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1976-10-14 第78回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十四日(木曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————    委員異動  十月十三日     辞任         補欠選任      上田  哲君     鶴園 哲夫君      星野  力君     河田 賢治君  十月十四日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     上田  哲君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 加藤 武徳君                 林  ゆう君                 野田  哲君                 秦   豊君     委 員                 岡田  広君                 世耕 政隆君                 寺本 広作君                 山本茂一郎君                 吉田  実君                 片岡 勝治君                 鶴園 哲夫君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       西村 尚治君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    政府委員        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        任用局長     今村 久明君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        総理府人事局長  秋富 公正君        総理府恩給局長  菅野 弘夫君        行政管理庁長官        官房審議官    川島 鉄男君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        行政管理庁行政        監察局長     鈴木  博君        防衛庁参事官   平井 啓一君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        亘理  彰君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁経理局長  原   徹君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        防衛庁装備局航        空機課長     筒井 良三君        外務省欧亜局東        欧第一課長    都甲 岳洋君        大蔵省主計局主        計官       保田  博君        厚生省援護局業        務第二課長    横溝幸四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家公務員定員管理勧奨退職週休二日  制の試行に関する件)  (行政改革基本方針に関する件)  (兵の一時恩給に関する件) ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件)     —————————————   〔理事加藤武徳委員長席に着く〕
  2. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  昨十三日、上田哲君及び星野力君が委員辞任され、その補欠として鶴園哲夫君及び河田賢治君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  4. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、この間人事院勧告が行われました八月の十日の日に、閣議決定で、五十二年度以降の定員管理についてという決定が行われたわけでありますが、この決定につきまして、主として四十四年の五月に制定されました俗称総定員法と言っておりますが、総定員法と、いまの五十二年以降の定員管理の問題、それと関連をいたしまして、週休二日制度の問題、それから勧奨退職の問題、これらについて種々お尋ねをいたしたいと思っております。  まず、この八月十日の五十二年度以降の定員管理についてでありますが、これは続いて二十四日にさらに閣議決定をされまして、五十二年から五十五年まで、四年間で三・二%、一万六千七百六十八名削減をする、これは非現業国家公務員現業国家公務員につきましては一万一千五百十八名削減する、約二万七千名の削減をするという閣議決定をされたわけであります。で、これは前にさかのぼりますが、三十七年の十月に閣議決定が行われまして、欠員補充方針が決まって、さらに続いて三十九年にも閣議決定が行われまして欠員補充の強化についてと、さらに続いて四十一年に閣議決定欠員補充継続についてと、さらに四十二年の四月一日にこの欠員補充継続についてという形で、約五年間にわたりまして欠員補充をやってまいったわけであります。五年間欠員の不補充をやってこられた。そして、四十三年から御承知のように第一次の四年計画で五%の定員削減、続いて四十七年から第二次の三年間に五%の削減、続いて五十年から五十二年の第三次の三年計画で三%、今回この五十二年を切りまして、改めて第四次の五十二年から四年計画で三・二%、こういう経緯をたどって、国家公務員欠員補充年間、さらに定員削減について約十年と、こういう経緯をたどってきておるわけでありますが、そこでお尋ねをいたしたいのは、私は総定員法というのが四十四年の五月に制定されるわけですけれども、この総定員法というのはどうしても定員削減しなければならない宿命を持っている。だから、いま申し上げたように、第一次、第二次、第三次、第四次という定員削減をせざるを得ないどうも宿命を持っていると思うんですよ。ところが、この第三次の場合に三年間三%になりましたから、定員削減が年に五千名ちょっとぐらいというふうになりまして、それに対しまして新規採用する分というのは約七千名ぐらいになる、逆転してしまったんです。それで、もう五十二年度になりますと、来年ですが、来年は三次分に入っておったんですが、二割の削減になっておりましたですから——二割というのは三年間に三%の四、四、二の割合で変更いたしましたから、そうしますと、もう三千名ちょっとの削減しかできない。それに調整定員もある。大体年間三千名程度調整定員がある。にかかわらず、一方におきましては大体七千名程度年間の新しい定員増というものがあるということになりますと、もう五十二年度にこの総定員法というものの最高限は崩れてしまう、破裂してしまうといいますか、崩れてしまうという状況にまいっておったと思うんですね。そこでということになると思うんですが、改めて第四次の問題が出てきたわけですけれども、しかし私は、総定員法を施行して八年たってきておるわけですから、さらに先ほど申し上げたように欠員補充五年、さらに定員削減を四次にわたってやってきたわけですね。で、四次で言いますと、削減した数は非現業で八万四千ぐらい、現業国家公務員がおりますから、これが約五万と、十三万四千というものがこの約十年間削減された定数になるわけでありますが、そういう削減をして、一方においては新規採用をやってくるというやり方によりまして職場実情というのは非常に変わった形になっているんですね。というのは、減りっ放しのところが相当あるわけなんです。代表的なところは農林省、それから建設省、それから運輸省のある局、それに北海道開発庁、あるいは労働省、それに小さなものを入れますと行政管理庁というように、減りっ放しで毎年毎年どんどん減っているという、そういうところもあるわけです。ですから、減りっ放しのところも年齢構成的に非常にいびつな形になっている。一体いまの職場実情というのは、定員管理はどういう形に受けとめられているのか、一体その中で公務員はどういう行政意欲を持っているのか等々再検討すべき時期であったと思うのであります。にかかわらず、その再検討を延ばしまして、そして直ちにまた惰性的に第四次の削減計画に入ったというのは私は大変不満なわけなんです。そこらのことについて大臣の見解を承りたいわけです。
  5. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 公務員定員管理経緯につきましてはただいまお示しのとおりでございますし、総定員法のもとにおきまして定員管理が厳しいと申しますか、なかなかむずかしい状況になっておりますことも御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、行政コストの節減という見地から、厳正な定員管理を行ってまいる必要がある、特に現在のような社会経済情勢あるいは財政事情のもとにおきましては、その要請が強いというふうに考えておるわけでございます。総定員法のもとにおきます行政管理につきましては御承知のとおりでございまして、公務員総数増加を抑制しながら、行政需要消長と申しますか、そういうものに応じまして、合理的に公務員の再配置を弾力的な行っていく、こういうことにあろうかと思うのでございます。そこで、ただいまお示しのように、確かに行政需要が停滞と申しますか、そういう官庁におきましてはこのところ減員になっておるわけでございますが、一方、行政需要が非常にふえております官庁につきましては、相当大幅な増員に相なっておるわけでございます。私ども定員増加各省からの要求の査定に当たりまして、いろいろと事情聴取いたしますとか、資料をちょうだいいたしますとか、そういうことによりましてできる限り勉強をしているところでございます。したがいまして、その限りにおきましては不十分であるというおしかりを受けるかもしれませんけれども各省定員管理実情につきましては相当程度把握しているものと考えておるわけでございます。確かに、お示しのように全体として欠員状況も減っておりますし、窮屈になっておることは事実でございますが、しかし、その反面、なお事務合理化あるいは機械化配置適正化等による余裕もまだあると考えておるわけでございます。  そこで、今回の第四次の定員管理計画におきましては、各年の削減率を〇・八%といたしております。これは五十年度と五十一年度は一・二%でございましたから、削減率で比較をいたしますと三分の二程度になっておるわけでございます。したがいまして、全体としてこの程度削減であるならば実行可能であるというふうに考えておるわけでございます。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は定員管理は、相手国家公務員というのは国家公務員注によって終身公務員なんですよね。ですから、非常に長期目標を持って、そして綿密に管理しておいてもらわないと困る。ところが、どうも行政管理庁やり方を見ておりますと、何かその場その場当たりの定員のの管理をやっておるというように思えてしょうがないわけですね。定員に関する法律だけでも戦後二十四年か二十五年にいわゆる定員法というのができた、天皇の官吏であった時代から初めて定員としての管理をするようになった、二十四年。それがさらに三十六年に各省設置法定員管理する。四十四年にいま申し上げた総定員法というものをつくった、改めて総定員法と言われるものをつくった。しかし、その総定員法というのはいまやもう破裂寸前という状態です。来年はどうにもならないんじゃないかと思う。ですから私は非常に一貫性がないように思うんですね、定員管理について。相手はそこにずっとおる人間なんですよ。その点に関する一貫性がない。なぜ一貫性がないのかという点について私が考えるに、行政管理庁という役所は各省から来ておられる人が非常に多い。たとえば、いま答弁なさった辻局長、ついこの間お見えになったばかりです、大蔵省出身定員を総括をしておる安原さん、これも大蔵省出身、いずれ来年か再来年はどこかに行かれるでしょう。事務次官もまた、これは小田村さん、大蔵省出身。これは後一、二年でどこかに行かれるでしょう。一年ぐらいのうちに行かれるでしょう。だから、どうも定員管理をそういう外から来て二、三年のうちに変わっていくような人がやるものだから、いま定員管理というのは非常に重要な転機にも来ているし、総定員法点検をしなきゃならぬという大事な時期に来ているにかかわらず、安易に、第四次をやればいいというような形で処理されている傾向が非常に強いんじゃないかという点を私は考えておるわけなんですよ。たとえば沖繩国家公務員、七千三百名超す人たちを、いつまでこれを政令定員で置いておかれるのか、やはり総定員法の中には当然入れるべきだ。正規の法律定員にすべきだ。ほっておられる。これ、しなきゃならない。あるいは約二万八百名ある地方事務官という政令定員、これもはっきり処理をしなきゃならない。一方において総定員法は来年は破裂寸前と、そして十数年にわたって、いま先ほど申し上げたように欠員補充、さらに定員削減というものをやってこられて、そして現在の本当の職場における実態というのは、これは年齢構成が高まっているところが非常に多いです。この毎年の削減というのは非常に大きな影響国家公務員に与えている。現在いる国家公務員ですよ、新しく入る人じゃないですよ。非常に影響を与えている。だから、そこら辺で総定員法というものをこれはやはり再検討すべき時期というのが必要だったんだと。それをしないで安易に三次から四次へと平気で移ってしまうというところに、私は行政管理庁のその場限りといいますか、御都合主義といいますか、惰性になれているというのかな、あるいは長期目標を持たない、そういうような形に陥っているんじゃないのか。だから私は、もう少し言うなら行政管理庁というのは本来の行政管理庁出身がこれはやっぱりやっていくべきだと思うんですね。もう三十年もたつんですから、行政管理庁ができてから。にかかわらず外から来た者がそれをやって、二、三年のうちにどこかに飛んで行っちまうというような形で定員管理をやられたんじゃ、これは終身公務員国家公務員はたまったものじゃない、こういう感じを持っていると思うんですよ。そこら辺について聞きたいです。
  7. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 定員管理計画は、本来長期的な見通しを持って行うべきであるという御指摘につきましてはまことにそのとおりでございまして、私どももそういう趣旨を考えまして、いわゆる第三次計画の途中ではございましたけれども、五十二年度を初年度といたします四カ年の定員管理計画を策定することにいたしたわけでございます。この策定に当たりまして、まあ安易にやったのではないかという御批判をいただいたわけでございますが、私どもといたしましては、先ほども触れましたように、各省実情あるいは職種別特殊性という問題につきましては十分考えた上やったわけでございまして、一律の削減ではないことは御承知のとおりでございます。また、確かに各省、特に特別な省庁につきましては、年齢構成のひずみと申しますか、そういうことがあるのも事実でございますが、そういう官庁につきましては、組織維持と申しますか、組織維持が可能な新規採用、これはできるように配慮しているつもりでございますし、各省別特殊性にはかなり配慮しているつもりでございます。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ私は、ついこの間来られたばかりですから、局長ですね、三ヵ月ぐらい前かな、二カ月前かね。事務次官も去年だったか、おととしだったか、局長になって来られてひょいと事務次官になられたわけだが、安原さんもついこの間来られたのじゃないのかね、そこが定員管理をやるわけですよ、全体の。これじゃ困るんだな。私は、いまのたとえば国家公務員の五十万、現業の三十七万、国家公務員、その管理をするのに行政管理局の三十数名でできるわけがないです。これで何ができるかというんですよ。一体その職場においてどういうような状況になっているのか、定員管理やり方がですね、そしてそれがどういうような行政意欲にはね返ってきているのかという点等についてもできるわけないと思うんですね、この三十何名で。そう言ってぼくが文句をつけたら、そうしたら監察局行政管理局調査なんかの仕事をやらせるようなことになったんですけれども、大体できっこないですよ、これ。だから、結局頭ごなしに第一次だ、第二次だ、第三次だ、第四次だということでやっていかざるを得ないと、こういうことになるんじゃないでしょうかね。なお、私は安易と申したのは、どうせ来年には総定員法というのはだめになってしまう。この七千三百二十九名という沖繩国家公務員、これはどうなさるおつもりですか、いつまでも政令定員で置いておくんですか、これはやっぱり法律定員にしなきゃいかぬでしょう。それならいまの総定員法なんというのは、これはもう破裂してしまうですよ。どうにもならない。だからそこら辺のところを聞きたいですね。
  9. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 沖繩県に置かれております国の行政機関職員定員につきましては、ただいま御指摘ございましたように、総定員法規定にかかわらず別に政令で定めるところによるものとされているわけでございます。この理由は、改めて御説明するまでもございませんけれども沖繩県におきます国の行政需要がほぼ安定いたしまして、本土の定員一体的に管理をいたしましても支障がない、そういう状況になるまでの閥は総定員法と切り離して別に管理することが適当であるという判断によったものと承知をいたしているわけでございます。したがいまして、これをどうするかという問題につきましては、今後検討していかなければならない問題でございますけれども沖繩県におきます国の行政需要の推移でございますとか、あるいはいろいろととられております沖繩特有特別措置、それのあり方、そういうもの、あるいはその他の事情も十分見きわめた上で慎重に対処してまいりたいと思っている次第でございます。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、いまの沖繩の七千三百名の政令定員、まあ当分の間となっている、いま局長のお話のような点。しかし当分の間というのは、この地方事務官制度については三十年近くになっているんですね。そんなやり方では、これは沖繩国家公務員、当分の間といって、五年もたっていつまでも政令定員でほっておかれるということはおかしな話ですよ、定員管理としましてはですね。明確なやっぱり考え方を持たなきゃいけないと思うんですよ。それはぼくはやっぱり、二、三年で行かれるものだから、どうもその場その場の処理に終わっているんじゃないかと思うんですね。もっとやはりきちっとした定員管理というものをしてもらわなければ困るというふうに思うんです。  そこで局長に伺いますが、四十四年に制定されました総定員法というのを検討すべき段階にきておるのではないかという点についてはどうお考えですか。
  11. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 先ほど申し上げましたように、八月に閣議決定をいたしました第四次管理計画に基づきまして、国家公務員定員配置合理化を一層推進してまいる、そういうことによりまして五十二年度におきましても、総定員増加の抑制は極力図ってまいりたいと考えておるわけでございます。一方、新規増員につきましては、各省庁の要求を受けましてただいま検討中でございます。したがいまして、五十二年度におきます新規増員の的確な見通しを申し上げる段階に立ち至っていないわけでございます。そこで、総定員法の取り扱いにつきましては、このような新規増員検討結果を待ちまして、来年度の予算編成の過程におきまして最終的に方針を固めることといたしたいと考えておる次第でございます。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 最終的には、ことしにはほぼ見通しがつくだろうと思うんですが、来年には総定員法というのはやはり再検討しなきゃならぬというふうに思うんですよ。ただ、私の言いたいことは、一年延ばしただけだと、私はそう思っているんです。局長はどうお考えですか、一年延ばしただけじゃないですか。もう破裂寸前ですよ。破裂するですな、この五十二年度で、今度の定員の関係で。それを一年延ばしただけの話、あなたのときにやらぬだけの話、次の人はこれを引き受けざるを得ない。あるいはこの四年間に三%という割合を変える、閣議決定では均等に割り当てています二五%ずつというやつを、だばっと前の方に五〇%ぐらい持ってこなきゃいかぬ、あるいは四〇%持ってこなきゃいけないというようなことで、もう一年延ばされるかもしれない。しかし、それでも追っつかぬでしょう。ぎりぎりいっぱいのところに来ていると思うんですね。そこで私は、総定員法のそういう再点検の時期に来ている、再検討の時期に来ていると。そして、先ほどから申し上げているように、局長も御存じのように三十七年から五年間にわたって欠員補充をやってきた、その後また約十年にわたって定員削減をやってきた、その結果一体現場職場はどうなっているのか、公務員職場一体どうなっているのかということを総点検をして、そして根本的な再検討を、定員管理というもののあり方をこれは決めるべき段階に来ているんだと。それを一年延ばしただけだと私は思っているわけです。あなたのときにやらぬということだけの話だ。  そこで、私はこの総定員法というのはどうも間違いだという感じを持っているんですけれどもね。三十数名で定員管理をやるというのがどだい無理な点もありますけれども、それに幹部がちょろちょろちょろちょろ出たり入ったりするという点もあると思うんですが、どだい無理だと思うんですね。ですから、本来、三十六年に定員というのを各宵の設置法の中で規定をしましたね、あれがやっぱり正しいと思うんですね。つまり行政機構行政組織、そして行政所掌事務権限、これとの関連定員というものを管理する、これが本来の私は定員管理だと思うんです。それがいまの行政管理庁実情からはできない、不可能な面が非常に多い、そこでこういう総定員法というようなものになったんだと思う。本来は、定員というものは、いま私が申し上げたように各省所掌事務権限行政機構組織、これと一体のもののはずだ。それと切り離して総定員法というようなものをつくってやるから問題が非常に起きているんじゃないでしょうか。それだけではなくて、毎年削減計画をつくらなきゃいけない、これは宿命ですわ。それが現在おる国家公務員にとっては非常な大きな圧力ですよ。いい意味圧力じゃない、これは。非常に悪い意味圧力になっている。そういう意味で、私は三十六年当時の各省設置法の中で定員というものを管理するというやり方が本来のたてまえじゃないかと思っていますけれども、その点について局長の答弁を求めます。
  13. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 定員管理制度あるいは行政機構管理制度あり方につきましては、いろいろと御意見、御議論のあることは十分承知をいたしておるわけでございます。ただいまお示しのように、かつて設置法定員を決めた時代もあったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在の総定員法考え方なり仕組みと申しますものは、国家公務員定員総数増加を抑制しながら、その中におきまして行政需要消長に応じて合理的な配置を、弾力的にあるいはまた機動的に進めていくということにあるわけでございまして、このような考え方なり仕組みというものにつきましては、私ども適切なものではないかというふうに考えておるわけでございます。機構と定員管理につきましては、管理あり方が違うという考え方も成り立つわけでございまして、定員につきましては、機構に比べて行政事務量の変動によって動く割合が非常に大きいわけでございます。そういう点から考えましても、現在のような一つの制度あり方は適切なものではなかろうかというふうに考えております。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 本来定員というのは、これはもう言うまでもなく、かつて行政管理庁が非常に三十六年当時主張されたように、それは各省設置法、その前に各省が持っておるところの行政組織行政機構、そして権限所掌事務、その関連において定員というのは決まるべきなんですよ。しかし、それを管理する能力は行政管理庁に非常に少ないんです。それは改むべきですよ、そういうものを。だから、そういうことをやらないでおいて定員管理をやるから、各省設置法所掌事務権限というものは空洞化してくるんですよ。設置法そのものを変えればいい、定員も変えてくる、それが本来の私は定員管理あり方だと思う。この総定員法というのは全くのいまの行政管理庁の大変人間の少ないやり方で、しかも、何といいますか、幹部がちょろちょろ出たり入ったりするような中でやる。総数だけ抑ておいてあとは適当にやってしまうというような感じやり方では、これは終身公務員国家公務員にとってはありがた迷惑な話ですよ。各省設置法設置法で、これは空洞化してしまうですよ。本来はそうじゃない。総定員法じゃなくて、これは改めてそして各省設置法の中で規定をする。いまの自衛隊の定員と同じですよ。かつてはそういうふうにしておった。きちっとしなければならないですよ、これは。だから先ほど局長がおっしゃったように、来年、ことしの定員——五十二年度の定員状況を見て、そして検討しなければならぬというお話ですから、そういう方向で検討してもらいたいと思うんですね。総定員法というものを根本的に検討してもらう。それで、行政監察の人員を管理局へ移したっていいじゃないですか、管理局は三十何脅しかいないんだから。監察局は千四百ぐらいおるんじゃないですか、千三百ぐらいか。その中の相当数のものをこっちへ移したっていい。もっと言うなら、私はもう行政管理庁組織についても言いたいわけです。行政管理庁設置法からいって、いまの一体行政管理庁といったら何やってるんだと言いたい点もある。だけれども、そこはこれでおきますが、要するに三十何名で定員管理するのじゃなくて、もう少し監察局の方から定員を持ってきてもいいじゃないですか。そして、いま言った各省行政組織、機構、そして権限、分掌事務、そういうものとの関連定員管理するというふうにしてもらわなければ。もし不必要であるとするならば設置法の中の権限なり所掌事務を排除する、こういうことをやるべきじゃないですか。それと別に定員管理するというやり方は、本当の大づかみの上の、ぼこっと定員管理しているだけにすぎない。本来のあり方じゃないと私は思っております。ですから総定員法点検する時期に来ている、再検討する時期に来ているから、そういう方向でひとつ検討してもらいたいという点を申し上げたいわけです。
  15. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 私ども管理能力につきまして厳しい御批判をちょうだいしているわけでございますが、先ほど来お答え申し上げておりますように、私どもといたしましては私どもなりに努力をいたしまして、各省庁の定員管理実情の的確な把握に努めているところでございますけれども、今後とも一層努力をいたしまして、御批判を受けることのないように努めてまいりたいと考えております。  それから、総定員法の問題でございますが、先ほどお答え申し上げたように、ただいまの段階では新規増員につきましての的確なめどがつきませんので、具体的にどうするかということをお答え申し上げる段階ではないのでございますが、なお、今後予算編成の過程におきましてどういうふうに具体的に取り扱ってまいるかということにつきまして、諸般の事情を勘案いたしながら慎重に検討してまいりたいと思っております。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ伺いたいんですが、今度第四次の削減をやられるわけですが、一万六千何がし、そうして五現業で一万三千何がし、合わせまして二万九千、約三万近い削減計画を出されたわけですけれども、私はこの削減は、これは間違いだと思うんですけれどもね。従来、行政管理庁というのは、不況のときにはできるだけ定員削減をしないという考え方だったんですよ。というのは、不況というときになりますと、どうしてもこれは私企業の方が、民間の企業の方が、新聞によりますとぜい肉削減というふうな形で削減してくる。百万を突破すると。七カ月、八カ月も百万を突破して、やっと百万を切れたと思ったらまた八月には百万を突破したという状況、そういう状況の中で、さらに国家公務員のいま言ったように三万近いものを放出をしていくというような考え方は、これはとるべきじゃないと私は思うんですけれどもね。従来行政管理庁はそういう考え方だったんでしょう。それがいまはのべつ幕なしですよ、三十七年以来、景気がどうであろうと不景気がどうであろうと。とにかく労働市場ということを考えた場合には、当然そういう配慮を政府は行うべきだと思うんですね。そういう話をしたら、いや民間は欠員補充をやっているとか、新規採用をストップしているとか、何とかかんとかいろんなお話があった。そんなことは国家公務員の場合は三十七年からやっておる話だから、こういう削減の仕方というのは私は今回はやるべきでなかったと思う。それを、私企業の方も労働市場に対して高年齢者を出していく、政府も今度は労働市場に対して約三万という、これは国家公務員だけについてですよ、国家公務員だけについて。同じようなことを地方公務員もやれと言っておられる、あるいは公団、公社にもやれと言っておられる、大変なものを労働市場に放出していくという、そういうやり方は、これは従来は行政管理庁はやっていなかったんです。今回はそういうやり方をやられる。これは間違いだと思うんです。どう考えていらっしゃるか、大臣に聞きたいんです。
  17. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 定員削減は、鶴園委員承知のとおり毎年度の欠員を保留いたしまして、これを翌年度の定員から削減するという方式をとっておるわけでございます。したがいまして、当然でございますが、いわゆる人員整理、出血整理を考えておるものではないわけでございます。ただいまいろんな考え方をお示しがあったわけでございますが、やはり国家公務員定員管理というのは引き続き厳正にやっていくべきものであると思っておりますので、それと全体としての雇用政策とはおのずから次元が異なるものではないかと思っておるわけでございます。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 定員管理をし、定員の総合調整をやっておる役所がそういうような考え方を持っておられては困るんですよね。私は長い間行政管理庁とつき合っているわけですよ。行政管理庁の従来の考え方というのは、不況の時代にあってはそういうようなやり方はやらない。できるだけそういうものは抑えていくという考え方。ところが、高年齢者をどんどん押し出していくことになるんです、これは。高年齢者を国家公務員だけについて三万というものを押し出していくことになるんです。だから、私は雇用の関係から言うなら、雇用の関係について、これは当然行政管理庁としては定員管理しておられるのですから考えていくべきものだと思うんです。安易に流れて、ただ、いままでやってきたからこれからもやるんだと、四次をやればいいというような感じでは私は困るというふうに思っているんです。これから急速に高年齢層の時代、高年齢社会に突入していく。いまや高年齢層の大変な受難の時代になってきているんです。そこへこれから四年計画でまた大変な数を押し出していくわけです。そういうやり方は私は政府のとるべき考え方じゃないと思うんです。  そこで、これとの関連勧奨退職の問題についてちょっと聞きたいんです。この勧奨退職というのは、退職金の中に、勧奨による退職というふうな言葉が使われておって、俗称勧奨退職と言われている。ですが、この年齢を少し引き上げていくという考え方はないですか。これは定員管理とのうらはらの関係にもなるんですけれども、少し引き上げていくという考え方はないのかどうか。なお、国家公務員というのは終身公務員ですから、でありますから勧奨を受けても拒否しても何ら差し支えはないわけですね、権利として持っている。勧奨をけ飛ばしても構わない。拒否しても構わない。  そこでもう一つ、この間の新聞によりますと、これは全国紙の一つの新聞なんですけれども勧奨退職を進めるめに、要するに勧奨を拒否した場合に国家公務員に制裁法案を考えている。つまり、拒否した場合には退職金を減らす、三割か五割減らすというような国家公務員に対する制裁法案を考えているというような話が報道されておるわけです。これは全国紙の一つの新聞ですけれども、報道されている。こういう法案が出るなんというのは私は国家公務員法というものを無視していると思うんですけれども、そういう点について考え方を聞きたい。
  19. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 先生御承知のとおり、勧奨退職につきましては現在各省各庁の内規あるいは運用によって行っておるものでございまして、統一的な基準というものは公務員全体には別にないわけでございます。また、いま御指摘のように、勧奨に応ずるというようなことは職員の選択に任せている状態でございます。こういった実情におきまして、現在公務興の中に占めます五十五歳以上の高齢職員の占める割合というのは九%になっておりまして、これは毎年その比率は上がってきている現状でございます。で、今後、経済社会全体の高齢化ということがある中におきまして、勧奨退職についてどう見るかということでございますが、いま申しましたように、一般的傾向といたしましては、この年齢の高齢化ということは進んでいるような状態でございます。  現在、勧奨退職の大体範囲でございますが、一番若いところで五十五歳でございますし、上でございますと六十五歳ということでございます。で、五十五歳というのは非常に省庁の数で申しましても少なくて、六十歳というところが多いわけでございます。また、行政職(二)、あるいは医療職といったようなものにつきましては、さらに勧奨退職の年齢が上がっているという実情でございまして、これは一般の民間との問題もいろいろあるわけでございますが、もう一つ私たち人事を預かっております者としましては、いわゆる長期人事計画の問題でございますが、終戦後に採用を多くしたということもございまして、中ぶくれの問題と申しますか、もういまは中ぶくれと申しましても一番多いのは四十六、七歳の年齢になっておるわけでございまして、こういった方々の今後の人事管理として、全体としてどう見ていくかという問題がきわめてわれわれといたしましては、いわゆる高齢化の問題とともに、またいわゆる行政能率の向上あるいは若い人の行政意欲の向上といったいろいろな面から、長期的に検討していかなきゃいけないと思いまして、現在すでに関係省庁とも寄り寄りこの問題については検討を進めている現状でございます。ちなみに、いわゆる勧奨拒否に退職金削減と、一部の新聞でございましたが、「国家公務員に制裁法案」とございますが、退職金を預かっております人事局といたしましては、現在そういったことはまだ検討いたしておりませんし、現在におきましてこの新聞報道というものについては全然承知いたしておりません。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 勧奨退職各省庁それぞれの立場から行われている、そしてその年齢というのが漸次上がってくる傾向にある、それはそのとおりだと思います。おっしゃった六十三歳あるいは六十五歳というところもあります。これはまあ行政職俸給表の(二)ですね、行(二)の場合にあるわけでほかにはないですね、六十越しているというのは。で、行政職俸給表の(二)の場合には中途採用が非常に多いものですから、ですからやはり二十年という年金がつくまでというような考え方もあって、それから、なかなか採用しにくいという点もあって、そこでいまお話しのような六十五歳というところも行政職俸給表の口については実際問題としてあるというふうに言えると思うんです。私は、これからの高年齢社会へ急激に突入していくという段階にあって、この勧奨退職の年齢というものをある程度もう少し引き上げていくというような政策が、傾向としては進んでおりますけれども、やはり政策としてそういうものを考えていく必要があるんではないかという点を考えておるわけなんです。  そこで、いまお話しの制裁法案といいますか、勧奨に応じない場合に国家公務員に対する制裁法案で退職金を大幅に削るというような考え方は持っていないと、検討していないというお話ですが、当然だと思います。そんなことされたらたまったものじゃないです、国家公務員は。  そこで、あと十五分ちょっとしかありませんから、次にもう一つ、やはり定員管理の側面になるわけですが、週休二日の問題についてお尋ねしたいんです。  まず、人事院ですが、この週休二日に対する人事院の態度というのは、もうこれはどう表現していいのか、むちゃくちゃでござるという感じですね。まあ四十八年に人事院が勧告及び報告の中でこの週休二日については非常に明確な態度をとっているわけです。つまり、四十八年の勧告と報告ですが、この中では、週休二日制を五十年には「半数の事業所が週休二日制を実施することとなる。」と断定をしているんですね、「こととなる。」という言葉を使っているでしょう。断定しているわけですよ。相当自信がおありになったんでしょうな。まあ事実そうなったんだから。自信を持って言われたわけですが、四十八年に「こととなる。」という断定をして、そして「週休二日制の採用考えるべき段階に達した」、そこで本院は「当面昭和五十年実施を目途として具体化についての検討を進める」、これは四十八年、まさに自信たっぷりなんですね。ところが、その翌年四十九年の八月の人事院の勧告と報告の中で、人事院は、言ったとおりにもうすでに四十九年で半数を優に突破した。五八・八%に達している。このままでいくというと、五十年度には六四・四%が「実施することとなる。」と、これも断定して、そこで「隔週又は月二回を基準とする週休二日制の実施を目途」に「試行についての計画を策定」したい、進めたい、こう言っておるんですね。続いて翌年の五十年、これになるというと、五十年には四十八年に言ったように六七・四%に達したと。ところがこの五十年になると、当面五十一年初期より試行計画を具体化すると、変わっちゃったんですね、四十八年は五十年を目途に実行するということなんです。ところが、五十年になってみたところが変わちゃって、五十一年初期より試行計画を具体化する。さらに大幅に後退をして、五十一年のことしの勧告と報告の中では、六八・九%に達したと、「今秋より試行計画が具体化されることとなった」ということで喜んだような感じですね。四十八年から四十九年、五十年、五十一年間のこの週休二日に対する人事院のとった態度ですね、これは政府との相関関係にあると思うんですけれども、まことに私は、人事院というのは、これはまあ言う言葉もないぐらいに落っこっちゃったという感じです。私はゆうべこの勧告のところを見ながら、四十八、四十九、五十、五十一、四年間のこの勧告と報告の中の週休二日のところを見ながら、人事院というのは昭和二十九年から三十四年までの、暗い谷間とぼくら言っておるのですが、あの段階に人事院があるんじゃないかと、これはだらしがないじゃないかという感じを持っているのですけれども人事院総裁のひとつ見解をお聞きしたいですね。これだけ後退してしまってどうなさるおつもりなのか。  なお、これについて政府の見解を聞きたい。これは政府との相関関係にあるんだろうと思うのですが、政府の方は何でこんなふうにさぼったんですかね、五十年におやりにならなかったのか。おたくがおやりにならぬものだから、人事院の方はだんだん折れちゃってみっともないことになっちゃった。政府の考え方もちょっと聞きたいですね。
  21. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) いま御指摘になりましたような経過でまいっておりますことは、まさしくそのとおりでございます。その間の人事院の態度について御批判がございましたが、いろいろ見方によりまして、そういう批判というものも見当外れとは私たちも思っておりません。事実四十八年に初めてこの問題を取り上げましたときには、世界の各国の情勢ということもございますし、さらに、わが国においても民間において週休二日制というのが非常に目覚ましい普及を示し始めたという状況が目立ってまいりまして、公務員についてもこの問題を取り上げるべき段階に来たという判断をいたしたのでございます。率直に申して、当時の見通しといたしましては、まあ五十年から完全実施という言い方はいたしておりませんけれども、目途というような感じを出しましたのは、やはり当時の情勢からいたしまして、この週休二日制の民間への普及というものはさらに目覚ましい状況で進むのではないかという見通しがあって、その判断のもとにこの問題に対する態度というものを考えておったことは、これは事実であろうと思います。そういう意味から申して、当時の思惑というようなものと違って、若干後退をしているのじゃないかというような御指摘も、これはごもっともな点もあろうかと思います。ただ、私たちの考え方といたしましては、公務の執行というものは、国民相手行政のサービスをやっていく仕事でございます。無論、週休二日制ということは公務員の勤務条件の改善ということにかかわる問題でございますからして、われわれの立場といたしましては、やはり人並みのことは当然やっていかなければならぬという態度で来てはおります。ただ、それと並行いたしまして、行政サービスの低化を来すというようなことになっては、これはまた大変なことでございます。したがって、その方面への配慮というものは、やはり徹底した検討をして対策を講じてやらなければならぬという前提に立ったわけでございます。そのためには、やはりどうしても一遍試行をやって、トライアルをやってみるということがぜひとも必要であろう。トライアルの段階においてどういう問題点が出てくるかということをよく調べまして、これに対する対策を用意をいたして、しかる後にやるべきか、やらざるべきか、いつからやるのか、どういう形態でやるのかというようなことについての最終的な判断を下すのが事柄の性質上適当であろうというふうに判断をいたしまして、昨年の段階では、本年の初期から試行に着手をしてもらいたいということを申し上げたのでございます。また、これについては先生も御承知のように、その後における民間の動向というものは、いわば鈍化の傾向というものが出てまいりました。特に経済の不況ということが大変影響をしてまいりまして、これに伴う世評というようなものもございます。これに対しては、やはりわれわれも全然これを無視して、そういうものは全然関係がないんだというような態度をとるわけにもまいりません。特にこの問題は給与勧告等と違いまして、各省でやっていただく問題でございますので、この御協力というものをいただかなければ円滑な実施は不可能であるという問題もございますので、その間大変いろいろ苦心をいたしました。また、総理府におかれましても、各省庁との連絡、周知徹底には大変な御努力をいただいたのでございまして、その間紆余曲折がございましたが、ようやくこの十月からトライアルということの実施が決まったような段階に相なった次第でございまして、これは大変おくれてけしからぬではないかという御批評もあることは万々承知をいたしておりますが、われわれはわれわれといたしまして、それなりに大変に苦心をしたつもりでございまして、今後このトライアルの実施状況というものを十分に見きわめつつ、各省庁の状況または意向等を十分判断をいたしまして、その段階におきまして今後における対策を協議をしてまいりたい。各省庁とも連絡を密にいたしながら、人事院といたしましては、それを実施に移す方向というものは大きく言ってこれは捨てるつもりはございません。ぜひともやりたいということでございますけれども、そのためにはやはり円滑にやっていかなきゃならぬ。問題点を把握して、これに対する対策を講じながらやっていくと、こういう前提を踏みつつ対処をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 西村尚治

    ○国務大臣(西村尚治君) この週休二日制の問題につきましては、総理府としてもかねてから検討を続けておったところでありますが、ただ、たてまえといたしましては、これは公務員の勤務条件の基本にかかわる問題だということから、人事院の正式な勧告があってから対処すべきものだという考え方があったことは確かでございます。そこへもってきて、ことしの一月の二十日でありますか、これを政府においてひとつ試行をしてみてほしいと、そういう協力要請が人事院の方から来たものですから、これを受けて閣僚懇談会というものをつくって、実行の詰めをいたしました上で、この十月からいよいよ試行ということに踏み切ったわけでございます。  この本格的実施につきましては、ただいま人事院総裁のお話にもありましたけれども、この試行の結果というものを踏まえて、そしてまあこれからの社会経済情勢の推移、国民世論の動向、こういうようなものも勘案をしながらよく検討をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この週休二日の問題について、人事院が四十八年に勧告及び報告の中でこういう主張をされた。四十八年には高度経済成長というのは終わっておる。そして四十九年は一層明確になっている。四十九年にも同じような勧告をやっておられる。しかももっと具体的なものだ。隔週あるいは月二日と、四十九年にはっきりしている。で、正十年を目標にして三年の目標を置いて実施する、この四十八年の勧告の報告の中に出ているやつは明確に完全実施ですよ。本当にこれは断言していますね。で、四十九年においてもしかり。それがおっしゃるように延びに延びてしまって、だんだんまた人事院も腰くだけになって、ごちゃごちゃになってしまった。勧告との関係があると思うんです、これ。いまお話がありましたですけれども、勧告という問題があると思う。ですが、それはここではもう問わないことにして、これからの見通しですね、政府の閣僚懇談会の文書によりますというと、この試行計画というのは、これは実施を前提にしたものではないという断り書きがしてある、第一項目に。それで最後の項目のところに、今度はちょっとニュアンスが違って、具体的に慎重に検討していきたい、こうなっておるんですね。だから、一年やった後、実施するということを前提にしないという言い方を第一項目に挙げて、最後の六項目か五項目ですね、最後のところには、今度はそれぞれ試行計画状況を見て慎重に検討を進めていきたい、こういうことなんです。一体やられるのかどうなのか、一年たった後ですね。また人事院はどういう考え方を持っていらっしゃるのか、一年たった後どんな勧告するのか。ここでやっぱり確保するというふうにはっきりやられるのかどうなのか、その点聞きたいですね。
  24. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) トライアルを十月からやっておりまして、これが大体目途といたしましては一年間やってみるということに相なっております。その結果を見まして慎重に、いろんなデータも集め、また各省庁の実態も把握をいたしました結果、どういうふうにこれを実施に移していくか、本格実施にどういう形で踏み切るか、いつやるかというようなことにつきましてはその時点において判断をいたしたいと考えておりますが、その際には、現在われわれが考えておりますことは、本格実施ということになりますれば、これはやはり当然勧告という形でやるということに相なると思います。ただ、その時期がいつであるかというようなことは、いまこの段階で申し上げることは言いにくい段階でございます。試行をあくまでやって、その実績を判断した上で最終的な判断をいたしたいということでございます。
  25. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま人事院総裁から御答弁ございましたように、政府といたしましても関係閣僚懇談会におきまして、いろいろとこの問題につきましては議論されたのでございますが、とにかく、まずトライアルを行うことによりまして、実際に問題点を把握すると、いかなるところに問題があるかということを十分にとにかくトライアルを行うことによって、問題をさらに進めていくということで、十月からの実施ということに閣僚懇でもなったわけでございますが、御指摘のように、一年間たちました後で、人事院総裁からもお話ございましたように、その問題点を改めて検討して、今後の方針というものを検討するということにいたしておる次第でございます。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これで終わりますが、人事院の総裁の方に申し上げたいのは、四十八年、四十九年とはっきりとした見解を打ち出していながら、それが大幅に後退をしてくる、まだどうも後退しそうな感じがしてしょうがないわけですね。政府の側もひとつ人事院の立場を尊重してもらわないと、これが人事院の存在がおかしくなってしまうですよ。全くおかしなことになってしまうですね、こういうことじゃ。ですから、試行計画というのは実施を前提にしないなんていうようなばかな話、そんなことありますかね、一体。しかし、最後のところにはそうでもないようなことも書いてあるから、これは総裁、一年たったらどんぴしゃりとやらないと、四十八年、四十九年と三問、四回もやってきてみっともなくなってしまうですよ。まあ総裁、この四十八年のとき総裁じゃないんですね、四十九年のときは総裁かなもう。
  27. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 四十九年の末。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 四十九年の末か。だけどまあこれは後を引き継いだ総裁としてしっかりやってもらわないと困るですね。  それと私は、たとえば病院とか、それから療養所とか、それから国立の小学校、中学校、高等学校、こういうものは除外されているんですね。しかし、これは行政管理庁の方としては定員はできるだけふやしていったところなんだけれども、そこのところは今回は試行計画の中から排除されている、除外されているということは、これはやはり問題ですね。定員が足りないんですね、やっぱり。試行計画すらできない。だから、行管というのは今度は何ですか、政府の中で孤立して歩いているのかな、これ。私はこの週休二日制というものと定員管理というのは、これまた非常に関係のあるものだと思うんです。本来無関係にやっちゃかなわぬですな、行管は。そこら辺もよく踏まえて、それから勧奨退職の年齢が傾向的にだんだん引き上がってくるということも考え定員管理をやっていかないと、行政管理庁としての責任を果たせぬのじゃないかと思っております。  以上、申し上げて終わります。
  29. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、長官は初めてですし、きょうは非常に短い時間でございますので、基本的な問題だけ大臣にお伺いしたいと思います。  行政改革という問題につきましては、当内閣委員会の所管の事項なんですけれども、昭和三十九年ごろからずっと四十年、あるいは四十四、五年ごろまでは、この行政改革の問題が当内閣委員会でも相当議論をされ、大臣もその所信を述べ、かつ行政管理庁も張り切ってやっておったわけですけれども、最近はどうも、行政管理庁そのものもそうかもわかりませんが、当内閣委員会でも行政改革という問題について余り議論をしなくなりました。私は非常に遺憾だと思うんですけれども、実は行政改革というものは、一体その行政改革というものについてどういうふうに考えているのか、政府は。現実に、いままで大臣に質問しましても大臣からちゃんとした答弁が返ってこない。荒舩大臣の前の大臣、いろいろ具体的に言うとまことに失礼ですからこれ以上言いませんが、この委員会で議論することすらできない、そういうふうな実情。それで、それじゃいかぬというので、今回の大臣はそういうことはまさかないであろう、行政改革そのものに本気になって取り組んでくれるだろう、こういうような期待を持って私はこれから質問するわけです。  実際問題、三木内閣が発足しましてから、この行政改革という問題については何回か大臣も言っております。そこで、この行政改革に取り組む大臣の姿勢といいますか、所信ですね、これを初めにちょっとお伺いをして、それから多少細かい問題についても入ってまいりたいと思います。
  30. 荒舩清十郎

    ○国務大臣(荒舩清十郎君) この議会でも、臨時国会開いて財政特例法をやらなくちゃならない。いわゆる七兆二千七百五十億ですか、公債発行までしなくちゃならない、こういうような厳しい経済的事情もありまして、まあとにかく行政の簡素化、効率化というものを徹底してやらなくちゃならない。しかし、さっきもお話がありましたけれども、病院のような問題は、まあどうしても人員を減らしては困るというようなところがあると私は思っておりまして、これらを勘案いたしまして、一言で言えば行政の簡素化、効率化、こういうものを徹底してやっていきたい、こう考えておるわけでございます。
  31. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣ね、そういうようなことじゃなくて、実際問題、端的に私言いますと、大臣のあなたの省の皆さんが張り切って仕事をやっているかどうかということ、逆に言えば。実際問題、たとえば行政改革という問題について、五十年の四月に行政監理委員会が、要するに、今後における行政改革の課題と方針というのを出したわけですね。それまでも行政改革計画というのは何回か出されています。昭和三十九年に臨調答申が出て以来、何回も出ているわけです。何回も何回も出しているけれども、それが幾ら出してもそのとおり実行されないし、うまくいかないというので、結局行政監理委員会の委員の皆さんも、幾ら答申を出してもそれを実行してくれないからしようがないと、これは行政監理委員会なんかで結局行政改革なんかできないんだと、そういうようなやる気をなくした人たちというのは非常に多いわけです。現実に大臣のところの省でも、行政管理庁なんてこれは要らねえんじゃないかなんていうことを、冗談とはいえ言う人もいるんです、現実に。そういうような角度から言うと、私は行政管理庁というものについての姿勢、本気で行政改革を断行し、やっていくんだと、そういうばっちりした姿勢がないといけない。いま行政管理庁がやっていることというのは、定員削減を強硬な方針でやるというたったそれだけじゃないですか、結局は。ずっと続けてきているその行政改革の一つというのは。そんなものじゃなくて、現実にこういうこととこういうことはやらなくちゃいけないというのは、いままで幾つか出ているわけですね。ところが、出ていてもそれが現実に実行されない、こういう実情にあるわけです。こういうようなことじゃ私はいけないと。だから、やはり行政管理庁の長官になった人のあれにもかかっているわけですよ、実際問題ね。何回か大物の大臣も行政管理庁長官になった人がいるんです。ところが、そのときには確かにやってくれると思うんですけれども、すぐその直後で初めの意気はどこへやらということで消えてしまって、現実に決められた方針も実行されていないというのが実情なんです。これでは困るんで、やはり行政改革を本格的に取り組んでやるんだと、そして職員の皆さんに対しても叱咤激励してやるんだという決意が、細かいことじゃなくてそこら辺のところはやっぱり大臣ね、がっちり私はやっていただきたいと思うのですがね。
  32. 荒舩清十郎

    ○国務大臣(荒舩清十郎君) ただいま御意見のあったとおりでございます。行政管理ということが大変むずかしい問題であって、また大きな広範な問題でもありますから、なかなか実行しがたい点がございます。しかし、当然急患を持っておりますし、やらなけりゃならない。またよく考えれば、国家の複雑ないろいろな機構の上で本当に簡素化できるものは簡素化し、そしてもっとわかりやすい行政をしていかなくちゃならないというような点もありますので、御法意をいただいたごとくしっかりやってみたいと思っております。
  33. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのしっかりやりたいということをそうとりまして、現実に三木内閣も、行政改革という問題について衆議院の本会議や参議院の本会議でも何回か大臣が述べているわけです。そこで、現実の問題として、たとえば先国会に法案として提出するということを当内閣委員会でも何回か約束をしておった、たとえば地方事務官の問題一つにしても、これはもう何回かいままで言われてきた問題ですね。この問題一つにしても、いまだに解決の見通しすらないという実情にあるわけです。これでは私は現実の問題としてどうしようもないと考えているわけです。そこで、たとえば三木さんがこの間の本会議でこういうことを言いました。行政機構の改革というものは積極的に取り組まねばならぬ問題であり、私も新しい仕組みというものをいま検討していると、こういうふうに三木さんが答弁しているわけですがね。これは実はもうちょっと推し進めていきますと、三木さんはさらにこういうことを言っているわけです。ことしの二月の国会で、もっと行財政の簡素合理化を推進するような何らかの仕組みが必要なのではないかと考えていると、そして、どうしてもいままでだけのでは積極的に推進するのに少し足らないのではないか、こういうふうに言っているわけですけれども、要するにいままでのだけでは足らないと言っているわけですね。ということは、逆に言えば、いままである組織だけでは足らないと、こういうふうな言い方をしているわけです、三木さんがですね。ということは、要するに現在の行政改革を推し進める上で、行政監理委員会と行政管理庁だけじゃだめだと、いわゆる、昔あった臨調答申をつくったあのときの臨時行政調査会みたいなようなものを考えていらっしゃるのかどうか、わかりませんよ、わかりませんが、いずれにしてもそういうふうな姿勢を示しているわけですね。それでは私は納得できない。現在の行政管理庁行政監理委員会だけでも、それを本気でやる気が出てきて、そしてその答申した問題について政府が本気に取り組むということになれば、現状だけでも私は行政改革はできないということは言えないと思うんですね。そういうふうに考えてみますと、政府の姿勢そのものが非常に大きな問題になってまいります。したがって、こういうふうな総理の答弁とあわせて、行政管理庁としてはこれらの問題についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、また、どういうふうに取り組もうとしていらっしゃるのか、あわせて答弁願いたい。
  34. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 行政改革全体の方針につきましては、先ほど大臣から申し上げたとおりでございます。行政改革の推進につきましては、臨時行政調査会の答申を受けまして行政監理委員会が設置をされておるわけでございまして、先ほど来お話がございましたように、いろいろと貴重な御意見、答申をいただいているわけでございます。政府におきましても、これを具体化いたしますために、行政改革本部を置きまして鋭意努力してまいった次第でございます。先ほど定員管理に重点を置いてやっているんではないかという御指摘がございましたが、そのほかにも、許認可事務の整理でございますとか、特殊法人の整理でございますとか、あるいはまた、機構の簡素合理化でございますとか、そういう多方面の施策につきまして実現を図ってまいってきたところでございます。  ただいま総理大臣の御答弁のお話があったわけでございますけれども、まあ新しい仕組みをつくった方がよろしいか、あるいはまた現在の制度のもとにおきまして、ただいま峯山委員の御指摘のように、極力その実現を図るという方向で措置するのが適当かどうか、いろいろ御議論はあると思いますけれども、そのところを踏まえまして、さらに行政改革の推進に努力をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  35. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、私はそういうふうな、三十九年の臨調答申からもう相当日にちもたっておりますし、そのときの答申そのものがぼくはいいなんていうことは全く思っておりませんし、また、政府が現在推し進めようとしております許認可の整理とか、特殊法人の整理なんていうものは、これは行政改革なんていうものじゃないですよ、内容的に考えてみても。そういうふうな観点から考えてみますと、私は総理が言うのも私はもっともだと思うんです。こういうふうな時点になってくると、従来の制度や慣行にとらわれてやるんじゃなくて、新たに私は抜本的に、現在の仕組み、これを見直しをして、本当に総理が言うような新しい体制をつくって、そして早急な新しい時代というか、現在の仕組みというのはいまから十年前と現在ではコンピューターの導入やいろんなところでもう相当変わってきておるわけですね、また人員管理の面からも相当いろんな角度から変わってきていると私は思うんですよ。そういうふうないろんな角度から、私は行政改革という問題については新たな検討が必要じゃないかと、こう思うんですが、これはどうです。
  36. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 御指摘のとおりでございまして、新しい情勢に応じて、行政改革あり方につきましても、あるいはまたその具体的な方法につきましても当然変わっていくはずのものであると考えております。先ほど来いろいろと御批判なり御激励を受けているわけでございますが、私どもといたしましてもさらに一層努力をいたしまして、行政改革の趣旨の実現に努力をいたしてまいりたいと思っております。
  37. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょう何か抽象的な質問ばかりになってしまいましたけれども、これは私は大臣ね、現存行政管理庁は、ぼくが言うとおかしいですけれども、あってなきがごとしですわ、大臣。本当ですよ。たとえば、具体的に言いますと、私的諮問機関というのがありますね、諮問機関というのは、これは法律に基づいてつくらにゃいかぬことになっているわけですよ。ところが、この問題についても私はこの内閣委員会で何回も取り上げているわけですけれども、昨年も防衛考える会とかいろいろあった。またことしになってからでも、文部省には第二次高等教育懇談会とか、農林省には水産を考える会とか、こういうような私的諮問機関が野放しにどんどんどんどんできていますよ。こういうようなものについても、やはり私は国家行政組織法というものがきちっとあるわけですから、そういうふうな法律に基づいてきちっとなされると。そういうふうな強烈な行政指導なりちゃんとしたものがないと、私はその役所の意味がない、行政改革を推し進める基本的なあれができないということになりますね。ですから、私はそういうふうなものもきちっと法律に基づいてやってもらいたいと思うんです。  さらにもう一点だけ申し上げますと、もうすでに昭和五十二年度の機構あるいは定員、こういう問題については各省庁から要望が出ていると私は思うんです。これについては、行政管庁としてはどういうふうな姿勢でそれを査定されるのか、この点もあわせて御答弁を願いたい。
  38. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 私的懇談会の問題につきましては、峯山委員から再三にわたって御指摘を受けたわけでございまして、政府といたしましても、本来の審議会との区分が不明確なものにつきましては運用上けじめをつける、それから私的懇談会につきまして見直しを行うというふうにお答え申し上げてきたところでございますが、このような趣旨に即しまして、この二つの区分を厳正にするように努力してまいっているわけでございます。五十年十二月一日現在で、いわゆる私的懇談会の数が四十四あるわけでございますが、その後いろいろな事情で新たに開催されることとなったものが六ございまして、合わせて五十でございます。これをいま各省と連絡をとりまして、取り扱いについて検討しているわけでございますが、もうすでに五十一年の九月末までに開催を打ち切りといたしまして廃止をいたしましたものも相当ございます。あるいは五十二年度までというように終期を設定する方向で検討中のものもございますし、そのほか運営の細かい点につきまして是正を図ることといたしたいものもございます。近く最終的な結論を得るつもりでおりますが、そういう見直しにつきまして努力をいたしているところでございます。  それから第二点は、五十二年度の要求に係ります機構、定員の審査の方針についてのお尋ねであったわけでございますが、これにつきましては、本年の九月八日に行政監理委員会の議を経て審査方針決定していただきまして、その方針に従いまして現在審査を実施中でございます。方針といたしまして、五十二年度の機構、定員要求の審査に当たりましては、当然のことでございますが、行政の効率化、合理化を一層推進し、もって行政コストの節減を図るということが基本的な方針になっています。具体的に申しますと、特殊法人を含めました機構につきましては新設を厳に抑制をいたしたい、真に必要があると認められるものにつきましても、既序機構の合理的な再編成によって対処をしたいと考えております。第二に定員でございますが、先ほどから御議論の出ておりました五十二年度以降の定員管理計画に基づきまして、定員削減を実施することはもとよりでございますが、真にやむを得ない増員の需要につきましても極力既定定員の再配分によって対処いたしまして、総定員増加を抑制いたしたい、かように考えているところでございます。
  39. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなことを言っていますけれども、現実の問題としては、行政管理庁行政改革の大目玉としてやった、たとえば一省庁一局削減という問題がありましたね、ああいうような問題でさえ結局もとへ返っているじゃないですか。昨年までの否定や何やかやでだんだん一つずつなし崩しにもとへ返っているという傾向がありますよ。そういうような観点から見ても、私はもう一度この行政改革という問題について管理庁自身が基本的に取り組んでもらいたいと思うんです。  そこで、もう時間ございませんので、もう一点言いますが、先ほどの審議会の問題ですね、審議会の問題はいま言ったようなそういうことだけじゃなくて、要するに、現在政府にある審議会とか私的諮問機関というものは全部洗い直しをして、そして、そういうふうなちゃんと運用していないものはもう廃止するようにきちっとして、そしてまた、私的諮問機関で法律に基づいていないものはきちっと法律に基づくようにして、そういうふうな整理統合をきちっとやって、そして一遍内閣委員会に報告したらどうですか。もういままで何回か取り上げておりながらいまだにはっきりしない。また、ことしになってすらそういうような私的諮問機関がどんどんできているというのでは困る。同じことを何回も言うのではなくて、きちっとやっぱりやってもらいたいと、私はこう思います。その点をちゃんとしてもらいたい。  それからもう一点、行政監理委員会のことですけれども、この行政監理委員会は、これは一体どうなってるですか、現在。これは昨年発足しましたですね。それからその後行政監理委員会がどうこうしたっていうことは、私たち具体的に何も聞いていないんですけれども、いずれにしても、この行政監理委員会のあり方ということは非常に問題になっているわけです。それはなぜ問題になっているかというと、政府が行政監理委員会の答申をちゃんと実行しないから、行政監理委員になった人たちの意見が取り入れられないから、要するに行政監理委員会の監理委員人たちがやる気をなくしてしまうわけです。そういうようなこともありますけれども行政監理委員会の強化ということは、これは行政改革を進める上で非常に私は重要な問題だと思うんですよ。そういうふうな観点から、この行政監理委員会を今後どうしていくのか、それでどういうふうに強化するのか、あるいはその職務権限組織、予算等についてもさらに私は強化して、そして行政改革を進める必要もあると思うんですね。そういうふうな観点からこの二点の答弁をお願いしたい。
  40. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 審議会及び私的懇談会の問題でございますが、私的懇談会につきましては、先ほど御答弁申し上げた方針に従いましてただいま見直しを行っております。まだ最終結論ではございませんけれども、おおよその数字を申し上げますと、五十ございます私的懇談会の中で開催打ち切りといたすものが十一、終期の設定を行うものが十、運営の是正を図ることとするものが七、合計二十八につきましては何らかの措置をとるということになると存じます。それから審議会——本来の審議会につきましても引き続き検討を続けてまいりたいと思っております。
  41. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ報告してください、報告。
  42. 辻敬一

    政府委員辻敬一君) 私的懇談会の数字につきましては、各省庁と協議いたしまして最終的に取り扱いを決定いたしましたならば御報告を申し上げたいと思います。
  43. 川島鉄男

    政府委員(川島鉄男君) 行政監理委員会の現在の状況について御報告申し上げます。  行政監理委員会は、現在第四次の行政監理委員会が発足しておりまして、ただいまはこの五十一年二月十八日に行管長官から諮問が出ておりまして、その諮問は、「行政事務の整理・合理化に関する方策いかん」、副題といたしまして「国と地方とを通ずる行政事務合理化及び行政事務における民間能力の活用等について」というようなことについて御検討願いたいという諮問が出ております。この資料に基づきまして、現在監理委員会は、毎週一回、定例日を水曜日と定めまして精力的に御審議をいただいております。  審議の内容は、この副題にありますような事務の簡素合理化、それについては民間能力の活用というような問題なんかが中心的な考え方になっておりまして、いままでのでは蚕糸——絹ですね、蚕糸関係の検査検定、こういったような、問題としての蚕糸あるいは生糸、あるいは車両検査事務、それから最近では食糧管理に関する米の検査、これに精力的に検討を続けておられるところでございます。そのほか輸出検査ですか、などについても検討しておられます。それぞれ所管の行政庁あるいは関係者の方々の御意見を聴取しておられるという状況でございます。それで、これらを中心にしまして検査検定の業務の合理化を図っていきたいということを主題として活動しておられるということでございます。  それから、先ほど来のお話で、監理委員会がせっかく答申してもなかなか実現しないので、監理委員としても意欲を失っているのではないかというお話でございますが、その実現状況は、必ずしも、私ども事務の方で見ておりますと成績の悪いものではないんじゃないか。したがって、先生方もうまくいっていないのについての御認識もあるんではないかということで、現在の審議状況はきわめて精力的におやりいただいております。ということは、すなわち出席率でわかるわけであります。ほとんど毎回全員出席で御審議いただいておるわけでございます。  実績でそれほどでもないんではないかというふうに申し上げましたのにつきましては、たとえば監理委員会がいままでに御答申いただいた項目として三十七項目ばかりございますけれども、そのうち完全実施したと見られるものが十一項目、一部実施、それが十八項目、これらを見ますと八四%ぐらいは曲がりなりにも御意向を体して実現してきておるんじゃないか。ただし、そのうちに逐次実施中のものが二項目、これを合わせて大体八四%ぐらいかということでございます。未実施というのは、非常に目立つのは地方事務官問題でございます。地方事務官問題も、御案内のとおり政務次官会議で精力的に御検討いただく、まじめに取り組んでいただいているというふうな感じでございますが、結論に届いておらぬということでありまして、何も監理委員会の意見がないがしろにされておるというものではないのではないか、あるいは総務庁の問題がございますが、総務庁を設置せよというのは非常に基本的な問題で、そう簡単に結論が出ないというようなものが手がついていないんで、ほかにつきましてはうまくいかぬところはございますけれども、できるところは部分的に、あるいは現在なお実施中というようなことでやっておるということでございます。そういうことの結果、監理委員の先生方も精力的に御審議をいただいたということになるかと思います。  概要そういうことでございます。
  44. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう時間がございませんから終わりますけれども、あなたそういうぐあいに言うなら、それはそれで議論をしたい。しかし、しようもないことばかりやって肝心のことはできていないんです。行政改革のポイントになる肝心なことができていないということを私は言っているわけです。パーセントで八〇%できているというのなら、全体に大分行政改革も進んで、現実の問題として行政管理庁職員が張り切ってがんばっているわけですよ。ところが、行政管理庁の中には、こんな省庁にいると将来もう思いやられる、どうしようもないという人が現実にいるんですからね。いるんですよ、現実に。私これ聞いたんですからしようがないでしょう。それじゃいかぬと言うんですよ、私は。もっと現実に行政監理委員会にしても何にしても、もうちょっと肝心のものがちゃんとできるように閣議にしてもどこにしても、ぱっちり行政監理委員会の意見が通る、そういうふうな体制にならないといけないと、こう言っておるわけです。あと詳しい議論はまた次回に譲りたいと思います。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 兵の一時恩給事務処理の問題について、この改善について質問したいと思うんです。  前国会五月の委員会で、兵の一時恩給事務処理の改善ついて、数十万と言われる受給対象者の方々に、遅くても一、二年のうちに完全に支給されるべきであるという、こういう立場に立って、それで総理府恩給局、それから厚生省援護局にお聞きをしたわけです。人員と予算の問題、これをどうしても抜本的に改善しなければ、実際これは迅速な処理ができないんじゃないか、こういう点についてお伺いしたわけであります。われわれこういう問題を重視しておりますのは、これは何といいましても、兵というような、一般庶民の中でしかも軍隊に駆り出されて、そして犠牲は非常に多い。ところが、実際これから得るものはほとんど何もない。こういう状態ですね。これは恩給法というのは、現在におきましては、かつての軍国主義との関連という立場でわれわれはこれに賛成はしなかったが、しかし、社会保障的な非常にこれは性格を帯びてきたわけです。ことに、社会保障が非常に不十分だ、そういう体制の中で、名前は恩給の法ということになっておりますけれども、実際は社会保障的な、ことにこの法律七十号による兵の一時恩給の問題についてはその点が非常に濃厚であります。そういう点から質問をしたわけでございます。   〔理事加藤武徳君退席、理事林ゆう君着席〕  したがって、これについてどのようにその改善の措置をとられておるのか、それから、さらに今後どういう計画を持っておられるのか、この点につきまして、両局長がお見えになっておると思いますが、お伺いをしたいと思うわけです。  具体的に、時間の関係もありますから申し上げますと、まず事務処理の簡素化を図る、そのために府県への通達、それから知事への協力要請の通達文書が出されたと聞いておるんですが、どのような内容でいつから実施されておりますか、簡単に御説明を願いたいと思います。
  46. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) ことしの五月の当委員会で御指摘いただきました一時恩給の滞留に関しまして、六月に全国の主管課長会議を実施いたしまして、これに伴いまして県側と事務の簡素化その他につきまして打ち合わせをしております。次いで六月の末でございますが、援護局長から各都道府県知事に対しまして、この恩給を中心とします援護業務、これの推進につきまして要請し、とにかくこういうむずかしい問題であるので、人員、これの適正配置、まあはっきりと言いますと老練なる人を充ててくださいと、こういったような要請をしております。具体的の事務といたしましては、恩給局とも協議の上数種にわたる簡素化を実施いたしまして、六月から七月にかけまして、数次にわたって各都道府県にこれを通達しております。以上のような措置でもってこの難局に対処しようと、こういう心がけでございます。
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 この事務の簡素化の二、三点、特に必要なところ、そこのところをちょっと述べてもらいたい。
  48. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) 事務の簡素化の具体的な指示事項でございますが、たとえば、いま御質問のありました一時恩給について申し上げますと、下士官一年以上あるいは下士官六カ月以上、それから下士官ゼロカ月並びに兵と、こういった四段階にわたる統計並びに進達の、まあ符号といいますか、こういうふうなものをつけさしていたわけでございますが、こういったものを廃止いたしましてすっきりした姿にさせた。それから、この種恩給につきましては履歴事項を響き上げていく作業が大変でございますが、途中の進級なり転属を省略して、その方面の事務を簡素化させる。それから統計作業、これもわずかな人数でやっておりますと大変な作業になりますので、これにつきましても、あらゆる不便を忍びましてこの統計を簡素化した。そのほかまだ、小さい進達区分の省略、符合の省略とかいったような事務的な問題ではございますが、そういったものにつきまして具体的に指示しているところでございます。
  49. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま言ったような事務の簡素化の点についていろいろ工夫をされておる、その結果は、これは事務能率を高めるということに役立っていると思うのですね。  それじゃ次にお聞きしますけれども、この恩給関係の人員ですね、実際取り扱う人員の増加ということは、非常にこの問題を決定するに重大だと思うのです。そこで、どうですかね、関係政府の機関でこれはどういうふうに強化されたか。それから、各都道府県における恩給係、これはどういうふうに強化されて、それから強化される計画を持っておられるか、そういう点をお聞きしたい。
  50. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) いまの御質問のうち、進達官庁としての援護局並びに都道府県の分についてお答えいたします。  まず本省でございますが、これは担当課が陸軍と海軍の二課がございますが、いずれの課におきましても、恩給の種別によりまして、ここの恩給はちょっと手を抜いて一時恩給増員させるといったようなことで、人員の配置がえ、それから、平たく言いますと、若くてぱりぱりした者を一時恩給の中に注入するとか、そういったような諸般の手を打っております。  それから都道府県におきましては、先ほど局長から、知事あて要請したと、こういうふうに申し上げましたが、県におかれましても現在の状況を深刻に受けとめていただきまして、恩給全般を通じまして十数%に及ぶ——これは総対象数から言うと少ないのではございますが、増加してくれたと、特にその中で一時恩給については、課の中の恩給のやりくりで一時恩給部分についてはさらに大幅な人員のアップをしていただいたと、こういうふうに承知しております。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうですか、この都道府県の場合ですね、人員の増加、できる可能な範囲内でこれはやったということだと思うのですが、もっと能率化し、さらに迅速化するためには、どうしてもやっぱり国からの委託費というものが、これは現在のままじゃとても問題にならないと思うのです。都道府県でも限度があるだろう、これをやろうとしても。したがって委託費をここで多くしなきゃならぬ。現在まあ百万そこそこというようなことで、一都道府県がこういうことでは、とても一人、人を雇うたってこれはできないというような情勢だと思うのですね。で、こういう点で、五十年度はこれは四千六百七十二万ですか、それから五十一年度、今年度は六千四百三十八万ということになって、一応これはベースも上がっておりますから、そういう点で一五〇%ということになっておるのですが、こんなやり方ではとても間に合わないんじゃないか。したがって、これは来年度の予算になるわけでありますが、概算要求をこれはされておるんだと思うんです。これについてはどういうふうに処置をされておりますかお伺いしたいと思います。
  52. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) この事務の促進は、熟練した人を入れるか入れないかということは非常に重要な問題でございまして、そういった配置がえにつきましては先ほど御説明申し上げたわけでございますが、しかしながら、それだけではだめであることは岩間先住御指摘のとおりでございまして、本年度六千四百万、こういうものにつきまして大幅な要求を目下大蔵省当局にいたしておる、こういうことでございます。
  53. 岩間正男

    ○岩間正男君 この委託費の要求ですね、こういうものは、結局いままでのこれは恩給等の計画を聞きますと、約該当者が五十万から六十万、で、実際組んでいるのはどうかというと七万程度、これですと七年から十年もかかりそうだ。こういう長期やり方では、こんな物価変動の激しいときに話にならぬということをこの前も私は当委員会でしばしば述べたことですね。したがって、どういう計画なんですか、もっとこれを繰り上げる、つまり最初の計画の七年とか十年とかいうようなことでなくて、先ほど申しましたように、もう二年ぐらいの短期にこれをやるんだと、そういう問題と関連してくると思うんですね。したがって、今度の、来年度の予算要求にもなるわけですけれども、この概算要求をされておると思うんでありますけれども、こういう額というものはやはり相当飛躍的に大きくならなきゃ、実際はそういう体制とれないのじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。
  54. 林ゆう

    理事(林ゆう君) 答弁の途中ですけれども委員異動について御報告いたします。  本日、鶴園哲夫君が委員辞任され、その補欠として上田哲君が選任されました。     —————————————
  55. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) 一次恩給処理するのに十年近くかかりはしないかと、こういうこと、これはこの前の委員会でも問題になったわけでございますが、何年かかるかは総対象件数というものが一応問題になりますので、この点につきましては、要すれば恩給局の方から御説明があるかと存じます。ただ、私どもといたしましては、総対象件数ということよりも、現在これだけ出てきている、あるいはたまってきているものをどう処理しようか、また近い一、二年の間どの程度出るだろうか、それをとにかくも裁定して早く請求者の御意向に沿いたいと、こういうことが念願でございますので、本年度は七万九千件と、こういうふうに予定していたわけでございますが、先ほど来の説明でまあ簡素化その他の措置によりましてこれを相当上回る実績を上げ得ると、こういうふうに思っておりまして、いまの計画で、とにかく私どもとしてはとりあえずの仕事に全力を傾けたいと、こういうふうな決意でございます。
  56. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、計画について恩給局から。
  57. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 恩給局の立場から御説明を申し上げたいと思います。  先生しばしば御指摘のとおり、私たちの推算でも恐らく対象者全体は五十万なり数十万なりという数だと存じておりますが、そのうち、本年までの出方をずっと見ておりますと、法律が通りましたのが昨年の遅くでございましたので、昨年度あるいは本年度の最初のうちは余り出てきていなかったわけでございますが、その後大変スピードアップいたしまして、PRも効いたと思いますし、あるいは事務の簡素化の問題もあろうと思いますが、特に最近の七月、八月、九月という時点におきましてはかなりの数が出ております。そういうことでございますので、恐らく今年度いっぱいで、最初は七万ぐらいかと存じておりましたけれども、それは十一、二万になるのじゃないかというふうに思っております。それで、この調子でまいりますと、来年度におきましてもほぼそれを上回るぐらいの数字が出てくるのではないか。したがいまして、私たちといたしましては、五十二年度あるいは五十三年度等におきましてまあ大きな山を越えるのではないか、そういうふうに期待をいたしておるところでございます。恩給局としては、これは一時恩給の予算額は先ほど申しましたような数字で組んでおりますけれども、請求が出てまいりますれば予算がないからだめということはとうてい申せるわけではございませんで、これは予算の総枠の中で処理をすることにいたしておりますから、これ以上出てまいりましてもそのためにおくれるとか、あるいは予算が出ない、裁定ができないということはないことをつけ加えて申させていただきます。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 主計官見えていますね。これはこの面この論議には参加されておらない。しかも問題は、先ほどからもちょっと申し上げましたように、せっかく兵の一時恩給ということが決定されて、それで昨年の暮れに法律化されて、実際の実施はいま言ったようにもうとてもいまの体制じゃ間に合わない、これはどうしても体制をつくらなければならない、ことに都道府県の人員が足りない、ここのところを急速に補給しなくちゃならない。したがって、委託費の問題というのは非常に大きな問題になったわけです。大体この問題をどのように実施するかというのは、これはいまの政府の姿勢も問われている問題なんですね。そういう点から、このような要求がもうすでに出されておるんですな、概算要求がね。これについてはどういうふうな対処をされるか、ちょっと主計官の意向を伺っておきたいと思います。
  59. 保田博

    説明員(保田博君) お答えをいたします。  この問題については、私の方では二、三日前に事務的な説明を受けまして、いろいろ検討しております。で、先生の御持論も速記録によりましてよく勉強させていただきましたし、先ほど来のやりとりもよく聞かしていただきました。事柄の性格もよく理解できます。でありますが、この問題についていま——この問題についてといいますか、個々の経費の査定の方針といいますか、そういうものをただいまの段階で申し上げるわけにはまいりませんけれども先ほど来のようなことを念頭に置いて予算編成に取り組みたいと、かように考えております。
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは主計官には問題のありかをはっきり把握しておいてほしいと思って出席をお願いしたわけですよ。  結局、この兵の一時恩給というのは、戦後三十年もなおざりにされてきた問題だ。そして、いま非常に不十分です、この額も。しかし取り上げられた。その取り上げられたのをどう実施するかというところが非常にこれは重要な問題になっている。いわば、これは政府の姿勢が問われているところなんですね。だから、問題は決して小さい問題じゃないので、政治姿勢の問題につながってくる問題だ。ところがいままでの委託費で見ますというと、大体一県当たり百万そこそこなんですね。いまの人件費の高騰から考えればとにかく問題にならないわけですな。だから、少なくともこの額が一県当たり大幅に、何倍かにふやされなければならぬ。これはどうなんですか、現在の概算要求についてはちょっと耳にしているんですが、大体五十一年度の四倍ぐらいというふうに聞いているんですが、それをやらなければ、いま言ったようなもう七年ないし十年の態勢というものを本当にこれは変えることはできない。いまの恩給局長のお話では、五十二年から五十三年で大山を越したいと、そして問題にはっきり対処したいと、こういうことなんですね。私は、むしろ五十二年、五十三年なんというのは、これは事務的にできない面があるからやむを得ないんだが、本当はこれはいますぐにやらなくちゃならない問題だと思うのですね。それでも五十三年だ、こう言っているわけだが、それなりの体制をとるためには、どうしてもいまの人員増加の問題が具体的な緊急な問題になってきている。その問題とやっぱり対処しなくちゃならないわけなんで、単に人件費の削減などという一般的なはかりでこれはできない問題じゃないかというふうに思うわけです。非常に、やっぱり問題の性格からいって、社会保障的な、そして、しかもなおざりにされて、実際は日陰になっておって全然日の当たらなかった問題、それが、とにかくこれは日差しが差してきたと、そういうことですから、この点についてはっきり問題点を把握しておいてほしい。そうでないと、機械的に、人件費の削減で何ともならない、こんなことじゃこれはこたえることができないと思うんですね。どうでしょうか、その点。
  61. 保田博

    説明員(保田博君) 先ほど申し上げましたことですけれども、経費の性格についてはよく理解をしたつもりでございます。ただ、要求をどういうふうに最後、取りまとめるかということについてはいまの段階では何とも申し上げられません。ただ、一般論として申し上げますと、概算要求というものは御承知のように非常に膨大な金額に上っておりますし、片や財源的にはかつてないようなつらい立場にございます。そういうこともございますので、経費の性格なり、ふところぐあいなり、あるいは事務合理化によって新規裁定をどの程度こなせるのかといったようなことを総合的に勘案しながらやっていきたいと、かように考えております。いたずらに予算の額だけがふやせればいいというものではない、そういうふうに考えております。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの事務的な立場からそういった答弁をされているんで、いつでも予算折衝の段階になるというとそういう一般論がまかり通るんだが、そういう問題じゃないと思うんですね。私が繰り返して申し上げているように、一つのこれは政策面で日の当たらないところに日が差してきたと。それから、実際その隘路を解決するには何といっても委託費を多くして府県段階における事務処理能力というものをもっと増強しなきゃできない問題なんですね。ながめていたんではこれは話にならぬ。そうでなきゃ、単に法律はつくったけれども実際は余りやる気もなかったんだと、こういうことの政府の姿勢が問われるわけなんです。だから、それでは実際それに即応しないということになるんですから、あなたの一応、いろいろ前後を見渡してのそういう立場、主計官としての立場、それはわかりますけれども、そうじゃなくて、そこに新しい一つの何というか、政策面のさらに社会的な要求、それから、何よりもいままで口の目の当たらなかった人たちに対してかすかな光でもこれは当てるんだと、それをとにかく突破するんだと、こういう姿勢が要求されているんですから、この点については十分に考え処理してほしい。これはこれ以上ここで押し問答やっても答えられないでしょうから。ただ、希望はそういうところにあるんです。当委員会でも何回もこれは取り上げられてきた問題だ。そういうことですから、その点については、要望としてこれは申し上げておきたいと思うんです。  そこで、この事務処理の問題について入りますけれども、どうですか、簡素化したと、こういう点、府県の関係者の方ではどういうふうにこれを受け取っておりますか。
  63. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) 先ほど申し上げましたとおり、都道府県の員数は必ずしも多くございません。そういったところで、統計を簡素化し、あるいは都道府県でもって兵籍戦時名簿から履歴をつくるとか、そういった段階における簡素化は、県当局といたしましては非常にありがたかったと、こういうふうに評価されております。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 その結果は処理能力が進んでおりますか。
  65. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) 先ほども若干触れたかと思いますけれども、当初、一時恩給の予定件数七万九千件に対しまして、本年の四月から九月までの間にそれの八四%程度をこなしておるというようなことでございまして、いま先生御指摘のとおり、この簡素化による事務処理は相当促進できておると、こういうふうに思っております。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 兵籍簿のない人、これは相変わらず従来どおり非常に手間がかかるんだと、こういうふうに思うわけですが、これらの人が申請者の二、三割はいるわけですか、そのために非常に処理能力を推進することを妨げている。無論、本人だけの申請だけを信ずるわけにはいかないかもしれませんが、これは何とか証明等によってこれらの人々の処理を早める、そういう方策については考えはございませんか。
  67. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) 兵籍の不備な者、あるいはない者に対する措置でございますけれども、全般的の、たとえば二、三割であるかどうかということについてはよくわかりません。といいますのは、県によって、戦災その他でもって壊滅的打撃を受けた県と、幸いにしてそういうことがなくてほとんど一〇〇%持っておると、こういうふうな県がございますので、一律に幾らということは申し上げられません。ただ、私どもとしましては、各種恩給を含めまして資料の非常に劣悪な県につきましては、こちらから特別の指導をするとか、そういうことでもって対処しております。  それで、いまの御質問に対する具体的な対策といたしましては、たとえば、陸軍におきましては同じ連隊区から出た方というようなルートをたどれば、比較的、物証、人証——物証は別として人証によって処理ができると、こういうふうに思っておりますので、いまでもやっておりますけれども、先々そういう方に対して、少なくとも権利があるのに給付が漏れるということのないように十分に心してまいりたいと、かように存じております。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、都道府県の一時恩給専任者ですか、これについては、とにかくいままでの平均一・〇一ですか、これから一・九ぐらいまで、約二倍にこれはふやされた、こういう説明なんですが、実際はアルバイトを一人ふやす、その程度じゃないんですか。だから、国の委託費の増額というものは、そういう意味からいってもどうしてもこれを増額しなければ体制はつくれないと、こういうふうな問題もこれは含んでいるわけですね。この点はどうですか。
  69. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) 増員は主としてアルバイトではないかということでございますけれども、これは県によって千差万別でございます。たとえば、恩給事務に相当堪能な方がやめられて、その方を嘱託——身分は別といたしまして、そういったことでもって活用しておられると、まあ私どもの方はそれを希望するわけでございますが、そういったところ、あるいはそういう人はすでにいるから、その人の手足となるアルバイト的な者が欲しいとかいったような、各県の事情に応じて県当局が判断してございますので、ともかくも、各県は、先ほど来のこの一時恩給を何とかして促進するには古い人がいい、この件は若い人がいいとかいったような判断をして対処していると、こういうふうに思っております。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ問題なのは、やっぱり本省の体制をもっと強化する、それから能率的にする必要が出てきているんじゃないか。都道府県の申請件数、それから滞留件数の実態が援護局で具体的になかなかつかめない、それをつかむ努力をするというと、そっちの方に能力がとられちゃって、今度は仕事の方がはかどらない、こういう事態が起こってくる。ここのところはどう考えておるんですか。これはやっぱり人員をここで強化して能率的にする必要がある、実態をもっと把握する、そのような努力をすべきだ、こういうふうに考えられるわけでありますけれども、この点いかがでしょうか。
  71. 横溝幸四郎

    説明員横溝幸四郎君) 先ほども触れましたけれども、私ども進達庁である援護局といたしましては、恩給班全部、これを総点検いたしまして、ここの恩給はこの程度進んでいる、この恩給はおくれていると、これを常時キャッチいたしまして、たとえば臨時の方あたりを常時右にやったり左にやったり、これはちょっと言葉が悪いんでございますが、そういうことでもって措置しておりまして、ことしの二、三月以来ふえました一時恩給につきましても、陸軍関係、海軍関係の両方の課、ともに一時恩給係を、一時的ではございますが増員し、あるいは人を選んでその中に投入する、こういったようなことでもって乗り切ろう、こういうふうに考えております。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 自分の施策が具体的にどう進んでいるかという実態がつかめないというところが、これは非常に行政上の大きな隘路になるわけですから、ここのところをはっきりつかむ、そういう体制をつくるためにも中央としてこれは努力をしなけりゃならぬと思うんです。  以上、いろいろ問題点を指摘して、これは現状をお聞きしたのでありますが、努力をされておる点はこれは評価できると思うのです。しかし、なかなかこの問題というのは、さっきも申し上げましたように政治の光が当たっていないわけだね。しかし非常にこれは要求は強いところで、そういう点から、本当にこういう体制について、はっきりこたえることができるような、そういう努力を今後とも強化してほしいと思うんですよ。いろいろな点で壁に突き当たったり、それから努力をしても実際はなかなか予算がつかないとか、そういう問題聞いておるわけですけれども先ほど申しましたように、これはどうしても社会保障的な、しかも非常に長い間いわば日陰にされてきた、そういうところに日を当てるということは、どんなにやっぱり現実の中で重要かと、こういう点に立ってわれわれも今後見守りたいと、こういうふうに考えておる。きょうは総理府総務長官、所用で出られましたけれども、またいずれこの経過についていろいろお聞きをして、これに対して、われわれのこれに対する意見も申し上げたいと、こういうふうに思うわけです。  これで終わります。
  73. 林ゆう

    理事(林ゆう君) 本件に関する調査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会   〔理事林ゆう君委員長席に着く〕
  74. 林ゆう

    理事(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  国の防衛に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  75. 秦豊

    ○秦豊君 外務省お見えですね。防衛的な観点という観点に入る前に、ちょっとミグ25と日ソ問題という観点で都甲さんに伺いたいと思います。  日本の防衛庁もミグをめぐってはある時期はしゃぎ過ぎたり、ある時期過大な期待を持ったり、いろんな起伏と陰影があったんだけれども、ソビエトもやはり、ミグを踏まえ、またミグを新たに利用する、何らかの対日外交のてこにする、これは常識的な結末だと思うんです。それで、恐らく北方領土返還拒否というかっこうなてこにすることはもう必至であろうと思われるわけです。また一方では、ソビエト側から日本外交を見た場合には、全体としてはなはだしく非友好的であると。事件の発端から現在に至るまで非友好的、ドルージバではないという見方、烙印を押しているのではないかとも看取されます。そこで、ミグの返還によって一件落着になるわけではなくて、大団円ではなくて、むしろ、ミグの返還は実務的に終わるだろうが、外交全体の背景としては、これから一層厳しく秋以降の季節を迎えるというふうな全体的なとらえ方をしているんだが、都甲さんの認識はどの辺にありますか。
  76. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  私どもといたしましては、この事件は政府の方からいろいろ御説明申し上げておりますように、ソ連の軍用機による領空侵犯及び強行着陸という事件であったという基本的な性格であると同時に、またベレンコ中尉が個人の自由意思によって米国への亡命を希望したという事件であったわけでございますので、こういう事件に際して、国際法及び国際慣例等に照らして認められる範囲での措置をとってきているというたてまえでございますので、こういう性格からして、これが正しく理解されるならばソ連側においても日本側の行為、とってきた措置を、非友好的であるというふうに一時点考えても、この事件が落着することによって長期的な日ソ関係、これは国交回復後二十年間も各方面にわたって築き上げられてきた幅広い関係だと思うのでございますけれども、この関係に影響を及ぼすということをソ連側が真に考えているというふうに私ども考えたくないし、ソ連側が、基本的にこの事件の性格を理解するならば、今後ともこの事件の終結とともにその方向に向かってソ連側としても考えていくんではないか。もちろん日本政府としても、この事件はあくまでも政府あるいは国民の意思と関係なく起こった事件であり、そして、これは基本的な関係に影響を及ぼすような性質のものではないというふうに考えておりますので、日本政府としても、従来と同様に日ソ関係の友好増進のために努力をしていくというつもりでございます。
  77. 秦豊

    ○秦豊君 せっかくの御答弁だけれども、はなはだ包括的かつ希望的観測に偏していると私は思いますが、こういう原則論を余りやっていても私の質問の本筋ではありませんから、具体的にちょっとお伺いしたいんですがね。  大方の報道によると、ミグの返還交渉をめぐりまして、ソ連側にはいろいろな考え方があるし、またソ連側から日本の態度を見た場合に、日本側のミグ返還についての基本的な脅え方に対しては難色を示しているとも報ぜられていますね。それを踏まえてなんですけれども、実際にはどんな点でどういうふうに食い違いや対立があるんですか。
  78. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  本件につきましては、十月の二日にソ連側に機体を引き渡す具体的な手続について申し入れてございます。それで、九日以来引き渡しにつきましての話し合いが行われており、そして基本的にソ連側もこの飛行機を日立港で引き取るということについて同意しているわけでございます。それで、時期につきましては、私どもからは十五日以降いつでも引き渡すことができると申し入れてございますけれども、その時期はまだ確定いたしておりません。あとは引き渡しに至るまでの技術的な手続がございますのですが、こういう点についての話し合いでございますので、その詳細の内容についてはこの席で申し上げるのは控えさせていただきたいと思うので了解をいただきたいと存じます。
  79. 秦豊

    ○秦豊君 いま何か、最後の方は何とおっしゃったのか、詳細については何ですか。
  80. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 技術的な詳細については目下ソ連側と話し合いをしておりますので、その内容につきましてはこの席で申し上げることを差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  81. 秦豊

    ○秦豊君 技術的詳細ですね、それは。
  82. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) はい。
  83. 秦豊

    ○秦豊君 技術的な問題。外交的については詳細にお答えできる立場でしょう。つまり、ぼくたち非常にわからないのは、分解して日立港から積み出す。分解なんということについても、それは原状復帰じゃない、分解したままで八つ、九つに分けて運ぶというような点についても、ソ連側と食い違いや摩擦なくまとまるという見通しがおありなんですか。
  84. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) これは私ども、ソ連側にはしかるべき方法で日立港まで輸送して渡すことという基本的な考え方を申し述べておりますので、ですから、そういう形での引き渡しは行われることになると思いますが、それに関連する技術的な引き渡しの手続その他細かい点についての話し合いが行われておりますので、その点につきましては、先ほども申し述べましたようにこの席での御説明は遠慮させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  85. 秦豊

    ○秦豊君 この内閣委員会で、答弁の中にそれがこぼれると、今後交渉を煮詰め、ぱちっとまとめるに支障があるというふうに判断を都甲さん、されていると、そういうことですか。そんな微妙な問題ですか。
  86. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 手続の問題のかなり細かい問題もございますし、これはやはり当事者間の話し合いで決めてから外に公表させていただくのが本筋であると私ども脅えておりますので、そういう観点から、この席での御説明は遠慮さしていただきたいというふうに考える次第でございます。
  87. 秦豊

    ○秦豊君 では返還交渉はそう遠くないときに——きょうもう十四日ですか、今週中ぐらいに片がつくんですか。来週でも積み出しができるんですか。
  88. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) その点につきましても、目下ソ連側と——私どもといたしましては、これは返還交渉というものではなくて、引き渡しを当方からソ連側に申し入れてございますので、その引き渡しの手続についての話し合いというふうに了解しておりますけれども、若干技術的な詰めが残っておりますので、いつどういうふうにこれがまとまって、いつ積み出せるかということを現段階では申し上げられないわけでございます。
  89. 秦豊

    ○秦豊君 柔和でガードがかたいんだけれども、あなたは。どういう問題が残っているんです。それも言えないんですか。それから、話がまとまるということは、あなた方はネゴという言葉をお使いにならない。話し合い、実務的なレベル、日本語はどうだっていいですよ。しかし、補償問題ね、これも片がつくんでしょうな、同時に。
  90. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 補償問題につきましては、私どもは引き渡しに関連する梱包及び運送の費用、それから、函館空港における施設への損壊についての支払いということについてソ連側にこれを申し入れてございます。これも当然話し合いの内容になっているわけでございます。
  91. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、都甲さん解放しますけれども、最後に、大体いつごろめどがつきそうかという感触もこぼしてはならないんですか、どうなんですか。
  92. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) これは、私ども一方的に決められればよろしいんでございますが、何分相手もあることでございますので、この辺も現段階ではちょっと申し上げられる段階にないということを申し上げたいと思います。
  93. 秦豊

    ○秦豊君 これは大して大きなネックにも逢着せず一応まとまるという裏づけ、感触を得ているからそういう答弁になるんだろうと思いますけれども、これ以上は堂々めぐりしてもしようがないからどうぞ、私の質問については結構です。  ミグの問題の本論に入る前に、ちょっと細かい問題を先に済ましておきたいと思います。  日米防衛協力小委員会、前の国会の終盤で質問をしておきましたけれども、それからもう四カ月以上たとうとしていますから、その間に何回開かれ、部会の設置等含めて、前は通信、補給、輸送等の部会が設けられるかもしれないというアバウトな答弁だったんですが、それはもうコンクリートに機構や何かまとまったのかどうか、決まったのは何が決まったのか、何回ぐらい開かれて何が決まったのか、その辺を明らかにしていただきたい。
  94. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 日米防衛協力小委員会につきましては、実は第一回目が開かれましたのは八月の三十日に開かれたわけでございます。そしてこのときには、この小委員会の今後の運営の仕方等について協議をいたしました。そして、これは研究をしながら開いていくという性格のものでございますから、毎週とか毎月とかいうのではなく、少なくとも二カ月に一回程度は開きながら、研究した内容について話し合おうというようなことでございました。そして、来週中にもその二回目を開くことになっております。したがいまして、第一回目のときにはその運営の仕方等について話し合いまして、今回は、今後詰める議題と申しますか、こういう内容についてお互いに話し合おうということを日米双方が案を持ち寄って、それをすり合わせて、それに従って研究を始めていこうという段階でございます。
  95. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、設置さるべき部会などはまだ今後の検討にまつ、協議にまつという段階でしかないんですか。
  96. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 部会等につきましては、最初に、その協議の内容といいますか、それを話し合って、その中でどういうものが必要になるかということを検討する、そういう段階でございます。
  97. 秦豊

    ○秦豊君 おおよそ、日米双方はいつごろまでに——第一、部会がぴしっとしなきゃ運用が完璧じゃないですからね。何が起こるかわかりませんからね。いつごろまでにそれを終えようとしているんですか。大体のめどはあるんでしょう。
  98. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これにつきましては、いつごろまでというのはまだ実は話し合ってはいないわけでございます。今度その内容について、こういうことを討議し研究しようという内容が決まりますと、そのおのおのの分野につきましていつごろまでというような形になっていくのではないかというふうに考えております。
  99. 秦豊

    ○秦豊君 大変大まかでいらっしゃる、またおおようでいらっしゃると思います。  FXの選定で、全然違った観点を聞きますが、データ解析をする場合、たとえばF14、15、16、小松チームが帰ってきてもたらしたもの、その後の資料の渉猟、全部含めてデータ解析をする場合は、空幕のたとえば防衛防衛課の分析班というふうなものが中心であるのではないかとも思われるが、実際にはデータ解析はどういう広がりで担当するんですか。
  100. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 中心になるのは防衛部だと思いますけれども、それぞれ各部に関係するところはそれぞれ各部が担当いたしますので、どういう範囲かとおっしゃいますと、これは航空幕僚監部の幕僚全部といいますか、それに関係する分野というものが全部関係してやるということでございます。
  101. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、当然防衛部長、空幕長、FX準備室、このスタッフは全部参加するわけですね。
  102. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) その解析の途中で幕僚長が常時出ているということはないと思いますけれども防衛部長が中心になってやっておりまして、そして、その結果等につきましては空幕長のところでも報告をし検討するということになると思います。
  103. 秦豊

    ○秦豊君 ファントムのころからもうそうでないかと思うんだが、防衛庁には大型コンピューターありますか。この解析にたえるようなコンピューターは備えてあるのか。伊藤忠のコンピューターシステム、コンピュータールームを使ったという経緯もあるのではないかと思うが、現状はどうなっています。
  104. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ファントムの当時は、たしかコンピューターの関係で計算だけを部外に委託したということはあると思いますけれども、今度の場合について、その内容をどこでどういうふうにやったかというのは、私ちょっときょう調べておりませんのでよくわかりませんが、大部分のものは自衛隊のコンピューターで処理できるというふうに考えております。
  105. 秦豊

    ○秦豊君 それは正確に調べて、少し関心のある項目ですから、きょうの質問ではこれ以上述べませんけれども、お知らせください。
  106. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) はい。
  107. 秦豊

    ○秦豊君 質問を続けます。  前回の当委員会でのFXをめぐる私の質問に対して、さまざまな観点からアプローチをして、なぜF15でなければならないのかということに対するかなりしつこい質問等があったわけなんですけれども、それに対する防衛庁側の答弁は、長官と伊藤局長含めてはなはだしく不満であるし、異論を持っている私をすら説得ができなかったことはあなたもお認めになると思います。しかし、内閣委員会の論議の場合、この段階にまで来ると、お互いがたてまえにこだわっていては論議が深まらない段階になっている、特にFX等の問題は。そういう場合は、かつて源田ケースというのがあって、当時ユニホームであった源田氏が、委員会で参考人という扱いであったかどうかは記憶が薄れましたが、何かそういう処置があったはずです。したがって、ケースに応じて空幕長などユニホームを参考人として内閣委員会に出席を求める、そして論議を深める、論議を実態的にする、リアルにする、こういうことについて、私はあってしかるべきではないかと思うのだけれども、坂田長官の判断はこれについてどうでしょう。
  108. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) まだ私、その点について研究をいたしておりません。おりませんけれども、いまの段階でそういうことをやる方がいいかどうかということについてはむしろ消極的でございます。しかし、十二月の、いよいよ全貌が明らかになって、どういうものを選定したという段階で、場合によってはそういうことも考えなければならないこともあるかなというふうには考えております。でございますけれども、ここで、いまそれをやります、あるいはやりませんと言うことは差し控えたいと思います。
  109. 秦豊

    ○秦豊君 別に外国をまねる必要はないと思いますけれども、アメリカの場合、ステニス軍事委員会とかいう場合の秘密会、あるいはユニホームの出席の恒常化というふうなことが確立されていますね。日本の場合、やはり私はこれから必要に応じて——いまの長官のお答えはそういう可能性を断ち切ったのじゃなくて、時期が来れば考えてもいいよというふうに含みのある御答弁として受けておきますし、現実に必要な時期が来る。場合によっては秘密会という形式が要求される、場合によってはユニホームが出席すると、そういうことが自在に運営されてしかるべきではないかというふうな感じを私は持っております。だから、ぜひとも考慮にとどめておいていただきたい。  それから、九月八日の午後に、自民党の国防部会と安保調査会、基地対策特別委員会等々のさまざまな機関が合同会議をたしかお持ちになったはずです。もし誤りでなければ、坂田長官と伊藤局長と亘理官房長が出席された事実がありますか。
  110. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) それはございます。たしかにミグの問題だったと思います。
  111. 秦豊

    ○秦豊君 それでは、坂田長官御出席になっていたようだから好都合ですが、そのときの発言の中に、FXに絡んで、次のFXは今度飛んできたミグ25に対抗できるような機種になりますという、発言というよりはこれは防衛庁側の答弁だと思われるのですけれども、かなりエキサイトして、いわば空気としてはタカ派的な突き上げが、防衛庁側に何をしているというようなニュアンスでぼんぼん飛んできて、そういうやりとりの中で、いま私の申し上げたような発言があったと聞くが、そういう事実があったのか、あるいはこういうふうに明確な答弁をされたとすればどなたの発言なんですか。
  112. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) いま私どもの記憶にございますのは、そういう端的な話ではなくて、このミグの影響が次期戦闘機の選定に何か影響を及ぼすかどうかというような話だったと記憶いたします。そういうふうに私は聞いておるわけでございまして、私もおったわけでございますけれども、それでございますから、それは調査の結果が明らかにならないとはっきりは言えないけれども、直接の関係はございませんというふうに私は申し上げておると思います。しかし、全然これを無視して決められるものではないというふうにはお答えをしたと思います。
  113. 秦豊

    ○秦豊君 同じ場で、AEWといっても防衛費がGNPの一%以下では動きがとれないというニュアンスの、語感の発言もその場でなさった方がいるのではないか。とすれば、防衛考える会、あなた方が尊重された、われわれはあの方々を個人的な恨みつらみはないけれども、あれが国民良識を、理性を代表するベストな人選とはとうてい思えないけれども、百歩譲って、あの考える会は防衛費とGNPとの関連については、もう言うまでもなく一%以内とリポートしたはず。ところが、最近の防衛庁は一%程度というふうに微妙な世論操作、世論誘導にすでに入った。だから、自民党、これは内輪の会ですから非常に気楽な調子で臨まれたのだと思う。これは長官は否定されたが、FXとミグ25の問題についても、前後の発言をつなぎ合わせると、ミグ25に対抗できるようなのは当然ですよとか、踏まえますとかいう発言があったに違いないと私は思うのだが、AEWについてもこの種類の発言があったのですか。
  114. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) たしかあのときに私は、AEWにつきましては、確かに今後のポスト四次防では考えなければならないことである、あるいは機能としてはやはり備えておかなければそのところは穴になる、間隙になるということは言える。しかしながら、この機はかなりのお金がかかりますし、あるいはこれを幾つか備えてみたところで、それじゃ完全な防衛体制ができるかといったらAEWを備えたからといって今回のような侵入を阻止できたかとうべと必ずしもそういうわけにはいかない。と申しますのは、アメリカもAEWは御承知のように持っておるわけです。しかし、一九六九年に同じ亡命機がキューバからやってまいりましたときにも、このAEWはたしか飛んでいなかった。したがって機能もしていなかったわけでございますけれども、たとえば飛んでおったにしても果たして防ぎ得たかどうかということは問題だと思うのです。この平和時におきまして、一機、二機、しかも亡命というような目的を持って入ってくるということを完全に把握をするということは至難のわざであるということは、各国共通したことではなかろうかというふうに理解をしておりますので、そのことは私申し上げたことでございます。しかしながら、AEWが全然必要ではない、ポスト四次防には考えておらないと言えば、それはうそになるということを申し上げたと思います。
  115. 秦豊

    ○秦豊君 AEWの問題と防空システムは、時間があれば後で触れ直したいと思います。  防衛庁のこの一%程度という含みは、私はあえてそんたくすれば、たとえばAEW、対潜哨戒機、F15というような、いわゆる正面装備に関連したものを精強なものをどんどん導入する。だれがどう考えても軍事的合理性と財政的な趨勢からすれば、一%ではもうはみ出すと、必至だということは図上の計算でわかるわけであるから、だからそういうものを踏まえて、あなた方がすでに、これから緩やかに衝撃を緩和しながらその方向に持っていくという、そういう私路線ではないかと思うのです。AEW、対潜哨戒機、FX、どうしてもはみ出す。いまから、そのときになっての衝撃を緩和するために一%程度という日本語特有のあいまいな表現の中にあなた方は逃げ込もうとしている。そういうふうな底意を感じられてならないんだが、長官どうなんですか。
  116. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) いや、非常に違うんでございます。それははっきり申し上げておきたいのは、従来、ともいたしますると、GNP一%ということが、言うならばもう日本の防衛力の限界であって、そしてそれでもって日本の防衛構想を立てなさいと、こういうような形になるというのは少し考え方としておかしいではないかという疑問を私自身が持っておるわけでございまして、平和時において、あるいは国際関係がこうあって、第二次大戦後において非常に軍事力の行使というものが限定的になってきた、目的、手段、方法、地域、時間というふうに。そして現在日本の置かれておる侵略的事態というものを考えた場合は、当面安保条約が機能している限りにおいては非常に限定された奇襲攻撃等であるということを考えてみると、それに対応するものは確かに持っておらなければならないという、こういう考え方が出てくるわけであって、それに、そういうあらゆる侵略事態に対して対応するところの一そろいの防衛機能というものは持っておらなければ平和時であってもいけない。で、それをいまの価格ベースで計算をしてみると一体どうなるのかという場合に、それが一%以内ということじゃなくて、それが若干一%を超えることがあっても、それはその防衛構想それ自体としてはむしろ積み上げた形として結構ではないだろうか。しかし、その防衛構想を今度は何年間に整備する、ということ、そういうことになれば、これは当面五年間の間はやはりGNP一%程度におさめなければならないような状況だというのが私の考え方で、最初から一%で抑えられるような防衛構想ということでは、これは防衛の責任者としては言えないことなんだという私の考え方でございます。
  117. 秦豊

    ○秦豊君 きょうはこれが本筋じゃありませんからね、一%論というのは。しかし、あなたの持論たる国民合意の上に立った防衛力整備という観点は、国民合意というのは一%以内というのが定着しているんですよ、これは。それが国民常識なんです。防衛費、さまざまな見方は批判的な観点もあるし肯定的な観点もあるけれども、ばらつきを整理して言えば一%以内というのがつまりコンセンサスなんです。現状までのコンセンサスなんです。これを微妙に突き破って程度——程度とと言えば一・三になるかもしれぬ、一・五以上かもしれない、二%というのは極論だと思うけれども。そうなると、やっぱり新たな合意を獲得するということは大変これは至難なわざですよ。いままでの防衛庁のように、何もかもべたぺたっと機密の判、秘密の判、対ソ配慮等々で仮想敵は持たない等々の流儀で、いわゆる防衛庁的なし崩し主義というか、秘密主義が余り横行すると、新たな合意はこれはなかなか形成できませんよ。そのことをあなたに言っておきたいと思います、このことについては。それはどうですか。
  118. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 私はもう初めから国民の理解と支持と協力がなければ、どんなに優秀な装備を持ち、あるいは精強な自衛隊を備えておっても、それは力が力となり得ないということでございますから、先生おっしゃることはよくわかるわけでございます。
  119. 秦豊

    ○秦豊君 ミグ25の調査をめぐって、例のガリガン中将と、それから空幕長との間のこれはメモだというふうに言われていまして、協定でも覚書でもないメモランダムですね、これは。伝えられるこの三項目、あれがメモのすべてなんですか、防衛局長
  120. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 内容としてはあれがすべてでございます。
  121. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、メモのコピーを提出できますか。
  122. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) あれは話し合いをやりましたことをメモにしたものでございますから。その内容につきましては提出させていただきます。
  123. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、なるべく早く提出をしてください。  それから、これは江口局長の担当範囲でしょうか。FXの価格をめぐりまして、三菱重工、三菱電機、石川島播磨重工のいわゆる関連三社が、すでに防衛庁側のサゼスチョンもあったのでしょう、アメリカ側のマクダネル・ダグラス社との打ち合わせも終わって、去る九月十八日に、防衛庁に対してF15を妥当な機数、ライセンス生産した場合の、これは専門的には何と言ってるんでしょうか、積算資料というのか、見積資料というのか、ちょっと私よくわかりませんが、積算資料に類するもの、これを提出したという事実がありますか。
  124. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) お尋ねの事実は、九月の中旬に御指摘のように三菱重工、それから石川島播磨重工、それから三菱電機の専門家が渡米いたしまして、そして九月十八日に報告を出しております。これはどういう趣旨のものかと申しますと、まあ一応、従来空幕の方で、いわゆるリクエスト・フォー・プロポーザルというものを出します。これは簡単に言えば価格のオファーを向こうに要求するわけでございます。それを要求いたしまして、それで資料を求めると。それから、さらに調査団等を向こうに派遣しておりまして、そのときに必要な資料といたしまして価格などもとってきておるわけでございます。しかしながら、今回もそうでございますが、私ども考え方といたしましては、こういったFX等につきましてはやはりライセンス生産というものを主体として考えていきたいと考えております。この点はいまもまだそういう考え方をしておるわけでございますが、そうなりますと、やはり国内でつくる分がございます。この国内でつくる分について大体どれくらいの価格見積もりになるだろうかという価格見積もりを依頼いたしましたのが直接の動機でございまして、それの見積もりに必要な範囲におきまして、やはり現場視察でございますとか、先方との若干の話し合いでございますとか、そういうことが必要になってまいりましてこの三チームが出かけたと、かような経緯をとっております。  で、その中身等につきましては、要するに、彼らのつくります、いわゆる国内分の価格見積もりを中心として報告をいたしておりますけれども、それの関連においてある程度彼らがつかんできた先方の価格インフォメーション等も、ある意味においては参考的には出されておると考えます。しかしながら、主体はあくまで国産でつくる分と、かようなことになっております。
  125. 秦豊

    ○秦豊君 これは一つお願いなんですけれども、この間、江口さんと私の間の応酬の中では、FXの価格はかなりラフなことにしかなりませんでしたね、まだ積み上げが足りていない。私がこういうことを持ち出したのは、FXの価格ということは納税者の重大関心事である。で、ぽんと決まって幾らだよ、後は税金で払ってくれというふうな姿勢じゃなくて、いろんな議会でやっているように、なるべくその都度広く納税者の皆さんの理解を得ながら前にいくという路線が必要でしょう。だから、この場合も私は、企業機密ですという答弁をあなたはすでに口の中でつぶやきつつあるのかもしれないが、これはFXの価格をつかむ場合の一つの有力な根拠になる。で、この三社から提供された積算資料というのを、私並びに当該私ども委員会に資料として提出が可能か不可能か、どうでしょうか。
  126. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) これはやはりいま検討中でございまして、まあこれとしてフィックスした価格であるとは申せられないと思うんです。で、これからやはりこの三社におきましても、現実にいろいろと話を詰めてまいります場合には、もっと検討を必要とするであろうと思います。それから、われわれとの間も恐らくやりとりをせねばならぬだろうと思います。それから対米関係につきましても、詰めていきます場合には、いまの段階では必ずしも十分ではございませんので、やはり徐々に詰めてまいらなければならないと思っております。しかも、これは一社だけでございませんで三社ございますので、その三社、あるいは国内のまた三グループというものがこう出ますと、やはりそれぞれに相手の情報がわかると申しますか、そういう問題がございます。まあ基本的には、簡単にお答えすれば企業秘密と申し上げれば一番簡単でございますけれども、やや中身を申し上げるとそういういきさつになろうかと思います。したがいまして、現段階におきましてはひとつ御容赦いただきたいと思います。
  127. 秦豊

    ○秦豊君 ライセンス、ライセンスとおっしゃっているけれども、すでにいままでにあなた方がつかんでいらっしゃる資料にもあると思うが、たとえばF15に仮になった場合、主翼前縁のチタン加工がありますね、あれは治具などの設備投資等だけでも大変なことになって、とても日本の航空機工業、航空機産業の実績と水準ではあかぬと、金も高過ぎる。となると主翼のその部分は完成した物としてそっくり輸入するというふうなことが前提になっているんですか、あるいはそのチタン加工の部分も含めて。これは設備投資だけでも数百億円しますよ、そういうものを含めてライセンス生産という踏線に傾きつつあるのか、その辺は参考のために聞かしてください。
  128. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 御指摘のとおり、いまいわゆるチタン加工の部分はかなり重要な部分でございます。で、これをどうするかということは、やはりその機数との関係が出てまいります。この機数が多ければ相当程度投資いたしましても、それはある程度回収、まあ吸収と申しますか、が可能になりますけれども、確かに現状で見る限りは、これを日本でやってくるということはかなりむずかしいのではないかというふうに考えます。しかし、まあいまの段階では検討中であるというふうにひとつお答えさしていただきたいと思います。
  129. 秦豊

    ○秦豊君 防衛局長、この前の委員会からもう四十八時間もたちましたのでね、空幕の上申ですね、大分わかりましたか、いつごろになるんですか。
  130. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 空幕の上申につきましては、おとといもいろいろ話を聞いたわけでございますけれども、現段階におきましてなお検討しなきゃならない事項、たとえば調達方法、そういったものが残っております。したがいまして、きょうあすというような時期には上中はないと承知いたしております。
  131. 秦豊

    ○秦豊君 いまあなたの言われたことに関連して、防衛庁装備局航空機課長筒井さんはお見えでしょうか。——筒井さんに主としてこの項は伺いたいと思いますが、筒井課長はいつごろ渡米されたんですか。
  132. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) 私は本年の七月十二日から十六日に至る間、国防省を訪問いたしまして、FXが五十二年度より発足するということを想定いたします場合に必要となるであろう国防省との事務レベルにおける打ち合わせを行ってきております。
  133. 秦豊

    ○秦豊君 すでにあなたの動静はあらかた報道されていますから、それをコンファームする意味で伺いたいと思います。  国防総省と会ったというと、どんなスタッフ、FMSの対外有償武器援助関係の者なのか、あるいはもっと運用面に関係したスタッフともお会いになったのか、だれと、どんなスタッフと何を話し合ったのか、もう少しデテールを詳しく報告してくれませんか。
  134. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) こういった問題を担当いたします国防省における主管部局はディフェンス・セキュリティー・アシスタンス・エージェンシーというのがございまして、そこのヘッドはゼネラル・フィッシュという方でございます。そこの担当課長、あるいは次長かもしれませんが、そのクラスの方々、それからフィッシュも会っております。なお、私の場合には、どの機種を選定するということではなくて、機種が14、15、16のいずれになりましても、必要となるであろう細部事項の打ち合わせでございますために、14が海軍省でございます。したがいまして海軍省及び15、16を所掌いたします空軍省の担当官とも会っております。で、海軍省の場合には、いまのDSAAという内部部局に相当いたしますところが、CNO——作戦本部と翻訳しておりますけれども、そこの中にございまして、そこのたしかオペレーション63というような部になると思いますが、そこの担当官、部長以下といろいろ話をしております。それから空軍省の場合にも、主としてFMSとか、そういった問題を担当いたしますところの担当官と会ってきております。で、話しました事柄は、主としまして調達方法の問題でございます。特に本年は武器輸出管理法が新たに六月三十日に成立してございまして、F4、104等で行った在来のわれわれの想定しているいわゆるライセンス生産というパターンが成立するものかしないものか、そういったデテールを打ち合わせてきておりまして、その結果いささか当方の計画も変更を行っている次第でございます。
  135. 秦豊

    ○秦豊君 結局、あなた方の在来の方式では実現できないということ、そういう感触を持ち帰ったのですか。その答弁のところがちょっとぼやけていましたから、はっきりしていただきたいのと、それから筒井課長が担当された範囲ですね、せっかくいらしたんで、思ったより短かくて驚いたんだけれども、FXだけじゃなくて、PXLのこともあなたの所管の範囲でしょう。ならば、PXLの導入に際しての問題点も煮詰めてこられたんですか、あるいは本当にFXだけなんですか、ちょっと不自然に感じられるんだが。
  136. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) 第一点の御質問でございますけれども、在来、いわゆるライセンス生産のパターンではノックダウンでございますとか、これは組み立て機でございますけれども、あるいは取得上先頭二機というようなものをF4のときには完成機で購入しておりますが、これもライセンス生産の一環ということで、国内メーカーを通じての発注を行っておりまして、FMSではございませんでした。しかし、今回の武器輸出管理法の趣旨に基づきますと、わが国の場合には二千五百万ドルを超しますところのこのような主要装備品に関しましては、FMSでなければならないということになりましたので、先頭二機あるいはトレーナーを含めましての若干機というものはFMSで購入しなければならない、そういうぐあいに了知しております。  それから第二の点、PXL云々の件でございますが、私の与えられたミッションはFXに関する諸種の打ち合わせでございまして、したがいまして、PXLを議題として米国防省の担当官と話し合った事実はございません。
  137. 秦豊

    ○秦豊君 そうですか。それではFMSを前提として、F15を日本が導入する際のいろんな手続ですね、いろんな手続には、まず法的な手続がベースになりますね、法的な手続、それから、ある日本側の要請、リクエストを基準にして納期の問題、それから搭載機器の区分、部品の補給、それから変更が起こった場合の連絡の方法等々は、当然あなたの所管の範囲、話し合いの内容になっており、それらについては成案と結論を得て帰ってみえたんですね。
  138. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) この点は、実は単に航空機課長だけではございませんで、いわゆる装備局ということで検討をいたさなければなりません。そういう意味で、いささか出過ぎたことでございますが、私が申し上げたいと思います。  まずFMSになりました場合にどういうことかということでございますが、基本的に申しまして、やり方についてはこれは従来とほとんど変わりないと思います。ただ、その中身の割り掛けがどうなるかとか、あるいはチャージがどうなるかとかいうような問題は、あるいは若干の変更が出るかもわかりませんけれども、大筋から申しましてFMSになったからどうかということにはならぬだろうと思っております。ただ問題は、これはいわゆる政府間取引でございまして、さらに今回の新法によりますと、アメリカの国会に対する、これは単に政府取引のみでなく、いわゆる商業取引につきましても一定金額以上のものは全部でございまして、一応報告義務が行政府に対して課せられております。そういういわゆる報告義務が課せられておるというところが従来と違っておる点であろうかと考えます。しかしながら、繰り返しますが、基本的にそれほどの変化は出まいというふうに考えております。
  139. 秦豊

    ○秦豊君 筒井課長がペンタゴンずっと歩かれて、空軍とか海軍を歩かれて、F14、15、16、まあこの場合15だけでいいですから、F15については価格の点についても、いままでこの委員会で江口局長が言われたよりもっとシャープなデータについて情報を交換してこられ、ある基準を持って帰られたんでしょう。F15、どうなんですか。
  140. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) FXの調査団、小松調査団でございますけれども、このチームが五月から七月の中旬まで、私が行ったときもなお米国をいろいろ調査しておりまして、そのチームの方が価格等の調査は全部行うことになっておりまして、私は価格の調査ということをいたしておりません。
  141. 秦豊

    ○秦豊君 PXLの選定の問題を少し聞いておいて、ミグ25、本論に入りたいと思います。  二、三日来いろんな報道が乱れ飛んでいるんだけれども、このPXLの選定が、当初のわれわれのとらまえ方は、まあことしの終わりには何とかしぼるだろう、それまでにはしぼるだろうと思っていたのが、何だかことしの末はもとより今年度末でもちょっと障害がある、もう少しゆっくり練り直すというふうな雰囲気が、何か防衛庁の中に出始めているというふうな報道も一、二兎受けられたわけですが、そういう情勢に変わってきたわけですか。また、そうであるとすれば、どういう理由で空気が変わってきたんですか。
  142. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) この点はいささかも前と変わっておらないわけでございまして、十二月の末には、いずれまあロッキードの解明の結果もおおよそは出るだろうというふうに私は考えておるわけでございまして、それまでは、いままでのあらゆるオプションについて検討しておけということで事務を進めているわけでございまして、変わっておりません。
  143. 秦豊

    ○秦豊君 ああそうなんですか。ではことしじゅうにということは、来年度予算の中に何とか上積みで出さなきゃならないという予算化を含めて、ことしじゅうにはやはり結論ですか、延びる延びるという報道はじゃ誤った報道なんですね。
  144. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) これはどこかで、たとえばロッキードの解明等がおくれるとか、あるいはいろいろのほかの事情があるというようなことで延びるというオプションということは考えないのかというようなことがございましたので、いやそれもオプションの中の一つですとは申し上げておるわけです。
  145. 秦豊

    ○秦豊君 なるほど。それから、カナダが十八機契約をしたのはオーロラですね、CP140、かなりP3Cより性能は、特にエレクトロニクスではコンパクトで優秀だと、しかし、そのかわり高い、百六十五億円を超えていると言われておりますけれども、そうすると、いままで私たちはあなた方の雰囲気というのはP3C一辺倒と思ったわけですよ、実は。ところがこの段階では、時期はことしじゅうに決まるけれども、P3Cも候補の一つ、それからそれを換骨奪胎してレベルアップしたオーロラ、CP140なども候補機の一つ、つまり、いわば両面で幅広く考えるというふうなことに変わってきたんですか。それとも、やっぱりいやP3Cだというかたくなな信念を実現しようとするのか、その辺ちょっと聞かしてくれませんか。
  146. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) これは、従来専門家会議等にいろいろ検討をしていただいておりました当時は、当然のことながらいわゆるCP140というようなものはございません。それから、そのいわゆるCP140の中の搭載機器と言われるものの私どもは主流をなすと思っておりますが、いわゆるS3A、これは海軍の艦上機でございますが、これは当時はやはり艦載機という考え方をいたしておりまして、一応検討はしておりますけれども対象から外しておったわけでございます。ところが、いま御指摘のようにCP140というものが出てまいりました。これは言い方をかえますと、中身と胴体というものは違っておる、いわゆるコンビネーションでございます。そういう意味で、従来いろいろ考えておりましたいろんなケースがございます。つまり、国難でございますとか、開発案でございますとか、あるいは導入案でございますとか、あるいは分離して結合する折衷案と申しますか、そういうのがございます。そういうものの一つのパターンということで出てきておるというふうに私ども考えております。したがいまして、そういう新しい事態も踏まえまして、やはり検討対象はそういう広いところをもう一遍考えてみて、そしてよく検討していきたいと、こういう考え方をしておるわけでございます。
  147. 秦豊

    ○秦豊君 そうするとあれですね、あり狩るケースとしましては、オーロラを見るために専門家の調査チームを一遍や二度ぐらいは、こういう重大な問題なんだからカナダに派遣をする、ないしもう派遣の了解を取りつつあるというふうなことがあり得るんですか。
  148. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) カナダにつきましてはなるべく早い時期に、どの程度のチームの大きさになりますか、あるいはどういう構成になりますかわかりませんが、だれかそういう人々を出しまして、向こうの方の話をよく聞いてまいりたいというふうに考えております。
  149. 秦豊

    ○秦豊君 それはP3Cが、長官がおっしゃったように来年度予算と関連が出てきまして、ぼくが一部の報道を見てうんとおくれるというイメージを自分で修正しましたから、ことしじゅうとなるとカナダに出すにしたってそうのんびりはできませんね。わりと早期にそういうチームが実現するわけですね。
  150. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 手続上の問題がございますが、なるべく早く、極力早くやりたいというふうに考えております。
  151. 秦豊

    ○秦豊君 それから、P3CまたはCP140的なものをわが国が導入をした場合に、ユニットとして当然関連が出てくるであろうと思われますのは情報解析システムではないかと思うんです。あるいは情報解析システムを含めたいわゆる地上からの支援設備というか、地上との連動システムというか、この体制が当然不可避だろうと思うんです。つまりいまのシステムでは連動をしないのではないかと素人考えには思われますが、新たなシステムが必要なのか、あるいはそんなこと必要でないのか、その辺はどうなるんですかね。
  152. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) CP0140に積んでありますのは、いま装備局長から御説明しましたように、S3AのEDPSといいますか、電子機器を積んでいるということでございます。実は、私どもはこのS3Aの毛子機器というものは詳しく調査しておりませんでした。先ほど来先生がおっしゃいますように、現在わが方に適したものとしてはP3Cではないかというふうに従来考えてまいったものでございますから、S3Aについての調査というものは必ずしも十分ではございません。したがいまして、これを積んでいるCP140、それがやはりタクテイカルサポートといいますか、そういった機能が必要なのかどうか、そういうことも含めて調査をしなければならないというふうに考えております。
  153. 秦豊

    ○秦豊君 そうしますと、PXLにつきましてはかなり選択の幅が広がりつつある。またそれでいいと思うんですね、それで。その方がぼくは合理的だと思うんです。それから、しかしこの階段に来ますと、この国産という選択はぼくはもう何かますます遠ざかりつつあるような気がしてならない。そうすると、P3Cかあるいはオーロラかは話は別として、やはりある時期には何機かの完成機を輸入する。それを十分に——わりとそういうことは日本は器用にやるようだが、十分にこなして、そのいろんな技術情報、ノーハウ、それを手のうちに入れておいて、かみくだいておいてライセンスの軌道に乗せるというふうな段階が常識的に想定されると思うんですけれども、国産のことも含めて考えていますというふうなことはもう言えなくなっているんじゃないだろうかと思われますが、どうでしょう。
  154. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 私どもは必ずしもそうは考えていないわけでございます。御承知のように、P3CとPXLといいますか、国産を考えておった当時のことは、先生も御承知のように、私どもはやはりスピードのある飛行機に載せたいというのが根本でございました。そこでP3Cということに傾いた時期といいますのは、その電子機器が非常によかった、そしてそれがオライオンでございますか、あの飛行機に積んであるということでそれを入れるというようなことも考えておったわけでございます。しかしながら、このS3Aの電子機器というものを積んだいわゆるオーロラが出てまいりました。しかし、考えてみますとカナダという国はオーロラを十八機でございます。したがって、十八機ということになりますと、そのためにわざわざ機体をつくるということはしないで、恐らくそのままの機体に載せたんだという感じもいたします。したがいまして、私どもの海上自衛隊が希望しているような数十機というようなオーダーになりますと、あるいは、その機体は従来から研究調査をしてまいりましたこともございますので、そういったものは国産して、それにいわゆるS3Aの電子機器を積むということも可能ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  155. 秦豊

    ○秦豊君 防衛局長の答弁の一番最後の部分ですね、やはり足の弔い、わりと八〇年代ごろの需要、ニーズに応じられる機体は、国内の航空機工業の需要を喚起する意味でも、基盤を強化する意味でもやっぱりやると、もう五十機越えるんだから。そうなると、その肝心なところ、そういうコンビネーション方式というのは、もう国防総省とか、それからさまざまな、ラムズフェルドとか、あるいは統幕議長とか、いろんな発言がちらついているが、結局いまのこのぎりぎりのいま、その詰めばアメリカ側と終わったんですか、胴がらとはらわたという意味のその導入方式、折衷方式はアメリカ側の了解するところですか、話はまだついていないんですか。
  156. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) そこまでは完全に詰めておりません。しかしながら、明らかにカナダがS3Aの器材をオライオンに積んだという事実があるわけでございます。したがいまして、そのP3Cそのものを輸入しなくてもできるということが客観的に証明されているわけでございますから、そういう可能性というものは大いにあるというふうに期待いたしているわけでございます。
  157. 秦豊

    ○秦豊君 これは大事なポイントですよね。こういう話を詰めるのはどういうランクの人がいつごろ話し合わねばならないのでしょうかね。
  158. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは技術的な問題と、それからいわゆる政策的な問題がございます。政策的な問題につきましては、私どもの方の次官からも向こうに頼んでございますし、また技術的にもそれぞれ詰めているという段階でございます。
  159. 秦豊

    ○秦豊君 丸山さんは次官になってから一遍もどこも行っていないですよね。行くどころじゃないから、いま。だけれども、それはそういう使命を持ってワシントンに、ペンタゴンに飛んで行って話をするなんというのは、かっこうな時期でもありますね、そうじゃありませんか。
  160. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) この点は、とにかくいまロッキード問題がわれわれの一番問題でございまして、とにかくこの解明なくしてはPXLというものを選定できないわけでございますから、可能性はあるというふうにお考えをいただいて結構でございます。
  161. 秦豊

    ○秦豊君 ミグ25の問題に移りたいと思います。  このミグ25の問題はいろんなとらえ方ができると思いますが、ぼくの場合は、最初の質問はミグ25と現在の防衛関連法体系、この関係で一つだけ伺っておきたいことがあります。  それは、今度のミグが与えた衝撃は広範囲にわたっておりますけれども、防空体制の問題はこの項目からは外しまして、法的な体制ですね、これの欠陥というのが全面的に露呈されたのではないですか。あなた方は防衛白書の発表に当たっては、たとえば輸送とかさまざまなもので、現在の縦割りの諸官庁との間に一朝有事に備えた法体系の整備を勧奨していらっしゃいますね。これはまだでき上がっていないと思いますけれども、ところが、今度のミグ事件というのは、はからずも現在の自衛隊法、防衛設置法を含めて、いわゆる有事の際に現行の法体系がいかに不備であるかということを完膚なきまでに露呈されたのではないかと思います。そうでないという立論が可能かもしれませんけれども、私はそう思っている。つまり、いまの法体系を当然再検討してチェックして、この部分だけはどうしても改めておかないと、第二のミグケースが起こったら同じような波乱を繰り返すのではないかという疑問が根強いですよね、そうではないのか。仮に、私と見解を同じゅうして法改正が必要だというふうに防衛庁側が具体的な作業に入っていらっしゃるのであれば、自衛隊法をいじくるのか、防衛設置法なのか、いやまだまだありますよとおっしゃるのか、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  162. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 今回の防空上の不備な点と申しますか、あるいは欠陥し申しますか、あるいは十分でないという点、これは認めざるを得ないと私は思うわけでございます。したがいまして、この再検討をいたす段階におきまして、法体系の問題につきましても、われわれは十分国民の安全を守る上においてこたえられるように整備しなきゃならないということは当然だと思うのでございます。それにつきましても、私がかねがね申し上げておりますように、国民の理解と支持と協力の上に立ってそういうものが決めていかれなければならないわけで、本委員会等において、先生みたいな非常に免職の高い御議論が闘わされ、そしてわれわれもそういう意見を拝聴しながらわれわれの作業を進めていくということが非常に必要だというふうにいま痛感をいたしておる次第でございます。
  163. 秦豊

    ○秦豊君 防衛庁の庁議とか、いろんな長官を中心とした会議では、ミグ事件後、あれは九月六日の話だから相当時間があったはずですね。ただ、あなた方は国会への配慮でなかなかずばっとした日本語を使わないんだけれども、仮に、素人考えをしても、有事の際の出動の問題ですね、防衛出動を含めた出動の問題、これを二つ考えても、いまの自衛隊法ではこの部分と、あるいはなければどういう条項、設置法はどうというふうな初歩的な検討ぐらいはもうなすったんじゃありませんか。それについての素案はでき上がっていないんですか。
  164. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) いま私どもがやっておりますのは、それらの問題についてもまだ問題点があろうかと思いますけれども、しかし、いまやっておりますのは監視体制の欠陥というもの、言うなら平和時においていつもやっておかなきゃならないこと、このことをしっかりしておかないと、やはり戦争を未然に防止するということはできない。言うなれば、この監視体制というものが非常にきちんとしておればなかなか侵略も容易ではないということが言えるわけでございまして、この点がおろそかにされ、あるいは不十分であるというようなことになりますと、やはりそこに危険性が生じてくるというふうに思いますので、まずはこの問題にひとつ取り組んでみたいというのがいまわれわれがせっかく努力をしておるところでございます。
  165. 秦豊

    ○秦豊君 それは確かに長官の言われたことはある程度妥当性があります。鶏と卵ではないが、防空体制の完備、整備、強化、それはあなた方の職能からすれば、あなた方にしてみれば当然でしょう。ところが、あり得べき望ましい姿として法体系の整備をいうのは、必然原則論的にはお認めになったわけだが、改めるとすればどういう法律にかかわっていきますか。
  166. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生の御質問の中で、具体的に、今度の場合には平時に領空侵犯があったわけでございます。その際に、領空侵犯にかかわる調査というのは国際法的にも防衛庁が実施するということは認められているというのが政府の統一した見解でございました。したがいまして、私どもがこの調査をすることになったわけでございますけれども、その間に、実は現存の自衛隊法では領空侵犯措置は強制着陸をさせるというところまでは書いてございます。実際に着陸してしまった飛行機は一体どこが保管するのか、あるいはどこがどういう形で調査するのか、そういうことは実は決まっていないわけでございます。そして、これはどこの法律にも書いてないわけでございまして、したがってこの点は、いわゆる政府としての意思を統一しておいて、そして防衛庁に保管させ必要な調査をさせるという意思が統一するまでに、やはり数日間かかったわけでございますので、そういう点につきましては、今後の問題もございますので、各省間で、法律の改正という必要があるのかどうかわかりませんけれども、少なくとも意思を統一しておこうというようなことで考えているわけでございます。
  167. 秦豊

    ○秦豊君 確かに法改正の前にさまざまなケースを想定して、ケースAの場合にはこういう解釈、ケースBはどう、Cはどう、これは確かにわりと抵抗の少ない方法かもしれません。そういう検討はもうすでになさって、ある程度の幾つかのケースについては横の見解は統一されているのですか、まだそこまで行っておりませんか。
  168. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは、いままさに先生がおっしゃいましたように、いろいろな具体的な事態を想定しながらやらなければならない問題がございますので、完全にその意思が統一されたということではございません。しかし、確かに日本は周辺が海でございますので、いろんな形で外国の船やあるいは飛行機が不法に入国する。領海侵犯もあるでしょうし領空侵犯もあるわけでございますから、そういうものを関係各省で議論し、検討し、方針を定めておこうというようなことでやっておりまして、まだ結論に至ってはいないわけでございます。
  169. 秦豊

    ○秦豊君 ミグ25の調査結果について、たしか自民党の加藤代議士が衆議院の内閣委員会で坂田長官に質問をしたはずなんですが、議事録はまだ見ていないのですけれども、そのときの質問に対する答弁として、調査結果は公表できないと。この前の委員会では時間切れでこの点については詳しく触れられていませんので、坂田長官がミグ25の調査結果は公表できないとされている根拠は、一体、漠然とした対ソ考慮というだけなのか、あるいは具体的に何か根拠があるから公表を拒んでいらっしゃるのか、その辺をまず初歩的に伺っておきたい。
  170. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 防衛局長が申し上げます前に私から全般的に、あるいは繰り返しになるかと思いますけれども申し上げておきたいと思います。  それは、ミグ25型機についての防衛庁の調査は、領空侵犯の状況を解明するために行いましたもので、対外的影響等に配慮し、調査結果を公表することは考えていない。なお、調査結果を今後いかに利用するかは、わが国の国益に照らして判断していくことにしたいというのが私ども考え方でございます。これにつきまして防衛局長から補足してお答えを申し上げたいと思います。
  171. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 今回防衛庁が独自で行いました調査というのは、領空侵犯措置の一環としてやったわけでございますが、その内容といたしましては、とにかくああいう低空でわが国の防空網にとらえられることなく着陸をしたというその事実、それに基づきます、あの飛行機の性能あるいはまたあの飛行機自体が持っておりますいろいろな記録装置、そういったものによってわが国の防空体制そのものが情報として把握されているのではないかというような観点から、機体を調査したわけでございます。したがいまして、この調査の中では、私どもの直接判断すべきことではないかもしれませんけれども、ソ連にとっても知られたくないようなことも調査していると思いますし、また、この調査の結果というものは、わが国の今後領空侵犯措置に対するいろいろな有効な方法を考えていく上の資料にもなるものでございますので、公表はしないという方針を立てているわけでございます。
  172. 野田哲

    ○野田哲君 関連で、ちょっと防衛庁の長官と、それから局長に伺いますが、この議論は先日の予算委員会でもわが党の森中委員、田委員からいろいろやられたわけですが、いま聞いておりまして、予算委員会の場における政府の見解にも私どもは不統一があるというふうに思うし、いま聞いておりますと、ますます不統一という感を深くするのですが、まずその第一は、領空侵犯という問題について、当時法務省の見解あるいは法制局の見解ですが、領空侵犯というのは国家意思に基づいて領空を侵した、これが領空侵犯である、こういう見解が明らかにされております。いまの防衛庁の答弁は、依然として領空侵犯ということで、これを基本にして対処したという見解が述べられているように思うんです。あのミグ25の場合には確かにソ連の軍用機が日本の領空に入ってきた。しかし、函館の空港に着陸をしてベレンコの言い分を聴取したところ、亡命であると、こういうことが明らかになった、こういうことでありますから、その時点で国家意思ではないということが明らかになっている。したがって、これはいま局長は領空侵犯という立場で機体の取り調べ等をやったということですけれども、国家意思でないということはベレンコの告白によって、あの時点、九月六日の時点で明らかになっているわけでありますから、これは領空侵犯ではなくて、亡命のためにベレンコ中尉がソ連の国家の所有している市川機を盗んで日本の領土内に入ってきた、こういうことではないかと思うんですが、この点はちょっと不統一があるように思うんですが、いかがでしょうか。
  173. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは予算委員会のときの政府の統一見解といたしまして、法制局長官が申し上げたことに関連してだと思いますので、もう二度そのときのことを申し上げまして私どもは違っていないというふうに判断いたしておることを御説明したいと思いますが、いわゆる国家の意思に基づくというのは、国家責任の問題を生ずるような領空侵犯ではない。いわゆる領空侵犯の中でも、狭い意味の国家の責任を追及するような領空侵犯というのは国家の意思が働いていなければならないというのが第一点でございました。しかし、この相手側の被侵犯国といいますか、相手側の承諾を得ていないで入ってきた飛行機、これもやはり広い意味の領空侵犯に当たるのだし、防衛庁はこの領空侵犯に対する措置というものを、設置法、それから自衛隊法によって任務として与えられているのであるから、当然この領空侵犯に対する措置をとるのは当然である。しかも、その措置の中には、その事情調査することも含まれているというふうに御説明になっていると思います。で、私どもはそういう観点に立って調査をしたわけでございます。
  174. 野田哲

    ○野田哲君 その見解、これにもいろいろの見方があると思うんですが、もう一つ、この函館空港でベレンコの告白を受けた函館のいわゆる道警本部、函館警察、そこで亡命であるということの意思が明らかになった。そうすると、あとは機体の所属の問題でありますけれども、法務省の取り扱いの経過、あるいは警察の取り扱いの経過を見ると、亡命であるということが明らかになった、その段階であのミグ25をベレンコに一回返して、ベレンコからこのミグ25を提供させるという一筆を取って、それからこの機体の調査に入った、こういう経過になっておるわけですけれども、明らかに、経過を見ると、ベレンコが亡命をするために国家の所有である軍用機を盗んで日本の領土に入ってきた。ベレンコが亡命のためだということを言った以上は、機体は日本の法律ではこれは盗品になるわけですね、盗んだもの。ソ連の国家のものを盗んでベレンコが日本の領土へ入ってきた。盗んだものを、亡命者というか、盗んだ者に盗んだ品物を返すという、こういう措置がとられているでしょう。軍用機というのは明らかに国家の所有のものである。ベレンコが亡命の目的を持ってソ連の国家の所有のものを勝手に使って日本の領土へ入ってきたわけでありますから、亡命のためだということがわかった以上は、この機体というのはベレンコの意思に任せるんでなくて、直ちにソ連の意向によって措置をする、これがとらるべき姿ではないかと思うんですが、その点いかがなんですか。盗んだものを盗人に手渡して、それから提供させている、こういう措置が一体妥当なのかどうか。これは法務省、警察もおれば明快にそれぞれの見解を伺いたいと思うんですけれども、きょうは関連質問でありますから、防衛庁だけにこの見解を伺っておきたいと思います。
  175. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) その点につきましては法務省からお答えするのが当然だと思います。ただ、私どもの方は、領空侵犯という事実がございました。したがいまして、この措置の一環といたしまして、その領空侵犯に使われました飛行機というものは、たとえそれが軍用機であろうと、あるいは民間機であろうと、必要なものは調査をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  176. 秦豊

    ○秦豊君 坂田長官ね、日米間の軍事的な機密、これに近づいたり、漏らすと、刑特法、いろんな法律とのかかわりは、これはありますけれどもね、ミグの機体調査に関する情報ですね、これは一体だれに対して守らなければならない秘密なのか、私わからないんですよ。なぜ発表ができないのか。まさか公務員の守秘義務でもないだろうし、何ですか、根拠は。対外配慮という言葉はさっき伊藤さんの中にちらっと出たけれども、何ですか、一体。何ではばかっているんですか。世界最高の軍事情報を手にしてほくそ笑む心境はわからぬでもないけれども、しかし何ですか、一体。もっとわかりやすく言ってください。
  177. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) これはむしろ常識的に考えられると思うんですが、さなきだに日本が勝手にこれを調査しているんじゃないだろうか、あるいはある部分については知られたくないということもあり得るというふうにソ連側で考えておる、そのことに対しまして、何でもかんでももう自分が調査し、そしてそれが自衛隊に帰属しておるからといってこれを発表してしまうということは、いかにも私は独立国といたしまして、あるいはソ連との友好関係を考えておる日本といたしましてはやるべきことではないというふうに思います。その一点だけから考えても、今度の情報収集については公表すべきものではないというふうに思っておるわけでございます。
  178. 秦豊

    ○秦豊君 まあ法的な根拠はないと。これ以上勘ぐられたくないという配慮、非常に微妙なものですよ、心情的なものです。何にも根拠がないことがわかったんですが、しかし、長官ね、この防衛庁のミグ問題についての論理は大変脆弱です。役務提供というふうな言い方も、日本通運のたとえまで出しまして、日通に頼むかわりに米軍、ギャラクシーと。それから、いまの関連質問に対する予算委員会や一連の法解釈、いままで法務省だけが三百代言的な説明をするのかと思ったら、防衛庁も加担したというふうな印象です、失礼ながら。  そこで、坂田長官は、ではいまでもミグの調査はあくまで日本側が主体だと一体断言ができるのかどうか。しかも、防衛庁はこの事件以後、何か立ち入り禁止、機密機密と情報管理をされたんだけれども、それにしてはアメリカのマスコミの方からずいぶんこぼれているじゃありませんか。ラムズフェルド国防長官なんかを初め、ぼろぼろぼろぼろと手轄にミグ情報がこぼれている。これはどういうわけなんですか。主体が日本であり、ガリガン中将と空幕長との間の、あなた方のいわゆるメモにしたって、やがて資料で提供されるが、得たものはすべて自衛隊に帰属すると。また日米間の秘密の問題については先般峯山議員が法的な関連から追及をされたところでありますが、主体が日本と言い張るならば、あのようなアメリリカ側のあり方に対しては、当然抗議とか、あるいは要請、申し入れぐらいがあってしかるべきじゃないんですか、あるいは逆にアメリカ側は、少なくともあんなメモ、お飾りでないと言い張るならば、日本側にこの程度はしゃべるよというふうなサウンドは送るべきじゃないですか、その点どうなんですか。
  179. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 実はこれは出ておらないんです。事実出ていない。ですから何とも申し上げようはございません。しかしながら、向こうの方でベレンコは尋問をいたしております。あるいはその方のエキスパートもいることでございますから、いろいろの推測記事を出すということはございます。あるいは日本の新聞にもいろいろ出ております。しかし、これはうちがこの秘密を破って提供したというものでも全然ございませんし、出ておりません。しかし、その日本の新聞に出ておることは向こうの方でも読んでおるわけでございます。そういういきさつでございまして、これはわれわれが承知いたしました情報あるいは調査結果というものは、ちゃんとわが防衛庁、自衛隊で厳重に保管をしておるということで御安心を賜りたいと思うわけでございます。
  180. 秦豊

    ○秦豊君 いとも満足そうな表情であなた答弁をあの部分だけ楽しんでいらっしゃるんだが、では長官に伺いますが、これは非常に初歩的な情報さえあなたにはもたらされなかった。たとえば、あなたに失礼なことを言いますけれども、九月二十八日の閣議ではなかったかと思いますが、ミグ25には非常脱出装置がなかったなんて、いまの戦闘機でこんなものを持っていない神風特攻機は一機もありませんよ、実用機で。ところが、あなたは権威ある一国の行政の最高機関であるあの閣議でそういうことを申された。ぼくはびっくりしましたね。坂田さんじゃないだろうと。歴代長官の中では随一と私は思っているんだから、まさか坂田さんじゃないだろうとぼくはあるジャーナリストに聞いたぐらい。いや本当だと言うから、あの方でもたまに木から落ちるかなと思ったんだけれども、とにかく、これはニューズウイークの九月二十六日号の受け売りかどうか知りません。あれは初歩的なあなたのミステークじゃないかと思うんです。お小手を取るためという意味じゃなくて、あれいまでも正しい情報とお考えですか。
  181. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) この点はやっぱりサルも木から落ちたわけでございます。実はあのときに、わが自衛隊機104と練習機とが演習をやっておりまして、そうして三人が、救助に赴きましたが、そのうち脱出装置がございましたために二人は実は助かったわけでございます。で、それもその晩にもし見つかったならばあるいは助かったのではないかというふうに、非常に私心配をしておったのですが、翌朝になりまして一人はついに亡くなられたわけでございます。まあそういう事態がございまして、脱出装置がどういうものであるかということも御存じのない閣僚もおられましたので、実は私なりに御説明を申し上げたわけでございます。ところでミグにはどうだろうかということですが、けさほどのニューズウイークを見るとこうだということを私申し上げたわけで、それも、言うならば私の報告の後にちょっとつけ加えた、それが漏れてしまったということなんでございます。実際のところはそういう状況でございます。まあこれをごらんいただきましても、この調査結果が私にもまだ十分説明もしてないということがおわかりでございますし、アメリカに渡っておるなどということはないというふうに御了承を賜りたいと思います。
  182. 秦豊

    ○秦豊君 私が伺おうとしたのをまさにあなた先取りされたのですが、やはりユニホームと内局の間のパイプの詰まりかげん、水あかの付着、沈でん度、簡単なようだけれどもこれは大事な問題ですよ。私は非常に偏見を持っています。ユニホームは絶えず一〇〇の情報、防衛庁長官はせいぜい八〇ぐらい、局長はそれこそもう大体同じ、それでわれわれ国会には五〇か六〇しか漏らさない。抑える。これがあなた方の基本姿勢。がんこな根強いぼくは偏見を持っています。だけれども、坂田長官はいま胸を張られたのだけれども、ではあなたはミグ25の調査結果について、どの程度の報告を受けていらっしゃるのですか、どうなんですか。
  183. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) まだ完全な報告を実は受けておらないわけでございます。と申しますのは、調査結果自体がまだ済んでおりませんので、そういうことでございます。  それから、いまお言葉でございますけれども、少なくともミグ25の領空侵犯事件に対しましては、実に私の統制のもとに、内局も、それからユニホームも、特に航空部隊でございますけれども一体となって、まことに連帯感を持って事に当たった、処置をしたというふうに自分自身は満足しておるわけでございまして、いささかも、ユニホームから突き上げられたから坂田長官も、最初はへなへなしていたけれどもだんだんしゃんとなったなどというようなことが世間で言われておりますけれども、それは違うわけでございまして、あくまでも私の責任のもとにずっとこれは進めてまいりまして、それに完全にユニホームも従っておるということでございまして、むしろ、この調査結果等はこちらから漏らすべきではないということをかたく言っておりますから、したがって、それも余りぼくに知らせる必要はないということも申しておるわけでございますから、概要は申し上げますけれども、あるいは事の運びはちゃんと申し上げますけれども、私が聞いてもわからないようなことを言ってみたところが、だめだ、また、聞いても仕方がないと思うことはむしろ聞かないようにいたしておるわけでございます。
  184. 秦豊

    ○秦豊君 ラムズフェルド国防長官が、概括的に言ってアメリカ戦闘機よりはミグは劣っていると、しかし高高度における性能はやはり世界で第一流だというこれは評価ですね、ミグ25に対する。調査結果は公表できないと、それはあなた言い張るかもしれないが、では坂田長官は日本の防衛の最高責任者として、ミグ25をどのようにとらえておられ、どのように評価しておられるか、どうなんですか。
  185. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) いまラムズフェルドの言葉をお使いになりましたが、私どもも大体そういうような考え方は持っております。私の報告受けました形ではそういうふうに思います。決してこれは、一部の報道にございまするように、粗悪な、あるいは非常に程度の劣るというようなものではない、かなり合目的につくられたものであるということは申し上げられるというふうに思います。
  186. 秦豊

    ○秦豊君 調査防衛局長いつごろ終わるのですか、かなりデータが豊富らしいのだが。
  187. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 調査というのは一応終わりまして梱包しておるわけでございます。しかし、御承知のように非常に調査期間が短かったものでございますから、評価を入れながらその調査が終わったということではございませんで、主としていろんなデータをとったというのが現在の状況でございます。したがいまして、これを分析し評価するまでには航空自衛隊の方では二、三ヵ月はかかるんではないかというような言い方をいたしております。
  188. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ長官のところには、ミグ25の調査の現段階についてというふうな報告は、口頭ではこれは済まぬだろうから、文書は提出されているんですか。
  189. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) まだ来ておりません。
  190. 秦豊

    ○秦豊君 われわれ内閣委員会要求すれば、あなたのいま前の答弁の終わりの方にあった、概括とか、段階は申し上げますというふうにぼくは聞いたんだけれども、われわれが要求すればミグの調査結果についての中間的な報告はこの委員会に提出されますか。
  191. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 国益を損わない程度においてはやり得ると思います。しかし、それは先生方非常に専門家がおそろいでございますが、皆さん方を満足させるようなものではないというようなことはひとつ御了承を賜りたいというふうに思います。
  192. 秦豊

    ○秦豊君 何やらその部分はロッキード特別委員会めきますけれどもね、しかし、やっぱりわれわれ内閣委員会としては、これほどの国民的関心事の対象機たるミグ25、しかも公表はしない等々の答弁一本やりでは納得できませんから、要求します、正式に理事会の議を経た上で。ならば、国益をなるべく幅広く解釈をして、かなり謙虚に率直にデータを提供されるように要望します。これから防衛論議する場合の重要な参考資料になり得ると思いますから、これはお約束願いたいと思います。
  193. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) やはり国民のコンセンサスを得る上において非常に大事な点だと私は思いますので、国益を損しない限りにおいて御報告を申し上げたいというふうに思っております。
  194. 秦豊

    ○秦豊君 衆議院の外務委員会で、これはきょう私、出席を要請しなかったんですけれども、たしか渡辺審議官が答弁をされております。航空自衛隊は機体そのものの調査に際して技術的にわからなかったことはなかったと聞いている、こういう答弁があったようです。そうしますと、いままでミグ25と防衛庁の位置関係というのはぼくはネコに小判だと、これは外務省の某高官が言ったとか言わないとか、どうでもいいんですけど、私もネコに小判ではなかったかと思っていたんだけれども、このネコに小判というのはほんの風評で、大変失礼な評価であって、やっぱり自衛隊の技術能力、それから解析の水準というのは、まさに国際的水準であって第一級に近いんじゃないのか、高かったということになるのか、それとも、防衛庁が蓄積した経験や技術情報を持っている、これはそう高くなかったんだけれども、ミグのシステムと機構が一世代古かったから解析ができたのか、その辺は一体どうなんでしょうね。渡辺審議官の言によると、すべてわれわれには可能であったというふうにとれます。  それから、渡辺審議官がいらっしゃらないから欠席裁判という意味じゃなくて、防衛局長の答弁範囲だと思いますが、渡辺さんの言われた機体の調査というのは、まさにミグ25の調査ポイントであったECM、ECCMあるいはFCS、火器管制装置等々一番肝心な部分についても自衛隊はわからなかったことはなかったとおっしゃりたいんですか、その点どうなんでしょう。
  195. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 完全に全部わかったかと言われますと、私も自信を持ってそうだとお答えするのはなかなかむずかしいわけでございますけれども、ミグ25というのは、いわゆる戦闘機の系列に入るものでございます。したがいまして、持っている器材というものも全く日本側が知らないようなシステムというものがあったわけではございません。そしてまた、それぞれのいま申されました火器管制装置その他につきましても、すぐれたものであるということは間違いないと思いますけれども、それを非常に細かく調査するというような時間はなかったわけでございます。したがいまして、再呈に参りまして再組み立てをいたしまして作動させまして、そして知りたいと思う範囲では知り得たということだろうと思います。
  196. 秦豊

    ○秦豊君 防衛庁長官にこれはぜひ伺っておきたいんですが、このミグ25をめぐりまして、いわゆる脅威論がばあっと流れましたね。脅威じゃない、脅威だと、いろんなことがあった。報道もなかなか個性的で、なかなか各紙それぞれ、各電波メディアそれぞれ個性的で、それで、中には驚くような科学的な新説も出まして驚いたんですけれども、しかし要するに、この情報の受け手の皆さんの方は混乱したんじゃないかと思うんです。そのかわり不安が増幅されたのではないかと思うんですね。だから長官に伺いたいんですけれども、ミグ25というのはあれでしょう、所属はPVOでしょう。ストラヌイ、本土防空軍のはずですね。もう一つは、いままでの航空自衛隊の調査によると、コンプレッサーですね、コンプレッサーはたしか七段になっているんじゃないかと思う。SRアークラスだと思うんだが、八段か七段かわからぬがぼくは七段と聞かされているんだが、そうすると、端的にこれは高高度用でしょう。アフターバーナー吹かして一気にかけ上る、こういう運用の飛行機だから、このベレンコが函館に来たというケースは異例中の異例であって、これは日本に対する直接の脅威ではないというふうな認識をお持ちですか、それとも、これは生々しい脅威だと、あるいは脅威の可能性だというふうにお考えですか。
  197. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) やはりこれは潜在的脅威としては成立すると思います、とにかく飛んできたわけでございますから。帰るだけの燃料というものは保有していなかったようでございます。しかし、それは低高度で入ってきたからそうであって、もし高高度でやってまいったならば帰ることもできるわけでしょうから、その辺がやはり調査しなければわからないわけでございまして、ガソリンの消費した量、あるいはそのガソリンの成分、燃焼力、そういうようなものをやっぱり調べないと脅威であるか脅威でないかということがわからないわけでございまして、領空侵犯いたしました飛行機というものは、その人が亡命であろうとなかろうと、領空侵犯をいたしましたこの犯罪事実はぬぐいようもないことでございますし、また、亡命かどうかということは本人を尋問して初めてわかることでございまして、尋問しない前に領空侵犯して爆弾を落とすことだってできるわけでございます。そういうわけで、国際的にもやはりこの領空侵犯ということについては、亡命であろうとなかろうと、やはり領空侵犯をしたものは侵犯したものだという取り扱いを国際法上慣行としてどこの国でもやっておるということでございまして、もし日本の飛行機がソ連に行ったとしたならば、どういう措置をとられただろうかということを考えてみれば大体わかることでございますし、あるいは、西独からソ連へ、あるいはソ連から西独へというような事例も実はあるわけでございます。  そういうわけでございますが、私はいつも申し上げておりまするように、潜在的脅威に意図、意思というものが加わって初めて顕在的脅威になる。しかし、このミグというものは潜在的脅威を構成する飛行機である、軍用機であるということは確かであるということなんで、その潜在的脅威の内容、機能というものを、やはり本人もさることながら機体そのものについても調べる必要がある。たとえば、ちょっとどこかを押すならば爆発するかもしれない、危険を及ぼすかもしれない、あるいは核装備しておるかもしれない等々がございますから、やはり調査をしなければならない。そうでなければ防衛庁長官としての国民に対する責任は全うできないんだというのが一貫した私の考え方であったわけでございます。
  198. 秦豊

    ○秦豊君 あなたのその部分の答弁は、ぼくは粗っぽいと思いますね。やはり運用と切り離してミグ25を論じられませんよ、ミグ25はあくまで局地的な高高度用なんだから。対日侵攻用であるというふうに、あなたは潜在的脅威という言葉を使われている。しかし高高度で日本にやってくる機種ではないということ。運用が違う。ならば、むしろミグ23のフロッガーとか、あるいはスホーイで言えば19とか、こういうものは、たとえば23の場合には千七百キロメートル、レンジがある、行動半径が。そうすると、それは低空侵入能力もミグ25よりは強いと思われているから、それはあなたのお言葉をかりれば潜在的脅威からあるいは顕在的脅威になるかもしれないが、25についてそういう言い方を防衛庁長官がされるということは、初歩的な誤りだろうと私は思いますよ、それは。納得できません、その部分については。あなたの方が私より間違っているんだと私は思いますよ。運用が違うんだから、あり得ないんだから。だからぼくは異例中の異例だと断言したいし、あなたは、もしか高高度で来ればというふうな、こんなあり得ないことを織り込んで、それを論拠にされるというのはあなたらしくない。ミグ25が日本に対する直接の脅威というようなことは軍事的に成立しないと私は思うが、重ねてあなたに簡潔に答えてもらいたい。
  199. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) この潜在的脅威というものを除外するわけには私はまいらぬというふうに思います。ただし、主体的な、いわゆる攻撃型の飛行機あるいは爆撃機というものがその他多くある、それが潜在的脅威の中心であるという先生のお話でございますならば、それはそのとおり。しかし、これも潜在的脅威の一部であるということは除外できないというのが私の考え方でございます。
  200. 秦豊

    ○秦豊君 具体的に、これは防衛局長だと思うんですけれども、あの日の経過をたぐっているうちに一つ二つわからないことができてきたのは、九月六日の当日に、午後一時十一分、奥尻島レーダー、高度六千三百、時速八百三十キロ、方向は東南東、この機影を発見した。すぐにIFF、敵味方識別.装置のキーを入れた、そこまではよかった。ところが、スクランブルの発令が四分もおくれた。これは、よくこの不明機の信号はいろんな組み合わせをするんで、ときどきアメリカの飛行機とか海上自衛隊の方が——航空自衛隊ではなくて日本の方の海上自衛隊の飛行機が間違うとか忘れることがある。そこで、今度もそのでんだろうと思ってのどかに待っていて四分スクランブル発令がおくれたというふうに私は思うんだが、まずその経過についてはどうなんですか。
  201. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それはちょっと先生に御説明申し上げるとおわかりいただけると思いますが、実はあの地点がちょうど百マイルぐらいの地点でございました。したがいまして、通常でありますともっと遠くで捕捉できてIFFをかけましてすぐ飛び立つわけでございます。ところが百マイルの地点であったということで、いわゆる、平常は昼間のスクランブルは三沢の86Fが上がることになっております。それで、これが五分待機についておりまして、千歳のファントムというのは十五分待機についておるわけでございます。しかし、百マイルの地点だものですから三沢の86Fでは間に合わないという判断がございまして千歳に切りかえて上げた。そこら辺のところで四分か、たしか五分だったと思いますが、五分おくれて発進の命令を出しているというふうに理解いたしております。
  202. 秦豊

    ○秦豊君 その後の経過の中から問題点を拾うと、一時二十分に奥尻レーダーが警告を発し、ファントム発進、二十四分ミグ25が日本領空に入った。一時二十六分に高度六千フィート、速度三百六十ノーチカルマイルではなかったかと思うが、ミグを見失った。以後九分間見失っていた。一時三十五分再発見、一時五十七分函館に強行着陸、こういう経過だと思います。そこでこれに絡んでお尋ねしますが、まあおくればせにスクランブルをした、あなたによれば場所が違ったと、スクランブルしたファントムのうち、一機がたしか、一度は確かにミグ25の機影をとらえていますね、そうして見失いましたね。そこでぼくはわからないんですけれども、ファントムのレーダーというのはぼくの記憶に間違いなければ一種のルックダウン方式でしょう。ではなかったかと思いますけれども、ルックダウン方式のレーダーを備えているファントムが、なぜおのれのより高度の低いミグ25を見つけて見失ったのか、この辺が初歩的にわからないんですよ。じゃ、現用のファントムにはこのルックダウン方式を含めて重大な欠陥がありはしませんか。これはわりとぼくは大事なポイントでこれから尾を引くと思うので聞いておきたいんですがね。
  203. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) この間の先生の御質問にもございましたように、FXの選定の一つのポイントというのは、そのルックダウン能力が非常にいいというのが一つのポイントになっております。ファントムは確かにそのルックダウン能力がないことはないわけでございますけれども、いわゆる性能的に見ますと非常に劣っているといいますか、あのときには正確に申し上げますと一時二十五分だったと思うのでございますが、それから三十秒間つかまえているようでございます。その間、こちらの方が高度が高かったものでございますから、一度つかまえたのが三十秒後に、まあ消えたというよりは、いわゆる地上のクラッターあるいは海面のクラッター、それによって識別ができなくなったということであったと思います。したがいまして、ルックダウン能力がないことはないわけでございますけれども、きわめて弱いというのが実情であると思います。
  204. 秦豊

    ○秦豊君 いまの部分だけは伊藤防衛局長の御答弁は率直で正直だと思います。私も同じ認識を持っています。私は、しかしあなた方の運用や構想に基本的に反対だから、これを重大な欠陥というふうにとらえているのですよ。私がこのことに気がついたから調べてみたんだけれども、日本がファントムの導入を決めましたときに、WH——ウエスチングハウスの方から、ファントムの低空能力については欠陥がある、足りないと、足りないから高めたらどうかという、一種の何という言葉ですかね、あれは、提案というのですか、プロポーザルというのですか、こういうものがあったということに突き当たったのです。もしも導入の際にそれがわかっていて、しかもサゼスチョンがあってそのサゼスチョンを取り入れなかったとすれば、これは防衛当局が、高価な血税を湯水のように使うあなた方にしては重大なこれは怠慢だと思う。そしてミグ25ケースでたまたまルックダウン方式、クラッターのことはわかり切った話ですけれども、やはりルックダウン方式の欠陥があるから三十秒限りで見失ったということになるのじゃありませんか。仮にそうだとすれば、導入のときからわかっていた欠陥になぜあなた方が目をつぶったのか、どんな理由があったのか、なぜか、これはどうですか。
  205. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ちょっと私、つまびらかにいたしておりませんけれども、あのときには、104に比べますとファントムというものはルックダウン能力があるということであったわけでございます。その後そういう提案があったかどうかというのはちょっと私当時のことを覚えておりませんので、御説明できる者がおりましたら御説明させたいと思います。
  206. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) ただいまのF4の射撃管制装置のレーダーのルックダウン・ケーパビリティーの問題でございますが、これはAPQ120という装置をただいま自衛隊のF4Eも米軍も使っております。それでルックダウン・ケーパビリティーと申しますものは、先生のおっしゃいましたように、技術的なプロセスによりまして最近のように動くターゲットのみを分離するという機構を付与した14、15、16クラスのようなよく見えるものもあります。で、F4の場合にはそこまでのものはございません。ウエスチングハウスがAPQ120の製造及び開発を担当した会社でございまして、ウエスチングハウスはその点の改良ということをずっと考慮していたことは聞いております。しかしながら、ウエスチングハウスがいわゆる提案いたしました技術変更提案、ECPとわれわれ申しておりますけれども、それは米空軍も結果的に見て遂に採用しなかったものでございます。したがいまして、米空軍の考え方としましては、現在のAPQ120を直すよりも、これはこれである程度の用途に十分役立ちますので今後の新しい戦闘機の時代から改良するという方針になったものと聞いております。
  207. 秦豊

    ○秦豊君 それは、筒井さんや伊藤さんや坂田長官や江口さんは、何でも現状のものはこういうふうに性能諸元に欠陥がある、運用上欠落がある、だめ、八〇年代に合わぬと、何でも次のFXへのてこにしようとするんですよ。そういう職能だから、あなた方は。だけれども、ぼくらに言わせればFXにあなた方が血道を上げるなんというのは大変にぼくは不均衡な、粗雑な戦略構想だと思うので、FXに血道を上げるより、アメリカ空軍がどうしたか別としまして、ファントムはいま実用機種、主力戦闘機じゃありませんか、そういうもののたとえばレーダー装備を換装する、あるいはレベルアップすることの方が、まあ坂田さんの持論の言う基盤的防衛力的な私は装備計画であって、すぐ何でもてこにしてFXと、野党の皆さんも追及するように。何かファントムは全然足りないんですと、いままで。だからより精強なと、こういうふうにあなた方はすりかえの論理のてこにされようとする。ことごとくその点は不満です。いきさつは筒井さんの説明でわかったけれども、アメリカがやらなかったから日本も。じゃわかっていてそういう重大な欠陥のあるファントムをなぜ日本の空に上げて飛ばしているのか、血税の乱費、一たん有事という場合の任務の遂行にたえ得ないようなファントムを、それを承知で使っていたではないかということになりかねませんよ、防衛局長、どうですか。
  208. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それはやはり軍事技術というものは時代とともに進歩するものでございます。したがいまして、あの時点におきましては、ファントムが持っておりましたそのルックダウン能力というものがわれわれが入手し得る最高のものであったというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  209. 秦豊

    ○秦豊君 これは筒井さんが説明されたことがすべてであるのか、あるいは財政的理由でアメリカへ右へならえをしたのか、その辺はもう少し詳しく調べてまた報告をしていただきたいと思います。  時間がそろそろなくなり始めておりますので、ちょっとこれは再確認ですが、先般の委員会で、私が日米間の技術情報交換協定というふうなものがあるんですかと聞いたら、そのようなものはないというお答えだったんです。しかし、幾ら調べてみてもそれに類するものはある。協定という名前をつけていなければどういう名前があなた方によって用意されているのかわからないんだが、現実に、たとえば新明和工業のPS1のあの優秀な技術である波切り装置、この情報は、この協定、取り決めに基づいてアメリカ側に提供されているじゃないですか。単に日米安保・イコール・パートナーとして波切り装置のノーハウが行ったんじゃなくて、この情報交換協定によって行っているという私はどうも感触を捨て切れないんですけれども、どうなんでしょう。
  210. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) そのような形のものは存在するわけでございます。ございます。
  211. 秦豊

    ○秦豊君 存在しますか、じゃこの前の答弁が違っていますよ、ないと言ったんだから。だからぼくは調べ直したんだから。
  212. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) ただ、その点はどなたが御答弁になりましたか、私その当時おりませんでしたけれども、ただ、そのおっしゃった方がどの協定を言っておられるか、私ちょっとわかりませんけれども、いわゆる技術協力協定的なものは存在しております。
  213. 秦豊

    ○秦豊君 ありますか。
  214. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) はい。
  215. 秦豊

    ○秦豊君 伊藤さん、あなたが答弁をしたんじゃありませんか、あの先般の委員会の一番最後ですよ。時間がなかったからぼくはぱっと聞いたんだけれども、協定がないと言うからぼくはおかしいなと思って調べ直したら、いやあると言うじゃないですか。こういう大事な問題は防衛局長ちゃんと把握しておいていただきたいと思いますね。  それともう一つ、この技術協定に基づいて彼切り装置が行っているし、それから、これからはミグが、そういうことを小出しにすれば坂田さんのようにかなり長く、末永く胸が張れるわけですよ、負い目がなくなるんだから。いままではもらいっ放し、ギブ・アンド・テークじゃない、ギブ・アンド・ギブだったんだ、いままでは。今度ようやく見返りがあるというんでかなり色めいている、あなた方はですよ。だから根拠はこれなんです、日米安保じゃないじゃないですか。これでしょう。私はこれの全文を知りたいと思います。協定が、江口さんの正直に言われたようにおありならば、私これは勉強のためにも知りたいと思う。全文をコピーでいただきたいと思います。可能ですか。
  216. 岡太直

    政府委員岡太直君) ただいまの資料交換に関する取り決めでございますが、これは日米相互防衛援助協定第一条に基づきまして、日米が合意した項目についての知識で相互に交換をしたいという関心を持つことについて技術的情報を交換するということで、三十七年の十一月に交換公文が日米間に交わされております。そして、やはりそれに続きまして細目の取り決めができております。で、本文と附属書で構成されておりますけれども、内容につきましては、日米間で一応「秘」という扱いになっておりまして、これが公表できるかどうか、概要は御説明できるかと思いますけれども、内容の細部についてはこれはいまのところ秘となっております。
  217. 秦豊

    ○秦豊君 何でもある程度いけば秘だ、機密だ。いつもそうなんだけれども、ならば、いま岡田さんがお読みになった文書、これは資料だから出していただきたい。  それから、そういうものによってある軍事情報を交換する場合はどういうランクが話し合っていらっしゃるんですか、日米で。
  218. 岡太直

    政府委員岡太直君) これは実は突然のことでありますので、余り高いランクじゃないと思いますけれども、装備局長だと記憶しておりますが、ちょっと確かめます。
  219. 秦豊

    ○秦豊君 装備局長ならば高いランクじゃありませんか。ならば、もっと答弁を精密にしていただきたいんだが、その全文を出していただくということと、装備局長、あなたはとんでもないですよね、高官の一人なんです。だから、それはたとえば今後のミグ情報の提供はこの協定を踏まえてなされるのか、あるいは漠々とした日米安保、フレンドシップということに基づいて要請があらば小出しにするのか、その点はどうなんですか。
  220. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 最初にお断りいたしますが、私はそういった協定がないというふうにお答えした覚えはないわけでございます。そしてまた、この技術交換協定というのは、本来アメリカが持っている、いわゆるパテントといいますか、その軍が開発した技術、それから日本側で開発した技術、そういったものを交換するというふうに私は記憶しております。したがいまして、今度のミグから得られた調査の結果というものは、これに基づいて交換するというものではないと理解いたしております。そういう意味でないというふうに申し上げたんだと思います。私は部員当時こういった協定をやることにつきまして参画いたしておりましたから、これがあるかないかと言われて、そういうものはありませんというふうにはお答えはしないはずだと私は思っております。
  221. 秦豊

    ○秦豊君 それは議事録を私もでき上がってから照合し、もう一遍あれしましょう。  時間がありませんから最後に、防衛庁はポスト四次防の中でAEWの導入を一般的に考えている。五十二年度予算要求では見送られているのではないかと思うが、最低三ポイント、哨戒単位ですけれども、一ポイント四機として当然十二機、仮に、一機当たり百六十億程度になると推定されていますけれども、しかし、坂田長官の言われる防空システムの完備強化という観点に立つと、FXとかその他の正面装備あるいは後方支援体制の強化、レーダーサイトの抗たん性などの中では、AEWの優先度というのはランク、トップなんですか、それともFXの次の第二ランクなんですか、どうなんです。
  222. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 御承知のように、AEWにつきましては三次防以来、こういった機能を持ちたいということは航空自衛隊で考えておりましたし、私ども計画の中に研究開発ということで三次防では入れました。しかし、いろんな技術的な問題もあって、実際に三次防ではできませんでした。四次防のときに、御承知のようにこれにつきまして導入したいと考えたわけでございますけれども、専門家会議の結論を待つということになりまして一時見送ってきたという経過がございます。この機能は、やはり四次防以後の計画におきましても持ちたいとは考えておりますけれども先ほど大臣からもお答えいたしましたように、ある年度、極端に防衛費が上がるというようなことのないように、まあ陸海空の予算を平均的にならしながらやっていくという過程でございますので、五十二年度は予算に計上いたしておりませんけれども、いずれ早い時期にそういう計画を実行したいというふうには考えておるわけでございます。  で、FXとどちらが先かというようなお話でございますけれども、FXというのは、すでに装備いたしております十個飛行隊の要撃戦闘機のフェーズアウトの時期を迎えているものでございますから、こちらは現にあるものが欠落するわけでございますから、それをやりながら予算的に可能な時期に装備するというふうな考えを持っているわけでございます。
  223. 秦豊

    ○秦豊君 アメリカ上院の多国籍企業等調査委員会、いわゆるチータム証言、チーサムとも言っている人がいますが、チータム証言というのがありまして、ニクソン政権下の対日売り込み、グラマン・ホークアイE2C、この問題について防衛庁は、防衛庁は関知しないというあっさりしたコメントを出していらっしゃるわけですね、九月十五日に。ところが、ロッキード特別委員会等におきましても、新しい兵器の導入については一点の疑惑なきを期したい、これは坂田長官の基本姿勢です。ならば、関知せずと、まだ火の粉はかかっていないというだけで、これについての調査を簡単に打ち切ってはならない。重大な関心を持っていなければならない。その後、グラマンの対日売り込みについては、防衛庁側はどういう調査をなさったのか、その結果はどうであったのか、あるいはホークアイが最良の選択なのか、あるいはボーイング社の機種が最良の選択なのか、どちらがベターか、それを最後にお伺いしたいと思う。
  224. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) これは少なくとも多国籍企業小委員会の公聴会と申しますか、証言、発言につきましては、内容等の信憑性あるいは当時のいきさつというような問題につきましては、これはむしろ外務省の方でお調べいただくのが筋であろうかと考えております。その限りにおいて、私どもの方は外務省の方にお願いをいたしまして、あとう限りの情報をいただきたいと考えておりますが、現在私どもで当時の議事録等を読ましていただいた限りにおきましては、これははっきりそういう事実があったというふうに証言がなされているかどうかについてはやや疑問を持っております。と申しますのは、チータムという方の言われたことと、それから、今度はそれを受ける方のアレンという例の大統領の副補佐官がおられますが、それの証言がやはり食い違っておるように私どもは思うわけでございます。そういう点もございますので、いま現在時点においてどうかということになりますと、いま私どもの方には、先般申し上げましたようにやはりノーコメントということになろうかと思います。  それから、その後の問題につきまして、じゃどういうことを調査しておるかという御指摘でございますが、具体的な問題といたしましては、E2Cがいいかどうかというようなことを含めまして、その後、第三次防あるいは四次防にかけまして調査というものをいたしております。具体的には、専門家会議のときにおきましても海外の調査をいたしておりますし、現在においても鋭意資料の収集には当たっておるわけでございます。そういうことをも含めまして、先ほど防衛局長の申しましたように、次のいわゆるポスト四次防と申しますか、次のなるべくしかるべき適当な時期にそういうことを採用すると申しますか、そういうようなことを考えてまいりたいというのがいまの状況でございます。
  225. 秦豊

    ○秦豊君 これが最後になると思いますが、かなりたくさんの資料要求等々をしておりますので、脱落がないように完璧に出していただきたい。そのことを御要望申し上げて質問を終わります。
  226. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 先ほど防衛局長がお答えしておりません中で、性能分析のコンピューターの使用の問題がございます。いま一応電話で問い合わせましたところを簡単に申し上げます。  一応そのコンピューターの使用につきましては、そのうち相当部分を技本の一研に設置しております科学計算用の計算機、これはハイタックの八七〇〇型というのがございます。これにかけて計算をしております。しかしながら一部につきましては、ごく一部でございますが、これは三菱総研、それからあとはセントラル・リサーチ・センターのコンピューターを借りております。しかしながらこの操作は防衛庁の職員がいたしております。
  227. 秦豊

    ○秦豊君 三菱総研ですね。
  228. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) はい。三菱総研と、それからセントラル・リサーチ・センターでございます。
  229. 秦豊

    ○秦豊君 野村総研は絡んでいませんね。
  230. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) これは、いまのところそういう報告は受けておりません。
  231. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は非常に時間が短いので、端的にお伺いをしたいと思います。  一昨日、ミグ25の問題で大臣と約束をいたしております。特に秘密の問題ですね、先ほどから話がございましたけれども、確認事項の特に第二項「見知では自衛隊のみに帰属する。」と、この問題が、私は秘密が自衛隊のみにと言っているけれども、実際はそうじゃない。その理由は、もう先般説明をしましたから説明はしませんけれども、要するに、この役務調達で、防庁設置法の五条四号で雇ってきた米人の技術者の秘密が保持されるかどうか、この問題について政府としての統一見解ということでございますから、それをまずお伺いしたいと思います。
  232. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 去る十月十二日の当委員会における、機体調査に際して自衛隊の指令、監督のもとに置かれる米軍人に対しては自衛隊法の適用がないというが、この作業を通じて知り得た情報を漏らすおそれはないのかとのお尋ねのあった件について、御説明申し上げます。  一、本件作業に当たっては、わが国において米軍を代長ずる立場にある在日米軍司令官が、米本国政府の承認のもとに、作業の過程及び作業の関連で得られる知見は自衛隊のみに帰属する旨を航空幕僚長との間でメモの形で確認している次第であり、したがって、米国政府は本件作業に従事した米軍技術要員に対して、本件作業中に知り得たことにつき報告を求める立場にはなく、また、自衛隊は当該米軍技術要員に対し、調査の過程及び調査関連して得られる知見が自衛隊のみに帰属するものであって部外に漏らしてはならない旨を具体的に指令し、種々の作業の段階においてこの指令の徹底を図っていることにかんがみ、当該米軍技術要員が前述の確認に反し、その知見を漏らすようなことはないと考える。  二、以上の確認は、日米両当事者間の相互の信頼関係に基づいて行われたものであり、防衛庁としては、米側関係者がかかる確認の内容に反することはないと確信している。  以上でございます。何かお尋ねがございましたら、防衛局長からお答えを申し上げたいと思います。
  233. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、この問題についていろんな問題がございますので、順次お尋ねをしてまいります。  まず、一昨日も質問をいたしましたが、わが内閣委員会防衛局長が説明をした人数ですね。非常にちゃらんぽらんな人数の説明の仕方だったんですけれども、昨日の衆議院の外務委員会における説明とは大分人数の点でも食い違っておる。これは一体どういうことですか。
  234. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 私が御説明申し上げましたのは、常時来ておったのは十数名、十名前後であったというふうに御説明したと記憶いたしております。そのことは、この全体の総数がどうであったかということはあのときに私存じませんでした。そこで、来ておったのは十数名であったという報告を受けておりましたので、そのようにお答えしたわけでございますが、昨日はっきりいたしましたのが、全体としましては四十一人のアメリカ人が来ておったということでございます。その内訳は、軍人が二十一名であって、シビリアンが二十名でございました。その四十一人の中には、ギャラクシーの乗員が十五人含まれているわけでございます。しかしながら、この残りの者が常時来ておったというのではなく、出入りがございまして、ずっと函館から百里で調査が終わるまでの間、その日来ておった人数というのはやはり十人前後であったというのが実情でございます。
  235. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはね、絶えず十人前後なんていう説明じゃなかったですよ。解体作業には三ないし四人とか、輸送には五ないし六人とか、そういう説明だったんです。ギャラクシーの十五人というのは言っておりましたけれどもね。ですがこれは結構です。この問題についての議論はしません。ただいま報告のとおりなんですね。  そこで、こういう方々の身分の問題ですけれども、これはこの間一遍お伺いして答弁を得ていますけれども、きのうの外務委員会の答弁とは大分違うようですから、再度、こういう人たちの身分はどういう身分ですか。
  236. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 身分は、アメリカの軍人の場合にはアメリカの軍人の身分は持っております。しかし、この確認事項に基づきまして、防衛庁のいわゆる指令、監督下に役務を提供するという形で参っておったわけでございます。
  237. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、法制局と外務省にお伺いをいたします。  ただいまの、この身分ですが、これは一昨日の答弁では、ミグ調査中はいわゆる地位協定上の米軍人ではないと、こういう答弁がございますが、これはどういうことですか。
  238. 村田良平

    政府委員(村田良平君) 本件の作業は、防衛庁が領空侵入及び強行着陸を行いましたミグ25につきまして、その保管あるいは調査の一環として実施しておるものでございます。したがいまして、これは自衛隊の能力の足らない部分を補う必要最小限度の範囲内で、米軍の指揮命令系統から離れました米軍の技術要員及び機器を自衛隊が調達するという性格のものでございます。したがいまして、まず第一に、このような防衛庁による作業は、いわゆる安保条約の本来の目的達成ということとは直接関連のない事柄でございます。  第二に、本件の作業に従事いたします米国の軍人あるいは米軍の機器は、在日米軍の指揮命令系統から離れまして、その作業の間じゅうは自衛隊の指揮、監督のもとに置かれるということでございます。このような理由から、私どもとしましては、この米軍人あるいは米軍の機器は、本件作業が行われておる間におきましては、地位協定の適用がないというふうに考えております。
  239. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ法制局当局にお伺いしますが、この地位協定から外れた、いわゆる米軍人ですね、これは地位協定という問題と、指揮監督権があるかないかということが判断の基準ですか。要するに、その米軍人というのは地位協定の中に含まれる米軍人と、そうでないのと、両方立て分けて外務省は説明いたしておりますが、そういうふうな立て分けができるんですか。
  240. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) この点につきましても、あるいは外務省当局から御答弁をした方がよろしいかとも思うのでございますが、御指名がございましたので私から申し上げますが、先ほど外務省の方からも説明がありましたように、今回のミグの輸送あるいは機体の調査にかかわる米軍の要員あるいは機器の防衛庁による調達でございますが、この調達行為と申しますのは、これは日米安保条約、したがって、それに基づく地位協定に基づく任務と申しますか、目的と申しますか、そういう面から全く離れた別個の観点からするところのいわば役務調達行為でございます。そういった業務の性格からしまして、これは地位協定の適用外の地位を持つ。ただし、先ほどから申し上げますように、米軍人としての地位は依然として保有しておるということでございます。
  241. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 法制局は法制局らしく、もっと法に基づいて答弁をしてもらいたい。要するにあれですか、米軍人というのは、指揮系統に入っているか入っていないかということで、地位協定のもとの米軍人であるかないかという判断をするんですか、そうじゃないでしょう。過去の判例や、この問題が起きたときの地位協定の第一条を見てみなさい。「「合衆国軍隊の構成員」とは、日本国の領域にある間」という、要するに日本にいる間というのが問題になっていますね、判断の基準でしょう。過去の判例でも、これは私もずいぶん調べてまいりましたが、現実にこういうふうな事件もあります。これは、ある外人のお嬢さんが、御主人が第七艦隊の方で、それでベトナムに出征中にこのお嬢さんが自衛隊の列に突っ込んで事故を起こした。過去にあります。ところがその方は、地位協定の中で言う軍人の家族であるかないかということで問題になったときに、これはもうちゃんと判例が出ております。御主人が日本にいなかったということで、このお嬢さんは軍属ではないという判断が出たわけですね。過去にこういう事例、現実にあります。そうしますと、日本にその御主人がいるかいないか、本人がいるかいないかというのがこの地位協定の基本になりますね。そうしますと、今回のこの軍人は、地位協定上の軍人、米軍人ではないなんという考え方一体どこから出てきているんですか。
  242. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 地位協定に即してお答え申し上げますと、ただいま先生の御指摘がございましたいわゆる地位協定の第一条の「合衆国軍隊の構成員」の定義でございますが、そこに「日本国の領域にある間におけるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍に属する人員で現に服役中のものをいう。」という定義になっております。この場合の「現に服役中のもの」ということの意味でございますが、これは地位協定が日米安保条約に基づく以上は、ここで使っておりますところの「現に服役中」というのは、これはあくまでも安保条約の目的達成のために現に服役中のものという意味であるというふうに私どもは解釈いたしまして、したがって、先ほど申し上げましたようなミグの保管とか、あるいは機体の調査につきまして役務調達行為を行う米軍の技術要員は、ここで言うところの合衆国の軍隊の構成員には含まれないということになりまして、したがってまた、そういう人には地位協定の適用がないという結論になろうかと思います。
  243. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなたね、法制局はそんなことを言ったらいかぬ。現実にこの軍人さんは、要するに米軍の指示のもとに来ているわけですよ、ミグの調査だってみんなそうですよ、現に服務しているわけですよ、司令官の指示によって来ているわけです。われわれだけが違うという判断をしているだけで、それじゃこういう方々が現実に事故を起こしたり、またその人の査証やそういうふうなものはみんなどうなっています。地位協定の第九条に言ういわゆる査証の問題とか、それからまた、十七条に言うこういう方々がもし事故を起こしたり、あるいは刑事事件を起こしたらどうなります。すべて地位協定の中で処理しなきゃいけないんじゃないですか、現実に。あなたが言ういまの第一条の「現に服役中のものをいう。」というこの解釈はね、こういう方々は現実にこれは仕事をやっているんじゃないですか、自衛隊の指揮のもととはいえですよ。そういうような解釈は私は成り立たないと思いますよ。現実にそういうようなのが、もういままでも言われておりますし、こんな解釈をしていると、それじゃ逆に言えば、そういうふうな区別なんてできますか、現実に。外務省どうなんです。
  244. 村田良平

    政府委員(村田良平君) この地位協定の第一条におきます「合衆国軍隊の構成員」という定義は、先ほど法制局の方からも御答弁がございましたように、安保条約の基本的な適用のためにいま地位協定があるわけでございますので、やはり安保条約というものを大前提におきまして考えるべきものであろうと思います。すなわち、この第一条の初めに「この協定において、」という文言で始まっておりますけれども、まさにこの地位協定を適用する場合の「合衆国軍隊の構成員」というものはどういう定義をつけるかということがこの規定の趣旨であろうと思われるわけでございまして、日本国の領域にあるアメリカ合衆国の陸海あるいは空軍に所属する人間が、全部しからばその地位協定の適用を受けるかといいますと、たとえば、具体的に申しますと在京されている米国大使館の武官というようなステータスの人間は陸海空軍に属する人員でございますけれども、この地位協定で言う「合衆国軍隊の構成員」というものにはならないというふうに考えられるわけでございます。  そこで、今回のこのミグの調査に当たりました米軍について申しますと、先ほど申し上げましたような基本的な安保条約の目的とは直接関連のない作業という観点及び自衛隊の指令、監督のもとに現在その仕事を行ったという点、その二点におきまして、この地位協定の適用の対象となる「合衆国軍隊の構成員」ではないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、この米軍人はあくまで地位協定の適用を受けないというだけでございまして、米国軍人であることには変わりないわけでございます。したがいまして、これは米国政府に属する軍人が特定の公務についておるというふうに観念いたしますと、その際には、一般国際法上の外国軍人に対する待遇という原則が当てはまるかと考えます。
  245. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは納得できませんね、そういう説明は。現実の問題として、日本に滞在している軍人ですよ。その軍人の人たちが現実に司令官の指示で来ているわけです。だからといってそれがいまおっしゃるような解釈の仕方をしますとこれは大変なことになりますよ、実際問題として。これは私はあなたの言うことは全く納得できません。この問題については、私はいま法制局が言っていることも納得できません。これはいずれにしても米軍人というのが国内にいて、外務省ね、要するにそういう人たちは日本の法律の規制を受けないと言うんですよ、そういう人たちは。少なくとも、自衛隊の仕事が一週間で済んだ、三日で済んだからいいですよ、今回。一年ずっと続いても国内法の規制を全く受けないわけですよ、こういう人たちは。受けないという答弁なんです。一昨日は。そうすると、一体こういう人たちは何の法律の規制を受けるんですか。実際、現実の問題として、少なくとも自衛隊の指揮、監督のもとにあってですよ、そして国内法の規制を受けるなら、それはそれなりに意味がありますよ、わかりますね。ところが、それは全く受けなくて、自由に奔放にやるというんでは、これは幾らこういうふうな司令官との申し合わせ事項があるとはいえ、これはどうしようもないと、こんなものは。米軍人である以上は軍人としての司令官の指示で来ているわけでしょう。そうすると、司令官に報告する義務すらあるわけです、逆に言えばね。そうすると、この第2項で申し合わせしている先ほど長官が言った、いわゆる統一見解なんというものは、これはナンセンスだと言いたいんですよ、私は。これはどうなんです。
  246. 村田良平

    政府委員(村田良平君) 私、先ほど申し上げましたように、この作業に従事いたしました米国軍人は、一般の外国軍人に関する一般国際法の原則が適用されるということになると考えます。で、その原則と申しますのは、その軍人が公務に従事しております場合、あるいはまあ国際法の学説によりますと、兵営の中で行った行為というのも入りますが、そういったものにつきましては滞在国の裁判権が及ばないということでございます。
  247. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ再度改めてもう一回お伺いしますがね、とにかく、この防衛設置法の第五条四号で米国の軍人を自衛隊が雇えるのかどうか、これは実際問題どうなんです。これは法制局どうですか。防衛設置法の五条四号で役務の調達ということで米国の軍人を雇えるなんということは、これは実際問題できるのか。これは後でつじつまを合わすためにこの法律を持ってきたんじゃないですか。これはやっぱり、こういうことで米国の軍人を雇えるなんということになると、私はこれは大問題だと思いますよ。これは今回はミグのこういうので範囲が決まっているからいいですよ。しかしながら、これからいろいろなことが起きてきます。そういうときに、こういうふうな軍人を雇える。たとえば、そういうようなことがこれは自由にやれるなんということになったらどうなります、一体。私は大問題だと思いますよ。これはどうなんです。
  248. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 米軍人を雇えるかどうかという御質問でございますが、特に雇用契約が成立するという意味ではもちろんないわけでございまして、前々から申し上げておりますように、ミグの輸送とか、あるいはその機体の調査につきまして、これを迅速かつ効果的に実施する上で、防衛庁としては能力的に不足するところがあるということを感じまして、これを補うために必要最小限度の範囲内で米軍から技術要員とか機器を調達したものであるというふうに私どもは聞いておりまして、この点から考えますと、これを雇うとかなんとかいう話ではなくて、その法的性格はあくまでも防衛設置法五条四号に基づく役務などの調達行為に当たるというふうに私ども法律的には考えておるわけでございます。
  249. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、軍人を雇えるということですか、結局。要するに調達するということは雇うということでしょう。簡単で結構ですから。
  250. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 言葉の問題もあろうかと思いますけれども、軍人を雇うということではないのでありまして、あくまでも技術要員が持っている専門的ないろいろ技術を調達するという法的な性格を持った行為でございます。
  251. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そう言うけれども、実際問題、軍人を雇うと、軍人が持っている技術を。それじゃ逆に言えば、軍人であれ何であれ、要するにただ技術を持っている人だったらいいと。あなたの言うことはそういうことになりますけれどもね。そうじゃなくて、実際問題、自衛隊のこういうような問題になってきますと、全部軍人ですね、現職の軍人ですよね、逆に言えば。そういう人を現実に雇用すると、一日でもですよ、短時間でも。ということは雇用するということでしょう。それができるということでしょう。これはどうなんです。
  252. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 再々同じことを申し上げて恐縮でございますが、雇用するわけではございません。あくまでもその持っている専門的な技術の提供を受ける、調達をするということでございます。雇用するということではあくまでもございません。
  253. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それなら、防衛庁はその費用を払うというのでしょう。何ですか、それじゃ技術の提供を受けるということは。人一人を雇うにしたって何にしたって費用を払うんですからね、これは雇用じゃないですか。提供を受けるって、ただで受けるの。どういうことなの。要するにそこのところもう一度はっきり言ってください、はっきり。
  254. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 雇用ではないということでございまして、いわゆる使用者と被用者といった関係の雇用契約を結ぶということではないわけでございまして、技術の提供を受けるということでございます。
  255. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 技術の提供を受けるということは、その技術を持った軍人さんを一日雇うのも雇うということでしょう。技術の提供といっても技術だけ歩いてくるわけじゃないでしょう。技術はだれが持っているんですか。そんないいかげんな答弁じゃ困ります。時間がないから簡単に言ってください、簡単に。こんなことじゃ全然進まないじゃないですか。
  256. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 再々申しますように、雇用ではございませんで、強いて法律的な性格を論ずれば、これは一種の受託行為であると思います。
  257. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何。
  258. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 受託行為であると思います。
  259. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 受託行為って何、それ。もうちょっとわかりやすく言ってよ。とにかくね、技術を持ったその人を雇っているんでしょう、要するに何日間か来てくれと言うて。それを、人を連れてきて雇うのに、それが技術の提供、技術の提供って、技術だけ歩いてくるわけじゃないじゃないですか、そんないいかげんな答弁じゃ困ります。もうちょっとはっきり言ってください、はっきり。こんなのもうだめです、そんな。
  260. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 事実関係を申し上げますと、私どもの方は技術の提供を受けるということで、そのかかった費用は支払うということになっておりますが、これにつきましては、ギャラクシーにつきましてはまだその費用の計算ができておりません。それから、人につきましては、宿泊等に要した費用を支払うということで話を進めているわけでございます。
  261. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 とにかくね、それじゃ逆に五条四号で、これは法制局にもう一回言いますよ。五条四号では米軍人を雇うことはできないのか、それじゃ。雇用することはできないんですね。どうなんです。
  262. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 雇用することはできません。
  263. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 五条四号で雇用することはできない、技術の提供だけはできる、そういうことですか。
  264. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) そういうことでございます。
  265. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、これは大問題ですよ、やっぱりね。これは五条四号なんというのは、それじゃ雇用するんじゃなくて技術の提供だけ受けると言ったってね、技術を持った人を米軍に頼んで来てもらうということは、一般的に言えば雇用するということです。一日お願いするったって雇用するということになるんじゃないですか。そんな法律上できないことを言うなんというのはとんでもないことですよ、これは。納得できませんよ、この問題は。  これはそれじゃもうちょっといきますがね、それじゃ雇用はできない、これははっきりしました。米軍人を雇用することはできない。それじゃこれは何ですか、先ほど説明があった四十一人というのは。四十一人で延べ何日間になるのですか、この四十一人の人が、延べに計算すると何日間ミグのこの問題に携わったのですか。それは後で計算して出してください。  それじゃ逆に聞きますよ。これは法制局、あなたの説明だと、それじゃ技術の提供ということですね、技術の提供はできる。それじゃ技術の提供できる範囲、人数は何人までできるのか、期間は何日までいけるのか、どうなんです。
  266. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) その点につきましては、人数が何人とか期間が何日とかいうことではないのでありまして、あくまでもその提供を受ける役務の性格、その役務にかかる業務の性格、これによってそのような——そのようなといいますか、防衛設置法五条四号に基づく役務の調達が可能であるかどうかということが決まると思います。特にそれが長いとか、人数が多いということではないと思います。
  267. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ全く歯どめなく何人でも、要するに五条四号で役務の調達ということであれば何千人でも米軍を雇ってきて、五条四号のことをやるのだということでやれば何ぼでもできるということになりますね。そうなりますね、これは。期間だって五条四号のこれをするんですと言って現実にやれば幾らでもできるということになりますね。
  268. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それは仕事の内容によって違ってくると私どもは理解いたしております。すなわち、自衛隊の本来の仕事、すなわち自衛官が本来担当すべきような性格を有する業務については、そういった形の役務の調達というのはできないというふうに考えております。具体的に申し上げますと、自衛隊法の第七章に掲げております武器の使用その他人の生命、身体、財産に対して強制力を及ぼすような権限を行使する業務、そういったものは密接に自衛官の仕事そのものでございますので、役務の調達の対象とするということはできないというふうに解しおるわけでございます。
  269. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなことを言ったって、実際問題、役務の調達ということで人数に歯どめがありますか、期間に歯どめがありますか、ないでしょう。
  270. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) この役務の調達という見方からするならば、それはございません。たとえば物を輸送するようなときに、それこそ日通に頼むようなときには、これは役務の調達、輸送を受託してもらうわけでございますが、人数、期間等には制限がないわけでございます。
  271. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は何も日通なんて言っているのじゃないんです。米国の軍人をこんな自衛隊法、防衛設置法なんという法律で雇うことができるかと言っているのですよ。雇用することはできないと言っているわけですよ。これはあなた方かかった費用は払うと言っています。それは宿泊費とか何だかんだ言っていますけれども、宿泊費というのは、やぱり雇用したから雇用した人の宿泊した日にちに応じて払うわけでしょう、費用を。これはやっぱり雇用ということですよ。いま一たん言い始めた以上はいまさら変更はあなた方はできないから、私はこれ以上長々言いませんけれども、これはあなた方は米軍人を現実にこういうぐあいな資格で雇っている。雇って、そして現実にこういう仕事をやらしている。法律上はできないものをやっているわけですよ。この法律を後でつじつまを合わして、幾ら言たって私は納得できませんよ、この問題は。そうじゃないですか、伊藤さん。
  272. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それは、技術の提供を受けるということはほかにもあるわけでございます。たとえばバッジのサイトあたりの技術の関係で外人に来てもらうというようなことはあるわけです。あるいは会社の者に来てもらうということはあるわけです。そういうときに宿泊費とか日当というものは払います。しかし、それは技術の提供を受けただけであって、雇用関係という、その人の給料とかそういうものを見るというものではございません。したがいまして、技術の提供を受ける、いわゆる役務を調達するというやり方というものはほかにもあるわけで、一般的なその方法によって今度も役務を調達する、技術の提供を受けるということにしたわけでございます。
  273. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは一般的なその問題とは今回は全然違います。それではその問題、特にこの問題は、ただ単に五条四号で、要するに米国の軍人を雇うことはできないということがはっきりしただけでも結構ですけれども、問題が余りにも多過ぎるんですよ。  それじゃ逆にもう一点ただしておきたいと思いますが、先ほど長官が統一見解として秘密の問題を言いました。これは技術の提供として現実に自衛隊の中でこういう仕事をする、こういう人たちは、これは要するにどういう法律で縛られるんですか、この秘密を守るということについては、先ほど大臣は、お互いに信頼関係でいわゆるこういうふうなメモが交わされているんだからというふうなことを言いましたけれども、このメモがそれじゃ逆に言えばどういうふうな法律的根拠があるのか、どういうふうな働きをするのか、このメモはね。もしそういう米軍人がこの秘密を漏らしたら一体どういうことになるのか、これはどうですか。
  274. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いわゆる雇用関係にないわけでございますから、自衛隊法の適用を受けるということはございません。で、この作業をやるに当たりまして、わが国において米軍を代表する立場にある在日米軍司令官が、米本国政府の承認のもとに、作業の過程及び作業の関連で得られる知見は自衛隊のみに帰属するということを航空幕僚長との間で確認いたしているわけでございます。この確認は、日米両当事者間の相互の信頼関係に基づいて行われたものでございますので、防衛庁としては、米側の関係者がかかる確認の内容に反することはないと確信いたしておりますが、万一漏らすようなことがあれば、当事者である航空幕僚長から在日米軍司令官に対して抗議をして反省を促すということになろうかと思います。
  275. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、こういう米軍人は上司の命によってこの職についているわけですね、これはそうでしょう。
  276. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それは所属が在日米軍になりまして、そして在日米軍司令官の指示によってこちらに技術の提供をしているということでございます。
  277. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、そういう米軍人は上司の命によって服務しているわけですから、上司に報告する義務はありますね、自分の職務のことについて。これはどうなんです。
  278. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それは上司の指示に従って自衛隊に協力してきたという報告をする義務はあると思います。
  279. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、そんなことじゃなくて中身ですよ。
  280. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それは、知見したことは自衛隊のみに属するという確認事項がございますから、そのことについて報告することはございません。
  281. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういう人たちは全く上司に報告をする義務はないと、そこまで確認しているんですか。
  282. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それは、知見は自衛隊に属するというときに、幕僚長とガリガン中将の間で確認をいたしております。
  283. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは私はそこら辺のところは非常に大きな問題だと思いますよ。それで本当に秘密が守られるとはなかなか信じがたい。  それからもう一つは、こういうふうな米軍人の、まあ私は雇用と言っていますが、技術の提供にしろ何にしろ、現職のこういう在日米軍の司令官と、それからこちらも制服が直接こういうふうな話し合いをしてこういうことをやるということは、ちょっとおかしいんじゃないか。やはり私は、こういうような問題については、もしこういうような米軍人を、これは雇用すると言ったらおかしいけれども、われわれの立場から言えば現実に雇用しているというような感じにもなるし、向こうから協力していることにもなるし、言い方はいろいろあったにしても、こういうふうなことが、いわゆる制服同士でどんどん進められるということは私はちょっと納得できませんが、これはどうです。
  284. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは制服同士でやったわけではございません。このことにつきましては、関係各省の間でも調整をいたしました。そして大臣が冒頭に、自衛隊が実質的にやる、その方針のもとに検討せよということを命令されまして、関係各省とも調整し、最後の、契約といいますか、確認するといいますか、手続、それは大臣の指示に従って航空幕僚長がガリガン中将とやったものでございます。
  285. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは表はそういうふうになっていますけれども、私は、大臣の許可でやったとはいいましても、やはりこういうようなところは日本の立場と向こうの立場とは全く違うわけですよね、立場が。それは法の立場からいっても違いますし、いろいろな立場からいっても違うと私は思うんですよ。こういう現場が話し合いをしてこういうことができるということの先例を開くということはちょっとおかしいと私は思うんです。これはやはり防衛局長なりシビリアンの、こっちの方からやっぱり出向いていって向こうと話し合いを詰める、こう私はあるべきじゃないかと思うんですが、ここら辺のところはどうなんですか。
  286. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これはもう、いわゆる大臣の命令に従いまして、私が動くのも、それから幕僚長が動くのも全く同じでございます。それで幕僚長がガリガンと話をしたということでございます。
  287. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、それは同じじゃないですよ。それは同じじゃないです。それを同じと考えているということ自体に私は大きな問題があると思いますよ、やはり。われわれの目から見ても、国民の目から見ても、これは全く違います。立場が違うでしょう、全く。全く同じなんていうことは言えませんよ。そうじゃないですか。
  288. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これはまあ同じという言葉が適当であったかどうかわかりませんけれども、大臣の指示命令のもとに行ったものでございます。しかも、こういった技術的な確認事項でございますので、特に指揮権を持っておりますガリガン中将と、それから航空幕僚長が具体的に詰めたということでございます。
  289. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは技術的な詰めなんて言っていますが、そうじゃないでしょう。これはこの申し合わせ事項の中身の一つ一つ見てみなさいよ。「本件輸送作業に関して、米軍の技術要員及び機器は自衛隊の指令、監督の下におく。」、これは技術的な問題というより、いわゆる政治的な意味も含めた、あるいはこれから先のいわゆる秘密の保持、そういうようないろいろな角度から見て、これは現場がやるよりもかえって防衛局長なりがやるのが当然の職務じゃないですか、それが自然ですよ。
  290. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) そういう問題がございましたので大臣の指示に従ってやったものでございます。私がやった方が適当か、空幕長がやった方が適当かということでございますが、この場合には空幕長がやる方が適当であろうという大臣の判断があったわけでございます。
  291. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 逆に言えば、私はこういうふうなのは現場同士やるというのは適当でない、こういう判断をしているわけです。これは大臣の指示だから同じだなんて言いますけれども、同じじゃないと私は思うんですよ。  それから、先ほどもお話がありましたけれども、渡辺審議官の発言ですね、これはどういうことなんですか。
  292. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 渡辺審議官の発言のどこのところでございましょうか。
  293. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はきのうの会議録全部読んでおりませんのでわかりませんけれども、要するに、航空自衛隊は機体そのものの調査に際して技術的にわからなかったことはなかったと、こう言ってますね。こういう発言が現実にあったとすれば、これは私は、日ソ友好という問題から考えてみても、現実にそれじゃ逆に言えば、米軍に技術提供してもらう必要はなかったと、こうとられても仕方がないわけでしょう。そういう観点からこれを読んでみると非常におかしなものになってしまいますよ。
  294. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) どのように発言したか、私も詳しくは聞いておりませんけれども、少なくともそこに言ったとおりの発言をしておるとするならば、やはりそれは間違いだと思います。といいますのは、そのとおりであるならば、いま先生がおっしゃいましたように必要はなかったわけでございますから、いわゆる短い期間に、そして余り機体を損わずに調査をするというためには、どうしても米軍の技術者の力もかりる必要があったということでございます。
  295. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) いまのところちょっと補足しておきたいと思うんですけれども、これを徹底的に時間をかけて、そうしてエンジン等も分解して徹底的にこれを細切れにしてしまうというようなことであれば、われわれの持っておりまする技術でもほとんど知悉することができた、こういう発言だと私は思うのです。しかしながら、一方におきまして私が申し上げておりますように、調査はする、それから調査の仕方は、いま言うように厳然とわが政府の主体性のもとにおいてやると、そうして得られた情報というものは自衛隊に帰属をする、こういうことを決め、そうして三番目には、しかしながらこれはソ連という相手の国のこともあるから、やはり外交上には慎重に対処しなくちゃならない。そういたしますと、ソ連の方からは早く返してもらいたいという要望もあるわけで、これはわれわれも承知をしておるわけでございまして、われわれの一応の調査が終わればこれを返すのにやぶさかではないという態度を政府としては決めたわけでございますから、そのある短期間の間において調査するとするならば、やはりアメリカの飛行機を使うことも、あるいはその他の技術要員を使うことの方が短期間に仕上げられる。そのことが日ソ友好関係においてプラスであるという判断のもとにそういたしたわけでございます。
  296. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、私の時間なくなりましたから、大臣に最後に一点お伺いしますが、この五条四号の問題は、先ほど法制局の方からも、雇用することはできない、技術の提供はできる、こういうことですけれども、私はこういう問題は今回限りにしてもらって、できたらね、要するに現職の米軍人を、こういうような場合ですよ、こういう軍人を雇うなんということは、やっぱり何らかの歯どめがないと実際問題いかぬと私は思うのですよ。これはこういうふうな、みだりに五条四号を使って現職の軍人に自衛隊を応援してもらってなんということは余りやることじゃないと私は思う、実際問題ね。それが一つ。それからもう一つは、米軍人の地位ですね、これは私はこの地位協定に言う軍人という場合と、それから日本にいる軍人という区分というのは、これは先ほどから説明がありました。ありましたけれども、地位協定のどこを読んだって私はそういう区別ができるなんて思わない、実際問題。少なくとも、日本の領土にいる限りは、そういう司令官のもとで一時はそうされているにしても、現実に日本の国内にいる以上は、私は当然その地位協定上の米軍人であることには変わりないと思うんですよ、実際問題ね。そういうことは、純粋にそういうふうなところを解釈して、そうしてもっとほかの解釈の仕方を考えるべきじゃないか。地位協定のこういう問題、これもそうですし、防衛設置法のこういうところでこういう問題を処理しようというところに多少私は無理があるんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、今後の運用とあわせて大臣の所信をお伺いしておきたい。
  297. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 今度の事件というのは、こちらが望んで来たわけじゃないし、わが国民の意思とは無関係に領空侵犯をしてきたわけでございます。突然のことで偶発的なことであるし、こういうことがたびたび起こってはたまったものじゃないとわれわれは思っておる。むしろ、われわれ政府としましては迷惑千万だったと実は思っておるわけでございます。しかしながら、これに対しましては防空の責任を持っております者といたしましては、やはり領空侵犯を犯したこの機体等についてある程度調査をするということは、当然な責務であるというふうに私は考えておるわけでございます。しかし、それに対して、この法的な解釈上いろいろ問題もあるようでございますから、この点はやはりもう少し政府としても詰めて、すきっとした形でやるべきものであるという点につきましては、先生と私も同感なのでございます。われわれは幾らこういうことを起こってならないと思っても、起こり得る可能性はないわけじゃございませんので、そのときに備えて対処するについてやはりすきっとした形で、しかも国民に納得のいくような形で、また先生方にも十分御納得のいくような方向で、あるいは法解釈のもとにおいて処置ができるようにいたさなければならないということでございますので、全然これが唯一のものであるということではなくて、われわれといたしまして、十分この点をきょうの御意見等踏まえまして、今後検討をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  298. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ただいま、この問題につきましては、大臣から今後検討していくというお答えがございました。もっともっと詰めてやっていただきたいと思いますが、最初一、二点関連してお聞きしたいことがありますので、その点よろしくお願いしたいと思いますが、先ほど外務省の方からもいろいろ説明がありまして、最初に、昨日のやはり外務委員会で渡辺防衛審議官から、防衛設置法五条の問題で、自衛隊法の全体の精神、まあ設置法の立法の精神からいって、おのずから外国軍隊の援助は、人数とその内容にかかわりなくこれは限度がある。したがって、要点で私ども会議録見ていませんからあれですけれども、一つは自衛隊の中核となる業務である武力行使、二は機密を要するもの、この二点については外国軍隊の協力を要請できないとし、歯どめのあることを示した。これは当然だと思います。しかし、その答弁の中で、新聞で報道されているところによりますと、これは「技術援助に来た米軍要員は援助期間中、米軍の指揮系統から離れ、在日米軍の地位協定の適用からはずされており、事実上、米軍人でなくなっていた」と、こういう考え方を明らかにしたというわけですけれども先ほど防衛局長のお話ですと、米軍人という身分はなくなっていない、こういうお話ですが、その点もう一度答弁願いたいと思います。
  299. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) この新聞の見出しに出ている「米軍人でない」という言い方ではございませんで、地位協定に該当する米軍人の取り扱いは受けないというふうに御説明したというふうに聞いております。
  300. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、ガリガン在日米軍司令官もそのことは了承しているわけですね。
  301. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それは当然了承いたしております。
  302. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 細かいことをやるようでございますけれども、まあ私たち日ソ関係を悪化するためにやっているわけじゃないということだけは了解していただきたいと思いますが、先ほど峯山委員からも問題ちょっと出ましたが、この第九条二項に「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される。」と、こういう項目がございますね。そうしますと、米国から来たと言われております今回の技術協力の要員でございますが、彼らは日本国に入国したときに、いわゆる旅券法あるいは外国人登録法、そういったものに基づいて入国しているんですか。
  303. 村田良平

    政府委員(村田良平君) これらの米軍要員は、一たん在日米軍司令官の指揮下に置かれまして、その後自衛隊と米軍との了解に基づきましてわが方の作業に従事するということになったわけでございます。したがいまして、わが方の作業に従事する以前の状況におきましては、一時的に少なくとも地位協定の適用を受けるというステータスでいたわけでございます。したがいまして、当人の入国滞在等は、基本的にはそれまでの時点では地位協定の適用があったということでございます。
  304. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、アメリカの国内にいたときからその指令を受けたんじゃなくて、日本に入国してから調査活動に従事するようにという、そういう指令を受けたと、こういう解釈ですね。
  305. 村田良平

    政府委員(村田良平君) わが国に入りまして、一たん在日米軍司令官の指揮下に入りました後に、この作業に従事したということでございます。
  306. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろんな問題ございますけれども先ほど長官から前向きの答弁がございましたので、これは今後の検討にいろいろとしていただきたいと思います。  次の問題に入りますが、今回のミグ25の事件に関しましては、領空侵犯があったんですが、これにつきまして私どもいろいろと調査をしてみたわけですが、この領空侵犯があった場合にどのように対処していくか、こういうことを調べてみましたら、昭和四十三年三月十六日の衆議院の予算委員会で社会党の岡田春夫さんが質問されていますけれども、いわゆる一九五九年の九月の二日の松前・バーンズ協定、日米軍事秘密協定があったと、こういうことで質問されているわけですけれども、この松前・バーンズ協定というものは現在でも有効なのかどうかお聞きしたいと思います。
  307. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 松前・バーンズ取り決めというものはいまでも有効でございます。
  308. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、この委員会でも論議されておりましたけれども、その後いろいろと論議されているようですけれども、内容は明確にされておりませんね。そこで、私どもとしましては、この松前・バーンズ協定についてこれを資料として提出をしていただけないかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  309. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) この松前・バーンズ取り決めというものは「秘」に指定されております。したがいまして、これをそのままお出しするわけにはまいらないわけでございますが、内容につきましては御説明申し上げられると思います。
  310. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではその内容を概略説明していただきたいと思います。
  311. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 五点ばかりございまして、まず第一点は、アメリカの第五空軍と航空総隊との間の日本の領空侵犯に対する措置を実施する上の細目事項を明らかにするのがこの目的であるということでございます。  その次が、第五空軍と航空総隊とは別個の指揮系統を保留しておるんだということでございます。  一三番目は、いわゆる警戒態勢——DEFCONというのがございますが、警戒態勢を高めるに当たっては相互に緊密な調整を行なってやるということが書いてございます。  それから四番目に、府中の作戦指揮所は第五空軍と航空総隊との双方の指揮中枢とするということになっております。  それから第五番目に、防空管制所及び防空指令所にそれぞれ第五空軍の連絡員を配置するということが決められております。  それから第五空軍というのは、御承知のように日本だけにその部隊がいるわけではございませんので、隣接極東地域との情報の交換は第五空軍が責任を持ってやるということが書かれております。
  312. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまの概要の説明の中にありましたけれども、指揮系統は別個に保有している、あるいは領空侵犯等については日米それぞれ固有のものによって実施をする、こういう項目がございますか。
  313. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それぞれがやるということでございますか。
  314. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ええ。
  315. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それぞれがやるということではなくて、いわゆる領空侵犯措置に対して米側と航空総隊とが協力してやるといいますか、そういう精神を受けてこれができているわけでございます。精神を受けているというのはどういうことかと申しますと、その前に岡崎・マーフィー書簡というのがございまして、御承知のように日本が独立した後、航空自衛隊が発足したのが二十九年でございます。そして、その間、日本の領空侵犯措置というものは全面的に米空軍が責任を持っておったわけでございます。それが三十三年から航空自衛隊も領空侵犯の警戒態勢に入りました。それから、一方レーダーサイトを同じ年から逐次移管を受けまして、レーダーサイトも航空自衛隊がオペレーションするようになったわけでございます。そうなってまいりますと、いわゆる米軍の飛行機というものは航空自衛隊がオペレーションしておりますレーダーサイトからの情報を受けて、その領空侵犯措置でも上がっていくわけでございます。したがいまして、その連絡員を配置しておいて、それぞれ行動については別個の指揮系列に従って対処するという必要ができまして、この取り決めというものができたわけでございます。
  316. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 せんだって衆議院の内閣委員会で、同僚の鬼木委員から質問されましたけれども、今回は領空侵犯は函館空港へ来たわけですけれども、もしも三沢とか米軍基地にこういった着陸が行われた場合には、米軍はそれぞれの指揮系統に従ってスクランブルをかけると申しますか、そういうことが行われたのかどうか、ちょっとお聞きしたい。
  317. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 実は、日本の国内におきまして、これは沖繩を除きまして、米軍のスクランブルの態勢というものは現在はございません。航空自衛隊だけがやっております。したがいまして、あそこにおりるから米軍が上がるということはないわけでございまして、日本の領空侵犯に対しましては、現在では航空自衛隊だけがスクランブル態勢に入っているというのが実情でございます。
  318. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 しかし、領空侵犯に対する先ほどの松前・バーンズ協定が、われわれあれですけれども、あるそうですが、考えてみますと、もしもそういった効力があるとしますと、日本の自衛隊には交戦権はありませんけれども、米軍は領空侵犯に対処しなくても攻撃勢力は日本にもあるはずですから、もしもアメリカの基地の上空に、そういった、何というんですか、不明の飛行機が飛んできた場合にはアメリカ側が飛び立って攻撃を加えることはあり得るんじゃないかと、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
  319. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは、スクランブル態勢というのは、御承知のようにすぐ発進できるような態勢をとっております。したがいまして、領空侵犯のように突如入ってくるような飛行機に対して、アメリカの飛行機がどんなにおっても直ちに飛び上がるということはまず不可能でございますし、現に、たしか昭和四十年ごろだったと記憶いたしておりますが、日本に配属されておりましたアメリカのファントムが、日本といいますか、横田に配属されておりましたファントムが帰りました後、わが国に常駐しておりますファントムというものは沖繩にしかおりませんので、いわゆる内地といいますか、本州におります米軍にはそういう能力はないわけでございます。
  320. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 やった場合には大変なことになるわけですが、実際にそういうことはあり得ないという答弁ですね。  次にお聞きしたいのは、先ほどちょっと質問しましたけれども、もしも米軍基地に着陸した場合には日本は調査できるのかどうか、ちょっと質問したい。
  321. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは鬼木先生にも御説明申し上げましたけれども、在日米軍の基地というものは日本の領土の中にあるわけでございます。したがいまして、突然基地に入ってくるというものではございませんで、その前に必ず日本の領空侵犯というものを犯しております。それからまた、そのほかのいろんな国内法も無視して入ってきているという事実がございます。したがいまして、それぞれ刑事責任を追及するということも必要でございましょうし、私どもの方といたしましては領空侵犯にかかわる調査というものは当然必要であると考えておりますので、そのことは実施できるというふうに考えております。
  322. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ、米軍基地というのは、しかし考えてみますと治外法権的な権限を持っているわけですから、やはり米軍の許可なくしてはそれは当然入れないと思いますけれども、その点どうですか。
  323. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは調査をするに当たっては、もちろん米側と話し合うということはあり得ることでございます。その基地の中の管理権というものは米軍が持っているわけでございますから。しかし、明らかに国内法を犯しており、また領空侵犯の責任を持っている自衛隊側の調査というものは当然に認めてくれるというふうに理解しております。
  324. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その日本側が調査できるという法律的な根拠をちょっと伺いたいと思います。
  325. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは今回の場合と同じでございまして、自衛隊法の八十四条によりまして、いわゆるその行動的な面というものはあそこ書かれておりますし、また防衛設置法の第五条に書いてあります領空侵犯措置、それから防衛庁の権限として持っております調査権限によってこれは一要求できるというふうに考えております。
  326. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 関連して。  防衛局長、実際問題、在日米軍基地にそういうふうな強行着陸した場合、これは確かに調査はできるでしょう、いまおっしゃっているわけですから。できるとしても、要するにこれは第一次的には米軍の管轄にある基地ですね、ですから、第一次的には米軍がやるわけですね、これはどうなんですか。米軍がやって、そしてその米軍の調査に自衛隊が協力すると、こういう形をとるのか、または米軍が終わってから自衛隊がやるのか、ここら辺のところあるでしょう、やっぱり。  それから、先ほどのもう一点は、松前・バーンズ協定の問題ですが、これは前の衆議院の議事録を読みましても、当然自衛隊は自衛隊の指揮監督を受けると、それで米軍の方は米軍の指揮監督を受けると、こういうふうになっているわけですね。しかし、そういうふうな中で、現実にいま防衛局長の話だと米軍が現在日本の本土の中でいわゆるスクランブル態勢にないと、だからそういうふうな事故は全く起きる可能性はない、こういう判断ですね。しかしながら、現実の問題として指揮系統は別だし、また松前・バーンズ協定、具体的に中身は私たちわからないわけですけれども、私たちの調べた範囲内では、緊急時にあっては一方的に措置した後、事後に通告すると、そういうふうな意味の内容のあれもあるわけでしょう、松前・バーンズ協定の中に。現実に会議録の中にも出ておりますが、そういうふうな意味の内容もあるわけでしょう。そうすると、そういうふうな緊急時ですから、現実に、いまたとえば領空侵犯とか、そういう亡命のためなんてたった一機飛んでくるんじゃなくて、五十機ぐらいばあっと来て大変なことになったとき——実際にそんなことはあり得ませんよ、あり得ないと思うのですけれども、もしそういうことになったときに米軍としても何らかの措置をすると、緊急事態ですから。その後で日本側に通知すると、全くあり得ないとは言えませんよ、実際問題、現在の世界情勢から考えてみましても。ですから、そういうふうな場合には一体どうするのか、全くそういうことは考えていないのか、そういうことがあっても米軍は全く手を出さないのか、また手を出さないというよりも、出すだけの能力が現在ないのか、日本には。それは自衛隊が対応する以外にないのか、ここら辺のところはどうなんですか。
  327. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) まず、平時におきましては米軍は対応する能力を持っておりません。それから、いま先生がおっしゃいましたように一方的に通知するというのは、警戒態勢で上げる場合に、そのいとまのないときということでございまして、これは先生も御承知のように一度だけございました。あのキューバ事件のときに向こうがぽんと上げまして、そしてこちらに連絡してきたということがございますが、そのほかには一方的に上げたということは記憶いたしておりません。このいわゆる松前・バーンズというのは平時における領空侵犯措置に関する取り決めでございます。したがいまして、現在はそういう能力を持っておりませんが、この取り決めをやりましたときには、レーダーサイトに連絡員が来ておりまして、飛が上がった飛行機を指令するのは、御承知のようにレーダーサイトにおります防空指揮官というのがやっております。これは二人並んでおりまして、米軍機は米軍に対して指示をしたと、そういうことでございまして、その後、いまみんな引き揚げております。したがいまして、レーダを持っていない、こういう平時の自衛隊だけが運用しているときに、突如としてそういうことが起こっても米軍はすぐ上がるというような態勢にはないわけであります。  それから、一番目の御質問でございましたが、管理権というのは、その基地の中は米軍が持っておるわけでございますから、ですから、もちろんこちらが一方的にあるというのではなくて、話し合いをして、そして必要な調査はするということになろうかと思います。
  328. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 第一次的にはやっぱり米軍にあると。
  329. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 保管といいますか、その管理権というのは。
  330. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 調査権は。
  331. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 調査権というのは、うちの方としましては第一義的とかいうのではなくて、やっぱり平等の権利として私ども考えておるわけでございます。
  332. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、いまの問題、ちょっと変えますけれども先ほどの問題、もう一点だけお聞きしたいんですけれども先ほどというのは調査要員のことについてですけれども、地位協定第十七条、彼らについてはこの地位協定の十七条も適用されないのですか。もしも調査中に事故や犯罪を起こした場合には、そこの調査員の人たちは米国の軍法に服するのかどうか。
  333. 村田良平

    政府委員(村田良平君) これらの米国軍人は地位協定の適用を受けないということでございますので、十七条についても適用がございません。
  334. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 適用はない。
  335. 村田良平

    政府委員(村田良平君) はい。
  336. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、この人たちはいずれにしても米国軍人の身分にあるから、外国人に関する一般的な国際法の中でそれが行われるということですね。
  337. 村田良平

    政府委員(村田良平君) そのとおりでございます。
  338. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなこと言ったらおかしいのじゃないの、やっぱりよく考えてみると。この地位協定の適用は受けないといいましても、これは防衛局長、こういう人たちはこの地位協定を受けないということにいま言っていますけれども、実際問題、そういう米軍人で仕事をしに来ていますね。これは技術協力だと言っていますから技術協力で結構ですけれども、そういう人たちが実際犯罪を起こしたという場合、これは全く地位協定十七条、この地位協定の問題ですね、これは全く受けませんか、実際問題。やっぱりこれはちゃんと受けるのじゃないですか。外務省これひとつどうです、実際問題そういう人たちが実際起きたら。これは犯罪起こす可能性ないと思いますよ、私は。ないと思いますけれども、実際問題、これは犯罪起こしたら地位協定のこれは全く受けないなんて、そんな簡単に言っていていいの、実際。
  339. 村田良平

    政府委員(村田良平君) 地位協定の規定そのものは適用にならないということを申し上げたのでございますけれども、当然一般国際法に基づきます外国軍人に対する法理というものは適用されるわけでございまして、個々のケースにおいて裁判所が最終的には判断することでございますけれども先ほども申し上げましたように、その駐とん地における行為あるいは公務執行の際の行為に関しましては、これはその設備国の方に裁判管轄権がないということだけでございまして、外国軍人が、このような今回の自衛隊に対する協力というかっこうでわが国におります間に、非常に完全な治外法権を享有しておるというふうなことではございませんで、もとより基本的にはわが国の法令が適用される、ただ一般国際法の枠内におきましてそれが排除されるという関係でございます。
  340. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはやっぱりおかしいですよ、どう考えたって。そんなことを簡単にそういうふうに言っていると、実際にそういう事件が起きたときに非常に私困るのじゃないかと思うのです、実際問題。  これはこの問題はさておくとしまして、もう一点、私は防衛庁にもう一回聞いておきたいんですけれどもね、どうも先ほどの技術の提供という問題については納得いかないですよ、私。技術の提供という形で、要するにそういう技術の提供という名前ですね、私、先ほど外国軍人の雇用と言っているわけですけれども、こういう形で外国軍隊の協力をどんどんどんどん求めるということが、実際防衛設置法でできるのかなということは、やっぱり私できないんじゃないかという考えが非常に強いのですがね。要するに技術の提供という名前、形で外国軍隊のいわゆる協力、日本のこれは憲法上、いろいろな法律からいっても、こういうことは実際問題できるのかどうか。これはたとえば、今回はミグだったのですけれども、これからはいろんなことで防衛庁にない技術というのは、もう核の問題だって何だっていっぱい出てきますよ。核は全部だめにしたって、それに近い高級な技術ですよね、自衛隊にない技術ということになると、そういうふうなものが実際問題、外国の軍隊の協力を得ることができるかということになると、私は非常に疑問に思うのです。この点は私はもう一回、これは深刻に今後やっぱり政府としても一つの方針なり考え方をぱっちりしてもらわないといかぬ。こういうことで、どう考えても私は技術の提供という形で外国の軍隊の協力を得るということができるかどうかということについては非常に疑問なんですがね、これはどうなんですか。
  341. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 今回は技術の提供を受けるということで設置法の五条でやったわけでございますけれども、非常に希有な事態でありましたので、こういう方法によったわけでございます。従来でございますと、一般的に言いますと日米関係でございますからいろんな協力関係というのがあったわけでございますけれども、今度の場合には、自主的に防衛庁が調査をするという立場でございましたので、そういう方針でございましたので、それに従ってやったわけでございます。
  342. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはやっぱり、今回はこれで済むかもわかりませんね、今回は。今回はもうわれわれとしてもこれ以上追及したってしょうがないんです。起きてしまって、もうこれで解釈して、いまさらこれは違いました、だめでしたなんて言うわけにいかないでしょう。しかしながら、これからの問題としては、こういうふうな問題を余りにも拡大解釈をして、外国の軍隊の協力を得るというのを技術の提供という形でやるなんて、本来私は多少違うんじゃないかと、そういう感じが非常に強いわけです。そういうふうな意味では再度私は検討してもらいたいと思うし、今後やはりこういう事態は、全く想像できない事態が現実に長官おっしゃるように起きたわけです。そういうような意味では、こういうような事態が現実に起きたわけですから、今後もこういう問題についてはやはりある程度法の整備という問題ですね、やっぱりスクランブルした後、先ほどもお話がございましたように後々の問題も、多少こういう場合にはこうする、こういう場合にはこうするというある程度きちっとしたものがなければいけないのじゃないかとも思うのです。そういうような意味で、そういう点ばっちり私は体制を整えて、今後すっきりした形にしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  343. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 先生のお話を伺っておりますと、非常にごもっともな点もあり縛るわけでございまして、今後政府といたしまして、こういうものにどう対処するかということをやはり研究し、検討しなけりゃならないというふうに思います。  こういう議論が先生方から投げかけられたというところが私は非常にうれしいのでございまして、確かにいまおっしゃるようないろいろな問題がまだ整備されておりません。しかしながら、やはり防衛の問題は従来タブーというような形もありまして、われわれの方も反省をいたしておるわけでございますが、避けて通ろうというような気持ちもなかったわけではないわけで、これはもう防衛白書にも私は書いておるわけでございますが、しかし、国民の一人一人の生存と自由にかかわる問題、安全保障の問題は避けて通るべき問題でないのだというふうに私は思うわけで、思わぬことが実は起こり得るわけなんでございますから、それに対して、やはりきちんとしたものがなけりゃならないというふうに思いまして、先生方の貴重な御意見として今後検討させていただきたいというふうに思っております。
  344. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう私の方の持ち時間終わりましたので、もう一点だけお伺いしますが、松前・バーンズ協定ですね、これは、実際問題、先ほど防衛局長おっしゃるように、大分、まあ時代的に考えてみると、もう米軍にそういうような能力はないということですから、余り効力はないわけですな、早う言えば。ですから、そういうような意味では、私はこの協定なんていうものは、少なくともこれはもう少しわれわれの前に明らかにして、それで今度またこういうのを米軍と結ぶとすれば、新たな考え方処理の仕方を考えないと、現実に在日米軍基地で起きた場合に、これはいろんなことが想定されますね、実際、現実に、事故も。ただ、在日米軍基地に強行着陸したら、そのときはそのときで要するに調査をするんだと。日本側に調査権もあるし、平等に話し合ってやるんだなんて言っていますけれども、現実に起きて、米軍がそれはスクランブルする能力はないにしたって、それ以外のやり方はいっぱいあるかもわかりません、やっぱり。そういう能力は米軍が現実に持っているかもわかりませんね。陸上での機関にしたって何にしたって、そういうやり方はいっぱいあると思うんですよ。そうしますと、そういうときに現実に起きた事故というのは、これは現実にまだ起きておりませんけれども起きる可能性はありますね、そういうふうな対応の仕方というのはやっぱりかちっとしておかないといけないと思うんです。そういうふうな点も今後きちっとやってもらいたいと思うし、かつ、松前・バーンズ協定なんていうのは、われわれもいままで何回か当内閣委員会にも提出するように言って、結局提出できないということでいままで来たわけですけれども、こういうふうな、中身がもう余り効力をなさないようになったものについてもやっぱり見直しをする必要がある、私現実にこう思うわけです。中身はどういうふうになっているか、私たち先ほどの説明以外にわかりませんけれども、そういうぐあいに思うんです。そこら辺のところをあわせて御答弁いただきたい。
  345. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) この点につきましても、私は一応、松前・バーンズ協定というのは、平和町における防空体制、監視体制の問題だと承知をいたしておりますけれども、しかし、エマージェンシーのときには一体どうなんだというお尋ねかと私は思うんです。こういうようなことにつきましては、やはり日米安保条約の第五条について、エマージェンシーのときにどうするかということで、実はこれをユニホームだけに任せておくべきことではないんだと、シビリアンコントロールのもとにこういうことはきちんとしておくべきことであるということで、あの日米防衛協力小委員会というような中でやはり議題として対象として考えなきゃならない問題だというふうに私は心得ております。
  346. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前、質問中断したんですが、その問題と関連して事実関係をひとつ明らかにしておきたいと思いますが、この九月二十六日の取り決めに基づいてミグ機の調査に参加した、これは約十名ですか十一名ですか。この所属ですけれども、米空軍直属のFTD、つまり外国技術局その他の専門家だと、これをはっきり確認できますか。
  347. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは、この前御答弁申し上げましたようにFTDの技術員かどうかということは、これは米側との関係があって申し上げかねることでございます。
  348. 岩間正男

    ○岩間正男君 全く奇怪なんだね。だれが参加したかぐらいはっきりさせなけりゃ当委員会の権威にも関するとこの前言ったんですけれどもね。それで、そうでないとは言えないんでしょう。そうでないと言えますか。そうでないと言えなければ、これはそうだと私の方でこれは断定しますから。そうでないんですか。
  349. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) そうでないともそうだとも申し上げられないわけでございます。
  350. 岩間正男

    ○岩間正男君 ノーコメントだと。ノーコメントということは、これは承認するということの代名詞なんだ。だから、それはもうそういうふうになにしていいと思う。しかし、この委員会でだれが参加したぐらい、これは米側との関係があってなんて、米側はそれほど秘密にしていませんよ。むしろ日本側が必要以上にこんな問題を秘密にしているところに問題があるんですね。結局このFTDのこれは専門家だと、こういうことですから。結局は外国技術局というのは、外国機の設計、材料、操縦、武器、電子装置などあらゆる分野の専門家をそろえているわけです。これらの専門家が何人かすぐられて来たんだと思うんですが、そうすると、ミグの解体、輸送に単に技術援助をしただけでなくて、当然これらの作業を通じて、こういうことは確認しておるでしょう。機体の材質がどういうものだか、これは確認しなきやおかしいからね。どうですか。
  351. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) そういうものは自衛隊の調査事項の中には入っていると思います。
  352. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかしこの調査員も、これは確認しないと、ちゃんと。タッチしないというのはおかしい。エンジンはどうです、エンジン。
  353. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 自衛隊の調査の中にはエンジンも含まれております。
  354. 岩間正男

    ○岩間正男君 自衛隊の調査と言うけれども、自衛隊と実際は共同して調査したんだろうし、それから、こちらが足りないからこそ人を頼んだんでしょう。専門家を頼んだんでしょう。その専門家がこういうものにタッチしたかどうかというと、これさえ言えないと。全くわからぬ。  それからミサイル発射装置、それから目標捕捉レーダー、電波妨害装置、対電波妨害装置、こういうものについては、とにかくミグの中の主要なものになるわけですから、こういうものには全部これはタッチしたわけですね。これは防衛庁長官どうです。そう考えざるを得ないんじゃないですか。
  355. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) いや、考えざるを得ないというよりも当然のことだと思ってやっておるわけです。  それで、先生FTDというふうにきめつけておっしゃいますけれども、これはこっちとしては言えないわけでございます。言えないことを言えとおっしゃるわけですけれども、そういうところはやはりソ連の立場というものを考えて、日ソ友好ということをわれわれ考えるとするならば、われわれは承知はしておるわけだけれども、差し控えた方がいいというふうにお考えをいただきたい。何もかにもあれするということはいかがかというふうに思いますので、岩間先生もひとつ御考慮を煩わしたいと思います。
  356. 岩間正男

    ○岩間正男君 ソ連の関係で言えないというようなことだが、向こうは筒抜けですよ、そんなこと。だからここだけ知らぬ。知らぬは内閣委員会ばかりなり、ちょっとみっともないですね。だから、とにかく当然ですというような話がありましたけれども、当然です。さすがに防衛庁長官は当然ですと、こう言われました。ただここで言明できないというだけなんですね。  で、私はなぜこういうことを聞いているかというと、この取り決めを見ますと、この(1)では「本件調査作業に関して、米軍の技術要員及び機器は自衛隊の指令、監督の下におく」と、こういうんでしょう。そう決めておるんですな。そうでしょう。このメモでちゃんと決めておるわけだね。こううたっているのに一体何を指揮し、何を指令し、何を監督したんです、そんなら。メモにはこううたっているけれども、実際にはこういうことがはっきりしなけりゃ何を指揮し、何を監督しているのか。これは何ですか、帳面づらだけだな。これは反対じゃないんですか、指令され、監督されたんじゃないのか。それを実際はこの取り決めではこううたっているんじゃないんですか。
  357. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) どうも岩間さんは何か一物あって考えておられるようですが、もう少し素直にこちらの話を聞いていただきたいと思うんで、非常に今度の場合は自主性を持って、われわれの指令、監督のもとに実は実施したわけでございます。これは恐らく珍しいことかとも思いますけれども、今度のミグの調査に関しては、岩間さんもひとつ御了解を賜りたいというふうに思うので、これは毎日の作業にしましても、その要員をちゃんと集めまして、うちの指令のもとに一糸乱れずやっておる、従っておるということを御了承賜りたいと思います。
  358. 岩間正男

    ○岩間正男君 所属ははっきりここで言われないということですからそれはそれにしておいても、いま申しましたような、材質とかエンジン、ミサイル発射装置その他の問題にタッチしたのは当然です。こういうことです。そこで、そういう作業について自衛隊が指令、監督した、こういうことになっているわけだ、表現はね。そうすれば、当然これについて技術要員からの報告を求めたと思うんです。それはどうなんですか、調査したその結果について報告をどんな形で求めたかわからぬけれども、求めたことは事実でしょう、口頭なり文書なり。どうなんです。
  359. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これはその調査の大要を申し上げるとおわかりになると思いますけれども、私は、わが方から行っております調査団の責任者から聞いたわけでございますけれども、ただいま大臣から申し上げましたように、彼らはその仕事のみならず毎日の生活までちゃんと指示に従ってやっておったということのようでございます。で、向こうから借ります技術というものは、わが方ですぐできないような機材を持っております、そういうものを持ってきてそれをオペレートするというようなことでございまして、自衛隊の調査をやりますその指示に従って、調査要員に協力いたしましてやっているわけでございまして、資料収集その他は全部自衛隊がやっております。だから、ある分野について、そこで資料をとるというようなことはありますでしょうけれども、彼ら自体として報告するというようなことはないのでございまして、自衛隊側が報告書というものをつくっているわけでございます。
  360. 岩間正男

    ○岩間正男君 報告と言えば正式になるかもしらぬけれども、これはどうだったとか——わからないところがあるから頼んだわけなんだな。頼んで、これは自衛隊が一緒に行けばわかるのか、以心伝心でわかる、そんなばかなことはないでしょう。当然これはどうだとかなんとか報告を受ける。だから、彼らはずいぶんそういうところを具体的に自分でキャッチしたわけですね、その点は、いまのような答弁だけでかわそうったってこれはちょっとおかしいと思うんですけれどもね。なぜかというと、秘密を守るということを言うわけだ。そしてこの機密はもう防衛庁長官の、ことに最高の所属にするんだと、こういうことが決定されているようなんだね。そう言ってみるんだけれども、実際は四十一人ですか、さっき十人と言ったが四十一人、その中で専門家、しかも、いわば外国技術局の相当専門家がいるわけだ。その人たちは、それにタッチしてそういうところを調べているわけだ。それがいるわけですから、日米間の信頼関係だなどと最初から答弁されておりますけれども、これはこの機密というものは防衛庁長官だけに専属していると言ったって、その人たちを日本に本当に永久に雇うとかなんとかしなければ、実際はこれは保てますか、保てないでしょう。
  361. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) これは、申し上げておきたいわけですけれども、岩間さんの基本的な考え方が違うわけでして、本当に、今度のミグの調査につきましては、こちらの指令、監督、厳重な指令、監督のもとに行われたわけでございます。そして彼らも、よくこのガリガンと空幕長と取り交わしました約束に従って、従順に誠実に作業を進めたというふうに私どもは報告を受けておるわけでございます。しかも、根本的に違う、おわかりになっていないと申しますのは、日本の技術というものを余り評価していらっしゃらないわけです、岩間さんは。と思われるわけです。そうじゃなくて、日本のわれわれの持っておりまする技術というものも相当なものだという前提でひとつお考えをいただきたい。しかも、御承知のようにアメリカにF14、15、16を調査団を派遣いたしましてその状況もつぶさに検討をいたしてきております。つまり、基本的に日本の科学技術というのはかなり高い水準にあるということでございます。われわれの防衛庁の持っておるのはユニホームだけじゃございません。技術本部の人たちもこれに参加をいたしておりまして、決してまさるとも劣らぬ技術者であるということでございます。ただしその機材等について若干不足なところがある。しかし、それはここをこうするとわかるということをちゃんと知った上でその人を使っているわけでございますから、そこのところは知見いたしました材料というものは、向こうの手に渡らないでちゃんと日々こちらで確保し保管をするということになっておるわけでございまして、非常な意気込みで実はこれと取り組んでおります。できるならば、私はアメリカのこの人たちを要請せずしてやりたかったんですよ。それを切り刻んでやるならばできないことはないと。しかし、やはり短時間にこれを仕上げて、そして外交関係を顧慮するならばそれが望ましいことであると考えましたがゆえに、ある程度必要最小限の要員をお願いをし、また向こうはそれにこたえてくれたということでございますので、ここはひとつ私の言うことを御信頼いただきたいわけで、アメリカやなんかの言うことなんかを御信頼せずにわれわれの言うことをひとつ御信頼いただきたい。いやしくもこの内閣委員会で私はお答えをいたしておるわけで、うそを言っているわけじゃございませんので、どうかひとつ御了承を賜りたいと思っております。
  362. 岩間正男

    ○岩間正男君 結局当委員会にどれだけの材料を出されるか、資料を出されるか、そういうことでいまの問題は裏づけができることだから、いまここで議論してもしようないけれども、信用しろしろと言っても、信用できないようなことをやるからいけないわけですね。そうでしょう。だから、おとといも繰り返したんですが、そういう意味だったら、かなりなものだし、もう相当なものだから自主的にやっていくんだと、こういうことだったら、本当にこういう専門家を私は頼む必要はないんじゃないか。しかも、国際的な非常にこれは疑惑の中に包まれている、そういう問題を持っているのを、わざわざその危険を冒してこれまでやること、そのことが非常に問題になってきます。この議論はしかし、実際もう少し進行してからさらに明らかになるでしょう。  そこで、法的根拠の問題についてお聞きしたいんですが、九月二十六日の取り決め、ミグの調査の問題ですが、この法的根拠をもう一遍言ってください。防衛設置法ですか。
  363. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは防衛設置法の第五条にございますが、二十六日の調査の方でございますが、調査は、十八号に「領空侵犯に対する措置を講ずる」というのがございます。それから二十号に「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。」というのがございます。これに基づいて確認させたものでございます。
  364. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、自衛隊法でこっち側はそれをやるにしたって、それを受ける側から言えば、二国間のそういうような相互のそういう協定のようなものね、そういう取り決めのようなものがなかったら、その上に立たなければ、これは双務的なそういう何は発生しないじゃないですか。自衛隊ではそう考えてこれでやったんだと言ったって、向こうがね。どうなんですか。
  365. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは、いわゆる技術の提供を受けるに当たっては、さらにその第五条の四号に、所掌事務の遂行に必要な物品及び役務の調達を行うということになっております。で、先ほど来法制局、外務省からも御説明がありましたように、この閥、米軍人は自衛隊の指令、監督のもとにあるということで、軍人としての身分は持っておりますけれども、仕事はいわゆる自衛隊に技術を提供するということで参っておりますので、二国間の取り決めとか、そういうものは必要がないわけでございます。
  366. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはさっきからも論議があったところで、なかなかそう一方的に言ったとしても、それを受けるだけのそういう一つの条件というものは、これはMSA援助協定ですね、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定、乙の問題は関係なかったんですか。もしもこのようなMSA協定に基づくということになれば、これはいま言ったようなちゃんと日米間の、二国間のそういう相互の協定があるわけで、その上に立ってこういうことが行われたというのが最も自然のように思うんだがね。全然あなたたちはこのいわゆる防衛庁設法五条ばかり繰り返しているわけなんだが、それよりももっとこれは実際はMSA協定の方が自然じゃないですか。どうなんですか。全然これは考えなかったんですか。
  367. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは御承知のように、九月六日の時点で、大臣の御方針といたしまして、自衛隊が主体になってやるという方針が打ち出されました。したがいまして、今回自衛隊が実施いたしましたこの米軍の技術要員、輸送機等の使用は、防衛庁がこの機体の保管及び調査を独自に行うという方針のもとにやりましたので、この日米相互援助協定に基づいて行うというものではなく、国内法の権限により認められた調達行為として行ったものでございます。
  368. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもそこのところは、あなたたちがそう言って、それは結局、さっき長官が言われた、自主的にやったんだ、そこは信頼してくれ、そしてこれは本当に安保やMSA協定とは関係がないんですと、こういうことを言われるんだが、どうもこういうMSA協定もあって、やっていることはそれに似ていることですよ、役務なんでしょう。これは「資材、役務その他の援助を、両隣名政府の間で行うべき」と、そういうことで細目協定を決めていると、こうなっている。だからこの辺は、MSA協定の問題はいままで論議の中で出てこなかったわけですけれども、これは気がつかなかったのか。実際はどうもいまになってみると、やっていることは全くMSA協定そのものみたいなんですよね。あくまで自主性自主性、安保とは関係ございません、こんなこと言ったってこれは通らない。事実はもうはっきりしているんだから。国際的にどう見られているかという視野でこれは見なさいよね。日本はもうアメリカまで土下座して行って、そういう中で結局はそういう役割りを果たさせられて日米の安保の中にこれは貢献するという、そういうねらいが背後にはある。それを抜きにしちゃってはこれは話にならぬわけですよ。ところが、あなたたちはそれでは困るというんで、あくまで自主的でございます、門主的でございます、ソビエトとの関係もございます、こういうことを言っているわけでだけれども、こんなもの国際的に通用しませんよ。私は一つそういう気がついたことで、MSA協定との関係があったのかないのか、このことだけをただしておきます。  この情報の提供の問題ですが、提供しないんだと、こう言っていますね。しかし、最初これは防衛庁長官ね、あなたは九月の十三日に、当然日米防衛協力の精神から言えば提供する方針だと、こう言ったんではないですか、どうなんですか。
  369. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) これは御承知のように、普通の国とは違うわけで、日米安保条約は厳として存在し、またその安保条約と日本の自衛隊と、それから国民の意思によって日本の安全というものが守られるというのは、繰り返し繰り返し私が言っておるところでございます。そういうような間柄にあるわけでございまして、この調査が終わりました後におきまして、われわれが得ましたこの情報というものをどうするかということについては、今後国益に照らしまして判断すべき問題であるというふうに思っております。全然これを提供しないというようなことは申さないつもりでございます。
  370. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも少しはっきりしないんですが、九月十三日の記者会見で坂田防衛庁長官は、日米間の防衛協力の精神にのっとり、調査結果を米国に情報提供する方針だと述べている。こういうふうにこれはちゃんと伝えている。こういうことを言ったことは事実でしょう。後で変更したかどうかということは、これは別な問題です。言ったんですな。
  371. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 私は、やはり非常に慎重でございまして、いま直ちにこれをやるというようなふうには言っておりません。
  372. 岩間正男

    ○岩間正男君 だけれども、とにかく情報提供するのは、これはもう日米間の防衛協力の精神にのっとりということだから、当然やっぱり安保のもとにおいてはこれは提供する考えだと、こういうことを言っているわけですね。ところが、日本政府はその一方二十日に、外交上の対応策として調査結果に基づく情報は防衛庁に属して米側には提供しない。これは統一見解としてまとめていられるわけですね。そうすると、この食い違いがあるわけだ。防衛庁長官と、それから日本政府との統一見解の間にはまるで百八十度の違いがあるわけです。提供しないと一方は言っている。一方は提供する。で、この二十日というのは、取り決めを結んだ——十八日に取り決めはこれはやっているわけですね、この解体、輸送については。それから二十六日の取り決めの前なんだけれども、こういう方針が日本政府の方針として出されている、これは二つ食い違っているが、この経過はどうなんですか。どういう経過を経てこういうことになったのか。
  373. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 食い違っているわけじゃないんでございまして、ただいますぐこれを全部アメリカに出す、情報を与えるという意味ではない。しかし、日米防衛協力の関係もあることでございますから、将来持っておるものをやることもあるべしと、しかし、それは国益を踏まえてやらなきゃならない問題だと。御承知のように、たとえば同じ同盟国でございましても、非常に秘密な部門につきましてはお互いやらない場合もあるわけでございますし、やはりある程度ギブ・アンド・テークというような関係もございますので、その辺も考慮いたしまして、われわれが知見いたしました情報というものは貴重なものである、価値の商いものである、それを持っておくということは非常に国益のためにいいという判断でございます。
  374. 岩間正男

    ○岩間正男君 少なくとも九月十三日の段階における防衛庁長官の気持ちの中には、とにかく将来かいつかはわからないけれども、これは日米防衛協定の立場に立てば当然これは米国にも提供するのだと、こう考えておったことは事実です。いまの御答弁の中でも、これは将来そういうことがあるかもしれない。将来といったってあしただって将来だからね。だから、そういう形で、これはそうすると、そういう意図は依然として捨てていられないということがいまはしなくも言われたと思うんですが、そうですね。
  375. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 当面はやらないわけでございます。
  376. 岩間正男

    ○岩間正男君 当面はやらない、将来はやることがある、そうですな。そうとっていいですね。
  377. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) それは国益に照らしましてあり得るということです。
  378. 岩間正男

    ○岩間正男君 いいです、国益は。これは確認しておきます。そうすると大分これは違ってくる。この取り決めというのは、そうすると当面のこれはあれだな。この効果はいつごろまでなのか、結局は、今度のはちょっとのメモで実際はこれは本当に日米間を縛るものになれない。防衛庁長官の腹がとにかく将来は提供する、そういうことを考えているんですからね。当面やらない。これはもう初めていまお話しになったんだけれども、いままでそういう意見があるとは私見られないので、ここは確認しておきます。  それから、まあそう言っているんですが、今度米国の側はどうか。米高官たちの談話は、全くこれはもうちゃんと向こうではいろいろこれについて発言しているわけでしょう。CIAの長官、ブッシュ長官ですか、十九日、これはABCテレビで放送している。こう言っているんです。ミグ25は日本、北大西洋条約機構及び米国にとって情報入手の点で大収穫をもたらすだろう、こういうことを言っています。それから九月三十日になりますと、米国防総省のウッズ・スポークスマン、これは、ミグ25戦闘機は日米専門家による調査から得た、まだ部分的なデータから見てもきわめてすぐれた性能を持つ荷馬度迎撃機だ、こう外国の情報が伝えているんですけれども、そうするとこれはどうですか、提供しないんだと言っているが、とにかく、いま言ったようなペンタゴンの情報官、スポークスマンあるいはCIAの長官、こういう者がいまのような発言をしているんです。これもやっぱり知らぬは防衛庁ばかりなりということになるんじゃないですか。どんどん筒抜けでアメリカでは平然と行われ、そしてそれは電波でも全世界に放送されている、どういうことになりますか。
  379. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) これが実は行っていないわけでございまして、まだ行っていないわけでございます。しかしながら、向こうでは非常に期待度は高いわけでございます。日本が、つまり日米安保条約を結んでおる日本が、とにかく調査をした、同盟国が保有しておる、知見しておる、それはわが自衛隊が保有しておる、これはやはりアメリカにとってはそういうような発言となって出てくるだろうと予想されるわけでございます。しかし、われわれは日本の防衛庁でございますし、知見いたしましたものはわれわれに帰属するわけでございます。われわれの判断によって今後それは伝えることもあるかもしれません。しかし、それはわれわれの判断によってどの部分どの部分というようなことも考えながらやらなきやならない問題だというふうに思っております。
  380. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、取り決めによって自衛隊のみに帰属する、そうしてこれは、ことに防衛庁にとっては最高の機密事項に属するわけですね。で、この取り決めに反して米専門家がミグ調査の情報を米国側にもたらした、そういう場合にはこれはどうするんですか。取り決め違反だということで抗議するのか、それから、これは日本の防衛庁に所属しているわけだが、一時雇用ですから。身分はペンタゴンに所属しているんでしょう、それに対してどういうような措置をとるんですか。これは抗議するだけですか、処罰するといったって処罰はできないでしょう、どうですか、反した場合。
  381. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) これは日米間の信頼関係でございます。岩間さんはそういう信頼関係を余り重大にお考えにならないんですけれども、私は国と国との信頼関係というのは非常に大事なことで、これはやはりわが国も守りますけれども、またアメリカの政府でも守るという、そういう前提に立っておるわけです。これは何も日米関係だけじゃなくて、あるいは日ソの関係においてもそうだと私は思います。また、日本の外交というのはそういうことで成り立っているわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、いま申しますように、われわれの持っております情報というのはあくまでもわが自衛隊に属する。そうして国益に照らして同盟国であるアメリカに情報の交換をやる場合もあり得るということでございます。
  382. 岩間正男

    ○岩間正男君 信頼関係だってこっちばかり信頼したって向こうはどんどん自分でしゃべるでしょう。向こうが悪いのだから、向こうが信頼しないのだから。テレビで、とにかくブッシュCIA長官なんというのは、こういうことを言っているんです。さらにウッズ・スポークスマン、こっちが信頼しているほど向こうもそれを守るならこんなことを言えないはずなんだ、大体。こっちだけは守らしておいて、沈黙さしておいて、口輪をかけないでおいて、それから向こうはじゃんじゃんしゃべる、こんな信頼ありますか、国際関係。
  383. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) まだ調査の結果は私にも報告がないわけでございます。それから、いま申し上げましたような厳格な形において得られました情報というものは自衛隊に帰属するようになっておるわけでございます。いまいろいろ出ておりますのは、恐らく、向こうもベレンコ中尉を尋問いたしておりますから、彼がいろいろしゃべったことでいろいろな情報を彼らは得ておるというふうに思われますし、あるいは日本の新聞等に書かれました情報をもとにいたしまして一つのイメージをつくっておるということも考えられるわけでございまして、しかしながら、本物は、調査しました結果はまだ進行中であって、そうして非常に厳格に秘密が保たれておるということでございますから、この全部を知らなければ実際から言いますと本当の情報というふうにはいかないわけでございます。
  384. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは情報ができたら一番先に内閣委員会に報告しますか、さっき要求がありましたがね。とにかくいまのような弁解に努めておられるのですけれども、日米間の問題というのは、今度の問題だけじゃなくて、こっちだけは守らしておいて向こうはじゃんじゃんしゃべってしまう。それで信頼だ信頼だと言う。こういう形では、全く対米従属と言われても仕方がないような面がありますから、たとえば、雇った専門家、これが取り決めに違反した場合には、とにかく厳重に注意するなり、抗議をしますね。これはやりますね。
  385. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) それはわれわれが自主性があります限りにおいてやらなきやならないことだというふうに思います。
  386. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは確認しておきます。  それから将来、これは先にいって情報を提供することもあるだろう、ある、する、こういうことを言われておりますが、これはそうなるでしょうね。防衛庁はいままでも安保条約の立場から常に情報交換をやってきたんじゃないですか。私は七月にアメリカの極東における対潜戦略について触れました。そうして龍飛岬と白神岬における海底ケーブルソーナー、そこで、日本海を通過するソビエトの潜水艦の情報を、あそこの陸上局、龍飛と白神、それから対馬、壱岐もそうでありますが、そこでキャッチしている。この情報はどうなるんですかってそのとき答弁を求めましたが、これは向こうに全部通報される、こういうことが明らかになっておるわけです。だから、そういう点から言うと、安保体制のもとでこれを拒否するということは非常に困難になってきている。事実また、日米の政府機関でどうかというと、日米情報連絡会議というのが定期的に開かれている。そういうところからこういう問題、明らかになる、そういうきっかけが非常につかめると思うんですが、どうですか。
  387. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) これは日米安保条約が結ばれておるということから考えまして、ふだん軍事情勢の報告なり何なりしょっちゅうやっておることでございます。情報の交換を一般的にやっておるわけでございます。
  388. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、非常にはっきりしてきました。このミグの機密というやつは、必要に応じて日米間で安保条約のたてまえからこの情報は交換される、そういう可能性は十分あるんだ。こういうことは長官自身の言明の中でも明らかになったし、それから日本のいままでの安保体制下における日米の共同体制の中、そういう事実からもこれは明らかになったと思うんです。だから、この秘密というのは、これはそうすると当分この段階ではこれは守るんだ、取り決めというのは、これはやっぱりそれによって拘束はできるんだ、やはりそれに違反した場合にはこれは注意もできるんだ、抗議もするんだ、しかし将来は日米間でこれは情報交換するんだと、こういうたてまえに立っているということは明確になったわけですね。これは非常にやはり私は重大だと思う。実はこの問題が起こったとき、やっぱり安保体制下における日米の問題というのは非常に大きな問題なんです、これは。ミグの問題というのは、この具体的な実態というものはどういうことかということを明らかにする、そういうきっかけになる問題、こう思っておるんですが、そうすると、いまのこの長官の発言というのは非常にそういう点では私は重要だというふうに考えています。  次に、時間も余りありませんから進めたいんですが、このミグの問題をいい機会にして防衛力強化の口実にすると、こういうことがあってはならないというふうに思うんですが、これはどうですか。
  389. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 口実にしてやるという表現では私はそういうことはやらない。しかしながら、今度のミグ事件でやはり防空上の欠陥が露呈されたわけでございますから、それを再検討し、そして国民の一人一人の生存と自由を守るために必要な防空体制の充実ということは当然考えなければならない。そうでなければ私どもの役目は尽くせない、かように考えております。
  390. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題が、実は日本の防衛力強化のそういう一つのダシに使われる危険性、それは非常にあるわけですね。で、こういうものについてどうなんですか、その中でも特に早期警戒機をどうしても必要だと、AEWの問題ですね。これをどうしても導入しなきゃならぬ、こういうことだと思うんですけれども、こういう方向にこれは動くんですか。
  391. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 先ほどどなたかの質問にもお答えをしましたように、確かにAEWというのは、日本の防空上の一つの機能としましてはわれわれが欠落しておる部分でございます。したがいまして、その機能といたしましては、将来はやはりこれを穴埋めをしていかなきゃならないというふうに考えております。しかしながら、この早期警戒機は非常にお金のかかるものでございますし、しかし、その前にやるべきことがあるんじゃないかというふうに思うわけです。たとえばアメリカのフロリダにキューバから亡命機がやってまいりましたときもAEWの機能は果たせなかった。そしてやはり領空侵犯が行われたということでございまして、世界各国、低空で高度の技術を持った侵入機の場合はなかなかこれを防ぎ得ないというのが実情でございまして、これをどうやって防ぐかということに一生懸命になっておるわけでございます。その前提といたしましては、やはりいまの日本の持っておりますレーダーサイトがあれでいいのかどうなのか、あるいはその機器が十分機能しておるのかどうなのか、その他の部面においてもやるべきである、あるいは監視体制そのものについて欠落はないのかということがやはり前提でございまして、私はまずやるべきことは、むしろそちらの方だというふうな認識でございます。しかし、AEWにつきましても、ポスト四次防においてはやはり考えなきゃならない問題だ、しかし昭和五十二年度の予算に直ちにこれをというような考えはいま持っていないということでございます。
  392. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ国産の課題があったわけですね。それが立ち消えになって、それからその後導入という問題になったんですが、こういう問題を、そうすると何ですか、防衛庁の立場から言えば、この不幸な事態というものを利用して防衛力強化のそういう方向に持っていく、そのために役立ったと、こういう立場をとるんですか。
  393. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 先生のおっしゃり方が非常にひっかかるわけでございますけれども、そうじゃなくて、国民一人一人の生存と自由を守るために、特に防空という観点に立ってみた場合、このミグ事件というものはわれわれに非常な大きい教訓をたれた、これをやはり反省をして、そして足らざるところを補うということは私の努めである、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  394. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ外交問題の領域になるんですね、基本的な政策の問題になるんでしょう。安保がある限りそういうかっこうにこれはなってくる。日本の自衛隊の性格というやつは、これはどうなのか、そういう問題についてもここで長々論議する考えはいまありませんけれども、実際は白米防衛協定ですね、こういうものと手を切る、平和で中立の方向をはっきり確立する、そういう外交政策に立つのか。そうでない限り、あくまでこれは力の均衡の立場に立っていく。そういうことになりますと、今回の事件、こういうものは、これはソ連の国家意思に基づいて行われたものでもないですね、それを利用して、それをいい機会だということで日本の防衛力を強化するんだと、その先には非常にこれは危険なものが待っている。だからいま言ったように、これは国民の安全を守るためだ、そのためには絶対必要なんだということで防衛強化の口実にするということは、これは私は許されないだろうと思うんですね。だから今度の対応の仕方というのは、先ほどから議論になっているわけですけれども、非常に大きな問題、日本の外交路線をどこに瞬くか、現実の中で。そして自衛隊の果たさせられている役割りが日米安保体制の中で一体何になるのか。自衛隊のこの性格というやつがここで非常に大きな問題になってくるわけです。そういう問題にこれはぶつかる問題なんですね。そういう点について、安易にこれはこういうあなたの言うものがテレビなんかに乗るというと、そうだそうだという人がたくさんいるかもしらぬ。そうでしょう。そういう、つまりあの戦争時代考えから脱却していない、そういうところもある。日本の過去のそういう方向にもこれはつながってくる。だから、この基本的な問題としてもう少し検討しなくちゃならぬ。防衛の立場からだけでこれはやっていくと、非常に大きく国の政策を誤っていく。
  395. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 岩間さんのお話を聞いていると、どうもよくわからなくなっちゃうんですけれども、日本の防衛庁というのは、あるいは自衛隊というのは、日本の国民を守るために存在する、これは認めていただけると思うんです。日本国民の生存と臼田を守る、あるいは日本の主権を守る。領空侵犯をしたわけですから、ソ連が。たとえ亡命であれ何であれ、とにかく領空侵犯をしたというこの事実に対して、日本国民としてこれに対して対処するというのは当然なことじゃないかと思うんです。それはソ連側に立つなら別ですよ、ソ連側に立つならば。日本の国民の側に立って日本の安全ということを考えるならば、領空を侵犯したということに対してはやはりきちんとした態度で臨まなければ日本国民が納得しないと思うんです。しかも、その場合はやはり国際法に照らしてこれを逸脱するようなことがあってはいけないわけです、あくまで。私はそう思うんです。それからまた、何でもやっていいというものではないんです。これはやはり合理的な解決を望むわけでございます。そういうことで、道理に合わぬことでも何でも、ソ連の言うことならはいはいと言うようなことは、一体日本は独立しておるのであろうかという感じを実は私は持つわけなんです。岩間さんは恐らくそんなことは考えておられないと思うんです。おられないと思うけれども、しかし、日本の国民を守るという立場から言うなら、日本の主権が侵されておるわけですから、これに対してわれわれが当然の措置をするということ。国際法上許されておる、あるいは日本の国内法で許されておる、日本の憲法にももとらない、そういうことで堂々とこちらの主張をするということは平和外交の精神でなけりゃならぬというのが私の考え方なんで、それでなければ私は日本の独立なんということは言われないと思うんですよ。私はそうだと思うんでございます。それじゃ逆に、日本の飛行機が、日本のファントムが領空侵犯をしてソ連に着陸したとするならば一体どうするか。それは恐らく調査するでしょう。なかなか身柄だってすぐ返してくれないでしょう。どうでしょうか、私はそういうふうに思うんですよ。
  396. 岩間正男

    ○岩間正男君 はい、わかりました。何か誤解してあなた言っているので、これは一番最初質問するときにはっきりわが党の立場は述べているわけですよね。この事件に対するわが党の態度は、この事件はソ連の国家意思で侵入してきたのではないにしても、不法入国、領空侵犯であるから、日本が先例や国際慣行に従っていろいろ調べるのは当然である、こう言っている。  最後に私は繰り返すわけだが、本当にソ連当局はミグ25の不法入国、領空侵犯に一言も触れない、そしてベレンコ中尉には亡命の意思はなかったと主張して遺憾の意を表明していない、この態度はわが党を含めて善意の国民も納得していないだろう、こういうことを私ははっきり言っているわけです。しかし、だからといって、日本政府は今回の事件をベレンコ中尉の亡命事件として扱いながらも、ベレンコ中尉が米国に亡命した後も機体を返還せず、米国防総省の事実上の指導のもとに軍事機密収集に全力を挙げてきたことは明らかにこれは行き過ぎじゃないか、ましてこの事件を自衛隊の軍備増強に利用することはこれは許されない、こういう点について私は申し上げているのでありまして、こういう点であなたの言い方は、後の一体、機体の解体、それからその後における機密のやり方、こういうものとはいま言ったように終始一貫しませんよ。あくまで平和を守るのだなどと言っているけれども、これは平和じゃない、問題をかえって荒立てることになったのじゃないか。ソビエトの態度についてははっきりわが党の態度はあなたが言ったような前半の言い方とこれは照合しますがね、だけれども、後の方はどうなのか。それで、しかも実際はアメリカに情報をとにかく先に言って、米軍の幹部にこういう情報も提供する、こういうことも、これは否定されていないのかな。そういう立場というのはどうなのか、こう言っているのですよ。
  397. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) あなたのは私と完全に一致されていると思うんですよ、完全に一致している。つまり、領空侵犯したらそれはいけないのだ、謝罪もしないのはよくないのだということでしょう。それから、調査もするということです。問題は調査程度を云々しておられるにすぎない。しかし、それは非常に誤解がある。米軍主導型でやっているとあなたは思い込んでおられる。そうじゃなくて、私が先ほどからるる申し上げるように、われわれの指令、監督のもとに厳重にこの作業を行っておるということははっきりいたしましたわけでございますから、その後半の部分はお考え直しいただければ非常に幸いだというふうに思うわけでございます。  それから、防衛上のやはり欠陥があるということ、これは国民のだれもがやはり心配をしていることで、むしろ防衛庁は一体何をしているんだと。これにこたえるのは防衛庁長官として当然なことであって、これでもって増強をするとか何とかというようなつけたりがございましたけれども、それも一つのあなたのお考えであるというふうに思うわけでございます。これはどなたがお聞きになっても私の言い分というのが非常に説得力のあるものではないだろうか、こういうふうに思います。  また、きょうは岩間さんが非常にはっきりと、領空侵犯したことはいけないことである、そうしてそれを調査することはわが党の方針である、こういうふうにおっしゃったわけで、もうそれだけおっしゃればわれわれと全く完全に一致したというふうに思うわけでございます。  後の問題については、党派が違いますからいろいろお立場もありましょうから、それは私も了承いたしますけれども、われわれの言い分がそう無理でないということだけはおわかりいただけたものだと私は了解をいたします。
  398. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、これは安保体制下の望ましくない状態をあなたたちは逸脱して踏み出している。そこを私は問題にしておる。しかし、あなたの言葉が正しいか私たちの見通が正しいか、これは今後の時日の経過、そうしてこの推移が決めるだろう。国民の批判も決めるんで、ここで議論したって、時間も来たようだからこれで終わっておきますけれども、まあ防衛の立場で、防衛庁は防衛庁の立場だけで物を考えるという視野じゃないわけで、日本のやはり将来もこれは十分見通さなくちゃいけない、外交路線の広い立場に立ってこれは見ていかなくちゃいけないんで、だからさきの条件はそれは私たちも明確にしておきますけれども、後のやり方、だからといって何をやってもいいなどということにはこれはならないので、そういう点については非常にこれはマイナス面を持っているということを最後に指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
  399. 林ゆう

    理事(林ゆう君) 本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十八分散会