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1976-10-27 第78回国会 参議院 逓信委員会、物価等対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十七日(水曜日)    午後一時四十分開会     —————————————   委員氏名    逓信委員     委員長         森  勝治君     理 事         長田 裕二君     理 事         原 文兵衛君     理 事         最上  進君     理 事        茜ケ久保重光君                 川野辺 静君                 郡  祐一君                 迫水 久常君                 新谷寅三郎君                 高橋 邦雄君                 棚辺 四郎君                 土屋 義彦君                 案納  勝君                 片山 甚市君                 森中 守義君                 塩出 啓典君                 藤原 房雄君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    物価等対策特別委員     委員長         中村 登美君     理 事         斎藤栄三郎君     理 事         鳩山威一郎君     理 事         田中寿美子君     理 事         山田 徹一君     理 事         中沢伊登子君                 小笠 公韶君                 大鷹 淑子君                 岡本  悟君                 平井 卓志君                 増田  盛君                 望月 邦夫君                 安田 隆明君                 赤桐  操君                 秋山 長造君                 対馬 孝且君                 前川  旦君                 田代富士男君                 山中 郁子君                 渡辺  武君     —————————————   出席者は左のとおり。    逓信委員     委員長         森  勝治君     理 事                 長田 裕二君                 原 文兵衛君                 最上  進君                茜ケ久保重光君     委 員                 郡  祐一君                 新谷寅三郎君                 高橋 邦雄君                 棚辺 四郎君                 土屋 義彦君                 案納  勝君                 片山 甚市君                 森中 守義君                 塩出 啓典君                 藤原 房雄君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    物価等対策特別委員     委員長         中村 登美君     理 事                 斎藤栄三郎君                 鳩山威一郎君                 田中寿美子君                 山田 徹一君                 中沢伊登子君     委 員                 平井 卓志君                 望月 邦夫君                 赤桐  操君                 田代富士男君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君        郵 政 大 臣  福田 篤泰君    政府委員        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁物価        局長       喜多村治雄君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  勇君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房電        気通信監理官   松井 清武君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社総務理事    三宅 正男君        日本電信電話公        社総務理事    遠藤 正介君        日本電信電話公        社総務理事    好本  巧君        日本電信電話公        社計画局長    輿 寛次郎君        日本電信電話公        社施設局長    長田 武彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公衆電気通信法の一部を改正する法律案(第七  十七回国会内閣提出、第七十八回国会衆議院送  付)     —————————————   〔逓信委員長森勝治委員長席に着く〕
  2. 森勝治

    委員長森勝治君) ただいまから逓信委員会物価等対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  まず、逓信委員の異動について御報告いたします。  川村清一君及び山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として片山甚市君及び塩出啓典君が選任されました。
  3. 森勝治

    委員長森勝治君) 先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 赤桐操

    赤桐操君 まず最初に、今回の電信電話料金値上げに至る理由について、総裁から御説明を願いたいと思います。
  5. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  電電公社は、発足以来二つの目標を掲げてまいりまして、一つ電話申し込み積滞をなくなす。すなわち、電話申し込みましたら大体平均一月以内につけるということであります。もう一つは、全国をダイヤル即時化するということでございます。この目標は、大体三年先に達成できるようになりました。現在九九%を超えております。第一の目標につきましては二年先に、すなわち昭和五十二年度末に達成できる予定になっております。こういうような架設を進めてまいります過程におきまして、何といいましても電話が普及してまいります過程におきまして、電話パーライン当たり収入というものが減少するようになってまいりました。これは電話を普及すれば当然そういうことになるわけでありますが、そういう収入構造変化というものを長期的に生ずる傾向にございました。  ところが、昭和四十八年のオイルショックによりまして大幅な物価騰貴、あるいはベースアップが行われまして、したがって昭和四十九年、昭和五十年におきまして電電公社は大きな赤字を出しまして、この合計が約四千六百億円という数字になってまいりました。今後従来の高度成長低率成長になりますと、この構造変化というものはさらに厳しくなってくるというふうに思います。したがいまして、電電公社の今後の積滞解消、あるいはサービスを維持するためにも、どうしてもこの財政基盤確立をお願いしなければならないということでありまして、公社といたしまして昭和五十一年度予算におきましての過程において、政府に御要望いたしました。そうして、公衆電気通信法改正案が現在提出されておる次第でございます。
  6. 赤桐操

    赤桐操君 今回の値上の理由については、いささか私どもの方では、これは後で私の考え方も申し上げますが、今回の値上げが終わると、大体それで電電公社財政基盤確立されるんですか。そしてまた、これから後当分の間値上げをしないで済むと、こういう状況なんでしょうか。
  7. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  今度の値上げベースになっておるのは、昭和五十一年から五十三年間をベースにいたしております。したがって、この料金値上げ法案が成立いたしましたならば、三年間は料金値上げをしないでいきたいと思います。  なお、この中におきまして建設勘定におきましては、新技術技術革新の成果を入れまして、建設投資の中で約五千億円をセーブするようにいたしておりますし、また、損益勘定におきましてもさらにそれが損益にはね返ってまいりますし、また、いろいろ電報合理化等をやりまして、約四千七百億円を三カ年間で節減することを計画しております。先ほど申し上げましたように、三年間をベースにしておりますが、なお努力によりましてそれを伸ばしていくことを考えていきたいというふうに思います。
  8. 赤桐操

    赤桐操君 いまの総裁の御説明によりますというと、積滞関係解消、ダイヤルの即時化等の達成等々を目標にして精力的に基盤整備を必要とする、オイルショック以来の衝撃で赤字を生んだ、こういうわけでありますが、同時にまた、この提案理由説明によりまするというと、近年における人件費大幅上昇等ということも出ているわけですね。こういったわけで、いろいろ理由を述べておられるわけでありますが、私は、公社の主張についてはそれはそれなりの一つ理由であろうと思うのでありますが、しかし、もっと根本的なものがあると思います。この点は、すでに逓信委員会でかなり論議が重ねられておると思いますので、私が余り深入りをすることは避けたいと思いますが、総裁答弁だけではちょっと国民立場としては納得できない、こういうふうに私は考えるわけです。  公社のこの機構なり組織なりが、今日の状態にまで膨張発展を遂げてきたというのには、いろいろの経過を経てきているわけでありますが、特に高度成長経済政策下において、著しい進展がなされたと私は考えます。そういう経過の上に今日の事業実態確立されている。この事情を特に明らかにしているものはいろいろありますが、千葉県におけるところの開発電電公社関係等に実によくあらわれていると私は考えております。  千葉県の開発行政というのは、実に全国に先がけて行われたものでありまして、これはまさに世界的にも余り数多くない規模でございます。この千葉県のコンビナート地帯の造成というのが、まさしくこれは高度経済成長時代わが国産業の典型であったと思うわけでありますし、その先端を千葉が行っておったわけであります。そして、この状態をいま簡単に申し上げるというと、実に臨海部、内陸部合わせましてこれは膨大なものでありまして、六千三百万坪に及んでおる。誘致された企業だけで二千とこういうことでありますから、ちょっと余り例がないと思います。  この開発行政の中で、千葉県における産業基盤確立のために、こうした開発行政の推進のために、電電公社の果たした役割りというのは非常に大きかったと、こういうように高く評価されておると私は思うのです、行政の面や産業界からは。電話施設は、したがってこれら誘致される工場の大体建設よりもはるかに先行して行われていたように私は考えています。その施設につきましては、進出企業に最優先的に提供されてきていた、こういうようになっていると思います。したがって、産業用事業用と称するものは、これは直ちに架設をされていく、工場建設よりも先行して行われていくくらいでありますから。しかし、住宅用というのはこれから見るとはるかにおくれておりまして、当時の状態は二年ぐらいかかってもなかなか引くことができなかった、こういう状態にあったわけであります。  私は、大体このころ、ちょうど十年ぐらい前になりますが、たまたまロサンゼルス電話局を訪問する機会がありまして、この電話局長といろいろ話し合いをした中で、アメリカでは一体、加入申し込みに対しての処置をどのような状態でなされておるだろうか、こう考えまして、率直にお尋ねしてみたんでありますが、この電話局では加入申し込みをすると、何年と聞くのはちょっとまずいだろうと思いまして、何カ月ぐらいかかりますかと、こう質問しましたところが、電話局長大分首をかしげまして、何回も通訳を通じて私に問いただす、こういうことでありまして、よく説明したらにっこり笑って、あなたがけさここにお申し込みになると、オフィスの仕事を終わってお帰りになるというと電話がつけられておりますと、こういうことだったわけですね。私は実にあっと言ったんですが、当時日本から行く人たちの頭の中には、大体電話架設というのは、これは一年半か二年ぐらいは常識だというようになっていたんですね。しかし、そういう状態の中でも、こうした産業開発の面では工場誘致よりも優先的に行われておった、いわば産業基盤整備わが国における産業基盤確立のために、その先兵となって活躍をされておったというのが、今日までの大体電電公社の果たした役割りだと私は思うのです。  こういう経済成長自体が終わって、急に経済情勢が冷え込んできている、減産倒産産業界に続出してくる。こうなってまいりまして、高度経済成長時代にピリオドが打たれる産業界は、大変な転換期を迎えることになった。公社資本投下というものが大体回収されないうちに、率直に言えばこの時期を迎えたと思うんですね。それで、わが国産業基盤整備にその比重を大きくかけてまいりました公社自体としては、経済変動のあおりを食うのは当然だと思うんです。そういう意味で私はこうした結果に逢着したと思うんですが、この点総裁はどういうふうにお考えになりますか。
  9. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  確かに御指摘のように、戦後から今日に至ります電話架設考えてみますと、電電公社が発足いたしましたのが昭和二十七年でございまして、いまから二十四年前でありますが、そのときの加入電話は百四十万でございまして、確かにこれまでの架設状況考えますと、いわゆる産業の方にかなりウエートがかかっていたということは間違いがございません。しかし、この第五次五カ年計画というものを昭和四十八年から進める時点におきましては、特に都市化しているところでは、いわゆる住宅用、それから、産業用架設順位というものを同じようにするというようになってまいりまして、現在積滞は昭和五十年度末におきまして五十万を割っておりまして、大体都市化しておるところはもうほぼ積滞解消に近いところになっております。ただ、全国的に申しますと昭和五十二年度末においてそういうふうになるということでございます。  それからもう一つは、電電公社というのは独占企業でございまして、国内においてこれを的確に比較する事業はございません。したがって、外国の例と比較いたしますと、能率的な経営国民のためにはやはり能率的な経営をやるということが非常に必要だと思いますが、そういう際に外国と比べてみますと、いわゆる公社に働いております、これはまあ電報の人も入れまして、全職員と全電話機数との比率をとってみますと、昭和四十年ごろは西欧のフランス、それからイギリス、西独に比べまして日本の方が生産性が悪かったんでございますが、現在は、ほぼアメリカのAT&Tと対等のところになってくるというところまでまいりました。  ですから、生産性は確かにスタートは悪かったんでございますが、この十年間に西欧の三カ国を抜きまして、アメリカとほぼ対等というところにまいりまして、御指摘のようにロサンゼルスあたりへ行きますと、非常にそういう積滞というものは、もうアメリカあたりは二十年近くないわけでございまして、日本もようやく、今度の料金法を認めていただきますならば、昭和五十二年度末には全国規模でそういう状態になる。これはこれまで国会委員会等におきましても、早く積滞解消をしてほしいという御意見や附帯決議をいただいておりますが、やっとそういうところまでたどりついた、こういうことでございます。
  10. 赤桐操

    赤桐操君 まあ大体総裁も私の考え方に御賛成のようでございますし、よくわかりました。  問題は、そういたしまするというと、これは要するに、政府産業第一主義に立った今日までの経済政策、これに公社が一〇〇%動員をされてきている、こうした中で、言うなれば国の政策的な要因がいまここに、電電公社運営全体を通じて問われてきている、こういうことも言えると私は思うんです。したがって、この赤字なり公社運営上の問題について、公社は当事者として当然私は大きな責任を持つと思いますけれども、これはやはり率直に申し上げて公社だけではないと思うんです、正直申し上げて。これは、わが国のいわゆる政府の今日までとってきた政策的な要因というものは、大きく客観的にこれをリードしているわけですから、そうなるというと、政府自体にこれは相当の責任を問わなきゃならぬという事態になってくる、ここに実は大きな問題を私は考えるんですが、企画庁長官の御見解をひとつ承りたいと思うんですが。
  11. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府経済に対する考え方は、これはいま大きく転換しつつあるわけです。つまり、オイルショック前は高度成長政策ということでありましたが、これはそれなりにそのときに応じての役割りを果たした。しかし、今日になりますと世界の資源環境、こういうものが非常に変わってくる、そこでそう高度の成長は許されない。そこで、いままでの成長中心から生活中心へ、そういう転換をしなきゃならぬことになるわけです。ですから、電電公社仕事もいままでは産業中心というか、重点ですね。産業重点経済政策に奉仕するという立場にありましたけれども、これからはその政策転換に対応していくという構えを示さなきゃならぬ、こういうふうに考えます。
  12. 赤桐操

    赤桐操君 続いて副総理に伺いたいんですが、そういうように公社自体が追い込められてきたということは、公社だけの企業努力では解決できないと思うんですよ。また同時に、その責任はいまも申し上げてきた経過から考えれば、政府自体が相当これに対する政治生命を負わなきゃならぬ立場にあるんではないか、こう思うんですが、この点副総理としてひとつ御答弁を願いたいと思うんです。
  13. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府責任どうかということになれば、電電公社じゃ料金改定を五十年にはしなけりゃならぬ立場にあったんです。それを物価政策、また国民生活の見地からこれを仰制をする、こういう立場にあった。そういう意味からは、これは政府責任があるわけなんですが、その他公社経営について、政府自体格別責任があるというとらえ方はしておりませんです。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 その問題は、さらに後でいろいろ伺うことにいたしますが、この辺でひとつ、基本的な公共料金物価政策の問題で経企庁長官の御見解を承っていきたいと思います。  根本的な問題なんですが、公共料金というものについては、これはもういま余り論議する必要ないほど私は明らかになっているはずだと思うんでありますが、どうも物価騰貴国民生活を破壊していく、こういうことで、これは狂乱物価の例を引くまでもなく明らかなところであります。問題は、物価の安定を国民の皆さんが非常に望んでいる、そういう中でいま一つ一つ、昨年の——ことしの一月以来ですか、例の郵便料金やあるいはまた酒、たばこ値上げを初めといたしまして引き続いて物価が、公共料金等が引き上げられてきている。そしていま、さらにまた電電料金が引き上げられる、こういうことになるわけでありますが、五十一年度の物価値上がりというのはそういう意味を含めて、言うなれば公共料金の主導型ではないかということを新聞等でも大分論じてきているように思うんです。そういう点でどうも政府物価政策については納得ができない、これが素直な国民大衆の受けとめ方だと思いますが、副総理のお考えはいかがですか。
  15. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国物価は、四十八年の秋のオイルショック狂乱状態だという厳しい局面に立ち臨んだわけでありますが、その後、政府努力いたしましてこの狂乱状態はおさまった。そのおさまった中で政府が総需要抑制政策をとった、これは私は相当貢献したと思うんです。それから同時に、公共料金について抑制政策をとった、これも私は相当貢献していると思うんです。しかし、この公共料金抑制につきましては、これをそのままにしておきますと公共企業体運営に非常に支障が出てくる。つまり、電電にいたしましても国鉄にいたしましても、これは著しい例でございますが、これは適当に改定をしなけりゃならぬという事情に迫られているわけなんです。  そこで、公共料金、これを差し押さえておったものを改定するんですから、これは事情さえ許せば一挙に大幅にと、こういうことになるわけでございまするけれども、そうしますと、せっかく鎮静しかかっておる物価をまた再び混乱させるというもとにもなりますので、大体三カ年程度でこの公共料金改定をやってみたい、主たる公共料金のことでございますが。そこで五十年度には酒、たばこ郵便料金なんかの改定をする。それからことしは国鉄電電の運賃、料金改定をする、それから来年はその残った部分をやる、こういうようなことで、公共料金をまあ三年ぐらいの間で主要なものは一回りさしたい、こういうふうに考えておるわけであります。  わが国物価情勢は、これは鎮静してきてはおるものの、上昇数字で見まするとまだかなり高いです。ことしは八%を目標、八%程度でぜひおさめたい、こう思っておるんですが、八%というと決してこれは低い数字じゃないんです、かなり高い。なぜ高いかというと、五十年度、五十一年度、五十二年度というこの三カ年は、これは公共料金改定を一回りさせたい、こういう考え方を持っております関係上、どうしても公共料金が重荷になるんです。もし公共料金改定の必要がないということになれば、数字的にもかなり低いところが期待できるんじゃないか、そういうふうに思いますが、しかし他面、公共料金ももうそうこれを抑制しっ放しにしておくというわけにはいかぬ。そこで改定を三カ年ぐらいのところでやってみようじゃないかという踏ん切りをつけたわけなんです。そういうことでありますけれども、これは一挙に大幅にということを避けるために、国鉄につきましては、これは半分半分で二年に割る、電電につきましても、基本料金ですね、これを倍に五十一年度で引き上げたい、こういうようなお話でございましたけれども、まあその半分程度にことしはしておくということで処理したい、こういうふうにいたしたわけでございます。
  16. 赤桐操

    赤桐操君 公共料金というものは、いわば独占的な供給体制国鉄電電みんな入るわけでありますが、要するに代替の方法がないか、あるいは代替が非常に困難である。さらにまた、国民生活との関係はもうこれは非常に強い、こういうような性格の料金だと思うんですね。したがって、まあ政府国会という立場がこれは介入することは当然認められるわけでありますが、それだけに公共料金というものの扱い方というものは、基本的には何よりも国民生活を守っていくんだという考え方がなければならぬと私は思うんです。これが失われていってコスト中心で物が考えられていくということになると、これは公共料金ではなくなるんじゃないか。企業料金です、公共というものがなくなってしまうんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけであって、この辺のところをひとつ副総理はどうお考えなんですか。
  17. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共料金は、公共企業体料金であり運賃である、そういう性格であります。そこで、公共企業体はそもそもどういう性格のものかと言えば、申し上げるまでもございませんけれども、これは公共性がある、これはもうもちろんのことでありますが、同時にこれは企業体なんです。やっぱり企業体とすると、その企業運営企業体としての立場でやっていかなければならぬという立場もある。ですから料金なり運賃を決めるその際に、やっぱりその両面をにらんでいかなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。  いま国鉄電電の運賃、料金値上げを御審議いただいておりますけれども、狂乱のときは公共という立場からこれを非常に強く出しまして、その運賃改定抑制する、こういう立場をとったわけです。今日物価の方がやや鎮静基調になってきておる。そこでこの機会に企業企業性をひとつ尊重しようという立場から、その料金改定をお願いしておるということで、そのときそのときの事情に応じまして、あるいは公共性を重視しなければならぬときもある、あるいは企業性を重視しなければならぬときもある。しかし、いずれにいたしましても、公共性と企業性、これの両全を図らなければならぬという企業体の立場から運賃、料金の問題は論ずべきものである、そういうふうに考えます。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 私はやはり公共企業というものは、公共性が引っ込んでみたり出てみたりということではなくて、一貫して国民生活を守るという観点で政策というものが考えられていかなければならぬであろう、その供給されるものに対しては、当然支払われるべき代価として、できるだけこれは負担を軽くしてあげなければならない、こういうように考えることは当然だろうと思うのであります。もちろん、いまの副総理のお話の中にもありましたが、値上げを必要とする場合もこれは否定はできませんが、基本的にはできる限りよいサービスをしながら、安い値段でとこれを抑えていくという形は、いま一般の物価を抑えるというのはなかなか大変でありますが、政府みずからが指導的に抑えていくことができるものは、ここにまさにあるわけでありまして、そういう意味では、考え方の基本は公共性が出たり引っ込んだりということではなくて、常にこれが最優先的に考えられていくべきものではないか、こういうように私は考えるんです。この点はいかがですか。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私も企業性を中心で考うべしとは言っておらないのです。公共性も考えなければならぬ、企業性も考えなければならぬ。その適用につきましては、これは常に両面をにらんでいかなければならぬけれども、同時に、その重点をどこに置くかということにつきましても考えなければならぬ場合もある、そういうことを申し上げておるわけであります。
  20. 赤桐操

    赤桐操君 次に、五十年代前期経済計画等の問題について若干お伺いをしたいと思うのであります。  三木内閣が発表した五十年代前期経済計画につきまして、いろいろ検討してみまするというと、その中では公共料金の適正化という見出しが大きく出ております。新しい価格体系への移行がおくれている公共料金については、計画初期の段階で適正化を図ると言っておるわけですね。五十五年末のこの計画計画初期というのはいつごろまでのことなのか、さらにまた、新しい価格体系への移行がおくれているという公共料金なるものは一体何と何なのか、具体的にひとつお示しをいただきたいと思うのですが。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そこで五十年代前期五カ年計画の初期と申し上げておりますのは、五十一年並びに五十二年度を指しているわけです。ただいま申し上げましたように、主たる公共料金改定は、これを五十年、五十一年、五十二年とこの三年にやりたい。もう五十年は今度の前期計画に入っておりませんので、いまお話の書類に入っております五十年代前期五カ年計画の初期というのは、したがってこれは五十一年度及び五十二年度である。  それから、今後公共料金でそれじゃどういう問題があるかというと、細かいものはいろいろあろうと思うのです。しかし、主たるものは国鉄の運賃がいま御審議願っておりまするけれども、これはおおむね所要の額の半分ぐらいの増収しか上げ得ないのです。そこで、その残った半分程度の増収を、五十二年度以降において上げなければならぬ。できたら五十二年度と思っておりますが、そのときの物価情勢なんかも考えなければならぬ、こういうふうに考えております。それから電電の問題につきましても、いつにいたしますか、これもこれからの物価情勢、また電電公社企業財政、そういうところから検討しなければなりませんけれども、基本料金改定問題、これが今回の御審議願っている法案におきましては全部じゃない、大体半分程度のものしか達成できないんだと、そういう事情にあります。
  22. 赤桐操

    赤桐操君 そういたしまするというと、三木内閣としては物価の安定を非常に唱えてきているけれども実は公共料金値上げをここ大体二年ないし三年で順次主導的なものは、主たるものは果たしていきたい、こういうことのようであります。そうしますと、計画の一体、その後の中期、後期と称しますか、後半の方に入ってきた場合に、これらのいわゆる値上げの問題はもう一切やらないのか、この前半の方で大体片づけて、後半はやらないようにするのか、その辺のところをひとつ明確に御答弁願いたいと思うんですが。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共料金考える場合に、この際の処置としてはだらだらと年次をかけまして、そしてなし崩しにやっていくということも考え得るわけであります。それから、一挙に大幅にということでこれを片づけてしまうという方法も考えられる。そういうふうに思いますが、あまり長い間この公共料金問題が片づかないでだらだらとしておるという状態でありますと、これは物価政策目標もまた浮動したままでなかなか定着しない、こういうようなことにもなる。それから企業会計から見ましても、まあ期待する運営を阻害するというような状態が続く、こういうことになりますので、なるべく私はこの改定は一挙主義がいいと思う。  しかし、これを一挙に大幅にということになりますると、それがまた衝撃となって物価体系自体に障害になる、こういうことになりますので、そこを一挙大幅というわけにもいかぬ。そこで、とにかく三カ年ぐらいにならして、まあ五十年、五十一年、五十二年度というところぐらいで主たる公共料金の問題の解決をしたらどうかなと、そういう結論になりまして、ただいま電電につきましては御審議を願っておる政府案になっておる、こういうふうに御理解願います。
  24. 赤桐操

    赤桐操君 そういたしまするというと、五十年代の前期経済計画で三木内閣が国民に約束する公共料金政策というのは、初期の値上げをひとつこれは認めてもらいたい、さらにまた、中期、後期も引き続いてやります、こういうふうに理解してよろしいわけですな。
  25. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 主たる料金なり運賃の値上げは、これは五十一年、五十二年度で終了し、その後はたとえば米価でありますとか、あるいはバスだ、あるいは私鉄だ、そういうようなものがありましょうが、しかし、非常に国民生活に大きな影響のある国鉄だとか電電だとか、あるいは郵便料金でありますとかへあるいは酒、たばこ、そういうようなものにつきましてはまずまず五十二年度をもっておしまいとしたい、こういうふうに考えております。
  26. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、五十二年度で主たるものは大体終わりにする、後、その先はひとつ大体やらない、こういうふうに理解していいわけですか。
  27. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ公共料金でありまして、そのときのあるいは賃金だとかいろんな物価に影響する要素があります。そういうようなものとにらみ合わせましての通常的な、これは一般普通程度改定、これは私はその都度その都度あり得ると思うんです。しかし、狂乱物価の当時も抑制方針をとった。そして、その後たまりたまって大幅な運賃改定、あるいは料金改定をしなけりゃならぬというような事情は五十二年度をもっておしまいとしたい、こういうふうに考えております。
  28. 赤桐操

    赤桐操君 大体主たるものは片づけるけれども、あとはなし崩しにこれから将来も続けていかざるを得ない、こういう御答弁のようであります。まあ列島改造論で日本じゅうの土地価額が大分騰貴をいたしました。こうした中で過剰流動性やあるいはまた狂乱物価を発生させたという、そういう実は前内閣時代、このころにおきましても、公共料金の持続的値上げということは実は経済計画の中にはつくられていなかったと思います。この点で大体三木内閣の長期経済計画、従来佐藤内閣、田中内閣のそれぞれ時代にもございましたが、公共料金政策というものはいずれも実はなるべく値上げをしない、上げないということに主力を注いだと思うんでありますが、三木内閣になりましてからは、大体いまの御答弁でも明らかなように、大きくこの基本的な姿勢が変わってきている、こういうように私どもの目には映るわけであるし、国民もそういうように受け取ってきているのではないかと思います。こういうことでよろしいですか。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共料金問題に対する政府考え方が前から変わったかというと、これは変わってないんです。ただ、公共料金をめぐる環境というものは非常に変わったんです。つまり石油ショック、あれの前後に起こった物価狂乱、これで物の価格は上がる、あるいは賃金は上がる。そこで大幅に公共料金、まあこれは普通の物資につきましてもそうでございまするけれども、価格改定をしなけりゃならぬという事情があった。  その公共料金につきまして、その後物価政策の見地から抑制方針を二年ばかりとっておったわけなんです。しかし、それをそのままにしておくわけにはいかない。これをいつの日にか整理をしなけりゃならぬ、こういう特殊な事態に当面をいたしておる。この事情は、これはまあいままでかつてなかった事情でありまして、その点は非常に変わる。しかしながら、公共料金国民生活に非常に大きな影響のあるものである。そこでこれは厳に、厳重な態度をもって対処しなけりゃならぬ。そうして混乱期を受けての公共料金、それに対応する公共料金改定が一巡いたしますれば、その後はまたもとのような公共料金に対する姿勢、そこに復元し得る、こういうふうに考えておるんです。まあ方針は変わらぬけれども、環境が変わったということは事実でございます。
  30. 赤桐操

    赤桐操君 まあいろいろの説明の仕方はあると思いますが、いずれにしても、これから引き続いて公共料金の引き上げをしていくという姿勢になってきていることは間違いないようでございます。そうなってまいりまするというと、私どももいささかこれはどうも三木内閣の基本姿勢に大変な実は大きな基本的な問題がある、こうなるわけでありまして、物価安定なりいろいろ組閣の当時に明らかにしたものが大分この段階に来て変わってきている、こういうように言わざるを得ないと思うわけであります。  次に、五十年代前期経済計画とそれ以前の長期計画公共料金に関する違いの中でもう一つ言えることは、財政金融上の援助を行うかどうかという問題だろうと思うんですね。この問題について以前は、公共料金抑制のために財政金融面から援助をする方針が大きくうたわれておった。ところが、三木内閣の長期計画にはこれが消えている。そうすると、物価安定という国民が最も希望しているところの政策のために財政金融面の援助はしないということになるわけだ。そういうようになってくるんですが、そういうことなんですか。
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは何かの誤解があるんじゃないかと思います。公共料金政策について、その公共料金の安定を確保するために税金をこれに充当するというようなことは、これは原則としてそういうことをとる考え方は前もなかったし、今後もありません。しかし、金融上等の立場において企業運営に協力をすると、それがまた公共料金の安定性に貢献をすると、そういうようなことは、これは前もあったことでありまするし、今後といえどもこれがあり得ることでございます。
  32. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、この計画の中にはこのことが消えていますけれども、やるということなんですな、それは。
  33. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 従来やっておったようなことを否定する意味は全然ありませんです。
  34. 赤桐操

    赤桐操君 たとえば金融面等につきましても、いろいろ財投の資金等で見守っておりまするというと、資金運用部にはかなりの金が集まってきておる。大体いま五十兆円ぐらいあるようでありますが、毎年増大していく度合いというものはふえてきている。こういう状況の中で、私はこの際、そうした低利の国の資金というものをやはり思い切って電電公社等のこうした運営の中に投入していくというようなことはやるべきではないかと思うんです。こういう面については、いままでの政府のいわゆる資金運用部のあり方というものからもう一歩出て、思い切ったそうした国民大衆に還元する一つのダイナミックな展開をするような考えはないかどうか。
  35. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま方針転換というほどのことは申し上げかねますが、電電にせい国鉄にせい、公社運営上必要があるということであり、かつ、それが妥当性のあるということでありますれば、政府は、積極的に資金運用部等を通じましてこれが財政協力をする。これは前もそうですが、これからもいささかの変わりもございませんです。
  36. 赤桐操

    赤桐操君 西独なんかの大体公社運営を見ているというと、なかなかうまくその点を相互融通をしておるように思うんですね。もっとも、こういういわゆる保険、貯金のようなものは西独にはありませんけれども、まあその他の電電公社組織と、それから郵政組織とが一つになって大変うまく運営をしてきた時代があったようであります。日本の場合においても、同じ郵政省の監督下にあるわけでありますから、そういうことについてやはりこの際考えるべき時期に来ているのではないか。財政問題等いわゆる金融援助政策、こういうものをするというならば、本格的なものに切りかえていくべき時期が来ているんじゃないか、こういうように私は思うわけであります。  いずれにしても、どうもこの説明はいろいろとされるわけでありますが、全体の面から考えて、受けとめ方といたしましては、なかなか国民の生活防衛の立場に立った発想としてすっきりと受けとめられるような御回答ではない、こういうように実はなってくるわけでございます。まあ税金等のいわゆる財政援助はできない、こういうわけでありますが、それはそれなりの一つ考えがあると思いますけれども、しかし、少なくとも政府電電公社というものを高度経済成長政策一つ政策的な枠組みの中で運営をしてきたわけでありますから、当然これらに対する考え方というものを責任ある立場で打ち出すべきものでありまして、私は、財政面からも金融面からも本格的な立場でこれは検討さるべきだと思うのです。  いま財政状態が悪いと、こういうことを言われるかもしれませんが、私は必ずしもそうだと思っていない。東京都の最近におけるところの調査で明らかになっておりまするとおり、四十九年度で試算しても、法人関係で一兆六千億、個人の利子優遇で六千億円も本来取らなければならない税金がある、こういうことでございまして、私は少なくともこうした本税の見直しなり、あるいはいろいろの対策をとれば財政状態の問題も解決することができるわけであるし、金融面においても、いま申し上げてきたような大量の金がいま集まってきているわけでありまするから、財政金融両面からもう少しいままでの次元よりも高めた、もう一歩出た政策というものが打ち出されてしかるべきだ、こういうように思うんでありますが、副総理のお考えはいかがですか。
  37. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国は、三年前大変大きな打撃を受けたわけでございますが、これは基本的には景気もあるいは物価も、かなりあれだけの打撃を受けたその後としてはこれはいい調子で動いておる。これは世界各国がそういうふうに評価しています。しかし、後遺症というのがあるのでありまして、その最も大きなものは財政なんです。とにかくいま七兆円を超える公債を出さなければならぬ、そのうち三兆七千億円は赤字公債である。  さて、これを一体どういうふうに克服していくかということは非常に大問題です。ですから、公社なんかの企業会計で赤字が出る、それを一般の会計で補てんをするというような余力は、とても実際問題としてないような状態でございます。企業会計は、これは企業でありまするから、やはり独立採算ということを旨として運営しなければならぬ。そして、それにもかかわらず経過的に資金の不足があるというような際は、これはいまお話しの資金運用部資金等を活用いたしまして、そうしてこの公社運営がうまくいくようにということを心がけるというのが精いっぱいのところじゃあるまいか、そのような所感でございます。
  38. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしても、高度経済成長時代が終わって一つの転機に入る。そうした中で、経済混乱に直面して公社が大変な苦労をしている、こういう段階においては私は、やはりいま言ったような形でとらるべき政策というものが必ずあると思うのです。それで大衆への負担転嫁というものをやわらげていく、こういう基本姿勢というものがやはり必要だと思うのです。  ですから、先ほどから申し上げてきましたけれども、三木内閣のいわゆる経済政策というものの中には、どうもその経済計画の中に明らかにされているように、いままでのものとは若干違っている。そして、基本的にいまもお話がありましたが、料金値上げをしていかなければならないという姿勢に変わってきている。これではやはり私は、国民生活に深い関係のあるいわゆる公共料金問題、電電公社等のこうしたものについては、その国民の生活を守るという観点に立った施策にはなってこない、こういうように実は考えるわけでありまして、この点をひとつ最後に申し上げておきたいと思います。  それでは、引き続いて五十一年度経済見通しと物価関係について若干伺っておきたいと思います。  最近までの物価上昇が非常に激しくなってきておる、こういう状況の中で消費者物価の動き、それからさらに卸売物価の動き、こういうものが、最近非常に私たちの立場でもこれは放置できないのではないかと、こういうように考える情勢になってきておりますが、この点についてどういう見通しを持っておられますか。
  39. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十一年度におきましては、卸売物価は四・八%程度、それから消費者物価については八%程度、これは年間上昇率であります。そういう目標でぜひこれを実現したいというので物価政策を進めてきておりますが、ちょうど年度が半分過ぎたわけであります。  この時点で検討してみますと、卸売物価は、これは六%台年間上昇率で動いております。やや高目である。これの原因を調べてみますと、一つは海外からの輸入です。この価格が非常に高騰してきた、そういうような要素などがありまして、そこでそういうことになってきております。それから消費者物価につきましては、これは年初来ずうっと一けたの水準、九%をちょっと超える年間上昇率の水準で動いてきておるわけであります。それで九%をこの時点では切るというようなところまでと思っておりましたけれども、不幸にしてこの夏あの冷害がある、それから風水害がある、そういうような特殊な事情がありまして季節商品が上がるんです。そういうようなことからさようなことになってきておりますが、卸売物価につきましても消費者物価につきましても、基調といたしましては安定基調にある。  卸売物価の今後を展望してみますと、物価が割り高であった要素である海外商品、これの価格は安定してまいりました。それからさらにいいことでありますのは、円相場が強くなってきておるんです。これはかなり物価の鎮静に影響してくる、これからずっとそれらの影響が出てくるだろう、こういうふうに思いますので、今日では見通しよりはやや高い水準にありまするけれども、何とか工夫をいたしまして見通しの水準程度のものに年度末には持っていきたい、こういうふうに考えております。  消費者物価につきましては、これは季節商品要因が非常に多いわけです。先月ちょっとそういう関係で大変前月比で二・七%上がるというような惨たんたる状態でありましたが、十月にも若干そういうような影響が出てくる。しかし、これから先季節商品等につきまして、需給それから価格の動向、そういうようなものにつきまして個別的に特に配慮をいたしまして、そして年度末には何とか八%前後という水準も実現したい、かように考えております。
  40. 赤桐操

    赤桐操君 いまのお話で、大体安定基調として考えられる、こう言われているわけでありますけれども、最近の新聞等で報ぜられた内容によりますというと、卸売物価の抑え込みがどうも経済企画庁の考え方と日銀の考え方で大分違いがあるように思いますけれども、本当に安定基調として自信を持っておられるんですか。
  41. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 円が高くなってきた、また、海外の商品市況が落ちついてきた、そういう影響がもうすでに出てきておるんです。ですから、この一、二カ月の卸売物価の騰勢というものは非常に鈍化をしてきておるわけでありまして、この趨勢は私は定着していくであろう、こういうふうに見ておりますが、この点で日銀と企画庁が見解が違っておるというようなことはございませんです。
  42. 赤桐操

    赤桐操君 その狂乱物価時代はこれは別でありまして、このころに比較して安定しているということにはならないと思うんです。しかし、九%ということは大変なものであって、これは金利の問題等でやっぱり話をよく経済企画庁もおやりになるようでありますが、正直預金をしていても、その預金の利率よりも消費の状態、消費者物価状態が値上がりしていくということは、私はやっぱり本当の意味における安定しているものだとは思わないんです。この点については、いま安定基調に入るということはそういうものが具体的に整合を得てくるときに言えることだろうと思うんです、正直な話が。国民の貯金が目減りをしている、そういう中にもかかわらず郵便貯金がふえていく。それは何かと言えば、やはり非常に自分の置かれている立場に不安を感ずるがゆえに、食費を削っても、あるいはいろいろの冗費を削っても貯金をしてその安心をひとつ求めようと、こういうことになってくるというわけでありまして、そういう形で国民の金がいろいろ預託や何かに回ってくる。そういう動きとは非常に反する形がずっと続けられている間は、これは安定基調だとは言えないと思うんですがね。どうですか。
  43. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) やっぱり特に消費者物価につきましては、預金金利以下にしなけりゃ本当に安定が実現したと、こういうふうには私は言えない、これは同感です。ただ、それに向かっていま物価情勢が動いておる、そういうことで私は安定基調と、こういうふうに申し上げているんです。  私は、いまこの一、二年は非常に苦しい時期だと思います。それはなぜかと言うと、公共料金問題を処理しなけりゃならぬ、こういう時期に当たるわけです。この公共料金問題が一巡をすると、そういう時点になりますと大体定期預金金利の下に物価騰勢を抑え得る、こういうふうに考えておるのでありまして、前期五カ年計画、その最後の段階におきましては消費者物価水準を六%以下、ここへぜひ持っていきたい、こういうふうに考えております。
  44. 赤桐操

    赤桐操君 卸売物価がしり上がりにいま上昇をしているということも事実でありまして、これは正直言って、恐らく三、四カ月後にはいろいろの現象となって消費者面にあらわれてくるだろうと思います。さらにまた、最近の公取の調査が新聞で報道をされておりますが、寡占、独占の企業が価格のつり上げをやっていることが明らかになってきている。これは不況下におけるところの通産省のやった減産指導の結果だと、こういうように言われているわけであります。こういうようにいろいろといろんな条件を考えてみるというと、客観的な諸条件が国際的に見て非常に安定の方向をたどりつつあると言われておりますが、国内情勢というものはいろんな要因が逆に値上げの方に動いてきているのではないか、こういうように感ぜられるわけでありますが、真実、長官は、この点はいまの御答弁のような考えでお考えになっておられるんですか。
  45. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ことしの夏まで卸売物価が上がったことは事実です。これが見通し以上の上がり方をした。しかし、それは先ほど申し上げましたように海外要因というのがあるんです。それから、先ほどは申し上げませんでしたけれども、景気回復過程の諸問題がある。つまり、景気が回復してきますと需給が緊迫してくる、それにつれまして業者が値のつけかえをする、こういう現象もある。それからさらに、不況対策として政府がカルテルを認めるとか、あるいは行政指導で価格維持を図るとか、そういうようないろんな要素、つまりこれを総合して景気回復過程の摩擦現象と、こういうふうに申し上げていいかと思うんです。  ところが、景気もかなり活発な上昇を示した。いまちょっと戸惑いの時期でございまするけれども、とにかく七月までのこの上昇、これは非常に活発だったわけであります。八月、九月と停滞し、また十一月ごろから活発化する見通しでございまするが、まあ急に景気が上昇するというそういう時期の問題も一応解消。そこで、それからまた政府の不況対策としての価格指導、これも六月いっぱいをもって全部撤廃をする、こういうことになり、いまカルテルで一部のものが、数種類のものが残っておりますが、そういうものはさして悪い影響があるわけじゃなし、また今後そういうものがふえるという見通しでもなし、これからはこの物価に対しましてはいい影響、つまり国際商品価格が安定してきた、そういう面。それから円価値が上昇してきた、そういうものが逐次出てくる。すでにもうこの一、二カ月そういう徴候が出てきまして、夏まで上がり続けた卸売物価がかなり鎮静してきておるという事実ももう見えておる、こういう段階でございます。
  46. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、最後にひとつお尋ねしたいと思いますが、最近の東京都の調査によりまするというと、実感物価というのが出てきておりまして、実感物価というやつですね、実際に感ずる物価、これは多くの調査の中で出ておるようでありますが、これは東京都では、実際に市民の皆さんが感じている物価の指数というのは、三〇%ぐらいのはね上がりだというように台所の主婦は受けとめているということです。これは統計上の物価と実際に感ずる物価とは私は違うのは当然だと思うんです。それがしかし三倍近いはね上がりになってくると、これは消費者団体や何かみんなやっておりますが、私の手元へもずいぶんいろんな資料が持ち込まれておりますが、上昇率が三倍もの開きがあるということは、やっぱり簡単なものではないだろうと思うんです。そういういわゆる実感として受けとめている物価上昇度合い、これとの開きが余りに最近広がってきているというこの実情について、経企庁長官はどのようにお考えになりますか。
  47. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ政府の統計、これは全国民の、あるいは全国家庭の平均的な動きを示すわけでありますから、一つ一つの家庭から見ますと、受ける実感というものはそれぞれみんな違うんじゃないか、こういうふうに思います。私どももこの実感と統計との乖離ということをずいぶん言われますので、私どもの家庭につきましてもよく調べておりまするけれども、どうも季節商品が上がったり下がったりすると、これがかなり生活実感というものに響いてくるんじゃないか、そんな感じがしてならないのであります。統計の数字がまあまあそういう平均的なものであるという御理解の上に立ちまして、まだ実感というものがそれと違いがあるのかどうかという点につきましては、政府の方でも十分注意しながらその乖離現象があるのかないのかという点、そういう点については注意してまいりたい、かように考えます。
  48. 赤桐操

    赤桐操君 以上で私の質問を終わることにいたしますが、いずれにしても、こうした国民の皆さんの受けとめられている感じ方というものが非常に政府が言っているのとは違いがあるし、それらの基本をなすものは公共料金にあると思います。いま申し上げてまいりました立場に立ちまして、ぜひひとつ政府考え方をもう一歩進めていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  49. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 電電公社総裁にお尋ねをいたします。  大変機械化が推進したことに対してはその御努力に感謝をいたしますが、このいただいた資料によると、収入が二兆二千九十九億円、それに対して人件費の方が九千百三十九億円、人件費の比率は四二%です。このような機械化が進んだわりあいにしては人件比率が高過ぎると思うんです。この電電公社が二十七年発足以来の努力には敬意を表しますが、どうも合理化が少しおくれているんじゃないだろうか。人件比率がでか過ぎると考えますが、いかがでしょうか。
  50. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  電電公社発足以来、発足いたしましたときの加入電話が百四十万でございまして、現在三千百万を超えております。また生産性を、これは電報を入れまして比較いたしますと、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、ヨーロッパのイギリス、フランス、西独に比べまして電話機と働いている人のレシオでございますけれども、昭和四十年ごろは日本の方が生産性が低かったんでございますが、現在は世界で一番進んでいるというアメリカのAT&Tと電電公社とがほぼ対等であるということでございます。ですから、生産性ということにおきましては世界の最高レベルにあるというわけでございます。  ところで、全体の経費の中に占める人件費でございますが、大体ずっと三〇%ぐらいでまいりました。今度の料金値上げをしていただきますと、また三〇%程度に戻るということでございます。すでに自動化につきましては九九%自動化しておりますし、マクロ的に言いますと、私は全体の生産性は世界的レベルにあるというように思います。ただ、ミクロ的に申し上げますと、技術革新が非常に激しかったものでございますから、同じ公社の中でも比較的余裕のある部分と非常に忙しい部分とありますので、こういう面につきましては今後とも労働組合とも十分話し合いしながら、さらに生産性を高め、近代化を図りたいというふうに思います。これまで配置転換、職種転換いたしました人は約十万人でございますから、現在おります三十一万の人の中の相当な人がそういうことを受けたということにもなるわけでございます。
  51. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 このいただきました「明日では遅い」によると、累積赤字が一兆円になるという大変危機感を訴えておられます。今度の値上げが幸い認められればこの累積赤字は四十九年と五十年度分だけですね。いかがでしょうか。
  52. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  資料に出しましたのは、四十九と五十と五十一を含んで約一兆円というふうになっているんだと思います。それで、四十九と五十は決算をいたしましたので約四千六百億円ということでございます。
  53. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ですから、この値上げが認められれば五十一年度は赤字にならないと考えていいわけですね。
  54. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  この法案を予定いたしましたときは六月一日実施ということになっておりましたので、六月一日実施になれば約五百億円黒字になることになっておりますが、しかしこれがずれておりますので、本年度もやはり赤字ということになってまいります。したがって五十一年度は赤字であるということになりまして、五十二、五十三におきましてはこれは黒字になる。三年間をベースにいたしまして料金値上げをお願いしている、こういうことでございます。
  55. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 そうしますと、総裁の御意見ですと、料金引き上げを向こう三年間は行わないと考えてよろしいわけですね。よろしゅうございますか。
  56. 米澤滋

    説明員米澤滋君) 三年間をベースにいたしまして料金を引き上げないでいきたいということでございます。
  57. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 同じくパンフレットの中に、管理者に対して業務用電話を配置してあった、それを一般用にかえて五十億円増収を図ったと言ってますが、これはやったんですか、やろうとしているんですか。
  58. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  この制度は逓信省以来ずっとございましたけれども、本社、通信局におきましては全部実施いたしました。現場の管理者につきましてはこの十二月までにやる——やった人もございますし、まだ残っているのもございますけれども、ことしの十二月には全部やるというふうにいたしております。
  59. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ぜひひとつそれを完全に実行なさることを希望いたします。私も長いこと新聞社におりましたけれども、やっぱりわれわれ新聞記者でも、ちゃんと金を出して新聞は買って読んだものですし、業務用だからといって——これは五十億という、一年間でしょうね。ずいぶん大きな金額がいままで徴収されずにおったんだなと驚いたんですけど、このパンフレットを読んでの感想から言うと、ずいぶんいままではむだ遣いしておったんだなという印象を私は持ちました。したがって、ぜひともひとつこの業務用を回収して一般用になさることを確実に実行されるよう、希望しておきたいと思います。  次に、すぐ引ける電話というのが総裁の御希望だとおっしゃる。大賛成でありますが、しかし、われわれ加入者から見ますと、電話債券十五万円を払わなきゃいけない、しかし、それをすぐ買って売りますと百円のものが——これはある証券会社で調べたきょうの値段ですが。九十二円二十銭になります。そうすると、十五万円で買ったものは一日置くだけでも十三万八千三百円になっちゃうわけで、かなりの負担になるわけでございます。だからすぐ引けるという意味を、電話債券を買わないでもすぐ引けるという意味に解していいかどうか、いかがでしょうか。
  60. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  電話債券の話でございますけれども、これはたしかもう十四、五年前でございますか、もっと差額が大きくて、三〇%近いときがございまして、国会でもこの問題が取り上げられまして、自来これをなるべく差がないように努力してまいったんでございますが、しかし、まあ五%から七%ぐらいは差があるようになっております。ところで、これは拡充法という法律でやっておるんでございまして、昭和五十七年末まではこれを認めていただいておる。ですから、五十七年以降はこれをもう延長することは考えておりません。
  61. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ぜひそういう方向でやっていただくことを希望します。われわれ電話債券を買っても実際は大変な損なんで、昭和四十七年発行、五十六年三月償還のものが、これもきょうの値段で百円が九十三円五十銭でございますから、十年たっていると大体十五万円のものはもう六万円ぐらいになっちゃうんですね。でありますから、ぜひひとつ五十七年限りでそういうことはやらないように総裁が誓ってくださることを希望しておきます。  大変次元の低い話になって恐縮ですけれども、私はよく赤電話を利用さしていただきます。故障が多くて十円ただで取られちゃう。何といまいましいかと思う。そういうときにどうしたらいいかというと、一々急ぐから電話かけているのに、電電公社電話するだけの余裕もないし、電話番号覚えておりませんものですから、何とか工夫をしていただいて、電話のところに、故障のときはここへ電話してくれというやつか何か書いてあればもっといいんじゃないか。実にしゃくにさわりますよ。十円入れて出てこないと電話機なぐってあげたくなるぐらい。総裁はそういうお気持ちは経験したことありませんか。
  62. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  私もときどきそのような経験をいたしております。しかし全般的に申し上げますと、ちょっと私、公社の弁護をいたしますけれども、イギリス——西独はちょっと別なんでございますけれども、イギリス、フランスそれからアメリカでもニューヨークあたりはもうはるかに悪いんでございまして、確かにおっしゃるように、こういう問題につきましては今後十分努力していきたいと思います。
  63. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 総裁外国が悪いから日本がいいという比較の論法は、どうも私は解せないんであります。いやしくも人の金を十円でもただ取りすることは申しわけないという気持ちでなきゃいけないんで、ニューヨークよりいいなんということでは総裁、私はそれは失言じゃないかと思いますが、重ねてお伺いいたします。
  64. 米澤滋

    説明員米澤滋君) ちょっと最後に申し上げましたように、大変申しわけないと思いますが、何とかそういうことはなくならしたいと思います。
  65. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 じゃ具体的にどうするかをお示しいただきたいんで、ぼくがいま言ったように、電話のわきに本電話故障のときは何番へ御連絡くださいと、連絡してくれた人には倍返しをいたしますと、このくらいのことをやらなきゃ電話の故障はなくなりませんよ、それは。
  66. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  何といいますか、確かに東京の中でも古い電話機がございまして、そういう古い電話機につきましてはだんだん取りかえをするということが一つの方法だと思います。  それからもう一つは、いまお話がございましたように、故障の場合に、故障というような札を張りましてやるとか、それからまた巡回でございますけど、保守者を巡回させるというような問題をもう少し頻度を高めるということにしたいと思います。
  67. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 私は一日に三十五、六回電話をかけます。しかし、必ず一日のうち一回か二回そういういやな経験をいたします。だから電話料金が高いか安いかというと、ぼくは十円は安いと思うんですよ、われわれの十円。しかし、出てこなかったときのしゃくにさわることというのは十円じゃはかり知れないんであって、もっとそれを撲滅する努力総裁が誓うことが、私はこの電話料金引き上げの条件じゃないかと思う。ただ巡回を頻繁にするなんと言ったって、これはあなたがやるわけじゃないんですからね。便所へ入って遊んでたって巡回をしたと言われちゃえばそれまでの話ですから、やっぱり報償制度で故障を教えてくださった方に対しては倍返しをするとかなんとかということにしなきゃ、それは撲滅できないと思いますよ。もう一回お答え願います。
  68. 米澤滋

    説明員米澤滋君) ただいま御指摘のありました方法も考えまして、確かにその故障をできるだけ少なくするということに最善の努力をいたします。
  69. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ちょうだいした時間が二十分でもうわずかしかございませんから、最後に副総理にお伺いいたします。  この電電公社建設投資に対する波及効果が二・二四だということを承っております。今度この引き上げが認められれば約三千五百億円の発注があるだろうと見られている。これがいまの景気に対してどういう影響を及ぼすかを副総理からお伺いしたいと思います。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 電電公社の工事は、大方電電業者と言われる電電に特別の関係のある業種に集中しておるわけですね。そういうことで、いままでこの料金値上げがおくれておる、そういうことから工事量が減ってきた、その影響というものは、範囲は広くないんですけれども、その狭い範囲においてもう非常に衝撃的なものがあったろうと、こういうふうに思うわけです。そこで、もう一刻も早くこの法律案が成立いたしまして工事が再開される、こういうことを念願をしておるわけですが、まあいま夏から、八月から九月ちょっと生産活動が停滞しているんです。さあ十月がどういうふうになりますか、十一月ごろから活発化しようかというような見通しでございまするが、そういう機微の際でありまするので、これはそういう極小的な影響を非常に集中的に持つそういう性格の電電投資でございますので、三千億とか四千億という、そういう金額の問題じゃないと思うんです。景気回復に相当大きな支えになるだろう、こういうふうに見ております。
  71. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 最後に、これはちょっと先走った質問で失笑を買うかもわかりませんが、世間の人たちが心配しているのは、先ほどからの副総理のお言葉のように、五十二年までで大体公共事業料金の引き上げの大物は終わる、五十三年以降になると安定するであろう、そのころになるとデノミネーションが行われるんではないかと勘ぐっている。そのときに電話はどうなるんだと、十円の玉が百分の一にすれば十銭と、そのときに一体機械がどうなるかというようなことまでわれわれに質問をする向きがあるんであります。そのデノミネーションと電話との関係総裁いかがでしょうか、そこまでは考えていないんですか。
  72. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えをいたします。  実はまだそこまでは考えておりませんので、十分研究さしていただきます。
  73. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 副総理はいかがですか。
  74. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだデノミネーションをやるということを決定しておるわけじゃございません。デノミネーションをやる以上それは前提がある。一つ経済、社会ともどもこれは安定しなけりゃいかぬ、本当に安定しなきゃならぬ、同時に準備、PRですね、これはよほどしなけりゃならぬと思います。その所要の準備という中にいまの電電公社の問題等もあろうと思います。
  75. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  76. 田代富士男

    田代富士男君 経企長官に引き続いて御質問をしたいと思いますが、ただいまもるるお話がございましたが、今回の料金値上げに対しまして経済企画庁としても当然協議をされたと思いますけれども、今回はかなりの大幅な値上げでございますし、私も副総理物価委員会等を通じまして、最近の物価上昇を統計的に見ましても、卸売物価は八月度は前年同月比で御承知のとおり六・七%、消費者物価は九月全国指数で御承知のとおり前年同月比で九・三%と安定してない。こういうときにこういう大幅な値上げを経企庁として認めるということは、かなりこれは冒険ではなかろうか、もっと慎重な態度で臨むべきでなかったかと私は思うわけなんですが、そういう意味から、今回大幅値上げに経企庁として協議をされたそういういきさつですね、どうしてもっと慎重にやるべきではなかったかと思うんですが、最初にお願いします。
  77. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 実は昨年の暮れ、昭和五十一年度の予算の編成の大組みを決めるということだったんですが、その際、これは予算編成上の大きな問題といたしまして、国鉄の運賃、それから電電料金のこの問題があったわけです。そこで国鉄当局、郵政当局、これは、国鉄は運賃につきまして二倍の引き上げを要求をする、また、郵政当局におきましては度数料の方は七円から十円へ、それから基本料金につきましてはこれを倍額にいたしたい、こういう要請があったわけです。そこでいろいろ物価所管官庁たる企画庁といたしましても、そう一挙に大幅にというんでは、これはなかなか物価体系に相当影響があるというので、ずいぶんなだらかな改定ということでお願いをしたんです。  結局、主たる公共料金につきまして、前々から三年ぐらいということを考えておった。つまり、五十年度には酒、たばこ郵便料金、それから五十一年、五十二年この両年度に国鉄電電というようなことをおぼろげながら考えておった。そういうこともありまして、とにかく五十一年、五十二年の両年度にわたって料金改定していただけぬかということを電電当局並びに郵政省にお願いしたんです。しかし、度数料につきましては七円を十円というのでありまして、いわゆる倍というのとちょっと違った感触もあるんです。そこで、それは御要請のとおりにしてしかるべきじゃないか、しかし、基本料金につきましては、国鉄料金同様にこれを二年に割る、二回に割る、こういうようなことにお願いしたい、こういうことで郵政省なんかもそれに賛成をするということで、今回の提案ということになっておるわけでございます。
  78. 田代富士男

    田代富士男君 いま副総理も、この問題に対処するに当たりまして、基本姿勢としてなだらかな改正に抑えていきたい、そういう気持ちであったが、結果としてこういうことになってしまったという御説明でございますけれども、ちょうど昨年の状態、ことしの前半と現在とは非常に違いが出てきております。景気も中だるみでありますし、これからも景気をどうするかという問題、大きな問題であります。こういうときに、当初はなだらかな改正ということでここまでやってきたけれども、こういうような中だるみ状況を来した今日におきましては、さらに検討を、現時点においては本案を出されておりますけれども、これを何とかまだ検討する余地はないものかどうか、ひとつ私は郵政大臣にお尋ねしたいと思います。
  79. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 便宜私から。  今月この段階におきまして、本年度予算で考えました郵便料金改定、この計画を今日の物価情勢から見て考え直す余地はあるかどうか、こういうお話でございますが、これはなかなかむずかしいと思うんです。改定どころじゃない、一刻も早く成立さしていただきたいという陳情をしなければならぬというくらいな気持ちでございます。  いま物価もさることながら、景気の問題がある。ところが、先ほども申し上げているんですが、国鉄電電料金、運賃の改定ができない関係上、予定した工事の執行ができない、こういうようなことで関係業界に相当大きな影響を及ぼしておるわけなんです。これがまた一波万波ということで、今日の景気低迷の一つの原因ともなっておる。そういうようなことでもあり、それからこの料金改定、これは運賃改定とともに四・八%卸売物価上昇、それから消費者物価八%程度この前提としてもう織り込んでおる、こういうようなものでありまして、これを御審議願い、成立さしていただきましても、この目標の達成には万遺憾なきを期してまいりたいと、こういう考えでございますので、ぜひひとつ早期成立のほどをお願い申し上げます。
  80. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ郵政大臣、どうぞ一声。
  81. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 料金改定につきましては、御承知のとおり、公社がいわゆる五カ年計画を通じて絶えず合理化その他苦労いたしまして、極力据え置く方針できたんでありますが、御存じのとおりの昭和四十八年のオイルショックで非常に悪条件が重なりまして、現在このままでいきますと一カ月に六百五十億という赤字が累積されまして、非常に深刻な財政状態、したがいまして、いままでの立てました計画すら大幅に削減。たとえば六百五十万の電話をふやすことにつきましても、とりあえず五十万個を削るとか、あるいは関連産業につきましても約一千億の解約ということも考えられるような状態。私どもの最終の目的である公社国民に対するサービス、先ほど来話題になりました積滞の解消、あるいは自動化といった大事なサービス面にも著しい支障を来すという状況になりましたので、やむを得ず料金改定に踏み切った次第でございます。
  82. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ理由はわかりましたが、今回の料金改定の前提条件といたしまして、三年間の収支均衡が考えられておりますけれども、いままでの経過はわかりましたけれども、今後三年後、つまり、年度から申しますと昭和五十四年度は値上げをされる考えであるのかどうか。特に副総理は、今回の五十一年度、五十二年度のこのことは三年ほど前からもう考えていたということでございますし、少なくとも十年先とまで聞きませんけれども、三年先の五十四年度はどういうふうに考えていらっしゃるのか、そこらあたり明確にしていただきたい。これが明確にされないままであるならば、今回のこういうような再建案というものも本当の再建案にならないと思うんですが、その点お願いいたします。
  83. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  今度の法案に対しましては、五十一年から五十三年の三カ年をベースにいたしまして、三カ年は値上げをいたさないでいきたいと思います。では五十四年はどうかということにつきましては、私たちといたしまして最大の努力をいたしまして、何とか一年ぐらいは持ちこたえたいと思いますが、三年間は値上げしないでいくというふうに考えております。
  84. 田代富士男

    田代富士男君 もう一度確認いたしますけれども、五十四年度までは持ちこたえていくけれども、それから先は値上げをするという、もうそういう考えで今回の再建案を考えていらっしゃるのか、そこらあたり明確にひとつやっていただきたいと思います。
  85. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  もう一度繰り返しますと、五十一年から五十三年をベースにいたしまして料金値上げをお願いいたしております。では五十四年はどうかということに対しましては、これは何とか持ちこたえていきたいという最大の努力をいたしたいと思います。   〔委員長退席、物価等対策特別委員中村登美君着席〕 じゃ五十五はどうかということに対しましては、これはまだ今後の状況等もございますので、ちょっと本日ここでは何とも申し上げられないということでございます。
  86. 田代富士男

    田代富士男君 これはこれ以上なにしてもなにかと思いますから、次の議題に移りたいと思います。  今回の料金値上げですが、これはもう午前中からも質問があったかと思いますけれども、卸売物価、消費者物価が高騰しております。この中で二倍近くの値上げがいま申請されておりまして、これは物価に対する影響は大きいと思うんです。物価に与える影響というものはどの程度に思っていらっしゃるのか。それから家計に与える影響、すなわち料金改定によりまして家計支出にどのくらいぐらい、平均世帯一カ月当たりの消費支出に対してどのくらいの増になるのか、比率はどのくらいになるのか、まずお聞かせ願いたいと思うんです。
  87. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回の料金改定による物価への影響でありますが、消費者物価に対しまして〇・四%程度の影響かと思います。この公共料金二%強、全体で二・四ぐらいに見当をつけておるんですが、その中で〇・四という地位を占めるわけであります。それから家計費に対しましては、五十年度の家計調査によりますと、   〔委員長代理中村登美君退席、委員長着席〕 家計費十五万八千円、その中で電話料金が二千円ぐらいになりますが、それが二千九百円程度になる、こういうふうに見ております。
  88. 田代富士男

    田代富士男君 それで副総理にお尋ねいたしますけれども、いまも申しましたとおりに、この電電値上げだけでなくして、午前中は国鉄のことで質問をいたしましたけれども、総じて申し上げますと、卸売物価も消費者物価も上がっている。これがいままでのパターンでありましたならば、卸売物価はある程度安定をして、消費者物価の動きはかなりあったのがいままでのパターンではないかと思うわけなんです。ところが御承知のとおりに、両方ともこういうような上昇現象を来しているということは、これはひょっとするならば慢性的な定着化を来すんではないかという点に対しては、十分警戒を要していかなくてはならないのじゃないかと思うんです。景気の問題は、時間がありませんしこの前も質問いたしましたから、これは省略いたしますけれども、このまま中だるみの状態でいくならば、経済的にもどろ沼化してくるような症状に見舞われる。そうしたならば、いま世界的に注目されておりますイギリスやあるいはイタリアのような現象を起こしかねないではないか。そういう点の警戒というものは非常に大事であるし、この中における電電値上げ、午前中質疑しました国鉄等の値上げというものは慎重に対処していかなくちゃならないし、経企庁長官でありますし、副総理という立場でありますから、こういうところのかじ取りを間違ったら大変なことになりますけれども、この点はどうでございましょう。
  89. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 石油ショックによりまして世界各国が重大な影響を受けておるわけです。その中で一番大きな影響を受けたのはわが日本でありますが、わが日本は石油ショックの時点ですでに相当強いインフレが進行中であった。そこへ石油ショックであり、しかも海外からの石油への依存度はわが国が飛び抜けて高いわけです。九九・七%を海外石油に依存する。その石油が一挙に四倍になった、こういうことでございますから、これはわが日本には世界じゅうで一番大きな影響があったんですが、その後の回復過程をずっと見ておりますと、大体西ドイツ、アメリカ日本、この三カ国が最も順調だ、こういうふうに海外諸国では見ておるわけであります。私はそのとおりだと、こういうふうに思うわけでありますが、あのイギリスだとかあるいはイタリアでありますとか、ああいう状態には絶対になりませんし、ならせませんから、この点は御安心願いたいんです。  それから、いま卸売物価も上がる調子がある、消費者物価も上がっておる、両々という話でありますが、これはまさに高度成長期にはそういう現象はなかったんです。卸売物価は大体横ばいだと、にもかかわらず消費者物価は上がった、こういう現象がわが国には見られたんですが、各国は大体卸売物価、消費者物価は肩を並べて上がった、こういう状態だった。  それはどうしてそういう違いが出てきたかと、こう言いますと、わが国の方が成長率が高いんです。まあ他の先進諸国の二倍半ぐらいの高さの成長をしたわけです。ですから成長率が高くなる、したがって生産性が上がる。そこで賃金が上がるけれども、しかしながらそれを生産性上昇が吸収した。そこで、卸売物価は大体横ばいだと。しかし中小企業物価、つまり消費者物価ですね、こっちの方は賃金の吸収がそう思うようにいきませんので、そこでわが国は卸売物価の安定にかかわらず消費者物価上昇が続いた、こういうことだろうと、こういうふうに思います。卸売物価も上がる、消費者物価も上がる。これは、わが国成長の速度において他の先進諸国と大体肩を並べてきたそういうことから起こる現象だろう、こういうふうに思いまして、さして心配はいたしませんけれども、しかし、物価上昇全体として今日の高い水準、これは満足しておりません。何とか早くこれをもっと低い水準に押さえたい、その努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  90. 田代富士男

    田代富士男君 努力をしていただきたいと思いますが、問題を次に移していきたいと思います。  今回の値上げの大きな理由一つに、住宅用電話部門の赤字指摘されておりますけれども、その結果、住宅用料金も事務用にスライドさせて二倍の値上げになっているわけなんです。そういうところから、東京都の勤労者世帯一カ月の生計支出に占める電話料金の割合というものを調べてみましたら、高所得者層は〇・九五%という数字が出ておりまして、低所得者層は一・四八%という、非常に低所得者層の方が多くなっている。そうした場合に、この二倍の値上げというものは低所得者の家計に圧迫を与えるんではないかと、これはだれが見ても認めざるを得ないわけなんです。  そういうところから、電気料金の機構といいますか、そういうシステムを見ますれば、御承知のとおりに、三段階の料金制度がとられておりまして、生活必需的な消費量については比較的低位な料金が適用されているわけなんです。それと同じように、住宅用電話料金についても、ナショナルミニマムの考え方を導入いたしまして、福祉型の電話料金にすべきではないかと、これは私の希望でございますけれども、こういう問題に対しても検討する余地があるのか、それともそういうことは今後も耳をかさないという姿勢であるのか。もしこういうことに対して検討をするというならば、今後どのように検討する余地があるのか、明確に態度を明らかにしていただきたいと思います。
  91. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) お答えします。  いまの問題は、電話料金についていろいろ御審議をいただいております過程で出ました議論で、私どもとしては、何といいますか、産業用といいますか、価格に転嫁できる形の利用者の方、それと生活の消費的な方、あるいはもう一つ福祉と、この三本立ての料金体系を考えたらどうか、こういう御意見がございましたので、私どもとしては今後その点について一遍検討してみたい、こういうぐあいに思っております。
  92. 田代富士男

    田代富士男君 大臣から……。
  93. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 先般の衆議院の附帯決議でもこの点がうたわれておりまして、低利用者に対して総収入に対し影響を及ぼさない範囲で、かつ一定の期間で何とか具体的にこれの軽減を図りたいと、いまその具体策につきまして検討中でございます。
  94. 田代富士男

    田代富士男君 いつから実施されます、いつごろから実施されます。
  95. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) なるべく早く結論を出したいと思います。
  96. 田代富士男

    田代富士男君 次にお尋ねしたいことは、寝たきり老人等の電話の問題でございますが、寝たきり老人福祉向けの電話につきまして、現在の架設状況というものがどうなっているのか、新聞紙上にもございましたとおりに、一人暮らしのお年寄りが一週間も前に死んでいるにもかかわらず、これが発見されなかったというようなことも聞きますが、こうしたことも含めまして、福祉電話の普及状況というものをまず御説明願いたいと思います。
  97. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) お答えいたします。  お尋ねの福祉電話でございますが、その中には老人福祉電話、いまお話がありました寝たきり老人などの老人福祉電話、それからほかに身体障害者の福祉電話と二本ございまして、これらは社会福祉施策の一環といたしまして、一人暮らし老人や身障者の方に利用していただく市町村名義の電話を言っているわけでございますが、その設置状況は次のようになっております。  いろんな設置の仕方がございますが、国庫補助によるもの、それから市町村独自の施策によるもの、それから社会福祉法人の施策によるものとありまして、その中で全部合わせまして、老人福祉電話といたしましては一万四千四百二十九台、それから、身障者の方の福祉電話は九百八十五台、トータルで一万五千四百十四台設置されております。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 いま説明がございましたが、老人福祉が一万四千四百二十九台、身障者が九百八十五台ということでございますが、私ここに持っておりますこの報告書でございます。これは公明党が大阪府下におきます寝たきり老人の皆さんの実態調査をいたしましたまとめの資料でございます。これで、寝たきり老人の二万数千名の一人一人を当たりました。そして回答が得られた分のいろいろなデータがここに一冊にまとめられておりますけれども、その中で一つ申し上げますと、緊急事態のときの連絡方法の有無と連絡方法を調べてみましたところ、連絡方法がない、こういうふうに答えた人は、アンケートの結果約一万六百三十三人のうちに一割の人はもう連絡方法がない。ほとんどの人が何によって連絡をするのかといったら、ほとんど連絡をするものはないんです。だから、どうしてもらいたいんだと、電話があれば連絡しやすいけれどもというような結果が出ておりました。  だから、じゃいま連絡はどうしておりますかと、本当に涙の出るような話ですけれども、そういう窓がありまして、窓が開いているときには元気という印なんで、窓が閉まってたらちょっとぐあいが悪いという印なんだと、そういう細かいデータが出ております。これは電話だけではございません。これだけのデータを一冊に、これは二冊ありますが、これは大阪府下版です。大阪市内版と二冊つくってありますけれども、そういう意味で、いま申されましたこのような福祉国家としてのそういうような面から言いましても、いま申されたようなこんな状況であったならばどうかと思うんですね。こういう点に対して、本当に国民にそういう面を電電公社といたしてもこたえていくというならば、もっと力を入れるべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  99. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) いわゆる寝たきり老人では、御承知のシルバーホンの「あんしん」というのを、いま特別の電話機をつくってやっておるわけです。ボタンを押せばそのまま一定の場所にすぐつながる、いわゆるシルバーホンでありますが、五十一年度、厚生省と話し合いまして、とりあえず一億二千万円の予算を組んで五千台分、これは身体障害者の方も含めますが、やることに相なっております。御指摘のとおり、私どもといたしましては、こういう気の毒な方に一人でも多く、一日も早く備えつけたい、もっと大幅に予算を厚生省と話し合いまして、拡充いたしたいと考えておる次第であります。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣は、一億二千万円でとりあえず五千台とおっしゃいますが、これより予算を大幅にふやして対処していきたいとおっしゃるけれども、あとの話だけじゃなくして、どのくらいまでふやしていただくのか、わかる範囲内で結構ですから、希望的な目標でも結構ですから、ちょっと言ってください。
  101. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) これは、いまは社会政策、福祉政策的な枠の中でやりますから、厚生省とも話し合い、また関連の大蔵省とも折衝いたしまして、少しでも多く、幾らとか何個とは言えませんけれども、最大の努力を払って、一人でも多く、一台でも多く備えつけたい。とりあえず予算としては、五十一年度すでに組んでおりますので、これは困りますが、次年度においては大幅に増額さしたいと考えております。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、ひとつよろしくお願いしておきます。  次に、市外通話の問題についてちょっとお尋ねをしたいと思いますが、長距離搬送技術が最近著しく進歩してきた一方では、遠距離通話料としてのコストの乖離を大きくしているわけなんですが、他方では大量の回線の準備によりまして市外通話利用度が非常に高くなった、そういう意味から、市外通話は大幅な黒字になっているというのが現在の状況ではないかと思うわけなんです。これは技術革新の成果というもののたまものであるかと思いますけれども、それだけの大幅の黒字を出すようになった、そういうような結果を踏まえまして、そういう点から電話利用者にもその点を還元すべきではないか、そうすることによって少しでも市外の通話料金というものを安くすべきではなかろうか、このように思うけれどもどうか。  それと同時に、広域均一料金制というものを考えられまして、料金の是正というものも図るべきではないかと思うわけなんです。たとえば、私は大阪でございますから大阪の地元の実情を申しますと、尼崎、これは兵庫県でございます、川一つ隔てた。尼崎、これは大阪市内の局番です。今度は大阪市のすぐ隣に堺市という、これは大阪府なんです、大和川という川を一つ越えて、全部軒並みに家が続いている。ここは市外料金でなくては通じない。大阪府下で堺市というのは、全国第十番目か十二番目の都市です。どこから大阪でどこから堺かとわからないように、もう密集しております。尼崎は兵庫県です。その尼崎が大阪市内の局番で、大阪府下の堺市が、大阪市と密接な関係にありながら市外通話料金の地域ということは、これはどう考えても考えられないわけなんですか、こういうところに対してどういうお考えであるのか、このまま放置されるのか、これを前向きに検討するのか、そういう点ですね。技術革新技術革新と言いながら、こういう地域のこういう点というものを、他府県にまたがり、同じ府下においてこういう状況というものはどうされるのか、ここらあたりを明確にしていただきたい。
  103. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  最初に、遠距離の通話の問題でございますが、確かに技術革新の成果というものを一番受けているのは遠距離通信でございます。これは私は、今回は無理でございますけれども、今後の問題として検討させていただきたい。ただしかし、その場合にはやはり、たとえば東京、大阪あたりは動かさないで、むしろ東京、大阪より先の方を下げて手前を上げるとかいう、そういう調整問題が私は起こってくるのではないかと思いますが、これは検討問題の一つとして考えたいと思います。  それからもう一つは、いまの大都市の近郊の問題でございますが、これは六年前、正確に言いますと昭和四十五年でございますか、そのときまではもっとそれが極端にひどかったのでございますけれども、全国に五千ありました加入区域を五百六十七、沖繩を入れまして五百六十七の区域に編成がえいたしまして、結局三分七円の範囲をずっと広げた時期がございます。しかし、まだこの問題は今後大都市圏の周辺問題としては問題が残っておりますので、これもやはり今後の検討問題としていきたいと思います。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 いま遠距離の通話の問題も今後の検討ということを申されました。それから広域均一料金制の問題も四十五年に一度やったけれども、これは検討問題であると。私はこれはいま初めて提案するわけじゃないんです。もう堺の地元では四十五年当時からこれはなされているわけなんです。だから、今後の検討と言いますけれども、それは検討と言えば聞く立場では検討されるのかと思いますけれども、これは一向に進んでないんです、私ずっと最近の経過を見ておりますから。検討します、検討しますと。だからそれじゃ私はちょっと総裁、ここではいわかりました、検討されますかというわけにはいかないのです。もうちょっと一歩進んだ、具体的にどうされるのかということをせめて明らかにしていただきたいと思うんです。
  105. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 私も数年前まで近畿の電電公社責任者をしておりましたもので、堺の問題、尼崎の問題はよく存じております。尼崎の問題は、これは歴史的な経緯でございまして、堺の問題あるいは東大阪市の問題いろいろございますが、これらの問題につきましては非常に大きな問題でございます。いま検討するということにつきまして、何か先が長いような印象を受けたかもわかりませんが、実はこの関係の学者の先生方にも集まっていただきまして、三年ばかり諸外国の例等も研究をしていただきまして、三つ四つの腹案はあるわけでございます。そのいずれをとるか、また日本という国でどの方法が一番適当であるかということをもうそろそろ決断をすべき時期だと思っておりますが、そこへこの財政問題が降りかかりましたために、ちょっとおくれたような印象を受けておられると思うんですが、この問題が一段落いたしましたならば、本当に早急にこの問題は特に東京、大阪を中心とした問題だけでも早く解決をすべきではなかろうかと思っておりますので、もうしばらく時間の御猶予をいただきたいと思うのであります。
  106. 田代富士男

    田代富士男君 いまの御答弁を聞いておりますと、財政問題で行き話まっておる、この問題に対しては研究はしてきたと。いま申されるとおりに、学者の皆さん方にも頼み、外国等の研究をやって、やらねばならないということは電電公社としてももう当然やらなくちゃならない、しかし、財政的な裏づけがないために進めない、だからいまちょうどこういう運賃値上げの法案が審議されているけれども、これがもし通るならばこれは近い日に実現されると、こういうふうに大臣、理解してよろしゅうございますか。
  107. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 実は私も東京都の地元から同じような陳情を前から受けて、就任早々何とか早く格差是正ができないかと、実は当事者にいま至急案ができるように作成を命じたわけでありまして、一日も早く、少なくとも大都市の周辺のこういう格差是正だけは解決いたしたいと考えております。
  108. 田代富士男

    田代富士男君 じゃよろしくお願いしたいと思います。  それから、架設料の値上げについてでございますが、これは皆さん御承知のとおりに、政府主導型の公共料金の軒並み値上げが続いておりますけれども、これらの公共料金支出というものが家計に占める割合というものは、低所得者層になればなるほど高くなっている。いまさっきも一、二例を申し上げましたけれども、そういうことから考えまして、今回の改正案の中で、新規加入者の架設料というものを一挙に三万円引き上げようということになっております。このいまから新規加入しようという人はいろいろな人がいらっしゃるでありましょうけれども、おおむねもういままでにつけるべき人はつけている。どちらかと言うならば、低所得者層への拡大する傾向というものが見られるのじゃなかろうか、このように思うわけなんです。こういうわけで、電話の普及とともにそういう低所得者層への拡大ということを考えて、一挙に三万円となりましたならば、電話を普及しなければならないと言いながら、これは新規加入に対する阻止効果になるんじゃないかと思いますし、つけなさい、つけなさいと言っても、そんなに一挙に三万円上げるということは、公共的サービス精神から言ってもこれは好ましいことではないと私は思うのです。これは何とかもうちょっと上げ幅について検討すべきではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  109. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) これはなぜ三万円上げたかということからちょっと御説明をさせていただきますと、五万円に決めていただきましたのがたしか昭和四十六年だったのでございますが、昭和四十六年から今日までの間に、大体その間に、いまの石油ショックをはさみまして物価の高騰あるいは人件費の高騰で工費が上がりました。特に加入者専用部分というところがございます。たとえば電話機からその次へいくところでございますが、その電話局の中へ入りますと共通部分でございますが、加入者がもっぱら使われる部分の工費が一番上がりまして、大体約七割弱当時から上がっておるわけでございます。それから、全体の物価指数も大体六割ぐらい上がっておるわけでございます。したがいまして、私どもとしてはそういう意味で、現在の設備料を三万円上げて約六割上げていただく、こういうことをお願いしたわけであります。  しかし、なおこの問題は、五万円の前は三万円だったのですが、三万円の当時に比べますといま先生御指摘のような方は、先ほど総裁申しましたように、全国で積滞の数が約五十万でございますし、また、この法案の御審議が進行中におきましても、特段に工事を遅くするとかということをしないように注意をいたしておりますし、古いものは特に急いで先にやらせるという手をすでに打っております。それからまた、福祉関係のたとえば生活保護法に定められた生活保護世帯等につきましては、この設備料の分納といいますか、というようなことも郵政大臣に御認可を願いたい、こういう手段をとりまして、できるだけ御迷惑をかけないようにいきたい、こういうぐあいに考えております。
  110. 田代富士男

    田代富士男君 わかりました。  次に、減価償却費の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、電信電話事業というものは典型的な設備産業でありますから、電電公社の減価償却費というものは事業支出のうちでも大きな役割りを占めていると思います。五十年度においては事業支出の三一・九%に当たる七千五百億円を計上しておられますが、そこで、現在公社が行っております減価償却の定率法を定額法に変更するなど、減価償却を適正化することによりまして事業収支の赤字を黒字にすることができ、また、それによりましてあるいは料金値上げをもっと小幅にすることができるのではないかと思うわけなんです。そこで、公社の発足以来の減価償却の方法の推移と、現在定率法を採用していらっしゃる理由というものを聞かしていただきたいわけです。どうして定額法に変更できないのか、そういうあたりをまず明確にしていただきたいと思うのです。
  111. 好本巧

    説明員(好本巧君) お答え申し上げます。  わが公社が減価償却制度を導入いたしましたのは昭和二十三年の逓信省のときでございまして、そのとき初めて企業会計の制度をしいたわけでございまして、もちろん当初は定額制をとっておったわけでございます。それが昭和三十六年度に一般の電気通信機械、線路というふうな一般の通信の施設、これが大体現在でも全体の九〇%を占めるものでございますが、定率制に直したわけでございます。同時に、二十三年に制定いたしました耐用年数もその際改正をいたしました。昭和四十一年度におきまして、残りました建物及び工作物を定額から定率に改定いたしまして現在に至っているわけでございます。  これになぜ定率制をとっておるかということでございますが、すでに御案内のように、減価償却は私どもは適正妥当なる減価償却費を計上するということは、ただいま御指摘になったとおりでございます。私どもの電話事業は非常に設備産業でございまして、全体の資産の中のもう八十数%が固定資産でございます。しかも、電話事業は非常に技術革新の導入の著しいものでありますし、今後とも技術革新を導入するという使命を帯びておりますので、この技術革新の導入によりまして、不適応化、陳腐化というふうなものが他の企業に比べまして非常に著しいということは御案内のとおりでございます。したがいまして、そういったふうな事業体の償却制度といたしましては、定率制をとる方がより適正妥当であろうということで定率制をとっておるわけでございます。  また、御指摘のように定額制にただいまこれを直しますと、やはりやり方はいろいろございますけれども、減価償却費が単年度で二五%から三〇%ぐらい縮小するということも事実でございます。しかし、総合償却をとっているたてまえ上、定額制をとりますとやはり過小償却、あるいは過大償却ということがどうしても防ぎ切れないということは事実でございますので、私どもは定率制をとっているわけでありますが、ただ、そういうふうにして損益計算上若干の赤字が減ったようなかっこうを見せますけれども、やはり私どもは筋としてどちらが適正であるか、期間計算上、損益計算上どちらが正しい表現であるかということが第一点でございます。  また、もしそういうふうに定額制にいたしましても、その差額というものは利益として計上されます。私どもの利益はすなわち建設投資に回るわけでございますので、やはりもし定額制にいたしましても、利益がそれだけふえる、もしその利益を全部やめることに、利益分だけ収入を減らすことにいたしますと、建設投資のそれだけの分は借金でやらなきゃいかぬ、こういう仕組みになっておりますので、私どもは定率制をとっているゆえんでございます。
  112. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろ御説明になりましたけれども、同じ設備集約企業であります東京電力会社の例をとってみますと、ここはすべて定額法が採用されております。また東京瓦斯でも、最近巨大な投資をかけ完成させた袖ケ浦の天然ガス環状幹線というのは定額法が採用されております。また外国、そういうところを見てみましても、同業者でありますアメリカのAT&T、イギリス郵便電気通信公社などにおきましても定額法が採用されておるんです。ただいまの説明を聞きますと、同じ設備集約企業でありましても、このように変わってきている今日の時代背景というものから考えまして、定率法を採用されておりますけれども、どうなのか。そういう意味から技術革新によっていままでの既設の設備の陳腐化などという理由は当たらないのではないかと思うわけなんです。そういう意味で、いまの説明でもわかりましたけれども、しかし同じ設備集約企業であります、まあ日本で言うなら東京電力、東京瓦斯でやっておりますけれども、こういうものと対照していかがでありましょうか、大臣。
  113. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  114. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  115. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 公社が御説明申し上げたとおり、建物や工作物は定額法が適当と思いますが、やはりその他の分につきましては定率法によりまして、非常に技術革新が激しいものですから、陳腐化その他のあれで償却を急いだ方がいいと私は考えます。
  116. 田代富士男

    田代富士男君 いまも大臣がおっしゃいますが、償却方法については、電信電話事業というのは技術革新が著しいだけに、電気通信機械や通信線路などは定率法によるとしましても、この技術革新関係のない建物、工作物については定額法へ切りかえると、これはもう明確にそういう方針でいかれるわけなんですか。もう一度念を押しておきますけれども。
  117. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 建物や工作物につきましては定額法に切りかえるように、いま準備中でございます。
  118. 田代富士男

    田代富士男君 次に、償却方法とともに耐用期間というのも重要な問題になってくるんじゃないかと思います。公社は、耐用期間につきまして法人税法の基準によらなくて、郵政大臣の認可を得た上で独自で定められておりますけれども、実態に適合しているかどうか、若干の疑問を禁じ得ません。たとえば、ダイヤル式電話機の耐用年数というものは九年になっておりますけれども、実際には十数年使われていても特段の支障がないようであります。このように現実に使われている以上、適正なサービスに支障のない程度に耐用期間を実態に合わせるべきではないかと考えますけれども、こういう点につきましてはどのように取り組まれる予定でございますか。
  119. 好本巧

    説明員(好本巧君) ご説明いたします。  耐用年数につきましては、昭和三十六年に大改正をいたしまして、その後四十一年に大改正をいたしました。その後部分的には郵政大臣の御認可をいただいて、逐次数年に一回は十分吟味検証いたしまして、耐用年数と実用寿命とが合致するように図っております。税法上の各種の耐用年数の年数がございますが、大体どの種目も法人税法の耐用年数より同じかあるいは電電公社の方が長い、あるいは同種の国際電電株式会社の耐用年数よりは私どもの方が同じか、あるいは長いという実績を持っております。もちろん私どもは数年に一回撤去の実態に応じまして、各種目、品目につきまして現在の耐用年数が実存寿命と整合しているかどうかということをよく見まして、実際にそういうふうに直しているわけでありますが、最近の十年間程度の間を見ますと、耐用年数は、実際調べてみますとほとんど同じか、あるいは実存寿命が少し短いというふうな実情に相なっております。
  120. 田代富士男

    田代富士男君 電電公社のことは聞きましたけれども、監督官庁であります郵政省は、このような適正な耐用期間がどのようなものか、通信機器全般にわたって厳密に査定するだけの能力をお持ちでしょうか。この点能力を持っていらっしゃるのか、どういう現在の状況になっているのか聞かしていただきたいと思いますが、私は現在の組織の陣容から見まして、とうてい十分とは言えないではないかと思います。だから公社の申請をそのままうのみにしている状態ではないかと疑問を持たざるを得ませんけれども、郵政省の立場として、監督官庁の立場としての見解を聞かしていただきたいと思います。
  121. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 減価償却費につきましては、過大であっても過小であってもならない、適正な減価償却費を算定しなきゃならないというふうに考えておりまして、そういった基本のもとに、常々公社を指導しているところでございます。したがいまして、減価償却の方法につきましても、また耐用年数につきましても、それぞれ妥当な、適正なものであらなきゃならないというふうに考えておる次第でございます。  ただいま先生御質問の耐用年数につきまして、公社からの答弁もございましたが、公社におきましては年々これらの実態を調査し、必要に応じましてその訂正をしておるところでございます。郵政省といたしましては、これらの認可に当たりまして、公社の必要に応じまして実態の資料等を徴しまして検討を加え、それぞれ認可しているところでございます。  先生御指摘のように、現在の郵政省のこういった認可を行う電気通信監理官室は、組織的にもあるいは人数的にもきわめて僅少であって、十分その任に耐えないのじゃないかというような御指摘がございますが、なるほど人数的にもあるいは組織的にも規模小でございまして、できるだけ今後そういう面の充実というものを図ってまいりたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、この減価償却につきましては、先ほど申しましたように厳正な減価償却費が計上されますように、適正な耐用年数が定められますように努力しているところでございますし、今後ともできるだけそういう点で努力してまいりたいというふうに考えております。
  122. 田代富士男

    田代富士男君 電電公社は、費用の適正配分という観点から、長期計画を支障なく遂行するために内部留保をできるだけ厚くすることに重点が置かれているのではないかと思います。しかし、五十二年度には電話の積滞解消、五十三年度には全国即時ダイヤル化など転換を迎えようとしていらっしゃいますけれども、さらに今後の投資が、新規投資から改良投資にウエートを置いた投資構造に変化していくことを考えると、抜本的に耐用年数を見直すべきではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでございますか。
  123. 好本巧

    説明員(好本巧君) お答え申し上げます。  公社財政は、内部留保と言いますと利益金と減価償却費でございますが、昭和四十年ごろからほとんど利益金というものはゼロに近うございまして、四十八年度から赤字になっております。また減価償却費は、すでに御案内のように、それぞれの固定資産の取得価格を耐用年数内の各事業年度内に配分する費用配分の方法でございますので、御指摘のように耐用命数が非常に長くなりますと減価償却費は減ってまいります。耐用命数が短くなりますとふえるのでございますが、耐用命数は、ただいま申し上げましたように現在の実存寿命と非常に整合しているというふうに考えております。  また、いまの御指摘は、あるいは耐用命数をもっと長くするということは、現在の機械設備、そういうものをいまよりもっともっとうんと長く使うということであろうかと思いますが、それはそういうふうにやってまいりますと、現在の保守のサービスレベルあるいはその技術革新の導入を少し遅延させる、あるいは保守費というものを非常に多くかけて、人手を多くかけてそれを修繕していくと、いろんなことがあろうかと思いますが、根本的な問題であろうかと思います。
  124. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、電信電話拡充五カ年計画についてちょっとお尋ねいたしますが、電電公社には電信電話拡充五カ年計画というものがあります。現在は第五次五カ年計画だと思いますけれども、この進捗状況がどのようになっているのか。それから、これは問題にもなっていたと思いますが、積滞解消及び自動化の問題でございますが、この五カ年計画の大きな柱というものは、ただいまも申しましたとおりに積滞の解消、つまり申し込んだらすぐつく電話、即時自動化、つまりダイヤルを回せば全国どこへでも電話がかかるという全国自動化が大きな目標だと思いますが、その進行状況はどうなっているのか、また昭和何年度になればこれが達成できる見込みであるのか、ここらあたりをお示し願いたいと思います。
  125. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  公社は現在、第五次五カ年計画を遂行中でございます。第五次五カ年計画は、四十八年から五十二年までの五年間におきまして約七兆円を投資して、加入者といたしまして千五百三十万を開通すると、こういう計画でございました。これでまいりまして現在はその四年目になるわけでございます。しかしながら、この計画につきましては、四十八年の石油ショック以来非常な人件費の高騰あるいは物件費の高騰がございまして、実際には実行が不可能になっております。そのためにわれわれといたしましては去年これを見直しまして、三カ年計画とは申しておりませんが、五十一年から五十三年までの計画を立てまして、見直しの形で実行中でございます。したがいまして、現在五十一年から先はそういう形になっておりますが、五次計画といたしましてはほぼ計画どおりきております。  ただ、加入者開通の面で申しますと、やはりオイルショック以来の需要の減退その他ございまして多少ダウンしております。加入者開通で申しますと、五カ年計画で対比いたしますと約百万程度は落ちるのではないか、こう思っております。しかしながら私らといたしましては、現在の見直した計画におきましても極力いろいろな工事費は切り詰めまして、やはりナショナルミニマムの一番基本であります加入者開通あるいは自動改式あるいは過疎地対策、そういったものを最重点にいたしまして見直した結果、現在の工事計画ができますならば、五十一年度末には全国規模におきましてまず積滞は解消できると自信を持っております。これは言うならば、大体申し込めば一カ月ぐらいに全国どこでも加入区域内ではつくと、こういう形でございます。  また、自動改式につきましては五十三年度末に完了したい。五十年度末で手動局が約千二百局ほど残っておりますが、これを大体これからも年間四百局ほどやりまして、五十三年度末には自動改式が完了する見込みでございます。また、その他加入区域というのもございますが、この加入区域外では設備の負担金をいただくようなことになっておりますので、こういった点につきましても拡大の御要望ございますが、こういったものにつきましてもやはり五カ年計画で決めまして、全国四千六百局ほどございますが、これを遂行中でございます。これはやはり見直しにもかかわりませず、五十二年度末には完了したいと思っております。したがいまして、手動局を除きまして五十二年度末には全国どこの電話局でも半径五キロ以内は加入区域になりまして、その中では設備料だけで電話をつけることができる、こう考えております。  以上でございます。
  126. 田代富士男

    田代富士男君 時間が参りましたからまとめてお尋ねをいたしますが、法案の成立が予定されていた期日よりもおくれております。この遅延分の取り扱いの問題でございますが、値上げ幅については今年度中に一・五倍、来年度は二倍にするということでありますが、法案の成立遅延によりまして、聞くところによれば、すでに五千五十億円の穴があくということが伝えられておりますけれども、その内訳あるいはそれをどう対処していこうと考えていらっしゃるのか。  それから、いまさっきもちょっと話が出ておりましたけれども、関連業界への影響でございますが、建設工事やあるいは資材購入の支払い繰り延べで関連企業に混乱が起きているということでございます。世間では電電不況というような言葉が使われているようでございますが、そういう実情をどのように把握されているのか、この点についてお答え願いたいと思います。
  127. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) お答え申し上げます。  この法案に盛り込まれております料金改定によります増収額というものが、平常月にいたしまして月に六百五十億でございます。したがいまして、現在までにすでに十月いっぱいといたしますと五カ月おくれておりますので、三千二百五十億円の収入欠陥がある、こういうことになってまいります。そのほかに、この収入資金欠陥に対しまして工事をおくらせるとどうしても工事の繰り延べをやらざるを得なくなっておりますので、この工事の繰り延べに伴いまして基礎設備の工事が間に合いませんために、加入者の開通がおくれてまいっております。このために新規開通の場合にちょうだいいたします債券、設備料の収入というものが落ちてまいっております。これを合計いたしますと、十月末で先ほど先生のおっしゃいました五千五十億円の資金欠陥ということに相なっております。  これに対しまして、四百五十億円は経費の節減で対処していくということを考えております。この経費の節減の中には、一部保守費等も手をつけざるを得ませんので、多少サービスにも影響はございます。これはできるだけサービスに影響ないという形で処置をしてまいるという考え方でおりますが、残り工事の削減をいたしますものは、削減と言いますか、繰り延べをいたしておりますものが十月末まででございますと四千六百億円をやらざるを得ない、こういう状態になっております。これだけの金額を繰り延べてまいりますと、先ほどから先生が御指摘になりましたように、関連の業界に対する影響というものは非常に大きくなってまいります。  上半期におきましては、私どもこの法案の早期成立も期待いたしまして、そう大きく契約等を抑えていくということを余り大きくやりませんでした。そういう意味におきまして、上半期におきましては関連業界に対します支出額も、昨年の約九〇%程度のものが支出できるというような形でございましたし、特に中小企業等には配意をいたしまして、この平均よりは大きな率でもっていこうということをいろいろ配意をいたしました。したがいまして、上半期における影響というものはそう大きくはなかったと思います。  ただ、これからの下半期につきましては、支出額につきましては昨年の四〇%程度まで落ちてしまうという形になってまいります。こうなってまいりますと、関連業界特に中小企業等に対してできるだけの配意をいたしましても、これではなかなか業界の方が持ちこたえられないのじゃないかということを私ども心配しております。今後の新規契約の可能額というものも、もうすでに八百億程度しかないというような状態でございますので、今後の状態というものは私どもとしては非常に心配をしておるところでございます。
  128. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ最後に大臣にお尋ねいたしますが、いまも質問をいたしましたが、法案の成立のおくれによります減収というものは、来年度の値上げ率にこれがかさ上げされるとするならば、これまた国民の負担がさらにふえることになりますから、その補てん策というものは郵政大臣の責任としてこれは考えて、国民の負担というものをできるだけ考えていかなくてはならないと思うんですけれども、その点につきまして大臣の所見を伺いまして、私の質問を終わります。
  129. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 法案成立がおくれたことによって生ずる赤字の累積、政府はこれにつきまして非常な責任を感じております。したがって、ただいま大蔵大臣とも極力折衝中でございまして、いずれ法案が成立した暁におきまして、何らかの形で政府はこれに対して予算的な処置を、どういう方法をとるか、まだ具体的に申し上げられませんが、ただいま折衝中でございます。
  130. 渡辺武

    渡辺武君 今度の電電公社値上げの案を見てみますと、一般の国民が利用しているいわゆる一般電話、これについて基本料金を二倍にするとか、度数料を七円から十円にするとか、あるいは設備料を五万円から八万円に引き上げるとか、公衆電話も大体それにならって引き上げる。電報に至っては、二倍から三倍とかなり大幅な引き上げになっているわけですね。ところがその反面で、主として企業、特に大企業が使う、使っていると思われます専用線の専用料金、それからデータ通信やテレックスの料金などは据え置きになっているというふうに私理解しておりますが、そのとおりになっているでしょうか。
  131. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) いま先生がおっしゃいました専用料金あるいは特定回線の料金、それからデータ通信の関係あるいは加入電信、こういったような料金はいずれも法定事項じゃございませんで、郵政大臣の御認可をいただく認可料金になっております。したがいまして、この法定の料金が決まりました後、それに合わせまして、私どもで郵政大臣に御認可をいただき値上げをする予定にいたしております。
  132. 渡辺武

    渡辺武君 後で検討するということですけれども、後で検討するくらいだったら、初めから値上げするなら値上げするとはっきり言ったらどうかと思うんです。  私は大臣に伺いたいんですけれども、その電電公社の体質というか、経営方針といいますか、財政のやり方というか、いろんな問題を含んでいると思うんです。それが今度の料金値上げのやり方、一般国民に対しては大変な値上げ率でもって値上げをすると。大企業などに対してはもう当初から据え置きみたいなことになっている。いろいろ追及されて、料金値上げが実現してから検討するというような答弁がいまありましたけれども、こうした大企業に奉仕するというこの体質ですね、ここに私はいまの電電公社のいろんな問題の一番根本の原因があるんじゃないかというふうに思うんです。いま政府公社も、早くこの値上げ法案を通してほしいということを言っておりますけれども、いま重要なのは値上げよりも、むしろこうした公社の体質を根本的に民主的に改革するということが私は重要だと思いますが、その点どうお考えですか。
  133. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) このたびの値上げは先ほど来申し上げておるとおり、やむを得ず行われる国民サービス、国民に対する本来の公社の任務、またはサービスの徹底がこのままではとうていできないという背景のもとに改定を要求するわけでありまして、特に企業を保護するとか、企業に対して特別の扱いをすることはとっておらない次第でございます。
  134. 渡辺武

    渡辺武君 大臣のその御答弁、失礼ですけれども、私は認識不足じゃないかという感じがいたします。  そこで、その問題について次に逐次触れていきたいと思うのですけれども、公社値上げ理由、これを見てみますと、いや赤字が出ているんだということを盛んに言っておられる。なるほど公社の資料によりますと、五十年度は二千八百十二億円の赤字だと、こういうことになっているんですね。そうしてこれを一つ理由として、さっきも言ったような一般公衆の使う電話料金等々、大幅な引き上げをやるということになっているわけですが、私はこの点にまず大きな疑問を持つ。  そこで伺いたいんですけれども、各部門の赤字額、これはどんな状態になっているのか、お答えいただきたい。
  135. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 公社の決算は公社事業全体で行っておりますので、これを部門別には正規に決算いたしておりませんが、私どもの方で非常にまだむずかしい問題でございますが、五部門に分けまして分計をいたしております。五部門と申しますのは電報電話、それから加入電信、それからデータ通信、専用線、この五部門でございますが、この分計は、いま申し上げましたように非常にむずかしいので、ある大胆な前提を置いて分計をいたしておるわけでございます。  それによりますと、現在一番赤字の率の大きいのは電報でございます。電報は一〇〇の収入に対して五十年度では約八〇〇の支出でございまして、これが一番……
  136. 渡辺武

    渡辺武君 具体的な金額を言ってください。
  137. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 金額は、いま申し上げました電報で五十年度で約一千億でございます。それからデータ通信が三百六十億、加入電信が六十四億、それから電話が千三百五十三億であります。それで専用線は百六十五億の黒字でございます。いま収入と支出の関係の収支率というもので申し上げますと、一番大きいのは電報の七八八%、その次がデータ通信の一五七%、それから加入電信の一二五%、電話は一〇七%でございますが、全体の事業幅が大きいので金額は一番大きくなっております。それから専用線は収支率が六八%、こういうことになっております。
  138. 渡辺武

    渡辺武君 いま伺いましてますます私は首をひねらざるを得ないという実情です。いま加入電信と言われましたが、テレックスなどほとんどこれは大企業が使っているというふうに見ていいと思うのです。それからデータ通信、これまた大企業が使っている。なかなか中小企業はこんなところまで使い切れないし、一般の住宅電話などを使っている国民にとってはかなり縁の遠い話と、こういうことになっていると思うのです。ところが、この両部門をとってみますと、先ほどのお話ですと、データ通信では三百六十億、加入電信では六十四億、合計しますと四百二十四億円というとにかく赤字が出ている。額は少ないようだけれども、いまお話のあった収支率、これをとってみますと、いまのお話があったように、データ通信が一五七%で加入電信が一二五%、両方合わせると合計で一四八%という収入不足になっているのですね。電報などは、これは大体電話などの届かないようなところに送る重要な通信手段ですから、仮に赤字が出ても維持していく必要があると私は思います。これは一般大衆へのサービスと先ほど大臣が言いましたが、そういう上からは当然のことだと私は思うのです。しかし、大企業がほとんど専用的に使っているデータ通信だとかテレックスだとか、こういうものについて収支率一四八%、電報部門に次ぐくらいの赤字率が出ているという、こういう状況をほうっておくのか。何でこのところに手をつけないで、料金は据え置き状態のままで、それほど収支率の悪くない電話部門、収支率一〇七%、それだけ大幅に上げようとするのか、おかしいと思うのです。やはりこうした料金体系は逆にして、一般の国民の使う住宅電話などの料金は据え置いて、むしろこのべらぼうな収支率になっているデータ通信、テレックスなどの料金を上げるということの方が公正なやり方じゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  139. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  140. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  141. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) いま一番最初に先生にお答えしました案ですが、これから考えるということじゃなくて、認可料金でございますから、法定料金が決まりました後することにいたしておりまして、これはもうすでに予定をしております、これらの認可料金値上げは。専用線でございますとかテレックス、いずれも値上げを予定しておりまして、即日申請を出せるようにしておるわけでございます。これが第一点でございます。  それからもう一つは、いまのお話の中で若干誤解もおありかと思うので、私の御説明が悪かったのかもわかりませんが、テレックスというもの、これは必ずしも大企業がお使いになるものではございません。現在はむしろ半分は中小企業、いわゆる中小企業法にいわれる中小企業がお使いになっておられます。さればこそ、かつて非常に黒字であったテレックスがだんだん赤字になってきたわけでございます、これは通信量が少のうございますから。  それから、データ通信も、これは一般のデータ通信と違いまして、公社のやっておりますデータ通信は国のいわゆるナショナルプログラムといわれる、たとえば気象ですとか、自動車の登録ですとか、そういうものもございます。それから大型のコンピューターはなかなか大企業でないと使えませんから、中小企業の方がそれをタイムシェアリングで使えるようなデータ通信をやっておるのでございまして、その点が一つ先生に御説明の足りなかった点だろうと思います。いずれにいたしましても、データ通信につきましても、いま言ったように回線、端末いずれも値上げをいたしますし、データ通信については、もうこれは当初からわが社では独立採算という形できておりまして、収支率はだんだん累年よくなってきておるわけでございます。  それから、逆に電報の方は、これは全部庶民がお使いになるというのは、これも別の意味であれでございまして、今日電報の七割近いものはいわゆる慶祝電報でありまして、電話の普及に伴いまして電報の総量は最盛期の半分をすでに切りました。いま大体三千五百万通でありますが、その七割が慶祝電報でありまして、これは逆に、庶民という方ももちろんおられるでしょうが、そうでない方も相当おられるのではないかと私ども考えております。
  142. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) データ通信は、大体五十三年度ぐらいには収支相償うという見込みのようでありますが、いずれにいたしましても、データ通信とテレックスは近く値上げをする方針でいま手続を準備中でございます。
  143. 渡辺武

    渡辺武君 いまデータ通信、テレックスを中小企業も使っているというお話がありました。私もその程度のことは心得ております。ですから、先ほど主として大企業が使うということを申し上げた。  ところで、データ通信、テレックスの料金を上げるとおっしゃるけれども、今度の増収見込みの中にはそれが予定されていないんですね、あなた方の発表しているのでは。一体どのくらい上げるおつもりなのか、そうしてどのくらいの増収を見込んでおられるのか、その点を伺いたい。
  144. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) これは、私どものいまの五十三年までの収支計算の中には、その他の料金ということで織り込んであります。五十一年度で申しますと、これは時期がおくれましたのであれでございますが、当初予定でございますと、これら全部含めて約三百億計上しております。
  145. 渡辺武

    渡辺武君 それでは次に移りたいと思いますけれども、私は、公社が大企業に奉仕しているという点は、いま言ったような料金体系にだけあらわれているのじゃないと思うのです。設備料の問題、これにも非常にはっきりあらわれていると思うのです。これは公社側の御答弁の中で触れられた言葉ですからおそらく間違いあるまいと思うのですが、一般電話一つ電話架設するためにいま設備料を五万円取られているけれども、実際の費用は一万六千円だと、こういうことになっている。ところが、ビル電話、実際の費用は十六万七千円かかるんだが、現実に設備料として取っているものはわずかに二万五千円。それから先ほど話のありましたテレックス、これは実際の費用は九十四万円だけれども、現実に設備料として取っているものはわずかに五万円。それからデータ通信公衆回線、これに至っては二十万円かかるところが五万円しか取っていない。一般公衆が引く電話、これは一万六千円のところを五万円取っておって、そうして主として大企業の使うテレックス、データ通信などについては、九十四万円もかかるところを五万円しか取っていない。こういう状態は改める必要があるのじゃないでしょうか。そうして、今回一般電話の設備料五万円から八万円に引き上げる、こういうことはやめる必要があるじゃないか、そう思いますけれども、どうでしょうか。
  146. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) お答えします。  この点は逓信委員会でも御議論はいただいたわけでございますが、いま実際にかかる金額とおっしゃいましたところがまず問題でございまして、これは予算上のいわゆるサービス工程の単金のことを言っておられるんだろうと思うんですが、この点につきましては、もし御必要なれば後でまた担当の局長が御説明をいたしますが、その金額と実際にかかる金額とは基礎工程その他を含めますと違うわけでございます。  その点は別といたしまして、現在私どもが考えておりますのは、その他の設備料につきましても先ほど来申し上げておりますように、今回五万円が八万円になりましたならば、現在五万円のものはいずれも八万円に値上げをするつもりでございますし、また一番問題の大きかったビル電話は、これは電話と同じような形でいきますと、一回線当たりが十二万五千円の設備料を現在いただいておるわけです。ただ、設備料につきましては、ビル電話については端末当たりで二万五千円ということにしておりますから、一回線に五端末つきますので、そういう誤解といいますか、ちょっと見てわかりにくい点がございますので、この点をひとつ御説明をしておるんですが、それにしてもやはりいろいろビル電話には効用ございますので、今度は一回線じゃなく一端末八万円に上げると、相当大幅な値上げをいたしたいと考えております。  それから、専用線その他につきましては、これは普通の電話と設備料は同じでございますが、必ずしも同じにいかない理由は、普通の電話と違って全国三千万にかかる電話じゃないわけでございます。甲と乙との間、二対一だけの電話でありまして、効用面が非常に違うという点がございますが、それを頭に置きながら、なおかつ五万円を八万円に上げる、こういうことを考えておるわけでございます。
  147. 渡辺武

    渡辺武君 五万円を八万円に上げる、一般住宅電話並みの設備料金にするんだというふうにいま御答弁があったと思います。いままであった不公正が若干は改善されたということは認めましょう。しかし、それでも依然として大きな不公平は残っているということを私は言わざるを得ないんです。なぜかと申しますと、先ほど一万六千円というのはサービス工程に関するものだと、こういうお話がありました。そこで、局にある機械設備も入れて、そうして住宅一般用電話、これの設備どのくらいかかるか、ちょっと言ってみてください。
  148. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。  一般加入電話を一加入増設いたしますのに、大体私ども予算の上では、必要な工程を積み上げまして予算が編成されているわけでございます。その中で新規加入者を、増設いたします分を一応分計をいたしてみましていろいろ大胆な仮定をいたします。その結果一加入当たり約三十二万円の建設投資をいたしているという数字でございます。
  149. 渡辺武

    渡辺武君 同じような計算、テレックス、それからデータ通信の公衆回線ですね、これどのくらいになりますか。
  150. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。  テレックスにつきましては約百三十万でございます。それからデータ回線、これは一回線につきまして約百十八万という数字が出ております。
  151. 渡辺武

    渡辺武君 いいですか、あなた方のおっしゃる計算の方式で考えてみても、一般住宅電話、今度加入にあたって八万円の設備料を取られる。ところが実際の費用は、あなた方の計算でも三十二万円だと言う。四分の一です、その二五%ですよ。ところがテレックスの場合は、百三十万円かかるのに値上げしていままで五万円のを八万円にすると。何%になりますか。とうてい二五%にはいかない。いま私が宙で考えてもまず七%、六・何%くらいでしょう。データ通信の公衆回線、これもいまのお話ですと百十八万円、それなのに今度値上げして設備料を八万円にしますと、こう言っている。何%になりますか、七%程度だ。一方は二五%、実際の費用よりも。あなた方の言うことが仮に正しいとして百歩譲って、二五%も一般大衆は設備料を払わなけりゃ電話が引けない。ところが、主として大企業の使うテレックスやデータ通信公衆回線、こういうものについてはたかだか七%程度しか設備料を取らない。これは不公平じゃないですか。もっと是正すべきだと思うが、どうですか。逆に言えば、一般住宅用の設備料の値上げというのはやめるべきだと思う。どう思いますか。
  152. 長田武彦

    説明員長田武彦君) いま先生の御質問をちょっと私取り違えまして御返事申し上げたので、訂正をさせていただきたいんでございますが、先生の御質問は、データ通信公衆回線は創設費が幾らかと、こういう御質問であったろうかと思います。私、それをデータ通信の特定回線という方にいま実は勘違いをいたしました。それで、データ通信公衆回線といいますのは、いわゆるこれは加入電話でございまして、これにデータの関係の機器をみずから設置をいたしまして、接続して使うというかっこうでございますので、いわゆる一般の加入電話と同じく、同じ建設投資ということでございまして、要するに三十二万ということでございます。
  153. 渡辺武

    渡辺武君 テレックスの方は。
  154. 長田武彦

    説明員長田武彦君) テレックスは、先ほど申し上げました百二十九万でございます。
  155. 渡辺武

    渡辺武君 数字ははっきりしました。しかし、テレックスの場合ではっきりあらわれているように依然として不公平だ。どう改めますか。
  156. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) これはこういう観点からも見なくてはいけないんじゃないかと思うんですが、テレックスというものは電話とはその効用が大部違うわけです。それでいまの金額というのは、端末の機器も入っての金額でございます。電話の方は御存じのように、一遍八万円で加入権を得て入っていただきますと、極端に申しますと子子孫々までこの機器を含めてずっと取りかえも無料でいたしますし、権利が継承される。あるいは東京から大阪へ移転をされ、全国どこへ移転されてもその権利がそのまま持続いたしまして、行った先で新しくあれをすると、また八万円納めるということはございません。そういったような効用面あるいはサービスの中身、そういった点から私は正確に比較はできませんが、現在のあれは必ずしもテレックスが優遇され、電話に不利だというぐあいにはならないと思うんであります。その証拠にと言うとまた大変でございますが、その証拠に、テレックスは需要がだんだん減退をしてきておる状況でございます。
  157. 渡辺武

    渡辺武君 そんな説明では一般の人たちは納得しないでしょうね。深くは追及しません。その点はひとつはっきり申し上げておきます。依然として不公平だということは残りますよ。  話を先に進めますけれども、私は、今度公社値上げに当たっていろいろ宣伝している文章などを読ましてもらいました。その中で、特にこの度数料七円、これは昭和二十七年公社設立以来ずっと据え置きのままです、すでに二十何年たっております、これは国際的にも非常に低い、だから今度の値上げが必要だと、こういう論法でやっている。これはとんでもないことだというふうに私思います。  そこで伺いますけれども、なるほど度数料が七円でいままで据え置かれてきた。しかし、そのほかにいろんなやり方でほかのところは上がってきているでしょう。それで念のために伺いたいんですが、この市内通話の料金昭和二十八年当時、これはいわば何時間かけても七円で済んでおる。ところがその途中で昭和四十七年でしたか、広域時分制という制度が採用された。そうして一度数七円ということになったと私は思うんです。今度またその七円が引き上げられるということですね。そうしますと、仮に市内通話で三十分通話した場合、昭和二十八年当時は幾らだったのか、それから広域時分制採用によってそれが幾らになったのか、今度値上げによって幾らになるのか、これをお答えいただきたいと思う。
  158. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) これは私、一番最初におっしゃいました外国料金に比べて通話料が現在大体三分の一ないし四分の一でございますが、それだから上げるというようなことは申しておらないと思います。あくまでも公社の財政状態でありますが、現在の度数料そのものが外国に比べて非常に低いということは、国際的にこれは非常に有名なことでありまして、外国人が日本へ参りますと、国庫の補助を受けておるんではないかというようなことを言うほどであります。また、サービスを比較しても、外国に決してひけをとらない低料金で二十何年間据え置いてきたということは、私どもがある意味一つの誇りとしておるところであります。  それで、現在の三分七円という制度は昭和四十六年に決められたのでございますが、それはおっしゃるようにその部分については確かに値上げであります。値上げでありますが、これは東京ではなかなかお感じにならないと思うんでありますが、先ほど総裁が申しましたように、当時は全国に五千の加入区域というのがございまして、加入区域の中だけが三分七円で、加入区域から一歩外へ出ますと八十秒七円、こういうぐあいになっておったわけでございます。これを五百幾つにくくりましたときに、ですから大体十ないし十一、二、三にくぐりまして、それらのところまで三分七円というぐあいにいたしました。したがって、東京以外の地方ではみなそういう意味で非常な値下げをいたしたわけでございます。そうして公社の収支としてはとんとんと、こういう形の制度をつくったわけでございます。  したがいまして、公社の財務としては私は増収を図ったわけでもございませんし、現にまた増収にもなっておらない。全体としてそういう均衡をとったということで、値下げの部分が全国的にむしろ加入者の数としては非常に多い。ただ東京の方は、そのくくった形が前の加入区域と今日の加入区域と同じでございますから、その恩恵に浴さなかった点がございますが、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。また、実際問題として、相当三十分というような長通話を女の方はされるとか、いろいろおっしゃいますが、平均の通話時分というのは百十一秒でございまして、当時から百十一秒、つまり三分を切って、八四%までが大体三分以内に済んでおる通話でございまして、そのために被害を受けられた方々は意外に少ない数だというぐあいに思っております。
  159. 渡辺武

    渡辺武君 結局どういう答弁ですか。  以前、広域時分制を採用したときに、あなた方は女の長電話だというようなことを盛んに言って、そいつを何とかしなければならぬ、だから三分七円にするのだと言って、それにまたいろいろな説明を、宣伝文句をつけた。それとかつて聞いたようなことをいまここで答弁したばっかりじゃないですか。私の質問に答えてください。市内料金昭和二十八年に三十分通話したときの料金はどのくらいか。まあ四十七年ごろ広域時分制を採用したときには三十分でどのくらいになるのか、それから今度の値上げでどうなるのか、御答弁いただきたい。
  160. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) そういうことでございましたら、これは計算は簡単でございまして、三十分でありますと、昔は無制限でございましたから七円でございます。それでいまはどうなっておるかと言うと、広域時分制施行後は三で割りますから七十円になります。今度はそれが百円になる、こういうことでございます。
  161. 渡辺武

    渡辺武君 昭和二十八年に比べて約十四倍と、こういうことですね。三十分というのは、ちょっと余り長過ぎるということであれば、仮に十分で計算してみますと、昭和二十八年当時は七円、現在が二十八円、それで今度の値上げでそれが四十円になる、約六倍になる。これは私は、いまの消費者物価値上げ率などを考えてみて決して低いものじゃないと思う。だから度数料だけとって、もう二十何年間据え置いてきたんだというようなことを宣伝して、値上げが当然だと言わぬばかりの印象を与えているこの公社のやり方、よくないですよ。  次に移りますけれども、もう一つ公社の宣伝しているものでどうしても納得できないものがある。それは、赤字の原因は住宅用電話にあるのだ、こういうことを盛んに言いふらしている。公社が出しました「電電公社の現状」という資料があります。これの十二ページを見てみましたところが、こういうことになっているのですね。事務用電話一本当たり月額で収入が七千四百円、ところが支出は四千六百円、だから事務用電話では黒字が出ている。ところが住宅用電話は、一本当たり月収入は二千六百円だが、支出は事務用の電話と同じく四千六百円、だから住宅用電話赤字が出ているのだ、こういう宣伝を盛んにやっている。公社の幹部に至っては、値上げがいやなら住宅用電話をやめたらどうだ、こういうけしからぬことまで言っている。ところで、この計算はどういうふうにして計算したのか、私はこの計算はごまかしだと思う。あなた方はどういうふうにして計算したのか、それをおっしゃっていただきたい。
  162. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 現在五十年度の決算で、先ほど申し上げましたように電話事業だけをとりまして分計をいたしまして、一本当たりのコスト月額で大体計算いたしますと、四千八百円ぐらいになるのじゃないかと思います。仮に四千五百円ないし五千円といたしました場合に、現在このコストというものに関しまして基本料と通話料の両方を入れて、その金額に満たない収入しかいただけない電話というのが全国で約三千万のうちの七八%でございます。しかもそれは事務用では六〇%、住宅用で九〇%、こういうぐあいになります。もっとその下の方にまいりますと、住宅電話の五〇%はコスト四千八百円に対応いたしまして二千円未満の収入でございます。  ですから、正確に申し上げますと、低収入の低単金と言いますか、低単金の電話が非常にふえてきたということが構造的に経営上むずかしくなってきた問題であります。この低収入しかいただけない電話というものの一番比率の多いのが住宅電話である。特にコストの半分以下しかもらえないのが住宅電話の半分を占めておるということも、これも事実でございます。ちなみに、電話で七千円以上の収入をいただいているのは、住宅用ではわずか四・七%でありますが、事務用では二六・五%になっておるのであります。
  163. 渡辺武

    渡辺武君 委員長、注意していただきたいですね。とにかく私が伺ったことは、この「電電公社の現状」、昭和五十年七月に電電公社が出している。これは四十九年度の数字で、いま言ったように事務用電話収入と支出、住宅用電話収入と支出、こう出して、そして赤字だ黒字だということを言っているんです。これはどういうふうに計算して出したものかと、それを伺っているんだ。私はきょう持ち時間六十分しかない、伺ったことに端的に答えていただきたい。どうでもいいようことを答えている。ちゃんと答えなさいよ。
  164. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 失礼しました。  収入につきましては、基本料と通話料の平均収入をとっております。  それから、いまのコストにつきましては、先ほど申し上げておりますように電話事業の分計をいたしまして、これをコストとしていたしますときには、営業費、運用費保守費、それから資本費用、そういったようなものを加算いたしまして、先ほど申し上げましたように、たしか昭和四十九年度の決算では四千六百円程度であったかと思います。そういう計算をしてつくったものであります。
  165. 渡辺武

    渡辺武君 初めからそれを言やいいのに。  そこで私は、この計算のやり方に非常に疑問がある、間違っていると思う。  まず第一点は、電話だって事務用の電話住宅用電話も共通で使う設備は確かにあります。たとえば局内の市内交換機だとかあるいは市外交換機だとか、あるいは局と局との間を結ぶ中継線だとか、あるいはまた市外回線、建物、土木設備——電信柱のようなこういうものは共通で使っていると思うんですよ。しかし、住宅用電話専用に使っている設備もあれば事務用電話専用に使っている設備もあると思うんです。たとえば家の中で使っているいろいろな電話機等々の設備、あるいは宅内の配線、保安器、それから引き込み線、加入者線路、度数計などはそれぞれやっぱり個別的に違うと思うんです。これは全部一緒くたにして計算している。分けなきゃならぬと思うが、この問題は、これはきょうは時間がないので置いておきます。  一番問題は、この費用の配分の仕方です。あなた方は、住宅用電話も事務用電話も全部込みにして設備を同じように使っているという、そういう想定のもとに出発してこの計算をやっているんだ。いまの御答弁はそうです。しかし、電話というものはそんなものじゃないでしょう。大体朝の九時から十一時ごろが事務用電話では電話のピークですね。住宅用電話だって、ほぼそのころが電話の使用のピークだと思う。どんな繁忙時でも、かければ電話が通るということが可能なように設備をつくっているわけでしょう。  ですから、これはちょっと余談になりますけれども、住宅用電話、これは夜間にかけたり、土曜、日曜にかけたりする。事務用電話がほとんどかからないで、設備が全く遊んでいるそういう時期に、住宅用電話がその遊休設備を活用して公社料金をかせがしているわけだから、住宅用電話はその面から見たって、これはもう大変な収入源になっていると考えなければならぬと思う。しかし、この設備の割り掛けの仕方、そういう面から見たときに、最繁忙時でも通信ができるように設備を大きくしてやっているわけですから、その最繁忙時に一体住宅用電話の通信量が全体の何%を占め、事務用の電話が何%を占めるかということを基準にして共通費を配分しなければ不公平になる。一体、最繁忙時に住宅用、事務用の通信量の比率はどういうことになっておりますか。
  166. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  なかなか比較はむずかしゅうございますが、いままでの調査によりますと、大体事務用が二で住宅用が一ぐらいかと思っております。
  167. 渡辺武

    渡辺武君 非常に簡単明瞭な御返事ですが、これまた困った。あなた方からもらいましたね、最繁時における事・住ですね、事務用、住宅用別のトラフィック比の算出方法。それで算出したのがいまの御答弁ですか。——うなずいているからそうでしょうね。答えてください。
  168. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) さようでございます。  なお詳しく申し上げますと、これは昨年だと思いますが、調査した結果の資料でございまして、その結果でありますと大体その程度数字になろうかと思っております。
  169. 渡辺武

    渡辺武君 そこで、私どうにも疑問に思うのは、その算出方法の中の通話時間比だ。これが事務用は七四で、住宅用は一〇〇ということになっている。これは通話時間だけで計算しているんですね。距離はどうなっていますか。考慮に入っていますか。
  170. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  トラフィックというのは大体その呼数でございまして、どのくらいの呼びがあるかということを計算しておりますので、距離は入っておりません。
  171. 渡辺武

    渡辺武君 問題は通信量の比なんですよ、どっちが何十%使い、どっちがどのくらい使っているかという。通信量という場合はこれはあなた、通信の時間だけじゃわからぬですね。市内通話の一時間と市外通話の一時間はまるっきり違うでしょう。国鉄だって通信の量を計算するのにトンキロと言っている。トンとキロを両方合わせて計算するわけでしょう。それがあなた方、これは通話の時間だけであって、距離のことを考えてない。距離の問題を入れたらこの比率はどうなりますか。
  172. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  距離を入れると計算がなかなかむずかしいと思いますが、その距離と時間といいますか、そういうことを考えますと、いわゆる現在の料金体系が必ずしも比例してはおりませんが、そのお使いになる料金に比較すればわかるかと思います。それで、恐らく先生の御指摘は、先ほどお話がありましたように、事務用と住宅用でトラフィックが違うじゃないか、公社はそれによって設備をつくっているはずだから、最繁時の見合いでつくっているわけだから、それで住宅用というのは余っているはずだと、こういうことだと思いますが、それも確かに一部では事実でございます。  しかし、私らは計算の細かいことは申しませんが、申し上げておきたいのは、公社電話設備というのは三千万ほどございますが、これは事務用も住宅用もございます。現在、六割ぐらいが住宅用でございます。それで、確かに電話というのは二十四時間どこからどこへかけてもいいわけでございまして、事務用から事務用もあれば、住宅用から事務用もあるということでございます。それで、いまどういうふうに使っているかという分布は、確かに事務用の場合は最繁時に、いわゆる会社のビジネスアワーに使うわけですから、午前中が一番多いことも事実でございます。そういった意味でわれわれは、設備はやはりトラフィック見合いでつくらなければ話し中ばかりになりますから、つくっていることは事実でございます。しかし、それはいわゆるトラフィック見合いと言っておりますが、そういったかける量によって違う設備は、大体いまおっしゃいました交換機の一部でありますとか、あるいは市外回線であろうかと思います。  しかし、一方におきまして、先ほどもお話ありましたように、たとえば電話局からお客様の家に行く、いわゆるわれわれは市内線路と言っておりますが、ケーブルでありますとか電柱であるとか、マンホール、管路あるいは電話機、そういったものは事務用、住宅用同じでございますから、言うならばトラフィックに関係しないものでございます。その量はかなり多うございます。それからまた、電話局の局舎もぴったり同じとは申しませんが、やはり大体電話局というものの大きさは、どちらかと言いますとトラフィックよりはいわゆるそこに入る加入者の数で決まるものでございまして、現に四千数百局ございますが、この局はそれほど大小はないわけでございます。むしろ、その中に何万加入して入るかということで計算してございます。電力設備も大体そうでございます。ただ、市外回線はおっしゃるとおりかなりこれはトラフィック見合いで、事務用もお使いになれば、あるいは東京−大阪にお使いになれば、その分の回線の多いことも事実でございます。しかし、これも考えてみますと、そういった意味の回線が多く、トラフィックにある程度比例することは事実でございますが、やはり事務用のほかに住宅へもおかけになることは事実でございます。  また、現実の話をいたしますと、たとえば東京−大阪を考えてみますと、この間にケーブルを引っ張りますが、やはりこの間、地面を掘って管路を埋めてマンホールをつくるというようなことを考えてみますと、これ自体は回線の量にはある程度比例しますけれども、道路を掘削しますとか、復旧しますとかそういう工事費を考えると、やはり全体のいわゆる市外線路部分としてはそれほどきくわけではない。たとえばトラフィックが倍だから工事費が全部倍になるというものではないわけでございます。そういったことで、詳しくは申しませんが、トラフィックの見合いの部分もございますが、そうでないものもかなり多いんだと。こういうことで、いわゆる差としてはそんなにはないというのがわれわれの見解でございます。
  173. 渡辺武

    渡辺武君 私は素人だから、いまおっしゃったこと余りよくわからぬのです。何を説明受けているのかさっぱりわからない。  しかし、問題を初めに返しますと、あなた方はかかった総経費、これが住宅用も事務用も同じようにかかるんだということで、そのまま一本当たりに割り掛けしているわけでしょう。それは間違いですよ。なぜかと言えばさっきも言ったように、事務用の電話の繁忙時、住宅用電話の繁忙時、最繁忙時、これでも通信が通るように設備はかなり余裕を持ってつくっているわけですね。だから、その最繁忙時に事務用の電話の通信量がどのくらいあるのか。そうすればその設備のうちでこの事務用の電話の負担分は大体この率ということになるでしょう。あなた方はそれをやってないから私は言っているのだ。  あなた方が、最繁忙時のトラフィック比をさっき二対一とおっしゃった。この資料ですと、住宅用が三〇%で事務用が七〇%という比率になっている。この数字でさっきの「電電公社の現状」というものですね、事務用電話黒字論、住宅用電話赤字論をはじき出しているでしょう。だから、この資料を基礎にして——この資料の計算の仕方は間違っている。少なくとも通話時間だけでもってトラフィック比を出そうとしている。これは常識から考えたって、国鉄だって輸送量がどのくらいかというのを調べるのに、距離の問題を全然別にして、積むトン数だけを問題にするなんてばかなことはしないですよ。トンとキロとを総合して輸送量というのを見る。電電公社の場合でも、通話時間と距離というものを総合して考えなきゃならぬでしょう。あなた方のような専門家がそんな点に気づかないはずはない。私のような素人だって見りゃすぐわかる。  私、専門家に計算してもらった。いま市内で言えば三分使えば度数料七円、いまたとえば東京から福岡まで電話をかけると、七円の料金を取られるには、二・五秒で取られる。それは距離が長いからいわゆる通信量が多いということになって、そういう計算になってくるわけでしょう。そこのところを考慮して計算したらどういうことになるのか。  もう時間がないから、私どもの方の計算の結果を申します。そうしますと、構成比は住宅用電話の方が二二・七%、事務用電話が七七・三%、こうなるんです。そこであなた方が計算している電話一本当たりの経費四千六百円、これをこの比率でもって事務用、住宅用に配分したらどうなるのか。もちろん住宅用電話の本数と事務用の電話の本数の関係も考慮に入れながら計算した。そうしますと、あなた方の数字で計算しても、住宅用電話一台当たり一カ月の収入は二千六百円、あなた方の数字どおり。ところが費用の方は一千八百九十一円になる。差し引きずると七百九円の黒字になるんです。事務用の電話の方は、収入はあなた方が言っているとおり七千四百円、ところが費用の方は一万九十一円になる。差し引きすると、事務用電話は二千六百九十一円の赤字になるんです。  原価計算のやり方という専門的なところで、自分たちの専門的知識を十分に発揮して科学的な計算をするならとにかくも、専門的知識を持ちながらこうした計算のごまかしをやる。そして住宅用電話赤字論なるものをでっち上げて、住宅用電話中心にして料金の大幅引き上げをやろうとする。言語道断と言わなきゃならぬ。そのことからしても今度の料金値上げは主として住宅用電話値上げをしようとしている。設備料については先ほど申し上げたとおりやめるべきだと思う。そうして、主として大企業が使っているテレックスその他等々、こういうところの料金及び設備を適正に改めることが、いま公社が宣伝している赤字問題を解決する一つの重要な手だてだと思う。その点どう思われますか。
  174. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 簡単に一点だけ申し上げます。  私どもも四千六百円の経費というものが事務、住宅全く同じとは思っておりません。しかし、いま先生御指摘のようなものは、設備投資という関係でいわゆる資本費用にはね返ってくるものであります。その資料にもたしかあると思いますが、四千六百円の中で資本費用は半分の二千三百円であります。残りの二千三百円は何かといいますと、営業、保守、運用費というものであります。  保守につきましては、たとえば事務用の電話住宅用電話と、事務用の方はよく聞こえてもいいが、住宅用の方は聞こえが悪くてもいいというぐあいになっておらぬのです。みんなネットワークでございますから、同じレベルで保守をしておる。そういたしますと、たとえば千代田のような非常に事務用の電話の蝟集しているところの方が、むしろ保守としては経費は安く済む。ベッドタウンのように広いところでは、保守経費は逆に人手は広範にわたりますから高くかかる。  あるいは電話一つ、これは運用費の中にはじいておりますが、運用費の中にはじいておる電話一つとりましても、事務用だからたくさん、電話一本に五冊も出すということじゃございません。みんな一本の電話について一冊ずつ電話帳を出しておる。そういったような点は、これはすぐおわかりだと思いますが、少なくとも四千六百円の残りの二千三百円については住宅用の方が若干高くなる要素はあっても、事務用の方が高くなるという要素はないと思うのです。  ただ、先生おっしゃいましたような意味で、設備投資からはね返ってくる資本費用につきましては、確かに私も同一とは思いません。ただ、この計算は非常にむずかしいので、私ども何回も計算しましたが、四千六百円の一本当たりのコストを事務用、住宅用に分計をいたしますときに、いろいろやってみても大体一割程度の差ぐらいではないか、こういうぐあいに思っておりまして、いま先生の計算されたような数字は、私は少し誤解があるんではないか、こういうぐあいに思っております。この点だけ申し上げておきます。
  175. 渡辺武

    渡辺武君 どうもあんた悪いくせがあるね、聞いたことに端的に答えないで。あれこれあれこれ言いわけ要らぬですよ。端的にもう一回聞きますが、いま私はあんた方の原価計算の配分の仕方、これは間違っているんじゃないか、時間だけでやっているんじゃなくて、距離も計算に入れるべきだ、それを入れれば住宅用電話赤字だという議論はなくなる。むしろ黒字になっている。そういう計算、これは私は正当なものだと思う。原価計算の専門家に聞いてもそれは当然だと言っている。そういう計算でやるべきだと思うがどうですか、それが一点。  それからもう一つは、そういう点もあって、住宅用電話黒字ということはこれは明らかだ、あなた方の原価計算のごまかしでもって赤字なんていうことに宣伝されているけれども。だから、住宅用電話料金、度数料等の値上げはやめて、そうしていまの料金体系を適正に改めるべきだと、この二点を伺いたい。これは大きな問題ですから、大臣にもお答えいただきたいと思う。
  176. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  いろいろ御質問ございましたけれども、いわゆる経費の問題というのは、結局毎日のオペレーティングコストというものが関係してまいりまして、建設費がその中にはね返ってくる分は、たとえばそれの利子とか償却費というものでございます。したがって、先ほど遠藤総務理事が答えましたように、保全費、運用費、それから営業費、それに資本費用というものを足し算したものが経費でございまして、そういう意味におきましては、先ほど申し上げましたような住宅と事務との違いは大体一〇%ぐらい違うということでございます。  それからもう一つ国鉄の例のトンキロのお話が出ましたけれども、トラフィックに対しましては最繁時のコールでございますけれども、そのコールというのは、かけた回数とそれからそれの使った時間でございまして、市外回線のものに対しましては市外回線、市内に関しては市内ということでございまして、そのトンキロの問題とはちょっと私、意見が違います。
  177. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  178. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  179. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) ただいま総裁が申しましたようなことで、私も住宅電話のすべてが赤字とは申しておりません。ただ、住宅電話の方がコストに見合わない収入の加入者が非常に多いということを申しておるわけでございます。
  180. 渡辺武

    渡辺武君 この計算のやり方はどうするかということはどうですか。
  181. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  先生のお話の件、私もいま初めて伺ったわけでございますが、われわれとしては、先ほど申し上げたようなわれわれの計算が正しいものと信じております。
  182. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) なかなか困難な判断のむずかしい専門的な数字を伺いまして、いろいろ検討すべき点は十分専門家の意見も聞いて検討いたしたいわけでございます。
  183. 渡辺武

    渡辺武君 もう時間がないので、最後に一、二点だけ伺って終わりたいと思うのです。  きのうわが党の山中議員が、設備料の収入公社の計算のやり方だと損益計算の収入の項目に入っていない、入らないで一遍に資本剰余金として資本費用の中にたたき込まれている、こういう点は改めるべきではないかということを申しました。会計検査院の方からの御答弁でも、それは問題がなきにしもあらずという趣旨の御答弁があったそうであります。もし、この設備料を収入の中に入れたらどういうことになるのか。設備料収入はちょっといまここに数字を持ってきましたけれども、見ている暇がないから言いませんけれども、これを収入に入れただけで五十年度赤字はほとんどなくなる。この点でも公社は経理操作のインチキをやっている。それだけでない、私は減価償却のやり方がめちゃくちゃだと思う。  先ほど大臣の御答弁を伺っていましたら、建物その他のものについては定額法を採用する、しかし、合理化などが行われて、通信設備などについては、これはいままでのような定率法を採用するかのような御答弁だったんですが、一体イギリスだとか西ドイツだとかアメリカなど、これは私は通信設備その他全部について定額法を採用していると思います。それをやって、設備の耐用年数も、外国のたとえばアメリカのベル糸各企業のような適正なものに改めれば、いまの減価償却費は半減すると思う。そうして、それだけで現在の赤字は消えて、一千億円に上回る黒字計算になるはずですよ。原価計算のやり方を全部について定額法に改め、設備の耐用年数の計算のやり方もアメリカ、イギリス、西ドイツなど、ほかの発達した資本主義国でやっているような適正なものに改めるというおつもりはないかどうか、この点を伺いたい。
  184. 好本巧

    説明員(好本巧君) お答えいたします。  ただいま御指摘になりましたように、昨日の逓信委員会で、将来の検討問題として償却制度も検討するということでございますが、ただいま一点だけお答えいたします。  設備料を一千六百億円、五十年度資本剰余金として計上しておりますが、赤字がたまたま一千七百億円程度でございますので、もし損益勘定に入れますと赤字がなくなるというのは、事実そのとおりでございます。しかし、設備料といいますのはお客様から工事費の一部に充当するんだというお約束でいただいたものでありまして、それを物件費、人件費損益勘定の方で処理してしまうということはできないことではないかと思います。また、事実そういうふうにいたしますと、それだけのものがまた建設投資の穴があきまして、借金に頼らざるを得ないということになろうかと思います。
  185. 渡辺武

    渡辺武君 まだ答弁残っていますよ。
  186. 好本巧

    説明員(好本巧君) 失礼しました。  減価償却の定額法をAT&Tがとっております。それからイギリスのBPOもとっております。ただ、すでに御案内と思いますが、定額法というのをとっておりますけれども、事実は税法上の三種類の優遇がございまして、実際面の減価償却費でない内部留保というものが相当認められておる、いわゆる加速償却。イギリスにおいては特別償却、アメリカにおきましては耐用命数を二〇%の範囲内で短縮できる、あるいは取りかえ投資に対する四%の課税の免除、控除と、こういろいろなことがございますので単純にはできないと思います。事実またAT&Tでは、それでもまだ減価償却不足であるというので、FCCに対しまして新しい減価償却法を現在申請中でございまして、その内容を比較してみますと、私どもの定率法と非常によく酷似しております。
  187. 渡辺武

    渡辺武君 耐用年数はどうします。
  188. 好本巧

    説明員(好本巧君) 失礼しました。  耐用命数は、御指摘のように、電電公社が全部総合平均で十三年程度のものがAT&Tは二十年、相当倍近く長うございます。ドイツ、フランス、イギリスはそれぞれそんな差はないと思いますが、アメリカはそうであります。事実、減価償却の一番適正妥当なる前提条件は、御案内のように耐用命数でございます。耐用命数といいますのは、規定されたものと現在実存寿命がちゃんと整合しているかどうかということが一つ大きな問題であります。これは先ほども答弁申しましたように、わが社におきましては規定の耐用命数と実存寿命はほとんど符合しております。  ただ御指摘の、もっと長くしたらどうかということですが、耐用命数を長くしますと、御指摘のように減価償却費が減るわけでございます。減価償却費が減りますと、コストが減りまして赤字が減るということでありますが、減価償却の前提になる耐用命数、実存寿命といいますのはいろんな施策の結果が出ておるものでありまして、耐用命数さえいじればどうこうということじゃございません。いわゆる、いろんな他律的な道路計画、都市計画というふうなものがあれば、それが非常に多い国はやはり多くなってまいります。それから、古い機械をいつまでも使いまして技術革新のテンポをずっとスローダウンしますと、実存寿命は長くなります。しかし、これには修繕費が非常にかかります。アメリカAT&Tの保守のレベルは、日本の保守レベルと比べまして非常に悪いサービスでございます。そのかわりに、比較しますと、全費用の中で占める保全費というのは電電公社の方がずっと小そうございます。ですから、省力化あるいはコストダウンという損益計算の面でも、総合的にごらんいただく必要があろうかと思います。
  189. 渡辺武

    渡辺武君 納得できないから反論したいけれども、時間が来たからやめます。
  190. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後の質問でございますが、昨夜のこの逓信委員会でわが党の委員から、現在の料金体系の不備、矛盾について強く是正を要求し、あわせて五十二年末で解消される電話の積滞、五十三年末で完了が予定される電話の完全自動化が達成されたあとの公社のあるべき姿をただしました。そして質問の過程で、技術革新を徹底的に進めることで合理化を図るとともに、積滞の解消、自動化の完了、福祉的観点に立ってのシビルミニマムの実施を強く要請してまいりました。これを受けまして、わずか二十分でございますが、二、三の点について質問をしたいと思います。  そのまず第一は、電話料金体系の合理化改善についてお伺いをいたしますが、改正案は、従来から大きな矛盾として指摘されていた、先ほど来質問がありましたけれども、距離別料金格差について何ら是正をしておりません。これは自動即時化によりコスト安になっていることからしても不当であるばかりでなく、欧米諸国に比べても割り高になっております。日本では一区域内の通話料を一とすると千キロメートル、これは東京−福岡間でございますが、東京−福岡間については七十二倍、これに対し米国は十四倍、西ドイツは十五倍でございます。改正案は、技術革新の成果は電話利用者にも還元されるべきだという原則を全く無視したものであります。これは先ほど来公明党の田代先生からも質問をされたので重複するきらいがあるかもしれませんが、政府はこの際、距離別料金格差の是正に踏み切らなかったのはなぜですか。その理由の根拠を明らかにしていただきたいと思います。また、今後この問題に対して何らかの基本方針があるのでしょうか、あればそれを御説明をいただきたいと思います。
  191. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) お答えいたします。  確かに、大変料金体系に不合理のあることは認めております。これはまあ歴史的な過程からこうなっておるんでございまして、現在時点でとりますと非常な不合理があります。正確に申しますと、外国に比べて遠距離が高過ぎるという一面だけじゃなく、近距離が安過ぎるという面がございまして、計算をいたしますと、東京−大阪間あたりが大体外国並みでございまして、それから手前は外国に比べて著しく安い、それから先が著しく高いという形になっております。ですから本来的に言えば、近距離を上げまして遠距離を下げるというのが一番理論的には正しいんでございますが、なかなかそれはむずかしい問題、特に近距離を上げるということはむずかしい問題であります。  それで、私どもとしては、今回のあれは財政の状態がこういう状態でございますから、とりあえず今回の料金値上げをお願いをいたしましたが、次の段階としては、この問題、あるいは先ほど申されました近距離のベッドタウン等の格差の問題、こういったような問題を次の大きなテーマとして取り組まなくちゃいけないと思って準備を、研究を進めております。いまのところ遠距離通話というのは大体二〇%程度が住宅からでございまして、大部分は企業用といいますか、企業がお使いになるのが多いんでございます。しかし、だんだん住宅もふえてきておることは事実でありまして、各年〇・一%ないし二%程度ずつふえております。また、こういう狭い国でございますから、そういうことによって生活が非常に潤うという点もございますので、これは一応実現をしたいと思っております。  このやり方といたしましては、いろいろな方法を考えておりますが、一つの方法は、これも法律の改正を必要とするんですが、夜間割引を日曜日祭日に拡張していく、そしてどの辺まで使っていただけるかということをまず確かめるということも一つございますし、それから十四段階ある距離別の格差をだんだん、十四段階ではなくて数を減らしていく、少しずつくくっていく、こういうやり方をとりつつ逐次、いま申し上げたような線で御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  192. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 後ほど私も、日曜祭日にも割引料金を適用してみたらという提案をしようかと思っておりましたら、先にそのお答えがありましたが、現在お正月の三ガ日は料金割り引きができておりますね。日曜祝祭日にもこれはどうしても拡大をするべきだ。これは私どもの一つの提案でございますが、今後いまの検討課題として十分これを検討していただきたい、このように考えます。  それから二番目に、アメリカ人のベルが、足が不自由で歩けないお母さんのために電話機を苦心して発明したことは御承知のとおりでございますが、そういう点からも明らかなように、いわゆる心身障害者、寝たきり老人あるいはひとり暮らしの老人、こういう人にとって電話は現在社会を生きていくために不可欠であることもみな承知のわけでございますけれども、電話料金の大幅な値上げは、日常生活の維持に深刻な影響を及ぼすことは明らかでございます。このために、先ほど福田大臣は一億二千万円、五千台分の予算を組んだと、こういうふうに言っておられたわけですけれども、これは国庫が負担をするわけですね。それからあるいは地方自治体もいささか負担をしておられるわけですね。一体電電公社の方はこういう福祉電話について何も負担をしておられないのですか、その点お聞かせをいただきたい。
  193. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 一般的に、私どもは財政的にはやはり独立採算でやっておりますし、そういう意味で、いま申されましたようなことは社会保障の一環として国がやっていただくこと、お金の面はですね、やっていただくのが筋だ、こういうように考えておりまして、郵政省にもこちらの方からもお願いをいたしまして、そういうぐあいに、先ほど大臣の答えられたようなことを数年前から郵政省もやっておられるんでございます。  電電公社といたしましては、何もやってないかというと全然あれでございまして、私どもとしてなすべきことは身体障害者あるいは御老人の方、そういう方々の電話機だけではなくていろいろな機器がございます。身体障害者でも、手の悪い方あるいは目の悪い方いろいろございますが、そういう機器の開発研究、これはアメリカなんか確かに非常に進んでおりますので、電電公社でもそれを非常に最近は一生懸命やっております。  あるいは、車いすで入れるような公衆電話をつくるとか、電話局の中をそういうぐあいに改造するとか、そういう設備面、機器面での開発ということがまず一つ。それから、いまさっき申し上げましたような意味で、そういう方々が電話をつけられるときは、何をおいても一番最初につけるという優先基準でございますね、これで即座につけれるような体制を全国電話局にしかせております。あるいはまた債券の免除、それから今度郵政大臣から御指示もございまして、設備料の月賦払いというようなこともお願いをして御認可をいただいてそういう形でやっていきたい、こういうぐあいに考えております。
  194. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間一通の手紙を私受け取りました。その手紙はどういう手紙だったかといいますと、いまの福祉電話に加えて、また違った立場から身の上相談をいろいろされておられる団体があるんです。これは主にキリスト教の団体でございますけれども、そこから、費用が足りないから少し寄付をしてくれないかという手紙でございました。恐らくいろんなところに行っているのではないかと思いますが、私まだそれに返事をよう出さないでいるわけです。  この点について郵政大臣にお伺いをしたいのですが、福祉国家を志向する日本において、わが国において、福祉的な政策料金制度の確立が必要であると確信をしております。これは恐らく政府の方でもそう思っていらっしゃると思いますが、そうしますと、いまの身の上相談等における費用負担、こういう点はどのようにお考えでございますか。あるいはこういう民間の善意におんぶしておればそれでいいとお考えでございますか。いかがでございましょうか。
  195. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 寝たきり老人とか、あるいは身体障害者の方々、これに対しても当然国としての社会福祉政策、もっと大幅に私は予算も獲得し、やらなければなあと思いますが、身の上相談になりますと、さあ果たして福祉政策の枠に入るかどうか、にわかに断定しがたいと思います。
  196. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それは、身の上相談にもいろいろありますけれども、しかし、もうにっちもさっちもいかなくなったとか、それこそ一家心中もしかねないというようなときに、そのキリスト教の団体が少しアドバイスをすることによって立ち直ってみたり、いろいろな面があると思うんです。そういう点もひっくるめて、これは民間の善意におんぶするだけでなくて、その辺もまたお考えをいただくべきではなかろうかと思いますが、ひとつまた閣議のときなんかにでもこういう問題をお出しをいただいて、ぜひとも検討していただきたい、このように思いますが、どうでございますか。
  197. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 一度厚生省側ともよく相談してみます。
  198. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 これも先ほどいささか触れられたかと思いますけれども、いままでつけるべき方はほとんど電話をつけておられると思います。今後電話を取りつける人たちは低所得層の方が多いと思います。そうするときに設備料の八万円というのは、これからの低所得層の方の負担力をはるかに上回っておりますので、実際には電話の取りつけをもう断念する事態も予想されるわけでございます。政府としても、電話が庶民の生活必需品となっている現状をながめたときに、設備料を軽減するとともに、その支払い方法について、先ほど来福祉電話等については分納ができるとか、あるいは月賦方式をとるとかいうお話がございましたが、私たち自身が、こういう低所得層の方々がこれから電話をおつけになるときに月賦払い制度を採用しておりますと、こういうふうに理解をしてよろしいものでしょうか。どうでしょうか。
  199. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 先ほど私がお答えをいたしましたのは、今度の改正と同時に、郵政大臣の御認可をいただいてそういうぐあいにいたしたいと、こう思っておるわけでございます。ただ一般的な低所得者層ということではなくて、たとえば生活保護法の適用を受ける方とか、わりあいはっきりした方、あるいは市町村の認定を受けられた方ということはさしていただきたいと思うんですが、そういう方に対しましては、法律が実施されますと、ほぼ同時に郵政大臣の御認可がいただけるものと期待をいたしております。
  200. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 大変いろんな方との質問が重複しておりましたので、それから私、経済企画庁長官が途中で中座をしたりということでしたから、物価の問題については先ほど国鉄のときにあわせて御質問を申し上げましたが、通告はしておりませんけれども、この間電話協会の総会に出ましたときに話が出ましたことを、時間がちょっとあるものですから、質問をしておきたいのです。  先ほどちょっと御答弁の中にありましたように、電話帳でございますね、電話帳が東京都の場合なんか相当厚くなって、相当量を私どもいただくわけです。職業別の電話帳というのは恐らくこれは広告代で賄われておると思いますけれども、普通の電話帳ですね、これはいままで一年に一回発行されていたのが、資源節約の点から一年半に延ばされたと、こう聞いておるわけでございますけれども、あの電話帳、今度は新しいのに取りかえたときに、私ども捨てるのに大変苦労するわけです。なかなかごみ屋さんにすらっとは持っていっていただけないという点がございます。そういう点で、あれを今後まだもう少し期間を延ばすお考えはないか、あるいはどの程度電話の番号やら局番がどんどん変わるのか、その点もしおわかりでございましたら、教えていただきたいと思います。
  201. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 現在電話帳に使っておる紙の量は、日本で使っている紙の全体量の一%と伺っております。そういった資源の面からもその点は問題がございますし、また、経費の合理化という点からも問題があろうかと思っておりますので、私どもとしては現在これを希望の方だけに差し上げるということも一つ考えたい。あるいはまた、有料にするということも一つの案でございます。あるいはまた、いま先生おっしゃいましたように一年半にしておりますが、これを二年に一遍という形にすることも一つの案でございます。  電話が非常にふえておりますときには年じゅう電話番号が変わって、二年たつともうほとんど違っておると、こういうこともありますが、だんだん安定をしてまいりましたから、それも可能かと思います。しかし同時に、それは電話帳の印刷をやっております業者にとりましては、ほかのものが印刷できないものでございます。したがって、そういう業界のことも考えなくてはいけないと思いますし、いろんな意味で労働問題にも関係がございますので、少し慎重にいま検討を進めておりますが、何らかの形で合理化をしたいと思っております。  なお、古い紙は私ども総裁の御命令でクリーンリサイクル委員会というのをつくっておりまして、それを再生をして使うという道も現在開いております。
  202. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もう一問だけで終わらしていただきますが、それにつけても、東京都のようにあんなにたくさんの電話帳、それから同じ名前がたくさんありますね。そうすると、どっかへかけようと思ってもなかなかそれをめくらない。つまり電話帳を十分活用しないで、ああ、ただだからちょっと一〇四で聞いてみようかというふうになるのではないか。そうしますと、一〇四番におられる案内係ですね、それが相当の労働力でしょうし、そしてそういうものが余りたくさんになると、今度は一〇四番の電話番号案内も有料化になるのではないかというような懸念をされる向きもあるわけです。その点はいかがですか。
  203. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 電話帳の問題と、それから一〇四番の電話問い合わせの問題はうらはらの問題でございまして、実際は一〇四にかかってきますのはごく少数の方がかけておられる。いわゆる常連というのがございます。また、聞かれる電話番号も、私どもで聞くと、聞かれる常連というのがまたございまして、余り広く一般に使われてはおらないわけです。同じようなことは電話帳についても言えると思うんですが、先ほど申し上げました検討の中には電話帳の問題と、電話帳をそういうぐあいにいたしますと、今度一〇四の方に確かに先生の御指摘のようにはね返ってまいりますので、そういう点もありますのでなかなかむずかしいんですが、やはり両方かみ合わせて合理的な制度にいたしたい、こういうぐあいに思って、いま研究中でございます。
  204. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 終わります。
  205. 森勝治

    委員長森勝治君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 森勝治

    委員長森勝治君) 御異議ないものと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時三十分散会