運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-10-12 第78回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十二日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  十月八日     辞任         補欠選任      岡田  広君     迫水 久常君  十月九日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     藤原 房雄君  十月十二日     辞任         補欠選任      川野辺 静君     遠藤  要君      志苫  裕君     川村 清一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森  勝治君     理 事                 長田 裕二君                 原 文兵衛君                 最上  進君                茜ケ久保重光君     委 員                 遠藤  要君                 郡  祐一君                 新谷寅三郎君                 高橋 邦雄君                 棚辺 四郎君                 土屋 義彦君                 案納  勝君                 川村 清一君                 森中 守義君                 藤原 房雄君                 山田 徹一君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  福田 篤泰君    政府委員        大蔵省主計局次        長        松下 康雄君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房電        気通信監理官   松井 清武君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君        郵政省郵務局長  廣瀬  弘君        郵政省貯金局長  神山 文男君        郵政省簡易保険        局長       永末  浩君        郵政省電波監理        局長       石川 晃夫君        郵政省人事局長  浅尾  宏君        郵政省経理局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        大蔵省銀行局総        務課長      宮本 保孝君    参考人        日本放送協会経        営委員会委員長  工藤信一良君        日本放送協会会        長        坂本 朝一君        日本放送協会副        会長       藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      沢村 吉克君        日本放送協会専        務理事      山本  博君        日本放送協会専        務理事      堀 四志男君        日本放送協会専        務理事      中塚 昌胤君        日本放送協会理        事        反町 正喜君        日本放送協会理        事        武富  明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (日本放送協会予算に対する国の負担金、受  信料改定後の収納状況等に関する件)  (放送局の再免許、郵政審議会に対する諮問事  項等に関する件)  (集中豪雨等による異常時における放送体制等  に関する件)  (郵便貯金の金利の引き上げ問題等に関する件)     —————————————
  2. 森勝治

    委員長森勝治君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  塩出啓典君及び志苫裕君が委員辞任され、その補欠として藤原房雄君及び川村清一君が選任されました。     —————————————
  3. 森勝治

    委員長森勝治君) 参考人出席要求についてお諮りいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項調査のため、本日の委員会日本放送協会役職員参考人として出席を求めたい存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森勝治

    委員長森勝治君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  坂本日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂本会長
  5. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 大変貴重なお時間をいただきまして、発言のお許しをいただきましてありがとうございます。  御承知のように、NHKにとりましては大変不幸な事件がございまして、小野会長任期辞任するというような事柄でございますが、そのことにつきまして、私は当時補佐する者の一人としてそばにおったわけでございまして、私といたしましても先生方にこの件について大変御心配をおかけいたしましたことをこの席をかりて深くおわび申し上げる次第でございます。  なお、その小野会長の後を受けまして、私、会長の指名をいただき就任をいたした次第でございます。まことに浅学非才ではございますけれども、大方の御期待に沿うために、公共放送使命達成の目的のために一生懸命努力したいというふうに考えておりますので、先生方におかれましても何とぞ御指導、御支援のほどをお願い申し上げる次第でございます。簡単でございますけれども、ごあいさつにかえる次第でございます。  なお、この際、一言お許しいただいて、私の会長就任に引き続きまして、副会長に同席しております藤島技師長、それから技師長に前技術本部長沢村理事専務理事にいたしまして技師長にいたしましたことを御報告させていただきます。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  6. 森勝治

    委員長森勝治君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 森中守義

    森中守義君 ただいまごあいさつがありましたNHKの新三役、これからも全力を傾けて公共放送使命に徹せられるよう切にお願いいたします。  つきましては、いまのごあいさつに引き続いて少し協会にお尋ねしたいと思います。就任のごあいさつの早々に余りいい感じの質問でもありませんが、今回の前会長の問題です。  深刻な衝撃を受けた結果、こういう新しい体制になったわけですが、私は、各公機関において最高機関運営というものは一体どういうように行われているのか、その辺に協会については多少の疑問がある。つまり小野さんは個人の側面もあるし、しかしおおむねは公人立場が非常に濃厚だと思うんです。したがって今回のような行動というものが、最高機関運営等の中で、よかろうとか悪かろうとか、こういったようなことが議論をされるようなことがあるのかないのか。会長、副会長あるいは技師長という立場の人が思い思いに公人立場をいつの間にやら忘れてしまって今回の行動になったのだと、この辺に、私は、協会のその役員会首脳部動きについて何か合議されるような機会があるのかないのか、その辺のことを最初に伺っておきたいと思います。
  8. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 御指摘小野会長事柄につきましては、まことに申しわけなく存じておりますけれども、正直言って、事前に御相談を受けたという事実はございません。したがいまして、正直言って、事前に御相談を受ければおとめしたというふうに私考えておるわけでございますけれども、残念ながらそういう経過でございませんでしたので、御訪問になった事後そのことを承知いたしまして、いささかわれわれもその影響するところを心配いたしまして、いわゆる小野会長を含めました役員会でこの問題についての話し合いをいたしましたが、その際、小野会長自身すでにこの点についてはいささか軽率であったということで釈明されておりますので、その後の行動についてはやはり慎重に御判断願いたいというふうに申し上げた結論として、最終的には辞意を決意されたというふうに理解しておる次第でございます。
  9. 森中守義

    森中守義君 あれですよ、できてしまったことを後でどうしようたって、これはもう取り返しがつかない。だから、私が申し上げているのは、恒常的に、役員会というのか理事会というのか、そういうような運営が妙を得ているかどうか、これが問題だと思うんですね。  少なくとも協会を代表される立場にある場合には、私的な行動よりもむしろ公的な行動というものがすべてを律される。今度、小野さんの弁明によれば、人情の常として田中角榮を訪ねることは何が悪いんだと、こういうようなお話もあったようですが、いささかその辺に問題がある。やっぱり会長、副会長あるいは技師長という、そういう最高皆さん方というのは常に公人の方が先行する。ですから、私のうかがい知るそれら公機関最高幹部動きというものは、やはり私的なものであれ、公的なものの一部として扱われることが多いと思うんです。また、そうあるのが正しいと思うんですね。だから、今回の小野さんの行動でも、ある意味ではそういう最高幹部会等議論をされておれば、こういうことに至らなかったのではないかというようなことを考えるものだから、そういう意味でやはり理事会役員会というものはもう少し具体的な役員行動等についても調整の必要があるんじゃないか。逆説的に言うならば、そういうものがないというようになろうかと思うんですが、その辺のことが今回の事件一つの反省、教訓としてどうされていくのか、そういう見解をちょっと聞いておきたいと思うんですね。
  10. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) その点はまさに御指摘のとおりかと思います。われわれ恒常的には役員会理事会を定例の形で週に二回持っておりますけれども事柄によれば緊急の集会ができる体制に常になっておるわけでございまして、それはおおむねNHK事業運営の問題について協議する場ではございますけれども、御指摘のような私的な行動等につきましても、それが公という形に影響あり得る場合も多々あろうかと思いますので、そういう点についてはやはりお互いに情報を交換しながら運営していくということにすべきだろうというふうに考えておりますし、現状では少なくともそういう形での心配りをしておるつもりでございます。
  11. 森勝治

    委員長森勝治君) 質疑の途中でございますが、委員異動について御報告いたします。  川野辺静君が委員辞任され、その補欠として遠藤要君が選任されました。     —————————————
  12. 森中守義

    森中守義君 これは、会長、いまのお答えで大体これからのことがよくわかりました。義務的にもやはり理事会役員会というものは一体として世間に責任を持つ、こういう姿勢で進めていただければ、再びこういったような不祥事件の発生も必ず防止されるであろう、こういうふうに思いますんで、ぜひそのように強く要請しておきたい。  それから、せんだっての予算審議の際に、新しい将来の問題として、いままで免除されているたとえば厚生省文部省労働省法務省、こういう関係についても極力負担をその方で求めるようにという強い意見が開陳をされたし、附帯決議にもそのことがちゃんと載せられているわけですが、どうなんでしょう、いま来年度予算作業に入っておりますか。予算作業状況と、その経過の中でいま申し上げた関係各省庁に対する財政負担の話はどうなっているのか、これをひとつ御説明願いたい。
  13. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 附帯決議にもございますとおりで、われわれも国の予算編成に当たってその御趣旨に沿う努力をいたしております。ただ、何分にも国側にも国側の御都合、言い分もございまして、必ずしも順調にいっているというふうには申し上げかねるんでございますけれども、なお、具体的なことにつきましてば担当理事から御答弁させていただきたいと思います。
  14. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) 五十一年度予算を御承認いただきました直後の七月八日付で、会長名先ほど指摘の四省に対しまして受信料の免除についての国庫負担について要望書を提出いたしまして、その後、関係者が直接出向きまして担当の方といろいろ折衝をいたしましたけれども、現段階ではまだ御了解を得るに至っておりません。今後もさらに努力を続けたいと考えておりますが、先ほど会長から申し上げましたように、見通しにつきましては必ずしも明るいとは申し上げられません。そういう状況でございます。
  15. 森中守義

    森中守義君 確かに御説明のように七月八日に書面が出ていますね。後、二回目に、書面でなくて直接交渉をやっているんじゃないですか。その相手、たとえば厚生省はどういう程度のレベルを対象にしたのか、文部省はどうか、労働省はどうか、法務省はどうか、ちょっと個別に相手がどういう立場の人か説明してください。
  16. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  17. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こして。
  18. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) 厚生省につきましては官房総務課課長補佐文部省につきましては社会教育局視聴覚教育課長労働省につきましては職業訓練局管理課課長補佐法務省につきましては矯正局教育課課長補佐の方にお話し合いをいたしました。
  19. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  20. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こして。
  21. 森中守義

    森中守義君 あのね、中塚さん、来年度予算編成にはもう入っているのですか。入っておれば、この四省の関係予算の中でどうとらえようとしているのか。  それから大蔵省主計局見えておりますね、主計局の場合には、いまの各省からこの件について概計要求が出ているかどうか、ちょっとNHKから順次答弁いただきましょう。
  22. 山本博

    参考人山本博君) 予算編成作業はまだ最終段階に入っておりません。現在、まだ未確定要素がございますので、それを詰めまして、十一月初めごろから最終の案をつくりたい、そういう作業の手順になっております。これはまだ未決事項ということで最終的に予算の中にどういう形で組み込むかということまでまだ決めておりません。いわばまだ折衝中という扱いでございます。
  23. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 突然の実はお尋ねでございまして、私がただいまのところで承知しておりますところでは、いま御指摘のございました個別の要求事項を私自身まだ見ておりませんです。ただ、各省予算要求の中には大まかなる方針を決めまして、金額確定等が残っておりますものは一応枠だけを要求いたしまして、内容につきましては詳細の内容を固めてから要求として正式に持ち込んでこられるものもございますので、私がまだ見ておりませんといいますことは、各省がそれを御要求にならないということになるとは限りませんので、この点はお断りを申し上げておきます。
  24. 森中守義

    森中守義君 NHKの場合に、厚生省関係概算幾らぐらい、それから文部省労働省法務省概算五十二年度予算の際に幾らぐらい金高がなるのかちょっと示してください。
  25. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) 厚生省関係につきましては、およそ二十六億七千万でございます。文部省関係につきましては十七億七千万。労働省関係につきましてはおよそ六百万。法務省関係につきましてはおよそ千三百万でございます。これが現在免除しております金額でございます。
  26. 森中守義

    森中守義君 大蔵省の場合ね、確かにまだ概計を整理された段階で個々の内容検討はない、それはよくわかる。けれども、この趣旨からしまして、NHK予算審議する際に非常に大きな問題点一つだ。だから、関係各省がいま協会から示されたような予算要求を出してきた場合、ないしは出ている場合、承認されますか。
  27. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 私ども予算編成に当たりましては、限られた財源につきまして、これを国民生活に密接な関係のあるもろもろの非常にたくさんの御要求に対してどういうふうにして割り振ってまいりましてその年の財政規模をつくってまいるかということは、総合的にかつ非常に時間をかけまして、よく検討して決めてまいらなければならないことは申し上げるまでもないことでございます。したがいまして、御質問でございますけれども、来年度予算編成に当たりまして、何かある特定の項目につきまして、これをいまの段階でお認めをする、あるいはお認めをしないということを決めまして御返事を申し上げることはなかなかできないのでございます。  しかし、各省からの御要求は私どももいずれもこれを真剣に受けとめまして、内容につきましてよく検討をさせていただき、全体といたしまして施策優先順位その他各省との御相談を繰り返しながら、最後に予算の形にまとめていくものでございますから、御要求に対しましては、私ども誠意を持って対処いたしたいと思っております。
  28. 森中守義

    森中守義君 いまの誠意を持って対処するというのは前向きだろうというように解釈しますが、ただ、この際、特に大蔵省で理解をしておく必要があるのは、皆さんが言われる受益者負担ということとは大分これは意味が違います。当然国が負担すべきもの、こういう認識を協会予算審議の際にわれわれは認識している。したがって、いま財源を理由にあれこれ言われるわけですが、協会にとってはかなりこれはきしみますよ。だから通例の観念としての受益者負担じゃない、当然国庫で見るべきものだという解釈をする。  ですから、出てきたならば、いまの誠意を持って処理するということは、来年度予算の中では前進がある、こういうふうに私は理解しておきますが、いかがですか。
  29. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 私、誠意を持ってこれに対処いたしたいと申し上げましたが、先ほどお答えをいたしましたように、事柄内容につきまして、また関係各省要求について持っております優先度合いにつきまして、あるいは財源の配分につきまして、私どもとしては誠心誠意検討を加えてまいりたいということでございますけれども、果たして予算的にそれがどのような姿になってまいるかという点につきましては、予算編成の全体の過程の中で決めてまいるほかはないことでございます。
  30. 森中守義

    森中守義君 NHKの場合、厚生省が第二回目に話し合いに入ったというのは課長補佐、それから文部省が八月の六日に課長になっていますね。さっきお示しのとおり、課長補佐課長というこういう立場人たち、なるほどその実務担当責任者であると思う。しかし、この段階で物事が片がつくとは私は考えない。これから、たとえば担当理事あるいは副会長会長というように、順次相手の方の責任ある立場を高めていって、最終的には政治的な問題に持ち上げるという、そういうことをおやりになるのですか。あるいは、ただ事務的に書面を出した、相手課長ないしは課長補佐と話を進めるという、こういう程度で終ろうということですか。これからのこの交渉のやり方、これちょっとお示し願っておきたい。
  31. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) この段階事務当局との折衝だけで終わるつもりはございません。さらに上部の方々と御相談いたしたいと、このように考えております。
  32. 森中守義

    森中守義君 会長がお出向きになることもありますか。
  33. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 当然、会長みずからこの問題に対処する覚悟でございますけれども会長といたしましては、一応、予算の点について郵政省郵政大臣最終的には意見書を付すというたてまえになっておりますので、郵政省とも十分連絡をとりながら御指摘の点について善処したいというふうに考えております。
  34. 森中守義

    森中守義君 福田大臣、お聞きのとおり、これはせんだってから非常に大きな問題であります。しかも、来年度予算編成という一つの限界があるわけですわね、無関心ではおれないはずなんです。いつまであなたの大臣任期があるかわかりませんけれども、これはやはり真剣に郵政省でも問題を受けとめて、大蔵大臣あるいは関係の四大臣、こういうところとの折衝にお入りになる考えはありませんか。
  35. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 事務当局がいろいろお互いに打ち合わせをするのは当然でありますが、御質問の、場合によりましては関係省とも積極的に折衝をする用意がございます。
  36. 森中守義

    森中守義君 大蔵省、何回も申し上げるように、そういうように逐次五十二年度においては、満額ではないにしてもある程度こういう問題が前向きに処理できるように、協会の方でも副会長会長あるいは郵政大臣のところまで話を詰めていきたいと、こういうような答弁ももらっていますから、ぜひひとつこの問題は積極的に取り組んでいただくように期待をしたいと思いますが、いかがですか。
  37. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 御要求をまだ伺うに至っておりませんけれども、御要求が出ました場合には、その内容については十分私ども真剣に検討いたします。
  38. 森中守義

    森中守義君 それから、前の予算のときに問題が残されていた、施行の時期がおくれたために百二十億か百十億の歳入欠陥を見ておりましたね。この処理はその後どうなりましたか。
  39. 山本博

    参考人山本博君) 御指摘がありましたように、百十二億の暫定予算期間中の収入欠損といいますか、欠陥がございます。これをどう処理するかというのは、この前の予算の御審議をいただきましたときに五十三年度までを含めまして協会財政運営というものを御説明をいたしまして御了承を得たわけですが、明年度予算編成の中だけで全体の百十二億というものを解消していくということは非常にむずかしい額でございます。したがいまして、私の方は、来年度予算のみならず五十三年度までの財政運営全体の状況の中で、その暫定予算期間中の百十二億の収入欠陥というものを解消をして、五十三年度までの事業運営を何とか円満に順調にやっていきたいということを考えております。  したがいまして、今後、予算編成を進める過程におきまして、明年度それから五十三年度、これを含めまして、方法論としては幾つかございますが、たとえばできるだけ事業運営の中でさらに効率化合理化、節減、こういういろいろな方法の中でどのぐらいこれを吸収できるか。それから、とりあえず、本年度、所有しておりました土地のうちの一カ所、約五億円ばかりの土地を売りまして、これもそういう財源一つに充てたいということを考えております。また明年度以降におきましてもそういう方法をとってまいりたい。かつ事業収支の差金が五十一年度には出てくるような計画で御審議をこの前いただきましたが、これの中には長期借入金の返還の予定もございます。それから財政安定資金として次年度以降に持ち越す予定金額、こういうものを全体としてにらみ合わせまして五十三年度までの間に協会財政というものを何とか安定さしていきたいということで、今月いっぱいをめどにしまして最終案をつくり、それを来年度予算編成と絡み合わせまして、最終的に十一月いっぱいには明年度以降の事業計画というものをつくり上げるつもりでございます。いま申し上げたような方法論と結びつけながら、収入欠損というものを処理してまいりたい、こういう方向でいま検討中でございます。
  40. 森中守義

    森中守義君 そうなると、その来年度予算というのは大体十一月ないしは十二月いっぱいぐらいで終わりますか。非常に問題がたくさんあるわけです。  特に、八月の四日に、小野会長名で例の基本問題調査会委員全員あてに、提言内容はこういうように処理したいという幾つかの案を出されている。これもやはり予算関係のあるものがかなりあるんですね。しかも、その内容の中でいろいろな施策協会の中でやりたいという内容ももちろんくっついているわけですが、こういうものをとらえてどうなんですか、十一月あるいは十二月に予算概計は終了いたしますか。
  41. 山本博

    参考人山本博君) 今年度予算の御承認をいただく前に、郵政省と連絡を密にいたしまして、郵政省に提出をいたしましたのが一月の十九日でございました。本年もそれに余りおくれないようにめどをつけまして作業を進めております。したがいまして時間的にはおのずから限度がございますので、余り緩いテンポで仕事を進めるわけにはまいりませんので、いまお答えを申し上げましたような作業手順、それに間に合うように終了させたいと思っております。勢い十二月中には最終的なものにほぼ近いものをつくり上げるということに努力をいたしたいと思っております。
  42. 森中守義

    森中守義君 それが、山本専務理事、問題なので、いま日放労との賃金確定はいつの時期になるのですか。私が承知しているのは、その関係があるから年が越して二月ぐらいになると、こういうように非常におくれるわけです。しかし、賃金確定の時期というのはもうちょっと早めていたんでしょう。そうなれば、当然、これは国の予算と同じように年度内に作業が終わって一月の早々にでも郵政大臣に出すわけでしょう。電波審議会に付されるという、こういったように早めていいのではないかと思う。これはひとつ国会の審議も御協力をいただかないと、ことしの料金改定の問題なども非常に大きな内容をこれから残しておりますから、一層慎重に協会予算は私ども検討したいと思うのです。時期的にはどういうことになりますか、もうちょっと早まりませんか。いままでおくれていた理由は、賃金確定の時期がどうしても暮れになったと、で固まらなければ新しい予算が組めないという、こういう当時の事情として理解しておったのですが、そのことから逐次御説明してみてください。
  43. 山本博

    参考人山本博君) ただいま私が申し上げました一月十九日といいますのは、例年に比べますと相当日にちを早めまして、約二週間近く早めました日程でございます。昨年度は特に受信料の値上げということがございまして、十分な御審議をいただかなければならないということで、従来に比べますと相当努力をいたしました日にちでございます。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  で、ただいまお尋ねがございました日放労との間の賃金交渉の日程と申しますのは、実は、昨年度からの日放労の賃金の決定の時期というのが、従来は十二月中にその作業を終えまして、それを予算の中に組み込んで国会にお出しをするのが例でございましたが、昨年度からは春闘の時期に日放労の賃金も決定するというふうに変更になりましたので、昨年度予算からは一応NHKなりの予算編成作業を賃金決定と切り離して終えまして、国会の御審議を得た後に、春闘の時期に改めて交渉をいたしました。そのときにおける弾力性の保証といたしまして予算総則を変えまして、その春闘の時期に決定された賃金の内容に相応できるような予算総則の変更をいたしたわけでございます。  したがいまして、十二月中にほぼ概計を終わりまして、後は国の予算のうち、たとえば国際放送あるいは先ほどお話がございました各省の減免の額、あるいはその他政府からの交付金、こういうようなものを政府が決定をいたしますと、それに従いましてこちらの作業最終決定をする。そうしますと勢い一月の中旬から下旬にかけまして最終決定という形になりまして、昨年は一月十九日に従来よりも相当早いテンポでお出しをした、こういうことでございます。本年度も大体そのスケジュールで作業を進めるということを基準にして、いま努力をいたしておるというのが現状でございます。
  44. 森中守義

    森中守義君 いまの件は、できるだけ早目に措置できるようにお願いしたいし、だからといって内容が詰めるものも詰めないで拙速を重んずるということでは困ると思う。  いまひとつ、いま賃金の話をちょっとお互いにしましたので触れておきますが、予算審議の際に、下限一一%というこういう話を私は出した。それを当時の小野会長はそのとおりであると言われたし、当時、山本理事も同じように答弁された。ところで、いまの景気状態等々からしまして一般的に再びガイドゾーンを強化するというような話などがないでもないのですが、当然、次年度予算の中には春闘におけるベア、その率というものは下限一一%は保証されますね。これはひとつ食言にならぬようにしてもらいたい。
  45. 山本博

    参考人山本博君) 来年度予算を組みますときに、人件費をどのくらいの率で見るかということは、私の方といたしましては、この前お示しをしました中期の事業計画の中では約一〇%ということで見ております。本年度も一〇%で予算を通していただいたわけでございます。明年度以降、どのくらいのパーセントでこれを考えていかなければならないかということにつきましては、もう少し予算最終の決定をいたします時期まで、いろいろな方面の情報その他も参考にして最終決定をいたしたいと思いますが、具体的な数字というのはちょっといま申し上げかねますが、社会的水準から見まして、NHKの職員が社会的水準のベースアップというものが保証されるように予算編成をいたしたい、こう思っております。
  46. 森中守義

    森中守義君 それは、専務理事、ちょっとおかしいよ。もともと、賃金論争をしようとは思わないけれども、日放労の掲げる方向というものは朝日、毎日、読売並みと、こういうようなことが一時は言われておったし、この前の審議の際にも一一%は下限ですねとこう私が問うたのに、そのとおりだと、繰り返し二回か三回私は念を押した。いまのような答弁になると大変な後退ですよ。これは当時の会議録をもう一回私も読み直してみますが、やはり一一%というのはこれが下限であるというだめ押しのもとに前回の予算審議等は進んできているわけですから、いま言われると何か大変周りの状況を見回そう、それによって協会も決めようという考えのようですが、それだと大幅な後退、発想の転換になりますから、この議論はちょっとこの次に回しますが、もう一回協会の方でも当時の会議録をよく精読してもらいたい。したがって予算審議の際の確約が食言にならないようにしてもらわないと、これは委員会審議に対する背信などということは私は言いたくないから、よほど慎重に扱ってもらいたい。  会長、特にあのころおいでになってましたね、お聞きになっていたでしょう。私は下限一一%、こう言った。それを当時の会長山本経理担当理事もそのとおりだと言って、二回か三回私は念を押しておりますからね。これは食言にならぬようにしてもらいたいと思いますよ、どうでしょうか。
  47. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) まことに申しわけありませんけれども、その具体的数字については、ちょっといま私も先生の御指摘のとおりであったかどうかということを思い浮かび得ない状況でございますけれども、少なくとも当委員会で御審議いただいていることが食言になるというようなことにはならないようにすべきだろうというふうに考えております。
  48. 森中守義

    森中守義君 それでは、八月の四日に、さっき申し上げた基本問題調査会の全委員あてに出された小野会長名の、提言をかようかくかくに処理したいという大綱をお示し願えますか。
  49. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) 基本問題調査会、それにも増しまして当委員会附帯決議がございましたが、聴視者の意向を十分反映するように、あるいは番組審議会の構成その他について十分に検討するようにという御意向を受けまして、私ども検討してまいりました結果、二つございまして、国内放送番組審議会の構成と機能の充実という点、もう一つは広報推進本部を設けるという二点につきまして御報告申し上げたわけでございます。  最初の国内放送番組審議会につきましては、これは御承知のように、法律で学識経験者の中から委嘱するということになっておりますけれども、その後の世論の動向、社会動向の変化によりまして、構成につきまして学識経験者を中心としながらなお幅広い分野の方々を御委嘱しようということが第一点。それから機能の充実につきましては、私どもいろいろ聴視者の意向がそれぞれのチャンネルを通じて入ってまいりますけれども、それらを十分審議会の先生方に御報告申し上げるとともに、また審議会の審議結果につきまして、新聞記者会見等において外部発表をもっと充実してまいろうという点を施策の強化といたしまして策定をいたしまして、そういうぐあいにいたすということを御連絡申し上げたわけでございます。これが第一点でございます。  それから広報推進本部の設置につきましては、従来ともいろいろ広報につきましては部内の組織がございましたのですけれども、これを経営に直結させる、聴視者の意向を十分経営に反映させるとともに、NHK使命、事業の運営等につきまして十分また外部にフィードバックするということをもっと強化しようということに、そういう目的で副会長を本部長といたします広報推進本部を設けたということを御連絡いたしたわけでございます。
  50. 森中守義

    森中守義君 いまお示しになりましたね、番組審議会の構成と機能の充実、それから広報推進本部の設置、こういったような内容のものが提言を一〇〇%満たすものとは思われない。しかも、これは前会長時代のものですから、もちろん時期的にはそう経過していないとは言いながら、新しい役員体制のもとでもう一回この内容を充実をする、多少の軌道修正を加える、こういう考え方はありませんか。  もちろん、個々的にどういうものが必要だということは私においても素材はございませんけれども、あの幅広い、しかも豊富な内容からする提言を具体的に実施に移していく内容としては、いま示されている二、三の内容では十分じゃない、こういうように思うんですが、この点について新たな角度から検討されるか、あるいはこれからのものとして少なくとも新しい予算編成を目指してかくかくのものをやりたいという、そういう新しい施策についても抱負はお持ちじゃありませんか。
  51. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) この種のものはこれで満点だというようなふうにはなかなかまいりかねるかと思いますので、ともかく一歩でも二歩でも前進するということがこの際必要ではないか。そして御指摘のように確かに前会長のときの発想の施策ではございますけれども、それについてわれわれも当然参画し、献策し、こういう形になっている、とりあえずやろうということでございますので、まず理屈はともかくとして実際に行動を起こすということをぜひやりたいということでございます。そしてその結果を見て、さらにまたつけ加えるものがあればつけ加えますし、なお行き過ぎている点があれば、それをまた改めるということにしたいと思います。  今回の広報推進本部の設置によりまして誕生するであろう施策は、従来のNHKのこの種の世論を吸収するという形の施策の中ではかなり画期的なことになるんではないかというふうに私自身期待をしておる次第でございますので、そういう点について十分今後も検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 森中守義

    森中守義君 これは一個人でやっていらっしゃるわけでないから、人が変わって急にいい変わったものをという、そういうことを期待するのも少少無理かと思いますが、しかし、一般的に会長初め首脳更迭という、こういう新しい事態については非常に世間は注目しているわけです。ですから、繰り返すようですけれども、あの提言の豊富な内容と幅、これが実行にどう移されるかというのは、いわばこれからの協会の未来を占うもんだと思うんですけれども、ですから、さっき申し上げたように、じゃどういうものが必要なのかというのはにわかに私においてもわかりませんけれども、考え方としては、示された二つのもののほかに、もう少し何か前進的なものを、新鮮なものを、こういうことが当然首脳陣において検討されてしかるべきだろう、こう思うんで、いまのお答えでも十分でありますけれども、もう一回ひとつ改めてそういう構想を、これから実行に移すというようなことであれば、正確にお答え願っておきたいと思います。
  53. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生御指摘の点は私も十分理解できますし、そうあらねばならぬだろうというふうに思っております。  ただ、いまここで具体的にこれにつけ加えるにこうだということを申し上げる十分な準備がございませんので、いましばらく時間をおかしいただいて、さらに前進したいというふうに考えております。
  54. 森中守義

    森中守義君 NHKに最後のお尋ねですが、改定後の料金収納の状況及び契約の状況、大変重要な問題なので、数字が固まっておりましたら数字をお示しの上御説明いただきたいと思います。
  55. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) 五十一年度につきましては、六月から新しい料額で収納を実施したわけでございます。通常六、七の二月、これを第二期というふうにしております。第三期が八月、九月でございます。収納の結果につきましては、九月末の第三期の結果はまだ最終的に判明しておりません。今月の半ば、十五日ごろに最終的に結果が判明するということでございます。  で六月、七月の第二期について、収納の状況を見てみますと、九五・八%の収納率でございまして、前年同期に比べまして〇・八%の落ち込みということでございます。で、このように若干低下いたしましたのは、受信料集金の際に料額の改定につきまして受信者からいろいろ説明を求められることが多うございまして、一受信者当たりの応接の時間が増加した、そのために集金の効率が低下したというふうに考えております。で、この第二期、改定後、二カ月間の受信料を改定したことによります未収の数というのは、大体、二万四千件程度にとどまっております。このうち、すでに三分の一、約八千件は解決をいたしておりまして、残る三分の二についても引き続き収納に努力をいたしております。  このように、まあ私どもは当初もっと収納率が低下するのではないかというふうに予想もしておったわけでございますけれども、改定前からいろんな手段を講じまして、この受信料の改定についての理解をしていただくように努力いたしましたので、この程度の落ち込みにとどまったのではないかというふうに考えております。  ただ、新規契約の増加につきましては、私ども最大の努力をいたしましたけれども、収納の方に非常に力を入れましたこともございまして、契約の増加は前年に比べまして非常に低調でございます。四月から八月末までの五ヵ月間の契約の増加数、これは約三万六千件でございます。これは先ほど申し上げましたように、受信料の改定時に業務の重点を収納に置いたこともその理由でございますが、今後、下半期に向かって最大の努力を傾けまして、新規の契約につきましても所期の目的を達成するように現在すでに下半期の活動を展開中でございます。
  56. 森中守義

    森中守義君 ちょっとやはりいただきかねるのは、料金関係に力を入れる、そのために契約が落ち込むという、この辺の理論はどういうように理解したらいいんですか。  私は、集金業務も契約業務も、いずれもが経営上のきわめて重要な核をなすわけですね、だから当然両立していくべきであろう。逆に、今度は、その契約業務に力を入れるために集金業務が落ち込む、こういう因果関係というものは在来のパターンとしてあったのかどうなのか。将来もそういうことが予測されるかどうか、その辺の見解はどういうことですか。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  57. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) これは正直申し上げまして、同じ集金担当者が収納をし、かつ契約も取り次ぐということをやっております。で、もちろん先生御指摘のように、私どもといたしましては収納につきましても未収のないように一〇〇%収納をするということが、これはもう当然でございますし、また契約につきましても未契約が一件もないように一〇〇%の契約をするというのが、これはもう当然のことでございます。しかし、現実の問題といたしまして、同じ人間が収納をし、かつ契約も取り次ぐ、で二兎を追うといいますか、どちらかに重点を置いて仕事をやりますと、片一方の方がどうしても手抜かりになるというのが現実でございます。で私どもとしては常にそういうことのないように両方について完全に収納をし、完全に契約をするということが公平負担の原則を貫くゆえんでございますので、そういう点、そういう方向で当然指導はいたしております。  で、この六月以降の受信料額、新しい料額を定着させると申しますか、値上げによって不払いがふえるということがあってはこの新しい受信料額が崩れることにもなりますし、ひいては受信料制度そのものにもひびが入るというふうに考えまして、六月以降、とにかく新しい受信料の収納を完全に行うということに最大の重点を置いたというのが現実でございます。しかし、先ほど先生御指摘のように、契約についておろそかにするということは毛頭考えておりません。先ほども申し上げましたように、下半期、年度末までかけまして、新しい契約の増加、これの年間目標達成に向かいまして現在すでに新しく活動を展開しておりますし、これからその目標に向かって最大の努力をいたしたい、このように考えております。
  58. 森中守義

    森中守義君 どうもその言われる意味が、側面としてはわかるけれども、実際問題としては非常にこれは重要ですよ。で、むしろ私はその辺に協会の経営構造に欠陥がある、こういう指摘をしてもやむを得ないような気がするんですね。  お示しになった数字からいきましても、未収が二万四千、それで大体九千件は片づいたと、こう言われるから、あと一万五、六千件はしかし残る。片や新規契約はどうかといえば一万三千件という数字が出ておりますね。五十年度が十六万九千件、これが一万三千ということになるともう大変なデメリットになるわけです、ここでは。だから未収を少なくしたい、そのことが料金改定された結果として新しい滞納発生を防止するという、そういう配慮はわかりますよ。わかるけれども、五十年で十六万九千件も新規増加があったのに、この場合にはわずかに一万三千件にとどまっておるということになると、計数的にもかなり大きな狂いを生じているわけですね。もし私の数字の扱い方が間違っておれば訂正をしてもらいますが、私の調べではそうなっておる。  だから考え方としては、なるほどその未収というものがあっちこっち増加しちゃ困る、これ抑制するんだという、そういう配慮は配慮として評価いたします。けれども、やっぱりこれは両立してやっていきませんと、協会財務というのはほんとに狂いっ放しになりやしませんか。狂いっ放しになるよりも公平の原則を失うことになる、こう思う。だから、どちらかに力を入れなければ両立できないという、その体制それ自体が問題だと思うんですね。両立できるような体制をどうしてやっていきますか。私はそういうようにしてもらわないと困ると思うんです。新しいそういう両立か一方かという、その選択はどっちがいいかということになると私は両立だと思う。そういう選択ができますか。
  59. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) 協会の収納を委託しております委託の集金の方々に対しまして、そういう収納と同時に契約をするということについてさらに努力されるように、私どもとしてその施策も考えていきたいと考えておりますし、また、現在、NHKサービスセンターというところに取り次ぎの業務を委託しております。こちらの方々には新規契約の取り次ぎだけの業務をやっていただいているわけでございまして、その方に新しく契約を取り次ぐ仕事についてさらに人もふやし、かつ努力をしていただくということもやっていきたいというふうに考えております。
  60. 森中守義

    森中守義君 まあ大変きょうは大づかみな質問で恐縮でしたが、現在考えられる幾つかの問題点指摘したわけですが、また遠からず予算作業過程ででも一、二回お尋ねすることになりましょう。もうきょうはこれで協会への質問は終わります。
  61. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止
  62. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こしてください。
  63. 森中守義

    森中守義君 貯金局長、けさどれかの新聞で、郵便貯金が脱税の疑いがあるというようなことで大分大きく報道されておりました。実相はどういうことになっておりますか。
  64. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 郵便貯金が脱税に利用されているというような報道が行われたということは承知しておりますが、私どもとしては、御承知のように、名寄せの調査を一定の期間地方貯金局において行っております。これを相当精力を注いでやっておりますが、その結果を申し上げますと、昭和五十年度においてその調査に基づき制限額をオーバーしているということで減額措置をとっていただいたその件数でございますが、五十年度が二万二千百二十件ございました。制限超過金額が三百五十六億円ということでございまして、このように毎年相当の手数をかけて調査をいたし、措置をとってまいっております。
  65. 森中守義

    森中守義君 手元に十分な資料をまだ整備しておりませんので、これはまた後日お尋ねすることにしますが、こういうようなことが広く言われ伝えられるということは余りいいことではない。したがって、郵政省の場合、所定のその法律に基づいて業務の運行、推進が行われているものと確信をしておりますし、そういう疑惑が持たれないように適切なる仕事の中で対応していかれるように、そしてこれは国税庁も言っている意味も税負担の公平を期したいという、そういう趣旨でもあるしね。また片や銀行との関係等もありましょうから、まあかなり背景的にはいろいろ問題が伏在するように思うんです。しかし、少なくとも国の機関である郵政省にこういった脱税の疑い等が持たれないように、より慎重な配慮を望みたいと思うわけです。  それと、この問題に対してすでにもう何か措置とっているんですか。それとも、きょう、ああいう新聞等で言われたことを契機にして新たに何か対応策をとる、事実であるのかないのかという、少なくとも世間に向かってはそのぐらいのことははっきりしておかなければいかぬのじゃないですか、その辺の措置模様はどうですか。
  66. 神山文男

    政府委員(神山文男君) ただいま申し上げましたように、制限額の超過をしている貯金に対しまして、まず郵便局に預入される際チェックするのが一つ方法かと思いますが、御承知のように、現在、全国どこの郵便局でも預入できるというような措置をとっております。また外務員の募集にかかる預入もございますし、窓口の職員による預入の取り扱いをする場合もございまして、そこのチェックも重要ですが、それだけでは十分でないとわれわれ考えておりまして、それで先ほど申し上げましたように、地方貯金局で毎年一定時期に名寄せの作業を行って、そして預金音別に現在高を調査いたしまして、三百万円を超えているものを発見したときは、それを通知申し上げて減額措置をとっていただく、こういうことをやっております。  それで本日の読売の記事に、国税庁から何か郵便貯金について一斉に調査をするというような協力要請を行ったと受け取れる記事がございますが、これは必ずしも事実を正確に伝えておりません。というのは、現在の税法上、税務当局は、所得税法その他の法律によりまして、納税義務者と取引がある者に対しその内容について質問調査する権限が与えられております。で郵政省といたしましては、この権限に基づいて調査対象者を特定して照会を受けるということがあれば回答をするという態度で従来やってまいっております。それで、こういう特定の税務調査の場合の特定の通帳、特定の預金者についての照会があれば、その限度で回答をするという態度でおりますが、現在までのところ、こういう国税庁が郵貯の全国的な実態証査をするというようなことで協力要請を申し出てきているという事実はございません。
  67. 森中守義

    森中守義君 これは来年度の貯金法の改正案というものが予定されておるようですね、制限額を幾らにするんです、その場合。私は、これはなかなか庶民の零細な預金だから、やれ五十万やれ百万、二百万という、にわかに預金量が一人当たり増加するとも思えない。けれども、こういったものを多少とも回避できる措置は思い切って制限額を引き上げるというようなことも一つ方法だろうし、それと日常の業務の運行の中に目立っているのは、目標の設定、これを現場段階でどう促進をするかといういわば勧奨というのか、この辺との兼ね合いが非常にやっぱり大きな問題を残しているようにも思うんです。したがって来年予定されているのは五百万でしたか、五百万がそういう疑惑を晴らすに足るような措置になるかどうか、あるいはもう少し金額を引き上げた方がいいのか、その辺の検討もきょうの新聞等を一つの契機にして再検討を迫られるような気がするんですが、そういう見解についてはどう思われますか。
  68. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 郵便貯金最高制限額、現在は三百万円でございますが、私どもとしては、これをぜひ五百万円まで引き上げていただきたいということで要求申し上げているわけであります。これは前回の引き上げ時点のいろいろの経済情勢その他、預金者の預金額に対する要望、そういうものを勘案しまして五百万ということで要求申し上げておるわけであります。これと制限額オーバーの防止と必ずしも全面的に結びついているものとは考えておりませんけれども、預金者の要望が三百万円以上貯金したいという強い要望があれば、それに沿い得ることであるというふうに考えて、ぜひこの程度はやっていただきたいと現在考えておる次第であります。
  69. 森中守義

    森中守義君 要するに、疑惑を持たれないように、郵政省でも十分なる配慮を求めておきたいと思います。  それから、電波局長、十一月の一日、既存のテレビ関係のチャンネルの再免許を一斉に行うという、そういう予定のようですが、再免許に当たっての重点的な審議内容というものを何かお考えになっていますか。
  70. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) お答えいたします。  ただいま先生から御質問ありましたように、この十一月一日を期しまして放送局の再免許をいたすわけでございます。放送局の再免許は三年ごとにいたしておるわけでございますが、それがちょうど今度の十一月一日に当たるわけでございます。今度の一斉再免許に当たりましての対象局でございますが、これはNHKが五千四百四十五局でございます。また民放が百七社の二千二百七十九局、合計しまして七千七百二十四局という数になっております。  作業の仕方でございますが、これは放送事業者からいろいろ再免許に関連がございます再免許申請書あるいは補足資料等が提出されまして、それについてわれわれ審査を行うわけでございます。この審査に当たりましては、放送というものの公共的使命にかんがみまして、それぞれ申請の内容につきまして検討するわけでございますが丁過去におきます事業の実績とかあるいは将来の事業計画、こういうものもその中にございますので、そういうものが電波法その他の関係法令の規定に適合しているかどうか、こういう点を厳正に審査しております。その結果、再免許の可否を決定したいということでございますが、やはりわれわれとして具体的に申し上げまして、地域社会との結びつきあるいはテレビ難視聴解消に対する取り組み方、こういうものにつきましてわれわれは相当慎重に検討しているわけでございます。
  71. 森中守義

    森中守義君 一般論としては、そのとおりでしょう。ただ、前回の再免の際に、たとえば中継局をできるだけ数多く設置するようにという、こういう条件などが付されているでしょう。その結果はどういうことになっているんですか。求めたそういう置局の状況が予測したものの何%にいっているのか。同時に、また今回もいま言われる適法に処理するという電波法以下施行規則等に至るまでのものが当然審査の対象になると思うんですけれども、何かその中でも新しい情報社会に対応して、これとこれとこれはどうしても再免の際の審査条項として重点を置きたいというのがあるんじゃないですか、なければおかしい。そういうものがあればちょっと教えてください。
  72. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま御指摘ございました前回、四十八年の再免許申請のときには、われわれといたしましても辺地における難視聴解消、こういう点に重点を置いて再免許の審査をいたしたわけでございます。そのときに各放送会、社から出てまいりました計画でございますが、それをどのように実施されているかということを今回の再免許の際にも検討しているわけでございますが、この民放の計画の中に四十八年に出てきました中継局の建設計画は六百四十一局でございました。現在、これがどのように実施されているかということでございますが、これは六百十九局という中継局が設置されております。したがいましてパーセンテージにいたしますと大体九七%近く計画が実行に移されたというふうに考えております。したがいまして、われわれといたしましては、やや満足すべき実行状態であると思います。  ただ、今後の問題といたしまして、やはり今度の再免許申請でも今後三年間の計画が出てきております。それを現在審査しておりますが、われわれといたしましては、放送使命というものから考えまして、やはりまず見えない地域、いわゆる辺地難視聴、こういうものに各社とも力を入れていただきたいということで、この点に重点を置いて現在審査している段階でございます。
  73. 森中守義

    森中守義君 いま示された九七%というのは、三年前の置局要請に対する答えなんですね。  したがって今回の場合には、前回のように中継局を新しくつくるという趣旨もわかるけれども、そのほかに何か重点的な審査項目はあるのかないのか、こういう点を聞いているわけですけれども、その答えがまだない。
  74. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま申し上げましたように、今回の再免許につきましては、前の考え方を踏襲いたしまして、やはり重点としましては難視聴解消に重点を置きたいというふうには考えておりますが、先ほど申し上げましたように、地域との結びつきと申しますか、この点についてもわれわれとしては十分検討していきたい。これはいわゆるローカル番組の充実というようなものでございますが、ただ、この点につきましては、やはり順位といたしましては難視聴解消を第一順位、それから地域社会との結びつきを第二順位、このように考えております。
  75. 森中守義

    森中守義君 個々的に具体的に挙げるのはどうかと思いますが、いま言われる難視聴解消というのはこれはもう絶対的なものですが、そのほかに、たとえば株式の移動を禁止するとか、あるいは役員構成の制限条項を厳しくするとか、そういった特殊なものはないのですか、あるのですか。今度の重点審査の中にはそういうふうなのは考えていないのですか。
  76. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま御指摘の点につきましても、当然、地域社会との結びつきの中で検討するわけでございます。  株式の移動等につきましては、これは放送会社ができましたときの定款の中に入っておるところもございます。したがいまして、そういう定款が確実に守られているかどうかというような点について検討するわけでございますが、やはりわれわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、電波法というものが守られているかどうか、この点についても、重点と言えばちょっときついかもわかりませんが、われわれの作業としてはこういう点にも十分注目して検討しております。
  77. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、結局、電波法及び放送局の開設の根本的基準というのか、こういう一連のものを適用せしめて定められている事業計画以下必要な実情、これを青写真とるような、将来全部提出させ新免同様の審査をする、こういうように理解していいですか。
  78. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) この点につきましては、やはりわれわれといたしましては、再免許といたしましても新免同様という扱いをするわけでございますので、ただいま御指摘のような点につきましては十分審査をいたしまして、そして適切な方法をとりたい、かように考えております。
  79. 森中守義

    森中守義君 いままで、その再免の際に、欠格条項のために免許が改めておりなかったという例は聞いたことないのですね。しかし、実際問題として、たとえば役員の構成その他でかなり欠格的なものが指摘されることが多いんじゃないですか。あった場合に免許をおろすのか、指導によって是正させるのか、そういうことは実績においてどうなっているのですか。
  80. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 役員構成等につきまして、途中の再免許審査の時点に必ずしも適切でないというような申請が出ていることがございますが、これはわれわれの方として十分指導いたしまして、そして適切な方法をとるように放送会社に申し入れております。
  81. 森中守義

    森中守義君 免許の交付をとめるんでなくて是正させる、改めさせる、そういう方式だね。
  82. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 私の方から相当強い指導を行いまして、そうして是正した場合には免許を与えるというふうになっております。
  83. 森中守義

    森中守義君 そういうものが再免の一つのルールといえばそれまででしょうが、私は、どうもやっぱり電波法それ自体に、免許の基準、こういうものに少し問題を感ずるのですよ。特にさっき申し上げた放送局の開設の根本的基準、これが事実上の免許基準になるわけですね。これは本法の中にどうして移しかえないのか。  要するに、一般的には免許の申請が出れば聴聞に付する、こういうのが一般的な免許の方式に私はなると思うんだけれども電波法の場合には、異議の申請があって、それに基づいて聴聞に付するというやり方がどうも後先になっている。そうじゃなくて、やはり電波法それ自体の中に、六条でしたか、六条の中にこの根本的基準というものはきちんとうたい上げるというやり方、こういうことが望ましいと思うのですが、どういうようにお考えですか。むしろ電波法の改正が必要じゃないのですか。
  84. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 先生がいま御指摘ありましたようなやり方もあるかとは思いますが、ただ、われわれとしましては、この電波法が昭和二十五年にできましたときの考え方といたしまして、やはり電波を国民一般に使っていただくといいますか、国民のために電波を開放しようという趣旨でこの電波法をつくったわけでございます。  したがいまして、やはり異議申し立てにつきましても、異議の申し立て、あるいは先ほどの根本基準、こういうものにつきましても、これを全部省令にゆだねまして、そして法律の中ではその最小限度を押さえるという形でこの法律をつくったわけでございます。したがいまして現在もこの法律で行っているわけでございまして、いまのところはさして大きな問題というのは起きておりませんが、やはり時代の進展に伴っていろいろふぐあいな点も出てきておりますが、この点につきましてはわれわれとしましても検討いたしまして、できるだけ現状に合うような形にしていきたいとは思っておりますが、ただいま御指摘ございました点につきましては、われわれ現在の方法で適切な行政ができると、かように考えております。
  85. 森中守義

    森中守義君 できるからやっていると言えるんですよ。ただね、非常にやっぱり弱いですよ、そう思いませんか。  たとえば電波法六条の「(免許の申請)」、七条で「(申請の審査)」、ところが、実際問題として、免許を申請しようという側は、こういう内容についてはほとんど問題ないと思うね、いかなる申請者といえども、恐らく。たとえば書面の出し方がよかったとか悪かったとか審査の過程で明らかになろうし、相当申請をしようとする人の場合には、すでにその創設された法人あるいは個人、いろんな内容のものでしょうが、いずれも相当知識を持っておる、あるいはこれに該当し得るような体質を備えたものが申請をするわけでしょう。ほとんどこれだけのものじゃ問題ないと思う。だから、その後が問題なんですよ。  たとえば一つのチャンネルをもらうのに相当数の競願があった場合に、一体、六条、七条でとらえられるかどうか、みんな並列になるんじゃないの。これが私は問題だから言うんですよ。六条、七条によって郵政大臣が認可権を持っておる。持っておるにかかわらず競願の措置が大臣の特殊な権能、法律上の措置としてとられているかどうか、実態は違うんじゃないですか。そういうことを考えるので、もう少し電波法それ自体を強めて、少なくともその調停をだれかに委任するという、そういうことがないような、権威あるやっぱり免許でなくちゃいかぬというように思うんですがね。実態とかなりかけ離れているというところに私は電波法上の欠陥がある。申請、審査というこれだけのことで満足していいのかどうなのか、こういう問題になるんですがね。競願の場合、どうしているんですか。
  86. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま御指摘ございましたように、確かに最近のこの新しい放送局の申請に対しましては、非常に多くの数の申請が出てきているというのが現状でございます。これはわれわれといたしましては競願処理をするわけでございますが、非常に数が多くなりますと、その競願処理というのがまた非常にむずかしくなってまいります。したがいまして、われわれとしまして一番やはり要点として考えておりますのは、その申請してきている会社、各申請者がその地域との密着性が十分にあるかどうか、こういう点をわれわれ非常に気にしておりまして、その点についてわれわれとしてはまだ知識が不十分なものでございますから、地元の方の意見などを十分聴取いたしまして処理をするわけでございますが、確かに先生御指摘のように、われわれ事務当局といたしましても現在のように非常に数が多くなってまいりますと、この処理に苦慮しているわけでございます。  この点につきまして、内々、われわれの方といたしましてもこの点の解決を考えているわけでございますが、現在の時点では、これが適切であるという方策がまだ考えられていないというのが現状でございます。ことにここ数年と申しますか、二、三年来、この競願と申しますか、非常にたくさんの申請が出てくるという現状になりましたので、この点の原因などがどこにあるのか、結局やはりわれわれの処理方法の問題も含めまして、現在、検討中でございます。
  87. 森中守義

    森中守義君 これから三局化あるいは四局化という方向がいずれ大きな問題になるでしょう。そうなると、現実的にこういう問題にぶつかることになるんですよ。  現実に、静岡テレビジョンの場合、どうなります。しかもこの中で総理それから郵政大臣、内閣官房長官及び副長官に対して・申請者のある代表が公開質問状みたいのを出しているのです。その中でこう言っているのですね。「一本化調停の行政指導は違法であるとともに、郵政相が県知事に一本化した法的根拠および妥当性を明らかにせよ」、こう言っている。どう答えるんですか、答えられますか。非常に問題がある。  これはなるほど申請条項あるいは審査条項ですね、こういうのを見ても、郵政大臣がいかなる根拠によって知事等に調停を委任していいという条項があるのか見当たりませんよ。見当たらないけれども、チャンネル交付の複数申請に対する恒常的な手段としてこういう措置がとられている。これに対してどういうように判断するんですか。これは小林武治という昔の郵政大臣のときに、非常に複数申請が複雑な状況を醸したものだから、こういう措置をとったのが始まりだと私は聞いている。確かにこの異議を申し立てた申請者が言われるように、何をもって法的根拠ありと答えるのか、答弁ができますか、非常に大きな問題ですね。これがこれから先三局化、四局化に入っていく場合、必ず大きな社会問題になる。  だから認可権者、免許権者である法律上の郵政大臣がぴしっとこれをやっていくには、申請、審査というもの、それと聴聞という、こういうものが重なり合って権威ある免許でないと、いままでとられてきたものは全部これは政治免許ですよ、そういうところに疑惑があるんです。だから、具体的に知事に一本化の調停を委任する、依頼するという法的根拠は、一体、何なのかということをちょっと教えてもらいたいと思います。
  88. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 法律の中には、知事に調停を依頼するということは何もございません。  われわれといたしまして、このような数で競願が出てきた場合に、どのように事務的に処理をするかということで苦心しているわけでございますが、この点につきまして、われわれとしましては地元の意向をくみ上げようというのが大きなねらいでございます。したがいまして地元の状況ということにつきましては、中立的立場である県知事というのが一番その地元の状況をよく知っているということで、われわれは知事にそのようなことをお願いするわけでございますが、ただいま申しましたように、これは別に法律的根拠はございません。したがいまして知事といたしましては、その土地状況等を判断して、そして結局はテレビの局ができるということは地元民に対する恩恵を早く施すということでございますので、そのために知事は一本化の調停をやるわけでございます。   〔委員長退席、理事最上進君着席〕  静岡の例をとりましても、結局、最後には三つの申請者が残りました。この三つの申請につきまして、郵政省といたしましては、競願審査をいたしまして、そして今回の放送会社に予備免許をおろす、こういうことになったわけでございます。したがいまして知事に対して、われわれは、地元にどの会社が一番密着しているか、あるいは密着するように、それぞれ地元の各申請者について知事が早くテレビの免許がおりるようにひとつ働きかけてほしい、こういうような意味でございます。
  89. 森中守義

    森中守義君 電波局長ね、そのいまおっしゃるように、何の法的根拠もないんだね。しかし、チャンネル一本というのは、これはもう非常に重要な免許ですよ。それを法的根拠も持たないで調停を委任するということは、見ようによると郵政省ずるいと思うんだ、私は。むずかしいからだれかに任せる、任せて調停してもらって一本化して認可をすると、こういうような、これはやっぱり改めた方がいいんじゃないですか。  もちろん、それは公人としての知事をその対象にされることは当然でしょうが、一体、公人である知事が名実ともに公人としての措置をしているかどうか。いま局長の言われた側面もあるでしょう、地元のことだから。ね、だから事情のわかった人は県を代表する知事さんである。しかし知事も知事次第じゃないでしょうか。特定政党に所属する知事もおるでしょう、あるいは特定政党に所属はしなくても傾いている人もいるでしょうね。競願者はいろいろある。さてどちらに薄く、どちらに濃いかということは言わなくても大体見当つくわけですね。そういう場合でも県議会に諮るとか、あるいは知事が調停を依頼されて県の中で公的な機関をつくるとか、そういう措置をした例はないんですね、ほとんどこれはない。そうなると公人である知事なのか私人である知事なのか、かなりその辺には実態として私はむずかしいですよ、非常に疑いがある。これはもう私は言わなくてもおわかりだと思う。  ただ、郵政大臣電波監理局長がもうこんな複数なものが出たんじゃこれはもうとてもじゃないやり切れない、だから知事に任してそこで一本にしぼってもらおうというこのやり方は便法であり、ある意味では非常にずるい。そこで、私は、大臣あるいは電波監理局長がその所管として電波監理審議会というものをお持ちなのだが、この機能をどう一体この中で生かしていくのか。今日の電波審議会というものがそういう機能を果たすに私は十分足り得る法律上の権限を持っていると思いますよ。もし、そこに調停あるいは審査等に満足できないとするならば、別途に法律上のそういう調停機関あるいは審査機関をこさえる方がすっきりすると思いますね。少なくともテレビの免許を法的根拠もないのに知事に委任して、そこで一本化してもらうというやり方は非常に問題がある。  ことに今回のロッキード事件などで、これから先の一つの方向としては許認可制度をより厳密に厳格に公平にという、こういう一つの問題がいま出ているわけですね。行政管理庁あたりでも二回にわたる許認可整備法というのをやりましたがね、これでも十分じゃない。残された免許、認可、許可というものはもう少し権威あるものにした方がいいとこう思うんです。それなるがゆえに電波法上申請、審査、これが緩い。電波監理審議会の機能が十二分に機能していない。聴聞制度が必ずしも完璧でない。こういう法律上の問題があるのではないか。  だから、私は、何も調停を依頼して地元の意思を知事によらなければわからぬということじゃないでしょうね。ちゃんと審議会の委員がだれそれを呼ぶなりあるいは聴聞にかける際に十分そういったものは消化できるんじゃないですか。そういうことを考えますので、この際は、三局化あるいは四局化の方向に向けて、当然、こういう受けざらというものをより完璧にしておかないと、とかく世間の疑惑を生むようなことがあってはならないし、しかし、このまま放置するとあり得るように思うんですよ。もう一回、電波監理局長、いまにわかに法律改正——私はやるべしという主張なんだけれども、考え方としていままでやっていたような知事に調停を依頼するという方式を踏襲していくのかどうか、これにかわるべき何かの方法をおとりになるのか、その辺のぎりぎりの見解を承っておきましょう。
  90. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 郵政省といたしまして、知事に一本化調停を依頼ということはやっておりますし、また、その地元におきまして知事が何らかの機関をつくってという実例は現在ございません、しかし、われわれとしましては、知事に、その調停につきましては中立性の確保という点については、お願いするときに強く要望しているわけでございます。したがいまして現在まで、われわれがやっていただいた知事の調停はおおむねわれわれの考えていた線を満足をしているというふうには思っておりますが、しかしながら、先ほど申しましたように、最近の申請は非常に数が多くなっているわけでございます。   〔理事最上進君退席、委員長着席〕 その数が多くなるために、この競願審査というものが非常に複雑になってきているということも事実でございます。  ただいま御指摘のように、電波監理審議会を使ってそういうような方法もとれないかという点につきましては、われわれといたしましても、さらに検討する余地があるとは思いますが、われわれとしましても、そのほかいろいろこのやり方についていろんな方から示唆がございます。その点なども考えまして、われわれ今後この問題に取り組んでいきたいと思いますが、ただ、現在のこの申請の状況のままで監理審議会に直ちにかけるということは非常にかえって電波監理審議会を混乱させるということでございますので、もう少し事務的にも監理審議会が審議しやすいようなかっこうのものも考えていかなければいけないかと思います。現在までのところは、先ほど申しましたようなやり方で、一応、新局の免許については円滑に実施されてきておりますが、この点につきましても必ずしもまだ完全に十分というわけではございませんので、今後とも、その点についてわれわれの方の内部でも検討しながら進めていきたい、かように考えております。
  91. 森中守義

    森中守義君 局長、要するに法的な根拠をはっきりさせりゃいいんですよ、知事に調停を委任することを。根拠のないことを知事に委任する。しかも知事の今日の存在というものはさっき申し上げたように特定政党に所属する知事もある、所属はしなくても寄り過ぎている者もある、これはもう態様いろいろですね。  同時に、また、申請者の場合には、放送とは一体何なのか、それはもうだれだって口を開けば公共性というのを主張するでしょう。しかしチャンネルというのはぎりぎりのところ、この申請者からするといわば一種の権益であり企業ですから、それだけに非常にしつこいですよ、非常にむずかしい。同時に、さっき申し上げたように、適法に申請を出す場合には、それぞれ適正に申請し得る実は団体でありグループになるでしょう。この申請審査、ということはおおむねやっぱり並んだものと見るべきでしょうね。非常にむずかしい、実際問題として。  だから、電波法創設以来、今日までかなりそういう放送界、電波界の事情というものは大きな変化を遂げたわけです。もう少し合理性を探求するようなやり方を、いま私は具体的なものとしては監理審議会を活用しなさいとか、聴聞制度を活用しなさいと、こういうような現行の制度上の問題を述べたにすぎませんけれども、もっと何か新しい体制に対応できるような方策というものがこの際は真剣に検討される、それが実行に移されるということにならなきゃうそじゃないですか。  私は、どうしても法的根拠を持たない知事に便宜上、便法上調停を委任するということは釈然としませんね。もし、これが行政訴訟等に持ち込まれたらどうします。行政訴訟に持ち込まれた例はまだないようですね。恐らく高裁あるいは最高裁にその判決を求めるような場合には、法的根拠のない地方知事への正確に職権の委任とまではいかないでしょうけれども、これはやっぱりどういう判決が出るか見えるような気がしますよ。要するに、いろんな角度からだれしもが納得のできるようなそういう免許の体制に至るような新しい検討を加える時期に来ている。そうしなければ、いずれこれは大問題になりますよ。そういうことを懸念するがゆえに、かようなことを重ねて問うているわけですが、もう少し真剣に検討しませんか。知事への委任、調停依頼というのは非常に問題がある。
  92. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 先ほど先生から、まあ郵政省はずるいというようなお話ございましたが、確かに、われわれといたしまして、かような数になりますとなかなか審査というものが困難になってまいります。ことに、その審査の書類だけを見ましてその差をつける、競願処理をするということは非常にむずかしいといいますか、ほとんど書類を見ますと差がないというような状況になっております。したがいまして知事等、地元の方にお願いいたしましてこの調停をしていただくわけでございますが、その調停の仕方につきましてもただいま御指摘いただきましたように非常に問題点もございます。  したがいまして、われわれといたしましては、先ほどからの先生の御指摘ども含めましてさらに検討を進めたいと思っておりますが、先ほど指摘ございました、直ちにこの監理審議会をすぐ利用してということはこれはなかなかむずかしい問題だと思います。ことに監理審議会といいますのは大臣の諮問に答えるという仕事を持っておりますので、やはり諮問をする側の態度を先に決めるべきだろうと、かように考えております。現在の法律ではそういうことになっておりますので、さらにこのような混乱が起きないようにわれわれ十分今後検討を進めていきたい、かように考えております。
  93. 川村清一

    川村清一君 きわめて重要な問題だと思いますので関連してお尋ねしたいと思いますが、非常に似たような問題が漁業にあると思います。  漁業法の中に、定置漁業の免許の問題でございますが、いまと同じように定置漁業権を五年ごとに免許を更新することに漁業法では規定されているわけです。相当競願があるわけですが、その際に、どういうような方法によって審査されているか、これ電波監理局長、御承知かどうか。いまの問題と非常に似通った問題だと思いますので、電波行政を民主化する上において漁業法に規定されているこの問題は参考にしてきわめていいことではないかと思いますので、ちょっとお尋ねします。御承知ですか。
  94. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) まことに申しわけございませんが、漁業法の方はまだ研究いたしておりません。
  95. 川村清一

    川村清一君 参考になればと思ってちょっと申し上げますが、いわゆるサケ・マスのような定置網によって漁業を営む定置漁業につきましては、これは免許というものがありまして五年ごとに更新されるわけです。これは法律によって海区漁業調整委員会——これは漁民の構成員あるいはまた知事が任命するそういう人たちによって構成されておりまして、この海区漁業調整委員会において十分審議して、それを知事に答申して、知事が免許をされるというようなかっこうになりますが、もしもその漁業者においてその行政措置に対して不満な者は改めて農林大臣にさらに訴願する道も開けておりまして、こういうようなことでいわゆる免許事務というものが民主的に行政が行われますように漁業法ではきちっと規定されておるわけです。  したがって、いまのいわゆる電波法に基づいて民放の再免許をする場合に、私は、森中委員のおっしゃっていることはまことに当然だと思います。そうでなければ民主的な電波行政というものは行われないと思いますので、こういう点は十分ひとつ参考にしてやっていただくことがきわめて至当ではないか、こう思いますので、ひとつ漁業法を研究されまして、森中委員のおっしゃっているような意見が十分組み入れられるようなそういう行政をしていただきたいと私は要望して、関連の質問を終わりたいと思います。ぜひひとつ参考にしてください。
  96. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) その漁業法につきましては、早速、勉強さしていただきたいと思います。
  97. 森中守義

    森中守義君 これは、局長、もう少し内容的に検討を加える必要があるのは何といっても新聞関係ですよ、これを無視してできない。新聞とチャンネルをどういったように一体理解していくのか、これは非常に重要な政策決定だと思うんです。ですから、報道関係と民間放送というこのかかわり合いというものをある程度この機会にすっきりさした方がいいんじゃないですか。  さっき私が申し上げた役員の制限条項などもある意味ではそういうものをチェックしようということでしょうけれども、これだけではどうしてもやっぱり抜け切れないんですよね。むしろ電波監理局の申請、審査、ここにおいて問題なのはこれだと思う。ですから、新聞とチャンネルというこれの一つの定見をこの際明らかにした方がいいんじゃないですか。そういうものがなくて、やや公共放送というものを前面に押し出して、これにどういうものが必要かという、そういう根本的な基準を決めているその背景の最大のものがはっきりしていないんですよね。それを役員の制限条項などでチェックしようとしましても、これはなかなか簡単に解決する問題じゃないと思う。幸いなことに新聞協会もありますし、そういうところとある程度議論をしながら、どういうような措置をとっていくのか、場合によっては新聞の方にも自粛を申し出るとか遠慮してもらうとか、一定の条件などを付与してもいいような気がしますよ。  もう既存の放送局の中に各社ともそれぞれ権益を確保しているわけですから、その権益の確保がどの分野にどの程度のシェアにとどまるべきなのか、しかし言論、報道と言えば新聞、テレビと、こう言われるわけだから、これは無視できない。この辺がやはり免許基準の中で具体的に詰めの段階に来ているんじゃないか、これに答えを出さなければ、幾ら私が議論を進めていっても簡単に片がつくとは思えない。全部否定するわけにはいかないでしょうね、そういうことなども大きな問題だと思うんですがね。この際検討を加えるというお答えですから理解してもらったと思っておりますが、この新聞関係についてはより慎重に配慮しながら、言論、報道、すでに新聞の果たしてきた貢献の度合い、持っている要素、それがチャンネルとどういうように乗り合うのか、乗せ合いをしていくべきかというようなことなどが急速に与えられる答えであるべきだと、こう思うんですが、どうですか。
  98. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) いま御指摘いただきました点、われわれとしても非常に重要な問題だと考えております。一応、新聞と放送との問題につきましては、免許基準等におきましてある一線を画してその問題について検討することにしておりますが、やはり一般的にその仕事が似通っているという点からどうしても不明確になってくる点があるわけでございます。この点につきましては、われわれといたしましても、十分、今後、新しい免許につきましても、あるいは今後の再免許等も含めまして、検討を進めていきたいと思いますし、ただいま御示唆ございましたので、その点についても十分検討を進めていきたいと、かように考えております。
  99. 森中守義

    森中守義君 それから、いま静岡、長野、新潟、この三地区あたりが多局化の方向に向かうであろうというようなことがしきりに言われる。そのほかに同じ水準にある県の中でも幾つか挙げられておりますが、要するにUを中心にして三局あるいは四局という方向にこれから持っていくお考えですか、それとも今回の再免を一つの区切りとして三局、四局というのは考えないということなのか、その辺はどうですか。
  100. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) これは先般の昭和四十八年の再免許のときに、現在の静岡、長野、新潟、そういうようなところを準基幹地区という形で構想を出したわけでございますが、今回、静岡は第三局の予備免許をおろしまして、残りは長野それから新潟というところがまだ現在地元で調停中でございます。  われわれといたしましては、やはりその地元の民力度と申しますか、いろいろ経済的な事情あるいは県の力、そういうようなものを参考にしながらテレビ局の配置というものを考えていかなければいけないと思います。また同様に電波の物理的な問題もございます。したがいまして、現時点におきましては、現在の計画で一応再免許を終わりまして、さらに次の段階状況の進展によって考えなければいけないと、かように考えております。
  101. 森中守義

    森中守義君 ちょうど持ち時間が少し過ぎてしまって恐縮ですが、あと二、三問お願いいたします。  それで、郵政大臣、非常にこの問題重要なんですよ。早くから知事への調停委任というものが法的根拠があるのか、ないのか私は非常に議論がある、現実的に問題がある。したがって、いま電波局長と私との間の問答でもおわかりのように、きわめて濃密な政治性が動かないように、電波法及び関連の規定もしくは規則等によって権威ある大臣の権限の発動ができるような、こういう措置をとるべきだと思うのです。そういう趣旨を十分理解していただいて、いま局長から答弁が幾つかありまして、前向きに検討する内容も出てきましたから、大臣としては、そういうことで事に当たるという、こういうお考えをこの際明らかにしてほしいし、それと四局化あるいは三局化という将来の方向につきましても、とかく波が立たないように、規律ある、統一ある、権威ある方法をおとりいただきたいと思いますが、いかがなものですか。
  102. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 免許の問題は、御指摘のとおり、きわめて重大な権益の伴う問題でございまして、したがって、いまのところ、地元の調整を法的根拠のない知事に依頼しているのが実情でございます。  確かに一つのやむを得ざる、客観性を保持するには適当ではないか、地元の事情もよく知っておりますし、一応の便法としていまのところやっておりますが、私は、あくまでもこれは客観性のある、一点の疑いも持たせないように、客観的に見ても公正なそして適切な措置だということを考えますので、たとえば例を挙げられました電波監理審議会の議に付するといったことも私は一つ方法じゃないか。いろいろ手続上その他むずかしいことが事務的にあるようでございますが、一段と前向きにこれは工夫いたしまして、少しでもガラス張りに、そしてまた万人が納得できる、また公平を貫く結果をもたらすような方向で、今後、検討さしていただきたいと思います。
  103. 森中守義

    森中守義君 郵務局長、諮問百三十七号というのが六月二十一日に審議会に出されておりますね。これは郵便法を改正されて、なお経過した時間も少ないので、こういうのが出された理由、背景はどういうことですか。
  104. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいま社会経済環境と申しますか、郵便事業をめぐります環境がきわめて変化をいたしております。このような状況のもとにおきまして、今後の郵便事業はどのようにあるべきかという基本的な問題について改めて問い直す時期に来ておるのではないかという判断に立ちまして、去る六月二十一日に「社会経済の動向に対応する郵便事業のあり方について」ということで諮問をいたした次第でございます。  で、この郵政審議会の中に、この問題につきまして特別委員会がつくられまして、この問題に現在取り組まれておるわけでございます。大体、いままで審議会の中で過去いろいろと議論はされてきておりますけれども、このような事情の変化に対応した郵便の需要というのがどのように変化するであろうか、あるいはこういった需要の変化に対応して郵便事業はいかに対応すべきか、あるいはどのような対応が可能であるかというようなことについて基本的に検討していただく、こういう場を設けるために郵政大臣から諮問をいたした次第でございます。これは約一年間の期間において、そういった基本的な郵便のサービスのあり方の問題等につきまして議論がなされるという予定になっております。
  105. 森中守義

    森中守義君 この中で特別委員会をつくって、中間報告をその特別委員会がまとめるという、こういう特別委員会の取り決めもありますね。これは答申が全体的におくれる場合には中間報告でかえる。もっと具体的に言うならば、五十二年度予算化あるいは政策ベースに移しかえるというのは非常にむずかしい。それじゃ五十三年をねらっているというふうに解していいんですか。五十二年をねらっているのか、あるいは五十三年をねらっているのか、これはどっちを意味しておりますか、中間報告というものは。
  106. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいまの五十二年度をねらうか五十三年度をねらうかということよりも、むしろ、先ほど申し上げましたように、基本的に今後郵便事業はどのようなあり方が正しいのかという問題について基本的に掘り下げていただくということを目的といたしておりますために、時期的に短期間にねらいをつけると申しますよりも、今後の基本的なあり方というものに重点を置いておるつもりでございますが、先ほどの中間報告という御議論ございましたけれども、これは特別委員会において中間報告をすることはあるという規定でございまして、今回の場合は約一年を予定しておりますために、特に中間報告を求めるような機会はあるいはなかろうかと思っております。で恐らく一年間の審議期間ということが予定されておりますので、その結論は五十二年の夏ごろに出されるものと私ども期待いたしております。
  107. 森中守義

    森中守義君 それで時期的に見れば六月ですから、これから一年間といえばちょうど来年の夏ごろ、そうなれば出された答えがどういうものであるかは別として、想定をされるものからいけば恐らく立法化もしくは改正あるいは予算措置、そういったようなものに連動しますね。ただ目安、方向を求めるだけのものではとどまらないでしょうね、恐らく諮問、答申というのはそういうように動く政策というものをねらうものでなければならぬというような認識を私は持ちますから。  そうなると五十二年でなくて、五十三年以降、予算なり法律改正なり、そういうものに移しかえる可能性がある。もちろん中間、これは必要でないかもわからぬというようなことに解釈していいんですか。
  108. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) これは答申の内容がどのようになるかによっていろいろ変わってくるかと思います。ただいまの御質問は大変むずかしい問題かと思いますが、内容によっては、あるいは五十二年の施策の中で直ちに実現し得るものもあろうかと思います。しかしながら問題が基本的に非常に大きい場合は、これは若干の時日をかけて省としても十分検討をして、将来に誤りなきを期する、そういった方向でなお検討に時間を要するものも出てまいろうかと思います。  ただ、いまの段階では、私ども、まだいま郵便事業の実態を審議会に説明している段階でございまして、まだその中で基本的な討議という段階にまで至っておりませんので、その内容を十分伺った上で五十二年度にできる施策であれば五十二年度に反映する、あるいはそれ以後の長期政策の中でそれに反映すべきものはこれにまた反映していくというような態度で臨まなければならないかと思いますので、ただいま五十二年度、五十三年度というふうな御質問ではございましたけれども、これは問題の性質によってあるいはそういった異なった態様が出てこようかと考えております。
  109. 森中守義

    森中守義君 この中で言われている将来の経済予測、在来の量的拡大からこれからは質的な充実の方向に転換するであろう、それに伴って需要がどう変化するかということを問いたい、こう言われるのだけれども、郵政でも一つの見解をお持ちなんでしょう、こうあるべきだという。全くかいもく見当がつかないから審議会で何もかにも検討してください、教えてください、示してくださいということなのか、あるいは何か郵政は郵政として独自のものをお持ちなのか、どちらですか。もしお持ちになっておれば、この際、ひとつ御披露いただきたい。  量的拡大から質的充実というこの経済予測については、私も、一つの見解を持っておる。必ずしもそういくかどうか、ことに経済企画庁は現実の政策日程としては非常に低率なものを出していますけれども、一番必要な基本計画というものは依然として九・四%ですよ、修正加えられていない。そこに量的拡大か質的充実かというのは、まだ正確に政府一体のものとして経済の指向性というものははっきりしていませんよ、非常に疑問がある、そういうように私は思うんですがね。一体、郵便事業の将来というのはどういうように見ているのか、郵政は郵政なりに一つの見解をお持ちだと思うので、この際、大綱的でも結構ですから、お示し願っておきたい。
  110. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 確かに御指摘のように、今後の経済情勢がどのように展開するかということについては、先生御指摘のように私問題があろうかと思います。ただ、そういう情勢を長期的に見た場合には、私どもも今後の郵便事業というのは過去における高度の収入の伸びというのは余り大きく期待できないのではないかというような考えでおります。したがいまして、この郵便事業の伸びというものを過去よりも若干低い形で毎年見ていかなければならないような情勢に来ておるのではないか、こういう前提に立っておるわけでございます。  そこで、そういった単なる過去の郵便の伸びをそのまま将来に向かって伸ばして考えていくということではなくて、新しい目でもう一回経済環境を見直すという必要があろうかという意味で申し上げたわけでございますし、この諮問の中でそれを受けて委員会でいろいろ討議されるわけでございますが、その郵便事業の置かれている前提につきましても、やはり諸委員のお考えというようなものについても十分伺ってまいりたいと思っておりますが、一応、私どもとしては、そのような安定的な伸びというものは今後も期待できるのではないかという考えでおるわけでございます。  そうなりますと、たとえば年平均いたしまして三%の伸びぐらいが期待されるとすれば、そういった前提の中で一体郵便のサービスはどのようにあるべきかということでありますけれども、これは私ども自身といたしましても、たとえば郵便の配達度数を現在二度やっておりますけれども、これを一度化するというような問題、あるいは窓口の開設時間というのは果たしてそういうものに対応してどのようにあるべきか、あるいは局舎の改善の問題だとか、それぞれいろいろ問題があろうかと思います。そういった問題を省内といたしましてはそれぞれ研究はいたしておりますけれども事柄がきわめて大きな問題でもあります。また、先ほど先生御指摘のように、社会経済の変化というものに対する見方というものも非常にこれも大きな問題かと思います。そういった問題を含めまして基本的にどうあるべきかということになりますと、やはり部外の衆知を集めてこの際いろいろ忌憚のない御意見も伺う、そして私どもが事務的にいろいろ検討いたしておりますけれども、そういったものをどのように判断され、また、どのように郵便の将来を考えるかということに対する重要な資料としていただきたい、こういうような私ども心づもりでおるわけでございます。
  111. 森中守義

    森中守義君 私は最初申し上げたように、郵便法が改正されて約半年たってこういうものが出た、多少奇異な感じを持つんです。しかも来年の六月までぐらいに答えを得たい、こう言われる。しかし、いま郵務局長のお話を聞いていて、大分私の考えも変わりました。  そこで、これは折々審議会に諮問をされてきたわけですね、いままで郵便事業の問題で。しかし、この機会にやっぱり非常に大事な時期ですから、余り先急ぎをしないでもう少し厚みのある、幅のある、具体的に言うならば現在の郵政の機構あるいは制度、そして経済の事情によって事業が左右されることがないように、そういうものを実行するにはおのずから提供するサービスにもよるでしょう、どういうサービスをすべきであるか、そういう内容の開発等も非常に重要な問題になってくる。そういうことで、この内容を徹頭徹尾充実したものとして、むしろ相当長期にわたって、出される答えというものが動かすものでないような、そういうものを私は期待をしておきたいと思うのです。  それから、例の来年予定をされる設置法の改正ね、この中に情報通信振興局か、こういう新しいものが表に出ているようですが、これもいまの諮問第百三十七号、これは郵便を指しているわけでしょうが、あと通信全体の動き方がこの振興局によってどういうとらえ方をしようとするのか、何を目的として。確かに今日の通信需要というものは異常な拡大と変化を遂げておりますから、その可否は別なものとしても、どういうものをどうやって見ていこうとするのか、その辺の大綱的な見解でいいです、時間も余りありませんから、ちょっとお答えを願っておきたい。
  112. 松井清武

    政府委員(松井清武君) 情報通信振興局の新設の点につきましては、目下、関係各省と連絡中でございます。  先生も御案内のとおり、この電気通信監理官室、昭和二十七年に発足いたしまして今日まですでに二十年余を経過しているわけでございます。その間におきまして電気通信の分野における発展は、御存じのとおり、まことに目覚ましいものがあるわけでございまして、そういった現代の諸情勢に対応いたしまして適切な電気通信行政を展開するために機構の整備を図ろうとするものでございます。  現代における通信行政の中で、情報通信振興局がいかなる役割りを果たすか、新しいどういう展望を持っておるかというような御指摘もございましたが、ただいまのところ、機構等につきましては現在の電気通信監理官室をそのまま継承する、そういった中で内容の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  113. 森中守義

    森中守義君 これはいずれこれからの問題ですし、ひとついまお示しのような構想が当を得ておるかどうか、これからの議論にいたしておきましょう。  きょうは、以上でお尋ねを終わります。
  114. 森勝治

    委員長森勝治君) 午前の調査は、この程度にとどめます。  休憩は約一時間ということで、午後再開目標を一時半ということにいたします。暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会
  115. 森勝治

    委員長森勝治君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  116. 案納勝

    案納勝君 私は、ただいまから一般質問ということで、大臣も新しく就任をされました。さらにはNHKも新しい会長就任をされました。そして大臣及び新会長等の抱負なり決意なり、あるいは御見解を承っております。  まず、大臣に伺いますが、去る七日のこの当委員会大臣からごあいさつをいただきました。しかし、その前に、さらに九月の十六日に大臣就任の記者会見で四、五点にわたって大臣は抱負を述べられています。私がここでお聞きしたいのは、この抱負の中に、郵政事業電波放送等について新しい方向を見つけて新機軸を出したい、こういうように言っておられます。  いま、郵政事業電波放送の抱えているそれぞれの事業やあるいは運営についてきわめて大きな課題があることは私ども十分承知をしています。しかし、そこで言われる大臣の思い切った新機軸というのは何を指しておられるのか。いま問題になっている幾つかの問題について、たとえば郵政審議会の構成や運営等も含めて、あるいはNHKの経営委員会等を含めて、あるいは電通関係の問題も含めまして、こういった面も含めて新機軸というものを打ち出されているのか、その新機軸は何なのか、ひとつこの辺御見解をお聞かせいただきたい。
  117. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 就任直後の記者会見でございまして、具体的ないわゆる新機軸の内容については別に述べたことはありませんが、私の立場から申しますと、郵政事業というものは国民生活に密着した仕事である、したがって、いわゆるお役所仕事では本当の機能は発揮できないという考えを持っておりますので、従来の慣習にとらわれないで新しい考え方あるいは新しい方法について検討しまして実行に移したいということを申し上げた次第でございます。もちろん、その中には、いままでの郵政審議会のあり方とか機能等についても、私の立場からいろいろと再検討を加えている段階でございまして、具体的に今後煮詰めまして実行したいと考えております。
  118. 案納勝

    案納勝君 大臣ね、大臣はいままでも各種長官等を歴任されてこられた。さきの村上前郵政大臣は、よく大臣とは半期一期の期間しかないんだと、しかし、その間精いっぱいやると、こういうことを盛んに言われました。半期一期の大臣だという言い方、決して私はこのことを批判しているのじゃありません、その間に、やっぱり大臣としての役割りを十二分に果たしていこうと決意を述べられているものだと思います。  そこで、いま聞きますと、従来の慣習にとらわれないで新しいもの、まだないんだと、中身は。こういうお話だった。だとすると、大臣、国会の状況はすでに御存じのとおりであります。大臣として、この新機軸なるものを、じゃいつごろまでに、あるいはどのように考えてこの委員会に、あるいは省自身の方針を出そうと考えているのか、もう少し承りたい。いまはない、しかし大臣の抱負として検討したい。そうすれば、そういったものが、いま先ほど同僚議員が質問した中に、郵便事業自体について、基本問題について検討郵政省はしている、そういうものの検討が行われている中で、これはもっと早く具体的なものを出さなくちゃならぬ時期に来ている。私は郵便だけでなくて貯金も保険もあるんであります。大臣はそれらを踏まえてのお話だと思いますが、もう一歩突っ込んで大臣としてはそういった新構想なるものをいつごろ出そうとするのか、お伺いしたいと思います。
  119. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) いませっかく勉強中でございまして、衆議院で終えましたが、いま参議院で重要法案ということで御審議を煩わしておりますが、その中におきましても非常に貴重な御意見も具体的に御提案もしばしばございました。私にとりましても貴重な参考意見、資料として、具体的になるべく早くひとつ対策なり新しい施策というものを決定いたしたいと考えております。
  120. 案納勝

    案納勝君 それじゃ大臣のできるだけしかも速やかに従来の慣習にとらわれない新しい方針に期待をいたしておきます。具体的なことは後日改めて事務当局等に聞きますが、きょうは、その点についてはその程度にしておきます。  そこで、もう一点あります。七日の所信表明の中で、郵政事業は三十五万の職員を抱える幅広い行政機関である、国民の事業にするために真剣に取り組む必要がある、労使の正常化を図る、こういうふうに言われました。労使の正常化、信頼関係の回復、事業が本当に真の国民の事業として国民の福祉を増進をし、国民に欠かせない通信手段としての郵便事業の健全な発展を期する基本であることは言うまでもありません。  そこで、私は大臣にお聞きをするのですが、少しひねた聞き方かもしれませんが、お許しをいただきたい。労使の正常化とよく言われる、だれでも言われる。しかし、大臣の言われる労使の正常化とは何を指しておられるのか、どういう立場から物を見られて正常化と言われるのか。この辺は大変ひねた質問になるかもしれませんが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、御見解を伺いたい。
  121. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 郵政事業は人力にきわめて多く依存していることは御案内のとおりでございます。したがって、いわゆる組合の協力なくしては円満な郵政事業の遂行はとうていできません。こんな意味合いで、私も、就任早々、いわゆるストライキ回避の問題について組合の代表の諸君ともしばしば折衝いたしました。その間にも私の信念として申し上げたことは、組合とかあるいは政府側の管理職とか、めいめい、職場職場、持ち場持ち場で任務は違いますけれども、あくまでこれはパートナーシップとしてお互いに助け合い、そして職場において自分の本来の任務を絶えずお互いに提携しながら、円満な安定と申しますか、協調によってやることが一番大事だということを申し上げたわけでございます。いまでもその信念に変わりはありません。  したがって人的要素にきわめて依存度の高いこの事業は、あくまで組合の考え方、主張というものを絶えずわれわれがここでくみ取る、同時にまた、われわれの考え方なり施策に対しても絶えず組合側の理解を求めるという態度が必要ではないかと考えておる次第でございます。
  122. 案納勝

    案納勝君 私は、新大臣でありますから、具体的な個々のことをここで取り上げて細かく大臣の見解を求めようという気はきょうはありません。ただ、いま大臣が言われましたように、郵政事業の真の発展というのは、職員が打って一丸となって使命感を持って職場で信頼とそしてお互いのきずなを築き上げていくことだと思います。  私の義父を初め、きょうだいも郵政従業員の一人であります。そこで私は大臣にこれだけは申し上げておきたい。今日まで郵政の労使関係というのは多くの問題を提起をされてきています。あるいは本になっても「郵政残酷物語」などと言われているくらいであります。三十六年から約十五年間今日になお続いていますが、郵政事業の中においての不当労働行為、あるいはこれの疑わしき行為あるいは人事権による不公正、差別の問題あるいは訓練による良識あるいは不良職員の識別の問題、あるいは処分の乱発やそれに伴う不公正、職場での断絶とそして不信感、具体的に個々に挙げろと言われれば幾つも挙げられる問題が今日まで数多くありました。これらの問題について郵政当局と私は生臭い問題を委員会で二年間やったことがあります。しかし、それはやらないからないというんじゃない。ある程度は、のみ込むものはのみ込んできました。しかし、依然として、なおかつこれらの問題が本当にある意味では解消したという事態にはないことを私自身もよく知っている。  いま職場に行きますと、働く人たちに郵政職員としての使命感があるかと聞いてみても、三十六年ぐらいまでのときにはお互い使命感を持っているということを認識することができました。最近は、不信感だけであります、断絶だけであります。私は、これは四十五年、郵政の皆さんと一定の約束をし合いながら、前向きでこれらの問題の解決に取り組もうと約束をしました。この中でも、当時の井出郵政大臣は、なおかつ親の心子知らずということで、厳しく当局の姿勢を批判をされたこともありました。それらの四十五年以来の一二・一四確認というものの定着も今日少しずつは進んでいるやに私も認識をします。しかし、本質的解決は一つも進んでいないと言わざるを得ないのであります。  そこで、私は、大臣のいまの御答弁に対して、真のお互いの信頼関係というのは、お互いに約束し合ったことを守り合っていくことだ。それから実際に管理する者と使われる者の立場がある限り、働く者の心情というものを理解をしてくみ上げていく労務管理といいますか、姿勢というものがなければ、私は信頼関係は生まれないと思う。常に、労使の正常化といままで言われてきました。その正常化については、当局の一方的理念だけの押しつけの正常化では正常化しない。このことだけを、私は、明確にこの際新大臣であられる——今後も大臣として続けられるでありましょう、そういう大臣に対して、きょうは、ここでいまの御答弁を受けて、私の方から私の経験として実態として申し上げておいて、個々の具体的なことについてはきょうは省きますから、肝に銘じていただきたい、こういうふうに思います。
  123. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) お互い使命感に徹することは、私ども郵政事業を完全に行う最大の前提であることは御承知のとおりであります。時間が許すならば、一日も早く、私は一度現場も視察しまして、環境改善ぐらいの細かい点までも身近にひとつ勉強さしていただきたいと考えておるわけでございます。
  124. 案納勝

    案納勝君 大臣に対する質問を、本日は、これで終わりますが、続いてNHKの問題について、きょう大変お忙しい中を御足労いただきました工藤経営委員長にまずお尋ねをいたしたいと思います。きょうはありがとうございました。  八月二十四日に端を発しまして、NHK会長任期の途中で交代をするという異例の出来事がありました。これは国民の側から多くの批判が生まれ、あるいは抗議が起こり、世論の高まる中でNHKの内部からもこれらの問題についての多くの批判が生まれ、三十一日に小野会長が辞表を提出をする。その辞表の中にも、今回の私のとった行動は、それによって生じた事態は内外の現状にかんがみて会長の職責を行うことが困難であるということが書かれていたやに報ぜられています。以来、経営委員会としては九月の二十一日まで御審議を重ねられたようであります。私は、このような事態を招いたというのはNHK始まって以来のことだと思います。しかも、その国民の批判と世論によって会長が交代をせざるを得なかったというのも私は初めてのことだと思います。私は、これはわが国の民主主義の一定の定着ということについて評価をするのであります。これは単に小野さんが田中前総理の自宅を訪ねたからということだけによって起こったのでなくして、今日までのNHKのあり方あるいは公的権力の介入の問題あるいはNHKの機能というところまで深く立ち入った問題がこの背景となって今日の事態を招いたと私は思う。  私は、五月の委員会の席上、予算の承認を審議をしたときに、長時間にわたってNHKのあり方についてお聞きをいたしました。まことに失礼な質問になりますが、今回の事態をどのような認識を持って受けとめれたか、新会長の起用に当たられたのか、この辺について委員長の御見解をお聞きしたい。
  125. 工藤信一良

    参考人工藤信一良君) 小野会長がああいった事故を起こしまして、これは私どもにとっても全く思いもかけないことであり、かつ非常に遺憾千万な出来事だと存じております。小野会長としては、このNHKとは何のかかわりもなく、個人的な行為というふうな御説明があり、同時に軽率であったと国会においても陳謝されたように承っておりますが、われわれとしても直接NHK会長としての行動ではなかったということは理解できますけれども、その行為が非常に軽率であり、かつ世論の非常な反撃を受けたということに対しては痛切に反省をいたしておるものでございます。  それで三十一日に、小野会長辞任届を私に御提出になりまして、自発的に御提出になりまして、事態を自分の軽率のせいであると陳謝をされて辞表を提出になったんでございますが、これは私個人がお受け取りしてそれをすぐに公表すべき性質のものではないというふうに判断いたしましたので、小野会長にもその旨を話しまして、三日がまあ経営委員会を招集する最短の距離でございましたので、三日までひとつ小野さんも伏せていただくし、私もお預かりしたということで、発表は委員会においてということで、まあ辞表は即日これを受理したのでございます。各委員とも、非常に残念に思って深く反省をしたという点では、各委員とも、十二名ともに、まことに残念であったと、残念な出来事であったという反省はいたしました。
  126. 案納勝

    案納勝君 工藤委員長、私は、小野さんの行為を——まあここで、おられませんからこれ以上余り突っ込んで批判めいたことを言う気はありませんが、軽率な行為だということだけではないと思う。これだけ国民の批判と世論が高まったというのは、NHKの社会的使命公共放送として国民が委託をしておるその社会的、要するに公権力からの中立、言論そして表現、編集の自由、真実の報道、これを守っていくNHKの体質に深く根ざした行為であっただけに、実は、国民の批判がこれだけ高まったと私は理解をする。  そこで、私は重ねてお尋ねをしたいのですが、今回の新しい坂本会長起用に当たりまして、三週間にわたって御審議をいただいたようでありますが、たとえば私の聞くところによりますと、経営委員長がひそかに郵政大臣を訪ねて意向をお聞きになったとか、また内閣周辺に接触をされていたとかいうお話が実は聞こえてくる、また新聞にもこの新しい人事については与党初め相当な圧力が、特に自民党逓信委員皆さんからの圧力、難色を示し、反発をした。陰に陽に経営委員会に働きかけが行われたようでございます。これはNHK予算が国会の承認を必要とするから、それを握っている与党側の立場からこれが行われただけに、経営委員会としてはその取り扱いに苦慮したのは疑う余地はない、こういう新聞報道もあるわけなんです。私は、こういうことが現実に行われたか、選考の過程郵政省経過の報告に委員長がおいでになって、委員長の意向を大臣にお伝えになったとき、何らかの意思表示が行われましたか、この辺について、まことに失礼かもしれませんけれども
  127. 工藤信一良

    参考人工藤信一良君) お答えいたします。  私は、率直に申しまして福田郵政大臣とは昔からの友達でもあり、就任をなすったときに、翌日ですか翌々日ですか、これは秘書を連れまして郵政省へ五分か十分間就任の御祝辞を述べに上がったことはございます。それ以外には何らの接触もございませんし、かつ後任の会長についての具体的な示唆とかあるいは要求と申しますか要望とか、そういうようなことは一切、私自身に関する限り、ございませんでございました。  そしてまた、各委員も、これはいろいろな御関係があって、いろいろなところからインフォメーションは得られたと思います。あるいはいろんな人とお話し合いがあったということはこれは否定申すわけにはいかぬと思いますが、これは全部自分の中で消化されまして、そして十三名が、そのうち二人欠席いたしましたが、最後に二十一日に十一名の者が四時間にわたりまして慎重に検討いたしましたときには、だれだれ委員がこう言ったからとか、あるいはだれだれがこういう推薦をしたというふうな言葉は一言もどんな委員からも出ませんでございます。みんな自分の意見というものを述べ合って、慎重審議の結果、坂本会長を最善の人として選出したんでございます。御了解願いたいと思います。
  128. 案納勝

    案納勝君 これ以上は突っ込みませんが、もう一つお聞きします。  天下り会長に対し三週間の選考過程できわめて反対をする世論というのが高まりました。これらについて今度の坂本会長は内部起用、天下り会長ではない、こういう意味での一定の評価も聞いている。この辺について、従来から会長として天下ると言っては失礼ですが、ほとんど天下りだった、言うならば、そうですね。しかし内部から会長を求めるという、そういう声が一つの世論的に高まってきている。今回も選考の過程でそういう世論が高まったということについて、経営委員長としては、今後の経営委員会としての会長の選任その他の問題について関係がありますが、どういうように受けとめになっておられますか。
  129. 工藤信一良

    参考人工藤信一良君) 今回の会長の人選というものが二つの意味で非常に私重大だと考えておりました。  一つは、先ほどのお話しのように、小野会長が辞職せざるを得なくなった事情ということによって巻き起こされた世論というものに対して、NHKの公正な立場を堅持しなければならないということが一つございます。もう一つ意味は、御承知のように大きな赤字を背負い込んだNHKと相なっておるのでございまして、これは今後NHKといたしましては、本当に人心を一新しまして体制を強化しまして、この赤字を克服して、公共放送であるにふさわしい経済的基盤をつくり上げるということが非常に大事なことであり、非常にむずかしいことである。これを会長NHK一万七千人を率いて陣頭に立って、これを実現していくというためには、非常に重大な人事である。  この二つの観点から、今度の会長人選というものには大いに苦慮したのでございます。  そのために、これは早く決めた方がいいという説もずいぶんございましたけれども、特にお許しを得て、三日小野会長の辞表を受理いたしましてから、七日に一度会議を開き、さらに二十一日まで相当長い時間をちょうだいいたしまして、その間委員がよく勉強もし情報も集めまして、二十一日に腹蔵ない意見の交換をした、特に長時間にわたって紆余曲折を経た論議の末に坂本会長を最善として選んだのでございます。  その間、天下りということが非常に問題になりましたが、私どもの理解いたします天下りというものは、外部の圧迫、ことに政府筋、与党筋というところの外部の権力、あるいは労働組合も入るかもしれませんが、外部の権力の圧迫によって決めるという、そういう意味の天下りならば、これは絶対反対である。われわれはかつて、私がここで申し上げたかと記憶いたしておりますけれども、経営委員会が自分たちの良心と良識によりまして自主的に決定するというたてまえを崩さずに、これは考えなければならないという意味で相当論議を尽くしました。その間、内外から会長の適任者はいないかという点を考え抜いたわけでございます。  内部から出すあるいは外部から出すというふうなことにこだわらずに、内外を問わず、最適任の人を選ばなければならない。その意味は、先ほど申しました二つの理由から、この際、どうしてもむずかしいけれども最適任者を選ばなければならないというので、内外を問わず考えまして、紆余曲折を経た結果、坂本会長が最善、最適の人であるという結論に達したのでございます。これがたまたま内側からの人ということになりまして、部内においては、それがまた非常に部内の士気を高揚したということも聞いております。これは部内は部内でそういうふうにおとりになって結構でございますが、われわれとしては、内部から採らなければならないというふうな原則に立ってやったことではございませんが、紆余曲折を経て、最後には最善の人として坂本会長を選んだわけです。  私が発表しました新聞記者会見では、紆余曲折を経ていろいろな人を考えたあげくと言ったら、ある新聞記者がそれでは次善の人選ですかという話がありまして、人事に次善というものはないんだと、最後に選んだのが最善であると申しまして、まあその記者はそれはまことに礼を失しましたと、こう言われたんですけれども、われわれとしては最善の人を選んだつもりでございます。それがたまたままあ内側からであったということは、われわれとしても、私自身としては満足の結果だったと思いますが、これが原則であるというふうに考えるのは、これはちょっと間違いかと思います。NHKは大きな公共機関でございまして、やっぱり会長というものは、内外を問わず、その時点において最善の人を選ぶというのが原則ではなかろうかと存じます。
  130. 案納勝

    案納勝君 いま委員長からお話がありましたが、NHK会長は政府が選ぶんではなくて、経営委員会が選ぶ。これはNHKというのは国民の放送機関として、国民から委託をされて運営をされるという一つの性格をあらわしているものだと思います。  私は、いま工藤委員長の言われた中で、ちょっと気にかかることがあるので、ぜひひとつ伺いたい。  今後も、経営委員会はもっと機能や中身について、五月の委員会でも指摘をしたように、再検討といいますか、検討をしていっていただきたい。たとえば経営委員会委員のあり方、運営のあり方等について新たな立場から考え直す必要がある時期に来ているんじゃないか。これについて、大臣は、慎重に検討したいと。工藤委員長は将来の運営については、八月ですか、委員に諮った上で答弁をするということで保留をされた。私は、そういう面で、経営委員会の持ち方、運営、あり方についていま問い直されている時期にもあるのです。  そういう中で、いまも言われましたように、会長人事を決め、あるいは運営その他について経営委員会として最高の決定をする際に、ぜひ私はこの辺は頭に入れていただきたいと思っているものですから、これは私がせんだっても申し上げました。ここに五月の議事録があるのですが、私は、こういうふうに申し上げました。これは前段で小野会長と民主主義のやりとりをやった。すなわち民主主義というものを本当に継承、発展をさせる任務がNHKにあるんだ、これが社会的任務なんだ。でNHKがその面で国民の手によって運営をされる、国民の手によって構成される放送局としての役割りを持つものだ。だから公的な権力の介入はもちろん、不偏不党の立場に立って言論の自由そして編集の自由、真実の放送というものを守り抜いていく。こういう場合に、できるだけ権力の側から、公的権力の遠いところに離れて、額に汗を流して働く国民の側に立ってNHK運営というものあるいはNHK使命というものを果たしていく。そういう立場というものを明確にしてもらわなくちゃならぬ。これがいまやNHKにかけられ国民が委託をしているNHKの機能であり使命なんだということで、小野会長もそのとおりですと、こう言っている。私は、この辺を会長を選任する場合においても、あるいは放送法の中で経営委員会が行わなければならない任務が規定してありますが、これを進める場合においても、ぜひひとつ頭の中へ入れていただきたい、お願いをしたいのです。  いま説明がありましたが、たまたまこの新聞に工藤委員長が「経営危機に直面したNHKの非常時にあたり、思い切った人事の若返りに期待した。現在の理事諸君が若い力を結集し、そのリーダーとして坂本君を全員一致で推すことになった。芸能畑出身であるという経歴上のかたよりがあることは承知しているが、全理事ならびに全職員が新会長をもり立ててくれることに期待したい。われわれ経営委員会も、外からの圧力に対しては、番犬の役目を果たす決意だ」というふうに、私は、その外からの圧力、番犬の役割りというのは、常に公的権力側からきわめて遠いところにおって、国民の言論の自由や出版の自由を守っていくという、額に汗して働く国民大多数の立場に立つということの立場で言われたと私は理解します。どうか、これは真実素直な心境だというふうに理解をいたします。  そこで、どうか経営委員会が今後最高決議機関として意思決定機関として、国民の前に開かれた組織機関、国民の世論の支持の上で運営をされていく、こういう経営委員会のあり方について一層ひとつ御検討いただきたいのです。きょうは、これらについての中身についてはこれ以上申し上げません。このことを強く工藤委員長に要請をしまして、いまこそチャンスだと思います。一つの区切りをつけなくちゃならぬ。いまだかつてない異例の事態が発生をした。とにかく国民の世論の上でそういう事態になったということもある意味では評価できますが、そういう事態の上で、ひとつ今後真の経営委員会、あるいは国民の委託にこたえるNHKの経営委員会としてのあり方について御検討をいただくことをお願いをしまして、工藤委員長に対する質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。  次いで、私は、坂本会長に御質問いたします。  私は、ここでいま工藤委員長に申し上げました。あるいは五月の委員会等で長時間にわたって申し上げました問題については繰り返しません。それは皆さん一番よく知っておられることだと思います。で美辞麗句を並べるよりも、どろ臭くてもNHKが問われ期待されているNHK像というものをいましっかり国民の前に明らかにしながら、国民の支持の中でNHKというのが運営されていくことが一番大事だということであります。今回の出来事はまさに象徴的な出来事だと私は思うのです。そこで問題の所在は坂本会長よく御存じだと思いますので、まさにこの時期はNHKがどうなるか、どういうことになっていくのか、こういう面での正念場でもあると思います。その意味での新会長の御見解をまずお承りをいたしたいと思います。
  131. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生御指摘のように、非常に現在のNHKが正念場であるということは、私も十分心得ておるつもりでございます。なお、私が会長に選ばれました経緯について、工藤経営委員長からのお話にもございましたような次第でございますので、私としては非常に責任の重さを痛感しておる次第でございます。しかし、せっかくの御指名でございますので、何とかこの点御期待に沿う努力をしなければならない。そのためには、私を中心として、役職員の一致団結によって世の中の御期待に沿う努力をしたいと思う次第でございます。  その抱負と申しますか、経綸と申しますか、そういうことにつきましては、私は、まず放送法に示されております第一条の公共の福祉に沿って、言論の自由を守り、放送の自由を守り、民主主義の発達に資するという目的を達成すること、それに力をいたすことが私に課せられた第一の責務だというふうに認識しております。なお日本放送協会といたしましては、その第一条を受けて、公共の福祉のために全国あまねく受信できるようにしなければならないという目的も明示されておりますので、それらのことを踏まえまして渾身の努力をしたいというふうに決意を新たにしておる次第でございます。
  132. 案納勝

    案納勝君 それで坂本会長はその決意の上に立っておられると思いますが、部内への公式発言の中で、管理職、職員への訓辞の中で、小野会長の路線は全く正しい、これを全面的に踏襲するというふうに言われたと聞いています。  私は、この言われた真意というのは何を指すのか。口先は別にしまして、NHK運営が国民の不安と期待というものを互いに交差させながらきわめて多くの批判を招いてきましたね。この間の審議のときでも、受信料の値上がりということでなくして、NHKの体質、あり方の問題がまず今日のNHKの危機だということを——まさにそういうことになりますと、その象徴的出来事であった小野会長辞任問題というもの、この裏側に、その後ろについているきわめて大きい根の深い背景というものをそのまま是認をすることになる。こういうことになると、私は、今後NHKはますます国民の期待を裏切り、国民の批判の前に立たされることになると思う。この辺について真意をお聞かせいただきたい。
  133. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 小野会長の問題につきまして、小野会長自身の処置について私はとやこう申し上げる筋合いではないかと思いますけれども、ただ、私が小野会長を中心として五十一年度以降の事業計画を策定するに当たりまして、小野会長の御指示を中心に計画を策定し、当委員会でも御承認いただいた路線というものは間違っていないんではないかと思います。したがいまして、その路線はやはり踏襲していくべきであろうと、そういう趣旨でございましたが、いま先生の御指摘のように、ある意味で国民から持たれている疑惑等についての点について私の説明がいささか舌足らずで御疑念を与えたとすれば、その点は申しわけなく思う次第でございます。
  134. 案納勝

    案納勝君 次いで、堀総局長ですか、お見えになっておられますか——それじゃ省略します。  それでは、小野会長問題に関連をしまして受信料不払い問題が顕著に実はあらわれてきております。この実情に対して、今後、どのように対応されようとしているのかお聞かせいただきたいと思います。簡単でいいですよ。
  135. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) 小野会長の問題が発生いたしましてから、東京の相談センターあるいは全国の相談室に対して数多くの批判、抗議が参りました。八月の二十四日以来九月の三日までに、およそ千五百件程度のそういう抗議あるいは批判が参りました署の中で約三分の程度の方がこういうことでは受信料は払えないということがございました。その後、三日に小野会長辞任されました。それ以後はずっとこの不払いの意思表明の方は少なくなりまして、小野会長辞任によって受信料の不払いは撤回するというふうな電話もございました。  で、現在、私どもの方では鋭意その説得に努めてまいりまして、ほとんどが解決している。この小野会長問題についての不払いというのは私どもの見ております限りでは一過性の問題でございまして、ほとんどが解決しているというふうに見ておりますが、さらに努力をいたしまして、私どもがこれから受信者の期待にこたえるような経営姿勢をとっていくことによりまして、この問題は解決してまいりたい、このように考えております。
  136. 案納勝

    案納勝君 そこで経営姿勢なんですが、坂本会長小野会長の今度の事件発生以来、NHK理事会は全く社会的に説明も行わず、社会的にこれらについてのその責任を果たすという姿勢が全く見られなかったのは残念なことです。ただ九月の三日に、九時のニュースセンターで磯村キャスターが、これは上司と相談して放送したものではないと、こう言って陳謝をされました。大変識者には好評でした。しかし理事会から何らのこれに対する、要するに国民に対して今回の問題について、その釈明、陳謝あるいは国民の不安に対してあるいは憤りに対してこたえる態度が全く見られなかったのは私は責任の放棄だと思う。その辺について、もうすでに過ぎ去ったことと言ってしまえばそうですが、私はそうは思いません。  いま質問しましたが、受信料不払い問題というのは依然としてまだ大きな課題になっております。本当に理事者、会長以下がその姿勢、誠意を国民の前に披瀝し、国民にこたえていく具体的な実践と行動が反映してこそ、私は受信料不払い問題が解決する。これらについてどのようにお考えになっているか。またこの三週間の経営委員会審議過程の中でも理事会としての意思表示がなされたのか、私はなされてないと思う。また悪い言い方をすると、まさに困難その極に達した状態じゃなかったか、こういうことを考えざるを得ない。それでは理事会全体の責任にかかわる。どういうようにお考えですか。
  137. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) その点につきましても、確かに先生の御指摘のように、あの三日以後において、小野会長の問題についてどういうふうに聴視者に御説明するかということも、実は、役員会理事会でかなり議論をいたしました。ただ現実の問題として、次なる会長の選任ということがございますので、それは次なる会長の選任されたときにその会長の聴視者へのごあいさつの中でその間について触れるのが一番適切ではなかろうか。私が、その間、会長代行ということを命ぜられたわけでございますけれども事柄事柄で、次期会長を選考するという経営委員会の仕事が発足しておる時期でございましたので、理事者としての聴視者への小野会長問題についての釈明をいたしませんでした。私は、会長に選任されましたその翌日の早朝のあいさつの中で、そのことについて聴視者にも深くおわびした次第でございます。  なお、経営委員会に対して、理事会としてどういうふうに働きかけたかということにつきましては、これは御承知のように会長選考の経営委員会でございますので、理事会という形でこれに当たるというのは必ずしも正しくはないのではないかという判断で、私が会長代行としてそれなりに各理事者の御意見を伺いまして、そして私の口から経営委員長に公正な人事をお願いしたいということを申し上げたわけでございます。
  138. 案納勝

    案納勝君 私が後段に申し上げた経営委員会に意思表示というのは、会長個人の問題というよりも、それを包む理事会全体の私は責任問題があると思うのです。その意味理事会として小野さんの問題のこの一連の事件についてその責任の所在を経営委員会に明らかにするというのは、私は、当然、あってしかるべきだと思います。私はこのことを指摘をしたい。今後の問題もありますが、十分にその辺は理事会としてその責任、機能が果たせるように私は心して取り組んでいただきたいと思います。  そこで、もう一点お聞きします。小野会長NHKの名誉顧問に迎えるという考えがあるやに聞きますが、この辺はどうなんですか。
  139. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) これは会長の職にあった方をいわゆる名誉顧問という形でお迎えするという一応の制度がございますので、そういう形での処遇をしたいというふうに考えておる次第でございます。
  140. 案納勝

    案納勝君 これはいま前田さんも名誉顧問になっておられますか。顧問というのは何人おられるのですか。
  141. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 現在、御生存中の前会長ということで古垣さんと前田さん、今度は小野さんと、こういうことになろうかと思います。
  142. 案納勝

    案納勝君 その顧問というのはどういう任務があるんですか。
  143. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 協会運営等について、先輩として会長が時に応じて御出局願っていろいろお話を承る、あるいは出向いてお話を承るというようなことで、協会についての一種のアドバイザーと申しますか、そういう形でございます。
  144. 案納勝

    案納勝君 私は、いままでの慣例、いきさつがどうであろうと、これだけの、いまだかつてないNHKに異例な事件が起こったわけですから、私は一定のこれに対する反省、しかるべき一定の時期というのは必要だと思います。直ちに名誉顧問に迎えますという、そういうやり方については納得できません。十分にその辺は、国民のNHKに寄せる期待というものについて、あるいは置かれているいまのNHKの状態というものをよく考えて対処をしていただきたい。これは改めて今後の課題として残しておきたいと思います。  時間もありませんから、私は、きょうは実はまことに坂本会長以下工藤委員長に申しわけないんですが、質問の中身についてはお二人の気持ちなり見解なり決意なりをお聞きするという意味で、具体的なことについての中身の通告をしませんでした。  そこで、堀総局長の話が出たんですが、これは私は質問というよりも意見にとどめておく。堀総局長が新聞紙上で、これは朝日です、NHKには新聞に比して言論の自由は十分でなくてもよい、こういう発表をしたやに報ぜられております。私はこれはきわめて重大なことだ。何のために今日までNHK予算の問題にしてもあるいは運営についても、国民を代表する場としてこの国会で論議をしてきたのか。私は理事者としてどう考えているのかきわめて不可解でならないので、もう一回ここで繰り返し、いま国民がNHK期待をしている期待像というものについてもう一回ここでやらなくちゃならないのかとぐらい思った。私、この報道が事実とするならば、まさにNHKのあり方——小野事件だけでなくして、根本的にNHK自体の自壊作用につながっていく問題だと思いますが、この辺は、きょうはお見えになっていませんし、質問内容の通告をしていませんから、私はこれはこの程度にとどめておきます。改めて決算問題等ありますから、この辺については指摘をしていきたい。  会長は、これらについて、どのようにお考えになっているか、お聞かせをいただきたい。
  145. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 放送の自由というのは、放送法でもはっきりうたわれておりますし、そのことについて何ら疑う点はないというふうに私は思っております。  ただ、放送というものが、ことにNHKの場合、二千六百万という非常に膨大な世帯と契約を結ぶ放送であるということと、それから電波というのが国民の財産である限られた電波を免許を受けて運営する事業であるという二つの点から、放送法の中でも特に不偏不党というようなことについての規定もございますので、そういう点に格段の配意をするということであろうかというふうに考えておる次第でございます。
  146. 案納勝

    案納勝君 改めて、この問題はしかるべき時期にということで保留させていただきます。  そこで会長にお尋ねしますが、あなたの肩書きはNHK会長以外に幾つありますか。あなたの肩書きよりも、小野会長時代のNHK会長の肩書きは大体幾つありますか。
  147. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いろいろな団体等のおつき合い等があって六十幾つというふうに聞いておるんですけれども、実は、まだ全部継承したわけでもございませんので、正確な数字を必ずしも把握してないんですが、大体、そういうふうに承知しております。
  148. 案納勝

    案納勝君 私は、小野会長時代の肩書き、六十三の肩書きがあったと思います。NHKの持つ役割りやらあるいはその機能、使命を果たすために必要な肩書き——肩書きだけじゃない、中身もあるんでしょうが、これは否定するものじゃありません。しかし、六十三の肩書きというのは全くこれはすごいですね。  たとえばNHK交響楽団評議員、これは当然ですね。NHK厚生文化事業団評議員、NHK学園評議員、これはNHKがつきます、直接、肩書きに。それから関連会社であります放送文化基金理事放送番組センター副会長、これらもNHKの関連会社ですね。それから共同通信理事、日本新聞協会理事、これは自動的に加わる肩書きだそうですね。日本演劇協会顧問、芸術祭執行委員会顧問、文学協会顧問、情報化週間推進会議委員、この辺まではまあ何か広げていけばNHKの端の方にひもか何かついているかもしれませんね。これ除いてまだ五十何ぼもあるわけです。たとえば親切運動実行委員会委員、貯蓄増強中央委員会委員、これも関係あるかもしれませんね、何か機能あるかもわかりませんが、私は余り関係ないと思います。日本ダム協会顧問、これとどういう関係があるのか。日本血漿血圧研究振興会理事、こういったことになるとますますわからなくなってくる。そして財界や官界からの天下り反対という世論の中にあるにかかわらず、日本経営者団体常任理事というのはどういうことなんですか。こういうことになるからNHKは何だと、こうなってくるんじゃないでしょうか。  私は、この際、全く関係のない、新会長になられたんだから関係のない——なぜ経営者団体の常任理事——最も権力から遠く、しかも公正中立で日本の民主主義を継承、発展させながらいかなくてはならない、国民の側に立っていくNHK会長が、私は放送機関と関係ないような肩書きはこの際一掃してもらいたい、専念をしてもらいたい、関係のあるものに、こういうように思いますが、いかがですか。
  149. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生の御趣旨はよくわかりますし、そうあるべきだと思います。  ただ、NHKというのは放送を業としておりますので、この放送という番組面でいろいろな団体にも御協力いただき、かかわりを持つものでございますから、それらの団体、たとえば医学番組を通じて医学の団体、あるいは演劇関係を通じて演劇の団体というふうに放送が非常に社会的に広い広がりを持つ分野と折衝をいたしますので、それらの日ごろ放送に御協力いただく団体等とのかかわりで、年間を通じての仕事ではないけれども、こういう行事をやるからその委員になってほしいというような、いわゆるおつき合いのような形でのおつき合いはある程度やむを得ないんではないかと、そのことによってNHK会長職に専念するのに妨げになるというようなことであれば、これはぐあい悪いと思いますが、そういうものでない場合には、ある程度のお許しをいただきたいと思う次第でございます。
  150. 案納勝

    案納勝君 いや、私がいま指摘をした中でよくわからないやつがあったが、それについてはどう思われますか。
  151. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) その中で言われた心臓その他の団体等につきましては、恐らく科学番組あるいは医学番組等とのおつき合いから生じてくる団体のいわば評議員等のことだと思います。  日経連の問題につきましては、これは昭和二十九年ごろから会員のような形でメンバーになっておるようでございますけれども、これも実際的にはほとんど、常務理事といったような肩書きの方が何百人とかおいでになるというようなことで、実行上のことには余りかかわりを持たない、そのことで多少の会費をお払いするというようなおつき合いのように聞いておりますが、この際、そういう全体的な点についても十分再検討してみたいというふうに思います。
  152. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 関連して。  坂本会長にお尋ねというよりも会長に御決意のほどを伺います。  いま同僚委員が関連していろいろ言われました。私どもも、実は、小野会長のあの問題については非常に傷心をいたしましたし、一応、小野会長に対しては前の前田会長の有力な部下として副会長になり、それから会長になられた。したがってかなり期待をしておったのでありますが、残念ながらああいう結果に終わって、非常な問題になりました。  そこで、坂本会長が生まれる過程において、これは言われているようにいろんなことがありましたが、恐らくNHKが長い歴史の中で今度ほど国民の中に大きな関心を持たれたことはないんですね。それが内部からのいわゆる会長選任という声が出たとともに、外部からたちまち多数の聴視者の関心が集まった。そういうことで坂本会長が生まれたわけでありますけれども、いま案納先生がおっしゃった中で、あなたが幸か不幸か芸能関係放送という形で今日まで余り政治的な関連を持たずにいれたということ、このことはあなたが今後会長として政治的な中立を保ち得るというその基盤であるとともに、反面、またそれなりに不安もあろうかと思うのであります。しかし、一応内部的にも外部的にも坂本会長の出現については、それはもちろんいろいろあらを探せばありましょうけれども、一般的にかなり好感を持てると思うのであります。その点、やはり何といってもあなたがNHKの内部出身だということとともに、政治的にいわゆる色がついてないと、こういうことだと思うんです。  したがいまして、せっかくそういった中で生まれた坂本会長は私はいろいろな意味で重要な点を持っていると思うんです。そこで、ぜひいままでのあなたの色のつかない、不遍不党というか、政治的に中立な立場を常に堅持してもらいたいと思う。恐らくこれはいろいろな意味で過去にもあったと思いますが、力が必ず加わってくると思うんです。その力をはねのけて、あなたが毅然としてわが道を行くという態度、それにはやはり副会長以下、各役員の諸君が本当に自分たちの中からつくった会長なんだから、それはいろんな意味で強力なバックアップが必要だと、もちろん職員もそうです。職員の諸君もやはり自分たちの先輩から生まれた会長、ここで坂本会長がもし失敗でもしましたらば、これは恐らく今後永久に内部からの会長はあり得ないだろう。これはいま工藤委員長の話を聞いておりますと、これは必ずしも内部からだけ選ぶということじゃないと、これはもう今度はそうだったけれども、また外部からということもあり得ると、そういう点はひとつしっかり踏まえてやってもらいたい、こう思うんです。  そういった意味で、これは会長だけじゃなくて、各理事諸君も、また職員諸君もその点をしっかり踏まえて、今後どんなことがありましょうとも、ひとつ不遍不党の立場を踏まえてしっかりがんばってもらいたい。そして全聴視者、全国民からも、これは部内出身の会長であり、また部内もまとまってよくやっていると、こういったことを貫いてもらいたい、こう思うんです。どうかひとついろんな意味でそういうことを踏まえて今後大いにがんばってもらいたい、こう思うのですが、これはまあ答弁をしてもらわぬでもいいような問題ですが、ひとつせっかくですから会長の御決意を伺いたい。
  153. 案納勝

    案納勝君 答弁をしてもらう前に、さっきの話の締めくくりをします。  私は、いま会長が言われたように、多くの、この手元にある資料の中で六十三の肩書き、そういう積書きを持たなければ取材やNHKとしての役割りを果たせないか、大変疑問なんですよ。NHKが持っているいろんな言われてきているような役割りやその他を考えた場合に、私は国民の知る権利にこたえていくという意味からも、肩書きがなければNHKの仕事ができないといったものじゃないと思うのです。私はここで本当に新しい、この際みずからが墓穴を掘ることのないように、理事者が。もう一回たずなを締め直して出直す時期だと思うのです、今回は。これは経営委員会も含めてですね。だから、この六十三の肩書きつければ何でもいいという問題じゃないはずですから、私はこれは十分に検討してもらって、本当にNHKが求められている放送機関という役割りを果たせるように専念をするために御検討いただきたい。これはあわせてひとつ答弁してください。
  154. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 前段の茜ケ久保先生の御指摘はそのとおりだと思います。そして私も理事その他の職員の方にも、この際、一致団結してNHKのために事に当たってもらいたいというふうに要望もし、指示もしておる次第でございます。  それから案納先生の御指摘につきましては、十分検討させていただきたいというふうに思います。
  155. 森中守義

    森中守義君 ちょっと関連。  会長の肩書きの問題それからいままでの会長方の顧問の問題、ちょっと私も少し疑問があるのですよ。会長のその多くの肩書きというのはもちろん兼職じゃないですね。だけど、有償か無償かという問題にもひっかかってきますが、会長の兼職の禁止条項、これらを厳密に見ていけば、さてどうなのかというような六十三もの肩書きの中にはいろいろ抵触するのが出てきやしませんか。  要するに、日本放送協会が対社会的に、しかもその社会にはいろんな分野がある、かかわりがあるから、協会ちょっとひとつ顔を出してくれ、その看板を借りようじゃないかというようなのが多いので、こういう数になっていると思うんです。したがって、そういうのが会長の職務ないし権限を阻害することにはならぬのか。恐らくどなたか代理で会合等には出られるわけでしょう。しかし、やはり今回新たな出発点に立っているわけですから、広い各界各層が協会の名前が欲しい、会長の名前が欲しいというようなことにつきましてもかなり吟味をして、少なくともこういう禁止条項に触れないような整理、検討ということもこの際は考えていいんじゃないですか。六十三あればいろんなものがあるんで、ことに部内の外郭団体等については、正確に定款上、会長理事とか何とかということになっておりますと、無償であったにしてもやっぱり問題があるんじゃないですか。だから部門部門の責任者がおられるわけだから、その辺のことなども一遍ひとつ役員会できちんと検討を加えて、答えを出してください、それが第一。  それからいま一つの問題は、これも放送法上、協会の役職の中に顧問であれ名誉顧問であれ、さてそれならば定款の中でもそういうものがあるのかどうか、それは定かじゃありませんが、恐らく心情的には一期ないし二期、長い期間会長という要職を務めていた人には、ただもうやめられたから、これで縁もゆかりもありませんよというようなことじゃまずいんで、ひとつ名誉顧問という名前でも差し上げようかということだろうと思うんですが、しかし、さっきちょっと坂本会長から、名誉顧問には協会運営、こういうことについて助言を求めるようなこともあるというお話がありましたね。しかし、そういうことになると、これはちょっと問題ですね。おのずから会長以下の役員についてはきちっと任務が決めてある。放送法にはそういうのありませんよ、顧問、名誉顧問でも。もし定款にあるとするならば、放送法を受けるのが定款だから、定款が間違っている。  だから、どうでしょうね、これ、そういう会長経験者につきまして何か肩書きを差し上げておかなければ、縁が切れても無縁の者ということにはならないんでしょうね。こういうことも、やはりこの際は、私どもとしては、電波法並びに放送法、一連の法規典礼によって日本放送協会を見ているわけですから、そういうものに準拠しないものを協会が身勝手につくるということは、これは適当な措置とは思えませんわね。直ちに罷免しなさいと言うわけじゃないけれども、やっぱりよりどころを何か必要じゃないですか。ことに、いま案納君が言うように、じゃ前田さんはよかったが、小野さんはどうだという、こういう理屈もちょっとこれはどうかと思うけれども、やはり逓信委員会という立場からすると、法規典礼によって日本放送協会——で、そういう物差しに合うか合わないかということになると、これはやっぱり問題が残るでしょうね。だから、ただもう気持ちはわかりますよ、長年の功労者だから、会長であろうと副会長であろうとどなたであろうと。何かの形で日本放送協会関係を持っていくという、それはもうわかるけれども、しかし、それが当たらない物差しにはまったんじゃちょっと困る。  そういう意味で、これはひとつ役員会等でも整理しませんか。もちろん、経営委員会、そういうものが相談の上でそうなっているのかどうかもよくわかりませんが、少なくとも顧問、名誉顧問、要するに放送法以外に役職はあり得ない。あり得ない人たちにいろいろ相談するということは、これはもう越権のさたであるし、そういうところに協会の節がつかないということにもなるでしょう。これは大変厳しい言い方ですが、その辺で顧問、名誉顧問という問題も、会長のこれも言ってしまえば名誉職みたいなものでしょうね、六十三の肩書きは。しかし、会長の兼職禁止事項がある。そういうものに触れたら大変だと思うので、これもえりを正すという一つの素材としてぜひ検討していただくことが今日必要じゃないか、いかがでしょうか。
  156. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 大変有益な御示唆をいただいて、ありがとうございます。そういう点について、私も新しい会長としての第一歩を踏み出すわけでございますから、十分検討させていただきたいというふうに思う次第でございます。  ただ、名誉顧問等につきましては、御指摘のように、先輩を遇するという趣旨でございますので、いささか私の答弁の中で不適当な点があれば、それは改めるにやぶさかじゃございませんので、御了解いただきたいというふうに思います。
  157. 案納勝

    案納勝君 それじゃ時間がありませんから、最後に一言だけ申し上げておきたいと思います。  大変新しい期待を持って坂本会長を迎えているわけですね。それで、いままでのまあいろいろあったにしても、かつての指摘をされたものは反面教師的に国民もとらえているわけであります。私は、NHKはどろ臭くてもいい、必要になれば権力とも胸を張って立ち向かっていく、ずけずけ物を言う、はつらつたるNHKとしてその機能を十分果たしてもらいたいというのが国民の気持ちだと思います。私は、これには単に理事者だけじゃなくして、職員もその使命感を持って全力を挙げて取り組んでいるがゆえに、この小野さんの事件については職員内部からも多くの批判が出てきたのはそのとおりです。磯村ニュースキャスターが上司に相談せずに陳謝したのも、その心情のあらわれだと思います。  私は、坂本会長が経営手腕は未知数だと、あるいは芸能畑一筋でと、こういうふうに言われますが、気にする必要はないと思う。前段申し上げましたように、しっかりしたNHK使命、社会的使命を果たすという、そういう信念といいますか、姿勢に勇気を持って対処をしていっていただくという限り、国民は限りなき期待をするでしょう。私たちもそのことをしっかり見守っていきたいと思いますので、どうかいろいろ今日までNHK問題についてかなり長時間、さきの五月の国会あるいはその前の閉会時に、きれいな美辞麗句を並べるだけでは解決をしない今日のNHKの問題を抱えているわけです。その辺を特段に要望しまして、時間がありませんから終わります。長時間ありがとうございました。
  158. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 大変有益な御示唆をいただきまして、ありがとうございます。当委員会でのご指摘については、私としては十分心して運営に当たりたいというふうに思う次第でございます。
  159. 藤原房雄

    藤原房雄君 きょうは、大臣がかわられて初めて御出席なさっての委員会でございますので、郵政事業全般につきまして、当面する問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、それはさることながら、現在、逓信委員会としましても電報電話料金の値上げという大きな課題も抱えておりますので、これはまた後日あらゆる角度から十分な審議をさしていただきたいと思います。この当委員会としまして今臨時国会での最大の問題は、やはりやがて審議が始まるでありましょう電報電話料金の値上げ問題だと思いますが、この問題につきましては国民も非常に強い関心を持っているだけに、十分な慎重な審議を尽くさなければならない、このように考えます。この問題については後日の委員会でさしていただくことにいたしまして、きょうは、与えられたわずかな時間でございますので、郵政全般といいましても限られたそしてまた非常にはしょっていくような形になるかもしれませんが、二、三の問題についてお伺いをしたいと思うんであります。  最初に、大臣が御出席になっての初めての委員会でもございますので、まず午前中から各委員からいろんな問題についての御質疑がございましたが、福田郵政大臣としまして、まず当委員会に初めて御出席になって所信の一般質疑が始まるわけでありますが、冒頭申し上げましたように、多くの問題を抱えている委員会だけに、大臣もそれ相応の決意をお持ちでいらっしゃるだろうと思うんです。NHKの問題につきましてもこれから二、三お尋ねしたいと思うんでありますが、これもNHKの聴視料の値上げを中心といたしまして前国会におきましてずいぶんいろんな論議を呼びました。また、これからもいろんな角度からいろんな問題が討議されると思うんでありますが、この技術革新等大きな社会の変革の中で、逓信委員会が論議をしなければならない問題が山積いたしておるわけでありまして、それだけに大臣も新しい時代に即応した新しい対処の仕方ということでいろんな御所見をお持ちになっていらっしゃるだろうと思うのでありますが、これは重複するかもしれませんけれども、最初にまず大臣の心構えといいますか、就任に当たりましての御決意といいますか、お聞きしたいと思うのであります。
  160. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 最近における経済の基調の変化、高度成長から安定成長へという大きな背景もございますし、御指摘のようないろいろな予見できない条件もありますので、郵政事業につきましては、新しい情勢変化に適応した国民の福祉の向上あるいは国民サービスの普及徹底という点につきまして、絶えず専門家の意見も聞きながら適切な施策を行っていきたいという考えでございます。
  161. 藤原房雄

    藤原房雄君 公衆電気通信法の改正につきまして、これは後日当然審議に入りますし、この問題については長々申し上げる私はそういうつもりもないんでありますけれども、これは前の国会で、この中でいま当面するといいますか、ここへ電電の方はお呼びしてないわけでありますが、電電というよりもこれは大臣にひとつ考え方をお聞きしたいところで、大臣立場お答えいただけば結構なんで、詳しいことは後日の委員会でやりますから、電電の総裁お呼びしてないわけであります。  というのは、経営委員というのは非常に重要な立場にある。この経営委員は、前に小佐野さんが再選の場合に非常に国会でもめまして、適当であるかどうかということについていろいろ論議があって、これは国会でも賛否がいろいろ問われたわけであります。少なくとも人事案件につきましては、これはもうお互いに了解ということが当然だろうと思うのでありますが、この経営委員というのは、特に電電の場合につきましてはわずか五人、全部で七人——特別委員入れて七人ですね、わずかの委員で電電の経営ということについて論議して重要なことを決めるわけでありますから、この経営委員の任命というのは非常に慎重でなきゃならぬ。委員の任命は、両議院の同意を得て内閣が任命するということになっているわけでありますから、大臣といたしましては、これはもう任命の経過とかいろんなことを踏まえて、むずかしいことは別にしまして、とにかくあの前の国会で小佐野の再選のときにいろいろの問題がありましたような、そういうことのないすっきりした形で人事の人選、いままたいろいろ小佐野の辞任の後の補欠そのほかのまた補充等、いろいろ御検討だろうと思うのでありますが、少なくともこの人事のことについて、しかもこの公衆電気通信法という、重要な経営を任される少数の、わずかの方々を任命するこの人事のことについて、少なくとも国民が疑惑を抱くようなことがあってはならぬ。  いま大臣の決意、お話ございましたが、当面する問題として、具体的な問題として、まず、こういうことが大臣のなさるお仕事の一つとして、内閣の一員としてその問題もあるわけですけれども、こういう重要なときに大臣になられただけに、これらのことについてはそれ相応の御決意をなさっていらっしゃるだろうと思うのでありますが、手続とかむずかしいことは別といたしまして、この経営委員の当面する問題、それに対処する大臣の決意なりまた心構えなり、今後に処していく道というものの御所見を重ねてお伺いしたいと思います。
  162. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 任命は、御指摘のとおり、国会の御承認をいただきまして内閣が任命いたすような重要な人事でございます。したがって豊富な経験、また専門的知識といったことは当然ではありますが、同時に重要事項を決定する委員の選定に当たりましては、十分納得のいく適切なる人物を充てたいと考えております。
  163. 藤原房雄

    藤原房雄君 また、個々の具体的な問題については後日の委員会で十分に質問させていただきたいと思います。大臣に関することでありますから、概括的なことをまずお聞きしたわけであります。  次は、NHK会長先ほど午前中あいさついただきまして、大変お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。私も、午前、午後、先輩委員の方の御質疑がございましたが、せっかくお越しでございますし、また新しく会長就任なさって決意も新たにこの委員会に御出席なさったことと思いますので、二、三点についてお伺いしたいと思うわけでございます。  私は、前会長のことについての云々についてはずいぶん質疑もございましたし、また、いたずらに古傷をほじくり出すみたいなことは申し上げたくないわけでありますが、しかし、そういう一つの反省の上に立って今後のNHKのあり方というものを厳しく見定めることもまた当然必要なことでもありますし、そういう観点でお聞きいただきたいと思うわけでありますが、これは前国会で受信料値上げを中心といたしまして当委員会におきましてもかつてない、三十数時間か四十数時間といいますか、相当な質疑をいたしまして、その中でやはりNHKの体質問題というのが一番中心の課題となって論議されたと思うのであります。また私どもがこの委員会で論議をしただけではなくして、新聞にしましても雑誌にしましても、このNHKの公共性ということや不偏不党性というような、こういうことが非常に論じられ、それに非常な関心を——ただ受信料が値上げになるということだけではなくて、それに伴うNHKの体質問題というのが一遍に火を吹いたという言葉が妥当かどうか知りませんが、非常に論議を呼んだことは御存じだと思います。  このたびの前会長の問題が起きまして、それに対しまして市民団体の質問状とか天下り人事反対の署名運動とか、非常に広範な反応というものは急速に運動が広がったという、これはいままでかつてなかったことだと思います。それだけに国民の非常な関心事がNHKに集中しておったという、私どもがここで三十時間、四十時間質疑したということもそれなりに意義のあったことだと思いますし、国民の関心というものは非常にそこに集中しておる。それだけに、こういう敏感な反応があったんではないかというふうに一面では考えられるわけでありますが、会長就任なさいまして、これらの経過に対しましてこのような世論にどういうふうにこれらの問題をお考えになっていらっしゃるか。そしてまたこれからの対処の仕方といいますか、国民世論に対しての心構えというか所信といいますか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
  164. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私も、今回の小野会長の問題はまことに不幸な出来事であったと思うわけでございますけれども、そのことを契機としてNHKに寄せられました聴視者の皆さん方の声というもののボリュームと申しますか、そういうものに、正直言ってこういう言い方はあるいは不遜だというおしかりを受けるかもしれませんが、ある種の感動を覚えたと言っても過言でない。これほどやはり聴視者の皆様方がNHKというものに御関心をお寄せいただいているのかということで、小野会長の後を命ぜられました私としては、文字どおり身の引き締まるのを覚えておる次第でございます。  今後の問題につきましては、諸先生にも御答弁申し上げましたように、何といっても放送法の精神にのっとりまして協会運営をするということが私に課せられた使命を遂行する第一の問題だというふうに、それがひいては聴視者の皆様方の御要望に沿うゆえんであろうというふうに考えて、決意を新たにして事に当たりたいというふうに考えておる次第でございます。
  165. 藤原房雄

    藤原房雄君 また一面から見ますと、会長は五十年のNHKの歴史の中で初めてというか、生え抜きですね。NHKの中でずっとお働きになっていらっしゃったということでは、いままでの会長とは変わった——変わったといいますか、相違点というか、そういうことが一つは言えるだろうと思うんであります。NHKの中で生え抜きの会長就任になったということに対しての国民の皆さん方の大きな期待、しかしNHKの中で生え抜きであったといたしましても、どこからか降ってわいて出てきたわけじゃございませんで、現実、小野会長の副会長という立場で今日までやっぱりその手腕をふるってこられた。それだけに、いままでの天下り的な会長にはないものをやっぱり新会長期待しているだろうと思うんであります。  そこの国民の求めているもの、そしてまた過日来の論議の中でいろんな角度から討議されたこれらのものを通しまして国民が等しく求めております放送の不偏不党性とか近代民主主義の発展に資する、こういうことのために今日まで培われてきたものといいますか、本当にさすがはNHKの生え抜きの新会長だということで国民の信頼にこたえる、また新しくNHKを再生するといいますか、受信料値上げから今日までいろんな論議の中で国民から寄せられたこの信頼といいますか、これにこたえていくべきだろうと思うんであります。そういう点で非常にNHK一つの大きな転機を迎えて御心労も多かろうと思うんでありますが、ひとつ国民の期待にこたえてがんばっていただきたいと思うわけであります。  で、このことはさておきまして、二、三NHK関係することについてお伺いしたいと思うんでありますが、いまこの放送全体を見ましていろんな問題を抱えておることだと思うんでありますが、過日、第二十四回の民放大会がございました。この大会で会長あいさつがございましたが、この会長あいさつの中に難視聴の問題に触れておられるわけでありますが、この難視聴の問題について、民放の当面している最大課題は難視聴の解消にある、これはNHKとか郵政当局の協力が得られるならばこの解消はできるんだという趣旨のことが述べられておるわけであります。当然、今日までの委員会の中でもいろいろ論議されてきたことでございますが、これはNHKは法的な立場からこのような難視聴解消というのは積極的にやらなければならないのは当然でありますが、民放といえどもやっぱり国民の要望にこたえて、地域住民の要望にこたえて難視聴解消に努力しなきゃならぬ。ただ経済的な諸問題もあろうかと思いますが、しかしNHKが中心になるといいますか、地域地域でいろいろなお話し合いを進めながら、民放とともに難視聴解消に努力をしておるということはいままで私どもも聞かされてきたところでありますが、このあいさつの中にございますけれども、難視聴対策はまず技術的な問題と経済的な問題と行政的な問題がある、技術的、経済的な問題についてはある程度これは解決ついておるけれども、行政的な問題について解決さえすれば難視聴解消についてはもっとこれは推進することができるんだという意味の話があったんですが、このNHKと民放との難視聴解消に対処する積極的な姿勢といいますか、協力体制というものについて現状どうなっておるか。  このそれぞれの個々の問題については、いろいろなお話し合いをわれわれ地域に行ってよく聞いているわけですけれども、やはり行政的な面でも郵政も当然関係するわけでありますが、郵政とNHKと民放と行政面での難視聴解消に対する対処の仕方、ここにやっぱりもう一つ力を入れれば大きく解消の道が開けるというこの会長発言は私どもとしてはこれは見過ごすわけにはいかぬと思うわけです。これは郵政当局とNHKとそれぞれの立場からお伺いしたいと思うんですが。
  166. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま御質問ございました難視聴の解消の問題でございますが、先般、民放連の大会で小林会長からこの話が出ましたが、そのときにやはり焦点となっておりましたのは、いわゆるミニサテ局と称するものでございます。いわゆる極微小電力テレビジョン放送局でございますが、これにつきまして、実は、ことしの三月に、日本民間放送連盟から郵政省に対しまして、この極微小電力テレビジョン放送局、いわゆるミニサテ局の置局を促進するために、いろいろ方法を考えていただきたいということが出てきております。  その中に、ミニサテ局の検査手数料を減額してほしいとか、あるいは検査を簡略化してほしい、こういうような要望が記載されております。この放送局の検査手数料でございますが、これは電波関係手数料令の中にその手数料が定められております。現行の手数料の体系上、ミニサテの検査手数料のみを減額するというのは現時点では困難でございます。しかし、今後、手数料の改正の際には、このミニサテクラスの空中線電力に応じた手数料区分を設けるというようなことも考えてみたいというふうに考えておりますが、当面は、このミニサテ型式検定制度を導入する、これをいたしますと、やはり非常に検査も簡略化されますので、そういうようなことによりまして検査手数料の軽減を図っていきたいと、かように考えております。またミニサテの検査の簡略化等についてでございますが、これは電波監理上支障のない範囲で極力簡略化を進めていきたいと、こういうふうに考えております。  それからNHKと民放との関係でございますが、これは難視聴解消を進めていく上にはぜひ密接な協力をしていただくということが必要でございます。したがいまして今後ともNHKと民放が共同建設とか、そういうものについて十分協力していただきたい、かように考えている次第でございます。
  167. 沢村吉克

    参考人沢村吉克君) 難視聴の解消につきまして民間放送NHKとの間で従来から共同建設その他協力をし合ってまいっております。いま郵政省の方から御答弁ございましたように、昨年、実用可能になりましたいわゆるミニサテ——極微小電力の中継局でございますが、これは技術の進歩に伴いまして特別な技術基準も郵政省の方でお決め願ったわけでございます。その新しい技術を使いまして民間放送さんの負担、非常に安く一緒にできるようになったわけでございます。今後とも、民放、NHK両者の協力は一層進めて難視聴の解消に努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  168. 藤原房雄

    藤原房雄君 いまお話のございましたNHKと民放との共同置局に中継局設置の企画があって、その申請とか、いま郵政省電波監理局長からお話ございましたが、検査手続の簡略化とか検査手数料の軽減、これいろいろ検討なさっているようでありますが、やはりこの中で言われておりますことは、技術的、経済的な問題もさることながら、行政的な問題のいまお話のあったようなことが中心になるわけでございましょうが、そこの行政当局の配慮によってこれからのNHKと民放との共同置局というものが推進されるというこのお話は私ども当然のことだと思います。  これは個々にそれぞれの立場でやっておることもまた大きな経済的な負担もありますので、NHKも限られた予算の中で希望どおり全部が全部いくわけではないだろうと思うんでありますけれども、しかし私ども各地を回りますと、やはりまだまだ難視聴問題というのは大きな課題であります。現在、もう難視聴の地域という世帯は非常に少なくなったとは言いながら散在しておる現状は、これはよく御存じのとおりであります。これから特にNHKと民放とが共同置局ということで話し合いをどういうふうにつけるかといいますか折り合いを進めるかという、こういうことが一つの隘路になって、だから進んでいないという、こういうこともしばしば聞くわけでありますが、いままあ局長からお話ございましたけれども、どうか難視聴解消というのは、特に現在僻地におきまして文化的な面の非常に享受の少ない、そういうところに問題が山積しているわけでありますし、これは都市の難視聴も決して見過ごすわけにはいかない問題でありますけれども、特に、今後、まあ行政面でこういうことが非常におくれておる、こういうことの言われないような、ぜひひとつ積極的な姿勢を示していただきたいと思いますし、また難視聴解消に対しての民放、NHK共同置局に対しての推進というものについて、行政面でのおくれをとらないような施策をひとつ積極的に進めていただきたい、こう思うんですが、大臣、どうでしょうか。
  169. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 難視聴解消の問題は非常に大きな問題になりまして、山間僻地もだいぶ成績を上げていますが、大都市にはビルが激増いたしましてますますふえているような現状でございます。  そこで、省内に、昭和四十八年六月に、学識経験者等から成る「テレビジョン放送難視聴対策調査会」を設置したことは御承知のとおりでございます。二年半にわたりまして検討を経て、大体、報告書を提出を受けたわけでございます。この報告書をもとにいたしまして、現在、事務次官を長とする「難視聴対策委員会」を設けるなどいたしまして、私ども具体的な検討を進めております。現在までミニサテを実用化したほか、これを契機として郵政大臣から一般放送事業者に対しまして難視聴解消の一層の促進を要請いたした次第でございます。  なお、いずれにいたしましても、現状においては民放が自力で難視聴を解消すべき余地がまだまだ多いと考えられますので、NHK相協力して、むずかしい問題でありますが、一日も早く解消するように促進方を考えたいと思います。
  170. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間ありませんから、私も詳しいこと本当は一つ一つ申し上げたいことたくさんあるんですけれども大臣、あの大都市の難視聴については、これはもう地域住民の強い要望やなんか、またやっぱりすぐそういう問題については、まあ大都市ですと住民パワーといいますか、反応があるわけですけれども、僻地におきましては、やっぱり住民が散在しておるということや、世帯は多い世帯ではなくなりました、だいぶ解消しましたから。しかしNHKしか見えないとか民放しか見えないとか、それぞれにいろんな物言わぬ住民とでも申しましょうか、密集地帯ですとすぐ住民の声も大きな声となって聞こえるかもしれません、それだけに、たとえ一人でも二人でも、また一カ所でも二カ所でもそういう声があったら、行政当局としては謙虚に耳を傾けてそれに対する対処の仕方という、こういうものを私申し上げているので、大都市も決してこれは難視聴どうでもいいということじゃない、これもまた深刻な問題ではありますけれども、まだまだ僻地においての難視聴の解消はできていないし、これからも取り組まなきゃならない重大な問題であるということを私は申し上げているわけであります。  何年前からいろいろ推進しておるとか、そういうことは私もよく承知しておりますけれども、個個のことについてはまたNHKの決算とか、また今後質疑する機会もあるだろうと思いますが、いずれにしましても、私ここで申し上げているのは、NHKが云々ということもさることながら、行政当局の強力な、NHKと民放の共同設置に対しましての行政当局の積極的な姿勢、そしてまたこの難視聴解消に対する行政の力の入れ方ということが非常に大事になっておるということを申し上げておるわけです。大臣さっき答弁なさいましたが、どうかひとつそういう点で、大臣もこの民放大会には御出席になってお聞きになっておるはずですから、どうかひとつこの解消のためにがんばっていただきたいと思うんです。  それから、時間もありませんから、ちょっと飛ばして、まあ災害時にいろんな問題があるわけですが、ここは災害対策特別委員会じゃありませんが、災害のときに放送の担うべき役割りといいますか、こういうことについて気のついたことがあるものですから申し上げるわけであります。  今度の十七号台風のときに、私も災害対策特別委員会なものですから、四国の方へまいりました。土砂崩れのために通信網がずたずたになって、しばらくの間通信が途絶した。しかし電電公社の移動電話交換機ですか、それによってそう時間もかからずに電話が復旧することができたとか、いろんなことを私ども現場で見てまいりましたが、その中で兵庫県とか岐阜県とか、長良川のように大きな堤防が決壊する。それからあれに準ずるような川のはんらんがあるかないかという、台風が近づいておる、停滞しておる、それで集中豪雨が起きておる、川がどんどんはんらんしそうである、こういうことについてその部落なりまたは市町村なりでそれぞれ情報を集めて、そして避難をさせるとか、こんなことはしているわけでありますが、そのときはテレビはニュースまたは緊急の場合には字幕で速報として知らせているわけですけれども、いざとなると電源が切られて、そして本当にいざとなったら携帯ラジオ、これは災害時には必ず携帯ラジオということも言われているわけですから大抵のうちに用意してあるんですけれども、この携帯ラジオが、ラジオ放送が実際ああいう異常事態のときには非常に大きな役割りを果たすと思うんです。  ところが、これがレコード音楽やなんか番組に従って、いま放送局が大きくなってますからね、ある県のある地域の問題という、そういうことを詳細に放送するということはなかなかでき得なくなっている、こういうことも一つあるんだろうと思います。このローカル放送というものはだんだんだんだん地域が限定されつつあるわけです。それでそういうこともあるんですけれども、川がはんらんしそうだとか、そういうようなことで住民の人たちは非常に不安がって、現状はどうなんだろうかという正確な情報を知りたいと、こう思うんだけれども、それが的確にラジオから流れてくれば、それで県警本部なり県なり、または土木事務所なりそれらの権威あるところの情報としてそれが放送されれば、皆さんもこれは大変なんだなとか、じゃまあ大丈夫なんだなということの判断がつくわけですけれども、非常にいらいらしているときに、なかなか情報が得られないで、のんきだなんて言ったらこれは申しわけないんですけれども、音楽放送なんか流れておったりする。これは全部が全部そういう危機にさらされているわけじゃありませんで、集中豪雨ですから、河川の流域とか——まあ一級河川が中心になるだろうと思いますが、今回は特に二級河川、都市河川のようなところがはんらんしましたので、そういう一本一本の川についてその情報を提供するということは非常にむずかしいことかもしれませんが、災害に対する対処の仕方というもの、この放送の担う役割りは非常に大きいと思います。  市町村の無線とか何かについては非常に論議されておるわけですけれどもNHKや民間放送、それらのラジオ放送でもっと詳細に地域のきめ細かな情報というものを住民に知らせる、こういう体制がないと、災害時の用意するものとして携帯ラジオというのは入っていても、実際ラジオから流れてくるのは情報でなくて音楽であるという、それでもうあるところでは堤防が決壊しそうになったということで、これはみんな非常に緊張して避難しなきゃならないと大騒ぎしたんですが、実はそれはデマであったということが後になってわかった、デマというか、まあ誤報であったということがわかったというこんなところもございまして、これは何もNHKの取材とか何かじゃなくて県庁とかまたは市町村とか県警とか、そういうところとの情報網というものを、絶えずそういう異常事態のときには緊密にとって、それで刻々危機の迫っているといいますか、そういう予測のできるところについては情報を流す、そしてやっぱり住民に正確な情報を周知徹底する、こういうことが非常に大事であるということを私どもは視察に行って痛感してまいりました。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  それでいま大地震ですか、地震問題もいま大きな問題になっているわけですけれども、これ実際もう身近にきませんとなかなか真剣に取り組み得ない、こういうことじゃならないのでありますけれども、これも事前から相当そういう住民に対する的確な情報をどう流すかということを検討しておりませんと、これから過密化した大都市の中で多くの人たちが判断を誤ったために多くの犠牲者を出すなどという、こういうことになりかねないという、こういうことを痛感しました。これまだ集中豪雨ということですと、雨や台風がどういうふうに、また前線がどういうふうにどの地域にいま降り出している、こういうことが大体予測できるからいいんですけれども、地震なんかの場合ですと、一瞬の間といいますか、本当に瞬時の間に災害がやってくるわけでありますから、これはぜひNHKを中心として民放ももちろんですけれども、そういう異常な事態になったときにはやっぱりこれを並行していただいて、その情報を的確に流すシステムというものをつくっていただいて、せっかく異常事態のための携帯ラジオをみんな持っているわけですから、これをやっていただかなきゃならないという、こういうことを、私は当然そういうことは予測してやっていらっしゃると思うんですけれども、今回の場合に、どういうところでどういう問題があったかということをお調べになったかどうか。恐らく具体的な問題についてはお調べになっていらっしゃらないと思うんですけれども、ぜひこれは緊急なことであり、人命にかかわる重大な問題であり、真剣にひとつ取り組んでいただきたいし、またNHKと民放それぞれの立場で、行政当局としてもこれに対処する真剣な検討を加えていただきたいと私は痛感しておるものですけれども、これについて今日までどんなふうにやっていらっしゃったか。また、今回の災害、十七号台風を中心として、こういうことについて何かお聞きになっていらっしゃるかどうか、これからのまた検討、こういうことについてお伺いしたいと思います。
  171. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 先般の台風十七号の災害の状況について申し上げますと、これは放送関係でございますが、NHK、民放含めまして平素使っております商用電源が停電になりますので、そのために手配したものがテレビ・ラジオを含めて五百七十七局でございます。このうちNHKの八十一局と民放の五十局は予備電源を設置しておりましたので、これは商用電源が停電した後、直ちに切りかえをいたしまして、そして放送は復旧いたしております。それで現在までにもうほとんど復旧したわけでございますが、ただ一つ鹿児島県の中ノ島の局が、これ離島でございますが、これがまだ一局だけ復旧いたしておりません。  その五百七十七局の内訳でございますが、NHKの局がそのうち四百五十二局と、それから民放が百二十五局でございます。NHKの方につきましてはNHKの方で御報告いただきたいと思いますが、民放の方はテレビジョン局がその百二十五局のうちの百二十局とラジオが五局。この百二十五局とNHKの四百五十二局合わせまして五百七十七局が被害をこうむった、このような報告がまいっております。
  172. 藤原房雄

    藤原房雄君 いま被害があったじゃなくて、各地域における被害状況を、放送局が県庁なり災害対策本部とかそういうところから的確に情報をもらって、そして電波に乗せて住民にその状況を的確に放送しなきゃいかぬということを言ってるんですよ。いま結局おっしゃったのは被害を受けた放送局の話でしょう。放送局が被害を受けたというのじゃなくて……何聞いてるのかな。
  173. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 放送局からの被害状況の報告と申しますのは、これは県とそれから放送局が連絡を取りながら、その状況をそれぞれの放送局から流しているというのが現状でございますが、その内容につきましては、私どものところでは、つまびらかにしてはおりません。
  174. 藤原房雄

    藤原房雄君 だから、それをしっかり把握して調べてごらんなさいと言ってるんですよ。ニュースなどでやることはわれわれ知っています。それ以外に集中豪雨というのはもう刻々状況が変化するわけですから、それに対処して異常事態のときにどういう対処の仕方をしておるかということを現状をもう少ししっかり把握して、これをもしできてなかったら——これはできてないんだから、実際。そのことのために多くの住民が右往左往したところがあるんです。そういうものをこれからどうするかということをNHK、民放それぞれの立場検討してくださいということを言ってるんです。
  175. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 藤原先生御指摘のように、今度の十七号台風というのは、われわれの予想を上回る集中豪雨その他ございましたので、送り出す方の側の態勢といたしましては、かなりきめ細かにやったつもりでございますけれども、現実問題として必ずしも十分でないという御指摘があったかと思いますが、そういう点につきましては、いま現在報告を集めて総局の方で検討しておりますので、できるだけそういう点について十分な情報サービスができるという態勢をとるべきだというふうに考えている次第でございます。
  176. 藤原房雄

    藤原房雄君 ニュースの後の、気圧配置がどうとか全国的な天気予報、こういう全国的なやつはこれは毎日やってます。そしてまた災害のときもこういうことをやってるんですよ。  知りたいのは、自分のところのあそこの川が大丈夫かという、それもどぶ川じゃありません、一級河川とかそれから都市河川でも大きい川ですが、そんな一本一本日本じゅうの川の状況なんか把握できないかもしれませんけれども、やっぱりその地域の問題について、これはさっき申し上げたようにローカル放送もだんだんだんだんNHKですと集約しておるものですから、NHKだけで的確に把握するということはできないだろう、民放がそれをカバーするとしましても、急にできない面は。ですから、当然これは災害対策本部、県とか市町村とか、そういうところと連絡を取らなきゃならないと思うのですが、気圧配置がどうで何がどうでということより、どこどこの河川について非常に危険状態にあるということは市町村を通じてそれぞれ住民に訴える、避難するとかなんとかというようなことでやってるわけですけれども、やはりそういうことは対策本部の情報をキャッチすれば、どこの河川が危ないかということはわかるわけですから、ですから住民はそういう自分の命にかかわるこういう重要な問題、非常にそれは正確な情報を迅速にキャッチしたいという、こういう気持ちでおるわけでありますから、そういう異常事態のためにどう対処するかということを検討をしていただきませんと、のんきな音楽が流れてきたんじゃ困るということを言ってるんです。  のんきなと言ったら申しわけないのですけれどもNHK、民放それぞれの立場で異常事態のときにどう対処するかという態勢というものを——これは市町村の間で電話連絡できなくなる、それを無線でどうする、こういうことはいままでいろいろ御検討いただいてきたと思うのですけれども、今度の十七号台風、こんなことはしょっちゅうあることじゃ決してないと思うんですけれども、こういう異常事態、さらにまた関東を中心にする地震ということがいま論議されておる。来るだろう来るだろうといううちに来てしまう。ところが、もっと事前にいろいろな情報が住民に徹底されておれば被害がもっと少なくて済むと、後から後悔しても始まらないわけでありますから、こういう台風もあったことを中心としまして、どういうふうになっているのか、どういう時間帯でどういうふうに情報が流れたか、各民放さんなりNHKさんにそれぞれの立場でその地域ごとにいろんな情報をひとつキャッチしていただきまして、これを一つの教訓として今後改善するところは改善し、態勢をつくるものは態勢をつくるということでお考えいただきたい、こう申し上げているんです。おわかりでしょうか、大臣、どうでしょう。そんなことはあたりまえの話ですが。
  177. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 私も、実は、同僚からいまのような御指摘の点を伺いまして、局長が申しましたのは災害状況あるいは復旧といったような問題で少し御質問とはずれておりますが、私、全く同感で、できれば平時に一度消防みたいに通信関係の災害周知方をNHK、民放とよく御相談しまして、一度演習と申しますか、そういうふだんの訓練、こういうものを早速やってみたいと実は私考えておるわけであります。  何といいましても、いまおっしゃったように的確な情報を早く伝える、その方法を自治体あるいは建設省、関係省どういう連絡会議でやっているか、一応今般の災害では郵政省関係は内部の連絡会議をやっておりますが、関係方面との連絡がどうもまだ不十分ではなかったかと心配しているわけでありまして、早速にも、いま御指摘の点で平時において一度関係者を緊急に集めて周知方の点について演習と申しますか練習と申しますか、やってみたいと考えております。
  178. 藤原房雄

    藤原房雄君 私ども、国土庁にも、災害委員会でこっちの方の調査をして一つの項目として申し上げて、国土庁でも各省にまたがることでありますので集約しなければならないということもおっしゃっておりました。いま大臣郵政省内部でというお話ですが、これはそういう情報収集のために建設省とか市町村、自治体、そういうところの方が的確に情報を持っているわけでありますから、それをどう流すかということだろうと思うんですけれども、ですから、それだけに国土庁が中心になってこの災害の問題についてはやることになっておりますので、ぜひひとつこの問題に取り組んでいただきたいと思います。よろしいですか。大臣のおっしゃるとおりだろうと思いますが、国土庁中心になっていますからね、各省にまたがる問題は。  これは異常な状態のときでありますから、しょっちゅうじゃ決してありませんけれども、やっぱり電電公社なんかは災害があったときに電話故障になった、そのたびにどうするかという訓練はときどきやっているようでありますから、NHKにしましても民放にしましても電源切れてテレビが見えないということになると、やっぱりラジオということになるんでしょうけれども、また災害のときには携帯ラジオが携行する必需品の中に入っているわけですけれども、それがさっぱり大事な情報が流れてこないというんじゃしょうがないということを私は言っているわけです。  ぜひひとつこれから検討していただきまして、とうとい人命がこの的確な情報の伝達のために何人でも救われて、被害が最小限度に食いとめられる、そういう一つの大きな役割りを担うのもこの電波の力であろうかと思いますので、いろんな実例があるんです、われわれ知っています。もう時間ないから申し上げませんけれども、本当にいろんなどうしていいかという正しい情報がないために右往左往した地域が実際あるんです。それは大臣よくおわかりだと思います。ひとつこれ後日もまたこの問題どういうふうになったか聞きますから、しっかりひとつ取り組んでください。  次に、郵便貯金の金利政策のことについて、これもちょっと後もう十分そこそこしか時間ないのでありますが、これは触れずにはおられない問題なので二、三お尋ねいたします。  この郵政省の今後の郵便貯金のあり方について、いろいろな角度から御検討はしていらっしゃるようでありますが、郵便貯金に関する調査研究会というものを設置して、それで新しい時代に即応した郵便貯金のあり方について御検討なさっているようでありますが、この調査研究会の設置の目的とまた現在の調査状況等についてちょっとお伺いしたいと思います。
  179. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 最近におきます経済基調の変化とか社会意識の変化というようなことが言われておりますが、そういう環境の変化に伴いまして、国民の金融サービスに対する要請もだんだんと高度化あるいは多様化しつつあると言われております。  このような背景のもとに郵便貯金のあり方につきましては、従来から各方面の関係の場におきましていろいろと論議が行われてきたことでもありますが、郵政省としましても、これまで部内においていろいろ議論も重ねてまいっておりますが、今回、広く経済学、金融論、社会学等、各学界の専門家の知識を求めまして、郵便貯金の社会的機能のあり方等について学術的な立場から基本的な調査研究を行うという目的で、郵便貯金に関する調査研究会を設けた次第でございます。この調査研究会は学者の方々のグループでありまして、郵便貯金とこれを取り巻く経済金融環境について学術的専門的立場から、社会科学のさまざまな分野における理論とか分析手法を用いまして総合的科学的に調査研究を行っていただくということにいたしております。  そこで、この調査状況でございますが、第一回の調査研究会は九月の二十四日に開催いたしましたが、ここでは調査研究会の運営の進め方を討議いただいたほか、郵便貯金の現状について説明を申し上げたわけでありまして、本格的な活動はこれからでございます。で大体の期間でございますが、今年度と来年度いっぱいぐらいを目途といたしておりまして、毎月一回ぐらい、忙しい先生方でありますが、集まっていただいて研究をしていっていただきたい、こういうふうに考えております。
  180. 藤原房雄

    藤原房雄君 郵便貯金の問題で、大臣、一番大事なことは、金利決定のことだと思いますけれども、これに対して大臣どのようなお考えでいらっしゃるのか、金利決定は非常に重要な要素だと思うんですけれども
  181. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 私からお答え申し上げますが、郵便貯金の金利問題は、御指摘のように、郵便貯金のあり方を検討する上でもきわめて重要な要素であると考えております。郵便貯金法第十二条では、預金者の利益を増進し、貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払うとともに、あわせて一般の金融機関の金利についても配意しなければならない、こういうふうに規定しておりますが、郵政省としましては、この基本にのっとり対処すべきものと考えております。
  182. 藤原房雄

    藤原房雄君 この問題については、ある新聞に報道されたところによりますと、銀行預金とそれから郵便貯金の金利一元化について、大蔵省と日銀と郵政省の三者で検討に入ったというか、入るというのか、こういうことが報道されておるんですけれども、こういう事実があるんですか。大蔵省の方どなたかいらっしゃっていますか。
  183. 宮本保孝

    説明員(宮本保孝君) 先生御指摘の点につきましては、私どもといたしまして、金融政策的に言わせていただきますと、郵便貯金とそれから銀行預金の金利を一元的にすることが望ましいということでございまして、関係の皆様方の御理解を得たいとは思っておりますけれども、新聞に報道されましたような事実は全然ございません。
  184. 藤原房雄

    藤原房雄君 いま局長のお話がありました十二条の精神から言いまして、当然、銀行預金と同一に見るべきものじゃない、その趣旨から言いまして。しかし国全体の経済ということから考えると、全然無関係でないということはこれはわれわれもわかりますけれども、まあ去年の金利引き下げですか、公定歩合の引き下げに伴いこの問題が起きたときに、村上郵政大臣大分がんばったのか、がんばらなかったのか、ああいう結果になったことは大分この委員会でも問題になりました。  しかし、これは郵便貯金の金利決定というのは郵政大臣の専管事項になっておるわけでございますし、それだけに、これはもう確かに日本の経済、財政に大きな影響を及ぼすほどの金額であることは御存じのとおりであります。それだけに無関係ではないのかもしれませんが、しかし、これは本来郵便貯金をなさった預金者の立場に立つならば、これはそういう国の政策決定等で一元的に動かされたのでは、余りにも法的な趣旨の上から言いまして、やっぱり郵便貯金法の法律に基づいて専管事項として郵政大臣が決定すべきことは、これは大前提というか当然のことでありまして、協議とか、そんな問題について話し合うことは当然としましても、一元化なんてことは、これはわれわれは絶対こんなことを口にすることも、またこんなことが新聞に出ることすらも遺憾であると私どもは思うわけです。いま大蔵省のお話ですと、お話はあったけれども、そういう新聞に出たようなことはないということのようでありますが、大臣、これどうなんですか。
  185. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 話し合ったことはございません。  また、いまの御指摘の点は、郵便貯金は、御承知のとおり、郵政審議会の議を経て、諮問によって政令で決めることに相なっております。決め方につきましては、利率決定の現行の仕組みを変える考えは持っておりません。
  186. 藤原房雄

    藤原房雄君 大蔵省としても、あなたの立場でどこまで発言できるかわかりませんけれども、しかし、こういうことが新聞に報道されたということは、私どもとしては、これは見過ごすわけにいかない重大な、記事そのものの内容から言って全然これは否定し得られるものではないだろうと思います。そういう方向で何らかの形で話し合いが進められているのか大きな疑義を持たざるを得ないのでありますが、いま大臣から非常に力強いお話もございました。  ひとつがっちり郵便貯金なさっている郵便貯金の預金者の立場に立って、郵政当局ひとつ主体性のある方向でこれはきちっと主張していただきませんと、大蔵省それから日銀、郵政省、これらのもので郵政省が全然無関係ではないのかもしれませんが、一元的にこれが動かされるということになりますと、本来の郵便貯金の預金者のこれは考え方から言うと百八十度違う方向に行ってしまうということで、ひとつ預金者を守るという上からがっちりやっていただきたい。  それから、時間ありませんから、もう一つだけお伺いしますが、定額貯金の預けがえ問題ですね。これも前々国会ですか、うちの山田委員からこの問題についてはるる質疑がございました。私も一つずつ申し上げたいと思うのですが、時間もありませんからそこまでお話しする時間もございませんが、この定額貯金の預けがえについては、当初、一遍に窓口に来たら大変なので順次やりますとか、それはああですこうですとか、いろんなことを言っておったんですけれども、現在の預けがえの進捗状況はどうですか、あともう何ヵ月もないですよ。
  187. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 四十九年九月の利上げの際における定額貯金の預けがえの特別措置でございますが、預金者から請求があったものに限り、四十九年九月二十四日にさかのぼって預けがえされたものとみなされるということにいたしたわけでありますが、郵政省といたしましては、この利率改定後、直ちに新聞広告あるいは郵便局におけるポスターの掲示あるいは窓口職員、外務職員を通じて周知に努めてまいりましたが、この結果すでに対象数の約七割が預けがえの処理を済ませております。今後とも引き続き各種の周知施策を継続的に実施いたしまして、預金者に十分周知徹底を図り、一人でも多くの預金者の方が預けがえをされるよう努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  188. 藤原房雄

    藤原房雄君 七割と言いましたね、東北郵政局の調べではまだ三五%というんですよ。これは地域的なやつでは大分アンバランスあるんですか。
  189. 神山文男

    政府委員(神山文男君) これは私どもの方で全国的に集計した数でございますけれども、本年九月末現在で約五千万枚というふうに見込んでおります。これは四十九年九月以前に預入された定額貯金で本年九月末現在においてなお継続して預入されている七千百万枚の約七〇%に当たる、こういうことになっております。それから、なお二千万枚程度のものが残っておるということになるわけでありますが、この中には来年一月までに払い戻されるものも当然ありまして、対象数はさらに減るものと考えられておりますが、最近の情勢は、月平均約五百二十万件程度の預けがえになっておりますので、残る三ヵ月半の間に対象となる証書のほとんどが預けがえになるものとわれわれは考えております。
  190. 藤原房雄

    藤原房雄君 地域格差というか、地域でのアンバランスは。
  191. 神山文男

    政府委員(神山文男君) ただいま手元に詳細な資料がございませんので、地域的のアンバラというものは申し上げることができませんけれども、全国的にはそういう情勢になっております。
  192. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ大都市とそれから山間僻地というか、なかなか郵便局の利用——遠隔地にあってということや、また周知の徹底の仕方とかいろんなこともあるんだろうと思いますけれども、最近、新聞や雑誌を見て広告の出ているのはわれわれも目につきますけれども、よっぽどこれは気をつけてないとわからない。まあこれから外務員の戸別訪問とか、それから市町村の広報紙とか町内会の回覧板とかきめ細かにやりませんと、これからの伸びというのはなかなか大変なんじゃないか。いままではある程度知る範囲の人たちは——やっぱりこれしっかりいたしませんと、不公平といいますか、預けがえの届けをした人と。これは当初いろんな論議がございました。しかしPRを徹底してそういう事態の起きないようにということでありますが、実際、東北全体ですとまだまだ非常に低いというのが現状のようです。  こういう地域的な等況等も勘案しまして、後からこういう不公平さ、不平等さというものが住民の批判を浴びないようなPRをひとつしっかりやっていただかないとならないと思うんです。それぞれの地域ではそれぞれいろいろこう工夫をこらしてやっているようでありますが、やっぱりいままでは自動的になっているというこういう観念があるものですから、自分で持っていかなきゃならないという、これはだれかから言われなければなかなか気がつかない。郵便局に行きますと必ず張ってある、新聞にもときおり出ておるということでありますが、いままでのあり方を変えたわけですから、これを周知徹底するということはなかなかきめ細かにやらないとできないんじゃないか。そういうことから外務員の戸別訪問とか、それから町村の広報紙や町内会の回覧板とか、こういう最大限ひとつ一人一人の方々に目の届くようなPRの仕方をいたしませんと、一月十四日ですか、あと三カ月しかありませんから、当初私どもが主張しましたように、こういう制度を変えたということで不合理さのないように善処するという大みえを切って御答弁なさったんでありますから、後になって問題が起きないように、この問題もひとつ各地域別にもう少し細かに御検討いただいて問題の処理に当たっていただきたいと、こう思います。  時間も来たようでございますので、この貯金の問題につきましても、金利のこともさることながら、新しい制度、件数が多いだけにこれは徹底するということは非常に骨の折れることだろうと思いますが、やっぱりこれは制度を変えたからにはそういう周知徹底をすることは郵政当局として全力を尽くしてやるのはこれは当然のことだと思います。それだけにひとつ、進捗状況は決して、三カ月残して現在七割で、これはいいとは言えないと思いますので、ひとつ徹底的な調査をし、またPRもしていただきまして、利用者に不公平なことのないように善処していただきたいと思います。ひとつ御決意のほどを、大臣——これわかるだろうね、何のことだか、大臣
  193. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) これからもPRについて継続し、強力に実行いたしまして、一人でも多く預けがえが多くなるように預金者のために呼びかけるつもりでございます。
  194. 山中郁子

    ○山中郁子君 新しく就任されました大臣に、所信の一環として、私は、郵政行政の中心的な主要な一つである郵便事業の財政問題に絡んで一言初めに質問をいたします。  郵便料金の値上げが行われたと、これが国民の暮らしに大きな影響を与えているということはすでに明らかですけれども、去る十月七日の衆議院の逓信委員会、また物特委員会との連合審査で、郵便料金を五十三年度まで値上げしないというふうに大臣発言をされた、だけど、その後の同日の逓信委員会でそれを訂正したという報道がされておりますけれども、実際のところはどうであったのかということをまずお伺いいたします。
  195. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 初めの答弁は少し舌足らずでございまして誤解を招く点がございましたので、訂正発言をいたした次第でございます。少なくとも来年度はまず絶対に回避できるという私は見通しを持っておりますが、次年度——二年後も何とかして回避の方向で努力したいということでございます。
  196. 山中郁子

    ○山中郁子君 これは朝日の報道なんですけれども、一応値上げをしないでいきたいというふうに述べたけれども、しかし、郵便財政は五十二年度には早くも大幅な赤字となるため、五十三年度には再値上げが必要だとの考えが郵政省内には強く、このため郵政相が訂正したと、こういう報道がされているんですが、私は、まず郵政省の内部にそういう強い意向があるのかどうか、そしてまた、いまの御答弁は五十三年度もあわせて値上げをしないと、そういう決意がはっきり郵政大臣としてはあるのか、その二点についてお尋ねをいたします。
  197. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 回避に最大限の努力をいたしたいという意味でございまして、ただ事務的に報告を受けますと、なかなか人件費のことについては、いまから絶対値上げやらないと、やらなくてもよろしいという結論を出すにはいささか不正確であるというので、回避に努力するという意味でございます。
  198. 山中郁子

    ○山中郁子君 そういう本当にそうしたものが基本的な姿勢であるならば、最初の発言を何らその次に続いて訂正なさるということは必要ないというふうに思います。で、その訂正をなさったことが、やはり郵政省はまた郵便料金の値上げを考えているんだなと、こういうことを国民に思わせる、そうした要因になるということは郵政大臣はよく御存じのはずだというふうに思うんです。で現在、臨時国会では電信電話料金の値上げ、それから国鉄運賃の値上げ、これが大きな課題になっておりまして、そしてまた消費者物価指数も上がっている。そういう事態のもとで、まさに郵政大臣がそうした発言をされることは、郵政省としてまたまた郵便料金の値上げを考えているのかという国民感情を逆なでするものであるというふうに言わざるを得ないと思いますので、私はもしいま大臣が言われたように、値上げは回避するというのはあくまでも基本的な郵政省の姿勢であるというならば、そのことは明確にして今後ともいっていただきたいというふうに思います。  それで、そのことに関して、私はまず新大臣にお考えを伺いたいんですけれども、実は、ことしの一月に値上げされました郵便料金の値上げの問題に絡んで、昨年の通常国会、臨時国会を通じまして、実に膨大な時間を費やしていろいろな質疑が交わされました。その中の一つの大きな課題は、郵便事業が受益者負担ということで、人の力に頼らなければいけないからいずれにしても経費がかさんでどんどん高くなってくる、で当然赤字が出てくる、この赤字は全部利用者の負担で賄わなければいけないのだ、こういうことをいろんな方面から、私もいたしましたし、ほかの議員の方たちも質問をいたしましたけれども、政府は、そして郵政大臣は、そうした姿勢を変えずに、かたくなにその問題については新たな打開の道を探ろうとする積極的な姿勢が見られなかった。私は、このことは大変残念だというふうに思うんです。  で、細かい一つの問題ならいいです。だけれども、郵便事業の財政というのは郵政行政の中での主要な大きな問題点一つです。このことについてぜひとも郵政大臣が新機軸を持って郵政事業に当たりたいとおっしゃるならば、少なくともいままでの姿勢について再検討する、つまり赤字になるから郵便料をまた上げるんだと、またどうせ赤字になるからまたそのとき上げるんだと、こういう安易な姿勢はやはり検討をしていただかなければならない。私は、新しい大臣が新機軸を生み出すと、こういうふうに抱負を語っていらっしゃる以上は、その中にその問題は大きな課題として認識しておられるというふうに思いますけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  199. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 最初の発言は、いわば利用者といいますか、そういう立場からの感覚が私は強過ぎたわけでございます。しかし郵政大臣立場になりますと、もし値上げをせざるを得ないような状況が出た場合には、いろいろとまた責任問題も起こりますし、私にいたしましては、五十二年度はまず絶対に近いほど値上げの必要なしと、また抑えられる、しかしその次には人件費その他のいままでのデータを調べまして、果たして値上げをしないで済むということを断言はできないということでございます。極力しかし回避の方向で努力することは当然でございます。
  200. 山中郁子

    ○山中郁子君 私がいま質問しているのは、極力回避の方向でとおっしゃるけれども、もし赤字になったらどうなさるんですか。やはり赤字になれば、当然、だから上げなきゃならぬ、こういうことですか。
  201. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) これは将来の問題で、いわば仮定の場合にはっきりしたことはどうかと思いますが、やはり原則としていままでの赤字対策をやってまいりました対策を考えますと、やはり受益者負担で上げるという状況に追い込まれると私は考えております。
  202. 山中郁子

    ○山中郁子君 私はそこのところをお伺いしているんです。いままでのこの逓信委員会審議でも、本当に何十回、何百回となく審議が交わされたことは、公共事業である、そして国民の基本的な権利に関する郵便事業に当たって、もしそのような事態が起こっても、国がやはり一定のお金を出して、そして国民の利益と権利を守るべきではないか、これが繰り返し質疑をされたわけです。私はいまこの場でそのことについての新たな見解までを述べよとは申しませんけれども、そのことについては何らかの積極的な、いままでこうであったからこれからもずっとそうなんだということではなくて、何らかの積極的な姿勢でもって研究もするし、考えてもいきたい、こういう御答弁はぜひいただきたいというふうに思っております。いかがでしょうか。
  203. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 心構えとしては十分御意見わかります。その心構えで努力を重ねていきたい。ただ、赤字が出たから一般会計で繰り入れるとか、あるいは借りるといったような方法は私どもはとらないということだけを申し上げておきたいと思います。
  204. 山中郁子

    ○山中郁子君 後ほど、また郵政省に対する質問はいたしますが、次に、新しく会長就任されましたNHK会長に対して質問をいたします。  けさほど来から小野会長辞任問題については質疑が交わされました。しかし私もやはりどうしてもこの問題について触れないわけにはいきません。ぜひとも率直にお話を伺いたいと思います。  で私が一番明らかにしてほしいことは、小野会長があのようなことで、つまり田中角榮を見舞う、そうしたことが見識を問われて辞任をしたということが本当に国民に対しても申しわけないし、第一線でロッキードの真相究明のために活躍をしていらっしゃる、大きな苦労をしていらっしゃるNHKの職員の人たち、そういう人たちに対しても申しわけなかったと、あのことはやっぱり間違いであって、そういうことはするべきではなかったんだということを主要な問題として認識されておられるかどうか、このことをまずお伺いしたいと思います。
  205. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私は、小野会長の心境を全く理解しないとは申し上げかねますけれども、しかし小野会長のおとりになった行為そのものは、NHK会長というお立場から適当ではない、適切ではないというふうに判断いたしております。
  206. 山中郁子

    ○山中郁子君 で小野会長がそれで辞任をするときのいろいろな新聞報道もありました。委員会での釈明もありました。私は、問題は、国民がこれに対して、この問題を契機に、いままで長い間この逓信委員会でもあるいはNHKとしても努力された中立公正、そういうふうなNHKの姿勢があの小野会長の行為でもって一挙に崩れたんですね。国民は新たな不信をNHKに対して持った。このことが一つです。  それからもう一つは、それであるにもかかわらず、小野会長辞任するに当たって本当に反省をしたか。それは私は残念ながら本当に心からの反省がされていないということを言わざるを得ません。ここに小野さんがいらっしゃるわけじゃありませんけれども、私は、これは今後のNHKの政治姿勢とも関係しますので、あえてその点について申し上げなければならないと思います。  たとえば九月四日の読売新聞は「反省ゼロの退陣」このように大見出しでもって報道しております。ほかの新聞も大同小異です。やっぱり反省しているという、そういう退陣の姿勢ではない、私も本当にそういうふうに思いました。このときの記者会見で、テレビで放映されて、小野さんに対して辞任の御感想はいかがですかというインタビューがあったことに対して、小野さんは涼やかな心境ですと、こう言われたんです。私はこれは本当に国民に対する挑発だと思いました。つまり田中角榮を見舞ったということに対してたくさんの批判が出た。批判があって自分はやめざるを得なかった、それに対して、そういうことがあって辞任して後の心境がどうかと問われて、涼やかな心境ですというふうにして、そして結局後足で砂をける、そういう姿勢でもって退陣をする。  私は、いままでこの逓信委員会でも、私がこちらに来てからでも何回かNHKの決算、予算についての審議をいたしました。そして小野会長がその都度出てこられて、先生のおっしゃることはごもっともでございます、委員会の御指摘はごもっともでございます、何回言われたかわかりません。だけれども、そのことがやっぱり小野さんは心の底からそういうふうに思っていなかったのだ、国民のためのNHKとか開かれたNHKとか中立公正のNHKとか、そういうことが何回繰り返されても、結局はああしたことで退陣せざるを得なくなった心境が涼やかな心境だと言って国民に挑発的な言葉を投げかけてやめる、そこに私は端的にそのことがあらわれているというふうに思いました。  これは大変残念というふうなことじゃなくて、やっぱりNHKが本当にこのことを反省して、このことを今後のNHK放送事業を進める上での姿勢として明らかに確認をし、そしてその責任もとりつつ国民のための放送機関として前進するということがなければ、今後の改善というものは望まれないし、また何らかのところ——私は決して新しい会長がそうしたことを起こすだろうというふうなことを申し上げているわけじゃありません。だけれどもNHKの事業のどこかに、幹部の姿勢の中のどこかにそうしたものが出てくる、このことは絶対ないとは言えないのじゃないかというふうに思います。その点についての会長の所見をお伺いいたします。
  207. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 現状において、山中先生からいろいろ御指摘がございましたことについて私が御答弁申し上げることは、場合によれば言いわけめく点も出てまいろうかと思いますので、私といたしましては、それに具体的にお答えするよりか、今後の放送の中身、内容等であかしを立てていきたいという心境でございますので、その点ひとつ御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  208. 山中郁子

    ○山中郁子君 で坂本さんが今度会長になられたわけです。私はそういうことなので、つまり坂本さんが会長になられたので前回の質疑の中で坂本さんが答弁なさったことをもう一度確認をしたいと思います。つまり、いたずらに前のことを繰り返す、ほじくり返すということではありません。坂本さんが会長になられたという立場で、そしていま決意を表明されましたように、本当にこの問題を今後のNHKの事業のよりよき、より正しい方針へ、方向へ進めていくための問題として、一つだけ取り上げさせていただきたいと思います。  それはロッキード問題に絡みましてさまざまな政治的な圧力があった、自民党筋からの圧力があった。赤旗が報道した灰色高官ないしはそうした関連する問題をNHKが報道したことはけしからぬということがあった。いろいろなことが言われ、またここでも論議をされました。共産党ではその問題につきましては、これは具体的には衆議院で質問をしたのですけれども、五月の六日です、衆議院の逓信委員会でこのロッキード事件の報道をめぐっての事実関係を伺ったときに、坂本さんは「御指摘のように、NHKのニュースで社会新報並びに赤旗に掲載されることになりました事実関係を、上田耕一郎氏の記者会見の記事として取り上げた次第でございます。」と、こういうふうに大変回りくどい答弁をしていらっしゃるんです。私は、何でこんなことを言う必要があるのかということはちょっと理解に苦しみます。つまり「NHKのニュースで社会新報並びに赤旗に掲載されることになりました事実関係を、」これは実際にはNHKが報道したのは何も赤旗や社会新報が報道するもっと前の話です。上田耕一郎さんが記者会見をして発表したことをNHKが報道するに値するニュースとして取材をして報道したにすぎないことだというふうに私は考えておりますけれども、その点について、こういうよけいなことをおっしゃっているので、私はこの点はやはりはっきり新会長になられたのを契機に、その報道の考え方についてお伺いしておきたいと思います。
  209. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 大変舌足らずな答弁で申しわけないと思いますけれども、私が申し上げたかったのは、赤旗の記事を引用したように受け取られているとすればそうではなしに、上田耕一郎氏の記者会見をクレジットをつけて放送をしたのでございますというふうに申し上げたつもりでいるわけでございます。
  210. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は別に赤旗が報道したことをNHKがニュースとして取り上げて悪いというふうに言っているわけじゃない。当然のことながら、赤旗が報道したものであろうと社会新報が報道したものであろうと自由新報が報道したものであろうと、NHKがそれに対する評価をして、そしてNHK責任において取材するべきものを取材して報道するべきものを報道すると、このことは何ら問題のないことであって、問題がないどころじゃなくて、そのことが基本的に確立されていなければ報道の公正というものは確立できないんだ、このことを明確にしたいというふうに思っているわけです。その点について御異存はないわけでしょうか。
  211. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 確かにいかなるところにもニュースは存在するわけでございますから、存在したニュースが報道する価値がありとすれば、いかなるところに報じられても報道するということはあり得るかと思いますけれども、赤旗ないしは社会新報その他政党の機関紙ということになりますれば、当然、その政治的なお立場での報道ということもあろうかと思いますので、それを取り上げるということになりますと、公正中立というたてまえからいってよほど慎重に扱わなきゃならぬというふうに考える次第でございます。
  212. 山中郁子

    ○山中郁子君 慎重であることはすべてについてそうですし、私は一般論としていま申し上げましたので、その点は御異存のないところだというふうに理解をいたします。  それで、これも新聞などでも報道されるし、私も直接組合の方からも伺っているところなんですが、一つは、第一線でロッキード取材のために本当に苦労していらした記者の方たちだとか、現場の人たちが自分たちの苦労が一体どうなるんだと、本当にもう歯がみをする思いであの事件を受けとめた。それからまた委託集金人の方たちは、もうそこへ行くとNHK会長は何だと、もう払わないぞということで不払いも多く出るし、不払いまで至らなくてもたくさんの苦情や批判を受けなきゃいけない、こういうふうな事態が起こったということはよくもちろん御承知のところだというふうに思います。  で私もこれはこれからの問題に大変大きな影響がある。現実の問題としてもたとえば不払いの問題なんかで影響が出ていますし、これはまたもちろん解決してない問題です。それから今後の国民のNHKに対する見方ですね、NHKがいろいろな、さまざまな点で努力をして、そして国民のための開かれたNHK、中立公正の報道ということで努力をしてきたことに対する国民の不信ですね、そういうものがやっぱり一挙にこれでもって後退をしなきゃならないような事態になってきている。これは私は否めないというふうに思っています。  そこでお伺いするんですが、これは午前中の質疑にもたしかあったと思いますが、もし把握されているならば、この前の小野会長の問題に関して具体的に関連して不払いというふうな状況がどのくらい生じたのかということと、それから私が申し上げましたような国民の、いままでもそれはNHKに対する批判とかいろいろあります、人それぞれの考え方があります、だけれども、このことについて本当に大きく不信が広がってきておるということをどのように認識していらっしゃるかということについてお伺いをいたします。
  213. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) お答えいたします。  小野会長が田中邸を訪問されましたのは二十四日の朝でございます。その夕方、新聞に報道されましたので、その直後からNHKの東京の相談センターあるいは各放送局相談室にいろんな形の電話がございました。もちろん、軽率な行動で許せないというふうな非難、攻撃の電話がほとんどでございました。で九月の三日までにおおよそ千五百件程度の電話がございました。  その中で、NHKを信頼していたが今度のことでNHKは信頼できなくなった、受信料は払えないというふうなこと。あるいは会長辞任しない限り受信料は払わないというふうなのが約三分の一、五百件程度ございました。その後、九月の三日に小野会長辞任が発表されました。その後は急にそういう電話による非難、抗議等は少なくなりました。しかし、会長がやめたからといってNHKの姿勢を信頼するわけにはいかないというふうなものもございました。しかし、逆に、辞任されたのであるから不払いは撤回するというものも出てまいりました。そういうことで、現在までそういう方々に対応いたしましていろいろ御説明もいたしました。それで現在ではほとんどこの問題についての不払いは解決しているというふうに考えております。  それから、この件数は、相談センターあるいは相談室に電話でかかってきたものでございまして、それ以外に、先ほど指摘のように、委託の集金の方々が出先で受信者の方からそういうふうに言われたものも相当数ございます。それらについてもほとんどは解決しています。  で、私どもといたしましては、この小野会長の問題についてのこの不払いの意思表明というものは、ほとんどが一過性のものであるというふうに考えております。しかし、これで会長辞任によって一〇〇%解決したというふうには考えておりません。先ほども申し上げましたように、会長がやめたからといってNHKを信頼するわけにはいかないというふうにお考えの方もおられることは確かでございまして、そういう方々に対しましては、先ほど会長からも申し上げましたように、私どもがこれから放送を通じてNHKの公正中立、不偏不党という姿勢を徹底させていくことによって解決を図りたい、このように考えております。
  214. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほど会長に、国民の気持ちをどう受けとめるのかという質問も一緒にいたしました。それをお答えいただく前にちょっと申し上げたいんです。  私は決して言葉じりをとらえるつもりは本当に毛頭ありません。だけれども、やっぱり一過性の現象だというふうにおっしゃることは私は問題があるというふうに言わざるを得ません。一過性というのは、ぱっと起こってそれでそのまま消えちゃうということなんですよね、そうではないんです。この問題はそうじゃないんだということを私が最初から申し上げているということはおわかりいただいているというふうに思いますが、その点の指摘を初めにさせていただいてから会長の所感をお伺いいたします。
  215. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) その点につきましては、私どもも十分この問題は深く考えるべきであろうというふうに思っております。したがいまして、再々申し上げますように、今後の番組の制作等において聴視者の御疑念を晴らすという努力をしたいというふうに考えておる次第でございます。
  216. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、先ほど申しましたように、職員の方だとかあるいは委託集金人の方たちに対してやはり幹部として、会長として謝罪をなさるべきだというふうに思っております。あるいはなさったかもしれません。その辺のところをお伺いしておきたいと思います。
  217. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私、事件が起こりましてから、NHKの仕事に従事して、あるいは働いている方々にその間のことについて、当時、私は直接補佐の任にある者であったわけでございますので、そういう立場からもいろいろと心配をかけたということについて深く陳謝の意を表した次第でございます。
  218. 山中郁子

    ○山中郁子君 先回の国会でNHK予算が承認をされて値上げが行われたわけですけれども、値上げ後の財政状況、まあ収入状況ですね、のいろいろ心配もされました。受信料が上がることによって収入が減る、減るというよりは件数が減るというふうな問題だとか、不払いがふえるという問題だとか、そうした疑念も多く出されておりましたし、NHKの方としてもそうしたことは頭に置きつつがんばっていきたいというふうな見解が出されておりましたが、その後の大まかな状況について御報告をいただきたいと思います。
  219. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) 六月から新しい料金で収納を始めたわけでございますが、六月、七月、この二ヵ月、今年度の第二期の集金期でございますが、この六、七月の第二期におきまして収納率では前年同期に比べまして〇・八%の落ち込みと申しますか、その程度でとどまりました。この程度にとどまりましたのは、私どもが当初予想しておりましたよりはるかに少ない落ち込みにとどまったわけでございまして、もちろんこの中には値上げを理由にして払わないという方もおられることは当然でございますけれども、ほとんどは集金の日に回りました際に料金の改定について説明を求められるというふうなことで、一件当たりの応接時間が非常にふえた、このために集金の効率が低下したということが大きな理由というふうに考えております。  で改定を理由にいたします未収の数、これはこの六月、七月で約二万四千件程度になっております。この二万四千件のうち、すでに三分の一につきましては解決をいたして収納されております。さらに残る三分の二につきましても引き続いて収納に努力しているところでございます。
  220. 山中郁子

    ○山中郁子君 落ち込みの回復の見通しと、それから直接的に値上げを理由として払わないというふうに把握できている件数が具体的にどのくらいかということは、おわかりいただいたら聞かせてください。
  221. 茜ケ久保重光

    理事茜ケ久保重光君) 速記をとめて。   〔速記中止
  222. 茜ケ久保重光

    理事茜ケ久保重光君) 速記を始めて。
  223. 中塚昌胤

    参考人中塚昌胤君) この二万四千件の中で二万一千件余りが払わない。それから二千二百件ぐらいが新料金は払わない、もとの料金なら払うけれども、新しい料金は払わないという方でございます。それから約三百件の方が前納の精算はやらない、そういう方でございます。
  224. 山中郁子

    ○山中郁子君 次に、私は先回の国会で予算案の審議に際しまして幾つかの点を質疑し、そして要望もし、NHKからもお約束をいただいたことについてのその後の経過並びに実施状況についてお尋ねをいたします。  一つは、番組審議会の構成についてです。いろいろな観点から申し上げましたけれども、私がとりわけ強調しましたのは、たとえば視聴者、機械的に言っても国民の半数以上は女性が占めているし、テレビを見る人たちの率というのは女性の方が圧倒的に多いというものもいろいろなデータから出ている。したがって番組審議会の構成は、たとえば女性の比率を高めるとか、そういうことで真に国民の声を代表できる、そうしたものにするべきではないかということで申しました。そして小野会長もそれはもっともなことであるというふうに言われましたし、また坂本さんも当時その任期の交代期に改善していくということになりましょうかと思いますというふうに答弁をしておられます。五月から九月までに任期が来たところもずいぶんあると思いますが、具体的にどのように改善をされたか御報告をいただきます。
  225. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  五月以降に来た方もいらっしゃいますが、われわれといたしましては、その都度後任を定めているわけでございますが、そのたびごとに国会の御意向を具体的に反映するということもさることながら、去る七月に、今後の番組審議会の構成についてのあり方について全体的に検討いたしまして、そして大体構成の目安等を決めまして、さらに年齢の若返り、婦人についての評価を決めまして、これを七月ごろ各地方番組審議会の今後の運営として各地方に徹底をいたしました。したがって、その後の新しい委員の任命はこの線に沿って行われたと思いますが、何と申しましても中央番組審議委員の選定が具体的な地方の番組審議委員の選定の基準になりますので、現在、鋭意新しい委員の選定に努力しているわけでございます。  と申しますのは、従来、中央番組審議委員十五名以上というふうに法律で定められておりますが、いままで大体二十四、五人でございました。それが現在二十名ということに相なっております。そうしておりますゆえんのものは、国会でお約束したようなものになるべく早い機会に近づけるために任期の来た方につきましても直ちに後任を補充することなく、今年度中にある程度まとめてこれを任命したいということで二十名にしているわけでございます。  それで、いまここで計画を発表するのはいかがかと思いますが、少なくとも今年度中、早ければ第一陣はことし中にお願いしたいというふうに思っておりまして、その際に山中先生の御意向を反映できるものというふうに思います。ただ、いままでのところ、準備行動をしているという段階と御了承願いたいと思います。
  226. 山中郁子

    ○山中郁子君 中央番組審議会についてのお考えはいまの御答弁でわかりました。  地方番組審議会で現実に任期が終わって新たに選出された、任命された人がいらっしゃるわけでしょう。そのことは具体的に何人の任期が終わって、そこに国会でお約束いただいた線に沿って何人の婦人を入れました、あるいは青年代表として何人入れましたというふうにお答え願えないものでしょうか。
  227. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 残念ながら、いまのところ、すぐ資料を整えて後ほど資料として差し上げたいと思います。いまここにちょっと手持ちの資料がございませんので御容赦願いたいと思いますが、婦人の一名の増加については東北にあったということだけはお伝えいたしたいと思います。
  228. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は番組審議会の構成の問題について事前に御質問いたしますからというふうにお伝えしておいたんですよ。それで大してそんな何百人、何千人もいらっしゃるわけじゃないでしょう。そういうのをやっぱり調べておいていただかないと困るし、本当にそういうふうにしていないんじゃないかと疑っちゃう気分になりますけれども、本当にそういうことを実際にやっていらっしゃるんですか。後で資料をもらったら結局は一人ふえたけれども、一人減ったりしてちっとも変わっていなかったということにならないのですか、その点はどうなんでしょう。
  229. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) そういうことにはならないと思います。
  230. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、いまのお言葉を信用しまして、期待をして、資料を後ほど提出をしていただきたいと思います。  それから同じく番組審議会の問題に関連して、私は公開の問題を提起いたしました。これはやはり開かれたNHKということのまず第一の要件ではないか。経営委員会の問題とあわせてですが、いまここでは番組審議会の問題についてのみ質問いたしますが、この点についても小野会長は積極的に対応したいというふうにお約束をなさったわけですが、どのように取り運んでおられるか、どのような考え方があるか、お伺いいたします。
  231. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 公開につきましては、記者会見の席で審議内容を明らかにする、必要とあれば文書も求めに応じて配付する、あるいは番組等において番組審議会のあり方についてあるいは審議について国民の前に明らかにする、こんなことがあろうかと思いますが、第一の記者会見については、それ以後九月の番組審議会の経過について私の記者会見でこれを報道いたしました。それからさらに放送を通じてこれを明らかにすることにつきましても、九月中にNHK放送を通じて東畑番組審議委員長のお話を直接電波に乗せました。  なお、申し添えますが、番組審議会の公表については、審議委員先生方も積極的にこれに賛成したことを申し添えておきます。
  232. 山中郁子

    ○山中郁子君 御答弁があったことを私は評価しないわけではありません。それはそれで結構ですが、もっとはっきり言いますと、視聴者はやっぱり一つの側面としてNHKは表向ききれいなことを言って、ごもっともなことばっかり言っているけれども、実際はどうなんだろう、何でもきれいごとにこうやって、表に出てくるものはきれいごとが出てくる。実際、国民の放送機関だというならば、全部を国民の前に明らかにしていいではないか。一番関心のあるたとえば番組の問題についても、番組審議会はどういうことを審議しているのかということについて知りたい、また知る権利がある、またNHKは知らせなければならない義務がある、こういうふうに思っているわけです。そういう観点から言いますと、いまの御答弁はかなり違うのですね。  たとえて言うならば、堀さんが記者会見なさる。だけれども都合のいいことだけをおっしゃるかもしれないんじゃないかというふうに思われても仕方がないでしょう。だから一番の公開という問題は、議事録を公開するとか、あるいは実際に審議会の会場を公開してジャーナリストの人たちも関心のある視聴者の人たちもそれを傍聴できる、こういうことにならなければ本当の公開にならないというふうに私は考えますが、そうしたところにさらにアプローチしていくという積極的な姿勢をぜひ持っていただきたいと思いますが、会長の見解をお伺いいたします。
  233. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 審議会の先生方はもちろん御見識のある先生方の集会でございますから、全く文字どおりオープンに公開してもそれは差し支えないという御見解もあろうかと思いますけれども、できますれば自由濶達にお話し合いを願うというたてまえからいきますと、そこまでの公開ということにつきましては多少私なりにやや問題があるんではないかというふうに思っておるわけでございますけれども、この点につきましても、今後、審議会の先生方等とお話し合いを進めながら、さらに検討させていただきたいというふうに思う次第でございます。
  234. 山中郁子

    ○山中郁子君 自由濶達に大いにやっていただいていいんであって、そのことば何らかのやっぱり検討しなきゃいけない部分がそれは私は出てくるかもしれないと思うんです。つまり具体的にはたとえば人数を制限しなきゃならないみたいなことが起こってきたり、そういうことがあるかもしれませんけれども、結局、いままでの一歩前進だというふうには思いますが、そういうことではやはりNHKが恣意的に知らせたいことだけ知らせるというふうに国民が思うことだってできるわけですね。そういうふうに思っちゃいけない、NHKの言うことを全部信用しなさいということはできないわけですよ。そういう点で私はいまの会長の答弁をさらに積極的に今後の検討課題として、いつまでもということでなくて、早期に進めていただくよう要望をいたします。  次の問題ですが、予算審議に当たりまして、大変いろいろわかりにくいし、視聴者が一番大きく関心を持ってはいるけれども、それでも予算のあり方がわかりにくい、NHKの経理の内容がどうなっているのか、そうした点について関心を持ち、希望する人が常に経理内容についてたとえば閲覧できるように放送会館にそういうものを設備するとかというふうな要望をいたしました。この点についてもNHKは積極的に取り組みますと、こういう御答弁だったわけですけれども、どうなっておりますでしょうか。
  235. 山本博

    参考人山本博君) 今年度は、前年度に比べまして、受信料の値上げという事情もございましたが、お話がございましたような観点からも、できるだけ国民の皆さんNHKを理解してもらいたいということに重点を置きまして、予算全体が事業支出として約一四%程度の増の今年度予算におきまして、約四三%増でそういう経費を見ております。  で具体的に国民の皆さんNHK予算あるいは決算、こういうものをわかっていただくのに一番実は有効なのが、この委員会内容をテレビで映すということが、これは方法としては一番効果的でございまして、これはすでにその方法を実施いたしておりますが、さらに本年度予算、それから五十年度の決算、それから暫定予算、それぞれの時期のときに中央紙、地方紙それからスポーツ新聞、あるいは場合によりましては週刊誌、そういうところに相当大きな広告といいますか広報関係の記事を出しまして、その中にNHKの金の使い方あるいは使われ方ということを今年度実施いたしております。なお放送会館あるいは中央の放送センター、そういうところにパンフレットを置きまして、ごらんになりたい方にはいつでも御説明もし、パンフレットも自由にお持ちいただけるように、そういう措置がしてございます。
  236. 山中郁子

    ○山中郁子君 次に、日芸労の方たちの待遇、処遇の問題について、まあ誠意を持って対処しますと、こういう御答弁だったんですけれども、私はあのとき三〇%アップという方向を、何とか要求を実現するよう努力をされたいということで、前向きに対処いたしますという御答弁だったというふうに思いますが、実際には、ことしの出演料のアップ分ですね、具体的にどうなっているか。そして来年度の契約についていま交渉が行われているはずだと思いますが、その辺の実態、実情と、それからNHKの今後の考え方ですね、それをお伺いいたします。
  237. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 日芸労を含みます大衆出演契約者との交渉は去る四月に一応完了いたしまして調印いたしました。その結果、年間支払い総額改善額として一三・四%ということで落着をいたしました。なお来年度当初についてではなくて、今年度のその後日芸労を含む大衆出演契約者の活動等につきまして関係者からの要望事項があり、それについては目下討議、話し合いが行われている段階でございます。
  238. 山中郁子

    ○山中郁子君 三〇%アップとは大分ほど遠い一三・何がしかのアップなんですけれども、これをもうちょっととにかくいま行われている中で消化して要求を実現していくという方向の可能性あるいは考え方について聞かせてください。
  239. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) まずお言葉を返すようでございますが、三〇%アップということにつきましては速記録等をわれわれなりに調べさせていただきますと、たとえば最低一般出演契約者についてランクの千円アップ等についてはお約束どおり実現いたしましたが、その結果、本年実施時期を二つに分けまして、一つは四月から実施いたしましたが、もう一つの個人的な出演料のアップ等は予算がおくれました関係で六月からいたしました。その結果、いわゆる今年度の一般的な出演料のアップは二〇%を超えたという段階でございます。まず、それをお含みおき願いたいと思います。したがって一三・四%のアップということは必ずしも一般出演者との間の大きな落差はないと思います。と申しますのは、それまでの本年度までに至る段階におきまして大衆出演契約者等については例年大体一〇%を超える改善を行ってきており、その他につきましてはなかなかそこまで至らなかったという状況があるからでございます。
  240. 山中郁子

    ○山中郁子君 確かに三〇%アップでできるなりするなりというお約束をなすってはいらっしゃいません。それは私もよく存じております。ただ、そのことを私は繰り返し申し上げて、そしてそれを前提として誠意を持って対処いたしますので、そのように理解をしていただきたいと、こういう坂本さんの御答弁があったわけです。そこのところを重ねて申し上げておきまして、今後の姿勢、また対処をしていただきたいというふうに思います。  でNHKの問題、私、幾つか申し上げました。そしてもちろんそのように少しずつ前進もさせる努力をしておられるということは認めます。だけれども、それじゃ全部についてそうかと言えば、いま申し上げましたたとえば番組審議会の公開の問題だとか構成の問題だとか、やはり何となくいままでのところで若干のそうした前進はするけれども、基本的なところではやっぱりNHKを全部国民の前にずらっと出して、そして本当に国民と一体となった放送事業として前進させていこうと、こういうことにはふっ切れてないというふうに私は言わざるを得ないというふうに思うんです。それで、これは繰り返しになりますが、小野会長辞任問題ということを本当に教訓として口だけで表向き言うのではなくて、本当にそうしたNHK使命と、それから放送事業のあり方、こういうことを踏まえて今後とも運営に当たっていただくよう強く要望いたしまして、NHKに関する質問を終わります。  続いて、郵政一般問題について具体的な数点にわたって質問をいたします。  まず初めに、目黒郵便局で、これは全逓信労働組合の目黒支部が出しているビラなんですけれども、「大幅料金値上げの裏で「不正な金」支給」ということで出しておられます。これは当然郵政当局としても御存じだというふうに思いますけれども、中身は一部管理者で総額百数十万円の超勤資金をいわば山分けしている。つまり空超勤を出している。こういう点についての労働組合の訴えです。これは目黒郵便局だけではなくて全国でいろいろ問題も出てきております。それは十分御承知だと思いますが、この点について、まずどのように把握されていらっしゃるか、お伺いいたします。
  241. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) お答えいたします。  いま先生お持ちのビラ、私まだ見ておりませんが、問題の所在よく承知をしております。  そこで、いま先生御指摘の超過勤務手当に関連した問題でございますが、実際超勤をしていないのに、この超過勤務手当を山分けしておるという事実がある、こういう御指摘であったわけでございますが、私たち把握いたしましたところによりますと、おっしゃるように、なるほどことしの三月に支払われました超過勤務手当は非組合員に多額に支払われておるということはうかがわれる次第でございます。しかし、これはこの目黒郵便局の十一月それから十二月の年末繁忙で非組合員に超過勤務が増加したものによるものでございまして、非組合員に実績どおりその時点で支払いをいたしますと経費に不足を生ずるおそれがある、こういう状況でございましたので、一部を保留をしておきました。一般職員の実勤につきましては、その時点で優先的に支払っておったところでございます。そこで経費の見通しがつきましたこの三月に従来の未払い分でございます分を支払ったと、こういう関係に相なっておるわけでございます。  それから、こういう事例がまだ他の郵便局にもあるのではないか、こういう御指摘でございますが、かつて郵政省といたしましてこういう経理の仕方自体を是正するようにというようなこと……
  242. 山中郁子

    ○山中郁子君 そこまでまだ指摘してないわけですが、いいです、どうぞおっしゃってください。
  243. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) ことはありますけれども、全国的に見ました場合に、断じて皆無だというわけには私はまだ把握はいたしておらないわけでございますけれども、もう先生おっしゃったような他に目黒局以外にそういう局が、事例がたくさんあるんではないだろうかという御指摘に対しましては、私はそのようには認識はしていない、かように申し上げさしていただきたいと思うわけでございます。
  244. 山中郁子

    ○山中郁子君 それじゃちょっといまのことに関連して伺いますけれども、目黒局だけどうしてそんなに三月まで持ってきて仕事しなきゃならないくらい超勤を年末段階にやったんですか。どういう特別な事情があったんですか、目黒だけに。
  245. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) その辺の状況を私つまびらかにいたしておりませんが、いま申しましたように十一月、十二月年末繁忙が非常に強うございました。特に、郵政省の場合、年賀郵便等で繁忙度が増します。それをその時点で全部支給することができなかったと、こういうような状況であったのではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
  246. 山中郁子

    ○山中郁子君 そういうのはいいかげんなことだと私は言うんですよね。そんなに莫大なお金を三月まで持ち越して、超勤しないのにつけるというぐらい目黒局だけが去年繁忙だったなら、目黒局は人が足りないということじゃないですか、すぐ人を措置しますか。
  247. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 定員の問題につきましては、それぞれの郵便局に対しまして、その局の事務量に応じた定員を私は配置をしておると考えております。特に目黒の局がいま先生御指摘のような状態はおかしいと、こういう御指摘でございますが、この年末の繁忙に加えまして三六協定が切れておったと、こういう事情も私はあったかと記憶いたします。そういう状況で、この目黒局がこのような状況が出てきたと、このように理解をしております。
  248. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちゃんとね、ごまかさないで答弁してもらわなきゃいけないの。それじゃ目黒局だけ三六協定切れてたんですか。
  249. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) そのときの全国的な三六協定の締結状況を私いま資料を持ち合わせておりませんが、的確にお答えすることができないのは残念だと思います。
  250. 山中郁子

    ○山中郁子君 私とってもこういう答弁は容認できません。というのはね、当然のことながら三六協定が切れていたら、それは年末の超勤拒否で年末闘争でやってたんですよ。目黒局だけ三六協定切れてるはずがないじゃありませんか、そうでしょう。  そうして、私ちょっといま数字を申し上げますけれどもね、たとえば庶務課の課長代理、八十六時間で十万五千三百五十円の超勤手当がついてます。だけども、これは私の方で調べたところによりますとね、実際にはかぎの授受簿とか、かぎ点検簿とか、そういうもので積算していけば、だれが、これは一人ですよ、いま私が言ったのは八十六時間で十万五千何がしか払われているんですけれども、実際には三十二時間、もし目いっぱい一人の人がやっていたとしても時間外に残った時間というのは三十二時間しかないんですよ。明らかにこれ空超勤つけてるとしか言いようがないと思うんです。  それでね、もしそれを前の年の年末繁忙でもってやったんだというふうにおっしゃるんだったら、資料出してください。だれが何時間やったか一人一人について出してください。  そうしてもう一つ、それじゃどうして目黒局だけこういうふうにしなきゃならなかったのか。あなたいまほかのところにはそういうことがないというふうにおっしゃっていましたでしょう。それじゃ目黒局だけどうしてこんなに繁忙なのか、そのことを明らかにしてください。定員は事務量に見合って配置しているとおっしゃるなら、目黒にどういう事件があって郵便がそんなに混雑したのか、そのことを明らかにしてください。
  251. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 庶務課の課長代理の事例を先生いまおっしゃったわけでございますが、   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 十一月、十二月、一月、二月の実勤を合計いたします。それから十一月の分は十二月に支給いたします。一ヵ月おくれで支給いたしますが、そういう関係で十二月、一月、二月に実際支給をいたしました時間数を合計いたしますと合致をしております。ということは、十一月、十二月、一月に不払いになった原資——超過勤務手当経費の経理上の問題があったかと思いますけれども、その関係で不払いになっておりましたのを三月にまとめて支払いをした、こういうことに相なっております。  そこで、そういう全体の資料でございますが、後刻よく調べましてまた御提出をさしていただきたいと思います。
  252. 山中郁子

    ○山中郁子君 その資料はそれじゃ出していただきます。  でもう一つ、だからどうして目黒局だけそんなに大変な超勤しなきゃならなかったんですか。合理的なお答えいただいてないです。
  253. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 特に目黒局だけのその状況はいまつまびらかにいたしませんが、超勤経費のそれまでの使用の仕方等にも影響があったのかと思いますけれども、その点につきましても、後刻、詳細調査いたしましてお話をさしていただきたいと思います。
  254. 山中郁子

    ○山中郁子君 これはさっきあなたどこにもほかにはないと、こうおっしゃったんですけれども、それじゃそれ訂正なさる、ほかにあるかもしれない、調査してみますとおっしゃいますか。
  255. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 全国的に調査いたしますことは非常に大変な事務量に相なろうかと思います。したがいまして……
  256. 山中郁子

    ○山中郁子君 調査もしないで、ないと言っているの。
  257. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 先ほど私申しましたのは、皆無だと申したわけじゃございませんで、過去にもそういう点での経理の仕方について指導をしたこともございますので、ほとんど私はないのではなかろうかというぐあいには思っておりますけれども、ゼロだというぐあいには私は自信を持って申すような状況ではないという意味のお話を申した次第でございます。
  258. 山中郁子

    ○山中郁子君 いいかげんなことを言わないでくれというのはそのことなんですよ。あなたはさっきじゃ調査もしないでないとおっしゃったわけね、そうでしょう。私がほかにもこういうのが出ていると言ったら、ほかにはないと、目黒局だけだと、こうおっしゃったわね。目黒局以外にはまるっきりゼロだとまではおっしゃらなかったわよ。だけど、一般論としてほとんどないということでしょう、例外だということでしょう、あるとしても例外だということでしょう。だったら、なぜ例外的な現象が起きているのか、そのことをはっきりさせる必要があるんじゃないですか。  ちょっとお伺いしますけれども、これは郵人給第七二号の一〇で、通達ですけれども、この中で「超過勤務手当、祝日給、夜勤手当及び次にかかげる手当はその月の一日から末日までを一期間として計算し、翌月の俸給の支給定日に支給すること」と、こうなっていますね。これは郵政省の通達ですが、これとの関係はどうなるんですか。
  259. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) いま先生御指摘のように、正常な措置といたしましては、先生いま御指摘のとおりでございます。
  260. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、それなのに、いまあなたが答えられたような措置をとったということは、違法の措置をとったということですか、そのことをお伺いしているんです。
  261. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 正規の取り扱いではなかったわけでございます。したがって今後もそういう正規の扱いがなされるような手だてあるいは指導というものも私たちとしては再度していきたい、かように考えておる次第でございます。
  262. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が問題にしているのは、超勤を実際にしたのにその超勤が払われていない、それを——払っちゃいけないと言っているんじゃないんです。問題は、ここでも言っているように、空超勤を払っているという、そういう指摘で、そういう組合の抗議であるし、また職場の人たちの抗議なんです。非組合員だけが、管理者だけが超勤手当を、超勤原資を山分けして、そして——大変なものですよ、低賃金だってみんな苦しんでいるのに一ヵ月十万円からの超勤原資を山分けするみたいなことが実際に行われているとすれば、これは私は重大問題だと思うんです。  で、それが行われていないんだというふうにあなたはいまはっきり証拠をもって言えないわけでしょう。つまり何で目黒局だけそれじゃどうしてこんなにたくさんの超勤を一月、二月とかけて、そして三月にまでつけなきゃならないような年末の仕事があったのか、そのことについて何ら解明できないでしょう。そのことを解明していただかなければ、これが空超勤ではないという証明にはならないんですよ。その点どうですか。
  263. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 先ほど私御説明いたしたかと思うわけですけれども、実際超過勤務をしないのに超過勤務手当を払ったということではないというお話を私申し上げたかと思うわけですけれども、それは先ほども庶務課の課長代理の十一月から二月までの実際働きました超過勤務の時間と、それから実際支給いたしました時間数をお話を申し上げた次第でございます。したがって、いま先生が御指摘のように、実際超過勤務をしていないのに超過勤務手当を支払っておるということではないわけでございます。  そこで何月には何時間の実際の超過勤務をやり、それからその翌月にはその分に対して何時間分支払ったという、その事実関係は私いま承知をしておりますけれども、たとえば十一月にたくさんの超過勤務をやった、それに対してある一部不払いになったと、それじゃたとえば十一月なら十一月になぜそれだけの超過勤務をさせる必要があったのかという点になりますと、当該局のそのときの実情なり何なりを私が十分把握いたさなければ御答弁できませんので、その点につきましては、いま詳細私は把握していないということを申し上げた次第でございます。
  264. 山中郁子

    ○山中郁子君 一月、二月、三月とつけて、たとえば先ほど例にとりました庶務課の課長代理の人の場合の一月、二月、三月分を合計しますと百五十時間超えるんですよ。実質的な超勤もそれはこの中にあるかもしれません。だけれども、そこまで繰り越してまで超過勤務を年末にしなきやならなかったということ自体、これは異常でしょう。私は異常だと思うんです、もし実際にそうならばね。そうしてあなた方が資料を出していただいて、実際どういう状況でどういう仕事があってこういう事態になったのか、そのことの結果によっては目黒局に定員の要員を措置すると、こういうことをお約束していただけますか。もしあくまでもこれが空超勤でないとおっしゃるなら。そうしなきゃならないほどの異常な事態でしょう。ほかではそういうことは起こってないと、これは目黒だけの問題だと、こうおっしゃるならば、そうした要員を配置しなきゃいけませんでしょう。そのことのお約束を、じゃ、まずいただきたいと思います。
  265. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 定員の問題につきましては、先ほど私が申し上げましたように、事務量に基づいた一般処理要員というものが配置をされておるわけでございます。そこで、いま超勤をし、その時点で支払えなくて繰り越した職員は課長代理とかあるいは主事等の監督要員でございます。そういう関係から一般の職員が三六協定等が切れまして時間外労働をしないという場合に、こういう職員が時間外にたくさん残りまして、長い時間超過労働をいたしまして、そうして仕事を回していく、こういう実態に相なっておりますので、普通、この超過勤務協定が締結しておりますと、いま先生がおっしゃるような定員の問題というようなところには私は波及はしていかない、かように考えておるわけでございます。
  266. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  267. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こして。
  268. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 私が先ほど説明を申し上げました監督要員の人たちの超過勤務時間でございますが、この時間も、それこそ非常識にわたるほど長時間の超過勤務というものは、これはもう郵便局長といたしましては十分配慮してやらなきゃならぬ私は問題があろうかと思うわけでございます。したがって郵便局長がそういう配慮をいたしまして、非常識にわたるような超過勤務をさせないようにというような指導も再度私は徹底をさせていきたい、かように考えるわけでございます。  いままで申しましたように、課長代理等の監督要員が当該局の業務確保を図る、こういう意味から、従来、多少長時間にわたった超過勤務時間というものがあったことは事実でございますが、もちろん、これもその郵使局の業務運行確保という問題ともかかわりはあろうかと思いますけれども、やはり非常識にわたるほど長時間の超過勤務をしなくてもいいような措置というものを再度私は指導をしてまいりたいと思う次第でございます。
  269. 山中郁子

    ○山中郁子君 超勤が空超勤の実態があるならば、それはそれとして問題だし、解決をすると。もし本当の超勤でこれほど超勤をしなきゃならないような事態が目黒局にあるならば、当然、要員も含めて措置を考えると、こういう御答弁だと伺いました。  それで大臣にちょっとお尋ねしたいんですけれども、これは目黒局の問題だけじゃないんです、いろいろほかにも出てます。これは、いつでしたかしら、四月の段階で、社会党の議員団の方たちがやはり調査に入られて新聞が報道してりおますけれども、何が問題かといいますと、一つは、もし実際にそうした過大な超勤をしているということならば、それはそれで問題です、労働条件として。定員の問題とも関係します。だけれども、もう一つ、職員の中に疑惑と不信があるのは、管理職だけにそうした空超勤をつけたり、実際には超勤をしてないにもかかわらず、そうした手当的にして、そして労務対策費に使わせると、そうしたことがいろいろ取りざたもされているし、現実に具体的な話しとしても上がってきているのです。私は、いまここで具体的にだれがこういうふうに言ったからそうじゃないかということまで言いませんけれども、そういう問題として労使関係の問題の一つの大きながんにもなっている、こういう郵政省の労務政策ですね、これと決して無縁でないと私は言わなくちゃいけないというふうに思うのです。ぜひとも大臣が新しく就任された初めての中身のある仕事として、こうした点についての一掃をお願いしたい。所信を承りたい。
  270. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 労使関係の安定、協調は基本的な問題でございますので、御指摘のような、たとえば超過勤務について公正、的確に支払われてないというような事情がもしあるとすれば、これはやはり見逃すことができないことで、十分調査いたしまして、適正に処置いたします。
  271. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止
  272. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こして。
  273. 山中郁子

    ○山中郁子君 重ねて、言い逃れじゃなくて、真剣にそうしたことについての対応をするということを郵政省幹部として確立をしてください。そのことを私は大臣に強く要求をしておきます。  次の問題に移ります。電波監理の問題で一点質問をいたします。  初めに、いま電波障害がいろいろ問題になっておりますけれども、全国的な電波障害の状況郵政省としてどういうふうに把握していらっしゃるか、地域的な件数とか、それからそれに該当する人の数の総数ですね、そうしたものについてお聞かせをいただきたい。
  274. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 電波障害の問題でございますが、実は、電波障害にもいろいろ種類があるわけでございます。その中には、いわゆるこれは電波監視と申しますか、合法無線局あるいは不法無線局から出てきたためにいろいろ障害を起こしているもの、それからまた普通の一般のラジオとかテレビ、こういうものに、何と申しますか、螢光灯だとか、あるいは自動車のノイズとか、こういうものが障害を起こしていると、こういうものもいろいろ種類がございます。  で、われわれはそれを二つに分けまして、無線局の電波障害と申しますか、いわゆる混信とか、そういうものを含んでの問題はこれは電波監視といたしまして、そして電波監理局においてこのようなものをずっと一年じゅう監視しているわけでございますが、また電波障害につきましては、これは障害を受けた方からの申告によりまして、そしてそれを処理するという方法をとっております。これにつきまして、電波障害の問題につきましては電波障害防止協議会というものがございまして、この中で、これは郵政省とかNHKとか、あるいは無線局を持っておられる方がこのメンバーになっておるわけでございますが、電波障害防止協議会におきましてその申告によっての障害を排除する、こういうようなことになっておりまして、両方の問題につきまして、いま実は手元にその詳しい件数とか、あるいはそれに対する人員とかという資料がございませんので、これは即刻調べてみたいと思っております。
  275. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、その点についての資料を後ほど提出をしていただきたいと思います。委員長においてお計らいを願いたいと思います。
  276. 森勝治

    委員長森勝治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  277. 森勝治

    委員長森勝治君) 速記を起こして。
  278. 山中郁子

    ○山中郁子君 で、普通は、一般的にはテレビの視聴者が電波障害で日常的なテレビの受信に障害があるということで苦情も起こってきていますし、いろいろ問題も起こってきていますが、郵政省として、こうした電波障害の苦情を持ち込むとか解決を図ってもらうとか、そういう国民との接点というのはお持ちですか。まあ相談所みたいなものですね、各地域の。私が考えるところによると、ほとんど皆NHKがそういうことで電波障害についての御相談承りますみたいになっていますけれども郵政省としてその辺はどうなっているか、お尋ねいたします。
  279. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) これは、ただいま申し上げました電波障害防止協議会というのがございます。これは郵政省とそれからNHKあるいは民放、そういう無線関係の方が構成員になってつくり上げた会でございますが、ここにその障害の問題を言っていただければいいわけでございます。したがいましてNHKの方にそういう問題を持ち込まれる方もございますし、また郵政省の方、これは地方電波監理局がその事務局になっておりますが、その地方電波監理局へ申し込まれる方もございます。いずれにいたしましても、そういう障害問題が入ってまいりますと、相互に連絡をとりまして、ことに放送受信関係につきましてはNHKが中心になってこの障害の排除ということに努力していただいておりますし、また無線関係の方でございましたら、これは郵政省が中心になって動いているというのが現状でございます。
  280. 山中郁子

    ○山中郁子君 私がここでちょっと問題提起もし、指摘もしたいと思うのは、無線とかあるいはテレビなんかに限らず、電波監理というのは郵政省責任なんですよね。だから、そのことについてもう少し郵政省が積極的なイニシアチブを持った姿勢を確立する必要があるんじゃないかということなんです。で私は確かにいまおっしゃいました電波障害防止協議会というものの存在も知っております。しかし、実際問題として、それでは郵政省はこのことについてどういう積極的なイニシアチブを発揮して解決に当たるという役割りを果たしているのかということについては、ほとんど果たされていないんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  281. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま申し上げましたように、電波監理局といたしましても、この電波障害防止協議会というものを中心にしてこの問題と取り組んでいるわけでございます。  これにつきましては、御承知のように、この十月一日から一カ月間を電波障害一掃月間ということで、大臣もテレビによりましてPRしていただいたわけでもございますし、われわれもそのような団体と一緒にこの障害防止の問題を扱っております。また、この障害の技術的問題につきましては、電波技術審議会において中に部会をつくりまして、電波障害の技術的な面からこの問題を技術者の集まりによって調査検討を進めて、その答申を得まして、われわれが電波法の中に使います技術基準等に採用をいたしております。
  282. 山中郁子

    ○山中郁子君 でも、実際問題としてはなかなかそうじゃないんですよね。  それじゃ具体的にお伺いしますけれども、いま新宿副都心の超高層ビルによる電波障害で中野区の住民の人たちが取り組んでおられます。これだけに限りませんけれども、たとえばこのことで申し上げますと、中野区電波障害被害町会連合会というのをつくっているんですね、そして原因者側のSKKと言っている例の新宿副都心の組織ですけれども、そこときょうまで交渉を重ねてきている、四年間にわたって交渉しているんですよね。だけど、この中で被害者住民と原因者との間での交渉が四年間もこう続けられてきて、そしてなかなか解決を見ないというような事態のもとで、郵政省がどういう役割りを果たしてきているのか、私は余りにも郵政省はそういう点では傍観者的過ぎるというふうに思うんです。  いま電波監理局長おっしゃいましたけれども、実質的な問題として全国でこうした障害に対する住民運動がたくさん起こっておりますけれども、それはたいがい住民側とそれから原因者側とのいろいろな交渉ですね、そういうことでそれが難航したりなんかして長いこと続けられているんですが、その中であくまでもいままで再三国会においても郵政省が約束されてきたように、原因者負担ということで住民の利益を守り受信の権利を守る、こういう立場郵政省がイニシアチブを発揮してきていないんですね。そこのところはどのように考えておられますか。
  283. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) いま中野の問題が例に挙がったわけでございますが、この問題につきましては四年前から問題が起きているということも事実でございます。これにつきまして四年前ごろから急にあのあたりの高層建築物による受信障害というものがクローズアップされてまいりまして、われわれといたしましても、今後、この種の問題が相当多発するであろうということで、省内に学識経験者から成る調査会をつくりまして、その答申を昨年いただいたわけでございます。この中では、原因者責任というたてまえが述べられておりまして、われわれといたしましても各地方電波監理局に対しましてもそのようなたてまえで解決すべきだということの通達は行っております。  なお、この問題につきましては、いわゆる障害原因者責任ということになりますので、障害を与えた側、いわゆる建築主側と住民との間でこの問題を解決していただきたい、ことに原因者側はこれに伴う経費の支出というものがございますので、やはりその辺の事情は住民にお話をして納得していただくようなかっこうで進まないといけないだろうというようなことで、その方法といたしましては有線を使う方法あるいは無線を使う方法というのがございますが、まあ無線を使う方法はまだ未開発でございまして、もう間もなくでき上がると思いますが、したがいまして、とりあえずは有線において障害を克服してほしい、こういうこともその通達の中に述べてあるわけでございます。  そのようなことで、この新宿の問題は、SKKとそれから中野区の住民との間でその問題の解決がなかなかつかずに、ここで約二年近くたちまして、最近においては、ようやくその工事に着手するという段階にまでなったようでございます。ただ、あと何か維持費の問題でまだ最終的に煮詰まっていないというふうには聞いておりますが、そのようなことで原因者側と住民との間で第一義的には解決していただくと、それのバックアップといたしまして、われわれはそれの考え方というものを通達で流した、こういうことでございます。
  284. 山中郁子

    ○山中郁子君 そういうことであるのはわかるんですけれどもね、それじゃ問題があろうじゃないかというふうに私は申し上げているんです。  つまり電波障害でさっき申し上げましたような障害が起こって受信者が迷惑している、そういうことは電波監理の行政の一つの問題なんですよ。だから電波監理局ってあるんでしょう。それだけのためじゃないでしょうけれども電波監理局あるわけですよね。だから実際に受信者の住民と原因者にげた預けちゃって、そして何でそれじゃもつれているのかと言えばね、原因者がそのことについて自分の原因を認めないで、そしてお金も出さないし、解決のために積極的な役割りも果たさないということが主要な問題になっているんですよ。それで結局いつまでたってもらちが明かなくてがたがたしているわけでしょう。そういうときに、郵政省は、それじゃ原因者に対してちゃんと原因者負担立場から行政指導をしているのかどうか、行政指導をするとすれば、一片の通達を出したからそれで済むという問題じゃありませんでしょう。それなりにその仕事に携わる人だって必要だというふうに思うんですけれども、実際に、こういうふうな電波障害に絡むトラブルやあるいは苦情なんかについて、電波監理局ではどういう方たちがどのくらいの人数で当たっていらっしゃるのですか、そのこともあわせてお答えをいただきたい。
  285. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、原因者と住民が第一義的には接触して問題の解決を図るというたてまえにいたしております。したがいまして、われわれの方から直接現地に赴いて人を出してこの問題を解決するということはやっておりません。  ただ、これを解決しやすいような方法というのはいろいろ考えておりまして、先ほど申しましたように、昨年の八月に調査会から報告をいただきました。その中には、当面の措置と、それから今後のあり方ということで、そこに基金構想というものが出されております。われわれといたしまして、政府といたしましても直接電波障害の問題を個々に当たるということは、実はテレビの問題でございましたらNHKなどにお願いいたしまして実動的な仕事をやっていただいておるわけでございますが、こういう政策的な面につきましては、それは郵政省がどうしてもやらないといけない問題であろうということで、調査会の報告を受けまして、また、中に事務次官を長とする委員会をつくりまして、このような政策的な面の解決に鋭意努力しているというところでございますが、いま先生御指摘のような、八月以降に顕著な効果が出てきたかと言われますと、まだこれは検討段階でございますので、効果としてはまだ外へは出ていないかと思いますが、その点は、今後、さらに進めていきたいというふうに考えております。
  286. 山中郁子

    ○山中郁子君 重ねて質問いたしますが、実際に、こうした電波障害その他について、電波監理局でそれに直接当たっている人はそれじゃいないということなんですか、それともどういう人たちがそういうことに当たっているんですか、ちょっとそれを聞かしてください。
  287. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) これは、現在、電波監理局の中の組織といたしましては、放送部の方でこれに当たっております。放送部の職員全員がこれにかかるわけにはいきませんが、放送部の中の職員の一部がこの問題に専門に取りかかっております。これには調査官を置いております。
  288. 山中郁子

    ○山中郁子君 私がこのことを郵政省との関係で強調しますのはね、御承知のようにNHK予算、決算のこの委員会における審議のときにも必ずそのことが重要な問題として出るわけですね、電波障害の問題がね、受信障害です。これはだからやはりかなり基本的な問題だし、さらに都市難視というのは、高層建築物がこれからふえることはあっても減ることはないわけですから、相当急速にこのトラブルはふえていくということは十分考えられる問題なので、私は、単に郵政省がいままでのような姿勢でなくて、もう一つ積極的に人も配置し、そして具体的に直接郵政省がそうした苦情だとか解決に当たると、そこまでの姿勢に踏み込んでいくべきだというふうに考えておりますが、そのようなお考えがあるかどうか、電波監理局長並びに郵政大臣にお考えを伺いたいと思います。
  289. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま先生から御指摘ございましたように、これは電波障害としては基本的な問題でもあり、また今後都市難視というものはふえていくであろう、その点につきましても私たちも同様な考えでございます。今後やはりこれは相当ふえていくと思います。現在、約四十万といわれておりますが、今後高層ビルができていくに従ってこの問題はふえていくということは事実でございますので、われわれといたしましても、この問題には真剣に取り組んでいきたいとい  なお、その具体的な実動部隊としての人の補充とか、そういうものにつきましては、やはり役所の方は定員もなかなかふえないものでございますから困難な点もあると思いますが、しかし人の足りない点はさらに何らかの方法を考えまして、今後、この問題に真剣に取り組んでいきたい、かように考えております。
  290. 山中郁子

    ○山中郁子君 大臣お答えいただく前に、いま電波監理局長そうおっしゃったのですけれども、実際に今年度概算要求で教えていただきましたら、こうした関係の直接的な要員要求としては三名の要求をなすっているというお話でした。それで私は三名ぐらいでどうにもなるものじゃないという気もいたしますけれども、ぜひともそこのところ、いま電波監理局長がおっしゃったような方向で、郵政大臣としても具体的なお仕事の中身の一つとして取り組んでいただきたいというふうに考えておりますが、見解をお伺いいたします。
  291. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 定員その他の関係で、なかなか直接当たる事務当局は大変だと思いますが、やはり受信者の利益を守るという原則に立って積極的に行政指導すべきものと考えております。
  292. 山中郁子

    ○山中郁子君 次に、簡易保険事業団の保養センターに関係いたしまして郵政省の姿勢をお伺いしたいと思います。  具体的なことがありますので、これは郵政省としても御存じだと思いますが、現在、建設が計画されている三重県熊野市の簡保事業団の保養センターが地元の旅館組合の反対があってトラブルが起こっているということを、どのように、事実の問題としていまどうなっているかを含めて、知らせていただきたいと思います。
  293. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 簡易保険保養センターの御質問でございますが、保養センターは、簡易保険に関係された方々——契約者であるとか被保険者であるとか保険金受取人であるとか、こういった方々の福祉を増進するために設けているものでございます。  で姿勢という御質問でございますが、ただいまホームを含めまして全国で七十二カ所ございます。大変好評をいただいているわけでございますが、また所得水準の向上あるいは余暇の増大等に伴いまして、非常にもっともっとつくれというような要望が強うございます。したがいまして、今後とも、大いにこの施設は拡充、発展させていかなくちゃならない、また、いくべきだというふうに考えております。  それから熊野のセンターのトラブルの件でございますが、私ども十分把握いたしております。で経緯を申し上げますと、熊野市への保養センターの設置につきましては昭和四十五年ごろから熊野市より熱心な陳情がございました。で検討いたしました結果——これは設置の基準というものをつくっております。具体的には簡易保険事業団が業務方法書というので決めているわけでございますが、この熊野のセンターの土地を見ました場合、非常に現在施設が不足しておりますところの近畿・東海圏に位置しているということ、それから既成観光ルートにあり、今後観光地として大きく発展する可能性がある、こういったようなことで本年の三月に土地を買収したわけでございます。で、この決定後、同市の旅館組合が保養センターの設置に対して反対を始めたということが判明いたしましたが、現在では、市の側とそれから旅館組合との間で話し合いが行われているということを聞いているわけでございまして、円満に解決することを私ども期待いたしているわけでございます。
  294. 山中郁子

    ○山中郁子君 これは前に、私、郵政省からも担当の方においでいただいて少しお話もし、郵政省の見解も伺ったことがあるんですけれども、いま局長が言われるような事態ではないんですね。ずっともう膠着状態になっているんです。  そして実際問題として、市がそのことについて承諾をした、賛意を表明したということは、市長が旅館組合の代表だといって連れてきた人が、そして旅館組合としてもそれでよろしいですというふうに言ってきた人が旅館組合の人じゃなかった。商工会議所の副会頭だそうですよ。そして旅館組合の代表だということを僣称して簡保事業団の保養センターをつくることを旅館組合として承認すると、こういうことをおやりになったんです。このことについては御存じないですか、私は郵政省にはそのことを再三申し上げているはずですけれども
  295. 永末浩

    政府委員(永末浩君) いま全く膠着状態というお話でございますが、私どもはそういうふうに把握いたしておりません。  市といたしましても、市の発展のためあるいは観光開発のために一生懸命であるわけでございまして、目下、旅館組合の方々をたとえばよその保養センターなどに連れていって、そして簡易保険の保養センターができてもそう旅館に迷惑がかからないんだというような形で説得に努めておられるというふうに私たちは聞いております。それから旅館の組合長だという名前を僣称してというお話がございましたが、私はその点については存じておりません。
  296. 山中郁子

    ○山中郁子君 これはぜひお調べいただきたいと思うんです。  郵政省のいまの立場は、市の方でいいと言ったからその計画を推進してきたんだ、だけれども、いま旅館組合から異議が出てきているから話し合いをしてもらいたいというふうに任せてある、円満に解決を図りたい、こうおっしゃっているわけですね。そうすると、ちょっと確めておきたいんですけれども、円満な解決がされないままに工事が始められたり進められたりすることはしない、このようには郵政当局としては指導なさるおつもりですか。
  297. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 先ほども申しましたように、お互い話し合いの途中でございまして、円満に解決することを私たち望んでいるわけでございます。また市としましても、十分にその自信があるやに聞いているわけでございます。  それで円満解決しない場合はどうするのかというお話でございますけれども、これは最終的には、決めますのは事業団であり、また郵政省であるわけでございます。で円満に解決ができなかったと、まあこれは仮定の問題でございますけれども、市側から話がございましても設置する主体というのは郵政省であり事業団でございますので、責任を持って、私どもがどういうことかということをその際には調査をいたしまして、決めていかなくちゃならないというふうに存じております。
  298. 山中郁子

    ○山中郁子君 では、私、念のためにちょっと経過を申し上げておきましょう。これは前に私も郵政の担当者の方にお話ししているんで、局長ちゃんと御存じになっていると思ってたんですけれども。  実は、商工会議所の副会頭の宇城さんという人が旅館組合の代表だということで、そして市と一緒に行って、これについては旅館組合としても賛成ですと、こうおっしゃっていたそうです。だけれども、実際にその方は旅館組合の代表でも何でもなかったわけです。旅館組合としてはそのことについて何ら結構ですというふうにはなってなかった。旅館組合としては、自分たちの営業の観点からいろいろ意見がある、進めてもらっては困るという強いいま反対の意向を持っていらっしゃる、こういう経過がありました。このことはいま私お知らせしておきますので、ぜひともそのことも含めて、郵政省が把握をされた上で責任のある解決をしていただきたいと、こういうふうに思います。  それで、そのことの具体的な問題はそういうことで、いまのお話によれば、地元の意向を、反対を無視してトラブルがあるまま工事を進めたりなんかするようにはしないということで御答弁があったというふうに承ってよろしいでしょうか。
  299. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 先ほど僣称というお話が出たわけでございますが、たくさんこの件については陳情がございます。で名刺を交換しないこともあるわけでございまして、あるポストの人の代理人の形で来られることもあろうかと思います。僣称というようなお言葉になりますと、意思の異なった人間がAでないにもかかわらずAであるということを言ってきたというようなことではなかろうかと思うわけでございますけれども、その点につきましては、私も初めての言葉でございますので、よく調べてみたいと思います。
  300. 山中郁子

    ○山中郁子君 後の方の質問はいかがでしょうか。つまりトラブルが解決しないで工事を強行するということはなさらないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  301. 永末浩

    政府委員(永末浩君) これはまあトラブルが全く解消しなければ設置はしないというお約束は、いまの段階で、私、できないと思うわけでございます。トラブルの仕方がどうであるかということ、これは本省、事業団が積極的に行って調査してみないとわかりませんが、一人、二人の反対があったと、市の総意というものはやはり誘致に賛成だということになれば、反対がないことを望むわけでございますけれども、その時点ではやはり踏み切らざるを得ない結果になるんじゃないかというふうに思います。ただ、現時点におきましては、旅館組合の大方の方々が反対しておられるというような話でございまして、先ほども申しましたように、市との調整、これを非常に強く期待しているというふうなことでございます。
  302. 山中郁子

    ○山中郁子君 私も、これの建設自体に反対だとか問題があるというふうに申し上げているわけではないんです。ですから、私がいまトラブルというふうなことを申し上げましたのは旅館組合の問題です。やっぱり旅館組合として問題が解決しないうちは工事を強行するということはなさらないというふうに理解してよろしいかというふうにお尋ねしました。いまの御答弁によりますと、そのように理解してよろしいというふうに私は判断いたしましたが、全国的な問題も含めて、つまりこれはいまたまたま熊野の問題を取り上げましたけれども、簡保事業団の保養センターや、あるいは貯金会館その他郵政省の管轄の中でそうしたものが建設されるということが、やっぱり一番可能性のある問題としては、日照権だとかそうした建物独自の問題を別にすれば、現地の地元の旅館組合との関係だろうというふうに推測されますけれども、一般論としても、郵政省としては、そうした地元との円満な話し合いがあった上で、了解がされた上で、こうしたものの建設については進めていくと、このようにお約束いただければ幸いです。
  303. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 具体的に申しまして、熊野の場合は、五十一年度計画には上がっていないわけでございます。したがいまして、まだ来年の三月まであるわけでございまして、市側と旅館組合とが十分に話し合って円満に解決ができることを望んでいるわけでございますが、ただ、それならば、ごく一部の反対があっても強行するなというようなお話になりますと、こういった問題はケース・バイ・ケースによるわけでございまして、抽象的な形で、ここで必ずもう反対があれば設置しないんだというようなことをお約束するというごともいかがかと思う次第でございます。
  304. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから旅館組合としてと、私、申し上げていますでしょう、そういうことをはっきりしてくださいということです。だから一人や二人の反対がある場合があるかもしれないし、そういうことも何か解決できるかもしれませんけれども、つまり地元の旅館組合として反対だといま言って、白紙に戻してくれといま言っているわけですよね、旅館組合は、郵政省にも陳情に来ているわけだから。そういう状態のまま強行するというふうなことはなさらないでしょう、こういうふうに申し上げているわけです。私は重ねて答弁いただかなくてもういいというふうに思うんですけれども、どうしてもそれでもそういう約束はできませんか。それだったら御答弁ください。
  305. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 一般的、抽象的な形で必ず何かがあればセンターを設置しないんだという約束はとても私としてはできないわけでございます。  ただ、熊野市の場合、先ほど申しましたように、まだ来年度関係でございますので、十分に郵政省あるいは事業団といたしましても実情を調査いたしたいと思っております。
  306. 山中郁子

    ○山中郁子君 誠意を持って地元との円満解決を前提として進めてくださるものというふうに理解をいたします。よろしいですね、それ。  じゃ次の問題に移ります。  これは、昨年、私、予算委員会の分科会で郵政省質問をした問題ですが、逓信病院の院内保育所の関係でございます。このときに、当時の人事局長が、五十年予算で東京逓信病院の院内保育所に関して二百四十四万補助金を支出するよう予算に組んでいるというふうに答弁をされましたが、その後の実施の問題と、それから来年度予算の見通し、お考えについて伺いたいと思います。これは国立その他と遜色のないようになると思うというお話が当時ありました。私は、その後もいろいろ進展も見ておりますので、郵政省としてもその点について前進的な予算措置がされているものと期待をしておりますけれども、その辺の経過について御説明をいただきます。
  307. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 五十年度予算審議の分科会で前人事局長が御答弁申し上げました。いま先生御指摘の二百四十四万という要求をいたしておりますというお話をいたしました、それはそのとおりの額で予算が成立しております。  それから五十一年度についてでございますが、これは総額で二百六十五万三千円という予算が成立しております。  それから五十二年度概算要求でございますけれども、これは三百十七万という数字で現在概算要求中でございます。
  308. 山中郁子

    ○山中郁子君 実際の手当の方法ですね、どういうふうに、どういう形で予算措置をしているのか、そのことをあわせて聞かせてください。
  309. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 来年度概算要求の三百十七万の内訳でございますが、うち二十万というもの……
  310. 山中郁子

    ○山中郁子君 もうちょっと大きな声でおっしゃって。
  311. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 保育施設の備品の維持費ということで二十万要求をしております。それから、あとの二百九十七万円、これは保育施設の保母二名を雇い上げをするという賃金というかっこうで要求をしております。
  312. 山中郁子

    ○山中郁子君 幾らですか、賃金。
  313. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 二百九十七万円でございます。
  314. 山中郁子

    ○山中郁子君 人件費の一日一人当たりの金額を伺います。
  315. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 賃金でございますので日額でお話をさせていただきたいと思いますが、五十二年度要求額は四千八十円という日額で要求をしております。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
  316. 山中郁子

    ○山中郁子君 日額で一人四千八十円ですか、一人。  そうしまして、父母負担がいま現実に三万——ミルク代なども含めてかなりの父母負担がありましてね、そして国立並みになるのではないかというふうに昨年の予算委員会でおっしゃいましたけれども、なかなか国立並みにならないと、いまの今回の要求でもなっておりますので、ぜひともこれは最低でも国立並みの援助を郵政省としても保証をしていただきたいということを要望いたします。もう少し改善していくという可能性があればお聞かせをいただきたいと思います。
  317. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 五十二年度要求しておりますいまお話を申し上げました金額は、国立病院との均衡を考えまして要求をした数字でございます。したがって、これが成立をいたしますと、これに従って措置をしていきたい、かように考えております。
  318. 山中郁子

    ○山中郁子君 それから、同じく逓信病院の問題に関連しますけれども厚生省が新たに今回深夜のタクシー代の負担についての予算要求をしております。これは郵政省としてはどのように扱っていらっしゃいますでしょうか。同じようにやはり深夜の看護労働者の帰宅の問題についてお伺いいたします。
  319. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 東京逓信病院の場合ということでございますが、勤務終了後、帰宅のためにタクシーを利用している看護婦が一日当たり何人おる、あるいはまたどのくらいの金額で着いておるかということにつきましては、詳しい実態は把握はいたしておりませんが、いま夜勤等の勤務に要するいわゆる病棟勤務の看護婦でございますが、これが現在百六十名おります。そのうち通勤時間が一時間三十分以上の者、これは三人、それから一時間以上一時間三十分未満の者が十四名ということに相なっておりますけれども、このうち勤務の都合でやむを得ずタクシー等を利用して帰宅する者がごくわずかであろうと、こう考えておりまして、予算要求については五十二年度要求はしていないという状況でございます。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  320. 山中郁子

    ○山中郁子君 要求はしていないけれども、何らかの便法でもって措置するという、こういうお考えですか、厚生省の基準並みに。
  321. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) タクシーの所要料金につきましては、厚生省の措置を少し調べてみますと、毎年ここ二、三年要求はしておるようでございますが、予算成立が成っていないように私聞いております。そこで東京逓信病院といたしましては、先ほども申しましたように、対象人員としても非常にわずかだろうと、こういうことから、実際の勤務配置と申しますか、そういう面で実際問題として配意していきたい、かように考えておる次第でございます。
  322. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、やっぱりちょっとそれは大いに問題があるというふうに思うんです。つまり厚生省要求しているけれども、これは認められないだろうと、だからどうせ成り立たないだろうと言って見ているということも私はずいぶんおかしな話でね、実際問題として、看護婦の方たちが大変困難な状況の中でそうした勤務をしていらっしゃるということは一番あなた方がよく知っていらっしゃるはずでしょう、人事局長が一番よく知っているはずでしょう。だったら、何で郵政省として厚生省に先駆けてそうした問題についての要求をするなり何なりという積極的な姿勢をおとりにならないのかということが一つは私は問題だと思います。  そのことは今後もおやりになるつもりはないんですか。それにどのぐらいの人数が該当するかということについても私はたしか事前にお願いをしておいたと思いますが、いま把握をされてないというお話ですが、把握をされていないのに、ごくわずかだというふうなこともまた私は解しかねます。いかがでございましょうか。
  323. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 五十二年度要求はしなかったわけでございますが、先ほども申しましたように、郵政省といたしましては、勤務終了後、帰宅いたします場合にタクシーを利用しなければならないような通勤状況になる職員に対しましては、勤務の割り振りと申しますか、そういうものを配慮していくと、こういうことで実際問題としてタクシーが要らないような、こういう措置を可能な限り私はとっていきたいと、かようにいま考えておる次第でございます。
  324. 山中郁子

    ○山中郁子君 人数も把握できないで、勤務に支障がないように勤務時間を割り振ることだってできるかどうかわからないじゃないですか、そうでしょう。何人しかいませんと、したがって、こういうふうにすればタクシー使わないでも帰ってもらうようにできますというふうにおっしゃるなら話はわかるけれども、私は、改めて、もう時間がありませんから、最後に答弁を求めますけれども、いずれにしても早急に何人がどういうふうに該当するかということをお調べいただくということ、そしてそれを報告していただきたい。  それからもう一つは、どっちにしても勤務を無理な形で、いまだって大変無理な形になっているわけですから、そういうことができないことは十分考えられるわけですから、必要な場合にはタクシーのあれを出すということを、厚生省の最低基準は郵政省としても確保する考えを明らかにしていただきたい、この二点について質問をいたします。
  325. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) いま先生御指摘の勤務の実態、時間別に何人そういう状態になっておるかという点につきましては、詳細、調査をいたしましてお話をさせていただきたいと思います。  それから後段の、厚生省と均衡をとってというお話でございますけれども厚生省の方の五十二年度の実情等もよく私勉強さしていただきまして、東京逓信病院の看護婦がそれに劣らないような措置をしていきたい、かように考えております。
  326. 木島則夫

    ○木島則夫君 まず、郵政大臣に私の意見を申し上げながらお答えをちょうだいをしたいと思います。非常に基本的な問題一点だけについて申し上げたいと思います。  郵政三事業について、特に郵便事業について私は非常に大きな関心と、またそこからくる危惧というものを持っている一人でございます。郵便の大幅の値上げが実施されますと、果たせるかな郵便物数の減少が起こっております。当初は二〇%、最近では一〇%ぐらいにあるようでございますけれど、五十年の十二月の十一日の委員会で郵務局長の言われた五%程度の落ち込みをはるかに上回っていることは事実でございます。もっとも、この数字は年間を通してということでございますから、この後の推移を見ないと何とも断定しかねることでございます。それは一応お断りをしておきます。  で、私は、郵便事業の独占が保たれる範囲で料金が維持されませんと事業自体が非常に危うくなってくる、大幅な値上げは郵便の独占を危うくする要素を多分に持っているので、この点はシビアな認識に立ってほしいと要望を申し上げた次第でございます。そうでないと、不必要な要素を持つ郵便はもちろんのこと、必要なものであっても郵便局に依頼をしないでほかの手段に移行することも考えられる。で余り料金が高くなりますと、欧米ではすでに台頭している民間業者的なものが日本でも必ず起こってくる。そうなりますと、郵便事業というものは必然的に縮小をしてくるわけです。郵便事業が縮小をすれば値上げの加速が当然起こってくる、悪循環が繰り返されるわけであります。もう次の値上げの問題が議論をされるというのも私はこういった因果関係にあるからだと思います。  通信手段の多様化が郵便の地位を変えてしまった現状の中で三事業の独立採算制を固執するとなりますと、これは赤字どころか郵便事業そのものがやせ細っていくこともまた必定でございます。だから一般会計からの財政援助が必要だ必要だと言ってもなかなか平行線でかみ合わない、こういう議論を繰り返しているうちにも情報化社会、ことに通信手段の進歩はこういう議論を置き去りにして前進をしていってしまっている、これが現状に対する私の認識でございます。  つまり、申し上げたいことは、郵便の本質論、社会的機能論をもっと早くから徹底をして論ずべきであったというのが私の主張でございます。そして郵便の置かれている地位、機能をきちっと把握できれば、そこから、果たして三事業の独立採算制というものをこのまま踏襲をしていった方がいいのかどうか、あるいはあまねく広く、しかも安い料金で便宜を提供するためには一般会計からの財政援助の必要があるかどうかということは、きちっと決まってくると思います。極端な言い方をいたしますと、郵便事業の過去の亡霊にとりつかれておりますと、体質改善なり前進ができないという私のこういう認識が間違っているかどうか。  以上、郵便事業の基本的な認識を申し上げたわけでございますけれど、大臣は、冒頭、過去の慣習にとらわれないで郵便事業を推進をする、郵政事業を推進をするとおっしゃった。私はそこに大きな期待をかけている者の一人でございますけれど、私の基本認識の上に立っての現状把握、そこから、であるならばどういう具体策を講じ、どういう提案をしていったらいいか。ひとつきょうは、具体的に——まだ具体的なものは持っていらっしゃらないという大変謙虚なお言葉ではございますけれど、やっぱり大臣の御出席がある以上は具体的に伺いたいと思います。いかがでございましょうか。
  327. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 社会情勢の変化あるいは客観的な諸問題の激変、こういうことについて郵便事業は今後どうなるかといういろいろ御懸念の点は、私どもも十分認識をいたしておる次第でございます。  何といいましても労働力依存度が非常に強いという特徴もありますし、将来の的確な見通しに基づいた郵便事業のあり方、あるべき姿をただいま検討中でございます。御承知のとおり、現在「郵便の将来展望に関する調査会」また「郵便事業基本問題特別委員会」がございまして、各専門家を動員いたしまして種々検討を進めている段階でございます。これらの得ました貴重な資料をもととして、いま申し上げたような基本問題について具体的な施策を考えたい。  また、いままでの経緯を見ますると、今度の値上げの幅は大幅でございましたので、落ち込みもかつてないほどの落ち込みがあったことは事実でございます。ただ一定の限度、たとえば一年ぐらいたちますとほぼ安定に向かうといういままでの経過を見ておりますと、長期的見通しでは、そう私は落ち込みが長く続くものとは考えておりません。ただ、一般会計の繰り入れにつきましては、やはり独立採算制の立場からあくまで自力で更生するというたてまえは今後も堅持したいと考えておりますが、しかし、従来のままで果たして激変する新しい事態に対応できるか、あるいは悪循環に陥ることがないだろうか、という懸念は残っておりますので、今後、具体的に検討を進めていきたいと思います。
  328. 木島則夫

    ○木島則夫君 従来のままでは破綻をするというおっしゃりようの中には、やっぱり現在のこの三事業独立採算制なり一般財政、一般会計からの財政援助というものも一応はお考えの上での御発言でございましょうか、それとも何かほかに具体的な御提案があるのでしょうか。  いま大臣がおっしゃったように「郵便の将来展望に関する調査会」ここでもって私は鋭意御検討中だろうと思います。しかし、こういうものは幾ら検討をしても、やっぱり早いとこ結論を出して、その結論にのっとってきちっと対策を講じなければ、さっき私が申し上げたこの激変、非常に速いスピードで変転をしている世の中には間に合いっこないんですね。だから、そういう見通しを一体いつお持ちになるのか、その中でやろうとしているやっぱり片りんとか具体性というものは私はあってしかるべきだと思いますけれど、いかがでございましょうか。
  329. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 一般会計繰り入れは、先ほど来申しているとおり、やはり経営の姿勢を安易に陥れる危険もございますし、いまのところやはり独立採算制で自力更生と、収支均衡を目指すという方針でいきたいと考えております。  ただ、果たしていままでの、従来のやり方で今後の経営の健全化を図れるかどうかということにつきましては、いろいろ懸念される状況も出ておりますので、将来展望調査会あるいは特別委員会等でいろいろと専門的に掘り下げていただいて、これを指標として、なるべく近い機会に、新しい試案があればこれを採用いたしたいと、いま検討中でございます。
  330. 木島則夫

    ○木島則夫君 問題を一点だけにしぼって、しつこいようですけれど、もう一回伺います。  独立採算制は維持をしていく、しかし郵便の置かれている社会的地位、情報化社会、非常に多様化した通信手段の中で郵便のあるべき姿というものは、悪いけれど、低落をしていったと私は思います。一時は電報が日の出の勢いであった。そのときに、これは電電公社の問題ですけれど、電話を補って余りあるものがあったけれど、もうその王座は入れかわってしまったわけですね。これから、じゃ電話がそのまま続くかというと必ずしもそうではない。そういうふうに情報化社会、ことに通信手段の技術革新が著しい現状では、そうゆっくりしていられないわけですよ。だから、いま大臣がおっしゃったように、独立採算制は維持していくけれど、郵便の社会的地位、その機能というものはどんどんどんどん変化をしていっている、片っぽはきちっと枠をつくっておく。その中で郵便のあるべき姿というものはどんどん変化をしていく。しかし、このままではやっぱりいけないんじゃないかという、しかしこのままではという、その辺のところを、就任早々ではございますけれど、何かいい具体的なお話があったらば、ひとつこの際聞かしていただきたい、こういうのが私のお願いでございます。あるいは郵務局長でももちろん結構でございます、いかがでございましょうか。
  331. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 木島先生の御指摘でございますけれども、ただいまあらゆる通信のメディアの中で確かに郵便が電気通信その他のメディアに代替されているという事実はあると思います。しかしながら、いままでの郵便の流れを見てまいりますと、一方では電気通信は伸びております、と同時に、郵便も各国において伸びてきているわけでございます。そういう意味で電気通信の果たす役割りと郵便の持つその現物性と申しますか、あるいは記録性と申しますか、そういった分野は今後とも残されていく分野ではないかというふうに考えるわけでございます。したがって長い目でながめてまいりますと、郵便の果たす役割りというのは今後とも非常に大きなものがありますし、今後とも安定的な増加というものを見込むことができるのではなかろうかと思います。  ただ、先生の御指摘のように、過去、高度成長下にあって非常に急激な伸びを見せました郵便の傾向が今後とも続くかということになりますと、そこは大変問題があろうかと思います。それと同時に、郵便のサービス自体も新しい社会の需要にこたえることを考えていかなければならないかと思います。そういう意味では、新しいメディアとして電子郵便というようなものが外国、たとえばアメリカとかイギリス等において現在すでに行われておるわけでございまして、そういった郵便自体の変貌というものも今後は考えていかなければならないと思います。しかしながら、全般的に見て、私は、今後とも郵便の果たす役割りというのは、電気通信の同時双方向性の利点と違った意味で、先ほど申しました記録性あるいは現物性という意味での役割り、これを今後とも引き続いてその役割りを果たしていく、そういうような形になるのではなかろうかというふうに考えております。
  332. 木島則夫

    ○木島則夫君 これは別途細かい議論はさしていただきますけれど、きょうは、大臣に基本認識ということでお伺いをしたわけでございます。そういういま非常に郵便事業が置かれているシビアな環境の上に立って、あるべき郵便の姿をどうぞひとつ御研究をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  このほか労使の協調とか職場秩序の確立の問題もゆるがせにできない私は緊急な課題だと思うんでございますけれど、これも結局せんじ詰めて言いますと、郵便事業そのものの将来に希望と可能性というものが生まれない限り、そこで働いている方たちにとりましては、やっぱり前途に不安を抱いて陰うつ、憂うつになるのは当然だと思います。だから、そういう意味でも、この社会状況、情報化社会に適合した郵便事業のあり方というものをはっきり把握をする。その中で古い制度はもう遠慮なく捨てていく、新しいものに変えていくというやっぱり勇気と決断の時代ではないだろうかということを申し上げまして、大臣への提言と御質問を終わるわけでございます。ありがとうございました。  続いて、NHKにお伺いをいたします。遅くまで御苦労さまでございます。  五十一年度予算審議の折に問題になりましたのは、NHKの経営基盤をどうするかということ、難視聴解消の問題、公共放送としてのNHKのあり方など幾多の問題が出たわけでございます。その中で放送の中立性、公平とは一体どういうことなのかということもございました。たくさん論議が出たわけでございます。一様にNHK放送は公平であるべきだとか政治的に中立であるべきだ、NHKは国民のための放送局でなければならない、私もよくわかるわけでございますけれど、そのときも指摘したんであります。  公共性、中立性、国民のためのNHK、実にあいまいもことしていて抽象的な表現である。これもNHK会長小野さんはお認めになりました。私はちょっと前置きとして、新聞の問題をここで論評をしながら、公共放送NHKが背負っている宿命というものをひとつ御指摘申し上げたい。ちょっと前置きが長くなって恐縮でございます。それに新聞はかくこういうものなんだという釈迦に説法的なことはまことに申しわけないんですけれど、ちょっとお聞きをいただきたいと思います。  新聞というのは、これは報道機関であると同時に言論機関でございます。したがって、ある価値に基づいた編集方針をとっていることは当然でございます。このある価値に基づいての編集方針を最も端的にあらわしているテーマは何かというふうに探してみると、これは世論をはっきり二つに分ける私はストライキの問題が適当なテーマだろうと思って、ひとつストライキを扱った新聞の見出しをひっくり返してみたんであります。  時期は四月の二十日の新聞の見出し、朝刊のまず読売は「交通七二時間ストに突入」。毎日が「交通ゼネストに突入」。サンケイはわりあい具体的で「七二時間の交通ゼネスト突入」。東京新聞は「交通ゼネスト突入」。朝日はちょっとニュアンスが違いまして「交通ゼネスト入り」となっています。ここで一つ一つ私はこういう問題を論評したくはございませんけれど、ここに一つの価値意識を持った新聞の見出しというものがはっきり読み取れる。大体、私の立場で言わせると、やっぱり国民の多くが迷惑を感ずるストにあえて入るんだから、それは「突入」という表現を使ってもらいたいんだけれど、朝日はここで「入り」という言葉を使っています。これは編集の自由ですから、私はこれで偏向だとかなんとかということを言っているんじゃない。大体「入り」なんという言葉は「彼岸の入り」とか「梅雨の入り」というようなわりあい自然に入っていく言葉じゃないかと私は思う。ここに一つの価値意識を持った編集があるんだろうと思います。夕刊を見ると、読売が「列島の足終日マヒ」。毎日が「全国の足マヒ」。サンケイは比較的これも具体的でございまして「交通ゼネスト三千八百万人の足奪う」。東京は「交通ゼネスト列島マヒ」。朝日は「私鉄、歩み寄る気配」。こういうふうに見出しを私鉄の問題に移行をしております。  もうちょっとひとつ聞いていただきたいと思います。新聞は報道機関であると同時に言論機関であるというたてまえからすれば、革新的な編集をされるのも自由だし保守的な編集も自由。その中間的な編集をなさるのもこれは自由だろうと思います。そのいずれが偏向でいずれが正しいなどということは、一概にはこれは言えない問題だと思います。ただし、ここでよく世間で言われる偏向という問題を持ち出す場合には、世論との対比において、一体、世論とその新聞の編集方針との間にずれがないか、落差がないかということが一つの目安になることも事実であろうと思います。  このストを取り扱ったときの最も熱心な熱の入れ方、それは社説と識者の意見と投書という形での世論という枠の中で扱った限りにおいて見ますと、朝日とサンケイが大変熱心でございました。ほかの新聞は熱心でなかったかというと決してそうではない、ほかの新聞も座談会とか特集記事において大変熱心な扱いを示しておいでになりました。ただ、ここで私が申し上げたいことは、このスト権ストと春闘のストの折の報道がいままでの報道と違っておりましたのは、多くの新聞社は特設電話コーナーを設けて、直接なまの声を聞き入れた、つまり受け入れたということがいままでの報道と違っていたと思います。  社説、投書という形での世論、識者の意見をかりての表現、この三つの枠の中では朝日とサンケイというものが非常に対照的であったことは先ほど申し上げたとおりでございます。対照的であったというのは、朝日は最も政府に批判的、サンケイは最も組合に批判的な立場をとっておりました。しかし、さっき私が申し上げた特設電話コーナーに入ってくる声は、これは朝日もサンケイも、御認識になったと思いますけれど、大体七対三か、八対二で組合に批判的な声が非常に多かったということでございます。で私はここで結論を申し上げると、サンケイのように最初から終始一貫公労協のストに厳しい態度をとってきた社は、社の方針といわゆるなまの声というか、そういう間に余り落差がなかったということ。それから朝日の場合には、逆に世論と社の立場とのギャップが相当広くなって、それをどういうふうに埋めていくかということに苦心をなすっていたというのが現状でございます。  私が長々となぜ新聞を例にとって前置きをしたかといいますと、新聞と放送の違い、ことに政治には不偏不党、中立を標榜するNHKのあり方がいかに微妙な立場に置かれ、一歩誤りますと取り返しのつかないようなむずかしい立場にある。言ってみればNHK公共放送としての宿命を背負っている放送事業体であるということをここで申し上げたかったからでございます。  じゃ、このストをNHKのテレビニュースはどういうふうに扱ったか、テレビのニュースに限って言うならば、ストライキが行われている現状を説明をいたします。空っぽの駅の構内を各地からニュースでもって伝える。必ずストに対する国民の賛否の声を聞いております。ところが実際の画面に出るその賛否の声というものは賛成、反対同数ずつ、これは私も現場に行ってよくわかります。現場に行くと同数なんか絶対出ない。時間、地域それから山の手とか下町によってずいぶん違いますけれど、同数が出るなんということはない。だから、さっきの新聞社の特設電話に入ってくる世論の声をNHKのこの場に当てはめてみると、やはり私はストライキに対する国民の声は相当厳しかったという状況であったと思いますけれど、これが放送に乗る段になると、やっぱり可否同数、賛成、反対仲よく並べないといけないと言うと、おしかりを受けるかもしれないけれど、だめなんですね。  私もNHKに御厄介になっておりましたときに、街頭録音という放送担当したことがございます。現場に行っていろいろ教育の問題、防衛の問題、安全の問題などを論議する。そうすると圧倒的に賛成が多いけれど、編集はやっぱり可否同数にならざるを得ない、はっきり申し上げて。じゃ反対が多かったからといって反対の声を圧倒的に多く出す編集が許されるかというと、残念ながらそういう編集は許されない。つまりここにNHKのというか、公共放送の持つ私は宿命というものがもう生まれたときからこびりついて離れない。そして五十年の歴史の中でNHKが体得をされたことは、そうやっていかないとNHKは生きていけないという知恵をつかんだんです。こういう言い方は不遜な言い方かもしれない、ここにやっぱり公共放送一つの大きな問題点があって、こいつを抜かして論議は私はできないと思います。  で大変こういう話をすると、私はNHKを理解をして同情的だと思われちゃまた困るんですよ。これから先がある。それはそれとして私はお認めいたしましょうと言っている。  ある人がこういうことを言ってますね、NHKというのは野菜スープみたいなものだと。大体野菜スープをつくるときには、その素材としてキャベツとかジャガイモとかニンジンとか大根とかサトイモなどを入れるわけですね。ぐらぐら煮る。それが素材のときにはみんなそれぞれに味を持って、違った素材であるけれど、スープとして出てくるときには混合された野菜スープになる。つまり国民のNHKはこうしないと存立をしていかれないという長い間の知恵を身につけた。こういう言い方は大変感覚的な表現の仕方でおしかりを受けるかもしれません。  そこで本題に入らしていただきます。  たとえば一つNHKのニュースをとって考えてみますと、与党からしますと、大変野党的でこいつは困るとか、また野党から見ますと、体制べったりで、何だいあのニュースはけしからぬと言う。当然、私はこういう議論が起こるのはいいと思います。そのほかNHKに対する言い分、要望というものは、それぞれ国民の立場、国民の要望という言葉をかりてNHKに殺到をしてくるわけですよ。大変都合がいい言葉ですね、国民のNHKというのは。実に都合がいい。言う方にも都合がいいけれど、言われる方のNHKも、これを、後で申し上げるように、都合よく料理をしている。  だから、ここで私が新会長に対して申し上げたいことは、NHKに対して、かねがね公共性、中立性ということは大いに意識をしていただきたいんだけれど、このことを余り重荷に感じて萎縮をしていただきたくないというのが新会長に対する私の第一声なんです。意識はするけれど萎縮をするなということなんです。意識をし出しますと、やっぱり自己規制が起こりまして、かたくなって萎縮をする。そうすると事なかれ主義になるわけですよ。そうなると、どうも生気のない、つまらないNHK、ことに聴視料問題がシビアになり、前会長の引退問題などが起こってくると、間違いを起こすまい起こすまいとして、どうしてもガードがかたくなる。ヒットは打たないでも三振はするなというふうな番組、NHKの姿勢は私はつまらないと思います。  だから、会長のいわゆる就任最初にお願いをしたいことは、何か余りにも公共放送とか中立性ということを里何に感じてしまうと、そうしてNHKが置かれている現在の環境を余り意識をし過ぎると、自己規制が起こって萎縮をして、つまらない、事なかれ主義のどこからつつかれても問題点がない番組づくりに集約をされることがあってはならない。意識はするけれど萎縮はするなというこの第一声に対して、会長はどういうふうにお受けとめになりますか。前置きが長くてまことに恐縮でございます。
  333. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 大変NHKについて御理解のある御指摘だと思います。おっしゃるように、ともかく二千六百万世帯、ほとんど全世帯を契約の対象とする報道機関でございますから、最近のように価値観の多様化、いろいろな御意見のある聴視者に対応する放送でございますので、そういう点についての中立性ということについては御指摘のようになかなかむずかしい面がございます。  ただし、やはりそれだけのボリュームを対象とする報道でございますので、何が中立で何が公正かということを考えます際に、やはり独善に陥るということを最も私としては恐れる次第でございます。したがいまして萎縮するなという御指摘はまことにありがたいと思いますけれども、その反面、独善になるということについては、極力、われわれ謙虚に対処しなければならないんじゃないかというふうに考えております。  また報道番組等について、ニュースなどについての御指摘がございますけれども、私はニュースというのは事実を伝えるということがまず第一前提である、そしていわゆるセンセーショナリズムになってはならない、事が起こったときにわれわれはまず冷静にならなければいけない、取材合戦の現場はともすればホットになるのはこれは当然でございますけれども、それを編集し、マネージするわれわれが一緒になってホットになったんではいけない、われわれはあくまでも冷静で、事実を報道するということに徹して編集すべきであるだろう、そう考えておる次第でございます。しかしながら、具体的な問題に当たりますと、御指摘なような点が多々出てくるということもこれまた否めない事実かと思いますので、いまの木島先生の御指摘を十分腹に据えて、私も今後の方針にしたいというふうに思う次第でございます。
  334. 木島則夫

    ○木島則夫君 萎縮をするな、萎縮をしてもらいたくないと私が申し上げた、それもよくわかる、しかし、もう一つの反面として独善に陥らないことであるという、まさにそのとおりだと思います。それをどこでバランスをとるかという、それはその時点での社会情勢なり経済情勢なり、そうですね、ケースケースによって私は違っていいと思いますね、違っていいと思う。いつもある一定の目盛りのところを針が指すように、そこを指していなければいけないというものじゃないと思います。揺れがあっていいと思いますね。  で政治の問題について申しますとね、NHK放送が自民党にとって気に入らない場合もございましょうし、また野党の側から言いますと、余りにもそれは体制べったりであり、与党的なつまり取材の仕方であり、表現の仕方であると目に映る場合だってあるわけです。で気に入らないことがいつも一方に偏っていることが問題だというふうに私は御指摘申し上げたい。その時点で、あるいはそのケースケースでは問題が起こるかもしれないけれど、しかし総体的に見ると、いま言った萎縮と独善になるなということの関係のように、総体的にいうとバランスがとれているというのが一番いいんだろうと思いますね、私はそう思います。で私が恐れていることは、NHKがどこからもつっつかれないように、問題を起こさないように起こさないようにとする余り、つまり独善的になるなというところにばっかりウエートが置かれると、やっぱりそっちの方に重みがかかって、自己規制なりいま言ったようなことになりかねない、だから六十点から七十点の平均主義的番組が生まれかねない、そういうことを私は危惧をするわけでございます。  で、私は、五十一年度予算審議しました折にも、前会長にこういうことを申し上げたんです。NHKというのは国民の広場であってほしいということを申し上げました。この広場にそれぞれが国民の立場でという表現でも結構ですよ、という表現で多くの価値意識を私はもうやたらめったらに持ち込んでもらいたいということですね、そこへ。この広場というのは、原則として柵がない方がいいですね。NHK広場に集まってくる関心あるいは期待、要望、批判という国民の複雑な価値意識をフランクに広場に入れていただきたい。そうして、この価値意識をできるだけ直接的に番組に投映するようにお願いをしたいというのが二番目の私は要望でございます。  もっとも、さっき会長がおっしゃったように、余りホットになり、余りセンセーショナルになってしまうことはこれは避けなければなりません。だから、ある種の番組についてはあまり生々しいものをそのまま出すことは、これは刺激的であり過ぎる場合もございましょう。これは当然配慮があっていいことだろうと思いますが、概してNHKが扱うものは、私のこれはおはこなんですけれど、せっかく鮮度のいい素材でも、それを何らかの形で料理をしてしまいまして生で食べさしてくれないんですよ、本当に。たまにはとれたての野菜とか、とれたての魚を生でガリガリかじりたい。NHKの側から言うと、そういうものを生でお食べ願うことは不消化を起こしたり、おなかを壊すと大変だからと言って、それをいつも煮沸したりボイルをしてしまう。せっかくの生の鮮度、ビビッドな生き生きした素材というものが何かなくなった形で提供されると、それが私はパターン化した平均主義的番組になってくるおそれがある。こういうことを、釈迦に説法です、こんなことは、だけど、私はそのことを常にNHKに希望もし望んできたわけでございます。  現場育ちの会長に言わせますとね、それは理想であってなかなかそうはいかないのが放送だよというお言葉が返ってくることは私はよくわかるんだけれど、NHKがいまもう一つ脱皮をしなきゃならない、その脱皮というのは、これは後日問題にしますよ、内部的な一つは規制があり過ぎるということ。これは後日問題にします。  しかし、いまはそうではない。公共性とか中立性とか政治的不偏不党、国民のためのNHKという、そういう重さにむしろつぶされて、そこから、出てくる萎縮から起こる問題の方をいまは問題にしているわけでございます。いかがでございましょうか、NHK公共放送を意識はするけれど決して萎縮をするな、むしろ生き生きとなってほしい。愛宕山の放送揺籃時代から現在の放送の隆盛時代まで、いわゆる放送の歴史を体現をされて、体で体験をされてきた、もう数少ない私は生き証人、まあ生き証人という言葉はよくないかもしれないけれど、そういうお立場にいらっしゃる会長だと思います。で現場を知っているということは非常にこれは強いことですね。また知り過ぎるということは、その枠の中から出られない可能性というか、枠もしがらみもここにぶら下げているという宿命を負っているわけでございます。NHKが置かれているシビアな環境の中で、あるべきNHKの本当の姿は何なのかということを踏まえまして、いまの私の提言にお答えをしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。何か釈迦に説法的なことを申し上げたと思いますけれど、やっぱり私はNHKのよさなりNHKのあるべき姿をもっともっと引き出したい、出してもらいたいという、こういう気持ちから申し上げたわけでございます。
  335. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) NHKの現場育ちというお言葉でございましたけれども、現場については私以上に熟知しておられます木島先生の御発言なんで、まあそれこそ釈迦に説法の御答弁になりかねないのでございますけれども、確かにいま比喩でおっしゃいました、生の野菜をガリガリかじるような番組であるべきものがボイルしたりしてしまって新鮮さを失っているではないかという御指摘、それはむしろわれわれの未熟さがなせるわざだろうと思います。われわれはそういう御指摘を受けない、生で提出するものは生で提出するという、そういう料理人であるべきだと思いますが、しかし、何と申しましても、毎々申し上げておりますようなNHKの置かれている環境の中で番組づくりをするということが、とかく御指摘のようなことになりがちだということも大いに反省しなければならないと思っております。  したがいまして、そういう点についての一層の勉強をして、その未熟さから脱皮して御期待に沿えるような番組づくりをするというのが、少なくとも私に課せられた使命一つであろうというふうに認識しておりますので、今後、一層努力したいというふうに思う次第でございます。
  336. 木島則夫

    ○木島則夫君 大変前向きなお答えありがとうございます。やっぱりひとつ脱皮してほしいと思いますね。それをおやりになることが新会長に課せられた私は責務だろうと思いますし、国民の多くの期待だろうと思います。  ボイルするものは、煮沸するものはやっぱりしていただかなきゃならない、それは私もよく承知をしております。しかし、全部そういう状態で提供されますと、これは鮮度を失っておもしろくないです。やっぱり見る者はおもしろくなきゃ、生き生きしてなきゃつまらないですよ、放送が。だから、そういう生で出していいと御判断になったものは遠慮なく生で出す。そのときには賛否いろいろの刺激的な反応があるかもしれない。それはそれで処理をする。しかし、NHKのあり方、番組全体を総合してみたときには、ちゃんとさっき言った萎縮をするな、片っ方では独善になるなというバランスがとれている、言うはやすくして要望は大変大きいのでございますけれど、新会長期待するところの大きい、その期待をひとつ体現をしていただきたいということを最後に要望として申し上げて、私の質問を終わります。
  337. 青島幸男

    ○青島幸男君 私、当委員会におきまして発言の機会を得るたびに、また大臣が新しく御就任になるたびにこの問題をしつこくお尋ねしていて、通告してありますんで大臣もある程度の御答弁御用意になっていらっしゃると思うんで申し上げます。  長年懸案になっておりますオールVをUに転換するというお話でございます。四十二年、小林郵政大臣の際に、閣議決定ということで方針が打ち出されまして、その当時、十年を目途にそういうことにするんだというお話でございましたけども、もはやことしは五十一年でございまして余すところ一年、その間に何人か大臣がおかわりになられまして、そのたびにこの御質問を申し上げますと、狭い日本でなぜにそんなに急ぐんだ青島君、というような交通標語まで持ち出されまして、いろいろはぐらかされたりしている経験もございますので、改めてお尋ねするんですが、もはや十年になんなんとしておるわけでございまして、私漏れ承わるところによりますと、新大臣大変率直なお人柄だと承っております。もう十年も前に、十年を目途としてやるんだと言っておりながら、十年たって何のめどもたたないんですから、十年前には確かにそういうことも望ましかったけども、いまとなってはやはりこれは無理だった、あるいは再検討しなければならないのではなかろうかぐらいの御見解は承れるんではないかという期待を持って御質問申し上げますけどもお答えをいただきたいと思います。
  338. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) この点はVからUへ全面移行する問題、たしか小林元郵政大臣のころからの長い間の懸案と承っております。この点につきましても、治安、警察、災害等の問題とVの関係、それから一般テレビとUの関係、いろいろ事態の進展で色分けもできてきておりますから、政府としては、郵政としては、従来からの方針に従って今後もさらに検討を続けていきたいと思います。  具体的には、事務局から答弁さしていただきます。
  339. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま大臣から御答弁ございましたように、このVU移行の問題につきましては、いろいろむずかしい問題がございますが、やはり基本的には従来からの方針を引き継いでいるわけでございます。  これはもう先生十分御承知のように、この問題につきましては重要通信に必要とする電波の問題でございます。この当時、四十三年の時点でございますが、このときはVHF帯の重要通信が非常に窮屈になってまいりまして、そのためにあのような方針を出したわけでございますが、その後も重要通信に必要な波というものは相変わらず激増いたしておりまして、その周波数の割り当てにわれわれ非常に苦心しておるわけでございます。その間に激増する重要無線の通信用の周波数の需要につきましての解決方策といたしましては、周波数の効率的な使用、たとえばチャンネル・セパレーションのようなものでございますが、それの縮小というようなものでございますが、これでしのいでまいりましたが、最近、またまた災害用の無線とか、あるいは消防とか、そういうような保安、消防、こういうような需要がますますふえてきております。したがいまして、われわれといたしましても、やはり従来の基本方針のもとに、こういう問題の解決を図っていかなければならないだろうということでございますので、そのような意味におきましても、基本方針どおりこの問題を今後とも検討を続けていきたいと、かように存じております。
  340. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから緊急連絡用にVがほしいということはよくわかっております。しかし、かつて十年をめどにということで閣議決定されたのだけれども、もはやもう十年たっているわけですから、あのとき言われたことは、現今の状況と引き合わせて見て、これは無理だったと、今後ともその方針に変わりはないけれども、あのとき打ち上げたアドバルーンは事実上行えないで無理だったと、つきましては今後何年後をめどにどういうようにしたいというようなことが明らかになりませんと、いつまでたっても、この議論を繰り返しているうちまた十年たってしまうのじゃないかということで、非常に聞いている側はすっきりしないのですよ。その辺を何とか明快に、一般の国民にもわかるように御答弁いただけると大変幸せだと思いますが、重ねて御答弁をお願いします。
  341. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) いついつまでにというような御質問でございますが、この点は実はわれわれといたしましても非常にむずかしい問題でございます。先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては、この重要無線の増加につきましてはいろいろ技術的な手段を講じまして、そうして効率的な使用などを図ってまいりましたが、やはりそれにしてもこの重要無線関係の伸びというものが、当時に比べまして社会的な状況も変わってきております。ですから、そのような点なども含みまして将来の重要無線というものに対する周波数の需要動向、増加の状況、こういうものを図っていかないといけないわけでございます。したがいまして、ただいま先生から何年をめどにということの御質問を受けたわけでございますけれども、その点につきましては、私たちといたしましても、なるべく早くということは言えるわけでございますが、何年ぐらいということにつきましては、やや御返事に不十分な点があるのはお許しいただきたいと思います。
  342. 青島幸男

    ○青島幸男君 とてもお許しできない問題です、これは。実際に全面移行、VからUにするということは、NHKのカバレージを考えましても、いまの財政状態を考えましても、できないことは皆さんの方が百も承知なわけですね。いつまでにはできない、だったら、もうあの看板はおろしてもいいんじゃないか。  だから私は緊急無線用に帯がほしいことはわかるのです。十年をめどと言ったけれども、もう十年たってできない。今後も見通しは立たない。これは大変むずかしい問題だから、何らか再検討しなければならないのじゃないかというようなことを率直にお認めになったらどうですかということを、大臣、申し上げているわけですよ。これいかがでございましょうね。
  343. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 先ほど申し上げましたように、基本方針といたしましては、われわれこの重要無線をどういうふうに解決していくかということが基本的な考え方でございます。したがいまして、そのVU移行の問題とか、あるいはチャンネル・セパレーションの問題、こういう問題は一つのテクニックでございまして、その辺の問題をわれわれとしても十分検討したいと思っておるわけでございます。したがいまして、この基本方針自体については、われわれとしては基本方針を再検討するということではなくて、やはり基本方針についてはあくまでも従来の考え方を維持しながら、それを解決する方法というものを考えていきたいと、かように申しておるわけでございます。
  344. 青島幸男

    ○青島幸男君 この問題もうやめます。画期的な発明として同軸ケーブルがあらわれまして、いままでワイヤーでやっていた容量をはるかに上回るものができましたね。ああいうふうに画期的な発明があらわれるかもしれませんし、そうなったらこの問題も一挙に解決するだろうと思いまして、私もそういう新発明に期待をいたしまして、今後、この問題は質問いたしませんけれども、何とか、一般の国民が非常にはがゆく思っている問題ですから、早急に片をつけていただきたいというふうに御要望申し上げます。  大臣、こういう公式の席ではなかなか御発言ならないのもごもっともなんですけれども、歴代の大臣の方々も、新聞記者などとの雑談の間などでは気をお許しになるせいか、やっぱりあれは無理だったんだよなというようなことを述懐されているというふうなうわさも聞きます。ですから、いつの日にか率直にこの問題と対決していかれる日があるんではなかろうかと思いますけれども、この問題はこの程度でとどめます。  先ほどから、NHKの公共性を踏まえました中立性という問題が大変問題になっていますけれども、今度、新会長御誕生のいきさつにつきましては、私も大変喜んでおる者の一人でございまして、少なくとも経営委員会というものがNHK会長を選ぶんだというような認識が国民の間に行き渡ったと、このことだけでも勝手に政府がしかるべき人を連れてきて経営委員会に据える、あるいはその経営委員会の中から勝手に政府の息のかかった人が選ばれるんだという認識はぬぐわれたと思うんですね、一応。ですから、ここをもう一つ押し広めてまいりまして、新聞の投書欄なんかを見ますと、やはり経営委員を公選にする、あるいは私ども聴視者の声が経営委員会の人選のあり方に反映できるようなかっこうにしてくれたらもっとNHKは私どもに身近なものになるんじゃなかろうかというふうな意見幾つか出ているのを私拝見いたしました。ですから、こういう機運がこの際盛り上がってきているのですから、一挙にNHKを国民の側のものという認識を国民に与えるためにも、その点の配慮がなされてしかるべきだと思います。  前郵政大臣のときに、公選制を、経営委員の公選も含めて経営委員の任命のあり方については考えますというお約束を郵政省からいただいております。その後、どういうふうにそのお約束が進展しておりますか、その辺の事情をお聞かせいただきたいと思います。
  345. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま先生から御質問がございましたように、この問題はさきの国会の五月に御質問があったわけでございます。で、その後、われわれといたしましては、先生を初め各方面からいろいろな御意見をいただいております。この経営委員会委員の任命方法とかあるいは制度という問題でございますが、これは非常に重要な問題でございますので、省内に現在設置してございます電波放送関係法制調査委員会というものがございますが、その委員会でも慎重に調査検討を進めているわけでございます。  われわれといたしましては、先生のお示しのような経営委員の選出方法といたしましての公選的な手続、こういうようなことにつきましても検討いたしましたけれども、やはりいろいろ検討いたしました過程において、現在の制度は内閣総理大臣が任命に先立ちまして、国民を代表する両議院の同意を得ることによって国民の総意が反映できるというような形で現在その経営委員の任命方法、選出方法が決まっております。で諸外国の状況を見ましても、やはり公共放送事業体の経営委員の選出方法、あるいは国内における——これは日本の国内でございます、ほかの公共企業体の経営委員の選出方法、こういうものなども調べてみますと、やはりほとんど公選の方法というのは類例を見ないようなものでございますので、われわれとしては、これをにわかには取り入れがたいというふうに考えております。
  346. 青島幸男

    ○青島幸男君 にわかに公選にしないまでも、NHKを大事に思う国民の声がその人選に反映するようにしなきゃならないとはお考えになるわけですね。少なくとも視聴者の声がNHKの人選に何らかの影響力を持った方が望ましいとお考えになりますか、それともそんなことは一切関係なく、総理大臣が任命するに先立っていろいろ人選が行われるんだから、それで十分だというふうにお考えになりますか、いずれですか。
  347. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま申し上げましたように、NHKを見ておられる聴視者方の御意見というものが何らかのかっこうでやはりそういう経営委員のところに届くということは望ましいことでございます。それにつきましての方法としていろいろあるかと思います。NHKでは、NHK自体といたしましていろいろなそういう番組を国民の皆様から御意見をちょうだいするという方法どもあるようでございます。しかし、われわれといたしましても、NHKというものの存在ということから見まして、やはり現在のような形を法律にとりまして、そして国民の皆様の意思が反映できるようなかっこうにしているというふうに考えております。
  348. 青島幸男

    ○青島幸男君 少なくとも契約者ですからね、視聴者というのは。ですから、契約者は契約して放送の対価として金を払っているわけです。ですから私どもが考える放送に近づくように、しかもそれを具現化する経営委員のあり方というのは、私ども考えるような人々が経営に臨むのが正当だという考えが反映されるようにしなければ、国民の  一人一人あるいは視聴者の一人一人が実際にわれわれのNHKなんだという認識は持ちにくいわけですね。ですから、そのようにすることが望ましいといまおっしゃいましたから、これからもまだまだ検討の余地があると思いますから、その方向で御検討いただくように重ねて御要望申し上げておきます。  見ている人間たちが、本当に私たちの代表が、少なくとも私の意見の反映がこのNHKの経営の実態を握っているんだと、経営に私も参画しているんだという認識を国民が持ち得るような線で御努力いただくことが一番妥当だと私申し上げているわけで、その辺の認識は間違っていないと思いますし、そういうふうな方針で、今後その方向で御努力いただくように要望したいということですけれども、いかがでしょう。
  349. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 先生の御発言よくわかったわけでございますが、われわれ、NHK立場といたしまして、国民の、いわゆる聴視者の意見というものも非常に重要でございますし、また公共放送としての立場というものも重要だと思います。したがいまして両方かみ合わせて、今後、検討を進めさせていただきたいと、かように考えております。
  350. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは前々から厳正中立ということを言われているわけですけれども、どれが厳正でどれが中立なんだかということはだれが決める問題でもないわけですね。これは大多数の人間がそう考えているということがこれが中道なんじゃないかというのがまず民主主義の原則になっているわけですから、ですから一部の考え方で独善に陥るということは、先ほど会長おっしゃられておりましたけれども、独善に陥ってしまうということがこれだけの大きな組織を持っている経営の実態の中にあったとしたら、これは大変恐ろしいことになるわけですから、その辺が国民も一番恐れるところだと思いますので、そういう御認識を持っていただきたいということを申し上げたわけです。  NHKの問題はそのぐらいにいたしまして、今度、料金の問題ですけれども大臣がいずれかの場で御発言になったというのを私ちらっと見たんですけれども、いまの状態でいっても二年か三年先にはもう一回郵便料金の改定をしなきゃならないようなことになるかもしれないという御発言があったやに伺いましたけれども、これは事実でございますか。
  351. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 少なくとも来年度はまず絶対に回避できるという見通しがございます。その次の再来年については、値上げがまた必要になる人件費の高騰その他の要素が出てくるんじゃないかという懸念もあるようでございます。しかし、私としては、半年でも一年でも値上げはなるべく回避したいという方針には変わりございません。
  352. 青島幸男

    ○青島幸男君 いま電信電話料金の問題が大変議論の的になっているわけですけれども、おおむねいつも料金改定のときはそうですけれども、せっぱ詰まってもう赤字が累積していて、上げなければにっちもさっちもいかないのだ、どうしてもこの国会で事実上値上げの内容を持ったこの法案を通してくれ、いや通さない。それで与野党が攻防いたしまして、時間切れ、あるいははなはだしいときは強行採決というようなかっこうで事が決まってしまうというようなことが往々にしてありますね。このことが一番私は実は国民がきらったところだと思うのです。どうしてもぎりぎりになって通すか通さないかで力ずくの争いになるみたいな状況の中からは納得のいく解決が生まれるわけはないわけですから、いまみたいに少し余裕のあるうちに実は基本的に料金体系をこう改めれば、国民の方にも納得いただけるのじゃないかとか、そういう幾つかの考え方を煮詰めておく期間があるということは私は大変幸せだと思うのですね、一年でも二年でも。本質的な議論がなされる期間にそれをしておかないと、またぎりぎりになったときに力ずくでということになったら、いつまでたっても国民の理解が得られないままに泣く泣く国民は料金改定に従わざるを得ないという結果になるわけですからね。  で、私、郵便料金の値上げの際に、幾つかの提言を申し上げました。たとえば、はがきにコマーシャルを刷り込むのはどうだろうとか、あるいはダイレクトメールというようなものが実態として大変大きな数字を占めているし、郵便事業発足の当時は考えられなかったことだろう。その意味からして郵便の扱う内容が非常に変わってきているから、企業間通信とかあるいはダイレクトメールの占める分量が圧倒的に多くなりましたね。その分の本当の私信に対する影響が非常に大きいので、実は、郵政省はそういう企業の配達機関の一部に成り下がったんではなかろうかという部分さえある。そういう部分をわれわれの私信の料金値上げで補われてはかなわないんだというところが一般にある。  その点を考えても、ダイレクトメールと私信とを何らかの形で区別する必要があるんじゃなかろうか。少なくともダイレクトメールを出すということは、受益者負担という法則を貫かれておるわけですけれども、実際には何がしかの金銭的利益を得るために行うわけですから、それと私信、ふるさとからの便りなんかとは違うのだから、明確に区別したらどうだろうか。しかし区別するためには文書の中を改めなければならぬこともあるし、それは大変むずかしい繁雑な問題であるということをおっしゃられた。ですから、あらかじめこういうダイレクトメールを出しそうな企業は前もってその金をプールしろ、あるいは税金みたいなかっこうで別途徴収したらどうかというような提言も申し上げました。それにつきましては、いろいろ考えてみますというお言葉をいただいておりますので、その後、どういうふうに進展しておりますか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  353. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) いろいろ郵便法改正の際に有益な御意見を賜ったわけでございますが、はがきにつきましては、その際にも申し上げましたけれども、慶弔通信とかそういう場合等を考えますと、広告の種類を選択するというのが非常にむずかしいことではなかろうかということでございまして、どのような広告を取って官製はがきに印刷するかということは、私ども技術的に見ても大変むずかしい問題ではなかろうかと現在も考えておるところでございます。  それからもう一つ、業務用通信とそれから一般の通信とを区別して抜うということは、先生御指摘のように、内容を調べなければなりませんので、これは技術的にきわめて困難であるということは先生お説のとおりでございます。ただ、それにかわる目的税のようなもので、たとえば資本金に応じてこれを取るというようなお話もございましたけれども、ただ税ということになりますと、出す企業の郵便の中で果たしてそういう企業の利益にはね返るような郵便物がどのくらいあるかというようなことを明確にしないと、なかなか税負担の公平を欠くかと思われますし、そういうような点、払う主体の問題、それからその税の払い方の問題というのを詰めてまいりますと、実は、私、専門家じゃございませんので、私から答えるのが果たして適当かどうかわかりませんけれども、そういうようなことなどを私なりに考えますと、技術的にも非常にむずかしいものではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、先生の御意見は私どももその際十分拝聴したわけでございますけれども、なお郵便取り扱いの問題並びに税の問題というものをあわせて考えますと、なかなかこれは実現しにくい課題ではなかろうかと現在は考えております。
  354. 青島幸男

    ○青島幸男君 お話よくわかります。で、私も素人で突拍子もないことを言うかもしれないんですけれども、もう一つ提言があるんですけれども、料金別納というのがありますね。あれは何通以上まとまれば料金別納がいいとか、そういう決まりがあるんですか。
  355. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 決まりがございます。ちょっと調べますので……
  356. 青島幸男

    ○青島幸男君 いいです。それは後でお調べいただけば結構です。  時間がありませんから話を先に進めますけれども、料金別納というのは幾つか数がまとまるわけですよね。これはおおむね企業通信かあるいは業務用通信でしょうね、当然。ですから、ここは内容は改めなくても私信と区別はできますね。ダイレクトメールあるいはそれに類する企業通信とか、あるいは業務用通信は大抵一括別納になりますね。それだけ第一種郵便物から外したらどうですかね。それだけまた別途料金体系の中に組み込むということをお考えいただくというのはどうでしょうか。  たとえば、いままで一番国民が疑念に思っているのは、筆書したあて書きの第一種郵便というのは、それとは全く区別されるべき筋合いのものですね、業務用通信とかその他の商業通信は。ですから、あれとふるさとからの便りとデパートから来るダイレクトメールと同じ料金で、しかも、そっちの方で赤字抱えているからおれが払うのはいやだという部分の疑念は、少なくともそのことだけでも解消されるのじゃないかという気がします。これは明確に区別してしかるべきものだと私は思いますけれども、私信とそれから業務用通信。ですから一括料金別納の分だけ別建てに料金を組んで、その分だけ高くしろということにすれば、私信を上げなくて済むんじゃないかという気がしますけれども、その辺はいかがでしょう。
  357. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先ほどの料金別納とし得る郵便物は五十通以上になっております。  それから、ただいまの別納郵便物を別の料金建てにしたらどうかというお話でございますけれども、なかなかこれもむずかしいかと思うのは、料金別納で出される郵便物の中にはやはり公共性とかあるいは公益性の強いものも含まれてくると思います。その場合に、企業の利益にそのままはね返るかどうかという判定が非常にしにくいのではないかと思います。明らかにその郵便物が差し出される人の利益にはね返ってくるという認定ができる場合にはお説のような議論があろうかと思いますが、その辺については少し勉強さしていただきたいと思います。  それからもう一つ、全般的な料金体系の問題でございますけれども、これは郵便物がある程度需要があるという前提に立って全体の料金が立てられていかなければならないと思います。で、ある程度割り増し料金を大きくいたしますと、そのために全体の郵便通数の需要が減少してまいりますと、勢い非常に大事な第一種あるいは第二種の通信、先ほど先生はふるさとからの便りというふうにおっしゃいましたけれども、そういった一、二種の料金を安定的にいたしまして、そして一般の通信、そういった一、二種の通信を安定的な料金で確保し、そしてサービスを提供するというためには、やはり全体の郵便物量というものを確保していかなければならぬのではないかというふうに考えます。そういう意味で、料金体系はやはり全体の需要等のことも念頭に置きながら立てていくということも必要かと思います。その意味で大量郵便物といわゆる私信というもののバランスというものをどこで決めたらいいか、これは非常に大きな郵便料金体系の考え方の問題だと思います。  私ども、実は、そういった問題も含めまして、ただいま郵政審議会の特別委員会の方に諮問をいたしておるわけでございまして、郵便の本来的なあり方は何であるかという中に、いま先生御指摘のような郵便料金体系の本来的なあり方は何であるかということもあわせて求めていきたい。また、そういう結論が得られれば非常に幸いだというふうに考えておるところでございますし、私ども自身といたしましても、将来の郵便体系について今後真剣に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  358. 青島幸男

    ○青島幸男君 いまのお答えでも幾つか不満の点もあるし、もう少し申し上げたいこともありますけれども、話が細かくなりますから、時間もございませんし、また別の機会にその問題についてはお伺いをいたしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  359. 森勝治

    委員長森勝治君) 本日の調査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十七分散会      —————・—————