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1976-10-28 第78回国会 参議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十八日(木曜日)    午前十時十九分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      松永 忠二君     川村 清一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         戸田 菊雄君     理 事                 玉置 和郎君                 森下  泰君                 浜本 万三君                 小平 芳平君     委 員                 石本  茂君                 小川 半次君                 佐々木 満君                 高田 浩運君                 粕谷 照美君                 田中寿美子君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君                 柄谷 道一君    国務大臣        労 働 大 臣  浦野 幸男君    政府委員        労働大臣官房長  桑原 敬一君        労働大臣官房審        議官       松尾 弘一君        労働省労働基準        局長       藤繩 正勝君        労働省職業安定        局長       遠藤 政夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    鎌倉  節君        通商産業省立地        公害局保安課長  広海 正光君        運輸省船員局労        政課長      仲田豊一郎君        労働省労働基準        局安全衛生部長  山本 秀夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働問題に関する調査  (ソニー仙台における労働災害に関する件)  (チッソ石油化学五井工場における労働災害に  関する件)  (クロム化合物による健康障害に関する件)  (じん肺対策に関する件)  (船員の労働問題に関する件)     —————————————
  2. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、松永忠二君が委員を辞任され、その補欠として川村清一君が選任されました。     —————————————
  3. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 去る二十一日の委員会において、林野庁長官に早急に白ろう病患者の入院しております病院等を視察するよう要請いたしました。その結果について、先刻理事会で報告を聴取いたしましたので、その要点を私から御報告申し上げます。  要請された現地見舞いについては、長官が多忙のため職員部長現地見舞いを行い、要請された内容について実施しました。また認定問題については、早期に御趣旨に沿うよう努力いたしますとのことであります。  以上でありますので、御了承いただきたいと存じます。     —————————————
  4. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 労働問題に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 浜本万三

    浜本万三君 私は、本日仙台にありますソニー仙台株式会社勤務中、昭和四十九年四月二十四日、労働災害死亡いたしました長南吉さんの問題を中心に、労働災害に対する労働行政取り組みにつきまして御質問をいたしたいと思います。  まず最初にお尋ねをいたしたいと思いますのは、この事故発生いたしました原因を、労働省の方ではどのように把握されておるかということです。私が調査をいたしました限りにおきましては、機械にも欠陥がない、機械の操作にも欠陥がない。さらにまた健康状態もよかったということになりますと、何らか会社手落ちがあったのではないかということが考えられるわけでありますが、労働省の方で調べられました事故発生原因は、どのように把握されておるか。また特に、この種仕事に携わる従業員健康管理というものが厳密に行われなきゃならぬということが関係法規規定をされておるわけなんでありますが、この場合を見ますと、会社健康管理上に手落ちがあったのではないかということが考えられるわけであります。つまり、本人健康状態入社以降ずっと調べてみますと、入社するときの健康診断健康状態は良好であった。引き続きまして、五月八日、六月十九日、いずれも健康診断の結果は良好であった。ところが、昭和四十九年二月十三日に長南さんが発病いたしまして入院するまでは、六月二十日以降四十九年二月十三日までの間、会社健康診断も行われていないという結果が判明しておるわけでございます。この点から考えますと、会社健康管理上に手落ちがあったのではないかということが考えられますが、この点はいかがでしょうか。  以上お尋ねをいたします。
  6. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) いまお尋ね長南さんの事件でございますけれども、この概要についてまず申し上げますと、被災者が就労していましたソニー仙台工場塗布工程でありますが、トルエンあるいはメチルエチルケトン等有機溶剤磁性粉接着剤を加えて混合した、いわゆる磁性塗料プラスチックフィルム塗布する工程でございます。フィルムの巻き出し、塗布乾燥、巻き取りという四つの工程からなりまして、一連装置によって行われているものでございます。磁性塗料塗布作業室内のさらに区画された場所において行われ、乾燥密閉装置内において熱風によって行う、こういうものでございます。それから、塗布室内には塗布機の前後にフード局所排気装置、あるいは塗布機の上部には天蓋型のフードを持つ局所排気装置というようなものが設置され、巻き出し、乾燥、巻き取りを行う室内には全体換気装置が設置されておりました。この方は四十八年の四月二十日に有期社員として採用されて、この塗布工程のうち、主としてフィルムの巻き出し作業に従事しておりましたのですが、勤務中の有機溶剤業務としては、こういった作業のほかに、特に装置内部に飛散付着いたしました塗料を、磁性塗料の廃液を再生した溶剤で払拭する作業をやっておったということなんでございます。四十九年の二月九日にぐあいが悪いということを訴えまして、その後診療を受けましたが、急性肝炎ということで、いまお話しのように四十九年の四月二十四日にお亡くなりになったのでございます。地元の仙台監督署としては、この事件調査を行いましたが、労働安全衛生法に基づきます有機溶剤中毒予防規則というものに照らしまして、事業者の講ずべき措置という点に違反が見られる、あるいは作業環境測定について問題がある、あるいは特殊健康診断の期間が少し長過ぎるというようなことがございましたので、事件検察庁に送致をいたしました。その後、五十一年の四月には刑の言い渡しがあったというふうに聞いておりますが、なお、この方から労災請求認定が出ておりまして、仙台監督署といたしましては十分省と検討いたしました結果、本件災害はこの有機溶剤によって中毒性肝炎死亡されたものというふうにして、業務災害として五十年の十月三十一日に認定をしたところでございます。
  7. 浜本万三

    浜本万三君 いまのお話のように、業務上の災害として五十年十月三十一日に認定され、かつ会社側の三つの法律違反によって検察庁はこれを告発をいたしまして、罰金刑に処しておるということは当然であるというふうに思います。特に私が当然であるということを申し上げますのは、この事件に関するいろいろな資料を見てみますと、会社災害発生を予知していながら、こそく手段でもってこれを回避しようとしておる、そういう経過が非常に多く見られるわけであります。私が入手をいたしました資料によりますと、入社当時酒を飲むかということを尋ねまして、酒はこの仕事は少したくさん飲んだ方がいいのじゃないかという話をし、さらにまた長南さんが入院をいたしますと、会社の班長が病院にあらわれまして、会社指定病院転院を迫る、さらにまた会社内部では長南さんの死因は酒の飲み過ぎであるとか、あるいは過労による肝炎であるとか、そういうデマ宣伝をいたしまして、会社責任を回避しておる資料がたくさん散見できるわけでございます。私はそういう会社態度は許しがたい犯罪行為だというふうに思いますが、この点いかがお考えでしょうか。また特に、その中で病院転院を迫るということになってまいりますと、的確な認定が行われないということになりますと、災害を受けた労働者は大変困るわけでございますから、したがってこの際労災患者医師の選択の自由を保障すべき必要があるのではないかと、かように思うわけなんでございますが、これらの点につきまして、当局ではいかがお考えでしょうか。
  8. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) この工場は多量の有機溶剤を使うわけでございまして、先ほど申し上げましたように、局所排気装置あるいは全体換気装置というようなものも一応整備をされておったわけでございますが、問題は払拭作業を行うときにこれらの予防措置の機能が停止しておるというようなこと、それから先ほど申し上げましたような幾つかの法規違反があったということでございます。そういうことで、私どもとしましては監督署から厳重措置をいたしまして、事件検察庁に送致したということは先ほど申し上げたようなことでございます。  なお、後でおっしゃいました健康診断あるいは労災医療につきまして、医師を自由に選ぶということがやはり必要ではないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、御承知のように労働安全衛生法にもその規定が特にございますし、労災医療についてもできるだけそういう趣旨を貫けるような措置をいたしておるところでございまして、その点はおっしゃるとおりだというふうに思っております。
  9. 浜本万三

    浜本万三君 会社こそく手段を講じておるではないかということに対しまして、当局の方ではあえてその答弁を避けられたわけなんでございますが、ここでひとつ大臣にお伺いしたいと思うんですが、いま申したようなことは、これは社会正義に照らしてみましてよろしい行為では私はないと思うんであります、これが事実であるとするならば。したがって、そのようなこそく手段会社がとっておるとすれば、大臣としてはこれははなはだけしからぬことだというふうにおっしゃると思うんでありますが、あえて大臣所見を伺いたいと思うんです。
  10. 浦野幸男

    国務大臣浦野幸男君) 労働者の安全だとか健康を守るということは、これは私が申し上げるまでもなく、大変重要なことだと思います。特に最近は化学物質を使う工場も非常にふえてまいりましたし、有害な作業労働者を従事させる場合は、使用者はいろいろな関係法規がたくさんありまするが、こうした法規も十分承知してもらわなきゃいけない、そうして守ってもらわなきゃいけない、予防措置あるいは健康管理措置、こういったものは十分守っていただかなければならないと思います。  間々、いろいろと最近非常にこういう問題がふえてきておりまするので、われわれもいままでの法規でいいだろうかという問題もあります。そうした法規もいま検討いたしておりますので、さらにこうした措置を強化していきたいと、かように考えております。
  11. 浜本万三

    浜本万三君 先ほど基準局長から、この会社健康診断義務ホースマスクまたは防護マスク使用義務有機溶剤濃度測定義務、いずれも違反をしておったので仙台基準監督署から告発をして、仙台地方検察庁から起訴されて、裁判所で罰金刑が確定しておる、こういうお話でございました。この一連関係当局措置考えますと、今回の長南さんの死亡原因というのはもうすべて会社に全面的に責任があるというふうに思いますが、いかがですか。
  12. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) 労働安全衛生法上の責任の追及につきましては、先ほど来申し上げ、またいま先生が御指摘になったようなことで罰金刑が言い渡され、刑が確定をいたしておりますから、そういう意味では刑事上の責任事業主にあるということはきわめて明確であります。  それから労災補償につきましても、先ほどお答えしましたように、業務との因果関係をありと監督署認定をいたしまして措置をいたしておりますので、その点の責任も明確でございます。  ただ、いわゆる民事上の損害賠償責任があるかどうかという点につきましては、これはいわば当事者同士訴訟となれば、これは民事訴訟の問題でございますので、私どもとしては見解を申し上げる立場にないわけでございますが、いま申し上げましたような法律上のもろもろの責任は明確でございます。
  13. 浜本万三

    浜本万三君 いま局長も、民事上のことにつきましてはこれを避けまして、会社にすべて責任があったということを認められたわけなんでございますが、そういたしますと、この会社は、いずれにいたしましても労働安全法令関係違反をして社会的な措置を受けたわけでございますから、厳粛に反省をしなければならないというふうに思います。ところが、この会社は、その後の態度を見ておりますと、一向に反省をした空気が見えないわけなんであります。  その一つの例といたしまして、いまだにいろんな訴訟を係属しておるという問題もあるわけでございます。それから、先ほど故意にこそく手段を講じておるということを申しましたんですが、長南さんを雇われた四十八年ごろ、すでに会社としては、この種有機溶剤を使用する職場の労働者には、労災事故発生するというおそれを十分知っておりましたにもかかわらず、どうも隠しておったようなきらいがあるんではないかと思うんです。  労働省としても昭和三十五年ごろから、有機溶剤危険性についてたびたび関係機関には通達を流しておられまするし、また、関係機関から当該企業にも同様な通達が流れておるというふうに理解をしておるわけでございます。  したがって、労働省の方にはっきり伺いたいと思いますのは、この会社有機溶剤を使用する場合には労働災害が起こり得る可能性というものを十分知っておったのじゃないかというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。  それから同時に、監督官庁といたしましても、労働者死亡したんではこれは何にもならぬわけでありますから、死亡事故発生以前にこのような企業違反行為というものを摘発いたしまして、あるいはまた事故が起こらないようにりっぱな行政指導を行いまして、未然に事故を防ぐという、そういう態度が必要であろうと思うわけです。したがって、当然監督指導行政というものがこの場合どのように行われたかということが重要な問題になると思いますので、あわせて監督行政の実情などについてお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) 有機溶剤有毒性につきましては、昭和三十五年ごろだったと記憶いたしておりますが、東京の下町におきまして、いわゆるヘップサンダルに使いますところのベンゼンの中毒というものが、当時大きく社会問題として取り上げられました。その結果、この規則の制定、強化が行われたわけでございますが、本件につきましても、この磁気塗料に含有されておりますメチルエチルケトントルエン、これは現行有機溶剤規則の規制する対象になっておりますので、まあこういう一流の企業でございますから、有機溶剤規則の規制があるということを知らなかったということは、私はないのではなかろうかというふうに思いますけれども、どの程度深くこれを理解しておったかというような点につきましては、詳細は承知しておらないのでございますけれども、しかしながら、局所排気装置の整備なり、あるいは特殊健康診断、これは行われております。ただ、時期等にずれがあって、先ほど申し上げましたように違反がありますけれども、一応やっておりますから、認識の徹底はあるいは十分でなかったかもしれませんが、承知はしておられたのではないかというふうに推測をされるのでございます。  それから、監督署指導が不十分ではないかというおしかりでございますが、私どもといたしましてはたびたび当委員会でも論ぜられておりますように、最近は労働災害の中でも職業性疾病の問題は特に重点的に指導監督をしなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、当事業場に対しましても四十七年の八月、それから四十八年のやはり八月、それからこの方が亡くなられました後でございますが四十九年の五月、五十年の六月というふうに、それぞれ監督をいたしております。その都度、チェックいたしました問題点等については是正の勧告をいたしております。特に、この事件後におきましては有機溶剤回収装置の計画の見届けの問題、はっきりするように、あるいは防毒マスク各人専用とすべきこと、あるいは全体換気装置のファンの位置の問題、攪拌機開口部密閉の問題、洗浄作業槽にも局排装置を設定すべし、あるいは保護具の着用を徹底せよ、衛生教育徹底せよというようなこと。それから、衛生管理体制の充実、環境改善測定体制の確立、あるいは局排装置の性能なり自主検査徹底等々を、強く指導をいたしてきておるわけでございます。  しかしながら、遺憾ながらこういう事故が起こりましたことにつきましては、私どももなお反省をいたしまして、今後とも一層の監督指導徹底を期したいというふうに考えているところでございます。
  15. 浜本万三

    浜本万三君 大臣にひとつ見解を伺いたいと思うんですが、たまたまこの長南さんの場合には、御本人が亡くなる前に自分はどうも有機溶剤で肝臓が冒されておるらしいということを御本人が常に言っておられた。しかも家族やその他の皆さんにも言っておられた。ところが、会社の方がどうしてもそれを認めないという態度を終始されましたので、したがってまことに痛ましい話なんでございますが、自分が死んだならば解剖を必ずやって、自分の言うことを立証してほしい、こういう言い残しをされまして、解剖した結果、はっきりと有機溶剤による死亡であったと、労働災害であったということが明確になったわけです。これまでもわれわれが見まして、とかく労働災害につきましては、やみからやみに葬られる、そういう事情があったわけなんでありますが、私は長南さんのそういう行為によって一つ労働者が救済をされることになったと思うわけでございます。  しかし、思いますのに、亡くなった人をそういう遺言に基づいて解剖しなければ、一人の労働者が救済されないようでは、私はやっぱり労働行政に問題があると思うんです。血も涙もないというふうに、きつく言えば言えると思うんであります。だから、それは労働行政責任でもあるというふうに思います。したがって、今後労災認定に当たりましては、行政としては常に温かい姿勢でもって臨まれることが必要であると思うんでありますが、この事件を契機にして大臣はどのように労災認定について考えられておるか、御感想を承りたいと思います。
  16. 浦野幸男

    国務大臣浦野幸男君) ただいま御指摘のありましたように、長南さんが病床にあるときに、私が死んだら解剖して、そうして究明してもらいたいという遺言をなされたということを私聞きまして、非常に感激をいたしたわけでございます。確かに解剖された場合に、その結果を認定資料として活用することは、これはより適正な認定を行う上で重要なことだとは思います。確かにそういうふうに思いまするけれども、しかし解剖しなければ結果がわからないというようなことでなくて、一般的には業務疾病との因果関係が認められた場合には、解剖の結果がなくともこれはいままでも認定はいたしておりまするが、そういう方針で進んでいかなければならないと、かように考えております。
  17. 浜本万三

    浜本万三君 確かにその死因によりましては、なかなか解剖しなければその結果が判明できないという問題もあると思うのでございますが、一応今回の事件の場合には、相当因果関係も私は明確であったのではないかという気持ちを持っておるわけでございます。  そこで、次のお尋ねをするわけなんですが、労働基準監督署長労災認定に対しまして、どうもこの会社はおかしいんでありますが、いまだに基準監督署労災認定は誤っておる、本件疾病会社業務とは無関係であるということをいまだに言っておるわけです。これは言うことは自由なんでございますけれども、いまだに言っておるわけであります。私はそういう無残な死、それから亡くなった方と遺族心情を思いますと、どうもこの会社態度理解できないわけであります。これは少なくとも反省をしていない証拠ではないかと思います。これはむしろ厳しく社会的な糾弾も受けにゃならぬような会社ではないかというように私は思っておるわけなんでございます。  そこで、今後の問題として労働行政姿勢を明らかにしていただくためにお尋ねをするわけなんですが、このような企業姿勢が続けば、当然同じような疾病再発が起こる可能性が多分にあると思うわけでございますが、労働省としてはこのような事態に具体的にどのように対処されようとしておるのか、今後の指導のあり方につきまして見解を表明してもらいたいと思います。
  18. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) 長南さんのこれにつきましては、先ほど来お答えいたしておりますように、四十九年の二月に急性肝炎と診断されるまで約九カ月ないし十カ月、非常に濃度の高いジメチルホルムアミドを含む有機溶剤蒸気に暴露されていたという事実があるわけでございます。  それから、いまお話が出ました解剖所見から見ましても、中毒性の肝障害であるということが認められておるわけでありまして、しかも、業務以外の原因によるものではないと私どもは認めまして、業務上の疾病として認定をいたしたわけでございまして、いまお述べのように会社がどうもその点の理解が不十分だということであれば、私どもも十分さらに御説明をして納得をしていただかなきゃならぬ、そういう指導をしなければならぬというふうに思いますが、私どもはこの事件についても先ほど来お答えしましたように、労働安全衛生法違反として検察庁事件を送致する、労働基準監督機関措置としては最も強い措置をとったような次第でございまして、私どもとしてはこういう事件再発防止については徹底的な強い態度指導監督をいたしたいと思います。  なお、やはり問題はこういった溶剤については技術革新が進んでおりますので、日進月歩であります。また医学の知見も変わっていくわけでございます。  そこで、先ほど来大臣も申し上げましたように、有機溶剤規則そのものの検討ということも私どもは怠ってはならない、そうしてこういったそごの生じないような措置をやはりとる必要があるというふうに考えるわけでございます。
  19. 浜本万三

    浜本万三君 大臣長南さんの未亡人は、労働省業務災害として認定されましたときに、新聞記者の求めに応じまして談話を発表されておるんですが、その談話を見ますと、再び私のような被害者を出さないようにしてくださいという悲痛な訴えをされておるわけでございます。言葉は非常に短かいんですけれども、この言葉の中にこもっておる心情というものがはかり知れないものが私はあると思うんです。それで、この訴えを聞かれまして大臣はどのように思われますでしょうか。大臣所見を承りたいと思います。
  20. 浦野幸男

    国務大臣浦野幸男君) 遺族の方の御心情は本当に察するに余りあるものがあると思います。そのときに申されたこと、すなわち、こういうことが再び起こらないようにしてもらいたいと、この素朴で率直なお言葉はですね、本当に胸にじんとくるものがあります。  われわれ、いまいろいろとその労働災害の問題に取り組んでやっておりまするが、日本の産業がどんどんと高度に発展をいたしておりまするけれども、しかし、この労働災害、いわゆる働く人の災害を、あるいは病気を犠牲にして発展したって、これは何にもならぬと思います。私は発展もそれは必要だと思いまするけれども、こうした労働災害の問題、あるいは特に職業病の問題が非常に各地で全国的に問題が強くなってきておる今日の状況から見ますれば、労働省といたしましても、この職業病対策というものはもっともっと法令の不備も改正し、そうして職業病対策というものに対してはさらに強力な措置をとっていかなきゃならない。こうしたことが、こうした遺族の方などの御趣旨に沿うのではないかと、こう思って今後も努力をしていきたいと、かように考えております。
  21. 浜本万三

    浜本万三君 このような有機溶剤を使用しておる事業場を、労働省調査によって拝見をしますと非常に多いということがわかるわけですね。実は事業場の数が七万七千、そこに従事する労働者の数が二十七万人と伺っておるわけです。そして、そのうち有機溶剤による急性中毒事件発生状況というものも報告をいただいたわけですが、四十六年から四十九年、各年いずれも五十件前後の事件発生をしておるわけでございます。しかし、内容を調査していただいた結果によると、慢性の中毒発生状況は把握されていないと、こういうことでございます。また、したがって労災認定例も記載されていない、まだ調査していただけば出るかもしれませんが、いまのところわからないと、こういうお話でございました。したがって、私は非常に多いように思うんですが、今後の問題として最も大切なことは、本件のこの労災認定を契機にして、慢性中毒労災事件については今後積極的に認定をするように考えてもらいたいという希望を強く持っておるわけでございます。これに対して労働省の誠意ある態度を期待をしたいんですが、いかがでしょうか。
  22. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) いまお述べになりましたように、この有機溶剤関係事業場というのは非常に零細な、特に家内労働なんかに多く見られるわけでございまして、この被災の問題はゆるがせにできない重要な問題かつ非常にむずかしい問題であります。そういう意味で、私どももっと勉強しなければいかぬというふうに思っております。  それともう一つは、確かに急性のものは措置されるけれども、慢性のものが見逃されるのではないかという点、これも私どもいま問題意識を持っておる一つの問題でございまして、どうも労災保険の運営を見ましても、従来から何となく事故中心、けが中心、したがいまして職業性疾病でもけがの後遺症、あるいは熱傷、凍傷とか、そういうようなどうもアクシデントに伴うものに重点が置かれて、ここ数年来非常に強調をされておりますような慢性の職業性疾病に対する補償については、なお私どもとしては努力をする余地が多々あるというふうに考えておるわけでございます。  そこで、この有機溶剤につきましても、実は最近、ことしに入りまして一月三十日の通達でございますが、ベンゼンまたはその同族体及びアセトンまたはその他の溶剤による中毒労災認定基準というものを新たにつくりまして、労災補償上の措置を講じました。そういう意味で私どもとしても特にいまお話しの慢性中毒については、十分な専門家による検討を続々行いまして、必要な認定基準をつくっていきたいというふうに思っておるわけでございます。  ことしに入りましても、すでにいま申し上げました有機溶剤の問題のほかには、二硫化炭素の問題、ニトロアミド化合物の問題、クロムの問題、塩ビの問題、こういうような点について次々と専門家会議の報告を得て労災認定基準をすでに出しておるところでございます。  なお、今後も当委員会でいろいろ問題になりましたチェーンソー関係の、特にチェーンソー以外の工具についての振動障害認定基準の問題、それから腰痛の認定基準の問題、無機水銀の問題等等早急に措置すべく、せっかく検討中でございます。お尋ね趣旨を十分踏まえまして、私どもとしてもさらに努力をいたしたいと思います。
  23. 浜本万三

    浜本万三君 この五十年十一月一日の河北新報の報じるところによりますと、これは地方紙だろうと思います、仙台の。それによりますと、この事件発生をいたしまして、なお工場には八名ぐらいの患者がいるらしいという報道があるわけです。しかしなお、言うと首になるから言えないということなんです。これはまことにけしからぬ話だと思うのですが、同様に全国的にもこの種患者が多数存在をして、やみからやみに葬られておるんではないかという心配があるんですが、この点局長どうですか。
  24. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) 先ほどもお答えしましたように、この大きな事故あるいは急性の中毒等はわりあい把握されやすいわけでございますが、慢性のものにつきましてはとかくなかなか表面に出にくいという悩みがございますけれども、これは企業の方には労働安全衛生法規定によって死傷病報告を提出する義務がある。この義務の履行について私どもとしてはなお一層厳正な指導あるいは措置をやらなければならぬと思いますし、それから、労災保険につきましては、私ども役所の方でも十分指導をいたしたいというふうに考えますけれども労働者の方も積極的に、これは労働者の権利でございますので、労災につきましては監督署の窓口に出してほしい。そして、先般もお答えしたと思いますが、新しく診断サービスというような、国費でいろいろ業務上外の診断をするような措置も最近とったわけでございますから、そういうものを活用していきたいと思っておりますので、そういうことを特に労働者の方々にもお願いをしたいというふうに思います。  それから、御案内のように、労働基準法では言うまでもなく労働者の申告権がございます。これも十分私どもとしてはその行使ができるようなふうにもっていきたいと思いますし、それから常日ごろ御指摘を受けます労働基準監督署指導監督の体制につきましても、なお一層予算、人員、それからその指導能力の内容の面等々に意を用いまして、一層のひとつ努力をいたしたいというふうに思います。
  25. 浜本万三

    浜本万三君 いま局長がさらっとこう言われるんですが、なかなかそうなってないんです。特に労働者には申告権が権利としてあるじゃないかと申しましても、申告すれば首になるのじゃ、これはしょうがないわけなんで、そんな簡単なものじゃないということを承知してもらいたいのですよ。それから同時に、外部診断をやっておるということ、これはどんどん大いにやってもらいたいと思うのですよ。そうすれば、そんなものが比較的キャッチできる条件ができるのじゃないかというふうに思います。  ともかく、災害を防止する一つの接点が健康診断ということになると思います。健康診断の問題について見解を承りたいと思うのですが、現在の健康診断の内容につきましては、有機溶剤中毒予防規則第二十九条第二項に明記されておるわけですが、これは六カ月以内ごとに定期に次の診断項目で厳密に診断をしなさいということなんですが、たとえば頭痛、頭重、不眠、焦燥感、目まい、下肢倦怠、神経痛、食欲不振、胃の症状等神経系または消化器系障害の有無の検査、その他いろいろあるのですが、お医者さんに聞いてみますと、こういう症状が発見された場合には死の徴候があらわれておる時期ではないか、慢性中毒の場合には。そういう話も私は聞くわけなんですよ。有機溶剤の人体に対する影響については未知の部分があって、まだ解明中だということも、先ほど局長からも大臣からもお答えをいただきました。しかし、慢性の場合には、一つ溶剤あるいは溶剤が複合いたしましていろいろな影響を人体に与えて、じわじわと言いましょうか、徐々にと言いましょうか、徐々に慢性化してまいりまして、発見したときにはもう大変だ、こういう事態にあると思うわけであります。したがって私は、健康診断の内容については早急にこれは改善する必要があると思います。特に、「職業病ハンドブック」の中にも、西川さんという方が有機溶剤中毒予防対策として二、三の示唆をされておる記事が載っておるわけなんでありますが、それによりましても、現在の健康診断では不十分ではないかということを指摘をされておるわけなんでございます。そういう意味におきまして、現在の健康診断の内容は不十分であるということを認めていただいて、早急に改善をするお気持ちがあるか、お尋ねしたいと思います。
  26. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) こういった有機溶剤ばかりでなく、当委員会でもたびたび議論になっておりますような白ろう病にいたしましても、じん肺にいたしましても、あるいはクロムにしましても、塩ビにいたしましても、最近問題になっておりますような多くの職業性疾病につきましては、労働安全衛生法であらゆる労働者に義務づけられておる一般健康診断のほかに特殊健康診断、これが義務づけられております。これをいかに完全に実施するかということが非常に大事な問題ではなかろうかというふうに思っています。それに対しましては、私どもの方といたしましても、いま御指摘のようないろいろな診断項目なりあるいは診断期間の要請というようなこともやらなければならぬと思っておりますが、来年度の予算におきましても、私どもは何としても特に中小企業における特殊健康診断の実施体制について新しい対策をぜひ樹立したいということで、いま寄り寄り予算要求もいたしておりまして、また日本医師会の協力も求めておりますが、そういう手を打っていきたいというふうに思っています。  なお、いま具体的に御指摘有機溶剤中毒予防規則におきます健康診断項目等につきましては、専門の安全衛生部長からお答えをしていただきます。
  27. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) この有機溶剤中毒予防規則には、いま先生お読みになりました自他覚症状のほかに、有機溶剤が造血機能、つまり貧血を起こしやすいということから、早期発見用に赤血球の検査あるいは全血比重の検査というのを指定してございます。  それから、ものによりますが肝臓あるいは腎臓を冒すものもあり得るということでございますので、これらが冒されたときにおしっこの中に変化が出てまいりますが、その検査項目を二つ挙げてあるわけでございます。しかしながら、肝機能の早期変化というものは、ここに挙げてある項目以外に、その後精密な健康診断項目、検査項目ができましたので、これを取り入れるように検討をしております。そのほか、また有機溶剤暴露の指標といたしまして、おしっこの中に出てまいりますところのさまざまな物質についての代謝産物もはかる必要があるのではないかという御意見も、西川さんその他から述べられておりますので、これもまた検討いたしまして、コンセンサスが得られ次第改正をしようと考えているところでございます。
  28. 浜本万三

    浜本万三君 時間が来たのですが、もう一つお尋ねをしたいと思います。  今回の事件をきっかけにいたしまして、労働省として、ソニー及び全国の関係企業に対して、有機溶剤の管理行政でもし改善を指示された点——先ほどちょっと伺ったのですけれども、さらにまたとられた措置等があれば知らしてもらいたいと思うわけでございます。  私は、この問題の根本的な解決は結局、先ほどお話がございましたように、安全衛生関係法令の改正、特に罰則の強化と罰則の適用強化ということにひとつ注目をしてもらいたいと思うのですが、これを含めた改善を行うことが最も緊要であるというふうに思う次第でございます。安全衛生関係法令の改正について着手されるつもりがあるかどうかお答えをいただきたいと思います。
  29. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) ソニーの事故は、先ほど来御説明申し上げておりますように、一応の換気装置というようなものはあったわけでございますが、短時間の作業ということから稼働をさせないというようなことで事故が起こった、あるいは保護具の着用がさせてないというようなことでございます。この種の災害防止のために、当該工場につきましては、作業環境測定の実施、保護具の着用、換気装置の稼働、有機溶剤健康診断の完全実施、こういう改善を命じまして、その結果の確認をいたしたところでございます。  なお、全国につきましても、有機溶剤中毒の問題は非常に重要でございますので、私どもはこの有機溶剤に限らず、クロムとか塩ビとか、最近問題になっているような有害物質、化学物質に伴います職業性疾病につきましては、全国において計画的に監督をいたしますように、本年度は特にその点を地方に要請をいたしておりますし、またつい先週行われました全国局長会議でも、一般の会議のほかに特に半日割きまして、この労働衛生監督のあり方について討議を尽くすなどいたしております。今後もなお徹底をいたしたいと思います。  法制の改正については大臣から。
  30. 浦野幸男

    国務大臣浦野幸男君) ただいま浜本さんから御指摘のありましたように、今日の職業病の現状にかんがみて法の改正をする意思があるかという御指摘でございました。これはいま審議会で検討をしていただいておりまして、これは単なる検討ということだけでなくて、法を改正するという方向でいま検討していただいております。来るべき国会にぜひ法案を提出いたしたい、かように考えております。特に、当委員会におきましても、各委員の皆さん方から幾多御指摘のありましたものも十分配慮しまして、法の改正を行っていきたいと思っております。  また、有機溶剤中毒予防規則、これはできてからもう十年を経過いたしております。この十年の間に非常に大きな変化を来しておりますので、これも今日の現状に合うような法律に改正いたしていきたい、かように考えております。
  31. 浜本万三

    浜本万三君 この事件はやっぱり早く遺族の方方に安心をしてもらい、働いておる同僚にも安心してもらうために、労働省としてはこの上とも一切の問題が早く解決できるように努力をしていただくことを最後に要望いたしまして、質問終わりたいと思います。
  32. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は質問する前に、これ質問通告をしておかなかったわけなんですけれども、先国会で身障者雇用法の一部改正案が審議をされたときに、民間で身障者を採用しないというのは問題もあるけれども、もう一つ、政府自体も基準に達してない省府庁があるのではないかという質問をいたしました。そうしましたらあるという御返事だったわけですけれども、それぞれの省庁でどのくらい採用されているのかということについての調査を出していただくということを約束をとったはずなんですが、お忘れになっていらっしゃるのですか、サボタージュをしていらっしゃるのですか、まだ調査が行われている最中なんですか、そのことについて御質問いたします。
  33. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) いまお尋ねの件は、職業安定局の所管でございますので、関係官がおりませんが、私の承知しておる限りでお答え申し上げますと、そういうことが先国会で衆参両院で盛んに論ぜられまして、労働省といたしましても、特に政府機関の雇用率の向上について閣議等で発言もし、各省にお願いをしてきたと思うんでございます。その結果の数字につきましては、恐らく掌握していることと思いますが、その点につきましては関係局と相談さしていただいた上で、また先生に御連絡をいたしたいと思います。
  34. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 じゃあ、その点についてはきちんと報告を早く出していただくようにお願いをいたします。  私は、昭和四十八年の十月の八日、死者四名、重軽傷者九人を出したチッソ五井工場の大爆発事故について質問をいたしたいというふうに思っております。  千葉地検は、この事故に関しまして去る八月三十日、操作ミスとして三人の従業員業務上過失致死傷などで起訴をし、同時にチッソ石油化学本社は労働安全衛生法違反ということで起訴されております。このことは、工場長、製造第一部長、安全衛生部長を送検しておりました千葉県警の措置からははるかに後退したものになっており、多くの国民は疑問を持つと同時に、憤りすら感じているところであります。私も、通産省の事故調査委員会の報告書を読みました。そして考えてみたんですけれども、どうしても納得がいかないというふうに思いました。たとえば、保安体制はどうであったのか、労働条件はどうであったのか、現場責任者のみに責任をかぶせることで済むのかという疑問なんです。それで要求した資料が入手できませんでしたので、きょうまでに本格的な判断をすることがちょっと困難なものですから、質問もきょうは二十五分しかありませんので、その内容については触れることをやめまして、必要資料の問題について若干質問をしたいというふうに思います。まず第一に、警察庁にお伺いいたしますけれども、千葉県警の送検理由を見たいと、こういうふうに思って資料要求をいたしたわけなんですが、商業新聞がいろいろと送検内容について書いておりますのに、私どもにその送検書が見せられないと。これはそういう規則であればやむを得ないわけなんですが、非常におかしいというふうに思うわけですよね。マスコミにそういうことが流れていて、国会議員の資料要求に対してこたえられないというようなことがあってよろしいのでしょうか。それとも、きょう何か御返事がいただけるのでしょうか。その点について最初お伺いします。
  35. 鎌倉節

    説明員(鎌倉節君) 送致の内容につきましては、非公開ということが原則になっております。新聞発表の点につきましては、報道機関の公共性ということにかんがみまして、一般的に事件の概要等をお話しをするということになっております。したがいまして、この内容につきまして、この席で送検理由等について御報告をしたいと思います。  事件は、四十八年の十二月五日、被疑者といたしまして工場長それから工場環境安全部長、製造安全部長ら計九名につきまして、業務上過失致死傷、業務上過失激発物破裂の各罪、それから労働安全衛生法、消防法のそれぞれ違反容疑で千葉地方検察庁に送致をいたしております。これらに対します被疑事実でございますが、それぞれ工場内におきます地位に伴いまして、その職務内容によりまして、   〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕 異なっておりますが、いずれもスラリークーラーの分解掃除作業を行うに当たりまして、誤操作による危害防止のための安全措置を行ったということに対しまして、直接の行為責任あるいは管理者としての管理責任という点で送致をしたものでございます。
  36. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 もう少し詳しい内容というものは報告いただけませんか。
  37. 鎌倉節

    説明員(鎌倉節君) 四十八年の十月八日午後十時九分ごろでございますが、千葉県の市原市五井海岸五ノ一に所在しますチッソ石油化学株式会社五井工場ポリプロピレン製造装置付近におきまして大爆発が生じまして、ポリプロピレンの製造装置等が焼失いたしました。この際、付近で作業中の同社の従業員ら十四名が死傷するという事故発生したわけでございます。一一〇番でこの事故を認知しました千葉県警におきまして、直ちに現地に対策本部を置きまして被害者の確認あるいは被害状況の確認等をやりますとともに、県警本部にチッソ石油化学五井工場ポリプロピレン製造装置破裂による死傷事件捜査本部を設置いたしまして、現場検証あるいは関係者の取り調べ、爆発物及び爆発原因の究明、作業工程、安全管理状況等の捜査を開始したわけでございます。  この結果わかったことでございますが、爆発の原因としましては、ポリプロピレン製造装置の六号反応塔リアクターというものがございますが、これに付属しております補助冷却装置、これはスラリークーラー、これのサクション弁が取り外されておりまして、補助冷却装置の配管の開口部から、反応塔に保有されております空気と混合すれば爆発の危険性の高い液化ポリプロピレン及びヘキサンが……
  38. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 委員長、経過説明要求じゃないのです。
  39. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) 鎌倉捜査第一課長、その資料は提出するわけにいかぬのですか。
  40. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 時間がないから、そんな必要ないことは答弁していただかなくても結構です。
  41. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) 要点を答えて、それからそれは何か出せないのですか、資料を。粕谷さん、それは後で相談しますから、要点だけ。
  42. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういうことで結構ですから、じゃ来ていただければよろしいです。
  43. 鎌倉節

    説明員(鎌倉節君) それじゃこの内容を差し上げます。
  44. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 二番目に、労働省にお伺いをいたします。  チッソ五井の問題は、当然あれほどの大事故ですから調査をしたというふうに思うわけです。それで一つには、労働安全教育がどのようであったかというような面について。  二番目には、当時の労働者勤務状況というものは一体どのような情勢にあったかということですね。  第三番目に、労災補償が所定どおりに支給されたという資料はいただきましたけれども、非常に低額なわけです。これ法律どおりなんだろうというふうに思いますけれども、それは一体理由は何なのかというふうなことですね。その点についてお伺いいたします。
  45. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) 当事故の概要につきましては、ただいま警察庁の方からお話がありましたようなことでございまして、私ども災害原因は直接的には作業間の連絡が不十分であったために、現場スイッチ盤上のバルブの誤操作であり、それからバルブを誤操作してもなおポリプロピレン等が噴出しないための措置があるんですが、これが履行されていなかったということも原因ではなかろうかというふうに思っております。労働省がとりました措置でございますが、私どもも現場で直ちに監督指導をいたしたわけでございますが、労働安全衛生法二十条二号違反がございましたので、四十八年の十月二十二日にチッソ石油化学を検察庁違反として送致をいたしました。それからその後、これら石油化学におきまして、一連の爆発災害がなお続いたということもございまして、私どもとしては労働安全衛生規則の改正が必要だと考えまして、次のような改正を行ったわけでございます。それは安全管理者の選任範囲を拡大する、あるいは化学設備関係の第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習制度の創設、特別の教育の充実、安全衛生教育制度の創設、化学設備にかかる被害防止基準の整備、こういうようなことを特に安全衛生規則に織り込みましてこの徹底を図ったのであります。なお、お尋ねの点は、一つは安全衛生教育が不徹底だったんではないかというお尋ねでございます。これにつきましては、まあいま申し上げましたような点を私どもとしては改正をいたしたわけでございますが、何と申しましても安全衛生教育というものが、こういう事故防止には欠くことのできないことでございます。そこで率直に言いまして、この事件そのものについては、安全衛生教育は必ずしも十分であったとは言えませんので、私どもとしては、今後ともそれは徹底してやらなければいけない、そういう指導をいたしたいというふうに思うわけでございます。  それから、勤務体制のお尋ねでございますが、御案内のように、こういう装置産業は交代制が多いわけでございます。この工場でも三交代になっておりまして、一日七時間十五分、週平均四十時間、隔週週休二日制、こういうことになっておりまして、労働基準法違反は時間に関する限りは見当たらなかったのであります。  それから、事故発生当時、関係作業員六名のうち、二名が連動をしていた事実というのが確認されておるわけでございますが、これも法律違反ではなかったわけでございますが、結局この事故は労働時間の問題というよりも、最初に申し上げました誤操作、あるいは安全衛生面の認識の不徹底というようなことが原因であったのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。なお、労災補償につきましては、亡くなられた方四名のうち二名については遺族補償年金、他の二名については遺族補償一時金、葬祭料、それから負傷者の方々についても、所定の保険給付がそれぞれ支払われております。額が非常に少ないのではないかというお尋ねでございますが、御承知のように労災保険は法律上額の算定はきちっと決まっておりまして、平均賃金に基づきます算定でございますので、立法論として給付水準を引き上げろという御主張はたびたび出ておりますし、そのこと自体はわかるわけでございますが、この措置が何かミスによって不当に低額になっておるというようなことは私どもはないというふうに思っております。
  46. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは次に通産省にお伺いいたします。通産省からいただきました事故調査報告書を拝見して、私どもはこの報告書に書かれておりますように、安全管理体制が不十分であるという指摘は実に正しいという判断に立ったわけです。ところが、最初にその報告書を見ましたら、どうも何か物足りないわけなんですね。おかしいと思って調べてみましたら、最も重要な部分でありますページ二十六、二十七というのが抜けていたわけなんです。いろいろと資料要求が遅くなっているものですから、私たちはこれはどうも意図的なんじゃないだろうかということを感じないわけにはまいらなかったわけですけれども、十分注意をしていただきたいということをまず最初に申し上げたいと思います。その報告書の中にこういろいろあるわけなんですが、まず修理作業作業基準をいただきたいと、こういうふうに考えまして、チッソの五井工場に私が直接電話をいたしました。そうして十月の八日の日に連絡をいたしましたら、総務課長が出まして、どういうことで必要なんですかと言うから、こうこうこういうわけでというふうにお話をしまして、それじゃもうちょっと待ってくださいということなんで、お待ちしておりましたら、翌日電話がかかってきまして、旧のマニュアルですね、修理作業作業基準というのはマニュアルになっているわけですが、旧のマニュアルは県警に押収をされていてありませんと、こういうことでした。それから、新は企業機密ということで外部には出せませんと、こういうお話だったわけです。私はそのとき参議院議員の粕谷照美で取れないものであればと、こういうふうに思いまして、通産省にお願いをしようというふうに思いまして、委員部に出したわけなんですが、委員部もいろいろ御努力をいただいておりますが、ちょっとこれがまだ手元に届いておりません。それで、報告書を見ますと、マニュアルの根本的な見直しをしなさいと、改訂を命じておるわけなんです。異常時のマニュアルも作成しなさいということも命じております。逆に言いますと、異常時のマニュアルを作成しなさいということは、旧にはなかったということにつながるわけなんです。どうしても私たちは旧のマニュアルというものと新のマニュアルというものを見ないと、この問題についての追及ができないというふうに考えるわけです。ところが、これが企業秘密で出せないということになりますと、一体通産省の事故調査委員会というのは何のために報告をし、その報告ができたのかできないのかなんていうことも調査ができないのではないだろうかという考え方を持たないわけにはまいりません。それで、そういうふうに見ることもできないようなことを調査委員会が報告をしたとするならば、これはまさに指摘すること自体がナンセンスじゃないだろうかという気持ちがするわけです。それで、警察に押収されて、ないという御返事ですから、ないということは、警察は何部も何部も持っていったのだろうかという気持ちがいたしますね。そんなに同じものを何部も何部も持っていくなんていうことは考えられないわけですから、一部しかなかったというふうにしか思えません。一部しかなかったということであれば、その非常に重要な安全教育についての徹底従業員にどのように周知させていたのかという疑問も出てまいります。別に考えるならば、そういうふうな状態だからこそ、こういうふうな事故が起こるべくして起きたのだというふうに判断しないわけにはまいらないわけです。それと同時に、またポリプロピレンの製造は当初と違いましていまではもう常識化されているという専門家の判断もありまして、特に触媒の製造方法なんていうものであれば、これは産業機密に属するかもしれませんが、だからお断りの理由もなるほどというふうにうかがえるわけですが、修理作業作業基準、このマニュアルが出せないということは、これだけの大事故を起こしておきながら、非常におかしいというふうに思うわけです。この点について通産省としてはこういう資料を私の手元に届ける努力をしていただけますか。また、どうしてもこの部分は秘密で出せないというのであれば、私どもはその秘密の部分というのは必要ないわけです。秘密でない部分についてのマニュアルを出していただければいいわけですが、いかがなものですか。
  47. 広海正光

    説明員(広海正光君) まず、私どもから御提出いたしました事故報告書のページ数が一部抜けていたという御指摘がいまございましたですけれども、これはまことにもし事実だとすれば申しわけないことだと深くおわび申し上げる次第でございます。  次に、チッソ石油化学の事故に関しまして、会社に新旧作業マニュアルの提出を求めたところ、企業秘密であるということでお断りしたという点でございますが、これにつきましては実はただいま詳しい事情を承知していないわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、運転作業マニュアルといいますものは、それをたどりますと設備の運転が可能になるような非常に詳細大部なものでございまして、それによりまして運転条件やあるいは設備の細部まで知ることが可能であるというものでございます。したがいまして、場合によってはそれの入手によって企業秘密が漏れる問題もあるとは思いますが、しかしながら、本件は保安に関する問題でもありますので、われわれといたしましては会社側にも十分事情を聞いた上、極力御要請に沿った形で取り計らいたいと、かように考えております。
  48. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 じゃ、その点はそういうふうにお願いをいたします。私も専門家じゃありませんので、そんなの出してもというふうにお考えになるかもしれませんが、私どもの中には専門家がおりますので、できるだけ詳細なものをいただきたいというふうに思います。  それから最後に、通産省がこの事故が起きてから、もうこのような事故を起こさないためにということで、いろいろ指導されたというふうに思いますけれども、その指導されたことについての御報告をいただいて、私はどうしてもこの次の質問に必要な事前の質問を終わりたいというふうに思います。
  49. 広海正光

    説明員(広海正光君) この事故発生しますと同時に、直ちに千葉県知事より高圧ガス取締法に基づきまして緊急停止命令を出す一方、通産省の中に事故調査委員会を設けまして事故原因等の徹底究明を開始した次第でございます。この報告書によりますと、事故の直接的原因は停電による現場コックの誤操作によるものであるが、サクション弁とコントロール室コックが開放状態にあったため、この事故を未然に防ぐことができなかったという指摘をした上で、改善事項といたしまして保安管理体制の強化、安全教育と訓練の充実、それから電源、照明、計装、誤操作防止設備等々の設備関係の改善、さらには操業関係作業マニュアルの見直しと、非常に詳細な改善事項がこの報告書で指摘されているわけでございます。  この報告書を受けまして、私どもといたしましては、直ちに県知事を通じましてチッソ石油化学に対しまして詳細な改善事項を指示し、これら改善事項の各項目につきまして一つ一つ確認の上、段階的に停止命令を解除していくという経過がございます。いま申し上げましたように、チッソ石油化学の事故に関しましては事故報告書に基づきまして種々さまざまな改善事項を県を通して指示改善させたところでございますが、通産省といたしましては、チッソ石油化学に限らず、広く一般にかかる事故発生と拡大を防止するために、昨年の五月に高圧ガス取締法を抜本的に改正し、さらには十二月に石油コンビナート等災害防止法を成立させまして、保安対策に万全を期している次第でございます。
  50. 小平芳平

    ○小平芳平君 再三、私はクロムによる健康障害について当委員会で質問をし、あるいは問題提起してまいりましたが、どうも先回の委員会でも労働省当局の答弁ははなはだすっきりしておりませんので、三十分の限られた時間ではありますが、クロムの健康障害について重要な点を二、三挙げて質問し、明らかにしたいと思います。  その第一点は、従来クロム障害は皮膚それから呼吸器系統の炎症、これが主体というふうに言われておりましたが、今日では臨床病理学的観点等からして全身疾患であると、そういう皮膚と呼吸器に限らない、全身疾患を起こすのがクロムの障害である、このように言われておりますが、こういう点について労働省はどう判断をしておられますか。
  51. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) この点につきましては、先般の委員会でも先生から御質問があったわけでありますが、私ども労働省といたしましては、クロム問題が出てまいりました以降におきまして、クロム障害専門家会議というものを設けまして斯界の権威者にお集まりをいただき、この問題を徹底的に御検討願っておるわけでございます。そしてことしの一月に「クロム化合物による健康障害に関する検討結果中間報告書」というものが出まして、それについて、がんについてあるいは呼吸器の障害について、皮膚の障害について、その他臓器の障害について具体的な検討結果が報告をされました。それにつきましては先般もお答えしたとおりでございます。  なお、これはあくまでも中間報告でございますので、今後とも疫学調査等の進展を待ちまして検討を続けるというのがこの専門家会議の態度でございまして、私どももそれを受けてなお必要な措置をとってまいりたいと思いますが、大変先生医学的な点につきましてなお疑問を投げかけていらっしゃいますので、詳細につきまして医師であります安全衛生部長から重ねてお答えをいたしたいと思います。
  52. 小平芳平

    ○小平芳平君 専門家会議の報告どおりであるというんですが、その専門家会議の報告の要点、特に皮膚と呼吸器の炎症、そういう点と、それから全身的疾患であるかないかという点とその二点、それから専門家会議と言われても、ごく限られた範囲の調査研究しかしていないではないか、以上の点についてお答えをいただきたい。
  53. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) クロムがおっしゃいますとおり皮膚と呼吸器とその他の臓器ということで、この専門家会議でも御検討をいただいたわけでございますが、皮膚につきましてはこれは昔から潰瘍が起こるあるいは皮膚炎が起こる、人によっては、特別な体質の人ですが、アレルギーのようなものが起こるということでございます。呼吸器は御承知のとおり気管支炎等が起こる場合もありますが、一番注目されておりますのは肺がんでございます。これも全体ですべて起こるというわけではございませんで、われわれが世界じゅうの文献と日本にある利用し得るものを使っての検討の結果では、やはり特定の職場、たとえば問題になりました鉱石からクロム酸塩を製造するという工程におられた方々が問題である。  それから、わが国ではまだ余り発見されておりませんが、外国のレポートでは顔料を製造する工場で、やはり呼吸器のがんが問題であるということが言われておるわけでございます。  それから、またソ連の文献もございまして、これはこの専門家会議のメンバーであります、また座長もしていただきました坂部博士が大変ロシア語に堪能でございまして、原文をお読みいただきまして御検討いただいたわけでありますが、ここでも多少どうもフェロアオイ工程で問題があるかもしれないというようなのがあったと。しかし、これはなお検討を要するというようなことでございました。  それから、その他の臓器のことでございますが、これもレポートにありますが、いろんなところにいろんな報告がなされております。動物実験でも幾らか変化があるということでございますけれども、総論的にはやはりここにありますように、人の場合につきまして事故で非常に大量の暴露をしたと、あるいは治療のためにわざわざクロムを使ったような事例、また自殺というような目的で飲んでしまったというような急性中毒例で、腎臓の尿細管の壊死というようなものがあるわけでありますけれども工場で定常的に慢性的に少量ずつするという労働者の場合の肝臓、腎臓、消化管の障害というものは散発的な報告でございまして、まだこれをすべて集約をいたしまして決定的なものが出し得ないという結論であったというふうに思うわけでございます。
  54. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は素人ですけれども、この会議録は専門家にちゃんと提出いたしますから、専門家の検討に耐えられるようにきちっと答弁していただきたい。ただ長くしゃべっていさえすればいいという問題ではありません。現にクロムの障害で泣いている労働者も家族もいらっしゃるわけでです。  そうしますと、じゃあ次に伺いますが、日本化工の六価クロム被害者の会で三十六例の死亡者を追跡調査をなさった、その結果はどうなっておりますか。
  55. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 被害者の会の方々の調査結果でございますが、三十六名中十九例ががんでございます。そのうちで肺がんが十六名でございました。
  56. 小平芳平

    ○小平芳平君 呼吸器系統のがんと、それから消化器等の全身の臓器のがんに分けて報告してください。
  57. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) いまお答えいたしましたように、十九名中肺がんが十六名でございます。それから——失礼をいたしました。十六名が肺がんでございます。それから、十九名のがんとありますが、そのほかに胃がんの例と肝臓のがんの例がございました。   〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕
  58. 小平芳平

    ○小平芳平君 こんなはっきり書いてあるのを、どうしてそういうふうにぼかして言うんですか。三十六例中肺がんが十六、それから肺腫瘍が一、咽頭がんが二、計十九例の呼吸器系がんを発見した、これが五二・八%。それから消化器がん七、泌尿器がん一、そのほか合計して計十一例、三〇・六%のがんは呼吸器系統以外のがんだ。したがって、全身の臓器のどこにでもがんが発生するということを意味しているという、こういうふうに報告されているんでしょう。そうじゃありませんか。
  59. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 労働省といたしましては、ただいま申し上げたようなことを承知しておりまして、佐野先生のあるいはこの被害者の会の方々のものはまだ詳細につかんでおらないというのが、残念でございますが実情でございます。
  60. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうことをはっきりつかんでいないで専門家会議、専門家会議と言って、そういうはっきりつかまない専門家がやっているんですか。
  61. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 専門家会議は先ほど局長がお答えいたしましたように、まだまだ続くわけでございますが、これも報告書を作成をいたしました昨年の十二月の段階では、まだこれがはっきり出ていなかったと私記憶しております。  なお、このデータが出ておりますので、これをまた御検討をいただくということに当然したいと思っております。
  62. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう肝心のデータ抜きで中間報告とか結論とか言われても困ります、そういうことでは。どうですか、局長
  63. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) 先ほど申し上げましたように、一月の報告は中間報告でありまして、その中間報告としてこの専門家会議に集まっておられます専門家の方々のコンセンサスの結果、かような見解であるということを申し上げたわけでございますが、たびたび御説明いたしておりますように、クロムの問題はなお検討を要する問題がたくさんございます。先生がいま御指摘になられましたような情報も、私どもあちこちにあるということを承知いたしております。したがいまして、専門家会議もこれを閉ずることなく、なお引き続き検討をするという態度を明らかにいたしておるわけでございます。いま御披露ありました日本化工の被害者の会の報告は、恐らく労働科学研究所の佐野先生の御報告ではなかろうかと思いますが、これ最近出ておりますので、こういう資料につきましても私どもは専門家会議に提示し、十分検討をしていただきたいというふうに思います。
  64. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、その資料は一月の段階で手に入らなかったということですが、この資料は手に入っているのです。これはアメリカのテーラーの研究、このアメリカのテーラーの研究はこの専門家会議の中間報告ではごくあっさりとわずか数行で片づけられております。片づけられておりますが、その内容を見るとアメリカのクロム塩工場従業員千二百十二名の二十四年間の追跡調査、それで呼吸器系がんを除く全がん、それを作業年数別、年齢別に一般のアメリカ人と比較しておりますが、その倍数が三十二・五歳で五十六・八倍、三十七・五歳で十四・八倍というふうに呼吸器系を除く全がんについての報告、これをじゃ専門家会議ではどう検討されたのですか。
  65. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) これも詳細検討された結果、結論的にはここに書いてございますように、いろんな報告をこのテーラーそれ自身じゃございませんで、さまざまな報告が検討されたわけでございますが、その発生の蓋然性は必ずしも低いとは考えられないという結論でございまして、したがって一般的には論ぜられないで、それぞれのケースがもしあるとするならば、その発生職場の粉じんの発生状況であるとか、あるいは年数であるとかいうようなものを考慮しつつ判断をしていく必要があるであろうということでございました。
  66. 小平芳平

    ○小平芳平君 千二百十二名を二十四年間追跡調査したということにもかかわらず、何ですか、職場がよくわからないということですか、職場の環境が。
  67. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 職場はそれぞれ表示されておるわけでございます。したがいまして、その職場ごとに暴露の量がどうであったかということが余り明確でなかったというふうに、委員会では評価されたと聞いております。
  68. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ、暴露の量が多い場合と、暴露の量が少ない場合と、がん発生にどういう影響を及ぼすんですか。
  69. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) さまざまな事例でございますが、非常に少量である場合には、これまでがん発生は少しも普通一般人と変わらない。それから、非常に大量である場合には、これはがん発生というのは高いという因果関係がかなり最近明確にされつつあるというふうに聞いております。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 大量に暴露すれば、細胞は壊死してがん発生に至らないじゃありませんか。
  71. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 細胞が壊死する程度に大量だということでございますれば、これは実験も何も成り立たないわけでございますが、大量といいましても限度の問題でありまして、まあ、ひとつ例として許容されるレベルというのがありますが、それ以下あるいはそれに近いようなレベルでありますれば、それまでは発生を見ないというのがわれわれ、あるいは専門家の方々のおよその意見でございます。
  72. 小平芳平

    ○小平芳平君 それではソ連の、これも専門家会議のこの報告に載っておりますが、ポクロフスカヤ、ほかの方の研究、これは合金鉄生産におけるがん発生危険性について報告をしておりますが、これについてはいかがですか。
  73. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) これにつきましても、原文を翻訳をされまして、十分詳細な検討がなされたわけでございます。  この職場では三価あるいは六価クロム、それから高濃度の樹脂様物質という表現になっておりますが、想像するところ、これはコールタール系統のものであろうかと思うんですが、これと、それから三・四ベンツピレンというものが原因ではないかというふうに取り上げられているということでございます。これらの評価でございますが、やはりこのレポートそれ自身につきまして、かなり突っ込んだディスカッションが行われたということであるようでありますが、もう少し検討をしてみないとよくわからないというのが専門家の共通認識であったということでございます。
  74. 小平芳平

    ○小平芳平君 何を検討しなければわからないのですか。では樹脂様物質って何ですか、これは。
  75. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 樹脂様物質という表現がしてございますが、わが国のこの領域におきますところのメーカーの方々に伺いますと、コールタール系統のものではないでしょうかという程度にとどまっておるわけであります。三・四ベンツピレンというのは……
  76. 小平芳平

    ○小平芳平君 そんなことを聞いてない。樹脂様物質って何ですかって聞いているんですよ。じゃ原語は、ロシア語の原語がどうで、それは樹脂様物質と、どういうふうに訳されるんだというのですか。
  77. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 私、ロシア語はさっぱりわかりませんので、委員長が翻訳されたものを伺ったということでございます。それ以上ちょっとお答えいたしかねるのが申しわけございません。
  78. 小平芳平

    ○小平芳平君 笑いながら言っているけれども、あなたたちの専門家会議の報告を見て、別の専門家は樹脂様物質って何だと言っていますよ。どこからこんな翻訳が出るのかと言っていますよ。どうですか。
  79. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 伺いますと、やはり樹脂様物質という翻訳が一番適切であるというふうに、専門家会議でディスカッションが行われてそうなったと聞いております。
  80. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは次に、臓器の中の重金属を分析しております、亡くなった方の。それはどう評価していますか。
  81. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 岡山大学でおやりになったということでございますが、残念ながらまだこの報告に接しておりません。早速取り寄せをいたしまして十分検討し、かつまた専門家の方に御検討いただきたいと、私は思っております。
  82. 小平芳平

    ○小平芳平君 何でも専門家に検討、専門家に検討で逃げていますがね、もう何カ月も前に発表されていることですよ、岡山大学の分析などは。  では次に、急性炎症の発現の主役は六価クロムの激しい酸化力にあるが、体の中に滞留するクロムは三価であり、したがって慢性炎症、がん化の主役は三価クロムであるという、これは外国の文献にもずいぶんあるし、日本の専門家の中にもそのことを指摘しております。その内容も労働省の方へ差し上げておきましたが、どう評価されましたか。
  83. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) いただきまして拝見をいたしました。この竹本先生、それから渡部先生、野見山先生のうち、竹本、野見山のお二人がこの専門家会議の委員でございまして、お書きになっていただきました内容につきましては、武藤先生のはちょっとディスカッションされたかどうかわかりませんが、渡部先生のも含めまして、皆検討を十分に相互になされたというふうに聞いております。
  84. 小平芳平

    ○小平芳平君 では検討を十分にした結果はどういう結論なんですか。私が先ほど申し上げた結論なんですか、違うのですか。
  85. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 六価のクロムの障害につきましては、先ほど来お話がございましたように、かなりよくなります。それから三価につきましても、やはり蓋然性に関与をしているのではなかろうかという御意見もあるということでございますが、会議におきましては、その間に大きな議論が起こってまいったわけです。しかしながら、三価がそれではそれだけでがんが確実に多発するのかどうかという問題について検討が行われたと聞いておりまして、その結論が三価についてはもう少し材料を集めてみないと何とも言えないということでございます。無論、われわれは近いうちにまたこの委員会を開いていただきまして、三価について材料集めが行われ、十分なディスカッションがあって、三価についても法規制が必要であるということであるならば、これはまたそのときになって考えてまいりたいと思っている次第でございます。
  86. 小平芳平

    ○小平芳平君 材料を集めるって、何の材料を集めるのですか。
  87. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) この報告書が昨年の暮れまでのデータをもとにしておることは先ほど申し上げましたが、それ以後クロムにつきましての御研究、調査の結果が国内、国外ともにあると思います。それから武藤先生の御意見もまたあり得ることだと思いますので、これらをすべて集約をいたすということでございます。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 何を集めるか、ただ集まってくるのを待っているのですか。  それで、ここに労働科学研究所の佐野先生が、全身的に各種の細胞変性が認められるということ、これはさっき指摘した全身的な問題ですね。それから、これは肺ですが、三価クロムによる液化壊死の空洞としてこういうふうに写真まで発表されておりますが、そういうものを検討しているのですか、してないのですか。
  89. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 佐野先生のお書きになりましたものも検討材料にしたということでございますが、先生がお持ちのものとわれわれが検討材料にしたものとが同じであるかどうか。これは日付が七五年の十二月一日ということにはなっておりますが、これは当然に検討の材料になったわけでございます。
  90. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでいて三価クロムの毒性ははっきりしないのですか。
  91. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) やはり、まだ結論としては毒性が非常に有毒であるということにはなっていないのでございます。
  92. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ、肺の穴はどうしてあいたのですか、これは。  じゃ、その見ている間に局長に尋ねますが、前回この昭和電工大町工場のじん肺認定申請ですね、八百十一件のじん肺認定申請。これに対しまして、どうしてそういうふうな食い違いが起きるかということは、労働基準局長名で各県の労働基準局長に通知を出している。これは国際基準とわが国の基準の違いについて通知を出しているが、これが守られてないじゃないか。したがって、長野県ではそういう認定、外される方の認定になったが、ほかの県でもそういう例が起きているのじゃないかというふうに言われていますが、いかがですか。
  93. 藤繩正勝

    政府委員藤繩正勝君) いまおっしゃいましたのは、三十七年の九月に出ました労働基準局長通達のことであろうと思いますが、この通達は、当時ILOの勧告を受けまして、当時の水準でわが国のじん肺法で言っております型の判読について、こういう国際基準に従ってやれば一番いいであろうということで通達を出されたわけでございます。その後、国際的な研究も進みまして、また実際の判読のための方法といたしまして、一定のフィルム読影というものの統一が望ましいということから、中央じん肺審査委の打ち合わせ会を頻繁に開きました、かつその結果をじん肺審議会にお諮りいたしましたじん肺エックス線写真像の分類というものがございます。それによって最近は判読をしていただくように地方にも会議等で徹底をいたしております。そこで、それによって今回の判読がなされたものというふうに私どもは思っております。  御承知のように、じん肺の判読は医学的にも大変むずかしい問題でありますから、個々の事案につきましてはいろいろ医師の間に意見の相違もありましょうけれども、私どもとしては制度的に地方じん肺審査委の判断によって、地方の労働基準局長の判断をしていく、なおそれに問題があれば労働省に上げて中央じん肺審査委の判断を待つ、こういうようなことで今後ともやっていきたいというふうに思うわけでございます。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 佐野先生は東京の地方じん肺審査委をしていらっしゃる。したがって住む県によって違うということになる。佐野先生は認定すべきだと言う。長野県では認定にならない。住む県によって認定される人とされない人が大量に食い違うという結果ができている。そういう点を検討してください。  それから労働大臣に、時間が参りましたので労働大臣、先ほど来のように労働省の担当は、そうしたクロムによる健康障害というのはもう数年来のことですから、にもかかわらず肺とか呼吸器が主体なのか、全身に注意しなければいけないのか、あるいは六価クロムががん発生の主な原因なのか、三価クロムの方ががん発生の主な原因なのかというようなことについて、それが専門家会議で検討します、資料を集めますと言っているだけでは、それはその方針が決まらないことには職場環境、職場衛生、労働衛生の上からいっても困るのです。あるいは職場環境の衛生を注意する上からも問題があるし、とともにまた、実際健診を受けた方がいいか、受けなくていいか、あるいはどういう点に健康上注意していけばいいか、そういうことさえはっきりしないような労働行政じゃ困るんです。いかがですか。
  95. 浦野幸男

    国務大臣浦野幸男君) 私、労働省へ来まして一番むずかしいのが職業病、しかも、一つ一つの病気の問題を言われると、残念ながらさっぱりわからないというのがいまの状況でございます。特に三価クロムと六価クロムの説明は、私二回にわたって説明を聞きました。ところが、いま申しましたように、この説明聞いてもどうも頭の中にはっきり残らない。一体三価クロムを六価クロム同様に適用してもいいじゃないかというお話もありましたけれども、それがまた私には判断がつかないので、結局労働省としましても、労働行政あるいは職業病の問題に取り組んでおりまするけれども、結局は専門家の医者の意見をまとめなきゃならない。こういうことで、ただそのやり方がスローモーションでは困ります。指摘された問題については的確に一日も早くこの結論を出すように努力をしていきたいと思っておりまするが、いずれにしましても、この職業病、特に六価クロム、三価クロムの問題、重要なことはよくわかっておりまするが、なかなか結論が出てこないので、申しわけないと思っておりまするが、さらに督励して結論を早く出すように、そうして有害であるというならば、直ちに規制の対象にしていきたい、かように考えております。
  96. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  97. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 速記を起こしてください。
  98. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) この資料は専門家会議に出しましたものとちょっと違いまして、大変大きな写真が載っております。二月にこれが御発表になっておられるというふうにお伺いいたしましたが、いずれにいたしましてもこういうはっきりしたものを専門家の方にお見せをいたしまして、十分御討議をいただき、コンセンサスを得たいというふうに思っておるわけでございます。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、しばらくの時間をちょうだいして質問したいと思います。  雇用、失業対策問題というのは依然として重要でございます。労働省の発表では、有効求人倍率が〇・六五内外をどうやら上下をしておるようでございます。ところが、私ちょっと驚きましたのは、海上つまり船員の有効求人倍率というのが〇・二七だということで、陸上の半分以下あるいは三分の一というふうなことになっておって、いま日本人船員船員保険法で失業手当をもらっている人が約六千人、その他の求職者等を含めて失業をしていると言われている日本人船員というのが一万人にも達しているということでございます。しかも、それで一体どうなっているんだろうかということで、大学あるいは高等専門学校等の新たに卒業する新卒生の就職状況がどうかということを見てみますと、これまた大変驚いたわけでございますが、ことしの九月の卒業生のいわゆる商船大学卒業者、その中の就職希望者というのが三百四人おるんだそうですけれども、海上に求職の決まった人というのは三十五人、三百四人中三十五人。それから、陸上で就職をした人が百二十四人で、合計百五十九人ですから、求職者の約半分は商船大学の卒業生は就職口が一応決まっている。ところが、商船高専の卒業生というのはこれは大変な状況ですね。就職希望者が四百七人で、そのうち海上に就職のできたのは十三人で、陸上というのが六十七人で、合計やっと八十人。ですから就職希望者四百七人中八十人の就職決定でございますから五分の一なんですね。これは残った人はどうなるのかという問題があるわけですけれども、これは御承知のように商船大学あるいは商船高専というのは特殊な技能を身につけるために、特別教育を受けてきている人たちですね。ところが、本来身につけた能力というものを本当に生かすという海上就職というもの、海上勤務につけるという人が大学卒業生で十分の一ですね。商船高専の卒業生に至っては四百七人中わずかに十三人ですから三十分の一というふうな状況になっているわけでございます。私はこの点は船員の問題だから運輸省の管轄だという御見解労働省におありだと思いますけれども、そういう人たちが就職できなかったら陸上勤務をしなければならないので、当然いまの雇用、失業対策の大変な事態の中に非常に大きく影響を及ぼしてくる、全く不可分な関係にある問題だという点で私はきわめて重要だと思っているわけです。そこで、しかも私はこれは大変不思議だし、大いに政府としてはその対策に意を用いなければならないなと思いますのは、わざわざいわゆる何というんですか海運の見通しを一応立てて、わざわざ昭和四十四年度に二百人の定数増をやっているわけです。その人たちが二百名定数増を学校ではやって、第一回の卒業生というのは昭和四十九年の九月に初めて定数増になった人も含めて第一回卒業生、その第一回卒業生はそこそこ就職先はあった。ところが昨年以降というのはきわめて状況は厳しい。ことしに至っては高専ではたった十三人、こういう状況なんですね。ですから国の施策で一定の学校等の定数までふやしてそして養成をした人たちが、就職もできないというふうな状況を生んできているというのは、明らかに政府の施策による見通しの誤りが卒業生に対して大変な悲惨な思いをさせているということになっていると思うのです。この点では明らかに政府の責任で対策を考えるべき筋合いだと思うのですけれども、こういった点についてはどういうふうにお考えになるでしょうか。これは運輸省も労働省も一遍聞きたいと思うのです。だって余った人全部船員仕事につけないのだから、陸上で仕事をするのですから、当然雇用対策に直接的に関係あるんですよ。
  100. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) 御指摘のように、商船高専の卒業生の就職は非常に厳しい状態になっております。これはもとをただせば、お話しのありましたように四十四年に二百人ばかり増員をしておる。これは運輸省の中に海技審議会というのがございまして、この海技審議会というのは、使用者、労働側、それから学識経験者というものによって構成されているわけでございますが、この審議会で実は二百人から三百人の増員が必要であるという、こういう見通しを立てまして、四十一年に答申をいたしまして、これに基づいて四十四年に二百名の増員が実現したわけでございます。したがいまして、当時は高度成長期の途中でもございますし、今日の状況を予測し得なかったという意味で、非常にわれわれ残念だと思っておりますし、また事実当然海上に就職できると思って高専に入って来られた方々にとっては、きわめて気の毒な事態になっていると痛感しております。したがいまして、われわれが当面できることというのは、まず船主協会その他船会社に要請して、一人でも多くの卒業生を採ってもらうということ、これは現実に運輸省といたしてやっております。それからまた地方の支分部局を通じ、また支分部局がさらに陸上の公共職安とか、直接に雇用主とかそういうところにお願いして、ぜひこの卒業生を採っていただけないかと、こういう小まめな努力をするように指示しております。これでも現在のこの状態で十分卒業生を吸収し得るかどうかわかりませんが、まずこういうところから始めなくては対策も立てようもございませんので、さしあたりこういう面で全力を挙げて努力したいと思っております。
  101. 遠藤政夫

    政府委員(遠藤政夫君) 商船大学なり商船高専といったような特殊な職業教育を受けられた方が、その修得された技術、技能を生かす職場に就職できないということは、これは大変残念なことでございますが、まあ船員関係船員労働関係はいまお話ございましたように運輸省の所管でございまして、一般の大学卒業生、高専卒業生につきましては、これはいわゆるオイルショック以来、四十九年の暮れに就職あっせんをいたしました昨年の三月卒業の大学卒業生あるいは高専の卒業生につきましては、大変厳しい状況にさらされているような状況ではございましたけれども、幸い昨年は大体就職希望者のほぼ全員が就職できた。ことしはそれよりはかなり明るい材料がそろっておりまして、目下十月一日から企業訪問が始まっておりまして、数日中に来月一日から具体的な選考が始まります。見通しとしましては、大体去年よりはさらに一段と明るくなっていると思います。したがいまして、この商船関係の大学高専卒業生の方々が、そういった海上労働なりあるいは船員関係で就職できないで、一般の陸上の雇用につかれる希望者があれば、もちろん一般の大学卒業生、高専卒業生と同じような就職あっせんということで就職をしていただくことになると思います。そういった点につきましては、私どもも万全の努力をいたしてまいりたいと思っております。
  102. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでね、大変厳しい実態というのが数字で明らかにされているわけですが、そういう中で私はやはり相当運輸省を中心にして、これは学校はそれは文部省の管轄——所管でしょうけれどもね、国がお金を出してつくった学校を卒業してきて、特殊技能を身につけてせっかく卒業したけれども、その身につけた技能が生かせないというふうな状況になっているというのは、これは国として特別に対策を講じなかったら、これは直ちに即物的にというかっこうにならなくても、本当にそういう人たちを今後増大させていくというふうなことのないための雇用対策というのを強化しなかったら、大変なことになるだろうというふうに思うのです。そういうことと関連をいたしまして、私は運輸省にもう一つお聞きをしたいと思いますのは、ここに日本海事新聞という五十一年十月二十日付があるのですが、これには「日韓海運協定 早期締結への動き」という記事が出ております。これを若干読んでみますとこう書いてあるのですね。「協定締結を前提とする両国の海運協力交渉は、七三年から事実上、中断のかっこうになっているが、さる九月中旬に訪日した姜昌成港湾庁長が中村大造運輸事務次官などと会談したさい、新しい海運協力方案を提示し日本側の実質的な同意を得た−と伝えられている。  両国間の行政サイドで合意をみたといわれる海運協力案の詳細な内容は不明だが、大筋としては七七年から政府ベースによる実務者会議を毎年開くとともに、民間ベースでも両国船主協会を通じ話し合いの場をひろげていくことに意見の一致をみたとのことだ。  なお九月の会合では、韓国側が船員提供を約する一方、日本政府が検討中の対抗立法制度につき韓国に影響が及ばぬよう考慮することに合意したとの報道がある。」というふうに報ぜられているわけでございます。ところが、私どもがこういった会談の中で伺っている内容というものは、韓国側の姜港湾庁長ですか、その方と運輸当局との話し合いの中では、韓国には船員が三万五千人いると、そのうちの一万二千人は外国に出ているんだと、そのうち七千人は日本の支配する船に乗っているんだと、これからもこういう面での協力をしたいという旨が表明をされたというふうに伺っておるわけでございます。そういった点も含めて、これは合意したというふうに報ぜられておるのは、合意をしたのかどうか。私はこれは大変な問題だと思うのですね。国内で一万人内外の船員が失業状態になって、雇用問題が大変な大問題になっておるときに、さらにいまでも七千人は提供しておりますよ、もっと提供する用意がありますよと、こう言っているのに対して、運輸省はいや結構でございますと言って、合意をしたというふうなことでは、日本船員の雇用対策というのは解決できないのじゃないか。一体どういうつもりでこんなことを考えているのか、態度を、私は運輸省の姿勢の問題については非常に不信を感じますけれども、どういうつもりでこういうことに同意をしておられるのか、その点お伺いをしておきたい。
  103. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) 韓国と間の海運協力ということが、運輸省の海運局との間に話し合いの議題になっているということは聞いておりますが、その内容といたしまして、船員を提供したいとか、また船員の提供の協定に両者が合意をしたというような事実は全くございません。先日韓国の港湾庁長がお見えになりましたが、そのときも日本側として会いましたのは、運輸省では海運局長と港湾局長でございまして、船員局長は会っておりません。したがいまして、こういうような話を直接されたこともございませんし、また合意を行ったということもございません。
  104. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いずれにしても、そういうことが言われるような姿勢というのは、厳に慎むべきだと思うのです。といいますのは、それだけではなくて、海運業界というのは外航海運企業によって進められている、これは従来から言われております便宜置籍船の問題、あるいは仕組み船の問題、マルシップなどというふうな問題が出てきて、いわゆる脱日本船員という方針が非常に急速に広がってきているわけですね。そういう点で船員の雇用不安を非常に強くしているし、社会不安にまで発展していっているわけですね。ですから、当然該当の労働組合である海員組合では、これは最大の問題だというふうに言って取り組んでおられるわけでございますが、これに対して私ごとしの五月にも一遍御意見をお伺いしたことがあるんですが、特にこのマルシップ問題というのはこれお聞きしたことがあるんですが、大変な問題だと思うんですね。これはもう皆さん御承知だと思いますけれども、マルシップというような形で横行している中身というのは、日本国籍の船に外国の低賃金労働者を乗せて走っておるという、一口に言ったらそういうものなんですよね。ですからずいぶんひどいことになっていますね。日本の船主が所有権を外国の海運企業に貸し渡して、それで外国海運企業はその国の労働者を乗せて、その船をまるごとまた日本のオペレーターにチャーターバックするんですね。だから結局その船籍は日本国籍であっても貸し渡しているということで、法的責任は貸し渡した相手の外国の船主にあるわけですね。だから全然法的責任は要らない。手続は簡単に官庁に届け出したらいいだけで、実質的には外国の海運企業から船員だけを提供してもらっているというかっこうになっておるんですね、姿としては。こういうことというのは、これは船員職業安定法五十三条から見ても違反するんじゃないかと私は思うんですがね。この問題、きょう特に突っ込んで触れようとは思っていませんけれども、だから当然形式的に届け出出したら、それで外国の船主に船を貸して、それでその船主の名前で外国の船員乗せて、それで日章旗立てて、日本の国旗立てて、それで日本の海運業界にチャーターバックして走らせているわけだから、船は日本国籍でそれで日の丸の旗立てて走っておるけれども、中身は全部外国の労働者。しかし、外国の船主だから法的な責任というのは日本では負わなくてもいいような状況に置かれている。そのことはきわめて大変なことになっていますね。  私余り海のことはよう知らぬので、いろんなものをちょっと読んでみて驚いたんですがね。たとえばわからへんでしょう、やっと見つけて、これ海員組合の元の執行委員の人が書いておるんですけれども、こない言うているんですね。船員手帳もないし、だから船員違反だと。通信士も韓国人では電波法違反の疑いがある。それで海上保安庁へ通告に行ったら——これは広島丸という船のことですが、海上保安庁の警備救難係長はこう言うたというんです。これはよう知っていると。この船が浦賀水道を通航行中、海上交通法に違反した危険な航行をしているということの連絡があったので、指導を兼ねて行ってみた。行ってみると、船長は全く海上交通法は知らない。定員には五名の欠員がある。その中には操舵手も欠員している。操舵手いうたらかじ取りですね。これも欠員で、やむを得ず航海士が操舵手がわりにかじをとっていた。しかも、航行警報や航行上の情報はオペレーターが本航に提供すべきなのに全く提供されてないと。  だから私は、この船は船員違反と電波法違反の疑いがある。だからすぐに出港をとめて検査してくれと言うたら、海上保安庁こない言うたというのですね。船員法と電波法の違反。しかし本船は韓国に裸用船で貸し渡して、韓国船主が日本の岡田海運に定期用船しているので、日本の岡田海運もそれから船主の生国海運も直接の責任はなく、韓国の船主が法的責任を負うわけだ。しかし日本の官庁としては、外国の船主まで取り締まるわけにはいきませんとこう言うているのですね。それで、これもし浦賀水道でまた万一大型タンカーとでも衝突して油の流出起こしたら、えらいことになるという問題はもう十分わかっている。だけれども、どないもできませんとこう言うているのですね。  片や日本人船員を失業にほうり出して、低賃金労働者を乗せて、しかも国内法も違反しているのわかっているけどどないもできませんと、こういう状態になっているというのがマルシップの正体だというわけですね。実に驚いた限りなのですがね。  そこで、私は全日本海員組合の組合長村上行示氏から四月の二十日付で運輸大臣に対して、海員組合でもこの問題を非常に重視して、海員の雇用対策の強化という点で質問状が出されているのですね。これは当然あたりまえの要求だと思うんですね。外国人どんどん乗せて自分たち日本の船員が働き場所がなくなっているのだから、この辺ははっきりせよと、してもらいたいということで要求を出しておられるのですが、運輸省回答しましたか。
  105. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) まだ回答いたしておりません。
  106. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、これは私この問題も回答していないというのはけしからぬと思うのですよ。しかも私ども聞いた話だけれども、前の船員局長がこない言うているというのだな。国会答弁ぐらいの程度であったらいつでも文書で回答します、海員組合さんはそれではいかぬでしょうと言うたというのだな。まあ前の船員局長さんだからきょうそのことについてとやかく申し上げませんけれども現在はそんなことないでしょうな、まさか。国会答弁ぐらいやったら簡単に書きますけれども、組合さんにはそうはいかないでしょうと。国会というのをそない考えているのですか運輸省というのは。もう大変な問題だと思うよ、こんなの。こんなもの当然の問題なんだから、これは回答を誠実にするべきだと思うのです。前の船員局長のお考えと違うなら明確に——違うでしょうな。まさか、同じですか、代々。担当者おらぬから言うたらちっと気の毒かもわからぬけれども、そんな姿勢ではこんな重要問題私片つかぬと思うのです。回答は誠実にやはり出すべきだと思いますよ。国会答弁だってそんなふらちな考え方をやっているのだったらこれ審議できませんよ。重大問題です。どうですか。
  107. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) この海員組合長から運輸大臣あての質問状につきましては、部内でもって鋭意検討しております。しかしいろいろ御指摘のように、法律上の問題、実態上の問題、それから船員局という狭い目だけではなくて、もう少し広い目で見なくてはならないということもございまして、関係部局との調整、そういうことでいまだに回答ができない状態で申しわけなく思っておりますが、この点は早速中で検討を進めまして、なるべく早い時期に御返事いたしたいと思っております。
  108. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、私労働大臣にちょっと聞かしてもらいたいと思うのですけれども、何でこの問題持ち出しているかと言いますとね、労働組合から出されている要求の中身には、陸上では外国人労働者を受け入れないということを閣議了解事項としてやってきておられるのですね。海ではそれが平気でまかり通っているというのでは困ると。せめて船員だって同じ日本人なんだから、ちゃんと同じようにやってもらいたいというのは基本要求なんですよ、この組合の回答を求めている中身。その他いろいろありますけれども、基本的なところはそこなんですよ。私は、この点に絡んで非常に不思議でしょうがないので労働大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、海運業界がいろんな業界の合理化で、先ほどちょっと触れましたけども、いろんなかっこうで外国船員をいわゆる低賃金労働者という形で乗せて、海運合理化をやってきておるわけですよ。その結果日本人船員が一万人も船に乗れないでしょう。冒頭に申し上げたように、新卒生さえ、わざわざ船に乗るために専門教育を五年も六年もしてきた人がたった三十分の一、十三人しか就職できぬのでしょう、海上に。こういう状態なんです。しかも、これに加えてこれは御承知のように、海員組合でも非常に心配をしておられますけれども、いわゆるアメリカの二百海里、これがやられたらまた三万五千人ぐらい漁業船の、いわゆる漁船の船員労働者三万五千人ぐらいがこれまたおかへほうり上げられると、こういうことになっておるわけですね。したがって、船員が置かれている立場というのはきわめて深刻だという点が一つですよ。それでこれは安定局長なんて、そんなこと言うたって運輸省がやっておるんやと、こうなるんですけれども、それは失業保険は船員保険法でちゃんと失業手当やるだろう、個別延長もやっておるんですね。いろいろ手打ってます。そこ切れてしもうたらいやおうなしにおかへ上がらんならぬでしょう。私は労働省が、あれは所管は運輸省だからと言うて知らぬ顔しておるという筋合いのものじゃないと思うんだなあ。労働行政の根幹というのはやはり労働大臣、あなたが握らなきゃならぬでしょう。よそへ渡している部分はもうどないなっても知りまへんか。後始末ぐらいはしてあげるけどと、こういうことですか。そうやないでしょう。私は、その点で雇用保障の基本的な立場という点では労働大臣、やはり責任をきちんと持つべきだというふうに思うんですよ。その点で国内産業や陸上の労働者に対しては、外国人労働者は雇用しないということで、歴代の労働大臣の閣議了解があってますよね。御承知のとおり昭和四十二年、四十八年、そしてことし六月にもおやりになったはずですね。こういう発言というのは、閣議了解というのは、労働大臣が発言をされて閣議了解をされるということは、特殊な部分を除いては基本的に各省庁その方針でやりましょうということで閣議了解をしているのが筋ではないかと思うんですね。  ところが、閣議了解は、これは船員は適用除外されているんですかな。これは常識的に考えても私理解できない。だから、この点はおかしいと思いませんか、大臣。せっかく閣議了解何遍やっても、運輸省の方だけはしり抜けているんですよ。これはどうですか、御見解
  109. 浦野幸男

    国務大臣浦野幸男君) 専門的な教育を受けて、その職場につけない。これは一つの経済の見通しだとか、あるいは雇用の見通し等によって特に船の関係は、一時は非常に大きな伸びを見せておりまして、そこでそういう専門教育をもっとふやさにゃいかぬというので恐らくふやされたと思いまするが、こういう問題は私は特に気をつけなきゃならないということは、いまお医者さんが非常に払底しておる。歯医者さんもない。ところが、これがどんどんふえてきて、それふやせふやせでふやした。今度歯医者さんがどこも職場がないというようなことになったらこれはまた大変だと思います。でありまするから、専門教育については非常に先をよく見通しながら慎重にやらなけりゃいけないということを私は痛感いたしておるわけでありまするが、特に高度成長時代に日本で労働者が足らなかった時代に、外国人を入れたらどうだという意見が一時出たことがあります。現在沖繩には台湾の人が一部入っておりまするが、これは現在では二、三千人でありまするが、それは御指摘になったように閣議では外国人の労働者は入れないということでありまするが、いま船の場合、どうもややこしいことになっておりまして、船主は日本であるが外国へ貸した、そうして外国がそれを運営するとそこの外国人を労働者に使うということでありまして、日本の働く人がたくさん余っておるのに外国人使わぬでもいい。ただ賃金の問題だけでなくて、そういう一つのいろいろな運営上の問題、経営上の問題でそういう措置がとられておると思います。これはわれわれももう少しよく検討し、そういうことの船を貸して、外国人がそれをやられますると、日本の船をどんどん外国へ貸しては安い賃金でやられたんでは、ますます日本の労働者はまいってしまう。こういうことを考えますると、これも一遍よく検討しなきゃならない。そういう形をやることがいまでは適法になっておりまするけれども、やはり国内の労働者を守っていくためには、そういうようなことのないような方法も考えていかなきゃならないと思っておりまするが、いずれにしましても現段階で海上へ勤めることができない、これは所管が運輸省だ労働省だ、この所管の問題もこういう問題についてはいまはそういうことになっておりまするが、これはやはり運輸省とよく相談して、これはおれの分野だ、これはおまえの方の分野だということで争っておらずに、やはり一貫した一つ労働行政の窓口を何とかつくって、海であろうと陸であろうと、やはり責任を持ってこれを解決していかなきゃならない。海で勤められない人は、運輸省からこれはおまえさんの方の分野に持っていかれるとこう言ってきても、これは責任あります。労働省責任がありまするから、それは解決しなきゃならないけれども、やはり海上も陸上も一貫した労働行政をやる、これは一遍先ほど私はこの質問に答える前にちょっと聞いてみたんです。しかし、そういう意見も運輸省側にもあるそうです。一本にした方がいいじゃないかという意見もあるようでありまするが、まだそれがはっきりとしていない。これからわれわれ運輸省側ともよく話して、こうした問題について雇用者に迷惑のかかるようなことをしてはいけませんので、十分検討して御趣旨に沿うような方向にできるだけ持っていきたい、かように考えます。
  110. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういう点が私非常に大事だと思うんです。きょうもう時間ありませんから終わりますけれども、やっぱり労働者の安全の問題、労働条件を守っていく問題、そういうものを労働省がやはり根幹としては責任を持って行政の基本を立てていく。しかも、それは各省にもしわたっていても、これは労働省が大いに各省間あるいは今度の場合だったら運輸大臣と御相談になって改善をさせる。必要であれば法改正だってやっていいんじゃないかというふうに思うんですよ。  たとえば、私時間ないから言わないけども、たとえば労働安全対策でもそうなんですよ。私は驚いたんだけど、海の中の災害というのは陸上の三倍だというんですね。死亡事故に至っては十七倍にもなっているというんでしょう。こんなの労働省知ったらこのままでいいんだろうか、運輸省の見解聞いてもいいんですが、運輸省まだもたもたしているようですよ。こういうことも含めて、外国人船員の問題に対処していくと同じように、労働安全対策についても、これは当然知ったらほうっておいたら困ると思うんです。やっぱり陸の労働者も海の労働者も、同じように労働者としての権利や福祉は守られなきゃならないというふうに思うので、そういった点をあわせてひとつ鋭意御努力をいただきたいというふうに思います。
  111. 浦野幸男

    国務大臣浦野幸男君) まだいろいろと打ち合わせしなければなりませんので、いまの御趣旨等も十分検討させていただきます。ただ検討ということで、その場逃れということでなくて、真剣に取り組んでみたいと思います。
  112. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会