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1976-10-26 第78回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十六日(火曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  十月二十六日     辞任         補欠選任      中村 利次君     木島 則夫君      川村 清一君     片山 甚市君      森中 守義君     秦   豊君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森  勝治君     理 事                 長田 裕二君                 原 文兵衛君                 最上  進君                茜ケ久保重光君     委 員                 川野辺 静君                 郡  祐一君                 迫水 久常君                 新谷寅三郎君                 高橋 邦雄君                 棚辺 四郎君                 土屋 義彦君                 案納  勝君                 川村 清一君                 森中 守義君                 藤原 房雄君                 山田 徹一君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  福田 篤泰君    政府委員        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房電        気通信監理官   松井 清武君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君        郵政省郵務局長  廣瀬  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        労働省労働基準        局労災管理課長  田中 清定君        労働省労働基準        局労働衛生課長  宮野 美宏君        会計検査院事務        総局第五局長   東島 駿治君        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社総務理事    北原 安定君        日本電信電話公        社総務理事    山本 正司君        日本電信電話公        社総務理事    三宅 正男君        日本電信電話公        社総務理事    遠藤 正介君        日本電信電話公        社総務理事    好本  巧君        日本電信電話公        社技術局長    前田 光治君        日本電信電話公        社職員局長    浅原 巌人君        日本電信電話公        社厚生局長    小澤 春雄君        日本電信電話公        社営業局長    玉野 義雄君        日本電信電話公        社業務管理局長  川崎鋼次郎君        日本電信電話公        社計画局長    輿 寛次郎君        日本電信電話公        社施設局長    長田 武彦君        日本電信電話公        社建設局長    山口 開生君        日本電信電話公        社保全局長    植田 義明君        日本電信電話公        社経理局長    中林 正夫君        日本電信電話公        社資材局長    小西 一郎君        日本電信電話公        社データ通信本        部長       山内 正彌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公衆電気通信法の一部を改正する法律案(第七  十七回国会内閣提出、第七十八回国会衆議院送  付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 森勝治

    委員長森勝治君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  塩出啓典君、片山甚市君及び中村利次君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君、川村清一君及び木島則夫君が選任されました。     —————————————
  3. 森勝治

    委員長森勝治君) 公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 山中郁子

    山中郁子君 公衆電気通信法の一部を改正する法律案質疑に入ります。  初めに、私は、ぜひ、政府を代表して郵政大臣に、そして公社を代表して総裁にお約束をいただきたいと思います。  これは私質問のたびにいつも申し上げているのですが、今回は特にそのことを申し上げたいと思う理由がございます。それはいままでの衆議院、また、こちらの参議院に入ってからの委員会審議の経過におきましても、郵政省並びに公社が実に無責任なその場しのぎの、いわばごまかしやでたらめ、そういうことを何回も繰り返し答弁をされました。私は、本会議質問におきましても、そういうことの絶対にないように具体的な事例を挙げて総理並びに郵政大臣にお約束を求めたわけです。一応、総理郵政大臣もその旨のお約束をしていただいたと思いますが、ぜひとも、その点についての約束を果たしていただきたいということです。  一般論で申し上げているだけではありません。具体的にたくさんの子供だましのごまかし、一時逃れの言いわけ、そうしたことが繰り返されているわけですから、私は、その一つ一つについてきょうの質疑を通じて申し上げますので、それがもし誤りであるならば取り消して謝罪もしていただきたいし、わからないならわからないと言っていただきたいし、間違っていると思うなら間違っていたということで即座に訂正していただきたい。今後の方向としても、そのことをはっきり明快に答弁されるように初めにお約束を求めたいと思います。
  5. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 御審議を通じまして、私ども答弁した事柄については、必ずこれを具体的に実行いたすことをかたくお約束をいたします。また、検討中のものも、当然、これをほうっておくのじゃなくて、真剣に検討させまして、結論をなるべく急ぐように、御満足のいくようにいたしたいと思います。
  6. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  公社といたしまして、答弁いたしたことにつきましては、十分責任を持って処理するようにいたしたいと思います。
  7. 山中郁子

    山中郁子君 公衆電気通信法の一部を改正する法律案は、当然のことながら、いま物価高、生活苦にあえぐ国民生活に大きな影響を与えるということは私がここで申し上げるまでもないと思います。その全般的な問題と、それから特別にこの電電公社電話電信料金値上げの中にあるからくりや赤字つくり、あるいは利益隠し、そうした問題が一般物価値上げをもたらすということだけでなくて、国民を欺瞞する重要な問題だというふうに私どもは判断しております。限られた時間ではありますけれども、私は、その時間の中で、その観点から主要な問題の解明を図っていきたいというふうに思っております。  具体的な内容に入る前に、一つお尋ねをいたします。  最近——今年度になってからです。ことしの三月かあるいは今年度初頭四月かもしれません。現場機関長に対して公社が給与上の特別措置として一〇%ないし一五%の昇給をしたというふうに聞いておりますが、これがもし事実だとすれば、赤字で、そしてどうしても料金値上げをしなければならない、またこの三月ないし四月の時期は労働者が賃上げを要求して春闘している真っ最中です。そして仲裁裁定が出たにもかかわらず、その仲裁裁定さえも赤字だから料金値上げが決定しなければできない、こういうことを政府電電公社が言っている、そういう現状のもとで、万一そうしたことが行われるとすれば、これは大変重大な問題だというふうに考えていますが、現場機関長に対する特別措置というものは、一体、何であるかお答え願いたいと思います。
  8. 山本正司

    説明員山本正司君) ただいまの御質問、よく中身をもう少し調査しないとわからないのでありますが、昨年のベースアップ管理職に対する精算がおくれておりまして、今年に入って初頭に行ったもののことではないかというふうに考えられますし、それ以外の特別措置というものは一切ございません。
  9. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、その内容がどういうものであるのか、それに要する原資は幾らあったのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  10. 山本正司

    説明員山本正司君) ただいま数字を持ち合わせておりませんので、後ほど資料を取り寄せてお答えいたします。
  11. 山中郁子

    山中郁子君 それは後ほどお願いをいたします。  たとえどのような理由があったとしても、先ほど申し上げましたように、赤字だから値上げをしなければいけない、赤字だから労働者のわずかな仲裁裁定も実施できない、こう言っているときに、しかもその春闘の真っ最中です、公社がさんざん赤字宣伝をしている真っ最中です、その時期に新たな原資を必要とする管理職への特別措置を行うということは私は大事な問題だと思いますが、その点について郵政大臣見解をお伺いしたいと思います。具体的な中身は後ほど伺いますけれども
  12. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 事務当局より答弁さしたいと思います。
  13. 松井清武

    政府委員松井清武君) この件につきましては、ただいま初めて伺ったところでございます。後ほど詳細公社からの資料等を見まして検討を加えたいと思いますが、ただいま承りました範囲におきましては、従来の昨年度の管理職ベースアップを今年度に入って行ったというふうに伺っております。その範囲におきましては格別の問題はなかろうと思いますが、なおよく詳細公社の報告を聞きまして、後ほど検討の上で答えたいと思います。
  14. 山中郁子

    山中郁子君 ベースアップというのは特別措置と違いましょう。ベースアップのことを特別措置公社は言うんですか。そうじゃないはずです。もし何らかの形でベースアップが行われなかったというならば、それは理由があったはずです。赤字だからお金がなくてできなかったということかもしれません、わかりません、聞かないと。  だけれども、何らかの形で特別な原資を必要とする定期昇給以外に特別措置を行った、管理職のそうした特別措置にはお金が出せて、そして赤字だと言って労働者の賃金を抑えている事態のもとでそういうことが行われた。このことについての郵政省見解をお伺いしているわけです。改めて御回答をお願いいたします。
  15. 松井清武

    政府委員松井清武君) まことに恐れ入りますが、詳細承知しておりませんので、調べまして後ほどに回答を保留させていただきたいと思います。
  16. 山中郁子

    山中郁子君 具体的な内容並びにそのことをめぐるいま私が申し上げました観点を含めての郵政省並びに公社見解を後ほどお伺いをいたします。この点については、その時点まで保留をいたします。  初めに、公衆電気通信法の私どもが一貫して主張してまいりました観点に沿って具体的な解明質疑を始めたいと思います。  まず、一番大きな柱は、公社値上げをしなければならない、赤字だから、こう言っているけれども、私どもはそれは違うということを一貫して主張してまいりました。その主要な柱は、公社減価償却設備料経理操作あるいは過大償却利益隠し内部留保を行ってきておるというのがその一つの柱でございます。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光着席〕  私は、まず、その利益隠しの問題に関して、設備料から問題の解明に入りたいと思います。  具体的なことは余り重ねては申し上げませんが、初めにまず端的にお伺いしたいのは、今回も物価値上げその他を理由にして五万円から八万円に引き上げようとしている設備料、これが損益勘定収入に入っていないということは一体どういう理由なのか、このことについてまとめて要領よくお話をいただきたいと思います。いままで何かにつけていろいろなことでもって理由をおっしゃってきました。そうしたことを総合してまず答弁をしていただきたいと思います。その御答弁に基づきまして、私は、一つ一つその点について質疑を行いますから。
  17. 好本巧

    説明員好本巧君) 設備料は、新規加入の際に電話ができるようにするための工事をする料金でありまして、新規架設工事に要する費用の一部に充当するものである。そういうための一回限りの一種の新規加入者に対する負担とも言うべきものでございます。したがいまして、これは建設工事の一部に充当するというお約束加入者にお願いしておるわけでございますので、これは資本勘定収入といたしまして建設工事にこれを充当する、損費に充当すべきものではない、こういうことが理由であります。
  18. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ重ねて明らかにしていただきますが、一回限りで資産になるものだから資本勘定に入れる、こういうことですか、その二つのことですか。
  19. 好本巧

    説明員好本巧君) その二つのことでございます。
  20. 山中郁子

    山中郁子君 公社の場合に、たとえば四十九年度一千七百六十六億の設備料収入があります。五十年度一千六百五十二億の設備料収入がありました。このことは具体的な数字を申し上げるまでもなく、これが損益勘定に入る入らないによって、公社赤字の額が黒字になったり、多く縮小されたり、ほとんどなくなったり、そういう大きな操作を行う要素のある金額であるということは明らかです。  そこでお伺いしたいんですが、たとえば電力会社などでは工事を行って加入者負担をさせます。そうしますと、その部分減価償却の場合圧縮記帳ということを行いまして、その部分については会社資産として固定資産にするのではなく、当然のことながら、それは加入者お金を出したものだから圧縮記帳をする、こういうやり方をしております。これらの点について、実際に現実にお金が入って、そしてそれを損益勘定に入れないで、それを固定資産にして、そしてその固定資産損益勘定からまるまる減価償却をする、こういうことはどう考えても不当な処理だというふうに言わざるを得ないと思いますが、その点について重ねて御意見をお伺いいたします。
  21. 好本巧

    説明員好本巧君) ただいま御指摘の点は、法人税法によるところの圧縮記帳であろうかと思います。  一般の株式会社におきましては、先生すでに御案内のように、商法規定によりましてそういう工事のための負担金として、利用者加入者がこれを拠出いたしましても、資本の追加すべき拠出でありましても、これを資本剰余金として会計上そこへ計上することはできないという規定になっておりますので、これはできません。これは、私の方は、企業会計の立場から言いますと、当然、資本剰余金に計上するのが正しいと思っておりますし、また、ただいま先生指摘のように、そういうふうに電力会社の例をおとりになりましたが、資本剰余金としては計上できない。したがってこれは益金になる、利益になってしまう、そういうことから法人税法で繰り延べて税金をかけるというような技術的な方法が講じられてあるのでございますが、私どもは、やはりこういうものは損金だけではないから資本剰余金に充てるべきだと思います。
  22. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、電電公社の場合には、損益勘定に入れてはならないという何か規定があるのですか。
  23. 好本巧

    説明員好本巧君) ならないという規定はございません。
  24. 山中郁子

    山中郁子君 それでしたら、先ほど私が申し上げましたのは、電力会社の場合にはそうした規定によって入れられないから圧縮記帳をしているのだというふうにおっしゃったけれども、じゃ電電公社だって入れられないから資本剰余金に入れているというわけではないでしょう。  私は、基本的なことを申し上げているのです。当然な収入ではないか、したがってそれは損益勘定に入れるべきではないかということを申し上げている。その必然性というのは、たとえば電力会社の場合には圧縮記帳をしている、こういうことですけれども、それを理由にされるならば、電電公社の場合には、入れてはならないという規定があるのだということを言われなければ、あなたの反論にはならない。
  25. 好本巧

    説明員好本巧君) 私の考えますところによりますと、電力会社の場合も資本剰余金に入れて減価償却すべきである。しかし、商法上のそういう規定があるから、やむを得ずそういうことをやっておるのであります。私ども資本剰余金にしなければいけないと言ってはいませんが、その方がより妥当であり、それが正しい、だからやっているわけであります。
  26. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ一回限りでなくて、たとえば分割して設備料を納めるようなことがあったとしたら、それは損益勘定に入るわけですか。
  27. 好本巧

    説明員好本巧君) 一回限りと言いますのは、新規加入者になるときに、新しく電話を引くときに一回限りという意味でありまして、その実際の設備料金額をどういうペイメントの形で払うかということとは別であろうと思います。
  28. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、一回限りということはどういう理由になるのですか、根拠になるのですか。つまり、一回限りだから資本剰余金だということのもっと合理的な根拠は何ですか。
  29. 好本巧

    説明員好本巧君) 一回限りだと申しましたのは、一般電報料金でありますとか電話通話料のように、公社が継続的に公衆電気通信役務を提供いたしまして、それの反対給付として料金をいただく、これはその都度その都度継続的にいただく、こういうものと、電話を引くときに工事費の一部として一遍いただくという意味でございます。
  30. 山中郁子

    山中郁子君 いままでの答弁の中に、たとえば加入者に対する権利保証であるからとか、そういうお話も再三出てまいりましたけれども、そういう要素についてのさまざまな理由がおありでしたら、いまのうちに聞かせておいてください。
  31. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いまの先生の御質問は、恐らく設備料というものの性格よりは、設備料の効用というような点について、公社側答弁を指しておられるんだと思います。先ほど好本総務が答えましたのは、料金というものの中に、新規加入の際にいただく、一回限りいただくものと、永続的なサービスの対価としていただくもの、この二つがあると、こういうことを申し上げたのであります。
  32. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ設備料の機能ということで、あなたの方で言われたことであって、それがなぜ資本剰余金に入るかという理由の中に、権利金的な性格があるとかなんとか、そういうことではないということですか、いま遠藤さんが言われたことは。
  33. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 若干関係あるかもわかりませんが、そう明確に分析して御質問になりますと、一応、関係はございません。
  34. 山中郁子

    山中郁子君 じゃちょっと次というか、設備料の問題でもう一つ進みますけれども設備料というのは、それじゃそもそも何なのかということをもう一度明らかにしてください。いままで何回も言われていましたけれども、その統一見解ということも私も何回も伺っています。だけど、そのことも含めて、それからいろいろに言われておりますから、総合的にいま公社設備料というものはこういうものだと、だから損益勘定に入れないんだというふうに言っていたことをちょっと総合的に答弁いただきたい。
  35. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 「設備料は、加入電話新規加入の際に工事をして電話が利用できるようにするための料金であって、新規架設工事に要する費用の一部に充当するものである。」これが設備料の定義といいますか、性格であります。
  36. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、設備料を取っていないものもありますね、電話ファクスだとか、そうしたものね。そういうものについて、どういうものをそれじゃ設備料取っていないのか、ざっと答弁願います。
  37. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) たとえば加入電話付属機器等を新たにつけますときには設備料を取っておりませんが、そのかわりその端末機分として債券をいただいておりますが、これはその基本になる加入電話はすでに取っておるという前提がございますので、この加入電話ですでに設備料をいただいておりますということで、付属機器とはここで一括分ということで、付属機器を新たに設置するときに設備料を取るということはいたしておりません。
  38. 山中郁子

    山中郁子君 設備料というのは、たとえば電話機も入るんでしょう、一般的に。五万円とか八万円とかいまおたくが言われている、童話機も入りますね、当然のことながら。まとめて返事してください。そうしたら、たとえば電話ファクスなどだってそれは電話機でしょう。そのほかに何か電話機があるわけじゃないですよね。なぜそれがそれじゃ設備料に入らないんですか。
  39. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 電話ファクスの場合も電話機はございまして、付属機器としてファクスをつけるわけでございます。したがいまして電話機分基本加入電話を開通するときに入っておりますので、それで——。
  40. 山中郁子

    山中郁子君 じゃさっきの質問にもう一度正確に答えてください。設備料取ってないものはどういうものがありますか。   〔理事茜ケ久保重光退席委員長着席
  41. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ただいま営業局長がお答えいたしましたように、付属的なものでありまして、たとえば親子電話差し込み電話カラー電話機騒音用電話機シルバーホン電話ファックスせん孔式ファクシミリ、こういったようなものでございます。
  42. 山中郁子

    山中郁子君 そうしたものが設備であるということは変わりないでしょう。さっき設備料のときに、新規に加入して、そうしてそれを建設する場合の建設資金の一部に、建設料の一部に充てるのだと、こういうお話でした。そうしたものが固定資産になることは変わりありませんでしょう、普通の設備料を取った電話機なりケーブルなりを含めましても。それから、いまおっしゃっていた電話ファクスだとか、いろいろさまざまなものが設備料を取っていないものがありますね、そういうものだって当然のことながら固定資産になるんでしょう、資産としてそこにつくるわけでしょう、どういう違いがあるんです。
  43. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 設備料というのは、先ほど申し上げたような意味で、電話加入権に対する、電話加入の場合の回線当たりを言っております。もちろんその中には端末も入ります、しかし端末だけではございません。したがって山中先生のおっしゃることを端的に言えば、私どもは現在ファクスならファクス端末についてはいわゆるレンタル料の中で回収していっているわけなんですが、その部分だけいまの五万円とか八万円とかいう金額ではなくて、その部分だけに着目して、それに相応する金額を別に取るという方法もあり得ることです。いわゆるイニシアルチャージで取っておるのがそういうことですが、しかし、その回線当たり取っておる設備料というのは、そういう形で端末を含めた加入者専用部分に対応するものとして取っておりますから、それに対応してできたものに付属設備がつきますと、その付属設備金額の大きなものについては債券で一時的な工事費を拝借してつけておるという以外に、その端末の回収はレンタル方式でやるのも一つ方式であろうかと思います。
  44. 山中郁子

    山中郁子君 そういう方式をおとりになってないわけだから、私が言うのは、付加使用料だからということで言われているけれども付属設備ですね、ということで言われているのだけれども、実際問題として設備料という性格をあなた方がいままでおっしゃってきたように理解をするならば、実際にそこの端末部分ですね、具体的にちょっと値段をお伺いしますけれども電話ファクス端末機は幾らになりますか、専用兼用と両方ありますけれども
  45. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) ファックス端末機につきましては、送信受信と分かれておるものと、送受兼用と両方ございまして、送信専用の場合ですと三十九万円、それから受信専用でございますと同じく三十九万円、それから送受兼用ですと五十七万円、こういうふうになっております。
  46. 山中郁子

    山中郁子君 一般電話機は幾らですか、一般加入電話機は。プッシュホンと六〇〇型と両方おっしゃってください。
  47. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 一般加入電話の黒電話は五千五百円でございます、端末機の値段は。それからプッシュホンは一万一千八百円でございます。
  48. 山中郁子

    山中郁子君 一般電話ですね、五千五百円、これを設備するのだから設備料をいただくのだと、こうおっしゃるわけでしょう。片方、電話ファクスの場合を言えば、専用だって三十九万、兼用だと五十七万という、そういう大きな設備です。それについては設備料を取らない。ちっともおたくの言う理屈でもって理屈が立ちませんね。
  49. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私は回線当たりということを申しております。
  50. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を始めて。
  52. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 失礼しました。  私は設備料については回線当たりということを申し上げまして、決して端末だけに着目しておるのではないということはさっき申し上げたとおりであります。それで私は理屈は立っておると思います。むしろ五十万円するものを五万円とか八万円の設備料であれしたんじゃおかしいじゃございませんか。ですから、私はその五十万円のものは、付属設備としてイニシアルチャージで五十万円いただくとか、場合によっては五十万円をレンタルで、相当高い金額で回収していくという方が合理的でありまして、それぞれの品目について、その端末部分だけに着目して設備料を取るというと、いわゆるそのタリフが非常に複雑になりますね。さりとていまの五万円、八万円じゃむしろ山中先生から一番怒られるように、ファクスを安いもので据えておると、こういうことになりますですね。ですから、それは私の方が筋が通っておると思います。
  53. 山中郁子

    山中郁子君 先ほど私が何回も設備料というのは何なのかということを伺ったときに、端末じゃなくて回線だというふうにおっしゃらなかったじゃないですか。あなた方の「新規加入の際に」云云というその規定ですね、定義ですか、定義ちょっと一つ下さいよ、いま私ここに持ってないから。そういうこと書いてないじゃないですか、ということが一つです。回線当りということじゃないわけ。  それから、私は、遠藤さん百も承知だと思うけれども、私たちは設備料の不公正ということをいままで何回も言ってきました。この委員会でも私は公社にそのことを究明しました。だから電話ファクス五十七万円のつくのが五万円でいいなんて私はさっきから一つも言っていませんよ。要するに、そういうものに設備料はついてないということが矛盾しているんじゃないか、こう申し上げているんです。あなた方がじゃもしレンタルでどうとかとおっしゃっているけれども、そういうことはいま実際にどういうふうにやっているんですか。その方がむしろ合理的だと思うというふうにおっしゃっているけれども、私はそのことについてはよくわかりませんけれども、どういうふうにやっているんですか。  ちょっとその定義というのを下さい。
  54. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) いまのお話でございますが、さっきの繰り返しになるかもしれませんですが、設備料というのは新たに加入電話をつける際のものでございますから、そのときには基本的な黒電話基本にして、それも含めまして、回線も、それでその一部に充当するためにいただいておるわけですが、付属機はそれを前提としてその上につけ加わるものでございますから、その際には、端末機の方は債券をいただきまして、それからそのほかにそれを取りつける経費がございますが、工事費が、それは別にいただいておるわけでございます。たとえばプッシュホン、親子電話等でございますと、二万円の債券のほかに、取りつけ料として二千五百円をいただくということになっております。  それから付加使用料につきましては、減価償却費その他を計算いたしまして、それで付加使用料等を決めておるわけでございます。
  55. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いま設備料の定義はちょっと書いておりますから、後でお届けいたします。
  56. 山中郁子

    山中郁子君 いや、そのレンタルとか何とかいうのは、どういうふうにやっているんですか、合理的なやり方というのは。
  57. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) レンタルにつきましては、それぞれによって違ってまいりますが、減価償却費、それからそれに要する利子、それから保守費、営業費、これをそれぞれ個別に計算しまして付加使用料を決めております。
  58. 山中郁子

    山中郁子君 結局、付加使用料はそうしたら損益勘定なんでしょう。
  59. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 損益勘定でございます。
  60. 山中郁子

    山中郁子君 結局、設備に要するものの一部だというふうに言うけれども、そういう中身付加使用料にしているから合理的だと、こうおっしゃるけれども、私の方が合理的だと大分確信を持っておっしゃるけれども、それは損益勘定に入れているんじゃないですか。片方は、資本勘定に入れなきゃならないんだと、こうおっしゃって同じ性格中身のものを損益勘定に入れている、その部分に該当するものについてですね。どっちに入れたっていいということになるんじゃないですか。
  61. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 先ほども申し上げましたように、設備料というのは工事をしてつけるときにいただくわけでございますが、付加使用料というのは毎月それを使っていただくための使用料でございますので、一時的じゃございませんで、継続的にいただくものでございます。
  62. 山中郁子

    山中郁子君 私がそういうことを、いま電話ファクスなんかの場合、それじゃなぜ設備料を取ってないのかと申し上げると、付加使用料のところへ返ってくると、その他ですね、そういうものは損益勘定に入れていると、いかにも不分明ですねというふうに言わざるを得ないと思うのです。  これは九州における公聴会でも、北九州短大の原教授もそのことを指摘されておりました。それから昨日の公聴会でも、武蔵大学の前田助教授あるいは東大の植草助教授ですか、それぞれこの設備料を損益に入れないで資本勘定に入れるということについては疑問があるということをおっしゃっています。  私は、ここで、こうした処理上の問題について、会計検査院の方がお見えいただいていると思うのですが、お考えを伺いたいと思います。
  63. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) ただいままでにいろいろお話ございましたように、設備負担料につきましては、これを資本剰余金とするか、あるいは利益剰余金として扱うかいろいろの学説がございまして、新規加入者の拠出金としての性格からどちらに入れるかという説はいろいろあると思いますが、私どもは、ここ数十年来、公社の方から、これは資本剰余金的な扱いをするのが多数説であるのでこれに従っているというような御説明を聞いて、われわれ理解しておったわけでございますが、ただいま先生お話もあり、また先生と同じようなお立場をとられる学者もおられるようでございますので、この際、私どもも一応原点に立ち戻りまして、利用者の立場からいってどちらがふさわしいか、どういう経理方法がいいかということをもう一度研究してみたい、このように思っております。
  64. 山中郁子

    山中郁子君 会計検査院のお考えも疑問なしとはしないという立場だというふうに理解できました。  いかがでしょうか、公社総裁にお尋ねしたいんですが、この際、虚心に、この問題について会計検査院の御意見もありますから、もう一度公社としても研究してみるということのお約束がいただけるはずだと存じますが。
  65. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  この問題につきましては、前回の設備料値上げのときにも国会で議論がありまして、公社はそのときの議論を現在でも踏襲しておりますが、会計検査院が見解をおまとめになりましたならば、今後、この問題を検討さしていただきます。
  66. 山中郁子

    山中郁子君 不合理なことやっぱりあるんですよ。遠藤さん、だから合理的だなんてそんなことおっしゃらないで、もっと虚心に、国民の声ですから、これ私が自分の趣味で言っているわけじゃないですからね、そのことはよくおわかりいただかなければならないと思うのです。
  67. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  68. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  69. 山中郁子

    山中郁子君 もう一度私が申し上げます。  そうしたさまざまな疑問もあるし、取り扱い上も疑問なしとしないという、そういう処理によって生まれている数字です。四十九年度設備料収入一千七百六十六億、公社の言う四十九年度の赤字一千七百五十三億、これはもし損益に入れるとすれば十三億円の黒字になります、この部分だけで。私は後ほどまた減価償却も申し上げますが、それから五十年度を申し上げますと、設備料収入一千六百五十二億、赤字が二千八百十二億と公社は称しております。そうしますと一千百六十億の赤字ということになりまして、この部分だけの操作によっても赤字は半分以下になる、こういう事態になります。  私は、単純にその分お金が余分に入ると、おたくのいろいろな建設勘定、損益勘定の関係ですね、そういうふうには別に思ってもいないし言ってもおりません。だけれども、実際に、損益勘定としてこういうことです、そして公社赤字ですというふうに国民の前に示すわけでしょう。もしそのことに疑問があるとすれば、それは国民をだますことになるではないか。私たちが経理操作上のからくりでもって公社赤字をつくり出していると言うのは、そのことなんです。そのことは重要な問題として肝に銘じていただきたい、このことを重ねて申し上げます。再度、総裁見解というか、そのことについての受けとめの答弁をいただきたいと思います。
  70. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  71. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  72. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたことを繰り返すようなことになりますが、前回の設備料の改定のときに、この席でいろいろ質問がございました。その見解を現在公社は踏襲しております。しかし、先ほど会計検査院がこの問題につきまして今後検討したいという御意見がございました。私も、会計検査院の方で検討が済まされた時点におきまして、電電公社といたしましても、この問題を今後検討させていただきます。
  73. 山中郁子

    山中郁子君 念のために一つお尋ねいたします。  いままで公社質疑の中で、たとえば電話ファクスなんかの分については基本料で加算をしているというふうに言われておりましたが、そういうことの立場はとらないということですね。いま私が繰り返し説明を求めましたところに、そういうことは言われてなかったから、そういうふうにもう言われてたんですけれども、それは訂正なさるということですねということが一つです。  それからもう一つ、ちょっと御紹介をしておきますけれども、私が紹介するまでもなく、これは公社がよく知っていらっしゃることですが、公社会計を説明した教科書ですね。「会計大意」という教科書ですね。これにこういうことを書いているんです。前文で「電話使用料と設備料がどうして違うのかなどの疑問をお持ちになったことがおありのことでしょう。」これは公社に働く人に対して言っているんですよ、と述べている。したがって公社自身が実際の仕事の中で、現実に仕事に当たる人たちが設備料収入とどう違うのかということで疑問を持っているわけですよ。そういうことも当然のこととして公社が知っているからこそこの教科書である「会計大意」の中に書いていらっしゃるわけです。そのことは重ねて申し上げますが、別に御答弁はいただかなくて結構ですが、その初めの問題について、もしそれが違っていて、いまそういう考え方をとっていないんだということなら、そのように訂正をお願いいたします。
  74. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 最初の方のファクス基本料で回収していると……
  75. 山中郁子

    山中郁子君 基本料は高いから。
  76. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) そういうことは申した記憶はございませんが、もし言っておるとしたら、何かの間違いだと思います。
  77. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ次に、減価償却の問題に入ります。  減価償却は大きく言いまして、一つは耐用年数の問題があるわけですけれども、これがまた大変いいかげんな答弁をなさっているんで、これは私ぜひとも撤回をしていただきたいというふうに思います。  電話機の場合で申し上げます。これは私も本会議質問指摘をしたところですけれども電話機は、三十五年以前は耐用年数二十年、三十六年改定で十一年、四十一年改定で九年ということで、三十五年から四十一年ですから、六年間のうちに半分にしています。もう一度、この耐用年数が縮まったということについての理由をまとめてお聞かせいただきたいと思います。まさか壊す人が多くなったからなんて重ねて言われないと思いますけれども
  78. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) お答えします。いま最後に山中生生が壊す人が多くなったというふうなあれなんですが、私が衆議院の逓信委員会で平田先生に対して御答弁申し上げている中で、ここに議事録がございますが、ちょっとその項を読ましていただきます。「何遍も繰り返しになりますが、たしか静かに置いておれば壊れない。静かに、大事に使えば長く使えるという電話機でも、移動だとか、それから使う人によって非常に荒っぽく使われるということがございますので、実際的には平均九年ということになっておるわけでございます。」という答弁を申し上げておるわけですが、ここだけで見ますと、確かに私も言葉足らずの点がございました。  耐用年数というのは、先生も十分御存じだと思いますけれども、物理的な寿命からくるもの、たとえば使って年限がくるやつとか、全然使わなくて時の経過だけで年限がくるというようなものとか、あるいは画一計算のできる災害というようなものもあるようでございますが、そういうものは物理的な寿命ということに整理されております。それからもう一つは、職能的寿命と申しましょうか、あるいは社会的寿命と申しましょうか、これはいわゆる陳腐化あるいは現在に適用しなくなったとか、あるいは機能が不十分である、こういう両面があるわけでございます。  私がそのときに申し上げましたのは、こういういろんな事情による耐用年数というものを、いろんな方法で計算の仕方はいろいろあるようでございますけれども、すべて平均されたものだという説明をするつもりの中で、あたかもその扱い方が乱暴で壊す人たちも入っているというようなことだけを強調したように先生の方で受け取られたとしましたら、これはまことに私の説明が下手な点で、ここでおわびしたいと思います。  実際に、またこれは後で公社の方から御答弁があると思いますが、三十五年の二十年といいますのは、これは詳しいことはわかりませんですが、二十五年の電気電信省時代に決めたもので、どういうふうに決めたかということは公社に聞きますと、まだ不明だということでございます。それから三十六年の改定のときに十一年というふうになっておりますが、これは三十一年から三十四年までの実績に基づいて計算されたといいますか出された数字でございます。このころに、ちょうどそれまでに昭和二十五年から四号電話機という新しい電話機が入ってまいったものですから、それといわゆる三号電話機との交代時期というような要素が入っているかと思います。  それから最後の四十一年の改定によりまして九年というふうになっておりますが、これはいわゆる耐用年数の計算の仕方が、このときに数も多くなったといいましょうか、あるいは大数の法則で、別の何といいますか先生も御存じだと思いますが、増減法というような方法で計算したというふうに聞いておりますが、それによりましてたしか二年縮めまして九年というふうになっております。この中の要因として考えられますのは、この中のいわゆる陳腐化と申しましょうか、三号電話機の陳腐化あるいは四号電話機がありまして、さらに六〇〇型電話機とさらに新しい電話機が入ってきたと、こういうような要素がいろいろ複合されて、こういう計算になったんだと思います。
  79. 山中郁子

    山中郁子君 後ほど公社からもお伺いいたしますけれども、まずそうしたらお尋ねいたしますが、壊す人間がふえたからだとか、あるいは壊れる率がふえたからだということもその要素の中に入っていると、ただそれだけが印象づけられたような言い方をしたのは申しわけなかったと、こういうお話に承りますが、そうでないならば、壊す率が多くなったんだみたいなことを取り消されるなら、取り消してください。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光着席
  80. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) ちょっと失礼しました。壊す人が多くなった趣旨で私が申し上げた意味では全然ございません。その点、もしもそういうふうにとられているならば訂正いたします。そういう壊れる要素も入っているという意味で申し上げたつもりでございます。
  81. 山中郁子

    山中郁子君 だから壊れる要素が入っているというのは、ふえてきているということでしょう。短縮してきているということの理由でおっしゃっているんだから、ふえてきているから短縮にしなければならないと、こういうことでございましょう。
  82. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 私、壊れるというのはもちろん使用頻度などが昔に比べて上がってきておりますので、やはり動かしたり使われ方が多くなりますと、必然的にいいましても壊れる率というのは常識的に考えてふえるという意味で申し上げたのであって、壊す人がふえたとか、そういうことで申し上げたつもりはございません。だから、その理由は昔からあるわけでございます。壊れるという要素は十分昔から入っているんですけども、だから、そのふえてきたというのは、やっぱり使用頻度が高まったということによって壊れる要素もふえてきたのではないかということでございます。
  83. 山中郁子

    山中郁子君 だから、どっちにしても、昔から壊れる率はあったけれども、それがふえてきたということでしょう、使用頻度が高まったか何か知らないけど、ふえてきたということでしょう。間違っていたら後で取り消して謝罪してくださいよ、ちゃんと資料はあるんだから。
  84. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 私があのときになぜこういうことを申し上げたかといいますと、もちろん先生十分御承知の上だと思ったんですが、単に物理的寿命だけの集積結果ではなくして、もうなくなったり壊れたり、そういうものが全部含まれた結果積算された耐用年数だということを申し上げたかったわけです。ただ、そこだけを強調した結果になりまして、確かに誤解を招いた点はあるんですが、この点については先ほど私が申し上げた言葉足らずで申しわけなかった、こういうふうにおわびしているわけです。
  85. 山中郁子

    山中郁子君 それは別に言葉足らずじゃないんです。いろいろなほかのこともあなたおっしゃっているから、私の方も、何もあなたがこれだけが耐用年数が短くなった理由だと言っているとは言ってないです。まず、私はこのことをいま取り上げているのです。そのほか次々と取り上げますけれどもね。  それで、これは公社の四十八年度「保全成果」です。で、これを見ますと、電話機の場合の故障率の推移、宅内障害の推移が出ています。四十二年度から四十八年度まで出ていますが、電話機の小計、つまりダイヤルその他で小計として〇・五三%、〇・四一%、〇…三六%、〇・二九%、〇・二五%、〇・二二%、〇・一九%と、つまり四十二年から四十八年まで〇・五三から〇・一九へ半分以下に故障率は減っているんです。あなた、だから、いいかげんなことを言ったことになるでしょう。  私が最初から言っているのは、そういうことなんです。使用頻度が高くなるから壊れる率も多くなるだろうと、だから耐用年数が短かくなったんだと、こう言っているけれども公社はちゃんとこうやっていばっているんですよ、故障率減ってきていると。取り消して謝罪してください。公社のこの資料がうそだというのならいいですよ、それで。
  86. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) たしか、いま先生がお示しになったデータは公社が出しているものでありますし、私も宅内障害が非常に少なくなってきているということはそのとおりだと思います。で、私のいままでの発言で取り扱いその他にかかわることで壊れる率がふえてきたと言った点については、確かに間違っていたと思います。取り消させていただきます。どうも済みませんでした。
  87. 山中郁子

    山中郁子君 ほかにもたくさんあります。よく大臣も総裁も聞いてほしいのですけれども、私はこういうことを言ってるんです。こういういいかげんなことを言って、そして委員会をだまし、国民をだますなんという態度そのものが不当だと言っているんです。  本当の瑣末なことならいいですよ、だけど、これは減価償却の問題で、そして七千五百億からの莫大な減価償却公社が支出としてやっている。それが利益隠しあるいは赤字をつくり出すための要因ではないかということがこの公衆電気通信法電話料金値上げに関しての主要な論点の一つなんです。その主要な論点の一つに対して、こんなくならないばかばかしい答弁を電気通信監理官がやって、そしてそうしたことを総裁も大臣も認めているということ自体が国会の審議を侮辱するもはなはだしいと、このことを私重ねて申し上げておきます。  ケーブルの場合も同じです。ケーブルについても、そのようなことを重ねていろいろ言われておりますけれども、そういうこともあわせて全面的に取り消されますね。重ねてお願いいたします。ケーブルの故障率も減っているということは「保全成果」にちゃんと出ておりますから。
  88. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) ケーブルの件につきましても申し上げておりますが、技術の革新によってケーブルの品質が確かに上がっていますので、そういう関連では故障がふえるということはないと思います。だから、私の発言で、それと矛盾することがあったら、前回の発言を取り消したいと思います。
  89. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、もう一度お尋ねをいたしますが、技術革新によって品物が悪くなって故障が多くなるということはあり得ないと、現実にも故障率は減っているということですから。  改めてお尋ねしますが、なぜ耐用年数を短縮しなければならなかったのですか、その理由についてお尋ねいたします。
  90. 好本巧

    説明員好本巧君) 御指摘のように、技術革新によっていいものができる、したがいまして物理的ライフは昔のように故障が少なくなって、そういう意味で故障取りかえというふうなものは減っていくという大勢にあることは間違いございません。しかしながら、陳腐化であるとか、いわゆる技術革新によりまして古い技術によってできておったものを新しいものに取りかえる、あるいは都市計画、国土計画等によりまして他律的な原因で、私どもの意思に反してどんどんケーブルとかマンホールとかそういうものの撤去を命ぜられる、こういうものがどんどんふえていることば御案内のとおりでございまして、そういうものを総合いたしまして、実際の実存寿命が計算してみますとそう長くなっていかない、そういうことでございます。
  91. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、技術革新によって、結論的に言いますとやっぱり耐用年数が減っていかなきゃならぬと、こういう理屈になっていきますけれども、たとえば電話機の場合についてお尋ねいたしますが、いまの黒電話のどこがどう陳腐化して、プッシュホンにかえなければならぬということになってませんでしょう、みんな黒電話使っていますでしょう。——あなた、私まだ発言中なんだから、ちょっと余りそうがたがたやらないでください。  で、私が本会議質問のときに、私の議員会館の電話は三十四年につくられたものだと、もう十七年間も使っているじゃないかと、私はもう繰り返しませんけれども、これに対しても丁寧に使えばどうだとかこうだとか、くだらない御答弁があったかのように聞いております。ただ、先ほど取り消されましたので、これはもう重ねて申し上げません。実際問題として、電話機の場合に何がどう陳腐化して、そのように短縮をしなければならない事態になっているのかということについてお尋ねをいたします。
  92. 好本巧

    説明員好本巧君) 陳腐化でありますとか社会的要請でありますとか、その他の他律的な原因によるものとか、いろいろな言葉を使いましたが、要するにたとえて言いますならば、電話機をプッシュホンにかえてほしいというお客様があります、あるいはホームテレホンにかえてほしいというときには、それと取りかえるわけでございまして、それまでの六〇〇型黒電話は撤去いたします。あるいは移転をいたしまして、全国移転のように一つずつそれを移転する、そういうときには一応原則的にはいままでの方法としては撤去するわけでございまして、撤去されたときに寿命が尽きたということで、われわれ実際に寿命をいろいろ計算しますと、平均して八年とか九年になるわけでございまして、平均でございますから、三十年のもあるかもしれませんし、二年目で取りかえるものもございます。それは大体正規分布しておるところでございます。
  93. 山中郁子

    山中郁子君 撤去した電話機はそれじゃそのまま全部廃棄するのですか、してないですよ、そんなことは私はよく知っていますよ。  それからもう一つですね、移転の場合と言いますけれども、たとえばいま残置方式とっていますでしょう。で電話機自体だってそのまま使うことだってあるのですよ。会社だとか会社の寮だとか使っています。それから残置方式の場合、ケーブルは全部そのまま残しておきます。ケーブルの移転に基づく耐用年数の短縮なんということは、その限りにおいてはあり得ないと思います。その点はっきりしてください。
  94. 好本巧

    説明員好本巧君) 移転の場合の残置工法でございますが、御指摘のように残置工法が全部とられますと撤去いたしません。ただいま五十年度のデータによりますと、移転いたしましたものの大体三%程度のものが残置工法をとっております。将来、これが仮にうんとふえてくるということになれば、先生のおっしゃるように耐用命数にも若干響くと思います。私どもは、そういう実際にどう響いておるかという、実情というものがどうかということをよく吟味、検証しまして、耐用命数をつくっておるわけでございます。
  95. 山中郁子

    山中郁子君 これは先ほど佐野監理官ですか、が言われたこととも関連するのですけれども、要するに詰めていきますと、移転する率、移転が多くなったということ以外ないですね。で、だから私はちょっと改めて、公社がそういうことに基づいて、さっき監理官が言われましたけれども、そうした実態調査をした結果、実態に見合った耐用年数にしたと、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、じゃどういう調査があるのか、つまり移転率がそれじゃどういうふうにふえているのか、二倍以上にもふえているのか。それから新しいプッシュホンにかえたいというふうにおっしゃる方がどんなにたくさんいらっしゃるのか、そんなふうにいないと私は思いますけれども。  それからもう一つは、撤去した電話を、先ほどの質問でお答えがなかったのですが、全部廃棄しているのか、これは必ず再生して使っているはずです。
  96. 好本巧

    説明員好本巧君) 答弁が漏れまして……、撤去したものをどう使うかという問題がございますので御説明いたしますが、その話に入る前に、撤去したときに寿命が尽きるわけでありまして、死んだときに寿命が尽きる。それから耐用命数の話は撤去までのことだと思います。  しかし、いま御質問の撤去したも一のはどうするかと言いますと、それはごく一部はそのまま使えるものがあるかと思いますが、これは非常にわずかな数でございます。大体、修理工場へ納めましてオーバーホールしてそれでまたできるだけ再生品として使う。しかし、再生品としてもできないようなものが若干ございまして、これはスクラップとして売却する。だから、撤去したものの大部分は、御指摘のように、これを再生品として使うように鋭意努力をしているわけでございます。
  97. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 撤去の理由が、一体、どういうものがあるかというお尋ねでございますが、五十年度の例を申し上げますと、五十年度に撤去いたしましたものが二百二十六万個出ております。このうち、先ほどから御説明申し上げております加入者の移転、このために電話機を外してきたというものが半分近い四七%程度ございます。それから機種変更、ビジネスホンあるいはプッシュホンといったような申し込みがありまして、これに取りかえたためのもの、あるいはカラー電話機の希望がありましたためにこれに取りかえた、こういうような形で撤去されましたものが三八%程度。それから故障で撤去いたしましたもの、これが大体一〇%ございます。その他残り、たとえば地域集団電話一般化の場合には、電話機の種類が違いますので取りかえるというようなもの、あるいは、これは一%足らずでございますが、加入契約の解除といったような場合もございます。  以上でございます。
  98. 山中郁子

    山中郁子君 私がお尋ねしたのは、そのこととあわせて、移転だとか、要するに撤去する率が耐用年数の短縮の大きな要素になっていると言われているから、この三十四年から四十一年までですか、その間に耐用年数を半分以下に短縮しているけれども、その間に撤去の率がそんなふうにふえたのか、耐用年数を半分に減らすほどの大きな移転なり撤去の数がふえたのですかということを質問しています。
  99. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 三十五年、三十九年、四十一年に、この耐用年数の変更をいたしております。これはこのたびに実際の状況を調べまして——と申しましても、全電話機を調べるわけにはまいりませんので、いろいろな方法がございます。その方法によって電話機の平均寿命というものの推定をいたしておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、三十五年の場合には、過去の削除、つまり外しました電話機数の累計というものを調べまして、これが正規分布になるものとして平均寿命の推定をいたしまして、十一年という数字を出しております。それから四十一年にこれを縮めました場合にも、やはり実態調査をいたしまして、この場合には、この耐用年数の調査方法の中で増減法というものがございますが、この増減法の中で過去の毎年幾ら電話機をつけていっているか、そして現在の設備が幾らあるか、この二つのデータから現在の施設数というものに到達するまでの間に過去何年かかっておるか、こういうことから平均の寿命が出てまいるわけでございます。これは一つのもちろん推計値ではございますが、相当信頼度の高い実際のデータから出してまいるわけでございますが、これによりまして、この四十一年の場合には、耐用年数を増減法により出しましたところ九年になったと、こういうことでございます。  それから、その後も数回このチェックをいたしております。同じ増減法によりましてチェックをいたしております。最近では、五十年度に行いましたチェックによりましても、この実用寿命、耐用年数はほぼ変わりない。もちろん数字的には若干低目に出てはまいりましたが、九年に間違いはなかろうという数字を得ているわけでございます。
  100. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、結局、そういう実態だというふうにおっしゃるけれども、じゃ結果的にそれで短縮をしなければならないということならば、技術革新だ何だで、日本の電話は世界最高だというふうにおたくで自慢していらっしゃるけれども、結局は技術革新で新しい製品ができればできるほど粗悪になって耐用年数をどんどん短くせざるを得ない、こういう結果しか生まれてこないということを私は最初から言っているのです。  その理由をただせば、移転ということを一つ大きな問題としておっしゃいました。それじゃ移転がどういうふうにふえているのかということについては御回答はないわけです。どういうふうにふえているのですか。耐用年数を半分以下にしなければならないほどの移転の莫大なふえ方があるのかどうか、そのことを申し上げているわけです。
  101. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 現在ちょっと手元に数字がございませんので取り寄せて後で御説明申し上げますが、毎年相当な勢いで移転数がふえておる、これが公社としても仕事の上からも非常に大きな仕事になりつつあることは事実でございます。
  102. 山中郁子

    山中郁子君 私が申し上げていますのは、昭和三十五年以前が二十年だったわけでしょう、それが四十一年の改定で九年になっているのです。わずか六年の間に半分以下になっているのですね。その間に、そういうふうに見合うだけの、たとえば移転です、中央のファクターが移転のようですから、その移転が莫大にふえているのかということはちゃんとした資料をいただきたいと思います。そんなふえてるはずないです、はっきりしています。  それからもう一つお尋ねいたしますけれども、先ほど撤去した品物は再生産というか修理、オーバーホールして使用すると、こう言われておりますね。その分はもうみんな減価償却済んでいるわけでしょう、済んでいるのをまた使うわけですね。そういうものは新たな加入者にやっぱり取りつけるわけでしょう。そうすると、またそれで設備料を取って、またそれを固定資産にするのですか、オーバーホールしただけで、同じ値段で。
  103. 好本巧

    説明員好本巧君) 先ほど申し上げましたように、いろいろな寿命がありますものを撤去いたしますと、それで寿命は尽きるわけでございますが、撤去しました単体であるところの電話機というものは、修理工場で再生品としてできるだけ捨てないように、それを再生品といたしまして手を加えて、それを新しい購入しましたものと同じように電話機として設置するわけでございます。  会計上の処理といたしましては、いま先生指摘のように、撤去いたしますときは、残存価額を置いて、それは財産除却費として事業外費用として落とすわけでございます。また固定資産は簿価を落とすわけでございます。今度、新しいものは、修理工場でいろいろ手を加えますのに経費がかかるわけでございまして、しかし一般のメーカーから買うものよりは安いわけでございます。ただいまのところ、電話機についてでもそうでありますが、大体新しい新品のものと比較して六〇%の価額で固定資産に計上するということに相なっております。
  104. 山中郁子

    山中郁子君 六〇%の価額で、創設単金を六〇%にするということですね。  そうすると、その電話をつけてもらった加入者は六〇%電話機に関しては設備料が安くて済むわけですか、そうはならないと思うのだけれども
  105. 好本巧

    説明員好本巧君) すべて総合的に平均的な運用をしなければなりませんので、大体、それもほとんど試験に合格するような性能を持ったような電話機でございますので、外から見ても全く区別がつかないようなものになっておりますが、そういう六〇%の価格のものと一〇〇%の価格のものがそれぞれ平均しての単金が出るわけでございます。
  106. 山中郁子

    山中郁子君 だから、これは公社ごまかしてそういうこと言うから矛盾になってくるんです。  実際、そうでしょう、私の何で耐用年数がどんどん短くなるのかということに対して、あなた方は移転や何かが多くなったからだと、こう言うわけです。そうしたら、移転した電話機はそれじゃどうするのか、全部償却済みになってそしてオーバーホールして、そして新たなものとして見かけはきれいだと、見かけだけきれいにしてごまかしているだけの話じゃないですか。そしてごまかしてこれは新しいものと同様なものとして結局設備料を取るんでしょう。だから、あなた方の言うのは、短縮してきた理由の中にそのことがもう入っちゃっているわけですよ。それじゃそのことは改めて設備料からその分削減しなきゃいけないはずでしょう。新しい一〇〇%のものをつける人からも五万円取って、電話機に関して六〇%のものをつける人からも五万円取るわけですよ。見かけだけ見ただけじゃわからない。それは私たち、電話機来て、これが新品なのかオーバーホールしたのか、素人はわかりませんよ。  だけれども、そういうものがうんとたくさんあるから、いわゆる耐用年数が短くなったんだとおっしゃっているん、だったら、そういうたくさんあるものをそういうふうにしてたくさんごまかして同じだけの設備料を取っている、そういうことになるんじゃありませんか。決してそれは耐用年数が短くなるという理由にならないということ、おわかりになりませんか。
  107. 好本巧

    説明員好本巧君) 私どもは、そういうふうにごまかしておるんじゃなくて、撤去したものを捨ててしまうという方法もあるわけでございますが、資材、できるだけそういうものを活用してできるだけ使うようにする、そういうことが全体のコストを下げるのでありまして、そういうものも全部新品のものも、再生産でありましても性能は同じであります、そういうものをできるだけコストを下げて、一加入当たりで見ますと三十万円も三十何万円もかかる、その中の一部の五万円ないし八万円をお受けいただきたいということは、平均的にお願いしておるわけでございます。
  108. 山中郁子

    山中郁子君 私は何も使えるものを捨てろということを言っているんじゃないですよ。使えるものを償却済みにしちゃうこと自体が問題だと言うんです。そうしてオーバーホールしてお金かかるでしょう、そういうものを理由にして耐用年数が短くなっていると言っていることが問題じゃないか、矛盾しているじゃないか、理屈にならないじゃないかということなんですよ。  私は、いま一つの例でこの電話機のことを申し上げましたけれども、結局、三十五年から四十一年までの六年間の間に、電話機に関して言って二十年から九年に耐用年数を短縮した、これは莫大な減価償却費をつくり出しているわけですよね。そのことが実態から言えば何ら中身がないということなんですよ。何もそういうふうに短くする必要のないものを短くして、そして減価償却費をつくり出している、このことを私は申し上げているんです。  総裁にお伺いしますけれども、いまの問題について総裁から私は合理的な答弁をいただけるならいただきたいと思いますけれども、耐用年数が大きな問題になっているということは御承知だと思います。公聴会においても、たくさんの方が、ほとんどの方がやはり減価償却の莫大な支出ということについて何らかの観点から問題も指摘されておられます。寛容な立場で公社の言われることを善意に受けとる公聴人の方もいらっしゃいました。しかし、実際にこれが莫大な減価償却費として赤字をつくり出す原因になっているということについては、いろいろな観点からの問題提起がありました。これは虚心にお聞きいただかなければならないというふうに思います。  私は、たった一ついま電話機の耐用年数をいかに、どうしてこういうふうに短縮しなきやならなかったかということを申し上げましたが、そのことについては結局堂々めぐりになるんです。堂々めぐりになって、そしてあなた方はそれは水かけ論に持ち込んでごまかそうと思っていらっしゃるかもしれないけれども、そうはいかないということを私はいま重ねて申し上げました。何らかの形でこうした矛盾を国民の前にもう少し明らかにするという努力を公社としてする必要があると私は考えておりますが、そしてそれはイコール耐用年数の延長、減価償却費を抑えていく、そういう方向になっていくはずだと思いますが、総裁見解をお伺いいたします。
  109. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  この問題は、非常に何といいますか幅の広いといいますか、非常にスケールの大きな問題でございます。先ほど三宅総務理事がお答えいたしましたように、いわゆるオペレーションズリサーチの問題でございまして、そういう面から公社といたしましても、実態に絶えず合うようにこれをしなければならないというふうに思います。  技術革新によりまして、いわゆるオペレーティング・コスト・ミニマムという問題が起こってくるわけでございますけれども、その際に、たとえば電子交換機のようなものはむしろ従来のクロスバーより耐用命数が長くなるというケースが当然出てまいります。要するに、これは絶えず実態に合わせるように、耐用命数というものを把握していくということが大事だというふうに考えております。   〔理事茜ケ久保重光退席委員長着席
  110. 山中郁子

    山中郁子君 そういうお答えでは、私は納得しかねます。というのは、それじゃ実際に皆さんが耐用年数——電話機は、全部の電話機に関してですよ、何年もっているかということをお調べにならなければ、そういうことは言えないのですよ、そうでしょう。そのことがあるなら出してください。さっきおっしゃった資料はそういう観点では出ていないのです。
  111. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) これは電話機は、現在、公社で四千万個近く実際についておりますので、全数調査はとうていできません。サンプル調査によりまして、撤去電話機の何年ぐらい使ったものが撤去されているか、こういつたようなものを調査をいたしてみまして、そのサンプル調査を昨年度やりました例がございます。  これによりますと、実用寿命、耐用年数九年でございますが、八年以下で撤去されておるものが五三%ございます。それから耐用年数九年のところで撤去されたものが一三%、さらにこれより長い十年以上で撤去されましたものが三四%、こういうようなサンプル調査の結果がございます。
  112. 山中郁子

    山中郁子君 撤去されたものに関してということでは出ないでしょう、数字は。実際にいま使っているもの。それでね、私が言うのは、撤去するって、移転する場合だってそれは使えるわけでしょう、そのものをそれじゃ持っていったらどうなるんですか。持っていけるんですか、移転する場合に。その電話機もこれも持っていきますということだったら何ら新たに必要ないでしょう、まだまだ使えるわけでしょう。オーバーホールして、それはまた皆使うわけだから。それは決して耐用年数の問題にならないじゃないですか、撤去したものについて言うならば。それはたまたまその時点で撤去という必要が起こったからそうかもしれないけれども、だけれども、それは実際に電話機が使えなくなったということじゃないんですよ。電話機が使えなくなった数字じゃないんです。いま実際に電話機を持っている人の四千万のうちのごく一部でもいいんですよ、あなた方がお調べになって、そして平均が九年とか八年とかおっしゃるなら、それは一つの信憑性はあります。そういう資料がなければこれが実態に即していると言えないんじゃないですか、このことを私は申し上げます。
  113. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 先ほどから御説明申しておりますように、この撤去いたしました電話機は工場で再生品として修理をいたしました上でさらに使っていく、こういう形をとっております。したがいまして、この撤去のサンプルの中には、当然ですが、再生品のものも、その再生後何年使われたかというようなものの数もこれの中に入っているはずでございます。
  114. 山中郁子

    山中郁子君 撤去の時点で八年以下が五三%とおっしゃるのに、再生後の何年使われたかが入っているのですか。
  115. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 再生品としてつけたところをゼロとして勘定いたしました年数として入っているはずでございます。
  116. 山中郁子

    山中郁子君 そんなごまかし言ったってだめなんですよ。結局、入っていないということでしょう、再生品としては。撤去した時点の何年使っているかというのの数字だというのでしょう。だから撤去しなければ、それはその後何年もまだ使えるわけですよ。現実に、撤去していない人たちは、移転していない人たちは何年も使っているわけでしょう。たまたま移転して撤去という事態が起こるから、それが八年で終わるか五年で終わるかもしれません、そういう数字だけを取り出して、そして実際の使用期間は五三%が八年以下だなんて言ったって、現実の九年という耐用年数が実態に見合ったものであるという証明になんか一つもならないじゃないですか。それがいいかげんなことだと言っているんですよ。  もう一度言いましょうか、あなたは、先ほど私が全体として皆電話機は何年ぐらい使っているかそれじゃ調べているのかと申し上げたら、撤去した時点での調査をおっしゃったのです。撤去した時点での調査をおっしゃったの。撤去した時点だったら、それは使えるものだって撤去するのだから、再生品として使うわけでしょう。だから、それが現実に実態じゃないんじゃないですか。実態じゃない数字を持ってきて、そういう途中で撤去したもので計算したって八年以下というのは五三%しかないんですよ。それを現実に耐用年数は九年だと言っているわけでしょう、実態にちっとも合っていないじゃないですか。九年が正しいとおっしゃるなら、実際にいまみんな電話機は何年くらい使っているのか調査をしなければ、それの論証にならないということを言っているんです。総裁、それはおわかりになりますでしょう。
  117. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  詳しくは総務理事から申し上げますけれども、要するに全部のものを全部把握すればこれは一番いいわけでありますけれども、しかし、確率論的にそれが合理的な範囲で調べるというのが実際の状態ではないかと思います。公社といたしましても、必ずしも何でもかんでも耐用命数を短くしなければならないとは考えておりませんけれども、先ほど申し上げましたようにオペレーション・コスト・ミニマムということで、たとえば交換機等につきましては、電子交換機の装置のような場合にはむしろ耐用命数をクロスバーより長くしているということもあるんでございまして、技術革新が起こったから耐用命数が短くなるというものではございません。オペレーション・コスト・ミニマムということでございます。  なお、先ほどのように、要するに実態に合わしてやるということが主体でございまして、数が多ければ確かに多いほど正確が増すわけでございますけれども、しかし、ある量があればそれで確率論的に満足されるものではないかというふうに思います。
  118. 山中郁子

    山中郁子君 実態がないじゃないかということを私は申し上げているんです。実態があるなら出してくれと言ったら、三宅総務理・事が出したのは撤去時点での数字を言っているんです。  私は何回も言うのいやだけれども、もう一度言いますよ。撤去したときの時点で八年以下が五三%だって言うの。撤去するということは、この時点で耐用年数があるにもかかわらず打ち切られているわけですよ、そうでしょう。その特殊な例を出して、しかも、それでも九年に近い八年、八年以下というのが五三%なんということは、八年以上が四七%あるということですよね。それは決して耐用年数に近くないじゃないですか、九年という実態に近くないじゃないですか。  私がいま申し上げているのは、九年が実態に即してつくられた耐用年数だというのならば、実際にいま使ってている電話機が抽出調査でも何でもいいですから平均して九年だということをあなた方が資料を持って示さなければ、それはだれも納得できないと言っているんです。納得できないことはほかからもいろいろ私は申し上げました。だから、この点について大きな支出の要素になる減価償却の水増しだという疑いをかけられています。私は、疑いじゃなく、そういうふうに確信していますけれども、そのことについて電電公社としてもう一度よく考えてみなさいということを私はいま申し上げているんです。わからないというのは、よっぽどあなたおかしいわよ。
  119. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 何回も申し上げておりますように、撤去いたしました電話機は再生品として全く新品同様の性能のものとしてサービスへ入れていく、こういうことをいたしております。したがいまして、その時点から、しかもそれば六〇%の価格で実際のサービスへ入れていく、こういう形——サービスといいますか、帳簿に載せまして減価償却の対象にしていく、こういう形をとっております。そういうものも含めましても、撤去の場合の使用年数の比率は先ほど申し上げたとおりだと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  120. 山中郁子

    山中郁子君 三宅総務理事は私の言っていることがわかっていらっしゃるはずです。それでもなおかっとぼけてそういうふうにおっしゃっているようですから、私はそういうふざけた答弁をしていらっしゃる限りは、これ以上審議を続けられません。  委員長にお願いいたしますが、二つのことを公社の責任において明らかにしてください。実際上、電話機の九年というのが実態として適当だとお考えならば、その実態調査を出してください、資料を出してください。抽出調査でも何でも結構です、撤去の時点じゃなくて。もし、それがないならば、減価償却が過大に過ぎるという国民の疑問、私のそういう指摘、それを虚心に受けとめて公社としても検討してみる、こういうお約束をしていただかなければ、私は、これ以上審議は続けられません。
  121. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 先ほどちょっと御説明申し上げましたように、この九年というものを出しましたのは増減法によって出しましたわけでございます。現在の施設数と過去の毎年の取りかえ数の累計、あるいは現在の施設数と過去の毎年の増設数の累計、こういつたようなものから推計学的に計算をいたしまして出した実態調査というものを何回かやっております。この資料につきましてはお出しいたしたいと存じます。
  122. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ資料を出してください。
  123. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) いまここでお出しいたしますか。
  124. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こして。
  126. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 現在、手持ちの資料でございますが、これをお出しいたしたいと存じます。
  127. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  128. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こして。
  129. 山中郁子

    山中郁子君 いまいただきました資料によりますと、私が先ほどから重ねて申し上げている、実際に電話機を使っているそのものが、それぞれ何年使っていて、平均して、だから何年だと。したがってそれの現状に見合った耐用年数を決めたというものにはなっておりません。したがって、私は、私がいま申し上げたことに見合う資料を出していただくことを要求いたします。それが出ないならば、電電公社総裁において耐用年数の問題について検討するということについてのお答えをいただきたいと思います。
  130. 米澤滋

    説明員米澤滋君) 耐用命数につきましては、今後、十分検討いたしたいと思います。
  131. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、それはそうした資料がないということですね、公社に。私が先ほどから重ね重ね申し上げている資料は、現実にはとっていないということですね。
  132. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 現在、いま先生がおっしゃいましたような現在の加入者についてそれぞれ電話機が何年経過しておるか、こういうことを調査した資料公社にはございません。ただ、先ほどお出しいたしました資料は推計学的に見まして非常に信頼度の高い資料である、こういうふうに私どもは考えております。
  133. 山中郁子

    山中郁子君 公社総裁検討するというお約束になっておりますので、私は必ずしもこの審議期間中とはこのことについては申し上げませんが、公社において国民が納得できるそういう観点からの資料ですね、何も四千万全部調べろとは言っておりません。だけれども、そういうことをあくまでも耐用年数を実態に見合って設定しているというふうにおっしゃるならば、国民がみんな納得できるようなわかりやすいそういう調査を行って、こういう信憑性が高いと確信されているかどうか知らないけれども国民はそんなこといろいろ言われたってわからないですよ。だから、そういうふうな調査について積極的に開拓をしていただくということを期待をしますが、お約束いただけますでしょうか。それは私は重ねて申し上げますが、審議期間中にというふうには申し上げません。
  134. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) この耐用年数の問題につきましては、国民の皆様方によくわかっていただけるようなデータという形でいろいろの調査を努力をしてまいりたいと存じます。
  135. 山中郁子

    山中郁子君 いろいろな調査の中に私が申し上げたことは入っているんでしょうか。
  136. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 現在、公社の手持ちの資料といいますのは、加入者のお宅に伺いましてもその点ははっきりしない場合も出てくるだろうと思います。どういう形でどれだけの資料がとれるのか、これはちょっと勉強さしていただきたいと思いますが、その線に沿って努力をいたしたいと存じます。
  137. 山中郁子

    山中郁子君 いま私は電話機のことを申し上げました。これはまたケーブルの問題、その他交換機の問題いろいろございます。だけど一つ一つに触れていく時間はほかの質問との関係でありませんので、いまの電話機の問題にとどめますが、公社検討なさることをお約束したように、耐用年数の問題に関してはかなり大きな疑問もあるし、問題点もあるということはおわかりいただけたと思います。  その点に関しましての郵政省としての見解を承ります。
  138. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) いままで公社の方からいろいろ御答弁がありましたし、私も先ほど私の考え方を述べたわけですが、確かに先生の御指摘のように、たとえば電話機に限りますと、たくさんあるわけですが、その中でいろいろな方法があると思いますけれども、ある程度のサンプリングをして実寿命の分布を調べて平均を出すというのが一番わかりやすいかと思います。それで、現在やっております、先ほど申し上げました増減法というのは、やはり一つの学問的といいますか、推計学上確かにこういう方法もあるわけでございますが、今後、公社の方も御答弁ありましたように、先生の御趣旨も踏まえまして、実態に沿った耐用年数の把握ができるようなことにつきまして公社を指導してまいりたい、こういうふうに考えます。
  139. 山中郁子

    山中郁子君 耐用年数の問題で最後に申し上げますが、三十四年改定までは耐用年数の平均は二十四・五年だったんです、電話機の場合二十一年だったんですけれども。いままでの質疑の中でもその後の短縮の根拠のないということが私は判明したと思います。その点については一部公社も認めざるを得なかったと私は思います、そのために検討していただくことをお約束なさったわけですから。  したがって、これを実際問題として二十四・五年の計算をしますと、五十年度は七千五百億の減価償却のところを四千八百十五億という数字で間に合うことにになるんです。数字をいま申し上げます。これは定額、定率、大蔵省省令の三十三号の基準でもって計算をして、そうしますと五十年度二千八百十二億の赤字というふうに言っておりますけれども、実際には百十二億の赤字にしかすぎないと、こういう数字でいえば出てきます、耐用年数をこういうふうに根拠のない短縮をしないで、もとの耐用年数で計算するとすれば。  先ほど私は設備料の問題でも、設備料損益勘定に入れればそういうふうになるということで五十年度も赤字が大幅に短縮するというふうに申し上げました。これを合わせれば、設備料減価償却だけ合わせても、結局、数字上ですね、公社の経理は五十年度大幅な黒字になる。つまり四十九年度の場合で言いますと、減価償却は千七百五十三億の赤字を埋めて五百六十九億円の黒字になる、こういう数字になります。ですから、減価償却部分でも四十九年度は黒字になる。設備料だけでも四十九年度は黒字になる。五十年度について言えば、減価償却設備料でそれぞれ赤字がかなり半減ないしはごくわずかになる、合わせれば当然黒字になる、こういう結論が出るんです。だから、結局、経理操作というものがどんなにこの赤字というものの中にからくりとしてひそまれていて、そうして国民を欺瞞しているものであるかということを私は設備料減価償却二つの面から申し上げました。  で、それぞれ二つについて、大変不満足ではありますが、公社としても検討をなさるというお答えをいただいたものと思いますが、そういう観点国民の理解ができる経理ですね、実際の中身ですね、こうしたものを責任を持って出すということを強く私は要求をしたいと思います。  そういうふうにして技術革新その他でもって延びて——実際上、技術革新で耐用年数がどんどん縮まってきているということは、まさに反対の傾向だということははっきりして、皆さん方も、技術革新で品物が短縮される、耐用年数が短縮されるということはなくて、そうしてそれがもっと長く使えるようになり、機能的にも精密になるけれども、実際上のもちの上から言っても、よくもつようになるということについては否定なさらなかったわけですから、何はともあれ、どういう要素を入れようとも、耐用年数の短縮ということは不合理であるということを明らかに認めざるを得ないというふうに思います。  それで、私は、最終的にこの問題について、公社の経営上の財政姿勢について指摘したいんですけれども、結局、公社は、こうした定率——いま耐用年数の問題申し上げましたけれども、定率法、定額法の問題もあります。そうして定率法をとることについて、要するに自動調整作用でもって実際に建設資金を早目に償却していく、どっちに転んでも公社は損のないようにしていく、こういう姿勢でもって定率法の償却に固執をしておられて、そうしてこれを拡大してきたという経過がありますが、私は、電電公社は営利事業じゃないんだから、だから、もしそういうことで黒字が出たならば、公に国民の前に経営をガラス張りにして、そうしてその黒字を加入者に還元する、どういう形でか還元をする、そういう措置をとるべきであって、そのことによって余分な資産を生み出して内部留保を積み重ねていくという、そういう財政姿勢そのものが誤りである。まさに財政民主主義の立場から言って、公社が定率法を採用して自動調整作用云々ということに基本を置いて、そうして定率法を採用すること自体が経営サイドの問題であって、品物をとにかく買う、つくらせて買う、そういう企業と経営のサイドの問題であって、公共企業体としての国民のサイドからの民主的な財政ということについての基本的な姿勢がないというふうに指摘せざるを得ないと思います。  そのことについての見解がありましたらお伺いいたします。これは総裁と大臣にお尋ねいたします。
  140. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  たしか、この定率法に直したのは昭和三十六年だと思います。ですから、いまから十五年前なんてありますが、当時、電電公社で相当の経済の専門家をたしか集めて十分議論があって、この事業の性質から、先ほどお話しいたしました定率法が適当であるというふうになったと思います。  ただ、ここで定額法、定率法の問題でありますけれども、これは耐用命数がイコールであると仮定いたしますと、定額法であっても定率法であっても、全体の年度に対しまして積分いたしました資金の量といいますか、これは金の方は同じでありまして、要するに早く償却をするか、あるいは後に償却を持っていくかという問題であります。また、公社の場合には、この減価償却を、別に民間会社のように、配当なりあるいは税金として公社外へ持ち出しているわけではございません。これをいわゆる再投資しておりますから、資金面におきましては、定額、定率でありましても、その年度における総資金量ということから考えますと、これは差はございません。この点は、前に国会でも議論がございましたときに、当時やはりお答えしたことがございます。  そういうことでありますけれども、確かにこの定額、定率問題は将来の問題といたしまして、たとえば積滞解消後、だんだん電話の架設数が大幅に——そう急には減りませんけれども、たとえば拡充法が昭和五十七年、八年ぐらいになるまでは拡充法がございます。拡充法があるというその時点では毎年二百五十万ぐらい電話はつきますけれども、それがだんだん核家族化が減ってくるとかあるいは人口増加が減ってくるというようなことになれば、電話そのもののふえ方というものは、移転はたくさんございますけれども、ふえ方が減ってくる。そういう時代になってまいりますと、確かにこの定額、定率問題は検討すべき時期が来るのではないかと思います。そんなふうに考えておりまして、幅のある考え方をしておるということを申し上げたいと思います。
  141. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 絶えず正確な実態調査を行いまして、国民が納得するような数字をはじき出して、公正な経理が行われるように、今後も、指導いたしたいと思います。
  142. 山中郁子

    山中郁子君 大臣は、ちょっと私が耐用年数のことをさんざんやってきたので、何か耐用年数のことについてお受け取りになったみたいなんですが、私の言うのは、いまは耐用年数も含めますけれども、定率法を主として過大な減価償却を最初からばかばか取っていく。これはいま総裁の言われましたように、いままでそれは確かに、百歩譲っていままでそうした電話の自動化やあるいは全国充足をするために過大な建設資金が要ったということできた。だけれども総裁も言われたように、それは総体的に言えばほぼ目的地点に達しつつあるわけですね。いままでそうしてきたからといって、今後とも早目にとにかく投資分をみんな取ってしまうと、こういうやり方をして新たにまた次々と建設投資を拡大していくという必要は、公共企業体の電電公社性格からいっても、それから電気通信事業のいまの到達点からいっても、問題があるのではないか。簡単にもっと端的に言えば、必要ないのではないかということを私は申し上げているわけです。  電電公社総裁は、その旨については柔軟な幅のある考え方をしていきたい、こういうふうに言われましたけれども、私はもう少しはっきりした形で定率法については、これからの時点で、いま現在を一つの到達点として、今後の方向としては改善をしていく。改善の中にはもちろん定額制への移行その他いろいろあると思いますが、そこまでは詰めなくても結構ですが、改善をしていく、国民が主張する減価償却費の支出の問題に絡む経理上の問題としても、また財政上の問題としても改善をしていくことを検討するというふうにお答えをいただければ幸いです。
  143. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 減価償却方法につきましては、御承知のとおり、施設については三十六年度、建物、工作物が四十一年度から適正な償却費を計上できる定率法を適用しておりますが、いろいろな論議を呼びました建物、工作物につきましては、近い将来、定額法を取り入れて検討いたしたいと考えております。
  144. 山中郁子

    山中郁子君 利益隠しその他の次の問題に入りたいと思いますけれども、部門別収支の問題です。  個々の部門では、私は特に電話赤字赤字だというふうに言われていて、そして実際上は国民が切実に要望している電話の増設あるいはその電話のよりよいサービスということとは関係のない、具体的に申し上げて、たとえばの話がデータ通信などと非常にあいまいにごまかして、そして実際に電話お金がたくさんかかるんだけれどもという結果を出しているということを指摘せざるを得ないわけです。それで、この点を中心に、部門別収支についてお尋ねをしたいと思います。  データ通信の結局赤字を少なく見せるためにさまざまなからくりを用いているというふうに私たちは判断しています。その分を結果的に電話の方に上乗せして、そして電話がたくさんかかるということを言っているんですが、これは衆議院の審議の経過もありますので、研究開発費の問題にしぼって質疑をしたいと思います、まず第一に。  でデータの研究開発費は四十九年度で公社は九億円だと言っておりますけれども、五十年度では幾らになるのか、この点を初めにお尋ねいたします。
  145. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) 研究開発費につきましては、部門別には、これは決算上も出ていないわけでございまして、ほとんどまあ研究開発費というのはいろんな事業にかかわりがあるわけでございますが、非常にこの部門別に出すということは困難なわけでございます。  ただ、われわれとしましては、部門別の収支というものを検討するために、一つの前提を置いてこれを分計いたしておるわけでございます。一応、五十年度の研究開発費、損益二百九十億を固定資産の比率によって分計いたしますと、データ通信は十二億ということに相なろうと思います。一応、部門別収支においては十二億を計上いたしております。
  146. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、研究開発費がデータ部門にどのくらいかかって、電話部門にどのくらいかかって、電報部門にどのくらいかかるかということは出ていないということですか。
  147. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) 決算の数字としては出ていないんで、われわれ一つの前提に基づいて分計いたしておる、こういうことでございます。
  148. 山中郁子

    山中郁子君 その出し方が固定資産、現行の固定資産に比例して割っていると、総額の研究費を割っていると、こういうことですか。
  149. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) そのとおりです。
  150. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、私は二つの重要な問題があると思うんです。  つまり実際にデータの開発のためにこれだけのお金が要るということで研究開発費としてお金を計上しているんじゃないわけでしょう。そうすると、あなた方は研究開発費として総額幾ら四十九年度、五十年度出していらしたわけですか。
  151. 前田光治

    説明員(前田光治君) お答えいたします。  五十年度の調査研究費の予算総額は四百五十一億でございます。
  152. 山中郁子

    山中郁子君 四十九年度は。
  153. 前田光治

    説明員(前田光治君) 失礼いたしました。四十九年度は三百九十三億でございます。
  154. 山中郁子

    山中郁子君 四百五十一億、三百九十二億、それぞれ莫大な金額です。この金額を何に幾ら要るからこれだけ要るということじゃなくて出したとすれば、一体、何でこれを出したんですか。
  155. 前田光治

    説明員(前田光治君) お答えいたします。  調査研究費の予算は、中の主要な研究のテーマ別に分けてございます。で、ただいま先生最初にお尋ねの質問の要旨は、事業の分野別というふうに分けていないかという御質問であったと存じますが、調査研究費の内訳は、その大きな主要な研究のテーマ別に分けますのが研究の管理上等も便利でございますので、そのような分類になっております。
  156. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、具体的にどういう研究で幾らっていうのがあって、それが積み重なって五十年度は四百五十一億、四十九年度は三百九十三億となったと、こういうことですね。
  157. 前田光治

    説明員(前田光治君) お答えいたします。  ほぼそのようなことでございますが、ただ、研究の成果は、御承知のとおりに、たとえばトランジスターの研究一ついたしましても、これはもちろん電話関係にもたくさん使えます。電報の関係にも使えますし、データ通信にも使われますので、細かく事業分野別に何が幾らかかるであろうというふうに、将来の研究成果の使われ方については、研究いたします時点でははっきりと分明いたしませんので、非常に大きな研究テーマ別に分けております。
  158. 山中郁子

    山中郁子君 そうして、データが四百五十一億のうちに十二億しかないことになるわけですね、それは固定資産別に分けるから。だけど、テーマがはっきりしているんだから、当然のことながら、それが主として何のための開発かということは明らかになるはずなんです。  具体的な事例を申し上げましょうか、五十年度情報処理方式の研究で百四十一億計上されているはずです。情報処理方式の研究というのは一体何なのか、データ以外の何物でもないじゃないですか。どういう理屈で、多少何かほかのことに関係するかもしれないけど、主要な問題はデータ通信でしょう。それから情報通信用入出力機器の研究というのにも三十三億計上しています。これだって当然データ通信じゃないですか。この二つだけ合わせたって百七十四億になるんです。これは全然わからないものじゃないですよ、データ通信に使うための研究開発費であることは明らかですよ。それを固定資産で割り振りをすれば、固定資産いま電話部門が多いのは当然でしょう、データ通信というのはこれからなんですから。だから当然多い電話部門に割り掛けて、案分比例して、そしてデータ通信の研究開発費は十二億しか使いませんと、それで事業別収支を打ち出して、そして電話赤字赤字だと。データも赤字ではあるけれども赤字はおたくも認めざるを得ないけれども赤字についてはそんなに少なく見積もらせている、見せかけている、こういうことになってくるじゃないですか。どうして情報処理方式の研究がデータの研究にならないんですか。
  159. 前田光治

    説明員(前田光治君) お答えいたします。  いま先生指摘のように、五十年度の情報処理方式という研究テーマ別に分けました場合の調査研究費は百八億でございます。これは主として、いまおっしゃいました、将来データ通信の分野に役立つであろうと思われるものの研究が行われております。が、実際には、先ほどお話しいたしましたように、研究の成果といいますものは一つの特定の事業分野のみに使われるというものは少のうございますので、各分野にいろいろな形で応用をされてまいります。前に経理局長がお答えいたしましたように、現在の固定資産の区分別に分けてあるというのは、先行きどのように、どの分野に現在研究費を使っております研究の結果が使われるかはわかりませんので、経理上の処理として、やはり研究成果がただいま現在反映されておるのは、それが実際の通信設備になっておるものの比率で分計をいたしておりますという経理上の処置であるかと思います。
  160. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、その単に経理上の処置だということで、それでデータについてはこれだけの赤字です、電話についてはこれだけの赤字ですというようにあなたたちがおっしゃらないなら、それはいいですよ。あなたたちが計算する上での一応の目安としてそういうふうに分けているならいいけれども、いまおっしゃったように、確実に情報処理方式の研究で百八億使う。百八億ということは五十年度四百五十一億の四分の一ですよ。四分の一のお金をデータで主として使うということが明らかになっているにもかかわらず、データについての研究開発費が十二億だと、こういうふうに言っているのは、これはうそだということになるんじゃないですか、明らかにこれうそでしょう、最低でも百八億。  もう一つ申し上げれば、情報通信用入出力機器の研究、これは三十三億というように私は理解しておりますけれども、違っていれば訂正していただいていいですが、この二つは、主としてデータ通信に使うということはもう明らかなんです。いまの方もそういうように答弁されたでしょう。百五十億を超えるこのお金がデータ通信の研究開発費として必要だということであるにもかかわらず、データ通信の研究開発費が十二億だと、これペテンじゃないですか。
  161. 前田光治

    説明員(前田光治君) ただいま情報通信用入出力機器というものを、五十年度の予算額を三十三億とおっしゃったように思いますが、これは十五億でございます。  それから後段の方でございますが、これは私よりも経理局長が答える方が筋かと思いますが、先ほど申しましたとおり、現在投資しております研究開発費は、将来、その成果が通信設備に反映されてまいるわけでございますが、現在使っておるもの、昨年度のたとえば決算で使ったものを、いま事業分野別に分けるということで強いて分計をいたしますと、現在その成果が反映されておる分野に幾らの固定資産があるかということで分計をするよりいたし方がないのではないかと私は思っております。
  162. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) 数字だけの問題でお答えいたしますが、ただいま先生のおっしゃいました百八億と申しますのは、情報処理方式の研究費のうちの損益ということを合わせたものでございまして、損益だけでございますと四十四億というふうに相なっております。事業別分計におきまして、分計、集計いたしておるのは、これは支出でございます。損益だけでございます。ですから、運用というものは、調査研究費のうちの損益部分の累計でございます。
  163. 山中郁子

    山中郁子君 経理局長から本質的なことの御答弁があるというふうに思ったのですが、ないようなんで、先ほどの技術局長ですかの御答弁公社答弁というように理解いたしますが、よろしいですか。
  164. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) さようでございます。
  165. 山中郁子

    山中郁子君 それじゃ重ねてお尋ねいたします。  損益四十四億ということだとおっしゃるから四十四億でもいいですよ。それから情報通信用入出力機器がどうなるのか知りませんけれども、五十億とか六十億とかになりますでしょう。そのほかにデータ通信にやはりたくさんお金がかかるという研究開発費がたくさんあります。そういうものを技術局長も認められておるように、明らかにデータ通信の研究開発に主として使う、そういう開発費を結局固定資産に案分するという形で電話部門にひっかけるということは間違っていると思います、ごまかしだと思います。そうではないですか。経理局長に重ねて同じお答えを伺っても仕方がありませんから、総裁なり、しかるべき方の答弁をいただきたいと思いますが、全く分けられないものなら別ですよ。だけど技術局長自身主としてこれはデータ部門だということが明らかになっているんだから、部門別収支というのは——部門別の収支を何もめちゃくちゃに案分比例しているわけではないでしょう。そうだとすれば、当然、このお金は、仮に五十億だろうが六十億だろうが、このお金はデータ部門の研究開発費に入るべきではないですか。そうしなければ部門別の収支というのはインチキだということになっても仕方がないじゃないですか。
  166. 北原安定

    説明員(北原安定君) データに関します研究テーマというのは、先ほど御説明したとおり、世界の趨勢を見ながら項目を決めてやってまいります。で研究の過程において、その成果というのはいろいろと変わってまいります。だから研究員がいろいろと検討検討を加えてやってまいるわけでございまして、全部先が見えて積み重ねるものではございません。そういう性質のものですから、出てきたものが、物によっては全然データに無関係な特許になってみたり、あるいは公社の企業にも結びつかないような特許になったりするものも間々あるわけでございます。そういうようなことでおわかりのとおり、研究成果というものをどういう形で分計するかというのは、形だけではいろんなやり方ができると思います。形だけで私たちは経理関係を見ることはなかなかむずかしいので、先ほど経理局長も言っていますように、一応は部門別にこれを分計して処理していかざるを得ないだろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  167. 山中郁子

    山中郁子君 情報処理方式の研究がどこに行くのか、海のものとも山のものともわからないとおっしゃっているわけですね、でき上がってみると。技術局長は先ほどこれは主としてデータ通信の研究だと、こうおっしゃっています。私は具体的に情報処理方式のことを言っているんですよ、そのことを言っているんです。だからお二人の御回答は全く反対です、違います。ですから、公社においてその点の意思統一をしていただきまして、後ほど見解を承りたいと思います。
  168. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  169. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。  それでは、午前の審査は、この程度にとどめます。  午後一時に再開することにして、休憩をいたします。    午後、零時十一分休憩      —————・—————    午後一時十三分開会
  170. 森勝治

    委員長森勝治君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案について物価等対策特別委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 森勝治

    委員長森勝治君) 御異議ないものと認め、さよう決定いしたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを私に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 森勝治

    委員長森勝治君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
  173. 森勝治

    委員長森勝治君) 休憩前に引き続き、公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  174. 山中郁子

    山中郁子君 午前中の最後に、統一した答弁をいただくようにお願いをしておりますが、その答弁をいただく前に、先ほど経理局長が言われたことについて一点ただしたいと思います。  それは、私が五十年度情報処理方式の研究で百四十一億ではないかというふうに申し上げましたところ、これが百八億だと、そしてその後にまた、損益と建設と両方入っているから、損益だけで言えば四十四億だと、こういうお話がございました。  私は、そのときちょっと手元に資料が見つけられませんでしたので、一応伺っておきましたけれども公社からいただきました資料、五十年度技術調査研究実用化重点十八項目の研究開発費ということでいただいておりますが、その中に情報処理方式の調査研究費が二百七十七億円、損益百四十一億円、建設百三十六億円となっております。先ほどのお話と違うのではないかと思いますが、どちらが本当でしょうか、お尋ねいたします。そのことも含めて、午前中の懸案になっております答弁をお願いいたします。
  175. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) 先生のお手元の資料というのはちょっとわかりかねるんですが、私ども提出しました資料では、情報処理方式の経年の推移といたしまして、五十年度損建合わせて百八億、損益四十四億、建設六十四億という資料を提出しているはずでございます。
  176. 山中郁子

    山中郁子君 じゃこれ、公社が出してきた資料、これ違うんですか。ちょっとはっきりさせてください。
  177. 前田光治

    説明員(前田光治君) 資料拝見してよろしゅうございますか。
  178. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  179. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  180. 山中郁子

    山中郁子君 公社が出された資料であることはお認めになっておると思います。で違いますので、この点について明快にしてください。その点について、この部分について保留をいたします。それでよろしゅうございますか。
  181. 北原安定

    説明員(北原安定君) 午前中に御指摘のありました技術局長の説明と私の説明とが食い違っているんではないかということでございますが、これは全く一致いたしておるわけでございます。ただ、説明が必ずしも十分でなかった点がございますので、ここで御説明をさしていただきます。  もともとこの研究費というものを、その成果を利用した固定資産別にだんだん分計していくのが望ましいやり方だろうと思うんです。しかし、これはなかなか時間がかかります。経年的な変化で累積せなきやなりません。一方、研究費を当該年度で何かに分計する、こういうことになってまいるんだろうと思います。  そこで先ほど技術局長も申し上げましたとおり、この情報処理方式はもちろんテーマといたしまして、このデータに関連することが研究の主たるテーマでございます。しかしながら、同時に、この主たる研究テーマの中にマルチプロセッサーの研究というものが入っております。このマルチプロセッサーの研究というのは、コンピューターを能率よく利用するためのソフトウエアの研究開発の分野でございます。同時に、これは電子交換機を能率よく使用するために大変有効な手段でございまして、私たちはこの研究成果を電子交換方式に積極的に導入することも一方で考えている次第でございます。このようなことでおわかりいただけますように、なかなかテーマそのもので分けるというのがむずかしゅうございます。  それから、さっき申し上げましたように、研究費が目的とするところにうまくぴったり合わない成果というものもいろいろ出てまいるわけでございます。  二、三の例を申し上げますと、ベル研でトランジスターと今日まあみんな大衆の知っていますものを研究開発するのは、もとともと電子交換機の通話の部分に使うんだというテーマでもって研究開発をしまして、一九四六年にこれが開発された。しかし、開発されたときには電子交換機にはほとんど使われないで、電気通信方式のあらゆる分野にこれが利用されていったと、このように研究成果というものは当初予定していたものとは違った方向に発展するケースが非常に多うございます。また、現在、私たちが超しSIの研究をいたしておりますが、こういうものも記憶装置として使うとすると大変広い分野に使われます。それから論理装置として使えば、なるほどコンピューターにも使われますし電子交換機にも使われますということでございますものですから、なかなか分計がむずかしゅうございます。  したがいまして、経理局長が申し上げましたように、当該年度の研究費を当該年度の何かに分計していくとすると、現在の固定資産というようなものに分計していかざるを得ないんではないかというふうに考えております。
  182. 山中郁子

    山中郁子君 先ほどの公社資料と、いまあなた方が答弁なすった数字との違いについて、後ほど明らかにしていただきたいというふうに申し上げまして保留をいたしましたが、その点について、お答えがいただけるならば先にお願いいたします。
  183. 前田光治

    説明員(前田光治君) お答えいたします。  即答いたしませんで大変失礼申し上げました。先生のお手元の数字は、情報処理方式の四十八年度と四十九年度と五十年度、この三カ年を合計いたした数字でございます。先ほど私がお答え申し上げましたのは、五十年度の数字として百八億と申し上げております。なお四十九年度が八十五億、四十八年度は八十四億でございまして、これを三カ年分合算をいたしますと二百七十七億という数字に相なりまして、お手元の資料と合致いたします。
  184. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、もう一度確認いたしますが、五十年度の場合の情報処理方式の研究というのは百八億で、そのうち損益が四十四億、それから情報通信用入出力機器の研究については十五億で、このうち損益は幾らですか。合計して幾らですか。
  185. 前田光治

    説明員(前田光治君) お答えいたします。  情報通信用入出力機器の五十年度の研究費の合計は十五億でございます。その内訳は損益が十二億、建説が三億、十二億と三億合わせまして十五億というのが五十年度の数字でございます。
  186. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、少なくともこの二つのテーマ、明らかに主としてデータ通信の開発に供される二つのテーマに関しての損益の合計が、いまあなたの方の説明によりましても五十六億になるわけです、四十四億と十二億で五十六億ですね。五十六億は明らかにデータ通信の開発だと。少なくともこの点だけについて言ってもわかるにもかかわらず、これがデータ通信の研究開発費として十二億円としか分計されてない。これが余りにもデータ通信部門の赤字を少なくする要因になっているということは、これは当然のことだというふうに思います。  で、ただいま北原さんからの御答弁があったんですけれども、いろいろおっしゃったけれども、実際に主として情報処理方式ないしは情報通信用入出力機器というのはデータ通信の開発だという事実に変わりはないわけですから、これを分計しがたいということは言えないと思うんです。百歩譲って、もしこの研究開発費の中に分計しがたいものがあれば、それを固定資産に準じて案分に分けるということが言えたとしても、明らかに主としてデータ通信に使われるもの、これは当然データ通信の研究開発費として計上すべきだと思うのです。私は、ここに部門別収支の信憑性を疑わざるを得ない重要な要素があるということを指摘しております。  このことについてはぜひとも改善をしてほしい。ちゃんと見直して、だれが考えても、少なくとも公社の技術局長さえ——皆さんさえ統一見解だとおっしゃっているんですから、北原さんもそういうことで主としてデータ通信に使われるということは統一した見解だと思うんです。公社が統一して主としてデータ通信に使われるものならば、当然のことながらデータ部門の研究開発費に計上すべきである。そのように部門別収支をちゃんと再構成するということをお約束いただきたいと思います。  あわせて、郵政省から、この問題についての見解を伺いたいと思います。こういういいかげんな分け方でよろしいのかどうか。
  187. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) もともと部門別の収支は全部が一本に出ておりますので、決算の数字からこれを相当大胆な前提を用いて分計しておるものでございます。特に支出の場合は、支出の八〇%以上というものは部門別には出ていないと、それはまあ職員数であるとか、あるいは収入であるとか、あるいは固定資産であるとか、そういったものを用いて一応分計しておるのでありまして、いまの先生のおっしゃられた通信処理方式その他というものも、これは全部データ通信のために使われているというものではありませんので、もうわれわれとしては固定資産の率で分計しておるわけでございます。  なお、今後、こういったものについて、よりよい分計の方法というものがあれば、われわれとしても勉強をしてまいりたいというように思います。
  188. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) いま先生の御指摘の点に限って申しましても、公社はなるべく大胆な前提を置いて部門別決算というのを最近やりだしているわけですが、やはり決算で分計する以上は、よりよい正しい形に持っていく努力をすること、だからどうしても部門別で分計しがたいものについてはやむを得ないといたしましても、やはり仕分けをしまして、内容をよく吟味して、分計できるものはなるべく正しい形に分計するようにしたいと思います。
  189. 山中郁子

    山中郁子君 それはぜひ責任を持っておやりいただきたいと思います。  いま私が申し上げましたのは、結局、明らかにデータだと、それは公社はいろいろとおっしゃるけれども、一〇〇%のうち、そのほかにどのくらい電話にも関係するというふうに言われるか知らないけれども、電子交換機だって——私はこれからあとまた解明いたしますが、電子交換機だって何のために導入しているかと言えば、これはやっぱりデータ通信のために導入しているというふうに言わざるを得ない要素がたくさんあるんです。だから、そういうことを理由にして、それが電話部門にも関係するから分計しがたいと、だから固定資産で案分比例すると言えば、結果的にデータに使うお金電話部門にかぶせて、データのお金を少なく見積もって、そうしてデータは、それでも赤字だからしようがないから——赤字だということをおたくは隠しはしないだろうけれども赤字は大したことはないと、こういうふうなものに仕組んでいるということを私は一貫して申し上げているわけです。  で、その点に関連してもう一つ申し上げますと、ダイヤルスの問題ですが、これも衆議院の質問に対して、玉野さんでしたかね、これは答弁していらっしゃるのですけれども、天気予報や時報の電話サービスと同じだと言っているんです。それでだからダイヤルスはデータではないというふうに言っているんですけれども、ダイヤルスはデータでしょう、明らかにデータでしょう。訂正なさるなら訂正なすってください。
  190. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 私の説明が足りなかったのかもしれませんですが、プッシュホン自体が単にデータ端末機と言っておりますので、ダイヤルスはコンピューターにアクセスして簡易な計算をするということでございます。それで天気予報サービスとか、そういうふうにおっしゃいましたのは、コンピューターにアクセスするものもありますし、ああいうテープにアクセスするものもあります。時代の進展に従っていろんなサービスが出てまいりますけれども、いずれにしましてもプッシュホンにつきましては、簡易なデータ端末機がございますので、電話的に使う場合ないしは簡易なデータ端末機的に使う場合、両方あるということでございます。
  191. 山中郁子

    山中郁子君 ごまかさないでくれということを申し上げました。私は、それじゃもう一度読み上げますよ、玉野さんが何て答弁しているか。  「これは、情報を提供するという意味ではデータと似ております。しかし端末機として電話機を使って、プッシュホンを使って情報を提供するということでございますので、たとえば時報サービスとか、それから天気予報サービス、ああいうものも電話サービスになっておりますので、それと同種のものであるということで入れたわけでございまして、」と、こうおっしゃっているのね。言葉足らずじゃないんですよ、違ったことを言っているの。あなたは電話部門だと言っているんです、データじゃないと言っているんです。だからデータならデータだということで、これを取り消して訂正なすってください。
  192. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 最後のところに、そこにも出ておりますが、「電話サービス」であるということで申し上げたわけです。  それで電話サービスと入れた場合に、天気予報とか、こういうサービスもあります、コンピュターにアクセスしない。それからコンピューターにアクセスするサービスもあります。要するに端末機がデータの簡易な端末機電話機とを兼ねておりますので、それからアクセスするサービスでございますので、データにアクセスする場合もありますし、天気予報サービスのようにテープにアクセスする場合もあると、これを合わせて電話サービスというふうに考えておると申し上げたわけです。
  193. 山中郁子

    山中郁子君 私は、もうきょうの質問は徹底的にそういうごまかしはとにかく改めてもらいたいと思っていますから、申し上げます、重ねて。  その前に、玉野さんは「おっしゃるとおり、データから切り離しまして電話部門に入れておるわけでございます。」と、こう答弁しているんですよ、関連の質問でですよ。だから、あなたはこのときに明らかにダイヤルスはデータ部門じゃなくて電話部門なんだというふうに答弁しているんです。だから、それが違うでしょうと私言っているの、いま。違うなら取り消してくださいと言っているんですよ。つべこべ言わなくてもいいから、取り消すなら取り消すと言ってくださいよ。
  194. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 中身はコンピューターにアクセスするデータサービスでございますが、端末機に機能いたしまして、端末機電話を兼ねておりますので、電話サービスというふうに整理したということでございます。
  195. 山中郁子

    山中郁子君 では、データ部門じゃないんですか、ダイヤルスは。
  196. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは私がお答えさせていただきます。  電話部門に入れております。これは御存じのように、広い意味では確かに先生指摘のように、広い意味といいますか、いわゆるデータ通信というぐあいにとらえることもできるかと思うんですが、御案内のように、現在の法律上のデータ通信というものは一応コンピューターと端末機からなっておりますが、大体において端末機というのはコンピューターに直接アクセスするためのものでありまして、それを呼び出すためのNCRというものは付属的についているものでございますね。ところが、普通の電話機と違ってプッシュホンというものは元来が電話機であって、また大衆の皆さん方もこれは電話機と思っておられる。電話機にたまたまコンピューターにアクセスする機能が付加的についているわけです。したがって、どっちが理解されやすいかといえば、私は電話機のサービスと言った方がいいし、現にプッシュホンを販売いたしますときも、いい悪いは別としまして、電話機として使えるものの一つになっているわけです。  ですから、プッシュホンとしてアクセスするものの中に、現在ダイヤルスしかございませんけれども、たとえばコンピューターにアクセスするという意味でございましたならば、国鉄の「みどりの窓口」にアクセスするものももちろんあります。あるいは馬券のあれも、プライベートなコンピューターにアクセスするという意味では同じことでございます。しかし、端末機に着目してやりませんから、やはり皆さんにおわかりにくいという意味から、コンピューターにアクセスするための独立した端末機でなくて、そういう電話機からアクセスするという意味電話サービスと言う方が非常にわかりやすいし、また現に電話サービスとして私どもも販売、営業その他をやっておるわけでございまして、そういう意味で私はデータというよりは電話サービスという方に分類した方がいいんじゃないか。  ただ、それが、またこれは先走るかもわかりませんが、何かデータの赤字を隠すためだと、こういうふうにおっしゃるんだろうと推定をいたしますが、私どもは、これもその後玉野君が言っていると思いますが、今度の改定でダイヤルス自体につきましても、料金の改定をいたしたいと、こういうぐあいに思っております。
  197. 山中郁子

    山中郁子君 電話部門だということですね、最終的に結論でおたくがおっしゃるのは。  では、ちょっとお伺いしますけれども公社のこれも同じく資料です。ダイヤルスに係る認可ということの中に「利用に係る料金は、次のとおりとする。データ中央装置を保留する時間二十一秒までごとに七円」となっているんですね。データ中央装置を保留するんですよ、これデータじゃないですか。  もう一つお尋ねいたします。「電気通信小六法」のカラーページですね、ここの付というところの後ろの方の五ページに「公衆電気通信サービスの体系(その2)」というのがあります。ここの「データ通信」の中に「定型計算システムサービス」というふうにちゃんと入っています。「DIALS」と括弧して入っているんです。これは違っているんですか。
  198. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) その小六法はいつの版か私ちょっとわかりませんが……
  199. 山中郁子

    山中郁子君 四十九年度版です。
  200. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) それならば誤植であります。  というのは、これは一番最初ダイヤルスを始めたときは確かにデータ部門で始めたことは事実なんです。ところが、そのうちにプッシュホンというものが普及いたしまして、いま言ったようになかなかわかりにくいということがありまして、四十八年にこれを電話部門に移したわけです。その方がわかりやすいと、先ほど申し上げたような意味電話サービスに移しました。その四十九年版というのがいつの時点で原稿がつくられたのか知りませんが、そうでございます。それが一つ。また、それは直さなくちゃいけないと思います、その点については改めます。  それからデータという言葉ですね、データという言葉をつかまえてデータ通信だと言われるなら、これは世の中にデータという言葉を使っておるのはたくさんあります。
  201. 山中郁子

    山中郁子君 データ中央装置、データ通信の中央装置です。
  202. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ですから、それは当初できましたときは確かに私どもはデータ通信の一部門として始めたんですが、四十八年にいま申し上げたように整理をいたしました。
  203. 山中郁子

    山中郁子君 明らかにデータ通信でしょう。さっきからそちらだって答えていらっしゃるんです、計算の問題についてですね。ここにだってちゃんと書いてある。そしたらこれ誤植だなんて、そんなふざけた答弁で納得できると思いますか。  私が一貫して言っているのは、さっきあなた先走ってお答えになると言って答えられたけれども中身の問題は、一つとしてはこの問題も、先ほどの話と同時にダイヤルスの問題もあるということで申し上げています。ですから、あわせて、こうした点でもって明確にデータ通信の部門であるにもかかわらず、全部それをカムフラージュするようなことはやめていただきたいということを申し上げているわけです。  この点に関して、「電気通信小六法」も公社が責任を持ってつくっているんでしょう、こうした表を。それを質問されればそれは誤植でございますと。それだったら公社の言っていることなんか何にも信用できないことになるんですよ。公社が持ってくる資料でもって、そしたらそれはデータという言葉はどこにだってあると。そういうわけじゃないんです。データ中央装置というのはデータ中央通信の装置でしょうが。そのことに係るというふうに表現しているから当然データ通信じゃないですかと、こう言っているんです。そんなふざけた答弁がありますか。  総裁から、しかるべき御返答をいただかなければ、私ば何としても納得できません。
  204. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  私、実は、その小六法というのをあけてみたことがないんで、それについてはちょっと答弁を差し控えますが、確かにダイヤルスというのは初めスタートのときはデータ通信の部門が取り扱いました。これは間違いございません。ただ、しかし、やっているうちに、いわゆるプッシュホンというものが電話の方に入るので、電話とデータ通信の境目みたいなところで結局電話の方に入っておると、こういうことでありまして、歴史的なそういう過程があるということを御了解願いたいと思います。
  205. 山中郁子

    山中郁子君 ちょっと後々のこともありますから伺いますけれども、この「電気通信小六法」というのは公社がやっぱり責任持っているんでしょう。全然関係なくてこれつくっているんですか、どこか書店が。それだと私は一々やっぱり全部公社から資料をいただかないとならない。
  206. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これはここの一番最後にございますように、電気通信法令研究会というものが編集いたしまして一般の本屋さんが発行しているものでございますが、この法令研究会というのは、一応公社ではございませんが、公社の人間が中心になりまして入っているようでございます。したがいまして、そういう意味で、直接ではございませんが、間接的に公社が責任があると言えば言えます。で、いまのお示しのダイヤルスが入っておる四十九年版というのは、私は恐らく五十年版にはそうなっていないんじゃないかと思いますが……
  207. 山中郁子

    山中郁子君 なってますよ。
  208. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) なってますか、やっぱり。もしもあれば、その法令研究会の責任でありまして、誤植でなく間違いでございます。したがって、これは訂正版を出させます、そういう意味では。いい悪いは別としまして、現在、全部私ども電話サービスにいたしておりますから、大変御迷惑をおかけいたしました。
  209. 山中郁子

    山中郁子君 五十年度もなっています。これはよく見ておいてください。単なる誤植なんていう問題じゃありません。  私は問題の指摘は重ねて申し上げませんが、ダイヤルスの内容のよしあしは別としてとおっしゃいましたけれども、分類の内容という問題に問題があるということですので、その点について、今後、先ほど申し上げましたデータ通信の研究開発費の問題等も含めて、よく検討し善処をしていくということのお約束をいただきたいと思います。
  210. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ちょっと先生もう一遍、その法令研究会のものがやっぱり間違いは確かに間違いなんでございますが、このデータ通信設備サービスの方の表がございますですね、付録の二十六ページ、この中には入ってなくて、最後のこっちの方に入っておるわけでございます。
  211. 山中郁子

    山中郁子君 体系のことを私いま言っていますから、体系を見なきゃわからないでしょう。
  212. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ですから、その点はひとつ私の方ですぐ訂正をさせますが、いまの改訂につきましてはおっしゃる意味検討はいたしますが、これは実は検討したあげくこうなっておりますので、またもう一遍、現在時点でどっちが正しいかを検討させていただきます。
  213. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止〕
  214. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  215. 山中郁子

    山中郁子君 収支別の問題でデータに関してもう一点お伺いをいたしますが、人件費の関係です。  五十年度のデータ通信関係の人員は幾らになっておりますでしょうか。
  216. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) 事業別収支の分計に使っております損益勘定のデータの要員はおよそ六千人でございます。
  217. 山中郁子

    山中郁子君 四十九年度で、これは通研新聞、公社の新聞ですが、通研新聞に出ているんですけれども、データ通信事業に従事している要員数は全国で約七千五百人と、数年のうちには一万人を超えるものと予想されると、こうなっておりますが。
  218. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) いま申し上げましたのは損益だけでございまして、建設を入れますと建設の方が三千四百人ほどおりますので、九千四百人ということになります。
  219. 山中郁子

    山中郁子君 そこに共通部門の割り掛けが行われるわけでございましょう。ですから、総合的にデータ部門の人数は幾らになるのか、そのことを教えてください。
  220. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) 先ほど申し上げました六千人というのが、この労務費をデータ部門へ配賦する場合に使用いたしました数字でございます。総体としてデータに何人いるかということにつきましては九千四百人、これは建設勘定の方で使われる費用が発生いたしますので、直ちに事業別分計の方にストレートに入るという形にはならないと思います。
  221. 山中郁子

    山中郁子君 人件費に見合う人数としては何人だということですか。労務費、共通の割り掛けも入れてというふうにおっしゃっていますけれども
  222. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) 六千人でございます。
  223. 山中郁子

    山中郁子君 それはいままで私が御説明いただいたのとも大分違うんですよね。ですから、それじゃこの点についてはもう一度全部詳しく、割り掛け分が幾らで、データの要員が幾らで、そしてそれについての経費が幾らだということを後ほどまた整理してお示しいただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
  224. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) わかりました。
  225. 山中郁子

    山中郁子君 じゃその点について、後ほど資料をいただいてからいたします。  以上、私は、利益隠し、不当な内部留保観点から部門別収支の問題、設備料の問題、減価償却の問題を取り上げてまいりました。訂正なさったことはなさったこととして、そしてまた、お約束いただいたことはお約束いただいたこととして今後必ず果たしていただかなければなりません。  で、次の大きな問題といたしまして、料金の問題に入りたいと思います。  私ども料金の問題を問題にしております一つ観点は、ほかの委員の皆さんも指摘をなさいましたし、多くの質疑が交わされました。公述人の皆さんからもお話がありました。要するに公正を欠くではないかという問題なんです。  で一言で申し上げるならば、私たちは、莫大な建設投資を計上して、そしてそれをデータ通信その他の新たなサービスの開発なりそこの拡大につぎ込んでいる、それで赤字ができる、だけれども、実際に国民一般が使用している普通の加入電話はそのことによって何ら恩恵を受けるものではない、しかし、そのために必要な経費は料金値上げとしてかぶせられる、これは余りにも不当ではないか、そしてその上にさらに実際の企業が主として使う料金とそれから国民が主として使う料金、これが余りにも不公正になっているではないか、その不公正を正してもらうと同時に、しかるべき負担を企業が中心として扱う電話サービスにも課さなければならないはずだ、こういうことを簡単に申し上げまして言っております。そこで、その側面からも問題になるのがやはりデータ通信でございます。  それで料金面の第一の問題として、データ通信の観点質問をいたします。  四十九年度三百五億円、五十年度三百六十億円、私が先ほど申し上げましたいろいろなからくりがあってもなおかっそういう赤字を出していますが、設備サービス一システム当たり、また加入データー社当たりの赤字は幾らになるのか、お知らせいただきたいと思います。
  226. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) ただいま御質問がございましたですが、一システム当たりというような経理は現在いたしておりませんので、これは特別な操作をやりまして計算をすれば出ると思いますけれども、手持ちがございませんので、御了承いただきたいと思います。
  227. 山中郁子

    山中郁子君 じゃそういうことで計算しているんですか、特別な方式でしているんですか。
  228. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) おりません。
  229. 山中郁子

    山中郁子君 四十九年度三百五億円、五十年度三百六十億円の赤字、これが一システム当たり幾ら赤字になるのかということを出さないで、そんなのんびりしていてどうなさるつもりなんですか。ずいぶん無責任な経営の姿勢だと思いますけれどもね。計算すれば出るという方法をお持ちなんでしょう、いま何か、どんな特別な計算なさるのか知らないけれども
  230. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) 確かにおっしゃるとおりの計算をいたしますれば出ます。ただ、現在、手持ちにございませんということを申し上げたわけでございます。
  231. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、これすぐ出してください。計算してないのか手持ちがないのか、どうもおっしゃることがはっきりしませんけれども、いずれにしても赤字を出していて電話が一加入当たり幾ら赤字だと、あなたたちは宣伝しているわけでしょう。それでいてデータについてはどれだけ赤字になるかということさえ出さないでいる。そういうこと自体に基本的に問題がありはしませんか。これはちょっと総裁にもお伺いしたいし、郵政省にも見解を伺っておきたいと思いますけれども
  232. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) まことに先生指摘のとおりでございますけれども、残念ながらそういう細かい分計を現在いたしておりませんので、経理当局と相談をさせていただきたいと思います。
  233. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、ちょっと先ほどの質問重ねて申し上げます。  電話は一加入当たり幾ら赤字だといって宣伝していらっしゃるんだけれども、データは一加入当たり赤字だといって出しもしないでいて、一体、これはどういうわけですか。総裁とちょっと郵政省にその見解を伺います。経営姿勢の問題じゃないですか。
  234. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  データ通信全体の部門といたしまして独立採算にするというのが一つの原則になっております。しかし、データ通信というのは、どっちかと言いますと八年間で収支のバランスをとるということでありまして、初めの四年間は赤字であって後の方で黒字になってくるということであります。  ところで、この一システム当たりといいましても、非常に大きなシステム、たとえば全銀システムのようなもの、あるいは自動車の車検登録、レジストレーションのようなものとか、あるいはまた、これはナショナルプロジェクトになりますけれども、気象観測のようなものもありますし、それからまたTSSといいましてコンピューターをタイムシェアリングする、中小企業が使うのが主でございますけれども、販売在庫管理システム、いろいろございますので、これを電話のように一遍にぽんとシステムで割ってしまうというわけにばいかないというふうに思います。データ通信本部の中では、この独立採算ということをやかましく言っておりますが、まだ完全にその域には達しておりませんけれども、今後、独立採算ということば、これは料金の面並びに支出の面、両方の面がございますけれども、そういう方向に持っていくようにしたいというふうに思っております。  数字につきましては、私、ちょっと細かいことお答えできませんので関係者からお答えします。
  235. 山中郁子

    山中郁子君 郵政省にもお願いします。
  236. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) いま公社総裁からお話がありましたが、データの収支につきましては、先生も十分御承知だと思いますけれども、最近やっと努力をしましてデータ部門としての収支計算ができるようになった。これはもちろん大胆な仮定を置いてという話です。  それから、公社はかねがね標榜していますように収支八年相償ということですが、本来、総体的に相償をすべきでもあるし、もう少し詰めていきましてやはりシステムごとの相償ということも大事かと思います。しかし、システムの寿命そのものがまだまちまちでございますので、個々のシステムの収支計算というのが、私もちょっとわかりませんが、恐らくまだなかなかできないというお話ですから、今後、そういうことができる方向に指導していきたい、こういうふうに考えております。
  237. 山中郁子

    山中郁子君 私は郵政省にお尋ねしたのは、一般国民に対しては電話はこういうふうに赤字赤字だといって攻めたてているわけよ、脅迫しているんだわ、だから値上げしますと。住宅電話がふえればふえるほど赤字になると言ってて、そしてデータについては赤字が出ているにもかかわらず、どれだけ赤字が出ている——そんな計算方法幾らだってありますよ、幾らだって、平均してだってできる。規模の大きさが違うとおっしゃるならば、多少とも類別して出したってよろしいでしょう。そんなもの、すぐ出るにもかかわらず出していないで、片方、国民に対する負担はそういうことで主張している、こういう態度についてどうなのかということでお尋ねしたわけです。そのことに対してお答えをいただきたいと思います。
  238. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 山中先生の御指摘はごもっともだと思いますが、一般加入電話の場合は収支を全体の数で割ればある程度の目鼻がつくのですが、このデータの場合でも、突っ込みでシステム数を収支の赤、いまの場合赤でございますが、それを割れば一システム当たり平均これぐらいの赤という概略の数は出ると思いますけれども、それが果たして正確な数かどうかという点は疑問はあると思いますが、姿勢としては、やはり国民の理解を深めるように、データはこういうことで赤になっておる、電話はこういうことでこういう収支状況になっているという、説明のいくようなやはり姿勢を示すべきが本当かと思います。
  239. 山中郁子

    山中郁子君 そこでお尋ねいたしますが、いままでの質疑の中でも、あるいはいまの御答弁の中でも、結論的に言うのは五十三年でデータについては収支相償という、つまり収支とんとんにするというお話です。  このことについてひとつお尋ねするんですが、いま現在データの需要はふえているんですか、五十三年末でこうした赤字が収支とんとんにできるような見通しはお持ちなんですか、その辺のことの根拠のある実情と展望をお聞かせいただきたいと思います。
  240. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) お答え申し上げます。  ちょっと細かい数字を現在手元に持っておりませんけれども先生指摘のとおり、昭和五十年度におきましては、四十八年末のオイルショック等によりましてデータ通信の需要は落ちたわけでございます。それで大変いろんな方面に御心配をおかけしたわけでございますけれども、最近、五十一年になりましてから大変需要は持ち直しておりまして、当初予定したほどの数字が現在回復しつつあるという状況でございますので、五十三年度の見通しということはまあ明るい展望に立てるというふうに、かように考えております。
  241. 山中郁子

    山中郁子君 何も根拠がなくて明るい展望に立てるとおっしゃられても、それは何とも言えないのであって、もうちょっとその根拠らしいことを示してくれませんか。たとえば四十九年度の申し込みが幾らで、五十年度はどうなって、オイルショック以降どういうふうに持ち直してということです。具体的にはソフトウエアの作成件数が何件かなんということも私お尋ねしていたはずですけれども、そのことについての御答弁をいただきたいと思います。  それからもう一つ、いずれにしましてもデータが赤字であるということははっきりしているということですが、赤字であるけれども、今回、要するに電気通信事業、電電公社の収支が赤字であるということを理由にして電話料金電報料金値上げをなさるということになっておりますから、当然、データの料金値上げをされるというふうに考えられますが、いままでのお考えだとデータは値上げをする気がないようにも承れますので、その点についてのお考えを聞かせていただきます。
  242. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) 大変失礼いたしました。  では数字をちょっと申し上げますと、データ通信関係の需給状況というのを何ではかるかということは大変いろいろむずかしいのでございますけれども、一応、おわかりやすいということで現在公社がやっております販売在庫管理と科学技術計算サービス、この二つについて申し上げます。  まず販売在庫管理でございますと、四十九年度の純増数が端末数で七百十七でございます。これが五十年度には五百八十八というふうに減ったわけでございます。それから科学技術計算サービスで申しますと、四十九年度が百九十九端末増加したんですが、五十年度は百六十九端末、かようなわけでございまして、一同心配しておったわけですが、五十一年度上半期におきます販売在庫管理サービスの受注数は六百八十三端末でございまして、科学技術計算サービスについては二百三十四端末というような数字、これは上半期だけでございますが、こういうような数字になっておりますので、明るいというようなことを申し上げたわけでございます。  それから二番目の御質問に対するお答えでございますが、データ通信に関しましても、これは認可料金でございますので、法定料金としてこの席上にはお出ししていないわけでございますけれども、当然、物価の高騰等に伴いましてある程度料金水準を何年置きかには見直さなければならぬということがございますので、この法定料金の改正が御決定になりました後で、早々にデータ通信としての認可料金の改定をお願いしたいと存じまして、現在、鋭意検討を進めているところでございます。
  243. 山中郁子

    山中郁子君 初めの問題ですけれども、四十九年度、五十年度比較していま伺った限りでは、四十九年度より五十年度の方が減っているわけでしょう、減っていて何で明るいのですか、それはちょっとよくわからないですね。
  244. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) ちょっと舌足らずでございましたが、要するに実績で申しますと四十九年度から五十年度が減っております。五十一年度はいま受注数を申し上げたわけでございますが、五十一年度に回復をしております。したがいまして、五十年度からさらに五十一年度も減っていると、こういうことでございますれば、大変まずいという状況でございますが、回復基調に乗っておりますので、よろしいんじゃないかと、こういうお答えを申し上げたわけでございます。
  245. 山中郁子

    山中郁子君 それはちょっと何とも言えない問題だと私は思います。現実の問題として、データ部門のたとえばソフトウエアの作成件数にしたって、そうたくさんあって、忙しくて皆さんやっているということでもないという状況もあります。  具体的な問題は別としまして、収支とんとん五十三年度で行うという見通しについていま申し上げておりますけれども公社は、そういう四十九年から五十年かなり大幅に減ってますね、そして五十一年上半期でちょっと上向きになったからといって明るい展望だなんて言って、責任を持って五十三年で収支の償いがつけ得るというふうに考えておられるのかどうか、そこのところを伺って  いますが。
  246. 山内正彌

    説明員(山内正彌君) お答えいたします。  確かに五十三年というとまだ二年先でございますし、経済の動向等につきましても、まあ確たるお答えを申し上げるということは大変むずかしいことでございますけれども、年度別のデータ通信事業の収支率というものを考えてまいりますると、四十八年度に一七六%でございましたのが、四十九年度一六四%、五十年度一五七%というふうに毎年相当な率で改善を図っておるわけでございます。これはこの間に例の石油ショック等がございまして、他の各事業は全部収支率が非常に悪化しているという状況のもとで、なおデータ通信事業に関する限りにおいてはこういうふうに収支率の改善を図っておるというような事情もございますので、これをさらに延長いたしまして、さらに先ほど私が申し上げましたとおり、一部料金の御改定等も郵政省にお願いするというような努力をすることによりまして、五十三年度には黒字になるだろう、こういう見通しを申し上げている次第でございます。
  247. 山中郁子

    山中郁子君 データ通信の料金の引き上げを検討しているという御答弁でございましたけれども、考え方の基本についてお尋ねをしておきます。それでいつごろの時点でどのように申請をされる、いつから実施をするというふうに考えておられるか、あわせてお伺いをいたします。
  248. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 五十二年度中には改定いたしたいと、こういうふうに考えております。
  249. 山中郁子

    山中郁子君 基本的な考え方。
  250. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 基本的な考え方といたしましては、五十三年度に収支が賄えるという考えを持っておりますので、それを目標といたしまして、民間との競争等もございますが、最終的には五十三年度私たちは黒字にできると思っておりますが、それができるように考えたいというふうに思います。
  251. 山中郁子

    山中郁子君 いずれにいたしましても、データ通信の料金が不当に出血サービスをして赤字のもとになっていると、しかも大きな不公正があるということについて一単位当たりの赤字の平均も出してないという現状には強い警告を発しておきたいと思います。これは至急、先ほどお約束どおり、算定もしていただき、資料も出していただきたいと思います。  次に、設備料の問題に入ります。  これはすでに私も質問をいたしましたし、それから衆議院においても質問が行われておりますが、設備料のいわゆる料金面での不公正という観点からの指摘になりますが、いままでの質疑に対する公社の御答弁、サービス工程と設備料について、一般は一万六千円、これが現行設備料五万円です。PBXが四万円のところが一万六千円、テレックスが九十四万円、サービス工程経費ですね、これが五万二千円、ヒル電話は十六万円のところを二万五千円、こういうことで御答弁をいただいたと思いますが、まず、この点について間違いがないかどうかをお尋ねいたします。
  252. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 設備料金額は、ちょっといま先生がおっしゃったのと違うように思うんでございますが、もう一遍、あるいは私聞き違いかもわかりませんが、一般加入電話が五万円、それからPBXの局線ももちろん五万円でございます。それからビル電話は二万五千円、こういうことでございます。
  253. 山中郁子

    山中郁子君 テレックス。
  254. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) テレックスはやはり五万円でございます。
  255. 山中郁子

    山中郁子君 これは後で私の方も突き合わせたいと思いますけれども、PBXが違うんじゃないですか、四万円のところを一万六千円というふうに、この前答弁いただいていましたが。
  256. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) PBXの設備料も局線が入っておりますので、加入電話と同じように、その局線につきましては五万円ということでよろしいと思います。
  257. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、次に、五十一年度の設備料、五十一年度のサービス工程の分についてお尋ねしますが、データ通信公衆回線、高速模写伝送、プッシュホン、それぞれサービス工程原価と設備料をお答えいただきたい。
  258. 長田武彦

    説明員長田武彦君) まず、建設勘定の五十一年度の予算上の関係について申し上げます。  まず、一般加入電話でございますが……
  259. 山中郁子

    山中郁子君 私の質問したのだけで結構です。データ公衆回線、高速模写伝送、それからプッシュホンのこの三つでいいです、全部伺うのにこしたことないですけど、時間の関係ありますから。
  260. 長田武彦

    説明員長田武彦君) まず、高速模写でございますが、これは一回線三十五万でございます。それから次はプッシュホンでございますが、これは五十一年度十三万円というふうになっております。ただし、いま私申し上げたこの十三万円といいますのは、これは宅内のプッシュホンの設備プラス電話局のMDFまでの加入者線を含んだ数字でございます。もう一つは……
  261. 山中郁子

    山中郁子君 データ公衆回線。
  262. 長田武彦

    説明員長田武彦君) ちょっとそれは調べさしていただけますか。
  263. 山中郁子

    山中郁子君 四十九年度の予算参考書を見ますと、このデータ公衆回線は二十万三千円で五万円です、実際の設備料がですね。それから高速模写伝送は百九十万九千円で十万円です。プッシュホンが六万五千円、これはプッシュホンは設備料ないですね、ゼロですね。ということが四十九年度のおたくの予算参考書で出ています。これは間違いないと思うのですけれども。  で五十一年度のを私伺いましたけれども、いずれにいたしましても、これが大幅に違うなら違うっておっしゃってくださって結構ですけれども、これは予算参考書で見るとそうなっております、いま私が申し上げた数字は。余りにもこれはやはり不公平だと思うんです。初めに申し上げました一般、PBX、テレックス、ビル電話の例をまつまでもなく、余りにも不公平な設備料の比率だというふうに思います。  それで、いままでこの点に関して、私どもの追及に対し、公社は、ビル電話については不公平を認めてこれを引き上げるという答弁をなさっていらっしゃるというふうに理解しておりますが、そのことも含めてですね、こうした設備料の不公正ということについて、どのような措置をおとりになるのかお尋ねをしたいと思います。
  264. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いまお示しのいろんなケースの中で、大きく分けますと専用線関係とビル電話があると思うんです。  ビル電話につきましては、現在二万五千円でございますが、これはいわゆる一端末当たり二万五千円でございまして、先生御案内のように、回線当たりにいたしますと、これが五端末つきますから十二万五千円というのが正確な数字なんです。それで、そういう意味から言いますと、五万円の単独電話の一回線当たり設備料に対してビル電話の一端末当たり二万五千円というのは私は不当に安いとは思えないんでございますけれども、やはりどうしてもこの一端末当たりというくくり方をしまして二万五千円、こういう形でありますと、やはりいま先生がおっしゃったように、一般の方々には安いようなインプレッションもあると思うんです。  そこで、またビル電話につきましては、御案内のように、ある集団の中が通話ができるわけでございまして、そういう効用もございます。また、他面、ビル電話というものは一般加入電話と違って、それだけでもって全国にたとえば移転するとか、そういうことはできない端末的な要素もあるわけです。しかし、その長所、短所といいますか、利点、欠点を相殺いたしまして、やはりこれはこの際単独電話並みに上げるべきだろう、そういうことを決意をいたしまして、ビル電話につきましては、これも認可料金でございますが、今回の法律改正後一端末当たり八万円の申請をいたしたいと思っております。  それから専用線関係につきましては、全部でありますが、これは御案内のように一般の公衆の電話と違って、両端末しか使えないわけでございます。それ以外のところへ通話ができる、あるいは伝送ができるわけではございません。そういう非常に局限された範囲内でございますので、専用線につきましても一応五万円で現在やっております。  それから公衆通信回線については、これは一般電話と同じように五万円というのを現在いただいておりますが、これは考え方としては単独電話と同じ考え方に考えております。
  265. 山中郁子

    山中郁子君 私は、ちょっと注意を喚起したいんですけれども金額の問題だけ言っているんじゃないんです。不公正ということは比率の問題になるでしょう。だから、いま遠藤さんはすごい決意をして八万円に上げることを決意をしたとおっしゃるけれども、仮に百歩譲ってビル電話が十二万五千円だとしますでしょう、としても、一般電話が一万六千円のところを五万円設備料を払わされているわけです。これをさらに八万円にしようとしているんですね。だから、この比率で言うならば、ビル電話十六万円のところを幾らにしなきゃならないのかと、このことが対応しない限りは公正さを欠くと言われてもそれは仕方がないんじゃないですか。  私が申し上げているのは、一つは、いままでの余りにも不公正なのを少しでも是正なさるということは、それはそれで結構です。だけれども基本的に申し上げているのは、設備料一つとってみて、ごく簡単に言って一般電話の一万六千円の工程が五万円、今度それを八万円にするというならば、少なくとも四倍以上の設備料を取るわけでしょう、サービス工程に対する四倍以上の設備料を取るというわけでしょう。そうしたら、単純に言ってPBXだってテレックスだってビル電話だってサービス工程の四倍以上の設備料を取らなきゃ、これは公正であるとは言えないじゃないですか。そこのところはいかがなものなんでしょう。
  266. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) お答えは二つあると思うんです。  一つは、サービス工程の単金そのものについての議論が一つあると思います。そう単純に横並びで比較はできないんじゃないかと思いますが、その点は後に譲るといたしまして、まあ仮にそれがそうでありましても、このでき上がったものの効用でございますね、効用。使っておられる方の効用あるいはその長所、短所——移転できるかとか移転できないかとか、あるいは普通の電話は相手が、たとえば専用線ですと一人しかいないというのと非常にたくさんのところにつながるという効用面も、これも考慮しなくてはいけないと思うんです。そういう面をすべて勘案いたしまして、現在あるいは今後の改定をいたしていきたいと、こういうぐあいに思っているわけでございます。
  267. 山中郁子

    山中郁子君 二つの点をおっしゃいましたけれどもね、一つは、サービス工程をおたくで計算で出していらっしゃるのは、それ自体比較にならない数字だとおっしゃるならば、それはもう何をか言わんやです。私は、部分的にはそれはあるかもしれません、多少のファクターとしてはそうした比較できない部分があるかもしれません。だけれども、サービス工程としてあなた方がそういうふうにして予算に計上して出す以上は、それはやはり当然のことながら同じものだからそうやって出すんでしょう。何かがうんと違うと、それが四倍にも違うような要素があるならそのことをお示しいただきたいと思うんです、具体的に。一般電話の場合とそれからそれではビル電話の場合でいいです。サービス工程はこういうふうに出しているけれども、それはこれだけ大きな要素の違いがあるんだというなら、そういうふうにおっしゃってください。それがなければ、それはわかりません。  それからもう一つの問題ですが、二つ目の問題として効用の問題を言われましたが、設備料というのはけさほど来から何回もあなた方がおっしゃっているように、建設の場合の一部負担とおっしゃるわけでしょう。関係ないじゃないですか、つくられた後の効用なんというのは。建設の際の一部負担ということだったら全くそういうことと関係ないはずです。そこはまたごまかしなさっても困ります。二つのことを明確に答弁していただきたい。
  268. 長田武彦

    説明員長田武彦君) まず一般加入電話でございますが、先ほど先生四十九年度の予算上の単金の一万六千円というふうに御指摘になったんですけれども、これ大体五十一年度の予算上では約二万円になっております。それで、この実は二万円と申します内訳は、要するに加入者の宅内における電話機とそれから宅内の配線、それから線路へつなぎますとき、場合によりましては引き込みの電柱等が要るというところまでを含んでいる単金でございまして、以降、加入者の線路、それから市内の交換機それから市外の交換機、伝送路、そういうような一切のものは実はいま申し上げますこの一般加入電話のサービス工程の単金には含まれていないものでございます。  それからビル電話についてでございますが、このビル電話先生先ほど十六万とたしか御指摘あったと思いますが、これ五十一年度の単金では約十七万でございます。ところが、この中に実は含んでおりますものは、ビル電話、要するにビル内に設置されますすべての宅内の装置並びにビル電話用の交換機、これらを含んでおりまして、さらに最寄りの電話局、親局でございますが、この親局に至ります加入者線路部分、まあこれがビル電話の場合は一種の内線みたいなことになりますので、この加入者線路部分というのは内線の数よりはずっと減ってくるわけでございますが、その部分並びに親局の電話局の中でこのビル電話への接続に要する交換機の部分、こういうものを実は含んだ単金でいままでずっと予算が要求されているわけでございまして、したがいまして対象になります工程の範囲というものが違いますので、いま申し上げました二万円なりあるいは十七万というような、こういういうような数字になるわけでございます。
  269. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ二つお尋ねしますけれども、あなたがいまおっしゃったことの前提に立って、ビル電話の工程に対応する一般電話の工程の経費は幾らなんですかということが一つです。幾らになるんですかということが一つ。  それから、私がさっき申し上げたのは、この前の委員会でそちらから答弁をいただいた数字でございますので、五十一年度が幾らになっているかということは改めて伺いますけれども、テレックスはあのとき九十四万円で、いま設備料五万円というお話でした。テレックスについてはどうなんですか。サービス工程が一般電話の場合ないしはビル電話の場合とどういうふうに違うのか、あるいは同じなのか、そのことをお尋ねいたします。
  270. 長田武彦

    説明員長田武彦君) まずテレックスについてお答えをいたしますが、テレックスにつきましては、現在、サービス工程上の単金は百八万ということになっております。
  271. 山中郁子

    山中郁子君 百八万。
  272. 長田武彦

    説明員長田武彦君) これは予算に計上されております工程を総枠で割ったものでございます。  これに含まれております範囲は、宅内のテレックス並びに宅内設備、それから加入者線路に当たります部分、それからテレックスのための交換機、テレックス既加入見合いの分というものを含めてございまして、テレックスのための市外伝送の部分の金はこの中には入っておりません。  それから、もう一つ質問ございました、ビル電話のこの十七万円に見合う一般加入電話の単金がどのくらいに当たるかということでございますが、実はちょっとそういう意味での比較はやったことはないんでございますが、まあ大体十七万より若干一般加入電話の方が安いかなあというくらいのところでございます。
  273. 山中郁子

    山中郁子君 そこのことを比較してもらわないと困るんです。  というのは、十七万円になんて、安い程度になんてなるはずはないんですよ。あなたがおっしゃるように、ビル電話の場合には交換機があります何がありますと、こうおっしゃっているわけでしょう。それだったら交換機がなくて、そして共用施設である加入者線路部分入れたって、一般電話が二万円のところが十七万円弱になるなんてことは絶対あり得ないですよ。そういうふうにおっしゃるんだったら、何が幾らで何が幾ら、だから十七万円弱になるんだということを示していただかなければ、そのことは何とも納得できない数字だと思います。二万円が三万円になるとか四万円になるぐらいなことなら、それはわかるかもしれませんけれども、二万円が十七万円まではね上がるのに、どういう中身があってはね上がるのかというのがわからないで、一方のビル電話は交換機や何かが入っているわけでしょう、そのことを明確にしてください。  それからもう一つ、いかにもビル電話は交換機があります、あるいはテレックスについても交換機が入っていますと、こうおっしゃるけれども、交換機が入っていること自体、そのテレックスなりビル電話の効用なわけでしょう、設備そのものなわけでしょう。だから、それに対応する設備料を取らなければおかしいではないか。一般宅内の場合に交換機なんか要らないでしょう、専用部門についてですよ。それなのに、片方はその交換機があるから高くなるというのだったら、それに見合った設備料が徴収されなければ、これはやはりどうしても公正とは言えないじゃないですか。その二つのことについてお尋ねいたします。
  274. 長田武彦

    説明員長田武彦君) まず一般加入電話につきまして、いわゆる加入者の専有部分と申したらよろしいんでしょうか、宅内から電話局のMDFに回る……
  275. 山中郁子

    山中郁子君 専有じゃないですよ、それは。共有じゃないですか。
  276. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 加入者線路部分でございます。
  277. 山中郁子

    山中郁子君 専有じゃないでしょう。
  278. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 加入者電話から電話局の入り口までの、いわゆる加入者で専有される部分でございますが、この部分の単金をつくってみますと、これが一般加入電話では一加入当たり約十二万円。もちろんこの十二万円という中には、先ほど御説明いたしました宅内の二万ほどのものは含まれているわけでございます。同じ筆法で、このビル電話につきまして試算をしてみますと、約一加入当たり十四万という数字に相なります。
  279. 山中郁子

    山中郁子君 それは共有部分なんです、共有部分が入っているのですよ、そうでしょう。だって端子函から宅内までの専有部分ということで、一戸当たりの設備料ですからね、それを問題にしているのだから、電話局まで全部、一加入者が全部専有部分を持っているわけですか。
  280. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 一般の単独加入電話と申します電話は、電話局から二本の心線、一対の心線が電話機までつながっているわけでありまして、それは完全に専有されております。
  281. 山中郁子

    山中郁子君 その点については、それがそれじゃ十二万円だと言うならば、それはどこでどういうふうにして何が十二万円になるかということを明らかにしていただきたいというふうに申し上げましたけれども、その問題と関連しますけれども、先ほどテレックスのいろいろ機械も入っているというふうにおっしゃっていました。だけれども、それは百八万円なわけでしょう。その百八万円が五万円なわけね。先ほど遠藤さんのお話によりますと、ビル電話を思い切って八万円に上げると、こうおっしゃっているんだけれども、テレックスについては、やはり別にお上げになるというつもりもないようなんですけれども、じゃテレックスの場合には、いまの一般とビルの比較の問題とも関連しますけれども、百八万円のところをなぜ五万円でいいのかということの合理的な答弁もあわせていただきたい。
  282. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) テレックスにつきましては、五十一年度予算で百八万円と出ておりますが、これはやはりテレックスは交換機が別になっておりまして、そこから端末までという部分があるわけでございますが、その部分につきましては、一般電話と同じように、線路はメタリックで二本きておりますので同じことでございますが、あと差額が高いのは、端末機を九十万円ほどで出すわけでございます。したがいまして、その部分がありますので価格が非常に高くなるわけです。  それでテレックスにつきましては、今度電話設備料が五万円から八万円になりますときに、八万円にいたします。それから端末につきましては、これはそれをオーバーする部分端末の半分を債券でいただいておるわけでございますが、これはしたがいまして現在のテレックスの債券は四十五万円になっておりますが、そのうちの三十万円、これにつきましては端末部分債券ということでいただいておるわけです。ところが、そうしますと、それの倍の六十万が端末機の価格になりますが、これにつきましては、債券の値上がり等もございますので、債券をさらに上げたい、こういうように考えております。それで現在の法律で債券のテレックスの最高限度額が六十万になっておりますので、現在四十五万ですが、それを六十万に上げたい、こういうことでございます。
  283. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ伺いますけれども一般加入者電話をつけるときに債券に幾ら払うのですか。
  284. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) これは級局別に分かれておりまして、一番少ないところが二万円、それから東京が最高で十五万円、その間が八万、十二万と分かれております。
  285. 山中郁子

    山中郁子君 それだって明らかなように、債券で逃げられるけれども、それじゃ一般加入者は何でそんな債券払わなければいけないのかということになりますでしょう。九十万からの設備費、その機械を入れると。その分について債券でお願いしてますとおっしゃるけれども、九十万の設備をつけるのだから、その設備についての設備費の一部を負担していただきますというのがおたくたちの設備料に関する最初からおっしゃっている御主張でしょう。これは別だなんということはあり得ないでしょう。テレックスが百八万円かかると、その機械も端末機も入れてですね、幾ら端末機がかかるかどうかは別にしてですよ、百八万円かかるのだったら、やはりそれに見合うだけの設備料を取らなければ、あなた方の設備料のその統一見解なり、その大義名分なりは通らないのではないですか。
  286. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 電話につきましても工事費の一部を設備料で五万円いただいておるわけですが、残りの分につきましては、ほぼ半分程度債券でいただいておるわけです。したがって債券は、先ほど言いましたように、級局によりまして二万円から十五万円というふうに分かれておりますが、平均いたしますと大体十一、二万になると思いますが、それは残りの半分ということで債券を決めておりますので、同じ考え方で、加入電信については、電話と同様なところは、債券十五万円というものを取りますが、あと端末機部分につきましても、同様、その半分を債券でいただくという同じ考え方で取っておるわけでございます。
  287. 山中郁子

    山中郁子君 それは全く同じじゃなくて、違ってくるんです、だから。  申し上げますと、結局、テレックス百八万円のところを一般電話に見合うだけの設備料を取った上でおっしゃるなら、それはそれでそういう理屈が成り立つんです。だけれども、そうじゃなくて、まるで低い比率での設備料しか取ってなくて言っても、それは同じではないでしょう。だから、実際問題として、端末機も含めて加入者設備設備料として一部負担していただくんですということの設備料ならば、当然、そのサービス工程に見合うものが設備料としてそれぞれに徴収されなければ、それは公正な設備料ということにはならないでしょう。だからこそ、今度だってビル電話たった二万五千円しか取っていなかったものを思い切って八万円に上げるというふうにおっしゃったけれども、それだったら、いままでこんな不公正な設備料でもって認可をしてきたという郵政省の責任はどうなるんですか。私は公社がもしここで八万円にするからと言っていばってそうおっしゃるなら、それならテレックスについてはどうなのか、ほかのデータや何かについてはどうなのか、全部同じだけの比率でもって設備料を取らなければ公正なものにならないじゃないですかということを申し上げているんです。  だれだってわかると思うんですよ、テレックス百八万円かかるというんだから。それに五万円しか設備料を取っていない。それで今度だって上げると——いま上げるとおっしゃったのかどうかちょっとはっきりしなかったですけれども、そこのところも明確にしてほしいですけれども、そういう不公正のままで設備料を認可料金だといって郵政省が唯々諾々としてそれを認可してきているということは重要な問題だと思います。私は、設備料だけではありませんけれども、こうした不公正の実態を認可料金だということでいままで認可してきたその問題についてと、それから今後その不公正さを改めるという方向でいま現在認可料金の問題についても郵政省としては対処するということについての見解を伺いたい。
  288. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 一番最初に申し上げたような効用の点が一つ残っておるんですが、私は、いまの御質問は効用に若干関係があると思うんです。というのは、設備料が法定されておりますのは一般電話についてでありまして、先ほどお書きしてお渡ししたものも電話についてというぐあいになっているわけです。したがって、その他のものに設備料を定めますときは、そのパーセンテージが幾らというよりも、やはりその効用を見て認可を申請し、また認可をされておるというぐあいに思います。  その効用は、それぞれテレックスあるいは専用線によって違うと思うんです、あるいはビル電話によっても違います。いい点もありますが悪い点もあるわけです、損な点もあるわけです。それで私どもは現在やってきておりまして、たとえばビル電話についても八万円ということにいたしましたが、回線当たりにすると五、八、四十万円であります。つまり八万円に対応する四十万円、約五倍になるわけですが、これは私は効用面から言うと少し取り過ぎじゃないかと思うんですが、やはり一般大衆が端末に着目されておるという点から、先ほど、別にいばっているわけではありませんが、相当決意をして八万円を取ろうと。こうなると、これからのビル電話はほとんど需要がなくなるんじゃないかという心配もあります。ありますが、やはりこの際ですから、そういうぐあいにいたしたわけです。  しかし、いまの御質問は、私どもというよりはむしろ郵政省の方に対する御質問でありますが、私そんたくいたしますに、郵政も今度はこういう認可料金についても郵政審議会で御討議されるそうでありますから、そういった面が十分今後考慮されるのではなかろうかと思います。
  289. 山中郁子

    山中郁子君 郵政省に伺います。
  290. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) いままで山中先生の御意見をずっと拝聴してきまして、十分理解できる点がございます。私たちも、いろんなものを横に並べたり縦に並べたりしてもやはり完全に公正であるかどうか疑問に思う点もございますし、これはいままでの経緯から言いまして、いろんなことがあったんだと思います。それで、いまわざわざ御丁寧に公社の方からもお話がありましたが、認可に係る件につきましては、従来の経緯も十分踏まえ、先生の御意見も十分取り入れて、今後、より公正なる料金設定に心がけたいと、こういうふうに思います。
  291. 山中郁子

    山中郁子君 さっきの効用の問題ですが、それだと私はやっぱりもう一度伺わなきゃいけないんです。  設備料の定義を盛んにおっしゃっているけれども、これは電話だと、こうおっしゃるわけでしょう、今度。それじゃそれぞれ定義してくださいよ。テレックスの定義は何なんですか、設備料の。
  292. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 設備料の定義につきましては先ほどと同じでございますが、遠藤総務が申し上げましたのは、効用という言葉がいいか悪いかは別といたしまして、もう少し御説明いたしますと、加入電話は全国どこへでも移転もできますし譲渡もできるわけでございますが、専用線につきましては移転も譲渡もできないわけです。移転するときは、もう解約しまして、新規契約ということでまたもう一度設備料をいただく、こういうふうになってまいりますので、その辺の違いがあることを申し上げておるわけでございます。
  293. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、もう一度はっきりしてください。設備料の定義、わざわざさっき遠藤さん書いてくだすったんですけれども、これは「新規加入の際に工事をして電話が利用できるようにするための」となっているけれども、これはあなたがさつきおっしゃったように、電話だけじゃなくて、これはテレックスの場合でも同じだということですね、いまの玉野さんのお話は同じだというお話でした。あなたはさっき違うとおっしゃった。はっきりしてください。
  294. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) それはいまお手元にお持ちのものは、法定料金としての設備料、つまり一般電話に対する設備料であります。その他の認可料金としての設備料の場合は、一応、それに準じて認可を申請し、または認可をいただいておるわけです。ですから、形式的には一応違うということも申し上げられると思うんですが、やはりそのときには法定の一般加入電話設備料というものが基準になって決められておることは事実でございます。その意味においては、やはりその定義の中に認可料金としての設備料も入っておるということも言えるかと思います。ただ、私どもは、一つ一つ認可をいたしますときに、一般電話と比較をした、先ほど営業局長が言いましたような効用を頭に入れて金額を定め認可を申請しておる、こういうことを申し上げたわけであります。
  295. 山中郁子

    山中郁子君 まあ同じだということなんでしょうね、そういうふうに理解します。特にやっぱり重大な違いがあるなら何かおっしゃってください。  それで、そうだとすれば、やっぱり「電話が利用できるようにするための料金であって、新規架設工事に要する費用の一部に充当するものである。」と、こうなっているんですよね。新規架設工事というのは端末機も含めてでしょう、当然のことながら。そしたら九十万円もかかる端末機でそれの一部に充当するというのだったら、五千何がしかの黒電話機つけるのの一部と同じ比率で考えるならば、五万円なんていうことはないはずです、そのことを私は一貫して申し上げているんです。  こういうことが基本ならば、効用だ何だと言って、実際に五十万のところが四十八万になりますとか二十万のところが十八万になりますというなら、それは効用の減殺ということだってあるでしょう。だけれども、百八万のところを五万円しか取ってないと、一方、二万円のところが五万円だと、これを八万円にすると。この二万円が仮におたくがおっしゃるように十万円になろうと、その比率は比較できないほどの莫大な不公正を示していると、これは明らかでしょう、そのことを私さんざん申し上げました。そして佐野電気通信監理官も、その辺については不公正という問題については確かにうなずけると、こういうふうにおっしゃっておられますから、もし電気通信監理官の発言で、公社としても、そのことについて十分検討もし不公正をなくしていくために努力をするというお答えがいただけるならば、私はそれで結構でございますから、ぜひともそのようなお答えを総裁からでもいただきたいと考えます。
  296. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  設備料につきましては、過去にいろいろ歴史的な経緯ございますけれども、今後とも、不公正をなくなすように努力いたしたいと思います。
  297. 山中郁子

    山中郁子君 じゃテレックスについてどうなさいますか。そのことをもう一度、先ほどちょっとはっきりしなかった点も含めて確認のために答弁をお願いいたします。
  298. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) テレックスにつきましては、この法律通過後、認可料金として八万円に上げるようにいま現在準備をいたしております。
  299. 山中郁子

    山中郁子君 八万円の点についての不公正は重ねて指摘をいたしません。が、先ほど申し上げた点を含めて検討をお願いしたいと思います。  それから、若干いまの問題にも関連するんですけれども、私はこういうこともぜひとも多くの皆さんに知っていただきたいというふうに思って質問いたしますが、「セールスハンドブック」、いろいろ皆さんはこういうたくさんいろんなものができていますよということで宣伝なすっていらっしゃるわけですけれども、この中で付属設備というものがいっぱいあるんですね。受付設備だとか親子電話、集中応答装置、テープ案内装置、自動転送装置、簡易会議電話装置、短縮ダイヤル装置、通話発信規制装置、特殊共電装置ですね、そうしたものなどをつけて、こういうのを全部装置がついても、いま申し上げました「セールスハンドブック」にいっぱい出てまずけれど、こういうものもついて設備料はそうすると何か変わるんですか。やっぱり機械ですよね、端末機の機材ですよね。それどういうふうに変わるんですか、そういうものがつくと、ビル電話の場合ですよ。
  300. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 設備料につきましては、新規に加入の電話を架設するということになっておりますので、あとこういう付属設備といいますか、そういうものにつきましては設備料は改めて取りません。そのかわり債券と、それからそれをつけますときの工事実費がございますが、この取りつけ料をいただくようにしております。それから、このほかには、毎月の、それぞれによって計算した減価償却費等により求めました計算によりまして、付加使用料をもらうことになっております。
  301. 山中郁子

    山中郁子君 いまたくさん申し上げたそういうものが全部ついても余分な設備料は取ってないと、こうおっしゃるわけですね。私は、そういう点でも、一般の住宅用電話がこんな設備つけることありませんでしょう、一つもこんなものつけないですよね、それでいて五万円取っているわけだから、改めてこの問題についての不公正の中身ということの注意を喚起しておきたいと思います。  それからもう一点あるんですけれども、これも同じくビル電話ですけれども、先ほどちょっと遠藤さんも触れられましたが、いわゆる一定の面積の中で同じ加入者がというふうにおたくの方は言っているわけだけれども、ビル電話の場合に、ただだということの措置があります。その中身についてちょっと教えてください。どういう方式でどういう場合にただになるのか。
  302. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) ビル電話の中に収容されております端末機個々の相互間の通話が無料になっておるというわけでございます。
  303. 山中郁子

    山中郁子君 済みません。ちょっとわかりかねたので、もう一度お願いいたします。
  304. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) ビル電話として収容されております端末機がございますが、電話機がそれぞれ一回線当たり五個ずつついておりますが、その電話機相互間の通話につきましては無料になっております。それが外へ、一般加入電話に出る場合は、これは有料になっております。
  305. 山中郁子

    山中郁子君 これは集合設置方式というふうなものをいまやっておられると思いますけれどもね、集合設置方式だと機械は局内にあるわけですね。そうするとビルが違っても、集合設置方式の場合には、外へ出ても一定の範囲の中ではただでかけられる、そういうふうになっているんじゃないですか、同じビルの中しかただではかけられないんですか。
  306. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 一般的には同じビルの中に収容されているものというふうになっているわけです。しかし、場合によりまして、距離が五百メーターといいますか、その場合に集団的な申し込みがあるときには、その中自体はそういうふうになりますが、一般的にはビルの中ということになります。
  307. 山中郁子

    山中郁子君 すると、同じビルの中でビル電話に入っていれば、その持ち主がどうであれ、全部ただでかけられるんですか。つまり、大きなビルたくさんありますね、いま高層ビルがあってもう何百という会社が入っていると、その場合のビル電話一つ一そういう大きな高層ヒルになれば一つということでないかもしれませんけれども、それは加入者相互の間でみんなただでかけられるんですか、別な人でも。
  308. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 集団として申し込んでいただければ、その中で仮に会社が違うという場合でも、その中同士はかけられるわけでございます。
  309. 山中郁子

    山中郁子君 どうしてそういうサービスをしているんですか。つまり、どういう根拠でただなんですか。
  310. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) これはほかの例もございますが、たとえば過疎対策でいたしております地域集団電話がございますが、これも一つの交換機を置きまして、それに地域集団電話二百とか百五十とか収容いたしておりますが、それにつきましても、これは一般的には五キロの範囲内二百でございますが、過疎地域になりますと四キロで百五十、こういうふうにもなっておりますから、その集団の中だけですと、これも無料になっております。
  311. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、住宅の、団地なんかですね、団地なんかにこういう形で、同一加入集団という形で一定の範囲をすれば、ただにできるということもできるわけですか。
  312. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) たとえば大きな団地がございまして、そこで一般加入電話でなくてビル電話をつけたいということで集団でお申し込みになれば、同じようになります。
  313. 山中郁子

    山中郁子君 その場合の集団で申し込むというのは、どのくらいの規模をあれしていらっしゃるんですか。で現実にいまそのたとえば住宅なんかで集団で申し込んでビル電話方式でもってやっていて、そしてその団地相互間はただで通話できるというふうになっているところがあるのかどうか、それをちょっと教えてください。
  314. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) ビル電話は、一つの集団といたしまして大体原則的には五百以上というふうになっておりますが、その団地でそれを申し込んだという例は調べないとわかりませんが、私が聞いたところでは、まだないように聞いております。
  315. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ団地でそういうことで五百以上の加入でもって申し込んでビル電話扱いにしてもらえば、団地相互の間の電話はただになるということになるわけですね、実際上の話として、特に公社の規程を変えるとか扱いを変えるとかということでなくて。
  316. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) もちろん、いま営業局長お話をいたしましたように、そういうぐあいになります。  ただ、そのビル電話の設置条件というものが一つございまして、あんまりこの地域が離れておりますと、たとえば聞こえにくくなるとかいう点もありまするが、距離の問題ですとか、あるいは加入者集団として五百加入以上というようなことがございます。それともう一つは、これは基本料の中に一応入っている計算になっております。この基本料が若干高いという点もございます。ですから、団地の方々にもしそういうことでお勧めになるようでしたら、そういう条件をおのみになれば、もちろんビル電話として私の方も設置をいたします。
  317. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、その点についてもう一つだけ聞きたいんですけれども、このエリヤというのは、そうすると、どのくらいなんですか。何かそれなりの制限があるんですか。
  318. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 大体、五百メーターといいますか、その範囲内で五百以上あればいいというようなことでございます。それで、いま規模といたしましては、五百から大体三千ぐらいまでの範囲になっております。三千を超えているものもございます。
  319. 山中郁子

    山中郁子君 次の問題として、私は公社がさんざんPRしてきているんですけれども、住宅用の電話がふえると赤字がふえると、こういうふうにいままで繰り返し言ってこられました。この点についてお尋ねをしたいと思います。  で、今回の料金値上げ理由については、もうすでに郵政大臣が、公社赤字は、経済情勢の変化に伴う物価の高騰や人件費の大幅な上昇、景気の停滞に伴う収入の伸び悩み等が大きな原因であると、こう言っています。それから、五十年度日本電信電話公社監査報告書でも、損益勘定収入予算額は二兆一千二百七億円で、これに対する収入済額は二兆七百八十四億円であり、予算額に対し四百二十三億円の減収となった。これは景気回復のおくれ等により、電話収入で三百十億円、専用収入で百十九億円の減収となったこと等によるものである、こういうふうに監査報告書でも指摘しています。公社が少なくとも公の場でこういうふうに言うときには、いずれも景気の停滞とか物価上昇を理由にしておられる。これはもうすでに明らかだと思います。  それでしたら、なぜ住宅用電話がふえるから赤字になるんだということを、あのようにしつこくお金をかけて宣伝をして、そしてまさに住宅用の電話を使っている人が多くなればなるほど赤字になるんだ、ひどい場合には、業界新聞に、もし値上げをしないでくれというなら住宅用電話をふやさないことだということまで発言をした幹部がおられます、だれということは私は申し上げませんけれども。そういうふうなことになぜなっているのか。一体、どっちが値上げ理由だというふうに公社は考えているのか、裏表なしにまず明確にしてください。
  320. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これはもうすでにお答えしておると思いますが、住宅用電話の問題は後で触れますが、そういったような形でいわゆるコストに満たない加入者収入電話がふえてきておるというのは、もうすでに昭和四十六年ぐらいからそういう状態であります。したがって、そういう意味では構造的に電電公社としてはやはりいずれの時点かでこの問題を解決しなくちゃいけない。つまり料金改定といいますか、財政基盤の確立という形で改定しなくちゃいけないということは、現在の第五次五カ年計画を策定しました時点から、私どもが予想をしておったところでございます。ただ、その構造的なものを改定をするという時期は、恐らく五十二年末か五十三年ごろであろう、それまでは何とかもつんじゃないか、こういうぐあいに思っておったわけです。ところが、昭和四十八年の例の石油ショックで物価が上がり、そのためにまた人件費も上がるという異常な経済変動があり、また片方では景気の停滞のために収入が当初予測より落ちてきたということのために、その時点が非常に早まりまして、今日、諸先生にお願いしているような料金値上げをお願いするようになった。これが簡単に申し上げますと、構造的なものと、それからそれが早まった原因と、二つあわせて御説明しておるはずでございます。  なお、住宅電話につきましては、私ども住宅電話が原因であるというのを端的にそういうぐあいに表現したこともございますが、山中先生しばしば御指摘のように大変それが感情にさわられるという点も確かにわかります。  私どもが申し上げておるのは、もっと正確に申し上げると、こういうことなんです。コストに満たない収入、これが非常にふえてきた。そのパーセンテージが非常にふえている。仮に五十年度の決算でも大体そうだと思いますが、四十九年度の決算で一電話ごとのコストが実額四千五、六百円といたしますと、それに満たない、基本料を入れてそれに満たない収入しか入ってこない電話というものが全体として約八〇%に近い七十数%あるわけです。しかも、その中で事務用と住宅用について見ますと、住宅用の九〇%近いものがそうであるということでありまして、正確に申し上げると、コストに満たない収入しかいただけない電話というものが非常にふえてきた、その中で特に住宅電話がその比率が高いというのが正確な表現であろうかと思います。
  321. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、物価上昇あるいは景気の停滞が一方にあり、一方に構造的な変化によってコストに満たない住宅電話がふえることによって赤字が生まれてきた、こういうのがあくまでも公社赤字理由と言われることのようです。そこで、その点についての郵政大臣見解をお伺いいたします。
  322. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 赤字の原因は、御指摘のとおり、四十八年のオイルショックが一番大きな背景でございます。それまで五カ年計画でいろいろ経営合理化もし、節約もし、公社側としては何とか整理をしたい、赤字を出さないように努めてきたのでありますが、いま申し上げたようなオイルショック以来、人件費、物件費の異常な高騰、また利用構造の変化、こういう悪条件が重なって赤字の原因になったことは御承知のとおりでございます。
  323. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ郵政省としても利用構造の変化、つまり住宅用がふえたから赤字になるということについてお認めになるということですね。それでしたら、お伺いいたします。  まず、いまおっしゃいましたけれども、一加入当たりのコストから見てコストに満たない収入しか得ていない電話がふえてきている、つまり住宅用電話がふえてきているというお話ですが、コストというのはどういうふうに出されましたか、四千五百円だか六百円だか、どっちだかも含めて。
  324. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 正確には経理当局からお答えがもし必要ならばさせますが、先ほどから御論議いただいています分計表の中に電話需要の分計が出ておりますが、電話需要の分計のうち、支出につきまして、それを回線当たりに割り振りまして一本当たりのコストを算出いたしておるわけでございます。
  325. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、重ねてお伺いしますけれども、機械的に全部それで割って事務用電話も住宅用電話も全部コストは四千五百円——五百円なら五百円というふうに出されているという、それだけのことですか。
  326. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 一応、一本当たり四千五百円とか五千円とか言っておる段階では確かにそのとおりだと思います。
  327. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、そう言っている段階を過ぎると、どうなるんですか。あくまでも四千五百円のコストに見合わない、満たない収入がふえているということを先ほどからおっしゃっているんですけれども、何か次の段階があるんなら、ちょっと一緒にまとめて聞かせてください。
  328. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これはその分計そのものにも、先ほどからお話をしておりますように、非常に大胆な前提がございますから、一本当たりのコストを単純にあれしました点にも問題があろうかと思いますが、事務用と住宅用に分けました場合に、これをいたしましたときに、私どもも、先生かねがね御指摘のように、決して同じコストだとは思っておりません。しかし、同じコストではないかもわかりませんが、しかし、その差というものは恐らく、非常にこれは計算がむずかしいので、なかなか私どもいろいろやらしてみましたが、むずかしいんですが、どんなにあっても恐らく一割程度の前後でなかろうか、こういうぐあいに思っております。したがって、それを非常に簡単に言いますと、事務用についてあるいは住宅用についてという出し方をいたしますよりは、一本当たりのコストという形で出した方がいいんじゃないか、端的に表現できるのじゃないか、こういうぐあいに思っておりますが、事務用、住宅用に分けました場合に差のあることは私どもも確かに認めております。しかし、その差は決して五割とかあるいは五割以上とかいう差ではなくて、一割前後ぐらいではなかろうかと推計をしております。
  329. 山中郁子

    山中郁子君 差のあるところは認めるとおっしゃいました。そうすると、その差というのはどういうところから出てくるのか、それをお聞かせください。  それから郵政大臣に、ちょっと細かいことでおわかりにくいかもしれないんですけれども、私はこれは住宅赤字論のちょっと大事なところなので、ぜひともよく聞いてほしいと思うのですが、後ほど郵政省としての見解も伺いますので、私はここに大変大きな欺瞞があると思っておりますので、重大視しております。  どこに差があるのか、どういう要素が差になるのか、一割だろうが二割だろうが。そこをお聞かせください。
  330. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  事務用と住宅用のコストにつきましては、先般、衆議院逓信委員会でも御質問がありましてお答えしておりますが、確かに住宅・事務用のコストが同じかと言えば厳密には多少違うと思います。  と申しますのは、その際も御指摘ありましたように、トラフィックというものは確かに事務用と住宅用と違うわけでございまして、われわれはトラフィック見合いの設備をつくっておりますから、そういった意味ではトラフィックに見合うものは検討いたします。しかし、また、それは一部でございまして、御存じのように、住宅でありましても事務用でございましても、電話局からお客様のうちの中までというのは、先ほど話がありましたように、たとえばケーブルにいたしましても電話機にいたしましても完全に専有のものでございまして、差がないわけでございます。また局舎につきましても、これは共通でございます。あるいは電力もそうでございます。しかし、違うと申しますれば、やはり交換機はわれわれいろいろ確率的に計算いたしまして同一にはかけないということでやっておりますから、そういった意味で集約しておりますので、そういった意味でトラフィックの差があることは事実でございます。したがいまして交換機の一部あるいは市外回線といったものはある程度トラフィックによって差があるのではないか。  一方におきまして、先ほど申し上げた加入者線路部分と言っておりますが、電話局からお客さんのうちまで行く設備を考えてみますと、これはこの辺の、たとえばビジネス街でありますと規模も小そうございますし、集約もできますけれども、これが地方の方に出ますと、距離が長くなる、あるいは非常に加入者分布が疎でございますから割合が高くなる、電柱を高く立てるということになって、むしろ高くつく。したがいまして、ごく定説的に申しますと、交換機部分の一部あるいは市外回線の一部というようなものが上がってまいりますが、その反面、いわゆる市内線部分といいますか、電話局から加入者までのそういった部分が高くなる。これを相殺して、そのほかに大きい共通部分は変わらないわけでございますから、それを含めると、せいぜい一割ぐらいの差ではなかろうかと、こういうことでございます。
  331. 山中郁子

    山中郁子君 結局、トラフィックという関係でしょう、ですね。で、トラフィックというのはそうしたらどういうふうになるのかと、トラフィックのどういう部分がなるのかということで、私は一つ一つについてただしていくには時間が限られておりますので、私の方から言ってしまいますので、それでよろしかったら、そういうふうに御答弁願いたいと思うんです。  結局、最繁時のトラフィックが、設備投資——皆さん方、電電公社設備産業だから減価償却もたくさんあるんだと、こうおっしゃっているけれども、その重要な設備がどういう規模でもって規定されなければいけないのか、つくられなきゃいけないのか、それは最繁時のトラフィックに関してでございましょう。そのことが間違いなければ、そういうふうにはっきりしてください。
  332. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) 御承知のとおり、電話は最繁時でのトラフィック部分に設置してございますから、その限りではそのとおりでございます。
  333. 森勝治

    委員長森勝治君) 十分まで休憩します。    午後三時三分休憩      —————・—————    午後三時二十五分開会
  334. 森勝治

    委員長森勝治君) 委員会を再開し、質疑を続行いたします。
  335. 山中郁子

    山中郁子君 トラフィックの問題について質疑を行っておりました。それで設備をつくる基準といいますか、その基礎というのはトラフィックである、しかもそれは最繁時のトラフィックであるということが明らかになっております。  これが最繁時のトラフィックだということが問題になるということは、具体的に言って、加入者一人一人がいつでもかけられる、つまりすべての人が同時にかけてもそれが許容できるという設備ではなくて、そうではなくて共用できる部分、最繁時というのは必ずしも全部の加入者が同時にかけてもかけられるようなシステムになっているわけではありませんから、設備になっているわけじゃありませんから、だから私はごく単純に言いまして、すべての加入者が同時にかけてもかけられる設備、つまりある意味では、すべての部分専用になるという設備があるならば、先ほど申し上げました全体を一律に数で割って四千五百円とか四千六百円とかという数字が出るということが初めてそこで言えるのであって、最繁時システムをとっている場合に、最繁時の設備でもって基礎設備がつくられているという場合に、しかも公社の経費が多くがその設備産業であるということで、設備にかかわる部分が大きいということである以上は、単純に数で割って、それに近い値、仮にもしそれが一割程度増になったとしても、それに近い値がコストであるということは、理論上からも常識的に言っても言えないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  336. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  なかなかちょっとおわかりにくい話かと思いますが、私先ほどから申し上げておりますように、トラフィック見合いで設備をつくっていることは事実でございます。これはまたおっしゃるように、全部が一斉にかけるんではなくて、ある程度の確率を持って電話をしますから、そういったものを十分見込みまして設備をしていることも事実でございます。  しかし、先ほども申し上げましたのは、われわれの設備というのは、まあその上固定資産で五兆円ほど持っておりますが、それを全部使ってこういう事業を運営しているわけでございますが、その中で、いわゆるトラフィックの計上によって変わる部分といいますか、ふやしたり減らしたりしなきゃならない設備と、そうじゃなくてどうしても要るものとに分かれるわけですが、私が申し上げておりますのは、トラフィック変動の部分というものは案外少ないのであると、決してないとは申しませんが、たとえば交換機の一部でありますとか市外回線というものはそうでございますけれども、やっぱり局舎でありますとか電力でありますとか、あるいは加入者線路部分といいますか電話機といったものは関係なく必要でございますから、また一方、住宅用、事務用と申しましても、住宅用から事務用にかける場合もございますし、あるいは事務用から住宅用にかける場合もございます。もうそれがどういうぐあいで、どういうように起きてくるかということをわれわれとしては、まあそれぞれの局につきまして、いままでの経験とトラフィック速報に基づいて設計をして、設備をしているわけでございます。  そういった点をごく総合的に見ますと、確かに限度部分はございますが、それは全体でごく大ざっぱなことを申しまして二割程度ではなかろうか。したがってそれがトラフィックで差で分けられるとしても、全体のコストに占める割合というものは、せいぜい一割程度でなかろうかと、こういうふうに言っているわけでございます。
  337. 山中郁子

    山中郁子君 それは何ともはっきりしないお答えです。  というのは、それでは伺いますけれども、最繁時のトラフィックの事務用と住宅用の比率はどのくらいというふうに分析をしておられますか。
  338. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) 三分の一ぐらいであろうかと思っております。
  339. 山中郁子

    山中郁子君 このことについての正確なデータをいただきたいというふうに私はいままでも何回も申し上げました。そしてトラフィック調書というのも、これは衆議院の請求に対しておたくの方でお持ちになりました。こんな膨大な調書なんですよね、その膨大な調書を公社として集計をされているはずだというふうに思っておりますが、その集計表はいただけていないんですが、私どもはそのトラフィック調書によりましていろいろ検討した結果、かなりな程度に事務用、住宅用の比率ということは、公社の言われている分析と違うわけなんですけれども、その点について、もし三〇%とおっしゃるならば、どういう計算根拠、どういうトラフィックの調書からの集計によって三〇%というふうに出されているのか、その点をお伺いいたします。
  340. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) 私どもでは、昨年一年間かけまして、六百万コールの呼数につきまして約三百局対象にいたしまして調査をいたしました。その結果、年間の総通話回数というものを測定いたしまして、そこからいわゆる一コール当たりの平均の通話時間なり、それからピーク時の何と申しますかトラフィックというものを計算したわけでございますが、大体申し上げますと、事務用と住宅用の通話回数の比率は、住宅用を一応一〇〇にいたしますと事務用が二一三。それから最繁時の集中率というものが、一一・六%が事務用でありまして、住宅用が八・六%。で通話の時間がございますから、事務用よりか住宅用が若干長いということがございます。で住宅用を一〇〇といたしますと事務用が七四。こういうものを総合的に掛け合わせますと、事務用が七〇に住宅用が三〇、こういうトラフィックの量の比率になります。
  341. 山中郁子

    山中郁子君 そのこととちょっとあわせて解明をしておきたいんですけれども、先ほどのお答えで、トラフィックの多寡に、トラフィックが多い少ないに関係しない部分ということで、そのトラフィックに関係する部分が二割程度というふうにおっしゃいましたけれども、そうすると、その金頂というのは、四千五百円とするならば、一加入電話機当たりについてのコストをそういうふうになさるとすれば、それがどういう金額になりますか。
  342. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) 設備で私さっき申し上げましたけれども先生のおっしゃるコストに見合う分は、恐らく、四千六百円と平均申しておりますが、それは実は全部の資本費用も入ったコストでございますから、四千六百円の半分ぐらいは資本費用のコストでございます。結局、設備が違うからそれによって資本費用が違うはずだと、そういうことで差があるはずだというのが多分先生のおっしゃりたいことじゃなかろうかと思うんですが、私の申しますのは、その資本費用に響く——結局、半分ぐらいですから、四千六百円としますと二千三百円ぐらいがいわゆる資本費用に見合う分ですが、そのうちのせいぜい、たかだか二割ぐらいがトラフィックに関係する部分ではないか。それが実際はわれわれの計算というか試算によりますとせいぜい半分ぐらいだと。結局、だから、せいぜい額で申しますと一割程度の差ではないかと、こういうことを申し上げたわけでございます。
  343. 山中郁子

    山中郁子君 公社から資料いただいた中に、こうなっているんです。四十九年度の一加入当たり支出四千六百円の内訳では、四十九年度の一加入当たり四千六百円について大胆な仮定のもとにトラフィックの多寡に関する支出と関係しない支出を試算すると、トラフィックの多寡に関する支出は八百円程度、トラフィックの多寡に関係しない支出は三千八百円程度であると、これが公社からいただいた資料なんです。この根拠一つはお伺いしたい。  あなたがさつきおっしゃった二割というのがこのことなのかと私は思っていまお尋ねしたんですけれども、そうでないとすれば、この根拠は、金額で出ていますから、どういう根拠に基づいてこういうものが出されているのか、まず、そのことについてお尋ねいたします。
  344. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  トラフィックの多寡に関係するものが、確かに御指摘のとおり、大体、いまのお話ですと三千八百円のうち八百円ぐらいと、こういうふうに御理解いただいていいと思います。
  345. 山中郁子

    山中郁子君 四千六百円のうちでしょう。
  346. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) はい。
  347. 山中郁子

    山中郁子君 私がお尋ねしたのは、こうやって金額で出ている限りは計算なすったわけでしょう。だから、どういう根拠でトラフィックの多寡に関係するものとしないものを分けたんですかということを伺っているんです。  私が言いたいことは、トラフィックの多寡に関係すると思うんですよ、ほとんどの部分基本的に。そうでしょう、基礎設備が膨大なんだから。そのときのトラフィックの多寡に関係しないでもってコストが出るなんていうことはあり得ないわけです。それが、ですから最繁時の住宅用と事務用の比率、おたくがおっしゃるもし三〇対七〇だとすれば、トラフィックの多寡に関係するとすれば、そうすれば事務用の方が二倍以上設備についての経費の負担をかけているということになるでしょうということを申し上げている。だから四千六百円のうちトラフィックが多くても少なくても三千八百円は変わらないんだと、変わる部分はその残りの八百円で、しかも、そのうちの一割だか二割だか知らないけれども、そのわずかなものなんだとおっしゃって、四千六百円というコストから見合って住宅用の収入が少ないから赤字だと、こうおっしゃるから、それを国民に納得させるには、私も納得するには、ここにいる委員の皆さんが納得するには、なぜ三千八百円と八百円に分けられるのか、その根拠を示していただかなければわからないでしょうと、こういうふうに申し上げている。
  348. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) それはいろいろ試算がございまして、先ほどから申し上げておりますように、たとえば例で申しますと、加入線路部分というようなものはトラフィックに関係ないわけでございます。また局舎も関係ないわけでございます。関係あるのは、やはり交換機の部分、そのうちのいわゆる共通部分といいますかマーカーとかレジスターといったものとか、あるいは市外回線部分でございます。しかし、市外回線部分もやはりじゃ全部トラフィックに見合うかと言えば、大体見合うものもございますが、一方におきまして、防災対策のように、いわゆる災害の場合のために予備ルートとか多ルート化工事を行っておりますから、そういったものを含めると、これはやはりトラフィックに影響するという部分もありますが、しない部分もあると。そういったことでもっていろいろ計算をいたしますと私がさっき言った割合になると、こういう意味です。
  349. 山中郁子

    山中郁子君 だから、ごまかさないでほしいんですけれども、じゃ局舎ですよ、局舎がトラフィックに関係ないとおっしゃるけれども、局舎はまさにトラフィックに関係のある数、回線なり、そういうものを収容するのに見合ってやってるんでしょう。端子数が幾つであっても局舎にかかる経費は変わらないんですか。そんなことないでしょう。そのことによって局舎の規模は変わるんでしょう、そしてそこで働く人たちの人件費も変わるんでしょう。だったら、当然のことながら、そうしたトラフィックの中の圧倒的にたくさん使う部分である事務用のために局舎だってより多くのお金をかけているんだし、人件費だってより多くかかっているんでしょう。そのことをはっきりさせてくれなきゃこの三千八百円と八百円の比率というのはそれは解明できないはずです。
  350. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) じゃ別の観点からちょっと御説明申し上げますが……
  351. 山中郁子

    山中郁子君 いまの観点から教えてくださいよ。
  352. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いや、いまの問題を別の観点から御説明した方がおわかりやすいのかもわかりませんが、四千六百円のコストの中には、大ざっぱに言うと、資本費用とそれから保守費、運用費、営業費というものがございます。たとえば保守費などにつきましては、やはり事務用でありましても住宅用でありましても同じレベルに保守をするという意味で、また、先ほど計画局長が申しましたように、非常に広い範囲の保守をやるということになると逆に一加入当たりは保守費は高いところもあるかと思うんです。それから営業費などにつきましては、これは御案内のように、トラフィックの多寡に関係なく一加入当たりにある程度帰納できるということはこれはおわかりになろうと思うんです。それから運用費につきましても、やはり同じようなことが言えまして、たとえば一例を挙げれば電話帳というものはトラフィックの多寡に関係なく、トラフィックが多いから電話帳を五冊もお配りするということはございません。むしろ逆にトラフィックの大きな会社などでは多数回線に一冊というぐあいでございまして、住宅用の方が配布費などを含めれば多くなることもこれもおわかりいただけると思うんです。そうすると、問題は、残るのは資本費用でございます。  資本費用の中でも、確かにトラフィックに影響のある部分がありますし、それからそうでない部分もあります。いま問題になっておる局舎も、それはある大きなスケールにおきましては全然無関係とは言えません。言えませんが、しかし、やはり局舎というものはトラフィックの回線ほどはトラフィック量によって投資額が違うということはないと思うんです。そういったようなものを総合いたしまして、私どもは、確かに差はあるけれども、また計算はなかなかむずかしいけれども、全体として四千六百円のコストのうち住宅用、事務用というものについては一割程度の差ではないかというぐらいに言っておるわけです。
  353. 山中郁子

    山中郁子君 私はだからそういう差が全然ないと言ってないんですよ。それは差はあるでしょう、きっとね。だけれども、その差が何がこういうふうにあるんだということをお示しにならなければわからないでしょうと言っているんです。  私は、圧倒的に多く差のある方がトラフィックの多寡に関係する部分の方が多いと、こういうふうに言っているんです、あなた方の方は少ないと、こう言っているわけでしょう。だったら、それの根拠が示されなけりゃいけないわけじゃないの。だから何と何と何とこれについて全体の経費がこれだけと、で片方はトラフィックに影響ない部分は何と何と何で、これについての経費はこれだけと、したがってこれで四千六百円という一加入当たりを割れば三千八百円と八百円というふうに分けられるというふうにおっしゃってくださいと、そうしなければわからない、国民が納得できないです。  一般的に見れば、事務用の電話が圧倒的に最繁時に七〇%以上を占めていると、そういう事態であるにもかかわらず、そしてそのためにお金がたくさんかかるんだというふうにあなた方おっしゃっているにもかかわらず、それでもトラフィックの多寡に関係がない部分の方が多いというふうにおっしゃられたら、これはごまかされているとしか思えないわけです。だから、どこの部分が多寡に関係なくてそれが幾ら、どこの部分が多寡に関係があってそれが幾らと、したがってそれを割れば幾らになると、こういうふうにおっしゃっていただかなければわからないです。私はそんなむずかしいこと言っていません。これは八百円と三千八百円という具体的な数字が出ているんですから、あなた方は何かの根拠に基づいてこれを計算なすったはずでしょう。このくらいに言っておかなきゃならないから、こういう数字出したわけじゃないでしょう。そういうふうに申し上げております。
  354. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ですから、私がいま申し上げておりますのも、そういうことを申し上げておるんでありまして、四千六百円のうち大体資本費用が半分の二千三百円、それから残りの保守、営業、運用費というものが二千三百円ということになりますと、その後の方の営業、運用、保守費につきましてはむしろ住宅電話の方が逆に多目に出るということも言えると思うんです。  というのは、これは御案内のように営業、保守、運用費というものは人件費が主でございますが、一職員当たりの受け持ち電話数という観点から見ますと、それはいまのトラフィックの大きな事務用のあるところとそれから住宅地の電話局とではやはり差があります。むしろそれは逆に住宅用の方が高いのかもわかりません。しかし、その問題は別としまして、残りの二千三百円の中で、今度は回線同士の中でトラフィックに影響のある部分が約八百円と、こういうぐあいに申しておるわけであります。
  355. 山中郁子

    山中郁子君 では、そのことについては私が先ほど申し上げましたような形で整理をして資料をつくって提出をしていただきたいと思います。  もう一度簡単に言います。どこの部分がトラフィックの多寡に関係ない部分で、どこの部分が関係のある部分で、それは費用にして幾らだと、したがって四千六百円のコストに見合うものとすれば、これが幾らになるということをお願いいたします。で、ゆめゆめ八百円と三千八百円に分けたから、それに見合わせるように逆計算などなさらないで、もし、そういうことで八百円がふえて三千八百円が減るようだったら、きちんとそのように報告をしていただきたい、そのことをお願いしたいと思います。
  356. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私どもも別に意図的にしておるわけじゃございませんで、これは昨年から山中先生の御指摘を受けておるものですから、私どもも何回もこれは会議で私のように技術的な知識のない者でもその会議に出て一生懸命にやったわけです。しかし、なかなかそういうものが正確には出ない。ですから、いまおっしゃいましたような、この部分はトラフィックの多寡に関係がある、この部分はないというような仕切りをして一応御説明資料をつくることはできるかと思いますので、提出させていただきます。
  357. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、その時点でまたその点についてはただしたいと思います。  いま申し上げましたように、住宅用電話がふえるから赤字になるということにかなり大きな疑問がある、百歩譲って言っても。私、これはうそだと思っていますけれどもね。百歩譲って言ったとしても、かなりな疑問があるということは多くの方たちが指摘をしているところです。この点について、いまお願いしました資料もいただいた後でまた引き続きその点については私は質疑をいたしたいと思っております。確かめたいと思っております。  ぜひとも郵政省にこの部分についての見解、そしてそういうふうに疑問があって、そして公社だって大胆な計算をしてとかいろいろいろいろ言っていますけれども、言っていますけれども、そのことを振りかざしてあたかも全く一般国民加入電話を使うことが赤字をどんどんつくり出している原因だというような公社の主張と宣伝は、今後、一切しないということを郵政省としても厳重に指導をしていただきたい、このことのお約束をお願いいたします。
  358. 松井清武

    政府委員松井清武君) ただいま住宅用、事務用電話のコストの問題につきまして、種々先生から意見が述べられた次第でございます。私ども、こういう問題につきましても今後ともに大きな関心を持って進めてまいりたいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、このコストの分計につきましては大変むずかしい問題が存しておるというふうに考えているわけでございます。公社の提出されました資料等も私今後見まして、そういうぐあいに事・住格差につきまして検討してまいりたいと思います。  で、なるほど先生がおっしゃいましたように、住宅用電話と事務用電話に区別いたしまして、公社側が当初の値上げの必要性を説く段階におきましては、この住宅用電話というものが赤字の原因であるというような表現が所々に散見されたことは事実でございますが、その後の状況というものを見てみました場合に、公社側におきましてもその表現というものがかなり最近におきましては変わってきておりまして、要するに、利用構造の変化というのはこの低利用の電話の増加にあるというような形に置きかえてきているわけでございます。今後とも、そういった点で、この住宅用電話というものは今後の電話の大宗をなすものでありますから、こういうものを決して軽視することなく、こういった今後の住宅用電話というものをさらにそれが普及する形におきまして進めてまいらなきやならないというふうに考えておりますので、先生の御指摘のとおり、私ども、住宅用電話赤字の原因であるというような表現は慎んでまいりたいというふうに思います。
  359. 山中郁子

    山中郁子君 住宅用電話は、先ほどの最繁時のトラフィックによってコストに大きな影響を与えるということは明らかになっているわけですけれども、全体の電話台数の上で六〇%を住宅用が占めているんですけれども、通信量は私どもの調査によりますと二二・七%、これは四十九年度で公社数字です。で残りは企業用の通信によるものです。ですから、したがって住宅用電話全部合わせても事務用電話の三・四分の一しか使っていないんです、四十九年度の数で言いますとね。  最繁時に事務用がばあっと集中する、したがってそれに見合う設備をつくらなきゃいけない、そうすると、そのほかは事務用の電話が使われない夜だとか日曜日だとか祭日だとか、そういうときは遊休施設になるわけですよね。遊休施設で国鉄ならばダイヤを変えてお客さんがいないときには電車を走らせる数を少なくするとか、そういうことできますけれども電話の場合はそうじゃなくて、いつだってそれは使えるように置いておかなきゃいけないわけですから、だから現実の問題としては逆に住宅用電話が遊休施設を利用していると、そうして公社の収益を上げていると。逆に言えば、住宅用電話がもしなかったらその収入は夜間でも日曜でも祭日でもあるいは朝早くでも入らない、企業用の通信だけだったら入らないわけです。入らないにもかかわらず住宅用がそこを埋めていて、そこによって収益が上がっているんだから、実際問題から言えば、設備の遊休施設を住宅用が使うことによって収益を上げる役割りを果たえますし、理論的にもそのことが言えるというふうに思います。  ですから、この点について公社が言われる利用構造の変化ということは、でも、言いかえただけの話であって、結局、低利用の低収入の住宅電話がふえるからということの振りかえでしょう。だから、えげつない言い方はしないというだけでなくて、この問題に関してちゃんときちんとしたデータなり何なり国民を納得させるものを出した上で、そのことをおっしゃるならいいけれども、実際問題として、そうでない以上は、そうした利用構造の変化ということが赤字の主たる原因になるような考え方については検討していただきたい。  もちろん、えげつない言い方はやめさせます、やめましたという言い方は、それはそれで結構ですよ。だけど、そうじゃなくても言い方として利用構造の変化、低収入電話が増加したということは住宅用電話が増加していることを理由になさっているわけだから、この点について、郵政省も、もう少し本質の問題に迫った上で、公共企業体として国民の理解を得て国民の集約として行われる事業なんですから、余りにもそうした国民を敵視する姿勢というものは、根拠がないものであればあるほど、公社根拠あるとおっしゃっているかもしれないけれども、それでも大変出すのはむずかしいということは監理官も言われているわけですから、そういうものがむずかしいという要素がある以上は、それは明確な根拠になり得ないということは事実です。そこの点を含めて、再度、郵政省の態度をお伺いいたします。
  360. 松井清武

    政府委員松井清武君) 今後とも、慎重な表現を用いるように留意してまいりたいと思います。
  361. 山中郁子

    山中郁子君 念のために申し上げておきますけれども、私どもが皆さんからいただいた膨大な資料によりましていろいろ試算してみたところによりますと、住宅用電話が月当たり二千二百八十八円の費用で三百十二円の黒字になります。事務用電話は八千二百二十一円の費用で八百二十一円の赤字になります。このことについて、いま全部細かく言っていってもとてもその時間はありませんけれども公社が出された資料によって、そして公社の言われている論理上の矛盾だとかごまかしだとかをいろいろ省いていって、そして私どもが計算したものだって、それは完全にそれが正しいというふうには私はいま申し上げません。だけども、より真実に近い形でもって計算をしていくと、仮に試算をしてみると、こういうことが言えるんです。逆に言うならば、こういうことも言えるんです。そういうことも言えるという中身がある住宅用電話の問題に関して、それを赤字理由にするということについての不当性を重ねて厳しく指摘をし、このことについての検討を要求いたします。  次に、公衆法の問題に関連しまして三つ目の問題、建設投資、主として先行投資の問題に入りたいと思います。  まず、私どもがこのことについて言っているのは、大企業本位のいわゆる大幅な建設投資、しかも過大な先行投資、そのことによって企業が電気通信サービスの大きな恩典に浴するということが一面です。それから、その反面、そうした莫大な建設投資が、お金が、つまり公社の今度の計画で言えば五十三年度末までに五兆四百億円というそういう建設投資を行うそういうお金が日電だとか住友だとかそうした大メーカーに流れていくわけです。そうしてそれが果たして公正な値段で買われているのかどうか、このことについても大きな疑いがあります。公取がやみカルテルの問題で電線メーカーに調査をしたということも報じられておりますけれども、そういう観点を私どもは先行設備投資に関して持っております。  それで伺うんですけれども、東京の千代田地区管理部の七月の業務概要を見ますと、一般加入関係では、丸の内電話局でクロスバー交換機千七百五十四の端子があいていながら一千端子のDEX、つまり電子交換機を導入しています。実際にこのDEXを使用しているのは二百五十四端子、一千端子のうち二百五十四端子です。もう一つ申し上げますと、千代田局も四千三百六十端子のクロスバー交換機があいています。で、ここに四千端子のDEXを導入して、そのうち使用されているのが六百九十二端子です。それしか使っていません。  このことの数字をまず初めに確認をしたいと思いますが、この業務概要で私はその数字を摘出いたしますが、それは確かでしょうか。
  362. 長田武彦

    説明員長田武彦君) いまちょっと手元に資料がございませんので、いま先生のおっしゃった数字を調べさせていただきます。
  363. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、ちょっと質問の順序の関係もありますので、これで確認をしていただきたいと思いますが、よろしかったら、そのようにこれを(資料を示す)見てもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  364. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  365. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こして。
  366. 山中郁子

    山中郁子君 で、私はこの点について質疑を進めますけれども、もしこれが大きな間違いである、その資料が違うということでしたら、それは後ほど言っていただいていいですけれども、これは私は間違っていないです、公社資料によって、そしてまた公社質問をしておりますので。  それで、いま現在、そういうふうにしてクロスバーの端子に大きな余裕があるわけです、あいているわけですね。あいているにもかかわらず、何で莫大なお金をかけてDEXをそこに入れる必要があるのか、そしてそのDEXだって幾らも使っていないわけでしょう。ビル電話のひどいところになると、入れていて全然使っていないところもあるんですよ。なぜそういうふうにDEXを導入するのか、このことについてお伺いいたします。
  367. 長田武彦

    説明員長田武彦君) いま、とりあえず私ども資料のあります分についてお答えをいたしますが、丸の内には現在市内電子交換機が入っておりまして、これは一万六千端子の規模のもの、これが第一ユニット。それからもう一つ第二ユニットと申しまして一万五千端子のもの、この二つ設備があるわけでございます。現在、五十年度末の使用状況で申し上げますと、丸の内の第一ユニットは千六百四十六加入でございまして、これは現在使用率が一六%、それから第二ユニットの方は二千四百六十四加入入っておりまして、これは一六%という状況になっております。  この丸の内の第一ユニットと申しますのは、四十八年早々着工いたしまして、四十八年度末にサービスを開始いたしました。第二ユニットは、四十九年の二月ですから四十八年度末着工いたしまして五十年の五月、サービス開始をしたものでございます。当時の需要予測によりまして、五十年度末に大体六万六千加入ぐらいが見込まれるということでDEX二ユニットを必要としたということで実は計画をしたものでございます。しかし、ちょうどこの設備ができます時期が途中でオイルショックにひっかかったわけでございまして、非常にその点で需要の落ち込みがありましたとともに、当時、丸の内地区あたりでいろいろ建設中のビルが続々おくれてまいりまして、セントレックスのサービス等も考えておったわけでございますが、その加入者も大分おくれたということで、したがいまして五十年度末の収容加入数はいまの二つを足しまして約四千百というような数字になったわけでございます。しかし、これらもいま景気も持ち直してきておりますので、早晩使用されるであろうというふうに現在考えております。
  368. 山中郁子

    山中郁子君 かなりのあきがある、クロスバーでも現在あきがあるわけですね、いっぱい。じゃクロスバーが大体満杯になるのはいつごろだというふうに見込んでいらっしゃるのですか。
  369. 長田武彦

    説明員長田武彦君) クロスバーは、現在、丸の内には端子数にしまして二万三千七百端子ございまして、五十年度末の使用状況は二万一千九百三十二端子、九三%の使用状況になっております。ほぼ満杯だというふうに考えてもよろしいんじゃないかと思います。
  370. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、あわせて千代田局のクロスバーの使用率をもう一度教えてください。
  371. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 千代田の関係の資料については、いま持ち合わせがございませんので、早急に調べさしていただきます。
  372. 山中郁子

    山中郁子君 いずれにいたしましても莫大な費用をかけてDEX、つまり電子交換機を入れて、それが使われていないで、まだクロスバーもあいているという面があるわけですけれども、このDEXというのは電話の問題だけで使うということじゃなくて、公社がさんざん言ってらっしゃる総合通信網、つまりデータ通信その他で総合通信網を完成させるためにDEXが必要だというふうに言われているんですが、そのことの目的は当然おありになるんだと思いますが、いかがですか。
  373. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 現在、いま話が出ております丸の内のDEX、電子交換機、これにつきましては、将来のそういう総合網という問題よりは、むしろ現在の需要というものを主として考えておるわけでございます。ただ、DEXを使いますということは将来そういったようなものにも備え得るということでDEXを使っていくと、こういう形を考えておるわけでございます。
  374. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、やっぱり電話の架設ということでなくて、将来、そういうものにも備え得る、つまりデータのための総合通信網ということでDEXを先行投資しているということは事実だということになりますね。
  375. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 現在では、もうクロスバーもDEXも、特に丸の内のように非常に効率の高いような局におきましては価格で全然差がございません、創設費で差がございません。むしろ保守費まで考えますと年経費ではDEXの方が安い、こういうこともございますんで使っておるわけでございます。  また、そのほかに、将来に備えましてという意味は、あの地区ではもうそう大きく将来局舎の場所を得ることができませんが、DEXの場合には大体局舎のスぺースが二分の一で済む、そのことのために将来に局舎を備え得ると、こういう意味もあるわけでございます。
  376. 山中郁子

    山中郁子君 電子交換機は第五次五カ年計画では三百七十ユニット増設するというふうにたしか公社は計画を立てておられたと思いますが、五十一年から五十三年末までの期間に何ユニットの増設を計画していらっしゃるのか、一ユニット幾らで、総額は幾らになるのか、この点をお示しいただきたい。
  377. 長田武彦

    説明員長田武彦君) まず、第五次五カ年計画中におきます電子交換機の導入の計画は、当初、いま先生指摘の三百七十ユニットということで、これ四十七年だろうと思いますが、計画を立てたわけです。その後、四十八年以降の計画の見直しということもありまして、現在考えております五次中の導入のユニット数は二百八十四を考えております。したがいまして総計で約八十数ユニット一応落ちているというかっこうでございます。  また、この入れます電子交換機の使い方の問題でございますが、いま千代田、丸の内等で御指摘がありましたような市内の交換機として使う使い方と、   〔委員長退席理事茜ケ久保重光着席〕 それから市外の中継交換機、われわれはTSと言っておりますが、として使う使い方と二通りございまして、現在、市内用として使いますのが百七十ユニット、それから市外用八十六ユニット、それから市内市外を実は併用するという使い方もございまして、これで二十八ユニットということになっております。それでちょっといま数字持ち合わせないんですが、五十一年度につきましては二百八十四ユニットのうち大体約七十ユニットを計画しておりますし、それから五十二年度もそれに若干上回る程度のたしか計画をしておるというふうに考えております。それから五十三年度以降につきましては、まだ計画が決まっておりません。
  378. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、まず五十一年度、五十二年度でそれそれ七十ユニットとしますと百四十ユニットですね。そして五十三年はまだ決まってないとおっしゃるけれども、五十三年末までの建設投資額でもって、収支採算合わせるために、赤字がこれだけ出るから料金上げてくれと、こうおっしゃっていると私どもは存じておりますが、そうした建設投資の内容が五十三年度はみんな決まってないんですか、DEXだけ決まってないんですか、まずそのことについてお尋ねいたします。
  379. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 先ほど三宅総務からも御説明申し上げましたけれど、大体、いまクロスバーと電子交換機といいますものは、適当の大きさの規模以上の局になりますと、ほぼこれの創設費が同額でございますので、クロスバー・電子交換含めましたトータルとしての基礎工事をどれだけすべきかということは検討しておりますが、それを電子交換とクロスバーに分けるという点についてはまだ明確になっておりません。
  380. 山中郁子

    山中郁子君 そうしましたら、五十三年末で赤字の問題をあなた方が提起されていらっしゃいますから、だから私は五十三年末までを含めて仮に七十ユニットということで考えていきますと、二百十ユニット五十一年から五十三年末までにDEXを入れると、こういうふうにしますね。そうしますと、一ユニット幾らで、総額は幾らになるわけですか、DEXに関しての投資は。大体でいいですよ。物すごい細かいことでなくていいです。
  381. 長田武彦

    説明員長田武彦君) ちょっと数字は持っておりませんので、宙でお答えいたしますんですが、現在、市内の交換機で三万ないし四万端子ぐらいの規模になりますと、端子当たりの工事費が大体四万円程度に相なっております。
  382. 山中郁子

    山中郁子君 幾らになるのですか、一台。
  383. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 問題は、その端子数が、どれだけの規模の局をやるかということで、この辺大分実は動きますので、たとえば一万端子の局をやるということになりますと、大体、四億程度に相なろうかと思います。
  384. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、一律にいかない面がかなりあると思います。ですから、私はいま見当をつけるためにうんと大ざっぱなことでお伺いしていますので、そういう前提でも結構なんですが、一台当たり四億としますね、四億としてこれが二百十ユニットでしょう。三年間でまあ二百ユニットとしますね、そうすると八百億からの建設投資がDEXで行われる、DEXが占めると、こういうふうになりますね。それは八百億がどのくらい減るか、どのくらいふえるかは別ですよ。だけれども、その投資額がいかに莫大なものであるかという見当をいま私がつけているわけです。  そうしますと八百億のDEXを導入する。そうしてしかもそのDEXが、あなた方はクロスバーと同じ問題だとかいうふうにおっしゃっているけれども、実際問題としてDEXの導入を公社がどういうふうに位置づけているかということは、これはもういろんな資料で明らかなんです。  これは公社がお持ちいただきましたので、私も一生懸命勉強させていただきました「電気通信自主技術開発史」です。この中にも「データ・画像など電話以外の新しい通信への設備共用の面からも、電子交換機は各種の融通性に富んでいる。このような観点から、網への融通付与については、電子交換機を主要局所へ布石し、更に全交換局の電子化へ向けて着実に歩むことが今後の重点施策とならねばならない。」と、随所にこりいう問題が出てきます。ですから、明らかにDEXの導入は、いま大まかに仮定をして三年間に八百億の投資をするというふうに公社が考えておられるDEXの導入は、明らかにデータその他の新しいサービスのための総合通信網作成のために必要なものだということは、私は公社も否定なされないことだというふうに思います。  で、この点についてですね、電話部門の建設にこの電子交換機を入れているのかどうかということをお伺いいたします。
  385. 長田武彦

    説明員長田武彦君) DEXにつきましては、これはもう現在、先ほども申し上げましたけれども、市内の電話交換機、それから市外の中継交換機として使っておりますけれども、これは当然電話部門の投資枠に入れております。
  386. 山中郁子

    山中郁子君 じゃもう一つその前にお伺いします。  それじゃDEXは、こういうところにいっぱい書いてあります。「電信電話経営月報」にもくどいほどDEXが画像通信とかデータ通信のために必要なんだと、そのためにいまDEXを導入しなきゃならないんだということを繰り返し書いてありますけれども、そのことについての公社のお考えはいかがですか。
  387. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 先ほども御説明申し上げましたように、電子交換機はクロスバーと全く同じ機能も持ってといいますか、これを持っております。したがいまして、しかもその創設費あるいは年経費というものはクロスバーと遜色がないわけでございます。大きい局では、先ほど申し上げましたように、むしろ少し安目になってくる、こういうものでございます。これを、将来、画像通信等が出てまいりました場合に、そのまま画像用の交換機としても使用できるということを私ども将来への弾力性として考えておるわけでございまして、クロスバーではそれができませんで、将来そういう画像等がある程度の量になってまいりました場合には、また別の交換機を置かなければならない、こういう問題が出てまいります。  DEXの中で一番金のかかります部分は、頭脳部分に相当いたします中央制御装置でございますが、この中央制御装置等全部共用ができる、将来に対して確かに布石になり得る。ただし、現在クロスバーでやりますよりも高いというんじゃなくて、同じ価格まで持ってこれましたので、これを使っておる、こういうことでございます。
  388. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、DEXとクロスバーの価格をお示しいただきたいと思います。その経済性の観点からです。
  389. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 先ほども私クロスバーも電子交換も三万ないし四万ぐらいのところでは大体価格としては端子当たり四万程度でございますというふうに申し上げたわけでございますが、一つのある局の例を申し上げますと、約二万三千端子の局にいたしますのに予算で電子交換では八億五千六百万実は計上してございます。これを現在クロスバーで実施するとして工事費を試算してみますと約九億四千三百万ぐらいになるという状況でございます。電子交換は端子当たり約三万七千円、クロスバーでは四万一千円というふうに、非常に規模の大きな局ではDEXの方が安うございます。
  390. 山中郁子

    山中郁子君 総合的な経済性について、それでは後ほどで結構ですけれども、整理して、いただきたいと思います。それはよろしいでしょうか。
  391. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 総合的な経済性というふうに一概に申されますと、たとえば現在電子交換、私どもいまD10型というのを使っておりますけれども、これをたとえば一千端子あるいは二千端子というような小局に使うということは全く考えてないわけです。こういうようなところはもう明らかに従来からあります小局用のクロスバーを使った方が安い、こういうことでございまして、現在、大体、電子交換機はもちろんいろいろ交換機本体の価格、それから工事費、それから局舎の、先ほど申しましたが、スペースの規格、こういうようなものも総合的に勘案しまして、クロスバーよりも電子交換でやった方が安い、あるいは当面局舎を長もち、相当もたせることができるというような状況を勘案して入れております。
  392. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、それはクロスバーと比べてDEXを入れた方が安いというところしか入れないと、こういうことのようですね、それでよろしいですか。
  393. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 現在までの導入の局を選定するのは、そういう方針でもちろんやってまいりました。ただ、今後、電子交換機もさらに研究が進められるし、さらに安くなるという状況がございます。それから現在D10型という交換機もほかにいろんな使い方を実ばすることを考えております。要するに中央制御装置を親局の分を使って子局には通話の部分だけしかないというような使い方であるとか、あるいはさらに小局に向きます電子交換機の開発をするというようなことを考えております。
  394. 山中郁子

    山中郁子君 私はいま何でお伺いしているかと言いますとね、先ほどから私はDEXでもって電話のために必要でないデータその他の新しいサービスだとか、そうしたもののための先行投資として一つの例を挙げてDEXの導入を申し上げているわけです。でも公社はそうではないとおっしゃっている。結果的にそうしたものに機能するかもしれないけれども、実際問題としてDEXをどうする、クロスバーにしてもDEXにしても安い方でやっているんだと、こうおっしゃっているから、だから結果的な機能であるならば、要するにDEXの方が安いという場合にしかDEXは入れないんですねと、今後の問題も含めてです、そのことを伺っているわけです。
  395. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) 現在においては、先生いまおっしゃいましたとおり、DEXの方が安いと、これは年経費で考えまして安いということの場合に使っているわけでございます。  ただ、このDEXの使用範囲が、ただいま施設局長が申しましたように、いろいろ改良をしておる。小型、小局用のものの開発をしているというようなことがございますんで、だんだん使用範囲がふえてまいります。この使用範囲がふえてまいりました場合に、従来のクロスバー交換機の方は相対的に今度は使用範囲が減りまして、製造必要量というものが非常に少なくなってまいります。この時期には、やはりそうなりますとクロスバーは非常に高いものになってまいります。やはりある程度の経済生産規模がございませんと価格が急に高くなってしまいますんで、そういったような時期にはDEXというものが標準交換機としてすべての分野に使われていくという、それが総合的な経済性であろうと、こういうふうに私ども考えております。その時期がいつ来るかは、まだちょましても、現在、ちょっと明らかにはし得ないわけでございます。
  396. 山中郁子

    山中郁子君 端的に伺えないので問題がなかなか解明できないんですけれどもね。私が申し上げているのは、そういうふうな先行投資、直接電話の架設その他に関しての必要でない先行投資を行い、そしてそれは何に使われるかと言えば、データその他の新しい通信のために行われている投資であると、まあこのことがいいか悪いかについてはいろいろ議論のあるところでございましょうけれども、私たちはそういうふうに判断します。それはやはり電話はこれから建設これだけしなくちゃいけないと、だからどうしてもこれだけ赤字になるんだから電話料を上げてほしいということに結局帰着してきて、そこの中の一つの大きな矛盾としてその中にはらんでいるというふうに指摘せざるを得ないんです。  ところで、公社は、福祉型に五カ年計画を見直したというふうに言っておられるわけですが、五十三年末までの電話の投資額について幾らかということをお尋ねいたします。
  397. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) 五十三年末と申しますと、いまわれわれがつくっております五十一年から五十三年の間の話かと思いますが、その間五兆四百億ということを申しておりますが、そのうち電話という形で区分いたしますと、投資いたしますのは、その約九三%、四兆六千七百億を予定しております。
  398. 山中郁子

    山中郁子君 四兆……
  399. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) 四兆六千七百億でございます。
  400. 山中郁子

    山中郁子君 圧倒的な部分電話になって、それが四兆六千七百億という莫大な数字になっているわけですけれども、先ほど申し上げましたDEXの問題での先行投資としての疑問ですね、こういう観点から一つ私は申し上げているわけですけれども、そうしますと公社がこの中で、創設単金は幾らというふうに言われているのか、説明いただいた分もありますけれども、どうも先ほどからのお話だと、私の方で事前に説明していただいた数字がかなり違っていますので、創設単金についてお尋ねいたします。
  401. 長田武彦

    説明員長田武彦君) いま先生指摘の創設単金と申すものでございますけれども、まず年度の予算では必要な工程を積み上げまして、それで当然予算というものが成立されるわけです。それで投資の傾向を調べるために、私ども、いま加入者新規増設にかかわる投資部分、それから既設加入者の維持改良にかかわる部分に一応大まかに実は大分大胆な前提を置きまして分計して、創設単金といいますものをつくっております。先生のおっしゃる創設単金という話は、新規増設分にかかわる単金であろうかと思いますが、五十一年から五十三年度につきましては、これは約三十二万というふうに見ております。
  402. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、その既設加入者の何とかっておっしゃった分はどういうふうになるんですか。
  403. 長田武彦

    説明員長田武彦君) もう一つは維持改良分でございますが、これは既設加入者の維持改良にかかる部分、これの五一ないし五三の建設計画に基づきまして算定しました結果は二万円でございます。
  404. 山中郁子

    山中郁子君 それでは新規増設分三十二万で何台か、既設加入者維持改良費二万円で何台かということを、電話部門の建設投資の額の中でお示しいただきたいと思います。
  405. 長田武彦

    説明員長田武彦君) まず、新規増設でございますが、三年間の新規増設加入数七百七十万、これを掛けまして約二兆四千四百億でございます。それから維持改良分につきましては、二万円掛ける三カ年中の稼働加入数でございまして、まあ毎年毎年加入数変わりますんで、それを足して割るわけですが、これが一億三百十万加入という三年間の延べ加入でございます。それで投資額が二兆一千六百億となっております。
  406. 山中郁子

    山中郁子君 二兆幾らですか、既設加入者の維持改良費。
  407. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 二兆一千六百億です。
  408. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、私は大変奇異に感じるんですけれども、四十八年から五十年までは九百三十六万台つけて三兆八百七十億の建設投資であったと思います。この数字はよろしいですか。
  409. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 四十八から五十年度、三年間では増設加入数が九百六万、投資額が二兆四千百六十八億ということで、新規増設分の創設単金は約二十七万円というふうに考えております。
  410. 山中郁子

    山中郁子君 そうしましたら、いまあなたがおっしゃった五十一年から五十三年末までの新規増設分、既設加入者の維持改良費分、これを合わせて四兆四千四百億に対応する四十八年から五十年までの九百六万台ですか、九百六万台の数字金額をちょっとお示しいただきたいと思うのです。
  411. 長田武彦

    説明員長田武彦君) あと維持改良分が一兆一千九百三十二億ございまして、合計しまして電話部門の投資額が三兆六千百億です。
  412. 山中郁子

    山中郁子君 九百六万と七百七十万です。これは百三十万台も今度減るわけでしょう。それにもかかわらず前回の、前期の分が三兆六千百億、これが四兆四千四百億、極端に言えば一兆円近くはね上がっているのですね、百数十万も減って、なおかつ一兆円近く建設投資がはね上がっている、一体、これはどういうわけでしょう、ちょっと普通では考えられない。こんなに物価が上がったのですか。
  413. 長田武彦

    説明員長田武彦君) いま先生電話部門の投資額の四兆六千億と三兆六千百億、これで御比較をされたわけでございますが……
  414. 山中郁子

    山中郁子君 四兆四千四百億。
  415. 長田武彦

    説明員長田武彦君) 私、先ほど四兆六千億というふうに申し上げたつもりでございますが、それで約一兆円の差という御指摘でございますが、維持改良の対象加入数が伸びておりますことが一つと、それからやはり新規増設分の創設単金が若干値上がりしているということでございます。
  416. 山中郁子

    山中郁子君 数字のあれはちょっと省略しますけれども、先ほどあなたが既設加入者の維持改良費で二兆一千六百億、それから新規増設分で創設単金から言って二兆四千四百億とおっしゃったので——ああ、そうですね、これで四兆六千億になるわけですね。四兆六千億ということで、一兆円ふえているというふうに私は申し上げたわけです。  だけれども、実際問題として、維持改良費の対象がふえているからといって、一兆円も超えるほどの新しい建設投資が電話部門で必要だということは、私はしかるべき理由が、根拠が示されない限りはちょっと理解に苦しむわけです。それで公社は、その値上げの最初のいろいろの説明を出されたときに、技術革新その他で五千億程度の節約をしたいということを文書で出されておりました。それから資材、人件費は二〇%程度の値上がりというふうにも言われておりましたけれども、そうしたさまざまな要素をとってみましても、維持改良費を別にして、そうして創設単金三十二万円、そんなに急に電話部門の経費がはね上がるということはちょっと考えられないし、ここにも大きな疑惑があると私は思いますけれども、合理的な答弁がいただけるものでしたらお願いをいたします。  つまり、そういうふうにふえたと言うならば、ふえた部分についての維持改良費が幾らになっているかということを含めてですね、前は、維持改良費はそれでは幾らであったのか。
  417. 長田武彦

    説明員長田武彦君) まず新規増設単金についてでございますが、いま私四十六年度と五十一年度の新規増設単金を一応比較してみた資料を持っておりますが、これが四十六年度では一加入新規増設当たり二十六万、これが五十一年度では三十二万に上がっております。約二三%の値上がりでございます。  で、ここで二十六万の内訳でございますけれども、これは加入者のいわゆる専用部分と申します、これは例の設備料の問題でいろいろ討議された部分、これが七万五千円。その他、市内の電話局以降市外関係全部含めまして十八万五千ということになっております。で、この加入者専用部分につきましては今回の三十二万円の単金の中では十二万円を占めておりまして、約六〇%の上昇をしております。それからその他の市内電話局、市外関係一切、これは約二十万になりまして約一〇%の上昇をしております。  このまず加入者専用部分の上昇が六〇%ほどの上昇というのは非常に大きいですが、これは非常に合理化の進めにくい部分でございまして、非常に資材、労務費の高騰をもろにかぶりまして、さらに屋外部分での作業の合理化が非常に困難であるというようなこと、それから非常に加入区域の周辺部に電話需要が広がっていくというような関係から線路も延びてくるというようなことで、大体、六〇%値上がりしております。それからその他の部分でございますが、これはやはり労務費が約二倍ぐらいの値上がりであり、それから物品も平均いたしますと二割ぐらいの値上がりをしているわけでございますが、ここの中にはいま先生指摘の新技術の効果というのが非常に大きくあらわれてまいりまして、大体一〇%程度の値上がりにおさまっております。   〔理事茜ケ久保重光退席委員長着席
  418. 山中郁子

    山中郁子君 いまあなたが言われたそのもので結構ですけれども、ちょっと後ほど資料としていただきたいんですが、よろしいでしょうか。
  419. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  420. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  421. 山中郁子

    山中郁子君 それで、私は、問題は、いまいろいろ申し上げましたけれども、莫大な電話部門の建設投資が、多くの先行投資部分を含め、そしてそれが必ずしも電話部門に該当しないというものも考えられる分を含んでいるということで、私は過大な先行投資が赤字をつくり出している大きな要因になっているということを指摘してきたわけですけれども、具体的に申し上げますが、先ほどちょっと触れましたように、公社は五カ年計画を福祉型に見直すということで言明されました。具体的にどこをどういうふうに見直されて、どういうふうになったのかということと、あわせて、この中で五十一年から三年までの間に五千億程度の節減を見込んでいると、こうおっしゃられましたけれども、節減を見込んだ部分とか、あるいは節減を見込んだ上でこうした数字になっているのか、あるいはこういう数字は出しているけれども今後節減が見込まれると、こういうことなのか、その点をお尋ねいたします。
  422. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  当初の計画との見直しでございまして、これはやはりいろいろな観点から、われわれといたしましてはナショナルミニマムというようなことを主眼にいたしまして見直したわけでございまして、まず一つ、公衆電話なんかにつきましては五次計画に比較いたしますと二万ほどふえております。あるいは老人用の電話総数というのがございまして、「あんしん」と言われているものでございますが、これは一万三千個ほどふやしております。あるいは難聴者用の電話機「めいりょう」というものでございますが、これは十万個ふやしております。その他、地域集団電話の加入一般化というものもございますが、これも十一万ほどふえております。そういった意味で、われわれとしては極力見直してそういったものをふやしていくということでございます。  五千億につきましては、ごく大ざっぱに申しまして、五十一年から五十三年度の三年間で申しますと、長距離伝送路でマイクロウエーブの採用でありますとか、新しい同軸ケーブルの採用で約二千五百億円。交換機等いわゆるクロスバー交換機を全面導入するということによりまして小型化、経済化が図れますので約千五百億円。ケーブル等につきましては新しいプラスチックケーブルを採用いたしまして最新化、経済化いたしますとともに障害を減らすというようなことを含めまして約一千億円、総計で約五千億円減っているわけでございます。
  423. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、五千億円を節減した上で、こういうふうに出しているということですね。
  424. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) さようでございます。そういった計画、試行を織り込んだ上での五兆円でございます。
  425. 山中郁子

    山中郁子君 私は、その福祉電話の問題その他についてもいろいろ問題があるし、すでにいろいろ指摘もされてきているという観点がありますが、いま先行投資の問題についての指摘にしぼりましたが、もう一度、公社としては、あるべき投資という方向へ今後の計画の過程において見直しをするという態度は当然のことながらおありになると思いますが、その点について、この問題の最後に総裁にお尋ねをいたします。
  426. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  先ほど来、いろいろ御説明いたしておりますけれども公社といたしまして、投資の能率を最もよくするということはこれは非常に大事なことでありまして、積滞解消、これは五十二年度末を考えております。五十三年度も新たに起こってくる新規需要に対しましては、これも当然応じなければなりません。国民の皆様のために電話を架設しなければなりません。また、自動化を五十三年度末にやらなければなりません。また、同時に、全国の移転というような問題もございます。そういうもののためにやはり先行投資が必要でございますけれども、投資効率を上げるということにつきましては最大限努力していきたいというふうに思います。したがって、現在できております計画はどっちかと言うとマクロ的な大きなものでございますけれども、実際、毎年の予算というものがまた当然起こってくるわけでございまして、こういう問題につきましては、今後とも、十分慎重に検討していきたいと思います。
  427. 山中郁子

    山中郁子君 では、次のテーマに入りますが、サービス改善の問題です。これはすでに委員会でも多くの質疑が行われましたが、公社が大幅な料金値上げをお願いしたいと言っているにもかかわらず、そうするから逆にこういう点でのサービス改善をいたしますというお約束がなかなかないということについては、かなり指摘がいろいろありました。それで私は多くの時間をかけるつもりはありませんが、順次、質問をし、公社見解と、それから積極的にそのサービス改善を実行できるお約束をいただきたいと思います。  一つは、夜間割引の拡大の問題です。現行夜八時からを私どもは具体的に六時からに繰り上げるということを提起しておりますが、そのことが一点と、それから日曜日・祭日についても割引の適用を行うということができないのかどうかという問題です。これは先ほどのトラフィックの関係のときにも若干議論をいたしましたが、一般家庭用電話の使用する時間は事務用電話が使わない時間に主として使っていて、遊休施設を稼働させるというそういう側面もあるわけです。で増収の役割りさえ果たしているということは私は否定できないと思います。ですからこそ、夜間割引制度というものを公社が積極的につくられたということだと思いますが、この点の夜間割引の拡大の問題に関してお尋ねをいたします。もちろん、公社のサービスの充実という観点からのお伺いですから、私の方の質問の前提としての値上げ問題との絡み合いはありません。私たちはあくまでも値上げ反対ということを主張しておりますが、サービスを充実し改善していくという観点から、そうしたお考えがないものかどうか。
  428. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) この前もお答えしましたように、私どもとしては、そういう意味でサービスの改善を図っていきたいと、それはお言葉を返すようですが、料金値上げができました上でないとできませんということは申し上げたはずでありますから、基本的に違いはあるかと思いますが、その前提に立ちました上で、いまの夜間割引の拡大、これは現在でも八時のところで自動でもコールが集中をして困るという点がございます。したがって、そういった点も考えながら外国でやっておりますような二段制するか、いろんな方法をいま検討しておりますが、そういった形で改善を図っていきたいと、こういうぐあいに思っております。
  429. 山中郁子

    山中郁子君 前提は横に置きましょう、一々繰り返してもしようがないから。  それで重ねてお伺いしますが、いまおっしゃった二段制というのはちょっとどういうものかお教えください。  それからもう一つは、先ほど申し上げた八時から六時というのがその二段制と関係するんでしょうけれども、それを除く日曜・祭日への拡大についても含めて、お答えとして受け取ってよろしいですか。
  430. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いま一段制なんですが、一段制ですと非常にコールがかたまってトラフィックに影響があるということもありますので、これをなし崩すという意味で二段制にして、後半部分、つまり深夜帯というものはもう少し割引率を高くするとか、そういったようなことも一つの案だと思って考えておりますが、これはお言葉を返すようですが、料金値上げができないとだめなわけです。それで、これは現在の法律の中でできる範囲でございますから、私ども十分研究してやるつもりでおりますが、日曜・祭日になりますと、公衆法別表第三項でございましたか、あれを改正をしていただかないとできないわけです。あそこには「夜間」としか書いてございません。もちろんこれも財政基盤が確立しました上で私どもとしては十分検討いたしましてそういう形をとりたいと、早急にやっていくように中身を現在検討しております。
  431. 山中郁子

    山中郁子君 たしか前に正月三カ日の昼間の割引をしてみたと、公社としても増収になったというふうに発表していたと思うんですけれども、やったんじゃないですか。何か改正しなくたって、できたんじゃないですか。
  432. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 正月割引、自動の割引につきましては、いわゆる減免措置といいますか、臨時減免でやっておるわけです、これが調度的な問題になりますとやはり法律改正が要るわけですが、一応、経済的にはこれが需要喚起の要素になるということはほぼわかりましたので、これをどういう形でやっていくか、また、その法律改正をお願いする時期をいつにするかということを検討したいと思います。
  433. 山中郁子

    山中郁子君 手続上、その他の必要なことがあるとすれば、それは当然のことながら勘案されると思いますが、具体的にはそれでは時間帯の拡大ですね、繰り上げですか、夜間割引の繰り上げと時期的には同じように考えておられるかということを一つ。  それからもう一つ、二段階にしたいというお話でしたけれども、そうすると、仮にでいいです、それは大体の感じとしてでいいですけれども、どのくらいの割引率を——二段階目は二倍くらいの割引にするのかということがもし固まっていましたら、ちょっと教えてください。
  434. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) それは固まっておりません。私どもとしては、いろんな方法を考えて皆さんに便利なようなことをたくさんの案をいま研究しておりまして、固まっておりませんので、現在の段階ではちょっとお答えはできませんが、前々からのお約束でもございますので、できるだけ急いで研究をまとめたいと、このように思っています。
  435. 山中郁子

    山中郁子君 夜間割引帯と日曜・祭日の問題は同じ時期というふうに考えてよろしいですか、先ほど答弁をお願いした部分ですけれども
  436. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) できれば同じにしたいと思うんですが、片方があれでございますから、結果的に前後がついてもこれはやむを得ないことではないかと思いますが。
  437. 山中郁子

    山中郁子君 二つ目の問題に入ります。  これはたしか昨年の十一月ごろ行われた公社の記者会見の中で言われていたことだと思いますが、番号案内の有料化とか一〇〇番扱いの市外通話の夜間割引の廃止などをちょっと口にされたことがありました。その後、それはそのまま消えているようにも見受けられますが、この際、明確にしていただきたいんですが、こうしたサービス低下はもちろんおやりにならないと思いますが、答弁をお願いいたします。
  438. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは現在検討しておりまして、結論は出ておりませんが、番号案内につきましては、かつての手動時代の番号案内と性格が相当変わってきていることは先生も御承知だと思います。といって、これを全部有料にするということもなかなか技術的にもサービス上も問題がありますので、現在、白紙の立場で検討しているというのが一番正確なお答えだと思います。  それからDSAの夜間割引の廃止——いわゆる手動の夜間割引の廃止、これにつきましても、一般の手動の場合とそれからDSAのように代替装置のあるものとの関係がございますから、一応、今回の料金値上げではDSAの夜間割引はこれと並行してやることは私どもはいたしたくないと、こういうぐあいに考えております。
  439. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、やっぱりちょっと問題ですね。料金値上げをおっしゃっているかたわら、今度は、DSAの割引の繰り上げの問題はともかくとしまして、番号案内の有料化を白紙の立場で検討しているということは私はどうしてもこれは理解に苦しみますけれども、サービス低下でしょう。大きなサービス低下ですね、片方で料金値上げを迫っておきながら。このことは何としてでもいまの段階では考えないということのお約束をいただかなければならないと思いますが、総裁見解をお伺いいたします。
  440. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは先生御心配になるほど、私は、はっきりやるともやらぬとも申し上げていないんですが、と申しますのは……
  441. 山中郁子

    山中郁子君 だから心配しているんです。
  442. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いや、番号簿との関係がございまして、現在、番号簿に使っておる経費も相当なものでございますけれども、やはり全体的に今後この形で私どもが企業努力をしてできるだけ低料金で据え置いたままでいきたいという中にはやはり合理化という問題があると思うんです。この場合に、番号簿の経費の問題、それからこの一〇四の番号案内の問題、この二つは絡めまして検討材料にいたしておることは事実であります。
  443. 山中郁子

    山中郁子君 一たん記者会見でちょっと口にされたことが白紙に戻っているということなので、それは撤回をされていることだというふうに理解をいたします。  それで現行どおりで当然いくべきだと、現行どおりというのは、その料金関係の問題についてですね、増収計画においても専用線その他で合計四百億という額になっていますし、必要な人員をきちんと配置して労働者負担がかからないようにして、それで番号案内業務はやっていけるというふうに私どもは判断しておりますが、いずれにいたしましても、いまこの時点で有料化の方向でもって検討しているんだということでなければ、その旨おっしゃっていただきたいと思います。
  444. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 合理化の方向で検討しております。
  445. 山中郁子

    山中郁子君 三番目の問題普通加入区域の拡大の問題ですが、これももう繰り返し言われていることですが、計画上ですね、普通加入区域の拡大はほぼ数字から言えば解消に近い拡大がどういう計画を持って展望されているか、お尋ねをしたいと思います。
  446. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答えいたします。  加入区域の拡大につきましては、以前から要望がございました。そういったことで第五次第五カ年計画におきましては全国で四千六百ほどの局がございますが、これを五カ年計画で半径五キロまで拡張する、こういう案を持っております。これで大体毎年約九百区域ほど拡大してまいりまして、現在その三年目でございます。したがいまして現在のわれわれの計画しております加入区域拡大工事ができますれば、大体、五十二年度末にはほぼ全局におきまして半径五キロまで普通加入区域が拡大されると思います。しかし、その場合でも手動局は一部残りますが、これは手動局の自動改式工事とあわせて五十三年度末には解消したい、こういうことでございます。
  447. 山中郁子

    山中郁子君 次に、先ほどの質疑の中の問題とも若干ダブりますけれども、したがって簡単に答えていただいていいんですが、公衆電話の優先設置ないし福祉電話の開発と普及ですね。そうしたことはやはり国民の要求また公共事業としての基本的な任務からいって主要な問題として設備投資の中にも位置づけられてしかるべきであるというふうに考えておりますが、その計画についてお尋ねをいたします。
  448. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、われわれも公衆電話の使命につきましては十分承知しておりまして、最近は、特に御要望がございますのは終日使える公衆電話ということでございます。こういった意味でいわゆる新型の青電話でありますとか、百円公衆というようなものを重点にいたしまして、各種公衆電話の一層の充実をしたい。  具体的に申しますと、五十一年から五十三年の三年間で約十五万個ほど予定しております。そのうち終日利用可能な公衆電話は十三万個を予定しております。
  449. 山中郁子

    山中郁子君 いま福祉電話にお答えいただきましたか。
  450. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 福祉電話につきましても、いまの計画の見直しの中でいわゆる重点項目の一つとして私ども機能開発なりあるいはその普及ということにいたしておりますし、また、料金面——料金面というと語弊がありますが、一部につきましては設備料ですとか債券とかそういったようなものにつきましても、考慮を払いたい、こういうぐあいに思っております。
  451. 山中郁子

    山中郁子君 もうちょっと具体的に伺えるならばお願いします。
  452. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 福祉電話につきましては、最近出ました老人用の「あんしん」というようなもの、それとか、老人とか難聴者のための「めいりょう」というようなものを実施しております。それで「めいりょう」等については大体年間四万ちょっとでございます。それから「あんしん」につきましては五千程度考えておりますが、これはいずれにしましても、一応の数字はそうういふうにいたしておりますが、需要があれば、それに応じておつけするということで考えております。その他新しくいろんなものを考えておりますが、現在出ているのでは盲人用ダイヤル、そういうのがございます。
  453. 山中郁子

    山中郁子君 その「あんしん」と「めいりょう」というのは何回も何回も伺っているんですよ。それで見直しをして福祉型に見直しをしたとこうおっしゃっているから、もうちょっと、何かもう少し全面的な福祉開発、普及の計画がおありになってもしかるべきだと思ってお尋ねしたわけですけれども、この点はそのようにおっしゃっているわけですし、重要な項目であるというふうに繰り返し言われているわけですので、「めいりょう」と「あんしん」だけでなくて、総合的に福祉面での開発、普及の計画を早急にお持ちになっていただきたいということを強く要望しておきます。  次に、地域集団電話一般電話への切りかえについても、これも国民の多くの皆さんの切実な要求です。もちろんすべての人が地集じゃありませんから、そういう意味では部分的な人たちの要求ではありますけれども。そして、これの計画がどうなっているのか。それから要求ですね、地集を一般電話に切りかえてほしいという要望が全国でいま何加入あるのかということについてお尋ねをいたします。
  454. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  五十年度末で地域集団電話は約百十五万個ございます。これにつきましては年々われわれとしては一般化と申しますか、一般電話に切りかえをやっておりまして、昨年はたとえば六万個ぐらいございましたが、今年はこれを九万個やっております。今後はこれをさらに広げていきたいと思っております。しかし、何分にも百万個以上ございますからこれは今後の問題になろうかと思いますが、われわれとしては極力これを計画的に解消するように努力したいと考えております。
  455. 山中郁子

    山中郁子君 現在の地集から一般電話へ切りかえてほしいという要望はどのくらい把握しておられますか。
  456. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  この希望はなかなかとりにくいといいますか、とったこともございませんので、はっきりいたしませんが、ただ、現在百十五万個ほどの大体半分が普通加入区域内でございます。したがいまして、加入区域外でございますと、また負担金が要りますので、そういった意味ではまだ要望ははっきりしておりませんが、恐らくいま申しました普通加入区域内の大体六十万の大部分の方は希望しているのではないか。もちろん区外の方も、加入区域が拡大されまして入った暁には、当然、一般化の御要望が出てまいる、こう考えております。
  457. 山中郁子

    山中郁子君 サービス面のテーマで最後にお尋ねいたしますが、この料金値上げは公布の日の翌日からということでなっていますけれども設備料について言いますと、一年前から申し込んでもつかない。いわゆる積滞の部分、それが大ぜいいらっしゃる。結局、もう前から申し込んでいて、それが公社の都合でつけてもらえなかった。そういうものが、今度もし仮にこれで設備料が八万円ということになったら、その人たちからも八万円の設備料を取るというのは、これは何といってもあこぎじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺のことは何かお考えがありますか。
  458. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは前回五万円に値上げをさせていただきましたときにも、やはり同じ問題がございました。結局、ここは有名な遮断機論というのがございますのですが、どこで区切りましてもその境目のところで必ず御不満は出るわけでございまして、そういう意味で、法律が通りました日をして終点として、そこで遮断断をおろすというのがやはり一番皆さんに納得していただける方法じゃないか、こう思いまして、私どもとしては、法律が通りました以後は八万円、こういうぐあいに考えております。  ただ、問題は、それまでの間、たとえば本日現在において新規加入者の申し込みがありましたその工事を極端に故意に遅くするとか、おくらせるとか、そういうようなことはもちろんしないように指導もしておりますし、また、そういう誤解を与えないようにもいたしております。  それからなお、五万円になりましたときは、その前が三万円、その前が一万円だったのですが、一万円時代の申し込みというのが相当ございました。しかし、今日の時点では、八万円になりました場合に、五万円のもう一つ前の三万円時代のものはもうほとんどゼロであります。正確に申すと十二件だったかと思いますが、ほとんど加入者理由によってつかないものでございますので、当時とは大分情勢が変わっております。  いずれにいたしましても法律施行日からやらしていただきたい、こういうぐあいに思っております。
  459. 山中郁子

    山中郁子君 これは有名な何理論だか、私は寡聞にして存じ上げないのですけれども、切るということはできるわけでしょう、どこで切っても問題が残るということじゃなくて。実際に五万円のときに希望をして申し込んでいた人たちは五万円でもってつけるということで、切ろうと思えば切れるわけでしょう。それはいままで繰り返し論議があったことはそうでございましょう。だけれども、実際に公社の都合で、つけてくれと言ってもつけられなかった、また場合によったら、同じときにつけてくれと言ってついた人もいるわけですね。そうすると、全く同じ時期に希望して、片方早くついた方は五万円の設備料で済んでいる。片方、遅く——公社の都合でですよ、これは結局公社の都合でつかなかったわけでしょう一つかなかった部分については、もしこれが値上げをされるとすれば八万円になる。そういう個人の、こちらの国民の立場から言っても、大変これは不公平になるというふうに言わざるを得ないと思うんです。まして、たった十二件であるかどうかは別として、三万円時代の積滞があるということになれば、一層三万円から八万円へというのは、自分たち加入者の責任とか要素が何にもなくて、そうした多額な設備料を出さなくちゃいけないということは大変矛盾があるというふうに考えますけれども、その点についての検討をされる余地が、一般論としてでも、私は大いにあると思いますが、いかがでしょうか。
  460. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いま申し上げました三万円の十二件というのは、これはいま個別に加入者に当たりまして、私ども加入者都合となっておるんですが、もう一遍当たりまして、そういう方方につきましては、もしも加入者の希望がございますれば、あるいは物理的な条件とかそういう条件があれば、必ず今月中につけよという指示をいたしております。  それから、先ほどの本論の方に戻りますと、そういうことにいたしますと、やはり申し込みがそこへ殺到いたしますとか、あるいはそうでなくても、既往の申し込みの中でいわゆる加入者都合であった方々が得をされると、こういうような問題もありまして、そういったような線はどこで切っても同じだと思うんです。やはりこれは法律というものが施行されるということが一番正しい行き方といいますか、皆さんに納得できる方法であるということで、前回もそういうぐあいにいたしておりますので、今回もそういうぐあいにいたすつもりでございます。
  461. 山中郁子

    山中郁子君 それはやはり何としても納得しかねますが、先ほど申し上げましたように、国民の  一人一人の権利として考えた場合には大変な不公正になると、この事実はこれはどうしてもありますよね。  そのことについて総裁のちょっとお考えを伺いたいんですけれども、私はどうしてもそれは不公正になると。同じ時期に申し込んでおいて公社の都合でつけてもらえなかったから、今度は設備料八万円払わなきゃいけない、いかがですか。
  462. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) まあ不公正といいますか、法律というものができました時点から以後八万円になるということは、私は決して不公正ではないと思うんです。それをどっかで……
  463. 山中郁子

    山中郁子君 申し込んだ人の立場。
  464. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) そういう形でやるということ自体の方がいろいろ問題があってトラブルが多いと思うんです。というのは、申し込みというものの中には、相当先を見て、いわゆる加入者都合で現在時点で家ができていないとか、そういったケースが意外に多いんです。そういったような方々の方が私は不当性感をそそる。この議論はもうすでに五万円当時にも何回も繰り返された議論でありまして、私ども非常に心配をいたしましたんですが、五万円のときに法律施行日に以後のやつを五万円にいたしましても、その問題についての苦情というのは余りなかったように記憶しております。
  465. 山中郁子

    山中郁子君 この点についての指摘を重ねて申し上げておきます。  次に、これは経営の姿勢の問題に関連いたしますが、衆議院における土橋議員の質問で、問題の人物である電電公社の前経営委員の小佐野氏が災害応急復旧用の無線電話を自分の自動車に取りつけていたということが明らかになって大変大きな問題になりました。私は、この問題について、少しこの前の公社答弁に基づきまして、もう一つはっきりさせておきたいということがありますのでお尋ねをしたいと思います。  で、このような小佐野さんのような設置の仕方をした人は、たとえば経営委員の中に、ほかにも何人かいらっしゃるわけですか、現実にそういうふうにして設置をされている方が。
  466. 植田義明

    説明員(植田義明君) 経営委員の中に、もう一人大野経営委員がございます。
  467. 山中郁子

    山中郁子君 この前のお話によりますと、これは試験用につけるというふうにおっしゃっていたんですけれども、何で個人に試験用としてつける必要があるんですか、いまの大野経営委員のことも含めて御答弁をいただきたいと思います。
  468. 植田義明

    説明員(植田義明君) 個人ではございませんで、公社の経営委員としておつけしたわけでございます。
  469. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、この災害応急復旧用の無線電話というのは実際にはすでに実用化していると思うんですけれども、これはたしか四十九年の十月二十二日から実用化して使用料や度数料も取っていると思いますが、実際にそういうふうに実用化されている段階でも、並行して試験というものを行っているわけですか。
  470. 植田義明

    説明員(植田義明君) 御案内のように、この無線電話は災害が発生した場合に使用するものでございます。一般電話でございますと、ふだん加入者もお使いになりますし常時動いておるわけでございますが、この場合は、常時使用できる状態、何らかの形でチェックする、チェックして監視しているという意味において試験をお願いしておるわけでございまして、商用試験のための試験ではございません。ただ、都市に設置されております関係上、特に都市の建物の条件が常に変化しておりまして、特に無線電話でございますので、電波伝搬等時系列的に変化いたします、常時そういう意味でも監視する必要があります、そういう試験でございます。
  471. 山中郁子

    山中郁子君 それだったら、公社のいろいろなこういうものですね、たとえばこれは応急用のですけれども、そういうものを全部商用化されているにもかかわらず、皆さんどこかで、みんな、だれか、ただで使って試験しているんですか。
  472. 植田義明

    説明員(植田義明君) 一般に、災害応急復旧無線はいろいろございますけれども、定期的にチェックをいたしております。この無線電話につきましても、ある期間等においては、装置の利用につきましては定期的に試験をお願いしております。ただ、いま申しましたように、試験の目的が二つございまして、端末機の試験とそれから交換系、無線系の試験、特に無線糸の都市の各地におきまして伝搬状態をチェックするという必要から移動的に試験をお願いしておるということでございます。  加えて申しますならば、この無線電話の特に災害時の目的が避難地というふうな場合が非常に多うございます。どこが避難場所になるか、あるいはどこに公衆電話を設置するかというようなことがございまして、サービスエリア内のどの場所でも無線が受かるという状態を常にチェックするという意味でございます。
  473. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、これずっと未来永劫こうやって試験しているんですか。
  474. 植田義明

    説明員(植田義明君) 無線電話の災害応急復旧であるという目的からいたしまして、将来にわたってそのつもりでおります。
  475. 山中郁子

    山中郁子君 郵政省にお尋ねしますけれども、いまおっしゃったとおり、これ未来永劫こうやってただで使っているらしいです。一体、そういうことが行われていいんですか、試験だと称して。実際に試験だったら、それにふさわしいしかるべき理由をもって、そしてしかるべき人がそれを使うと。公社の営業用にしても、公社の業務の上でですね、そういうことはあり得るでしょう。だけれども、経営委員で、その人たちが未来永劫それをつけて、災害応急復旧用と言ったって、それはどんな使用方法だって実際にできるんですよ。ダイヤル登録すれば、韓国だってハワイだって電話できるんです、実際問題として。小佐野さんが非常災害と言って、彼が何か非常災害に遭ったとすれば、まさにロッキード問題で疑惑を受けて、そうしてそういう彼の非営災害から逃避するためにこの非常災害用の電話が使われたかどうかということについては、そういうことがないなんて保証はありませんでしょう。私ば、こういうやり方というのは本当に不明朗だと思いますし、そしてまた電電公社としてあるべきやり方じゃないと思います。そのことについては郵政省としてのお考えを伺いたいと思います。  いまお話聞けばですよ、小佐野さんがそういうことでやめなければ、小佐野さんに未来永劫その自動車の中にこの電話をつけてですよ、そうして幾らでも自由に使わせる、そういうことだということ以外の何物でもないじゃありませんか。現実に、いまほかの大野さんという方も経営委員ですか、その方がそれをつけて、そしてそれを無料で使っているわけですよね。そういうことを未来永劫やるとおっしゃっている。しかも、それが、本当の試験期間じゃありません、現実に商用化されているわけです。その点についての御見解をお伺いします。
  476. 松井清武

    政府委員松井清武君) 公社からは、実験用、試験用として経営委員のうちの希望される方々に無線電話を配置したというふうに承っております。この問題につきましては、今後未来永劫に設置されるのかどうか、このことにつきましては存じておりませんが、公社の良識ある判断で措置されるべき問題であろうというふうに考えております。
  477. 山中郁子

    山中郁子君 いまのお話だと、未来永劫設置することになるとおっしゃっています。
  478. 植田義明

    説明員(植田義明君) 私が未来永劫と申しましたのは、個々の設置のことではございませんで、災害無線の性格上、常に監視を怠らないという意味でございます。
  479. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、このことは明らかにしてほしいと思います。  こういうふうな形で、災害防止の観点から常にチェックをしなきゃならないという種類のチェックを経営委員の中の希望する人につけてあげるというのは一体、何事ですか。もし、経営委員電電公社の最高の幹部であるからそういう責務があるというならば、それだったら全部につけて、総裁からみんなつけて、常にみんなでチェックしてたらいいじゃないですか。希望する人につけさせて、そしてそれをただで使わせて、そしてそれをどういうふうな調査報告をされているのかわかりませんけれども、私の方に調査報告それじゃ下さいと申し上げてまだいただいておりませんが、そういうあり力を放置しておいてはいけないということは、これはもう当然のことじゃないですか。こうした電話の開発のためにも莫大な投資がかかっているわけですよ。そういうものを希望する経営委員に無料でつけて、そしてそれを野放図にほうっておくということを、小佐野さんの問題で国会で問題になったにもかかわらず、依然として改めてないということについては、私がこの場でしっかりと電電公社総裁からそういうチェックのあり方というのは本来的な公社の経営の姿勢からいって間違っていると、そういう不明朗なことはやめると、そうしてしかるべき国民が納得できるような非常災害用電話のチェックの機構をつくる、こういうお約束をいただかなければなりませんし、郵政省としても、そういう形での御指導を確約していただかなければなりません。
  480. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  この非常災害無線というのは、初めは四百メガサイクルを使っておりまして、自動車無線として使い得るかどうかというテストをした時代があります。しかし、この四百メガサイクルが非常無線のフレクェンシーバンドになっておりますが、今後、恐らくこの四百メガサイクルの波を自動車に載せるということはなくなるんじゃないか。ですから、未来永劫やるというのじゃなくて、適当なときには私はこの問題は終止符を打つことになるんではないかというふうに思います。  それから、小佐野経営委員の問題でありますが、たしかこれ前回この委員会で村上郵政大臣の時代だと思いますけれども、御質問がありました。そのときに村上郵政大臣もお答えになっておるのでありますが、私たちといたしましても、経営委員会でこういう自動車無線があるというときに、話題になってつけたいという希望で、たしか経営委員がおつけになったと思うのでありまして、結局、小佐野経営委員がおやめになった次の日に直ちに撤去した、こういう経緯でございます。
  481. 山中郁子

    山中郁子君 郵政省見解を承る前に、もう一度総裁には一、きり答えていただきたいんです。  私は、もし仮にこれからはもうそれを載せなくて済むようになるからとおっしゃるから、それはそれでもいいですよ。だけれども、いま現在そういうものを載せて、しかも希望する経営委員にやっていると、そしてしかも、その大義名分は、災害用の問題なんだから、だから常にどこかでチェックしてなきゃいけないと、それだったらもっと公社の責任ある立場の人たちが責任ある方法でそのチェックをするべく、その仕事としてそれをつけなきゃいけないでしょうと言っているんです。経営委員の希望する人がたまたまつけてほしいというからつけたと、そしてそれが災害用の試験的なつけ方だと、こういう経営姿勢に問題があると、そういう公社の姿勢ですね、そこに問題があるというふうに申し上げているんです。だから、そのことは、そういう疑問を国民が持たざるを得ない。しかも、それがロッキードの疑惑の焦点にある小佐野さんがたまたまそこにまたぶつかって、私はまたそういう人だからそういうことをやったんだと思いますけれども、そういう点についての公社の姿勢を改めていただきたい、少なくとも反省をしていただきたい、このことを申し上げているんです。  非常災害用だから、それについて公社が常に万全の責任を持つためにそれをチェックしておかなきゃいけないというならば、当然、しかるべき人がそうした任に当たらなきゃいけないでしょうと。小佐野さんだって二カ月も三カ月も病気で休んでいたらしいじゃないですか。そういうような人じゃなくて、公社がちゃんと責任を持ってそのことを調査し、公社に責任を持って報告できる、そういう人にその任に当たってもらわなきやならないでしょうということを申し上げているんです。
  482. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  御意見十分何といいますか、私たちも理解することができます。ただ、非常災害という、ちょっとこれ技術的な話になりますけれども、四百メガサイクルという波、これを自動車で使うということは東京のように、何といいますかハイウエーがいっぱい走っているところになりますと、たとえば五反田のへこんだところに行ったり、あるいは電電公社の前なんかに参りますと不感地帯、いわゆるその不感ゾーンというのがありまして、結局、いまの四百メガサイクルというものは自動車無線として持っていくのには私は必ずしも適当じゃないんじゃないか。非常災害のたまたまバンドになったということでこの問題が少し紛糾といいますか、わかりにくくなってしまったんでありますが、自動車無線としてはもっと別の波を使って、しかもこのバンドのメッシュを狭くして、広いバンドじゃなくてバンドを狭くして切りかえていくようにしないと、私はコマーシャルな価値がないんじゃないかというふうに思います。まあそんなことでございまして、この問題は結果的に見ますと、衆議院の委員会でも申し上げましたが、何といいますか、必ずしも適当ではなかったというふうに、私、衆議院の委員会でも答弁しております。
  483. 山中郁子

    山中郁子君 郵政省にもお尋ねしているんです。
  484. 松井清武

    政府委員松井清武君) ただいま先生の御指摘にもございましたが、公社の経営姿勢として世間一般の誤解を招かないように配慮すべきということは当然のことでございます。そういう意味合いにおきまして、先ほど総裁答弁もございましたが、公社側におきまして良識ある判断を期待するものでございます。
  485. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、この問題の最後に確認をしたいと思いますが、小佐野さんに試験用に使ってもらったと、こうおっしゃっていますけれども、報告書は結局ないんですね、当然あるんじゃないかというふうに私申し上げたんですけれども
  486. 植田義明

    説明員(植田義明君) 現在取り外しますまでの間、この試験報告は、雑音とか不接等がございました場合に御連絡いただくという試験方法をとっております。取り外すまで一件もございません。
  487. 山中郁子

    山中郁子君 そのことによっても明らかだと思います。ないならないと、順調にちゃんと機能しているという報告がなけりゃおかしいわけでしょう。雑音が全然ないなんてまた考えられませんしね。そういう報告があって、あなた方が言っているような試験としてお願いしましたということが言えるんです。そうじゃないことはまさに明瞭じゃありませんか。つけてから何にも一遍の報告もないと、それでなおかつ試験だなんて言えますか。  私ば、このことについては重ねて答弁はいただきませんけれども、そのことも含めて、先ほど大変総裁は歯切れの悪い言い方をなさっていらっしゃいますけれども公社として反省するなら反省するというふうにきちんとおっしゃるべきです。私は一番最初にそのことを申し上げました。たくさんの国民の人たちが疑惑を持っているその問題について、適当でなかったとか何とかわけのわからないことをおっしゃっているけれども、反省するなら反省すると、そういうふうにちゃんとおっしゃるべきです。このことについてあえて重ねて答弁はいただくつもりはありません。  次の問題に入ります。次には、電電公社での職業病の問題に関して、私は、過去何年、何回かこの問題について質疑をしてまいりました。その問題で、この機会にひとつ、もう一つはっきりさせたいと思いまして提起をいたします。  これは一番最初に申し上げましたように、電電公社で働く職員に仲裁裁定の実施さえも公社が、また政府が実施をしないでいる、そういう状況のもとで大変な労働強化で働いている事態のもとで最近の多発が新聞紙上などでも伝えられている、そういう大事な重要な問題になっております。命にかかわる問題ですから、いままで公社は何回も口を酸っぱくして、とにかく労働者が頸腕にかからないように、そしてかかったら一日も早く治って職場に復帰できるように、そういうふうに誠意を持ってわれわれは考えていると、こういうふうに言われておりますが、本当にそうだったらば私がいまから指摘するようなことは起こらないはずたというふうに思いますので、その点について初めに申し上げた上で具体的な問題に入りたいと思います。  この問題については大きく言って二つ問題があります。認定の問題とそれから審査の問題があります。  それで伺いますけれども、いま現在公社が職業病の認定権者になっているということはどういう根拠でなっていると公社自身がお考えになっているかということについてお尋ねをいたします。
  488. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 労働基準法の七十五条によって行っております。
  489. 山中郁子

    山中郁子君 私の質問した趣旨は、そうじやなくて、なぜそうなっているのか。一般的に加害者が——公社が加害者でしょう、職業病とした場合には。加害者の立場に立った人が、これが職業病であるとかないとかいう判断をするということは一般的には考えられませんね。民間の場合には、だから労基署でもって第三者が認定すると、こういうことになっているわけですね。だけれども、なぜ公社がそういう形で加害者であるにもかかわらず認定権者としてなっているのか、その中身のことを伺っています。
  490. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 先生も御存じのとおり、国家公務員は国家公務員災害補償法で人事院が認定をすると、こういうふうになっております。一般労働者は、労働者災害補償保険法で労働基準監督署が認定する。三公社に限りまして、先ほど申し上げました労働基準法第七十五条の災害補償の項が適用になりまして、事業者が災害に対して補償を行う、こうなっております。  この精神は、先ほど先生加害者とおっしゃいましたが、私どもはそう考えておりませんで、やはり事業者というのは、そこに働く労働者に対して災害補償が起きた場合に、適切な治療あるいはそれに対する予防とか、そういうあらゆる措置を講じておくと、こういう立場であると考えております。
  491. 山中郁子

    山中郁子君 それでは具体的にお尋ねをいたしますが、五十年の二月に、名古屋の北労基署に労基法八十五条に基づき審査を申し立てていた。これは名古屋の瀬間都美子さん、清水美智江さん、山内満寿美さんの三人は四十七年の七月、四十九年の五月、五十年の七月と三回も業務外に認定されてたんですけれども、それが今月の十四日、見直しで業務上というふうに認定されました。この事実に間違いがないかどうかということと、いままで三回も業務外に認定してきて、そしてここへきて業務上に見直しをしたという根拠はどこにあるのか、そのことをお尋ねをします。
  492. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 事実関係は先生のおっしゃるとおりでございます。  今回、東海通信局でこの三名に対しまして業務上災害に認定をいたしましたのは、精密検診の病院であります中部労災病院の医師から当時の認定のときの医証に対しまして新しい医証が示されましたので、この医証にのっとりまして東海通信局長が業務災害という認定をいたした次第であります。
  493. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、あれですか、三回も医証を出して、それでもって業務外と認定したのを、その専門医がその医証が間違っていたということで新たな医証を出したことが理由だと、こうおっしゃるわけですか。
  494. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 最初に医証がございまして、途中は先生御承知の労使同数でできております審査委員会、東海通信局の審査委員会で審査をいたしまして、その結果を受けましてやはり業務外という追認が行われたのでありますが、今回、中部労災病院から新しい医証が出されたということであります。
  495. 山中郁子

    山中郁子君 どうもはっきりしないんですけれども、それじゃ病院から新しい診断書が出たということですね。その新しい診断書は、もう一度審査をし直して、検診をして新しい診断書が出たのですか。
  496. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 東海通信局の報告によりますと、十月四日付で中部労災病院の小菅医師から「三回の検査結果を総合的に検討した場合は、他覚的所見を明確に否定することはできないと考える。」と、このような意見書が出てまいった、このように報告を受けております。
  497. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、電電公社が盛んに言っている指定医の診断がなければならぬと、そうして指定医の診断が大きな要因になって、そうして他覚的所見がなければ業務上とは認定できないと、こう言われてずっときたわけです。その結果、一千四百人を超える人々が業務外として認定されて、そうして大変苦しい生活と労働を余儀なくされているわけです。  そういう事態のもとで、いまのお話を聞けば、三回の審査をしたと、それでその都度業務外というふうにしてあなた方は認定してきたんですよ。だけれども、それを総合的に考えてみたら、いまごろになって考えてみたら、それは他覚的所見なしとはしないと、これは業務上であると医者が言ってきたと、ずいぶんいいかげんな診断を医者はするんですね。そうしてそういうずいぶんいいかげんな医者の診断によって公社は業務上、業務外という認定をするんですね、どうですか。
  498. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 労災病院は業務災害の認定に関して国家的に権威のある病院と考えておりますので、ここの責任ある医師から出された医証は、私ども全面的に信頼すべきものと考えます。
  499. 山中郁子

    山中郁子君 実際のことを言いますと、先ほど私が申し上げましたように、名古屋の北労基署にこの三人の人たちが提訴したんです。そうして認定が出そうになったんです。出そうになったから、あわてて公社はどういう手段を講じたか知りませんけれども公社が業務外として認定したものを労基署から業務上として認定されたら困るということで、あわてて見直しをした形にして、そうして業務上と認定し直したのではないかというふうに、現地の新聞は数多く伝えております。時期的に全く一致するんです。私は、そのことについて公社はよもやお認めになろうとは思いませんけれども、だけれども一般の新聞が公然と活字にしてそいういうことを書いていうとおりに、職員もそうだし、私が考えたってそう思いますよ、マスコミだってそう考えるんだから、私はここに基本的に公社のいままでの認定に関する考え方、姿勢が決定的に大きな誤りがあるというふうに言わざるを得ないんです。  いま申し上げました点について、明らかにあり得ないことでしょう。三回も業務外認定をした、そうしてそれは医者の判断をあなた方は尊重したと、こういうふうにおっしゃいます。だけど、一方で医者が業務上だという診断を出しても、いろいろな観点からいってこれは業務上でないと、こういう認定がされているケースだっていっぱいあるわけです。だから、いま言われた観点から見て、一千四百件を超える業務外認定をされている人々について全部見直しをなさるかどうか、このことについてお伺いいたします。
  500. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) いま先生おっしゃいましたように、現在、約二千件の認定を行っておりまして、そのうち六百名が業務上の疾病ということで認定されておりまして、残りの千四百名が業務外というふうに認定が下されております。  この千四百名につきましては、先ほど申し上げました本社あるいは各通信局に労使同数の審査の委員会がございますので、ここへ申し出ていただければ、これに対する再審査を行うという道が開かれております。
  501. 山中郁子

    山中郁子君 じゃお伺いしますけれども、この三名の人たちは再審査を要求していたんですか、その結果、見直しをして業務上として新たに認定をし直したんですか、そうじゃなかったはずでしょう。
  502. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) この三名の方は、四十七年の八月三十一日に、委員会に対しまして再審査請求を出しておりました。
  503. 山中郁子

    山中郁子君 私が申し上げているのは、そういう意味じゃありません。その再審査要求に対しては、また業務外の認定をされたわけでしょう、それだから三回も業務外認定が出たんでしょう。そうしていま現在また出していたのかどうかということを伺っているんです。出していないはずですよ。  それだけど、公社は医者のそうした判断があるからということで見直しをしました、業務上として認定しましたと、こういう措置をおとりになっているわけですね。だったら、結局、労基署に提訴をして、労基署から業務上の疾病であるという認定が出そうになったんで、あわててそれより前に公社が業務上に認定したという以外の何物でもないと私は思いますけれども、そのことは別としても、いずれにしても、こういうケースでもって、たくさんの人々——公社が信頼してやまない指定病院の、そうした医師が三回も、そうした他覚的所見なしということで言ってきたにもかかわらず、総合して考えてみたら他覚的所見があったと、したがって、これは業務上だというふうにいま言ってきたならば、すべてのいままでの業務外として認定された人々について公社は見直しをするべきである。当然のことじゃないですか。このことはぜひ約束をしていただかなければならないんです。総裁でも結構です。
  504. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 千四百件につきましては、再認定ということを直ちにやるということではありませんで、再審査の委員会にかければ、いろんなまたデータによりまして、再審査の結果、認定というパターンが出るという可能性もあるわけでございます。
  505. 山中郁子

    山中郁子君 それじゃ私は総裁にお尋ねしますけれども、いまおわかりになっていると思いますが、名古屋の三人の人たちが長い間苦しい思いをして、そして何回申請しても、再審を要求しても業務外だと、こういうふうに認定されてきたんです。それで労基署に提訴をしたんです、やむにやまれず。そうしたら、公社は、改めて三年間の検診を全部振り返ってみたら、これは業務上と認定できるというような医師の医証を理由にして業務上認定をしてきたんです。こういうケースはほかにたくさんあるでしょう。千四百人を超える業務外と認定された人々の中に同じようなケースがたくさんあるということは考えられます。少なくとも絶対ないとは言えません。そういう観点から、本当に労働者の、職員の健康と命を重視して、一日も早く回復をして、そして公社に責任があるならば、公社が責任を果たして、職場に復帰してもらいたいとおっしゃるならば、当然のことながら、いま業務外に認定されている人々について同じ角度から見直しをする必要があるのではないかという問題が一つです。  それから、そういうふうにして三名の人について長いこと何回も業務外として出してきて、それは公社のいわゆる認定基準によって出してきているわけですね。だから、そこに大きな矛盾がある、問題点がある、少なくとも問題点があるというふうに言わざるを得ないと思います。その認定基準の問題についても改めて見直しをする、その必要があると私は考えておりますが、いかがでしょうか。  二つの点について、総裁からの見解をお尋ねします。
  506. 米澤滋

    説明員米澤滋君) 具体的な問題、先に総務理事から答えさせます。
  507. 山中郁子

    山中郁子君 はい、結構です。
  508. 山本正司

    説明員山本正司君) 前段の千四百件の見直しの点につきましては、先ほども厚生局長回答いたしましたように、再審査の申請を待って、労使の間でもって決めました審査委員会におきまして業務上外の決定をいたしたいというふうに考えております。  それから基準の見直しの点につきましては、私ども頸肩腕症候群という疾病の多発にかんがみまして、いろんな経験等を経て労使の間で話し合いをいたしまして、現在のような疾病あるいは疾病の予防あるいは治療の向上といったようないろんな施策、ルールの決定がなされてきておるわけでございまして、それらの運用につきましては、さらに名古屋のような事例の再発のないような慎重な運用を期したいというふうに考えております。
  509. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  具体的な事実関係につきましては、いま総務理事が答えたとおりでございます。公社としては、この頸肩腕症候群につきましては、今後、こういうことがなくなるような努力をしたいということを前のこの委員会でお答えいたしました。いろいろ労働組合とも話し合いを進めながら、そういう方向に持っていきたいというふうに思います。
  510. 山中郁子

    山中郁子君 名古屋のケースは、私は、それははっきり御答弁がないので、結局繰り返して質問をいたしますが、三回も業務外と認定されたものを、今度は、公社の方が積極的に、医師がそういうふうに判断してきたから業務上にいたしますと、こう言ってきたわけです。労基署との関係はあえて再び言いません。だったら、いままで千四百人を超える人が業務外と認定されている中に、医師がもう一度総合的に判断してみたら、何回もそういうことで業務外認定されている人もいますよ、そうしたら当然のことながら業務上になるということだってあり得るわけでしょう。何か特別な理由ですね、特別な何か私たちが理解できる理由があって、この名古屋の場合に、三回の業務外が今度一転して業務上になったなら別です。そういうことがないんだから、一般的にそういうことあり得るでしょう。だから、千四百人を超えるいままで業務外と認定してきたことに対して、公社は見直しをする義務があるではないかと。本当に労働者の健康を案じ、一日も早く回復してもらいたいと思われるならば、当然のことながら、そういう措置をとるべきである。少なくともそういう方向で検討をするべきであると私は考えております。  そのような御答弁がいただけなければ、名古屋の問題をなぜ三回も業務外にして、今度業務上になったという要因が何であったかをもう少し詳しく伺わなければなりません。
  511. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 事実関係をもう少し詳しく申し上げます。  この三名は、四十七年七月二十二日に、本社の裁認めてください。
  512. 山本正司

    説明員山本正司君) 第一回、第二回、第三回、それぞれ一、二、三回の別個の医証に基づいて業務上外の認定というものをいたしておるわけなんで、その医証が変わってまいったと、要するに医師の診断の結果に基づいて判断を下しておるわけでございまして、診断そのものが変わってまいったと、こういうふうに考えておるわけであります。
  513. 山中郁子

    山中郁子君 私は、大事なことだからこれは妥協しません。というのは、三回診断してそれをそれぞれ全部業務外としたのでしょう。業務外としておいて、今度それを業務上にしたということは、前の業務外としたことが間違っていたということじゃないですか。少なくともそれだったら、あなた方はもうでくの坊みたいに医師の医証だけで——言うならばですよ、認定基準は決してそうじゃありません。だけれども、いまあなたははからずも、認定基準が六項目あるにもかかわらず、その認定は医師の医証だけによるということを言われたわけですけれども、あなたたちがでくの坊みたいに医師の医証だけでそれを決めたならば、あなたたちが信頼してやまない指定病院の医者が間違った医証を書いたと、こういうこと以外にないじゃありませんか。そのことを確認するならしてください。そんなことを無理やり私は言わせることは好きで言わせているわけじゃないんです。そういう問題があるから、前進的に検討すると、見直すと、そのことがなぜ言えないのか、このことについて申し上げているんです。
  514. 山本正司

    説明員山本正司君) 頸肩腕症候群という病気は非常に診断のしにくい微妙な疾病でございまして、病状そのものが年月の推移とともにいろいろ動いておるということであります。医証だけによって認定の判断をするわけではございませんで、医証をもととして総合的に判断をいたしておるわけでございますが、最後の業務上と認定をされた医証がそれまでの医証と非常に大きく違っておった、こういうことでございます。
  515. 山中郁子

    山中郁子君 認定が誤っていたということであると思います。そうでないならば、私はもう一度だけ総裁に発言があるならばしていただきたい。なければなくていいですけれども
  516. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  頸肩腕症候群の問題につきましては、公社の中で、今後とも、こういう問題が起こらないように最善の努力をしたいと思います。
  517. 山中郁子

    山中郁子君 具体的な見直しの問題は、私は何回も申し上げました。肝に銘じて最善の努力の中の課題としておいていただけることだというふうに思います。  それで、いまの議論の中にあったこととも関連するんですけれども、結局、医者が医証をそういうふうに持ってきたから業務上と今度は認定したと、こうおっしゃる。そうすると、公社は医証だけを——医証というのは医師の診断ということですけれども、医証だけをやはり主要な認定の基準にしておられるのか、このことについてお伺いいたします。
  518. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) これも先生先刻御承知のとおり、電電公社で労使が認定につきまして合意いたしました六項目というものがございます。これ一々読み上げることは省略いたしますが、この中で、医証は全部ではございません、業務量の問題とか私的事由の問題とか、あるいは業務に勤務する期間の問題とかございます。ですから、医証が全部ではございません。
  519. 山中郁子

    山中郁子君 これはやはり名古屋で、この方は労基署に提訴している人ではありません。広小路電話局の林久代さんという人です。この方は事前に御通知申し上げましたので公社の方でも資料をお取りになっていると思います。  この林久代さんに対して、業務外で「通知書」というものを公社が出されております。これは電話局長の名前で出されておりますから、当然のことながら認定権者の判断を局長が伝えたということだと理解をいたしますが、この中で「専ら、「医学的にみて他覚的所見が認められること」という要件が認定の重要なポイントになるものである。本件の場合も、たとえ、職場環境や労働条件に疾病を誘発せしめる要因があったと仮定しても、現に医証が認められない以上、業務上と認めるには至らないものである。」と、こういうふうに書いてあるんです。そして医証がないからということで彼女は業務外に認定されている。いまの厚生局長お話とは大分違うわけですけれども、その点を重ねて答弁を求めます。
  520. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 認定基準に対して医証がすべてではないと申し上げたのでありますが、もちろん医証が欠ける場合には業務上認定ということはできないわけであります。
  521. 山中郁子

    山中郁子君 医証が欠けるとか欠けないとかということじゃないんです。いま読み上げた文書でわかりますでしょう。日本語が複雑だといったってこれは大変単純です。医証がポイントだと言っているんです。
  522. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 医証は重要なポイントであります。
  523. 山中郁子

    山中郁子君 だったら、やっぱり医証だけでそれを決めるということなんですね。ほかの問題もポイントはいろいろありますでしょう。
  524. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 医証の中でも、特にいわゆる他覚的所見があるかどうか、本人の痛いとかそういう訴えのほかに、他覚的に医師が病気の症状を確認できるかどうか、ここが非常に重要な分かれ目でございます。
  525. 山中郁子

    山中郁子君 同じく、この林さんの通知書の中に「頸肩腕症候群がいまだ、発症要因はもとより、病理学的な究明すら十分進んでいない現在、医師によって意見がわかれるのは止むを得ないことである。」と、こういうふうに言われています。  若干説明をいたしますと、この方は主治医の指示と診断を持って、そしてそれが指定医の医学的所見、他覚的所見が認められないということが理由で業務上にならなかったわけです。それにもかかわらず、公社はこの通知書の中で「治療にあたって真に必要と認められる措置については、「特別措置」を上まわるものであっても、公社として最大限の努力をするので所属長まで申し出てください。」と、こういうふうに言っております。そういうふうに言っている理由として、指定医は他覚的所見なしとして業務上認定の医証を出さなかったけれども、主治医はそういう診断を出していると。だから頸腕ということはまだまだ病理学的な究明が十分進んでいないので、医師によって意見が分かれるからやむを得ないと思うから、だから特別措置を上回る、つまり業務上に等しい措置をとりますよということを公社が言っているんです。  私は、このこと自体は結構なことだと思いますよ。だけれども、もう一歩進めて言えば、当然のことながら特別措置を上回って業務上認定と同じような措置をとるというならば、まさにその病気が業務上であるからこそ公社はそういう措置をとるのでしょうということを申し上げたいんです。で林さんのようなケースは全国的にもやはりたくさんございます。そういうことについて、公社基本的な姿勢としてそういう姿勢をおとりになるのかどうか。
  526. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) この通知書にございます「「特別措置」を上まわるものであっても、」云々というのは、先生はそれをすぐ業務上というふうに御判断されましたが、私どもの読み方はそうじやないと思います。  これは事情がよくまだ、実は、昨日聞いたばかりで東海の方で詳しく聞いておりませんが、東海の労使の認定の審査委員会でこういう表現を使ったのでありまして、私どもの推定では、恐らく、特別措置の中にたとえばはり、きゅう、マッサージのような項目が、社費で行うような特別措置がございます。こういうふうな問題について、今後少々それよりもよけいに金額がかかっても、これに対してはめんどうを見ることもあり得るように公社に努力を求めるよというふうなことで言ったのではなかろうかと、こう推定しているわけであります。裁認めてください。
  527. 山本正司

    説明員山本正司君) 第一回、第二回、第三回、それぞれ一、二、三回の別個の医証に基づいて業務上外の認定というものをいたしておるわけなんで、その医証が変わってまいったと、要するに医師の診断の結果に基づいて判断を下しておるわけでございまして、診断そのものが変わってまいったと、こういうふうに考えておるわけであります。
  528. 山中郁子

    山中郁子君 私は、大事なことだからこれは妥協しません。というのは、三回診断してそれをそれぞれ全部業務外としたのでしょう。業務外としておいて、今度それを業務上にしたということは、前の業務外としたことが間違っていたということじゃないですか。少なくともそれだったら、あなた方はもうでくの坊みたいに医師の医証だけで——言うならばですよ、認定基準は決してそうじゃありません。だけれども、いまあなたははからずも、認定基準が六項目あるにもかかわらず、その認定は医師の医証だけによるということを言われたわけですけれども、あなたたちがでくの坊みたいに医師の医証だけでそれを決めたならば、あなたたちが信頼してやまない指定病院の医者が間違った医証を書いたと、こういうこと以外にないじゃありませんか。そのことを確認するならしてください。そんなことを無理やり私は言わせることは好きで言わせているわけじゃないんです。そういう問題があるから、前進的に検討すると、見直すと、そのことがなぜ言えないのか、このことについて申し上げているんです。
  529. 山本正司

    説明員山本正司君) 頸肩腕症候群という病気は非常に診断のしにくい微妙な疾病でございまして、病状そのものが年月の推移とともにいろいろ動いておるということであります。医証だけによって認定の判断をするわけではございませんで、医証をもととして総合的に判断をいたしておるわけでございますが、最後の業務上と認定をされた医証がそれまでの医証と非常に大きく違っておった、こういうことでございます。
  530. 山中郁子

    山中郁子君 認定が誤っていたということであると思います。そうでないならば、私はもう一度だけ総裁に発言があるならばしていただきたい。なければなくていいですけれども
  531. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  頸肩腕症候群の問題につきましては、公社の中で、今後とも、こういう問題が起こらないように最善の努力をしたいと思います。
  532. 山中郁子

    山中郁子君 具体的な見直しの問題は、私は何回も申し上げました。肝に銘じて最善の努力の中の課題としておいていただけることだというふうに思います。  それで、いまの議論の中にあったこととも関連するんですけれども、結局、医者が医証をそういうふうに持ってきたから業務上と今度は認定したと、こうおっしゃる。そうすると、公社は医証だけを——医証というのは医師の診断ということですけれども、医証だけをやはり主要な認定の基準にしておられるのか、このことについてお伺いいたします。
  533. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) これも先生先刻御承知のとおり、電電公社で労使が認定につきまして合意いたしました六項目というものがございます。これ一々読み上げることは省略いたしますが、この中で、医証は全部ではございません、業務量の問題とか私的事由の問題とか、あるいは業務に勤務する期間の問題とかございます。ですから、医証が全部ではございません。
  534. 山中郁子

    山中郁子君 これはやはり名古屋で、この方は労基署に提訴している人ではありません。広小路電話局の林久代さんという人です。この方は事前に御通知申し上げましたので公社の方でも資料をお取りになっていると思います。  この林久代さんに対して、業務外で「通知書」というものを公社が出されております。これは電話局長の名前で出されておりますから、当然のことながら認定権者の判断を局長が伝えたということだと理解をいたしますが、この中で「専ら、「医学的にみて他覚的所見が認められること」という要件が認定の重要なポイントになるものである。本件の場合も、たとえ、職場環境や労働条件に疾病を誘発せしめる要因があったと仮定しても、現に医証が認められない以上、業務上と認めるには至らないものである。」と、こういうふうに書いてあるんです。そして医証がないからということで彼女は業務外に認定されている。いまの厚生局長お話とは大分違うわけですけれども、その点を重ねて答弁を求めます。
  535. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 認定基準に対して医証がすべてではないと申し上げたのでありますが、もちろん医証が欠ける場合には業務上認定ということはできないわけであります。
  536. 山中郁子

    山中郁子君 医証が欠けるとか欠けないとかということじゃないんです。いま読み上げた文書でわかりますでしょう。日本語が複雑だといったってこれは大変単純です。医証がポイントだと言っているんです。
  537. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 医証は重要なポイントであります。
  538. 山中郁子

    山中郁子君 だったら、やっぱり医証だけでそれを決めるということなんですね。ほかの問題もポイントはいろいろありますでしょう。
  539. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 医証の中でも、特にいわゆる他覚的所見があるかどうか、本人の痛いとかそういう訴えのほかに、他覚的に医師が病気の症状を確認できるかどうか、ここが非常に重要な分かれ目でございます。
  540. 山中郁子

    山中郁子君 同じく、この林さんの通知書の中に「頸肩腕症候群がいまだ、発症要因はもとより、病理学的な究明すら十分進んでいない現在、医師によって意見がわかれるのは止むを得ないことである。」と、こういうふうに言われています。  若干説明をいたしますと、この方は主治医の指示と診断を持って、そしてそれが指定医の医学的所見、他覚的所見が認められないということが理由で業務上にならなかったわけです。それにもかかわらず、公社はこの通知書の中で「治療にあたって真に必要と認められる措置については、「特別措置」を上まわるものであっても、公社として最大限の努力をするので所属長まで申し出てください。」と、こういうふうに言っております。そういうふうに言っている理由として、指定医は他覚的所見なしとして業務上認定の医証を出さなかったけれども、主治医はそういう診断を出していると。だから頸腕ということはまだまだ病理学的な究明が十分進んでいないので、医師によって意見が分かれるからやむを得ないと思うから、だから特別措置を上回る、つまり業務上に等しい措置をとりますよということを公社が言っているんです。  私は、このこと自体は結構なことだと思いますよ。だけれども、もう一歩進めて言えば、当然のことながら特別措置を上回って業務上認定と同じような措置をとるというならば、まさにその病気が業務上であるからこそ公社はそういう措置をとるのでしょうということを申し上げたいんです。で林さんのようなケースは全国的にもやはりたくさんございます。そういうことについて、公社基本的な姿勢としてそういう姿勢をおとりになるのかどうか。
  541. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) この通知書にございます「「特別措置」を上まわるものであっても、」云々というのは、先生はそれをすぐ業務上というふうに御判断されましたが、私どもの読み方はそうじゃないと思います。  これは事情がよくまだ、実は、昨日聞いたばかりで東海の方で詳しく聞いておりませんが、東海の労使の認定の審査委員会でこういう表現を使ったのでありまして、私どもの推定では、恐らく、特別措置の中にたとえばはり、きゅう、マッサージのような項目が、社費で行うような特別措置がございます。こういうふうな問題について、今後少々それよりもよけいに金額がかかっても、これに対してはめんどうを見ることもあり得るように公社に努力を求めるよというふうなことで言ったのではなかろうかと、こう推定しているわけであります。
  542. 山中郁子

    山中郁子君 私が伺っている中身から判断して、特別措置を上回るもの、ほぼイコール業務上措置ということで判断しておりますが、これはどうぞ公社の方でお調べになっていただきまして、後ほどどういう内容であるかについて御報告をいただきたいと思います。間違いないはずです。  私は、そういうことでこういうふうに公社がせざるを得ないということは、実際に指定医が他覚的所見ということで認めないものを出して、そのことを理由にして公社が業務上と認定しない、そういうことをたくさん生み出してきているけれども、その中身について一つ一つ詰めていけば、ほかの医者はそういうふうに当然のことながらこれは業務上だと判断すると、それは医者によっていろいろ見解が違うんだから、そういうことは大いに実質的な救済をいたしましょうということを公社は言っていることになるわけです。ですから、私はこれは林さんの特別なケースではないと思います。一般的に公社基本的な姿勢としてそういう考えをお持ちだろうと考えますが、その点についての答弁はいただいていませんので、重ねてお願いをいたします。
  543. 山本正司

    説明員山本正司君) この名古屋の林久代さんのただいまの先生の御見解でございますが、業務上外の認定という問題におきましては業務外の認定をいたしたわけでありますが、公社といたしましては、先ほど来何回も申し上げておりますように、頸肩腕症候群にかかった人たちに対する治療あるいは予防といったような措置については、最大限完璧を期したいという考え方に沿って治療の促進を図るというような意味合いから、先ほど先生指摘のような表現の文句が出てきたというふうに考えておるわけでございます。
  544. 山中郁子

    山中郁子君 だから、これは林さんのことだけじゃなくて、基本的にそういう姿勢をおとりになるんですねということを申し上げているんです。そのことについて端的にお答えをいただければ結構です。
  545. 山本正司

    説明員山本正司君) 認定の問題とは別に、治療あるいは予防といった点については公社として最大限の努力をいたしておりますし、また、今後も、そういう姿勢で対処をいたすつもりでございます。
  546. 山中郁子

    山中郁子君 私は、なぜ同じですとお答えにならないのか不思議でしょうがないんですけれども、まあ同じだということを言っておられると思います。  それでもう一つ、この問題に関して伺いたいんですが、頸肩腕症候群が病理学的な究明が進んでいないので医師によって意見が分かれるのはやむを得ないとおっしゃっていることも公社見解として伺ってよろしいわけですね。医師によっていろいろ違うと、業務上だと言ったり業務外だというふうになるけれども、これはまだ未解明だからそうなのである、こういうふうに考えていらっしゃるというふうに理解してよろしいですね。
  547. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) この見解は、公社独自の見解ではございませんで、先ほど申し上げましたように、東海地方の労使同数の委員会見解でございます。公社としてはどうかということに関しましては、先般来、頸肩腕症候群のプロジェクトチーム等が大変活躍してくださいまして、かなりはっきりしたこの病気に対する究明ができておると、このように考えております。
  548. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、審査委員会の結論と公社見解は違うということですか、その点はっきりしてください。
  549. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 審査委員会見解は審査委員会見解として間違っていないと思います。
  550. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、公社見解の方が間違っているということになりますね、正しいことは二つないわけですから、二つが比較されてどっちが正しいかと言えば。  それで私が言いたいのは、だから、結局、指定医の判断だけでは、それが絶対でもって業務上外の認定ができるということでは現実にない。名古屋のケースがそうです。それから理論的にも、いま言われたように審査委員会の結論というものもそうなっています。そういうことについては御異存がありませんか。
  551. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 先生のおっしゃいました指定医という意味がちょっとわかりませんが、私どもは精密検診病院と呼んでおります。精密検診病院の結論を私どもは業務上外認定の医証と、このように考えております。
  552. 山中郁子

    山中郁子君 そういうふうに考えていらっしゃるのはいいのですけれども、それが必ずしも万全で正しいとは限らないということになりますねということを伺っているのです。
  553. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 医証を書かれるのは医師でありまして、これが間違っているかどうかということは私どもお答えはできません。
  554. 山中郁子

    山中郁子君 違うのです。私は、もう一度簡単に言いますけれども、主治医と指定医、同じ指定医の中だって医者によっていろいろ考え方が違う、そういう分野である、だから業務上とする人もいるし、業務外とする人もいる。それぞれについてそれはまだ解明されていないのだということだから、だから仮に指定医がそういうふうに判断したとしても、名古屋の場合のように、それが違っているということがあるわけだから、だから必ずしも指定区の医証が万全であるとは限りませんねということを申し上げているのです。それがもし万全だとまたいまおっしゃるならば、いままでのこの通知書の中での見解だとか、そういうものを、審査委員会見解公社が否定することになると私は思います。審査委員会というのは公社が入っているのでしょう。
  555. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 医師の考え方がいろいろあるということは確かに現実でございます。私どもは、この病気に対しましては、そのために精密検診の病院を労災病院とか大学付属病院とか逓信病院とか、そういう整形外科医並びに設備の充実した医師あるいは病院をしてお願いいたしまして、お答えをいただいておりますので、現段階ではそのお答えに従うということでございます。
  556. 山中郁子

    山中郁子君 私は、労働省がおいでいただいていると思いますので、この点について、まず労働省の見解をお伺いしたいのです。  いまやりとりをお聞きになっておわかりになったと思いますが、公社は指定医——後ほどまた審査の問題でも申し上げますが、指定医に受診をしなければ審査の対象にしない、そして指定医から出てきた医証がポイントになるということで、この問題がいま大きなネックになっているのです。こういうあり方自体、労働省がいわゆる労基法でもって保護される労働者、つまり監督官庁の立場で電電公社の現在のこうした認定にかかわる問題、こういうことが多くのトラブルを生み出しているわけですけれども、労基署で名古屋の場合には三名を業務上と認定するという、こういう動きがあったのでということが新聞などでも報道されていますが、直接的に労働省とも関係してくる部分も出てまいります。そういう観点からの労働省の見解をまずお尋ねいたします。
  557. 田中清定

    説明員(田中清定君) いろいろ御質問多岐にわたっておりますが、電電公社が労働基準法上の災害補償の義務者という立場で、みずから災害の存否あるいは災害の業務上外の判断をするに当たって、信ずべき医師に判断を求めるということは当然あり得ることだと考えております。また、そういう問題をめぐって各種のルールなり手続なりが合意されているということでございますので、その合意は尊重されてしかるべきである、こういうふうに考えております。
  558. 山中郁子

    山中郁子君 重ねてちょっと見解というかお考えを伺いたいのですけれども、そうしたことに起因してさまざまなトラブルが起こってきているということについては、労働省としては、どのように判断されますか。
  559. 田中清定

    説明員(田中清定君) そういう公社内部の手続が十分尽くされて、円滑適正な処理が行われるように私どもは期待するわけでございます。
  560. 山中郁子

    山中郁子君 結局、電電公社、いわゆる当事者能力という言葉も使われますが、加害者という言葉があなた方にとって適切でなければ、どういうふうに言いかえて聞いてくだすっても結構ですけれども、加害者が認定するという仕組みになっているということは、そのこと自体私は大きな問題があると思って後ほどそれは触れますけれども、少なくとも本当に公正な、労働省としても信頼する電電公社側の対応がなければそれは成立しない問題なんです、いま現在の制度をそのまま容認したとしてもですね。  そこで、私は具体的にお尋ねをしたいのですけれども、業務災害の死傷病報告をしなければならないということが労基法の取扱細則の四十条二項で規定されていると思いますが、具体的なケースとしてお尋ねしますが、東京市外、番案でいま現在三名の方たちが労基署に提訴をしております。その方たちの問題とも関連して、東京市外では多数のすでに業務上の認定者が出ています。これは業務災害の死傷病報告に当たるものと思いますが、そうした報告が労基署にされていたかどうか、されたとすれば、いつされたのか、それらのことについて労働省から伺います。
  561. 宮野美宏

    説明員(宮野美宏君) 先生お尋ねの業務上の死傷病報告についての東京市外電話局の四十八年十一月以降のものにつきまして、東京市外電話局分として提出されました死傷病報告の件数は十四件でございました。うち十三件が昭和五十一年三月二十一日に提出され、一件が昭和五十一年四月二十三日に提出されております。
  562. 山中郁子

    山中郁子君 発生がたしか四十八年十一月でしょう、一番最初の発生が。そして私は東京市外局、番案局の場合にもうすでに四十名を超える業務上認定者が出ているというふうに把握をしておりますが、この数もあわせて公社から伺いますが、こういう人たちがすでに四十八年十一月にわかっている限りの時点でも起こってきて、公社が業務上と認定しているにもかかわらず、どうして労働基準法で決められた報告をしてなかったのですか。五十一年三月二十一日といったら、四十八年からすでに三年近く、二年半以上経過した時点でそんを報告する、一体これはどういうことですか。
  563. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) この件につきましては、労働省の方から御指導がございまして、そのような報告がおくれているという案件が東京都にあるということを知りましたので、私どもの方からこれを正確に励行するように指導したのでございます。
  564. 山中郁子

    山中郁子君 これは後ほど触れると申しました東京市外、番案の三名の労働省への提訴の問題があったから、これはいつ提訴して申告したかと言ったら三月十六日に申告したんですよ。そうして初めて労働省の方で、労基署の方で、そうしたたくさんの事例が出ているにもかかわらず、市外電話局、番案局から、電電公社からつまりは報告が来てないということがわかって、そしていま厚生局長が言われたように、あわてて報告したと、だから日付が五十一年三月二十一日になっているんです。労働基準法違反ですね。労働省の見解をお尋ねいたします。
  565. 宮野美宏

    説明員(宮野美宏君) 労働安全衛生規則の第九十七条第一項については、労働者が労働災害により死亡し、または休業したときは遅滞なく報告書を提出することを事業者に義務づけているところでございます。したがいまして労働災害について遅滞なく報告書を提出していないという事実があれば、それは労働安全衛生法の第百条第一項の違反になるものと考えます。
  566. 山中郁子

    山中郁子君 労働省の方にももっと端的に答えていただいていいんですけれども、遅滞なく報告してなかったわけですね、労働省がお調べになって当然のことのように。ですから、これはいまおっしゃった労安法ですか、に違反しているということになりますね。
  567. 宮野美宏

    説明員(宮野美宏君) 発生の期日ではなくて認定の期日が四十八年ということであれば、報告されましたのが五十一年ですから、そういうことになるかと思います。
  568. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  569. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  570. 山中郁子

    山中郁子君 公社は、まずこの事態、この問題についてどういうふうに、まあ当然反省していただかなきゃいけないのですけれども、まずそのことの見解をお伺いします。  それからもう一つ、重ねて労働省にお伺いしたいんですが、先ほど私が申し上げましたように、公社がいまの現行の範囲で、まあ私の言葉で言えば加害者です、加害者がその被害者に対して、これが職業病であるとかないとか、被害を与えたとか与えないとかと認定するということは、よっぽどはっきりした公社のそうしたものに対する姿勢ですね、きちんとした姿勢が確立されていなければならないはずです。その上に立ってこそ最低限でも辛うじて公正で正しい処置ができるということですけれども、こういう事態のもとで果たして公社が公正な正しい認定ができるというふうにお考えになるかどうか、そのことについて公社とそれから労働省にお尋ねをいたします。
  571. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 行政官庁に対します所定の報告がおくれておりますことはまことに遺憾でございます。今後は、このようなことのないように、各関係機関をよく指導いたします。
  572. 田中清定

    説明員(田中清定君) この問題をめぐって公社の労使間にいろいろ意見の食い違いがあるようでございますが、電電公社の場合には労使間にこういう問題を処理する場合のルールができているというふうに聞いておるわけでございます。そういうルールに従って公社が適正な判断をしていただきたいというふうに思うわけでございます。
  573. 山中郁子

    山中郁子君 ルールができていたって、公社はそういうことをやっているわけです。  で、私は、最終的にこの点についてお尋ねいたしますが、基本的に考えて、当然のことながら、業務上外の認定は一方の関係者である公社が行うのではなくて、大きく言って第三者が行うべきであると、これがやっぱり当然のこととして言えると思いますが、この点について労働省としてのお考えを伺うと同時に、私は、そういう方向への国としての検討、研究をぜひ積極的に進めていただきたいということを要望いたしますが、いかがでございましょうか。
  574. 田中清定

    説明員(田中清定君) これは申し上げるまでもなく、業務災害の認定というのは一つの客観的事実についての認識の問題でございます。そういうことをめぐって医証を請求人の立場で請求する場合の医証の問題と、また補償義務者という立場でみずからの義務の存否を認識する場合に必要な医証を求めるということも当然あり得るわけでございますので、公社公社という立場でみずから医師を指定して判断するということも、それはそれなりに一つの立場上の措置として当然であろうかと思いますが、労使間にその辺の問題をめぐって争いがある場合には、当然、これは第三の判断ということも予想されるわけでございますけれども、労働基準法上は請求人と被請求人という立場で問題が処理されますので、手続的には現在の公社の手続が十分機能するように私どもも期待するわけでございますし、また、そういう面で行政的な立場で十分指導し得るものは指導していきたい、このように考えているわけでございます。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光着席
  575. 山中郁子

    山中郁子君 私は労使間の争いがあるとかないとかということを申し上げているんじゃないんです。その問題の認定をする場合に、第三者が行うのが至当である、ごく大まかに言ってですよ、一般的に言ってですよ。だけれども公社の場合は指定医も公社がそこでもって考える。それから再審だとかいって申し立てがあった場合に、労使が出てくる審査委員会でやるとしても、それで結論が出ない場合には、結局、認定権者、つまり公社ですね、公社がそれで認定すると、こういう仕組みになっているわけですから、いずれにしても第三者ということとは遠く離れた公社自身が認定の権限を持つ。こういう実態は、基本的には、客観的に見て至当とは言えないのではないか。この点について考え方をいま労働省から伺いましたけれども総裁からちょっとこの点について、全体的な、もっと、すぐにどうこうするという問題じゃなくて、何らかのお考えがあるかどうかお伺いいたします。
  576. 山本正司

    説明員山本正司君) 認定の問題について不服がありますときには、公社のルールとして審査委員会というもので審査をするということになっております。大部分の案件につきましては、公社の認定あるいはこの審査委員会の審査というもので処理されておるわけでありますが、なお、そこに問題があります場合には、恒常的な機構としてでなしに、この審査委員会にその都度必要に応じて第三者を呼んで第三者の意見を聞くというようなことも検討の余地があろうかというふうに考えております。
  577. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) ちょっと五分ほど休憩します。    午後六時十八分休憩      —————・—————   午後六時二十三分開会
  578. 森勝治

    委員長森勝治君) 委員会を再開し、質疑を続行いたします。
  579. 山中郁子

    山中郁子君 次に、私は、審査の問題に入りたいと思います。  で、時間が大分詰まってまいりましたので簡単にお答えを願いたいと思うんですけれども公社の業務災害補償審査委員会設置要綱の九項、十項で、地方委員会では一カ月たっても意見の一致を見なかった事案については、中央委員会に上移する。中央委員会では一カ月たっても意見の一致を見なかったときは審査を終えたものとして審査を打ち切り、その旨を厚生局長に報告するというふうになっておりますが、具体的に先ほど挙げた名古屋の三名の方たちの場合、審査期間、審査内容はどうなっているのか。で公社の規程で言う一カ月ということは守られていないわけで、一年ないし二年以上もたなざらしになっているということがありますが、それはどういうことになっているのかということを一点まずお願いします。
  580. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 名古屋の案件の場合には、審査が継続して、それから通信局長に任されているというような、そういう断続がございますので、ずっと処理が進んでおったというふうに理解しております。
  581. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、ここで要綱に書いてある一カ月たってということは、実際には一カ月のうちにそれが処理されなくてもいいということになるんですか、何か有名無実のように伺えますけれども
  582. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 頸肩腕症候群につきましては、業務災害補償規則よりもそれに関する労働諸協約等が優先する、こういう考え方をとっているわけでありますが、頸肩腕に関する協約類にはそういう期間の定め等はないわけでございます。しかし、精神といたしましては、一般の補償規則にのっとるべきものだと思いますので、おくれているものについては規則どおりやるように今後指導いたしたいと思います。
  583. 山中郁子

    山中郁子君 それは当然取り決められていない場合だって、これが一カ月となっているから、そのことは前提となっているはずだと私は理解いたします。そしてこうした期間が区切られていることは、健康の問題ですから、体の生命に関する問題ですから、だからこそそういうふうにして期限が一つは決められている、そういう要素が大変強いと思いますので、その点については全国的にやはり洗い直して、たくさんいまたなざらしになっているものがありますから、いま厚生局長のお約束を直ちに果たしていただきたいと思います。  それで重ねてお伺いしますが、委員会で意見が一致した場合には、当然のことながら、私はその一致した内容に基づいて認定が出されるのであろうと判断いたしますが、そのことの確認と、意見が一致しない場合には審査を終えるものとするとなっておりますが、その場合はどのような中身で認定をお出しになるんですか、その二つについてお尋ねいたします。
  584. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 前段の、意見が一致した場合は問題ございませんが、意見不一致の場合でもおおむねこれをたとえば通信局長の方へまたおろすとか、そういうふうな形になる場合が多いと思います。
  585. 山中郁子

    山中郁子君 通信局長におろすということは認定権者におろすということだから、最初の認定でもって、さんざん再審でもって審査委員会で議論したけれども、意見が一致しないからということでまたもとへ戻ると、こういう仕組みになっているわけですか、それともその認定権者がまた審査を勘案して新たな認定を出すということも含めて、白紙の立場で再び認定をすると、こういうことなの、どちらでしょう。
  586. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 白紙ではございませんけれども先生のおっしゃったとおりでよろしいと思います。
  587. 山中郁子

    山中郁子君 現在、審査委員会に異議申し立てている総数と、その中で地方委員会で保留になっている数、意見一致した数、中央委員会へ上移した数などについて御報告をいただきたいと思います。
  588. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 地方審査委員会に審査請求のありました件数は九百十三件でございます、これは八月末現在の数字であります。それから地方審査委員会審議中の件数が八百九十九件、地方審査委員会で意見一致した件数が十四件、このようになっております。
  589. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、審査委員会で意見が一致して、業務外であったものが業務上になったという件数はどのくらいありましょうか、そしてその場合の理由は主としてどういうものであるか、お知らせをいただきます。
  590. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 再審査の結果、上になったものが八件ございます。
  591. 山中郁子

    山中郁子君 中身、主要な理由
  592. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 詳細な資料が手元にございませんので、後ほど、よろしければ先生の方に資料をお届けいたしたいと思います。
  593. 山中郁子

    山中郁子君 重ねて、もしわかったら教えていただきたいんですけれども、別に何件はどういう理由でということを私は求めているんじゃなくて、一たん業務外と認定されて再審を要求されたわけです。ですから、それが再審した上で審査委員会で業務上に認定されたというのは、私が推測するには、最初の認定がやっぱり不十分である——間違っていると言うとあなた方は目くじら立てるから、不十分であると、こう申し上げますけれども、そういうことが推測されるんですが、いかがでしょうか。
  594. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) これも八件の御報告のときに詳細に御説明いたしますが、事務担当者の説明によりますと、医証の読み方がこれは上というふうに読んでいいんじゃないかというふうな点だったようでございます。
  595. 山中郁子

    山中郁子君 それで、問題は、そうした上で再審して業務外が業務上になるというケースは大変少ないわけです。で、私は、一番最初の問題で名古屋の三人の方たちの業務上認定へ公社が変わったことの経過の中から、現在、一千四百三十五名になるのではないかと思いますが、業務外認定をされている人々が大変苦しい思いをしているという事態があって、このことを私は重視をしているわけです。そこで、私は、公社の審査機構ないしは制度にやはり大きな立ちおくれがあるというふうに言わざるを得ないと思います。  労働省にお尋ねをいたしますけれども、労働省が審査をする場合には、どういうことを申し立て者の権利として、あるいは客観的な判断をするための手段として行わなければならないようになっているか、そして行っているかということについて、総括的にお知らせをいただきたいと思います。
  596. 田中清定

    説明員(田中清定君) 労働省で業務上外の判断をする場合、これは一般の民間労働者で、まあ労災保険に加入している方ばかりでないわけでございますが、請求人が請求書に災害の発生状況を記載し使用者がそれに確認の印を押す。その請求書に請求人の主治医の診断書等を添付して、それの総合判断によって業務上外の認定をするわけでございますが、主治医の医証だけで直ちに判断できない場合には、さらに監督署長がみずから医師を指定して、そこの医師の診断を求めるというようなこともございます。
  597. 山中郁子

    山中郁子君 私どもが調べたところによりますと、労災適用事業の審査の場合には、まず公開ができる、請求人の意見陳述などができる、それから審理経過の調書閲覧なども保障されているというふうに理解をしておりますが、それらのことは満たされておりますでしょうか。
  598. 田中清定

    説明員(田中清定君) 御指摘のように、監督署長の第一次的な判断に不服がある場合には、都道府県労働基準局に置かれております労災補償審査官に審査の請求をすることができるということ。また、それに不服がある場合には、中央の労働保険審査会に再審査の請求をするわけでございますが、その過程で、ただいま先生の御指摘のように、請求人及び被請求人の意見の陳述を聞くとか、あるいは職権で調査をするとか、あるいは審査の過程で必要に応じ関係者には傍聴を許すとかいうような形で、できるだけ公正な手続を経て結論を出すように進めておるわけでございます。
  599. 山中郁子

    山中郁子君 私は、公社においても当然これらのことも行われてしかるべきであると考えますが、そうしたことについての積極的なお考えをお持ちになっていただけるものかどうか、公社と、それから公社においてはそのことがいま行われていないということについての労働省の見解をお尋ねいたします。初めに公社から伺います。
  600. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 先ほども申し上げましたように、六項目というものが基準になっておりますが、これにつきましては、罹病者の早期回復、利益ということを念頭に置きながら運用するようにいたしてまいりたいと思います。
  601. 山中郁子

    山中郁子君 労働省の見解を伺う前に、重ねて申し上げますが、いま申し上げました具体的な点について、公社としては、そういうことを行う用意があるかどうか、そういう見解を持つことができるかどうか、そのことをお尋ねしておりますので、重ねて厚生局長からでも公社側答弁をいただいた上で、労働省の見解をお尋ねいたします。
  602. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 先ほど労働省の方から、労働省が行います一般労働者の認定に当たってのやり方、考え方というようなものを、私ども、指導指針の一つとして、この考え方を十分私どもも参考にしてやりたい、このように思います。
  603. 田中清定

    説明員(田中清定君) 労働省関係の場合には、労働保険、労働者災害補償保険審査官及び労働保険審査会法で先生の御指摘のような諸手続が決まっているわけでございますが、これは国の所管の労災保険の場合でございまするので、このような手続が直ちに公社の場合には当てはまるかどうか申し上げかねるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、公社の場合には労使間の合意のもとに一定のルールが設定されているわけでございますので、このルールに従って公正な処理が行われるべきものであるというふうに考えているわけでございます。
  604. 山中郁子

    山中郁子君 労働省の方もお聞きになっていておわかりになっていると思いますけれども、電電の場合には、ほかの場合にも同じケースが多いというふうに私も考えておりますが、少なくとも電電公社の場合に、指定医の診断を受けないから認定しない、業務上としての認定をしないだけじゃなくて認定のテーブルにものせないということが現実に行われております。  そこでお伺いするんですけれども一般的に言って、これは労災法の適用の事業所であろうとまた公社であろうと、患者が自分が病気だということで医者にかかります。そうすると、その医者、まあ主治医とします、主治医の診断でもってこういう病気だということで提起がされます。その場合に、一般の場合には、労災法による労基署の認定のケースで言えば、公社が言う指定医の診断を受けなければならぬということは、労働省が申請者にその自分が受けて持ってきた診断だけではなくて、新たに労基署として受診命令を出すというケースと同じ問題になると私は考えておりますが、そういうケースは大体どのくらいの比率であるのでしょうか。正確な数字がわからなければ、見当でも結構です。
  605. 田中清定

    説明員(田中清定君) 私どもが扱っている業務上外の認定の場合には、もちろん第一次的には主治医の医証が出てくるわけでございます。主治医の医証については、当然これは十分尊重さるべきものでございますが、問題によっては、非常に判断の困難なケースが多うございますので、その場合には、やはり労働基準監督署長としては、十分な心証を得るために、みずから適当と思う医師を指定して、そこで受診するようにということで受診命令を出すケースも多うございます。受診命令のケースとしては、最初の段階のケースのほかに、たとえば障害等級の認定の段階とかいろいろな局面があるわけでございますが、数字的にはちょっと把握しておりませんのでお答えいたしかねます。
  606. 山中郁子

    山中郁子君 私は、これが大体一割程度だというふうに、いままで前に労働省から伺ったことがあるんですけれども、いまそれが一割であるというふうに重ねておっしゃらなくても結構ですが、少なくとも一〇〇%受診命令を出すということではないということだけは確かだと思いますが、その点はいかがですか。
  607. 田中清定

    説明員(田中清定君) 御指摘のように、すべてのケースについて受診命令を出すということではございませんで、主治医の医証で十分判断できる場合にはそれによって処理する。ただ、非常に疾病によっては問題のケースがいろいろございますので、慎重を期する意味でさらに受診命令を出すケースも御指摘のようにあるわけでございます。全体の割合から申し上げまして、先生指摘のように一割程度かあるいはもう少し多いか、私どもにわかに数字を持っておりませんので正確なお答えをいたしかねますけれども、御指摘のように、全部が全部そういうことで処理しているわけではございません。
  608. 山中郁子

    山中郁子君 それで重ねて労働省にお尋ねしたいんですけれども公社の場合には、いま労働省のケースで言うならば労働省の受診命令を出す、一割が二割であるかもしれないけれども、仮にこれが三割であるとしても、少なくとも三分の一とか四分の一とか五分の一とかという、こういう数です。だけれども公社の場合には、これに該当する問題としては一〇〇%指定病院なり指定医の検診を受けなければならないということになっているということについては、公社の場合、労働省通達を準用し、その指導も受けているという立場から言えば、余りにも格差があると、現実の問題として違い過ぎると私は思いますが、その点について労働省はどのような見解をお持ちでしょうか。
  609. 田中清定

    説明員(田中清定君) 現実問題として、すべてのケースについて公社側の指定医の判断が必要かどうか、これはケース・バイ・ケースによるのではないかというふうにも思われるわけでございますが、その辺の手続をめぐって労使間に一つの合意があるということでございますれば、やはりその手続に従って処理されるべきものではないかと、かように考えておるわけでございます。
  610. 山中郁子

    山中郁子君 公社に伺いますが、公社は指定医の診断がなくても認定をしますか。
  611. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 現在、全国で精密検診病院が百二十九ございます。この病院の医証を得た者でなければ業務上外の認定はいたさない、こういう労使の約束になっております。
  612. 山中郁子

    山中郁子君 ということになっていることは労働省もおわかりになったと思います。ですから、私は、労働省の方が公社が労使で決めていることでやっていることについて尊重するということはもう何回も伺いましたからわかりました。そういうことでなくて、実際問題として、労災法の改正のときによく御存じだと思いますけれども、この指定医の問題というのはもともと問題になっているんです。労災法の中で、その指定医の受診命令の問題が医師選択の自由を侵すものではないかということについて問題になっているわけです。それについての附帯決議もあるということは労働省もよく御存じだと思います。そういう精神からいって、一〇〇%指定医の診断を受けて、その医証がなければ認定のテーブルにのせないというあり方はどうかと、労働省としてどうなのか。労災法というものできちんとそのことが行なわれていて、附帯決議でも決められていて、そうして公社は労働省通達を準用して指導も受けているという、こういう関係にあるということで、その点についての見解を伺います。それは正しい正当な形なのか。
  613. 田中清定

    説明員(田中清定君) ごく一般論で申しまして、あらゆるケースについて使用者側がみずからの指定する医師の診断を受けなければ補償しないということは現実的ではないと考えておりますが、まあこれも疾病の種類によりましてそのあり方はいろいろであろうかとも思うわけでございます。
  614. 山中郁子

    山中郁子君 公社にお尋ねいたしますが、公社からも私は労使でそのように決めているということをもうこれ以上伺わなくて結構です、それはよくわかっておりますから。私はそのことについてとやかく言っているわけではありません。いま労働省の見解もございましたけれども、こういう点について労災法の精神に基づき検討していくというお考えがあるでしょうか、ぜひ検討していただきたいと思っておりますが。
  615. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 罹病者の便宜のために、この病院を数をふやす、あるいは交通上の利便を考えてできるだけ罹患者が長い時間乗り物に乗ったりしないような、そういう形でこの病院の数をふやすことにつきましては、今後も、労使で話し合ってまいりたい、このように思っております。
  616. 山中郁子

    山中郁子君 重ねてお尋ねいたします。  先ほど労働省からも一〇〇%指定病院ないし指定医の医証がなければ認定できないということは正常ではないという見解がありました。で、これは私はもう疑問の余地のないところだと思うんです。それはあなた方はより利便、受けやすいというふうにおっしゃるけれども、さっきから申し上げているように、必ずしも、この頸腕の問題に関してだけ言っても、公社自身も認められているように、審査委員会でもそうした判断が出ているように、医者によっていろいろ違うということはあり得るわけです。ですから、明らかに主治医のないしは指定医以外の診断も、当然のことながら、重視をしていかなきゃいけないはずだと思いますが、そのことについてはどのようにお考えですか。指定医以外の医証なり診断なりについては、何ら関与しないと、それを見ないと、こういう態度でいらっしゃるのかどうか、そのことをお尋ねいたします。
  617. 山本正司

    説明員山本正司君) よく御説明申し上げておりますが、この頸肩腕症候群というのは、災害等による外傷とかいったような業務災害と異なりまして、外見上はなかなか判別しがたい微妙な疾病でございます。で労働省の指定医の受診命令というお話数字にはいろんな業務災害上の疾病が入っておると思うんであります。で私どもがこの精密検診医を指定するということを労使の間で合意いたしておりますのは、そういった疾病の複雑性といったようなことと、それから公社という同じ職場に多数の頸肩腕症候群患者が時を同じうして発生をした、これらの罹患者に対する認定の公平性、斉一性といったようなものも片一方で考えてまいらなければならないわけでございまして、そういった観点から、受診者の利便等も十分考えて、この数も拡充してふやしてまいったわけでございまして、公社として業務上の認定をするに当たりましては、この精密検診医の指定というものはやはり堅持してまいらなければならないというふうに考えております。
  618. 山中郁子

    山中郁子君 それじゃ公社がそのようにしておっしゃっている指定医の医者が、どういうことを実際に患者に対して言っているかということについて、私は、たくさんの患者の人々から訴えを聞いております、これはもう何回もいままでも申し上げました。  一つだけ私はここで例をとって申し上げますけれども、逓信病院へ行ったと、それで医師に相談したら、交換の仕事から来た病気だから、他の仕事に変わらなければ治らないと言われたと。仕事から来た病気がはっきりしていれば、公社に業務上疾病の責任をとってもらうことができると思い、その旨を診断書に書いてくださいとお願いした。ところが、医師は、診断書は書かない、自分で職種転換の希望を課長に出しなさいと、どうしても診断書を書いてくれない。逓信病院ですよ、五反田の関東逓病の話です。こういうことがいっぱいあるんです。  私は、もう時間がありませんから、いまここで一々全部申し上げませんけれども、そういうふうな——私は指定医のすべてがそうだとは申しません、決して。だけれども、あなた方だってそういうことをよく知っていらっしゃるはずなんですよ。それなのに、いま労働省自身だって、それが正常な形とは思わないということを言っていらっしゃる。その一〇〇%指定医検診をしなければ断固として認定のテーブルにものせない、こういうことは大きく根本的に問題がある。私はこの場でそのことをどうこうするということを約束をしろとまでは言いません。だけれども、少なくともそういう実態と、それからその制度上の問題から言っても、また国の労災法の精神から言っても、労働省の指導の観点から言っても、その点については今後の課題としてやはり十分に研究していただかなきやならないものだということぐらいの認識は、答弁としていただかなければなりませんけれども、いかがでしょうか。
  619. 山本正司

    説明員山本正司君) 公社職員の健康維持といったような観点から、業務災害の問題に関しまして予防措置、治療措置等につきまして万全を期することは何回も御説明いたしたとおりであります。認定の問題につきましてもいろいろ御意見がございますし、私ども労働組合との間に何回も協議を重ねてまいったわけでございますが、運丘上、さらによりよい方向を目指して努力をいたしたいというふうに考えております。
  620. 山中郁子

    山中郁子君 具体的な問題で一つだけ申し上げます。  東京市外電話局、番案局で阿部さん、井野さん、国府田さんという方が中央労基署に提訴をいたしました。先ほどの関連で申し上げますと、この人たちが提訴をしたので、あわてて公社は死傷の報告をしたと、こういう関係になります。この人たちは個別について一々申し上げませんけれども、長い人で四年間にわたってたなざらしになっているんですよ。そして一回、二回とかかっていままで指定医の診断も受けたと、だけれども、いま私が読み上げたようなこういう扱いをされて、その病気に対して全く医者を信頼して病気を治してもらえるという確信が全く持てなくなった。したがって自分の信頼できる医者に行って診断を受けて、そして申請を出していると、それを公社は指定医の診断を受けてないからもう一度受けろ、もう一度受けろ、そして受けてないから認定のテーブルにものせない、そういうことで長い場合には四年間もたなざらしにしてきている。この人たちがもうがまんができなくて労基署に提訴した、こういう事態になっているんです。  私は細かいことについて一々申し上げませんけれども、いままで申し上げてきた事実と、それからあなた方が約束されたことから照らして、こういう異常な問題を今後あくまで言い張って続けるということは即刻やめて、そして認定をするということも含めて約束をしていただきたいということとあわせて、労基署は公社が認定をしたものについて再度不服が出されたならそれをまた認定をするけれども公社が認定をしていないからそれは出せないというふうな意見ということも承っておりますが、その問題はいま別におきましても、そういうところへもまた関連していますので、この問題に関して、早期に正しい扱いでもって労働者の健康を守る観点からの処置を図っていただきたい、このことを約束願いたいと思います。
  621. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) 公社の職員が罹病いたしました頸肩腕症候群以外の病気につきましては、おおむね労働省の行われているのと同じような扱いになっているわけでありまして、問題は頸肩腕症候群だけでございます。  これはもともと症候群という名前でもおわかりのように、まだ病名として確定していないということで、本人の保護のために、あるいは職員の公平というためにも、先ほど申し上げた精密検診病院というものを労使で約束、したわけでありまして、この三人の方は川崎大師病院とか鉄砲州診療所とかいうところの診断書だけを出して、がんとして精密検診病院の治療をお受けいただけないものですから非常に困っているわけですが、こういう問題についてはやはりよく話し合いまして精神を理解していただいて処理すると、このように進めてまいりたいと存じます。
  622. 山中郁子

    山中郁子君 がんとして受けてないんじゃなくて、いま何回も申し上げているような経過でもって、指定病院の人に言ったって診断書も書いてくれないという事実があるんです。そういうことも含めて、早急に処理をするということのお約束をしていただきたいと思います。  最後に、もう一点だけ職業病の問題について、簡単に公社見解を伺っておきたいと思います。  これは前に私が一度委員会でもって要求もし、そしてまた公社ともお話し合いをしたことですが、具体的な補償の問題で、業務上として認定された場合の補償の一環としての通院のための交通費の問題です。ケースは熊野の電話局の方と申し上げれば公社の方ではおわかりになると思います。この点について業務上として認定されているわけですし、それから通院の範囲というのは、社会的に見て、常識的に見て、とんでもない遠いところへ通院しているというふうにも私どもは考えられませんので、当然のことながら業務補償の一環として早期に解決をしてくださるよう検討をお願いしたいと思いますが、答弁をお願いします。
  623. 小澤春雄

    説明員(小澤春雄君) この件は、いま先生から初めて最近の状態でお尋ねがあったわけでございまして、私どもも最近の状態を十分把握しておりませんが、これは十分調査の上、検討さしていただきたいと思います。
  624. 山中郁子

    山中郁子君 頸腕の問題についてはまだたくさんあって、ちょっともう少し時間とりたいんですけれども、あともう一点だけしたいテーマがありますので、これは終わりますが、くれぐれも重ねてお願いをいたしますが、そうした実態についてようく調査をなすって、そして調査するまでもない、わかっていることについては虚心にそうしたことを考えられて、本当に罹病者が一日も早く治って回復できると、そういうことで姿勢を貫徹していただきたい。このことを強く要求いたします。  労働省の方、ありがとうございました。結構でございます。  では、最後に、私は、下請問題について、一点お尋ねいたします。  これはこの公衆電気通信法の改正の問題に絡んで、自民党や政府あるいは公社一つの大きな攻め道具として、値上げができないと工事がおくれて下請が泣いている、どうしてくれるのか、早くやってくれと盛んにこのことをおっしゃっております。しかし、私は、実態としてどうなのかという別な観点から下請問題についての問題点をいま指摘して公社の善処方をお願いしたいというふうに思っています。  確かに公社の下請に働く方たちはたくさんいらっしゃいます。そして、そのことによってさまざまな矛盾のもとで苦しんでいらして倒産が相次いで絶えない、こういう事態になっておりますが、これは私は決して値上げがされないから工事が繰り延べになって、なっているというふうにあなた方が言うような単純なものじゃないということで申し上げるわけですが、初めに、公社の電気通信設備の建設に関する請負契約について、公社が発注してからとのようなルートで仕事かなされているかということについて説明をいただきたい。
  625. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  公社は、建設工事を推進いたしますために業者を認定してございまして、これは技術力と経営内容を主といたしまして業者を認定してございます。この認定業者に競争入札でもって工事の入札をさせてございます。その入札に従って公社が示しました工事内容について工事をさせるようにしてございます。
  626. 山中郁子

    山中郁子君 簡単でいいんですけれども、元請、下請の関係がこうありますでしょう、そのことを教えてください。そして公社工事ですから、当然、国民が迷惑のかからないような十分な工事をしなきゃならないと思いますから、まあ下の下までいっても、そこまで公社はちゃんと監督しているはずだと思いますが、どういう形でこの監督がなされているのかということをあわせてお願いいたします。
  627. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  認定会社は、本来、自分のところで工事をやるのが本筋でございますけれども工事内容によりましてはこれを下請に出すという実態がございまして、これは通信建設だけではございません、一般の建設業においてもこういった慣例が昔からございます。したがいまして、そういったことから申しまして、元請業者から下請業者に工事の一部を出しておる例がございます。  大体、一次下請というのと、ごく単純な、あるいはきわめて専門的な、たとえば舗装復旧、こういったようなことにつきましてまた二次的に再下請に出ることがございますけれども、これらを含めまして、私どもでは一次下請が約八〇%ぐらい、二次以降に二〇%程度出ているものと、こういうふうに考えております。
  628. 山中郁子

    山中郁子君 まず、一つの問題として工事の発注が結局元請認定業者にされているということですけれども、私はこれは何も電電の下請だけの問題じゃなくて、官公需の発注を中小企業により多く出して、そして国としてのその観点からの責務を一層果たしてほしいと、中小企業のいまの危機を克服する上でも。そのことについては国としての通達も出されているという事態のもとですけれども、私は、中小業者が直接受注できるようになっていないということが問題だと思いますが、こうした受注の枠を拡大するおつもりがないかどうか。認定業者になるための書類だとかそのほかを一般に公開して、だれでも受注できるような道を積極的に公社が開いていくという、こういう姿勢がおありかどうか、持っていただきたいと思いますが、その関係をお尋ねいたします。それを先にそれじゃお伺いいたします。
  629. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えします。ただいま中小企業関係に発注のチャンスがないというふうに私お伺いしたんですけれども、具体的に申し上げますと、私ども認定業者の約四〇%がいわゆる大企業という範疇に属しておりまして、中小企業の範疇に入るものが六〇%ございます。
  630. 山中郁子

    山中郁子君 中小企業と大企業の数なんというのは、いま私がここで申し上げるまでもなく、莫大な差があるわけでしょう。それを四〇、六〇だからといって中小企業に順当になされているみたいなことはいただけませんけれども、それは指摘するにとどめます。  それで公社の姿勢として、より積極的に中小企業が受注できるようにということを姿勢として持っていらっしゃるのかどうか、それを拡大していくというお考えがあるかどうか、そのことをお尋ねいたします。
  631. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  私ども、認定会社を拡大しないという方針は持っておりませんので、先ほど申しましたように、認定をする資格を有しておる会社でありましたら、これを認定することには、決して閉鎖的にしておるわけではございません。
  632. 山中郁子

    山中郁子君 それでいま私が問題にすることは、そうした元請と下請ないしは孫請、そういう関係でトラブルがたくさん起きてきて、端的に言ってしまうと、かなりなピンはねが元請のところで行われる、ないしは孫請の立場からいえば下請のところで行われる、そういう苦情が絶えず寄せられます。  この点については、私は公社にもいろいろお伺いをしたこともありますし、また、ほかの委員の皆さんからも多分公社の方へ持ち込みがされているというふうに思いますので、この観点からの問題を申し上げるのですが、下請とか孫請の間の契約においては、しばしば口頭契約によるものがあるというふうに聞いておりますけれども、こういうことについて、公社が末端まで、さっき言ったように、工事中身も含め、また契約上の問題も含め、責任を持って監督をしていらっしゃるのかどうか、その体制上の問題について、先ほど御答弁がなかったもので重ねてお尋ねをいたします。
  633. 山口開生

    説明員(山口開生君) 本来、元請と下請の関係につきましては、これは業者自体の経営に関することでございますので、公社が直接介入することは、不当に介入することはこれは適切ではございません。しかしながら、ただいま先生がおっしゃいましたように、特にオイルショック以降に下請問題でもって、たとえば賃金の歩合の問題とか、こういった問題で元請、下請間のトラブルが多くなっていることも事実でございます。  私ども、やはり健全なる工事の遂行のためには、こういった元請、下請関係がうまくいくということ、より技術的に向上していただく、経営的にもしっかりしていただくということがひいては公社建設工事を順調に進めるという立場から、元請業者に対しましても下請の適切なる指導管理育成について再度指導をしてございます。
  634. 山中郁子

    山中郁子君 一つ九州の通信局管内の問題なんですけれども、元請は西日本通信建設、そうして下請が大一通信工業で、孫請の大阪相互通信建設ですか、この人は西村さんという人なんですけれども、この下請と孫請の間でトラブルが起きています。具体的な例としていま申し上げます。  この場合、下請の大一通信工業は孫請の工事の現場にだれも来ていなかった。それだから、結局、実際に仕事をしたにもかかわらず、それが仕事はしてないという、そういう仕事上のトラブル、それから単価の関係、そうしたものを含めて、契約書も取り交わしてないような状態で起こっている、そういう事態があります。そして、これについて三者で話し合いをした。つまり元請、下請、孫請で話し合いをして解決をしたいということだけれども、下請が断固として出てこない。それでらちが明かない、そういう事態になっています。私は、こういうケースは世の中にいっぱいあると思うのですよ。そこで九州通信局へ持ち込んでいったら、通信局の建設部長は、認定業者と契約しているから末端業者と話し合う必要はないと、こういうことで突っぱねていらっしゃるというふうに私はその申告者からは聞いております。  いまのお話によりますと、そういうことは公社としてはおとりにならないということだそうですので、この問題についても、公社の責任で解決をしていく方向の努力をされるということをお約束していただいたものと考えてよろしゅうございましょうか。
  635. 山口開生

    説明員(山口開生君) いま具体的に西村さんという個人名が出たんでございますが、実は、私、この話は初めて先生からお耳にしたわけでございまして、具体的な内容につきまして細かく存じておりません。ただ、そういった方が通信局にお見えになっていろいろと話をされておるということは以前にちょっと聞いたことがございます。  したがいまして、まさか、先生がおっしゃったように、建設部長がそんな下請のことは知らぬよと言うことは絶対にあり得ないと私たち思っておりますし、元請につきましても、先ほど申し上げておりますように、健全なる下請を育成しようと、こういう指導をしておりますから、絶対にそういうことはないと思っておりますけれども、なお、その点、もしその話が事実でありますれば、まことに遺憾なことでもありますし、調査をさしていただきたいと思います。
  636. 山中郁子

    山中郁子君 それは調査の結果の御報告もいただきたいし、善処方もお約束いただきたいと思います。  それで、問題は、その請負の価格の問題なんですね。実際問題として私はピンはねがあるというふうに申し上げました。一体、工事単価が元請、下地唄孫請と、こういうふうになっていく中でどんどん工事単価が減殺されてくる。そして実際上は仕事はまるまるやる場合が多いわけです。そして元請が、ただ工事長が監督に来るというだけの話であって、ほとんどたとえば下請なり孫請なりがその仕事をする。それにもかかわらず二〇%、三〇%というピンはねが行われて、そしてそういうことで実際に一番下の業者がもうそのとおりにお金をもらったってとっても採算が合わないと、こういう事態に立ち至っているという現状がありますが、その辺についてはどのようにお考えか、そしてまた工事単価がどのように減殺されていくのか、公社の把握しているところをお尋ねいたします。
  637. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えします。  ただいまの、下請にいくたびに工事費が安くなるということについては、にわかに、私、そうですと申し上げにくいのでございますが、元請から下請に外注する場合でございますが、いろいろなケースがございまして、元請業者がたとえば架設材料費を持つとか、事務所の費用を持つとか、あるいは工事用の機械機具、測定器、こういったものを持つ、こういったいろいろな場合がございまして、その場合に応じて比率が変わっていくものと思っております。したがいまして、単なる技術といいますか労務提供といいますか、作業だけしていただくというような場合には、そういった外注率が非常に下がるものと思っております。
  638. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ具体的にお尋ねしますけれども工事単価ですね、たとえば宅内工事で、単独加入電話新設の一件当たりの単価、それから移転、撤去、コンクリート柱新設、架空ケーブル普通接続——これは百対ということでよろしいと思いますが、それぞれ工事単価が幾らになっているかお知らせいただきたいと思います。
  639. 山口開生

    説明員(山口開生君) ただいま先生お話しされました工事単価につきましては、実は、その内容は私どもが予定価格を積算いたします積算の内容でございます。したがいまして、これを公表することは従来からも控えておりますし、予定価格のそういった単金を公表いたしますと、予定価格そのものが公開されることになりまして、競争契約を通せないということになりますので、御容赦を願いたいと思います。
  640. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、公社はそんなピンはねがないというふうにおっしゃっているけれども、ないのかどうかわからないじゃないですか、そうでしょう。それは工事単価は出せないと、だけれどもピンはねはないと、こういうふうにおっしゃるけれども、ピンはねのないという証明には何にもならないんですね。私は公社がピンはねしていると言ってるんじゃないんですよ。元請なり下請なりそういう点で下までいく間に合理的でない、不合理なピンはねがあるということを指摘しているわけなんです。  それでは、私が入手をいたしました工事単価について申し上げますと、これは公社工事単価です。あなた方がそれを発表なさらないからあえて申し上げるわけですが、単独加入電話新設の場合に七千五百四十円、一つ工事ですね、ある工事についてですけれども、これはそう変わるものではありません。それから移転が五千六百五十七円、撤去が三千二十五円、コンクリート柱の新設が一万九千七百九十六円、架空ケーブルが一万二千六百八十四円と、こういうふうに工事単価として発注をされております。それが実際にどういうふうになっているかと言いますと、先ほど申し上げました大阪相互の西村さんの場合ですね、単独加入の電話の場合は二千二百四十四円になって三〇%、それから移転の場合は千七百二十二円で三〇・四%、撤去が千百二十二円で三七%、コンクリート柱の新設費が七千二十円で三五・五%、架空ケーブルが四千二百十二円で三三・二%、孫請にくると、こうなってくるんです。  そして工事の実態というのはどうかといえば、元請からないしは下請から工事長なり何なりの監督者がいるだけ。仕事は全部下請、孫請がやるんですよ。それでいて公社工事単価から見て三〇%とか二〇%とか、関東のもう一つのケース、これを見ますと、一番ひどいので一二・四%のお金しか下へ届かないんです、公社工事費が。そういうことがあっていいんだろうか。そのことが下請を苦しめて倒産を頻発させている大きな主要な問題になっているということについて私はあえて指摘をしておきます。このことについての見解を伺います。
  641. 山口開生

    説明員(山口開生君) ただいまの数字につきましては、ここで初めて聞いたわけでございまして、私ども、にわかにそれがほんとに元請側が出したということについて確信を持ってございません。もう少し調査をいたしました上で、回答させていただきたいと思います。
  642. 山中郁子

    山中郁子君 これはちゃんとあるんです、こういうふうにして(資料を示す)。契約書の部分もあります。  それじゃ、そういうことは夢にも考えられないとおっしゃったようですけれども、大体どの程度になっているというふうに把握されているんですか。私はいま実際の数字を挙げて三〇%だとか二〇%だとか申し上げましたけれども、それはどの程度になっているというふうにお考えになっていますか。
  643. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、いろいろとケース・バイ・ケース、いろいろな部品の貸与なりその他等がございまして、一義的には決まらない。また元請と下請の日常いろいろな関係もございまして、どれがいいということを私どもは申し上げるほどの自信がございません。
  644. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、そのことについて実際のケースでお調べいただいて御報告をいただけるものと思いますが、よろしいでしょうか。金額はなくてもいいですよ、パーセンテージでもいいですよ。
  645. 山口開生

    説明員(山口開生君) 先ほどから申し上げておりますように、本来、元請と下請のいわば契約事でございますので、公社がこれを直接お出しするということにつきましては、やはり元請の業者の関係もございますので、よく相談をいたしまして、できる限り努力をしたいと思っております。
  646. 山中郁子

    山中郁子君 事実、私は実際の数字に基づいて申し上げていますから、これはそう大きく変わらないはずです。それで、あなた方は、たとえば値上げの宣伝のパンフレットに、あすでは遅過ぎるなんて言ってキャンペーン張っていました。あすでは遅過ぎるという意味は、値上げがあしたになっちゃったら工事が繰り延べになって中小企業が困ると、こういうふうに言っていらっしゃるのですけど、あすでは遅過ぎるどころじゃなくて、いま現在、中小企業、孫請、下請業者はこういう苦しみをなめている。  で公社工事費自体の問題点というのは、私はいま触れませんでした。触れないまでも、公社工事費そのものから見ても、こういうふうに大きく減額をされて、そして現実のケースでたとえば申し上げますと、関東のある通信業界の元請の場合、実際の工事においては工事長と職員、本社の事務の三人だけがその工事に参加している、来ている。あとは全部その下請にあるいは孫請にみんな任せてやらしているわけですね。それでいて、その工事費は三〇%にも満たないと、そういう状態で現実に工事が行われている。これこそがまさに料金値上げができないから下請が苦しんでいるなんていう問題じゃなくて、このいまの制度自体が持っている下請、孫請、中小業者、零細業者への苦しみの道具になっている。このことに公社が一役果しているということを私は大変残念でもあるし、問題もあるというふうに思いますので、先ほどおっしゃいましたような早急な個別のトラブルの解消も含めて、基本的な問題についての改善をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  647. 山口開生

    説明員(山口開生君) ただいま先生がおっしゃいましたことにつきましても、十分その趣旨を体しまして、下請問題につきましては、元請に厳重に注意をいたしますともに、今後とも健全なる育成のために努力するように指導してまいりたいと思っております。
  648. 山中郁子

    山中郁子君 これは業界の問題について申し上げましたが、メーカーからの機材購入についても同じような問題があります。  私の調査によりますと、四十八年ごろ公社は六〇〇型自動電話機を四千八百円で購入していました。しかし、当時のメーカーの製造原価は二千八百円だと言われています。また、その当時ドイツからの六〇〇型の自動電話機の輸入価格は三千八百円です。四千八百円で買っていて、輸入品は三千八百円で輸入できる。まあもっとたくさんいろいろな例証はありますけれども、そういうことを総合的に考えますと、公社はやはりメーカーから機材購入の面でも高い品物を買って、そしてそれは莫大な建設投資ということで料金負担をかけて徴収をして、さらにそれが間に合わないから今後値上げをしますと、こういうことをやっているということは指摘されても仕方がないことだというふうに思いますが、その機材購入についての問題点、私が申し上げましたことについての見解をお尋ねいたします。
  649. 小西一郎

    説明員(小西一郎君) お答えを申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいました数字につきましては、私、初耳でございますので、特に意見を申し上げる立場にございませんが、ただいま先生がおっしゃいましたように、公社が不当に高い価格で物を買っておるという御意見に対しましては、私、強い反論を申し上げたいと思います。  ちょうど石油危機によりまして一般的に物価が非常に上がっております。日銀の卸売物価指数によりますと、四十八年六月をベースにいたしまして——これは石油危機の起こる前でございますが、現在に至るまでの日銀の卸売物価指数は約五〇%近い四六・四%という大きな数字になっておるわけでございます。これを公社の本社で購入いたしております施設用物品の主要物品につきまして、購入ウエートによりまして物価指数を計算いたしますと、大体、一七%という数字になっております。これは細かく分けますと資材関係、線材関係いろいろございますが、そういうマクロの数字で、まず公社が決して不当な価格で物を買っていないということを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、これは石油危機以前の問題でございますが、昭和三十九年から昭和四十八年に至る十年間にわたりまして、公社が値下げによりましてどれだけ節約したか、これはかなり大胆な前提を置いて計算をいたしておりますが、その累計額が約一千百億に至っております。これは総額に対しまして約三%を超える数字になっておるかと考えております。  以上でございます。
  650. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 資材局長、君はいま山中先生質問に対して反論すると言った、反論と。ここは君たちの討論の場ではないんだよ。反論とは何だ、反論とは。取り消して謝りなさい、取り消しなさい。反論とは納得できないんだ。
  651. 小西一郎

    説明員(小西一郎君) 言葉が過ぎまして申しわけございません。深くおわび申し上げます。
  652. 山中郁子

    山中郁子君 私は、いま申し上げようと思っておりました。強く反論するとおっしゃるならば、それだったら私どもが前から言っている物品契約実績調書をお出しになったらいいじゃないですか。仮に反論するなら、そういうものを持って反論しなきゃ反論にならないですよ、そうでしょう。出しますか、出してください。
  653. 小西一郎

    説明員(小西一郎君) お答えを申し上げます。  先生から御要求をいただきました物品契約実績調書でございますが、五十年度につきましては、つくっておりませんので、ございません。で過去のものにつきましては、四十九年度につくった経緯がございますが、これはあくまでも資材局の課でもって業務用の参考資料としてつくったものでございまして、内容も区々でございますし、数値につきましても公社として責任を負えるものではございませんので、とうてい提出できるものではございませんし、現在、四十九年度分につきまして余部も残っておりません。そういう状況でございます。
  654. 山中郁子

    山中郁子君 余部がなければ貸していただいても結構ですので、じゃ四十八年度ですか、四十九年度ですか、それを見せていただきたい、そのことをお約束願います。
  655. 小西一郎

    説明員(小西一郎君) お答え申し上げます。  先生から御要求のございます契約実績調書という言葉から私たちこれは想定をいたすわけでございますが、物品の契約実績に関しましてきわめて細かい調書にしておられるのではないかというふうに私考えるわけでございますが、これにつきましては、次のように私たち考えております。  公社とメーカーとの契約内容につきまして、個別のメーカーごとに品名、単価、数量等細部にわたりまして公表するということは、契約先の利益の保護についての配慮を要求しております商道徳の趣旨から見まして、また企業機密の保護の見地から見まして、当を得ないものというふうに私考えます。  また、物品の購入契約というものはあくまでも双務契約でございまして、一方的に契約事項の細部について対外的に公表するということは妥当性を欠くものであるというふうに考えております。  で電電公社は、先生御承知のように、随意契約を主として契約の方式を使っておりますが、この契約方式につきましては、いま公社としては絶大な自信を持って現在遂行しておりますけれども、いろいろこの委員会でも御指摘のございますように、競争効果というものをどういうふうに保つかという御指摘がございます。で、これにつきましては、公社としても非常に心を砕いて苦心をしておるところでございまして、単に価格だけで競争するのではなしに、品質でいろいろメーカーを競争させる、それから物をつくる企業の企業努力の内容によって競争させるということを念願をしてやっておるわけでございますが、そういう点から見ましても、この契約実績調書という形で詳細な資料を出すということは、公社が非常に苦心をして競争意欲を盛り立てようとする点にいささか問題を残すのではないかというふうに判断をいたします。その三つでございます。
  656. 山中郁子

    山中郁子君 初め五十年度つくってないと言って、そしてそういうふうにしていけば、いままたいろいろ理屈を並べて出さない。それだったら、結局、あなた方はメーカーから幾らで何を買ったかもわからないんだから、それを国民の前に明らかにしないんだから、高い物をよけいなお金使って買っていると言われたって仕方がないんじゃないですか。それに対して、そうしていませんということを言えないでしょう。私はそのことを申し上げているんです。  だから——いいです、何回も繰り返して同じことを伺うつもりはありません。私は、これはまた物特との連合審査などにおいても、こうした問題については引き続き追及をわが党としてもいたしますが、いずれにいたしましても、物品契約実績調書、こういう名前のものであろうとなかろうと、どのメーカーから何を幾らで買っているか、こういうことを国会に明らかにできない、国民の前に明らかにできない、そういうことでは公社の経理が民主的に公開されているとは言えないし、その上に立って、なおかつ赤字だから値上げをしてくださいと言ったって、だれも納得できない、このことを私は強く指摘をしておきます。この点は引き続き要求をいたします。  それで、長時間にわたりまして、私は、公衆電気通信法の問題、それに直接関連すること、あるいは間接的に関連することについて質疑を行ってまいりました。このことにつきましては答弁に立っていただきました郵政省並びに電電公社の皆さんも大変お疲れになったと思います。そしてまた資料その他でもって準備をなされた職員の方たちにも大変御苦労をおかけしたと思います。そのことについてはそれとしても、私は、いまの御答弁に象徴されているように、そしていままでの経過の中でも何回となくそうしたことが繰り返されたように、一番初めに申し上げましたけれども公社は秘密主義で、本当に国民の前にこれこれこうだから赤字なんだということを何ら提示できなくて、そしてなおかつ赤字だから値上げをしてくれということを言い張るということがより一層明らかになったと私は確信をいたします。  もちろん、この質疑の経過の中で謝罪をなさったこともあるし、訂正をなさったこともあるし、前向きに検討をするというふうにお約束をなさったこともあります。それらのことについては必ず約束を実行をしていただくということを私ども引き続き申し上げますが、総体として解明されたことは、依然として利益隠し、そして大企業奉仕の不公正な料金、それらの問題がよって来るところの公社がつくり出した赤字、これを国民に大幅に転嫁をする、そういう中身以外の何物でもない。そうでないと言い張るならば、そのことを論証する資料を全部出すということについて公社は拒んでいる、こういうこととして言わざるを得ません。  私は、この質疑を通じましても、改めて電電公社の今回の公衆電気通信法の一部改正、つまり電報・電話料金値上げ、これがいかに不当なものであるかということをさらに確信を持つに至りました。私どもは引き続き公衆電気通信法の一部改正案に反対する立場を明確にすると同時に、幾つかの点について若干時間の問題を保留させていただきます。まだ公社から先ほどお約束があっていただいてない点です。これは決して長時間の時間をとるという問題ではありませんので、委員長においてお許しをいただきたいと思います。  以上をもちまして、私のきょうの質疑を終わらせていただきます。
  657. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止〕
  658. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  659. 木島則夫

    木島則夫君 私は、電電公社郵政省に対して、これから約三時間質疑を行いたいと思います。  電気通信省から電電に移行して現在の公社に至っているわけでございますけれども、最初にお伺いをしたいことは、公社発足当時の総裁の訓示の要旨がありましたら、簡単で結構ですからお伺いしたいと思います。要旨でございます。
  660. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 梶井総裁総裁になられました当時、つまり公社発足当時の訓示そのものは私いま手元にございませんし、記憶をたどりながら要点だけ申し上げますと、要するに、いままでの官庁的な経営ではなくて経営自体を改める、したがいまして、われわれ働く者にとりましても、従来のような役人というような観念ではなくて、たしかそのときに前だれがけという言葉を使われたと思いますが、前だれがけの精神でやれ、こういうようなことを言われたように記憶しております。なお、その当時の詳細な訓示そのものは、大変恐縮でございますが、いま記憶はいたしておりません。
  661. 木島則夫

    木島則夫君 たしか私も前だれかけ精神で公社を盛り立てていこう、これによって労働条件を当然向上させ得るという意味の御発言があったように伺っております。それは現在も受け継がれているかどうか、その精神は生きているかどうか、確認の意味で、これは総裁から伺いたい。
  662. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  基本的な考え方は受け継がれております。ただ、しかし、時代の変化とともに中身は幾らか修正されておる、こういうことでございます。
  663. 木島則夫

    木島則夫君 当然、時代の変化によってそれに対応していくというのは、これは当然だろうと思いますけれど、やっぱり、私は、基本精神というのはいまさつき言ったようなことだろうと思います。  そこで、その情報化時代の認識についてこれからお伺いをしたいんでありますけれど、現在の電話月月と昔の電話汎用の違いということにつきましては、素人の私もこれは非常に驚くべき技術革新、発達をしているという点でございます。たとえば、大臣にこの後お伺いをしたいんでありますけれど、従来の電話は一対一、まあこれは現在もそういう部分が非常に多いんですけれど、一対一、しかも音声のみのコミュニケーションしかできない。しかし、最近の電話は、その利用価値というものが非常に多様化している。たとえばホームテレホンあるいはファクシミリ伝送、留守番電話、山間僻地からの電話を使っての心電図の伝速など、認識とか発想というものを従来のものから全く新しくしなければ、とてもではないけれど、ついていけないくらいのところに私は来ているというふうに考えております。  これに対する郵政大臣の御認識というような質問の仕方はあるいは失礼かと思いますが、大臣のお部屋にはプッシュホンもおありになるだろうし、テレビ電話もついているはずですね。そういうものをごらんになって、なるほど電話のイメージというものはこんなにも変わったのかなという大臣の、電話だけで結構ですから、電話に対するイメージというものをどんなふうにお持ちになっているのか、もう一つふくらまして情報化時代に対する大臣の御認識、これは簡潔で結構です、お伺いしたい。
  664. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 情報化時代の新しい社会の構造、こういうものに対してやはりすぐれた技術革新を行いまして、末端器機、いまおっしゃいましたプッシュホンその他そういうようなものを提供する、あるいは各種の新しい手段の開発にこれから努めて、多様化に適応する新しい技術開発を行って国民サービスを行いたいと思います。
  665. 木島則夫

    木島則夫君 大変私的なことで恐縮でございますけれども、プッシュホンがございますね、その利用価値というのは非常に多目的、多いんです。そういうプッシュホンをフルに大臣は利用していらっしゃいますか。
  666. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 利用いたしております。
  667. 木島則夫

    木島則夫君 それじゃ後で詳しく伺いますよ(笑声)。  ところで、電電公社では、電話利用者を含めて、国民電話を含めた情報化時代に対する認識をどのように持っているのか、その意識調査をなされたことがありますかという御質問であります。特に電話というものに対するイメージについてどんなふうに感じているか、これを知りたい。ということは、電電公社がこれからどう運営され、どう生きていったらよいかという基本的な問題にも絡まるわけでございますから、こういう調査は当然されていらっしゃるだろうと思う、いかがですか。
  668. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 調査につきましては、まだ期間が短いものですから的確なお答えになるかどうかわかりませんが、それで電話のイメージにつきましては、まず使い方でございますが、これにつきましては社交上電話は欠かせないものであるというような回答が七〇%ぐらいございますが、それから多少料金がかさんでも用事を電話で済ますことで自分の時間を持つべきだという、時間を節約するというか、有効に使いたいというのが六三%。それから若い人たちは何でも電話で済ませたいという意向が出ておりますが、これが五四%ぐらい。それから肉親や友人には定期的に近況を電話で伝えるべきだという希望がございますが、これが四五%ぐらいございます。それから季節のあいさつ等も電話等がよいというようなのが三二%ぐらいございます。それから、これは使い方でございますが、音声だけでなくて、たとえば心電図伝送ないしはペースメーカチェック信号伝送装置とか、ああいう新しい音声にかわる電話の利用、こういうものをバラエティに富んだ開発をしてもらいたい、こういう要望もございます。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光着席
  669. 木島則夫

    木島則夫君 技術革新はここまで進んでいると、そして電話を取り巻く環境も一ころと比べものにならないくらい変わっているといういまの状況です。ですから、一方では技術革新が目をみはる勢いで進んでいること、これもいま御指摘のとおりでございますが、実際、電話の普及状況は、積滞を含めて自動即時化がまだ現在のところ達成されていない。  そこで、私は、本論に入る前に、積滞解消は五十二年度末にできると言ったけれども、これは本当に達成ができるのかどうか、あるいは五十三年度末に電話のすべての自動化が実施の予定だけれども、確実に達成できるか、確認をしておきたいわけであります。この二点について。
  670. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  第一点の、積滞解消の件でございます。これは公社の創立以来の悲願でございまして、いままで五次にわたる計画をやってまいりました。そしてその結果、五十年度末の積滞は約四十八万でございます。したがいまして、われわれといたしましては、今後、二年間で五十二年度末にはほぼ全国的規模において積滞が解消することができると確信しております。かく積滞解消と申しますのは、大体、申し込んで一カ月ぐらいでつく、こういう考えでございます。  それからもう一点の、自動化の件は、これもやはり大体五十年度末で千二百局ほど手動局が残っておりますが、これは大体あと二年半、五十三年度末には全部の局が自動局になる予定でございます。
  671. 木島則夫

    木島則夫君 前者については、つまり積滞については五十二年度末になくすように確信をしている、そして自動化については予定であるというニュアンスの違ったお答えをされたけれど、何か含みがあることですか、それには。
  672. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  そういう意味ではございません。われわれといたしましては、五十三年度末に手動局の自動化は完成する予定でございます。
  673. 木島則夫

    木島則夫君 そこでもう一つ、農村集団電話など、この地域集団電話の単独電話化、これも急務の一つですね。ここの委員会でも何遍も論議をされている問題の一つでございますが、これはいつまでにやれるのか。   〔理事茜ケ久保重光退席委員長着席
  674. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) お答え申し上げます。  地域集団電話は五十年度末で約百十五万ございます。この一般化についてはかなり要望がございまして、いままでも年間に六万程度やってまいりました。ことしも九万程度はやるつもりでございますが、これは何分にもやはり一般化と申しましても、ほぼ交換機、線路その他全部やり直しますもので、かなりの金がかかります。したがいまして、われわれといたしましては、できるだけ早くやりたいつもりでございますが、何分にも百万ございますので、これは今回の料金改正が実現しました暁に、できるだけ早期ということで一般化を図りたい、こういう予定でございます。
  675. 木島則夫

    木島則夫君 これは非常に急がれておりますので、できるだけ早期というお言葉をもう一つ前進をさして、これこれいつごろまでにはできるくらいの目安はあるでしょう。
  676. 輿寛次郎

    説明員(輿寛次郎君) これにつきましては、まだ公社内でも本格的にオーソライズされておりませんが、私個人のつもりといたしましては、何とか第六次五カ年計画と申しますか、五十三年から五十七年にわたります計画の中で、できるだけ解消していきたい、こう考えております。
  677. 木島則夫

    木島則夫君 そうすると、定かな言葉ではないけれど、数年後には解消される、いわゆる問題が解決されるというふうに私は希望をしたいし、また期待もしたいわけです。  そこで、ほぼその時点で完全充足が達成されると見ていいんだろうか。たしか過日の委員会で、これは遠藤総務理事が御発言になったかと思います、あるいは記憶違いかもしれませんけれど、電電公社はその時点で初めてスタート台に立つのだというニュアンスのことをおっしゃっておりますけれど、これは間違いございませんか、私の記憶違いでしょうか。
  678. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 正確にそのとおりであったかどうかわかりませんが、そういうようなことを申し上げました。
  679. 木島則夫

    木島則夫君 皮肉な見方をいたしますと、今回の値上げというものは過去のしりぬぐいをしているんだとして、今後、これでいこうという具体策が出るまでの、経営安定を図る上での暫定的な措置と受け取る人もいるわけですね。それは来年の秋、つまり五十二年の秋には労働基本権問題に絡まる電電公社の経営形態の基本的な問題のあり方、あるいは今年度の料金改定が実現をしたとしましても、たかだか数年しかこれが続かない。そうなると、もう五十二年の秋には、料金体系の見直しを含めて、何らかの基本的な態度を打ち出さざるを得ないという問題につながってくるというふうに私は見るわけです。  だから、遠藤総務理事がさっきおっしゃったニュアンスは違うかもしれないけれど、そのような意味のことをおっしゃったという、初めてスタート台に立つことになるとは具体的にどういうことになるのか。それは電電公社のあるべき姿をきちっとさせることであり、経営のあり方を安定し、付加価値の高い利用種目を拡大する方向をとるということになるのかどうか。私は暫定的にいま問題提示をいたしましたけれど、いかがでしょうか。
  680. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは私が前から思っておることなんでございますが、公社というところは、これは先ほど私の発言はあるいは誤解をいただくと困るんですが、できましてから二十三年の間何が一番目標であったかというと、据えても据えても追っかけてくる積滞をともかくさばくということのために、私どもも私どもの先輩も、それだけではございませんが、それを中心に一生懸命やってきたわけでございます。実は、それ以外にサービス業としては、確かにいろいろ一回線当たりのついている端末の数を多くする、したがって、それによって回線の利用効率を高めるとか、いま先生のおっしゃった附加価値を高めていくとか、あるいは料金体系そのものにつきましても、こういう地域の社会状況の発展に伴って、先般来議論されているような問題を基本的に考え直して、社会の発展に即したものを考えていかなくちゃいけないということはわかっておったんですが、やはり何といいましても仕事は、まず積滞解消、自動改式ということに中心を置いてやってまいりました。  そのこと自体も私ばサービス業として大事なことだと思うんですが、それが一段落を得ました後は、ここで財政基盤も確立をされましたときは、その後は、私は、いま先生おっしゃったような附加価値が増大するような端末の販売でございますとか、現在五兆円に上っておりますこの国民的な資産をもっと有効に、先ほどの調査にもありましたような社会生活に役立つような形でさらに使っていただくことのためにやっていく余力ができたと、こういう意味で私の発言をいたしたわけでございます。
  681. 木島則夫

    木島則夫君 そうしますと、大変電電公社側に立った発言、言い分になりますけれど、初めて本来電電があるべき姿にようやく到達をしたというような言い方にもなるんだろうと思います。もちろん、積滞解消ということは、これは重要な課題の一つであったわけでございます。  ところで、五十二年度の末には積滞が解消し、完全自動即時化が一応充足をするという段階はもう数年後には来るわけですね。そうしますと、経営安定を図る上で一つ大きな問題がここにございます。それは債券負担法が五十七年で切れることになりますと、まあ償還の問題、償還とその後の資金調達を一体どういうふうにしたらいいかということが、もう間もなく、間もなくというか、目の前に迫った問題として出てくるわけです。この償還とその後の資金調達についての公社の考え方、いかがでしょうか。
  682. 好本巧

    説明員好本巧君) お答えいたします。  五十一年度から五十三年度までの資金計画その他はすでに御説明したとおりでございまして、五十三年度までは、この料金改定をお認めいただきました暁には、三年間は、大体、建設資金と債務償還の資金の五〇%、半分は内部資金で、半分は外部資金でという、大体、四十三年から四十八年までのあたりにまいりました健全な資金比率でやってまいれると思います。  その後の問題につきましては、これはまた五十四年度以降のことでございますけれども、一方、先生指摘になりましたように、拡充法が五十七年度末までの期限立法でございますので、しかもそれが再延長はほとんど考えられないということでございます。何せ単年度で三千億を超えるような加入者電電債というものを毎年発行しておりますので、これに見返るものといたしましては、一方では政府の財政当局の御援助、あるいは外債を含みますところのあらゆる種類の低利な資金調達をやってまいらなけりゃいかぬということを、もうそろそろ明年度ごろから段階的な計画をつくるべきときに来ておるというふうに考えております。
  683. 木島則夫

    木島則夫君 この問題はやっぱり郵政にも絡まることですからね、一応、伺っておきたいと思います。いま償還の問題とその後の資金調達。五十七年でこの法律が切れると、債券負担法が五十七年で切れることになる、その後の問題です。
  684. 松井清武

    政府委員松井清武君) 五十八年度以降におきましても、内部資金の充実を図るとともに、外部資金につきましてもより有利かつ多様な資金源泉の確保に遺憾のないよう努力してまいらなきやならないと思っております。
  685. 木島則夫

    木島則夫君 まあ私も夜遅くまでというか、これはまあ当然なことですけれど、夜遅くまでこういう審議をしておりますから、やっぱり実のあるお答えをちょうだいをしたいと思うんですね、よろしくお願いをいたします。  経営安定を図っていく上で、もう一つ見逃せない問題に地方分権化をこのままにしておいていいかどうかということがございます。確かに電話の積滞がかさんで充足の必要がもう第一義的に考えられておりました時代には、各通信局ごとに需要の予測をつけて、それに基づいて設置個数を割り当ててきたわけでございます。これには地方の実情をよく知った地方局に権限を委譲して処理してきた、この方が実情に合っておりまして、いままでは確かに私はメリットはあったというふうに考えております。しかし、これから経営安定を図っていく上で地方分権化をこのままにしておいていいのかどうか、もし問題があるとすれば、どのように将来この問題を考えるか。聞くところによると、経営調査室あたりでも大きな関心を示していて、プロジェクトをつくって研究をしているとか聞いている。この問題の方向づけあたりがもうできているんじゃないかと思いますけれど、いかがでしょうか。
  686. 山本正司

    説明員山本正司君) お答えいたします。  公社は、従来から、分権的管理組織の確立に努めてきておりまして、先ほど御指摘のように、通信局を事業経営の中核体といたしまして、その管轄区域内における業務運営についての権限を大幅に下部に委譲し、さらには通信局から通信部、取扱局というように権限を委譲して事業運営をやってまいったわけでございます。  しかしながら、御指摘のように、積滞が解消をいたしまして、今後、公社の業務運営というものはさらにきめ細かくお客さんに対するサービスを中心にしてやってまいらなければならないということでございまして、公社の組織そのものにつきましても、そういったポスト積滞解消という観点に立って、現在、いろいろ見直し検討を進めておりますが、まだ確定的な方向づけというようなものも検討の段階でございまして、できておらないわけでございます。いずれにしても、そういった新しい観点に立って、将来の公社としての見直しというものをやる必要性を十分に認識して検討中でございます。
  687. 木島則夫

    木島則夫君 これは非常に重要な問題ですから、いまここですぐお答えをいただきたいなどとは私も申し上げていないんでありますから、しかし、公社組織をいまのままにしておいていいかということは、いまお答えがあったように問題点があるんだと、これはもう見なおしをしなきゃならないということですけれど、多少の片りん的な、たとえば何というか、中央集権ということにウエートを置くのか、あるいは分権と中央集権の中間的なものなのかというようなことで、もうやっぱりある程度の方向みたいなものは私は相当出ているんじゃないかと思うんですよ、プロジェクトチームをおつくりになってやっているということでもあるし。その辺、しつこいようだけれど、非常に重要な問題ですから、もし具体的な方向づけが固まってきているのなら教えていただきたい。
  688. 山本正司

    説明員山本正司君) 御質問でございますが、まだここで公式にお答えするほど固まったものは持っておらないわけでございますが、いずれにしても顧客指向あるいは運営方策にありますサービス精神の高揚といったようなことを公社の目標といたしまして、さらにお客の要望の多様化、高度化に対応したきめ細かなサービスが現場段階で提供できるように、また各地域の地域社会の変化に速かに対応できるような組織であるということが必要ではないかと思うんであります。  そういった観点からいたしますと、現在の全国組織というものをさらに大きく二つあるいは三つぐらいのブロックに分けて、その下に通信部、電話局といったようなものを配置をして、ルーチンワークの管理というものにさらに重点が指向されるような組織も考えられるのではなかろうかというふうに考えておりますが、いずれにしても現在検討中の問題でございます。
  689. 木島則夫

    木島則夫君 これ非常に大事な問題でございますから、慎重に、しかも急速に変動をしていく情報化社会にやっぱり対応できるように私はやっていってほしい、こういう要望をしておきたいと思います。  さて、次に、級別基本料金、これは当委員会でもいろいろ問題が出ておりますし、議論もされてきたところですけれども、級別基本料金の格差の問題も、これは経営安定方策という観点からしても非常に大事な問題です。経営安定方策を志向する中で大変大事な課題だと思いますので、この問題を基本的にどう考えているのか、基本線をまず聞かしていただきたいと思います。
  690. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 現在、基本料につきましては五段階の級別に分かれておりまして、それぞれ若干でございますが、基本料の金額に差がございます。このことば実は前はもっとひどかったんでございまして、その五段階が加入区域ごとにあったものを今回は広域時分制以後はもっと広いグループでそれを計算するようにいたしております。しかし、それにいたしましても、現在の段階では、私は率直に申し上げて、級別の段階は無意味とは申しませんが、非常に意味が薄れてきておる、そういうぐあいに思うんです。できれば級別なしで一本の基本料金——事務用、住宅用というのは別でございますが、望ましいと思います。思いますが、これはわりあいドラスチックな方法で一本にそういたさなくても、実際問題として加入数がふえていきます関係上、だんだん上の方へ集中してまいってきておりますので、事実上、そういう形で不合理は是正されてきております。その状況を見まして、また次の機会にこれを一本化するということで今回は見送ったんでございますが、基本的には、やはり相当昔と違って、意義は薄れてきておるというのが私ども見解でございます。
  691. 木島則夫

    木島則夫君 この問題について後ほど具体的にお伺いをする前に、まず電話部門の収支についてですけれど、四十九年度の加入電話一本当たりの支出は、事務用、住宅用ともに四千六百円であると、また収入については事務用が一本当たり七千四百円で黒字、住宅用が二千六百円で赤字と、しかもすでに住宅用の比率が六一%ですか、これからの架設の八〇%が住宅用である、したがってその電話部門の赤字はますますふえると、公社はこういうふうにおっしゃっております。そこで、基本料を二倍に、度数料を七円から十円に値上げをしたいというのは公社値上げ案の骨子でございます。  そこで、その現状把握の中で、しばしばこの委員会でも問題になりましたように、住宅用電話を一方的に赤字にきめつけているけれど、これでいいんだろうかということですね。私は、もう一つの視点から、なるほど発信面からの収入こそ少ないんですけれど、事務用電話からの受信面も通じて総収入に大きく寄与しているのではないだろうか、だから事務用電話からの収入の中で住宅用向けにかけたものが含まれる度合いを一応つかんだ上で議論をする必要がありはしないだろうかという問題の提起なんです。郵政省では、郵便物の流れにつきまして、たしかサンプル調査みたいなこともしておいでになり、これをもとに議論をされていると、こういうこともあるようでございますが、電電公社では、この種の調査をなさっているのか、トラフィック調査の資料ということになるんですけれど、この辺を少し具体的に聞かしていただきたい。
  692. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) トラフィック調査ということはやっております。やっておりますけれども、いま先生のおっしゃったような数字もサンプル調査でございますが、私どもの方でサンプル調査の結果の数字は一応把握いたしております。しかし、これだけ大きな加入数になりますと、ただ全国的な数値だけじゃなくて、できれば地方別な特色も見たいし、今後は、そういうトラフィック調査をさらにきめ細かく、営業面といいますか、そういった面で生かすようにしたいと思いまして、現在、その辺は準備中でございます。  しかし、いま先生のおっしゃいました事務用、住宅用の関係につきましては、簡単に申し上げますと、サンプル調査の結果、発信度数では確かに事務用が七割、住宅用が三割なんです。ところが、住宅用から事務用にかかるのもありますし、住宅用から住宅用にかかるのもある。それから逆に事務用から住宅用にかかるのもある、事務用から事務用にかかるのもある。これをまたサンプルの結果あれしますと、やはりそれも七、三なんです。ですから、それはサンプル調査ですから、地方的なすうじは入っておりませんので、非常にラフといえばラフな数字かもわかりませんが、一般的にそういうことで、住宅用電話というものの流れというものはそういうぐあいに一応現在私どもは把握しているところでございます。
  693. 木島則夫

    木島則夫君 朝日ジャーナルの一九七六年二月十三日号で、経済評論家でもあり、また学者の力石先生が「公社へ提案」という一文の中で次のように述べておいでになります。ちょっと抜粋をいたします。   今の料金は、「総括原価は、利用者の便益に応  じて公平に負担する」という料金決定の原則か  らかなりはずれている。   たとえば三分七円の市内通話料金の区域は、  どこでもほぼ半径一五キロぐらいの範囲になつ  ているが、この中身は、大都市と地方では大変  な差がある。たとえば市内料金区域に含まれて  いる加入電話数をみると、東京二三区は一二四  万、大阪は一〇九万、名古屋六七万、岡山は一  五万、倉敷一〇万、玉野二万などである。同じ  三分七円の市内料金でも便益には大変な差があ  るわけだ。もちろん、この地域の差を考えて、  基本料には、若干地域差がついている。東京、  大阪、名古屋の基本料は、事務用一三〇〇円、  住宅用九〇〇円、岡山と倉敷は事務用一一五〇  円、住宅用八〇〇円、玉野はそれぞれ千円、七  〇〇円となっている。しかしこの差は、便益の  格差の巨大さと比べてきわめて小さい。つまり  大都市の事務用の電話は、安い市内料金でこの  「集積の利益」をフルに利用しているわけであ  る。——   同じような発想からも、大都市の事務用の電  話の基本料は、今の数倍に引き上げてしかるべ  きである。  こういう提案があるわけです。  要するに、総括原価というものは利用者の便益に応じて公平に負担をするという原則から考えますと、私も相当外れているんではないかという同じ考え方を持つわけでございますけれど、力石さんならずちおも、こういう考えというものは私はごく自然だと思うんですけれど、電電公社はどういうふうに受け取っておりますか。
  694. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私も力石先生としばしば議論をいたしましたんですが、確かにいまの時点でそれを考えますと、力石先生のおっしゃるとおり、あるいは木島先生の率直にお考えになるとおりでございまして、不公平ということは言えると思うんです。  ただ、私ども実務家として料金を直しますときには、やはり歴史的な経緯というものもこれは無視はできないわけでございまして、率直に言うと言葉が過ぎるかもわかりませんが、東京都あるいは大阪というこの二つの巨大都市がなくて一こんなにでかくなるということは恐らくわれわれの先輩も考えなかったんじゃないかと思うんですが、三百万、四百万という加入者一つの単位料金区域の中に入るという状態を予想しておればよかったんだろうと思うんですが、恐らくその当時にはそういうことを考えなかったのじゃないか。したがって、歴史的経緯でそうなっておるんですが、もし東京、大阪のことを全然歴史的経緯を無視してやれとおっしゃれば、この際、たとえば倉敷のMAの基本料金に対して、三倍ぐらいの基本料金を東京で取るのが私は科学的には一番不公平でない道だと思います。しかし、これまた東京と言えば天下一品でございますから、なかなかこれもできないわけでございまして、どういう形でその不公平感をだんだん是正していくか。その不公平感をだんだん是正していくかということで手がけたのがこの前の広域時分制が第一歩でありますし、また、今後ともそういう道を少しずつ考えてやっていきたい、こう思っておりますが、力石先生の御意見は、確かに理論としては今日の時点ではおっしゃるとおりだと私どもも考えております。
  695. 木島則夫

    木島則夫君 便益の公平という点で申しますと、市内電話区域の辺境にある電話はすぐ近くにかける場合でも市外料金になってしまう、これも君ことに不公平だと思いますね。ですから、現状の中での問題点としてこれを指摘し、あわせてその是正、こういったものを含めて、どういうふうに将来お考えになるのか、聞かしていただきたい。
  696. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは先ほどのあれに戻りますが、私どもがこれからやっていかなくちゃいけないことはそういう点だろうと思うのでございます。まあ財政的な基盤を一応確立さしていただきました上で、その点を逐次改めていきたいと思うのでございますが、いまの問題も、力石先生のおっしゃるように東京の基本料金を上げるという案のほかに、たとえばニューヨークのように、東京を四地区に分けまして、基本料金はそのままであっても、隣のブロックへ電話をかけるときは三分七円でなくする、もう少し高い料金、つまり、たとえば八十秒七円にする、こういうような案も一つの案として考えれられるわけです。これも、しかし、相当いまの東京では歴史的経緯がありますから、なかなか皆さんに理解はしていただけないんじゃないか。  そうなると、いまの単位料金区域の境界をいじるという問題、しかし、これは境界をいじればいじるほどやはりどこかで道一つという問題は必ず出るわけでございますので、これも先般来申し上げておりますように、イギリスのグループ料金制あるいはドイツのカメの子料金制と同じような形で、私どもは、それらを参考にしながら日本的ないわゆるグループ料金制というものを研究して早急に実現をしていきたい。ただ、これも一遍にやるんではなくて、逐次、皆さんの御理解を得ながらやっていくようにしたいと、こういうぐあいに考えておりますが、これはぜひやらなくちゃいけない焦眉の急のことであろうかと思っております。
  697. 木島則夫

    木島則夫君 いまの辺境——まあ辺境というか境目にある場合、ケースについてもそうですけれど、もう一度、私は将来問題として、この級別基本料金の問題にどういうふうに取り組んでいくのか、これ具体的にいろいろいろいろの問題、いま問題点は御指摘になりましたけれども、じゃどういう方向で進んでいったらいいのか。さっきも自動即時化もやがてできる、積滞も解消される、地域集団電話、そういったものの解決もやがてはいわゆる完全になるというような時点で、もういまきちっとそういう目標を立てておかなければ私は遅きに失すると思うんです。  そういう意味で、別に電電公社をせき立てるわけではありませんけれど、非常に基本的な問題、これからの電電公社料金体系そのほかを決める上であるべき本当の姿は何なのかということの上に立って、もう一度、ひとつ具体的にお示しをいただきたいと思います。
  698. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 級局別の基本料金の問題は、一番簡単だろうと思うんです。と申しますのは、現在、五段階に分かれておりますが、この五段階はそれぞれ一定の、私どもが単位料金区域と言っておりますそのグループの中の、地域の中の加入数の数によって一級から二級に上がったりしているわけです。ところが、どんどんどんどん電話がふえてまいります。しかも、これからの電話は地方の方に多くふえると思います。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光着席〕 そうすると、現在、大体五級に分かれておりますが、実質三級の中に入っておるわけです、下の方はほとんどなくなっているわけです。それがもうしばらくすると実質二級ぐらいになってしまうと思います、私は。もうしばらくというのは一年か一年半ぐらいのことです。そういたしますと、形式的には五級段階でありましても実質二級でございますから、その段階へいきますと、やはり皆さんもうすでに御理解いただけるんじゃないかと思うんで、もう一押しすれば級別をなくして一本の基本料にするということは、わりあい簡単にいけるんじゃないかと、これは一番私どもは簡単なことの一つとしてまあ二、三年後にはそういうことはできるんじゃないかと、余り抵抗なくできるんじゃないかと、こういうぐあいに考えております。
  699. 木島則夫

    木島則夫君 遠距離料金と近距離料金の格差の是正についての問題について伺います。  近距離の利用コストと遠距離の利用コストの上で両者の間にどのくらいの差があるんですか。
  700. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これは先ほどの分計ではございませんが、いま現在ある十四段階のそれぞれについてコストを算定するということは非常にこれは難事でございます。これはおわかりだろうと思うんですが、大変むずかしいことなんです。けれども、まあごく大ざっぱにいきまして、いわゆる区域内といいますか、旧市内料金、市内よりちょっと広いんですが、一番最初の段階、三分七円でかかる範囲が大体収支率で一四〇%ぐらいではないかと思います。それから先のところを全部総合して上へいけば収支率が特によくなるんですが、いわゆる普通に言う市外通話で七〇%ぐらいの収支率じゃないかと思っております。
  701. 木島則夫

    木島則夫君 アメリカとか西ドイツ、まあ先進国の実情について伺いたいんであります。
  702. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 日本は最短距離と最長距離というのが七十二倍となっておりますが、アメリカは十六倍でございます。西ドイツは十五倍でございます。フランスが十五倍、イギリスが十二倍というふうになっております。
  703. 木島則夫

    木島則夫君 とにかく遠距離が割り高であるというか、高いという、そういう認識は電電公社御自身でもお持ちでしょう。
  704. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) これはもちろん持っておりますし、同時に早く是正しなくちゃいけないという認識も持っております。
  705. 木島則夫

    木島則夫君 そこで、この遠距離料金と近距離料金の格差を是正するための基本的な考え方をお聞きしたいんですけれど、その前に、従来、公社は、事務用の遠距離通話のように価格弾力性の小さい分野から高く取ることによってドル箱にして、これをもって住宅用電話赤字を埋めてきたかもしれませんが、中継の基幹線が整備されて普及率が飽和点に近づいている今日ですと、むしろ遠距離料金を低く抑えることによって増収を図るべきじゃないだろうか、こういう議論も非常に多いわけです。現在のように遠距離料金が非常に割り高というか高いと、はらはらしながらその短い時間で話を済ませようとしますので、結果的には需要の伸びを一時的に人為的に抑える結果になりゃしないかということです。  遠距離電話は、ふるさと電話なんかに見られるように大衆化していることも事実ですし、利用もふえていると思うわけです。ふるさととのコミュニケーションを深めるために、料金を引き下げれば都会に住む子供さんやお孫さんと地方に住むお年寄りの交流もより促進されますし、さらに遠距離料金が安くなればわざわざ地方から陳情に出てくる必要もないというようなこと、省資源という観点からも非常に問題の解決につながってくるだろうと思うわけです。  そこで、そういった意味も込めて、遠距離料金と近距離料金の格差を是正するための基本的な考え方を具体的にお示しをいただきたいと思います。
  706. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 先ほど営業局長が、一番近いところから一番遠いところまでの比率が七二ということを申し上げました、七十二倍と。これが非常に高いという認識は持っておりますが、同時に、先生にも御理解を願いたいのは、外国と比較いたしますと、東京から大阪までのところ、大体五百キロぐらいのところでございますが、そこらが外国と均等でございまして、それから先は非常に高くなる、それから手前は非常に外国よりもむしろ逆に安いわけです。ですから、一番理論的に申しますと、それから下の方を上げていただいて、それでもって先を下げるというのが一番簡単といいますか、理論的には正しい姿だと思うんですが、この下の方を上げるというのはなかなかむずかしい問題であろうと思います。あとは、頼るのは価格弾性値と申しますか、需要喚起ということでその収入欠陥を補っていくということについての踏ん切りだろうと思うんでございますが、これは私どもも何回もあれしておるんですが、特に今日のような財政逼迫の状態ではそうなんですが、もともとわれわれはそういう意味では怯懦といいますか憶病でございまして、薄利多売というような大胆不敵なことはなかなか組織として意見がまとまらない。  そこで、どういう手段を講じて、これをやっていくかということについて具体的に示せというお話ですが、私は、まず最初に夜間割引ですとかあるいは祝祭日の割引をやってみまして、そしてこれが需要でどのぐらい伸びるかということをまず身をもってわれわれの間でも把握をする、これがまず一つだと思います。その上に立ちまして、さあこれなら絶対大丈夫だという確信を得た上で是正をしたい。その間に、できれば十四段階を少しずつ段階を下げていく、少なくしていくということもあわせてやりたいというのが大ざっぱな青写真でございます。もしうっかりして、下げたはいいがまた財政危機に陥ったということじゃ逆に御叱責も受けると思いますので、その点のところは、もうしばらく研究させていただきたいと思いますが、大体、そういう段取りでいくのがこういう組織としては一番いい方法じゃないかと私は思っております。
  707. 木島則夫

    木島則夫君 薄利多売というような大胆不敵なことはなかなかできないというお立場もよくわかるんですけれど、ときには過去の歴史を断ち切るような勇断があってもいいんじゃないでしょうか。それだけ世の中は進んでいるんですよ、いま。違いますか。どんどんどんどん世の中の情報化が先行をしていく、それに制度、法律とか、そういうものが追っついていかないためにいまいろんな混乱が起こっているし、問題点が起こっているのじゃないかと思いますけれど、あなただったら、その辺の勇断ができるんじゃないですか。
  708. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私の個人会社と違いまして(笑声)、やはり公社でございますし、私が現にこういう青写真をここで申し上げておることも、後ろで聞いておる人の中には、あのやろうまた少し行き過ぎたことを言ったという顔が私はもう頭に浮かぶんです。やはり組織全体としてみんながそういう気持ちになるようにして持っていかないと私はいけないと思うんです。ですから、私個人の問題ではなくて、組織としてやはりそういうことがだんだん確信を得ていくということが私は必要だろうと思います。
  709. 木島則夫

    木島則夫君 私は素人なもんですから、ついつい飛躍した無謀な御質問を申し上げるようであるいは失礼かと思いますけれど、結局、中継基幹線が整備される段階では、私は、通話料収入が主たる財源になってくるだろうと思いますね。そうなりますと、一つ基本収入の安定を図っていく、それによって通話料収入の変動幅を小さくすることが必要だということになるわけです。  そこで問題になりますのが、固定料収入の安定のために事務用電話基本料をどういうふうにするかという問題につながってくるんだろうと思いますけれど、ひとつここでも具体的に事務用電話基本料をどういうふうにしていくか。
  710. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) いまお願いをしておりますのは、基本料を倍にしていただきたい、こういうことをお願いしております。それで、こういう装置産業で材料費のかからないところから言いますと、実は、外国の例を見ましても、二倍にいたしましてもなお装置産業としての性格からいうと、現在の外国の基本料金からいうと半分ないしそれ以上の格差があるわけでございますが、まあこれで当面全体の収入の中で三〇%が固定収入に入ってくることができますので、ある程度経営は安定できるかと思います。その状態を見まして、それで一応段階を区切りまして模様を見たい、こういうぐあいに考えております。   〔理事茜ケ久保重光退席委員長着席
  711. 森勝治

    委員長森勝治君) ただいまから三十分間休憩をいたします。    午後八時二十一分休憩      —————・—————    午後八時五十二分開会
  712. 森勝治

    委員長森勝治君) 委員会を再開し、質疑を続行いたします。
  713. 木島則夫

    木島則夫君 次に、経営安定の問題と直接つながるテーマといたしまして、電信電話関係の営業種目をどのように位置づけるか、考えるかという問題に進みたいと思います。  まず、公社側に御説明をいただきたいことは、電報部門の赤字の現状でございます。赤字の現状について簡潔に御説明をいただきたい。
  714. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 五十年度の決算におきまして、電報は、収入総額百五十八億円、支出総額千二百四十六億円でありまして、約一千億の赤字であります。したがいまして収支率と申しますか係数としては七八八%ということで、具体的に申し上げますと、百円の収入を得るために七百八十八円の費用がかかっておると、こういう状況であります。なお、この収支率は、大体、毎年一五%ないし二〇%ずつぐらい上がっていくものと予想をいたしております。
  715. 木島則夫

    木島則夫君 あの電報に対する認識というものは、その立場によっても多少異なるとは思いますけれど、総括をいたしますと、やっぱりその電報の利用減少というものは、通信手段の多様化の中で減る一方であるというふうにとらえるのが正しいと思います。しかし、それだからといって、いますぐ電報を廃止するということになりますと、これは電話のないところやこれに伴う職員の配置転換など、むつかしい問題が起こってくることは当然でございます。電報が収支相償うためには十三倍以上の値上げが必要であり、電報部門は黒字には絶対なり得ないというシビアな認識もまた必要だと思います。  そこで、電電公社の中で、電報事業というものをどのように受けとめ、どのような位置づけをされているか、いかがですか。
  716. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 幸い私どものところは電報と電話と一緒にやっております関係上、私どもとしては、いま御指摘がございましたように、最高時約九千五百万通ありました電報が今日では四千五百万通ぐらいになっておりますが、さらに五十七年末には大体三千五百万通というぐあいに非常に大幅に総通数としては減っていく、しかし、他面、その中で占める慶弔電報の比率はだんだん逆に伸びていく、こういう傾向にあります。  したがって、電話と電報と両方をやっておる公社といたしましては、この両者をにらみながら、電報についてはだんだん電話に移行していくと申しますか、そういう形で将来展望を考えるし、また慶弔電報というようなものについては慶弔電報独自としてひとつ考えていかなくちゃいけないんじゃないか。つまり慶弔電報についてはある程度収支相償うような料金をいただいてもいいんじゃないか、こういうぐあいにも思っております。しかし、一般電報につきましては、現在の段階では、まだ電話が完全に普及をいたしておりませんので、やはりこれは電話が完全に普及するまでは何らかの手段で庶民の通信手段を確保しておくことも必要であろうと、こういうぐあいに思っております。
  717. 木島則夫

    木島則夫君 赤字を解消することは、これは不可能ですから、極力、その赤字幅を減らす合理化というものはやるべきだという立場でございますが、その基本的な対応を伺いたいんです。私は、電報の現状というものをよく認識をしているつもりです。ですから、さっきから申し上げているように、これをいますぐ廃止をしなさいとは言っておりません。しかし、現実、電報部門というものを見るときに、その赤字の解消というのはもう絶対にあり得ない。だから赤字幅をできるだけ減らしていくという、そういう対応の仕方は当然私はお考えになっているだろうと思います。
  718. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) そのとおりでございまして、私ども赤字を解消するということを一つの目標にしておるんですが、赤字を解消いたしますためには二つ方法がございまして、一つ料金値上げをしてやっていくという方法がございます。端的に申し上げますと、現段階で約十三倍の値上げをすれば一応現時点では収支とんとんになると、こういうことが数字的には言えるのでございますが、まあ十三倍の値上げなどということはとうていできませんし、また料金を上げれば、その分だけ現在の電報の性格から通数がまた減ってまいりまして、総収入としては逆に減少をすると、こういうことも当然予想されます。したがいまして残された道は、費用、特に人件費を中心とする費用の合理化という点に焦点を当てまして、これを計画的に行っていくというのが唯一の残された道ではないか、こういうぐあいに考えております。
  719. 木島則夫

    木島則夫君 現状での赤字幅縮小の方法について、数点にわたって、御提案というか御提言を申し上げたいんであります。  まず、その一つは、中継交換局の数を減らしたらどうだろうかということでございます。二番目につきましては、電信要員の流動化対策を、もちろん組合との合意を通じて、促進をすること。  以下、このことについて具体的に御提言を申し上げたいので、お聞きをいただきたいんであります。  当初は、大体、県庁所在地ごとに交換局を設置したらしいんでありますけれど、そのころの通数は設置局に見合うだけの確かに数があったわけでありますけれど、その後、電報通数というものは急激に減って、電話の普及が拡大をすればそれに比例をして電報の通数は下降をするというのが現状でございます。で、これに対応をして中継局を統合、整理しようとしたんでありましょうが、若干減ったにすぎない現状でございますと、このように私は聞いている。たとえば東京から人吉に電報を打つ場合に、東京−福岡−熊本−人吉の順をたどっていくようです。この場合に本当にその熊本が必要なんだろうか。九州全域をたとえば福岡が持てばいいんじゃないだろうか。そして同じような観点から、中国全域を広島か岡山、あるいは近畿全域を大阪が持つとか、こういうふうにすれば、地方の中継交換局というものは要らなくなる。現状の通数からしますと、中継局を減らしても私は電報伝送上支障があるとは思えないんでございますけれど、これはいかがでしょうか。
  720. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) ただいまのお話の中継交換局でございますが、電報中継機械化が始まりましたのが二十八年でございますが、それから最高時に三十局ございまして、それが現在では二十四局までお話しのように縮小いたしております。で確かに、ただいま人吉のお話もございましたが、電報通数の縮小に伴いまして中継交換局を今後次第に減らしていく考えでございます。
  721. 木島則夫

    木島則夫君 支障があるかどうか。
  722. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) 著しい支障はございません。
  723. 木島則夫

    木島則夫君 お断りしておきますけれど、私どもは現状の中で合理化ができるから、それをやりなさいという立場でありますけれど、それをもってすぐにたとえば職場にいる方々に御迷惑がかかるとか、不安を巻き起こすというふうなことは絶対あってはいけないと、そういう前提で申し上げているわけです。  さらに、その中継局は大半が設備更改の時期に来ていると聞いております。必要でなくなったものは思い切って廃止をすべきではないか。このまま残しますと、要員上にもむだが出るというよりも、忙しくもないのに、そこにたとえば要員がおりますと生きがいの問題にもこれはつながってくるだろうし、設備更改のための経費が必要になってくる。こういったことは電報部門の赤字幅縮小の上で私は内部で処理できる大変大きなポイントであると思うんですけれど、具体的にお答えがほしい。
  724. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) ただいまのお話しのような線で、内部におきましていろいろと折衝を重ねているところでございます。
  725. 木島則夫

    木島則夫君 電報の受付窓口は廃止をしまして電話営業窓口と統合されていることは御承知のとおりでございます。さらに、その配達部門の合理化も余地があるんじゃないかというふうに思うんですけれど、それはたとえば模写方式の活用をもっと進めてもらいたい。あるいは中継配達の活用、たとえばA地区に配達をする場合に、配達が済んでからすぐにその局に帰ってこないで、たとえばA地区付近に数カ所、何カ所か連絡場所を設けまして、そこで新しい電報を受領すればロスが少ないというように、何かそういう工夫がもっとあってもいいんじゃないだろうか。これは素人考えかもしれませんけれど、そんなことを考えております。いかがですか。
  726. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 合理化は、やはり人件費を中心にいたしますと、理論的には一番大きな部門は配達部門でございます。これは電電公社の職員のほかに委託局の職員も含めてでございますが、この問題はまた特に労働問題との関連が非常に深いところでございますので、私どもといたしましては、いま先生のおっしゃいましたような点を考え、あるいはまた民間委託をもう少し広げていくとか、そういうような形でできるだけ合理化を図るような計画を立てまして、労働組合とも話をし、また現在の配達要員を流動的に他へ転用する道も講じつつ、逐次、そういう方向で配達部門の合理化をやっていきたいと、こういうように考えております。
  727. 木島則夫

    木島則夫君 次に、委託局に対する手数料の実態につきまして、まず第一に、根拠金額について具体的に御説明をいただきたいと思います。
  728. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) 例といたしまして五十一年度の予算で申し上げたいと思いますが、電報の受付とかあるいは伝送、検査等の内部事務があるわけでございますが、それから電話の窓口で通話していただく扱いがあるわけでございますが、これに関連いたしまして、これを扱っております局は、これは終日扱う局とか、夜間における電報の仕事は上の大きな局へ移す局とか、いろいろ種類はございますが、全部合わせますと約一万八千局ほどございますが、これに対する委託費が二百六十三億でございます。それから電報の配達関係でございますが、これが局が約四千三百局ほどございますが、それは百六十四億でございます。それから電話の交換を扱っておる局がございますが、これはもう先ほど御説明いたしましたように、まだ未改式局が残っておるわけでございますが、約七百六十五ほどございますが、これに対する委託費が三百五十三億でございます。それから私の方が自動改式いたしまして直営化しました場合でも、お客さんの御便宜を考えまして、簡易な窓口事務といいますか、加入料金関係の督促とか請求書を届けるとか、そういう簡易事務を一部残しておる局がございますが、この委託費が四十七億でございます。それから、その他自動改式に伴いまして簡易保守をいたしたりいろいろしておる点がございますが、それと郵便局の窓口で私の方の料金を収納していただくその手数料がかなり大きいわけでございますが、それが全体で七十二億でございます。  以上の点を合計いたしまして八百九十九億になっております。
  729. 木島則夫

    木島則夫君 根拠
  730. 玉野義雄

    説明員玉野義雄君) これにつきましては、郵政省の方とお打ち合わせいたしまして、前年度の決算その他の実績を伺いまして、それによって協議いたしまして決めております。ですから、実績に基づいて局単位の委託費を積み上げるとか、いろいろやり方がございますが、あるいは度数単位、そういうやり方で積み上げております。
  731. 木島則夫

    木島則夫君 これは私も今度この質問をするに当たって、いろいろこの種の問題についてお話を聞いたり、また自分で調べたりもしたんですね。そうしましたら、一つこういうことがわかったわけです。  お店の店頭の赤電話で電報を打つ場合に、赤電話の契約者に五円還付されるんだそうですね。が、たとえば郵便局の中にある赤電話で電報を扱ってもらっても、五円の還付ではなくて、月間一局幾らというように電電が郵政に支払う仕組みになっているということを伺いました。この場合は、電報の発信があろうとなかろうとこれは支払うことになっている。いまご説明のあったように、電電と郵政との間で契約を結んで、そういう方式になっているということでございます。で赤電話の契約者とは大分差があるように思うんです。ましてやこれだけ大きな赤字が出ている現状で、こう細かいことを言われると、あるいはそれには、君、歴史的経過があるから一概には飛躍はできないよと言われればそれまでなんでありますけれど、素人の私がこういう問題を考えますと、どうも腑に落ちないところがやっぱりあるんですね。  どうですか、郵政省は、電電の大きな赤字という現状を踏まえまして、こういう見直しをお考えになるのかどうか、あるいは現状のままこれを続けていった方がいいのかどうか、どうですか。
  732. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいま公社の方から御説明がありましたように、私ども公社との間で基本協定を結びまして、それに従って単金による繰り入れをやっておるわけでございます。これはただいま先生指摘のように二十七年郵政と電電が分かれまして以来、そういう形で継続してきておるわけでございます。  郵政の側からいたしますと、窓口を常設いたしております関係で、必要な人員を置いておかなければならないわけでございます。そのための費用というのはやはり公社負担していただくという考え方で従来ともまいっておりますし、現在も、そういうことできておるわけでございます。その基本協定に基づく単金の設定につきましては、ただいま公社の方から説明がございましたように、決算に基づいて妥当な金額を算定して、それで繰り入れるという方式をとっておりますので、私は妥当なやり方ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  733. 木島則夫

    木島則夫君 それが妥当であるかどうか私は微に入り細にわたって計算をし、あるいは検討をしておりませんので、無責任なことは言えませんけれども、感覚的に感情的にとらえた場合に、電報扱いがあろうとなかろうと一定の金をもらっているというか、受け取っているというような、こういうことを考えますと、現状これだけ赤字を抱えている中で、一体、そういうことが許されるだろうか。  さっきも言ったように、これには歴史的な経過というものを踏まえなければならないということも私はよくわかる。しかし、先ほど遠藤総務理事から、将来電報のあり方というものはだんだんだんだん電話に移行していく、もうそういう時期が目の前に迫っているということでしょう。だから、郵政省がお答えになった後、電電にこれはどうですかと聞いてもなかなか答えにくいと思いますけれど、本当は、最初に電電の意向を聞くべきでしたね。ちょっと後先になって恐縮でございますけれども、どうですか、この委託の問題については、電電はどういうふうに考えておりますか。
  734. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 電電公社から郵政に委託をしておるという関係だけを見ますと非常にあれですが、逆に郵政省から監督を受けている電電公社でもありますので、確かに答えにくいかと言われれば答えにくいというのが本心でありますが、ただ、これは私どもが決めましたサービスレベルというものがございまして、電報に対して二十四時間サービスをやるということをわが社が決めて、そのサービスレベルによって郵政に委託をしておりますから、赤電話の場合と違いまして、そのサービスレベルを変えない以上は、やはり郵政省の方で窓口に人を配置されるということはこれは当然のことでございましょうし、また、それに対して私どもが委託手数料という形で払うということもこれは当然だと思うのであります。  したがって、問題は、私どもがそのサービスレベルをどういうぐあいに変えていくかということでございますが、これもまた急激な変え方をいたしますと、先ほどの人の問題と同じでなかなかむずかしいのでありますが、実は、やはり昭和二十七年にいま郵務局長がお答えになりました時代と電報が大分数も減り、またサービスレベルとしてもそろそろ変えてもいい時期でもございます。また里勝名としては、いろいろ私の立場から申し上げると、自動改式あたりにつきましても非常な御苦労をお願いしている状況であります。そういったような状態もありまして、まあ昔同じ逓信省から出たからそういうことを申し上げるわけではございませんが、余り自分の都合ばかりも申し上げられない点もございます。  しかし、いずれにしても、自動改式が終わりました五十三年ごろには、この問題を基本的にやりかえる時期が来るんじゃないかということは郵政省とも十分お話をしておりまして、内々話は進めております。それと同時に、私は、新しく、郵便局には実は営業面あたりは余り委託をしておらないんですね、端末の販売とか。そういったようなことを逆に今度は御委託申し上げるとかいう形で、新しい時代に即した委託協定というものを二、三年のうちにはひとつ郵政と御相談をしてつくっていくのが一番望ましいことじゃないか。郵政はどうお考えかわかりませんが、私どもはそういうぐあいに考えております。
  735. 木島則夫

    木島則夫君 ですから、やはり通信の手段の多様化によりまして電報通数が急激に減っているという現状認識の上に立てば、やはり電報というもののあり方も変わってこなきゃならない、それは当然だと思うんですね。それによってもし委託料が減り、委託を受けている部門の方々に配置転換なり、そのほかの変化が起こったとすれば、それはいま遠藤総務理事がおっしゃったように、営業部門の委託などにこれを——切りかえるという言葉はよくないかもしれないけれど、充当をして手当てをしていく方途もあるんだといういまのお話は、やっぱり一つの方向づけだろうと私は思いますね。そういう時期がもう目の前に迫っているわけですから、もう少し、郵政省としても、この問題については深くお考えのはずでございます。  もう一度、いまの電電のお答えを受けて、郵政省としては、具体的にどんなふうにこの問題にメスを入れていくのか、やっぱりこういうものは避けては通れないと思う。それはお互いに仲よくしていくことが当然だと私は思う。私は、こういうところでこういう質問をすると、何だか両者の間でぎすぎすした感情が起こりやしないかとかいう懸念もなきにしもあらずですけれど、やっぱり触れなければならない問題についてはすぱっと触れていく、その中で合理的な解決方法を見出すことが両者のためにもいいし、将来の情報化社会の中における電電のあるべき姿を指向する上でも私は正しいという、こういう認識に立って、いま御議論を申し上げているわけです。郵政省、いかがですか。
  736. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 私どもは監督の立場にはございませんで、公社と全く対等の立場でこの問題に取り組んでおるわけでございますが、ただいま公社の方からお話がございましたように、郵便局におきます電報業務のあり方というのは非常に大きな課題であろうと思いますし、今後の電報利用の推移というようなものを十分勘案してまいりまして、公社とともに慎重に検討してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  737. 木島則夫

    木島則夫君 現状では、やっぱりその辺のお答えがぎりぎりだろうと私は思います。何かいまの問題について公社側から補足することがあったら伺っておきます、どうですか。
  738. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 別にございません。
  739. 木島則夫

    木島則夫君 私は、さっきも申し上げているように、電信電話については非常に客観的に物を見る、つまり素人の立場にあるということが一つの前提でございます。したがって、当然、歴史的経過、いままでの習慣、慣習、伝統、そういうものを踏まえてお話をしなきゃならないこともよくわかっているつもりでございます。  で、私は電信電話の技術については、いま言ったように全くの素人。ですから、素人の私でさえ今日の技術革新というものについては目を見はるものがあるということはさっきから数度申し上げているとおりでございます。  たとえば、これも素人論で恐縮ですけれど、福岡市内の番号を知りたいというときには、従来は東京の一〇五番がおりまして、福岡の一〇四番を呼んで、お話しくださいとやっていたのが、今日では〇九二−一〇四を回せば福岡局市内番号案内台につながる、そしてそこですぐに調べていただけるという、こういう時代になったわけです。電報の場合でも、東京の一一五番を経由をしないで〇九二の一一五とやればいいことになりゃしないか。料金の請求に問題がないわけではありませんけれど、この料金の請求についてはチェックをして、東京の料金局へ一括して送り込めばいいはずじゃないだろうか。電話は、私は、もうSLの時代から新幹線というかジェット機時代に入ったんじゃないだろうか、そういう認識を持たないと、やっぱりこの情報化時代についていけない。  耐用年数の問題も、ここでしきりに論議をされています。設備の耐用年数、つまり減価償却費のあり方も、論議は論議といたしまして、現実面でこれをとらえてみますと、たとえば先ほども委員会で問題になりました電子交換機について見ると、いまつくられているものはクロスバー方式とかあるいは電子交換機という技術革新の最先端をいくものだということでございます。こういった新しい交換機が新しくつくられる局には導入をされる。しかし、一方では、古くというか早く建設された古い局にはステップ・バイ・ステップ方式などがついておりまして、古いものと新しいものとが現在共存をしている形になっているわけですね。しかもステップ・バイ・ステップ方式というようなものは製作が中止をされているということであります。これは撤去をしてももう別なところでは使えないということでございます。したがって、私の申し上げることは極論かもしれないけれど、これをだましだましまだ使えるというのなら、技術革新をしないでいいのかということにつながりはしないか。  日本が生きていくためには、私は、技術革新というものは徹底して進めていくこと、そこからコストダウンを得て資源の節約あるいは知識集約型の輸出の増大が出てくるというようなことで、やっぱり技術革新というものは徹底的にこれを進めていかなければいけない。しかし、もちろん当委員会でいままでにしばしば論議をされております積滞の解消であるとか、自動即時化の実現、農村集団電話など地域集団電話の単独電話化あるいは福祉電話の徹底など、シビルミニマムの充足には全力を尽くすのは当然だという前提で申し上げているわけです。技術革新の存在をするところ、行き着くところ、利害の相反する立場の対立というものはこれは当然です。しかし、この現状に固執をしようとすれば、技術革新の恩恵からは遠ざかることになり、またその技術革新のみ追うことになれば、シビルミニマムの充足を含めた働く人たちの権利、立場にもかかわってくる問題にもつながるわけでございます。しかし、現実に、事実は情報化社会が急速に拡大をしている、その多様化もますます複雑さを加えて急速に動いていることも事実だということをないがしろにすることは絶対にできないはずでございます。  私がなぜこういう長ったらしいことをここで申し上げるかというと、公社のあり方にもつながる基本的な問題でございますので、ぴちっと言及をしておきたいと思います。そしてさらに利用種目の拡大というか問題点にお話を進める上で、いまの前提をもう一度繰り返して申し上げませんけれど、よく御承知おきをいただきたいと思います。  電話通話一つとりましても、一対一の音声だけの通話から、さらに電話機自体の多目的な利用が行われている現状です。電話機自体の多目的利用というものは、たとえばこれにファクシミリをつけますれば画像通信ができる。現在の基本的な利用種目というものは電話、電報、加入電信あるいはデータ通信、専用線の利用といったところでしょう。一体、電電はしからばどこまで利用種目を拡大するつもりなのか、守備範囲というか、この点についてお答えをいただきたい。
  740. 北原安定

    説明員(北原安定君) なかなかむずかしい問題でございますが、電話というものが口と耳というものを前提にして、長い間、私たちの社会で効用を発揮した、その電話がだんだんに多様化いたしまして、そうして先生指摘のような、記録を伴うような方向、それとかみ合わせた方向ということを察知されておられるわけでございます。  御案内のように、電話そのものにも決して長所ばかりではございません。短所もございまして、夜中に起こされるとか間違い電話が飛び込んでくるとか、いろいろなことがあります。極端に言いますと、電話に出てみて初めて脅迫されていることがわかるというようなこともございまして、発信者、着信者、必ずしも対等であるとは言えないようなケースも起こるわけでございまして、そういうようなことから考えまして、当然、将来は、電話の口と耳とのほかに、記録というものを伴う通信サービスというものが出てくるであろうことは私たちも考えておりますし、そうしたテレコミュニケーションが今後の一つの命題になるだろうということは想像にかたくないのじゃないか。  そういう場合に、それがどういうところまでさらに進んでいくか、そうして長い目で見ていって、それがさらにコンピューターと結びついて、どんな処理、作用をしていくかというようなことになってみましても、非常に先のことでもあり、個人の想像は自由でございますが、事業の中にそれらをある種の考え方として定着させていくのは大変むずかしいと思います。そこで、当面、申し上げられることは、記録を伴うようなものが付加されて、あるいは付加と言わないで併存していくようなところに徐々に成熟していくと、そんなふうに理解をしておるわけでございます。
  741. 木島則夫

    木島則夫君 現状では、そういう含みのある御発言にきっととどまるのだろうと思いますけれど、これは本当に私どもが、ついこの間までは電話というものは一対一の、しかもいわゆる記録性のないコミュニケーションでしかないと思っていたわけですけれど、決してそうではない。有線回線を使ってもその多目的利用は言うに及ばず、電話機一つとってみても、さっきからここで論議をしているように、非常に利用価値が多くなっておるとということで、従来の発送とか基本的な概念を変えてかからなければならないという将来性の問題があるわけですね。しかし、現実的には、また現実を処理していかなければならないという、こういう二つの命題が私はあるように思います。  いまの利用種目の拡大に伴いまして、たとえばコンピューターのオンライン化によりましてデータなどが拡散をするおそれがある。こういう問題も、当然、歯どめをしておかなければいけないと思いますけれど、これに対する基本的な歯どめ——きょうは郵政省と電電しかお呼びしておりません。行管の方はお呼びをいたしませんでしたけれど、どういうふうにこの歯どめをしていったらいいのか、郵政省いかがですか。
  742. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) お答えします。  コンピューターのオンライン化によりまして、端末機から遠隔操作やあるいはシステム間の有機的な結合というものができるようになりまして、コンピューターの利用効率というものが著しく高まってきました。その反面、いま御指摘のように、データの集中だとか、あるいはいま問題になっております拡散というような問題が出てきたのは御指摘のとおりでございます。  この拡散の歯どめという、いわゆるデータ拡散の防止ということの御指摘で、どういうことをしておるのかという御質問だと思いますが、郵政省としましては、結論的に申しますと、この問題につきましてはいろんな各省が関係いたしますので、なかなかむずかしい問題かと思います。しかし、結論的には、情報処理基本法というようなものの制定ということになろうかと思いますが、そこへ行き着くまでの一つ郵政省としての考え方をまとめるために、いろんな研究会だとか調査会だとかいうものをずいぶん四十四年ごろから記録によりますとやっているようでございまして、その辺の詰めについては現在も努力しておるつもりでございます。最終的に各省の意見を持ち寄って、なるべく早くその基本法の制定というところに行き着くべきだと思います。  なお、現実の問題といたしまして、電電公社が提供するデータ通信システムのデータ保護につきましては、従来も、公社においてそれぞれの工夫をこらしておると思いますが、今後におきましても、ハードあるいはソフト両面におきまして有効適切な措置を講じていくように指導してまいりたいと思います。
  743. 木島則夫

    木島則夫君 もう少し詳しくというか、具体的に郵政省としてのお考えを聞きたいんですよ、どうですか。各省といろいろ検討するというのはもちろんわかるんだけれど、郵政省としてどんなふうな考え方で対処をしているのか、また、いきたいのか。
  744. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) いまちょっとはしょりましたが、それではちょっと、私、経過的なことを申し上げます。  古い話ですが、四十四年に、オンライン情報処理に関する基本政策といたしまして、オンライン情報処理方針というものを発表しております。この対処方針の策定段階におきましては、情報処理の振興あるいは情報の秘密の確保を規定する先ほど申しました情報化基本法を制定する構想もあったようでございますが、最終的には、例のデータ通信の法定といいますか、公衆電気通信法の一部改正によってオンライン情報処理の利用制度を法定することになったわけでございます。その後、情報処理基本法の立法措置あるいはプライバシーの保護対策、企業秘密の確保というようなものがいろいろ議論されるようになりまして、議会におきましても、総理あるいは郵政大臣から、その立法措置につきまして検討を進めていきたいという趣旨の発言があったようでございます。その後、郵政省におきましては、官房に新しく通信政策課という課ができまして、この中で、先ほど申しましたいろんな情報処理に関する施策というものを検討するということになりましたし、四十六年には、省内に情報処理基本調査会というものを設置しております。さらに、若手によります研究会としまして情報処理基本研究会というようなものを設置いたしまして、いま申し上げました情報処理基本法あるいはプライバシー保護というような問題について整理並びに検討を行って今日まできておるわけです。  いまお尋ねの、郵政省としてどうしたいかという話でございますが、現在、後の御質問にも関係あると思いますが、まあ結論的に申し上げますと、抽象的な表現でございますが、通信の秘密の保護の行政経験を生かしまして、データの保護に万全を期すというような施策を樹立したいというふうに考えております。
  745. 木島則夫

    木島則夫君 私が次にお尋ねしたかったことも、現行の公衆電気通信法における通信の秘密を守るという、こういう法律とどんなふうに関係を持つんだろうか、関係をしてくるんだろうか。私もその辺は素人なんでひとつ御見解を教えていただきたい。
  746. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) その辺に私が話半分突っ込んだわけですけれども、データ拡散と公衆法の通信の秘密との関係はどうかというお尋ねかと思いますが、データ拡散というよりもデータ拡散防止ということと通信の秘密という関係だと思いますが、通信の秘密の確保というものは、これは憲法に書かれておるとおりでございまして、基本的人権として最大限に尊重すべきものである。これを受けて公衆法あるいは有線電気通信法という中にも、通信の秘密を守るべきだという趣旨が記されておるわけでございます。  情報化の進展に伴って、いま御指摘のデータ拡散という問題が出てくるわけでございますが、データ拡散を防止するということが、データ通信システムにおけるデータ通信の秘密ということに、イコールといいますか、大体、私はその辺になると思いますが、その件につきましては、データ拡散を防止するということがデータ通信における秘密の保護といいますか確保、秘密の確保ということにつながると思いますので、その点は、公衆電気通信法あるいは有線電気通信法の規定に言う「通信の秘密」というものにそのとおり該当するものだというふうに考えております。
  747. 木島則夫

    木島則夫君 いずれにしましても、情報化時代におけるプライバシーの秘密というか侵害、拡散などはかつてはこれも考えられなかったことだと思いますね。  そこで、先進国におけるこの種の問題の対処のしかたについて、どのようになっているか、その現状と問題点、御指摘ください。
  748. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 先進国におきましては、近年、これはわが国と同じように情報化というものが相当進んでおりまして、個人データの保護というものの必要性が認識されておりまして、各国においてそれぞれの措置がとられているところであります。調べますと、スウェーデンにおきましては、昭和四十八年に、データ法という法律が制定されております。それから米国におきましては、四十九年に、プライバシー法という法律が制定されております。この中で公的機関が保有する個人データの保守、管理の規制、それから本人からの閲覧訂正請求権というようなものが定められているというふうに聞いております。それから西ドイツ、フランスにおきましても、いま申し上げたような同趣旨の法案がいま議会で審議されているというふうに聞いております。それから英国におきましては少し変わっておりまして、データ保護というものを専担する政府機関というものを設立するための委員会というものが設置されて、活動を開始しているというふうに聞いております。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光着席
  749. 木島則夫

    木島則夫君 情報化時代における情報処理基本法的なものを私もきちっと整備をしなきゃならないという、そういう観点では同じだろうと思いますけれど、これは従来の発想ではとてもじゃないけれど対応できないと思いますね。  そこで、郵政大臣に、このことに対する基本的なお考えをもう一度この項の締めくくりとして私は伺っておきたい。いかがですか。
  750. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) ただいま外国の例も答弁のうちに述べられたわけでありますが、情報処理に関する基本法に盛られる事項として考えられることは、国内情報産業の振興、教育研究の拡充、情報ネットワークの整備、システムの標準化、処理に伴う諸弊害の防止等が一応考えられておるわけであります。  これらの事項は他の官庁の所管に係ることも共管事項が多いわけでありまして、この基本法は、わが国の情報化政策の基本方針を決めるものでありますから、慎重な配慮が必要であろうと考えております。郵政省といたしましても、データ通信を所管する立場から、ぜひとも検討を重ねているところでありますが、近く成案を得たいと考えております。
  751. 木島則夫

    木島則夫君 近く成案を得たいというお言葉でございますけれど、それはいつごろを目途とされておりますか。
  752. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 余りまだ現在のところ十分な煮詰めはできておりません。まだ研究中の段階でございますが、努力目標といたしましては、データ通信の保護というところを中心にいたしまして、一年ぐらいを目標に努力をしてまいりたいと思います。
  753. 木島則夫

    木島則夫君 何年。
  754. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 一年ぐらい。
  755. 木島則夫

    木島則夫君 きょうは、労使問題について、個個のケースについてはお伺いをいたしませんけれど、電電公社の労使問題についての基本的な考え方、姿勢というものをお示しをいただきたいと思います。
  756. 山本正司

    説明員山本正司君) お答えいたします。  電電公社の労使関係と申しますのは、御案内のように、また先ほどからいろいろ御指摘がございましたように、事業の性格がきわめて技術革新の激しい事業でございまして、第一次五カ年計画以来、現在に至るまで第五次五カ年計画を実施いたしておるわけでございまして、この間には非常に膨大な合理化計画、機械化計画を実施をする、またそれに伴って大きな労働条件の変更あるいは十万人になんなんとする職員の配職転といったような事態を伴ってきておるわけで、これは技術革新、新技術の導入というものを私ども事業の宿命というふうに考えております。また、それなくして事業の発展はないわけでございます。  したがいまして、そういった問題を円滑に解決をし、円満に問題を解決して合理化計画を進めてまいりますためには、労働組合との間に十分な信頼関係を保って正常な労使関係を維持するということが事業運営の基本になろうかと思うのであります。その際の基本的な考え方といたしましては、労使、立場はそれぞれ異なるわけでございますが、事業の使命というものをよく認識し合って、その使命達成のために十分腹を割って話し合って物事を解決していこう、こういう姿勢で五次に至る五カ年計画その他事業運営上の困難な問題に対して対処してまいったわけでございます。
  757. 木島則夫

    木島則夫君 電電公社のあるべき姿というか、国民のための電電公社であるためには、いまお話がありましたように、労使の安定ということが何よりの基盤になるという、このことのために前向きに、前進的に問題を処理していっていただきたい。  個々のケースについていろいろ私も聞きたいことがあるんですけれど、これは他日の委員会に譲るといたしまして、私は、公社の職員としては一人一人が事業運営についての責任感をしっかり持っていただくことが一番大事じゃないかというふうに考えます。もちろん皆さんこういうお気持ちでやっていらっしゃるんだろうと思う。ところが、どうも公社の問題を論ずるときには、親方日の丸論が後を絶たない。やはりこの辺に問題があるんじゃないだろうかというふうに思うわけです。今後、公社にとりまして経営の安定が最大の柱であるとすれば、職員に事業運営についての責任をどう自覚をしてもらうかが一番大事なことになってくると思います。  どうも最近の傾向といたしましては、部門別の専門教育とかあるいは技術教育というものはよくおやりになっておりますけれど、基本的な教育が欠けているように私には思えてなりません。公社について言えば、あるいは当を得ていないかもしれないけれど、公社の職員としての基本認識、基本的な責任を自覚してもらう教育にもっとウエートが置かれてしかるべきではないだろうか、私の基本認識は間違っておりましょうか、この点についてだけお答えをいただきたい。  あと具体的な教育方針、教育のあり方については、個々に御質問という形を通してお答えをいただきたいと思うんです。
  758. 山本正司

    説明員山本正司君) 親方日の丸という問題に関しましては、確かに電電公社は独占事業でございまして、私ども平生から自戒いたしておるところでございます。社員教育の面におきましても、数年前から、従来は単に訓練とこう申しておったんでございますが、もっと根本的に電電公社の事業の使命の認識を深めさす、電電公社社員としていかにあるべきかということの認識を深めるといったような意味合いから、教育訓練というふうに社内の名称も変えまして、また新入社員の訓練、そこで新規採用者に対する社員教育をやるわけでありますが、こういったものも拡充をするとか、あるいは養成訓練等の科目、課程の中に公社一般常識、一般業務の常識を訓練するとか、あるいは教養科目等を取り入れる、あるいは斯界の著名な講師の方々においで願ってお話を聞くとか、いろんな観点から健全な公社人、健全な職業人というものはいかにあるべきかということについての教育訓練というものを深めてまいっておるつもりでございますが、   〔理事茜ケ久保重光退席委員長着席〕 御指摘の点につきましては、さらに一段と努力をいたしたいと思っております。
  759. 木島則夫

    木島則夫君 専門的部門別、こういう教育は私もよく行われていると思いますし、現状で結構だと思いますが、さっきから言っているように、公社の職員としての基本的な認識、自覚という教育はどのように行われているか、いまお話しの中にも言及をされておりましたけれど、そこの項にしぼってひとつもっと詳しくお話をしていただきたい。
  760. 小澤春雄

    ○説明屋(小澤春雄君) お答えをいたします。  先生指摘のとおり、この教育訓練という問題は、電電公社のように三十万の職員を抱えている大事業におきましては、きわめて重要なところでございます。なお、電信電話事業は百年を超える歴史を持っておりますが、教育訓練というものに対しましては、その歴史を通じてきわめて力を入れてまいったところでございます。  具体的に申しますと、現在の電電公社の教育訓練の基本的な事項は、総裁が定めました教育訓練規程というものの中におおむね重要な事項はすべて盛ってございます。その第一条に目的がございますが、ちょっと余り長くはございませんから読んでみますと、「職員に対し電信電話事業の社会的使命を自覚せしめ、職務の遂行に必要な知識・技能等を付与し、もって業務の能率的運営に資するとともに、事業の発展に寄与する人材を育成することを目的とする。」こういうふうに書いてございます。私ども毎年の教育訓練の方針をこれをかみ砕きまして、一口で言いますと、第一がサービス精神の体得、第二が職員能力の開発、これを二つの柱にいたしまして行っております。  具体的に中身を申しますと、二つの重要な事項がございます。一つは、管理監督者に対しまして、こうした立場からの教育訓練を行って、そして青年層とかあるいは中堅層をよく指導させる。それからもう一つは、新しく入ってくる職員あるいは入社してから二、三年ぐらいまでの職員に対しまして、新規訓練とかあるいは再訓練というような形で訓練を繰り返し行っております。なお訓練の方法といたしましては、学園とか、そういう訓練施設に入れることだけではなくて、むしろ日常の職場における訓練が基本である、このように指導しております。
  761. 木島則夫

    木島則夫君 昔は逓信講習所というところで普通科教育をやりまして、逓信官吏に必要な教養とか知識を教えたと聞いております。一般教養が七〇%、この場合。あと三〇%が技術教育。このために結果として職員としての共通認識が生まれたとも聞いております。最近のように若い人たちが多くなりますと、そうでなくとも人間疎外の環境の中で育って、公社に入って基本的な教育もなく、いきなり技術教育を受けますと、これは私の勝手な想像でございますけれど、公社の職員としての基本認識という共通の場が希薄になるような感じを受けるわけでございます。一方、組合の教育は進んでいるから、職員であると同時に組合員であるというバランスが崩れていはしないか。こういうことが労使不協和の原因にもなる一因だろうと考えております。  そこで、さっきから私がるる申し上げているように、基本的教育体系の確立がいま一番必要だと思うけれど、これは現場担当者と総裁の両方からお答えをいただきたい。
  762. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  ただいま厚生局長や総務理事からお答えいたしましたが、基本的には、公社の働く人に対しまして、公社国民に対して電信電話サービスを提供しているので、サービス精神の自主的な浸透、高揚を図るということでございます。そのために管理者の教育訓練を徹底すると同時に、また、実際、いま御質問の中にもございましたように、公社の学園の中に大学部というのを設けておりまして、その中には各現場で選ばれた人、それは事務系、業務系、それから技術系合わせまして毎年たしか三百人ずつくらい入っております。二年の教育をやっております。それから通信局では、また、昔の講習所に近いものでございますけれども、そういう専門部というものを設けておりまして、そこに入れております。そして一時、これは電電公社の発足する直前でありますから電気通信省時分には、技能訓練だけやればいいんだというような時期が確かにありましたけれども電電公社になりまして、特にこの五、六年、いまの御指摘のような職員としての国民に対するサービスを提供するんだというような、そういう精神的な面の訓練を強化しておるというのが実情でございます。
  763. 山本正司

    説明員山本正司君) 補足さしていただきますが、ただいま総裁が説明されました大学部あるいは主要通信局におきまして行っております専門部といったような養成訓練の場におきましては、大学部は訓練年限が二年、専門部は一年でございますが、それぞれ皆寮制度を実施いたしまして、すべて訓練生は寮に入って生活をともにし、それぞれ各出身扱局、通信局等の事情について十分コミュニケーションを図りながら、同じかまの飯を食いつつ、何と申しますか、通信人としての、公社人としての意識を高めておるというふうに言えるかと思うのであります。  また、先ほどちょっと触れましたように、一般科目、教養科目といったようなものも、こういった大学部、専門部の教養・教育課程の中に相当時間数を強化いたしまして、社員としての基本教育といったようなものを拡充いたしてきておるわけでございます。
  764. 木島則夫

    木島則夫君 基本的教育の問題というのは、これはいまの時代ほどゆるがせにできない非常に大事な要素を持っておりますので、ここは幾重にもひとつ慎重に御検討いただきたい、こういうふうに要望をいたしておきます。  私の質問項目にございませんでした一項を郵政省に対して伺います。これはもうすぐお答えのできることだろうと思います。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案中「第四十三条に次の二項を加える。」のところの内容です。つまり国際電電にかかわる電話料滞納、いわゆる国際通話料滞納分を電電公社によって措置させようというものでございますが、公社の内部にもこれは異論があったし、過日の委員会でもいろいろ問題があったところでございます。これは労働条件的にも、そのほか一体こういうことをやらしていいのか、国際電電の自主性がないんではないかというような議論もあったと記憶をしております。この点どうでしょうか。責任を転嫁することにもなって不合理だと私は思うのですけれど、郵政省はどんな御見解をお持ちですか。
  765. 松井清武

    政府委員松井清武君) ただいま先生指摘のように、公衆法の四十三条の改正を考えておる次第でございます。この取り扱いは、御指摘にもございましたが、国際通話の料金の滞納している加入者に対しましては、現在、国際電電といたしまして国際通話の取り扱いをしないことができるということになっているわけでございますが、しかし、公社が行っておりますような加入電話の通話停止というような扱いはないわけでございます。  現状における国際電電の滞納状況というものを見てみました場合には、年々増大する傾向にあるわけでございます。回収率の状況というものを見てみました場合にも、電電公社と国際電電におきましてはかなり大きな開きがあるわけでございます。ちなみに支払い経過期間後六カ月を経過したものを見てみました場合に、電電公社の場合にはその収納率といいますか回収率というものが九九・九五%という、ほとんど一〇〇%に近い回収率でございますが、国際電電の場合には九七%程度でございまして、相当の開きがあるわけでございます。したがいまして、この問題につきましては長年の懸案であったわけでございますが、このたび公社と国際電電の間の両者における取り扱い上につきましてのいろんな了解もできまして、ここにそういった電電公社に開かれておりました加入電話の通話を停止する道というものを、国際電電につきましても国際電電の要請によりまして公社がそういう措置をとる道を開いた次第でございます。  これによりまして、国際電電は、電電公社にそういう徴収事務というものをおんぶして、自主性が損なわれるではないかというような御指摘もあったかと思います。そういった一面もないわけではございませんが、しかし、国際電電といたしましては、少なくとも従来どおりこの料金の徴収事務につきましては、鋭意、その徴収に当たってまいるわけでございますし、その港津の改正におきましても、国際通話の取り扱い停止を実施いたしましてから三月を経過してもなお料金が支払われない場合に限りまして、公社に対しまして通話停止を求め得るという道を開いたわけでございます。その間におきましても、国際電電といたしましては料金徴収事務に鋭意専念をするということは当然のことでございますし、また、そういうふうな法的背景というものを受けまして、伝家の宝刀として今後の料金徴収事務が円滑にいくような道を開いたというふうに考えているわけでございまして、いろいろこの点につきましては、なお今後、両者の間において、あるいは組合問題も含めまして、検討しなければならぬ点がございますが、十分、今後とも両者において話し合われましてスムーズにこの実施ができますように期待しておる次第でございます。
  766. 木島則夫

    木島則夫君 最後に、一言、私の感想を申し上げて質問を終わりたいと思います。  電電公社に対しては徹底的に技術革新を進めてもらいたいということです。もちろん、それだけではございません。シビルミニマムの充足にも、それにも増して意を用いてもらいたいということ。郵政省に対しては、変転きわまりないこの情報化社会の中で、それを追っかけるような法律、制度を制定することなく、やっぱり先を見越してそのビジョンというものをきちっと持ってもらいたい。そのことなくして情報化産業、情報化社会を本当にうまく手中におさめてこれを使っていくことはできないんだという、そのことに意を用いていただきたい、このことを申し上げて、私の質問を終わります。
  767. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  768. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。  本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時五十八分散会      —————・—————