の二種類ありますが、北海道のそれは遅延型を主体としております。  すなわち、道庁等説明によりますと、八月は例を見ない異常低温が持続し、そのため登熟がずるずるとおくれ、きわめて大きな被害となったものであります。  北海道における稲作作柄指数は、農林省統計情報部の十月五日発表数字によりますと、九月十五日現在では八三であり、前回の八月十五日時点の九六に比べまして著しく悪化しているのがわかるのであります。  一方、道庁でわれわれの聞いた道庁発表指数は七四というものでございました。これは、さきの数字とさらに九ポイントその差があるわけでございまして、これは調査時点なり方法に差があるものと思うのでございまして、そういった状況の中で刻々と悪化しておるということがうかがえるのであると思うのでございます。  九月二十日現在の道庁調査によりますと、農作物被害面積は五十二万五千ヘクタールに達し、被害見込み額が八百四十億円、被害農家の数七万五千戸となっております。  現地において調査しておる期間中におきましても、農家は少しでも霜害を防ぎ収穫を多くしょうと懸命の努力を続けておりまして、薫煙のために交通機関がストップしたというニュースを連日聞いたのであります。ただ、われわれの現地に到着した日は、北海道各地で氷点下以下ということで、道庁においてもこれで冷害は決定的であるということの見解を聞いたのでございます。  調査いたしました個所は、空知管内においては浦臼町、新十津川町、栗沢町、由仁町、網走管内におきましては女満別町、美幌町、端野町、北見市でありまして、いずれも市長さん、町長さん等の説明を聞きまして、被害農業者対話を行い、現地を見てまいったのでございます。  いずれの土地におきましても、われわれの見ました水稲は、出穂はいたしておりますけれども実がないものや、実があっても青米という状況で、収穫は期待ができないというふうに見られるのでございまして、いずれの地もやはり平年におきましては非常に収量が高いということが、やはり農業災害契約基準反収等考えてみましても考えられる事態であったと思うのでございます。  また、被害状況考えてみますときにも、やはり稲の品種によって冷害大分差が出ておりまして、あるいは手植えや機械植えの差、あるいはわせとおくての差がそれぞれ認められたのでございますが、やはり地力の維持の問題とともに、寒冷地における稲の品種研究、機械と稲作技術系統確立等、今後の研究開発が大きく必要とされるというふうに思うのでございました。  被害農家との対話で特に印象に残りましたことは、昭和四十六年度の時点における冷害障害型で、できふできがはっきりしておった。しかし、今回の冷害では、一応収量はあっても、それは青米等ほとんど規格外米となってしまうと考えられるのでございまして、前回より打撃が非常に厳しいのではないか。したがって、規格外米政府買い入れ特例措置を早く決めてほしい、また、政府買い入れの対象とならない低品位米につきましては共済減収とみなすという特例措置がほしいという、強い要望があったことでございます。  次に、その他道庁や市町村、さらに農業者の今回の冷害対策についての要望の主要なものを報告申し上げますと、次のとおりでございます。  第一は、天災融資法及び激甚災害の適用を早くやってほしいということでございます。  第二は、自作農資金については、被害農家既借り入れ残高を十分考慮した特例貸付限度を設定するように、その額におきましても確保ができるようにしてほしい。  第三は、被害農家労賃収入確保するとともに、冷害における地域経済の沈滞を防止するため、被害地域において土地改良等公共土木事業をやってほしい。  第四は、制度資金償還猶予措置を講じてほしい。  第五は、損害評価早期認定により共済金年内に早く払っていただけるように御対処願いたい。  第六は、再生産用種子購入費を助成してほしい。  第七は、昭和五十一年産米についての予約概算金返納に関する利子減免措置等特例措置を講じてほしいという御要望でございます。  詳細の問題につきましてはまた会議録に記録するということで、簡単でございますが以上御報告いたす次第でございます。
  8. 小林国司

    委員長小林国司君) ただいま御報告がございました各班から、別途詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小林国司

    委員長小林国司君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  10. 小林国司

    委員長小林国司君) 大石農林大臣及び片山政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。大石農林大臣
  11. 大石武一

    国務大臣大石武一君) このたび、農林大臣を拝命することになりましたが、この機会に一言ごあいさつを申し上げます。  現在の農林漁業を取り巻く内外の諸情勢には、まことに厳しいものがあり、私の責任はきわめて重大であると痛感いたしております。関係方面の御協力を得て、この重責を果たすために最善努力を尽くす覚悟でありますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。  私は、農政使命は、日本民族の命を養うための食糧を将来にわたり安定的に確保することと、これに携わる農林漁業者生活を守ることにあると考えております。  一九七二年以降、逼迫基調に転じた世界の穀物需給は、このところ小康を得ているものの、在庫水準は依然として低く、予断を許さない状況にあります。  一方、わが国農業の現状を見ると、高度経済成長の過程で、その体質が脆弱化していることは否めないところであります。  このような中にあって、農業生産体制整備し、自給力の向上を図ることを基本として、将来にわたり国民食糧を安定的に確保することが重要な課題であります。  また、私はこの食糧供給を担う農林漁業者生活を守り、真に将来への希望に満ちた豊かなものとしていくことが私に課せられた重大な任務であると考えております。私は、これらの使命を達成するために全力を傾ける所存であります。  まず、農業生産体制整備するためには、農用地の確保とその整備を強力に推進することが肝要であると考えます。このため、農振法、農地法の適切な運用を図るとともに、農業生産基盤整備のための予算確保事業の円滑な実施を図ってまいる所存であります。  農業生産につきましては、米は将来にわたる国民の主食でありますので、長期的にその生産性の保持に努めることといたしておりますが、当面、依然として過剰基調にありますので、その消費拡大に努めつつ、需要に応じた計画的生産確保する必要があると考えております。  また、食糧総合的自給度を高めていくためには、米以外にも増産の必要がある農産物が少なくない実情にありますので、水田の生産力をも総合的に活用して、必要な農産物増産を進めるべく、各種生産対策を講じてまいる所存であります。  食糧管理制度につきましては、米・麦の需給及び価格を安定させるという重要な役割りを担っており、今後ともその根幹を維持していく考えであります。このためにも、食糧管理の健全な運営確保していくことが肝要であり、引き続き、米・麦価の逆ざやの段階的解消に努めてまいりたいと考えております。そして、これにより生ずる財源は、農業生産基盤整備増産の必要な農産物生産振興等施策の充実に活用してまいる所存であります。  また、米・麦以外の農産物につきましても、それぞれの価格安定制度の適切な運営に努めてまいりたいと考えております。  また、農業者生活を真に魅力あるものとし、将来に希望を持てるものとすることは農政基本であり、これを通じてこそ農業生産の優秀な担い手の育成確保が図られると考えております。  私は、このために、生産対策価格政策等を強力に推進いたしてまいりますが、特に農業者自主性創意工夫に基づく事業にきめ細かな援助を行うよう努めてまいる所存であります。  また、将来の農業を担うすぐれた農業後継者育成確保のための対策拡充に努めるとともに、都市に比べて立ちおくれている農山漁村生活環境整備についても力を入れてまいりたいと考えております。  このほか、農産物流通加工近代化合理化農業技術開発と普及、農産物輸入安定化海外農林業開発協力推進等施策拡充に努めてまいる所存であります。  森林林業につきましては、木材供給を初めとして、国土の保全水資源の涵養、自然環境保全形成等の機能を総合的に発揮させるとともに、木材需給の安定を図ることが肝要であります。  このため、造林、林道等林業生産基盤整備の促進、間伐対策拡充強化森林病害虫等防除対策推進等林業振興対策強化を図るとともに、治山事業を計画的に実施するほか、木材安定的輸入と林産物の加工流通合理化に努めてまいる所存であります。  水産業につきましては、わが国国民動物性たん白質の過半を供給する重要な産業でありますが、近年水産業を取り巻く情勢は、第三次国連海洋法会議の動向、米国の漁業保存管理法制定等に見られるように、国際漁業環境が一段と厳しさを増しつつあります。  このような情勢に対処するため、強力な漁業外交を推進するとともに、沿岸漁業栽培漁業振興、漁港の整備漁業経営安定等施策を進めてまいる所存であります。  なお、現在、北日本においては、低温寡照の不順な天候に見舞われ、冷害が大きな問題となっております。私は、農林大臣に就任後、早速現地を視察してまいりましたが、被害は深刻なものがあります。  このため、被害早期把握に努め、被災農家に対しましては、農業共済金年内支払いに努めるほか、天災融資法及び激甚災害法発動等による各種融資措置被災地帯の雇用の確保等により、その救済に万全を期する考えであります。  また、台風第十七号につきましては、これを去る十二日、激甚災害として指定し、農地農林水産業施設等災害復旧に対する国の財政援助等特例措置を講じたところであり、農作物等被害につきましても、天災融資法及び激甚災害法を今月中に発動することとしているほか、農業共済各種融資等救済措置冷害対策と同様に講じてまいりたいと存じます。  以上、このたび農林水産行政責任者となるに当たり、所信の一端を申し述べました。委員各位の御支援、御協力をよろしくお願い申し上げる次第でございます。(拍手
  12. 小林国司

  13. 片山正英

    政府委員片山正英君) このたび、九月二十日付をもちまして農林政務次官を拝命をいたしました片山でございます。  大変微力ではございますが、ただいまの大石農林大臣の方針を体しまして、民意反映のために最善を尽くしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)     —————————————
  14. 小林国司

    委員長小林国司君) これより本調査議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 辻一彦

    辻一彦君 私、農林大臣所信と申しますか、ごあいさつに対しての質問と、それに関連して冷害問題に触れたいと思います。  所信表明については後でお伺いしますが、大石大臣環境庁長官のときには大分はっきり私もいろいろ論議をして物を言われたんでありますが、いまの読み上げた中身は大変穏健な中身であって、役所の作文に私は終わりがちじゃないかという懸念を持ちますので、論議の中でひとつ率直に見解をお述べいただきたいと思います。  まず第一に冷害の問題でありますが、予算委員会でうちの神沢委員中心としまして、私も関連して若干伺いましたが、幾つかの残した点で一、二だけ伺ってみたいと思います。  第一は、作況指数が、先日ある新聞を見ますと、自治体やあるいは農協あたりが調べた指数と、それから農林省指数がかなり大きな食い違いがありますが、一体これはどういう実態になっておるのか、事実よりも農林省指数が甘い状況なのかどうか、その点を簡潔にお伺いいたしたいと思います。
  16. 有松晃

    説明員有松晃君) 私ども農林省統計情報部調査いたしました九月十五日現在の作況指数について、先日十月五日に公表したわけでございますが、その後北海道あるいは東北の各県におきまして、これは公式の発表という形をとっておるところもあるようでございますが、必ずしも全部はそうでないようでございます。しかし、いずれにしましても、北海道東北各県につきましては、何らかの形で作況指数について見解を明らかにしておるのは事実でございまして、これが農林省指数よりも低く出ておる。  私どももこの点につきまして、道庁あるいは県庁にいろいろ問い合わせをしてみたわけでございますが、道庁あるいは県庁指数というのは、まず調査時点農林省調査に比べまして五日ないし十日遅くなっております。この点は、ことしの冷害の場合に遅延型でございますので、日を追うに従って作況が悪くなっておる、こういうこともございますので、その点が一つ大きな違いがあるのではないかと思いますが、なおそのほかに、農林省の場合は現地のできるだけ各県の平均値が、まあ冷害のひどいところとそれからさほどでないところがございますが、これを客観的に把握できるように、できるだけ多くの地点を公平にとってそこで実測をしておる、こういう調査をやっておるわけでございますが、その調査方法については県の場合は若干違いがあると申しますか巡回が主になっておる、こういうふうにも聞いております。  いずれにいたしましても、私ども調査はできるだけ客観的に作況をとらえようということで、決してこの作況を高く見ようということはございませんので、その点は御了解いただきたいと思います。
  17. 辻一彦

    辻一彦君 四十分という時間で限られておりますからこれについては多くを伺いませんが、十日ぐらい後に調べた作況がかなり低いという。だから時間のずれがあるということですが、としますと、大体やはり日を追うに従って作況指数は低くなる見通しが非常に強いというようにも思うんですが、その点いかがですか。
  18. 有松晃

    説明員有松晃君) その点は私事実と思います。ただ、県の数字との差がかなり大きいわけですけれども、そこまでの差は出てこないのじゃないかと思いますが、事実十月十五日現在でもう一度調査いたしますけれども、やはり若干は前回よりも下がるのではないかというふうに考えております。
  19. 辻一彦

    辻一彦君 大臣、いま統計情報部長の方からお話しのように、指数はさらに下がる、作況は悪化をする見通しがやはりかなり強い。むしろそれは当然であると思います。そうしますと、現地では先ほど御報告もありましたように、やはりいろんな対策を早くやることを待っておると思います。  そこで、しばしば御答弁あった救農土木事業でありますが、これもたとえば私が九月の七、八、九と東北を見に行きましたときに、宮城県の栗駒町では不作によって十七億の減収があると。そのうち、七億ぐらいが共済分で来ても十億前後は所得減になる。だから、早く対策を打ってほしいいう声が非常に強い。私は、これはもう全東北あるいは新潟や北海道について言えることであると思います。  そこで、救農土木事業、仕事を確保するためにこれが急がれておりますが、救農土木事業をどのぐらいを考えておられるかということが一つと、それからもう一つは、冷害地はイコール積雪地であると思います。雪が降る。したがって、私は春の予算委員会でも、積雪地には普通でも土地改良や地方公共事業予算執行は雪の降るまでにやらなくちゃいけないと、こういうことを論議をし御答弁もありましたが、特に冷害地帯においては全部雪の降る地区でありますから、冬に仕事が回ってきても実際は手のかかる仕事はできないと思います。大臣が言われるように、人力を使う仕事は雪の降る前になるべくやらなくては効果が出ない。そういう点で時期は急ぐ必要があると思いますが、早期救農土木事業の具体化について方策をどうお考えになっておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  20. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 辻委員のおっしゃるとおりでございます。できるだけ早くこの救農土木事業を実際の仕事ができるようにいたしたいと、いま努力いたしております。  ただ御承知のように、この問題は、各町村なり地方によっていろいろな希望があり、いろいろな仕事の内容があると思います。そういうものを県を通じましていま国で種々集めまして、またそれに対する予算希望とか、いろいろなものがございます。そういうものは大分いま集まっておるということでございますので、それを土台として予算の規模を決めまして、そうしてできるだけ早くその仕事が早く行われるようにいたすと、こういう方針でおるわけでございます。
  21. 辻一彦

    辻一彦君 方針はわかりますが、土地改良でも、雪の降るところは早くやってもらわないと、もう雪の中ではいい仕事ができない、こうよく言っていますですね。私は、今度の冷害地におけるこれは一日も早くやらないことには、大臣が言われるように農道や林道や間伐、ずっとたくさん挙げられましたが、大きな機械を使えばこれは意味がないので、人手を使うならばやっぱり雪の降る前にできるだけ多くの仕事ができる、こういうことが大事だと思いますが、資料を集めてやる方針であるという乙とですが、もうちょっと何か具体的に早くやることについての方策はお考えになっていませんか。
  22. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 各県からの数字を集めておりまして、大体その作業に必要なデータはほぼそろったところでございます。ただ、各県の考え方なり意見に若干差もあるものですから、その間の調整を図っているという段階でございます。  先生おっしゃられるように、冬季になると、特に北の方では事業に支障を来すということは事実でございますが、雪の降る中でもできるような事業も含めて、私ども具体的にどんな事業を仕組んだらいいかということでいま検討しております。  時期を明確に申し上げられないのは残念でございますが、まさに昼夜兼行でやっておりますので、一日も早く内容を明らかにして関係方面に連絡したいというふうに考えております。
  23. 辻一彦

    辻一彦君 それは時期的にいつごろ明らかにできますか。
  24. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 何月何日と言うわけにはまいらないのでございますが、もう少々お待ちいただきたいと思います。
  25. 辻一彦

    辻一彦君 もう少々は、日までいいけれどもほぼ三旬の間いつですか、上旬、中旬、下旬。
  26. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 相手のある話でございますし、それから最終的にはやはり大蔵省と財源の問題について打ち合わせをするということになりますと、実は余り責任のない希望的な観測だけを申し上げるわけにもいきませんので、誠意をもってできるだけ早くということで進めておりますので、御理解いただきたいと思います。
  27. 辻一彦

    辻一彦君 詰めの段階であると思いますが、早急に作業を急いでいただきたいと、こう思う。
  28. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) はい。
  29. 辻一彦

    辻一彦君 さらに同様の問題が、冷害地は大体東北をずっと見ても、山間地に非常に多い。したがって冷害地即林業地帯だと、こう言うことができると思います。  そこで、救農土木事業につきましては大臣も答弁で、間伐、枝打ち、林道等々も挙げられておりますが、これは大変私は手ごろな仕事じゃないかと思います。そういう意味で、この林業関係の救農土木事業等の中身早期に取り組む対策はどういま考えておるか、どういう作業が進んでおるか、この点が一点。  それからもう一点は、市町村に長期低利の事業への融資を受けて、こういう林道やあるいは枝打ち、間伐等をやりたい、こういう希望がありますが、これについての対策はあるか。  さらに、林業改善資金というのがことしせっかく設けられましたが、この枠を拡大をしてそういう要求、要望にこたえる用意があるかどうか。  その三点をお伺いします。
  30. 松形祐堯

    政府委員松形祐堯君) お答え申し上げます。  先ほど審議官の方からお答えいただきましたように、早急にということで具体的な中身について現在詰めておるわけでございます。特に山間部の冷害というのがひどいわけでございますから、こういう雪の降る地帯に対しては早くということで進めておるわけでございます。  なお、ただいま私ども治山、林道等を中心にいたしておりますが、大臣お答えいただきましたように、公有林等たとえば県有林、町村有林に対する間伐等に対しましては、すでにその財源措置等につきましては農林漁業金融公庫にも十分連絡をいたしておりまして、十分対策はとれると思っておるわけでございます。  さらに、今年度から認めていただきました無利子の改善資金でございますが、この点につきましても現在検討をさしていただいておるところでございます。
  31. 辻一彦

    辻一彦君 林業改善資金については、これはまあ早期成立を非常に多くの関係方面から御希望があって、本委員会でも早くやったわけですが、大変喜ばれておりますが、この枠は資金的に言えば初年度の点もあって非常に限られておるんですが、これをもう少し枠を拡大して、この冷害地、山間地における対策に充てるということは大変大事だと思いますが、その用意はどうですか。
  32. 松形祐堯

    政府委員松形祐堯君) 御指摘のとおり、各県からもこの要請が出ておりますので、そのようにこたえてまいりたいと思っております。
  33. 辻一彦

    辻一彦君 次に、財源の問題をお伺いしたいのですが、大蔵省は公共事業等予備費の一部をすでに災害支出に充てていると。しかし、これは予算委員会でも論議が若干ありましたが、本来は景気刺激という意味を持って非常に性格的に論議がある、問題のある予備費でありましたが、一応成立したといういきさつがあります。したがって、この救農土木事業にせよ、あるいは冷害対策にしましても、一般予備費からできるだけこの支出をし、取り崩しをしてやるべきではないか。そして、公共事業等予備費は本来の、今後の景気の動向も必ずしも楽観ができない、そういう状況の中で、いろいろな事態に充てていくということが本筋ではないかと思いますが、これに対して大臣どうお考えになっているか、どういう取り組みをされておるか、お伺いいたします。
  34. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いま政府の災害対策に関する考え方は予備費を中心としてやろうと、それに千五百億の公共事業の予備費ですか、これをも一部流用しようという方針で、大体それで問に合うだろうという見通しであるわけであります。  ただ、まあちょっと内部のことを申しにくいのでありますが、一部にはこの千五百億の金は全部災害対策に使わないで、当然景気刺激のための別な公共事業に使ったらいいではなかろうかという意見も中にございます。そういうことで、それをどのように調整をするかがこれからの内閣の考えだと思いますが、一応はいまのところその範囲内で、両方の、予備金といまの公共事業の費用、これと合わして災害の本年度の対策はできるだろうという見通しでおるのが現状でございます。
  35. 辻一彦

    辻一彦君 両者を全部合わせば金額はほぼ足りるかもわかりませんが、しかし、地方では公共事業等予備費をかなり当て込んで地方公共事業が若干手控えになっているとか、あるいは農村では土地改良や基盤整備事業等もある程度公共事業等予備費があるという点で控え目にされている点もあり、したがって、それだけ期待をされている面が私は大変強いと思うのですね。したがって、先行きの景気がいろいろまだまだ不安定な中で、極力この公共事業等予備費は当初計上された性格といいますか、この予算総則にも盛られたようなそういう内容に使うべきであって、極力この災害あるいは冷害対策等々は一般予備費の方から、足りなければ何らかの対策を講じて支出をしていくべきであると思いますが、そういう構えで大臣は大蔵省と交渉されておるのかどうか、その点いかがでしょう。
  36. 大石武一

    国務大臣大石武一君) この景気の刺激も非常に重大なことでございます。しかし、とりあえず、とにかくこの災害に対しては全面的な力を入れることがまず、より大事かどうかわかりませんが、非常に大事なことだと考えております。そういう意味で、これらの予算をできるだけ上手に使いまして、できるならば両方に私は使えるのが一番いいと思いますが、そういうふうに考えておるわけでございます。
  37. 辻一彦

    辻一彦君 これはちょっとかみ合わないようでありますが、地方における公共事業や、特に土地改良、基盤整備をさらに充実したいという声も大変強いわけでありますから、公共事業等予備費の使い方についてはさらにひとつ検討していただきたいと申し上げておきたいと思います。  そこで、大臣の所信、ごあいさつの表明に対して二、三点お伺いしますが、第一は、私は大臣は就任の記者会見で、地球の食糧不足時代に備えて米の価値を再認識し、農政の転換を図る必要があると、こう御発言になっておりますが、米に対してどう認識をされておるか、こういうことについて私はお伺いをいたしたい。と申しますのは、米は単位面積においてはサツマイモに次いで最大の人を養うカロリーを生産できる。しかも、こういうアジアのような雨の多い地帯、たんぼでどろをこねても米が取れるという、言うならば日本の民族が持つ自然の条件とすぐれた技術とで最大の食糧生産の大きな作目であろうと思います。この米の価値に対して再認識をするということは大変大事と思いますが、大臣の米に対する認識というのはどういう角度から再認識をしようと、こうされておるのか、お伺いいたします。
  38. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 再認識なんてむずかしいことを言っておるのではありませんが、私はやはり日本民族の主食というものは米だと考えております。いまは御承知のように、大分国民の食生や生活様式が変わりまして、大分パンを食べたり、パン食になったりウドン食、そういうものいろいろございますけれども、何といっても、私はどのような時代が来ても日本の主食は小麦なんかにかわることはできないと思います。そういう意味で、やはり米というものを中心考えまして、将来どのように人口がふえましても、どのような食糧不足の時代が参りましても、この米をもって日本民族を養い得るだけの基盤というものはどうしてもつくらなきゃならないというのが私の考えでございます。
  39. 辻一彦

    辻一彦君 ちょっと乱暴な私の言い方になるとは思うのですが、米は非常に大事である、こういうふうに特に御認識になるならば、日本の米作技術というのは世界で私は最高の水準、小さい規模の中では最高の水準じゃないかと思いますが、そいうすぐれた技術とそして自然の環境というこれを組み合わせて、日本の農民が思い切り米をつくれるようにするということが、私は米を中心にした日本の農政の眼目ではないかと思うのです。もちろん畜産の重要性、果樹や野菜の重要性、そういうものを否定するわけじゃなしに、それも大事でありますが、しかし、これだけの条件を持っている日本で、米を日本の農民が思い切りつくるというような条件をつくることが農政の私は大事な方向じゃないかと思いますが、これについてどうお考えですか。
  40. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 長い目で見ればそのとおりであります。いま申しましたように、どのような事態が来ても国民を養い得るだけの米の生産性というものは必ず確保してまいりたいというのが私の願いであります。  で、現在のお話かと思いますが、現在はなるほどいま米が余っております。昭和四十二年以来米が余っております。それはまことに私は米が余るくらい日本で生産が上がったということ、生産が上がっただけでなしに実は消費も減ったのでありますけれども、そういうことは非常に結構なことだと思うんです、いままでの長い歴史の間初めてですから。日本の国内でとれる米だけで国民を養えるようになったということは非常にすばらしいことだと思います。しかし、御承知のように、現在はいま米の生産調整の段階に入っております。もう七、八年になります。この方式は、やはり米が余りますとどうしても食管会計の赤字が非常に増大いたしますから、それが農林行政の大きな重荷になっていることはこれは間違いのないことでございます。そういう意味で、このような米の生産調整と申しますか、そういう手段がとられておるのは、私はある段階においてはやむを得ないと考えております。しかし、いつかはやはりできるだけと言うのですか、この方式によりまして、いろいろな方法考えまして、いまのような作付転換だけがいいか、いろんなことを考えなきゃなりませんが、やはり米の需給のバランスはできるだけとれた方が、需要・供給がうまくかみ合った方が一番行政はやりやすいわけでございますから、そのような行政でいたしたいと。それはいろんなむずかしいことがありますが、それは何とかして早い機会にいろんな衆知を集めましてこれをばやりたいと思います。そうしながらも、同時に、将来にわたってその生産性があくまでも拡大され確保されていくように、潜在的な生産性と申しますか、そういうものは絶対に高めるような方向でいきたいと、こういうことをいま、はなはだむずかしい問題でありますが、考えておるわけでございます。
  41. 辻一彦

    辻一彦君 日本農業新聞のインタビューで大臣は、法的には食管法からして米を全量買い上げないのはおかしいと、こういう見解を述べておられるのを拝見したのでありますが、そういうお考えであるかどうか、いかがですか。
  42. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 原則的には、せっかく農民が米をつくりましてもその米が売れなければ農民が生活に困ります。でありますから、その米は全量買い上げにするのが私はやっぱり一番原則的には理想であると、こう考えております。
  43. 辻一彦

    辻一彦君 それから九月十五日の閣議後の記者会見で、農業団体が三〇%、四〇%の米価のアップを要求するのは当然だと、こういうような御発言が九月十六日の読売に出ておりましたですね。私は、その言葉とそれから五十一年度の米価が六・二%アップと、この間には余りにも開きが大きいのでありますが、これについてどうお考えですか。
  44. 大石武一

    国務大臣大石武一君) まあ六・二%よりもっと上がっておりますけれども、実際には上がっておりますが、やはりこの要望とか希望と現実とは必ずしも一致しないことが大体世の中じゃないのでしょうか。そういうことで、われわれは農民の希望は、非常にこれは喜んで——そう上れば農民も喜びますが、生活よくなりますが、やっぱり現実にはなかなかそうはいかないのだろうということでございます。
  45. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ、農民がそういう要求をするのは当然であるというようにはお考えになっておるんですね。三〇%、四〇%を今日の状況からして米価の値上げを要求するのは農民としては当然であると、こういうようにお考えになっておる、これはいいですか。
  46. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私は、だれでも自分の努力してつくったものに対しては、大きな誇りと自信を持っておると思います。そういう意味で、自分のつくったものをできるだけ高く評価される、自分でもそれを主張し、評価されるということはだれでも望ましいことではないだろうかと、こう思います。
  47. 辻一彦

    辻一彦君 農民がそういう要求を持つのは当然であるというように理解をしておられるようでありますから、そう受けとめておきましょう。これから米価問題はまたもう間際になって論議をするのじゃなしに、もっと早くいろんな問題を洗い直して論議をする必要があると思いますから、その言葉をひとつ忘れないようにお願いいたしたいと思います。  それから、大臣の最近における一連の御発言を新聞紙上等を通して見てみますと、食管法の根幹を崩して直接管理から間接統制への道を開くように思えてならないんでありますが、これについて真意はいかがでしょうか。
  48. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私は、農林行政を担当する前には、農民の味方のつもりで一生懸命にベトコンの大将だなんだと言われましていろいろと働いてまいりました。その中にいろいろな発言があったと思います。しかし、私は一貫して言えることは、いろんな発言はしておりますが、食管制度を崩すということは一度も発言したことがございません。ただ、私の言ってることと食管制度の根幹というものとを混同して誤解して考えられる向きがあると思います。私は、食管制度の根幹というものはあくまでも堅持しなきゃならないというのが私の長い間の主張でございます。
  49. 辻一彦

    辻一彦君 大臣の言われる根幹というのは何でしょうか。私は食管法の中に明確に、農民からは再生産ができるようにこれを買い上げ、消費者には家計の安定のために払い下げる、その間に赤字が出てもこれはやむを得ないというのが食管法のたてまえだと、こう思いますが、この二本を崩して食管の根幹はあり得ないと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私は多少考えが違います。この食管法というのはたしか昭和十六年でありましたか、戦争中にできた法律であります。その法律は農民のことは何も考えないで、ただ日本、国の戦争を遂行するために食糧確保することがきわめて大事でありますから、そのようなことを根幹としたものがこの食管法だと考えております。その法律が現在までも続いていると思うのです。ただ、その間に、いまから約もう三十五、六年ですか、その長い間にいろんな流れの推移がありました。たとえば終戦になって食糧がほとんどなくなりました。そして食糧増産をさせるということが最も重大な時期でありましたし、また同時に、全国民に対してできるだけ安い主食を配給して生活を安定させることも重要な時代であったわけでございます。そういう時代を経て、経済の復興が行われ、食糧増産ができ、世界的にも食糧に余裕ができまして、その後はむしろ食糧の問題については安定してまいりました。その後御承知のような高度経済成長の時代を経て、現在米が日本で余ってい処理に困っている——まあ悪い言葉でありますが、処理にも苦慮しているような時代になっているわけでございます。でありますから、このような時代にありましては、食管制度というのはその出発はそのような国民のための食糧、国のための食糧確保するというだけが目的でありましたが、それだけではいまやどうにもなりませんので、いろいろな意味がつけ加えられまして、内容的には、精神的には形が変わってきたと思うのです。  そういう時代に入りまして、いまの時代は何が大事かといえば、私は農民の生活を守ることに根幹があると思います。国民のための食糧確保されております、米やそういうものにつきましては。そして、そこに主眼を置くよりは、農民のために、つまりいまの制度は農民の米の最低価格を保障しているというような点において、私は一番食管制度の根幹があると思うのです。たとえば、二重価格になっておりますが、これは制度でも何でもありません。これは昭和二十三年にできたと思います。先ほど申しましたように、農民には米の増産を強要しなきゃなりませんでしたし、それから国民は全体が貧乏になりましたから、国民に安い主食を安定的に与えなきゃなりませんし、そういう意味でいわゆる二重米価制度が、二重米価のあり方が始まったのでございますが、今日はそのような時代は私は過ぎていると思うのです。ですから、御承知のように、農林省におきましても五十一年度からは米の逆ざや解消ということを目指してその第一歩を踏み出しております。数年後にはこの方針が完了いたしますと、いわゆる二重米価というものはなくなりまして米の価格は一本になると思います。そのようなことでありまして、根幹は農民の命を守ることにあると考えております。
  51. 辻一彦

    辻一彦君 そこはちょっと私と見解が違うようでありますが、戦前に米騒動が起こった発祥地の富山県出身の松村謙三先生が、昭和三十年前後に文部大臣をされておって、前の農林大臣でありますがいろいろ接触する機会がありましたが、その時分から食管制度は絶対守らにゃならぬということを強調されておったですね。というのは、いまは米があるから、米屋さんに電話をすれば必要な十キロをすぐ運んでくれる、余分に置くことはないと。もし世界的にもいろいろな状況の中で食糧が不足がちになってくれば半俵だけでも各家庭に米を置かにゃならぬと、こうなったときに大変な混乱が出てくる。したがって、食管制度は第一義的に、いま大臣の言われるように農民の生活安定のためにある。これは私は当然でありますし第一項はそれなんでありますが、そのとおりでありますが、しかしあわせて広く日本の米を中心とする主食の確保と配給といいますか、そしてこの社会生活の安定という重要な役割りをもう片方において私は果たしておると思うんですが、そういう点から言えば、いま農民の所得とあわせて、私はこの食管制度の大事なもう一本の柱を曲げるわけにはいかないと思いますが、もう一度重ねて御所見をお伺いいたします。
  52. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 国民の主食を守るということも大事でございます。そのことをはっきり私は申し上げまして、米が中心であって、どんな  ことがあっても国民のために米という主食をあくまでも確保しなければならないということをはっきり申し上げるわけでございますから、それは別に食管制度の根幹であるとも言えますから、そのとおりでございます。  そういうことで、国民のただ生活を守ると申しましても、私は少し話が長くなって申しわけありませんが、その逆ざや解消という、ことし私はよく農林省が踏み切りましてことしから始まったと、私はそう思っているんです、これは。やはり逆ざやや二重米価というあり方は余り私は望ましいと思いません。いまのような国民の所得があり生活が向上している場合に、これはいまだに日本の政府が主食に対して補助金を出すような制度は、余り望ましくないと私は思うのです。私自身も、いま政府から米の代金につきましては主食の補助金をもらっております。国会議員として私は相当の俸給をいただいておりますが、いまだに補助金をもらうのは恥ずかしいと私は思います、むしろ。そういうことで、それはもちろん主食の問題に対していろいろな生活上の問題がある方々に対しては当然政府としてもあらゆる手は打つべきでありますが、大体生活の向上したいまの現在において政府が主食の補助金まで出すということはどうであろうかと。むしろその費用は、別な国民生活の向上のために使った方がいいではなかろうかという考えを持っております。
  53. 辻一彦

    辻一彦君 これはね、大臣、大臣が米を食べられる量は私大変少ないと思うんですよ。パンであるとか肉だとか、いろんなものを食べる。しかし私は、相当な所得の高い人は米を食べる量は少ないけれども、そうでない所得層はやはり米に重点を置いておると。したがって、それに対して家計が安定するようにするということは、広範な社会的政策としてこれは欠くことのできない要件であると思います。しかし、これをもう私は七分の時間で論議をする余裕がありませんから、別の機会にこの論議は譲りたいと思います。(「はっきりしなければおかしいよ、辻さん。はっきりしなければ、食管法読ませろよ。そんなおかしいよ。食管法おかしくなる、米価が一本になると言うんだから」「それははっきりした方がいいよ」と呼ぶ者あり)——まあいまの御意見もありますが、詳しい論議は後に譲ることにいたしまして、これはあと七分間でとても論議がかみ合うようには思いませんから、別の機会にもう一度これは十分やりたいと思いますから。  そこで、若干具体的な問題になりますが、規格外の青米幾らでいつごろ買われるのか、簡潔にひとつお伺いいたしたい。
  54. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 規格外の米の政府の買い入れにつきましては、規格が必要でございます。その規格はいま急いでおりまして、来週中には十分これは各関係方面にその方針を伝えることができると思います。  ただ、価格につきましては多少時間がかかります。できるだけ急がしておりますが、少なくとも年内には、十月以内にはもちろんこれは発表いたしますが、価格につきましてはもう少し時間がかかると思いますので、お待ちをいただきたいと思う次第でございます。
  55. 辻一彦

    辻一彦君 幾らぐらいを考えておられるんですか。一部新聞には一万一千円とかというような予測記事も出ていますが、いかがですか。
  56. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、規格外米につきましては特別規格を設定いたしまして、政府買い入れの主食に配給可能なものについて政府は今回は買い入れるわけでございますが、その価格は先生御案内のとおり、例年規格外米が発生しております。これは五等米との品質格差を見まして——等内米と申しますか、正式に政府が買い入れるのは五等米まででございますが、それとの品質格差を見まして例年決めておりますが、一応昨年も規格外米の買い入れを一部地域で行っておりますから、それと米価のアップ率、それから本年の出回った低品位米と申しますか、規格外米の品質を見まして決めるという基本的な考え方で現在検討を急いでおるところでございます。
  57. 辻一彦

    辻一彦君 それはいつになりますか。
  58. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) ただいまの大臣の御答弁で尽きるわけでございますが、十月中には規格外の規格の設定とそれから買い入れ価格の決定を行う。これは例年のぺースよりもはるかに早いわけでございますが、行いたい。  ただ大臣の申し上げましたのは、いろいろ農家の段階における調製とか検査の体制ということがございまして、規格につきましては方針が内定いたしましたら現地に早急に連絡いたしましてそして処理したいということでございまして、それを大臣は来週中にも——もっと早ければいいのでございますが、連日急いでおりますけれどもそれをしたい。価格自体は十月中には決めたいということでございます。
  59. 辻一彦

    辻一彦君 いま大臣並びに長官の御答弁で、来週中に方針を決められて十月中にお決めになるということですが、恐らく現地の皆さんは早くと、こういう気持ちで待っておられますから、作業を急いでいただくようにお願いしたいと思います。  米の問題で最後に、今日のこういう冷害、災害、国際的な食糧の十年後の動向等々を踏んまえて、米の減反政策について来年度以降どうお考えになっておるか。きのうの衆議院では一応の御答弁が出ておったようでありますが、毎日には減反政策再検討と出ておりますが、真意をお伺いいたしたい。
  60. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 減反調整のこれからの方針でございますか、来年度の。
  61. 辻一彦

    辻一彦君 はい。
  62. 大石武一

    国務大臣大石武一君) わかりました。  やはりこの政策はいままで続けてまいりましたし、これを急にすぐ来年変更するというわけにはまいらないと思います。しかし、何らかの、たとえば作付方針にいたしましても、転換、転作をいま水田総合利用ということでやっておりますが、これも結構でありますが、もう一つは、今度の冷害考えてみましても、やはり米をつくるに適当な土地と必ずしも適当でない土地もございます。こういう適当でない土地にいつまでも米をつくらせる、これではなかなか農家をやはり豊かにすることもできぬ、むずかしいと思うのです。もちろん耐寒性のりっぱな品種をできるだけつくる、開発することも大事でございますが、やはり条件のいいところに、適地に適作をさせることが一番農民の幸せにもなると思います。  そういう意味で、余り高冷地の米に適さないところにはやはり米をやめてもらって、別の作物に転換するようにしたい。ただし、その場合には当然所得が少なくなります。したがいまして、現在でも転作に対しましては相当高額の助成金を出しております。奨励金その他を出しておりますので、そういうものを当てはめましてその一つの方向を、ただいい水田を転作させるだけでなくて、むしろそのような条件の悪いところに対する米からの転作を奨励する方がよりいいではないかという考えも持っておるわけでございます。  そういう考えもございますし、もう一つは、いろいろ考えておりますが、いまの米の生産性を保持しながら、高めながら米のいまの生産の調整と申しますか、これができるようないい方法を何とか考え出したいということでおるわけでございます。
  63. 辻一彦

    辻一彦君 私は引き続いて、大臣が言われた農政の曲がりといいますか、曲がっているというか、私は農業近代化がいびつになっておると思いますが、この問題や、地力維持の具体的な方策についてお伺いしたいと思いますが、時間が来ましたからそれは次回に譲りたいと思います。  最後に、農村総合整備モデル事業についてお伺いいたしたい。これは予算委員会において私は大臣に答弁を求めたんでありますが、時間の点から簡潔な御答弁をいただいたので、ちょっとまだ意に満たない、こういう点から、この農村総合整備モデル事業につきましては、地方の要望、要求というものが非常に強いんでありますが、指定は国土庁がいたしましても、認定をし実施官庁は農林省でありますから、所管大臣としてこれをどう推進されるお考えか、明確に御答弁をいただきたい。  もう一点は、従来のモデル事業に対して私も部落の集会所を認めたらどうか、こういう論議を、幾つか当面するいろんな問題点を指摘をして、地方の実態あるいは住民の意向により沿った中身事業を推進すべきでないか、こういうことを申し上げてまいりましたが、今日その論議を踏まえて、新たな改善点があるならばあわせてお聞かせをいただきたい。  以上で質問を終わります。
  64. 大石武一

    国務大臣大石武一君) この前国土庁長官からお答えいたしましたが、来年度、五十二年度から五年計画で六百カ所をいま考えております。平均一年間に百二十カ所ということになるわけでございます。これにつきまして指定は国土庁でやるのでありましょうが、当然、この内容とかいろいろな具体的な中心考え方はやはり農林省でございますので、その点を十分に取り入れまして、みんなの希望にできるだけ合うような方向に進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  65. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 来年度から始めようと思っております新しいモデル事業事業内容の御質問でございますが、辻先生御指摘のとおり、いままでやってまいりまして具体的にいろいろ御要望がございます。私どもは次期のモデル事業の実施に当たりましては、できるだけ地方の御要望に沿う方向で事業内容は弾力的にセットをいたしたい、そういうことで現在検討いたしております。
  66. 辻一彦

    辻一彦君 一言。  その改善点の具体的な内容を一、二点挙げていただきたい、局長から。
  67. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) まだ実はこれは国土庁と大蔵省と最終的にセットいたしませんと具体的には申し上げられないわけでございますが、いまお話しのたとえばセンター等につきまして、いままでは大体一地区につきましてそう多数のセンターはいかがかということで御協力をいただきまして、大体大型のセンターを一カ所というような方針で御協力いただいたわけでございますが、きわめて多数のところから、もう少し個所数をふやしてほしいというような御要望がございます。それらも、できればそういう御要望に沿い得るような方向で現在はセットをいたしたい——これは私ども希望でございますけれども、国土庁と大蔵省と今後ともそういうことで折衝を続けたいということでございます。
  68. 辻一彦

    辻一彦君 これで終わりなんですが、前回、五月の十一日に林業改善資金法の論議のときに整備モデル事業のあり方について質問をして、その管理センター一カ所はケース・バイ・ケースで大臣、局長答弁において分散設置を認めるとありましたが、これは前にさかのぼるわけでありますが、この点は間違いないでしょうね。
  69. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) まあ、第二次計画の実施につきましては、できるだけ御要望に沿いたいということで新しく要綱等をつくりたいと思っておりますけれども、ではさかのぼっていまやっているところもふやすかというようなことでございますが、これも現在の要綱でも多少弾力的に対応し得ることにはなっております。これは現在の要綱の範囲内におきまして、まさにケース・バイ・ケースで御相談に応ずるということにいたしたいと思います。
  70. 辻一彦

    辻一彦君 それは、ケース・バイ・ケースで要望の点は十分勘案して認めるということですね。この前大分論議したんですからあれ以上の後退は私は納得できませんが、いかがですか。
  71. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) ケース・バイ・ケースで検討さしていただくということでございます。
  72. 辻一彦

    辻一彦君 終わりますが、検討さしてもらうということじゃないですよ。もっと明確な御答弁がありました。後で速記録読み上げてみますから。そういう答弁ではそれは前の論議は意味をなさなくなりますから、はっきり——大臣、これは前の速記録を明確に調べてもらって、後で私は若干ほかの関連でうちの委員のときにもう一問、もう一度御質問しますから、後退は認められないと思いますから前進的に御答弁いただきたい。後で時間をちょっと……。
  73. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 明確にお答えいたします。
  74. 園田清充

    ○園田清充君 では、まず大臣御就任おめでとうございます。  実は、おめでとうを申し上げながら、私はこの公の席上で大臣と政策論争をしようとは思わなかった。ところが、大臣の御就任の第一声からして、前安倍農林大臣時代の農政と非常に方向転換をなさるんだというふうなことを、実は私ども感じた。そこで、これは私だけのそうした理解でなくして、私も熊本へ帰ってみました。今度はもう減反もしなくてもよさそうだと、今度の大臣で。いわゆる生産調整はなくなってくる、米はどんどんつくれということに変わっていくようだなという話を聞いて、実は私も答弁に窮した。だから、公の機会でひとつ大臣にその方向だけは明確にしておいていただかないと、大臣自体もお困りになるし、私どもも実は困るんです。  いま実は辻委員から、申し上げようと思っていたことの大部分は御指摘になったので、それで私も聞きながら理解はできたんです。ただ、きのうのたとえば衆議院の農水の質問の中ででも、「コメ減反を再検討」と、「農相、食糧確保策で表明」ということが、これはきょうの読売に出ている。これは、社会党の同じ熊本出身の馬場昇議員の質問に対してお答えになっていらっしゃいます。ところが、やはり私が熊本出身だけに、大臣、悪いこと、聞きにくいことを申し上げますけれども、実はやはり大臣のいろいろおっしゃることは、農民は即これが行政に反映をしてくるんだという受け取り方を実はいたします。と申し上げますのは、大臣がさきに環境庁長官のときには率直に物をおっしゃったということ。実は私が熊本出身だけに、大臣が環境庁長官時代に、まあ疑わしきは認定をしようという、学問的な見地よりもむしろ社会保障的な見地から環境庁の通達が来たので、熊本県は自来水俣病で、県政そっちのけの水俣病県政と申し上げてもよろしいくらいです。それくらい閣僚の発言というものは即その行政下にある農民、特に農林大臣の場合には農民にこれは反映をいたします。  そこで、私が大臣にお願いをしたいことは、やはり大臣よく慎重にひとつ御発言を願わないと、下手をするとせっかくの意欲そのものが農民等に誤解を私は生じるという気がするもので、実はきょうは立ったわけなんです。だから、さっきからも食管法の改正について一体どうお考えになるかとか、根幹の問題について云々と、これが後に持ち越されたような形でございます。  私自体、現在の生産調整については、これは戦後最大の私は農政の失政だと思っているんです。と申し上げますのは、農家自身がやはり働いて報酬は得るものだというこうした考え方。ところが減反政策、生産調整によって、そして休んだ者に金をやっていく。だから、一挙にこうした政策に転換した、これは私は官僚としても責任を持たなければならないと思う。それは、やはり今日掲げられている総合食糧政策というものの中で、仮に国の財政が苦しい、あるいは今度は保管米が、政府の手持ち米が多くなっても徐々に解消していくという手段がとられて、あるいは十年たった今日では、少なくともああよかったなという結果が私は出ていたんじゃないかと思う。ところが、そういうことが農家に対して私は非常に悪い影響を残しておると、こう思います。思うだけに、またこれが生産調整がなくなってくる、総合食糧政策から逆戻りするんじゃないかということ。ところが、いま所信表明を聞いてみますと、全く私は前農相時代の考え方をそのまま踏襲せられたことを——基本観念論としては、これは農民を愛するということからするなら、大臣のおっしゃったことは私は全くそのとおりだと思います。就任当時の記者会見でおっしゃったことがそのとおりだと思います。ただし、そこに政策が具現されていく場合にはやはり慎重さを期していただきたいということを、大臣にまずお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、さっき言い残されたようなこともあるようでございますが、もし改正をなさるとするならば、どの点について食管法を改正をしたいというお考えをお持ちになっていらっしゃるのか。恐らくこれは私がどの辺だとお聞きをしても、大臣からきょう現時点で明確に承ることは私は困難だと思います。それは、私もちょうど足立農林大臣のときに政務次官をやりました。そして党あるいはきょう御出席の官僚諸君の間に板ばさみになって、政務次官として非常に苦労をいたしました。  まず第一回に食管法の改正の問題に触れられたのはこれは根本さん、ところがあの秋田の米どころでその次の選挙で落選していらっしゃる。そして私が仕えた足立さん、私の在任中にレールだけを敷きたいとおっしゃったけれども、これはまくら木一本敷けなかった。そして、後で世論の動向を見るための私のアドバルーンだったということで御訂正を願った経緯がございます。それだけに、食管法の問題から下手をすると大臣の命取りになる、だから私は特に大臣には慎重にひとつお取り組みを願いたいと思うし、あわせて、もしいま申し上げたとおり、きょうは私は答弁を本当は聞きたくないんです。聞きたくないというよりも、どこを改正したいなんておっしゃっていただきたくないんです。慎重に取り組んでいきたいということを御答弁いただけるなら私はそれで満足をしたいと、こう思いますので、大臣ひとつ御協力ください。
  75. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 明確に申し上げまして、いま私は食管法を改正するという気持ちはございません。また、しょうと思ってもできる時代ではございません。そのようにはっきり申し上げます。
  76. 園田清充

    ○園田清充君 きょうの段階ではそこまでにしておきます。  それから、いま申し上げましたとおり、きょうの所信表明の中で実際おっしゃったから、実は大臣の就任直後の御発言からすると、ことしの大蔵に対する概算要求、これらも中身の変更をなさらなきゃいけないのではないかという私は気がしたんです。ところが、きょうの所信を承っていますと、いまの総合食糧政策、これに重点を置いてやっていくんだという概算要求そのままの姿を私はきょうは御表明になったというふうに受け取っておるわけでございますが、たださっきおっしゃったように、やはり農民である限り米価が高いことは希望いたします。  そこで大臣、同時に、総合食糧政策という中で食管の赤字を減らしていく、これに財源を求めることも大事だと思いますが、しかし、今日の時点で積極農政ということであるならば、ただ単に食管の赤字を減らすことで浮いた財源農政にということよりも、やはりさっき農民を守るとおっしゃったから、米価は米価としてお考えをいただきながら他に財源を求めて攻めの農政への転換ということが私は必要だと思う。  それはなぜかと私が申しますと、これも七年前の経験ですけれども、七年前に、まことに農林省のお役人を前にして私は気の毒な物の言い方をしますが、大蔵省に行っていろいろ話をして、ところが大蔵省から直接聞いたことではございませんが、やはり一部から、今日の農林省の官僚というのは地盤沈下をしているからだということを私は耳にしたことがございます。非常に実は憤りを感じました。少なくとも、国民食糧の安定供給ということに死力を尽くしている農林省の役人を地盤沈下とは何事だと、この経済便乗官僚どもがということで、大蔵省で私はほかから聞いたことで主計官と実は大げんかをして帰ったこともございます。そういう経緯から考えまして、ひとつ大臣にいまお話がございましたとおり食管法を即改正する意思がないということでございますならば、やはり農民を守るという姿の中から特に私は大蔵に対して財源確保のために大臣にひとつ御検討を願いたいと思いますし、また、私どもその後押しをしなきゃならないというふうに考えておりますが、そこは内容的に対外的に説明されたものを見ると食管の赤字が相当出てくる、赤字が減った分が即——ことしの私は非常に役人さんが頭をしぼって、なるほどことしはいいことやっているなということで、ことしの概算要求に対しては実は敬意を表しているわけです。それは、極端に言うなら大艦巨砲主義といいますか、こういうものから改めて各個前進、それぞれの各部局、各課が知恵をしぼって、そして大蔵がつぶそうとしてもつぶしにくいような、これこそ地盤沈下よりも、この予算が通ったときに私は農林官僚というのは改めて見直されるようなことしは予算だというふうに実は考えておるわけでございまして、そこで二兆七千七百四十二億ですか、財投は六百六十億というふうな要求の中身を見てみますと、いま申し上げたことで非常に知恵がしぼられておる、この点についてはいま申し上げたとおりでございます。そこで、ただ単にこれを減らしたからということだけでいくと、非常にことしの予算が生きてくることに困難性があるような気がいたしますので、大臣のひとつ決意のほどを承っておきたいと思うのです。
  77. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私は、すでに八月に農林省として方針を決めて概算要求をいたしております。やはりこの方針は尊重しなければならぬと思います。  ただ、私としても、多少いろいろな農政上の好みというようなものがございます。それに対しては多少そういうものをつけ加えまして、できれば、それはどこまで実現するかわかりませんが、たとえば私はいま日本の畜産の将来を考えますと、どうしても広大な草地を造成すること以外に道はないと思うのです。そういう意味で、草地造成のためにはやはり国の金が一番これは必要でございまして、とうてい民間や個人じゃできませんので、国の草地造成に対する予算というものをできるだけ多く取りたいということをいま願っておるわけでございます。そのようなことに対しては多少要求をつけ加えるかと思いますけれども、いままでの農林省の決めた方針を別に大きく変えるなんということはいま考えておりません。
  78. 園田清充

    ○園田清充君 先に、後の問題に入る前にもう一つだけ大臣にお願いを申し上げておきたいと思うのです。  それは、さっき辻委員の質問に対して御答弁がございましたが、大臣就任直後いち早く冷害地を御視察になって、そうして現地でそれぞれの対策をこうしたい、ああしたいという言明がございました。また、私ども冷害農家の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思いますが、ところが、さっき私はちょっと申し上げたように、確かに冷害農家の方々が深刻な打撃を受けていらっしゃる。この救済に急を要することも申し上げるまでもございません。ただ、ところが、今回の場合は十三号、十七号台風等によって全国の農家が実は被害を受けているわけです。そこで救農土木事業等もただ冷害地帯だけじゃなくして、そういう地域も含めて御検討いただきたいということが一つ。  それからもう一つは、冷害地を御視察いただいたことで、冷害地の方々は非常に御期待をなすっていらっしゃる。私は実は二、三日前に、岐阜に友人の墓参に行ってまいりました。墓参に行ってまいりましたら、そこでいやなことですけれども聞かされてまいりましたのは、大臣は東北の御出身だから冷害地にはすぐ行かれたけれども、われわれが家も流されこういうふうになっているのに、一体休みの二日間どこで過ごされたのだろうかということを私は実は聞いてきたのです。そこで、南の方にも西の方にも目を向けて行政をおやりいただくように、ひとつ希望を申し上げておきたいと思います、言いにくいことばっかり言って申しわけございませんけれども。  そこで次に、私は時間もございませんから、ことし、私ども率直に言うと、総合農政調査会に籍を置いている平場の党員に対して、私は責任がないと思っていることが一つございます。それは良質米奨励金制度の設定について、実はベトコンの隊長をなすったので、党内で最後の米が決まる経緯等はもう御存じでございますから重ねて申し上げませんが、ことしの場合は、ベトコン部隊と総合農政調査会の代表の方々の間であとは微調整だといいうことで御一任願いたいということが、平場に対する党幹部の私どもに対する一任の要請でございました。そこで微調整だけならば、ベトコンがよろしいとおっしゃったことならば私どもも同意をいたしましょうということで賛成をした。ところが、次の政審に持ち出されてきましたときには、良質米奨励金五百円というのが政審に持ち出されて、そうして政審から総務会の了承を得て三役折衝、良質米奨励金の決定という経緯を経ております。そこで、微調整という言葉で私どもは納得をさせられたけれども、実はこれは微調整じゃないんです。重大な問題だと私は思うのです。ということはなぜかと言うと、いわゆる良質米奨励金ということで奨励金が渡されるのは自主流通に乗った分だけだという。だから良質米というものがどういう米であるのかということについて、私はまず大臣から承りたいと思うのです。
  79. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 良質米の奨励金の米価決定の場合ですね、決めたことにつきましては、私は別にあのころはベトコンの大将でも何でもありませんですが、生産者米価が上ることは希望して努力いたしておりましたが、いろいろないきさつであのとおり決まったわけでございます。自民党も、それからいろいろ政府の方も納得して決められたことでございまして、私はこれに対して何ら悪いとも何とも申し上げることは決してできません。結構でございます、結構なことでございましたと申し上げる以外道はございません。  そういうことでございますが、良質米ってどういうことかわかりませんがと、御質問の意味はよくわかります。私は、米をつくる場合にはやはりおいしい米をつくる方が非常に望ましいと、そういう意味で良質米というのがあるだろうと思うのでございます。
  80. 園田清充

    ○園田清充君 いい米ということの、私は良質米ということの定義がわからないんです。というのは、専門家もいらっしゃるけれども、米に等級があり、今日その銘柄加算があり、そして手が入れられている。だから、等級制度というものは、私はやはりその米がいいから等級をおつけになると思うんです。そうすると、いい米をつくろうということで銘柄の奨励金もお出しになっていらっしゃる。いい米だから銘柄に加算金というのを私はおつけになっていると思う。そうすると、その上に良質米というのは一体何を指しているのかという、それがわからない。同時に、まず第一に、自主流通米に乗ったものだけに良質米奨励金を七百円と三百円でお上げしますよということ、これは銘柄の問題も含めて考えていらっしゃる。ところが、大臣のところと、私は九州の熊本ですが、米の出荷の時期が違います。たとえば、西南暖地の農家というのは、おっしゃったように戦後食うか食わずのときには、なるたけひとつ食糧確保しなきゃならぬということで、早場米、早場米ということで奨励をしてまいりました。だから、わせ、わせ、わせということで九州あたりも国家政策に協力をしてきた。ところが、その後いわゆる良質米というか、いい米をつくれということで、だんだんだんだん北の方の早く収穫をしなきゃならないところと、南の方の遅場地帯とでは、そうしたその米の品種の選定から、同時にいろいろなことが措置をせられてきて、今日のような時期的な差というものも出てまいったと思います。ところが、いまのように二カ月も早い今度は東北の米あたりが市場に出回って、そして市場で新米だ、新米だとやっておるときに、二カ月遅く取られた西南暖地あたりの米を今度は持ってきて、そして自主流通米で買ってくださいということを言ってみたって、これはどこも米屋さんが歓迎をして売ってくれようとしないんです。ところが、それはこの米がうまいからだということでしょうけれども、それならなぜ私は硬質米と軟質米に四十円の差をつけてお買いになっておるのか、この辺も実は疑問なんです。だから、もう大臣は就任早々だから食糧庁の長官でいいけれども、まずあなたに良質米の定義ということからお聞きをしたい。  私の言っていることが理論的に間違いであるならば、なぜあなた方は党に対して抵抗しなかったかということなんです。唯々諾々として、持ってきたら今度はこういうことで、はいやりますということで、じゃあそれが全員の今度は総合農政調査会の賛成を得たものか、党の全体の意思であったかということには、私がいま申し上げた経緯からして、前のあなたのところの総務部長あたり、いまの官房長あたりが出席をしていたんだから、経緯等も十分知っているはずだ。だから、そういう官僚の抵抗というものも、筋の通らぬことにはあってしかるべきだと私は思う。ところが、今日そういうことで、北と南の農家が同じいい米をつくろうとして努力をしているのにこういう格差をつけられた。これが第二点。この措置を……。  いまの第一点は定義。第二点は、いまのようなことに対して、やれ東北食糧基地だ、北海道食糧基地だ、九州は食糧基地だとおだてながら、なお米についてこんな格差をつけるような行政措置を唯々諾々として農林省がのんだかということ、私はこれ非常に不満です。だから、この点について、長官ひとつ分けて御答弁を願いたいと思います。
  81. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  良質米の定義でございますけれども、五十一年産米から採用いたしました良質米と言いますのは、御案内のとおり、自主流通米制度に一定に乗ったその産地銘柄の米を良質米と言っております。と申しますのは、御案内のとおり、四十四年以降、米の需給が大幅にゆとりができました。所得も上がりまして、そうして消費者の食味に対する要望が非常に強くなったわけでございます。そういうことから自主流通米制度が発足いたしまして、したがって、本来の精白歩どまり等を中心にいたしました等級以外に、やっぱり産地品種銘柄、いわゆる自主流通という市場評価で好まれる産地品種を仕分けするために銘柄制度というものができてきたわけでございますが、さらに消費者の家計の動向を見ますと、いろいろ御意見もございますけれども、やはり米屋さんで売られておる上米、中米等の銘柄米の購入割合が東京の家計調査で約六割というようなふうに占めまして、この銘柄米いわゆる食味のいい米に対する要望が強い。したがって、四十八年以降、これに対して銘柄奨励金を付したわけでございますが、しかしながら、やはりこれについても、市場評価と言いますか、消費者の嗜好を反映した市場評価をはっきりいたしまして、それによって良質米かどうかを客観的に決める。これは行政が一義的に決めるというようなものではいろいろ問題も多いということで、自主流通米に乗るというような世界で、消費者の嗜好によって決められる領域のところでその良質米であるかどうか、したがって国がこれを奨励するかどうかということを決めたらいかがかということで、今回の良質米奨励金制度を採用したというわけでございます。  で、良質米につきましては、御案内のとおり消費者の食味が、普通の米であれば政府の配給米なりあるいは標準価格米でございますが、やや価格は高くても食味のいい米を求める方々に自主流通米制度としてそれが流通しておるわけでございますが、この数量はおおむね百七十万トン程度になっております。しかしながら、やはり良質米と言われる銘柄は反収が低く機械化適性がなかなか劣る、あるいは肥培管理がむずかしいというようなことで、一般の米に比べて生産者手取りも高いわけでございますけれども、やはり手間のかかるほどには生産者メリットが少ない。したがって、それに対して奨励をしたらいかがかということで良質米奨励金が採用されたということでございまして、そういう経緯と目的を持っておるわけでございまして、やはり食味に対する消費者の方々の要求が非常に強い。それに対してそれに応ずるような米を供給いたして、一番今日最大の課題となっております米の消費の減退消費の拡大という方向に即していくことも、われわれとしては非常に大事なことだというふうに考えております。  なお、先生いろいろな御質問で、お答えも尽きておらない、漏れもございまして恐縮かと思いますけれども、例の歩どまり加算は、これは精白歩どまりでございまして、軟質米とか硬質米とかという区別によって、あれはたしか六十キロ当たり四十円でございますが、頭からつけたわけではなくて、これは精白歩どまりによって、やはりいわゆる俗に言う硬質米の方が精白歩どまりがいいということで加算をいたしたということでございまして、これはいわゆる食味による消費者の選択に基づいて、その米の物としての評価が決まってくる良質米の世界とは別なものであるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  82. 園田清充

    ○園田清充君 いまあなたがおっしゃったようなことでは、私は納得ができない。  というのは、消費者がうまいかうまくないか決めます、と。それならば、たとえば出荷の時期なら時期が一緒であるならば別なんです。二ヵ月も違って、そして端境期に新米が出たら、新米がうまいことは日本全国うまいんだ、これはどこの米だって新しい米が出たときは。だから、それを同じ競争のラインに立てて、そしてさあうまい米を育てろ、全国一斉につくる競争をしなさいというなら別なんだ。ところがあなたたちがとらえているのは、ただ現状だけをとらえて、そして今度はこの早場地帯に奨励金が行くような措置だけしかとられていないんだ。そこに問題がある。だから私は、二カ月おくれてもそれなら関西とかいろいろな市場では全然売れていないかというと——いま歩どまり加算の問題はわかりました、これでね。ただし、それなら南の方の米は食ってないかというと、結構消費はされている。だから、いまあなたが言ったようなことでは定義として納得することはできないし、(「自主流通奨励金だ」と呼ぶ者あり)だから自主流通奨励金、それで私はそのことも提言をしたんだ。自主流通奨励金でいま千六百五十円かたしか出ているんだな、これは。だから、そういうことで何か名目を変えなさいということを口を酸っぱくして言ったが、依然としてあなた方は良質米奨励金という形をとっている。だからわれわれは、こういうことだからこの恩恵に浴しないんだということが農家が納得できればいいですよ。しかし、このことでは農家は納得できないんです、少なくとも西の方の農家は。だから、そういう制度をあなたたちが取り入れておいて、そしていまのように、食わしてみたら消費者がうまいと言いましたからこれに奨励金を実績によって出していきます——そんなら二ヵ月の出荷の時期の差を今度はどうカバーするのか。何か行政的に、じゃあ南の方に北と違って今度は何かの、圃場整備でもやるときに今度は補助率を高くしてやりますとか、何らかのそこに差をつけておくなら別なんだ。ところが何もやっていない。そしていまのようなことでは、これは納得ができない。これは時間がないから、あなたが長々しゃべっておると私もこれは困るから、それで、ただ公の場で少なくとも私が、本来ならば党の政調で論議すべき問題をあなたたちに提言をしたことは、この良質米制度については自民党の党員であり総合農政調査会の委員である私どもには責任はないということ、これを明確に申し上げておきたいと思う。だからこれは農林省攻撃の、それは皆さん方が批判があるときはわれわれも一緒になって批判をする材料であるということを、ここに明確に私は申し上げておきたいと思う。  だから、この後もあなたたちが続けられるかどうか、あるいは来年から、これは間違っていたと、それならば全国の米づくり農家が恩恵に浴するような措置をこれは検討をするということを提言をしてこられるのかどうか。だから、検討される用意があるのかないか、それだけ聞いておきたい。
  83. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) おしかりがあるかと思いますけれども、事実関係のとらえ方について私どもと多少違うところがございますが、その出回り時期だけ、もちろんまた九州でも、宮崎とか鹿児島みたいに超早場というものがございますが、これは新米の香りを非常に尊重するというようなことでその自主流通に乗っておるものもございますが、単に出回り時期ではなくて、相当の後になっても、その米穀年度を通じましても、たとえば食味のいい悪い、消費者がその選択をいたす際の強弱というものがあるわけでございまして、そういう意味で、出回り時期の差——東は早く西は遅い、そのためのハンディという問題として私ども考えておるわけではないということをつけ加えさしていただきます。  ただ、言葉として良質米と、いろいろ銘柄米奨励金とか従来の言葉もございますので、良質米奨励金と、そういう従来の関係もございましたので、われわれとしては良質米奨励金ということで今回平均五百円を交付することにさしていただいたわけでございますが、やはりその食味のいい米を要望する消費者の要請にこたえて、それに対して、それを通じて米の消費を拡大する。しかも、先ほど申し上げましたいろいろな原因でその良質米の生産が減退しておる。むしろ百七十万トンの自主流通の枠の中でも、どっちかというと食味のグレードの低いような米に置きかわっておるというような事態から見ますと、やっぱりこの制度は米の消費の拡大、消費者の需要の要望にこたえるという意味で、いろいろそのやり方、運用その他は改善していかなければなりませんけれども、当面これは続けなければならないというふうに私どもは思っております。
  84. 園田清充

    ○園田清充君 あなたとここで時間をかけていると私の持ち時間がなくなっちゃうから、だから、この辺でやめますが、ただこれはさっき私は大臣にも質問したけれども、質問が出ているように、食管法の根幹に私は触れる問題だと思うんです。というのは、銘柄を導入し自主流通米を導入している、これ自体も実は私ども疑問を持っているんだよ、与党ながら。しかし、政策上不本意ながらやむを得ないという妥協をしているのです、率直に申し上げて。ところが、等級制度があり、いまのような銘柄を導入してくる、自主流通はあれしてくる、今度は良質米制度というもの、だからそれならば、むしろ今度はいまのように完全交通整理をして、全国の農家がこの恩恵に浴するような措置というものをお考えなさいというのが私の提言なんです、これは。  ところが、来年からも続けますということならば、これはまた来年以降あなたとけんかしていかなきゃならぬ、残念だけれどもね。だから、それでいいと思っていらっしゃるならば、これは委員長、今後とも私はこの問題について、野党の皆さん方に申しわけないけれども、与党として野党的な質問を時間をいただいて繰り返すことをひとつ委員長お願いを申し上げておきたいと思うのです。  それから、これと関連をいたしますけれども、大臣、いまの総合食糧政策で米価の問題で、非常に米の問題に関連いたしますが、なぜ米が減らないか。私はこれもほめることはほめますけれども、いろいろ農林省努力をして、そうして農産物価格というものについての支持ないしは保障制度というもので御努力を願っておる。ところが、やはり農産物が適正な価格に落ちつくということが一番大事なこと、そのことが米の私は抑制にもつながると思うのです。需給の関係というものが適正化されていく一つの方向だと思うし、同時に、これはここにも、たしか社会党さんの提案だと思いますけれども農産物価格安定法の一部を改正する法律案が出ている。これはいまだ継続審議になっておる。ただ、一番農林省として頭の痛いことは、やはり大臣も私も考え方は同じだと思うけれども、やはり農家が安定した所得があり、同時に今度は消費者も安定したいまのような農産物が買えるということなら、これが一番願わしいことだと、望ましいことだと思います。特に、安定成長と言えば言葉はいいけれども、減速経済体制下に入った今日、やはりこのことは一番私は大事なことじゃないかと思うのです。  そこでひとつお聞きしておきたいことは、農畜産物価格の安定の問題について価格安定制度、これをやはり強化していただきたい。特に果菜制度——果実野菜、これらの問題は非常にむずかしい問題です。むずかしい問題ですけれども、まあ私なりの考え方を申し上げますと、今日畜産にとられているような上限と下限を決められて、そうしていまの基金制度とかみ合わしたもので運営をしていただけば、そうして農林省は市場における自主性を適正な指導をしていくということに積極的な姿勢がとられるならば、大蔵としてもかなりな財源負担を考慮しなくとも私はやっていけるという気がするのです。だから、ぜひ速やかに農畜産物の価格安定、なかんずく果菜——果実野菜、このものについて積極的なひとつ施策を講じていただきたいと、こう願望いたしておりますが、大臣のひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  85. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 一応畜産物の価格安定制度がございまして、これは非常にいいことだと私も考えておりますが、野菜につきましてはなかなか条件が違う面があってむずかしいのではないかと思うのです。たとえば畜産物にしますと、これは長期的に保管もできます。いろいろそういうことで調整、たとえば価格の調整とかいろいろなことでそれが重要な役割りを果たすことはできますけれども、野菜となりますと、長期保管というのはほとんどむずかしいのではないでしょうか。たとえばタマネギとかバレイショ等は、これはある程度長期的な保管はできますけれども、それ以外の野菜になりますと、とうてい長期保管できません。したがって、調整的な役割りを果たし得ないと思うのです。  そういう意味で、やはり価格安定帯を設けまして、あのような制度というのは少しむずかしいのではなかろうかと私は思うのでございます。そこに野菜に関していろいろ行政がむずかしくなり、そのような御意見のような制度があれば一番望ましいのですが、それができないのは、やはりそのような野菜の持つ性格のむずかしさにあるのじゃなかろうかと思う次第でございます。
  86. 園田清充

    ○園田清充君 いま私もむずかしさというのは理解ができますよ。ただ二つだけ、いまのような財政的な問題から考えると、新制度を活用して上限下限を決められる、と同時に市場の指定の問題、指定産地から指定市場へ来る、この辺を農政局長あるいは知事に若干の権限をお任せになるならば、この上限下限の幅の中でかなりの運用ができるんじゃないかという気がします。だから、試験的に全農等とお話し合いいただいて、そして現在の標準価格制度というものはあそこでもとっておりますから研究はしていただく、そして実現する方に前向きでひとつ御検討をしていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、畜産の関係については、過般これは畜産局長からいろいろ対策について承りましたが、私も自分の手帳を見てみると、七月の十三日に畜産局長に対して、こういうことになりはしないかという危機を豚の問題で電話をいたしましたところ、それは熊本県内の流通の問題、いろいろなことに問題があるんでしょうと言っておった。ところが、これが二カ月もたった今日では、私が指摘をしたとおりの結果になった。一体どうしているんだということで、過般現状における輸入の抑制だとか、あるいは減免措置だとか、輸入の課税の問題だとかいうことについて承りましたんで、時間がございませんから、もう畜産局長はきょうはやめます、これは。  そこで最後に、国鉄の運賃と関連をして、特に農林物資の問題ですけれども、これも参議院の内部として論議をいたしました。そこできょうは監督局長が運輸省からお見えになっていらっしゃるんで、私の言いたいことは申し上げておいたんです。なぜ私は、もう少し積極的に食品流通局あたりが努力をしてくれないのかということなんです。それは党の政調、あるいはその後の今度は国鉄運賃の改定等の経緯からいたしますと、各省庁でひとつ予算に盛るような努力をしろということ。ところがこれは大蔵省が認めていないんです。ところが、今度五八・六%という農林物資も水産物も同じような値上げになってまいります。そうなるとダブルパンチを食わなきゃならないじゃないか、生産農家は。さっき大臣は農民を愛すると、こうおっしゃった。ところがいまのように、たとえば生産資材を一つ見てみましても、生産資材というのはやはりどっちかというと、消費都市でできたものが北海道や九州へ送られてきて、生産資材として使われている。これも五八・六%上がります。ところが、できたものを今度は市場へ送るとすると、これも五八・六%上がって市場に送らなきゃならぬ。農家というのは、生産からいまのように製品までをダブルパンチの中で今度の国鉄運賃の値上げによって自分の所得が減っていく。だから、私は極端なことを申し上げようとは思いません。だから国鉄当局にも、特に運輸大臣には関係派閥の方々が代表して、表に出すなと、われわれとして最善努力をするからということで、運輸大臣もその努力をしようということを実は私どもには間接的に御回答いただいているわけです。ところが、残念ながらきょうまでそういう衆議院の審議の過程を通じても答弁を承っていないような気がいたします。だから物価対策上から考えても、いま申し上げたダブルパンチのような、それが生産されたものが、農林水産物が市場に深く反映されるかというと、残念ながら市場に深く反映をいたしません。同時に、安定成長という今日の経済政策の中で考えると、農林省が言うように、総合食糧政策というようなことから特に西南暖地あたりでは、さあミカンをつくりなさい、野菜をつくりなさいということ、私の熊本県あたりは全国一の今日果菜県になっております、出荷時に。ところが、いまのように協力をした者がダブルパンチを食わなきゃならない。ミカンにしたって、十一円で東京まで届いていたやつが今度は十六円五十銭かかります。同時に生産資材も、いまのようなことの上がりで当然農家の手取りというのは減ってくる。だから何か考えてほしいということ。だからいま等級の三等級あるものの中で、生産資材と四等級設けて措置をするようなことを今度はお考えいただいていいんじゃないかということ。それがもし通達どおりで各省間で御折衝になっていらっしゃるのなら、国鉄の現状というのは私はよくわかっている。だから五八・六を上げるなと言っているんじゃない、上げなければどうにもならないから上げてよろしいと。だからそれが、たとえば五八・六が五九になろうとも、そういう措置は国鉄自身として講ぜられる、講ぜられなければ農林省ともう少し積極的な話し合いをして私どもの納得するような線を出していただきたいということを、実は内々申し入れをしてございます。だから、この点について何か進展があったかどうか。これは国鉄からお見えになっていらっしゃるから、監督局長からひとつお聞かせを願いたいと思います。
  87. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 農水産物の公共負担、公共割引の問題につきましては、前々から先生の方からも御指摘があり、また農林省の方からもいろいろお話を伺っていたわけでございますが……
  88. 園田清充

    ○園田清充君 時間がないから、だから農林省と話を詰めていますとか何とかいうことなら、まだいま審議の途中だからそれだけでいい。
  89. 住田正二

    政府委員(住田正二君) この問題につきましては、衆議院の運輸委員会の審議の過程でいろいろ取り上げられたわけでございますが、その際大臣から御答弁申し上げておりますのは、昔のように国鉄が黒字時代であればそういう公共負担をすることもやむを得ないけれども、現在のような窮乏した財政状況のもとでこういう公共負担を国鉄が受忍するのはおかしい、こういう公共負担をするのは各省庁がそれぞれ政策に基づいてやる問題であるから、各省庁で予算措置を講ずるべきであるということを大臣が御答弁申し上げております。
  90. 園田清充

    ○園田清充君 それならそれでいい。  もう一言だけ、時間がないからね。ここでも、農林水産委員会が決議をして善処を国鉄当局、運輸当局に求めているんです。これは四十八年の九月十三日、この農林水産委員会で附帯決議としてこうした善処をあなたのところへ促しているわけです。ところが、もうあなた二年か三年たっているんです。だから、今日改定しようという案を出すまで、この委員会へあなたが出てきて何もしていませんじゃ返事にならないんだ、国会の決議の意思は尊重しますということを言っていながら何ら尊重されていない、話し合いも詰めていない、こんなことでは返事にならない。だからきょうはこれでおきます。おくから、少なくともこういうことを全会一致の今度はここの決議として当局に要望した以上、これに対しての回答というのはあなたの方でも結論が出て、きょうは答弁をしてもらわなければならない。だから、時間がないから、次回の委員会なりに、このことについては御答弁を願いたいということだけでひとつおきたいと思います。あとは青井委員に若干時間が残っているようでございます。  その前に、大臣に一つだけ担い手の問題でお願いを申し上げておきますが、これは一分間でいいですから。というのは、一番農家で困っているのは何かと言うと、これは嫁の問題です、農村の後継者の嫁の問題。だから文部省に教育を任せるのじゃなくして、ひとつ農林省が新しい予算の中ででもいいから、私は農村の嫁を、花嫁学校だとか何とかいう形でもいいから金を出して、これはどういう形をとられるか別だけれども、一番最大の若者の後継者の悩みがそれである以上、このことを解消するための積極的な前向きの姿勢を、できたら新大臣の構想の一つとして予算の中に盛り込んでいただければ非常に幸いだ。だから、このことについてはお願いを申し上げておきたい。
  91. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私も農村に参りますと、農村に嫁が来手がない、来手がないと言われてみんなに口説かれて私も非常に困っております。やはり何かこれはむずかしい問題ですけれども、いろいろとやっぱり検討してできるだけ協力してやらなければならないと思います。そういうことで、一生懸命にこれからどうしたらいいか、その協力の方向で考えてまいりたいと思います。
  92. 青井政美

    青井政美君 新しく農林大臣に御就任で、いろいろお尋ねいたしたいこともたくさんあるのでございますが、きょうは時間がございませんので、災害と冷害の問題だけを中心でお尋ねし、お願いをいたしたいと思うのでございます。  先ほど来御承知のように、辻委員、園田委員からもお話がございましたように、今回の冷害と災害は全国的な問題でございますのと、やはり国民経済の中にも、あるいは農家生活の問題にもつながる非常に大きい問題だと思うのでございます。大臣も東北の方をごらんいただきましたり、先ほど鈴木委員と私から冷害の関係の御報告を申し上げました。また、災害の関係では愛媛、高知あるいは岐阜県等私も見てまいりまして、特に公共の関係でなく、いわゆる農業災害中心といたしまして見てまいったのでございます。この点におきまして、非常に大きく急がなけりゃならない問題がたくさんあるわけでございますので、先ほど来、規格外米の政府の買い入れの措置の問題も大臣初め関係の方々からいろいろお聞きいたしておりますが、特に北海道では非常に冷害が時期的に問題があるので早くやってほしい、いわゆる決定を早くしてほしいということが言われておったわけでございまして、私どもが見聞いたしましたそれぞれの状況を見ますときにも、規格外米の決定が早くできなければ農家が庭先に積むという状況では、将来政府の買い入れの対象になるような規格が持てないのじゃないかということが、非常に急がれるという状況でございます。もとより、西日本の災害の関係においても同じことが言えることだと思うのでございまして、先ほど来、十月の近々一週間以内ぐらいにおいて規格は決めるというお話でございますが、一日も早く御決定をいただき、この価格の問題につきましても五等米との従来からの考え方の中には問題があろうかと思うのでございます。  ただ私は、この際特に災害農家のために御配慮賜りたいということでございます。このことは御承知のように、農林の検査規格そのものが、国民のやはり要望にこたえて検査の水準が上がってまいっております。したがいまして、一年とか二年とかいうスローダウンでは、いわゆる政府の買い入れ対象のお米にならないのじゃないかということを私心配をいたしておりますが、いずれにいたしましても、現在できたものが少なくとも政府の買い入れ対象になるという、この時点で大臣の御配慮を願わなければ、私はこの問題は解決つかないのじゃないか。  また一面、やはり農業共済金の問題でございますが、やはり平均の契約反数といいますか、そういう五百キロなり四百キロという従来の契約を持っておった圃場で収穫皆無なり、二十キロなり八十キロといういわゆるヘクタール当たりの反収という状況でございますと、二十キロや八十キロやという収穫ではいわゆる刈る手間もない。だからこのまま放棄して、共済においてはゼロの収穫ということで取り扱いをしてもらいたいという声が非常に多かったのでございます。この問題も、いわゆる低品位米の買い入れという問題と共済で見る減収の割合という問題には従来の法律では救済できない、特別措置考えなければならないのじゃないかということが思われるわけでございまして、その農産物の検査規格の特例という問題が、やはりお米の問題と、特に冷害地では豆の問題について早く配慮してもらいたいということか多く言われておるわけでございます。  また先ほども報告で申し上げましたように、いわゆる五十一年産米の予約の概算金が、収穫皆無になれば、もらって使ったが払えないという状況が生まれてくるわけでございまして、減免の問題なり、相当長期にわたる延納の問題なりが今日はっきりとしなければ、やはり冷害地の農民も生活ができないという形になろうかと思うのでございます。この問題、やはり早期に御決定をいただくという問題と、さらにまた今後の農業の再生産用のためにはやはり種子の問題なり、あるいは牧草ができないために越冬用の飼料というものがなければ牛を殺さなければならぬという状況でございますと、やはり越冬用の飼料に対しては助成をしてもらいたいということが直接農民の声として私どもに要請せられ、私どもはやはり大臣にその大きな問題点についての御努力を願いたい、こう思うのでございます。
  93. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまの青井委員の御意見はごもっともでございます。われわれはその御要求に対しては全面的に協力いたすように考えております。  米の低品位米の規格の設定につきましては、先ほど食糧庁長官からお答え申し上げましたように取り急ぎまして、価格の決定までは少し時間がかかりますが、それはもう十月以内には行いますが、規格の設定につきましては来週中にはそのような内定したものを各方面にこれを通達して、そして早く米づくりに間に合うようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。  それから、共済の対象の共済の基準のこれを変える方針がないかということでございますが、やはり基準は私は変えたくないと考えております。ただし、基準そのものは変えなくとも、扱い方によりましては温かい気持ちでやれば、ずいぶんと違った大きな成果を生むと思います。そういう意味で、いま全体はそのような気持ちでやる方針でおりますので、基準は変えなくても相当に役に立つことができると考えております。  それから前渡金ですか、前渡金の減免の問題でございますが、これも確かにあるいは延期したり、まけてやれば一番これはいいことかと思いますけれども考えますと、一俵三千円の前渡金はある程度の米を売るとこれは払うことができます。同時に、そのような場合には困らない、生活を落とさないようにという意味で御承知のような自創資金——自作農維持資金というようなものがあるわけでございます。また、そういう意味で天災融資の資金もあるわけでございます。そういう意味で、そういうものをできるだけ多くお貸しいたしまして、それでその前渡金を払っていただくというのが筋だと思いまして、自創資金も十分に貸す、それからその金もまけるということになりますと、ちょっと制度上やりにくいのではないかと思いまして、できるならばそのような制度資金の方でそれを補ってまいりたいと思うのでございます。もう利子につきましてはもちろん収穫皆無のものは全免になりますし、減免の制度がございますので、それを適用いたしたいと思います。  なお、どうしても前渡金が払えないという場合には、農協ですな、大体農協が代位弁済をすることができることになっておりますので、農協の協力によってそれを弁済して後でまた払う。その場合には、農協の金利につきましてはいろいろ考えたいと考えておるのでございます。  それから四番目の種子でございます。これはもちろん大事なことでございますから、これはできるだけ各県に指令をいたしまして、各県問で調節する、地域的にも調節しまして、できるだけりっぱな種子を確保しなければならないと思います。その場合のいろいろな農林省の補助につきましては、できる限りの協力をいたしたいと考えておる次第でございます。  それから飼料もそのとおりでございます。飼料に対しましてもできる、だけの努力をいたしまして、また政府にも大麦の手持ちもございますので、足りなくなればそういうものを出しても払い下げをすると考えておる次第でございます。
  94. 青井政美

    青井政美君 金融の、全般の被害農家の問題でございますが、御承知のように被害農家がいままでも金を借りているわけでございます。しかし、これから生きるためにもまた借りなくてはならないということになるのでございます。したがいまして、従来の資金枠の上には個人の信用がプラスにならないという問題ができますために、いわゆる資金枠の上限が広がらなくちゃならない、絶対量の資金枠がふえなければならないということがあろうと思うのでございまして、その場合におきまするやはり特例の貸付限度をふやすという状況をこの際お考えいただかなければ、いわゆる災害農家の場合も、両方ともやはり問題が残る。  もう一つ具体的な問題は、いま一つの問題を申し上げましたが、それぞれの制度資金というものの償還の猶予が災害農家にも冷害農家にも対象として出てくると思うのでございまして、やはりこの問題も大きく考えていただきたいと思うのでございます。御承知のように、国営なり土地改良事業法によりまするそれぞれの事業の負担金の関係等もこの際やはり徴収の猶予というものを御配慮願わなければ、やはり再生産ができないということになろうかと思うのでございまして、この場合は、やはり土地改良による仕事を進めてまいりました問題に対して特に多かろうかと思うのでございます。それの御見解を承りたい。
  95. 大石武一

    国務大臣大石武一君) やはり農民の間には、過去においてもいろいろな借金があると思います。そういう、ことに制度資金につきましては、これは全部条件を緩和いたしまして、延納するとか、いろんなことをいま考えておりますので、そのいままでの借金に対して今度の場合苦しむことがないようにいたす方針でございます。  なお、融資の枠の拡大の問題でございますが、ちょうどたとえばいろんな天災融資に関するものを去年倍にしたわけでございます、制度を。そういうことでいま急に変え得るかどうかわかりませんが、大体は考えますと、激甚災害とそれから天災融資法との場合が百万円の資金も借りられますし、それから自創資金もこれは百万円も借りられます。そういうことから考えますと、その程度で何かそう生活を落とさなくともやりくりがつくのではなかろうかと考えるわけでございます。  なお、自作農維持資金につきましては、すでにもう限度いっぱいに借りているものにつきましては、さらにその枠を拡大いたしまして、今回もそれを利用できるようにはいたす方針でございます。
  96. 青井政美

    青井政美君 次に、農林水産施設の問題、あるいは共同利用施設の災害による復旧でございます。この問題、全壊しておるのもございまするが、まあ七、八分倒壊をし一部残っているという状況でございますために、復旧に対する問題が非常に困難をきわめるということでございますが、特に農民のきつい要請は、早く査定をしてもらいたい、早く予定の枠を示してもらいたい、まあみずからの資金の調達の問題もございましょうし、また新しく畜産のそのような施設の問題が出てまいっております。また、一部岐阜県下等におきましては、全部畜産の関係の畜産施設が、鶏が四千羽なくなったと、しかもその施設も全部倒壊してなくなっている、あるいはまた豚の三千頭というものが、全部制度融資によって賄われておったが、今回の災害で全部なくなったという状況でございますが、そのままでは生活ができ得ない、さりとて高額の資金の借り入れという問題がございますために、地元の農協その他等においてもやはりでき得る限りの努力はしょうということではございますが、やはりそういう問題に対する特別枠というものが考えられないと、その農家というものもうまくまいらないのじゃないかということでございます。第一の災害査定というものをなるべく、公共事業では比較的進むんだが、農林水産関係の査定はいままでの例でも非常におくれる。おくれれば本人も困れば市町村も困れば農協も困るという状況でございます。したがいまして、やはり災害に対応する早期査定の実施という問題をこの際特にお考えをいただいて、関係市町村等に対する御連絡を願いたい、こう思うのでございます。
  97. 大石武一

    国務大臣大石武一君) おっしゃるとおり、ことに農林に関しましては来年の生産に差し支えがないようにすることがきわめて重大でございますので、急がなければなりません。そういう意味で、いま非常に査定を急がしましておるわけでございます。  なお、査定がおくれるような場合には、もう査定前の工事をも行いまして応急の対策もしたいという考えでございます。  なお、詳しいことにつきましては、杉山審議官からお答えさしたいと思います。
  98. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 施設被害に対する査定につきましては、できるだけ早く査定を完了するということを原則にいたしております。そのために、各県間の応援あるいは関係当局からの指導ということに重点を注いでおりますが、大臣が申し上げましたように、査定を待っていられないものにつきましては、これは緊急着工あるいは査定前着工というものも、現地の判断を尊重して広範に採用するという行き方をとっております。  それから、共同利用施設あるいは個人施設で被害を受けたもの、特に畜舎等の畜産農家に対する手当てはどうかというお話でございますが、これは農林漁業金融公庫資金の中に主務大臣指定施設として災害復旧資金の融資が認められております。それがまた激甚災に該当する場合には、その金利についても特例がございます。これは三分になるわけでございますが、そういうような制度もございますし、それから近代化資金でもって融資をめんどう見て差し上げるということもできるわけでございます。まあ、畜産農家被害に対しては共済の制度もございませんし、本当にお気の毒だと思いますので、そういった融資面の措置、さらには経営資金、来年の手当てのためにさしあたっての経営資金が要るという向きについては、これは天災融資法上の経営資金も出るということになりますので、それらを総合的に活用して、そういう畜産農家のお気の毒な状況に対して手当てをしてまいりたいというふうに考えております。
  99. 青井政美

    青井政美君 次に農業土木関係の仕事でございますが、特に昭和三十九年から四十二、三年ごろに行われました開拓パイロット事業なり農業改善事業等によりまして、新しく農地開発や樹園地の造成ができてまいったわけでございますが、いままで補助対象と実際の仕事を進める意味においてはより経済効果を強調する余り、やはり防災に関する問題点というものがなおざりになっておったのじゃないかということを、災害地を見まして特に感じるのでございます。このことは、やはりどうしても経済的効果をねらうということは自然に逆らうということにもつながりますし、まあそういったことがやはり非常に大きな問題でございますために、今回のいわゆる農業改善事業あるいは従来からあるパイロットの関係等も、抜本的にやはり防災措置というものを加味した改良復旧にしなければ、また再び災害が起こるということになるのじゃないかということが考えられるわけでございます。この問題について、新しい見解を伺いたいと思うのでございます。
  100. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまのお説のとおりだとわれわれも考えております。  なお、詳しい御答弁が必要でございましたら、所管の局長からお答えさしたいと思います。
  101. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 確かに今回の災害を見ますと、私どもかねてから防災機能というものにつきまして配慮しながら工事をやってきたつもりでおりますけれども、たとえば西の方で起こりました十七号台風は、降雨量が八百ミリとか千九百ミリという異常な降雨であったことのほかに、特殊な地質といいますか、そういうところで非常に多くの災害が起こっております。で、復旧に当たりましては、その特殊な地質条件というものをもう少し検討いたしまして、二度と災害が起こらないような、そういう地質に合った復旧方法並びに防災措置をあわせて今回はとりたいというふうに考えております。
  102. 青井政美

    青井政美君 今回の西日本の災害を見まして一番大きく感じる問題は、やはり治山治水対策という問題が非常に大きく取り上げられなければならないのじゃないか。ここは公共だ、いやここは農業だというようないわゆる境界の行政面においての問題点が残されておるのが、今回のように一千ミリというような雨が二日か二日半という、いわゆる年間降雨量の半分以上が二、三日で降ったという状況の中ではほとんど、その災害がやはり治山治水をうまくやっておるならば、あるいはこれが砂防の事業になるか、あるいはその他という問題点の末端でははねかけ合いっこをしておるというのが、やはり予算面と全体を通じての一つの私は問題点があるのじゃないか。その意味においては、やはり日本の治山治水事業という問題点をもう一度見直して、さらに日本の百年の大計を立てる農山村という問題が、直ちに生活の問題だけじゃなくて、十年、二十年という林業構造改善事業の中でもう少し奥深く取り入れて考えていくことが、やはり下流の地域の、あるいは今回の土石流の云々という問題が、果樹園地に流れ込んでしまった、たんぼがやられた、ある一面ではその災害が、樹園地の人は被害者である、しかしその土石流が流れることによって、末端のたんぼには加害者になる。一人が被害者であると同時に、また他の農家の方々に対しては加害者になるというような状況考えてみる。これがまた、少なくとも公共事業の中で救済し得ない災害というようなものに発展をしてきておるということが、今回なるべく拡大解釈の姿の中で救済をしていただきたいのですが、現状の法律の中から考えてみますときに、やはりこのような問題が大きな政治課題として考えられなければならないのじゃないかということが痛感されるわけでございます。どうかひとつ、特に本日のここの御答弁ということより、今後の治山治水対策というものが少なくとも大きな予算的な措置において、やはり地域住民なり日本の全体の国土保全という面から考えてみましても私は大きい問題だと思うのでございまして、今回の災害に対しまするそのような問題の措置をお伺いいたしますと同時に、これはやはり将来の治山治水対策という非常に大事な問題だというふうに思いますので、両面にわたっての見解を伺いたいと思うのでございます。
  103. 松形祐堯

    政府委員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、今回の災害で大変多かったのは山崩れでございます。そしてまた、そのことが下流の方に災害を引き起こすという実態でございました。まことに遺憾なことでございますが、四十七年の大災害を契機といたしまして、建設省、農地あるいは私どもの方も一緒になりまして危険地域の全国点検をいたしました。それによりまして最も緊急度の高いところから、私どもの所管でいたしますと、治山事業あるいは地すべり等の対策をとってまいったわけでございますが、ただいま御指摘のような今回の災害等にかんがみまして、私どもさらにまた必要なところは見直しをいたしまして、たまたま本年度のうちに、現在第四次治山治水の対策の計画になっておりますが、第五次になります計画を策定中でございますので、ただいまの御意見のような、あるいは災害の実態というものを十分この中に盛り込んでいくように現在検討を進め、また計画しつつあるところでございます。  なお、当然、農地あるいは建設省の砂防と十分連絡をとりながら、遺漏のないように私ども考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  104. 青井政美

    青井政美君 時間が参りましたので、もう一応二つだけお願いをしておきたいと思います。  御承知のように、山林を開発して畑地にするという状況の中で、やはり水の問題の解決がうまくまいらないということでやはり崩壊をする、構造改善事業でうんと金をかけたがだめだという形のものになりますので、どうしてもがけ上の今後排水施設というような問題を考えなけりゃならないのじゃないかという、一つのこれは提言でございます。  そしてもう一つ、やっぱり今回の災害がもたらした農家のいろいろな問題点の中で、現在この地帯は危険地域だという地方の知事の指定があるならば、やはりその危険地域からどこかへ移転をしたい、移転をする場合に、住宅資金その他等の問題がどのようなことになるか、現状の法律なりあるいは災対でやるべきものか、建設省でやるべきものか、あるいは農民でございますために農林省考えるべきかという、境界の問題なり権限の問題ではいろいろ御議論があろうかと思います。これはひとつ宿題として、今回の十七号台風による地域的な厳しさというものが今後政治の面でうまく生かされていくように、ひとつ特に大臣にこの課題をお願いしておきたいと思います。  もう時間がございませんので、以上です。     —————————————
  105. 小林国司

    委員長小林国司君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま上田哲君が委員辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任されました。  午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後一時四十二分開会
  106. 小林国司

    委員長小林国司君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 小林国司

    委員長小林国司君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鶴園哲夫君を指名いたします。     —————————————
  108. 小林国司

    委員長小林国司君) 農林水産政策に関する調査議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  109. 川村清一

    川村清一君 私は、先般、本委員会から派遣をされまして、北海道冷害の実態を調査してまいったわけでございます。この目で実態を見、この耳で被災農民の本当に途方に暮れた状態の中から訴えられた陳情をお聞きしてまいりました。  そこで、被災農民にかわっていろいろその政府の対策についてお尋ねしたいわけでございますが、先ほど青井委員から概括的なことにつきましては御報告になりましたし、また、大臣の所信表明の中にもこの冷害対策に対処する基本的な姿勢等につきましてはお伺いいたしましたし、また、その後の委員質疑の中にもこの冷害対策の問題が出ておりましたのでおおよそはわかりましたけれども、なお具体的に詰めていきたいと、こういう考え方から御質問申し上げるわけでございます。前の質疑者の質問とあるいは重複することがあってその点は恐縮に思いますけれども、ひとつお許しを願いたいと存じます。  そこで、私が第一にお尋ねしたいことは、北海道のことしの冷害実情というものを農林省はどのように把握されておるかということをお尋ねしたいと思うわけであります。  われわれが北海道へ参りまして、道庁からいろいろお聞きしたときに、これも先ほど青井委員報告の中にもあったわけでございますが、農林省調査による被害報告、つまり農林省調査作況指数というものはこれは九月十五日現在でございますが八三%、こういう報告がなされておるわけであります。これに対しまして道庁の方の調査、これは九月二十日現在の調査でございますが七〇%を若干上回る七三%程度、こういうような報告がなされておるわけなんであります。もちろん、五日間の調査をした時点の差がありますので、それが大きな原因であることは了解されますが、しかし、一〇%という違いというものはどうも理解できないわけであります。そこで、農林省はどういうふうに把握されておるのか、この点を関係の局長さんで結構でございますからひとつ報告をしていただきたい、こう思います。
  110. 有松晃

    説明員有松晃君) ただいま先生御指摘のように、私どもが公表いたしました九月十五日現在の北海道水稲作況は八三でございまして、これに対して、道庁では七三という指数を出しているやに聞いております。その間の日にちの差は、先生おっしゃいましたように五日でございますが、ことしの冷害の場合には遅延型の冷害でございまして日増しに作況が悪くなっておる、こういうこともございますが、これは指数の差の一部しか説明できないじゃないかと、こう思いますが、私ども調査では、できるだけ水稲作況につきまして客観的な数字を把握したいということで、平均的な数字が出るように調査地点をできるだけ多く選びまして、そこで実測をやっておるわけでございます。この実測のほかに水稲の基準筆というようなものも設けまして、そこで生育の経過を詳細に観察をする。これは長年どもがやってきておる方法でございますが、そういった方法で把握をしておるわけでございます。これに対しまして、北海道庁がどういうふうな調査をしたのかというようなことも、私どももいろいろ問い合わせてはみたわけでございますが、道庁の場合は、主として巡回調査というようなことでやられておるように受け取ったわけでございます。それと、あとは基準のとり方等も若干私どもと違うのじゃないか、こういう感じもいたしますが、いずれにいたしましても、九月十五日以後にまたさらに気象状況から見まして作況が悪くなっておるというふうにも思われますので、十月十五日現在の調査をいま進めておりますので、その時点でさらにこの点は明らかにしたいというふうに考えております。
  111. 川村清一

    川村清一君 農林省の統調の数字道庁数字が違うと困るわけなんです。われわれ現地でいろいろこの実態を見、それから農民の声を聞いた。もちろん、専門家でございませんから技術的にそういうものを実測する能力は持っておらないわけでありますけれども、さわってみたところ、あるいは聞いたところによれば、道庁の言っておることが必ずしもサバを読んでおるというふうには受け取れないわけです。それで、私も長年、あるいは災害あるいは冷害ということに遭遇するごとにいろいろ対策でここへ来て国会でやっておるわけでありますが、これは当然のことながら、あなた方のやはり農林省の統調の方を絶対に信頼するわけであって、地方庁から出てきた数字というものは余りこれは信頼しません。これは災害も同じであります。そこで、余り差があるとこれは困るわけなんです。それで、いまのお話を聞くと、農林省調査というものはきわめて客観的で科学的であるか、私も専門家でないからよくわかりませんけれども道庁の方は少しずさんだと、そうも言いませんけれども、あなた方の頭の中にはそういうものがあるんではないかと思うわけであります。そうして、こう出てきたときに、その対策はどの数字をもとにしてやるかというと、当然農林省の方をやるわけです。ところが現地の方は、これは決して間違いでないということを実際に見てきているわけですから、それで立てられたこちらの方の対策とこちらの数字を基礎にした対策では格段の相違が出てくるというと、困るのは現地被災農民であるわけなんですね。  そこで、もちろん十月十五日の調査を今度されますし、まあ道庁の方も重ねてやるでありましょう。そこで私の願うところは、最終的にぜひ一致させてもらいたいということなんです。見通しはどうでしょうか。やっぱりいまの見通し、それはやってみないとわからないんでありますけれども、一〇%も差があるということはちょっと了解できないのですが、この点について重ねてひとつ御答弁を願いたいと思う。
  112. 有松晃

    説明員有松晃君) 先ほども申しましたように、九月十五日以後におきましても天候は非常に悪くなっておりますので、私ども調査した結果につきましても、さらに作況指数は下がるのではないかというふうにも考えられるわけでございますが、しかし北海道庁との差の一〇ポイントも違うのは大き過ぎるじゃないか、こういうお話でございますけれども、これについては、ちょっといろいろ私ども聞きました結果でも、何を基準にするかというふうな考え方も若干違うようにも思われるわけでございまして、まあこの差が全部詰まるというふうにはちょっと考えられないのでございますが、いずれにいたしましても、前回数字よりは若干下がるのではないかというふうに考えております。
  113. 川村清一

    川村清一君 それから大臣ね、大臣は農林大臣でございますからいまの冷害の問題に取り組めばいいわけですが、これが建設大臣であってみれば、今度はいまの災害のことと取り組まなければならないわけだ。ところが災害も、この国のいわゆる査定した数字、これが絶対になるわけであって、地方自治体で出した数字とは大変に違うと、そんなものは信用できないというようなことで対策が立てられるわけなんですが、これはいまのお話を決して私は否定するわけじゃないんですよ、専門家ですから。私はそんな専門的な知識がないわけですから否定するわけじゃないですけれども、どうもお話を聞くと、道庁の何といいますか、調査の仕方がずさんだと、そういうふうに決めつけてはいませんけれども、そういうことを基本的に考えていらっしゃるんではないかと思われてしょうがないわけでありますが、そうすると、これは町村あるいはもっと農民にとっては大変なことになるわけなんです。北海道といっても大変広いんですから、地域差というものもうんとあるわけなんです。  それで、ことしの特徴は、どういうことかわかりませんが、南の方に相当の被害があった。まあ地名を言ってもぴんとおわかりになるかどうかわかりませんが、道南の胆振、日高、こういう地帯は非常に暖かい地方でございまして、冷害というものはほかの北の方に比べればいままでの冷害では少ない方であった。ところが、太平洋の潮風の関係か、八月の低温というのが私自身がかつて経験したことのないような低温であった。お盆に、私は日高にいるわけですが帰ったときに、八月でストーブたかなければならない。朝なんかストーブをたいた。寒くてふるえ上がっておった。そういうことはないわけですよ。そこで、空知管内でも南の方ほど悪いわけだ。こういうところの統調の調査が少しずさんであったんではないかというような気がするわけなんですが、そういう数字の違いがこういうふうに出てきたんではないか。  結論的に言えば、これはあなた、道庁の調べ方が悪いならば農林省として何とかしっかりひとつ指導していただかなければならないし、道庁調査農林省調査では被害において一〇%も差がある。そしてその対策はどの数字を基礎にして打ち立てるかというと、もちろんこれは農林省の方の調査を基礎にして打ち立てるということになるわけでありますから、何とかこれを一致させるように努力——無理に努力するというのもおかしい、人為的にやるということはおかしいですが、何とかできないものか、これを重ねてひとつ御返答ください、大臣から。
  114. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 一番先に申し上げますが、農林省ではいろいろな、つまり余りよけいな金を出さないためにとかということでその数字を出しているのでは絶対ないということをはっきり申し上げておきます。  で、なぜ数字の差が、このパーセントの差がこんなにあるのか私にもわかりません。本当は統計の数字なんというものは、こんなに同じものをはかって違うなんというのはこれは本当は文明国として、恥だと思うのです、本当のことを申しますと。ですから、なぜ出たのかわかりません。しかし農林省はいままで何十年と同じ方式でやってきておるわけでございますから、今回に限ってでたらめをやったとも考えられないわけでございます。ただ、強いて言えばいま日数が違うということ、それが一つ差があると思います。また測定する方法もやはりやり方において違っていると、こう思うのです。そこに差ができたと。つまり、精密な機械を使って測定するのではありませんから、やはりいろいろな、ことにそう言っちゃはなはだ失礼でありますが、北海道庁にしてみれば農民がかわいそうだと、何とかこれは救ってやりたいという意識が無意識にも心の中にあれば、どうしても見方が甘く、これは悪意じゃありませんが、そういうことはあり得るのじゃないかとも思うのです。そういうことで違ったのでありますが、われわれはいま申しましたように、農民に不利になるようなために高い数字を出しているのではないということをはっきり申し上げます。  それから仮に、いまのわりあいに予想よりも高い数字が出たと、そうすると、十月の十五日——あしたの調べではもっと明確な成果が出ると思いますが、いま部長の言うとおり、私はこれは下がると思います。そういうことで、それがいろいろな対策の一つの判断の基準になることはなりますけれども、それがすべてではございません。いろいろな災害対策の要求とか、予算の要求とか、そういうものは一応は九月十五日現在のあの数字を土台として要求しておりますが、それは実際の被害に対する救済とは直接関係は結びつきません。被害の実際に対することはちゃんとやる方針でございますから、その点は御心配をおかけしないと思います。また、要するに共済の評価の仕方にも関係があるかもしれませんが、それは実際に評価員が一筆一筆評価をして、その結果を県段階でまたやり、さらに国でやる場合に多少これが参考になるかもしれませんが、何といったって実際に一筆一筆評価したものが一番力強い私はこれは事実だと思いますから、そういう点では決して農民に不利にならないように考えてあるという乙とを申し上げるのでございます。
  115. 川村清一

    川村清一君 私は、先ほど申し上げましたように、検査の期日が五日間の違いがあるということは前提として申し上げているのであって、その検査の日にちの相違というものが一つの大きな条件でありますから、十月十五日が出てきたときに道庁のと近づくということを期待しているわけでございます。また、将来において一致することを期待しておるわけでございます。決して私は、農林省は何か人為的に指数を高くしているなんということは、そんなことは毛頭考えておりませんし、何もそんなことは言ってないわけです。また、政府の方の説明を聞きますと、道庁の方のやり方がどうも間違いだといったようなふうに受けとれる、少しでも被害を大きくしてそうして対策を打ち出さして得をしようといったような、そういった考え方が基礎にあってそういうことをやるんだというようなふうに受けとられるような御発言は、私はとてもこれは了解できない。そういうふうなことであるならば、これはそういうお考えはまあひとつぜひ払拭していただきたい。道庁道庁で一生懸命やっているわけで、ただ調査の仕方が科学的でないとか、あるいはまた何といいますか間違いであるとか、使用する機械がどうとかこうとかということであるならば、これはいままで何回も冷害あることですから、農林省の方からそういう地方をしっかり指導されて、同じ方法でやるようにしていただかなければならないと思う。私の願うところは何とか一致した形の、違ったってまあ二%や三%違うことはあたりまえだと思いますが、どうも一〇%以上も違うということになれば、これは農民にしても、違っても少なく違ったらいいんだけれども、向こうの調査よりもこちらの方が一〇%高いんですから、高い数字でもっていろいろ対策を立てられたときに、それを今度直接被害を受ける方は零細農民なんですから、われわれは零細農民の立場に立って、零細農民を代弁して私はいま申し上げているわけですから、この点ひとつぜひ、私の言っていることを御理解できると思いますから、そういう点で農林省の方も御努力をひとつ要望したいと思いますので、よろしくお願いします。  次に端的にお伺いしますが、これも先ほど青井委員報告にあったわけでありますが、ことしの北海道冷害は五年前の昭和四十六年の冷害とは趣を若干異にしまして、いわゆる収量は多いような気がするわけです。四十六年冷害に比べて、収量は多いような気がするわけです。ところが、そのお米の品質がとんでもなく悪いわけなんです。ほとんどが青米、規格外のお米なんです。ですから、いまの品質でいいますと、五等米にとうてい入れる品物でないようなものがほとんどなんです。そこで、これが政府の買い入れを受けないとするならば、まさに農民はもう収穫ゼロと全く同じであって、もう生活困窮どうにもならぬというふうな状態になるわけですね。そこで、この青米、規格外の米を全量ぜひ政府で買い上げてもらいたい。これが切なる農民の方々の願いなんです。大臣は、いやそういう米は全量買い上げするというようなことを、どっか東北調査に行かれたときにおっしゃったということを新聞でちょっと読んだわけでありますが、それは本当にやっていただけるのかどうか、これは期待しておりますが、ここでそれはやりますと、こう言っていただければそれでいいわけです。どうぞ大臣のひとつ御見解をお尋ねしたいと思うわけです。
  116. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ことしの生産された米につきましては、全量政府が責任を持って処理いたします。そのうちで食糧となり得るものは、これは全部政府で買い入れます。そういう方針でございます。
  117. 川村清一

    川村清一君 きわめて明快な御答弁で満足いたしました。被災農民の方は本当に喜んでいらっしゃると思います。  そこで、いま大臣のおっしゃったその規格外米の買い入れ基準を早急に作成して、これを公表す  べきであると思いますが、いかがですか。
  118. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ちょっと私言い足りませんでしたが、食糧となるのではなくて、米として、御飯として食べ得るものは全部政府が買うということでございます。くず米でも食糧になりますから、これはちょっと誤解されるといけませんので、飯として、食糧というのはくず米は御飯にはなりません。これはいろんなしょうゆの原料であるとかいろんなせんべいの原料になる、そういうものについても責任を持って処理いたしますが、それはいわゆる配給すべき食糧ではありませんので、食糧と言ったのはその点まで誤解されるといけませんから言い直すわけでありますが、要するに飯として食べる米は全部これは政府が買いますということをはっきり申し上げます。
  119. 川村清一

    川村清一君 そうすると、先ほどとは大分後退しておるんでありまして、私が申し上げましたのは、収量は確かに四十六年災害、冷害に比べては多いと、しかしほとんどが規格外の米であると。したがって、青米あるいはくず米になっちゃうんですよ、これは。いわゆる精白するときにくず米になってしまうんですね。それは食糧としてのお米の体をなさないものにもなってくるのが非常に多いわけなんですよ。非常に多いわけなんですわ。ですから、私がお尋ねしたのは、このくず米になると予想されるようなそういうお米も含めて全量買い上げていただきたいということを申し上げているんであって、ことしのお米の特徴は先ほど申し上げましたように、これはいわゆる精米にするときにいままでかつてないくらいくず米が多く出てくるだろうと予想されるわけですよ。食糧庁長官が一緒にうなずいていらっしゃいますが、そういうことを考えての農民の訴えであるということを私は申し上げているんで、そこで、その規格外米の買い入れ基準というものをこれは早くつくってもらう、つくったならばこれは公表してもらわなきゃいけないと思うのですが、これらについてひとつ食糧庁長官からお聞きしたい。
  120. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  大臣のお話は、主食として配給可能なものについては、本年は、例年では買わないような規格外米についても適切な規格を設定して、本年のそういう品質の低い米の実態をよく見きわめて適切な規格を設定して買い入れるということを申し上げたわけでございますが、さて規格でございますが、本年確かに被害が、冷害等に伴って品位の低い米が相当出回る、これについては従来も未熟粒混入の規格外米という特別規格を設定いたしました。これは甲乙ございます。御案内のとおりと思いますが、さらにことしはそれだけではなかなかむずかしいんじゃないかということで、北海道東北等のも相当出回ってまいりましたので、規格外になるような米の品質を見まして、青未熟の多く混入した規格外米特例規格として設定いたしまして、ただいまのお話のような現地に即した、御要望にこたえるようにただいま準備を進めておりますし、先ほど大臣は、速やかに規格を設定するというお話に対しては、来週にもということを申し上げておりましたが、少なくとも規格が内定いたしましたら早急に現地に御連絡申し上げて、農家の出荷の便宜あるいはわれわれの検査官の現地における検査の便宜という点で進めたいというふうに考えております。
  121. 川村清一

    川村清一君 いま長官がおっしゃったのは、早急ということはわかりましたが、まあ期日にすればいつごろになりますか。
  122. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 最終の詰めを、現地からサンプルが来ておりましてそれで打ち合わせておりますことが一つと、それからもう一つは、北海道東北と両方にまたがるような規格になりますので、それらの何と申しますか、調整ということを急いでおりますので、ちょっと日にちはあれでございますが、来週にはしたいと、もうできたらそれよりも早くというような気持ちで、できるだけ急いでおります。
  123. 辻一彦

    辻一彦君 関連。  ちょっと確認したいのですが、大臣、予算委員会で答弁の中に、「また、食糧としてとうていこれが買い上げることのできないものにつきましても、あらゆる努力をして責任を持ってこれを十分に農家に有利に処理できるようにいたす方針でございます。」と言うんですが、食糧で買い上げないものについても処理されるんですね、政府の責任で。
  124. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 大臣の予算委員会におけるお言葉を具体的に申し上げますと、これはもちろん主食として配給可能なものではございませんから、食管制度のたてまえとして買えません。しかし、これについてもそれぞれ用途がございます。醸造用とか、菓子用とか、えさ用とか、それらについては、系統組織を中心とした集荷と実需者に対する引き取りというようなことについては全力を挙げてただいま準備を進めておる。まだしかし、実際問題といたしましてことしは非常に作がおくれておりまして、出回り量が、出回りが十日ないし十五日おくれておりますので、数量その他的確にはまだ把握できませんけれども、大臣の申し上げましたことはそういう意味でございます。
  125. 川村清一

    川村清一君 それじゃ、いまの食糧庁長官の御答弁によってこういうふうに確認をしてよろしいですね。食用になるお米は全部買い入れますと、食用にならないくず米についても政府の責任で処理するように努力いたしますと、こういうことでございますね。そうしますと、当然ことしの限度数量がありますね、これは撤廃するということですね。
  126. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これはあくまでも予約限度の制度に基づきます買い入れ基準数量の中でございまして、これは撤廃はいたしません。ただし、これは国全体として本年は全国的な作柄が非常に弱い。先生御案内のような例の地域間、県間調整、そういうもので枠の調整を十分行えば、その限度の問題については、われわれとしてはその限度のあきができるということで十分措置できるというふうに私どもは思っております。
  127. 川村清一

    川村清一君 わかりました。  そこで、今度は共済の方の問題になりますが、一・七ミリ以上の粒の米があるわけです。で、共済基準の補償対象にならないと。しかし、これはくず米やなんかのために政府の買い入れの対象にはならない。こういうお米については共済金支払いの対象にすべきだと思いますが、これはいかがでございますか。
  128. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) 先生ただいま御指摘のとおり、共済はいわゆる収穫量に対する保険でございまして、目下のところ一・七ミリの目の段ぶるいと申します装置ではかりまして、その一・七ミリ目以上のものをいわゆる収量としてカウントしております。この方法は、統計情報部がいたしております収量調査基本的には一致した同じやり方でございます。それが基本的な方式でございまして、平年におきましては、そういうものによって一・七ミリ目段以下になったものがいわゆる減収量としてカウントされるわけでございますが、ことしのように非常に異常な災害が発生をいたしまして、品質等においても非常な振れがあるというふうな年には、これまでにもやったことがございますが、その一・七ミリ目以上でございましてもその中から被害粒を控除するというふうなことをいたしまして、これは私ども損害評価に関する特例措置というふうに申しておりますが、この特別措置を講ずることによりまして、ただいま御指摘のような米について適切な損害評価をするという方針でこれからまいる所存でございます。
  129. 川村清一

    川村清一君 わかりました。  それで、共済金支払いの時期でございますけれども、これは被災農民にすれば収入がないわけでございますので、ぜひ年内支給を望んでいます。前にも御答弁があったかと思いますが、さらに重ねて年内に支給されるのかされないのか、はっきりひとつお答え願います。
  130. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 年内に絶対的に支払いするようにという方針のもとに、いま準備を進めております。
  131. 川村清一

    川村清一君 次に、天災融資法及び激甚災害法の発動の時期はいつですか。
  132. 大石武一

    国務大臣大石武一君) これは第十七号台風及びそれ以前の大雨の被害につきましては、すでに激甚災害の指定はいたしましたけれども、この冷害につきましてはやはりまだ実態が明確につかめておりませんので、恐らくは十一月にずれ込むと思います。しかし、これは発動になることは間違いがございませんので、その旨は明確にいま申しております。
  133. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) ちょっと補足して。  十七号台風の激甚指定は、すでに大臣もお話のようにあったわけでございますが、いわゆる天災融資法の関係はいま資金需要等を各県から集めており、またそれをもとに関係省の間で協議をしておりまして、この天災融資法の関係は来週にも交付をしたいということで準備をしておるところでございます。
  134. 川村清一

    川村清一君 時間がないそうですから、ずっと続けてお答えを願います。これは、先ほど青井委員の質問にも出ておりましたし、お答えいただいたと思いますけれども、重ねて数点お尋ねします。  まず、冷害被災農民救済のため、自作農維持資金融資枠確保貸付限度額の引き上げ、これを図るべきであると思いますが、これはどうでしょうか。  次に、冷害被災農民に対し、すでに貸し付けてあるお金の貸付条件の緩和措置を講ずるべきではないかと思うが、これはどうでしょうか。  次に、米の予約概算金返納の延期措置を講ずべきであると考えますが、あるいは分割払い、そしてまた金利の減免、これはぜひやらなければならないと思いますが、これはどうでしょうか。  この三点についてお答え願います。
  135. 大石武一

    国務大臣大石武一君) この自創資金の限度でございますが、これは激甚災害の発動とともに百万円まで引き上げられております。その他天災融資の資金等合わせますと、共済金それらを合わせますと、まあまあ何とかことし一年間は、来年までの一年間はそう生活を下げないでもいけるだろうという見通しを持っておりますので、できるだけその点で進めてまいりたいと思います。ただ、すでに自創資金その他をお借りになりまして、そうしていま限度額に達しておる方に対しましては、さらに限度額を引き上げましてこれが今回も役立つようにいたしたいと考えております。  それから、いままでいろいろの制度資金をお借りになっている方は、やはりこの際こういう災害でございますから当然これは条件を緩和しまして、その延納なり支払いの延期を認めることは当然でございます。  それから前渡金、概算金の延納も、これもできれば一番いいと思います。ただし、先ほど申し上げた自作農維持資金とか、あるいは災害融資の場合の天災融資の資金とかいうものは、そのような生活上のいろいろな問題が起こった場合にはそれに対処するためにお貸しをする制度の金でございます。そういう意味で、その自創資金なりそういうものの中から概算金を還付するのが筋でございまして、それも延納もする、その金を返させるための自創資金も貸すということになりますと、制度がおかしなことになっていくということで、いま非常にむずかしい問題がございます。そういうことで、できるならばいままでのような自創資金とかあるいは天災融資の資金とか、そういうものでそれをお返しを願えれば一番都合がいいのではないかと思います。もちろん金利につきましては、全免から減免までいろんな段階がございますので、できるだけのいい方法で進めてまいりたいと思います。ただ、概算金がどうしても支払いにくいという方に対しましては、農協がかわって代位弁済をすることができますので、そういう方面でお使いになっていただければ一番都合がいいのではなかろうか。そうすると、その場合には多少の金利の問題が出てまいりますが、それは何とかわれわれの方でも考えたいと思っている次第でございます。
  136. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) いま大臣申し上げました答弁について若干補足して申し上げますと、自作農維持資金は通常百万円まで個人に対しては限度額、これは地域によりましてあるいはその農家の態様によりまして限度額の差はございますが、原則として百万円ということになっております。ただ、すでに災害を受けて借り入れ限度額いっぱいあるいはそれに近くなっている農家に対しては、これは特別の措置が必要ではないかということで、その融資限度額を引き上げることを検討するということが一つございます。  それから、大臣二番目に御答弁申し上げました既貸付金についての条件緩和、これは公庫資金でありますとか近代化資金、そのほかの制度資金がございますが、これにつきましては貸付期間の延長あるいは中間据え置きの設定、そういった条件緩和の措置を五日付の関係局長通達をもって関係金融機関及び都道府県等に指示してございます。並びにその際、政府資金あるいは制度資金が出るまでの間のつなぎ融資をそれぞれにおいて措置するようにということもあわせて指導いたしております。  以上のことを補足して申し上げます。
  137. 川村清一

    川村清一君 それから自創資金なんかね、限度額もそうですが、枠をふやしてもらわないと困るんですよ。
  138. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 枠につきましても、当初予算で予定しておりました額を突破することは明らかでございますので、これは農林漁業金融公庫資金全体のそれぞれの貸付資金の枠がございますが、その中で調整をして自作農維持資金の手当てを図ってまいりたい、必要な枠は確保するようにいたしたいと考えております。
  139. 川村清一

    川村清一君 自治省と通産省から来ていただいておりますので二点お尋ねしますが、一つは地方財政対策について、この冷害被災の地方団体が財政的に非常に困るということは、私が説明しなくてまおわかりかと思うわけであります。いろんな地方団体が特殊の財政需要が増大してまいっておりますから、財政運営が非常に困っておるわけであります。したがって、そういう地方団体に対しましては、特別交付税とかあるいは起債等による財政措置方法がぜひ講ぜられなければならないと考えますが、それだけの用意があるかどうか、それを一点お尋ねします。  次に、これは通産省の方でございますが、農村における中小企業者でございますね、冷害によって農家に対する売掛金が固定化する、あるいはまた購買力が減退しますからなかなか売れない、こういうようなことで資金繰りが逼迫してまいってくるわけであります。そういうような中小企業をやはりいろいろ救済する措置が講ぜられなければなりませんので、冷害特別枠の設定であるとか貸付利率の引き下げあるいは貸付期間の延長等、中小企業に対する金融対策に対して適切な措置が講ぜられなければならないと、かように考えるわけでありますが、そういう御用意があるかどうか。  この二点、それぞれひとつ御答弁を願いたいと思います。
  140. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) お答え申し上げます。  ことしの冷害は広い地域に及んでおりまして、いわゆる救農土木事業につきましては、窮迫した地方財政の現況にもかんがみて、まず国において所要の措置を講ずべきであると考えております。  当省といたしましては、国における所要の措置が講じられる場合におきましては、当該事業に係る地方負担については地方債で補足することといたしたいと考えております。  なお、冷害に伴うたとえば地方税の減免による税収の減とかその他の特別の財政需要につきましては、その実情等を勘案しながら特別交付税の配分において配慮することといたしたいと、かように考えております。
  141. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 冷害地域におきます中小企業者がつなぎ資金に不自由をするであろう、それについての金融の円滑化についてのお尋ねでございますが、まず資金量の問題でございますが、この点につきましては、中小企業関係の三金融機関、政府系の金融機関全体といたしまして、第三四半期に九千三百七十四億円というのが全体の枠でございます。こういう災害関係の貸し出しにつきましては、その中で優先的に配慮してまいりますので、資金量の点ではまず問題はなかろうかと思います。  それから貸付条件につきましては、これは台風等々の災害の場合に、一般災害貸付けということでいろいろ弾力的な措置を講じておりますが、この冷害につきましても貸付限度の引き上げあるいは貸付期間、据え置き期間の延長等々、貸付条件につきましても弾力的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  142. 相沢武彦

    相沢武彦君 ことし北日本一帯を襲った冷害は、戦後における史上最大の被害をもたらしております。気象関係の専門家の人たちの意見としては、四十七年以降特に今後地球の寒冷化が進行していく、こういう意見の方が強まってきております。気象学的に考えても、現在の日本の気候はこれまでと違った寒冷気候時代への移行の時期に来たんだと、こういう意見が強いわけです。しかも、北日本の冷害天候というものは北半球の大循環と関連している。北日本の典型的な大冷害の夏にはアメリカ等は大、干ばつ、ヨーロッパも天候不順である。こういう気圧の配置になっていまして、今後こういった地球寒冷化に備えた日本における長期展望に立った食糧需給対策というものが必要になると思う。これに対して大臣はどういう構想をお持ちで、農林大臣として今後の日本農政に取り組もうとされておるのか。大アドバルーンぐらい上げてください。
  143. 大石武一

    国務大臣大石武一君) やはり御意見のような気象の変化はあるだろうかもしれませんし、またいろいろ今後も寒冷なり、あるいはその他災害が数々起こるとわれわれ覚悟しなければならないと思います。そういう場合に備えまして、やはり一番大事なことは国民食糧ですね。日本人の主食というものを、やはり日本の国内で確保することが一番大事ではなかろうかと思います。  世界的に北半球の寒冷化が進みますと、外国への食糧の依存というのは非常に危険になってまいると思います。そういう意味では、いま申しましたように米が一番の中心でございますから、米をいつでも、生産性を高めていって、そしてどのような事態にでも対処し得るような、対処して国民の主食が確保できるような方向に農政中心を置かなければならないと考えております。  それから今後の寒冷化に備えまして、やはり寒冷に耐え得るような新しい品種をつくっていくこと、あるいはそれに対するいろいろな営農と申しますか、そういうもののあり方をやはり今後大いにできるだけ早く研究を進める必要があると思います。同時に、ことにやはりそうなりますと、次第に高冷地、そういうところではだんだんとやはり主食づくりがむずかしくなる、米づくりがむずかしくなると思います。こういう場合には、いま申しましたいろいろな新しい品種、新しい営農の方法考えなきゃなりませんが、同時にやはりもう一つは、そのような必ずしも米をつくるに適当でない地域に対しましては米でない作物を奨励して、米をつくり得る条件のいいところに米を、生産性を高めるということが望ましいのではなかろうかと、こんなふうに考えておるわけでございます。
  144. 相沢武彦

    相沢武彦君 いまも大臣御答弁ありましたが、気候変動に伴う異常気象の頻発が世界的な食糧需給の大きな問題となってきてまして、すでにストックホルムで行われた国際会議でも世界的な食糧需給の問題点というものが議題になっているわけですね。それで、日本としても当然これまでのように、米だけは自国で賄うようになりましたけれども、その他主要農産物はほとんど輸入に頼っている、そういう海外輸入の依存度を低めていく、これはもう早急にやらなければならない施策だと思いますが、同時に、各国も主食の備蓄に対する異常な努力をやっていますが、欧米では小麦、中国では米麦ですね。四十七年に私行ったとき、十カ月間の蓄えがある、将来はこれを約二年分蓄えたい、こういうような話を聞いてきましたが、日本ももみ米と小麦合わせて最低一年分ぐらい備蓄を絶えずしている、こういう体制に持っていくべきでないのか。ですから、公費による低温貯蔵の施設を今後増加して、本格的な主食のこれは米麦、主食の備蓄体制というものを考えるべきだ。ここ数年の間は確かに米は過剰ぎみ、減反政策がとられましたけれども、今回の冷害を機にやはり今後も相当回数多く、また長期にわたってやはり冷害というものが来るということを予測しながら、それに対する対策を講ずべきではないかと思うんです。  それからもう一点。いま大臣は、米をつくるにふさわしいところは米をつくっていくし、米をつくらないで別な作物をつくらせるところも考えていきたいという話でありますが、特に寒冷地帯でも長年の営農技術によって、また品種の改良によって相当成績を上げております。そういったところに対して、ただ過剰ぎみであるから他の農作物へ転換したいという、言葉だけでは、決して農民の方たちはその指示には従わないわけでして、やはりここに総合的な価格政策というものはどうしても取り入れなきゃならない、こう思うんですが、大臣のいまの御答弁では、この大事な転作に伴う価格政策、要するに従来まで米をつくってきて家計を維持できた、収入を確保できるその裏づけとなる他の主要農産物に対する価格制度もがっちりできた上で、初めて政府としては、この地域においてはこういう農作物へ転換をしなさいという指示が出せるんではないか。その間はやはり、いま米をつくって天候に恵まれれば、あるいは寒冷地における耐冷性の品種を植えれば十分収穫もある、こういう地域に対して、ただ米を転換しろという言い方は通用しない。その点いかがですか。
  145. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 初めの米の備蓄の問題でございますが、いままで農林省としては、大体二月分の手持ちがあればまあ間に合うだろうというのが農林省の方針のようでございます。最近は変わりまして、大体二百万トンあればこれは三カ月から四カ月の国民を養うだけの米であるというので、大体二百万トンぐらいを限度として備蓄があればいいという方針のようであるようでございます。  私は、ヨーロッパとかああいう諸国と違いまして、日本の国の地理的な関係、こういう面を見ますと、たとえば外国ではある干ばつがあったり冷害があると、その国の収穫の半分や三分の一ぐらいがとれなくなるということを言っておりますけれども、幸い日本の国は、地理的な条件から考えましてそういうことは急にはあり得ない国でございます。そういうことで、当分の間は、やっぱり一年分とか何ぼの備蓄は私はそれほどしなくてもいいのではないかと。その備蓄という点から考えますと、私はいま言ったように、農林省が二百万トンなり二百五十万トンの程度があれば私は十分に国民の生命をりっぱに支え得ると考えるわけでございます。しかし将来、十年、十五年たちまして国がだんだん寒冷化してどうだということになりますと、それはまあ改めて考えなければなりませんけれども、いろいろ不時の災害なりいろんなことを考えますと、それほど、一千万トンあるいは一年分だと一千二百万トンでありますから、そのような備蓄はまだ考えなくてもいいと私は思う次第でございます。  それから後の、米づくりをやめさせたらどうかという問題ですが、これは相沢委員と全く私は同じ意見であります。同じ意見なんです。ただ、私が言いましたことは、米つくりに適当でない地域にはやめさせた方がいいじゃないかと。なるほど、いい天候にぶつかりまして米がたくさんとれれば収穫は多いのでございますが、いつでもそういうことは望み得ない。五年に一遍、六年に一遍、冷害やいろんな問題が起こりますと、やはり生活はちっとも豊かになりません。そういうことは余り適当でないので、そのような農民に対しては米でない作物、ただし、価格の問題というお話がございましたが、価格もそうでありますが、私は価格よりも、いま農林省がやっておるような奨励金とか助成金のような制度で、米をやめてもそう劣らないような収入があるような政策で実は作物をやらした方がいいのではないかと思うのです。現在の、いま農林省でやっておりますその作付転換の方法は、りっぱなたんぼでもよろしいと、そこに麦をつくってもよろしいというような方向でやっております。それも一つの方法でありますが、そういうところで相当に多額の米をつくったに劣らないような収入のあるような物の考え方で、助成金、奨励金を出しているわけなんです、転作のために。そのような多額の転作奨励金、補助金を出すならば、むしろ高冷地の条件の悪い農民にそのようなやり方を適用した方が、より両方にとって都合がいいのではないかという考えだけでございまして、いま現にいい品種ができて、技術が進んで高冷地でもいい収穫を常時上げ得るというようなところは、もちろんこれは当然米づくりをやって結構だと私は思います。
  146. 相沢武彦

    相沢武彦君 まあ大臣おっしゃるように、日本は東西に長い列島じゃなくて南北に長い列島でございまして、暖い地方から寒い地方まで縦に長く延びている列島でありますので、同じ気象条件で一遍に被害を受けることは少ない、そういう立地条件を持っておることは本当に幸いだと思うのでございます。ただし、南の万も今後どういうふうに世界の気象が変わるかわからないけれども、風水害にやられるとか、あるいは大干ばつでやられるとか、あるいは北の方はまた冷害をこうむるとか、まあそのときによって違うと思うので、いわゆる日本の国民食糧を常に確保し、国が国民の命の綱である食糧を常時安定供給できるという責任の上に立てば、やはり北にもいざというときに、南半分がだめになっても、北半分でとれた米で今後も増加するでありましょう日本の人口の主食を支えていけると、こういう態勢、何でも一つの品種を南だけ偏らせるとか、北だけ偏らせるということでなくて、そういったバランスを考えて、しかもまた価格政策を取り入れた適地適作というものを加味したそういう対策を、ぜひとももっときめ細かく農林省は取り組むべきであると思うんです。  それから、先ほど大臣は食管法の問題で、逆ざやを年々解消して米価は一本になるんだというお話でしたけれども、大臣のお考えではあれですか、米価は一本立てになった場合には、食管法は維持する必要はなくなるんだという御意見なんですか。その辺をはっきりしてください。
  147. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 食管法の根幹といいますか、使命というのは二つだと思います。一つは、国民のために確実に食糧確保するということ、主食を確保するということ、もう一つは農民の生活を守るためだと、この二つだと考えております。そういう点に、食管法は今後も私は必要であると考えております。  で、この根幹だけはあくまでも維持していかなければならないと思いますが、逆ざやを解消するということは、ある時期においては、逆ざや・二重米価であるということはある時期においては非常に日本の国民生活の安定のために、あるいは国民の経済の復興のためには非常に役立ったと思いますが、いまの時期においてはそろそろ二重米価である必要もだんだんなくなりつつあるように思います。ですから、今後数年の間に逆ざやを解消することが妥当ではなかろうかということで、本年度から農林省ではその方向に進んでおりますので、私もこの方向を堅持してまいりたいと考えたのでございまして、これは食管法の根幹を堅持することとは別問題だと考えております。
  148. 相沢武彦

    相沢武彦君 先ほど御報告ありました冷害調査北海道班の一員として私も参りました。また、それ以前に九月の六日、七日かけて、岩手宮城両県の災害地帯も見てまいりまして、冷害に泣く多くの農民の悲痛な声を聞き、また現地を見てきたわけであります。先ほどから話に上がっていますように、ことしは遅延型でありますので、収量はそんなに落ち込んでいない。だけれども、実際政府買い上げ米にならないような青米、くず米等が多い。この規格外米の規格設定、これを一日も早くしてほしいという、これは一番農民の切なる声であります。来週中にも規格の内定をして通知をする、十月中には価格も告示をする、こういうことでありますが、もうすでに刈り入れが始まっておりまして、農協の倉庫にもそんなに保管できませんし、農家個々の納屋にしても置く場所は限度がある。こういうことで、一日も早く決定されませんと非常に農作業に支障を来すわけであります。乾燥や調製機能も麻痺しちゃう、こういう切実な声がありますので、ぜひきょうの御答弁どおり来週中にも規格の設定、通知、もう絶対に延びないようにひとつ努力していただきたいと思うんです。  それから規格外米価格の決定、十月中告示でありますが、天災融資法が発動されて買い上げを実施されるのですか、その辺のところと、検査実績、農林省の方は、食糧庁の方は、現物がもう少し出回ってその様子を見てどの程度という判断をしてからというようなこともしきりにこの前おっしゃってきたんですけれども、検査実績から見ると、九月二十日現在で前年度同期で約四四%しか出ていない。非常におくれているわけですね。一体どれくらいの数量が出回った時点で基準づくりができるのか。この二点について。
  149. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、検査規格のうちの規格外米特例規格の設定ということについて、先ほど川村委員から御質問があったとおり、早急に行う姿勢でございまして、来週中にはと思っておりますが、それでもなお早ければ早いほどいいという姿勢でやりたいと思っております。したがいまして、また規格を設定しました、ある程度品位がわかった上での規格設定でございますから、価格自体も早急に決め得るという点で急いでおるわけでございます。したがいまして、九月早々おきましては規格外米の買い入れとともに、規格の設定、価格の決定等ございましたが、当時はまだ出回り等も少ないので、その点でいろいろ申し上げましたが、今日においては規格自体、価格につきましては先ほどからるる申し上げましたような姿勢で急いでおるわけでございます。
  150. 相沢武彦

    相沢武彦君 それから規格外米の設定の基準でちょっとお尋ねしますが、未熟粒混入規格外米甲乙、それから被害米混入の甲乙、それ以外に今回はもう一つ特別なものもつくるということなんでしょうか、その点どうですか。
  151. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先ほども多少本件に触れましたけれども、本年の北海道東北の低品位米の品質から見まして、従来の冷害等におけるあるいは災害等におけるただいま先生のお示しの四規格外米特例では、やはり主食にしてはぎりぎり適するけれどもやっぱり規格として救えないものがあるというような点、先ほど青米というようなことをおっしゃいましたが、そういうことも考慮いたしまして青未熟粒混入の規格外の設定というものを現在検討しており、現地の御要望にこたえたいというように考えております。
  152. 相沢武彦

    相沢武彦君 その今年特別につくる青未熟米の入った特例規格、それにも及ばない、要するに食糧として買い入れることのできないものについては政府の責任で処理をするといういま大臣の御答弁なんですが、その処理をするという言葉が、要するに、今度現場に行きますと、県であるとかあるいは農協であるとか、そういうところで協力を願うということで、要するに処理の仕方に圧力がかかる、財政的な負担が都道府県あるいは系統農協あたりへかけられるんじゃ因るんでして、決してそういう財政負担をかけないで、飼料であるとかあるいは醸造用であるとか菓子用にさばけるような、政府の責任で、応援で、自力でやってもらえるのかどうか、その辺はっきりしてください。
  153. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お話のとおりでございまして、われわれといたしまして、これは要するに、集荷をきちっとやるという点で生産者団体、これは全国団体で、全国レベルでもいま話し合っておりますが、それと実需者との結びつけをしっかりつけまして、それぞれの用途に応じた引き取り消化という点についてのわれわれとしては万全の努力をいたすということで、まあ先生お言葉のように、末端に問題を残してそちらへ押しつけるというようなことはございませんで、われわれとしては全力を挙げてこれについての処理に努めたいというのがわれわれの考えでございます。
  154. 相沢武彦

    相沢武彦君 ことしは、青未熟米にも入らない米の処理の問題がいわゆる末端の零細農家の人たちにとっては一番大きな困った問題になるわけですから、私どもも現場へよく足しげく通い、また声を聞いて、いまのお話どおりやられるかどうかも監視したいと思いますし、また、実際困ったときには再度政府にお願いしなければならぬと思います。  それから、農業共済対策でお尋ねしておきますが、農災法に基づく損害評価早期決定、これをもう一日も早く査定調査を終えて、年内被災農家に現金が渡るようにということでお願いし、政府も努力をされておりますが、この損害評価事務がスムーズに行われるためには、現場での声としては、平年の約四倍近くの人手と労力が要るんだと、こういう声なんです。そうしますと、年内共済金農家に支払われるためには、この査定事務は急がれなければならないし、そのためには人手と労力が要る。そのためのいわゆる人件費、これがかさむわけでして、この人件費の助成を考えてほしい、こういう要望があるわけですが、これについてはどのような対策をお考えですか。
  155. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) 先生ただいま御指摘のとおり、遅延冷害のために全体として作柄もおくれておりますし、したがいまして、損害評価としても全体的におくれる傾向があるわけでございますが、それを何といたしましても年内に支払うためには、評価事務を最大限の努力を払って早めていくということが必要になるわけでございまして、私どもも関係共済団体をいろいろと指導督励をいたしておりますし、また共済団体も、こういう際にこそ共済団体の真価が農民から認められる時期であるということで、役職員等含めまして非常に精励恪勤をしておるということでございまして、態勢としては非常にしっかりしたものができておるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、御指摘の評価委員等の事務費をどうするかということでございますが、これは私どもの手元にも若干の保留経費がございまして、こういうものを重点的に今回配付をしていくということをやりたいと思っておりますが、そのほかに共済団体は特別積立金というものをそれぞれ連合会に、組合に持っておりまして、この積立金はこのような特別に必要な場合の事務的経費にも使い得ると。その場合に県知事あるいは農林大臣の認可が要るということになっておりますが、そういう要望に対しましては、私どもとしては積極的に対応いたしまして、事務費の確保に遺憾ないようなことで指導してまいりたいということで対応いたしたいと思っております。
  156. 相沢武彦

    相沢武彦君 営農資林対策でお尋ねをしますが、災害による再播費用、それから霜害予防の費用、特にこれは薫煙をたくための古タイヤ、これは三、四年前ですと本当に無料で手に入ったようですが、最近はかなり購入費も高くなっている。こういうことでありますので、こういった霜害予防のための資材、それから病虫害防除費等、これに対する助成措置の問題はどういうように考えられるか。  それから、被害農家の再生産に必要な種子の確保ですが、このための購入費と同時に、今回は北日本全体やられてますので、種子についてもかなり遠隔地から運ばなければならないところが出てくるのですが、この運送費に対しても助成措置をという声がありますが、これは検討段階に入っていますか。
  157. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 再生産用の営農資材等についてのお尋ねでございますが、まず種もみにつきましては、来年度の再生産用の種もみが不足する農家、地帯がございますので、現在各県を通じて不足量の調査をいたしております。県内で調達できる場合はいいのですが、県内でできない場合には県間の調整を私どものあっせんでやりまして、確保努力をしたいと思っております。その際、被害の程度、それから被害量等に応じまして、前例に従いまして国から助成をする方向で検討いたしております。まだ最終的に数字がまとまりませんので具体的なことまでは詰めておりませんが、その方向で対処してまいりたいというように思っております。  それから、いもち病等の病害虫が冷害に伴いまして発生をしております。全県的に見ますれば、関係の県、道を含めまして見ますれば、必ずしも例年より著しく多いということではございませんが、県によってはかなり多いところもございます。これにつきましては、非常に零細な補助金になるということ、それから確認が非常に困難であるということもございまして、これまで農薬に対する助成というものは災害を伴います場合、特に援助をするようなことはいたしておりません。ずっと昔は別でございますが、最近はやっておりません。ただ、冷害に伴いましていもち病等の発生に備えて、特別に防除指導を県、市町村を通じてやっておりますので、それらの指導費につきましては国の発病予察関係の経費、あるいは防除処理の指導等につきましては特別に考慮して配分をしてまいりたいというように考えております。  なお、霜害に備えましてタイヤをたいたというような例が特に北海道の場合はかなりあったようでございますが、これにつきましては、現在のところ特に国として対策考えておりません。
  158. 相沢武彦

    相沢武彦君 運送費の話……。
  159. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 失礼しました。  運送費、種の運送費のことでございますが、これにつきましては、種子代の助成をする場合に検討してまいりたいと思っております。
  160. 相沢武彦

    相沢武彦君 今回、水稲が大変被害が多かったわけでありますが、北海道では畑作、豆類の被害も大きいわけであります。そこで、豆類の下位等級の設定など農作物検査規格の規格の特例についてお伺いしたいんですが、今回空知支管内を見ましたが、作付面積三千二百八十四ヘクタール、これはほとんど水稲からの転作が多いんです。平均不足マイナス四、それでやや不良、それから不良、こういう作柄です。それから網走支庁管内は、作付面積が一万一千四百四十七ヘクタール、被害見込み額が十八億七千八百万余になっておりまして被害率三三・八%、こういう状況です。中でも美幌町の場合は小豆と菜豆が主体でありましたけれども、平年より霜が十五日も早かったために、反収で平年百五十キロがことし三十キロぐらいの見込みだと、かなり被害を受けているわけであります。麦類、豆類などの畑作農作物の下位等級の設定の見通し、それから適正価格による販売対策の指導ですね、これをどういうふうにやられるのか、この二点。
  161. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 豆類の検査は私どもの方の所掌でございますから申し上げますが、御案内のとおり、北海道、その他本年の大豆、小豆等については、作柄は悪くて、品質もよくないということでございますので、過去にも事例がございますが、豆類は、御案内のとおり、検査規格では一−四等が本来の等級でございますが、臨時特例で五等を設定いたしまして、本年の豆類の品質に適合したような検査をいたしたいというふうに考えております。
  162. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 低品位豆類の販売対策についてでございますが、本年度、御指摘のように、低品位の豆が多いわけでございますので、これから乾燥調製について特に留意するように、可能な限りの指導をしてまいりたいというふうに思いますが、また購入側につきましても、本年度不作で需給がタイトになるわけでございますので、そういう物についてもできるだけ引き取るように、私どもといたしましても農業団体をよく指導しまして、必要ならあっせんをしてまいりたいというふうに考えております。
  163. 相沢武彦

    相沢武彦君 ただいま申しました空知支庁管内の場合は、水稲からの転作で豆を植えたところが多いんですが、この稲作転換奨励金がまだ支払われていない、早く支給してほしいという声もありますが、これはいつごろの見通しになりますか。
  164. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 稲作転換奨励金の支払い時期の問題でございますが、これは例年と同じでございますが、二段階に分けておりまして、概算払いと精算払いという二段階に分けております。  お尋ねの北海道の例につきますと、これは七月一日現在で、その時点での転作面積を確認をいたしまして、その結果、概算払いの請求がございますれば支払うという仕組みになっておりますが、現に、北海道につきましては正規に支払いの請求がございましたので、概算払いをいたしております。  なお、概算払いの交付額は、中断加算金を除きました基本額部分の二分の一ということで、これはすでに支払いを終わっております。残りの精算払いにつきましては、これは各県ごとに、十二月、一月、二月という三回ぐらいに分けてまとめて払っておりますが、北海道につきましては、第一回の支払いでございます十二月中に支払うというふうに予定をいたしております。
  165. 相沢武彦

    相沢武彦君 先ほど、越冬用飼料の購入費助成の問題で、補助はできるだけの努力をするという御答弁がありましたし、それから政府手持ちの飼料、大麦を出すという話がございました。今回は政府飼料の払い下げ枠、この大麦の場合、どれくらいの枠拡大ができるのか。  それから、従来どおりの値段ではかわいそうでありますので、できる限り安い価格で払い下げをしてあげていただきたいと思いますが、これについての検討はどこまで進んでおりますか。
  166. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 二つ御指摘がございました。  一つは、越冬用飼料の輸送費の助成の問題でございますが、これにつきましては、越冬用飼料の購入費につきましては、天災資金あるいは自創資金、そういった低利資金をもってそういった購入費に充てるという形で、特に輸送費の助成というものは私ども考えておりません。従来の例から言いますと、国の方でそういった低利の資金をお世話して、それから道ないしは県で必要に応じて輸送費の助成をするということが例になっておりますので、そういったことで処理いたしたいと思っているわけであります。  それからもう一つの政府払い下げ飼料の特別売却、こういった御指摘がございましたが、枠は特に災害枠として大麦一万トンを用意しておりますが、これは全国ベースでありますが、しかしまたそのほかに通常枠がまだございますから何も一万トンに限定する必要はない、地元の御希望に応じてよく相談して処理いたしたいと思います。  なお、価格は、通常の払い下げ価格そのものが、すでにトン当たり一万円近いような財政負担をして安く売っているという現状でございますから、これ以上これを安くするというふうなつもりはございません。
  167. 相沢武彦

    相沢武彦君 今回、水稲の北限地帯と言われる北見も見てきましたが、まあこういった地方は今後耐冷品種の作付が主体にされていくと思います。大臣、よく覚えておいていただきたいんですが、昨年は反収十俵上げているんですよ。相当やはり米とってんですよ。しかし、こういった冷害が今後続くとなりますと、銘柄米なんていうことを追わないで、やはり冷害に強い米をつくるように指導もされていかなきゃならないし、農民の方自身としてもそういう方向へ向かっていかざるを得ないと思うんですが、ここで一つ問題提起として申し上げたいんですが、冷害に対して強いモチ米の作付をこの地域でもう少しふやせる施策農林省として考えられないかということなんです。今回行きました北見市の美園地区の例なんですが、これまでの冷害では比較的被害の少なかったしおかりが、手植えの場合も機械植えの場合でも反収予想が二十キロぐらいと極端に悪いわけですね。それで、モチ米品種のオンネモチというのが機械植えであっても反収予想が今年二百四十キロ、天候がよければ相当な収量が上げられる。普通ですと、ウルチと比べて反一俵ぐらいモチ米の場合減収になるということを聞いておりますが、この地域ではウルチもモチ米も変わらないだけ反収が上がるという。現在、各農協単位で全体の一〇%程度の作付になっております。もう少しこれをふやしたいということで、現在、道に対してもモチ米の指定団地の要請をしているんですが、問題は、余り米の場合は政府買い上げ対象にならぬということ。自主流通米としてもうまく売れる年、売れない年があって、販売が非常に不安定なために、作付をそんなに簡単にふやせない。ですから、前からの論議のように、米にかわる要するに農産物価格保障がない限りはやはり米をつくらざるを得ない。そういった場合に、同じ米をつくるなら冷害に強い米の作付をもう少しふやして、危険を少しでも除去するということに立てば、こういった地域に対してもう少しモチ米の一定量の政府買い上げ措置とか、あるいは販売先の優先確保、こういったような、何とか低温地帯に冷害に強いモチ米の作付を増加できる政府の援助策というものを考えてもらいたいと、こう思うんですが、この点はいかがですか。
  168. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お話のとおり、お示しの品種は耐冷性が強いということは私ども承っておりますが、モチ米につきましては、御案内のとおり、それは特殊用途でございますので現在は全量自主流通で、生産者団体と実需者との間で取引をして進めておるわけでございますが、残念ながら、耐冷性は強いわけでございますが、北海道のモチは粘りがなくて、何と申しますか、歩どまりが悪いということが実需者の実は評価でございます。したがいまして、その辺につきましては、これを一定量以上ふやすということについては、その面からの配慮も考えなければならないと思っておりますが、この作付されたものについての何と申しますか、販売という点については、問題があれば私どもとしては実需者を十分指導いたしまして、この点についての配慮は、当然のことでございますが、しなければならないというふうに思っております。
  169. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この間北海道調査に行ったわけですけれども、もしも私が農家の立場に立ったらどうだろうと考えたときに、その被害というものが非常に深刻だったということを痛切に感じたわけですね。  それで、今度の調査の一つの特徴としては、農民の皆さんの直の声を聞きたいということで、たんぼにみんな集まってくださいということで、大変いい企画だったんです。そのときも、予想外に婦人の方、青年の方、まあ男の方、たくさんお集まりくださいました。そこでやっぱり、この冷害対策をどういうふうにしてくれるんだろうかということの期待も非常に大きかったわけなんですね。大臣におなりになってから、こういう問題については国の責任で全量処理をするというふうにおっしゃって、大変ほっとしているというような期待感があったわけなんです。だんだん聞いてみますと、食糧に供するものであって、買い入れ限度数量の枠でというようなことで、ちょっと、心細いようなことになりましたけれども、そういうことは心配ないと、県間調整で枠外であっても大体いけるんだということで、胸を張って、期待して心配している農民にもう大丈夫だとおっしゃっていただけるかどうか、全体の問題について。その辺、一言でいいですからおっしゃっていただきたい。時間ないですから、簡単に一言で。
  170. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまの仰せのとおり、全部国で責任を持って処理いたします。
  171. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 お手並み拝見というところで、できるところは応援しながら御期待に沿えるようにということでやっていただきたいと思います。  それで一番言われましたことは、規格外米の検査というものを早くやってくれということと、それから北海道の場合、こういうふうな寒い日がどんどん続いて雪になりますので、この保管場所というのを非常にいま心配していました。来週中にもちゃんとしてくださるというのならいいんだけれども、それでもいろいろと御事情があって延びるというようなことになりますと、具体的にはどこへ持っていったらいいんだということが心配になっているわけなんですね。うちに積んでおくわけにもいかないというようなことで、それは切実な問題として出されましたので、そういうような場合には仮置き倉庫みたいな形で、特別措置でそれぞれの地域に合わせて食糧事務所の権限というようなことで、そんなことも心配ないんだというような処置というものがとられていれば安心なんだけれども、それを非常に心配していました。だから、その点については、また今度だけじゃなくて、次にいろいろなことがあるかもしれない。冷害だって来年また予想されるというような、そんな心配はないように、こうしますよという問題が出されるか、ひとつ仮置き倉庫——置き場所の問題についてどう考えていらっしゃるかというのが一つ。  それから規格外米の設定ですよね。去年までは甲乙だったと、しかし農民に言わせれば、甲乙どころか甲乙丙丁まで欲しいと、こういうことなんです。私はそれを聞いてて、決してこれ特別なことじゃなくて、あれ見ましたら、甲乙丙、もう一つ丁というのも欲しいくらいなんだけれども、そこまではいかないかもしれないけれども、具体的に甲乙丙というものが出されると、未熟米、青米というようなものもさっきおっしゃったので、具体的にはその問題はどういうふうに考えたらいいかという、この点ですね。  それからもう一つ、四十六年の冷害のときに種子代についての補助が出ていましたね、多分。だから、今年度もそれは当然のこととしてこの補助を考えていらっしゃるかどうか。  この三つ、まず最初に簡単にお答えいただきたいと思います。
  172. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 簡単にお答えいたします。  規格外米についての特例規格の設定なり価格等については、しばしば申し上げましたとおり、早急に急いでこれをやりたいということです。  それから特別規格を設定いたしますれば、直ちに末端にまで内示いたします。したがいまして、仮置き倉庫——農協の倉庫でございますが、ここで仕分をしておくということによって、ただいまの御心配はなくなるというふうに私ども思っております。
  173. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 種代の助成の問題でございますが、これは現在道県を通じまして不足量を調査いたしておりますので、その調査結果を見まして助成の方向で検討してまいりたいと思っております。
  174. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それから融資の問題なんですけれども、先ほど杉山審議官がちょっとお出しになっていらっしゃいましたけれども、経済局長の通達で依頼が出されているという十月五日付の通達というのが出ておりますね。これの各銀行協会連合会とか、いろいろと出されているわけですけれども、これずっと見せていただきましたら、被害農林漁業者に対し既貸付金の償還猶予等の措置を図られるよう特にお願いするという内容になっているわけなんで、こういうふうなことを局長名でお出しいただいたというのは、大変考えてくだすっているんだなあと思いましたけれども、これお願いはしたのだけれども、受ける方ではこれについてどういうふうな答えがあるのかどうか、こちらはお願いするのはみんなお願いしていいんだけれどもお願いを受けたけれどもお願い来ていましたよということでは、これ困るわけなんですね。これ実効性がどの程度あると見ていらっしゃるのか、銀行協会側だとか、それから公庫だとか、いろいろお出しになったところとある程度の話し合い——大蔵との関係もありましょうし、お話し合いをなさって、そしてこれを出せばいろいろと援助も、力もかしてもらえるというふうな効果があるものというふうに考えていらっしゃるのかどうか。その辺の具体的な裏づけとして、普通銀行なんかがどういうふうに特別の配慮をしてもらえるのかというところをお伺いしたいと思います。
  175. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) ただいまの関係機関に対します通牒でございますが、これは今回初めてこのような依頼をするということではございませんで、過去にしばしばございました災害の際にも同様の措置をとりまして、そうして一つのルールと申しますか、そういうものが関係金融機関の間に末端まで通してできておりますので、基本的には心配はないと思っております。ただ、私どもの直接の管下にございます金融機関に対しましては、直接具体的な話し合いをし、さらに民間関係機関等についてはいろんな機会にそのような要請をしておりまして、いままでのルールに従って処理をされるというふうに確信をいたしております。
  176. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、いままでのルールで処理されるというようなこと、いままで具体的にどういうふうな効果があったというふうに見ていらっしゃいますか。
  177. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) 先生御承知のように、農業融資でございますので、制度資金の農林金融公庫それから近代化資金といったような種類が主なものでございますが、農林公庫資金につきましては、過去の、たとえば昭和四十六年の冷害におきまして、件数で三万七千八百四十四件、金額で十五億九千八百万円ばかりのものが償還猶予等の措置の対象ということになっております。  なお、近代化資金につきましても、四十六年、七千三百八十一件、五億強のものがこういう対象になったという実績を私どもとしては承知をいたしております。
  178. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その中で、普通銀行なんかが積極的に援助したというような分はどの程度あるんですか。
  179. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) 一般金融機関につきましては、農業融資というものが全体として非常に小さいということもございますが、いま手元に私どもとしては具体的にどういう償還猶予が行われたかというデータは持ち合わせておりません。
  180. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 やっぱり農家の方々は、いま非常に償還猶予の問題とか、金融関係をもうとにかく何とかしてほしいという希望が非常に多いわけですよね。その人たちに言わせれば、私も本当だなと思った。ただくれと言っているのじゃなくて、そしてただで貸してくれというのじゃなくて、ちゃんと利子も払っているのだから、だから当然貸してくれるというものの枠を広げてこの際は貸してほしいという希望が非常に多いわけですよね。そうしますと、先ほども大臣言われましたけれども、自創資金なんかも枠を広げますよということなんですけれども北海道の場合、去年石狩川の水害で相当借りちゃったというようなものもありますよね。そうすると、また今度特別の枠で借りなければならないわけですね。そうすると、そういう農家が去年いっぱい借りている、ことし特別枠借りたいというときにはどれくらい枠を拡大してもらえるのかということですね、金額面で言えば。  それからもう一つは、そういうものの枠をどんどん広げていきますと、全体の制度資金の枠内で操作するとすれば、残り分の方に食い込んでいくわけですよね。そうすると、一つの問題としては、来年度のほかで借りたいというような分も枠が削られるというような形になってくると、そうすると痛しかゆしというようなことになってきますね。だから、全体の枠を広げてくだすって、個人が借りる枠も広げてということであればいいんだけれども、その辺が来年なんかの融資枠の削りということになって出てくればそれはちょっと大変なことになるので、その点がどうかということと、非常に手続が複雑で条件が厳しいということでみんな大変困っていましたが、その辺のところの問題もちょっと御意見を伺わせていただきたいと思います。
  181. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 自作農維持資金につきましては、お尋ねのように個々の被害農業者につきましてすでに借り入れている額が限度額いっぱい、あるいはそれに近いというときには、過去にもありましたが、特例を設けてその限度額に追加をする、限度額を引き上げるということをやっておるわけでございます。それがどのぐらいかということになりますと、これは地域によって中には三回受けた、四回受けたというような、続いて災害を受けているようなところもございますし、まちまちでございます。ですから、そういう従来の特例でもってどこまでいっているかというようなことも考えて、資金需要の実態をよく聞きまして、個別に——個別にと言いましても地域別にこれを決めていくということになると思います。そういうことも含めまして、基本的にも一般的に額が大きくなるということもあります上に、そういう特例措置をとることもありまして、全体としての資金需要額が大きくなるではないか、これは当然でございます。  そこで、私どもそれについては自作農維持資金の所要額の枠をふくらますということは当然必要だと思っておりますが、自作農維持資金農林漁業金融公庫資金のふところの中、全体の枠の中の一つでございます。公庫資金全体の資金枠はかなり大きいし、中には資金需要が予定しておったよりも少なくて済むものもございます。予備枠というものもございますから、それらを含めて全体の中でまずまず何とかやっていけるのではないかというふうに現在見ております。
  182. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私なんかいろいろ聞いてみましたら、制度は、そういうお困りのときにはこういう制度がありますと、こういう場合にはこういう制度がありますと、メニューはいっぱいあるんですね。皆何かに入るようにうまいことできているんですよね。それじゃそれを食べたいと言ったら、本当に一口食べたらもうあとなくなっちゃうというような程度で、メニューはあるんだけれども、実際それで本当に困ったときの農民のためになっているかというと、非常にまだまだ足りないという不十分さですね。だから、それをむしろ逆に言いますと、農林省の方はとってもかっこういいんですよね。お困りでしょう、こういう制度もございます、はい金融につきましては銀行にこういうふうにお願いしてありますと。だけども実際問題から考えると、何だか大変うまいことごまかされちゃって、やっぱり苦労のし続けだということを大変私も感じさせられましたので、いま杉山さんおっしゃいましたように、来年度の枠で狭められたら困るというのを非常に心配しておりましたので、それじゃ皆さん自創資金の枠をこれだけ欲しいというときにはどんどんお出しなさいと、お出しになったケースの中でそれでおこたえできるようにしておりますと、農林省はそう言ってましたからみんな遠慮しないで借りたい者は出しなさいと、こういうふうに宣伝していいわけですね。
  183. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 全体の資金の手当ての問題と、もう一つは何と言っても金を貸す話でございますから、そこは償還能力というものを無視するわけにはまいりません。それはやはり償還能力を超えてかえって過度の負債を負わせるということは、農家経営にとって決してプラスにならないと思いますので、そこら辺は全体の経営計画、償還計画とにらみ合わせて個別にはやはり貸し付けの対応を決めていくということになろうかと思います。しかし、先生御指摘のように、メニューはあるけれどもなかなか利用できないではないかという点は、しばしば聞かされるところでもありますし、私どもその点は十分意を用いて関係の都道府県、市町村あるいは団体等を通じまして、農家の方々にも中にはよく知らないために利用できないという向きもございますから、十分知っていただいて御利用いただけるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  184. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 知らないというようなことがないように、こういう道がありますというふうに親切にお知らせいただいて、救済できるところを救済していただくということを切にお願いをしたいと思います。  それから次に、文部省来ていらっしゃいますか——学校給食の問題でお伺いしたいんですけれども、実は四十六年の冷害のときも、ちょうど私の夫が農業高校の先生をしていまして、子供たちを見ていてとっても黙っていられないということで、私、文教のときだったですけれども、連絡いたしまして、学校給食の補助というのをあの冷害のときに出していただいたわけなんですね。今度の、特に主婦の方々とお話をしてみますと、やっぱり借金はそのまんまと、入るものは入らないと、どうしても食べる物に——生活資金の方に行ってみると、やっぱり重荷になるのは子供の学校教育にかかる費用だというふうなお話でございました。そこで、現在就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律、それから学校給食法というようなものがございますね。こういうものを制度としてあるんだから、これを農家の大変いま苦労していらっしゃる中ですから、ぜひこれを使わしていただきたいというようなことで要望もございますので、その辺についての考え方と、具体的にどれくらいの予算でどうするというような問題をお答えいただきたいと思います。
  185. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) 学校給食関係についてお答えいたします。  学校給食法の上では、生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に困窮する者に対します補助の制度がございます。従来から台風あるいは冷害、こういったような災害の事態の場合には、通常は年度当初から認定をするわけでございますけれども、そういった災害の後に生じた、つまり年度途中に新たに保護の対象とする必要が出てまいりました場合には補助をするということで、市町村が補助をいたしました場合の二分の一を国庫補助をすると、そういう考え方で対処してまいったわけでございます。  今回の状況につきましては、いま全国調査を実施しておりますが、まだ集計はできておりません。しかし、従来の考え方を踏襲して同様の措置を講ずる方向で進めておるわけでございます。
  186. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 私どもの方は学用品その他を所管しておりますが、考え方としましては、ただいま給食課長から申し上げましたようなほぼ同じ考え方で、就学援助法その他予算措置に基づく補助制度で、必要なものについては追加認定をしていくというような形でやってまいりたいというふうに思っております。
  187. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 確かに知られていないんですね、この制度というものが。そもそも新学期のときにも知らないという市町村が大変ありまして、予算取ってくだすってもそれを使い切れないというようなこともありますし、また市町村が二分の一の持ち出しがございますので、苦しい市町村の中でそれが出せないからというので、むしろこれを仰えちゃって宣伝しないというような点があるわけなんですね。そこで、いまおっしゃって、いろいろ調べさしていただいたら、予算枠で百二十六億ということでしたし、これが小中児童数の四・六%程度だと、こういうことでしょう。実際の生活保護基準の一・三程度、まあ全一国平均しますとね。そうすると、二五%の児童が受けられるわけなんですよね。そうすると、もういかにもこれが宣伝不足だということが第一の問題だと思うんですね。その知られてないというのは、知っててもそういう補助をもらうと恥ずかしいからというような父母の考え方もあろうかと思いますけれども、やっぱりこれ農林大臣としても、文部大臣にでも早急にお話をいただきたいと思うんです。子供の教育で子供を苦しめるのではなくて、当然の制度としてこの法律があるんだから、だから特に今度の冷害の場合には、冷害で子供が苦労をしないで済むようにこれを宣伝するということですね。まずこういう制度がありますということで宣伝してもらうことと、そして地方自治体の超過負担にならないように査定をしてもらいたい。  たとえば特に北海道の場合、冬季の体育の時間のスキー、スケートというのは正課になるわけですよね。そうすると、スキーといったって千円や二千円で買えないです、このごろの。そうすると、高くなってくると、査定が安い査定で出てきますと、そうすると地方自治体の超過負担というようなことになりますので、せっかくここまで考えられたら、その制度で超過負担というような問題が起きないように考えていただきたいということなんです。それで文部省としてもみんな春の申し込み時期しか考えていませんからね、だからこういう場合には途中でも追加申請を受けられますというのを、文部省側でもそういう冷害地帯や災害地帯にひとつ通達出すなり、みんなこの制度を宣伝していただきたいと思うんです。それから大臣の方も、しっかりそれで子供たちを苦労させないで済むように文部省の方と話をつけて、そうしてここでできる救済をぜひとっていただきたいと思います。  で、もう時間がないからやめますけども、本当に農家っていうものの苦労っていうのを私つくづくわかりましたよ。もう昔だったら朝昼晩水見て、いまでも水の温度見て、水の深さを見てというような苦労の中で一年間労働を使い、資材も投入して、そして秋に災害だといったら終わりになってくるんでしょう。ばかもちょんでもできるものでないですよ。本当に苦労な農家だなと私はもう痛切に感じてまいりましたので、そういう立場でいろいろきょう——私はほかの議員と重なったところは言いませんでしたから、いろいろおっしゃったことを本当に誠実に実行して農家の皆さんたちにこたえていただきたいということ。  で、最後に、宣伝をして、これで救えるところをきちんと救っていただくということを、文部省と大臣の口からお答えをいただいて終わりたいと思います。
  188. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 御趣旨はまことにごもっともでございます。ちょうど閣議の席で文部大臣が隣でございますから、何回も何回も申し伝えます。
  189. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) もう先生からお話しあるまでもなく、私ども非常に趣旨は徹底しておるわけでございますが、すでに北海道からは三十八市町村、岩手からは四十三市町村、それから徳島からは四市町村、冷害に基づく就学援助必要の児童生徒数が上がってきております。で、他の市町村につきましてもまだあるのではないかというふうな声をかけて調査をやっておりますので、御趣旨を体してやってまいりたいと思います。
  190. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは給食だけではなくて、学用品とか修学旅行とか、それから医療関係なんかも含めてそういうふうなことですね。
  191. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) そのとおりでございます。
  192. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 わかりました。じゃ、よろしくお願いします。
  193. 塚田大願

    塚田大願君 私も今度の冷害視察で東北を回ってまいりました。岩手宮城福島、これは大臣も行かれたようでありますけれども、そのほかに私、新潟県あるいは山形県もこれは別に参りましたが、この地域におきます冷害のひどさというのは、これはちょっと私どもも想像以上でありました。これは大臣も見てこられたと思うんですが、特に標高三百メートル、四百メートル、中には七百メートル近いところでやはり米づくりをやっておると、こういう地域ではもうほとんど収穫皆無だということで飯米、種もみ確保もできない、こういう訴えがございました。そういう点で大変今度の冷害が私ども予想以上でありましたし、事実、東北では秋田、青森、新潟では自殺者も出ておると、こういう状況であります。  で、そういうところでやはり被害農家の皆さんにいろいろお話聞きましたが、やはり個々の農家が持ってる不安というのは、ことしはこういうことだからまあこれは何とかやってやり抜かなきゃいかぬと、しかし来年はどうなるんだろうと、聞くところによると冷害というのは何年か続くものだと、二年ないしは数年続くということを聞いてるが、一体これからどうやったらいいんだという、こういう農政に対する訴えがずいぶんありました。もっともだと思うんです。これは確かに冷害の歴史を見ますと、たとえば天保の冷害は四年続いたとも言われておりますし、大正元年の冷害あるいは昭和九年の冷害は二年続きでございましたから、やはりこういうことになりますとこれは大変なことになりますので、農政の立場から見てやはり根本的な問題を検討する必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えます。  それに関連しますけれども、そういう観点から見ますと、先ほど問題になりました作況指数は、各県ともやはり北海道と同じように農林省発表よりも約一〇%低いと、ほとんどこれは共通しておりました。でありますから、私は農林省なり政府なりがもっとこの問題については本当に真剣に検討する必要があるだろうと思うんです。まあこれは大体大臣も御存じの一般的な概況でありますが。  そこで、私はこの問題をこういうふうに考えるわけであります。この冷害基本的な問題というのは確かにその原因は異常気象、いわゆる自然条件、これがあることは間違いありませんけれども、それに加えて、長い間続きました政府・与党の農政のあり方というものがやはり一つ問題があるのではないか。そういう意味では政治災害と言っていいと思うんですが、そういうものもやはり加えられてこの被害というものがより大きくなっていくんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。たとえば、一つはうまい米づくりという問題があります。とにかく三百メートル、四百メートル、五百、六百、七百メートルというところでやはり銘柄米をつくっているということを見ましてびっくりしました。たとえばこういう地域でトヨニシキであるとか、キヨニシキであるとか、ハヤニシキという、どちらかという銘柄米です、みんなこれは。こういうものがつくられておりますね。ですから今実の冷害ではもう全滅をすると、こういう結果になったと思うんです。  じゃなぜ——ここから私の質問になるんですけれども、なぜこういう農民が——わかり切っているんですよ。この福島の鮫川村なんというのは天保のとき村が全滅したところだそうですね、こては。ところがそこでやはり銘柄米をつくって、そして今度収穫がない、こういうことです。だから、なぜそれじゃそういう結果になるかといえば、私はやはり政府の減反政策、生産調整というふうな、これがやはり非常に大きな影響を持っていると思うんですよ。銘柄米なら何とか売れるということでそういうところで無理してつくると、そういう意味でやっぱり一つの政治災害だと私は見るんです。  それからもう一つは、先ほども出ましたけれども農産物価格保障の問題です。たとえばこういう地域では畑作がいろいろあるんですよ。たとえば、たばこなんか非常に適地だと言われている岩手県の沢内村。ところが、これは幾ら申請しても許可にならないというわけだ。しょうがないから、米なら無難だということで米をつくる。ところがやっぱりこれがすっかりやられてしまった。あるいは大豆とかコンニャクのようなものも、こういうところではかなり条件があるんですね。しかし、そういうものが必ずしも経営によくないというので余りやらないと、またやれなかったと、それで米に頼ってきたという問題です。ですから、この価格保障の問題というのは、私、農政全体の立場から見て、こういう冷害をあえて受けなければならないようなところへ追い込んだ問題として、やはりこの価格保障の問題が一つある。  三番目には基盤整備の問題です。やはり基盤整備が余り進んでないですね、こういうところは。私はここの委員会で何回か長期土地改良計画の問題やりました。実際四年たってもまだ二四%ぐらいでしょう、長期土地改良計画は、十カ年計画。非常におくれている。こういう基盤整備のおくれているところはやはり被害が大きいですね、灌排水の十分でないところは。そういう意味で、私はやはり農政の立場からこの冷害の問題を見るべきではないかと、そういう点で三点を挙げたんですけれども、その点ひとつ大臣にお答え願いたいと思うんです。
  194. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまの塚田委員の御発言については非常に共鳴するものがございます。  このたびの大冷害につきましては、われれも十分に反省しなきゃならないところがたくさんあると思います。そういう点で、いま農林省内におきましてこの冷害に対する要因の分析をいたしまして、反省をしながらその要因を徹底的に確かめていこうという委員会を開きまして、できるだけ早く結論を出したいといまやっている最中でございます。  もちろん、これは農作物でありますから、天候に一番左右されることは当然でございます。今度のようなひどい大災害があれば、これはもうどのようにがんばってもわれわれの力ではかなわないと思います。しかしそれにしても、お話のように、われわれある程度の努力さえしておればある程度の被害は食いとめられたと私も思います。そういう意味では、農政の指導において非常に不備な点があったということを率直に認めるわけでございます。  たとえば、七百メートルや五百メートルのところで米をつくるなんということは、私は間違いだと思うんです。しかし、これは農民からすれば、一番収入も多いし非常にいいものですから、これをつくりたいという気持ちはよくわかります。そこのところをどのように調整し指導するかということが、これは重大な農政の問題だと思います。これは農林省としてもできるだけそのような方向で努力をしなきゃなりませんけれども、これはやはり各県とか、あるいは農林省所管でありますとか、普及員であるとか、そういう者がよくやはり地元の愛情、農民と密着してこういうものを正しく指導するということが一番大事じゃないかと思うんです。たとえば、ことしの三月にも、農林省では長期予報を見まして、ことしは冷害型の天候であるかち十分に稲作のやり方あるいは米の品種の選び方、そういうものを注意するようにということを通達いたしましたけれども、やはり考えてみれば、これは去年のうちに種もみなんか用意するのですから、ことし急に変えろと言ってもむずかしい点もありますし、せっかくいままで、去年もたくさんいい米とったんだからことしもとりたいという気持ちもありましょうし、いろんなものが重なりましてなかなか行政が思うようにいかなかったのは残念でございます。  そういうことで、これからはやはり適地適作と申しますか、適地適産と申しますか、おっしゃるような、とにかく農業経営に一番やりやすいものであって、土地に合うものであって、しかも農民が興味を持つ、そういうものをやっぱりできるだけ指導することが大事な問題だと考えるわけでございます。たばこなんかも非常にいいと思いますが、これは専売局の制限がありまして、余りとれても困るのでしょうからそういうことにもなりましょうが、たとえば米を植えるところには大豆やコンニャクなんというのは必ず植えられるのじゃないかと思うんですけれども、ただ、これは大豆なんというのは収入が非常に低いものですから、そういうことでやはりこれは適当に消費者に——価格というよりはやっぱり助政とか奨励とかの意味でこれを認める方がいいのではなかろうかと思います。  それから、基盤整備はおっしゃるとおりこれはきわめて大事でございます。今度の場合でも、基盤整備がよく行き届きまして、十分な稲に対する手入れの行き届きましたところは被害が少なかった実例がございます。そういうことで、おっしゃるとおりいま基盤整備に一生懸命に力を入れておりますが、何せ広大な土地でございますから思うようにいきかねておるのは残念でございますが、今後も努めて努力をしてまいりたいと思います。  それから、もう一つ悪いことは、基盤整備とも絡むわけでありますが、農民が昔と違いまして土地に対する愛着と申しますか、愛情が少なくなったような気がするのです。いま機械力を使いまして、それから農薬と、それから無機肥料だけを使えばある程度の米はできるものですから、そうして簡単に片づけてしまうというところにも少し問題があると思います。そうなりますと土地に対する愛情がなくなりますから、本当の土地に対する手入れが少なくなるのじゃないかと思うのです。たとえば、堆肥のようなものをつくりまして地力を蓄えることは冷害に対する一つの大きな対策にもなるわけでございますが、そういう点では近年非常に手薄になっているというような感じがするわけでございまして、やはり土地に対する手入れというものを十分にさせなければ、これがやはり農林省としては指導が少し足りなかったのではなかろうかと考えるわけでございます。
  195. 塚田大願

    塚田大願君 私の質問には大体少なくとも大臣お答えになったんだが、私三つ質問をしたんですけれども、最後の基盤整備のことについては大変親切にお答えになったんだが、機械植えとか堆肥の問題、これはむしろ、農民が怠慢であるとか農民が怠けているんだというんでなくて、私はこの面でも実は時間があれば一つ一つ技術指導の問題についてお伺いしたかったんですが、きょうは時間ありませんからそこまでいきませんが、それよりも私最初に言ったのは、生産調整の問題ですね、減反政策、これについて政府は考え直すようなことを、大臣きのう衆議院ですか、どっか委員会でお話しになったようだけれども、本当にそういう点で検討し直す用意があるのかどうか。それがありませんと、うまい米つくりをやめろったってみんなやりますよ。やっぱりやりますよ。もう来年の種もみの準備を始めているんですけれども、そういうものを要求してくるんですね。ですから、その辺をはっきりさしてもらうことと、それから第二番目に申し上げました農産物価格保障の問題も、大臣先ほどから奨励金だ助成金だとおっしゃるんだけれども、奨励金とか助成金なんていうものは竹馬みたいなもので、いつだって外そうと思えば外せるんですから、そういう制度では本当の農業の発展ということにならない、畑作の発展ということにならないと思うんで、それも決して悪いことじゃありませんけれども、そういう不安定な制度でなくて、きちっとした価格保障体制をつくる必要があるんじゃないか、こういうことを申し上げたんです。  その二点、もう一回ひとつ大臣お答え願いたいと思います。
  196. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 生産調整の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題でございます。だれが考えましても需給のバランスがとれることは一番望ましいと思います。それが現在米が余っているということで、いままで農林省ではその米の処理に全量を買い上げる。買い上げるのは結構であります。ただ、そのために食管が赤字がふえる。ふえるのもやむを得ないと思いますが、そのことによって農林行政がいろいろと重圧を加えられるというところに問題があるので、この生産調整にいままで農林省も苦労してきたと思います。私は減反政策は賛成でありません。ですから、減反政策はやめまして、結果、いま減反というよりは生産調整という形で、転作という形で奨励いたしております。これも私はある時期まではやむを得ないと思います。しかし、できるならもっといい考えで、もっといい方法で、これは抽象的になりますけれども、もっといい——いま一つ考えているところは、いまちょっと発言しません。まだ農林省内で議論をしてその方法で役人と私の間がまだ一致しないものですからまだそのことでは言いませんけれども、いろいろなことを考えまして生産調整がうまくいくように、そして将来への生産性が非常に高まっていくようなそういう方向を考えたらいいではないかというところで、いま農林省でわれわれ議論している最中でございますから、もう少しそれをお待ち願いたいと思いますが、そういうことでそのような方向に変えていったらいいと思うんです。しかし、それにしても、いますぐ生産調整をやめるというわけにまいりません。そういうことでもう少しこれは続けなきゃなりませんが、その方法は、どうせ生産調整をするならば、いまのようにりっぱな米のとれるたんぼに別な作物をつくらせるというよりは、条件の悪いたんぼに米をやめて生産調整をしてそのたんぼの後に別な作物をつくらして、しかし米に劣らないような収入があるようなめんどうを見てやるということの方がより効果的じゃないかと考えるのでございます。  で、価格と助成金の問題でございますが、たとえば条件の悪いところはどんなに何をつくったっていい所得は得られないのです、これは。そうなりますと、価格で決めろとおっしゃいますと、価格を高くしたりしましてもそれは結局処理できません。売れません、そういうものは。結局は、国がいろんな助成金を加えて、値段を安くして売らせるとかなんとかということ以外にないのです。結果的には、そのような条件の悪いところに対しては助成金を出していい所得にさしてということと私は同じになるような気がするのです。たとえば沖繩のサトウキビの問題にしても、残念ながらあの土地にはサトウキビしかつくれないのです、これは。そうしますと、これは価格を高くするだけではだめであって、価格を高くすることも大事ですが、それよりも、もっと生産性が向上するように、収入が、そういうことの方が私はより大事だと思いまして、そのような意味においてやはり助成ということは大事な問題だと思うのです。そういうことでございますので、御理解願いたいと思います。
  197. 塚田大願

    塚田大願君 もう時間が切れたようなことを何だかぼつぼつ言ってきておりますから、ひとつ急ピッチでやります。まだとば口に入ったばかりなんで、大臣答弁が大変親切なものだから、ありがたいんだけれども……。  それで、あと一つ二つお聞きしたいんですが、冷害の問題ですから農民の皆さんのあれがあるから……。  一つ、あと大臣にお聞きしたいのは予約概算金の問題ですね。これ先ほどからも出ましたけれども農林省の方は、農家が払えなければ農協代弁してもいいじゃないかと。その場合には利子補給なり何なりの手当てをしてもいいというふうな御趣旨だったように聞いておりますが、ところがなかなか、農協と農家の間には約定がありましてね、共済金は農協の借金に払ってもらうと、こういう約定があるんですね、大体。そうしますと、共済金がね、——いや共済金じゃない、概算金が入らないんですよ、実際に。——ああ、これは共済の話でしたが、先ほど大臣がおっしゃったのは、概算金のことでしょう、手当てしてもいいと……。
  198. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 概算金です。
  199. 塚田大願

    塚田大願君 これは間違いございませんか、そういう点で農協に代弁させると。そしてそれに対する利子給付、代位払いですね。
  200. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ございます。まあ集荷業者ですね、これは。農協ですが、大体。農協が代位弁済するこれは方法がございます。ただしそれが、いまお話しのように農協がなかなかむずかしいことを言うかどうかはよくわかりませんが、それは食糧庁長官の方でどういうことかひとつ——言うことを聞かせられるのか、られないのか、ひとつよく答弁さしたいと思います。
  201. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、指定集荷業者になるためには食糧庁もしくは政府と約定を結びます。その約定の中で、生産者が政府に対して米穀の売り渡しができないような事態で概算金なりの困難なときは、指定集荷業者が代位弁済するという業務取り扱いの約定ができております。
  202. 塚田大願

    塚田大願君 国と。
  203. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) ええ、国と農協との間です。
  204. 塚田大願

    塚田大願君 じゃ、それぜひひとつ。とにかく困っているのは農家ですから、農協が悪代官みたいなことをやるのを黙って見ているわけにはいかぬだろうと思うんですね。みんな取っちまう、横取りするというようなことはこれはあってはならないことだと思う。その点しっかりやっていただきたいと思います。  そのほか共済金の問題もお聞きしたいと思ったけれども、時間がありませんからこれは割愛しまして、最後に一括してお聞きしますが、援農土木事業ですね、これがたくさん要求として出ておりまして、造林地の間伐とか下刈りとか林道とかいろいろあります。これはみんな、先ほど林野庁もお答えのようでありましたけれども、そのほかに私は今度の視察で感じましたのは、いわゆる温水ため池ですね。冷害、沢の冷たい水がじかにたんぼに流れる。これがやっぱり非常に大きな影響を持っておるんですね。ですから私は、東北の地方のようなところは特に温水ため池、そういう温水の施設ですね、あるいはため池でなくともいろいろこう水を長く引っ張ってやる、こういうものはいわば常識として昔からあるんですよね。関西や四国なんかじゃ、弘法大師がつくったというため池がいっぱいあるんだから。だからそういうのを東北でも積極的につくっていく、援農土木事業の一環として。これはぜひ、技術上の問題になるかもしれませんけれども、大いにやっていただく必要があるんじゃないかということです。  それからもう一つは、先ほど言いましたけれども品種の問題ですね。これはどうも最近、国の農業試験場では水稲品種の研究というものはあんまりやってないんじゃないか。昔はやったと。しかしもう稲作、減反政策だというようなことで、畑作の研究の方に研究員がみんな回されている。それは私前にここの委員会でやったことがあるんですよ、北海道の国立農業試験場の問題を挙げて。その当時から、研究者はこれ非常に不満に思っていたんですね。一つの品種をつくるのに十五、六年かかる。それをせっかく研究しようとしているときに、おまえ今度畑作の方の研究やれと、こう言われたんじゃたまったものじゃない、研究家としては。いわばライフワークとして一生の仕事として研究しているんだから、そう簡単にやられちゃ困るということが当時ありまして、私ここでもってやったことがあるんですが、そういう観点から見ましても、その後水稲の、特に耐冷品種でしかもいいもの、うまいものの研究というのは、やっぱりこれからしなきゃいかぬのじゃないか。そういう点で、ひとつ技術問題も含めまして農林省考えていただく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点お答え願って私の質問を終わります。
  205. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 救農土木の場合の温水のため池なんかというお考えはまことに結構なお考えだと思いますけれども、これはこのような新しい新規に始める事業はちょっとこれは無理で、間に合わないのでございます。これはやはり常時の将来に対する冷害対策とか、そういう意味ではこれは当然考えていかなければならないと思います。できるだけ救農土木は、国からなり県からなりどかんと出した金が、その金が大体そのままそっくり被害農民のふところに入るような形のものが一番望ましいというふうにいま考えているわけでございます。  それから品種の研究、これは非常に大事なことでございますが、私もこの前技術会議局長や、あるいは現地で、厨川のあの試験場にお寄りになったでしょう。あそこの場長の話を聞きましても、ずいぶん一生懸命米のいろんな品種の研究をしているようでございます。これをできるだけおっしゃるように、長い時間をかけましてりっぱなものをつくり上げるように励ましてやりたいと、こう考えている次第でございます。
  206. 小林国司

    委員長小林国司君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま前川旦君が委員辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。
  207. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣、どうも十七号台風のさなかにといいますか、また東北六県、北海道の大変な冷害の中で農林大臣に就任されまして、就任早々から大変御苦労だと思っております。また農業も、大変農業内部もえらい状況だと私ども思っておるわけですが、大変御苦労さまだと思っております。  私は三つほどお尋ねをしたいし、また伺いたい。一つは、農政は一体どこを対象にしてやるんだろうという疑問を最近深めておるわけなんです。もう一つは、農村の婦人労働の問題。もう一つは、ビートの値段が決まりましたので、それとの関連で、先ほども大臣のお話ありましたサトウキビの問題について、この三つについてお尋ねをしたいわけです。  第一点のこの農政の対象の問題なんですけれども、五年に一回やります農業センサスが昨年の二月に行われまして、それが続々公表になってきているわけですね。それを見ますと、この四百九十五万戸の農家の中で、専従男子のいる農家というのが三分の一を割っちゃったわけですね。それで専従者のいない農家というのが五五%と、こうなっているわけですね。あと、女子が専従しているそういう農家というのが一二%程度。で、人によりましては、ですから専従者のいない農家というのが六七%ぐらいだと、こう言う。つまり、専従のいない五五%、それと女子だけが専従しているという農家一二%、それで問題の三二%ぐらいの農家には男子の専従者がいるわけなんですね。ところが、その三二%の農家には男子の専従者がいるんですが、さらにこの中身を見てみますと、その中の二割というのは六十歳以上、二割六分近い者は六十歳以上なんですね。そしてまた、男子専従者の七割近い者が専業農家にいないんですね。専業農家にいるのは二七%ぐらい、あとは第一種兼業と第二種兼業におるわけなんですよ。こういう数字を見た場合に、これは四百九十五万戸の農家を相手にして農政をおやりになるわけだけれども、かつては自立経営農家とおっしゃった。しかしその自立経営農家というのは、言うなら消えてなくなったような形になって、そして中核農家というお話になってきた。そこで、その中核農家の一体中身は何だと、どうも漠然としてはっきりしないんじゃないかという論議を私はやってきたところなんですよ。で、いま申し上げたような数字から言いますと、どうもこの中核農家というのは非常にあいまいなものですね。せっかく五年に一回農業センサスをやられるわけですから、ですからこの農業センサスをやるときに、もっと中核農家というものを本気になって調査されたらよかったんじゃないだろうか。どうもはっきりこの中ではつかめない。ただ言えることは、いま申し上げたように、非常に五年の間に、五年前の昭和四十五年の農業センサスとそれから五十年の農業センサスと、こう比べた場合に、大変な農家実情になっておるんじゃないかと、一体どこを相手にして農政をやられようとするのか。中核農家じゃもうわからぬです、これ。そこら辺を、これはちょっとばかり、きわめて具体的な数字的な問題ですから局長でいいと思いますですけれども、御答弁をいただきたいですね。
  208. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまお話しのとおり、いまの私も実際どのような一体農業従事者を中心に重点を置いてやったらいいかということに、私もいま実は戸惑いを感じておる状態でございます。で、やはり農業というものは、これは非常に抽象的な言い方になりますけれど、農業を愛して、自分の本業としてそれに一生懸命に励んで、それで十分生活の基礎がつくれるような、それが保っていけるような農家ですね、そのような農家が私は農業中心でなければならないと思っておる。これからはそのような農家ができるだけ多くなるように、そういう農家中心にしなければ私は将来農業の繁栄はないという感じがしております。そこで、そのような農家ができ上がることを心から願って、つまり農業の将来に希望を持って、農業に情熱を傾けて、そして農業によって生活の発展をしていくというような農家中心農政を進めていきたい、こう思う次第でございます。
  209. 森整治

    政府委員(森整治君) 先生の御質問、いま大臣お答えいただきましたけれども、若干補足させていただきますと、やはり兼業農家というのは相当ふえてまいっておりまして、先生御指摘のように、六十歳未満の男子専従者のいる農家というのが二五%になっておる。ただ、その多くの農業生産のシェアというのはそういう農家が占めておることに着目をいたしますれば、やはり今後の農政中心になる受けざらと言いますか、担い手と言いますか、そういうものはやはりそれ中心考えていくのが必要だというふうに考えております。しかし、兼業農家というものを置いていくわけにはいかない。土地利用の面から言いましても、それら全体を含めてやはり農政としては考えていくべきものと考えるわけでございまして、具体的にそれじゃどうするのかということになりますと、いま私ども考えておりますのは、やはり市町村あるいはむしろ集落まで入りまして、その中で一体今後農業をだれが担っていくかということと、それからやはりそういう中で農村をだれが守っていくのだ、どういうふうに土地利用していくのだということをもう一回掘り起こしをいたしまして、その基礎の上に具体的な農家の担い手というものを育成してまいりたい、そういう基本的な考え方のもとに来年度のいろいろな施策を、ここではもう御承知と思いますから申し上げませんけれども、そういういろんな施策を盛り込んで今後対処していくという所存でございます。
  210. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農業従事者の百五十日以上農業に従事している人、その数字が出ておりますが、半分以上というのが女子なんですね、女性なんです。それから、百日から百四十九日間農業に従事する人というのを見ましても女性の方がはるかに多い。だから、中核的農家とおっしゃったのは十五歳以上五十九歳までの男子で、そして一年に百五十日以上農業に従事する者という話なんですね。それをとった場合には、もう本当に四百九十五万からの農家の中のほんの一部しかならぬじゃないかと思うんですね。これは六十歳以上が非常に多いわけですから、男の場合は百五十日以上農業に働く人が四分の一は六十歳以上なんです。ですから、いまおっしゃるように、実際具体的に農村に入り、集落に入ってみればだれが農業を本気にやろうとしているのか、だれが本当に農業を守っていこうとしているのかということが明らかになると思うんですよね。ですから、おっしゃるように、具体的な農家というものを取り上げなければならないというように思うんですけれども、せっかくこういう五年に一回の農業センサスをやられる機会にそういう問題もとらえられたらよかったろうと思うんですけれども、この数字の中からはそういうものは出てこない。  私は、いまの問題についてはその程度にいたしまして、その次にお尋ねをしたい、あるいはまた提案をいたしたいのは、いま申し上げましたように女性の農業従事者数というのが出ておりますが、これを見ますというと、百五十日以上でも女性の方が多いですね。それから百日から百四十九日というランクでもはるかに女性の方が多いです。六十日から九十九日というところでも女性の方がはるかに多い。こういうことで、少なくとも六十日以上農業に従事している者は女性の方が非常に多い、こういう数字が出ているわけなんですね。しかも、先ほども申し上げましたように、女性だけで農業専従している農家数というのが一二%を超しておる。第二種兼業農家というのは六二%になっておるわけですが、恐らくこれはほとんど女性が主導している、あるいは主宰をしている農家ではないかと思うんですね。そういう点から言いますと、五割近いものは、あるいは五割を超すようなものが主婦主導下の農家、六割近いものが主婦主宰の農家、こういうふうに、言えるんじゃないかと思うんです。全体の農業の従事者の中でもいま申し上げたように、どのランクをとってみても女性の方が多い。  もう一つ問題は、この女性が農業の従事者の半数以上占めておるわけなんですけれども、一般の産業で言いますと、十七、八から三十五、六までのところに八〇%ぐらいの女性がいるわけですね。農業の場合は全く違いまして、三十五、六から六十以上のところに八〇%の女性がいるわけです。ですから、一般の産業とは全く違って、女性が多いんだが、その女性もぐっと年配のところですね、中年から老年のところに八〇%の女性がおると、こういう状況になっておるわけですね。そういう中で、最近農業に働いている女性の人たちの健康の問題がえらく問題になりまして、いろいろ研究が行われていますね。この間も私農村の人たちと会いましたら、三十人ぐらい集まった。えらい元気そうな若い、三十から四十前後の主婦の方たちでいらっしゃる。いや、たくましいなと言うと、いや、体はがたがたなんですよと言うのですね。いろいろ聞いてみますと、なるほどと思うのですね。ですから、農業は何か機械が入ったら軽労働になったというような感じがあるのじゃないかと思うのですが、そうではない。機械を使ってもやっぱり圧倒的重労働です。その重労働を女性がやっている。しかも、いま申し上げたように三十七、八ごろから——四十ぐらいからちょっと多いかもしれぬ、六十というところに圧倒的に多いわけですね。これが耕運機を使い、なにを使って農業やらざるを得ない。これはえらいことだろうと思うのですね。それからこの五、六年の間顕著に発達をしました施設農業、施設農業の中の施設園芸というようなものも非常に女性が多いわけですが、わりあいと若い人たちがやっていらっしゃる。壮年の人がやっているのだが、しかし、臨時に雇うところは皆主婦を雇っているわけです、農家の主婦を。その人が来て臨時に働いている、雇用労働で働いているのですね。そして、施設園芸というのは体の上にいろいろ問題があることは御承知のとおりですね、炭酸ガスがえらく多いわけですから。大変な湿度があって大変に温度が高い。その中で中年から六十にかけての御婦人がお働きになるわけですから、これはえらい話です。  そういう中で私は、一体農業白書というのが出るのだけれども、ことしで十五回目、歴史を重ねて十五回目の農業白書が出たのだけれども、そういう農業を支えている婦人労働についての分析が全然行われていないというのは大変遺憾に思うわけです。一体どういうふうに考えていらっしゃるのかということですね。この間五十年の二月にセンサスをやりましたね。すべての農家に当たっているわけです。ここに表があるわけです。それと県の保健所があります。保健所が診察をしている。その保健所の表というものと全部を突き合わせている、センサスと。そうすると、施設園芸を主としている農家の主婦は一般の農村の主婦よりどういう病気があるのか、あるいは機械で作業している主婦はどういう病気があるのかというような、これを全部突き合わせてやっているお医者さんがいます。また統計情報部の職員がいる。それを見ますと、これは大変な憂慮すべき健康がむしばまれているというふうに思うのですね。だんなさんの方は機械化やってあるから大したことないというのですが、これは機械を使っても重労働ですね、農業は。その中で、四十前後から六十にかけてのこれだけの農村の婦人労働を、農林省が白書の中でもっと健康状態がどんなにむしばまれているのかということを検討する必要があるのではないかと私は思うわけなんです。その点についてひとつお尋ねをしたいですね。御意見を伺いたい。
  211. 大石武一

    国務大臣大石武一君) やっぱり御意見のとおりだと思います。やはり、昔よりいまの農業従事者が過重労働になったかどうか。これはいろんな考え方もあると思いますが、とにかくいま婦人が六十何%も農業に大部分従事していると考えますと、やっぱりこの婦人に対する農業労働ですな、このいろいろな条件とか、あるいはその内容というものを検討して、やはり健康と結びつけていろいろこれは調査をすることは、おっしゃるとおり非常に必要だと考えます。
  212. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは私は五百万か六百万かの調査費でもって実際調査してもらいたいと思うんですね。これは何といっても大変な問題だと思うんです。資料は大分私のところに参っております。参っておりますが、これは鹿児島県で保健所とそれからいま申し上げた農業センサスと全部ひっ比べてやったやつなんですね。それを見ますというと、婦人の健康のむしばまれ方というのは、これはただならぬものがありますね。がたがたと言うはずです、これは。その調査をぜひ農林省にやってもらいたいと思うんです。その金は四百万か五百万かあれば結構な話だと思うんですよ。できないはずはないと思うんです。そして、来年の農業白書には出してもらうと。農村の婦人労働、どんなに健康がむしばまれているかということを出してもらうということを、大臣、やってもらいたいと思うね。大臣のことだからおやりになると思いますけれどもね。
  213. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 生活改善事業の一環といたしまして、最近は特に主婦、農家の家族全体、なかんずくただいま御指摘ございましたように、主婦に農業労働の負担がかなりかかっておるという点も考えまして、健康管理の問題につきましては特に重点的な普及活動をやっておるつもりでございます。  その一環といたしまして、若干の調査も事例的にはやっているわけでございますが、先生御指摘になりましたように悉皆的な調査にはなっておりません。四十年度から五十年度までにかけまして農山漁家健康生活管理及び家族労働適正化特別事業というものをやっておるわけでございます。それの事業の一環といたしまして実施した調査によりますと、これはモデル地域を選定をしてやっておるものでございますが、全国三百七十二地区約三千四百人ぐらいを対象といたしております。これは男子と婦人と両方をやっておるわけでございます。それの調査結果を見ましても、特に婦人の健康状態につきましては、男子よりもやはり負担がかかっておるという面が見られます。たとえて申しますと、いわゆる農夫症という症状を訴える者、腰痛という例で申し上げますと、パーセンテージで申しまして男子の場合は四六%、女子の場合は四九%。これは事業をモデル的にやっております段階で若干減っておりますけれども事業開始のときの調査ではそのようになっております。  御指摘のように、婦人の方に無理がかかっておるということは、私どももそのように理解をしております。来年度予算におきましても、健康管理関係の事業につきましては、農業団体の啓蒙指導事業に対しまして特別の援助をするというようなことをやる考えでおりますので、これはかなり広範の、全組合ではございませんけれども、広範にやれることになると思いますので、全員調査というところまではいきませんけれども、今回のいまただいま御説明しました調査よりはもう少し事例の多い調査もできると思いますので、御指摘のような方向で努力をしてまいりたいと思っております。
  214. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大変農業に従事する人たちが高齢化しているということは、もう十年も前から農林省主張しておられるわけです。その老齢化はますます進んでおるわけですね。さらに、女性化しているということが言われてもう長い。いまや、老齢化と女性化と二つです。そして、女性が農業をやっぱり支えていると。大変です、これ。その女性についての、女性労働についてのやはり健康の問題。農夫症といったら、いままで男だと思ったんです。そうではなくて、男もそうですが、特に女性の場合の農夫症というのはこれは大変ですね。私のところには詳細な資料が来ております。それはいま申し上げたように、表を全部突き合わしてセンサスとやったわけです。表は全部あるわけです。それと保健所のやっと全部突き合わして、詳細に来ております。それを見ますと、やっぱりこれは全国的にぜひやってもらいたい。そして、来年の農業白書にはぴしゃりと農村婦人、男性はもちろんですが、農村婦人の労働問題についてはぜひひとつ健康問題について十分配慮してもらいたいと思うですね。大臣、ひとつよろしく頼んでおきますよ。
  215. 大石武一

    国務大臣大石武一君) それはまことに結構なお話でございますから、そのようなぜひ健康に関するいろんな実態の調査はやりたいと思います。どこでどのような形でやるか、それはまだわかりませんが、そのような御趣旨で働いてまいります。  ただ、来年の白書に載せろといったって、こういう統計ではすぐにはむずかしいですが、とにかくそのような努力は一生懸命いたしたいと思います。
  216. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは三番目の問題ですが、これはでん粉とそれからビートの価格が決まったわけですが、ビートについて私のところに来ております資料によりますと、農家の手取りがビートは六%弱アップと、それに対してあと三年間で年間三千ヘクタール以上ふえた場合にはトン当たり五百円というものがついてこれが三%ぐらいになりますかな。これはまあ三千ヘクタール以上作付が広がった場合ということでしょうが、合わせましてですからまあ幾ら上がったんですかな。六%弱ですか、農家の手取りは。ビートです。それから三千ヘクタール以上年間広がった場合トン当たり五百円。このところ、ちょっと説明聞きたいですね。
  217. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 農家の手取り額は一万六千円を一万七千円にいたしたわけでございますから、その上昇率は六・二五%に相なります。それから、五百円を加えますと九・四%程度に相なります。
  218. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この間も、去年のことになるわけですかね、ことしだったかな、ことしの五月でしたが、いまビートの作付面積というのは大変どんどん減ってまいりましたですね。四十八年に六万ヘクタールを超しておったものがことし五十一年は四万二千ヘクタールと、ほぼ二万ヘクタール崩れるように減ってきておるわけですね。ヘクタール当たりの反収もぐっと減ってきている。したがって、これからできる精製糖、これもぐっと減ってきておりますね。それでいまてん菜糖で二十二・四万トン、それから甘蔗糖で二十一・三万トンとほぼ同じになるわけですね。ですから、てん菜糖と甘蔗糖とはほぼ同じ地位を持っておるということをまずお考えいただきたい。これは言うまでもなく局長ですから御存じのはずです。そこで、沖繩もそれから奄美群島の方も、四十九年ごろから少し上向いてきておるわけですね。五十年というふうに上向いてきておる。奄美の方が一万ヘクタールを少し超すと、かつては一万三千ヘクタール近くあったわけですが。それから沖繩の方が三万二千ヘクタールあったものが、ぐっと二万ヘクタール割っておったものが、まずまず二万ヘクタールにこう近づいたと。少し盛り返しているという状況なんですね。それで、ビートとサトウキビの問題は連動している形になっているんですね、従来の経緯から言いますと。恐らく、ですからいまのように手取り額が六・二五%、そしてあと五百円のこの金がついて九・四というようなことをサトウキビについても局長考えになっていらっしゃるのかどうか。私は、局長答弁の前に、サトウキビはその生産費がえらい高いんですね、ビートと比べまして。労働時間にいたしましてビートは三十九時間ぐらいでしょう。サトウキビは百五十時間、十アール当たりですね、大変に労働力を食っている。それは基盤整備が大変おくれているということと機械化が進んでいないというために大変労働力を食っている。生産費も高いわけなんですね。そこら辺を十分頭に入れて、言うまでもなく局長頭に入っていると思うけれども、ひとつ答弁をいただきたいわけです。
  219. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、てん菜の作付面積は四十八年以降非常に減っております。ことしは面積は四万二千ヘクタールでございますが、ヘクタール当たり収量は相当いいようでございますので収穫量としてはふえる見通しに相なっております。北海道におけるてん菜は輪作作物の基幹となるべき作物でございますから、やはりこれは一定の面積を確保するといいますか、一定の面積のてん菜をつくっていただくということが大切ではないかと。そのためには、やはりてん菜の作付面積をふやすにはどうしたらいいかと。特にまたもう一つの要素といたしましては、ことし非常にバレイショがよくできまして、バレイショの面積が若干なりともふえておるという状況にございます。したがいまして、ことし政府が大体七万五千トンを目途にして買い入れなければいけない。片や昨年五千トン買いましたから、約馬でんの一年間の消費量に匹敵する量を政府が在庫するという状況に相なっております。したがいまして、私たちとしましては、ビートの面積をふやしてもらいたいと、それから同時にバレイショの作付面積をほどほどにしてもらいたいという二つの要素がございますので、みんなが一緒にビートをつくりましょうという趣旨で面積がふえた場合に、面積の一定の目標数量を市町村で定めまして、皆市町村でそれぞれビートをつくってもらって、当該市町村がこの目標面積を達成した場合には、その市町村のビートをつくりました農家全部に対して、十アール当たり二千三百円来年度は支払うということにいたしたわけであります。  一方、サトウキビの方は、御指摘のとおり、最近面積も少しながらふえておりまして、サトウキビの生産に対する農家の意欲もだんだん徐々に上昇をして非常にいい傾向だと思っておったわけでございますが、残念ながら災害を受けましてことしの収穫は相当減る見込みでございます。そこで、サトウキビにつきましては、これは申すまでもなく、南西諸島及び沖繩におきます基幹的な畑作物でございますから、そういう観点に十分着目して価格考えていく必要があると思っております。ただ、ビートと違いますように、何さま島でございますから、面積がふえたから奨励金をという形の奨励金では私はございませんで、むしろ何といいますか、生産性を向上させると、あるいは基盤整備を図るという、そういう生産性の向上という観点からの対策の充実というのが必要なのではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  220. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、いまの南西諸島、つまり奄美と沖繩にあってはサトウキビというのは米以上の大変な地位にあるわけですね。例を申し上げますと、奄美は一万七百ヘクタールというサトウキビをつくっていますよ。米は幾らつくっているかというと、わずかに六百ヘクタール。それから沖繩ではサトウキビは二万ヘクタール。それに対して水陸稲合わせまして二千七十ヘクタール、一割ですよ、これ。ですから、サトウキビというのは、奄美と沖繩にあっては米の何倍かの力を持った農作物だと。したがって、この問題については、これはまたビートとは違った意味で考えてもらわなければ奄美の農業というもの、沖繩の農業というものはこれは成り立たない。ですから、作付はどうだという問題ではなくて、大変な地位を占めているということをお考えになってこの問題を考えてもらいたいというのが一つ。  もう一つは、五十二年度の予算ができていますね、農林省の。これは農蚕園芸局ですけれども、この予算を見ますと、これはいま大蔵省に出してあるのだから決まっているわけじゃないが、大蔵省に出しているやつ——甘味資源対策三十三億円ですね、大きく言って。その中の二十三億というのがビートなんですね。十億というのはサトウキビなんです。これはサトウキビに対して大変不平等である、とんでもないことだと、こう思っているんですけれども、そうではないということであれば喜ばしいんですがね。
  221. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) サトウキビ関係の予算といたしましては、五十一年度予算におきましては御指摘のように十億一千四百万。これは基盤整備関係は除いております。北海道と対比をされましたけれども北海道も同じように除いての対比をされたのかと思いますけれども、私ただいま申し上げております十億一千四百万というのは、基盤整備関係はもちろん除いております。そういたしまして、五十二年度現在概算要求で大蔵省に出しておりますのが、十一億四千八百万ばかり実は出しておるわけでございます。これは五十一年度の十億の中には——五十年度の年度末に、実質的には五十一年度からに近いわけでございますが、五十年度、五十一年度、五十二年度、五十三年度、四年度で十五億ぐらいを目途といたしましてサトウキビの生産合理化緊急対策事業というのを新たに組んで、五十年度に比べればかなり大幅にふやしたつもりでおります。そういうことの関係もございまして、五十二年度予算額は、現在要求しておりますのが五十一年度に比べましてそれほど大幅ではないということになっておるわけでございます。このサトウキビ生産合理化緊急対策事業といいますのは、機械化の促進あるいは病害虫の防除あるいは新植の推進というようなことに弾力的に使えるように、しかも広範に多数の農家に行き渡るようにというような交付の仕方をいたしております。これにつきまして、今後さらに拡充するように検討してまいりたいと思っております。
  222. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、五十一年度の予算というのはビートとサトウキビの間はそんな差はないわけですよ。ほぼ同じ程度のものになっている。しかし、中身を見ると、いかにこのサトウキビというものがおくれているかというのがわかりますね、この予算項目を見ますと。ビートの方は進んでいますね。えらい進んでいるですよ、これ。サトウキビというのは非常におくれている内容ですね。まあ、それにしても、五十二年度にこういうような、なんでこんなに差をつけて、二十二億というのが……、サトウキビの方はさっぱりふえてないというような話はおかしい話だね、これは。不平等もはなはだしい。これはもうどうにもならぬ、こんな話じゃ。これはひとつ考えてもらいたいですな。  いも食品流通局長おっしゃったトン五百円としますと約年間十億ですが、その十億の金はここから出るんですか、この予算の中から。どこから出るんですか。
  223. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 十億を目途として、生産がふえました場合に反当二千三百円ということでございますから、それは農蚕園芸局の方から提出しております予算は純粋な生産対策でございますから、それとは別途といたしております。
  224. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 またふえちゃった……。
  225. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 関連をして、ちょっとサトウキビの問題について伺いたいと思うんですが、先ほど局長の答弁では、ビートの増反奨励金の問題についていわゆる作付面積を確保する必要からつけたんだと、サトウキビは生産性を向上させる必要があるという物の考え方なんだと、こういうお話なんですが、そういう意味から、名前は違うけれども、何らかの方法でこれと見合うものをサトウキビのところにも考えるという意味なんですか。それは全然別なんだという意味なのか。そこのところを明確に聞かしてもらいたいという点が第一点。  もう時間がありませんからはしょりますが、第二点は、昨年ビートとサトウキビとの間では生産費を若干参酌をするという意味で百円プラスされましたですね、サトウキビの方に。これは百円というのはどう考えてもぼくら理解をできないわけなんですけれども、昨年度のビートとサトウキビとの推定の経費の差額だけでもぼくらのはじく計算では三千四百六十五円も出ておると、こういう実態。さらにまた一時間当たりの家庭労働の報酬を見ますれば、これは確かにビートは北海道の中においても他の小麦とかあるいは大豆からすると大分落ちておる。しかし、またサトウキビとの差額を見ますと、二百九十円もやっぱりサトウキビの方がマイナスになっておると。こういう数字を拾ってみましても、これらの生産費の問題について百円云々ということじゃなくて、相当やはりこの問題については考慮さるべきところの問題だと思っておるんですがね、この点どう考えられておるのか。  それからいま一つは、ことしの十七号台風によるところのサトウキビの相当な被害ですね、この問題をどういう角度から、この補償と申しますか、見ようというふうに考えておるのか。たとえば冷害地帯は冷害地帯の米の問題なんか考えているみたいですけれども、サトウキビの場合は、私実際奄美の場合見てきたんですが、一番少ないところで二〇%、多いところあたりでは五〇%前後の被害を受けているわけです、減産の。そういうような状態を考えると、災害対策という面から見れば、価格の面でこの問題を何か補償するか、別途にまたこの問題の補償というものを私は考えなきゃならぬ事態に来ておるんじゃないだろうかと、ビートと違いましてですね。その点、農林当局としてはどう考えておるか。特に最後の問題あたりは、ぼくは大臣からちょっとお聞きしたいんですがね。
  226. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘の第一点及び第二点につきましては、ビートと状況は違いますが、やはりサトウキビにつきましてもその生産性の向上をできるだけ図っていくという観点から、どのような対策を講ずるかにつきまして十分今後検討をいたしてまいりたいと思っております。  生産費参酌の点でございますが、なかなかこれはむずかしゅうございまして、実はサトウキビの労働費というのは、御存じのとおり、生産費の七六%を占めておると、しかも大体それの多いのは収穫労働で、全体の大体六〇%を占めておるというふうな状況に相なっておりまして、実はその生産費参酌問題というのは非常にむずかしい問題を含んでおると思うわけでございます。したがいまして、昨年百円アップをいたしましたのが生産費参酌であると思うのか、あるいはまた沖繩、奄美のサトウキビのビートと違う特殊なそれに対する配慮と思うのか、そこはなかなか思い方がむずかしいのですが、その一、二点につきましては、そういうビートと違うという状況あるいはまた同時にサトウキビは沖繩、奄美におきます基幹的農作物であるというそういう地位を十分考慮いたしまして、今後十分検討いたしてまいりたいと思います。  それから第三点の災害の問題でございますが、今回の災害は奄美において特にひどうございます。そのうちの大島郡において特にひどいという状況に相なっております。もちろん、沖繩におきましても被害を受けているわけでございまして、私たちとしましては、せっかく農家の意欲が盛り上がり面積がふえているときに災害を受けたということはまことに残念でございますが、なお、今後収穫までに相当の期間がありまして今後の回復状況を見る必要があると思いますが、生産量の減少やサトウキビの品質低下につきましては、糖価安定事業団の買い入れ価格算定の際の操業率でありますとか、あるいは製糖歩どまりに適正に織り込むように処置をいたしたいと思います。  被害によって減収いたします農家に対しましては、天災資金や、自作農維持資金の円滑な融通を図って営農の維持に努めてまいるわけでございますが、被害サトウキビについては、一部被害甚大な圃場では夏植えへの切りかえ等も行われておりますが、収穫期において製糖原料となり得る被害サトウキビにつきましては、会社と農家の問で円滑な取引が行われるように県を通じて指導をしてまいりたいと思います。しかし、製糖原料になりがたいような被害のサトウキビまでも製糖工場が買い入れるということは、これはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  227. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私の答える分まで局長が答えてくれましたが、全部そのとおりでございます。  いま、被害のまだ実態が完全に把握されておりませんが、近くその報告が全部参ると思いますので、それを中心にしていろいろ考えます。  で、その台風の災害につきましては、冷害に準ずるような、同じようないろいろな金融なりその他の措置はいたします。  なお、その被害を受けましたサトウキビに対しましても、価格の面においていま申しましたいろいろな操作がありますが、価格面においてこのめんどうを見たいという方針でございます。
  228. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 第一点のいま局長の話は、十分検討するという話なんだけれども中身がさっぱりしないんだけれども、まあいろいろその名前のつけ方あるいはいろんな理由のつけ方はあるにしても、見合うだけの何らかのやはり考慮をするということはこれは必要ですね、第一点の問題は。この点はやっぱり明確にしておいてもらわなければ困ると思いますよね、これは。  それから第二点の問題ですけれども、いろいろ政治的な答弁をされておりますけれども、生産費が違うということはもう明確なんですよ、これは。第一に地理的な条件、耕地面積のぐあい、大農的な土地とそうでないネコの額のようなところ、もた、それしかつくれない輪作地帯と、いろんな条件を考えれば、当然やはりこの問題については考えられなければならぬ筋のものなんですよ。それを、昨年の百円はどうだこうだという話なんですけれども、これはもっともっとふやしてもらわなければならぬ話なんですよ。去年でしたかね、予算委員会で私が質問したときに、前の安倍農林大臣は、いずれも砂糧の原料でございますから同じように扱いますなんて、こう言っておるようだけれども、砂糧の原料にしても、つくるまでの過程でそこのところも何ら考慮しないでやるというのはこれはきわめて不合理だと思いますし、今日いろんな農業生産物の中で、パリティ方式はもうすでに破綻しているということはみんな周知の事実なんですよ、これは。しかも、それは生産費に見合うような形で何らかやっぱり農作物を見てみなければ、今後の農林省の大きな方策であるところの自給率を高めるというところの方策に沿わないようになるわけなんですから、その点は相当真剣に考えてもらわなければ困ると思うんですよね。  それから第三点の問題にいたしましても、実際見てみますとひどいものですよ。特に、台風の目になりましたところの徳之島あたりは、前の風でこっち側に倒れたら、次のまた吹き返しみたいなやつで今度は反対側に倒れるというような形で、相当使い物にならぬところも出てくるし、相当なまた糖度が落ちるところの要素というものもあるんですね。こういうもの等に対する買い入れの場合に、たとえば糖度なら糖度の問題について、いろんなやっぱり政治的な配慮というものが皆さんの中で検討されておるかどうか、そこらあたりも若干お伺いさしていただきたいと思うんですよ。
  229. 大石武一

    国務大臣大石武一君) この沖繩のサトウキビにつきましては、やはりこれはわれわれは内地における米と同じような物の考え方で……
  230. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうでしょう。それは、大臣はは米議員と言われるぐらいの大臣だったんだから、米同様に考えてくださいよ。
  231. 大石武一

    国務大臣大石武一君) そのようなつもりで、できるだけ——これは、もっとも一年や二年ですべてのものが解決するわけじゃありませんが、そのような物の考え方を基礎として、できるだけ早い機会に、生産性の向上とか価格の問題もそうでありますが、価格だけではすべて解決できませんので、さらによりよい全体としての所得や収入が多くなるような方面において十分に努力いたしたいと考えます。  それから台風につきましては、いま申しましたように、台風の被害につきましてはほかの台風、いろいろ冷害と同じような基準においてこれは十分に手当てをいたします。ただ残念なことには、サトウキビにはまだ共済の保険の制度がございません。したがいまして、その分につきましては、できるだけ何らかの形においてめんどうを見てあげるように努力いたす方針でございます。
  232. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ちょっと局長、答えてちょうだいよ。いま大臣答弁としてはわかったんですけれども、先ほど十分検討するとか第一問の話とか、あるいは生産費の問題とか。
  233. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) ただいま大臣がお答えになりましたような趣旨を踏まえまして、十分検討をいたしてまいりたいと思います。
  234. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 実際的にあらわれなきゃ意味ないですからね。
  235. 小林国司

    委員長小林国司君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  236. 小林国司

    委員長小林国司君) 速記を起こしてください。  再開いたします。
  237. 柄谷道一

    柄谷道一君 私も、冷害地の委員派遣調査団に参加したものでございますが、最後の質問者でありますので、すでに多くの委員から、激甚災害としての指定と天災融資法早期発動措置自作農維持資金災害融資枠拡大貸付限度額の引き上げ、農林漁業金融公庫資金の融資枠拡大農業近代化資金等各種制度の既借入金と国営土地改良事業の負担金の本年度償還分の償還猶予と利子減免農業共済金早期支払い損害評価特例措置、五十一年度産米予約概算金の納期延長と利子減免、再生産用種子購入費、越冬用飼料購入費等に対する助成、要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金、特殊学校就学奨励費補助金の増額と育英奨学生採用枠の増加割当、中小企業金融対策の確立及び特別交付税・起債等による地方財政対策の充実等につきましてはすでに質問が行われ、また各関係自治体からの陳情書、派遣委員報告等により尽くされておりますので、質問の重複は避けたいと思います。   〔委員長退席、理事鈴木省吾君着席〕 しかし政府は、近来まれに見る深刻な冷害の様相、これを率直に受けとめて、被災農家の心を心としてその救済被害回復のために血の通った施策が早急に実施されることを、まず強く求めておきたいと思います。  質問に入りますが、農林省では、今回の水稲の災害に対して共済金年内払いのほかに仮渡しの指導をしているということを聞いておりますが、その実態はどうでありますか。
  238. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) 共済金につきましては、いわゆる本払いについては、大臣からも申されておりますように、年内に必ず支払うということでいろいろ準備をいたしておるわけでございますが、いわゆる仮渡しの制度というのがございまして、これは現地の共済団体等がその損害評価の実態に応じまして、必要な場合には速やかに仮渡しを行うということができることになっておりまして、これは本払いの時期と仮渡しをする時期との間が非常に近いような場合には手間が二度になりますために本払いで済ますということもございますが、実際に少し間が開いて仮払いの必要があるという団体等においては、その仮渡しをやれるという制度がございますので、現に水害の被害を受けました県を中心にいたしまして、数県におきまして仮払いのための事務が進行いたしておるということでございます。
  239. 柄谷道一

    柄谷道一君 本命は年内払いでございますけれども、その仮渡しの制度を弾力的に運用して、被災者に対して対策万遺憾なきをぜひ期していただきたい。  次に、規格外米の取り扱いにつきましては、各委員がすでに触れられたところであります。私は、本年度産米は、北海道東北、北陸、甲信越を中心とする冷害と台風十七号による被害によりまして、相当大量の規格外米が産出されると予想するのであります。北海道の視察では、平年作の七割前後の収量のほとんどが青米で規格外である、かつて経験したことがないという深刻な訴えを聞きました。私は、この大量の規格外米を自主流通米として処理することはとうてい不可能であると思います。早急に規格外米の規格の基準と救済の目的を加味した価格を決定し、政府買い上げの特別措置を講ずる必要があるということは、調査に参加した委員の党派を超えて一致した見解でもございました。私は、この措置を急がなければ規格外米を自宅に保管しなければならず、その場所は保管環境の悪さが一層品質の低下を招きます。また、業者による買いたたきを誘発いたしまして農家の収入を一層悪くします。また、季節労務者として就労する時期をおくらせ、その機会すら失わしめる危険もあるわけでございます。このような深刻な社会問題に発展する危険のあるこの問題について、ただいままでの答弁では、食糧、これは主食でございますが、として配給できるものは規格外を含めてすべて政府が買い上げる、主食以外のくず米についても政府の責任措置する、その内容は集荷と実需者の結びつけ等を十分に政府の責任において行い、問題を下に押しつけるようなことはない。また、この基準は来週中できるだけ一日でも早く基準を設定したい。価格は十月中に決定をしたい。こういう答弁であったと理解するのでございますが、そのとおりでございますか。
  240. 大石武一

    国務大臣大石武一君) そのとおりでございます。
  241. 柄谷道一

    柄谷道一君 これも確認でございますが、豆類についても農産物検査規格の特例を設けて、下位等級を設定することについて特別措置をとり、かつその販売対策についても万全を期したい、このような当局の姿勢と理解いたしますが、いかがですか。
  242. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) ただいまのとおりでございます。
  243. 柄谷道一

    柄谷道一君 仮に食管で買い上げの対象とならない場合共済制度で何らかの救済をすべきではないかと、こう思うわけでございますが、いかがでございますか。
  244. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) 米の話でございますか。
  245. 柄谷道一

    柄谷道一君 米です。
  246. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) 先ほども説明申し上げましたように、共済は収穫量を対象にして、減収に対して共済金を支払うというたてまえでございまして、品質の低下そのものを共済の補てん対象にしておるという制度にはなっておらないわけでございます。そこで、実際の損害評価の場合におきましても、立毛の状況で検見によりまして一筆一筆を評価をするということでございますので、その意味からも、実際面からも品質の低下というものは見れない仕組みになっておるわけでございます。ただ、異常災害の場合におきまして、たとえばことしの冷害等の場合におきまして一・七ミリ目の段ぶるいの上に残ったものにつきましても被害粒等をその中から控除をいたすというふうな特例措置をとることによりまして、実際の被害状況を加味した評価方法をとるという措置を今回も採用したいというふうに考えておりまして、そういう措置をとることによりまして、先生御指摘の点が相当程度解決をするというふうに考えておるわけでございます。
  247. 柄谷道一

    柄谷道一君 北海道では農家が米の調製をする場合ですね、一・八ミリ目以上のふるいを使っているようであります。しかし、農林統計や共済では、いま答弁がありましたように一・七ミリ目以上を収穫量としております。私は各地実情に合わせて、この際一・八ミリ目に農林統計及び共済の収穫量の基準を変更すべきではないかと、こう思うわけでございますが、直ちに云々ということはできませんけれども、将来これらの問題につきまして前向きに検討される御用意があるのかどうかをお伺いします。
  248. 吉岡裕

    政府委員(吉岡裕君) 共済の収量は確かに先生お話のとおり一・七ミリ目というものを一つの基準にしておりますが、これは御指摘のとおり、統計情報部調査におきましても長年こういう方式をとってきております。したがいまして、一部の地域におきまして、その地域の米の評価を高からしめるために農協等が自主的に一・七ミリ目以上の大きさのものを選別をして、その地域の米の評価を高からしめるというふうな措置をとっておるところがあるやに聞いておりますが、私どもといたしましては、長年一つの米の収穫量というものをはかる手だてとしてまいってきたわけでございまして、これは変える必要がないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  249. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、現実に一・八ミリ目でやっているということについては、それ相応の理由があると思うんであります。この点、本日の質問で満足する答弁を得るということは私むずかしいと思いますけれども、一遍各地の実態、その理由等も詳細に把握をされて、果たして現在の一・七ミリ目ということ自体が適切であるのかどうか、品種の改良等も盛んに行われている時代でございますから、新しい視点に立っての基準というものについて一応御検討願いたい、これは希望として申し上げておきたいと思います。  それから、今回冷害及び台風災害によりまして収穫皆無という農家も出てくるわけでございます。要配農家のしたがって続出が予想されます。私は各自治体の陳情によりますと、配給割り当て枠の拡大措置をしてほしいということが陳情に盛られているんでありますけれども昭和四十六年北海道冷害の場合に、配給米代金、これを払えない者についてはその遅納措置を認めるという特例措置をとりまして、実質的には貸付制度にほぼ近い形がとられたわけでございます。また、三十九年新潟地震等局地地震の場合には非常に地域が局限されておりますので、県当局の配慮等もありまして手厚いこれらの措置がとられていると思います。今回非常に地域が広範囲にわたっているということで、この問題の実施が果たして手厚い措置がとられるのであろうかどうかという危惧があるわけでございますが、私はむしろこの際収穫量皆無というような農家に対しては代金遅納措置という程度にとどまらず、いわゆる政府米を貸し付け、これを明年度産米と相殺するというぐらいの思い切った措置がとられてしかるべきではなかろうかと、こう考えますが、いかがですか。
  250. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまの話はごもっともな話でございます。ただ、われわれとしては、いまの制度では貸し付けとかそういうことはできませんがやはり実質的にはそのような方法はとりたいと思います。で、これは県知事に対してわれわれは配給米を売り渡します。県知事がその被害罹災者に対しまして貸し付けなり何なりの方法をとるわけでございまして、代金はわれわれは県知事からとるということになりますから、実質的には貸し付けなりいろんなことに結果的になると考えております。
  251. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひ現行制度をフルに活用していただきまして、温かい措置被災農家に対して与えられるようにお願いをしておきたいと思います。  それから、農林大臣予算委員会で、就労機会を増大するために救農事業を興す、その規模、内容は未定ではあるけれども、できるだけ労働集約的な事業を重点としたい、こう答弁をされたと私は承知しております。また、その規模、内容等につきましては本日の答弁で、できるだけ早く地方の考えを集約をしたい、しかもその集約はほぼ終わったと、いま大蔵等との調整中の段階である、何月何日ということは言えないけれどもできるだけ早くしたい、こういう答弁の趣旨であったと思うのであります。私は、もちろんこれらの救農事業を興すためには、関連する県、市町村との十分な有機的な連携が保たれなければならないのは当然でありますけれども基本的姿勢としてただ受け身というだけではなくて、やはり積極的、能動的な政府の姿勢というものがあってしかるべきではないかと、こう思います。もちろん、この救農事業というものは、さきの委員も御質問されましたように、積雪地であるという事情を考慮するならば、その時期を急がなければならないという一面がございますが、私は災害対策特別委員会でも指摘したところでございますけれども、わが国の国土は建設省調査による急傾斜地危険個所六万、老朽ため池危険個所一万、土石流危険個所三万五千、農地関係の危険個所が二千七十、林業関係の危険個所は十二万カ所、一級河川の改修率は達成率五一%、時間雨量五十ミリが降った場合にこれに耐え得る中小河川は一三%しかない。まさにわが国土のどこにでも災害の起き得る条件を含んだ災害列島とも言うべきであろうと、こう思うのであります。私は、もちろんその所得保障ということは必要でございますけれども、その事業に治山治水事業林業の改善事業ないしは土地改良事業、こういったものと結びつけまして国家百年の大計を考え、これらの事業を興していくという視点もまた必要ではなかろうかと思うわけであります。そういうものがあって、またこの事業の資金枠というものにつきましてもその枠を拡大することにもつながっていくと、こう思うわけでございますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  252. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまお話のとおり異常天候に対する危険が至るところに転がっているのは確かだと思います。しかし、これはわが国のいろいろな長い間の地理的条件とか、いろんな長い間のそういう条件が非常に苦しい立場にあることは確かでありまして、それに対しまして国としてもずいぶん一生懸命にやっていると思います、各行政でも。われわれがちょっと常識的に考えましても、いまから十年前と現在とのいろんな災害防止に対するあるいは土地改良なり河川改修なり、そういうものに対する予算の規模というものはまるっきり変わっております。非常に大きなものになっております。こういう点でできるだけ努力しておりますが、まだまだ危ないのはおっしゃるとおりでございます。今後とも一生懸命やらなきゃならないと思いますが、やはりこれは国民の担税力なり国力というものと相応していかなければなりませんし、いろいろな計画は立てられておりますからそれを着実に何カ年計画というものを実行に移しまして、できるだけ危険度の高いところからこれを解決していかなければならないと考えております。  細かいことにつきましては、いずれ担当の局長からお聞きを願いたいと存じます。
  253. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) いま大臣からもお答え申し上げましたように、一般的な公共事業拡大、あるいは災害防止の充実といった要請はございますが、今回私ども考えておりますいわゆる救農土木事業、これは一般的には雇用機会の余り期待できない被災地における被災農家、それにさしあたっての現金の収入の機会を確保するということを趣旨としているわけでございます。それと同時に、単に農家の現金収入を確保するというだけでなしに、恒久的に冷害防止効果、それを初めとする農林業の基盤状況整備ということもねらっているわけでございます。これは従来からそういうことで進めてまいっているわけでございますが、いま申し上げましたような長期的な観点から実施する規模の大きい一般事業とは、おのずから性格は区別されるものというふうに考えております。  先生、先ほどの御指摘の中で、単に救農土木事業は受け身でもって、言ってくるだけのものを調整するというだけではいけないんじゃないかというお話ございました。私どももそのように考えます。したがいまして、いま申し上げましたようなそういう性格上の差はありますが、各県から出てまいります考え方、数字を見てみますというと、その間におのずから差もありまして、中には必ずしもそれほど積極的ではないと思われるところもありますので、ほかの県ではこうだというような、要するに県間のバランスをとるような考え方で各県の意見を調整するというようなことも含めていまその作業を進めているところでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように大体めどがついてまいりましたので、そう遠くないうちに最終調整を終えて、予算規模あるいは内容等を明らかにするようにしたいというふうに思っております。
  254. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣お答えになったんですけれども、確かに予算は額的にはふえていますけれども、六万カ所もある急傾斜地の一年一年に施工しているのはわずか八百カ所なんですね。老朽ため池一万カ所ある。毎年の予算で計上されているのは二百カ所にしかすぎないんですね。まさにさいの河原に石を積むがごとき治山治水事業であると言っても私は過言ではない。しかも、公共事業のウエートも、治山治水事業はウエートとしてはむしろそう大きくなっていないわけでございます。いまお答えになりましたように、農林省サイドで将来計画と結びつけた一つの救農事業、もちろん所得保障ということを念頭に置きながらの対策が進められていることは私結構だと思いますけれども、これは一農林省の問題ではございませんので、できる限り国土庁、建設省とも連携をとられて一体的対策をぜひ樹立をするように、大臣としてひとつ御努力を願いたいと思うわけであります。  次に、政府は、市町村が被災農家土地、家屋に課しております固定資産税を当然減免することが予想されるわけでございますが、これらによる市町村の税収不足について完全補償の措置を講ずべきではないか、こう思います。聞くところによりますと、十二月中に特別地方交付税一千億、来年三月に残二千億を交付するという政府の方針であるということは聞いておりますけれども、災害の復旧、そして冷害、災害による農家の減収による税の落ち込み、これらを考えますと、果たして現在の三千億という地方特別交付税の枠内で地方財政のへこみを完全に補償するということができますかどうか、お考えを聞きたい。
  255. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) お答えいたします。  今回の災害とか冷害に関しまして地方税を減免する、それに対しての財政措置の問題でございますが、御案内のように、激甚災害の場合におきまして、いわば被害額の著しい地方公共団体につきましては、一定の要件に該当をいたします場合において歳入欠陥債というものの発行が認められることになっておりますし、その元利償還費の一部は地方交付税で措置することといたしておるのは先生も御案内のとおりだと思います。このほか、災害や冷害に伴う地方税の減免による税収減につきましては、かねがね申し上げておりますように、その実情等を勘案しながら特別交付税の配分において配慮するという考え方でございます。特別交付税総額は、ただいまもお話のように三千百億程度でございます。もちろん、災害などだけに特別交付税というものは振り向けるわけではないのは御案内のとおりでございますが、過去の経験といいますか、そういうものに照らしましても、特別交付税の総枠自体においては十分対処し得る、このように考えております。
  256. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生省にお伺いしますが、国民健康保険料または税、これの減免もまた予想されるところであります。特別調整交付金の交付を行いまして、国民の健康を守る国民健康保険制度がその阻官を受けることなく運営されるように、当然手厚い助成を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  257. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) 特別調整交付金は、低所得者に対する減税を行った場合にその穴を埋めるということ、それから次に、災害その他特別の事情がある場合に交付することになっているわけでございます。災害が特別調整交付金の交付の際に最も先決を要する理由の一つになっているわけでございまして、私どもといたしましては、冷害による被災農家に対し市町村が条例により減免を行った場合には的確にその穴を埋めるという措置を講じて、国民健康保険財政の運営に遺憾ないように期してまいりたい、かように考えております。
  258. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、国務大臣としてこれはお願いをしておきたいんですけれども、いまお聞きのような答弁がございました。しかし、今回の災害の程度は相当深刻でございます。果たしてこの地方税のへっこみ、国民健康保険のへっこみというものが、現在の予算枠でこれは完全に補償すると言われたのですけれども、これが可能かどうかということにつきまして、私は頭の中で計算しますとやや問題を残すのではないかという印象を持っております。国務大臣として、これは所管事項ではございませんけれども、ひとつ関係大臣と十分お打ち合わせをしていただきまして十分な配慮がとられるようにお願いをしておきたい、こう思います。
  259. 大石武一

    国務大臣大石武一君) かしこまりました。
  260. 柄谷道一

    柄谷道一君 それから次に、気象庁が四十九年三月、いわゆる異常気象白書を発表いたしました。今後十年間、わが国では異常気象現象が続発するであろうという、いわば危険予報を行ったわけでございます。私は、気象の変化に迅速に対応する技術指導を強力に推進する、いわゆる産業気象体制の確立ということはまさに喫緊の課題ではないかと、こう思います。私は、気象庁との有機的な連携体制の確立強化、適地適作の徹底と、それを可能とする奨励助成や、価格政策を含めた要件の樹立、水稲優良品種開発、栽培技術の確立など、いわゆる農作物冷害回避の恒久策を確立することこそ今回の冷害が残した最大の教訓ではないかと、こう思うわけでございます。農林省は、昭和五十一年度を初年度とする異常気象対応技術の確立に関する総合研究開発、いわゆる五カ年計画を策定されまして、五十一年度初年度は一億五千万の予算を計上されていると承知をしております。しかし、私は今回の冷害という事態を踏まえるならば、この恒久策の確立のための予算は果たしてこの程度のものであっていいのかどうか。もちろん、これは金さえあればいいという問題ではございません。これに対応する研究体制の整備が必要であることは当然でございますけれども、もう一度この五カ年計画を洗い直して、より充実し、より早期にこれらの対策を樹立するための政策の確立というものが必要ではないかと、こう思うものであります。いかがでございますか。
  261. 川田則雄

    政府委員(川田則雄君) 農業生産におきまして気象が非常に大事だというお話は、先生のお話のとおりだと思います。最近、気象庁も非常に詳細な気象予報を出すようになっております。たとえば暖候期の気象予報といいまして四月から九月の気象予報を三月に出す、あるいは三ヵ月ごとにその三カ月間の気象予報を出す、また毎月の気象予報を出すというように、非常に丁寧な気象予報が出るようになってまいりました。これを受けまして私たちは、いかにこの予報を消化して末端まで正しく伝達するかということが非常に重要だということから、昨年度から気象庁と農林省とで農業気象協議会というものをつくりまして、詳細に先方から説明をお聞きすると同時に、その気象を農業面でどう反映するかというようなことについて努めてきております。これは全国段階だけではだめでございますから、地方農政局単位でも管区の気象台と同時にそういう経路が持たれるようなこともやっております。今後、気象というのはそういうことで非常に重要でございますから、こういうような場を一層強化するように努めてまいりたいと思っております。  なお、本年の冷害のお話でございますが、これも非常に気象条件がシビアであった。たとえば八月の気象が……
  262. 柄谷道一

    柄谷道一君 簡単にしてください。
  263. 川田則雄

    政府委員(川田則雄君) シビアであったというようなこともございますけれども、やはり恒久対策としては、御指摘のとおり農業基本的な問題、たとえば品種の育成の問題だとか、あるいは栽培技術の改善、あるいは基盤整備の改良というようなものが非常に重要なものでありまして、今後ともそれの強化に努めてまいりたいと思います。  なお、試験研究のことがございましたけれども、試験研究は別枠研究でやっておりますが、東北北海道の試験研究というのは冷害が基盤になった試験研究でございますから、その上にさらに別枠研究をかけておるということで、全力を結集したというような形になっておりますので、今後ともその促進に努めたいと思います。
  264. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、十月四日大臣官房技術審議官室が「北日本を中心とする本年の水稲冷害について」ということで中間報告をされております。それによりますと、たとえば山間高冷地や冷水掛かり水田、不良な苗を適期を過ぎて移植した圃場、追肥料の多かった圃場において遅延の程度が著しかったとか、機械植えと本年の冷害との関係についてとか、それから品種、特に銘柄米と冷害の関係についてとか、非常に示唆に富んだ中間報告をされております。また、その中に、ここ数年、冷害に遭遇した経験が乏しく、さらに、昨年の史上最高の大豊作の翌年ということも影響したために、適品種の選定、健苗の育成、適期移植、施肥等の肥培管理、水管理等の基本的な技術の励行が現場では必ずしも十分に行われていなかったというきらいがある、こういう点の指摘もされております。それで、これらはまだなお中間報告であるので、今後の徹底分析を促進するとともに、次年度以降の稲作のための指導方針を確立をしなければならぬと、こう結んでいるわけでございますが、私はこれはまさに必要な事項であると思うのでありますが、特に、いま私が当初指摘いたしました総合研究の充実促進とあわせて、この中間報告の内容をさらにしさいに徹底的に、しかも早期に分析をされまして、明年度あるいは再び襲ってくるかもしれない冷害に対して適切な指導、そしてその体制というものについてぜひ大臣としての御努力を期待をいたしたいと、こう思うわけでございます。
  265. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまの御意見は全く適切な御意見と私思います。そのように努力してまいります。
  266. 柄谷道一

    柄谷道一君 先日、東北の農民が冷害のため自殺したということが新聞紙上報道されておりました。私はその背景には、農業希望を持って、冷害による生活と経営の危機に耐え抜く気力さえも農民に呼び起こせなかった政府の農業政策の貧困というものが存在することを、私は無視できないと思うのであります。  したがって、私は、この際政府に対しまして万全の救済対策を強く求めますとともに、農民が今日の深刻な危機を乗り越えて、将来に明るい展望を持って食糧生産に従事し得る農政の確立、そのためには基本的事項についてなお若干の質問をいたしたいと思います。  その第一は、ネコの目行政についての責任の問題でございます。政府は、莫大な穀物過剰在庫を抱えたアメリカ、カナダを初めとする国際市場を背景といたしまして、昭和三十六年に大豆の輸入自由化に踏み切りました。そのために国内産は現在自給率四%に落ち込み、まさに壊滅的な状態に陥ったと言うことができると思います。また、一昨年以来穀物が国際的に不足傾向に転じますと、小手先の増産対策を進められておるわけでごいます。米につきましてもいわゆる過剰問題が発生しますと、需要増大作物への抜本的な稲作転換対策を講ずることなく、安易な減反奨励金を農民に押しつけまして減産を強行いたしました。このように、私は単純な経済合理性のみを優先させまして、農業食糧の自給の哲学というものを欠いた農政が日本農業を荒廃させたばかりでなく、農政に対する根強い不信感を植えつけたために、均衡のとれた各種食糧の自給化推進について農民の支持と協力を得られないという事態をもたらしたのではないか、私はそう理解しておるものでございます。したがって、私は農民の信頼回復が食糧自給化の出発点であると、そういう認識を持っております。従来の農業政策の誤りを率直に認めて、食糧自給度の維持向上を不変の原則とする農政の確立こそがいま必要な時期である、こう私は考えます。大臣の所見をお伺いをいたしたいと思います。
  267. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまの御意見は非常に貴重な御意見だと拝聴いたします。  私は、いままでの農林行政がどうであったかこうであったかということは一切申し上げることは差し控えたいと思いますが、ただいまの御意見は非常に貴重な御意見だと十分心に命じまして、これからの新しい農政の方向に進んでいきたいと思います。  おっしゃるとおり、農民の政府に対する、あるいは農業に対する信頼を高めるということがやはり一番大事な問題だと思います。そういう意味では、やはり先ほども申しましたが、農民が農業の将来に希望を持つような農政でなければだめだと思います。そして、農民が希望を持てば情熱もふえてまいりましょう。そうしてまた同時に、農業に専念することによってりっぱな生活確保されるというような方向に農政を向かわせることが、いま一番大事な問題ではないかと私は思います。  どのような具体策があるかと言われますと、それはなかなかむずかしい問題で、一つ一つの問題だけで解決いたしませんが、そのような物の考え方で農林省が一体となって努力していけば必ず新しい方向に道が開けていくと、こう信じておるわけでございます。
  268. 柄谷道一

    柄谷道一君 第二番目は、農業の生産基盤の整備についてであります。  私は、最近の農業技術、機械の高度化に対応いたしまして、これを受け入れる生産体制整備、すなわち農地開発、生産基盤整備等が必要であると思うのでありますが、これまで見るべき成果が上がっておりません。零細な経営に過大な機械投資を促進いたしまして、機械化貧乏という現象すら生み出しております。したがって、私は、政府はこれまでのあり方を根本的に洗い直しまして、たとえば全額国庫負担による農用地の積極的な開発、経営の成り立つ一定規模を備えた農地供給政策を講ずるべきではないかと。また、農業基盤整備事業は、こうした農地開発が柱とならなければ農業振興本来の意味を持たないのではないかと、こう思うわけでございます。大臣いかがでございますか。
  269. 大石武一

    国務大臣大石武一君) これは順序がいろいろ逆になりますけれども、国の大きな資本をもととして農用地を開発せいというお話は、私まことに結構だと思います。ことに、私はこの問題は畜産関係においてこの仕事はやらなきゃならないと思います。これからの日本の畜産を発展させる——将来は畜産というものは非常に発展しにくい要因を持っております。そういうことで、この日本の畜産をこれからりっぱに維持をさせ、むしろ発展させるためには、やはり何としても私は国内で草地を造成してできるだけの華を生産することが一番大事な基盤だと思います。そういう意味では、このような草地を中心にした農用地の開発につきまして、やはりこれは国の資本でなきゃできません。これは、とても個人や団体の資本ではとうていできませんので、当然いまのおっしゃられるような方向で進んでいきたいというのが私の念願でございます。  それから生産基盤の問題、これはいま一生懸命に進めておりますが、大変です。機械化の問題も全くこれは同感でございます。
  270. 柄谷道一

    柄谷道一君 もう時間がありませんので、私は、さらにそのほかに、一つは農業後継者問題があると思うのでございます。新規学卒者の就農が年々低下をいたしまして、昨年度は一万人、就農率三・二%を下回ってきております。これは解決するためには、私は農地制度の改善はもちろん、農村に対する社会資本投下の拡大等に対して、より国が力を入れることが必要だと思います。  第四番目には、食糧基本法の制定問題でございまして、私は、死文化した現行の農業基本法を抜本的にこの際洗い直すために、総理大臣の私的諮問機関として、国民的な規模で構成する国民食糧会議を再び開催をいたしまして、現行農業基本農政の是非、食糧基本法制定の必要性の有無などにつきまして具体的な検討を求め、食糧自給度の向上に対する国の基本政策と国民の合意を形成することがいま強く求められていると、こう思うのであります。  三木内閣は俗に短命内閣と言われておりますが、農政に深い関心を持ち、かつ、本日抽象的ではありますけれども力強い意欲を示された私は大石大臣は引き続き農林大臣を担当されるものと期待をいたしておりますけれども、これらの二点について大臣のより積極的な御意向をお伺いし、かつその実現のために全力を尽くされることを期待をいたしまして、これで質問を終わりますが、いかがですか。
  271. 大石武一

    国務大臣大石武一君) この農業基本法につきましては、現在の農業基本法を私は根本的に変える必要はいまないように思います。ただ、基本法はこれは憲法みたいなものですから、私はよく読んでみましたが、これはこれで結構りっぱな、いまの時代に通用するものと考えております。  ただ、国民の合意を得るための、将来のいろいろな問題を検討を仕合う国民食糧会議というような形のものは、こういうものはこれはあっても結構だと思います。やはりこういうものは形だけでなくて、有識者、本当のこれに対するそれらの資格のある人に集まってもらいまして相談することは非常に結構なことだ、こう思います。  それから後継者の問題でありますが、後継者を養成するためにはいまいろいろの努力をいたしておりますが、これは非常に大切なことでございます。しかし実際にはこういうことは、私はある農民に言われたのでありますが、後継者の養成に苦労するような農政ではだめですよと言われたことがございます。全くそう思います。ですから、いまの段階では、私はやはりこういう努力はしなきゃなりませんけれども、農民が喜んで農業に働けるような方向に農政を向けなきゃならぬ。それでなければどうしたって後継者は続かない、こう考える次第でございます。
  272. 柄谷道一

    柄谷道一君 よろしくお願いします。
  273. 鈴木省吾

    理事鈴木省吾君) 他に御発言もないようですから、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会      —————・—————