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1976-10-28 第78回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十八日(木曜日)   午前十時十五分開会     —————————————   委員の異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      秦   豊君     森中 守義君      山田 徹一君     塩出 啓典君  十月二十八日     辞任         補欠選任     川野辺 静君      福岡日出麿君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森  勝治君     理 事                 長田 裕二君                 原 文兵衛君                 最上  進君                茜ケ久保重光君     委 員                 郡  祐一君                 迫水 久常君                 新谷寅三郎君                 高橋 邦雄君                 棚辺 四郎君                 土屋 義彦君                 福岡日出麿君                 案納  勝君                 片山 甚市君                 森中 守義君                 塩出 啓典君                 藤原 房雄君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  福田 篤泰君    政府委員        郵政政務次官   左藤  恵君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房電        気通信監理官   松井 清武君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君        郵政省電波監理        局長       石川 晃夫君    事務局側        常任委員会専用        員        竹森 秋夫君    説明員        国土庁長官官房        審議官      下山 修二君        厚生省社会局老        人福祉課長    坂本 佶三君        農林省構造改善        局構造改善事業        課長       浜口 義曠君        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社総務理事    北原 安定君        日本電信電話公        社総務理事    三宅 正男君        日本電信電話公        社総務理事    遠藤 正介君        日本電信電話公        社総務理事    好本  巧君        日本電信電話公        社技術局長    前田 光治君        日本電信電話公        社営業局長    玉野 義雄君        日本電信電話公        社業務管理局長  川崎鋼次郎君        日本電信電話公        社計画局長    輿 寛次郎君        日本電信電話公        社施設局長    長田 武彦君        日本電信電話公        社建設局長    山口 開生君        日本電信電話公        社経理局長    中林 正夫君        日本電信電話公        社データ通信本        部長       山内 正彌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○公衆電気通信法の一部を改正する法律案(第七  十七回国会内閣提出、第七十八回国会衆議院送  付)     —————————————
  2. 森勝治

    委員長森勝治君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案審査のため、去る二十二日、福岡市に委員を派遣し地方公聴会を行いましたので、委員長から御報告をいたします。  私は、最上理事高橋委員案納委員森中委員藤原委員山中委員及び木島委員とともに、目下当委員会に付託されている公衆電気通信法の一部を改正する法律案審査に資するため、去る十月二十二日、福岡西日本新聞会館で開催されたいわゆる地方公聴会に出席し、学識経験者など六名からそれぞれ本案に対する意見を聴取してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。  まず、反対意見陳述人三名の意見要旨を申し上げます。  福井陳述人は、電電公社公企体として国民大衆の前に開かれたものであることを強く求めるものであるが、今回の法案の内容は、単に値上げのみにとどまって、公企体としてのあり方についての視点が欠落しているのではなはだ遺憾である、このような経営体質は、今回の料金問題についても利用者に対する公社経営の実体の周知や、利用者理解を得、また、利用者意見経営に反映する措置が徹底を欠いている結果となってあらわれていることを強調され、今後三年間で二兆五千百億円の増収が必要であるとしながらも、そのための料金改定である度数料七円から十円、基本料二倍、電報料二ないし三倍が、この増収とどう結びつくかの理解が得られていないことを指摘されております。  続いて、今回の料金改定案の理由または根拠についての疑問点、ないしはその矛盾点について次のように述べられております。  その第一は、低収入住宅用電話赤字原因一つとされているが、通信白書にも記載されているように、事務用景気変動の影響を受けてダウンするのに反し、住宅用は安定的な伸びを示しているので、この説明は納得しがたい。  第二は、事業支出のうちの資本費用構成比は、昭和二十八年度の二六%が五十一年度では四五%となっているが、その原因減価償却費であって、現在事業支出の三〇%を超える額に上っているが、その解明が十分でない。  第三は、当面の建設計画における三ヵ年間の投資額五兆四百億円は、昭和五十年代前期経済計画実質成長率六%に対比すれば高度経済成長の踏襲と受け取られるが、その点についての説明が十分でない。  第四は、電電公社の使命は、電気通信を通じて公共福祉を実現することにあるが、たとえば昨年の専用料金の最高六〇%の値下げに見られる大企業優先経営姿勢や、今次料金改定に当たっての逆福祉型の料金改定、すなわち試算によれば、値上げ率住宅用を百度数とした場合七五%、事務用を二百度数とした場合七〇%であって、これは厳しい反省を促さざるを得ないと訴えられ、最後に、全国電気通信労働組合としての提言の大要を次のように述べられております。  一つ、広く利用者各層意見を吸収して経営に反映させるため、中央経営委員会にかえて電気通信監理委員会中央地方及び各県に利用者委員会を設ける。  二つ、健全な経営基盤を確立するため、電話福祉施策等に対する国庫負担産業用通信施設に対する投資産業負担を図る。  三つナショナルミニマム立場に立って、電話料金体系福祉用住宅用企業用の三種類とする。  原陳述人は、独立採算は私企業経営原則であって、公共性と矛盾するものであるが、電電公社は、高度経済成長の中で独立採算によって大きな利潤を上げながら、それを景気主導的ともいえる過大な設備投資に振り向けてきている、にもかかわらず値上げの前になると赤字であると宣伝する、しかし、この赤字はつくり出された見せかけ赤字であるということを第一に指摘しておられます。  その一つは、過大な減価償却であって、昭和五十年度では総事業支出の三分の一に近い七千五百億円に上っている。これは従来定額法によっていたものを、通信施設については昭和三十六年から、また建物などについては昭和四十一年から、それぞれ定率法に変更したことによるものである。また、この膨大な減価償却費資本勘定に組み入れることも問題であって、新しい投資をふやすための内部留保を厚くする手段である。さらに、償却に当たって固定資産耐用年数高度成長期の波に対応して投資計画を拡大するごとに短縮してきているのであって、たとえば電話機の耐用年数が九年であることなど理解に苦しむ年数となっている。アメリカ同業会社ATTにおいてさえ、定額法を採用し、耐用年数わが国の約二倍となっていることに照らしても、償却の過大であることが明らかである。  その二は、設備料経理上の扱い方であって、これは工事費に見合うものであるから、当然に事業収入に計上すべきものであるにもかかわらず、外部資金としてストレートに資本勘定に持っていくのは、収入の隠しであり、会計経理の常識からもとうてい納得できない。  その三は、多額に上る利子であって、過大投資のための資金調達による資本費用までも料金にはね返らせることは全く不当であると主張されております。  次に、第二の論点は、企業に有利な料金体系を問題とするもので、福岡東京間の市外通話料専用料を具体的な数字を挙げて比較しつつ、その不当性を述べられております。  第三は、住宅用電話増加赤字原因となっているという点で、電話の共通的な設備ピーク時の通話をこなすように設計されているが、その時間帯の事務用住宅用通話量の比率はおおむね七対三であるから、重点は事務用にあって、住宅用は従的な設備になっている、しかも、主たるお客である事業が使わない日曜、祭日、夜間等住宅用は多く使っているので、住宅用増加赤字原因であるという説明は当たらないとされております。  第四は、料金原案を決定する公社経営委員会民主化についてであって、委員は、財界人からのみ任命されており、国民意見が反映できない構成となっているので、抜本的な民主的改革が必要であると提言されております。  石川陳述人は、労働組合の役員であることを前提としての陳述であります。  この二年間は、賃金面ではガイドラインあるいはガイドゾーンなど一種の所得政策によって、賃上げをきわめて低い幅に抑え込まれてきているにもかかわらず、相次ぐ公共料金などの値上げ健康保険自己負担分の引き上げなどによって実質賃金は低下し、五%ないし六%の生活水準の切り下げを余儀なくされている実情にあり、このような情勢の中で、電報電話料金の大幅な値上げは納得できないところであって、原則的には反対であるとされております。  しかし、経済原則の観点から考えた場合に、料金改定は絶対に行うべきでないかというと、そこには検討余地があるのではないか、料金設定のなかでさらに工夫する余地はないかとして、次のような提言をされております。  すなわち、料金体系の問題として、電信電話料金は、寝たきり老人や身障者などを対象とする福祉料金勤労者生活水準を維持確保するための勤労者料金企業活動に使われる産業用料金三つの形態が考えられる、そこで、シビルミニマムを包み、勤労者生活を守りながら、企業からの収入を求めることによって、全体として電電公社収入の安定を図ることが可能ではないか、このような方向で専門的立場検討されたいというものであります。  また、その具体的な例示として、次の二点を指摘されております。  第一点は、公社の資料による諸外国との料金比較の中で、市外通話料比較はあえて触れられていないが、最も遠距離の場合は、アメリカの十四倍に対して日本は七十二倍という大きな倍率となっている。企業による利用の多い遠距離を安くすることによって収入増加が図られるのではないか。  第二点は、電電公社技術革新の先兵の役割りを果たし、世界の水準を上回るような技術とシステムを開発しているので、産業活動利用されるデータ通信、これは民間情報産業者外資系業者と競合するものであるから、この商品を積極的に売り出したらどうか、公企体であっても、収益性を高める企業姿勢があってよいのではないか、検討されたいというものであります。  最後に、企業安定的発展は、労使関係正常化経営努力とが相まって達成されるものであるが、民間から見た場合、電電公社労使双方の中には、まだ親方日の丸的な考えが残っているのではないだろうかと疑われる、仮にもし、そのことによるトラブルが経営能率を低下させ、それが料金にはね返るとすれば、国民の迷惑はこの上ないので、一言付言しておきたいと結んでおられます。  次に、賛成意見陳述人三名の意見要旨を申し上げます。  高崎陳述人は、石油ショック以後の経済情勢の変化の中で、電電公社経営が悪化し、四十九、五十年度で約四千九百億円の赤字が発生し、さらに五十三年度までの赤字額も一兆七千億円を超えるという状況にあるので、この際、料金改定によって経営基盤の確立を図ることはやむを得ないとの立場をとるとされ、通話料七円を二十数年間据え置いたことは経営努力技術革新の成果で、物価指数が当時からおおむね三・五倍にもなっているので、これを十円にすることは決して無理ではない、設備料についても、これは加入者財産形成の一部となるものであるから、昭和四十六年に決めた五万円を物価上昇に合わせて八万円に改定するということが悪いという断定的な材料は見当たらない、また、基本料も固定的な収入として経営の基礎を固めるものであって、一部には業務用を高くし、住宅用を安くという意見があるが、私はこの程度格差でよいと思うと述べられております。  次に、減価償却定率法による過大償却であるという意見に対し、電気通信技術は日進月歩であって、利用者の便益を増すためには、あらゆる新技術を取り入れる必要があるので、このような事業の性格上、定率法によるべきであり、定額法による見せかけ赤字減少は、国民の将来の利益を損なうものであるとの見解を示され、また、公共料金福祉型料金であるべきだとの意見に対して、福祉を強調することにもおのずから限界があり、たとえば七円を十円にすることが逆福祉であるとは考えられないとの意見を述べられております。  次に、料金改定のおくれによって関連企業は大きな打撃をこうむっており、九州においても約三百社一万二千人の従業者が脅威を受けている、特に電電公社建設投資は、その波及効果が大きく、景気回復水揚げポンプ役割りを果たすものであるので、この際拙速主義でこの改定案が成立することを要望すると強調されております。  しかし、今回の値上げとは別個に、料金決定原則明確化寝たきり老人などの電話福祉対策市外通話距離別格差是正、「チチキトク」など緊急用電報料金の据え置きなどについて、漸進的に検討実施することを提案されております。  上田陳述人は、農村生活改善コンサルタントとして十年間の体験の上に立った意見陳述であります。  最近では、農村のどんな山間僻地でも、電話とテレビの普及によって陸の孤島はなくなっており、農村地域においての電話の効用ははかり知れないものがある。たとえば、農産物の販売出荷調整連絡手段として欠くことのできない連絡手段であり、営農の指導の面でも、霜が降るからむしろをかけなさいというような連絡ども電話で手軽に済まされ、また、私の仕事の中の健康管理についても、一度面接した後は電話によって事後指導ができるなど、非常に能率の向上に役立っている。  昭和三十年以来の高度経済成長によって、九州農村から基幹労働力東京大阪方面に流出して、いわゆる三ちゃん留守家族になっているが、これら留守家族人たちも私どもの調査では、その七四・三%が万一の場合は電話があるから心配はないという回答が寄せられている。また、台風など災害の多い九州農村で、非常用無線電話が設置されたことは住民に大きい安心感を与えている、などの事例を挙げられ、このように農村こそ電話必要性が高いにもかかわらず、福岡県では磁石式局が三十七局も残っており、地集電話が二万五千もあって非常におくれていると思う。  したがって、値上げを歓迎するものではないが、二十三年間も七円に据え置かれたことは大変な企業努力によるものなので、バスの最低区間六十円、往復百二十円に比較すれば十円は決して高いという実感はない、むしろ一刻も早く料金改定を行って、もっと電話の利便を受けられるようになることが望ましいと述べられております。  また、電報についても、記録性の点などからその必要性を認めておられます。  ただし、料金値上げについては、地集電話の不便の解消、加入区域の拡大、祝日の通話料の割引きなど、気安くコミュニケーションができ、心の通い合いが深められるための措置を要望するとの条件を付されております。  兼尾陳述人は、次の三点に要約して意見陳述しておられます。  第一は、今回の料金改定を全般的にどう考えるかという問題でありまして、公共企業といえども独立採算として収支相償うことは必要であり、電報電話料金石油ショック以後の新物価体系の中に組み入れられていないので、今回の改定はやむを得ないものと受けとめているとの立場を明らかにされ、事務用住宅用格差を広げるべきであるとの意見に対しては、わが国の場合には企業の中に中小、零細なものが圧倒的に多いので、この程度格差で公平を欠くとは言えない、また、定率法による減価償却は、技術革新のテンポから見て当然に必要である、なお、福祉料金の問題については、個々の企業等負担としてではなく、総合的な所得政策の問題としてとらえるべきであるとの見解を述べられております。  第二は、九州という地域的立場からの所見であります。九州全国比において人口、面積が一一%であるのに対し、電話数は一〇%であって、離島を多く持っている特殊事情からもこの格差是正は切実な問題である、その上、国土の均衡的発展のための人口地方分散によって、今後二百万人ないし三百万人の自然増が予想され、そのためにも生活基盤産業基盤の充実を図る上に電話など通信施設の拡充が必要である、また、当面の問題として不況からの立ち直りも九州は全国的に見ておくれているが、電電公社建設投資額は全九州のそれの一割以上を占めているので、景気早期回復のためにも、また、料金改定のおくれによって苦難に陥っている関連業界への救済のためにも、この法案早期な成立をお願いしたいと要望されております。  第三は、料金改定実施後における検討課題でありまして、ピーク時に見合う設備を効率的に使うために、時間帯別料金制度を導入して収入増加を図ること、電報赤字減少のために、慶弔電報値上げ幅をさらに大きくすること、台風など災害時における安全性を確保するための防災通信対策を強化すること、平素のPRが不足しているので利用者理解を深める配意が必要であること、などについて提唱されております。  なお、陳述人役職名等は、朗読を省略して別紙として提出いたしますので、末尾に掲載されることをお願いをして、私の報告といたします。
  3. 森勝治

    委員長森勝治君) これより本案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 青島幸男

    青島幸男君 もう当委員会におきましても本法案につきましては、専門的なお立場から皆様かなり深く検討なされまして、私はもとより専門的な知識もございませんが、しかしながら、ユーザーとしては日ごろ電話のご厄介になっておる者の一人でございます。ユーザー立場から主に本法案について、日ごろ疑問に思っております問題の幾つかを御質問申し上げたいと思います。  本法案審議に先立ちまして、私のところへ奇妙な陳情と申しますか、問い合わせというのが参りましたので、その点からお尋ねしたいと思うんです。  先般、本法案が衆議院を通過いたしました際に、もうこれはやがては事実上値上げがあるんではなかろうかと感じました一人のユーザーが、局へ電話をいたしまして、今度電話料金が上がるそうだけれども度数は七円が十円になる、それから基本料が倍になると言うんだけれども、支払いの期日がそれぞれ違うわけだから、たとえば十二月一日に本法案が発効をして、その日から料金改定されるとすると、十一月二十日から十二月二十日までを一つ料金の期間として納入している場合には、値上げした料金と旧料金が重なり合うわけですが、その際に、それはどういうふうに計算をするのかという問い合わせをしたところ、その局では、日割り計算するんだと。  日割り計算するならば、増加分を三十日で割って、まあ二十日勘定でしたらそのうちの二十日分を払えばいいのか、あるいはその七円の増加分についても、いつから、どういう決めで増額分を払うのかという問い合わせをしたところ、あなたはどなたですか、どういう趣旨でそういうことをお尋ねなんですか、特定の個人にそういうことをお教えすることはできないという返事を受けて、その方は大変憤慨なさいまして、再三電話をしたところ、ちょっと待ってくださいと言って係が何人か交代をして、再三説明をしたあげくに、本局問い合わせてくれと、本局問い合わせますと、なるほどそれに似た返事が返ってきている。しかし、それでは十一月三十日の十一時五十八分から十二月一日の零時四分までにわたって話した通話はどういうふうに計算をするのかというふうなことを問い合わしたことに対しまして、明瞭な返答がないばかりか、不信感と言いますか、どうしてそういうことを根掘り葉掘り聞くのかというようなことで、むしろおしかりを受けるというふうな感じになった。これは大変私にとっては不本意だというようなことを申しておりました。  ただいまの陳述に対しまして、明確な御返答がいただけると私もすっきりするんですが、お願いいたします。
  5. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) そういう岡い合わせに対するお答えが、いま先生のおっしゃいましたように、いわば官僚的な、あるいは態度が非常に悪かった点につきましては、おわびをいたします。  実は、この法律がまだ御審議中でございますので、私どもも軽々にその事務手続現場の方に連絡をするということはいささかどうかと思って差し控えておりますが、いま御質問のありました通話料につきましては、この法律改正法経過措置というところがございまして、経過措置の第二項によりまして、先生おっしゃいましたように、仮に十一月一日からこれが発効するといたしまして、その料金月が十月の二十一日から十一月の二十日までの方は、十一月二十日までは旧料金、七円で計算いたします。それだけまあ具体的に申しましてサービスをいたしまして、次の料金月、つまり十一月二十一日から始まるときに新料金の十円でいただくと、こういうぐあいにいたすつもりでございますが、これを、まだ法案審議中不謹慎のお怒りがあってもいかがかと思いますので、詳しく現場には話しておりません。そのために、いま申しましたように、小さな局ではまだ適切な応対ができなかったのじゃないかと思います。その点ははなはだ不行き届きで、深くおわびをいたします。
  6. 青島幸男

    青島幸男君 なるほど、国鉄さんのように早々ともう新料金の切符を刷ったり、自動販売機の印刷や塗装を塗りかえたりしてしまっているというのも、まあユーザー側にとってはうれしい話じゃないと思うんですね。上がるかどうかもわからないのに、今度上がると言ったらこういうふうにしろということを、末端の会計の任に当たっている方々に周知徹底してしまうというのもどうかと思うんですけれども、実際に、それぞれの事業所なり家庭なりで帳簿を担当していらっしゃる方については、今後どうなるのかということはわりあい関心の深いことだと思うのです。いまおっしゃられたようなサービスに徹せられるのはいいんですけれども、もともとは値上げをしてもらうのは赤字を埋めるためで、そうすると、法案が通らないと日に何億という欠損につながるんだというようなことなら、一銭も損のないようにきちっと取り立てるというのが筋ではないかという気もいたします。しかし、国鉄の定期券などは、値上げの前に買って、しかも六ヵ月もそのままの料金で通用するなんというようなところから考えますと、その程度サービスがあってもしかるべきだと私も思います。  しかし、経過措置ということでもいきなり料金が変わると、それからいままで十何年ですか、二十何年ですか、料金を上げていらっしゃらないし、料金が上がるということに対する事務上の手続の、あるいは扱いのやり方がおなれになっていらっしゃらないから、そういう不備が出てくることもあるかもしれませんけれども、新料金になるときには、適切な期間を設けて十分に趣旨を徹底して、ユーザーの方々に御理解をいただいて、混乱のないようにしなければならないはずですし、それから、それでなくとも会計月、あるいはその締めを順繰りにずらしてあるということは、一挙に事務が繁雑にならないようにしてあるわけでしょう。そうなりますと、なおさら料金改定の折に事務が繁雑になって、そのためにミスが起こったりすると、要らぬ誤解のためにまずユーザーの方に大変迷惑をかけることになりますし、その辺の手当てはどういうふうになっているのかということ、大変気になりますのでお尋ね申し上げます。
  7. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは今度、現在御審議をいただいております法律案が国会で成立をいたしました後、公布という手続を経まして、公布の翌日から施行するということになっております。したがいまして、成立から公布までの期間がございます。この期間の間にいろいろなことをいたさなくちゃいけないわけでございまして、たとえば関連の認可料金の御認可をいただくという手続もやります。いま先生御指摘の通話料につきましても、その期間の間にいま問題になっておりますそういう小局あたりに対する事務指導を急いでやります。これはわりあいにそう御心配になるほどむずかしい問題じゃないと申しますのは、度数というものは毎年いままではかっておるものと全く同じでございます。それを掛け算をするのに七を掛けるか、十を掛けるか、こういう違いでございます。  ただ、先ほど先生いみじくも御指摘になりましたように、十一月の三十日の夜からかけ始めて十二月一日の朝までかけていた通話はどうなるかというような問題はございますが、それは先ほど御説明いたしましたように、料金月の関係で、そういうものは経過措置で一回限り旧料金サービスをさしていただきますので、事務的な手続はわりあい簡単にできると思うんです。ただ、それをお送りいたしますときに、請求書に、これは旧料金でいただきましたと、あるいは来月から新料金でいただきます。新料金の内訳はこういうことで七円が十円になりますと、こういうことをいまの例で申しますと十一月二十一日に発行いたします請求書の中に入れまして、そして個々の加入者にもあらかじめ御周知をいただきたいと、こういうぐあいに思っております。その点は国鉄のように、私どもの方は毎日毎日お客さんがおいでになってお金をいただくというのと違いまして、月に一遍の請求、支払いでございますから、わりあい加入者の方にも時間的な余裕を持って周知ができると思っております。そういう段取り、内々の準備は本社で研究して、いつでも発動できるようにはいたしております。
  8. 青島幸男

    青島幸男君 値上げについてのPRを、ユーザーから取った料金で行うというのも、はなはだやりにくいことかもしれないんですけれども、しかし、誤解のためにいやな思いをお互いしなきゃならないというようなことを避けるためには、やっぱりきちっとした手だてを周知しないとどうにもならないと思うんです。その点は遺漏のなきように御配慮をいただけるものと思いますけれども、それでは、いまの陳情者に対しては私はそのようにお答えしておきますんで、ありがとうございました。  さて、七円が十円になるんだから大した値上げじゃないじゃないかというようなかっこうのPRをなさっていらっしゃるし、陳述人として公聴会へおいでいただいた方の中にもそういう御意見がありました。バス代その他から比べてわりあい安いじゃないか、物価値上がりの折からこのぐらいは仕方がないというようなふうにお受け取りになる方もあるわけですけれども、しかし、それまで、四十六年以前は同一通話区域内では何時間かけても同じ料金であったわけでして、あのときの説明も、三分以上電話をかけるのは実はおかしいことなんであって、電話というのは通常三分以内で終わるのが普通だと、それ以上かけるのはばかなんだというようなことをおっしゃっておられる趣旨でございましたし、八〇%以上が三十分以内に終わっておるという事実もあるし、そのために話し中がなくなるんだから電話の効率が上がって、ユーザーの方はそれだけ便利になるじゃないかというようなお話もありました。  しかし、その上にしかも三分ごとに七円加算するということの増収は、他に広域時分制の中で消化するのだから、増収にはならないんだという御説明もありましたけれども、この辺がかなり納得のいかない部分でして、ということは、ユーザー立場からすれば、実質的に公社の中で増収にはならなくとも、使う立場からすればこれは値上がりなんです。実際値上がりにはならないんだというようなまやかしの中に値上げを実行されたということに対して、私は大変憤りを持ちました。それで、何でも効率的に事が運びさえすればそれでいいんだというのは、余りにも人間性を疎外した話ではなかろうか。人間の交流を妨げるからして人心の荒廃に結びつくというようなことで、前井出郵政大臣とこの間でかなり御議論を申し上げたことがありますけれども、あれもいまだに私は根に持っておりまして、納得しておりません。ああいうまやかしみたいなもので、値上げのかまびすしい折から実質的値上げに結びつけていったというような考え方が、今回もあるんではなかろうかという疑心暗鬼にならざるを得ないわけですね、七円が十円になるというだけだということ。  何回も当委員会でも出たわけですけれども、平均的な、家庭電話ユーザー基本料金と使用頻度というのはどの程度なんですか。
  9. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 住宅電話基本料金の平均は大体八百円でございます。それから平均の通話度数は一ヵ月二百六十度、これが平均でございます。
  10. 青島幸男

    青島幸男君 八百円が今度倍になるわけですね、五十二年度以降。それから七円が十円になります。そうしますと、ちょっと計算していただきたいんですけれども、旧料金で八百円の基本料で七円で二百六十回かけますね、そうするといままで幾ら払ったら済んだわけですか。
  11. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 二百六十度掛ける七でございますから、千八百二十円ですか。恐らく先生の御質問こういうことだと思うんですが、現在の住宅電話の平均の方が、基本料通話回数もそのままとして、この新しい料金体系を適用になったらば何%ぐらい上がるかと、こういう御質問だろうと思うんです。それは大体六〇%でございます。つまり値上がりしたために通話を少しセーブするとか、そういうことはなくて、いままでどおり通話をされるということになりますと、いまのケースの場合は六〇%になります。
  12. 青島幸男

    青島幸男君 話が繁雑になりますからわかりやすい例でしますと、基本料金千三百円、それで百回の頻度としますね、そういうケースありますでしょう。そうしますと、千三百円の基本料金に月百回かけるわけで、七円でしたから七百円になるわけですね。そうすると、いままでの旧料金ですと総額二千円払えばよかったわけですね。それが三円増しになります。しかも基本料金は倍になりますと、千三百円の二倍で二千六百円ですね。それで十円掛ける百回ですからこれは千円になるわけです。三千六百円払わなきゃならないわけですね。そうすると、いままで二千円で済んでいたところが三千六百円払うということになりますと、八割上がったことになるんじゃないですか。そうすると、とても七円が十円になるだけの話だよという理屈とは、おっしゃり方とは事実上はなはだそぐわない。いままでうちは二千円払ってたら済んだのに、今度は三千六百円かい、七円が十円になるという話とばかに違うじゃないかという感覚をお持ちになってもいたし方ないですね。しかも、八〇%は三分以内だということをおっしゃるのは、それは結構だと思う。しかし、残りの二〇%はどの程度の使用時間であったかということのデータをお持ちですか。
  13. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いろいろな御質問が出ましたが、千三百円というケースを引っ張りますと、これは事務用基本料金になります。それで一番極端に申しますと、住宅用でもいまのような御計算をなさいますと、また、そういうケースも事実あると思うんでございますが、八百円の住宅用基本料で一回も通話をしない人が一番いい例だと思うんでございますが、これは明らかにいままでよりは二倍になります。ですから最高二倍から、まあ住宅電話で言えば平均六〇%の間にまだ散らばりがあるわけなんですね。これはやはり、基本料というものはかけてもかけなくても取られるという感じから、その部分が大きく占めるか、通話料のように、かけた回数に応じて取る部分が多く占めるかによって非常に違うわけでございますが、一番極端に言えば、先ほど申し上げたように、全然通話しないで、基本料だけで払っておられる加入者という方もおられます。そういう方は二倍になるわけですね。これはもう明らかでございます。ですからこの料金値上げにつきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、七円から十円になるだけですというような単純な言い方は、私どもいたしておりません。また、そういうぐあいにも思っておらないわけであります。  それから、先ほどの三分以内が八〇%というのは、これは広域時分制のときも話をいたしました。その先はどうなっているか、その当時の資料はあったんです。ちょっといま私、手元に持っておりませんが、大体大ざっぱに分けて、残りの一六%に対してそれは大体どのぐらいだというのも当時はございました。いまちょっと私、手元にございませんが、五、六年前の資料であればあったように記憶しております。
  14. 青島幸男

    青島幸男君 いまはないわけですね。
  15. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いま手元にございません。
  16. 青島幸男

    青島幸男君 最近、大変電話を身近に感じておりまして、私どもの娘などは——私どもの例を出して恐縮ですけれども、延々一時間ぐらいかけていることは間々ありますね。私も気が小さいんで、タクシーなんかに乗っておりましても、カチャン、カチャンとメーターが上がるたんびに肝を冷やすんです。娘が長電話をかけていると、もうあれで何分ぐらいかけているから幾らになるんじゃないかと、まあ親の立場になってみますと、娘の長電話というのは相手のいかんにかかわらず大変気になるのも事実ですけれども、それ以上に料金が非常に強迫的な気分になるわけですよ。そこで、三分を超える通話の内容はおおむね十分以上になるでしょうね、それは三十分、一時間というのは異例のことかもしれませんけれども。そうすると、三分を超えた分を大体おおむね十分として計算しますと、それはまた大変な金額になってきますよ、試算してみましたら。  それで、なおかつ最近では、都市集中型に人口が動いておりますし、よってもって都市の近郊に住宅地ができますね。そうすると、都市に集中しておいでになっている方々は大抵郷里をお持ちになっている。郷里との連絡も頻繁になるでしょう。まして職と住がかけ離れて新興のベッドタウンというのはおおむね市外区域になります。そうすると、同一通話区域内でないところの方が多くなるわけですね、比率が。そうなりますと、一々市外をかけるということで計算して、先ほどの例でいきますと倍以上に当たります、その二〇%が十分を超えるという計算にしますと。しかも、いままで郷里に二度電話をかけていた、いままで郷里にかけているのは七円で計算していたわけですね、基本料。今度十円になるわけでしょう。そうすると、たとえばいつも公社でおっしゃられる七十二倍になるわけですね、一番高いところは。七十二倍にしますと、十分間で一番遠い、格差のあるところへ十分かけたという前提で計算しますと幾らになりますか。旧料金との差です。
  17. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 東京から九州の一番遠いところまでかけますと、従来は十分間千六百八十円でございました。これが二千四百円になりまして、四三%のアップになります。
  18. 青島幸男

    青島幸男君 そうしますと、大体郷里に二度かけていたと、一般の家庭の方が。そうすると、大体三千円か三千三百円ぐらいですか、それが五千円以上になるわけです。加算されるわけですね。そうなりますと、いままで大体四千円で済んでいたのが七千円、八千円と払わなきゃならなくなるわけですね、旧料金から考えると。そうしますと、十二万円の家計費でやりくりしていた御家庭にとって、四千円が七千円になるということ、その三千円のアップというのはどんなに手痛く響くかということをお考えいただかなきゃならぬわけです。だから基本料をささやかに倍にしていただきます、これはかけてもかけなくても同じですと、しかも度数料につきましては七円が十円になるだけですという、そういうPRのなさり方と、実際にお支払いに行った方が、あるいは請求書を受け取った方が感じられる考えとかなり隔たりがあるように私は感じますね。この辺のギャップを上手に埋めていきませんと、まただまされたというふうにユーザーがお思いになって、これはあなた方のお考えとはまるで違った反応を得るようなことになるんじゃないかという気がしますけど、いかがですか。
  19. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは基本料の部分と通話料の部分とに分けて考えていただきますと、通話料の部分については、もう七円から十円になるというのは、非常に金額的には三円というわずかなように見えますが、パーセンテージにすると四三%でございます。ですから通話料の体系については、もうどこへかけられても従来と同じ回数かけられておれば、四三%アップということは変わりないわけでございます。その部分が少なければ少ないほど今度は、基本料の方はかけようとかけまいと取られるわけですから、全体としての上がり率は高くなるわけです。その点を御理解いただきますと、私は先ほどから申し上げておりますように、まあ確かに青島先生、この前の広域時分制のときも私横で聞いておりましたが、井出大臣と非常に哲学的論争をしておられましたが、受け取られる側は人によって多少私は違うと思います。  ただ、しかしあのときに、まあだまされたという御表現はいかがかと思いますが、従来無制限であったのが三分七円になったというところと、それから、従来八十秒七円であったところが三分七円になったと、つまり値下がりしました。半分以下に値下がりをしたというところの加入者の数から申しますと、私は全国的には地方を含めて後の値下がり感の強い加入者の方が多い。これは加入者数から言いまして多いんです。ただ、東京の方ですからね、三分にしたら上がった方が。で、上がった方が東京の方でございますし、また、青島先生のようなわりあい行動力のある先生が多いものですから、いわゆる声なき声というのはあんまり出てきませんけれども、田舎へ参りますと、確かにあのときの広域時分制では値下がりをしたという声は私どもの耳には相当入ります、あのときの問題といたしまして。したがって、まあ今度とはちょっとケースが違いますが、今度も私どもは確かにそういう意味で七円が十円になったという簡単な——十円という金額は確かに安い金額でございますが、上がり率が四三%になったと、それから極端に言えば、通話を全然しない方は二倍になるということはよくわきまえて、PRなんかにも気は配っておるつもりでございます。
  20. 青島幸男

    青島幸男君 私も不注意で、あるいはわりあい得手勝手でして、東京に住んでいてそういう実態をしかとらえてないから、私ばかり損をするんじゃないかというような考え方に陥るという傾向もあるかもしれません。しかし、PRの仕方としては、その辺のところを十分にしませんと、そういう誤解を生むケースもありますよ。ですから、値下がりして喜んでおられる方もかなりおいでになるというようなことも、それは声を大にしておっしゃる方がいいかもしれません。そういうふうにすべての人間に誤解がないような行き届いたPRの仕方をなさるようにお気をつけになりませんと、むだな誤解を招くんではないかという気もいたしますし、それから、いままでの支払い電話料金の請求書について、家庭でもめるというケースがあるかもしれません。  おまえがばかな長電話をするから、電話料がかさんでしょうがないというようなことになるかもしれませんね。そうすると、月に二回郷里の父親のところに電話をかけてごきげん伺いをしておったけれども、これはやめようじゃないかということになって、それから同一通話区域でないから、会社がきょうは遅くなるよとか、事務所へ泊まるよとかいう電話ももう少し控えておこうということになりますと、田舎の父親はひがんで病気になっちまうし、女房はつまらないことで気を回してヒステリーで子供連れて出ていっちまって、だんなはノイローゼになって会社もやめるようなことになって一家離散ということになったら、それは遠藤さんのせいですよ、本当に、こういうやり方をとったら。  ですから、それは冗談事はともかくとしまして、いままでの公社のPRのやり方がユーザーの方々に親切なようになされていれば、正当に理解が行き届いて御協力いただけるところも、そうでないようなところに陥ってしまうケースもあります。現に私、当委員会におりましても、その辺のところは十分に理解してないわけですから、それは頭の悪いせいもありますけれども、その辺を今度の値上げにつきまして総裁からこのPRのあり方いかんですね、あるいはどうやったらユーザーの方々に、喜んで値上げに協力する方おいでにならないと思いますけれども、まあ御理解いただけるようにしたらいいかということも、こういう点からまず承りたいと思います。
  21. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま御指摘のありましたように、電信電話を使う、いま電話が対象になっていますけれども電話を使う方に実情をよく把握していただくということにつきましては、この法案が通りましたら直ちに十分な措置を講じたいと思います。いろいろ御注意ございましたが、確かに表現といいますか、いろいろやり方、公社はどっちかといいますとやはり出が電気通信省から、役所から来ておるものでございますから、私、PRが決してうまくいっていると思いませんけれども、十分注意して進みたいと思います。
  22. 青島幸男

    青島幸男君 そのようにしていただかないと、ユーザーの方はまただまされたというようなかっこうのお気持ちになられることは、ユーザーの方にしても公社にしてもそれはおもしろくないことですから、そのように御努力いただきたいと思いますけれども、そのことは、特にもしこの法案が不幸にして通るようなことがありましたら、そのようにひとつお気遣いをいただきたいということを要望しておきます。  それからもう一つユーザーとしての不満と申しますか、疑問なんですけれども、百円硬貨を使用してかける公衆電話がありますね、あれはおつりが戻ってこないんです、おつりといいますか、余った分が。あれは大変不親切な感じが私するんです。  たとえば、私の秘書は郷里が宇和島でございまして、かなりのスピードで料金加算される。それで、まず持ち合わせの百円玉を投入いたしまして、一回入れてかけたところが、先方が間違ったうちにかかってしまった。つまりプッシュホンになっているわけですけれども、あのプッシュホンが小さくて使いなれていないと押し間違いが多い。しかも縦型についてますから、こういう扱いじゃないわけですね、こういうふうに押すんですね。そうすると、宇和島あたりになると、私もよくわかりませんが、局番が十一けたにわたるそうですね。常識的に考えましても、手帳に書かれた細かい数字を多少老眼ぎみの私どもの年齢の者が押すわけですね。ピッパカプッパカ音がするもんですから、あわてるわけですよ、あれは。それで違ううちへかかってしまうというケースが間々あると思うんです。それで、それは違います、あっ失礼しました、ガチャンと。おつりが出てこないから百円損ですね。  それで、今度は間違えないようにしようというので、改めて百円玉を入れて、とつおいつかけてやっと向こうに通じて、それで通話をしたい本人の所在を確かめると、いま探してきますからちょっと待ってください、待っている間にことんと切れてしまうんですね。それで仕方がないから、用を足さないからもう一回かけようかというと、持ち合わせがない。五千円札、一万円札しかない場合に、たばこ屋へ行ってチューインガムで崩してもらうというわけにはいかない。本人はパイプたばこしか吸わないのに、ハイライトなり何かを買うわけです、百五十円ぐらいのたばこ。それで、この次は間違えないようにというので入れますね。それでやっとかかって、本人はどうしました、いまいません、ガチャンと切れると、これは都合四百五十円を費して実効成らずですよ。ほんの数秒で本人いません、ガチャんでおつりがこないわけですから。  そうなりますと、よく最近、コインを乗せると、かぱっと取られるゲームのおもちゃがありますけれども、あれにひっかかったみたいな感じがして、実に不満だったということを申しておりました。こういう機械を平気でこしらえてそこらに置いておいて、不当利得を得ているんじゃないかということで大変憤慨しておりましたけれども、この辺どうお考えなんですか。
  23. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは青島先生お口が悪いのかどうかわかりませんが、これは実は大変むずかしいので、あそこに注意書きが書いてあるのをよくゆっくりお読みになれば、いまのケースは絶対起こらないんです。と申しますのは、あの百円公衆は百円玉のほかに十円を入れるところがございます。六枚まで入ります。そこに最初十円玉で入れられて、相手が遠藤かどうかを確かめられて、しかも御本人かどうかを確かめられて、そしてあれすれば十円で済むわけですね。あるいは二十円ぐらいで済むわけです。それを確かめた上で、今度百円を継続してお入れになって本格的な通話に入られると、こういうぐあいにしていただくようにということをあそこに書いておるんですが、なかなかそれが長文になりますので、あるいはおわかりにくい点があるかもわかりません。もしそういう点がございましたら私どもは改めたいと思いますが、そういう注意を十分していただくということが一つ。  それからまた、百円公衆はできるだけ何といいますか、普通の赤電話が横にあるところに置くようにしております。それで、そうでない方、余り遠くでなくてという方には普通の赤電話でかけられるように、つまり、おつりの問題が出ないようにというようなところに置くように指導をいたしております。ですから、そういうケースは非常に珍しいケースだと思いますが、ふなれの場合にはそういうことがございますので、電話機のところに書いておりますPRの文句なんかが不十分でございましたら、私どもの方も十分注意さしていただきます。そういう何かインチキな機械とは全然違うわけです。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
  24. 青島幸男

    青島幸男君 それは私同様かなり軽卒な男ですから、そういう間違いを恐らく犯したのは本人が悪いんだろうとも思いますけれども、私も確かめに行ってまいりましたら、なるほどおっしゃるとおり書いてございますね。しかし、公衆電話からそんな長距離へ電話をかけるという際は、かなり緊急あるいはあわてているわけですね。そうなりますと、ポケットに入っている小銭など確かめずに行くケースもありますわ。それから、十円がなくて百円玉だけでも、いまのようなケースは起こり得ますね。そうなりますと、やっぱりユーザー本位にあの機械ができているんではないんじゃないかという疑念を持ってもいたし方ない部分もかなりあるんじゃないか。やはりもう少し明確にあれは明示なさった方がいいような気がいたします。  それから、プッシュホンの普及に努めた結果、テレビを通じてかなり長いことPRなすっていらっしゃいましたし、あるいは活字メディアでも、雑誌、新聞等にもかなり綿密なPRをなすっておいでになりましたけれども、あのプッシュホンをあれだけ普及せしめるということで、公社はどういう実利あるいは実損を得られているのか、御説明いただきたいと思います。
  25. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) プッシュホンの一つのメリットといいますか、一つのあれは、先般来るる申し上げておりますように、普通の電話機と違ってある意味でデータ通信といいますか、データ通信の端末機という両方の性格を持っておるということをもう少しわかっていただいて、そしてあれが普通の通話のほかに、たとえばまだいまは少のうございますけれども、新幹線のあれですとか、近く始めたいと思っております馬券の購入ですね、場外馬券の、そういったようなことに使えるということを普及する、いわゆるコンピューター、あるいはそれに伴う端末の操作に一般大衆の方になれていただくというのが一つの目的。  それから、通話といたしましては、プッシュホンをお使いになりました方が、これは原因は必ずしも定かでないのですが、昔の黒電話からプッシュホンにおかえになりますと、通話料が大体平均二、三〇%上がっております。そういう意味で具体的に通話料が上がるというのは、原因はこれはわかりませんのですが、もともと通話量の多い方がプッシュホンをお使いになるケースもございますが、その方々にいたしましても、プッシュホンにかわりました後そういうケースが統計的に出ております。したがって、実際的にも公社としてはメリットがあると、こういうぐあいに考えております。
  26. 青島幸男

    青島幸男君 プッシュホンの御説明はよくわかりました。ですから、プッシュホンをあれだけ普及せしめたという事実が、公社経理上どんな利害をもたらしたかということをお尋ねしているわけです。
  27. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ですから、通話料として二、三割程度増収になっておるということであります、古い型の電話機を使っておるところより。
  28. 青島幸男

    青島幸男君 私、かねがね考えますのは、テレビ等でもかなりの頻度でPRをなさっておいでになりましたし、かなり莫大な宣伝費をお使いになっていると私思います。当然それに見合った分の増収なんというのは図れっこないというふうに私考えますから重ねてお尋ねしているのですけれども。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  29. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) そういう意味では、通話料がふえるというのは毎月の通話料で継続的でございますから、私も正確に計算はしておりませんが、PR経費としてプッシュホンの広告経費として使った金額と増収金額との対比は、私は計算はしておりませんが、そう赤字にはなっておらないんじゃないかと、こう思います。しかし、なおこれは正確に計算をさしてみます。
  30. 青島幸男

    青島幸男君 その辺が実は私は大変腹立たしいことでして、そんな計算値上げも何もないですよ。そんなずさんな経営者ってないでしょう。そんなずさんなことだったら屋台のおでん屋もできませんよ、本当に。プッシュホンというのは外観は確かにモダンですよ、それで扱いも楽しいかもしれませんね。その点通話量はふえるかもしれないけれども、あれはいまのところある種の嗜好品ですよ。実際に新幹線の予約はできるかもしれませんけれども、前々日か前日しかないわけですね。やってみても事実上とれたためしはないですよ、あれ。それからプッシュホンを持っている御家庭がすべてロケットを打ち上げたり橋をかけたりしているんじゃないのですから、そういう天文学的な数値にわたって複雑な計算を必要とする方がお持ちになっているとは限らないし、そんなにすばらしいものであっても、それは宝の持ちぐされですよ。  それは確かに一時、隣の自動車よりうちの方は大きく見えますとか、時速二百八十キロ出る自動車がもてはやされたときもありますけれども、実際にそんな自動車を買ったって走れるところはないわけですから。他と比べてそれを持つことに意味を持っている人はいいですよ。うちの電話機は電子計算機と直結していて、すごい、かなり高度の計算もできるんだよということは、ミンクのコートを持っているんだよということと同じような結果で、実際には使用してないわけでしょう、そんなに頻繁には。ですから、あんな不経済なもので、しかもああいう欺瞞、はっきり言えば欺瞞的なもので、しかもあんなに莫大な経費を使って、しかも収支とんとんに相償っているか、経費倒れになっているか、その辺も明確にわからないといまおっしゃられるわけだから、そんなことで運営ができるんですかということを私は申し上げたい。
  31. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私はいま言葉がちょっと足りなかったんですが、私ども増収額はわかっておるのです。ただ、プッシュホンそのものにどれだけ広告費を使ったかという計算を、ちょっとここであれですが、私は明らかに黒字になっておると思うのです。現在プッシュホン全体で百五十万ございますが、全体で伸びておることは事実なんでございますけれども、今年度売った四十四万というものに対応いたしまして、いまの二割ぐらい実際通話料がふえております。これを平均の通話料であれして計算しますと、大体年間に十九億四千万ぐらいの増収率になるわけです。これは先生もう、私もそうびんとくるんですが、十九億何千万という金額をプッシュホンの広告代に使ったはずはございません。しかし、果たして幾ら使ったかということを、いまここで手持ちの数字はございませんので、そういう意味で、これは明らかに黒字になっておるし、広告をした価値はあると、私も現在思っておるのですが、プッシュホンそのものに一体幾ら使ったかということは、ちょっと手持ち数字がないので、その辺が明確にお答えできない。しかし、十九億ないし二十億に近い金額の広告費でないことは、これは明らかでございます。
  32. 青島幸男

    青島幸男君 いずれにしても、明確なお答えがいただけないということですね。グラハム・ベルが発明して以来、あの電話というのはダイヤル式の送受信機で必要かつ十分だと私は思っています、将来にわたっての展望はわかりませんけれども。別の用途の使い道を実験室でなさるなら幾らなすっても結構ですよ。しかし、ああいう嗜好品に似たものをあれだけのPRをして普及せしめようとした努力、しかも、こういうものはいいもんなんですよ、隣の自動車より大きい、隣のうちの電話機よりきれいなもの、便利な能力を秘めたものをお買いになったらどうですかという言い方でPRなさることよりも、公社の使命というのは一般国民福祉増進ということを一義に考えなきゃならないわけですからね。嗜好品めいたものに重点を置くよりも、少しでも一般の電話が安く、便利に、的確に通ずるようにお考えになることの方が先じゃないんですかと申し上げているのですよ。  輸送にしても、的確に、安全に輸送することの方が第一でしてね、他より大きかったり他より早く走ったりすることを考えるのは一般の企業が考えればいいことでありまして、公社が率先考えるべき筋合いのものではないでしょうということを、総裁、申し上げているのですよ。ですからいままで、あのピッポッパがどんなに可能性を秘めているものであっても、一般の家庭につけられた場合には、それは何千分の一、何万分の一も効果を発揮していないじゃないか。しかも嗜好品みたいなかっこうで、宣伝のあり方もそうですよ、短く短くピッポッパって、ピッポッパと通じやしないんですよ、あれ。実際には交換機はゆっくり働いているわけでしょう。ですから、七つ回すところ三つで済むということはありますわね。しかし、交換機は同じスピードで回っているんだから早く通じるわけじゃないんでしょう。そういうようなことは、少なくとも公益を一義にする公社がとる態度ではなかったんではなかろうか。あのプッシュホンの普及の、しかもあのやり方は皆さんの失敗ではなかったかということを私は問いたいんですけれども、どうですか。
  33. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  プッシュホンにつきましてはいろいろ御批判ございます。たとえば、いつかこの委員会でも、プッシュホンにした方が早く電話がつくというようなことを現場で言ったとかいうようなことがありました。これは非常によくないということで、それは改めました。先ほど遠藤総務理事が答えましたように、プッシュホン自身、これはあんまり外国のこと引くとしかられるんですが、日本の発明じゃなくてアメリカとか、そういう外国のまねでございまして、何といいますか、ダイヤルよりも確かに、ダイヤルにもいろいろなスピードのやつがございますけれども、あれは接続の方は確かに早い、これが一つのメリットでございます。それからもう一つは短縮ダイヤルができる。遠距離にかけるときに三数字でかけられる、こういうメリットがございます。また、通話の方でも、そういう住宅用につけたような場合、あるいは事務用につけた場合にも、いままでの電話に比べまして二〇%ぐらいトラフィックがふえるという、そういう現象が起こっております。しかし、確かにPRの面におきましては、私ども確かに問題があると思いますので、そういう点につきましては十分注意していきたいと思います。
  34. 青島幸男

    青島幸男君 今後の注意もそれは無論ですけれども、あの時点で、いまあんまりやりませんけれども、あれは結局失敗だったし、効率的でないからおやめになったんじゃないんですか。あれがもしPRを始めたころの趣旨にのっとって、非常に円滑かつ有効に働いておるということだったら、いままで続けているんじゃないですか、PR。一わたり行き渡ったからもうそれでいいというお考えなんですか。それはどういうことなんでしょうか。
  35. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) どちらかというと後の方でございます。私の方もいろいろ、いまはたとえばキャッチホンというようなことをやったり、毎年毎年その年の商品の宣伝は広告経費の中でやらしておりますが、五年も十年も続ければお怒りもごもっともと存じますが、私は、あれはあの売り出した当座二、三年でございますか、やりまして、それで一応皆さんにわかっていただいたと思うので、現在はプッシュホンそのものとしては、全然やらないわけではございませんけれども、ああいうふうな宣伝は現在はやっておりません。それは、失敗だからというよりは、もう一応皆さんにある程度PRが行き届いたということが確認されましたのでいたしておらないわけでございます。
  36. 青島幸男

    青島幸男君 しかし、大方のプッシュホンのユーザーの方で、実際に大変な可能性を持っているかもしれませんけれども、その可能性を活用なさっている方というのはむしろ少なくて、つかぬことを大臣お尋ねいたしますけれども、プッシュホンでコンピューターに直接つなげて計算をなすったり、あるいは新幹線の御予約を大臣みずからなさることはないと思いますけれども、少なくとも大臣の身近の方で、あのプッシュホンがコンピューターに、計算機につながるんだから、それでつながっている機械を操作して計算をなさっている方というのを身近にごらんになったことありますでしょうか。
  37. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 議員会舘に備えてありまして、秘書が使っているようでございます。
  38. 青島幸男

    青島幸男君 ですから、計算機につないで利子計算をするとか、そんなことをなさっているのをごらんになったことありますかね。
  39. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 実際に操作しているところは見たことありません。
  40. 青島幸男

    青島幸男君 私も初めあれを見たときには、かなりおもしろい。パンフレットもついてくるわけですよ。生まれてきょうまで何日生きたかというのが計算できますとか、十五年年賦で年利が幾らだと、こういうローンは月々幾ら返せばいいんだというような計算がおもしろおかしくできるように、PRにはなってます。確かにそのとおりですけれども、しかしあんなものは一、二度やったら、大体家庭生活をしていれば加減乗除ができれはいいのであって、あるいは計算機も普及しておりますからそれぞれ専門の立場計算をするでしょうし、実際には余り計算機に直接通じるからといって役に立っているわけじゃないわけですよ。それをいかにも近代生活の必需品のような売り方をしてPRするというようなやり方が、再三申し上げるようですけれども、ああいう形で行われたということにはかなり無理があったんじゃないか。ですから、そのために出た赤字を一般のユーザー値上げというかっこうでしりぬぐいをさせられるのはかなわないというような認識を持つ人がいても、それは不思議じゃないんじゃないかという気がするわけです。確かに将来的な展望に立てば、あれは大変な可能性を持っていると思います。でも、実験室でやることなら一向に構わないと先ほど申しましたけれども、まだまだ実験室でやっている段階ならまだしも、一般にああいうかっこうで普及せしめようとしたのは無理があったんじゃないかということを私申し上げているんですが、その辺はどういう御見解をお持ちでしょうか。
  41. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) こういう新しい需要と申しますか、こういうものに対してやはり的確に需要の動向を見極めて、その上で需要に応ずる新しい開発なり研究をする必要があろうかと考えます。
  42. 青島幸男

    青島幸男君 いまのお言葉のとおりだと私思うのですよ。実はユーザーの方にそういうニーズがあってやられたことなら、それはそれでいいんですよ。しかしニーズに基づかないのに勝手にやったんだったら、判断に誤りがあったんじゃありませんかということを遠藤さんに申し上げているのです。どんなにPRをしても有効でないものは売れないし、利用されませんね。そういう意味ではちょっと時期が早かったし、やり方に誤りがあったんじゃないですか。
  43. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いまのPRでございますが、プッシュホンというものは、確かに具体的にユーザーのニーズから出てきたものではございません。それからまたダイヤルス、いわゆる計算でございますね、計算につきましては、あれをやりましたころは、現在の電卓も相当高価でございました。そういう関係もありましてあれしたんですが、その後、電卓の方の価格がもう著しく低価格になりまして、現在では、先般も申し上げましたように、電卓に匹敵してあれが有効な措置とは思っておりません。したがって、あれの価格も今回この機会に上げたいと思っておりますし、また、今後普及される地域については、そういうようなPRは全然いたしておりません。  ただ、いまからちょうど五、六年前だったと思うのですが、その当時にそういうことをやった点がおしかりを受けておる点だろうと思うのであります。ただしかし、プッシュホンというものは実は私どももどのくらい需要があるかということをあれいたしましたが、現在では全国で約百五十万ついております。したがって、そう私は嗜好品あるいはぜいたく品といいますか、確かにぜいたく品かもわかりません。というのは、付加使用料として別に千三百円取りますから。でございますけれども、需要が非常にないのに、無理に宣伝で売っておるというぐあいにも考えておらないわけでございます。
  44. 青島幸男

    青島幸男君 遠藤さんに珍しく前半率直に非をお認めになったから私も納得したんですけれども、確かにユーザーのニーズから出たものではないというお答えですし、百五十万出たと、それに私、あの当時のいきさつを考えますと、高度経済成長時代で何でも使い捨て、何でも新しいものにしようじゃないかと、新しいものはいいものだと、便利なものはすてきなんだというムードが確かにありましたね。しかし、ユーザーのニーズに基づいてやったんでなかったということは、いまとなっては失敗ですよ。そのことを率直にお認めになったので私も了解しますけれども、やっぱりユーザー本位に物を考えて進めなければ、基本的に公社の運営は成り立たないわけだし、使用者のニーズにも沿わないわけです。あり方の基本を覆すことになりますわね。そのことをお認めになればそれで結構なんです。  それからその後は、あと、テレビ電話などというものの開発にも意を注いでおられるようにも承りますけれども、大臣、将来テレビ電話なんというのができましてダイヤルをする、あるいはプッシュホンをパンチすると相手の人がテレビに映るというようなものができたら、それをお求めになろうというお気持ちがありますかね。
  45. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 先方だけ出るとまだぐあいがいいですが、こちらも出ますので、便利なようでまた不便な面もあるので、まだ持ちたいとは特に思っておりません。
  46. 青島幸男

    青島幸男君 それは、そういうものがかなり普及すれば、閣議にもお出にならないで、自宅においでになって閣議ができるというようなことになるかもしれませんけれども、それはそれなりに便利もあるけれども、不便もあるでしょう。やっぱり便利に事が行われるということは、決して人々に幸せをもたらさないということの一つの例だと思います。ですから、いま公社の方で率直にユーザーのニーズから出たものではないのに無理やり押しつけたかっこうでやったのは、確かに多少軽率のそしりがあったということをお認めになりました。だから、今後そういうことのないようにしていただきたいと思います。どんなに前衛的で、どんなに空想的なことが実験室で行われようと、そのことは私は一向に文句を言いませんし、それは全く違った目的のものが発見されるケースもありますね。特に同軸ケーブルなどの開発というのは、私はすばらしいことだと思います。本当に今度中国へケーブルが届いたそうですけれども、あれをいままでの有線で一々やって、あれだけの有効回線数を考えたら数倍、数十倍の経費がかかるものでしょう。それを節減できるというようなことから考えますと、かなりの発明、発見のための開発費をつぎ込んだとしてもそれは見合うわけですね。ですから、それは実験室の中でおやりになっているのは結構だと思うんです。それから、人々のニーズがあって行われるなら結構ですけれども、今後そういうことがあったら、国民の方々はこれは納得しないんじゃないかという気がいたします。その点を特に御要望申し上げたいと思うんです。  先ほどから私、かなりみずからの周りの例も挙げまして、表現にも適切でない部分もあったかもしれませんけれどもユーザー立場からしまして、本当に電電公社は、私たちが便利なように、私たちの福祉を増進してくれているように鋭意努力をしてくれているんだという認識を持ってないということを申し上げているわけです、いままでそのことを一々申し上げたわけです。それで、その上に当委員会で何度も問題になりましたけれども、家庭用電話赤字だからとか、そういうような言いわけめいたことに、論理的な納得のいく根拠一つもないわけですね。その上でさまざまな失敗を繰り返し、あるいは得手勝手なことをやりながら、その後始末を値上げというかっこうでユーザーにしりを持ってこられるということははなはだ迷惑です。  ですから、できればもっと基本的なところまでさかのぼって料金体系計算し直すなり、いままでの反省をするなり、これは民間企業だったら責任者は更迭というようなことにまでなるんじゃないかという気がしますよ。だから、親方日の丸だからいいんだというようなことが公社の中に空気としてある。それを教育して徹底してたたき直していかなければ、皆さん方の要求にこたえることはできないなんという発言もありましたけれども、それは教育するとすれば、みずから反省するにしくはないんで、いたけだかに偉そうなことを申し上げるつもりはありませんけれども、私もユーザーの一人として、今回の値上げ大変不満である、ぜひもう一度お考え直しになっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  47. 塩出啓典

    塩出啓典君 最初に、総裁にお尋ねしたいと思いますが、四十九年、五十年と、電電公社も創業以来初めて赤字に転落をしたわけであります。これには油ショックとかいろいろ要因があるわけでありますが、まあしかし、公社としても一つの大きな転換期を迎えたと言わざるを得ない。  そういうときに当たって、総裁としても、いままでの電電公社経営のあり方と申しますか体質と申しますか、いいところは伸ばし、また悪いところは改めていかなければならない、そういう決意で今日まで努力をしてこられていると思うわけでありますが、非常に抽象的な質問ではありますが、総裁として、そういう転換期を迎えて、特にこういう点に力を入れて今日までやってきたし、今後もこういう点に力を入れていきたい、そういうような点について要点と申しますか、御所信を承りたいと思います。
  48. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 一言に申し上げますと、国民の皆様のために電信電話事業を運営し、発展させるということでございます。  公社は、発足いたしましたときに百四十万の電話でございましたが、これまで五ヵ年計画を五回立てまして、昭和五十二年度末には電話の申し込みの積滞を全国的規模でなくなすと、これはこの委員会におきましてもたびたび御質問になり、あるいは附帯決議というものが出ておりますが、そういう目標と、もう一つは、全国をダイヤル即時化する、これは五十三年度末には達成できる見込みでございます。その二つの目標を求めてまいりまして、現在の時点におきまして、この目標は達成できるというふうに考えております。  また、今回のオイルショックによりまして、非常に大きな物価の高騰並びに人件費の高騰を起こしまして、そのために、何とか収支とんとんでまいりましたのが赤字になりまして、昭和四十九年と五十年の累積赤字が約四千五百六十億円ぐらいのところになってまいりました。そして、このような傾向は経済の高度成長から低成長にいくということ、また、電話の普及に伴うパーライン当たりの収入が減ってくるという、この二つの長期的なことがございますので、料金値上げをお願いした次第でございます。  そういうわけでございますが、何といいましてもこれは独占企業でございますから、最初に申し上げましたように、公社の中で経営能率化、いわゆる能率的な経営を図るということが大事でございまして、国内において公社と直接比較するものがございませんので、先進国の電気通信事業の状態とも比較いたしまして、経営能率化には十分力を尽くすと同時に、また技術革新の成果を積極的に経営の中に入れまして、たとえば建設投資におきまして、これまで一兆一千億の節減を図るということを進めてまいりました。  また、経営の合理化のもう一つの点といたしまして、自動即時化というような自動化の問題、あるいは無人化というようなことにつきましてもこれを進めてまいりまして、これには労働組合の、立場は違いますけれども理解と協力を求めてまいりまして、配職転等におきましてこれまで約十万人に及ぶ配置転換、職種転換を行ってまいりました。今後とも、国民のために電信電話事業を運営する、能率経営を行うということを進めていきたいと思っております。
  49. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは公社の出版した中にも載っておるわけでありますが、企業に対する社会の批判の口はだんだん厳しくなってきておる、また一方においては公社民間企業と異なり、企業間の競争のない独占企業にありがちなひとりよがりや安易感に陥らないように厳しくみずからを自戒し、そうして常に分析と反省を行っていくと、こういうことを書いておるわけでありますが、さらには、こういう資源、エネルギーの不足の時代を迎えまして、公社としても、当然、省資源、できるだけ資源をむだ遣いをしない、こういうようなことも当然考えに入れていかなければならない。  これは公社経営方針の中に書いておるわけですから、総裁としてももちろんこれには異存はないと思うのでありますが、確認をしておきたいと思います。
  50. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま御指摘のことは、公社の運営方策の中にも書き上げておりまして、そのように考えております。
  51. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、特にサービス精神の自主的な高揚、こういう点でお客様中心のサービスを実現する。これは私は非常に大事な問題じゃないかと思うんですけれども、特に、こういう問題について公社としてはどういう点をいままでと改めてきたのか、これはちょっと抽象的な質問かもしれませんけれども、伺っておきます。
  52. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) これは何といいましても、この電信電話事業というのは、出だしが逓信省、それから電気通信省という官営の時代を長い間歴史的に過ぎておりますし、そういうことでありますし、しかもまたこれ独占企業でございますので、やはり絶えずわれわれが事業運営につきまして反省し、また国民のためにお役に立っているという、そういう認識が必要であります。  それからもう一つは、何といいましても、大ぜいの、現在、職員にいたしまして三十万を超えるという大部隊でございますので、そこに何か精神的なよりどころが必要である。したがってヒューマニズムに基づくサービス精神、それをただ上から与えるというのじゃなくて、働く人々がみんなそういう意識を持って国民の皆様にサービスするという、そういう考えが必要である。したがって、それを自主的にというのは非常に大事なところだと思いまして、そういうことを公社の中で強く働く人に要望しているところでございます。
  53. 塩出啓典

    塩出啓典君 それからもう一点、これは五十年度の第一回監査部長会議で好本総務理事が次のことをおっしゃっておるわけであります。これは新聞の記事でございますので、これは事実であるかどうか、また、その内容について御説明願いたいと思うわけでありますが、このように好本さんは言っています。  料金改定が実現した後でむずかしい問題がある。「今後も従来と同じような傾向線で生産性の向上をはかり建設工事のコストダウンを図ることができるのかといった点に問題がある。」時間の関係で中間は省略いたしますが、「これまで伝送路、交換機等で技術革新による大幅なコストダウンを図ってきたが、今後も大きなコストダウンにつながるようなインパクトをもった技術革新が目前にあるかというと必ずしもそうとはいえない。」その後に、いま申しましたように、ちょっと間を置いて「むしろ料金改定が実現したあとでむずかしい問題がはじまるというように理解している。」こういうことを言っておるわけでありますが、私も、大体、わかるような気もするんですけれども、発言者である好本さんから御説明を願いたいと思います。
  54. 好本巧

    説明員(好本巧君) たしか監査部長会議でそのようなことを申し上げたというふうに記憶しております。  私の申し上げたかったのは、料金改定といいますのは、公社の財政基盤の確立として焦眉の急であって、非常に重大な問題であると皆地方の幹部も考えておるわけでありますが、料金改定さえ済めば——料金改定ということがないからいま非常に財政基盤の危機が訪れている、経営全般に大変な危機がある、しかし料金改定さえ、さえと申しますか、料金改定が成功した暁には安堵感があるというふうな点を私は察知いたしまして、そういうふうな甘い考え方では非常に大きな問題があるんじゃないか。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  料金改定は確かに非常に大きな問題でありますけれども、もしそれが私どもの期待どおりに成功いたしましても、そこでだれるようなことがあってはいけない。なぜかなれば、私どもは二十三年間料金レベルのアップをせずにまいったという裏には技術革新と生産性の向上と労使関係の安定、そういうものが基盤になっているけれども、そのポスト料金改定というものを考えますと、いままでのような傾向線、いままでのようなトレンドで生産性の向上というものが図れるかどうか、自動改式、自動即時化、そういう努力化あるいは非常に大きな技術革新によるところの建設コストのダウンというものが従来どおりの傾向線の延長線にはないのだ、非常に厳しくなる。そこで料金改定が済んだらというような一部の誤った者がおるのはいけない、そういうことを申したかったわけでございます。
  55. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはちょっと後の問題にも関連しますので、確認しておきたいと思いますが、やはりこれはいかなる分野におきましても技術革新のメリットを活用するというその前提には、まあかなり大量の需要の増加、そういうものが必要ではないかと思うわけであります。したがって経済がこういう伸びの少ない低成長と申しますか安定成長と申しますか、そういう時代に入れば、それから先ほど申しましたように資源の節約という、これは公社の方針の一つでありますが、そういう点から考えて、技術革新というものをいままでのようにどんどん活用してそれによってコストを下げるということが非常にむずかしくなってくる、こういうように私は理解をしておるわけでありますが、その点でよろしいのかどうか。
  56. 前田光治

    説明員(前田光治君) お答え申し上げます。  確かに、いまから二十数年前、電電公社が発足いたしましたころには、残念ながら日本の技術水準というものはアメリカ、ヨーロッパ等に比べて非常に低い形になっておりました。その後、急速にこれを追いかけまして、したがいまして過去二十年あるいは十年間における技術革新のテンポというものは非常に速い形になっておりまして、私どものこれは勘で申し上げてなんですが、約十年ぐらい前にはヨーロッパの水準に追いついております。それから最近ではアメリカと肩を並べておるというふうに自負をいたしておりますが、そういった急速な技術力の進歩があったわけでございます。  しかし、今後とも、それと全く同じぐらいの急速な進歩をおまえやれるかとおっしゃられれば、それはなかなかむずかしい点があろうと思いますけれども、今後とも、やはり安いコストで電話サービスを国是に提供してまいれますように、技術革新によるコストダウンという問題については十分努力をいたしてまいりたいと思っております。
  57. 塩出啓典

    塩出啓典君 ここで郵政大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほど転換期を迎えて公社の今後の姿勢として国民の批判の目というものが強くなってくるわけですし、そういう点から誤解をされたり批判をされたりしない、そういう公社になっていかなくてはならない。あるいはまたエネルギー節約の時代を迎えて、消費は美徳ではなしに、節約を美徳として資源をむだ遣いしないような方向でいく、あるいはお客様中心のそういう経営体制に変えていく、あるいはまた、いま申しましたように、これからはいままでのような技術革新による生産性の向上というものがいままでのようには望めないわけですから、そういう意味でもっと厳しい姿勢で臨んでいくという、こういうような、ほかにもいろいろあると思うんですけれども、そういう主なる点につきまして、私は全くそのとおりであると思っておるわけでありますが、郵政大臣の所感を聞いておきたいと思います。
  58. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 経営の一種の転換期に直面しておることは、御指摘のとおりと存じます。したがって、公社側から答弁がありましたとおり、あらゆる角度から新しい問題、新しい要素、新しい需要というものを踏まえて、絶えず不断の研究を続け、検討を続ける必要があろうかと考えます。
  59. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、先般、NHKの会長でありました小野さん、小野会長がいろいろなことで、御存じのようなことでついに会長を辞任をしたわけであります。ところが、最近の新聞報道によりますと、会長は辞任をしてたけれどもどうも顧問であると。これは私は新聞報道で、この事実を確認したわけじゃございませんが、NHKの場合は、役員が退職した場合には、三年間は顧問として退職するときの給料をもらっておる、あるいは退職金の制度につきましても、最高五割の特別慰労金制度がる、退職金の計算も在任時の給料掛ける在任月数掛ける〇・五五である、そして役職が変わるたびに退職金をもらうようになっておると、こういうようなことが新聞で報道されておるわけであります。  で、このことについては、いろいろな意見もあろうかと思いますが、しかし、少なくとも国民の目から見た場合には、そういう三年間も顧問として同じ給料をもらう。NHKも決して経営はよくない。先般受信料も値上げをしたばかりのNHKであり、しかも退職金の計算にいたしましても、少なくとも庶民から見た場合にははなはだ納得のいかない、そういう点があるんじゃないかと思うわけであります。  私は、公社の場合は、話に聞きますと、そういう顧問制度とか特別に退職金を五割アップするというような制度はないと聞いておるわけでありますが、まず、NHKにおけるこういう制度について、郵政大臣としてはどう考えるのか。また、それに対して郵政大臣の立場として指導と申しますか、そういう指導をする権限があるのかないのか知りませんけれども、余り放送の中立性を侵してはまずいかもしれませんけれども、そういう点にはどう対処されるのか、その点を伺っておきたいと思います。
  60. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) NHKの役員の退職金は、放送法第十四条で経営委員会の議決を経て決めるということになっておるようでありますので、私ども、自主的に経営委員会にお任せしておるわけでありますが、いま御指摘の名誉顧問につきましては、特に同額の報酬を三年間続けるというのは、これは社会常識と申しますか、私どもとしても、いろいろ批判を浴びたことはやむを得なかったと思います。  幸い、小野前会長は名誉顧問を辞退したという報告を受けております。今後、あらゆる面においてNHKの顧問制度についても再検討を加えるという報告を受けております。その自主的な判断で、良識に訴えて批判を浴びないような一つの制度改革をしてもらいたいと考えております。
  61. 塩出啓典

    塩出啓典君 NHKと電電公社は別な立場ではありますけれども、やはりNHKにおける今回の事件を一つの他山の石と申しますか、大いに参考にして、私は、公社としても、いやしくも国民人たちから批判を受けたりそういうようなことのないようにやってもらいたいと思います。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕  それで、特に、いわゆるNHKのような顧問制度とか退職金の特別慰労制度、そういうものは公社にはないと聞いておったわけでありますが、そのことも含めて総裁の御見解を承っておきます。
  62. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  公社には、そういう退職金の割り増し制度というのはございません。それから、NHKのように、顧問を置きまして、三年間、役員の場合に退職時の給与と同じものを出すというような制度もございません。  なお、そういうような問題につきましては、今後とも、十分注意をいたしてまいりたいと思っております。
  63. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、まず最初に、昭和四十八年から始まった第五次五ヵ年計画の問題についてお尋ねをしたいと思います。  御存じのように、この計画は、四十八、四十九、五十と五年計画の三ヵ年を経過したところで、今年からの新しい五十一年、五十二年、五十三年の計画が立てられたように私は理解をしておるわけでありますが、この五ヵ年計画というものは、加入電話の場合は、一般加入電話は何万戸、ビル電話は幾ら、地域集団電話、あるいは公衆電話、テレックス、データ通信、テレビ電話と、こういうようにそれぞれ五ヵ年計画の目標が示され、そのための建設投資額として七兆円の計画であったわけでありますが、この計画に従って四十八、四十九、五十と三年間完了したわけでありますが、この三年間の達成がどういう状況であったのか。と申しますのは、当然、五ヵ年計画のうちの三年であれば、単純に言えば六割になりますか、六〇%ぐらいまで達成すればこれは普通じゃないかと思うわけでありますが、そういう点、それぞれの項目においてどの程度の達成率であったのか、この点を伺いたいと思います。
  64. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  第五次五ヵ年計画は、四十八年から五十二年までの五年間でございます。したがいまして現在その四年目に当たっているわけでございますが、計画の内容で申しますと、本来なら先生のおっしゃるとおり三年間で六割が正しいわけでございますが、現実には、四十八年秋の石油ショック以来非常な経済変動、いわゆる人件費の高騰、物価の高騰がございます。あるいは政府の抑制策もございまして、建設投資計画で申しますと、たとえば四十九年も五十年もいずれも前年度の五%秘度の増しか認められませんで、われわれとしては予定どおりの遂行ができなかった次第でございます。したがいまして、ちょっとここで個々については整っておりませんが、六割という形にまいりませんで、かなりといいますか、下回ったことは事実でございます。
  65. 塩出啓典

    塩出啓典君 私、ちょっと公社からいただきました資料で、いまここで計算してみたわけでありますが、一般加入電話の場合は六〇%に対して五九%ですから、大体、目標どおりいっておるんじゃないか。ビル電話が五十六万加入で、三ヵ年間で九万八千ですから一七・五%ですね。それから地域集団電話が十一万加入の予定が、これが五万三千で四八・二、これはそう多く乖離はしてないわけでありますが、公衆電話は六〇・五%、市外電話回線が六一%、テレックスは五〇%、データ通信が二万四千端末のところが五千七百端末で二三・七%。  これを見ますと、非常にビル電話データ通信ですね、これが計画に比べて未達成というか、未達成にしては余りにもはなはだしく離れ過ぎているんじゃないか。六〇%いくべきところをビル電話一七・五となると三分の一以下であります。データ通信も二三・七%ということで、これも半分以下でございまして、どういうわけでこの項目が特に悪いのか、それは公社としてはどのような分析をしておりますか。
  66. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  詳細についてはちょっとここで資料ございませんが、一般的に申しますと、先ほど申したように、石油ショック以来の経済変動によりまして当初抑えられました。そのために、われわれといたしましてはかなり苦労いたしましたが、その中でも加入電話の開通というようなものは優先的にやるというようなことで、極力、切らないようにしたわけでございますが、その他については一般的に落としております。  また、ビル電話データ通信につきましては、恐らく、これは想像でございますが、やはり四十八年以降のいろいろの景気変動によりまして、いわゆる世の中自体が投資抑制とかあるいは景気沈滞ということがありまして、ビル電話でございますと、たとえば会社がお使いになるわけでございますが、いままでのPBXを廃止してビル電話にするというようなことでございますので、やはりその点におきましては会社といたしましても資金が要るわけでございます、そういった意味で需要が減ったわけでございます。また、データ通信も同じようなものでございまして、やはりデータ通信のメリットは認めるにしても、恐らく、お使いになるユーザーとしてはいろんな情勢から控えたということで、実績はいずれも計画を下回ったというふうに理解しております。
  67. 塩出啓典

    塩出啓典君 油ショックという、これはわれわれも予測し得なかった事態でございまして、それによってこういう計画が不達成になったということは、一応の説明としては理解はできます。  それでは、五十年度のビル電話の計画と実績はどうなっておるのか、またデータ通信の五十年度の計画と実績はどうなっておるのか。まあこれはもう五十年といえばもちろん経済界の見通しについてもかなりの不安定要素はありましたけれども、しかし、一応はオイルショックからは立ち直る一つの過程にあったわけですが、この五十年度における予算と実績はどうなっていますか。
  68. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) お答えします。  予定が四万八千に対しまして実績が二万六千でございます。これも先ほど計画局長が御説明いたしましたように、ビルそのものがなかなか予定より建設がおくれているというような関係もございましたし、例の不景気の影響もございまして、なかなかそういう方面の、まず建物が建たないということもございます。それからもう一つは、やはりビル電話等に対する投資意欲というものが衰えているということもございまして、予定に達しませんでした。
  69. 塩出啓典

    塩出啓典君 データ通信の方はどうでしょう。
  70. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) データ通信につきましては、DRESS関係で申し上げますと、予算は千五百に対しまして販売数は五百八十八でございます。それからDEMOSは、五百五十が予算でございますが、実際の販売数は百六十九という実績になっております。これも、原因は、ただいまと同じ原因だというふうに考えております。
  71. 塩出啓典

    塩出啓典君 ちょっといまの、よく聞こえなかったんですけれど、金額で最初言われたんですかね、もう一回ちょっと。
  72. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) 数でございます、端末の数でございます。
  73. 塩出啓典

    塩出啓典君 いまのは、科学技術計算と在庫サービスとを分けて言ったんですね。ちょっと日本語で言ってもらいたい、ぼくは専門家じゃございませんので。
  74. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) 申しわけございません。もう一度申し上げます。  販売在庫管理システムは、予算の方で千五百端末ということで予定いたしましたんですが、実際の販売数と申しますか純増数は五百八十八でございます。それから、同じく科学技術計算サービスにつきましては、予算は五百五十でございますが、販売数は百六十九でございます。
  75. 塩出啓典

    塩出啓典君 私がいただいた資料では、全部合計しまして端末数で三千三百の予定が千四百と。そうなりますと、恐らくこのいまの在庫と科学技術計算では二千五十になりますが、データ通信としていわゆる五ヵ年計画の二万四千端末の中には、いまさっき言われました二つのほかに、いわゆる銀行のオンラインシステムとか、そういうものが含まれているんじゃないかと思うんですが、そっちの方はどうなんでしょうか。
  76. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) 失礼いたしました。  ただいまのには各種通信と称します数字が落ちておりまして、先生の予算三千三百というのは、その各種通信を含みました数字でございます。それから二万四千と申しますのも、同じくその各種通信というものを含みました数字でございます。
  77. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま五十年一年の計画を見ましても、私の計算では、ビル電話は計画の五四%の達成率、データ通信は四二・四%の達成率であります。その中で特に在庫管理のシステムあるいは科学技術のシステム等は三分の一近いような、こういう達成率であります。  そこで、私は、総裁にお尋ねしたいわけでありますが、恐らく、いろいろな企業において需要予測をどう判断していくかということが、これが企業の死命を制する問題じゃないかと思うわけであります。そういうわけで、先ほど、結果から見ればいろいろ需要が伸びなかったんだと、そういうこともありますけれども、油ショックのときはいいとしても、三十万の優秀な職員を抱え、コンピューターをたくさん持っておる公社が、単年度の需要予測においても、このような大幅な見込み違いをするということは、一体、どういうわけなのか。  当然、こういうデータ通信にいたしましても、それ相応のやはり設備投資をしていかなければいかぬ。きょう下さいと言って、はいあしたというわけにはいかない。やっぱりそれに備えてその目標達成に必要なだけの施設というものはつくっておかなくちゃいけないわけであります。当然、そうすれば、それだけの金利もかかる、減価償却もしていかなくちゃいかぬ。そして品物が売れなければ、こういうものは公社の大きな経営の圧迫になっていくと思うわけであります。そういう点は、一体、どう考えておられるのかですね、これを承っておきたいと思います。
  78. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いまの点は、確かに私どももこれから特に大きな問題だと思っていろいろ研究をいたしておるところなんでございますが、いまの五十年度、この予算の編成のやり方にも一つ問題がございまして、五十年の予算というのは、御案内のように、四十九年の七月ごろから概計という形で組み始めるわけでございます。したがって、余りにもこういう経済の急激な変動のございますときには非常に時期的にずれがはなはだしいという一つ問題がございます。  五十年度の場合、四十九年の七月ごろでございますと、やはりまだ例の石油ショックの関係がはっきりしなかった時代でございまして、私どもとして、そういったような予算編成上の技術的な問題のずれを実際にこういう企業面においてはどういうぐあいに修正していくかということを今後の大きな課題として、特にこれからは先生のおっしゃるとおりに研究すべき問題でありますので、目下、その点を中心に研究をいたしております。
  79. 塩出啓典

    塩出啓典君 五十年度の建設投資計画は一兆三千四百七十億円に対しまして、実績は一兆四千百八十一億と建設の投資額は予算を上回っておるわけですね。そして、そういう個々の販売というものが売れ残っているということは、当然、私はそこに大きな赤字原因をつくっているのじゃないかと思うわけであります。  したがって、今回、この電電公社値上げ法案というものをわれわれは審議をしておるわけでありますが、赤字というものの原因が、一体、どこにあるのかですね、公社説明書を見ると、まず第一に、人件費の高騰というのが出てくるわけであります。もちろん人件費の高騰もコストプッシュの要因になることはわれわれは認めるわけでありますが、しかし、もうちょっとさらに細かく、たとえば四十九年、五十年の赤字の累計が四千五百億でございますが、この中の原因をやはり分析した場合には、人件費に関するものはどの程度寄与してるんだと、それから需要予測の見込み違いによるものは大体どの程度なんだと、こういうような点をわれわれは知りたいと思うわけでありますが、公社としてはそういう点は検討しているのかどうか、その点はどうでしょうか。
  80. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) もちろん決算時において、十分、私どもとして検討はいたしておりまして、いまの問題も、結局、費用の増大と、それから収入面が予定収入を、いまの商品その他を含めまして、収入面が予定より少なかったと、こういうぐあいに分析をしております。それぞれの金額等も私どもの方では分析をいたしております。
  81. 塩出啓典

    塩出啓典君 いまのお話では、よくわかったようなわからないような、非常に困るわけでありますが、それでは五十年度のいわゆる計画とそれから実績ですね、そういうものが違ったわけですね。そして一方、建設投資はやはり予定よりもオーバーして行われておる。  そういう点を考えると、私は、特にこのビル電話とかあるいはデータ通信等の場合は、いわゆる過剰投資と申しますか、需要以上の設備投資をして、それが赤字原因になっているのではないか、こういうことを心配するわけですけれども、そういうことはありませんと言っても、われわれはああそうですかというわけにいかぬわけで、実は私が心配するようなことはないんだ、そういうことを逆に公社としてはやっぱり証明をしてもらわないと困るわけでありまして、これはここで口頭で言って証明できるものじゃありませんから、これは、あすでも、あさってでも、きょうの夜でもいいですから、そういう資料をもって説明をしてもらいたい。その点はお願いできますでしょうか。
  82. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) ただいまの投資の問題でございますが、五十年度予算を上回る投資と先生おっしゃいましたですが、その実際の投資額の中には前年の四十九年度からの繰り越しの金額が入っております。五十年度予算では補正予算を入れまして一兆三千数百億であったと記憶しておりますが、それに前年度からの繰り越しを入れてそれだけの投資をした、こういうことでございます。  それから、先ほどから問題になっております計画と実際の販売とのずれ、これに対しましては、確かに先ほど遠藤総務理事が申しましたように、いろいろ計画、予算を組みます時期と実際に実行いたします時期までの間のずれという問題が相当ございます。これに対しましては、私ども、できる限りは実際のその年度に入りましてから、実行計画上いろいろ調整をやってまいっております。できるだけそういったむだな投資がないように、実際のそのときの見込みに応じた設備という形にできるだけ持っていくという努力はいたしております。
  83. 塩出啓典

    塩出啓典君 いまの私がお願いしました点についての資料を出していただけるかどうか。たとえば、いまおっしゃったように、私がいただいた資料は五十年度の当初の計画であって、それが年度の途中に情勢を見てこのように何月何日の会議で変更をして、そうしてやってきた結果決して過剰投資ではないんだ、そういうことも含めて資料をもって御説明願いたいと思うんです。その点はよろしいでしょうか。
  84. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) はい、承知いたしました。できるだけそういう御趣旨に沿う資料を提出いたします。
  85. 塩出啓典

    塩出啓典君 この問題については資料を提出してもらってから、また問題があれば御質問させていただきたいと思いますが、特に加入電話が、これも新聞の報道でございますが、五十年度には十万個売れ残った、さらに四十九年度は五万個売れ残った。公社の計画で見ますと三百万個のうち二百八十一万の実績で十九万個計画に達成をしていないわけでありますが、これは新聞の報道で見ると、公社の方ではちゃんと売るつもりでいたけれども、買う人がいなくて売れ残ったようにとれますし、また、こっちの計画で見ると、予算がなくて三百万の目標が二百八十一万しか達成しなかったようにもとれるし、このあたりは、どういうようになっておるんでしょうか。
  86. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) お答えします。  四十九年度は、いまの御指摘のように五万五千売れ残りました。これは総需要抑制策というものが出まして、非常に予算が窮屈になったということもございまして、全般的に縮少された結果、基礎投資が不足いたしまして、一般加入電話をつける場合に間に合わないというような状態がありまして落ちたわけでございますが、五十年度は約十九万確かに不足といいますか、つけ残りが生じたわけでございます。  これにつきましては、これもやはり何と申しますか、引き続きまして基礎投資の建設が縮少された結果、大都市とそれから大都市周辺、またそれから中小都市というふうに分けてみますと、大都市周辺におきましてはわりあいに早くつけなければいけないという観点から従来とも建設を急いでやっておりましたのですが、大都市には余り基礎投資をした割りには需要が発生しなくて、つけるのがたまってしまった。逆に大都市周辺とか中小都市におきましては基礎投資が若干足りないところに積滞が出まして、それでつかなかったというような相乗効果もございまして、三百万でございますか、三百万の予定に対しまして十八万強が売れ残ったという状態でございます。
  87. 塩出啓典

    塩出啓典君 どうも、私、いまの説明がよくわからないのですけれども、売れ残りとつけ残りは違うのですか。たとえば普通売れ残りというのは、店屋に売ろうと思って品物を出している、ところが買ってくれないために売れ残ったと、これをわれわれは日本語の感触でそう感じておるわけですけれども、いまの話では、五万五千売れ残ったのは総需要の抑制で設備がなかったのだ。これは売るには品物がなかったわけですから、向こうは買えなかっわけですね。それは結局売れ残りではなしに、これは設備投資の予算がなくて計画に達成しなかったということになるんじゃないかと思うのですけれども、その点、どうなんでしょうね、どっちなのか。
  88. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私から補足的に御説明いたします。  確かに、この点も公社の現在における問題点なんでございますが、需要が、積滞がどんどん伸びておった時代から急に大幅に減り出した時代、昭和四十九年からでございます、それまでは、大体、私どもの方で三百万とかなんとかというのを皆各通信局ごとで取り合いぐらいにいたしまして、大げさに言うとそういう状態でございます。したがって通信局へ割り当てというとおかしいですが、計画をいたしましたものがそれぞれの通信局で十分はけたわけでございますが、そういう需要といいますより積滞解消にだんだん近づいてきまして、積滞が今度は前年度より減ってまいる時代になると、これは今後の問題もあると思うのでございますが、もう少し通信局間で、その計画数をいま言ったようなことがありましたらよその通信局へ回すとか、そういうことを早くやれば確かに全部さばけたといいますか売れたわけです。ところが、その辺が長年ふなれなものですから、そう急激に変化することに対応できない、俗に言う硬直性がございまして、この一、二年は確かに先生御指摘のような点があったと思うのです。  この点も非常に問題にいたしまして、今後は、要するに需要の測定も厳重にやらなくちゃいけないし、それから実際に計画をいたしました後で需要に変動がきたものに対する即応性を、もう少し硬直性がなくてやれるようにするために、どういう地方の機関の横の連絡をするか、あるいは中央でそれをどういうぐあいに統制するかということを十分にいま研究をしておりますのですが、この境目に、二十数年間そういう経験がなかったものでございますから、いま御指摘のような御批判は私はもう甘受せざるを得ないと、こういうぐあいに思っております。
  89. 塩出啓典

    塩出啓典君 結局、五十年度末で積滞は何万ですかあるわけですけれども、実際に欲しいところには設備がない、設備をつくったところは需要がない、そういうことで売れ残りがあったという、そのようなことですね。だから、実際は十九万売れ残ったけれども、一方では積滞があると、こういうことで理解いたしました。  それで、きょうは十二時半まで午前中でございますので、最後に、いまのようにいろいろ需要予測という点において、非常にこれは変動する経済情勢の中でそれをどう正しい予測をしていくかということ、これはもう企業体としては本当に命取りにもなりかねない問題じゃないかと思います。  そういう意味で、いままではどんどんつけても、ともかくつくればどんどん売れるという、こういう高度成長時代が変わってきたわけで、そういう点で、私は、この需要予測一つをとっても、そういう時代の変化に対応できるやはり公社の体質というものをつくってもらわなくちゃいかぬ。いまのようなそういう結果になったんじゃ困るわけでありまして、そういう点、公社としても、総裁としてどういう点を今後改めていこうとしておるのか。また、さらに郵政大臣としても、これは非常に私は大きな問題じゃないかと思う。午後からの今度の三ヵ年計画の需要の見通しの問題にもこれは関連してくる問題なんですけれども、郵政大臣としては、公社に対してそういう点どういう今後指導をしていくつもりなのか、これを総裁と大臣に承っておきたいと思います。
  90. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  確かに、いま御指摘のように、積滞解消の時点が非常に近づいてまいりました。もうすでに東京周辺とか大都市の周辺、そういうところでは積滞解消のようなことが実現しかかっております。したがって従来のようにいわゆるマクロ的な需要予測ではなくて、もっとミクロ的な現場の実態がよくわかるようなそういう管理方法、これは新しいソフトテクノロジーというような範囲に入るわけでございますけれども、そういう現場でミクロ的な管理をもっとしっかりやるということが大事だと思います。  それからもう一つは、何といいますか、早目にそれに対応するようなやり方というものが、いわゆる硬直性をなくなしていくということが必要だと思います。そういう末端における管理と弾力性といいますか、硬直性をよく考えていくという、具体的にはそういうことになると思いますが、確かにこれらにつきましては公社の中で今後とも十分これまでの経験を生かすばかりではなくて、いろいろ新しい発想も入れながら進めていきたい、このように思います。
  91. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) いろいろ流動的な要素もあるようでございますが、実態調査を正確にやはり把握して、見込み違いは少しでも幅を狭くする、計画をそのとおり実行できる目標に向かって、十分、実態調査を中心として検討すべきものと考えております。
  92. 森勝治

    委員長森勝治君) 午前の審査は、この程度にとどめます。  午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  93. 森勝治

    委員長森勝治君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  94. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、午前中の続きは、ちょっと郵政大臣が御出席になってから、ずっと関連する問題ですから、それは後に譲りまして、郵政大臣いらっしゃる前に、二、三の点についてお尋ねをいたします。  まず一つは、沖繩県の電話の積滞の状況でございますが、ここ数年積滞が増加しておると、このように聞いておるわけでありますが、各年度ごとの積滞の数がどうなっておるのか、その点をお知らせいただきたいと思います。
  95. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) お答えします。  四十七年度に復帰いたしましたのですが、四十七年度の年度末の積滞が四万、それから四十八年度が五万一千、四十九年度が六万、五十年度が六万六千、こうなっております。
  96. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは、わが国の国内の方は、年度末の積滞数は年々減少して五十二年度末においては積滞が解消できると、こういうところまでいっておるわけでありますが、沖繩がこのようにおくれているのはどういうわけか、特に日本へ復帰して以来、むしろ日本の国内よりも速いスピードでいかなければいけないんじゃないか。沖繩の人口はたしか百万人ですから日本の大体一%でございますので、六万六千という積滞は日本の全体で見れば六百万にも匹敵する積滞ではないかと思います。そういう点、公社としても、少し沖繩に対する力の入れ方が足りないのではないか、その点はどうでございますか。
  97. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは積滞がふえてきております原因は、一番大きな原因は、向こうの従来ありました琉球電電公社というものの仕事のやり方が基本的に違う点がございます。  端的に申し上げますと、基礎設備、特に局舎の敷地の買収ですとか、あるいは局舎の建築そういったようなものが復帰後初めて公社が手がけるという形になりました点が一番大きな点でございます。そこへ持ってきまして、いまの沖繩の土地事情からいたしまして、敷地難、非常に敷地の入手難ということが大きな問題でございまして、今日まで御迷惑をかけておるわけでございます。それからもう一つは、労働組合との関係が、いろいろ仕事のやり方が公社の場合と違ったような形になっておりますために、これをだんだん整合していきますのに若干時間が手間取ったわけでございますが、それをできるだけいま先生おっしゃいましたように追っかけてまいりまして、建設の投資額も年々増加をしております。  したがって、積滞数もふえてはおりますが、同時に、架設数も、たとえば四十七年度の電話の架設数は沖繩全部で三千でございましたのが、四十八年には六千、四十九年は一万一千、五十年は一万六千というぐあいに、大幅に伸びてきております。こういう形で基礎設備あるいは加入者開通等その他を追っかけておりますので、恐らく、五十三年以降には、早い機会に本土並みに達成できるものと私どもも思っておりますが、なお一層の努力を続けておる次第でございます。
  98. 塩出啓典

    塩出啓典君 公社は、今日まで、国内の積滞の解消とそれから自動化一〇〇%と、これを目標に五ヵ年計画をやってきたわけでありますが、五ヵ年計画とさらにその前の計画もそういうところに大きな焦点があったわけでありますが、当然、沖繩につきましても、三ヵ年計画なり五ヵ年計画なりはっきり立てて、いつまでにここまで持っていくということを明示をしてやっていくべきではないか。  いまのお話では、毎年つける数はふえているけれども、それ以上に積滞がふえている。一年間に一万六千で積滞が六万六千ということになりますれば、これはいまのペースではもう五年も六年もかかっちゃうわけでありまして、国内では午前中のように電話が十九万も売れ残った、こういう状態でありながら、依然として沖繩に積滞が残っているということは、これはもう非常にゆゆしい問題ではないかと思うのであります。  これは、公社としても、早急に長期計画なり、いろいろ困難な問題はあると思うんでありますが、長期計画をひとつ立ててはっきりめどを立ててやってもらいたい。特に、沖繩は、海洋博の後、非常に日本の国内よりもはるかに経済状態が悪いわけでありまして、そういうところに電話投資をすることは一つには不況対策になっていくわけでありますので、そういう点で、これは早急に何ヵ年計画なりつくって、沖繩については一日も早く積滞が解消するようにやってもらいたい。これはひとつ総裁と郵政大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
  99. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 沖繩の通信設備につきましては、今後とも、長期計画をつくりまして、早急に積滞の解消を図りたいというふうに思います。
  100. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) 郵政省といたしましても、電電公社ができるだけ速やかに達成するよう、あらゆる面で郵政省としても協力し努力していきたいと、このように考えております。
  101. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、ここはどうなんでしょうか、今回、設備料値上げですね、こういうのがどうなるのか。たしか、私の記憶では、沖繩には日本の国内と違った制度が復帰当時はあったように思うんでありますが、現状はどうなっているんでございましょうか、これわかりましたら。
  102. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 復帰前の問題で、設備料につきまして沖繩に特別措置はとられておりますが、これはその時代まで残っておるものは数は大分少なくなっておりますが、今回も、そのまま適用されるということで、新設備料ではございませんで、旧設備料のままで残っております。
  103. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると、いま六万六千残っているのは、設備料は八万にはならないわけですね。
  104. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) いいえ、その中の一部でございまして、かなりそれはもうついてきておりますので、六万が全部じゃなくて、そのごく一部でございます。
  105. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、これもまた違う問題ですが、電話リクエスト等により集中的に電話がかかると、同じ局内の電話も不通状態になると。そういう意味で放送局なりスタジオを受け持つ局は、そのため必要以上の設備が必要になってくる。  これは新聞の記事でございますが、新宿住友ビル四十七階の特設スタジオから民放ラジオの人気リクエスト番組が放送される、そこへ電話が殺到いたしまして、一時間の間に四万四千七百五十八回のコールがかかった。この電話番号帯を処理する交換機は十台の処理能力でフルに動いても一時間に二万千七百三十五コールで完全にパンク状態で、だから、その同じ局内の電話はほとんど不通状態になったと、こういうようなことが新聞の記事に載っておりますが、そういうようなことが東京とかあるいは大阪とか、そういうところでかなり多いのかどうか、それに対する対策はどうなのか、これはどうなんですか。
  106. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  そういった問題は、通話リクエスト等によりますトラフィックの集中は確かに多くはございませんが、間々ございます。たとえば、前に昔ございましたが、リカちゃん電話というようなことで、そこに電話をかければ人形の声が聞こえるというようなことがありますと、そこにトラフィックが殺到するというようなことがございまして、最近では、プッシュホンによります新幹線のいわゆる座席予約というようなことをやりましたときにも同様でございまして、そういったときにもやはり発売日に殺到するということを恐れて、いろいろな設備を考えて設備したことがございます、恐らく、今後も、そういったリクエスト等につきましては、そういった傾向がありましょうから、そのためのやはり対策というものはしなければならないものと考えております。
  107. 塩出啓典

    塩出啓典君 結局、対策とは、そういう危険性のあるところは設備を増強して数をふやすということが対策なんですね、それはどうなんですか。
  108. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  確かに、そのかかる電話局に対しまして設備をふやしてさばくということが一つでございます。それからもう一つは、やはり電話が殺到いたしますと、そのためにほかの方も迷惑するわけでございますから、場合によりましては、その以前の段階で切るといいますか、話し中にしてつながらせないようにするということも考えなきゃいけませんので、そういったことを総合的に考えているわけでございます。
  109. 塩出啓典

    塩出啓典君 ただ、そういうことで設備投資をして、それは言うなれば、庶民の一般の人のための設備投資ではなしに、一部の企業のための設備投資、もちろんかける方は一般の国民の皆さんですが、そういう意味で、そういうものの分まで国民全体が負担をしなければならない、そういうのはどうなんですかね、ちょっと納得がいかないような気もするわけですけれども、これは公社としては、そういう問題どう考えていますか。
  110. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) ただいま計画局長が御説明申し上げましたように、ある程度設備という問題も考えなきゃいかぬわけでございますが、そのほかに、たとえば、いまの国鉄の座席予約、これはシーズン的に相当殺到する場合があり得るわけでございます。この場合などは、先ほども計画局長が申しましたように、そこへある程度以上の呼びがかかり出しました場合には、新たに発生いたします呼びを発信のもとの局の方で抑えて話し中にしてしまう、こういったような設備を、国鉄側に一部の設備負担をいただきまして設備をした、こういうような例もございます。  また、いまのリクエスト等につきましては、定期的にやられておりますところでは、たとえば発信加入者の末尾番号その他の制限をするというようなことで放送局側で相当抑えてもらっている。初めてやるというような場合なんかに、ときどきその新聞記事にあるようなものが出てまいりますわけで、定期的に毎週あるというようなものの場合には、そういう制限でほとんど問題を起こさない程度の呼びに低くしてもらっている、こういうような対策をいろいろやっているわけでございます。
  111. 塩出啓典

    塩出啓典君 その点、ひとつよろしくお願いします。  それから、瀬戸内海における船舶電話の問題でありますが、非常にここは島が多いために不感海域が広く、非常に不便を来しておるわけであります。それに加えて、さらに架橋によって不感海域が広まっていく。  たとえば、先般、山口県の大島と本土との間に架橋が開通したわけでありますが、その架橋の障害のために、たとえばレーダーの映像も非常に変な映像が出て、これが船の安全航行にも大きな支障となりまして、全日本海員組合等からもその対策が強く出されておるわけであります。さらに、本四架橋に伴う障害に対し船舶電話の影響も非常に心配されるわけでありまして、これも同じく全日本海員組合の人たちからその調査及び対策の要望が強く出されておるわけでありますが、郵政省、電電公社は、こういう問題をどう考えているのか、これをお聞かせいただきたい。
  112. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。  船舶電話施設に対しましては、特に、いま先生御指摘の不感地帯というようなものもまだ若干残っておるのは事実でございますが、逐次、これらの不感地帯については現在投資をいたしまして、サテライト局あるいはブースター局というようなかっこうで局の増設を図っております。ちなみに、最近の年度別の投資額を申し上げますと、昭和四十七年度では八億、それから四十八年度三十億、四十九年度十八億、五十年度十八億というようなふうに、大体、この辺の投資につきましては不感地帯の対策並びに波が足らなくなってまいりましたので、新たな波を使いました基地局をつくるということで投資をいたしております。
  113. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) 船舶電話の問題につきましては、周波数の問題もありますので、そういう電波の割り当てという問題も、十分電電公社の要望にこたえるように郵政省としては努力して、いまのそういった問題についての解決に当たらせたいと、このように考えております。
  114. 塩出啓典

    塩出啓典君 この船舶電話につきましても、かなり積滞があるように開いておるわけでありますが、この点はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。  さらに、ただいま施設局長から投資額の実績を御報告いただきましたが、私のいただきました資料では、純増加と申しますか、いわゆる船舶電話の端末のふえた数が、大体、四十五年などは一億の投資で千八十三個もふえておるわけでありますが、四十七、四十八、四十九は、たとえば四十七年八億、それで九百四十一、四十八年は三十億で百十五、四十九年は十八億で五百六十一個と、こういうようなことで、どうも投資額と船舶電話の純増加に非常に大きな開きがあるわけであります。これはどういうことなんでございましょうか。
  115. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 先ほど施設局長が申し上げましたのは、不感地域等に対する陸上の基地のアンテナとか、そういう公社自体がやる投資額でございまして、それで船舶につけます端末機自体は日本船舶通信でやっておるわけでございます。ですから、それの委託費を払っておりますが、実際に端末機を買ってつけますのは船舶通信がつけるようになっておるわけでございます。したがいまして、先ほどの投資額と端末機の価格とはちょっと別でございますので、その点、そういうような御疑問が出たのではないかと思っております。  おっしゃいましたように、端末機も順次ふやしていってはおりますけれども、現在、全体で八千四百加入数がございまして、それの積滞が約六百ほど残っておりますが、これはいわゆるいま船舶通信で認められておる波は百五十メガでございまして、これですと、入れますのに一万を切るというような状況でございまして、それぐらいしか収容できない、全国として。したがいまして、これは波を変えませんと今後の需要に応じ切れないという点がございますので、郵政省ともお打ち合わせいたしまして、これを二百五十メガに切りかえるということをただいま計画いたしておるわけです。そうしますと、約三倍の三万近く収容できるようになりますので、そういうふうにしたいと思っております。
  116. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、公衆電話の問題でありますが、私は広島でございますので、しょっちゅう新幹線で帰るわけでありますけれども、たとえば福山とか三原とか、ああいうところは新幹線のホームには公衆電話がずらっと並んでおるわけですね、いつでもさっとかけれるわけであります。東京駅のホームには公衆電話があることはあるわけですけど非常に数が少ない。列車に乗ってかければいいようなものでありますが、列車に乗ってかけると、これは非常に大幅に値上がりをいたしまして、われわれはできれば、乗る前にかければ十円で済むのを、新幹線に乗るとどんなに近くても三百円払わなくちゃいかぬ。そういう意味で、前々から、東京駅なんかのホームに、もうちょっとこれは公衆電話をふやして、いつも何人かの人が並んでおるわけなんですから、そういう対策を公社としては考えているのかどうか。  大体、公衆電話に一日当たりあるいは一ヵ月当たりどれだけの収入があるかというのをちゃんとつかんでおけば、どこの公衆電話はいつもすいているけれども、どこの公衆電話は非常に人が多い、そういうようなことは私は公社の方でおのずとわかると思いますけれども、   〔委員長退席、理事最上進君着席〕 冒頭にもありましたように、そういうサービス国民の側に立って考えるのであるならば、そういうことも考えてもらいたい。その点はどうなんでしょうか。
  117. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 国鉄は、東京駅だけじゃなくて、どこの駅でもそうなんでございますが、私どもとしては、もうぜひつけたいというところがたくさんございます。ところが、人様の建物あるいは人様の土地でございますものですから、向こう様の御了承を得なくちゃいけないわけでありますから、そういうことで了承を得るのがなかなか大変でございまして、私どもとしてはもうぜひつけたい。東京駅の新幹線あたりは確かに御案内のように弁当を売る店に一つぐらいしかないわけですから、たくさんつけたいのでございますが、なかなか向こう様がどういうわけかうんと言っていただけないケースが多うございます。しかし、各通信局を督励いたしまして、国鉄の方にいろんなデータを示しながら交渉させておるわけであります。
  118. 塩出啓典

    塩出啓典君 きょうは国鉄は来ていないわけでありますが、今回は国鉄も電電もどちらも値上げ法案を抱えるという、こういう同じ立場にあるわけですから、ひとつそういう意味からもやっぱり国民の側から見れば国鉄がつけさせないからだめだという、そういう話では納得しないわけでありまして、要は必要なところにはつける、それぐらい公社がやっぱり積極的に、郵政大臣もいるわけですし、郵政次官もいるわけですから、そういうのを通すなりして、必要なところにはちゃんとつける、国鉄がつけさせないからつけないんだ、こういうことではいかぬと思うんですよ。ただ、民家のある一人の人がそこに公衆電話はつけちゃいかぬ、これは私人ですからやむを得ないわけですけれども、国鉄というのはやっぱり国民の国鉄なんですから、そういう点どうなんでしょうか。  私はほかのところは知りませんが、やはり東京駅のホームの公衆電話あるいは駅の改札に近いところの公衆電話、そういうところの料金を調べれば大体わかると思うんですよ。ここにデータいただきましたけれども、これは東京駅全体のデータですけれども、それでも大体一つの公衆電話に十一万二千円、東京駅平均で十一万二千円のようですね。公衆電話というのは、そんなに十一万二千円も入らなくても、たしか一万か二万あれば大体採算が合うんじゃないかと思うんですね。これは東京駅の平均ですから、その中にはもっと込んでいるところもあるわけでありまして、次官、そういう点をひとつ郵政省も責任を持って改善をしてもらいたい、その点どうでしょうか。
  119. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) いまお話しのとおり、郵政省としても、そういった問題について電電公社が積極的にやるということについて協力をしなければならない、このように考えております。
  120. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは郵政大臣がお見えになりましたので、午前中の続きを質問させていただきます。  午前中は、四十八年−五十年の需要の予測というものがいろいろな経済の変動等でかなり狂ってきたわけでありまして、公社としても需要の動向の変化に対して敏速に対応していくように努力をしていく、こういう総裁のお話があったわけであります。この委員会に付託されております公衆電気通信法の改正は、五十一年から五十三年の新しい計画に伴う料金改定審議しておるわけでありますが、この新計画の需要予測においては公社としてはどういう点を改善をして、改善というか予測の方法においてどういう点を配慮して今回の計画をつくったのか。
  121. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のように、需要の予測は非常にむずかしい問題でございます。まず第一に、経済の将来の発達といいますか、成長見合い等が非常にむずかしゅうございます。その他いろいろな要素もございますが、われわれといたしましては、現在の計画は五年間で七百七十万の加入者を開通するという計画がベースでございますが、これのもとになります新規需要数も、いままでのたとえば需要の伸びあるいは今後のいろいろの需要の増加あるいは経済成長率その他を勘案いたしまして、まあわれわれといたしましてはできるだけの努力をいたしまして捕捉したつもりでございます。
  122. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはどうなんですか、私たちは、じゃなぜその三年間の電話の一般加入電話が七百七十万であるのか、たしか昭和五十年代前期経済計画という政府の発表をもとにやっておる、このようにはお聞きしておるわけでありますが、それぞれの根拠ですね、ただ、去年がこれぐらいだからことしはこれぐらいにしておこうというわけにはいかないと思うんですね。いままではそれでよかったかもしれませんけれども、これからはそういうわけにはいかないと思うんですけれども、そういう意味で、まずこの七百七十万という根拠はどういう計算の上にできたのか、これを伺っておきたいと思います。   〔理事最上進君退席、委員長着席〕
  123. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  根拠というと何でございますが、われわれといたしましては、本社には計画局という組織がございますが、地方には通信局に計画部がございます。あるいは各県単位にあります通信部にも計画課というのがございまして、それぞれの段階でその管内の電話局をいろいろ使いまして、それぞれの地域につきましていろいろの予測をするわけでございます。  その予測には、結局、いろいろな予測の仕方がございますけれども、先ほど申したように、マクロ的には経済の成長率ということを考えるわけでございます。あるいは総理府の統計その他も使用いたします。一方におきましてミクロ的には、それぞれの電話局管内におきましてどの方面に団地ができるとか、あるいはこの方面でこういう数がまだ需要として出るであろうというふうなことを、当然、現在のいわゆる需要というか、加入者の数とあるいは世帯数、新築の住宅戸数その他を勘案して試算させるわけでございます。そういうものを集計いたしますと、これは個々のものでございますから、かなり正確とは言いながらまた一方において偏っている面もございます。それを調整いたしまして、各通信部ごと、いわゆる県単位にまとめまして、さらにもっと大きくくくり、最後に本社で調整といいますか、いろいろな要素を加味して検討している、こういうことでございます。  内訳を申しますと、たとえば五十一年は新規需要数を二百四十五万と想定しております。また五十二年は二百五十万、五十三年は二百四十二万と想定いたしまして三年間で約七百五十万ぐらいの新規需要があるという想定をしております。現在五十年度末で積滞が四十八万ほどございますから、そういったものにそれが加わりまして七百七十万を開通する、こういう計画を立てたわけでございます。
  124. 塩出啓典

    塩出啓典君 五十年度末で積滞は四十八万一千と聞いておるわけでありますが、積滞がゼロになることはないんですよね、やっぱり申し込んでつけるまでの期間もありますし多少のばらつきもありますし、しかし全部をたとえば一ヵ月でつけるようにするにはかなり過剰設備を全体に抱えていかなくちゃならない、そういう経済の効率も当然考えていかなければいけないと思うんですが、いわゆる電電公社の言う積滞解消というのは年度末で何ぼぐらいのときが解消になるのか。それにしても四十八万一千というのはほとんどこれは積滞解消と考えてもいいんじゃないかという、そういうように思うわけで、その点はどうなんでしょうか。
  125. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  確かに積滞といまわれわれが言っておりますのは、実は、申し込んでつかない電話でございまして、厳密にはきのう申し込まれたものもきょうはつかないわけですから積滞ということになるであろう。こういうことから考えますと、われわれの目標としております積滞解消と申しますのは、全国のいわゆる加入区域内におきまして、申し込んだら平均約一ヵ月でつくというのを目標にしております。と申しますのは、逆に一ヵ月分くらいの需要に相当するいわゆるランニングストックもあるということでございます。で、われわれ先ほど申したように、大体年間の新規需要を二百四、五十万と想定しておりますから、そういう意味からいたしますと月々の新規需要は約二十万ぐらいでございます。したがいまして、われわれの建設計画あるいは予測が違わなければ、どこでとりましても同じでございますが、月々大体二十万程度のものが残る状態はありますが、これがいわゆる数字的に見た積滞解消という状態ではなかろうかと、そう考えております。
  126. 塩出啓典

    塩出啓典君 いまのは公社見解でございますか。大体、年度末に二十万くらいになっていけば積滞解消となる。年度末二十万ということになると、もう全国至るところにかなりの設備の余力を持っていかなくちゃいかぬ。もちろんそれにこしたことないわけですけれども、それはしかしそのためにやっぱり料金が上がることは国民にとってもこれはよくないことなんで、大体、そんなふうに考えていいわけですね。
  127. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) 確かにお説のとおりでございまして、全国どこでも電話を一ヵ月くらいでつけるというためには、その場合の設備をしておかなければなりません。しかし、その設備が非常に過剰な場合は確かにいわゆる過大投資になります。したがいまして、理想的に申しますと、需要が出るといいますか、お申し込みがある時点のちょうど前に設備ができれば一番いいわけでございまして、できて遊ぶということでは困るわけです。したがいまして、われわれといたしましては、先ほど来申したように、これからも需要予測というものをまずできるだけミクロ的、マクロ的に詰めまして正確にしたいということが第一点でございます。  それからもう一点は、その需要予測に基づきまして設備投資をいかにやっていくか。何でも設備をつければいいというんでは、積滞解消はいたしますけれども、いわゆる過大投資になりまして、これは不経済支出になります。したがいまして、その辺を十分うまくやっていく、そのためにいろいろな手法が考えられますが、われわれといたしましては、たとえば全国をまた細かいブロックに分けまして、そこにおきます発生というようなことをとりまして、系列的な評価を集めてコンピューターで解析するというようなことも使いまして、何とか最も適切な一番正確な予測をすると同時に、それに見合った設備を適切にしていくということに努力したいと考えておるわけでございます。
  128. 塩出啓典

    塩出啓典君 今回、設備料を五万円から八万円に値上げをし、基本料金も上がるわけでありますが、そういうのが当然需要の減退につながると思うんですけれども、そういう点は公社としてはどの程度影響があると予測しているんですか。
  129. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  これもなかなかむずかしい問題でございますが、われわれといたしましては、大体、この五十一年、五十二年ぐらいの二年間で約二十万程度の需要減があるものと見越して計算してございます。
  130. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、いま公社の資料をいただきますと、新規申し込み数というのは四十七年をピークにいたしまして四十八年、四十九年、五十年と低下をしてきておるわけですね。で、やはり電話の新規申し込みというのは、ほかの経済成長などと違いまして、これは結局足らぬところが申し込むわけですから、そういう意味でわれわれのこの数字から見る限りではさらに五十一年も低下していくんではないかと、それにもかかわらず、五十一年度はしかもいま申しましたように料金値上げによってどうしても需要の減退がある。で労働者の賃金もことしの四月からは実質賃金においては対前年度マイナスに転じておる状態ですから、当然、需要はもっと減るんじゃないか。  ところが、さっきの新規の今年度の計画では二百四十五万。ということは、五十年に下がってきたのがかなりもとに上がると、こういう予測を立てておる、その点非常に高過ぎるんじゃないかという気がするんですが、その点はどうなんですか。
  131. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) 確かにそういう御指摘もあろうかと思います。で、この辺もなかなかむずかしいところだと思いますが、私どもといたしましては、いままでの減というものは、いわゆる不況といいますか、不況による減、あるいはいろいろ物価その他の上昇によります非常な減であろうかと思ったわけでございます。で、これにつきましては、ことしは景気の回復はおくれておりますが、われわれといたしましては、もう少しこれが早目にいわゆる復活するといいますか、上昇するというつもりで計画したわけでございます。  御指摘のとおり、確かに新規需要の大体八〇%以上は住宅電話でございますから、住宅電話の需要というものは、現在の需要とも関係ございますけれども、やはり世帯の方が新しく電話をつけるという場合には、どうしても家計上の問題からも関係するわけでございます。その辺ではいままで落っこってきたことは当然であろう。で、今後確かにこの辺がもっと上がるかどうかということはむずかしい問題だと思いますが、われわれこれを策定した時点では、ことしからそれが上昇に転ずると、こういう考えでございます。
  132. 塩出啓典

    塩出啓典君 御存じのように、経済も今年度に入りましてから政府の発表によれば着実に回復をして、いまは再び中だるみを迎えてはいるわけでありますが、少なくともこの四月から五、六という五十一年第一・四半期等においては、かなり明るい兆しがあったわけですけれども、今年度の第一・四半期の申し込み数というのは一体何ぼあったんですか、新規申し込み数は。
  133. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) 今年度の四月から六月までのを申し上げますと、四月には二十二万七千、五月が十九万一千、六月が十七万八千、合計五十九万六千新規申し込みがございます。
  134. 塩出啓典

    塩出啓典君 で、これは昨年度の新規申し込みを見ますと、第一・四半期が六十六万一千、それから第二・四半期が五十五万九千、第三が五十五万九千、第四が六十一万四千でございますか、これを見ますと、やはり四月が一番四半期の中でも数が多いようになっております。  で、去年とことしを比較いたしますと、去年の第一・四半期は六十六万一千の新規申し込みだと、ことしは景気が大体年間成長率六%ぐらいの成長と見込まれるときでも五十九万六千、そういうことになりますと、これはもちろん電話が架設料が上がる前の話で、恐らくこういう値上げの前には駆け込みというのがあるわけでありまして、むしろこれがふえてなくちゃいかぬ、実際はですね。そうすると、電話料金が上がると減ってくる、そういうような点を考えますと、去年のペースに比べてもすでに約一割ダウンしておるわけですね。それを今年度の需要は去年よりも実質は一割ダウンしているのに、目標はもう去年よりも上のおととしの線を目標にしておると、こういうような計画は私は非常に現実性のない計画であって、こういうものは変更すべきじゃないでしょうかね、どうなんですか、それは。
  135. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) 確かにいまの第一・四半期と昨年のを比べると、そういう形もあろうかと思いますが、われわれといたしましては、先ほど申したように、実は景気の回復がかなりおくれて出てまいるということでございまして、確かにだから昨年と比べるとどうかということになりますと、ちょっと比較がむずかしゅうございますが、われわれとしては、今後はまた出てまいりまして、平均とは申しませんが、先ほど言ったような二百四十五万程度はふえるものと思っております。
  136. 塩出啓典

    塩出啓典君 この点はどうなんでしょうか、いま景気の回復がおくれて出てくるということは、電話の需要というのは景気の回復とタイムラグがあるということなんですか、そういうことなんですか。
  137. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  住宅については、大体、そういう傾向ではなかろうかと思っております。
  138. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、それならそれでもいいんですけれども、ただ、私たちもやっぱりこういう建設計画の一番大きなのは一般加入者電話の計画が一番多いわけで、それにやはりどれだけ設備投資をしていくかということは公社赤字がどうなるかということに物すごく影響していく問題なんですね。また、過剰な設備投資をして昨年のように十九万個も電話が売れ残るということはよろしくないことなんで、そういう意味で、どう見ても今年度の目標というものは、この後電話の需要が景気の回復よりタイムラグがあるということであれば、なおさらいま景気はまた後退をしているわけなんですから、そうすると、ますます今年度後半において電話の申し込みはふえないということになりますよ。そうなると、これはますます料金値上げもかかわって、今年度の加入電話の計画というものは過大過ぎる。  だから、これは、総裁、どうなんでしょうか、先ほども午前中、やはり公社としても立てたときにはそうであったかもしれませんけれども、常に経済は動いているわけですから、そのときに対応して流動的に計画をやっぱり変更していく、硬直性をなくするということは遠藤さんもいま言われたわけですね、そういう意味で、まだ審議の途中ではありますけれども、われわれもこの計画は変更すべきじゃないか、もう少し今年度の、あるいは三年間の目標、一般加入電話の目標を減らすべきではないか、その点はどうでしょうか。
  139. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 先ほども需要の問題についてお答えいたしましたが、この計画の中で、最初五ヵ年計画を立てたときに比べまして約百万ぐらい減らしておりますので、私は、計画局の数字、これは細かい点におきましては若干問題あるかもしれませんけれども、この全体の万の単位の数字はすでに百万ぐらい削っておりますので、大体、妥当ではないかというように考えております。
  140. 塩出啓典

    塩出啓典君 私たちも、ふだんならば、それはどちらへどう転んでもいいわけですけれども、今回は、そういうもののために公社の三年間の赤字がふえて、そのために値上げ審議をしておるわけですから、そういう点、郵政大臣、どうでしょうか、私たちといたしましては、やはり計画というものは現実に合った計画を立てて、それに基づく赤字を解消していくということでないと、最初の計画自体がそういう水増しの計画で、それで赤字があるからどうのこうのと言っても、これはやはりすでに審議をする以前の段階でありまして、   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 こういう点は郵政大臣としてもどう考えるのか、私は計画の見直しをすべきじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  141. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 需要予測は正しいものと考えております。
  142. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま何とおっしゃいました、はっきりお願いします。
  143. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 需要予測につきましては、ほぼ正しいものではないかと考えております。
  144. 塩出啓典

    塩出啓典君 郵政大臣も連日の審議で大分お疲れのようで、われわれもそれ以上どうのこうのと言うわけにはまいりませんかもしれませんが、この問題は私としては納得のできない問題であります。  もうすでに今年度は、料金値上げ前でも、昨年よりも一割ぐらい申し込みが減っているのですから、今後、値上げをすればさらに二十万も減ると言っているわけですから、それを去年よりも高い一昨年のところに目標を置いておる。これがやはり今回の建設投資をふやして結果的には赤字の因を、幅をふやしておるわけですから、この問題は、先ほどの総裁の御答弁にしてもわれわれは納得できませんので、やはり根拠を——もちろん、経済の変動もあるでしょうし、三年間の計画ですから、ことしは多少多くても、来年はこうなっていくとか、七百七十万という根拠についてもう少し説得力のあるものを出してもらいたい。恐らく公社としても七百七十万という数字は、ただ去年がこれだけだからこうしようという適当に決めた額ではないと思うのでございます。そういう根拠となる資料を出してもらいたい、この点どうでしょうか。
  145. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いま総裁がお答えしましたように、当初計画より百万全体で削る過程で私ども大いに議論をしたのですけれども、その後の状況はそういうぐあいになっていることも事実でございますが、もう少し長期的に見ませんと、これは少しわからない問題だと思いますが、少なくとも現在の計画の中の加入数の需要予測の根拠はちゃんと一応できておりますので、それに基づいて後日説明をいたしたいと思います。
  146. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。この問題については、その資料をいただいた後、また御質問をさしていただきたいと思います。  それから次に、五十一年−五十三年計画の前提条件でございますが、まず、試算の前提条件として、私がいただいた資料では、今年二月、四十九年、五十年の赤字の合計が四千九百億というところから出発しておるわけでありまして、実際は四千三百七十二億で五百二十八億多いわけでありますが、これはどういうことなんでしょうか。   〔理事茜ケ久保重光君退席、理事最上進君着席〕
  147. 好本巧

    説明員(好本巧君) 四十九年度と五十年度の赤字の合計が四千九百億円であるということをこの二月のお手元の資料には記してございますが、それは四十九年度の決算に基づく赤字額が一千七百六十億円でございまして、それに対しまして五十年度の赤字をどのくらい見るかということで約三千億をちょっと超えるぐらいというふうに見積もったわけでございます。   〔理事最上進君退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 したがいまして両者合算いたしまして四千九百億円という数字が出るわけですけれども、先般、八月に五十年度の決算が出まして、損益計算におきますところの総収益・総費用の差額、すなわち赤字が二千八百億円というふうになったわけでございます。したがいまして四十九年度、五十年度の合計は約四千五百六十億円ということでございますから、約三百五十億円ぐらい、当時の資料から見ますと差異が生じたわけでございます。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 この三百五十億円の赤字が減ったわけにつきましては、これは主として節約努力によるものでございます。
  148. 塩出啓典

    塩出啓典君 この三年間の事業収入を年平均六%と見て計算をしているようでありますが、この六%の根拠はどういうことなんでしょうか。
  149. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  これは五月に閣議決定を見ました昭和五十年代前期経済計画の中で、いわゆる経済成長率を六%強としておりますので、そういったものをベースにしてございます。
  150. 塩出啓典

    塩出啓典君 私が見た範囲では、経済成長がゼロの場合でも公社の年々の事業収入は伸びてるんじゃないかと、二けたの伸びをしていると。したがって経済成長が六%だから、じゃ公社事業収入は六%であるというのは、収入を過小に見積もった計画ではないか。こんなばかな話はないと思うんですが、これはどういう根拠で、経済成長が六%だからといって事業収入の伸びも年六%にしたんですか。
  151. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  ちょっとここに数字ございませんが、事業収入のいわゆる目安、ベースといたしまして経済成長率を使うわけでございますが、この経済成長率はこの政府決定の六%を使うと、こういう意味でございます。したがいまして数字が六%という意味でございます。厳密に申しますと、事業収入はそれらに大体見合うんでございますが、事業用、住宅用その他はそういうあれではございませんが、ここでは事業収入計算するに当たって経済成長率を使うわけですが、その数字が六%、こういうことでございます。
  152. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは事業収入が、結局、六%ずつ伸びているということではないんですね。そうすると、この五十一、五十二、五十三の事業収入は何%伸びるようにして計算をされておるわけでしょうか。
  153. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  前年度比で申しますと、五十一年度は前年度比八・五%、五十二年は九・六%、五十三年は八・四%と見ているわけでございます。
  154. 塩出啓典

    塩出啓典君 それにしても、この点どうなんでしょうか。私は計算はしていませんけれども、ここに一覧表があるわけですが、これは四十六、四十七、四十八、四十九、五十ですね、ずっと油ショックのときも、それからもうゼロ成長のときも全部事業収支が二けたの伸びをしてきているわけですね。それで、いまの話では、しかも建設計画の方はこれからどんどん需要が伸びていくんじゃないかと、こういう予測を立てながら、事業収支の方はこの数年来かつてない一けた台の収入の伸びと、こういうのはどうなんでしょうかね。何か根拠がありますか、それは。
  155. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  いろんな要素があろうかと思います。一つは、やはりいわゆる収入の少ない低収入加入者といいますか、そういうものがふえているということが一つであろうと思います。それからまた、いわゆる加入者の増も減っております。それからまた、先ほど御指摘のあった、たとえば前年度で比較いたしますと、三百万というふうな予定が売れ残ったというようなこともございまして、そういったかせぐもとになる加入数が減っておるということもございます。そういった点をいろいろ計算いたしますと、このような数字になると、こういうことでございます。
  156. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはどうでしょうか、五十一年がなぜ八・五になり、五十二年がなぜ九・六になり、五十三年が八・四になっていくのか。私たちは、やっぱり過去の年度ごとの事業収入の伸びというものからマクロ的にわれわれ素人は直観的に感ずるわけでありましてね。それから見て非常に納得できないわけでありまして、これがもし公社としていろいろ計算の結果こういうことになったんであるならば、この根拠を私は資料として出してもらいたいと思いますけれどもね。
  157. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) これは、われわれといたしましては、今後の予測につきまして、大体一番大きな要素がいままでの傾向でございまして、その点を事業用、事務用あるいはその他のものにつきましていろいろ分析いたしまして、それをどういう形で伸ばすかということにつきまして、先ほどの経済計画を使うということでやっておりますので、後ほど提出さしていただきます。
  158. 塩出啓典

    塩出啓典君 この点についても質問を留保させていただきたいと思います。  それから、次に減価償却の問題でありますが、この減価償却の問題は、当委員会におきましても、きのうの連合審査等におきましても、いろいろ問題になってきたことでございますが、重複はできるだけ避けるつもりでおりますが、あるいは重複する点もあるかもしれませんが、電気通信機及び電気通信線路の平均耐用年数は、これは恐らく実績じゃないかと思うんでありますが、昭和三十五年二十一・四年から昭和四十三年は十三・三年に減少しておる。これは、私、調査室からいただいた資料を拝見したわけでありますが、これは電気通信機及び電気通信線路の平均耐用年数というのはいろいろなのの平均じゃないかと思うんですけれども、この二十一・四年が十三・三年に、八年の間に実に七年も短くなっておる。これは内訳はどうなりますか、こういう機械が何年短くなり、これはこうなったんだという。
  159. 好本巧

    説明員(好本巧君) 四十一年度に、三十六年度に決めておりました耐用命数をそれぞれの種目、品目ごとに改定いたしまして、その総合平均がいまおっしゃったような数字だと思いますが、それぞれの細かい内訳の数字はございません。
  160. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはあれですね、実績ではなしに、公社はたしか会計規則による耐用年数を何回か変更してきておるわけでありますが、四十三年度に変更して十三・三年に短くしたというのは、それは実績ではなしに、理論的な会計処理上の平均耐用年数と、こう考えていいわけですか。
  161. 好本巧

    説明員(好本巧君) もちろん御指摘のように、会計上使いますところの耐用命数のことでございますが、どうしてその数字が出たかといいますと、調査に基づきますところの実存寿命というものをもとにして決定したわけでございます。
  162. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、私は、その実存寿命が実際に減ったから、このように会計処理上の耐用年数が減ってきておるというお話ですから、どのように実際の耐用年数が減ったのか、その資料はございませんか。  たとえば、これにはいろいろ自動式交換機二十二年とか、公衆電話室は七年とか、公衆電話機は六年とか、そういうのがあるわけですが、実際に公社として公衆電話を取りかえるまでの平均寿命というものが年ごとにだんだん短くなってきているということじゃないかと思うんですけれども、そういう点はどうなんですかね。
  163. 好本巧

    説明員(好本巧君) お答えいたします。  三十六年から四十三年までの間、実績値が年々大体短くなっているのじゃないかという御指摘でございますが、事実、調査の結果、おおむね逐年短くなっておる。その実績実存寿命に基づいて、耐用命数を決定いたしておるという経緯でございます。
  164. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはどうなんでしょうか、今後も、そういう傾向が続くのかどうか。私は、冒頭、総裁のお話もこういう転換期を迎えて節約をしていかなくちゃいかぬ、こういうようなお話で、当然、今後は耐用年数を延ばしていかなければいけないのじゃないか。恐らく先ほど青島委員の方からプッシュホンですか、プッシュホンというのは、あれは需要者の方から出た要望ではなしに、公社の方から積極的に売っていったように聞いておるわけでありますが、ああいうのはあんまりプッシュホンが早く流布していくということは、そのプッシュホンの前のいわゆる普通の電話機はどなるんですか、それはまたよそで使うんですか、これは償却処分になるんですか。
  165. 好本巧

    説明員(好本巧君) まず前段の問題でございますが、四十三年度以降も二、三年に一遍実際の実存寿命を吟味検証しておりますが、これはおおむね四十三年から五十年の間はほとんど横ばいでございます。四十三年以降でございますね、ほとんど二、三年に一遍十分それぞれの実存寿命を吟味検証しておりますけれども、四十九年度で調べましたところでは、四十三年度からはほとんど横ばいで長くも短くもなっていないという状況でございます。  それから、ただいま申されました局内の電話機、これをプッシュホンとかホームテレホンに取りかえるということが相当数ございます。お客様の要望に従って取りかえますが、取りかえましたときの処理といたしましては、それを現実には取り払って修理工場で一遍オーバーホールいたしまして、これがまたほとんどもとと同じように、新品同様にオーバーホールするわけでございますから、機能、性能とも新品と同じようになるわけです。これを新しくまたつけるということをやっておりますが、耐用命数といいますか、会計処理といたしましては、それを取り外したところで寿命が尽きた、撤去財産であるというふうに処理しております。
  166. 塩出啓典

    塩出啓典君 そういうようにまた再生をして使うということは非常にわれわれとしてもいい方向じゃないかと思うんですけれども、ただ、三十五年から四十三年まで平均として耐用年数が減っているということは、これは数字で見ればわかるんですけれども、なぜ耐用年数が短くなったのか。いわゆる機械が陳腐化したためにもう廃棄せざるを得なかったのか、あるいは新しいものができてそっちへ切りかえるためにそうなったのか。私は、だんだん科学技術の進歩によって一つ一つの品物の寿命は延びているんじゃないか、そういう意味で、なぜどういう項目が短くなったためにこの平均がこれだけに減ってきたのかという、このもとになる具体的なのを示してもらわないと、ただ、この数字だけで減った、減ったんだというのではわれわれは納得できないんですけれども、その点はどうなんです。
  167. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) いろいろ耐用年数が実際の調査によりまして三十五年から四十一年にかけて短くなっておるわけでございます。これが短くなりましたのは、それぞれの品目別にいろいろな理由はございます。  非常に簡単な例でひとつ申し上げますと、たとえば市内の架空ケーブルは、三十五年当時には、鉛をかぶせましたケーブルを使っておりました。これは時間がたちますとともに鉛にひびが入る、そのために雨が降りましたときに水が入って絶縁障害を起こす、こういうような障害に私ども悩まされておったわけでございます。三十七、八年からだったと思いますが、これをプラスチック被覆のケーブルにかえるということをいたしまして、だんだんにこのプラスチックケーブルに引きかえてまいったわけでございます。こういう場合にもちろん使えるものを引きかえるわけじゃございませんで、障害になった場合、あるいは加入者数がふえまして対数の多いケーブルに引きかえなければいけない場合、こういう場合に新しいケーブルに引きかえていく、こういうことをいたしまして、現在では、ほとんどプラスチックケーブルにかわってきております。こういうふうに、いろいろな障害の修理の場合、あるいは増設の場合といったような場合に引きかえをしてまいりまして、だんだんにものがかわっていく、このためにやはり撤去というものが相当行われてくるというようなことが、この場合には架空ケーブルの耐用命数といいますか耐用年数といいますか実存寿命といいますか、これがこの当時相当短かくなった、こういうことがございます。  その他のものにつきましても、それぞれいろいろな理由で新しいものに取りかえていかなければならない、あるいは障害がありますために取りかえるというようなことで、次第にものがかわっていく。私どもむしろ使えるものを捨てるということはいたしておりませんけれども、何かのチャンスにいいものに取りかえていく、こういうことを長年続けてきております。こういう意味で耐用年数が四十一年当時大分短かくなったわけでございます。その後、相当設備の何といいますか品質が安定してまいりまして、こういう障害等は大分減ってまいっております。  しかし、いまの市内の架空ケーブルに例をとりますと、その後も加入者数の相当な急増及び道路工事の拡幅等が行われますために移転をしなければいけないというようなことのために、相当現在までは取りかえが行われております。したがいまして、ときどき実際のデータを検証いたしまして、この耐用年数でいいかどうかということを調べておるわけでございまして、最近では、四十九年から五十年にかけて調査をいたしまして、ほとんど変わっておらない、こういうことでございまして、今後も、調査は常にチェックを続けまして、実際に合った耐用年数というものを常に設定していく、こういう形で運用してまいりたい、こういうふうに私ども考えております。
  168. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、結局、まだ使えるけれども新しいシステムにかえた方がいい、その方が保守とかそういうような点からいいんじゃないかと、こういうことで、いままでは使えるけれども新しいものに取りかえると、それからまた道路工事なんかでそういうような場合があると、そういうわけで短くなった、こういうお話ですけれども、どうも道路の拡幅工事でまだ使える電電公社の線を廃棄しなければならないというような場合は、これはやっぱりあれですか、公社はもう損してもそれをやらなくちゃいけないわけなんですかね。
  169. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 私ども、道路上にあるいは道路の下に、いろいろ線路設備をつくっておりますが、これは昔逓信省時代からのあれでございまして、無料で使っております。電力会社等は道路占用料を払っておられるわけでございます。私どもは無料で使わせていただいておる。そのかわりに移転等の事態が起きました場合には私どもの費用で移転すると、こういうことになっております。
  170. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、今後は当然いままでの行き方というものは変えていかなければならないんではないか。というのは、いままでは多少使えても人件費を節約する意味で保守はもっとスムーズにいくようにもう一遍にかえちゃった。こうやってどんどん使えるものを新しくかえてきたわけですね。寿命が短くなってきているということは、実際の寿命は長くなっているはずなんですから、それを結局短くしてきたということは、使えるものを次に新しいものに取りかえると、こういうことできたわけでありますが、当然、そういう方向はこれから変えていかなければいけないのであって、資源の節約というそういう点もあるでしょうし、そういう点から耐用年数を延ばしていかなくちゃならぬ。そのために多少保守に人件費が多くなっても、いま日本全体を見れば非常に失業者が多いわけですから、だからやっぱりいままでのような行き方は当然改めていかなければいけないんじゃないか。耐用年数につきましても、もっと長く使うように、このように当然方向転換をすべきだと思う。もうすでに方向転換しているんじゃないかと思うんです。その点はどうなんですか。
  171. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 方向転換と申しますか、いままでも私ども使えるものは捨ててはおりませんが、ただ、たとえば先ほどの例で申しますと鉛に穴があいた場合にその部分だけの修復をしないで、ある程度の長さの部分をプラスチックケーブルにかえる、こういうようなことは従来やってまいったわけでございます。現在では、もうこの例で申しますればプラスチックケーブルにほとんどなっております。こういう意味で、使えるのはできるだけ使っていくということは今後も心がけてまいります。  ただ、他動的な要因、その他での取りかえというものもどうしても出てまいりますので、そういった点はもちろんできるだけ使えるものを使うという形を心がけながら、同時に、実際の耐用年数にどう影響が出てくるか常によくチェックをいたしまして、それに合わせていくという形で運用してまいりたいと存じます。
  172. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、いまの耐用年数ですが、結局、八年間の間にもう三分の一も減っておるわけでありまして、それが個々の品目についてどういうものがどういうぐあいに減ったのか、そういうものを全部平均してこういうような結果になったんじゃないかと思うんでありますが、そのもとになるこういうものが減ったんだと、そういうものを、これは後で結構ですから、資料として御提出いただきたいと思います。その点どうでしょうか。
  173. 好本巧

    説明員(好本巧君) 耐用命数の三十六年度以降、各内訳につきましてどういうふうに取りかえが出てきて、どういうふうに耐用命数が動いてきたかという一覧表を提出したいと思います。
  174. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、定額法定率法の問題は、いろいろ公社には公社の言い分があると思うんでありますが、ふだん非常に高度成長で収入もどんどん伸びているときに、これはもう定率でも何ら差し支えないと思うんですけれども公社といたしましても創業以来の経営の転換期を迎えておるわけですから、今回の油ショックに対して民間企業というものはいろいろなそういう対応策を立てて、この経済の転換に対応するために努力をしてきたわけですから、もちろん公社が全然やってないというわけじゃございませんけれども、私は、値上げもせなければならない赤字になっているときに、この耐用年数、あるいはまた減価償却を定額に変えるとか、赤字解消のあらゆる手段を尽くして、そしてしかる後に値上げをすると、それをそういうものは全くどうもしないで、さあ赤字だから値上げする、これでは国民も納得できないわけでありまして、したがって定額法のいわゆる減価償却にしてはどうか。定率の方がいいにこしたことはありません、公社立場はいいかもしれませんけれどもね。定率法にしたからといって公社がつぶれるわけでもないでしょう。この点どうなんですか。
  175. 好本巧

    説明員(好本巧君) これは先般の当委員会におきまして、将来の減価償却の方法につきまして十分検討を加えるとお約束したわけでございますから、その線でやりたいと思いますが、ただ、減価償却といいますのは、期間損益の計算国民の皆様に正しくお示しする。要するに過大償却があってはこれは利益隠しというようなことになりますし、過小償却があると将来非常に恐ろしいことになりますので、事業は永続いたしますので、長いある一定のスパンの間これを妥当なる償却計上を続けていくというのが一番正しいことではないかと思います。ある一年、二年の損益が赤字である、黒字であるということによって、そのときにそれに対応して減価償却制度をいじるということは危険なことではないかと思います。  しかし、冒頭に申し上げましたように、将来のいろいろ環境条件が変わってまいりますので、いろいろ真剣に検討を始めてまいりたいと思います。
  176. 塩出啓典

    塩出啓典君 私は会計の専門家じゃございませんで、よくわかりませんが、定率法に改めた理由として、既存設備の陳腐化、不適応化が著しいと、これは公社からいただいた資料ですが、また当委員会でもそういうお話が出ました。あるいは都市構造の変化によって耐用年数を実態に合わせる、すなわち、いまさっき話しましたように耐用年数が短くなるという道路工事、そういうようなことで定率法にしているということなんですけれども、私は、そのもとになる陳腐化、不適応化というのがもういままでのようにはないと、あっては困ると、資源の面から申しましても、また先ほど技術革新というものはそうこれからは好本総務理事もいままでのような技術革新、コストダウンを伴う技術革新はもうないと、ないというか、困難になってきていると、そういうことで、この定率法をとった理由として公社の挙げている基礎が崩れているわけです。  一方の方では、資源の節約とかなんだかんだ言って、それでこっちの方では陳腐化や不適応化が著しい、そっちを改めなければ、結局、公社経営体制が改まったとは言えないのじゃないかと思うのです。そういう意味で、これはもう時間もありませんのでこの辺でやめますけれども、ひとつ公社としても検討してもらいたいと思いますよ。その点を要望しておきます。
  177. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  178. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  179. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  先ほど好本総務もお答えいたしましたが、技術革新のテンポは確かにこれからスローダウンすると思いますが、しかし、また技術革新が全然ないかというとそうではないのでございまして、この五十一年から五十三年におきましても、技術革新の成果によりまして建設投資を約五千億円節減する年にしております。  私の個人的な見解にもなりますが、いままで進んでいるような大きな、たとえばマイクロを超多重にするとか、同軸ケーブルをやるとかいうようなものは確かにスローダウンしますが、また基礎研究が出てきまして、そしてそれがまたこう出てくる時期が——もうこれで永久にスローダウンするというふうには思っておりません。これはある時期が来ますと、また技術革新が急速に出てくる時期が来るんではないか。それが五年先であるか、あすかもしれません。したがってその問題はそういうふうに考えます。  それから、いまの減価償却の方法につきましては、前回、この委員会でもお答えいたしましたが、今後、研究さしていただきたいということを申し上げました。そのように計らいたいと思います。
  180. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから次に、料金問題についてお尋ねいたしますが、まあ電電公社は今日まで二十数年間、広域時分制はありましたが、一通話七円という料金はずっと据え置いてきたわけであります。これは公社技術革新と、また公社で働く皆さんの企業努力にも負うところが多いと思うわけでありますが、しかし、設備料というものが一万から三万、五万、八万と、このように変わってきているわけですね。  それで、たしか遠藤総務理事はきのうの連合審査でも、この設備料の今回の五万から八万の値上げ物価上昇に見合って決めたんだと、このようにおっしゃっておりましたが、これは一万から三万、三万から五万のときもやはり物価上昇に見合って値上げをしてきたわけなんでしょう。
  181. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いましさいには私も記憶しておりませんが、大体、そうであったと思っております。
  182. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、公社のいままでの料金値上げというものを見てまいりますと、非常に設備料値上げは急速に上がってきておるわけですね。そうすると、当然、料金の考え方というものは非常に変わってきつつあると思うんですね。ということは、やはり設備料値上げというのは、いままでつけている人はもう必要ないわけですから、これから新たにつけなければならない人がますますつけにくくなると、こういう状況ですね。  これがまあ非常にどんどん申し込みが多くて積滞がもうどんどんたまって工事が追いつかないんだと、こういうときに設備料を上げる、これはやはり経済の原則からいってもそういうことはあり得ると思うんですけれども、いまのようにだんだんだんだん需要が減退をしてきているときに、新規需要ももう四十八年、四十九年、五十年と下がってきているわけですね。ことしも下がり去年も下がってきておる。こういうときに設備料値上げをするというのは、非常に時代逆行というか、一体、どういう考えのもとに設備料を上げたのか。設備料なら電話とってない人が困るわけで、大体いろいろ文句言う人は全部電話とっておるでしょうから、抵抗ないところから上げてしまえという、こういうような考えのようにもとれるわけです。その点はどうなんですか。
  183. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 設備料につきましては、料金の中でもたとえば基本料通話料と違いまして、先般来御説明しておりますように、具体的な加入電話架設の工事に要する費用の一部に充当すると、こういう考えでございます。したがいまして、いまの工費の上昇とかいうものと直接リンクして考えることが非常にしやすい点がまず第一点であります。  それからもう一つの点は、お言葉でありますが、非常に需要が出ているときに、たとえば積滞解消ということで追い回されているときに設備料を上げることによって少しでも楽をするということもこれはまた逆にどうかと思うわけであります、つまり需要を抑制して積滞解消のテンポをできるだけ早めると。むしろまあこういう機会が一番よろしいのではないかと思っているということで、今回、お願いをしておるわけであります。
  184. 塩出啓典

    塩出啓典君 昨年五月、遠藤総務理事が記者会見で、電話の付加使用料の徴収は廃止してもいいと思っていると、このほか無料にできるものがあればどんどん無料にして、ひいては収入増につながるのではないかと考えていると。もちろんこの前提には値上げのときにということですね。それに付随して、去年の五月十三日電波タイムズに記者会見で語ると書いております。そういうことは言いましたか。
  185. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) その五月のときにどういうことを言ったか、あるいは記者がどういうぐあいにお書きになったか私もちょっと記憶がございませんが、付加使用料全部ではなくて、付加使用料の中には無料にした方がいいというのが確かにあると思うんであります。たとえば御家庭で電話機をソケットで持って歩くことができる、それを差し込み電話と申しでおりますが、差し込み電話口というのは要するにソケットみたいなものですが、このソケットみたいなものはやっぱり付加使用料としてたしか月に五十円ずついただいておるわけです、従来。しかし、私は、こういうものは五十円の金額を取るために徴収費用というものが非常にかかりますですね。しかも差し込みというのはどんどんただで接いでいただいて、それであっちこっち持って歩かれて通話料を上げる方が結果的には公社としてもいいし、またお客様に対してもそれがいいんじゃないかという意味でそういう考えを持っておりまして、そういうことを言った記憶はございます。付加使用料全部という意味じゃもちろんございません。
  186. 塩出啓典

    塩出啓典君 それはそのように無料にしたわけですね、そういうものについては。あなたの言われたところはただにしたわけですね、まだしてないんですか。
  187. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) まだ、その前提となっております問題が解決しておりませんので、まだやっておりません。しかし、なればそうさしていただきたい。まあこれは郵政省に認可を求めなくちゃいけませんが、郵政省にお願いするつもりです。
  188. 塩出啓典

    塩出啓典君 総裁は、昭和四十七年五月二十三日の当参議院逓信委員会におきまして、当時、拡充法の審議のときに森勝治委員の質問に答えて、五十七年度末の時点まで電話設備料につきましては、これを改定することは考えておりませんと、こういうことを発言をしたわけでありますが、この発言したの間違いないかどうかですね、そうすると今回の値上げは公約違反ではないだろうか、その点はどうですか。
  189. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 確かに私もそのようなことを発言いたしました。ただ、しかし、その後オイルショックという世界的な経済の大変動がございまして、物価の高騰、それからそれに伴う人件費の大幅な変動というものがございまして、今回はやむを得ずお願いしていると、こういうことでございます。
  190. 塩出啓典

    塩出啓典君 非常にオイルショックはいろんな場合に使われるわけでございますが、その点はひとつ今後とも公約の実践できるように努力をしてもらいたい、そのことを要望しておきます。  それから次に、データ通信の問題について二、三お尋ねしたいと思います。  まず、大分はしょりまして、公社はこのデータ通信部門が四十八年度が二百四十二億、四十九年度が三百五億、五十年度は三百六十億と、このように赤字があると、こういうことは私聞いておるわけでありますが、その前の四十四年、四十五年、六年、七年、こういうこの前はどうなるのかですね。私は、たしか前の広域時分制の審議のときにも、データ通信の部門というものははっきり分けて、やっぱり収支というものをはっきりしなくちゃいけないんではないかと、こういうことを申し上げたわけでありますが、この点はどうなんでしょうか。
  191. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) お答え申し上げます。  データ通信事業が正式の公社の業務として法律的に認定されまして始めましたのは昭和四十六年からでございまして、日が浅うございまして、しかも、現在もそうでございますけれども、当時から電信電話と一体的経営をするというような線で進んでまいりましたので、特に初めの時期におきましては経理の分計ということをやらないでいたわけでございます。その後、国会等でいろいろ御議論がございましたので、最近、大変大胆な仮定のもとに分計ということをいたしましていろいろ御報告をさしておる次第でございまして、したがって四十八年からのデータはございますが、それ以前のデータはとっておりませんでしたので、数字としては持っておりません。
  192. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、データ通信赤字のために一般の加入者電話料が上がるんではないかという、こういうことがいつも危倶されておるわけであります。私たちも公社経理がわからないから、それだけにそうではないかなと、こういう気がするわけでありますが、そういう心配を持つ国民に対して、いやそうではないんだと、もちろんいま単年度でデータ通信部門が赤字になったからといってわれわれは決してそれで短絡的にどうのこうのするわけじゃありませんが、やはり八年なら八年の間にはこのように収支が見合って、決してデータ通信部門への投資あるいは赤字のために今回の値上げをするんではないと、こういうことを国民が納得するように、またわれわれが納得できるように、それだけの資料をやはり公社は出すべきじゃないかと思うんですけれどもね。われわれは全くそういう点は理解できないわけであります。その点はどうされますか。
  193. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  御指摘の点は、恐らく今後三年間の事業別収支を出しておりまして、これが一兆七千二百億、こういうことが値上げのベースになっておるもので、その内訳かと思いますが、その内訳をざっと申しますと、この分計非常にむずかしゅうございます。それでやはり大胆な仮定で計算してございますが、その結果によりますと、大体、電話事業赤字が一兆二千五百億、電報事業約四千億、データ通信事業で申しますと約二百億くらいでございます。したがいまして、ゼロとは申しませんが、ほぼ、その一兆七千二百億のうちの二百億程度ということでございまして、まあいわゆるデータの赤字公社は埋めるというこではないということでございます。
  194. 塩出啓典

    塩出啓典君 二百億というのは、創業以来のデータ通信に対する設備投資とか、そういうものを全部勘案して二百億の赤字という意味じゃないわけでしょう。結局、五十一、五十二、五十三年度の単年度収支の合計の赤字が二百億というわけでしょう、それじゃ話にならぬと思いますね。その前が問題なんですから、いままでが問題なんですから。しかも、いまの本部長の話では分けてないという話じゃないですか。  私は、たしかこの前の広域時分制のとき、当委員会の会議録は持ってきておりませんが、そのときに、総裁はやっぱりデータ通信部門の設備投資は全部分けているという、そういう答弁だったんですよ、ここは。もちろん共通で使う設備はあるでしょうけれども、そういうような点、もう少しやはり納得のいく説明をしていただかないと、私たちはやっぱり素人なんですから、その素人でもわかる説明をしてもらわぬといかぬと思いますね。
  195. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私も確かにその記憶がございます。それで当初から総裁から独立採算ということは私ども命ぜられておりまして、独立採算にいたすためにはやはりその分計の方法をいろいろ研究をいたさなくちゃいけない。システムが非常に大きくなれば分計も幾らか楽になるんですが、非常に少ない段階では、御案内のように、非常に分計はむずかしいわけでございます。まあはっきり申し上げてその作業に一、二年かかりまして、結局、四十八年度の決算からそういう数字が出てきたわけです。しかし、その前に、数字はわかりませんが、あったことは確かだと思います。  それから、いま計画局長が申し上げた数字は、確かに五十一年から五十三年の予想分計でございますが、これのほかに四十九年、五十年の決算の赤字もすでにあるわけでございます。したがって、いまの断面におきましては確かにデータ通信赤字電話料金にはね返っているということは皆無とは言えないと思います。ただ、その比率から申し上げますと、先ほど御説明しましたように非常に少ない比率であるということと、それからもう一つは、今度の法定料金ではございませんで、これと同時に行われます認可料金の中で特定回線ですとか端末回線を値上げをいたしまして、データ通信自体としてそれを戻していくということにいたしまして、結局、全システムとして五十三年度から収支とんとんに持っていくと、こういう計画を私ども持っております。
  196. 塩出啓典

    塩出啓典君 遠藤総務理事が五十三年度には何とか収支とんとんに持っていきたいと、これは五十三年度という単年度の収支をとんとんに持っていきたいと、こういうことですね。そういう点どうでしょうか、いまの説明でもわれわれは何となくわかったようなわからないような気がするわけなんです。  確かに一般加入電話とか、そういう方面の設備投資の金額とか収入に比べれば、データ通信関係の占める割合は非常に低いですから、少々こっちで赤字出たから、それが七円が十円になったということは、それはないでしょうけれども、しかし、七円が十円になるうちの、三円値上がりする、まあ何銭か知りませんけれども、それはやはち影響があるわけで、そういう意味をもう少しわれわれに納得できるような説明——まあ説明よりか資料がないものかどうか。それはおまえの勉強が悪い、仕方が足りぬからで、もっといろんなものを見て調べろと言われりゃそれまでかもしれませんけれども、もうちょっと公社としても親切に、データ通信部門の収支はこうなんだと、いまは赤字だけれども、将来、今度はほかのいわゆる専用回線とかそういう方面で埋め合わせをして、結局、一般加入電話にはそういう影響はないんだということを、口で言うんじゃなしに、もうちょっと証拠をもって説明できないものですかね。そういうデータはないんですか、公社には。
  197. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) まあどの程度の資料をお出しすればおわかりいただけるか、実は見当がちょっとつきかねておるんですが、るる申し上げておりますことは、一つのシステムごとに八年で収支のバランスをとる、こういうぐあいにいたしております。したがって最初うちはどうしても平均よりも低目に出まして、四年目からいろいろな黒字になってくるわけです、各システムとも。それで、それは各システムでございますから、データ通信全体としては後から追っかけ追っかけ新規投資がございますから、ある程度安定した状態にならないと、その数字が実際に出てこないわけでございます。それは五十三年度大体出てくるであろう。  で五十三年度単年度というのは、五十三年度単年度だけ黒字になって、また五十四年から赤字になるという意味ではもちろんございません。それから先は黒字でずっと、もっとさらに黒字幅がふえていって、そして過去の大げさに言えば累積赤字を吸収していくと、これはいまのデータ通信料金体系そのものから御説明ができるのではないかと思っております。
  198. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、八年で減価償却するのじゃなしに、八年目にようやくいわゆる損益分岐点を越えて、それから後何年かたつうちにやつっぱり収支償っていくと。そうなってくると、このコンピューターの耐用年数というのは、それはちょうど八年がまん中だとすれば、やっぱり十六年間の長い見通しの上に採算を考えているわけですか。
  199. 好本巧

    説明員(好本巧君) いまのは八年がまん中ではございませんで、耐用命数は八年と決めておりますので四年がまん中でございまして、五年目から黒字になっていくと。四年間の赤字を五年目からだだだん消していって八年目で消すという、そういう意味でございます。八年がまん中じゃございませんで、四年がまん中でございます。
  200. 塩出啓典

    塩出啓典君 それなら八年目までには、もう大体単年度だけの赤字解消じゃなしに、実際はもっと減価償却もしてなくちゃいけないわけでしょう。しかも、いまさっきも話しましたように、データ通信のうちのいわゆる科学技術計算あるいは販売在庫管理の両サービス、こういうものもかなり景気の動向を反映をして解約が出ているわけですね。四十八年、四十九年、五十年の実績も計画を大きく下回っているわけでありますが、そういう中で五十三年度までに黒字というのも、これはまだ実際は単年度の黒字であって、決してよくないわけで、その五十三年度の単年度の黒字が果たしてできるのかどうかですね、できるのかどうかといって、先の話ですから、ここでできると言えばそれまでかもしれませんけれども、いままでの赤字から見ましても大体四十八、四十九、五十と赤字はどんどんふえてきておるわけですね。これがばっと五十一、五十二、五十三で上向いてゼロになっていくということは計画として予想されますか。   〔委員長退席、理事最上進君着席〕
  201. 北原安定

    説明員(北原安定君) 補足説明さしていただきますが、このサービスを始めましてから私ども日がまだ非常に少なくて数年の経過しかございません。したがいまして好本が説明しましたように、八年のシステムライフといいますか、その中で回収するのに、その前段の四年に該当するシステムが多いということでございます。そして年々の増加といいましても、そう毎年コンスタントに一定にふえているわけじゃなくてしますために、累積するシステム総数の平均使用年数が四年の線をだんだん超えてくる、そういうことで五十三年から単年度で黒字の方向に行く。  それから先生もう一つ言われました公衆データ通信サービス、この方は実はミニマムコストという点で考えまして八年が適当であるかどうかということについては一つ検討事項を含んでおります。ということは、ユーザー単位でやります個別サービスはIBMのやってまいりましたやり方で、コンピュータのコストパフォーマンスから八年くらいで次のコンピューターが出てくる、したがって従来のやつも物理的には十分使えるのだけれども、それを新しいやつに取りかえて、そして市場独占の方向をやってきたその先住民族のIBMの方式をやはり無視してやることができないために私たちも八年のシステムライフと、物理的にはもっと使えるものでございます。したがって公衆データサービスというのは多数の中小企業の皆さんが共同でお使いいただくものでございます、これも一応八年で計算しております。しかし、これは八年が来たからまだ十分使えるのに無理して放棄するという性質のものではなかろう、もう少し長期に使えるのじゃないかということと、全国にネットワークとしてこれを構成していくためにだんだんコンピューターを全国的に設置していく、そのために当初はどうしてもシステムの中に満杯になるだけ収容ができない、だから徐々にそのシステムが満杯になるように収容していくということで、公衆データサービスの方は各種サービスよりはもう少しく見方が変わる部分もございます。そんなようなことも考えまして、五十三年度単年度で黒字になる見通しを持っておりまして、それ以降、特別の変化がない限り、年々黒字の方向に進むものと考えております。
  202. 塩出啓典

    塩出啓典君 よくわかりませんけれども、後でゆっくり会議録を読ませてもらいます。いずれにいたしましても、三年後に黒字にするとここではっきり明言されたわけですから、その結果を見て、三年後にまた——そのときにはもういらっしゃるかどうか知りませんけれども、そういう点、われわれの非常に心配しているところでありますが。  そこで、この白書を郵政省が出しておるわけでありますが、あの白書等にもデータ通信等についてのいわゆる財政問題については特別には書いてないわけですね、電電公社全体の財政というのはあるわけですが、やはり独立採算にして、これはまあ皆さんから見れば何もそんなに分けなくても同じ公社がやっているんだからおれたちを信用しろと、こう言いたいかもしれませんけれども、先ほど一番最初に話しましたように、国民の批判の目も厳しい時代なんですから、やっぱりそういときには何だかんだ言われないようにはっきりしていくということがぼくは大事じゃないかと思うのですね。そういう点で、この白書等にもデータ通信の収支と申しますか、そういうものをやはりはっきり明示をして、それで国民理解を求めると、こういう方向にすべきではないか。  これは郵政大臣に提言したいわけでありますが、その前に、公社の方として、もし郵政大臣の方からそういう要望があれば、できるかどうかですね。実際には、いまさっき言った割り振りをどうするかという、そういうことはちょっとむずかしいとおっしゃってましたけれども、もうできているわけでしょう。だから、これからはできるんじゃないですかね、その点どうでしょうか。
  203. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは昭和四十九年からでございましたか、一本の決算のほかに、先般お話ししましたように、五大重要品目について累計を——仮の累計でございますが、いたしまして、一応公表するようになった。したがいまして、当然、郵政省にもお隠ししているわけでございません、それをお使いいただいて、そういう白書を編さんされることにつきましては私どもも決して否定をするものではございません。
  204. 塩出啓典

    塩出啓典君 郵政大臣、わかりましたか、質問は。そんならお答えをしていただきます。
  205. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 先生の御意見を踏まえまして、検討させていただきます。
  206. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあ検討じゃ余りよくないわけですけれども、ひとつ前向きに検討していただきたいですね、お願いしておきます。  それからデータ通信関係の料金については、これは認可料金である、そういうことで、今回、われわれ庶民の方の値上げだけをしてデータ通信値上げせぬのはけしからぬではないか、こういう庶民感情があることは事実でありますが、   〔理事最上進君退席、委員長着席〕 これは公社としてはやはり多少今回の法案が通った後時期を置いて検討すると、そういうことと理解していいわけなんですか。
  207. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 結構でございます。
  208. 塩出啓典

    塩出啓典君 で、どうなんですか、いま公社も銀行関係などはいろんないわゆるオンラインのサービスをやってますね。そういうことをしてやった銀行とかそういうところは、企業においては、それだけの効果が出ているのかどうか、その点どうなんですか。
  209. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) もちろん企業の秘密というような点がございますので、このデータ通信サービスを実施したからどれだけそれによって利益が上がったというような御発表は各銀行ともございませんので、推定する以外にないわけでございますけれども、相当大きな効果は各企業に与えていると思っております。
  210. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは実は「金融と銀行」という雑誌に載っておるわけでありますが、それによりますと、たとえば都銀上位銀行ではオンライン実施後第二年度までは赤字で推移するが、第三年度からは黒字に転換、第六年度目には四十八億円程度の利益を生ずることになる。都銀の下位銀行はやはり三年目まで赤字、四年目から黒字、第六年目には二十一億の収益が出る。相互銀行なんかの場合は、これはコンピューターをレンタルすれば二年度目から黒字である。こういうようにいろいろ銀行について書いておるわけですね。  そうしますと、これは電電公社が八年たってようやく単年度収支が償うぐらい一生懸命努力をしてそういうサービスをしている。サービスを受けている方は二年目でばっちり、二年目以後に黒字になっていると、こういうことはわれわれとしても非常に国民感情から見て納得のいかない事柄ではないか。したがって最近は銀行が一番利益率を上げているという、そういう状況の中で、こういう銀行等に対する料金等の問題とか、そういうものはやっぱりどうなんですか、もう少し大幅に上げてもいいんじゃないかと、この点どうですか。
  211. 北原安定

    説明員(北原安定君) 銀行の方がどういう状態になっているか、私どもつぶさではございませんが、先ほど八年というシステムライフの中で、前半は公社赤字で後半は公社黒字ということは、それだけこのシステムを導入しやすくする、すなわちユーザーがそれだけ前半負担が多いので、その負担を少しでも楽にして、後半黒字が出てくるのを公社がそれをいただくと、こういう考え方に立っておりますことと先生のいまの説明は合うように思います。ただ、二年でいいのか三年がいいのか、その辺わかりませんが。  ところで、このコンピューターのサービスの分野、データ通信の分野は、公社は電信電話サービスと違っておりまして、要するに民間企業との競合のある分野でございます。したがいまして私たちが選んでいる道はやはり国家的なシステム、たとえば公害とかあるいは医療というようなものを主としてやろうとか、全国にまたがってくるような大きなネットワークになるようなもの、たとえばいま先生の出された銀行のシステム、それから開発先導的なもの、あるいは大衆が特にコンピューターを使おうと思っても、それだけの資力も人間的な能力もないというところに公社が手を差し伸べる、こういうような国家的な、それから国益的な面に多くの力を入れておるわけです。そういうようなことがございますのと両方でございまして、ただいまやっているような、すなわちナショナルプロジェクトに相当するようなのは比較的政府との関連になってくるから、他の一般の民間の競合の中にはなじみにくいかと思いますけれども、そうでない全国的なようなものは、どちらかといいますと民間との競合になってきやすい。  逆にいきますと、先ほど言いましたように、IBMがやってきたような料金体系というものを、すなわちレンタルというようなものをベースにしてユーザーはいろいろ考えるわけでございます。それと公社サービス、あるいは広い意味でのサービスの中に料金も入るわけですが、それとのバランスの上に立っていろんな検討をされると思います。そこで私たちもできるだけの努力をしてシステムがミニマムコストになるような努力をする、そういうことでやっておるのでございますが、電話のように、それを設備料基本料あるいは度数料というような単純明快にはなかなかやりにくいわけでございます。そういうところでしたがって制度を違えていかなければならない、そういうことでなかなか見にくい点がございますが、最初のうち公社の方は赤字になる、したがってそういう部分をいろんな形で借入金等で負担、あるいは一部負担を端末機などにはしてもらいながらやっていくという形でございますために、御指摘のように、そこから何といいますか民間がIBMを中心としてなじんできたやり方をある程度は若干崩していますけれども、余り崩すとなじみにくくなってやりにくい。そんなようなところで御指摘のように余り公社式の方法ですとなじみにくくなって、したがってユーザーもやりにくいというようなことで、その辺の調和をこの際指摘しましてまだ数年でございますので、見ながら進んでいるというのが実情でございます。
  212. 塩出啓典

    塩出啓典君 要は赤字を余り出さぬようにやってもらいたいという、その結果をひとつ見ていきたいと思うのですけれども、また、いまもちょっとお話が出ましたけれども、やっぱり民間と競合している部分もあるわけで、そういうところは民間料金もあるし、こっちだけ勝手に決めて変えるわけにもいかないし、そういうような問題はどうなんでしょうか。これは先般もこの当委員会で公述人の方からもありましたけれども公社はやはりもっと本来の業務に徹すべきじゃないか、そういう点で余り民間と競合する部門に進出していくということは果たしてどうなのか、これは非常に大きな問題でいろいろな意見もあると思うのですけれども、総裁としてはどうなんでしょうか。やはり公社の歩むべき方向というものは、将来の危険負担とか、そういうことで民間ができない、そういうところをやはり公共企業体としてやっていくべきじゃないかと思いますが、その点はどうなんですか。
  213. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) データ通信の発足時におきましては、いろいろ御意見がこの委員会等においてもございました。これは独占ではございません、データ通信につきましては。したがって公社としては、いわゆる医療とかあるいは公害防止、流通機構の改善、そういういわゆるナショナルプロジェクトに力を入れていく、そういう公共性の強いものに力を入れていくというふうにしたいと思います。
  214. 塩出啓典

    塩出啓典君 それではデータ通信最後に、四十九年九月の行政管理庁の勧告におきましては、役務提供前の契約解除または中途解除が生じた場合、いわゆるその契約解除によって、公社としてはそれまでいろいろデータ通信のプログラムを開発しておる、そうすると、そういうものが契約解除になると、そのプログラム作成の費用を回収できない、こういう契約方式を早急に検討するように、こういうことを勧告を出しております。それに対して、郵政省は早急に検討するよう電電公社に指示をした、こうなっておりますが、これはもうそういう契約はできたのでしょうか。
  215. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これはいまの勧告がございまして、郵政省からの指示がございまして、私どもの方でいろいろ研究を重ねてまいりました。一つは、一番大きな問題は、これもやはり民間、特にIBMあたりはそういう点を非常に逆にねらっているわけでございます。そこらの点も考えまして、いろいろ契約のやり方、あるいはいわゆる違約金と申しますか、そういうものの取り方、これを考え、一応成案ができましたので、近く郵政大臣に御認可をいただくように要望しております。
  216. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  じゃ次に、最近、PBX等の販売保守委託会社、そういうものを公社が出資をしてつくると、こういうことで問題になっておりますが、現在、公社が出資をしている会社の概要及び今後の出資予定の会社はどういうものがございますか。
  217. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これはいまから一年ないし二年前から、私どもはいろいろ研究をいたしておりますが、御案内のように、PBXあるいはビル電話、その他の端末につきまして、非常に妙な言葉ですが、直営という言葉と自営という言葉がございます。直営というのは公社が直接販売、保守をやる、それから自営というのは民間の方が販売、保守をやる、こういうものでございますが、この二つをこのままの形で通じていくことにはいろいろ問題がございますので、できるだけ公社としてもサービス面からそういう会社をつくってやっていきたいと、民間と協力して一つの会社をつくって、特に大都会あたりについてはそういう会社をつくってやっていきたい、こういう構想で民間と折衝しておったんでございますが、そのうちに現在の不況期が参りまして、一応、その話を凍結をいたしております。したがって、現在の段階では、まだ予定の投資をする会社をつくっておりません。いまの御質問の、すでに投資をした会社はないわけであります。近く景気が回復をいたした上で、そういう問題を改めて民間の方と御協議をしたい、このように思っております。
  218. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると、現在まで公社が出資している会社というものは全然日本にはないわけですね。
  219. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 現在までいたしておりますのは、先ほど御質問のございました船舶通信をいたすための日本船舶通信という会社がございますが、ここに六億七千五百万円出資いたしました。それからあとは、皆さん方ポケットベルと言っております携帯用の無線のあれでございますが、あの会社が現在各地方ごとに十三ございます。ここにそれぞれ出資いたしております。それからそのほかに、これは別関係でございますが、KDDに一部出資しておるのがございます。
  220. 塩出啓典

    塩出啓典君 どうでしょうか、いままで公社が保守をやっておったわけですね。それをいつまでも公社がやるのは大変だから別な会社をつくると、そういう御趣意だったんですね。大体、そういう、いままで公社がやっておった仕事を公社から離して、いわゆる業者などと一緒に販売保守委託会社をつくるという、そういうことなんですね。
  221. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 誤解をなさるといけませんので正確に申し上げますが、販売と保守を端末につきまして委託会社をつくるという意味です。完全に切り離すんじゃなくて、委託会社という形でやっていきたいというのが私どもの当初の方針でございます。いまの船舶とかポケットベルの話は別でございます。
  222. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは全国の電話設備業界がやはり非常に死活問題として深刻な影響があると。そういうことで、公社にもこういうものはやめてもらいたい、そういうものはわれわれ業界に任してもらいたいと、こういう要望が強く出ておるわけですけれども、で公社はまあそういうようなことは関係なしに——いろいろ話し合いもしているようですけれども、この料金値上げ以降においてはこれをつくると、こういう考えのように理解をしているわけですけれども、それはやはりそういう会社をつくるんですか。
  223. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) その死活問題だと言って反対しておられることは私もよく承知しております。で死活のうちの活の方を私どもは言っておるので、このままでまいりますとやはり自営の方々は先細りといいますか、になると思うのです。むしろそういう方々のお力も拝借して委託会社にした方が私どもはそういう業界のためにもいいと思っておるんですが、長年やっておられる方にはなかなかその趣旨がよくおわかりにならない点もありますし、たまたま不況期でもありまして、何か公社が仕事を取り上げるんじゃないかという誤解もあったようでございます。したがって、いまは凍結をしておりますが、ゆっくりお話し合いをすればおわかりになると思うので、つくるつくらぬの前に、よく民間の方々とお話をして、納得を得られればつくりたい、こういうぐあいに思っております。つくるというように決めたわけでもございませんが、少なくとも私どもの意図はそういうものでないということをよく御納得のいくように話し合いをさらに継続はいたしたいと思っております。
  224. 塩出啓典

    塩出啓典君 私は、そういう、いままでいろいろ電電公社に協力をし、また自営用品の販売とか保守とか、そういうことをやってきたたくさんの歴史を持つ人たちもいるわけで、そういう中で、いまのお話では、いまのままでは先細りになる、だから、こういう会社をつくらなければならないという、そういう意味がちょっとわからないんですよね。この目的は何ですか、一体。
  225. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 御存じのPBXというのは、これも技術的にいろいろ進歩してまいりますし、で進歩してまいりますのはやはり公社でそういうものを新しくつくっていくわけでございますね。そういったような形で、もしこのままの状態でいきますと、直営の方がずっとそういう新しいものができますから、古い型のものはどうしても先細りになる。あるいは先般来お話の出ているビル電話ですとか、そういったようなものについては、現在、やはりPBXの業者の方は全然御関係がないのですから、やはり私どもはPBX、ビル電話サービスからいいましても、たとえば土、日に会社が休みのときに電話機の移転をしたい、こういう会社が非常に多いのでございます。そういった点はやはり公社としてはなかなかむずかしい点もございますので、むしろそういうところへいまの自営のPBXの業者の方々のお力を使うとか、あるいは販売網といたしましても、これだけ端末がたくさんふえてまいりますと、やはり幾らかそういう方々のお力もかりた方がいい場合もございます。  そういったような面でこの考えを持っておるわけでございまして、同時に、これは中の職員の問題にも関係することでありますから、片や民間の業者の方、片やうちの労働組合とも十分話を進めていかなくちゃいけない問題だと思っておりますが、決してごり押しをして、ぐじゃぐじゃにまあわけのわからないうちにつくると、そういうつもりは毛頭ございません。
  226. 塩出啓典

    塩出啓典君 非常に結構な目的なんですけれどもね。しかし、彼らが非常に恐れていることは、いま言われたように、直営の方はどんどん技術が進んでいくでしょう、そういう自営の方はおくれていく。そういうわけで、そういう自営用品の人たち一つに集まって、そして公社指導を受けて技術をみがき、現在は公社が管理しているビル電話とか、そういうようなPBX等にも進出をしていくと、こういうのであれば非常にいいわけですけれどもね。  ただ、彼らが今日までのいろいろな歴史から心配しているのは、結局、そういう会社ができると全部公社の人が天下りしてくるんじゃないか、それで結局公社の流れをくんだ者、そういう者だけ日の当たる場所になって、そういう日の当たらない人たち公社にはいはいと言う人は非常にいいけれども、それ以外の者ははみ出されていく、こういうようなことを一番心配しておるんじゃないかと思いますけれどもね。そういう当初に心配をしておるということを私は総裁に申し上げたいわけですけれども、総裁としてはどうされますか。
  227. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  先ほど遠藤総務理事が答えましたように、つくる場合にいたしましても、業界の方あるいは公社の内部の労働組合その他とも十分話し合って進みたいというふうに思い、慎重に処理したいと思います。
  228. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、この問題に関連するわけですけれども、いわゆる関東電気通信資材株式会社、こういう会社があるわけでありますが、これはどういう会社であるのか。これは電電公社の資材にも関係のある会社のようでありますし、まあ電電公社としてはこういう会社をつくるように指導したのか、またこの会社をつくった目的は何なのか、そういう点はどうなんですか。
  229. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  いまお尋ねの関東電気通信資材株式会社でございますが、これに関東エリアにおきます私どもの通信建設の請負業者が共通の資材——これは工事用の資材でございますけれども、業者が準備いたします工事用の資材につきまして共同に購入をする、こういうようなことを目的としましてつくった会社でございます。この会社は、各種の電気通信資材の調達、いま申しました調達関係、あと販売あるいは加工、こういったものを初めとしまして、工事用の機械工具の修理なりあるいはレンタル、そういったものをそのほかに行っております。     —————————————
  230. 森勝治

    委員長森勝治君) 質疑の途中でございますが、委員の異動について御報告いたします。  川野辺静君が委員辞任され、その補欠として福岡日出麿君が選任されました。     —————————————
  231. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、いまのお話では、関東電気通信資材というのは、いわゆる公社の仕事をする請負業者が資材を共同で購入するためにできた会社である、こういうお話であります。まことにそういう趣旨である限りは非常にいいと思うんですけれども、これは業者の方の自発的な意思でできたのか、公社指導のもとにできたのか、その点はどうなんですか。公社としては、そういうようにつくるように指導したのかどうか。
  232. 山口開生

    説明員(山口開生君) 最初、やはり業界の方で共同に購入した方がいろいろのメリットがあるということで発案されたものであります。これを受けまして、公社の方もそういったものができることによりまして安く工事に要しますものが共同購入できることは大変結構なことでございますので、これを認めてございます。
  233. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは、現在、いま私が申し上げたのは、関東電気通信資材株式会社という、これは関東の場合でありますが、いろいろ調べてみますと、これは全国の電気通信局単位にそういう会社ができているように思うわけであります。その点は間違いないですね。
  234. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  全国の通信局管内に全部持っておりまして、全部で十の会社がございます。
  235. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはどうですか、共通の資材を共同購入するための下請業者のつくった会社であると、しかし、いろいろ聞いてみますと、その役員はほとんど大半が、その業界の生え抜きの人ではなしに、電電公社から行った人たちであると、大体局長クラスである。関東電気通信資材の場合は役員が何人いて、公社の出身者は何人でしょう。
  236. 山口開生

    説明員(山口開生君) 関東資材の場合をとりますと、役員が監査役を含めまして九名おります。そのうち公社から直接行ったという役員はございません。一応、先ほど申しましたように工事会社の共同出資でできておりますので、建設工事会社からこの会社に役員に入っている中で公社出身者は六名でございます。
  237. 塩出啓典

    塩出啓典君 この人たちは最終ポストは大体どのぐらいのポストなんですか、大体地方局長さんクラスですか。
  238. 山口開生

    説明員(山口開生君) 社長をやっております遠藤正孝というのは東京市外電話局長でございます、最終ポストは。
  239. 塩出啓典

    塩出啓典君 いや、六人いらっしゃるわけでしょう、みんなで、公社の出身者が。六人の人のたとえば局長クラスとか、あるいは課長クラスとか、最終的なポストはどの程度でしょうかと、わからなければいいですよ。
  240. 山口開生

    説明員(山口開生君) 先生おっしゃいますとおり、大体局長クラスが多いと思います。
  241. 塩出啓典

    塩出啓典君 公社がいろいろな仕事を発注する場合に、いわゆる電電公社が資材を供給する場合と、それから業者が直接買って使用するいわゆる直接材、こういう二種類がある。特に屋内外線、屋外内線というのですか、こういうものに関しては公社支給材ではなしに、直接にその下請業者が買う材料が非常に多いと、このように理解をしていいのでしょうか。
  242. 山口開生

    説明員(山口開生君) ただいまお話がございました、屋外、屋内と実は言っておりますが、屋外線と屋内線、これは電話の配線に使う線でございますけれども公社が支給する材料を公社支給物品と言っておりまして、業者が準備する物品は業者提供物品、こういうふうに私どもは申しておりますが、その線類は業者提供物品でございます。
  243. 塩出啓典

    塩出啓典君 このいわゆる電電公社が支給する材料ではなしに、業者が工事をするためにいろいろ材料を使うわけでありますが、この材料について、下請あるいはその二次下請、そういうものが関東電気通信資材の品物を買わなければならない、こういう方針でございますか、公社としては。
  244. 山口開生

    説明員(山口開生君) 先生下請とおっしゃっていますのは、実は、私どもでは元請認定会社と言っておりますけれども、工事を請け負っております工事会社、認定会社は、公社が業者提供物品とは言っておりますけれども、この線類につきましては品質を非常に重視しておりまして、との線については公社が事前に検査をしております。したがいまして、その検査物品が正常なルートで建設業者に渡るためにはやはりルートをはっきりしておいた方がいいということから、この流通経路をとるように指定をしております。
  245. 塩出啓典

    塩出啓典君 したがって、いわゆる元請認定会社とか、そういうところが使う資材というものは流通経路を明らかにするために必ずこの関東電気通信資材株式会社を通して買わなければならない、こういう方針で行政指導をしてきておるわけですね。
  246. 山口開生

    説明員(山口開生君) 強く行政指導しているというわけではございませんけれども、やはりその方が安定した品物を業者が購入するためにも便利であり、また総合的に業者が出資してつくりました共同購入機関でございますので、総合的にはやはり経済化の方向にある、こういうふうに思っておりますので、一応、そのルートを通すことを認めております。
  247. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、そういう共同購入をして、非常にほかより安ければこれは一番いいわけですけれども、それが非常に値段が高いと。で、やはり同じメーカーの同じ製品を使っても、そういうものを使うと公社からやかましく言われる。しかし下請業者としてはやっぱりできるだけ安いコストで、同じ品物で安いんであれば、これはできるだけ安い方がいい。そういうのを使うと今度はもう圧力がかかる。そういうことで、どうもそういう品物に関東電気通信資材の検査を通過したというラベルを張っておるわけですね、品物に。皆ラベルを張っておる。そのラベルのない品物はけしからぬじゃないかと。なぜラベルの会社を買わないんだと。そういうことが行われておるわけでありますが、これはやはり公社として認めるわけですね。
  248. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えします。  ただいまも申し上げましたように、その流通経路が一元化されていることの方がより安い品物が入手できるというふうに私ども思っておりますし、まあ実際にそのように運営されているわけでございますが、そういった点で、流通経路が一元化されているということと、公社の検査合格印が張ってあるものを扱っているという、その印のためにあるシールを張っているということは認めております。
  249. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、その点はどうなんですか。私は、品質はやはり信用のあるものを買わなければならない、そういうことで公社がいろいろ検査をする、それは必要でしょう。しかし、関東電気通信資材を経てなければ使ってはならないとか——それはやはり流通経路の一元化ということはいいかもしれませんけれども、しかし、ある場合にはもっと信用できるメーカーから直接買って、その方が安い品物であればそれはどんどん使ってもいいですよ、素性のわからない、信用のおけない品物をつくることはこれはよくないにしても。そういうことで、何か関東電気通信資材、しかも九人のうち六人が公社の関係の人たちである。そういう会社を通らなければ、通った品物を使わなければ、それを使ってはならぬと、こういうようなことは、いままで一生懸命安い品物を供給していた、ほかのそういう線材なりを供給する業者を圧迫をしておるわけですね。こういうようなことは公社の方針として私はちょっと行き過ぎじゃないかと思うんですが、その点どうですか、総裁。
  250. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) この問題、もうすでに七、八年前からこの屋内屋外線の業者提供ということをやっております。このやりました動機は、屋内屋外線というのを実際の宅内の配線に使います場合に、その加入者のお宅の様子いかんによって屋内線、屋外線の使用量がいろいろ違ってまいります。たくさん要るお宅もあれば、少ししか要らないお宅もある。そこらを公社の支給物品といたしますと、一々全部、何メーター使って何メーター返納するというようなことを一々やらなければならない。こういう煩瑣がございましたために、一般的に申しますと、業者提供物品はいわゆる品質の点でも一般市販品程度でがまんのできる物と、こういう物をいたしておるわけでございますが、この屋内屋外線に限ってこういう制度をとったわけでございます。  ところで、その場合に、先ほど建設局長申し上げましたように、公社が品質を検査いたしまして合格した物だけを使ってもらいませんと、安い物が入ったんではこれは困ると、こういうことがございまして、同時に、この屋内屋外線をつくっております電線メーカーが非常に小さなメーカーでございます。これは大きなメーカーではつくっておりません。したがいまして電線メーカーの方は、公社がこういう業者提供物品にいたしますと自分らは一体どうなるんだという不安も持っておりまして、電線メーカー非常に中小企業のメーカーが集まりまして販売協同組合をつくりまして、これを通して出荷する、こういうことに電線メーカーの方はいたしたわけでございます。これは中小企業の協同組合として許可された協同組合でございます。したがいまして販売の方が口が一つになってしまったということがございましたので、工事業界の方もやはり購入を一つの口にしぼるということをいたしたというふうに私聞いておりますので、そういう意味で、先ほど建設局長が申しました流通機構が一本化していた方がいいと、こういうことになったわけでございます。
  251. 塩出啓典

    塩出啓典君 総裁、どうですか、この点は。
  252. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 私も、実は、余り詳しいこと実際知らないんでありまして、よく調べまして、検討をさしていただきたいと思います。
  253. 塩出啓典

    塩出啓典君 私は、本来の目的は非常にいいですよ、共同購入。けれども、結局、そういう会社が最初は業者の代表の会社であったのがだんだんたつうちに電電公社の、天下りという言葉が適するかどうか知りませんけれども、そういうものに結局支配されていってしまう、そうして一つの流れ、言うなればそこが今回の場合もトンネル会社のようになって、電電公社がもうここの製品でなければだめだと。これは屋内線、屋外線だけじゃない。電柱のゴムバンドまでともかくここのを買わなきゃだめだと。それで最後には、公社電気通信部がいろいろいままでは直接品物を買ったのを全部今度は逆にこういう各地にある電気通信資材、そういうものを使って買っていくと。そうすると、公社へ品物を納入するためにはどうしてもそのトンネルを一つ越えていかなければいけない、こういうようなことが一つの利権にも結びついていく気が多分にあるわけであります。この問題はこの程度にとどめておきたいと思いますが。  そういう意味で、先ほど話の出ましたいわゆるPBX等の販売保守委託会社等にいたしましても、やっぱり何だ、公社の幹部の天下り先をつくるための会社じゃないかと、そういうことを言われるようじゃ困ると思うんですね。あくまでも、公社立場ではなしに、今日まで営々として今日の電気通信電電公社を中心とする技術の進展の陰には一生懸命努力してきたそういう業者がいるわけなんですから、そういう業者の立場に立って公社がやはりそれを応援をしていくと。  各通信局にこういういまのような会社ができると、今度は、さらにいろいろな資材を運搬する運輸会社が各通信局にできておるわけですね。今度はさらに保守会社が、今度はまた、いまは東京と大阪、名古屋でさらにできてくると、こういうような方向にいくことが果たしていいのかどうか。これは本当に慎重にやっていかないと、むしろ官側としては、そういう下請業者、一生懸命協力していた業者の立場に立って、それを公社が応援をしていく、こういう形にしていかなければならないんではないか。そういう点でひとつ、こういう問題については総裁も余り御存じないようでございますので、よくひとつ御調査をいただいて、また手を打っていただきたい。さらに、その問題も今後の委員会で問題にしていきたいと思いますけれども、その点よろしいでしょうか。
  254. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 先ほど申し上げましたように、私もよく実情を知りませんので、検討さしていただきます。
  255. 塩出啓典

    塩出啓典君 この点は、郵政大臣、私は大きな問題じゃないかと思うのですけれども、郵政省といたしましても、ひとつそういう点にはよく気を配って対策を立ててもらいたい。先ほど申しました会社の設立等は、遠藤さんは話せばわかるというようにおっしゃっているようでありますが、私はそういうような会社は設立すべきではないと、そう思いますので、その点ひとつ慎重に対処してもらいたい。このことを要望しておきます。
  256. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 批判を受けるようなことのないように、十分注意いたしまして指導してまいりたいと思います。
  257. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、次に、料金の問題でありますが、御存じのように、現在、電話料金というものはわれわれの自宅では知ることはできないわけでありまして、やはり時期を締め切って電電公社から請求が来て初めて幾ら使ったかということはわかるわけですね。そういう意味では、この間も新聞の投書に載っておりましたけれども、請求書が幾ら来るか、来てみなきゃ全然わからないのは電電公社電話の請求書とバーの請求だけだと、こういう値上げに絡んで投書がございました。  やはり、これからの低成長時代を迎え、国も地方自治体も税収が非常に少なくなってくる。したがって経費を節減をし、入るをはかり出るを制すと、そういう体質改善を迫られておる。企業も同じだと思うのですね。われわれ家計においてもどうやって生活を切り詰めていくかという、こういうことも非常に大きな問題になってくると思うんですね。そういう意味から、やはり電話料金を何ぼ使っているかという、いまかけた電話料金は幾らなんだと、こういういわゆる料金即知計と申しますか、こういうものが非常に必要である。これは私も当委員会でも何回か要望したことがあるわけでありますが、そういう自宅においてかげながらいま何ぼ使ったんだと、こういうような計器を開発することは、これは時代の要求であり、公社としても当然全力を挙げていかなければならない、私はそう思いますが、総裁の御見解はどうでしょうか。
  258. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 技師長からお答えさせます。
  259. 北原安定

    説明員(北原安定君) 電話料金をガス、電気のように宅内で見られるようにするということにつきましては、いろんな角度からそういうユーザー及び事業の要請からもいろいろ研究をしております。世界各国、そういう方向のことが進んできておりまして、外国の一、二の例を申し上げますと、たとえばドイツ、イギリスなどで一部そういうのを提供しました。これはもうかなり前でございます。ところが、やってみますと、この度数計というものは大変精度の高いものを要求されます。ということは、宅内に置きますとエラーが非常にふえてくる。そこで正規の電話局のいろんなコンディションのいいところに置いてきちっとやっているものとの食い違い、誤差が出てきます。そこでドイツのようなところでは、誤差を生じた場合には、電話局内の度数計を正規のものとするというように法的にも明らかにしてそしてやっておりますが、しかし、分計、すなわち料金をある程度分計をするとか、あるいはある程度の予定を立てるという意味においては大変価値のある場合もありまして、当初かなりの量が出ていきましたが、最近、私の調べたものでは、ドイツでもイギリスでも約十万程度が宅内度数計として使用されているというところで非常に伸び悩んでおるのでございます。  ところで、公社にいたしましては、どうしていますかといいますと、かねてからこの宅内度数計の研究というものをやってきておりまして、その第一は、まず度数登算機能というものを宅内に送りまして、そのパルスでメーターを変えていかなきゃいけない。そのために宅内に行っている通話線路を通じてそのシグナルを送るわけですが、これが通話の妨害にならないように、かつ、いろんな意味において電話に機能がふえてまいりますから、そういう機能にも衝突しないように、いろんな研究を重ねておりますが、どうしても精度がなかなか上がりにくい点が出ております。  そこで、最近やっていますのは、PBXにまずひとつわかるようにしようと、それを可視式と称しておりますが、これでいろんなテストをやってみております。それから可聴式——耳で聞けるようにするものもやっておりますが、これはコンピューターのようなものを使って音声でその度数なり金額なりを表示するというようなことでございますが、この方は大変特定のところには便利ですが、一般家庭向きにはなかなかならないというようなことでございまして、現在の段階では、線路の特性に合って精度の高いものを提供していくということが大変むずかしい。それは一つには宅内に置かれるコンディションの問題でございます。  ところで、また電気や水道、ガスというようなものとの食い違いでございますが、これは計量していけばいいということですが、私たちの方のは、非常に一度数七円というパルスを、正確に九州にかけた場合では二・五秒に一パルスを送るとか、都内ですと三分で一パルスを送るというように、その送る内容が従量的にただ一定に行くというものと違っておる点がまた大きな特色でございます。そんなようなことで、研究は進めております、前向きな努力もやっておりますが、現在、自信を持って提供できるようなところにはきておりません。テストは進めておる状況でございます。
  260. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま、そういうものが時代の要求として必要なんじゃないだろうか。先ほどからプッシュホンとかいろいろ出ましたけれども、そういう開発も必要でしょうけれども、むしろユーザー立場に立つときには、私は、テレビ電話も大事でしょうけれども、やっぱりこういう研究をやることの方がもっと大事なんじゃないですかという、その見解を承りたかったわけですが、その点はどうなんです。
  261. 北原安定

    説明員(北原安定君) もちろん先生御指摘のように、こういうことが非常に正確にかつモダレートのコストで提供できるようになることが望ましいわけでございまして、私たちも、かなり前から、こういう方向の研究は研究所を中心にして、技術局などで現場試験なども繰り返しやっておることは事実でございます。なかなかこれをユーザーに、加入者に提供して、しかも加入者公社の間にトラブルのないような見定めをするためには、なお今日の技術ではコストが非常に高くなって大衆化しにくい。というのは、これはただで提供するわけにもいかないんで、そういう希望者には有料で提供する。有料ということになりますと、コストダウンをしないとこれがなかなか普及がしていけない。こういうように努力はせいぜいやっております。
  262. 塩出啓典

    塩出啓典君 公社は、こういうものの研究に研究費をどれだけつぎ込んできたのか。研究はそのように部門に分かれることはできないかもしれませんけれどもね。たとえば何々プロジェクトチームとか、そういうようにやった場合には必ず予算がつくわけです。そういうようにはっきり一つの計画を持って、これだけの予算を積んで研究をやったと、そういうことはあるんですか。
  263. 北原安定

    説明員(北原安定君) ただいま手元にはございませんけれども現場試験をかなり実行しておることもございますし、現場調査というようなものもやりましたから、そういうものを集計すれば、先生のおっしゃるような金額のものは推計できると思います。
  264. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあ結局、公社のいろいろの研究の結果、結論としてはいいものはできなかった、いまのところはね。で、しかも非常に高過ぎるということをおっしゃっていましたね。たしか私ちょっとお聞きしたんでは、十六キロヘルツですか、ヘルツの新しいパルスを送って、そしてこのメーターを動かす、こういうやり方だと、大体、どれだけかかるんですか。
  265. 北原安定

    説明員(北原安定君) 手元に資料ありませんので、うろ覚えの点がありますから、後刻、また修正さしていただくとしますが、一番単純なもので一万円弱ぐらいじゃなかったかと……使用料でしたかな、あれは。ちょっとお待ちください。——それから、いまおっしゃるように、精度の問題がございますんで、精度もいまの局内度数計に近い精度のものにするためにはどうしても高くなると、こういうことでございますから、ある程度の目安のものでやるというなら、また別でございます。
  266. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。  先ほど先生御指摘の十六キロヘルツ、これを使います方式について、いままで大体技術局中心でいろいろ試作検討を進めていただいたものでありますが、もちろんその量にもよりますが、大体推定いたしますと、宅内度数計としましては、物品費では大体三万円程度ではないかというふうに想定をしております。
  267. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは三万円ぐらいでもうできるわけですね。三万円出せば、私が、じゃ三万円でつけてくださいと言えば、つけていただけるんですか。そういうのはもう完成しておるわけですね。
  268. 前田光治

    説明員(前田光治君) お答えいたします。  いま約三万円と申し上げましたのは、宅内におつけする機械の原価でございますが、そのほかに、先ほど先生おっしゃっておられますように、電話局の方から十六キロヘルツのパルスを送る装置を電話局につけなければなりません。あるいはお宅に取りつけ工事に行きます費用とか、そういうものがございますので、さらにその上に若干の上積みが必要であろうかと思います。  なお、先ほどから技師長申し上げておりますように、現在までのところ、公社が直接自信を持って一切誤差が出ないという宅内の加入装置をつくることはまだ研究中でございまして、できてございません。たとえて申しますと、月に七千円度数料をお払いになる方、これが一つ狂いますと七千七円という請求になることになります。これは千回に一つも間違ってはいかぬということになりまして、〇・一%よりももっと高い精度がなければ御満足がいただけないということで、技術的に非常に精度に対する要求がむずかしいということに原因がございます。
  269. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃ私が聞きましたコストは、ここへつけるだけのコストじゃなしに、やっぱり当然そういうのをするためには局内にも設備が要るわけですから、だから私の知っている範囲では、かなりあれは三万円どころの話ではない、西ドイツ等でやっているようでありますが、かなり三十万円か、こういう単位と理解をしているわけですけれども、全体のコストから見た場合ね。その点はどうなんですか。
  270. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。  私、先ほど御説明いたしましたのは、宅内度数計の物品費ということで、三万円というふうに申し上げました。あと工事をいたします費用でありますとか、それから局内側の装置、そういうものを含めますと、大体、この三万円が五万ないし六万円ぐらいにはなるんじゃないかというふうに考えております。
  271. 塩出啓典

    塩出啓典君 それは、結局、今後その計画を実施に移せばそうなるということで、五万円出してそういうものをつけてくれると、こういうのは大体いつの予定なんですか、そういう計画あるんですか。
  272. 北原安定

    説明員(北原安定君) 先ほど来私申し上げておりますように、ただいま料金をいただくそのもとになるのは、電話局に度数計を置きましてそしてやっておるわけでございますが、これとほとんど同じ精度を宅内機器につけようとしますと、それまだ開発に努力しているところで、直ちにおつけするような見通しも立ちませんし、それからおつけする場合に、月幾らの使用料をいただくかという検討もしたがってできないような状況でございます。したがって制度的にこれを検討するのはまだ時期が早い。安くて、ただ分計程度でもいいからということになりますと、その程度のものをどうするかということにつきましては、まだ検討はいたしておりませんけれども、必要によっては社内で検討を始めることとしても結構かと思います。
  273. 塩出啓典

    塩出啓典君 さきにいわゆる広域時分制ができますときに、公社はそういう国民の要望にこたえる意思で、あのとき三分のやつをつくりましたですね。あれは市内電話には確かにないよりはあるにこしたことはないわけですけれども、ただ、公社は一号通話時分計という分だけの機械を何か発売をしているようですけれども、これはどなたかわかりますか、分だけわかる機械。
  274. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。  前回、広域時分制をいたしましたときに、加入者に無料で配りました三分計というもの以外に、電話機に直接くっつけまして、大体、分単位の表示をする、先生おっしゃいます一号接続計というのを当時つくったというふうに覚えております。
  275. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは大体一台七千円で、公社は積極的には売ってないようでありますが、しかし、分だけじゃこれは東京に三分かけたから幾らだといって、私はいま広島ですけれども、広島はたしか三秒ですからね、七円三秒ですから、今度十円で三秒になりますけれども、これではやっぱり役に立たぬわけであります。  それで、私の聞くところによりますと、いわゆる高千穂通信機器製作所ですね、高千穂通信機器製作所はやはり電電公社に自営用品の申請をいたしまして、こういう市外通話料金をはかる機械、これを公社は認定をしておるわけでありますが、この機械はどういうシステムになっているのかわかりますか。
  276. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 現在、宅内度数計で自営の設置を認められておりますものを大別いたしてみますと、三種類ございます。  一つは、単独電話等に設置をいたしまして、これは通話対地ごとにタイマー、一種の時計でございますが、時分を勘定いたしませんと度数が出ませんので、そのタイマーを内蔵しておりまして、大体概算の料金額を表示いたすというものがございます。この中には、いま先生御指摘の高千穂というような会社もこういう品物をつくって現在販売をしております。それから二番目には、いわゆるPBXでございますが、PBXの中継台につけまして、そこで秒数あるいは度数などを表示するという同じく料金即知計といわれるものがございます。それから三番目には、今度は自動のPBXでございますが、これは非常に最近大きなPBXがございますので、そういうものが内線ごとに一応度数計をつけておりまして、それに通常いま公社料金制でございます三分七円であるとか、あるいは十秒七円であるとかいう大体この秒数をPBXの中で自分で勝手につくりまして、大体、それで各内線ごとに料金を分けるという三種類がございます。
  277. 塩出啓典

    塩出啓典君 企業のやつはいいです、時間急ぎますから、結局、いわゆる一般加入者の場合を対象にしておるわけですから。
  278. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 一番最初に申し上げました単独電話等につけますというものでございまして、この中には、確かに高千穂もこういう商品を販売しております。
  279. 塩出啓典

    塩出啓典君 実は、これは(器械を示す)市販のものでございますが、これが(器械を示す)公社のこうやって三分のやつ、これは無料ですね。これが(器械を示す)いまさっき施設局長から説明がありました高千穂通信機器の品物であります。これは三万六千円ですね。これは決してPRするつもりはないわけですが、これは市内はわからないのですね。昼と夜がありまして、昼かけるときはこっち、夜かけるときはこっちと、ここに二・五秒から三秒、四秒、五秒、六秒と、こういうように八十秒までありまして、そしてかける前にスタートを押して、そしてこれをいま昼ですから昼にして、広島にかけるのだったらこれを3にして、そうして電話をかければ、ここに金額がちゃんと出るようになっておるのですね、七倍した金額が。  これは公社自営用品として認定をしているわけですけれども、これは確かにないよりはあった方がいいと思うのですけれども、ただ、公社はこれを認定はしたけれども、じゃ実際に、私は広島におりますけれども、広島からあるところに電話をかける、操作は非常に複雑ですけれども、それ全部間違いなくやっても、じゃそこが一応七円で何秒かということはこれはわからないわけですね。電電公社電話帳を見ると確かにある程度載っているわけなんですよ。けれども、やっぱり県によって一ヵ所しか載っていない。県によっては近いところはもう何種類もありますし、遠いところは、東京とか北海道なんかになりますと、これは一つですけれども、ある程度中距離のところは、名古屋あたりだったら二ヵ所ですね。だからどっちになるかということはわからないわけですね。したがって私が申し上げたいのは、公社はこういうものを認定はしましたけれども、それを運用していくのに必要な、どこそこへ電話かければ七円で何秒になるかということを加入者に知らせていない、そういう点はちょっと片手落ちじゃないか、その点はどうですか。
  280. 遠藤正介

    政府委員遠藤正介君) 確かに言われてみると、そういう点はございます。電話帳以外に、それぞれの加入者に、その加入者のおられるところからの対地別の料金表をやはり適当な機会にお配りした方がいいと思います。それを今度は十円で何秒という方式で出すか、私は三分で幾らというような形の方がいいのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、そういったようなものを今回の料金値上げのPRの中にはひとつ考えさしていただきます。
  281. 塩出啓典

    塩出啓典君 広島におきましても、広島から全国のあらゆる局に何秒で昼の場合は七円と、こういう表は、広域時分制ができる前に、一回、四十五年には配られておるのですけれども、それから広域時分制になりまして、広島市内等においては八十秒七円がいわゆる三分七円になっておるわけですね。そういう点は実際には新しい最新のものは出されていないわけです。そういう意味では、この器械を使おうとしてもなかなか使えない、こういう状態にあることを御認識をいただきたいと思うのです。その点は、今後手を打ってくださるということですから。  で、実は、これはなぜ私がこういうことを申すかと申しますと、日本通研という会社が自宅の電話機に安価にしかも容易に電話料金計を取りつける方法を提案をし、これを公社に対して自営用品の認定の申請を出したわけでありますが、これが先般却下になっておるわけですね。それで、この日本通研が出したこれは「1号Aテレレータ」という商品名でありますが、この器械はどういうシステムの器械であるのか、これをちょっと御報告願いたいと思います。
  282. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。「1号Aテレレータ」というものの認定申請は五十年六月三十日、日本通研株式会社から提出されております。これを公衆電気通信法及び同施行規則によりまして審査を行いまして、今年八月三十日に文書により認定できない旨通知したものであります。  この方式は、電話局で実はいろいろな種類があるわけでございますが、ある特定のタイプの局におきましては、局内で度数計を回すためのパルスが加入者側の線路に、私ども出す気はないんですが、非常にわずかではありますが、ごく微量なものが漏洩をしております。それを宅内側で拾いまして、それをもって宅内度数計として使用するという方式でございます。私どもこれについて一応認定できないということでございますが、実は、この課金パルスを漏洩をいたします局といいますものは、すべての交換局がそうであるということではまずございません。また、こういう方式のパルスが出る局でございましても、この局でたとえば直通回線というようなものを、実は、これトラフィックに応じまして設定をいたしますわけですが、こういう直通回線に入りますと、こういうパルスというものは出なくなります。それから交換機が電子交換機、これは今後相当導入されるわけでございますが、たとえばこういうようなものに収容がえされるというようなことがありましても、出なくなります。それから局から市外局に至ります間の回線の方式が変わったりいたしますと、また出なくなることもありますというようなことでございます。  そういうことで、非常に電気通信網の構成の設定状況がいろいろ変わることによりましてパルスが出たり出なかったり、いろいろ変化をいたしますということと、もう一つは、公社度数計と常に連動しているというふうに誤解をされますと、非常にこのような問題からいわゆる料金苦情ということにつながるんではないか。そういたしますと、非常に私どもの業務の遂行にいろいろ支障があるということでございまして、これは認定できないということで御通知を申し上げたわけでございます。
  283. 塩出啓典

    塩出啓典君 ただいまのお話で、いわゆる私の理解するところでは、交換機とかあるいは伝送方式、そういうものにいろいろの種類があり、それによって課金方式も違うわけでありますが、しかし、公社の局内におけるいわゆる課金装置というものは、やっぱり何らかのパルスによってその課金メーターがぱっぱと上がっていくわけですね。そのパルスというものが自宅の電話まで流れてきておる。このパルスの種類には大きく分けて三種類ぐらいあるんではないか。  PCM方式をとる場合、この場合はいわゆるこの問題になっている「1号Aテレレータ」というのは、AB登算方式の場合、それからパルスが出てくるわけです。それをキャッチしてメーターをつくっておるわけでありますが、これは、施設局長、私の言っていることは間違いないかどうかね、ぼくは素人ですから、間違えている点があったら訂正してもらいたいと思うんですよね。  そのいわゆるAB登算方式のクロスバー交換機であれば、全部パルスが出るわけでありますが、ただ、いわゆる市内通話それからいわゆる直通対地ですね、非常にしょっちゅう東京と横浜のようなところは公社としても直通回線を引いておるわけでありますが、そういうときはまた別なパルスが出るわけであります。したがって、この器械はいわゆるAB登算方式の局に関する電話機というものを対象にしておりまして、そうして市内通話、それからいわゆる直通回線の場合はボタンになっておるわけですね。ボタンですね。直通回線というのは、東京の場合であれば横浜とか名古屋とか、これはもう何ヵ所か、三ヵ所か四ヵ所、五ヵ所あるわけですから、そこへかける場合はボタンを押して、そしてタイマーによって課金装置は動く、こういう実はシステムになっておるわけなんですね。  それで、実は、この器械をここにきょう持ってきたわけなんですけれども、これはこういう器械なんです(器械を示す)。ここにはボタンが、広島の場合は、私のところからたとえば呉にかける場合は、これは直通回線ですから、そのときだけこれを押してかければ、あとはもうかけた場合に公社の課金装置に出てくるパルスがそのままこれに移ってきて、そしてこのメーターに登算されていくわけですね。だから、私が言いたいのは、なぜ公社がこういう——これはもちろんこの「1号A」というのは電子交換機とかあるいはPCM方式の交換機とか、そういうものには使えませんけれども、現在ある交換機のかなりの部分がこれで使えるわけでありまして、交換機というのは、きょうの午前中の審議減価償却のところで問題になりましたように、そう簡単にかわるものではないわけですからね。公社としても、ほかのことには研究はやるけれども、こういう点の研究には非常に熱意がない、私はそのように思うんですけれどもね、この点どうですか。
  284. 北原安定

    説明員(北原安定君) 先ほど長田がお答え申し上げましたし、私も申し上げましたとおり、通話対地に可聴——耳に聞こえる音を出すということは、私たちは長い間これを避けて、音声に近い雑音の少ないそういうサービスを提供することに努力してきたわけです。  ところで、いまの方式は、結論的には、そういった音声バンドの中にパルスを流していくわけでございます。したがいまして、精度を上げるということであれば、ますますそのパルスを正確に宅内に送る、しかも宅内は電話局から遠いところ近いところとございますから、遠いところにもそのサービスが提供できるということになりますと、かなりのレベルで出さざるを得なくなってくるだろう。そういうことが私たちが提供している電話サービスの品位というものとどうなってくるかということ、ここに一つの問題がある。しかしながら、先生のいまのようなお話でございまするし、実物まで拝見したのでございまするので、さらに一層技術的にも検討はさせてみたいと思います。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
  285. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、まず、いま言われましたパルスというものがですね、電話局から近い家庭もあれば遠い家庭もあるわけですね。したがって余り減衰が急であれば、これは使用には適さないわけでありましてね、そういうことはもう調べりゃすぐわかる問題なんですよ。私は、だから、公社にはともかくこれをもっと調査したらどうなんだと、テストしたらどうなんだと、こういうことを申し上げてきましたけれども公社はそういうものはテストする必要はありませんと、そういう姿勢が私はいけないということをここで言いたかったわけなんですよね。これは決して施設局長が悪いわけじゃなしに、私は公社全体の姿勢の問題じゃないかと思うんですね。そういうことをさせまいという一つの、総裁が悪いわけでもない、全体が悪いのかもしれませんけれど、そういう無言の圧力があったのかもしれませんが、これはやっぱり調査をしてもらいたいと思いますね。  それで、これはもちろん全部の電話に適用できるものではありません。電子交換機とかあるいはPCM方式とかですね。しかし、いわゆるこのAB登算方式には少なくともこれは適用できるわけですから、いまのパルスが遠方の局でも保障されれば適用できるわけですね。ただ、問題は、その直通回線があるわけですね、直通回線が。直通回線のところは直通回線で、たとえば私が広島から呉へかけた場合は、直通回線に乗った場合はこれはメーターに出ないわけですね。そのときはこっちのボタンを押して、これは八十秒ですから8のボタンを押して、それに切りかえなくちゃならない、そういう問題はあるわけなんですけれども、私は、公社として、自営用品というのは全部の電話機に適用できなくても、この種類の交換機に適用できる品物であれば、これは部分的にもやっぱり認定すべきではないか、それは当然じゃないかと。その点はどうですか。
  286. 北原安定

    説明員(北原安定君) 御指摘の点、確かによくわかるように思いますが、何といたしましてもお金をいただくということ、またこれによって苦情というものが常に公社には出てくるわけでございます。したがいまして、これが本当に先生のおっしゃったように、ある特定の人にいいんだといいましても、電話局からどれだけの距離、があの人はいいのか悪いのか、いろいろそこにございまして、新たな苦情がこれによって発生するようなことのないように、そのためには十分の調査あるいは条件、いろんなことをやってからでないとまずいと思いますが、現状では本当に微弱のパルスが流れているのをキャッチしてやるという方式のようにいま私ここで承りました。したがいまして、これを本当に苦情のないようにきちっとするということのためには、通話の品質に影響のあるようなところまでいくんじゃないかというような気もいたしますので、とにかく検討をさせていただきます。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  287. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃ、そういう技術的な問題はテストすればすぐわかる問題ですから、もちろん離れたところでできないとだめだと思うんですけどね。それとパルスというのは大体公社が出しておるものじゃない、多分漏れているものだと、そういう最初の公社の言い分だったわけですね。確かにわざわざ出しておるんじゃないが、漏れているわけだ。けれど、やっぱりいまの世の中は漏れてるやつでも使えるものは使っていくというのが非常にいいんじゃないかと思うんですけれどね。  それで、こういうものをもし許可したならばパルスを永遠に出さなくちゃならぬから、それは公社技術革新を促進する、そういう意見もあったんですよ。しかし、この点ははっきりさしておきたいと思うんですけれども公社がいろんな電話につける自営用品を認可するときに、技術革新でこっちを変えなきゃならぬときには、それはやっぱり条件として認可していくようにしていかないと、これを認可したために、今度こっちの設備を買いたいけれど、この認可したものは使えなくなるから技術革新ができないというんじゃそもそもおかしいわけですから、そういうようなことは、私は、パルスは公社がわざわざ出しているんじゃないんだし、そういうものを利用するものはいけないとか、将来の技術革新を束縛するから認可しないというような言い分はちょっとおかしいんじゃないかと。この点はどう思いますか。
  288. 北原安定

    説明員(北原安定君) 大変微妙な問題でございまして、確かに漏れているものでございまして、わざわざ出しているものじゃございません。パルスというものは本来そういう性質を持っております、漏れやすい性質を持っているわけですから。ただ、それは同時に邪魔にならないように回路研究やいろいろしておりますので、普通条件では、もう本当に出ているという認識さえしにくいものでございます。それに注目して一つのアイデアを出されたと、こういった創意というものをやはり生かしてみる努力、研究ということはあながちただ一片の制度でいいとか悪いとか論ずるものでもなかろうかと思いますので、先ほど来申し上げたように、よく技術的に検討さしていきたいと思います。
  289. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、私は、公社がなぜ認可しないかという理由の中で、公社度数計と常に連動しているとの誤った認識を与えることにより料金苦情がふえるからいかぬと。これは料金苦情はふえないにこしたことはないでしょう。けれど、そういうものを国民が本当に欲しいと、そういうときにはやっぱり国民立場も考えて少々は不便でもがまんすると。これが、一番最初に総裁が言ったでしょう、国民の側に立ったサービスをするということは、私は、このために最初聞いておったわけですからね。だから、もちろん、こういうものをつけたからといって料金苦情がふえるわけはないと思うんですよ。こういうものをつけたから、こういうものができたからといって料金苦情がふえるものでもないわけでありまして、だから、やっぱり国民が本当に知りたいという、もしこの器械が適切なものであるならば、たとえ料金苦情がふえても私は認可すべきであると。  これはどうですか、総裁、技術的な問題でなしに、一般論的な問題で。
  290. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 技術的なことは、私、技術を大分離れておりますのでちょっと判断は技師長に任したいと思いますけれども、いまの国民のサイドに立ってやるというその考えは賛成でございます。
  291. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、あともう一つ私が公社意見の合わないところは、御存じのように、これは(器械を示す)そういうAB登算方式の局の電話につけましても、直通回線があった場合は、市内はいいわけなんですけれども、直通回線の市外の場合はこのメーターに出ないわけですね、パルスが別なパルスですから。そのときは、これと同じようにボタンを押すようになっておるわけなんです。  そうすると、私は広島の西電話局におりますけれども、西電話局の場合は岩国と呉と五日市と三ヵ所直通対地があるわけなんですよ、三ヵ所ですね。これは秒数はちょっと忘れましたけれども、三ヵ所で、それで五日市と呉が三十秒だったら二つのボタンでいいわけで、こっちは岩国のボタンと。こっちは三十秒ですか、こっちはまあ四十秒、四十二秒なら四十二秒のボタン、これを押せばいいわけなんですね。それはやはり局によって多少の違いはあるわけなんですけれども、そういう直通回線を引くとか引かないということはしょっちゅう変わる問題じゃないと。公社として一年の計画で直通回線を今年度はこういうように引くと決まれば、また来年それは変わるかもしれませんけれど、それを、だから、もし直通回線がふえれば、この中にはタイマーが七つついているわけですから、そういうタイマーをまたつければいいわけでね。  それを、公社の方は、お客さんの知らぬ間に直通回線がついちゃうから、そうなるとこのメーターに出てこぬことになるから、そうなると料金が違うようになって苦情が多くなるという、こういう論理なんですよね。これはどうですか、北原さん。
  292. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。  公社のいまの電話網の構成の中で、私ども、いわゆる基幹回線のほかに直通回線というものを設定して電話網全体を効率的に使うということを考えております。通常、直通回線といいますものは、だんだん局でトラフィックが多くなってまいりまして、ある特定の対地に対しますトラフィックが相当程度ふえてまいりますと、そういうようなところは直通回線で直接に、中継する市外の交換機を節約をするというようなかっこうで回線を設定するということをいたしております。ですから、いままでも直通回線といいますものは、大体、年々、新たにそういう区間が全国的にふえていったというかっこうでございます。  で中国通信局の管内で、五十年度末で一応局の状況をまず申し上げてみますと、いわゆる市内の電話局というのが五百四十二ほどございますが、そのうち、その「1号Aテレレータ」の申請者が使用できると称しております局は、四〇%の二百二十一局でございます。残りの三百二十一局は、先ほど先生のおっしゃるPCM方式あるいは電子交換機、いわゆるAB線で度数登算をしていない局が三百二十一局。また直通回線を持っております局はどれだけあるかといいますと、中国管内で八十局ございまして、このうち、その品物を使用できるとしている局は実は十九局ございます。したがいまして直通線を有しなくてその品物を使えるという局は、二百二十一局から十九局を引きました二百二局ということになるわけでございますが、これらの二百二局というのは直通線もないということでわかりますように、かなり規模が小さい局でございまして、この十九局と二百二局を比較いたしますと、大体、加入者数は両方とんとんぐらいの感じでございます。  さらに、先ほどAB線で登算をするという局でございましても、実は、市外局までまいります局間の中継線が従来ケーブルでいっておりましたものを、PCMと言われるように搬送を経るというようなことをいたしますと、実はこの本品が使用できないようなかっこうになるわけでございます。さらに、直通線がだんだんふえてまいりますと、要するにこの内蔵しましたタイマーを使った対地というのがどんどんふえていくというようなかっこうになるわけでございます。  それで中国通信局管内で、大体、四十九年、五十年、この二年間で直通線というものはどのくらい新たに新設されているかと申しますと、大体、十四局で五十三ルート、区間といったらよろしいと思いますが、五十三区間ぐらい新設がされております。このように毎年相当の数でこういう直通回線というものは設定されておりますし、さらには局間中継線が搬送化されているとか、あるいは電子交換が入るというようなことで、ネットワークの形というものがやはり年々変わっていくわけでございます。そういう中で、本品が使えるか使えないかというような判断というのは、時々刻刻、変わっていくというような点にいろいろ問題があるということで実は申し上げているわけでございます。
  293. 塩出啓典

    塩出啓典君 この問題これでやめますが、ひとつ総裁にお願いしたいことは、やはり公社といえども技術は何もかも全部わかっているわけじゃないわけですから、問題は、やはり実際にテストをして実際に確かめてみると、こんなことは大した金のかかる問題じゃありませんし、設計図の上ではそうならないが、実際にやってみればこうなる場合もあるわけですから、特にこの問題は国民の要望の強い、家において電話料金を知ることができるというこういう器械、もしこれが非常にいいとなれば、これは非常に国民にとってもプラスじゃないかと思うのですよ。  こちらよりは値段もずっと安いし、こちらは三万六千円ですから。こちらはもう大きさも半分ぐらいですしね。それでただいまの料金も出るし積算料金も出るわけですから、電話かけながらばばっとこう動きますから、そうすると長電話も減ってくるわけです。そうなると公社収入は減るかもしれませんけれども、しかし、これはある面からいえば設備投資をそれだけ減らせばいいわけですから、そういう長い視点に立てば、急激に減ると公社は困るかもしれません、非常にこれ減っていって設備投資を節約していくということは、新しいやはり方法なんですから、そういう意味で、この問題については私はもっと真剣に取り組んでもらいたい。このことを実際に調査をして、どうしてもそれはこういう理由で使いものにならないというのであればやむを得ないにしても、私はテストぐらいしろと、テストもしないで頭から玄関払いをするというのはちょっと失礼じゃないかと思うのですね。  そのことを申し上げまして、それともう一つ、いま施設局長の言いました四十八年に中国地方で十四局で五十三対地に新たに直通回線ができたと、こういう説明なんです。私の方の調査では、もう四十八年に直通対地がふえまして後、四十九、五十、五十一は全く変更がない、こういう調査になっておりますので、だから具体的にどことどこがこういうように直通対地がここがふえて回線数は十から二十になったというのじゃなしに、新たに直通回線がどこそこにできた、そういうのをひとつ具体的に資料として、まだわからぬでしょう、いまのところはね。わかり次第ひとつ資料として提出をしていただきたい。
  294. 長田武彦

    説明員長田武彦君) お答えいたします。  私、先ほど申し上げました十四局五十三対地と申しますのは、四十九年、五十年に新たに新設された区間でございます。この内容につきましては、別途、御説明いたします。
  295. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) さっき技師長がお答えいたしましたように、調査をいたします。
  296. 塩出啓典

    塩出啓典君 一応、これで質問を終わります。  それでちょっと二、三前の方で、長期計画の問題と、それから減価償却の問題、こういう問題については資料を出していただくようにお願いしておりますので、今回資料要求した分については、資料の結果によって、場合によっては質問をさしていただくかもわかりませんし、非常に資料がもうばっとわかれば、もう質問はさしていただかない、こういうことでひとつ御了解いただきたいと思います。
  297. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  298. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  299. 案納勝

    案納勝君 私は、ただいまから、公衆法の審議が今日まで慎重に続けられてまいりましたが、なお若干の問題について、明確にならない点、あるいは今日まで審議の中でなお継続をしている問題等にしぼって、少しく御質問をしたいと思います。  わが党は、御案内のとおり、衆議院からさらに参議院にかけて、長時間にわたって各党の同僚議員とともに今日まで審議してまいりました。わが党の基調は、具体的な公衆法のあるいは今後の公社の運営等の問題をめぐって問題を提起をする。その内容は、公企体だから経営赤字でいいとか、あるいは不安定でいいとかと言っているのではありません。それだからといって、私たちが公共性をかなぐり捨てて、私企業の論理に立って利潤を追求して、国民の犠牲の上で、赤字克服の手段を選ばないやり方、こういうものに私どもは明確に反対をしてきております。公企体として公社がその公共性の確保を前提として自立し、不公正を排除して国民のための電気通信事業を実現することを基本にして、国民が納得する、そういう健全な経営の基盤を確立するという意味で今日までも審議をしてきました。そういう立場で、私も、いまから幾つかの問題を明確にしていきたいと思います。  しかし、その前に、実は、大臣に明確にひとつお答えをいただきたいことがある。大臣の見解をお聞きしたいと思います。と申しますのは、最近、幾つかの問題が新聞紙上をにぎわしています。ロッキード問題、鬼頭問題、またその他の問題でにぎわしております。その中の一つについて大臣の見解を聞きたい。  私どもは、いまも申し上げましたように、各同僚議員も毎日遅くまでしかも真剣に討議をしてきております。それはこの公衆法が最も国民生活に重大な影響を与えるからであります。ところが、私がここでお聞きしたいのは、あなたは三木内閣の閣僚です。それで三木内閣は自民党内閣であります。ここにおられる各自民党の先生はその与党であります。ところが、きょうは二十八日であります。いま臨時国会が開かれている。先般、森中同僚議員あるいは藤原同僚議員も指摘をしましたように、今日までの公衆法の法案提出や、今日までの審議の中における自民党政府の責任の重大という問題については明らかにしました。そういう中で今日新聞の中で話題を提供しているのは、三木内閣の中枢にあり、しかも、そのかなめである福田副総理、彼が、御案内のとおり三十一日は自民党の党大会です、三木総理は国民の信頼をかち得ることはできない、国の政治について責任を持つことができない、こう言って総裁に立候補の意思表示を明らかにしている。言いかえるならば、いま新聞でいろいろと取りざたされていますが、まさに三木内閣内部抗争が、閣内不統一というのが、いや自民党内部自体の、自民党の与党としての責任が実はどこにあるのかという事態に今日来ていると思うのです。しかも、三十一日、人事大会だと。  私は、この姿勢を見たときに、こんな政府あるいは与党自民党は、この提案をされている国民生活に重大な関係ある公衆法について責任を持ってこれに当たっていくという姿勢が果たしてあるのかと疑わざるを得ないのです。私は、もちろん三木内閣や自民党について、これらについてとかく心配しているのじゃありません、関係ないです。特にそれらの抗争について言う気もありません。どろどろした金権政治そして国民の願いを無視してこうやられていることに対して憤りこそ持ちます。しかし、私がここで大臣の見解、大臣のお考えを聞きたいというのは、こういう事態の中で、大臣として責任ある国の政治がやれるとお考えになっているのか、この公衆法問題についてなお慎重に審議をしているこの段階で、責任を持ってこれに当たっておられるのか、また当たれるのか。実際に、今度の公衆法で多くの課題が提起をされました、同僚議員から。そしてそれらについて検討が進められ、今後も国民立場に立って開かれた、要するに電気通信事業として、公社として今後対処する幾つかの課題も提起をされました。そういうものに対して、あなたは責任を持ってそれに当たっていくという形がつくれるのかどうか、いまの三木内閣、いまの自民党で、私ははなはだ疑問視せざるを得ないのです。  大臣は、今日の事態についてどう考えるか。大変失礼な言い方がいままでの中にありましたらお許しをいただきたい。あなたはどういうふうにお考えになっているのか。まあ大臣の派閥はよく知りませんし、前大臣の村上さんと同じだと聞いておりますが、挙党協の中にもお入りになっていると聞いていますけれども、それらを踏まえて、あなたは今日の事態について、国民のきわめて重要な問題というものをこの臨時国会で審議している段階、どのように政治家としてお考えになっているのか、大臣としてどうお考えになっておるのか、この辺について明快にひとつお答えをいただきたい。
  300. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 現三木内閣の閣内におきまして、一部の閣僚が批判的な言動を出していることは遺憾ながら事実でございます。しかし、いま御審議を願っている料金改定法案に関する限り、全閣僚が総理以下全力を挙げてこの成立を期しております。当然、所管大臣である、郵政大臣である私は、全責任を持って全力を挙げてこの成立を期し、また御審議を煩わしている最中でございます。したがいまして、この法案に対する審議の過程において答弁を申し上げ、あるいは説明をいたしておる点につきましては、私は、単なる一時的な言い逃れとか、あるいは説明じゃなく、全責任を持ってその実行を必ず確約いたしたい覚悟でございます。したがいまして、いろいろな批判もございますが、いま御審議を煩わしている料金改定問題、この法案に関しましては、閣内一致してその成立を期し、全力を挙げている事実をぜひとも御認識を賜りたいと存じます。
  301. 案納勝

    案納勝君 この問題について立ち入ってこれ以上やっても意味ありませんから、次に進みます。  まず、私がお尋ねをしたいのは、まだしっくりいままでの討議等を通じましていかない点がありますので、公共企業体——電電公社の基本的性格、その面からあり方の問題について少しくお答えをいただきたいと思います。  福田郵政大臣は、去る十月二十三日に、第二十七回の電信電話記念日に当たりまして祝辞としてお話をいただいております。この祝辞の中に「現在わが国の加入電話総数は三千万を超え、住宅用電話の普及率も百世帯当たり六十三加入に達し、」云々とあります。その中で、大きくこれらについての評価をした上で「現在公社経営は発足以来最大の困難に直面しているが、この難局を乗りきるためにも、新たな発想の下に全員協力して、」云々ということがあります。  私がここでお聞きしたいのは、電気通信事業経営の最大の困難とは何を言っているのか、公共企業体としての制度のあり方、そのことの見直しを言われているのか。また赤字だから料金値上げをして、それによっていこうという、値上げを認めてもらう、あるいは値上げをするという、その意味で国会で審議が行われている場等の問題も考えて、最大の今日の困難、こういうふうに言われているのか。新たなる発想とは何か、何を新たなる発想というふうに大臣は言われているのか。この辺についてひとつ大臣の御見解を承りたい。
  302. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 経済のいわば構造的な大きな変化、あるいは新しい時代の激変の中にありまして、この郵政事業というものは新しい発想を必要とすることは申すまでもございません。  これにつきまして、私は、従来のいままでのような考え方、構想で果たしてこれでいいのかどうか、就任早々疑問を持っておる一人でございます。したがって、これについては何らか新しい激変する時代の要請にこたえて、究極には国民に対するサービス福祉向上でございますので、これの目的に沿う何らかの新しい構想が必要ではないかと考えておるわけで、ただいませっかく検討中でございますので、遺憾ながら具体的にどうこうということはいまのところ申し上げられませんが、必ず近いうちに具体的な一つの構想をつくり上げて実施をいたしたいと考えております。
  303. 案納勝

    案納勝君 大臣、失礼な言葉の端々があったらお許しをいただきたいと思います。  この間、私は、大臣の御就任をされたときの一般質問の際に、通信事業全体についての新しい発想と、こう言われました言葉じりをとらえたわけじゃないんですが、この発想とは何かと、こうお聞きをいたしましたら、いま検討中、いまもまた実は検討中だと言われるんです。決してこれはさらに重ねて大臣に畳みかけているわけじゃないんです。ただ、私は、たとえばきのうの物特との連合審査会の中でも言われましたように、長い間高度成長政策を続けて、なかんずく電気通信事業は高度成長政策の中で企業中心の、重化学工業中心の高度成長する先兵的役割りを果たしてきた——これは後ほどいろいろ出ると思います。そして、いま日本の経済も社会も——きのう福田さんが言ったわけじゃありませんが、これはまあそれをとるわけじゃありませんが、政治、経済も発想の転換をしなくてはならぬ。国民生活重点、福祉優先という、そういう方向へ政治の転換や社会、経済の転換をしなくてはならぬ。  私は、電気通信事業公共事業としてのあり方は、今日まで大企業中心の高度成長政策のお先棒をかついできた。こういう段階についての批判やその他は別におきましても、いま最大の課題はそこにあるのではないのか。そういう方向に電気通信事業公社自体の運営が進められていかなくてはならないということが、私は、この発想の転換といいますか、新たな発想というのは、大臣が言われたように私はそれが本当ではないか。まだ検討しますということなのかどうか。それにしては余りにも、大臣、申しわけないが、私は郵政事業をお預かりになっておられる大臣、いま当面する、公衆法を検討する姿勢として私はきわめて残念でならないんです。この辺について大臣はどのようにお考えになっておられるのか。私の申し上げるような、そういう意味で低成長時代になった今日、福祉優先、ナショナルミニマムという、そういう運営や政策の転換の中で電気通信事業というものがいま新たなる発想に立つでいる、こういうふうに私は理解をしたいんです、本当は。大臣はどういうふうに——大臣の御見解をお聞きを申し上げたい。重ねて畳みかけるわけじゃありませんが、お聞かせをいただきたい。
  304. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 具体的には、御存じのとおり、五十二年度の積滞解消とか、あるいは五十三年度の自動化の完成とかいった一応の目標はございます。恐らくこれは事業的にも必ず達成し得るものと思いますが、こういうことだけでは私は果たして新しい時代の電気通信事業の任務を果たせるのかどうか。いわば社会的重要性、責任というものを特にいま御指摘になりました社会的な福祉政策とか、こういう点につきましても新しく課題として取り入れていく必要があろう。事務的な目標はさることながら、そうした新しい観点の社会政策の立場から、職員一人一人がやはり重大な責任を自覚してやらにゃならぬということを考えておる次第でございます。
  305. 案納勝

    案納勝君 重ねて、大臣、申しわけありませんが、大臣のいまのお言葉わかりましたが、そこで、私は、今回提案をされている公衆法の内容を大臣はどのように御理解をされておられるのか。大変失礼な言い方になるのかもしれませんが、いま申し上げました、大臣、その新しい発想と新しい今日の社会的責任、こういうものについてはどういうところに生かされて提案をされているのか。大臣、申しわけありません。本当は米澤総裁に聞けばいいのですが、提案者が大臣でございますので、大臣として、これらについて御見解を承りたいと思います。
  306. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 一言にして表現すれば、公社企業の財政の健全化でございます。御案内のとおり、四十八年以来のオイルショックを中心とした悪条件、考えられないような赤字の累積でございますので、いままでのような安易な経営状態ではとうてい乗り切れないし、事実上、この累積の赤字をそのまま放置した場合には事業自体が破局を迎えるという深刻な事態であると考えます。したがって料金改定によって何とかこの危機を切り抜けたい。同時にまた、六月成立しなかったためのいわゆる赤字の累積についても、政府としても何らかこの際手を打つべきだと考えておる次第でございます。
  307. 案納勝

    案納勝君 大臣のいまのお言葉を聞いていますと、料金値上げだけで、大幅料金値上げが中心だというふうにしかとれないんです。私は、ここで大臣にこれ以上重ねて聞くのはあれでしょうから、米澤総裁にもひとつ質問をさしていただきます。  いま、新しい発想と社会的責任、こう言われました。政治、経済、社会が大きく転換をして、激しく動いて、意識が変化をしてきている。公共企業体としての役割り、任務が私は今日ほど高められ重視されているときはないと思う。先ほどのやりとりの中で今回の料金値上げ、要するに公衆法の提案をされている内容はどのような内容が中心で、いまほど申し上げた発想の転換といいますか、そういうものはどこに生かされてきているのか。ナショナルミニマムといいますか福祉優先といいますか、公共企業の持つそういう役割りというものはどこに生かされてきていますか。その辺を、簡単でいいですから、お答えをいただきたいと思います。
  308. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  一言で言えば、国民の皆さんのために電信電話事業を運営、発展させるということになると思います。  公共企業体といたしましては、この間うち申し上げましたように、電電公社といたしましては二つの目標を掲げてまいりまして、積滞解消、これは二年以内、全国ダイヤル即時化は三年以内ということを予定しておりますけれども、さらに従来の高度成長から安定成長に移ってきたというような事態の変化もありますので、公共福祉の増進ということに対してさらに一層力を入れるとともに、また能率的な経営を行いまして、公共性企業性のバランスをとって発展させていきたいと、こういうことでございます。
  309. 案納勝

    案納勝君 いま、総裁は、国民事業として公社の運営を発展をさせる、要するに電気通信事業を発展させる、その目標は二つなんです、あわせて国民福祉ということを重視をしております、そういうものになると、こういうふうに言われました。  そこで、私は、もう一回少しく、公共企業体である電電公社公共企業体の原則といいますか本質といいますか、それと基本的な原則といいますか、これはどういうことなのか、もう一回私は振り返る意味でひとつ監理官の方、郵政省から明確にお答えいただきたい。
  310. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 公共企業体の性格でございますが、公共企業体は、公共福祉に密接な関係を持つ事業について、公共性企業性とを調和させるために、政府からは独立した法人格を与えられ、しかも私的所有、私的支配からは独立した性格を持っている企業体を一般に公共企業体というふうに呼んでおるわけでございまして、その公共企業体の経営に当たりましては、目的とするところは、申すまでもなく公共福祉を増進させるためでございまして、そのために独立採算制に基づき合理的かつ能率的な経営というものを志向すべきものであろうというふうに考えております。
  311. 案納勝

    案納勝君 ということは、言いかえますと、公共福祉を増進をさせる、これが第一の公共事業としての根本的な基準である、こういうふうに理解してよろしいですね。そしていま言われましたように、その公共性を根本的基準として、経営に当たって企業性を持ちながら、それは独立採算制というたてまえを通じて権力やあるいは私的支配から独立をしている、こういうことをいま言われた。私はここでもう一回もっと明確にひとつはっきりしておきたい。  私は、いま言われる公共福祉というのが第一目的である、そういう立場に立ってもう一歩進めるならば、これはある意味では幅の広い意味で、本来、政府がやらなくちゃならない部門の一環を構成するもの、このくらいの言い方をしてもいいんじゃないか。と申しますのは、公共企業体というのは、政府が一般行政と同様に、公共の利益、福祉目的を持って独立した企業型の行政機関だ、こういうふうに言い切ってもいいほど、私は基本基準というのは重要だと思う。  それで、あわせて、いま監理官が言われた点について、もう一回そういう面からも、経営の問題についてお尋ねしますが、独立採算制というものを言われました。しかし、この独立採算制というのは、役務の提供という手段を通じて公共福祉に貢献をする、その貢献をして役務の提供に伴う対価としての料金をもって独立採算制の一応たてまえを立てる、しかし、それはあくまで原価主義の立場に立って、非営利的な企業として私は第一の基本的基準、根本基準を実現をする使命を持った企業だというふうに、そういうふうに理解をしますが、いかがですか。
  312. 松井清武

    政府委員(松井清武君) そのとおりで結構でございます。
  313. 案納勝

    案納勝君 それじゃここで、いま御確認をいただきましたが、そうすると、電気通信事業というのもその範疇の中で運営をされる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  314. 松井清武

    政府委員(松井清武君) そのとおりでございます。
  315. 案納勝

    案納勝君 それじゃ、これは総裁にお聞きをしますが、情報化社会と言われる今日の段階で、通信事業は、いま総裁は国民事業である、こう言われました。そういう立場に立って国民の情報流通の基幹的役割りを果たし、産業、経済だけでなくして、政治、文化、医療、さまざまな広範な分野にわたって国民生活の今日必需品化しています。したがって真の公共事業としての役割りを果たす、発展をさせる、こういうことはナショナルミニマムを基本としていま言う国民福祉の増進を図っていく、ここが経営の基本である、これを原則として進めるということを確認してよろしゅうございますか。
  316. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) ただいま御意見ございましたが、ナショナルミニマムを基本として進めていきたいと思います。
  317. 案納勝

    案納勝君 ここは大臣と監理官にお尋ねをしたいんですが、これは政府という立場です。  私は、先ほど監理官の御意見を承り、また私の方の意見も監理官の方から間違いないことについて御理解をいただきましたが、そういうふうになりますと、経営的には国民経済の要請に対応すると同時に、自立性を確立をさせる、これはまあ私は電気通信事業として、電電公社としてそういう立場に立っていると思うんです。あわせて国民生活の維持向上、国家的な面からあるいは福祉の充実あるいは国民的国家的要請による開発投資などについて資金が不足をした場合は、国が補償をしていくという筋道が私は電電公社の場合にとられてしかるべきだと、そういう原則の上に立って私は公社の運営や公社の自立性やあるいは健全化というのが図られるべきだと思いますが、郵政省いかがですか。
  318. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 国家的な要請に基づく諸施策について資金が不足した場合には、国が負担すべきであると思うがどうか、ということが具体的な御主張の点であろうかと思います。  もちろん公共企業体につきまして、具体的に電電公社の場合を考えてみました場合に郵政省としてこれを監督しているわけでございますし、そういう意味合いにおきまして電電公社の健全な経営を確保するということにつきましても国の責任もあるということは存じておる次第でございます。そういう意味から健全な経営を図るべく国として努力をするということは当然でございますが、ただ、あらゆる問題について、国の要請によるいろんな施策について国がその資金を負担するか、どうかということになりますと、一概にはそうはならないというふうに思っているわけでございまして、先ほどの公共企業体の性格もございましたが、公共企業体自体がそもそもそういった国策に沿って公共福祉を実現する、そういうことのためにその企業を運営するものでございます。したがいまして公共企業体本来の任務というものがその中に含まれておるというふうにも思うわけでございます。かつまた公共企業体自身が原則といたしまして独立採算制をたてまえとしているわけでございます。  ただ、個別の問題によりまして、場合によりまして国が何らかの助成をする、あるいはそれなりの協力をする、ということもあろうかと思いますが、この点につきましては、こういった表現が適切であるかどうか私も自信がございませんが、個別の問題、ケース・バイ・ケースで対処していきたい、対処していくべき筋ではなかろうかというふうに思うわけでございまして、原則的にはやはり公社が、公共企業体が独立採算の範疇において処理されるべき問題だろうというふうに考える次第でございます。
  319. 案納勝

    案納勝君 ここでちょっと話が横道にそれるかもしれませんが、遠藤さんにお尋ねします。  電電公社の資本金は全額国庫出資ですね。これはいま幾ら出資していますか。
  320. 好本巧

    説明員(好本巧君) 電電公社発足のときの資本金は、政府出資金は百八十二億円でございますが、あと琉球電電公社合併の際の六億円を合算しまして、ただいま資本金百八十八億円余でございます。
  321. 案納勝

    案納勝君 それじゃ、もう一回監理官にお尋ねします。  この日本電信電話公社法第三条「公社は、公衆電気通信業務及びこれに附帯する業務その他第一条に規定する目的を達成するために必要な業務を行う。2 公社は、前項の業務の円滑な遂行に妨げのない限り、逓信大臣から委託された業務及び委託による左の業務を行うことができる。一 電気通信設備の設置及び保存 二 電気通信用の機械、器具その他の物品の調達、保管、修理、加工及び検査 三 電気通信技術に関する実用化研究及び基礎的研究 四 電気通信業務に従事する者の訓練」こうあります。  第一条では、「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、公共福祉を増進することを目的と」する、こう書いてあります。  そこで、私は、監理官にお尋ねしたいのです。第一条によって「能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保する」これは日本電信電話公社のまず背骨ですね。ところが、三条では、このほかに「逓信大臣から委託された業務」ということで、わざわざこれらについて四項目が羅列をされています。これはどういう意味ですか。  要するに、私は、今日の電気通信事業というもの、後ほど幾つかの問題、課題についてお聞きしますが、その前提となるもの、確かに先ほど公共事業の問題について、性格について申し上げました、あるいはやりとりをやりました。電気通信事業の場合、国の全額出資で百八十八億。今日赤字になってきた最大の原因は後ほど討議をするとしても、きわめて普通こうちゃんと見ても、資本金の膨大な支出というのが問題になるわけであります。ところが、今日まで電気通信事業の運営というのは政府はしょっぱな百八十二億ですか、金を出しました、資本金。あとは受益者負担で全部国民料金の中から肩がわりでつくりなさい、こんなやり方を今日まで、財投その他について若干のことはありますが、これはわかったわけで、運営をしてきたところに、そしてなおかつ電電公社としては高度成長政策や日本列島改造という当時の国のあるいは企業や産業の要請に応じた設備投資をあるいは建設投資をせざるを得ない。すべてそういうものが国民の肩がわりの中に行われてきて、にっちもさっちもいかなくなったのが実は今日の公衆法の実態だと私は理解をするのです。  そこで、そのことによって起こってくる国の責任とはどこにあるのか。NHKじゃありませんが、国が委託をした以上は国が一定の責任を持っていくということがなければ、私は通信事業の今日と今後の健全な運営なんて不可能だと思います。結局、国鉄の二の舞を続けていくことになりかねないと思う。この辺について、一条、三条の関係について、どのように郵政省としては理解をして、国の責任というものをお感じになっているか、あるいは責任というものについてどのように理解をされているのか、この辺明確にひとつお答え願いたい。
  322. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 公社法三条の点でございます。公社法三条につきましては、いま先生がお読みいただきましたとおり、公社の行う業務の範囲について規定をしたものでございまして、第一項におきましては、公社の第一条の目的を達成するため当然行うべき、いわば本来業務についての規定をしたものでございます。第二項につきましては、その第一項の業務の円滑な遂行に支障のない限りにおいて委託による業務というものも規定しているわけでございまして、その中には郵政大臣から委託される業務及びその他制限列挙で書かれておりますが、委託による業務として次のことが行えるということになっているわけでございます。したがいまして郵政省としてもこういった規定に基づきまして委託をしている業務もございます。  この業務は、この法律に三十三年に追加されたということになっておるようでございますけれども、これによりまして電信為替業務の一部を公社が受託してやっているということでございます。こういう問題につきましては、当然、郵政省といたしましても委託費を払っておるというような関係になっておるわけでございます。ただ、そういった委託関係においてなされる業務につきましては、当然、国としあるいは郵政省とし、委託手数料を契約に基づきまして支払うことは当然のことでございます。  いま問題になっておりますのは、この公社の本来業務の遂行に当たっても、国としてそういった何らかの措置を行うかどうかという点でございますが、この点につきまして、私先ほど申しましたように、原則としては独立採算制でいく。しかし、個別のもろもろの状況、公社の財政事情というものが非常に厳しくなってきた、たとえば国鉄の場合におきまして政府におきましていろんな助成措置というものも講じ、かつ今後におきましても考えられておるというような状況もあるわけでございますし、また事柄の性質によりましてはあるいはそういうこともあろうかというふうに思うわけでございまして、これはやはり個別に考えていくべきが至当であろうというふうに思っている次第でございます。
  323. 案納勝

    案納勝君 それじゃ個別的に、しかも政府の責任という立場で具体的な問題については、政府として具体的な財政的な措置というのは当然あり得る、こういうふうに理解してよろしいですね。
  324. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 原則として独立採算制のたてまえでございますが、例外的には、そういういろんな措置があり得るというふうに思っております。
  325. 案納勝

    案納勝君 私は、先ほど公共企業体というのは、政府の一般行政と同様、公共の利益、福祉の目的を持って独立した企業型の行政機関だ、そういう責任があるんだ、こう申し上げました。そうして独立採算制の問題について私は否定はしていない。ただ、公共企業体というのは一般の行政官庁に見られるように組織的な硬直さやあるいは経営活動の態様からくるところのいろんな非能率的な面、こういうものから独立をして、そしてマネージメントの方法を導入することによって効率的な機構の運営を図っていこう、経済単位として積極的に経済性というものを考えながら国民公共福祉、要するに独立採算制という立場を守っていく。しかし、それはあくまで公共福祉を実現をする、そういう基本的命題を追求するための企業型の行政機関的役割りを私は先ほど指摘をした。  そこで、いま一番問題になっているのは、今日の段階における、あるいは電気通信事業の将来の展望を考えた場合ですね、今日の赤字原因というのは、後ほど指摘をし、御意見をそちらで回答いただきたいんですが、先ほど私が申し上げたような運営や今日までの推移の中で出てきたと思います。だとすると、政府として責任を持って国民福祉増進という立場に立ち、公共企業体の性格からいっても、これらについての積極的な助成といいますか、積極的な財政的な措置、必要な問題について私は当然そのことはあり得る、そうされなくてはならないというふうに考えています。私の言っているのが間違いかどうか、端的にひとつお答えいただきたいと思います。
  326. 松井清武

    政府委員(松井清武君) ちょっと聞き損じた面もあるわけでございますが、私ども受けとめた範囲におきましては、そのとおりであろうというふうに存じております。
  327. 案納勝

    案納勝君 それでは次に移ります。  今日、政府は、公衆電気通信法について国会に提案をされまして、これは言うまでもなく、今日の経営上の赤字がきわめて大幅になってきて赤字総額二兆二千百億の見込みとなって、改良投資を含めて約二兆五千百億という料金改定の必要が生じている、これが今回の値上げ案となっているということで、約事業収入に対して三三・八%の料金改定案が提案をされています。  この赤字になって料金改定を提案をさせざるを得ない収支悪化の原因は、一体、どこにあるのか、この辺も実はいままで多くの同僚議員が指摘をし、論議をされてまいりました。しかし、まだ十分にはっきりしないところがあります。まず、ここのところを明らかにしていただきたい。
  328. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) 公社の収支状況は、近年、悪化の傾向をたどってまいりましたが、技術革新経営の合理化によって四十八年度までは辛うじて収支均衡の道をたどってまいりました。四十八年度におきましては二百九億の利益金がございます。しかし、四十九年度の状況は急激に悪化いたしまして、四十九年度には千七百五十三億円、五十年度には二千八百十二億円と非常に大幅な借金を計上するに至っております。  こういったふうに四十九年度から急激に収支の悪化を生じた原因は、一つは、利用度の低い電話の増大によって収益が伸び悩んでいたということ。他面、支出の面におきましては、四十八年秋以来の経済変動に基づく物価の高騰あるいは四十九年度における非常に高額のベースアップという面、それから利子負担の増額、こういったものによって支出が収益を大きく上回っていた、そういったところにその原因がございます。  それを、収益と需要の動きを前年度に対します伸び率で見ますと、収益は、四十七年度が対前年で一六・七%、四十八年度が一六・六%と順調に伸びてまいっておりますが、四十九年度は一〇・四%、五十年度には一二・一%と伸びが鈍化をいたしております。一方、需要の方は、四十七年度が一五・六%、四十八年度が一五・九%と伸びておりますが、四十九年度にはこれが二二・二%と大きく伸びております。それから五十年度にも一六・二%というふうに、四十九年度、五十年度とも収益の伸びを需要の伸びが上回っておる、こういった状況でございます。
  329. 案納勝

    案納勝君 いま、物価の高騰とベースアップ等を初めとして幾つかの問題について指摘されました。  しかし、今日、たとえば私の手元に損益計算算定の資料があります。この資料を見ますと、たとえば三十六年を一〇〇とした場合に、四十六年の総収入指数は四二七、総支出の同指数は五五七、これは三十六年を一〇〇とした場合の四十六年度の指数であります。収入成長指数より支出成長指数の方が大きく上回ってきている。これは四十六年です。いまあなたは四十七年、四十八年、四十九年、五十年というふうにおっしゃいましたが、もはやこの段階からこういう状態が続いている。いや、もっと前から続いてきていると言っても言い過ぎではない。  この支出上昇の要因を見ると、費用項目別の同指数をさらに見ていきますと、事業費の指数は四二八、総支出平均以下でありますけれども、管理費が五一二、資本費は実に八一三、資本費の中でも利子及び債券取扱費がそれぞれ一〇一九、減価償却費が七九六、債券発行差損償却が七四七、きわめて著しく高くなっているのであります。五十年度をとってみますと、三十六年を一〇〇として、総収入指数は七一九、総支出は一〇五九、この状況は四十六年に比べてみても変わります、さらに拡大をしています。それで事業費指数を見ますと八二七、管理費が一〇七三、資本費は実に一五一九、資本費の中でも利子及び債券取扱費が二四三四、減価償却が一四三〇。従来の伸びと比べて若干伸びが縮まっていますのは債券発行差損償却が七八二。これは何を物語るかというと、これはあなた方の電電公社の中における専門家を集めての検討の中でも、このことは指摘をされている。この資本費の膨張が公社の総合収支悪化の第一原因であるということすら明確に指摘をされているじゃありませんか。  私は、このことについて、確かに物価が上がりました、人件費、これは大変一般受けがします。しかし、公社経理、財務状態というのは私はそんなところじゃない。たとえば労務費について各費目別に見ますと、五十年度をとっても全体の事業費の中に占める役割りというのは二六・七ぐらいにしかなっていないのであります。この資本費の膨張は、急速な投資とそれに伴う外部資金への依存度の上昇、こういうことになってきたことは明らかでありましょう、だれも否定できないはずであります。  すなわち、電話新規需要の急速な拡大、私はこれは高度経済成長政策にあるいは日本列島改造に乗って事業用を第一義として進めてきたところにあると思いますが、それに伴う投資の拡大、こういうものになり、投資の拡大は一方で減価償却費の膨張をもたらした、こういうことが繰り返されてきて、他方では証券への依存度を高めて社債利子の膨張となっている。これらが収益率の低下を促し、利益率の低下は建設資金調達によってさらに資本費の膨張を来している。この資本構造と収入構造の関連ないしは悪循環こそが現在の公社の財務の基本的な特徴として問題になっているところではないでしょうか。私は、ここのところにメスを入れない限り、今日の公社の将来における健全財政、健全財務をつくり上げるということは不可能だと見ています。これは私が言っているだけではありません、皆さん方の内部の中で検討されておる分野でも、このことが一番最大の問題として指摘をされてきているではありませんか。  もう一つは、電報部門の赤字の拡大ということを公社説明になっておる。電報部門の赤字というのは全収入の一%にしかすぎないんじゃないか。最大の問題はいま言ったところにある。ここのところを本当に本気になって公社は考えているのかどうか、口先だけで人件費が上がりました、物価がと、これは一般受けするかもしれません。しかし、本当のところはここにあるんじゃないかということをあなた方はどう考えているのか、明確にしていただきたい。
  330. 好本巧

    説明員(好本巧君) いま先生御指摘の、昭和三十六年度を一〇〇として昭和五十年度に各事業費、収入、その内訳の御指摘がございましたが、全くそのとおりでございます。  先ほど中林経理局長が答えましたのは、公社の収支が一番よかったのは昭和三十五年度でございまして、そのころは収入の二五%が黒字であったと、それからだんだんと一直線で昭和四十二年ごろまで下がってまいりまして、昭和四十二年から昭和四十八年度までというのは御案内のように収支とんとんでございまして、ほとんど海面すれすれの低空飛行というところでプラス・マイナス・ゼロというのが続いたわけでございます。私どもは何とかこれを赤字にしないということで、このままいけば五十二年度ごろまでいけるんじゃないか、こう思っておったわけでございます。  なぜ昭和三十六年をピークにしましてどんどんどんどん下がって昭和四十二年度にそういうことになったか、四十二年度から四十八年度までそういう状態に相なったかといいますと、先生御指摘のように、資本費用の圧迫が大きゅうございます。もちろん、どういうふうな各部門の内容の経費、費用がふえてきたかということは先生の御指摘になった数字のとおりでございます。ただ、先ほど申し上げましたのは、それが一つの遠因といいますか基本的な構造でありまして、それで五十二年度までもつだろうと思ったのがもたなくなったというのは、四十八年度の油ショックその他でそういうことになったということを申し上げた次第でございます。
  331. 案納勝

    案納勝君 基本的構造、要するにここのところ、だから一番私は公社として実は今後の将来のためにはメスを入れる、検討する、こういうことにしてもらいたいのです。そこに関係をするのは減価償却であり、借り入れする債券であり、あるいはそれに伴う国の一定の援助の問題が出てくるでしょう。私は、ここのところに明快なというか一定の前進や方向というのが出されない限り、今後、三年間、仮に収支相償という原則に沿って今回の値上げが行われたとしても、私は再び今日の危機というものを繰り返すことになる。従来のパターンの繰り返しだけでは、今日大きく変化をしている国際、国内の経済情勢や社会、政治情勢の中で対応できなくなる、こういうふうに考えますが、総裁、いかがお考えでしょうか。
  332. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  今回、お願いいたしました料金法案の基礎になっておりますのは、三年間をベースにしております。ただいまお話しのように、確かにこの資本費用の問題は重要でございます。しかし、この三年間を考えた場合には、今回の料金法を認めていただきますならば三年間は持ちこたえるベースにしておりますし、なお企業努力によってもう一年ぐらい延ばしたいというふうに考えております。  しかし、さらに将来の問題につきましては、まだ経済情勢その他もいろいろ問題がございますので、これらにつきましては、将来の見通し等につきましてまだ国の計画も五年ぐらいまでしか決まっていないようでございますので、今後にはいろいろ問題を含んでおると、このように考えております。
  333. 案納勝

    案納勝君 総裁ね、私たち社会党が今日まで同僚議員がきわめて強くこの原案について反対あるいは批判をしてきているのは、実は、いま今度の料金値上げを認めてくれれば三年間は何とかもつだろう、そんなことではないのです。そんなことはいかにも国民の犠牲の上でいま乗り切ろうとしている公社の姿勢をあらわしているのにすぎないと私たちはとっているのです。  そうでなくして、私がいま言ったように、今日、公社運営全体のあり方なり経営のあり方の中で赤字になってきた根本原因は、物価高や人件費というのもあるでしょうが、この基本的構造の要するにいま先ほど申し上げました資本費のところがこのまま回転をしていきますと、同じようなパターンでいくと同じようなことを繰り返すだけで、それを糊塗するために国民の犠牲で料金値上げしてくる、こういうことになるだけではないかと、このことを指摘をしてきている。私もそのことを基本的問題としてこの資本費の問題について公社理解をし把握をして取り組まない限り、料金値上げを幾ら口を酸っぱくされて言われても私どもはうんと言うわけにはいかない。問題の焦点というのははっきりしているじゃないですか。もう一回答弁してください。
  334. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) ちょっと先に総務理事から答えさせます。
  335. 好本巧

    説明員(好本巧君) その前に一言。  確かに、いま御指摘のとおりでございますが、二十三年間料金レベルを上げずにまいったといいますのは、そういうふうな費用の圧迫にもかかわらず技術革新を中心とするところのコストダウンというものを投資面におきましても経常経費面においてもとってまいりまして、それで利益もないけれども赤字でもないというのを続けてきたということを先ほど申し上げたわけでございます。  今後、そういう投資面あるいは経常経費面でコストをますます下げていけると、どこまでいけるかということでございますが、確かに金利あるいは金融費用というものが相当大きくなっておりますが、これはやはりできる限り安いコストの資金を導入するということに努めなければいかぬと思います。それ以外は、諸外国に比べても相当効率的な投資をやってきておりますが、やはりそれに対しましては、それに見合う適正妥当なコストをカバーする料金改定も必要かと思います。
  336. 案納勝

    案納勝君 私は、まだごまかしがあると思うんですよ。電電公社は二十八年に五円から七円に料金改正をされた。で電電公社の財務上は、先ほど言われましたが、百八十二億ですか資本金を発足のときだけ国が見た。このままいきますと国はその資本金だけで、さらに建設やあるいは設備資金というのが必要になってくる。ところが、わが国の場合に、これが低成長の時代の推移をするならば、まだそれでよかったかもしれぬけれども電電公社は今日まできわめてわが国の経済成長以上に、あの最も見直さなくちゃならないときですら一四%の建設投資が行われてきている。どんどん、それこそ、これ遠藤さんが言われていますが、景気刺激策としても住宅に次いで電電公社建設投資というのは大きな影響を持っている。それほど今日までの建設投資というのは第一次から第五次にわたってまさに膨大な建設投資が行われてきた。ところが、これをカバーをしてきたのは債券の発行をすることができる、その債券なんです。皆さん一番御存じじゃないですか。ところが、その債券を発行して、そして減価償却を三十六年と四十一年ですか、定額から定率に変える、あるいは減価償却を見直す、こういうものが繰り返されてきて、そういう中でやっと乗り越えてきたというのが現状じゃないでしょうか。  いま私は四十六年段階の例をとりました。三十五、六年当時は一番利益があったときですね。しかし、このときから四十六年、今日においても、やがては行き着くところはこういう状態になるぞと、それには債券の無期限債券化とか、あるいは政府の最も安い財投の資金投入とか、そういうものがなされてこないと行き詰まるぞということは、公社、あなた方自身の中にもそのことについて研究がされ指摘をされてきているんじゃないですか。いま助かってきたのは、やっとここまできたのは債券という資金調達の方法が認められてきたからじゃないですか。そのことがいまある程度限界に来つつあるのじゃないですか。金利の支払いの膨張、要するに資本費の膨張というのはそういうところに今日あるというふうに私は理解をします。  だから、私は、いま一番必要なのはこの資本費のところの改善を本当に本気になってやるかどうか、ここにかかっているというふうに私は理解をしますが、私の言っていること間違いかどうかはっきりしていただきたい。これは私自身も大分勉強さしてもらいましたが、公社の中において、いろいろその問題について検討すればするほど公社自体の中においても、そのことが今日の課題になってきているんじゃないですか。私は、ここで、あんまりごまかさないで言っていただきたい。
  337. 好本巧

    説明員(好本巧君) 確かに金融費用の高騰の原因は金利でございますから、外部資金のほとんど全部を債券発行に依存してまいったわけであります。ただ、債券発行の金利といたしましては、ただいま御指摘の拡充法によるところの電信電話債券、これは拡充法によりまして財政投融資の政府保証債と全く同じ金利でありますし、その他、政府の方の、いまの日本では一番金利としては安いとも言えるような金利でやってきたことは事実でございます。しかし、そういう借金でありますとか債券発行以外の方法によるならば、さらに金融費用はもっとセーブできたということは言えると思います。  それから減価償却の方は、とにかく固定資産の取得価額を費用配分をするわけでございますから、多大な必要以上の投資があった分がもしございますれば、その分が必要以上の減価償却が出ておるということは言えるかもしれませんが、適正妥当なる拡張があったとするならば、資本費用の中の減価償却費は適正であったとも言えると思います。
  338. 片山甚市

    ○片山甚市君 関連してお聞きしますが、昭和二十八年から五十年度までに公社が利益を処分したもの、いわゆる利益金として上げたものは幾らになるか。で、そのときに減価償却は二十八年から五十年までに幾らしたか。これを聞くのは、減価償却というのはやはり財産をつくっていく過程で残したものですね。それから利益金というのは、やはり毎年度そういうことで、皆さんが好きな言葉では累積黒字でありますね、累積黒字、それは幾らになっておるか、すぐに答えてください。
  339. 好本巧

    説明員(好本巧君) お答えいたします。  五十年度末におきまして、二十八年から五十年度までの減価償却引当金の累計は四兆八千億でございます。それから昭和二十八年度から利益金の累計が一番多かったのは、御案内の昭和四十八年度末でございますが、約六千五百億でございます。四十九年、五十年とだんだんと減ってきております。
  340. 片山甚市

    ○片山甚市君 実は、今日、利益金が取り崩されて新しい設備投資に必要だということであって、先ほどから言われておるように、この減価償却引き当てによるところの財産の保全のことありますから、実際上は、値上げをする分についての次の段階になる改良費というもので三千億円というのはわれわれとしては納得できない。いま減価償却の問題が出ていますから、そこのところであたかも電電公社は倒産をするように言っておるんですが、まだ利益金としては残っておる、こういうふうに言明しておきます。否定をされるならしてもらったらいい。
  341. 好本巧

    説明員(好本巧君) 利益金は五十年度末の決算におきまして一千九百七十三億円残っておりますが、これは五十年度末でございます。
  342. 案納勝

    案納勝君 そこで、私は、いままでのことを通じて収支悪化の原因というのは資本費にかかっていると、こういうこと、一定の答弁も私はそのことを認められていると見てよろしゅうございますか。——  そこで、私は、ここで総裁にお聞きしますが、簡単にお聞きをいたします。もういままで多くの議員が指摘をし論議をしてきたところでありますが、資本費用の大半が減価償却費でありまして、まあこれは私たちに対する説明は、電気通信事業における技術の陳腐化がきわめて早いことを理由に、機械や設備耐用年数の短縮、償却率の引き上げなどにより年々莫大な減価償却費を設定をしてきたと、こういうことについて説明をしております。このために昭和四十八年度の事業支出に占める割合が三四・二%、他産業に例を見ないものとなって、支出を圧迫することになってきたというのは私は当然だと思います。  そこでお尋ねをしたいんですが、これについて減価償却定率法等について多くの意見が今日まで同僚議員から出された。私はこれを繰り返したくありませんが、これは中央公聴会、地方公聴会において電電公社料金値上げについて賛成をする公述人の方々も、全部一致して、建物や工作物や諸施設については、定率法の採用については再検討すべきだと述べられていた。郵政省は、監督官庁としてこれについてどういうふうにお考えになるのか、あるいは電電公社としてどのようにお考えなのか。このことについては、先ほどから私申し上げましたように、公社内部で料金制度のあり方その他を検討をする中でもこのことは大きく指摘をされている。今日、この公聴会や審議の中で与党の先生方からもこのことについて指摘をされた、これらを受けて、どう措置をするのか、ひとつお伺いをしたい。
  343. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  いまの減価償却の中で、建物、工作物につきましては、これを定額法にすることを早急に検討をいたしたいと思います。
  344. 松井清武

    政府委員(松井清武君) ただいま総裁から答弁ありましたとおり、郵政省といたしましても、公社からそのような申請があれば、認可してまいりたいと思っております。
  345. 案納勝

    案納勝君 米澤総裁に重ねてお尋ねいたします。  その御答弁をいただきまして結構だと思うんですが、早急にというのは、私は早い方がいいと思うんです。これは法案が仮にどういうようになろうと、私はそのことによって内部の資金あるいは利益、利潤、そういうものがこの減価償却の見方によって違ってきますから。私は、これは五十一年の末ぐらいに明確に結論を出していただきたい。いかがですか。
  346. 好本巧

    説明員(好本巧君) 建物、工作物の償却方法を定額制にする問題につきましては、先般ここで総裁が御答弁されましたので、私ども直ちに検討に着手しております。まあ、よその定額制に最近直したところ等も調査検討しておりますが、何しろ膨大な物品でございますので、五十二年度当初から実施するというのは非常に困難じゃないかと思っておりますが、でき得る限り早く、コンピューターなどの入れるまでが時間がかかるんでありまして、入れると非常に後はコンピューターで楽なんですが、そういうことを全部導入するのに五十二年度当初から実施するというのは非常に困難かと思いますが、できる限りスピードを上げてやりたいと思います。
  347. 案納勝

    案納勝君 それでは、ついでに関係をします問題について、改良投資として三千億円必要だという、実は、今日まで私も少し見さしていただきました。この前の料金値上げあるいはその前の料金の一部改正、こういう問題のときにおける電電公社の提出された予算案あるいはこれに付随する説明書、改良投資三千億円とは、一体、何を指すのか。いかがですか。
  348. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  改良投資という言葉は、確かにちょっと耳なれないかと思いますが、公社は、従来から、いわゆる経常運営の経費のほかに、投資の財源の一部を料金に含めまして、こういったもので手動式局の自動化でありますとか、加入区域の拡大とか、防災計画等のいわゆる既設加入者サービス改善を進めてまいりました。これは電話事業の特質でございまして、ほかのあるいは電気、水道なんかと違いまして、ああいったものは、そのつけることによりますその方の利便だけでございますが、電話の場合は、つける方はもちろん、そこにまた電話がかけられるというようなこともございまして、そういった意味ではお互いの利用価値が増大するという意味でございます。また、時代の進展とか国民生活の向上に即応しましてサービスの改善を図る必要もございます。そういったことで従来から認められておりまして、二十八年の料金改定後、収益の一部を改良投資の一部に含めてわれわれといたしましてはやってきたわけでございます。  今回も、いろいろ御議論あるかと思いますが、われわれといたしましては、やはりこういった精神にのっとりまして、額としては多い方がいいわけではございますが、そうもまいりませんので、過去十年間の実績は、大体、収入の約三%でございますが、その程度の三千億円を改良投資に充当したいということで御提案しているわけでございます。  中身といたしましては、いま申しましたように、たとえば五十一年から五十三年度の計画は全部で五千億円でございますが、そのうち、いま申しました自動改式とか地域集団電話の一般化等、あるいは加入区域の拡大あるいは防災対策、そういったものを含めますと大体五千億程度になろうかと思いますが、そういった一部に充当したいということでございます。
  349. 案納勝

    案納勝君 私、よくわからないんですがね、減価償却というのは、商法上、設備を健全に保全し維持すると、その意味での減価償却というのが税法、商法上認められておる。もちろん、これは電電公社も商法、税法の適用を受けてないわけですが、しかし、減価償却の考え方はそうです。  そうすると、従来は、建設をした設備の健全な保全や維持のためということで減価償却をやってきた。改良といいますか、そういうものは新しい建設計画、新規投資になるんじゃないですか。ところが、ここでは改良投資として、突然、唐突として実は出されておる。じゃ減価償却とは何なのかというのが出てくる、いまの公社で。これは建設資金でございますと言えるんじゃないですか。そんな減価償却と麗々しく言ってますが、この辺の私は使い分けがよくわからない。これは三千億というのは、そんな失礼なことを申し上げたら間違いかもしれませんが、利益隠し以外にないんじゃないか、こういうふうに私には感じられてならないんです。  先ほど米澤総裁から説明がありましたから、私は一定のある程度の了解はできる。たとえばアメリカみたいに一定の定額でもってきわめて厳しくこれが決められたり、一定の適正利潤というものをその中に上積みすることが認められる、そういう中における改良投資の予算化というものについては私はある程度認めることができます。しかし、わが国でいままで電電がとってきた定率法に基づく改良投資というのは何なのかということがどうしても理解できない、ひっくり返してみても。まあ、しかし、五十二年度からはどうなるかわからぬが、いずれにしても減価償却について手直すと、こういうわけですから、その辺で一部認められる分野は出てくるとしても、私は今日の段階でわからないんですが、いかがですか。
  350. 好本巧

    説明員(好本巧君) 減価償却は、すでに御案内のように、固定資産の取得価額をある年間の間に——ある年間の間といいますと、耐用の寿命期間中ということでございますが、その年間の各事業年度に取得価額の費用を配分する、取得した年に全部それを立てるのではなくて繰り延べるということでございまして、それにはいろんな方法がございますが、すなわち耐用命数のある期間中に各事業年度別に費用を配分しておるということでございます。たまたま、その問題と、その各事業年度の立てました減価償却費が資金としてそれをどこへ使うかという問題は、おのずから別であろうと思います。わが社もそうでございますが、それをどこか有利に土地を買うとか、あるいはその他有価証券を買うという方法もあるかもしれませんが、私どもは、それを改良拡張等の建設資金として使っておるわけでございます。  ただいま計画局長が申し上げました三千億円の改良投資分といいますのは、その改良投資という言葉が適切であるのかどうかちょっとそこに問題が誤解されるかもしれませんが、計画局長が申し上げましたように、公社は、二十八年度以来、これはどこの国の電話事業でもやっておりますが、料金からいただいた分の中の一部を利益金の中から建設投資に回すと、これは改良拡張ということが、ほかの事業と違いまして、電話加入者のネットがだんだん大きくなっていく、既存の加入者に大きな便益を与えるということから、そういう理屈づけが一番ポピュラーでありますが、アメリカにおきましても全収入の三%相当のようなものを毎年拡張改良に使っておりますし、イギリスの郵電公社におきましては、大赤字の年は別でございますが、大体、総収入の一〇%近いものを料金の中から改良の方へ回しております。フランスはもう三〇%ぐらいのものを回しておる。まあこういうことで大体認められておるのではないかと。昭和三十六年ごろは二五%もそちらの方へ回しておったわけでございますが、過去十ヵ年間は平均して三%程度で、非常にわずかなものでございますが、そういうものは許していただけるんじゃないかと。これを改良投資分というふうに名前をつけておるわけでございます。
  351. 案納勝

    案納勝君 私は、一定の利潤を生み出すことについて、経営の健全化としてこれを否定しているものじゃないんです。しかし、いま言われたアメリカがどうだというようなものは、私もアメリカのやつを少し勉強させてもらいましたが、先ほど私が申し上げたような理由なんです。イギリスの場合にもしかりなんです。もっと端的に、開かれた公社という立場から私は出すべきだと思うのです、電電公社としても。わけのわからぬような、よく理屈の通らないような実は出し方をすべきじゃないと思います。この辺について、監督官庁として、どういうふうにお考えになりますか、その一点をお聞きして休憩に入ります。
  352. 松井清武

    政府委員(松井清武君) ナショナルミニマムの観点に立ちまして、国民に利便を提供する電信電話国民の利便を確保する電信電話サービスのよりよき確保という点から、この改良投資につきましては、いわば一般的な経営原価を保証するだけでなくして、ある意味で公共的なよりよいサービスを提供するという必要余剰を含んだものであろうというふうに私自身は考えているわけでございまして、一般の料金水準の決定原則、基本的には原価保証主義ということでございますが、今日まで公社がとってまいりましたのは、それにプラスしますにいま申し上げますような意味での必要余剰、要するに改良投資ということで進めてまいったわけでございまして、これによりまして私はそういった国民に対しましてのよりよいサービスの提供、改善が期待できるというふうに考えて、了承している次第でございます。
  353. 森勝治

    委員長森勝治君) 暫時休憩いたします。    午後六時三十二分休憩      —————・—————    午後七時十四分開会
  354. 森勝治

    委員長森勝治君) 委員会を再開し、質疑を続行いたします。
  355. 案納勝

    案納勝君 先ほど休憩前に、改良資金の問題でお尋ねしました。郵政省の松井監理官の方からナショナルミニマム立場に立っての改良資金の使用について御説明がありました。きわめて不満ですが、見守っていきたいと思います。  そこで、もう一点お尋ねをしたいのですが、先ほど片山同僚議員から、二十八年以降剰余金について約六千八百億、こういうお話がありました。これは四十九年の収支赤が出ています千七百九億に充当した今日に残っている剰余金、こういうふうに理解してよろしいですか。
  356. 好本巧

    説明員(好本巧君) 五十年度末の利益剰余金が千九百億円余ございますが、これは四十八年度末の六千五百億円余の利益剰余金から、いま御指摘になりました四十九年度分の欠損金一千七百億円を取り崩しまして、その後また五十年度末におきまして五十年度の欠損金二千八百億の赤字をさらに取り崩しました残りが千九百億円余でございます。
  357. 案納勝

    案納勝君 そこで、この前の委員会で片山委員から質問をいたしまして、剰余金については固定資産化している、取り崩すことは困難だと、こういう答弁があったやに聞いているんです。私の方から関連質問で、剰余金というのは建設勘定に入れて、建設勘定の中で処理をしているのか、こういう質問をしたことを覚えていますが、この辺はどうなんですか。
  358. 好本巧

    説明員(好本巧君) 利益金の取り崩しでございますが、確かにそのように答弁いたしました。利益金はほとんど全部が固定資産になっておりますので、取り崩すという場合には負債をふやして、固定負債がふえるというかっこうに相なっております。したがいまして四十九年度、五十年度の両年度の赤字の欠損金の取り崩しました合計が四千億円余りありますが、その分だけが負債がふえておるというかっこうになっております。
  359. 案納勝

    案納勝君 それは計算上のあれですか、実体上そうなんですか。
  360. 好本巧

    説明員(好本巧君) 会計記帳上の形もそうでございますし、実際は、大蔵省から政府のお金を四千億円余お借りしたということでございます。
  361. 案納勝

    案納勝君 四千億……ああそうか。そうすると、それで赤字を埋めた形になって、借りた分だけ赤字になっていると、こういうことですか。そうすると固定資産は全然動かない。その剰余金はそのまま、言われるところの差し引いたような形になっているけれども、剰余金として残っていると、こういうことですか。
  362. 好本巧

    説明員(好本巧君) ちょっと説明が下手で言葉が足りなかったわけですが、利益剰余金は四千億円余り減っております。その分だけが、ほとんどその分だけが負債がふえておるわけでございます。固定資産の方はそのままでございまして、減っておりません。
  363. 案納勝

    案納勝君 これ郵政省にお聞きしますが、私いまの説明よくわからないのですがね。まあ不勉強というか、よくそこあたりの会計の処理わかりませんが。  公社法の六十一条に「(利益及び損失の処理)」というのがある。それで「公社は、」「経営上利益を生じた場合において、前事業年度から繰り越した損失の補てんに充て、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。」こうあります。いま言われる固定資産でやっているということ、そして赤字の穴埋めは大蔵省から借りてきて穴埋めをする、負債がふえる、そういうことでこの六十一条の公社法に基づく処理というのは適法なんですか。  もしね、もう一つ聞きますが、今回提案をされているように、五十一年度の場合、あるいは今後このままいくと赤字が予測される、そこでそれを料金にかけているわけですが、その剰余金は、その場合には少なくともそれで損失、要するに欠損に当てて、そしてその上で剰余金、要するにこの積立金、剰余金というのはゼロの形で新しい料金という、そういう料金決定というふうになっていくのか、なっていくのが筋道じゃないかと思います。ここらあたりは、私よく会計上の処理についてはわかりませんが、いま言ったように、前段は適法なのかどうか、その後の処理については私の言ったようなことになるのか、その辺について。
  364. 松井清武

    政府委員(松井清武君) ただいま先生からございました公社法六十一条の点でございますが、会計法上の処理といたしまして、公社は六十一条に沿って会計法上の手続、処理はしているわけでございます。ただ、したがいまして、その利益が生じた場合には、その積立金として整理をしているということでございまして、これはそのとおり適法に行われているというふうに承知しているわけでございます。  しかしながら、これまでの公社設立以来、今日までのこの問題に対する実際の扱いというものを見てまいりますと、公社は、これを翌年の予算によりまして承認された範囲において、公社電気通信設備の拡充の財源として事実上は充当してきておるということでございます。
  365. 案納勝

    案納勝君 まあこればかり時間かけても、これとってもわかりませんので、いずれ、終わりまして、説明をしてもらいたいと思います、資料で。
  366. 好本巧

    説明員(好本巧君) 承知いたしました。
  367. 案納勝

    案納勝君 次いでお尋ねいたしますが、今日における公社料金決定の原則というのはどのようになっていますか、その辺を質問いたします。
  368. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 御案内のように、公社法に決められておる料金決定の原則は非常に抽象的といいますか、「合理的な料金」という文章になっておりますが、公社としては独立採算制をたてまえとしておりますので、いわゆる事業全体として総括原価主義によりまして料金水準を決める、こういうぐあいになっております。それによりまして料金水準を定めるわけでありますが、個別の個個の料金につきましては、できるだけ個々の料金の原価に近い形で、あるいはその効用等も見まして決めるようにいたしたいと思っております。
  369. 案納勝

    案納勝君 公社が総括原価方式をとっているということは、平たく言うならば、採算のいい電話部門の黒字で採算の悪い電信部門の大幅な赤字を埋めていく、それで総体的に収支、経営を安定をさせていく、こういう意味での総括原価方式、こういうふうに理解していいですか。
  370. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 電報だけではございませんが、事業全体といたしまして、決められた料金によりまして得られる料金の総収入が総括原価に等しいといいますか、近い形で料金水準を決める、これがいわゆる総括原価主義というものの定義と申しますか、中身だろうと思います。したがいまして、それを具体的に電報電話との関係について当てはめますと、先生のおっしゃるとおりだろうと思っております。
  371. 案納勝

    案納勝君 そうすると、総括原価方式はそのまま料金ということにはなりませんね。そうすると、これを料金に配分をしなくちゃいけませんね。この方式はどういうことになっていますか。
  372. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ですから、いまの電報電話について申し上げますと、これをもう少し累計をいたしまして、電報の原価と電話の原価に比較して料金を決めますと、非常に電報料金が高くなり、その分だけ電話料金が低くなるということになります。しかし、一応原則としては総括原価主義でございますが、個々の料金の決め方としては、電報を除きましては、それぞれの原価にできるだけ近い形で料金を決めていくというのがもう一つとっておる方式だと思います。  ただ、個々の原価と申しましても、先般来申しておりますように、個々の原価の出し方が非常にむずかしいものでございますから、一応、四十八年以降とっております五重要部門の原価を中心に考えておりますし、あるいはそれ以外に端末あたりの付加使用料なんかにつきましては、それぞれの付加使用料について原価を計算して、それに近い形に料金を決めていくというぐあいに、相当バラエティに富んではいるわけでございます。
  373. 案納勝

    案納勝君 私は地方公聴会に行きまして、中央でもそうですが、賛成をする方に、それでは公社の出している数字、原価というものは適正なのかどうかと聞いたら、みんなわからないと、こう言うんです。要するに国民皆わからぬと思うんです。いまの説明を聞くと、収支の割り掛けで出している、こういうふうに言われた方が一番端的にわかりやすいような気がしてならぬ。これで原価と言えるか、総括原価と言えるかと大変疑問を持つ。  私は、先ほど一番冒頭申し上げましたが、開かれた電気通信事業、そして今後きわめて多様化している国民の意識、それで今日までのようなパターンの繰り返しで済まない、今日の実情から言って。しかもナショナルミニマム、社会福祉を追求するという命題を進める立場から言うと、私は原価を国民に公表していく、そしてこの電電公社のガラス張りの経営というものの中で、国民から共感と協力を求めていくということでいかなければ、私は、将来、いずれにしても電電公社というのは行き詰まってこやしないか、こういう点をきわめて心配いたします。  そういう原価について、きわめてむずかしいとは思います。郵政省の場合も総括原価方式、しかし個別原価についての算定がある程度明らかである。まあ発表はしていませんが、国会の中には一定の報告はする。しかし、私はそれは別にしても、いずれにいたしましても原価、個別原価というもの、そしてそれが最も正確に国民みんながわかるように明らかにしてもらいたい。この辺について一点お伺いをしておきます。  それとあわせて、電電公社料金制度というのは、総括原価プラス建設資金が一部加わっていますね、七円の中で、あるいはその他各料金の中で。だから、そういった事実についてもやっぱり国民の前に明らかにして、その上で必要な部分については政府に要求を、要するに低利の金あるいは財政措置については要求するものは要求していく、あるいはみずからが資金を確保していく内部自立の体制をつくり上げていく。そういうものをしていかなければ、大体、電通の原価というのはどうなっているのか、あるいは料金だけあれするけれども、これはもう放漫経営の中のツケを全部国民に回していく、こういうようなことで私は本当の意味での協力や共感という、国民全体の理解の上でということにはなっていかない。その点はいかがでしょうか。
  374. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 現在、決算という形で正式に公表と申しますか、郵政大臣に提出をし、あるいは国会に提出しているのは、ものによって明らかなのは総括原価でございます。また、今度の料金値上げでも出しておりますのは、いわゆる総括原価としてこれだけお金が足りないからということでやっております。もちろん、これでは私どもは必ずしも国民皆様の最終的な御了承はなかなか得られないであろう、こういうぐあいに思っております。  そこで、四十八年以降、電話電報、加入電信、専用線、データ通信というものにつきましては、非常にむずかしい作業でございますが、ある一定の条件のもとでそれぞれの原価を決算時に分計をいたしまして、これも外部発表をいたしております。あるいはまた、その中でもデータ通信というものにつきましては、先ほど来お話がございましたように、特に独立採算をやかましく言って、この部分については別に独立採算でいこうというので、その部分についての原価を中心に料金を決めれるようにいたしております。  が、しかし、それを余り強くやっていきますと、ただいま申し上げましたように、現行の原価というものが非常に乖離をしておりますから、料金に対して。なかなかむずかしい問題がありますが、一応、原価をだんだんそういう形で仕分けをして、国民の皆様方にわかっていただく努力は今後もやっていくべきだろうと思っております。ただ、作業上、こういう膨大な事業でございますから、なかなかむずかしいんでございますが、四十八年以降、五大事業につきましてはそういう形で分計をし、それを外部発表する、こういうぐあいに踏み切ってはおるわけでございまして、さらにそれを詰めてまいりたいと思っております。
  375. 案納勝

    案納勝君 その四十八年以降というのは、たとえば電話の場合は収支率が一〇六%で、これは五十年度ですね。百円の収入を上げるのに百六円かかりますと。事業全体では一一三%。専用電話については収支率は六八%。要するに百円上げるのに六十八円で済んでいますと。こういうのがいま言われた原価なんでしょう。
  376. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いま先生お読みになりましたのは五十年度の収支率でございますが、その公表しております中身には、決算時におきましてその各部門における収入と費用とが出ております。その費用と収入の比が収支率になるわけですが、その費用というのを私どもは原価と考えておるわけです。
  377. 案納勝

    案納勝君 それじゃまるで原価というよりか、たとえば費用というのは管理費やいまいろいろありますね、労務費やらあるいは事業費の中でたくさん物品費やその他あります。そういうものについて要るだけ使ったと、そして使ってそれを総計して赤が出た。だから、これだけかかったんだから、これだけ赤が出たから、これについては赤になっているのだ、これはもう原価なんだ、こんなやり方ですか。そうすると、放漫か適正かというチェックはどこにあるんですか。この辺どうですか、余り時間とりたくないんですが、この問題について。
  378. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いま言われた意味がちょっとわかりかねるんですが、原価の中身はもちろんいま先生おっしゃいました営業費とか償却費等のいわゆる資本費用ですね、こういったようなものが入っておることは事実です。これを分析されれば、その中で放漫かどうかわかりませんが、放漫なら放漫と、あるいは資本費用が多過ぎるどか事業費が多過ぎるとか、そういうことはもちろんわかってくるわけです、それを分析していけば。
  379. 案納勝

    案納勝君 この問題、時間の関係もありますから触れませんが、ただ、ここで明らかにしておきたいのは、要するに料金が総括原価プラス建設資金の一部、そして料金制度というのが、国際的にもそのようなんですが、電電公社の場合は二部料金制度になっていると、私はそれなりに理解をしました。  ここで十円に今度仮に上がるとします。十円のうちに建設資金として含まれているのは何円に当たりますか、この料金制度になって。
  380. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) その十円の中に幾ら含まれているかというよりは、総括原価主義としては、先ほど来御説明していますように、総括原価に建設資金の一部、外国ではこれを資本報酬と言っておりますが、私どもの方は改良投資の一部という形で、先ほど計画局長が例示いたしましたように、過去十年の平均で三%というものをこれに加えております。それに基づいて料金水準を今度改定して定めておるわけでございます。したがって十円の中にそれがどのぐらい入っている、幾ら入っているということはちょっと計算はできない、非常にむずかしい問題だと思います。
  381. 案納勝

    案納勝君 やり出すと実は切りないんですが、電通の料金決定の原則というのは、国鉄法のように明確に言ってませんね。その沿革というのは、たとえば法律が制定された二十八年当時は決めようがなかった。要するに、社会的な経済の不安定、あるいは料金決定の基本原則を広げてもそのとおりいけるかどうかわからなかった、こういうことが言われている。もう一点は、政策の意図から決められなかった。これは低物価政策をそのときの政府がとる、あるいは低賃金政策をとる場合に、諸物価が上昇して企業としては当然値上げすべき場合でも赤字を覚悟で政府としては抑えていけるという、そういう余地を残して公衆法の六十八条というのが決められている、こういう沿革について私は知ることができました。そして二十八年の七円のときの料金決定は、資産の維持のために必要な償却費の不足分と設備拡充費の一部を補うためのもので、そのとき以来料金決定原則に重要な変更が加えられた、こう言われている。  ここのところを私は聞きたいんです。いま説明が十分でないんです。突っ込んでいけば時間がこれだけでも相当かかりますが、私はこの辺についていまの説明ではよくわかりませんので、いずれにしても、この段階というよりも後ほどでいいですから、明確にひとつ説明をしてもらいたい、こう思います。ようございますか。
  382. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 承知いたしました。
  383. 案納勝

    案納勝君 それじゃ質問を次に入ります。ここの点は保留をしておきます。従来の審議の中で、同僚議員が進めてまいりましたから余り重複しないようにいたします。  そこで、お聞きをしたいのは、福祉電話についてであります。厚生省が委員会でひとり暮らし老人六十五歳以上は六十二万、同じく寝たきり老人三十五万、重度身障者三十五万と報告されました。この中で今日、それぞれの無電話状態というのはどういう状態になっておるか、これを明らかにしていただきたい。
  384. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) いま手元に資料があるんですが、ひとり暮らし老人だとか寝たきり老人あるいは心身障害者それぞれの方々につきまして、電話がついていない状況はどうかというお尋ねかと思いますが、ひとり暮らし老人で電話を保有してない、持っていらっしゃらない方は、五十一年度の厚生省のお調べでそういう人たちが六十二万人のうち六五・三%と算定されておりまして、数で言いますと四十万五千人。それからそのうち子供がなくて病気がちで非課税のものを抽出いたしますと四万四千人になるということでございます。それからもう一つは、重度の身体障害者で電話をお持ちでない方は、これは四十五年度の厚生省調べでございますが、そういう方々が三十五万人いらっしゃいまして、電話をお持ちでない方は五万七千人というふうに出されております。
  385. 案納勝

    案納勝君 パーセンテージはどうなんですか。
  386. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) パーセンテージでございますか、失礼しました。最初の老人の方が六五・三%でございます。
  387. 案納勝

    案納勝君 それ何年度ですか。
  388. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) これはベースになる人口といいますか、ベースになる人口は五十一年の厚生省の調べで六十二万人、それに六五・三%という数字は、これは四十八年の数字でございます、ちょっと合わないんですけれども。それで大体積算しますと四十万五千人と。それから重度の身障者の方は、ベースの数字の三十五万人というのは四十五年の厚生省調べでございます。それから率といたしましては、これは郵政省で調べたパーセンテージでございますが一六・三%、これを掛けますと五万七千人と、このうち在宅者の方で非課税のものを抽出いたしますと、対象者といたしましては一万六千人というふうに計算されております。
  389. 案納勝

    案納勝君 通信白書では、五十年度ひとり暮らしの老人は三五%とされておりますが、その違いはどういうことですか、これ四十八年度。
  390. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 私、最初申しましたのは、ひとり暮らしの老人で電話をお持ちでない方、その方が六五・三%と申し上げました。
  391. 案納勝

    案納勝君 そこでお尋ねをしますが、この前——厚生省の方お見えにまだなっていないようですが、これは公社の方で説明ができ、あるいは郵政省で説明できるならば。せんだって同僚委員の質問で三万七千台の新設必要台数のうち、一万台を大蔵省と交渉している、こういうふうに言っておりますが、これはなぜ一万台ということになるのか、電話解消の根本策というのが必要じゃないですか。早急にこの対策を立てるべきだと思いますが、これについての対策を明らかにしてください。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
  392. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) これは厚生省に郵政省からいろいろとお願いして、厚生省で大蔵と打ち合わせをいたしまして、いろいろ御協力を願っておるわけでございますが、一万台の根拠といたしましては、この手元の資料によりますと、私先ほど言いましたように、もとの計画というのは厚生省に五ヵ年計画というのがございまして、私先ほど申しました対象者の、老人につきましては四万四千人、それから身障者の方は一万六千人、これを合わせますと六万人になりますが、もうすでにお持ちの方の二万三千人を差し引きますと、残りが三万七千人、これを五ヵ年計画のうちの後の五十二、五十三、五十四という三ヵ年計画で充足をしたいということでございまして、最初の五十二年度は一万、その次の年度が一万二千、それから五十四年度が一万五千、こういうことで三万七千を埋めたいというふうに聞いております。
  393. 案納勝

    案納勝君 そうすると、五十三年度までに全部解消するということですか。
  394. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 五十四年度になります。一万台というのは五十二年度でございますから、いま残っているのが三万七千、それを五十二から始めまして五十二、五十三、五十四と、御存じだと思いますが、五十一年度は別に七千五百台、本年度これをやっております。ですから、来年度の予定といたしまして一万、五十三が一万二千、五十四が一万五千と、こういうふうになっております。
  395. 案納勝

    案納勝君 郵政省に重ねて伺いますが、公社は、今日提案の中でも、国民の要望にこたえるために最大の目標は五十二年度末に積滞解消、いつでもつくと、そうしてダイヤルで全国どこへでも通ずると、こう言っておられますね、最大の目標は。ところが、いまの計画によると、身障者や、こういう最も手厚い対策をやらなくてはならない福祉関係について五十四年度までかかるというのは、これはどういうことになりますか。  厚生省の方は、私の時間が少し早目になっているのでまだ来てないんだが、郵政省は、それこそ先ほどのナショナルミニマムじゃありませんが、少なくとも全国国民がいつでも申し込めばつくというときには、これらの身障者の人たち電話については、あるいはこの福祉電話についてはすでに完了をしておるという状態をつくってこそ、初めてナショナルミニマムあるいは福祉政策というのが私はその面では進められたと評価がされることになるんじゃないでしょうか。電話というのは、もう身障者やひとり暮らしの老人にとってはまさに生活あるいは命のかかったような問題、この辺はどうなんですか。私は、少なくとも全国国民の要望にこたえて、住宅電話が積滞がなくなるまでの間に、このことについては郵政省は全力を挙げてやる、このくらいでなくちゃ実際に、私は今日公衆法を検討していますけれども、問題にならないと思いますね。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  396. 松井清武

    政府委員(松井清武君) ただいま佐野監理官が答弁いたしましたのは、厚生省の五ヵ年計画による数字でございます。この点につきまして郵政省と厚生省の間で約束事、合意ができておるという問題ではございません。郵政省といたしましては、これら審議の過程におきまして郵政大臣がしばしば申しておりますように、この福祉電話の推進につきましては、できる限り努力を尽くしたいということで大臣も申しておるとおりでございまして、私どもといたしましても、速やかにこれが完全に設置できますように、最大限度の努力をしてまいりたいと思っております。
  397. 案納勝

    案納勝君 それは松井さんね、いまおっしゃったことは了解いたしますよ。要するに国民の要求が住宅電話の積滞が解消するという時点までには最大の努力をする、こういうふうに理解していいですね。ということは五十二年ですね。
  398. 松井清武

    政府委員(松井清武君) この福祉電話の設置につきましては、厚生省の予算において推進しているところでございます。したがいまして郵政省独自の施策でございませんので、私どもといたしましては、そういった先生の趣旨を体しまして最大限の努力をいたします。
  399. 案納勝

    案納勝君 それからもう一点ですが、通信白書の中にも明らかなように、こういう老人の皆さん、身体障害者の皆さんというのは経済的に低所得者層が多いわけですね。通信白書では、生活保護世帯が七五%に上っているわけですよ。これらの人人に対して、国あるいは地方公共団体、公社によるそれぞれの役割りがありましょうが、本人負担の減免措置というものについて私は積極的にとっていくという姿勢がいま必要だと思いますが、これらについてどのようにお考えですか。
  400. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 福祉電話推進の対策につきましては、いろんな方法があろうと思いますが、現在、私どもが考えておりますのは、先ほど申しましたように、福祉電話の設置につきまして設備料を免ずる、設備料を国ないし地方公共団体等で措置するという形でひとまず推進の普及を図ってまいりたいというふうに考えておりまして、それと同時に、公社自身におきましても、この問題につきまして債券の免除等を図っておるわけでございます。あるいは優先的設置というものをやっているわけでございます。したがいまして、現段階におきましては、今日までとってまいりましたそういった福祉電話対策につきましての量的な促進という観点で進めてまいりたいと思っております。
  401. 片山甚市

    ○片山甚市君 関連して。  重症身障者の問題ですが、一級の在宅身障者が世帯主である場合、その電話基本料についてこれを国及び関係が負担をする無料化ということ、あるいは家族に身障者または身障児がいる家庭、それと在宅の心身障害者が世帯主である家庭の通話料については、これは割り引くとか減免の措置について、いま具体的に進めてもらえないか。これは具体例でありますから、そういう点を踏まえて対処してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  402. 松井清武

    政府委員(松井清武君) ただいまの問題につきまして、料金の減免措置につきましては非常にむずかしい問題があろうかと思いますので、今後の検討課題にしていただきたいと思います。
  403. 片山甚市

    ○片山甚市君 いま申しましたのは、ナショナルミニマムというような場合には、こういうような人々に対して具体的な施策が実施される——検討するのは結構です、三年か四年か先にまた値上げでもしようかと思うときの思いつきでやるんですから。いまの話です。これは具体的に言って、当面の問題として取り組んでもらえる。で私は全体の話をしておるんです、総括的な。ナショナルミニマムということになれば、動けない、一級と言えば動けない人ですよ、おわかりですか。働けない、寝たきりみたいになってますね、そういう方方ですから、大体想像がつくんじゃないですか。そういうことについて、私が申し上げたようなことについて具体的に検討するというか、今度の中に入れてもらいたい。これはどうしてもできませんか。
  404. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 現在までのところ、先ほど申しましたように、こういった身体障害者の福祉電話につきましても、対象者についてできるだけ速やかに普及するように、設置するように努めるという量的拡大ということを考えておりまして、その点につきましては今日まで検討していなかったわけでございます。今回、先生の御指摘を受けましたので、ひとつ真剣に検討さしていただきたいと思います。
  405. 片山甚市

    ○片山甚市君 それでは、同僚案納委員が申したように、電話のない者については何よりも優先的に——郵政省、電電公社当局は厚生省の要求とか要望にこたえるし、無電話の状態がなくなるように、そういうことについては、この法案審議の中で努力することを明確にした。これ一番優先する、命に関係するからですよ。これは後から案納委員が言うと思いますけれども農村におけるいわゆる過疎の電話と、年寄りといいますか心身障害者、あるいはいわゆる寝たきり老人などというものについては、電話は今日的に大切だということは総裁も遠藤さんも言っておったように思う、これは。ですから、そのことについて、このことをやることがなければ、これだけあこぎな値上げをする提案をする資格はなくなりますから、相当あこぎなんですよ、本当は。本当はですよ、うまいことを言わないと通らないから、うまいこと、ああ言ったらこう言う、こう言ったらああ言うとなっているけれども、ですから、これだけは約束をしてもらいたい。  郵政大臣、いかがでしょう。私の申し上げたことで、福祉電話については具体的に話ができるようにしてもらう。関連質問として大臣にお伺いしたい。
  406. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) この点は、半年でも一年でも早く完全に設置できますように、厚生省とも強く折衝し、大蔵省に対して折衝いたす覚悟でございます。
  407. 案納勝

    案納勝君 厚生省の方、お見えになっていますね。いまあなたおくれておいでになったというから、私の方が大体もっと遅く来るものだろうということで時間を指定していましたが、おくれられた。  いまお見えになる前に、一万台ことしの計画で福祉電話をと、厚生省主導型ですね。本来、福祉問題は厚生省所管ということには間違いありません。いまそういう所管が電電公社はどうだと言っているときではない。それぞれが持ち場持ち場で福祉問題を横につないでいってこそ初めて完成する。  そこで、いま郵政省に要請したところですが、三万七千台のうち一万台、これは厚生省。ところが、現実に公社電話の普及は五十二年度には申し込めばすぐつくという状態をつくるのがこの公衆法の中に明らかなんです。御案内の、あなたたちが一番知っているひとり暮らしの老人、寝たきりの老人あるいは重度身障者というのが、また電話というのは必需品以上の、しかも最も命の次のものでありますね。そうすると、いまから五十四年度ぐらいで完全に無電話状態をなくするというのじゃなくして、少なくとも五十二年度という、申し込めばすぐつくという状態のときには、そういう福祉電話も解消しているということを明確にしてもらいたい。このことについて郵政省の方は前向きでさらに厚生省その他と努力をするという答弁、私はその辺について厚生省の御見解を承りたい。そういうことを明確にひとつ努力をしてもらいたい。  もう一つは、通信白書等でありますが、これらの人々は経済的低所得者層が多いわけです、七五%が生活保護世帯。そうすると、これらの人々に対する国、厚生省、郵政省、あるいはその他の各関係省も含めて、あるいは地方公共団体、公社によって本人の負担の減免という措置をとってもらう、このことがまさに仏つくって魂入れずというんじゃなくて、目玉を入れることになるのじゃないか。これについてもぜひひとつこの審議の過程を通じての強い要望ですから、速やかにこのことの実現のために関係省庁との打ち合わせをして詰めてもらいたいと、こう思いますが、郵政省の方もさらにその趣旨をもって検討し、さらに量的促進を図るという答弁。厚生省の御見解を明確に。
  408. 坂本佶三

    説明員(坂本佶三君) お答え申し上げます。  先生御指摘ございましたように、来年度一万台、全体としまして約六万台の必要に対しまして現在二万二千台ということで、その差の三万七千台を三ヵ年計画で整備したい。こういうことで、とりあえず来年度一万台実は大蔵省に対しまして要求しておる次第でございます。先生のお話もございまして、私ども計画をできるだけ早く実現しますように努力をいたしたいと思います。  それから生活保護世帯の問題でございますが、先生御指摘のように、老人世帯あるいはその身体障害者の世帯、大体、全体の七五%強を占めておる状況でございます。私どもといたしまして、生活保護世帯の特に生活扶助基準につきまして年々上げてまいりまして、五十一年度でございますが、一二・五%の増を実は考えておるわけでございます。それで一二・五%の増の中には物価の上昇分というものを実は加味してございますので、生活保護世帯につきましては御安心いただけるんではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  409. 案納勝

    案納勝君 次に移ります。  これは総裁にお尋ねしますが、一つは、経営民主化問題について今日まで多く長時間をかけて論議をしてきました。これは私は簡単に触れるだけにして、原則的な面だけの答弁をいただけばと思います。  たとえば、電気通信事業全体をもう一回見直し、さらには国民の共感や協力を得る、こういう意味で総裁の諮問機関として——私的諮問機関になりますか、そういう設置についてその方向が確認されたと。また利用者委員会という形をとって中央地方においてできるだけ幅広い国民意見を、あるいは国民が物を言う場というものを拡大をしていく、そういうものの中でナショナルミニマムを広げ、確立をし、国民の電信電話事業として確立をしていくという、そういう筋道がいままでの論議の中で論議をされ、方向として確認されたと思いますが、そのように確認をしてよろしゅうございますか。
  410. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  そのように処置いたしたいと思います。
  411. 案納勝

    案納勝君 次いで、料金における大衆負担の増大防止という面で、同じくこれもそういう面での確認できょうのところはいいのですが、一定度数以内の加入者について現行据え置きとすることを今日までわが党は主張してきました。公社も基本的に体系見直しの中で検討をすることとして、暫定措置については、本委員会審議の期間中に結論を出すというふうに答弁をされたやに聞いております。これはどのように検討されたか明確ではありませんが、これもこのような方向でいま検討をしている、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  412. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) そのような方向で検討いたしたいと思います。
  413. 片山甚市

    ○片山甚市君 関連で。  実は、水道、電気、ガスのミニマムを見ると、水道の場合は大体一立米四十一円二十銭程度のやつをこれは生活状態として保障しておる。電力の場合は、東京の場合百二十キロワットまで一キロワット十八円八十一銭ということでやっております。ガスについては、いわゆるゼロから七立方メートルについて一律に六百五十円、八立米から三百六十立米まではそれぞれ掛けて、平均的に言いますと六十立米が平均で三千四百円になっています。これを見ますと、電電のいわゆる通話の問題も、若干、家庭用電話についての料金を見直す場合、いわゆるナショナルミニマムということの場合は、ガスや電気や水道と同じように配慮をこれからしてもらいたい。  これは何回も言いましたんですけれども公社が余り賛成をしませんでした通信施設についての定額法、いわゆる減価償却定額法の問題について、そういうのは技術革新のテンポに合わないじゃないかと言っています。しかし、電力の場合は、同じ装置産業ですね、一番たくさんある、それでも定額法をとっておるようでございます。だから、いまお金をたくさん集めるために減価償却の話をわれわれしましたけれども、今日、そのようなことについては、建物とかそういうものについては定額法を適用したい、しかし、それ以外のものについては、まだ、五十二年度完全充足といいますか、が終わったときに見直してみたい、こういうふうな総裁の言葉がありました。そこで、そういうものについても若干前進するんなら、ナショナルミニマムという形で考えるならば、いま言ったガスや電気や水道と同じように、ある一定のものについては国民に保障する、こういう形にしてもらいたい。私は、公社が一度数七円というものがナショナルミニマムじゃないかというような御発言があるように聞こえますけれども、それは違うと思うんです。私は、同じようにやっておっても、済みませんけれども、電力会社の方がずっと原価の公表ということについてはシビアにやられておるようでございます。先ほど同僚議員から言いましたから、このことについて、水道やガスや電気のものを十分に参酌をして、しんしゃくをして、これから努力をしていただけるかどうか、総裁にお伺いします。
  414. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 先にちょっと総務理事から答えさせまして、後で私がお答えいたします。
  415. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ガス、電力というものは認可料金でございまして、私どもの場合は法定料金でございますが、したがいまして法律の範囲内でできる限り、いまのお示しの電気、ガスに近い形のもので考える方角で検討いたしております。
  416. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) ただいま総務理事が答えたように処理いたします。
  417. 案納勝

    案納勝君 次へ移ります。  電報料金についてお伺いをいたします。電報減少傾向は電話の普及、加入電信の発達等で否定はできません。しかし、今回の値上がりにより通数に及ぼす影響はどのようになるというふうに見ているのか、どのくらい減少すると見ておられるのか、まず、その点が第一点であります。  第二点は、一緒に言いますが、電報制度の存続については、今日までの同僚議員の質疑等の中で継続が確認されてきましたが、現行料金を据え置き、たとえば例文などをつくっておいて利用の拡大や新たなサービスを含めて積極的な施策を打ち出すべきだと思いますが、これについてはどうお考えになっていますか。
  418. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 最初の電報通数の減少、通数減を料金値上げでどういうぐあいに見ておるかという御質問に対しましては、前回の料金値上げをいたしました昭和四十七年当時の実績値から、今回の料金値上げによりまして約一三%の減少を見込んでおります。通数にいたしますと年間約五百万通ということになります。  それから第二点の問題は、衆議院の逓信委員会における附帯決議の中で、緊急通信としての電報が今日の時点でまだ相当あるという点を御指摘を受けております。したがいまして、そういったようなものを中心にいたしまして、いま先生おっしゃいましたような点を今後検討してまいりたいと考えております。
  419. 案納勝

    案納勝君 電報の場合は、もういまさら申すまでもなく、電話の架設料が今度は八万円に引き上がったりなどしますが、そういう意味で電話を持つことのできない層がかなりある。後ほど触れますが、過疎地帯、農漁村にとっては通信手段として欠かせない今日、あるいはまだまだ——これは遠藤さんが週刊誌の対談の中でも言っているように、商業電報も無視できない、特に中小企業。こういう状態にありますだけに、しかも公社料金方式が総合原価方式、少なくとも電報赤字の分は電話の黒字の分あるいは増収の面でカバーしていくという、そういう面での総合原価方式がとられているという面から見ると、一%の比重しか占めていないわけですね。そうすると、私はナショナルミニマム的なそういう立場で現行の料金を据え置いて、その上で具体策として先ほど指摘をしたような積極的な新しい分野の拡大をしていく、こういうことが私は必要ではないのか、いまこそ。こういうふうに考えます。  これについての見解と、あわせて、たとえば具体策として先ほども申し上げましたが、農漁村地域に発着する電報料金については低料化するとか、あるいは慶弔電報などは早期発信をしてもらって一括配達するとか、そういう面についての工夫というのが私はなされてしかるべきだと思う。その提言ナショナルミニマムとして現行の体制、現行の料金制度を据え置いていくという、そういう姿勢の中で私は出てこなくちゃならぬと思いますが、公社の方の見解はいかがですか。
  420. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 現在、電報の収支率は、御案内のように約九〇〇%であります。大体、年に二〇〇%近くこれが悪化しておりますので、恐らく二、三年後には一三〇〇%ぐらいのあれになると思います。いま先生のおっしゃいましたことは確かに私どももわかるんでございますが、余りにも原価と乖離をするということのために、今度はそれが別の目的で使われるというケースがあるんです。  一般の普通電報にいたしましても、たとえば「チチキトク」というような本当に電話がなくて必要なあれのほかに、料金が安いために——料金が安いためにというのはもっと具体的に申し上げると、配達の人が安く使えるために、たとえば私どもこの間初めて聞いてびっくりしたんですが、一番極端な例で申しますと、サラリーマン金融の方が金の催促をするのに夜電報を何回も何回も打つ、そうすると、その都度電報配達が行って電報電報とたたき起こす、本人も眠れないし近所にも何事だということで金を払わざるを得ないというように、電報とは違った目的に使われるようなことがあります。これはやはり私は料金というものを余りにも低く抑えておりますと、そういう別の目的に使われるということが確かにあると思います。また慶弔電報につきましては、これは公共的なものかどうかということについて一つの疑問もございます。これが公共料金と言えるかどうかということについても御議論があろうかと思うんであります。そういった面から、今回の料金値上げは、私はこれはそういう意味で最小限の料金の引き上げではないかと思います。  現在の段階では「チチキトク」とかいうものを確かに摘出するということは通信の秘密その他について非常にむずかしゅうございます。これを先ほど先生の御提案のように例文化をいたしましてやるということができれば、これから先はこういったようなものをある程度ナショナルミニマム的に据え置いてやるということもできるだろうと思います。今後の問題として、そういうことを考えることは私も必要だと思いますが、今回の料金値上げはそういう意味で最低限のあれでありまして、今後は、いまの例文化とか、そういったような形で本当に「チチキトク」とか電話のない方にあれをするという問題については十分考慮を払わしていただくような方角で検討をさしたいと思います。  それから、ちょっと答弁漏れがございますが、事前発信につきましては、確かに先生がおっしゃるとおりでございまして、いまは御存じのように配達日時指定、毎時指定をいたしておりますが、こういうような細かい指定はかえって要員的にも経費がかさみますから、逆にこれは毎時じゃなくて、一日午前とか午後とかいうように大くくりにして一括配達に近い形にするとか、あるいは十日前に事前発信をした方は今度は逆に料金を割り引く、こういうようなことは今回考えたいと思っております。
  421. 案納勝

    案納勝君 遠藤さんね、最後に、この電報問題について、いま遠藤さんが悪用されるということについて言われましたけれどもね、私はこれは仮にそれがあっても一部にすぎないと思うんですよ。そういうものじゃなくて、いま電報というのが国民生活にどのような役割りを果たしているのかという視点、その面から、要するに赤字だからというのじゃなくして、電報というものについての私は価値判断をすべきだと思いますよ。これが私は公社ナショナルミニマムあるいは公共事業として、それであるいは郵便の場合においても同じですが、さまざまな種類がありますが、もっとも最初から赤字なのわかっている種別だってある、そういうものについて国民立場に立って評価をすべきであって、いま言われたような立場でやると、これはどうしてもひっかかってしようないんですよ。やはり何としても、何が何でもともかくそういうものを度外視をして赤字さえ埋めればいいんだ、手段を選ばないんだというように聞こえてきてならない。  ここに業界紙もありますが、これにもいいこと書いてあるんですよ。これまでの惰性の中からではなくて、新しい視点から未来像を描くときだ。それも国民理解と支持が得られる、そういうものにしていかなければならないということが業界紙の中にも、電信電話記念日に当たっていま置かれている立場について適切に書かれています、社説に。私は求められているのは、いまそこだと思いますよ。だから、そういう意味で私はこれについていま言ったような立場、視点に立って検討してもらいたい。私は、いまの言われる点については納得することはできません。  もう一点は、きわめてこれは、遠藤さんや皆さん御存じのように、電報問題をめぐって、赤字は切り捨てだ、赤字のところは、こういう発想が要するに赤字部門の切り捨ての発想というのが私はあるような気がしてならない。それを敏感に受けるのは現場で働いている労働者なんです。そういう面できわめて労働者の人たちは、労働不安が強い。幾ら百万遍いま言われるような説明をされたってわからない。私は、今日まで、全電通と電電公社との労使関係というのは郵政に比べたらきわめて円滑にいっていると思います。私は郵政の二の舞をしてもらいたくない。みずから出身であるが、涙の出るときがあります。しかし、そういう場合にお互いに理解をし合って、そして事業の持っている理念なり、あるいは使命なり、目的なりに一緒になって協力し合っていけるという体制をつくるには、もっとこの辺について気を使っていただきたい。私はこのことについて強く要望しておきたいと思いますが、いかがですか。
  422. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私ども電報に働いておられる方が今日のこういう電報の悪い状態というものの責任者だとは一つも思っておりません。むしろ現在までに労働組合を通じまして電報の各種の合理化、すでにもう六、七年になろうかと思いますが、大変な御協力をいただいて、だんだん合理的に施策も行われていることは私も高く評価をしておるわけでございますし、また、こういう形の労使の話し合いによる合理化というものが今後も望ましい。そのための努力を惜しむものでは一つもございません。  ただ、私、先ほどつまらない例を引いたのですが、その例がまたすべてを支配するようにお聞きになりましたらこれは誤りでございます。確かにそういうものは一部でございます、ございますが、私は余りにも原価から乖離していく状態が続くということは、これはまた別の意味で職員の士気にも影響するかと思います。私どもが今回の料金値上げをいたしましたのは、大体、今日時点の七、八〇〇%という収支率をこれ以上悪くしない、またこれ以上よくすることもできないだろうけれども、少なくとも数年間は、この七、八〇〇%の収支率を維持する、こういう形で今回の料金値上げをお願いをしておるわけです、電報につきましては。  そして、その中で、先ほど申し上げましたように、通信の秘密とか、そういうようなことが十分解決できる方法で、例文ですとか、あるいは事前発信制度の勧奨とかということによって合理的な施策をさらに織り込んでいきたい、こういうぐあいに考えているわけでございまして、実は、私、先生の御質問を取り違えたのかもわかりませんが、今度の二倍三倍というのを引っ込めろと、こういうように伺ったものですから、それはできませんというところに重点を置いてお答えをいたしたのでありますが、今後は、もうそういう意味で十分検討させていただきたいと思っております。
  423. 案納勝

    案納勝君 それじゃ次に移ります。  認可料金の問題について質問します。  公社の今回の法案説明によると、約二兆五千百億の料金改定の必要額が、これが値上げ案となっている、こういうふうに説明をされております。そこで料金改定による増収見込み、五十一年の六月から五十四年三月までは増収見込み額は基本料通話料電報料その他設備料、これは法定料金で合計二兆七千二百五十億の収入を見込んでおる。これは私の調査、要するに調査室の資料ですが、こうだとすると認可料金の分はどういうようになっているのか。これをやりますと相当時間をとりますが、要するに大量にあります認可料金。この今回値上げの必要額は法定料金値上げによって全部賄う。認可料金についてはそれをさらに引き上げる意図があるやに聞いている。これはどのような形に認可料金をしようとしておられるのか。今日におけるこの認可料金と法定料金の関係はどうなっているのか、この辺が第一点であります。  第二点目は、少なくともこの認可料金というのは取りつけ料、使用料、債券と、こういうふうに分かれている。四十八年改正されましたが、余りにもこの取りつけ料、債券、使用料も他に比べて低額なものがきわめて多いのであります、法定料金に比べて。まさにその意味で言えば負担の公平を欠いていると言っても言い過ぎではない。一々取り上げれば切りがありませんが、そういう認可料金について、もっと国民にこの原価というものを、これこそ原価が私は出せると思うのです、この原価を公表して、さらにはこれを決定するときには、先ほど総裁等から答弁がありました利用者委員会やあるいはその他のそういう国民が参画できる舞台というところに、委員会あるいはそういう機関に十分諮った上で、最終的には郵政審議会になるかもしれませんが、郵政審議会の議を経るなどして、少なくとも公表の原則に立って、国民にも当委員会にも明確に私は報告をすべきだと思うのです。  そして、また、報告をするというよりか、公衆法を提案をされるときには、この認可料金についての内容についても明らかにされなければ、この委員会電電公社の財務問題について検討をしているという、このことを除いて検討するなんてまさにナンセンスであります。私は、この辺について、今回の取り扱いについて大変厳しく申し上げておきたいと思う。今後、こういう状態で出されるならば審議することはできません、公社の財務問題については。したがって、その辺について明確にお答えをいただきたい、こう思います。
  424. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは金額的には三ヵ年の増収額二兆五千何がしの中に三千五百五十億が認可料金で入っております。この認可料金は大半がいわゆる法定料金にリンクをいたすものでございまして、端的に申し上げると、通話料関係では四三%のアップということになるものでございます。たとえば公衆電話電話料でありますとか一〇〇番通話料とか、そういったようなものであります。  それから、特に違うのは、いわゆる慶弔電報でありますが、これはあらかじめすでに現行の三倍ということは一応案としてそこにお示しをしております。  いずれにしても、これは私どもが決めると申しますよりは、法律が成立しましたその時点で私どもの方から認可に申請をいたしまして、そして、郵政大臣が、この間の話のように、国民生活に影響の大きいものについては郵政審議会に諮られまして御決定され、認可をされる、こういうことでありますので、私どもの方で現段階でこう決まりましたと、決めておりますということはなかなか言いにくいのでありますが、いま私どもが認可申請をしようと思っているもの、あるいは認可申請をする金額に基づきまして三千五百五十億というものを二兆五千億の中に入れておるわけでございます。
  425. 案納勝

    案納勝君 そうすると、二兆五千百億の中に三千五百五十億が入っている。ところが、これは私の方の資料が間違いかもしれませんが、料金改定増収見込み額の内訳は次のとおりと出されておる中に、基本料九千三百億、通話料一兆四千五百、電報料三百、その他として加入電信三百、公衆電話三百、専用料その他四百、小計二兆五千百億。それから設備料として加入電話が二千四十、加入電信三十、その他八十、計二兆七千二百五十億、こういうふうに資料に出ているわけです。これを見る限り、そんなの入ってない。  そこで、私は、遠藤さん、いま説明受けましたリンクするんだ、その上で郵政審議会に諮っている。いま私は認可料金の取り扱い問題について郵政大臣にお伺いをしたいんです。少なくとも三千五百五十億がこの赤字の中の必要とする改定必要額の中に入っているとするなら、少なくとも、この委員会の中に三千五百五十億の認可料金の内訳はこのようになります、リンクにすれば、こういうものがなければ私はこの三千五百五十億も出てこないし、そういうものがあるならばそのことを明らかにした上で、認可料金については、法定料金ではないにしても、この委員会で財務全般にわたって検討するときに提出されないなんと言ったら、それこそ欠陥法律じゃないでしょうか。私は、この取り扱いについて、大臣に、今後この点については明確にひとつしてもらいたいと思うんです。  そういうものがされていかないと、私は一々聞きましたが、たとえば電報料金電話料金等については法定料金から外すとか、外さないとかという論議があったことも聞いております。そんな論議をするもう以前の問題だと思います。意見が出る自体問題ですが、私はこれらの問題について今後の取り扱いについて大臣としてどういうふうにお考えになるか、この点をお伺いしたい。  それからもう一つ遠藤さんからいまお話がありました。私は、これは原価として明らかにできる、要するに総合原価方式でなくして、あくまで原価方式によっていっているはずだと、認可料金。違うというのはそこで指摘できる。これは国民の前に明らかにして、決定する前ですよ、十分に意見を聞いた上で、協力と共感を求めるということが必要じゃないか、こう指摘している。そういう姿勢があるかどうか、いかがですか。
  426. 松井清武

    政府委員(松井清武君) ただいまの認可料金の扱いの問題につきましては、先生の御指摘はごもっともな点が多いというふうに思うわけでございます。ただ、この収支、三年間の中における認可事項でございまして、未決定の要素もかなり多いわけでございます。しかしながら、そういった問題でございましても、未決定な事項でございましても、三年間の収支の中には、その間における改正される問題につきましては、その収支の中で入れておく方がいいということで、三千数百億の計上をしてきたわけでございます。  したがいまして、これから逐次、公社から認可料金につきましては申請が参るであろうというふうに思っておりますが、少なくともこのおおよその概略といいますか、おおよその計画的なものを明らかにするということは必要であったかというふうにいま反省している次第でございますが、今後、留意してまいりたいと思います。
  427. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 最初に、数字のあれを申し上げます。いま先生お読みになりましたこの小計のところ、千三百六十億でございますね、千三百六十億になっておりますでしょう、認可料金によるものというのが、小計で。それに基本料、ダイヤル通話料という上の欄の中に、本来の法定料金のほかに、たとえば共同電話基本料ですとか、ダイヤル通話料の中には夜間の通話料というようなものが認可料金として含まれているわけです。それを全部入れまして三千五百五十億になるわけでございます。それが数字の御説明。  それから、私は、いま監理官もおっしゃいましたように、確かに、これは現在の公衆法の立て方がそうなっているために、従来の例でそういうぐあいになっておるんですが、次に、もしこういう機会がございましたら、やはり法定料金と認可料金を一緒に私は出すべきだろうと思います。で、まあ郵政省の方がどういうお考えかわからなかったのでございますが、いま非常にはっきりいたしましたので、私は、現在の郵政省の監理官のお考えにはもう非常に、むしろありがたいことだと思って、ぜひそういう方向でやっていきたいと思っております。
  428. 案納勝

    案納勝君 それはいつまでも自民党が多数で続くというわけじゃないんですから、これは保革伯仲、逆転をすれば、これはもう欠陥法律で私たち本日で返してもらいます。これは認めることはできませんよ。私はそういう措置をしかるべくきちっとやっぱりとってもらいたい。このことが財務をこの委員会で十分に慎重に審議をする、そういうことにつながっていくと思うのです。  そこで、私は、過疎問題に入ります。  今日、私はいままで、まだ十分ではありませんが、電電公社の今日までの経営あるいは運営、建設投資、こういうものを全体的に見るときに、しかも総裁が五十二年度までには積滞解消をすると、こう言われた。また、あわせて技術革新によってきわめて多くの新しい技術が開発をどんどんされている。しかしながら、過疎地帯あるいは農漁村、離島、こういうところについてはまさに生活必需品である、いや都市以上に生活必需品である電話についてはほとんど実は顧みられず、最近、これらについての改善されているケースというものを見ることができないのです。今日、この地域差というのが一層浮き彫りにされてきています。  そこで、私はお尋ねをしたいのですが、四十九年の九月に、地域通信調査会報告書において、過疎地域における電気通信設備の整備を図るためという幾つかの課題が提言されています。これに対して郵政省あるいは政府はどのように対処をしてきたのか、これについての御説明をいただきたい。
  429. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 郵政省といたしましては、調査会の報告の趣旨を踏まえまして、農村漁業地域、あるいは過疎地域に対しまして、公社電話に対する要望の強いことにかんがみ、加入電話の積滞の解消、自動化の達成、加入区域の拡大、無電話集落への公衆電話の設置等を積極的に推進し、あるいは住民の要望にこたえていくよう、今日まで電電公社の推進を指導してきたところでございます。  今日の段階におきまして、積滞の解消あるいは自動化の達成がなされました段階におきましては、ますますこれらの地域に対する公衆電話サービスの重要性というものが付加されるというふうに思うわけでございまして、今後とも、それらの問題を重点的に取り扱ってまいりたいと思っております。
  430. 案納勝

    案納勝君 公社の方から、今日までの討議の中で、五キロに加入電話区域を拡大をすると残ったところが三十万世帯である、こういうふうに報告をされましたが、事実、そういう状態になると思っておられるのか、これはどうですか。
  431. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  この推定なかなかむずかしゅうございますが、全国の電話局全部が、われわれの建設工事が予定どおり進みますならば、五十二年度末には、全自動局——手動局の一部は五十三年になりますが、全国がいわゆる半径五キロの円内が加入区域になるということでございますと、大体の推定でございますが、その円外にあるいわゆる加入区域外の世帯は約三十万世帯であろうということでございます。
  432. 案納勝

    案納勝君 これは国土庁それから農林省等にお尋ねをしますが、過疎地域、山村、離島の振興を目的とする特別立法があります。過疎地域対策緊急措置法、山村振興法、離島振興法、これらがありますが、この中に通信施設の整備はこれらの法律によって振興計画の一環になっております。ところが、これらについて有線放送や有線放送電話に対する国の助成としては今日までわずかに三十年代に行われました農林省それから自治省による若干の補助以外には出ていません。  これらの法律は、単に有線放送及び有線放送電話だけでなくして、当然、電電公社の加入電話、公衆電話を含むものと私どもは解釈をしています。過疎地帯における公社電話の普及整備を対象にするこういった施策についてどのように考えられているのか、特に所管官庁の国土庁、あるいは最も過疎地帯の、しかも最も今日私のところへ陳情が来ている幾つかの問題も緊急を要する問題がありますが、地方の過疎地域、農村漁村の問題等を抱えておられる農林省等の御見解を承りたいと思います。
  433. 下山修二

    説明員(下山修二君) お答えいたします。  ただいま先生がお話しになりましたように、過疎法あるいは離島振興法あるいは山村振興法の中におきましては、通信施設の整備というものがそれぞれ事業計画あるいはやるべき施策というものの中に明確にうたわれておるわけでございます。で、その通信施設の中には、先生御指摘の、当然、有線通信だけではなくて電話の普及というようなものも中に入っているわけでございます。御承知のように、こういう過疎地域でございますから、当然、産業基盤の整備とあわせまして生活基盤の整備というものを図っていかなければ、こういう地域の振興はできないというのがわれわれの立場でございます。したがいまして、そういう意味の生活基盤の整備の重点である通信網あるいは通信施設の整備につきましては、特に重要視しているわけでございます。  国土庁といたしましては、そういう観点がございますので、たとえば離島振興対策審議会の中にも郵政次官に入っていただきまして審議に参加していただくとか、あるいは、いろいろの地域の計画を立てるときに郵政省当局ともいろいろ相談し、また電電公社の方につきましても、いろいろの島の問題等も含めまして、いろいろの便宜を計らっていただいているというふうな現状でございます。
  434. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 農林省といたしましては、ただいま先生から御指摘のとおりでございまして、三十年代に有線放送電話施設等に関連いたします助成を行ってまいりました。農山漁村におきましては、地域における連帯性の活用というよなことによりますところの農林漁業経営の近代化のために重要な役割りを果たしているということにかんがみまして、三十年代の新農山村建設のほかに、現在でも、本施設に対する助成、特に農林漁業団体が経営する有線放送の健全な育成を図るための農林放送事業施設としての助成を行っているところでございます。
  435. 案納勝

    案納勝君 過疎地帯における電話の建設保守費用というのは、町の人たちといいますか、区域内の人たちに比べたら、全く割り高になっていることは御存じのとおりであります。一本引くのに三十万円、さらに保守設備費を払わなきゃならぬ、全く架設をしようとしてもできないという状態。過疎地帯における住民にとっても、電話加入区域における架設の場合、同じようなやっぱり不公平の是正といいますか、しかも電話がいまや情報化社会の中にますます生活必需品化している今日、今日のこの費用の負担は地域の住民の経済力から言ったらまさしく禁止的な措置だと言っても言い過ぎではない。これについては私は国がしかるべくこの山村振興法を含めて、離島振興法ですか、関係法が現実にあるわけであります。もっと積極的に国の助成というのが必要だと言わざるを得ないのであります。  たとえば、私はこれは三十万世帯と言われましたが、そんなことはとてもじゃない、考えられない。離島、対馬というところがあります。この対馬の厳原町の中で、いま地域集団電話の場合は一定の制限があります、加入者の数もあるいはその加入する距離についても。ところが、対馬のような離島の場合、厳原町の中でもそうであります。一つずつの村が山越えにそれぞれ湾を抱えながら村があります。その村は片や漁村、魚を取る。片やシイタケ等を栽培をしている。そしてたとえば私のところに来ていますのは、久和という村は戸数が六十二、人口が二百四十、安神という村は戸数が三十八、百四十一、あるいは豆酸というのは戸数が四十四で人口が二百十七、こういう村があるんです。直線距離で厳原から山越えに、聞きますと五キロ以内。ところが電話局からその関係の電話局に引くとはみ出してしまう。こういう中では電話が引けないという。農集電話がありますが、せいぜい農集は二本ぐらい。日掛という村ですが、厳原からタクシーを呼ぶのに、自分のうちから公衆電話まで行って、電話をかけて自分のうちまで戻ってくると、タクシーの方が早く着くというぐらいの距離。そこはシイタケと漁港であります。いまは広域経済下になっていて、シイタケの出荷についても大阪あたりと電話をして、その相場の動きによって出荷する。魚をとってそれを持っていくにしても、同じように電話がない。その中で病人が出ても公衆電話のところまで走らなきゃいけない。家族は福岡に出ている、大阪に出ている。その家族とないしょ話も公衆電話しかないからできない。こういう状態の過疎地、離島というのが放置をされたままあるんです。電話を引くには三十万から四十万かかる。  ところが、町といいますか、都市下では、先ほど、またきのう、この間からの論議の中で米澤総裁も言われましたが、電子交換機やデータ網の建設やあるいは映像通信やら、そういうものもまさに五十二年には完全充足される。この人たちは五十二年になっても充足されない。しかも町の私たちのうちの場合には、この近所だったら、家を出て電話がなくても百メートル行けば公衆電話があるんです。隣に行けば電話が借りられるようになっている。ところが、そういう人たちのところはそういう状態にないんです。たった五キロ、直線距離五キロから五百メートル離れているだけで引けない。こういう状態をこのまま放置をしていて、五十二年度には積滞数完全充足でございますと、料金をこれだけ上げてください、こういうことを言って、はいそうですかということにはなりませんよ、これは。ましてやどんどん技術革新は進んでいます、建設投資はこれだけ必要です、こう言っても、本当に公共企業体、ナショナルミニマムとして、国民のための通信、電話、私はそういう役割りにならないと思います。  先ほど、冒頭に私が申し上げましたように、今日までの電電公社事業というのは、高度成長政策の中で産業本位、これはもうわかるわけです、優先順位見れば。まず、高度成長時代は、事務所、事務用電話から始まって、国民の住宅電話を犠牲にして高度成長の中で設備投資が進められた。ある意味では一定のところまで来ると、これは飽和状態になることは間違いない。そして新しいものが産業から求められる。それはデータ通信であり、さまざまな新しい開発でしょう。それに手がけざるを得ないから、もっと大きい設備投資建設投資をせざるを得ない。しかし、そのまま放置をするわけには住宅電話というのはいかない。したがって五十二年に完全充足ということを辛うじてとらざるを得ない状態に来ているのがいまの電電公社の私は今日までの経営の実態だと思う。  私は、この発想をいま変えるべきときだと思う。変えていかなければ、私は公社の将来というのはきわめてむずかしくなると言っても言い過ぎじゃないと思う。また先ほど申し上げた民間の業界の新聞ですら、そのことは指摘をしているところだ。私は、これについて、電電公社、郵政省そして農林省、国土庁、これらがそれぞれ、単に縄張り争いじゃなくて、協力要請じゃなくて、真剣にこの問題について取り組んでもらいたいと思う。この辺いかがですか。
  436. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  まず第一の、先生例に挙げられました対馬の例でございます。確かに島なんかが一番むずかしいわけでございまして、山が追っておりまして道が曲がっておる、距離が遠い、あるいは工事がむずかしいということで、確かにそういった集落がかなり残っておることは承知しております。これらにつきまして、われわれといたしましても、まず電話がない集落があっては困りますわけで、五十年末の大体推計によりますと、全国でまだ六百ほど残っておると思いますが、こういった無電話集落につきましては、極力、これからも解消していきたいと思っております。  予算につきましては、大体、二百ほど計上しておりますが、実質は、御希望があれば全部おつけしたいと思っております。そういった形でまず無電話集落をなくすことが第一でございます。  その次は、やはり加入区域の拡大でございましょうが、これは先ほど申し上げましたように、全国、一応四千ほどございますから、こういったものをまず第一段階としては五十二年度末までに、改定期が来るまでに広げたい。その先については、また今後の問題として検討したいと考えております。  それから、現在でも、その遠距離のほかに、確かに区域外でございましても、一軒、二軒ぽつんとあるものと、確かに三十軒、四十軒まとまったものとは違うかと思いますが、こういったものにつきましては現在でも地域集団電話ございますが、こういったものの範囲をさらに拡大してつけますとか、あるいは交換、改式というようなことも考えていかなければならないものと考えております。
  437. 松井清武

    政府委員(松井清武君) ただいま公社から答弁のありました諸施策につきまして、強力に推進するよう指導することはもちろんでございますが、郵政省といたしましても、これら地域に対する今後の電気通信サービスの拡充は非常に重要な問題であるということは認識している次第でございまして、すでに五十二年度の予算の概算要求におきまして、ひとまず普通加入区域外の地域における電話普及促進策を策定するための基礎資料を得る調査費というものを要求している段階でございまして、そういう実態をも十分把握いたしまして、今後、そういう実態も徴しながら措置してまいりたいと考えておりますし、これらの問題は郵政省だけで完全な措置ができる問題ではございませんので、御指摘のとおり、関係の各省ともよく協議いたしまして整備に努力してまいりたいと思います。
  438. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) ただいま郵政当局からの御回答ございましたが、有線放送に関連いたしましては接続通話範囲の拡大等についても要望しているところでございます。さらに、公社電話の点につきましても、都市と農村との格差是正といったような点から、担当省とも十分話し合っていきたいと思っております。
  439. 下山修二

    説明員(下山修二君) 御指摘のありました離島地域につきましては、確かに架設する場合に海底ケーブルを敷設するとか、相当の経費がかかるということはわかります。しかし、先ほど先生の御指摘のように、地域住民の生活環境整備という点を重点に置いていかなければならないという立場もございますから、ただいま主務官庁の監理官が申されたとおり、協力しまして、この改善策について努めていきたいと思います。
  440. 案納勝

    案納勝君 最後ですが、輿さんの言われる当面区域を拡大してそのあとにという、それも一つのやり方かもしれませんが、それじゃ解決しないんですよ。いま対馬で仮に例をとりますと、全国平均が百人当たり普及率は六二・九個ですね。対馬では、いま申した厳原、下県郡で二一・二個なんです。これしか申し込みがとれない、できないんです。これはいまみたいな状態にあるからなんです。  そこで、私は、松井監理官の答弁について了としますが、もっと進めて、この辺、たとえばそういう特殊な離島や山村の場合ですね、加入区域を五キロに延長する。収容局から五・八キロあるというような場合、八百メートルですね、あと。そこで集団的な需要が、しかも、その地域社会上あるいは離島振興上あるいは国民生活上必要だという認定ができるならば、その五キロをそこの部分特別に、そういう離島や山村の場合について、山を越えていくわけですから、平地の場合と違う条件がある、そういうものについて拡大をすると、これは全部拡大すればまた問題がいろいろあるでしょうけれども、そういう限定をしたところを中心にして救済措置を考えるということはできないのか。  もう一つは、こういうことで救済できないところ、離島や山村や過疎地帯のそういうところについては、国の助成あるいは地方公共団体等々、それぞれの分担を決め、公社ももちろん入ってもらわにゃいかぬと思います、入った上で助成措置を講じていく。三十万出さなきゃ電話が引けないようなことについては一定の助成措置を打って、同じような他の地域に住んでいる国民と同じような便益や、実際に利便が供給できる、役務が供給できるというような、そういう措置について、もう一歩突っ込んで検討願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  441. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 区域外の設置につきまして、現状では、第一義的に公社の施策にまつところでございます。しかし、郵政省といたしましても、そういうふうな実情というものを放置できないという立場から、それぞれの調査を要求している段階でございまして、先生のいま言われた御趣旨というものは私どもも現在重要課題として考えておる点でございまして、そういったお考えも十分踏まえまして、今後、その具体策につきましては検討してまいりたいと思います。
  442. 案納勝

    案納勝君 今度はいよいよ最後になります、本当の最後に。  最後に、忘れておりましたので、沖繩の積滞解消の問題について要望をしておきたい。  先ほども意見が同僚議員から出ました、また、せんだってわが同僚議員片山さんの方からも出ましたこの六万戸の積滞について、地理的ないろいろな条件や今日までの復帰の問題をめぐっての問題があることは百も承知している。しかしながら、早急に、沖繩の電話の積滞解消というのは重点施策として取り組んでもらいたい、また取り組むべきだと思います。これについて、私は、一定の計画を立てて、少なくとも五十二年度までに全国の積滞が解消されるとするならば、これに歩調を合わせる、こういうことが技術的にあるいは実際的にむずかしいとするならば、今回の公衆法を提案をされた五十三年までの間には、沖繩の積滞は解消するというプログラムを私は策定をすべきだと思う。この辺について最後に強く要請をし、御回答いただくと同時に、これらについての努力を願いたい、こう思います。  以上をもって、その回答を受けて、私の質問を終わります。
  443. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  先ほども申しましたように、沖繩の電話事情は悪うございます。これは一にかかっていろいろな地理的な問題とか、あるいは労務上の問題があろうと思いますが、そういったものを含めまして、われわれといたしましては、早急に計画を立てて、できるだけ早く本土並みといいますか、積滞解消に近づけたいと努力したいと思います。
  444. 森勝治

    委員長森勝治君) 本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時五十九分散会      —————・—————