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1976-10-28 第78回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十八日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      小谷  守君     赤桐  操君  十月二十八日     辞任         補欠選任      野口 忠夫君     和田 静夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上田  稔君     理 事                 安孫子藤吉君                 金井 元彦君                 小山 一平君                 神谷信之助君     委 員                 井上 吉夫君                 後藤 正夫君                 夏目 忠雄君                 細川 護煕君                 赤桐  操君                 秋山 長造君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 多田 省吾君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    天野 公義君    政府委員        警察庁長官官房        長        鈴木 貞敏君        大蔵政務次官   斎藤 十朗君        大蔵省主計局次        長        加藤 隆司君        自治大臣官房長  近藤 隆之君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       福島  深君        自治省行政局長  山本  悟君        自治省行政局公        務員部長     植弘 親民君        自治省財政局長  首藤  堯君        自治省税務局長  森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        大蔵省主税局税        制第一課長    矢澤富太郎君        大蔵省理財局地        方資金課長    鈴木 達郎君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        倉地 克次君        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    森下 忠幸君        厚生省児童家庭        局企画課長    下村  健君        林野庁指導部造        林課長      能勢 誠夫君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  妹尾 弘人君        運輸省自動車局        業務部長     向井  清君        労働省労働基準        局安全衛生部長  山本 秀夫君        労働省職業訓練        局管理課長    中野 光秋君        建設省道路局路        政課長      海谷 基治君        自治省行政局公        務員部福利課長  桑名 靖典君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政に関する件)  (警察行政に関する件)     —————————————
  2. 上田稔

    委員長上田稔君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、野口忠夫君が委員辞任され、その補欠として和田静夫君が選任されました。     —————————————
  3. 上田稔

    委員長上田稔君) 地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 秋山長造

    秋山長造君 大臣に対しまして、若干の基本的な問題についてお尋ねをさせていただきます。  先般大臣から所信表明文書をいただきました。繰り返しこれを読ましていただいておるわけでございますが、この中に、いまの地方情勢問題について非常に重大な幾つかの点が指摘をされておるように思うのです。そこで、もう余り細かいことはお尋ねしません。それらの重要な問題についての大臣としての物の考え方をお漏らしいただければ結構です。  まず、この所信表明の第一ページのところに、いま地方行財政は大きな転換を迫られておるということが書かれておる。またそれに順応して地方自治基盤の一層の充実を図らなきゃいかぬ、それからさらにそのために必要な税財源の確保を図らなきゃいかぬ。特に来年度も巨額財源不足が生ずる見込みなので、「財源不足については万全の措置を講ずる」と、「万全の」とこう特に書いてある。さらにその万全の措置の中身として、地方税源充実強化をもっぱら考えていくということがうたわれておる。それから、年来非常に論議の的になっております国と地方機能分担、つまり事務の再配分ということがすべての論者から、それぞれのニュアンスの違いはあっても、異口同音に叫ばれてきておることは、これはもう御承知のとおりですが、大臣としてもこの事務の再配分、国、地方機能分担明確化を図りたい、こういうことをうたっておられます。さらに、その事務の再配分の一環として地方事務官制度廃止についても触れておられるわけでございます。  その他等々でありますが、以上申し上げた問題について逐次大臣の少し具体的なお考えお尋ねしてみたいと思うのですが、まず、いま地方行財政が大きな転換を迫られておる、こういう認識を持っておられるのですが、その大きな転換というのは内容としてはどういう方向転換というように御認識されておるのか、まず一点。
  5. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 従来は高度成長が続きまして、それに伴いまして自然増収がずっと出て、財政運営は非常にやりよかったわけでございますけれども、この一、二年、高度成長から横ばいもしくは低成長時代になり、今後も前のような高度成長を望むことはできない、低成長、言いかえれば安定成長というような状況考えなければならないという事態でございますので、従来のような自然増収考えることもできませんし、また従来のように高度成長の中でぬくぬくとしていたようなそういう環境というものを反省しなければならない段階になっているわけでありまして、これからの低成長時代に即応した考え方に立って問題を考えていかなくちゃならないし、といって今度は反面住民福祉の問題とかあるいはまた住民サービスの問題とか、そういうものを低下させるということはできないわけでございまして、そこに大きな転換を迫られておりまして、これにどう対処をしていくかということが当面一番大きな問題ではないかというふうに考えておるわけであります。
  6. 秋山長造

    秋山長造君 高度成長から安定成長転換、ということは具体的に言えば財政規模を縮めるということですか。緊縮財政をやるという、いずれにしても地方財政を引き締めるということのように受け取れるのです。ところが、福祉充実ということはさらに推し進めていくということも一方で言われておるわけですが、一方財政を切り詰める、そして福祉はさらに充実していくといったら、そのしりはどういうことによっていくのでしょうか。ちょっといま言葉じりをつかむわけじゃないのですけれども、大臣のおっしゃること、前段と後段とこう食い違うような感じを受けるのですがね。
  7. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 何もめちゃくちゃに引き締めるというわけではございませんが、収入の見通しというものを持って運営していかなければならないことは言うまでもないところでありますし、いまも巨額財源不足状況から脱出できないわけでありまして、来年もまた財源不足という事態で問題を対処していかなければならないわけでございます。それだからといって、住民福祉なり何なりそういうものを低下させるということはできないし、また向上に対する要望も非常に強いわけでありまして、そこらのバランスをどういうふうにとりながらやっていくかということが非常に大きな問題ではないかというふうに考えておるわけであります。
  8. 秋山長造

    秋山長造君 私はその点、大臣が冒頭大きな転換期に直面しておる、地方自治基盤はしかも一層充実していかなきゃいかぬということをうたわれた内容は、いまおっしゃるようなただ高度成長とか低成長とかいうことよりはもっと大きい立場で、今日の地方行財政あり方、国と地方とのかかわり合いというようなものを中心としてのあり方というものを、この際諸般の事情にかんがみ、経済事情もむろん含まるわけですけれども、根本的にやっぱりこの際考え直さにゃいかぬ、再検討せにゃいかぬと。具体的に言えば、後ほど大臣も触れられておりますように、国と地方との行政事務配分というようなものは、いままで歴代の大臣がその都度口にはされながら具体的には何にもなすところなく去って行かれた、これを繰り返してきておるわけですね。そういう経緯を踏まえてなお改めてこういう所信表明を出されたということは、そういういままでの、口では言いながらも何もやらなかったということでなしに、今度はひとつこれをぜひ自分としてはやりたいのだ、年来の大きな課題に決着をつけたいのだという意気込みで私はうたわれていると思っておったのです。  いろいろおっしゃっておるのですが、後の方でずっと触れられておることを全部総合的に整理してみますと、結局第一として、やっぱり国と地方との行政事務の再配分ということが一つ。それからさらに、これを財源の面から担保するという意味において財源の再配分、それは補助金の再検討だとかあるいは交付税税率の問題だとか、地方債の問題だとかあるいは超過負担解消の問題だとかいうような問題が当然含まっておるわけですけれども、そういう問題を含めて、私は大臣が、大きな転換を迫られておる、地方自治基盤の一層の充実を図らにゃいかぬ、そして巨額財源不足をいまのままでいったら生ずるおそれがあるので、その場合には地方行財政が円滑に運営できるように、財源不足については万全の措置を講ずるつもりだ、地方税財源充実強化するつもりだ、国、地方機能分担明確化を図るつもりだというような、あるいは事務官制度廃止を図るとかというようなことまでおっしゃっておるのだと、こう思っておったのですけれどもね。違いますか、私の受け取り方と大臣のお考えと。
  9. 天野公義

    国務大臣天野公義君) おっしゃることはそのとおりだと思いますし、私の言い方の出発点は先ほど申し上げたとおりでございますが、そういう基盤を踏まえて、これから国と地方とのあり方というものをどういうふうにするかとか、あるいはまた財源の問題をどう考えていくかとか、あるいはまた来年、再来年赤字を前提としなければならないというような場合に、行財政改革並びに交付税率の問題もあわせて考えなければならないとか、そういうような問題が出てくるわけでございまして、それらを含めましてこの地方行政がうまくいくように今後努力をしていきたい、こういうことでございます。
  10. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっとまだよくのみ込めない点が残りますけれども、しかし、結論的に私が先ほど私としての受け取り方をるる申し上げたことに対して、大体大臣もそういう意味だというようにお認めくださったと思いますので、私の受け取り方に従って少し一歩進めてお尋ねをしたいと思います。  中央、地方、国と地方との行政事務の再配分ということは、もうこ委員会の席上でも連年繰り返し議論になってきたことですし、地方制度調査会でももう同じことが繰り返し議論されていることですし、また地方団体その他あらゆる方面議論はされておるわけですが、にもかかわらず今日までこれだけこの再配分をやった、これだけ変わったということは何にもないのですがね。これはそれだけなかなか行政官庁のなわ張り等もこれあり、具体的な扱いとしてむずかしい点があることはこれはもうよくわかります。よくわかりますけれども、ただ、そういうことだけのためにいつまでたってもこれにはっきりしためどがつかぬということは、一方ではもう所信表明なんかでこういう大上段に振りかざしたようなことをおっしゃっても、これは拝啓述ぶればぐらいな感じしか受けぬようなことになってしまってね、何か大臣具体的に、大臣としてでいいです、私はもう大筋の方針だけでよろしいのですが、新しい自治大臣として、この際国と地方機能分担明確化を図る、事務の再配分をやりたいということなら、これはどういうようにやっていきたいかということをお漏らしいただければと思うのですよ。  私の個人的な考えを先に申しますと、私としては、たとえば事務配分はずいぶんいろいろ明治以来やってきたことですから、長年の積み重ねというものがありますから、一朝一夕にいかぬということはわかりますけれどもね。しかし、それだけにやっぱり、ただ文書に書いて口で言っているだけではこれはいつまでたってもできぬことは、いままでの経過から見てきわめて明白です。したがって、具体的に事務配分委員会か何か、そういう少し実質を備えたものを、関係方面の代表的な人をえりすぐってそういうものをつくって具体的な検討を始められたらどうか。あるいは具体的な検討はある程度いままでいろんな機会にできておったとすれば、具体的に実施することを考えられたらどうかということが一つ。  それから、早い話が地方事務官制度廃止ですね、この問題だって、これはもう私も大分長く地方行政にも籍を置かしていただいておりますけれども、もうこれは二十年来のことですね。断続的に議論されたこともありますし、また継続的に議論されてきたこともありますが、いずれにしても、これはそもそもこの制度をつくったときからもうこ議論はずっと続いてきておるんですね。そうして近年はもうあらゆる方面で、立場の相違によって多少のそれはニュアンスの違いはあっても、大体ほぼ地方事務官制度は速やかに廃止すべしということはもう満天下の世論じゃないですか、国会はもちろん。国会はもう四十九年にすでに具体的に衆参の委員会決議もしておりますし、それから代々の自治大臣も約束されておりますし、三木内閣になって三木総理大臣も約束されて、そして本年の三月三十一日までに廃止する、具体的な法律改正をやってそして四月一日からは新しい形で出発するということまで確約をされておったわけですよね。そのことさえ何だかんだと言うてわけのわからぬ理由でうやむやになって、延び延びになって今日に至っておるようなことで、そしてこの大臣所信表明の中にも、ちょっとこの点だけは少し一歩後退したような感じを受けるのですよ。「地方事務官制度廃止につきましては、関係省庁との協議促進を図ってまいりたい」と、廃止促進するというのではなしに、「協議促進を図ってまいりたい」というように、ちょっとこう言葉が少し後退して、新大臣、この点については大分これは用心しておられるなという感じを受けるのですがね。いずれにしても、大臣がおっしゃるように、もう長年の懸案である事務配分をやろう、手をつける、具体的に手をつけるという本当の御決意があるのかどうかということをまず確かめたい。そしてあるとすれば、もうはやとっくの昔に廃止されておらにゃならぬ地方事務官制度廃止について、もう少し強い決意意欲を表明なさるべきじゃないかというように思うのですが、いかがでしょうか。
  11. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 事務配分あるいは地方事務官制度問題等におきましては、やはり長い間の歴史とあるいはまた流れと仕組みというものがあるわけでございまして、これを当方だけでスイカを割るようにぽんぽんと切るわけにはなかなかまいらないということは御了解願えると思うわけでございます。しかし、それだからといって放置するわけにはまいらないわけでございますし、先ほど申し上げましたような重大な転換期にあるわけでございますので、具体的に国と地方行政事務の見直しやあるいは事務の再配分問題等、真剣に検討を重ねていかなければなりませんし、また地方事務官制度の問題も、この間も申し上げましたように、それならば私の方で、いろいろな御決議もあるところでございますが、すぱっといけるかといいますと、今度は相手の方のいろいろな事情もあってなかなかすぱっといけないところもあるわけでございまして、この問題につきましては、御決議の線やいろいろな問題を踏まえまして、今後大いに努力をしていきたいと考えているような次第でございます。
  12. 秋山長造

    秋山長造君 努力はもちろんしていただかなければいけませんが、ただ抽象的にいろんな面で一層努力ということでお茶を濁すのには、余りにも問題がもう差し迫って、余りに具体的になり過ぎている段階だと思うのですよ。もうある意味ではこれはにっちもさっちもいかぬようなところへ来ていると思うのですよ。事務官制度の問題にしてもあるいは事務配分の問題にしてもね。せんだって山崎君がちょっと質問しておりましたが、大臣自治大臣に新任をされてからまだ余り日数がたっておりませんけれども、それでももういろんな機会にいろんな新聞にやっぱり大臣のこういう問題についての御発言が報道されておりますわね。それらをあれこれつなぎ合わせますと、やっぱり大臣としてはかなりの決意を持ってこういう懸案の解決に踏み出したいという意欲を持っておられるように私は受け取っておったのですよ。どうも先ほど来大臣の御答弁を承っておりますと、もう一つ踏み込んだ意欲的、具体的な御答弁をいただけぬかという気がするんです。はなはだ率直に言って物足りない気がする。たとえば事務官制度の問題についても、協議促進を図ってもらいたい。結果的にはできなかったわけですけれども、少なくとも前の大臣にしても、それからまた三木総理にしても、一応ある段階では五十一年の三月三十一日までにぜひやってのけるという、そこまで確約をされたこともある。まあそれは結果的にはできなかった、だからわれわれは背信行為だと思いますけれども、せめてその不信感というものをぬぐう意味でも、新大臣事務配分のまず第一番皮切りとして、自分としての皮切りとして、何年何月何日までに、たとえば来年の三月三十一日なら三月三十一日でもいいですよ。五十二年の三月三十一日までに必ずこれを今度こそやってみせる、これから精力的にひとつ各省を説き伏せてやってみせる、党内を説き伏せてやってみせるというだけの心構えはありませんか、そのぐらいなことを示していただかなきゃ、われわれ三月三十一日に、あなた、法律改正も何も全部やって、きれいさっぱり懸案を片づけて四月一日から新しい姿で再出発しますというて繰り返し約束されたことは全くほごになっただけで、まああれらが何をか言うやらというようなことになってしまったら、これは自治省自身としても困るのじゃないですか。今度地方次官通達なんかたくさん出しておられますけれども、全部地方事務官制度と同じだということになったら困るでしょう。だれも本気でこんなもの読みやしませんよ。信なくば立たずというのは三木さん好んで書に書いておられるが……。
  13. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 事務配分やいろいろな問題につきましては、地方制度調査会等でいろいろ御審議を願っているところでありますし、また総選挙後には委員を委嘱していろいろと御協議を願うということにもかろうかと思います。私はどうもできないことを公約していいかっこうをしたくない人間でございまして、現実の上に立って一歩前進二歩前進、問題の所在のあるところに改善を加えていきたいと思いますし、また地方事務官の問題のように、いままで一つの目標が立てられておるとするならば、それに向かいまして一歩でも二歩でも三歩でも着実に前進をしていきたい、かように考えているわけでございます。
  14. 秋山長造

    秋山長造君 もう時間が少ないですから繰り返しはいたしません。また別の機会に譲りますが、ただ一歩でも二歩でもとおっしゃるなら、その地方事務官制度全廃というのは何歩に当たるのか知らぬけれども、全廃に至るまで、たとえば段階的に第一歩はどこまでどうする、第三歩はどうするぐらいのめどというものはぜひ示していただきたい、こういうことをもう一度強く要請したい。いかがでしょう。
  15. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほどから申し上げておりますように、この問題はいろいろ御決議もあるところでございますし、これから一生懸命努力をしてまいりたいと思っております。
  16. 秋山長造

    秋山長造君 はなはだ納得できません。不満ですけれども、次の問題に移ります。  行政事務の再配分ということを議論すればもう当然自動的に財源の再配分という問題に移るのですが、財源の再配分ということもまた行政事務の再配分と同じようにいまや天下の世論、天の声というぐらいになっておると思うのですが、財源の再配分として予想される地方財源不足については万全の措置を講ずる、こういう強い御発言をなさっておるのですが、これは具体的には大臣としてどういうことを当面お考えになっておるか。  たとえば最初にも申しましたように、複雑多岐にわたる補助金というものがもう長年惰性的にずっと網の目を張ったようにあるわけですが、この補助金というものを再検討する、あるいは相当少額補助金は一まとめにしていく、補助金の総枠で一まとめにしていくというような案が大分いろんな方面から出ておることも御承知のとおり。それからさらに、補助金というもののたてまえを根本的にひとつ切りかえて、いままでの補助金というものを全部第二交付税というような形でもう一つプールに流し込んでしまって、そしてその中から地方がローカルカラーを十分発揮しながらそのそれぞれの方向に重点的に使っていくというようなところまで考え直したらどうかというような徹底した案も一部にはありますわね。それぞれがそれぞれの説得力を持った私は提案だと思う。  それから現行交付税にしましても、所得税法人税、酒税という三税というものだけが対象になるのは実態に沿わぬじゃないか、もっとそれをベースを広げたらどうか。あるいはもう国税全部の何%というたてまえにしたらどうか。さらに、現行国税三税ということだけはそのままにするとしても、主税の三二%という税率をこの際四〇%なら四〇%と、こう思い切って切りかえたらどうかと。現に本年度の財政計画でも、交付税のこの不足分をいろんなもので補てんをしておりますが、それを全部税率にならすと結局四〇%の上ぐらいの税率に当たるのじゃないか、だから、むしろもう初めから四〇%税率に変えたらどうかという提案もあります。  それから超過負担超過負担もまたもう繰り返しやられる方々が問題にされておることですし、それから七月の十日付の自治省事務次官から各自の事務次官へ、また自治省財政局長から各省官房長へあてられた「昭和五十二年度の地方財政措置について」というこの文書なんかを拝見しましても、その内容というものはほとんど超過負担現実に存在する、各省庁においてそれをぜひ解消してもらいたい、実態に合わぬ補助金制度というものを改めてもらいたいという、自治省としてのもうせっぱ詰まったこれは血の叫びだと思いますがね。にもかかわらず、じゃこれだけの文書各省へ出されて、それに対して各省がどういう解答をされたのか。自治省に対して、しからばわが厚生省としてはどうします、文部省としてはどうします、学校の建築についてはどうします、保育所措置費についてはどうしますということを、はっきりした解答なり約束なりがあったのかどうかということもお尋ねしたいのですが、この超過負担の問題。  なるほどあなたの方で若干ずつはこの解消努力をされておることは認めます。ただしかし、たとえば全国知事会の文書を見ますと、四十九年度の超過負担というのは都道府県、市町村全部合わせて六千三百六十億円と全国知事会ははじき出しておられる。その数字について多少の見方はあるでしょうけれども、大筋はこれよりそう狂わぬと思いますよ。あるいは自治省立場から見れば、それはちょっと大き過ぎるという御意見があるかもしれないけれども、しかし、じゃ大き過ぎるからといってその実態はこの半分だとはおっしゃらぬと思うんですよ。やっぱり当たらずといえども遠からざる大きな超過負担になっていると思う。ところが、それに対して本年度百四十六億円の手当てをしたいわゆる額ですからね。だから、どんどんそれが後へ繰り越されていくわけですから、これはずいぶん大きな超過負担、本来地方の負担すべからざる負担を地方に強いて、その重圧で地方が非常に困っておるということはもうだれの目にも明らかだ。だから、こういう問題を一体どうするのか。  さらに地方債についても、せんだっても小山委員からも、地方債をもっと地方の自主性を認めたらどうかというお話がありました。また、赤桐委員からも同じようなお話があった。私もまた同じことを申し上げたいのですけれども、地方債の問題は皆さんがすでに質問されましたから、政府側の御答弁には私らも全然納得はできておりませんけれども、一応もう深入りすることは避けます。  ちょっとこう申し上げても、以上のような問題で財源の再配分という場合にイの一番に何らかの結着をつけなきゃいかぬ、処理しなきゃいかぬ、手をつけなきゃいかぬという大きな課題がある。こういう問題について、財源の再配分地方財源不足というものは絶対に迷惑をかけぬ、万全の措置を講ずると、こうおっしゃる以上は、財源配分といえばもうイの一番に触れなきゃならぬこういう問題について、一体自治大臣はどういうお考えを持っておられるのか。もう細かいことはよろしいから、その大きい方針と方向だけでよろしい。大臣の御答弁を承りたいと思います。
  17. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 財源不足に対処するに当たりましては、先ほどもお話がありましたように、交付税補助金やあるいはまた地方債やいろいろなものを動員をいたしまして来年度の財源不足に対処してまいりたい、かように思っておりますが、いまのところ第二交付税という考えは持っておりません。  それから超過負担の問題につきましては、できるだけその解消に向かって努力をしていきたいと考えておりますが、先ほどお話にありましたような具体的な問題につきましては政府委員より御答弁申し上げます。
  18. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘賜りましたように、国庫補助負担金にはいろいろな問題点がございますので、ごらんをいただきましたような文書各省にも出しまして、先ほど血の叫びとおっしゃいましたが、そのような気持ちで各省に是正方をお願いを申し上げておるわけであります。具体的には細かくなりますが、各費目ごとに各省は、五十二年度の予算要求、こういうものを通じまして、相当程度の現在の補助金制度の改正、こういうものについての要求をしていただいております。こういうものにつきまして、私どもとしてもなお各省にその予算査定を通じての実現方を強く迫ってまいりたいと思いますし、また、大蔵省に対しましてもそういった事情を申し上げまして、各省の要求に応じていただくように現在強く要請を続けておる次第でございます。  それから超過負担の問題につきましては、御指摘のように知事会等の調査、六千三百億といったような調査もございます。この中にはただいま御指摘をいただきましたようにいろんな種類のものが入っておりまして、必ずしも数字そのものが全体どうこうというわけにはまいらないと思いますが、少なくともこの中での補助単価問題に関しましての超過負担につきましては、たとえば現在警察とか保育所とかいったようなものに標準仕様とか、標準設計のないものがございますが、こういったものをつくるといったことのような具体的な措置を通じてでも、これを改正をしていくようにお願いをしておるわけであります。なお対象差、数量差、こういったような問題については、やはり時代の趨勢に合った補助金あり方というものを前提にせざるを得ない、それが正しいと、こういうように思っておるわけでありまして、現実には調査をしてもらいました知事会、これと担当の各省、これがひざを突き合わして相談をして補助金制度の改正を図っていく、こういう場を設けたいということを考えたわけでありまして、これは現実に実現をしたわけでありますが、そういった措置を通じながら超過負担解消、補助制度の是正、こういうものについて努めてもらっている最中でございます。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 私はもう余り細かいことを聞くつもりはきょうはなかったのですけれども、財政局長がそういうことをおっしゃられるから、つい釣り込まれてまたもとへお尋ねするようなことになるんですがね。各省自治省から出されたこの文書ですね。こういうことはいままでも、文書で出されたかどうかは別として、各省に対して、実態と合わぬ補助金のやり方ということは改めてもらわなければ困るということは言ってこられたわけでしょう。言ってこられたにもかかわらず実効が上がってない。そこでよくよく業を煮やされて、今度はこういう詳細な文書を出されたということじゃないかと私は思うのです、詳しいことは知らぬけれども。それに対していまあなたのおっしゃったところによると、いままでのことはともかく、新年度の予算編成からは相当改まるようなお話なんですけれども、それは本当に改まりますか。どうですか、その点。それでたとえばちょっと、私は全部が全部調べたわけでも何でもないんですけれども、一番地方でよく聞くのは、学校なんか一番よく目につくし、一番よく聞く話ですね、文部省関係なんか。これはもう全く実態と補助単価というようなものは非常な隔たりがありますね。それから保育所措置費なんかでもそうですね。ほとんど補助単価の倍ぐらい実際には金がかかっているのですね。先ほどの知事会の数字、六千三百六十億円という数字の中にも、小中学校だけでも千三百億ということですね。だから、相当学校関係なんかにこれが非常に顕著に、実績とそれから国の補助単価とのずれというものが大きく出ておる、それが全部地方財政にしわ寄せをされておるということははっきりしておるのですが、こういうこともそれぞれの役所は十分認識されているのですか。された上で、本当に新年度からはこれを改めるという保証を与えておられるのですか、自治省に対して。あなたはその点までとことんまで突き詰めて確かめておられるのですかね。来年からは、これだけ実態に即してきたということをわれわれに報告できますか。
  20. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 学校関係そのほかのいわゆる建物等の単価につきましては、先生も御案内のように、従前からもぜひ適正な単価に直すようにという強い要請をしてまいりまして、ここ一、二年かなり是正をされてまいっておりますのは御承知のとおりでございます。それでもなお実態に合わないといったようなものがいろいろございます。この適正な単価につきましては、いろいろ建て方等によりまして単価の変動等があるわけでありますが、少なくとも標準仕様とか標準設計とか、標準的なものをつくるとすればこれだけのものはどうしても要ると、こういったものについてはやはり絶対に確保をしてもらいたいというのが私どもの希望でございますし、また理論でもあるわけでございまして、そういう意味のことを各省に強く迫っておるわけであります。そういった意味では、各省とも最近非常に理解が深くなってきつつある、きておるというように私ども感じておるわけでありますし、また大蔵省方面にも、こういった面について各省の要求が出てまいったときにはその適正な単価というものはぜひ確保してもらいたいという申し入れをいたしておりますが、大蔵省方面もそういった点には十分留意をして査定をする、こういうような態度でいていただいておるわけであります。  したがいまして、各省の要求そのものが五十二年度の予算にどの程度実現をいたしますか。これは予算査定を通じてのことでございますので、結論的に明確なお答えを申し上げるわけにはまいりませんけれども、私どもとしては各省をなお督励をすると申しますか、そういたしたいし、大蔵省にも十分そういう実情はのんでもらえるように何度も足を運び、また主張をし、そういう措置を通じて是正を図っていきたい、こういう決意に燃えておるわけでございます。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 財政当局として、ひとつとことんまでこれは食い下がって努力を尽くしていただきたいと思いますが、大臣、いまの財政局長の御答弁お聞きになっておるとおりですけれども、この問題は、これはただ事務当局同士の話し合いだけではなかなか私は根本的な改善はできないと思うのですよ。やっぱりこれはいろんな面で深く現在の政治の姿にもかかわっていることですからね。この間前回に、無意味な陳情を何とかチェックせにゃいかぬという小山委員から御意見があり、大臣もぜひそれを閣議でも申し合わせてやりたいというようなお話があったようですが、それの陳情というようなことが、また別の面から言うと補助金という問題、そしてそれがまた超過負担という問題にかかわってきて、ある意味では、地方というものはわざわざ金を使って東京へ運動に行ってわずかな補助金をもらって、超過負担をしっかりひっかぶって、自分自分の首を絞めているような面もないとは言えぬのですね。しかし、苦しいものだから、先々困ることはわからぬでもないけれども、当座だけでもしのぐためにこういう矛盾の多いことをあえて繰り返しておる点があると思うのです。それをまた国会議員その他がいろいろな面でかかわっておることは否定できないと思うのですよ。したがって、これはやっぱり大きな政治の面から手を、大きな勇断をふるってやってもらわなきゃ、なかなか財政当局だけの努力では十分な効果は上がらぬと思うのですよ。その点はおわかりいただけるのではないかと思いますが、大臣、陳情のチェックということももちろん大事ですが、もっと実質的に考えて、補助金政策、補助金制度の運用並びにその反面としての超過負担の増加ということ、これを何とか閣議決定か、申し合わせかなんかで格段にひとつチェックしていくようなお考えはありませんか、ちょっと参考に。
  22. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ただいまのお話はまことに御説のとおりであろうと思っております。財政局長が御答弁申し上げたように、いま努力をしているところでございますが、来年度の予算編成に当たりましても、私もこれらの補助金超過負担の改善等につきまして関係各省の協力を得つつ、解決に向かって進ましていただきたい、努力をさしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 地方財源充実強化ということには、私、いま議論したように、国と地方とのかかわり合いで何らかの形で国が地方に対して手当てをするということが一つあると思います。それから第二の問題は、やっぱり地方自身が財源充実する、そして国の方はその地方財源充実努力をできるだけバックアップしてやる、応援してやる、援助してやるということが必要だと思うのです。  国からの手当てについては、いろいろおっしゃったけれども、結論として地方財源不足については万全の措置を講ずる決意であるということですから、この方針で貫いていただきたいということを申し上げて、あとの議論は時間がありませんから省きますが、今度は地方自身の税源充実努力という面について、なかなかこれは抽象的には言えましても、具体的な問題になるとなかなかまたこれ自治省当局の地方団体に対するブレーキがきき過ぎるというのか何というのか、事ほど簡単ではないんですね。  たとえば、いま非常に問題になっているのが幾つかあります。たとえば法人事業税の外形標準課税の問題、これなんかもいろいろかつて今日に至るまでの経過的には議論がいろいろあります。けれども、今日の段階ではもう大体法人事業税の外形課税というのは、これはもうほぼ世論として固まっておるのじゃないでしょうか。税制調査会の方はまだちょっと多少しり込みしておられるようですが、地方制度調査会にしても、地方六団体にしても、あるいは学者、評論家の人たちにしても、自治省自身だって、もう大体これは踏み切らざるを得ぬという時期が来ておるというように思われておるんじゃないかとも思うのですがね。この法人事業税の外形課税ということに踏み切る意思がないか、あるいは踏み切るべきだと思うが、そのつもりはないかということをまずお尋ねします。  それから、ついでにもう一つお尋ねしておきます。これはいま東京都で問題になっておりますね、けさの新聞でも大きく都の行財政三カ年計画云々という中の大きなポイントとして、事業用の固定資産税について超過課税をやって財源の確保を図りたいという問題であります。これについては、新聞の報ずるところによると、自治省税務当局にも大分まだ抵抗がおありのようですけれども、しかし私どもとしては、これくらいなことはやっぱり今日の地方財政実態あるいは固定資産税のたてまえ、実態というようなことから考えて、認める気になれば認め得るのじゃないかと。初めからもう認めぬということが先に立つものだから、認めぬ理由をいろいろくっつけておられるので、認めようということになればまた認めようという理由をいろいろ探し出してこれるのじゃないかという気がするのですが、せっかくの前の事業税の外形課税にしても、この固定資産税の不均一超過課税にしても、地方団体がもう苦労に苦労をして思案に余った結果何とか自主的に財源を確保したいという、これは血みどろの努力だと思うのですよ。その努力に対して、ただ通り一遍の法律解釈か何か知らぬけれども、ぽんとこう頭から水をぶっかけるような調子ではねつける、というような感じでもないんでしょうけれども、そういう感じに受け取れる面がある、われわれから見ておるとね。もう少し、やっぱりこれだけ財源不足についての万全の措置を講ずるとか、地方税源充実強化に全力を挙げるとかいうことをおっしゃるならば、こういう地方の自主的な努力に対して、もっとこう温かい気持ちで前向きに協力をしてやる、応援をしてやるという態度が欲しいと私は思う。ちょっと言い過ぎかもしれぬけれども、別に他意はありませんですから素直に受け取っていただきたいと思いますがね。そういう問題について、特に大臣は東京都の御出身でもありますし、足元のことですから特に御関心も深いのじゃないかと思いますので、これももう細かい理屈は要りませんので、大筋としてどう思う、どうしたいということをおっしゃっていただきたいと思います。
  24. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 外形標準の問題につきましては、従来から自治省はこれを実現したいということでいろいろと努力をしておるところでございますが、これに対しましてもやはりいろいろと御議論のあるところでございます。税制調査会でもなかなかこの問題については批判のあるところでございまして、なかなかその実現を今日まで見ることができなかった次第でございます。今日もまだ難航をしているという話も聞いているような次第で、今後とも実現に向かって努力をしていかなければならない問題であると思っております。  なお、地方財源充実のために、原則といたしまして増税方向に行くということは私としては余り受け取れないわけでございまして、できるならば姿勢を正すところは正していただき、そしてまた努力するところは努力していただいて、できるだけ処置をしていくということが大前提になければならないのではないか、かように思っておる次第でございますが、東京都の固定資産税の問題につきましては、新聞に出たばかりでございますので、私としてはいまどうこう言う段階ではございませんが、問題点につきましては政府委員より御答弁申し上げます。
  25. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま大臣からお答え申し上げましたように、固定資産税の問題につきまして、都知事から都の税務当局に対して一定の御指示があったということを新聞で拝見いたしました。その中身につきましてはまだ具体的な情報を得ておりませんので、それについてどうこうという評価はいまできないと思いますが、ただ固定資産税は御承知のように固定資産の価値というものに着目いたしまして、そこで担税力を見出して課税をしていくという税でございますし、また登記簿に載っかっております土地家屋は膨大なものでございますが、それを用いまして所有者課税をしていくという仕組みをとっておる税でございまして、そういうふうなことからも、標準税率も単一の税率、比例税率で決めておるわけでございます。不均一課税といいますのは、公益その他の理由があります場合にはできるということにもちろんなっておるわけでございますけれども、固定資産税のこういう性格から申しますと、単に法人が持っておる資産と個人が持っておる資産とで税率に差等を設ける、あるいは固定資産の種類とか用途によって差等を設ける、あるいはまた用途によって差等を設けるというふうなことは地方税法としては予定していないというふうに私どもとしては思いますし、また、そういうことを仮に実施するといたしますと大変な事務量になると思います。そのために徴税職員をかなりふやさなきゃならないというふうな事態も起こるのではないか。そういうふうなことをいろいろ考え合わせますと、法の予定していないことでもありますので、これはそういうふうな課税を実施することは適当ではないのではないか、私どもとしてはかように思っておるわけでございます。
  26. 秋山長造

    秋山長造君 税務局長のお考えは一応わかりました。あなたのお考えとしてわかりましたが、ただ、一律課税が原則であることはこれはもうおっしゃるとおりです。私もあれはもう否定しません。だけれども、これはまあ原則には例外ということが当然いかなる場合でも伴うのでして、早い話が、一律一律ということなら、租税特別措置法というようなものも何か別な理屈をつけて例外を認めているわけで、しかも国の必要で国税について特別措置をやっておるのに、自動的に地方税にはね返ってきて、地方税も、何のためかわからぬけれども、とにかく国税に右へならえして地方税ももっと減少になってくるというような飛ばっちりを受けているような面もあるのでね。だから、租税特別措置地方税への影響を遮断してもらいたいということをずいぶんいろんな方面で言われておるのもまた一理あると思いますよ。それから、一律といったところで、累進課税というようなことも、多少趣旨は違うけれどもあるわけだし、それから、事業所税というように、同じ事業所であっても三十万以上の人口を持ったところでなければ税金がかけられぬというようなこともあるので、だから、それは全部固定資産税と同じ理屈にはいかぬかもしれぬけれども、これはやっぱり工夫の仕方、研究の仕方、あるいはさらに固定資産の超過課税にしても、一律に超過課税をした上であるいは若干の事業の規模によって還元をするとかいうような方法もないことはないという学者の意見もあるのでね。だからまあそこらはあなた方は専門家ですからね。東京都も何でもかんでも、むちゃでも何でもやるだけのことはやるんだと言っておるんじゃないので、やっぱりそれだけの効果を上げてそして財源不足を何とか埋めていきたいという、これもまあ大臣がおっしゃるように、本来を言えば税金はふやさぬ方がいいに決まっておるのです。それから地方も減らし国も減税するということが一番いいに決まっておる。またそれを地方財源不足の面を、ここへ書いておられるように国の責任で全部穴埋めをしてくれるというのなら何も好きこのんで地方団体が税金をふやしたりする必要はないので、こういう努力は全くむだな努力ですけれども、そうしてくれぬものだからやむにやまれず、背に腹かえられぬからやっておるだけのことでしょう。だからそれだけに、やっぱりそれだけの理由のあることだから頭からいきなりけ飛ばすというやり方じゃなしに、まあ前向きでひとつともに工夫をする、相談に乗ってやるという姿勢でやっていただきたいということは、これは東京都に限りませんよ。全国どこでもそうですけれども、いま東京の例が出ておるから東京のことを言うだけで、ぜひひとつそういう方針でやっていただきたいということを強く要望しておきます。  それから、もう時間がありませんから、もう二点お尋ねしたいのですが、いま行政事務の再配分の問題と財源の再配分の問題について大ざっぱにお尋ねしたのですが、第三の問題として、毎年三月、年度末ぎりぎりになって地方財政計画が策定をされておるわけですよね。地方財政計画は予算とは多少性質が違いますけれども、しかし、まあ言ってみれば国の財政、国の予算に対する地方予算というようなものでして、本年度にしても国の予算が二十四兆三千億円、それで地方財政計画は二十五兆三千億円ですね。だからこれを国の予算、地方の予算と、こう大分けにしますと、地方予算の方が一兆円さらに上回っておるわけですね、国の予算を。だからこれは内容的には国の予算とダブる面もあるし、いろいろあるから一概には言えませんけれども、大ざっぱな議論ですけれども、国の予算を上回るような地方予算を盛り込んだ地方財政計画というものが一体どういう手続で策定をされておるのかということについて、私は多少の疑問と意見を持っている。まあ国の予算は国会の議決ということで一つ民主的なチェックをする大きな機会が保障されておるわけですね。ところが、国の予算を上回るような地方予算、これは予算とは性質が違うということはさっき申し上げたとおりですから、大ざっぱな議論ですよ、大体論で申し上げるんですけれども、国の予算を上回るような地方予算というものを決めるについて何らの民主的なチェックをする機会がない。これはもうただ事務当局の机の上で書き上げられて、そしてそれをまとめてわれわれには参考程度に資料を提供される程度でそのまま決まってしまって、そして地方に対しては、これは単なる行政指導程度の意味しかないとおっしゃるかもしれぬけれども、やっぱり事実上はこれは一つのかたい、強い枠ですからね。そして大体地方は、おととしのように決算をやってみたら三兆円からはみ出したというような場合もあるから、これは予算、決算というような厳密なわけにはいきませんけれども、しかしやっぱり地方財政にとっては、これはもう何と言っても一番根本的な筋道を決めた、大きな枠を決める計画ですから、これに対して、私はいまのようなやり方で、役所の、自治省の皆さんを信用していないと言うのでも何でもないんですよね。これはもう全然別な観点で言うておることですけれども、地方団体なりあるいは国会なり、いろんな方面の代表なり、要するに世論の代表といいますか、これが計画の策定に民主主義的に参加する一つ機会を与えるべきではないか。何かそういう機関において民主的に地方財政計画を策定さるべきじゃないかというように考えるのですがね。財政民主主義ということをよく言いますが、財政民主主義ということを地方財政計画の策定についても貫いていただく何らかの保障がないというように思うのですが、これは大臣いかがですか。
  27. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 先生御承知のように、地方財政計画でございますが、非常に大ざっぱに申し上げますと二つの大きな使命がございます。一つは、地方財政全般を通じましてその年における財源措置状況が果たして十分であるかどうか、妥当であるかどうかということを計算をいたします。財源不足額等をはじき出しまして、これに対する措置をやる、こういう機能があろうかと思います。それからもう一つは、やはり地方団体財政運営をされます場合に、国と地方とを通じましての当該年度の財政措置あり方がどういうことになっておるのか、そういうことを参考にされて予算編成をなさるということの一つの指針になる、こういう意味で策定をされておりますのは御承知のとおりでございます。  地方団体財政は三千余りの団体がそれぞれ自主性をもって運営をされるわけでありまして、予算等は当該団体の議会を通じまして策定をされておるわけでありますが、この全般としての財政措置の適否、それから公共事業そのほかの動き等を含めました財政の運営の参考、そういうための指針でございます。したがいまして、ただいまの計画の策定は、従前と異なりまして、各性格的な費目別に一応積み上げをいたしまして全般の財政需要を推しはかり、それに対応する財源措置が適当であるかどうかという考え方で策定をいたしておるわけでございます。したがいまして、こういった策定に当たりまして、私ども、当然地方財政実態というものを十分把握をしながら適正な財源措置ができるように、こういう立場に立って策定の原案をつくらしていただいておるわけでありますが、内部的にもやはり財政審議会等の御決裁も得ましてこれの策定をいたしておる、こういう状況でございます。  なお、当該年度の税なりあるいは交付税なり、こういうものの財源措置が適当であるかどうかにつきましての法案の御審議を賜ります場合の参考資料と申しますか、そういうことで国会にも提出をさしていただいておるわけでございまして、実態的に地方財政実態をよくあらわすように、それにのっとって策定ができるように私どもも努力をいたしたいと思いますし、また今後もそうありたいと、こう考えておるような次第でございます。
  28. 秋山長造

    秋山長造君 まあ参考にすぎぬ、あるいは取りまとめ文書にすぎぬようなお話ですけれども、しかし、地方財政計画ですから、やっぱり実際にはこのあなた方のつくられた地方財政計画というものでその年の地方財政というものは、多少の落ちこぼれはあっても、運営されておることは間違いない、それだけのまた強い効果を発揮しておることも間違いないので、財政審議会の決裁云々というお話がありましたが、財政審議会というものが、どの程度の権限を持ってどういう運営をしておられるのか私知りませんけれども、どうも余り天下晴れてこれが地方団体の意向をも忠実に反映をし、そして天下の世論を代弁する民主的な機関であるとは言えぬのじゃないですか。だから、そこらの財政審議会の組織なりあり方についてももう一つここで踏み込んでやっぱり考え直していただいたらどうかと思いますし、それから地方財政計画の策定過程、策定のその経過、過程で、自治体が何らかの形でこれに積極的に発言権を持って参加をするというような機会をぜひ保障されてしかるべきじゃないか。これはめんどうなのかもしれぬ、いままでやっておられるやり方からすればそれは煩わしいかもしれぬけれども、煩わしさというものがまた民主主義を保障する一つの方法でもあるのですからね。それをひとつ大臣、新しい角度からこの点を少し考え直されたらどうかという気がするのです。  それと、それから財政局長、時期が、どうも地方の予算編成というものとタイミングが非常に悪いのですね。地方の方もほぼ予算を編成してしまうころに地方財政計画ができるものだから、まあいろいろ内々は連絡はあるのでしょうけれども、それにしても、非常にタイミングが私はうまくないと思うのですよ。ですから、そのタイミングということももう一度考え直されたらどうかという気がするのです。その二点、大臣財政局長からちょっと簡単に御答弁いただきたい。
  29. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 地方財政計画をつくる上におきましては、従来も地方団体の意見をくみ上げながら積み上げ計算をしてつくっているわけでございまして、今後とも地方団体の意見がなお一層入るように努力をしてまいります。  タイミングの問題につきましては政府委員より答弁いたします。
  30. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 地方財政計画策定のタイミングの問題でございますが、全く御指摘のとおりでございまして、私どももできるだけ早くということは前々から思っておるわけでございます。ところが実態的には、先生御案内のように、たとえば公共事業等につきまして、国の予算の案が決まりまして、それがどういった事業にどの程度割り振られておるかということで地方負担額が決まってくるわけでありますが、こういう地方負担額のあり方等がまとまってまいりませんと、正確な形での財政計画という数字にあらわし得ないものでございますので、実態的にはどうしても御指摘のように若干おくれる、こういうことにならざるを得ないわけであります。これはなるたけ急ぎたい、各省からの資料もいただきながら急ぎたいと、こう思います。そこで、やむを得ませんので、先ほど先生にも御指摘をいただきましたが、そういった細かい数字は別といたしまして、大勢はどうなっておると、たとえば税の伸び率等はどうだとか、交付税あり方はどうだとか、こういったことにつきましては、一つの見通しでございますけれども、内簡といったような形で地方団体に御連絡を申し上げて、当該年度の予算編成のときの大筋はつかまえるように、そういう便宜的な措置を講じさせていただいておる。全く先生御指摘のように、急ぐべきであるという趣旨に立った便法でございますけれども、そういう措置を講じさせていただきながら進ましていただいておるわけであります。今後ともなるたけ早く策定をするということについては、万全の努力を払いたいと思います。
  31. 秋山長造

    秋山長造君 最後にもう一点だけお伺いします。  これはちょっといままでの話とは別な話になるのですが、警察官の給与の問題について、国家公安委員長としての大臣にちょっとお考えを伺っておきたいと思うのですが、警察官の給与について、義務教育費の国庫負担法という法律があって、小中学校の先生は給与半額国庫負担ということは御承知のとおりです。警察官の給与について、小中学校の義務教育の教員とはそれはおのずから同じじゃありません、それはその性格その他違いはありますが、しかし、警察官としての仕事の内容、性格、身分、さらに地方財政実態というようなことから総合的に考えまして、警察官の給与を国庫負担にしたらどうか、国庫負担制度を警察官の給与についても適用したらどうかという強い意見が知事会あたりにあることは御承知のとおりですね。これはやっぱり相当な説得力を持った意見だと私は思うのですがね。これはどうですか。あなたはどういうようにお考えになりますか。そのお考えだけ聞かせていただきたい。
  32. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 警察官の給与を国庫負担の対象にすべきかどうかということにつきましては、これは地方財政の問題のみならず、いろいろと警察制度の根幹にかかわる問題になるのではないかというふうに思っております。いま警察官の給与の裏打ちは交付税でやっているわけでございます。したがいまして、今後検討はするにいたしましても、警察官の給与の問題というものは、直ちに国庫負担にすべきものであるというふうにはちょっと思われませんので、今後の検討課題ということになろうかと思います。
  33. 秋山長造

    秋山長造君 現行の方がいいということですか。
  34. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 私は現行の方がいいと思っております。
  35. 上田稔

    委員長上田稔君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時十七分休憩      —————・—————    午後一時八分開会
  36. 上田稔

    委員長上田稔君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
  37. 神谷信之助

    神谷信之助君 動議を提出をいたします。  動議の内容は、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の審議をしております運輸委員会並びに公衆電気通信法の一部を改正する法律案の審議を進めている逓信委員会、それぞれと当地方行政委員会との連合審査を議決していただきたいと存じます。  この両委員会の審議法案は、国鉄運賃並びに電信電話料金の値上げに関する法案であります。したがって、これは自治体の行財政に非常に大きな影響を持つと同時に、私鉄運賃の値上げ等、その他物価に波及をする影響も甚大であります。これは地域住民の生活に重大な影響を与えますから、したがって地方自治行政を預かる当委員会としても多大の関心を寄せ十分に審議を尽くす必要があります。同時に、国鉄並びに電電の真の財政再建、この道を進めるためにも、自治体並びに地域住民の理解と協力なしにはこれを達成することはできないと考えます。  以上の理由から動議を提出をいたします。  各委員の御理解と御協力を得ますようにお願い申し上げます。
  38. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ただいまの神谷君の動議に賛成いたします。
  39. 上田稔

    委員長上田稔君) ただいま神谷君から提出されました動議は重要でございますので、その取り扱いは理事会において協議いたすことといたします。     —————————————
  40. 上田稔

    委員長上田稔君) 休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 まず、地方財政の現状及び見通しについて天野自治大臣お尋ねをいたしますが、現在の地方財政は一口に言って大変巨額な借金によって支えられております。それは一時的なものではなくて、私は相当長期的かつ構造的なものであると考えているわけですが、大臣の御認識はいかがですか。
  42. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 高度成長から低成長安定成長というところに移行をするような経済情勢が国にも地方にも反映をされまして、国の方では財特法を出して公債を発行しなければならないということになっておりますし、地方財政におきましても財源不足の現状でございますし、来年度もやはり財源不足は免れないところでございます。なかなか財源不足という事態から抜け出すのは、よほど努力をし、そしてまたいろいろと手だてをやっていかなければならない状況であろう、かように思っております。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 地方財政の収支試算は経済企画庁が作成をして閣議決定をされましたのですが、昭和五十年代前期経済計画で予測をされていますが、この名目成長率一三%を四%も上回って一七%の一般財源の伸びを見込んでいるわけですが、この算出の根拠を伺いたいのです。一七%の税収の伸びというのは相当高いものでありますが、何らかの税制面での手直しを含んだものなのか、それともそういう手直しなしに一七%の伸びを達成できると考えていらっしゃるのか、いかがですか。
  44. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘の中期試算でございますが、前提といたしまして中期計画の経済成長率を前提といたしておりますが、それとともに国民の租税負担率が五十五年度までの間に国、地方を通じまして三%アップするという一つの前提が置いてございます。したがいまして、地方税分につきましては一%相当の地方税分のアップがあるもの、それから国税関係では二%の国税全部のアップがあるもの、こういう前提に基づいて交付税及び地方税の積算がしてあるわけでございます。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 先ほどの大臣の御答弁とあわせて大臣にもう一問聞きますが、いまの局長答弁にもありましたものを含みにして、中期的、長期的に見まして、行財政改革を行う時期に来ていますね。それはそういう御認識でしょう。
  46. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 私も基本的にはそのように存じております。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、これは行財政改革を行うに当たって、手続的にはどんなふうにやられますか。どういうプロセスを経ることになりますか。
  48. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 行財政全般にわたるいろんな改善、改革が必要であろうと思っておるわけでございますが、そのそれぞれにつきまして、たとえば税制等でございますとこれは税制の改正ということが必要だと思いますし、その他補助金制度等におきましてはまたそれに相応した措置が必要だろうと思いますし、それぞれの分野において予算なりあるいは法律なり、こういうものの必要な分野もあろうかと存じております。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、いまのプロセスはどういうふうに考えていますか、そっちは。
  50. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいま財政局長から御説明申し上げたとおりでございますけれども、御案内のように、自治省には地方制度調査会というようなものもございますので、低安定経済のもとにおけるところの地方行財政をどのように持っていくかということにつきましては、当然でございますけれども、地方制度調査会の議題になり得るものと思っております。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、その地方制度調査会なんですが、何か前に質問があったようですから重複は避けますが、十六次の地方制度調査会が十月二十三日に委員の任期切れとなった。そこで、起草委員会で起草した税財政改革に関する意見は委員長への報告という形になった。いわばしり切れトンボでありますね。そこで、十七次の調査会の発足のめどをどういうふうにまず一つ考えていらっしゃるのか。  それから、十六次の報告を、十七次を発足させられたとしたならば、一体十七次の総会にかけて答申にされるのか、あるいは十七次で始めからやり直されますか。
  52. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 十七次調査会の発足の時期についてのお尋ねでございますけれども、御案内のように、この調査会の構成メンバーといたしまして、国会議員の方々、地方公共団体の代表の方々、学識経験者、三者構成になっております。そして目前に衆議院の総選挙というようなものが控えておるようでございますので、現時点で直ちに新しい委員を任命するということは物理的に見て不可能ではなかろうかと思っております。ただ、客観情勢が非常に流動的な時期でございますので、こういった四囲の情勢を勘案しつつできるだけ早い機会に第十七次制度調査会を発足させたい、そのように考えておるわけでございます。  ところでもう一問、もう一つお尋ねでございますところの、起草委員会の報告をどういう形で十七次に引き継ぐのかというような趣旨の御質問でございますけれども、実は十六次調査会の起草委員会で審議いたしましたのは、御案内のように、地方財政についての基本問題、非常に広範にわたる問題について論議が行われたわけでございます。ただ、この起草委員会が発足いたしましたのは、御承知のように九月の中旬でございまして、委員の任期わずかに一カ月ぐらいというような状況でございました。しかしこの間、起草委員の諸先生方も、非常に熱心に八回にわたる委員会を開かれましていろいろ御論議がございました。まあこの結果をどうするかということで、何分問題が多くて掘り下げた検討というのがまだ十分行われていない、しかしながら、委員の中で意見のまとまった部分もある、その部分について取りまとめてとりあえず会長に報告するのがよかろうというようなことで、二十二日に出されました起草委員長の会長あて報告ということになったわけでございます。  そこで、この報告そのものは、会長に報告したという段階におきまして委員の任期切れということでございますので、一応そこで一つの区切りがついたわけでございます。新しい制度調査会にどのようなことを諮問するかという問題になりますと、現在の段階では新しい調査会が発足いたしておりませんので、これから私どもの方でいろいろな方面の意見を聞きつつ考えるわけでございますけれども、それまでこういった基本問題につきまして起草委員会でもいろいろ御議論があった、こういうような状況を踏まえながら、どういうように持っていくかということを検討してまいりたいと思っております。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 いまも答弁ありましたが、総選挙、さらに引き続いて参議院選挙も控えておりますから、そうすると、時期的に私は十七次の発足というのは大変むずかしい政治的な状態にはあると思うのですよ。ところで、この地方制度調査会の運営について、運営の細部については触れられたところがあるようですから私は触れませんが、十六次については特に大変私たちとしては不満である。特に地方議会がこぞって反対をしてきた地方議員の半数改選問題などを多数決で決める。いまのあなたのお言葉じゃないが、委員の中でまとまることができたものがあるから報告という文にまとめたと言うけれども、まとまるということになれば、ああいう有力な反対意見があって、しかも天野自治大臣もその反対意見の請願にはちゃんと署名されて紹介者になっていらっしゃるのだから——衆議院の請願書をぼくは全部見ました。自治大臣も反対のものまであなた方はこういう形でやられたという運営、これはもう許しがたい運営ですよ。したがって私は今後委員の人選、調査会の運営の仕方というのはこの機会に十分に考えてもらいたい、これ以上言いませんがね。とにかく深く認識してもらいたいのは、自治大臣に就任された方も反対のものまでそういう形で運んでいる。一体自治省事務当局というのはそんな強引なことをやるのか。それはすべてのことにあらわれてくるとこうなるわけですから、よく認識をしていただけますか。自治大臣いかがですか。
  54. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 一衆議院議員といたしまして半数改選は好ましくないと思って署名をいたしました。自治省に参りましたらやっぱり答申というものは尊重しなければならない立場でございますので、十分慎重に各議員の方々の御意見も拝聴しながら検討してまいらなければならない、かように思っておる次第でございますが、今度の人選に当たりましては、十分慎重にりっぱな方を御委嘱申し上げたい、かように思っております。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 十六次の報告で私たちはもちろん是認できるところもあります。しかし、非常に強く反対を表明してきたものが多いのです。特に、私も住民税の減税問題あるいは自治体の自主課税権問題、地方債の許可制度廃止などというものについては強く論議をしてきました。しかし、このすべてについて報告は否定的であります。国会で長い間議論をしてきた、そういうものがこういう形で否定されるということは大変私たちは納得できない。この機会に報告のこの部分については特に反対であるということを十分に私は表明をしておきます。日本社会党として反対であるということを明確にしておきます。  それから大蔵省に伺いますが、大蔵省サイドでは、いま論議をしました税財政改革、特に、国と地方との税再配分等の問題を実行するに当たりまして、手続上のプロセスとしては税制調査会などの答申を得て省内で検討されていく、こういうことになるのですか。
  56. 加藤隆司

    政府委員(加藤隆司君) 税の面と予算の歳出の面とございますが、税の面につきましては、税制調査会が総理大臣の審議会でございますので、自治省もお入りになっておるわけでございます。そちらの方で現在御承知の中期答申というようなかっこうで議論を進めておられるやに聞いております。  それから、歳出面につきましては私どもになりますが、大蔵大臣の諮問機関ということではなくて、調査審議というかっこうで財政法の附則に書いてございます財政制度審議会というのがございます。ここは四十年から現在の審議会ができておりますが、税制調査会の場合と違いまして、諮問ということもときたまございますが、どっちかと言いますと、審議会の方がそのときどきの歳出、予算問題を中心に議論をされて建議をされるというようなやり方をやっております。  それで、ただいま御指摘の財政制度改革の問題、なかんずく国と地方財政関係の問題でございますが、この点はどちらかと言いますと地方制度調査会の御議論、こういうようなものがやはり優先するというようなことになりまして、   〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕 そういう御議論を踏まえながら、国の財政制度としてそれをどういうふうに考えていくかというような受け取り方でやっていくわけです。  具体的に申しますと、国の財政制度の問題全般でございますが、地方財政制度の問題と同様非常に激動期に遭遇いたしまして、本年から小委員会をつくりまして、一つは、自然増収が今後なかなか期待できないということ、それからもう一つは、国債費だとか、社会保障費がかなりの増高圧力を持っているということ、それから三番目には、低成長に入ることによって経済が不安定性を増すということ、こういうような三条件の著しい変化ということを踏まえまして、一つは長期的計画的な視点、それから次は弾力的機動的な視点、それからその次は効率的合理的な視点というようなことで国の財政制度について見直しをやろうということで、二、三年をかけて検討しようというようなことを始めております。で、その場合に、国と地方財政関係という問題でございますが、これはそのいまの三つの視点の中でどういうふうに審議会の方で問題意識を取りまとめられるか、それは目下のところまだ議論になっておりません。  それから、もう一つ検討は、五十二年度の財政問題というのがあるわけでございます。これは従来から財政制度審議会に毎年毎年の問題は検討していただいておるわけでございまして、現在地方制度につきましては五十二年度の問題として検討をするということでやっております。いま先生御指摘の御質問に答えになったかどうかちょっと危惧をいたしますが、全体的なことを概括して申し上げますと、われわれの方はそういうようなスケッチになっております。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 端的に一つだけここで聞いておきますが、税制調査会と地方制度調査会とが私は相当意見が食い違ってくると思うのです、これから。その場合に、個々の事項について事務局レベルで検討をされ続ける、そういうやり方になりますか。
  58. 加藤隆司

    政府委員(加藤隆司君) まあ、これは最近時やっておりませんが、例の二十九年の地方平衡交付金から交付税にかわりましたときにはまさに御指摘のような問題があったわけでございます。いまの段階でどういうふうになるかということはなかなか見きわめがつきませんが、政府の中のいろいろな審議会があるわけでございます。こういうのはやはりそういう同じ問題をそれぞれの側面から検討する場合、意見交換というのが必然的に出るかと思いますが、この五十二年とか五十三年とかという問題の場合にはまだ具体的には議論をしておりません。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 地方交付税率の問題については、この委員会でたくさんの論議があったようですが、きょうここで一つだけ確認をしたいのは、まず地方交付税第六条の三の2の解釈について従来確認をしてまいっていますが、自治大臣の認識をまずひとりお聞きしたい。
  60. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 地方交付税法第六条の三、第二項についてその解釈の再確認ということでございますが、引き続き著しく交付税不足する場合というのは、二年度間不足が続き、さらに三年度以降も引き続きということでありますし、交付税総額の一割程度以上が不足する場合を言うものと解されているわけであります。対策といたしましては、行財政制度の改正または交付税率の変更を行うこととされているということでございます。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、現在の状態というのは、いま言われた大臣の認識の中で、この五十二年度からこの条項を適用すべきことが確実視されている状態である、こう認識してよろしいですか。
  62. 天野公義

    国務大臣天野公義君) どうもこの条項に入りそうな予測でございます。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 斎藤次官、大蔵省もよろしいですね、ここは。
  64. 加藤隆司

    政府委員(加藤隆司君) まず、次官にかわり、先にちょっと申し上げます。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 ここはもう短く、一言でいいんです、一言で。あと聞きますから。
  66. 加藤隆司

    政府委員(加藤隆司君) 解釈といたしましては、二十九年の五月四日の塚田大臣の御答弁、「これは「引き続き」というのは二年以上ずっとやはり赤字だと、それから又見通される三年以降も赤字だというときに大体「引き続き」」と言うと。それから、「「著しく」というのは、一割くらいのまあ大体財政計画に対して不足するという状態をまあ考えているわけであります。」と。これは当時の森永主計局長が、大体大蔵省もそういうふうに考えているというふうに答弁されております。われわれといたしましては、こういう塚田大臣の御答弁というふうに了解しております。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 そこのところはもういいんです、政府統一見解が出ているから。問題は、さっき言ったとおりいまの認識ですよ。適用の認識。いや、それはイエスと、こう次官言われますか。自治大臣と同じことでいいですね。
  68. 斎藤十朗

    政府委員(斎藤十朗君) 法解釈の認識等につきましては、いま主計局の次長からお答えいたしたとおりでございます。そういう認識の上に立って検討をいたしていかなければならないということでありますけれども、私たちといたしましては、先生御承知のように、いま日本の財政というのは非常な危機状態にございまして、オイルショック以来のこの危機状態を地方も国の財政も一日も早く健全化をいたしてまいるということがまず何といっても大事なことだと、そういう認識をも含めてこの問題を検討いたしてまいりたいと思っております。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく自治大臣が確認をされたような形でこの条項が適用になる、そういうことが確実視される、そこに入っていく、そういう状態の認識が政府の統一的な認識だと思うのです。  そこで、大蔵省にお尋ねするのですが、私は一割程度ものこの財源不足が二年以上も続くということは、これは相当無理のある危機的な状態を現出することになりますから、地方交付税法の解釈として危機が起こってから制度の手直しをする、そういうのは実はおかしいと思っているのですよ。したがって、いまの政府答弁でも、実は私は合意しているわけじゃない、本当は。そんな解釈は誤っていると思っているのです。思っているのだが、そこに一定の合意がないと前へ進みませんから、したがって、いまの時期、ここの部分、いまの答弁についてとりあえずそれは認めたというにすぎませんが、そのとりあえず認めたという立場に立って自治省と大蔵省、態度は違いませんかな、これからのやり方について。違ってませんか。
  70. 加藤隆司

    政府委員(加藤隆司君) われわれといたしましては違っていないと思っておりますが。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、こういうことになりますね。この問題は法律を守るかどうかの問題になってきます。来年度の措置をどうするかということは、これは別次元の問題だと私は考えている。幾ら自治大臣が、たとえば交付税率の引き下げを含めて万全の措置をとりたいと、衆参両院の委員会をずっと通じてあるいは予算委員会答弁になっていても、大蔵省が交付税率の引き上げあるいは制度改革を行わない。それから、いや、行わないらしい態度を大平大蔵大臣が示される以上、というのは逆の意味じゃ、その制度改革は行います、税率は引き上げますと、どちらかを明確に答弁されない以上、自治大臣が述べられる万全の措置ということにはならないわけですね、議事録をずっと読んで来ましたから。本年度は交付税の起債振りかえということになるかもしれぬわけですね。そういう形になるかもしれない。私は、方針があってこそ交付税率の引き上げあるいは制度改革が行われる、方針があってこそ行われる。先に逃れていくだけの答弁ではもう納得しているような状態にはない。その意味で、この場で私ははっきり決着をつけたいと思っています。たくさん参議院の地方行政委員会交付税率の論議があったことを聞いております。したがって、余分なことを触れません。三木総理大臣は、通常国会、五月の十三日でしたか、深夜、もう十二時ちょっと前に私と地方行政委員会でのやりとりの中で、自治大臣の側にお立ちになりますか、大平大蔵大臣答弁の側にお立ちになりますかという私の質問に対しては、福田自治大臣の側に立ちますと、こう言っている。そして、今度の予算委員会、この臨時国会の予算委員会では、わが党の森中議員の法律を守るかという形については、三木さんは、「法律は守らなければならぬわけですから、法律を守るという前提に立って調整をいたすことは事実でございます。」と、こう答えた。まさに法律は守られねばならない。  そこで、自治大臣、きょう実は大蔵大臣も求め、三木さんは無理だと思ったから官房長官も求めておったのですが、官房長官は、午後になってぐあいが悪くなりまして、御趣旨はよくわかりました、あなたの趣旨に沿った解決をいたしますので出席だけは勘弁してください、後でゆっくり話しますと、こうなっているのですがね。で、来年度予算をどうするかということではなくて、それに先立って決めなきゃならないことなんです、これは。そこで、内閣としての法律は守るということは、具体的にはどうするということなんですか。態度を明らかにしていただきたい。
  72. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 明年度におきますわが国の経済の見通しや、また国、地方を通ずる税制改正の方向等がまだ未確定な段階におきまして、地方財政の的確な収支見通しがまだできていないわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、巨額財源不足を生ずることは避けられないところでございますし、この条項にはまってくるだろうと推定をされるわけでございまして、私といたしましては、地方団体が円滑に行財政の運営ができるように、明年度の財源不足につきましては、状況に応じて、地方交付税の引き上げを含めましてあらゆる手だてを尽くしまして万全の措置を講じてまいりたいと思っている次第であります。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 法律が規定しているにもかかわらず、それをもし守らないということになりますと、これは地方交付税法の私は根幹を脅かすことになる、そういうふうに思うのです。先ほど触れました第十六次の地方制度調査会 報告でも、この地方交付税法六条の三の2の規定は今後も残していくという意見になっているわけで、これはなってますね。そこで、法律を守らない、あるいは守れないということは、行政府の責任を全うすることはできない、全うすることではないということになる、こういうことになると思うのです。  そこで、いま自治大臣答弁がありました。大蔵省の側、これは大平さんに求めたかったのですが、大蔵省の側よろしいですね、いまの自治大臣答弁。全く違いませんね。交付税率を引き上げますね。
  74. 加藤隆司

    政府委員(加藤隆司君) ただいま自治大臣から御答弁がありましたように、現段階交付税率を上げるというようなことは決めかねる条件にあることはおわかりだろうと思うのですね。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 わからないんだ。
  76. 加藤隆司

    政府委員(加藤隆司君) 経済情勢が今後どういうふうに推移するか、したがって税収がどうなるか、それは今後の検討の問題だというふうに考えます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 ぼくはきょうはここだけ決着をつけたいので、しかし時間が狭められましたから多くのことを言いませんがね。結論を出すことが必要なんです。私は、次年度の予算の問題ではない。法律解釈を私の方が一定のところで譲歩して、そこに統一の見解をちゃんとしいたわけですから、そうすると、ここで制度改革なり税率の変更なりやらなきゃならぬ。制度改革は先ほど来言っているようにプロセスがずうっとありますから、これは十七次の制度調査会ができるかできないかもわからぬという状態の政治状況の中にあるわけですから、非常に長引いている。そうすれば、前段である交付税率行政府の責任においてやることが法律の趣旨を全うすることになるし、三木内閣総理大臣答弁をしてきたことになるわけです。これはもう統一見解を出してもらわなければなりません。自治大臣、ここで結論をお出しになりますか。いつまでに結論を出すという回答になりますか、むずかしいですか。
  78. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほど申し上げたような次第でございます。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 これは私の言っている趣旨はもうおわかりになっていますから、理事会にお預けをいたします。そして、私は三木総理の明確な返答を次の定例までに文書で、予算委員会答弁をした旨について、こういたしますという形のものを委員長を通じて委員会に是非お願いをしたい。理事会にお任せいたします。よろしいですか。
  80. 金井元彦

    ○理事(金井元彦君) ただいまの件は理事会においてよく協議をいたします。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 じゃもう時間がなくなりましたからここの部分は理事会に預けましたが、自治大臣、閣僚としてはお一人しか御出席がないものですから、官房長官はこの旨よくわかっておりますから、三木総理が予算委員会答弁をされた交付税率の問題についての結論を次回定例火曜日にとにかく私たちが見ることができるように御努力願いたいと思います。よろしいですか。
  82. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 理事会の御結論に従いまして努力いたします。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 いまの六条三の2は、先ほど大蔵省側から御説明がありましたように、地方財政平衡交付金が国税三税の一定割合にリンクされる結果として設けられた規定でありますが、その沿革からして、この規定は地方交付税制度の根幹にかかわるものであると私は先ほど申しました。財源不足額を大蔵、自治で話し合って決めるのでは、地方財政平衡交付金時代の欠陥そのままでありまして、たとえばことしの論議を思い浮かべてみると、自治省の側が三兆一千億だと、こう言う。大蔵といろいろやっているうちに二兆六千二百億になる、こんなような形というのは大変私はこの国の自治にとって不幸な姿だと思っているのですが、この地方交付税制度の立法の精神をとにかく損ない続けるということになっていく、こういうことを厳粛に大蔵の側も、先ほど来の論議の経過を踏まえながら受けとめておいてもらいたいと思うのです。  今日の時点では、きょうの時点では、とにかく地方交付税率の引き上げあるいは制度改正、いずれも見通しがまだ出ていません。で、三木さんの文書がどういうふうに来るか期待をいたしますが、そもそも政府の取り組みはきわめておくれていると思うのです、私は。制度改革についてもあるいは税制調査会、地方制度調査会ともいつ結論が出るのか、これも明らかになっていない、明らかではない。ところが一方では、五十三年度には早くも五十年度補正措置での八百五十億円の返還をしなければならない。それで以後、借り入れあるいは起債の返還が毎年生じてくるということになるわけですね。そこで、昭和六十年までの都道府県、指定都市の起債返還額の一覧ですね、そういうものを出してもらいたいと思いますが、これは可能でしょうね。
  84. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 起債の将来の返還額でございますが、今後の年度におきましてどの程度の地方債が発行されるかということによりましてこれはまあ数字は違ってこようと思いますので、その点明確な見通しは立てにくいわけでございますが、いままでの公債の発行額、これに基づきました公債費の所要額は、御案内の中期試算でございますか、これにおいては昭和五十五年度までの一応の見通し額ははじいてあるわけでございます。それは先生御案内のとおりでございます。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 論議をしてきましたが、大蔵省にしろ自治省にしろ、行財政改革をいつどういう形でいつまでに行う考えなのかということが見通しがなかなかわからぬのですが、それはどうなんですか。
  86. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 行財政改革に着手すべき事態になるだろうという認識は持っておるわけでございますが、その具体的な内容につきましては、先生御指摘の地方制度調査会あるいは税制調査会、こういったところの審議も賜っておるわけであります。このような経済情勢なり時点なりでありますので、長期的には必要だと考えられます改革が一挙に全部でき上がるかどうか、こういった点等につきましては、やはり情勢の変遷等の問題もあろうかと思いますので、どの程度までのテンポでどういった段取りで進んでいくべきか、こういった点については十分今後も論議が行われるであろう、このように考えておるわけであります。したがいまして、いつまでにどの程度制度改正ができるのかという見通しにつきましては、審議中でございますので、私どもはっきり申し上げる段階に立ち至っておらないわけでございます。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 私たちはもう改革をしなければならぬ時期に来ているという認識ですからね。そこの認識のところは余り違いがないようだがかなり幅があるようなのでもあるけれども、われわれ非常に早急でなければならぬと思っておるのです。  そこで思い出すのは、前自治大臣は私に、ことしの秋には何らかの手を打たなければならないという趣旨の答弁をされまして、そしてすでに事務当局に命じてあるとまで言われたのですね、あのときは。これは官房長の答弁になるのかどうか知りませんが、ところがどうも一向に、全く技術的に小委員会でもやっているのか知りませんが、事務当局で何かやっておるのかしらぬけれども、われわれが聞こうと思っても、なかなか私たちに態度なり進行の方向なりというものを教えていただけるような形にまではなっていない。その意味では着手もされていないのではなかろうか、動いてもいないのではなかろうかと思うのですが、ちょっと何か様子があるのなら聞かしてくださいよ。
  88. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘がございましたように、制度改正といったものに着手をすべき事態に立ち至っておる。これは前自治大臣もお答え申し上げましたとおりの認識で私ども努力をいたしております。具体的なやり方につきましては、先ほども申し上げましたように、制度調査会等におきましても随時御議論をしていただいておりますし、また中期的な税制といったようなことで税制調査会等にもお諮りを申し上げて御議論を賜っておるところであります。  ところで、制度改正に着手をいたします必要なる事態になっておることはまさしくそうでございますが、明年度におきましてどの程度のものを実現するのか、どの程度の着手をするのか、この問題につきましては、ただいまの時点では五十二年度の地方財政の収支見通し等まだ詰めるべき問題が多々ございますので、そういったものも詰めながら十分御論議を賜りながら措置をしていきたい、こういう体制でございまして、そういう意味で本格的な大蔵省等との意見交換等は行っておるわけでありますが、結論が出る段階に立ち至っていない、こういうことでございます。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 これは大臣、結論が出る段階に立ち至っていないというのでは困るので、大臣としてはいつごろまでに結論を出せということをお考えですか。
  90. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 予算編成までにはある程度決意もしていかなければならないと思っております。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 五十年と五十一年と、自治、大蔵両大臣の間で覚書が交換をされました。そこの中では地方債の消化について努力するということになっています。これまでのところで縁故債の発行に特に問題はありませんか。
  92. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) ただいままでの時点で縁故債の発行につきまして特に問題が起きておるという事態はございません。ただ、今後の問題として、マクロとしては大丈夫だと、前々申し上げておりますように思っておるわけでありますが、ミクロの問題として地域別等においてきしみが出てくることもあるいはあり得るかという危惧も持っておりますので、そのような事態が起こりました場合には大蔵省にも十分協力をいただいて、この完全消化に努めたいと考えております。  なお、大蔵省側におかれても銀行局長等の通牒を出しておられまして、民間金融機関等に対しても十分協力をするようにという体制はとっていただいておるように私ども考えております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省にちょっと伺いますが、この縁故債の発行なんですが、縁故債の発行であるにもかかわらず、どうも大蔵省の個別的な指導というのですか、介入というのですか、ちょっとさわられるのかどうか知りませんが、何か例年以上に激し過ぎるという話を聞くのですよ。各地から。たとえば一番問題になって苦情のあるのは、用地取得分は認めないとか、あるいは設計仕様に至るチェックにまでわたっている、こういう状態なんですね。縁故債であるにもかかわらず、あたかも大蔵省から融資を受けるかの状態であると、たくさんこぼして来られますよ。おおよそこの許可権限を逸脱したこういうような行政的な面にまでわたるような介入の意図は一体どこにおありになるのか、私たちは御存じのとおり地方債許可権なんというものは廃止してくれ、各地方団体からも非常に強い要望がある時代なんですね。そんなときに介入をされるというのは全く時代逆行なんですがね、どうなんです、これは。
  94. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) お答え申し上げます。  目下、縁故債も含めまして起債につきましては自治省が許可をいたしておりますが、その際に大蔵大臣協議をいただくことになっております。私どもその一環といたしまして、政府資金によるものも含め、縁故債も同時に協議をいただいているわけでございます。その際起債の中身について伺うことがございますのですが、努めて自治体等に大きな御迷惑はかけないようにという形で臨んできておる次第でございます。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 中身についてそんなに伺わなくたっていいんじゃないの、個々について。何のためにそんなに細に入り微にわたって伺わなきゃならぬのですか。これはこの辺は政治的な判断ですから、どうですか次官、もういまやっているようなことはやめますというようなことを一言。
  96. 斎藤十朗

    政府委員(斎藤十朗君) 地方債の発行につきましても、地方財政の円滑な運営または健全化のために、またそれ相応の御相談を受けておることだと思うわけでございます。そういうような観点から御相談にあずかるというようなことはあろうと思いますが、地方財政を圧迫するような形はとらないようにいたしてまいりたいと思います。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 また、自治体個々にまで及んで大蔵省の顔色をうかがわなきゃならぬような状態ということは、これは若い政務次官なんですからね、そういう古い大蔵省の動きなんというのはこの機会にチェックする、それぐらいの決意はどうですか。
  98. 斎藤十朗

    政府委員(斎藤十朗君) ですから、いま申し上げましたように、いい意味で御相談にあずかる、こういう態度でいくべきではないかと思います。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 報道によりますと、大蔵省は地方債を割り引きさせない方針だと伝えられるのですがね、真意はどこにあるのです。
  100. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 私の直接の所管ではございませんが、新聞報道に書いてありますような事実はございません。現に、地方債につきましては法律上割引発行もできるという形になっておりまして、そういう申請があれば、それぞれ自治省なりで許可の際いろいろ協議を私どもにいただくということになりましょうが、目下の段階でそれを認めないという形でできているということは全くございません。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 そうですが。そうすると、この十月十六日のサンケイ新聞の記事は間違いである、そういう事実は大蔵省としてはない、よって大蔵省は申し出があれば認めますと、こういうことですね。
  102. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 申し出があれば、自治省が許可をする際に私どもに協議をしていただくということでございます。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 いや、その場合に、先ほど前段の答弁でありましたように、地方自治体の健全財政の上からも好ましくないと大蔵省はしているという報道になっているのですが、そういうことはないと。
  104. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 割引地方債の発行そのものが地方財政の健全化を損なうという判断はいたしておりません。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 だんだん答弁が後退してきたな。  したがって、自治省が求めた場合については認めるということですね、申し出があるものについて。
  106. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 私、地方資金課長でございまして、直接この任に当たっておるわけじゃないのでございますけれども、割出発行がスムーズに行われますためには、割出発行と申しますのは個人の消化を対象といたしておるわけでございますので、どの程度の個人消化が見込まれるか、あるいは個人が主体として消化されるものでございますから、値崩れが起こった際にどういうような形で価格支持ができるか、かなりいろんな問題があるやに聞いております。そういう問題も踏まえまして、個々の申請があった場合に協議をしていただいた際に判断をするということでございます。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 その判断をするはいいですが、その判断というのは地方財政法第五条の三の趣旨の上に立って判断をする、これは当然のことでしょうが、法律をさっきからゆがめられるようなことばかりあるから一遍確認しておきますが、これは間違いないですね。
  108. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 法律でそういうふうにはっきり書かれていることは承知している次第でございます。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 いや、承知されているだけじゃ困るので、私が言っている趣旨に答えてもらわないと。それは法律は皆さん方よく御認識になっているでしょうけれども、その裏をかくようなことばかりやられるから。そんなことはないということですね。
  110. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 法律の趣旨にのっとりまして処置いたします。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、縁故債の大量発行は政府資金が不足しているという事情からやむを得ず行われたわけですが、来年度は政府資金の割合を引き上げる必要があるように感じられますけれども、昭和五十年は六〇・三%でしたね。それ以前も昭和四十年代は大体六割前後の割合でありました。ところがことし五十一年は二九・六%、大幅に落ち込んだわけですが、五十二年度は再び六割程度を確保できるわけでしょうかね、ここのところ。政府資金の手当てなしで再び大量の地方債発行を地方に強いるというのはこれはできないことだと思っているのですが、どうでしょうか、これは。
  112. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 先生おっしゃいましたように、五十一年度におきましては地方債に占める政府資金の比率は大幅に低下しております。これは一つには財政投融資の一環、資金運用部資金を交付税特別会計に一兆三千ほど貸しましたために資金的に不足をいたしたわけでございます。五十二年度の問題につきましては、先ほど来お話もございますような地方財政対策全般との絡みで決まってまいると思います。いまの段階地方債に占める政府資金の比率が何%程度になるかということはちょっと申し上げられない次第でございます。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 いまのところ申し上げたくないというのですが、申し上げられないというのですか。
  114. 鈴木達郎

    説明員鈴木達郎君) 申し上げられない、要するに数字が決まっていないという意味でございます。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 私は現在のような状態でなお国債が大量に発行されると地方債の資金に政府資金がどの程度確保されるのかおぼつかないと思っているのです、実は。政府資金の確保についてどう考えるのか、どういう見通しを持っていらっしゃるのか。これは自治大臣、ちょっと角度変えてどうなんですか、ここは。
  116. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 地方債の資金につきまして従前そうでございましたように、できるだけ多くの分野を政府資金に仰ぎたいというのは私ども常日ごろ希望しておりますし、またお願いを申し上げておる事態であります。ただ、五十一年度におきましては、先ほども大蔵省の方から御答弁がありましたように、交付税特別会計等における多額の借り入れ等の問題もこれあり、政府資金の充当率が減りまして民間資金が増加をしましたのをまたやむを得ない措置というように考えまして、そのかわり六割相当分までは利子の差額を補給する等の財政措置をあわせ講じてこの危機を是認をすることにいたしたわけでございます。  明年度以降の見通しでございますが、できるだけ多額の政府資金をということはまず第一義でございます。しかし、今後やはり地方債を、現在の地方財政状況では一般的に地方債を活用していくという方針をとらざるを得ないと考えておりますので、地方債の総額はかなりの額に達しようかと思います。その場合に政府資金が不足をするというような事態が生じますならば、政府資金にかわります良質の資金の確保、こういう手だてについてもあわせ検討する必要があるのではないか、このように考えておるわけでありまして、良質の資金の確保を一段構え、一段構えというかっこうで実現をしていきたい、こういう考えでおるわけであります。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、同じ質問に対してどうですか。いま自治省答弁そのままそっくりいただけますか。
  118. 斎藤十朗

    政府委員(斎藤十朗君) 和田先生の御指摘のように、地方債、また地方に回すべき資金運用部資金につきましても十分配慮をいたしてまいりたいと思っております。先生御指摘のように、地方債の引き受けが非常に落ち込んだじゃないかというお話でございますが、本年は御承知のように地方債の引き受けそのものは落ち込んでおりまして、一兆四千億円になっております。しかし、先ほども答弁をいたしましたように、交付税特別会計の方から一兆三千億円を支出をいたしておるわけで、合算いたしますと従来より相当ふえておるということもひとつ御理解をいただきまして、今後とも資金運用部資金については、住宅の対策だとか中小企業の対策だとかいろいろ資金需要が強いわけでありますが、御指摘のような地方自治体に対する支出もできる限り多くの資金を用意してまいりたいという考えでございます。今後ともその線に沿って努力をいたしてまいりたいと思います。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 ところで大蔵省、全国知事会議を初めといたしまして地方団体では、公営企業金融公庫を改組をして、そして地方団体金融公庫の形で地方債の消化を図るべきだという構想があるわけですね。当委員会でもこの問題については論議がされてきました。私は現実にはなお検討を要する問題があるとは思いますが、政府資金が安定的に確保できないということになります以上は、この地方団体金融公庫の構想を検討する時期であるとは考えるのです。ところが大蔵省はこの構想には真っ向から反対だと聞くものですからね。自治省は当然賛成のようですがね。反対とすればどういう理由でこれは反対なんですか。
  120. 加藤隆司

    政府委員(加藤隆司君) もっぱら金融サイドの議論が多うございますが、したがって主計局の問題以外にそういう問題があるわけでございますが、いまわれわれの方で関係局が集まって自治省との間で強勉会を地方債の消化問題ということでやっておりますが、そういう勉強を通じて、公庫問題ということでなくて、地方債の円滑消化という観点の議論をやりつつあるわけでございますが、いまの公庫問題を考えてみますと、資金量というのは一定なわけでございますね。したがって、公庫の看板を塗りかえても果たして金が集まるのかどうか。むしろいままでの市町村、県と地元の銀行あるいは金融機関との関係、まあ地縁性と申しますか、そういうようなものに依存していった方が円滑にいくのじゃないかというような議論、それから実際に調べてみると、大都市周辺の市町村の方が困っておる状況にあるのじゃないかというような議論、それから地方財政の観点で考えますと中央統制がむしろ強まるのじゃないかというような議論もあるわけです。それから片やその反面になりますが、地方団体の、まあ例の平衡交付金のときと同じですが、金が簡単に集まりますとどうしても依存風潮が高まるかもわからないのですね、そういうふうな議論。金融面の方のいろいろなそういう消化の面で果たしてうまくいくだろうかというのが現実問題です、それは。  で、財政論の方はどっちかというと基本的な考え方の問題になりますが、そういうような問題で、かねてこれは昭和十三年ですか、延々内務省時代からの御議論があったわけで、まあそういう歴史的背景を持っておりますが、当面の問題としてしからばどう考えるかということで、ただいま申し上げたようなもっぱら金融サイドの問題を中心にしながら議論をしておりまして、反対という議論もありますけれども、メリット、デメリットというような議論が中心になっておりまして、われわれとしてはデメリットの方が大きいのじゃないだろうかというような感じを持っておりますが、さらにこれは非常に広範な問題を含んでいるわけです。そういうようなことで、大蔵省だけでも関係局が何局もあるものですから、みんなで専門専門の立場から議論を続けております。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 いまの答弁だと、大蔵省が、反対というよりもデメリットの部分が大きくなるのじゃないだろうかという危惧がある、そこで強勉会をやっていると。そうすると、大蔵官僚と自治省の秀才たちの強勉会ですから、片一方の方の意見はどうなんですか。
  122. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) これから地方債を活用しなければならぬ事態に向かい、かつまた政府資金も安定的に非常に多額のものを必ずしも確保することができないとすれば、どうしても民間資金の消化、これを円滑にする何らかの方途が必要だと。その方途の一策として私どもは最も適切な方法ではなかろうか、メリットの方が多い、こういうように考えておるわけであります。今回のこの公庫におきます私どもの要求態度も、縁故債すべてを公庫に振りかえるということではございません。消化のしにくい分野の一定の額、これを公庫に求めるという態度でございますし、公庫のまた消化の問題もございますので、これは実勢金利等を勘案をいたしました特別公募債等の発行によれば消化ができるのじゃないか、こう考えておりますし、そのことによる原資のコスト高に対してはギャンブル資金等の活用である程度の利下げができやせぬか、こういうことも考えられるわけでありますので、いろいろ議論はございますが、私どもの立場としてはメリットの方が大きい、こういうことで盛んにいま議論をしておる最中でございます。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 そこで盛んに議論をされている。ところが一方では、もう私たちは地方債の資金確保がむずかしくなってきている以上何らかの手を打たなければならぬ。皆さん方秀才が論議していたって、われわれはじかにはだ身で感じていま手を打たなければならぬ時期にもう来ている、こうなる。そうなると、具体的な対策が早急にとられなきゃならぬということになる。延々論議に任しておくわけにはいかぬ、学術論文の両方の発表を待っているわけにはいかぬ。そこで、閣僚としての自治大臣はどういう決着をつけられますか。
  124. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 民間資金の消化につきましては、今後ともいろいろ努力をいたしてまいる所存でございます。公庫問題もその一環といたしまして、財政局長答弁したような線で努力をしてまいりたいと思っております。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 自治省財政局長答弁をされた面で解決を急がれると。大蔵省、そういう答弁がありましたから別に答弁求めませんよ。よく記憶を、自治大臣が閣僚としてそういう答弁をされた、三木内閣としてはそういう方向であると私はそう認識をしておきます。  生活関連補助金について、ちょっと時間がなくなってきましたので二、三お聞きしたいのですが、人口急増地域における小中学校屋内運動場等の整備状況、それから、当該市町村の財政負担の状況、これはどんな状態になっていますか。
  126. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) ただいま人口急増地域におきまして一番大きな問題の一つとして、いま御指摘の義務教育施設の整備、この問題がございます。これは当該市町村にとりましては大変な財政負担になるわけでございますので、昨年からこういった急増地域に対します施設の補助金のかさ上げ等の援助措置を一応実現をしていただいたわけでありますが、その残りの負担に対しましては地方債を活用したり、あるいは交付税制度の中にその一定程度を見込むというような措置をとったり、こういうようなことで人口急増地域の財政援助に努めておるところであります。しかし、これは大変大きな財政負担になりますので、今後ともこういった措置はできる限り強化をしていくという態度で文部省の方にもお願いをいたしておりますし、私どもも明年度以降の財政措置の場合に、大きな柱の一つとしていろいろ対処をしていきたい、こういうつもりでおります。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 ここのところ時間がちょっとどうもないようだから、こういうことになりますかな。生活関連補助金について計画、方針のあるものの資料を出してもらえますか。おわかりになりませんか。たとえばいまのものあるいは高等学校の増設の府県負担の見通しの問題、それから廃棄物処理施設の整備状況、それから保育所福祉施設の標準設計・仕様の設定の状況の概要。これはずっと懸案事項ですが、それから水道料金引き上げの状況、新設上水道の料金の概要、こういうのをずっと一連にできますか。
  128. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 非常に広範にわたりますのでなかなか完全な資料はできにくいと思います。一定の施設の整備状況等につきましては、従前に資料がございますものについてはできるかと思いますが、たとえば水道料金の全般的な状況等につきましては、個々の団体の問題にわたりますので資料の整備が現在のところは完全にはできておりません。それから保育所の標準設計、標準仕様等の問題もただいま協議中の段階でございますので結論がまだ出ておりませんので、こういったものについてもただいま資料はございません。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、どうですかね。保育所あるいは水道料金、それはもちろん協議中であることはわかっているのですが、それは自治省厚生省と違うでしょう、態度が。両者から出して、現況で考えている資料を出していただけますか、状況について。
  130. 金井元彦

    ○理事(金井元彦君) 厚生省は。
  131. 下村健

    説明員(下村健君) 保育所関係の標準設計につきましては、大蔵省、自治省協議をいたしまして、従来から厚生省といたしましては標準設計、標準仕様という問題につきまして検討を続けてまいったわけでございます。その結果を踏まえまして基準面積の改定等の協議を目下大蔵省といたしております、という段階でございますが、最終的にそういうものを固めるためにはさらに実態について調査する必要がございますので、その調査を目下三省で協議をして実行いたしておるという段階でございます。したがって、結果が出ますと、もちろん御指摘のように、いろいろ個々の点につきましては見解の相違というものも出てまいるかもしれませんが、現在のところ、この問題の処理につきまして自治省厚生省あるいは大蔵省との間で見解が相違しているというふうな点はないと申し上げてよいかと思います。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、いま厚生省答弁にありましたように、結果はいつごろ出ますか、たとえば保育所に関して言えば。
  133. 下村健

    説明員(下村健君) 調査は今年の九月から十月にかけてやりまして、目下その回収、集計ということで、そうですね、あと一カ月かもうちょっとかかるのではないかと思いますけれども。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、いまたとえば一カ月かかったとして、この結果については資料として当然提出してもらえますね、そういうことでしょう。
  135. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) まとまりますれば、もちろん提出は可能でございます。それから、まとまりますれば、できる限りそういったものを五十二年度の予算編成に反映をしていただく、こういうことをお願いをしておるわけであります。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 廃棄物処理施設の整備状況というのはどうですか、これは。
  137. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) お答えいたします。  五十年度までの分につきましては、個所づけをいたしまして、どこにどういった施設がどれだけの希望があり、それに対して国庫補助をどのようにいたしたかというふうなことについての資料はまとまってございます。ただいま持っておりませんけれども、できております。
  138. 和田静夫

    和田静夫君 それはまとまっておりますよね。新規事業については。
  139. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 五十一年度につきましてはただいま実施計画についてヒヤリング中でございますので、これが来月の中ごろまでかかりますが、それが済みますと資料提出できると思います。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、十一月一ぱいにはわれわれの手元に来る。
  141. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) できると思います。
  142. 和田静夫

    和田静夫君 じゃそれを求めておきますが、よろしいですか。
  143. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 承知いたしました。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、予算要求でいまの問題との関連でありますが、自治大臣にちょっとお聞きしたいのですが、自治省が生活関連施設に限らず、各省にいろいろ注文をされているわけですね。けさ午前中秋山委員からも具体的にいろいろの論議があったはずでありますが、どうも総花的で、どこにあなた方の場合重点があるのかというのが大変疑問なんですよ。私は自治大臣として、これを重点にして各省と相談して予算の獲得にこれはもうどんなことがあっても努めるのだというものは何かあるのですか。生活関連施設の補助率の引き上げについて特に重点事項としてどんな考え方をお持ちなんですか。
  145. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 今回、各省にことしの問題として申し入れをいたしておりますものの重点的な考え方は、まあ三つ程度とこう思っておるわけでありまして、一つは、従前から問題の超過負担に類する類型のもの、これを解消していっていただくように努めていただきたい。それからもう一つは、先ほど御指摘をいただきましたように、生活関連施設に対する国庫補助負担、これで他の国土保全その他のものに比べまして補助率等が見劣りがするもの、こういうものについてはできるだけ引き上げていっていただきたい。それから三つ目は、新たな行政需要、こういうものに対して適実な財源措置考えていってほしい。こういう柱で例の要求は組み立てたわけでございまして、それぞれ各省にわたります項目を皆拾い上げておりますので網羅的ということに相なるかもしれませんが、おのずとその中で大きな問題点になりますようなものにつきましては、ぜひ実施をお願いをしたいということで各省にもお願いしておりますし、大蔵省にもまたそういった立場で査定をしていただきたい、こういうお願いをしておるわけであります。   〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
  146. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、国庫補助金の中できょうちょっと本題にしたいのは地下鉄建設にかかるものですがね。この、本年度予算要求について、これを簡単にちょっと説明してください。
  147. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 地下鉄につきましては、ただいま御案内の建設に対する国庫補助の制度があるわけでございますが、いろいろ検討いたしました結果、やはり地下鉄においては地下構造部門の占めます比率が非常に大きゅうございまして、これに対する建設費のコストが高くかかる。したがって、これを現在のようなやり方で実施をしてまいりますと、地下鉄の将来の財政運営というものが非常に苦しくなる、こういう考え方があるわけでございまして、簡単に申し上げますと、総事業費の約七割程度に当たりますボリュームが地下構造分に該当する建設費のウエートである、こういうような考え方から、その七割分野に対して街路並みの国庫負担を求める、それから地方団体の一般会計負担も求める、こういう体制で地下鉄建設をやるならば将来の運営がうまくいくだろう、こういう考え方で要求をいたしております。  ただこの補助金は、御案内のように従前から運輸省が所管をいたしております補助金でございまして、運輸省のただいまの予算要求は現行の補助負担制度、これによっておりますので、それの差額分を自治省として新たに大蔵省に対する要求をした、こういうことでございます。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 本年度およそ九十五億円の差がありますが、制度改善は含まれていないようですね。自治省では、説明もありましたように制度改善を要望をされている。この辺は運輸省、どうなんです、これは。
  149. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 地下鉄の補助金に関しましては、前々から自治体、あるいは自治省のいまの御要望がございまして、私どももその制度について検討はいたしておるわけでございますが、何分にも現在、その建設のテンポから申しますと、去年が二百八十億、ことしが三百八十億、国の補助金負担分でございますが、来年の要求は約四百八十億ぐらいになるだろうと思います。毎年百億づつふやしていくというような現在の建設テンポの見合いでございますけれども、非常に膨大な数になっておりまして、この要求の枠を運輸省の中でとるだけでも大変でございますので、本年度自治省からいろいろお話は伺いましたけれども、私どもとしましては従来の制度で、ともかく従来の制度を満額やっていきたい、こういうふうに考えております。
  150. 和田静夫

    和田静夫君 運輸省、私は現行の補助のやり方には非常に多くの問題があると思うのですよ。現実補助金が工事費の元利償還総額に占める割合、一体何%ですか。
  151. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 現行制度でございますと、全体の総工事費から一割をまず引きまして、その残りの六六%の半分というものを国が持つ、こういう制度でございます。将来にわたる金利分も含めまして何%に当たるかという計算はいまちょっとしておりませんけれども、それで私どもとしましては、今後たとえば十年ぐらいの将来にわたるというようなことで、各自治体の、各企業のやります将来の収支見込みというようなものも試算しておりますが、まあ東京都のような非常に特殊な例を除きましては、現行制度でもいまさしあたって危機的な状況が起きるというふうには考えておらないわけです。将来の物価の問題とかその他いろんな問題がありますので、ずっと将来のことについてはなかなか結論が出ないのでございますが、引き続き検討さしていただきたい、このように思います。
  152. 和田静夫

    和田静夫君 いまの答弁違ってませんか。一〇%を引いて六六……
  153. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 詳しく申しますと、総工事費の中からまず間接経費を引きます。間接経費を引いた残りの部分から一〇%、これは何と言いますか、頭金というようなもの、それの六六%。
  154. 和田静夫

    和田静夫君 それならいいです、わかりました。  そうすると、その間接費約一五%ぐらい、その内容は何ですか、一体。
  155. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 間接費用の内容は、建設費の利息、それから測量費、監督費、そういったものでございます。端的に言えば、利息と工事に要する人件費、このようになっております。
  156. 和田静夫

    和田静夫君 ここはちょっと、後で論議しますがね。いまお答えになりませんでしたが、雑誌「地方財政」の八月号によれば、元利償還総額に占める補助金の割合というのは一九・九%なんですよ、正しいとすれば。これは正しいんだと思うのですよ。確認するまでもありませんよね。そこで、二割にも満たないわけです。二割にも満たないそれが翌年度から六年で分割される。その結果金利負担まで地方が背負い込む、そういう形になりますね。これで建設費の補助と言えるのですかね。言えますか、これ。自治大臣、建設費の補助と言えますか、こんな状態を。
  157. 天野公義

    国務大臣天野公義君) もう少しふやしていただきたいと思って増額要求をいたしているような次第でございます。
  158. 和田静夫

    和田静夫君 どう、運輸省。いまの自治大臣答弁、よくおわかりになっていますか。
  159. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 先ほど申しましたように、自治体からの要望あるいは自治省からの要望というものは私どもよく伺って承知いたしております。
  160. 和田静夫

    和田静夫君 もう要望を伺って承知していますじゃ、もう結局私は建設費補助と言えるようなしろものじゃない、看板に偽りがある、こういうふうに思っているのです。  そこで、運輸省、そもそも六年分割というのはどういう根拠、考え方なんです、これは。
  161. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 地下鉄の補助に対する考え方というものは、積算はその建設費というものを、総工事費というものを基礎にしておりますけれども、考え方は、いわゆるその運営費補助というふうに考えているわけでございます。それで、開業当初需要がついていないという段階で非常に経費がかかる、収支が悪くなるということで、その当初の六年間ぐらいを運営費という形で補助しよう、こういう考え方でございます。
  162. 和田静夫

    和田静夫君 理由にならないんですね。現行補助金制度が総工事費が対象になっていない。これは一体どういう理由なんですか。
  163. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 総工事費が対象になっていないということでございませんで、総工事費というものを基礎にしてはじいているわけでございます。ただ、考え方はいわゆる工事費補助という考え方ではなくて、運営費補助という考え方をとっている、こういうことでございます。
  164. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、ちょっと今度は自治省に聞きますがね。さっき間接費の論議をしましたがね。いまのような言い方になるわけですがね。間接費というのは建設にぜひ必要なものでしょう。そうですね。
  165. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 間接費も建設にもちろん必要な経費と考えております。それで、私ども今度新たなお願いは、そういったもの全部を入れましての事業総量、こういうものをとらえて建設費補助というかっこうでお願いをしてはどうかということで要求をいたしておるわけであります。
  166. 和田静夫

    和田静夫君 きょう運輸大臣を呼ばなかったのは失敗したようなものですけれどもね。これ、あなたの方は何で大蔵省に遠慮をしながら物を言うのか知らぬけれども、もっと自治体なり、実際問題ここの運営をしていてこれだけのものが必要なんだということでもって根強い要求運動がある、その旨にこたえた形で努力されないのですか。
  167. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 大蔵省に遠慮しているわけではございません。私ども、これは総工事費というものを、利用者と税金の、地方あるいは国民という税金負担者というものがどういう割合で負担して償還していくかという、これは一つの哲学の問題になるのかとも思いますけれども、民間の私鉄の建設というような場合の工事費用の負担というものはだれが負担していくかというような問題ともいろいろと絡み合うということかと思います。自治省のお考え方のように、地下構造物は全部国あるいは地方の税金で持つのだという考え方は、これは一つの、こういったものは道路と同じような公共施設である、こういうお考え方だと思うわけでございますが、なぜそれじゃ地下構造物というものが道路と同じなのであるかということについては、もちろんそういう考え方もあると思いますけれども、ほかの私鉄の構造物との関連、あるいは国鉄との関連とか、そういったようなものもあわせて考えなくちゃならない問題かと思います。  それから道路の場合、じゃ道路と同じということだと仮に結論いたしまして、道路のような公共物であるから全部公共の金で賄うべきだという考え方をとりました場合に、道路は主たる財源はガソリン税でございます。ガソリン税というものはこれはいわゆる道路の利用者の負担であるということにまた引っくり返ってくるわけでございます。その辺いろいろ考えてみますと、かなり理論的にもいろいろと問題点が、もちろんこれらの理論を私ども全部否定するわけではございませんので、いまさしあたって今後の地下鉄の各団体の十年ぐらいの収支というものをずっと見ておきますと、適時適切な運賃の改定とそれから経費の切り詰めというようなものを行っていくとするならば、もちろんその線によっていろいろあるところでございますけれども、いま、来年度どうしなくちゃならないというほどの緊急性はございませんと思っておりますので、ひとつ自治省などともよく御相談の上、これからだれがどのように負担していくのが一般の皆様の御納得が得られるのであろうかというようなことを検討さしていただきたい、このように考えております。
  168. 和田静夫

    和田静夫君 まあ検討されるというなら検討してもらわなけりゃなりませんが、問題は、さっきあなたの哲学が述べられましたが、政治の主人公は利用者側にありますからね。そして運輸省は国家財政全体を考えてこうなんだというような結論を先に出してもらっては困ると思うのです。それは大蔵省とぶつかり合った中で初めてでき上がってくることであって、あなた方が事前にわけのわからぬ国家財政論などをもって、そしてこうなんだというような姿勢であっては全く姿勢は逆さまになっている、そういうように私は思います。  それで、たとえば改良工事が助成の対象にならない。改良工事が助成の対象にならぬぐらい現実離れしていることは私はないと思っているのです。改良工事がどれぐらいの費用がかかるものなのか、あるいは新規工事費と対応のできる形で、これは資料すぐ出ますか。
  169. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) いま手持ちはございませんが、すぐ調べて出ます。
  170. 和田静夫

    和田静夫君 たとえば、私は大阪へ行ってみる。そして大阪の御道筋線は混雑緩和のために改良工事が必要になっていると言われますね。それは御存じですか。
  171. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 御道筋線の輸送力増強ということが都市交通審議会の場で結論されている。したがって、改良工事になりますかその他の方法論によりますかはともかくといたしまして、御道筋線の輸送力増強ということを図らねばならないということは承知いたしております。
  172. 和田静夫

    和田静夫君 そこでそうなっている。で、現実の問題として改良工事が必要になっている。そうすると、これは新規の工事と同等の費用がかかりますよ。改良工事を助成の対象から外す理由がそういう意味で私はないと思っているのです。案外素人の直感的な感じというものの方がちゃんととらえていると思うのですよ。どうです、改良工事の方が安いですか。
  173. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 改良工事も、たとえば駅の長さを延長するとか、あるいは車庫の問題を解決するとかということになりますときわめて高いものになるということは存じております。
  174. 和田静夫

    和田静夫君 そうだから、そういうふうに言われるように高いものになる。そこのところについてやはりちゃんと助成ということを考えなければならぬ、こういうことになるのですが、結局基本的なところで運輸省の考え方はどうも私はおかしいと思うのですが、何遍もこれは論議してきましたが、そのたびに結論的には、最後のお答えは、前向きに協議をし考えますということになるわけで、そこのところで終わってきたのですがね。建設費補助という名目になっていますけれども、その実、運営費の補助でしかない、現実は。現実は、何と言われたところで運営費の補助でしかない。私はここを基本的に改めるべきだと思うのです。地下鉄は都市の不可欠の構造物であると言ってよい。その意味で、都市計画街路と同じ割合、自治省の先ほどの答弁にありましたが、国が三分の二、地方が三分の一だという形にあなた方は精力的に持っていくべきだと思うのですよ、まずあなた方の姿勢としてですよ。地下鉄補助についての基本的な認識でやっぱりもっと検討をしてもらわなければ困ると思うのですが、これは検討の余地はありますね。
  175. 妹尾弘人

    説明員(妹尾弘人君) 引き続き検討さしていただきたいと思っています。ただ、私どもとしましては、この検討段階においては財源問題というものがどうしても解決されなければならない、このように考えております。
  176. 和田静夫

    和田静夫君 次にバスですけれども、バスの購入費の補助につきまして、来年度の予算要求の根拠を……。
  177. 向井清

    説明員(向井清君) お答え申し上げます。  地方バスの運行に関しましてはかねてより補助制度が働いておるわけでございますが、その中の一環といたしまして車両の購入費補助金というのがございます。生活路線にかかわりますところの購入費補助金の総額は、五十一年度におきましては約十三億円、五十二年度要求においては約十七億円ということに相なっております。
  178. 和田静夫

    和田静夫君 八百八十万の算出の根拠というのはどうなりますか。
  179. 向井清

    説明員(向井清君) ただいまお尋ねの購入単価の算出根拠のことでございますが、バスのメーカーというのは数が少のうございますけれども、ほぼ全メーカーの全車種——数十車種ございますが、全車種につきまして調査をいたしまして、これの平均値を一応出しまして、これにさらに物価上昇の予想率を掛けるということで算定をいたしております。
  180. 和田静夫

    和田静夫君 私はことしの七百五十万を基礎にしてちょっと実例を、にわか勉強ですが、ずっと集めてみたのですよ。そうすると、A市が七百七十二万、それから以下B市が八百七万。これはそれぞれちゃんと調べたことですから間違いありませんがね。あとのもわかっていますが、七百九十四万、七百七十万、七百八十二万、七百八十八万、七百七十四万、七百七十九万、こういうような形がずっと出てきました。で、ことしは七百五十万ですね。そうすると、どれを見ても補助単価をかなり上回っていますよ。補助単価の算出が低過ぎると言うほかはない。一言で言えばそういうことだろうと思うのですが、現実に必要なものを相当落として計算しているのじゃないかと思われるのですね。それは内装費がどうだとかこうだとかという論議をされてそういうことになる。どういう計算をしているのか、算出の基礎データというのは出ますか。
  181. 向井清

    説明員(向井清君) 先ほどお答え申し上げましたように、ほぼ全メーカーの全車種についてそれぞれ調査した基礎データというものがございます。ただ、このデータを見ましてもわかりますように、バスの単価と申しますのは、当然定員の変化によりましても大幅な異同がございますし、総額といたしましても、最も安い物から最も高い物——普通の大型バスでございますが、これについて比較いたしますと、約百五十万ぐらいの開きがあるというのが実情でございまして、先生いまおっしゃいました実例と申しますのがその幅の中に恐らく入っているのだろうと思いますが、やはりそれぞれ非常に違った仕様を持っておりますバスでございますので、単価に非常に大きな開きがある。それを一応算術的に平均いたしまして購入単価の算定をいたしておる、こういうことでございます。
  182. 和田静夫

    和田静夫君 自治省にちょっとここで伺いますが、都市生活という側面からとらえてみまして、バスに冷暖房がなかった場合、どうなりますか。
  183. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 適当なお答えになるのかどうかわかりませんが、まあ夏の間冷房があればそれは快適でございまして、一部そういうところもございますが、まあ地域によったり、そこの事情によったりしていろいろ差があるだろうと思います。
  184. 和田静夫

    和田静夫君 自治省、東北地方から北海道のバスで、暖房のないバスが走っていますか。
  185. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 暖房のないバスはまず非常に少ない、恐らくないだろうと思います。
  186. 和田静夫

    和田静夫君 運輸省、暖房のないバス、東北から北海道に走っていますか。
  187. 向井清

    説明員(向井清君) 東北と申しましても大分範囲が広うございますが、寒冷地と申します範囲内において、暖房のないバスが走っておるということについての私認識を持っておりません。
  188. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、寒い地方においては、いわゆるいま言われた寒冷地といえば暖房のバスがもう全部走っている。暖房の装置費は大体五十万はかかる。そうすると、八百八十万の計算は機体と、ワンマンの機械装置費だけである。こうなってくると、現実に暖房施設を必要とする五十万相当部分が全然対象にならないというのはどういうわけです、これは。まず自治省
  189. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) いままでの補助の基本は、御指摘のように車両そのものの平均単価と、それからワンマン機器分、こういうものを対象にいたしておるわけであります。暖冷房は算定の基礎に入っておりませんが、なおこれは検討を要すべき問題かと思います。
  190. 向井清

    説明員(向井清君) ただいまの自治省側の御答弁と同様でございます。
  191. 和田静夫

    和田静夫君 じゃこれはもうとにかく同様の答弁、初めてそこは両省ここで完全に一致したのですから、一致した部分はすぐやってもらわなければ、大蔵省も十分聞いているわけですから、これ。問題は結局私は都市における交通対策とその財源対策の問題なんだと思うのですがね。ところが、運輸省の補助制度というのは、都市の交通財源対策としてはずいぶん立ちおくれている、そういうふうに考えざるを得ないのです。地下鉄建設費の補助がそういう意味で私は一例であると思ったから地下鉄問題に触れたのですが、今後は新しい観点からやはり財源対策というものは十分に検討をしていっていただきたい、そういう希望を述べておきます。  都市の交通は各市ともきわめて厳しい状態に置かれています。その結果、二十三市が再建団体に指定されているわけですが、これは衆議院でも論議がありましたが、それ以外にも危機的な状態にある都市があります。その場合、何らかの救済策というものを講ぜられますか。
  192. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 一般的な議論でございますが、特に都市交通については、御承知のように最近四十八年度の時点でございますか、において再建の措置をとったわけでありますけれども、その他のやり方としては、公営企業法そのものに規定がございます、赤字が出た場合にはその再建計画を立てる、こういうことでもって準用再建の手続をとりますならば、赤字のたな上げそのほかの措置が行える仕掛けになっておるわけでありまして、そういう制度の活用が望まれるわけでございます。
  193. 和田静夫

    和田静夫君 ここはもう時間がなくなりましたから深い論議をしませんが、十分現実に対応できることをさらに後ほど求め続けます。  そこで、ちょっと聞きたいのですが、地下鉄従業員の、労働者の安全衛生面での調査、対策というのが私は非常におくれているように思うのです。特に空気汚染の基準と調査実態というものがありますか。災害安全対策の基準と調査、そういう観点でございますか、労働省。
  194. 山本秀夫

    説明員山本秀夫君) お答えいたします。  地下鉄についてそのものずばりのものはございませんが、都市交通全体につきましての統計は、いま手元にございませんけれども、あると思います。  一般論のことでございますが、労働省はいま非常に災害が多発している建設業、化学工場のようなところを重点にやっておりますので、お尋ねの地下鉄につきましては目下のところ手を染めていないというのが実情でございます。
  195. 和田静夫

    和田静夫君 労働安全衛生規則との関係においても、職場環境の問題との関係でやっぱりここを明らかにしてもらいたいと思うのですね。その辺の空気汚染の基準、調査データというようなものを早急にやっぱりつくっていただきたいと思います。  それから、基準も明確でないわけでしょう。基準が明確でないということになれば、われわれが立法するか、おたくと協議しておたくの政府側が出すか、何かしなけりゃならぬことになるのですが、それは何か考え方ありますか。
  196. 山本秀夫

    説明員山本秀夫君) 実態を十分把握しているわけではございませんから、私ども、問題の個所につきましては指示をいたしましてよく調べ、その上で健康障害の問題も同時に調べた上で、基準をできるだけ早くつくってまいりたいというふうに思っております。
  197. 和田静夫

    和田静夫君 もう時間がなくなりましたからまとめてやりますが、その再建二十三団体の職員の給与改定について、毎年自治省は一般市長部局職員との均衡を考えて介入しないと答えられ続けてきていますが、これは今度の賃金改定に当たってもそれは確認できますか。
  198. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) そのとおりでございます。介入いたしません。
  199. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、七五年賃金改定の制度化がいまなお図られていない都市があります。七六賃金改定で何らかの措置をこれはとられるべきだと思うのですが、これはどう指導されるのですか。
  200. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 改定をいたします場合には再建計画の変更をいたすことになると思いますが、その再建計画の変更に当たりましては、所要経費等が料金そのほかの確実な財源で賄われて新たな赤字を生じないというのが基本的な考え方でございます。しかし、御指摘のように給与改定と料金改定の時期のずれとか、こういったような問題、やむを得ない事情もあろうかと思いますので、五十二年度以降にわたりましてそういった赤字が解消できるというような見通しがございますれば、五十一年度そのものにおいて一時赤字が生ずるというような事態であっても、再建計画の変更、それは差し支えがない、こういう方針でおります。
  201. 和田静夫

    和田静夫君 公務員部長、ちょっと一般の賃金ですが、地方議会は十二月が定例ですね。国家公務員と余り違いのない時期に臨時議会を開くなどして、できる限り早急に給与改定ができるように、そういう指導をすべきだと思うのです。それはいいですな。
  202. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 一般的に申し上げますと、先生よく御承知のように、専決処分もできませんので、定例会前にということになると、臨時議会という方法は当然あると思いますが、そこまで私どもが通達指導するというところまでは考えておりません。
  203. 和田静夫

    和田静夫君 しかしあれでしょう、やっぱりできる限り早急にこれ決着をつけていく、そういう考え方はお持ちですね。
  204. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 国家公務員の給与改定が行われた場合には、これに準じて地方公務員にもというのは従来から私どもの基本的考え方でございますが、その場合にいつやるかという問題につきましては、私どもは国の状況を見ながらということで、よく先生御承知のように、法案が提出されたときとかあるいは法案が提出される状況だとか、そういうものは逐次連絡しているわけでございます。しかし、臨時議会を開いてということになってまいりますと、これはもう当該団体で判断をすべきことだというふうに理解をしております。
  205. 和田静夫

    和田静夫君 その場合に、逆の意味で、急がせる方はなかなか指導しなくて、おくらせたり変なことするときばっかり指導しちゃ困るのだが、地方課を含んで個々の自治体について余り個別指導をするようなことは、これは極力避けていただきたい。  それから、当然のことでありますが、労使間交渉で決定した事項については介入をしない、これは自治大臣、いつも自治大臣が答えられることでありますが、天野自治大臣もこの姿勢は変わりはございませんね。
  206. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 労使関係を尊重すべきことは言うまでもないところでございますが、議会が法の定めるところにより、その権限を行使することは不当介入には当たらないというふうに考えております。
  207. 和田静夫

    和田静夫君 聞いてもいないことまで答えなくたっていいんだよ。自治大臣、特に公営企業の場合はこれはちゃんと団体交渉権の保障されたものがありますので、個々の労使間の協議決定をしたことについてはもう介入をなさらない、これはあたりまえのことでありますけれども、一応確認しておきたいと思います。
  208. 天野公義

    国務大臣天野公義君) そのとおりでございます。
  209. 和田静夫

    和田静夫君 ほとんど時間がなくなりまして恐縮ですが、共済組合の短期経理の状況が非常に苦しくなっている。これはすでにこの委員会であったのですが、五十年度決算及び五十一年度の決算の見通しを述べてもらいたいのですが、これは後でちょっと私に知らせてください、いまここでやっていると長くなりますから。  そこで同時に、五十一年度の短期の財源率、これが各組合どういうふうになっているのか。前年度と比較して引き上げ率の高い組合はどういう状態なのか。それから、本年度の短期の財源率の決定に当たって、給与、医療費——いまの前段の部分も資料でいただきたい。給与、医療費、受診率のそれぞれの伸びをどの程度と見込んで自治省は指導されているのか、ここはちょっと答弁してもらいたいのですが。
  210. 桑名靖典

    説明員(桑名靖典君) 昭和五十一年度における各地方公務員の共済組合の短期の財源率の改定の状況は、地方職員共済組合につきましては千分の七を引き上げまして千分の七一・六になっております。公立学校共済組合、警察共済組合、東京都職員共済組合、札幌市職員共済組合、名古屋市職員共済組合におきましては五十一年度の財源率の改定は行っておりません。なお、北海道都市職員共済組合につきましては、千分の八を引き上げることによりまして千分の九十四になっております。市町村職員共済組合につきましては、財源率が最も高い組合が千分の百五でございまして、一番低い組合は千分の五十八でございます。その分布の状況を簡単に申し上げますと、千分の百を超える組合が五組合、千分の九十の組合が十一組合、平均いたしまして千分の八二・六という結果になっているわけでございます。  今年度の短期経理の財源率の決定に当たりまして、医療費の高騰であるとか、あるいは掛金、負担金の伸びの鈍化などの理由によりまして各共済組合の短期経理の収支の状況がきわめて悪いことはいま先生が御指摘になったとおりでございます。そのため、五十一年度の財源率の設定に当たりまして地方公共団体及び組合員の負担を考慮いたしまして、緊急措置といたしまして法定給付に係る財源率が千分の百を超えることが見込まれるときは千分の百に調整することができることにいたしたわけでございます。この場合において、家族療養費の付加金の基礎控除額を三千円とすることにしております、なお、いま申し上げました措置にあわせまして、医療費の適正化を図りますために、レセプト審査の励行であるとか、短期給付の実態の組合員へのPRであるとか、その他の方法を終始徹底するように指導いたしているわけでございます。  いま申し上げました緊急措置に該当しない組合につきましては、単年度において収支の均衡が図られますよう必要な財源率を設定すべきものといたしまして指導しております。その際収入の見込みにつきましては、給与のベア見込み額を四月から五%、支出の見積もりにつきましては、医療費の改定費は四月から九・一%実施することにいたしました。医療費の自然増はおおむね組合員本人分については一%、被扶養者分については一五%を基準といたしまして、各組合の実情を反映させることにいたして財源率の決定をするよう指導いたしていくわけでございます。  そのようにいたしまして、昭和五十一年度の短期経理の財源率が非常に高くなり、かつ経理の状況が著しく悪化している状況にかんがみまして、いまも申し上げましたように、法定給付に要する財源率が千分の百を超える組合につきましては千分の百にとどめることにいたしているわけでございますが、法定給付に要する費用の見込み額が千分の百を超えない組合につきましては、健康保険組合における保険料との負担の均衡を考慮いたしましても、組合員の負担はそれほど過重でもないと思われますので、地方共済法の定めるところによりまして、単年度収支均衡の原則に基づきまして、今年度中において収支の均衡を求めるために、年度中途においても短期の財源率の引き上げを行うよう指導しているわけでございます。  地方職員共済組合におきましても、五十一年度に予想される赤字が非常に大きいものでございますので、その財源率の引き上げ時期がおくれればおくれるほど上げ幅が大きくなるわけでございまして、昭和五十二年度においてこれを処理するといたしますれば、現在試算をいたしますと千分の二十一程度の引き上げが必要となりますので、地方職員共済組合が年度中途においても財源率の改定を行うよう私どもは期待をいたしているわけでございます。
  211. 和田静夫

    和田静夫君 千分の百を超えた組合についていま救済措置の問題がありましたが、そこでその財源だけ最後に確認しておきますが、そこでそれをいわゆる千分の五十ずつ負担させて、超えた部分は地方公共団体に赤字補てんということで財政手当てを特交か何かで見られる、これは公務員部長、よろしいですね。
  212. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) いま福利課長から御説明ありましたように、何らかの財政措置をせざるを得ないと思っておりますが、やはり財源措置するといたしますと、勝手にいろいろやったところでそのまま補てんするというわけにもいきませんので、やはり法定給付を中心に調整すべきものをしていただいた上でなお出るという状況であれば、それについては特交なり何なりで措置をしていただくように、財政当局にいま要請中でございます。
  213. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、前回に続きまして若干地方財政についてお尋ねしたいと思います。  国の財政以上にピンチに見舞われている地方財政の抜本改正については、私は昭和五十二年度において意欲的にやるべきだとは思いますが、せっぱ詰まった本年または来年の初頭に対して地方自治体においてもいろいろな新税構想が考えられているわけです。都道府県団体においては、御存じのように、産業用固定資産税の超過課税の問題とか、あるいは事業税の外形標準課税の問題とか、あるいは市町村においても、それぞれ法定外の新税等が考えられておるわけでございます。私は、産業用固定資産税の問題については前回お伺いしましたので、本日はまず法人事業税の外形標準課税についてお尋ねしたいと思うのです。  地方制度調査会においても、何回かにわたって外形標準課税に踏み切るように答申が出たわけでございますが、今回の十月二十二日の報告におきましても、またさらに追加してこの問題を述べているわけです。それで、まず現況について、自治省でいま握っておられる法人事業税の実績について、四十九年度と五十年度でどのくらい落ち込んだのか。また現在五十一年度においても、八月末あるいは九月末の実績が出ていると思いますが、去年よりはちょっといいとは思いますけれども、一昨年と比べてどうなのか、その辺お聞かせ願いたいと思います。
  214. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) ちょっといま手元に資料を持っておりませんので、精査いたしましてすぐ後で申し上げたいと思いますが、五十年度の実績見込みと五十一年度の、これは七月末現在でございますが、の調定で調べました見込みと比較いたしますと、法人事業税は五十年度の見込みに対して五十一年度は五・六%の伸びという数字に相なっております。五十年度の七月末の調定額が六千九百四十一億円でございまして、五十一年度の同七月末における調定額が七千三百二十七億円でございます。これを比較いたしますと五・六%程度の伸び、こういうふうになっております。
  215. 多田省吾

    ○多田省吾君 それじゃ四十九年度と比べるとどうですか。
  216. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) ちょっといま数字をもう少し精査してみます。
  217. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間もありませんから、私の方で調査した結果を申し上げますと、たとえば神奈川県では昭和四十九年度の法人事業税が一千百億三千二百万円、それが五十年度は不景気のために八百一億六千五百万円と約三百億円落ち込んでいるわけですね。それで交付団体に転落したという経過があるわけですが、本年八月末で五百三十五億、去年よりはちょっとよいものの、一昨年と比べるとなおやはり二百億近く落ち込む状況でございますし、千葉県においても、昭和四十九年度は四百九十八億七千万、昭和五十年度が三百四十九億と約百五十億円落ち込み、本年九月末で百九十億ですから、去年より若干よろしいという程度でございまして、一昨年と比べればやはり大分落ち込んでいるわけでございます。で、今度の地方制度調査会の起草委員会の報告にも、やはり外形標準課税への移行については「労働集約型の事業等の税負担に激変を生ずることがないよう配慮」し、「中小企業については、負担が過重となることがないよう適切な措置を講ずべき」だというような前提で早急に法改正すべきであるというように言っておりますし、これはもう前から問題になっておりまして、もう本当に来年からやるかやらないか、こういうせっぱ詰まった瀬戸際に来ているわけでございます。で、もし昭和五十二年度からこれが法改正にならなければ、全国知事会なんかでも都道府県の条例で外形標準課税を導入しようというような動きもあるわけですね。これはもちろん自治省においては好ましくないと言うに違いありませんし、また各都道府県が一斉にやり出したらこれは大変なことになると思う。だから、外形課税導入への自治省としての取り組み、それからもしこれができない場合に、全国知事会で言っているような都道府県の条例で導入しようなんという動き、こういったものに対してどう考えておられますか。
  218. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 事業税に外形基準を導入する必要があるという基本的な考え方自身は、いま御指摘のように、地方制度調査会も、またいままでの税制調査会においても、そういう形での御結論が出ておるわけでございますが、これを具体の税制として組み立てました場合には、いろんな実務の問題がある。御承知のことでございますけれども、一体外形基準として何を用いるのかというふうなことから始まりまして、それを実施いたしますことによる税負担の変動がかなり各業種にわたりましてそれぞれ出てくる。特に、いま地方制度調査会の起草委員会報告を引用して御指摘がございましたが、労働集約型の事業につきましてかなりな負担の増加になり、あるいは運輸業とかその他の事業につきましても、同様にかなりな負担の変動が出る、こういうふうないろんな問題がございますので、さて、それを具体の税制改正ということにどう取り組むかということになりますと、甲論乙駁でなかなか結論が出ていないというのがいままでの実態でございます。自治省といたしましては、地方制度調査会起草委員会の御報告もあることでございます。税制調査会にこの問題につきましては、ぜひ結論を出していただきたいということで、先般も御議論を願ったわけでございますけれども、やはり賛否が相半ばしたというふうな状況でございます。ことに現時点では企業の力も大変落ちておる、企業の担税力も落ちている、この時期にそういうことをやるのは、やはり経済全体の活力という観点から言ってどうなんだという一つの強い御意見がございました。  もう一つは、有機的な税制というものをこれから慎重に検討して、国税地方税を通ずる税体系のあり方考えていくというわけなのだから、その中の一環として検討すべきじゃないか、そう性急に言われてもなかなか結論が出せないよと、こういう御意見もございました。しかし、そうは言ってもやはりこれはいままでも必要なことだと言ってきたことなんだから、何らかの具体案を検討しようではないかという御意見もございました。自治省といたしましては、できるだけ速やかにこの問題についての結論を出して、外形基準の導入ができるような結論を得たいとかように思っておりますわけでございます。  それから、県自身で自主的に条例によって外形基準課税を導入する、あるいは併用するという動きについてどう考えるかということでございますが、税法上認められた権能であることは事実でございます。ただ、法人事業税というものは非常に大きな税収でございますし、各事業の負担として大変なウエートを占めておるわけでありますので、各県がばらばらにおやりになりますと大変な混乱が起こるのじゃないかという懸念は持っております。したがいまして、でき得べくんば自主的な条例による実施ということではなくて、法律改正によりまして税法自身で解決をするという方が望ましいのではないか、かように考えております。
  219. 多田省吾

    ○多田省吾君 これは数年前から早急に実施すべきであるということになっておりますから、これは去年に続いてことしと、法人税、法人事業税の落ち込み、落ち込んでからやはり景気回復の面においてはどうかなんてそういうことを考えるのは私は非常に怠慢だと、このように思います。実際は去年までにこういうものは法改正しておかなければならない問題だと思うのです。そしてまた、現在の段階に至っても税制調査会に強く申し入れしているということでございますが、いつ法改正になるものやらわからない状況で、ますます地方自治団体の財政窮迫は続きますし、また、非常に一定した法人事業税が入らないということで、大変景気によって左右される税金ということになってしまう。これは早急にひとつ大臣、法改正の方向に向かって勇気を持って決断すべきだと思いますが、どうですか。
  220. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 外形標準課税の問題は、前から自治省を中心といたしまして実現方に努力しておりますことはよく知っております。しかしながら、今度はこの事業税の体制が変わりまして、取られる方の立場からいたしますと大問題でございまして、そういう面から税制調査会等で非常に反対意見も強いものだというふうに聞いてまいっております。最近におきましても、税制調査会でこの問題が論議をされて非常に難航をしておるというふうに伺っておるような次第でございます。当方としてはできるだけ実現に努力してまいりたいとは思っておりますけれども、なかなか実現困難な状況にあると聞いております。
  221. 多田省吾

    ○多田省吾君 取られる方からは大変だと言いますけれども、昭和四十九年度の大企業の税金問題におきましても、二兆五千八百三十八億円ほど租税特別措置によって軽減されているというような実態もあるわけですよ。これは東京都の新財源構想研究会のトータル研究でございますけれども、大蔵省だってそれについては反論はできない、このように思います。ですから、大臣のおっしゃるような、取られる側のことを考えてなんて、そういうことはおかしいと思うのです。  それから、市町村段階での法定外普通税の創設申し込みが殺到していると思いますけれども、具体的にわれわれの調査でも、高速道路税とか、消防施設利用税とか、ヨット税とか、マイカー、観光税、こういうものが新設されている、このように思います。ヨット税なんかについては自治省は認める方向だということも聞いておりますけれども、こういった法定外普通税についていつごろ結論を出すのか、どういう方向で結論を出すのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  222. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 法定外普通税につきましては、市町村なり府県が、地方税法に定められております要件、これは御承知済みでありますのでくだくだしく申しませんが、を踏まえましてそれに合致するものを、考え方を煮詰めて具体案を私どもの方に協議に参りました段階で個別に応じておるわけでございます。いまお話しのありました中で、別荘税、ヨット税につきましてはすでに許可をいたしました。  高速道路の課税の問題につきましては、高速道路の分布が特定の限られた地方団体ではございませんで、かなり多数の市町村にまたがっておりますので、私どもといたしましては、法定外普通税という形ではなくて、法定税として何らかの適切な措置を講ずる、その方が合理的ではないか、かように思っております。  その他の御指摘のありました税につきましては、まだ地方団体で具体的な案が煮詰まっておらない、かように承知しております。
  223. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、交付税についてお尋ねしたいのですが、昭和五十年、五十一年度において、交付税及び譲与税配付金特別会計で多額の借り入れをしたわけでございますが、今年度も国税三税というものが非常に落ち込んでいると思います。ですから、地方財政は来年度は特例的な措置をとらなければ財政運営ができないのじゃないか、このように考えますが、この実態大臣はどのように考えておりますか。
  224. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 交付税の引き上げの問題は、現在のところ経済見通しあるいは国と地方を通ずる税制改正の方向ということがまだ未確定な段階にあるわけでありまして、地方財政の適確な収支見通しはつけがたい段階にあるわけでございますけれども、しかしながら、いずれにいたしましても、ことしもそうでありましたけれども、来年も巨額財源不足を生ずることは避けられない事実と推定をされるわけでありまして、私といたしましては、地方団体が円滑に行財政の運営ができますように、明年度の財源不足につきましては状況に応じまして地方交付税の引き上げを含めて万全の措置をとってまいりたいと考えているような次第でございます。
  225. 多田省吾

    ○多田省吾君 交付税率の引き上げを含めてとおっしゃいましたが、その点が非常に重大だと思うのです。前大臣の福田自治大臣も、ことしの予算委員会で、四月でございますが、このように答弁されているのですよ。「九月とか十月という時期になりますれば、これは大体の見通しがついてくると思うのであります。そのついてきた段階におきましては、やはりいろいろの事情があっても、国に対してはひとつ交付税率の問題を考えていただく必要があるんじゃないかと私は考えております。その場合に、どれくらい上げるかということになると、これは大きな問題点が残りますけれども」云々、このように述べているわけですが、もうその十月もいま下旬、末でございますし、当然三木内閣の前福田自治大臣、また現在の天野自治大臣、もう三木内閣で続いているわけでございますから、当然国会において責任ある答弁をされたのですから、交付税率の引き上げということについてはひとつ前向きにお考えをいただきたい、そのように思いますし、また、自治省が提出した中期財政展望においても、年率一七%増の税収を見込んでそれでもなおかつ五十二年度は大きな財源不足に見舞われまして、一兆八千三百億から一兆九千二百億円の財源不足になる、このように見通しされているわけでございますが、こういった点からももう当然私は地方交付税率の引き上げということは十分前向きに検討なさるべきだ、このように思いますが、もう一回ひとつ大臣のお考えを聞いておきたい。
  226. 天野公義

    国務大臣天野公義君) おっしゃったような状況にありますので、来年度の財源不足につきましては、状況に応じまして、交付税率の引き上げを含めまして万全の措置を講じたいと考えておるわけであります。
  227. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから公営企業金融公庫の改組問題で、五十一年度の予算編成のときに縁故地方債の消化促進方策の問題を含めて自治省と大蔵省の両省間で引き続き検討する、こういう申し合わせ事項になっておりましたけれども、いまや五十二年度の予算編成期に入りました。その後、大蔵省と何回ぐらい検討されたのか。また、一致した点、不一致の点はどういうものか。結局やれるのか、やれないのか。その辺ひとつお答え願いたい。
  228. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、ことしの地方債のうち民間資金の消化につきまして非常に危惧される問題もございましたので、両省寄ってこの消化問題について検討していくという約束をいたしたわけでございまして、これはもうすでに実施をいたしております。自治省、大蔵省のみならず、日銀、それから銀行筋、都銀、地銀でございます。それから証券、こういったところの代表者に集まっていただきまして、地方債問題研究会というかっこうで検討を進めております。これに幹事会がございまして、この幹事会はもうすでに数回会合を重ねております。その主要議題は、いかにしてその縁故債、そのほかの民間資金の消化を促進をしていくか、こういう議題でございまして、当然その中の一つとして例の公営企業金融公庫の改組問題、このことも議題に上がっておるわけでございます。ただいまのところいろんな議論が出ておりまして、結論を得るに至っておりませんが、ともかく民間資金の消化の促進、こういう問題につきましては、やっぱりはっきりした方策を確立していく必要がある、こういう認識のもとに作業を進めておるわけでございます。
  229. 多田省吾

    ○多田省吾君 前回も地方債の許可制度について局長にお伺いしたわけです。その場合には法律の「当分の間」というのが問題になったわけでございますけれども、「当分の間」とある以上は、いつかは時が来れば廃止してもいいのじゃないかと、このように私一応考えているわけです。いろいろ許可制度の必要な理由についてこの前もおっしゃいましたし、また二、三の論点があるわけです。国及び民間の資金需要との調整を図る必要性がある、こういうようなこともありますけれども、それならば、民間資金を含めた資金統制ないし金融政策にかかわることでありまして、借り手として地方自治体だけが直接規制を受けるということも根拠としては全くこれは薄弱でございます。また、地方債の原資に限りがあるんだと、こういうようなことで、いわゆる地方自治団体間の配分をめぐっての弱肉強食を避けるため適正な配分をしたいんだと、こういうような論点もありますけれども、その場合においても政府資金配分に許可を限定すべきでありまして、また、不適債事業あるいは不要不急事業に起債が乱用される、だからチェックの必要があるんだというような論点もありますけれども、こういうことになりますともう国が監督者に立って地方自治体を統御するようなかっこうになりますから、これも非常におかしな考えだと思うのです。  ですから、こういうことを考えますと、仮に百歩譲って起債の乱用の国による制限を一定程度容認するとしましても、規制条件というものを法律において一般的に決めまして、地方自治体に履行を義務づければ十分でありまして、いつまでも許可制に固執することは誤りではないかと。やはり、「当分の間」という法律事項にもなっておりますし、ピリオドを打つからこそ「当分の間」と言うのであって、いつまでも続けるのだったら「当分の間」という文言も出てこないわけでございますが、これをいつかは廃止するんだと、またそのためにはどうかというようなお考えはないのですか。
  230. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘がございました地方債の許可制度廃止に絡む諸問題でございますが、要は地方団体財政自主権と申しますか、自主的な財政運営と申しますか、こういうことを保障するための制度としての運用が望ましい、こういうことに相なろうかと思うわけであります。ただいま許可制度が続いておりますし、また今後も必要であろうという考え方につきましては、先生もただいま御指摘になりましたような諸般の事情がございまして、特に資金配分、他の財源措置と絡んでの起債というもののあり方の問題、あるいは消化面につきましての弱肉強食、こういったものを防ぐ、いろんな問題が集まっておりますものですから、資金の適切な配分をやるという場合にはやはり許可制度がしばらくの間は必要ではないか、こう思っておるわけであります。  ただ、存続をするにいたしましても、地方財政の自主性を尊重するという立場からこの許可制度というものを存続をさすべきだという考え方は全く私どもも同じ気持ちでおるわけでありまして、そういう面からは、具体的には許可制度の中でもできる限りその手続なり許可の仕方の簡素化を図っていく。たとえば現在でもいたしておりますが、公共事業とか義務教育施設整備費の負担分であるとか、こういうたぐいのものはいわゆる地方債の枠配分、こういうようなことをいたしまして、どの事業にどれを充てていくかは当該団体の自主性に任せる、こういうような体制をとっていく、こういう許可制度の簡素化ということを徹底をさすことによって十分その目的を果たし得るのではないか、こう考えておるわけであります。
  231. 多田省吾

    ○多田省吾君 最近、地方債計画というものが財政投融資計画に組み込まれまして地方債計画の総額が決定されるようになっておりますけれども、この財政投融資計画の資金というものは大蔵省の資金運用部資金、これはほとんど現在調べてみますと、厚生年度等の年金の積立額が十三兆円、あるいは郵便貯金が三十七兆円弱、あるいは簡易保険が七兆二、三千億円、合わせて四十七兆円の資金運用部資金の中から財投融計画が立てられているわけでございますけれども、前回も質疑がございましたが、これは庶民、住民のお金でございますから、そのことを考えますと、やはり地方債の運用比率というものを拡大して、国が五〇%、地方公共団体が五〇%ぐらいまでなるように自治省として要求すべきだ、このように思いますけれども、どう考えますか。
  232. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 政府資金の根源、大きな部分を占めております郵便貯金等が庶民の金であり、これが資金を還元をするという意味でも地方公共団体の事業に融資をされるということが望ましい、これはもう全く御説のとおり私どももそう思っております。したがいまして、私どもも基本的な態度としては、地方債の中の資金の大きな部分を政府資金をもって融通をしてもらえるように毎度努力もいたしておりますし、また要請もいたしておるわけであります。ただ、最近は、特に本年度等におきましては、交付税特別会計が政府資金の多額な借り入れをするというような実態がございました関係上、政府資金の地方債への配分比率が落ちてきておるという現実があるわけでございますけれども、今後ともこの政府資金をできるだけ大幅に地方債の原資に融資をしてもらうという点につきましては努力を重ねたい、こう考えております。
  233. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、景気回復のため、私たちはやはり物価調整減税は少なくとも本年末また来年において行われるべきではないか、このように思っておるわけです。これはもう一般の世論にも私はなっていると思うのです。きのうの九月の鉱工業生産動向の速報によりましても、前月比で一%、九月の鉱工業生産は減少しているという数字も出ておりまして、通産省ではいわゆる来月にも第五次景気対策を考えようということで、公的住宅五万戸を追加することを含めた二段階構想というものも打ち出したようでございますし、また報道によりますと、通産大臣あたりは閣僚の中で初めて、やはり今年末の物価調整減税はやるべきじゃないかと、このように言ったとさえ伝えられているわけでございます。で、大臣も御存じのように、一月から三月まで、自動車とかカラーテレビなんかの輸出増によりまして三・二%の経済成長があったわけでございますが、四月−六月期は一・一%と中だるみ状況でございまして、また七月から九月となりますと、また十月から十二月となりますと、さらに落ち込むんじゃないかとこういうことでございます。完全失業者の数もすでに百三万人、二・一%、日本の完全失業者の算定は非常に厳しいわけですから、実際は二百万ないし三百万人の完全失業者があるんじゃないかということも考えられるわけでございます。また来年の三月卒業される大学卒、高校卒の方々の就職なんかも非常に困難をきわめているわけでございまして、こういうことでは地方団体のいわゆる福祉政策というものも非常に大変でございましょうし、大蔵省なんかでは老人医療の無料化等も考え直すというような方向を出しておるようでございまして、非常にいま大変なわけでございまして、私たちはやはり景気回復への五四%のシェアを占めるやはり個人消費の動向というものを真剣に考えなくちゃいけない段階にあると思うのです。やっぱりそのためには大蔵省も自治省も、所得税や住民税のせめて物価調整減税ぐらいはやって、そして国民のふところを豊かにしまして個人消費を高めていく必要があるんじゃないか、このように当然考えるわけですよ、それしかもういまの景気回復の見込みはないんじゃないかと。いまこの二、三年の税金の動向を考えてみますと、間接税も若干落ち込んでいる、法人税はがっと落ち込んでいる。それで所得税だけがんとアップしている。これは非常に私は不公平だと思います。直間比率の問題もありますけれども、やはり去年、ことしにかけましては、減税がないために非常に所得税が累進課税のために高額でございまして、国民一人一人のいわゆる可処分所得というものも、四月から五月、六月、七月、八月と毎月昨年よりも実質減でございます。そういうことを考えますと、私は所得税、住民税もこの際一気にせめて物価調整減税を図って、そしてそれが国民を豊かにし、また景気回復の大きな端緒になるんじゃないか、このように思いますが、ひとつ大蔵省または自治省のお考えを最後にお聞きしまして終わりたいと思います。
  234. 矢澤富太郎

    説明員矢澤富太郎君) お答え申し上げます。  五十一年度の予算におきましては、ただいま先生御指摘がございましたように、法人税の税収の異常な落ち込みに対処いたしまして、四条公債あるいは特例公債合わせまして七兆以上の規模のもの、一般五十年度予算の歳出規模の約三割に近い公債を発行いたしまして景気の浮揚にも配慮したところでございます。その結果、たとえば昭和五十年代前半の経済計画あるいは中期の財政収支試算等に示されておりますように、今後、社会保障、福祉あるいは社会資本等の歳出面の要請にこたえつつ赤字財政から脱却するためには歳入面で相当の努力をしなければならないというようなことが経済計画なり中期の財政収支の試算で示されているわけでございます。したがいまして、今後財政当局といたしましては、相当の間、赤字財政の脱却ということを至上命題として財政再建に取り組んでいかなければならないわけでございますが、こういった厳しい財政事情を考慮いたしますと、いま先生から御意見のございましたような年度内の物価調整減税あるいは五十二年度の物価調整減税、これらはとてもこれを行うことができるような環境にはないのではないかというような考え方を持っておるわけでございます。
  235. 多田省吾

    ○多田省吾君 それは従来からそのようにおっしゃっていますけれども、非常に近視眼的な目先のお考え方だと私たちは思いますよ。それじゃいまのような景気動向で果たしてことしの暮れからまた来年度にかけて本当に景気が回復するのかどうか。物価調整減税を図らないで年末のボーナス景気なんかに頼って、それではっきりとこの段階で、私は政府の目標の五・六%なんていうのは、ことしににおいてはいま需給ギャップが七%もある今日、これじゃ景気回復なんか思いもよらない、このように思います。それから国民の実質所得が何カ月も引き続いて低落しているなんていうのは非常におかしいと思いますし、法人税が落ち込んでそして所得税だけ累進課税でどんどん取られるなんていうようなことは、諸外国の例を見てもこんな過酷な税制はない、このように思います。そういう意味でひとつ、通産大臣なんかも、報道によれば閣僚の中から、二段階景気回復策でも及ばない、だからこの際物価調整減税をと叫んでいるくらいです。これは大蔵省当局でももう少し真剣に私は考えていただきたい。国民の立場から言っても、これはもう早急に物価調整減税を図らなければならない、このように思いますが、もう一度お答え願いたい。
  236. 矢澤富太郎

    説明員矢澤富太郎君) 景気動向につきましては私の答弁の範囲を超えますが、まだ大蔵省といたしましてはてこ入れが必要だというような判断はしていないと承知しております。先生の御指摘のように、財政はもっと景気の安定を重視しろというのも確かに一つの見方かと思いますが、かたがた財政当局といたしましては、財政構造そのものを健全化するという使命もございますし、それから所得税の課税最低限につきましても、諸外国の水準と比べますとまだかなり高い、相当の高水準にあるというようなこと、あるいは負担率そのものが諸外国と比べますと相当低位にあるというようなことを考えますと、財政当局としては、財政再建のため、先ほど申し上げましたような厳しい財政事情のもとでございますので、なかなか物価調整減税は行い得ないのではないか。お言葉ではございますが、そのように考えております。
  237. 神谷信之助

    神谷信之助君 前々回の当委員会で、本年度の地方財政をめぐる諸問題、特に交付税率の引き上げを中心にして質問をいたしましたが、きょうは地方税を中心にして質問をしたいと思います。  この問題では、わが党は終始大企業に対する特権的な減免税の廃止の問題を繰り返し要求してまいりました。法人税関係などの特別措置分、これを別にいたしましても、国税の租税特別措置による地方税の減収見込み額は五十一年度でも二千五百二十一億となっております。また地方税による非課税措置等による減収見込み額が二千五百九十九億。合計は五千百二十億に達するわけであります。毎年のようにこれが問題になり、そうしてその整理統合、あるいは大企業に対するそういう特権的な減免税の廃止という問題が論議されているわけですが、なかなかこれが実現をしない。  昨年の三月の参議院の予算委員会でこの問題を私が質問をして、特に国税でそういう減免措置をすると、そのことによって地方税にはね返って地方税が減少をするというのは、自治体の自主的な財源に対する国の方からの重要な介入であり、干渉である、したがってこれははね返りを遮断をする措置をとるべきだということを主張しました。この問題について、福田副総理も、また前福田自治大臣もその問題についての検討を約束され、整理統合を約束されました。しかし五十一年度でも、先ほど言いましたように、五千億を超える国税地方税の減収が見込まれるという状況がいまだに改善をされていない、まずこの点について大臣の見解をお聞きをしたいと思います。
  238. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 特別措置等はそれぞれ政策目的があってやっていたわけでございますけれども、最近その特別措置の見直しをやってまいった次第でございまして、本年度におきましても特別措置等についての見直しを図ってまいっているような次第でございます。今後とも税制調査会等の御意見も伺いながら、税の公平あるいはまた税収の確保、地方税の重視という面に向かって努力をしていきたいと思っております。
  239. 神谷信之助

    神谷信之助君 努力をしているとおっしゃるのですが、最近五年間をずっと見てみますと、努力をしているのに毎年これが増加しているわけですよ、国税地方税の特別措置による減収額というのが。たとえば四十七年度は三千八百三十四億、四十八年度は四千九十一億、四十九年度は四千四百三十四億、五十年度は五千九十五億、五十一年度は五千百二十億。だから、いろいろ整理をしているとかどうとかおっしゃるけれども、相変わらず年々これは増加しておるという状況ですね。しかも、これはそれだけ減収になっているわけですからね。本来なら全体の自治体の財源としてプールをされ、そして交付税を交付しなきゃならぬところについてはそれが交付される、そういうことになるわけですが、たとえばこの五千億からの財源不足、結局この分は交付税等の三二%分を食わなきゃならぬし、それで足らなければ起債措置をやらにゃいかぬ。だから、言うならば自治体の財源の側から言うと二重の圧迫になってくるというように思うのです。この問題の整理というのは、これは六団体側からもやかましく指摘をされておるわけですが、非常に重視をせにゃいかぬと思いますが、この点、来年度の税制あるいは予算策定の過程において抜本的にひとつ解決をするという決意があるのかどうか。この辺について、もう一度はっきりさしてもらいたいと思います。
  240. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま御指摘がありましたように、毎年度の特別措置による減収額というのはふえておりますが、これは根元の法人税なり所得税がふえておるということに伴うものでございまして、新たな特別措置が急速にふえたというわけではないことは十分御理解いただけると思います。先ほど大臣申し上げましたように、五十一年度の税制改正では、かなり企業関係税制を中心にいたしまして国の租税特別措置法の整理、それから地方税法の整理もしたわけでございます。その結果、地方税では平年度で五百億程度の増収を、国税影響はね返り分も含めまして期待できる、こういうふうな見通しになっております。どちらかと申しますと、特別措置につきましてはむしろ国税の分野では、大蔵省当局の最近の御判断も伺っておりますと、むしろ所得税における資産所得——利子とか配当とかいう問題でございますけれども、そういう問題をどうするかという方が大きな問題として論議の対象になるのではないか、私どもはさように考えておるわけでございます。しかし、法人税に関連いたします企業関係税制につきましても、なお明年度もあわせまして検討を進める、それによりまして一面において負担の公平を確保いたしますとともに必要な増収は確保してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  241. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまお答えにあったように、国税の特別措置で約四百七十三億ですか、そして地方税の特別措置で二十四億、平年度で約五百億ですね。しかし問題は、確かに法人税全体の基礎が上がっておりますから、いまの年々ふえるのはあたりまえだ。それでも問題は、減っていないところが問題だ。五百億ほどそういうことで措置をしたとしても、見込み額は去年よりもふえるわけですね。だから、非常に、何といいますか、ちゃちな整理にしかすぎないということなんです。国税庁の資料を見ましても、四十八年の法人企業の実態を見ますと、全法人数の〇・〇二%——資本金百億円以上の法人が〇・〇二%ですね。そして、このわずか〇・〇二%の法人が軽減措置総額の五〇%以上を占めている、そういう資料も出ています。だから、よくこの特別措置について、農業関係とか、いろんなそういう問題もありますというようにおっしゃいますが、しかし、わずか〇・〇二%にしかすぎない百億円以上の資本金の法人が、これが軽減措置総額の五〇%以上を占めています。この事実は、やっぱり大企業にとって非常に有利な措置なんだということは、これははっきりしているのじゃないですか。いまそういう不公正税制の是正を実際にわれわれが思い切ってやるならば、非常に大きな税収が見込まれるし、それによって、先ほども出ましたけれども、所得税の減税措置あるいは住民税の減税措置をやる条件も生まれるわけですよ。この辺の考え方がひとつ非常に問題だと思います。特に法人税法の関係の引当金、準備金なんかについての軽減措置、これに手をつけるというのが非常におくれているといいますか、なかなかそれに思い切って手をつけないというところに私は非常に大きな問題があると思うのです。しかし、これはこういって自治省にやいやい言いましても、これは自治省だけでも片づかぬ問題です。  そこで、地方税の非課税措置の問題についてひとつ具体的に、これは自治省の方でやる気になればやれる問題ですから、お尋ねをしたいというように思います。  そのまず第一は、産業用電気税の非課税措置の問題です。これも昨年の予算委員会廃止方向でひとつ改善をするということが約束をされた、この問題について、その後どうなっているか報告をしてもらいたいと思います。
  242. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 電気税の中で産業用電気につきまして非課税規定がかなり広範囲に設けられておるということについての御批判、御指摘が従来からあるわけでございます。これも昨年も申し上げたかと思いますけれども、税制調査会におきまして、この問題につきまして私どもきわめて精力的に御審議をお願いしてまいったわけでございます。で、何度も繰り返して申しておりますように、一方において、電気税の負担というのは、非課税品目が多いのはバランスを失するから徹底的に整理をしろという御意見がありますと同時に、他面、電気税が原料課税になる、それはやはり国民経済全体に大きな影響も与えるし、また物価問題その他にも関連をしてまいるという観点から、原料課税はやっぱり排除すべきなんだということで現在の非課税品目を維持すべきだ、こういう真っ二つに割れた御意見が交錯しているわけであります。昨年の税制調査会におきましても、結局その両意見がまとまりませんで、なお引き続いて検討すべしと、こういう経緯に相なっておるわけでございます。  この問題は、税制調査会におきましてもそういう両論がございますと同時に、政府部内におきましては、やはり通産省等を中心にいたしまして、現在の非課税品目に大きな変動、変改を加えることは反対であるという意見も強いわけでございます。税法の改正でございますので、一方において税制調査会の十分な御審議を得て適切な結論を得ますと同時に、政府部内の意思統一を図りませんと、これはなかなか法律の改正はなしがたい、これは御理解いただけるところであろうと思います。  私どもといたしましては、電気税の税率が一〇%から五%に十五年間の間に下がってまいりました。そういうふうなことも含めて現在の非課税品目基準というものを修正をして、非課税品目の整理をやりたいという気持ちは依然として強く持っておりますので、明年度税制改正に向けまして、政府部内の意見の調整及び税制調査会における審議を精力的に求めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  243. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま、この原料価格に占める電気料金の比率が五%ですね。これを六%にする、七%にするというようにしていくと、いま残っているのが九十七品目ですね。ですから、どの辺まで上げればほとんどなくなっていくという状況になるわけですか。
  244. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 非常に概括的な資料でございますが、電気料金がコストに占めるウエートが五%から一〇%までのものが五十二品目、それから一〇%から二〇%までが二十三品目、二〇%以上が二十二品目ということでございます。一%刻みになりますと、これはちょっとコストもいろいろ年度によって変わってまいりましょうから、余り正確な資料は出ないと思います。一応五%、一〇%刻みで申しますと以上のようなことでございますので、これでもって御判断願いたいと思います。
  245. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで大臣、いまの局長のお答えのように、これは通産省との関係がなかなかうまくいかぬわけです。だから、これは何といいますか、閣議なりあるいは通産大臣との相互の協議なり、大臣自身が政治力を発揮をしないと、この問題は事務当局だけではなかなか解決をしないという問題があります。特に、いま五%のところを一〇%に引き上げますと五十二品目ですね。さらに三〇%まで引き上げればさらにもう二十三品目である、大体これでほとんどなくなってしまう。しかも、この部分の中心は石油、鉄鋼関係なんです。しかも、この非課税部分が非常に多額を占める部分なんです。だからこの部分が少なくとも外されて、たとえば二〇%以上の二十二品目ぐらいは残しておいても減収分というのはそう大きなことにならない、こういったことですね。だから問題は、通産省がなかなかうんと言わぬというのは、鉄鋼、石油の関係、これが中心にある。しかも、それは原料課税なんだから物価にすぐ響くのだという主張をなさる。しかし片一方、国鉄の運賃なり電電の料金値上げは物価への影響は少ないといったようなことを言って上げるし、米代は少ないというようなことで上げる、これは筋が通らぬのですよね。だから、大企業のための減免措置というのは、それは物価に影響するんだ、何だかんだといろんな理屈を言って、特に石油、鉄鋼中心ですから、通産省を中心にして頑強に抵抗する。私も毎年これを問題にしています。自治省の歴代の税務局長は、もう一生懸命に何とかしてやりたいのだというのでそれこそわいわい言ってやっている。ところが、通産省は通産省で逆に残す方に運動しますから、税調なんかまっ二つに割れるのはあたりまえだ、それでいつも決まらぬ。これではいつまでたっても解決しない。私は、これが解決しないということに、はっきりと三木内閣の大企業を大事にするそういう姿があらわれていると思うのですよ。盛んにそういうことはないというように言葉の上では三木総理もおっしゃるけれども現実にこの問題は何ぼ言ったって解決しない。自治省事務当局としては何とかこれを解決したい、なくさにゃいかぬということで、せめて五%を一〇%までに引き上げたいということを考えても、この五%から二〇%の間に鉄鋼、石油関係がざあっとおるものですから、ここの抵抗が強くてどうにもならぬ。だからもうしょっちゅう言うけれども、われわれ要求する方も、事務当局に言うのは言いにくい状況なんですね。これを解決するのは実は政治力です。三木内閣が大企業に対して厳正な、公正な態度をとるのかどうかという問題なんです。しかも、大牟田市でこの問題について訴訟も起こされているわけですから、こういう事態も起こっているんですから、ひとつこれは大臣が本当にそれでそういう不公正な状態を解決しよう、こういう決意を持たれるのかどうか。通産大臣協議をする、あるいはそれだけで済まなければ、閣議で議題にして三木総理の見解を聞く。そうして三木総理がはっきりこれは解消しないと言うなら、ますますその大企業擁護の政治姿勢というものははっきりするわけです。この辺をごまかさないで、ぼかさないではっきりさせるという決意をお持ちかどうか、ひとつ大臣の見解を聞きたいと思います。
  246. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 昔から電気・ガス税につきましては、これは悪税であるという議論が非常に強いわけでございます。それからまた産業用電気に課税するということは不当であるという議論も非常に強いわけでございます。片や自治省を中心といたしましてこの電気税の確保、並びに産業用に対する非課税措置というような点の要望も非常に強いわけでございます。いま税務局長が答弁したように、税制調査会でもいつも議論になるところでございますし、これまた政府部内でも非常に対立を生む一つの問題ではないかと思います。私といたしましては、できるだけ自治省の主張が通りますように、今後努力をしてまいりたいと思っております。
  247. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはこの産業用電気税の非課税措置をとったのは三十七、八年でしたか、もう少し先か、はっきり五%条項がきまってきたのが、明確になったのが三十五、六年であったのじゃないかと思うのですが、そうしてずうっと広がってきているのですよね。電気税の税率自身は一〇%から五%にずっと下げてきている。電気税が地方税としては比較的普遍的に求められる税源として、自治省としてもこれは自治体の税源としては大事にしているわけですね。その中心の、何といいますか、産業用電気税の非課税措置がある。これは非課税措置がやられるところというのは、自治体では集中するわけです、そういう大企業、大工場を持っている自治体でありますから。だから、そこでよけい普遍的な税源として電気税がつくられている、そういう産業用の電気税の非課税措置をやるために税収がいびつになるわけですね。こういう現象まで生まれている。こういう点を、それは片面では交付税措置をして被害をできるだけ少なくする措置をされているようだが、本来は交付税措置をする必要はないものです。そうしたらその交付税分はほかのところへ回せるわけです。そういう種類のものですね。これは税調の中にも、政府部内にも意見があるのはあたりまえ、それはもうわかっている。それで大臣としては、自治大臣になったのですから、その点では自治省当局、事務当局がいままで苦労に苦労を重ねて毎年のようにこれをやいやいやってきた、そうして委員会に来ればしょっちゅう言われる。そういう状況が続いているんですからね。これは税務局長が逆立ちしたって解決しない。自治大臣しか解決できない。自治大臣が、自治体の当然の税源として法定化されているものを、そういう政府の国策といいますか、それで処理するというのは許せぬ、もしこれだけやるなら、この七百九十一億分は別枠として国から財源をよこせ。交付税を使うことは必要ないわけです。まかりならぬ。交付税は自治体の財源なんです。別に財源を国からよこせというところまでやっぱり主張してやらないと、この財源自身は自治体の財源なんだ、それを政府が勝手にそういうことで産業用電気税という政府の政策によって取り上げるならば、政府が責任を持ってその分は自治体の別枠の財源として付与すべきだ、こういう主張を私ははっきりする必要があると思うのですが、この辺いかがですか、大臣
  248. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) まあいろんな観点からの見方もございますので、事務的にちょっと申し上げておきたいと思います。  特定の非課税あるいは特別措置があります場合に、その分をひもつきの財源と申しますか、ひもつきの国からの財源によって補てんをしろ、こういう考え方は確かにあり得ると思いますけれども、しかし地方税法で定めております特別措置、その内容の是非の問題はともかくといたしまして、それを一般的にひもつき財源で補てんをしろということはやはりなかなか筋道として通りにくい話ではなかろうか、それはやはり全体としての地方財政なり地方財源の確保の問題といたしまして解決しなきゃならない問題になるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  過去におきまして電気税の税率が、いま御指摘のありましたように、一〇%から、主として消費者の負担軽減ということで税率の引き下げが一%ずつ行われましたが、その際にはたばこ消費税の税率を引き上げて、国からの税源の移譲を受けまして補てんをしてまいりました。しかし、御承知のようにたばこ消費税もすでに国と地方とのシェアというものはほとんど半々に近いところまでまいってきております。このままいきますと専売益金の方がむしろ相対的には減るということで、大蔵省が躍起になっておられるような事態にもあるわけでございます。まあそれこれ考え合わせますと、私どもとしましては、非課税なり特別措置による減収というものは、全体としての地方財政財源確保という手だてでもって措置をするという方が筋道ではなかろうか、かように思うわけであります。
  249. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほど申し上げましたように、電気税につきましては非常にむずかしい問題を昔から持っているわけでございます。自治省としてはこれを何とか確保したいというたてまえで努力をいたしているわけでございます。非常にむずかしい問題ではあろうと思いますけれども、一生懸命努力をしたいと思っております。
  250. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は前回にも申し上げたのですが、たとえば交付税率の引き上げをやるという場合でも、まあ現在の国税三税にリンクをしている状況でそして不足財源を全部交付税率の引き上げで賄おうとすれば、それこそ五〇%以上にも上げなきゃならぬ、こうなりますからね。そうなりますと、ほかの面での財源をうんと拡大をせにゃいかぬですね。そういう面では、当然自治体の財源であったものを取られている分はまず返してもらうという措置は、それはもう理屈としては通ると思うのですよ。いま局長がひもつき財源としてもらうものはどうのこうのとおっしゃるけれども、それは実際上の措置はそうするかどうか別ですが、理屈というか、自治体側の気持ちから言うたら、大体そう言うてしりでもまくりたい、そういうふうな問題で歴年やってきているわけです。この辺、ひとつ来年度はこれを大幅に改善をする、五十二年度に向けてということを要求をしておきたいと思います。  その次の問題へいきますが、その次は固定資産税の減収見込みがこれまた大きいわけですね。一千九十六億今年度で見込まれております。なお、この固定資産税の減免措置、これもひとつ見直しをし、検討をする必要があるんじゃないかというように思うのです。この点についての、まず来年度予算へ向けての基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  251. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま御指摘の一千億強という数字は、私どもが国会に提出いたしました非課税措置等による減収額試算の中での固定資産税の数字だと承知いたしますが、この内訳をごらんいただきますと、そのうち四百八億円、これは新築住宅に対する軽減措置でございます。これが非常に大きなウエートを全体として占めておるわけでございます。この辺のところをどう考えるかという問題が確かにあるわけでございまして、住宅を持っている人と持っていない人との担税力を考えますと、もう少し軽減措置について見直してもいいのじゃないかという御意見ももちろんあろうかと思います。しかしやはりこういう状況ですから、住宅政策というものは大事だという御意見もあろうかと思います。その辺のところ、いろいろ総合的に勘案しながらどうするかという検討をしなければならないと思っております。  それから、その他の電気とか鉄軌道とか、各事業に対する固定資産税の課税標準の特例でございますが、これは公共料金問題でありますとか、その他のことを考慮いたしまして、いわば政策的な判断からこういう課税標準の特例が設けられておると思うのでありますけれども、これにつきましては、御承知のように従来まで鋭意努力を重ねましてその縮減をやってきております。電気につきましても、船舶につきましても、御案内のようにここ数年来かなり思い切った縮減、合理化をやってまいりました。明年度以降もそれと同じ考え方に立ちまして関係省庁とも意見を調整し、税制調査会にもお諮りをしながら前向きに取り組んでまいりたい、かように思います。
  252. 神谷信之助

    神谷信之助君 一、二具体的にお聞きをしたいと思うのですが、いまの住宅とかそういう問題は、それはそれなりにひとつ必要性がある、これはある程度納得ができます。ずうっと見ますと、どうもこれそういう必要があるのかどうかというやつがあるんですね。たとえば航空機です。国際路線は航空機の評価額に対して三分の一にするわけですね。それから国内路線は、当初三年間が二分の一、次の三年間が四分の三ということでそれぞれ減免の措置をしておるわけです。いま船舶の話が出ましたが、外航船舶も六分の一、これ恒久措置ですね。内航船舶も二分の一、こういうことになっています。これらは一体どういう理由に基づくのですか。
  253. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 航空機につきましては、当初この課税標準の特例が設けられた時期におきましては、一つにはやはり航空機産業というものの、まあ戦後何もないところから出発したわけでございますし、非常な基盤の脆弱さということが一つあり、それからやはり料金に与える影響、国際競争というものを頭に置いてこの課税標準の特例が設けられておると思います。そういう意味合いで、国際路線につきましては三分の一とし、国内路線につきましては、その政策判断といたしましては国際路線よりは軽度のものでよろしいということで、三年及びその後三年間の課税標準の特例にしておるわけであろうと思います。  外航船舶につきましては、これはわが国の場合、貿易外収支というものが、国際収支のバランスの確保という観点から見ました場合に非常に大きな国民経済上の重要な課題でございます。そういうふうなことと、それから船舶の事業の利益というものが大変むずかしい状況に従来からあるわけでございますので、そういう観点で課税標準の特例が設けられているものと思います。  なお、国内航空機につきましては五十一年度で縮減をいたしましたし、また船舶のうち外航船舶につきましては、これは以前非課税でありました。それを課税標準の特例という形にまさしく整理合理化をしております。さように努力を続けておるということを御承知願いたいと思います。
  254. 神谷信之助

    神谷信之助君 二つ問題があると思うのですよね。一つは、私は日航なり全日空の有価証券報告書総覧を見たのですが、確かに当初はゼロから出発をして、困難な時期をずっと過ぎましたね。いまは黒字にずっとなっていますよ。しかもロッキード事件で明らかになってきているのは、日航も全日空も簿外資金を持っていますよ、裏金を。全日空の場合はその裏金が政府高官にいろんな名目で配られたのですが、これはこの間の中間報告で明らかにされているわけですね。だからロッキード社から、二億六千万円ですか、二億六千万円からの金が入っている。それまでにもう簿外資金を持っているんですよ。その簿外資金と入ってきたやっと一緒くたにして、そして五千数百万円を二十八回、十三人に分けたと、これが検察庁からの報告に出ているわけでしょう。ちゃんと表向きの決算報告の書類を見ましても利益を上げていますが、それだけじゃなしに、そういう裏金をつくっています。日航もそうですよ。日航も、これはロッキード委員会でわが党の内藤議員が明らかにしましたが、これも持っている。しかもいろんなことで隠し利益をつくっていますよね。いまジェット機に乗ると騒音対策で特別料金を取られます。これは日航、全日空か実際に乗った乗員より——採算のとれるジェット機代の料金というのは、五〇%なら五〇%乗ればもうそれで採算がとれるということになっている。それだけでもう税金が払えるわけですよ。ところが、実際はこのごろは満杯ぐらい乗っている。すると税金はその分しか払わないんですから、その分は全部隠し利益ですね。これも調査をして問題にしました。  だからそうやってみますと、こういうことで税金はまけてもらいながら、裏では裏金をつくって、そして賄賂を使って権益の拡大を図っている。こういう業界にこういう減免措置をする必要があるのかどうか。これはもう私は国民が納得しないと思うのですよ、こんなものはどんな理屈をつけようと、国際競争に耐えられるように援助せにゃいかぬとか何とかかんとか。あるいは船舶の関係でもそうですよ。  第二番目としては、仮にそういうことが必要であったとしても、それは国の政策なんです。それを何で固定資産税という自治体の税源を取り上げなきゃならぬか、これも問題です。国がそういうことをやるんだから、固定資産税ですから、何もあちこちの県があるいはあちこちの市町村がそんな措置をしてやる必要はないわけだ。これは一自治体の税源であると同時に、それが全部プールされて計算をされて、そして交付税配分のときの一つの基礎になるわけですからね。それだけの税収があれば交付税はほかのところへもっと厚く配分することができる、そういうしろものですよね。こういう点が私はどうも合点がいかぬ。この辺は一体どうですか。
  255. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 航空機会社が、この課税標準の特例を設けました時期に比べますとかなり企業内容がよくなってきておるということは、私は御指摘のとおり事実だと思います。そういう意味合いで、先ほど御説明いたしましたように、五十一年度におきましても国内航空機につきましての課税標準の特例を大幅に縮減いたしまして、実質的には五割程度の負担増を求める仕組みに改めたわけであります。国際航空機もなぜ整理しなかったかという御指摘であろうかと思いますが、それらにつきましてはなお引き続き五十二年度以降の問題として前向きに取り組んでまいりたい、かように思います。ただ業種によって、その企業の業務内容がいい、悪いということは余り申し上げる必要はないのかもしれませんが、船舶につきましてはかなりなお悪いということは否定できないのではないかと思います。  それから、一地方自治団体の収入減につながる地方税によってやるのがおかしいので、国がめんどうを見るべきだという御指摘でございますが、国税地方税、それぞれ税源を配分しておるわけでございますので、地方税についてはこういう政策的なものは全部締め出すのだという議論も私はいかがかと。やはり国民経済なり国民生活の観点から、必要なものは吟味を十分いたしまして残すべきものは残すし、もし新たにつくらなきゃいかぬものがあるのならば、これはもちろん財源状況考えながら検討しなきゃならぬのではなかろうか。そうでありませんと、何もかも地方税の非課税特別措置というのはおよそ政策判断を全部やめちゃってやめちまえということは、ちょっといまの税制の仕組みから申しますと無理ではなかろうか、かように思っております。
  256. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは国にとって必要な財源が、国の仕事をやるに必要な経費がちゃんと税で賄われ、地方自治体の方もそれで賄われる、対々だと、そういう状況ならわかりますよね。そうじゃなしに、税金の七割は国が取っているんだし、自治体の方は三割だと。三割自治だと言われるわけでしょう。で、やっている仕事は七割自治体がやって、したがって不足財源交付税とかいろんな補助金とか、そういう仕組みで結局もらうわけなんです。そういう仕組みの中でいまこういう問題が起きているのです。そういう仕組みから考えたら、これは国全体の経済について自治体の方も協力するのはあたりまえだ、そんな理屈にはならぬ。国と地方との事務配分がちゃんとやられて、それに必要な財源が保障されている、そういう状況の中であれば、国全体の経済の発展のためにそれぞれが相当の理由をもって、根拠をもって支出をし合う、あるいは損をし合う、負担をし合う、これはわかりますよ。そうなっていないんだから、なっていないところにいま自治体の地方財政のきゅうきゅう言っている根本の問題があるのですからね。そういう状況の中で、わずかの、税金の三割しかもろうていないところからとことことことこ取られていったらたまったものじゃない、こういう問題なんですよね。この辺を考えてもらいたいというように思いますね。  だから、そういう点で見てみますと、もうあとよけい言いませんが、たとえば倉庫業者の有する倉庫、あるいは外国貿易用のコンテナー、あるいはばい煙、産業廃棄物、騒音対策のための公害防止施設、これは公害防止施設は自分みずからが、公害発生源が責任を持つ必要があるのですよね。もちろん、だから中小企業やそういうところについては別の助成措置をすべきであって、税による操作、これは私ども納得しない、納得できないところです。しかも地方税による操作だということです。あるいは水素化脱硫装置、電子計算機、こういうことになりますからね。いわゆる企業の近代化あるいは製造コストの引き下げ、公共的色彩の強い法人という、これが一般的理由でこういう措置がとられているのですけれども、法の内容を見ますと、私はまだまだもっと大胆に整理をする。自治体が当然これは減免、減税措置をする必要があるだろうというものと、そうでないものというのが実はあるんですよ、現実を見ますと。こういった点が具体的になかなか整理をされていないと、私はそう思うんですね。この辺ひとつもう一度自治省の方も、いままでのいきさつはいきさつとして、今日の時点で先ほど指摘をしましたような状況も生まれていますから。国際競争に勝つためにとかどうとかというならば、たとえば繊維産業なんか不況ですわね。そういったものについてのいろんな措置考えてやるとかというようなものが出てきますよ。しかし、そういうところはまた中小企業が多いわけですから、大企業もありますが、中小零細企業というのが圧倒的に多いわけです。航空会社といいますと、日航と全日空と東亜国内航空ですよね。だから、そういう点ではもう限られてきているわけです。こういう税の減免措置というのは、これは福田副総理も言っていましたけれども、特権化してはならないと言っていますね。政策目的を終了すれば速やかに整理をするのが当然だということを言っていますからね。そういう見地からひとつ検討し直してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  257. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 基本的には、非課税とか課税標準の特例というものは負担の公平を害するわけであります。その負担の公平を害するほどの政策上の必要性なり公益性、公共性というものがある場合にやむを得ず認めるものだと考えておりますので、根本的な考え方といたしましては、地方税源も御指摘のように大変不十分な状況でありますし、それらをあわせまして常に見直しを積極的に進めていくという努力は続けてまいりたい、かように思います。
  258. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、あと少しさらに細かい問題に入っていきますが、先ほども少し触れましたが、有料高速道路、自動車道ですね、これの課税問題です。これは五十年の三月の二十七日の当委員会で私が問題を提起をいたしました。当初は十八年でしたか、十八年間で有料が終わって、そして一般道路になる、こういう仕組みであったために、地方税法の三百四十八条の第二項第五号を適用して、「公共の用に供する道路」、こういう見解を自治省はとってきておられた。ところが、四十七年に道路整備特別措置法が改正をされてプールされました。したがって、現在の有料高速道路が無料になるのは昭和八十二年というように現在は推測されていますね。そういう答弁が当時建設省からなされています。しかし、これもさらにどんどん有料道路が道路公団の方でつくられてきますと、プールをされるというのが、こういうことになってくればさらに延長される危険もあるわけですね。こうなりますと、当初の、「公共の用に供する道路」ということで無料並みの扱いで非課税措置をとっていたということと矛盾をしてくるという点を指摘をしました。これに対して当時の福田自治大臣は、一理屈ある議論だと、したがって、これは法律論がどうなるかは別として、納付金を公団から出す形にしてもいいであろうし、あるいはどういう形がいいのかわからぬけれども、ひとつ検討しようじゃないか、こういうことになっています。その後、自治省と建設省と道路公団の三者協議が行われていると思いますが、この点が現在いまどういう段階になってきているのか、自治省の方とそれから建設省道路関係の方、両方からひとつお答えをいただきたいと思います。
  259. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま御指摘のありましたように、前大臣のときにそのような御質疑があり、それを踏まえまして建設省、公団と自治省とで研究会を設けまして、固定資産税の課税問題、あるいは納付金の対象にするかどうかという問題、その他、現在も御承知のように救急関係につきまして公団から一定の助成金みたいなものを地元市町村で出しておる。そういうふうなものとの関連をどう考えるかというふうな問題につきまして、いろいろその研究会の場所で議論を闘わしてまいっておるわけでございますが、率直に申しまして結論はまだ出ておりません。建設省なり公団の方は、私どもの考え方に必ずしも同調していただけない状況に実はあるのではないかな、こういう感じを私は持っておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、いま御指摘のありましたように、公共用道路ということで何らの負担も求めないということは、地元の市町村の財政実態から申しましても、また自動車利用に対する国民的な考え方から申しましても、これはやはりこのままで推移することは問題があるというふうに考えます。したがいまして、明年度の問題としてぜひ決着をつけたいということで、関係省庁と精力的に話を進めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  260. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) ただいま自治省の方から御説明がございましたけれども、補足的に申し上げますと、この問題は分けまして二つあるというふうに考えております。  一つは高速道路下におきます、高架下におきますいろいろな利用の問題、倉庫とかその他利用されている問題がございます。それからサービスエリアといったようなものがある。そういうものまでも非課税というのはおかしいじゃないか、こういう問題が一つあったわけでございます。それからもう一つは高速道路自体に対する課税の問題、こういうふうに分かれると思いますけれども、前者につきましては自治省と数回協議をいたしまして、おおむね課税の標準の問題あるいは範囲の問題というものにつきましてはほとんど合意に達しましたので、近くもう少し細かい点を詰めましたならば合意ということでございまして、自治体あるいは公団の方にも何らかの形で指示ができるのではないかというふうに考えております。  しかしながら、後者の高速道路自体に対する課税の問題でございますけれども、これにつきましては、私どもとしましては確かにこれがプール制になったということはあるわけでございますけれでも、それはやはりプール制にすることによりまして採算制の悪い道路も含めまして全国の道路網の整備を図る、こういうことのためにとられた手段でございますので、そのことのゆえをもって高速道路の性格が公共の道路でなくなったというふうには考えられないのではないかというふうな見解を持っております。それからもし仮に税金なりあるいは納付金ということになりますと、これは当然料金自体にもはね返りますし、またひいては道路の採算制の問題というものにも当然関連してきますので、建設が予定されているものができなくなるとか、あるいは遅延する、こういったことにも波及するわけでございますので、私どもとしましては、そういう大きな問題といいますか、道路整備、道路行政全体の問題という観点から、今後とも慎重に検討せざるを得ないというふうにいま現在考えておる次第でございます。
  261. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは問題は明らかになったと思いますが、いまちょっと聞きますと、サービスエリアの問題とか高架下の利用の問題というのは去年の質問があって、あれで解決して、あのとき例を挙げたのは鹿児島の姶良町の場合でしたがね、あれはもう解決したのだと思っていたが、まだ結論は出ておらぬのですか。
  262. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 鹿児島の問題につきましては現在問題ないというふうに考えておりますけれども、そのほか、細かい話になりますけれども、たとえばサービスエリアになりますと、その敷地は一体どの範囲が課税対象になるかとか、あるいは道路公団の管理事務所につきましても、その全体を課税対象にするのか、あるいはその中で直接道路管理に使われているものはやはり非課税とすべきではないかとか、細かい問題でございますけれども、そういうようなことがございますので、数次にわたりまして協議を重ねてきておる次第でございます。しかしこれにつきましては、先ほど申し上げましたように、近く結論が出まして解決するというふうになっておるわけでございます。
  263. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう一つ後者の方の問題、これが非常に大きいのです。あのときも言いましたが、吹田市の場合ですと、名神、それから中国縦貫道、近畿自動車道、これが全部錯綜しております。占有面積が六十三万四千平米ですね。だから、これに固定資産税をかければ大体推定税収は約一億四千万円、こういうことですね。吹田だけじゃなしに、いま二百前後の市が集まって高速自動車国道通過市議会協議会というのができて、これの課税問題にあるいは自治体の方も一緒になって運動しているわけです。これは無理がないのであって、一つは、先ほど出ました救急業務がふえてくるという問題がありますが、同時にそれだけじゃなしに、高速道路が閉鎖されると一般道路で交通渋滞が一遍に起こるという問題、あるいは騒音、交通事故の問題、排ガス対策、こういうものがどんどんと要るわけですね。だから、市町村自身が財政負担をそのためにしなきゃならぬという状況というのは存在することは事実ですね。だから、それを税金の固定資産税として取るのか、納付金制度にするのか、これはいろいろ議論があるでしょうけれども、何にもしないということには私はならぬと思う。そしてそれが有料道路の料金にはね返るということをおっしゃるけれども、それは無料化がおくれるだけの話ですね。だからそれはそれの問題で別の問題であって、実際に各自治体にそういう財政負担をかけているという問題について、直ちにやっぱりそれに対する処理をする、対処するというのはもうこれは当然じゃないかと思うのですがね。この辺ひとつ自治大臣、これも建設大臣と研究会をつくって三者協議やって、相当詰まってきている段階ですからね。これはもう去年言っておるんですよね。そしてそれはそうだということになっておるのですから、もう問題になってから一年半以上たっていますから、これもひとつ早急に大臣に解決をしてもらうということはいかがですか。
  264. 天野公義

    国務大臣天野公義君) この問題につきましては、料金プール制の導入や有料道路の使用の実態等の推移や所在市町村における財政状態等、いろいろな類似の固定資産税との均衡等を勘案をしながら、固定資産税の課税等適切な負担を求める措置を講ずるべきものと考えているところでございますので、前向きで努力をしてまいりたいと思っております。
  265. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう一つこれに関連して細かい問題ですが、三公社のビルの敷地の固定資産税問題、これはもう自治省としては見解が出たわけですか。
  266. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) その問題は公社によりまして、たとえば電電もありますれば、国鉄もありますし、その辺のところかなりきめ細かな課題でございますので、公社も含めまして部内の意見調整をいまやっておる段階でございまして、いま少しく時間をちょうだいいたしたい、かように思っております。
  267. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはもうことしの初めですね、東京都から照会してきたのは。三公社のビルの敷地内に民間企業が同居している、そういうビルの敷地について課税ができないかどうか。マンションなんか、五階建てならその土地を五等分して、そして所有権を確立をして税金をかけるというやり方をやっていますがね。だから、電電公社とかあるいは国鉄の民衆駅、こういう形であれば、そこは課税対象にならずに納付金になると。しかし、その何階かを借りて、一部を借りて営業行為がなされる、その営業行為をしている事業主体に対して、それに必要なその面積使用に固定資産税をかけることができるかどうかという点は、これは特に非常に大きい問題で、特に東京にしても、各地、大体所在地というのは一等地が多いですからね。そういう意味では非常に重要な内容になるだろうと思うのですけれども、これもひとつ細かい話のようだけれども、早く話を詰めて、財源対策としては重要な一環にもなりますから、ひとつやってもらいたいと思うのです。これは大体大臣の手を煩わさぬでも、税務局長の段階でできるでしょう、どうですか。
  268. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま申しましたように、一つ実態がかなりいろいろあるということと、それからもう一つは、三公社につきましては、固定資産税は課税しないが納付金はちょうだいする、こういう仕組みになっておるものですから、いわば選択、トレードオフの関係になっておるものですから、その敷地を、固定資産税を課税されるスペースと、それから納付金の対象になっているスペースとに案分することは法律解釈上妥当かどうかというやや技術的な法律解釈をめぐる問題があると思います。いま御指摘のように、大臣を煩わすまでのことではないかと思います。私限りで適切な決着を得たいと考えております。
  269. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは五十二年度にはちゃんと解決ができるように、今年度中にひとつやってもらいたいと思うのです。  もう一つ、税関係で最後に、例の法人事業税の外形標準課税の導入の問題ですね。当委員会でもこれを早くやれという御意見が大分出ていました。六団体の側もこれを望んでいます。しかし私どもは、一体、外形課税を行うといっても課税標準をどうするのかという問題ですね。何に課税をするのかという、この問題で非常にいろんな重大な問題が起きている。これは先ほど局長もおっしゃっていましたけれども、先ほどの話ですとまだ自治省部内の結論も出ておらぬようですね。何に課税、人件費、給与も加算をするのかどうかとか、いろんな問題がある。この辺ちょっともう少し報告をしてもらいたいと思います。現在の研究段階といいますか、到達点。
  270. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 事業税の課税標準に外形基準を導入する問題は税制上のきわめて大きな課題でございますが、お話しのように、外形基準として何を考えるかということになりますと、たとえば第一に資本金というふうなものが考えられます。第二に売上金額、それから第三に地方制度調査会の起草小委員会で指摘しておられますような付加価値額、それから第四に、その他の、たとえば面積であるとか、土地の面積とかあるいは工場の床面積だとか、そういう本当の意味でのプリミティブな外形基準、その四つになろうかと思いますが、私どもいろいろ強勉しておりますけれども、いままでの総括的な結論といたしましては、資本金につきましては、資本金だけがこの企業の事業活動を的確に測定することになるかといいますと、これはなかなか問題があろうかと思っております。借入資本もあれば自己資本もあるわけでございます。また含み資産をたくさん持った企業もあるわけでございますから、表向きの自己資本だけで考えていくということ、これは非常に問題がある。しかし、売上金額をとりますと、これは課税の累積が起こってまいりますので、これまたやはり税負担としては非常に問題がある。それから一番最後に、第四番目の面積とか床面積というものは、これは事業税のような大きな税について用いますには余りにも基準としてはラフであり過ぎるというふうに思われます。  そういうふうなことになりますと、やはり事業活動量を的確にあらわすのは、国民経済に付加した付加価値額というものが、並べて見ますれば事業活動量を最も的確にあらわしておる度合いが強い、こういうのではなかろうかという感じを私どもも持っております。地方制度調査会の起草小委員会もそのような指摘をしておられるわけでございます。  付加価値額の計算をいたします場合に、控除法と加算法と両方ありますけれども、税務行政の簡素化という観点からしますと、小委員会報告は加算法の方が適切だろう、こういうふうに言っておられます。私どももその点は同感であるわけでございます。
  271. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま地方制度調査会の起草委員会の報告について引用されましたけれども、あれはなにでしょう、起草委員会が起草しただけであって、総会ではまだ議論はされていない、そのままの状況ですね。あの報告はどういう程度に自治省では取り扱うわけですか。総会を経て答申としてできたものではないわけですね。だから、まさに起草委員の人がつくられただけであって、ほかの委員はまだ何の意見も言っていないわけですけれども、これは、いま引用されましたからちょっとお聞きするのですが、どういう取り扱いをするのですか。
  272. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 御指摘のように、まさしく答申ではございませんし、小委員会の報告でございますから、その意味合いにおいては答申と私どもの受けとめ方は必ずしも同じではございません。ただ、いま御指摘の中に、たしか地方制度調査会の小委員会でもいろいろ出ておるがというお話があったものですから私としては引用さしていただいたつもりなのでございますが、もし、そうでありませんでしたら、これはひとつ私の耳の聞き違いでございますのでお許しいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、もちろん答申ではございませんからそこは受けとめ方は違うわけでございますけれども、やはりその中で私どもが参考にさせていただいて適切なものは、これは十分明年度の地方財政制度の改正の指針にさせていただいていいのじゃないだろうか、かように思っております。
  273. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま、付加価値を対象にしてそうして加算方式をとるということですね、それが一番適当じゃないかというふうに考えておられる、と。これは地方制度調査会でも議論になりました。例の知事会の案として、利益、利子、それから賃貸料、それから賃借料ですか、それから給与支払い額、この合計を付加価値として見て加算方式をとっていく、こういうことですね。しかし、この点は、先ほども税務局長がおっしゃったけれども、業種間のアンバランスが出てくる。労働集約型の企業にとっては重課になる。しかも、中小企業の方はそういう点で概して労働集約型の企業が多いわけですから、こういった課税上の不公平、アンバランスというのが当然予想されるわけですね。この点は先ほどもちょっと触れておられたと思うのですが、こうした点をどう解決されるおつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
  274. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 事業税に付加価値額その他の外形基準を導入するということは、当然、現在の所得課税に比べますと、負担の変動が出ることはあたりまえのことでございます。その場合に、たとえば知事会等で、いろいろ都道府県で問題にしておりますのは、大きな事業所を設け、しかも多数の従業員を雇用して事業活動をやっておると、その従業員の子弟は学校にも行くわけでありますし、下水とかいろいろな生活関連施設もやらなければいけない。ですから、むしろやっぱりそういう従業員の数に応じた事業活動を示す基準というもの、それを取り入れるべきではないかという主張は、これは私のこの外形基準導入論の一つの基本だろうと思うのであります。ですから、労働集約型の産業が負担が重くなるからこの外形基準導入をやめろという問題があると言いますと、外形基準導入はもう入り口でとまってしまうということに私はならざるを得ないと思うのです。  そういうふうなこともございますが、ただ負担は変動するわけであります。それを公平と見るのか不公平と見るのか、そこの評価はいろいろこれは立場によって私は議論が出てまいると思いますけれども、むしろ外形基準導入は、そういう産業については、事業活動に応じた税負担を所得のみでなくてそういう面からやっていただきたい、こういうところに基本があるように私は思います。  それから、中小企業の問題につきましては、やはりその延長といたしまして問題はあるわけでございますけれども、これについてどう扱うかということは、外形基準導入をいたします場合のやはり大きな課題の一つ、それを除外するというのか、あるいは一定のところまでは適用対象になっていただくというふうにするのか、その辺のところはきめの細かい問題として議論の対象にしなきゃならぬ問題だと思います。
  275. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題がそもそも持ち上がったのは、自治体の側が、外形課税を導入することによって法人事業税の税収そのものが大幅にふえるということ、これを期待しているわけではないわけですね。いわゆる欠損法人が、決算上欠損法人になれば事業税を出さぬでいいと、そういう点での景気の変動に伴う不安定性、これをひとつ安定化してもらいたいということが非常に大きなねらいであるわけでしょう、一つのこの外形課税導入の。したがって、いまおっしゃるように、いままでのなにとは違って大きな変動を伴わざるを得ない。しかもそれは、労働集約型と知識集約型の企業では大きなアンバランスが起こる。このことは、私はいろいろな理屈はあるにしても、税そのものとしては大きなやっぱり客観的事実だと思う。したがって、そういうことじゃなしに、そういう不安定性をなくすための措置というのはほかに考えることはできないのかという問題ですね。  だから、その点で私は、一つはこの事業税の損金算入を不算入にするということと同時に、例の法人税の引当金、準備金なんかの措置ですね、これらをひとつ改善をする。これは実際にいろいろな企業の決算を見ましても、企業自身では黒字になっておっても、あと税法上の処理、いろいろなそういう処理をしていくと欠損になるという企業というのは非常に多いわけですよ。だから、その辺のからくりをどうちゃんとして、そして欠損法人で逃げるという状態を会計処理上もはっきりさせていくか。そして、欠損法人に落ち込む状態というものをうんとそう簡単には欠損法人にならない——普通の中小企業なんかですとそんな措置どころの騒ぎじゃない、頭から欠損ですけれども、大企業になればなるほどそういう経理操作によって税法上の欠損にすることが可能なんです。だから、こういう点を私はもっと研究をする必要があるのじゃないだろうか。  たとえば、今度の電電公社の値上げもそうでしょう。電話の加入料、これらをちゃんと資産に入れるか入れないかという問題だけでも、黒字になったり赤字になったりします。  だから、そういう会計処理上のいろいろな税を合法的に逃れるすべというのが、大企業には有利なように、便利なように残っているのは事実なので、この辺の処理をまずやるということが非常に大事なんじゃないか、こういうふうに思うのですね。盛んに今年度中にもこれを結論を出して早くやるとおっしゃるけれども、私は来年度中にこの外形課税の導入をもし踏み切ってやるとすると、企業間のアンバランスに非常に大きな変動が起こり、混乱を起こす、そういう状況が恐らくいまの状況では生まれるんじゃないか、こういうように私ども考える。  私どもはこの内容がもうひとつはっきりしませんから、賛成とも反対とも意見を言うわけにいきませんが、いまお考えになっているような状況ですと非常にそういう危険が伴うわけですね。実際にそういうアンバランスの状態をなくし、しかも中小企業に対する打撃を少なくもする、そして税収全体としては安定して確保ができる、こういうような状況がどうやったら見つけ出せるか。それがちゃんとできればわれわれは別に反対する必要はない。しかしこれはなかなかむずかしい話だろう。だからそういう意味では、先ほど言いましたような措置費だとか、いろんな面から、この法人事業税の安定性を少しでも確保していく方法というものを考える必要があるのじゃないか、こういうように思っているのです。その方が手回しがいいというか、早いのじゃないかという気もするのですが、この辺いかがですか。
  276. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 事業税に外形基準を導入するという観点は、一つは御指摘のように県税収入の安定性を確保するということでございますが、しかし、いま一つ大事なことは、事業に対する課税であるという事業税の性格を、課税標準の変更を通じて明確化する。いまお話の中にもありましたように、法人税と違って損金算入を認めているわけですから、いわば経費としてこの税負担を考えているわけでありますから、経費として負担を求めるものを、所得のみに課税標準をゆだねるというのはおかしいではないか。これはやはり依然として残る問題であります。ですから、その両面から考えていかなけりゃならぬと思います。  それから、引当金等の各種の整理の問題でございますが、これは第一義的には国税当局の問題でございますので、余り私、詳しく申し上げるのはいかがかと思いますけれども、現在設けられております引当金は、やはり企業会計の上である程度定着してきておりますものを引当金として損金算入を認めておるというわけでございます。ただその内容につきましては、銀行の貸倒引当金のように、現実の貸し倒れ率から見ていままでのは少し高いというものもありますから、大蔵省もその改善には努力を続けておられるわけであります。そういうふうに物に応じて見直しをしていくということは大事だと思いますけれども、しかし、企業会計上定着しておるものを根元から否認してしまうということは、やはり法人税のたてまえ上これは問題があろうか、かように考えております。
  277. 神谷信之助

    神谷信之助君 われわれもゼロにしろとは言っていないのですね。退職金の積立金にしても、べらぼうに、関電なんか全社員が一遍にやめても余るくらい退職金を積み立てていますからね。そういったいろんなことをずっと、やっぱり常識と言いますか、社会通念上通る範囲内でそれを認めるとかいうことをやらにゃいかぬ。このことは去年の税調でも問題になったようだし、ことしも問題になっているようですけれども、何せ相手が大企業ですから抵抗が大きいですから、なかなかこれはできぬ。この辺はだから三木内閣、政府の政治姿勢いかんにかかわる問題ですね。これはだから大臣もひとつその点は十分含んでおいてもらいたいというように思います。  以上で大体税金の関係は終わりまして、次の問題に移っていきたいと思います。  次は、先ほど来話が出ておりましたが、自治省事務次官の方から各省の次官に、補助金の適正化を中心にした超過負担解消、これについての要請が出されています。時間の関係がありますから、全部ただすことができるかどうかわかりませんが、二、三お聞きをしたいというように思います。まず林野庁の方にお願いします。  瀬戸内海、特に瀬戸内沿岸なんかにコンビナートがどんどんつくられていく。そういう中で自然の景勝というのが破壊をされてきていますが、そういう状況の中で、松がマツクイムシにどんどんやられていく状況がひどいですね。京都の天橋立の松も毎年マツクイムシ退治で往生するという状況が生まれています。これは全国的にも相当非常に広がってきているのじゃないかと思いますので、マツクイムシによる被害状況、全体としてどのようにつかんでおられるか、まず報告していただきたい。
  278. 能勢誠夫

    説明員(能勢誠夫君) いま御質問のマツクイムシの被害でございますけれども、マツクイムシは、昭和二十四、五年ごろ一度大発生したことがございまして、その後年間三十万立方程度の被害におさまっていましたのが、四十六年からだんだんふえてまいりまして、最近は約百万立方の年間の被害が全国的に発生しておるわけでございます。発生は大体三十六県、被害が出ておりますのが約三十六でございまして、そのうち特に被害の大きな県が二十県、先生いまお話しございましたように、九州それから瀬戸内海沿岸、あとは太平洋の黒潮の流れる地域が主体でございまして、一部最近は宮城県の松島にも若干被害が出ておる、こういうような状況でございまして、被害が年々増大する傾向にあるというところでございます。
  279. 神谷信之助

    神谷信之助君 これに対する対策というのはいままではどういう形で取り組んでこられたわけですか。
  280. 能勢誠夫

    説明員(能勢誠夫君) マツクイムシの被害と申しますのは、原因が一つはマツノザイセンチュウという体長一ミリにも満たない非常に小さな回虫のようなものでございますけれども、それが松の樹体内で繁殖をしてそれで松を枯らす。ところがこのザイセンチュウそのものはそういう非常に小さなものでございますので、自分でほかの木に移っていくということはできません。それで松に巣食いますマダラカミキリというカミキリムシの一種でございますけれども、これが幼虫からサナギになって飛び出しますときに、マダラカミキリの体にそのセンチュウがたくさんつきまして、その体ににつけたカミキリムシが健全な松のこずえを食べたときにそこからセンチュウが入って健全な松がまた枯れる、こういう仕組みで被害を受けているのでございまして、したがいまして、林野庁で現在指導しております防除法というのは、一つはその枯れた松を伐倒して皮をはいだりいたしまして、運び屋であるそのマダラカミキリが幼虫の時代に殺すという法、それからもう一つは、春先、五月ごろ成虫がザイセンチュウを体につけて飛び出しますので、それがこずえを食べるときに薬剤をかけて殺す、こういう方法で、空中から薬剤散布をいたしまして、こずえの部分に薬をつけておいて、成虫が飛び出してきてこずえを食べたときに死んでしまって、うつすことが、伝染させることができなくする、こういう二つの方法をとってございますが、考え方としましては、その薬剤防除で予防する、かからないようにするということを主体にいたしまして、現在までこの防除事業に四十八年以降大変金をつぎ込んで、国営防除という方法とそれから県に対する補助事業と、この二つの方法で防除をやってございます。  国営防除と申しますのは、非常に被害の大きい県を主体にいたしまして、県を指定して、さらに被害の多い市町村を指定して、その中でも特に保安林でありますとか国立公園の特別地域でございますとか、そういう法令の制限の多い森林、こういうものを対象にして国営で防除を実施する。これは当然のことながら全額防除費は国費で負担するというやり方をとってございます。  それからそのほかの一般の森林につきましては、国の補助事業といたしまして、民有林につきましては、それぞれ薬剤防除あるいはいまの立木伐倒駆除、これらに対して補助を行いまして防除事業を推進している次第でございます。
  281. 神谷信之助

    神谷信之助君 日本の自然を守るためにもこれは重大な事態になってきたと思うのですが、これについて特別立法措置をして、そしてこの対策を強化をするというような考えというのは農林省でいまあるんでしょうか。
  282. 能勢誠夫

    説明員(能勢誠夫君) ただいまのような防除方法をいままでとってまいったわけですけれども、依然として四十八年、四十九年と被害が減らないという状況にございますので、五十二年度現在大蔵省に予算要求しておりますのは、いま申しました防除効果の高い薬剤防除を中心に、国営事業、国が全部負担いたします国営事業を拡大をする。それから補助事業の内容充実、それから補助率の引き上げ、これは特に県営でやります薬剤防除について補助率を引き上げる。こういうようなことによりまして防除の徹底を図るという考え方のもとに、特別措置をも含めて現在検討しているところでございます。
  283. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはひとつぜひ強化をしてもらいたいというように思います。  次に文部省に移りますが、公立文教施設整備費に関する問題ですね。これについて、五十一年度の公立義務教育施設の事業量は一体どれぐらいか、五十二年の見込みはどのぐらいか、それからそれに対して、五十一年度に対する補助対象になったのはどれだけの事業量か、これについてひとつ報告をしてもらいたい。
  284. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) まず、五十一年度の事業量でございますけれども、これは義務制、非義務制を含めまして、全部で四百八十四万九千平米ということになっている次第でございます。それで五十二年度の概算要求でございますけれども、ほぼ一一%程度の伸びで概算要求をしているわけでございます。それから本年度の執行上の問題でございますが、これはいま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、第一回の事業認定を七月に行いまして、二次、三次を行ったわけでございますが、今後また十二月にも認定をする予定でございますけれども、本年度の見込みではほぼ地方公共団体の御要望にこたえることができるのではないか、そういう推測を持っている次第でございます。
  285. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体、ことしは必要事業量全部を補助対象にできるというように理解していいのですか。
  286. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 申請のございました事業につきましては、いろいろ資格上の問題などあるわけでございますので、全部というわけにはまいりませんけれども、ほぼ地方公共団体の御要望についておこたえできるような状況になるのではないか、そういう推測を持っております。
  287. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ自治省にお伺いしますが、いまのような五十一年度の四百八十四万九千平米ですか、の事業量で大体は五十一年度いけそうな話ですけれども、自治省のつかんでいるのではどうですか。
  288. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 直接補助金の問題でございますので、私どもの方は必ずしも完全にそれを把握しているというわけではございませんが、一定の資格基準等のありますものにつきまして、ほぼこれで賄えるというように文部省の方も言っておられます。そのような状況であろうというように理解をいたしております。
  289. 神谷信之助

    神谷信之助君 五十二年度の見込みは一一%の伸びぐらいを考えているというのですが、これは大体そういうことでやれるのですか。五十二年度は十分ですか。
  290. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) その一一%と申し上げましたのは、義務制のほかに高校の新増設の関係も入っているわけでございまして、私先ほどお話し申し上げたほぼと申し上げますのは、ことしから設置されました高校新増設につきましてはやや例外ということになるわけでございますが、そのほかについてのお話でございまして、五十二年度の概算要求の一一%は高校新増設も含めまして、その程度の増の要求をしているわけでございます。
  291. 神谷信之助

    神谷信之助君 高校建設の補助制度の問題がちょっと出ましたから、ついでにそれを聞きますが、ことしはあれ四十二億でしたか、高校の建設の補助制度。来年度は百五億の概算要求をするという話を聞いておるのですが、大体それで間違いないですか。
  292. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) そのとおりでございます。
  293. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは五十一年度になってやっとわずか四十二億ですが、補助制度ができました。しかし、とにかく制度をとりあえずつくらなきゃいかぬということで、枠としては少なくとも四十二億取れたということになったんだろうと思うのですけれども、来年度この百五億の補助額で、来年度必要とする高校建設に対してどういう対応ができるということになりますか。
  294. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 私どもことしの四十二億円の補助金につきましても、まあ従来高校の施設につきましては起債、交付税などで財源措置をお願いしてきたわけでございますけれども、そうした原則を今回特に変更したわけではございませんで、そうした原則に立ちつつも高校生の非常に急増する都道府県に対する対策といたしまして、緊急の五カ年対策として本年度約四十二億円の補助金が計上されたわけでございます。その関係上、一定の要件などがあるわけでございまして、そうした考え方につきましては、五十二年度の概算要求におきましても特に変更を加えていないわけでございます。そういうことでございますので、五十二年度の高校につきます財源につきましては、やはりこの補助金と従来からの起債、交付税措置など相まちまして、全体でもって対策が立てられていくものと承知している次第でございます。
  295. 神谷信之助

    神谷信之助君 その高校の建設問題ですが、これは義務教育ではないけれども、すでに御承知のように進学率は九三%全国平均になっているという状況だし、したがって、特に首都圏とか近畿圏、こういう人口の集中しているところではさらに進学率は高くなってきて、毎年毎年高校の建設は必要になってくるという状況が生まれているのですね。まあ五カ年計画だというんですが、そういう首都圏、近畿圏を中心にして、この五年間で高等学校は何校建てなきゃならぬというようにお考えになるのですか。
  296. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 先ほど申し上げました五カ年計画というのはやや説明が不足かと思いますけれども、とりあえず五カ年間そういう措置を行うということでございまして、正確な意味での五カ年計画というものを私ども持っているわけではございません。そういうことでございますので、この五年間に建てます高校の数などにつきましても、都道府県の報告を私ども承知しているわけでございまして、その数字を申し上げますと、新設校の数でございますが、五十一年度に公立で六十三校、それから五十二年度に同じく六十三校、五十三年度に八十七校、五十四年度に七十二校、五十五年度に百十八校、計四〇三校という数字を私ども都道府県から報告を受けている次第でございます。
  297. 神谷信之助

    神谷信之助君 こういうふうにべらほうによけい建てなきゃならぬということになっているんですが、大体必要としているところは用地難で、用地が高くなってきているし、建設単価も上がってきているということで、高校建設問題というのは地域にとっては非常に大きい政治問題になってくるわけですね。しかし、中学校を卒業して入る高校がない。そして中学浪人がどんどんふえるということは、これは非行化にもつながる青少年の教育の問題にとっても非常に重要な問題になっていると思うのですがね。したがって、この点小中の義務教育については国庫負担法でちゃんと見なきゃならぬ。しかし、高等学校はこれはもう義務教育じゃないんだ、自治体が責任を持って建設するんだということで、この補助制度をつくること自身が非常に難航したわけなんですけれども、この辺の認識を変えないと、当面高校建設を進めていく上で重大な問題が一層発生をするのじゃないかというように私は思うのですが、この辺の見解は文部省自身としてはどういうようにお考えになっておられますか。
  298. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) いま御指摘ございましたような、そういうお考え方の問題もあるわけでございますが、私どもといたしましては、せっかく四十二億円の補助金がつきまして一応こういう構えができたわけでございますので、この構えに乗りまして、できるだけ都道府県の実態に即するようにまず事業量をふやすということに最大限の努力を傾注してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  299. 神谷信之助

    神谷信之助君 なかなか大変な問題なんですが、ひとつ高校建設は特に人口集中地域では大変重大問題になってきていますから、万遺憾なきように措置をしてもらいたいというように思うのです。  同じように児童生徒の急増市町村対策の問題で、人口急増都市協議会なんかが市町村の一般会計の歳出の三分の一は教育費、いわゆる学校建設が中心になってきているという問題を報告をしています。したがって、これに対する対策も非常に強化をする必要があるだろう。われわれはこの人口急増市町村の自治体の問題については特別立法をしてやる必要があるというように言っておったのですが、政府の方はそれぞれ関係法律で特別の措置を個別にするんだということで、特別立法はまだできていないのですね。したがって、そういう状況の中ですから、特に児童生徒の急増市町村の対策は、文部省の方で責任を持ってその必要な措置——法改正を含めてやる必要があると思うのですが、それはそれとして、一つは用地取得費の交付率、現在七〇%ですが、これを引き上げるお考えはないのかという点、それからもう一つは屋体の負担率、現在二分の一ですが、これを三分の二にするお考えはないのかどうか、この二点だけとりあえずお伺いしておきたいと思います。
  300. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 急増地域の文教施設の問題につきましては、いま先生の御指摘にありましたように、大変大きな問題になっているということを私どもも認識しているわけでございます。それで、四十八年には校舎につきましてはとりあえず負担率を三分の二にいたしたわけでございますし、またこれは急増地域のみではございませんが、小学校の屋体につきましては負担率を三分の一から二分の一に改善するなどの措置も行った次第でございます。  それで、いま御指摘の屋体の点でございますが、これについては、先生御指摘になりましたように、各団体からの要望も強いわけでございますので、五十二年度の概算要求におきましては二分の一から三分の二に負担率を改定するような要求をいたしている次第でございます。  それからもう一つ、用地の点でございますが、これは五十年度で一応五カ年が終わったわけでございますけれども、五十一年から新たに五カ年間継続すると同時に、交付率を六五%から七〇%に改定した次第でございますが、この七〇%というのは、全市町村がやっております。用地費の中で、急増市町村が占めております用地費が大体七〇%を占めておりますので、一般市町村には用地費の補助はまいりませんので、一般市町村並みの負担はしていただきたいということで三〇%分が落ちているわけでございますので、一般市町村との兼ね合いを考えますと、にわかにこの交付率を改定することはきわめて困難ではないか、そのように考えている次第でございます。
  301. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がもうありませんから急ぎますが、それじゃ文部省の方の関係はこれで終わります。  厚生省関係ですが、保育所措置費の問題ですが、これも昨年の予算委員会でしたか、特に基準法違反になるような保母の配置しかないという問題を中心にして議論をしたわけでありますが、当時厚生大臣の田中さんは、少なくとも基準法違反にならないように保母の人員を補充をするというように言われていました。ところが、現実にいまなお特に職員数で超過負担が非常に大きい。これは自治省の方もその改善を要望しておられるわけですが、この点について厚生省の方はどういう取り組みをなさっているのですか。
  302. 下村健

    説明員(下村健君) ただいまの労働基準法がらみの問題につきましては、五十年度から二カ年計画ということで、今年度にかけまして総数にしまして約七千六百人ばかりの保母を配置いたして、一応解消したというかっこうになっているわけでございます。現在、保育所の保母の定数は、私どもの基準でまいりますと、三歳未満児につきましては六人に一人、三歳児が二十人に一人、四歳以上児が三十人に一人ということで配置しているわけでございます。またそのほかに、乳児については乳児保育特別対策という形で、一定の条件を満たした場合に乳幼児九人について三人の配置ということで保母さんを配置しているわけでございます。実態としては、先生いまお話しのように、地方団体でそれ以上の保母さんを置いている。これは単独事業のような形で、たとえば乳児の保育につきましては、従来乳児保育というものについては消極的な考えもあるわけでございます、児童福祉関係者の中には。というふうな面もありまして、現在の厚生省の基準でまいりますと、乳児を保育所で預かるのは低所得の場合あるいはいま申しましたように九人以上乳児がかたまった場合を対象にすると、いろいろ厳しい制約があります。そういう制約を外した形でやっておられるところもあるわけでございます。そういうふうなことで、それらの面で厚生省の基準を超えた保母さんがいるということになっている実態でございます。  そこで五十二年度の予算要求におきましては、その基準の緩和ということを取り上げまして、さしあたり最も要望の強いのが乳児保育の関係でございますので、乳児保育特別対策の要件の緩和をする。九人ワンセットというのは、実は三人保母さんを配置するという中の一人を、乳児の場合は医療あるいは保健衛生の問題も大きいということで、看護婦さんを配置するという考え方で従来やってきているわけでございますが、それを外しまして、三人以上乳児を預かる場合には国の乳児保育の対象にする。それから所得も、従来は低所得の場合だけを対象にするということで考えていたわけでございますが、現在の保育所に預かっております父兄の平均的な所得の階層までは乳児保育の対象にするというふうなことで、五十二年度につきましてはそういう形の予算要求をいたしているところでございます。
  303. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは五十年、五十一年で七千六百人配置をして、それは一応労働基準法違反は起こらぬであろうという見通しですけれども、これは実際私がずっとことしになってからも現場へ行ってみますと、やっぱり休憩時間がとれない状態とかどうとかいう基準法違反の状況というのはいっぱい残っているのですね。これはひとつ——あのときは基準監督署が調査をしたんですかね。厚生省自身もそういう措置をして、ちゃんと基準法違反の状態がなくなったのかどうかというのは私は点検をする必要があるだろう、こういうふうに思いますね。何せ措置費の八割が補助で出ているんですからね、言うなれば国がそういう問題については財政的援助をしているわけです。そこはやっておっても、実際には基準法違反が七〇%、あのとき七五から八〇ぐらいの比率だったと思いますがね。特に公立の保育所で非常に大きい。そういう状態をひとつ調査をしてみる必要があるのじゃないかと思うのですがね。  それからもう一つ、そういう意味で来年度措置費超過負担問題について、自治省あるいは厚生省、大蔵省ですか、三省で調査をやろうという話が出ているようですが、この点はいかがですか。
  304. 下村健

    説明員(下村健君) 休憩時間の問題につきましては、ただいまも申し上げました増加をした保母さんのほかに、非常勤の保母さんの配置というふうなこともやりまして、一応私どもとしてはそういう実態解消したというふうに見ているわけでございますが、ただいま申し上げましたように、五十年、五十一年、本年度にかけましてそういう対策をとったということでございますので、なお現実の推移を見まして、おっしゃるような点につきましても考えてみたいというふうに思います。  それで、超過負担の問題につきましては、さきに、四十九年度に厚生省自治省、大蔵省の三省の合同調査というかっこうで、主として人件費、それから管理費につきまして調査をやったわけでございます。その結果、超過負担があると認められた施設長あるいは調理員等の格づけの是正あるいは庁費、補修費というふうなものについて解決を図ってまいったわけでございます。しかし、その際に精査いたしませんでした飲食物費、残っているもので一番ウエートの高いのが飲食物費ということになるわけでございますので、飲食物費につきまして、その実態を把握して適正な補助基準を作成するということで、やはり三省合同というふうな形で目下その調査の回収、集計等を行っている段階でございます。
  305. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはひとつ早くやって来年度に生かしてもらいたいというように思います。  それからもう一つは建設費の関係ですが、例の摂津訴訟も提起をされていまだに解決していないわけですから、この辺重大問題だと思うのです。自治省の方も、自治体からのそういう要求にこたえて完全解消を要求しておられるわけですが、そこでお聞きをすると、厚生省内部の保育所関係の施設費と、それからそのほかの福祉施設関係の施設費ですか、これが一緒になっているという話を聞いているんですね。予算が決まってからそれぞれ両方に分ける、それからさらにまたそれを配分する。そういう関係から、何といいますか、できるだけ補助対象事業をふやそうとすると、ある程度補助額、補助金を減らさなきゃならぬ、低くなる、こういう関係もあって、この辺が一つの隘路になっているんじゃないかという話を聞いているのですが、この辺はどうなんですか。
  306. 下村健

    説明員(下村健君) お話しございましたように、かつては、社会福祉施設整備費という形で計上しているわけでございますが、予算の総体がなかなか地方の需要に応じ切れないというふうなこともございまして、保育所についての補助単価が低いというふうな実態が生じてくるというふうな実情もあったということは事実でございます。しかし、最近は予算の計上額も非常に改善されまして、ここ一両年の状況からいきますと、むしろ一本に計上している方が地方の実情に即した補助ができるというふうな形になっております。  もう少し詳しく申し上げますと、予算編成時である程度地方の需要等も把握して予算の要求をいたすわけでございますけれども、保育所のような市町村がやります施設になりますと、地域の状況によりまして、相当間近になりましてもなかなか計画が確定しないというふうなものがかなりあるわけでございます。ということで、年度当初にとったものについて補助を決定してもなかなか実行できない、あるいはその後の状況によって補助希望がふえてまいるというふうなことがあるのが現実でございます。昨年、おととしあたりの実態からしますと、ほかの施設で余った整備費をむしろ保育所の方に回しているというのが実態でございまして、むしろいまの現実の姿からいたしますと、一本にして計上している方が私どもとしては弾力的な執行ができて便利ではないかというふうに考えている次第でございます。
  307. 神谷信之助

    神谷信之助君 前に比べれば予算額がふえて、一緒にしておった方が弾力的に運用ができてその方が有利だというお話ですけれども、しかし、現実に自治体側から出てくるのは、保育所の建設についても非常に超過負担が大きいという問題がいまだに消えておりませんし、それから標準仕様の問題、これもひとつまだはっきりしておらぬようです。こういった問題、これは自治省の方の要望事項の中にも保育所の標準仕様について出ておるわけですね。そういう問題についてどうなっているのか、改善をする必要があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  308. 下村健

    説明員(下村健君) 保育所の整備費の基準につきまして、一人当たり六平米、これは一番小規模の場合が六平米ということに改善をいたしまして、その結果かなりの程度に、最近の申請額の平均値等から比べましてもほとんど問題は解消しているというふうに見ているわけでございます。しかし、中にはそれを超えているものもあるというふうなことで、お話しのように、六平米の根拠等についてももう少し明確なものを示してほしいというふうな声が自治体等であるわけでございます。そこで、標準設計の問題については従来からも一応検討しておりまして、その結果をある程度反映したのが六平米というかっこうにはなっているわけでございますが、さらに実態とそういう考え方についての突き合わせ等もいたしまして、標準設計、あるいは標準仕様のようなものをつくっていく必要があるということで、これも大蔵省、自治省との三省で相談をいたしまして、これに関連する調査を目下いたしているというふうな状況でございます。これも結果がまとまりましたらできるだけ早急に予算面に反映していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  309. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは五十二年度予算要求に間に合うの。
  310. 下村健

    説明員(下村健君) まだ九月、十月にやりまして、その回収、集計にこれからとりかかるというふうな段階でございますので、私どもとしては間に合わせたいというふうに思っておりますが、何分まだ結果がまるきりわかっていないという状況でございます。
  311. 神谷信之助

    神谷信之助君 保育所の問題は、学校の問題と一緒に、自治体の側から言うと超過負担の非常に大きな課題になっていますから、厚生省の方、せっかくひとつ努力してもらいたいと思います。  最後にもう一問だけ。労働省、お待たせいたしました。これはことしの参議院の本会議あるいは地方行政委員会でも問題にした例の身障者の職業訓練校ですね。これは労働省からの委託経営です。ところが、約半分近く各県が持ち出しをしているという状況を指摘をして、これについては当然自治体の側にそういう負担をさしてはならない問題だから、それについての解決を図るように申し上げているのですが、来年度、この種の学校は今後ふやしていくわけですから、そういう意味ではこの委託費の超過負担にならないようにする必要があると思いますが、来年度予算の要求に向けてこの点はどのように対処されるのですか。
  312. 中野光秋

    説明員(中野光秋君) 身体障害者の職業訓練校の運営費につきましては、先般の本委員会でも先生御指摘されたとおりでございまして、私どもも非常にこれに関心を持って財政当局とも折衝しておるわけでございます。これから予算、事務的な折衝が始まりますので、鋭意ひとつ超過負担解消という点に向けてできるだけの努力をしていきたいと思うわけでございます。  四十九年度に実は自治省と大蔵省と私どもと三省の共同で人件費の実態調査をやりまして、それに伴いまして大幅な人件費単価の引き上げを行ったわけでございます。私どもはまだ完全にこれで十分だとは思っておりませんが、来年度はこの給与費の解消、たとえば管理職手当等についてはまだ委託費の対象にしておりませんが、そういう枠の引き上げとか、あるいは事業費関係超過負担も相当あるやに聞いております。その辺に重点を置きまして、十分大蔵省と折衝していきたいというふうに考えております。
  313. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはいわゆる超過負担とはちょっと違って、本来自治体に負担をさせてはならないものであるということは言えると思います。もちろん県によって、そういう身障者の職業訓練について指導する職員なり、それから事業そのものについて独自の、こういう方々ですから、手厚い措置をするということが起こるかもしれない。しかしそれにしても、そういう身体障害者に職業訓練をやって社会復帰ができるようにするための学校ですから、その目的にふさわしい措置をそれぞれの県が独自にやるとしても、労働省の方がそういう点については十分に配慮をして、そして持ち出しをしなくてもできるように、逆に言うならば、いまは十一県に配置をされておりますけれども、あちこちの県がうちにもつくるといった希望がどんどん出るような、そこまでやっぱり財政措置も含めてやらないと、こういう特別の学校というのはなかなかできないわけですね。この辺ひとつ特に要望して、私の質問はきょうはこれで終わります。
  314. 上田稔

    委員長上田稔君) 本日はこれにも散会いたします。    午後五時二十五分散会